物価問題等に関する特別委員会 第5号
- 発言数
- 243 件
- 登壇者
- 32 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1982/04/08
会議録
○武部委員長 これより会議を開きます。 物価問題等に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岸田文武君。
○岸田委員 最近、経済情勢を見ておりますと、物価が目に見えて落ちついてきたという感じがいたします。私は大変心強いことだというふうに感じておるわけでございますが、こういう中にありまして、実は多少気になる声が聞こえてまいりました。それはどういうことかといいますと、物価が低迷をしておる、そのことのために経済活動が名目では伸びていかない、そのことのために税収が落ち込んだ、こういうような声が聞こえてまいりまして、こういうことを聞いておりますと、物価が落ちついていることが何か恥ずかしいことではないかというような妙な錯覚さえするようなわけでございます。 私は、物価の安定というのは何といいましても経済運営の基本をなすものである、こう考えるわけでございまして、この点につきまして、大臣の方から、物価政策運営の基本的な考え方をもう一度確認をしておきたいと思います。
○河本国務大臣 経済政策の一番の基本は物価の安定にあると考えております。そこで、ことしの予算編成に際しましても、万一物価に異変が生ずるというふうな場合には、予備費から必要な資金を出しまして物価安定のために使っていこう、こういうことも決まっておるくらいでございまして、政府の方といたしましては、物価の安定ということを経済政策の一番の基本に考えております。と申しますのは、物価の安定ということは国民生活の安定にもつながりますし、すべての経済政策を進めます場合に、物価が安定をしておりませんとやりにくいわけでございます。 そういう意味で、物価の安定ということは最大の課題と私どもは経済政策を進める場合に心得ておるわけでございますが、物価が安定をしておるから経済指標が伸びないのだ、だから税収が減るのだ、こういうことを言われる向きもあるかもわかりませんけれども、しかし私は、経済活動が停滞をしておるのは物価が安定したせいではない、このように思います。 一つは、世界経済が戦後最悪の状態になっておりまして、貿易が伸び悩んでおる、これも一つの原因でございますし、それからアメリカの金利が依然として高い水準にありまして、そのためにわが国でも金融政策が大変やりにくい、また円安にもなっておる、これも一つの背景だと思います。また、公共事業が数年間名目据え置きでありますから、実質は若干減っておるのではないかと思いますが、それもやはり経済活動が伸びない一つの背景であろうと思います。それにも増して、一番大きな点は、実質可処分所得が五十五年以降、第二次石油危機の影響もございまして伸び悩んでおる、したがって、自由に使える金がふえませんから消費もふえない、それから家も建てない、したがって中小企業の状態も悪い、こういった背景があろうかと私は思うのです。 だから、分析いたしますと現在の経済活動が停滞しておる背景はよくわかるわけでございまして、物価が安定したために経済活動が停滞した、こういうことでは決してない、このように考えております。
○岸田委員 実は、きょうの質問をするために、私自身もいろいろ勉強しておりまして、一つ発見をしたわけでございます。きょうは同僚議員もいろいろお見えになっておられますが、消費者物価の調査対象品目が五百十二品目ある、それが五十六年度の間にどういう推移を示したかということをフォローしてみますと、五百十二品目の中で物価が下がった品目がどのくらいあるか、皆さん御存じでございましょうか。私、実は調べてみましたところ、九十七品目でございまして、全体の約二割の品目について物価が下がっておる、こんなことを私は発見をしたわけでございます。ついでに申し上げれば、横ばいの品目がそのほかに十七品目ございますことも、あわせて御報告しておきたいと思います。 実はきょうは、わが国の物価がどのように安定をしておるのか、こういうことを国際比較を通じて確かめてみたい。あわせて、その意味を皆さんと一緒に少し考えてみたいと思うわけでございます。 こういう御質問を申し上げますと、恐らく事務局の方は、データの内容を一々吟味しておるとそのまま使いにくいものもあろう、そういうちゅうちょもあろうかと思うわけでございますが、その辺はざっくばらんに、いまある資料をできるだけ活用してお答えをいただいて、また後ほど訂正すべきものがあれば訂正するというような意味で、一緒に議論し、一緒に考えるというような形でお答えをいただければと思うわけでございます。そこで、まずお伺いいたしたいのは、基準年次として第一次石油ショックを乗り越えた後を代表する一九七五年をとり、それから最近の時点として第二次石油ショックを乗り越えた後を代表する一九八一年、この二つの比較でございます。一九七五年と一九八一年、この二つを比較して、先進各国の消費者物価上昇率がどうなっているのか。もしできますことならば、いろいろな品目があると思うのですが、それらの各品目の中でいわば国民生活を代表する衣食住、この三つのグループについてそれぞれの国の上昇率を御報告をいただきたいと思います。
○廣江政府委員 先生から、資料の制約ということは一応あるだろうけれどもというおことわりもございましたので、いま発表されております資料に基づきまして、まず最初に、一九七五年と一九八一年で総合がどういうふうに伸びたかということから申し上げてまいります。 一番最初に、総合で日本が一・四四倍になっております。アメリカが一・六九倍でございます。西ドイツが一・三〇倍でございます。イギリスが二・一九倍でございます。フランスが一・八七倍となっております。これで見ますように、日本と西ドイツが非常に低くて、アメリカは一・六九倍と高いわけでございます。アメリカにつきましても、昨年の秋ごろから落ちつきの傾向は見えておりますけれども、一九七五年対一九八一年という数字で見ます限り、いま申し上げましたような数字になっておりますし、イギリスが二・一九倍と五カ国の中では一番高いということでございます。フランスも一・八七倍でイギリスに次いで高いというわけでございます。 次に、これを食料費、住居費、被服費、こういうふうに三つに分けて申し上げてみます。 まず数字から申し上げます。 食料費は、同じように七五年対八一年で日本が一・三七倍でございます。アメリカが一・五五倍でございます。西ドイツ一・二四、イギリス二・〇八、フランス一・八四でございます。西ドイツと日本が低い。イギリスはかなり高い。そういう意味ではアメリカも一・五五倍とかなり高い数字になっているということが言えると思います。 次に住居費でございます。日本、フランスは住居費としまして家賃、設備修繕等をとり、アメリカは家賃を採用し、西ドイツは帰属家賃で見、イギリスは住宅ローン利子で持ち家に係るものを含んでおりますが、そういう前提をお断りいたしました上で申し上げますと、日本が一・五一、アメリカが一・五二、西ドイツが一・二七、イギリスが二・五四、フランス一・九四でございまして、住居費では西ドイツが非常に落ちついておるということ、そしてイギリス、フランスがかなり高いということ、アメリカ、日本がその真ん中辺というような感じになっております。 次に被服費でございます。数字で申し上げますと、日本が一・三七倍、アメリカが一・三一、西ドイツ一・三一、イギリスが一・六六、フランスが一・七四でございまして、数字で見ます限りイギリスとフランスがかなり高いということが見とれると思います。日本、アメリカ、西ドイツは大体同じ程度の感じかなというのがトータルの数字でございます。
○岸田委員 いま御報告いただきました数字、私なりに解釈をしてみますと、物価全体として見た場合、先進各国いろいろあるけれども、日本とドイツがまず優等生ということがほぼ明らかになったわけでございます。そして、品目別に見た場合に、私、注目いたしましたのは、食料費につきまして、同じように日本とドイツがかなり優秀な成績である。それから、実は地価の問題、後ほどいろいろ触れてみたいと思うわけですが、住居費につきましてもかなりそれに似たような傾向が見とれる、こんなふうに要約できるかと思いますが、いかがでございますか。
○廣江政府委員 先生がいま総括をされましたようなことが言えると思います。日本の物価は西ドイツと並んで非常に安定しているということがその結論でございますが、最近では消費者物価は、その西ドイツをも下回るような状況にあるということも一つ申し上げさせていただきたいと思います。 さらに、この物価に、その国の経済全体の持つ背景といたしまして、実質経済成長率であるとかあるいは失業率等の指標を比べて重ねてみました場合、そういう指標は西ドイツに比較しましても、日本の方がパフォーマンスが比較的いいということが総体として言えるわけでございますので、こういうことを総合いたしますと、国際比較の面においてもかなり良好な成果を上げてきているということが言えるかと思います。
○岸田委員 いま整理をいたしましたような物価の安定、この背景なり意味を少し探ってみたいと思うわけでございます。特に、先ほど長官からも実質賃金の問題についてお触れになりましたが、こういうような問題に入るために、まず各国の名目賃金の上昇率を御報告いただきたいと思います。
○廣江政府委員 名目賃金の動きを雇用者一人当たり雇用者所得の推移で見てまいりますと、一九七五年以降八一年、これは資料の関係でイギリスだけ八〇年まででございますけれども、八一年までの年平均上昇率でとってまいりますと、日本が七・七%、アメリカが八・一%、西ドイツ六・三%、イギリス一五・〇%となっております。 なお、これを第二次石油ショック後の推移で見てみますと、西ドイツと日本は六%と比較的安定しておりますのに対しまして、アメリカ、イギリスの場合は上昇傾向が見られるわけでございます。ただ、ごく最近の動きについて見ますと、アメリカ、イギリスにおきましても、賃金上昇率が鈍化する動きが見られるというふうに伝えられております。
○岸田委員 名目賃金の面でも日本はわりあいに落ちついておる、特に最近は落ちついておるということでございますが、名目賃金といいますと、やはり物価の影響をいろいろ受けるわけでございます。これを捨象しまして、実質賃金という形に置き直してみたときに、それでは各国はどのような推移になっているのか、次にあわせて御報告をいただきたいと思います。
○廣江政府委員 先ほど御報告いたしました雇用者一人当たりの雇用者所得を、消費者物価上昇率によって実質化をいたしまして、その実質賃金の上昇率の推移を見てまいりますと、一九七五年以降八一年までの年平均上昇率で申し上げるわけでございますが、またイギリスにつきましては先ほどと同様八〇年までの数字しかございませんので、そういうふうにして申し上げさせていただきますと、日本が一・三%、アメリカがマイナス〇・九%、西ドイツは一・八%、イギリスは〇・六%となっております。 これを数字の各年別に追ってまいりますと、日本が七五年四・五、七六年一・〇、以降年次をずっと追いまして二・〇、三・二、二・六、そして八〇年がマイナス一・七、八一年が一・三でございまして、平均一・三ということでございます。西ドイツは、七五年から始まりまして一・八、三・四、二・七、二・九、一・二、一・〇、マイナス三・九、これは八一年でございますが、平均で一・八でございます。次にアメリカは、七五年から始まりましてマイナス〇・九、三・三、〇・八、マイナス〇・四、マイナス三・三、マイナス五・五、そして八一年がマイナス〇・二、平均でマイナス〇・九でございます。イギリスは、七五年が四・七でございまして、以下順次マイナス一・八、マイナス五・八、五・一、二・四、三・〇、これが八〇年でございます。そして八〇年までの平均が〇・六でございます。
○岸田委員 いま御報告いただきました数字、数字が次々に羅列されましたので、お聞きになっておられて御理解がどの程度行き届いたかわかりませんが、私、表を見ながら感ずることでございますが、七五年から八一年まで、この期間を通じて見ると、日本も確かに、実質賃金という目で見ると必ずしもそう順調に伸びたとは言いにくい。ただ、そのことは日本だけではなくて、先進各国とも実質賃金がかなり伸び悩みの傾向を示しているということが言えそうでございますし、特にアメリカに至っては、この間、長い期間を通じて平均で見てもマイナスが記録されている、こんなことになっておったわけでございます。これらの中で、どちらかと言えば、まだ日本、ドイツはいい方であるということが言えそうな気もいたしております。 そこで、この問題について、続いて生産性という面から問題をながめてみたいと思うわけでございます。各国でこの間生産性が一体どのくらい上昇したのか。それから、もし時間の余裕があればで結構ですが、業種別に何か分けたような資料があるのか、特に製造業について資料があればこの際御報告をいただきたいと思うわけでございます。
○廣江政府委員 生産性の動きをまず国民経済全体でとらえ、就業者一人当たりの実質国民総生産の推移で見ますと、一九七五年以降八一年まで、同様にイギリスにつきましては八〇年まででございますが、年平均上昇率でとって申し上げますと、一九七五年から八一年までの国民経済生産性、日本は三・四%、アメリカは〇・五%、西ドイツは二・八%、イギリスは一・七%となっております。わが国の国民経済全体で見ました生産性の上昇率は、諸外国に比べ高くなっておるわけでございます。 次に、製造業の生産性の上昇率はどうかというお尋ねでございますので、製造業にとってどういうふうに動いているかということを見てまいります。これは、わが国の場合は、日本生産性本部発表の労働生産性指数、これは生産指数ベースでございますが、それで申し上げ、それからアメリカ、西ドイツ、イギリス等につきましては、それぞれの国の資料に基づきまして、いわば実質国内総生産ベースの生産性で申し上げます。日本の場合は、そういたしますと、七五年以降八〇年までの年平均上昇率で見ますと九・三%でございます。アメリカが一・七%でございます。西ドイツは四・二%、イギリスは一・四%となっておりまして、製造業だけをとりました場合の生産性は、諸外国に比較しましてかなり高い上昇率を示しているということが言えると思います。もっともこの製造業の物的生産性もかなり上がり下がりがございますので、八一年、昨年の場合で見ますと、一月から十一月までの場合、対前年上昇率は三・五%になっております。
○岸田委員 いま御報告いただきましたことから、わが国の生産性というものが、国民経済全体でとらえた場合にも、また製造業で見た場合にも、西独と並びまして非常に着実に上昇しているということが読み取れるかと思うわけでございます。その中でも製造業において生産性が日本が抜群に上昇を示しておる、そしてドイツがようやくそれに続いておる、こういう姿を見ておりますと、これは、第一次石油ショック後日本の企業というものが非常に努力に努力を重ねて合理化に努めてきた、いわば減量経営に徹してがんばってやってきた、ほかの国に比較して数倍の努力を払った、そういう跡が感ぜられるわけでございます。ただ、このことが一面では国際競争力の強化ということになり、また貿易摩擦という問題にある意味ではつながる問題なのかなというような気がしながら、しかし私は、このこと自体は大変すばらしいことであるということを痛感をするわけでございます。今後とも、実質経済成長力を支える物価の安定、そしてそれを生み出す源である生産性の向上、こういうことのために政府として格段の御配慮をお願いをしたいというのが、いままでお伺いしました点についての私なりの取りまとめになろうかと思うわけでございます。 以上、時系列的に年次を追ってそれぞれの国の動きを見た場合に、各国の経済状況がどう動いてきたか、物価の安定の度合いがどのように変化をしてきたか、時系列的に見てまいったわけでございますが、今度は角度を変えまして、横に並べて、一体こういうような日本の生産性の向上なり物価の安定なりというものが国民生活の実感にどういうふうにあらわれているのか、こういった点の国際比較を少し考えてみたい、こう思うわけでございます。 この点につきまして順次御質問をさせていただきますが、まず賃金につきまして、かつて私の見た資料によるものでございますが、労働省が一九七五年をベースに調査された資料、製造業の生産労働者、ブルーカラーと申してもよろしいかと思いますが、これの実労働時間当たりの賃金を国際的に比較した資料、これを拝見したことがございます。その資料によりますと、実労働時間当たりの賃金、日本を一〇〇としました場合に、アメリカが一九七、西ドイツが一八八、イギリスが一〇九、こういう数字を拝見をしたわけでございます。これは七五年の数字でございますから、こういうような国際比較がその後どういうふうに推移をしてきたのか、恐らく日本の場合かなり改善をされていると思うわけでございますが、何かその点についての試算があればお伺いをいたしたいと思います。
○廣江政府委員 賃金の国際比較を厳密に行いますことは、各国によりまして調査の対象とかあるいは調査の方法、賃金の定義などが異なりますため、いろいろむずかしい問題があるわけでございます。御指摘の労働省の推計は、昭和五十年、一九七五年のEC統計局で出しております「レーバー・コスツ・イン・インダストリー 一九七五」などをもとにいたしまして、概念が先ほど申し上げましたようにいろいろ違っておりますというような点をできるだけ調整をして比較したものであると承知いたしております。 先生はいま一九七五年の数字を言われたわけでございまして、その後の七六年からたとえば八〇年までについても、各国賃金を賃金指数の増加率で延ばしていきまして、それに各年の平均為替レートで円換算した国際比較があると承知はいたしておりますけれども、毎年の為替レートの変動が何分にも大きゅうございますので、必ずしも正直に実態を反映していない面もあるのではないかと考えております。イギリスなどがその典型で、かなり上がり下がりがあるように出てまいるのではないかと思っております。しかし、日本の失業率の低さあるいは教育水準の高さといった指標等々を考え合わせてみますと、日本の住宅事情であるとかあるいは社会資本の整備などの面ではまだ立ちおくれたものが見られるとはいうものの、国民の消費生活という面ではかなり改善してきているのではないかと思います。
○岸田委員 もう少ししっかりした資料があると本当にこの意味でかなりの改善があるということが立証できるかと期待をしておりましたが、なかなかむずかしいことのようでございます。方向として、また恐らく確かな推定として、そういうことが言えるのであろうという感じは読み取れるかと思うわけでございます。 次に、少し生活内容の問題に入ってまいりたいと思います。これはなかなか調査がむずかしい面もあるかと思いますが、同一の生活内容を実現するために日本で何円かかる、アメリカで何ドルかかる、こういうような調査からいわば二つの国の間の購買力平価というものを試算をしていただき、これをもとに物価水準の国際比較を行う、こういう手法があるように聞いておるわけでございます。そしてその結果がどうなっているのか、ひとつこの際御披露をいただきたいと思うわけでございます。日本の物価がアメリカや西ドイツと比べてどうなっているのか、ひとつ御報告をお願いをいたします。
○廣江政府委員 先生がいま言われましたような調査を労働省がかつて試算をいたしたことがございます。いろいろむずかしい条件があるわけでございますが、物価水準につきまして国際比較を厳密に行いますことは、先生もおことわりになりましたように、非常にそれぞれの国によりまして生活習慣が違いますし、もちろん嗜好も違いますし、それからまた物価調査のやり方、対象品目、ウエートのとり方等が異なっておりますから困難ではございますが、そういう困難をできるだけ調整して、労働省が、いわゆる購買力平価によりまして物価水準の比較を行っております。 そういう制約があるということを前提にお聞き取りを願いたいと思いますが、その試算によりますと、昭和五十二年において日本の物価水準は総合でアメリカより一五%高く、わが国は特に食料費、住居費が割高であるということが出ておりますし、被服費が割安であるという結果が出ておると承知いたしております。その後、五十二年以降について同様の推計を労働省で行ったということは聞いておりませんし、また当庁としてもやってないところでございます。 五十二年以降の消費者物価の上昇率をここで考えてみますと、日本と西ドイツ、アメリカの間で比較をいたしてみますと、日本と西ドイツは比較的安定をしておるわけでございます。したがって、購買力平価の格差は西ドイツと比較するとほぼ横ばい、こういうことが言えると思います。アメリカと比較をいたしますと、アメリカのその後の物価の動向から勘案いたしましてかなり改善をしておるのではないか、こう考えられますけれども、この間為替レートが大幅な円高になっておりますので、現在、このような試算を行った場合、物価水準がどのような形であらわされるかということは一概には申し上げかねるところだと思います。 なお、先ほど申し上げました労働省の五十二年の推計の結果だけをもう一度ここで総括して申し上げますと、アメリカに対しましては一五%日本の総合物価が高くなっていると申し上げましたが、食料は五二・四%高く、住居は三六・八%高く、被服はマイナス四・三%でございます。なお、西ドイツに対しましては総合でマイナス一・六%でございまして、その内訳で見ますと、食料は一七・六%高く、住居は一三・七%高く、被服は二四・四%安い、こういう結果が労働省の資料であったと思います。
○岸田委員 いまの話を伺っておりますと、一つの前提を置いた調査の結果でございますが、かつてはアメリカに対して一五%ぐらい高かったものが恐らくその後かなり改善されているであろう、それから西ドイツに対してはむしろ一・六%ぐらい安かった、その状況は恐らく今日も引き続いてほぼ同じような状況と理解してよかろう、こういうことがいまのお答えの意味であろう、こう感ぜられるわけでございますが、ただいずれの場合にも、いままで賃金の比較あるいは実質的な購買力の比較をいたします場合にも、間に為替レートという道具を使わなければならないことが、比較をする上で非常に妨げになっておるような気がするわけでございます。 為替レートといいますと、国際的な商品取引の対象になる品目のバランス、あるいは資本取引のバランスの上にウエートが組み立てられるわけでございます。他方、消費者物価は生活内容がウエートの基準になるわけでございますから、当然大きな乖離ができるのはやむを得ないことかと思うわけでございます。その辺は資料を読むときに十分理解して読まなければならないと思うものの、できればそういう為替レートという要因を排除した何かアプローチがないかということで、次にお伺いしたいことでございますが、そういう調査がもしありましたらお示しをいただきたいと思うわけでございます。各国で同じ水準の消費をするのにそれぞれどれだけの労働時間が必要であるか、こういうような面で考えてみますと、いわゆる為替レートの問題が一応捨象できるのではないか、こう考えましてお尋ねをする次第でございます。
○廣江政府委員 まことにごもっともなアプローチの方法かと思います。ただ、これは何分いろいろむずかしい要素がございまして、端的にお答えできないのが多少残念でございますが、各国の物価水準を、それぞれの国の時間当たり賃金を一つの単位として測定するということも、一つの方法であろうと思います。ただ、時間当たり賃金のとり方に国別のそれぞれの事情もございまして、いろいろ問題があろうかとは思っております。また、この種の比較をいたしますときに、時間当たりの賃金よりも一人当たりの賃金の方が妥当ではないかというような意見もあろうかと思っております。 ただ、そういう分析はいたしておらないわけでございますが、ただし、時間当たりの賃金にいたしましても、一人当たりの賃金にいたしましても、アメリカや西ドイツと比較した場合、まだわが国の方が低いという結果になるものと思われますので、このような比較をいたしますと、先ほどお答えをいたしました購買力平価による物価水準の比較をいたしました場合よりも格差はやや大きく出てくるのではないかと考えております。
○岸田委員 いまいろいろお尋ねしましたことから時系列的に見ますと、日本とドイツ、特に日本が非常に経済も安定をしておるし、生活内容も充実を示してきておる、こういうことが明らかに見とれるわけでございます。また、横断的に各国を比較してみました場合に、日本はかなりよくなったというものの、中身においてなおいろいろまだ検討すべき問題が残されている、こういうところが恐らくいままでの討議から出ました実感ではないかと思うわけでございます。そこで、そのような実感のもとになっている、二、三どうしても討議しておかなくてはならない問題があるように思いますので、次に少し具体的な問題に移らせていただきます。 それはまず土地の問題でございます。最近宅地の上昇率は多少鈍化傾向にあるというような調査も見られるわけでございますが、それでも八一年で見ますと全国の宅地の値上がり率は七・四%となっておりまして、八一年の名目GNPの増加率五・八%、消費者物価の上昇率を上回っておるわけでございます。 そのことに関連をしてお伺いしたいわけでございますが、このような地価の上昇というものはわが国だけの現象なのであるかどうか、ほかの国の地価の上昇というものはどういう姿になっているのか、御報告をいただきたいと思います。
○廣江政府委員 地価につきましての国際比較も、先ほど来いろいろの国際比較をいたしましたと同様に、統計のとり方の問題等で正確なものはというのがむずかしいところもございますけれども、そういうものを捨象いたしまして考えてみますと、地価の上昇は、結果といたしますと各国とも上昇率はかなり高くなっておりまして、上昇率だけから申しますと、わが国だけが飛び抜けて高いというわけでもないと思います。 これは日本不動産研究所でお調べになったところでございまして、一九七〇年から七九年の数字がございますが、その年平均上昇率で申し上げてみますと、この地価といいますのは住宅地でございますけれども、日本が一〇・七、西ドイツ九・四、イギリス一五・八、アメリカ九・一%と、それぞれなっておるわけでございます。
○岸田委員 そういたしますと、日本の地価問題、国民生活については大変重大な問題でございますし、地価の上昇についてみんな神経をとがらせておるわけですが、これは必ずしも日本だけの現象ではなくて、先進各国とも、地価の上昇という問題がいずれも非常に大きな問題になっておるんだということが明らかになったように思うわけでございます。 ただ、そうは申しましても、恐らくそれに対しては、そうは言っても絶対水準において特別に開きがあるじゃないか、欧米の地価と日本の地価と一遍比べてみろ、当然そういう声が出てまいろうかと思います。 地価の水準を国際的に比較するということは、統計手法の面からいいますとこれまた大変むずかしい問題があろうかと思いますが、そういう地価の絶対水準を調べたような何か調査がございますでしょうか。もしありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
○廣江政府委員 同じく日本不動産研究所の調べによりまして、一九七九年の一平方メートル当たりの平均住宅宅地価格というのを御披露させていただきますと、アメリカが二千九百円という数字が出ますが、これを一〇〇といたしますと、イギリスが一二四、西ドイツが二八六、日本は一五四五となる数字が出ております。
○岸田委員 確かにアメリカと比べて十五倍余りの高い地価である。ただ私、見ておりまして、日本は土地が狭い、地価が高い、しかしそれなりに工夫をしてみんなが住んでおるし、そして、その限られた面積をうまく使って生産を上げておる、こういうような姿になっておるのではないか、こういうような感じがするわけでございます。 そこで、引き続いてお伺いいたしたいのは、単位面積当たりの生産水準あるいは人口密度、こういったものについていまと同様に各国の比較がございましょうか。
○廣江政府委員 可住地面積を一平方キロメートル当たりといたしました人口及びGNPというのを比較いたしてみます。 人口につきましては、一平方キロメートル当たり人口は、これは一九八〇年の資料をもとにいたしておりますけれども、アメリカが五十五人でございます。これを一〇〇といたしました場合、イギリスが六四九、西ドイツが七〇二、そして日本は二六四〇ということになります。実数で申しまして一平方キロメートル当たり日本は千四百五十二人、アメリカを一〇〇とした場合に二六四〇でございます。 次に生産でございます。GNPについて見ますと、アメリカを、これは日本円で一億三千万円でございますが、一〇〇といたしました場合、イギリスが五七八、西ドイツが九〇二、日本は二二五三、実額で二十九億二千九百万円となっておりまして、日本の場合、土地利用効率というのは格段に高いということが言えると思います。
○岸田委員 いまのお話を伺っておりまして、地価の方はアメリカに対して十五倍、しかるに、一平方キロメートル当たりの生み出すGNPは十五倍よりまたはるかに高い二十二倍という数字が報告をされたわけでございます。日本の英知といいますか、日本の努力といいますか、こういう数字にもあらわれておるように感ぜられるわけでございます。 ただ、ここでひとつ大臣にお伺いをいたしておきたいと思います。何と申しましても、日本の地価の水準というものは、国民の所得水準から見まして際立って高いということは否定できないように思うわけでございます。そしてそのことが民間住宅建設の停滞の原因ともなっておるし、そして、景気浮揚のためにもまた国民の住生活向上のためにも足かせになっておることは否めない事実であろう。このことは大臣もつとに指摘をされておるところでございます。今年度の予算、税制等を通じまして宅地の円滑な供給のためにいろいろ積極的な手を打っていただいておりますが、これは今年だけの問題ではなくて、将来にわたってひとつじっくりと腰を落ちつけて取り組んでいかなければならない大変な課題である、こう考えるわけでございます。 大臣、この土地問題地価問題についての御所見をお伺いしたいと思います。
○河本国務大臣 建設省に聞いてみますと、わが国の住宅用地、全国的に約五%足りない、こう言っております。大都市では約一〇%足りない。物の値段というものは需給関係によって決まるわけでございますので、もし土地の供給、宅地の供給が以上申し上げましたような五%ないし一〇%足りないという不足を解決することができますならば、少なくとも値段は相当大幅にいまの上昇率が下がるか、あるいは現在の価格水準そのものが下がるか、どちらかだろうと思います。 住宅の建たない最大の原因は所得と価格の乖離にありまして、価格の上昇の最大の原因は土地問題でございますから、現在五%ないし一〇%足りない土地の供給を一体どうするかということが最大の課題だと私どもは考えておりまして、昨年の十二月には、宅地供給を増進するために、税制面その他でいろいろな対策を立てたのでございます。考えられる対策はもうほとんど全部やったと思いますが、中には二、三のものは柱は立ったけれどもその柱が不十分である、こういうものもございます。そこで、計画どおり宅地がふえるかどうかもう少し様子を見まして、もしふえないということでありますとこれは国民経済上から見て非常に大きな問題でございますから、次にどういう対応をするかということが課題になろうか、このように考えております。
○岸田委員 土地の問題を議論いたしました次に、食料の問題に移りたいと思います。 日本の食料費が高いということもいわば常識化しておるような感じもいたしておるわけでございますが、ただ、先ほど冒頭にお伺いしました時系列的に見た物価の動き、特にその中で食料費の動きを見てみますと、日本は比較的落ちついておる、ほかの国はかなり上がっておる、こういうことが明らかになったわけでございまして、もしそうだとすれば、かつての一時期と比べますと最近は日本の割り高というものが漸次解消されつつある、理論的にはそういうことが言えるのではないかという気がするわけでございます。何かそういうことを示すような指標がおありになるでしょうか。もしありましたら御披露いただきたいと思います。
○廣江政府委員 食料費の比較というものも非常にむずかしいわけでございますが、そういう難点を一応前提としながら、農林省が農業白書で比較をいたしております。これは、ジェトロの海外駐在員等の事例調査等に基づきまして、世界の主要都市間におきます食料費の価格水準を日本人の食生活を基準に試算をしたものでございますが、その数字によりますと、多少古い数字で恐縮でございますが、五十五年の十月の時点で比較した数字がございます。これによりますと、東京一〇〇に対しましてニューヨークは六五、パリ九三、ロンドン九七、ハンブルク九八となっております。ニューヨークとはかなり格差があるわけでございますが、パリ、ロンドン、ハンブルクとは格差がほとんどないというわけでございまして、これを同じ資料で五十二年ぐらいからたどってみますと、東京対ニューヨークは、ニューヨークは当時六八であった。ロンドンは当時六〇であった。ハンブルクは八九であったわけでございます。パリは八〇であったわけでございますが、それが、先ほど申し上げましたようにニューヨークとは格差が縮まってないわけでございますが、パリは九三、ロンドン九七、ハンブルク九八というように格差が縮まってきておるわけでございまして、その食料費の年々の上昇率が概して欧米諸国のそれを下回っているということが響いておると思います。ただ、この際にも、先ほど来先生も御指摘のありました為替レートがいろいろ変動して影響を与えているということもありますので、そういうことを捨象しながら、相対的な観点から見ましたときに、ニューヨーク以外とはかなり格差が縮まっているということが言えるかと思います。
