物価問題等に関する特別委員会 第9号
- 発言数
- 227 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1982/08/10
会議録
○武部委員長 これより会議を開きます。 物価問題等に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栂野泰二君。
○栂野委員 きょうは、私は、電源三法に基づく交付金についてお尋ねしたいと思いますが、初めに、この交付金の中の電源立地の促進対策交付金というのがございますね。これは、この電源三法ができてからいままでどのぐらい出ているのか、年度別に金額を説明してください。億単位で結構です。
○川崎政府委員 お答えさせていただきます。 現在の電源開発特別会計の中の立地勘定、その中にございます交付金関係でございますが、交付金関係は、年度別に四十九年度から申し上げますと約十億、それから五十年度が九十九億、五十一年度百四十三億、五十二年度百二十七億、五十三年度百三十二億、五十四年度百八十億、五十五年度で二百四十八億ということでございます。
○栂野委員 五十六、五十七年度はまだ決算が終わっていないかもしれませんが、予算の額で言ってください。
○川崎政府委員 五十六年度はまだ決算が出ておりませんので、予算のベースでございますが、五十六年度は三百九十七億、五十七年度は三百七十九億、そういう勘定になっております。
○栂野委員 かなりの額が出ていますが、特にこの数年の伸び率が非常に大きくなっておりますけれども、一体この促進対策交付金というのは何のために出すのか、この制度の趣旨を説明してください。
○川崎政府委員 電源立地対策交付金と申しますのは、実は電源立地、これを円滑に推進するというのが、国民経済あるいは国民生活の向上という見地から見まして、きわめて重要な国策となっております。 ところが、一方におきましては、電源立地の推進というのが原子力発電を中心といたしましておくれぎみであるという事実もございます。そういうことで、事業者の立地努力を側面から援助する、そういうことによって電源立地を円滑に進めていくというために、地元において公共用施設等を整備するために要する費用を、交付金として交付するものでございます。
○栂野委員 公共用施設を整備することによって、どうして電源立地が促進できるのですか。
○川崎政府委員 電源立地、これはプロジェクトといたしましては非常に大規模なプロジェクトでございまして、地元の経済あるいは地元の生活、そういったものに非常に大きなインパクトを与えるものでございます。しかしながら、相対的に見ますと、電源立地は、地元へのたとえば雇用促進、そういった相対的なメリットというのは乏しい。しかしながら、国の電力の消費需要というものを賄うためには電源立地を進めなければいけない。そういうことで、要するに地元の地域振興、そういうことをこの電源立地の推進と並行して国としても協力していく、そういうことで電源立地の円滑化を図っていくということでございます。
○栂野委員 雇用促進のメリットがない、雇用効果が少ないということですけれども、大体、原発の立地町村というのは御存じのように過疎地、漁村地帯ですから、雇用効果の少ない企業だって、みんなもろ手を挙げて賛成なんですよ。なぜ原発だけが嫌われるのか。これはもうとにかくはっきりしているとおり、原発の安全性に対する不安がある、あるいは公害問題があるということで、雇用効果の問題とは私にはどうしても考えられない。もし雇用促進をするのだったら、たとえば、この原発をつくる電力会社の関連の産業をその市町村に持ってくるというふうなことだって十分考えられると思いますね。これならわかるんですよ。だから結局、その雇用効果が少ないからその点を考慮して交付金を上げる、しかもこれは公共施設をつくるという、非常に回りくどいやり方で、要するにずばり言えば、安全性に対する不安があり、公害問題が出るから、原発立地はなかなか嫌がられてできない、だからそのかわり金を上げましょう、金を上げるから、何とかがまんして立地に応じてくれないか、こういうことじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
○川崎政府委員 電源立地交付金、これは原子力発電以外の発電地点にもやはり出しているわけでございますけれども、一般的に申しまして、雇用効果が乏しいということ以外にも、事業が大きいということがございまして、地域社会にいろいろなインパクトを与えます。 それから、なるほど先生御指摘のように、直接に企業を持ってくるということも一つの案でございますけれども、実はこういう過疎地帯、いわゆる企業を持ってくるにしても、その社会基盤といったものが十分整っておりません。ここにございますような交付金を交付することによって、そういった基盤整備を図って、その上で産業もそこへ来やすいようにする、実はこの交付金の使い方の中には、そういうふうな形で使えるようなことも考えております。特に本年度からは、その使途をそういった産業用の、たとえば工場団地とかそういったものにも使途を広げるということで、先生も御指摘になりましたように、こういう過疎地に企業を導入してくるような、そういったインセンティブもこの電源立地交付金で認めていくという方向をとっております。
○栂野委員 ところで、五十六年度から促進対策交付金の上に原発施設等周辺地域交付金という名前の交付金ができましたが、簡単に、この交付金の内容と、それからなぜこういうものをつくったか、その制度の創設の趣旨を述べてください。
○川崎政府委員 御指摘の原子力発電施設等周辺地域交付金でございますけれども、この交付金は、国から都道府県に交付されるものでございます。そして、この交付金によりまして、都道府県は二つの事業、どちらかを選択するという形になっております。一つは、原子力立地給付金交付事業を行う者に対しまして補助金を交付する、もう一つは、企業の導入、産業近代化事業を実施する、このどちらかを都道府県がやるということでございます。 そして、さきに申しました原子力立地給付金交付事業、これは現在、財団法人日本立地センターが、都道府県からの補助を受けて給付金の交付事業を行っております。
○栂野委員 いま日本立地センターとおっしゃいましたね、ここのところをもう少し具体的に述べてもらいたいのだけれども、要するにこれは電気料金の割引じゃないですか。そこのところを、どういう形で交付金を交付しているのか、述べてください。
○川崎政府委員 この交付金でございますけれども、交付事業は、先ほど申しましたように、財団法人日本立地センターが実施いたしております。しかしながら、実際の給付金の支払い事務は各地域の電力会社に委託しております。そういたしますと、各電力会社は、原子力発電施設等の周辺の地域の住民あるいは企業等に対しまして、毎月原則として電気料金の徴収の際に、電気料金との差し引きという形で給付金を交付いたしております。
○栂野委員 住民と企業に幾らずつ交付金をやるのですか。
○川崎政府委員 これは電気出力によって違ってまいりますけれども、住民の場合には、一カ月一戸当たり三百円ないし九百円でございます。それから企業に対しましては、これも設備能力、つまり出力によって違ってまいりますけれども、契約キロワット月当たり七十五円から二百二十五円ということになっております。
○栂野委員 国が住民に一カ月当たり三百円から九百円の交付金をやるというのだけれども、その交付の仕方は、電力会社が電気料を徴収するときに請求書の中で差し引くわけでしょう。たとえば一万円の電気料を払う人だと、三百円だとすると九千七百円ですか払うわけです。見ると、一万円払うべきところを三百円差し引いてあるわけです。これはどう考えたって電気の割引料ですよ。その住民から見れば、たとえば私は島根県だが、これからお話しするけれども、鹿島町に島根原発がある。中国電力から毎月電気料金の割引を受けているというふうにしか考えないのです。これは実質は電気料の割引ではないですか。いかがですか。
○川崎政府委員 原子力発電施設等周辺地域交付金でございますけれども、これは原子力発電施設の設置の円滑化を図るという趣旨から、電源三法に基づきまして予算措置を講じて、国が実施している措置でございます。したがって、全く電気料金とは別のものとして交付される。したがいまして、いわゆる電気事業法に基づく電力会社が供給する場合の電気料金システムとは、全く別個のものとわれわれは考えております。 それで、実際上、ただいま先生が御指摘のように、また私が御回答申し上げましたように、電気料金徴収に際しまして差し引きして交付いたしておりますけれども、これは交付事業を電力会社が委託を受けて、その交付の手段としてこういう形をとっているということでございまして、電気料金の割引ではございません。
○栂野委員 それが全くこじつけでして、大体この制度のもともとの起こりは、一昨年ですか電気料の値上げがあった。東北電力の方が東京電力よりも高い。しかも、東北電力の管内には東京電力の原発立地がたくさんある。その住民が、何でこんなことになるんだ、まけてくれ、こういう動きがあったのでそれにこたえたということが、通産が出しているものにたくさん書いてあるでしょう。制度をつくった趣旨はそうなんです。 じゃ、なぜずばり割引料にできないかと言えば、要するに電気事業法の十九条に、電気料金の差別的取り扱いをしてはならぬとあって、電気事業法にひっかかるから交付金だ、交付金だとおっしゃっているけれども、どう考えたって実質は電気料の割引でしょう。それを割引料と言わないのは電気事業法があるからで、これは脱法行為ですよ。なぜそこまでしてこういうことをしなければならぬのですか。 さきにお聞きした、公共施設をつくってやるということで、自治体に交付金を交付するわけですね、これならまだわかるけれども、こうなってくると、原発立地の住民に対する個別的な利益誘導ですよ。こんなことをやったら、原発の安全性論議なんか吹っ飛んでしまう。これは本来の電源三法の制度の趣旨から私は逸脱していると思う。こんなことはやめるべきじゃないですか。いかがでしょう。
○川崎政府委員 確かに、電気事業法には電気料金の設定の基準というのが書いてございまして、原価主義と公平の原則、ただいま御指摘になりましたように、不当に差別的な取り扱いをするような料金を設定してはいけないと書いてございます。したがいまして、われわれとしては、電気料金というものについては、そういった公平の原則を逸脱するような料金制度の設定を電気事業者に対しては認めておりません。 しかしながら、ここにございます原子力発電施設等周辺地域交付金というのは、国が予算措置を講じて実施いたします交付金でございまして、電気料金とは全く別個のものでございます。 われわれといたしましては、大規模な電源、特に原子力発電の電源立地を円滑に進めていくために、地域経済とのあるいは地域の住民の方々との理解と協力を求める、そういった意味で、地域住民の方々にもメリットを差し上げるというふうなことも考えていかないと、なかなか電源立地の円滑な推進はできないということで、この交付金を五十六年度から創設したものでございます。
○栂野委員 形式論理的にはそういうことが言えるかもしれませんが、実質は電気料の割引じゃないのですか。これも認めないのですか。電気料の割引と言っちゃいかぬから、形式論理的に交付金ということでつじつまを合わせているだけじゃないですか。こんなことが世の中に通りますか。こんなことで裁判をやったら間違いなく敗訴ですよ。理屈が通らない。 一体この交付金はいつまでやるつもりですか。これからずっとやるのですか。 それから、金額は五十六、五十七で幾ら出ていますか、この電気料割引相当分は。
○川崎政府委員 本制度につきましては臨時的な措置ということを考えておりまして、六十年度着工いたします原子力発電施設までということを考えております。 それから五十六、五十七年度、ちょっと数字を調べさしていただきます。(栂野委員「概算でいいですよ」と呼ぶ)失礼いたしました。五十六年度は三十億でございます。五十七年度は六十四億と いうことになっております。
○栂野委員 もう一回確認しますが、そうすると、六十年度着工の分までは原発の立地の地域及び隣接地域にやる、六十年度以降着工分についてはもうこういう制度はやめるということですか。
○川崎政府委員 現在の制度ではそのとおりでございます。
○栂野委員 繰り返すようですが、六十年度着工まで待たないで、再検討して、こんなものは直ちにやめてくださいよ。こんなことまでして何で金を落とさなければならぬのですか。とにかく自治体どまり、個々の住民が原発立地を引き受けたからということで得をするようなこういう制度は、国がやるべきじゃないですよ。 もう時間がないから先に進みますが、こういう交付金は電源開発促進税、これが財源ですね。これはみんな結局は消費者にはね返ってくるというシステムになっている。その電源開発促進税について、どうもまた値上げをするのじゃないかという報道が盛んに行われておりますが、一体そういうことを考えているのですか。
○川崎政府委員 現在、電源開発促進特別会計に基づきます電促税を財源といたしまして、先ほどから御説明いたしておりますような電源立地勘定では、電源立地の円滑な推進に資する施策をいろいろ実施いたしておりますし、もう一つは電源多様化勘定というのがございまして、ここでは電源の脱石油化あるいはその多様化、つまり、原子力であるとかLNGであるとか石炭であるとか、その他水力、地熱、つまり石油以外の電源を推進していくという目的のためにいろいろやっておるわけでございます。そして、こういった点についての政策ニーズというのは非常に高まってまいっておりますけれども、一方におきまして、特別会計全体の税収は、電力需要の伸び悩み等の理由もございまして、歳出入のバランスの悪化が来年以降見込まれるというのが実態でございます。 したがって、現在、われわれといたしましては、今後とも、適切な電源立地政策あるいは多様化政策といったものを推進していくという施策の必要性を十分吟味するとともに、その歳出面では厳しい中身の見直しというのを実施しておりますが、それと同時に、所要の財源確保策をどういうふうに進めたらいいかということを検討している最中でございます。
○栂野委員 この電源多様化勘定の中身はまだまだ検討の余地があるのですが、これはきょうはさておいて、いまの周辺地域交付金にしても、五十六年度三十億、五十七年度六十四億、五十八年度はまたふえていくでしょうね。そんなものを出していれば財源が足らなくなるのはあたりまえの話ですよ。 そこで、いまおっしゃったようにこの特別会計が苦しい、だから本当に促進税を増税したい、こういう意向を通産は持っておられるのですか。 いろいろな書き方があるのでわからないのだが、いま一キロワット当たり三十銭ですね、これを五十銭に引き上げたいというふうに書いてあるのもあるし、四十八銭ぐらいですか細かく書いてあるのもある。これはどうなのです。
○川崎政府委員 先ほども申しましたように、所要の財源の確保策というのを検討中ではございますけれども、まだその歳出面の方の中身もいろいろと見直し、あるいは検討を行っているところでございます。 ただ、電促税の引き上げという問題は、消費者への影響ということも十分配慮しなければならない問題でございます。したがいまして、どういうふうな財源の確保を考えるかという点につきまして、その具体的内容に関しましては、施策の必要性であるとか、あるいは需要家への影響であるとか、さらには電力会社の経営状況、こういった諸事情というものを総合的に勘案しながら、慎重に検討してまいりたいと考えております。
○栂野委員 その支出を減さない限りは、いまみたいな調子でどんどん出していたら、財源は足らなくなるに決まっています。財源はいろいろ考えるとおっしゃるけれども、この促進税以外の財源を考えているのですか。そうじゃないのでしょう。だとすると、値上げするかどうかの話だ。だから、値上げする意向を持っているかどうか。それを答えてください。
○川崎政府委員 現在、私どもとしましては、まず歳出の中身をいろいろ吟味してみるという作業を進めている最中でございます。したがって、それが終わりました段階で、具体的にどういうふうな財源確保策を考えるかということを検討してまいりたいということでございますので、まだ電促税の値上げというところまで、つまり要求としてそういうところまで踏み切った状況ではございません。
○栂野委員 この促進税は、納税義務者は電気事業者とちゃんと促進税法に書いてあるけれども、これはもう実質は電力消費者ですね。これはもう大衆課税であることは間違いない。 大蔵省、見えていますね。御存じの行政改革、第二臨調の基本答申も出ましたが、もし通産が、こういう三十銭から五十銭へという大幅な電源開発促進税の引き上げを求めているというふうなことになると、どうなりますか。大蔵省、ちょっと見解を聞かせてください。
○浜本説明員 新聞等によりまして、通産省が電源開発促進税の税率引き上げを検討しておられる由は承っておるのでございますけれども、具体的な内容につきましてはまだ全く説明を受けておりません。先生のお尋ねではございますけれども、現段階で大蔵省としてどうかということは、ちょっとお答えを差し控えたいと存じます。
○栂野委員 これは絶対だめですよ、こんな安易な考え方をとったのでは。支出の中身を再検討してください。 それからもう一つ、これもやはり新聞に出ておるのだけれども、交付金の支払い対象を拡大する、こういうことも考えているのですか。この点はどうです。
○川崎政府委員 現在、電源立地対策交付金等の交付金につきましては、それぞれ使途が明確に定めてございまして、これに対しては、電源地域の地元の市町村等からは、その使途の拡大について非常に強い要望がさまざま出ていることは事実でございます。したがって、われわれはそれを検討はいたしておりますけれども、まだそれを拡大するかどうかということを決めたわけではございません。
○栂野委員 いまのような財政事情の中で、さらにたとえば、地域なり何なりこの交付金をやる対象を拡大していくなどということは、もう絶対やめてもらわなければ困る。時間もあれですから先へ進ませてもらいますがね。 ところで、こういう国の交付金がある、しかもその中身は大変問題がある。その上に、今度は、電力会社が任意に、自主的に、電源立地を促進するために地元対策をやって金を落とすというのです。これを協力金と呼んでいるようでありますが、一体、この協力金の実態について資源エネルギー庁は正確に把握しておりますか。
○川崎政府委員 ただいま御指摘の協力金でございますけれども、この協力金というのは、電力会社が地域社会の一員といたしまして地域との共存共栄を図る、それを通じて電源立地の円滑化を進めていくということで、自主的な営業活動の一環として支出するものでございまして、これは非常にさまざまな形で、しかも地域の実情に応じまして機動的に支出されているというのが実態でございます。 われわれといたしましては、この協力金につきましては、必要に応じまして、たとえば地元の調整等がどの程度進んでいるかということを聞いたりする場合とか、あるいは私どもが行います監査等を通じまして、その実態を把握する努力はいたしておりますけれども、日常的に協力金のすべてを把握しているということではございません。
○栂野委員 これは五十七年の七月十四日の朝日新聞の西部版なんですが、これに最近の原発をめぐる協力金一覧表というのがあります。四十七年から五十七年までの間に総計で五百三十三億一千万円出たように書いてある。しかしこれは、私が見ただけでもこんなものじゃないのですね、大分落ちているのがありますから。国の電源三法に基づく交付金と同額あるいはそれ以上出ている、こういうふうに言う人もいるわけです。これは大変問題があるのですよ。通産省は、この協力金の内容について公表を求めても、いままで一切応じたことはないですね。なぜですか。これは公表したらいいんじゃないですか。その理由を述べてください。
○川崎政府委員 協力金、これは先ほども申し上げましたけれども、電力会社が電源立地等を行っていく過程で、営業活動の一環として地域の実情に応じて支出するものでございます。したがって、先ほども申しましたようにさまざまな内容のものでございまして、こういった協力金の内容をすべて一律に公表するということになりますと、立地点への影響あるいは地元調整への影響等がございますので、こういったものを勘案いたしますと、好ましくないとわれわれは判断いたしております。
○栂野委員 この協力金の実態がどういうものかわかれば、私どもが公表を求める気持ちがよくわかっていただけると思うのです。私、こういう問題で地元の例を具体的に取り上げるというのは本意じゃないのですが、しかしあえて、この問題点をはっきりさせるために、一つの地元の例を取り上げてこれからお聞きします。 私は島根選出でございますが、島根県の鹿島町に、御存じのように中国電力の島根原発というのがございます。この間、この鹿島町の庁舎の建設に絡んで、大体予算が十二、三億、そのうちの八億四千万円を中国電力が寄附をした、協力金を出す、こういう問題が明るみに出まして、いま地元では大変な批判を浴びているのですが、この問題について私、あらかじめ調査を通産省にお願いしておきましたが、どういう経過か、要点を述べてください。
○高沢説明員 私どもが承知しているところでは、鹿島町はかねてから老朽庁舎の建てかえ構想を有していたと承知しております。その後、鹿島町におきましては、地域の住民の福祉の向上といった観点から、公共用施設である学校その他の建物を優先して建設をしてきたということでございましたが、昨年町制施行二十五周年を記念いたしまして、この庁舎の建てかえ構想を具体化したということに伴いまして、中国電力に対しまして協力要請があり、中国電力から協力の意向を示したというふうに承知しております。
○栂野委員 いま島根原発一号機が動いておりまして、二号機が建設計画に入っていますが、大体どういう進行段階にありますか。
○川崎政府委員 島根の二号機でありますが、これにつきましては、八十二万キロワットのBWRでございまして、去年の三月電調審を通りまして、五十六年度の電源開発基本計画に組み入れられております。そして、現在のところでございますが、五十六年八月に出されました原子炉設置許可申請、これに基づきまして、現在通産省で安全審査を実施しているというのが現状でございます。 それ以外に、別途電力会社の方におきましては、漁業補償交渉と用地交渉を進めておるというところでございます。
○栂野委員 この二号機については、安全審査もまだこれから、漁業補償交渉もこれから、こういう段階ですね。 そこで、この島根原発の問題につきましては、昨年一月にも中国電力の協力費で大変問題が起こったのです。鹿島町に原子力対策協議会というのがつくられまして、メンバーは町長、助役、収入役、町会議員九人が入っている。その協議会の目的は、原発についての健全な知識の普及と啓発を図る、こうなっているのですが、要するにこれは、中国電力から協力金をもらうためにつくった団体と見ていいだろう。ここに中国電力が三千二百万円寄附をした。原発地域の視察費という名目ですが、三千二百万円ですよ。結局何をやったかといいますと、町会議員さんたちが地域の住民を連れて、原発先進地域というのですかの視察をやったことはやった。しかし、たとえば東海村へ行った組は、貸し切りバスで行きまして、原発の見学は三時間だけ、あとは水戸の借楽園へ行って、その日は鬼怒川温泉泊まり、翌日は日光見物をして、それからその日は東京に泊まって、バスで帰ってくる。佐賀県の玄海原発組は、見学は二時間、嬉野温泉泊まりで、翌日は太宰府天満宮などを見物して帰った、こういうことなんですね。旅費はもちろん、この協力金の中から日当も出ている、一日千五百円。各地に行っているのですが、大体二泊三日から四泊五日という、要するに観光旅行です。 しかも、三千二百万円という金が中国電力から渡ったタイミングの問題がある。これはまさに、いま問題になっている原発二号機の設置について地元の鹿島町議会の同意決議がどうなるのか、その寸前です。さすがに、この問題について地元では、これは贈収賄じゃないかということで告発が行われた、こういうことがあるのですね。そういう問題があった直後、また今度は、三分の二に当たる八億四千万円をぽんと庁舎に寄附する。出す方も出す方、もらう方ももらう方、こんな話があるか。いま地元では大変問題になっているわけであります。 いま私が申し上げた原発の視察旅行に行ったということ、三千二百万円、これも大体私が言ったことに間違いないでしょうね。いかがですか。
○川崎政府委員 原子力発電に対します健全な知識の普及……(栂野委員「事実は間違いないかと言っているのですよ」と呼ぶ)三千二百万という金を電力会社が負担したということは、そのとおりでございます。
