P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
96回国会衆議院1982/07/08

物価問題等に関する特別委員会 第8号

発言数
223
登壇者
24
会派数
6
開催日
1982/07/08

会議録

武部文日本社会党

○武部委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上泉君。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 わが国エネルギーの必要度といいますか重要度と言えば、石油が圧倒的であり、石油に取ってかわって原子力というものが大きく取り上げられておるわけでありますが、まず最初に、私は、原子力発電課長に、原発は、通産省そしてまたあなた方自身としては、安全なりという前提のもとに原発建設を推進なさっておるのでしょうか。

高沢信行資源エネルギー庁公益事業部原子力発電課長

○高沢説明員 日本で現在実用化されております原子炉は軽水炉が主流でございまして、軽水炉につきましてはおおむね二十年近くの運転経験を有しておりまして、その間その安全性が確認されてきているという考え方をとっております。  したがいまして、今後とも十分安全性の確保には留意をしながら、地元の方々の理解と協力を得ながら立地の推進を図っていく、そういう考え方で進めておるわけでございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 それで、安全ということが確認されて、安全ということの前提の上に進められておると言うが、安全なものがなぜああいう、至るところ海岸の僻地と思うようなところに建設されるというか、そういうところが適地ですか。それとも危険だからああいうところへ持っていくのですか。どっちですか。

高沢信行資源エネルギー庁公益事業部原子力発電課長

○高沢説明員 基本的には、原子力発電所の立地の自然的な条件というのが、水の確保が十分できるとか、あるいは岩盤が十分安全であるとか、そういった自然的あるいは物理的な条件が基本的に重要でございますので、そういった観点からどうしても海岸ということにならざるを得ないというのが一番大きな理由かと考えております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 ということは、水の確保でも非常に不便なところばかりですよ、それぞれのところは。そこに水を持ってくるについて、いろいろたくさんの経費を投じて水を持ってきている。そういう僻地へやらなければならないというところに、原発の危険性があるからそういうことをやっているというわけじゃないですか。何なら、よく巷間言われております、東京都のどっかでやったらどうだろうというようなことも、当然場所としては考えられる。今日の原発のあなた方の言われる安全性から言えば、東京都のどこであろうと大阪市のどこであろうと、水さえ確保できれば、そしてまた岩盤が、地盤が強固であれば問題ない、こういうことですか。

高沢信行資源エネルギー庁公益事業部原子力発電課長

○高沢説明員 全国の中で、いろいろないま申し上げたような自然的、あるいは物理的、あるいは経済的な条件その他を考えまして考えられるところは、それぞれ確かに海岸地に立地しておるわけでございますが、そういった観点からいろいろ検討を加えた上、適地を選定して立地しているのが実情でございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 適地というのは、安全性からの適地ですか。

高沢信行資源エネルギー庁公益事業部原子力発電課長

○高沢説明員 安全性が第一義かと思いますが、それ以外に、地元の方々の理解と協力を得られている土地というふうに理解をしております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 その地元の理解と協力を得られるということなら、理解と協力を得られやすいということでそういう僻地を選んでおる、つまり原発については依然として危険が伴う、だからそういうところに持っていっておる、こういうことは言わずと知れた、わかった理屈じゃないでしょうかね。

高沢信行資源エネルギー庁公益事業部原子力発電課長

○高沢説明員 先ほど申し上げましたとおり、自然的な条件その他からいわば物理的な意味での適地を選んだ上、地元の方々の合意も取りつけられた、そういった両面から総合判断して立地を選んでいるというふうに理解をしております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 原発の安全性の問題についてはまた別な機会に別な場所で論議をすることにいたしたいと思いますが、原発を設置をする個所のどこの地域に行っても、いろいろ設置に当たって地域住民との間に紛争が絶えないわけですが、そういう状態というものは、原発に対する安全性というものが十分保障されてないからそういう現象が起こるのではないか。あるいはまた、その地域を納得さすために、たとえばある電力会社のごときは、そこの市の自治体に八億円も金を出して役場庁舎を建設してやって、そして協力をせよ、こういうふうなことをしておる、そういう新聞報道があったわけですが、そういうことは好ましいことですか。

高沢信行資源エネルギー庁公益事業部原子力発電課長

○高沢説明員 原子力発電所の立地につきましては、先ほどから申し上げましたとおり、地元の方々の理解と協力を得ながら、安全性に十分留意しながら進めていくというのがこれまでの政策でありますし、今後ともその考え方でやっていくわけでございますが、その際、具体的な原発立地に当たりまして、各電力会社が地元との間で共存共栄を図る、あるいはその地域の振興を図る、そういった観点から協力関係に入るということはこれまでもあることでございまして、そういった関係は地域の実情に応じてあり得る事態だというふうに認識をしておるわけであります。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 あり得る事態であるということを認識しておるということは、通産省の方としてはそういうこともあってもよろしい、こういう考え方ですか。

川崎弘資源エネルギー庁公益事業部長

○川崎政府委員 協力金の問題でございますけれども、電気事業者が地域社会との共存共栄を図っていく、そういうことでその発電所立地に絡みます諸活動の過程でそういった協力金というもの、地域の実情に応じまして地方公共団体等に出すというのを、一概に悪いあるいは不適切というふうには言えないと考えております。  しかしながら、そしてまた、この金自体というものは、当該地域で実際に活動しております電気事業者が、個々の地点の実情に応じまして判断すべきものだとわれわれも考えておりますけれども、ただその支出に当たりましては、いやしくも法に触れることがあってはならないというふうに考えておりますし、また国民の疑惑を招くようなそういったものは避けるべきだということで、そういった観点から私どもは常々電気事業者を指導しておるということでございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 あなた方が指導されておる電力会社が、八億の金を出して、役場庁舎を建ててやるからひとつよろしく御協力願います、こういうことをすることは、俗に言う札束で物を丸め込む金権政治の姿そのものであるわけですが、そういうことはどうですか、自治省の行政局、財政局それぞれお見えになっておるわけですが、自治体の行政にとって好ましいことですか。

鹿子木貢自治省財政局財務調査官

○鹿子木説明員 地方公共団体が何らかの事業を実施する場合には、その財源として寄附金を充てることは法的には問題ありませんが、その場合に地方財政法第四条の五という規定がございまして、そこで割り当て的な寄附金を強制的に徴収するということは禁止をいたしております。  事例の場合は鹿島町の場合かと存じますが、私ども、新聞報道されてから地区町村の行財政指導をしている県の方から聞いておる範囲では、強制的な割り当て寄附ではなかったというふうに聞いております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 そんなものを強制的に割り当てしたら大変ですわ、八億円もの金を。自治省としては、地方財政という立場から言って、交付税関係とそういうふうな自治体の収入財源として、それはどういう扱いになるのですか。

鹿子木貢自治省財政局財務調査官

○鹿子木説明員 交付税の計算上は収入には算定されません。いわゆる基準財政収入額には算定されません。役場庁舎等を建設いたします場合、一般的には地方債とか、残りは一般財源でございます。その一般財源につきましては、いろいろな積み立てをやるところもございますし、特定の寄附を仰ぐ場合もございましょうし、もちろん残りについては税金といいますか、一般財源を充ててこれを建設するということになっております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 それでは、その八億の金というのは使用目的を指示した寄附ですか。それとも一般財源として町の財政に提供した金額ですか。これはどっちですか。

鹿子木貢自治省財政局財務調査官

○鹿子木説明員 島根県の方で調べました結果では、鹿島町の場合、昭和五十五年の二月と昭和五十六年の九月に、町の方が、特段の配慮をお願いしたいということでお願いをしたようでございます。これに対しまして、五十六年の十一月に中国電力の方から、地域開発への協力の一環として、もちろん庁舎建設ということも十分踏まえた上ででございますが、協力いたすという回答を得ているというふうに伺っております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 そこら辺何か明確でないですが、これは一般財源として町の財政の中へ入れて、その町は一般財源としてそれを使っていいものか、あるいは役場庁舎を建てるということに対する中国電力会社の指定寄附であるのか、その辺は明確になってないですか。

鹿子木貢自治省財政局財務調査官

○鹿子木説明員 一般財源として受け入れる、指定寄附ではないように伺っております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 一般財源として受け入れた場合には、これは電力会社ですから、八億ぐらいの金はそう大した金じゃないという考え方だと思うわけですが、税法上どうなるのですか。――財務調査官、そのくらいのことは常識として知っておれよ。あんだらば優秀ないわゆる自治官僚で、財務担当しておれば、これは税金でどうなる、これはどういう扱いになるというのは常識としてわかっておらなければいかぬ問題だと思うのですけれども、所管が違うと一切口をつぐむ、これは官僚のいい癖だね。私は、こういうことで原発が促進をされるようなことは、非常に間違った行政の行き方だと思うわけです。  そこで、原発をつくるに当たっていろいろな問題が提起される中で、住民の合意を得られることを条件に、高知県の窪川町で住民投票によってそれをやるかやらないか可否を決める、こういうことが新聞にも大きく報道されておるわけです。このことについて自治省はそれぞれ、行政局長もそしてまた行政課長も談話を発表しておるわけです。中島課長が、この談話では「町民投票条例提案は他の地方自治体ではやっておらず、ひとつの実験ということになろうか。法律的には関係ない。し尿、ごみ処理などは住民に直接つながりがあり判断しやすいが、原発の適否についてはテーマとして判断しにくいのではとも思っていた。ただ窪川町がそういう道を進みつつあるということで、議会で議論して選択してほしい。」「原発の適否についてはテーマとして判断しにくいのではとも思っていた。」ということですが、この談話のとおりですか。

中島忠能自治省行政局行政課長

○中島説明員 おおむねそのとおりでございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 それで、原発の適否について判断しにくい、しかし、その適否を問うために住民投票をやるわけですから、これは課長が心配をされておるのを通り越して、住民投票で原発建設の是非を決めるということですが、この条例というものは一つの町民の投票になるわけです。私は、時間がないのでこのことで多くの時間を費やすわけにはまいりませんけれども、一応こういう投票行為の中で、さきに申し上げたような、金でその地域を買収するという、言葉は悪いけれども、それをおさめ込むというやり方と、ここでは住民投票という形でやるわけですから、電力会社が地元へ八億もの金を出して地元を納得させてきたというのと比べ、こちらは電力会社がやることについて調査した結果、これをやるかどうかについて町民の意向を聞くという住民投票になるわけですが、この投票というものは非常に意義のある企てではないか。こういうことは町村で条例を定めてやれば、住民の直接利害関係に関することならば、これは課長も言われるような屎尿処理場を建設するのにも、あそこへつくるのがいいのか悪いのか、住民の判断にまっという形で条例をつくって住民投票をやる、こういうことをやることも非常にいいことではないかと思うわけです。それから同時に、教育委員でも、いま任命制ですが、区長、市長、知事が教育委員を任命するに当たって、これは任命をしたいけれども、その参考資料に、準公選制の形で条例をつくって、教育委員の選任を住民にお願いする、こういうことも非常にいいことだ、こう思うわけです。それはやはり住民の自治権の拡大につながることだから結構なことだと思うわけです。自治省としても、こういう条例が制定されたことは歓迎すべき自治体の行動として評価をするのですか。

中島忠能自治省行政局行政課長

○中島説明員 いろいろな話が出ましたが、原子力発電の設置に関する今度の住民投票に限って申し上げますと、先ほど先生が談話の中でお読みになりましたように、屎尿処理場とかあるいは廃棄物処理施設というようなものの設置の適否といいますか、そういうものにつきまして住民が判断するというのは比較的判断しやすいだろう。ところが、原子力発電の適否というものを住民が判断するにふさわしい情報を住民が十分に得ることができるかということを考えてみますと、やはりこの際の住民投票条例については私は慎重にならざるを得ないのです。  ただ、この条例につきましては、違った観点からの評価もあり得るだろう。原子力発電が設置されるとかいうことで地域が混乱しておる、その混乱しておる地域の亀裂をこれ以上増幅させない、そういう意味において窪川町の町長が悩みに悩んだ末に選んだ一つの選択であるということならば、そういう観点からはやはり是認されるべきものだというふうに考えております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 それは私はそつのない御答弁だ、こう思うわけです。言われるとおり、原子力発電の是非というものは一般住民では判断がしにくいわけです。学者の間でもいろいろ異見があるわけで、たとえば今月の「石油文化」という中に東大の名誉教授の小野先生が、「原発はそれ自体潜在的に危険だ」ということでいろいろと内容を書いておる。ところが一方では、通産省のように安全性が十分確保されているということで、これは住民として原発の是非をそういう状況下で判断をするということはなかなかむずかしいでしょう。むずかしいと思うけれども、ここで住民の意思を問うということで出てきておるということになれば、この住民投票というものは非常に価値ある住民投票であり、意義ある住民投票であるから、この投票は非常に公正に行われなければ意味をなさない。いわゆる札束で買収をするような、おまえはひとつ賛成の方へやってくれ、おまえは反対の方へやってくれ、そういうふうな形で住民投票というものが激しく争われるようなことになると、これは住民の心を非常に汚くして、自治体の行政というものに混乱を与える結果になる。だから、条例が制定されて住民投票をやるということになれば、その選挙というもの、住民投票という大事な権利行使の行為というものについては一定の法が適用されなければならない。たとえば公職選挙法による罰則条項が適用されるとか、何か選挙の公正、投票の公正を期することができるようなものが条例の中で規定されていないと、このままのいまの条例でやるとこれは野放しでしょう。野放しですから、課長の言うように原発という判断のしにくいものを野放しの中でやると、もう足腰が立たぬ、そしてまた十分ろれつの回らぬような人のところへも行って、おまえ連れて行くからマルをしてくれよ、こういうふうな形で選挙をやったらこれは大変なことになる。公職選挙法の罰則条項あるいは運用規定、そういうようなものに準拠するとかなんとか、そういうようなものを条例を決めるときになぜ指導しなかったのですか。

中島忠能自治省行政局行政課長

○中島説明員 先ほど先生がお挙げになりました東京の特別区において準公選条例というものがかつて施行されたことがございますが、そういう準公選条例におきましても、私の記憶によりますと、公職選挙法を適用するとか、準用するとか、あるいはまた罰則を付するとかいうような条例でなかったように記憶しております。それは、その当時の議論といたしましては、やはり住民自身が自主的にといいますか、よく考えた末で選んだ一つの道だから、あえて法の規制というものをかぶせなくても自分たちだけできれいな選挙ができる、あるいは選挙の運動ができるというような考え方が支配的であったんじゃないかというふうに思いますけれども、今度の場合もそういう考え方が恐らくあったんだろうというふうに思います。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 しかし、その場合にはそういう考え方があったかもしらないけれども、この原発の立地調査に当たっての窪川町の現状から見て、ここで住民投票によることとして即これに従うということじゃなしに、町長はこれを尊重する、判断材料にする、こういうことにはなっておるけれども、しかし、いままでの一連の経過から考えて、住民投票の結果というものがこれの可否を決めるかぎになることには間違いないわけです。だから、その選挙についてはいわゆる札束を含めたいろんな工作というものがやられては大変なんです。四国電力は、これは自治体の関係だから一切私のところは関知しません、これはきれいに言うておるから、それがそのままきれいにいけば問題ないのです。ところが、そのきれいなことが裏で中部電力がやったようなことをやられると、四国電力が金くれるからそんならマルをしょうかとか、あるいはバツにしようとかというようなことで、せっかくの投票という神聖な行為というものが汚されるようなことがあり、それによって住民の可否の判断が決定されるというようなことになっては大変だ。そういう選挙の行為みたいなもの、これは一種の選挙ですから、住民投票という選挙行為というものについては一定の歯どめをする。自分の町のことだからそれで自主的にと言ってきれいごとで済まぬのじゃないかと私は思うのですが、そういうふうなことがあった場合にはどうなんですか。やっぱりそういうようなものは事前にちゃんと、同じ住民投票といってもこれは選挙だ、選挙の公正を期さなければいかぬ、だから買収だとか供応だとかいう行為があってはならないというようなことは、何らかの措置をこの条例の中でやるべきだと私は思うわけですけれども、課長の方としては依然としてそういうことは必要ない、こういうふうにお考えですか。

中島忠能自治省行政局行政課長

○中島説明員 先生の御心配というのは私はもっともだと思います。そういう議論というのは、恐らく、きょうから条例の審議が地元の議会で行われるというふうに聞いておりますが、地元の議会でも十分行われるだろうというふうに思いますし、私たちも、そういうことを防止するためといいますか、未然に防いでいくために県を通じてよく市町村の方にも伝えておきたいというふうに思いますし、また、通産省の方においてもそういう考え方で電力会社の方を指導してくださるだろうというふうに思います。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 課長の御意見、私は非常に賛成をするわけですが、これは、県を通じて通知するというより、自治省の方として、行政課長として、投票行為が公正に行われるように、いやしくも一般選挙に見られるような不正腐敗、不正な買収だとか供応だとかそういうふうな行為のないように十分この条例の実施に当たっては注意をすべし、こういうふうなせめて談話的なものでも、あるいはそういう意思でも高知の県に文書で伝えるぐらいのことはするのが非常に親切な行政の対応だと私は思うわけです。それから通産省自体にいたしましても、これは住民投票で電力会社がうんとやって、賛成に回ってくれれば結構だと言って札束攻勢を中部電力のようにかけることに陰から賛成をするようなことがあっては大変なことだ。そういう点で、通産省の方も、四国電力は何もしないと言っているから、しないと言っておるからおまえのところの言うことを信ずるけれどもそういうことがあってはならぬぞ、こういうことをきつく四国電力に申し入れをしておくとか、こういうようなことをするのが私はこの条例を制定した趣旨が生かされることになると思うわけなので、その点も通産省の方の御意見、自治省の御意見を聞きたいと思います。

川崎弘資源エネルギー庁公益事業部長

○川崎政府委員 ただいま先生お話しになりましたとおり、ただ、この条例、現在案として町議会で審議中でございますので、私どもはその審議の結果を慎重に見守ってまいりたいと考えておりますけれども、先ほどお話しのような個別的な買収とか供応といったようなものをやるというのは、われわれとしてはこういった協力金がそういう疑惑を招くようなものに使われることは厳にやめろということは常々言っておりますし、今後ともそういうことで四国電力会社を指導してまいりたいと考えております。

中島忠能自治省行政局行政課長

○中島説明員 先ほども申し上げましたけれども、地域の方でよく議論した末でこういうような条例案をつくったというふうに私たち伺っております。したがいまして、恐らく、私は、地域住民の盛り上がる発意によってできたものでございますので、そういうことはないだろうというふうに思いますし、これから議会で議論されますので、その推移というものをいましばらく見守っていって、できるだけ私たちの方からとやかく言うのは差し控えたいというふうに考えています。けれども、先生の御心配は御心配として私たちもよく頭の中にしまい込んでおきまして、適時適切な指導をしてまいりたいというふうに考えます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 これは一窪川町の問題ではなしに、日本の原子力発電の立地問題についての重要な課題を提供しておるものであるし、朝日新聞のような大新聞が、住民投票の実験を見守る、こういう社説まで掲げてこの住民投票の成り行きを注目をしておるわけです。これはいわば全国民が注目をしておる窪川町の条例の実施状況ではないのかと思うので、そういう点についても、いま自治省の方、課長あるいは通産省、条例制定を要求しここに条例ができ上がったら、その住民の意思が正しく反映をし投票行為が行われるようにひとつ厳重に注意をして、推移によっては適宜指導するように重ねて要望しておきたいと思いますので、よろしくお願いします。  自治省の方、どうもありがとうございました。それから、税法上のことは調べてまた報告してください。  そこで、次に、私はこれは農林省にお伺いするわけですが、いま米価シーズンで、連日私どももこの米価問題で会議会議で走り回っておるわけですが、今度の農協の米価要求というものの算の基礎になっておるのは、いままでのような食管法に基づく所得補償方式というもの、生産費所得補償方式というものを棚上げをして、新たに生産資材の価格と賃金の上昇に見合う引き上げということにとどめておる。つまり農協みずからが食管法を棚上げにした価格値上げのなにになって出ておるわけです。こういう中で生産者米価の要求が出されておるわけですが、この生産者米価の帰趨というものは、単に農民の経済だけではなしに、その農民がいろいろな物を購入する地域の商店、こういうものへの影響というものも非常に大きいわけです。だからそういう点から考えて、ことしの米価値上げというものは、ただ米が余っているからだめだというような形で一蹴すべき性格ではないと思うわけですが、食糧庁の方としてはどういうふうに考えておられるわけですか。

中山昇食糧庁次長

○中山政府委員 先生お話しのように、本年の農業団体の米価要求と申しますものは、例年と異なりまして、昨年の生産者米価を基礎といたしまして、昨年の生産費及び所得補償方式による米価を基礎といたしまして、その後の賃金の動向、それから農業資材の値上がりの動向を反映した要求米価ということになっておるわけでございます。従来どおりの生産費及び所得補償方式によれば相当程度値上がりするであろうというのに対しまして、本年の要求は非常にいわば抑制された米価要求ということになっておるというのはそのとおりでございます。  私ども、この農業団体の米価要求と申しますものは、やはり米を取り巻く非常に厳しい情勢というものをある程度理解をしてこういうふうに要求をしてきたのではないかと思っておりまして、現実的な歩みへの第一歩というふうに理解はいたしておるところでございます。  先生御承知のように、本年産の生産者米価の取り扱いでございまするが、月曜日、七月五日に前広の米審を開きまして、その際も米価審議会の委員の皆様方の貴重な御意見を拝聴いたしたわけでございますけれども、本年の生産者米価の取り扱いにつきましては、十三日から十五日まで開かれます米価審議会に諮問、答申を得ました上で、最終的に決定をいたしたいというふうに思っておりまして、いまのところ、まだどういうふうにするかという点について申し上げられるような段階にございません。  いずれにいたしましても、食糧管理法の第三条では、生産者米価につきましては、生産費及び物価その他の経済事情を参酌し米の再生産を確保することを旨として定めるということになっておりますので、そういう規定に照らして適正な米価を決定してまいりたいというふうに存じている次第でございます。  その際に、いま先生のおっしゃいましたような農業を取り巻く景気動向というものも非常に配慮すべき事項の一つだというふうに思っておりますし、米の生産事情を取り巻く諸問題、生産費の動向その他も十分勘案しなければならない要素だというふうに存じております。  しかしながら、米の需給というのは依然として過剰でございまして、全国の水田面積の二割以上も減反をしなければならないという事情は昨年、一昨年と全然変わっておらないわけでございますし、むしろそれ以上厳しくなっておるというふうに思っておる次第でございます。また、食糧管理特別会計の財政事情というのも、昨今の財政事情の中できわめて厳しい条件下に置かれておるというようなことも配慮に加えて、適切な米価を決定していかなければならないというふうに考えておる次第でございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 いままで食管制度、食管法は堅持する、固守する、こう言うてきておった農協が、ことしの要求米価でそれをやめてきた。これは、農林省なり自民党筋あたりから、農協と話し合うて、もう食管法食管法なんて言わずに、こういうふうなことで今年はやれよというような話じゃないかとか、農協があんなに食管法を守ると言っておったのにそれをぽっかりやめたということは、自民党筋あるいは農林省筋から強い話があってそういうことになったんじゃないか、こういうふうに言われるわけですけれども、それはないですか。

中山昇食糧庁次長

○中山政府委員 今回こういうような要求米価を農業団体側が提出になるに当たりまして、私どもから特にこうこうしろというような指導をいたしたことはございません。農業団体といたしますれば、現在は、本年秋の農協大会に向けて、これからの農業の向かうべきあり方についていろいろ部内で検討されて、その振興方策というような案をつくっておるわけでございますけれども、その中におきましても、農協団体みずからが、農業を取り巻くきわめて厳しい環境、特に最近は昨年来問題になりました農産物の自由化問題、国際摩擦の中におきましてこれから先農業をどういうことで展開をしていったら国民、一般消費者すべての御理解を得られるかという点について、非常な危機感を持って、そういうこれから先の農業のあり方についての展開方策というようなものを現在系統組織の中で組織、討議中でございます。ことしの生産者米価の要求につきましても、そういうような認識の上に立って、みずから自発的に私どもに対してこういう要求をしてきたというふうに考えております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 そこで、四・三七%ということしの農協の要求米価というものは、米をめぐるいろいろの事情とかいうようなものを除いて率直に考えた場合に、決して不当な算出の仕方ではない、こういう認識だけはしておりますか。