○岸田委員 食料を少しでも安くと願う心は皆同じであろうと思うわけでございますが、それにしましても、大ざっぱに見ましてヨーロッパの水準にはかなり近づいてきた、アメリカにはまだまだ大分差がある、こういうような姿が読み取れるわけでございまして、ヨーロッパとの関係がだんだん改善されておることは、もしこのまま消費者物価の安定、特に食料費の価格の安定がさらに進んでいけば、さらにまた改善できる可能性も秘めている、こういうふうにも感ぜられるわけでございます。 もし時間がございますれば、以上、土地の問題、食料の問題を取り上げたのに続きまして、今度は非食料品の問題、たとえば医療品であるとか家電製品等についてもお伺いをしていきたいと思っておりましたが、どうも時間が限られておるようでございます。恐らくこの辺を比較をしてみると日本がかなり高成績を示しておるし、この辺になれば大いに胸を張って御答弁いただけるようなことになるのではないかと思いますが、残念なことでございますが、時間の関係で割愛をさせていただきたいと思います。 きょうはずいぶんたくさんなことについて御質問を申し上げました。あらかじめ資料要求もたくさんお願いをいたしまして御苦労をおかけいたしましたが、それなりに私はいろいろのことが発見をされたというような気がするわけでございます。そして同時に、こういうような問題についてはもっともっと詰めて、お互いに分析を進めていくことが必要なのではないかということを私なりに感じた次第でございます。 私は、冒頭にも申し上げましたが、わが国はドイツと並んで、あるいは最近ではドイツを追い越して、物価の優等生になってきておるわけでございます。今後ともひとつ、物価の優等生であるということをがんばって続けてやっていただきたい。そして同時に、そのような物価水準の安定ということがわれわれの生活の実感に結びつくような形にまでひとつ御努力を深めていただきたい、こういうことを特にお願いを申し上げたいと思うわけでございます。 最後に、以上のような点につきまして大臣の御所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○河本国務大臣 いろいろな分析をお示しをいただきまして、私も大変勉強になりました。 冒頭申し上げましたように、物価の安定ということが国民生活安定の一番の前提でもございますし、すべての経済政策を行い得る前提条件でもございますので、私どもは現状には決して満足はいたしておりませんで、五十七年度の消費者物価上昇の予定指数は四・七%でありますが、さらにそれ以下の低い水準に抑えられるように、一層の努力をしてまいりたいと思います。
○武部委員長 熊川次男君。
○熊川委員 政府の適切な物価政策によりまして、ただいまの同僚議員の御質問にもありましたとおり、世界的に高く評価されておるわが国の消費者物価でございますけれども、五十六年度の消費者物価は政府が見込んでいる四・五%をかなり下回るものと予想されております。全般的に物価が安定している中で、個別的に目を通してみますとあるいは必ずしも高く評価できないものもないわけではありません。五十六年中の暦年の全国物価上昇率は四・九%にもかかわらず、公共料金の上昇率は六・二、こういう状況があらわれ、特に、昭和五十年度を一〇〇にした場合にその総平均は一四三・余であるところ、公共料金については一八三・余になっております。過去六年間平均物価の上昇率は四四%にとどまっているのに対し、公共料金は八三%も上昇している。この中で特に注意をしなければならないのは、公共料金の認可に対しては政府はどのような方針で過去運んでこられたのか、あるいは今後もどのような基本的な姿勢でもって運んでいくのか、お伺いさせていただきたいと存じます。
○廣江政府委員 公共料金、それから全体のCPIの動き等は先生の御指摘のようなことでございます。公共料金は、たとえば電気、ガスにいたしましても、水道にいたしましても、国民生活にきわめて密着しているものでございまして、この値段の帰趨というのは非常に大きな影響を及ぼすわけでございます。私どもといたしますと、何といいましてもそれぞれの企業の合理化を第一番の前提として求めなければいけない、こう思っております。一般に、そういう合理化というのは競争市場で物の競争の間に求められるわけでございますが、公共料金はそういう競争市場が確保されておりませんので、われわれとしましては、その合理化を一番強く求めるというのを大前提に考えていかなければいけないと思っております。そしていろいろ検討いたしまして、どうしてもそれでカバーできないという場合には、これも一つの企業でございますから、やむを得ず値上げということを認めざるを得ないわけでございますが、そのときにおきましても、一つの幅とか値上げの時期ということにつきまして厳重なチェックをしてやっていかなければいけないと思っております。総じて、公共料金の調整に当たりましては厳しい態度でまいりたいと思っております。
○熊川委員 公共料金のいわば代表とも言うべきものに国鉄の運賃がございますけれども、この陸の王者とも言うべき国鉄の運賃上昇改定は、タクシーに、あるいはバスに、私鉄に、飛行機にと、こういう影響はきわめて大きいものがあろうと思います。こういうことを考え合わせるならば、国鉄の運賃値上げは、ともに、いま述べたような各職種のものにスクラムを組んで値上げをする基盤を形成することになりかねないわけであります。特に最近におけるところの国鉄運賃の値上げは、他の一般の物価の値上げから比べるならばいわば比較にならない率で上がっております。こういうような前提に立つときに、国鉄にはいろいろと運賃値上げの前に改善すべき点があるとも言われておりますけれども、それはそれとして、このような安易な値上げがまかり通るということで、果たして世界に言われたような優等生としての地位が保てるのかどうか。この国鉄料金改定に当たっても、あるいは長官も御参画あるいは御審議に御関与いただいたかと存じますが、長官の御感想をお聞かせいただきたいと存じます。
○河本国務大臣 国鉄は毎年運賃の値上げをいたしておりまして、値上げをするたびにお客さんが減ってくる、こういうことの繰り返しをしております。一応値上げに際しましてはいろいろな資料を拝見しておるのですが、現在の体制では万やむを得ないと思いますけれども、実際私どもが痛感をいたしますことは、現在の状況がもう少し何とかならないものか、これではとても大変だ、こういうことをその都度痛感しておる次第でございます。
○熊川委員 国鉄さん、どなたかお見えになっておりますか。 ただいまの点に関連しまして、過去近い数年間においても、特に五十三年以降連年にわたる高率の上昇はどんなファンダメンタルな姿勢をもってやってきたものなのか。また、今回の改定はどういう基準に従って、あるいは見通しのもとに上げたものなのか。さらに、叫ばれている国鉄再建との関係においても、近く十八兆円にも負債がなろうとしている。毎年五千億もの援助をしてもらっており、かつ、なかなか効果が上がらない。こういう点を考えるときに、将来の展望とあわせ考えて、今回の改定の姿勢というものを教えていただきたいと存じます。
○橋元説明員 本年度の運賃改定につきましては、去る二月の六日に私ども運輸大臣あてに申請を申し上げたわけでございますが、先生御指摘のように五年連続の運賃改定でございまして、大変心苦しく存じておるところでございます。 先生御承知のように、昭和五十二年でございましたが、運賃法定制の緩和という措置がとられまして以降、経費増の範囲内でございますれば、運輸大臣の御認可をちょうだいして運賃改定ができることになっておりまして、その範囲内でここ五年間連続して値上げをさせていただいております。 もちろん、私ども、要員合理化を初めとする経費節減努力、それから職員挙げての増収努力というものを前提にいたしまして、さらには、政府の御助成で吸収し切れない経費増につきまして、心苦しく感じながらも改定をお願いしてきたわけでございます。 実は昨年度、五十六年度におきまして予算定員一万二千名を削減いたしました。それによりまして私ども初めて四十万人を割る予算定員で業務を執行しておる次第でございまして、本年五十七年度におきましては、さらに加えまして一万四千三百名の純減を達成したいということで、年度当初から取り組んでおるところでございます。 法定限度は本年度の場合二千二百七十七億円と算定されておりますが、私どもといたしましては、そういった経営努力によりまして、先生御承知のように申請案では六%程度の改定、実額にして千五百億程度ということに抑え込んでおるわけでございます。私どもといたしましては、現状許される限りのできる限りの努力によって、できるだけ改定率を抑制しておるというつもりでございます。具体的な改定案の作成に当たりましては、もちろん、物価の動向でございますとか他の運輸機関との競争関係、あるいは国鉄の御利用の動向といったものを十分考慮いたしまして、そういった改定率全般を抑え込む、同時に、それぞれの具体的な内容についてはきめの細かな工夫をこらすということに留意をいたしております。 特に今回の改定におきまして工夫をいたしましたのは、一つは大都市圏におきまして特定割引運賃制度、これは先生御承知のように、平行する私鉄との運賃格差が余りにも大きいということがございまして、そういった区間につきましては九十区間をとりあえず選んでおりますが、当面そういったところからこの問題についての解決に第一歩を踏み出したいと思っておりますし、さらには料金面でいろいろ配慮をいたしております。 実は運賃は六%強値上げをいたしますが、料金につきましてはいろいろきめ細かな工夫をこらしまして、全体の率を三・六%に抑え込んでおります。その具体的な工夫につきましては、たとえば閑散期の割引制度を導入する。大体年間の三分の一程度この閑散期の割引制度適用ということを考えておりますが、おしなべて指定席料金から二百円を引かせていただくといった措置でございますとか、あるいは在来線の特急料金が非常に割り高だという御指摘もございまして、特に近距離のいわば急行を格上げしたような特急につきましては、いわばB料金としまして比較的割り安の料金体系を新たに設定するといったこと、さらには特急、急行の近距離の御利用に資するために、距離刻みがたとえば百、二百、四百と飛んでおりましたが、百、百五十、二百、三百、四百といったことで、距離刻みを細分化するといったような、いろいろきめ細かな工夫をこらしておるわけでございます。 そういった次第でございますので、大変申しわけないとは存じますけれども、できるだけモデレートな改定に抑え、かつ、きめ細かな工夫をこらすことによって、御利用者の皆様にできるだけ御納得いただきたい、こう思っておるところでございます。
○熊川委員 常務さんのお話で、非常にきめ細かい、前向きな、あるいは世間で余り予想もしなかった点もかなりメスを入れられたというような点で、うれしく拝聴いたしましたが、いずれにしても、国鉄運賃は公共料金体系に影響を及ぼすところ大なるものがあろうかと思いますので、ただいま述べられたような基本姿勢を一層進めていただけたらと、こんなふうに切望いたします。 それから、国鉄に関してよくサービス云々というごとも民間と比較して述べられますけれども、新幹線の敷設に関してややもすれば、かつて聞かれたのは、東京中心から近場のところは比較的犠牲が多く、かえって交通の利便あるいは運賃の高負担というようなことで、必ずしも恩恵十分でなかったということが聞かれたことがありますが、近々、東北新幹線あるいは上越新幹線も大変な御努力でもって開通の見込みに到達の目前でございますが、それら在来線の充実ということが、特に東京から近場においてはかなり御要望が国鉄さんの方にも耳に達しているかと存じますが、これらについての基本的な姿勢というか、お考えを拝聴いたしたいと思います。
○橋元説明員 上越新幹線は鉄道建設公団によって建設されておるわけでございますが、四十六年の十二月着工以来実に十一年になんなんといたしております。おかげさまで、本年の十一月に開業の運びということがほぼ確定的になってまいりました。 そこで、目下、開業後のダイヤ編成等あるいは料金体系等々、いろいろ検討をいたしておるわけでございますが、当面、大宮開業であるということから、とりわけ先生御指摘の、近距離の比較的短い区間のお客様の御利用につきましては、必ずしもこの新幹線がその特性を発揮するというわけにはまいらない面がございます。 たとえば例を水上にとりますと、現在線で二時間ちょっとで参るわけでございますが、上野から大宮へ乗りかえまして、大宮から始発発車するまでに、乗りかえ時間を含めまして大体四十分かかってしまいます。大宮から新幹線にお乗りいただきまして上毛高原に下車いただくまで約五十分でございますので、ほぼ一時間半、さらに上毛高原からバスを御利用になって水上まで行っていただきますと、これも三十分程度かかるということで、ほぼ在来線の特急と到達時分が変わらない、同じであるということでございまして、そこでいろいろ地元の方々とも御相談申し上げているわけでございますが、水上地区その他、後閑等々につきましては、在来線をより強化してもらいたいという御要請がかねてからございます。 そこで、私どもとしては、できるだけ従来の特急を格上げをいたしまして、新しい特急車両、これは実は一部を現在伊豆の方面、踊り子号という列車に使っておりますが、新しい車両を投入するとかいったことで、できるだけ優等なサービスを図りたい、展開したいということで考えております。しかるところ、新幹線におきましてもいろいろ、「ひかり」タイプの列車も上毛高原にとめてほしいという御要望もございまして、その両々相まって、いろいろいま勉強いたしておるところでございます。近々にその結論を得まして御発表申し上げたい、こう思っておるところでございます。 いずれにいたしましても、そういった新幹線のそれぞれの区間に応じての特性を発揮できるような体系を、新幹線並びに在来線の輸送相ともにうまく組み合わせまして、全体として御利用増進、御不便のないようにできるだけがんばってまいりたい、こう思っておるところでございます。
○熊川委員 非常に細かいところに気を使ってもらって、あるいは在来線あるいは新幹線という形で、両面からの配慮、ありがたく存じておりますが、いまのように急行があるいは特急になるとかという形で、結局においては停車駅の欠落というか減少化、あるいは多少の料金の徴収もやむを得ないと思うのです、車両もよくなることですから。とは思いますけれども、そういう面で、特にこれからはややもすれば公害云々と言われる新幹線の問題もございますので、東京を中心とした近場の方にも特別な眼でもって御配慮を仰ぎたいと思いますし、いまお話のありました新幹線の方も「ひかり」クラスが、いまのお話ですと高崎はほとんど全部とまっていただけるようですが、上毛高原駅は必ずしも全部でないというような点になってくると、その辺も、群馬県は一駅だけであとは全部他県への駅に、ここを通過してから全部停車というようなことになると、ちょっと地元民としても心情的にその辺御了察いただきたい点もありますので、先般のある新聞なんかによりますと、これは三月二十八日の朝日ですか、越後湯沢には五本ほど「ひかり」クラスがとまるやに漏れ承れる記載がありますが、将来の展望として、上毛高原駅にもこれに準ずるような方法で頭の隅に置いていただけたらありがたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
○橋元説明員 先生のお話しよく承知いたしまして、私ども精いっぱい勉強させていただきたいと思っております。
○熊川委員 よろしくお願いします。 次に、私たちの生活で最も重要なのは、言うまでもなく食料だと思います。この食料に関しては、最近は、ソ連のアフガン侵攻以後国際的な幾つかの事件を見ますと、食料が戦略物資にすら活用というか悪用というか、され始めておるのが現実の世界であります。かような観点から考えるときに、一方においては、食料の十年後あるいは二十年後を展望した絶対量、それと呼応するところの価格の変動、当然増加するであろうことが予想されている。特に二十一世紀の初頭においては、いまから約二十億人もの人口増加が見込まれるデータもないわけではありません。かようなことを考えた場合に、先般農林省でつくられた「世界食料需給モデルによる食料需給予測」というデータがございます。私もこれに非常に興味と感銘を持って見させていただきましたが、価格面からの展望も鋭くしておりますが、これらの点をあわせ考えて、大ざっぱに、十年後、二十年後の食料需給状況の展望を農林省の方でお聞かせいただけたらありがたいと思います。
○須田説明員 先生御指摘のとおりでございまして、食料の世界的な需給の問題につきましては非常に楽観を許しがたい面があると思います。わが国におきましては、海外からの食料輸入に依存するところが非常に大きいわけでございますので、そういった国際食料需給の将来予測といいますか、そういったことにつきましてわが国みずからもやる必要があるのではないか、かように考えておりまして、そういったような観点から、先生もいま御指摘がございました二〇〇〇年までの予測作業、若干先の話でございますけれども、世界食料需給モデルという計量モデルを開発いたしまして、予測作業を行っているわけでございます。これはいわば、現在農政審議会におきまして専門委員会が設置されまして、食糧安全保障の問題につきまして目下詰めておるところでございますが、その検討資料として提出したわけでございます。 その予測結果をちょっと概観いたしますると、穀物等の国際需給におきましては、当面は緩和基調にあるわけでございますけれども、八〇年代の後半以降におきまして逼迫基調に転じまして、その後一時的に需給は緩和するといったような時期もございましょうが、やはり先行きを見た場合に、耕地拡大の制約といいますか、耕地面積がそんなにふえないというようなこともございますので、そういった制約等から、二〇〇〇年にかけましては徐々に逼迫基調を強めるのではないか。穀物、牛肉等の実質価格はかなり上昇するというような結果が出ております。 こういったようなことから、世界の食料需給につきましては、人口の増加、いま申しましたように二〇〇〇年までに約二十億人ぐらいふえるわけでございます。そういったような実態、それから畜産物消費の増大等によりまして、やはり中長期的には楽観を許さない情勢にある、こういったような、いままでのわれわれの見方を裏づけた形になっております。 なお、これはすべて平年作であるということで想定いたしました基調として見るということでございますから、まさに来年以降どんな作柄になるか、そういった作柄いかんによってもかなり変動してくることはお断りしておきたいと思います。
○熊川委員 そのような前提に立った場合に、国民の安全、必ずしもいわゆるハードな面の国防の問題だけでなしに、いわば食料の面からの戦略物資化されることを予防しなければならないと思うのですが、食糧安全保障の面から考えるならば、もちろん第一には、国内で食料の生産をすることの確保の体制。第二には、輸入をどうしてもしなければならないものは安定的に輸入をする方策。そして第三には、不測の状態が生じたときへの備えとしてのいわゆる備蓄の体制。こういうものが当然必要であろうと思いますけれども、これらの三点、あるいはこれに付随する点についての姿勢なりお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○須田説明員 国土資源におきまして非常に制約のございますわが国におきまして、やはり国内生産と輸入とを適切に組み合わせいたしまして、食料の安定供給を図っていくということになろうかと思いますが、いま申しましたように、世界の食料需給が中長期的に楽観を許さない、こういう中で、食糧安全保障のために、基本的には総合的な食料自給力の維持強化を図っていくということが重要ではないかというふうに考えております。 そういった総合自給力の強化のためには、多少分けますと、需要面におきましては、消費の方でございますけれども、米を初めといたしまして、わが国の風土に適した基本食料を中心といたしました日本型食生活と申しておりますが、そういったものの定着に努める必要があるのではないか。 それから一方、供給面でございますけれども、先生も御指摘の、やはり国内で生産可能な農産物につきましては、需給動向も踏まえまして、生産性を高めながら、極力これを国内生産で賄うということができるように、一層努めてまいる必要があるのではないかというふうに考えております。 また、輸入に依存せざるを得ない農産物につきましては、基本的には、諸外国との友好関係を維持しながら、その安定的な輸入の確保といいますか、それをやっていく必要がございますし、それから、あわせて農業、農村開発のための国際協力といったことにも努める必要があろうかと思います。 それから、いま先生も御指摘のような海外からの短期的な供給変動というものも相当想定されるわけでございますので、そういったものに円滑に対処していくための備蓄に努める必要があるということで、先ほど申しましたように、農政審議会の専門委員会におきまして、食糧安全保障の問題を含めまして、現在検討を急いでいる段階でございます。
○熊川委員 高い視野から、あるいは長期展望の面から考えて御検討いただいておるようでありますが、それと関連して最近問題になっているのは、これは言うまでもなくいわゆる貿易摩擦、あるいは狭義には対米輸出の関係で農産物の自由化の問題も考えられますが、工業製品の輸出の豊かさが原因していることは言うまでもないと思いますが、そのような輸出入のアンバランスの解消に当たっては、農産物のいま話題になっている輸入の拡大というようなことでは、必ずしも解消には大きくは進まないし、見方によっては焼け石に水的な側面がないわけではありません。 また第二点としては、米国あるいはECにおいてもいろいろと農産物の輸入制限がないわけではありません。 また第三点としては、食料の自給率確保といういま述べられたような点をあわせ考えるならば、安易な農産物の輸入の増加というか、貿易の自由化ということはかなり検討を要すべきものではないだろうかと思います。特に、最近におけるアメリカの商務長官あたりの発言を聞いてみても、日本もかなりやってくれている、努力しているということを、きのうでしたか、ごく最近あたりに評価をしておる、こういう理解を得ていただくことも非常に重要じゃないかと思います。農産物自由化阻止というのも、言葉は悪いかもしれませんが、自由化に安易に流れる危険性を私は御理解いただきたいと思うのですが、この辺の姿勢をお聞かせいただきたいと存じます。
○松下説明員 先生ただいま御指摘の貿易摩擦、特に農産物の市場開放の問題でございますが、貿易摩擦の基本的な背景には、申すまでもなく、欧米諸国の経済の停滞、特にアメリカにおきましては非常に高いインフレ率あるいは高金利、ドル高というような問題がございます。それと、それに伴う各国の失業の増大という問題があるかと思います。 農産物貿易につきましては、すでにわが国は世界で最大の農産物の純輸入国ということになっておりまして、残されております二十二の農水産物の輸入制限品目がございますが、これらの品目の市場開放をいたしましても、貿易摩擦のインバランスが解消するというふうには考えておらないわけでございます。アメリカやECにおきましても農産物の輸入制限をしているわけでございまして、特にアメリカでは、ウエーバーというふうに言っておりますけれども、ガット上は認められておりますけれども事実上の輸入制限を行っておりますし、ECにおきましては、わが国と同じような残存輸入制限品目がある国もございますし、さらには、EC全体で共通の農業政策によりまして、課徴金を取っているというふうなことで、農業を保護しているわけでございます。 それから一方、アメリカやEC諸国が日本の市場開放についていろいろ要請をしてきていることも確かでございます。アメリカ等の自由化の要求につきましては、わが国の農業の実情あるいはこれまで農畜水産物について市場開放をいろいろやってきましたことの内容を十分説明しまして、理解を得ながら進めるということで、自由化には手を染めることなく解決の方途を追求していきたいというふうに考えております。
○熊川委員 力強い御意見あるいは信念のほどをお聞かせいただいて、ありがとうございました。 それに関連して、同じ農産物で養蚕あるいは生糸の問題がございます。わが国のいわば伝統産業であった蚕糸業あるいは絹織物というものが、最近とみに停滞の一途をたどっております。しかし、その一番の原因は輸入の生糸あるいは絹織物による圧迫があろうかと思います。最近においては内需振興あるいは浮揚ということが強く叫ばれている、とするならば、伝統産業に基づく国内生産によるものを国内で確保し、そして、国内における活力をつけることによって貿易摩擦の解消の一助にということも大きな政策の一つであろうと思います。こういう点を考えるときに、韓国からの生糸あるいは絹織物の輸入などは、わが国の生産者にとって非常に大きな打撃であります。と同時に、幸か不幸か、ごく最近においては韓国の借款の問題、これも当初二十億ドルと言われたものが、倍近くの三十五億ドルものラインが出てきているような昨今であります。そういう点をあわせ考えるならば、それらの絡みで輸入の抑制策などをとってはいただけないだろうか、こんなふうに強く期待するのですが、いかがでございましょうか。
○本間説明員 最近におきます厳しい生糸、絹の需給事情に対処いたしまして、五十一年度以降、主要輸出国であります中国また韓国との間で二国間協議を行ってきたところでございますが、特に需要の減少が著しくなってきました五十四年度以降におきましては、輸入数量の大幅な圧縮に努めてきたところでございます。 生糸につきましては、五十四年度におきましては対前年比一割減、また五十五年度におきましては対前年比五割減ということにいたしまして、また発注の方式等につきましても、事業団の在庫の積み増しを行わない範囲内において、わが国の生糸、絹の需給事情及び糸価の動向を勘案して行うことにいたしまして、五十五年度四月以来一年八カ月間の輸入を停止してきたところでございます。 また、五十五年度の二国間の取り決め数量等につきましても、糸価の上昇に伴いまして、昨年の十二月以降履行を開始したというような状態でございます。 現在、中国、韓国との間で五十六年度以降の輸入に関する二国間協議を行っておりますけれども、引き続き輸入数量の圧縮につきましては最大限の努力を重ねてまいりたいというふうに思います。
○林説明員 絹織物につきましては、従来私どもの方で、五十一年からいろいろな形で二国間協定あるいは輸入承認というような形で輸入量の調整を図ってきておるわけでございますが、こういう工業製品の輸入量を大幅にカットしてきているというのはほかに余り例がないのではないかというふうに思っています。特に一昨年度におきまして三割強のカットということでございまして、昨年五十六年度につきましては、二国間協定で韓国、中国、それから台湾三国を相手にいたしまして交渉したわけでございますけれども、大変難航いたしまして、台湾につきましては民間ベースを経由してやっておるわけでございますが、事実上ほぼ合意に達しておるわけでございますけれども、韓国、中国につきましては、もう過ぎてしまったのでございますが、五十六年度の輸入数量についていまだに決着がついていないという状況でございます。 韓国につきましては、昨年の六月、十月、それから本年の二月から三月にかけまして精力的に行ったわけでございます。特に韓国と競合いたしますわが国の表地の産地の状況はきわめて悪いものでございますから、私どもとしては相当な協定量のカットを主張したわけでございますが、韓国側といたしましては、これまでにすでに相当切られておる、実は日本のこれまでの生産のカットよりも、協定が始まって以来輸入量をカットした方が多いということもございまして、大変強い反発がございまして、私どもとしては飛行機の時間がぎりぎりになるまでソウルでやったりしたわけでございますけれども、結局合意は成立しなかったわけでございます。その際、一応韓国側とは、五十六年度と五十七年度を一本にして本年の六月にまた交渉をしようということは合意をしてまいりました。それから、五十六年度につきましてははっきりした合意はできませんでしたけれども、合理的な範囲と申しますか、昨年度をある程度下回る数量で入ってくるという感触を得ておりますので、その六月の交渉で二年分合わせて解決をしたいというふうに思っております。なお、二月までの通関の実績では、昨年度の韓国からの輸入に比べまして、約一〇%の減少ということになっております。 それから中国につきましては、実は輸入の管理権を日本の方で持っておりますものですから、一応私どもとしては、中国と交渉した際に中国に提示いたしました数量というもので輸入を管理しておりますけれども、今後交渉がまとまれば、まとまったところでまたその再調整をするということで、これは、一昨年に比べまして昨年は一五%程度の減少ということになっております。 いずれにいたしましても、これは韓国も中国も一緒でございますが、生糸、絹糸というものと合わせて最終的に決着をつけるというふうに考えております。
○熊川委員 ありがとうございました。相手のあることで非常にむずかしい問題ではありましょうけれども、いま置かれているところの養蚕家、あるいは国内需要の向上というような面からがんばっていただきたいと存じます。 また、他面においては、従前のような安易と言うと言葉は悪いのですが、絹製品の拡大についても、和装だけでなしに洋装面にも努力すべきではないかということで各方面からいろいろ努力があるようですが、その努力は非常に急速に実を結んでいるように思います。そんな意味で、農水省並びに通産省の方で、予算面で具体的に、その内需振興策についてのごく最近の、そして近い将来に対するところの、来年度予算などを展望した姿勢をお伺いさせていただけたらと存じます。
○若林説明員 絹の需要振興の点でございますが、先生御指摘のとおり、従来からの絹の需要の大宗を占めております和服だけにとどまらず、新しい需要の振興をやらなければいけないという点はわれわれも感じているわけでございます。そういう意味におきまして、和装以外の洋装あるいはインテリア等々、そういうものにつきましての需要振興を図ろうということで、昨年度から、絹の新製品の開発ということの補助金を設けまして、絹の洋装用の生地の開発をやったわけでございます。現在のところ、試作品が三十数点でございますができ上がっておりまして、これにつきましては、ことしの春、五月でありますけれども、ニューヨークで日本の絹織物のニューヨーク展というものをジェトロの協力を得てやることを予定しておりますが、ここにも出品し、洋装用の生地の需要開発に努めたいというふうに思っているわけでございます。 それから、国内でもこういう洋装用の生地をどんどん使ってもらいたいということで、素材展、これは昨年はなかったわけでございますが、本年度の予算では、絹の新しい素材の素材展を政府が音頭をとりまして開きまして、国内のアパレルメーカーにもこういう絹素材をどんどん使ってもらおうということで、われわれ考えているわけでございます。
○本間説明員 農水省といたしましては、厳しい蚕糸絹業の状況を解決するといいますか対処するためには、やはり絹の需要を積極的に拡大することが基本的な事柄であるというふうに考えております。その絹の消費の拡大を図るために、一つは、生糸消費の九割を占めております和装需要を一層促進するということは当然必要でございますけれども、第二義的には、ただいま先生のお話のありましたように、洋装部門など広幅物につきましても、絹の新規用途の開発が必要であるというふうに考えております。 こういうことから、私どもといたしましては、蚕糸砂糖類価格安定事業団による助成事業がございますので、その事業を活用いたしまして、第一点としては新規用途の開発研究及び普及、第二点としては需要拡大統一キャンペーン等を実施いたしております。これに対する助成額等につきましても、最近これを増額しておりまして、五十五年度全体では三億五千七百万ばかりの予算を計上しておりましたが、五十六年度は約四億三千万程度の予算額ということでこれらの事業を行っておるわけでございます。御承知のように事業団の振興資金といたしましては非常に残りが少ない現状でございますが、五十七年度におきましても、そういう中から、この需要拡大については格段の配慮をしてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。 また、全国養蚕農業協同組合連合会、生産者自体といたしましても、積極的に絹の需要増進を図らなければいかぬということでございまして、白生地や絹の背広、喪服等絹製品のあっせん販売等も実施いたしておりまして、今後は、都市周辺部に対する絹の消費啓蒙運動等も展開するというふうになっております。 今後とも、関係業界との密接な連携協力のもとに、実効ある消費の拡大策を推進してまいりたいと考えておる次第でございます。
○熊川委員 ありがとうございます。いままでも非常に御努力いただいておりますけれども、特にこの消費拡大については、効果があらわれ始めたというならば、そういった実績を踏んまえて、一層力強く進めていただきたいということを強く要望させていただきます。また、流通過程においてもかなり改善すべき点があるやに聞いております。生産者では一万円そこそこの物が末端へ行けば六十万円にもなるというようなことが俗に言われておる流通過程には、やはり改善を施していただくよう強く要望させていただきます。 〔委員長退席、井上(泉)委員長代理着席〕 次に、経済企画庁が先日、昨年の十月から十二月までの間の国民所得統計を発表いたしましたが、それによると七年ぶりのマイナス成長ということがあらわれました。もちろん、その結果、為替市場では円安という現象があらわれております。このような現象は必ずしも悲観すべきものばかりではないようでありますけれども、経済企画庁長官にお伺いしたいと思いますが、昨年十月―十二月期のマイナス成長についてどのように分析しておられるのでしょうか、また今後の経済動向についてどのように展望せられておるか、お教えいただけたらと存じます。
○河本国務大臣 第三・四半期のマイナス成長になりました一番大きな原因は、輸出が急速に落ち込んだということでございます。内需の方はやや回復の方向にいっておりまして、民需の関係がプラス〇・七、公的需要がマイナス〇・三という状態でございます。なお、外需の関係はマイナス一・三という数字になっております。 外需がこのように急速に落ち込みましたのは、昨年の後半からことしの前半にかけてが世界経済の一番悪い時期ではなかろうか、このように言われておりまして、世界各国で購買力が減退しておるということであります。わが国の輸出もそのために伸び悩むということが背景でございまして、こういう貿易の伸び悩みという体制はしばらくの間は続くのではないだろうか、こういう感じがいたします。 そこで、特にこの際政府として配慮しなければならないのは、内需をどう拡大していくか、これがやはり当面の大きな課題であろうと思っております。
○熊川委員 いまのような経済の状況においては、一般企業家が河本長官に期待すること大ではないか、こんな印象を私たちは地元へ行って受けるわけであります。何か長官やってくださるんじゃないだろうかということを、本当にわらにもすがる思いでいるというのが中小企業、零細企業の経営者であり、あるいはその二世であります。 そこで、三月十六日に閣議決定せられた三項目の経済対策などによって、いわゆる企業家に対して先行きの明るい見通しをお示しくださることが可能かどうか、お教えいただけたらと思います。
