文教委員会 第9号
- 発言数
- 252 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1982/04/14
会議録
○青木委員長 これより会議を開きます。 文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。 この際、三角初等中等教育局長から、去る九日の当委員会における山原委員及び山口委員に対する答弁について発言を求められておりますので、これを許します。三角初等中等教育局長。
○三角政府委員 さきの委員会におきまして、今回の最高裁判決と一、二審判決との関係について山原委員並びに山口委員から御質問があり、お答えをいたしましたが、山口委員からこれらの答弁に一致していない点があるとの指摘がございました。 これらの答弁の趣旨は、いずれも、最高裁の判決は二審判決を破棄しており、また、一審判決は形式的には存在しているが実質的な意味は持っていないと考えられるところから、一、二審判決は意味を失っているということを申し上げたものでございます。したがって、基本的な考えに変わりはないと思っておりますが、山原委員からの一連の御質問の流れの中で、原判決破棄というのは、それでは第一審も第二審もすべて破棄されたと思っておるのかという御質問に対しましてそのとおりであるという旨の答弁をいたしましたことは、厳密に言えば正確性を欠いていたと指摘されてもやむを得ないものがあると思うのでございます。 そこで、今回の最高裁判決と一審判決、二審判決との関係について文部省としての見解を取りまとめましたので、申し上げます。 今回の最高裁判決は、原判決を破棄した上、更に審理を尽くさせるため本件を原審に差し戻したものであるから、訴訟法上は一審判決に対し控訴された状態にあるが、一審判決は当事者を拘束するものでなく、また、今後の審理を拘束するものでもないことはもちろんである。 訴訟法上は以上のとおりであるが、今回の最高裁判決は、学習指導要領の改訂によって旧学習指導要領に基づく教科書の改訂検定を行う余地はなくなり、訴えの利益は既に失われているという文部省の主張を原則的に認め、また、判決理由中で、学習指導要領及びそれを実質的な審査基準とした教科書検定制度を前提とした判断がなされているものと考えられる。今回の最高裁判決のような判断や昭和五十一年の最高裁学力調査判決の判断からみて、文部省としては、一審のいわゆる杉本判決の論旨は実質的には意味を持たないと考えている。 以上でございます。 —————————————
○青木委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。山口鶴男君。
○山口(鶴)委員 そうしますと、いまの御答弁を拝聴しておりましたら、山原さんが、「原判決破棄というのは、それでは第一審も第二審もすべて破棄されたと思っておられるのですか。」、こう聞かれたのに対し、そのとおりでありますというようにお答えになっておる、こういう部分は間違っておるという趣旨のことをお認めになったような御答弁をされたわけですね。 委員長にお伺いしますが、私、議運で長く本会議の議事録をどう扱うかということは議論してまいりました。明確に違った御答弁をされた場合は、総理大臣の答弁であろうと大蔵大臣の答弁であろうと、あるいは文部大臣の答弁であろうと、これは全部削除するわけなんです。誤った答弁が議事録に載っておるというようなことは、これは国会の権威にかけても許すことはできません。したがって、明らかに間違っておるこの部分の議事録の扱いはどうするというふうにお考えですか、また理事会としてどういう決定が出たのですか、それをお尋ねいたします。
○青木委員長 その点につきましては、理事会を開催いたしまして、理事会で取り扱いを決定したいと思います。
○山口(鶴)委員 おかしいと思うのですね。何かきのうも理事会ですか理事懇談会ですか、大分おやりになったのでしょう。そうしてこの問題を御議論になったのでしょう。私、議運の経験から言っても、そのくらいの時間をかけて相談すれば、明確に違ったところは一体どこかぐらいのことは——私も速記録をいただいていますが、ちゃんと赤い棒を引いて大体ここのところが問題ではないかということははっきりしているわけですからね、そのうちどれを削除すべきなのかということは当然理事会として結論が出るはずだと私は思うのですよ。そういうことは一体相談したのですか、しなかったのですか、答えが出なかったのですか、どういうかっこうになっているのですか。
○青木委員長 昨日の理事懇談会におきましては削除云々については議論になりませんでしたので、改めて理事会を開いて協議したいと思います。
○山口(鶴)委員 おかしいですね。ちょっと待ってください。
○青木委員長 ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○青木委員長 では、始めてください。
○山口(鶴)委員 ただいま三角さんの方から、ここのところは間違いでございましたという見解が表明されたのですね。誤りがはっきりしたわけなんでありますから当然議事録の扱いぐらいはちゃんとなっていなければ、後質問するといっても困ると思うのですよ。一体どうするのですか。明らかに誤りだということが明確になったこの部分についてのその取り扱いは、理事会として一体どうされるか、また、委員長としてはどういうおつもりで対処しようとされるのか、その点をまずお聞かせ願います。
○青木委員長 理事会を開きまして協議いたしまして、各党の一致に基づいた決定に従うわけです。
○山口(鶴)委員 それでは理事会を開いてください。その後で私は質問しますから。
○青木委員長 ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○青木委員長 速記を起こしてください。 山口鶴男君。
○山口(鶴)委員 委員長に協力しましょう。 結局、私もここに議事録をいただいているわけですが、これを見ますと、三角さんがお答えになっているのは、「第一審も第二審もすべて破棄されたと思っておられるのですか。」という質問に対して「そのとおりでございます。」、こういう答弁をしております。それから「原判決の破棄というのは、破り捨てるということでございますから、それはなくなった、こういうことだというふうに聞いておりますし、そのように考えるのが正しいと思っております。」、さすが文部省の方ですから、破棄というのは破り捨てることである、こういう国語的な解釈までお答えいただいておるわけでありまして、これは明らかに誤った答弁だと思います。また、私の質問に対しましても同様趣旨の答弁をしているわけです。 そこで、法務省の訟務局長さんお見えだと思うのですが、課長さんですか、一審判決はどのような形になっているというのが正しいのですか、お答えいただきます。
○上野説明員 お答え申し上げます。 まず私どもの立場といたしましては、民事訴訟法上の効力について法律的観点からのみ申し上げます。 民事訴訟法四百七条一項は上告審において破棄差し戻しをすべき場合について次のように規定いたしております。「上告ヲ理由アリトスルトキハ上告裁判所ハ原判決ヲ破毀シ事件ヲ原裁判所ニ差戻シ又ハ同等ナル他ノ裁判所ニ移送スルコトヲ要ス」、このように規定いたしております。したがいまして、この規定によりまして、最高裁は二審の畔上判決を破棄して事件を東京高裁に差し戻したわけでございます。最高裁の破棄差し戻し判決により、訴訟手続上は二審の畔上判決がなかった状態に戻りまして、実質上二審における従前の口頭弁論を再開続行するということになります。最高裁判決によっては二審の畔上判決は破棄されましたが、一審の杉本判決は取り消されたわけではありませんから、杉本判決は訴訟手続上は存在するわけでございます。しかし、二審で争っている状態に戻りますので、杉本判決はいまだ確定しておりませんので、訴訟当事者を拘束するものではない、そのように考えております。
○山口(鶴)委員 法制局第一部長お見えですから、この点どう考えておりますか、お答えいただきます。
○味村政府委員 ただいま訟務局の方からお答えになったとおりと存じております。
○山口(鶴)委員 そうしますと、一審の杉本判決は残っているということは明確であることが明らかになったと思うのです。そして、その一審判決に対していま国が控訴している状態だということだと思います。そうしますと、一、二審判決ともなくなった——私は、過般の九日の質問では一審と二審とを区別してお尋ねをしたつもりです。一審、二審判決一体どうねというふうには聞きませんでした。もっぱら一審判決はどうか、残っているのか、なくなっているのかと、こう聞いたのです。 ところが、山原さんの質問をしさいに点検しますと、一、二審をセットにして、残っているのか、なくなったのかと、こう聞いて、そして、なくなった、一審判決もなくなったという趣旨の答弁を三角さんがやっておるわけです。したがって、いまの議論で私は、三角さん、せっかく長々いろいろ御答弁をいただいておるわけでございますが、文学的な、文部省らしい御答弁もいただいておるわけでございますが、しかし、これは誤った答弁をしているということは明らかだと思います。したがって、まずこの部分は削除をするならする、議事録を一体どのようにきちっと正すかということ、その点は明瞭になったと思います。したがって、先ほど私がお尋ねいたしましたように、議事録で誤りの部分が明確になった以上、その扱いを正しくきちっとやっていただきたい。どうされますか、委員長。
○三角政府委員 ただいま山口先生から山原委員の御質問に対しての私の御答弁についての御意見だったわけでございますが、まだ正式の議事録は出てはおりませんけれども、私どもも内容的に振り返って見てみたわけでございます。長い質疑のやりとりであったと思いますが、山原委員の御主張の中には、その基本的な要素として、検定の違憲性あるいは違法性はすでに一、二審で明らかであるということが含まれておりまして、そしてたびたび繰り返されまして、一、二審の判決は形式上、精神上、実質上今回の最高裁判決によってはいささかも傷つけられていない、あるいは憲法上の問題からすれば杉本判決は生きている——「生きている」という言葉をお使いになっております。(山口(鶴)委員「委員長、私は委員長に聞いたので、三角さんに聞いたわけではありませんからね」と呼ぶ) それから第二点について、畔上判決は生きている、あるいは少なくとも畔上判決については判断を省略しているところがあるから破棄していないのである、こういうような御主張であったわけで、生きているという意味の解釈の仕方もかかわるかと思いますが、これらのお考えに対しましては、私どもは、先ほど冒頭に申し上げましたような点から、むしろ一般に誤解を招くおそれがあるのではないかというふうに受けとめましたので、前回のような御答弁もしたわけでございます。一審判決は形式的には存在しているが実質的な意味は持たないというふうに私どもは考えられますところから、一、二審判決は意味を失っているということを申し上げたものでございまして、基本的な考えには変わりはないと思っております。 ただ、先ほども申しましたが、山口委員御指摘のように、原判決破棄というのは、それでは一審も二審もすべて破棄されたと思うのかという御質問に対しまして、そのとおりであるという趣旨のお答えをしたことは、その部分だけをとりますれば、厳密に言えば正確性を欠いたと指摘されてもやむを得ない、これは私そう思うのでございますけれども、全体の流れの中で私どもが申し述べた私どもの判断なり判決の読み方なりは基本的には変わっておらない、こういうふうに思っておるのでございます。
○山口(鶴)委員 私は委員長にお尋ねしたのですが、そうしたら三角さんの方が長々と御答弁されたのです。そういうことは困ると思うのですが、しかし、三角さんも私の質問に対して答えたのは誤りがあったということをお認めになりました。 そうして、正規の議事録ができなければ云々と言うのですが、本会議の議事録であっても、印刷された正規の議事録が出てから間違っておったなんて、それでは遅いわけですから、結局、この記録部から提出された仮訳といいますか、これで違っているか違ってないかを理事会で議論をして、そうして正規の議事録が出る段階には、ここは削るのだということを決めて、削って正規の議事録をつくる、これが議事録の手続なんですよ。そこも知らないで、正規の議事録ができてからでなければなんという御発言があったことも私はきわめて遺憾だと思います。したがって、これはもうできているのですから、誤りも認めたのですから、その部分は私はきちっとけじめをつけるべきだと思いますよ。けじめをつけてください。つけてから質問いたします。
○青木委員長 山口委員に申し上げます。 再度申し上げますけれども、この問題につきましては、後刻理事会を開いて協議し、決定いたしたいと思いますので、質疑を続行していただきたいと思います。
○山口(鶴)委員 理事会で相談してください。(発言する者あり)
○青木委員長 山口委員に申し上げます。質疑を続行してください。(発言する者あり)——山口委員に申し上げます。質疑を続行してください。
○山口(鶴)委員 それじゃ委員長、そうしますと、誤りが明確になった部分についてはきちっと議事録から削除するということは約束いただけますね。
○青木委員長 削除することを含めて理事会で協議いたします。
○山口(鶴)委員 いや委員長、本会議の議事録でも間違いが明確になったものは削除する、これが原則なんですよ。その原則はきちっと確認されますかということです。
○青木委員長 その原則を踏まえまして、理事会で決定いたしたいと思います。
○山口(鶴)委員 踏まえるのじゃなくて、確認するかどうかですよ。間違ったのは削除するのだ、それははっきりします、と。どの部分が違っているか違っていないかは理事会で議論いただいていいですよ。しかし明確に違っている、明確に間違いがあったということを三角さんも認めたのですから、その部分は少なくとも削除する、これは言えるわけでしょうね。
○青木委員長 食い違いの発言につきましては、削除する場合もありますし、削除しない場合もございますので、その点を含めまして理事会で決定したいと思います。
○山口(鶴)委員 いや委員長、間違っているものを削除するくらいのことを言ってもらわなければこれは困るのです。だから、どこをどうするかということは後で理事会で相談いただいてもいいですよ、委員長に協力する意味で。しかし、三角さんも明らかに誤りを認めた、その部分は削除するということだけは、少なくともここではっきり委員長の方針として明言はできるはずですよ。それはどうですか。
○青木委員長 ですから、削除することを含めまして理事会で決定したいと思います。(「その部分をはっきりしなければ先に進めないよ」「理事会でやることにして質疑続行」と呼び、その他発言する者多し)——山口君、質疑を続行してください。
○山口(鶴)委員 誤りがはっきりしている部分だけはこうするよということをちょっと決めてもらえば、あとはやります。(「理事会開いてくれよ」「けじめをつけてきちっとしてください。委員長、質疑を続行してください」と呼び、その他発言する者多し)
○青木委員長 山口君に申し上げます。質疑を続行してください。
○山口(鶴)委員 委員長、私はどこどこをみんな削除しろなんて言っているのじゃないですよ。三角さんも誤りだということを認めた、この部分はきちんと削除します、どこを削除するかというのは理事会で相談してもいいですよ。だから、文部省も間違いだと認めた、私も間違いを指摘した、その明確になった部分は削除するのです、具体的な扱いは理事会で相談する、この原則をきちっとしてもらえば私は質問する、こう言っているのですよ。
○青木委員長 ですから、山口君のお申し出にはかかわらず、食い違いがはっきりした場合、削除することもあり得るという原則を踏まえた上で理事会で決定したいと思います。したがって、質疑を続行してください。(発言する者、離席する者多し)
○山口(鶴)委員 理事の皆さんと相談をいたしまして、私が指摘し、また文部省も誤りと認めたこの部分は削除する、そういう形で処理いただけるということが明確になりましたので、それでは質問を続けたいと思います。 一審判決については法務省、内閣法制局、その見解は明らかになりました。 文部省の三角さんに聞きますけれども、こういう議論があるということは事前にわかっておったのですから、当然この質問の過程でも、文部省の統一見解はどうだ、あるいは政府の見解はどうか、こう問われるわけですから、当然私は、用意のいい文部省とすれば法務省なりあるいは内閣法制局と相談をしてしかるべきだと思うのですが、事前に相談はいたしたのですか。
○三角政府委員 相談はその都度物事によっていたしているわけでございまして、本件についても全然しなかった、こういうわけでもないわけでございますが、私どもは、これは前からの考えでございまして、先ほども申し上げましたように、一審判決というものについては、これは形式的には存在しておりますが、今後の裁判上におきましても実質的な意味は持っていないと考えております。したがいまして、国会での御質疑のように、先ほど山口委員も仰せになりましたが、一、二審を一括していろいろな御主張が出ました場合には、私はその実質的な意味合いから御答弁申し上げた、こういうことでございます。
○山口(鶴)委員 いまの御答弁はおかしいと思いますね。質問では、文部省としての正式な態度はどうか、政府の統一見解はどうか、こういうふうに聞いているわけですね。いまの三角さんのお話は、何か自分の判断で自分の考えをお述べになったような御趣旨のお話があるわけですね。これは質問者に対して失礼ではないかと私は思うのですよ。文部省の統一見解、政府の統一見解というふうに問われれば、これは自分だけの考えを述べるなどということはおかしいわけで、また、三角さん自身、初中局長として、また政府委員として出ておりますので、初中局の考えを申し上げた、こういうふうに言っておるわけで、少なくとも御自分のお気持ちを述べているのではなくて、三角さんがお答えになる場合は、初中局としてどうだ。初中局というのは文部省の機関でしょう。文部省の見解としてこうだということを言うべきだと思うのですね。三角さんの御答弁は一体どういう立場で御答弁されるのですか。
○三角政府委員 先ほど申し上げたわけでございます。前回の委員会で山口委員から文部省としての見解を明確にすべきであるという趣旨の御発言があったわけでございます。前回にも私は文部省としての考え方、判断を申し上げたのでございますけれども、そのような御指摘がございましたので、先ほど申し述べましたような見解をさらにまとめた、こういうことでございまして、内容的には、先ほども申し上げましたが、一審判決の問題になりますと、今回の最高裁判決は、原判決を破棄した上さらに審理を尽くさせるため本件を原審に差し戻したものでございますから、訴訟法上は一審判決に対し控訴された状態にありますが、一審判決というものは当事者を拘束するものではなく、また今後の審理を拘束するものでもないということはもちろんである、そういうことを先ほど申し上げさせていただいたのでございます。
○山口(鶴)委員 この部分は内閣法制局、法務省の訟務局、ここと相談をされて出したものですか。これは文部省としての見解ですか。政府の統一見解ですか。これは内閣法制局、法務省にもあわせて聞きましょう。相談を受けたのかどうか、政府の統一見解としてこれで正しいのかどうか、お答えをいただきましょう。
○上野説明員 その部分につきましては後刻相談を受けまして、訟務局として回答いたしております。 以上です。
○味村政府委員 訴訟法上の問題につきましては文部省から御相談を受けております。
○山口(鶴)委員 そうしますと、この文部省の部分は、法務省そして内閣法制局としても間違いない、こういうふうに判断をしておるのですか。 それから文部大臣、こういう問題ですから、一初中局の見解とか、初中局がお答えになったことがその後法務省あるいは内閣法制局の考えと違うということでは困るわけで、これはひとつ政府としての明確な見解というものをきちっとすべきだと思いますが、あわせてその点、法務、内閣それから文部大臣に御答弁をいただきましょう。
○小川国務大臣 ただいまこの場で初中局長が答弁申し上げましたのが文部省の正式見解でございます。
○上野説明員 その点はそのとおりでございます。
○味村政府委員 先ほど申し上げましたように、訴訟法上の問題につきましては文部省から御相談を受けておりますし、その点について文部省の初等中等教育局長がおっしゃったとおりに考えております。
○山口(鶴)委員 一審判決の問題については明確になったと思います。 それでは二審判決の問題についてお尋ねをしたいと思うのです。 最高裁の判決を拝見いたしますと、この訴えの利益があるかないかという問題について主として審理を行ったようでございます。そうして「述べたところはあくまで原則論であつて、学習指導要領の変更といつてもその内容及び程度は区々でありうべく、学習指導要領が教科書の検定における審査基準として機能する場面においても、右の変更が審査に及ぼす影響の内容及び程度にはさまざまな相違がありうると考えられ、その変動が微小であつて審査基準の実質的な変更とみるべきものが少ないような場合には、改めて新審査基準による新規検定を経なければならないとする実質的必要性に乏しく、旧審査基準のもとにおける検定を経た教科書をそのまま使用させ、」云々、こうございまして、この訴えの利益があるかどうかという問題については、原則的には問題があるが、その変動が微小である場合においては、当然訴えの利益がある場合もあり得るのだ、こういう判断を示されました上で、「当裁判所は、その余の点についての判断を省略し、原判決を破棄したうえ、更に右の点の審理を尽くさせるため、本件を東京高等裁判所に差し戻すのを相当と考える。」、こう言っておるわけです。 そこでお尋ねをするわけですが、訴えの利益についてあるかないかという問題については、最高裁は慎重な審理をされたようです。しかし、まだこの問題について議論する余地があるからといって高裁に差し戻しをされた。しかし、その余の問題については判断を省略するというわけでありますから、結局、最高裁判決というものは、畔上判決の不合格処分そのものは文部省の違法行為であるとした内容を判断して破棄したものではないことは明らかだと思うのです。その入口のところ、いわば訴えの利益があるかないかに焦点を当ててもう一度やり直しなさい、こういうのが最高裁の判断であると私は考えます。その意味でこの畔上判決はなくなったということになるのであって、内容を、すなわち不合格処分は違法であるというものを否定してなくなったというものではない。したがって、この二審判決、畔上判決の、不合格処分そのものは文部省の違法行為であるということについて最高裁がだめですよ、こうしたのではないのだ。このいわば畔上判決の、不合格処分そのものは文部省の違法行為である、こうした判断というものは当然なくなっておらない、その判断に対しては最高裁は何も言っていない、こう考えるのが至当であると思いますが、この点、法務省、内閣法制局のお考えを聞きたいと思います。
○上野説明員 お答えいたします。 まず最初に、上級審の破棄差し戻し判決の拘束力の点について法律の規定を見ますと、裁判所法四条は上級審の裁判の拘束力について次のように規定いたしております。「上級審の裁判所の裁判における判断は、その事件について下級審の裁判所を拘束する。」このように規定いたしております。それから、民事訴訟法四百七条二項も次のように規定いたしております。「差戻又ハ移送ヲ受ケタル裁判所ハ新口頭弁論ニ基キ裁判ヲ為スコトヲ要ス但シ上告裁判所カ破毀ノ理由ト為シタル事実上及法律上ノ判断ニ覊束セラル」、このように規定いたしております。この裁判所法四条と民事訴訟法四百七条二項は同趣旨の規定でございますが、民事訴訟法四百七条二項の方が詳しく規定いたしておるわけでございます。それで、差し戻し審たる東京高裁は民事訴訟法四百七条二項が規定いたしますように「上告裁判所カ破毀ノ理由ト為シタル事実上及法律上ノ判断ニ覊束セラル」わけでございます。 そこで、最高裁の破棄差し戻し判決は、学習指導要領の改定により訴えの利益がなくなったかどうかについて審理せよという点について拘束力を有するわけでありまして、二審の畔上判決が改定検定を違法と判断した点には触れておりませんので、この点には拘束力は生じないわけでございます。したがって、最高裁の判決はこの点について肯定とも否定とも言っていないと理解いたしております。もっとも、最高裁の判決は畔上判決を破棄しているわけですから、訴訟手続上は御承知のように二審の畔上判決は破棄されて、なくなっているわけです。 ついでに申し上げておきますが、先ほどから申し上げましたように、差し戻しを受けた東京高裁は、まず訴えの利益があるかどうかの判断をいたします。それで、訴えの利益がないと判断すれば第一審の杉本判決を取り消し、訴え却下の判決をすることになるわけでございます。また、訴えの利益があると判断すれば内容に立ち入って、畔上判決の判断にも拘束されることなく自由な立場で判断するということになります。 以上でございます。
○味村政府委員 ただいま訟務局の方からお答えになったとおりと考えております。
○山口(鶴)委員 そうしますと、結局最高裁判決はその余のことについては判断を省略しているわけですから、不合格処分そのものは文部省の違法行為であるとした内容を否定したものではない、したがってこの部分については最高裁は、「覊束」というむずかしい言葉があるのだそうですが、要するに拘束はしていないと明確に考えられると思うのです。文部省、それでいいわけですね。
○三角政府委員 ただいま法務省並びに法制局の方からお答えのあったとおりであると思っております。
○山口(鶴)委員 二審判決もすべて破棄されたと思っておられるのですか、そのとおりですとか、内容的に、いわば畔上判決の違法とした部分は最高裁判決によって全くなくなってしまったのだというようなきわめて短絡的な議論を文部省は余りおやりにならない方がいいと思うのです。要するに、その部分は最高裁としては拘束する判断は一切示していないのだということを、はっきり文部省はおっしゃるべきだと思うのです。文部大臣、いかがですか。
○小川国務大臣 仰せのような意味における短絡的な判断はいたしません。
○山口(鶴)委員 初中局長、よろしいですな。大臣が答えたようにはっきり言えばいいのですよ。
○三角政府委員 申し上げます。 原判決を破棄して原審に差し戻しということでございまして、そうして差し戻された東京高等裁判所における裁判につきましては、先ほど法務省並びに法制局の方からお答えがあったとおりのことになります。したがいまして、いろいろな場合が想定されますが、もし訴えの利益があると例外的なケースとして認められたとしても、それから後の審理というものにおきましては、これは畔上判決並びに私どもが不服として上告いたしました第一審判決いわゆる杉本判決には拘束されずに、新しく審理並びに判断が行われる、こういうことであると思っております。そういうことで私どもとしては、今回の最高裁の判決によりまして、訴えの利益がすでに失われているという私どもの主張を原則的に認められております、また判決の理由中で教科書検定制度を前提とした判断がなされておる、こういうふうに考えておるのでございまして……(「演説はいいのだ、答弁なんだよ」と呼ぶ者あり)そういうことでございます。したがいまして、私どもは、そういう意味合いで一、二審判決は意味を失っているという趣旨の答弁をしたわけで、先ほど申し上げましたのも、厳密に言えば正確性を欠いていたと指摘されてもやむを得ない、そういうことは私当然認めますけれども、まるまる全部私の言ったことが誤りであるとかなんとか、そういうふうにおっしゃられても困るというのが私どもの方の立場でございます。
