農林水産委員会 第22号
- 発言数
- 185 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1982/06/22
会議録
○羽田委員長 これより会議を開きます。 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。 この際、農畜水産物の市場開放に関する問題について政府から説明を聴取いたします。佐野経済局長。
○佐野(宏)政府委員 農畜水産物の市場開放に関する問題につきまして御報告をいたします。 先月の二十八日経済対策閣僚会議におきまして決定されました市場開放対策のうち、当省所管の関係の措置並びにそれらの措置に関連する日米の農産物協議あるいは水産物協議の内容につきまして御報告をいたします。 最初に、市場開放対策のうち、農畜水産関係の措置につきましては、農林水産関係で十七品目の関税の引き下げ、それから四品目の輸入制限の緩和、ワイルドライスの輸入手続の変更等の措置を講ずることとしております。 そのうち、関税の引き下げにつきましては、昭和五十七年度において東京ラウンド合意に基づく関税の一律二年分前倒しの引き下げを実施したところでありますが、今般、さらに農林水産関係では十七品目につき昭和五十八年度から関税の引き下げを行うこととし、今後、所要の手続を進めることといたしております。 次に、輸入制限の緩和につきましては、ニシン、豚肉調製品、ハイテストモラセス及びパイナップル缶詰につきまして輸入割り当て数量の増加、最小輸入割り当て数量の設定等の措置を講ずることとしております。 具体的には、ニシンにつきましては五十七年度以降三年間は輸入割り当て数量を五万四千トンとし、豚肉調製品につきましては輸入割り当て数量を三、四年内に一万トンに増加させることとし、ハイテストモラセスにつきましては五十八、五十九年度の最小輸入割り当て数量を三万トンとするほか、パイナップル缶詰については五十七年度以降三年間は五十六年度の輸入割り当て量を上回る割り当てを行うことといたしております。また、ワイルドライスの輸入につきましては、その特性に照らし食糧管理法上の米穀とはしないものとし、輸入が可能となるよう措置したところであります。 以上が、先般発表されました市場開放対策のうち農林水産関係の措置の概要であります。 次に、以上の措置の背景となりました日米農産物協議及び日米水産物協議につきましてその概略を御報告いたします。 まず、日米農産物協議につきましては、五月二十四日、二十五日の両日、ワシントンにおいて、米側からはマクドナルド通商代表部の次席、トレーシー農務次官代理、日本側からは私が出席をして行いました。 協議の場における米側の基本的立場は、農産物の究極的自由化を求めるというものでありましたが、日本側は、自由化は困難であることを強調し、自由化については何らの約束も行っておりません。米側が関心を示しました九品目のうち、豚肉調製品、ハイテストモラセス及びパイナップル缶詰の三品目につきまして輸入枠の拡大等に関し合意を見たところであります。以上の三品目につきましては、来年九月三十日までの間につきましては米側からは自由化の要求は行わないという保証は得ております。 残りの六品目、すなわち、非柑橘果汁、トマトケチャップ・トマトソース、トマトジュース、フルーツピューレ・ペースト、落花生及び雑豆につきましては、日米間の協議が調わなかったため、引き続き日本側で検討し、米側と協議を継続することになっております。 なお、関税につきましては、米側が関心を示しておりました百四十五品目のうち、約半数につきましては引き下げが困難であることを説明するとともに、残りの約半数については今後引き下げを検討する旨を約し、とりあえず十七品目については具体的に例示して、原則として東京ラウンドの最終税率を目途に引き下げることを日本側から表明し、米側もこれを評価する旨述べたところであります。 次に、水産物の協議につきましては、五月三日から六日までワシントンにおいて水産庁と米国商務省の実務者の間で行われました。この協議の結果を踏まえ、その後、外交ルートを通じ、先ほど述べましたようなニシンの輸入枠を拡大することとしたほか、枠の割り当て方法の改善を図ることで最終決着を見ております。 以上で市場開放対策のうち農林水産関係の措置並びに日米間の農産物及び水産物の協議につきましての報告を終わらせていただきます。 —————————————
○羽田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木村守男君。 〔委員長退席、亀井(善)委員長代理着席〕
○木村(守)委員 ただいま佐野局長から報告を受けまして、まずもって御苦労さまでございました。この自由化の問題、摩擦については非常に深刻に私どもは受けとめているわけでありますが、すでに、わが国の農家を守り、そして農業政策の安定のために、当委員会においても自由化反対の決議をされてきたところであります。それを踏まえて、農林水産省におかれましては、田澤農林大臣を初め担当局長さん方、皆さん方大変に粘り強く相手国と折衝を重ねてこられた御労苦には感謝申し上げたい、こう思うわけであります。 そこで、せっかくそういう話し合いをされ、ただいま御報告を受けたような経過を経ていまの段階に入っておるわけでありますが、前後して、アメリカ通商代表部のブロック代表が、日本側が発表したただいまの報告などに対しても、きわめて不満である、十分なものとは受けとめられないというような、最初の段階ではある程度評価しながらも、不満であるという言葉を率直に述べられたことが報道されております。このことについてどのように受けとめているのか、まず伺っておきたいと思います。
○佐野(宏)政府委員 六月十五日に行われました下院の外交委員会の公聴会におきまして、ブロック通商代表は、農産物については失望せざるを得ない範囲にとどまっているという五月二十八日のブロック農務長官の声明に言及をいたしまして、農産物については措置の全体がまだ完結しておらず、東京からの一層の明確化が必要であるというふうに述べております。 それで、このような発言になりましたのは、五月二十四日、二十五日に行いました日米農産物協議におきまして、輸入数量等について合意をいたしましたのが米側の関心品目中わずか三品目にとどまっておりまして、残りの六品目につきましては引き続き協議を行っていくということになっておりますため、米国の農業関係者としてはそもそも不満が強かったというふうに見ております。 にもかかわらず、日本のいわゆる第二弾市場開放対策に対して、日本政府の決意に対し拍手喝采を送りたいというような高い評価を通商代表のブロックが行いまして、これに対して米国内で各種の不満の表明が行われているということが反映されているものであるというふうに思っております。 私どもといたしましては、従来からの米政府の立場から見て、米政府がこの際そういう見解を表明するということは、特に意外なことであるというふうには思っておりません。私どもとしては、今後の協議に当たり、引き続きわが国の農業やこれまでの農産物の市場開放措置の実態を十分説明して理解を得ながら、自由化ということに至らないで適切に対処してまいりたいと思っております。
○木村(守)委員 私は、本院の許可をいただきまして三月十四日から一週間ぐらいアメリカ、ワシントンを訪ねてまいりまして、米側国会議員の方方やあるいは通商代表部次席のマクドナルドさん方と直接お会いする機会を得てまいりました。その多少の接触だけでございましたけれども、そのとき感じたことは、余りにもまだお互いの認識がすれ違っている、そういうことを肌で感じてきた一人であります。 その際、たとえばダンフォース案がすでに提出されておりまして、その後、これは政府側との話し合いで修正された上で可決に持ち込まれたと報道でも聞いておりますが、その前でございましたけれども、きわめて強硬な議員の方々が多かったわけでありますが、その中でもある程度日本の農家の実情を説明し、そしてわが国のいままで行われてきている政策などを概略説明すると、そうなのかというようなうなずく点も見受けられたわけでありまして、このパーセプションの開きというものを痛切に感じたわけであります。 そういう点と、いま一つは、せっかく政府間交渉が実務者会談を通してやられてきても、いまのようなブロック代表の発言がまた出ておる。こういうことからいくと、交渉技術上のこととしても理解できないわけじゃないけれども、余りにも日本の実情をまだわかってもらってない、そういう土壌があるのじゃなかろうか、こう思うわけであります。 そういう点からいくと、せっかく話し合いをされてこういう御報告をいただいても、十月から後のことも考えてみた場合に、果たしてそういう皆さん方との話し合いだけでいいのだろうか。十月以降の見通しも厳しいだけに、もっとふだんから日米双方の常設機関みたいなものをもって話し合いをしていく必要があるのではなかろうか、こういう気がいたしますが、その点についてのお考えを伺わせていただきたいと思います。
○佐野(宏)政府委員 常設というのに当たるかどうかわかりませんが、日米間で協議をいたしますフォーラムといたしまして、一つは例の安倍・バッツ合意の流れをくむ日米農産物定期協議というのがございまして、これは毎年行われております。 それから、通商問題一般には御高承の高級事務レベル協議という場がございまして、それでこれ自体はそう頻繁にはやれないからということで、その下部機構として貿易小委員会というのが開かれまして、この貿易小委員会は昨年の九月に設けられましてから、十二月、三月というふうにかなりの頻度で開催をされております。 それから、もちろん、そういう名前のついた何とか協議、何とか小委員会という話とは別に、私どものレベルでアメリカ側との間の接触は頻繁に行われておりまして、そういう意味では日米両国の政府間の対話の機会というのは、十分と言えるかどうかは別といたしまして、現状でもかなりあることはあるというふうに私は思っております。 ただ、先ほど先生御指摘のございましたブロック通商代表あるいはブロック通商代表の発言の土台になっておりますブロック農務長官の発言、こういうものは、今回五月二十四、二十五の両日行いましたマクドナルドと私との間の協議で合意が達成されました品目というのは、アメリカ側から見ますと必ずしも重要性が高いとは言いがたいものばかりでございまして、重要性が本当に高いトマト関係の製品あるいはジュースのたぐいにつきましては日米間でまだ相当意見の懸隔がございますので、そういう意味ではどちらかというと重要性の低い商品について合意が達成されたにすぎないわけでございますので、現状でアメリカ側がそういう不満を相変わらず言いつのっておるということは、私はそう異とするには当たらないのではないかというふうに思っております。 それから、今後の牛肉、柑橘を踏まえて秋以降の交渉を展望しての問題でございますが、これは大変容易ならざることでございます。それで私どもといたしましても、先生御指摘のように、日本の農業の実情について米側の関係者の理解を得るために一層努力を傾注するつもりでございますが、そのために特別の協議機構をつくることが有益であるかどうかということにつきましては、率直に申し上げて私若干疑問を感じておりまして、むしろそういうことよりも、格式張らずに議論をする機会というのをできるだけ頻繁に持つように努力する方がいいのではないかというふうに思っております。 先生、せっかくの御指摘でございますので、私どもも従来から試みてきたところでございますが、秋以降の協議を展望して、さらに日本の農業の実情について米側関係者の理解を得るよう一層の努力をいたしたいと思っております。
○木村(守)委員 局長の考えも私の希望するところと基本的にはそう差異がないようですけれども、これは報告に対しての質問だからちょっと外れるかもしれませんけれども、私はこの機会に申し上げたいことは、いま農家は非常に不安が続いているわけですよ。米の問題一つとっても、いまだ需給バランスのめどが立たない、あるいはまた、その間に実際農家において、地域によっては冷害にたたかれるとか、しかも経済自体がこのとおりのわが国の推移をたどらざるを得ない現状にある。いずれにしても農家は非常に不安がつのって苦しんでいる。 そういうところに貿易摩擦という中にあって、なおこの農畜産物のことがほとんどが未解決の状態で、せっかくの皆さん方の努力で、皆さん方は一つの防波堤としてがんばってくれているということは高く評価はするものの、当面の問題で要求されては話し合いに応じる、あるいはその問題については説得に努力している、こういう姿勢だけでいいだろうかということなんです。交渉技術の問題だけでなく、アメリカへ行ってみて、先ほど申し上げたとおりアメリカの国会議員たちはいかに日本の農家の実態をあるいは農林省の政策を知らな過ぎるか、そういう点を私は肌で感じてきたわけです。 その反面、また日本の農家はあなた方の努力を多としながらも、今回、一部閣僚はあるいは党の偉い人かどうかわからぬけれども、多少勝手な発言をする政策担当マンもおりまして、私なんかは憤慨にたえないわけでありますが、そういうことなどいろいろなことが行き交うものですから、農家は、あなた方がせっかく努力しても、当面のことについては努力しているけれども、先行き不安というのは何も聞いてないわけですよ。 そんなことを考えた場合、私は場合によったらあなたの方から積極的に常設機関でこれからの日米農畜産物を中心とするこの日米間の話し合い、認識をお互いが求め合う、そういう点に力点を置いて、その上で中期的、長期的な目安を持った話し合いの中で当面の問題をどうするのかということでいかなければ農家の不安は解消されない。この次はまた何なんだろう、そしてその次は何なんだろう、どの程度なんだろう、そういうことだけでは安心して生産体制に取り組めない。アメリカの顔色にだけ右往左往して話し合いのテーブルに着くというようなことでは、これからの日米農畜産物のことはいけないのではないか、私はそう思うのですよ。 そういう意味で、あなたがせっかくいままで継続的に努力してきておりますから、あなたみずからがそういう考え方をしっかり踏み込んで常設機関で話し合っていこうという提案をしていくぐらい積極的な、しかもそれは、相手がアメリカであるばかりでなく日本の農家へ一つの安らぎをもたらしていく、見守ってほしい、そういうものも私は行政上配慮が必要だと思う。もう一回そのぐらいの積極的な、しかも中長期的な姿勢としてそういうスタートを切れるのかどうか、率直に伺いたいと思います。
○佐野(宏)政府委員 アメリカ側に日本の農業についての認識を深めてもらうための努力というのは、私どもも現在までいろいろ工夫はしてまいりましたが、決して十分であるとは思っておりませんので、今後一層力を尽くしてアメリカに対する広報活動と申しますか、先方の認識を深めるような努力は一層強化してまいりたいというふうに思っております。 ただ、先ほど来申し上げておりますように、常設機構をつくるということにつきましては、私いまにわかにそれが実際的に有効であるかどうかという点について、ちょっと判断を留保させていただきたいと思いますが、一般論といたしましては、アメリカ側の認識を深める努力というのは、受け身でアメリカ側が何か言ってきたときにそれに対する反論としてやるということではなくて、アメリカ側から問題が提起されようとされまいと、不断にそういう努力を継続していくべきものであるという点は全く先生御指摘のとおりであるというふうに思っておりますので、何月から何の協議があるからそれに臨んで説明をするということではない、もっと先を見通した対米啓発に努力をしていきたいというふうに思っております。
○木村(守)委員 局長さん、そんな抽象的な考え方ばかり何回もあなたとやりとりしたってしようがないんだ。もう少し厳しく受け取めてくれなければ困りますよ。委員会に出てきて、あなたが話し合ってきた報告だけすれば済むと思ったらだめだよ。そんなことでいまの農家の心は明るくならないんだ。 僕らは、たとえば青森県は、いまようやく田植えも終わりまして、稲も活着してきまして、どうやら最近天候に恵まれているからことしは冷害でなくなるんだろうか、こういう希望を持って、そういうさなかでもこの問題について、田植えの最中でも早朝大会というものをやっているんだよ、いまは猫の手もかりたいというときで、朝早くでなければもう時間がとれないから。もう田植えは終わりましたけれどもね。ここ十二、三日前の話ですよ。それだけ深刻なんですよ。 そういうときに、あなたの報告は多とします、そして非常に厳しい中にあって私どもが懸念した以上にがんばった結果が完全自由化というものがなくて済んで、まあまあの線でおさめてくれたということ、これはもう感謝にたえない。たえないけれども、それで終わっていない。十月からの牛肉、柑橘を初めとする問題、そしてそれも当面の枠の拡大とか何かでこれはどうなるのかわからぬけれども、それを踏まえて予測した場合、アメリカの農業の実態と日本の農家の実態からいくと十月からの話し合いでどういう結末がついてもそれだけでは解決しない、中期的に長期的にこれはかかっていくことなんだ。 そういうことからいくと、私はせっかく委員が提言したら、少なくともその意見を取り入れて、結論はきょうは大臣いないから答弁できないにしても、それは進言してあなたが取り上げていくぐらいの気持ちがなかったら何のためのおれは与党委員なんだ、考えてみなさいよ。(拍手)そんなこと言えば野党が喜ぶから余り言いたくないけれども。あなた方野党からおれは拍手が欲しいのじゃないからな。佐野さん、そういうことでいままでの経過を見ればどうしても、定期的に話し合いをしています、あるいは継続的にやっている、こう言っている。 それはそれとしても、僕はアメリカに行ってみて、三十七、八名の国会議員と会ってみた。各省の大分日本通の人方にも接触をしてみた。それでもなおかつわれわれもアメリカを知らな過ぎる。あなたは知っているかもしれないけれども、われわれも知らな過ぎるし、アメリカの国会議員も日本の実情を知らな過ぎる。そうすると、議論していって平行線になると、それはパーセプションの違いである、こういうふうに逃げられてしまう。 そういうことも踏まえてみれば、やはりこの機会に常設機関を設けて、そうして実務者がそれを中心に入って、そういうことによって実務的な日米間での数字とかあるいは詰めだけの問題ではなく、日本の農家に対しても説得力になってくるだろう、私はこう思います。その考えをしっかり持ってほしいということと、いま一つあなたに聞きます。 いま一つは、消費者サイドについてもこういう努力だけでは説得力を持たない。ある程度あなたの報告などによって、われわれはそれを受けて生産農家には報告できるんだ。消費者の方々はそれだけで、何でもっと安い牛肉が入れてもらえないんだろうか、もっと食べたいのにというそういう素朴な日常生活から来る消費者サイドの要望も強いんですね。そういうことについても農林省はこたえなければいけない。通産行政だけでそれにこたえるべきものではない。 消費者の方々の御理解もいただかなければ、これから——ことしだけで終わらない、アメリカの農業が百五十六ヘクタール、日本が一ヘクタール、そういうことだけで比較するわけではないけれども、きわめていろいろな問題があるんですね。そういう事情を踏まえて、なおかつ長期的に考えると消費者の方々の御理解もいただかなければ、私は、むずかしい時代に入るだろう、こう思うのですよ。 そういうことからいくと、あなたの報告だけでは前もって踏み込んでいくものが足りない、そういう点でせっかくの機会ですから、やはり常設機関を設けて、その過程で消費者あるいは生産者を問わず国民にその姿勢を示していく、そうすることによって信頼の上に立った日米実務者会談がその段階ごとに進められていく、こういうことが私は望ましいと思う。もう一回あなたの積極的な考え方があるかないかお聞かせ願いたい。
○佐野(宏)政府委員 ただいま先生のお話は私も御趣旨として異論があるわけではないわけでございまして、実際的な問題の取り扱いとして少し考えさせていただきたいということを申し上げているわけでございますが、よく研究させていただきます。
○木村(守)委員 そこで、先ほどの報告、その後の答弁にもありましたけれども、いよいよ十月から牛肉、柑橘などを中心に大変厳しい情勢でなかろうか、こう思われるのです。どういう見通しを持ってどういう考えで臨むつもりか、お聞かせ願いたいと思います。
○佐野(宏)政府委員 十月からの牛肉、柑橘の協議につきましては、アメリカ側としては即刻であるか段階的であるかということについては若干予測しにくい点がございますが、いずれにしても完全な自由化を要求してくることはまず間違いないであろうというふうに思っております。 私どもといたしましては、これは従来からそうでございますが、十月からの協議に当たりましても、牛肉及び柑橘について自由化の要求には応じないという方針で、わが国の農業の実情や農産物の市場がこれまでにいかに開放されてきているかということを十分米側に説明しながら、自由化を回避するという基本方針を堅持して当たりたいというふうに考えております。
○木村(守)委員 実際に十月以降というのが本当の意味での交渉なのだろう、こう理解をするわけですけれども、それにつきましても、いままでのいきさつからいくと、せっかく皆さん方政府があるいは国会決議を踏まえ、委員会決議を踏まえて努力してきても、先ほど申し上げたように、ブロック代表の発言に見られるように、不満である、この発言一つとってもきわめて厳しいということはうなずけるわけであります。 それについてはいま御答弁がされたわけでありますが、いずれにいたしましても、十月以降の話し合いがガットへの提訴ということを予測せざるを得ないのじゃなかろうかとも思われるわけであります。その辺についてはどう対応するつもりなのでしょうか。
○佐野(宏)政府委員 恐らく十月から協議が始まりました場合に、アメリカ側は、議論の中では、ガットの条文に照らして現在の日本の輸入制限が撤廃されるべきものであるという議論を展開してくることはまず間違いないと思います。それで、議論にとどまっている限りにおいてはしかるべく応酬をしておればよろしいわけでございますが、これがいつまでたってもアメリカにとって思うような解決が得られないということになれば、アメリカ側がガットの紛争処理手続に訴えるという可能性もあり得ることであるというふうに覚悟はしておくべきものであるというふうに思います。 私どもとしては、仮にガットの紛争処理手続に訴えるという態度をアメリカ側がとるといたしましても、日本側としてはそれでろうばいをすることなく、自由化はしないという基本方針をあくまでも堅持し続けるべきものであるというふうに考えております。