○栂野委員 通産省は公表されないから、地元関係を言いますが、これだけは確認してください。これは間違いがあったら間違いと言ってください。 四十六年の二月に、鹿島町に対して、河川の改修事業の協力金ということで一億五千万円、それから同じときに、今度は島根県にも、県道の改修事業の協力金七千万円、四十九年、鹿島町東小学校の建設費の一部五千万円、五十三年の四月、片句という漁協があるがそこの漁業振興資金として二千万円、それから五十五年の三月、鹿島町の武道振興会というのを通じて武道館の建設費として五千万円、それから五十五年から五十六年にかけて、県道御津恵曇港線ですね、それから片句の漁港整備事業、こういうことで鹿島町に二億二千六百万円、島根県に二億六百万円、それから五十五年の十一月、町文化財保護協会というのを通じて、地元の佐太神社というお宮があるが、これの再建造営費二千万円、それらと、いま申し上げました原発視察費の三千二百万円と鹿島町の庁舎建築費の八億四千万円、これは合計で町関係が十三億八千八百万円、県に二億七千六百万円、トータルで十六億六千四百万円やっているのです。 この庁舎の建築費の協力金に絡んでも、中国電力側あるいは鹿島町側は、島根原発一号機については時期がおくれたために電源三法による交付金の対象にならなかった、そこでそのかわりにもらうのだと言うのです。それで、仮に一号機について電源三法の適用があるとしますと、いまの計算方式だと十四億四千九百万円になるようですね。大体金額は似ているのです。だから、これも、電源三法ができてその交付時期が決まるのに伴って、実際は一号機は対象にならなかったが、もしそれをさかのぼって、中国電力がそれに見合うものを上げてもいいだろう、町ももらってもいいだろうということになれば、これまた電源三法の脱法行為ということになってくる。 ともあれ、これだけの金が出ているのです。いま私が言いました朝日新聞の西部版ですと、島根関係は八億四千万しか書いてないのです。しかし、私がいま申し上げたのは十六億もある。ですから、日本全体では朝日が言っている五百三十三億なんていうものじゃない、もっともっと協力金は多額に上っている、こう私は見るわけです。 確認しますが、いまの私が申し上げた島根県、鹿島町関係の中国電力からの協力金について、どうですか、間違いありませんか。
○高沢説明員 中国電力から事情聴取しましたところ、いまおっしゃった数字に間違いないと承知をしております。
○栂野委員 この問題につきましては、地元のマスコミでも大変関心が強い。すべて批判的ですよ。ひとつ読みますと、七月九日の中国新聞、こういうふうに書いております。 不利益施設の見返り施策を全面否定するもの ではないが、今回の協力金支出には釈然としな い要素が多い。第一に、金額のあまりの大きさ。 第二に、鹿島原発が2号機計画に向けて行政手 続きのヤマを越し、関係漁協との補償交渉を進 めているタイミングの問題。第三に、庁舎新築 は町当局、町議会など意思決定機関への恩恵が 大きいという性格の問題。第四に、以前からの 約束だったが公式に示されたのは六月町会、多 くの町民には報道が初耳だった事実である。 同原発にからんでは昨年も、原発対策会議へ の中電の視察旅行費寄付が「贈収賄に当たる」 として反原発団体の告発を受けたいきさつもあ る。地元協力への節度と透明度の保持につい て、この際、当事者に決意の再確認を望みたい。 その意味で、今回の庁舎建設協力金の是非 を、改めて町民レベルで論議し直してはどう か。また、反原発団体が要求している原発立地 促進寄付内容の全面公開にも応じてほしい。一 般消費者としてもその内容を知りたいからであ る。こう書いているのですね。これが、原発の是非、賛成、反対の立場は別にしまして、国民、地域住民の良識ある人たちの意見を代表するものだと私は思うのです。これは島根原発には限りませんよ。みんなしているのです。 こういうものは、大体何に、どれくらい出されて、どんなことに使われているか。本来、原発は真剣に安全性論議をしなければならぬのですよ。しかし、もうそれは越えてしまって、言ってみればこれは買収ですよ。しかも、それが全部国民の方に電力料金という形ではね返ってくるというシステムになっている。電力会社は一銭も腹は痛まない。だから、協力金の内容について全面公開を求める。これは一般消費者の立場からすれば当然だと思うのです。通産省はどうしても、この公開問題には踏み切るということはできませんか。
○川崎政府委員 先ほども御答弁申し上げましたけれども、この協力金は、電力会社が自発的な営業活動の一環として実施するものでございます。これを一律に公開いたしますと、他地点への影響、地元調整に及ぼす影響等がございますので、われわれとしてはこれを公開することは望ましくないと考えております。 ただ、電力会社がみずからの判断によりまして公開に踏み切る場合は、それはむしろ電力会社の問題だというふうに考えております。
○栂野委員 電力会社に強力に公開するようにという指導をしませんか。
○川崎政府委員 先ほど申しましたように、現在のところ、われわれといたしましては、地域のさまざまな実情に応じて支出される協力金でございますので、その内容をすべて一律に公表するという点については好ましくないと判断いたしております。
○栂野委員 自治省、お見えになっておりますが、私、いま社説を読みましたけれども、この庁舎というのは、町当局、町議会など意思決定機関への恩恵が大きいという性格がある。それに、その三分の二の八億四千万円も中国電力からもらうということになれば、町当局、町議会は頭が上がらないのですね。これから大事な時期を迎えて、町民の意思を正確に反映していかなければならない町長、町議会が頭が上がらないという問題があるのです。こういう庁舎に限らず、電力会社が原発立地の町村にじゃんじゃん金を落としていくという問題、自治省等は一体どう考えておられますか。
○中島説明員 お伺いしておりますと、いろいろな形でいろいろな寄附金が出ておるようでございますが、それが地域でどういうふうな理由で受け入れられるかということにつきましては、それぞれの市町村の方で十分御議論いただいてお決めいただくべき問題だというふうに考えております。
○栂野委員 まあ、おっしゃる意味はよくわかるのです。確かに町自体が考えなければいかぬ問題ですよ。これが一体どういうことかということは、町民が決める。これは基本的にそうでしょう。しかし、ここだけじゃない。全国至るところでこういった問題が起こっておりますから、自治体が本当にこれでいいのかということを、自治省としてもこれを契機に再検討していただきたい。しかるべき指導をすべきものがあれば指導するようにしていただきたい。要望しておきます。 とにかく、最初に申し上げましたように、原発立地というのはどこも過疎の漁村ですよ。地方財政も苦しいし、住民も経済的に楽じゃないですよ。しかも、本来は純朴な人たちですよ、漁民にしろ農民にしろ。そこに原発立地が行われる。いままで見たこともない札びらをじゃんじゃん切られれば、これは金の魔力ですよ、迷うのはあたりまえですよ。しかも、電力会社のふところは一つも痛まないのですよ。結局は全部電力料金の原価に入れることになっておるわけでしょう。それは電力会社だって出さぬにこしたことはないとは思うかもしらぬけれども、要するに自分の企業のふところが痛まない。しかも、いままでの公共施設に対する交付金にしたって、電源三法に基づく国の交付金が行われて、同じようなものに、今度は中国電力が協力金という形で出して屋上屋を重ねる。じゃ、何のために電源三法なんかつくる必要があるんだ。それなら各電力企業に勝手にやらしたらいいじゃないですか。それをやめて、電源三法をつくって交付金の制度をつくったというなら、今度は、めいめい勝手に各電力企業がやる交付金はやめさせなければならぬ。まして、個々の住民に金をばらまくというふうなことを絶対にやらしてはいかぬですよ。 いま申し上げた原発視察だってそうですよ。これじゃ人の心は退廃してしまう。住民側から言えば、たかりの功罪というのが出てくるでしょう。今度はやる方から見ればどうかと言えば、おごりの構造というか、あいつらは金をやれば何でも言うことを聞くんだ、こういうことになる。真剣な原発に対する安全論議なんかどこかに吹っ飛んでしまう。全国各地でこういう状況があらわれている。これは腹立たしいというか悲しむべきことというか、いまそういう状況が出ている。だから、私はあえてきょう質問をしたわけです。 繰り返すようですけれども、通産省も、この協力金の公表問題については、漁業補償で各地域の補償金が幾らというのを公表するとつり上げの対象になるということ、これはわからぬでもないですよ。しかし、漁業補償と協力金は違うのですよ。漁業補償は本来正当に補償しなければならぬ問題、しかも全国どこでも起こってくる問題です。しかし、協力金というのは違うのですよ。何の理由もないのです。ただ、早く原発をつくろう、金で懐柔しよう、そういうことで出ている。あの地域で庁舎が建ったから、あの地域に公民館が建ったから、おれのところにもくれというふうには必ずしもならない。そういう意味からもこれは公表して何にもおかしくない。しかも、交付金制度は国が持つならば、各電力企業に、協力金は規制せいという指導は当然していいと思う。 時間が来ましたから終わりますけれども、経企庁長官、せっかくお見えいただきましたので、長官は通産大臣の経験者でもおありになりますが、いま私が申し上げたとおりでございまして、結局これが電気料金という形ではね返ってくる。こういう金を使われて、それを全部自分たちが払うということになりますと、消費者から見ればたまったものじゃないです。物価担当大臣として、ひとつ最後に御意見を承って、質問を終わりたいと思います。
○河本国務大臣 電源開発のためのいろいろな協力金が出た場合には、設備投資で処理されておりますから、償却その他を通じまして、若干電気料金にはね返ることは御指摘のとおりだと思います。 ただ、電源開発、特に原子力発電開発というものは非常に大事な課題でございますので、いまおっしゃったように、電源開発の交付金だけでなかなか話が処理しにくい場合もございまして、いまお述べになりましたような若干の協力金が出ていくことも万やむを得ないのではないか、こう思います。 しかし、電力料金に反映することでもございますから、そこは節度を持ってやっていただきたいと思いますが、原子力発電の建設は非常に急がれておりますので、ある程度の例外は万やむを得ない、このように思います。
○栂野委員 終わります。
○武部委員長 次に、井上泉君。
○井上(泉)委員 最近、物価そのものが安定しておるということは喜ばしいことでありますけれども、物価の安定即国民のふところ勘定がよくなるということにはなっていない。いわゆる不況というものが国民のふところ勘定を非常にさびしく、また危険にしておるわけですが、その不況対策の一環として、公共事業の前倒しということが大きく取り上げられてやられたわけでありますが、公共事業の前倒し、現在、本年度ももう八月の中旬ということになったわけですが、これは当初の方針に沿うた行き方をしておるのかどうか。これは、一番公共事業関係の多い建設省の方から、その辺のことについて御説明を願いたいと思います。
○牧野説明員 お答えいたします。 建設省所管事業の発注状況のお尋ねでございますが、第一・四半期六月末の状況を申し上げますと、契約率が対前年同期比で二・八ポイント増の五〇・四%、また契約額で申し上げますと、対前年同期比四・二%増の三兆一千七百七十一億円、こういうことに相なっております。
○井上(泉)委員 それで、これが景気の回復へどれだけの波及効果を与えておる、どういうふうに御認識になっておるのかどうか、その辺のことを、全然ないのかあるのか。
○田中(誠)政府委員 公共事業の契約の状況は、ただいま建設省から話のあったとおりでございます。 地方につきましても、六月末現在で見ますと、公共事業等の契約割合は四一・八%でございまして、昨年が三九・五%でございますので、公共事業の契約は比較的順調に推移しているというふうに考えております。 その経済への波及効果でございますが、まだ年度が始まってそう時間がたっておりませんので、的確なところはわかりませんが、一部の地域ではすでに効果もあらわれているということでございます。今後も効果の波及が期待されるのではないかというふうに考えております。
○井上(泉)委員 そういう方針が景気回復に役立たそうとしてなされたことですから、その方針が功を奏していないとは言えないでありましょうけれども、たとえば公共事業で一番使われるセメント業界、セメント業界なんかも空前の不況だ、こう言われております。セメント業界が不況であるということは、必然的に石油の消費量も非常に低下してきているということで、公共事業の前倒しでやられてもまだ四・二%あるいは三兆程度ということになっておるわけなので、なかなかこれでは景気回復の刺激に、原材料を生産しておるセメントなどの大企業はもちろんでありますけれども、中小企業の公共事業に関連をする製品を生産しておる、たとえば建設資材等の業界というものも軒並み不況に苦しんでおるような状態ですが、これらにいつ波及効果が及んでくるか。もうすでに及んでおるとあなた方は理解しておるのですか。現実はそうじゃないのです。いかがですか。
○田中(誠)政府委員 建設資材の生産の状況を見ますと、確かに御指摘のとおり、前年同月比で見ますと、六月ではなお前年を二・三%ほど下回っているわけでございますが、ここのところの動きを見ますと、五月、六月と前月比では上昇しているわけでございます。 何分にも建設関係、公共事業を含めまして特に住宅が低水準でございますので、建設資材の動きは必ずしも力強いものではございませんけれども、このところ、前月比で見ると若干上向いているという状況かと思います。 ただ、御存じのとおり、契約と実施には若干のタイムラグがございますので、そういった契約の進捗が公共投資の実施に波及してまいりますには、なお時間を要するのではないかと考えておるわけでございます。
○井上(泉)委員 楽観的な見通しのようでありますけれども、決して楽観的な見通しは成り立たぬのではないか、私はこう思うわけです。 これは、この間の七日に通産大臣が、ことしの経済の成長率は一%台になるかもしれない、とても政府の五・二%はとんでもないことであって、三%に乗せればよい方、二%を下回るのではないかと心配しておると、経済閣僚として初めて成長率が一%台に落ち込む危険性を指摘している。それで、さらに、住宅建設の場合でも百三十万戸を目標にしたけれども、百十万戸くらいしかいかない、すると九月にはどうしても見直しの必要があり、財政負担があってもやる必要がある、こういう景気浮揚策というものを織り込んだ補正予算を成立させなければならぬ、こういうことを言われておるわけです。 これは通産大臣がそういう談話をしておるわけですけれども、もともと景気回復に熱意を示しておる河本長官も、早期に臨時議会を開くべきであるという論者であったわけです。経済成長率五・二%というのはどうも見込みがないじゃないか、こういうことは常々長官も指摘をされておったわけですが、現在の時点、この通産大臣の景気見通し、こういうようなものについての見解の発表に対して、大臣としてはどういうお考えを持っておるのか、承りたいと思います。
○河本国務大臣 いまの経済の特徴は幾つかございますが、一つは、物価が低位に安定をしておりますので、実質可処分所得が二年ぶりでプラスになっておるということ、これは当然消費にもいい影響が出てくるはずでございます。ただし、現状はいろんな要素が重なっておりますので、必ずしもそうはいっておりませんが、少なくとも実質可処分所得がプラスになったということは一つの大きな変化であろう、こう思っております。 それから第二点は、先ほど来お話しの公共事業の問題でございますが、現在政府としてとり得る唯一の景気対策は、公共事業の前倒しということでございますので、全力を挙げまして前倒しに努めてまいりました。当然これもある程度の効果が出てくると思います。 ただ一面、昨年の秋以降輸出がずっと減っておりまして、これが非常に厳しい影響を及ぼしております。単に輸出が減ったということだけではございませんで、このために民間の設備投資意欲が相当に減退をしまして、中小企業の設備投資は相当に減る気配が出ておりますし、大企業の方も、やはり設備投資の見直し、こういう機運が出てきております。 この輸出の減退、設備投資の見直し、これは、私が先ほど申し上げました実質可処分所得の増加とか、あるいは公共事業の前倒しとか、ここから若干の効果が出てまいりましても、これらを相殺いたしましてなお大きなマイナスになっておるのではないか、こういう感じがいたします。 ただし、詳細な数字につきましては目下検討中でございます。 最近、通産省も二十三業種につきましてヒヤリングをやられたようでございますが、非常に厳しい状態である、こういう結果が出ておるようでございまして、そういうことから、いまお話しの通産大臣の札幌発言ということになったのではないかと思います。 いずれにいたしましても、世界不況が最悪の状態であるという、そういう客観情勢の中におきまして、わが国の景気対策もいろいろな制約がございますので、思うようにこれがやれない、景気の状態は相当心配すべき実情になっている、このように判断をいたしております。
○井上(泉)委員 そういう心配すべき景気の状態に対して、さらに拍車をかけておるのが今日の円安ではないか、こう私は思うわけです。これが、アメリカの金利が高いから円安がおさまらないというような話をされたけれども、アメリカが金利を下げてもさっぱりおさまるような模様がない。今日、日本の経済が余りにも不況で、日本の経済そのものの力というものが非常に弱いというようなことが円安の大きな要素ではないか。そうすると、この円安が、いまのような状態の中で二百五十円台から六十円台、こういう状態に入ってきた場合には、これはさらに積極的な景気回復のための手だてを講じなければ、大変に日本経済の不況というものが深刻化していきはしないか。そのことは、大企業ならある程度の自己防衛ができるかもしれぬけれども、中小企業はとても経営が立ち行かぬではないか。これは、秋から暮れにかけて中小企業の倒産というようなもの、そして、倒産は引き続いて、雇用の場がなくなるわけですから、失業者の増大というようなこと等が押し寄せてきはしないか、こういう心配をされるわけなのですが、この円安に対する今後における見通し、それのもたらす景気への影響、それに対して政府としてとるべき景気回復策というものは、十月だとか十一月とかいうようなことではなしに、前々から言われておるような、少なくとも九月、十月へかけての景気対策を含んだ臨時国会というものをやられてしかるべきではないか、こういうように思うわけですけれども、大臣、どうですか。
○河本国務大臣 円安の問題ですが、私はやはり、一番大きな背景はアメリカの高金利だと思っております。アメリカ政府、金利は少し下がると言っておりますが、本当に下がるのかどうか疑問な点もございまして、やはりしばらくの間はアメリカの高金利はそう思わしく下がらないのではないか、こういう底流が私はあると思うのです。やはりアメリカの高金利というのが一番の原因だと思いますし、最近は中東情勢が非常に不安になっております。国際情勢が不安になりますとどうしてもドル高円安、こういう傾向が出てくるのです。 しからばそれだけかということになりますと、最近は、いま御指摘がございましたように日本の経済の非常な落ち込み、それから輸出の減少、日本経済そのものも世界不況の中にあって相当体力が弱っておるのではないか、こういう評価が当然あるように思うという御指摘でございます。なるほど、そういうお話を承りますと、最近日本の経済の体力が弱っておりますから、そういうことも当然背景としてはあるのではないか、このように思います。 そこで、いま政府のスケジュールは、九月早々、九月のごく初めにはいろいろな経済の動き等も明らかになりますので、それを見た上で、直ちにことしの後半、十月以降の経済運営をどうすべきかということについて対策を立てることにいたしております。これは十月以降、ことし年度後半の経済対策でありますから、当然九月中にこれが正式に決定することを私どもは期待をいたしております。おくれますとこれは息切れがいたしますし、特に公共事業は大幅な前倒しをやっておりますので、当然大きな断層が出てまいります。そういうことで、息切れがしないようにしなければなりませんので、九月中に対策がきちんと決まるということが非常に大切だ、こう思っております。 真剣な景気対策ということになりますならば、当然補正予算も考えられなければならぬ、こういう感じがいたしますが、補正予算もずっと先になって成立するというようなことでは意味がありません。やはり九月中に補正予算が成立することが望ましい、景気対策の観点から考えますならば、当然そのように判断はできます。したがって、臨時国会は九月のできるだけ早い時期に開いて、そうして、景気対策以外にもいろいろな課題があると思いますが、特にこの後半の息切れがしないように、世界経済が最悪の状態の中にあって、いまのままでは失業者がどんどんふえておりますから税収もふえない、こういう状態は放置することはできない、このように思います。
○井上(泉)委員 国民は景気をどうしてくれるんだ、こういう気持ちを非常に強く持っておるわけなので、政府としても、そういう国民の願望にこたえた対策というものを早急に打ち出して、それに対して必要な予算を組んで、ことしの年末にかけて、企業倒産とか失業とか、そういう憂き目に遭わないように、そうしてそのことは、必然的に国の政治の中で最重点に考えなければ、何か行政改革をやるということは物を簡略にして不景気をもたらすような印象を与えているわけですが、行政改革によっていろいろなむだを省くということはあっても、そのことによって景気が沈滞をして国民の購買力が減少していくようなことになれば、これまた大変なことなのですから、そういう点からも、今度の人事院の勧告にいたしましても、これは景気回復のため、そうして消費の拡大のためにも、値切るなんというようなことは政府としてはなすべきことではない、こういうふうに思うわけですけれども、経済企画庁長官としては、この人事院の勧告については、景気対策上、そうしてまた消費の拡大の面から見て、どういうふうなお考えを持っておられるのか、この機会に承っておきたいと思います。
○河本国務大臣 今月の六日に出ました人事院勧告につきましては、当日第一回目の給与対策閣僚会議を開きまして検討いたしましたが、結論は出ておりません。引き続いて、この会議を何回か開きまして真剣に検討していこう、こういう方向だけは明らかにいたしました。 御案内のように、この給与の問題につきましては、臨調答申において四項目の基本原則が示されておりますので、これらを十分吟味いたしまして、臨調の答申の線に沿ってこれを尊重しながら、時間をかけて慎重な結論を出す、こういうスケジュールになっております。
○井上(泉)委員 いま消費者物価というものは比較的安定しておるというか、価格の変動は余りない。そうして、大きな災害がありましたけれども、野菜の価格の変動と値上がりというようなことも、一時的には言われておりましたが、その辺のことも余り心配のないような動き方をしておるわけであります。しかし、じりじりと何かしら物が上がってくるような気配というもの、たとえば鋼材の値上げではトヨタと新日鉄は四千八百円で決着をしたが、こういうトヨタとかいうような大手になりますと、四千八百円あるいは五千円という値上げをしても企業として乗り切っていくだけの力があるわけですけれども、しかし、それは勢い消費者に価格を転嫁する。そうなると、これも経済企画庁の試算として言われておるわけでありますけれども、この鋼材の値上げだけでも〇・二%物価を押し上げはしないか。これは自動車だけに限らず、あらゆる現場において公共事業の前倒しという形でやられても、不況の中で、鋼材は統制力があるのですから値上げをしていく。そうすると、その値上げした分が公共事業の中で消化されるかというと消化されない。勢いそこには公共事業を遂行する上においても無理がいく。こういう大手の独占資本と称する企業は、こういうふうに値上げをどんどんやってくる。 そしてまた一方、石油でもまだ、重油とか軽油というようなものについては八月でも値上げの幅が決まってない。つまりだぶついておるからということで値上げがなかなかまとまっていないけれども、一番必要なガソリン、灯油というものに値上げのしわ寄せが来て、ガソリンがすでに一リッター百八十円という、そしてまた灯油は千八百円とか千八百五十円とかという価格になる。この灯油も九月になってくると高く上がっていくという傾向があるわけです。 こういうふうに、石油業界にしてもあるいは鉄鋼業界にしても、それぞれ値上げの中で自分の経営を防衛する。ところが、そういう大企業はそのことを消化できるかもしれぬけれども、一般消費者にとっては、いろんな物価がこれによって押し上げられていくという結果が生じはしないか。つまり、不況の中の物価高というものが秋以降やってこないという保証というものがあるかどうかなと考えてみると、そういう保証はないのじゃないか。いまかなり強力な物価対策をやっていかないと、不況の中での物価高というものが、九月以降ずっと、国民のふところぐあいの中に、生活の中に起こってきはしないか。そういうふうに思うわけですが、物価局長の方としてはそういう心配はないとお考えであるのかどうか。物価の今年度の値上がりの状況というものは考えられないか。このままの安定した物価で推移すると見ておるのかどうか。その辺の御説明を願います。
