農林水産委員会 第18号
- 発言数
- 205 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1982/04/22
会議録
○羽田委員長 これより会議を開きます。 農林水産業の振興に関する件、特に農畜水産物輸入自由化問題について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。亀井善之君。
○亀井(善)委員 昨日は、本委員会におきまして農畜水産物輸入自由化問題に関連をいたしまして、関係生産団体あるいはまた学識経験者の皆さん方からそれぞれ意見の開陳を賜り、また私ども委員からいろいろ質疑をやったわけでございます。 そこで、いま国内では貿易摩擦の問題、また、その中でも特に農畜水産物の輸入自由化の問題につきまして大きな問題になっておるわけでございます。過日四月十二日、十三日に、去る三月九日、十日、東京で行われた日米貿易小委員会の後を受けて農産物作業部会がアメリカで行われたわけでございます。それに佐野経済局長は御出席されたわけでございますが、外務省等も出席しているわけでございます。アメリカにおきましては通商代表部、農務省、商務省、こういうような関係者が当事者になっておるのではなかろうか、このように考えるわけでございますが、若干その当時者の変更があったというようなことも、真偽のほどはわかりませんが、耳にしておるわけでございます。 まず最初に、四月に行われました作業部会の報告というものをお聞かせいただきたいと存じます。
○佐野(宏)政府委員 四月十二、十三の両日、ワシントンで農林水産物の輸入制限問題に関する作業部会が開かれました。アメリカ側の首席代表は、USTRのネルソンという人物でございます。それからあと、各省からの主なる出席者を申し上げますと、農務省からは次官代理のトレーシー、海外農業局長のスミス、それから国務省からはアルブレヒト、これは次官補代理でございます。商務省から同じく次官補代理のローソン、財務省からは、肩書きはちょっと失念いたしましたが、バレダーという人物が出席をいたしました。それぞれ各省ともかなりの数のアシスタントが参加いたしました。それで、ただいま先生のお話にございました、アメリカ側の代表で途中で人がかわったという話につきましては、当初農務省の代表として出席されるであろうと見られておりました次官代理のハマーが作業部会の直前に辞任をいたしまして、いま申し上げましたトレーシーにかわったというのが予想された顔ぶれと異なった点でございます。 それから、作業部会の中身でございますが、十二日の前半は、日本側から提案をいたしておりましたわが国の農業、農政の現状、それから日本の農産物市場の開放度、あるいはアメリカの農産物の輸出を阻害している程度についての国際比較のような議論をいたしました。それから、十二日の午後は、わが国の——わが国のだけではございません。アメリカのについても議論をいたしましたが、輸入制限についてのガット上の合法性をめぐる議論、それから翌日十三日が各論的に個別品目につきましてクォータの管理のやり方についてのアメリカ側の苦情について審議をする、そういうことでございました。 それで議論の内容をかいつまんで申し上げますと、わが国の農業及び農政の現状の中で特に日本側が力説をいたしましたのは、わが国の食糧自給率は非常に低い、先進工業国の中でも抜きん出て低い自給率になっておりまして、しかも、そういう事態の中で国民の間にわが国の食糧安全保障に対する憂慮の念が高まっているのであるが、わが国の農業政策というのは生産性の向上を通じて自給力を強化していこうということを考えているのであって、農業を非能率なまま頑迷固陋に擁護しようとしているわけでは決してない、それから、農業生産の再編成の過程、生産性向上のために中核農家を強化していくという観点から見ると、現在問題になっている輸入制限品目というのがいかに重要な地位を占めるものであるか、そういう条件のもとで輸入制限品目を自由化していくということが現状ではとても無理なことなのであるということを中心に議論をいたしました。 このくだりにつきましてはアメリカは、アメリカの農業も一九三〇年代以来の大不況で大変困っているという話と、それから、日本が食糧の安全保障という概念にこだわっておられるということは、アメリカ側から見ると非常に危険なことのように思われるというコメントがございました。という意味は、安全保障という概念を貿易問題に導入することが許されるとすれば、アメリカ側でも、日本の関心を持っておられるかなりの商品について輸入制限を行うことを正当化し得る論拠を得ることになる、そういうコメントでございました。それからさらに、食糧安全保障という概念を仮に肯定するにしても、果たしてトマトケチャップのようなものにまで及ぼすべき概念でありましょうかというようなコメントをいたしておりました。 それからその次に、農産物市場の開放度とかアメリカの農産物の輸出を阻害している程度ということについての議論でございますが、わが方からは、日本が世界的に見ても最大の農産物輸入国であり、これは単にトータルの数字として多いというだけではなくて、一人当たりとして見ても非常に多い、それから、アメリカにとってみてもアメリカの農産物の最大の輸入国であって、まずそういう定量的な議論から見ても、わが国の農産物市場が閉鎖的であるなどということはとうてい言えない、むしろ主要先進工業国の中でも、農産物市場に外国産の農産物の進入を許容している程度から言えば、わが国は抜きん出た地位にいるという議論が一つでございます。 