中山昇食糧庁次長

○中山政府委員 今回要求になりました米価の算定の方式は、先ほども申し上げましたように、昨年の生産費及び所得補償方式によって計算された米価につきまして、そのうち物財費等の価格のアップ率、それから労賃の価格のアップ率を反映させまして、要求米価四・三七%の引き上げというのを計算してきたわけでございます。  この算定方式につきまして、私どもといたしますと、米価を決めます場合に、確かに賃金の動向でございますとか資材価格の動向というようなことを反映させるということは一つの大きなファクターでございますけれども、それ以外に、米は何といいましても商品でございますので、農業生産、稲作の結果生ずるものでございますから、稲作の生産性の動向というものにも配慮をしていかなければならないと思います。また、先ほど来申し上げておりますような米の需給事情、何といっても商品の価格でございますから、需給の実勢をある程度反映したものでなければならないというふうに私ども考えておりまして、そういう意味からいたしますと、生産性の動向なりあるいは需給事情というものを総合的に勘案して決定されるのが本来米価決定の筋合いではないかというふうに考えておりまして、こういう意味で、需給事情なり生産性の動向なりそういう点が適切に反映されていないというようなところが、ことしの農業団体の要求米価の算定方式についてやはり問題があるのではないかというふうに考えておる次第でございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 その問題があるとかいうのは、食管法に基づく算定の仕方、それでやったらこれよりはもっと金額が上がるでしょう。これは上がらないですか。

中山昇食糧庁次長

○中山政府委員 食糧管理法の第三条の規定は、先ほど申し上げましたように、米価につきましては生産費及び物価その他の経済事情を参酌し再生産の確保を旨として定めるということだけ規定をされておりまして、その規定の範囲内でどういう算定方式をとるか、いわば行政当局に任されているというふうに理解をいたしておるわけでございまして、昭和三十五年以来二十年以上にもわたりまして生産費及び所得補償方式というのがその中でとられているわけでございます。  もし先生のお尋ねが、昨年の米価算定に使いましたような生産費及び所得補償方式、しかもその中でいろいろ米価を算定します算定要素がございます、賃金のとり方でございますとか資本利子のとり方でございますとか自作地地代の評価の仕方でございますとか、そういうようないろいろな問題を全部、そういう算定要素を昨年どおり計算したらどれくらいになるだろうかというお尋ねでございますと、実は私ども、一番米価算定の基礎になります昭和五十六年産の米の生産費がまだ把握をされておらない、調査結果が出ておらないわけでございまして、近々のうちに出るかと思いますが、そういうようなもの、あるいは最近の物価、賃金の動向、そういう算定要素が確実に把握をされませんと、そういう計算の結果幾らになるかというのはちょっと申し上げられない段階でございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 農協の関係者でもむちゃくちゃな、四・三七上げることは簡単じゃ、これはわきの財政にも影響しないから消費者米価をこれだけ上げたらいいじゃないか、これひとつ大胆な発想として提言をしたらどうかというようなことを言うわけで、私も唖然としたわけですが、この生産者米価を上げる、すぐ消費者米価にはね返っていく、そうすると消費者米価が一般の物価へも反映する、そういう中で政府がよく言う食管会計の赤字というようなことなんですが、その食管会計の赤字の中には、たとえば韓国に対する米の援助をしている、韓国へ売り渡した米の価格とそれによって生じた食管会計の欠損分、これが全部農林省のいわゆる食管会計の赤字の中に包含をされておるということを聞くわけですが、一体その韓国に対する米の五十万トン、それからまた前に二十万トン、韓国にはずいぶん米を出しておるわけですが、この外国に出した米とそれによる欠損分というものは大体どのくらいになっていますか。

中山昇食糧庁次長

○中山政府委員 食糧管理特別会計におきます五十七年度の損失額総額といたしまして、六千四百三億というものがございます。その中で先生御指摘のような海外に対しまして米を輸出した場合の損失というのも入っておるわけでございまして、これは五十年から五十三年産米が需給上非常に過剰になりまして政府の手持ちになった、いわゆる過剰米の処分ということの中で、韓国あるいはその他の国々に対する輸出をいたしたというのがございます。  先生御指摘の韓国に対しましては五十六年度に約五十二万五千トン程度を輸出いたしたわけでございますが、そのほかの国々に対する輸出を含めまして、全体で約七十五万トンの契約が五十六年度中に成立をいたしておるわけでございます。その輸出の総額は約七百六十億でございまして、これに伴う損失がどれくらいなのかという点につきましてはなかなか計算がしにくいのでございまするけれども、約九百五十億程度になるのではないかというふうに試算をいたしておるところでございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 韓国に対する米の輸出というようなものも、こうやって五百億も六百億も日本が損をして韓国へ売り渡しをしている。それで、韓国でその米がどういうふうに販売されておるのか、そこは一昨日の外務委員会で論議がなされたわけですけれども、どれくらいに売られておるということはわからない、こういうことを言っておったわけですが、こういうふうな海外協力、そして海外輸出の米による損というものをそのまま食管会計の赤字として計算をすることはどうかと思うわけです。やはり韓国への米の輸出というものについては、それの損失分がそのまま食管会計の赤字になってくるようなやり方というものに私は非常に疑問を持つわけで、余りにも韓国に対する経済協力の仕方というものが過大な経済協力の仕方ではないか、こういうふうに思っておるわけで、これは農林省に言うべき問題じゃないと思うのですけれども、こういういま言うように六千億の中に九百億もある、一五%は海外へ出した米の損失になるわけですが、これがそのまま食管会計の赤字だからといって、今度は生産農民の生産原価の中にこれを低く抑えられるということは、農民としても私は非常に耐えられないんじゃないか、こういうふうに思うわけです。それがいまもう六十万トンしか古米が、配給に供すべき米は六十万トンしかない、こう言うのでしょう。そうすると、六十万トンといえば一カ月分に足らないわけですから、そうなるとそう米は余っておるという状態ではない。それを米が余っておる、余っておるから古米の処理のために外国へ流さなければいかぬ、こういうことをよく言うわけですけれども、現在古米がどれだけあるのか、在庫がどれだけあるのか、その点をひとつ明らかに報告してもらいたいと思うのです。

中山昇食糧庁次長

○中山政府委員 米の需給事情についてのお尋ねでございます。先生御承知のように昨年、一昨年と不作が続きまして、特に昨年は生産量が千二十六万トンということの実績でございました。昨年の十月末、十一月一日、五十七米穀年度の当初におきましては、主食用に充当しております五十四年産米の在庫が九十一万トンございまして、合わせまして千百十六万トン程度、約千百二十万トン程度が供給量全体となってきたわけでございます。それに対しまして需要量の方はおおむね千六十万トン程度ということでございまするので、差し引きをいたしますと、ことしの十月末には約六十万トン程度の五十六年産米の持ち越しになるというようなことになっておるわけでございます。もちろんこれは単年度といたしますとそういうような状況でございますが、ことし五十七年産米につきましては、そのような状況等も踏まえまして、生産調整の程度を緩めまして約四万六千ヘクタール、二十五万トン相当額の生産をふやすということでございまして、平年作でございますればことし五十七年産米の生産量は約一千八十万トンということに相なるわけでございます。そういたしますと、供給量が、ことしの十月末の在庫六十万トンと足しますと千百四十万トンになりまして、一方需要量が千五十万トン程度と見込まれるものでございますから、来年の十月末の五十七産米の持ち越し量というのは九十万トン程度になりまして、ことしの十月末の六十万トンよりは在庫水準は回復をして九十万トン程度の持ち越しになるのではないか、こういうような需給計画を立てております。私ども、こういうことからいたしますれば、米の需給については全然不安はないというふうに考えておる次第でございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 米の在庫が十月には六十万トン、こう言いますけれども、現実にもう各地方の農協倉庫等には五十六年産米の在庫というものはほとんどない。これは、新潟県の方もそのようなことを言っておったし、わが高知県の農協の方も、農協にも在庫はもうほとんどない、政府が言う六十万トンとかなんとか言うのはまやかしじゃないか、こういうことを言っておるわけですが、そのことを論議はいたしません。  そこで、生産者米価の値上げ等についても、いまここで確とした御意見を承ることはできなかったわけですけれども、消費者米価は本年の四月に値上げしたばかりですから、よもや本年度の米価がどうなろうとも、消費者米価をこれ以上値上げするとかいうようなことは当然考えるべきでないと思うわけですが、その点についての見通しをどういうふうに考えておるのか、食糧庁。

中山昇食糧庁次長

○中山政府委員 実は本年産米の生産者米価の取り扱いも決めてない状況でございますので、ことしの米の政府売り渡し価格をさらに引き上げるかどうかということについては、具体的には全く何も決めておりません。  ただ、先ほど来申し上げておりますように、食管会計が多額の赤字を抱えておるというような事情もございますし、これから先の米の需給、また物価あるいは家計に及ぼす影響その他、各般の面に非常に影響の大きい問題でございますので、これから先関係各省とも十分御相談をしながら、総合的に判断をして対処していかなければならないというふうに考えておりますけれども、いまのところ、ことしの米の売り渡し価格を上げるとか下げるとか、そういう具体的な問題については一切まだ検討も何もいたしておりません。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 農林省、結構です。  次に、石油関係について若干質問をいたしたいと思うわけです。  最近石油業界が不況不況ということがずいぶん宣伝をされておるわけですが、石油業界が果たしてそういう不況の状態であるという認識をしておるのか、あるいは石油の需給状況はどうなのか、その点について概括的に御説明願いたいと思うのです。

岩崎八男資源エネルギー庁石油部長

○岩崎(八)政府委員 確かに現在の石油産業の状況はきわめて困難な状況にあると考えております。五十六年度について三十四社の企業の決算状況を集計してみますと、五十六年度中に約三千五百億の経常損失が計上されております。今年度に入りましてもこういう御承知のような非常に急激な円安が再び生じておりますので、これは確定的な数字を把握しておりませんが、依然として大幅な損失が毎月続いておるというふうに判断をしております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 そういう状態の中で消費者に対するしわ寄せというものは考えられないですか。

岩崎八男資源エネルギー庁石油部長

○岩崎(八)政府委員 しわ寄せといいますか、たとえば価格について申しますと、ある元売り一社が七月一日付で特約店に対し価格引き上げを通告、しておる状況でございます。新聞紙上等ではその他の元売りにおいてもそういう引き上げの動きがあるというような取りざたがされておりますけれども、これについては、現実にはまだそういう通告にまでは至ってないのではないかということで、私どももその詳細は了知しておりません。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 この石油業界は非常な欠損が生じておるというけれども、いま直ちに値上げをするとかいうような、一社がそういうような動きであるけれども、全体的にはそう値上げという状態にまで至ることは予想されていないですか。これは早晩値上げがあると考えておるのかどうか、その点はっきり答えてください。

岩崎八男資源エネルギー庁石油部長

○岩崎(八)政府委員 現在私ども石油の製品価格について特に行政面でコントロールしておりませんので、各企業の動き、今後の方針等について承知しておりませんけれども、一般的に言って、現在のような為替レート下において現在の価格水準がそのコストを償っておるという状況ではないと思いますので、一般論としては早晩そういう現在のコストに見合った価格水準への是正が行われざるを得ないのではないかというふうに考えております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 そこで、石油というのは国民のエネルギー源の七〇%近くを占めておるわけですから、この価格の変動というものは物価への大きな影響があるわけです。これに対して所管庁としては厳重な注意をし、こういう状態だから上げるにしてもこうでなければいけない、あるいはこれは会社の企業努力によって上げる必要はないのじゃないか、そういうふうなことはやはり行政としてなすべきことじゃないかと思うわけです。何かいまの部長の話によると傍観者的な御意見ですが、今日石油業界がそういう状況の中にあり、値上げもせにやならぬじゃないかということが予想されるような状態では、そういう傍観者的な態度というものは好ましいことじゃないと思うわけです。どうですか。

岩崎八男資源エネルギー庁石油部長

○岩崎(八)政府委員 確かに石油というのは非常に重要なエネルギー源でございますので、その価格の動向については私どもとしても十分注視はしてまいっておりますし、今後ともそのようにしたいと思っております。  ただ、その価格水準が幾らであるべきであるというような考え方、あるいはそういう方向への指導というものは極力避けたいというのが現在の私どものポジションでございまして、もちろんそのときどきの価格動向等はモニタリングシステム等を通じて把握する体制にございまして、そういうところで明らかに不当というような動きがございましたら、それはそれとしてまた私どもも厳重に監視してまいりたいというふうに思っておりますけれども、この製品が幾らでなければいけないとか、この価格は何円高過ぎるとか安過ぎるとか、そういうような判断なりはときどきにおいて行っていくということはしておりません。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 何か妙に明確でないようですけれども、石油の価格構成に対して通産省が関与できる範囲というものはどこまでですか。

落田実資源エネルギー庁石油部流通課長

○落田説明員 御承知のとおり、今年四月までは原則としては市場のメカニズムということで、価格を形成している中で非常に不当な便乗値上げといいますか、不当な値上げというものが行われる場合があり得るのではないか。これは五十四年に始まりましたイラン政変に基づく第二次石油ショックがございました。そういう異常な事態において値上げが相次ぐというような場合に始まりました制度でございまして、そういうような中では便乗値上げの防止というような意味で価格のチェックということを一応やってまいったわけでございます。  しかしながら、現在の状況と申しますのはもうそういう状況にはない、不当な便乗値上げが起こるような状況にはないという判断のもとで、原則として市場のメカニズムというものを重視して各企業が判断をしていくべきものだと思っております。  しかしながら、さらに個別的に、事前の段階ではチェックはいたしませんけれども、そういう問題のある便乗値上げ等の不当な行為が出てくることのないように十分監視をしていく。先ほど部長も申しましたように、価格の動向というものを監視するとともに、必要があれば指導していくというふうな体系を持っておるわけでございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 どの業者にしても便乗値上げを表看板にする者はないのですから、便乗値上げを許さぬというのはあたりまえのことであるけれども、便乗値上げというものは過去においても往々にあったし、そこで、今日石油業界というものが非常に赤字経営の中にあるという事態と、そして石油というものの持つ公共的な役割り、国民生活の上における重要な役割り、そういうようなものを考えた場合に、為替管理、今日の円安状況が、いつが来たらいまの二百五十何円、二百六十円近いものが二百二、三十円に戻るかということを尋ねても、恐らくそんなことは想像もつかないと思うわけだが、そういうふうな為替差損によって赤字が生ずるというようなことについて、これを防止をするような方法はとれないものかどうか。各社として、そういうふうな為替任せの営業、円安になればこうなる、円高になればこうなるという形だけではなしに、この為替のリスクの回避をどのようにしてとらしむるかというようなことについても、通産省としては当然お考えになってしかるべきだと思うわけですけれども、これは業者任せですか。

岩崎八男資源エネルギー庁石油部長

○岩崎(八)政府委員 御指摘のとおり、円安円高、これが石油製品のコストに非常に大きな影響を及ぼすわけでございます。仕入れ価格そのものは、おっしゃいましたいわゆる為替差損差益という、以前に一ドル二百円で買えたものが二百五十円になりますといわば二割五分原油の仕入れ価格が上がるわけで、そういう意味では、円安そのものは直接にどうしようもなく原油購入コストに響いてくるわけでございますが、それ以外に、いま御指摘ございましたいわばユーザンス差損益という問題がございまして、これが原油コストの、あるときには増幅要因、あるときにはいわば減少要因になっておるわけでございます。そういう為替差損益というような、いわば撹乱要因をできるだけ少なくしていくということが必要だということは、昨年の石油審議会における「石油産業のあり方について」という報告をいただいておりますが、そこの中でも指摘されておりまして、その具体的な方法として一番考えられますのがそれの為替予約でございます。これについては現在各企業とも努力をしておりまして、そういう方向で私ども慫慂しておるわけでございますけれども、漸次為替予約率というものは上昇をしてきておる。そのほかに、考え方としては、たとえばそういう外貨債務ではなくて、円金融にその輸入代金を転換すればそういったいわゆる差損益という要素が少なくなるわけでございまして、これについては、現状のような石油産業の苦しい経営状況の中で、かつ、原油輸入金額というのは非常に巨額な資金量になりますので、そういう面から、国内金融機関への円金融へのシフトというものは若干進んでおりますけれども、なかなか急速には進みかねておるというのが実情でございます。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 石油というものの安定供給をするようにするのは業界としての使命であるし、一〇〇%外国に頼っておる日本の石油事情からしても当然やるべきですけれども、最近は石油類がだぶついておる、そういうふうなところで、石油審議会が過剰設備の一七%を休廃止する、そういうふうなことが決定をされたというように聞くわけですけれども、そういう中で、供給が過剰となるからこれを減産をする、それで過剰設備は廃止をする、そこで減産をしたけれども、一定の利潤を上げるためには減産した商品の値上げをしなければいかぬ、これは物の姿としては当然そういうふうなことになるわけだと思うわけですが、これは、過剰設備を休廃止をするということと減産をするということといまの需要を賄う石油生産に持ってくるのと、こういうことについての一定の指導性を発揮するような条件は現在通産省にあるのですか。

岩崎八男資源エネルギー庁石油部長

○岩崎(八)政府委員 この四月に私どもエネルギーの長期需給見通しを改定いたしましたけれども、今後、石油製品需要は六十五年に至るまでほぼ横ばいというような見通しを持っております。そういたしますと、そういう需要におけるそういう状況から考えました際に、現在における石油精製設備、その中心的な設備でございます常圧蒸留設備、これが百万バレル・パー・デー程度過剰であるということが確定されまして、それに基づいて、百万バレル程度の設備処理について現在各企業が自主的な計画というものを策定中でございます。もちろん、設備処理というものは、それが契機になりましてもっと一般的な全体の石油産業の構造改善につながっていくというような形が望ましいと考えておりまして、そういう方向で各企業のそういった設備処理計画を指導してまいりたいと思っております。  それから、すべて供給は需要に追随せざるを得ないわけで、そういう需要の面で、現在、先生御承知のとおり石油製品は非常に大きな変革期に来ておると思います。したがいまして、そういった非常に変化する需要に沿う形で今後の供給体制を考えていきたい。そのため、ときどきの供給計画というものがそういう視点を十分踏まえつつ策定されていくべきであるというふうに考えております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 そこで、石油産業というものが国民生活に重要な役割りを果たしておるわけですから、石油産業の健全化ということは国民だれしも望むところである。ところが、その健全化というものが果たして業界の中で行政の強力なてこ入れなくしてなし得るかどうか、その点については非常に関心を寄せるところであります。しかし、親方日の丸に寄りかかってしまうようなやり方もこれまた問題なので、その辺が非常にむずかしいと思うわけでありますけれども、少なくとも、今日石油製品が過剰ぎみであるということと、一方においては、経営が非常に苦しいということから勢い値上げというものが、いま部長も言われるように当然考えられるのではないかということが言われるわけですけれども、経済界の今日の不況というものから考えて、重油とかナフサとかそういう面における値上げの幅は非常に少なくなって、逆に、一般国民の消費をする灯油とかガソリンとかいうものに値上げのしわ寄せというものが多くやってきはしないか、そういうことが予想されるわけなので、そういうことがされますと勢いこれはもう消費者としては大変な負担増になるわけなんで、そういう点についてはいまからでも遅くない、これから秋口になって灯油が値上げされる、あるいはガソリンが値上げされるというようなことのないような指導監視というものですか、通産省としてはそういうものを十分にひとつとっておってもらいたい、かように私は思うわけですが、どうでしょう。

岩崎八男資源エネルギー庁石油部長

○岩崎(八)政府委員 価格水準というのは、供給者の方が何円にしたいと言ってそのまま通るものではもちろんございませんので、基本的にはマーケットメカニズムの中で、おのおのの需要者との折衝、交渉の中で実現されていくべきものというふうに考えております。そういう意味では、御指摘のように、いま国民生活もあるいは産業活動もきわめて困難な状況の中にありますので、果たしてそういう適正な価格水準というものがどのように形成されていくのか、なかなかむずかしい問題を含んでおるのだろうと思います。ただ、私どもとしましては、そういう価格体系あるいは価格水準、これはやはりそういう需給なりマーケットメカニズムの中で基本的には形成されていかれるべきものというふうに考えております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 この石油業界でも、まだ現在でも利益を確保しておる業者もおるし、あるいはマイナスの丸善石油のような倒産寸前というような会社の状態もあるし、そこにはやはり石油という企業が――私自身わかりませんけれども、普通民間の中小企業で同じような製品を製造しているところだったら、甲の工場がよくて乙の工場はよくないとかいうことでなしに、一応同じような価格でやっていく。造船界にいたしましても、全体が悪くて特定の企業が非常に利益を上げておるというようなものは特殊な条件だと思うわけですけれども、わが国の石油産業の現在の企業形態というもの、これについてはもっと行政が関与して、安定供給のできるような企業体質に改めるような、そういう業界指導というものはなさるべきじゃないか、こういうふうに思うわけですけれども、それは通産省の方としてはまだお考えになっていないですか。