○赤羽(隆)政府委員 お答え申し上げます。 最近伝えられております石油製品の値上がりあるいは鋼材の値上げ、こういったようなものが物価の先行きに対してどのような影響を及ぼすか、インフレになる心配はないのか、こういうふうな御質問でございます。 石油製品といい鋼材といい、これは重要な基礎資材でございますので、この値上げというのは直接物価指数を引き上げるばかりでなく、いろいろな品物のコストを通じて物価押し上げの要因となる、こういうことは先生御指摘のとおりでございます。 ただ、そのまま直接にコストが製品価格の押し上げとなるかどうか、これは、そのときの需給関係でございますとか、需要家企業におきますところの節約その他、生産性の向上、合理化といったような努力によるところのコストの吸収、いろいろな条件が重なるわけでございますので、必ずしも一概に、消費者物価の段階まで直接波及するものではない、こういうふうに承知をしております。 現在、物価の基調というのは非常に安定をしてございます。消費者物価で申しますと、七月の東京都区部速報は一年前に比べまして一・九%、大変な安定でございます。また、全国で見ましても、六月の生鮮食品を除く総合で見て二・九%、二%台に下がってきております。 これが、秋口から来年度にかけまして景気が回復する中で、コストの物価への転嫁というのが起こらないか、こういうふうな点でございますけれども、この点につきましても、今後とも、物価の状況というものを慎重に見きわめまして、適切な対策を打っていくことによって、物価の安定の基調をさらに続けてまいるように及ばずながら努力をしてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
○井上(泉)委員 東京電力の社長の談話を見ると、一円円安になると六十億の赤が出る。そうすると、二百四十円が二百六十円ということになって、二十円も円安になると千二百億という赤が出てくる。それで、この前ここで議論をしたときの円は大体二百五十円前後であったわけですが、それが二百六十円までなってくると、これまた石油業界としても大変なことだと思うわけです。その大変な業界が、全部一般消費者向けの製品に転嫁をする危険というものを非常に感ずるわけです。この円安と、石油業界のいまの経営が非常な赤字決算で出てきておるというような話の中で、一般消費者に大きくしわを寄せるような値上がりというものが今後予想されないのかどうか。その点ひとつ、資源エネルギー庁の方から見解を承っておきたいと思います。
○落田説明員 お答え申し上げます。 先生いま御指摘のとおり、七月下旬から八月初めにかけまして、石油の各社が六千八百円ないし七千円ぐらいの値上げを通告しておるわけでございます。 御承知のとおり、石油会社は、いま先生の御指摘にもございましたように、五十六年度は、需要の低迷あるいは原油調達コストのアップその他、円安傾向等がございまして、三千五百億円ぐらいの赤字をトータルでは計上しておるということでございますし、また最近になりますと、先ほどもお話がありましたような円安傾向ということでございまして、このまま放置しておきますと、やはり三千億ないし三千五百億ぐらい上期で赤字が出るというような見通しも発表されておるわけでございます。そういう状況を踏まえまして、先ほど申し上げたような製品の値上げというのを発表したわけでございます。私どもが伺っている範囲では、細かい内容は聞いておりませんけれども、一応全体の油種に対して値上げをお願いしておるということであります。
○井上(泉)委員 これはいま在庫がたくさんあるわけだから、特にいまが円安で輸入価格が高うなったというても、現在ある在庫のものを値上げするということは、これはいわゆる商業道徳上も好ましくない、よくないことじゃないかと思う。そういう点からも、灯油の値段とかガソリンとかいうようなものはこれ以上値上げをすべきでないというのが私の主張ですけれども、また値上げが予想されるようなことであっては大変なので、その点について、これ以上の値上げというものは当分の間ないんだ、こういう見通しをしておってよいのかどうか。当分というか、灯油の需要期を控えて灯油が値上がりするとかいうようなことはない、こう理解しておっていいでしょうか。
○落田説明員 ただいま御説明しましたように、石油は連産品ということで、ガソリンから灯油、軽油、A重油その他、C重油、全部ございまして、それの全体でトータルのコストを賄っていくという考え方でございます。したがいまして、全体について応分の負担をいただいて、それによって、石油業界もいま大変な状況でございまして、そこら辺のお願いをいましておるという状況でございます。
○井上(泉)委員 はっきり言うて、そのお願いをしておるというのはどういうことですか。その点、もう一回説明してください。だれに、何を、どういうふうにお願いしているのか。
○落田説明員 これは、各需要家に対しましてお願いをしておるということでございます。 それから、先ほど先生より在庫のお話がございましたが、この問題もいろいろ議論がなされております。ただ、この在庫の問題といいますのは、灯油について言いますと、むしろ在庫を積み上げて今後の下期の需要を大いに安定供給を確保していかなければいかぬという観点から、灯油の在庫をたとえば六百七十万キロリットルというふうな形で積み上げるわけでございます。 それから、現在値上げを発表しておりますが、これ自体もすでに、四月値上げ等から来ました値上げの達成状況というのも非常に怪しいものでございまして、そういう長いタームで考えますと、在庫があるからという分を差し引きましても今回の値上げの分は必要ではないか、細かい点での絶対幅を言っておるわけではございませんが、大きい意味でいきますと、そういうことを各油種にお願いをするということになろうかと思います。
○井上(泉)委員 灯油という、どうしても必要な生活の中でなくてはならぬ品物、これに集中した形で石油資本が値上げを要求をして、そうして油の一部、それからマイカー、これはマイカーはそんなに油が高ければ使わなかったらいいじゃないかと言えばそれまでですけれども、そういう一般国民大衆が日々使わなければならぬガソリンとか、灯油とかに特別な値上げの要求をしてくるということは、これは大変な間違った業界のやり方だ、私はこう思うわけですから、そういう点については、これ以上業界に対しては値上げをするようなことのないような、そういう指導というものを、これは介入はできないと言ったらそれまでですけれども、石油担当の課長もおればエネルギー庁の長官もおるわけですから、これは何のために存在するかと言えば、そういう油行政というものが国民のために安心をして行われる行政を推進をするために存在をする役所ですから、その辺のことを考えて、業界に対してはいま一歩厳しく対応していただきたいということを強く要望するわけです。 そういう中で、物価は安定しているけれども、いろんな形で国民、いわゆる消費者の負担の増大をしてくるものが幾つかあるわけですが、その一例として、道路運送車両法の一部が改正された、これが成立をした。それで、自家用の乗用車に係る車検期間も初回が二年から三年になる。そうなってくるわけですから、そうすると、自賠責のいまの保険料というものは、これは二年分が三年分になるということによってそのまま保険料が値上げをされるというようなことは好ましくないことであって、また事務手続から考えても、二年であったものが三年になったからそれだけ経費が節減をされるわけですから、それが逆に保険料にはね返るというようなことではなしに、保険料というものは二年が三年になっても据え置いてしかるべきだ、こう思うわけですが、その保険会計、保険というものはどういう扱いになっておるのか。これをひとつ御説明願いたいと思います。
○田中説明員 お答え申し上げます。 道路運送車両法の改正成立に伴いまして、先生御指摘のとおり、自家用乗用車につきましては二年分の車検期間が三年と、初回についてはそういうふうに改正されたわけでございます。 自賠責とのリンクは、これはその車検期間と対応させてございますので、そういう制度の根幹に変更がない限りは、やはり三年分の自動車保険料を、いわば自賠責の保険料を納めていただくということになろうかと思います。 ただ、これは二年間の保険期間を三年間でございますから、やはり原則三年間分の保険料ということになろうかと思いますが、ただ、三年分ということになりますと、その間、若干の利子相当分あるいは募集に要する経費、その他社費におきます節約分というものがございますので、その辺も勘案した上で、自賠責の保険料が設定をされることになろう、こういうふうに思っております。
○井上(泉)委員 そんなら、これは大体どのくらいになるのですか。現行の保険料がどれくらいになるということですか。
○田中説明員 お答え申し上げます。 現行自家用乗用自動車の二年ものは三万二千六百五十円でございますけれども、ただ、この保険料につきましては、今後運輸省とも十分協議いたしまして、自賠責審議会にも諮った上で算定会料率として認可する、こういう手続になりますので、いまここで幾らになるということは申し上げかねますが、単純に、二年間が三年間になるからといって一・五倍になるということではなかろう、こういうふうに思っております。
○井上(泉)委員 その保険料の算定は一・五倍にならない、一・五倍になれば、三年になったということによって消費者の負担はよけいに重くなるわけだから、だから私は、一・五倍になるとかいうようなことでなしに、自動車の損害保険、保険会社の自動車保険のいわば経営成績というものはどういう状況ですか。
○田中説明員 先生御案内のとおり、過去自賠責あるいは任意の自動車保険につきまして、自賠責の全体の状況はむしろ運輸省の方からお答えいただいた方が適切かと思いますが、ただ、ざっと申し上げますと、四十五年をピークにいたしまして以降ずっと、事故頻度が低減してまいったわけでございます。しかしながら、他方、ここ二、三年事故頻度もやや横ばい、物によっては上昇傾向の兆しを見せておりまして、その結果といたしまして、その間、自賠責の保険料につきましては、四十四年十一月設定いたしました自賠責の保険料でずっと来ておりますが、他方、任意保険につきましては、昨年任意の自動車保険料の引き下げ等も行ってきております。 全体として、自動車の伸びのいわば鈍化、停滞、それと他方では、そういう形での保険事故のいわば事故頻度の減少、低下の鈍化ないし最近における上昇、それから他方では、保険金支払いのいろいろな支払い基準の上昇、単価アップ、物価上昇、賃金上昇、こういったもろもろのいわば関係の上昇等を受けまして、収支は悪くなりつつあるということでございます。
○井上(泉)委員 自動車保険についても、限度額が死亡事故の場合に二千万円というのにもう三、四年ぐらい前に改められて、それから今日の状態の中で、私は、その限度額の二千万円というものをやはりこの際引き上げるべきであるということを考えるわけですけれども、この限度額の引き上げについて御検討なさっておるのかどうか。 さらに、三年分ということで、一・五倍にならなくて、一・三倍になるのか、一・四になるのか、一・二になるのか、いずれにしても保険者の負担が増大するわけです。恐らくいまの世の中では車を持っていない家庭はそうたくさんはないわけなので、そういう車を持っている大部分の家庭のものが一律に負担が増大することになると、勢い保険を掛ける者の率というか、特に任意に対する保険の加入率というようなものが少なくなってくる。そうなると、勢い今度は強制の方に依存をすることになる。ところが、強制の限度額が二千万円だとどうにもならぬ。こういうことになるので、限度額の引き上げをやるのと同時に、保険金を三年分一遍に払うのでなしに分納する、分割で納付する、こういうふうな制度というものは当然導入をしてしかるべきだと思うわけです。 以上の二つの問題について、御見解を承っておきたいと思うのです。
○熊代説明員 お答えいたします。 まず第一点の、自賠責保険の保険金の限度額の問題でございますが、先生いま御指摘のとおり、五十三年七月、ちょうど四年前に、限度を死亡の場合千五百万から二千万に改定をいたしております。保険金の限度額につきましては、本来、裁判等におきます賠償の水準ですとか、あるいは物価、賃金、こういった経済情勢の動向、それから他の損害賠償制度との兼ね合い、それから、先ほどありましたような保険収支の動向といったようなものを総合的に勘案いたしまして、決定すべきものであるというふうに思っております。 ただ、先ほど保険収支の悪化傾向のお話がございましたが、実は四十四年に保険料を設定した後、四十八年、五十年、五十三年と、三回の限度額の改定を実施しておりますが、その場合は、自動車がふえる、それから事故率が減少するということで、保険料率を変更しないで限度額だけ基本的に改定するということでやってこられたわけですが、先ほどのお話を補足いたしますと、御承知のように、この自動車損害賠償責任保険につきましては、民間の損保会社が四割分を管理しておりまして、国の方で六割分を再保険しておるわけですが、その民間の部分につきまして、過去の積立金といいますか剰余金の金利等を除きますと、民間におきましては、五十二年度から単年度赤というかっこうになってきております。 それから、再保険の方の特別会計におきましても、五十四年度から、いま申し上げた純粋の保険収支というものがマイナスに転じてまいってきております。 そういった関係で、限度額を上げた場合に、保険料率を変更しないで限度額だけを上げるということがかなりむずかしい状況になっているという問題がございます。 したがいまして、先生御指摘のように、われわれといたしましても、現在の二千万円がそのままでいいのだというふうには考えておりませんで、いま申し上げたような状況を勘案いたしまして検討を進めてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。 それから第二点の、二年が三年になることに伴って一時に支払う保険料がふえるということが負担増につながるという問題でございますが、実は基本的に、一般の自動車につきましては、車検におきまして、自賠に入っておるということを確認する制度をとっております。これは無保険状態のものを排除するということでやっておる次第でございます。 先ほど大蔵省の方からもお話がありましたように、二年分の保険料が三年になるということに伴いまして、金利分であるとか、あるいは社費の節減分というものは当然反映させたかっこうであの保険料率が設定されるということでもありますし、それから、車検期間と付保期間を切り離しますと無保険者がどうしても生じてくるという問題を回避したいということから、先生がいまおっしゃった分割納付という問題はかなり困難な問題だというふうに考えております。
○井上(泉)委員 これは、保険を払う側の立場とそれから事故に遭って保険金を受け取る側の立場と利害が相反しておるのじゃない、利害は共通しておる。これは保険としての当然の姿だと思うわけなので、それで、いま、限度額を引き上げることによって保険料を上げなければならぬではないかというような意味のお話もされたわけですが、それはある程度保険会計というものを勘定の中に考えられておるわけでしょうけれども、いま自動二輪の保険の加入率というものが非常に少ない。それなのに事故というものが非常に多いわけです。これの無保険状態というか、調査によると、何か二〇%くらいしか自動二輪では保険を掛けてない、こういうことも言われておるわけです。こういう無保険者が、自動車にはないが自動二輪の中にはたくさんおるということは、これは販売のときにメーカーに義務づけるとか、そういうことで無保険者をなくするようなことをするのが、これまた交通事故から住民を守るためにも必要なことじゃないかと思うわけですが、これに対する対策はとっておるのですか。
○熊代説明員 いま先生御指摘の、バイクといいますか原動機付自転車でございますが、先ほどもちょっとお話しいたしましたように、普通の一般の自動車につきましては車検でチェックをするということをやっておりますので、一〇〇%付保が確認されておるわけでございます。ただ、原動機付自転車につきましては車の検査制度がございません。したがいまして、無保険者が発生しやすいという状況にあるわけです。 われわれといたしましても、従来からこの原動機付自転車、いわゆるバイクの無保険者を何とかしてなくしたいということで、街頭の取り締まりですとか監視活動をやってきたわけですけれども、特に五十三年十二月から、関係省庁あるいは団体の参画を得まして、無保険バイク対策協議会というものを設置しまして、毎年一回、無保険バイク追放キャンペーンというものを実施して、広報活動の強化、あるいは一年の保険、二年の保険のほかに三年の保険もございまして、これは長期になるほど料率が割り安になるということで、長期料率の保険への加入の促進、あるいはバイクにつきましては、市町村に届け出をするわけでございますので、その市町村窓口での加入のチェックのお願い、それからバイクの保険について、新車を売るときには付保したものを売るということになっております。 ただ、これが一年たちますと、再び保険に加入するという手続を怠りがちなものですから、無保険の状態になるということですので、この期限切れの防止のために、通知をその所有者にするといったようなことの徹底等をやっていきまして、特に五十五年十月からは、いま申し上げた再加入の確認あるいは督促等をやるために、保険会社がばらばらに持っておりました原動機付自転車の加入者データを、運輸省において一元的に管理いたしまして、それに基づいて期限切れになるものについて通知する、期限の切れたものについては督促をするというようなことをやってきております。 五十三年三月時点では、いま先生は二〇%とおっしゃいましたが、それは無保険車の方の数でございまして、五十三年三月末で六四%程度の加入率でございましたが、五十七年三月末で八一%弱というところまでは加入率を上げてきております。 ただ、御承知のように、特に五十cc以下のバイクがこのところ、年率一一%とかいったような数字で非常に伸びております。したがいまして、特にこういう点につきまして、今後とも、先ほど申し上げたようなことを通じまして、無保険車をなくするということをさらに努力してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○井上(泉)委員 私は、また別の機会に、自動車保険については論議をしたいと思っておりますが、三年車検になるということで、それがそのまま一・五倍にはならぬということは、率からいえば、三年ということになれば若干安くなる、幾らになるかわからぬけれども、安くなるということは事実、これは確認しておいていいでしょう。
○田中説明員 目下試算段階でございますので、一・四一、一・四に上の方に近いところじゃなかろうかというふうに思っております。したがいまして、一・五よりも割るというふうにお考えいただいて結構かと思っております。
○井上(泉)委員 そこで、自動車保険はそれだが、同じ自動車にかかる保険の中で重量税があるわな。その重量税は、たとえばきょう僕が乗っておったトラックが不幸にしてがけ崩れ、いわゆるこけて使用不能になった、つまり廃車になった。廃車になっても、重量税についてはこれの払い戻しが全然ないわけね。これは税金のたてまえからちょっと矛盾してはいないでしょうか。
○浜本説明員 御指摘の点でございますが、自動車重量税の考え方と申しますものは、車検時におきまして自動車の走行を可能にするという、いわば法的な地位あるいは利益というものに着目いたしまして課税を行う、そういう考え方で全体の整理がなされておるものでございますから、車検時に生じた法的地位ないし利益というものに着目します限りは、ただいま先生御指摘になりましたような廃車時の、たとえば残存期間分の還付といったような処理になじまないというふうに考えてまいっております。
○井上(泉)委員 それは、なじまないと考えるのはあなた方の考えであって、一般国民としてはそれはなじまないとは思わないですよ。自賠責の保険は戻るでしょう。保険は戻るのに重量税が戻らぬということは、税の均衡というか、税の性格から言うてそれこそなじまないような、ただもう取ればそれでよいという取り方じゃないですか。これは検討する必要があると思うのですが、どうですか。
○浜本説明員 自動車重量税の性格につきましては、いろいろ御議論があったように伺っております。今日まで、税でございますから、課税の考え方というものをしっかりさせることが根本でございますが、ただいま御説明申し上げましたように、走行可能になるという法的地位ないし利益というものに着目した、いわば権利創設税であるというふうに整理をしようということでまいっております。こう整理をいたしまして、全体の税の均衡を考える、全体の体系を組み立てるということになっておるものですから、その根本を変えません限り、ただいまのような御指摘に沿った改正にはなじまないというふうに私は考えます。 ただし、今回、車検が二年から三年に延長されます自家用乗用車のうちの新車のみについて考えますと、新車を購入しまして、車検の有効期間が相当残っております場合にこれを廃車するということは、事実上余り生じないのではないかと考えられますので、したがって、今回の車検延長によりまして、廃車還付制度を設ける必要性が特に強まることはないのではないかというふうに考えます。
○井上(泉)委員 自動車重量税のそういうかけ方をするから払い戻しもしなくなるわけで、これはやはり国民のために、使用にたえなくなった、つまり走る権利を獲得したのじゃなしに、走る権利がなくなった、走れなくなった、その時点では、やはりそれにかけておる税金というものも払い戻してやるのが、税としての本来の趣旨ではないかと思うわけですが、これはあなたの主観で税を決めたというわけではないと思うわけですから、なおこの点はやはり検討課題として検討してもらいたいと思うわけですが、どうでしょう。それは、そういうふうに思ったら、当然検討しなければいかぬ。
○浜本説明員 井上先生御指摘のような御議論というのは、かつて自動車重量税創設当時にも行われたというふうに聞いております。そういった議論が尽くされました上で、現在の制度ができ上がっておりまして、私どもといたしましても、いまの段階では、その当時の議論というものを踏まえて進めていくということが適当ではないかと考えておりますが、税のあり方につきまして、今後とも、各方面から物の考え方についての御意見というものは承らしていただき、かつ、それを勉強することはもちろん続けてまいりたいと存じます。 ただ、ただいまの御指摘の点につきまして、これを直ちに改めて考えるというふうには思っておりません。
○井上(泉)委員 私は、直ちに改めるということを何も言ってないですよ。そういうことを言うのは私個人の意見じゃない、そういう重量税を払っておる一般国民の大多数の意見が、私の承知する限りではそういう意見を言われるわけだから、それはやはり法律で決めておるから、それは国会の場で審議をしてもらって、意見を出してもらって、そしてそれは検討してもらわなければならぬ、こういう国民の声ですから、国民の声を代弁して言うのだから、ここで固定して、いま変えなければいかぬとか、答弁せよとかいうわけではない。それを検討せよと言うのですから、いまできないけれども、それはどうなるかわからぬでしょう、世の中が変わっておるから、保険の状況というものは変わるわけですから。だから、当然、検討をするというのは国民に対する行政府としての任務じゃないかと私は思う。検討した結果がどうなろうとそれはまた別として、やはり検討はすべきではないか、こう思うわけなので、それがやはり私は役人の行政に対する姿勢だと思うわけですから、あえて質問をするわけです。やはり検討の課題にも当たらぬ、こう言うわけですか。それならまたそれなりの論議の仕方をしなければいかぬですから、言ってください。
○浜本説明員 いろいろな御意見を承らせていただいて、常に物を考え直すということは当然のことでございますので、その趣旨で先生が御指摘賜っておるということでございましたら、十分先生の御意見を承らせていただきたいと存じます。
○井上(泉)委員 終わります。
○武部委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時一分休憩 ――――◇――――― 午後一時三分開議
○武部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本件調査のため、本日、参考人として畜産振興事業団理事長森整治君の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、御意見は委員からの質疑に対する答弁の中でお述べいただきたいと存じます。 ―――――――――――――