○山口(鶴)委員 質問以外のことを長々答弁してもらうのは全く迷惑至極ですよ。私は大臣に質問して、大臣が明確にお答えになりました。要するに、文部省の不合格処分そのものは違法行為である、こうした畔上判決の主たる内容については最高裁は何ら拘束しているものではないのだということを明確にしてくれと言って、大臣はきわめて明確に御答弁になったわけです。それに対して、三角さんは大臣の御答弁でよろしいですね。ですから、この最高裁判決は不合格処分そのものは文部省の違法行為であるということまで拘束しているかのごとく、そのように受け取られるような御主張なり発言というものは控えたらどうですか、こう聞いたわけなのでありまして、その部分についてきちっとお答えをいただきたいと思うのです。
○三角政府委員 二審判決の判決理由の当否について今回の判決が実質的判断は省略しております、それはそのとおりでございます。
○山口(鶴)委員 大臣に申し上げておきますけれども、国民の間にずいぶん関心のある教科書裁判です。文部省は文部省としてのお立場はあるでしょうけれども、訴訟法上間違ったような答弁をされたり発言をされたり、また文部省は勝った勝った、万歳だというようなことを言うのは、私はおかしいと思うのです。あくまでもこの間時間をかけて議論をしたのが最高裁判決であり、一審判決はそういう意味では残っておって国が控訴をしている段階だ、二審判決の主要部分については最高裁は拘束しているものではないのだというけじめをきちっとつけて、これから外部に対しても文部省として御発言をいただくようにしていただきたいな、こう思います。その点、大臣、よろしゅうございますね。
○小川国務大臣 御発言、十分了承いたしました。
○山口(鶴)委員 それでは次のお尋ねをいたしましょう。 時間が余りありませんのできわめてはしょってお尋ねする以外にないことが非常に残念ですが、文部省の予算を拝見いたしました。公立学校の施設整備に対して文部省が補助金を出しておられます。見ますと、残念なことに五十五年度予算、五十六年度予算、五十七年度予算、ふえるどころか一方的に減るばかりなんですね。それから、国立学校の特別会計、大学の施設整備費、これも残念なことに五十五年、五十六年、五十七年を見ますと一方的に減少しているばかりなんです。 私は、いまのわが国をめぐる経済状況、そしてわが国の財政状況、きわめて危機的な状況にあると思っております。ここで私が言わなくても、五十六年度予算につきましては二兆二、三千億円に上る膨大な税収不足が見込まれております。当然、この二兆二、三千億円に上る税収不足を一体どうするかということは、まさに鈴木内閣を揺るがす重大な問題であろうと私は思います。自民党の主要な大幹部の中にも、天下大乱の年だ、こう御発言になっている方もあるわけでありまして、まさにそういう時期に差しかかっているような気がいたします。そうして政府は、この歳入欠陥を穴埋めし景気てこ入れを図る、そのために補正予算を秋口にも編成する方針であるということが新聞にも伝えられております。大臣は鈴木内閣の主要な閣僚だ、この状況に対してもいろいろお考えがあるだろうと思います。時間がありませんからその点は聞きませんが、少なくとも景気対策をやる、そのためにいま五十七年度予算は七五%以上前倒しをするということをやっていますね。それではその後の事業は一体どうなるのか、それによってわが国の景気の動向は一体どういうことになるのか、私は大臣いろいろお考えだと思うのです。 秋口にそういう意味でてこ入れのための補正予算を組むという場合は、少なくとも公立学校の文教施設あるいは大学の施設整備、これは余り土地代は要らないわけですから、もっぱら事業だと思いますので、そういうものはこの際積極的にふやしていくという決意があってしかるべきではないかと思うのです。大蔵省も来ておられますが、時間がありませんから細かいことは聞くあれがありませんので大蔵省にお尋ねするのは控えますけれども、大臣、公立学校文教施設整備あるいは大学の施設整備、こういうものについて今後どのような態度をおとりになるおつもりか、そこを聞いておきましょう。
○小川国務大臣 公共事業の前倒しを決定いたしました閣議の際に、建設大臣からも下期の公共事業施行について適切な手段をぜひ講じてほしいという発言もございました。これは当然の御発言であったと存じております。これをいかなる手段で解決するかということは今後の問題でございますが、建設公債の発行は必至であるという見方が非常に有力であることは御高承のとおりでございます。 公立文教施設についてただいま御指摘がございましたが、公立文教施設の整備拡充については、従来、今日まで意を用いてきたところでございます。五十七年度予算におきまして五十六年度に対比しておよそ六%これが減っておるわけでございますが、木造建築物の比率が年々減少しておるという状況を踏まえて市町村から出してまいりました事業計画そのものが減ってきておる、まさしくこれに対応した予算を編成したわけでございます。 しかし、今後たとえば建設国債によって下期において公共事業の施行を景気浮揚の観点から活発に行うという方針が決定されました場合には、いろいろ技術的な問題点はございますけれども、文部省といたしましても、ぜひその際にできる限りいわゆる前倒しを行って整備を進めてまいりたい、こう考えております。
○山口(鶴)委員 柳川さん、おいでですな。——結局、都道府県からの要望が減ったような趣旨のことを大臣がおっしゃったのですが、それでは各県から出た希望というのは一〇〇%全部五十七年度予算でこたえられるのですか。また、現実に都道府県が、市町村からの要請がありましても、これは無理だからと言ってある程度抑える、そうして文部省に申請をするという傾向があることは否定できないと思うのですね。ですから、市町村の公立学校施設整備の要望が五十七年度予算において一〇〇%満たされているという現状では絶対ないだろうと思うのです。その辺の認識と、大臣もお答えになりましたが、私は、土地代が要らないでもっぱら事業に使われるような公立学校文教施設の整備あるいは大学の施設整備などというものは、景気のてこ入れには大変いいし、また、国民の期待にこたえられると思うのです。そういう意味でのお考えをあわせてお聞かせをいただきたいと思うのです。
○小川国務大臣 市町村等から出してまいります事業計画に査定を加えたり、あるいはこれを誘導したという事実はございません。ただ、市町村におきましても、今日の財政の状況というものは十分理解をいたしておるでございましょうから、恐らく要求は控え目であったかと思っております。 仰せのとおり景気浮揚の観点から公立文教施設の拡充を図るということ、きわめて大切だと考えておりますので、そのような認識に立ちまして努力をいたすつもりでございます。
○山口(鶴)委員 あともう残り時間がほとんどないような状態ですから、ひとつ運輸省の船舶局と文部省の体育局の方、お見えだろうと思うので、一点にしぼってお聞きしたいと思うのです。 過般の新聞によりますと、日本体育協会の予算に一億五千万円もの大穴があいて大変苦労しているということが報道されました。そうして船舶振興会——いまギャンブルの中で売れ行きが一番いいのはモーターボートです。その売り上げの中から船舶振興会に吸い上げられたお金を一号交付金、二号交付金という形でいろいろと交付しているようであります。これを拝見しますと、詩吟をやったり剣舞をやったりといったようなところに相当の金が行っている。そのほか細かいものもいろいろあります。体育協会にも確かにお金が行っています。しかし私は、こういった個々の空手であるとか剣舞であるとか詩吟であるとか合気道であるとかというところにばらばらちょこちょこお金を配るのも一つの方法かとは思いますけれども、むしろこういうものはもっと統合して、体育協会なら体育協会にまとめてお金を交付するというような形の方が、国民の目から見てもおかしいなというようなことはないだろうと思うのです。 船舶振興会の一号交付金、二号交付金を配分する場合に、文教、体育関係は文部省は相談にあずかっているわけですね。その際に、出してきたものをうのみにするなんということじゃなくて、文句をつけることはきちっとつけたらいいと思うのです。大臣もそうだと思うのですね。昨日ワンワン会の会合に御出席をされたそうで、いぬ年だそうです。そういうときには大いにほえついて、文部省として、間違っているものは正すということがあってしかるべきではないかと私は思うのです。この二号交付金、文教、体育の問題については相談があるわけでしょう。その際、文部省としてはどういう態度で対処しているのですか。
○高石政府委員 お答え申し上げます。 体育協会に対して船舶それから小型自動車、そういうところからいただくわけでございますが、それは体育協会全体として来年度の事業の予算を考えて、どういう事業をやるかということを出してきまして、そしてそれぞれのところに申請をするという形でやっているわけであります。したがいまして申請主義でやっておりまして、その体協のやっている事業についてはできるだけその内容が生かされるようにということで、補助金の申請に当たってはお願いをしているというのが実情でございます。 それから、個別の財団法人から出される申請がありますが、それは体協の行う事業の内容と若干異なっているということで、それぞれの財団法人から別個にまた申請が出される、それについても調整をした上で補助金の査定をしていただく、こういう形で、その際に文部省として意見を申し上げるわけでございます。
○山口(鶴)委員 大臣、船舶振興会もあります、それから自転車振興会もある、小型自動車振興会もある、また中央競馬、地方競馬もある。こういうものがばらばら、それぞれの団体がいろいろな形でお金を出しているわけですね。むしろこういうものは統合して、そうして本当に国民から見てガラス張りで問題がないという形で、必要なお金は必要な部面に流していくということの方が明朗であるし、いいのじゃないか。 実は超党派の議員懇談会もつくりまして、そういう議論をずいぶんしているわけなんです。私は、そのことはひとつ文部省が音頭を取って進めていただいたらどうかと思うのです。主管は内閣官房の内閣審議室長のようでございますけれども、あるいは総理府のようですけれども、こういった各種のものをばらばらやるのではなくて、きちっと統合して、そうして国民から見て本当にガラス張りで明朗だという形にシステムを変えていったらいいのじゃないか。必要ならば法律を改正する必要もあるでしょう、こういうお考えはどうでしょう、大臣。
○小川国務大臣 交付金の配分についての御意見でございます。一つの御意見としてただいま承ったわけでございますが、たとえば船舶振興会の場合に、配分に際しましては振興会の交付金運用専門委員会の委員に文部省の職員が委嘱を受けております。さらにまた、振興会が交付金の審査をいたします際には事前に文部省は関係団体が申請しております交付金について随時意見を述べておるわけでございます。 先ほどお言葉にありましたように振興会の意見をうのみにしているというわけではございません。文部省といたしましては、現行制度にこの際特に改変を加える必要を感じてはおらないわけでございます。現行制度のもとにおきましても交付金の配分は明朗に行われておる、かように考えておるわけです。
○山口(鶴)委員 時間があれば私は詳細に個々の補助金について疑問点を指摘したいと思ったのですが、きょうは時間がありませんからやめて、後日に回したいと思います。そういう中で私は、この問題はもう一度お考え方を改めていただきたい、希望だけ申し上げておきます。 また、景気浮揚の問題、文部省予算が及ぼす地方財政との関係等々の問題はまた改めて議論したいと思います。いつか文部省の資料が間違っているということも指摘して、訂正していただいてよかったわけでありますが、今後宿題としてそういうことを考えておるということを申し上げて、きょうは時間のようですから残念ながら終わっておきたいと思いますが、山原さんが関連質問があるそうですから……。
○青木委員長 この際、山原委員より発言を求められておりますので、これを許します。山原健二郎君。
○山原委員 山口議員の質問に対しまして、最初質問したものとしまして、何か私の質問がごたごた質問したからこんな答弁になったのだというような意味のことを言われておる、これは全く迷惑千万な話です。しかも答弁の中でこういうことも言っておるのですよ。「原判決を破棄するという言葉についていまの委員のようにお考えになると誤った判断になるのではないか」と二回言っておるのです。おまえさんの言っていることは誤った判断だということを言っておるのです。 このことは取り上げませんけれども、先ほどからの質疑応答を聞いておりましても、やはり私の質問にかかわってこういう答弁になったのだ、こうおっしゃっているのですが、そうじゃなくて、一番最初に、「原判決が破棄されたわけでございますから、いわゆる杉本判決、畔上判決は消えたと申しますか、法律上意味がなくなったということで、文献的な意味では残るかもしれませんが法律上は消えた、こういうことだと思っております。」、これが初中局長の答弁なんです。それから、いまお話のありましたような、私の質問の「原判決破棄というのは、それでは第一審も第二審もすべて破棄されたと思っておられるのですか。」ということに対して「そのとおりでございます。」、こういうふうにお答えになっているわけでございまして、どこを見ましても、一審判決は破り捨てたという言葉も出ますように、あいまいな表現もときにはありますけれども、明らかにこれを否定している。ところが先ほど、山口議員の質問に対して文部大臣は明確に、一審判決は生きているという質問に対して、仰せのとおりでございます、こう言っておられるわけですね。この点は文部大臣と初中局長との間に違いがございます。これは今後理事会において当然明らかにしまして、先ほどお話がありましたように、削除すべきところは削除するということで委員長もお約束されておりますので、その方に任せたいと思います。 そこで、きょう出されました文部省の統一した見解と申しましょうか、これを見ますと、「差し戻したものであるから、訴訟法上は一審判決に対し控訴された状態にある」ということですね。このことは、先ほどから初中局長は形式的には生きておるのだ、こう言うのですが、この文部省自体の文書を見ましても「訴訟法上は一審判決に対し控訴された状態にある」、すなわち第二審の畔上判決の出る前ですね、第一審判決に対して文部省は不満があって上告をされた状態に戻っている、こういうことなんです。そうすると、これは単に第一審は形式上存在するということでなくて法律的にも存在をしておると解釈すべきだと思います。これは文部省自体が言っておる言葉ですから間違いないと思いますが、そこが私に対する答弁ときょうの統一見解との一番大きな違いであります。この点について、まず法制局と法務省に対して、形式上生きているということではなくて、きょうの見解は法律的に生きておるということを明確にしたものだと思いますが、この点についての見解を伺っておきたいのです。
○味村政府委員 先ほど訟務局の方からも御答弁があったとおりでございまして、一審判決は、訴訟法上現在一審判決に対して控訴があるという状態であるということでございます。ただ、一審判決は、いわゆる訴訟法上確定いたしておりませんから当事者を拘束する力はないわけでございます。つまり判決としての効力はないわけでございますので、その点は御了承をいただきたいと思います。
○上野説明員 ただいま法制局から申し上げられたとおりでございます。
○山原委員 形式論を言っておる、存在しておるということに答弁が変わったわけですけれども、訴訟法上一審判決に対し控訴された状態にあるということでございますから、これは明らかに私に対する答弁とは違っております。拘束するあるいは非拘束の問題については、これはいま法制局並びに法務省のお考えは正しいかもしれませんが、しかし一審の判決に対して不満があって控訴したという事実は、文部省としては残っているわけですね。 それからもう一つ、時間がございませんから、第二項の方ですけれども、これは論議に値しないですよ。第一、杉本判決は憲法第二十一条が主たる争点であったわけですね。ところが学力テストの判決というのは、これは全く教育基本法の第十条が主なんですね。それをここへ持ってきておるということも、まだこれはこれから論議になるところだと思いますが、こんなものを持ってきて、そして自主的な意味を持たないということを言っておられるわけですけれども、これは余りにも牽強付会な見解だと思います。これは納得するわけにはいきません。 そこで問題は、先ほどのようなお話の中から、結局第一審も第二審も、特に第一審が、これは全く破り捨てられたものであるということとか、なくなったものだというものではないということは明らかになったと思うのです。したがってこの点は、はっきりとこれにかかわる部分については議事録を削除するなり、あるいは明確にこれに関与するこれこれの部分については誤りであったということを明確にしていただきたいと思いますが、文部省、その用意がありますか。文部大臣に伺います。
○小川国務大臣 この点は国会で御判断なさる問題でございますから、文部省として意見を申し上げることは適当でないと存じます。(山原委員「文部省として何ですか」と呼ぶ)文部省として、国会で判断なさるべき事項についてとやかく申しますことは適当でないと存じております。
○山原委員 ちょっと時間がありませんから伺いますが、とにかく文部省としてもこの重大な問題についての答弁というのは、法律上も正確を期さなければならぬと思います。それがもう消えてしまったのだということをおっしゃっておって、こちらの方では存在をするということになっているわけですね。そういう食い違いが出たならば、当然文部省自体としても見解を明らかにして、誤った部分については誤りだと——もちろん国会の方もそれを理事会において協議をされ、誤った部分については削除するという約束がありますから、それはできると思いますね。でも文部省としても、これは間違っておるところは直すというのは当然のことだと思いますが、それは国会側が決めれば文部省としては了承する、少なくともそのお考えは持っておるというふうに理解してよろしいですか。
○小川国務大臣 前回の答弁が正確性を欠いておるということは、先ほど政府委員から答弁を申し上げたとおりでございます。その言明に基づいて判断をなさるのは、これは国会の仕事でございますから文部省としてとやかく申し上げませんが、国会の御決定に当然従うべきものと考えております。
○山原委員 国会側の決定に従うということでございますからもうこれ以上申し上げませんけれども、そういうことでいまのところ了承しておきます。 そして、特に正式の議事録が出ました場合は、これは委員長、この問題については恐らく各党とも御意見があると思うのです。そういう意味では、集中した審議をこの教科書裁判についてぜひやっていただきたいと思いますが、委員長の見解を伺います。
○青木委員長 山原君の御提案につきましても、理事会で御相談して決定いたしたいと思います。
○山原委員 終わります。 ————◇—————
○青木委員長 次に、内閣提出、昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。小川文部大臣。 ————————————— 昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○小川国務大臣 このたび政府から提出いたしました昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 私立学校教職員共済組合は、昭和二十九年一月に、私立学校教職員の福利厚生を図る目的のもとに、私立学校教職員共済組合法により設立されたものでありますが、それ以後、本共済組合が行う給付については、国公立学校の教職員に対する給付の水準と均衡を保つことをたてまえとし、逐次改善が進められ、現在に至っております。 今回は、昭和五十六年度に引き続き、国公立学校の教職員の年金の額の改定に準じて、私立学校教職員共済組合法の規定による既裁定年金の額の改定等を行うため、この法律案を提出することといたしたのであります。 次に、この法律案の概要について申し上げます。 第一に、私立学校教職員共済組合法の規定による退職年金等の額を、昭和五十六年度の国家公務員の給与の改善内容に基づいて行われる国公立学校の教職員の退職年金等の額の改定に準じ、昭和五十五年度以前の退職者について昭和五十七年五月分から引き上げることといたしております。また、これに伴い、旧私学恩給財団の年金についても同様の引き上げを行うことといたしております。 なお、改定年金額の算定の基礎となる平均標準給与の額が一定額以上の者に支給する退職年金、減額退職年金及び通算退職年金については、国公立学校の教職員に係るこれらの年金の額の改定に準じ、昭和五十八年三月まで、引き上げ額の三分の一の支給を停止することといたしております。 第二に、既裁定の退職年金、廃疾年金及び遺族年金の最低保障額を国公立学校の教職員の既裁定年金の最低保障額の引き上げに準じ、昭和五十七年五月分から引き上げるとともに、遺族年金については同年八月分以後、さらにその額を引き上げることといたしております。 第三に、標準給与の月額の最高額を国公立学校の教職員の掛金等の算定の基礎となる俸給等の限度額の引き上げに準じ四十二万円から四十四万円に引き上げるとともに、最低額についても七万二千円から七万五千円に引き上げることといたしております。 最後に、この法律の施行日につきましては、第一及び第二の改正は昭和五十七年五月一日から、第三の改正は同年四月一日からといたしております。 以上がこの法律案の提案の理由及び内容の概要であります。 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
○青木委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 ————◇—————
○青木委員長 次に、中西績介君外三名提出、公立幼稚園の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律案及び石橋一弥君外三名提出、私立学校振興助成法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、順次提案理由の説明を聴取いたします。 まず、中西績介君。 ————————————— 公立幼稚園の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○中西(績)議員 ただいま議題となりました法律案について、その提案理由と内容の概要を御説明申し上げます。 わが国の五歳児の幼稚園と保育所の在籍率は、昭和五十五年度現在で九三%となっており、その内訳は、幼稚園が六五%、保育所が二八%であります。四歳児の場合も両者で八〇%と高く、このほか無認可施設の幼児まで加えますと、四、五歳児の在籍率は一〇〇%に迫る高いものになると考えられます。 このように多数の幼児が通園している保育施設は、戦後、幼稚園は学校教育施設として、保育所は児童福祉施設としてそれぞれ固有の目的、機能のもとに制度化され、文部省と厚生省による二元行政が行われてまいりました。その結果、一貫した乳幼児保育・教育内容の追求は立ちおくれ、両施設の地域的偏在や父母負担の格差、教職員の労働条件格差など多くの問題が提起されております。 現在の保育施設がこのような状態では、次の世代を担う幼児の健やかな発達・成長やその教育が十分に保障されているとは言えません。このような現在の保育制度を抜本的に改善するためには、幼児の教育と福祉が分離された二元行政を改め、幼児の健やかに成長する権利と教育を受ける権利とを一体化した保育の一元化が必要と考えられます。そのためには、解決すべき多くの課題があります。この際、その実現を目指すための経過的措置として、ここに、本法律案を提案する次第であります。 現行の幼稚園についての法的基準としては、昭和三十一年に文部省令として公布された幼稚園設置基準があります。この基準は、現在までに数次の一部改正が行われておりますが、基本的な事項は何ら改善されておりません。その中で学級規模については、一学級の幼児数を「四十人以下を原則とする。」としており、この点について文部省は、一、二名程度の増加は認め得るという指導を行っております。このような緩和規定のため、過密学級の大規模幼稚園が一部で容認される結果となっております。 明治三十三年の小学校令で、小学校の学級規模が「七十人以下」と定められた際、幼稚園のそれは「四十人以下」とされ、四十人の基準は現在も変わっておりません。これに対し、西欧諸国における学級規模は二十五名前後が多く、また、一九六一年の国際公教育会議は、就学前教育について教師一人当りの幼児の標準的な数は二十五名を超えないことが望ましいと勧告しております。 なお、わが国の保育所について見ますと、保母の配置基準を三歳児については二十名につき一人以上、四、五歳児については三十名につき一人以上としており、おおむねこの基準で学級編制が行われております。 次に、幼稚園の教職員定数については、前に述べました設置基準の中で、園長のほか、各学級ごとに専任の教諭一人を必置することとし、特別の事情があるときは、学級数の三分の一の範囲内で専任の助教諭もしくは講師にかえることができる旨規定されております。また、養護教諭と事務職員については「置くように努めなければならない。」とされ、その他の職員については触れられておりません。 この基準に対する公立幼稚園の実態は、兼任の園長のほかは学級数と同数の教諭または学級数より一名多い教諭を置いている園が八〇%を占めております。このような状態では、保育時間の延長や行き届いた保育など多様化する父母の要求にこたえることはとうてい不可能であります。 一方、公立の小中学校の場合は、その定数法により学級規模が定められ、現在、四十人学級が実施されつつあります。また、教職員定数については、学級担任のほか、校長、専科教員、養護教諭、事務職員などについて規定されており、これらに伴う財源措置も別途制度化されておりますことは御承知のとおりであります。 したがって、幼稚園についても、学級編制の適正化と教職員定数の確保を図るための定数法が必要なことは時代の趨勢であります。その制定に伴い、公立幼稚園に対する地方交付税の財源措置も別途改善を図ることとなりますが、これらの措置が私立幼稚園と保育所の教育条件や教職員の労働条件の改善を促し、ひいては、保育全体の向上に資するものと考えられます。 次に、本法律案の内容の概要を御説明いたします。 第一は、この法律は、公立の幼稚園に関し、学級編制の適正化及び教職員定数の確保を図るため、学級編制及び教職員定数の標準について必要な事項を定め、もって幼稚園の教育水準の維持向上に資することを目的としております。 第二は、学級編制の標準についてであります。三歳児学級については二十人、四歳児及び五歳児の学級についてはそれぞれ二十五人、小規模幼稚園において異なる年令の幼児で編制する学級については十人としております。 第三は、教職員定数の標準についてであります。その一は、園長を一園に一人置くほか、教諭等の数は、学級数の一・五倍とし、障害児の受け入れについては必要な加算を行うこととしております。その二は、養護教諭等、事務職員及び学校用務員については、一園につきそれぞれ一人置くこととし、このほか、給食を実施する幼稚園については、学校栄養職員及び学校給食調理員を置くこととしております。その三は、教職員の長期研修など特別の事情があるときの加算措置について定めることとしております。 第四は、この法律は、昭和五十八年四月一日から施行することとし、学級編制の標準及び教職員定数の標準に関しましては、今後の幼児人口の減少等を考慮し、これを五年間の年次計画で実施することとしておりますので、それに必要な経過措置を定めることとしております。 以上が、本法律案の提案理由及び内容の概要であります。 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