○木村(守)委員 時間もあれですからもう一、二点聞きますけれども、まず、基本的にこれから厳しい交渉に当たっても忘れてならないことは、国会決議にあるとおり食糧自給力の向上を決議されております。それから自由化反対の委員会決議もなされております。そこで努力してくれていることは多としますが、日本人の平均の摂取カロリーは二千五百カロリーと言われている。そのうちの四六%がいま現実にアメリカを中心とする諸外国からの輸入による摂取量と言われている。 こういうことがさらに話し合いだ、自由化だあるいは段階的だという名のもとに進んでいった場合、食糧安全保障というものからいって私は非常に懸念をいたします。当然皆さん方はそれを踏まえてくれているわけでありますが、実務的な話し合いの波に流されて、そういう基本的な政策の根幹を失ってはいけない、こう思うわけであります。そういう認識をしっかり踏まえておいてもらわなければいけない、これが一つ。 それから具体的なことで、たとえば牛肉にしても、青森県の農家あたりは平均千五百万の負債、借金を抱えている、あるいは全国で千九百万近くの借金を抱えている実情だと言いますね。しかも米の需給アンバランスからきたいろいろな飼料作物の奨励とか、あるいは牛肉への指導とか畜産の指導とかと相まって、行政の継続性、責任というものからいっても問題もある。 柑橘についても、温州ミカンなどは二〇%強の減反を余儀なくされてきている。果汁については七カ月半分くらいストックしているという現況。そういうことを皆さん方十分わかっての交渉であるわけでありますが、たとえば柑橘類一つとっても、段階的に季節的な輸入ならどうだろうとか、そういう甘い判断はやめてほしい。そうなってくると柑橘関係だけでなくリンゴについても深刻になってまいります。 たとえば、青森県特産リンゴの中での中心をなしてきている「ふじ」というリンゴ一つとってみても、ミカンにだけ目がいって季節的な輸入ならどうだろうかというような安易な考えをとってもらっては、特産の青森県あるいは信州のリンゴにしても「ふじ」などにはまともにぶつかってくる。国内農家にそういう混乱をもたらすことにもなります。 そういうことなどもきめ細やかに踏まえて今後の交渉に当たってほしい。冒頭申し上げたとおり、食糧安全保障というものをよく踏まえて努力していただきたい。最後に、十月からのその決意のほどを述べてもらって終わりたいと思います。
○佐野(宏)政府委員 国会の自給力向上に関する決議あるいは本委員会で先般行われました自由化問題についての決議、それを踏まえれば当然いま先生御指摘のような考え方になっていくと思いますので、私どもとしてはただいまの先生の御指摘を肝に銘じて秋以降の交渉に当たる決意でございます。
○木村(守)委員 ありがとうございました。
○亀井(善)委員長代理 田中恒利君。
○田中(恒)委員 大変長い、二百日を上回る特に日米間を中心とした農産物の交渉、サミットで一区切りついたという感なきにしもあらずでありますが、この間、農林省よく根気よく粘った、こういう評価は私ども野党の立場でもいたしておるわけであります。ただ、問題はほとんど解決をされていない、秋に向かっての非常に大きな不安や対応がこれからまた求められる、こういう状況になっておると思いますが、一応これまでの交渉の経過を反省というか見ながら、秋に向かってのわれわれの対応について若干問題になるような点を御質問申してみたいと思うわけです。 まず、昨年末の第一弾の市場開放、さらに本年五月末の第二弾の市場開放などがサミットでもってどういうふうに評価されておるのか、特に、農産物の問題についての各国の受けとめ方などを中心に局長の方から御報告をしていただきたいと思います。
○佐野(宏)政府委員 サミットの全体会議あるいは各国首脳相互間の個別会談を通じまして、日本の第二弾の市場開放対策というのは各国代表の賛辞を博したというふうに伺っております。強いて申し上げれば、例外は、ECのトルン委員長がやや懐疑的なコメントをなさったやに伺っております。 それから、これはいずれも第二弾市場開放対策一般論でございまして、特に、品目別の各論にわたるような議論はなかったというふうに伺っておりますので、特に農産物に言及して云々されたことはなかったと承知しております。
○田中(恒)委員 そこで、いま御質問もありましたが、最近アメリカの報道を見ると、ブロック通商代表、ブロック農務長官あるいはボルドリッジ商務長官、相次いでわが国の市場開放について不満である、こういう立場に立った意見の表明が続いておるわけですね。 商務長官は、何か、完全に行われるかどうかという点についての日米間の協議というか、そんなものをこれから毎月来てやるとか、こんなことも伝えられておりますし、通商代表部、ブロック農務長官の方も、重要な問題が残されておる、こういう発言が続いておるわけでありますが、きのうの衆議院の本会議で公明党の矢野書記長が市場開放第三弾はどうなんだ、こういう質問をいたしましたが、総理はそのものずばり答えておりませんが、ガットと多国間協議にゆだねる、こういう意味の答弁であったと思いますが、第三弾というものについては農産物についてはあり得ない、こういうふうに理解してよろしいですか。
○佐野(宏)政府委員 第三弾ということの概念規定が必ずしも定かではございませんので、ちょっとお答えしにくいところがあるのでございますが、いわゆる第一弾、第二弾のように、全省庁にまたがって経済対策閣僚会議の場で決められるような包括的な市場開放措置として、次の段階が考えられているというお話は全く私ども伺っておりませんので、さようなことはよもやあるまいというふうに考えております。
○田中(恒)委員 これは非常に大きな政策選択の問題になりますから、大臣もお見えになっておりませんし、非常に複雑な面があると思いますが、ただ、ここでちょっとお尋ねをしておかなければいけないのは、秋に予定されておる日米間の農産物協議、この農産物協議というものはどういう性格のものなのか、市場開放第二弾の継続協議といったような性格なのか、日米間の二国間農産物協議といったようなものなのか、その点についてはどういうふうに理解したらいいんでしょうか。
○佐野(宏)政府委員 ただいま先生の言及なさいました後段、すなわち二国間の協議であるというふうに理解をいたしております。
○田中(恒)委員 私は、まだ不勉強で十分承知しておりませんが、そういたしますと、二国間の協議ということになりますと、日本とアメリカとの間で決められた事項は日米間を拘束するにとどまる、こういうことでいいのか。これに関連して関係国全部それにつながっていく、こういうことでいいのか。ガット等で貿易の問題というのは、この二国間協定といったものと多国間の話し合いといったものとどういう方面に重点が志向せられておるのか、この点も農林省の方の御見解をひとつお聞きをしておきたいと思うのです。
○佐野(宏)政府委員 私どもは、十月のしかるべき時期に牛肉、柑橘について日米間の協議を行いますが、この協議の結果は、それに基づいて、たとえばオレンジについて何トンというクォータを設けることにいたしますと、そのクォータは当然グローバル、すべての国からの輸入について共通に適用されるクォータでございますから、協議は二国間でございますが、それで決められた輸入枠につきましては、あらゆる国に平等に門戸を開放するつもりでございます。従来もそうでございましたし、今後もそうするつもりでございます。
○田中(恒)委員 そのやり方が一体どうなのか、これも詰めていくとだんだん微妙な問題に展開していくわけですけれども、しかし、日本とアメリカとの間で話し合ったことが関係国全部につながっていく、こういうことが国際的にどういうふうに評価をされるのか。 今回の自由化の市場開放策が、五月十八日のASEANの外相会議などで大変厳しく、日本の姿勢はアメリカ、ヨーロッパ向けである、ASEANに対してはほとんど考慮されていない。私どもそういうように思いませんがね、いろいろ、多少ありますが。しかし、そういう意見が出てきたという報道もいまなされておるわけですね。 そんなことを考えると、こういう二国間の協議ということで全体を律していくというこのやり方が——これは大きな問題です。外務省などに聞かなければいけないことかもしれませんが、問題があるんじゃないか、こういう気がしてならないわけですね。これについて、ガットなど国際諸国間で貿易をめぐってどのような話し合いがこういう問題についてはなされてきたのか、御承知でありましたら伺っておきたいと思うのですよ。
○佐野(宏)政府委員 先生御指摘のように、最恵国原則に基づいてすべての国に門戸が開かれているIQを、特定国との協議によって枠を決めるということが全く問題はないわけではないわけです。たとえば、アメリカと協議をしてオレンジジュースのIQを決める。この決めたIQについて、あるいはブラジルは不満かもしれないわけです。それでブラジルとしては、そんな小さなIQではがまんできないと言って、ブラジルが日本のオレンジジュースのIQについてガットの紛争処理手続に訴えるということは、これはあり得ることでございます。 ただ、しかしながら、だからといってアメリカとも協議をし、ブラジルとも協議をするというやり方をやるというのは、むしろ交渉が決裂しても構わないというつもりでやるのなら別でございますが、まとめるつもりでやるとすれば、むしろますますIQを大きくする方向に作用するわけでありまして、問題はあるのかもしれませんが、そこは問題があるということを覚悟の上で、日米間でやってしまった方が得策であるというふうに私は思っております。
○田中(恒)委員 この問題は、私自体ももう少しいろいろ調べてみたいと思っておりますが、今度の十月の日米交渉で話し合われる農林水産品というのは、一体どういうものが問題になるのですか。
○佐野(宏)政府委員 東京ラウンドの合意及び本年三月の日米貿易小委員会の席上行われた合意に基づいて、十月のしかるべき時期に日米間で協議が始められますものは高級牛肉、オレンジ、オレンジジュース、グレープフルーツジュース、以上でございます。 ただ、それ以外の輸入制限品目につきまして、四月の作業部会以降いろいろ議論が行われておりまして、先ほど来御説明いたしておりますニシンも含めて四品目以外については、日米間で合意がないわけでございますから、これはいついかなるときに米側が協議に持ち込んでも一向おかしくないわけでございまして、十月のしかるべき時期に協議を始めるという合意ができておりますのは、先ほど申し上げた四品目でございますが、別にその四品目に限られるという保証があるわけではございません。
○田中(恒)委員 残存制限品目はほとんど全部今度の交渉の中で協議の議題になるということでありますが、そのスケジュールというか予定はどういうふうになっていくのでしょうか。アメリカの商務長官が、何か日本の方へ来させて、この間の合意事項の実施状況をいろいろさらに細部的に詰めたいというような話もありますが、そういうものの中にもこの辺の糸口が出てくるのか。 佐野さんは帰られて、アメリカはいつでも発砲する権利というかそれを放棄していない、こういう記者会見もしておるわけなので、いつどういうふうになっていくのかという問題は非常に気がかりなわけですが、政府間でいまのところ具体的にスケジュールなどについての相談か連絡はまだ全然ないわけですか。
○佐野(宏)政府委員 現在、日米間で協議が整っておりますのは、先ほど申し上げました高級牛肉、オレンジ、オレンジジュース、グレープフルーツジュース、これについて、十月の双方に都合のいい時期から始めようという合意があるだけでございまして、それ以外のものにつきましては、協議日程について日米間では全然話し合ったこともございませんので、全く白紙の状態でございます。
○田中(恒)委員 そこで、いま木村委員の御質問を通して、アメリカ側は残存輸入制限品目の完全自由化を掲げてくるだろう、こういうお話でありましたが、そういたしますと、今度の十月交渉というのは全く新しい立場での日米合戦のようなものなのですが、これまでの話し合いで完全市場開放というものを掲げながら、一方では、日本側が休戦を示せ、休戦を示せばアメリカの関心品目について何らかの対応を出してもよろしいということで、農産物三品目、水産物一品目、計四品目、いま御報告のあった事項の話し合いがついたわけですね。この流れが受け継がれるということではないのですか。
○佐野(宏)政府委員 五月二十四日、二十五日の段階におきましては、米側は、十月送りになっております牛肉、柑橘以外の品目については、とりあえず自由化の問題を棚上げして、クォータの増枠で休戦をする用意があったことは事実でございます。それで、そういう考え方に基づいて、先生御指摘のように、ニシンを含む四品目について合意ができたわけでございます。 しかし、サミットを通過してしまった現在の段階で、アメリカのポジションが相変わらずそうであるかどうかということは、私どもとしては、いま確かめようがない。あるいは牛肉、柑橘以外につきましては、サミット直前の立場を現在においてもなお維持しておるのかもしれません。ただ、それはいまのところ確かめようがございませんので、ちょっと何とも申し上げられないところでございます。
○田中(恒)委員 そうすると、アメリカはやはり自由化というものを前面に出して要求をしてくる。そうなると、先ほどの局長答弁にあったように、わが方は、自由化はまかりならぬ、こういうことになるということですね。これはこの二百日交渉の中でも実は繰り返せられてきたわけですね。そして、最終的に三品目話し合いがついたということでサミットの市場開放策の中に入ったわけですが、これは大体アメリカから見れば別に関係のないものなんですよね。アメリカはほとんど関係ないんで、アメリカの関係ある事項は実は繰り延べられておるので、だから向こうは、入らなかったのが不満だということで、向こうは秋にこの話に決着をつけるということで臨んでくるのだと思うんですがね。 いま局長は、なかなかそれは言いにくいように思うが、しかし、どうも初めから出発をしてかつかつやるというような形で臨む会合になるのかなという心配を正直言って、これは非常にむずかしい微妙な問題がありますけれども、やはり常識的には考えざるを得ないですね。そういう段階に当たって、農林省なり政府なりがどういうふうに対処していくのかということが実は私どもは一番心配をしておる点であります。 特に第二弾で、豚肉調製品等、ハイテストモラセス、パイナップル缶詰それからニシン、こういう四品目の枠の拡大をせられたわけでありますが、こういう枠の拡大というものは一体どういう基準というか、どういう条件でこれはなされてきたのか。これまでも残存輸入制限品目、IQ品目についてやはり枠の拡大がそれぞれなされてきておるわけですね。 それは一体何を基準にしてなされてきておるのか、そういうものは、私どもは理解を十分にしておりませんが、これについて何か基準になるようなものが、あるいは枠拡大についてのまとまった考えというものがおありでしたら、その一般的な考え方だけで結構でありますが、この際、お示しをしていただきたい。そのことが、私どもがこれから秋に向けて対応する場合の非常に大きな考え方になっていくと思うので、この点をお尋ねをしておきたいと思います。
○佐野(宏)政府委員 各論にわたりますといろいろございますが、一般論といたしましては、要するに、国産と輸入とを足してみて、それが需給関係に著しい不均衡を生じないような範囲で決めるというのが原則でございまして、そういう考え方に基づいて個別に、品目ごとに需給事情を判断をして決めるということでやっておるわけでございます。
○田中(恒)委員 私も、実はそれぞれの品目について細かく、いつ、どういう形で枠の拡大ができて、その割合がどうでということを調べる時間的余裕がございませんで調べておりませんが、ただ、総体的に見た場合には、これは自由化品目も加わっておるわけでありますから、需給の事情で入っておる分が非常に多いといえばそれまででありますが、ともかく外国農産品の輸入というものが急激にふえてきておる。 これは農林省の資料の中にも、ECやアメリカに比べたって大きいじゃないか、こういうことを言って今度の交渉でも盛んに材料にして向こうの説得に当たったということも承知をしておりますけれども、私どもの調べによっても、たとえば、一九七五年を一〇〇とした場合に、実質個人飲食費の支出指数、これはサービスが入っておりますから、最近はサービス部面が非常に高くなっておりますから実際の飲食費の支出というのはもっと下がると思いますが、それでも一九八〇年は一一二・六、一二・六%上がったわけですね。 それから農業生産の指数というのは、これは冷害もありますが、九八・六ということで一〇〇を切っておる。この四、五年の間に、多いときで一〇%くらい高まっているときもありますが、大体農業生産は停滞の域から脱しておりません。しかし、農産物輸入の指数というのは一二七・八、ですから約二七・八%ということでありまして、ぐっとふえております。だから、どう見ても国民の需要というか飲食費支出の増加、それから国内の生産量をはるかに上回る食糧輸入、そういう傾向が特にこの七、八年来続いてきておる。しかもその内容は大体アメリカである。 そういうところに私は自由化問題に対するわれわれの危機感と、日本の農民なりあるいは今度の場合は消費者だって——消費者は安い物がいいというのは一般的に持っておりますけれども、消費者自体今度の問題についてはいわゆるわれわれの主張の側で動いていただいておるということも事実であります。私は、そういう意味で、こういう全体的な今日の状況の中で自由化なり輸入枠の拡大というものは認められないじゃないかというふうに考えるわけです。 これを単品ごとに牛肉なりオレンジなりジュースなりで見た場合に、あなた方の方でこれから取り組む場合に、こんなものを一つの基準にしながら単品ごとの状況を見て考えていかなければいけないというときが場合によっては来るかもしれませんが、そういう状況であるということを踏まえての取り組みをどうしてもやってもらわなければこれは大変なことになるというように思っているわけですが、これについてはどういうふうにお考えですか。
○佐野(宏)政府委員 私ども従来からIQの管理につきましては輸出国側の意を迎えるためにどんどんIQをふやしていくというやり方をとってきたわけではないわけでございまして、国内の農産物の需給事情を見て、ふやすべきときにはふやしますが、減らすべきときには減らす、据え置くべきときには据え置くということでやってきたわけでございまして、現に、たとえばハイテストモラセスでも昭和五十六年度は割り当てがゼロでございます。 それから、パイ缶につきましてもかつては百万ケース以上割り当てておりましたが、昨年度は八十万ケースしか割り当てをやっておらないわけでございまして、私どもは何もIQをふやす一方で運用してきたつもりはないわけでございます。それで、私どもといたしましては今後ともそういう考え方を貫いていきたいというふうに思っておりまして、先般の米側との協議に当たりましてもそういう態度で臨んだわけでございます。 だから三品目しか合意ができなかったわけでございまして、もし私どもがIQをどんどんふやすという態度で臨んでいたといたしますれば、もっと多い品目について合意ができていただろうと思うわけでございますけれども、私どもとしてはそういうわけにはまいらないということで、三品目しか合意できなかったということでございますので、その点は私どもは御心配をかけないようにやってきたつもりでございますし、今後もそうするつもりでございます。
○田中(恒)委員 IQ品目については、いわゆる国内の生産の状況と、消費、需要の状況、これが基礎になって毎年度の割り当てというものは決まっていくのであって、それ以外の要素は取り入れないのだ、こういう考え方で基本的には臨んでいくし、秋の自由化の交渉に当たってもそういうものは貫いていく、こういうように理解してよろしいですね。
○佐野(宏)政府委員 十月からの協議に当たりましては、あくまでも国内の農業に重大な悪影響を及ぼすような事態を回避するということを基本原則にして臨みたいと思っておりますので、IQの運用につきましても従来の考え方を逸脱するようなことはしないつもりでございます。
○田中(恒)委員 そういたしますと、十月の目玉と言われる牛肉、オレンジ、ジュース、そのほかにたくさんなものがあるわけですが、少なくとも牛肉、オレンジ、ジュースについては、今日の需給の事情からすれば自由化はもとよりでありますが、先ほどお話のあった季節自由化、輸入枠の拡大を含めてこれはなかなかむずかしい、こういうふうに事務当局としては判断をしておる、こういうふうに理解していいですか。
○佐野(宏)政府委員 いま申し上げましたのは私どもの物の考え方を申し上げたわけでございまして、具体的な数字を当てはめましてふやせると思うか思わないかという点につきましては、もう少し事態が接近をして需給事情などについての予測ができるようになる時期まではちょっと白紙でおらせていただきたいと思います。
○田中(恒)委員 私は、そういう合理的というか、わが国の農政として持つべき一つの基準のほかに、日米間の話し合いの中にはアルファ分というものが必ず加わってきて、そのことがいろいろな面で作用しておるだけに、われわれの方のいら立ちもそういう形で出てきておる面があると思っておるわけです。先ほどの木村さんの御意見もありましたが、日米間の問題については、わが国の自主性というかわが国の主張というものが何か非常に引っ張られておる。 今度だってアメリカ側の情報をいろいろ聞いてみると、ともかくアメリカは強腰で旗を振ればいいんだ、そのうち日本政府は大概のところで言うてくるよ、こういうことが裏側では盛んにささやかれておるということもよく聞かされるわけであります。また、日本政府の方もそういう対応の仕方があるのじゃないかという気がしてなりません。 具体的に一つお尋ねをいたしますが、チチュウカイミバエというものは大変大きな問題を与えて、アメリカも必死になってこれをなくするために努力をしたということは私もよく承知しております。日本政府は五月二十五日にこの防除というか検疫を解除しております。これはチチュウカイミバエがカリフォルニアでいなくなったからだということであります。 ところが、アメリカは六月一日に実は解除宣言というものをしておるわけです。これはいなくなったといったって、まだ宣言されていない地区が四つ余りあるわけで、そこの果物や野菜などは依然として搬出が許されていない、こういう状況でありますが、三つほどの地区が六月一日に政府としての解除の宣言がなされておる。 ところが、日本政府はそれにさかのぼって五月二十五日にこれをやっておる。これは一体どういう理由で二十五日にされたのか。これは小島局長ですかね。