○河本国務大臣 さしあたって政府としてやれますことは、公共事業の関係、これを上半期できるだけ大規模に繰り上げ執行する、こういうことでございます。それから、住宅の関係では百三十万戸の住宅建設計画がございますが、この半分に何らかの形で公的資金が入っておりまして、この分につきましてこれもできるだけ繰り上げていく、こういうことを考えております。それが誘い水になりまして後半民間の設備投資が軌道に乗ってくると大変いいんですけれども、もしどうしても軌道に乗らないという場合にはやはり何らかのことを考えていかなければならない、こう思っております。 民間の設備投資も軌道に乗らない、そして公共事業は後半わずか二割強しか残っていない、こういうことになりますと、その時点ではさらにわが国経済が落ち込むことになりますので、そういうことにならないようにそこでは有効適切な手段を当然考えていかなければならない、このように考えております。
○熊川委員 ありがとうございます。温かい思いやりの御姿勢が読み取れまして、うれしく思います。 ただ、昨年五十六年度の実績見込みですと約百十五万戸という住宅建設のようでありますが、これを何とか今回、いまお話のありましたような百三十万戸程度実行してもらうためには、宅地提供の促進策あるいは金融面からも、現在も温かい手がどんどん差し伸べられておりますけれども、一段とさらにそれを強めていただけるような方策をとっていただけたらと思うのですが、それらの希望を込めつつ、長官の御所信を拝聴して、終わりにさせていただきたいと存じます。
○河本国務大臣 住宅政策につきましては五十七年度は相当積極的にやっておりまして、住宅金融、それから宅地供給が拡大をするための幾つかの政策、それから中古住宅に対する対策、先ほど申し上げました百三十万戸のうち約半分は建てかえでございますから、中古住宅政策がしっかり軌道に乗りませんと家は建ちませんから、この中古住宅対策もいろいろ配慮しております。 そういうことで、これらの諸対策によりまして、過去二年間落ち込んでおりました住宅投資もある程度回復するであろう、このように期待しておりますが、これもまあ、どうしても回復しないということでありますとこれまたほうっておくわけにいきませんから、その時点において何らかの対策が必要であろう、こう思っております。
○熊川委員 ありがとうございました。終わります。
○井上(泉)委員長代理 武部文君。
○武部委員 この委員会で、きょうで三回目でございますが、景気の動向について同僚の皆さんから、いろいろと長官の所信表明に関連をして質問がございました。私も時間をいただきまして、きょうはその問題を中心に政府の見解をお伺いいたしたいと思います。 昨年の十月から十二月期にかけて、わが国の経済が実績として初めてマイナス〇・九、こういう記録を実はつくったのであります。これまで、国内需要が低迷しておる中で輸出は大体順調に行われてきた。しかし、御承知のようにいま貿易摩擦でごたごたが起きてきた、あるいはヨーロッパ通貨に対して円高が起きてきた、さらにはEC諸国に向けて輸出が次第に落ち込んできた、特に去年の下期において、ECに対する数字を見ると前年同期で二二・二、こういう非常に高い落ち込みを見たのであります。このようにわが国の経済が非常に好調であったということは、輸出、これがわが国の経済を引っ張ってきた、こういうふうに見てよかろうと思うのですが、先ほど申し上げましたようにECの輸出の鈍化、あるいはアメリカ向けの輸出も減ってきた。ことし二月の新しい統計の通関ベースによりますと、前年同月比で二月が三・七%の減、輸出ダウンが相変わらず続いておるのでありますが、そうなると一体五十六年度の四・一%、この成長はもはや夢だ、こういうふうに言わざるを得ないと思います。五十六年度の四・一%が現実に達成できないということになれば、いま問題になっておる五十七年度の五・二%、このもの自体が五十六年度の四・一%というものを前提としたものだ、こういうふうに見なければなりませんからこれも達成できない、こういうことになるのではないかと思われるわけです。 御承知のように税収も非常に落ち込んで、五十九年度に赤字国債ゼロ、こういう鈴木内閣の国民に対する公約、政治生命をかけると言われておるこういう財政再建も破綻するんじゃないか、こういうふうになるわけですが、こうした中で、いま春闘がいよいよこれから本格の場を迎えるわけですが、勤労者の状況を見れば、何回かここでお話があったように、累進課税でどんどん税金はふえる、社会保険料もふえる、こうして可処分所得は二年連続してマイナス、こういう状況になって、勤労者自体の生活が非常に落ち込んできておる、こういうことになっているわけです。 一方、経済摩擦で特にアメリカからは門戸開放を強いられる、こういう状況でございまして、これを解決する道は、長官が何遍も言っておられるように内需の拡大だ、こういうことを言っておられるわけですが、私は今後も、この内需の拡大というのはわが国の最も緊急な政策課題だ、このように思います。 こうした立場に立ってこれから質問をするわけですが、きょうこれから政府に質問をいたします問題は、主として財政政策によるところの景気浮揚策、それから賃金のあり方、もう一点は公共料金の問題、この三点にしぼって質問をいたしたいと思います。 そこで、最初の方は私どもの見解を若干述べまして、長官のお考え方を聞きたいのでありますが、五十六年度の実質経済成長率、先ほどこれを四・一と言いましたけれども、これは不可能だ、仮にこれを三%になったというふうにいたしますと、私の計算によれば一-三月期はGNPは二・三%でなければ三%にならぬのであります。達成できぬのであります。一-三月期が二・三というGNPということになりますれば、これは年率にして実に九・五%、年率九・五というのは瞬間風速にとっても大変な数字であります。いまの経済情勢の中で、経済指標をそれぞれ見てもこれは全く夢のような話だ、このように思わなければなりません。 そこで仮に二・五%成長、三%はこれもまた無理だ、二・五%成長ということになりますと、名目は七%の名目でございましたが、これが四・三くらいに落ちることになります。大体この数字は、私どもの計算では当たらずとも遠からずの数字だろう、こういうふうに思うのです。そうなれば、これは名目ですでに二・七ポイントも下回ることになるわけです。GNPに計算をいたしますと、五十六年のGNP見込みは二百五十五兆であります。正確には二百五十五兆八千億、こういうことになっております。したがって、二・七ポイントも下回るということになりますとこれは大体六兆九千億円に当たるのです。約七兆円ですね。この七兆から資本の減耗分、いわゆる減価償却を差し引きした場合に、これを国民所得に直しますと五兆六千二百四十億にもなるのです。計算方式は言いませんが、これだけ国民所得が減ることになるのです。四・一はとても不可能、三も不可能、そうして大体二・五、二・五と見てもこれだけ国民所得が減る、こういう数字になるのですが、これを一億人で割ると大体一人五万円、五万円以上の国民所得が減るということになるのです。 この国民所得に対して租税の負担率はどうかというと、五十六年度で国税一六、地方税が八・六、合計二四・六です。したがって五十六年度の税収不足は国税で約九千億、地方税で五千億、合計して約一兆四千億円、この間新聞に出ておったのとちょうど合いますが、きのう大蔵大臣は一兆五千億、いや、それよりも多くて二兆に近いかもしらぬというようなことを言っておったようでありますが、こういうふうに、五十六年度の成長がダウンをした結果、税収不足は一兆四千億以上あるいは二兆になるかもしれぬ、こういうことになっておるわけです。 そこで、大蔵省に最初にお聞きをいたしますが、ことしの二月に五十六年度の補正予算が国会を通過いたしました。五十六年度の国債の追加発行六千三百億、そのうち赤字国債三千七百五十億、これは問題になりましたけれども、認められたわけです。さらに一兆円以上の歳入欠陥が避けられない、一兆どころか一兆五千億を超えるかもしらぬ、こういう事態になった、こういう状況の中で一体大蔵省はどういうふうにこれを措置されようと思っておられるか、これを最初にお伺いしたい。
○窪田政府委員 五十六年度の歳入欠陥のお話をなさいましたが、実は五十六年度の税収、これはまだ三月の確定申告の結果というものも四月の下旬になりませんとはっきりいたしませんし、さらに非常に大きな要因でございます法人税の三月決算の状況がはっきりいたしませんので、私ども現在、税収がどうこうということは――落ちる心配があるという大臣のきのうの御発言でございましたが、それではどのくらいということをいま申し上げられる段階にはないのでございます。 他方、税収だけではございませんで、決算ということになりますと、税外収入でございますとか歳出の不用、こういうものをあわせて一体どうするかというふうに措置する必要があるわけでございますが、歳出の不用も大体例年五月の下旬になりませんと明確に申し上げられないわけでございます。 こんな状況でございますので、いまこれくらいの欠陥が出るからどうこうというふうなはっきりしたことは申し上げかねるわけでございますが、まあごく一般論として申し上げることをお許しいただきたいのでございますが、一般的に申しますと、歳出の不用、それから税外収入の状況、こういうものを勘案して、全体で歳入欠陥が生ずるかどうかということをまず見きわめる必要があるわけでございます。そういういろいろなものを全部合わせましてなおかつ不足するということになりますと、もうその段階では補正予算を編成し得ないわけでございますから、決算調整資金によらざるを得ないということになるわけでございます。この決算調整資金の財源というものは、一般会計からの剰余金の繰り入れあるいは特別の必要がある場合に予算で繰り入れるというふうなことになっておりますが、現在利子分を含めて二千四、五百億円あると思います。この決算調整資金を充当しましてなお不足するというふうな場合は、決算調整資金法の附則の二条にございます制度を用いまして、国債整理基金から一時この決算調整資金に繰り入れるという措置をとって、決算を処理をいたすということになろうかと存じます。
○武部委員 あなたは明確なことをおっしゃいませんが、なるほどそれは結果は見なければわかりませんが、もう歳入の欠陥は歴然たるもので、一兆五千億なり二兆円という数字がどんどん出ておる。これは大蔵大臣も認めざるを得なくなって、きのうああいう数字を述べておるのですが、これはもう歴然としておる。そのときに、これからどうするかということですが、いまあなたがお述べになったように、決算調整資金は約二千五百億、それから国債整理基金は現在約三兆円ぐらいあるようですが、これを使って穴埋めする、こういうようなお話でございます。決算調整資金といい、国債整理基金といい、これは赤字国債と全く同じ性格のものであるというふうに私は理解をするわけです。したがって、これは五十八年度には返さねばならぬ金だ。借金です。いまからそれを言うならば、そういう一兆円を越すような借金を、国会の議決にもかけられないで簡単に借りて決算をやるというようなことは、決算調整という域を越えた越権行為じゃないか、こういうふうにわれわれは思うわけですが、五十八年度予算の前借りだ、こういうふうに理解していいのですか。
○窪田政府委員 赤字国債ではないかという御指摘もございましたが、私どもはそう考えておるわけではございませんで、つまり、日本経済の変動は年々非常に大きなものがございまして、予想を超える面があるわけでございます。予見しがたいような不確定要因、たとえば年度末の間際とか、年度末経過後に不足が生じるというようなことも考えられますので、国会にお願いを申し上げまして、決算調整資金制度というのを五十三年からつくっていただいておるわけで、まさにそういう緊急な事態に対処するためにこういう制度をおつくりいただいているわけでございますので、決してこれは好ましいというふうに考えてはおりませんけれども、そういう必要が生じた場合にはこういうものを使わせていただくほかはないのではないか。国債整理基金から一時借り入れる、これは確かに大変な事態でございますが、ただ、これも、決算調整資金法の附則の二条にお認めをいただいておる制度、つまり、この決算調整資金が十分たまるまでの間はこういう臨時的な措置も必要であろうということで、附則という形でこういう制度を設けていただいておるわけでございますから、もしそういう必要が生じた場合には、国会で御承認をいただいたこういう制度を使わせていただくということはやむを得ないと考えております。 ただ、御指摘のように、一たん国債整理基金から繰り入れた場合は、それを繰り入れた年度の翌年度までに返すというふうな取り決めになっておりますので、五十八年度予算編成に一つの制約になることは御指摘のとおりでございます。
○武部委員 大変な問題だし、政治問題化するだろうと思います。このことをあなたとここでやり合ってもしようがないですから、大蔵省の見解をお聞きし、あと、このことに関連をして大臣にも聞いておいていただきたかった、こういうことでございます。 そこで、歳入欠陥のことについて先ほどお述べになったようでありますが、なるほど確定的な数字はいま出ないかもしれませんけれども、確実に大幅の歳入欠陥が出ることは、いままでの経済成長率の見通し、実績、これから見てももう逃れることのできない状態になっておるのですよ。私どもはそう見ておるのです。 いま五十七年度の経済成長見通しを五・二というように見ておるわけですが、先ほど言うように五十六年度は四・一%、これを五・二と言うのは、四・一という五十六年度の成長の上に立てられたものだ、こういうように理解しておるわけですから、五十六年度の成長が見通しより下がってきたということになれば、五十七年もその分だけ下回ることになる。さらに、これは後から申し上げますが、五・二もむずかしいということになれば、それがプラスされて五十七年度も大きな歳入欠陥になる。五十六年度も歳入欠陥、五十七年度も歳入欠陥、さらに五十八年度にもちゃんと一兆円以上の大きな借金を抱えておる、こういうことになっていくのですが、そのように理解していいですか。
○窪田政府委員 五十七年度の問題につきましては、いまおっしゃったように五十六年度の土台が落ちることはそのとおりでございますけれども、五十七年度予算では、たとえば公共事業の執行の前倒しをするとかいろいろ工夫をいたしまして、景気が次第に好転することを期待しておるわけでございますから、おっしゃったような大きな歳入欠陥が生ずるというふうな見方はしていないわけでございます。
○武部委員 これは大変話が食い違うので、いまここで時間をかけてあなたとやっても仕方がありませんから、いまのあらわれてくるであろう歳入欠陥を大蔵省がどういう処置をしようとしておるのかということをあなたに聞きたかったわけでありまして、先ほど二つの点をお述べになりましたが、この点は問題が大変大きい、これを指摘しておきたいと思います。もう大蔵の方、結構です。 そこで次に、これからの経済見通しについてお伺いをするわけですが、先ほど来五十六年度の経済見通しについてお伺いをいたしました。この五十六年度の経済見通しによる成長率は当初五・三でございました。それが十月二日に暫定見通しで四・七に下がり、十二月の実績見通しで四・一に下げた。これもちょっと無理だ、先ほど言うように、一-三月の瞬間風速を九・五%くらいやらなければならないのですから、そういう面からもこれも無理だ、こういうことにいまなってきました。そういう過程から暫定予算が組まれて、二月にこれが国会を通ったということは先ほど述べたとおりであります。このときに大蔵大臣は何と言ったか。大蔵大臣は、物価が落ちついたことによる税収不足と公務員給与の引き上げで補正になったと、人ごとみたいなことを言っておった。物価が落ちついたために税収が減って、どうにもならなくなったから補正予算を組んだのだというようなことを、人ごとみたいに言って答弁しておったのを私は議事録で拝見いたしました。一体この経済見通しの誤りの原因は何だろうか、これを取り上げてみたいと思います。 まず第一は、第二次石油ショック、これのデフレ効果を甘く見ておったのではないか。国民はあの第一次石油ショックの経験に学んで冷静に行動した。この点、政府はそのことを取り上げて、第一次石油ショックの教訓を生かさなければならぬということで、しきりにそういう政策を述べておったことを私も承知いたしておりますし、現実に、確かに国民は第一次に比べて第二次石油ショックの際は冷静に行動し、そうしてホーム・メイド・インフレを防いだ。その結果物価は鎮静化の方向に向かった、景気はよくならなかった、これは一体どういうことか、ここであります。物価は鎮静をしておるが、景気は一向によくならぬ。 もう一つの問題は何か。これは行革問題が大きな原因の一つではないかと私は思います。行革行革で財政政策が動けなかったのではないか、こういう点が五十六年度の経済見通しが狂った原因の一つではないか、このように思うのであります。昭和三十年以来二十数年間、景気回復の問題がいろいろ取り上げられてきた。その中で、景気回復の面で財政政策が使われなかったのは今回だけだ、こういうふうに思うのですが、この点について長官はどういうふうに思っておられるか、お聞きをしたいのです。 それに関連をして、こういう中で中小企業あるいは地方経済というものはどんどん沈滞をしておる、そういう点は積極的な景気回復、特に財政政策を使わなかったために中小企業が停滞をし、あるいは地方経済が停滞をするのではないか、このように思うのですが、いかがなものでしょうか。財政政策を使わない、行革といういわゆる中期目標を景気という短期目標に優先させて、何でも行革が先だ、こういうことで行革一辺倒の政策に没入してしまった、こういうことが今日こうした事態を招いた最も大きな原因ではないだろうか、こういうふうに思うわけです。 この二月二十四日に、財界の五団体が、土光臨調会長さらには中曽根行政管理庁長官の出席を求めて、景気より行革優先だということを決議しておるのであります。これはすでに報道されたとおりでありますが、こういう点を私どもは現在まで承知をしておるわけであります。 そこで、引き続いて時間の関係で具体的な問題を述べて、後で長官の見解を求めたいわけです。 大蔵省の法人企業統計調査によりますと、資本金一千万以上の法人の売上高は五十六年十月から十二月、この期に前年同月比九・七%という増加を示しております。営業利益は四・七%ふえました。ここに資料がございますが、営業利益は五十六年に入ってからずっとマイナスだったのです。この十月-十二月に入ってから逆転をして、一気に前年同月比九・七%も売上高がふえる、さらには営業利益が四・七%もふえた、こういうふうになったのです。同じ時期にGNPは何と〇・九%のマイナス、全く対照的でありますが、こういう事態が起きました。 なるほどその指標を見ますと、企業は地域や業種によっては非常に跛行性があります。しかし、全体としてはいますぐに景気回復策をとってもらわなくてもいい、大企業は困っていない、中小企業は困っているが、大企業は困っていない、こういうことが現実の姿ではないだろうか、ここが大変大事なところだと私は思うのです。 なぜならば、三月二十四日に、経団連の稲山会長は、記者会見をして何と言ったか、景気刺激策に否定的な見解を述べているのであります。これは新聞に述べられているとおりであります。大蔵省の法人企業統計調査を見ますと、五十五年度の全産業の経常利益は前年比一一・二%、その中で十億円以上の大企業の営業利益は対前年比何と二七・五%も伸びておるのです。全産業では一一・二、十億円以上の大企業の営業利益は対前年比二七・五%、逆に一千万円未満の資本金の企業はマイナス四・八なのです。営業利益が十億円以上は二七・五%も伸びておるのに、一千万円未満の中小零細企業は四・八%マイナス、がた落ちです。この一事をもってみても、大企業は、景気の停滞やいろいろなことが言われておる中で一つも困っておらぬ。売上高はどんどん伸びる、営業利益はこのようにぐんぐん伸びておる、こういうことです。 私は河本長官に言いたいことは、財界の言い分にだけ耳を傾けて、先ほど申し上げたような勤労者の実態、あるいはこうしてマイナスの状態に追い込まれている中小企業の苦しみを犠牲にして行革のみに一本やりで進もう、そういうやり方を今後も続けていかれるお考えなのか。景気浮揚策と行革ということを並行してやるような考え方はないのか。いま私が述べた数字を参考にして、長官の御見解を承りたいと思います。
○河本国務大臣 いまいろいろ御意見をお伺いいたしましたが、現在の産業界の状態は、大企業は、例外はありますが概して経営の状態はよろしい、しかし中小企業の状態はよくない、これももちろん例外はございましょうが、私はそのとおりだと思います。いろいろな数字がそれを示しておるわけでございます。 そこで、行革はあくまで成功させなければならぬと私どもは考えております。しかし、財政再建をするということのためには、やはり景気が回復する必要がございまして、経済に活力を取り戻すことによりまして初めて税収等もふえるわけでありますから、行革と景気の回復によって初めて財政再建が可能になる、こういうことだと思います。したがいまして、私どもといたしましては、行革も成功させなければならぬ、しかし同時に景気もよくしなければならぬ、こういう考え方でございます。 いまいろいろ数字をお示しになりましたが、景気が回復いたしませんと、現実に税収は非常に大幅に落ち込んでおる、そういう傾向が出ております。二月の数字は大蔵省からきょう発表されるそうでありますが、相当大幅に落ち込む危険性があるように見受けられますが、税収が予定よりも非常に大きく落ち込んでしまうということになりますと、これは財政再建はできないということでございますから、行革と景気の回復、これを並行して進めることがあくまで必要である、このように判断をしております。
○武部委員 私は、具体的な数字を挙げて述べたのは、特に財界の幹部の皆さんが景気に対して余り積極的じゃない、そういう談話をどんどん発表しておられるわけです。特に、いま述べましたように、大企業の利益はこの不景気の中でも着実に伸びておる、こういう状況の中で、景気回復策を一日も早くとって積極的な財政政策を進めていかなければ、とても中小零細企業の皆さんの景気回復はおぼつかない、こういう点で、行革一辺倒に対してぜひ長官の積極的な浮揚策を並行してやってもらいたい、こういうことを述べたわけです。 そこで、さらに続けますが、生産要素、これは三つあると言われておりまして、一つはまずエネルギーであります。次が資本、これは設備。次が労働、いわゆる賃金。この関係を見ますと、企業の設備投資は五十六年に入ってから伸び率が非常に落ち込んできておる、これが数字の上で統計上出てきております。特に中小企業における設備投資はマイナスがずっと続いております。同時に勤労者の賃金も大きく抑制をされておる。先ほど来同僚議員から賃金のことでいろいろやりとりがあったのを私、聞いておりますが、しかし、現実には賃金が実質的に大きく抑制されておることも間違いのない事実だと思います。後でちょっと申し上げますから、お聞きしたいと思います。 日経連の大槻文平会長が次のようなことを述べています。これは非常に重要なことでありますが、政府が五十七年度経済見通しで一人当たり雇用者所得を六・九としたことに対して発言をしておるのですが、政府は春闘を高目に誘導しようとしておる、こういう非難を発表いたしました。これは賃金抑制のあらわれであります。企業は、石油ショックによるインパクトは、エネルギー以外の生産要素であるところの資本や労働、いわゆる設備や賃金、そういうものを安いように使って吸収しようとする動きはずっといままで続いてきました。そのことが、実質賃金が低下をし、現実に設備投資が低下をしておるということのあらわれであります。そうしてそれによって雇用が減少しておる。いま一月の完全失業者は百三十一万人、完全失業率は二・二三という数字が出ております。先ほど申し上げたように、企業は収益がどんどん上がっておるのにGNPはマイナス、何とも説明のできない奇妙な現象があらわれておるわけですが、一体この原因はどのように考えたらいいだろうか、これは大変重要なことであります。 そこで、いろいろ述べてきたわけですが、いずれにせよ今日景気が回復しない、これは景気政策よりも行革優先、これがいまの日本の政治を拘束して財政政策をやらせておらない、やらせないのはそのためではないか。なるほど長官は先ほど来いろいろなことをお述べになった、これから私も住宅のことについても述べたいと思いますが、長官もそういうふうにいろいろなことをやろうとしておられる。河本長官自身は非常に積極財政を進めようとしておられることは私どももよく承知をしておりますし、減税についてもいろいろなお考えを述べられたし、百三十万、百五十万という住宅の問題にも非常に積極的だということをわれわれは承知をいたしております。ですから、あなたが、十二月の予算編成の閣議で、必ずしも五十九年度末までに赤字国債から脱却する必要はない、この局面では財政政策の活用が必要だということをお述べになった、ということが報道されました。これに対して大蔵大臣は反対をした、ということが報道されておりました。幸いにいま物価は落ちついておるわけであります。いまはまさしくスタグフレーションではないのです。こういうときにこそ思い切った景気浮揚策がやれるのではないでしょうか、私はそう思うのであります。 三月二十六日に物価安定政策会議が開かれまして、ここでは、物価が安定しておるんだから景気の浮揚に全力を挙げるべきだということに意見の一致を見た、ということが報道されております。そうして、この物価安定政策会議で河本長官は、名目収入の拡大や税金などの公的負担の軽減が必要だということを積極的に発言されたということも、私どもは報道で承知をいたしました。 そこで長官にお伺いをしたいのでありますが、景気が落ち込んでから非常に長い期間がたちました。景気が落ち込んだのは五十五年の四-六月期からでありますから、もう二年になります。高度成長期のように二けたの成長率を望むようなことはもうだめです。もうそういうことを望むことはできない、これはだれもが承知をしております。政府はいままで何回も雇用の確保ということを言っておりました。これから日本の社会は一体どうなるか、高齢化社会であります。高齢化社会に対応するためには、あなたが始終おっしゃるように、何としても五%台の成長を確保しなければならぬ、こういうことをお述べになっています。確かに私もそうだと思います。一方、経済摩擦はどんどんひどくなってきておる。こうなってくれば残る道は内需の拡大しかない、もう外需に頼ることもなかなかむずかしくなってきた。そうして高成長、二けたなんということはとても期待できない。こうなってくれば摩擦の解消のためにも内需の拡大以外にはないじゃないかと思うわけですが、内需の拡大のためにはどういう方法が必要だと思っておられるのか、どういう決意でおられるのか、もう一度お伺いをしたいと思います。
○河本国務大臣 内需の拡大がいま必要であるという御議論、全く賛成でございます。 それから、五十七年度五・二%成長が達成できるのかどうかということでございます。五十六年度の成長はいま御指摘がございましたように非常に厳しい状態になっておりまして、三%の達成もむずかしいのではないか、こういう御指摘もございましたが、そういう実情でございます。しかし、五十七年度については、いま年度が始まったばかりでありますから、これからの政策いかんによると思います。私どもも、この五・二%成長という目標を設定をいたしましたときに、無条件でほうっておいてもできる、そういうことは決して言っておらぬのでございまして、こういう経済の激動期には、その変化に即応して機敏で適切な経済政策の展開が必要である、それによって可能である、こういうことを言っておるわけでありますから、経済情勢が変化をしておるにかかわらず何もしないでじっとしておるということになりますと、五・二%成長はできないということになります。だから、五・二%成長を達成するためには、やはり引き続いて適切な経済運営をする必要があるということは御指摘のとおりでございます。 そこで、さしあたって考えておりますのは、上半期にできるだけ公共事業等公的住宅の投資を繰り上げて執行したいということであります。そして、それが誘い水になりまして後半に民間の設備投資が活力を回復してくるということであればいいわけでありますが、もしなお依然として民間の設備投資が回復してこないということになりますと、そこで何らかの追加政策が必要になってこようかと思っております。 いまいろいろ御指摘がございまして、なぜ五十六年度の経済が落ち込んだかということについての解説がございました。私どもも四つばかり大きな原因があると考えておるのですが、そのうちで中小企業の状態が非常に悪うございまして、中小企業の投資が三兆から四兆ぐらい当初の見込みより落ち込んでいるのではないか、こういう感じがいたします。 当初は大企業の投資を十九兆、中小企業の投資を二十三兆、このように想定をしておりました。大企業の投資はほぼ予定どおりいったと思うのです。ところが中小企業の状態が非常に悪い、しかもアメリカの高金利のために金利が下げられない、こういうことでありますので、相当大幅に当初の見込みよりは落ち込んでおる、こう思います。それが成長の足を引っ張った一つの大きな原因である。ほかにもたくさん原因はございますが、それが一つの原因であろう、こう思っております。 したがいまして、中小企業を含めた民間の設備投資全体がことしの後半軌道に乗らないということでありますと、それにかわるべき何らかの有効適切な手段を考えていかなければならぬ。それでは有効適切な手段をとり得る力が日本にあるかないかということでございますが、それは十分あるというふうに考えておりますから、五・二%成長を達成させるのか、させないのかということは要するに政策の選択いかんである、このように判断をしております。
○武部委員 五十七年度の五・二%成長は政策をやることによって達成が可能だ、またそれをやらなければならぬ、こういうお話でございます。 いま、公共事業の前倒しの問題と住宅のことをお述べになりました。私はかつてこの委員会で、地価のことについていろいろやりとりしたことを覚えておりますが、同僚の皆さんからも先ほど地価の話がございました。この住宅政策というものが景気回復につながって、景気を刺激し、成功した例が過去にございましたが、しかし、現実はとてもそれはむずかしいのじゃないか。 先ほども地価の話がございましたが、この四月一日、ついこの間国土庁が発表した、これはもう新聞に出たとおりですからくどくど申し上げませんが、公示価格が出ました。 先ほど物価局長は土地の値段を外国と比較して述べておられましたが、それではあなた方は、日本で一番高い売買価格を御存じだろうか。十年ほど前に内幸町のNHKの放送会館が一坪千百十一万円で売買されたときに、これは大変なことだ、一坪千百十一万円なんというのはだれが買ったのかということでいろいろやりとりをしたことをいまでも私は覚えておりますが、三菱地所でありました。十年も前の話です。いま最高の価格で売買されたのはちょうど二年前、西新橋で一坪二千五百万で売買されておる。これは実勢価格ですよ。一坪二千五百万、現実にそうなっておるのですよ。そして、この公示価格を見ますと、一番高いところはどこか、東京の新宿、一坪二千七百二十二万円。これは実勢価格じゃないですよ。国土庁も言うように、実勢価格はこの二倍ないし三倍だというのです。一坪五千万ないし六千万以上ですよ。あの西新橋で一坪二千五百万円で売買されたときに、一坪二千五百万と言ったってなかなかぴんとこぬ、畳二畳だと言ったってぴんとこぬ。結局はがき一枚大何ぼだ、十一万二千円、なるほどようわかったわい、こうなったのですよ。はがきの大きさ一枚で十一万二千円か、何と高いものだな。いまはもう十一万二千円じゃないですよ。この公示価格は一体幾らでしょう。そういうふうに全く気の遠くなるような地価になってしまっておる。地価高騰に対しての歯どめが何にもない。こうして現実にどんどん地価は上がっていっておるのです。この二千七百二十二万円の公示価格は去年幾らだったか。去年は七百万円下だったのですよ。最高は七百万円も下だった。一年間に公示価格は第一位で七百万円も上がっておるのですよ。これは一体どういうことでしょうか。こういう実態の中で一体庶民が住宅に手が出せるでしょうか。 あれは長期信用銀行でございましたか、独立家屋を一戸建てると十万点の波及効果がある、こういう発表をいたしました。これは大変なことだと思って、私も不勉強でしたが、いろいろ聞いてみました。なるほど、障子紙から屋根がわらから水道から砂からみんなやって、全部やったら十万点。ですから、住宅を一戸建てると景気への波及効果がいかに大きいかということがよくわかりました。素人なりにわかりました。ですから、百三十万戸の住宅を建てれば景気浮揚に非常に大きな影響を与えるということは素人でもわかります。ですから、これは大変りっぱな政策だし実現させなければなりませんが、残念ながら、いまの地価で、そうしていまの勤労者のふところぐあいで住宅に手が出るでしょうか。家を建てたって中の品物をそれに比例してそろえられるでしょうか。残念ながら住宅百三十万戸は非常にむずかしい。つい二、三日前の林野庁の木材業者の合同会議でも、十万戸ないし十五万戸は切れるのではないかという発言があったことが報ぜられております。ですからなかなかむずかしい。しかし、財政政策はどんどん進めてもらわなければ困る。そうでなければ五・二%の達成は全く不可能である。企画庁長官にそういう点での期待は非常に大きいわけであります。関連をして、私はこの地価の問題を申し上げておきたいと思います。 そこでもう一点、いままでの流れをずっと振り返ってみなければならぬことがあります。それは四十八年の第一次石油ショック、あの後狂乱物価で大変なことになり、GNPは実質マイナス、物価は二けた上昇、こういう中で政府は思い切った財政政策をとりました。物価を抑えるためにやったわけです。総需要抑制政策もとりました。公共料金も一年間凍結をいたしました。そういうやり方を矢継ぎ早にやって物価は落ちついた、物価が落ちつくと今度は思い切った大幅の公共投資に踏み切った、これがあの第一次石油ショックの後の政策であります。これはわれわれがいままで経験をしたところでありますから長官も御存じのとおりです。したがって、五十二年は前年比一六・六%、五十三年は一四・二%というように公共投資がどんどんふえた、そうして景気も回復して経済成長率は五%台に乗った、こういう歴史があります。 ところが、今度は五十四年から公共事業はマイナス二・八、五十五年は二・一、五十六、五十七年度は予算の伸び率はゼロであります。そこで、五十六年度に政府は公共事業の前倒しで乗り切ろうとして、皆さんはそういう政策をおとりになった、これは御案内のとおりであります。結果はどうでしょうか。結局年度後半息切れ、こういう結果になって、公共事業は九月にどうですか、マイナス二・八、前年同月比でマイナス二・三、十月もマイナス、十一月にはマイナス五・九、十二月は何と一八・四もマイナス、一月も二月もマイナスです。二月は一三・六%マイナス。こういうふうに後半息切れ、こういう状態であります。 ですから、いまお述べになったように、公共事業の前倒し、このことについても当委員会でいろいろ話があって、前倒しは結構だ、七五が八〇だって結構なことだが、一体後はどうするんだ、それはやってみなければわからぬ、後で建設国債を発行するのか、それも後になってみなければわからぬ、こういうことをおっしゃった。しかし、現実に五十六年度はいま私が申し上げたような状態になっておるということは事実であります。こういう具体的ないままでの数字をわれわれは参考にしてこれからの景気政策というものを考えていかなければならぬ、このように思うわけです。 こういう中で、なぜ財界の大御所たちが景気浮揚策に対して積極的でないのか、これは一体どういうわけだろうか、こういう点について私は大変疑問に思います。財界が景気回復にあえて積極的に口を挟まないのはなぜか、それは今回の景気の低迷というものが一時的なものではなくて、構造的なものだというふうに理解をしておるところから出ておるものではないだろうか、こういうふうに思うのであります。もうすでに日本の経済成長は二ないし三%ラインだ、財界の人たちはそう思っておるのではないのでしょうか。政府は五・二、確かに高い成長を言われるのも結構だし、それに対して努力をしなければならぬことも事実であります。しかし、現実に財界の皆さんは、日本の経済成長率はもう二、三%が限度だ、こういうふうに思っておられるから、あえてそういう景気浮揚策に対して積極的な態度をおとりにならぬ、そういうふうに私は、稲山さんの発言から見てもそのように推測できるわけです。だから景気よりも行革が優先だ、こういうことになるのではないでしょうか。 私の考え方が間違いであれば長官の方からひとつお考えをお述べをいただきたいのでありますが、私は決して行革をやるなと言っておるのではない。行政のむだを省くことは大変大切なことであり、必要である。しかし、行革はある意味においてデフレ効果を生むということも言われております。行革だけを推進し、そして行革だけを先行させればますます景気は悪くなるのではないか、こういう気持ちがしてなりませんが、長官はこれに対してどういうお考えでしょうか、お伺いをしたい。