岩崎八男資源エネルギー庁石油部長

○岩崎(八)政府委員 確かに御指摘のとおり、石油産業というものは、この原油価格の高騰の中で、きわめて特殊な性格のものになっておると思います。いま石油製品コストの多分八割は原油価格でございまして、その工場設備のよしあしといったようなものが、その企業のパフォーマンスに影響し得る度合いというのはきわめて小さい範囲に限られているように思います。したがいまして、むしろ金融力とか販売力、そういう面の力の差というものが企業の力の差になってきておるような気がいたします。こういう石油産業に対して、政府というものがどういうポジションで臨むべきか、いろいろむずかしい問題がございます。  ただ、私どもとしては、基本的には、やはり石油産業というものが漸次縮小しているとはいえ依然六割以上の日本のエネルギーの中でのウエートを占めておる重要なエネルギー源でございますし、また、その動向というのが非常に国際的な環境に左右されるという特殊な商品でございますので、そういう中で必要最小限の行政の介入といいますか指導といいますか、そういうことは今後とも不可欠であるというふうに考えております。これは臨調等でもいまそういう御議論がございますけれども、ただ、やはり基本はできるだけ民間活力の活用といいますか、自己責任原則の重視といいますか、そういう中で、そういった個々の企業ではなかなかやりにくい側面のいろいろな誘導支援策を今後とも続けてまいりたいというふうに考えております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 私は、石油の問題でまだいろいろと質問したいのですけれども、時間がなくなったので、石油問題についてはこの程度で終わりたいと思うわけですけれども、これは、私は長官にお尋ねをしたいわけですが、こういうふうなわが国のエネルギー源の六五%の比率を持っている重要な石油、しかもそれが全部外国から輸入というような中で、エネルギーの国家管理、電力が九電力でやられておるといいましても一定の国家の管理の中にあるわけですが、そういう形で、石油産業というものをもっと国民の監視の届く機構の中に位置づけるようなことを考えて、そうして国民に対する安定供給が確保されるような、そういう石油産業の位置づけというものは考えられないものかどうか。これは国鉄という国家の企業を民間に譲り渡すような暴論も出ておる今日ですけれども、むしろ石油産業に対して、この国家管理を強め、それに対して国会の場で、この石油産業の位置づけが論議をされるような、そういう体系というものをつくり出してはどうかと思うわけですけれども、長官の御意見はどうですか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 石油はわが国のエネルギーの主力でございまして、わが国のエネルギー政策といえば、第一が石油政策になるわけでございます。そのために石油業法という法律がございまして、その法律を中心として石油政策は進められてきた、こう思っておりますが、いまのお話は、さらに国家管理を強化しろというお話でございますが、この点は私はいかがか、こう思います。そういう考え方も確かにあろうかと思いますが、果たしていまの段階で国家管理を強化した方がいいのかどうか、かえってマイナスの面も出てくるように思いますので、この点はよほど慎重に検討しなければならぬ、私はこう思います。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 それは、前に石炭を国家管理という形にして失敗をして、また政府が石炭山を買い上げて、そうして石炭産業が崩壊をする場合にたくさんの金を出して石炭山を買い上げたという事例もあるわけですが、そういうふうなことにこの石油資本がならないようにやっていくために、そして、国民の主要なエネルギー源としての石油産業の位置づけというものを、私自身もこれがいいというような考えは勉強不足ですからないわけですけれども、経営が悪かった、為替相場の変動で赤字が増してきたから、それは消費にそのツケを回すというような簡単な、単純な経営のやり方の中に石油産業を位置づけるということには問題があろうかと思うわけですが、今日の石油産業の不況と、そうしてまた、それに伴う予想される値上げ、こういうようなものに対応して、当委員会としても、私は、厳しくその動向というものを監視をせにゃいかぬじゃないか、かように思うわけなので、あえて長官にその御意見を問うたわけですが、そこで一番問題になるのは、いまの為替相場が、きのうは二百六十円に近かったというような中で、この数カ月の間に二割の値上がりをしてきたわけですが、こうなると勢い物価に対するはね返りというものはかなり強くなってくるのじゃないか。そういうことを考えますと、いまの円相場というものは一体いつごろが来たら落ちつくのかどうか。これが二百二十円、三十円という状態にまでなってくることはないのかどうか。その辺についての経済見通しというものを長官に私はお尋ねしたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 ことしの初めは二百十円ちょっとでありましたから、確かに相当円安になっております。その背景は幾つかあろうと思います。  一つは、アメリカと日本の経済の基礎的条件がどのように変わったかということであります。巷間アメリカ経済の基礎的条件が強くなって日本の方が相対的に弱くなった、こういう議論もございますが、私はその議論には賛成いたしかねるのであります。経済の基礎的条件は日本の方がはるかに私は強い、こう思っております。そういたしますと、やはりそれ以外の要素が大きく働いておると思うのですが、それは、一つはアメリカの高金利、資本が日本から相当流れていっておりまして、これが円安の背景になっておると言われておりますが、これが一番大きな原因でないかと思います。  それから第二点は、国際情勢、特に中東情勢が非常に微妙な段階に来ておるということ。世界情勢が非常に激動期に入りますとやはりドルにかえておいた方が安心だ、ドルならばどこでもいつでも使える、しかし円はそうはいかない、こういうことでドルシフトという傾向が当然起こってくるわけでございます。  それから、最近の動きを見ておりますと、相当投機的な資金が入り込んで為替レートを動かしておる、こういう感じもいたします。日本銀行が円高に誘導しようといたしますと反対の動きがさらに強力に出てくる、こういうことでございまして、いろいろな要素が重なっておると思うのですけれども、一番大きな原因はアメリカの高金利だ、こう思っております。  そこで、アメリカの高金利がどのように動くか、これをもう少し見きわめませんと、果たして今後いつの時点で円高に変わって、いまお尋ねのように二百二、三十円になるのか、それはなかなか見当がつかない、こういうように思います。共同介入というようなことも一部に言われておりますが、これはアメリカ側も必ずしも積極的ではありませんで、否定的ではありませんが一緒にしっかりやろうという態度ではございませんので、これによって効果を上げるということもむずかしい、このように判断をしております。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 そういう状況であることは、円安傾向がいつの時点でという見通しは定かでない、アメリカの高金利政策という原因あるいは中東の情勢、こういうようなものはますます複雑な様相を示してく拠るわけですから。そこで、そういう状態が続けば続くほど日本の景気というものは非常に不況が深刻化してくる。大臣なんか財界の上層部の人とのつき合いだから余り感じないかもしれませんけれども、われわれ末端におると、末端の中小企業、商店の人たちから、もう町を歩くと、これほど不景気じゃ困るが、何とかならぬかのう、政府は何とかしてくれぬかのう、こういう要求というものを非常に聞くわけです。やはり今日不況打開の政策というものを機敏に打ち出してもらわないと、ただ円安傾向がおさまってどうとかというようなこと、あるいはもう少し情勢を見てとか、今年度の予算の状況、あるいは歳入減だからこれ以上公共事業をなにすることはできないとかというような形で内需を抑え込んでいったならば、中小企業は倒産寸前の状態の中にあるわけですから、何かここに活を入れてやらないと政治が無責任な結果をもたらしはしないか、私はこういうように思うわけです。日本の自動車産業にいたしましても、いかに輸出が盛んで円安でもうけておるとはいいましても、輸入の制限があり国内需要が低下すれば、景気がいいと言われる自動車産業まで不況というものがやってくる。そうなると日本の産業の中で景気のいいものは何にもない、こういうことになってぐると国民がたまったものではないです。だから、そこで政治の責任で今日の不況を打開する道を明らかにしてやるのが政治としてとるべき姿じゃないか、こういうように思うわけですが、その点について大臣の御意見を聞いて、私の質問を終わりたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 いま末端の経済感覚というお話がございましたが、経済というものは現実的なものでありますから、いまの御判断が正しい、私はこう思っております。経済の現状を私どもも厳しく受けとめております。昨年の秋ごろまでは比較的生産、出荷もふえまして、在庫調整も整理できる方向に行っておったのですが、十一月ごろから輸出が停滞いたしましてむしろ減少ぎみである。そういう事態になりましてから生産、出荷も思わしくない、したがってまた在庫もふえ始めた。いまは二番底のような感じがいたします。  そこで、この最大の背景には第二次石油危機あるいはまたアメリカの高金利という大きな流れがあるわけでございますが、別の表現をいたしますとやはり最終需要が落ち込んでおる、こういうことだろうと私は思います。先月五十六年度の経済の実績を発表いたしましたが、GNPで二百五十五兆くらいの経済の規模になると思っておりましたが、二百五十一兆、約四兆ばかり経済の規模が小さくなっております。それだけ成長率が四・一%の見通しから二・七%に落ち込んでおるわけでございます。ことしも大体二百七十兆前後の経済の規模と想定しておりますが、それに対しまして五兆前後最終需要の力が弱いのではないか、現時点ではこういう感じがいたします。ただし、今後民間の力が拡大されますとこのギャップもだんだんと解消の方向に行くわけでありますが、この落ち込んでおる最終需要をどうするか。そこでいま公共事業の思い切った前倒しをやっております。金融政策が発動できない状態でございますので、前倒しが唯一の方法であるということで、かってないような前倒しをやっておるわけでございますが、これが誘い水になりまして後半民間の力が出てくると大変結構でございますが、出てこない場合には息切れがしますから、息切れが起こらないように当然必要な対策が打ち出されなければならぬ、こう思っております。ただ、その判断の時期は、いまいろいろな経済指標も集めておりますので、まあ早ければ八月終わり、遅くとも九月の初めにはいろいろな指標も出てこようか、こう思っております。その時点で判断をすればよろしいと思っておるのです。しかし、一部にはそれは少しのんき過ぎるではないか、経済の実情はよくわかっておるではないか、上半期に急に経済の状態がよくなるとは思われない、だからもう少し前広に手際よく後半の対策を考えたらどうか、こういう有力な意見もございますので、そういう意見等も十分心しましてこれからの対策を考えていかなければならぬ、このように思います。

井上泉日本社会党

○井上(泉)委員 新任の物価局長にも物価問題についていろいろ御意見を聞きたかったわけですけれども、次の機会にして、これで終わります。

武部文日本社会党

○武部委員長 長田武士君。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 まず、初めに河本長官に、最近における景気の動向についてお尋ねをいたします。  御存じのとおり、第二次石油危機後の景気は、昨年の四月から九月にかけまして一番底を形成したわけでありますが、その後一たんは回復したものの、ことしに入りまして四月から九月にかけて再び二番底に入りつつあると言われておるわけであります。  そこで、現在における景気の状態をどのように見ておられるのか、今後の見通しとあわせて長官の御見解を承りたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 先月パリでサミットがございましたが、サミットで幾つかの議題がございました。しかし、一番大きな共通の議題は、世界経済の再活性化ということであります。つまり、世界経済が非常に落ち込んでおる。共通の認識といたしましては、第二次大戦後最悪の状態ではなかろうかという認識で一致いたしまして、そこで世界経済の再活性化ということが最大の課題になったのだ、このように判断をしております。そういう世界経済の流れの中におきまして、いまの日本の経済は、いま御指摘がございましたが、昨年の秋ごろまでは半年ばかり回復に向かっておりましたけれども、昨年の十一月以降輸出が落ち込んでまいりました。したがって、生産、出荷も落ち込む、在庫はふえるということで、現在二番底のような状態であるというお話がございましたが、私どももそのように認識をいたしております。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 続きまして、五十七年度の経済成長率についてお尋ねをしたいと思っております。  五十七年度の経済成長率につきましては、輸出の停滞によりまして在庫、それから生産調整が尾を引きまして、民間調査機関の多くは実質成長率は大体三%台、このように予測しておったわけであります。すなわち、三菱総研では、三・二%、大和証券でも三・二%、日興リサーチは三・一%となっておりますね。こうした点を踏まえますと、五十七年度の目標でありますところの五・二%の設定は少々高過ぎるのじゃないか、このように私は考えるわけであります。また長官は、現在の日本における潜在成長力をどの程度と見ておられるのか、あわせてお答えをいただきたいと思っております。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 いま三つばかりの民間の権威ある調査機関の経済見通しについてお述べになったわけでありますが、いずれも大体一%ぐらい下方修正をいたしまして、三%前後の成長率に修正をしております。事実、この一月から三月までの成長率は年率に直しまして三・三%ぐらいな成長でありますから、現在のような状態がそのまま続きますと大体三%成長ということになります。  そこで、先ほどもちょっとお答えをいたしましたけれども、最終需要で政府見通しとどれくらい落ち込んでおるかといいますと、ことしのGNP、二百七十兆強と想定をしておりますが、それに対しまして最終需要がざっと五兆前後落ち込んでおるのではないかと思います。現在はそうですけれども、後半は世界経済もある程度立ち直るということがいろいろな国際機関からの見通しでも言われております。これをまるのみにして信用するわけにはまいりませんし、いろいろこれを分析して判断をしなければならぬと思いますけれども、大きな流れとしては大体そういう方向に行っておるのではないかと思います。後半の輸出がどうなるかということももう少し見なければなりませんし、年が変わりましてから、実質可処分所得が物価が安定したという背景がございましてふえております、プラスになっております。これが昨年との違いだと思いますので、現状がそのまま続くとは考えません。ある程度の改善が行われると思うのですが、いずれにいたしましても、現段階では五兆前後最終需要が不足する。そこで、とにかく二十四兆ございます公共事業を上半期に思い切って前倒しをする、十九兆上半期に契約を進める。そうすると後半は五兆しか残らぬじゃないか、むちゃくちゃじゃないかというお話もあるのですが、現時点でとり得る景気対策といたしましてはこれしかありませんので、ここに主力を集中しておるわけでございます。もう少し様子を見まして、経済が本当に回復の方向に行くのか、あるいはもう少し停滞した状態、足踏みの状態が続くのか、そういうことを見きわめながら後半の景気対策というものを考えていきたい。もし、最終需要が相当落ち込むということがわかっておるのに、それに対して何も手当てをしないということになりますと、当然五・二%成長というものは達成できない。しかし、必要な対策を機敏にやっていくということになりますと、政府の考えております二百七十兆強というGNPの規模の経済は実現できると思いますので、これからの政策いかんである。したがって、民間の研究所が三%の見通しを出したからといって、政府は必ずしも三%で五十七年度の経済が終わるとは考えておりません。これからの政策いかんによって五%成長もまだ決して不可能ではない。何もしませんとそれは三%になるかもわかりませんが、それでは困りますので、政府は何らかの必要な対策を今後機敏に考えていこう、こういうことでいま準備をしておるところでございます。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 私も確かに、五・二%の達成というのは現状では相当困難だろうと思うのです。いま長官は、いろいろな政策手段をとる、こうすれば五・二%は達成できるような見通し、決意を述べられたわけでありますが、実際問題として、財政事情がこういう状況ですから簡単に減税もできないでしょうし、大幅な減税はもちろんできないでしょうし、あるいは公共投資といっても限度がございます。こういう点を考えますと、最近、民間の経済研究所の成長率の見通しもワンポイントぐらい見直しをしておるようなのですね。そうなりますと勢い五・二%というのは夢の夢の数字じゃないかという感じを私は非常に強く持つわけであります。  そこで、このままで推移しますと、財政規模もありましょうし、そういう点であらゆる手段を講じても五・二%はできないと私は思っておるのです。そうなりますと、私はある程度落ち込みはやむを得ないという感じがするわけでありますけれども、端的に申し上げまして、長官、現状を踏まえてあらゆる政策手段をとっても五・二%は無理だと思いますが、これは自信がありますか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 いまの経済をどう認識するかということでございますが、まず非常に大きな激動期であるという認識が必要ではないかと私は思うのです。たとえば昨年の十-十二月期、いまから半年前でありますが、このときは年率に直しましてマイナス三%前後の成長に落ち込んでしまいました。それが一-三月にはプラス三・三%の年率の成長に再び回復したということであります。またアメリカ経済などを見ましても、昨年の十-十二月期はマイナス五%成長である。一-三月はマイナス三・七%成長である。しかし、四-六期になりますと、まだ最終の数字ではありませんで、中間の見通しでありますけれども、六月にアメリカ政府が発表しました見通しはプラス〇・六%成長である。つまり四、五%のマイナス成長からプラス成長に変わってきたということであります。それから一昨日発表になりましたOECDの見通しをもう少し分析してみますと、ことしの上半期は、先進工業国の経済は、日本を除きましてほとんどゼロ成長かマイナス成長である。後半は大体二%近い成長に回復をするけれども、年度間を通じてはゼロ成長に近い。しかし、来年は年度間を通じては二・五%から三%前後の成長になる、こういう見通しを発表しております。それはEC委員会それから国連の世界経済概観それからIMFの見通し、いずれも大同小異でございまして、経済はいまが一番の大底である、ようやく三年間の第二次石油危機の調整期を終えて、インフレもおさまったし、これからは回復の方向に行くのじゃないか、こういう見通しでございまして、激動期でありますから大きくマイナスになったりプラスになったりしますので、現時点の瞬間的な動きだけをとらえまして将来がどうだということは一概に言い切れませんし、また、こういう状態では大変困るわけでありまして、何としても現状を打開しなければならない、あらゆる面で困った事態が起こっておりますので、そういう政策努力を集中していこう、こういうことでありますので、ほうっておけばそれは大変悪い状態になるかもわかりませんが、それじゃ困りますので、考えられる政で、政府のやり方等につきましてももう少し時間をかしていただきまして御批判をいただきたい、このように思います。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 私は、日本のいまの経済を考えますときに、心理的な効果というのは非常に影響していると思うのですね。そういう点を考えますと、一つは政府の経済見通しが非常にあいまいである、当たらぬというところに起因しているように思うのです。したがいまして、物価の上昇もなかなかうまいわけにいかない、成長率についてはやはり同じである、国民のだれから見ても五・二%というのは現状においては無理であろうと考えていますね。ということは、先行き不安というのは国民はだれしも抱いております。そういう点でなかなか財布のひもはかたい、したがって需要は伸びない、こういうような心理的な効果というのは非常に大きい。そういう意味で、経済は生き物で非常にむずかしい判断が要りますけれども、ある程度政府も、成長率についてはこういう具体的な政策手段をとって五・二%はやりますよというような具体性がないと、ただ様子を見て様子を見てなんていつも後手、これじゃ経済の見通しとしては非常に具体性に欠けておるのじゃないかという点を私は心配するのであります。長官、大分強気のようでありますから、しばらく私は様子を見たいと思っております。  そこで、もし三%程度に成長が終わった場合に私が心配するのは、雇用問題、さらには中小企業の倒産、またいま問題になっております税収不足、これは一段と深刻化するであろう、このように考えておるわけであります。長官はこうした点についてはどのように考えていらっしゃいますか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 いま雇用問題、それから税収不足、それから中小企業の不振、こういうお話がございましたが、そのほかに貿易摩擦も拡大をする、したがって、いま日本経済の抱えております幾つかの問題は悪い方に行くであろう、こう思っております。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 確かに景気はきわめて停滞しておるわけでありますが、先ほど長官からお話がちょっとございましたけれども、七月六日にOECDの経済見通しが発表になりました。八二年度の成長率はOECD全体といたしましては〇・五%の増加、日本は二%の増加と大変厳しい見方をいたしているわけであります。そこで長官、OECDの経済見通しについてどのように考えていらっしゃいますか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 OECDの経済見通し、先ほど申し上げましたように、傾向としては世界経済はそういう傾向だと思うのです。いまが最悪の状態である、これからだんだん回復の方向に行く、こういうことだと思うのですが、日本経済の見通しにつきましては私は同調しかねる、こう思っております。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 六月に行われましたベルサイユ・サミットで鈴木総理は、内需の拡大を各国に約束いたしております。これに対して内需拡大の対応策を長官は具体的にはどういうふうにお考えですか。     〔委員長退席、井上(泉)委員長代理着席〕

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 内需を拡大するためには、まず考えられることは金融政策でありますが、いまこの金融政策を機動的に運営するというのが政府の基本方針でございますが、残念ながら機動的に運営できない、アメリカの高金利のために金融政策はお手上げである、こういう状態でございます。そこで、政府のとり得る唯一の政策は公共事業の前倒しということしかございませんので、いま最大限の前倒しをしておる、こういうことであります。しかし、これだけ大きな前倒しをしますと後半民間の力が回復しないと息切れがする、断層を生ずるということは先ほど来申し上げておりますので、そういうことになりますとかえって、なぜ前倒しをしたのかという、悪い効果が出てくるということにもなりますので、断層が生じないように、息切れがしないように十分考えていかなければならない、こう思っておりますが、内需の拡大とはそういう意味であります。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 いまお話がありましたとおり、政府は今年度公共事業を上半期で七七・三%前倒しをやられたわけであります。この効果は、実際問題、町を歩いてみましてもあるいは事業主の皆さんにいろいろ意見を間奏てみましても、顕著にあらわれていない、依然として景気は停滞ぎみである、そういうことを私たちは非常に耳にするわけでありますけれども、効果がどの程度出ておるのか、この点はちょっと疑問に私は思っておりますが、その点はどうでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 前倒しをするというのは八〇%の仕事をやってしまうということではございませんで、契約をするということでございます。できるだけ契約を早めて、そしてできるだけ早く消化をしていこうということでありますが、契約を早めたからといってこれが消化につながるわけではありません、やはり後半仕事の量が減らないということがはっきりしませんと、契約が済んでもなかなか思うように仕事を進めてくれない、現実問題としてそういうことがありますので、いま御指摘のようにまだ十分な効果はあらわれていないというのが実情であろう、こう思っております。第二・四半期になりますと少しは改善されるかと思いますけれども、やはり根底には後半の仕事の量が、これは公共事業、民間を問わず全体として仕事の量が確保できる、そういう見通しを早くつけるということが非常に必要だと私も痛感をしておりますが、そういうことを踏まえましてこれから政府部内の調整を急いでいかなければならない、こう思っております。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 先ほど長官から息切れという問題が出ました。河本長官は、景気対策を補正予算と絡めて打ち出すべきである、このような御意見のようでありますけれども、財界の中には、景気の低迷する中で政府の総合的な景気対策、この効果を疑問視する向きも実はあるのです。こうしたことから、業界の中でも不況業種や中小企業対策、このような個別的な対策を望む声が非常に強いように思います。この点についてはどうでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 もうすでに構造的な不況業種に対する対策、それから中小企業に対する個別対策、これは通産省を中心にある程度進めていただいております。  それから、たとえば公共事業などをやっても線香花火で、公共事業が済んでしまったらもう何の役にも立たないのだ、こういう議論が一部にあるのですが、必ずしもそうではない、私はこう思っております。たとえば昭和五十四年の経済でありますが、五十三年以降公共事業を相当増額をいたしました結果、民間の経済がだんだんと力強くなりまして、五十四年度には各分野で相当力強い民間経済が動いた、こう思っておるのです。そのために、公共事業などは予算に計上されておるものを全部やる必要はない、相当大幅に五十五年度に繰り延べていいのではないか、つまりいまは前倒しですけれどもその時点は後ろ倒し、繰り延べ、こういうことになりまして、それでも五十四年の経済は相当な成果を上げまして、そのぬくもりが五十五年度まで続きまして、結局五十五年度には、御案内のように税収なども予算の当初ベースで比較いたしますと約五兆円の自然増収が出ております。これはやはり公共事業の成果が上がりまして、民間に力がだんだん及んできたからだ、こう思っておるのです。  ですから、いま政府の考えておりますことも、公共事業の前倒しあるいは必要とあらば追加、これはまだ決めておりませんけれども、とにかくそういう一連の考え方は、これを誘い水にいたしまして民間全体の力を拡大をしたい、こういうような考え方でございます。だから、線香花火に終わるのだ、そういう考え方はこれはどうしても私は理解しかねる、こう思っております。  それからもう一つ、根本の問題といたしまして、どうも消費的な経費と投資的な経費が混同されておる、こういう感じがいたします。使いっ放しの経費とそれから国や国民の財産をつくるというそういう投資、これは私は全然性質が違う、こう思っておるのです。社会資本投資をすることによりまして国民の福祉を向上する、生活環境を整備する、それからさらに、当然社会資本投資の中には産業基盤の整備も入りますから、将来の産業発展の原動力にもなりましょうし、それから治山治水事業なども社会資本投資の大きな柱でございまして、昨年はちょっとした風水害で一兆以上の損害が出ておる、これはやはり治山治水が不十分だからだと私は判断をしておるわけでありますが、そういう角度から社会資本投資を見なければならぬ、社会資本投資を普通の消費的な経費と同じように判断するというのはそういう点でいかがであろうか、こう思っております。  それはそれといたしまして、もう少し経済の動向を見た上で下半期の経済政策をどう展開するか、いずれ結論を出さなければならぬ、こう思っておるところでございます。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 景気の低迷の中にありまして、本年下半期における経済運営をどうしていくかということは非常に重大な問題であります。加えて五十六年度の三兆円に上る歳入欠陥、さらに増税なき財政再建、すなわち昭和五十九年度に赤字国債をゼロにする、そういう難問題を抱えておりまして、これからどのように景気を回復させるか、経済の中心であります河本長官の使命というのは私は非常に重大であろうと思うのです。  そこで、下半期の大きな焦点とも言えますところの補正予算の時期並びにその規模について、長官、なかなか発言しにくいでしょうけれども、どうお考えでしょう。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 これは、下半期の経済政策をどうするかということがまだ全然決まっておりませんので、先ほども申し上げましたように八月終わりか九月の初めにはいろいろな経済指標も出てまいりますので、その時点で政府部内でできるだけ早く調整をしたい、こう思っております。  先般の予算委員会では、総理から、後半の断層、息切れが生じないように補正予算も含めてこの下半期の景気対策というものを考えたい、こういうお話がございましたが、当然必要とあらば補正予算も考えなければなりませんが、それらの具体的な結論につきましてはなお若干の時間がかかる、こういうことでございます。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 長官、本年下半期の景気対策につきましては、八月中に四-六月期の経済指標の概要が判断できるといたしまして、八月中に景気の判断をする、このようなお考えであるようですね。  そこで、長官は、経済指標のうちどのような指標を重要視するのか、諸指標がどのような状態になれば景気対策を判断されるのか、この点どういうふうにお考えですか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 アメリカなどの経済指標を見ておりますと、先ほどもちょっと触れましたが、四-六の数字、六月にプラス〇・六だ、こう言っているのですね。五月はプラス〇・二、こう言っておったのですが、でありますから、期中に二、三回速報のようなものを発表するのです。もちろん最終的には相当大幅に修正されることが多いのでございますが、ただ、その前の四半期は大幅なマイナスであった、しかしこの期はようやくプラスに転じつつある、そういう経済の流れは比較的早く掌握できるという意味で、私は、それなりにアメリカあたりの景気指標の発表の仕方というものは評価できるのではないか、こう思っておるのです。  翻ってわが国の状態を見ますと、昨年四十五年指標から五十年指標に変わりましたので、最近は、いろいろな経済統計が最終的にまとまりますのが十日か二週間くらいおくれております。そこで、早くこれを軌道に乗せるようにということを事務当局に言っておるわけでありますが、あわせてアメリカ的には、途中といいますか、期が少なくとも終わった段階でおおよその見当のことでもわからぬのか、何かそういう方法はないか、こういうこともいま研究してもらっておるのですが、そこでいま、アウトラインだけでもできるだけ早くつかみたいということでいろいろ研究してもらっておりますので、遅くとも八月の下旬には大体の動きが掌握できるわけでありますが、できればもう少し早く掌握をしたい、こういうことを踏まえまして先ほど御指摘のような発言をしたということでございます。     〔井上(泉)委員長代理退席、委員長着席〕