○青木委員長 次に、石橋一弥君。 ————————————— 私立学校振興助成法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○石橋(一)議員 私立学校振興助成法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 わが国の私立幼稚園は、昭和五十六年度において幼稚園総数の五九%を占め、わが国の幼稚園教育の普及発展に重要な貢献をしておりますが、この私立幼稚園のうちには学校法人以外の個人または宗教法人等によって設置された幼稚園が多数あります。さる第七十五回国会においては、これらの個人立等の幼稚園に対しても教育条件の向上や父母負担の軽減の観点から公費助成の道を開くとともに、助成を受けた個人立等の幼稚園は、その翌年度から五年以内に学校法人化の措置をしなければならないこととするよう所要の法律改正が行われたのであります。これにより個人立等の幼稚園の学校法人化は年々進んできたところでありますが、現在なお私立幼稚園の四二%は個人立等であり、このままで推移すれば、五年の期限の到来により補助を打ち切られざるを得ない幼稚園も数多く出てくることが予想され、幼稚園教育に混乱を招くおそれもあります。このため、学校法人化の期限を昭和六十年三月末まで延長しようとするものであります。 なお、私立学校振興助成法の一部改正を提案するに当たり、この際、専修学校または各種学校を設置する準学校法人に対する助成及び監督の規定について所要の規定の整備を図ることといたしております。 次に、法律案の内容について申し上げます。 その第一は、私立学校振興助成法附則第二条第五項の規定による学校法人によって設置されるよう措置しなければならない期限が五十七年三月末、五十八年三月末及び五十九年三月末に到来する幼稚園については、いずれもその期限を六十年三月末まで延長することとしております。 第二に、専修学校または各種学校を設置する私立学校法第六十四条第四項の法人についても、助成及び監督の規定について、私立学校振興助成法の所要の規定を準用することとしております。 以上が、本法律案の趣旨及び内容であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛成くださるようお願い申し上げます。(拍手)
○青木委員長 これにて両案の提案理由の説明は終わりました。 —————————————
○青木委員長 この際、私立学校振興助成法の一部を改正する法律案に対し、石橋一弥君外三名より、自由民主党提案に係る修正案が提出されております。 提出者より趣旨の説明を求めます。石橋一弥君。 ————————————— 私立学校振興助成法の一部を改正する法律案に対する修正案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○石橋(一)議員 修正案の趣旨について御説明申し上げます。 案文はすでにお主力に配付されておりますので、朗読は省略させていただきます。 修正案の趣旨は、原案の施行期日は公布の日から施行するものとされておりますが、すでに学校法人化の期限が昭和五十七年三月三十一日に到来する幼稚園も生じておりますので、これについては適用を同日まで遡及させる必要があるためであります。 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○青木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○青木委員長 ただいま議題となっております両法案中、これより公立幼稚園の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律案について質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鍛治清君。
○鍛治委員 私は、公立幼稚園の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律案、ただいま提案されましたが、この法律案につきまして、提案者代表である中西議員並びに文部省に若干質問をいたしたいと思います。 幼稚園教育の水準維持向上ということは大変重要なことでございますが、現今の幼稚園の状況というものを見てみますと、大変出生率の低下等の絡みの中でいろいろと問題が出てきていると思います。 そこで最初に文部省にお尋ねをしたいのでありますが、幼稚園について現在就園率というものは全国的にどういう状況になっているのか、まずお尋ねをいたしたいと思います。
○三角政府委員 昭和五十六年五月一日現在で調査をいたしました学校基本調査、これはいまの段階ではまだいわゆる速報の段階でございますが、五歳児の就園率は約六四%となっております。なお、四歳児、三歳児の就園率については五歳児のような正確な調査はなされておりませんけれども、四歳児は約五一%、三歳児は約一一%というふうに推定されます。
○鍛治委員 続いて、幼稚園の現状の中で公立、私立の比率、これはどういう現状になっているか、これも文部省にお尋ねをいたします。
○三角政府委員 昭和五十六年五月一日現在、幼稚園数一万五千五十九校のうち、国公立が六千百九十七校でございまして、四一・二%になっております。そして私立は八千八百六十二校でございまして、五八・八%となっております。 これを園児数で見ますと、総数二百二十九万三千人のうち国公立が六十万三千人で、二六・三%、私立は百六十九万人でございまして、七三・七%となっておりまして、園数、園児数いずれも私立の占める比率が高くなっております。
○鍛治委員 いま御答弁をいただきました数字をお聞きいたしましても、国公立の幼稚園に比べまして私立の幼稚園が非常に高い比重を占めておる。特に園児の数でいきますと、これはいま御答弁ありましたように、七三%強という子供さん方が私立の幼稚園に通っているわけでございますが、私どももいろいろとお子さんをお持ちの父兄の皆さんと話し合いをする中で、やはり公立の幼稚園に通わせたい、こういう声が非常に強いようでございますけれども、その要望にこたえていくのが国の、また公立の幼稚園をつくる側の行政の責任でもあろうと思うのです。これは努力はされていると思いますけれども、私立の幼稚園に通っている園児約七三%強でございますが、こんなに多くなっている現状についてのその背景と申しますか、理由はどういうところにあるのか、これについて、これは文部省とそれから中西委員にお尋ねをいたします。
○三角政府委員 私立幼稚園の果たしている役割りが非常に大きいわけでございます。その比率によって来る理由といたしましては、わが国の幼稚園というものは沿革的に見まして篤志家でございますとかあるいは学校法人などによって設置をされ、運営をされてきたということがございます。また一方、市町村等の財政事情などから公立幼稚園の整備というものがおくれたということもあると思っております。
○中西(績)議員 お答えします。 このように私立幼稚園七〇%近くになっておるわけでありますけれども、何と申しましても、文部省の幼稚園教育振興計画というものはつくられますけれども、その内容なりあるいはそれに基づく適正配置ということが全く考えられておらないために、幼児政策の怠慢がこうしたところに出てきておると私は言わざるを得ないと思います。言いかえますと、野放し状態になっておると言っても過言ではないと思います。したがって、個人や行政の成り行きに任せておるというこうしたところからこのような大きな差が出てきたのではないか。特に近年は幼児が企業の利潤の対象にされておるという実態等が出てきておる。このことは、大変私は将来憂うべき状況が、特にいま園児の数が減少していくということになってまいりますと、それぞれ園児を奪い合うというような状況等からいたしましても、大変な状況が出てくると思います。その結果は大規模園をさらに大規模化していくという、私たちが一番注意をしなくてはならない状況になってくるのではないか、こう考えています。
○鍛治委員 園児とともに公立幼稚園の増設ということについては、第二次の十カ年計画の中で進められては来ているのですけれども、結果的に見ますと、公立に比べて私立の幼稚園の方が多くつくられておる、こういう実態が出てきているようでありますが、この件について文部省はどういうふうに見ておられるのか、さらに中西委員はこういう現状をどういうふうに理解しておられるのか、お尋ねをいたします。
○三角政府委員 文部省といたしましては、幼児教育の重要性と幼稚園教育に対する国民の要請にかんがみまして、四十七年度を初年度とする幼稚園教育振興計画を策定し、昭和五十七年度当初までに、希望するすべての四、五歳児を幼稚園に就園させるということを目的として幼稚園の計画的整備を進めてきたわけでございます。この計画に基づきまして、新増設される幼稚園につきましては、これは公立、私立のいずれとするかは地域の実情に応じてやっていただく、こういうぐあいにしたわけでございますが、結果といたしましては、地方公共団体の財政事情あるいは保護者の考え方、あるいは先ほどもちょっと申し上げましたが、伝統的にわが国の幼稚園教育が私学によって発展したことなどの理由から、私立幼稚園の方が数の上では多く設置されることとなったものというふうに考えております。四十七年から五十五年までの実績を見ますと、公立園の増は千七百七十一園、私立の方は千九百八十三園でございます。数の上では私立の方が若干上回っておりますが、しかし、これまでの公私立の比率、現在の園数の比率でも六割が私立でございますから、それに比べますと市町村当局もそれなりにがんばっていただいた、こういうふうに認識しております。
○中西(績)議員 私は先ほどの答弁でも申し上げましたけれども、やはり何と申しましても入園希望を満たすだけの施設を公的に保障することをサボってきておる、いま文部省は自治体における増加数について一定の評価をしておりましたけれども、この点が私は一番問題ではないかと思っています。特に行政の怠慢がここに顕著に出てきたのではないか、特に率から申し上げましても大変落ち込んでおることから考えますと、そのことが指摘できると思います。私立幼稚園からのそうした要求等もありますけれども、やはり何と申しましても、行政が受け身姿勢あるいは怠慢の姿勢の中では、こうした状況がどうしても出てくることは必至でありますから、この点をより重要な施策としてどうこれを定着化させるか、このことなしにはこうした内容を改善するということは不可能だろうと思っています。
○鍛治委員 先ほど中西委員の御答弁の中にもちょっと触れられておったのですが、私立の幼稚園、これはやはり経営ということがどうしても重要な一つの柱として考えられなければならないということがあるわけでございますけれども、最近の状況の中で出生率がだんだん低下してきておる、したがって、幼稚園等に通う子供さん方も減ってきつつある中で、園児を奪い合いといいますか、自分の園に子供さんを入園させる、定足数を充足させていくということについて非常なゆがんだ状況が出てきつつあるというようなことも私もときどき耳にするわけでございます。こういった状況について、極端な例を申し上げますと、園児集めのためにいろいろな品物、金品等を贈っておるというようなうわさもあるくらいでございまして、これはこのまま放置すると大変なことになるというふうな気もいたしておりますが、こういった状況等について、文部省では状況の把握というものをなさっていらっしゃるのだろうかということが一つ。こういうことについての対処、どういうふうになさるおつもりか、これは文部省とそれから中西委員にもこの件について御意見をお聞きいたしたいと思います。
○三角政府委員 私立の幼稚園でございますから、やはり基本的には経営の安定ということは大事でございますが、経営のために非常に行き過ぎた運営と申しますか、御指摘のようなことがあるとすれば、好ましくないというふうに思います。 ただ、文部省といたしましては、全体一万五千の園が国公私立ありますが、一々の具体の個々の事実については把握をしておりません。ただ、御指摘のように、近年の出生児数の減少に伴いまして、一部の私立幼稚園におきまして、やはり一定数の幼児を確保するという必要から目立った募集と申しますか、状況によりましては非常に行き過ぎたやり方をしているというところもあるということは仄聞いたしておりますが、私どもはそのようなことは、先ほども申し上げましたが、教育上望ましいこととは思われないのでございます。やはり各幼稚園が幼稚園教育要領の趣旨にのっとりまして、幼児の心身の発達の状況並びに幼稚園や当該地域の実態に即応して適切な教育を行うことによりまして、地域の保護者たちの信頼をかち得るようにやっていただくということが大事である、こういうふうに思っております。
○中西(績)議員 文部省の方からもお答えございましたけれども、いま指摘がございました、園児を集めるのに一人当たり千円配ってみたり、あるいは保育の内容を大きくゆがめて、英才教育と称して英語教育をしてみたり、いろんなことをやっておる。あるいは無料の午後預かり保育をしておる。そこで本当に私たちが信頼できる保育をやっておるかというと、テレビつけっ放し、その前に子供たちは手当たり次第、食べるものがあればそれを食べさせる、こういうような状況が、多くはありませんけれども、やはりあるということが実態として出ています。したがって、ちょうどベビーホテル幼稚園版みたいなものになる傾向が強まっておる。こういうこと等を考えてまいりますと、何と申しましても保育の真の意味をもう一度問い直すことがいま一番重要ではないか、そう考えます。
○鍛治委員 文部省の方は、こういった事態を仄聞する、中西議員からは、具体的な内容で、数は多くないかもわからないがこういう事態があるというふうなお答えもございました。こういう内容については、大変重大な問題でもありますし、文部省でもこういった実態を調査しながら、やはり適切な対処をされる必要があろうかと思います。この点については私、御要望をこの際申し上げておきます。 次に進ませていただきまして、設置基準についてお聞きをいたしたいと思います。 これは文部省にお尋ねをいたしますが、幼稚園の設置基準については一八九九年に、いまから約百年ぐらい前ですが、できたようでございます。それ以後、どういうふうな経過を経てどう変わっていったのか、この内容について御説明をいただきたいと思います。
○三角政府委員 幼稚園に関する法令といたしまして初めて制定されましたのが昭和三十二年の幼稚園保育及設備規程という文部省令でございます。この規定は、幼稚園教育の対象年齢を初め教育内容、方法、施設設備、編制に関する総合的な基準でございます。この規定によりまして、「保母一人ノ保育スル幼児ノ数ハ四十人以内トス」と定められ、個々の幼児と教員との関係から、一人の教員が担当する幼児数の最大限度が示されたのでございます。次に、いま申しました保母一人の保育する幼児数に関する定めは、その後昭和三十三年の小学校令施行規則、明治四十四年の小学校令施行規則の一部改正、大正十五年の幼稚園令施行規則、昭和二十二年の学校教育法施行規則によりそれぞれ規定されましたが、明治三十三年の小学校令施行規則で四十人以下とされた以外は、いずれも約四十人以下と、こうなっております。これらはいずれも保母または教諭一人が教育する幼児の数でございまして、組あるいは学級の定員を定めたものではございません。次に、昭和三十一年の幼稚園設置基準、文部省令で、初めて幼稚園におきましても他の学校と同様に一定の教員が一定の学級を担当する、こういう学級担任制が採用されまして、「一学級の幼児数は、四十人以下を原則とする。」と規定をされ、現在に至っております。
○鍛治委員 経過を御説明いただいたのですが、この設置基準の内容自体というものは、私ども見ておりまして、十分に保育を保障するに足るものであろうかというふうな気もいたすわけでございますが、これは改善の方向というものも考える必要もあるのではないか、こういう考え方も持っておるのでございますけれども、この点について文部省はどういうふうにお考えか、また提案者はどういうふうな形でこれをお考えになっていらっしゃるか、お尋ねをいたします。
○三角政府委員 ちょっと先ほど私、明治三十二年あるいは明治三十三年と申し上げるべきところを昭和というふうに言い間違えましたので、ここで直させていただきます。 ただいまの御質問でございますが、現行の幼稚園設置基準は昭和三十一年に制定されまして、幼稚園を設置する際並びにその運営に当たりまして遵守すべき最低の基準というものを定めたものでございます。この設置基準は、幼稚園の学級編制、教職員、施設及び設備等について規定しておりまして、幼稚園における教育条件の最低の基準としては妥当なものであると考えております。しかしながら、同基準にもございますとおり、幼稚園の設置者はこの基準に基づき、さらに「幼稚園の水準の向上を図ることに努めなければならない。」とされているのでございまして、これによりまして、地域の実情あるいは財政事情等を勘案しながら、この水準の維持向上に努め、そしてより充実した幼稚園教育が行われるよう、私どもとしても指導を行っておるところでございます。
○中西(績)議員 いま指摘されました保育を保障する、そのためにはどういうことが必要かということを言われているわけでありますけれども、現在の実態、四十人という先ほど三角局長の方からも答弁がありましたけれども、明治以来変わっておらないというこの実態の中で、いま幼稚園でどういう欠陥があるかということをもう一度私は調べ直す必要があると思うのです。そのことが明らかにされずに、いまのような答弁で、妥当なものと言い、努めなければならない、したがって、維持向上を図っていかなくちゃならぬなどということで終わらせるところに私は問題があるのではないかと思っています。 特に私が指摘をしたいと思いますのは、この保育中に一学級に一人の教員がかかわり合いを持つわけですから、そうしますと、園長は兼任者がもう大多数ですから、そうなりますと、電話番一人いないという状況だって出てくるわけです。そうなった場合に、家庭からあるいは役所からあるいはこの園長が園外におるわけですから、そこから電話がかかったとしても、なかなかこれに対応できないという実態等が実際にあるわけであります。あるいは防災警報を出されても、職員室に人がいなければこれを受ける人すらもいないという、こういう実態だって出てくるわけです。こう挙げてまいりますと、けが人が出たとかあるいは一人一人の子供の作業を見届けるとか、いろいろな点を挙げてまいりますと、たくさんの問題があるわけでありますから、そうしたものを一つずつ的確にいままでの長い歴史の過程を私たちがつぶさに判断をして、それに対応して、どう改善していくかという基本的な姿勢がなければ、このことは私は大変困難だろうと思います。特に現在では、家庭における、いいことではありませんけれども、一人あるいは二人の子供に手を焼いておるという状況であるのに、四十人もの子供を一人の教師が保育していくということが大変困難であるということはだれしもが認めることでありますから、そうしたところを、まず第一、基本的な姿勢をどこに置くかということが、いま私は一番大事だろうと思います。そうしたところからこの改善を遂げていく、このように指摘をしたいと思います。
○鍛治委員 一九七五年の行政管理庁勧告が、この設置基準の遵守状況についていろいろと指摘をしております。この勧告について提案者の方は御存じなのかどうか、また、文部省ではこういう勧告に基づいてその後どういうふうな改善がなされてきたか、こういったこと等についてお答えをいただきたいと思います。
○中西(績)議員 行管庁の勧告の中身を見てみますと、こうなっています。幼稚園の場合が百七十五園、公立幼稚園八十七園、私立幼稚園八十八園を対象として調査をし、その結果を勧告をいたしておるわけであります。 特にその中で私が問題だと思いますのは、認可定員を超過して幼児を入園させている幼稚園が四一%に上っておる、しかもこの四一%は七十一園に当たるのですけれども、そのうち四十八園は無届けで学級数を増加しておる、こういうことが明らかになっています。そしてしかも、増築の園舎の総面積が入園児数に適合するのはわずか三園にしかすぎなかったという結果が出ています。このように挙げてまいりますと、一学級当たりの幼児数を超えて学級編制をいかにしておるのか、その中身がこのことからはっきりするわけであります。 それともう一つ大事なことは、この調査対象二十七都道府県の中で、私立幼稚園の入園児数の合計が認可定員の合計の二・三倍になっておるというこれまた大変な状況が出ています。したがって、こうした中での問題を考えますと、六百四十六市町村、そのうちの三百四十五市町村、パーセントで申し上げますと五三・四%において入園児数の合計が認可定員を上回っておる。ですから、あらゆる市町村において、そしてあらゆる都道府県においてそうしたことが見過ごされてきているという実態があったということであります。 時間がございませんから、ほかのことをたくさんまだ申し上げたいと思いますけれども、園舎あるいは運動場の設置基準から見ても大変な問題が残っておりますし、さらにここで問題になる専任教諭の問題でありますけれども、学級数の三分の二を下回っているものが相当見受けられています。特に設置基準を充足していない幼稚園が十二園出ておるという実態等が出ています。そしてそれを指導すべき都道府県なりのあり方が大変問題だと私は思いますけれども、四十八年度に、調査対象二十七都道府県の中には設置認可の際に必ず実地調査を行っているものがわずかに十三県しかなかった。それからもう一つは、既設の幼稚園に対する指導の実施状況はどうなっておるかと言うと、実施していない都道府県、公立幼稚園についてしか実施していないところは六都県に上っておる、さらに私立幼稚園についてしか実施していないものが四府県あるというように、これを見ると、いかにずさんな行政であるかということが明らかになってまいります。 そのほか、専任の園長が配置されておらない幼稚園の場合においてはどういうようにやっておるかというような問題等につきましても、教諭一人を必ず配置する、これが原則になっておりますけれども、それがいないところだって出てきているような状況等がたくさんあるわけであります。 こうした点を考え合わせてまいりますと、口を開けば教育は国家百年の大計だとか最重要施策だとか言われておるわけでありますし、さらにこの幼児教育につきましては、特に近来は非行、暴力の問題等につきましても、こうした世代から本当に私たちが温かい保育を実施しておかないとそうしたものを引き起こすということが指摘をされておりますだけに、こうした点を特に重要視する必要があるのではないかと私は思っております。
○鍛治委員 では、最後に提案者と文部省に一つずつお尋ねをして質問を終わりたいと思います。 提案理由の中で、いろいろな提案の目的、内容等を先ほどお伺いいたしました。その中で特に学級編制の標準についてどういうふうにお考えになっているのか、最後に簡単に明瞭にお答えをいただきたい。 文部省政府委員には、提案されております本法案に対しまして文部省はどういうふうなお考えを持っていらっしゃるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
○中西(績)議員 学級編制の標準につきまして特に注意をしなければならないのは、国際公教育会議における勧告の中身を見ましても、政府としてはすでにこれに参加をしておるはずでありますけれども、二十五人の勧告がなされています。そしてさらに西欧諸国の学級における幼児数を見てみましても、それぞれ、デンマークが最大が二十二人、あるいはスウェーデンの場合には最高が二十二人、あるいはイギリス等におきましても平均が三十人をはるかに割っておる。こうした事態からいたしましても、私たちがこうして三歳児二十人、四歳、五歳児が二十五人、そして異なる子供のいる学級につきましては十人ということを提案いたしておることが、これはもうすでに常識的なものであると私は考えています。
○三角政府委員 公立学校の設置者のほとんどが御承知のように市町村でございまして、市町村はやはりそれぞれ規模あるいは財政力については強いところもございますけれども、非常に弱いところもございまして、非常に大きな格差があるのが現状でございます。こういった現状のもとで、これらの標準を法定して義務づけるということをいたしました場合には、多くの市町村においては財政面で非常に困難な状況に立たされるというふうに考えるのでございます。 それから、幼稚園にかかる諸経費の財政負担のあり方については種々の検討が必要であるといたしましても、この法律案の内容により試算をいたしますと、新たに約三万八千人の教職員増が必要となるのではないかというふうに見込まれますので、これをまた法律的に義務づけることは非常に膨大な財源を必要とするということでございまして、現時点においては本法案の目指す理想というもの、これはだれでも考えることだと思いますけれども、私ども行政当局としては賛成をいたしがたい次第でございます。
○鍛治委員 質問をこれで終わりますが、文部省に対しまして、いまもお答えありましたようにこういう趣旨というものはやはり進めていくべき方向であろうと思いますが、これについても強く御要望申し上げまして、私の質問を終わりといたします。ありがとうございました。
○青木委員長 午後一時二十分に再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時二十八分休憩 ————◇————— 午後一時二十五分開議
○青木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。山原健二郎君。
○山原委員 公立幼稚園の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律案を御提出されまして、ずいぶん苦労された法律案だと思います。その意味で敬意を表明しながら御質問をいたしたいと思います。 最初に、こういう文書があるわけです。「四、五歳児混合の一学級園です。担任が一人いるだけで休むことも相談することもできず不安です。」という、一学級一人の園というのが幾つかそういう大変困難な状態を訴えている文書がございますが、一学級一人の園というのが果たしてあるのかどうか、それを御承知でしたらお答えいただきたいと思います。 それからもう一つは、学校と違いまして言葉で教育することはできない、一切の保育が子供の行動とともにやっていかなければならぬという大変厳しい状況に置かれているのが幼稚園だと思います。その労働条件というのが果たして満たされているかどうかということですが、この実態につきまして、例がございましたら簡明に御説明いただきたいのです。