○河本国務大臣 先ほど、大企業の経営状態は概していいが中小企業は非常に悪い、こういうお話がございましたが、私もそのとおりだということを申し上げましたが、それは第一次石油危機の後三、四年間わが国経済の状態が非常に悪くなりまして、そのときに徹底した合理化が行われたのであります。そこで大企業は減量経営が可能になった、こういうことだと思うのです。中小企業は力が非常に弱いものですからなかなか減量経営に耐えられるような体質の改善ができていなかった、こういう背景もあろうかと思います。そこで、成長率全体が低下した中においても大企業は概して大きな利益を上げられる、中小企業は非常に経営が苦しい、こういうような明暗が大きく分かれてきた背景でなかろうか、こう思います。 いまお述べになりましたように、もう低成長時代に入ったんだ、こういう議論が確かにあることは事実であります。昭和四十九年、五十年当時におきましても、第一次石油危機が起こりまして、その当時もやはり低成長理論というものが非常に大きな影響力を持ちまして、その当時は特にローマ・クラブなどの発言等も響きまして、そして、いや、もう資源有限時代だからゼロ成長しか期待できないんだ、こういう議論等も行われたのであります。しかしながら、当時政府でもいろいろ分析をいたしまして、ゼロ成長とか、あるいは非常に低い水準での成長でわが国が発展できるということであれば、労せずして発展できるということであれば、それはそれにこしたことはありませんが、なかなかむずかしいのではないか。人口も非常に多いし、資源もない、そういう国がそういう状態で発展するということはなかなかむずかしいのではないかということで、昭和五十一年の五月に昭和五十年代前期の五カ年計画が設定をされまして、そのときには六・三%成長をやっていこう、こういうことを決められたのであります。で、事実ほぼそれに近い成長が三、四年間実現したと思います。 現在も、第二次石油危機が起こりまして、また再び低成長議論というものが出てまいりました。特にヨーロッパ、アメリカがいまゼロ成長またはマイナス成長に年度間を通じて陥っておるものですから、特にそういう議論が強く行われておるわけでございます。ヨーロッパ、アメリカがゼロ成長ということであるならば、日本もほぼそんなことでいいのではないか、こういう議論があるわけでございます。 しかし、私どもは、ヨーロッパ、アメリカの経済の基本的な条件とわが国の経済の条件は根本的に違っておる、こう思っております。どういう点に違いがあるかといいますと、一つは物価の安定度であります。それからもう一つは失業が非常に少ないということであります。それから、物価安定、失業が少ないということを背景にいたしまして労使関係が安定をしております。それから、貯蓄率が依然として世界でずば抜けて高いということ、また、それを背景として金利水準はこれまた世界で一番低い水準にございます。それから、過去三年の間にわが国経済の国際競争力は欧米に比べまして相当強くなっております。また、防衛費による負担等も日本はきわめて小さい、こういうこともありましょう。 幾つかの条件が違いますので、ヨーロッパがゼロ成長あるいは低成長だから日本もゼロ成長、低成長でなければならぬのだ、こういう議論には私どもはなかなか同調できない。やはり日本が発展していくだけの成長は必要である、こういう考え方でございまして、日本が発展していくだけの成長とは何ぞやといいますと、それは五%前後の成長である、このように私どもは理解をしておるのでございます。 それによって雇用問題が解決をされ、貿易摩擦も起こらないようになり、それから同時に、日本の国際競争力が常に維持される、そういうような経済に持っていかなければならぬ、このように考えておるところでございまして、ゼロ成長または低成長で問題が解決できないところに日本の宿命がある、私はこのように考えておりますが、しかし、幸いに安定成長を続けるだけの力があるわけでありますから、それはやはり、わが国の発展のために、安定成長路線に日本経済を定着させるということが当面の何よりも大きな課題でなかろうか、こう思っております。
○武部委員 私は、いま財界の皆さんのことを申し上げたわけですが、いままでの財界のそれぞれの会長その他の皆さんが新聞紙上で述べておられることは、景気回復に非常に消極的だ、そのようにしかとれません。したがって、その背景は一体何だろうか。それはいま河本長官が述べられておることの五・二%、これを何としても実行したい、実現したいという意欲と全く違っている、ここは一体何だろうか、そのことについて見解を述べ、長官の考え方を聞きたかったということでございますから、いまの御答弁を一応承っておきたいと思います。 時間が大分たちましたので、もう少し景気の問題をお聞きしたかったのでございますが、特にアメリカのいまの経済政策に対するいろんな批判が出ております。お読みになったと思いますが、例のノーベル賞受賞者のサミュエルソンの日経の記事、これを見ますと、現在のレーガンの政策に対して非常に強い批判を行っております。ああいうレーガン政策がいまどういう結果を生んでおるかということが具体的にここに書いてありますし、この三菱銀行の調査特報によりましても、マネタリズムに対しての見解が出ておるのでありまして、こういう点をいろいろ私なりに長官の見解を伺ってみたかったのですが、だんだん時間がたってきまして、まだあと少し残った問題もございますので、このことは省略させて飛ばさせていただきたいと思いますが、いずれにしてもこのレーガンの減税政策というものが大変注目をされております。長官もいつかもお述べになったようですけれども、日本の景気回復のために野党は減税を要求するが、一兆円なんというそんな規模じゃとても景気回復にはならぬ。なるほどそのとおりで、五兆も六兆もあれば一番いいことなんだが、それもなかなか困難だ。そうかと言って、レーガンのようにこれまた飛び抜けて大変な減税を、三年間で六十三兆円、初年度が八兆円、二年目が二十一兆円、三年目が三十四兆円、とてもじゃないが、けたが違うのであります。財政規模が三倍で人口が二倍だというアメリカと日本とを一緒に単純には比較をできぬかもしれませんが、それにしてもこれは大変なもので、三年間で六十兆から六十五兆、七十兆も減税をするというような大ぶろしきで、いまアメリカは大変な失業が出て、インフレは二けただが、こういうようなことが日本ですぐにまねできるものでもないし、そういうことと日本の経済政策と一緒だと私は言いませんが、いずれにしても今日日本の経済が大変な状態に置かれておる、こういうことは紛れもない事実でございますから、こういう点で積極的な政策を推進することによって不況を脱却して、特に内需の拡大を図るということならば、これは、勤労者のふところがよくならなければそれにつながらぬということは長官も毎回言われているとおりでありまして、そういう意味で、これから少し賃金の問題についてお伺いをしてみたいと思います。 今度の国会で野党五党が一兆円減税を要求し、いま大蔵小委員会にこれが移っておるわけですから、このことについては触れません。賃金について長官に一言聞いておきたいことがありますのは、賃金というのは労使の話し合いによって決まることだ、こういうことを政府は常々述べてこられておるわけですが、ちょっと先ほど触れましたが、五十七年度の一人当たりの雇用所得六・九%、こういう政府の発表に対して、財界から非常に反発があった。これは先ほど述べたとおりであります。三月二十七日の日経新聞によりますと、三月の初めに河本長官が、稲山経団連会長、大槻日経連会長に手紙を送って「労働生産性の範囲内での賃上げというのが自分の当初からの考えである。ただ、労働生産性の高い製造業をベースにして話をしたために「高額ベア」と誤解された。基準をGNPに置けば財界と全く同じ数字になる―したがって自分も財界も主張に食い違いはない」こういう報道がこの新聞に出ておりますが、政府は賃金決定の基準に対しては関与しない、こう常々言っておりながら、その決定基準を示唆するようなことを財界トップに言われたということが出ておるわけですが、これは事実でございましょうか。
○河本国務大臣 その新聞記事は全くの誤報であります。
○武部委員 誤報なら結構でございますが、まことにどうも、手紙を送ったことまでも、手紙の内容までも書いてあるわけでございまして、これを読んだ者は、河本長官が手紙をこのお二人にお出しになって、そのことがずっとこういうふうに回って、財界も河本長官も同じ考え方だ、こういうふうにとれるような記事を拝見したわけでございまして、それで見解を最初に伺っておきたかったわけであります。これは誤報だということですから、それで結構であります。 そこで、五十六年度の春闘の賃上げ率は七・七、正確には弱ですが、七・七弱で終わったわけですが、実際に労働省発表の毎月勤労統計による賃金を見ますと、もう一つ総理府が出しておりますところの家計調査、これによる世帯主の定期給与というのがございますが、これを見ますと、いずれも七・七%よりもはるかに下回っております。春闘の賃上げ率というのは基準内賃金の賃上げ率でありますから、大体定期給与が賃上げ率に見合ったものであるというのが常識であります。われわれはそういうふうに理解をしてきたわけでございますが、そうなっておりません。 これを対比してみるとどういうことになるかといいますと、五十六年暦年の毎勤の平均は五・八です。七・七に対して五・八であります。総理府の家計調査の方は五・四であります。春闘の賃上げ率七・七よりもはるかに下回っておるわけです。改定された一人当たりの雇用者所得の六・二よりも下回っておる。 これをもう一つさかのぼって、五十年から順を追ってずっと見てくると、大体雇用者所得の方が賃上げ率を五十年からは上回っておったのです。それが五十五年から逆転をいたしまして、五十六年度は一・五も下回る数字になってきた。さらに、毎勤や家計調査の数字を見ますといま申し上げた数字よりももっとひどくて、五十六年には二・〇、こういうふうな大きな差が出ておるわけです。 この実態を経企庁はどのように分析しておられるのか。賃上げ率に何かトリックがある、そういうふうに思いたくなるような実態でありますが、これについてどういうふうに経企庁は分析しておられるか。 きょう冒頭から申し上げますように、五十六年度の当初のGNP見通し五・三、これが四・七になった、さらに四・一に落ちてきた。これもむずかしい。原因は個人消費の低迷だ、こういうふうに言われますが、その原因はこういう数字、春闘は七・七というのに毎勤統計やあるいは家計調査、そういうものはどんどん下回っておる。そういう実態がこういう数字の中に出ておるわけですが、それが原因で個人消費の低迷ということにつながっておりはしないのか、こういうふうに思うのですが、経済企画庁のこういう数字に対する分析はいかがでしょうか。
○河本国務大臣 先ほどの私に対する御質問、誤解のないためにもう少し敷衍して御説明しておきますが、先般、党三役と財界四団体との懇談会がございまして、その席で、私の考え方に対する大変大きな誤解等が述べられたということを聞きましたので、実は私は、一月の末にある新聞社から講演を頼まれまして、公開の講演をしたことがございます。そのときに新聞社の方でその講演をパンフレットにしておりましたので、そのパンフレットを参考のために届けさせたことはございますが、いまのお話は、何か手紙でごたごた言ったのではないかというお話でございましたから、手紙でそういうごたごたは言ったことはない、参考のためにパンフレットを届けさせたことはある、そこまで申し上げておきませんと誤解を招きますので、ちょっと申し上げておきたいと思います。 それから、なお、五十六年度の経済成長見通しの一番大きな違いは、やはり雇用者所得の伸びが非常に政府当初見通しと違っておったことだと思います。大体二%ぐらい違っておるのじゃないかと私は思っておるのですが、まだ最終の数字は出ておりません。 これは、先ほど来繰り返し御指摘がございましたように、中小企業の状態が悪くて、結局、中小企業で働いておる人たちの所得が伸びなかったというところに一番大きな原因があるわけでございまして、そこらあたりの細かい数字の分析等につきましては、政府委員から答弁をさせます。
○田中(誠)政府委員 ただいまの御指摘のとおり、五十六年度の春闘は七・七%でございます。先生よく御承知のとおり、春闘は、東証、大証一部の上場企業のうち、資本金二十億円以上、従業員千人以上の企業でありまして、労働組合のある企業ということでございます。五十六年現在で見ますと、企業数が二百八十六社というふうに限られておりまして、大変大きな企業でございます。 家計調査によりますと、規模別の勤務先別の内容が出ておりますが、これによりますと、三十人以上の規模の企業に勤めております雇用者の所得は相対的に高いのに対しまして、それ未満の企業、特に企業規模一人から四人といった企業に勤めております雇用者の所得の伸びが非常に小さいという状況にございます。したがいまして、春闘と比べますと、中小企業に勤務する雇用者の所得の定期給与の伸びが小さいという状態かと思います。
○武部委員 私はこれから賃金のことを詳しく述べたかったのですが、通産省の方に待っておってもらって気の毒ですし、はしょって進みますから、済みませんがちょっとお許しをいただきたいと思います。 いま賃金のことを申し上げたのは、これから申し上げますように、七・七ということが言われた、これは実績ですね、五十六年の実績でそうなったが、現実に手取りなんかはそうなっていないということについて、具体的に事実を言ったわけです。 さて、ことしの春闘で賃上げの問題がこれから出てくるわけですが、賃上げと減税は内需の拡大に非常に大きなプラスになる。したがって、景気回復とこれは結びつく。これは私どもの指摘でございますし、間違いのない指摘だというふうに思っております。そういう意味で賃上げの、賃金の具体的な内容を間違って把握しておればこれはとんでもないことになるわけですから、現実の姿を明らかにしたかったということでございますが、時間がなくなってきましたので、中小企業の賃金がどうなっておるか、こういう点について若干の質問をしておきたいと思います。 今度の春闘の際に、財界は生産性ということを非常に強調しております。生産性の範囲内だ、こういうことでございますが、昭和四十四年、大分昔のことでありますが、生産性基準原理、こういうことを財界が主張をいたしました。これは日経連でありますが、つまるところ、生産性の範囲内だ、上昇率の範囲内だ、こういうことですが、その生産性の中身が変わってきた。日本生産性本部が言う物的生産性あるいは大蔵省が計算するところの付加価値生産性、こういうものがあります。いま言われておることは、生産性の上昇、これを実質経済成長率から就業者の増加率を引いたもの、したがって、五十七年度は実質GNP五・二マイナス就業者増加率一・一、これを引くと四・一だ、四・一%の範囲内が賃上げ率だ、こういうことになるのです。財界の言い分はこうなるのです。一体こんなばかなことがあるでしょうか。われわれがこの四・一という数字を考えたときに、これは明らかに政府見通しのCPI、消費者物価の指数四・五よりも下回っているのです。こういう数字、さらに五十七年度の政府の一人当たり雇用者所得六・九、こういうものが出てきたから、これは高いところに引っ張っていく、そういうやり方だというのでこれに反発して、こういう生産性上昇の範囲内だという四・一、こういうことが出てきたのではないか、こういうふうにも思われます。 時間の関係ではしょりますが、もし財界が言うように、そういうようなやり方で賃上げが行われてきたとするならば、これは一体いままでの賃上げはどうだったろうか。これをずっと計算してみると、全く大変な数字になるのです。私どもの計算でございますから数字にちょっと間違いがあるかもしれませんけれども、お聞きする時間がありませんから、こっちから申し上げます。 五十一年から五年まで五年間の現実に伸び率を見ますと、生産性の伸び率は五六%、これは物的生産性であります。生産性本部の言う生産性の伸びは五六%、さらに大蔵省の言う付加価値生産性は五一・九、ほとんど大した変わりはない数字だと私は思います。自信を持って言える数字だと思います。ところが、生産性の範囲内でございますよ、それも実質成長率から就業者増加率を引いた数字でございますよと言うならば、一体どういうことになるでしょうか。これを計算してみると、半分にも足らぬのであります。二十数%にしかなりません。こんなばかげたことが一体いまごろ通用する理論でしょうか。物価の上昇率にもはるかに及ばない、具体的な賃上げの率にもはるかに及ばないような数字になってくるのです。そんなごまかしの理論をいまごろ言って賃上げを抑えようというような財界の主張は、全くのまやかし、こういうふうに言わざるを得ません。こういう点について労働省の見解、質問の通告をいたしましたから、労働省は、私がいま申し上げたような点についてどういうふうに考えておられるか。 もう一点は、中小企業の賃金です。中小企業の賃金は全くひどい状態になっておる。いま中小企業の状態を見ますと、大体三十人未満の事業所の労働者は全国で千六百二十八万人、五十三年ですから大分古い統計ですけれども、全体の労働者が三千三百七万人、実に四九・二、半分は三十人以下の事業所の労働者です。この諸君の賃金は一体どうなっておるのか、全くお話になりません。こういう実態でございまして、この実態の中で大企業と中小零細企業の賃金の格差はどんどんどんどんふえてきました。五百人以上を一〇〇として五十人とか三十人未満は六六・一、六年たった去年は何と六一・二に下がってきた、こんなに開いてきた。大企業と中小零細企業とは賃金はますます開いてきておる、こういう実態であります。こういう点について労働省はどういうふうに把握しておるか、この実態。こういう諸君の賃上げが成功してふえていかなければ、中小企業の振興やあるいは内需の拡大、消費の拡大などということはとてもじゃないがおぼつかない、このように思いますが、労働省の見解をひとつ承っておきたいと思います。
○寺園政府委員 第一点の御質問でございますが、かねてから日経連は、先生お示しの生産性基準原理という賃金についての考え方を主張しておられます。本年は特に、その生産性基準原理に基づく実質生産性上昇率の範囲内という計算の仕方を示して、日経連の考え方を主張しておられることは承知いたしておりますし、また、この考え方について反論をしておられるその反論の考え方も承知をしておるところでございます。 しかし、賃金問題は御承知のように労使の自主交渉によって決定されるべき問題でございますので、政府として、これらの賃金についての労使の考え方についてとかくの見解を申し述べるという立場にはございませんし、また差し控えるべきであるというふうに考えておるところでございます。いずれにいたしましても、従来同様、労使が国民経済的視野に立って十分な話し合いを行われて、合理的な賃金問題の解決がされることを期待しておるところでございます。 第二点の中小企業と大企業の賃金格差の問題でございますが、先生がお示しになりましたような格差が現実にあることは事実でございます。基本的には中小企業の力をつけていくということが最も基本的な解決策であろうかと思いますけれども、賃金問題について申し上げますと、地域別最賃あるいは産業別最賃というものを適時適切に改正しながら、それらの下支えをしながらやっていくというのが私どもの態度でございます。
○武部委員 それ以上のことを申し上げませんが、先ほど政府側から答弁がありましたような七・七というような数字が出てくるのは、皆労働組合員を対象にした数字でございます。いま申し上げたように、三十人以下は、ほとんど労働組合の結成がない未組織労働者でございます。したがって、そういうところに働く人たちの賃金は、いま巷間いろいろ言われておる数字にははるかに及ばない数字になっておる、しかもその格差がだんだん広がってきておる、この実態をやはり私どもは忘れてはならぬのであります。しかもその人たちの数が全勤労者の半分近い、この実態を労働省も十分わきまえて、これからの中小零細企業に働く人たちの賃金問題、いわゆる最低賃金の問題等は非常に重要なことでございますから、ぜひそういう問題で一生懸命がんばっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。 時間がたちましたのでもうやめなければいけませんが、通産省にひとつ最後にやって、終わりにします。 私は、きょうは時間がなくなったのでまた改めてやるということにして、当面問題になっておる石油業界の為替リスク対策の問題について申し上げてみたいと思います。 御承知のように、いま石油業界というのは為替変動の影響が非常に大きいところであります。他産業に比較いたしましても、そういう意味では、為替リスク対策というのは特に重要であるにかかわらず、逆にこの対策がおくれておる。おくれておるというよりも、対策に私は大きな疑問を持っておるのであります。そういう意味で、これから申し上げることを聞いておっていただいて、もうはしょりますから、通産省の見解を聞きたいのです。 現在の原油の輸入代金は一カ月約五十億ドル、これはわが国の総輸入額の約四〇%、非常に大きいものであります。御承知のように、原油の輸入は約四カ月の輸入ユーザンスをとっておりますから、その外貨の債務残高は約二百億ドル、こういう巨額であります。したがって、この巨額の中から発生するところの為替の差損益、これが石油会社の収益にもろに影響してくる。これはいままで何遍もここでやりとりしたのでこれ以上のことは申し上げません。もし円相場が一ドル一円動く、それだけで業界全体で一カ月五十億円、一年に六百億円。一円ですよ。これは通産省も認めたところであります。こういう実態であります。 最近為替相場が乱高下をいたしまして、すでに二百四十円台、大変な円安になっておりますが、一日に五円も動くようなそういうときもございました。したがって大変危険がふえつつある。ところが、石油業界のような輸入企業、特に日本の輸入の四割を扱うような企業の為替リスク、この対策はどうか。これは別に石油業界だけではありません、他の業界もそうでございますが、外貨債務の削減、これは最も重要な戦略であるということはもう間違いありませんね。それから、輸入のユーザンスをドルの借入金から円金融に切りかえればこの為替問題というのは一挙に解決する。いまドルですからそうなっているのです。しかしこれはなかなかむずかしい。二百億ドルというような莫大な金額があるわけですから、それは不可能だと言ってもいいと思います。したがって、すべてを円金融にシフトすることはまず不可能、こういうふうに思われます。 しかし、為替のリスク対策というものを怠れば石油会社というものは大打撃を受けることは間違いない。そこで、あなた方もときどき言っておられるが、財産三分法というものがある。ありますね。為替予約をどんどんどんどん比率を高めていく、そういうやり方、あるいはユーザンスのドル借入金というものを銀行の理解を求めて少しずつ円金融に切りかえていく、そういうやり方、そして為替リスクの分散を積極的に図る、これも方法ですね。 そこで、まずお伺いをしたいのは、河本長官にお伺いしたいのですが、この委員会で為替差益のことをやったことがございました。私はあなたと為替差益の問題で予算委員会でもやったことがございますが、為替差益を別途勘定に積み立てて、国民の前に、これこれしかじかの為替差益を石油会社がふところに入れた、これが一目瞭然わかるように、ちゃんと積み立ててわかるように、そういう仕組みにしたらどうだ、こういうことを私が言いましたら、長官も、それもそうだ、そういうことで肯定されて、その後、当時の田中六助通産大臣も、それも一つの方法だ、こういうことを述べられました。ですからもう大体同じような意見になっておったのですが、最近の為替相場というものは異常であります。全く異常と言っていいと思いますが、この円安の原因、それから、いま申し上げたような莫大な為替が動くわけですが、このリスク対策、こういうものについて長官はどういう見解を持っておられるだろうか、それを最初にお伺いしたい。
○河本国務大臣 現在の円安の背景は幾つかあると思いますが、やはり一番大きな問題はアメリカの金利高であろう、こう思います。最近資本の流出がどんどん続いておりまして、毎月二十億ドル以上の資本が流出する、こういう状態でございます。それからもう一つは、最近のわが国経済に対する評価だと思います。先般第三・四半期がマイナス成長になった、こういうことの評価も単純に響いておるのではないか、このように思います。それから、やはり国際情勢が影響をいたします。たとえば中東情勢など影響するわけでありますが、しかし、現時点における円安の一番大きな理由は、やはりアメリカの高金利にあると私どもは判断をしております。アメリカの高金利さえ直してもらえば、すぐ二百円ぐらいになることも可能である、こう思っております。 昭和五十三年に、電力業界とガス業界にこの円高による為替利益が非常に大規模に発生をいたしまして、大きな課題になったことがございますが、その当時以来、この為替相場に対する危険分散等についてもいろいろな工夫がございまして、企業によってずいぶん努力してその差損を回避しておるところもあるように聞いておりますし、企業によっては何らの工夫努力もしない、こういうところもあるように聞いております。為替対策というものは非常にむずかしい仕事でありますから、成功することもあれば失敗することもあろうかと思いますが、やはりもう少し為替相場に対する何らかの対応が必要ではないか、こういう感を私は深くしておるものでございます。
○武部委員 これから具体的に、現在起きておる石油業界の為替リスク対策の実態を私は申し上げて、通産省の見解を承りたいのでありますが、石油業界の為替リスク対策に対するところの行政指導の方針はどうか、これが一点です。第二点は石油業界の五十六年度の為替差損益の発生額、第三点はその処理方法、これは経営責任も含めてどういうふうに考えておるか。この三点を最初にお伺いしたい。
○鎌田説明員 まず為替リスク対策についての私どもの考え方でございますが、昨年の暮れに石油審議会にこのための特別のワーキンググループをつくっていただきまして、いろいろ御議論をいただきまして、御答申をいただいたわけでございます。その答申の結果ということになるわけでございますが、為替リスク対策については、経営の安定化を図るという観点から、基本的に積極的に取り組むべきである、こういう考え方でございます。ただ、どの程度為替リスク対策を具体的にとるかというのは、これは個々の企業の経営責任に絡む問題でございますので、各企業の自主的な判断にまたざるを得ないという感じを持っております。 それからもう一つ、為替リスク対策のうち、為替予約につきましては、日本の外為市場の大きさとの関係がございます。先ほど先生からお話がございましたように、日本の輸入の約四割は石油でございますので、一遍にその石油業界が為替予約を高めようとしますと、外為市場に相当急激なインパクトが出てまいるわけでございます。そういった意味で徐々に着実に為替予約を高めていく、こういう基本的な考え方でございます。 それから、五十六年度の為替差損益の状況でございますが、まだ五十六年度の上期の決算しか出ておりません。上期決算ベースで約二千九百億円の差損ということになっております。下期につきましては、現在各社で決算を取りまとめ中ということでございまして、発表がございませんので明らかではございませんけれども、昨年の十-十二月はある程度差益が出たと思いますが、この一―三月は逆に相当の差損が発生しておる、こういうふうに考えておる次第でございます。 この為替差損益の企業での取り扱いでございますが、企業内では経常損益の一部として経理処理される、こういうことだろうと思います。
○武部委員 いまあなたはワーキンググループの話をされましたが、私はいまこれからそのことを言うわけですが、石油審議会の石油部会小委員会の報告によると、端的に言うなら、もっと積極的にやれ、輸入金融の円金融化、為替予約、差益の内部留保など各種の対策を積極的に行え、こういうことを言っておりますね。特にこの制約のない為替予約を強調しておる、これは間違いありませんね。また財産三分法を参考にせよ、それから石油業界は他産業に比較して為替差損益率が非常に高いので積極的にやってリスクを回避せよ、こう言っていますね。確かに石油業界は、全産業のリスクが〇・一六なのに石油は二・〇四で、他の産業に比べて莫大に高いのです。 こういう点を、あなたはいまそういうことを述べたけれども、石油業界が一体やっておるだろうか、ここが問題です。石油業界はいままで何をやってきたか。ここで一々もう言いませんが、為替変動準備金あるいは円ユーザンス制度、そういうものについて積極的対策が全然見られない。これを私は指摘をしたいのです。いまあなたたちが述べられた小委員会、ワーキンググループの報告というのは最小限のぎりぎりのものだ。このぎりぎりのものさえ彼らはやろうとしない。 これはこれから申し上げますが、時間がないのですが、まず第一番に為替予約について、さっき差損が二千何百億と言われたですね、あれは後で言いましょう。為替予約、これは大変大きいのですが、この業界の為替予約状況を見ますと、高いところで一〇%、低いところで四%、三月が四%です。原油の輸入代金は五十五年で約十二兆円、さっき言ったように輸入総額の四〇%に当たります。したがって、この業界が為替リスク対策というものを積極的に行う必要は、そういう意味からは十二兆円、四割、石油審議会もそのことを述べておるわけですね。一体何ですか、四とか五とか六とかという数字は。こういうようなことを積極的にやったなんということはみじんもない、かけらも見られない、そういうふうに思うのです。一体なぜそういうふうに大きな影響を持つ為替予約に踏み切らぬのか。その原因は一体何だと見ておるのか。私が指摘しますから、これに答えてください。 それは、過去に膨大な円高差益をふところに入れた、大変な差益を入れた、これはもういまさら申し上げることはありません。したがって、今後も円が高くなる、円高期待感、そういうものが業界にあって、そして依然として踏み切れない。これが第一です。 第二は、今度は逆に、円安で差損が出て損をしても、その損は容易に価格に転嫁をして製品の値上げをやれば済む、そういうことがいままで繰り返されてきた。私は現実にそういうことを指摘をしたいのです。そういう円高でもうけるときの昔の夢が忘れられぬ、しかし円安になって損したって、それはすぐ製品転嫁だ、すぐ取り戻せる、そういうまことに安易な考え方が、今日、この為替予約に対して全くお話にならぬようなこういう対策になってしまっておる原因じゃないかというふうに思うのですが、一体通産省はどういうふうに思いますか。
○鎌田説明員 為替リスク対策の意義ということでございますが、これは結局、現在の為替レートでリスクを確定するということでございまして、原油がドル建てで売られております以上、どこかの段階で一回は円をドルにかえる必要があるわけでございますので、そういった意味で円レートの変動に伴う影響というのは基本的には受けざるを得ないわけでございます。そういった中で為替リスクをできるだけ早く確定するという意味で、経営の安定化のために為替リスク対策を積極的に講ずべきであるということは御主張のとおりでございます。 最近通産省が調べましたところでは、為替予約比率、昨年秋の五%程度から昨年末には約八%、この一月末には八・五%、徐々ではございますが着実に上昇してきている。それから予約の期間ということも非常に意味があるのでございますけれども、最近非常に長期化する傾向が見えておりまして、輸入ユーザンスの平均期間が百十日程度でございますけれども、一月末平均では予約期間が百日ということで、若干改善の跡が見られるということでございます。 私どもとしましても、基本的には、損得に絡む問題でございますので経営の責任でやっていただくわけでございますが、先ほど申し上げましたような外為市場等々に対する影響も配慮しながら、各社がそれぞれ目標を決めて、だんだん為替リスク対策を高めていく、こういったふうに誘導してまいりたいというふうに考えております。