それからもう一つは、わが国のとっております国境保護措置として輸入数量制限というものが非常に目立つのかもしれないが、これは国際的に比較をしてみた場合に、たとえば、ECが採用している可変課徴金という保護の手法と比べて、輸入の邪魔になる程度は一体どっちがひどいかということを比較してみれば、それはアメリカ自体が可変課徴金の方が有害であるというふうに考えているはずではないか。それからもう一つは、マーケットディストーションという見地から見れば輸出補助金というのがさらに大きな要因になっているわけでありまして、特に、ECは輸出補助金つきの農産物を第三国市場に輸出するごとによって、そこでまたアメリカと激突をしている。ですから、アメリカの農産物の輸出を阻害している程度から言えば、わが国のとっている政策というのは最も程度の軽い方の部類に属するのであって、文句を言うべき相手を間違えておるのではないかというたぐいの議論をいたしました。このくだりについてはアメリカは、ECの農業政策についての評価は日本側と見解が全く一致しておるというふうに申しておりました。 それで、続いてガット上の合法性について行った議論でございますが、まず、日本側が議論を始めるのに先立ちまして、この問題に接近するに当たって、アメリカが言うような法律論に傾斜した接近法が公正な解決を求めるゆえんではないということを主張をいたしました。といいますのは、輸入制限の中には、ガット上合法性が認められておりますウエーバーを取得しております輸入制限、あるいは加入議定書によって合法化されております輸入制限、あるいは祖父条項、いろいろな輸入制限がございます。しかし、それぞれ農産物貿易に対する障壁を構築していることにおいては全く同様でありまして、たとえば、アメリカが取得しておりますウエーバー、これについても、別にもっともな理由があって取得しているわけではない。むしろアメリカがウエーバーを取得しているということは、歴史的偶然であるというのが一般的に認められている事実であります。さらに、これまたガット上合法的な国境措置であると考えられております可変課徴金、これはアメリカ自体が、IQよりもさらに有害であると言っておる。一方、輸出補助金というものもある。こういういろいろな措置を総体として眺めてみて、この問題をどう解決するかということを考えるのでなければいけないのであって、たまたまガット上の合法性が確立されていない特定の保護の形態にだけ着目して、法律論を武器にしてそれを攻撃するという手法が、この問題の合理的な解決に近づくゆえんではない。その何よりの証拠に、アメリカ自体がかつてガット上、法律論で攻撃をされて敗北したにもかかわらず、輸入制限を継続しておるではないかという議論を前段に置きまして、しかしながらアメリカ側が強いて法律論を挑むというのであれば、わが方は十一条二項、これは国内で生産制限をやっている場合の輸入制限を合法化する趣旨の規定でございます、及び国家貿易を規定いたしました十七条、あるいは国家貿易のディシプリンを維持するための周辺的な措置を合法化する二十条(d)項、こういうものを援用してわが国の輸入制限を弁護するつもりであるということを申しました。 各論にわたりますクォータの管理につきましては、冗長にわたりますので、省略させていただきます。 それともう一つ、アメリカ側の輸入制限につきましてもいろいろ問いただしたわけであります。必ずしも十分でございませんが、総じて申し上げますと、アメリカ側の態度はどちらかというと居直りでございまして、たとえば、アメリカの食肉輸入法は、アメリカ議会がガット上違法であるとみなされて制裁措置を受ける可能性があることを覚悟の上でつくった法律である、したがって、日本の国会もまねをして食肉輸入法まがいの法律をつくりたいのであれば、同様の覚悟をなさった上でおつくりになるべきであろうというような応答ぶりでございました。 それで、今後の取り扱い方について、日本側としては、この作業部会を継続して、その中で、輸入制限が存続する条件のもとでも、なおかつ双方にとって受諾可能な解決があり得るのではないかということを日米間で探求したいということを申したのでありますが、アメリカ側がこの作業部会に期待しておるのは、ガット上の合法性を審議することだけである、その任務はすでに終わった、よってこれ以上この作業部会を継続する意味がない。しからば今後どうするのであるかということについて、アメリカ側の意見は、日本に完全な自由化をしてもらいたい。それをやらなければどうなるのだ、あとはガットの紛争処理手続に従うだけであるというのがアメリカ側の態度でございました。
○亀井(善)委員 そこで、農産物の完全自由化か、あるいはガット二十二条に基づく協議に入るか、こういう二者択一を迫ってきたアメリカの態度が、最近報道機関によりますと急変してきた、関税率の引き下げ、輸入枠の拡大、こういう新しい提案と申しますか、こういうものがなされておるように伺うわけでございます。特に、この新しい提案と申しますか、考え方と同時に、何か私ども、アメリカを相手に佐野局長いろいろ努力をされているわけでございますが、若干どうも、交渉の当事者能力と申しますか、だれを相手にして交渉し、それがまた本当に向こうに評価をされるのかどうか、疑問に思うような点があるわけでございますが、この辺、この間の作業部会後今日まで、アメリカの態度が変わってきたというような面につきましてお答えをいただきたいと思います。