○小島政府委員 カリフォルニア産の果実につきましての検疫措置につきましては、御高承のとおり昨年八月、チチュウカイミバエの発生区域が拡大する傾向にあるという事態を踏まえまして、現に虫が発見されていない地域であっても予防のために全量を消毒することを要請し、そのように実施をいたしてきたわけでございます。 その後の経過を見てまいりますと、一番遅いところでも、昨年の十一月二十日以降約六カ月にわたってただの一匹も発見がされていない。早いところになりますと、昨年の八月下旬以降約九カ月にわたって一匹の発見もないわけでございます。のみならず、本年の四月でございますか、約一週間にわたりまして現地調査団を出しまして、現地の情勢をつぶさに調査をいたしましたが、現在の防除の実施状況並びに早期発見体制などから見まして、その後において発見されるという可能性はきわめて少ない、かように判断をいたしておったわけでございます。 そこへもちまして、六月一日において、従来規制区域になっておりました七郡のうち、昨年の八月に飛び火をいたしました三郡については絶滅宣言が出るということが明らかになりましたし、その他の四郡につきましてもいわば時間の問題であるということが明らかになってまいりました。もともと消毒を要請いたしましたのは、現に虫がいないところであっても、飛び火する可能性があるという事態を踏まえて消毒をさせておったものでございますから、規制区域内においてもいない、ましてその他の区域に飛び火するという可能性がないという事態になりました以上、消毒措置を継続する実益なし、かように判断をいたしたわけでございます。
○田中(恒)委員 私の質問に答えていないのですよ。アメリカは六月一日に解除宣言をやった。日本政府は五月二十五日にやった。なぜ日本政府は前にやらなければならないのか。 これはあなたのところの資料ですが、八二年一月二十日の日米植物検疫専門家会議の合意というところで、撲滅宣言されれば八一年八月十八日以前の措置に戻す、こういう約束はしておりますね。撲滅宣言がされたのは六月一日です。五月二十五日になぜやったのかということを聞いておる。
○小島政府委員 一月の合意の時点におきまして、二郡の撲滅宣言が出れば規制区域外の消毒は必要ない、こういうふうに申し上げてあるわけでありますが、それはいわばそういう二郡の撲滅宣言が出るということをもちまして、アメリカの事態がきわめて改善されているということの一つのあかしとして受けとめよう、こういうことで合意をいたしておるわけでございます。 もちろん、二郡が絶滅宣言を出されて、そのほかの郡については虫が頻繁に発見される、こういうふうな事態は同じような防除方法をとっております以上起こり得ないということを前提といたしまして、二郡が絶滅宣言が出れば事態の改善を認める、こういう意味でございます。 したがいまして、六月一日が向こうの三郡についての撲滅宣言の日ということはその時点で明らかでございましたけれども、その数日の間がきわめて危険な徴候があるというふうには考えなかった。もうすでに秒読みの段階であるということをもちまして、五月二十五日段階で規制区域外の消毒は必要なし、かようにいたしたわけでございます。
○田中(恒)委員 これは国と国との関係で、アメリカ政府が撲滅宣言をしない前に日本政府がもう大丈夫です、こういうことをやるということは、いろいろあなたは説明されるけれども、これは国民は納得しませんよ。なぜ六月一日以降にしなかったのかということなんですよ。私はしたのが悪いということまで言っておりませんよ。しかし、アメリカがやる前に日本がやるということはどういうことなんだ。 サミットで、鈴木総理とレーガン大統領の会見の劈頭にチチュウカイミバエについて大変お世話になりました、こういうごあいさつがあったそうですね。これは新聞で報道せられておる。私はこの姿を言っているわけですよ。この姿が日米のいわゆる貿易摩擦に伴う交渉の中に非常に多く投影しておる、このことを指摘したい。そのためにミバエの問題を言っているわけです。 ミバエの問題はもっといろいろ言いたいことがありますよ。ほかにもありますけれども、そういう姿勢が今度の交渉の中にも——農林省はよくやったと私は思っておるけれども、しかし、全体の中にはそういう配列を組んでおったかなといま思えますよ。そういうものがこの十月の日米紛争の中で出てくるんじゃないかということをわれわれは心配しておるわけなんです。それをやってもらっては困るということなんです。日本政府として、きちんとした、主体的な、自主的な判断をとってもらわなければいけないということです。 それから、貿易の問題についてはやはりアメリカに集中しておる。もっと多面的な多角貿易ということを、これは世界の自由主義貿易ということを私は余り口にせぬけれども、それを現実進めれば済むとしても、これは多角的な貿易体制をとらなければいけないんじゃないか。国の食糧の安全保障政策ということを考えた場合に、アメリカ一つだけに一切のものを握られておって一体いいのか、もっと各国に散らばさなければいけないのじゃないか、その余地はないのか、そういう問題を決めてかからなければいけない。 今度の日米交渉に当たっては、私どもは守りの話し合い、アメリカは攻めであります。これは選挙をやったって、守りの選挙は弱いので、やはり攻めなければいけない。攻めの日米交渉というものをこの十月に向かってやってもらいたい。日本政府として一体何を持っておるのか。私は、多元的な日本の貿易構造の変化というものにねらいを置いたやり方を考えなければいけないと思いますよ。 小島さんの感覚だけれども、チチュウカイミバエでこれほどアメリカさんの御機嫌をとらなければいけないような政策をとる前に、私は何回か言っておるけれども、こういう機会に日本の温州ミカンの全加州解禁をなぜあなたはアメリカに迫らないのか、そういう姿勢がないところにこの問題の本質的な問題があるし、われわれは、これは農民諸君、国民全体がそのうちアメリカにやっぱりやり込められるだろう、こんな感じを持っておるということをここで特に強調しておきたいわけです。 きょうは大臣がおりませんから、そういう大きな政策というか基本的な姿勢の問題についての議論がしにくいわけですけれども、チチュウカイミバエについては私はどうしても解しがたい。だから、このことを例にして申し上げておるわけですよ。どうですか。
○小島政府委員 私どもも、アメリカの大統領がああいう発言をされるとは思っておりませんものでしたから、その意味では大変びっくりいたしておるわけでございます。ただ、別に大統領を喜ばせるためにあのような措置をいたしたわけではございませんで、この数日間に規制区域外での危険度が特に高まるという事態ではないと判断をしたからにほかならないわけでございます。 もちろん、その数日間でございますが、撲滅宣言が出されるまでの間、その区域について輸入禁止の状態が続いておるという点は全く同様でございまして、解除以前にその区域も輸入ができるということにいたしたわけではございませんから、その点は申し上げておきたいと思います。 今回の措置は、そういう検疫上の判断に基づいて行ったものでございますが、その際において、アメリカ側と日本との間にかねて懸案でありますところの温州ミカンの解禁区域の拡大の問題についても、日本側からアメリカに対して申し入れをいたしておりますけれども、それといわば取引をする、こういう性格のものではないということも御理解をいただきたいと存じます。
○田中(恒)委員 取引をするのじゃないですけれども、主張すべきことを堂々と主張してもらわなければ、そしてやはりこの農産物の貿易交渉に当たってのわが国の基本的な姿勢をきちんと打ち立ててもらわなければ、これはそんなに甘いものじゃありませんよ。きれいごとを言って、向こうは自由化を言ってくるだろう、こっちは断ります、そのことで話は済みますか。だから、それに対応するためには、われわれの主張を貫くためには、もっと思い切った腹決めをしてかからなければだめだと思うのですよ。そのことを特に申し上げておきたいと思います。 特に私どもは、今回の農産物交渉、日本の国内でもいろいろな意見があります。ありますけれども、農業関係はもとよりでありますけれども、国民の相当広い層が、食糧については多少値段がどうあろうとも自分の国でつくったものを食べるべきであるという声が急速に高まっておる、われわれもまたその声を高めるためにこの問題といろいろな角度で取り組んでまいりましたが、そういうふうに理解をしております。 これは政党間も大体大枠は一致をして、本院の決議のようなものもできておるわけでありますので、交渉の正面に当たるのは農林省でありますから、私は腰を入れて取り組んでいただきたいと思っております。 なお、最後にちょっと、これは質問を忘れておりましたのでつけ加えておきますが、パイナップル缶詰、これを八十万ケースとしましたが、これは大丈夫ですか。これは一番心配しておるのは沖縄でありますが、沖縄はサトウキビとパイナップル、この二つが柱でありますが、どうも最近は需要も余りよくないというようなことのようですし、在庫も相当あるようですが、余り細かいことは要りませんけれども、こういうものについては、国家間の話し合いで一定の規制が加わって、そのことによって打撃を受けるということになれば、政府としては何らかの対策を立てなければいけないと思いますが、どういうお考えですか。この答弁を聞いて質問を終わります。
○小島政府委員 パイナップル缶詰が沖縄にとりまして重要な農産品であるということは私どもも重々承知をいたしております。過去の輸入の割り当て状況をながめてみますと、過去六年間において最も割り当て数量が少なかった年が二年ございました。一つは五十一年度、一つは昨年度でございます。両年度とも一番少なかった年でございますが、それが八十万ケースということで、それ以外の年はいずれも九十万ケース以上の割り当てをいたしております。 昨今のパイナップル缶詰をめぐります状況でございますが、一時期国産缶詰のいわば強敵として登場してまいりました冷凍パイナップルから缶詰をつくる、この数量がいっとき九十万ケースほどに上った時期がございますが、その後、政府の行政指導もございまして、昨年度あたりは五十五万ケースというふうに減ってきております。 また、一時非常にふくれ上がりました沖縄の缶詰の在庫も、昨年以降減少傾向にございまして、ただいま時点ではおおむね適正在庫というふうに見ておりますので、八十万ケースを最低の割り当て数量とするということによって、沖縄のパイナップル缶詰を不当に圧迫する、こういう事態はないように考えております。万が一そういう事態が出るということでございますれば、適切な対処をいたしたいと思います。
○田中(恒)委員 終わります。
○亀井(善)委員長代理 次に、藤田スミ君。
○藤田(ス)委員 時間が大変限られておりますので、簡潔にお伺いをしたいと思いますから、簡潔に御答弁をお願いしたいと思います。 きょうはチチュウカイミバエの問題についてはお尋ねをする予定ではございませんけれども、しかし私も、アメリカ側が撲滅宣言をする前にこちらの方から先にそういうことを決めていったということを大変残念に思っております。もともとチチュウカイミバエのいわば主治医がまだ御臨終と言ってないのに、診てないこっちの医者の方が御臨終だと宣言したのと同じようなものでして、こういう姿勢が実はいまの貿易問題に対しても自由化の問題に対しても農民を大変不安に陥れているということをまず最初に申し上げておきたいと思います。 日米農産物協議が五月の二十五日に合意しまして、二十八日に経済対策閣僚会議で市場開放対策を決定しているわけですが、私は、今回の市場開放対策についてはとうてい納得のできるものではありません。 そこで、きょうは個別の問題でお尋ねをしていきたいと思いますが、まず最初にタマネギ問題であります。 先般のアメリカの関税引き下げ要求農産品四十品目の中にタマネギも含まれていたわけですが、市場開放対策の中では十七品目の関税引き下げが決定されたわけです。私は、関税引き下げを一方の国だけが行うというような行為、これは互恵の原則から見ても大変おかしいと思うと同時に、この四月に引き下げられたばかりの品目の多くが、再度来年の四月に引き下げられるということになるわけでして、さきの引き下げによる影響について何の調査も行わずに再度引き下げに応じたという行為が非常に問題であると思うわけであります。 そこで、第一点お聞きいたしますが、アメリカのこの四十品目の引き下げ要求のうち、今回決定されていない二十三品目について、とりわけタマネギについてお伺いしたいわけですが、これはもう応じられないということで決着がついて、今後は話にも上らないというふうに私は聞いておりますけれども、確認をしておきたいと思います。 二点目、四月の下旬からタマネギの市況がどういうふうになっているかということは十分御承知だと思いますが、価格が五月以降大変暴落をしているわけです。私の地元泉州は古くからタマネギの特産地といたしまして名をはせてまいりました。近年、他県に追い越されてはいるものの、大阪の農業の中では重要な位置を占めているわけです。そのタマネギの市況が四月の下旬から二十キログラムで千円を割るというような状態が今日まで続いております。 先日、泉佐野市の農協や産地問屋の方々の話を聞いて、現地も見てまいりましたけれども、農民も農協も商人も、相当深刻な状況でありまして、安いタマネギだからということで廃棄処分をしては公害につながる、それもできないというような状態であります。 農水省の方は、この原因の主なものとしては、昨年の高値を反映した作付の増加と府県産の豊作にあるというふうに見ておられるようですけれども、私は、無秩序な輸入、一昨年、五十五年は七万トンに対しまして昨年、五十六年は実にその三倍、二十万五千トンもの輸入が行われてきたわけでして、これが最大の原因だと考えております。 昨年は、北海道が台風で打撃を受けたことに目をつけて、従来のタマネギ輸入業者だけではなしに、他の業種の、たとえば鉄鋼業者まで投機的なタマネギの輸入に走ったというふうに言われております。 農民の皆さんが強く訴えていることは、暴騰時に輸入されて消費者対策を行うのは当然だろうけれども、暴落のときに廃棄処分までやらなければならない農民についても考えてもらいたい、タマネギは輸入自由化だから一定の輸入は仕方がないにしても、秩序ある輸入を政府は強力に指導してもらいたい、こういうふうに訴えているわけであります。 日本農業新聞の報道を見ましても、大手加工メーカーの原料仕入課長が、タマネギは小豆と同じように全く相場が張れるというふうに言い切っています。 こうなりますと、昨年のような無秩序な輸入というのが今後も十分予想されるわけであります。農水省も一定の指導をされているということは承知しておりますけれども、いま、もっと強力な指導が求められているのではないでしょうか。この点についてどうでしょうか。 それから、三点目です。野菜供給安定基金が売買保管事業として、不足時に備えて保管をしているわけですが、これについては、昨年度は一万一千四百七十トン貯蔵しました。内訳は、国内産四千九百トン、ニュージーランド産四千五百七十トン、台湾産二千トンというふうに聞いております。今年度も一万三千八百トンの予算枠を確保しているわけですが、府県産の増収あるいは北海道産の増加の予想を考えていけば、この保管事業の数量は当然減ってくるだろうとは思いますけれども、それにしても、少なくともこの保管分は、輸入タマネギで行うべきではなく、国内産で行うべきだと考えますが、この点についてはどうでしょうか。
○佐野(宏)政府委員 最初の関税についてのお尋ねについて私からお答えいたします。 関税につきましては、私ども、いろいろな説明をいたしましたが、その中で、言うなればハードコア品目、何ともしようがないからあきらめてもらうよりしようがないよというものを幾つか申しましたが、タマネギもその中に入れてアメリカ側に説明をしてございます。議論の余地のない、問答無用でだめなものであるとアメリカ側には申してございます。
○渡邊(五)政府委員 タマネギの価格の問題でございますが、先生御案内のように、五十五年の暮れから昨年の二月末まで続きました大寒波によりまして、五十六年産がかなり減産した。北海道が夏場の台風等によりましてあるいは長雨等によりまして減収したということがありまして、一昨年の暮れから価格がかなり上がりました。特に、昨年の十月には通常の、私ども趨勢値価格と言っておりますが、その価格の倍以上の高値を続けたわけでございます。 そういったこともございまして、私ども、国内の基金によります備蓄も行いましたし、一方、輸入につきましても、業界に対しまして適正な輸入をするように指導した経過はございます。そういったこともございまして、本年の三月に通常の価格水準までに戻りました。 ただ、四月に入りましてから好天候に恵まれまして、わせのタマネギのできがよかったというようなこともございまして、先ほど先生おっしゃいましたような価格水準が実現しておるわけでございます。 一方、御指摘のタマネギの輸入でございますが、二年間にわたりまして高価格が続いたということもございまして、私どもとしましては、それはそれといたしまして、野菜の輸入につきましては、蔬菜の輸入組合というようなものも一応ございますので、そういった関係の団体を通じまして、生産あるいは出荷の状況あるいは被害の状況等々、連絡を密にしまして、需要に見合った輸入をするように指導はしておったわけでございますが、先ほど先生御指摘のように、価格がかなり高騰したということもございまして、従来の野菜の組合と関係のなかった人までがタマネギの輸入に手を出したというようなことがございます。 そんなことで、結果的にはやや行き過ぎた輸入になりまして、それが荷もたれになりまして、四月に入りましてからの価格の状況になっていると理解しております。 いずれにしましても、需要に見合った輸入が行われるということが、長い目で見まして、消費者にとりましても生産者にとりましてもいいことでございますので、昨年の経験にもかんがみまして、そういったことにつきまして適正な輸入が行われるよう、ただいま申しました野菜の組合等を通じまして、今後とも指導を強めてまいりたいと考えております。 第二点の、野菜供給基金の売買保管事業でございますが、これは御案内のように、冬場の野菜の高騰対策ということで、基金が、年末、年始及び二月ないし四月ごろの端境期対策として貯蔵をするわけでございます。したがいまして、買う時期が大体冬場になります。そういたしますと、価格が高騰しているときには、私ども、農業団体の協力方を依頼するわけですが、なかなか思うように御協力がいただけないというようなこともございまして、輸入物の貯蔵が相当部分を占めるということもやむを得ないことでございます。 昔は輸入物だけでやっておったわけでございますが、五十年からは国産物も対象にするようにしてまいりまして、その後、国産物のウエートも高めてきているわけでございますが、御指摘のこともございますので、今後とも、農業団体の理解を得ながら、国産物の貯蔵についての努力は続けてまいりたいと考えております。
○藤田(ス)委員 今後の強力な指導と、それから保管問題については十分な御配慮を重ねてお願いをしておきたいと思います。 時間がありませんので、大変残念ですが、引き続いてお尋ねをいたします。 先ほどもパインの問題が出ておりましたけれども、実際、沖縄の農民にとってはこれは大変ショックな枠の拡大でございまして、今回のパインの枠の決定については、政府機関が出しております沖縄総合事務局の「沖縄農業の動向」という資料を見ましても、今後は、農家の栽培意欲の向上によって収穫の向上が期待されるのだということで、一定の政策が示されているわけですけれども、そういう政策からしても、今回のこの枠の拡大というのは非常に大きな矛盾を持っているということを指摘しておきたいと思います。 それから、今回の枠の拡大は八十万ケースを上回る割り当てだということですけれども、上回るということは八十万ケースで、逆に言えば、その最低ラインで抑えられるというふうにも解釈できますが、そういうふうに八十万ケース、当然そういう最低のラインで抑えていくべきであると考えます。この点についてどういうふうに考えていらっしゃるか。 それでもなお沖縄産に影響が予想される場合には、すでにもう自由化されております冷凍パインの缶詰の利用分を調整していくべきだと考えますが、この点についてはいかがなものでございましょうか。 もう一つ、最後になりますが、オレンジの問題であります。 この間、私は、大阪府下岸和田の農協管内と和歌山県下の紀南農協管内で農協や農民の皆さんのお話を聞いてきました。岸和田の方は、昭和三十年から四十年にかけまして、政府のミカン奨励政策によって栽培面積をふやし続け、一生懸命つくってきたのに、これ以上輸入がふえればもう続けていけないのだという訴えがありました。また紀南農協管内では、自由化の不安から、こういうことまで行われているわけです。 遠くからで大変見えにくいかもしれませんけれども、これは現在植えているミカン山で、バレンシアオレンジ、五十年生のバレンシアオレンジです。この五十年生のバレンシアオレンジの間に小さな幼木がありまして、これが清見オレンジと呼ばれるものなんです。 農家の話では、バレンシアの生産は和歌山ではもう五十年近く続けてきたけれども、東京ラウンド以降、輸入オレンジに押されて非常に圧迫をされてきた。しかも、昨年は異常寒波で壊滅的な打撃を受けまして、現在もなお影響が残っている。そういう中で再度自由化の問題が出てきて、いまこのバレンシアオレンジの間に清見オレンジという苗木を植えまして、輸入の自由化や枠の拡大が言われる中で、先手を打っていろいろ対策をとっているわけですが、不安でたまらないというわけです。先の見通しも立てられないし、不安でたまらない。 十月からの交渉で、政府は、国内の柑橘農家のことを考えて、自由化や季節自由化はもちろん、枠の拡大についてもきっぱり断ってほしい、こういう苦労はしなくてもいいようにしてほしい、もし五十年生のバレンシアオレンジを切り倒さなければならないというようなことになれば、これはもう自分の体を切るのと同じ痛みを感じざるを得ない、ぜひ食いとめてもらいたいということを特に訴えてほしいということでありましたので、私はこの点について、ここで特に申し上げておきたいわけです。 もともと、農水省の指導で、農民は温州ミカン園の回転事業などで温州ミカンの減反を行って、晩柑がふやされてきたわけですが、そういう政策からしてもこれ以上輸入を増加させることは、柑橘農家はもちろん、果実全体が壊滅的な打撃を受けるんだということはもう先ほどからも繰り返し言われておりますけれども、私はもう一度農蚕園芸局長からこの点についての決意をお伺いしておきたいと思います。 それから、佐野局長、アメリカのブロック農務長官が五月二十八日、市場開放対策に対して声明を出しておりますが、その中で「我々はこれが貿易自由化に向けての発展的過程の第一歩であると考えている。」と述べております。そして、六月十六日に、共同通信のインタビューに応じまして、十月からの協議で五年間での柑橘、牛肉輸入の段階的自由化の時間表を日本側から取りつけたいというふうに言明をしたということが報道されております。どういうわけか、自民党の田中政調会長が五月二十五日の財界四団体との懇談で明らかにしたと言われておりますのが、三年から五年かけて農産物の自由化をする計画を策定するというふうに言われているわけで、この点については全く一致しているわけです。 こういう話について、農水省はどういうふうに受けとめておられるのか。それから、もちろん季節自由化も枠拡大にも絶対応じないという決意は今後も変わらず臨んでいかれるのか。この点の決意をお伺いして、終わりにしたいと思います。