○武部委員長 長田武士君。
○長田委員 まず初めに、河本長官にお尋ねをいたします。 長官には最近何度か景気問題についてお伺いしてまいりまして、長官はそのたびに、本年下半期にかける財政面からの本格的な景気てこ入れを強調されたわけであります。また八月七日、長官は札幌で講演された際、景気と行革との兼ね合いにつきまして「失業の増大、税収の落ち込みなど経済環境は悪化しており、行革で少々節約しただけでは日本はよくならない、と強調し、行革は成功させねばならないが、これと並行して経済の状態をよくする方策を考える必要がある。」このように講演されておるわけであります。 そこで具体的にお尋ねしたいのでありますけれども、長官は、下期の経済運営の中で、公共事業、それから住宅投資、中小企業の投資減税、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
○河本国務大臣 下期の経済対策をどうするかまだ決まっておりませんで、これから相談をすることになっておりますが、しかし、相談するといたしましても、特別目新しいことがあるわけではございませんで、上半期に公共事業を前倒ししておりますから、後半この取り扱いをどうするか、これが最大の議論になろうかと思います。 それから第二は、最近は中小企業の落ち込みが非常に厳しい、こういうことがございますので、中小企業対策をどうすればよろしいか。 それからまた、第三には、住宅対策がいまのままでいいのか、若干工夫する必要があるのか、そういうことについても当然議論が出てこようか、こう思っております。 もちろん、現在構造不況に類する業種も相当ございますから、そういうものの取り扱いをどうするかということも議論が出てこようかと思いますが。 それじゃ具体的にどうするかということはまだ決まっておりませんで、今月末から来月前半にかけてそういう議論を詰めていく、こういうことになろうかと思っております。
○長田委員 七月の月例経済報告によりますと、大企業の設備投資は堅調さを維持しており、個人消費は回復の動きを続けているとしておるわけであります。しかしながら、大企業の設備投資には、先日も私、ちょっと触れましたけれども、減額修正という動きが実は出てきておるのですね。そういう点では個人消費も、物価が安定しておるという上に乗ってある程度伸びておる、そういうことだろうと私は考えるわけであります。 したがいまして、このままの状態でまいりますと、通産大臣も、北海道では、「このままでは五十七年度の実質経済成長率が二%を割り込む恐れもある」このように悲観的な見方をしておるようであります。この点については、状況としては長官、どうでしょう。
○河本国務大臣 いま世界的に見て経済の非常な激動期でございますから、経済の状態が刻々に変わっておると思うのです。やはり一、二カ月前に比べますと、経済の状態は全体としてどうも悪くなっておるような感じがいたしますし、つい先ごろ通産省で二十三業種のヒヤリングをやられましたが、そのときも非常に厳しい結果が出ております。そういうことで、残念ながら、昨年の秋以降の輸出の落ち込み、それを背景とする各方面に出てまいっております厳しい影響、それから、実質可処分所得はこの春以降プラスになっておりますが、しかし、これが必ずしも消費に結びついておるとも思えません。そういうことがございますので、この月末から来月初めにかけまして、全体の動きを総合的に十分正確に分析をして、必要な対策を立てなければならぬ、こう思っております。
○長田委員 長官が非常に積極的な姿勢をとっていらっしゃる、この点、私は非常に評価をいたしております。それを裏づけるように、けさの新聞によりますと、OECDの八二年度の対日審査報告書が発表されておるわけであります。この中で「日本経済が順調に回復するかどうかは、極めて不確実だ」こういうふうに報告書に出ております。このため、現状では、財政再建だけを考えた公共支出の削減、そういう問題については余り適切ではないのじゃないか、思い切った公共投資をやって景気を浮揚させなければいけないのじゃないか、こういう報告書も出ておるわけであります。私もそのとおりだという感じを強く持つわけでありますが、この点について、長官の御所見をお伺いしたいと思っております。
○河本国務大臣 OECDの対日経済審査、目ぼしいところは数項目ございますが、国内経済につきましてはいまお述べになったとおりであります。行政改革も大変結構だが、同時に内需の拡大を図っていかなければ、特に財政による内需の拡大というものを図っていかなければ、日本経済はなかなか回復しないのではないか、言葉は少し違いますが、趣旨としては大体そういうことが述べられております。私もそのとおりだと思います。
○長田委員 長官も御存じのとおり、昨日、円は二百六十二円という円安の状況でございます。長官もよく言われるわけでありますけれども、円安の原因というのはアメリカの高金利が原因だ、このように長官も何回か私の質問に答えていらっしゃいます。私もそのとおりだと思ったのですけれども、アメリカは、七月二十二日だったですか〇・五%、それから八月二日でしたかに〇・五%、結局一一%に、一%金利を下げました。しかし、一向に円安の歯どめといいますか、この点がきかない。そういう点、この円安というのはアメリカの金利だけじゃないのじゃないか、むしろ日本の財政問題、赤字の問題、さらには景気の問題、これが大きく円安の足を引っ張っているのじゃないか、私はそういう感じが強くするのですが、長官、どうでしょう。
○河本国務大臣 やはり、最大の円安の原因はアメリカの高金利にあると私は思うのです。なるほどいまお述べになりましたようなこともございましたが、しかしアメリカの財政赤字が思ったよりも厳しい、政府の発表以上に厳しいのではないか、そういうことで、近く大きな資金需要も出てくるというようなことで、本当にアメリカの金利の低下というのがそういう方向にいくのかどうか、政府はそう言っているけれども大変疑問だ、こういうことは大きな流れとしてあると私は思います。 それと、国際情勢が最近大変厳しいということ。実は私も、いまおっしゃいました日本の経済の幾つかの条件、それが以前ほど評価されなくなったのではないか、こういうことが円安の一つの原因ではないかというように最近言われておりますが、最近の経済状態を見ますと、確かに日本経済は衰弱をしておりまして、幾つかの指標は思わしくない、こういうことでありますから、どうも最近は、基本的に日本経済の評価そのものも相当低下しておる、こういう感じがいたします。
○長田委員 ところが日銀は、円安が金利差、アメリカと日本の金利が違う、この差が原因だとして、この春以来、短期金利の高値誘導を行っておるわけです。わが国の経済の現状を見ますときに、景気の浮揚のためにいささかこれはブレーキになっているのじゃないか、私はそういう感を強く持ちます。一般に言われていますように、円安の原因が金利差だけのものじゃないということになりますと、むしろ金利は低目に誘導すべきではないか、私はこのような考え方も実は持っておるわけであります。 したがいまして、この際、景気浮揚のために、公定歩合の引き下げはちょっと勇気が要るかと思いますけれども、そういう方策、景気浮揚のためのそういう手段というのもある程度考えなくてはいけないのじゃないかなという感じがするのでありますが、長官、どうでしょうか。
○河本国務大臣 確かに、日本銀行は、この三月以降、少しでも円安を食いとめたいということで、短期金利を高目に誘導してまいりました。いま相当高い水準になっております。それが背景にありまして長期金利も高くなる、結局、国債その他の金利全体を動かさざるを得ない、こういうことになったのですが、その場合、短期金利高目の誘導ということは余り円安に効果がないのじゃないか、むしろ景気全体にマイナスじゃないか、こういう議論も実はあるのです。しかし、幾らこのために円安になった、円安をどれだけ食いとめられたかというその数字ははっきりしないけれども、確かにある程度の効果は出てきておる、日本銀行はこういう評価をしておられます。二つの議論がございますので、私といたしましては、いまいずれとも申しかねるのでございますが、ただ、いまの段階で公定歩合の引き下げをいたしましても、それはちょっといろんな関係でどうも無理なように思います。 昨年の十二月に公定歩合の第四次引き下げをいたしましたけれども、それ以来、先ほどお述べになりましたような、むしろ金利は高い水準になっておる、こういうこともございまして、確かに、国内だけのいろんな条件、特に物価が非常に安定しておるということを考えますと、昭和五十三年の後半あるいは五十四年の春先までの非常に低い水準の公定歩合、こういうことも国内だけの事情からは考えられないこともございませんが、しかし、何と申しましても、いま日本経済の規模が非常に大きくなりまして、世界経済とともに動いておる、こういうことを考えますと、いま公定歩合の引き下げは大変むずかしい、不可能だ、このように思います。
○長田委員 それでは次に、個別物資についてお尋ねしたいと思っております。 日銀の卸売物価指数によりますと、乳製品の卸売物価がことしの四月以降上昇を続けておるわけであります。七月に入りましてからはさらに上昇しております。たとえば脱脂粉乳は、昨年同月比では、五月に一・九、六月が二・五、七月の上旬が二・七、これが七月中旬には三・七にまで上がっておるわけであります。練乳も、前年同月比では、五月の一・五が七月中旬には二・四と、高騰を続けております。さらにバターやチーズの指数も上昇しておりまして、小売価格への影響は必至と見られておるわけであります。 ところで、業務用バター、脱脂粉乳などは五十二年以来価格が低迷し、そのため、農水省も、原乳の生産調整に力を注いでこられたわけであります。ところが、昨秋あたりから乳製品価格が回復をしてまいりました。 日本経済新聞の報道によりますと、この五月、六月ごろにはバターも脱脂粉乳も安定指標価格の一〇四%を突破いたしまして、去る七月三十一日の報道では、バターは一〇六・三%から一一一・七%、脱脂粉乳は一〇八・三%から一一〇・五%という非常に高い水準になったわけです。 こうした異常なまでの高値になりました原因、それは一体どこにあるのだろうか。需給見通しの誤りによるものか、あるいは生産の過剰抑制のやり過ぎによるものか、いろんな原因はあると思いますけれども、そういう原因ですね。農水省の見解をまずお尋ねいたします。
○海野説明員 お答え申し上げます。 バター、脱脂粉乳につきましては、ただいま先生おっしゃったように、五十二年以来大変な過剰在庫に悩んでおりまして、五十二年から五十六年にかけて、バターで四年半、脱脂粉乳で四年間、安定指標価格以下で低迷してまいったわけでございます。そのうち、五十四年から五十五年にかけましてそれぞれ約一年間は、安定指標価格の一〇%をかなり割るというような状態、特に五十四年末、脱脂粉乳は三カ月にわたりまして安定指標価格を二〇%以上割るというような状態があったわけでございます。 そういう中で、いま先生のお話もございましたように、事業団がそのバター、脱脂粉乳の買い入れもいたしまして、また農民の生乳の保証価格、五年間同一水準で置く、さらには不足払い限度数量を四年間同一水準で置いておく、それにさらにいろいろ、計画生産ということで生産の抑制を図りまして、ようやく昨年の後半に至りまして、安定指標価格ないしそれを若干上回る水準に回復してまいったわけであります。 それで、五十四年度ピークに達しました過剰在庫が、五十六年度に入りまして減少いたしまして、一応、民間の過剰在庫としては五十六年度いっぱいで解消したということになったわけでございます。 そこで、五十七年度に入りましてからでございます。四月から六月にかけまして、一つには、生乳の主産地たる北海道、これが昨年冷害で飼料の品質が非常に悪かったという点がございまして、ことし六月に青草が出てくるまで、生産が減退をしておったということがございます。同時に、春の四月、五月、特に五月でございますが、非常な好天候に恵まれまして、飲用牛乳の消費が伸びたわけでございます。 パターとか脱脂粉乳とかというのは、生乳の需給上、どうしても後回しになりまして、やはり飲用が伸びますと、バター、脱脂粉乳の生産はさらに減少するということがございます一方で、アイスクリームが非常に好調でございまして、さらに発酵乳など新しい商品というものが伸びたというようなことで、需要が生産を上回って推移したというようなことがございます。 そういう中で、これを反映しまして乳製品価格も上昇いたしまして、私ども、東京と大阪の製造業者、問屋さん、それから実需者を含めました調査で申しますと、六月には安定指標価格比でバターが一〇三・〇%、脱脂粉乳が一〇五・五%という水準に達してまいったわけでございます。
○長田委員 本日は、お忙しいところを、畜産事業団の理事長であります森さんにおいでいただきまして、ありがとうございます。私は、理事長に、業務用乳製品の問題について、何点かお尋ねしたいと思います。 いまお聞きのように、業務用乳製品、特に指定乳製品でありますところの原料バターと脱脂粉乳の価格についてであります。 このところ、この二つの製品が、実は高騰を続けております。そこで、まず、畜産事業団の事業というのは、その目的は価格の安定ということがその主たる業務であります。そういう目的でつくられた事業団でありますから、こういう高騰に対してどのように取り組んでいらっしゃるか、この点についてまずお尋ねいたします。
○森参考人 御指摘のとおり、事業団といたしましては、安定指標価格というのがございまして、それに価格を収斂させていくということで、下は約一割程度、上は四%程度、そういうところを目安にして、乳製品の買い入れ、売り渡しを行っているということでございます。 今回、いままでずっと持っておりました、いつはけるとも知れない、持っておること自身が非常に心配だったわけでございますが、それほど過剰な乳製品を持っておったわけでございます。先ほど畜産局の方から御説明ございましたように、変わり目が意外に早く来たと思っておるわけでございますが、いずれにいたしましても、一〇四%を超える、または超えるおそれがあるというときには、事業団としては放出をするというその規定に従いまして、四月から七月まで、相当量のバターと脱脂粉乳を五回にわたって放出してきているわけでございます。 もちろん、最近の先生御指摘のような数字は、事業団が売り渡した平均価格、一番直近時点の七月の平均価格でございまして、回を追うごとに応札者がふえ、落札者がふえて、結局いま御指摘のような価格まで来たということは、いま畜産局で申しましたような需給上の背景が大いに働いておるわけでございますが、やはり実需者でどうしても欲しいという方が、ごく少数でございますけれども、値段をつり上げたというふうに見ておるわけでございます。 したがいまして、今後八月も引き続き、バターにつきまして二千トン、脱脂粉乳につきましては五千トン、直ちに放出をする準備をいま整えて、公告も済んでおるわけでございますが、恐らく今回、次の八月の売却では少し模様が変わってくるのではないだろうかというふうに見ておるわけでございます。 先生御指摘のように、事業団といたしましては、ともかく一〇四%を境目に、安定指標価格に近づけるということで、今後努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○長田委員 事業団は昭和三十六年にできまして、畜安法によりまして畜産の振興、助成、それから資金の調達などのほかに、畜産物価格の安定を図る、これが主たる目的であります。設立以来二十一年たった今日、畜産事業団が忠実にこの目的を果たしてきたかどうか、牛肉などの価格も含めまして現在の状況を見てまいりますと、こういう点が非常に欠けているんじゃないか、そういう感を私は強く持っております。 この委員会でも、五十二年と五十三年と牛肉の問題についていろいろ審議をしたわけであります。そのとき、極端な言い方としまして、実は事業団がなくなったならば牛肉が下がるかもしれないというような意見も出ました。また、今回の乳製品の高騰に際しましても、事業団の不要論がまたぞろ出てきておるわけであります。このような批判に対しまして、農水省並びに事業団はどのように考えていらっしゃいますか。
○海野説明員 畜産振興事業団の機能でございますが、いま先生おっしゃったように、ほかのいろいろな助成事業とか保証業務とかの事業がございますけれども、一応価格安定にしぼって申しますと、畜産振興事業団のいろいろな機能の中で、やはり生産、消費が安定的に伸びていくというようなことで、たとえば昭和五十年から五十六年に対する価格の動きでございます。総合消費者物価指数一四三・九、食料品総合が一三七・五の中で、肉類で申しますと一一六・六、鶏卵が一一二・四、乳製品は実は総合というのはございませんが、牛乳一一七・五、バター一二〇・五、例外的にチーズのように一〇六・六というのがございますが、この六年間で、価格は、一般の物資に比べて非常に安定的に推移したというようなことが言えると思います。 ただし、これは乳製品とか豚肉とかになりますと、事業団は歴史が古いものですから、これが直ちに事業団の成果かどうか、言えないかと思います。たとえば、一番最近に事業団の事業を始めた牛肉について見ますと、昭和五十年度から事業団は事業を始めたわけでございます。四十年代までは毎年事業団の買い入れ、売り渡しという、いわば短期的な変動の防止に一番効果が上がっております。年の中でも、毎月の価格の変動係数が大体一〇%前後で動いたわけでございます。五十年度に事業団が牛肉について売買操作を始めまして、一応軌道に乗った五十一年以降で申しますと、いずれも変動係数五%以内でおさまっているというようなことで、やはり畜産振興事業団ができたことで、価格安定機能は非常に大きいのではないかというふうに農林省では考えております。
○森参考人 乳製品で見ますと、具体的に申し上げますと、国産でバター一万五千トン、それから脱粉で六万八千トン、それから輸入は、バターで九万六千トン、現在までですが、脱脂粉乳が九万トン、それをその都度、必要に応じて、法令の定めるところによって、四十一年の不足払い制度以降は、安定指標価格を目標に維持するということで、毎年操作をしてきておるわけでございまして、私は、それなりにやはり効果を発揮しているというふうに考えておるわけでございます。もちろん、かつて手持ちがなくて一二〇%以上指標価格をオーバーする、そういう事態が発生したこともございますけれども、今後はそういうことのないように努力をしてまいりたいと思います。 それから牛肉等の問題につきましても、いま畜産局から御説明がございましたように、海外の要請もあり、国内のいろいろな、再生産の維持ということもあり、それらのために価格安定業務を行っておるわけでございますが、いま国産では乳雄の去勢牛が中心でございますが、大体安定帯の中心価格またはそれ以下のところで、ずっと横ばいに推移させてきているというのが現状でございまして、私ども、それなりの努力はしているつもりでございます。
○長田委員 農水省も事業団も非常に働きが大きい、そういうことを言われておりますけれども、これから具体的に質問をやります。 その前に、事業団は、政府が毎年度定めますところの指定乳製品四品目の安定指標価格に対しまして、市中価格が一〇四%以上になるか、それのおそれのある場合は、保管在庫を放出して価格を安定させる、価格を冷やす、こういうことが加工原料乳生産者補給金等暫定措置法、いわゆる不足払い法第十六条によって義務づけられておるわけです。 そこで、事業団にお尋ねしたいのでありますけれども、昨年秋以降乳製品の騰勢に対しましてどのような措置を具体的にとられたのか、その措置によりまして、放出されたということでしょうけれども、価格がどういうふうに推移していったか、その結果はどうだったか、その点についてお尋ねをいたします。
○森参考人 先ほど畜産局からの御説明がございましたように、大体安定指標価格の価格比で推移を御説明いたしますと、昨年の大体暮れからパターは一〇〇%になっております。それから、脱脂粉乳の方は一〇〇%を超えたのは八月からでございます。それで、ことしの四月になりましてバターは一〇〇・三、脱脂粉乳が一〇二・一、五月はバターが一〇一・六、脱脂粉乳が一〇三・七、六月で先ほど御説明ありましたようにバターが一〇三、それから脱脂粉乳が一〇五という水準になってきたわけでございます。 そこで、事業団といたしましては、四月はまだ一〇四%を超えておらないということですが、一応管理上の必要ということで放出を行ったわけでございます。四月は第一回と第二回に分けて行いました。バターは七百五十トンずつ、脱脂粉乳は千トンずつということで行ったわけでございますが、このときも、平均価格は余り申し上げたくないのでございますけれども、一応申し上げないと感じが出ないと思いますので申し上げますと、大体一〇四%程度またはそれ以下ということでございます。五月に入りましてから、五月、六月、七月と、バターにつきましては二千トン、二千トン、千七百十トンということで放出をいたしました。それから、脱脂粉乳につきましては五月、六月、七月と、三千トン、六千トン、五千トンということで放出をいたしてきております。 概して申し上げますと、五月は非常に天候がよかった、夏に近いような気候だった、それから六月は空梅雨であったというようなことを反映いたしましてか、六月に入りましてから相当入札参加者が多くなってきております。そういうことで、価格的にもバターの方が約一〇五%、脱脂粉乳が一〇四%ということで、相当程度といいますか、一〇四%を超える勢いを示してきた。そこで、七月に入りまして、バターにつきまして千七百十トン、脱脂粉乳については五千トンの入札を行ったわけでございますが、ここで御指摘のような相当高い値段が出たということでございます。 これは、先ほど来御説明申し上げていますように意外に需要が強い、飲用乳に回るものもありましょうし、それからバター、脱脂粉乳のメーカーの生産が落ちる、それにもかかわらず加工品に対する需要が強いというようなことから、どうしても手元に持っておらないと困るという人たちが若干入札に参加してまいりました。一般競争入札でだれでも入札できるシステムになっておるわけでございまして、保証金さえ積めば個人でもいいということになっておりますので、そういう方々が、わりに小さい量でございますが、相当高い値で玉を確保したというふうに私ども見ておるわけでございます。 そこで、今後の私どもの考え方といたしましては、何か事業団が荷を非常に制限して売るといううわさが、そういうつもりは毛頭ないのでございますけれどもございますので、毎月必要量は必らず売っていくということを実際に示していくことがこの際必要なのじゃないだろうか。事業団が売らないのじゃないかという風説が一時流れたというふうにも聞いておるわけでございます。そういうことは全くないのでございますけれども、毎月必要量は必ず放出していくということで今後対応してまいりたい。もちろん、非常に夏が短いとかいろいろな話がございます。また七月、思ったよりも需要が伸びてないということもございます。それらこれらいろいろございますが、今後の需給の動向を見きわめながら、これ以上価格が上がっていかないように、事業団としては、放出量、時期もあわせて考えながら、適時適切な処置をとってまいりたいと考えております。
○長田委員 答弁は、時間がありませんから、ひとつ短くやってください。 そこで、いま御答弁がありましたとおり、東京市場の元卸相場においては、原料バターが史上最高ですね。それから、脱脂粉乳についてもほぼ同様の足取りでございます。事業団が五回にわたって、合計パターは七千二百九トン、脱脂粉乳は一万六千トン放出したのでありますが、実際問題、依然として高騰が続いておるという状況ですね。 そこで、私は具体的にお伺いしたいのでありますけれども、応札は何社あったのか、あるいは応札数量は何トンだったのか、さらに応札最低価格並びに落札価格は幾らであったのか、この点ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
○森参考人 一番多い時点の数字を、第五回目が一番問題になっているようでございますから申し上げますと、たとえば四月の少ない時点では入札参加者が十三名、落札者は九名でございますが、七月では入札者が三十三名、落札者は二十名ということでございまして、約倍の落札者があったということでございます。 落札の数量は、先ほど申し上げましたように千七百十トンのバターが売れております。 それから、脱脂粉乳につきましても、入札の参加者が三十七名で、これも四月当時からしますと約倍になっております。落札者が二十九名。 売り渡しの数量が五千トンで、これは全量買い取られておるということでございます。 価格につきましては、最高、最低というのはロットごとに実は全部違うわけでございまして、たとえば関西のどこの会社のどこの倉庫のバター、あるいは脱脂粉乳、こういうことになるわけでございます。したがいまして、同じ値段を入れましても落札ができないところもある。ところが、同じ値段で落札しているところもあるということでございます。そういう意味で平均を申し上げますと、バターの方は一一〇・五、脱脂粉乳は一〇六・六ということでございまして、私どもすでに八月すぐに売りの準備をしておりますので、幾らが最低で幾らが最高かということを公表することは、この際ちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
