文教委員会 第16号
- 発言数
- 39 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1982/07/07
会議録
○青木委員長 これより会議を開きます。 石橋一弥君外四名提出、国立又は公立の大学における外国人教員の任用等に関する特別措置法案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、これを許します。野上徹君。
○野上委員 国立又は公立の大学における外国人教員の任用等に関する特別措置法案に関しまして、御質問をしたいと思います。 まず、質問に入ります前に、私のささやかな体験でございますけれども、特に昨年、東南アジア、インドネシア、タイ、韓国を歴訪いたしましたが、その際に私は私なりに一つ大きな勉強をしたわけであります。それはどういうことであるかと申し上げるならば、東南アジアの諸国が日本への留学生制度あるいは今度取り上げられましたこの外国人教授ということに大変な関心を持っているということであります。特に関心を持っているということは、日本の国のそうした関係の処遇が非常に不満である、こういうことでありました。 たとえば韓国の方々の意見によりますと、いま韓国には非常に反日的な感情がある、その反日的な感情の一つの理由に、韓国は前はどんどん日本に留学生を送っていたのだけれども、せっかく卒業してもそこで就職への道が開かれていない、外国人であるがゆえに大学の教授になることもできない、こういうことを大変に不満に思っていたわけであります。一方、アメリカなどは早くからそういう外国人に対する門戸を開きまして、韓国の留学生をどんどん受け入れ、そして教授にもし、そしてそういうふうにしてアメリカで教育を受けた韓国の青年が国へ帰りまして、いま政府やあるいは国会議員として重要なポストにいる、これはアメリカと韓国との親善交流という上で大変なプラス面を上げているのだ、こういうことでありました。 昨今、貿易摩擦が大変に取りざたされているわけでありますが、この貿易摩擦の問題は単に経済的なものによって解決するのではなくて、これは長い時間をかけた文化交流、それによってお互いの国の相互理解というものがあって初めて貿易摩擦というものの解決策もそこに出てくるのではないか、こういうふうに私は思うわけであります。 その点から申し上げまして、実は昭和二十八年、いまから三十年前でございますが、御承知のように内閣法制局あるいは人事院が公務員に対して、現行の外国人教員の任用制度について一つの解釈を出されました。公務員に関する当然の法理として「公権力の行使又は公の意思の形成への参画にたずさわる公務員となるためには日本国籍を必要とするものと解すべき」だ、こういう一つの解釈を出したわけであります。御案内のように、外国人が日本の公務員になってはいけないという特別規定はないにもかかわらず、こうした解釈によって一つの文化的な非関税障壁ができたと言っても過言でないと私は思うのです。そういう意味からして、頭脳は流出はするが流入はさせないという、これまでの日本の大学の教育におけるこれは一種の保護貿易とも言えるものではないかと考える次第であります。 そして今回、この法案を御提出になったということは、ある意味でこの文化的非関税障壁の撤廃という意味にもつながると私は思うのであります。日本の大学あるいは教育の排他性ということを世界各国が大変指摘していた中で、三十年ぶりと言いましょうか明治以来と言いましょうか、やっとこの段になってこの法案が提出されたということにつきまして、私は自由民主党員としてのみならず国会議員として高く評価したいと思いますし、かくなる上はこの法案の速やかな成立を希望するものであります。 さて質問の第一でありますが、この法案はただいま申し上げたように非常に懸案の待望のものでありまして、自民党の中におきましても大変な論議が交わされたと思いますし、昭和五十二年ごろからこの制度を制定しようという動きが非常に高まってきたわけであります。そこで、まず第一に質問したいのは、この国会におきまして本案提出に踏み切った理由あるいはその目的、そういったものをお聞かせ願い、そしてまた、先般提案趣旨でお聞きしたわけでありますが、再度提案者より提案理由のそのポイントについてまずお聞きをしたいと思います。