○中西(績)議員 お答えいたします。 山原委員御指摘の一学級園が存在するかどうかにつきましては、幾つかの例があるわけであります。いま言われましたように、混合園の一学級園からの訴えでありますけれども、担任が一人いるだけで休むことも相談することもできずにいるという実態であります。さらにまた、その他の園の場合におきましても、一学級園におきまして園長は兼任で、小学校の校長で、全く顧みてくれない、運営、管理、事務、会計からすべて教諭一人の仕事になっておる、したがって、教材研究や翌日の準備は残業で、残業手当などもないというそうした状況が言われています。その上、年休をとると園も休園になるので、思うように年休すらもとれないという実態があるわけであります。そのほかそうした例が幾つかありますけれども、いま指摘のございました園の数については、私つまびらかにすることができません。しかし、先ほどから申し上げますように、こうした一学級園というのが依然としてあるということは事実でありますので、この点は大きな問題として残っておることを指摘しておきたいと思っています。 それからもう一つは、教師の労働実態でありますけれども、特に私がここで指摘をしておきたいと思いますのは、いま山原委員の方から御指摘がございましたように、小学生のように言葉のみでの教育とはなかなかいかないわけでありまして、保育というのは一切、手を添えて子供と行動をともにしなければならないわけでありますから、そうした実態からいたしますと、私がいま持っておる資料からいたしますと、東京の実態調査によりますと、二十歳代で勤務時間内に仕事が終わるという人はほとんどいないわけであります。したがって、約九〇%に近い人がこうした仕事を全部持ち帰らなくてはならないという実態になっています。それから年休でありますけれども、ほとんどとらないというのが五二%を超えています。その理由は、同僚に迷惑をかけるとかあるいは保育が気になるなどということが中心になっています。それからもう一つ私が指摘をしたいと思いますのは、生理休暇でありますけれども、これは九〇%を超える人がとれないという状況になっています。さらにまた、子供さんのいらっしゃる方の育児時間でありますけれども、完全に行使しておるという方が一一%です。全く行使できないという方が一八%に達しています。 こういう状況でありまして、実際にこうしたものが労働基本権として認められておりながらも行使できないという状況になってしまっています。ですから、皆さんが言っておるのは、もう一人フリーの先生がいればということを絶えず言われる。それが大変切実な声になっておるのもそうしたところにあるのではないかと思っています。
○山原委員 日本の労働者あるいはこういうところに勤めておる人たちの労働条件というのは、これはもういわゆる経済大国と言いながらほとんど改善の方向に向かっていないというのが実態でございまして、いまのは東京都の例だと思いますが、大体もうどこも同じ状態に置かれているのじゃないかというふうに思います。 そこで、提案の理由の中にも出ておりますが、そもそも幼稚園というのがいつ始まったかということを見てみますと、明治九年の十一月に東京女子師範学校、現在のお茶の水でありますが、附属して創設をされ、それから現在まで百年以上経過しております。その後、明治十二年の九月に教育令が制定をされまして、幼稚園は公、私立の別なく文部省の監督下に入ることが明記をされるわけです。そして十九年に小学校令が制定をされまして、明治二十三年十月の小学校令の改正に当たり、幼稚園は小学校令の中に位置づけられるようになっております。 ところで、幼稚園の編制、組織、保育項目が定められましたのは明治三十二年六月、幼稚園保育及設備規定でありまして、その中には次の三点があると思います。一つは、入園年齢は満三歳より小学就学までとする、二つ目は、保育時数は一日五時間以内とする、三番目は、保母一人の保育する幼児数は四十人以内とすると規定されています。これは先ほど初中局長からも御答弁のあったとおりです。そして、明治三十三年八月に小学校令施行規則が制定をされまして、その中に上記の三点のものが組み込まれたわけでございます。けれども、この四十人以下とするという規定はその後どうなったかという問題ですね。もう八十年も経過をしまして、いまなお解決していないということで、これは先ほどお尋ねがありましたが、どこに原因があるかというのを最初文部省の方にお伺いしたいのです。
○三角政府委員 ただいま御指摘がございましたように、明治三十二年六月の幼稚園保育及設備規程が文部省令として定められまして、保母の一人の保育する幼児数は四十人以内、こうされたわけでございます。これは当時の幼稚園のいわばモデルのような存在でございました東京女子師範学校附属幼稚園の例でございますとかを参考として、幼稚園における幼児の心身の発達上の特質を考慮いたしまして、最大限の人数を四十人と定めた、こういうふうに考えられるわけでございます。そして現在の基準は、先ほども御説明申し上げましたが、四十人以下で学級編制を行うということを一つの最低基準として示しておりまして、そしてこの水準をさらに向上させるように努めていこうということで、戦後もそういうことから始められまして、私どもはそういう意味で、これは最低基準でございますから、この基準を踏まえて現実の努力を進めてまいりたい、こういう方針でございます。戦後の体制をこういうところから始めまして、その後の就園率の向上とかそういったことを年々乗り切りながら進めてきたというのが実情でございます。
○山原委員 結局明治三十二年以降今日に至るまで八十年間学級規模は変化がないということでございます。この理由は、これはいろいろ問題があるわけで、ここが一番大事なところだと思いますが、一九六一年の国際公教育会議は、教師一人当たりの子供の数は二十五名を超えないことが望ましいと勧告をしております。その間の諸外国における学級規模の動きというのは、先ほど鍛治議員の質問に対して答弁をされましたのでお聞きしませんけれども、この数字は別にしまして、ずいぶんそこに開きが出てきているのじゃないかと思いますが、その点は提案者はどういうふうにお考えになっていますか。
○中西(績)議員 先ほども質問に対しましてお答え申し上げましたように、一九六一年、いま指摘ございました公教育会議などにおきまして、そうしたものが出されております。ところが日本の場合には、いままで明治以来四十人ということが出されたままに放置されておるわけでありますけれども、ただ、文部省側から、それにプラスすること一、二名超過することを認める、そうしたものがありますために、むしろ四十名をはるかに超えるということが常識化されるような状況になっています。現在では園児が少なくなってきておりますから、そうした傾向もある程度落ちつきを見せるかもしれませんけれども、依然としてやはり大規模園などにおきましてはそうしたことがそのまま継続されておるということを考えますと、四十人以下と決めれば必ずそれを実施させるという行政指導なり、こうしたものがなければ、底抜けのものがあったのではいつまでたってもやはり実施されない現状にある。ここが私は一番の焦点ではないかと思っております。
○山原委員 わが国の教育に対する国民の要望というのは非常に高いわけでございまして、高等学校の進学率九四%、幼稚園の進園率といいますか、それは五歳児で九〇%に近い高いものとなっています。ところが、たとえば小中学校の学級編制についてもその基準の問題でずいぶんこの委員会でも論議をしてまいりました。かつては私ども一緒に共同提案をしまして、四十人学級及び教職員定数法の改正案を提出したこともあります。それからまた、この委員会に定数小委員会を設置をしまして、そしてそこで審議をした結果、四十人学級に政府として動き出す運びになったわけでありますが、それも十二年間という長いものになってしまいました。で、これが絶えず論議になり、最近では臨調との関係がありまして小中学校における四十人学級も現在いわばストップ状態にある、こういう状態でございます。 幼稚園の定数改善についても、さきに述べましたように長期にわたり放置されてきたということはもう否定できないものだと思うのです。その意味で日本の文部省、教育行政というものが、やはり教育基本法第十条を基礎として行われる必要があるということは繰り返し論議をする必要があると私は思うのです。「教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。」、ここのところを怠って、もっぱら教育行政が教育内容に介入していくという、それが戦後教育行政の中に見られた一つの特徴ではないか。教育条件の整備ということを怠り、そして教育への政治的な介入ということが先行をしていく、ここのところが変えられないと文部省の任務というものも非常に大きく変化してくるのじゃないかというふうに考えるわけです。この点について、これはもう基本的な問題ですが、もし御意見がありましたら提案者一言御意見を開陳していただきたいのです。
○中西(績)議員 山原委員いま御指摘ありましたように、今日までの幼児教育、そしてさらに義務教育に対する文部省のとってこられた措置に大変大きな問題がありますだけに、こうした法案を提案をしておるわけであります。そして私たちみずからそうした点について十分認識をすると同時に、立法府としての責任としてもこうしたものを提案をし、そして実現をさせるというこの気概がいまこそ必要ではないかと思います。 特に私は指摘をしたいと思いますのは、口を開けば必ずと言ってよいほど幼児教育の重要性を説きます。ところが逆に実際の施策は逃げの一語に尽きておりますし、私に言わせますならば本当にサボり続けてきたと言わざるを得ません。したがって、こうした点から考えますと、何としても本法案の皆さん方の御理解をいただいてぜひ成立をさせてまいりたい、こう考えておるところです。
○山原委員 私どもの党としましても、これは一九七四年の七月に「乳幼児のゆたかな発達のために」という緊急政策を発表したことがございますが、これは保母、教師の定数を大幅に増加させるというものを基準にいたしておりますし、それから保母、教師の待遇の改善と労働基準法の諸権利を完全実施させるというこういう立場で政策を出したことがございます。また、一九七七年の六月三十日に教育改革への提言ということで、その中で、幼稚園と保育園の一元化を目指す取り組みの強化ということを政策として発表したことがあるわけです。私どものこの提案ときょう提案されております提出者の法律案とは基本的に合致するものと思っておりまして、その点でこの法案を推進するということ、大変な努力も必要だろうと思いますけれども、国会の中また国会の外の関係者の皆さんとの運動が今後非常に必要になってくると思っています。 提案の理由に述べられております一つの問題は、幼保一元化の問題があると思います。保育所が厚生省所管、幼稚園が文部省所管、同じ幼児の保育教育施設でありながら、行政二元化のためにさまざまな格差が生じて、多様で変化に富む子供の活動にこたえられない。この現状を打破しなければならないということは、そういう重大な時期に現在立っているのではないかと思います。 この点で、幼稚園、保育園の呼び名の違いはありましても、子供の発達を一貫して保障することのできる制度と行政機構の改革、いわゆる幼保一元化を目指す取り組みが、学校教育との連携を合理的なものにしていくためにも重要な課題となってきたと思うわけでございます。きょうは時間の関係で、制度、機構についてはここで申し上げませんけれども、この定数法改正が幼保一元化への接近過程だと私は認識をするわけでございますが、そういう認識でよろしいでしょうか、見解を伺いたいのであります。
○中西(績)議員 先ほど指摘をされました一九七四年に出されました「乳幼児のゆたかな発達のために」、この中身を見てみましても、子供の数を三歳児十五名、四、五歳児二十名、こうしておりますけれども、社会党がいま提案しておりますこの内容は三歳児二十名、そして四、五歳児が二十五名であります。この関係からいたしますと、大体一致できる数になっておりますし、特にまた二学級に一名の加配をということになっておりますが、この点については本法案からいたしますと学級数に一・五倍となっておりますから、大体一致できる中身になっております。 そうした中で、特にいま最後に指摘のございました保育一元化の問題でありますけれども、保育一元化はわれわれの究極の目標ではありますけれども、これは単に幼保を一元化しさえすればよいというものではありません。三歳、四歳、五歳という同じ年齢の幼児が幼稚園、保育園と、違った施設に入ることによって保育内容や父母負担に大きな違いがあってはならないし、どちらも行き届いた保育で豊かな発達が保障され、また父母の労働を保障していくことが必要であると考えております。したがって、この法案は就園率の高まった現在におきまして、幼稚園を現在のような劣悪な状況に放置することなく、定数の面で一歩でも前進させることによってわれわれの目指す保育像に少しでも近づけようとするものでありますから、いま指摘がございましたとおりであると御理解をいただきたいと思います。
○山原委員 次に、この定数法改正は、いわばいまが非常によいチャンスでもあると思います。一方では財政困難の問題も論議されるわけですが、どうしてチャンスかといいますと、幼稚園該当年齢人口を見ますと、御承知のとおり五十二年度をピークとしまして減少傾向にあるわけです。昭和五十五年の国勢調査によりますと五歳児で約百九十三万二千人、それが五十七年で百七十六万九千人、六十年には百五十七万五千九百人、こういう数字が出るわけでございまして、約四十万人の減少という状況を迎えるわけでございますが、この時期をとらえて定数法を改善するということは急務ではないかというふうに思います。たとえば静岡県の例を見てみますと、国公立園児数が前年度よりも二千四十四名減少しておりまして、クラスの数も二十九クラス減、そのあおりを受けまして四十二名の教員が削減されるという事態が数字上出てくるわけです。そういう意味でも定数法の改善は急務になっているのではなかろうかと思いますが、この辺はどう把握されているでしょうか。
○中西(績)議員 お答えいたします。 いま御指摘のあったとおりでありまして、園数が全く不足しておった段階におきましては大変困難な問題でありましたけれども、こうして園児の数が少なくなってきたいまこそそのチャンスであろうと私は考えます。幼稚園教育振興計画の中で特に公立の新設実績が低く、定数改善によって入園の機会を失う幼児を極力出さないようにと考えて今日までむしろ時期を延ばした状況でありますから、いま教員のほかの職への配転は特に沖繩県の那覇市における例等がございますし、いま挙げられました静岡県の例などを考えてまいりますとこれは事実上の退職勧奨になるわけでありますから、そうした面も考慮した上で幼児教育の質的充実、向上とあわせての提案である、こう御理解をいただければと思います。
○山原委員 五十四年度の学校基本調査によりますと、公立幼稚園二万七百九十一クラスの中で二十六名から三十名のクラスが四千十九クラス、三十一名から三十五名のクラスが六千百四十八クラス、三十六名から四十名が六千二十六クラス、四十一名から四十五名が六百七十クラス、これは五十四年ですからその後若干の変化はあるかもしれませんが、こういう現状にあるわけです。 この法案では、三歳児学級は二十名、四、五歳児の場合は二十五名、それから小規模幼稚園の異年齢児で編制する学級は十名、また教職員の数は学級数の一・五倍、障害児受け入れについては必要な加算を行うというふうに提案理由に述べておられます。この場合一応計算をされておるのではないかと思いますが、増加人員、またその財源等につきまして御検討されておりましたならばお伺いをしておきたいのです。
○中西(績)議員 教員の増加人数でありますけれども、この法案は五カ年間の経過措置をとっておりますから、幼児が減少し続く六十二年までに三千三百五十六人ふやすことになると計算をしています。これは厚生省の資料をもとにいたしまして、園児の就園率及び公立、私立の園児比を現行のままとして園児数を単純計算し、それを一律に三歳児は二十、四、五歳児は二十五で割ったものであります。細かな数字が入手できませんので文部省との違いが出てくるかとも思いますけれども、大まかな目途を計算したものであると御理解いただきたいと思います。 また、障害児の加配につきましては、受け入れの推計が非常にむずかしいわけでありますから、これは計算に入れませんでした。 一般教員の増に対する問題につきましては、一人二百八十九万円をもとに計算をいたしますと九十六億九千万円、これは当面は地方交付税などで措置をしていけばいいわけでありますから、そうしたことを考えての計算をいたしておるところであります。
○山原委員 ついでに養護教諭、事務職員の必置の問題と給食実施園に対する学校栄養職員、学校給食調理員を置くという問題ですが、この方も一応計算をされているのでしょうか。
○中西(績)議員 指摘のございました養護教諭及び事務職員につきましては、現在の公立幼稚園数六千六十四園、このうち配置されておるのは三百七十七園のみでありますから、六十二年までに全国に必置するためにはどちらも五千六百八十七人を必要とすることになります。したがって、この五カ年で平均いたしますと、毎年千百三十七名ないし八名ふやしていく必要があろうかと思います。 なお、給食実施園の実態につきましての把握が非常に困難なために、給食調理員、栄養士、こうしたものにつきましては計算をいたしておりません。
○山原委員 年次計画でやられる案でございますから、ちょっと見ると数字が大きく見えますけれども、この年次計画の確立とそれを着実に実現をしていくということは非常に重要なことだと思っておるわけでございます。 それからもう一つ、この法案に障害児の受け入れについて必要な加算を行いますというのがございます。これもまた重要な指摘であると思うのでありまして、特別にこれを挿入されました御見解があると思うのですが、その点についてお答えいただきたいと思います。
○中西(績)議員 障害児の問題でありますけれども、御存じのように障害児の場合には、少なくともそうした障害児がいることが普通であるという認識を一般の皆さんに持っていただくと同時に、そこで育つ子供たちにもそのことを幼いときから理解をさせるということが大変重要でありますだけに、私たちはこの障害児については、特にこれから後保育関係の中では大変重要な課題だと考えております。したがって、この点からいたしますと、いままでは障害児は特別な学校にということで言われておりましたけれども、少なくともこうした点を一般的にどう皆さんが受けとめ、考えるかということの意味で、ぜひ今回の場合に特別措置をしていくということで、こうしたところには特別加配をする、こうした案を提案いたしたわけであります。
○山原委員 これと関連しまして、いわゆる就学前の教育について、これは主として文部省の方にお伺いをしたいと思うのですが、お伺いするというよりも、恐らく文部省にとりましても、頭には入れていろいろ検討されておると思いますけれども、しかし、新しい分野のような気もするわけです。たとえば、国際障害者年の十年の行動期間の中で、乳幼児の健診あるいは乳幼児の訓練、教育というような問題があるわけでございますが、こういうことについては、これはもう完全に厚生省任せとなるのでしょうか。文部省としては何かこの辺については見解を持っておられるかどうか、これは初中局長に最初にお伺いしたい。いかがでしょうか。
○三角政府委員 心身障宮児につきましては、その障害をなるべく早期に発見して、そうして早期に治療あるいは訓練等を行いますとともに、その障害に即した適切な教育を行う、こういうことが、その障害の状態を改善するあるいは本人として克服する、そうして望ましい成長発達を図っていく、そういう上で必要であり、かつ効果があることでございます。したがいまして、乳幼児期における健康診断というものが適切に実施されまして、障害の早期発見が行われることについては、私ども教育を預かる側としても大きな関心を持っているところでございます。
○山原委員 心身障害者対策基本法、これは一九七〇年五月の二十一日に出ております。その第四条に「国及び地方公共団体は、心身障害の発生を予防し、」ということを国及び地方公共団体の責務として位置づけをいたしております。それから母子保健法の第五条では、幼児健診を普及しなければならないということが出ておりまして、そのほか母子法、あるいは同和対策審議会その他答申、意見具申、数多く出ておりますが、いずれも心身障害の早期発見と健診、教育ということがこの中に出ております。 学術会議の場合は一九七七年に教育研究体制についてこの問題を取り上げておりますし、行政管理庁の勧告、きょう、先ほど出たように思いますが、この中では、早期発見、健診ということが実施されていない自治体が多い、それから受診率が低い、それから発見漏れがある、そして後の対策ができていないというふうな行政管理庁の勧告も出ております。 それから、これは総理府でありますが、国際障害者年対策の本部が出しました「国内長期行動計画の在り方」というのがございまして、これで行財政の措置を具体的にしなければならぬような計画が出ておるわけでございますが、この「国内長期行動計画の在り方」というのは、文部省としては御承知でございましょうか。
○三角政府委員 私どもも作成にそれなりの形で参画いたしておりますので、承知しております。
○山原委員 文部省も参画をされておるわけでございます。そして、入学までに、ほったらかしをするのではなくて、早期に発見をして、早期に治療をする、あるいは義務教育に準じた、入学までの国と自治体における教育ということ、これは非常に要求されておると思います。 私はいろいろお聞きしたのですが、たとえばイギリスの場合は、二歳より文部省が教育をするということになっておりますが、二歳以前にやりなさいという勧告が出ております。それからアメリカの場合には、三歳から二十一歳まで、これは義務教育ということで、州によりましてばらばらであるけれども、義務教育の対象としておると聞いております。西ドイツの場合は、乳幼児期における、発見してすぐ教育をせよという意見書も出ておるようであります。フランスあるいはイタリアの場合も、大体就学前乳幼児対策というのを強化すべきであるというふうな意見が全体として出ておるように思います。日本の場合は文部省も行動計画の策定に参加をされておるということでありますが、しかし、実態としてはかなり放置されておるのが実情じゃないかと思います。 それで私は、乳幼児健診のいわゆる滋賀県の大津方式というのがございまして、これがかなり大きな脚光を浴びておるということを聞きまして、それはどんなことをしておるのかお伺いしたわけであります。これは乳幼児健診と障害乳幼児対策の大津方式と呼んでおられるそうでありますが、大津の場合は人口が二十万で、年間の出生数が、三千二百人から三千三百人赤ちゃんが生まれるそうです。そして一〇〇%健診が過去八年間ないし十年間行われてきておるそうでございますが、ここの特徴は、保健所がそれぞれのところでやるのではなくて、自治体が単位となってやっておるところに特徴があるように思います。そして、三千二百人ないし三千三百人の毎年出生する赤ちゃんの健診を行いました場合に、大体二五%の人が育児上の相談事項を持っておるそうです。これは健診の場でお母さん方が相談をするわけですね。未熟児の問題とか育児上の問題とか、あるいはその他の問題があるわけです。一〇%の人は継続した相談をし、検診の必要な人だということが数字上出ております。そして障害児として治療あるいはリハビリの必要なものが年間二ないし三%あるそうです。大体年間七十名から八十名の障害児が発見をされるということですね。そして、それが大体十年間繰り返して一〇〇%の健診をやっておりますと、それが定着して、予算算定の基礎もできるそうであります。この健診に来ない人については訪問して一〇〇%にするということも聞いております。 こういうふうに経験を積んでまいりますと、ずいぶん成果が上がるものでございまして、それまではなかなか実態がつかめないとかあるいは対策の方法がないとか、あるいは母親がそこまで認識が高まっていないとか、あるいは住民全体にそこまでの意識が盛り上がっていないというようなことで、大体放置されているということだそうです。 ところが、この中で非常に大きな経験としては、健診を受けまして、発見をされて、治療が始まると同時に教育が行われる。教育の始まりというのを障害発見と同時にやる。これは国際障害者権利宣言にもあるところでございます。 それで、いま初中局長は、この問題につきまして関心を持っておられるというお話でございましたが、文部省としましても、教育の始まりというものについて一定の見識を示される必要があるのではないかというふうに思うのです。なぜそんなことを申し上げるかといいますと、この大津の場合には、こういうやり方でかなり大きな成果を上げておられるからであります。今年の四月、七十数名の障害児が発見された、そのうちに脳性麻痺の子供さんが十人おります。そのうちの七名は脳性麻痺単独の症状、三名は合併症、脳性麻痺とあるいは引きつけ、てんかんというようなものが複合して体の中にあるわけですが、この単独の脳性麻痺の子供は、七名とも全員正常に歩けるようになったそうです。とにかく障害を生まれてから六カ月の間に発見しまして、そして訓練を始める、そして親に対しても取り扱いその他、教育の問題として総合的に対応が検討されます。そうしますと、正しい歩行ができるようになるというのですね。歩くという問題は非常に重要な問題でして、ほうっておきますと、だんだん悪くなる、歩けなくなる、麻痺がひどくなる、こういう状態でございますが、歩けないということは、自分が不幸せであるばかりでなく、言葉も不自由になるということだそうでございまして、歩けることは大変なことだそうであります。 この点で、たとえば動けない人というのは、一生で大体五千万円のお金が要るそうでありますけれども、動けるということになりますと、本人も非常に負担が軽減されますし、家族、本人あるいは自治体におきましても負担が軽減される。そういう面から見ましても、これは、本人の幸せであるばかりでなく、大きな影響力を持っているわけです。それで、生まれてから最初の一、二年の間に現代の科学とヒューマニズムの光を当てるかどうかということに、特に脳性麻痺の問題の解決の初動があるということが言われております。訓練すれば脳性麻痺の姿は変わる、これは世界リハビリ協会の宣言の中にも出ておるわけでありますが、大津の場合は少なくともそれが立証された。早期発見をし、治療に取り組み、そして教育が同時に行われるということでございまして、その点では、この成果が立証された一つの例ではないかと思います。 この大津の先ほど申しました脳性麻痺だけの赤ちゃんの場合は、赤ん坊のときから訓練して、そして幼稚園あるいは保育園に入り、友だちの中で教育を受け、そして両親も教育を受けまして、そういう総合的な対応の仕方によりましてこの七名の子供は全員普通学級に入って、現在教育を受けておる。いわゆる治ったわけですね。あと三人のうち一人は、歩き方が悪いけれども歩ける。それから二人は合併症のためにまだ十分に歩けないのだそうですが、それはなぜかといいますと、その二人のうち一人は三歳から訓練を始めたそうです。一人は五歳から訓練が始まったそうです。そうしますと、その訓練に取りかかるのが遅いわけですね。それがこういうふうに、一方は完全に歩ける、正常に歩ける、一方は歩けないという差が生まれてくるそうでございまして、乳幼児の前半、すなわち四カ月、六カ月の健診と指導が非常に重要になってきたということが報告をされておるわけであります。 長い経験を申し上げて大変恐縮でありますが、とにかく現在三歳児あるいは一歳半で早期発見をするという認識が厚生省などにもあるわけでございますけれども、それでは遅い。一歳半とか三歳児の健診のときには、生まれたときの健診の積み重ねが確認をされるためのものでなければならぬ、こういう主張を、この経験を通じてされております。 それからもう一つは、一歳から二歳児のときにいわゆる子殺し、親子心中が一番多いのだそうです。これは日本福祉大学の大泉先生の統計によりますと、六〇年代の十年間で、障害に苦しみ、自殺をした人の五割がこの一歳から二歳児を抱えた親子の心中、子殺しということになってあらわれておるそうでございます。どうしてそんなことになるのですかと私が聞きましたら、赤ちゃんのときはお母さんは抱いて病院に行ったり、いろいろすることができますけれども、一、二歳になってくると次第に重くもなってまいります。つまり、この子供たちの将来に対して親は展望を持つことができないから、ほとんどの親が、川辺を歩いたり、鉄道のそばを歩いた経験を持つというのですね。話をし、相談をするところもないというようなことでそういう状態に置かれまして、心中をしたり、あるいは子供を殺したりするということが出てくる、こういう報告を伺いまして、私は一面的な見方ではありませんけれども、これは重要なことを示唆しておるのだということを痛切に感じたわけであります。 したがっていまこういう一〇〇%乳幼児、赤ちゃんを漏れなく健診して、発見して、訓練していくという、教育と治療とを同時に行っていくという体制は、全国そうたくさんはないと思います。少なくとも各県一つ当たり、大体適正規模の人口を持つ都市におきましてそういう典型的なそういう施設あるいは制度が自治体によって生まれましたら、ずいぶん子供たちは助かるばかりか、親も助かるのではなかろうかというふうなことを感じたわけでございますが、これについて、率直に言いまして、厚生省の方にも来ていただいたのですが、やはりここまで徹底した経験を積んでおりませんし、いろいろやっていますやっていますということをおっしゃるのですが、健診にしても、三歳あるいは一歳半というところで健診をする、それで事足りるでしょうというお考えがあるように聞いたわけです。 それから教育の面でも、やはり乳幼児からの教育ということに、いまは小中学校、義務教育その他、目はそっちへ向いて、とにかくこれは何とかしなければいかぬという、山積するような問題がありますから無理からぬことではありますけれども、しかしここへ少なくとも、厚生省もそうですが、きょうは厚生省呼んでおりません、文部省も目をつけていただいて、そして二十一世紀に向けて、日本の子供たちが本当に漏れなく大事にされていくという方向を持つべきではないかという意味で、あえてここで時間をとりまして長々と申し上げたわけでございますが、この点で、文部大臣に対しましても、私の言ったことは実際に聞き取りと、そして出されておる資料を見て申し上げておりますので、正確を欠く面があるかもしれませんけれども、ほぼ間違いはなかろうと思います。一つの自治体においてこれだけの努力がなされておるということを考えますと、これは文部省としても、きょうは公立幼稚園の改善の問題で議員立法で提案をされておる段階でございますから、ここのところへも文部省としては関心も持ち、また検討を進めていくというお考えをぜひ持っていただきたいと思うのでありますが、その点について文部大臣にお伺いしたいと思うのです。 その前に、きょうは中西さんがずっと御答弁されておりますので、社会党の文教部会長であります湯山先生もおいでになりますが、私のこの話をお聞きになりまして何か感ずることがありましたら先にちょっと御見解を伺って、それから文部大臣の見解を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