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 長官は、予算委員会の前に総理と話し合いをした、そして景気判断が必要かどうかを九月初めをめどに判断をしたい、こう言われておるわけでありますが、八月中に景気判断をするということについては政府としては合意をされておるのでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 現時点では、確実にいろいろな指標が集まりますのは九月初めです。そこで予算委員会の前に、総理とは、九月の初めには十分判断できる資料が整いますから改めて御相談をしましよう、こういうことになっておるのですが、先ほど来申し上げますように、こういう激動期でございますから、一週間でも十日でも指標が早く固まってくればそれだけいいわけでありますから、いま申し上げましたように作業をどこまで縮められるか、急いでおるというのが現状でございまして、九月初めに判断すると言ったのは、九月初めに指標が出てくるから判断するということでありまして、八月の終わりに指標が出てくれば八月の終わりに判断をすればいいわけでありますので、まだ時期は決まっておりませんが、できるだけ早く判断ができるようなそういう数字を固めたいというのがいまの現状でございまして、それじゃいつかと言われますと、まだ作業中でございますから、正確にはその日にちは言うわけにはいまの段階ではいかないと思います。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 長官は七月一日に開かれました政府・与党協議会におきまして、九月前半に臨時国会を開き補正予算を組むなど機敏で適切な景気対策を打ち出すべきである、こう表明されました。さらに、赤字国債増発を含む補正は十二月にやればよいという二段構えの補正予算の考え方を示されておりますが。これはどうなんでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 これは先ほど来何回か申し上げておりますように、公共事業は四月から九月までの間に十九兆契約してしまうわけですね。全部は消化できるわけではありません。工事は下半期にずれ込むものも相当あろうかと思うのですが、いずれにしましても後半は五兆しか残ってないということでありますから、十月以降は、民間の力が弱い場合にはどかんと落ち込むわけですね。それじゃ何のために前倒しをしたのか、かえって経済全体のためによくないという結果も出てまいりますので、息切れがしない、断層が生じないということがこういう激動期には非常に大事だ、こう思っております。そこで、民間経済の力が依然として弱いという場合には全体としての仕事の量が十月以降減らないという対策が必要だ、そういう意味でいろいろな対策をやる場合には九月の前半が望ましい、こういうことを言ったのであります。  それから、後の部分はこれは懇談で、これは大蔵省の権限に属することでありますから、正式の場では言ったわけではございませんで、懇談の場で、もしその時点で五十七年度の税収不足が、税収年度から言いますとまだ一、二カ月しかたちませんからはっきりわからない場合があるかもわからぬ、そういう場合には無理やり何もその時点で赤字国債を出さなくてもいいじゃないか、もう少し赤字がどのくらいになるのかあるいは出ないのか、そういう見通しがはっきりしてから出してもいいではないか、ただしかし、最終需要全体が落ち込まないようにするということは九月前半が望ましい、これは間違いなくそう判断をしておる、こういう趣旨のことを言ったのでございます。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 私も、景気対策でここで機敏に手を打たなくちゃならないということは全く同感であります。  そこで長官、建設国債と普通の赤字国債とは違うのだ、確かに違うわけですね。私もその点異論はないのでありますが、ここで景気対策で十二月末から五十八年の三月末、その期間にどうしても大量に国債が発行される、そうなりますと、一方において市況が相当混乱すると思うのですね。それが勢い金利高といいますか、金利をアップさせるという状況にどうしても陥りやすい。この点の兼ね合いというのはどうでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 現在、国債の価格が相当下がっております。また、新しく発行するのも若干やりにくくなっておるようでありますが、この背景は、やはり日本銀行が円安を防止するために短期金利を高目に誘導しておられまして、短期金利が相当高くなっております。短期金利が高くなりますと当然長期金利もそれに連動いたしまして高くなるわけでありますが、そうしますと国債の値段が当然下がりますし、前の発行条件では発行しにくくなることは当然の帰結であろうと思います。要するに、アメリカの高金利という問題がいまのような一連の動きを誘発しておるわけでございまして、私は、日本経済の力から言いますと、一時的なこの現象だけ見て日本経済の力がこうだという判断をするのはいかがなものであろうか、こう思っておるのです。  たとえば国債の発行高なども、予算との比較あるいはGNPとの比較ということは不正確だと私は思っておるのです。正確な比較をする場合には、その国のその年度における貯蓄が幾らふえたかということと国債の発行高とを比較して、他の国とのバランスを議論する、これが一番正確なやり方でなかろうか。  たとえばアメリカなどは、あれだけ大きな経済の規模でありますが、若干の赤字財政が出たからといっていまのような経済情勢、金融情勢になっておるわけでありますが、要するに、アメリカで貯蓄が非常に低い水準で推移しておる、昨年などは建国以来最低の水準であったと言われております。いまは少し持ち直しておりますけれども、それでも貯蓄率は六%前後だ。この貯蓄率が低いということが、少し赤字が出ますとクラウディングアウトというような現象が起こって、結局金利が異常に高くなる、こういうことだと思うのですが、日本の場合はすでに二、三年前に現在の時点よりも相当大量の国債を発行しておりますし、その時点から比べますと、経済の規模も大きくなっておるわけです。もっともその時点に比べますと残高はふえておりますけれども、これは私は政策の選択の問題だと思いますね。国債が相当残高がふえたからもう何もやらないのだというのも一つの選択だと思いますが、そうなってくると経済は当然縮小均衡に陥ってしまいます。それで、いま御指摘のような失業問題とか、あるいは中小企業の問題とか、貿易摩擦とか、税収不足とか、そういう問題が起こるわけであります。しかしながら、総合的に判断をしまして、何としても現状を打開しなければならぬ、現状を打開して早く日本経済を安定成長という軌道に乗せなければならぬ、こういう判断であればまた別のやり方があろうか、こう思うのです。  先ほどもちょっと触れましたが、五十五年度の税収は、年度当初ベースで前年度に比べますと五兆ふえておるわけです。五十六年度の税の自然増収は一兆というように減っておりますから、財政再建をしようと思いますと、予算を節約するだけでは財政再建はなかなかむずかしい。そんなに大規模な節約はできませんので、経済の力を回復いたしまして、自然にそこから税の自然増収が大きく確保できるような政策を並行して進めることが何よりも必要ではないか。  だから、安定成長路線を選ぶのか、縮小均衡の道を選ぶのか、それは政策選択の方法だと思いますが、問題は、そのいずれの道も日本経済は選ぶ力を持っておるということであれば、やはり世の中がよくなる方法を選んだ方がいい、私はこう思っておるわけであります。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 いまの長官の御答弁、私もそのとおりだと思っておるのです。  そこで、五十八年度の概算要求枠につきまして大蔵大臣は、五%のマイナスシーリング、こういう方針を打ち出しておるわけであります。こうなりますと、私は景気に与える影響というのは非常に大きいだろうという感じがするのです。いわゆる経済的な心理効果というものが非常に大きいということを先ほど私、ちょっと触れましたけれども、そうなりますと、景気がやや上向きだといっても、来年度においてはマイナスシーリング、マイナス五%ということになりますと、勢い経済の足を引っ張るのじゃないか。そういう点を私は非常に懸念しているのですが、これに対しまして長官、どうですか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 今月の一日にいわゆる十一人委員会が開かれまして、その場で大蔵省から説明がありましたのは、五十八年度の予算編成についてはマイナスシーリングでやりたい、しかし、一般会計は約五十兆だけれども、一つ一つ項目ごとに分析をしてみると、大部分の項目ではマイナスシーリングが適用できない、マイナスシーリングが適用できるのは五十兆の予算の中でせいぜい五、六兆しかない、五、六兆に対して五%前後のマイナスシーリングをやりたい、こういうお話でございまして、私はその見当のことは万やむを得ないのではないか、こう思っております。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 五十八年度の予算編成がマイナスシーリングになりますと、これまで横ばいで来ました公共事業、これは物価高によりまして事業量がさらに実質的にはマイナスということになるわけであります。しかも、こうした事業量の低下によりましてデフレへの影響も当然心配が出てくるだろう、私はこのように考えるのです。こうした点を踏まえますと、五十八年度の予算編成に当たっては、マイナスシーリングの中でも、公共事業の景気刺激効果を考慮して景気の牽引とすべきであると私は考えておるのですが、公共事業についてはどうですか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 それから、なお念のために申し上げておきたいと思いますのは、七月一日の説明は決定ではございませんで、そういう説明があったというだけでありまして、これを自由民主党としてどう取り扱うとか、あるいは政府全体としてどう取り扱うかということはこれからの課題であります。その時点で公共事業はマイナスシーリングの対象にはしないという説明がございました。しかし、これも決まったわけではございません。マイナスシーリングにしないということだけでいいのか、あるいはもう少し別の方法を考える必要があるのか。  御参考までに申し上げますと、一昨日のOECDの経済見通しなんかをよく見ますと、日本経済は思ったりより低い水準の見通しが出ておりますが、その一つの理由としまして、自然増税というのですかね、所得税の自然増税が行われて所得がふえない、これが一つ日本経済の足を引っ張っておる、こういう指摘がございます。それからもう一つは、公共事業が実質、物価が上がった分だけマイナスになっておる、こういう指摘がございまして、この二つが日本経済が伸びない大きな原因だ、こういう分析がございます。それだけではございませんけれども、なるほど外国ではそういう見方もあるのかなと思って私どもは受け取っておりますので、御指摘の点は十分参考にしなければならぬと思います。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 景気の先行きを占う設備投資について特に中小企業の停滞が目立っておるわけですね。大企業が比較的堅調なのに対して、中小企業の設備投資は、商工中金の調査でも明らかでありますけれども、ことしに入りまして一月から三月期は前年同月比でマイナス一・一%、同じく四月から六月期がマイナス〇・五%と、非常に深刻な状況であります。聞くところによりますと、長官は投資減税制度の拡充をお考えのようでありますけれども、この点はどうなのでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 中小企業の投資は日本の場合は非常に大きいのです。毎年の設備計画の中で半分以上を占めております。大企業よりも相当金額が多いわけでありますが、昨年は残念ながら政府見通しから三、四兆下回っております。これは経済が落ち込んだ一つの大きな理由でございますが、ことしもやはり相当落ち込む気配が非常に強い、こう思っております。  もっとも、中小企業の投資というのは、年度当初に調べますとまだ未確定なものですから、投資をやります、そういう回答はなかなか返ってきませんで、回を重ねるに従って、つまり年度後半になりますと年度当初よりはうんとふえてくる、こういう傾向はあるのですが、しかし、大きな流れから見ますと中小企業投資は楽観できない、また昨年のように経済の足を大きく引っ張る危険性があろうかと思います。  そこで、現在も若干の投資減税、範囲が非常に狭いのですが五十八年度までやることになっておりますが、いまのような内容で効果があるのか、あるいはもう少し効果が上がるような内容に再検討した方がいいのかどうか、またそういう場合にはどれだけ中小企業投資がふえるのか、たとえばこういう財政不如意のときでありますから、一つの投資減税をしまして二重、三重の投資額の拡大が図られればこれは大きな効果があるわけでありますから、広い角度から経済全体の活力を拡大するようなそういう政策を検討しなければなりませんので、何も結論が出ておるわけではありませんが、現状の分析とそれから将来拡大するとすればどういう問題点があるのか、そういう点につきましていま専門家にいろいろ研究してもらっておるというのが現在の段階でございます。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 また、低迷を続けております個人消費の喚起も重要であります。物価が安定すれば消費が伸びると、常に長官も私が質問したときにはそう答弁をされました。内需の不振は依然として深刻ですね。六月の月例報告を見てまいりますと、「個人消費は、このところ回復の動きを示している。」こう出ております。その消費内容を調べてみますと、長官よく聞いてくださいよ。保健医療費、教育費、交通通信費というふうになっておるのですね。そのほとんどが必要経費で個人消費が伸びるというような感じではないのです。したがいまして、消費物資の生産につながらない、こういうものが非常に多いわけであります。これでは実質的に個人消費が回復したとは言えない、私はそのように考えるわけであります。また個人消費に関連の深い雇用情勢、これがだんだん悪化してきております。こうした雇用の悪化は、回復の兆しを見せる個人消費に非常にブレーキになるだろうという感じを私は強くするわけでありますが、どうでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 消費は若干ふえておりますが、やはり消費がふえる場合には必要な分野からふえていくのではないか、こう思います。いまおっしゃったような内容、そういうものをほうっておいて物を買うというわけにはまいりませんから、まず万やむを得ないそういう分野からふえていく、なお余裕が出てくると物を買う、こういう順序になるのではないかと思います。  もう少し詳しいことは政府委員から答弁をさせますが、残念ながら現段階はそういうことでありまして、消費がどんどんふえるというよりも、サービスの分野に使われておるということは御指摘のとおりだと思います。  それから雇用の問題は、先般も労働大臣が閣議で発言をしておられましたが、これは昨年の十二月から現段階までに失業者が二十四万人ふえた、こういうことを言っておられました。やはり失業者がふえるということはそれだけ国民生活が不安定になっておるわけでありますので、この点はこれからもよほど重視していかなければならぬ非常に大きな課題だ、こう思っております。

廣江運弘経済企画庁調査局長

○廣江政府委員 消費につきまして少し補足をいたします。  先生はいま、教育とか保健医療という必需性の強い経費がふえておるだけではないかという御指摘でございまして、そういうものが高い伸びとなっていることも事実でございますが、最近の家計調査をしさいに見てまいりますと、被服及び履物あるいは教養娯楽、小遣い、交際費というような、必需的経費といいますよりはむしろ選択性の強い費目も強い伸びを示しているということも事実でございまして、家計調査等で判断をいたしますると、この一月以降実質消費はやはり伸びる傾向にはある、こういうふうに思っております。  多少それをもう少し、補足する意味で申し上げますと、最近の百貨店とかチェーンストア等の売り上げも、名目よりも実質で見てみますと、やはりコンスタントに伸びているのじゃないかと思いますし、さらにもう少し補足する意味では、最近の自動車の登録台数等もそういうものを裏づけるかと思います。総体の流れにつきまして先生の言われる意味はよくわかりますが、そういう点があろうかと思います。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 総理府の家計調査によりますと、非消費支出である諸税の負担率が非常に高くなっておるんですね。急上昇しております。たとえば、ことしの一月から四月の非消費支出は前年同期比で一二・一%の増となっておりまして、同じ期間の家計収入の伸び率が六・七%でありますから、約二倍に達しておるわけであります。したがいまして、個人消費を伸ばすためにはやはりここで大幅減税が必要じゃないかということを私たちは強く主張しておるわけでありますが、この点については長官、どうでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 五十二年からずっと所得税率は据え置きになっておりまして、所得税の総額はこの数年間にざっと倍になっておりますから、税負担が非常に重くなっておるということは事実でありますし、先ほどもOECDの指摘を御紹介いたしましたが、やはり日本経済の足を引っ張っておることは事実だ、こう思います。それに対しまして政府は減税問題について統一見解をこの一月に決めておりましたが、その後衆議院の予算委員会の段階で議長見解が出ましたので、いま大蔵委員会で小委員会をつくって議論していただいておりまして、その議論を政府は政府見解よりも優先する、そういうことを総理大臣以下関係大臣繰り返して答弁しておりますので、私どもは、その大蔵委員会の結論が、国民経済全体の立場から貢献できるようなそういう結論が出ることを期待をしておるというのが現状でございます。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 次に、景気と深く関連のあります円安問題についてお尋ねをいたします。  ベルサイユ・サミット終了後円安に拍車がかかっておりまして、以来円安の傾向が続きまして、現在では、きのうあたりですと安値が二百五十九円三十銭まで値下がりをしております。こうした円安の状況は、景気対策の幅を狭めるとともに輸入インフレを引き起こしまして、また貿易摩擦の激化、こういうふうな結果となるのじゃないかと私は考えております。長官はこうした円安の原因をどう見ていらっしゃるのでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 実は、最近の円安状態のために政策の選択の幅が非常に狭まっておりまして、大変やりにくいということが一つございます。それからもう一つは、物価に対する心配であります。現在のところは需給が緩んでおりますから円安がそのまま物価の上昇につながるとは思っておりませんし、またそういうことは極力避けなければならぬと思っておりますが、当然これは心配の種の一つだ、こう思っております。  それでは、なぜこういうことになるのかということでありますが、経済の基礎的な条件ということよりも、やはりアメリカの高金利、依然として厳しい状態である。ある程度の期待があっただけよけい厳しい反動が出ておるのではないかと思います。それとあわせて最近の中東情勢、石油こそ現時点では小康状態でありますが、こういう小康状態のときといえども安心はできない。第三次石油危機が起こる危険性は相当強い。こういう混迷した中東情勢の動きも円安に拍車をかけておるのではないか。そこへ投機資金が相当大量に入りますので、日本銀行が円高に持っていこうとしますと反対の動きが出てくる。しかもその資金量というものははるかに大きいということでありますから、日本銀行も大変苦労しておられると思います。そういう中でも一番大きな原因は、アメリカの金利高のために資本の流出が相当続くということでなかろうか、こう思っております。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 長官は、六月二十九日の閣議後の記者会見で、円相場の自律反転の時期はそう遠くない、このことを示唆をする発言をされておりますね。その後も依然としてそういう徴候がないのですけれども、これは見込み違いなんですか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 さて、そういうことを言ったかどうかは忘れましたが、ただ、この間アメリカの上下両院議会で予算修正をしましたですね、そのときにも経済見通しがこうなると、つまりことしの二月はアメリカ政府は来年五・二%成長、議会の見通しでは四・五%成長と修正をしておりますが、その時点では金利も二、三%は下がる、こういう見通しも発表しております。私どもはこのアメリカ議会の見通しのようにせめて二、三%でも下がればそれは大変いいと思うのですが、ただ、これまでもう何十回となく下がる下がると言われて一向に下がらなかったということもございますので、果たして本当にそのように行くかどうかは私も確たることは言えないのです。ただ、アメリカの物価は御承知のように六%台、アメリカ政府の見通し、議会の見通しも六%台が続くと言っておるのですが、OECDの見通しなどを見ますともっと下がる、五%そこそこに下がる、こういう見通しを発表しております。そうなってきますと、余りにも実質金利というものが高過ぎる、一〇%近い実質金利になるわけであります。これは金融の常道からも考えられない、こういうことでありますので、私どもは、何とかならないのか、第一いまの状態では世界全体も困りますがアメリカ政府も困るのではないか、アメリカ経済はやや上向いてはおりますが、やはりこれが順調に伸びていくためにはアメリカ自身が高金利を修正しなければならぬ、そうしないとうまくいきませんし、すべてのレーガンの経済政策がこの高金利政策のためにうまく展開しないのじゃないか、こういう感じもいたしますので、現時点では、大統領のもう少し強力な指導力が発揮できないものか、これだけの物価安定の時点で、いろいろ理屈を言えば切りがないわけでありますが、世界全体にこれだけ大きな迷惑をかけておるわけでありますから、もう少し何とかならないかということを強く期待しておるというのが現状でございます。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 この円安が続きますと、景気や物価に非常に大きな影響を及ぼすわけであります。中でも、円安が続きますと心配されますのは輸入インフレですね。特に最近は卸売物価が急上昇いたしております。一般的に、十円の円安は卸売物価を一%上昇させる、このように言われておるわけであります。先ほど長官が申されたように需給関係は非常に緩んでおりますから、いま直ちにという物価に対する影響は私は少ないと見ておるのですけれども、いずれにしても、この円安対策はアメリカが何とかしてほしいという要望を私たちは持っております。いま長官がおっしゃったとおりであります。いま少しわが国として独自でできる、そういう具体的な対策、タイムリーな方策というものはないものでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 対策がないわけではないと思いますが、これはもう一利一害があります。たとえば資本の流出をとめてしまうというようなことでもやればこれは当然ある程度とまると思いますが、もしそんなことをやりますと、いまの制度でもやれないことはないわけでありますから、これはやろうと思ったらやれるのですが、仮にそんなことをやりますと、円の国際化ということをこれまで大きな目標に置きまして、政府はそういう方向に金融政策を進めていったわけでありますが、それをまた御破算にしなければなりませんし、一方で外貨の流入、外貨が流れ込むというそれはとまってしまうでしょうね。そうして、日本に金を持っていった場合にはいつこれを凍結されるかわからぬ、日本は危なくてしようがないということになろうかと思うのです。ですから私は、日本銀行がこの決断に対しては非常に慎重である、あるいは大蔵省も非常に慎重だということはよく理解できます。これはやはりできるだけ避けた方がいい、私はこう思うのですが、これは大蔵省と日本銀行の最終判断に任せなければなりません。対策はないことはありませんけれども、一方で大きな弊害が起こってくる。また、介入するといいましても、日本銀行の持っております外貨はそんなに大きな数字でありませんし、その何十倍かの投機資金があるわけであります。その投機資金も、アメリカの高金利のために相当アメリカに定着しておりますから、以前ほどはないと思うのですけれども、それでもやはり相当量がございますし、日本銀行と反対の動きをしてまいりますから、これはややもするとなかなか効果が上がらない。アメリカも共同介入は、頭から否定はしておりませんが必ずしも積極的ではない。だから、介入によってこの円安を修正することは不可能だということでありますので、やはり国際情勢が一刻も早くもう少しおさまり、アメリカの高金利がアメリカ政府の言っておるように早くおさまる方向に行くことを期待するというのが、残念ながらいまの段階でございます。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 いまお話がありましたとおり、外為法の有事規制やいろいろ方法があると思いますけれども、きょうの新聞によりますと、円安防止のために日銀は基準外貸出制度を考えておる。この点については長官はどういう御意見ですか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 そういう制度がございますが、これは現在までやったことがございません。第二公定歩合のようなものだと思いますが、ドイツで言っておるロンバード・レートのようなものだと思います。これは制度としてあるわけでありますからやってやれないことはありませんけれども、しかしこれとても、日本銀行が金融全体をにらんでいろいろ総合的に判断をされると思うのです。だから、いま私の口からこれをやるべきであるとかやらない方がいいとか、そういうことを言うのはもう越権行為でありますから、それ以上のことを申し上げるのはちょっと差し控えたいと思います。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 それでは、物価問題についてちょっとお尋ねをいたします。  先ほどちょっと触れましたけれども、消費者物価は非常に安定基調でありまして、大蔵大臣は、安定しているから税収が不足になってしまったなんて言っておりますけれども、非常にいい傾向だろうと思います。円安の傾向によりまして、いま卸売物価が九%台に乗っておるのですね、そういう点で物価への影響が当然出てくるであろう、そういう懸念を実は私は持っておるわけであります。半年たてば卸売物価に影響力が出てくる、このように言われておりますから、この点が近い将来大きな問題になるだろう。  加えて、最近円安によりまして石油製品の値上げの動きが非常に実は出てきておるわけであります。こうしたことから、電力、ガス料金への影響も私は心配をいたしておるわけであります。電力、ガス料金につきましては、五十五年四月に値上げをいたしまして二年が経過をいたしておりますが、これらの料金はできる限り据え置くべきである、物価安定の上から言っても据え置くべきであると私は考えておりますけれども、長官の御意見をいただきたいと思っております。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 石油業界には為替レートの変動ということが非常に大きく響くと思うのです。非常に大きく影響ございますが、ただ、それでは響いた分だけ値上げをしようということになりますとこれまた物価に大きな影響が出てまいりますので、それはできるだけ合理化によって吸収してもらいたい。しかも為替レートというものは非常に大きく動くわけですね。いま私とあなたはなかなか円高になるのはむずかしいな、こういう議論をしておるわけでありますが、しかしこれとても、どう変わるかわからぬと私は思うのです。たとえばこの一月の段階で、日本の為替問題に対する権威者、それから金融関係の人たち、貿易関係の人たち七、八十人が為替レートの見通しを出しておりましたが、ずっと円高だ、こういう見通しだったですが、一人も当たらないということでありますから、これはなかなか正確な見通しはむずかしい。したがって、いつ現状が変わって円高に変わるかもわからぬ、こういうことも考えておかなければならぬと思うのです。だから、一時的な円安だけで、さあ大変だ、全部値上げだ、こうやられますと大変困りますので、そこで、何しろ石油というのは産業に一番大きな影響がございますので、できるだけ慎重にやってもらいたい、こう思っておるんですが、しかし、先ほど通産省のお話を聞いておりますと、現時点では業界の判断に任せておるんだということでございましたけれども、私どもといたしましては、物価に対する影響が非常に大きいので、国民経済全体の立場を考えながら慎重な行動をとっていただければと思っております。しかし、業界がつぶれてしまうということになりますと大変でございますから、そこは関係者の間で十分高い立場から判断をしていただきたい、こう思っております。  それから、電力の方は一昨年の春から値上げをしたわけでありますが、その時点の為替レートの計算の基礎は各社によって少しずつ違うのですが、二百四十円強であったと思います。でありますから、相当円安のときにこの値上げを決めましたので、もちろん現時点では電力業界も相当な影響が出ておると思うのでa、会社によっては数百億の影響が出ておるのではないか、こう思いますけれども、これとても、すぐ値上げとかいうことを言われないと思いますし、現にそういう声はございませんが、物価の安定ということが国民生活の安定の基礎でありますし、政府の一番基本的な政策でもございますので、仕事の公共的立場ということもお考えいただきまして慎重に取り扱っていただきたい、こう思っております。

長田武士公明党・国民会議

○長田委員 終わります。

武部文日本社会党

○武部委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後一時五分休憩      ――――◇―――――     午後二時二十三分開議

武部文日本社会党

○武部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中野寛成君。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 長官のお時間の都合もあるようですから、先に通産省にお伺いをしたいと思います。  いま素材産業が大変厳しいところに追い込まれております。ますますドルが高くなり、石油の原価が高くなっていく、エネルギーコストが高くつくようになる、電気の缶詰と言われるアルミ等々、きわめて厳しい状態の中に追い込まれていることはいまさら申し上げるまでもないところであります。  さて、それに対する一つの対応策として特安法、特定不況産業安定臨時措置法があるわけでありますが、これにつきましては五年間の時限立法、来年六月にはその期限が切れるわけであります。報道等によりますと、すでに通産省においては新しい法律を検討中であるということが言われておりますけれども、この新法についての考え方、お出しになるつもりなのかどうなのか、またお出しになるとすればどういうところに気をつけてやっていこうとされるのか、そのことについてお伺いをしたいと思います。

田辺俊彦通商産業省産業政策局産業構造課長

○田辺説明員 先生御指摘いただきましたように、素材産業は大変な苦境に陥っております。私どもといたしましては、現在、産業界のさまざまなニーズを把握しているところでございます。また、産業構造審議会におきまして、アルミ、紙パルプ、それから石油化学等につきまして、昨年来詳細な検討を続けてまいりました。ほぼ答申も出そろいまして、現在、素材産業全体としてどういう対策を具体的に講じたらいいかということの政策的検討に入ったところでございます。私どもといたしましては、金融、税制、それから法的措置も含めて今後速やかな検討を続けてまいりたいと思います。  特安法が来年六月に期限切れとなりますが、現行の特安法の評価をしつつ、新たな情勢に対応して素材産業を活性化するという視点も含めて、総合的な対策を検討してまいりたい。その一環として、新たな法体系についても速やかに検討を進めてまいりたいと思っております。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 これにつきましてはいろいろな考え方があると思います。極端な例で言えば、日本でそういう産業はむしろあきらめてしまって輸入に頼るという方法もあるし、安全保障上の立場から考えれば最低限残すべき量を確保するという考え方もあります。しかし、いずれにいたしましても、国内で生産をされる量がある程度保有されていくことが産業構造のバランスの上からも必要でありますし、また将来いつまでもこれが不況状態の中にあるとは限らない部分もあるわけであります。現在のその問題についての認識、そしてこれから検討に入られるようでありますが、どういう部分を一つの問題意識を持って重点的に検討なさろうとしておられるのかについて、まずお聞きをしたいと思います。