○小島政府委員 パイナップルの輸入の最低量と申しますのは、あくまで最低でございますから、それを下ることはないということでございまして、需給状況に応じましては、もちろんそれを上回る割り当てもするつもりでございます。 また、お話がございましたように、八十万ケースの割り当ての結果、国内の需給がそれでもなおかつ非常に過剰であるという事態になりますれば、冷凍パインからつくっております缶詰につきましても、しかるべく調整を加えていくということも当然想定をいたしておるわけでございます。 それから、オレンジの増枠問題でございますけれども、私どもも心情としては輸入数量をふやすことについて大変消極的な思いをいたしておるわけでございますが、現に東京ラウンドにおきましても同じような事態を踏まえながら、季節枠を中心として国産の柑橘類との競合を極力避けるという方針で増枠をただいま実施しているところでございます。 今後、予想されます交渉においてどういう知恵の出し方があるかということについては、これからの問題でございますけれども、国産柑橘との競合を避けるという基本的な考え方に立って対処してまいるつもりでございます。 また、バレンシアオレンジのお話がございましたが、私どもも日本国内においてバレンシアオレンジを生産するということは、現段階の技術から見て不可能であるというふうに考えております。 ただ、ネーブルオレンジにつきましては、現に国産でかなりの生産を行っておりまして、ある地方のもののごときは輸入のネーブルオレンジよりもはるかにすぐれた品質、高い価格で販売されておるというふうな事態もございますし、晩柑類そのものが大変多様化してきております。輸入のバレンシアオレンジやネーブルオレンジに負けないような晩柑類をつくっていくということについても、決して望みを捨てておるわけではございませんで、すぐれたものを市場に供給して十分輸入品と対抗していく、こういう覚悟を持っているわけでございます。
○佐野(宏)政府委員 お答えいたします。 自由化のスケジュールと申しますか、段階的自由化という議論は、五月の段階でもマクドナルドと私との間で繰り返し議論になった論点でございまして、私どもは終始一貫、即刻はもとより段階的であろうとめどであろうと、自由化という話は一切論外であるという立場で対処をしてまいりました。 それで、例の有名なブロック書簡が出ました際、大河原大使からブロック通商代表あてに書簡を発出していただきまして、その中でも再度自由化というのは絶対だめなのであるということを米側に伝えてございます。 したがいまして、私どもとしては、このような考え方は農林水産省の独善的見解ではなくて、外務省からも支持されておるものというふうに考えておりますので、まあどなたが何をおっしゃったかあれでございますが、私どもとしては、十月以降もそういう態度で交渉に当たりたいと考えております。
○亀井(善)委員長代理 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時十六分休憩 ————◇————— 午後一時三十分開議
○戸井田委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。島田琢郎君。
○島田委員 麦価の問題でありますが、決定に当たっての必要な条件としてはパリティをお決めになるわけでありますが、パリティはどういう数字になっていますか。また、生産費調査結果がまだ出ておりませんが、あさっての麦価米審を前にして大事な資料の一つですから、統計情報部は十分これを把握してもう公表できる段階にあるのではないかと思いますので、この点お聞きをして質問を進めたいと思います。
○渡邊(五)政府委員 農業パリティ指数でございますが、五十七年、本年三月の総合指数は五〇三・二一でございまして、対前年同月比で二・四五%の上昇となっております。なお、四、五月の指数につきましては目下鋭意作業中でございまして、近いうちにこれは取りまとめて公表いたします。 もう一つ、統計情報部の生産費調査につきましては、私ども承知いたしておりますのは本日公表すると聞いております。
○島田委員 統計情報部はおいでですね。——いませんか。 ところで大臣、先ほど私、テレビのニュースを見ておりまして、これもまた、畜産物価格に次いで据え置きの方針を打ち出された。こう考えますと、間もなく米価がやってまいりますし、秋になりますれば畑作物価格の決定、こういうふうに一連のスケジュールがあるわけでありますが、農林省としてはいずれも据え置きの方針で臨まれるということでありますか。
○渡邊(五)政府委員 麦の政府買い入れ価格につきましていろいろ報道されておりますけれども、私ども現在鋭意検討中であります。いまパリティ指数なりの整理等もしておるわけでございまして、なお成案を得るに至っていないということが現段階でございます。 いずれにいたしましても、食糧管理法の規定に基づきましてこの二十四日に米価審議会を開催いたしまして、その意見を聞きました上、適正に決定いたしたい、このように考えております。
○島田委員 私は、大臣にお尋ねをしているのでありますが、大臣は事務当局に据え置きの方針として指示をされたのかどうか。
○田澤国務大臣 いま食糧庁長官から答弁させたように、いま鋭意検討中なのでございます。したがいまして、まだ成案を得ておりません。もちろん、私はきのう帰ったばかりでございまして、麦価についての内容は余り存じ上げませんので、私の方から指示するなどというおこがましいことはいまのところはいたしておりません。
○島田委員 私は三月の畜産物価格の決定の時点でも、据え置きが農家経済に及ぼす大変深刻な状況について交易条件の悪化を例に挙げながら質問をいたしましたが、それ以来、農家の経済動向というのがきわめて深刻な状況で推移をしているという点はいささかも状況の変化がないわけであります。 このまま各農産物の価格が据え置かれるあるいは引き下げられると、実質的には農家のふところに目減りを生ずるという事態は深刻に進んでいるのでありますが、こういう状態でいけば農家経済は破綻してしまうという危機感を持っているのであります。したがって、今度の麦価あるいは米価の決定に当たってその点をしっかり検討してみなければならないという意味で、私はこの農家経済の動向についてこの際、もう一遍話題としたいのです。 そういう点からいって、大臣の御認識として今日の農家経済の動向というのをどのように把握されておられるか。
○渡邊(五)政府委員 農家経済なり農業経営をめぐる条件は非常に厳しい状況であることは御指摘のとおりかと思います。私ども、そうした状況は状況としてとらまえておりますけれども、現在、五十七年産麦の買い入れ価格なりを検討する段階として、麦作について私どもの考えを申し上げますと、全体のこれまでの流れといたしましては、近年、作付規模は相当拡大をされております。土地の生産性も着実に上昇していると考えますし、労働生産性は顕著な向上を遂げていると思います。収益性自体も他の畑作物に比べてもそう遜色のないというような事情も十分考慮して私ども価格決定には当たりたいと思います。 ただ、農家経済全体という意味では、先ほど申しましたようにそれほど恵まれた条件ではないことは事実だろうと思いますが、現在、国際的にも穀物の需要等については相当停滞ぎみでありますし、価格条件等もよくないということは、ある意味では内外を通じてそういう農業経営自体が非常に深刻な事態を迎えているということは私どもは認識しているつもりでございます。
○島田委員 私は、麦の問題を取り上げる前に農家経済全体の動向を正確に把握するということの必要性を述べておりますのは、農家は麦だけつくって経営を成り立たせているのではありません。御存じのとおりですね。いろいろな作物を複合的につくり、あるいは畜産の分野では、畜産それ自体も中身を細かく分析すれば複合的な経営を進めているというのが農家経済を持っていく上では大変大事な要諦でありますから、そういう観点から申し上げておりますので、まず最初は、麦の方に持っていった話をしないようにしてほしい、こう思っております。 そこで交易条件、いま長官がお認めになっているように必ずしもいいとは言えないということが言えるわけでありますが、現在の交易指数というのはどのようになっていますか。
○渡邊(五)政府委員 通常交易条件といわれますものは、農産物価格指数と生産資材の価格指数との相対で申し上げるわけでございますが、この比率が、五十五年度が九九・一、五十六年度は九九・三、五十七年に入りまして大体一〇〇前後、一月が九九・五、二月が一〇〇・六、三月が一〇一・二という状況でございます。生産資材価格は安定的に推移して、余り変動はないと思いますが、最近の状況としてはこうした状況で、交易条件自体は安定しているようには思います。
○島田委員 農畜産物価格と生産に要します農業用資材というのが比較されて、そこに交易条件の判断が生まれるわけであります。それで、いまお話にありました五十六年度の数字は、農業白書によりますと九八・九、これはまあ一−三が抜けておりますから、いまおっしゃったのは一−三を入れた五十六年度の指数ということかもしれませんが、その後条件がよくなったというのは、どういう面がよくなったから交易条件が指数として上がってきたのか、この辺のところをひとつ明らかにしてほしいと思うわけです。
○渡邊(五)政府委員 申し上げますけれども、生産資材の関係の価格が、五十六年度に比べますと五十七年の三カ月は比較的低目に安定しております。農産物価格指数自体は、五十六年度の一二六・四、この指数は一−三月まで入れた会計年度の指数でございますが、五十七年の一、二、三月は若干上がりまして、三月が一二八・二というような数字になっております。
○島田委員 統計情報部にお尋ねを——統計情報部、来ていないんだったか。 そうしますと、資材が安定的な形で推移している、そういうことによって交易条件というのは安定をしているんだという説明でありますが、私は、その農業用諸資材のどの部分が安定しているのかわかりませんが、最近のこの価格の動向から見まして最も心配されるのが肥料と機械の主要な農業用生産資材、ここの部分だけを考えてみますと、ここ数年の間に相当上がっている。 ですから、確かにある一定の短期間だけ区切って言えば、その上がり方はなだらかであったり、ときには横ばいであったりというようなことでしょうけれども、しかし全体的には、五十年を一〇〇としますと、かなり肥料や農機具の値段が上がっている、こういうことは言えるわけであります。特に、統計情報部が発表しております数字によってもその点は明らかですね。 たとえば、肥料でありますけれども、これも統計情報部が発表いたしましたものでありますが、肥料のうちでとりわけ硫安を取り上げてみますと、五十三年に単肥一袋当たり二十キロ、これが六百十四円であったのが、最近の数字を見ますと八百五十六円、こういうふうに上がっていますね。それから、複合肥料で特に高度化成の上がり方は大変大幅なものでありますが、これも五十三年で千五百三円であったものが、五十七年の三月時点では千九百五十八円と、これは大幅な値上がりであります。 それから、農機具ですけれども、農機具の中のトラクターを見てみますと、三十五馬力の乗用トラクターでありますが、これは五十三年に二百十万九千円でありましたものが、最近の数字によりますと二百三十六万七千円と、これも大変な値上がりであります。 こう見てまいりますと、資材が上がっていないという認識はいかがなものか、こう思うのです。確かに短期間で何カ月かを抽出して見た場合には、その間の値上がりがなだらかであったり、あるいは横ばいであったりということはあるでしょう。しかし、このようにここ数年の状態を見ても、一番大事な農機具と肥料の値上がりが大変大幅である。これは事実としてお認めになりましょう。
○渡邊(五)政府委員 私どもは、これは御質問とずれますけれども、麦価の算定なりの問題としましては、ここ一年の動きを特にとらえておりまして、そうした状況でお答えいたしましたが、資材その他全体の動きにつきましては、担当の方から御答弁いたしたいと思います。
○小島政府委員 肥料の価格でございますが、御承知のように昭和五十四年、五十五年というのが第二次石油ショックの影響を受けまして、特に、石油関係を原材料としておりますアンモニア系の肥料というのは大幅に値上がりをいたしております。その後、石油価格も鎮静いたしておりますし、世界的に見ても肥料が全体として過剰になっている、こういうこともございまして、五十六肥料年度において全体で〇・五%、五十七肥料年度の場合には三・三%の値下げ、こういうことになっておるわけでございます。 ただ、これは全農がメーカーから引き取ります価格について申し上げておるわけでございまして、その後、農家の手元まで届く価格ということになりますと、単協段階、小売段階でのいわば物流経費が加わってまいるわけでございます。こういう経費は傾向としては若干上がりぎみということでございますので、メーカー段階の価格の引き下げがストレートに小売に直結しない、こういう傾向は多少ございます。 ただ、長期的な傾向としては、若干のタイムラグはございますが、もとの段階で下がりますれば、やや時間的な間を置いて下がってくる、こういう傾向が肥料なんかについてはてきめんに出ておるわけでございます。 農業用機械につきましては、過去一年半ばかり価格据え置きでがんばってまいったわけでございますけれども、本年の一月に三・何%かの価格引き上げを行いました。これはこの二年間ほど農業用機械の売れ行きが大変不振でございまして、需給状況から言えば、末端価格はやや下がりぎみという傾向もあったわけでございますけれども、反面において農業用機械の場合極端な値下がりが続きまして、結果的に農機メーカーが倒産に追い込まれるというふうな事態が生じますれば、その後のアフターサービスなどについては大変大きな問題が出てまいります。 恐らく出荷団体としても何らかの肩がわりをせざるを得ない、こういう事態が出てまいりますので、農機全体のサービスの継続というふうな観点から必要最低限の値上げをいたしたわけでございますが、それ以前約一年半にわたりましては、大変情勢の厳しい中、メーカー段階の建て値としては据え置きのままがんばってきた、こういう経過があるわけでございます。
○島田委員 農家経済を判定する上で最も大事なのがこの交易条件だということで、少しそのことに時間をかけたのでありますが、数字的に否定なさるいわれはないんですね。それは、私はいま農業白書をもとにして質問しているのです。私がつくり上げた数字じゃないのであります。 たとえば、農業用資材の推移で農業白書がいろいろ調べておりますこの附属統計表というもの、これも農林省統計情報部がお出しになっているものでありますが、これによりますと、最近の農業経費率が大変高まっている。 古くは四十年の比較でひとつ見てまいりますと、四十年当時は四二・八%が経費率ですね。ところが、それが五十年代に入りましてから五〇%を超えるという状態でありまして、五十五年度では六〇・七%が経費率です。裏返して言えば所得率がそれだけ減った、こういうことになるわけです。そういう状況に農家経済がありますということを農業白書で告白なさっているわけですね。 そういう前提をきちっと踏まえて、農家経済を守るという立場で農林省が諸般の行政の執行に当たっていただきませんと、国際情勢が厳しいあるいは国内的な財政再建、行革だ、いろいろなことを言われていて、そこだけに気をとられておりますと、やがて角を矯めて牛を殺すのたぐいで、農家経済がもたなくなってしまうという危険性が私は十分予感されるのであります。すでにそういう状態が始まっているということを私は数字的に指摘をしたわけであります。 ですから、据え置きというような考え方は、やがては農林省自身が考えておられるいわゆる中核農家さえもだめにしてしまう、こういうことになりかねませんから、価格決定に当たってはこの点を十分認識の中に置かれて決定をしていただきたい、こう思うのです。 ちなみに、私がちょっと調べました数字を御参考までに出しておきたいと思います。一番わかりやすいのは、米価でお話をする方が一般の皆さん方にはわかりやすいでしょう。こういう農家経済といいますか、農家の経営を維持していく上で大事だということは、一つは価格政策であり、もう一つはコストを下げるために農業用諸資材をできるだけ低廉に供給を受けること、この二つしかないと思うのです、大きく言えば。それはほかにもいろいろありますけれども。価格据え置きということになれば、われわれの要求としてはそれじゃ肥料や農機具やそのほかの資材というようなものはうんと安くしてもらわなければ困りますよ、こういうことになります。そこを頭に置いてちょっと計算をしてみたのであります。 たとえば、米の価格は御存じのとおり一万七千七百五十六円でありますが、これをそのままにして、そして交易条件を一〇〇に持っていくためにはどういうふうにしていかなければならぬかといいますれば、農業用資材の主要な部分を占める肥料とか機械というものをまず大幅に下げていくということを考えないといけないわけです。ですから、そういう点を考えに置いて試算をしてまいりますと、肥料の値段は少なくともいまの値段を一六・五%下げていかなくちゃいけません。現行価格、いまのお話は米価であります。米価の現在の水準で経営のバランスをとるとしたら一六・五%の肥料の値下げが必要であります。 同じようにトラクターもこうした計算に基づいて試算をしてみますと、やはりこれも一三・六%くらいの値下げをしていかなくちゃなりません。逆に、トラクターや肥料を下げることができないのだったら、その分米価を上げなければいまの農家経済はもたないということになる、交易条件を考えに入れてやっていくとすれば。 そういうことでありますから、私はこの価格決定に当たって、こうした条件というものを整備するということをまず念頭に置き、それを最初にしっかりした計算の根拠に置いて計算をしていきませんと、据え置きのところだけやられて、あと当然経営を維持していくための必要な条件はなおざりにされるのでは農家経済はたまったものではない。経営は維持できないばかりか破綻を来すということになってしまうわけであります。 ちなみに、いま決められようとしております麦について五十三年から五十六年までの傾向を見てみますと、政府が決めております買い入れ価格で肥料の高度化成一袋二十キロを仮に買うとしたらその割合はどうなるのかというと、五十三年には一五・六%部分で肥料一袋が買えました。それが五十六年度には一七・六%出さないと肥料一袋買えない。上がってないと言うけれどもこういうふうに上がってきている。 硫安は五十三年当時麦一俵の六・三%で一袋が買えたのですが、五十六年には約八%、七・九%というふうに、非常に麦の価格と肥料の価格との差が縮まってきたということです。それからトラクターでいいますと、これも三十五馬力を考えておりますが、これでやりますと、五十三年が二百一倍でありましたが五十六年には二百五倍と、こう広がっているわけですね。 こういう試算は農業経営をやっていく上では大変大事な点でありますから、こういう点なんかも十分農業経営といいますか、たとえば、麦づくりをやる場合の経営でどういう状況になっていくか、こういう推移というのを一度政府は政府で私のやったような試算方式で検討していただきたいものだと思うのです。 そういう点はぜひひとつ後ほどまた時間をとって、私が幾つか試算をいたしましたものを問題提起として農家経済の維持向上のために必要ないわゆる手だての一つとして検討させていただきたいと思いますが、きょうはもう時間があと五分しかなくなってしまいました。こうした問題は相当時間をかけませんとお互いが理解するところにはいかぬのかもしれませんが、したがってこの次の機会に譲らざるを得ませんが、この際どうしても聞いておきたいことが二、三点あります。 麦価の決定で、昨年以来大変話題になっておりますが、等外上麦の買い上げの問題について政府部内においていろいろ検討がされているやに聞いております。これについて今後どのようにお考えになっているのか、その辺のところをこの際聞いておきたいと思うのですが、私は、等外上にしろ、等外という言葉を使うものだからこれはなかなかイメージが悪いのでありますが、必要なら四等という位置づけをしたっていいのじゃないか、こう思うのですね。それで、これはあくまでも食用に供し得ることが可能な麦なんですから、あえてそれをえさ用やほかに向けるというようなことを考えに置いてこの規格を変更されるということはおかしいのではないか、私はこういう立場に立って等外上麦の規格の変更に当たってはこれをやるべきではないという考え方を従来持っているのであります。 とりわけ、ビール麦なんかもそのあれに入るのでありますが、ビール麦なんかは契約栽培で約二十万トンぐらいが実需者のところに渡っておりまして、実際には三十万トンぐらいつくられておりますから、十万トン以上のものがビール用以外に向けられるというようなことになっているわけであります。この辺のところも相当問題を持っているわけでありまして、特に、昨年の麦価米審においてはそれらに対処するために麦芽製造能力を高めなければいけないというような建議、答申もなされているわけですから、こういう点を十分改善を図っていく、あるいは行政上の推進を図っていくということが必要だ、こう考えておりますが、とりあえずは等外上麦をことしはどうされるお考えなのか、そこを一つ聞いておきたい。 それからついでに、もう時間がなくなってしまいましたから一分ほどでお答えいただかなければなりませんが、品種改良が大変おくれていると言われておりますが、試験研究機関では実質的には「ちほく」という、北見二十四号と言われたものが昨年優良品種に指定されまして、これが実需者からも一般の方からも大変期待されている品種であるということで、鋭意この品種の開発がなされてきた。その御苦労に対して私は評価をしたい。 ただ問題は、それを早く一般化して現在のホロシリやあるいはそのほかの在来の麦と交代をさせて、そして大いに生産の振興を図るということに寄与してもらいたい、こう思うのです。その手だてについてはいまのままでいきますとなかなか一般化するのには年数がかかると思うので、これを促進してほしいと考えているのですが、この二点についてお聞かせ願いたいと思います。