○湯山議員 山原先生から非常に責重な内容を持った御質問をいただきまして、私も全く同感でございます。お答えになるかならないかわかりませんけれども、私の一つの経験を申し上げてお答えにかえたいと思います。 それは、歩き始めるころの子供で、足の立つのが遅いというのがよくあります。そういう中に、特に女児に多いのですけれども、股関節の脱臼というのがありまして、これは歩かないものですから、はいはいの仕方が少しおかしいなというぐらいで、親も余り気がつかない。ただ、おしめをかえて足を開かしたり何かするときに、男児よりも女児に多いそうです。これなんかはお医者さんに相談すると、はっている様子を見れば、この子は股関節脱臼だというのはすぐわかる。これは早く治療すれば簡単にできるのですけれども、結局、この子は足の立つのが遅い遅いでほうっておくためにすべてがおくれてくる、こういうことを私は身近なところで経験を持っておりまして、いまお話ししていただいたこと、全くそうだと思います。なおまた、言語のおくれている子供の中には、必ずしも発声機能ではなくて耳に故障のある子供——これは言語の習得に非常に障害がありまして、この子供は言葉が遅いというのは、調べてみると、耳に故障があって、しかもそれは治せないものではないというようなこともございます。なおいろいろあると思いますけれども、そういったようなことを私は身近で経験したのもありますし、聞かされたのもありまして、これは単に身体的なものだけではなくて、知能あるいは精神的なもの、そういうものにもそういう部分があるのじゃないかということも感じまして、いまお話しくださいましたこと全く同感でございまして、そこまでやはりいかなければならないという感を強くいたしております。
○三角政府委員 御引用になりました「国内長期行動計画の在り方」のことでございますが、ちょっと付言いたしますと、そこの早期発見・早期療育のくだりは厚生省が主として参画したところでございまして、私ども文部省は特殊教育にかかわる部分について参画をしております。ただし、そういう形でございますから、行動計画全体についても私どもは、もちろん承知をしておる、そういう意味で申し上げたのでございます。 それで、先ほど来、広い意味の障害児に対する訓練のことを申されたわけでございますが、私ども文部省といたしましては、心身に障害のある子供に対する就学前教育のあり方につきましては、ただいま専門家より成りますところの調査研究協力者会議というのも設けまして御検討を進めていただいておりまして、子供の障害の種類とか程度、状況によりまして、特殊教育諸学校の幼稚部でどのように受けとめるか、あるいは通常の幼稚園でどのように受けとめられるか、あるいは社会福祉施設等の各種の施設でこれに対してどのように措置なり手当てなりをしていくか、こういうことについて検討を進めていただく、こういうことにしておるわけでございます。 そうして御紹介のありましたいわゆる大津方式の問題でございますが、これは本日厚生省見えておりませんのですが、御紹介があったとおりのことがあったのだろうと思いますけれども、私ども厚生省から伝え聞いておりますところでは、なお全体としてはいろいろな問題点がありますので、厚生省としてもこの問題点の方については非常に慎重な配慮が必要であるというふうに考えておるということを聞いておりますが、厚生省見えておりませんし、これは健康診査の問題でございますので、私どもの方から特に責任のあるコメントは差し控えたい、こういうふうに思うのでございます。
○小川国務大臣 乳幼児期にある子供の教育ということは、人格形成の上で非常に大きな影響を持つということが指摘されております。したがいまして、心身に障害を持つ乳幼児に対しては、診断によって早期にこれを発見し、治療をする。文部省といたしましては、完全に治療ができれば幸せでございますが、しからざる者に対しましては、障害の程度に対応して適切な家庭教育をしなければならない、こう考えておる次第でございます。 いま非常に貴重な御意見を承りまして、啓発されるところが多大でございましたことを感謝申し上げておるわけでございますが、ただいま初中局長から御答弁申し上げましたとおり、この問題はなお各方面の御意見も承り、なかんずく厚生省とも十分打ち合わせて対処すべき問題だと存じますので、御意見は貴重な参考として念頭に置きまして検討を進めてまいりたいと思います。
○山原委員 終わります。
○青木委員長 佐藤誼君。
○佐藤(誼)委員 最初に文部大臣にお伺いしますけれども、教育の重要性は言うまでもないのですが、その中で特に幼児教育の重要性、これはもちろん申すまでもないわけです。特に人間の成長過程における性格の形成、そしてまた能力の早期開発という点から昨今特に見直され、その重要性が指摘されていると思うのです。そこで、文部大臣の幼児教育に対する基本的な考え方、抱負、これを率直にお伺いをしたいと思うのです。
○小川国務大臣 ただいま申し上げましたとおり、乳幼児期の教育、非常に大事な文教政策上の課題と心得ておるわけでございます。したがいまして、家庭におけるしつけにつきましては、都道府県で実施いたしておりまする家庭教育講座あるいはまた家庭教育相談事業に対して助成をいたして、この家庭教育の徹底を期しておるわけでございます。また、幼稚園に対しましては、希望する者のことごとくが入園できますように、御高承のように入園奨励金等も支出をいたして、できる限りの努力をしておるという現状でございます。
○佐藤(誼)委員 そうすると、どの教育も重要ですが、幼児教育の重要性を認識し、それを具体的に教育行財政の中に生かしていく、こういうことですね。どうですか。
○小川国務大臣 仰せのとおりでございます。
○佐藤(誼)委員 きょう自治省の方、おいでですか。——それでは、昭和五十七年度の幼稚園関係の予算について質問したいと思うのですが、最後に持っていきますと自治省の方が最後まで待たなければならぬのではないかと配慮されますので、最初にお尋ねしたいと思います。これは文部省と自治省、両方に聞いていきたいと思いますから、その点留意していただきたいと思います。 最初に、文部省に聞きますが、従来から計上されていた園具等設備整備費補助金、昭和五十六年度は二億六百万円と承っておりますが、これが今回廃止されている、その廃止された理由を伺いたいと思います。
○三角政府委員 御指摘の補助金は昭和三十九年度から開始されたものでございますが、幼稚園教育振興計画の終了する昭和五十六年度をもって廃止される、こういうことになったわけでございまして、これはそういう振興計画との関連がございます。 それからもう一つは、そういう事柄とは別でございますけれども、これは一学級当たり平均約三十万円ということでずっと続けましたが、別の観点からは、一つの零細補助金ということもございまして廃止した、こういうことになっております。
○佐藤(誼)委員 予算全体から見ればそれは零細に当たるかもしらぬけれども、補助される方から言えばこれは大変貴重な財源ですね。先ほどから文部大臣が、きわめて幼児教育を重視し、行財政の中に生かしていくのだという積極的な抱負を述べられているのですから、これは零細補助金などという名前で打ち切るのははなはだ遺憾なことだと思うのですが、文部大臣どうですか。
○小川国務大臣 乳幼児の教育に対処いたしてまいりまする心構えを先ほど申し上げたのでございます。財政の現状は御高承のとおりでございまして、思うに任せない点が多々ありますことを残念に思っておるわけでございます。
○佐藤(誼)委員 いまの扱い並びに答弁にきわめて不満でありまして、私は、当然この問題については今後検討すべきだということを考えますので、その要望を述べて、次に質問を進めます。 同じく文部省に聞きますが、保育所と幼稚園に関する国の予算額を比べた場合に、私の方の調査によりますと、在籍幼児一人当たりに換算すると保育所は幼稚園の約八・四倍、昭和五十六年度保育所十六万円、幼稚園一万九千円、こういう格差がついていると見られるわけです。このことについて、同じ幼児を扱うところの、保育、教育ともに行うわけなんですけれども、保育所であるか幼稚園であるかによってこのように非常に違うということは問題ではないかと思うのです。幼稚園を所管する文部省としてはこれに対してどのような見解を持っていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
○三角政府委員 幼稚園と保育所に対する国の補助金の総額を幼児一人当たりで割るというような算術をやってみますと、ただいまのお話のようなことに近い数字になるだろうと思います。しかしながら、私から申すまでもなく、幼稚園というものと保育所というものは、それぞれ機能でございますとか、あるいは教育ないしは保育の状況というものを異にしますので、そういうことからまた、この両方の施設に対する公的補助の仕組みも違っておりますので、金額だけでいろいろな立論をすることはできないのではないか、こういうふうにも思うのでございます。 ただ、私ども文部省といたしましては、先ほど大臣も申されましたが、希望するすべての幼児が幼稚園教育を受けられるように、これまでも就園奨励費でございますとかあるいは私立幼稚園に対する経常費助成でございますとか、そういうような必要な財政措置を講じてきておりまして、とりわけ今後とも、私立幼稚園に通園させる園児の保護者に対する負担の軽減ということは、昨今は財政状況が非常に厳しい折からでございますけれども、これまでもやってまいりましたし、今後もそれを一つの目標として努力をしていかなければいけない、こう思っております。
○佐藤(誼)委員 きわめて答弁があいまいでよくわからぬのですが、具体的な例で言いますと、自分の家の子供と隣の家の同じ年齢の子供が幼稚園に行くか、保育所に行くか、若干の差はあるのは、これは物事わかるのですけれども、比較をした場合に、十六万円と一万九千円とは八・四倍の差ですよ。同じ幼児教育を、あるいは幼児の保育をつかさどるという点から言えば、余りにも差があり過ぎるのじゃないか、これは保育所の十六万円はしかるべき、幼稚園の一万九千円というのは低過ぎると私は思うのですが、重ねてどうですか。
○三角政府委員 確かに幼稚園、保育所を設置する場合の公的補助の状況が、非常に保育所が普及している地域がございますけれども、かつての行政管理庁の勧告などでも、その辺のところがあるので、私立幼稚園があればとにかく、そうでない場合には財政力の弱い市町村の場合にはどちらかというと保育所をつくるという方に傾いたのじゃないか、こういう御指摘もあったわけでございますので、佐藤委員がいまおっしゃっておりますような状況について私も理解しないわけではございませんが、お隣同士で一方が保育所、一方が幼稚園という話でございますけれども、保育所というのは保育に欠ける幼児を預かるところでございまして、家庭生活の補完的な機能をやるという施設でございまして、通常は八時間ないしそれ以上預かる、幼稚園の方は家庭と両々相まって幼児の教育をやるというところでございますから、幼稚園の教育というのは通常四時間。保育所の方は食事等も給与をするとかいろいろあるわけでございます。それから保育所の場合には、入所のための措置基準等がございまして、その措置基準によって、どうしても家庭の経済状況等からして保護者が外へ働きに出なければならない、その場合に子供を保育所でお預かりする、こういうことでございまして、そのような事情でなくて預かってもらう場合は、何という言葉か、私いまここで確実に申せませんけれども、一種の契約ベースといいますか、契約で保育をする、こういうことになりますので、その公的な経費の出方というものが必ずしもすべての保育する幼児に対して一律ではない、こういう仕組みでございます。入所措置基準の運用を適正にするかどうかというような問題はあるようでございますけれども、そういった事情がありますので、これは単純に隣同士で幾ら幾らという比較は、何と申しますか、事柄を正確に把握する場合には問題があるのではないか、こういうふうに思うのでございます。
○佐藤(誼)委員 確かに、保育所は保育に欠ける子供を扱う、幼稚園は教育を施すというその設置の趣旨またそのねらいが違うことは、また所管も違うことは十分承知なわけです。しかし、同じ幼児の保育、教育ということを考えたときに、若干の差があるのはそれは設置の意義なりねらいが違いますからわかるのですけれども、八・四倍も差があるというのは、あえてもう一度局長に聞きますが、十六万、一万九千円、八・四倍という差は当を得ているということですか。
○三角政府委員 これまでの両制度の沿革でございますとか、それから両制度が、先ほど来もちょっと御説明申し上げましたように、その機能なりそれから公費の出し方の仕組みなりが異なっておりますので、単純に何倍ということで申し上げにくいのでございます。保育時間とかそれから保育の際の給食でございますとかおやつでございますとか、そういったようなことを全部勘案しまして、もし同じ所得水準の家庭の子供が通った場合に、一体幼稚園が一とすれば保育所はたとえば三くらいでいいのか悪いのかというような比較でございますと、それは理論的にはできるかと思いますけれども、ちょっといま佐藤先生がお述べになっているようなものについて論評はいたしにくいという感じがいたします。 ただ、私どもはさきに申し上げましたように、やはり若い保護者が大体は幼稚園に子供を通わせるわけでございますので、特に二つ違いぐらいの子でございますと、一遍に二人の子供を幼稚園に通わせる、そして当該の地区には私立幼稚園しかないといったような場合には、これはかなり若い保護者にとっては負担が重くなるということになりましょうから、それで私どもとしては、年々幼稚園就園奨励費というものを拡充を続けてきてまいったわけでございます。今後とも、この私立幼稚園に対する保護者の負担軽減という面については配慮をしていかなければならない、こういうふうに思っているわけでございます。
○佐藤(誼)委員 答弁でいろいろなことをしゃべるのですけれども、質問は端的に聞いているのですから、当を得ていると思うかどうかというこのことを基準にして質問しているわけですから、端的に答えてくださいよ。 それで、今後私立幼稚園に対して十分補助を増額することを検討をしたいということですが、次に進みます。 それでは、自治省の方に質問いたします。 昭和五十七年度の公立幼稚園に対し地方交付税上どのような財源措置をされているか、これが一つ。それから次に、現行の地方交付税制度では、幼稚園教育費は市町村分の「その他の教育費」に組み込まれていますね、これを独立の経費項目とすべきではないかと私は考えるのだけれども、これはなぜそうなっているのか、また、それを独立の経費項目にした場合にどのような不都合があるのか、その点。三番目、市町村立幼稚園の教職員の給与は、その多くが地方交付税の積算額を下回っているというのが実態なんです、調査してみると。かなり下回っているこの状況を自治省としてはどう見ているのか、何か考えがあるのか。以上三点の見解を聞きたい。
○紀内説明員 まず、公立幼稚園に対します昭和五十七年度の地方交付税措置でございますけれども、公立幼稚園に対する交付税上の財源措置につきましては、市町村分の「その他の教育費」に細目を設けまして単位費用を積算しているところでございます。その積算に当たりましては、標準団体当たりにしまして幼稚園の園数にして五園、収容定数を八百人を想定いたしまして、園児の教育に必要な教職員の給与費のほか、一般行政経費について算入しております。標準的な費用の積算は以上のように行っておりますけれども、現実には公立幼稚園の設置の有無であるとか、あるいは園児数の多寡によりましてその財政需要が異なってまいりますので、園児数を指標とした密度補正を行いまして実態に即した財源措置を行うこととしております。 次に、幼稚園関係経費を独立の費目で算定したらどうかという御質問でございますけれども、現在教育関係経費で独立の費目を設けているのは、小学校、中学校及び高等学校に係る経費でございます。小学校及び高等学校、中学校もでございますけれども、これは地方団体の行政の中で占めるウエートがまず高いということ、次に、小中学校につきましては、市町村に設置が義務づけられていること、また、教職員定数なり学級編制なりにつきましての設置の基準が法律で定められていること、高校につきましては、これは義務教育ではございませんが、原則として都道府県が設置するものとされていること、また、小中学校と同じように諸基準が法定されていることなどから、独立の費目として算定しております。 幼稚園につきましては、市町村にとってその設置が任意とされていること、また、公立幼稚園の設置状況が地方団体によってまちまちでございまして、未設置市町村が全市町村の五割を超える状況にあるということなどから、独立の費目を設けましてその財政需要を算定することにつきましては慎重に取り扱うべきものと考えておりまして、先ほどのような扱いをとっているところでございます。なお、的確な財政需要の算入という点につきましては、先ほど申し上げましたように、園児数の多寡ということによる密度補正によって対応しているところでございます。 三つ目の御質問でございますけれども、公立幼稚園の教員の交付税算定上の給与単価につきましては、指定統計でございますところの地方公務員給与実態調査、この昭和五十三年版を用いまして、これを基礎にして、その後の年度における給与改定でありますとか定期昇給であるとか新陳代謝等を考慮して積算しているところでございまして、実態を十分反映していると考えております。
○佐藤(誼)委員 二番目の質問の答弁に関連してですけれども、大体「その他の教育費」という中にくくるということ自体が私はやっぱり幼稚園教育あるいは幼児教育の軽視ではないかというふうに見ざるを得ないのですよ。さっき文部大臣は、幼児教育に対する重要性を力説された所信を表明されましたけれども、あなたの方は自治省の関係ですからね。だけれども、「その他の教育費」ということじゃなくて、世界的にいま幼児教育の重要性が叫ばれているときですから、少なくともこの場合、幼稚園教育費というふうに独立をしてやっぱりはっきりすべきだというふうに私は考えます。特に、慎重に扱う、こういうニュアンスのことを言われましたけれども、私は独立して不都合な点はないと思うのですよ。むしろやっぱり積極的に幼稚園教育費として独立させるのが現在の時勢に合った扱いだと思うし、それが一つの形としても、幼児教育の重要性を力説した姿として国民の前にも明らかになるわけですから、ぜひそのことをそういうふうに今後検討していただきたいと思いますが、その点どうですか。
○紀内説明員 私ども、交付税を算定するということは、地方公共団体の財政需要に対応する意味でございまして、たまたま幼稚園に関しまして「その他の教育費」に算入しているということは、幼児教育が重要でないということを意味しているわけではございません。たまたま、先ほど申し上げましたように小、中関係あるいは高校関係に比べますと地方公共団体の中での財政的なウエートが低いということと、もう一つは交付税は普遍的な財政需要について算入することにしておりまして、公立の幼稚園につきましては未設置のところが五割を超えておる状況でございます。したがいまして、私どもといたしましては、独立の算定項目を多くつくりますとややもすれば交付税が非常に難解であるというふうな批判も受けておるわけでございますので、なおその点については慎重に考えているところでございます。もちろんその財政需要については適確に反映するように努めているところでございます。
○佐藤(誼)委員 これは文部省と自治省の方に要望の形になります。 慎重ということは言われておりますけれども、私は、幼稚園の教育費として独立した費目、項目にするということでとりたてて不都合であるとか、すべきでないという否定的なことは出てこないような気がするので、この点については文部省も自治省も十分幼児教育の重要性、今後の方向を照らしながら検討してほしいということを要望しておきたいと思います。 それから、先ほどちょっと聞き漏らしたのですが、市町村立幼稚園の教職員の給与の最後の方の語尾はどうなっているのですか。もう一度説明してください。
○紀内説明員 私どもが交付税の算定上用いております給与単価というのは、五十三年度の地方公務員の給与実態調査を基礎としていて、その後、年度間の補正を行っておりますので、実態を反映していると思っております。もちろん個別具体の公立の幼稚園につきまして、標準的なものとの乖離は見られるかと思います。ただ、交付税というものは標準的な姿における財源の措置をするということにございますので、その個別の幼稚園の給与の水準が妥当であるかどうかということは私どもの論及する限りではないと考えております。
○佐藤(誼)委員 それじゃ時間の関係もありますから、以上で予算関係の質問は終わります。自治省の方、どうもありがとうございました。 それでは先へ進みますが、先ほどから午前、午後にわたっての質問、答弁をずっと聞いておりまして、幼稚園の一学級当たりの定数、幼稚園の規模、それに伴うところの教職員の定数配置は、幼児教育を進めていく上での教育効果、そこに働く教職員の労働条件に非常に密接な関連を持っていると思います。したがって、先ほどからるるその点についての質問があったと思いますが、私もそういう観点から、最初に幼稚園設置基準を中心として、いまの定数やら一学級当たりの幼児の数であるとかあるいは園児の規模、教職員定数、これらについて質問していきたいというふうに思います。 そこでまず、幼稚園設置基準が昭和三十一年文部省令で制定されたわけです。それが改定されてきた経過を一応聞いておるのですが、どの部分がどのように改定されたのか、端的にその点を示していただきたいと思います。重要な部分だけで結構でございます。
○三角政府委員 幼稚園設置基準は昭和三十一年に制定されまして、それ以降三十七年、四十一年、四十六年に各改正が行われたのでございます。三十七年の改正におきましては、まず第一点は、教諭を確保することが困難な実情にあったことから、学級数の三分の一を超えて専任の助教諭等を置くことができる期間、これを五年間延長すること、第二点は、幼稚園設置基準施行の際すでに存した幼稚園については、その園舎、運動場の面積はなお五年間従前の例、これは昭和二十七年文部次官通達、幼稚園基準でございますが、これによることができること、それから第三点は、幼稚園設置基準施行の際他の学校等の施設、設備を保育室として使用している幼稚園については、なお五年間それを使用することができることとし、ただし、設備のうち他の学校等の施設の机または腰かけを使用していた幼稚園についてはその使用を認めないことがおのおの規定されたのであります。 次に、四十一年の改正におきましては、まず第一点は、学級数の三分の一を超えて専任の助教諭等を置くことができる期間をさらに約四年間延長すること、第二点は、幼稚園設置基準施行の際すでに存した幼稚園については、幼稚園教育が普及の段階にあり、当面その量的拡充が必要であることから、その園舎、運動場の面積は当分の間従前の例によることができること、それから第三点は、幼稚園設置基準施行の際他の学校等の施設、設備を保育室として使用している幼稚園については、これはその使用を認めないことがおのおの規定されました。 次に、四十六年の改正におきましては、学級数の三分の一を超えて専任の助教諭等を置くことができる期間がなお三年、これは四十九年三月まででございますが延長されましたが、その後は教諭の人数等の増加もございまして、現行どおり三分の一以内というふうになっております。 以上でございます。
○佐藤(誼)委員 そうすると、昭和三十一年に省令で定めた設置基準、これがいまの説明によりますと、常識的に改善された部分というのは見当たらない。特に第三条の「一学級四十人以下」、これも変わっていない。第五条の「幼稚園には、園長のほか、各学級ごとに少なくとも専任の教諭一人を置かなければならない。」以下二項、三項についても具体的な改正は行われていない。つまり簡単に言えば、この設置基準の最も重要な一学級当たりの定数やあるいは教職員の配置については従来のまま推移をしてきているというふうに見られるわけですが、その点どうですか。