○佐野(宏)政府委員 作業部会の結末は先ほど申し上げたとおりでございますが、作業部会終了後、アメリカから水面下と申しますか、非公式に、ある種の接触がございました。 具体的に申し上げますと、日本政府が考えておられるやに承知しておる第二段階対策に農産物の問題が含まれないというのは困る、それで何か第二段階対策について農産物を含めることで検討をしてほしい。それから、新しい要求という言い方はいたしませんが、日本に第二段階対策を検討していただくに当たっての示唆であると称して、ある種のことを申し越してまいりました。それで現在までのところ、私どもはこのようなアメリカ側の接触は、アメリカ政府の対日要求が変更されたことを意味するものではないというふうに考えております。 まず第一に、アメリカ側が行っておる示唆というのは、アメリカが繰り返し、要求ではないということを留保した上で申しておりますので、アメリカ側の要求は依然として作業部会の段階で私に申した完全自由化ということである。いま言っているのはアメリカの要求ではないわけでありますから、アメリカの新しい要求が出てきたというふうには考えておりません。
○亀井(善)委員 経済企画庁並びに通産省に出席をお願いをしておるわけでございます。特に、市場開放の第二段階の対策案づくりが大詰めを迎えておる、このようにも言われておるわけでございます。そこで、その第二段階の対策の中に農産物が入っておるのかどうか、この点をひとつお聞かせをいただきたい。 特に、今度のこの農産物の自由化の問題の根底は、日米の百数十億ドル以上にもなるインバランスの解消が大きな問題ではなかろうかと思います。それに起因をしている。四、五年前から、このインバラが百億ドル以上超したときに、アメリカはがまんができない、こういうこともいろいろ耳にしておったわけでございます。そういうインバラの責任と申しますか、それはだれにあるわけでもなく、日本の輸出というところに責任もあるわけです。農業関係者は、いままで米価の問題あるいは乳価あるいは繭糸価格等々、いろいろ値上げの問題等につきましても耐え忍んでいただいてきております。総合農政を推進する立場に立ち、農業者の皆さん方も、将来に向かってそれをがまんし、一緒にやってきてくれておったと思うわけです。しかし、今日、そのインバラの解消のそのしわ寄せと申しますか、それが特に農業者の方々に押しつけられてくる。 昨日も、生産者の方々からいろいろお話がございました。水田再編対策に呼応して、畜産、牛肉を努力をしてきた。その水田再編対策に協力をし、減反に協力をして、そのような中で農業者としての活路というものを見出してきた。そのやさきのこのような問題でもあるわけです。あるいはまた、三十九年にレモンの自由化、その後グレープフルーツの自由化等に対しましても、ミカンの農家の方々はやはりそれを克服し、今日、大変ミカンの価格は低迷しておるわけでございますが、それなりの努力をし、また、私ども神奈川県がミカンの北限地、こういうようなことも言われております。温州ミカンにつきましても、大変苦労してアオシマという品種あるいはまた、大津四号という品種を独自に開発し、そして、このミカンの生産であれば、大変厳しいミカンの状況であるけれども、ミカン農家の後継者としてこれで何とか生活が維持できるのではなかろうか、こういう努力をしております。あるいはまた地域特産物、昨日もコンニャクの問題がございました。それはやはり生産者だけでなしに流通関係者、中小零細業者、これに関係する商工業者も、この問題が自由化をされ、枠が拡大されるという中で、大変苦難の道に入るわけでございます。また一方、食糧の安全保障、そういう中で国民ひとしく食糧の安定、食糧の自給力を確保しなければいけない、こういうような理解をされているわけでございます。 また一方、全体的には農業団体の皆さん方にも、今日この問題につきましても大変厳しいこと、この問題につきまして自重を促し、農家の皆さんがいろいろむしろ旗を立てて運動を展開される、その気持ちはわかるけれども、相手が外国であるというようなことで、その問題等につきましても慎重に成果を上げなければならない、こういうことも申してきたわけでございます。 そこで、経済企画庁、通産省におかれましては、特に、この貿易の百数十億ドルに上りますインバランスの解決策と申しますか、これが農産物の自由化が行われたという中で本質的な解決というものは絶対できない問題であって、農産物というものは、ここで何か譲った、こういうことがあってもまた、このインバランスの問題というのは後、尾を引いていろいろ出てくるわけでございます。そういうことで、ぜひこの百数十億ドルに上りますインバラの解消策の基本的な考え方というものを経済企画庁、通産省からお伺いをしたいと思います。
○海野説明員 御存じのように、五月七日に経済対策閣僚会議を開きまして、いわゆる貿易摩擦解消のための第二弾を決めていただくというスケジュールになっておるわけでございますが、先生御指摘の最初の部分、農産物が入るのか入らないのか、こういう点につきましては、私ども現在の状況からまずお話し申し上げなければならないと思うのですが、現在、私どもは、輸入制限品目の緩和の問題あるいは関税率の引き下げの問題、輸入検査手続等の問題、それからサービス貿易の問題、流通機構の問題等八項目にわたりまして項目を立てて、各省がそれぞれ担当する分野においてどのように対応していただけるのかということにつきまして、いま各省の御意見を伺っておるという最中でございまして、入れる、入れないというような話はこれからの話でございまして、われわれとしては取りまとめの立場にありますので、各省がどう対応されるかということによってそれが変わってくるということをまずお話ししなければならない。 それから第二番目、百数十億ドルに及ぶ日米間の貿易のインバラを解消するための基本的な対策というお話でございますが、貿易摩擦を解消するための大きな柱は二つあると思います。 一つは、何と申しましても、日本の国内の購買力と申しますか、内需の拡大がなければ、幾ら市場を開放いたしましても輸入はふえない。