○長田委員 日本経済新聞によりますと、ことしの六月二十四日、原料バター二千トン、これは第四次になりますか、四回目の放出をしております。三十一社から合計六千八百五トンの応札があった。落札価格は、最低でも安定指標価格比一〇四・五%の、四百五十グラムで五百九十円前後であった。平均では、安定指標価格比一〇六%の、四百五十グラム五百九十八円以上の水準だと報道されているわけです。 そこで、いま理事長がおっしゃったとおり、脱脂粉乳は平均一〇六・六%、大体この報道は正しいと私は思っております。さらに、落札をいたしました乳業メーカーなどは、これに輸送経費などを入れまして、六百五十円以上でないと採算が合わないという指摘をする業者もあるようでございます。こうなりますと、安定指標価格比が一〇五%にも一〇六%にもなってしまう、こういう意見もあるようですね。 乳業メーカーや流通業者の共通の見方といたしましては、これまで五回の原料バターと脱脂粉乳の市中放出は、結果的にはすべて裏目に出ておる、市中の騰勢をあおる役目になってしまっておる、そういうふうに見ておるわけです。 その理由は、いろいろ理事長からも話がありましたけれども、需給が逼迫しておるという状況を非常に軽視しているのじゃないか、小出しの放出がその原因でありまして、結果的には、少ない放出のために値段がつり上がってしまう、これが原因じゃないかということが大体乳業メーカーなどの意見であります。 理事長、こういう状況はどういうふうにお考えですか。一〇四%以上上がった場合には放出をする、いいですか、そのおそれがあるときには放出するのだ、そして市場を冷やす、これが目的でしょう。それを、平均で一〇六%、バター一一〇%、こんな取引をしておりまして、何のための事業団かと私は言いたいのです。これはおかしいじゃないですか。
○森参考人 実は私ども、相当多量のバターと脱脂粉乳を放出しておるつもりでございまして、それを数量的に申し上げますと、四月から七月までに売っておりますのは実は七千二百十トンで、これは一・二カ月分でございます。それから、脱脂粉乳の方は一万六千トンで、これは一・四カ月分でございます。そして、この数字を現在のメーカーの生産数字に加算いたしまして去年の流通量と比べてみますと、去年よりも二五%から三〇%オーバーした数字に相なるわけでございまして、それで結果的には、大変残念なのでございますけれども、先生御指摘のように、意外に上がってしまっているということでございます。 私どもとしましては相当量出したつもりでおるのでございますけれども、結果的にはおしかりを受けるというようなことに相なったわけでございますが、今後は、いまの全体の需給をにらみながら放出してまいりますけれども、七月の二の舞は絶対に踏まないというところで処理してまいりたいというふうに思っております。
○長田委員 理事長、事業団の目的そのものは価格安定のためにあるのでしょう、大きな主目的としましては。そして、政令で定めて、一〇四%以上のおそれのある場合には放出して冷やします、これが目的じゃないのですか。それを、入札の時点で平均一〇六%あるいは一一〇%、こういうことになりますと、これは放出する理由がないのじゃないでしょうか。どうですか。私は目的を達成されてないと思うのです。 なぜそうなるかと言えば、需給が逼迫しているということが原因でしょう。去年から二〇%ふやしました、あるいは三〇%ふやしました、結果的には事業団の目的が達成されていないじゃないですか。この点はどうですか。されていないでしょう。であるならば、輸入なら輸入をする、そして思い切って放出をする。貿易摩擦でいま日本は買わない、買わないなんて言われておるのです。であるならば、思い切って輸入して市場を冷やすということも、当然事業団としての役目じゃないでしょうか。これを残念だ、残念だ、しようがない、しようがないというような感覚じゃ、私は事業団の存在価値がないと思いますよ。先ほどは農水省も言ったでしょう、事業団は十分効果を発揮していると。市場に対して十分価格操作もやって、きちっとやっておりますと言いましたね。これはどうなのですか。農水省、答えろ。そんなことじゃだめだ。
○海野説明員 結果的に価格が上がっているということでございます。確かに、先ほどの理事長の答弁にございましたように、四月から六月の三カ月間で物量としては相当量出ているわけでございまして、少なくとも、その間消費がそれだけあったとは信じられないわけでございます。やはりいろいろなうわさが流れたりというようなことの心理的な影響もあろうかと思います。ということになりますと、単に物量操作だけではなかなか抑えられない面もございます。 一つには、たまたま一方で、牛乳の市場の方は依然として混乱をしておるという事態がございます。バターとか脱脂粉乳をなるべく加工乳に使わない、むしろその他の、本当にバターや脱脂粉乳でなければならない用途へできるだけ回すようにという指導をするとともに、実際に大きな落札をいたします乳業メーカーとか大きな問屋さんとかいうものに対して、特に製菓、製パンのような業界に対して、ともかく不安感があることが一番いけないわけですから、その辺のところへ十分流すようにという指導をしたわけでございます。 また同時に、この四月から六月にかけまして、事業団の放出も相当出たということで、需要が相当ふえていることは確かでございますが、一方で生産も落ちておるということで、これまでやってまいりました計画生産対策、たとえば低能力牛の肉用化でございますとか、全乳哺育、子牛に対して計画をオーバーする乳を飲ませるというような助成措置をとってきたわけでございますが、それも七月から中止をいたしまして、全体の供給をふやすということで需要者の不安もなくしていかなければならないというふうなこと、いろいろな手段をあわせ講じて、価格の安定を図っていかなければならぬというふうに考えております。
○森参考人 御指摘のように、一〇四%を超えさせないということで事業団としては対処しているつもりでございますが、遺憾ながら七月にそれを超えた。今後も、実は学校給食等がございませんで、そういう分がまたいろいろ供給面に回ってまいります。それから、夏の今後の動きというものもございましょう。北海道等は、最近は結構生産が伸びておるという事情もございます。それらのいろいろな事情を勘案しながら、ともかく八月は十二日にバター、十八日に脱脂粉乳ということで、いままで売りました最高または最高に近い数量のものをまた売却いたすわけでございます。市況がある程度頭打ちのところへもう一つ売るわけでございますから、今度は相当効き目が出てくるのではないかというふうに私ども考えておるわけでございますが、それでもなおいろいろ問題があるということになりますれば、別の方法もさらに追加して考えていかなければいけないというふうに考えておるわけでございます。
○長田委員 農水省の調べでは、ことし二月末の民間在庫は、脱脂粉乳が約一万八千トン、これは一・七カ月分ですね。原料バターが約八千トン、これは約一・五カ月分。去年の春に比べまして、だぶついた過剰在庫というのは完全に一掃されておると私は思うのです、こういう状況ですから。適正水準というのは大体二カ月分でしょう。その二カ月を割っております。こうした状況から、需要家からはすでに、事業団の四月の第一回の放出のときに、以前から、事業団に対しましての大量の放出の陳情を受けていますね。また放出後におきましても、その数量が少なくてかえって価格がつり上がってしまう、こういう苦情が出ておりまして、大量に放出するように、その放出前と放出後にも実は陳情も来ておるわけでございます。この点、間違いありませんか。
○森参考人 御指摘のような要請というのは、いろいろな席でやられる場合もありますし、文書でやられる場合もございますが、文書では、一つは、六月一日に、大量に売ってほしいという趣旨の陳情を、日本製酪協同組合と日本飲用牛乳協同組合の連名の要請を受けております。もちろん、常時、実需者団体の意見を聞いて、事業団としては対処しておるつもりでございます。
○長田委員 では、理事長、どうですか、この八月の放出の状況を見て、またもや一〇四%を上回る、こういう取引があった場合にどうされますか。
○森参考人 まだ脱脂粉乳については相当量ございますし、バターについてもまだ若干在庫がございますから、それが需要者に適確に渡るように措置をしてまいるということと。それから、なるたけ私どもとしましては常時一カ月分程度の在庫は持っていたいという所存でございますから、そういう追加的な措置も検討してまいりたいと思っておるわけでございます。
○長田委員 その点、私は静観をしています。その状況の成り行きを見守ってみたいと思います。 次に、豚肉についてお尋ねをいたします。 豚肉の価格がこの春以来値上がりを続けておるわけでありますが、卸売価格ではことしに入りまして次第に高騰を続けまして、六月には安定上位価格でありますところの枝肉一キログラム七百八十円、これを突破しまして八百十九円を記録いたしております。これも本来こんなことにならないように、畜産振興事業団が豚肉を放出する、そうして市場の価格を冷やす、こういうことが当然行われていいんじゃないかという感じが私はするのでありますけれども、これに対しては何か手を打たれましたか。
○鶴岡説明員 豚肉の価格につきましては、昨年秋安定価格帯の下限価格を割るというような事態になったわけでございますけれども、その後回復いたしまして、年初から三月にかけましては、安定帯価格の中心価格を若干下回る状態で推移したわけです。 三月の中ほどになりまして、御案内のとおりデンマークで口蹄疫が発生いたしまして、デンマークの輸入量は豚肉の大体四割程度を占めているというようなこともありまして、さらにまたアメリカ、カナダ等で豚肉が減産というようなこともありまして、また、国産豚肉については季節的に夏場の生産が比較的少ないというようなこともございまして、夏場にかけましていまお話がありましたように価格が高騰したわけでございます。 確かに、六月から七月にかけまして安定上位価格を上回る水準で推移したわけでございますけれども、実際、消費自身が、最近の消費の低迷を反映しまして必ずしも順調でない。一方、生産自体は昨年に比べてかなり上回る水準で推移しておりますし、また輸入につきましても、デンマークの輸入先からほかの輸入先、スウェーデンとかその他から輸入するということで、輸入につきましてもかなり代替輸入ができてきたということで、需給関係を正確に反映した取引が行われれば鎮静するのではないか、豚肉の価格高騰は一時的な現象ではないかというふうに思われましたので、かねてから生産者、加工業者、輸入業者、あるいはチェーンストアの代表の方々に集まっていただきまして、定期的に豚肉需給懇談会というのをやっておるわけでございますけれども、その場で、できるだけ思惑的な取引をしないように、できるだけ正確な情報を交換してもらう、また輸入につきましても、適正な輸入先の確保とか、適正な輸入を行うということを、各団体ごとにいろいろ要請いたしてきたわけであります。 それから、生産自身が徐々にふえてきているということもありまして、七月中旬以降、価格は次第に鎮静化いたしまして、現在八月になってからは、七百円から七百十円という相場で推移しておるわけであります。それから秋口、九月以降に入りましてまた国内生産が一段と増加するわけでございますが、次第に豚肉は軟調な推移をしていくのではないかというふうに見ておるわけでございます。
○長田委員 この六月に八百十九円、これに対しては放出をされたのですか。
○鶴岡説明員 事業団自身は豚肉の在庫を当時抱えてはいなかったわけであります。それと、先ほど申しましたように豚肉の価格の高騰は一時的な話であるというようなこともありまして、できるだけ思惑的な取引を廃止する、できるだけ是正していくということで、豚価自身正常に落ちつくのではないかというように見ておりました関係で、そういう行政指導を続けてきたということで指導をやってまいったわけでございます。
○長田委員 理事長、そういうケースの場合はやらないのですか、やるのですか。
○森参考人 事業団発足当初のときに二回豚肉の買い入れをやっておりますが、自後は調整保管措置と言いまして、生産者団体に金利、倉敷料の補給をするということで、生産者団体が持って対応するということでやってまいっておりまして、したがいまして、最近では、事業団が在庫を持ってそれを高値のときに放出するということはやっておりません。豚肉の輸入を自由化しておりますので、むしろ関税制度の運営で高値を抑える。たとえば、ずっとやっておりましたけれども、関税の減免を行いまして、その上位価格におさまるように関税面でいろいろ対応してまいるということが、最近では高値対策としては通例の形となっておるわけでございます。 今回も、事業団としましては、在庫を持っておりませんので、物で対応するということはいたさなかったわけでございます。
○長田委員 豚肉の東京都区部のいわゆる小売価格、これは年初百グラム百五十円だったものが百六十二円、ここまで実は値上がりしておるわけです。こういう影響というのが実は出ておるわけです。そういう意味で、事業団はほかの面で対策をいろいろやっておるという話でありますけれども、事業団の本来の行き方としまして、ある程度ストックを抱えて、緊急の場合には放出しそして市場を冷やす、こういう態勢づくりは将来ともに必要だと私は思うのですが、どうでしょう。
○森参考人 これは事業団としての考えになるわけでございますが、豚肉を冷凍保管するということになりますと、過去の経験によりますと相当保管料がかさむ、経費がかさみます。ですから、むしろやるとすれば、いま事業団では相当輸入牛肉を常時買って放出しておるわけでありまして、今回もデンマークの事件以来相当牛肉の代替放出をいたしまして、数量的には相当の量をふやして売却をして、肉全体としてのバランスをとっていただくというようなやり方で対応いたしておるわけでございます。
○長田委員 午後二時になりますから、ここで一たん打ち切りたいと思います。
○武部委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後二時休憩 ――――◇――――― 午後二時二十一分開議
○武部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。長田武士君。
○長田委員 次に、生鮮野菜について物価局長にお尋ねをいたします。 過日の台風十号によりまして物すごい影響を受けたわけでありますが、最近野菜の値上がりが非常に大幅になっておるわけであります。 日本経済新聞によりますと、これは七月二十七日との対比でありますけれども、八月四日現在、大根は二倍、一〇〇%ですね。白菜が一・七倍、キャベツが一・五倍、ネギが二・六倍、レタスが三・〇倍、キュウリが一・三倍、キュウリは最近もっと上がっているようですね。ナスは四倍、ピーマンも二・三倍、このようにして軒並み値上がりしているわけであります。 その理由といたしましては、道路が破壊されたとか、あるいは輸送手段に影響が出ておる、こういうことも大きな原因であるだろうと私は思います。そうなれば、私は、一時的な物価の、生鮮食料品、特に野菜ですね、この値上がりでおさまるだろうという感じがするわけでありますけれども、実際問題、畑で相当影響を受けておるということになりますと、いまから作付してもちょっと間に合わぬ、こういう傾向も出てくるのじゃないか、そういうことも私は心配をいたしております。そういう点はどういうふうに見ていらっしゃるのか。
○赤羽(隆)政府委員 最近の野菜価格の動向でございますけれども、ただいま先生御指摘になりました台風の影響、これがございます。台風の影響は、道路が回復する、こういうこともございますし、また、台風の影響を余り受けなかった産地からの出回りということも起こっております。したがいまして、ただいま先生が御指摘になりましたよりも最近では全体に値段が下がってきておる、こういう状況かと思います。 具体的に品目を申し上げますと、キュウリは先週の土曜日一番高値でございましたけれども、今週に入ってきのう、きょうと下がってございます。ただし、キュウリにつきましては、長梅雨の影響を受けまして成育がおくれている、あるいは木が傷んでしまった、こういうことがございますので、例年よりも高値は避けられない、ただし、台風の影響はここしばらくで、もとへ戻るだろう、こういうふうな見通しでございます。 一方、ナスでございますけれども、ナスは今度の台風でかなり影響を受けておると聞いております。これは茎が倒れたとか葉っぱがすれまして、商品として傷んでしまう、こういったようなことがございますし、あるいは風で花が落ちた、こういったようなことでございまして、これは回復するのにしばらく時間がかかるだろう、こういうことでございます。 キャベツ、レタスなどは、これは群馬あるいは長野産の値段が高かったわけでございますけれども、これは北海道あたりでは豊作のところがございます。そういう道南物などが漸次出てきている。これにつきましては、農水省の方から出荷の協力要請などをした、こういうことでお話を伺っております。昨日あたり、レタスなどは値段が下がってございます。キャベツの値段は多少なお高いものの、一時の高値よりは安い、こういう状況ではないかと思います。 大根でございますけれども、これはやや高値が続いている、こういうことでございます。 台風などによって被害を受けました分については、早急に回復せよと申されましても、これはやはり成育に時間がかかることでもございますし、季節もございます。そういうことで、むしろ夏秋野菜というよりも秋冬野菜、こういったような点について野菜の値段というものが上がってまた物価を押し上げる、こういったようなことがないように気をつけてまいりたい、こういうふうに考えております。
○長田委員 私、この点で非常に心配しておりますのは、あれは五十五年二月だったでしょうか、野菜が物すごく高騰したわけですね。そのときには、物価問題の審議の中で、やはり生鮮食料品、特に生鮮野菜、この上昇が物価を押し上げておる、こういうようなことで私たちは審議しておる記憶があります。そのときには、これから作付をするというようなことで、早期出荷であるとかいろいろな手を打たれたのですけれども、依然として鎮静化しない、私たちはこういう苦い経験を持っております。 私、ことしの場合、台風もさることながら、この冷夏によって秋野菜、こういう点に影響を受けるのではないか、そういう点を心配しております。そういう意味で、実際問題、台風のこのような状況を考えて、またさらに冷夏の問題ということを考えますと、勢い生鮮野菜が下がる要因というのはないだろう。いま物価が鎮静化しておる大きな理由としては生鮮食料品、これが鎮静化しておるんですね。そうなりますと、物価にも悪い影響を及ぼすということは時間の問題だろう、そういうふうに考えるんですね。そうなった場合、具体的にどういうふうな手を打たれたらいいのか。先手、先手で打ちませんと物価対策というのはうまくいきません。そういう点ではどういうふうに考えていらっしゃいますか。
○赤羽(隆)政府委員 この秋から冬にかけての野菜につきましては、いろいろな野菜の対策がございます。たとえば予備苗をするとか、余分に作付をふやしていただくとか、そういったような対策をとりまして、秋から冬にかけましての野菜の動きというものを、別途非常に注視をしながら、できるだけのことをしてまいりたい、こういうふうに覚悟しているところでございます。
○長田委員 それでは、最後に河本長官にお尋ねいたします。 先ほど来論議になりました乳製品、あるいは豚肉、あるいは生鮮野菜、いずれも物価に大きな影響を持つものだと私は考えます。消費生活に密接にかかわっておりますこうした生活必需物資といいますか、これについて価格の安定という立場でどのように考えていらっしゃるか。この点、最後にお尋ねしまして、私の質問を終わります。
○河本国務大臣 消費者物価の安定は国民生活にももちろん直接の関連がございますが、同時に、いろいろな経済政策を進めます場合に、物価が安定しておりませんと有効にこれを進めることは不可能である、こういう観点から、政府の方では、かねて、物価の安定ということを経済政策の中では一番大事に考えております。 先ほど来重要な食料につきましていろいろお話もございましたが、最近の需給関係、異常気象等を十分考慮をいたしまして、関係各省とよく打ち合わせをいたしまして、万遺漏ないようにやってまいりたいと思っております。
○長田委員 終わります。
○武部委員長 次に、塩田晋君。
○塩田委員 消費者物価の上昇率は、本年六月の全国対前年同月比で二・二%と、四カ月連続の二%台になっております。これは、昭和三十五年度以降では初めてのようでございます。また、七月の東京都区部の上昇率を見ましても、対前年同月比で一・九%、これも十五年ぶりに一%台に低下をしておるということで、消費者物価は非常に安定的に推移をするようになってまいりました。これは各種の物価対策を有効に発動し、また、経済の景気動向との関連もあろうかと思います。 最近の物価動向につきまして、マクロ的で結構でございますから、概略を局長からお話をいただき、また、今後の見通しなども含めて説明をいただきたいと思います。
○赤羽(隆)政府委員 最近の物価動向でございますが、ただいま先生御指摘のとおり、消費者物価につきましては東京都区部速報で一年前と比べまして一・九%、こういう数字になってございます。二%以下の数字というのは昭和四十二年七月以来十五年ぶりの低い伸び、こういうことになりますけれども、これは生鮮食品の寄与が非常に大きくございます。しかし、生鮮食品を除く総合で見ましても三%前後、こういう数字でございます。この点は、六月の全国指数で申し上げますと、それまで三%台に推移してまいりました生鮮食品を除く総合の数字が六月には二・九%、こういうことでございますから、物価の実勢は三%前後のところまで安定してきている、こういうことではないかと思います。 この消費者物価をかなり長くとって展望してみますと、人手不足ということが起こりました昭和三十五年ごろ、このあたりから大体四%ないし六%ぐらいの水準で推移をいたしました。平均しまして五%前後、こういう状況が四十年代の後半の中ごろまで続いておったわけでございますけれども、四十年代の後半の数年間非常に高騰いたしましたが、また再び五十年代に入りまして消費者物価は全体として落ちついてきた。第二次石油ショックがございまして五十五年度には多少上がりましたけれども、また過去二十年来の長期的な上昇率、これをやや下回る線まで下がってきている、こういう状況かと思われます。 これは全体として、個別の重要な物資に対する政策、こういうものの効果があらわれたことも事実でありますけれども、生産性の向上に見合った賃金の引き上げその他の要因が重なりまして、こうした良好な成果が得られている、こういう側面もあるかと分析しております。 マクロの観点から評価をしろ、こういうような御質問でございますので、長期的に全体として物価の状況というものをお話しいたしますと、以上申し上げましたような認識かと承知をしております。 見通しでございますけれども、現在の物価の基調というのがほぼ三%前後、こういうことでございますけれども、今後は、生鮮食品につきましては、先ほどから問題になっておりますけれども、多少上がるという局面があり得るといたしましても、基礎的な物価の基調はやはり三%台、こういうところで当分の間推移するだろう、こういうふうに見ております。
○塩田委員 次に、景気が停滞をしておるということ、この状況につきまして、各経済指標をどのように見ておられるか、その状況を含めて説明いただきたいと思うのです。