○石橋(一)議員 お答えをいたします。 ただいま野上先生から所論の開陳があったわけでありますが、全くそのとおりであろうと思います。特に、文化的非関税障壁の撤廃にもつながる問題であるという御意見でありますが、私どももそのような考え方を持っておるわけであります。もちろんわれわれといたしまして、自由民主党としてこの問題、明治以降なかったことをどうしてもこの際やっていきたいという考え方をまず強く持ったわけであります。これは漏れ承りますと、与党自民党だけでなく各政党の中にもこの論議があったということを承っているものであります。 そうした中で、特に今回踏み切った理由ということであるわけでありますが、御承知のとおり現世代はいわゆる国際社会であります。そうした中におきまして、わが国といたしまして諸外国と協力しながら国際社会に貢献をしていく、そのようなことを考えてみた場合、また教育、学術、文化の国際交流を一層活発にやっていくということがいまのわが国に与えられた任務であろう、こう考えるものであります。当然、先ほどのお話のとおり「公権力の行使又は公の意思の形成」ということで、法律に特別の定めはないわけでありますけれども、いわゆる法理論としてその考え方があった、そのために、各省の間でいろんな話し合いをしてやったがなかなか合意ができない、一方、世界情勢、国際社会の動きというものがこのような形になってきた、そこでこの際、きちっとした姿を一つの特別措置法として出した方がいいだろうという考え方で踏み切ったわけでありますのでよろしくお願いをいたします。
○野上委員 これまでにも、われわれの先輩の秦野議員やいろいろな方々からいろいろな場所ですでにこの問題についてはいろいろな質問がされていたわけであります。その都度法制局長官は、まあ法律を変えればというような話をなさり、歴代の文部大臣は、前向きでこれを検討しよう、こういうことでありましたが、とうとう今日までその日の目を見なかったわけであります。 その一つの大きな理由は、先ほど申し上げたこの当然の法理としての解釈がある。その法理に対して立法をもって特例措置を講ずるもの、つまり穴をあけるのだ、こういうことに解釈してよろしいでしょうか。
○石橋(一)議員 お答えいたします。 そのとおりであります。先ほど申し上げましたとおり、公務員に関する当然の法理として「公権力の行使又は公の意思の形成への参画にたずさわる公務員となるためには日本国籍を必要とする」、このよべに解釈をされてまいったわけでございます。そこで国公立大学の教授等は、教授会の構成員として教授等の人事あるいは学生の入退学等の処分あるいは大学の運営に関する重要事項の審議に加わることになる、こういうことでありますので公の意思の形成に携わるということになる、そういうことでいままでは日本国籍を必要とするという解釈であったわけであります。 ただいま先生御所論のとおり、今回の措置によっていわゆる特別措置法という字句を冠しまして、そして当然の法理について、立法措置によって特例措置を講じて国公立大学の教授等に外国人を任用する道を開こうとするものであります。
○野上委員 そこで、昭和五十三年三月二十日の参議院の予算委員会で、秦野さんの質問に対しまして法制局長官が、いまお答えをいただきましたそのことについて明言をしているわけです。「教授会はいろいろ大学の人事だとか運営を決定する、審査する、いろんな権限が与えられておりますので、そのことと、先ほど申しました国家意思の形成には関与していただくわけにいかないんだという考え方とをどうマッチするか、調整するかということに帰するわけなんですね。」としておりまして、これが長い間の一つの解釈であったわけですが、今回のこの法案によりますと、第二条の二項にはっきりと「教授会その他大学の運営に関与する合議制の機関の構成員となり、その議決に加わることを妨げられるものではない。」、こういうふうにされているわけであります。こうなりますと、これまでの解釈と明らかに、ここに一歩前進といいましょうか食い違いといいましょうか、そういう点があるわけであります。この点に関しましてひとつ衆議院の法制局の方から、この点をどういうふうに解釈されているのかお聞きしたいと思います。
○松下法制局参事 お答えを申し上げます。 先生御指摘のように「公権力の行使又は公の意思の形成」に参画する官職については、外国人を任用することができないという従来の法理からいたしますと、今回のこの立法はその法理とどういう関係に立つのかという問題があるわけでございます。 その点どのように考えたかということを申し上げるわけなんでございますが、従来からの法理というものを考えてみますと、これは自国の主権の維持と他国の主権の尊重という理念から導かれる法規範という性質を持つものだ、このように考えられるわけでございます。 それで、こういう考え方に立って大学教授というものの性格を考えてみますと、大学というものは学術の中心として深く真理を探求することをその本質とすることにかんがみまして学問の自由というものが保障されているわけでございます。そして、この学問の自由を保障するために大学の自治が認められている、このように考えられるわけでございます。 