○三角政府委員 現行の幼稚園設置基準は、昭和三十一年に幼稚園の設置計画及び設置後の運営、これらについて遵守すべき最低基準ということで定めておりますので、最低基準でございますので、その後変えておらないのでございます。
○佐藤(誼)委員 先ほども質問がありましたのですが、明治三十二年六月二十八日、幼稚園保育及設備規程という中に「保姆一人ノ保育スル幼児ノ数ハ四十人以内トス」そして「一幼稚園ノ幼児数ハ百人以内トス特別ノ事情アルトキハ百五十人マテ増加スルコトヲ得」とありますが、このことは間違いありませんね。
○三角政府委員 御指摘の規程の第三条、第四条にただいまおっしゃいましたように書かれております。
○佐藤(誼)委員 そうしますと、質問のまず第一点は、第四条に簡単に言えば園児の、幼稚園の規模の定めがあるわけですけれども、昭和三十一年の幼稚園設置基準にはその定めがない。それはどういう経過で幼稚園の規模が昭和三十一年の設置基準からは外れているのか、また外れたのか、その辺についての御説明をいただきたい。
○三角政府委員 御指摘の明治三十二年の幼稚園保育及設備規程、文部省令でございますが、これにおいて「一幼稚園ノ幼児数ハ百人以内トス特別ノ事情アルトキハ百五十人マテ増加スルコトヲ得」と規定されておりますが、これは全国の幼稚園のいわばモデルのようにされておりました当時の東京女子師範学校附属幼稚園規則において定員が約百五十人とされていたのにならったものと考えられます。その後、幼稚園の規模に関する規定は、明治三十三年の小学校令施行規則で通常百人以下、特別の事情のある場合百五十人まで、明治四十四年の小学校令施行規則の一部改正で通常約百二十人以下、特別の事情のある場合約二百人、それから大正十五年の幼稚園令施行規則では通常百二十人以下、特別の事情のある場合約二百人までというような変遷をたどりまして、昭和二十二年学校教育法が制定されるまでわが国の幼稚園の大きさの標準を決める役割りを果たしてきたわけでございます。学校教育法におきましては幼稚園の規模に関する規定は廃されたのでございますが、その理由は、当時何よりも幼稚園教育の普及を図るということに重点が置かれましたために、幼稚園の規模というものについて制度的に制限を設けるということを考慮しないというふうにしたのではないかというふうに考えております。
○佐藤(誼)委員 そうすると、いまの答弁でも明らかなように、明治三十二年六月二十八日の幼稚園保育及設備規程が制定されて以来四十人以内あるいは四十人以下という、言葉は違うけれども、つまり四十人というこの数字は明治三十二年以来一貫して変わっていないということなんです。しかも、第三条では「原則とする。」、こういうふうに書いてありますから、先ほど質問の中で指摘されたように四十人以上もあるわけです。しかも、データによれば四十人前後のところに集中している。これは最低だと言うけれども、事実が物語っている。このことが一つ。それからもう一つは、明治三十二年のときには園児の規模を定めているわけです。ところが、設置基準では、先ほど答弁があったわけですけれども、園児の規模を定めていないのですから、極端に言えば五百人もあれば七百人もあればマンモス的な幼稚園がどんどん出てきている、こういう状況だと思うのです。今日、幼稚園の、とりわけ私立幼稚園の経営の問題がいろいろ取りざたされておりますし、また先ほどから指摘されているようないろいろな幼稚園同士の過当競争、そしてまた幼稚園そのものが経営不能に陥って閉鎖をする、こういう問題が出てきておりますが、これは単に出生率の低下とか世相の違いによって出てきたものじゃなくて、いまの幼稚園の設置基準の流れをずっと見ていると、四十人以内、四十人以下という言葉の違いはあっても、そういうのがずっと多人数学級というものをつくり上げてきた一つの根拠になっている。 これは先ほど言ったように、幼児教育を十全にするということやそこに働く教職員の労働条件に非常に大きな影響も及ぼすし、またこれがマンモス的なそういう幼稚園をつくり、過当競争の原因になっていると私は思う。同時にまた、先ほど言った幼稚園規模というものに特別な定めがないために多人数学級という四十人以上の規模のものが、しかも五百人だ、千人だとなってくれば教育上ゆゆしい問題があると同時に、幼児数が一定であり、あるいはもしそれが少なくなっていけば、当然過当競争の結果少人数規模の幼稚園というのはどんどん経営が成り立たないということになってしまう。こういうような今日抱えている私立幼稚園を中心とする問題は、明治三十二年以降事実上変わっていない。このことに大きな問題点がひそんでいるのじゃないかというふうに私は思うわけです。これが第一点。 次に、明治三十二年の四十人以内というのは、たしか小学校が七十人以下、特別の場合には八十人まで、これが定められたころに四十人という数字が出てきたわけだ。ところが、今日御承知のとおり小学校は四十人学級ということが出てき、しかも諸外国では二十五人、三十人というのはもう常識になっている。こういう点から言えば、最低基準だ、以下だと言いながらもこの四十人という数字がなぜ変わっていないのか。私はこれは当然変えるべきだと思う、最低基準とは言いながらも。私はそう思のですが、きわめて根本に触れる問題でありますので、これは文部大臣どうですか。
○三角政府委員 明治三十二年から戦前までの決め方は、先ほど佐藤委員も申されたのですが、これは正確に申し上げますと「保姆一人ノ保育スル幼児ノ数ハ四十人以内」、こういうことでございまして、一学級当たりの園児数という形で基準を定めたのは昭和三十一年の現在の設置基準からでございます。そして、これは先ほど申し上げましたように一つの最低の基準として定めたわけで、いろいろな事情で私立の場合に該当年齢園児数が非常に多かった時期には入園希望者が多くて、定員を上回って就園を認めて、それにしかるべき保母の増員等の手当てはしたわけでございますが、そういった時代もあったわけでございますけれども、これは基準の性質上は最低基準でございます。そうして基準自体の中にも、この基準に基づいて設置者はさらに幼稚園の水準の向上を図ること等に努めなければならない、こういうぐあいに決めておりまして、大学設置基準もこれと似た性格を持ちますけれども、一つの望ましい基準ということではなくて最低遵守すべき基準、こういうことで規定しておるのでございます。
○佐藤(誼)委員 答弁が何か回りくどくいろいろなことを言っているので、もっと端的に答えてもらいたいのですよ、時間がないですからね。大体いまの答弁の中で明治三十二年は「保姆一人ノ保育スル幼児ノ数ハ」、こういうように書いてあるが昭和三十一年の基準では「一学級」と書いてある、こういう言い回しをしておりますが、結局は事実は同じことなんですよ、考えてみれば。だって、現在の設置基準が第五条にあるように、「学級ごとに少なくとも専任の教諭一人」、こういうようになっていますから。しかも事実は学級数だけしか教員がいないのです。ですから、この保母一人四十人ということも一学級四十人も事実は同じことだ。そういう意味で事実関係は何にも変わってないということなんですよ。
○三角政府委員 昭和五十六年五月一日現在で見ますと、これは平均の数値のことでございますけれども幼稚園の一学級当たりの子供の数は三十・五人、こういうことになっております。それから幼稚園の教員一人当たりの子供の数は同じく五十六年五月一日で二二・九人、こういう数値になっておるのでございます。
○佐藤(誼)委員 それは平均ということのあらわし方ですから、ならせばそういうことは出てくるかもしらぬけれども、平均どおり事実が全く同じようにならされているわけじゃないのです。多いところがあれば少ないところもあるわけです。 そこで、次に進みますが、いま私が指摘したように、設置基準も問題であるが、それに基づく実態もかなり問題があるわけであります。先ほども指摘がありましたが、一九七五年、行政管理庁の「幼児の保育及び教育に関する行政監査結果に基づく勧告」というのがありますが、その勧告に基づいて調べてみると、超過幼稚園つまり無届けによる学級増、これが四一%、施設設備の不備、これが六九・一%、定員超過、四十人学級以上というのが三八%、私立幼稚園で認可定数を上回っているもの五三・四%、教員配置が充足されていない、違反だというものが約七%、こういうような数字が出ています。これ自体設置基準も大変問題があるが、実態がこのような違反だらけなんです、これは行政管理庁が勧告しているわけですから。こういうことに対して文部省はどのような改善の施策を今日までやってきたのか。また皆さんの改善の施策の結果、このような数字がどのように変わっていったのか、どうですか。
○三角政府委員 行政管理庁の勧告の要点は、まず第一点は幼稚園、保育所を通ずる基本的問題として、両施設の整備計画が調整されていない、それから両施設が地域的に偏在している、両省で協議の場を設け審議に当たらせる必要がある、こういうことがまずございます。 それから次に、幼稚園の運営に関する問題として、ただいま御指摘のありましたような園児定員、施設設備、教員の配置等について設置基準が遵守されていない例がある、それから防災設備等について現行基準上の問題があるというようなことであったわけでございます。時間の関係がございましょうから詳細の御紹介は省略いたしたいと存じます。 これに対しまして、私どもとしては、この勧告の趣旨に沿いまして、昭和五十一年二月に都道府県に対しまして、施設設備や教員の配置等について幼稚園設置基準に示す水準を維持すること、及びさらにその向上に努めることを通知いたしまして、以後引き続きその徹底を図るように指導しているところでございます。 公立幼稚園並びに私立幼稚園はそれぞれ教育委員会あるいは都道府県知事の所管でございまして、両方で全国に約一万五千園ございます。そういうことから都道府県知事並びに教育委員会が、これらの幼稚園に対してこの通達の趣旨に沿いまして指導を重ねていきますように、毎年、幼稚園の指導事務担当者会議その他の各都道府県の責任者の集まります会議の場を通じまして、この趣旨で指導を重ねてまいっておる次第でございます。 それから、幼稚園と保育所の関係につきましては、このために必要な懇談会を設けて、昨年六月、御報告をいただいておる次第でございます。
○佐藤(誼)委員 この勧告の中で、実態に対する指摘、それに基づく勧告と同時に、もう一つはその設置基準が問題じゃないかという意味の勧告も御承知のとおりあるわけです。いろいろありますが、その中で私が重視をしたいのは、「専任の園長が配置されていない幼稚園については学級数を超えて教諭等を配置することを基準化すること。」、こういう勧告があります。基準そのものに対して、簡単に言えば直せということです。これは簡単に言えば、学級数と教諭の数が調査してみると事実上全く同じだ、これは問題ではないか、しかもそれは尋ねていけば設置基準に問題があるのじゃないか、こういう意味で、その設置基準に、幼稚園の園長が設置されることを原則とするとあって、しかもその園長が非常勤の場合には他の者を一名増加する、これは専任者でなければならないという規定もない。したがって、その辺のところを「基準化すること。」というふうに明確に勧告されているわけです。 ところが、それに対して文部省は五十一年の二月十日、当時の文部大臣名で回答という形で行政管理庁に出しております。その回答として出したところを見ますと、「設置基準では、園長が専任でない幼稚園における教諭等の数は学級数に一人を加えることが原則となっているにもかかわらず学級数と同数の教諭等しか置かれていない幼稚園があることから、設置基準を改善する必要がある旨指摘されているが、このことについては、現行基準の趣旨を更に徹底させるよう指導することとしたい。」、こういう回答をしているわけですね。これじゃ皆さん、せっかく行政管理庁が勧告したって、つまり基準を改善しなさい、そうでなければ学級数イコール教職員定数というこの実態が解消されない、こういうような勧告に対して、現行の趣旨を踏まえて徹底させるということじゃ、さっぱり改善しないということですよ、このことは。こういう回答をしているのですね。これはどうなんですか。これじゃよくならぬですよ。
○三角政府委員 いま御指摘のありましたような回答を文部大臣から行政管理庁長官にいたしておるわけでございますが、これは専任でない園長を置く幼稚園と申しますか、この場合にはまず各学級ごとに一人以上の教諭等を置かなければならない。まあ助教諭の場合もあり得るわけですが、そのほかさらに教頭、教諭、助教諭または講師一人を置くことが現行の設置基準では原則とされておるわけです。ですから、この原則が遵守されるような十分な指導をしてほしいという旨を五十一年の二月二十八日に初中局長から各都道府県知事並びに各都道府県教育委員会教育長に通知をしておるわけでございまして、この「学級数に一人を加える」というのは、実質的には現行基準でもそういう姿になるような規定になっております。
○佐藤(誼)委員 問題は、まず実態論から言うと、これは国立幼稚園園長会長の資料だと思うのですけれども、学級数と同じ教員数というのが二千三百四十一園、つまり四一・九%、一人というのは四八・五%、こういう実態なんですね。ですから、教員数と学級数が全く同じだというのと、園長が一人いる、ただしこれは非専の園長ですが、これが四八・五%ですから、事実上九〇%近いのが学級数と教員の数が同じだという実態がこの数字の中に出てきているのです。 まず、この実態を踏まえた上で私が問題にするのは、いまの設置基準によりますと、第五条の第三項は「専任でない園長を置く幼稚園にあつては、前二項の規定により置く教諭、助教諭又は講師のほか、教頭、教諭、助教諭又は講師一人を置くことを原則とする。」と「原則」になっているのですよ。これは原則なんです。だから、この部分を行政管理庁の勧告の中では「原則」ではなくて「配置することを基準化すること。」となる。ここが違うのです。ところが、「基準化すること。」というこの勧告を無視して現行基準の趣旨を徹底するということは、原則ということを変えないということなんです。これでは現場がさっぱりよくならないし、先ほど指摘したような九〇%も実態的には学級数イコール教員の数ということは解消できないということなんです。この部分をどう考えるかということを言っているのです。
○三角政府委員 いまお読みになりました原則どおりになるように指導を強化する、こういう意味で申し上げたので、原則どおりになればこの基準に合った実態になってくるわけでございますから、そういう方向で指導を続ける、こういうことで当時通達を出したわけでございます。
○佐藤(誼)委員 それは大体なめた答弁であって、「置くことを原則とする。」、こうあるのです。置くこととするとはないのですよ。「置くことを原則とする。」ということは原則であって例外はあり得るということなんです、逆に言えば。これでは抜け穴なんです。だから、行政管理庁はそういう例外を認めるような抜け穴があっては実態がさっぱりよくならぬからその部分は基準化しなさい、つまり簡単に言えば原則という言葉を取りなさいという意味だと思うのですよ、これは。ところが、そのことは現行の規定を、原則を守らせるのだなんという言い方ではさっぱり前進しないわけです、そうでしょう。どうなんですか、それは。
○三角政府委員 これは行管の言われていることと私どもが五条の三項で言っていることと、考え方の上では共通したものの上に立っておる、こういうふうに思うのでございます。専任でない園長にいたしましても、園長を欠いているわけではございません。それから、とにかく全国各地にいろいろあります幼稚園の基準でございますから、原則どおりになるのが最も望ましいことでございまして、例外というのはあくまで例外でなければいけませんけれども、これをただいま委員がおっしゃいますように必ず置かなければならないというふうにするのには、いろいろまだ問題がある場合も、たくさんあるケースの中にはあり得ましょうから、こういう形でその趣旨を徹底していくということも一つの幼稚園の条件整備充実の道である、こう思っておりまして、私どもの立場としてはあくまでこの原則が守られるように各市町村なりあるいは幼稚園の設置者である学校法人等に指導してもらいたい、こういう立場でございます。
○佐藤(誼)委員 そこで、さっきから設置基準を問題にしているのですが、この設置基準、「四十人以下を原則とする。」という規定のために四十人前後に集中している、多人数学級が非常に多いというこの事実は認められていると思いますが、それからもう一つは、いまも指摘しました教職員配置で言いますと、「原則とする。」というこのことのために、先ほど申し上げたように学級数イコール教員の数という実態が解消されないでいると私は思うのです。つまり、この四十人学級、しかも学級数イコール教員の数というこのことのために幼児教育がどのくらい阻害され、そこに働く教職員がどのくらい労働条件が劣悪な中でまさに命を削るような勤務状態をやっているか、このことについて後で私、事実を述べますから、このたびの公立幼稚園の法律案を提案いたしました提案者とそれから文部大臣から感想を聞きますから、あらかじめそのつもりでおっていただきたいと思います。 非常に長いですから、ちょっとところどころだけ読ましていただきます。これは現場の声なんです。 「四、五歳児混合の一学級園です。担任が一人いるだけで休むことも相談することもできず不安です」 「一学級園です。園長は兼任で小学校だけで精一杯なので、運営・管理・事務会計からすべて教諭一人の仕事です。教材研究や翌日の準備は残業ですが、残業手当もありません。そのうえ年休をとると園も休園になるので思うように年休もとれません」 「二学級八十名を二人の教諭が担任しています。園長は兼任なので一人が休むとあとの一人が八十名をみなければなりません。それを考えると余程のことでないと休むことも出張することもできません」 「学級規模が設置基準より多い四十五名です。そのため一斉保育(全員をまとめて同じ活動をさせるなど)にならざるを得ません。どのように一人ひとりをみつめろというのでしょう」 「園長は非常勤、学級担任だけで何から何までしなければなりません。電話の応待などで保育を中断されることもしばしばです」 「事務の種類は学校と同じようにあり、子どもが幼いだけに雑務も多く、教材研究や立案、記録、打合わせなどの時間がとれません。教職員をふやしてください。保育に専念したいのです」 まさに血の出るような現場の声なんですね。これはだれが考えたって——しかも、基準によれば事務職員やあるいは養護教諭や、普通の小中学校では当然おるところの教員以外の職員は「努めなければならない。」という規定になっていますが、実際は公立の幼稚園でも大体四%くらいだと言われておりますから、全くここに書いてあるように学級の数と教員の数が同じなんですから、休めば二学級八十人の子供を見なければならぬのです。ベルが鳴れば、その子供がころんでいようが電話をとりにいかなければならぬのです。たとえば野外観察に連れていくったって、二十人の子供が車道を渡るときに、最初にしゃべったことが後ろまで聞こえないのです。幼稚園というのは言葉で教育はできないのです。体で一人一人に教えなければならぬのです。われわれも家庭で子供を扱ってみればそうでしょう。それが二十人も野外に出たときに、最前列でしゃべったことは、また後ろまで行ってしゃべらなければならぬのです。これが実態だと思うのですよ。それがましてや一人休んで八十人持たされたらできますか。私もかつて中学校、高等学校で教員をやったことがありますけれども、幼稚園の子供を八十人預けられたら、これはできないのはあたりまえなんです。当然こういう言葉が出るのはあたりまえなんです。これはいまの設置基準に基本的に問題があるのではないか。 そこで、なお若干あるのです。 「保育中、職員室に人が居なくなるため、園児の家庭や役所、園長からの緊急な電話などが鳴りっぱなしで連絡がとれない」 「防災警報などが出されても職員室に人が居ないと聞きそこなう」 「一人の怪我に手をとられているうちに連鎖的にけが人が出たりする」 「ゆっくり自分でやらせたい子の作業をみとどけてやれない」 「消極的なこどもの行動を見落してしまうことがある」 「遠足などの時、列の後の方には目も声も届きにくく、しばしば前後をはしりまわらなければならない」 以下ずっとありまして、年休がほとんどとらない、五二%、生理休などほとんどとらない、九〇%、そして「もう一人フリーの先生がいれば……」「養護教諭、事務職員、用務員が常時いたならば……」という切実な声、私、よくわかりませんが、記録によると「切迫流産などが非常に多いばかりでなく、大半の人がその若さにもかかわらず、どこか健康をそこなっている。」「幼稚園教員の平均年齢は二六・七歳であり義務制教師に比べ若くてやめているケースが多い。」以下ずっとあるのです。 文部大臣、これが実態なんです。あなたが冒頭言われた教育は皆すべて重要ですが、特に幼児教育の昨今の重要性ということを指摘され、そしてあなたの幼児教育に対するその姿勢を教育行財政の中に生かしていきたいと言っているのだが、実態はこうなっているのです。これはどこから来ているか。やはりこの設置基準に基本的に問題がある。明治三十二年から事実上変わっていないのです。小中学校はもう四十人、三十五人となっているのに、なぜ幼稚園だけが三十二年からこのままにしておかなければならないのか、その点についての感想、答弁を文部大臣から聞きたい。続いて法案の提案者からも聞きたいと思います。
○小川国務大臣 幼稚園につきましては、施設設備はもとよりでございますが、教職員の配置につきましても、基準に定める水準を維持すること、さらに進んでこれを向上するということについて、今日まで繰り返し繰り返し都道府県を指導してまいっております。ただいま現場で働いておる方々のきわめて切実な訴えを御披露なさいましたが、今後も基準を励行せしめることによりまして、それらの方々の御労苦をも軽減をすることに努めてまいりたい、こう考えております。
○中西(績)議員 いま文部大臣は都道府県を指導し、そしてそれを強めておるということを言われましたけれども、このことはやはり徹底をしておるかどうかが問題であります。特に地域における地方自治体の状況等からいたしますと、公立の場合には、中央におけるそうした設置基準なりこうしたものが出ておる中では、条例を設定をしてさらに国より以上のものを追求するということにはなかなかなり得ないわけであります。それは財政負担からすべてがあるからであります。 したがって、こうした問題等を考えてまいりますと、ただ通知を出したからそれによってすべてが実施できるという体制にはなっておらないということは、文部省はここ二十年間にわたるこうした幼児教育に取り組んできた、一次、二次の計画の中で、そのことを一番よく知っておるのは文部省ではないかと私は思うのです。したがって、こうした点をどう改善をするかということになってくれば、先ほど言われました園長の問題一つを取り上げてみましても、園長を任命するにしても専従者がなかなか見当たらないということを言うのです。これを調べてみますと、結局、先ほど指摘がありました労働条件なりすべての環境、これが大変なものですから経局若年でやめていくという、こうした傾向が強いから、熟達をした教師がそこに残らない。したがって平均年齢も、いま言われた二十七歳前後になっておる。ですから結局、兼任かあるいは小学校、中学校の校長をやめられた方が六十歳を過ぎて専任になるというような跛行的なものがそこにはあるということを私たちは認めなくちゃならぬと思うのですね。こうしたすべてのものをやはりいま十分認識をしておかないと、言葉でいろいろ言っておりますけれども、数的なものでどこがどう改善されたということはちっともいままで言っていないのです。 ここに私はいままでの行政のごまかしがあることを指摘をしたいと思うのです。したがって、こうしたものを考えてみたときに、本当にいま指摘のありましたように、体でもって生徒と児童と接触をしていくというその体制をどうとるかということが、いま一番重要な課題であるということを特に感じるわけであります。そうした意味でこの法案も出しておるわけでありますから、その点を御認識いただきたいと思うのです。
○佐藤(誼)委員 提案者の御答弁は、実態をよく押さえ、こうありたいという気持ちを率直に表明された、私も共感を覚える表明でありましたが、残念ながら文部大臣の答弁は、味もそっけもない答弁と言わざるを得ないと思うのです。 そこで、私はあえて聞きますが、事実上明治三十二年以降変わっていないこの設置基準、これが大変りっぱなものだというふうにお考えなのですか、どうなんです。
○小川国務大臣 先ほど初中局長からお耳に入れましたように、設置基準は中途で改定もいたしておるわけでございますが、幼稚園の設置者、大多数が市町村でございます。したがいまして、市町村の財政の事情ということも勘案いたしませんと、財政力の弱い市町村に過重な負担を強いるということにもなるわけでございます。それらを勘案して現行の基準を設けておるわけでございます。
○佐藤(誼)委員 それでこの設置基準が、恐らく文部大臣だって金科玉条のごとく検討の余地ないなどとは思っていないと思うのですね。大づかみな言い方をしますと。この設置基準というのは今後検討する、内容を勉強してみる、こういう一歩踏み出してみるという考えはないのですか。
○小川国務大臣 いかなる制度、仕組みでございましても、絶えず実態を調査して改善の努力をすることは当然でございますから、私といたしましても今後十分研究をいたしてみたいと思っております。
○佐藤(誼)委員 それでは提案されている法案を中心に残りの時間質問していきたいと思いますが、その前に一つだけ文部省に、先ほども障害児教育つまり心身障害幼児の入園のことがありましたが、この点について。 そこで、文部省は障害児の入園させることについてどう考えているのか、その見解、それから障害児の受け入れの実態、これがどうなっているのか、以上の点。
○三角政府委員 やはり心身に障害のある幼児につきましては、基本的にはその障害の種類、程度、状況等に応じて適切な教育の場を用意して、これに対する教育ないし機能的な訓練等を実施するということが必要なわけでございます。幼稚園における心身障害児については、昭和五十五年三月にその受け入れの実態について調査を行っておりますが、全国の幼稚園の三五・一%が何らかの障害のある幼児を受け入れておる状況でございます。それからまた、受け入れ幼稚園一園当たりにいたしますと、平均二・四人の障害幼児が入園しているという実態でございます。 文部省といたしましては、こういった状況にかんがみまして、幼稚園におけるこれらの幼児のためにどのような教育の内容や方法が望ましいか、また、幼稚園と医療機関あるいは福祉施設等他の機関との連絡ないしは協力のあり方をどうするかなどにつきまして、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、調査研究協力者会議、専門家をお願いいたしまして、そしてこの会議を設けておりまして、具体的、実践的な調査研究を行いますとともに、さらにこういった幼児の指導のための教師用参考資料の作成をいたしたいということで、いまその作業を進めているところでございます。 それから国としましては、心身に障害を持つ幼児を受け入れております私立幼稚園に対しまして、都道府県が私立特殊教育教育費補助事業という形で行いますその事業の経費の一部を補助をしておるというところでございます。