したがいまして、あるいは輸出だけに頼ってくるという形になりますので、まず第一の柱は、内需の拡大が必要である。それから第二は、やはり何といいましても市場開放ということになるわけでございますが、この二つの方策が相まって貿易のインバランスというものが解消されるということになるかと思いますけれども、ただ、申し上げておかなければならないことは、あくまでもこれは先生に申し上げるよりもアメリカに申した方が適当かと思いますけれども、本来、二国間の貿易のインバランスということを理由にいろいろ要求を突きつけるということは不当でありまして、貿易のアンバランスというものはあくまでも全体的と申しますか、グローバルベースで物を考えるべきであるというふうに私どもは考えておりまして、基本的にはそういう態度でアメリカを説得しなければならないと思いますし、二国間に仮に大きなインバランスがあるということで摩擦が起きるということであれば、日本でもたとえば、OPEC諸国に対して数百億ドルのインバランスがあるわけでございまして、アメリカ自体もヨーロッパに対してあるいはオーストラリアに対して大きなインバランスがあって、黒字を記録しておるわけでございますので、そういう二国間のインバランスをもって不当な要求をしてくるということに対しては毅然とした態度で臨まなければならない。 しかし同時に、わが国は全体としてのいわば自由貿易の恩恵を受けておる国でございますので、自由貿易がそれによって保護主義に変わっていくというようなことがあってはならないということを気をつけなければいけないと思いますけれども、基本的にはそういったインバランスはグローバルベースで物事を考えるべきであるという認識に立っております。
○本郷説明員 ただいま企画庁の海野調整課長から御説明申し上げましたものと私どもの考えは基本において同様でございます。 インバランスの数字は、日米間で申し上げますと、七九年約六十億ドル、八〇年七十億ドル、それで八一年になりまして、これが百三十三億ドルまで拡大してまいっております。従来、摩擦問題が起こりますときに、この日米両国間のインパランスの数字が、先生が言われましたように百億ドルを超える、あるいは貿易額、輸出額といいますか、それに比べて約三割に近くなったときに問題が生ずるというふうに言われております。したがいまして、現象的にはインバランスの問題から不満が生じてくるということが言えそうな感じもいたしますが、他方、アメリカの著名なエコノミストの中には、為替レート、ドルが非常に高くなったときに摩擦問題というのが生ずるという説も非常にございます。いずれにいたしましても、このインバランスの問題はグローバルで考えなければならないというのが私どもの基本的な考えでございます。 実際に、現在の摩擦問題の背景を見ますと、アメリカ経済の苦境、それから対日理解の不足あるいは日本に対してのアメリカの輸出努力の不足等いろいろな問題が絡んでいるのではないかというふうに考えております。この中にはもちろん、直ちに問題がうまく解決できるということがなかなか困難だという問題が多いと理解しておりますが、いずれにいたしましても、現在世界の一割を占める経済大国になった日本といたしまして、国際社会の中での責任を果たしていくという観点から内需の拡大と市場の開放というものをやっていくことが必要ではないかと考えております。
○亀井(善)委員 時間が参りましたのでおしまいにいたしますが、政務次官お見えでございます。日本の農業者の気持ちというものを十分体していただきまして、しかるべく、農業者が心配なしに安心して農業ができるような環境をぜひつくっていただくよう最後にお願いを申し上げまして、終わりにいたしたいと思います。
○羽田委員長 亀井君の質疑はこれで終わります。 次に、安井吉典君。
○安井委員 この委員会では、昨日、十人の参考人においでをいただきまして当面する農畜産物の、あるいは水産物も含めましていわゆる輸入自由化の問題等につきましてお話し合いを進めたわけであり、引き続いてきょうも政府との間で質疑をいたしたいと思うわけです。 昨日も申し上げたわけでありますけれども、日本は世界一の食糧の輸入国であり、特にアメリカからは百二億ドルも輸入をしているわけですね。農林水産物の全輸入の三五・二%はアメリカからの輸入であります。農産物については実に四〇・二%はアメリカに依存している、こういうわけであります。この問題は、われわれの日本農業の基本的な問題にかかわっていると思うわけですが、その日本農業のあり方については、この委員会で食糧の自給力確保の決議をいたしました。これはもう本会議でも確認をしたわけです。日本の農業の将来を思い、あるいはまた、食糧消費者の立場から言っても、たまたま自由化で牛肉が少し安く食えるかもしらぬが、しかし、時と場合によっては幾ら高い金を出しても牛肉も食べられないし豆腐も食べられないという事態が起きるのではないか。そういうことから言って、食糧の自給力は大切だということで国会は決議をいたしました。つまり、いまでも十分に賄っているところへさらに牛肉を買え、オレンジを買えというわけでありますから、それは日本の自給力をダウンさせろという要求と受けとめざるを得ない。そういう立場から私どもはこの問題に対応していかなければならない、こう思うわけであります。国会の決議に逆行するようなことは困ります、やはりそこが原点でなければならないと思うわけです。 政府の方でも、最近のアメリカとのやりとりの中からいろいろな対応を進めておられるようでありますが、まず順序として、この間、佐野経済局長がアメリカに行かれまして話し合いをされたその結果が、結局、ガット二十二条の協議申し立てというようなことを引き出すということで終わった。その経過については先ほどの質問の中で明らかにされているわけでありますが、この際のアメリカの意図というのは一体本当はどこにあるのかということです。あくまでこの問題を、二十二品目の問題をガットで決着をつけるという決意でやっているのか、それとも十月の牛肉やオレンジの日米間交渉を有利にするためなのか、いろんな見方ができるわけでありますが、どういうことでこういう言い方をアメリカはしたというふうに政府はお考えになっているのか、また、そういう協議申し立てばいつごろするというふうに受けとめておられるのか、それをまず伺います。