そこで、大学におきまする教授会の諸権限、これは大学の自治のもとにおきまして認められておるわけでございまして、外国人がこういう性格を持つ教授会の審議それから議決に加わるといたしましても、いま申し上げました国家主権の維持に対する影響というものはきわめて弱いものであること、こういうように考えられるわけでございます。 一方、大学は本質的に国際的性格を持つ学術の研究、教授を目的とするものでございますから、外国人を教授等に任用いたしますことは、大学におきまする教育、研究の進展それから学術の国際交流の推進のために強く要請されるところであるというふうに考えられるわけでございます。 以上申し上げましたように、国公立大学の教授等に外国人を任用することにつきましては、そこに特別の合理的理由があるというふうに認められますので、こういうような場合には国民の意思の発現でありますところの立法によりますならば、公務員の就任能力に関する法理、すなわち「公権力の行使又は公の意思の形成」に参画する官職については外国人を任用することができないという公務員の就任能力に関する法理について、その特例を設けることは可能である、このように考えて立案をいたした次第でございます。
○野上委員 わかりました。 そこで先を急ぐわけですが、大学局長にお尋ねいたしますが、この外国人教授の任用制度は先進国の中で日本が最もおくれているというふうに私は記憶をしているわけですが、ひとつ欧米諸国の実情について具体的に御説明を願いたいと思います。
○宮地政府委員 欧米諸国における外国人の大学における任用問題についてのお尋ねでございますが、原則的には外国人教員の任用を制限している例は見られないわけでございます。 まずアメリカでございますが、アメリカの州立大学はほとんどが法制的に申しますと州政府から独立した別の公法人でございまして、したがって、外国人の任用については法的に制限がまずないということになるわけでございます。したがって、州立大学に外国人を任用することについては制限が設けられていないわけでございます。 次にイギリスの場合でございますが、イギリスの大学は補助金は相当額国から出されておりますけれども、制度的に申しますと、法制的にはいずれも形は私立大学になっているわけでございまして、したがって外国人の任用について制限はないということになっております。 わが国に比較的似ている制度というぐあいに理解できますのはフランスの場合でございますが、フランスの場合には国立大学は法人格と財政的自治権を持った公営造物というぐあいに言われておりまして、したがって、専任の大学教授は国家公務員とみなされているわけでございます。つまり、仕組みとしてはわが国と同じ仕組みになっているわけでございます。そして、フランスの場合も従来は外国人は正規の国立大学の教員とはなれなかったわけでございますが、一九六八年に高等教育基本法が成立をいたしまして、その法律改正によりまして国立大学の教員については外国人を任用することができるという規定が設けられたわけでございます。したがって、現在はフランスの場合、国立大学に外国人の教員を任用することについての制限はないわけでございます。なお、若干関連をいたしまして御説明を申し上げますと、フランスの場合には、明文の規定はございませんが、学長等の管理職については外国人を任用できない、実態上の慣行としてはそういう扱いになっているというぐあいに伺っているわけでございます。 次に西ドイツの場合でございますが、西ドイツの場合におきましても、一九七六年の法改正によりまして、州立大学の教員については外国人を任用することができるということにされているわけでございます。なお、西ドイツにおきましては、例外を除きまして一般的には外国人を公務員に任用できないとされておりますけれども、州立大学の教員については、実はこの一九七六年の法改正以前におきましても例外的に外国人の任用は認められてきているというのが実態のようでございます。 以上、欧米諸外国の大学教員の任用制度について、大学の方で比較的よく研究をされております先生の研究成果に基づきまして御説明申し上げた次第でございます。
○野上委員 やはり日本の大学が最もおくれているというような印象になるわけですけれども、全く閉鎖的であったというわけでもない。つまり、公務員にならなくても、公務員法によって国との個人契約によって外国人教師あるいは講師の道が開かれていたという側面があるわけであります。そしてその現行制度が意外にメリットがあったのじゃないか、そしてそのメリットがあったがゆえに文部省の立法化への意欲がそがれていた面があったのじゃないか、こんなふうにも考えるのですが、いかがなものでしょうか。