○佐藤(誼)委員 時間も迫りましたので、それでは提案されました公立幼稚園の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律案、この提案者の方に質問していきたいと思いますのでよろしく。 先ほどからこの幼稚園設置基準の持つ問題点、それから幼稚園設置基準に基づいて設置、運営されている幼稚園の実態とその現状と問題点、これらをいろいろ述べました。また、文部省からも答弁がありました。そこで提案者に質問したいのは、幼稚園の設置基準の問題点、現状、これらの中で特に学級規模と教職員定数、これについてどう考えるのか。当然それに関連して、この標準に関する法律案によると、二番目の質問になりますが、学級編制の標準を四、五歳児で二十五名とし、教員については学級数掛ける一・五人、かつ養護教諭、事務職員、用務員の必置を義務づけているわけです。その根拠は何か、これらについて説明をしていただきたいと思います。時間がありませんので、総括的な形でひとつ御説明いただくと大変ありがたいと思います。よろしく。
○中西(績)議員 時間がないようですから簡単に申し上げます。 私は設置基準が確立をし、そして現在小学校、中学校におきまして四十人学級を目指しておるというそれぞれの義務制の場合を考えてみますと、一つ例を挙げますけれども、東京都A区の場合の教職員の配置実態がございます。幼稚園でいいますと、四学級百五十名の場合、園長は兼任でありますが教諭五名、そして用務員が一名で、七名であります。ところが小学校の場合にはちゃんとこれは確立しておりますから、六学級で百八十四名おる場合を考えてみますと、総合計二十一名になるわけです。中学校の場合には二十七名になるわけです。先ほどから指摘がありましたように、これに見受けられるように、一学級の園児の数が四十名で、しかも他にほとんどと言っていいほど配置をされておらないという実態があるわけであります。このことを考えてみますと、中学校あるいは小学校での生徒指導の場合と、幼稚園における三歳児から五歳児までの子供に対する指導の場合、保育の場合、こんなに多くの差があってよろしいかどうか、私はこれをひとつ、いま反対をされる方あるいは文部省の方は十分認識をした上で論議をしていただかないと、その基底が全然違っているわけです。現状まで来たからよろしいという考え方と、それからいまより重要視しなくてはならない乳幼児のこの保育をどうするかというこうしたところの基底になる論議が全く抜きにされた中での論議がされますだけに、絶えず十分なかみ合いをせずに、これがちょうど空中戦みたいにすれ違いの論議にしかなっておらないというところに、私は一番問題があるのではないかと思っています。 そうした意味で、いろいろ教師の悩みだとか、たくさんまだほかにございますけれども、何と申しましてもやはり先ほども答弁申し上げましたけれども、国際公教育会議において、すでにいまから二十年前も二十五名ということが指摘をされ、世界的にもそうなっておる状況からいたしましても、これは当然過ぎる中身でありますから、こうした点をぜひ、根本に触れる問題を論議をしていただいて、そこからこれをどう改善するかということを決定していくことが一番私はよりよい道ではないか、こう考えています。
○佐藤(誼)委員 それで、続いて提案者に説明をお願いしたいのですが、基本的な考え方はわかりましたし、私も同感でございます。その中で、先ほどからの学級編制、とりわけ教諭の配置について、学級数掛ける一・五、こういうふうにしていますが、これはどういうことから一・五というふうにしたのか、またそれは職場の実態からいって、このことの積極的意味はどういう意味を持っているのか、それから養護教育事務職員、用務員の必置を言っていますけれども、このことは職場実態から言うとどういう意味を持つのか、三番目は、専任園長の配置を言っているけれども、この専任園長を求めた理由などはどこにあるのか。以上三点、お願いします。
○中西(績)議員 専任園長から申し上げますと、先ほど申し上げましたように、何としても地域に根差した幼稚園、ですからその地域ということになると、狭い範囲でということになると、大規模校よりも小規模校でなくてはなりません。そうなってまいりますと、そこにいま必要な定数というものを考えてみた場合に、先ほど申し上げるように、一学級に一人ということからいまだに脱却ができないという状況からいたしますと、どうしてもそこに園長なりフリーで動ける人、それからたとえば一人が休む場合に、それにかわり得る人、そうしたことがもう一度問い直されないと、先ほど出てまいりましたような労働条件からすべての問題が解決できず、そして正常な年齢構成による園の構成というのができないという、いまだにこれを脱却できないというところに問題があるわけでありますから、何としても専任の園長をそこに設定をするということが大変重要な課題になってくるわけであります。 しかもそれは先ほど申し上げましたように、そこで経験をされた方が園長になるということが一番理想的でありますから、それに達するためには、先ほどの若年でやめていくとかその原因が何であるかということを追及しながら、そうしたものを全部補完をしていくということがいま一番大事だし、そうした中で生まれた専任の園長というものを私は構想しなくてはならないのではないかと思っています。 それから一・五倍の問題でありますけれども、この場合には、たとえば四学級あるといたしますと、そこに園長一名、そしてこれが非常勤あるいは兼任である場合には、まさに四人しかいないというかっこうになるわけです。そうなりますと、これは先ほどあなたが言われた八十人の二学級の園で二人の教師ですべてを賄うということと全く変わりなくなってくるわけであります。したがって、そこにフリーになる人が、たとえばこの四学級の場合には六人になるわけでありますから、そうした意味で自由に交流できるし、そしてさらにそこを受け持ちができるし、したがって研修に出かけても何も支障はないし、さらにまた、小さな子の場合には特に他動化傾向があったりいろいろあるわけでありますから、そうした場合には副任形式なり何なりをとってでもそれを手助けしていくとか、そうした面におきまして何としてもこの一・五倍という数は確保する必要があるのではないかと思っています。 それから、二点目の養護教諭と事務職員の問題につきましては、これは私がここで申し上げるまでもなく、いま一番大事なことでありまして、特にこの養護教諭の場合には、全く配置されておらないという状況であるわけです。現在の実態は四・五%、そして事務職員が四・五%、同じ率になっています。こういう状況ですから、まさに放置しほうだいになっておるということが言えるのではないかと思っています。 そこで問題は、この養護教諭の場合には、特に私たちが指摘をしなくてはならぬと思いますのは、現在の子たちの、たとえばボール一つけったから足が折れたとか、こうした脆弱な子供が多くなってきているというような状況等から勘案いたしましても、さらに、そこで小学校との兼任の形をとらしているようなところもあるようでありますけれども、そうした場合に、やはり小学校が主体になるわけでありますから、こうした状況の中では全く幼稚園を見ることはできないという実態にあります。 ですから、このような実態の中で、特にこの養護教諭の場合には、健康管理の面からいたしましても、さらに年度当初に行います予防注射なり、あるいはその他のいろいろな行事的なものまで含んでたくさんございます。そして、さらに年じゅうそうした子供たち、たとえば百人おれば一日に一人くらいはそうした子が出るわけでありますから、そうしたものに対する手だてが、免許も持たない人たちがこれをやって、もしそこにその取り扱い等で支障が出た場合には、大変大きな問題に発展することは必至であります。こういうことを考え合わしてまいりますと、何としてもこの養護教諭の問題については、必ずこれを置くということを前提にすべきではないかと思っています。 それから、事務職員の場合に至ってはなおさらであります。これは、小規模であろうと大規模であろうと、その数は異なりましても中身については全く同じでありますから、たとえば、そこで購入をする物につきましてのいろいろな伝票すべての処理、そして、それを今度は役所との関連づけなどを見てみましても、一つ物品を講入するについても、全部それを教員がやらなくてはならないという実態が出てくるわけであります。あるいは、給料計算にいたしましても、その他の問題にいたしましても、全部そうしたものを教員が代行しなければいけないということになると、手落ちが出てくることは必至です。そうなってまいりますと、日限が制限されておるとそれにかかり切ってやらなければならぬということ等を含めて多くの問題が出てまいります。 したがって、こうした場合には、園児を一定の時間には見ることができずに、そうした事務をとらなくてはならぬという実態等も出てくる可能性だってあるわけでありますから、こうした問題等を考えますと、何としても事務職員を必置すること、このことをぜひ、こうしたただ単なる文書指導だけでなしに、数字として実態がどうあらわれてくるかということを中心に据えた指導がなされていくべきではないか、こう思っています。
○佐藤(誼)委員 提案された法律案の内容、趣旨、大変よくわかりました。私は全面的に賛成であります。 なお、いままで幼稚園の設置基準の持つ問題点やあるいは幼稚園の職場の実態等、いろいろ申し述べました。文部大臣には、そのことの理解もいただきながら、幼稚園設置基準については今後も勉強し、研究したい、こういう御答弁もいただいたわけでございます。 そこで、いままで多くの方々の質問でも明らかになったように、また文部大臣は冒頭、今日の教育の中における幼児教育の重要性を力説され、その抱負を述べられました。これをいまの現場の実態において具体的に生かしていくためには、つまり幼児教育の重要性に基づいて国家百年の大計に立って教育効果を上げるというこのことや、まさに人に値しないような過酷な労働条件の中で働いている幼稚園の教職員の実態を考えたときに、私はどうしてもこの中西さんが提案されているところの公立幼稚園の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律案を可及的速やかに制定をし、これに基づいて現場を変えていくということがきわめて重要だと思います。 これからまだ質疑が続くわけでありますけれども、皆さんにも十分この法案の内容、趣旨については御理解いただいたものと思います。他党の皆さんも必ずやこの法案については賛成していただけるものと確信をしておりますけれども、今後の御協力をいただきながら、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
○青木委員長 長谷川正三君。
○長谷川(正)委員 今朝来、中西委員の御提案に成ります幼稚園の定数に関するこの法律案の御提案があり、また鍛治委員、山原委員、そしてただいまは佐藤委員から、それぞれこの法案を中心に現在のわが国の幼児の保育の現状等、あるいはその教育体制のあるべき姿に照らしてどうこれを見るかというような点について、生々しい現場の報告、お話等も交えながら論議が進んでまいりまして、私は文教委員を長くやっておりますが、衆議院の文教委員会で、この幼児の教育問題、保育問題がきょうのように集中的に深い討議をされたことは大変画期的であった思いまして、非常に深い感銘を受けているところであります。 文部大臣を初め文部当局の御答弁を伺っていますと、やはり行政改革のこのあらしの中での政府の御方針、率直に言って福祉や教育について非常にしわ寄せをされておる現状を踏まえて、やはり政府の側の一員としての配慮から非常に守備を固めた御答弁、うっかり言質をとられては大変であるというような御配慮があって、その御答弁にはやや消極的なうらみがあることを私は率直に感ずるのでございます。しかし、恐らく教育行政の責任者、その衝に当たる皆さんは、今日の日本の幼児教育あるいは保育の現状について決して万全であると思っているはずがない。もっともっとやりたいけれども、政府全体の施策の中で文部省はこの程度までしかいまのところできていない、私はこれが率直な本音ではないかと思うのです。ですから、もう少しこの文教委員会は人間的な交流の場として、時には、言質を与えるというような意味でなしに、本当はそうありたいのですけれども残念ながら今日ここまでしか来ておりません、立法府としてひとつ高い御方針を示していただき、われわれを鞭撻してほしいというような本音を率直に吐かれた方がいいのではないか、こういう感想を私率直に持ちました。だから、いますぐ大臣何かお答えをしなさいとは申しませんけれども、これは私の率直な感じを申し上げて、これからの御答弁の中に多少なりともそういうものをにじましていただいたらばありがたい、日本の子供たちのために非常にうれしいことだと思いますので、よろしくお願いをいたします。 また、提案者は恐らくこの法案を、提案理由の中にもありましたが、わが国の乳幼児、学齢期前の子供たちの保育のあり方、教育のあり方としてはこれはほんの理想への第一歩にすぎない、決してこれで万全だなどと思っていないというのが、これまた提案者の本音ではないかと思います。ですから、私はそういう意味で、提案者の今日のこの提案の努力には深く敬意を表しますが、同時に、これでいいのだというようなことでない、より大きな理想はこうなんだが、いまの日本の現実を踏まえて今回はこの程度にしたのだということではないかと思いますので、そういう点も、もしそうであれば率直に御開陳をいただきたいと思います。 そこで、まず第一に提案者に伺いますが、本法案を提案した理由は幾つかお述べになっておられますが、最も大きな、本法をどうしても提案しなければならないとお考えになった動機はどこにあられたのか、それをお答えいただければありがたいと思います。
○中西(績)議員 公立幼稚園の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律案、この第一条が「目的」になっておりますけれども、ここに掲げられておりますように、「公立の幼稚園に関し、学級編制の適正化及び教職員定数の確保を図るため、学級編制及び教職員定数の標準について必要な事項を定め、もつて幼稚園の教育水準の維持向上に資することを目的とする。」とありますように、あくまでも今回の場合はここに掲げてある学級編制、教職員定数、これを中心に据えて、いままで百年近くも改善が求められてない部分に日を当てて、ここからわずかでも前進をさしていこう、こういうことを念願としたわけであります。 特に私が申し上げたいと思いますのは、この現在の教育の状況を見ますと、非行の低年齢化あるいは校内暴力等の荒廃が目に余る状況になってきておる、その根拠はどこにあるかということを考えてみた場合に、この乳幼児の保育ということがいま大変重視されてきておる、こうした時期に、私たちは特にこの点を考え合わせながら、ぜひこの百年間における長い歴史的なものをもう一度振り返ってみて、この中から一歩でも脱却できればと、こう考えて提案を申し上げておる、こうまとめたいと思います。
○長谷川(正)委員 提案者の率直な御意思よくわかりました。 そこで、文部当局は本法案に対してどうお考えですか。いままでの質問者に対してもるる何回かお答えがあったわけでありますけれども、私が冒頭申し上げたような意味で、率直に本法案についてどうお考えであるか、まとめてもう一度はっきりお述べいただきたいと思います。
○小川国務大臣 このたび御提出になりました法律案は、公立幼稚園の学級編制及び教職員の定数の標準を法律で定めて、それによって従来の設置基準による内容を大幅に改善したい、かような御趣旨と理解をいたしております。この御趣旨そのものに異論はございませんし、十分理解をいたしておるつもりでございますが、先ほど申し上げたことの繰り返しになりまするけれども、公立幼稚園の設置者の大多数が市町村でございます。市町村の財政力に非常に大きな格差が存在しております現状のもとにおきましては、標準を法定し、かつこれを大幅に引き上げました場合に多くの市町村においては財政的に対応できない、これを実施することができないという状況が出てくるに違いないということを第一に心配をいたすわけでございます。 二番目には、幼稚園の諸経費の財政負担のあり方についていろいろの検討が必要でございましょうけれども、この法案の内容について試算をいたしてみますると、一つの試算でございますが、新たにおよそ三万八千人の教職員の増が必要となる。そのための財源措置ということになりますると非常に巨額の数字になるわけでございます。そういう意味で、御趣旨は十分理解いたしておりますが、今日のこの逼迫した中央の財政、地方財政の状況下におきましては、この法案を現実的な御提案であるとはなかなか考えにくいというのが私どもの率直な立場でございます。
○長谷川(正)委員 いま、この法案の趣旨を、原則としては決してこれは反対ではないのだけれども、現状、特に地方の財政の現状からにわかに賛成できかねる、巨額の費用が要ると、これに基づく教職員増の数字もお挙げになっておっしゃいましたが、その巨額というのはどのくらいの額と算定されましたか。
○三角政府委員 数字の話は、私どもがこれは立案した法案ではございませんので余り申し上げない方がいい場合もあろうかと思いますが、大臣の申されましたのは、一つの推算と申しますか見込み数でございます。同様の意味合いで申し上げますと、定数増完成年次の姿を考えまして推算してみますと、給与費の増として千億円ぐらいかかるのじゃないか、こういうふうに見ております。
○長谷川(正)委員 一千億ですか。
○三角政府委員 一千億でございます。
○長谷川(正)委員 一千億というのは確かにわれわれの個人の財布から見れば大変ですが、いまの国政のこの大きな予算の中から見ますと、そのくらいの金でこれだけのことができるのか、国民は恐らくそういう受け取り方をします。一日も早くやってほしい、この中身を国民の皆さんがわかったら、恐らくほとんどの、特に子を持つ親御さんたちはそう思うのじゃないでしょうかね。いまの直接文教の責任の衝にある文部大臣及び局長が、一志そういうお答えをせざるを得ないのはわからないではありませんが、少なくとも現状からこの法案の方向に向かって、できるところから一カ所でも二カ所でも、そして地方財政にも、最終的には国が大きく考えれば地方財政でもどうにでもなっていくわけでありますから、そういう方向に努力をしてみよう、そういうお気持ち、御意思もありませんか。
○三角政府委員 御承知のような現在のような国の財政状況あるいは地方の状況から見まして、私はこれは内容そのことは、先ほど大臣も申されましたが、教員の数をふやしたり一学級の子供の数を減らしたりすることは理想としてだれでも考えることだろうと思いますけれども、現実にこれを実施するということ、正直にそれに取り組むということを考えますと、非常に困難なことであろうと思います。 それからなお、長谷川委員も御承知のように、四分の三近くは私立の幼稚園に子供が通っておりまして、こういった事柄は当然私立にも問題が及んでいくことでございます。そのことはまたひいては先ほども問題にされました保育料、これにはね返るということや、その結果としての保護者の負担増も考えなければならないのじゃないか、こういうふうにも思いますので、私としては先ほどのように申し上げざるを得ないのでございます。
○長谷川(正)委員 そうすると、前向きの努力をすることはできないというふうにはっきりおっしゃっているわけですか、いまの御答弁は。
○三角政府委員 先ほど申し上げましたようにいろいろ非常に大きな問題がございますので、これを現実課題として前向きにとおっしゃいましたけれども、一つの現実課題としてただいまの時点で取り上げて考えるということは非常に困難だと思うのでございます。
○長谷川(正)委員 そこで、文部省がいまそういう御態度であるということは私は残念に思いますが、これはもう一歩えぐりますと、学齢期前の乳幼児の保育、教育、それがいかに重要であるかという重要性の認識においてどうもまだ不十分な点があるのではないか。中西委員が本案を提案する大きな直接の動機の一つとして、最近の青少年の非行化あるいは暴力事件等の現象を見ても、これには多くの社会的要因があり、広い各方面からの工夫、努力が必要ではあるけれども、その最も重要な一面としてこの保育、幼児教育の問題がある、そういうことを考えてこの法案をお出しになったという御答弁が先ほどございましたが、私はここのところが非常に大事だと思います。 この保育の重要性という問題を単に従来からの惰性的な考えではなしに、もう一歩突っ込んでわが国の将来というものに思いをいたすときに、いま一番努力をする新しい一つの面、あるいは未開発の面と申してもいいのではないかと思いますが、学問的にもようやくいろいろ解明が進み始めている乳幼児のときの生活のあり方、保育のあり方、教育のあり方というものの重要性を本当に認識するところから出発すれば、私は圧倒的な国民合意を背景にして、何をおいてもこれをやれというような世論がほうはいとして起こる、そういう力を文部省自体が牽引するというような御決意を持っていただきたいとさえ思うのでありますが、この点いかがでしょう。
○三角政府委員 幼児期というのは、赤ん坊のときが最もそうでございますが、心身発達が著しい、人間としての非常に基礎的なところがつくられる時期でございますので、先ほど大臣からも申されましたように、非常に大切な時期でありますし、日常の生活習慣、これを人間として望ましい姿につくり上げていく重要な時期であるわけでございます。したがいまして私どもとしては、幼稚園教育の振興のためにいろいろな施策を講じてきたつもりでございまして、特に希望する四歳児、五歳児のすべてに就園の機会を与えるようにということで振興計画というものを進めてきた次第でございます。 そういうことでございまして、私どもは、長谷川委員のおっしゃっております趣旨と別に異なったところにおるとは思っておりませんけれども、ただいまのこの時期に設置基準といいますか、こういった定数法という法律の形で、特に市町村でございますとか、ひいては私立の幼稚園に対します事柄を法律上義務づけてこういう形に持っていくということは、現実課題として非常に無理が多い、そういう認識を持っておるものでございますから、これについての取り組みというのはずいぶん慎重に考えないと現実としての事柄が進むことにつながっていかないといいますか、ちょっと回りくどい言い方をしましたけれども、それは現実問題として実行が可能な状況をもたらすことがなかなかむずかしい、こういうふうに思うのでございます。
○長谷川(正)委員 文部省の現在の姿勢は一応わかりましたが、この点についてもう一遍大臣から一言御決意を伺いたいと思います。
○小川国務大臣 先ほど申し上げましたように、御趣旨は十分理解はいたしておりますが、今日の現実を直視いたします場合に、これは実現可能の構想だというふうになかなか理解することができない、かように考えておるわけでございます。
○長谷川(正)委員 私がさっきから申し上げているのは、本委員会にはこの法案の成立を強く要請しますが、いま大臣、文部省に伺っているのは、これはすぐはとてもできそうもないというふうなお答えですが、少なくともこの方向に向かって一歩でも二歩でも進めようというお気持ちもないかと聞いているのです。もう一遍お答えください。
○三角政府委員 これは先ほどもお答え申し上げたことでございますけれども、四十人、四十人で同じじゃないかというお話がございましたけれども、戦前はほぼ一人当たり四十人という考え方、ただいまの私どもの設置基準は一クラス当たり四十人以下、こういうふうにしておりまして、一クラス当たりの数も二十三人、先ほど御答弁申し上げましたように少なくなっておりまして、年々そういう状況はよくなってきております。と申しますのも、私どもの設置基準は、これは大学設置基準もそうでございますけれども、必要最低の基準を定めております。 設備等についてはかなり細かく書いておりますけれども、確かにいま御提案のこの法案に比べますと一学級当たりの人数というところでかなり大幅な開きがある、こういうことでございますけれども、私どもはこれは最低基準ということで決めておりまして、その基準自体の中にも、さらに一層この水準を高めるように努力を要請する規定もあるわけでございます。ですから、こういった情勢のもとでは、私はなお現行の設置基準に基づきまして、そして市町村に対しましては都道府県を通じまして各般の事情が許す限り状況をいい方向に改善をしていくように、これはこれまで毎年、先ほど来の行管の勧告もございまして、それ以降引き続き指導してまいっておりますので、いい方向に向上を図っていくということは、現行の設置基準を土台にして、設置基準自体にも書いてあるわけでございますから相努めていきたい、こういうふうに思っておるのでございます。
○長谷川(正)委員 この保育の重要性という問題、また緊迫性という問題について申し上げて、文部省の決意をお聞きしてきたのですが、それでは現実に戻りまして、学齢期前の乳幼児から義務教育の学校に入るまでの子供たちの現状を正確にとらえるということが、すべての施策の前提であろうと思います。これもいままでの質疑の中でいろいろ出てきておりますが、それでは実際にいま日本の学齢期前の子供がどういう状態に置かれているのか、具体的にもう一遍きちんと整理をしてお答えいただきたいと思います。 これは、文部省の方に資料をお持ちですからお答えいただきたいと思いますが、幼稚園に就園している者あるいはその数、それから保育園そのほかの施設、どういう状態になっているのか、できる限り総合的に丁寧に、その施設、設備、職員の配置、そういうものが現状はどこまでいって、どこが不十分になっているのか。これは、いままでいろいろやりとりがありまして断片的には出ておりますけれども、もう一遍整理して、ここで日本のいまの保育の現状、学齢前の児童の現状はこうである、これをきちんと押さえませんと、そこから先へどう進むのかということが明確になってこないわけですから、もう一遍それをきちんと整理してお答えいただきたいと思います。
○三角政府委員 まず幼稚園の状況でございますが、幼稚園数は約一万五千、こういうことで、そのうち私立が約八千八百、それから国公立が六千二百、こういう状況でございます。在園者数は、全体で約二百三十万人でございます。これは三歳、四歳、五歳と分けますと、五歳児が百二十万人でございまして、四歳児が九十万八千人、三歳児が十八万四千人弱、こういう状況になっております。 それで就園率でございますが、これは五十五年の五歳児の率になりますが、小学校一年に入学した人で幼稚園を卒園した者ということで六四・四%でございます。この六四・四%という数字は五十三年から五十四、五十五と大体同率でございまして、その余の数値で保育所在籍率がどうかということでございますが、これは厚生省の方の所管でちょっと五十一年の数字しかないのでございますけれども、二五・四%という数字になっておりますので、両方合わせますとちょうど九〇ぐらいという率でございます。 現状におきましては、五歳児については大体私どもの幼稚園教育振興計画、これは完全に達成したとはまだ見ませんけれども、ほぼそれに近い状態になって、保育所か幼稚園かどちらかに希望する方はかなり入れる、こういう状況になっておるのじゃないかと思うわけでございます。ただ、先ほど数字で申し上げましたように四歳児については、なおまだ希望する方を収容するために幼稚園を地域によりましては設置する必要もあろうかと思います。それから三歳児の方は、これは幼稚園振興計画の対象とはしておらなかったのでございますが、これはまだ就園が十八万四千人弱でございますから、今後父兄の要請に応じてこの辺のところはさらに力を入れていく必要があるところであろうか、こういうふうに思うのでございます。 それから幼稚園の規模と申しますか、先ほどのこの法案の御趣旨の関連でございますが、学級の状況で先ほどは一学級当たりの平均が約三十・五人、それで教員一人当たりの園児数が二十三人と申し上げましたが、正確には二十二・九人じゃないかと思っております。そういうぐあいでございまして、幼稚園の学級規模で一番学級数が多いところを見ますと、公立で申しますと三十一人から三十五人というところが五千九百四十七学級で一番多くなっておりまして、これは全学級の二九・四%になります。そしてその次に多いのが、その一つ前の段階の二十六人から三十人という学級で、これが四千八百十六学級、二三・八%になります。それから、その次に多いのが三十六人から四十人というクラスでございまして、これは三千九百四十五学級で一九・五%になっている、こういうのが現状でございます。 これも傾向としては、徐々にではございますが改善の方向に向かっておりますので、それなりに市町村あるいは私立幼稚園も努力していただいておるのだろうと思いますが、今後園児数も減少いたしますので、父兄負担との兼ね合いも考えながら、教育条件をなるべくよくする方向に持っていっていただくように、都道府県知事あるいは都道府県教育委員会に対しまして私ども働きかけはなお続けてまいりたい、こういうふうに思うのでございます。