○渡邊(五)政府委員 等外麦の問題でございますが、近年の国内産麦の生産が御承知のように急増いたしてまいりまして、これとともに需要、品質等の面で種々問題が出てまいっております。等外上麦の食糧用としての利用にも困難を来すような事態も発生しております。 今後の麦管理の適正を期する上では、等外上麦については原則といたしまして政府買い入れの対象としない方向で検討する必要があるのではないか、このような考えを持っておりますが、ただ、本年の等外上麦の取り扱いにつきましては、最近でも九州等で発生を見られたというような情報も聞いております。その発生状況を早急に把握いたしまして、生産、需要、流通にわたります各般の事情に配慮して慎重に対処いたしたい、こういうふうに考えております。
○島田委員 要は、ことしはやめないのだな、いままでどおりやるということでしょう。
○渡邊(五)政府委員 本年については、ただいまお答えいたしましたように慎重に対処することにいたしておりますが、今後の問題としましては、先ほどお答えいたしました基本的な問題として、今後の検査規格等については検討してまいらなければならないだろうと考えております。
○島田委員 これは後ほどまたもう一遍やります。
○小島政府委員 ビール麦につきましても、生産者団体とビール会社との基本的な協定としては一、二等を買い入れる、こういうことでございますが、契約数量と実際の一、二等数量との間にはかなりギャップが出てまいりますので、その範囲内において等外上のものも買ってもらえるように政府としても努力するつもりでございます。 それから、ちほく小麦の種の増加のことでございますが、麦につきましてはその増殖倍数が大変小そうございまして、私どもの計算では一年で大体二十倍ぐらいにしかふえないわけでございます。したがいまして、ことし原種圃にあります種が八ヘクタール余りでございますから、一年間で二十倍、二年間で四百倍、三年目でやっと八千倍ぐらいになる。 したがって、ちほく小麦の適用範囲が大体三万ヘクタールばかり、こう見ておりますので、いかように努力をいたしましても需要量のすべてを賄えるという時期は昭和六十年ぐらい、こういう計算になるわけでございまして、その間におきましても余裕のある限りにおきましては、農家の圃場段階に出すようにいたすつもりでございます。
○戸井田委員長代理 竹内猛君。
○竹内(猛)委員 私は、麦価の問題並びに農作物の病虫害それから災害等に関して質問をいたしますが、いま島田委員から質問がありましたように間もなく麦価を決定する時期が来るわけでありますが、これに関連して農林水産委員会の調査室から出ております資料の五十四ページから五十五ページには、八項目にわたって昨年来いろいろ審議、議論したことがあります。 そういうような大事な問題を踏まえて、ことしは麦の価格についてどういうように決めるのかということで、過般の新聞を見ると、麦の価格については据え置きまたは値を下げる、こういうことが書かれているけれども、これは実際はどうなのかということがまず知りたいわけです。麦及び飼料作物は減反の作付の大事なものであるだけにこれの価格を下げたりあるいは制限をするということは、今後農業にとって大変な問題になるわけでありますから、このことについてまずお答えをいただきたい。
○渡邊(五)政府委員 麦の買い入れ価格につきましては、先ほども御答弁申しましたが、現在鋭意検討中でありまして、なお成案は得ておりません。二十四日の米価審議会にその意見を聞いた上で適正に決定いたすつもりでございますが、ただ、麦をめぐります事情は相当厳しいということも事実でございます。 確かに、稲作転換の観点から麦、大豆、飼料作物等を重要な作物として重点を置いてまいっておりますが、最近におきます麦の生産の増加傾向がきわめて急速でございまして、そこでたとえば、小麦について言いますれば品質上の問題あるいは輸送上の問題等のボトルネックといいますか隘路が出てまいっております。 こうした隘路を打開していかなければこれからの生産増につながっていかないという基本的な問題がございますし、大裸につきましては、御承知のように食糧庁が買い入れます精麦用が主体でございますが、いわゆる押し麦なりについてはもうほぼ国産の麦で賄い得る、そういうようになっておりますのと、この需要自体も天井に達し限界に参っておりまして、今後、需要の見通しもそう明るいものではないという状況にあります。ビール麦につきましても収容能力なり内外価格差というような問題からの限界にも参っている。 こうした点を考えますと、非常に厳しい状況にあるということをぜひ関係者の方に御認識していただきたいということは申し上げておるわけでございます。
○竹内(猛)委員 厳しいことは十分にわかるけれども、麦の自給率というのは非常に低いですね。特に小麦の場合には、かつて昭和三十五年ごろには三百七十万トンの生産があったものが今日はその何分の一にもなっていない。六十五年の見通しにおいてもかなりの見通しを立てているわけです。 現在はその見通しに向かって進んでいると思いますが、確かに五十三年から今日までの——輸入の量においても若干は減ってはおりますが、いずれにしても農林水産省が農家に向かって約束をしたそういう生産計画なり長期見通しなりというものを余り狂わせないようにしてもらわないと困る。 ですから、そういうような点からすれば、生産、消費それから輸入の問題に関連をすると、国内の生産というものをまず確保してしかる後に輸入の問題に関連をする。確かに国内の価格と外国の価格との格差があります、品質にも差がある。あることはわかるけれども、後で豚の問題に触れるときにも申し上げたいわけですが、ある国に問題が起これば国内の価格がぐんと上がるわけだ、それで消費者価格も上げなければ間に合わないという話になるわけですから、やはり国内におけるところの一定の備蓄まで加えた生産を確保する、こういうことが農政上必要なんです。 財政の見地からだけ問題をとらえると、どうしても外国のものの方に偏りやすくなる。こういう点について六十五年の見通しと現状との関係はうまくいっているのかどうか、こういう点をもう一度確かめたいと思います。
○渡邊(五)政府委員 まず、麦の動向でございますが、小麦について申し上げますと、五十一、二年の生産量は二十万トン台ということで、当時の自給率は三・九、四・一%、要するに、四%前後であったわけでございますが、五十五年には生産量も五十八万トンという段階になりまして九・六%、一〇%に近づいております。 さらに四麦全体の生産量は、本年が平年作であれば百万トンは優に超すというような状況にありますから、小麦の生産もふえてまいるだろうと考えますが、小麦につきましては、私ども、まだ十分需要に対応した生産を増大しなければならないだろうと考えますけれども、先ほど申しました品質なり輸送なりの問題、そうした隘路を打開していかなければならないだろうというふうに考えております。 大裸の方につきましては、自給率が五十一、二年で九%前後でございましたが、現在一五%まで引き上がっております。ただ、これは大裸の場合には相当量飼料用がございます。えさ用の方をどう拡大するかがこれからの重要な問題であろうと考えております。 いずれにいたしましても、自給率自体は向上の傾向にあります。ただ、先ほど申しましたように、精麦用あるいはビール用のような需要の限界に達しているものもあるわけでございます。それから小麦については先ほどのような隘路もございます。そうした中で、価格政策の問題もございましょうが、同時に、内外価格差というのは御指摘のようにかなりございます。そうした中でできるだけ合理的にコストを引き下げる努力もしていただかなければならない、こういうのが現在の麦を取り巻く状況だろうと思いますし、私どもも、そうした生産者側におきますコストの引き下げ、品質向上の御努力と、さらに適正な価格政策の運用ということで自給率の向上なりを目指したいと考えております。
○竹内(猛)委員 ことしも六十三万一千ヘクタールの減反をやっている。やがてこれは八十万ヘクタールになろうということであるわけですね。そういうときに、何を一体減反の対象にしていくかということになると、あれもだめこれもだめということになり、あまつさえ奨励金さえ打ち切ってしまうということになったら、農家というものは踏んだりけったりたたいたりという形になるでしょう。だからいま言うように、品質の改良なりあるいは機械の購入なりあるいは共同作業なり、いろいろな形で農家は苦労している。そういう苦労をして改良を加えているときに、これを価格の面で抑えて、そして今度は生産の中からこれを打ち切っていくということになったらこれは大変なことになる。 だから、これは大臣にもひとつぜひ主張してもらいたいのだけれども、長期計画を立てるときには財政の裏づけをしていかないとまずいと思うのですね。ペーパープランだけをつくって、後は金がないからしようがないと言って臨調あたりからちょっとつつかれればふらふらとする。これは、食糧というのは安全保障なんだから、もっとしっかりしてもらいたいんだよ。これはどうですか。
○渡邊(五)政府委員 財政の問題とかあるいは対外的な問題というのは、私ども、麦をめぐります外部的条件としてそれはそれなりに考えなければならないと思いますが、また、麦作自体におきます最近におきます生産性の向上あるいは収益力、こうした点でさらにさらにこれを高めていくという御努力とあわせて価格問題を考えていくべきだろうというふうに考えております。財政も重要な問題でございますが、単に財政だけでというふうには考えておりません。
○竹内(猛)委員 このことについて大臣、一言ひとつ。
○田澤国務大臣 食糧の自給力の向上という点についてはいま御指摘のとおりでございますので、私たちとしてはできるだけ国内で生産できるものは国内で賄うという基本で進めておるわけでございます。 いま、小麦につきましても、六十五年を一つの目標にして生産性向上のために努力をいたしているわけでございまして、したがいまして、それに対する長期計画に対して、財政的な裏打ちというものは私たちは当然責任を持って考えなければならぬことなのでございますので、そういう点は私たちも財政当局に強く要請してまいる。 ただ問題は、長期計画を進める段階で麦あるいはまた米をめぐる客観情勢というものは常に変わってまいりますので、そういう点をも十分配慮しながらこれらの問題を考えなければならないところに大きな課題があるわけでございますので、そういう点も御理解をいただかなければならない、かように考えます。
○竹内(猛)委員 水田利用が、二期段階から三期段階にいよいよ来年から入るわけなんです。そうなると、ますます面積がふえるわけでしょう。そういうときに、米にかわるものとして麦、飼料作物というようにやってきたわけですね。その見通しというものについてしっかりしてもらわないと、せっかく農家が労働の配分やあるいは協業、共同、あるいは機械を買った——先ほど島田さんから話があったように、多くの借金をしてそういうものを買い入れたけれども、それが使えなくなってしまうというようなことではこれは困る。 だから、やはり国内の生産というものを中心に、外国からの輸入をだんだん抑えていくという方向で財政との調和をとる。そういう意味においては、長期計画を見直しをしようということもまた細かく言われておるわけだから、そのときには少なくとも財政というものについての配慮もしていかなければ、臨調あたりからちょこちょこ言われて、それでふらふらとするようなことでは非常に困る。このことは強く要請をしておきたいと思うのです。 続いて、農作物についての病虫害の問題が最近は非常に各地にあらわれておりますが、その中でたとえば、山形県の庄内ではハウスイチゴには根腐れの病気が広がっておるし、あるいは私の茨城県の西部のナシにはワタアブラムシが発生をした。群馬県の佐波地区の桑園にはキボシカミキリが発生をしております。これはアメリカシロヒトリと同じように非常に恐ろしい虫で、対応をしておりますけれども、さらに群馬、栃木にはしま葉枯れ病が出ておりますし、山梨県のブドウにもべと病が発生をした。こういうように、各地にいろいろな病気が局部的に発生をしておりますが、それは局部の問題です。 なお、豚には豚コレラが発生をし、鶏にはニューカッスルという形でありますが、いま一番問題になっているのはイネミズゾウムシの問題だと思うのです。昭和五十一年に愛知県で発見をして以来、一たんこれは中絶をしたような形になっておりますが、最近は東海道から関東へ、関東から東北の福島、山形に及んでいる。すでに二十数県にこれは及んでおります。この問題について、現状をどう把握され、どのように対応するかということについて説明を願いたい。
○小島政府委員 イネミズゾウムシの発生状況でございますが、御指摘ございましたように昭和五十一年に愛知県で初めて発見されたわけでございますが、その後十二府県にまたがりまして面積十四万ヘクタールという状況で昨年を越したわけでございます。本年になりましてからにわかに発生地域が拡大をいたしまして、本日ただいま現在、関東、東北、中四国の一部合わせて十六県で新たな発生が確認をされております。 本年発生いたしてまいりました面積は、ごく最近において三千六百ヘクタールばかりでございますから面積としてはまだ大して多いものではございませんけれども、このようににわかに発生地域が拡大した理由というのは的確にははかりかねておりますが、各県の報告によりましては、風による飛散あるいは自動車等に付着して移動したというものがあるのではないか、こういうことを言われておるわけでございます。 ただ当初、この虫につきましては生態などもよくわかっておりませんし、また、適切な農薬なども見出されてなかったわけでありますが、ただいまではその被害を抑えるために有効な防除方法というのはほぼ確立をいたしておりまして、発生地域におきましてはあらかじめ田植えに使います苗箱に薬剤を散布する、あるいは水面に対する薬剤の散布、さらには葉に付着しております成虫を退治するための有効な農薬なども見つかっておりますので、発生地域は広がっておりますけれども、被害を抑えるための有効な手だてというのはあるわけでございます。 また、国といたしましても防除費に対する補助の面におきまして、新たに発生したところにつきましては十分の十の補助率による補助金を交付いたしておりますし、二年目、三年目というところにつきましても補助率二分の一での防除費の補助をいたしておるわけでございます。四年目以降ということになりますれば大体防除暦の中に組み込まれるということで、国としては補助をいたしておりませんが、適切な防除の指導などを通じましてこの虫の被害を最低限に抑えるという努力を続けてまいるつもりでございます。 なお、根絶を期することができるかどうかということになりますると、この虫の越冬の場所は大体森林、灌木、草地そういったたんぼ以外の場所で越冬するという習癖を持っておりまするので、それらの地域にわたりまして完全な防除をするということはただいまの社会情勢からいって非常にむずかしい。したがって、根絶についてはなかなか明るい見通しはないわけでありますけれども、水稲栽培段階における被害は食いとめ得るものということで指導いたしておるわけでございます。
○竹内(猛)委員 ゾウムシの問題については、よってもってきた根源を突きとめてもらうと同時に、これを余り蔓延しないように防いでもらいたいと思うのです。これは毎日毎日伸びているような状態です。それからそのほかの病虫害に関しても、技術会議等において積極的に取り上げて予防処置を講じてもらいたい、こういうことを要請をしたいと思います。 続いて、私のところの問題ですが、去年からの問題で本年の四月二十八日の委員会で質疑をした新治村の豚コレラの問題ですが、これは国、農林水産省の指導あるいは県もがんばって努力をしてもらっております。先日も村長と課長が私のところへ来ていろいろ話がありましたが、被害調査の書類も各農家に回っているようでありますが、なお問題になっているのは担当獣医師が反省がない。 すでにこの獣医については、助役を中心とする調査委員会においても懲戒免職をすべきだということを明らかにしているにもかかわらず、本人も三月の初めに辞表を出しているにもかかわらず依然としてその処理ができていないということで、いまだに混迷を来している。 すでに農林水産省の調査によっても村の調査によっても、二万三千頭という豚がいるのですから、そういう豚の産地において豚コレラが発生し、一千頭以上のものが病気の疑いで殺されて埋められてしまったというような大きな状態というものを考えるときに、なお獣医師というものの使命、これを考えると、もっとこれは、努力にもかかわらず、もう一歩踏み込んでこれに対する調査と指導をしてもらいたい、こういうふうに思います。
○石川(弘)政府委員 新治村の豚コレラにつきましては、いまお話ございましたように、三月以来いろいろと伝染病予防法に基づきます検査とか予防注射をいたしまして防疫の徹底を図ってまいっておりますし、もう一つの畜産農家の再建という面でも、安定資金の貸し付け等も考えているわけでございます。 御指摘のありました獣医師の問題でございますが、獣医師が獣医師法に定めております義務を怠ったという御指摘であろうかと思います。この獣医師の行動につきましては、村当局あるいは県等いろいろな方面から調査をいたしております。そういう調査の結果、国といたしまして事実が明白になりますれば、獣医師法に定めるところに従いまして行政的な措置を検討せざるを得ないと考えております。
○竹内(猛)委員 この際、海外との関係でちょっと質問しますが、デンマークに口蹄疫が発生をした。そのためにデンマークからの豚肉が入ってこない。そうすると、国内においてはハム、ソーセージ等々の原料肉が枯渇をし、豚の値が上がる、こういう形になっておりますが、最近、新聞によると一〇%ほどの値上げをしよう、こういう話になっておる。これは一体いつごろ、どういうふうになっているのか、デンマークとの関係はどうなっているか、ちょっと報告をしてもらいたい。
○石川(弘)政府委員 デンマークの口蹄疫につきましては、三月十八日に発生をいたしまして、その後最終五月四日にデンマークでの発生は終えんしているということでございますけれども、これは相当期間経過をいたしませんと、最終的に完全に撲滅されているかどうかということがわからないわけでございますので、私どもはしばらく最終発生から相当期間の経過を見る必要があると思っております。 豚の値段のお話もございましたけれども、デンマークの輸入肉は主としてハムとかあるいはベーコンの加工用原料でございまして、この加工原料として最適であったということでございます。そういう意味では、国内でも直ちに代替するというのが困難な部分もあろうかと思いますが、国内生産も決して減ってはおりません。ただ海外は、デンマーク以外のカナダ、アメリカ等も実は価格が比較的高うございますので、デンマークにかわって直ちに他の国からの輸入が入るという情勢ではございません。 ただ、余り価格が上がりますと、かえってまた消費が減ってくるとか、あるいはその反動で国内の生産が伸び過ぎまして、また冷やされるというようなこともございますので、海外の情勢も見守りながら、生産者団体とともに適正な生産、供給ということに努めてまいる所存でございます。
○竹内(猛)委員 この問題は麦とは違いますけれども、海外に一定のものを依存した場合においては、その国に事故が起こった場合には国内の値が上がるということの証拠なんだから、やはり麦においても常に国内では一定の自給率を確保するということが必要だと思うのですね。すべてのものがそうだと思うのです。ですから、ただ単に豚肉だけではなくて、他の食糧においてもそういうふうに考える必要があるということを言いたいためにこういうふうに申し上げたということです。 それから次の問題は、本年の春は南九州それから続いて東北、南九州は霜ですが、東北には豪雨があり、そして今度は六月九日には栃木県から茨城県の西部にわたって、短い時間でありますけれども、ひょうが降りました。これは〇・五センチから一・五センチぐらいのひょうが降った。そのためにナス、キュウリ、トマト、それからナシ、桑園、たばこ等々が集中的な被害を受けているところが幾つかあるわけです。 この問題についてはすでに調査を要請しておりますから調査が済んでいると思いますが、私どもも現地へ行ってみた。局地的でありますから、これに対する対応等々についての配慮をどういうふうに考えておられますか、これについて一言説明を願いたいと思います。