○田中(誠)政府委員 御指摘のとおり、景気の状況を見ますと、昨年の半ばに底を打ちまして緩やかな回復を見せたわけでございますが、昨年の末ごろから、輸出の停滞を主因といたしまして景気が足踏み状況でございますし、ここのところその色が非常に濃くなっているという状況かと思います。 まず輸出の状況でございますけれども、四-六月期の輸出、数量ベースで見ますと前期比四・一%のマイナスでございますし、前年同期で三・七%のマイナスということでございます。従来好調でございました加工型、特に機械でございますけれども、輸出が鈍化していく、ないし減小していくということがその大きな要因でございます。 そういった輸出の減少傾向が生産等にも反映いたしまして、生産を見ますと、四-六月期前期比で一・八%のマイナスでございます。 一方、出荷も前期比マイナス一・六%という状況にございます。特に、従来好調でございました加工型の生産、出荷が停滞を示しているという状況にございます。 これを、その需要の動向で見ましても、住宅着工で見ますと、このところ依然として低水準で続いておるわけでございます。季節調整いたしますと、毎月の住宅着工が十万戸弱ということでございます。 一方、設備投資の面で見ますと、大企業の設備投資はこのところ若干見直しの動きはございますけれども、なお底がたさを示しているのに対しまして、中小企業の設備投資が停滞を示しているという特徴がなお続いているわけでございます。 これに対しまして、公共工事の請負金額で見ますと、四-六月期前年同期比八・一%でございまして、公共工事の契約の前倒しという措置をとったわけでございますが、その効果が請負金額にはあらわれているという状況にございます。 他方、大きなウエートを占めます個人消費でございますけれども、物価の落ちつきます中で、可処分所得がことしに入りましてプラスということもございまして、実質消費支出もこのところ若干プラスに転じているということでございます。何分にも月によって差がございますけれども、一-三月期前年同期比で二・五%のプラスでございますが、四月が前年同月比一・一%のプラス、五月が三・九%のプラスでございます。 他方、乗用車の登録状況を見ましても、このところ前年を約一割近く上回るという状況が続いているわけでございます。しかし、総じて見ますと、何分にも輸出の停滞ないし減少傾向が見られるということでございまして、それが景況に各般の影響を与えているということでございます。 特に注目されますのが最近の雇用の状況でございまして、雇用は労働需給の面で見ますと弱含みの状況ということかと思われます。有効求人倍率で見ますと、六月も〇・五八、四-六月平均でいたしましても〇・五九、かなり低い水準にございます。完全失業者数が六月には百四十二万人、大変な高い数字になっておりますし、完全失業率で見ますと二・四八、かなりの高さでございます。全体として需要には跛行性はございますが、このところ停滞色を強め、それが雇用面にもあらわれているという状況ではないかと思われます。
○塩田委員 景気は、輸出の減少を初めとして各部門にわたりまして、かなりの不況を示す数字が出てきております。非常にむずかしい局面に入ってきたのではないかと考えられます。 続きまして円安の問題でございますが、これはたしか今年度予算編成のときは二百十八円だったかと思いますが、それを前提にして組まれておったのに、いますでに二百六十二円をオーバーして、そして株価も七千円を割るというような状況が出ております。この問題について御説明いただきます。
○田中(誠)政府委員 五十七年度の経済見通しの際の円レートでございますが、見通し作成時の一カ月前の平均ということでございますので、二百十九円を前提としたわけでございます。 最近の状況を見ますと、先生御指摘のとおり二百六十円を割るという状況があるわけでございます。 その大きな要因は、何と申しましてもアメリカの金利が大変高水準で続いております。したがいまして、内外金利差がかなり大きいという点が大きな背景かと思われます。 しかし、最近の状況を見ますと、加えまして中東等の政治情勢がございますし、また、先ほど御指摘のございましたわが国経済のパフォーマンスに、従来に比べますと若干悪い要因が出ているといったことが反映されているのではないか、こういうふうに判断しているわけでございます。
○塩田委員 そこで、大臣にお伺いいたします。 最近のこれらの経済指標の状況にかんがみまして、本年度の実質経済成長率は五・二%でございますが、これはどのようになるという現在の見通しでおられますか。お伺いいたします。
○河本国務大臣 現在のような弱含みの経済情勢がずっと続いて、政府は何もしないということでありますと相当落ち込むと思います。 そこで、かねて申しておりますとおり、九月初めの段階におきまして、経済情勢を分析いたしまして、最終需要が一体どうなっておるのかということ等十分正確に見通しを立てまして、若干の追加政策を行う予定でおります。十分な追加政策を行えば五・二%成長は可能でありますが、いや、そこまでやる必要はないということになりますともちろんそれ以下になるわけでございまして、ことしの経済成長見通しがどの見当になるかは、九月の段階における追加政策いかんにかかっておる、このように判断しております。
○塩田委員 この経済成長率が五・二%より相当落ち込むだろうという見通しのもとに、九月初めに十分な追加政策を行えばここまでいくだろうというお考えを聞いたわけでございますが、いまや経済界におきましても、また政府の部内におきましても、五・二%はとうてい達成できない、二%前後ではないかというような声が閣僚の中でも出ておるわけでございまして、そのような大きなギャップを埋められるような十分な追加政策というものにつきまして、後ほどいろいろとお伺いしたいと思いますが、本当にこの五・二%を達成できるような追加政策というものがあり得るのだろうかと思いますが、いかがでございますか。
○河本国務大臣 たとえば、五十六年度の経済は四・一%成長の見通しが二・七%になりました。これは、GNPの規模で申しますと二百五十五兆前後の経済を想定しておりましたが、これが大体二百五十一兆ぐらいの規模に落ち込んだ、これが成長率の相違になってあらわれておるわけであります。 そこで、先ほど申し上げましたように、現在のような落ち込みの状態がさらにどんどん落ち込んでいくということになりますと、相当低い水準の成長になってしまうのではないか、こういう説も一部にはございますが、これはどんどん落ち込んでいって何もしないという場合の話であります。そういうことになりますと失業者はどんどんふえていきますし、税収は減ってしまう、国際摩擦はさらに拡大をするということになりますから、これはわが国といたしましては大変困るわけであります。 そこで、雇用もある程度安定させる、それから税収もある程度確保できる、国際摩擦もある程度解消する、そういう方向の経済政策が望ましいわけでありまして、仮に九月の段階におきまして、五・二%とその時点における経済の勢いとの間に、最終需要が仮に五兆あるということになりますと、五兆追加すればいいわけでありますし、七兆足りないということになりますと、七兆追加すれば五・二%成長は達成できる。これは正確な数字を九月初めの段階で分析をしたい、こう思っております。 ただ、これは何も公共事業だけではございませんで、たとえば消費とか、投資とか、住宅とか、輸出とかいうものと、さらに公共事業全体を含めての最終需要のことを言っておるわけでございまして、要するに、この見当の追加政策をやった場合にどういう影響が出てくるかということもさることながら、それだけの追加政策をやる力が日本経済にあるかどうか、こういうことも判断しなければならないと思います。 不確定要素の多いものですから、もう少し様子を見まして、正確な分析をした上で、どの見当までの対策を立てるか、最終の判断をしたい、このように思っております。
○塩田委員 そこで、先般、本国会中でございますが、大蔵大臣から、物価が安定したために昨年度も大きな歳入欠陥を生じたし、今年度もかなりのものが見込まれるというような発言がございまして、問題になったところでございます。これは、大蔵大臣として、歳入欠陥を埋めるのに増税というものが必要だということを強調するためかもわかりませんけれども、これにつきましては、われわれ物価対策委員会の委員としては、まことに不見識な大蔵大臣の物価と経済についての認識だというふうに思っております。これにつきまして、経済企画庁長官はどのようにお考えでありますか。
○河本国務大臣 税収を計算いたします場合に、大蔵省に聞いてみますと、翌年度の税収につきましては各税日ごとの積み重ねを中心にやられるようであります。しかし、翌々年度とかその次の年の税収を計算される場合には名目成長率を参考にして計算される、そのように聞いております。もちろん、翌年度の税収計算の場合も、各税日ごとの計算もさることながら、当然名目成長もある程度参考にされるのではないか、私はこう思っております。 そこで、物価が低い水準で安定をいたしますと、つまり予定以上に物価が低くなるということになりますと、デフレーターが違ってまいりますから、当然名目成長率は低くなります。そうしますと、そのことは一部の税収には当然影響は出てくると思います。 ただ、しかし、一方で物価が低い水準で安定をいたしますと国民生活も安定する、実質可処分所得もマイナスがプラスに転ずる、現にそういう事態が起こっているわけでありますから、そういう面では経済全体に対して大きな貢献をする、こう思います。したがって、少し長い目で見た場合には当然税収にもプラスの貢献ができるであろう、こう思っておりますので、物価が安定したから税収が減ってしまったんだということも言えないことはありませんが、しかし、必ずしもそれは、経済あるいは財政全体に対する正確な判断ではないように思いますので、もう少し広い角度からこの問題は分析すればどうだろうか。確かに大蔵大臣の言われるような面もございますが、それだけではない、このように思います。
○塩田委員 この問題の追及はむしろ大蔵大臣にすべきだと思いますので、この辺にしておきたいと思います。 次に、物価の上昇、不安定が内需の不振をもたらしているんだ、物価が安定すれば内需は当然ふえてくるんだという説明を、去年もおととしも続いて経済企画庁長官からもお伺いしたわけでございますが、この物価が安定した現在、内需もまだまだ伸びないのはなぜでございますか。
○河本国務大臣 物価が安定しただけでは内需がふえるということにはならぬと私は思います。実質可処分所得がふえるということが一番のキーポイントでございますから、実質可処分所得がふえるための、プラスになるための、あるいはさらに、プラスになりましてもそれが大きく伸びる、あるいは小さく伸びる、いろいろな場合がありましょうが、実質可処分所得がプラスに転ずる一つの条件としてこれを考えるべきではなかろうか、こう思っております。 ただ、確かに二年ぶりに実質可処分所得はふえまして、多少のでこぼこはございますが、消費に対しては当然いい影響が出てきております。しかし、一方におきまして、輸出がずっと昨年の秋以降減っておりまして、このために経済界が沈滞をする。特に設備投資意欲が、まず中小企業の段階からどんどんと減ってまいりまして、最近では大企業も設備投資を見直しておる。この影響の方がはるかにどうも大きいように思います。 そこで、公共事業の前倒しとか、あるいは実質可処分所得のプラスとか、そういう新しい要素もございますが、そしてプラスの要素にもそれはなっておるのでありますけれども、それ以外に、経済全体の足を大きく引っ張っておる輸出の落ち込み、それと投資の落ち込み、こういうことから総合的に判断をいたしまして、現在の経済の状態、景気の動向は弱含みである。このように考えております。
○塩田委員 調整局長にお伺いしたいと思いますが、ことしの初めごろ、私がここで質問いたしました中で、本年後半は上向きになる、景気は上向きになるだろう、すでにその徴候が出てきたのは在庫投資の動きによって見るとこれが裏づけられる動向だというお話もございましたし、また世界的に、OECD等の観測も、世界経済は後半でよくなっていく、これも根拠だということを確かに御答弁いただいたわけでございますが、現時点ではこの問題はどうなっておりますか。
○田中(誠)政府委員 ただいま先生から御指摘のございました第一の在庫調整の点でございますが、在庫調整は昨年の秋に、素材型産業中心でございますが、第一次的には終わったわけでございます。しかし、その後、先ほども触れましたように、昨年末に向かってからも輸出の減少がございまして、特に加工型産業を中心といたしまして、在庫の積み上がりが見られるわけでございます。 在庫率指数で見ますと、一時かなり低下いたしました在庫率指数が五月には九三・四でございます。六月も九二・五というふうに上がってまいったわけでございます。加工型、特に機械類を中心といたしまして海外の現地在庫も積み上がっているといったような背景もございますが、緩やかではございますが現在在庫調整が再び始まっているという状況にございます。その在庫調整は前回に比べますと規模は小さいというふうに判断されるわけでございますが、なお七-九月期以降も続くのではないかという見通しでございます。 他方、第二の点でございますが、OECDの経済見通し、昨年段階ではかなり、今年の下期以降高い回復を見せるのではないかという見通しでございました。昨年末のOECDの経済見通しでございますが、ことしの上期四分の三の成長の後、下期には三カ四分の一の成長になるという見通しでございます。しかし、先般七月に発表されましたOECDの経済見通しによりますと、何分にも世界経済全体が大変回復がおくれてまいりまして、上期はマイナス二分の一%、マイナス成長でございます。下期も、回復はいたしますが、二カ四分の一%の成長ということでございます。OECD経済全体といたしまして、三%成長は来年の上期まで延びるという見通しでございます。 全体として回復がおくれ、また、回復のテンポが当時の予想に比べますとかなり下向きに修正されたということでございます。
○塩田委員 そこで、大臣にお伺いしたいと思います。 日本経済の不況対策、これをどういう手段でもってやっていくか。九月には相当思い切った追加政策を実施するということを言われましたけれども、手としては残されているものは一体あるんでございましょうか。円安の問題を含めまして輸出入の問題ですね。それから内需が大きくウエートを占めておりますが、これをどう回復するか。投資の問題、これもむしろ先細りになってきているという状況ですね。その他、物価の安定にかかわらず、景気を上向きにさせるような各要素、この手段があるだろうかということを考えるのでございますが、これは九月にならないとわからぬと言われれば仕方がないんですけれども、考えられるものとして、日本経済を浮揚さしていく手段としてどういうファクターをどう動かしていくか、これについてお伺いいたしたいと思います。
○河本国務大臣 政府の方では、日本経済の規模が非常に大きくなっておりまして、世界全体のGNPの約一〇%というシェアを占めておりまして、日本経済は世界経済とともに存在しておる、世界国家が日本だ、こういう考え方を基本に持っております。 したがって、これからの景気見通しを立てます場合には、現在の世界経済、これは戦後最悪の状態である、このように言われておりますし、また、ときには五十年ぶりの最悪の状態である、このようにも言われております。とにかくこの数十年ぶりの最悪の状態である現在の世界経済がこれからどのように動いていくのか、ここが私は一番のキーポイントではなかろうか、こう思っておるのです。 最近は、OECDとかIMFあるいは国連、EC委員会等、幾つかの権威ある国際機関からの経済見通しも修正されまして報告をされております。つい最近は、アメリカの議会もヘアメリカの政府も、後半から来年以降にかけての経済見通しをそれぞれ出しておりますが、果たしてそのようにいくのかどうか。そういう国際機関とかアメリカ政府、議会の見通しなどを見ますと、現在のマイナス成長がだんだんと方向転換をしてプラス成長になって、ことしの後半から来年にかけてはある程度よくなるんだ、こういう見通しを出しておりますが、もしそういう方向にいきますと、これは輸出も相当回復するであろう、こう思いますが、しかし、えてしてこういう見通しは、先ほども調整局長が申し上げましたように、なかなか正確に動かない、こういうこともございますので、私どもは、この後半から来年にかけての世界経済の回復の見通しをもう少し分析してみたい、このように考えております。 そうしますと、結局、輸出の方は、いま日本で輸出振興策をとるということも、プラント輸出は別でありますが、それ以外についていまのような世界情勢のもとでとるということは不可能であります。 しかりとしますと、主として内需関係ということになりますが、考えられる問題といたしましては、後半に公共事業をどの見当追加するかということが一つの大きな課題になると思います。 それから第二は、民間の設備投資のうち、中小企業の設備投資が当初の見通しどおり着実に実行できる、進んでいくということのためには、何か政府としてとるべき対応策があるのかどうか、これも一つの大きな課題だと思います。 それから、住宅政策が一つだと思います。住宅政策はこの春以降相当思い切ったことをやっておりますが、なかなか政府の期待するとおりの軌道に乗っておりません。何か対策はないのか、これも当然考えなければならぬ一つの大きな課題だと思います。 それから、これだけ状態が悪くなりますと、数業種はいわゆるかつての構造不況業種のような情勢になっておりまして、これらに対する何か特別の対策をひとつ考えていく必要があるのではなかろうか、こういうこともこれからの大きな課題でございます。 それから、公共事業をやろうとする場合にも、あるいは中小企業政策をやる場合にも、住宅政策をやろうとする場合にも、先立つものは資金でありますので、その資金調達を一体どのようにするのか、こういうことを総合的に考えていかなければなりませんので、先ほど来申し上げますように、以上のようなことを課題といたしまして、これから約一カ月間政府部内でいろいろ検討を進めていかなければならぬ、このように考えております。
○塩田委員 いろいろ手を考えていただけるものと思っておりますが、いま最後のところで言われました公共事業の実施、これは前倒しをしてありますから、後半当然足らなくなる。これを埋め合わせなければならないという問題と、災害が発生しておりますから、これの対策も含めまして公共事業をやらなければならない、こういうことが一つの景気対策であることは間違いないと思います。 また住宅につきましては、これは総合産業として波及効果が大きい、各分野に波及してまいりますので、これは有効だということはかねがねわれわれ主張してきたところでございます。 中小企業の設備投資の問題があろうかと思いますが、有効な政策、制度改定を含めての政策、対策があるだろうかと思いますが、いずれにいたしましても、内需を拡大する方法は、前回からもかねがね主張してまいっております可処分所得をふやしていくこと、すなわち不可分所得を少なくしていくということ、となれば、これは所得減税だということを強く主張してまいりました。また、議長裁定で今国会でもいま大蔵委員会の小委員会で検討されているところでございますが、この五十六年度の歳入欠陥並びに五十七年度、五十八年度に予想されます大幅な歳入欠陥というものを考えていきますときに、減税はおろか増税論が出てくるような事態でございます。 そういった財政再建の問題は、後ほど行革の問題とあわせましてお尋ねしたいのでございますが、まず、いまの内需振興についての対策としての公共事業、これを相当な資金調達をして対策いたしましても、国民経済全体、経済の成長率に及ぼす実質的な効果というものが、かつての日本経済の成長期と違いまして、乗数効果というものがかなり小さくなってきておるのじゃないか。住宅政策はかなりまだあると思うのでありますけれども、それにしてもこれは土地対策の問題があろうかと思うのですが、これの有効な政策が伴わないとできないと思います。ですから、全般的に、こういった公共投資が景気浮揚のてことして果たす役割り、効果は薄れてきておるのじゃないか。この投資効果といいますか、投資乗数効果、こういうものはどういうふうに変化しておるか、試算されたものがありましたらお聞かせ願いたい。これは当然検討の大きなポイントになると思うのです。どうですか。
○田中(誠)政府委員 御指摘の公共投資の乗数効果につきましては、いろいろなところで検討が行われておるところでございます。確かに、高度成長期に比べますと乗数効果は若干落ちているのではないかという試算結果もございます。ただ、公共投資の有効性はそのときの環境にもかなり依存するわけでございまして、特にこの値を決める要因といたしまして貯蓄の動き、あるいは輸入性向の動き等々が背景にあろうかと思いますが、また対象といたしまして近年は生活関連施設の整備等にも重点が置かれたということから、乗数効果は従来に比べますと若干低下しているという試算値はございます。ただ、これを生産誘発係数で見ますと、四十年代の後半と現状では余り変わっていないという状況にございます。
○塩田委員 いま言われました乗数効果の試算ですね。また、生産誘発効果測定の数字的なものをもう少し具体的に言っていただけますか。
○田中(誠)政府委員 これは全くの試算でございまして、そのときの環境によって違いますので一概に申し上げられませんけれども、たとえば、私ども経済企画庁のSP18でやりました初年度の公共投資による乗数効果は一・三四でございますが、その後の世界経済モデルによりますと一・二七まで下がってございます。しかし、次年度以降になりますとSP18で二・三二でございますし、世界経済モデルで二・二五と上がっているわけでございます。 一方、生産誘発係数でございますけれども、四十五年度の政府固定資本形成の生産誘発係数は一・八九であるのに対しまして、五十四年度は一・八八とほとんど変わりございません。
○塩田委員 公共投資の効果については、それほど私は楽観できない状況になってきておると思います。特に公共投資だけではなしに、財政政策とともに金融政策を伴わないと、効果は大きくないと思うのですが、いま金融政策を積極策に持っていくほどの経済環境にないことは御承知のとおりでありますし、なおさらその効果が少ないんじゃないかというふうに思われますが、その辺を十分に織り込んで、公共投資を大幅に、先ほどございましたように五兆円とか、七兆円とかいったギャップを埋めるためには、公共投資は相当なものがないとだめではないかと思います。一兆円そこらではだめじゃないかという感じがいたします。これはなお検討を十分にしていただきたいと思います。 いずれにいたしましても、袋小路に入った日本経済の景気回復策というのは、各要素を分析いたしましても、世界経済の状況からいいましても非常にむずかしい段階に来ておりまして、これは本当にむずかしい事態であると思います。これは国を挙げて、各界の知恵をしぼってこの問題に取り組まなければいけないと思います。また財政再建も、景気の回復がなければなかなかできないという状況であろうと思います。 そこで、行革デフレということを大臣は今国会の初めにも言われまして、各界にかなりの波紋を投げたところでございます。これにつきまして、いまなおどういうお考えでございますか。行革デフレというものがかなり出るということをいまでもお考えでございますか。
○河本国務大臣 昨年の春、行革デフレという言葉を使いましたところ、非常な誤解を生みましたので、それ以降行革デフレという言葉は使わないことにいたしております。 ただ、いまお述べになりましたように、行政改革はあくまで私どもは成功させなければならぬと思っておりますが、経済の状態が落ち込んでしまって活力がない、失業者もどんどんふえる、税収も入ってこない、こういう状態を放置して、行政改革をやっておる間は景気対策はやらないのだ、こういうことでありますと、これはもう大変な状態になってしまう、私はこう思っております。 今回の臨調の基本答申などを見ましても、その目標として、一つは活力ある福祉社会、それが一つの目標だ、こう言っております。活力のある福祉社会の内容は何ぞやといいますと、それは雇用問題が解決されなければならぬ、あるいは国民の健康が維持されなければならぬ、あるいは老齢化社会に対応できる諸施策が整わなければならぬ、そういうことが活力ある福祉社会だということを臨調は言っておられますが、特に雇用問題が解決できるような社会ということは、経済が相当よくならないとできないわけでありまして、行政改革だけでとても雇用問題が解決できるとは私どもは考えません。 それからまた、第二の目標といたしまして、国際社会への積極的な貢献、単なる貢献ではございませんで、積極的貢献ということが第二の目標である、このように土光さんは目標を定めておられます。積極的貢献といいますと、現在以上に貢献をしろということでありますから、これもやはり相当な経済の力、財政の力がありませんとできないものであります。 だから、私は、臨調のこの二つの大目標を実現するためにも、これは行政改革も成功させなければなりませんが、同時に景気の活力維持、回復が何よりも大切である、双方並行して進めるということが行政改革成功の道だ、そういうことを機会あるたびに申し述べまして、各界の御理解を得ておるというのが現状でございます。
○塩田委員 OECDの対日審査報告、一九八二年のものによりますと、はっきり日本経済につきまして、公共事業の前倒し、そして後半の息切れを指摘しておりまして、財政再建のために歳出を減らすことは不適切であるということを指摘しております。これらのことを含めまして、同僚議員の質問に対して大臣は、行革も必要だが、景気の対策も必要である、こういうことで、OECDの審査報告について私自身としては賛成であるという見解を先ほど述べられたところでございますが、このような内容を含んだ対日審査報告について賛成であるということは、歳出減らしは不適切であるということも含んでおると考えてよろしゅうございますか。