○佐野(宏)政府委員 まず、アメリカ側がなぜガットの紛争処理手続に訴えるかということでございますが、私が作業部会でワシントンに参りました際、アメリカ側が私どもに申しましたことは、アメリカ側としてもガットの紛争処理手続に訴えることを望んでいるという言い方はいたしておりませんで、要するに、アメリカが望んでいるのは、ガットの紛争処理手続に訴えることなしに日本側が自主的に自由化してくれるというのが第一の望ましいケースでございまして、それができなければガットの紛争処理手続に訴えるということでございます。 それで、ガットの紛争処理手続に訴えるという考え方は柑橘、牛肉の伏線なのか、あるいは柑橘、牛肉以外の品目それ自体について独自にアメリカ側が非常に強い自由化の要求を持っていて、それを実現するためにそういうことを言っておるのかという論点につきましては、正直申しましてアメリカ側の役人がその点を別に明示的に話したということはございません。そこのところは何とも言わないわけでございますが、いろんな解釈ができると思います。 と申しますのは、一つはアメリカで現在相互主義法案をめぐるいろんな議論がございまして、それでアメリカ政府としては、アメリカがガット上負っている義務と抵触するような法律が通ることは極力阻止したいというふうに考えているわけでございまして、先般の上院の財政委員会の公聴会でもブロック通商代表はそういう趣旨の証言をいたしております。 それで、そういう態度で議会に対して臨む以上は、逆にアメリカ政府としてはガット上の権利を十全に行使しているということを議会に対して示す必要がある。ガット上の権利を竹光のような状態にしておいて、ガットと抵触するような法律をつくるなということを議会に向かって説得できるはずはないということが一つはあろうかと存じます。 それからもう一つは、現に輸出補助金コード違反などの問題につきましてアメリカはECとガットの場で争っておるわけでございまして、ECからは、どうしてわれわれだけを目のかたきにするのであるか、日本はもっとひどいことをやっておるではないかというようなことをいろいろ言われているようでございます。そういう意味では、ECとの関係から言っても、日本に対してアメリカがガット上の権利をためらっているというふうにECに思われるということは得策でないという事情がもう一つあるように思います。 それから第三番目の点といたしましては、現在アメリカの農業関係者は、口を開けばアメリカの農業は一九三〇年代以来の大不況であるというふうな申し方をいたしておりますが、単にそういうふうに困っているというだけではなくて、アメリカ政府が現在の段階では農民の窮境を救う手段をほとんど持っていない。価格支持政策の面でも、あるいは農民が大変やかましく苦情を申し立てております金利の問題につきましても、アメリカ政府はさしあたり有効な手段を持っていない。ただ、アメリカの農民の不満をなだめる唯一の材料は、さしあたり農産物の輸出拡大のために一生懸命努力しているという姿勢を見せる以外には適当ななだめる手段を持っておらない。そういう事情が総合されてこのような態度になっておるのではないかというふうに私は解釈いたします。
○安井委員 いまの局長の解釈からいえば、相互法案の問題に対する議会への説明やECへの説明やあるいは農民不満への説明や、そういう材料にされているというような見方でありますが、たとえば、二十二品目全部といったって、コンニャクも入っていますね。コンニャクがみんな開放されてみたって、アメリカの農業に何もプラスはないわけですよ。だから、そういうようなものも含めて全面開放というのも、これは実はどうしても筋が通らないし、現に、アメリカだって、残存品目が一つあるし、それにウエーバー品目が十三項目、それから食肉輸入法による制限が二項目、合わせて十六項目も実は向こうは持っているわけですから、これは日本の残存というのと意味が違うかもしれませんけれども、五十歩百歩という言葉は中国の言葉で、アメリカにはこれは通用しないのかもしれませんけれども、しかし、こういう現状の中での発言というのはどうもおかしいと私は思わざるを得ないわけであります。 そういうことになりますと、これは二国間の協議ですけれども、たとえば、オーストラリアが食肉や乳製品の問題で対日輸出増をねらっているわけですから、オーストラリアも入れてくれというふうな提議があるという可能性もあるし、あるいはまた、二十二条で決まらなければ二十三条の提訴があるじゃないかとか、そういうふうにさらに問題が大きく発展するという可能性についてはどういう見通しですか。
○佐野(宏)政府委員 その可能性は十分ございます。まず最初に、ガットの紛争処理手続に訴えるという言い方でございますが、これは俗称でございまして、二十二条、二十三条を包括して言っておるわけでございます。何も二十二条とかたく決めてかかっているわけでもないようでございますから、いきなり二十三条ということもあり得ることでございますし、それからさらに、二十二条で決着がつかなければ二十三条ということもあり得るケースでございます。 それから、アメリカ以外の、日本の農産物市場に関心を有する国がこのような行事に参加を企ててくるということも、先生御指摘のとおり、当然あり得ることであると思っております。