○宮地政府委員 御指摘のように、正規の国家公務員としての任用は法理として認められていなかったわけでございますが、現行の国家公務員法の規定の第二条に一般職及び特別職の国家公務員についての原則的な規定があるわけでございまして、それの第七項で、「政府又はその機関と外国人の間に、個人的基礎においてなされる勤務の契約には適用されない。」ということがございまして、そういう意味で、個人的な勤務の契約によって雇用される形でございますれば外国人を任用することは可能であるわけでございます。 そこで、わが国の国立大学の場合で現在の実情を御説明申し上げますと、昭和五十七年一月一日現在の数字で申し上げますが、いわゆる外国人教師が全体で二百九十三名、外国人講師が三百六十四名いるわけでございます。ここで外国人教師と申しますのはいわば常勤的な形で勤務をする契約をいたしておる者でございますし、講師の場合はいわば非常勤の形で勤務をする契約をしているという者でございます。もちろん、これは先ほども申しましたように一般職の正規の公務員ということではございませんので、先ほどの国家公務員法第二条第七項の規定に基づく個人的な勤務の契約によって雇用されているわけでございます。 なお、その内訳について若干御説明を申し上げますと、教師の場合、国籍別で申し上げますとアメリカが七十五名、イギリスが四十九名、西ドイツが四十七名、フランスが三十六名等というような数字になっております。また、担当分野別に申し上げますと、英米語が百三十二名、ドイツ語が五十二名、フランス語が三十五名、中国語が十四名等というような数字でございまして、主としては外国語の科目の担当者として雇用されているという例が多いわけでございます。 なお、非常勤の外国人講師についても申し上げますれば、国立大学で三百六十四人が雇用されておりまして、アメリカが百二十五名、イギリスが三十四名、西ドイツが四十一名、フランスが二十六名等となっておりまして、担当分野別では英米語が百七十一名、ドイツ語が四十九名、フランス語が二十九名、中国語が二十一名等となっているのが現状でございます。もちろん、ただいま申しましたように主として語学関係が多いわけでございますが、最近では語学以外で、たとえば地域研究でございますとか国際関係論とか比較文化とかあるいはまた音楽等の芸術の分野についても、そういう外国人教師なり講師として勤務をしている方々は先ほど申し上げたような数字の中にはもちろんいるわけでございます。 以上が現状についての御説明でございます。
○野上委員 現行の外国人教師、講師制度は契約制でありまして、一年以内の契約ということでありますが、この制度の長所面といいましょうか、そういうものはどういうところにあるのですか。
○宮地政府委員 御指摘のように、先ほど御説明をいたしましたように個人的な勤務の形態で契約をされるわけでございまして、形といたしましては各年度ごとの契約によって雇用するということになるわけでございます。そしてそれらの条件につきましてはそれぞれ予算措置がとられておるわけでございます。 いま御指摘のどういう長所があるかというような点でございますが、これは個人契約で行われているわけでございまして、たとえば一つは給与の点で比較をいたして申し上げますと、必ずしもぴったりとは整合性はないかと思いますが、年齢なり経験年数その他から見ましても、まあ、それぞれ号俸によって違うわけでございますが、実態的には外国人教師が一般職の国家公務員の給与に比べて比較的優遇をされている、予算上の措置としてはそういう形がとられているということなどは、この外国人教師を個人契約で雇っている場合の一つの長所ということで申し上げられるかと思うわけでございます。
○野上委員 そういう長所の反面に、その身分が非常に不安定だという欠点が一方であるわけであります。そういうことから、ただいま御説明があったように外国語の分野が圧倒的に多く、他の専門分野が非常に少ないという現象があると思うのですね。 そこで、今度の法案ができまして身分もしっかりする、こうなってまいりますと、別の分野における外国人教授というものがこれから相当生まれてくるのじゃないかということが期待されるわけであります。そしてそれが結局、教育、文化の国際交流というものの促進につながっていく、あるいは現在の教授団への活力、国際競争という観点から活力がそこに生じてくるのじゃないだろうか、いずれにしても、それらはプラス面となってはね返ってくると私は思うわけであります。 そこで、すでに幾つかの大学あるいは共同利用機関で、こういう法律ができたら外国人を任用したいという具体的な希望が出ているやに聞いておりますけれども、いかがでしょうか。