○大坪政府委員 ただいま御指摘ございました降ひょうの被害でございますが、五月の下旬から六月の中旬にかけまして、関東東山地域を中心にいたしまして降ひょうがございまして、農作物に被害をもたらしているわけでございます。 この被害の状況につきましては、現在、関係機関を通じまして状況の把握に努めているところでございますが、これまで関係の県から来ました報告をまとめてみますと、果樹、野菜等を中心に、その被害額は約三十五億円というふうな状況に相なっておるわけでございます。 このような降ひょうの対策につきましては、現在、各県におきまして被害を最小限に食いとめようということから、特に農業改良普及所が中心になりまして、作物の種類なり被害の態様に応じまして、たとえば損傷部分を切り取るとか、あるいは追肥をするとか、まき直しをする等々の技術面の指導に努めている状況であるわけでございます。 さらに、県によりましては、たとえば茨城県の例をとりますと、すでに県独自の災害条例をつくっておりまして、この条例を発動し、天災資金に準じました経営資金を融通するとか、あるいは農薬なり肥料等の経費助成をするという方針を決めた県もあるようでございます。 私どもといたしましても、被害の状況に応じて適切な対応をしてまいりたいと考えておるわけでございますが、まず、資金面につきましては、天災融資法につきましては今般のひょう害の被害状況から見ますとなかなか発動は困難な事情にございますが、自作農維持資金につきましては、要請があれば極力対応してまいるというふうな考えでいるわけでございます。 また、農業共済につきましても、作物の種類なり被害の態様等に応じまして損害評価を早期に実施するとか、共済金の早期支払いに努める等々含めまして、適切な対応を行うように現在関係機関に指導をしている状況にございます。 なお、昨日も栃木等につきましてはひょうが降ったという話を聞いておりますが、被害の状況に応じまして適切な対応をやっていきたいというふうに考えている次第でございます。
○竹内(猛)委員 この際、特に大臣にお願いしたいのですが、このひょう害のときに、あるいはまたいろいろな災害等、病虫害が出てきた場合に一番末端で活躍しているのは農業改良普及員です。確かに、役場の産業課の事務員も活動はするけれども、専門家としては改良普及所の職員が一番やりますね。その改良普及所というものを最近はどうも圧迫をし押さえつけようという動きがあるわけなんです。これは余りよくないと思うのですね。だから、それは改良普及員というものに対する今後の取り扱いに対する大臣の考え方はどうですか。
○田澤国務大臣 新しい農業をつくるためには技術の開発、普及が最も重要な要素でございますので、その点については農林水産省としては重点的に政策を進めようとしているわけでございます。 したがいまして、技術の開発をした後にこれをいかに普及するかという点は、普及員に負うところが非常に大きいわけでございますので、最近、どうもこの普及員に対する認識がまだ徹底していない関係からいろいろな批判もございますけれども、私たちとしては、農業改良普及員の存在価値の高い点を農林水産省としては極力今後も主張してまいりたいと考えております。
○竹内(猛)委員 時間が来たからこれで終わりますが、改良普及所の問題についてはまた改めて議論するときがあると思いますが、これはひとつ大事にしてほしい。末端において一番苦労している、国の農政と農民をつなぐパイプになっていますから、それをぜひお願いしたい。 最後に、これは委員長にお願いしたいのですが、前に私はこの委員会で養蚕問題について、繭糸の懇談会を開くか小委員会を持つようにお願いをして、その後各党でいろいろ検討をされて案ができたようですけれども、最終的にこれを取りまとめていくためには、やはり懇談会などを開いて問題点を持ち寄って整理をした方がいいと思いますから、ぜひそれを理事会に諮って持っていただきたいということをお願いしたいと思います。
○戸井田委員長代理 理事会に諮ってよく協議をいたします。
○竹内(猛)委員 終わります。
○戸井田委員長代理 小川国彦君。
○小川(国)委員 最初に、大臣にお尋ねいたしますが、きょう大臣はことしの麦価の問題で、麦価については据え置き、こういう方針を発表されたということでございますが、事実でございますか。
○田澤国務大臣 麦価については、いま鋭意検討をいたしている段階でございまして、まだ成案を得ていません。したがいまして、二十四日に米審が開かれるのでございますが、その折には食管法にのっとって適正な価格を決定したい、かように考えておるのでございます。 たまたまきょう、何かテレビで据え置きの考えのようだという報道がなされておりますが、私は麦価をめぐる情勢というものは非常に厳しゅうございますよということを申し上げたことが、たまたま据え置きにつながるように受け取られたのじゃないだろうか、こう思われまして、いまの段階ではそういう考え、いわゆる結論めいたことは全然考えておりません。先ほど申し上げましたように、いま鋭意検討いたしているということで、まだ成案を得ていないということを御理解いただきたいと思います。
○小川(国)委員 麦につきましては、御承知のようにアメリカの小麦が五百万トン近い数字で入ってきておりまして、この数量、価格から見て日本の国内小麦を大変に圧迫している。そしてまた、日本の小麦がまず安楽死させられるんではないか、そういう懸念すら出ている状況でありまして、これから当然米価審議会の議を経て御決定なさるというふうに思いますが、転作の中であるいはまた、畑作の中で麦作に一生懸命取り組んでいる農家を失望させないような前向きの姿勢でこの価格決定に取り組むお考えがあるかどうか、その点をもう一遍確かめさせていただきたいと思います。
○田澤国務大臣 農家の経済そのものをも十分検討してまいらなければなりませんけれども、同時に、いま一番の問題は、国際的な麦の価格というものが非常に下落している現状、それから日本の農産物の価格政策そのものに対しても相当の関心がいま持たれている現状であることは、小川先生御案内のとおりだと思うのです。 そういうような状況等も私たちは考えますというと、麦価というものはなかなか厳しいなあということを感ずるものでございますから、もちろん、この麦価については農家の経済そのものを十分考えた上で私たちは決定してまいらなければならないということは当然なんでございますけれども、いま申し上げました客観情勢も非常に厳しいということも御理解いただきたいと思うのでございます。
○小川(国)委員 その点は、私どもも国内世論あるいは国際状況というものについては十分認識をいたしておりますけれども、やはり何といっても立ちおくれている日本の農業は、保護政策の中でなければ主要穀物の生産向上を図るということは困難でございます。それはもう大臣も重々御承知のことと思いますので、米審に臨む農林省の態度がこれら麦作農民を失望させないようなそういう御努力をひとつお願いをしたいと思います。 〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕 次に私は、午前中の委員会に引き続いて、貿易自由化要求の中で特に、農産物の自由化要求というものが非常に厳しいわけでございますが、そういう中で、先般来、中央競馬会の競走馬輸入の問題で手数料と言えない巨額の仲介料を取ったということで、藤井治商事という商社がいま非常に疑惑の的になっております。 これは同僚議員も非常に深く調査をいたしておりますので、いずれまたいろいろな委員会の場で大臣にこの所信を尋ねられると思いますが、大臣自身はいまの段階でこの問題について御報告を受けて、そしてこれに対する実感の把握というものはなすっていらっしゃるのでございますか。
○田澤国務大臣 日曜日に南米から帰ってきたばかりでございまして、実は一応の報告だけは聞いておりますが、具体的な対策その他についてはまだ詳細に対策を進めてございません。
○小川(国)委員 伝えられる仲介料の実態についての把握はいかがでございますか。
○田澤国務大臣 一応承っております。
○小川(国)委員 実態の究明はお済みになっていらっしゃいますか。
○田澤国務大臣 報告を聞いた程度でございます。
○小川(国)委員 その報告というのは、その性格が明らかになったという報告でございますか。
○田澤国務大臣 現状はこういう状況ですよという報告を受けたのでございます。
○小川(国)委員 ちょっと釈然としないのですが、こういう状況というのは、それが手数料なのか仲介料なのか、どういう性格のものかということが明確になったという意味での御報告を受けているのかどうか。
○田澤国務大臣 そういう具体的な内容に入る前に、一応こういう事件になっておりますよという総括的な報告を受けたということでございますので、その点御理解いただきたいと思います。
○小川(国)委員 それでは、この問題については内情的には非常に多くの問題点を含んでいるということで、同僚議員も調査を進めておるようでございますから、いずれまた他の委員会で御質問あるかと思いますが、政府の方も、これだけ大きく取り上げられている問題でありますから、速やかにその真相を究明して、明確な方針を当委員会にも報告できるように御処置を願いたい、こういうふうに思います。 それから次に、競走馬輸入でそういった疑惑を受けている商社が主要な事業として営んでおります中に、いま日本の農産物自由化の問題で大きな焦点になっております牛肉、オレンジ、これが十月の日米交渉を控えているわけでありますが、その中のオレンジには輸入割り当て制度というものがございまして、現状、毎年オレンジの輸入数量というものが大変な勢いでふえてきているわけであります。 昭和五十二年ごろには年間二万二千四百九十九トンでございましたものが、五十七年現在では七万七千トンと三倍を超えるオレンジの輸入量でありまして、これが国内の柑橘農業に与えている影響は非常に大きいわけであります。 そういう中で、この取扱商社は現在全部で九十六社というふうに承っているわけでありますが、この九十六社の社名は私どもの資料要求に対して公表されたのでありますけれども、個々の商社が何トンの割り当てを受けているかという割り当て数量についてはなぜか国会に公表されない状況にあるわけです。いかなる理由でこの資料を公開できないのか、その点をまず明らかにしていただきたいと思います。
○茶谷説明員 オレンジの各輸入商社別のシェアということでございますが、これは従来から私企業の秘密にかかわるということで、公表は差し控えさせていただいているわけでございます。 その理由というのはいろいろあるわけでございますけれども、一つは、外国の輸出先との取引のポジションを弱くするとか、あるいはそういう各社の数量が明らかになりますと、国内的に買い占めとか売り惜しみなんかが行われるおそれがある、そういったことでございます。
○小川(国)委員 これはまず、通産省にお聞きします。 私企業の秘密ということなのですけれども、私が先日この資料の提出を求めたときにやはりそういう御回答でございましたが、私がこの割り当てを受けている民間の商社を幾つか回りましたところが、どこでも自分の割り当て数量は発表してくれるわけです。それから協会へ参りましたら、協会でも全貌はわかっておりますということなのです。割り当ての数字もトン数もシェアもわかっている、しかし、通産省が発表しないと言っているので民間から発表するわけにはいかないのだということで、民間商社はみんなこの数字を知っているのですね。そういう数字を私企業の秘密だといって通産省や農林省だけがなぜ公開しないのか、その理由が私には合点がいかないわけです。 それからもう一つは、これが自由品目であればどこが何トン買ったかということはその企業の秘密でありましょうけれども、これはIQ制度のもとで政府が割り当てをしているわけで、それを秘密にしなければならない理由というのはむしろおかしいのではないかというふうに思うのです。やはりこういう資料は正確なものを役所が国会に出す、こういうことが当然なことだというふうに考えるわけですが、いかがでございますか。
○茶谷説明員 いま先生御指摘のように、一面では、そういう中身がIQ物資であるから明らかにすることが望ましいという要請もあろうかとは存じますけれども、個々の業者が受けます割り当ての数量といいますのは、個々の業者にとりましては自己の商取引に絡みます重要な情報でございますので、これを役所の立場から明らかにするということはいろいろ影響があって好ましくないというふうに考えているわけでございます。
○小川(国)委員 あなたの方でそんなふうに一生懸命隠しているのですが、私のところでは全部資料が手に入っているのですよ。昭和五十二年のデータで言えば、藤井治商事が一七%のシェアを持ち、スマル貿易が九%、西本貿易が七%、兼松江商が五%、大果大阪青果が四%、東京綿花が二%と、ずらっと上位十社から九十六社の大体のパーセンテージは全部私どもの手に入っているのですよ。 それから、五十三年で言えば藤井治商事は一五%、五十五年で言えば一四%、シェアは下がってきておりますが、全体の輸入数量が、先ほど申し上げたようにもう五十二年から見てことしは三倍以上になってきているので、この藤井治商事の取扱量なども大変にふえている。それから、私どもマル秘というので民間企業から手に入れたのですが、それでいくと、九十六社の取り扱いのトン数まで全部民間からわれわれの手に入るのですよ。そういう二日か三日われわれが足で歩けば手に入る資料をなぜ通産省が隠さなければならないのか。 これはやはり農林省も片棒を担いで、その数字を総枠は農林省が決める、それから個々には通産省が決めるということですから、これは当然、IQがなければ企業の秘密と言ってもいいですよ、しかし、IQを与えているのは政府なんですから。その与えている政府がこれを隠すというところに癒着があり、利権的なにおいが出てくるのじゃないか、そういうことが指摘されるわけなんですが、こういう数字は当然国政の審議の場に、どういう商社がどのぐらいのウエートを占めているのか。 たとえば、上位十社で言えば四〇%、二十社で言えば六五%のシェアを占めているというような実態は、やはり国政の場でこれがいいのか悪いのか議論する材料としてそういうものはお出しになるべきが当然だというふうに考えますが、もう一度その点の答弁を求めます。
○小島政府委員 オレンジの割り当て方法は、御承知のように商社割り当てでございまして、商社割り当ての実際の仕事は通産省がおやりになっていらっしゃるわけであります。したがいまして、ひとりオレンジに限らずIQ物資全体を通じての通産省の基本的なお考えというものがあるわけでございまして、私どももそのお考えは尊重すべきものであろう、かように考えておるわけでございます。(「よし」と呼ぶ者あり)
○小川(国)委員 だから、その尊重すべき考え方が——いま、よしと自民党の人が言ったけれども、どういう理由でよしと言うのか私はわからないのですよ。よしと言うのにはやはりそれだけの理屈がなければならないので。民間企業が個々におっしゃってくれているのですよ。中にはこういう総トータルの数字まで出してくれている。それをなぜ通産省や農林省が隠していなければならないのか。われわれ国政の審議をするのにはまじめに正確な数字をもとにして議論しなければならない。だから、皆さんから資料の提出を求めているのですよ。 では、私が申し上げた数字がおよそ合っているかどうか、もう一遍確認を求めますが、五十五年段階で藤井治商事が一四%、スマル貿易が七%、西本貿易が六%、兼松江商が四・五%、大阪青果が三%、東京綿花が二%、日宏貿易が三%、東急百貨店が二%、東京青果、都貿易がそれぞれ二%、これで約四五・五%を上位十社で占めるのですが、およそこの数字でよろしゅうございますか。
○茶谷説明員 大変恐縮ではございますけれども、具体的なシェアというのは私どもでは公表できないということになっておりますので、御了承を賜りたいと思います。
○小川(国)委員 私はきょうは、あなたのところの貿易局長も非常に態度が悪くて、この委員会に出席要求をしたら、何か民間の二、三十人の会合へ行ってしまって国会へ出てこないのですよ。通産省の姿勢自体も非常にふまじめなんです。きょうは幸い農林水産大臣はまじめに出ておられますので、こういう通産省の姿勢、貿易局長を呼んで資料を出せと言えば出さない、それから貿易局長の出席を求めれば、何か二、三十人の民間の会議に行っていて国会へも出てこない。これは通産大臣を通じて貿易局長に厳重に注意をしてもらいたいと思いますが、同じ内閣の閣僚として、大臣、いかがですか。
○田澤国務大臣 資料要求等については、これは委員会で委員長が各理事といろいろ話し合った上で提出方を各省庁に申し出をするというのが本来の姿ではないだろうかと思いますので、そういう手続の上で、通産大臣がどういう考えでその資料要求におこたえするのかということは通産大臣としての考え方で進められるものと思いますが、一般的には国会にはできるだけ資料を提出をして審議の促進に供するということがたてまえでございますが、いま通産省の答弁を聞いていますと、私的企業の秘密を守るという意味から通産省としてはこれは公開していないんだというような答弁でございますので、そういう点については通産省は通産省としての一つのおきて、決まり等があるのかもしれませんので、そういう点はまた通産大臣にこういう質疑の状況がございましたということはお話をしておきましょう。
○小川(国)委員 大臣にはそこまでが精いっぱいだと思いますので、これは委員長に申し上げたいと思うのですが、私は、この数字を役人が公表するかしないかというのをその役所が決める権限があるかどうか非常に疑問に思っているのですよ。 モチ米のときには食糧庁が出さないと言うし、それからイカのときには水産庁が出さない。今度はオレンジについて聞けばやはり農水産課が出さない。じゃ、この割り当ての内容を知っている人はだれかといったら、貿易局長と農水産課長と輸入課長とその係が四、五人、わずか一省の十人前後の人間だけがこの割り当ての内容を知っていて、そして国政の審議の場でこれを審議の材料として提供を求めることに書類を出さないということがその省庁の権限で決められることかどうか。 これは私は、国政調査権というものが憲法上最大の権限として与えられているならば、国会の方でこの提出を求めるということになれば当然それは出さるべきものじゃないか、国会の方が資料提出については上位の決定権を持つ、そういう判断をいたしますが、委員長、いかがですか。
○羽田委員長 小川君のお申し出につきましては、ただいまの御質疑等をもとにいたしまして、理事会の方で扱いにつきまして検討したいと思います。(「何の資料」と呼ぶ者あり)
○小川(国)委員 オレンジの輸入割り当ての資料。
○羽田委員長 その件につきましては、後刻理事会の方で検討させていただきます。
○小川(国)委員 大変残念なことですが、私は、国会の国政調査権というものはこの程度のことにまで及びませんと——しかも、いまこのオレンジの輸入の資料の公開をなぜ私が求めたか、通産省は得々として出さないことが企業の秘密だと言うのだけれども、そうじゃなくて企業の利権のために出さない、こういうふうに私どもは指摘せざるを得ないわけなんです。 というのは、御承知のようにレモンとかグレープフルーツが自由化されまして大量の農産物が入ってきた。アメリカのグレープフルーツやレモンが入ってきた。その結果は日本の柑橘農家に重大な打撃を与えた。そしてアメリカの農家はそれの大変な売り込みに成功したけれども、商社自身はどうかというと、その自由化の中で大変に利益率も下がって、中には赤字を出している、そういう状態にまでなっているわけですね。 ところが、オレンジだけはこの割り当ての上に大変膨大な利益を上げている。去年なんかは冬が非常に寒かったために、アメリカの果物が全般に腐れの商品が多いということで利益率は低いといいますが、私、関係のいろいろな市場会社なり輸入会社なりを回った中では、悪いという中でも、一カートン十七キログラム入りということですが、少なくとも五百円ぐらいの利益を上げている。大きい利益を上げたときになりますと、一カートンで千五百円から二千円というような輸入割り当て制度の恩恵で利益を上げている。 その中で、先ほど私が申し上げた藤井治商事というのは、ここずっと一貫してオレンジの輸入割り当てのトップの座にあるし、それから、総体で輸入商社が九十二社とか九十六社とか動いておりますけれども、輸入枠が年々ふえて、わずか五年間で三倍にもふえている状況ですから、割り当て率は下がってきているが、量としてはますますふえている。恐らくこの十月の交渉で、われわれは当然日本の農家のためにこれ以上の枠拡大を阻止したいという気持ちを持っていますが、これがふえるとまた利権がふえるということになっていきます。 そういう中で、藤井治商事の膨大な利益というものを見ますと大変なものがあるわけですが、通産省、農林省は、こういう輸入割り当て制度の中でこういった商社がどれだけの利益を上げているかという実態の調査をなさっておりますか。時間がないので、なさっているか、なさってないか、それだけ答えてくれればいいです。
○小島政府委員 輸入会社の利益そのものについては、調査いたしてございません。
○小川(国)委員 もう一つ伺いますが、その輸入した商品が最終的にどういう価格で売られているかということについては調査なさっていますか。
○小島政府委員 輸入いたしました品物の大体八割方は中央卸売市場で売られておるわけでございますから、卸売市場の方の資料から、卸売価格が幾らであったかということはわかるわけでございます。 それから、小売の方は別途調査をいたしておりますので、小売価格が幾らであるかということは大体つかんでおるわけでございます。