田辺俊彦通商産業省産業政策局産業構造課長

○田辺説明員 現状認識につきまして、先生から御指摘いただきましたとおりでございまして、素材産業の苦境におきまして、どう活性化するかということが主題でございます。その際、私どもといたしましては、将来の日本及び世界における需給関係、さらには日本の素材産業の生産のコストがどう低減できるかという視点、それから御指摘いただきました経済安全保障という観点から、こういう基礎素材物資を過度に輸入に依存することのリスクがございますので、その視点、大ざっぱに言いまして、この三点を中心に検討してまいりたいと思います。  当面、御承知のように、アルミ産業、石油化学産業が苦境に陥っておりまして、コスト的に非常に苦しゅうございますが、その意味におきましては、私どもといたしましては、コスト低減の努力を図りつつ、合理的な範囲でわが国の国土の中に素材産業を抱え込む、そういう必要性を十分検討した上で、一定規模の素材産業の回復と維持のための政策を続けて打ち出していきたいと思っているわけでございます。  政策の態様といたしましては、まず第一番に、何よりも、素材産業の苦境は二回にわたる石油危機、エネルギーの高価格化に依存しているという認識がございます。したがいまして、石油に依存する原材料、それからエネルギーのコスト低減対策というものを詰めていきたいと思っております。さらには集約化、それから技術開発、あるいは開発輸入といったような通商、海外との関係にかかる政策もあろうかと思います。さまざまな視点を詰めた上で金融、税制、法的措置を検討していくというところでございます。  また、本件との関係では独禁政策との関係があるかと思いますが、この点は担当の室長より回答させていただきます。

藤島安之通商産業省産業政策局産業組織政策室長

○藤島説明員 お答えします。  先生御承知のように、独禁法との関係では、特安法に基づきまして過剰設備の処理を行っているわけでございます。現在の苦境でまださらに過剰設備を処理しなければいけないといったような状況がございますし、それから、そのほかいろいろな業界の対応によりまして独禁法との調整が必要になってくることがあろうかと思いますけれども、こういうのも全体の対策の中で対応を考えてまいりたい、こういうふうに考えております。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 いまの御答弁の中でもありましたが、独禁法との関係、それから貿易摩擦との関係、いろんなことに配慮をしなければならないだろうと思いますけれども、このようなことについてはすでに公取とはある程度の折衝はなさっているわけですか。

田辺俊彦通商産業省産業政策局産業構造課長

○田辺説明員 現在、私どもの部内におきまして、あるいは産構審におきまして検討中でございまして、外部部局との公式折衝はまだ行っておりません。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 それから、貿易摩擦との関係ではどういう問題が起こると予測されますか、もしくはほとんど起こらないであろうと予測されますか。

田辺俊彦通商産業省産業政策局産業構造課長

○田辺説明員 主要な素材産業の一部ではすでに国際競争力を喪失している産業がございます。石油化学もじわじわと海外からの輸入がふえております。アルミ産業もしかりであります。そういう産業につきまして、私どもの基本的考え方といたしましては、エネルギーコストの低減を精いっぱい図り、生産工程の合理化を図り、産業組織上の集約化を図って合理的な産業に再生する、活性化するという基本的立場に立っております。したがいまして、当面、通商対策ということで輸入制限的な措置をとることにつきましては慎重に考える  べきだと思っております。その意味におきまして、基礎素材産業と貿易摩擦との御質問につきましては、私どもといたしましてはそういうことの起こらないような、むしろ産業を活性化するという方向で考えていくということでございます。さらには、むしろある種の産業におきましては海外において、日本の資本が海外諸国と手を組んで、日本の基礎素材の安定供給のために取り組むという方向もあろうかと思います。これはむしろ海外との協調という意味も含んでいるかと思います。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 もう一点だけお聞きいたします。お答えしにくい質問かもしれませんけれども、少なくともわれわれとしては何とかこれが生き延びていく、しかもそこで働いている人たちが失業の憂き目に遭うようなことがないようにというふうなこと等がやはり一番心配になるわけであります。少なくとも、そういう観点から考えて、これから講じられる対策によって確保されるであろう産業規模というものはどのくらいを目標にされておられますか。現状をそのまま継続ということはなかなかそれはむずかしいかもしれません。しかしながら、やはり相当の規模を残し得る対策でなければ意味がないというふうに思うわけでありますが、いかがお考えですか。

田辺俊彦通商産業省産業政策局産業構造課長

○田辺説明員 大変むずかしい質問でございますが、まさにその点をいろいろ産業構造審議会の各部会で検討をしてまいったわけでございます。具体的に一番重要な産業の一つであるアルミ産業と石油化学産業をとってまいりますと、私どもといたしましては、産業構造審議会の答申の中に、アルミ産業につきましては七十万トン程度の生産規模をわが国において保有していくことがさまざまな観点から妥当であるという答申をいただいております。それから石油化学産業につきましては、これはアルミ産業と多少ニュアンスが違いますけれども、保有規模といいますよりも、今後の恐らく合理的に保持できるであろう見通しの規模という意味におきまして、石油化学産業は昭和六十年ぐらいまで四百万トン程度の規模が妥当ではなかろうか、需給関係、輸入関係、コストを考えて、それから今後の活性化対策を考えて、そういうことではなかろうかというような答申をいただいております。私どもは当然この産構審の方向を踏まえまして具体的政策をとっていこうとしているわけでございます。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 ひとつ、ぜひ御努力をいただいてその対策が功を奏することになりますように要請をしておきたいと思います。  この問題につきましては以上で終わらせていただきます。  次に、大店法に関連したお尋ねをいたします。  中小小売店と大型店との争い、また大型店の進出による中小小売店の大変な苦労、また大型店に対する消費者の期待、いろいろな矛盾とそしてまた問題点を抱えている課題であります。このことについて若干お聞きしたいと思いますが、現在は、地方自治体の凍結宣言等もございますけれども、大型店の出店につきましてはそのほとんどが行政指導という形で凍結をされているということだと思うのであります。その後、最近の出店数の実態、これらに対してどういう指導を現在しておられますか、お聞きをしたいと思います。

佐伯嘉彦通商産業省産業政策局大規模小売店舗調整官

○佐伯説明員 お答え申し上げます。  今回の行政指導対策は、基本といたしまして、大規模小売店舗の出店の水準が高いような市町村あるいは小規模な市町村というものを中心といたしまして、こういった地域への大型店の出店というものの自粛指導をいたしておりまして、その実施に当たりましては、地元の市町村あるいは商工会議所、商工会の意見を聞きながら指導を行っているという状況でございまして、行政指導を開始しました二月以降五月末までの新たな三条の建物新設の届け出は二十件というような現状になってございます。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 二十件に対してどういう対応をしておられますか。

佐伯嘉彦通商産業省産業政策局大規模小売店舗調整官

○佐伯説明員 二十件は、出てきましたものにつきましては、これから地元の商調協で調整審議をしていただきまして、さらに必要があれば大規模小売店舗審議会に諮って調整を行うということにいたしております。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 この問題については、届け出制のままでいいとか許可制にしろとかということは私も申し上げようと思わないわけです。ただ、今日段階では、地域の商店街も結局どういう形で大型店が進出をしてくるかわからないという不安感というものは常につきまとっているわけであります。凍結宣言といっても、しかしそこに法的拘束力はどれだけあるのかという疑問等を持つことは当然現実にあるわけであります。また一方、大型店は大型店で、どうして消費者のニーズに合った出店をしようと思っているのにこういう仕打ちを受けなければいけないんだという不満をまた鳴らしていることも事実であります。また一方、大型店同士で、もうすでに過剰な状態になって食い合いをしているという現実もあります。しかし、いずれにいたしましても、そういう実態を考えるときに、いかに流通があるべきかということについてしっかりとした計画やビジョンというものがなければならない。たまたま通産省の方では、八〇年代の流通業ビジョンをつくるということで何かいろいろ御検討をなさっているようでありますが、むしろ何かずいぶんのんびりしているなという感じで受けとめたんです。  最初新聞記事を読みながら、九月をめどに産構審に諮問する、こう書いてあるんですね。実は、九月をめどに産構審から答申をもらうということかいなと、最初はそう読みかけたんです。しかし、むしろこれから諮問をして、来年の夏までに答申を得たいとしており、こういう報道になっているわけです。報道どおりかどうかわかりませんけれども、しかしながらいまここで改めてお聞きしたいのは、何をねらいとして、そしていま申し上げたようないろいろなトラブルを解消するための一つの役割りが果たせるのかどうか、その目的を持っているのかどうか、それとこのビジョンづくりのタイミング、時期、そしてそれを受けてのその後の物の考え方についてお聞きをしておきたいと思います。

小川修司通商産業省産業政策局商政課長

○小川説明員 ビジョンの点につきましては、私どもでは商政課が担当でございますのでお答えを申し上げます。  流通ビジョンという問題につきましては、ただいま先生御指摘の大規模店舗法の問題との関連、これは非常に重要な問題でございます。しかしながら、この問題は、その背景に非常に大きな流通産業全体の問題としてとらえなければならないという問題があろうかと思います。特に最近は、個人消費支出の伸び悩みでございますとか、消費者の消費行動の変化でございますとか、いろいろな環境変化でございますとか、そういう環境条件が非常に変化しておるところでございますので、この問題、改めて大規模店舗のその問題も含めて、総合的な流通産業全体の問題として、中長期的な観点に立って検討するということが必要であると私ども考えておる次第でございます。  先生から非常に遅いじゃないかという御指摘いただきましたけれども、そういうことで非常に総合的なとらえ方が必要であろうかと思っておりますものですから、目下のところは、私どもの部内で、どういう切り口で検討していくかというようなこと、それから検討のスケジュールとか、さらに大規模店舗と小売商業、特に小規模の小売商業の今後のあるべき姿といったような問題を含めて、どういう戦略があり得るかというような問題も含めて総合的に検討していただくべく、その準備を進めているところでございます。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 中長期的に大きなビジョンをおつくりになるのもいいんですが、少なくとも、現在いわゆる凍結をされているという状態の中で、小さな店舗も大型店もどちらも言うならば蛇の生殺しに遭っているような気持ちでいるわけです。そしてそのことがまた地方自治体や地方議会にいろいろな形で反映をしていくわけです。それがまた住民を巻き込んでいろいろなトラブルになっていくわけです。ある程度それを防ぐための凍結ということにはなっているわけでありますけれども、しかし、いまおっしゃったようなこのビジョンづくりがこの唯一の対策だとすれば、これは何ともはやいまの御説明では心もとないし、また、繰り返しますがずいぶん遅きに失するという印象を持つわけでありますが、当面の対策というものは別途考えないのですか。

佐伯嘉彦通商産業省産業政策局大規模小売店舗調整官

○佐伯説明員 ただいま先生の御指摘のとおりでございまして、本件は非常にむずかしい問題でございますので、たとえば大型店は自由に出ていいんだというような結論もなかなか出し得ませんですし、また、それでは大型店は一切いかぬのだというような結論もなかなか出しがたいということで、今回の措置につきましては、基本的には、大型店の出店が高水準に達しているところあるいは小規模な市町村というものを中心に自粛指導していこう、こういうことでやっておるわけでございますが、いずれにしましても、本件につきましては地域地域の実情というものがいろいろございまして、その地域の実情に合わせた答えというものを出していかなければならないという問題でございますものですから、実は今回の対策を打ち出します過程におきましても種々御議論がございましたし、私どもも何かわかりやすい目安なり物差しで切れないものかというふうにいろいろ考えてみたのでございますけれども、そういったものをつくるということ自身が非常に現実にそぐわないという面もございまして、大きな基本的な見方につきましては一応打ち出したわけでございますけれども、個々の案件につきましては地域地域に即して判断していこう。つきましては、従来どちらかといいますと商工会議所、商工会あるいは商調協任せということであったわけでございますけれども、市町村をより積極的にかませるという形にいたし、また県も入りまして、商工会議所、商工会あるいは市町村、それから県、通産局、この四者が協力し合って個々具体的な案件のさばきを考えていこうというふうに考えておるわけでございます。  先生の御指摘の点につきましては、先ほどお話ししました今後のビジョンの問題を踏まえて、ある程度の方向づけについてはそのビジョンの方からこの調整問題について切り口も出てこようかと思いますけれども、最終的にはこの問題、個々の地域に即して個々の案件に即してどううまく地元のコンセンサスをつくっていくかということに尽きるかと思いますので、そういった面でさらに努力してまいりたい、かように考えておるわけでございます。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 大変むずかしい問題ですが、大変大切な問題ですし、影響を受ける人たちも大変多くあります。そういう意味でひとつ手おくれにならないようにといいますか、私はもうすでにずいぶんもめるだけもめた後みたいな感じがいたしますけれども、しかしできるだけ早くこの方針を立てて、そして消費者にとってもまた事業をやっておられる皆さんにとってもよりよい形態がつくれるように、より一層急ピッチに御努力をいただけるように要請をしておきたいと思います。  長官もいらっしゃいましたので、この問題については以上で終わります。  それでは長官、戻ってきていただきましたのでお尋ねをしたいと思いますが、私たちがたとえばいま地域へ帰っていろいろな方々と話をする、一番多く私どもに聞かれる言葉、それは、景気はいつごろ回復するんですか、もうこれに尽きると言っても過言ではないと思います。プロとしての質問とか答えということではなくて、一人の国民から、景気はいつ回復するんですか、こう聞かれたときに長官はどうお答えになられますか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 私はそういう場合にしょっちゅう出つくわしますが、いま一番悪い状態だからもう少ししんぼうしてください、こういう状態が長く続くとは思いません、こういう返事をしておるわけでございますが、御案内のように、この背景は世界経済が戦後最悪の状態にある、そういう状態が昨年の後半からずっと続いておる。そこで、昨年の十一月から輸出の方も落ち込みましてずっとマイナスが大体続いております。したがって、昨年の秋まではやや回復が続いておったのですけれども、昨年の秋以降再び生産、出荷がマイナスになりまして、そして在庫もふえる。昨年の秋は一応在庫調整が終わっておったのですけれども、またもう一回在庫調整が必要である、こういう段階になっておりますので二番底、こういう感じを持っておるわけです。最終需要も、政府の当初考えておりました線から見ますと相当落ち込んでおると思います。  そこで、いまとり得る唯一の対策といたしまして公共事業の前倒しをしておりますが、この効果が出まして民間の力が後半ある程度上昇しますとこれは大変いいわけでありますが、そうでない場合には、ことしの後半落ち込まないように、息切れがしないように適当な対策をやはり決めていかなければならぬ、こう思っております。  それを決める時期といたしましては、九月の初めにはいろいろな決め得る指標が出てくるのですが、できればもう少し早く指標が集まらないかということでいま努力をしておりますが、遅くとも九月の初めには大体判断できるのではなかろうか、こう思っております。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 公共事業のことについては後ほどお聞きしたいと思いますが、現在、河本長官が鈴木内閣でとっておられる経済政策は、たとえばもし河本内閣になった場合にとられるであろう政策と同じですか、どこか違いますか。河本長官御自身のお考えの中からお答えいただければありがたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 私は、現在の鈴本内閣のとっておる政策は、現時点では最善の対策をとっておると思うのです。つまり、なし得ることは一応全部やっておると思います。そして、先ほども申し上げましたとおりでございまして、後半必要な景気対策も事情によっては十分考えますということでありますから、現時点ではそれでいいのでなかろうか、こう思っております。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 そうすると、生臭い方の政治的な意味ではなくて、国民の立場から暮らしの問題、経済の問題を考えるときに、結局鈴木総理でも河本総理でも同じだということに乱暴な論議ですがなります。もちろん河本長官御自身、鈴木内閣の閣僚でいらっしゃいますから違ったことをそう簡単に言うことはできないと思いますが、また同時に、行政というのは防衛もあり教育もあり、多くの行政分野があるわけですから、経済だけで比較はできませんけれども、少なくとも現在とっておられる経済政策が、事経済政策に関しては最善の方法をとっておられる、そういうお考えであるとするならば、国民の立場からすれば結局どなたが総理になられても同じことだ、こういうことになるような気がするわけであります。  大変とっぴな聞き方をいたしますが、長官御自身は秋の総裁選挙に立候補されるお気持ちがありますかどうか、お聞きしたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 私は、現時点で最善を尽くしておりまして、秋の時点で総裁選挙のことをどう判断するか、これはいまの時点では全く何も考えておりません。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 そうとしかお答えになれないだろうと思いますから、別に深追いはいたしません。ただ私が申し上げたいのは、同じ鈴木内閣の中にあっても、河本長官御自身がより一層御努力をいただいて、現在大変厳しい状態の中に国民が置かれている、それを脱却するために大いなる努力をしていただきたいということを要請をしておきたいわけであります。  さて、そこで次のお尋ねをしたいと思います。  先般、鈴木総理以下、ベルサイユ・サミットを初めとして外遊をなさいました。テレビの報道によりますと、ちなみに、総理一行の外遊にかかった費用が一億七千万円だと報道されておりました。それを見たある国民が、一億七千万円かけて鈴木総理、何しに行きはったんやろうと、私は大阪ですから大阪弁でそういうふうに聞きました。大阪商人らしい発想かもしれません。しかし、ベルサイユ・サミットへ行った、世界経済の活性化が目標であった、またはアメリカの高金利政策に対して反省を求め、何らかの対応策を講じるというそのための約束を取りつけてくれるんではないだろうか、そういう期待もあった。一方貿易摩擦については、事前の根回しによってまあ何とかその場を乗り切ることはできたけれども、考えようによっては日本側が負担を強いられただけである。結局サミットが終わってみてアメリカの高金利政策に対する具体的な対策というものは講じられなかったし、約束も、しかとした約束、目に見える約束というものはなかった。そして、その結果反動的にドルがまた上がって、そしてドル以外の通貨が下がったわけであります。結局サミットがなかった方がこれほどのドル高、円安にならなくて済んだのではないかという逆説的な言い方をする人もいます。私は、そういう意味で、先般のベルサイユ・サミットって何だったんだろう。結局日本の新聞によると、幾つかの問題で他の首脳が激論を交わしているときに、まあまあとそれを制して、事務レベルでそれは相談させようと言ってその場をまとめた、それだけが鈴木総理の何か唯一の成果であったように私どもは新聞で読むのであります。和の政治をモットーとする鈴木総理ですから、まあまあということしかできなかったのかもしれませんが、私どもはそういう意味で大きな失望を感じています。今日の国際経済の立て直しのために、何か大きな成果を得るための絶好の場所として、最高の場所は私はやはりサミットであったはずだと思うのですが、そのサミットにおける評価、それからその後のドル高の継続、それらのことについてどうお考えか、お聞きをしたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 今度のサミットでは幾つかの議題があったと思うのです。しかしその中でも最大の議題は、いま御指摘がございましたように世界経済の再活性化、現状ではどうにもならぬ、何とかいまのような状態を脱却しなければならぬ、そのためにはアメリカの高金利を是正させるということが何よりも先決条件だ、こういうことであったと思うのですが、私は、その問題を中心にしまして議論は相当厳しく展開したと思いますし、ヨーロッパの代表も相当厳しいことを言っておったようでありますし、カナダですら相当激しいことを言っておったと報道されております。ですから、問題の焦点については十分議論されたと私は思うのです。  ただ、アメリカの事情が早急に金利を大幅に下げられるという条件にはありませんので、サミットが開かれた、すぐアメリカの高金利が下がった、こういうようにはまいりませんでしたけれども、しかし、アメリカ政府も、いかにアメリカの高金利ということが世界経済全体の足を引っ張っておるか、あるいはまたそのために世界全体が失業に苦しんでおるか、そういうことについての認識は相当深まった、私はこう思っております。  直接的な成果は上がりませんでしたけれども、そういう先進工業国共通の諸問題について熱心に議論をし、しかもその問題の焦点がどこにあるか、アメリカの高金利である、一そういう認識において一応一致したという意味においては評価していいのではないか、こう思っております。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 長官御自身が御出席になられたわけではありませんから、そのときの雰囲気をお聞きすることはできませんけれども、しかし、サミット等においてアメリカは日本及びヨーロッパ諸国のそういう追及に対して何らかの約束をしたのでしょうか。具体的に何らかの努力をいましているのでしょうか。どうお考えでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 私は、このサミットの事情は出席しておりませんからいまお話しのように詳しくは知りませんが、その一カ月前に、先々月五月の十日、十一日とパリでOECD、先進工業国二十四カ国の閣僚理事会が二日ございました。このOECD閣僚理事会は毎年サミットの一カ月前に開かれておりまして、プレサミットとも呼ばれておるわけでございますが、ここでもやはりサミットで議論されたと同じ議題が取り上げられたのであります。そして最大の議論の焦点は何であったかといいますと、やはりアメリカの高金利問題、二十四カ国のうち、アメリカを除く二十三カ国が相当時間を割きましてこの高金利問題を議論いたしました。中には持ち時間の大半を割きましてアメリカの経済政策、金融政策を分析しながら厳しい批判を加える、こういう国もございました。アメリカも、昨年は代表は一人しか出ていなかったのですけれども、今回は高金利問題に議論が集中するというので五人代表を送ってまいりました。商務長官、財務長官、大統領経済諮問委員長、それからUSTRの首席代表、それと国務省の代表、こういう五人のえりすぐったメンバーが出てまいりまして、そして何回か発言を求めましてアメリカの政策を説明しておりましたが、この厳しい議論を通じまして、アメリカ政府首脳はよほどこの高金利問題が世界全体の経済の足を引っ張っておるということについての認識が深まった、私はこう思っておるのです。だから、引き続いて行われましたサミットでも、直接の成果が上がる、たとえば金利が大幅に下がる、そういうことはございませんけれども、しかし繰り返してこの問題の焦点が議論されまして、いま言ったようにアメリカ以外の国々も相当厳しい発言をしたということでございますので、私はアメリカは問題点はよく認識しておると思うのです。ただ、御案内のように財政赤字の問題があり、それから貯蓄がふえないという問題がありまして、物価は下がっておるけれどもどうも思わしい金融政策が展開できない、そのために世界経済全体の足を引っ張っておるということもよく認識しておると私は思うのです。したがいまして、具体的にどうこうということはいま申し上げられる段階ではありませんけれども、やはりアメリカ政府としましてはそれなりに事の重大性はよく知っておる、このように理解しております。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 しつこいようですが、私もこの問題をこの場所で何回か長官にお尋ねをしてまいりました。その都度幾つかの御答弁をいただいたわけでありますが、ただその中で、レーガン政権が描いているこれからの経済政策は、結局大幅減税をやり、それが貯蓄増強につながり、そして金利低下にそれがつながって投資の回復、これをねらっているのだ。これに、物価が落ちつくこと等を含めて御説明もありましたし、また、私どももいろいろな機会にそういうレーガン政権のやり方を読んでまいりました。ところが、これはまた、指摘もされておりますが、減税をしたけれども、それが結局財政の赤字拡大につながり、それが高金利を生み、投資の沈滞というコースをたどっているのではないのか、結局、明らかにレーガン政権の失政だという批評が最近目立つようになってきたと思うのであります。と同時に、今度は、何らかの要素でアメリカの景気が回復してきたとします。回復してきたとした場合に、それじゃ金利は下がるかというと、むしろそれは逆の結果を生むことになるでしょう。不景気でさえ金利が高い。もし万一何らかの要素があって景気が回復してきたらますます金利が高くなるのではないか。そういうふうなことを考えますと、結局アメリカの金利が下がり、またはドルが安くなるということの要素はどういうことが想定されるのだろうか。全くの素人ですから私にはとうていその辺のことは十分そしゃくはできませんけれども、その素人頭で考える限りは、どうもそういう状態になる方程式が描けないわけであります。このことについて長官にそれこそ教えていただければと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 よその国の政策のことでありますから私も詳しく認識しておるわけではございませんが、理屈の上から申しますと、金利が下がるためには幾つかの条件があると思います。  まずその第一は、物価が安定をするということであります。アメリカ政府は、これまで物価が二けたである、物価が下がれば金利は下がりますということを繰り返しずっと言い続けてきたわけであります。最近は、物価は下がりましたけれども金利は下がらない。それに対しまして、財政赤字が大きくなったからなかなか急には下げられないのだ、こういうことを言っておりますが、財政赤字が仮に一千億ドルを超えるという数字でありましても、貯蓄がふえればそれは下げられる条件が整うわけでありますから、財政赤字が少し減るかあるいは貯蓄が少し拡大するか、どちらかの条件が整えば私は金利は下がる、こう思っておるのであります。  ただ、私はよくわかりませんが、いまのアメリカの金融政策は、昭和五十四年の秋からいまのような金融政策に変わったわけでありますが、いまのような金融政策がいいのかどうか、実は私は疑問に思っておるのです。大統領などもなかなか連邦準備制度理事会が言うことを聞かないというようなことを言っておりますが、アメリカの大統領は絶大な権限を持っておるわけだし、アメリカ経済をよくするための政策というのは何も財政政策だけではないわけでして、あるいは税制政策だけではないわけでして、やはり金融政策が非常に大きな役割りを果たすわけでありますから、もう少しいろいろな政策の整合性を持つようなそういう指導力というものがなぜ発揮できないだろうかと、実は私自身は不思議に思っておるのが現状でございます。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 アメリカの国会ではありませんから、これ以上申し上げてもどうかと思いますが、それにしても、結局アメリカは高金利だ、ドルを買うためにまたはアメリカに投資するためにお金がアメリカに流れ込んでいく、流れ込んでいけばいくほど今度はアメリカの金利は安くなってもいいんじゃないか、これは貯蓄と同じじゃないかという感じがしたり、ずいぶん多くの矛盾を感じます。しかしながら、いずれにせよ、これはアメリカに対して今後とも粘り強く高金利政策の是正を求めていく以外にないであろう、そういう意味で大いに御努力をいただきたいと思うわけであります。  同時に、これと反対に、きょうの新聞ですな、ブルメンソール米元財務長官が、利子平衡税を導入したらどうだろうか、円安対策としていいんではないか、これを安倍通産大臣に言った、こういうことが報道されております。たまたまここに、経済企画庁経済研究所の「ヨシトミ」さんとお読みするんですか、「貿易摩擦のマクロ経済学」という論文も出しておられます。これを見ておりましたら、やはり「金利平衡税を導入して、中期物の投機的資本流出の採算を悪化させ、円高をつくること」が一つの方法じゃないか、こう指摘をされているわけであります。これについては二つの面でメリットがある。「一つは、輸出課徴金は輸出を抑えるのが目的だが、輸出が抑えられた結果、円高が到来するかどうか分からない。円安の可能性さえある」というふうなこと等を輸出課徴金については指摘をしながら、しかし、この「金利平衡税の導入は、円高を誘発する方向に働く。」こう言明をしておられる。二つ目には、資源の配分を乱す可能性が輸出課徴金にあるけれども、この平衡税の場合、そういうことにはならないというふうなことをずいぶん詳しく書いておられるわけでありますが、これらのことについてはどうお考えでしょうか。いわゆるアメリカに要求するということだけではなくて、日本サイドで何らかとる方法があるならば、それはそれとしてやはり努力をしていくということも必要なのではないか。安易なこと、または軽率なことをなすことは大変危険なことでありますけれども、しかしながら、日本サイドでとれる方法がもしあるとするならば、それは大いに努力すべきであろうと思いますが、いかがでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 こういう激動期になりますと、いろんな議論が国の内外から提唱されるのですが、たとえばヨーロッパなどでも、先般の国際会議におきましても、日本は円高にするためにもつと金利を上げたらどうかとか、あるいは財政投資をもっと拡大したらどうかとか、いろんな議論が出ておりました。国内でもそれに似たような思いつき的な議論がいろいろ出るわけでありますが、日本銀行や大蔵省にはこの方面の該博な知識を持っておられる専門家がたくさんおられるわけでありますから、そういう方々が日夜この問題に対しては苦慮しておられる。だから、やはりこの問題は日銀と大蔵省に任せておいた方がよろしい、私はこう思っております。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 長官のお答えはごもっともだとは思うのですが、経済担当大臣として、また経済企画庁として今日の経済を考えるときに、その困難な問題のネックがどこにあるかということを考えれば、そしてまたその対策を考えるとするならば、これらの問題について経企庁としても前向きにお考えになってしかるべきではなかろうか。ただ、それを実際に実行する機関でないことは百も承知でありますが、それはそれなりに、該当する省庁と力を合わせ、知恵を合わせて相談をしていくという前向きの姿勢が必要ではないだろうかというふうに思うわけであります。  ただ、時間がございませんので次に行きたいと思いますが、先ほど公共事業のことについて冒頭御答弁の中でお触れになりました。前倒しのことなんですが、大体今日までどのくらいの率で行われてきたのかということをちょっと書き出してみましたら、五十年度で上期の実績が六八・三%、飛び飛びに行きますが、五十二年度七五・一%、五十三年度七六・〇%、低いところで五十五年度の五九・六%、五十六年度は七〇・五%、こういうふうに上期に契約をされてきているわけであります。しかしながら、私も何回も申し上げましたし、きょうは長官も御答弁の中でおっしゃっておられますが、結局これだけでは十分な効果を発揮し得ない、むしろもう去年で、前倒しの方法だけではほとんど意味をなさないということは嫌というほど見せつけられたという感じがするわけであります。そういう意味で、やはりこの下期の対策、そしてまた、ひいては五十八年度予算に向けての計画等々が連動的に、そしてまた、前もって国民がそれを知り得るといいますか、期待し得る状態の中で組まれるべきではないだろうかというふうに思うわけであります。先ほど、九月初めにはいろんな指標が出るのでそれを参考にということでございます。しかし、これも早いにこしたことはない、九月初めの指標でたとえば補正予算をつくるなどというふうなことになったとしたら、結局それは年末に対応策はなってしまうのではないだろうかというふうにも思うわけでありますけれども、この補正予算や臨時国会等々のことについて長官としてはいかがお考えでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 結局、上半期に八〇%近い前倒しをするわけでありますから、十月以降の息切れあるいは断層が心配されるわけであります。したがって、十月以降に心配ないような状態をつくるということのためには、やはりできるだけ早い方がいいと思うのです。いまおっしゃったように、十二月とかあるいは来年の二月、三月というようなことになりますと年度の終わりになってしまってこれは意味がない、そういうことならば前倒しをしない方がよろしい、こういうことにもなるわけでありまして、やはり経済の実情いかんによりましては、息切れが起こらぬというような対策はできるだけ早い方がいいと思います。  それにしましても、判断できるような資料が九月の初め、まあ早い場合は八月の終わりぐらいには何とかアウトラインぐらいがつかめないか、こう思っていま督促をしておるのですが、そのころになりませんと数字が出てまいりませんので、そこで九月の初めということを言っておったのでございます。もっとも、こういう激動期でございますから、あるいは後半は明るい見通しがそのころになれば出てくるかとも思います。しかし、いまのような状態ですとそういうことはなかなかむずかしいのではないか、こういう感じがいたします。やはり何らかの追加政策が必要になるのではないか、こういう感じがいたしますが、これは十月以降に落ち込まないようにするわけでありますから、それに間に合うように対策を立てなければならぬと思っております。  総理も、予算委員会におきまして、九月初めの段階の指標を分析をして、必要とあらば落ち込みを生じないように補正予算も含めて対策を検討したい、こういう趣旨のことを言っておられますので、私どももそういう考え方でいま準備をしておる最中でございます。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 ここに、建設省がこの五月に「今後の公共投資と日本経済」ということで幾つかの試算をしておられます。ちなみに「五十八年度に公共事業費が五十七年度当初並みにとどまった場合の経済的影響」というふうなテーマで書かれておりますが、その試算は日経NEEDSモデルを用いて試算をした、こういうことであります。この場合に、たとえばケース1、ケース2となっておりますが、「五十七年度の公共投資を上半期に七七%執行した上で、下半期に三兆円を追加し、五十八年度の公共投資は五十七年度当初と同額とした場合」というのがケース1。その場合に、五十七年度の経済成長率は名目六・八%、実質三・八%、五十八年度は名目六・二%、実質二・四%。ただこの場合、ケース1に加えて、五十八年度の公共投資を五十七年度当初の一〇%増しとした場合にはどうなるかということのケース2で見ますと、五十七年度は同じく三・八%ですが、名目六・八%、実質三・八%、五十八年度も名目七・八%、実質三・八%という形でこの試算が出ているわけであります。どこを見ても五十七年度五・二%などという数字は出てこないわけであります。  こういうふうに考えますと、これもまた一つの試算にすぎないかもしれませんけれども、しかしながら、こういう試算も決していいかげんにつくられた試算ではないわけであります。大変厳しい経済見通し、そうして、そのことはそのまま財政にも影響を与えるわけであります。これらのことについてどういうふうに御感想をお持ちか、お聞きをしたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 公共事業以外の分野をどのように判断をしておられるのかよくわかりませんので、正確なことを申し上げかねますが、私どもは、とにかく今度の公共事業の前倒し、それを誘い水にして民間経済の力を拡大したい、こういう考え方なのです。個人消費はGNPの名目で言いますと五八%でありますし、それから民間の設備投資は大企業、中小企業合わせましてGNPの一六%、それから住宅投資はやはりGNPの六%、輸出関係はGNPの一三%ぐらいを想定しておるわけです。それで、公共事業というのは中央地方全部合わせましてもようやく九%そこそこでございまして、ましてや一般会計の公共事業というのは、GNPに占める比率というものはきわめて小さくて二・五%ぐらいであります。  したがいまして、私どもは、九%という公共事業を上半期に集中することによりまして、そのほぼ十倍の大きさの民間の分野の力を拡大したい、こういうことでございますので、その民間分野の動きをどのように見ておられますのか、それを無視して、公共事業だけで成長率がどうだ、こうだというような議論に対してはなかなか論評を加えにくい、こういうことでございます。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 今日までのいろいろな体験に基づいて試算を出すわけですから、そういうことを十分勘案して、たとえば建設省は建設省なりの出し方をするにしても、経企庁としての試算のつくり方というものはやはりできるであろうと思うわけであります。そういう意味で、いっときも早く経企庁としての目標をお立てになって、そして、国民に希望を与える経済対策というものをおとりいただきたいというふうに思うわけであります。  ただ、一点だけつけ加えて質問させていただきたいと思いますが、長官も兵庫県の御出身ですからお聞きしたいのですが、関西新空港が大変大きな話題になっております。経済効果の面等々をあわせて、どういうふうに関西新空港の建設について長官はお考えかをお聞きをして、質問を終わりたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 関西空港につきましては、御承知のように泉州沖につくるということで、ずっと調査がここ七、八年間進んでおるわけでございますが、これは国際空港であるということからこのほとんど全額を国費でやる、相当長期間にわたってこの工事を進める、こういうことのようでありますが、最近神戸市からローカル空港、泉州沖は国際空港でありますが、ローカル空港として神戸沖に、政府の金を使わないで自力で短期間の間に、現在の航空事情を考えて一つつくりたいということで、いろいろ航空管制のことなどもあるのでしょうが、市長の説明によりますと、大阪湾より狭いサンフランシスコ湾にも四つの飛行場がある、だからそれよりも広い大阪湾に二つぐらいの飛行場があっても一向差し支えないではないか、こういうことから、一方は国費による国際空港、一方は市費によるローカル空港、こういう構想を打ち出しておるようでございますが、しかし、そういう構想の適否につきましては、私は専門的立場で申し上げる知識も何もございませんので、これがいいとか悪いとかいうことについては、全然論評できる立場にはございません。しかし、そういう自力による短期の飛行場の建設、それから国費による長期の大規模な国際空港の建設という二つの案が出てきている。これは並行して進められないものかなあ、素人なりにそう思っておるのですが、しかし専門的な立場から言いますと、また別の判断が出るのかもわかりません。  以上、余り素人がいろいろなことを申し上げますと誤解を招きますので、この辺でとどめておきます。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)委員 どうもありがとうございました。