○安井委員 だから、二十二条の協議申し立てだというふうなはっきりした言い方ではないわけなんですね。ガットに基づく二十二条あるいは二十三条も含めた手続をも考えている、そういう包括的な言い方を向こうはしたわけですか。
○佐野(宏)政府委員 紛争処理手続、ディスピュート・セツルメント・プロシージャーという言い方をいたしております。
○安井委員 そこで、これはこれとして、最近の段階においてアメリカ側から市場開放についての新たな要求をしてきたこととのかかわりの問題であります。六項目の要求を非公式に出してきたというのでありますけれども、非公式という意味は、打診というようなことなんですかね。その点はどうですか。
○佐野(宏)政府委員 まず最初に、お断り申し上げておきますが、アメリカ側は繰り返し、これはアメリカの要求ではないという言い方をしております。アメリカの示唆である、サゼスチョンですね。第二段階対策を御検討中の日本政府に対するサゼスチョンであるという言い方をいたしておりまして、要求であるということではございません。ですから、アメリカの要求ということは、やはり自由化ということが要求でございまして、その点は使い分けておりますので、新しい要求が出てきたというふうには私ども受け取っておりません。彼らの言い方を私どもは額面どおり受け取っております。
○安井委員 そういたしますと、いわゆる完全自由化という要求は、基本的な問題としてずっと生きている、それにかわるものという形で出てきたものではないということのようでありますけれども、ただ、一応基本的なものをきちっと出しながら、サゼスチョンか何か知りませんけれども、まさに非公式で問題を後ろの方からちょろちょろ出してくるというのが、どうも理解できないわけであります。つまり、紛争処理手続をするかもしらぬという向こうの言い方に対して、日本側がそれなら農産物の問題については開放第二弾の中には入れませんよというようなことが明らかになって、あわてて、それでは困るから第二弾の中にこういうものでも入れてもらえぬかという、まさにサゼスチョンですか、そういうものと受けとめられるのか。 つまり、私がこの際伺っておきたいのは、これはアメリカに聞くわけじゃないですからね、政府の今日段階の判断ということになるわけでありますが、つまり当面第二弾に対するこれはアメリカの要求だということになれば、それを処理すれば開放問題が片づくのか、あるいはそれはそれで一たん処理して、これが第一段階の処理であって、第二段階は後でまたやりますよ、その二段階要求とでもいいますか、そういうふうに政府は受けとめているのですか、どうですか。
○佐野(宏)政府委員 ガットの紛争処理手続に訴えることにいたしましても、それでアメリカが満足するような戦果が迅速に得られるわけではございません。仮に、日本の輸入制限がガット上違法であるという結論が出ても、日本は輸入制限の撤廃を強制されるわけではございませんし、対抗措置をとるにつきましても、言うなれば執行猶予期間のようなものがつく場合が多いわけでございます。ですから、ガットの紛争処理手続にアメリカが訴える場合、勝算があるにいたしましても、そう早い時期に満足する戦果が現実に手に入るわけではないわけでありまして、そうすると、あしたの何とかよりはきょうの何とかということがございますので、とりあえず、せっかく第二段階対策を検討しているのなら、その中で小刻みにでも現実的利益を享受したい、そういうアメリカの希望を反映しているものであろうというふうに考えております。 ただ、アメリカが要求し日本が受諾すれば、そこで一種の休戦状態になるわけでありますから、そういう事態を回避するために、これは要求ではない要求ではないということを繰り返し力説し、示唆であるという言い方をしておるのであろうというふうに私は解釈しております。
○安井委員 今度の六項目要求なるものを、新聞に出ているものを見ましても、それほどアメリカの利益になりそうもないようなものまで中に入っているような気がするわけです。それから、政府がいま準備しているいわゆる第二弾なるものの中には、農産物だけではないはずですよ。これは広く全体的な問題を処理しようというのに、農産物の問題だけを出してきているということも、どうもおかしいような気がする。完全自由化と一方で言いながら、関税率を下げてくれとか枠を拡大してくれとか、そういう言い方もこれも矛盾なわけであります。アメリカの方も大部内部が混乱しているのではないかと言わざるを得ません。もっとも、日本の政府の中もかなりの混乱があるのかないのかよくわかりませんけれども、新聞の伝えるところによってはあるのじゃないかとも言われているわけでありますけれども、どうも中間選挙があるものだから、ガットの結論が出るには時間がかかる、何かいまのうち少しとっておけ、こういうような魂胆がある。それがこういう新提案になってきているのではないかとも思うわけであります。 そこで、報道によりますと、田澤農林大臣は、一たん協議に持ち込むというようなことをアメリカ側が言っている以上、新たな問題をサゼスチョンか要求か知りませんけれども、そういうような問題はいますぐ応じられるものではない、もう一度作業部会を再開してそこで持ち出すべき問題である、こういうふうに語っていると伝えられています。その点はどうですか。