○小川(国)委員 この五年間の輸入価格と国内販売価格の状況を見ますと、五十六年度で七万五千四百七十一トン輸入されているのですが、輸入価格が百八十八円であるのに、国内の卸売価格は四百三円と倍近くなっているわけです。五十二年のときの輸入価格は百三十八円で、卸売価格は四百三十円、このときには三倍近いし、現行でも二倍近い。もちろん、この輸入価格には関税が二〇%ないし四〇%つく、それから運送等の諸掛かりがつくことはわかっておりますが、それにしても倍近い卸売価格になっているわけです。ですから、このオレンジの輸入商社の利益というものは大変なものになっているわけなんです。 ですから皆さんが、オレンジを輸入したことによって消費者にこれだけ安く提供できているという実態がつかめているとか、あるいはその差益が日本の柑橘生産農家に、ECのように農業保護政策に向けられるとか、そういうことになされているのならいいのですけれども、九十六社の商社の大変な利益を保証してやるだけの政策にしかすぎなくなっているわけですね。 そういうことの中で、藤井治商事は営業の中では、オレンジが五五%、グレープフルーツが二一%、レモンが三%、馬が一八%、こういうことで、わずか二十五、六名の藤井治商事が、五十五年には売上高は六十一億、法人申告所得額が六億五千三百二十五万、利益が一億八千百三十四万円、大変な利益を上げている。この利益は、いま問題になっている馬は一八%ですけれども、オレンジの方で五五%の利益をこの中から生んでいる。これは表に出てきた数字だけですから、実態はまだまだ大変な利益がある。年間十億ぐらいの利益が推定されるのではないかというふうに言われているのですが、こういった割り当て制度の中で、特定の商社にそんな膨大な利益を与えていいのかどうか。 それからさらに、そういった利益をもとにして、藤井治商事は五十六年三月三十一日に、日本精蝋という会社の買い占めに成功している。約二十五億円の資金を投じて、日本精蝋株式会社という、東京に本社があり、広島に工場がある従業員四百名の会社の二千二百四十万株、資本金十一億二千万円の五〇・三%、過半数の株を買い占める。 しかも、佐藤榮作元総理の長男のアジアドリリング会社専務の佐藤龍太郎氏も一緒にこの会社の重役に就任するというようなことをやっているわけです。いま、政界、官界とこういった輸入商社との癒着ということが言われている中で、こんな会社買い占めをやるような資金がオレンジの輸入割り当ての中から生まれてきているわけです。 こういう実態を是正するという考え方を持たない限り、輸入馬の問題なりあるいはまた、政府の割り当ての上にこういった不当な利得を得て会社買い占めまでやれるという実態が出てくるのですけれども、こういうことを是正するというお考えは皆さんはお持ちにならないかどうか、あるいはそういう疑惑をなくすという考え方をお持ちにならないかどうか、その点をひとつ明らかにしていただきたい。
○小島政府委員 先ほど申し上げましたように、輸入しましたオレンジの大部分は卸売市場で販売をいたしておりまして、市場における需給関係それから品物の品質、そういったものによって値段が決まってくるわけでございます。 一方、輸入原価の方は、輸出国側の国内のマーケットの事情によって決まってまいりますので、もちろん、価格変動はございますが、その間に相当大きなギャップがあるということは事実でございます。国内にあります需要を供給の方で制約しているわけでありますから、その間に通常の商品の取引よりは利幅が出てくるということは、IQ制度に伴ういわば必要悪みたいなものでございます。 もちろん、正当に計上されました利益につきましては、国なり地方公共団体の課税という形を通じまして国庫財政にも寄与する、こういうことになるわけでございます。そういう利益につきまして、もっと直接的な方法で何らか国内産柑橘のために活用できないか、こういうアイデアは実は過去においてあったことがございまして、いろいろ検討もいたしたわけでございますけれども、一種の関税外の輸入障壁になる、こういうふうな意見もございまして結局さたやみになっている経緯があるわけでございます。 ただ、幸いにいたしまして、ただいま輸入枠の方は毎年ふやしてきておるわけでございます。その結果といたしまして、供給量がふえる過程で利幅も漸次縮小過程にあるというふうに見ておるわけでございますが、今後とも、そういう公正な取引を通じましてできるだけ利幅が圧縮されるということに努めてまいりたいと思っております。 また、これは通産省の方からお答え申し上げた方がよろしいかと思いますが、過去におきましても、オレンジの輸入業者につきましてあるいは新規参入を認める、あるいは比例配分ではなくて一定の固定割り当てをするというふうなかっこうで、シェアの大きい方の会社のシェアが漸次減少するような努力もいたしてきておるわけでございまして、それらを通じまして、余り関係者から後ろ指を指されないような取引関係に持っていきたい、こう考えておるわけでございます。
○小川(国)委員 三十分という時間で、もう時間が参りましたので……。 オレンジ輸入九十六社、その中の上位十社か二十社で四〇%から六五%のシェアを占めている。それが膨大な利潤を商社にもたらしているけれども、その量がふえるということは、日本の柑橘生産農家に打撃を与える以外にない。 万一、それがふえるとしたら、それはやはり、たとえば日本の肉の輸入は畜産振興事業団、一元的に公的機関が扱ってそれから民間に出していくのと同じように、果実もこういった九十六社の商社の利権に任せるのではなくて、国の公共的機関がそれを一手に輸入をして、そしてその差益が生じたものならば、それは国内の打撃を受けるミカン生産農家に還元していく、そういうような政策的なものに使うべきで、市場に出しているからいい、国に税金を納めてもらうからいいということでは、こういった藤井治商事に指摘されるような、政府の割り当て行政の中で膨大な利権を与えているということは正していかなければならない問題だ、こういうように思いますので、最後にこの点で大臣に、こういった一商社に大変な利権を与えているオレンジ輸入のあり方を是正する考え方を大臣としてどういうふうにお持ちになっていただけるか、それをお伺いしたいと思います。
○田澤国務大臣 オレンジの輸入に関連しての御質問でございますが、いま局長から答弁させたように、IQ品目の扱いは非常に複雑でございますので、この点についてはその取り扱いの過程においていろいろ指導もしてまいらなければならないと思いますし、また、先生御指摘のような新たな機構による扱いの問題等については、今後十分検討させていただきたい、かように考えます。
○小川(国)委員 終わります。
○羽田委員長 小川君の質疑はこれで終わりました。 続いて、神田厚君。
○神田委員 麦価の問題につきまして御質問を申し上げますが、いよいよ二十四日に麦価米審が開かれるわけであります。 そこでまず最初に、現在、財政事情あるいは行政改革、こういう観点から米麦価の食管経費の節減という問題が臨調などで指摘をされておりますが、第一次答申を完全実施しろというような問題も含めて非常に厳しい注文が出ておりますが、政府といたしましてはこの点どういうふうにお受けとめになっておられますか。
○渡邊(五)政府委員 臨調の第一次答申なり、最近では今後の答申に備えた部会の報告等が紹介されておりますが、食管の財政負担の縮減合理化につきましても、これまでも逆ざやの縮小あるいは政府管理経費の節減合理化等に努めてきております。昨年の第一次答申におきましても、その内容を踏まえて、できる限りの措置を講じてきたところでございます。 具体的には、米の売買逆ざやは八・三%から四・二%へ引き下げまして、また自主流通米の助成につきましても、流通促進奨励金の単価の引き下げあるいは目標達成奨励金の基本的打ち切り等をいたしましたし、かつ麦の買い入れ価格につきましても、生産性の向上を反映する手法の導入等もいたしました。かつ食糧事務所の職員の削減、定員縮減というようなことをいたしまして、食管のいわゆる一般的な赤字になります繰入額も、五十五年当時の六千百億から五十六年度が五千六百七十億、五十七年度には五千億を切りまして四千九百八十億円と、いわゆる赤字も縮小しつつあるわけでございます。 食管の経費の節減については、さらに私どももできるだけ答申の趣旨に沿った努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
○神田委員 そういうふうな形でやっていきますと、たとえば麦価の問題等でも、いわゆる外麦の差額で内麦を補てんをしていたというものが、内麦増産ということで、かなりそれが逆転をしているというような状況でありますから、そういう点を勘案しますと、麦価の決定に当たりましても相当影響を与えるような感じに思われるのでありますが、その点はどういうふうにお考えでありますか。
○渡邊(五)政府委員 麦価につきまして、やはり財政事情というものも、これをめぐります条件として重要な点でございます。御承知のように、いまの価格関係だけで申し上げますと、トン当たり国内麦は十八万、おおむね十八万で買いまして、これを六万円で売却いたします。したがいまして、価格関係だけで十二万円というような損失を生ずるような関係になっておりまして、その売買逆ざやは一九〇%に近い数字になっております。米の売買逆ざやが四・二%というのに比べますと、きわめて大きな状況になっております。 ただ、私どもこうした財政状況だけではなく、やはりこれからの麦の方向につきまして、基本的には生産並びに需要の長期見通しという方向に沿ったことを考えてまいりたいと思っております。 したがいまして、小麦なりについてはまだまだ私どもは生産の増を図るべきものと考えております。ただ、それにいたしましても、現在小麦につきましても相当生産の伸びが急激でございまして、同時に、品質上の問題あるいは輸送上の問題というような一つの隘路が出てまいっております。こうした隘路を打開してまいらなければ、これからの生産増に対応できない。私どもは、価格の問題も大事ではございますが、そうした流通上の問題を基本的にまず解決していくことが必要じゃないか。 大裸につきましては、精麦用あるいはビール用なりについては一つの需要の限界にも達しております。さらに、これを生産奨励的に扱うべきかどうかということは、やはり問題があろうかと思います。そういう観点で、かつ経営の条件等をよく考えながら、適正な麦価を算定していくべきものだろう、このように考えております。
○神田委員 大方の方向として、農林水産省が麦価の抑制を図っているという形で受けとめられておりますし、まさにそういう傾向も出ている。 さらに、昨年の麦価の決定等を見ましても、奨励金部分等について手を加えて、これを低く抑える手段にしている。ことしもまた、そういう意味ではかなり奨励金部分等に切り込んだ麦価の算定をするのではないかというようなことが言われておりますが、その点についてはどういうふうにお考えになりますか。
○渡邊(五)政府委員 麦価につきましては、五十四年までは奨励金部分もパリティにスライドした、奨励金相当額につきましてのスライドを適用してまいりましたが、五十五年産から取り扱いが変わりまして、五十五年産は前年と同額という奨励金相当額につきましての取り扱いになりまして、五十六年度につきましては生産性を反映いたしまして二・一%減というようなことになりました。 私ども、麦の生産につきましては、かなり土地の生産性なりが着実に上昇している点、あるいは労働の生産性はさらに顕著な伸びを示しておる、収益性も他作物に比べて遜色のないというような状況も十分勘案して、そうした生産奨励的な措置についての取り扱いを慎重に検討いたしたいと思います。 ただ、お断りいたしておきますが、私ども食管法に基づきます本件の価格につきましては、法に基づいたパリティの適用は当然する方針でございます。 〔委員長退席、亀井(善)委員長代理着席〕
○神田委員 特に奨励金等の問題は、これ以上奨励金を削り込んで麦価を抑えるというやり方はやはり非常に問題があると思っておりますので、私どもとしてはそういうことがないように強く要望しておきます。 いま答弁がありましたように、麦作は経営規模が非常に零細でありまして、一ヘクタール未満の農家では生産費を償えない現状である、こういうようなことも言われておりますが、将来的にはこの経営規模の問題あるいは価格水準の目標というものをどの程度に置いておるのか、つまり、どの程度の目標にすればうまくペイできるというか、あるいは政府の方針として長期見通しがあるわけでありますけれども、それにかなうような形になっていくか、その辺はどうでありますか。
○渡邊(五)政府委員 まず、私どもの価格政策につきましては、現在パリティを下回らないということで、二十五、六年の価格を基準にいたしまして買い入れをするというふうにして、法に基づいていたしておりますけれども、やはりこの価格自体につきましては、先般の食管法改正の際にも、政府案といたしましては、余りにも機械的に過ぎると生産性の向上等を反映できないという問題等を踏まえまして検討を加えたところでございますが、改正案として提出するに至らなかったという経緯もございます。 麦価の今後のそうした規定も考えてまいらなければならないと同時に、価格水準自体はやはりかなり国際的な環境に取り巻かれております。そうした国際的な環境を十分見ながら、できるだけコストを下げる努力をしていただきまして、やはり内外格差を開かないように、さらに、できるだけ縮小できるような努力をしていくべき方向のものと私どもは考えております。 生産規模につきましては、私どもの統計で見ましても四十二年、まあ十四年ぐらい前の状況と比較しましても、全国平均が三十アール未満でございましたが、現在、全国平均で六十五アールというような形で、かなり拡大いたしております。特に北海道におきましては、五十二アールの段階から現在二百八十三アール、いわゆる約三町に近い形に規模が拡大しております。 麦作は、御承知のように、こうした規模の拡大によります機械化等合理化すべきスケールメリットの大きい作物でございますので、規模の拡大は、それぞれの土地の条件に沿ってできるだけ規模を拡大するように、すでに北海道にもそうした状況も出ておりますので、都府県におきましても今後裏作の問題等ございますが、そうした土地条件の整備とあわせて規模の拡大を図ってまいるべきだと考えております。
○神田委員 規模の拡大も図っていかなければなりませんが、この統計によりますと、作付面積の推移を見ると、すでに中期目標の段階、五十八年度の段階で、六十五年見通しを見て現在のところをはかっていきますと、六十五年見通しで五十万ヘクタールというのがすでに麦類全部で五十八年度で四十三万ヘクタールになっておりますね。そうすると、まだ六十五年まで相当長い期間あるのに、これだけふえてしまっている。こういうふうなことを考えますと、大体農林省としてはこの作付面積の推移というのはどんなふうに考えておりますか。
○渡邊(五)政府委員 確かに、御指摘のように作付面積の動向については、私ども一つ問題があると思います。 特に、五十三年から五十六年におきます作付面積の四麦の伸びでございますけれども、年率にいたしまして一八・六%というかなり高い伸び率でまいっておるわけでございます。御指摘の長期見通しの年率は七・七%でございますので、かなりの開差を生じております。したがいまして、これだけ、いわば棒上げと申しますか、かなりテンポの高い作付面積になりまして、生産量も増大してくる。その過程で、先ほど申しましたように、大裸につきましては、需要との間に頭打ちが出てきているというような問題もございますし、また小麦につきましても、品質なり、輸送といったような問題でボトルネックが生じてきて、これ以上の増は、やはりそうした隘路を打開してまいらなければならない。いま価格問題も重要ではございますが、そうした問題の方が急速に解決すべき問題点に達している、私どもこのような認識をいたしておるわけでございます。
○神田委員 ですから、私どもが心配しますのは、まあ農林省の見通しでは、そういう問題があるから、これから先はそんなに伸びないだろうというふうな判断をお持ちになっているのか、あるいは、これだけ伸びているのはいわゆる水田再編の関係で伸びているというふうに判断すれば、いわゆる臨調等が指摘をしている、これから転作奨励金等の問題等を含めて勘案すると、将来的に転作奨励金の打ち切りといいますか、その支給の削減によって麦が伸びないというふうな判断を持っているのか、その辺はどうなんでありますか。
○渡邊(五)政府委員 いまの小麦なりの伸びでございますが、これを考えますと、転作によります伸びも当然ございますが、また北海道の畑作なりも相当大きな伸びを示したというふうに私ども認識いたしております。非常にテンポが高かったので、むしろもう少しテンポについての考え方はあろうかと思いますけれども、水田転作の関係で申し上げますならば、農林水産省といたしましては、五十八年度までは現在の体系で進めていく、奨励金についてもそういう考え方を基本的にとっております。 問題は、五十九年度以降、これがいわゆる第三期対策になりますが、この点におきましては、やはり基本的に見直しなりはすべき問題であろうというふうに考えておりますが、特に転作麦あるいは北海道の小麦なりに出ております問題としては、私ども当面品質上の問題なりが重要な問題でございます。やはり外麦に比して余りにも格差がある品質ですと、需要者、実需者との結びつきが非常にしにくい。今後の拡大と品質上の問題等はやはり解決しなければならない重要課題と考えております。
○神田委員 転作奨励金の問題は、農林省の方では見直すというような方向でありますが、私どもは、基本的にはやはり麦類の生産振興という大きな観点から考えていただかなければいけないというふうに思っておるわけでありまして、その点の論議は後にしたいと思っておりますが、ただいま御指摘のありましたように、品質、流通面において、実需者から非常に厳しい指摘があるということであります。それに対して政府としてはどういうふうな対処方針を持っているのか。 大体におきまして、これらの品質面でも何でもそうでありますけれども、技術改良でもそうでありますが、日本の農業の場合は米を中心に全部そういう体制がつくられているから、麦の場合でも、麦の技術改良にどういう人員がどんな形で携わっているのか。これから当然品質改良その他も問題になってくるわけでありますが、ある人の話によりますれば、外国に麦の技術者を連れていったらば、余り役に立たなかった。つまり、米の技術は非常にすぐれているけれども、麦作等についてはかなりまだおくれているというふうな指摘もありますから、この辺のところを含めて、ひとつどのようなお考えであるかお聞かせいただきたいと思います。
○岸政府委員 ただいま御指摘の中で、品種改良の問題について特にお答えを申し上げたいと思います。 麦の品種改良につきましては、現在国の研究機関、並びに国が都道府県に委託いたしまして指定試験という制度でやっております研究、その両方で行っておりますが、ただいま先生の御指摘の、麦の品種改良のために投入している研究者の人数、そういう点で稲に比べて大変少ないのではないかというような御指摘がございましたが、実はそれほどのことではございませんで、むしろある作物の品種改良をしっかりとやるということになりますとやはりある程度の単位が必要でございまして、そういうために現在麦と稲との間にはそれほど大きな差がございません。 数で見ますと、麦の品種改良に従事しております研究者の数が五十四名ございます。これは国の研究機関における、直接国でやっております者と指定試験の方で従事しておる者と両方でございますが、五十四名でございます。それに対しまして稲の場合には六十一名ということでございまして、それほど大きな差はございません。麦に対しましても、遺伝資源の導入、保存から、あるいは北海道から九州に至るまでのそれぞれの地域に適するような品種の育成ということで単位を置いてしっかりと取り組んでおりますので、御理解をいただきたいと思います。
○神田委員 時間がありませんので余り突っ込んだあれができませんが、続いて検査規格の改正問題であります。 現在、検査規格改正の検討が始められているというふうに伺っております。その中で等級区分の問題あるいは現行の等外上規格の廃止、これらの問題が検討されているというふうに聞いておりますけれども、どういうふうなことでございますか。
○渡邊(五)政府委員 現行の検査規格は、基本的には昭和二十六年の規格設定当時の体系を維持してきております。したがいまして、すでに三十年たったわけでございますが、実態に合わない面も出ているのも実情でございます。需要に見合った麦作への誘導と円滑な流通の促進というようなことを基本方針といたしまして、私どもとしては関係者の意見を聞きながら、今後検査規格の見直しを進めたい、このように考えて目下準備を進めておるところでございます。 その中で、御指摘の等外上麦等の問題がございます。等外上麦につきましては、これまで特例的に災害の発生の都度改良を行ってきましたが、最近の需給状況からいたしてみますならば、原則どおり政府買い入れの対象としない方向で検討する必要が生じている。そうした意味で、検査規格についてもこれに対応した形で検討していかなければならないのではないか。実需者との結びつきをより的確にするような規格設定を今後考えてまいらなければならないだろう、こう考えておるわけでございます。
○神田委員 この問題は大変大事な問題で、たとえばことしなどのビール麦やその他の問題、あるいは麦でも九州あたりの作柄を見ておりますと、やはり相当問題が出ているわけであります。したがいまして、この規格の廃止等の問題については、改正等の問題につきましては慎重に、当然実需者の問題もそうでありますけれども、生産者の立場も十二分に考えていただかねばならないということを強く要望しておきたいと思うのであります。 関連しまして、ビール麦の問題でありますが、ビール麦の等外上はゼロ目標とするように、ビール会社は非常に厳しい姿勢をとっているわけでありますが、政府のこれに対する指導はどういうふうになっているのか。私の県であります栃木県では小麦、六条麦等は非常に増産でありますが、ビール麦はことしは大変いろいろな問題がありまして不作であります。そういう中でこの等外上のビール麦等の買い入れ問題でいろいろ問題が起こってきておりますので、その辺のところにつきましてひとつ政府の方の考え方をただしたいと思うのであります。
○小島政府委員 ビール麦につきましては、生産者団体とビール会社との間で基本的な契約の原則を決めまして引き取られておるわけでありますが、本年産につきましても、基本的な物の考え方としましては、一、二等を原則として買うというたてまえでございます。これは従来からそういう考え方でございますが、ただ、契約数量と実際の一、二等該当数量との間にはかなりな開きがございますので、そういう契約数量のすき間のある範囲において等外上も買うということはこれまでもやってきておるわけでございます。 この扱いについては、今後、両者の話し合いにゆだねられる筋合いの問題でございますけれども、これまでの経緯を踏まえまして、政府としても引き取り方の指導をしてまいりたい、かように考えております。
○神田委員 次に、麦対策特別基金の問題でありますが、近年の気象条件下において、これが枯渇してきているというふうに言われております。この問題で政府は予算措置をどういうふうにとっていくのか、基金制度の運用の問題とも絡めまして大変大事な問題でもありますので、その方針について、ひとつこの基金の問題について御答弁をいただきたいと思います。