○宮地政府委員 本法案について成立を見れば具体的にどういう状況になるかということについてお尋ねでございますが、私ども、これらの外国人の正規の教授の任用を希望する大学等についても、国立大学等に対して問い合わせをいたしたわけでございますが、具体的にそれぞれ、たとえば広島大学でございますとか大阪大学等におきまして、制度上任用が可能になれば積極的に任用を希望したいというようなことを伺っているわけでございます。また、たとえば国立民族学博物館等におきましても、中国研究でございますとかそういうような分野でいろいろ、こういう制度ができれば正規の教授として任用するということについて、積極的に研究が推進できるというような事情を伺っておるわけでございます。したがって、この制度が成立することになりますれば、そういう点で大変進展を見ることになるのではないか、かように考えております。
○野上委員 いずれにいたしましても、この制度によって相当の画期的な一歩前進というものが日本の国公立大学の中で、教育、学問の分野で期待できるのだ、こういうふうに受け取らせていただきたいと思うわけであります。 そこで、それでは、そういうようなことがある程度読めていながら、そしてまた昭和四十六年の中教審の答申あるいは昭和三十九年の臨調第一部会報告においても、国公立大学に外国人を正規の教員として任用できる措置を講ずることを提案しているわけでありますが、それにもかかわらず今日までおくれてきたわけであります。 そこで、なぜこれをあえて政府提案としてではなくて議員提案としたのか、この事情なり判断についてひとつお聞かせ願いたいと思います。
○狩野議員 お答えいたします。 わが国の国公立大学に外人教授を任用する点につきましては、従来より公務員に関しましては、公権力の行使または国家意思形成への参画にかかわる者は日本国籍を有する者とするという解釈があったために、外国人を日本の国公立大学の教授等に任用する道が閉ざされていたわけ一であります。また、文部省などにおきましても、従来よりこの問題を解決するために特別立法などを行うなどの検討が加えられ、諸官庁等での調整が行われてきたわけでありますけれども、今日に至ったわけであります。 そこで自由民主党といたしましては、大学の国際化を図るために、国公立大学教授等に外国人教授を任用し得る道を開くことは学問の国際化にも通ずることであり、さらに国際間の学術的研究交流の場をつくることでもあると考えたのが、ここに議員立法として提案した理由であります。
○野上委員 それでは反対に大学局長にお聞きいたしますけれども、先ほどから何度も言っておりますように、いままでの文部大臣は、前向きでやる、あるいは福田総理も、検討させる、こういうことを答弁されたこともあるわけであります。それにもかかわらず政府提案がこれまでできなかったのには、やはりそれなりの具体的な事情があると思うのですけれども、お聞かせ願えればと思います。
○宮地政府委員 本法案を政府提案としなかった理由について、具体的に政府側の事情はどうかというお尋ねでございますが、幾つかあるわけでございます。 現在、国なり地方公共団体の機関でございますとかあるいはそれに属しております公務員の職種はきわめて多種多様でございます。たとえば具体的に申し上げますと、国立大学、あるいは国立大学の中にも研究所がございますが、研究所の中にも各省所管の研究所もそれぞれあるわけでございます。たとえば農林水産省でございますとか通産省でございますとか、各省がそれぞれ各省所属の研究機関といいますか、そういうようなものを持っているわけでございますが、これら全体に通じてこういう外国人を任用する制度を統一的に規定するとすれば、それらの各省の研究機関について、どういうものについてどういう必要性があるかということについてそれぞれ検討をすることが必要なわけでございます。それに反しまして大学の場合で申せば、大学の研究機関ということで一くくりできるわけでございますが、公務員全体についての考え方を整理するとすれば、それらについてそれぞれの省庁との間での意見調整になおかなりの時間を要するということが一つあったわけでございます。 それから、これは多少立法技術的な問題になるわけでございますが、立法に際しまして、いわゆる当然の法理との関係で、法理に抵触しない範囲内での立法に限るか、あるいは多少積極的に従来の法理について、立法措置をするということで法理をいわば部分的には修正するような形での立法が可能かというようなことについて、従来から申せば、法理に抵触しない範囲内での立法ということでございますと、たとえば教授会への参画等について制限をするかどうかということが絡んでくるわけでございますが、そういう点について、ただいま申しましたような法律上の理論として政府として統一した見解を固めるということについては、なお時日を要するというようなことがあったわけでございます。 そういうようなことがございまして、なお、大学関係にしぼり、かつ、先ほど提案者の方から御説明もございましたように、国際的に見てもなるだけ早くこの制度を創設することが望まれるということが関係者から言われたわけでございまして、そういうような諸点を受けまして政府提案ではなくて議員提案で提案されたというぐあいに承知をしているところでございます。