○佐野(宏)政府委員 作業部会を再開することの当否につきましては、もう少しよく考えてみないといけない問題がございますが、田澤大臣のおっしゃりたかった真意は、せっかく佐野をワシントンに派遣したのであるから、言いたいことがあればそのときに言っておくべき筋のものではないか。そのときに言わないでおいて、いまごろ別のルートで変なことを言ってくるのなら、本来、もう一遍作業部会を開いてその席上日本側に伝達すべき性質のものではないか。そういうお気持ちでおっしゃったのだろうと思います。その限りにおいては全く私もそのとおりだと思います。
○安井委員 アメリカのこれがなぜそんなふうになってきたかということで、新聞は、農水省が第二弾の開放措置に消極的なものだから、ほかの省庁がアメリカの方に働きかけて仕掛けたのではないかというような憶測をしているものもありますけれども、まさかそんなことはないと思いますが、いずれにいたしましても、ガットへの紛争処理の手続をするということといまのこの新しいサゼスチョンと、これをどうとらえて処理されるかというのが問題だと思うのでありますが、すぐその第二弾の措置が決定されなければならないという段階に来ているわけです。その際における農林水産省としての考え方を明確に伺っておきたいと思います。
○佐野(宏)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、アメリカ政府の公式の立場は、作業部会当時と比べて何ら変更されたものではないというふうに認識をいたしておりますので、ガットの紛争処理手続にアメリカ側が訴えるという決意をしている以上、中間的な小出しの譲歩をすることは意味をなさないと考えますので、第二段階対策の中には農水産物のIQとか関税とかいう問題は含めるつもりはございません。 なお、しかし、せっかくアメリカ側がそういう接触をしてきたことは事実でございますので、外務省を通じてアメリカ側の真意を確認することは急いでもらうようにいたしておりますが、第二段階対策にIQとか関税の問題を含めるつもりはございません。
○安井委員 いま局長から第二段階には農畜産物を入れるという考え方はないということを一つ明確にお話がありましたが、政務次官からもその点伺います。
○玉沢政府委員 全くそのとおりでございまして、やはり外交交渉におきましては、何か法外な要求をいたしまして、日本に対しましてがんと頭を殴れば相手が譲るんではないか、もしそういうような前提で物を言っているということであるならば、これは大変な誤解ではないか。やはり両国が協調しながら繁栄していくという道を言うのであるならば、お互いの国々がそれぞれの立場を十二分に相互理解という上に立ちまして共存共栄というものを図っていくべきではないか、こういうふうに考えるわけでございますので、今回のこの作業部会等におけるアメリカの態度は余りにも性急な要求である。また、その後に示唆という形で出されてきた問題等と整合性が全然ないとも考えられるわけでございますので、やはり真意を十二分にお伺いをする。しかしながら、今回五月の七日に予定されておると言われておりますところの第二段階におきましては、そういう点におきましてひとつ真意が明確ではございませんし、また農産物という問題につきましては非常に大きな問題がございますので、今回は含まない、こういうことで臨みたいと存じておる次第であります。
○安井委員 農水省の態度は明らかにされたわけでありますけれども、関係がある通産省や外務省やあるいはまた、まとめ役の立場になる経済企画庁からもきょうはおいでをいただいておりますので、政府の市場開放のいわゆる第二弾措置に対する今日段階の考え方を、この際お聞かせいただきたいと思います。
○海野説明員 現在の第二弾の貿易摩擦解消のための対策の進捗状況についての御質問でございますが、現在は、各省に対しまして八項目にわたります問題を投げかけまして、先ほどちょっと御説明いたしましたけれども、輸入制限品目の緩和の問題、関税率引き下げの問題、輸入検査手続等の問題、それからサービス貿易の問題あるいは流通機構の改善の問題といった各八項目にわたりまして、それぞれ各担当省庁は一体こういう問題に対してどう対処していくつもりかということで、いま意見を出していただいている最中でございまして、それを各方面と十分相談の上まとめ上げていくということにいたしております。
○本郷説明員 この第二弾に対する通産省の基本的考え方につきましては、現在、世界の経済状態はきわめてむずかしいところにございます。失業、インフレそれから国際収支困難、こういったものに欧米諸国が直面しております。その中で世界の一割を占める経済大国に成長した日本としては、国際社会の責任を果たす、そして世界経済の安定的な発展に積極的に貢献をしていくということが必要であろうと考えております。 このような観点から、日本として自主的に市場開放に努め、貿易の拡大均衡を図るということ及び第二に産業協力、経済協力等を通じて世界経済の再活性化、それからその発展に貢献していくということが重要だと考えております。従来、わが国はこのような考え方に従って関税の一括引き下げあるいは輸入検査手続の改善等の一連の市場開放措置というものを実施してまいったわけでございます。 現在の状況につきましては、先ほど海野課長からも御説明がございましたが、現在、関係各省間でいろいろ話し合い、調整が行われておるところでございます。 通産省としましては、以上申し上げましたような考えに沿いまして、各国の要望等にも十分耳を傾けながら、早期に包括的な対応策を取りまとめる必要があると考えております。