武部文日本社会党

○武部委員長 次に、岩佐恵美君。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 まず最初に、石油の問題について伺いたいと思いますが、経済企画庁に物価の問題について、あるいは生活実感についてまず最初に伺います。  全世帯の消費支出、これは五十七年の一月以降実質増加をしてきている、そういうデータが出ておりますけれども、依然個人消費は低迷をしていて、伸びているのは教育費や保健医療、こういうものである。特に消費財メーカーが多い中小企業の生産、出荷に結びつかない、そういうことが強調されていて、小売業界にも回復感がないわけですけれども、この点について経企庁のお考えを伺いたいと思います。

廣江運弘経済企画庁調査局長

○廣江政府委員 消費動向でございますが、家計調査で申し上げますと、先生の御指摘のように、一月以降四カ月連続して増加を示しております。そして、その支出内容から見ますと、教育、保健医療等の必需性の強い費目は高い伸びを示しておりますけれども、一方、被服、履物、それから教養娯楽、小遣い、交際費といったような、必ずしも必需的消費項目ではなくて、選択性の強い費目もかなりの伸びを示しておりまして、そういうものがそれぞれ寄与度でもあらわせると思います。また、そのほかの消費動向といたしまして、百貨店とかチェーンストアの販売額も緩やかではありますけれども回復しておりますし、乗用車販売も堅調に推移していると思います。こういう指標から見まして消費は回復を続けている、こういう判断をいたしております。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 小売業界に回復感がないわけですけれども、その点の認識はいかがでしょうか。

田中誠一郎経済企画庁調整局長

○田中(誠)政府委員 ただいまも先生御指摘のとおり、最近の消費者は若干サービスのウエートが高いことは事実でございます。しかし、五月に入りまして暑さが若干早く参ったということもございまして、たとえば夏物衣料あるいはクーラー等が売れておりますし、春に入りまして乗用車販売もここのところ緩やかに回復しているという状況にございますので、確かにサービス化という長期的な傾向はございますけれども、徐々に商品需要が高まっているのではないかというふうに感ぜられます。  ただ、何分にも消費自身はなお力強さを持っておりませんので、御指摘のとおり、小売段階に直ちに明瞭に影響が出てきているということではないのではないかというふうに判断をしております。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 不況下、それも消費不況下で、各家庭は低い賃金上昇率の中で非消費支出の増大の重圧を受け、たとえわずかな物価上昇でも大きな影響を受けるようになっている、これが実態ではないかと思います。  読売新聞が六月二十一日にアンケート調査を発表していますけれども、その中でも、物価上昇に対するがまんの限界について、わずかでも上がっては困る、つまりゼロがいいというふうな回答者が四一%を占めているわけです。その中で、こういう状況の中で消費支出に占める燃料費のウエートはかなり高い、五十七年二月で勤労者世帯八・四%になっています。これは燃料費の値上げに対する許容力の限界になっているのではないか。同じ読売新聞のアンケートで、ガソリン、灯油についていまの物価の中で特に高いと思っている人が三九・三、約四〇%の人がガソリン、灯油について物価高の中で特に高いのだという認識を持っています。電気、ガスについては二六%となっている。こういうふうに、一般庶民の人たちは燃料費の家計への圧迫ということを非常に訴えているわけですが、その点経企庁の考え方を伺いたいと思います。

赤羽隆夫経済企画庁物価局長

○赤羽(隆)政府委員 ただいま読売新聞の世論調査を引用して質問がございました。私どもエネルギー価格の重要性ということについては十分に心がけておりまして、これの便乗値上げその他について、これまで物価対策の一つの大きな柱として対策を実施してまいったわけでございます。  最近の情勢というのは、先ほどから何回も御質問がございましたけれども、円安ということで輸入品のコストが上がっているということでございまして、それが一つの物価上昇の要因となっているということは否定できないわけでございます。  ただし、エネルギー価格の問題というのは、先ほども御指摘がございましたように大変重要な問題でございますので、コストが上がったからといって直ちにそれを製品価格に転嫁をするようなことがあってはならない、こういうふうに考えております。  そういうふうに考える一つの理由は、最近の円安というのがまたこれからことしもずっと長期に続くものなのか、あるいはこの先円高の方へ転換していくものなのか、そういったような点が不透明であるといったようなことがございますので、事態の推移を慎重に眺めて対策を立てていきたい、こういうふうに考えております。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 現在石油業界から値上げの動きが出ています。燃料油脂新聞というのを見ましたら、三月比キロリットル一万円の値上げを各社がやるという発表をしている。きょうの物価問題特別委員会を経てというか、その後で上げるのだということまでここに書いてあるわけです。ですから、きょうの委員会というのはそういう意味で重要な委員会だというふうに私はとらえているわけです。そういう中で現在の状況ですね、それと過去の値上げ、それからそれがどういうふうに通っていたのかというのを見てみたわけですけれども、C重油、ナフサ、これは全生産量の四〇%を占めています。かなりウエートが高いわけですけれども、ナフサは去年の七月以降仮価格で推移をしているという状況であります。それから、C重油はことしの一-三月はキロリットル当たり二千三百円値下げをしているという状況にあります。ですから、今回の値上げで一体C重油、ナフサが本当に値上げ達成できる条件があるのだろうか、これが一つ非常に疑問になってくるわけです。それから同時に、では灯油、ガソリン、一般消費者が使いますこういう油種についてはどうかといいますと、灯油はこの期間一万二千円のアップになっているわけです。それからガソリンの場合には一万一千円も上がっている。そういう状況から見て、今回三月比一万円の値上げをしますという業界の動きは必ずガソリン、灯油にかかってくるに違いない、私はそういうふうに思うわけですけれども、これをどう見られるかということを伺いたいと思います。

岩崎八男資源エネルギー庁石油部長

○岩崎(八)政府委員 確かにエネルギー、特に石油製品関係は御承知のとおり十年前は二ドル七十でございましたのが現在三十四ドルということで、非常に短期間に上がってきておる。その結果がどうしてもその製品価格に反映されざるを得なくなっておる。加えて、最近の円安というのがそういった原油のコスト高に非常に大きく影響しておる。こういう状況だと思います。  いま業界紙等のニュースの御引用がございましたけれども、私ども現在承知しておりますことは、ある一社の元売が七月一日において値上げの通告をした、その他については、確かに一般論として言えばいまの状況は苦しいと思いますけれども、どの社がいつ、どの幅において値上げをしようとしているかということについては現在私どもは承知しておりません。ただ、この一年間そういうコストと価格の非常なアンバランスに悩んできておることは事実でございまして、午前中も申し上げましたけれども、昨年いっぱいで石油産業三十四社において三千五百億円の損失を計上しておるというのが実態であることは事実でございます。そういう中で、当然各種石油製品の値上げあるいは値上げ努力がこの一年間やられてきたわけでございますが、御指摘のナフサについては、これまた石油化学工業という、石油精製に劣らぬ不況に現在陥っている業種が需要産業でございまして、そういう中で、両方の産業両立ということで、この一年間売り手、買い手いろいろな折衝が行われてまいりました。結果は、私どももいろいろ知恵を出しまして、今年度から国際価格並みでスライドしていく、こういうことになっております。ただ、その細部についてまだ若干詰めが残っておりますが、基本原則は国際価格スライドということになっております。その国際価格は、今度逆にこういう円安になりますと上昇傾向にある、それから海外のナフサのスポット物も現在やや戻しておるという状況でございますので、ナフサ価格については、もちろん、その需要産業そのものが依然不況にございますので、どのような実現の経路をたどりますか曲折は免れないと思いますけれども、今後上昇ぎみになっていくのではないかというふうに考えます。  それからC重油については、これはいろいろな需要産業ごとに取引価格が違うようでございまして、電力、紙パルプ産業その他、かなり細分された需要産業がございますけれども、これはそういうおのおのの需要産業の状況、それから特に石炭といった代替エネルギーとの競合という問題もございまして、非常に需要量自体が著減を示しております。そういう中で、やはりそれなりのコスト配分を受け持っていただかざるを得ないということで、石油産業もこの一年間価格交渉をしてきております。これも、四半期ごとにその値決めが行われるということがございますので、一-三月は為替レートの関係もあってやや低下をしておるということになっておるようでございますが、四月値上げがここはまだ通っていないと聞いておりますから、そういった値上げに向かって需要者の理解を得るべく、今後努力していくのではないかというふうに考えております。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 現在石油業界が持っている構造的な危機、つまり産業油の消費減退、それによる原油処理量の減退、これは午前中も議論があったところですけれども、その結果大幅な在庫と余剰設備の発生というようなことが起こっていますけれども、これは多くは政府の政策誘導の結果ではないかと私は思います。消費の減退の要因における産業の停滞、エネルギー節約、代替エネルギー転換ですね、そうしたそれぞれの割合をどういうふうにとらえておられるか。

田中久泰資源エネルギー庁石油部精製課長

○田中説明員 先生御指摘のとおり、最近における石油製品の需要の減少は、主として産業用の燃料、特にナフサとB、C重油といったところに集中しておりまして、その中でもC重油の落ち込みは趨勢的に続いております。昭和五十五年、五十六年と二カ年続いて、いずれも前の年に比べて約一五%程度需要が落ちたわけでございます。この原因については必ずしも詳細な分析が行われているわけではございませんけれども、御指摘のとおり代替エネルギーと省エネルギー、この二つが非常に大きな要素を占めていると考えられます。  C重油の主な需要先は、電力と鉄鋼、セメント、こういった産業でございますけれども、電力の場合は重油から石炭へ、あるいはその他の原子力を含めました代替エネルギーへの転換ということを私どもも進めておりますし、また経済的にもその方が有利であるという判断がございましょう。またセメントあるいは鉄鋼も、これはもうほとんど地響き的なと言って差し支えないかと思いますが、重油から石炭への転換が行われておりまして、その結果二年続けていずれも一五%ぐらいの減少があったわけでございます。  ただ、そういう石炭への転換もほぼ一巡してきておりまして、これからは安定的な、もちろん省エネルギーの努力というものは今後も続けられると思いますが、落ち込みの幅はいままでほどではなかろうというふうに見ておるわけでございます。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 私もつい最近鉄鋼の工場を見学してまいりました。それで、その省エネルギーというのが、代替エネルギー化というのがどんなにダイナミックに行われているかということをつぶさに見てきたわけですけれども、それが数字的にどういうふうにとらえられているのかということで興味を持って調べてみたら、エネルギー経済研究所が調査をしているわけです。  一九八〇年度の需要減退分のうち、産業の停滞によるものはわずか一六%だ、二四%はエネルギー節約措置によりもたらされたのだ、あと六〇%は、需要家が原子力発電、石炭あるいはLNGへ転換した結果というふうになっております。  省エネルギー、代替エネルギー、これは政府の一貫した政策であったわけで、それに基づいて鉄鋼、セメント、紙パルプ、こういうところが脱石油にいったわけです。結局、脱石油ということによって石油業界が現在のような状況に陥っているというのは、一つは政府の大方針、つまり政策の結果もたらされたものではないかというふうに思えるわけです。  それからもう一つ、先ほどから議論になっている現在の円安の問題ですけれども、先ほど河本大臣は三つの原因を挙げられて、一番主な原因としてはアメリカの高金利政策であるというふうに言われました。しかし、このアメリカの高金利政策に対して有効な手だてが、どうも先ほどからの議論を伺っていてはっきりとしない、つまりないのではないかというふうに思えるわけです。そうすると、依然円安というのは現状では続いているし、また将来とも、これは突発的に円高になるということも過去にはあるわけですけれども、いまのままでいくと円安傾向にあるということを免れることはできない。そういう中で、三月比キロリットル当たり一万円の大幅な値上げが行われるわけです。結局、一つは政府のエネルギー政策のツケといいますか失敗とか結果が値上げになり、もう一つは不可抗力的な円安でもって値上げになる。そういうものが、一番最初に申し上げたように灯油、ガソリンに集中をするというふうになってこざるを得ない。C重油あるいはナフサの状況は、確かにいろいろな手だてをとられるかもしれないけれども、値上げ幅からいったら、過去に上がってない経緯を見れば、そんなにガソリンや灯油ほどすんなりいくものではないということははっきりしているわけですから、そういう状況が生まれてくる。そういう点で、円高のときには為替差益を得て、円安になったらもう円安で大変だということですぐに製品の価格に転嫁する、こういうことは許されないというふうに私は思うわけです。  この点は、先ほど大臣のお考えもちょっと話されたわけですけれども、こういう状況の中で経済企画庁として大臣はどういうふうに考えられるのか、改めて伺っておきたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 政府の経済政策の中で一番重要に考えておりますのが物価政策であります。物価の安定、このことによりましていろいろな経済政策が有効に展開できる、そういう背景をつくりたいということが一つと、もう一つは国民生活の安定、この二つの立場から物価の安定ということを最重要に考えております。  そういう観点から見ますと、石油の値上げもできるだけ合理化によって吸収をしてもらいたい、あるいは為替差損が出ないような工夫、努力もあるわけでありますから、そういう工夫、努力をもう少ししっかりやってもらって、為替差損を全部価格に転嫁するということにならないような営業努力、工夫もやってもらいたいと思いますし、できるだけの努力を期待するのですが、ただ、いま通産省からのお話をお聞きいたしますと、なかなか状態も厳しいように聞き取れますので、石油業界が行き詰まってしまっても困りますから、またこの問題も考えなければなりませんので、そういう点を総合的に考えていただきまして、とにかく政府の最重要施策は物価の安定である、そういうことを考慮に入れていただいてエネルギー政策をしっかりやってもらいたい、こういうことを痛感をしております。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 石油業界の経営状況について言えば、全般的に赤字であるということはよく言われるわけですけれども、個別に見てみますと、丸善、出光、大協などの石油会社、そして日石、モービル、エッソ、ゼネラルなどの石油会社、こういうグループ、それぞれの会社については同律に論じられないわけですね。たとえば、丸善の欠損というのは八一年度上半期では純資産価格の四十倍の規模に達しているわけですけれども、同社の株式収益率は一月から六月の間を見ると世界で下から数えて十二番目に悪いというわけですね。それから出光も、千六百八十五億円の支払い利息に追われて八百四十五億円のマイナスを経常利益で出している。ところが一方、日本石油は百七十三億円の経常利益を出して、なおかつ、二十三億円の内部留保を積み増しています。同様にゼネラル石油も、四十億円の経常利益を出しながら四億円の内部留保を積み増しているというような状況です。またモービルも、当期の純利益は五十五年度より四十六億円も多い百六十五億円の経常利益を出しているわけです。  ですから、石油業界の危機というふうに一般的に言われますけれども、確かに危機というとらえ方、つぶれるかどうかの瀬戸際なのか、もうけが減ったということを危機と言うのか、その辺の危機のとらえ方はあると思うのですけれども、全部がつぶれそうになって大変だというふうなことではなくて、本当に危機だと言うのだとすれば、丸善とか出光とか大協だとかそういう会社が危機的な状況にある、このことは確かにある一面で言えると思いますけれども、そういう状況を十把一からげにして考えて値上げはやむなし、その結果国民生活に大きな影響を与えるガソリン、灯油、そういうものの値上げに来てしまう。これは非常に望ましくないわけで、それこそ国民、消費者が被害者ということになってしまうわけで、私はそこのところはとんでもないことだと思っているのです。  石油会社はいまガソリンや灯油などはC重油やナフサの値上げよりも浸透しやすい、そういう状況は持っていますけれども、しかしこれ以上値上げするということになるとなかなか通りにくい、そういう状況も一方ではあると思うのですね。ですから最も望んでいるのが、減産をして市場のタイト化をつくるということが一番のねらいだと思うのですけれども、そういう中で通産省が、今度どうも業界の望むように値上げが通りやすい環境づくりをしているのじゃないかということを思うわけです。  それは、通産省が今回七、八、九、その三カ月間を石油供給計画に基づいてならして、七月については約五%の減産になる、しかし八月は供給計画どおりで、九月はそのマイナス部分を五%アップをするということで七、八、九を見て、とりあえず八、九についてはどうするかは考えないで、七月の五%だけを実施する。これを見ると確かに石油供給計画上なのだから減産ではないと言うのですけれども、八、九がどうなるかわからない状況では、七月だけを見れば減産であるとだれでも思うわけで、これは新聞各紙にも、だから減産だと書かれているわけです。ですから、七月だけしか目標量、目安の数字を出さないで、八、九の数字を出さないでおいて減産ということは言えないのではないか。八、九について一体どういうふうにするつもりなのか、そこのところをきちっと伺っておきたいと思うのです。  それからもう一点は、灯油について一定の在庫量の確保が必要であるというのはいままでの経緯の中で明らかであるわけですが、九月末在庫を一体幾ら確保されるのか、そこら辺についても伺っておきたいと思います。