○武部委員 先ほどあなたは、ことしの欠損はまだはっきり出ておらぬからということをおっしゃったが、これは、五十六年四月から五十七年二月まではもう実績が出て、三千三十八億の差損だ。三月、あともう一月ですよ。この為替レートがいま動いておりますから、仮に二百四十円で計算しましょう。実績二百四十円、差損八百九十五億、合計三千九百三十三億、これが一年間の石油業界の差損ですよ。約四千億の差損、こう見ていいんですよ。この四千億に対して為替予約の努力が一体どう行われたか。あなたはいま着実に数が伸びてきたなんて、何を言っておるか。四が五になって六になってきた、こんな程度で予約の実績が伸びたなんて言われないです。 さっき私は三分法ということを言ったが、仮にあの三分法をやっておれば、ちょっとほかのことも言わなければならぬが、ほかはやっているんですから、そういうことをしながら、いかにして為替のリスクを回避するかという努力をすれば、仮に三分の一の努力が成功したならば、四千億のうちの千三百億円は損をしないで済んだはずだ。それが、これは国民の負担になってしまうんですよ。そういう努力を一つもしないで安易に製品に転嫁をする、こういうやり方を私は指摘をしておるわけです。ですから、あなたの方の金額と違うけれども、これは実績だからこっちの方が正しい。大体約四千億の差損。それで千三百億円は努力によっては確実に防げたはずだ。しかしやっていない。そういうことが言えるわけです。 そこで、時間の関係で先に進みますが、いままで円高差益のときには黙ってふところに入れて、そうして、差損になるとわあわあ騒いできたのが石油業界の実態だということは何遍も言った。過去四十七年から五十五年まで九年間に、石油業界の円高差益は一兆三千億円ですよ。この九年間に円安による差損は五千億。差し引き八千億は差益として業界のふところに入っておるのですよ。そのときは黙って何も言わない。別途積み立てたらどうだと言ったって、なかなかむずかしいとか、滑った転んだとか言って、全然やらぬ。差益のときは黙っておって、差損が出ると、円安になってくるとわあわあ騒いで、そうして製品転嫁で、製品の値段を上げてくれとあなた方に対して要求をする。そうして、いままでどうですか、五十四年三月から五十五年四月までに一年間に八回も値上げをしておる。円安が最大の理由、そしてコストが上がった、OPECの値上げだと言うんで、この二つを理由にして八回も値上げをしておるのです。安易な値上げですよ。もちろん原油の値上がりを私は否定をいたしません。OPECの値上げもありました。しかし円安はどうですか、円安を理由にしておるじゃありませんか。円安でこれだけの損をしたから製品転嫁だ、製品転嫁だ、こういうことをやっておる。三年間に十一回も値上げをしておる。この事実を一体何と見るか。私が指摘をしたいのはここです。 そして、円安で損をしたというものはみんな製品転嫁で、国民の負担になっておるじゃありませんか。国民が高いガソリンや灯油やらをみんな買わされておる、こういう実態です。他産業はそれぞれ努力をして、三分法を実施したりいろいろなことをしてやっておるのですよ。一々きょうここで言いませんが、自動車や家電、これも円建て契約を進めてリスクの半分以上を回避しておる。輸入業界でも非鉄金属、こういう企業は外資ユーザンスの約半分を先物予約をやっておるのです。こうして円金融に切りかえておるじゃありませんか。財産三分法、さっきから何遍も言いましたが、繊維や紙パルプ、こういうところでもやっているじゃありませんか。例の三分法をやっておる。こういうところは現実あるのです。そうして、為替リスクは大きな影響を与えるからというのでいろいろ努力をしておるのに、石油業界だけは何もやらぬ。こういう業界ですよ。何遍もあなた方に言ったはずだ。 しかも、あの永山参考人に来てもらったときに、あの人たちは何と言ったか。私が円高差益は不労所得だと言ったら、業界の人たちは、輸入ユーザンスは別でございますよ、こう言ったんですよ。ちゃんと議事録に載っておるが、輸入ユーザンスの差益は別でございます、これが業界の姿勢なんですよ。輸入ユーザンスもみんな一緒のことだ。差益は不労所得だ、黙っておったって差益はふところに入ったものだから、それは別途積み立てて差損が出たときにそれを明らかにすることが国民に対して信頼される石油業界じゃないかと、私は何遍も言ったけれども一つもやらぬ。そうして、どんどん製品に転嫁をして値上げをしてきた。また通産省もそれを受けて、一つも行政指導もやらぬで言いなりになって、まさにおんぶにだっこだ。そういうかっこうをして、口が悪いかもしらぬが、おんぶにだっこして石油業界を甘やかしてきたから、こういうことをやっているのだ。この比率が全然伸びぬじゃないですか。さっき言った三分法をやっているあの繊維や紙パルプのつめのあかでもせんじて飲ませなさい。自動車や家電のような努力をなぜやらぬか。同じ輸入業者でも非鉄金属のようなまねがなぜできぬか。これだけたくさんのものを輸入して、二百億ドルというような莫大な外資のあれを持っておるこの業界が、知らぬ顔をしておるじゃありませんか。そうして為替相場で損をした、円安で損をした、すぐ製品に転嫁だ、これはいただけませんな。 いま私が申し上げたことに対して、通産省の見解をひとつお聞きしたいのです。
○野々内政府委員 先生いま御指摘のように、従来日本の円というものが趨勢的に高くなっておりましたから、予約をしないことによるメリットというものが存在をしたわけでして、そのために、日本経済全体としてもそれだけ原油の調達コストが安くて済んだ、メリットがあったわけです。ところが、最近の情勢はどちらかと言えば、もう趨勢的円高傾向というよりも、循環的な動向になってきたということが言えるかと思います。そのために昨年、先生御指摘の石油審議会におきまして、今後積極的に、為替ユーザンスによる差損益、こういうものが発生をしないよう、そういうことによって経営を安定化させるということが石油審議会のレポートで出されまして、そういう方向で今後石油業界が対応していくべきであるということになったわけでございまして、石油審議会のそのワーキンググループには当然石油各社の代表も入っておりまして、今後そういう方向でいくものと私ども期待いたしております。 ただ非常にむずかしいのは、いま先生御指摘のように、従来の円高差益というものがどうしても念頭にありますので、たとえばきょう現在予約をいたしますと、二百四十五円でコストが固定されてしまいます。もしこの後四カ月後の決済の段階で為替が二百二十円になっておったら値上げをしなくて済んだのに、という問題が発生するわけです。しかしそのときあるいは二百六十円になっておるかもしれぬ、したがってもう先がどうなるかということを考えないで、いますぐ予約したらどうかというのが、経営安定のためにいいかと思います。 ただ、直ちに一斉に予約をいたしますと、実は為替相場に非常に大きな変動があります。日銀筋の話を聞いてみましても、ちょっと円高になるとすぐ石油会社が予約を入れてくる、それが円安傾向に引っ張るんだという話も日銀の方から聞いておりますが、なかなかいろいろな問題がございます。しかし、もう循環的な為替変動というような傾向が確定をいたしておりますので、今後ともそういう為替対策という方向にいくであろうというふうに私ども思っております。
○武部委員 時間が来ましたから終わりますが、私は、今回製品価格の値上げをあなた方が認めたことについて、納得できないのです。いま石油はだぶついて、OPECの価格だって二十八ドル台でしょう。二十五ドルなんというところもあるんだから。そしてスポットだってどんどん下がっておる。こういうときに何で製品の値上げをするか。ましてや、シーリングは先に延ばしたと言われるが、これは納得できない。絶対納得できないですよ。シーリングを外すなと言ったら、あなたの方は、いまのところ外しておらぬからいいようなものの、どうも腹は外そうと考えておるに違いない。そういうことは納得できないのです。 ですから私は、きょうは時間がなくてまことに残念だが、いま言ったように確かにむずかしいことかもしらぬ、しかしよその企業もやっているのだからね、一番大きな業界の石油業界が手をこまねいているというのは認められませんよ、いろいろな方法があるんだから。その努力をやった形跡があるならいいですよ。何もやっておらぬじゃないですか。そして、とにかく円安になったらすぐあなた方のところに駆け込んで製品の値上げ、これではさっきも言ったようにおんぶにだっこですよ。それは認められない。だから、最後に、この点についてあなた方ももっと真剣に石油業界の行政指導を、ほかの方ではいっぱいやっているところがあるんだから、ほかの方でいっぱいやっているのに、何でこれだけできぬのか、私はその点が非常に不可解だということを申し上げて、時間が来ましたから終わります。
○井上(泉)委員長代理 この際、休憩いたします。 午後一時五十三分休憩 ――――◇――――― 午後二時三十二分開議
○武部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。長田武士君。
○長田委員 まず初めに、国鉄運賃値上げの問題についてお尋ねをいたします。 運輸審議会は、去る六日に、小坂運輸大臣にあてまして平均六・一%の値上げの答申をいたしております。このことを受けまして、運輸大臣は、九日の物価問題関係閣僚会議の了承を得たいという意向のようであります。そうなりますと、長官も御存じのとおりもう五年連続の大幅な値上げであります。この五年間は五三%にも達する異常な値上げでございます。俗に、カラスが鳴かない日はあっても国鉄問題が話題に上らない日はないと言われるほど、国鉄問題は非常に関心を買っておりまして、特に国民の関心はいら立ちと申しますか、国鉄に対する不信というのは非常に強くなっております。再建計画も、最近においては、運賃値上げの緩和の問題だとかローカル線の問題、さらには一般会計からの繰り入れ、こういうことをやったわけでありますけれども、年間一兆円にもなんなんとする赤字を抱えております。五十七年には恐らく一兆四千億円前後の赤字を生み出すだろうというような状況であります。 そこで、経企庁長官は、物価問題関係閣僚会議の中心メンバーでございますから、この了承を得たいということでありますけれども、どういう態度をとられる予定でしょう。
○河本国務大臣 国鉄運賃の問題につきましては、あす物価問題関係閣僚会議を開きまして、そこで相談をすることになっております。
○長田委員 相談は当然受けると思うのでありますけれども、長官としてはこの五年連続の値上げに対してどういう対応をされるのか、あした考えるというんじゃなくて、もうすでに考えも決まっていらっしゃると思いますから、お答えをいただきたいと思います。
○河本国務大臣 あした最終的には値上げを認める、こういうことになろうかと思いますが、実際私どももこれは頭の痛い問題でございまして、毎年毎年値上げをしましてその都度お客さんが減っていく、こういう状態でございまして、やはりだれかがどこかで徹底的にメスを入れるということが必要である、こういうことを痛感をしております。
○長田委員 私は、特に現場の実態調査というのにも行ったわけでありますけれども、基本的にはやはり労使の癒着の問題を正さないと国鉄の再建はできないんじゃないかと思いますが、長官の御意見はどうですか。
○河本国務大臣 御案内のように毎年国鉄監査委員会から報告が出されておりますが、その要旨は第一に合理化を徹底しなさい、第二はサービスをもっとよくしなさい、第三は規律をもっと正しなさい、こういうことを中心とする監査委員会の報告が毎年出ているわけでありますが、同じ報告が毎年繰り返してずっと出ておるということは、合理化ができていない、サービスがよくない、それから規律が乱れておるということだと思います。ただ、私どもが大変遺憾に思いますのは、毎年ずっと同じことが指摘されておる、ここに問題があるように思います。
○長田委員 次に、きょうは私は景気動向に関する問題をいろいろお尋ねをしたいのですが、その前にもう一つ、グリーンカードの問題で、自民党の総務会あるいは役員会で三年延長を決めたということが伝わっておりますけれども、これは不公正税制の是正をやろうということで五十九年一月から実施しようということで、法案はすでに通っているわけであります。これに対して長官はどういうお考えでしょうか。
○河本国務大臣 グリーンカードの問題についてどういう決定になっておるのか、実は私はそこまでは聞いていないのです。何とかしなければならぬという議論が出たように聞いておりますけれども、三年延長するとか五年延長するとかということが正式に決まった、そこまでは聞いておりません。
○長田委員 長官の個人の意見としてはどうなんでしょうか。
○河本国務大臣 結局、このグリーンカードの問題で一番大きな点は、これによって資金の流れがどのように変わってくるのか、貯蓄率がどのように変わってくるのか、そういう点にあるのではなかろうかと思います。(「賛成か反対か」と呼ぶ者あり)
○長田委員 それまでは詰めないことにします。 それでは、六日の発言だと思いますけれども、歳入欠陥が恐らく数%出るのじゃないか、このように大蔵大臣は答弁されておるようであります。そうなりますと大体一兆五、六千億の歳入欠陥である、こういうことでございますね。先ほど同僚議員からもその問題についてはいろいろ質問がありました。五十七年度の歳入も五十六年度の税収をベースとして立てたわけで、そうなりますと、五十六年度の歳入欠陥というのは一つのベースになっておりますから、五十七年に及ぼす影響というのも非常に大きいと言わざるを得ません。 そこで、この五十六年度の問題についてはすでに補正予算で四千五百億円減額修正がなされておりまして、三十一兆八千三百億円が目標となっておるわけであります。これが五%になりますと、先ほど申し上げました大体一兆六千億、それ以上落ち込むのではないか、このようなことが言われておるわけであります。こうした問題について長官はどのように見ていらっしゃるのでしょうか。
○河本国務大臣 大蔵省から二月の税収がきょう発表されるそうでありますが、それによりますと計画よりも八・五%下回っておるということでありますから、もしそのままの数字で推移しますと二兆二、三千億足りない、こういうことにもなるわけでありますが、まだ未確定要素等も二、三あるようでありますから、そのとおりになるのかあるいはもっと改善されるのか、そこはわかりませんけれども、しかし税収は計画どおりどうも確保されるということは大変むずかしい、こういう状態でなかろうかと思います。
○長田委員 次に、景気動向に関連いたしまして、土地宅地政策についてお尋ねをいたします。 五十七年度の経済成長率は五・二%を予定されておるわけであります。その柱となるのは何といいましても内需拡大ということであります。これまで何回となく私たちは内需拡大については論議をしてまいりました。政府といたしましても五十七年の住宅建設百三十万戸が内需拡大の大きな柱になっておるわけでありますが、現実にはこの達成は相当厳しいだろう、そう甘いものではないだろうという感じを私は強く持ちます。この点、長官、どうでしょう。
○河本国務大臣 御案内のように、五十五年度は前年に比べて約二割ほど落ち込みまして、それから五十六年度はさらにまた五十五年から二、三%も落ち込む、こういう状態でございまして、住宅建設は非常に不振の状態であるということでありますが、五十七年度は幾つかの積極的な対策を盛り込んでおります。住宅金融対策、それから宅地の供給がふえますような幾つかの対策、それから中古住宅対策、いろいろ対策を織り込んでおりまして、その幾つかの対策が力になりまして、ある程度の住宅投資の転換が行われるのではないか、よい方向に向かうのではないかと私どもは思っております。 しかし、何と申しましても一番の根本は、一体所得がどれだけ伸びるのか、住宅価格が一体どうなるのか、こういうことが一番の根本でございますから、もう少し様子を見なければならぬと思います。 ただ、住宅投資が計画どおり拡大をしてくれると大変いいのですけれども、どうも拡大をしないということになりますと何らかの対応を考えていかなければならぬと思っております。もう少し様子を見たいと思います。
○長田委員 五十六年度はどのぐらいを見込んでおりますか。
○北島説明員 五十六年度の新設住宅着工戸数でございますが、二月までの累計で百四万戸、前年度同期に比べて七万戸ほど落ちております。したがいまして、あと三月の分だけでございますから、昨年百二十一万戸強でございますので、百十四万戸前後になるのではないかというふうに考えております。
○長田委員 次に、建設省にお尋ねをいたします。 第四期住宅建設五カ年計画では、昭和五十六年から昭和六十年で七百七十万戸ですね。これは年間平均で申し上げますと百五十四万戸になります。五十六年度はいま御答弁がありましたとおり百十四万、五十七年度が百三十万戸できたと仮定をいたしましても、五十八年度以降は年平均百七十五万戸以上の建設がどうしても必要になってまいります。そうなりますとこの目標自体、五カ年計画でありますけれども、二年目を迎えてもうこの計画は破綻しているのじゃないかと私は思いますが、どうでしょう。
○北島説明員 第四期五カ年計画の建設戸数は七百七十万戸でございますが、これを着工統計ベースに戻しますと、大体百四十五万戸毎年つくれば五カ年計画ベースで言うところの七百七十万戸達成できるというふうに考えております。 いまお話しのように、五十六年度にかなり住宅建設は落ち込みまして、初年度から非常に苦しい状況にあろうかと思っておりますが、先ほど企画庁長官の方からお話がございましたように、五十七年度にかなり思い切った対策を講ずる、あるいは経済全体が上向きになってくるということであれば、第四期五カ年計画で考えておりますところの水準には回復するのではないか、このように考えております。
○長田委員 住宅建設の状況を見てまいりますと、五十五年に百二十一万戸、そしてことし予想されますのが百十四万戸、こういうふうに現実にえらく落ち込んでいるわけであります。住宅着工戸数は二年連続して非常に低水準で推移しているわけです。こうした住宅着工戸数の停滞はどこに原因があるというふうに考えておりますか。
○北島説明員 最近における住宅建設着工戸数の動きを見ますと、昭和五十一年以降五十四年までの間はおおむね百五十万戸前後で推移してきておりまして、先ほど申しましたように、百四十五万戸という第四期の計画が高水準であったとはわれわれとしては決して考えておりません。したがいまして、何らかの要因があって五十五年、五十六年度の戸数が落ち込んだ、このように考えておるわけでございますが、一応要因といたしましては、昭和五十四年度の後半にありました第二次石油ショックを契機といたしました住宅建設費の高騰、それから五十四年から五十五年にかけましての地価の高騰、これらによりまして住宅価格が高騰した。一方、住宅ローンの金利がこの時期におきましてかなり高い水準になった、あるいはそれに加えまして実質所得が伸び悩んだということで、いわゆる住宅価格と住宅取得能力の間に開きが出た、これが原因であろう。五十六年度に入りましてからは、地価なり工事費なりローンなりというものはかなりいい方向に向かったのでございますが、所得の方が依然伸び悩んでおる、これがまた回復しない原因ではなかろうか、かように考えておる次第であります。
○長田委員 最近における住宅不況は、マンションや分譲住宅の売れ残り、在庫が非常に多いのですね。こういうことを見ても鮮明になっておるわけであります。昨年末の時点では、首都圏では売れ残りのマンションが約一万九千戸と言われております。これは全国で考えますと恐らく十万戸を超えているだろうということですね。 そこで、現状においての在庫はどのぐらいあるんでしょう。
○北島説明員 分譲住宅全体についての全国ベースのものはございませんが、マンションについてだけ申し上げますと、これは民間機関の調査でございますが、五十六年末で首都圏では一万九千戸、いま先生のおっしゃった数字でございますが、近畿圏では一万二千戸、全国で四万戸程度ということに相なっております。ただ、これは売り出しておる戸数でございまして、実際に完成してまだ売れてないといいますのは全体の四割程度ということでございまして、首都圏で申しますと一万九千戸のうち七千七百月程度が完成して売れていない、こういう状況でございます。
○長田委員 このような在庫を抱えておりまして、さらにこれから五十七年度は百三十万戸建設をする、こういうことですね。そのためには相当の需要が出てこなければならぬと思います。そういう意味で需要面における見通し、さらに対策、どうされるんでしょう。
○北島説明員 マンションの需要でございますが、先ほど売れ残っておると申し上げましたけれども、実は、全売却戸数と申しますか売れた戸数は、これは首都圏だけで申し上げますと、五十五年四万二千戸に対しまして五十六年四万六千戸でございまして、五十五年よりも売れた戸数は多いわけでございます。しかし、その供給の方もかなり大幅な供給がなされておるわけでございまして、それがいわば供給過剰という、一時的なことかもしれませんが、在庫といいますかをふやしているというふうに考えておるわけでございます。そういうことで、マンションの需要自体はかなり根強いということで考えております。 なおその対策、全体としてマンションも含めましての対策でございますが、五十七年度の予算におきまして、住宅金融公庫の貸付限度額の引き上げ等々の対策を講じておるところでございます。
○長田委員 住宅問題で一番ネックになっておりますのは御案内のとおり地価の上昇であります。国土庁が四月一日に発表いたしました公示価格によりますと、全国平均では七・四%の上昇、中でも宅地は八・三%の上昇であります。これは消費者物価指数の四・九%、それから一年ものの定期預金の金利が五・七五ですから、これをかなり上回っておるわけであります。こうしたことから、庶民の住宅への夢はますます遠のいておるというのが実感だろうと私は思います。しかも、住宅建設が依然として停滞しておりますし、逆に地価は着実に上昇しておる、こういうことになっております。こうした現状をどのように見ておられるのか。また、今後における地価の見通しについてはどうなんでしょう。
○福本説明員 ことしの発表いたしました地価公示によりますと、先生が先ほど御指摘のとおり、昨年一年間で全国で七・四%の上昇となっておるわけでございます。ただ、これを過去と比べてみますと、昨年の地価公示の変動率は九・六%ということでございますし、一昨年の地価公示の変動率は一〇%ということで、このところ二年ほど鈍化傾向が続いておるということでございます。 そういうことで、今後の地価の動向といたしましては、現在の日本経済の状況とか住宅建設の動きなどから見まして、大幅な上昇がなく、現在のような状況が当面続くというように見ております。
○長田委員 この地価の公示価格、この制度については昭和四十四年以来規模が拡大されたにもかかわらず、実際の取引価格ではこれが正確に反映されてないというのが実情ですね。つまり、適正な価格形成に寄与しなければならない制度なんですけれども、趣旨が全く見失われておると言っても過言ではないと私は思うのです。 そこで、公示価格が本来の機能を果たすようにすべきだと私は考えるのですが、この点どうでしょうか。
○福本説明員 公示価格と実勢価格との問題でございますが、その前にちょっと説明いたしますと、公示価格と申しますのは、土地のいわゆる正常な価格ということでございまして、いわば売り手にも買い手にも偏らない客観的な市場価値をあらわしたものであるということでございます。一方、実勢価格と申しますのは、実際の土地取引において成立する取引価格とか、あるいは不動産業者の店頭表示価格などというものでございまして、正常な公示価格とは本来性格を異にするものであるわけでございます。 したがいまして、いわゆる実勢価格が公示価格を上回っているということが直ちに御指摘のような問題にはならないんではないかと思うわけでございます。しかし、公示価格というものも実際の取引の事例から出しました比準価格、特別な事情などを除いた比準価格というものを判定の基礎の一つにするものでございますので、その両者の間にはバランスが必要であるということになるわけですが、そういう目から見ますと、一部の標準地について必ずしも均衡が保たれていると言えない場合もあるわけでございます。 そういうことで、今回の地価公示につきましては、それとは別に、昨年の七月に、地価公示の問題でいろいろ問題があるということで、土地鑑定委員会の中に地価公示制度調査小委員会というものを置きましていろいろ検討を進めまして、その中間報告というものが昨年七月に出されたわけでございますが、これによりますと、標準地の選定の見直しをやろうということで、限られた標準地の一層の活用とか重点的な配分などを図るというようなことから、標準地の選定がえを行ったわけでございます。そうした場合に、比準価格と公示価格との間に均衡を著しく欠いているというような標準地につきましては、その選定がえの際に両者の均衡を保つよう適正な価格の把握に努めたところでございまして、今後そういうことでやっていきたいと考えております。
○長田委員 政府は、五十七年度の経済運営の中で百三十万戸の住宅建設、景気浮揚対策の上においても相当期待しているわけであります。住宅金融公庫などのてこ入れとか、何回となくいままできめ細かな施策をされておるようであります。たとえば公庫融資に対する十万戸の追加募集、二十万円の割り増しの貸し付けなどが現実に施策として行われております。しかし、五十二年には住宅着工戸数、この伸びは全然なかった。以来徐々に住宅着工戸数は低下し、五十五年度にはさらに落ち込んでいるんですね。 こうしたことを考えてまいりますと、住宅政策を景気対策としてとらえることが果たして妥当なのかどうなのか、ここらは私たちは疑問を持っております。本来の住宅政策の目的がそのためにゆがめられるんじゃないか、そういう心配もするのですが、その点どうでしょうか。
○北島説明員 住宅政策の目的は、言うまでもなく国民の居住水準の適確な向上にあるわけでございます。一方、住宅建設はそれ以外に、GNPの六%ないし七%を占めるかなり大きな需要というものを形成しておるわけでございます。したがいまして、国民の居住水準の向上を図りながら、かつ、経済の適確な運営にも役立つということは、住宅政策にとっても決してマイナスにはならない、かように考えております。
○長田委員 私が言っているのは、やはり世帯の構成とか人口の移動とかいろいろ事情があるのですけれども、最近はマンションとか一戸住宅ですね、これは売れ行きが非常に悪い。実際問題、建設業界では三千万円以上はちょっと手が出ないだろう、そういうようなことで三千万円以下の物件に非常に集中をしているようであります。そういう点を考えますと、やはり景気の低迷、あるいは各世帯においては余裕がない、ローンも払えない。実際問題、ローンを途中で解約して家を売りに出すなんというケースもずいぶんあるのですね。 そういう点など考えますと、私は、住宅政策百三十万戸、これは結構です。しかも景気の柱としては住宅産業というのはすそ野が非常に広い、この点私もよく理解するのです。理解するのですけれども、住宅というのは需要と供給との関係ですから、やはり本来住宅を求めているそういう環境の中に住宅が建つということが一番望ましいのでありまして、通勤がもう二時間も三時間もかかるなんということになったんでは、幾ら住宅がよくても、これはうまく需要にマッチしないということになります。 最近婚姻率も件数が非常に低水準を記録しているようですね。あるいは、さらには成人率も非常に少ない。そういう点で、私はいままでのペースでただ住宅住宅というような、そういう感覚ではちょっとどうかなという疑問を持ったから、そういう質問をしたのです。どうですか。
○北島説明員 住宅建設の戸数でございますが、おっしゃるように、昭和四十七年、八年には百八十万戸とかあるいは百七十万戸という大きな数字を記録をしたわけでございます。その前はほとんど一本調子といいますか、そういうことでずっと上昇してきたわけでございますが、五十年代になってだんだん安定してきておるということで、これからの住宅建設の着工戸数の動きを見通した場合、少なくとも四十七、八年のような、四十年代の前半のような動きを示すということはないだろう、全体的に安定したものになっていくだろうというように考えておるわけでございます。 なお、婚姻件数が落ちたとか、あるいは出生率が落ちるとかというようなことは、非常に長期的にはいろいろ影響が出てくると思います。しかし、短期的に二十万とか三十万とかという影響ではない、落ちるとかそういうものには働かないというふうに考えております。したがいまして、長期的にはある程度数字としましては落ちていくということは否定できないだろうと思いますけれども、五十五年あるいは五十六年度の水準というものが適正とは、適正といいますかあたりまえの水準とはわれわれ考えていない、こういうことであります。
○長田委員 私は住宅金融公庫の融資、これも結構ですけれども、経済の先行き見通しとか生活が非常に重荷になる、そういう点では、なかなか住宅建設には手が出ないというのが実情だろうと思いますね。 そこで、私は、土地問題とかさらには住宅価格、これは引き下げるのは相当困難な問題だろうと思いますよ。思いますけれども、そういう引き下げるための基本的な政策を放置しておいて、ただ住宅金融公庫の拡充をするというようなことになりますと、私はこれは住宅政策としても思うように進まないだろう、そういう感じを持つわけであります。それでなくても、住宅ローンの返済の世帯を増加させ、ひいてはそういう人たちの生活をますます苦しめるというような結果になりかねないのですね。 ちなみに、五十六年度の家計調査報告によりますと、勤労世帯に占める住宅ローンの返済世帯の割合は年々ふえ続けておりまして、二四・九%を示しております。これは四世帯のうちに一世帯が住宅ローンを返済しておる勘定になるわけですね。返済額が可処分所得に占める割合も一三・一%というふうにふえているのですね。そうなりますと、ローン返済世帯は今後ますます増加の傾向というのは強まるだろうと私は思います。こうした結果、可処分所得や消費者構造に変化をもたらし、消費の低迷をさらに招く、私はそういう感じを持つのですが、どうでしょうか。
○北島説明員 現在の住宅建設の落ち込みと申しますのは、先ほど申しましたように、住宅価格と住宅取得能力の間に開きがあるということでございます。そうしますと、住宅価格を下げるかあるいは住宅取得能力の方を上げるか、これによって縮める以外ないわけでございますが、先生御指摘のように、住宅価格を引き下げるというのは、物理的に下げるのはかなりむずかしい。したがいまして、最も期待すべきものは実質所得の回復、あるいはその向上でございます。そういったベースの上に立って、住宅金融公庫あるいは厚生年金の還元融資あるいは財形融資等々の充実によって住宅取得能力の向上を補完する、これが政府のできる道であろうというふうに考えております。そのような線に沿って五十七年度取得能力の向上の補完をした、こういうことでございます。 そして、これは政府全体の見通しでございますが、五十七年度も後半には景気も回復するし、実質所得も回復していく、こういうことで住宅建設も回復が期待される、このように考えておるところでございます。
○長田委員 百三十万戸の住宅建設のために、公庫の改革とか改善あるいは税制改正、きめ細かくやっておるわけでありますけれども、実際問題需要がどこまで伸びるかということが大きなポイントだろうと思います。需要はあるのでしょうけれども、実際買うことができない、求めることができないというのが実情だろうと思います。これは当然取得能力の問題もありますけれども、持ち家に対する考え方あるいは住宅事情というのが変化しているのじゃないかという感じを私は持つのですね。と申しますのは、たとえば政府が推進してまいりました持ち家政策、これも非常に進んでまいりまして、現在では六〇%を超えておる状況ですね。こうした数字から見てまいりましても、政府がこれまでとられた持ち家重点主義について内容を検討された方がいいんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
○北島説明員 国民の皆様の住宅に対する選好の状況を見ますと、若いときに借家に入り、ある程度の年齢に達すると持ち家を持つ、こういうことでございます。ちなみに、五十歳を超えた方の持ち家率は八〇%を超えておる、こういう状況でございます。したがいまして、政府といたしましては、国民のライフサイクルに応じて適切な住宅を確保できるようにするということを目的に住宅政策を進めてきておるところでございまして、持ち家優先とか借家優先とかいう、そういう片一方に偏った政策はしてないつもりでございます。
○長田委員 住宅問題の論議といたしましては、いつも新規住宅着工戸数、そしてこれは景気云々の話になってくるわけですね。しかし私は、住宅市場はかつての十年前と比べまして大きく変化しておるだろうと思います。と申しますのは、新規着工の住宅市場以外でも、中古住宅市場や改増築修繕市場といいますか、こういう市場あるいは土地の購入市場などがあるわけであります。そこで、中古住宅市場や修繕や改築などの市場、現状はどうなっておるのか。また、今後中古住宅市場についての整備はどのようにされるのか。この点はどういうふうにお考えでしょうか。