○小島政府委員 麦振興特別基金と申しますのは、昭和五十二年におきまして、それまで六十キロ当たり二千三百円の奨励金がついておりましたものを、価格の中に組み込むということをいたしました際に、規格外の麦につきましては食管の買い入れ対象になりませんので、従来もらっておった奨励金分ももらえなくなる、こういう事態を踏まえまして、特別に手当てをしたものでございます。 仕組みは、御承知のとおり、規格外で集荷団体を通じて販売されましたものにつきましては、その差損のうち一キロ当たり三十五円を限度として支払う、こういうものでございまして、五十二年において造成いたしました十八億円を限度として、奨励金価格組み入れに伴ういわば経過措置として設けたものでございます。不幸にいたしまして、昨年北海道を中心に大量な規格外麦が発生いたしましたものですから、これをもって完全に使い果たしております。 しかしながら、この基金をつくりましたいきさつからいたしますと、重ねてこれを造成するということは不可能でございますし、目下の財政事情からいっても、それは大変むずかしいというふうに考えております。また、規格外麦につきましては、これは品質上の損失でございますけれども、ただいまの農業共済制度のもとにおきまして、いわばそれを減収とみなす特別な措置が講じ得るようになっております。したがいまして、これまでもそのような措置をいたしてございますけれども、その規格外につきましても農業保険の世界においてその損失を補てんしていく、これが筋道であろうと考えておるわけでございます。
○神田委員 農業団体等ではそれらのいろいろな事情から、生産者みずからが拠出をするというようなことから、飼料用麦の流通基金制度というものをつくっていきたいというようなこともあるようでありますが、ひとつそういう点につきましても、政府としてこの特別基金をつくったその趣旨にのっとって、協力なりあるいはそれに対する助成なりを強力に推進をしていただきたいということを重ねて要望しておきたいと思います。 最後に、大臣にお尋ねしたいのでありますが、いわゆるこの麦づくりを推進をするということは、一つの農政の大きな基本的なテーマでありますが、どうもいまひとつこの勢いが盛り上がったところで抑制の力が非常に強く動いてきたというようなことを非常に心配をしておるわけでありますが、麦価の決定等の問題も含めて、麦作振興についての大臣の考えと、麦価について、生産者団体の要求する麦価をひとつ実現できるように私どもはお願いしたいわけでありますが、その点の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○田澤国務大臣 麦作については、神田さん御承知のように、関東周辺は麦作でもういっぱいだった時代があったわけでございますが、その後、戦後麦の作付が減少してまいりまして、それが同時に、水田一辺倒の農業という形に相なったのは御承知のとおりでございます。 しかしながら、米の過剰という一つの現象から、やはり水田利用再編対策、その中での転作作物となりますと、やはりこれまで作付してまいりました麦に対する希望が非常に強いものでございますから、麦作の奨励をしてまいったわけでございます。ところが、最近に至りまして、麦の価格の問題というものがいろいろ国際的にも考えなければならない状況にだんだん置かれてきているのは事実なんでございます。 ですからといって、直ちにそれを、いま国際価格に対応できる価格をつくりなさいといっても、それはなかなかむずかしいと思いますけれども、私は、麦作が一定の奨励の段階を超えたときには、やはり価格問題というものは大きな課題になろうと思いますので、そういう点は十分いまから念頭に置きながら考えていかなければならない問題だと思うのでございます。 したがいまして、麦価決定に当たりましては、もちろん私たちは食糧管理法にのっとって適正な価格を決定してまいらなければなりませんけれども、同時に、国際的な意味においても、あるいは国内的な意味においても麦の置かれている環境というものを十分考えながら、私たちは、麦価というものの決定に当たって十分そういう点を配慮しながら進めていかなければならない、かように考えているわけでございます。 ですが、先ほど申し上げましたような国際価格に見合う麦価を直ちにつくるなどということはとてもいまの段階ではできません。したがいまして、私たちとしては、奨励品目としての小麦のあり方というものを十分考えながら、今後麦価の決定に当たっては十分考えながら進めてまいりたい、かように考えております。
○神田委員 時間が来ましたので、終わります。
○亀井(善)委員長代理 次に、寺前巖君。
○寺前委員 私は、先ほどの皆さんの討論を発展する、そういう立場で二つの問題をきょうは聞きたいと思うのです。 一つは、先ほど、輸入農産物をめぐってうまい利得を上げているという、それに対する指導をちゃんとしなさいという質問がありました。私は、輸入品ではないけれども、小豆の取引をめぐっての異常な段階に来ているという問題についてきょうは聞いてみたいと思うのです。それが一つです。 もう一つは、米審が近くやられる。今日の緊急対策、やるべきものは何かということで先ほどからもういろいろな質問も出ていますから、繰り返しをしておっても仕方がありませんので、緊急手を打つべき問題だけをちょっと聞いてみたい。この二つです。 まず第一に、小豆の市場問題です。ことしの小豆の作付は、北海道で二七%増、しかも豊作予想なので、昨年の二倍に当たる六万トンないしは七万トン、俵数にして百万俵から百十七万俵の収穫が予想されています。また雑豆の輸入枠拡大の圧力もあります。こういうことを考えてみると、小豆相場にとっては値下がり要因であるのにもかかわらず、高値安定という方向になっている。しかも、先に行くほど、保管料や金利などを考えたら、どういうことになるのか知らないけれども、安い逆ざやという異常な状態が今日生まれている。 ですから、ここには明らかに人為的な要因がなければこういうことにならないと思うのです。聞いてみると、六本木筋とか恐ろしい筋とか言われる新たな投機筋が買い占めに乗り出していると言われています。 私も調べてみました。六本木筋というのは何だろうか。山口組系の暴力団旧東声会組長の町井久之氏が社長をしている東亜相互企業グループのことのようです。この企業グループの裏組織が現在も山口組系の広域暴力団である東亜友愛事業組合と言われています。 「赤旗」の記者に走ってもらって、東京穀物取引所、諸関係を調べてみましたら、山大商事、その他業界などを調査の結果、六本木筋は、東京で山大商事、川村商事など七つの取引機関店を通じて商品取引所の小豆市場の九割近い一万三千五百枚、百八万俵を買い占めている。大阪、名古屋を含めると二万五千枚、とりまきを入れると三万枚。その証拠金を計算してみると、五十億、六十億という莫大な投資をやっていることになります。 特に東京、大阪、名古屋、五月末には千六十枚、八万俵の現物を別に二十五億円という金で買い受けている。商品取引の常識としては差金決済が通常の方法であるのにもかかわらず、現物の全部を買い占めてしまったというような事態が生まれているわけです。この買い占めの手口は、従来よくやるような、架空名義などのすぐにばれるやり方ではなくして、実名を使って、堂々とやっている。 東亜相互企業の代表取締役は町井氏でありますが、ここには九人の取締役と監査役が一人います。私が調べてみて驚いたことには、町井氏を除く十人の役員がすべて買い占めに手を出しているということです。つまり、井熊長三、西原正晃、近江禎二、土井孝、平野隆正、石原桂五、江口譲治、長谷川健、今井重夫、そして監査役の十朱乾の十人がそれぞれ山大商事、川村商事、明治物産、その他取引機関を通じて、現物や先物買いをしているのであります。 要するに、とかくのうわさがある町井本人だけは顔を出さないが、実態は東亜相互企業ぐるみの買い占め事件ということはきわめて明白であると思うのです。しかも、この買い占めは昨年から行われ、彼らは二十七億円もうけたとも言われています。 また、四月の小豆相場の低迷後、損をしてはかなわぬというので、別の投機筋、桑名筋という名前で言われていますが、川村商事のオーナーであり、三重県桑名市在住の板崎喜納人筋とも連合して、五月に現物買い受けに走り、先物も買い占めました。その結果、利ざやだけでも十八億円の暴利を手中にしたといううわさです。 農水省は、このような異常な事態が発生していることについて認識をしているのか、どういう手を打ってきたのか、まずは御説明をいただきたいと思います。
○渡邊(五)政府委員 ただいま先生から御指摘がございました商品取引所の小豆相場のことでございますが、御指摘のように五月限におきまして、通常の場合に比べますと大量の受け渡しが行われたことは、私どもデータとして承知しております。それから、先ほど先生からるる御指摘があったようなことにつきましても、情報としてそういう情報があることは私ども承知をいたしております。 このため、農林省といたしましては、不当な買い占め等の結果不当な価格形成が行われる、そのために実需者であります人々が大変困ることになっては相ならないということで、取引所にそういったうわさが出てまいりましたかなり前の時点から、取引所に上場している人たちの詳細を調べることによって、いわゆる仕手問題というものが特定のところにあるのかどうかという調査をいま鋭意やらせているところでございます。 これは調査の事柄としてなかなかむずかしゅうございまして、ただいま先生がおっしゃいましたように特定の人、特定の役職についている者ということまでは私どもの方は承知しておりませんが、現在鋭意調査を進めさせておるわけでございます。そういったことによりまして、不当な価格形成になって将来トラブルを起こすことになっては相ならない、そういう意味では問題の発生をできるだけ未然に防止したいということで、これは従来も幾つかやった手法の一つでございますが、特に効果の大きいと思われます臨時増し証拠金、これは委託者が商品取引の委託をする場合に一定の証拠金を出すことに相なっておりますが、そういったものを引き上げるというようなことを、私ども、市場管理措置と言っておりますが、そういった市場の管理措置を適正にやるように商品取引所に強く指導をしてまいったわけでございます。その結果、本日から、東京の穀物取引所におきまして、臨時増し証拠金をかなりの額引き上げるという措置を行ったところでございます。 御指摘のようなことで、将来さらに問題が大きくなるのはまずいことでございますから、今後の事態を十分見ながら必要に応じて対策を講じていきたいというふうに考えております。
○寺前委員 いまのお話を聞いていると、事実は異常なことになっているということは御存じのようだ。きょうから手を打った。私は、有効な手が今日まで打たれなかったために異常な段階に来ているということを指摘しなければならないと思うのです。このまま放置するととんでもないことになります。 東京、大阪、名古屋、今月の二十五日の納会で彼らは再び千八百枚余り、十四万俵の現物買い占めを行おうとしていることがもう業界の一致した観測として流れています。そうなれば、五月の現物の買い占め分八万俵と合わせて二十二万俵になってしまいます。これは、小豆在庫のほとんど全部を買い占めてしまうということになるではありませんか。 こういう現物買い占めという異常な、力に物を言わせて相場を支配して値を不当につり上げ、さらには需要家、消費者に対する売り惜しみ行為につながるおそれがあることはきわめて強いものがあります。いまはまだ不需要期でありますけれども、九月からの需要期になったら事態は重大なことになってしまうではありませんか。これは商品取引所法第一条のいう「商品の価格の形成及び売買その他の取引を公正にするとともに、商品の生産及び流通を円滑に」するという目的をないがしろにするものではないでしょうか。 農水省、東亜相互企業グループの不当な市場支配を排除するためには、従来のようなことだけではだめなのじゃないだろうか。いまこそ思い切った対策を打ってしかるべきだと思うのですが、本当にこの事態を乗り切るためにどういうふうにやるつもりですか、重ねて聞きたいと思います。
○渡邊(五)政府委員 御指摘のように六月末の納会も近いわけでございますが、五月に引き続きさらに現受けが行われるかどうか、その場合の価格がどうなるか、あるいは取り組み高がどうなるかというような問題もございます。 御指摘のように七月まで同じようなことが行われるかどうか、まだ私どももよくわからない点が多いわけでございますが、いずれにしましても、いま申しましたような姿を見た上で、必要に応じまして私ども第二弾、第三弾の手を打つことは十分検討いたしたいというふうに考えております。
○寺前委員 大臣、いまお聞きのとおり異常事態が進行しています。しかも、一部の週刊誌によると、このグループの莫大な資金源は、韓国で大きな話題になっている手形詐欺事件の一部とも言われている。また、五月からは右翼の大物が金を出しているとも言われているわけです。それはそうでしょう、えたいの知れない莫大な金が現物買い占めのために動いているのだから。また、この六月五日には東京で、小豆相場で失敗して夫婦心中という気の毒な事件も起きている。これは新聞に載っているとおりです。 特定の者の異常な支配力を排除して市場機能を回復するとともに、消費者、実需者を保護するために早急に手を打たなければ、私は、農水省は一体何をしたのだということで責任が問われると思うのです。特に、この利益が元暴力団の資金源になっているのではないかという疑惑も出ています。そうなると二重の反社会的行為ではありませんか。また、町井氏なる人自身は、日韓癒着の黒幕と騒がれた人じゃありませんか。うわさの中では、先ほども言いましたように韓国の話題の手形詐欺事件とも関係があるのじゃないかと言われておる。 とすると、日本政府までがそれに手をかしたということになってしまうじゃありませんか。こういう疑惑の渦中にあるこの問題に対して大胆に手を打つことがもしも農水省でできなかったとするならば、疑惑の中に農水省ありとまで言われてしまうことになるのじゃないでしょうか。私はそういう点で、大臣はこの問題に対してどういう対処をしていかれるつもりなのか、見解を最後に聞きたいと思います。
○田澤国務大臣 小豆の現物買い占めが同時に売り惜しみにつながる、九月の需要期を控えて非常に重大な時期であるから対応を積極的にやりなさいという御指摘でございます。私たちといたしましては、先ほど局長から答弁させたように、六月末の状況あるいはまた七月における動き等を見詰めながら十分な対策を講じてまいりたいと考えております。
○寺前委員 相手がだれであろうと、堂々と胸を張ってやるべきことはやっていただきたい、重ねて申し上げておきたいと思います。 時間の都合がありますので、麦についてお聞きをいたします。 福岡県、佐賀県、熊本県において、今日、五月下旬から六月上旬の長雨によって麦の穂発芽、赤カビ病の被害が出ているようであります。これに対して農業共済の損害評価の特別措置をやらなければならないと私は思うのですが、どういう見解をお持ちなのか。 また、特別措置をやるとするならば、サンプルを農水省に提出させなければならぬことになりますから通達を出さなければならぬと思うのですが、準備をしているのかどうか。 三番目に、米と違って麦の場合は、経営に占めるウエートが高くないこと、また、次期作の作付との関係もあって、特例措置による救済をもしもやったとしても、宣伝をしなかったならばこれの値打ちが出てこない、こういう問題が現実に提起されている一つの問題だと私は思うのですが、一体どういうふうにお考えになっているか、その三点、お答えをいただきたいと思うのです。
○大坪政府委員 ただいま先生御指摘のように、五月下旬から六月中旬にかけまして北九州を中心に長雨がございまして、ちょうど収穫期にありました二条大麦、小麦に倒伏、穂発芽の赤カビ等の被害が発生したわけでございます。これに対する対応といたしまして、関係県の方からは農業共済におきまして損害評価の特例措置を講じてほしいという強い要請が参っておるのは事実でございます。 これにつきましては、昨年の十二号台風につきまして北海道におきます麦の被害につきましても講じたわけでございますが、今般の北九州の麦の被害状況につきまして十分勘案しながら前向きに対処してまいりたいと考えておるわけでございます。 この特例措置を講ずるとした場合の措置でございますが、これはそういう結論を得た場合には通達を出すということになるわけでございまして、その通達を受けまして関係の団体から申請が上がってまいる、その申請を待って措置を講ずることを認めるというふうな段取りで物事は進んでまいるということでございます。
○寺前委員 前向きに検討したい、それでは通達は大体いつごろ出されるつもりなんですか。私は、特にさっきも指摘したように、宣伝をしてもらわなかったらせっかくやったって値打ちが出てこない。こういう救済措置があるんだという宣伝をどういうふうにやられるつもりなのか、この点についても検討してもらう必要があると思うのですが、重ねてその点の見解を聞きたいと思うのです。 それから、共済で被害全部が救われるわけではありません。そこで、等外上麦について政府が買い入れを行うのかどうか。もしもこれをやるとするならば、それはやってもらわなかったならば意味がない、救われない。この点についての見解を聞きたい。 もう一つは、規格外麦については先ほど御答弁がありました。もう資金はなくなっていますという話でした。従来はそれで手を打てたものが打てなくなってきているということはやはりぐあいが悪いんじゃないか。これについてはもう局長さんの答弁聞きましたので、大臣は一体どういうふうにお考えになっているのか、局長の答弁、同じことを聞かせてもらう必要はありませんので、その点については大臣から聞きたいと思う。
○大坪政府委員 それでは農業共済について私からまず御説明させていただきます。 まず、特例措置を講ずるかどうかにつきましては、現在被害状況を見ながら検討している段階でございまして、私どもとしては前向きに対処したいと考えておる次第でございます。仮に、この措置を講ずるという結論を得ましたならば、先ほども申し上げましたように通達を出す、それを受けまして関係の共済団体から申請が参るというふうになるわけでございまして、その時期につきましては七月上旬ないし中旬ということになろうかと考えております。
○寺前委員 宣伝はどうするのですか。
○大坪政府委員 これは本来、関係の農業共済団体から強い要望が参っているわけでございまして、その意向は関係の組合員の総意として参っていると理解しているわけでございます。したがいまして、私どもはこの要請に対しましては極力前向きに対応したいと考えているわけでございまして、それを受けまして、通達を出す段階では関係の県、団体を通しまして十分趣旨が徹底するようにいたしたいと考えております。
○渡邊(五)政府委員 等外上麦の問題でございますが、近年御承知のように国内産麦の生産が急増いたしまして、それとともに需要、品質等の面でいろいろ問題が出ております。特に、等外上麦の食糧用としての利用に困難を来す事例が相当出ておりまして、今後の麦管理の適正を期する上では、等外上麦については原則どおり政府買い入れの対象としない方針で検討する必要が生じていることは事実でございます。 そこで、本年の等外上麦の政府買い入れの取り扱いにつきましては、こうした状況も踏まえつつ早急にその発生状況の把握に努め、生産、需要、流通にわたる各般の事情を配慮して慎重に対処いたしたい、このように考えております。 なお、規格外の麦は食糧庁が取り扱っておるわけではございません。先ほど農蚕園芸局長がお答えいたしたところでございまして、やはりこれらの問題は飼料用等に向けざるを得ないと思いますが、農業団体等の相当の自助的努力を考えていただかなければならない問題だろうと考えております。
○寺前委員 大臣はお答えがお嫌なようでございますので、最後に、時間の都合がありますので重ねてもう一回聞きたいことがあります。 それは、前の食管法の改正のときに問題になりました麦価決定方式の変更の問題です。つまり、現行のパリティ価格を、下限条項を基準条項に変えることを検討しておったと思うのです。ところが最終段階で断念をされた。今後どうするのかということがやはり残っている。しかし、当時の新聞の中に一部、五十八年度をめどに見直しの約束をしたという記事があります。そんなつもりでおるのか、あるいは約束があったのか、はっきりとお答えをいただきたいと思うのです。
○渡邊(五)政府委員 現行のパリティ価格の適用につきまして、おっしゃるとおり現在これを下回らないという規定で食管法に定められておるわけでございますが、この問題について昨年検討したことは事実でございます。検討の過程におきまして改正を見送ったことも事実でございますが、その段階におきまして、現在第二期対策で水田利用再編対策を進めておりますが、そうした点での麦、大豆、飼料作物等への特に重点的な転作を進めている段階として、改正を見送ってもらいたいという意見があったことは事実でございます。約束とかそういう形ではございません。 ただ、私ども、このいまの規定がきわめて機械的に過ぎる、弾力的な規定をいずれは考えてまいらなければならない立場にあることは事実でございます。
○寺前委員 お約束の時間が来ましたのでこれでやめますけれども、大臣に、転作を片一方で言って、そして麦に集中してきたら、今度は麦の方はまだ自給率が高いわけでもない、奨励をしてきたけれども、その奨励については減らしていくということで見直しをやっていくんだ。単に農業という分野だけではなくして地域の生活にも関係する分野です。ですから、そう安易なやり方をすべきではないと思うのですが、見解だけを最後に聞いて終わります。
○田澤国務大臣 転作作物として小麦をいま奨励しているわけでございますから、そういう点を十分配慮しながら、今後価格政策の面でもそういう点は配慮してまいらなければいけません。ただ、先ほど来申し上げておりますが、麦の価格の国際的な価格等、環境が非常に厳しいということもひとつ御理解をいただきたい、かように考えます。
○亀井(善)委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時十一分散会