岩崎八男資源エネルギー庁石油部長

○岩崎(八)政府委員 私どもは、石油業法に基づく石油供給計画におきまして、石油の長期及び短期の需給の安定を図るということをやっております。今年度につきましても五月に供給計画を作成いたしまして、今年前半は昨年比九九・九%の生産、需要は昨年比三%減というような感じで考えておりました。ところが、現実に四月、五月の実績及び六月の実績見込み等を見てまいりますと、需要が三%減ぐらいに思っておりましたところが、現実には七%減ぐらいで走っております。そういう中で、従来やっております四半期ごとのそういった供給指針の指導というのでは、そういった現在の供給計画よりさらに低目の需要に対応できなくなるのではないかということで、七-九につきましては四半期というのをさらに月割りで生産指針を提示していこう、こういうふうに考えたわけでございます。  ただこれも、現在持っております供給計画自体を縮小するというふうに考えるにしてはなお資料不足であるということで、現在の供給計画そのものは四半期の縛りでございますが、それを過去の実績に基づいて傾向的な七月値を求めるとしたらどうかということで、油種別に過去の平均値をとりまして七月値を求めましたところ、それは結果的に昨年の七月に比べ五%減という形にいまなっておる。そういうことで、本来は四半期。ことにやっておりました生産指導を、七月について月別指導ということにきめ細かさを増したというふうに私どもは考えております。  したがいまして、現状においてそういう現在の供計より四%減で需要は走っておりますけれども、なお六月の実績それから七月の実績等が出ませんと、果たして全体として供給計画を修正するほどの実態になっていくのかどうか、そこがまだ不分明でございますので、現時点においては供計どおりの需給、したがって九月末における灯油在庫も供計どおりの在庫の確保ということで進んでおります。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 これは経済企画庁にお願いをしたいと思うのですけれども、いま通産省から説明があったように、生産量については非常にきめ細かな指導がされているわけですね。しかもそれは八、九がわからないということですから、石油供給計画どおりにいくのか、あるいは各新聞で言われているように、実質的に七月と同じような減産に八、九がなるのか、これもわからない。そういう状況の中で、ガソリンは先ほどの燃料油脂新聞によりますと計画出荷が広がっている、こういう状況が生まれてきているわけですね。ですから、先ほどのいろいろな議論を伺っていて、通産省は、値段については全く介入いたしません、全く突き放されるようなそういう感じにあるわけです。それで一方、数量だけはきちっとウォッチをしていくということであるわけで、その点非常に一般消費者からすれば不安が多いわけですね。やはりここで経済企画庁に灯油、ガソリンの大幅な値上げがされないようにきちっと対応をしてほしいということ、強力に対応していくべきなのではないかということを思いますので、考えを伺っておきたいと思います。

赤羽隆夫経済企画庁物価局長

○赤羽(隆)政府委員 お答えをいたします。  私どもの基本的な考え方といたしますと、長い目で見ますと、この需給関係を反映するような価格形成というものが、物資の、当面石油でございますけれども、これの安定供給という点から見ましても、また資源の有効利用、効率的な利用という点から見ましても、これが最もふさわしい、こういう基本的な考え方でございます。  そうは言いましても、たとえば、第一次石油危機のときに発生しましたような異常な混乱の事態におきましては、これに対して行政的に介入をする、価格統制に近い措置をとるといったようなことも当然やぶさかではないわけでございますけれども、現在の状況はそうした異常な時期にあるというふうな理解ではございません。  ただ、先ほども大臣からもお答えがございましたように、いろいろなコストアップの要因といいますけれども、それについてはいろいろ合理的な経営、企業努力によってあるいは吸収できる余地というのもあるのではないか、こういったような点について十分に詰めて考える必要がある。ただし、そうは言うものの、また会社がつぶれてしまったのでは元も子もない。こういうふうなむずかしい情勢でございますけれども、われわれとしては、これまでの経験などを踏まえましていろいろ考えて対策を講じたい、こういうふうに思います。  講じられる対策が具体的にどのようなものであるかという点になりますと、先ほどの基本原則に照らして考えますと、そう多くのものあるいは行政的に強力に介入する、こういったような事態というのは当面予想されない、こういうふうな考え方でございます。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 消費者団体の皆さんは大変いまの事態を憂えているわけですね。それで、石油業界と話し合いをしたい、民間公聴会という形式をとってやりたいという要望が出ているわけですね。やはり消費者は、どうしてそういう事態になるのかということで当局者からいろいろ説明を聞きたいというのは当然でございます。その点、こういう要望について、政府としても積極的にいろいろな消費者団体の希望が通るような協力をすべきだというふうに思いますけれども、その点いかがでしょうか。

岩崎八男資源エネルギー庁石油部長

○岩崎(八)政府委員 内外の石油情勢なりあるいは石油企業の経営状況なり価格の合理性なり、そういうことについて一般消費者の理解を深めていく、これは常に心がけるべきことだと考えております。  通産省としましても、消費者との懇談会あるいは消費者価格モニターとの懇談会等、そういうところで消費者の直接のいろいろな情報なり御意見は極力お聞きして、そういう中でのいろいろな苦情等も具体的に処理しようという体制でやっておるわけでございますし、また、元売各社、石油企業各社にしましても、売り手として自分の価格をこうあらしめたいというためには買い手側の十分な理解を得るべく努力する、これは当然のことだと思っておりますし、またそういうものとして、個々の企業としては消費者とのいろいろな意思疎通の場を持っておる例もあるようでございます。そういう面では、今後とも私どもそういった理解を得るために最大限の努力というのは慫慂していきたいというふうに考えております。  ただ、消費者複数、それから元売各社も複数、そういった形のものでの対話の集会というのが、そういう競争関係にある各社が、自分のところのコストはこうこうでありまして、こういう製品についてはこういう値段で売りたいと思います、あるいはこの値段はどうしてもやむを得ないと考えていますといったような、具体的な情報や資料を提供してそういう場で相互にやっていけるだろうか、こういうことになりますと、なかなかそういった形での対話の有効性については慎重に検討しませんと、単なる集会に終わってしまうということになるのではないかという点を危惧し、そこらが問題であろうというふうに考えております。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 過去にはそういうことを実現をしているわけですから、その点よく検討して、消費者の要望を聞いていただきたいということを要請しておきたいと思います。  次に、ちょっと関連なんですが、丸善石油が子会社の丸善松山石油のタンク施設を対象として、米国の国防総省燃料調達局と米軍用燃料のストレージサービス、在庫保管契約を結んだことが報道されていますけれども、この問題については私たちは大変な問題なんじゃないかというふうに考えております。  第一に、このことによって丸善松山石油が軍事関連施設として軍事基地化し、それが一片の民間契約でされるということです。現在松山石油に入港した船は、ジェーン年鑑によれば、ニューヨークサン、それからシーリフトパシフィック、この二船で、軍事海上輸送コマンドの長期チャーター船と特別建造船であります。明らかに民間の船ではなく軍事関連船であるということなわけです。五十万キロリットルの軍事用タンクというのは極東でも最大規模であります。外務省の方からちょっと数字をもらったのですけれども、沖縄ははっきりしませんが、日本全国の在日米軍のタンクの様子を聞いたところ、八戸が約一万キロリットル、それから吾妻、横須賀ですか、これが四十万キロリットル、それから鶴見が十二万キロリットル、佐世保が八十万キロリットルですけれどもこれは数カ所に分かれているということで、最大規模であるのじゃないか。しかもこのタンクが岩国基地と結びついている、こういうことは入っているジェット燃料からも明らかであるわけです。それだけに危険感、危険意識というのを地元にもたらしていると思います。  第二に、現在余剰原油を収納するスペースがないということで、タンクをつくれという、ずいぶん鳴り物入りでエネルギー対策費が投じられて、いろいろな補助金が石油会社に出されていますけれども、そして洋上備蓄などもされているわけですけれども、そういう状況の中で、なぜ米軍にスぺースを提供しなければいけないのか、そういうのが率直な疑問として生じてくるわけです。  それから、丸善が経営危機である、そういうことだけで、地元の意向を全然無視して、そして、こういう軍事的な危険を持つようなタンクを米軍に貸すということを全く通産省が傍観をしていて一体いいのだろうか。日米安保条約に基づく地位協定の第十二条の二項の中で、「現在で供給される合衆国軍隊の維持のため必要な資材、需品、備品及び役務でその調達が日本国の経済に不利な影響を及ぼすおそれがあるものは、日本国の権限のある当局との調整の下に、……調達しなければならない。」というふうに、もうちょっとありますけれども、そういう通産省が全く私には関係ありませんということで傍観していていいのかどうか、こういう問題があるというふうに思うわけですね。ですから、ここのところを通産省の見解を明確にしていただきたいというふうに思います。

田中久泰資源エネルギー庁石油部精製課長

○田中説明員 まず御指摘のありました点の事実関係でございますが、私ども、丸善石油から報告を受けたところによりますと、契約の当事者として在日米軍と丸善石油の間に燃料油の保管をする契約がいま交渉されておるということでございます。期間は、ことしの六月一日から来年の五月三十一日までの一年間ということでございますが、一年以降さらに見直しが可能で、最長五年間というような契約を結ぶことにしておるというふうに聞いております。  いずれにしても、この契約につきましては、丸善石油がいわば商業ベースで結ばれる契約というふうに私ども理解しておるわけでございます。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 そうはいかないということを言っているわけですけれども、ちょっときょうは時間もありませんので、その点の指摘をしておいて、また後日この問題については議論をしたいというふうに思っています。  次に、小豆の問題に移りたいと思います。  現在、元広域暴力団東声会会長の町井久之氏が経営する東亜相互企業の役員十人が、関西の相場師板崎喜納人と連合して、岡地、それから川村商事、山梨商事、それから明治物産、山大商事などの取引会社を通じて小豆の買い占めを行い、大きな社会問題化しています。商品取引所の歴史を通じて、現受けの買い占めは他の雑穀でもほとんど例がないというふうに聞いています。きのうも岡地が一日で七月限八百十三枚、六万五千四十俵小豆を買い占めたということで、関係者は非常に驚いているわけです。  この問題の経緯と、いままでこれらの人たちが買い占めた小豆の量はどのくらいなのか。また、この資金というのは膨大なものになるというふうに思いますけれども、一体どのぐらいに上っているのか、その点について説明を願いたいと思います。

伊藤礼史農林水産省食品流通局商業課長

○伊藤説明員 東京、名古屋、大阪の各穀物取引所の小豆市場につきまして、本年の五月限、六月限と引き続いて、納会日で、従来に比べましてかなり大量の現物受け渡しが行われました。  それらの取引所からの報告によりますと、この受け渡しにおける買い方は、特定の商品取引員数社の委託者に限られておりまして、また、それらの委託者は七月限以降の限月についても相当枚数の買建玉を持っておりますが、その売買取引に対する取り組み方が、一定の連携を持ってなされていると認められますことから、これらの委託者のグループが六本木筋等と称されるところとなっているものと理解しております。  このような六本木筋等による大量の現物買い受け等の事態のもとにおいても、小豆の価格につきましては、乱高下を繰り返すというようなことにより需給に混乱が生じているというような事態は起こっておりません。しかしながら、現在のように期近が高く期先が安いという逆ざやが固定し、これを背景として大量の現物受け渡しが行われるというようなことは、先物取引制度のあり方という観点からは好ましくないものであるというふうに考えておるわけでございます。  従来までの五月、六月の二カ月で現受けされました量は、私どもの推計では、いま申しました六本木筋等の量が、両月合わせまして約十七万俵程度になるのではないかと思っております。金額については推計がむずかしゅうございますが、数十億以上に上るであろうということは言えるだろうと思います。  ただ、いまの先生のお話の中に昨日の取引の数値が出てまいりましたが、いま申されました岡地という会社の昨日の取引量は、七月限の数字とおっしゃいましたが、それは七月限ではございませんで、七月から十二月までの各限月の売り買いの量をすべて足しました総量でございまして、これは、この会社が従来から買っております量から見まして、著しく多いということではございません。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 何か七月限は五十枚ということで、四千俵買ったというふうに言われていて、ちょっと私も勘違いしましたけれども、全体で八百十三枚、六万五千四十俵ということですね。  これは岡地からすれば従来どおりだというふうな説明がありましたけれども、いまこういう時期に、問題のいわくの会社がこういうふうに買ったところに問題があるというふうに思っているわけです。  いま説明がありましたように、五月、六月、現受けをしてしまう、これは非常に異常な事態であるわけですけれども、十七万俵も大量になぜ買い占めたのか。話によると、四月末で価格が暴落をした、そういうために、この六本木筋の人たちが価格をつり上げるために小豆を買い占めたのだというふうに聞いておりますけれども、その点の認識はどうでしょうか。

伊藤礼史農林水産省食品流通局商業課長

○伊藤説明員 いま十七万俵に及ぶ現受けがあったということは私も申し上げましたが、その後、その買い受けました小豆を、問題の六本木筋はしまっておくだけではございませんで、市中にこれを還流させております。これらの量がどのくらいになっておるかという点は必ずしも明らかでないわけでございます。また、その間の価格の変動の状況を見ますと、買い占めであれば異常な暴騰が起こるということも考えられるわけでございますが、暴騰というような事態は全く起こっておりません。  これらの点から、買い占めということに当るのかどうかという点はございますが、しかし、現在の状況が続けば買い占め問題に発展するおそれがあるというふうには考えておる次第でございます。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 いま言われたように、十七万俵も買い占めるということですから、その荷操作によっては、今後価格の高騰があり得るのではないか、あるいは投げ売りによる暴落ということも予想されるわけです。そういう点で、あんこ屋さんとか小豆の生産者、双方に非常に大きな不安を与えているわけです。その点農水省としてはどういうふうに考えておられるか、伺いたいと思います。

伊藤礼史農林水産省食品流通局商業課長

○伊藤説明員 逆ざやという状況を利用いたしまして大量の現物の受け渡しを次から次へ行っていくという形は、商品取引制度上いろいろ問題があるということは先ほど申し上げたとおりでございまして、これらに対処いたしますために、農林水産省といたしましては、すでに関係商品取引所に対して調査をさせ、かつ、必要な市場管理要綱を厳正に守るように、あるいは措置を講ずるようにという指導をしてきたところでございますが、さらに今回一歩進みまして、調査につきましても、委託者ごとの建て玉の状況でございますとか、現物受け渡しされました小豆がどういうような状況になっていくのかとか、あるいは定期市場へどう戻ってくるかという還流の状況でございますとかいう点を調べますと同時に、臨時増し証拠金を引き上げますとか、建て玉制限を強化いたしますとか、新しく市場に入ってくるものの制限というような市場管理措置をさらに強化することにいたしまして、その一部でございます臨時増し証拠金の引き上げというようなことにつきましては、本日もうすでに東京穀物商品取引所、大阪穀物取引所におきまして発表済みでございます。したがいまして、懸念されるような事態が今後ともずっと続くというふうには考えておりません。  ただ、今後におきましても、売買取引の状況等を考慮いたしまして適切な措置を講ずるように、さらに商品取引所に対して強力な指導を行うことにいたしたいと思います。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 私なんかも、あんというと、あんパンだとか、あるいはようかんだとか鹿の子だとか、婦人にはもちろんのこと日本人に大変人気のあるそういう商品、食べ物ですから、そういう点で価格が一体どうなっているのか、物価の面からも大変関心が高いわけですけれども、先ほどの御説明では暴騰はないのだということを言っておられますけれども、製あん業者は、やはりこの買い占めの事態によって四、五千円現状では高くなっているのだ、それは農水省が言うように三十三万俵在庫はありますとか、あるいは北海道の作付面積が去年より二七%ふえていますというふうなことを言っているにもかかわらず、価格が下がらない、つまりこういう条件があるのだったら四、五千円もっと安くなっていいのだ、ここに相場の人為操作があるのだという見方もしているわけで、私はそういう点では、その点を踏まえて今後の問題を考えていく必要があるというふうに思っています。  いま農水省が言われた証拠金の積み増しだとか、あるいは建て玉制限だとか、こういう方法というのは確かに有効な手だてだというふうに伺っています。しかし、これは業界が自主的に行うということに対する指導であって、いまの時点でそれだけで足りるんだろうかということを私は思うのですね。  それはなぜかというと、一番冒頭にも申し上げましたように、岡地がきのう一日でもって八百十三枚、七万俵も買い占めるといった、そういう行為自体が非常に挑戦的な態度なのではないか。岡地は全国商品取引員協会連合会の制度政策委員長をやっている、業界では一、二位を争う非常に大手だということですね。それがいまの状況の中でこういう行為をすること自体が、やはり農水省の行政に対して少し甘く見ているということではないか。ですから私は、業界がみずからできない部分、つまり仕手筋を明らかにして仕手筋のむちゃなやり方をやめさせる、これをしなければどうにもならないんではないか。市場全体を買い占め、国民生活に悪影響を与えるような仕手、これは本来社会悪であるわけですね。それを放置している行政の責任というのは非常に重いというふうに思いますし、いま、これは一部の良心的な人からも言われていますけれども、商品取引所法の九十条を適用すべきだというふうな声が高まっていて、私たちもそう思っているわけですけれども、その点について農水省の考えを伺いたいと思います。

伊藤礼史農林水産省食品流通局商業課長

○伊藤説明員 いまのお話の前半にございました岡地の昨日の玉につきましては、先ほど申し上げましたとおり若干の数字の訂正をお願いしたいと思いますが、先生のおっしゃるとおり、取引員がそれぞれの立場で市場管理に向けて努力する、ルールを守っていただくということは当然でございまして、必要な部面におきまして私どもの役所からもいろいろ指導をしたいと考えている次第でございます。  それから、商品取引所法の九十条についてのお話がございましたが、この九十条は特別の混乱が生じた場合に発動される条項でございまして、現在の小豆市場における状況を見ていますと、出来高でございますとか、取り組み高の状況でございますとか、価格の状況等から見て、御指摘のような、この条項の発動という段階に達しているとは考えておりません。現段階におきましては、先ほども申し上げましたような期近の限月の取り組みの抑制ということを中心に、各種の措置を的確に講ずることで対処してまいりたいと思っている次第でございます。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 先の見通しについてだとか、あるいは量の確保、これは天候次第ということになっているわけです。それで、しかも買い占めた量を買い占めた人たちが海に捨てたり、あるいは増産が予想される産地への嫌がらせをするということが全くないとは言い切れない状況にあるのじゃないか。現に六本木筋は、絶対に売りの側をもうけさせないということを公言していて、だからこそ、現在梅雨期で、しかも不需要期だというのに、五、六月にかけて十七万俵も買い受けてしまう。あうと驚くようなことをする。しかも、きのうもそれにさらに輪をかけるようなかっこうで七万俵の買い占めをするというような行為に出ているわけですから、やはり九十条の適用で毅然と対処しなければ大変な事態になるということは避けられないのじゃないかと思うわけです。その辺のきちっとした決意を示していただきたいと思います。  同時に、商品取引員の許可更新の審査の際、市場全体を買い占め、国民生活に影響を与える仕手筋、こういう人たちとつながって悪徳行為をした会社、こういう会社は許可更新すべきではないと思いますけれども、これも行政の責任範囲ですから、その点もあわせてきちっとお答えをいただきたいと思います。

伊藤礼史農林水産省食品流通局商業課長

○伊藤説明員 九十条につきましては先ほど申し上げましたとおりでございますが、後段の許可更新につきましては、申し上げましたとおり、商品取引員は商品取引所の市場管理措置に当然従い、かつ、最大限の協力を行うべきものでございます。したがいまして商品取引員の許可更新の審査に当たりましては、そのような観点から、商品取引員の受託業務の実施状況というものを調査対象として組み込んでいるところでございます。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 きのう岡地だけで八百十三枚、七万俵買い占めた、そういうことから言って、小豆の量不足というのが相変わらずどうも、農水省が幾ら大丈夫だと言われても心配があるわけですけれども、当然予備枠の拡大、これを大変な事態にならないうちに臨機応変にやる必要があると思いますけれども、この点はいかがでしょうか。

畑中孝晴農林水産省農蚕園芸局畑作振興課長

○畑中説明員 私どもは現物の方を所管をいたしておりますので、さっきお話しのありましたあんこ屋さんとかあるいは流通業者の方、これも先週、今週にかけていろいろ来ていただきまして状況も聞いております。  いまのお話の予備枠でございますけれども、通常、枠をつくりますときには、通産省と相談をいたしまして枠をつくって実施をしていくわけでございますが、こういベデリケートな商品につきましては、いわゆる予備枠というものをつくりまして、いつでも対応できるという体制をつくっているわけでございます。昨年の夏にも大変北海道が不作でございまして、やはり価格が上がったことがございますので、この予備枠を使用したという実績もございます。  そういう意味で、私どもそういう実需家の方々のいろいろな意見も聞いておりますけれども、ある価格が高騰するとか、あるいは市中の在庫が非常に逼迫をするとかそういうことになりましたら、時期を待たずにといいますか、時間を余りかけずに適切に枠を使うということは、従来と変わりなくやってまいりたいというふうに思います。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 いま農水省がかなり市場対策についてはやるという決意を言われているわけですけれども、ただ心配なのは、現物で買われた小豆については商取制度外の問題である、そういうことが言われたり、あるいは委託者に手が届かない、そういう点が言われたり、そういう状況の中で、農水省が有効な手だてを打つというふうに、それでもって何とかなるのだろうというふうには思いますけれども、しかし、もし台風等が来て北海道産地が打撃を受けるというような場合には、いまの買い占めによって価格が暴騰するという可能性は相変わらずあるわけです。買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律、これを発動することを手おくれにならないように有効に物価対策上からも見ていく必要があるのじゃないかというふうに思うわけで、その点最後に経済企画庁に伺っておきたいと思います。