○伊藤説明員 御説明申し上げます。 最初に増築の話でございます。統計的には住宅統計調査、これは住宅に関します国勢調査的な調査で、五年置きに行われていまして、五十三年が一番新しいわけですが、それによりますと、四十九年から五十三年の間に増築されました戸数は二百三十六万戸ほどでございます。したがいまして、この期間で割りますと年間五十万戸程度ということになります。四十八年当時の持ち家の戸数が千七百万戸ほどございますから、大体一四%ということですから八戸に一戸ぐらいが持ち家のうちで増築される、こういうことです。そして、増築されます広さは平均十二畳ということですから、平均としても相当大きいということです。五十三年現在で持ち家の戸数が千九百四十万戸ほどございますから、市場としましては、いま現在大体六十万戸ぐらいの増築の市場があるというふうに考えます。これは住調ベースといいますか、住宅統計調査で言っております増築という概念で見た場合でございまして、着工統計では、一戸と勘定されますような増築の場合には着工統計、先ほど来議論になっていますような、百二十万戸とか百三十万戸と言っておりますような戸数の中にも増築的なものが入っております。着工統計では一戸に勘定しないような増改築といいますか、そういうものとして統計ができ上がっておりますが、それで見ますと、五十六年はまだちょっと年報が出ておりませんのでわかりませんが、たとえば五十五年度住宅の新設着工としては、落ちた場合でも五十五年の場合二十一万四千戸ということでございまして、前の五十四年度が同じように二十一万四千戸でございますから、つまり着工戸数は落ちても増築のペースというのは、土地はすでに持っておりますし、建築資材あるいは労務が下がるといったような、いわば建築工事費が下がるような段階を迎えますと相当拡大する、あるいは現状を維持するというような傾向があるんじゃないかと思っております。 それから中古市場の量でございますが、先生が御指摘になりましたのは、持ち家を、つまり自分の持っておりました家を売りまして、そしてまた新しい家を買うという場合の最初の行為として中古を売る、こういうふうにお考えいただけるのかと思いますが、流通市場としては、そのほかに、賃貸住宅で前に住んでおった人が出まして新しく入居者を迎えるというのも、流通市場の中に入ってまいります。この流通市場の場合には、賃貸住宅の場合には新設住宅が三十万戸あるいは四十万戸程度ございますけれども、古いといいますか、新設しない、中古の借家に新しく入る人たちも加えますと、大体百万戸ペースで年間需要があるということです。 それから、持ち家の売買でございますが、これにつきましては、五十三年の住宅統計調査で初めて、中古を買って自分の持ち家にしておる人という調査項目ができまして、やっと全体の姿がわかるようになったわけでございますが、この場合も、木造の中古を買いましてそれをすぐ壊してしまって建てかえる、こうなりますと新築になってしまいますし、増築をしますと増築になります。ですから、統計上中古と出てきたのは、完全にもとの姿のほとんどそのままを使って住んでおるという戸数になろうかと思いますが、それで見ますと、五十三年で約十五万戸となっております。このほかに、所有権の移転登記の関係で、売買で建物が取引された件数はどのくらいあるかというのが登記関係の統計でわかります。これが五十五年度まで実績が上がっておりますので、これと住宅統計調査の数字との関連で最近の持ち家の中古市場の量をはじいてみますと、十七、八万戸程度に伸びておるのじゃないかというふうに考えます。 先生が最後に御指摘になりました、今後、中古流通市場の整備についてどう考えるのかというお話でございますが、住宅政策の観点からしますと、先ほど政策課長が申しましたように、やはりライフステージに応じて、あるいは転勤とかなんとか住居を移さなければいかぬ場合もあるわけでございまして、そういった消費者の需要に的確に対応することが非常に重要だろうと思っています。その場合に、消費者側にはその住宅の質あるいは住宅の価格が非常にわかりやすくなる、どういった住宅が売りに出ているかということもわかるようにするというような施策が非常に重要だろうと思います。 それから、中古住宅を取得しても、新しい住宅を建てた場合と同じような税制上の恩典がある、あるいは金融上の措置もあるというようなことが重要だろうと思っておりまして、中古住宅の減税関係につきましては、ここ数年、毎年のように大蔵当局を煩わせましてだんだんと改善をしてまいりまして、ほぼ新築住宅と同じ水準の減税をいただいております。 それから、中古の金融でございますけれども、民間金融機関でも中古は相当前から扱っておりますが、次第に拡充されておりますし、金融公庫につきましても、これはマンションだけでございますけれども、毎年度改善を行っております。五十七年度は、現在国会で法案を審議いただいておりますが、それが成立しますれば当初の十年間は六・五、いままでよりも一%金利が下がるということで、新しい金融制度ができ上がるものと思っております。 それから市場関係でございますが、先ほど消費者の便に非常にいいようにと申し上げましたが、不動産流通近代化センターという機関が中央でできまして、宅建業の中小企業関係が協業化をいたしまして、顧客サービスをするという場合には、金融の問題でありますとか指導をするというようなセンターもできております。 それから、全国でいま三十三都道府県におきまして新しい流通機構がつくられておりまして、これは中小の宅建業者が集まりまして、共同の中古住宅の情報を消費者の皆さん方に知らせるようにするという機構ができ上がりつつございます。今後この機構がもっとふえると思いますし、住宅のそういう市場の圏域ごとに、消費者も安心して店頭でいろいろな住宅が選択できるような形のものがおいおいと普及していくのではないかと考えておりますし、建設省としましても、そういうものを的確に指導していきたい、こういうふうに考えております。
○長田委員 現行の住宅金融公庫の貸し付けにつきましては、非常に条件が厳しいのですね。土地を取得していなければいけないとか、あるいは中古住宅においても限定しておる、条件つきのマンションですね、それしか融資を受けられないという実情なんです。そういう意味では、住宅政策の上からいっても、これだけの枠ですとちょっと現代の需要にはマッチしないのじゃないか、そういうふうに考えるのです。 たとえばいま中古住宅の話が出ましたけれども、特に修繕あるいは改築、これは一戸当たりの修繕費は年間平均で大体十万円と言われておるわけであります。こうした修繕に対する施策を考えますと、私は景気対策にも大きな力になるのじゃないかと思いますが、この点どうでしょうか。
○伊藤説明員 先ほど申しました増改築、増築も改築も修繕の大きい形のものでございますが、金融公庫で住宅改良資金というのがございます。これは先生いまおっしゃいましたような修繕にも使えますし、それから、先ほど私が申し上げましたような増築あるいは改築にも使えるというものでございます。そういった資金を用意いたしておりますが、やはり需要としては、家が狭いということで増改築とあわせて修繕をするというような建て増し修繕とか、模様がえとかいうふうなものが重なってくるというのが非常に多いようでございまして、改良工事の場合には、七割方が修繕プラスそういった実質面積増的につながるものになっておるようでございます。 したがいまして、すでにでき上がりました住宅ストックを、快適な状態のままでできるだけ耐用年数間有効に使うということも、住宅政策上非常に重要なことでございまして、そういったでき上がった住宅を維持していくということのために、この改良資金等を御活用いただいて、りっぱないい維持管理の状況に持たせるということが非常に重要だと考えております。
○長田委員 つまり、新規住宅の建設の不振が住宅不況につながっており、これが景気低迷の要因であるというような単純な論議で、景気対策を云々することはできないと思います。 そこで、政府が景気対策に本腰を入れるのならば、こうした中古住宅市場や増改築の市場、こういう点にもっともっと整備拡充すべきであろう、そのように考えております。どうかひとつ、細かい施策をやっていただきたいと思っております。 次に、石油価格の問題についてお尋ねをいたします。 長官、石油問題について、現在、世界的な原油の供給過剰並びにこれに伴う原油価格の低迷傾向が見られるわけでありますが、こうした石油情勢をどのように見ておられるのか。また、国内価格への影響について、長官の御意見をいただきたいと思います。
○河本国務大臣 いま石油の需給関係は小康状態だと思います。このような小康状態がしばらくは続くのではないかと思いますが、ただ、中東情勢が非常に不安定でありまして、微妙な状況が続いておりますので、いつ現在のような小康状態が覆されて第三次石油危機が起こらないとも限らない、そういう危険性も強く言われているのでございます。したがいまして、私どもといたしましては、この現状に安んずることはできない、いつ第三次石油危機が起こっても大丈夫だ、こういう対応を常にしておかなければならぬ、こう思っております。 そこで、さしあたっての石油価格の問題でありますが、ドル建ての海外の石油価格は下がってはおりますけれども、これは特にスポットなどは三割も下がっておるのですけれども、一方で非常に円安になっておるということでありますから、少々ドル建て価格が海外で下がりましても、円安になりますと、むしろ国内ではコストが高くなる、こういうむずかしい問題があるわけでございます。 そこで、国内の石油価格を一体どのようにしたらよいかということについて、通産省でもいろいろ御苦労しておられると思いますが、この点につきましては、通産省からお答えがある方が適当かと思います。
○野々内政府委員 いま長官の御説明がございましたけれども、国際的には非常に緩んでいる、しかし、国内的には円が安くなるということでコストが高くなるという、非常にわかりにくい情勢になっておるわけですが、現在のように為替が非常に変動する過程におきましても、なるべくなら国内の価格については安定的に推移するということが好ましいというふうに感じておりますが、いかんせん調達コスト自体が上昇いたしておりますので、こういうものが適正に市場メカニズムを通じて国内の市況に反映していく、そういう形でいくのが好ましいのではないかと思います。しかし、基本的にはできるだけ国内の石油製品価格というものは安定的に推移することが望ましいというのが、私どもの基本的な希望でございます。
○長田委員 今日におきます石油業界の円安による赤字、膨大な金額のようであります。大体どのくらい見込んでいらっしゃいますか。
○鎌田説明員 石油業界全体の決算でございますが、昨年九月に中間決算で約四千七百億円の赤字でございます。この三月末の本決算はこれから出てまいるわけでございますけれども、最近のこういう状況でございますので、三月末決算においても相当悪い決算内容になるのじゃないかというふうに一応考えておる次第でございます。
○長田委員 このような変動相場制ですから当然リスクも出てくるわけですね。そこで石油審議会では、為替予約などの為替リスク回避策を講ずるように答申されていますね。そこで、現在における為替予約の実施状況はどういうふうになっておりますか。
○鎌田説明員 最近通産省が調べましたところでは、特に為替の予約でございますが、この予約の比率が、昨年の秋は大体五%程度でございましたが、昨年末で八%、それから本年一月末で八・五%ということで、徐々ではございますが上昇してきているということがございます。 それから、予約の中身でございますが、特に予約の期間でございますが、これもだんだん長期化する傾向がございまして、本年一月末の平均でございますと約百日ということでございまして、輸入ユーザンスの期間が平均いたしますと百十日程度でございますので、かなり期間としては長くなってきている、こういうことが言えるかと思います。
○長田委員 そこで、今後の予約比率を高めるためにどのような環境づくりをされるのでしょう。
○鎌田説明員 昨年の石油審議会の答申でもうたわれているわけでございますが、石油産業の経営の安定化を図るためには、基本的には為替予約を積極的に進めていくということが望ましいと思うわけでございます。ただ、石油の輸入全体に占めますウエートが約四割ということで非常に大きなものになっております。したがいまして、石油産業が一斉に予約をしますと外為市場に非常に大きな影響が出る、つまり簡単に言えば円安傾向に拍車がかかる、こういうことがございます。そういったことで、石油審議会の答申におきましても、徐々に予約比率を高めていくというような提言がなされているわけでございます。 私どもとしましては、各石油企業が社内体制を整備いたしまして各社ごとに予約率の目標を決める、それをしかもだんだん引き上げていく、こういった努力を通じまして、為替リスク対策がさらに強化されるということを期待しておる次第でございます。
○長田委員 去年の十二月に出されました石油審議会の答申ですと、ドルの先物を買うというのは大体三分の一ぐらいがいいのじゃないか、そういう答申が出されておりますね。そうしておけば、今回みたいに四千億以上の赤字は避けられたんじゃないかという感じを私は持つのですが、どうでしょう。
○鎌田説明員 昨年出ました石油審議会の答申では、一つの参考例といたしまして、ほかの業界を見てみますと、いま先生からお話しございましたように、三分の一程度為替予約をやっている業界が多いわけでございます。そういったことで、それも一つの参考にして為替予約比率をできるだけ高めていくべきである、こういう提言をいたしておるわけでございます。 私どもといたしましても、基本的に為替リスク対策は積極的に進めるべきである、こういう考え方でございまして、石油企業が今後さらにリスク対策を強化するということに期待しておる次第でございます。
○長田委員 そうしますと、大体目安としてどのぐらいのパーセントで先物を買うか、当然円高のときに買うわけでありますけれども、どういう考え方を持っておりますか。
○鎌田説明員 昨年石油審議会で御議論いただきまして、一つの考え方といたしまして何らかのガイダンスを示すということもあるという議論があったわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように石油産業の輸入市場のウエートが非常に大きいものでございますから、ある一定の目標を言いますとたちまち為替市場に大きな影響が出る、こういうことでございまして、それからまた、事の本質がやはり各社の損得の問題でございますので、各社の経営責任で基本的にやっていただく問題でございます。そういった意味で数字を申し上げるのは勘弁させていただきたいのでございますけれども、各社ごとにそれぞれ目標を決めて着実に引き上げていく、こういう努力を期待したいというふうに思っておる次第でございます。
○長田委員 シーリングプライスを四月の中旬以降何かやめるようでありますけれども、それはいつごろからですか。
○長田説明員 シーリングプライスという制度は、実は昭和五十四年の三月から始めた制度でございますが、五十三年末のイラン危機を契機といたしまして相次ぐ原油価格の上昇に対処するために、非常に緊急避難的な措置としてやったものでございます。その後原油情勢も落ちついてまいりましたし、それから石油審議会等各方面におきましても、本来介入は避けていくべきだという考え方もございまして、私どもとしては四月末を目途に廃止するというような方向で検討しておるわけでございます。
○長田委員 どうも大手十三社の言い分は、シーリングプライスがあったために大赤字を出した、そういうような言い分が聞こえてくるのですが、これに対してはどうですか。
○長田説明員 シーリングプライスと申しますのはそもそも便乗をチェックするという制度でございまして、各企業からの申し出に基づきましてコストをチェックするわけでございます。したがいまして、それがなければ便乗があったかどうかというのは、過去の議論でございます、振り返ってみなければそれはわかりませんけれども、こういう本来の目的としての制度の趣旨は達成された、こういうふうに考えております。
○長田委員 ただ、アラムコと非アラムコとの格差がございまして、実際問題シーリングプライスは原価計算するのですから各社によって違うわけですね。そうなりますと、ガソリンスタンドへ行ってからはもう自由競争ですから、たとえば隣のガソリンスタンドは百六十五円、実際私たちの方は百七十円で売らなくちゃできない、そういう事情というのはありますね。実際問題シーリングプライスを決められておってももう少し下げていわゆるアラムコ系に準じてやっぱり売らなくちゃならないとか、そういうのが実情だったようですね。ここいらはどういうふうに考えておりますか。
○長田説明員 シーリングプライスは先生御指摘のように各社ごとに設けられるものでございまして、シーリングプライスは最高価格ということでございますから、実際の実勢価格は市況、マーケットメカニズムによって決まるわけでございます。したがいまして、企業によりましては高いシーリングを達成できずにいるもの、それからほぼシーリングを達成しているもの、さまざまでございます。したがいまして、いま先生お話がございましたガソリンの末端価格の点になりますと、さらに元売り仕切り価格、末端価格ということで、それがまたマーケットメカニズムを通じまして形成されているわけでございます。
○長田委員 次に、最後に、時間がございませんので、ナフサの問題をちょっとお尋ねをしたいと思います。 通産省はきのう、石油化学業界の対策といたしまして、原料ナフサについて国産ナフサの価格を国際ナフサの価格並みに引き下げるという方針を決めたようでありますけれども、ここに至った経緯ですね。
○鎌田説明員 昨日省議決定が行われたわけでございますが、これは、産業構造審議会の化学工業部会長でございます有沢広巳先生、それから石油審議会の会長でございます圓城寺次郎先生、この両先生の提言を踏まえて行ったものでございます。 対策の中身でございますが、一つは、国産ナフサの円滑な引き取りを石油化学企業にあらかじめお約束をいただく、そしてその上に立って、国産ナフサ引き取り量を超えて石油化学企業が必要とされるナフサについて、実質的にできる限り自由な輸入体制をつくっていこうということでございます。また、それと関連いたしまして、現在ナフサの輸入比率が五割を超えるような状況になってきております。しかもこの比率がさらに高まるというような傾向がございます。こういった事情を踏まえまして、国産ナフサの価格に対して輸入ナフサの価格を反映させる、こういうことを決めたわけであります。
○長田委員 今回の措置は私は大変結構だと思うのです。国際と国産と余りにも格差があり過ぎましたからね。 そこで、これをやりますと、石油業界にとっては幾つかの問題点が何か出てくるような感じがするのです。 第一点は、国際水準よりも割り高となっておりますのは、ナフサだけじゃないのです。C重油を含めた産業用石油製品全般にこれは当然言えるだろうと私は思います。今回の措置が他にも波及をするのではないか、そういう心配があります。 第二点は、今回の方式だとナフサだけの採算がマイナスになる。特にナフサの生産量が抑えられるということになりますと、同様の得率であるガソリンの生産、ひいては石油業界の経営に大きな影響が出てくるのじゃないでしょうか。この点どうでしょう。
○鎌田説明員 ただいまも申し上げましたように、ナフサについては約半分以上輸入が占めておるという事情がございます。それから、ナフサは主として石化用に売られておるわけでございますが、石油化学製品というのは国際商品でございまして、かつ、そのコストの大部分、七割、八割がナフサのコストになる。そういったことで、石化製品の国際市況というのがナフサの国際市況と一緒に動く、こういう他の油種にはないナフサ特有の状況や条件があるわけでございます。今回の措置は、こういった事情を踏まえまして、例外的な措置として講じられたものでございます。今回の措置によりまして、ナフサの価格が国際市況を反映して相当動くことになるわけでございます。これは一義的に高くなるか安くなるかということはなかなか申し上げにくいわけでございまして、過去数年間をとりますと、むしろ輸入価格が高かった場合も相当あるわけでございます。いずれにしましても、国際市況を反映して相当動くことになるということでございます。 ただ、私どもとしては、その他の油種については、いま申し上げましたようなナフサについてのような特別な状況あるいは条件もございません。したがって従来どおり、今後とも極力安定的な価格で供給されることが望ましい、こういうふうに考えておりまして、今回の措置はナフサの特別な状況や条件にかんがみて行われたものでございまして、他の油種に波及されることはないというふうに考えております。
○長田委員 終わります。
○武部委員長 中野寛成君。
○中野(寛)委員 前回、河本総理待望論をやりましたら幾らか反応がありましたが、余りやり過ぎても長官に御迷惑をおかけしてはいけませんから、きょうはそれは抜きにして本論に入りたいと思いますが、ただ、前回お尋ねをいたしまして後、予算が正式に成立を見ましたし、年度が変わりました。また、国際情勢の中でのいろいろな経済に対する見通し等も若干の変化を見つつあるわけであります。そういうことから前回とダブる部分がお尋ねとしては出てこようかと思いますけれども、今日の時点に立っての長官の積極的な御答弁をお願いをしておきたいと思うわけであります。 さて、四月五日に国民経済研究協会が短期経済予測を発表しました。大体この協会は、こういう予測を発表いたしますときには、私どもの見方としては、かなり強気の見方をするところだと考えておりますけれども、その国民経済研究協会が出しました予測でさえ大変厳しいものになっているわけであります。ことしの秋に一兆五千億円の公共事業の追加が行われるという前提に立って、五十七年度のGNPが三・四%の伸びしか達成できないであろうという見通しを立てているわけであります。そのほかいろいろな見通しを立てておりますが、経企庁としても、当然これらのことについては参考資料としてごらんになっておられるであろうと思います。このような見通しに対してどのような御感想をお持ちか、まずお聞きをしたいと思います。
○河本国務大臣 企画庁での計算によりますと、一兆円の公共事業がふえますとGNPを〇・五%押し上げる、こういう計算が一応できております。一兆五千億ふやすということは〇・七五成長率を高める、こういうことだと思いますが、ほかの条件が今後どのように動くか、総合的に判断いたしませんと何とも申し上げかねるのです。 第一は、貿易が今後どのように動いていくのか。あるいはまたアメリカの現在の高金利が、私どもは下がる方向にいくとは思っておりますが、本当に下がるのかどうか。もしアメリカの高金利が下がれば、わが国の国際収支、現在の物価水準から考えまして、さらに一段と相当大幅な金利の引き下げを図ることが可能になりますので、こういうことが果たして可能なのかどうか。それから公共事業、公的住宅、これは御案内のように上半期に最大限集中して執行していこう、こういうことを決めております。後半、一体これをどうするか。経済全体が軌道に乗ればそれでいいわけですが、経済全体が軌道に乗らなければ、後半は公共事業が二割そこそこにしかならないわけでありますから、この問題を一体どうするか。それからことしの可処分所得が一体どのように変わるのか。 こういう幾つかの要素をもう少し見ませんと、経済全体の見通しははっきりしないのですけれども、ただ、五・二%の経済成長を達成するということは政府の公約でもございますので、これを実現するためにはやはりあらゆる政策努力を集中したい、こう思っております。そして、それだけの力をわが国の経済が持っておるかといいますと、それは十分持っておる、このように考えておるのでございます。ただ、その持っておる力を発揮するような政策をやるのかどうかということが問題だと考えております。 したがいまして、この国民経済研究協会の言っておられます、いまお述べになりました数字につきましては、全体の動きがわかりませんから、何とも評価の仕方がないということだと思います。
○中野(寛)委員 この政府が目標としておられます五・二%の経済成長、いま政府の公約だとおっしゃられたわけですが、別にその公約であるのかないのかという言葉にいまこだわろうとは思いませんが、ただ、先般鈴木総理が二日の朝におっしゃった言葉として報道されているわけですが、五・二%を下方修正するかもわからないということを示唆したというふうに報道がなされておるわけであります。ちょっと新聞の文字をそのまま読みますと「首相としては、こうした最近の経済情勢の落ち込みを踏まえて五十七年度の経済成長率の目標を五・二%より下げることもあり得るとの見通しを示したものとみられる。」これは新聞の取材した方の判断ですから、総理の主観としては、示唆したものであるのかないのかというのは、これはまた水かけ論になってしまいます。しかしながら、いま長官の御答弁では、五・二%を達成するだけの能力を日本の経済は持っているというふうにはっきりと断言をされました。問題はそれに対応する政策を講ずるか否かだ、ということは、すなわち、政府のこれからの取り組み次第によってそのことが決まってくるのだというふうにおっしゃられたと受けとめるわけでありますが、現段階で、たとえば明日の閣議で、公共事業の前倒しが何%になりますか、七五%より超える、そして長官はもっと八〇%前後の数字を先般おっしゃっておられましたけれども、このようなことも踏まえていろいろな対策を講じられるということでありましようけれども、そのことについてお聞きしておきたいと思うわけであります。 ちなみに、私どもがお聞きしているところでは、明日閣議決定をするけれども、公共事業の上半期契約率を決定するのみにとどめて下半期の措置には触れないのではないか、総合的景気対策という形での対策は出さないのではないかというふうにも予測されたりしているわけであります。もしそうなら、私は大変残念だと思うのであります。公共事業のこの前倒しを効果あらしめるためには、前回も申し上げましたけれども、下半期の措置であるとか総合的な景気対策であるとかそのようなものもあわせて、もしくはそれをにおわすといいますか、その方向づけだけでも付記してお出しになることが、せっかくの機会でありますから、国民が注目をしているときでありますから、これを付記してお出しになることがせっかくの対策を有効ならしめることにつながるのではないかと思うわけでありますが、その五・二%の経済成長率を達成する力が日本にはあるのだと長官がおっしゃる限り、いま申し上げましたようなことについてどうお考えか、改めてお聞きをしたいと思います。
○河本国務大臣 総理は常日ごろ、税収を確保するという点からも、また雇用の問題からも、ぜひ五・二%成長は達成したいものだということをたびたび言っておられますので、その新聞は私も見ましたけれども、何か奇異に感じたのでございます。もっとも一新聞だけでございまして、ほかの新聞は全然伝えておりませんので、後で同席した人に聞きますと、防衛費の問題に絡んで、防衛費がGNPの一%以内でおさまるのかどうかということに関係しまして、当面の間GNPの一%以内を維持するという基本方針は変えないけれども、もし将来成長率が落ち込むということになると一%ということも果たしてそのままにいくのかどうか、そういう防衛費との兼ね合いにおきましての議論であったように聞いておりますので、総理が五・二%を見直す、こういう表現をされたのではない。これは一新聞以外の新聞社の記者は皆そう言っておりますから、明らかな誤解あるいは誤報であろう、このように私は理解をしておるのでございます。 それはそれといたしまして、後半の公共事業をどうするかということについてもう少し明らかにせよということでありますが、何回も申し上げますように、上半期に公共事業と公的住宅をできるだけ繰り上げまして、そしてそれを誘い水としてわが国経済が軌道に乗りますといいのですが、そうでない場合にはこれはほうっておくわけにはまいりませんので、そのときには有効適切な手段を講ずる、こういうことを繰り返し申し上げてきたわけであります。大蔵大臣もほぼ同じような趣旨のことを言っておられるわけでありますが、しかしその表現はきわめてあいまいでもう一つ不明確でありますから、もう少しそれを明確にすべきではないかという議論が実は一部にございまして、そういうような議論を受けましてどういう表現にしたらいいのか、目下各方面の意見を聞いておるところでございまして、まだ結論は出ておりません。
○中野(寛)委員 そうすると、これまた新聞報道で恐縮ですけれども、一昨日、河本長官と自民党田中政調会長との会談でいろいろお話しになられたときに、「下期の景気浮揚策を検討する」というふうに何か意見が一致したという報道もございますけれども、具体的な中身については、いまの御答弁のようにどういう形でという方向づけもまだおつくりになってない、こういうことでしょうか。
○河本国務大臣 五・二%成長達成、これを一般的に言いますと、とにかくわが国経済を安定成長路線に定着させなければならぬ、そうしないことには財政再建はできないのだ。さて、それでは今後どうするかということについていろいろ意見交換はいたしました。しかし、二人だけで決めるというわけにもまいりませんので、他の意見も幅広く聞いてみよう、こういうことで一応話し合いは終わったわけでございまして、これから関係方面の意見あるいは閣内の意見等もよく聞いてみよう、こう思っておるところでございます。
○中野(寛)委員 それではもう一つ、しつこいお尋ねをして恐縮ですが、前回、たとえば建設国債を改めて発行してはどうか、また補正予算にそれを盛り込むということで検討してみてはどうかということを踏まえてお尋ねをいたしました。もちろんあの段階では五十七年度予算審議の真っ最中でございました。しかし、予算成立を見ました後は、目下の焦点はそこに移ったと言っても過言ではないと思うわけであります。そして、それこそそれを待望している、こういう情勢にあるというふうに申し上げても過言ではないというふうに私は思うわけであります。 長官はもとより積極財政運営論者でいらっしゃるように私ども考えておりますけれども、いま申し上げているのは建設国債のことですけれども、たとえば赤字国債にしても、性格はずいぶん違いますけれども、六十年度に赤字国債をゼロにするという根拠が果たしてあるのかどうか。これは経済計画で決めておったわけであります。ところが、この計画ができたときは五十三年末だったわけですね、第二次石油ショックをまだ考慮していない状態のときにそういうフレームワークができているわけです。あれだけ大きな事件が起き、そして、その後も世界の経済情勢というのは大変大きく揺れ動いている状態の中で、むしろ建設国債にとどまらず、現在の財政再建のプログラムにしても、私はもう一回考え直してもいいのではないか。機械的に五十九年度でゼロにするんだ、そしてそれまで三年間ある、あと幾らあるからそれを三等分してその国債発行を減らしていくんだ、こういう機械的な考え方というものが実際まかり通っているわけでありますが、本来こういう財政再建というのは、政策選択の幅をできるだけ弾力性を持たせようということに目的があるはずなんですけれども、果たしてどちらが目的なのかわからないという実態、そして、いまこれだけ厳しい状態にあるときに、みずから自分の手足を縛って財政や経済の運営をしていくということが果たしていいのだろうかということ等もあわせて、私どもとしては長官の前向きの御判断をお聞かせいただきたいと思うわけでありますが、いかがでしょうか。
○河本国務大臣 赤字国債を五十九年度までに発行をゼロにするということは、これは現内閣の一番大きな約束でもありますから、私はこれは変えてはいけないと思います。それからまた、現在行政改革、財政再建を進めておる最中でもございますので、これをいま変えてしまいますと、これは何もかもやり変えなければならぬということになりますから、そういう意味からも私はこれは変えるべきではない、こう思っておるのです。 ただしかし、これは赤字国債のことでございまして、建設国債につきましては、これは増発しないということは政府は一回も言ったことはありませんので、この建設国債を将来一体どうするかということにつきましては、これからいろいろまた各方面の意見を聞いていかなければならぬ、こう思っております。
○中野(寛)委員 それでは、少し対外政策に移ってお尋ねをしたいと思います。 私は、現在の経済の立て直しで、対外政策の大きな課題としては、為替の対策と世界経済の再活性化への貢献、これはよく言われていることでございます。この二つが大きな課題であろうと思うのでありますが、さて、この八一年の日本の対米貿易黒字が百八十億ドルに達している、そういうふうなことを背景にして日米通商摩擦が激しくなっている、貿易不均衡是正の本道は内需拡大にあるんだ、そして政府は輸出依存型から内需主導型成長へ転換を目指してがんばっていくんだ、これが今日まで言い続けられてきた、お互いに言ってきた一つの言葉のパターンであろうと思うわけであります。しかしながら、果たしてそれができる状態であるのか。一方、米国の高金利政策により円安基調が続いている、わが国が景気てこ入れのために思い切った政策、すなわち低金利政策をとろうとしてもそれは無理な状態にある、こういう状態のときに、米政府に対してやはり主張すべきことを主張していくことが必要だ、このことも私は前回申し上げたところであります。 さて、これらについて、これからもちろんいろいろな努力をしていかなければなりませんけれども、まずこの円安の問題、ドル高の問題についてもう一回お聞きしたいと思います。 先般お尋ねをいたしまして後に、たとえばイギリスのフィナンシャル・タイムズは「米国は借り手優遇をやめよ」という論説を載せました。アメリカのワシントン・ポストは、財政赤字縮小が緊急に必要だ、この大幅な財政赤字が結局ドル高につながっているんだ、ドル高は米国の輸入品の価格を引き下げることによって、この冬米国のインフレ率の低下に大きな貢献をしたけれども、国際市場で競争する産業にとっては、ドル高は労働者に賃金の減少か、失業のいずれかを受け入れざるを得なくさせることを意味している。ドルは現在著しく過大評価されている。こういうふうに述べているわけであります。また、イギリスのフィナンシャル・タイムズに戻りますと、何といってもこの円安、ドル高の主因は米国の短期金利だ、米国の短期金利一六%に対し日本のそれは七%である。その他、アメリカは借り手に税制上の優遇をし、日本はその逆だというふうなことを述べながら、「公正な貿易をめぐって言い争うよりも、日米両国政府が円問題の原因とその対策についてより強力な共同行動をとる方が、日本と西側諸国の貿易関係により貢献するものであることは確かである。」というふうに結んでいるわけであります。 先般お尋ねしましたときに、OECDがアメリカの今後の経済見通しについてかなり楽観的な見方をしていることも、御答弁の一つの背景として長官はお使いになりましたけれども、しかし、OECDのその後の分析にも若干ニュアンスの変化が起こってきたのではないかというふうにも思うわけであります。ゆえに、いまアメリカが高金利政策をとっているということは、すなわち政策によって高金利になっているということをあらわすのだと思うのでありますけれども、そういう意味では、日本として、ヨーロッパ諸国と共同歩調もしくは協力をしながら、これらについて積極的な要求を申し入れていく、また、そのことのために必要な日本側の協力措置があるとするならば、それについて相談をしていくという姿勢が必要だと思いますけれども、このことについてどうお考えでしょうか。
○河本国務大臣 アメリカの高金利の背景の一つは、これまでの物価高にあったわけでありますが、物価は幸いに最近ずっと安定をしておりまして、現在はまだ七%台でありますけれども、近く六%になるだろう、このように言われております。これまでアメリカは、物価が安定すれば金利は下がりますということを繰り返し言っておったのでありますが、物価は安定したのに金利が下がらないというのには、もう一つ、最近は弁解をしておりますが、それは一つは赤字財政の問題であります。私は一この赤字財政、非常に大きな規模であると言われておりますけれども、しかし、アメリカのGNPから見ますとせいぜい三%見当でありまして、赤字を減す、赤字財政を減すことができないということであるならば、貯蓄がふえればそれで一向差し支えないのでありますけれども、貯蓄の方も幾らか前よりは伸びておりますけれども、なお六%台という低い水準でございまして、これが三、四%も伸びれば、一方で赤字財政が続きましても金利問題は解決できるのではないか、こう思っております。 アメリカ国内でもこの点が非常に議論になっておりまして、外国からいろいろアメリカの高金利に対して意見を言う場合には、内政干渉のようなことは言えませんので、ただ、われわれとしては、国内の景気対策をやれない、そのために非常に困っておる、それからまた、円安になって非常に困っておる、したがって、貿易問題を解決するためにもアメリカの高金利という問題を解決してもらわない限りは不可能である、その見当のことは言えるのですけれども、国内政策を変えなさいとか、ここが悪いのではないですかとか、そこまでは言えません。ヨーロッパでも同じような考え方でございまして、ヨーロッパもいまは失業問題で大変困っておりまして、積極的な景気対策、雇用対策をやりたいのですけれども、アメリカの現在の高金利のためにやれない、こういうことで、その立場は日本と全く同じだ、このようには考えております。これから国際会議が何回か開かれますが、国際会議では一番大きな問題はアメリカの高金利、この問題だと私どもは考えております。