○野上委員 いずれにしても、今回議員立法として提案はしたわけでありますが、できるならばもっと早い時期にどうして政府提案をしなかったのかという思いがなおさら強くわいてくるわけであります。この点に対しまして、やはり文部省の国公立大学に関する考え方、これまでのそういう法理というものに頼って外国人に門戸を開かなかった、外国から排他的だと言われてもなおかつそれを開かなかった、そういうところは大いにひとつ反省をしていただきたいと私は思うわけであります。 そこで、この法案の内容に関しまして幾つかお聞きしたいと思います。確認をさせていただきます。 まず第一はこの管理職の問題でありますけれども、本法案では公務員に関する当然の法理ということから、教授への任用の道を開こうとするものであるということはわかるのですが、この場合、学長だとかあるいは学部長、そういったものが法文に規定されていないわけですけれども、私の理解としては、学長や学部長等の管理職はこれらの職が公の機関である大学の管理運営の責任者であり、人事上、会計上も一般行政機関の管理職と同様の職務権限を有するものと考えられるところから法理に照らして認められない、こういうふうに考えてここにはうたってないのではないか、こういうふうに思うのですが、その点はいかがでしょうか。
○石橋(一)議員 お答えいたします。 おっしゃるとおりであります。どこまでも第二条第一項では国公立大学の教授、助教授及び講師の職ということで限定をいたしたわけであります。学部長あるいは学長ということに関しましては、いわゆる法理論の上から言ってそこまで穴をあけられるかどうかということでありますけれども、いわゆる管理職である学長、学部長まで穴をあけるのはいかがかなということで、この法律といたしまして教授、助教授、講師ということに限定をいたしたわけです。
○野上委員 まあわかるわけですが、私は冒頭にこの法案を高く評価をしたわけであります。非常に画期的なものであって、その御努力に対して敬意を表するわけですが、その中でも教授会その他、こういうものに入っていけるのだ、こういう項目もついた。それならばもう一歩踏み込んでその管理職への穴もあけられなかったのかな、こういうふうに思うのですが、くどいようですけれども、再度お願いします。
○石橋(一)議員 御所論ごもっともなところもあるわけであります。そして教授、助教授、講師と、教授会に出て意見あるいは賛否、そこまでのところはとにかくでき得る限り差別というものをなくするという考え方、その中においてこれは認めよう、しかし、果たして大学全体の学長あるいは一つの学部、そこの長まで——たとえば教育公務員特例法の中においても、その二つの職種についてははっきり任期等についても定めるということがあるわけであります。いろいろな点から解釈をいたしまして、まあまあ教授、助教授、講師、これに限定をしてやっていくことが法理等と照らし合わせた上で限界かな、こう思って提案をしたわけです。
○野上委員 要するに外国人としてのハンディ、差別をなくしていこう、こういう精神がこの法案を貫いていると思うのですけれども、もう一つこの教員の任期についてもここにあるわけです。御案内のように、日本の教員の任期というものはないわけであります。その任期について第三項に「教員の任期については、大学管理機関の定めるところによる。」、こういうふうになっているわけであります。これまでの公務員特例法の八条では「学長及び部局長の任期については、大学管理機関が定める。」となっておりますが、法案では「定めるところによる。」、若干のニュアンスが変わっていると思うのです。ここはどういうふうに解釈をしたらよろしいのでしょうか。