○河本国務大臣 歳出減らしは不適当であるという意味ではないと私は思うのです。だから、行政改革によって冗費の節約はどんどんやらなければならないが、それだけでは日本経済は立ち直りませんよ、冗費は大いに節約しなければならぬが、さらに積極的に内需拡大のために財政投資を拡大する、そういうことも並行して考えなさいという趣旨だと私は受け取っております。 それから、先ほど五兆、七兆の公共事業の拡大というお話がございましたが、私はそういうことを言っておるのではありませんで、財政需要を全体として五兆拡大したらいいのか、あるいは七兆拡大したらいいのか、それは現時点では明確ではありませんので、九月初めの段階の経済情勢を正確に分析をして、そこで判断をしなければならぬということを言ったわけであります。 公共事業だけではないということを申し上げましたのは、たとえば公共事業はGNPの、ことしは中央地方を合わせまして約九%でございますが、輸出の方はGNPの一二%見当を期待しておりますし、それから民間の設備投資は一六%ぐらいを期待しております。しかもその半分以上、五〇%強が中小企業の設備投資、五〇%弱が大企業の設備投資、このように想定をしておりまして、たとえば、ここで中小企業の設備投資計画が仮に二割前後延期されるということになりますと、これはそれだけで四、五兆違ってくるわけでありますから、公共事業を仮に四、五兆ふやしましても、中小企業の投資がそのように繰り延べになりますと、これはプラスマイナス何にもならないということになりますので、経済全体として総合的な判断が必要である、こういう趣旨を申し上げたかったのでございます。
○塩田委員 私も、大臣が言われましたように、この五兆ないし七兆というのは最終需要の拡大というふうに受け取っておりまして、そのために公共事業が一兆円必要になるか、二兆円必要になるのか、それについては投資の効果、乗数効果というものについてのお話をしたわけでございまして、その辺は理解をしておるつもりでございます。 いずれにいたしましても、非常にむずかしい状況で、一方、行政改革の問題があるわけでございます。 最後にお伺いしたいと思いますのは、きょうの新聞の報道するところによりますと、産業計画懇談会、いわゆる産計懇で、財政再建よりも不況対策をというようなことを言っている大臣がもしあればというところまで言っておるようですが、閣外に去ってもらうべし、これは人事のことまで口出しをするのは非常に問題だと思いますが、そういうことを言っておるということです。それから、非常事態宣言を発して、財政の深刻な事態を知らせるということも言っておるようでございます。そして、五十六年度、五十七年度の歳入欠陥を一気に処理すべし、こういう提案もし、公務員給与の抑制、一〇%以上を預金させるべし、こういうようなことも言っておるようでございます。本文そのものは見ておりませんので、果たしてそのような新聞の表現どおりかどうかわかりませんが、こういう考え方が一方にあるということ、すなわち、何をおいても行革の推進、断行が第一である、不況対策は二の次だというような感じに受け取られるわけでございます。これについてどのようにお考えになっているかということ。 それから、経済企画庁の役割りといたしまして、経済見通しだけをつくって国民に発表すべきである、そして計画、いわゆる何カ年計画、短期、長期あるいは中期の計画はやめろという提言もしておるようでございます。 それから、たとえば見通しが狂ってきた場合、もう明らかに五・二%、これはよほどの対策をしなければとおっしゃいますけれども、これが下がってくる可能性があるとき、だれもがそういうふうに見るときに、これを時々刻々に直して公表していくといったことも提案しておるようでございます。 そして、これもまた組織の問題でございますが、経済企画庁は総合調整機能に徹して、物価局、生活局は廃止すべきであるということまで言っておるのでございます。 これに対しては私もいろいろ考えはあるのでございますけれども、時間が参りましたので、以上の点につきまして、大臣に最終的に御意見をお伺いいたしまして、終わります。
○河本国務大臣 私は、それは見ておりませんので何とも言えませんが、行政機構の改革については、ついこの間、臨調から正式の答申があったばかりでございますが、さらに二回目の行政改革をそういう民間の機関が提案せられるということは、どういう御趣旨なのかその趣旨をよく聞いてみませんと何とも言えませんが、世の中にはいろいろな意見がございますから、どんな意見に対しましても謙虚に耳を傾けまして、国全体の発展になることであれば当然採用すればいいですし、国全体の発展にならないということであればこれは採用する必要はないということでございますから、中身のことについては十分検討をいたしまして、適宜善処をしたい、こう思います。
○塩田委員 終わります。
○武部委員長 次は、岩佐恵美君。
○岩佐委員 まず最初に、長崎の集中豪雨あるいは十号台風、そしてその後の豪雨によって被害を受けられた方々に心からお見舞いを申し上げると同時に、現在の野菜の価格が高騰している問題について伺いたいというふうに思います。 先ほども論議になったところですけれども、野菜、とりわけ一部の野菜について非常に値上がりが激しくなっているわけですけれども、その点について農水省の実態把握を伺いたいというふうに思います。 同時に、その問題について、価格を安定させるということはもちろんですけれども、便乗値上げを防ぐ、そういう手だてについて具体的にどう考えておられるのか、伺いたいと思います。
○中村説明員 今回の台風十号によります野菜の被害でございますが、キュウリ、ナス等の果菜類につきましては、主産地でございます福島、埼玉等で、出荷直前のものに倒伏、倒れましたものでございますが、それとか葉ずれ、葉ですれまして、そういう被害がかなり発生をしております。 キャベツ、レタス等につきましての直接な被害は比較的少ないと考えております。 なお、キャベツ、レタス、ナスの主産地がただいま群馬、長野、山梨といったあたりでございまして、輸送路がこの土砂崩れ等で使用不能になった時期がございます。この間入荷が十分でなかったというような事態がございました。そういうことで、価格への影響につきましては、産地の被害あるいは道路事情等のために、災害直後の八月三日、四日、このあたりまでは入荷量が通常の二割程度減少をいたしました。そこで卸売価格も、レタス、キャベツ、ナス、キュウリ、これらを中心に台風直前に比べてかなり上昇をいたしたわけでございます。 五日以降の市場の入荷量を見ますと通常の水準に戻りつつございまして、価格もおおむね鎮静化の方向に向かってございます。ただし、キュウリとナスというものにつきましては、主産地の福島、埼玉等におきまして倒伏なり葉ずれというようなことで、今後の天候にもよりますけれども、価格の鎮静化に至りますまでにはなお若干の期間を要するであろうというぐあいに考えております。 そこで対策でございますけれども、まず、私どもといたしましては、できる限り安定供給をするということを基本にいたしまして、台風直後から福島、埼玉、長野というような主産県に担当官を派遣をいたしまして、被害の正確な把握に努めるというふうなことをやりまして、価格の安定という意味では、排水でございますね、それから病害虫の排除、あるいは必要な場合には再度植えつけをするというようなことの営農指導をまず行っております。それから、比較的被害の少ない地域を中心にいたしまして、出荷の奨励というようなことで、生産出荷団体に対しまして、野菜の出荷についての協力を要請いたしたところでございます。 今後は、天候のいかんにもよりますけれども、産地の切りかわりといいますか、そういう時期までとにかく野菜の安定供給を中心にいたしまして価格の安定に努めたい、かように存じております。
○岩佐委員 産地の手当ての方はいまやっておられるようですけれども、消費地の対策というのも必要であろうというふうに思いますけれども、その点はどうなんでしょうか。
○中村説明員 その点につきましては、実は青果物商業協同組合というのがございまして、これは小売の皆さん方の団体でございますが、私どもの方から、安定的な価格で供給をしていただきますようにというようなお願いをしてございます。現在のところ、中央の団体にかようなお願いをいたしまして、その組合員の皆さんに趣旨の徹底を願っておるという状態でございます。
○岩佐委員 何か価格動向について農水省独自に担当官がウォッチをするというんですか、調べるというようなこともやるというふうに聞いていたんですけれども、その辺はどうなんですか。
○中村説明員 その点でも、私どもの方で、これは統計情報部の職員でございますが、一定の小売価格につきまして、完全ではございませんけれども、業務上必要な範囲内において、きわめて限られた範囲ではございますが、小売価格の把握を行っております。また、食糧事務所の職員が、一定の小売店につきまして小売の価格を把握するという意味で、これも限られた範囲でございますけれどもやっております。 ただ、小売価格の正確な把握と申しますと、総理府で調べていただいておりますいわゆる小売価格、これが公表されるまでは、一応私どもの調査といいますのはきわめて限られた範囲で行うというところでございます。
○岩佐委員 この間伺ったところでは、かなり小売価格の調査もきちっとするので、便乗値上げ等は十分防げるのだというお話があったわけですけれども、何かきょうのお話を伺っていると、限られた範囲であってというかなり心細い感じもするわけです。 いま十一号台風が発生をして、また本土へ上陸するという危険性があるということが伝えられているわけですね。私も山梨に豪雨の現地調査に行きまして、やはり道路の状況が東京への出荷を大変妨げているという現状についても、産地側からの訴えもあったわけです。ですから、今後の対策として予断を許されないというふうに感じるわけです。 先ほどから議論になっておりますように、いま一般家庭の財布というのはそれこそ収入が物価高に追いつかない状況、もうぎりぎりいっぱいのところに来ているわけですね。日常的に買う野菜が非常に上がるということになると大変心細い状況にもなるし、また具体的な被害も大きいわけです。農水省のそういう対策というのは一応伺いましたけれども、どうもそれだけで本当に十分なのだろうか。その消費地での価格調査等、もうちょっと掘り下げて、価格暴騰に対する対策というのをとっていかなければいけないのじゃないかというふうに思うのですけれども、経済企画庁の考えを伺っておきたいというふうに思います。
○赤羽(隆)政府委員 この台風被害に伴いますところの野菜価格の動向につきましては、ただいま農水省の方からお答えがございました。また、先ほど別の委員の御質問に対しまして私からも御説明をいたしました。 被害が起こりますと、その直後におきましては、ただいま先生も御指摘になりました道路事情等もございまして入荷ができない、こういったようなことがございまして、消費地の値段が産地の値段よりも高くなるということは当然起こり得るわけでございますが、それも現在次第に旧に復しつつある。なお、この被害を受けまして収穫が減っております分、すなわち道路が通りましても入荷ができない分につきましては、若干高値であることは間違いございませんけれども、これもここ二、三日かなり急速に回復の方向に向かっている、こういうことでございます。 したがいまして、また十一号台風が来たらどうするか、こういうことでございますけれども、それは十号台風の経験なども踏まえましてしっかり対策をとっていきたい、こういうふうに思います。 対策の内容につきましては、先ほど農水省の方からいろいろ御披露がございましたけれども、そういったようなことを今回の経験を生かして続けていきたい、こういうふうに考えております。 さらに秋冬物の野菜対策につきましては、いろいろ各種の対策を従来からもとっておりますけれども、ことしもその点抜かりなくやっていきたい、こういうふうに思っております。現に予算措置などにつきまして、いろいろ事務的な手続を進めているものもございますし、五十五年などのような高値という事態をできるだけ避けるように、われわれとして万全の努力を払っていきたい、こういうふうに覚悟しております。
○岩佐委員 結構です。 次に、天然添加物の問題について伺いたいと思います。 最近とみに消費者の間に天然食品指向の高まりが見られ、同時に添加物も天然添加物に移行するということで、天然添加物がかなり広範囲に、しかも大量に使用されているというふうに聞いています。このような現状について、厚生省は使用実態調査を行ったというふうに聞いておりますけれども、その内容について、かいつまんで報告をしていただきたいと思います。
○藤井説明員 天然添化物が昔、昭和三十年代にほとんど使われていなかったという現象がございますが、昭和四十五年ごろから昭和五十年代に入りまして、化学的合成品が嫌われるというような社会的風潮を反映いたしまして、天然添化物の使用量が非常に増加いたしております。正確な数字は把握できておりませんが、約半分くらいの量は天然添化物が占めているのではないかというふうに思います。 厚生省といたしましては、昭和五十一年、五十二年に天然添化物の市場調査をいたしたわけでございますが、そこに上がってまいりました品目数は二百十四品目でございます。しかし、もう少し細かく品目を分けますと、二百五十点くらいが天然添化物として市場流通しているというように把握いたしております。 しかしながら、これはあくまで添化物として使われている抽出された、そして流通しているという形の調査でございまして、そのほか、カツオのエキスであるとかあるいは牛肉の香りであるとか、こういった食品からとった抽出物も添化物という使われ方がされております。こういった点も、完全な実態を把握するために、現在業界にその調査をお願いしている段階でございます。
○岩佐委員 これらの天然添化物の原料の中には、わが国において古来から食用に使用されてきたものだけじゃなくて、その安全性について、経験的または毒性学的に十分な検証を経ないまま、天然食品指向の波に乗って、新しく使用され出したものも見受けられるというような指摘もあります。 こうした天然添化物は、食品衛生法の七条によって一部使用基準が定められているが、それ以外は使用基準もないまま、規制されないで大量に市場に出回っている、そういう状況だというふうに聞いています。しかも、天然の着色料についてみますと、化学的合成品であるタール系色素の八十倍から百倍も使用されている、そういう実態であるということも聞いているわけで、こういう天然添化物について全く野放し状態であるということ自身許されないというふうに思いますし、また八十倍から百倍も使用されているという実態から見て、これはもう早くに手を打たなければならない状況にあるのではないかというふうに思われるわけで、厚生省としてこの点についてどう対応してこられたのか、あるいは将来的にどう対応されるのか、その点について具体的に伺いたいと思います。
○藤井説明員 天然添化物も、化学的に抽出いたしました場合、純粋なものになった場合には、化学的合成品と同じような見方で眺められるべきものと考えております。 私どもが調査いたしました二百十四の天然添化物につきましては、これは市場流通している添加物というような見方をしているわけでございますが、これらの天然添加物を見ていきます場合に、必ずしも安全性にデータを持っていないものが多々あるわけでございます。 しかしながら、危険食物というような関係から見てまいりますと、すべてが、食物の分類といたしまして、食物化学的な成分という点から見まして、有害な物質が入っている食物群というものから天然添加物は抽出されていないというのが実情でございます。したがいまして、行政的に即座にこれに手をつけなくてはならないというような状況に追い込まれているという考え方はいたしておりません。 しかしながら、現在化学的合成品が食品衛生法においていろいろと束縛を受けていることに対しまして、量的にふえた天然添加物が余り法的な制約を受けていないというアンバランスの是正という問題は、当方としても考えていかねばならない将来的課題というように受けとめている次第でございます。 したがいまして、現在、天然添化物と称されるようなものについて全体の把握というようなものを心がけているわけでございますが、その次に、さらに文献学的な資料というものを集めまして、また学者委員会、こういったものを集めて、評価した上において、厚生省として、とりあえずリストアップいたしまして、安全とみなし得る天然添加物、こういった作業を進めていきたいというふうに考えております。
○岩佐委員 そのリストアップ等の作業については、大体今年度末ぐらいから実施をされるのかどうか、時期的な問題について伺いたいと思います。
○藤井説明員 現在の天然添加物のそうした行政的な取り込みということの一環といたしまして、私どもでは、食品化学行政五カ年計画というようなものを一般に公開しているところでございます。現在、その計画どおり進んでいるかという点では若干のおくれはございますが、現時点におきまして、天然添加物の把握は十月ごろにはほとんど全部でき上がるというふうに思っております。これを印刷物といたしまして、早急に委員会等においてその全体を眺め、どのような評価をやっていくかというような観点から、評価のリストアップという方面に、来年の少なくとも二月、三月ぐらいには作業にかかりたいというふうに存じております。
○岩佐委員 天然着色料の場合に、一般的に染着性とかあるいは安定性に欠ける、そういう特性があるために、使用基準のない種々の添加剤を加えて使用をされている例が多い。こういうふうに、東京都の天然着色料の危害防止対策に関する答申という中で指摘をされているわけですが、天然添加物を将来的に表示をしていかなければならないのだろうというふうに私は思いますけれども、このような化学的合成品の天然添加物に添加をされる添加剤、これは一体どういう扱いになっていくのか、そこのところを伺っておきたいというふうに思います。
○藤井説明員 確かに、天然色素がそのまま食品に融和しないというような現象がございます。これに使われる化学的合成品というものの場合には、これは食品添加物として指定されたものでなければ使用することができません。したがって、これを私どもは製剤、添加物の製剤という形で眺めているわけでございますが、化学的合成品を加えた場合には、化学的合成品という形の製剤としてこれをとらえている次第でございます。
○岩佐委員 それから、現在、カステラとか黄な粉、魚肉漬物、鯨肉漬物、昆布類、しょうゆ、食肉、食肉漬物、スポンジケーキ、鮮魚介類、これは鯨肉も含むということですが、お茶、ノリ類、それからマーマレード、豆類、みそ、めん類、ワンタンを含むということになりますが、野菜、ワカメ類、これらの食品については着色の必要性がないものとしてタール色素の使用が禁止をされておりますけれども、この禁止をした理由について伺いたいと思います。
○藤井説明員 生鮮食品の新鮮さの判断というのは、長年、日本人の食生活におきましては、家庭の主婦が目でこれを眺めるという習慣で今日まできているわけでございます。したがいまして、これを着色することによって新鮮さの判断が困難になるという形は、添加物として間違った使い方であるという観点から、禁止の措置をとっているわけでございます。
○岩佐委員 天然添加物につきましても、同じように、生鮮食品については五十六年に使用が禁止をされたというふうに承知をしているわけですけれども、その際に、カステラ、黄な粉、魚肉漬物、鯨肉漬物、しょうゆ、食肉漬物、それからスポンジケーキ、マーマレード、みそ、めん類、そういうものに対しては、天然添加物の使用が認められているわけです。私は、これらの食品についても、やはり品質劣化しているものを天然添加物で品質がいいように見せる、そういうこともあるのではないか。あるいはカステラとかスポンジケーキなどの場合には、卵の使用との関係というのがかなり大きな関係を持っているのではないだろうか。それからめん類についても、たとえば茶そばなんというのがありますけれども、これはほんの一例ですが、お茶を本当に使っているのか、染めているのか。それから二八そばとかいって色が黒く、昔のおそばは黒かったのだけれども、いまのはうどん粉を多くして、二八そばみたいに色で出して、いい品物のように見せて、高く売るということだってあり得るのじゃないか。だから、これらの食品についても、当然天然添加物の使用について考え直すべきではないかというふうに思いますけれども、その点、いかがでしょうか。
○藤井説明員 御質問の第二点の方からお答えさせていただきたいと思いますが、タール色素を食品に対して欺瞞的な形で使うという禁止は昭和四十六年でございます。それと同様に、天然色素を同じような使い方をするというのに制限を加えたのは昭和五十六年、十年間の隔たりがあるわけでございますが、生鮮食品に天然色素を着色するというような習慣は、昭和四十六年当時には全くなかったわけでございます。それが昭和五十五年に入って、天然色素を使って生鮮食品を着色するという事例が出てきたということに対しまして、タール色素と同様な規制措置をとった次第でございます。 その次に、カステラあるいはスポンジケーキ、こういったものに対する色素の使い方という点の御質問でございますけれども、第一の方のこの天然色素については外しております。その理由といたしましては、天然添加物の定義、天然添加物とは一体何なのだという定義を、私ども必ずしも十分に認知していないわけでございます。明らかにハイビスカス等から取りました純粋な色素成分、これは天然添加物、化学的合成品と同じような考え方をしてもいいかと思いますが、現在のように加工食品が工場生産なされますと、卵でも産地によって黄身の色が違ってまいります。そういたしますと、ある銘柄のカステラがロットによって色がちょっとずつ違うということが起こってくるわけでございます。こういった色の調整に卵の黄身色素というのを使います。あるいはまた、チョコレートにおきましてはカカオ色素というような形で、製品としての色の調合をいたします。天然添加物として、いま申し上げましたものも当然含まれてまいります。こういった微調整のものまでもタール色素と同じような扱いはできないという観点から、天然色素についてはスポンジケーキ等への使用は禁止いたしていない次第でございます。 なお、そばあるいは茶そばでございますか、こういったものに対する色素があった方がいいのか、あるいはない方がいいのか、これは国民が選択する問題ではないかと思います。
○岩佐委員 厚生省の考え方も、そのロットによって違うという場合には、微調整の意味でというその説明も一つの考え方だとは思いますけれども、ただ、やはりカステラやスポンジケーキに黄色い色をつけるというのは、卵を非常に少なくするとか、あるいは全く使っていない場合ということだってケースとしてはあるわけで、やはりこれは添加物の正しい使い方にはならないというふうに思いますので、その点、いろいろ天然添加物のまとめの作業をやられる際にあわせて検討をしていくように、強く要請をしておきたいというふうに思います。 次に、昨年のこの物特委でもって質問をいたしました食品添加物の全面表示、この作業が一体いまどういう状況になっているのか、それから今後どういう見通しなのか、お示しをいただきたいと思います。
○藤井説明員 昨年この席におきまして、厚生省の政務次官が、食品添加物の食品に対する表示については、原則として全面表示の形で検討したいと答弁いたしております。それを受けまして私どもといたしましては、現在、諸外国における食品添加物の食品表示が、どのような基礎概念のもとに、どのような法的措置のもとに、どのような具体的な表示をなしているか、こういった点について前年度調査を行っていたところでございます。 表示をどのようにやっていくか、具体的な形においては現在検討いたしておりません。 このことにつきましては、食品添加物の表示を義務づける以上、名称を国家的に統一する必要がございます。化学的合成品については指定制をとっておりますので、名称は一般的名称として確立いたしております。しかしながら、これからの国際的問題を考えてまいります場合には、この名称も国際名称に統一していく作業が化学的合成品についてもございます。 一方、先ほどから御指摘がございましたが、天然添加物については、各企業が製造者責任を持って市販している状況でございます。したがいまして、国家的に統一された名称が存在しないというのが現実でございます。 こういった観点から、先ほど天然添加物をリストアップして表にしたいということを申し上げましたが、リストアップすることによって名称を一般的名称化する手だてができるかと思います。そのためには、天然添加物の調査とそれの安全性に関する評価という作業を先に進めなくてはなりません。また、さらに時間のかかる問題といたしましては、国が一般的名称という形で、ある天然添加物の名称を定めた場合に、その天然添加物が、クチナシならクチナシの生のままのものを粉末にしたのもクチナシ色素である、そこから五〇%程度色素を抽出したのもクチナシ色素である、純粋に取り上げた成分もクチナシ色素である、こういった同じ名称で品質がばらばらということが起こってまいります。こういった点も、名称を統一する以上は、品質、規格をそれの裏打ちとして整備しなくてはなりません。こういった作業に約二年間かかるというように現在見ている次第でございます。