○中野(寛)委員 これらの問題について、また間もなく開かれますサミット等もございますけれども、外務省としてはどのような姿勢と準備で臨もうとしておられるのか、いらしておられると思いますので、お聞きいたしたいと思います。
○朝海説明員 米国の高金利の問題について私どもの考え方でございますが、ただいま河本長官から答弁がありましたとおりでございまして、先般外務大臣も訪米いたしまして米側の要人といろいろ話し合いましたが、その中で、たとえばリーガン財務長官との会談の中で高金利の問題に触れまして、日本側の考え方を伝えたりいたしておるわけでございます。財務長官の反応は、アメリカとしても高金利を求めて維持しているということではないわけでございますが、だんだん物価も落ちついてまいってきておりまして、ことしの後半ごろからだんだん状況がよくなると見通ししているし、そういうふうに強く希望しているというような発言があったわけでございます。 サミットで具体的にどういう話し合いが行われるのかはまだ準備中と承知しておりますが、世界経済の再活性化ということが一つの中心的なテーマとなりまして、いろいろな角度から話し合いが行われるのではないかと考えております。
○中野(寛)委員 いま日本国民はどういう印象を持っているかと言えば、いろいろなことについて、内政干渉がましいことをアメリカからずいぶん言われているという印象の方が強いと私は思うわけであります。むしろ何か、日本の場合まだまだ、経済的にはずいぶん押しているけれども、政治的には本当に弱腰ではないか。もっと言うべきことを言う、それによって衝突をし、そして話し合いを詰め、理解を深めていく。むしろ、アメリカ人的性格の場合にとってはそのことの方が合っているのではないかとさえ私自身感ずるわけでありますが、そのようなことについて日本側としてはどのくらいのことを言っているのでしょうか。先ほど長官から、この程度は言えるけれどもという御答弁がありましたけれども、私はまだ工夫の余地があるのではないかという感じがいたしますが、いかがでしょうか。
○河本国務大臣 アメリカの国内で議論されておりますのは、軍事費をもっと削減すべしとか、あるいは減税の規模が少し大き過ぎるからもう少し縮小しろとか、そして赤字財政の規模をもう少し小さくすべきだ、こういうことがアメリカの議会を中心に議論が展開をしておるのでございます。 それから、アメリカの貯蓄を伸ばすということにつきましては、いまの政権の政策の一番の基本は、大減税をして物価を安定させて、そして浮いてくる個人の所得増大、これを貯蓄に回してもらう、貯蓄をふやしてそれを産業の近代化に投資して生産性を上げていく、経済の立て直しによってアメリカの国力をつくり直すのだというのがレーガン大統領の考え方であります。 だから、よく掘り下げてみますと、アメリカ経済の再建は貯蓄にあるのだ、貯蓄がふえればそれが起爆剤になってアメリカ経済は再建できるのだ、こういうことを言っておるわけですが、その一番の肝心の貯蓄が一向に伸びない。去年の初めは四%くらいでありましたから、去年の前半に比べますと二%くらいはふえておりますけれども、それにしてももう少し高い水準を期待しておるのではないか、こう思うのです。数年前は九%近い水準までアメリカの貯蓄も伸びておりましたから、少なくとも九%とか一〇%までいけば、現在起こっておるクラウディングアウトという問題は起こってこない、このように私どもは考えておりまして、そのためには現在のアメリカの税制、たとえば自動車を買ったり家を買ったりした場合には、買ったときに借り入れた資金の利息は所得から控除する、そういう税の仕組みそのものに少しメスを入れないと貯蓄は本格的にふえないのではないか、このように私どもは考えておりますし、アメリカ国内においてもそういう点は指摘されておるわけであります。 しかし、私の方から、君のところの税制が悪いではないかとか、あるいは軍事費が少し多過ぎるではないかとか、そういうことを言うのは言い過ぎである。しかしながら、アメリカの高金利のためにわれわれは金融政策を自由にやれない、あるいは非常な円安になっておる、物価政策もやりにくいし、貿易政策もやりにくい、だからアメリカの高金利が世界経済全体の再活性化の最大の障害になっておるのだ、だから、レーガン政権のいまの経済政策は、この高金利という問題で何とかもう少し実効が上がるように考えてもらいたい、そこまでは言えると思うのですが、言い回し方が大変むずかしい。しかしこれは言わなければならぬ。どうしてもこれを解決しませんと世界経済の再活性化はできない。世界経済の再活性化とは何ぞやというとアメリカの高金利問題の解決だ、このように考えております。
○中野(寛)委員 私は、いま長官がお述べになりましたことについては全く同感なわけです。それだけに私は、世界じゅうの声として、そのことをアメリカに要求をしていくことが大切ではないかというふうに思いますし、今後ともの御努力をぜひ強く要請をしたいと思います。とりわけ、いわゆるアラブ産油諸国の経済状態を見ても、省エネルギーが進む、経済が伸びない、そういう中で結局石油の使用量が減っていく、結局値下げもしくは掘り出すのを規制していくという方法をとらざるを得ない、こういういろいろなことがあって、結局世界じゅうの金を集めているであろうアラブ諸国が不景気になってくるということになりますと、もうほかにどこにも救いの道がない。世界じゅうがまさに大不況そのものにこれから落ち込んでいくというおそれがあるときに、私は、このアメリカの高金利政策についてはなお一層その重要性といいますか、その問題の大きさというものを感ぜざるを得ないわけでありまして、ぜひとも強く要請をしておきたいと思いますし、その御認識を長官御自身お持ちのようでございますから、期待をしたいと思うわけであります。 さて、あわせまして少し日米関係のことでお尋ねをしたいと思いますが、自民党の小坂外交調査会長がニューヨークで講演をされて、米国経済活性化のために、日本輸出入銀行資金なども財源とした日米経済同盟ファンドを日本でつくってやったらどうだろうか、こういう新構想を明らかにされたという報道がございます。これもまた、日本がアメリカに対してとる積極的な一つの施策ではないだろうかと思いますが、ただ、このことについても問題点があることは事実であります。日本から大量の資金が米側に流れるということになるわけですから、いま問題になっている円安の助長ということにも心配が拡大されていくわけであります。しかし、これらのことについては一つの今後の日米関係にとって大きなプラスになっていくのではないかという感じもいたしますが、このことについてどうお考えであるのか。 もう一つ、先ほどお尋ねいたしましたけれども、河本長官と田中政調会長との間で、日、米、ECなどが資金を出してアメリカの農産物を購入して途上国援助を行うというようなことをお話しになられたようでありますが、これらの一連のことは積極的な経済外交として大いに評価されてもいいという印象を私は持つわけでありますが、この中身について、この日米ファンドについては御感想またはお考えを、この農産物購入についてはより具体的な内容をお聞かせいただければありがたいと思います。
○河本国務大臣 日米ファンドの問題につきましては、私どもは何も聞いておりません。全然初耳でございます。そういう話を小坂さんがされるらしいということはどこからとなく聞いておりましたけれども、具体的に中身については直接お聞きいたしておりません。 それから、田中政調会長とお話をしましたときに、日米間で農業問題をいろいろ話し合うことになっておるけれども、しかし、オレンジとか牛肉の問題の話も大事だけれども、そのことによってアメリカの農業問題にどれだけ寄与できるのか、これは大変疑問ではないか、それよりも、いま世界で一番大きな問題にすべき課題は何かといいますと、まあ国際連合が二回、いま世界でどれだけの飢餓人口があるかということを調査したそうでありますが、二回の調査の平均が四億五千万の飢餓人口がある、こういう報告が出ておりまして、そしてその中で五千万の人たちが餓死しておる、こういう報告が正式にされておるのでございます。 それで、もしこの餓死を免れるためには千五百カロリーが必要でありまして、もっとも発展途上国の平均の取っておりますカロリーは二千二百カロリーだそうでございますが、そこまでいかなくて、とりあえず餓死させないということのためには千五百カロリー必要である。千五百カロリーの食料を四億五千万の人たちに取らせるためにはどれだけの食料が必要なのかということを専門家に計算してもらいましたところが、三千五百万トンの食料が必要である。ことしはいろいろな国際機関で食料援助がすでに決められておりますのが九百二十万トンであります。したがって、まだ二千五、六百万トン足りないわけでありまして、そこで、とにかく五千万の人たちが餓死しておるのを見ておること自体がおかしいではないか。そこで、二千五百万トンの食料増産のためにはどれだけお金が要るか、まあ大体六十億ドルもあったらいいのではないか。六十億ドルの資金を日本とアメリカとECとOPECの一部の国で負担をする、そういうことであれば、毎年経済協力に一兆ほどの資金を計上しておりますが、大体三割ぐらい使い残しになっておりますから――もっとも援助の内容がちょっと違うのです。つまり、無償援助という金額は比較的少ないものですから、無償援助が全部そういう使い残しになっておるという意味ではございませんで、円借と無償援助と双方合わせて約三割使い残しになっておる、こういう意味でございますが、そういうことにもなっておるので、六十億ドルの四分の一見当の負担であれば、日本とてもさして大したことではないではないか、そして世界で合意が得られるならば、それは現在食料増産の余力のある地域と言えばアメリカとカナダと豪州ですけれども、大部分はアメリカですから、結局アメリカでそれだけ増産をしてもらう、こういうことになるわけです。だから、そういう形でアメリカの農業問題を世界的な規模で最終的には取り上げる、こういう形での議論をすべきではないか。それからまた、二千二百カロリーということになりますともう七千万トン必要なんだそうであります。これは百六十億ドルぐらいの資金が必要だ、こういうことでございます。何しろ、いま世界の軍事費が年間六千億ドルということでありますから、六十億ドルであれば一%も節約をすれば浮いてくるわけでありますし、百六十億ドルという七千万トンの問題につきましても、三%節約すれば浮いてくるわけでもありますから、こういう軍縮の問題とも絡んで、五千万の餓死者が出ておるという問題、四億五千万の飢餓の状態に陥っておる人たちの状態、こういう問題をひとつ真剣に取り上げて、そういう形で世界全体の農業問題を議論していく、こういうことも必要でないか、こういう議論をした、こういうことでございます。
○中野(寛)委員 ただいまのお話、それこそ夢のある話でありますし、大変すばらしい構想でもあると思うわけであります。われわれとしても、それが一つの計画となってもし実現をしていく方向が生まれるというのであれば、大いに応援をしたいと思いますし、また、ともに何らかの役に立っていきたいなという気を持ちますが、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。 あわせて、日米ファンドについてお聞きになっておられないということですが、外務省の方ではいかがですか。
○朝海説明員 私どもの方にも事前にお話があったというようなことはございません。
○中野(寛)委員 そうすると、これも新聞の書き過ぎだということになるのでしょう。「事前に鈴木首相をはじめ政府、自民党や稲山経団連会長ら財界人の支持をとりつけており、いつでも具体化に向け踏み出せる態勢にある。」こう書かれております。しかし、このようなことについてまだお聞きになっていないということですけれども、このような考え方について長官、どういうふうにお考えになりますか。
○河本国務大臣 アメリカは非常に誇り高い国民でもありますから、なかなかやり方がむずかしいと思うのですが、中身を聞いてみませんと、何ともいまここで意見を申し上げるわけにはまいりません。
○中野(寛)委員 わかりました。これ以上お聞きすることはしないことにしたいと思います。 さて、あと各論のことについて若干お聞きをしたいと思いますが、一つ新経済社会七カ年計画、これが言うならば政府が現在提示している中期経済計画であります。しかし、これが策定されましてからフォローアップは毎年されてきておりますけれども、しかし、これが策定をされてから二年半近くが経過しております。その間にわが国経済は第二次石油危機に遭遇をし、経済、政治、社会など、諸情勢は大きく変化をいたしました。またそのことのために、計画策定の際の基本的な前提条件を基礎とした経済計画の場当たり的改定によっては、いわゆるフォローアップによっては、もはや今後の経済情勢を展望する上で十分に対処し切れない局面を迎えているというふうに考えるわけであります。 そういう意味で、私どもとしては、新経済社会七カ年計画の全面的な改定及びその計画の前提となっている三全総の総合的見直しに早急に着手し、諸情勢の現状に立脚しながら、行財政改革推進に伴う諸般の影響も十分に織り込んだ、新たな中期経済計画が必要ではないかというふうに考えるわけでありますが、このことについて一点、お聞きをしておきたいと思います。というのは、第二臨調でもこのことが指摘をされているからであります。
○河本国務大臣 いま経済審議会に長期展望委員会というものをつくっていただきまして、これからのおよそ二十年間、二十一世紀の初めを展望して、日本の経済社会はどのように変化をしていくかということについていまいろいろ議論をしていただいております。昨年の五月からスタートをいたしまして、ことしの五、六月ごろにはおよその答申を出していただくことになっております。 〔委員長退席、井上(泉)委員長代理着席〕 それからまた、臨調の本格答申も七月には出るということを聞いておりますので、この長期展望委員会の答申と臨調の答申とを参考にいたしまして、七カ年計画を一体どうするかということについて最終の判断をしたい、こう思っておるのです。 これまでは、いま御指摘がございましたようにフォローアップをしながらずっとやってまいりました。しかし、フォローアップでは不十分ではないか、こういうことも聞かれますし、この際最終的な判断をしたい、こう思っておるのですが、ただ、いま経済の激動期でございまして、世界経済が戦後最悪の状態にある、こういうときでもありますし、こういう経済の激動期に整合性のある中期計画というものが果たしてつくれるかどうか、こういう点も実は問題があろうかと思うのです。 現在の七カ年計画も、実は作業が終わったのは五十三年の年末であります。数カ月間の作業をいたしまして、ようやく五十三年の年末に終わりまして、五十四年の一月に閣議で決定をする、このスケジュールを決めておったのでありますけれども、そのころから第二次石油危機が起こり始めまして、特に五十四年の七月の東京サミットでエネルギー問題についてひとつ抜本的に議論してみようじゃないか、こういうことになりましたので、その東京サミットの議論が一体どのように落ちつくのか、あるいはまた第二次石油危機がどのように推移するのか、そういうことを見きわめた上で最終決定をするということになりまして、実はその決定が八カ月間延びたわけであります。だから、その八カ月間はたなざらしになっておりました。それで、七月の東京サミットの結果をまってまずこの計画をスタートさせてもよかろう、こういうことになりまして、八月に最終の決断が出たわけでありますけれども、そういう前例等もございますので、こういう激動期にどこまで整合性のある案ができるか、実はこういう点ももう一回よく分析してみたい、こう思っておるところでございまして、いずれにしてもここ二、三カ月の間に何らかの方向を明らかにしたい、こう思っておるところでございます。
○中野(寛)委員 大変激動期、しかしこれが古いままであって、そしてそれを基本にしていろいろな財政論議、経済論議がなされるということであったのでは、ますます混乱してくるばかりでありますし、これをまた無視してやるということであれば、暗やみの中を手探りで歩く状態になるわけであります。そういう意味で、むしろ激動期であるからこそ、本当は国民の立場から見ればしっかりした指標が欲しい、こういうことになるわけであります。そういう意味で、この持っている重要性というものは大きいわけでありますから、積極的にお取り組みいただくように、これも強く要請をしておきたいと思います。 それからもう一つ、これもまた指数なのですが、景気動向指数のことなのですが、これまた経企庁は、七月ないし八月に結論を出しそうだというふうに報道されておりますけれども、先般、GNPがマイナス成長を記録したと大々的に言われて、この委員会でも大いに取り上げられてきているわけでありますが、そのときでも、景気動向指数というのはこれはずいぶん大きな数字で上昇しっ放しと、何かどこかの景気が狂っているのじゃないかという感じに思えるぐらいの状態であった。結局実態を映さないということで、これは経企庁としても見直されるということのようですけれども、この作業状況、そして、これもまた実際にいつごろになったら出されますか。
○田中(誠)政府委員 まず景気動向指数でございますけれども、これは御案内のとおり、言うなればそのときどきの景気の局面を判断いたします尺度でございます。したがいまして、景気動向指数では、いわゆる景気の浸透度ないし波及度というのを示す指標でございます。これに対しましてGNPというのは、もう御存じのとおりでございますが、付加価値のスピードをある意味では示しているということでございまして、二つの指標は性格が異なっておるわけでございます。景気は、GNPだけではございませんで、雇用なり収益なり各般の経済諸指標総体としての活動を示すものではないかというふうに考えているわけでございます。したがいまして、景気動向指数によりますと、ただいま御指摘のとおり、昨年夏以降五〇を上回るということでございまして、景気としては、いい、悪いという判断から言いますと、緩やかではございますけれども回復の過程にあるということを示しているわけでございます。したがいまして、私ども、景気動向指数の持っております役割りとGNPの役割りが異なるわけでございますので、実態上、非常に乖離しているというふうには実は考えていないわけでございます。 しかし、何分にも、その景気動向指数は、ただいま申しましたように、景気の浸透度なり波及度を図る物差しではございますが、現在二十五の指標で構成されておりますが、やはりそれぞれの指標につきましては、景気の循環が終わった過程では見直すということをやっておるわけでございます。現在の指標は五十四年に作成いたしまして時日も経過してございますので、その精度の向上を図るということもあわせまして近く検討に入りたいというふうに考えております。 その検討に当たりましては、実は循環についての大変詳しい分析を必要といたしまして、従来からもその分析には半年ないし一年、学識経験者を、ことに学者等権威の方に入っていただいて検討するということをやってまいっておりまして、今回もそういった手順でいたしたいと考えておる次第でございます。
○中野(寛)委員 景気動向指数とGNPとは全然性格が違うということ、それはよくわかるわけです。これは性格が同じだったら二つ要らないわけです。しかしGNPはマイナス成長だというときに景気が伸びているのだ、そんなことを言われたってだれも信用できないわけですね。やはり別物ではあっても、やはりそこに国民感覚として納得し得る関連性というものは当然あるべきではないかというふうに私は思いますし、これ以上お尋ねしても、いまのお答えのような状態でやられますとちょっと困っちゃいますので、しかし、できるだけ早く納得のいく形で景気動向指数というものを決めていただけるように、これも要望しておきたいと思います。 通産省からお越しいただいておりますのに、横堀さん、どうもお待たせして申しわけありませんでした。 この関税暫定措置法のことなのですが、今回の改正によりまして、平均関税率が八%から六・七五%へと下がったわけです。しかし、平均関税率は先進国中確かに一番低くなったわけでありますが、平均値だけでPRしますと誤解を招きやすいわけです。というのは、外国品と競合しない品目の関税を大幅に引き下げて、競合が予想される製品については下げ幅を少なくするということが実際に可能なわけです。たとえば、アメリカやECの関心品目に関しては依然として大きな改善が見られないというのが、向こうからの主張なのですね。たとえばチョコレート菓子が三一・九%、ビスケットが三六・三%、ココアが二三・七%、グレープフルーツが三〇・六%、コンピューター周辺装置が一〇・三%、これは通産省の関連だけではないと思いますけれども、こういう高関税品目に対してどういうふうに対応していくのか、このことについてちょっとお聞きをしたいと思います。 それから経企庁の方にも、これは本当は総理にお聞きすべきようなことかもしれませんけれども、貿易摩擦解消という観点からお聞きをしたいのですが、政府部内においても、たとえば農林省の強い反対意見、通産省や外務省の前向きの姿勢というふうに、不調和が目立つと言われているわけです。こういう問題は関係官庁だけに任せるのではなくて、むしろもっと高次元で、政府内の調整を図っていく必要があるのじゃないか、その一翼を担うのが経企庁長官ではないかという感じがするわけです。このことをあわせまして、通産省と、最後に長官からお答えをお願いしたいと思います。
○横堀説明員 お答え申し上げます。 ただいま先生がおっしゃいましたように、平均的な関税率というのは、日本の場合先進国の中でもきわめて低い水準になったわけでございますが、物によりまして、相対的に非常に高いものがあるというのは事実でございます。 ただ、関税率の決め方といいますのは、やはり国内の産業を保護するという観点もございまして、それぞれの国内の状況、産業の安定的な発展ということも加味しました上で、かつ、外国との関係も円滑にするという両方の、いわば相矛盾する観点をにらみ合わせて、いろいろ決めていかなければいけないという問題があるわけでございます。 〔井上(泉)委員長代理退席、委員長着席〕 そこでまた、従来、東京ラウンドというような交渉の過程におきましても、お互いに各国でそういう国内状況を配慮しつつ、かつ、相手側の状況というものを考えまして、なるべく貿易の円滑な拡大に資するという観点から進めてまいってきております。 それで、先生がおっしゃいましたように、確かにこういう相対的に高関税となっているもの、これはもちろんわが国だけでございませんで、アメリカなりECにも似たような事情のものがいろいろあるわけでございますが、国内産業の実情あるいは対外関係という両方をにらみながら、今後とも適正な水準について考えていかなければいけないのじゃないかというように思うわけでございます。 若干抽象的になりましたが、たとえば自動車につきましては、日本は自動車の関税というのはゼロにしております。これは、アメリカあるいはECに比べますと、向こうの方は若干なりとも関税がかかっておりまして、物によってはかなり高いものもございます。それから自動車部品というものにつきましては、たしか昨年度から関税を無税にしておるわけですが、今年度からはターボチャージャーについてこれを新たに追加したわけでございます。このターボチャージャーというのは、ほとんど外国からの輸入が主であるというようなこともございまして、外国の関心品目についても、やはりできるものについては関税率を相当低くしておるというのは私どもとしても従来からやっておることでございまして、いろいろむずかしい問題がございますけれども、私どもとしては、そういうことを考えながら今後ともいろいろ検討していかなければならないのじゃないかと思っております。
○河本国務大臣 関税問題につきましては、ヨーロッパでいつもやかましく言われるのは三つ、四つの商品でありまして、ウイスキー、ブランデー、チョコレート、ビスケット、これがいつも言われるわけでございますが、これにつきましてはもう少し何かやり方があるのじゃないか、私はこういう感じがいたします。 それから、いま自動車の関税はゼロになっておるというお話が通産省からございましたが、実は三年前、東京ラウンドの最終段階で自動車の関税をゼロにしたわけでありますが、これは別に欧米からゼロにしてくれという要請があったわけじゃないのです。しかし、日本の方で進んで、ひとつ自動車ぐらいはもうゼロにしてもいいではないか、競争力が十分あるではないかということでゼロにしたわけでありますが、東京ラウンドが妥結しましてから三年余りたっておりますが、この三年の間に日本では生産性の向上が非常に進んでおりますし、欧米諸国は進み方が非常に少ないということでありますので、私は三年の間には競争力が非常に違っておると思うのです。東京ラウンドの最終妥結のときには、各国の競争力をおのずから比較検討しまして、大体、お互いにこれくらい下げようということで決めたわけでありますが、その時点における日本経済の力と現時点における日本経済の競争力は事情が非常に違っておると思います。したがいまして、現時点では関税率をゼロにしても十分やっていけるという幾つかの工業製品がある、私はこう思っておりますので、世界貿易の拡大均衡という面から考えますならば、できない、できないという言いわけと説明ばかりしないで、進んで関税率ゼロというものが出てきてもいいのではないか、私はこう思っておるところでございます。 それから、もう一つ申し上げたいことは貿易問題、関税率とか市場の開放体制あるいは非関税障壁、これは非常に大きな問題ではありますけれども、外国から言われておるとおりこれを全部やりましても貿易摩擦問題は解決しない、私はこう思っております。と申しますのは、先ほど来円安の問題が出ておりますけれども、昨年の一月に比べますと約二五%の円安になっております、二百円が二百五十円になっておるわけでありますから。関税率の引き下げは二年前倒しをしましても、いま御指摘がございましたように八%のものが六・七五%になるということでございまして、きわめてわずかなことでございます。円安、円高という問題は一けた違いで大問題でございますので、やはりこの問題についてアメリカ側がもっと理解ある態度を示してくれないと、つまり高金利という問題に対して自覚をしてくれないと本格的な貿易摩擦問題は解消しない、こう思っております。
○中野(寛)委員 いまお尋ねした一つ一つのことが、実は消費者の立場からすれば物価にそのまま反映してくるという重要な問題であると思います。そういう意味で、今後とも経企庁の御努力を要請して終わりたいと思います。
○武部委員長 岩佐恵美君。
○岩佐委員 最初に国鉄の運賃の問題について伺いますが、国鉄の運賃値上げを審議していた運輸審議会は、申請どおりの認可が適当との答申をまとめているようですけれども、答申の内容について簡単に説明をしていただきたいと思います。
○秦野説明員 お答えいたします。 二月六日に、国有鉄道から運輸大臣あてに運賃改定の申請がございました。同月の九日付で運輸審議会に諮問したところ、今月の六日に、審議会から大臣あてに答申がございました。その内容は、原則としまして申請どおり全体で六・一%の改定でございます。ただ、通学定期につきましては、割引率の是正分というものを織り込んでおりまして、申請では四月二十日から改定したいということになっておりましたが、それを、学生生活への影響を配慮いたしまして、是正分については九月一日から実施するということで、修正をした上で答申されたわけでございます。
○岩佐委員 これによって普通運賃はこの五年間に一・六四倍、それから通学定期の場合には二・六八倍になります。私は、去年も当委員会で国鉄値上げ問題を取り上げたときに、国民の家計状況からいってもう耐えられない、とうてい値上げは受け入れられないんだということを指摘をしているわけですけれども、ことしはその状況というのはもっと深刻になってきているというふうに思います。それはこの委員会でも何度も議論をされてきているように、全世帯の消費支出が二年連続して実質減少、それから勤労者世帯の可処分所得も二年連続実質減少となっているわけです。 総理府統計局がまとめました家計調査報告を見てみますと、光熱・水道、交通通信は実質増加である、光熱・水道の場合には実質七・五%、交通通信六・二%、こういうふうに非常に公共料金の引き上げというのが家計を具体的に圧迫をしている。そういう中で、消費者は、これも同じ資料ですけれども、「価格の動向に敏感な消費者」という例がありまして「購入数量の減少した品目は概して価格上昇率の大きかったものであり、逆に購入数量の増加した品目は、価格が下落、若しくは値上り幅の小さかったものである。このように、所得の伸び悩みの中で物価上昇に対し効率的、合理的に対応しているのがみられる。」というような調査結果を、具体的な生鮮魚介、肉類、生鮮野菜、そういう主要な品目を取り上げまして出しているわけです。とりわけ肉類について、新聞の漫画などにも大変引用されて、国民の声という形で紹介をされていましたけれども、三十九年以来初の実質減少だ、五十六年の食料は実質マイナス一・八%の減少と、五十二年のマイナス〇・六%以来の実質減少となったんだ、特に肉類が下がっている。ところが、この肉もよく見てみると、値上がり幅の小さかった牛肉はわずかながら実質増加となっている、値上がり幅の大きかった豚肉やそれから鶏の肉の実質減少、これは非常に大きくて肉類全体が実質減少になった、そういう価格に敏感な消費者の動向があるわけです。 こういうことを私が紹介したのは、今度の運輸審議会の会長談話でも、連続値上げというもので計量化の困難な国民の心理的な国鉄離れが懸念をされる、こういうふうに言っているわけですね。しかし、それだけではなくて、やはり実際に消費者が、そういうふうに高いものについても逃げていくということで、ますます国鉄離れというのがひどくなる、だから、こうした毎年の繰り返しの五回連続の値上げというのは国鉄にとってもそれはもう滅亡の道でしかない、言ってみれば自殺行為だというふうにさえ言えるんじゃないかというように思うのですね。その点についてもっとまじめに、真剣に国民の声を受けとめるべきだということを思うわけですが、いかがでしょうか。
○秦野説明員 先生御指摘のとおり、過去五年間連続して運賃を改定してきてもらっておるわけでございますけれども、改定のたびに若干の利用減というものがあることも事実でございます。したがいまして、改定に際しまして、そうした利用減を織り込んだ形で運賃改定をお願いしておるという状況にございます。 ただ、過去の趨勢を見ますと、旅客につきましては、若干の減はございますものの、ほぼ所期の目的、増収の効果をもたらしているというように私どもは考えております。ただ、貨物につきましては、景気の低迷などもございまして輸送量が伸び悩んでいることも事実でございます。そうしたことを踏まえまして、極力利用減を招かないように、いろいろ制度面できめの細かい工夫をしていく必要があるというふうに考えております。 たとえば、もう先生御承知のとおりでございますけれども、特急料金につきましてたとえば閑散期割引を導入するとか、あるいは大都市における私鉄の並行区間における運賃調整を行うとか、まだこれで十分だとは思いませんけれども、いろいろと従来ない新しい工夫をこらして、何とか利用減を食いとめ所期の増収効果を上げていきたい、このように考えております。
○岩佐委員 午前中も国鉄側の説明がるるあったわけですけれども、細かいいろいろな対応をしたといっても、いま説明があったように、旅客については減少というのがさして多くなくて、貨物の方が多い。逃げられるものは逃げるかもしれない。しかし逃げられないものにとって負担というのは非常に大きくなってくる。そこのところを私はよく見ていかなければいけないというふうに思うのです。とりわけ通学の定期だとかあるいは通勤だとか、どうしても国鉄しか使うことができない近間の病院通いとか、そういう方々もおられるでしょう。そういう人たちのことを考えていかなければいけない。いみじくも国鉄の側の説明から、やはり逃げられない人たちが今回の値上げでもってまた非常に苦しむことになるということを証明しているのじゃないか、こういうふうにさえ思うわけです。 河本長官に伺いたいわけですけれども、いま保険料やあるいは税金の値上げによって消費支出が非常に切り詰められてきている。結局それが景気浮揚ということにもつながらない、非常に景気の低迷にもなっているわけですけれども、公共料金というのはこれにまた拍車をかけるわけですね。ですから、そういう意味から言っても私は大変大きな問題だというふうに思うのです。それよりも以前に、やはり運輸審議会で国鉄の今度の運賃問題、あるいは国鉄の再建問題ということでいろいろ議論をしていますけれども、じゃ、国民の立場に立った料金問題、それはどこが考えていくのかといったら、やはり経済企画庁しかないのではないか、私はいつもそういう議論をしているわけですけれども、なかなかはかばかしい大臣のお考えを伺うことがいつもできないでいるのです。やはり公共料金が上がれば、それを使わなければならない人たちの家計というのは当然圧迫されるわけですから、そのことを何度も何度も指摘してきて、だんだん悪い方へいっているというのが実態だと思うのです。 歴代の内閣でも、大変物価が上がってしまって、公共料金の物価上昇に与える心理的な影響があるという場合には、凍結ということをやった時期もあるわけですね。私はやはり経済企画庁として、この点、もう値上げは決まっていることなんだからとかいうことで、どこかでだれかがやるでしょうみたいな突っ放した考え方ではなくて、もっと真剣に受けとめていっていただきたい。先ほどの話から、あした物価関係閣僚会議が開かれる、その中で当然河本大臣は、そうした国民生活の場から発言をしていただけるのじゃないかというふうに私は期待をしているわけですけれども、大臣の考えを伺っておきたいと思います。
○河本国務大臣 あす物価関係閣僚会議がございまして、国鉄問題を議論をいたしますが、私は今回の値上げは万やむを得ない、こう思っております。ただ、しかし、大変遺憾に思っておりますことは、毎年のことでもございますし、やはり国民生活にも相当な影響がございますので、どこかで毎年の値上げをとめられないかと、実はこのように考えておるのですけれども、現在の国鉄の状態ではなかなかそれもむずかしい、やはり抜本的な国鉄の改革が必要ではないか、それなくして毎年の値上げはなかなかとめられないのではないか、こういう感じを持っております。