○石橋(一)議員 お答えいたします。 野上先生おっしゃるとおり、教育公務員特例法、これでははっきり「大学管理機関が定める。」、こうなっております。これはどこまでも学長と学部長についての任期の定め方であります。そして教授以下のいわゆる教員についての任期の定めはないわけであります。そして、さてこの特別措置法の中で、外国人を雇った中において任期を定めるべきであるか、あるいは日本の大学と同じように定めないままにするかということは非常に議論の分かれたところであります。結局、諸外国のこうした任期について調べてみますと、教授はほとんどの国々は日本と同じように終身雇用制です。ところが、助教授以下講師は大体各国は任期があります。そして、そのような中においてそれぞれ雇用関係があるわけでありますので、私ども提案者といたしますと、「定めるところによる。」、片方は「定める。」ということでぴしゃっとできております。「定めるところによる。」という表現の中において、それぞれ希望する人の考え方、あるいは雇い入れをする大学の考え方、つまり管理機構でありますが、この両者が一つになっての考え方をとった方がいいであろう、こういうことであります。どうも表現の仕方がきわめてむずかしゅうございますけれども、はっきり申し上げまして、任期は定めたいのだ、しかし、それぞれの事情がこれあるによって大学管理機関の中において決定をしていただく、まあ定めなくとも法律違反ではない、それぞれの雇用者側と入ってくる側との考え方によってでき得るという考え方をとったわけです。
○野上委員 次に、この立法によって任用される外国人教授は日本人と同じように正規の教授の身分を持つわけでありますから、いわゆる定員の枠内の教官ということになるわけであります。 そこで、何かこの定員について特別な措置を講ずるおつもりがあるかどうか。
○狩野議員 本法律は、国公立大学の一般職の公務員である教授等として外国人を任用する道を開いたものでありますので、その任用は既定の定員の中で行われるということでありますので、本法の制定に伴い特別の定員措置は全く必要がない、そのように考えます。
○野上委員 次に、第三条の趣旨についてお伺いいたしますが、国立大学共同利用機関及び大学入試センターにおいても国公立大学と同様に任用できるというわけですが、この国公立大学と同じ取り扱いをした理由は何でしょうか。
○狩野議員 国公立大学共同利用機関は国立大学と同様に教授、助教授等の専門の研究員を配置されて、それぞれの機関の目的である研究に関連して全国的に共同研究が行われていると同時に、大学院教育等についても、全国の大学等の要請に応じて行っているというのが国立大学の共同利用機関でございます。 それと、もう一つこの法案に盛り込みました大学入試センターでございますが、御承知のように、国立大学の入学試験に際しまして共通一次試験の問題の作成や、それから答案の採点などを一貫して処理をしているセンターであるし、さらにまた国立大学における大学入試の選抜方法の改善やその他調査等に関する機関でもあり、国立大学に共通の業務の処理をする事務機関でもあります。したがって、国立大学の共同利用機関及び大学入試センターについては、このような目的、性格を持っている、法制上も国立学校に含むものといたしまして国立学校設置法によって設置されているところでございますので、外国人任用につきましても国立大学と同様に扱うことになっていることであります。
○野上委員 この法案が国際交流の一層の活発化をねらう、そしてまた各大学の研究教育の向上に資するものであるとすれば、大学の関係者は一体どんな考え方を持っているだろうかということでありますが、念のために、国立大学協会あるいは公立大学協会等の意見はどのようなものか、お伺いしたいと思います。
○狩野議員 お答えいたします。 国立大学協会それから公立大学協会、そしてまた国立短期大学協会、公立短期大学協会、それぞれの協会においてこの法案については非常に関心を持っており、さらに、この法案についてはみんな賛成の意を表していると聞いております。
○野上委員 今回のこの法案は国公立の大学ということでありますので、この質問はこの法案に関する質問ではないわけでありますが、日本の高校あるいは中学の外国語教師に外国人を採用したらいいのじゃないかという声が非常にあちこちで聞かれますし、語学力というものを向上させる上では、語学教師に限っては外国人による語学学習というものはやはり効果があるのじゃないだろうか、これからますます国際競争の激しい時代において田本人がもっともっと語学力を身につけなくてはならないという観点におきましても、そういう分野における外国人の登用というものは一つの大きな提案であり、その考え方を進めていくことは必要なんじゃないかということを私は考えているわけですが、本法案とは関係ございませんけれども、ひとつ文部省の御意見をいただきたいと思います。