○岩佐委員 それから、現在、食品衛生法の改正問題が非常に大きな社会問題になっていると思います。この点について、全般的なことは時間の関係でお伺いすることは不可能ですので、一つの問題にしぼって伺いたいというふうに思います。 それは、厚生省が、いまお話しになられた五カ年計画をお示しになった際に、私の手元には「食品衛生業務担当者地区別打合会議資料」というのと、それからもう一つは、藤井課長が「食品衛生研究」でお書きになられた「食品用化学物質をめぐる行政動向」という論文があるわけですけれども、これらの資料の中では、食品添加物の認可制の導入、そして食品衛生法の法改正ということが記載をされております。この点について、消費者団体などからいろいろな問題点が指摘をされているというふうに承知をしているわけですけれども、とりわけこの添加物の認可制ですね、その導入について厳しい批判があるというふうに承知をいたしておるわけです。 ことしの八月三日に出された厚生省の「食品化学行政当面の課題」という文書の中では、認可制の導入、つまり承認ガイドライン作成については不確定計画という形での記載がされておりますし、それから、食品衛生法の改正については削除されているわけですけれども、この点について説明をいただきたいと思います。
○藤井説明員 現在、厚生省といたしましては、食品衛生法の改正という問題については白紙の状況にございます。したがいまして、食品衛生法を改正して承認制を導入するという件についても、同様白紙だと申し上げたいと思います。 ただ、食品化学行政を預かっております私といたしましては、農薬あるいは飼料、また医薬品と同様に、受益者負担においてその試料をすべて整えるという制度を導入することは十分検討に値すると考えております。
○岩佐委員 白紙だということでの確認の上に立って、私は認可制については慎重にすべきだというふうに思っているわけです。食の安全性の問題について、営業の実態に合わせてという考え方をとる余りに、安全性と営業の自由が競合するような基盤に立って安全性の問題を考えるということ、これはやはり問題なのではないかという指摘があります。安全性の問題は人類の生存にかかわるもっと高い次元の問題であるということで、新しい添加物を認めるのは控えるべきである、こういうことが指摘をされているわけですけれども、第六十八国会でも、「食品添加物については、常時その安全性を点検し、極力その使用を制限する方向で措置すること。」という附帯決議も法改正に当たってなされているという点を十分踏まえて、今後も対応していっていただきたいというふうに思います。 それから、厚生省の天然添加物と並んでの五カ年計画の中での一つの作業だと思いますが、容器、包装についても現状は全く行政の対応が不十分である、野放し状態であるというような批判がある中で、厚生省としてこの問題について積極的に取り組まなければならないということで、すでに準備を進めておられるというふうに伺っておりますけれども、概略を説明していただきたいと思います。
○藤井説明員 容器、包装につきましては、主として紙、ガラス、陶器、そしてプラスチックというようなものが考えられるわけでございますが、伝統的なものは除きまして、プラスチックが近代科学の粋を集めた形でございます。そういった関係から歴史を持っていないという点において、衛生上の規格の整備が最も必要な対象分野でございます。こういった観点から、昭和四十三年にプラスチック全般についての衛生規格がこしらえられているわけでございます。 しかしながら、その当時から十五年を経過いたしまして、食品用に使われてまいりますプラスチックの種類が、ポリエチレンあるいはポリスチレンというような有名なものから、非常に新しいプラスチックも使われるようになってきたわけでございます。こういった関係から、プラスチック全体の一括した規格で対応するのにはどうしても不備が生じてくるという観点から、昭和四十八年に塩化ビニール樹脂についての個別規格をつくって以来、昭和五十四年から五十七年までかけまして、八品目の個別樹脂の規格を作成してきた次第でございます。しかしながら、現時点においてあと十五種類の個別樹脂がまだ食品用に使われているわけでございます。こういった観点から、これらについてもそれぞれ独特の衛生規格をつくっていく必要があるということを考えている次第でございます。 しかしながら、これだけの個別樹脂が出てまいりますと、単独の規格ではなくて一括した規格といたしまして、そして総則という一般約束を頭につけて、たとえばの話でございますが、廃プラスチック、一度捨てられたプラスチックは食品用に使ってはならないという一般約束をつける形で、全体の見直し作業をもうやる時期に来ているという判断から進めているわけでございますが、現時点で、八月二十日ごろにはすべての原案を印刷物といたしまして、原案の段階で都道府県その他に公開し、各方面からコメントを求める予定をいたしております。
○岩佐委員 結構です。以上で終わります。 次に、石油の問題を伺いたいと思います。 原油のCIF価格の単価の推移を見てみますと、昨年の八月値上げのベースである六、七月のCIF価格、五万三千八百六十一円、それから五万三千六百六十三円、こういう価格であるのに対して、ことしの四月値上げの前の二、三月のCIF価格は五万二千百二円、それから五万三千三十二円、むしろ昨年の六、七月よりも安くなっているのですが、この点、事実として間違いがないかどうか、確認をしていただきたいと思います。
○落田説明員 まず通関統計の関係でございますが、いまの数字としてはそのままそのとおりでございます。価格自体はそのとおりでございます。
○岩佐委員 といたしますと、ことしの四月の三千円値上げ、これについて、CIF価格が下がっているのに、つまり原油のコストが下がっているのに製品の価格のアップがされたということになるのではないか、この点、いかがでしょうか。
○落田説明員 まず、いま先生のおっしゃいましたシーリング価格の改定に当たっての前提でございますが、これは若干細かい点になりますけれども、たとえば為替レートといいますのは、ヒヤリングをします直近の一カ月前のレートをとる、価格自体、原油のFOB価格なりCIF価格のドルベースの価格自体は一番最近の時点をとる、こういう考え方に立っておりますので、必ずしも先ほどおっしゃった数字と一致するものではございません。 それからもう一つ申し上げますと、四月のシーリング価格チェックの話が出ましたが、シーリング価格そのものが、毎月、毎月の原油の輸入価格の変動に基づきまして常時チェックをしていくということではなくて、その時点、その時点に、前回のチェックとの間の変化を追ってチェックを行っているというような形をとっているわけでございまして、本年四月につきましても、本年四月前の十二月改定に基づきまして四月のシーリング改定の申し出がありましたので、それに基づきまして内容をチェックをした、こういうことでございます。 各社のコストの中身自体につきましては、企業秘密等の問題もございますので省略させていただきますが、四月の三千円値上げというものの性格というようなことについて若干申し上げますと、シーリング価格の制度そのものの性格の問題でもあるのですが、シーリング価格というのはこれ以上上げてはいけないという天井を示しておる水準でございまして、それに対しましてこれは各社別に決めておるわけでございます。コストがそれぞれ違います。たとえば、去年の場合は原油コストが非常に違うとかいったような状況がございますが、そういったコストが異なるためにそれぞれの天井が異なってくるわけでございますが、実勢価格というのは一物一価というような方に向かいますので、各社ごとにはどうしても、シーリング価格に対する未達成分というのが残ってくるというような性格が出てくるわけでございます。 ことしの四月の値上げにつきましても、性格的には、シーリング価格の改定によりまして、そのシーリング価格改定幅に基づいて値上げをした分と、それ以外のいま申し上げたような意味でのシーリング価格の未達分というのを回収しようとして値上げをした分と、両方が含まれているというようなことになっておるわけでございます。
○岩佐委員 私は何度説明を伺っても通産省の言い分がよくわからないのですけれども、確かにことしの二、三月の原油価格は昨年の十二月のときよりは上がっています。しかし、昨年の八月以降CIF価格をずっと追っかけていきますと、九月が五万三千二百七十二円、十月が五万二千八百五十一円、十一月が五万三千百十二円、そして十二月が四万九千四百五十四円、こうずっと一貫して下がっているわけですね。本来だったら、十二月時点で値下げが必要なほどコストダウンをしている状態であったわけなんですね。それをしないで、十二月対比で見ると値上げの必要があるからということで値上げをしている。そこのところが、どうしてそういうふうに飛躍をするのかということがよくわからないわけですね。 その先の問題についても、たとえばことしの四月に対して五、六月のCIF価格、これは現状としてどうなっているでしょうか。
○落田説明員 五、六月のCIF価格は、数字としましては、五月が五万二千八円、六月が五万二千四百十二円でございます。
○岩佐委員 つまり五、六月は四月価格に対して二千円ほどCIF価格が安くなっているわけですね。それにもかかわらず、石油会社は、七月にはキロリットル当たり七千円の値上げが必要だというふうなことを言っているわけです。これが、御承知のように四月の値上げ三千円と合わせると、一万円の値上げになってくるわけです。つまり去年の六月が五万三千八百六十一円、一年たってことしの六月は五万二千四百八円、CIF価格をずっと見ているとむしろ下がっているわけです。それにもかかわらず、製品価格が一万円もの値上げをされる。私はここのところを見て、この値上げが不当な値上げでなくて一体何なんだろうか、どう説明を受けてもよくわからないわけですね。その点、どう認識をしていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
○岩崎(八)政府委員 確かに通関単価、円ベースで見ますと、いま先生御指摘のとおりだと思います。ただ、まさに昨年の六、七、八月ごろ、五万三千円、五万三千六百円とか、こういう通関単価の原油では石油産業が成り立たないということで、非常に大騒ぎをして、そのままでは何千億赤字になるかわからないということで、一つの大問題が昨年の夏に起こったわけでございます。五十六年年度間の決算がすでに各社発表されておりますが、その結果を見ますと、確かに二千六百億の赤字が計上されておるわけでございます。したがいまして、昨年の五万三千円とかこういう原油価格のときに昨年の価格では立ち行かなかった、まさにそれだけの赤字が発生をしておったということは事実だと思います。したがいまして、それをどの時期のシーリングがどれだけ回復していったか、そこはおのおのの各社別のシーリングでございますので、それと実現された市場価格とは違いますけれども、その実現されていった市場価格ではそれを償い切れなかったということは事実だと思います。 それから今回の値上げ、これは四月、ほぼ各社三千円くらいずつ値上げを通告、発表しておりますけれども、それがフルには六月までに実現されていないということで、一万円といったり、あるいはそれを除いて六千八百円とか七千円とかいったりした値上げが、この七月一日から八月一日にかけて各社通告をしておりますけれども、これは、今回私ども、そのおのおのについて具体的なコストまでの報告分析をしておりませんけれども、六月中旬以降急速に円安になってまいりました、そのことによる原油価格の高騰が非常にきいておる。たとえば、四月の値上げのときの多分各社が想定いたしました円レートというのは二百三十数円から二百四十円、こういった前提でおのおのの原油コストが計算されておると思いますけれども、それが急速に二百五十円台になったというような事態の中で、一カ月おくれで各社が値上げの通告をした、こういうことではないかというふうに考えております。
○岩佐委員 四月初めにシーリングの範囲内で値上げを認めるということを通産省はされました。そして、四月三十日ですか、シーリングを撤廃されるという状況をつくったわけですけれども、その後石油業界としてはいろいろな経営難を理由に七月には大幅な値上げをしてきているわけですが、もしシーリングがあった場合には、シーリング改定というのは原油のFOBコストが上がらなければされないわけですから、私はシーリング改定というのは四月の分にはあり得ないというふうに思うのですね。だからうがった見方をすれば、FOBの原油の価格の値上げは世界的な趨勢からいってもあり得ない。あと、業界が苦しい苦しいと言うならば、シーリングでチェックをしていくということがいろいろ業界にとっても邪魔になるだろうし、勝手に値上げをやれる条件をつくってあげましょうということで、現在まできているのではないかと思えるわけです。その帳じりが、先ほども同僚委員からも指摘がされましたし、また私も前回のこの委員会で指摘しましたように、ガソリンとか灯油とか一般の力の弱い消費者が使う品種にかぶってくるという実態になっているのだと、その点を指摘をせざるを得ないわけです。 そこで、こういう指摘については恐らく平行線になるだろうと思います。ですからその議論は置いておいて、あと、通産省は七月にいわゆる減産、これも前回の委員会で議論をしまして、減産ではありません、小刻みに供給計画を実施して月割りにしているだけでありますという説明があったわけでありますが、私はあえて、マスコミ等が言っているようにこれは減産であるというふうに思いますので、減産という言葉を使います。それで七月は減産をした、それから八月も減産をしたと聞いておりますけれども、その減産の内容、それから公正取引委員会から何らか話があったと聞いているのですけれども、その内容、それから公正取引委員会からの話について通産省がどう受けとめられておられるのか、その点について伺いたいと思います。
○田中説明員 御指摘のとおり、七月に引き続きまして八月におきましても、石油供給計画の運用という形で、当月において必要な石油製品の製品別の必要な生産量及び原油の処理量につきまして、日本全体としての量を指針という形で示して指導を行っているところでございます。その数字は、結果的に、前年の同月に比べまして、原油の処理量におきましては〇・七%でございますが、若干の減というような数字になっております。 こういった生産の指導を行うに当たりましては、私ども公正取引委員会の事務局の方と十分に意見交換を行いながら進めてきておるわけでございますが、今回八月におきまして生産に関する指導を行うに当たりまして、基本的に、公正取引委員会が、そういった指導を独禁法に対して違反であるというようなことで問題とはされていないというふうに承知しております。
○岩佐委員 ここでちょっと経済企画庁長官に伺いたいのです。 先ほど議論をしたように、石油についてCIF価格を見る限り、去年の八月からことしの六、七月について見た場合に、値上がりをしていない、むしろ値下がりの状況である、これは通産省もお認めになるところであるわけです。そういう中で、シーリング価格が撤廃をされて自由に価格設定をすることができるようになった石油業界が、円安を理由に非常に大幅な値上げをしようとしている、しようとしているというよりも実際に実施に入るという段階を迎えているわけですね。この間の委員会では、長官は、円安等についてはできるだけ企業内で吸収すべきである、企業努力で吸収すべきであるというような答弁があったわけでございますけれども、いまの消費者の生活を見ると非常に深刻な状況である。これは繰り返しこの委員会でも指摘をしているところですけれども、とりわけ灯油については、秋田や山形あるいは北海道、青森、岩手、そういうところの皆さんから、ことしの灯油は一体どうなるのだろうか、お年寄りの家庭だとかあるいは病人を抱えた家庭だとか、そういうところは本当に胸の詰まるような思いをしているわけです。 それで、一般論として値上げは好ましくない、そう言うだけではなくて、通産省が突っ張らしている状況下で、じゃ一体だれがこの救済をしていくのかということになると、私は経済企画庁しかないのではないかということを痛切に感ずるわけで、その点、長官のお考えを伺いたいと思います。
○河本国務大臣 これだけ世の中が不況になりまして需給関係が緩んでまいりますと、普通の産業の場合は、これだけコストが上がったから上げてください、こう言っても絶対に通用しないわけです。これは消費者がノートだ、需要家が困ります、こう言えばそれで実現できないわけですが、独占的な業界またはそれに近いような業界の場合には、いろいろ交渉はあるでしょうけれども、最終的には認めざるを得ない、こういうことになりますから、ここに非常に大きな問題があると私は思うのです。 したがって、独占的な業種あるいはまたそれに近い分野におきましては、やはり徹底的な合理化をしてもらって、そして、こういうお互いに苦しいときですから、できるだけ需要家、消費者に迷惑をかけない、こういう努力が望ましいと思います。 特に為替問題が背景にあるようでございますが、為替問題につきましても成り行きに任せないで、そこは工夫と努力によってある程度吸収でき るはずであります。 そういうことでございますから、こういう厳し い情勢のもとでは、以上のようなことをひとつ原則的に考えてもらいたいということを私は希望いたします。 しかし、石油業界につきましては、この三月期 すでに相当大きな欠損があるようでありますか ら、そこで、先ほど通産省から御説明がありましたように、いまのままでは日本の石油業界は行き詰まってしまう、何とかしなければならぬ、こういう配慮が背景にあるんだ、こう思います。 それなりに理解はできますが、基本的には、以上申し上げましたようなことで、合理化によってできるだけ吸収してもらいたいというのが私どもの希望であります。
○岩佐委員 もう一つ突っ込んで、消費者の具体的な灯油だとかの対策について、一万円の値上げによる家計圧迫という問題について、具体的にどういうふうなことを考えていかれるのか、伺っておきたいというふうに思うのです。
○赤羽(隆)政府委員 お答えいたします。 灯油の問題につきましては、私ども、第一次石油危機のときの経験に学びまして昭和四十九年以来とっております方策がございます。その基本的な考え方がございます。これはまず供給を十分に確保するということ、すなわち需要期の始まる前であります九月末の在庫をたっぷり持っているということ、そのもとで、便乗値上げとかといったようなことが実現できないような雰囲気をまずつくった上で、適正な取引というものが形成されるようにお手伝いをする、こういったようなことが必要だ、そのことが有効である、こういうふうな考え方をいままでとってきております。 本来、石油製品でありましても、その価格形成は需給を反映したものでなければいけない。そういたしますと、一時的には値段が上がることはありましても、長期的に見ればそれが最も合理的な価格に落ちつく、その意味で消費者にとっても決して損にならない、こういう考え方を基本に持っているわけでありますけれども、そのためには、需要期が始まる直前の時点におきまして供給がたっぷりなければいけない、在庫を確保する、こういうことが一番有効ではないか、こういうふうに考えております。 現在の問題につきましても、ことしの対策としても、そういう基本的な考え方を踏襲していきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
○岩佐委員 その点について、先ほど議論をした通産省の減産の行政指導の問題ですけれども、この問題については、明らかに製品価格の引き上げが浸透しやすいような状況をつくるものであるというふうに私は思います。このことについては、石油裁判でも判決の中で、そういう行政指導は好ましくないということが指摘をされていたわけですが、今回のこの通産省の月別の減産行政指導について、通産省から、この行政指導をする前に、公正取引委員会とそれについて意見交換をしたということの説明があったわけですけれども、その後においていろいろ何か公取がやられたのかどうか。その点についての説明がなかったわけですけれども、その点、具体的にはどうであったのか伺いたいと思いますし、それから、公正取引委員会としてこの月別の減産の行政指導についてどうお考えになるのか、こういうことについて伺いたいと思います。 それで、時間が来てしまったのでもう一問あわせてお答えをいただきたいと思いますが、この間当委員会で鉄鋼値上げの問題についてお伺いをいたしました。今回の値上げが大体浸透したという状況の中で、大手の需要家に対しては大幅な割り引きなどの特別待遇をするというようなことがあったけれども、そのしわ寄せはすべて中小業者がかぶることになるというような、アンバランスな値上げの実施になっているというのが実態であります。この点から、公正取引委員会として、鉄鋼の同調値上げというのは毎回毎回指摘されてきているところで、この際、この間申し上げたように、五十年のときのように掘り下げた調査を行う必要がはっきり出てきているのではないか。いわゆる同調値上げの十八条の二だけで対応するのでは足りないのではないかということが一点。この点についてどうお考えかということ。 それから、流通問題について研究をされるというお答えがあったわけですが、やはり具体的に実施をしていくべきではないかというふうに思いますので、この点と石油問題と、あわせて三点を伺いたいと思います。
○佐藤(徳)政府委員 通産省が七月分、八月分につきましての原油処理目標を示しまして指導していますことは、七月分につき決めました段階、あるいは八月分につき決めました段階で、それぞれ事前に御連絡を受けまして承知しておるところでございます。 通産省の御説明によりますと、石油製品の需給関係が悪化いたしまして在庫が著しく増加をしている、そのような状況がございますので、前倒し的な集中生産を回避して生産をモデレートにするということから、実質的には七月から九月分の三カ月の供給計画を三等分したものということであって、いわゆる減産を意図したものではないというぐあいに承っておりまして、私どもとしましては好ましいことではないのですが、緊急なことであり、やむを得ないかということでおったわけでございます。 ただ、ただいま先生から御指摘もございましたように、行政指導のやり方によりましては、独禁法に違反する行為を惹起するおそれもこれはもちろん十分ございます。 それからまた、この指導につきましては緊急やむを得ないという御説明ではございますが、月別の目標量を設定するといいますことは、やはり事業者の自由な活動を制約する度合いが強いということで、私どもの独禁法上の観点からもやはり好ましくない、できれば避けていただきたいという行為でございまして、私どもとして、石油の需給事情等からもし必要があるというのであれば、石油供給計画自体を御改定なさるのが筋ではないだろうかと考えておりまして、御連絡を受けました際に、通産省に、私どもの考え方はお伝えしておる次第でございます。 それから、鉄鋼製品の値上げの関係でございますが……。
○岩佐委員 時間がありませんので、もしあれでしたら、委員長に答えていただきたいのですが……。
○橋口政府委員 鉄鋼の同調的値上げの問題につきましては、いま大半の鉄鋼会社とユーザーとの間の交渉は結了しつつあるわけでございまして、結了をいたしました段階で、同調的値上げの規定に該当いたします場合には、値上げの理由の報告を徴収いたしたいと思います。 それから、四月の委員会で私からお答えいたしました鉄鋼の流通問題につきましても、現在のところ、国際的通商摩擦の問題等がございましてまだ手をつけておりませんが、将来の問題として、これは十分検討して手をつけてまいりたいと思います。 それからまた、昭和五十年の調査が単なる同調的引き上げ以上の、鉄鋼業界の経営問題も含めたあるいは価格決定のあり方を含めた調査になっておりますので、そういう点も検討したらどうかという御注意がございまして、この点につきましてもいまあわせて検討いたしておるところでございまして、いずれ何らかの方法で、やや広範な、また掘り下げた調査をいたしてみたいというふうに思っておるところでございます。
○岩佐委員 終わります。
○武部委員長 次回は、来る二十日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時三十分散会