○岩佐委員 ただ、きょう朝日新聞の社説に「救いのない国鉄運賃値上げ」ということで書かれていて、労働組合も今回の値上げというのはやめたらどうだという一部提案もしているのだ、そういうことも紹介をされているわけで、値上げによって一千数百億の効果、それがいま国鉄の経営に与える効果と、それから消費者が受ける圧迫を考えてみた場合に、本当にどっちが深刻なのか、大きな打撃を受けるのか、これはもう恐らく論をまたないのではないだろうか、私などはそういうふうに思うわけなのです。 去年、当委員会で国鉄問題について集中審議ということで行いまして、国鉄がこのまま際限のない値上げを繰り返すことになったら大変なのだ、国鉄にいろいろ聞いてみても、いつになったら値上げをやめる、いつになったら財政再建できるのだという見通しもないままに進んでいるということも、当委員会の中で明らかになっているわけで、それならばここのところで思い切って、消費者の国民生活の側から大臣ががんばっていただくということだってあっていいのじゃないか、私はそのことを非常に痛感するのです。予定の行動だから仕方がないということではなくて、五回もやられるわけですから、大臣、ここのところで、効果なども考えて、国民生活という場でひとつ何か新しい提案なり、あるいは考え方を示されるということが必要なのじゃないかと思うのですけれども、もう一度お考えを伺いたいと思います。
○河本国務大臣 この間名古屋の人に聞いたのですが、名古屋から東京へ来る場合に、その人は急がないのでいろいろ工夫しながら来るそうでありますが、途中で、どこまでと言いましたか、浜松でしたか、そこまで私鉄で来まして、それから今度しばらくの間国鉄に乗って、小田原から私鉄に乗りかえてくると二千円少ないのだそうです。急がない旅なので、東京へ出てくる場合にはそうしております、こういうことを言っておられましたが、それを聞きますと、国鉄はもう少し何か工夫してもらいたいなということを痛感をするのですが、いまさっき申し上げましたように、いまの国鉄の経営のやり方では私は毎年の値上げも万やむを得ないのではないか、値上げはやらないで済むということのためには経営そのものに抜本的にメスを入れる、これが必要だと思います。 そこで、臨調の方でも七月の本格答申を前にしまして幾つかの課題について答申されるそうですけれども、やはり一番の焦点を国鉄の抜本的な改革というところに置いておられるようでございます。 これは御案内のように、国鉄へは毎年七千億の補助金を国から出しまして、五十七年度は一兆四千億のなお赤字が出る、こういう状態でございまして、この問題を解決しない限り、幾ら行革で少々節約をしましても全体としては本当の意味での改革にならない、こういう議論等もございまして、七月の本格的な答申を受けまして、その答申によって国鉄が本格的に改革されることを私どもは期待をしておるところでございます。
○岩佐委員 臨調にすっと国鉄の改革がいってしまうというところに、大きな問題があると私は思っているのです。改革の問題について、本来だったら運賃改定の際に、ここの国会で法定制のときと同じように議論をする、運賃の問題と合わせてそういう改革の根本問題について国会も責任を持つ、あるいは政府も責任を持つという形で進めることが本来であろうと思うわけですけれども、きょうは時間も余り国鉄にとれないので、そこのところはまた後に譲りたいと思います。もう一つ、通学定期について、これは去年も取り上げているのですけれども、今回の運輸審議会の会長談話の中でも触れられています。「国鉄の通学定期旅客運賃の割引等、国鉄が行っている公共的な見地からの運賃上の割引に関して、運輸審議会の度重なる要望にもかかわらず、いまだ国の特段の措置がなされていないことは、誠に遺憾であります。」と言っているわけですね。私は、去年の三月二十四日当委員会で、この点についてどうなっているんだということを質問をしたことに対して、運輸省は「現時点ではまだ結論に至っていない、大変申しわけございませんが、なお引き続きこの検討会議を開きまして、なるべく早く結論を得たいと考えているわけでございます。」こう言いながら、もう一年たっているわけですね。しかも、昨年一年間一度も検討会が開かれていないと聞いているわけです。 教育費の負担というのは大変なものでありますし、家計の中で通学定期はもうこれ以上は大変だという悲鳴が上がってきている、そういう公共料金であります。それから学生生活の実態も、私、当委員会で紹介しましたように大変厳しい状況に置かれているわけです。この通学定期に対して、いままで放置してきて一体どうなっているのかという点があるわけですけれども、いかがでしょうか。
○秦野説明員 公共負担の問題につきましては、昨年お答えを申し上げたことと結論的にはまだ進展を見ていないという点では同じでございますが、会議そのものは、実は公式と申しますか、通学問題のほかに身体障害者割引問題と両方ございますものですから、関係省庁が文部省、厚生省あるいは大蔵省、各省にわたっておりますけれども、その全体が集まって共通問題を会議することは、確かに昨年開いておりませんが、個別の問題として、たとえば通学問題をどうするという点につきましては、私どもと文部省との間でもって非公式と申しますか、何回も折衝を重ねておるわけでございます。 今回の通学の改定につきましても、当然一つの問題として、文部省さんとも御相談はしておるわけでございます。残念ながら、その会議といたしまして、最終的にこういう形で結論は出そうというところまでまだ至っていないということは、まことに申しわけないと思っております。
○岩佐委員 二年連続申しわけないということであるわけで、非常に遺憾だと思うのです。 最後に、これも去年指摘したところですけれども、運賃値上げは押しつけられるけれども、利用者の利便について考えられていない、そういう点で特に青梅線、五日市線の問題を出しました。学校に通っている子供たちがホームから落ちそうになるというような状況を私、直接訴えられて、この点大変心配をしていたわけですけれども、輸送力の増強は一体どうなっているのか、個別に伺いたいと思います。 それから八高線の電化計画、これも去年伺っているわけですけれども、その計画がどうなっているのか、お答えをいただきたいと思います。
○茂原説明員 列車ダイヤにつきましてお答えをいたしたいと思います。 五十七年十一月を目途にただいまダイヤ改正の作業をいたしておるわけでございますが、日程とかあるいはその骨子がほぼ固まりつつある段階にあるわけでございます。そういうことでございまして、ただいま最終的な詰めを行っておるところでございます。 御指摘の青梅線につきましては、御利用の実態、ただいま先生から御指摘ありましたように、私どもも十分実態は承知しておるつもりでございます。そういうことでございますので、実態に合わせるべく具体的な案をただいま検討いたしておる段階でございます。まだ詰めの段階でございますので、五月末までには結論を出したい、かように考えております。
○戸石説明員 八高線の電化の計画でございますが、沿線の開発状況とか輸送需要の動向及び投資の採算性という面から検討することになるわけでございますが、先生御承知のように、国鉄はいま厳しい財政事情の中でございまして、とりわけ投資の採算性が強く求められております。そういう関係で、昨年この委員会で御質問があったようでございますが、現在のところ、昨年に引き続きまして関係の地方の管理局でさらに勉強をしておるところでございます。
○岩佐委員 以上で国鉄問題は終わりますので、関係者の方、結構でございます。 次に、ことしに入ってから相次いで、学校でのLPガスの漏洩が起こっております。この問題について伺っていきたいと思いますけれども、最近のこの漏洩の日時、場所、被害状況、あるいは原因などについて明らかにしていただきたいと思います。
○檜山説明員 お答えいたします。 最近におけるLPガスの事故の件でございますが、特に学校関係で事故が多発しております。 ちょっと申し上げますと、最近では、ことしに入って一月九日、神奈川県川崎市の下布田小学校で、人的物的被害はありませんけれども、埋設されていた配管に亀裂が生じて、大量のLPガスが漏洩するという事故が起こったわけです。原因は地盤沈下による配管の折損じゃないかと言われております。続きまして一月十四日には、青森県青森市の東中学校で、これも人的物的被害はありませんけれども、地盤沈下による亀裂で配管からLPガスが漏洩する。さらに同じ一月十九日、青森県の中央高校で、地盤沈下によって亀裂が生じまして、二百キログラム程度のLPガスが漏洩した。さらに一月二十五日に、埼玉県新座市の中学校で、これも人的物的被害はありませんけれども、自然腐食と土圧による亀裂でLPガスが漏洩するという事故が続いております。 それから、これは一斉点検を私どもの方で指示しましたので、その結果発見された事故でございますが、五十七年二月二十七日、東京都の秋川市の草花小学校で、教室の床下に埋設されていた配管が電食によって穴があいて、五百キロ程度のLPガスが漏洩していることが発見されております。同校は十二日間休校しております。それから、三月に入りまして五日ですが、府中市の小学校で、これも配管が地盤沈下によって亀裂を生じまして、推定ですが百二十ないし百四十キロのLPガスが漏洩するということで三日間休校、こういう事故が続いております。
○岩佐委員 過去にも同じようなことがあったと聞いているわけですけれども、五十三年から簡単に説明してください。
○檜山説明員 五十三年から最近までの学校関係でのLPガスの漏洩という問題、あるいは爆発という問題についてお答えいたします。 五十三年十月、沖繩県の豊見城村の高等学校で、調理実習室の一部が破損して軽傷者が一名出ておりますが、これは埋設配管が腐食してLPガスが漏れて、電気スイッチのスパークで爆発をしたんじゃないか。それから五十四年十月二十四日、新潟県の東頸城郡の中学校ですが、被害はございませんでしたが、埋設配管が地盤沈下により亀裂を生じてLPガスが漏れた。続きまして五十五年に入ってですが、一月二十四日、千葉県市原市の小学校ですが、埋設配管がやはり地盤沈下によって亀裂を生じてLPガスが漏れて、そうしてポンプの自動スイッチのスパークで引火爆発したというふうな事故。さらに、同じ五十五年二月ですが、新潟県新潟市の小学校、これも地盤沈下により亀裂を生じてLPガスが漏れる。同じ五十五年九月十一日、新潟県の佐渡郡の女子高等学校ですが、配管が腐食してLPガスが漏れた。 以下五十五年十一月、それから五十六年九月、五十六年十月と、高等学校あるいは小学校で、配管が腐食してLPガスが漏洩するという事故が続いておりますが、最初に申し上げた沖繩県の例を除いて人的物的被害はほとんどないということでございまして、五十三年以降の事故は大体そういうふうな経緯をたどっております。
○岩佐委員 五十五年一月二十四日の場合にはガラス、天井板が破損をしているということですね。そうすると、学校でのLPガス漏洩事故は五十三年に一件、五十四年に一件、五十五年に四件、五十六年に二件、五十七年はもうすでに六件というふうになって、単なる偶然の事故ではないということを示していると思うのです。しかも、いまお話があったように、過去の漏洩では建物や人にも被害が出ている。こういう点から見て、この件については放置できない問題だと思いますけれども、通産省は今回どういう対応をされておられるのでしょうか。
○檜山説明員 先ほど申し上げました最近におけるLPガス事故の多発ということにかんがみまして、私どもの方でとった措置として、ことしに入って一月十八日付で、各都道府県及び関係業界団体に対しまして、LPガスの保安対策室長からの通達ですが、特に埋設管に係るガス漏れの事故の防止ということでもって通達を発しております。それから五十七年一月に、一般家庭でもLPガス事故が多発したということもあって、十日ほどおくれまして、各都道府県及び関係団体に対しまして、今度は保安課長通達ですが、消費者保安教育の強化ということで、消費者の保安対策を強化するということで、内容としては、消費者等と一丸となって販売事業者が事故撲滅に取り組むということ、それからガスの正しい利用方法、あるいは具体的な事故を踏まえた注意事項の周知徹底といったこととか、ガス漏れ警報器の設置促進を図ることといったような内容の通達を出しており、同時に、LPガスの正しい利用方法等を掲載したパンフレットを全国約二千万のLPガス消費世帯に対して配付しました。 それからその後、先ほどちょっと申し上げました学校における埋設管からのLPガス漏洩事故が多発しましたので、二月四日付でございますけれども、立地公害局長通達を発しました。これは内容は、埋設管の緊急一斉点検ということで、全国のLPガス設備の埋設管をLPガスの販売事業者に緊急に点検させるということでございまして、対象施設は学校等が特に重点でございますが、その他施設、一般住宅等に対しても点検をするように通達を出したところでございます。 実施期限は、学校等については本年二月末まで、報告をいただくのは三月末までに都道府県に報告をするということになっておりまして、その他の施設、一般住宅については三月末までに点検を実施する、こういうふうなことでございます。
○岩佐委員 小中高の結果は早くまとめるというふうに伺っているわけですけれども、結果は当然公表されると思いますけれども、いかがでしょうか。
○檜山説明員 この点検結果は、集まりましたら、整理いたしまして御報告したいと思います。
○岩佐委員 通産省がつかんでおられる青森県の場合に、ガス漏れは小学校が十校、中学校が十五校、高校が八校。私がその後ちょっとあちこち電話をかけて調べてみたところで、たとえば東京の高校はLPガス使用校三十七校、うち六校でガス漏れ、それから小学校四百二十七校がLPGを使用しているそうですが、地盤沈下で亀裂がかなり生じている。神奈川の高校でも五、六校がガス漏れをしている。うち一校は地盤沈下であるというようなことがわかってきているわけです。漏洩の実態というのは大変深刻なんじゃないかというふうに思います。とりわけ過去に爆発事故が起こっているということを考えると、一日も放置できないのじゃないか。 私は府中の白糸台小学校に調査に行きました。白糸台の場合には一月二十四日に定期点検を実施されているのですね。そのときには異常がなかった。しかし、三月六日にガス漏れが、これも警備員が発見するということだったわけですね。しかも、どこから漏れているかわからないということで、三月十日に廊下を掘削して、ようやく漏れている個所がわかったというようなことだったわけです。この原因も、先ほどの説明にありますように地盤沈下による原因だったわけですけれども、先ほどの、ことしに入ってからのLPガス漏洩の学校の、ガス管の埋設の年月日をちょっと紹介をしていただきたいと思います。
○檜山説明員 ことしに入りましてから漏洩いたしました学校における埋設管の設備工事年月日でございますが、ちょっと日にちの方はつかんでおりませんが、川崎市の下布田小学校は五十五年二月、それから青森県の東中学校、これは四十七年三月でございます。それから青森県の中央高校でございますが、五十年二月、埼玉県新座市の第二中学校、これは四十六年三月でございます。それから東京都秋川市の草花小学校、これが五十年三月に設備工事をしております。府中市の南白糸台小学校、これが四十八年三月でございます。
○岩佐委員 そうすると、一番古い学校で昭和四十六年、現在まで十一年たっているわけですけれども、五十年というのが二件。川崎は五十四年と新しいわけですね。こういうことから見て、古いから危険で新しいから安全ということには、どうもならないんじゃないかということが一つ言えるのじゃないかと思います。この点についてお考えを伺いたいと思います。 しかも、ある日突然亀裂が生じて、全くそのことが予測しがたいわけですね。府中の白糸台の場合には、漏洩個所を探すために廊下を掘削したそうですけれども、最初の二カ所のときは、濃度二%のガスがたまっているところを掘削機で穴をあけていたというのですね。後で危険だからやめろというふうに言われたのだけれども、危険だからやめろと言われたときに、現場で立ち会っていた学校関係者とか、市教委の人たちとか、供給者とか、あるいは消防署員、それから警官もいたそうですけれども、みんな真っ青になった。まかり間違っていたらそこですっ飛んでいたかもしれない、そういう状況にあったわけです。ですから、このような危険な事態というものは一日も早く直していかなければならないというふうに思うのです。 ことしに入っての漏洩六件のうち四件が地盤沈下、一件が電食、それから残り一件が自然腐食と土圧による亀裂になっておるわけですね。また、過去の漏洩事故でも地盤沈下が三件、埋設配管の腐食が三件というふうになっていて、これを見ると、結局LPガスの管を配管する際に土中に埋めている埋設工法、これが事故につながったのではないかというふうに言えると思うのですが、さきの一点とあわせてお答えいただきたいと思います。
○檜山説明員 御指摘のように、設備工事を実施した年月から考えてみますと、確かに古いから非常に危険である、新しいものは危険でないというふうには断定しがたい点もあろうかと思います。これは地盤の不等沈下の状況、その地盤状況等によって左右される、あるいは腐食の場合ですね、それから電食関係等もございまして、そういった土中の状況といいますか、そういう点が影響してくるということもありまして、一概には言えないかもしれません。これは実は後からもいろいろと申し上げたいと思いますが、委員会をちょっとつくっておりましていろいろ検討しておるところでございます。 それからもう一つ、地盤沈下の問題でございますが、この埋設配管の工法に問題があるんじゃないかというようなお話でございますが、この点につきましては、確かに、地上配管ということになりますと、先ほど申し上げたような腐食だとか、あるいは地盤の不等沈下に対しては非常に有効な施工方法じゃないかというふうには思いますけれども、一方、地上配管というのは外部からの損傷を受けやすい、そういった欠点もありまして、あるいは設置場所によっては地上配管にすることは非常にむずかしいというケースもありまして、こういうような状況から、いまいろいろと専門家の方々にお願いして検討をしていただいておるという状況であります。
○岩佐委員 現在、全国の小中高大学のうちで、LPガスを使用しているところは二万五千校だというふうに聞いています。それは全体の小中高大学のうちの約六割に相当するというふうに聞いていますけれども、この学校のほとんどが埋設工法によっているのかどうか。その点について伺いたいと思います。
○檜山説明員 正確な数字はただいまつかんでおりませんが、推定では、先生御指摘のとおり大体二万五千校ぐらいではないかと試算されるわけでございます。そういった学校で実際にLPガスがどういうふうになっておるかということにつきましては、御指摘のように大部分が埋設管を用いておるんじゃないかというふうに考えられます。
○岩佐委員 LPガスの安全についての法律はあるのでしょうか。
○檜山説明員 ございます。液化ガスの取り扱いに関する法律がございまして、それに基づいていろいろと安全確保のための措置をとっております。
○岩佐委員 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律の施行規則で、LPガスの供給設備とそれから消費設備に分けて、そして、それぞれ技術上の基準が決められているというふうに承知しているわけですけれども、今回問題になった漏洩、これは供給設備なのか、消費設備なのか、そこのところを伺いたいと思います。
○檜山説明員 主として消費設備の方の問題で起こっているということでございます。
○岩佐委員 この施行規則では「供給管は、地くずれ、山くずれ、地盤の不同沈下等のおそれのある場所又は建物の基礎面下に設置」してはいけないというふうなことが決められているわけですね。ところが、消費設備についての地盤の不同沈下等の技術基準が決められていないわけですね。学校の場合は、私が行って調べた学校では、供給管の方はわずか三メーターから五メーターぐらいですね。消費管の方が二十メーター、三十メーターあるいは五十メーターにも及ぶというような、教室の中をずっと伝わっているわけですから、消費管の方がはるかに長いわけです。そういう消費管に対する基準がないというのは非常におかしいと思うわけです。しかも、ガス管の埋設工法については、東京ガスの技術者が、三訂新版「建築設備ハンドブック」これは一九八一年朝倉書店から出ている本ですけれども、この中の「ガス設備配管設計上の基本条件」の中で、「地中配管の設計」については「原則として建築物、構築物(側溝、堀を除く)の基礎面下を通して配管しない。」あるいは「屋内地中配管は、建築構造上やむをえない場合を除き行わない。」というふうに書かれているわけです。さらに、古く文献を見てみると、昭和四十四年に消防庁予防課で編集されました「LPガス必携」これにも「地下配管はできるだけさけること。」というふうになっているわけです。ですから、地中配管について非常に問題がある、あるのにその消費設備の技術上の基準が全く触れられていなかった、これはもう大変大きな問題だというふうに思うのですね。ですから省令改正を早急に行わなければならない、そういうことだというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
○檜山説明員 ただいま技術上の基準の問題について御指摘ございましたが、この規則の方では、消費設備と供給設備それぞれにつきまして、使用形態あるいはその構造等に応じた基準を定めているわけでございますけれども、御指摘のような関連のところで最近一連のガス漏洩事故が起こりまして、そういったところを考えますと、これは消費設備に係る配管の部分から腐食あるいは地盤の不等沈下に起因する漏洩が起こっているというような状況でございますので、私どもの方としましては、この事実を踏まえまして、埋設配管に係る総合的な事故対策の一環として、技術上の基準についても、事故の原因といいますか現状を十分踏まえて検討をしてまいりたいというふうに考えております。
○岩佐委員 そうすると、省令改正を行うということで理解をしていいわけですね。
○檜山説明員 その辺も含めていろいろと検討をしてまいりたいと思っております。
○岩佐委員 安全な地中埋設工法がすぐに実用化できるということであるなら別ですけれども、現状でもどんどん新設校が建っているわけです。そこもやはりLPガスを使うというようなことが恐らく幾つかのケースで起こってくるだろうというように思うわけですけれども、そうした場合、当面の対策が必要だと思いますけれども、こうした新設校については地上配管にされるという方針で臨まれるのかどうか、その辺を伺いたいと思います。
○檜山説明員 先ほどちょっとお答え申し上げましたように、地上配管というのは腐食、地盤の不等沈下という点では非常に有効であるということですが、一方においては外部からの損傷を受けやすい、あるいは設置場所によっては地上配管が困難であるというような場所がございます。そういったことと、それからもう一つ、最近埋設配管の施工技術等も進歩してきまして、これは材質の問題とかあるいは腐食防止あるいは接合方法、そういった点の技術上の進歩もございますから、そういった面も十分勘案して検討してまいりたいというふうに考えております。
○岩佐委員 ただ、その技術上の検討がすぐに行われ、埋設工法でもってかなり安全なものがすぐにできるというのであれば別だと思うのですけれども、現在新設をされる学校について、それは一体どういうふうにするのかということを伺っているわけです。
○檜山説明員 この問題につきましては、文部省の方と十分連携をとって、安全に万全を期したいというふうに考えております。
○岩佐委員 文部省の方と連絡をとって安全に万全を期したいということが、どういうことなのかよくわからないのですけれども。だって、技術的な安全についての責任を持つのは通産省なわけですから、通産省が、埋設工法が現状ではそういう状態、地盤沈下による亀裂が生じたりあるいは電食の問題も起こってきているということがあるわけですから、それを新設の場合には地上配管に、地上配管もいろいろあるでしょうけれども、しかし全体としては地上配管の方が安全なんだということを、さっき、だから東京ガスの技術者の話なんかも紹介をしたわけですけれども、そういう点で一体どういうふうにされるのか。両方しないよ、それだったら、LPガスを結局新設校が使えないという状態になっちゃうわけでしょう。だから、どうされるのですかということを伺っているわけです。
○檜山説明員 先ほどちょっと申し上げましたように、地上配管の方がある意味では保安上有効な方法じゃないか、その点は私どもの方も考えておりますが、いろいろとそれがむずかしい面もあるというところは、これは十分そういうふうな状況を踏まえて漏洩事故が起こらないように適切な措置をとっていきたい、こういうふうな趣旨でございます。
○岩佐委員 そうすると、新設校については適切な措置をいつごろまでにとられるのですか。
○檜山説明員 その点はケース・バイ・ケースで、新設校のLPガス管の埋設の状況というものを十分見まして、そして、その状況に保安上最も適切な対応策をとっていただくというようなことで指導してまいりたいと思っております。
○岩佐委員 新設校についての対応、それはケース・バイ・ケースでと言っても、かなり大変な作業になるというふうに思いますけれども、それはそれとしても、現在それじゃ、LPガスを使用している既存施設への対応、これをどういうふうにされていくのか。今回の調査の中で漏洩がはっきりした学校について、たとえば地盤沈下とかそういう点でもう埋設工法によれば避けがたい事故が起こるかもしれない、そういうところについて一体どういう措置をとられていくのか、その点伺いたいと思います。
○檜山説明員 既存の配管設備につきましては、御承知のように供給開始時と、それから二年に一回以上の調査点検を一応義務づけている。それから、今度のガス漏れ事故にかんがみまして、消費者につきましては、販売事業者に対しましてガスメーター検針時に、これは毎月一回行っておりますが、その検針時に、ガスの消費量の推移を見て、ガス漏れのチェックを実施するようにいま指導しておるところでございますけれども、今後、御指摘の地盤の不等沈下あるいは腐食の生じやすい地質場所、そういったところに係る埋設管につきましては、その状況を的確に把握しまして、そして危険が予測される場合には地上配管も含めて適切な措置を講ずる、そういうふうなことを考えております。
○岩佐委員 その点きちっとやっていただきたいというように思うのです。 今回の一連の事故を通じて私たちが気がついたのは、学校、市教委の非常にずさんな安全管理ということなんです。府中の場合には、市教委が前年比でガス使用量の増減をチェックをしていたので早く対応ができているわけですけれども、違う学校では、昨年の十月ごろからガス漏れが始まって、そして使用量が前年と比べて相当ふえていても、市教委は何とも思わなかった。一斉点検でことしの二月の二十七日にやっとわかった。そのときには五百キロも漏洩していたわけですね。それからまた、川崎の例ですけれども、これは新聞にも報道されておりますけれども、一月九日にガス漏れがわかったわけですが、去年の十二月二十六日には平常の月間使用量の四十倍近い使用量が記録をされている。それでも結局ほうられていたということなわけですね。しかもよく聞いてみると、ガスの元栓の管理も、毎日閉めるということはもちろんないし、週に一遍閉めているのか、その辺もだれも知らないというようなことだったわけですね。 私は、以前にこんなにLPガス漏洩による爆発事故が並べてみると結構起こっているのに、何で文部省がこういう点を放置してきたのかという点で、対応がちょっと悪かったのではないかというように思うわけですね。そういう点から、今回の一連の漏洩に対して文部省として一体どういう対応をされていかれるのか、伺いたいと思います。
○野村説明員 ただいま御指摘ございましたような事故がたくさん発生いたしましたこと、まことに遺憾に存じております。私たち、施設の方を整備する担当といたしましては、学校施設というものは児童生徒の安全確保ということが一番大事なことでございます。そのために、多少体裁の悪い配管ができるといっても、安全であればその方がまさるわけでございます。私たちの方もそういう点も十分検討いたしまして、実は最近におきましても、施設関係の課長さんの会議とか技術者の会議といったような場合におきまして、これは実はガスだけに限ったわけではございませんが、こういう児童生徒に危険の生じないということを施設面で一番考えるようにということで、常々こういうことについての指導あるいは通達といったようなことをしているわけでございます。 御指摘のような問題がたくさん起こっております点、まことに申しわけないと思いますが、今後ともさらに注意をする、それから新しい施設を建てる場合にはその点を気をつけて設計、あるいは施工をやらせるというふうに努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
○岩佐委員 先ほど通産省にも伺ったわけですけれども、現に漏洩が起こっているところの対策、それから地盤沈下地域、新規造成地等地盤の不同沈下を起こしやすい地域、あるいは腐食を起こしやすい地域、これがいま埋設管のままに学校がそのまま放置をされている、こういう状態が恐らくどんどんとわかってくるだろうというふうに思うのですね。府中の場合にはかなり財政的にきちっと対応できるということで、すべての府中市の小中学校の現在の埋設管を地上配管にするということで、予算を伴った措置をとることができるということであるわけですけれども、なかなか財政的に厳しい自治体の状況もあるわけですから、その点、文部省としても児童の安全を考えて、そこら辺、通産省とも相談され、また、たとえば自治省とかそういう関係のところとも相談されて、積極的に対応していく必要があるのじゃないかというふうに思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
○野村説明員 御指摘のとおりでございまして、児童の安全のためには、これは金がかかるとかといったようなことは考えられておりませんので、ぜひともこれを直すためにいろいろな手段をこれから考え、遺漏なきようにしてまいりたい、こういうふうに存じております。
○岩佐委員 それからもう一点、文部省に念を押しておきたいというふうに思うのです。 管理者が安全管理を行うのは当然わかり切ったことなんですけれども、それを現場の教職員に負担のかかるようなかっこう、あるいは責任を負わせるようなかっこう、こういうことがゆめゆめあってはならないというふうに私は思うわけです。この点、ちゃんと学校管理者は校長なり教頭なりそういう人たちが管理をする、あるいは市教委なりが管理をするということでございますので、現場の教師が一々全部の学校の安全を管理したり、あるいは責任を負わされたりということではないはずですので、その点、現場からも大変心配されているわけで、こういうことがないような形でお願いをしたい、その点を確認をしておきたいと思います。
○野村説明員 学校におきまして児童生徒の安全を図るために、こういうガス漏れ等があった場合には早期の発見ということが大事でございます。このために先生方に御協力願うということはどうしても必要になると思いますが、もちろん全体の管理等についてはそれぞれの責任において十分やっていく、それから先生方の方も十分これにお手伝い願って、早急にこういう点は発見し遺漏ないようにやっていきたい、こういうふうに考えております。
○岩佐委員 それから、ちょっとこの問題を考えていて気がついたんですけれども、小中高大学、公立の場合はいまやられておられますけれども、私立という問題が出てくるわけですね。これがまた数がどのくらいあるのかわかりませんけれども、こうした問題が起こった場合に費用負担をどう考えていくのか、積極的に策を考えていかなくてはならないのじゃないかというふうに思うわけですけれども、その点も考えを伺っておきたいと思います。
○野村説明員 私学等におきましても、もちろん同じような問題が起こってくるものと思います。私たちの方といたしましても、こういう点の指導等は、私学についても通達等出してまいりたいと思っております。 ただ、費用の点につきましてちょっと国で見るというわけにはいかぬかと思いますが、各私立学校であっても、それぞれの維持管理費というものは持っているわけでございます。これをぜひともこういう安全の方向に優先的に使うというふうに指導してまいりたい、こういうように考えております。
○岩佐委員 学校以外に、高層マンションでもLP管が配管をされている、あるいは病院等でも配管をされているわけですけれども、当然この場合には建築基準法にもかかわってくるのではないだろうか。そういう点で、建設省として、このLP管の配管問題について今後積極的に対応していかれる考えがおありかどうか、伺いたいと思います。
○片山説明員 ガス管を建築設備といたしまして配管いたします場合の技術基準につきましては、従来は安全な構造とするという抽象的な規定にとどまっておりました。しかしながら、過去に起きました幾つかのガス爆発の事故、あるいは五十三年に起きました宮城県沖の地震によりまして、建築設備に従来経験いたしませんでしたような被害が出てきたこと、そういうことを教訓といたしまして、五十五年に施行令を改正いたしまして、これを五十六年から施行しているところであります。 この主なことは、ガス管をたとえば地下埋設いたしますような場合は、土圧でありますとかあるいは地震による振動あるいはショック等に対して安全な構造とするということの規定が一つ。特に住宅につきましては、三階以上の階を共同住宅の用に供します場合に、その住戸に設けます配管につきましては安全基準をつくること、この規定に基づきまして必要な告示及び通達を出しまして、具体的な事項について現在指導いたしておるところであります。 今後とも、通産省等とも連絡を密にいたしまして、適切な執行に努めてまいりたいと思っております。
○岩佐委員 かなりLPガスの問題は大きな問題だというふうに思います。一番の問題は、通産省の法律にかなり欠陥が見られたというところが私は大きな問題だったというふうに思うのですね。ただ、その責任をどうとるのかといまさら言ってもしようがないという点もあります。その責任はきちっと省令等を改正するなり、あるいは前向きの措置をとられるということで対応していただきたいと思うわけですけれども、通産省だけの問題ではなくて、今後病院というふうになれば厚生省も出てくるし、文部省とか建設省の範囲にとどまらないという問題がございます。大臣はもうお帰りになられましたけれども、政府としても、この問題を統一的にとらえて、積極的にやっていただきたいということを一応申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
○武部委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時四十分散会