○宮地政府委員 直接大学局の所管ではございませんけれども、お尋ねでございますので……。 本法案は、御案内のとおり大学の特性に着目して特別立法を講じたということでございまして、もちろん中学校、高等学校についてはこの法案は適用がないわけでございます。御指摘の点は、中学校、高等学校等においても、たとえば外国語教育というようなことで外国人を教諭に任用することについて積極的に考えてはどうかというようなことでございますが、基本的にはもちろん中学校、高等学校においても外国語の教育は大変大事でございますが、それは単に会話の指導ということだけではなくて、たとえば文法その他基本的な事項を教えるに際して、日本語との比較において言葉の持つ仕組みや働きを教えるというようなことが基本的には必要なわけでございますので、そういう観点から考える必要があろうかと思います。そうしてまた教諭は基本的には学級担任とか生徒指導その他の校務に携わるということも考え合わせますと、基本的には日本人によって行われることが適切ではないかと言われているわけでございます。もちろん外国人によって会話なり発音の教育が行われることは有益でございますので、その点は御指摘のとおりでございまして、現在でも英国及び米国から人材を招聘して英語教育の補助者として活躍していただいているというわけでございます。今後ともこれらの点は十分充実を図っていくということは、御指摘のように必要であろうかと思いますが、高等学校以下について正規の教諭として外国人を任用するということについては、なおこの法案では取り扱っていないというぐあいに理解しております。
○野上委員 これは要望ですのでお答えいただかなくて結構ですが、われわれも苦い経験で、文法は一生懸命勉強した、ガリ勉した、そして試験の点数はまあとれる、本も続めるようになる、しかし肝心の生きた会話になるとさっぱりだ、こういう日本の学生の共通点があったわけでありますので、ひとつ生きた外国語の勉強というものは中等教育において大いに考えて取り入れていく必要があると私は思います。 最後に大臣にお伺いいたしますが、これでいよいよ待望のこの法案が通ることになりますと、文部省の所管の法律として実施されるわけでございます。ただいま一時間余りの質疑でありましたけれども、私は、まあ文部省としてもこれまでにいろいろ御努力をして何とかそういう道を開きたいという意向は持っていたのではないかと思いますが、いろいろな事情からなかなかそれが実行できなかった、こういうことであります。本法案の成立によってその道が開かれるということになりまするならば、最大限にこの画期的な法案の執行によって成果を上げられる、こういうようなことにしませんと、これはせっかくの議員立法をしたということになりませんから、大臣、ひとつこの執行に当たっては格別の決意を持たれまして当たっていただきたいと思うわけであります。大臣の決意のほどをひとつお伺いいたします。
○小川国務大臣 文部省といたしましては、大学の国際化を図ってまいりたいという観点から、外国人を国公立大学の教授等に任用する方途を模索してまいったわけでございます。しかし、外国人を一般職の公務員に任用するということになりますると、いわゆる当然の法理との関連もございますので、関係省庁との間に協議、調整を重ねてまいりましたけれども、結論を得られずに今日に至ったような次第でございます。今回御提出の法案は文部省の考え続けてまいりましたことと軌を 一にしておりますから、成立いたしました暁には十分大学関係者に法律の趣旨を御理解いただきまして、実効が上がりますように努力をするつもりでございます。
○野上委員 任期だとか管理職の問題も含めましていろいろな問題もまだあると思うのですが、いずれにしても、これをあえて自由民主党が議員立法として提案されたというこの決意は私は大変なことだと思うわけであります。 先ほども質問で言いましたように、大学の語学の先生ばかりじゃなくて、この法律ができたことによって各分野に優秀な外国の頭脳がもっとどんどん入ってきて、それによって日本の大学教育あるいは学問の分野がますます盛んになりますことを心から期待するわけであります。 提案者の特段の御苦労に対しまして敬意を表しまして、私の質問を終わります。 —————————————
○青木委員長 この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。 ただいま議題となっております本案について、審査の参考に資するため委員を派遣したいと存じます。つきましては、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○青木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、派遣地、派遣の日時、派遣委員の人選等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○青木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時三十四分散会