○長谷川(正)委員 いまの数字を一応伺いましたが、五歳児のところをとって幼稚園、保育所合わせてほぼ九〇%、そうすると、あとの一〇%はどういうふうになっているとお考えですか。
○三角政府委員 これは細かい悉皆調査のようなことはいたしておりませんので、ごく厳密、正確な分析はできないのでございますけれども、やはりなお幼稚園未設置の市町村というのが千くらいございます。そういうところには保育所が置かれておる場合が多いのでございますけれども、しかし保育所にはそれなりの一つの入所の措置基準というのもございますし、措置基準に適合しない方の場合には、収容定員に応じて契約保育という形でやっていただく、こういうことでございますから、やはり地域によりましては行きたくても行く施設がないというところがやはり残っている、それが一番大きな原因になっておるのじゃなかろうか、それから、山村地域のようなところでは幼稚園とか保育所とかいうまとまった形の施設を設置することは事実問題として非常にむずかしいので、公民館等においてそれに代替するようなことをやったり、そういう場合もあろうかと存じます。したがいまして、やはり本来の幼稚園に通えないという状況がなお残っている、これが大きな理由じゃなかろうか、こういうふうに見るのでございます。
○長谷川(正)委員 問題がいまの御報告の中でも実はたくさんひそんでいるので、全国平均で人数を出したり、パーセントを出したりした場合、そうすると何かそれが一般的にそうであるように思い込むととんでもない間違いで、過密なところはたとえば四十を超えてしまっているところもある、少ないところはぐっと少ない、そういうアンバランスがあるわけですから、この数字だけ特に平均値だけということで物を判断するのは非常に問題だと思います。いまの一〇%の問題についてもまだまだ分析するといろんな要素があると思いますが、時間がありませんからそれはまたに譲ります。 ここで一つだけ、実はこれは本法案からはみ出すのですけれども、本法案の提案趣旨の中にも出ておりますし、先ほど来の皆さんの質問、特に山原委員の質問の中にも山原さんの御意見を含めて出ていたのですが、幼稚園と保育所が厚生省と文部省の管轄違いであって二元行政になってきておるけれども、これは実態としてはどうしても一体化しなければ本当に整合性の行き届いた体制にならないのじゃないか、本当の保育、本当の幼児教育体制というものを乳幼児の時代から就学までを一貫してやれるところへ一歩進めなければならないのじゃないか、こういう問題もこの法案の裏にもう一つあるわけでございます。そういう御指摘もありました。こういう点についてはきょうは深くは論じませんけれども、わが国のこれからこの部門における教育問題、保育問題を考える非常に重要な接点だと思いますが、きょうは厚生大臣は来ていただいてないわけでありますから、一応これについて文部大臣のお考えありましたら、ひとつお尋ねをしておきたいと思います。
○小川国務大臣 一体化という仰せでございますが、これは一体的に運用するという意味でございましょうか。それともこれを統合して一元化すべしという御趣旨でございましょうか。
○長谷川(正)委員 私自身の意見は二つのものを連携をとってという意味でなくて、大きく教育として一本化すべきでないか、こういうふうに私は意見を持っておりますが、大臣はいかがですか。
○小川国務大臣 仰せの問題は非常にむずかしい問題だと考えております。これを一本にいたします場合、どのような具体的な姿にするかということについてはいろいろの御意見がございます。どのような御見解をとる場合にも、関連して処理すべき非常に複雑な問題があると考えておるわけであります。このことは昨年六月行われました幼稚園及び保育所に関する懇談会報告でも指摘されておるところでございまして、幼稚園、保育所おのおのその目的、機能に沿って適切に整備充実を図ることが必要であると考えておるわけでございます。 幾らか長い御答弁になるかと存じますが御容赦いただきまして、幼稚園を一元化いたします場合、保育所に幼稚園の機能を持たせるという考え方が一方にあると存じますし、逆に幼稚園に保育所の機能を持たせるという考え方もあると存じます。保育所に幼稚園の機能を持たせる考え方、この場合どのような問題点があるかということでございますが、保育所は一日八時間を原則として養護と健全育成が一体となった保育を行っている、これに対して幼稚園の方は、一日四時間を標準として計画的、組織的な教育を行う、したがいまして、本来内容、方法を異にいたしておるわけでございますから、保育所における保育を幼稚園における教育としてみなすことは困難であるということが一つの問題だと存じます。また、保母さんの多くが幼稚園教諭の免許状を持っておいでにならないということも一つの問題点でございましょうし、あるいは保育所の施設設備が、幼稚園教育に必要な園舎、運動場あるいは園具というような施設設備の基準と異なっておるというような点もございましょう。逆に幼稚園に保育所の機能を持たせるということを考えまする場合の問題点としては、教員に保母の役割りを行わせるということ、これは非常に困難なことであり、別途に保母さん等の職員を配置する必要が出てまいりましょう。幼稚園の対象は満三歳以上なので、三歳未満の子供を預かりますためには人的、物的条件等の面で別途の配慮が必要になってくるということもあると存じます。 なお、幼稚園に保育所の機能を持たせることにつきましては問題がありますけれども、預かり保育を地域の実情に応じて実施することも検討する必要があると考えておるわけでございます。いわゆる預かり保育でございますが、昨年六月行われました、さきに申しました懇談会の報告では、幼稚園の教育時間終了後、必要に応じ適切な条件のもとで希望する園児を預かること、いわゆる預かり保育を提言いたしております。文部省としてはこの預かり保育を実施するかどうか、またその実施の方法、必要な経費の支弁をどうするかということにつきましては、これは地域の実情あるいは保護者の要望等を勘案いたしまして幼稚園の設置者が判断をなさるべき問題だ、こう考えておる次第でございます。
○長谷川(正)委員 大臣から詳しい御答弁がございました。現状は確かに保育所、幼稚園が別々のスタートをしておりましていま現在に至っております。しかしその与えられた使命と申しますか、保育という立場からいいますと、いわゆる保育所が単に健康あるいは食事、そういったものの世話をする、幼稚園はいわゆる情操教育、知的教育を中心にする、こういう従来の観念がありましたけれども、これは実践の中でそれぞれが克服して、いまお話がありましたように、中身というのは相互にかなり近づきつつあるというのが現状であります。それを一本化する上には、いま具体的におっしゃったように、資格の問題、人員の問題、園舎の規模の問題、あるいはそこに置く設備、園具の問題とかいろいろあるでしょう。それは確かにありますから、簡単にいかないということはわかります。しかし、この保育の一本化の重要性ということを本当に認識すれば、私は先ほどもいろいろ申し上げましたけれども、これはひとつ一大割り切りをして、そして、一遍にいかなかったら、五年計画でも、長ければ十年計画でも、着々とこれをやっていくという国としての大きな方針をはっきり打ち立てる、そういう時期に来ているのではないか、こういうふうに私は思います。 いま文部大臣のおっしゃったことはそれとして私はよくわかりますし、それを否定するものではございませんけれども、そうでありましても、それを土台、出発点として大きな方針を立てて、そっちの方向に向けていく、こういうお考えをお持ちにならないかどうか、もう一遍伺います。
○小川国務大臣 これを一本にできないかという問題意識をお持ちの方は、教育関係者の中に恐らくずいぶんたくさんおいでになると存じます。文部省といたしましてもこの問題を真剣に研究いたしたわけでございますが、ただいま列挙してお耳に入れました問題点の一つ一つ、どれをとりましても、すぱっと解決するのは困難な問題であろうかと思っております。しかしこの問題につきましては、ここであきらめてしまっておるわけじゃございませんので、何らかの方法でこの問題が解決できないものかということにつきましては、これからも引き続いて研究をしてまいるつもりでございます。
○長谷川(正)委員 せっかく御努力を期待いたします。 そこで、ちょっと問題を変えまして、長い先人たちの努力というものをこの際もう一回顧み、歴史の教訓に学び、そしてさらに現在から先に進む、こういうような意味でお尋ねをしたいのであります。 まず、日本が明治以降のいわゆる近代国家の体制を整えて以降とそれ以前とに大まかに一応分けまして、この近代国家体制になる前にもいろいろな時代を経ておりますが、いかなる時代にも子供が生まれ、そうして育つというその中には、保育とか幼児教育とかいう言葉はなかったかもしれませんけれども、そういう保育なり教育が厳として存在したろうと私は思います。そのことについて文部省としてはどういう御認識をお持ちであるか、これをお尋ねいたします。
○三角政府委員 やはり乳幼時期の保育、教育というのは、言葉は別といたしまして、人間の社会がずっと続いてきたわけでございますから、ずっとそういうものはあっただろう、こういうふうに思うのでございます。そして、今日の日本国民がこのようにりっぱに形成されてきた、この事実の背後には、乳幼児期における教育、保育の裏づけがあったというふうに考えないとちょっと理解が通らないだろう、こう思うのでございます。 ただ、今日のような幼稚園のような形は、明治になりましてから宣教師等の方々によってもたらされて出発した、こういうふうに思っておりますので、それ以前はやはりそれぞれの家庭で、母親を中心とする、どちらかと言えば、いまのような形ではなくて私的なものとして行われていた、それが本流でございまして、公的あるいは計画的、組織的に行われたものは存在しなかったのじゃないだろうか、こういうふうに見ておるのでございます。 ただ、欧米の幼児教育に関します情報は明治以前には余り入っていなかったようでございまして、その結果、幼児のために特に設けられた保育施設は、京都の幻心という人が自宅に幼児を集めて遊ばせた、これは安永二年、一七七三年、永井堂亀「友小児養育気質」、こういう見聞があるだけでございます。 また佐藤信淵は、嘉永二年に筆記させた「垂統秘録」のうち「小学校篇」で「慈育館」と「遊児廠」という保育所と幼稚園のようなものを構想しておりますが、いずれも実現はしておらないというふうに聞いております。 ただ、幼児期の教育についていろいろ見識を述べた方は、長谷川委員も御存じだと思うのでございますが、いま申した者のほかに、中江藤樹、山鹿素行、貝原益軒、江村北海、大原幽学、林子平などがございまして、たとえば林子平は、「実二三才児ノ魂百迄ト云俗諺ノ如ク幼少ノ時ノ仕癖が老年迄モ附纏フモノ也此心持ヲ呑込テ子弟ヲ教ル事胎教ニ続テノ大事ナリト知ベシ」ということを言っております。また、数え年五歳のころから寺小屋に通う幼児も例外的には存在したというふうな記述もあるようでございます。
○長谷川(正)委員 国立教育研究所等で、特にこういう問題に焦点を当てた調査研究というようなことは進んでおりましょうか。
○三角政府委員 何かやっておられるだろうというふうに思いますけれども、私、いま確認してお答えできません。
○長谷川(正)委員 私は、そういう面についてもやはりこの際、日本の学齢期前の乳幼児からの教育の問題を抜本的にメスを入れて新しい方針を打ち出す、今回の法案もそのほんの序の口の道を開くという意味だと思いますので、きょうは研究所長に来ていただいておりませんが、またいずれかの機会にいろいろそういう点も伺いたいと思いますが、どうか文部省としても十分な配慮をされるように希望をいたしておきたいと思います。 そこで、明治以降については、先ほど来佐藤委員からもいろいろ制度上の変遷について質問があり、それについていろいろな議論があり、ちっとも進歩していないじゃないか、極端に言いますとそういうような意味の御意見も出たりしておりますが、明治以降今日まで、これもいままでいろいろやりとりがありましたけれども、もう一遍きちっと整理して、そして、民間と公的なものと両面にわたって、こういうふうにしてここまでいまきているのだ、これをひとつ簡潔に明らかにしていただきたいと思います。 これも、文部省にお願いします。
○三角政府委員 明治以降になりましても、やはり幼児の教育は、戦時に至るまではほとんど家庭における教育が中心であったというふうに申せると思っております。もっとも幼稚園が普及をいたしました昭和十六年でも、五歳児の幼稚園就園率は全国で一〇%にとどまっていた状況でございます。まあ設置基準とかいろいろあるわけでございますが、就園率そのものが一〇%、こういうことでございます。 それから、太平洋戦争後しばらくの間は、敗戦による破壊、疲弊の中で、しかも混乱期ということで低迷したわけでございますが、その後だんだんに復興とともに上昇してまいりまして、現在は、先ほど申し上げましたように、約六五%の五歳児が幼稚園に就園している状況になっております。 幼稚園教育の歴史は、明治九年十一月に東京女子師範学校に附属幼稚園が開設してから百余年、こういうことでございまして、学制がしかれた前後、公立、私立、両方に設置の兆しが、横浜、京都、鹿児島、仙台などに見られたのでございますが、その後廃園をしたり、それから、公私立の移管と申しますか、そういうことを繰り返したものもございます。 私立の幼稚園は、明治の末には公立を上回りまして、そして戦争直前におきましても、園数で約一・八倍、戦後はさらに上昇を続けまして、現在は幼稚園数で、先ほども申し上げましたが、八千八百園余りで、幼児数が百六十九万人、こういうことでございまして、公立との比率は、園数で約、私立四、公立三、幼児数では、私立三、公立一、こういう割合になっておりまして、私立が幼稚園教育の中では量的にも非常に大きな役割りを占めている、こういうことでございます。 制度的な沿革も申し上げると、いろいろ先ほどの保育及び設備規定でございますとか、あるいは教育内容の幼稚園教育要領等の推移がございますが、もし必要であれば、また改めて御答弁申し上げます。
○長谷川(正)委員 いま概略のお話がありましたが、特に新憲法下におきまして、幼児の教育の問題、これは憲法、教育基本法、学校教育法、その施行令、施行規則ですか、こういうものでそれぞれどういうふうに定められているか、整理されたことありますか。
○三角政府委員 戦後、ただいま仰せの新憲法それから教育基本法の理念と趣旨に基づきまして、昭和二十二年に学校教育法が制定されたわけでございます。この学校教育法によりまして、幼稚園は学校教育法第一条に規定する学校体系の一環に位置づけられまして、学校制度の最初の段階であり、そして、他の学校と肩を並べるいわゆる一条校といいますか、そういう教育機関として扱われることになったわけでございます。その結果、学校に関する基本的事項はすべて幼稚園にも適用される、こういうことになりました。 特に学校教育法第七十七条では、「幼稚園は、幼児を保育し、適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とする。」、こう定めておりますほか、その目標それから保育内容、入園資格、職員等について七十八条以下に規定を設けてございます。 それからまた、同法の施行規則におきましては、幼稚園の設置基準、教育日数、教育課程についての規定を定めておる、こういう姿に戦後なったわけでございます。
○長谷川(正)委員 これも、先ほどいろいろ質問があったのですけれども、昭和三十一年の設置基準が定まってから今日まで、どれだけ改善があったのだということを佐藤委員から執拗にお尋ねがあったのですが、なかなかはかばかしい前進がなかったように私は伺ったのですが、特にこことここはこう変わったということをもう一回きちっと整理してみてください。
○三角政府委員 先ほど改正事項について全部申し上げたわけでございます。 これを概括して申し上げますと、むしろ三十一年の幼稚園設置基準当時に、諸般の事情から、その前の基準の適用を許容しておったり、あるいは教諭のほかに助教諭で充てるその限度を緩めたり、むしろ設置基準本則の、本則というか本来の規定の適用を、現実を考えて時期を延ばしていった。そして、最後にはやはりその時期を延ばした規定をもとどおり戻すという形の改正をして、その本来の姿で全部が適用になったのは四十九年の三月、こういうことでございますから、その間やはり現実の問題への対応とそれから幼稚園への就園の希望を吸収していくということと、いろいろな兼ね合いでそのような改正が行われた、こういうことだろうと思います。
○長谷川(正)委員 これは先ほども確かに御報告があったし、佐藤委員からいろいろ質問がありましたが、その中で一番問題になったのは、一学級四十名というのが一向に変わっていないじゃないか、幼児四十名抱えたその職場の現場はどういう状態になっているかということを、現場の生々しい声も含めてお話があったわけですが、外国は一体どんなふうになっていますか。比較してみたことありますか。主な国の基準がどうなっているか、国際公教育会議の一九六一年の勧告というようなものも、先ほど来の質疑の中にちょっと出てきたと思うのですが、それらも含めて、どうなっているかをお話しいただきたいと思います。
○三角政府委員 外国との比較の御質問でございますが、ちょっと前置きになりますけれども、若干わが国の幼稚園と諸外国の幼稚園につきましては、制度あるいは保育の方法等も異なっておりますから、これは全部同じ平面で横並びをするということには問題があろうかと思いますけれども、ただ、私ども現在聞いております主要国のクラス当たりの幼児数というものを申し上げますと、フランスでは一学級三十五人、西ドイツでは一学級二十人、イギリスでは一学級三十人、これは具体のあれはいろいろでございましょうけれども、一応そういうことになっておるということは、当該国へ行った方たちから聞いて、そういうふうに理解しております。
○長谷川(正)委員 いま西ドイツとフランスとイギリスの例でしたね。まだかなり、デンマークだとかスウェーデンだとかユーゴスラビアとかアメリカ、いろいろたくさんあると思うのですが、一応そういう比較をしてみても、これは一概に比較できないのだというようなお話がいまありますけれども、やはり国際的に見ましても、いまの四十というのは、事実全部が四十ではないにしても、そういう基準というのは常識外れだと思うわけで、特に先ほど質疑の中に出てきた一九六一年の勧告というのがあるようですけれども、これなどは、文部省としてはどういうふうに受けとめておられるのですか。
○三角政府委員 これは一つの勧告でございますので、私どもとしては、全体をよく見まして、私どもにとって有益なところは参考にさせていただきますし、それから、日本の状況に合わないところは、これは勧告でございますので、必ずしもそれのとおりにできない部面もございましょうと思います。私も、ただいま突然の質問で、全部内容を、最近改めて目を通しておりませんのでなんでございますけれども、希望するすべての子供をどうしても就園させなければいけないというトーンであったかどうか、若干私どもの考えと必ずしも一致してない面もあったかというふうに思うのでございます。
○長谷川(正)委員 特にこの国際公教育会議の勧告の中の一つに、教師一人当たりの子供の標準的な数は二十五名を超えないことが望ましいというのがありますね。これも日本に合わないというようにおっしゃるのですか。
○三角政府委員 これは、望ましいということは、教師一人が世話をする子供たちが、特に幼児の場合は、少しでも少ない方が望ましいということは私もそうだろうと思います。ですから先ほども、そういうことはだんだん理想に近づけるという意味でどなたにも異論がないし、どなたも考えることではないかという気がするのでございまして、そういうことを申し上げたのでございます。ただ、ここはこういう教育とか福祉の部面について論ずる場でございますけれども、社会的にどの分野にどれだけのエネルギーなり、あるいは日本社会の資産なりをつぎ込めるか、こういうこと等のかかわり合いも出てまいりましょうから、現実問題としては、先ほど来御答弁したようなことになるわけでございます。 なお、ちなみに、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、三十六人から四十人というクラスが一九・五%でございますが、そうして、非常に遺憾でございますけれども、設置基準を上回って、四十一人から上のものが公立で一・五%ぐらいあるのでございます。学級数にして約三百学級弱でございます。ですから、私どもの設置基準は四十人以下、こういうことで、それを最低必要基準としておりますが、現実はそういうことですから、約八〇%ぐらいの学級は三十五人以下になっておる、こういうことでございますので、設置基準はだから最低ですから、それでいいというものでない、こういう認識でやっておるということは先ほど来申し上げたとおりでございます。
○長谷川(正)委員 非常にガードのかたい局長、最後やや前向きの御答弁だったと思いますから、ひとつそういう方向でぜひ努力を願いたいと思います。 最後に、では、大臣と提案者に一つずつ質問して、私の質問を終わりたいと思います。 まず提案者には、いま主として文部省と私のやりとりを通し、お感じになっている点、特に本法案は十分ではないと思いますが、私は、ぜひこの程度のところまでは第一段階として一歩前進をさせたいという気持ちでは全く同感でありますが、その点で御提案には敬意を表しておりますが、質問の最後に、いままでの討議を通じての提案者としてのお考えをもう一度伺いたいと思います。
○中西(績)議員 文部省と質問者の、長谷川委員とのやりとりを聞いておりまして、私は大変憤慨を覚えるものであります。前々から何回か申し上げましたけれども、余りにも劣悪な実態にあるために、改善には予算の面に困難があることを承知です。しかし政府は、教育は国家百年の大計と言い、最重要施策であるということは総理大臣以下みんな言っているわけです。しかも非行あるいは暴力問題などが出てくると、その責任は他に転嫁をし、絶えず、こうした幼児教育は大きな影響があるということを明らかにしておりながらも、これに対する答弁たるや、木で鼻をくくる答弁にしかなっておりません。したがって、だれも反対はないはずなんですから、要は、政府に積極的にやる気があるかどうかということがこれを決定づける大きな要因になってくると私は思っております。そうした意味で私は、先ほど概算要求をした点については単純計算になりますから、人員で約二万二千人程度、政府は三万八千人程度と言っておりますけれども、大きな差があるわけです。金額面でも約三百億近くの差がある。しかし、その基準は何も示しておりません。何を基準にしてそうした計算が出されたのか。ですから、そうした面をわれわれにわかりやすく提示をしながら、その中身をどこから解決していくかという、そうした積極方針がなければ、いつまでたっても、今後二十年たとうと三十年たとうと、これは何ら解決を見ないことは明らかであります。そうした点からいたしまして、ぜひ一つでも手がけるというやる意思があるのだということを示していただくこと、このことが一番大事ではないかと思っております。 そうした意味での一つの足がかりとしてこれを出しているわけですから、この点を十分勘案されんことを強く要求申し上げまして、私なりの決意なり、そして、これを提案しました最も重要な点についての答弁にかえたいと思っております。
○長谷川(正)委員 よくわかりました。ありがとうございました。 最後に大臣にお尋ねします。と同時に要望をいたしたいのであります。 一つは、大臣に、いま中西委員も申されましたように、幼児教育の、特に今日的な青少年の状態等も、その遠因するところがここにあるというようなことも含めて、また、いわゆる就園児が今後減っていく傾向にあるから、施設あるいは編制、そういうものを充実するチャンスが来ているということもありますから、そういう意味で、ぜひひとつ積極的御決意をいただきたいということが一つ。 最後に私、申し上げたいのは、先日甲子園で高校野球の開幕式に大臣がおいでになりまして、さっそうと始球式に御出場なさり、特にその席での大臣のごあいさつを聞いた方の何人かから、大変りっぱなごあいさつがあったという大変うれしい報告も、私自身伺えなかったのですが、聞いております。甲子園にわざわざおいでになったということは、従来の慣例もあると思いますが、これは結構だと思います。同様に、先ほど佐藤委員からるる訴えがありましたが、どうかこういう保育問題、幼児教育問題が国会の大きな一つの討議の場を得た時期、直接幼稚園においでになってその現場で、保母の皆さんといいますか保育所なら保母さん、教諭の皆さん、そういうところから、どんな奮闘をされておるか、養護教諭のいらっしゃるところはどうなっているか、事務職員が配置されているところはどうなっているか、用務員もちゃんと整備されているところはどうなっているか、そういうものが全くないところではどんな苦労をしているか、こういうような生々しい実情に——常に行政の責任に立たれたときは、これは幼稚園だけではないと思いますけれども、幼稚園についても、特にきょうこういう焦点の当てた討議が行われた時期に、ぜひひとつそういう機会をお持ちいただきますように心から要望いたしまして、私の質問を終わります。
○小川国務大臣 先ほど来いろいろの御質疑に接し、また御意見を承ったわけでございまして、提案者の御熱意に対しましては敬意を払うのにやぶさかでございません。ただ、政府委員からも私からも答弁申し上げましたように、御期待に沿うようなお答えのいたしかねることをまことに遺憾に存じております。教育の現場の実態を自分の目で見るということは、非常に大事なことと心得ておりまするので、幼稚園につきましても現場へ出向きまして実情を視察し、かたがた教職員等のお話も承るということを、この場でお約束を申し上げます。
○長谷川(正)委員 ありがとうございました。終わります。
○青木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時十三分散会 ————◇—————