赤羽隆夫経済企画庁物価局長

○赤羽(隆)政府委員 お答えいたします。  この小豆の問題は、これはお菓子とかそういったようなことで国民の非常に嗜好物に関係する生活物資である、こういうことはそのとおりでございます。それの供給及び価格についてこれが不適当な動きがある、こういうことについては当然私どもとして関心を払う、こういう立場でこれからも続けていきたい、こういうふうに思います。  ただ、いま先生御示唆がございました買い占め等防止法の発動といったようなことにつきましては、現在ではこれが必要となる事態だ、こういうふうには考えておりません。この理由としては二つあると思います。  一つは、現在の問題が商品取引所の取引に関連して発生をしているということでありますので、まず商品取引所の管理の適正化、こういうことを通じて問題を処理すべきであろう、こういうふうに考えます。先ほどから農水省の方からも答弁がございましたように、各種の管理措置の強化をした、こういうことでございますので、これからの成果を大いに期待をして見守ってまいりたい、こういうふうに思います。  それから第二の点は、台風が来たらどうする、こういうふうなお話がございましたけれども、通常の天候、こういうことでございますと、これから先価格が上昇するよりはむしろ価格が下がる、こういう状況ではないかと思われます。と申しますのは、先ほど先生からも御指摘がございましたように、北海道の作付面積が二七%もふえている、こういったようなことがございまして、豊作が大いに期待されている。また在庫も昨年に比べましてかなり多くなっている、こういうことから、十月限以降の先物相場というのが下がっている、こういう状況でございますので、現在こういったような買い占め防止法の発動といったようなものを考えるような段階ではない、こういうふうに理解しております。

岩佐恵美日本共産党

○岩佐委員 終わります。

武部文日本社会党

○武部委員長 次に、依田実君。

依田実新自由クラブ・民主連合

○依田委員 限られた時間の中で、最近の経済指標の解釈の仕方、そしてまた、これからの景気対策あるいは経済見通しというようなものについてお伺いをさせていただきたい、こう思うのであります。  まず、最初に、先ほども出ましたけれども、最近の消費動向についてお伺いをさせていただきたい、こう思うのであります。  政府は、ことしの経済成長は内需主導型ということで個人消費の盛り上がりを期待して、年初頭経済政策をお立てになっているわけでございます。その根拠は、物価が安定すれば個人消費は上向く、こういうことで一貫して答弁をされておったわけでありますが、どうも最近の消費動向を見ますと、物価は安定するけれども消費は盛り上がらない。指数の上では多少盛り上がる。先ほどの委員へのお答えのように、自動車の販売台数がふえたとかクーラーが少し売れ行きがよかったとか言われますけれども、しかし長続きしていないわけであります。クーラーなども当初、ことしは暑いかなということで一カ月ばかり売れたわけでありますが、最近は先細りというようなことで、消費が果たして政府の見るように盛り上がるとはわれわれ思っていないわけでありまして、今後の消費の成り行きをどういうふうにごらんになっておるのか、お伺いさせていただきたいと思います。

田中誠一郎経済企画庁調整局長

○田中(誠)政府委員 最近の消費の動向を見ますと、ただいま御指摘のとおり、ことしに入りまして実質で見ますとプラスに転じているわけでございます。その大きな理由は、何分にも実質の可処分所得がプラスになったわけでございますし、さらに消費性向の面で見ますと、やはり緩やかではございますけれども回復しているという事情にあるのではないかというふうに思われます。  今後考えてみますと、なお物価が非常に安定しておりますし、可処分所得という面で見ますと、やはりプラスが続くのではないかというふうに思われます。もちろん消費者のマインドが御指摘のとおり大変力強いという状況ではございませんけれども、幸い消費性向もこのところ少し長い目で見ますと上がっておりますし、その意味で消費は緩やかな回復を見せているのではないか。このところ若干季節的な要因もございますけれども、明るい兆しは見られるのではないかと判断しているわけでございます。

依田実新自由クラブ・民主連合

○依田委員 いま実質可処分所得がふえる、こういうお話がございましたのですが、しかし、選択幅というのは非常に限られておるわけでありまして、経営で言えば固定費みたいなもの、つまり光熱費だとか住宅へのローンだとかあるいは塾の代を含めての教育費とか、そういうものへの支出が非常にそのほかの消費支出を圧迫しておるのじゃないかというような気がするわけでありまして、その上に先行き経済見通しが非常に不安だということで、私は、これからいまの消費というものが政府の見通しのように順当に回復してくるというような気はしないわけであります。  それともう一つは、消費をしたくともたとえば入れ物がない。つまり簡単なことを言えば、衣服を買ったり家具を入れたり、こういうことになる前提の住宅条件が整っていないというようなこと、そういうようなことも含めて、やはりただ物価が安定すれば消費は上がるのだとか、実質可処分所得がふえれば消費はふえるのだ、こういうような待ちの姿勢では、なかなか内需主導の経済というのは成り立たないと私は思っておるのです。  そういう意味で、もっと消費が上向くその環境整備、そういうものが大事であろう。一つは住宅政策であり、そしてまた、たとえばレジャーなどでもいま民間のいわゆるもうけ主義のレジャー施設ばかりであります。そういうところをもっと政府が指導して、国民的レジャーの施設ができる、そういうふうな経済政策というものを誘導していかないと、消費というものはこれ以上に盛り上がってこないんじゃないかというふうに考えておるわけでありますけれども、政府としてそういう消費を盛り上げる環境の政策というものをどういうふうにしていくか、お考えになっておるでしょうか。

田中誠一郎経済企画庁調整局長

○田中(誠)政府委員 消費自身について考えてみますと、ただいま御指摘のとおりある意味では消費が成熟段階を迎えているということはございますので、新しい需要というのを開拓するのが、ある意味では従来と違った方策が必要になるということであろうかと思います。特にストックがかなりの水準でございますので、消費の方向が従来と違っているという面がございます。特にまた、消費者の価値観が非常に多様化してございますので、消費自身も多様化するという状況があろうかと思います。  そういった消費の喚起の方策でございますけれども、一つには、先ほど来お話がございました住宅全体としての入れ物の問題でございますけれども、政府といたしましては、すでに住宅面につきましては、公庫の面で融資の条件の緩和なりあるいは融資枠の拡大というのを行ったところでございますし、土地税制の面につきましても、宅地並み課税の問題なり譲渡所得についての改善の問題といったような面で、住宅対策についての政策を実施したところでございます。すでに住宅は、ことしの春以降わずかではございますけれども、一応底入れしたという感じになっているのではないかと思われます。と申しますのは、季節調整値で見ますと、四月は九万戸を切ってございますけれども、五月には十万戸弱という水準でございまして、なお低水準ではございますけれども、一応底は打っているんではないかというふうに思います。  一方、消費一般についての喚起策ということになりますと、政府が特段の、ただいま御指摘のようなレジャー施設を設けるとかそういった対策を推進するということは特段考えてございませんけれども、何分にも消費者のマインドが回復するといいますのは、一つには、基本的には物価が安定するというのがやはり基本ではないかというふうに考えているわけでございまして、そういう意味では、物価の安定を今後とも最重要課題の一つとして推進してまいりたいというふうに考えております。

依田実新自由クラブ・民主連合

○依田委員 確かに物価の安定は欠かさざる条件でありますけれども、しかし、やはりそれ以上のものが必要だろうというのは私の考え方であります。  いま住宅のお話が出まして、局長は底を打った、こう言うんでございますけれども、しかし、われわれの町の実感としては、なかなかそういうふうな感触ではない。いままでの百五十万戸はもちろんのこと、百三十万戸もこれもいかないだろう。マンションの売れ残りなども、二、三日前に統計が出ましたけれども、近来にない都市部では売れ残りが出ておる、こういう指数が出てきておるわけであります。いろいろ公庫の融資枠とかおっしゃいましたけれども、しかし、もっともっと肝心な政策が打たれてないんじゃないか、こういうふうに思うのであります。  いまもちろん宅地がない、これも一つの原因で宅地の高騰というのが最大の原因と言われておりますのですが、最近は建て売りなどを見て、土地代だけじゃなくて、その上物自体、つまり建築費自体が非常に高くなってきておるわけでありまして、というよりか、建て売り業者が非常に高くしておる。都内で一億なんという、一億近い建て売りなんというのはざらでございまして、杉並あたりに行けばもう大体少なくとも七、八千万から一億の建て売り、それがさして大きくないあれでございます。そういうのが、どうしてそういう高いのが建つのだろう。調べてみると、土地代だけじゃない、建築費が大体坪六十万ぐらいで建っているはずなのに、八十万とか九十万とかそういう高い値段で売られておるというようなこと、そういうさまざまなことで、住宅政策について政府がすべて後手後手という感じがいたして仕方がないわけでありまして、前にも私、申し上げましたけれども、東京で一番住みいいところはどこか。これは東京都がいろいろ調査をしておるわけであります。一人当たり公園の坪数であるとか病院の医師の数であるとかあるいは教育施設等の数であるとか、いろいろ一人当たりの指数を挙げて、東京でどこが住みよいか。一位が千代田区で、二位が港区で、三位が新宿で、四位が中央、この四位までが非常に住みいいところに出てきているわけであります。われわれもこうやって見て、確かに千代田区あたり住んだら快適だろう、港区に住めば快適だろう、こう思うわけでありますけれども、しかし実際おかしなことに、住みいいところが今度逆に人口が夜は非常に少ない。昼は多いのでありますけれども、夜少ない。ということは、住宅地になっていない、こういうことであります。早くから、これは法律をつくるのは建設省でありましょうけれども、あるいはまた自治体でありましょうけれども、いわゆる環状六号線の中の高度制限を逆に取っ払って低層制限を設けるのだとかいろいろ言われておりますけれども、実際問題としていまだにそれが実施されてこない、こういうところが問題じゃないかと思うのであります。これは建設省の役割りかと思いますけれども、こういう住宅政策あるいは土地政策を誘導していくというのが総合経済政策の役所であります企画庁の役割りだろう、こう思うのでありますけれども、こういう問題について企画庁はどういうビジョンをお持ちになっているのか、お尋ねをさせていただきたいと思います。

田中誠一郎経済企画庁調整局長

○田中(誠)政府委員 最近の住宅の事情でございますが、確かに百五十万戸水準から見ますと、このところ低水準で推移しているという状況があろうかと思います。  一つには、最近のところ人口の都市流入が減っているということもございますし、婚姻件数が減少しているという要因に加えまして、何といっても、ストックの面で見ますと住宅戸数が世帯数を上回っているという事情がございます。しかし、よく言われますように、質的な改善という要求が非常に強いわけでございまして、その意味で住宅需要が大きいということかと思います。  そういった住宅需要を質的な向上を含めて発掘するために、ただいま先生の御指摘のとおりの点について十分な検討を進めるべきではないかという御指摘がございました。私どもといたしましても、そういった観点から住宅政策を推進すべきではないかというふうに考えておるわけでございまして、かねてより関係省庁とは十分連絡をとって住宅政策についての検討を進めてきたわけでございます。

依田実新自由クラブ・民主連合

○依田委員 ところで、時間がございませんから、設備投資の動向とか在庫調整の動向とか、先ほども一部お話がございましたからそういう点は抜きにさせていただいて、企画庁長官がかねて御持論でございます、まず景気を盛り上げるには公共事業を進めるのだ、こういうことで前期七七・三%の前倒しがあったわけでございます。しかし、今後、下期お金がない中でどういうふうにこれをつないでいくのか。七七・三%使っちゃったわけでありますから、このままじゃ後がしりすぼみ、こういうことになるわけでありますが、お金がない中でこれを下期どういうふうにつないでいかれるのか、その資金は何によって調達されるのか、これをちょっとお聞かせいただきたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 まだ最終的には下半期公共事業を増加する、補正予算を組むというところまでは決めていないのです。何回か申し上げておりますように、今後もう少し様子を見て最終の判断をするわけでございますが、しかし、現在の大体の感じからいいますと、やはりある程度の追加が必要になるのではないか、このようには思っております。  さて、その場合に建設国債でやるのかあるいは財投でやるのかあるいは地方の関係を拡大するのか、いろいろな議論があると思いますが、まだそこまでは詰める段階ではございませんので、すべてそういう相談はこれからになろうかと思っております。

依田実新自由クラブ・民主連合

○依田委員 いま経済全体が沈滞しておるのは、やはり政府の政策というものの見通しがなかなか立たない、総裁選がらみですべて後ろ送りになっておる、こういうことで、いまの長官のお話などを聞いておりましても、もう少し待ってはっきり指数が出てから、こういうお話なんでございますけれども、いまの経済界というのはもう底割れ寸前じゃないかというような気がするわけであります。ここを一つ間違うと奈落の底へ落ち込む、こういうふうな気がして仕方がないのであります。そうしますと、長官は、九月にいろいろの指標が出る、それまでは待つ、こういうお考えですか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 九月初めには指標が出ると思うのですが、実は昨年から新しい五十年指標に切りかえたものですから、こういう統計が出てくるのが十日か二週間ぐらいおくれております。そこで、できるだけ前に復してスピードアップするようにいまやらしておるわけでありますが、前ですと八月の下旬になりますと大体の見当がついたのです。しかし、いまは九月の初めになりませんと指標が集まらぬということでありますが、しかし、切りかえましてからもう大分たちますから、少し急いでもらいまして、できれば八月の下旬には判断できるような資料が集まればよろしいが、こう思っておりますが、現時点は八月の下旬または九月の初め、このように考えております。

依田実新自由クラブ・民主連合

○依田委員 そうしますと、指標が集まる九月の下旬にはできたら臨時国会を開いていろいろ経済対策を立てたい、こういうお考えですか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 補正予算を組むということになりますと当然臨時国会が必要であります。財投の追加ということになりますと政府の独断でできるわけでありますからそれはいいわけでありますが。そこで、予算委員会等におきましても、総理が、九月初めの指標を見た上で補正予算も含めていろいろな政策を検討したい、こういうことを言っておられますので、補正予算がもし必要になるということになりますと、できるだけ私は早い方がいいと思いますのは、八〇%近い前倒しを九月いっぱいやるわけですから、十月以降どかんと減ります。民間の力が出てきますと公共事業が減ってもいいのですけれども、民間の力も出てこない、公共事業も減っちゃったということになりますと大変厳しい状態になりますし、非常な息切れになりますから、そういうことになりますと、何のためにこれまで前倒しをやってきたのか、むしろこれがマイナスの影響すら出てくる、こう思いますので、十月初めから仕事の量が落ち込まないように、そういう対策を九月のできるだけ早い時期にする方が望ましい、このように私は考えておるのです。  ただしかし、まだそういう最終の判断ができたわけではございませんで、これからいろいろ政府部内の調整が必要か、このように考えております。

依田実新自由クラブ・民主連合

○依田委員 確かに長官のおっしゃるように、もう待ったなしのところへ来ているんじゃないか、こういうふうに思うわけでありまして、指標が出次第、効率的な景気刺激政策が打ち出せるような、そういう準備をぜひしていただきたい、こういうふうに思うのであります。  それと同時に、長官のさっきのお話にもありましたが、公共事業をやるのだけれども、これはあくまでも民間の活力を引き出す、これがなければ経済は盛り上がらないのだ、こういうお話を再三にわたってやられておるわけであります。そういう意味から言うと、これまでの公共事業、端的に言えば道路をつくったり橋をかけたり、こういう公共事業のあり方では、民間の活力というものは出てこないのじゃないかと私は思うのであります。公共事業のあり方自体も、これからは都市再開発、そういうものを中心の公共事業に切りかえるべきだろう、こういうふうに思うのでありますが、公共事業のあり方について長官はどういうふうにお考えでありますか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 公共事業につきましては、政府のこの七カ年間における社会資本投資の総額、これは二百四十兆を百九十兆に昨年の一月に修正をいたしましたが、それを基礎にいたしまして昨年の初めから今週の初めまで十一本の新五カ年計画、これは空港とか港湾とか交通安全とか治山治水とかいろいろなものが含まれておりますが、そういう十一本の公共事業新五カ年計画を正式に閣議で決定をいたしております。国全体としての社会資本投資が欧米に比べておくれておりますので、年次計画を立てながら順次充実していこう、こういう計画でございます。したがいまして、全体のバランスがとれておりますので、一つの分野に集中するというわけにはまいりません。しかし、おっしゃるように景気対策が中心ということでありますと、できるだけ即効性のある、しかも経済効果の大きい、たとえば大規模なプロジェクトなどは十五年とか二十年とかいう計画でありますから、補正予算でそんなものを決めることはまずありませんが、しかし仮に決めたといたしましても、経済効果はなかなか出てこないということでありますから、やはり経済効果が早く出てくる、そして大きな影響力を持っておる、そういうものを優先してまいらなければならぬと思います。

依田実新自由クラブ・民主連合

○依田委員 いずれにいたしましても、いま言われておるところは、大変な税収不足が見込まれておるわけでありまして、どうしてもこれは国債で穴埋めしていかなければならぬ事態に立ち至るわけであります。最近の国債の流通市場の利回りなどを見ておっても、非常に混乱してと言うよりか、〇・三四%ばかり上がっておるわけであります。これから下期にたくさんの国債が発行されるようなことになると、やはりこの金利の改定、そういうものが必要になってくる。先般も日銀総裁が長期金利の引き上げを示唆されたわけであります。こういう状態になってくると、景気の回復の面から言えば金利が上がるということはマイナスになるわけでありますから、そういう意味でこれがまた景気回復の足を引っ張るのじゃないかというような気もするのですが、長官、いかがお考えでしょうか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 大蔵省のこれまでの説明によりますと、五十六年度は相当大幅な税収不足が起こりましたけれども、これは現在の法律の定めるところによりまして、決算調整資金あるいは国債整理基金等によって一時決算をする、こういうことだそうであります。したがって、五十六年度の赤字のためにいま直ちに国債を発行しなければならぬ、こういう事態にはならないそうでございまして、もしいまお述べになりましたように赤字国債を発行するということであれば、五十七年度に赤-字が出た場合に当然出すことになろうと思いますが、これとても、六月一日からが新税収年度でございまして、新税収年度の結果は第一カ月分がわかるのが八月八日だそうでありますから、一、二カ月ぐらいの動向で一年分の見通しを正確にするということはなかなかむずかしい、特に経済の激動期には大変むずかしい、私はこう思っております。  五十五年度の税収は年度当初ベースでいきますと約五兆の自然増収がございましたし、五十六年度はそれが一兆に落ち込んでしまった。でありますから、経済がある程度力を持ちますと、相当大きな税収の自然増収も考えられますので、もう少し様子を見ませんと、五十七年度の税収不足がどのようになるのか、それはまだよくわかりませんので、さしあたって大急ぎで五十七年度の赤字公債を発行しなければならぬ、こういう緊迫した状態ではない、私はこう思います。  それよりもやはり急ぐのは、もしこの後半の景気対策が必要であるという場合には、やはり建設国債を最優先をするということに順序としてはなるのではないか。これはもちろん企画庁独断で決められることではございませんで、政府部内全体の調整が必要でございますが、現時点ではそういうことが考えられるのではなかろうか、こう思っております。

依田実新自由クラブ・民主連合

○依田委員 もちろん景気が上昇すれば大幅な税収が入ってくるんだ、こういうお考え、これはまあ大幅に成長率が上向けばそういうことになるわけでありますが、最近の経団連の稲山さんの哲学じゃございませんけれども、もう昔のような成長率を考えること自体が要するに間違っておるんだ、こういう議論があるわけでありまして、ここ一両年の政府の経済見通し、成長率の見通しの誤りなどを見ておると、稲山さんの言っておることの方が正しいのじゃないかというような気もするわけでありますけれども、政府はこの成長率、ことし考えられた当初の成長率を修正する気があるのかどうか、予定どおりの成長率でいくのかどうか、この辺をお伺いしたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 昭和五十六年度の成長率は、御案内のように四・一%が二・七%に落ち込んだのであります。GNPの大きさで言いますと、二百五十五兆ぐらいを想定しておりましたが、二百五十一兆ぐらいに経済の規模がなった、こういうことであります。現時点の動きは正確にわかりませんが、一-三月の動きなどを参考にいたしますと、大体三%見当の成長が続いておるのではないかと思います。したがって、ことし五・二%成長ということになりますと、二百七十兆強のGNPの大きさになるわけでありますが、それに対しましては現時点では大体五兆前後の最終需要が不足しておる、こういう感じがいたします。もっとも、後半貿易が伸びるとかあるいは消費が拡大するとかいうことになりますと、これは大きく縮小いたしますが、現時点ではそういう感じがするわけです。したがいまして、その見当の最終需要の追加をいたしますと、これはまあ五%成長は可能になろうかと思います。  しかし、追加をしないで何もやらぬということになりますと、仮に将来消費が拡大をする、あるいは貿易が伸びるということになりましても、あるいは五%以下になるかもわかりません。したがいまして、これからの見通しをどうするかということにつきましては、先ほど申し上げました、九月初めの段階におきまして後半の経済政策をどう進めるかということにかかっておると思うのです。したがいまして、現時点では五・二%という成長をどうするかということについての判断は時期がやや早い、こう思っております。  それから、最近いろいろな国際的な権威ある機関から見通しが発表になっておりますが、大体来年は二・五%から三%ぐらいの成長に回復すると言っておるのですけれども、こういう見通しを私どもはそのまま信用しておるわけじゃございません。  しかし、いずれにいたしましても、最近の国際会議で、現在の世界経済は第二次大戦後最悪の状態にある、先進工業国だけで三千万という失業者を抱えて、もう政権そのものが維持できない、こういうきわめて厳しい状態にありまして、これを何とか抜け出さなければならぬというのがいま世界共通の課題だと思うのです。国際会議等におきましても、現在の経済が大変よろしい、これで結構だ、こう言っておる国は一カ国もありませんし、それから国際機関なども、先ほど申し上げますように、すべてことしの後半から回復に向かって来年はある程度の成長ができるのではないか、こういうことを言っております。世界全体がマイナス成長、またはゼロ成長という現在の段階ですから、ややもすると悲観的な見通ししかできない、そういうケースが多いと思うのですけれども、しかし、私どもは一番考えなければならぬのは、経済を固定的に見てはいかぬ、やはり経済は激動期にあるのだ、そういう観点から判断をしなければならぬと考えておりますし、それからまた、欧米諸国と経済の条件が同じであれば欧米諸国と同じ成長しかできないわけでありますけれども、しかし、物価とかあるいは雇用とか、あるいは金融の条件とか、あるいは国際収支、国際競争力あるいは労働者の質、労使関係あるいは防衛費の負担、こういうことをいろいろ調べてみますと、根本的に日本の方が条件がいいわけであります。だから、同じ条件であれば欧米並みだと思うのですけれども、条件が幾つかすぐれておれば、やはりある程度の高目の成長も可能になるのではないか。条件がすぐれておるのに同じ経済運営しかできないということでありますと、どこかに間違いがあるのではないか、こういう感じがいたしますので、そうかつてのような高目の成長を私どもは期待しておりませんが、しかし、雇用問題を解決して、そして国民生活がある程度充実向上するような、そういう安定成長路線に定着させるようなそういう経済運営は、これは政府の責任としてどうしても展開していかなければならぬ、こう思っております。

依田実新自由クラブ・民主連合

○依田委員 時間が余りありませんので、最後に一つだけ。  アメリカは、またこの七月から一〇%の減税をやったわけでありますけれども、日本も所得税を中心にやはり大幅減税をやるべきだ、もうそれが景気への最大の効果を持つのだという議論もあるわけであります。果たしてそれが正しいかどうかは、長官のまた御議論でありますが、しかし政府は、逆に、期日はいつからとは言いませんけれども、いわゆる直間比率の見直しだとか、いわゆる広告税だ、ギャンブル税だ、いろいろな新税を考えて総枠で増税、こういう方向を考えておるのではないか、こういう気がしてならないわけでありますが、この景気動向と税制のあり方について長官はどういうふうにお考えになるか、それを伺わせていただいて、おしまいにさせていただきたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 ことしの一月に、政府ではこの減税問題について統一見解をつくりまして、五十二年から減税をしておりませんで、所得税の総額も五、六年の間に約二倍になっておりますし、非常に重税感が広がっておりますので、この状態は放置できないではないか。そこで、どうしたらいいかということにつきましていろいろ議論したのでございますが、しかし、減税するにつきましても、減税の条件をつくらなければいけませんので、減税の条件とは何ぞやといいますと、一つは、五十九年度に赤字国債が解消できる、これは財政再建と言っておるわけでありますが、そのめどをつける。現実に解消しなくても、そのめどさえ立てばよろしい。それから、財源がある程度確保できるということが当然必要でございますから、その財源をどうするか。こういう条件がそろえば、できるだけ早く減税をひとつやるべきじゃないか。こういう統一見解をつくったのでありますが、その後、予算委員会の議論を通じまして議長見解が出まして、大蔵委員会でひとつこの問題は議論させようということになりましてからは、政府はそういう見解がありますけれども、大蔵委員会の結論に優先的に従う、これを最優先する、政府の意見があっても、それは大蔵委員会の結論を優先させるのだ、こういう基本方針を決めまして、いまその結論が出るのを待っておるところであります。  しかし、私は、この問題は国民経済全体から考えなければなりませんので、大蔵委員会で国民経済全体の立場から最も貢献できるようなそういう結論を出していただくことを期待をしておるというのが現状でございます。

依田実新自由クラブ・民主連合

○依田委員 どうもありがとうございました。

武部文日本社会党

○武部委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