○朝海説明員 現在の国際経済情勢につきましては外務省の方といたしましてもいろいろ心配しておりまして、こうした状況の中で各国で保護主義的な傾向も出ているということを踏まえまして、日本が国際的にどういう貢献をすべきかということで、ただいま御答弁のございましたように、なるべく積極的な措置を自主的に講ずべきではないかということでいろいろと検討しているところでございます。 農水産物の問題につきましては、当然のことでございますが、農水省の方と緊密に連絡をとり、協力しながら米国側の真意の把握、米国側の情勢の分析に努めているところでございます。
○安井委員 いま通産あるいは外務の方からも、世界経済の一〇%を占める日本経済、貿易という立場から言って積極的な貢献の道をもっと考えるべきではないかということでありますが、日本の農業ということを考えると、これは余り貢献していないんですよ。つまり、いわゆる先進国の中で穀物の自給率が三〇%を切る、去年などは凶作だったものだから三〇%を切るという統計の数字になっているわけです。余り貢献していないんですよ。もうアメリカや豪州、カナダ、そういった国々にお世話になっている方なんですよ。貢献しているのは、自動車を初め日本の工業はまさにそういうことが言えるわけです。そのことを明確にしておかないと、世界経済に貢献をしている日本というそのトータルで問題を見て、その解決をオレンジだとか牛肉に求めてくるという、そこはつながらないんですね。私は、その点を明確にしておかなければならぬと思うわけでありますが、その貢献という表現をなさったのは通産ですから、通産省としてのお考えを伺います。
○本郷説明員 現在の世界経済が大変な困難にある、その中で日本経済は比較的パフォーマンスが良好であるということで、それがまた一つのやっかみといいますか、不満といいますか、そういうことがあろうかと思います。そういう中で、やはり日本としては世界経済との相互依存の中で生きていかなければいけないということがございます。何よりも、戦後、自由貿易の原則というものが日本経済に対して大変大きな利益を与えてきたということは事実でございます。現在、世界的な経済困難の中から保護主義の圧力というのが非常に高まっておりますが、この圧力をこのまま放置して、自由貿易の動きというものが保護主義に転換するということになりますと、日本の経済にとっての打撃というものもきわめて大きくなるという現実でございますので、その辺を踏まえて、自由貿易を守るという考えで対処したいというのが私どもの考えでございます。 先生御指摘の、そういう全体の立場と個別の利害の調整というのは、事実大変むずかしい問題であろうかと思います。これは通産省の中でもそういう問題を現実に抱えておりますので、農林水産業の関係とその基本的な立場においてまことに同じような利害関係を持った業界に私どもも日々対応しているわけでございます。しかし、その大きな原則の中で、国内産業と何とか調和をとりつつ大きな原則を守っていきたいというのが通産省の考えでございます。
○安井委員 もっと議論を進めますと、いま貿易摩擦ということで問題になっているのは、一つは、インバランスということは間違いありません。それから、そのことだけを取り上げれば、農林水産の二十二品目を全部やめてしまったって八億ドルかそこらの小さな金なんですから、インバランスという面ではこれは大した問題じゃないわけですよ。たださっき、自由貿易主義とでも言いますか、そういうようなことからアンフェアだと言えば、そういう側面からの問題提起はあると思います。それが、インバランスの問題とアンフェアという問題がごっちゃになっているのですよ。だから、まるでオレンジと牛肉を解決すればアメリカとの経済摩擦が終わるような状況になっているところに私は、いまの問題があると思います。ですから、ガットであろうと何であろうと押しつけて、全部自由化できたらもうインバランスの問題が解決できるかなんて言ったら、それには全然関係ないのですから、私はそのことを明確に区別をしながらアメリカの人たちにも説明しなければいけないし、われわれ国民の方も理解しなければいけないのではないかと思います。それは別に御答弁は要りません。 ところで、政務次官からも明確にお話がありましたように、新聞の言葉を使えば第二弾というのですか、その開放措置の中に農産物は入れないということで、決意はわかったのですけれども、ただ、私ども心配なのは、ベルサイユ・サミットが六月に予定されている、そういう際において農産物は入れませんよというようなことでは、鈴木総理は余りいい顔をしてフランスには渡れない。かっこうをつけると言ったら言いぐさがよくないかもしれませんけれども、何か農業について制限措置を開放するといいますか、何か持っていかないと向こうへ行けない。だから農水省あるいは各事務当局の間でいろいろ話し合いをされているお考え方はきょうわかりましたけれども、そういうものの頭越しに、だれがどうということは言いませんけれども、そういうところで政治的に農畜産物の問題が第二弾あるいは第三弾の中に入ってしまうというおそれはないのかということです。その点はどうお考えですか。
○佐野(宏)政府委員 私の伺っているところによりますと、ベルサイユ・サミットと申しますのは、先進国の首脳がお集まりになりまして大所高所から格調の高い議論をする行事であるというふうに承っておりますので、よもやそこでピーナッツだとかそういうあさましい話をする機会であるというふうには伺っておりません。私、経験ございませんのでわかりませんが、外務省の同僚から伺っておるところによりますと、大変格調の高い行事であると伺っておりますので、よもやそういうあさましい話題を用意していかないと出席できないという性質のものではないと私は承知しております。
○安井委員 佐野経済局長はまだ総理大臣になっていないから、そのうちに総理大臣にでもおなりになると、また物の考え方が違ってくるのかもしれませんけれども、やはりそこで牛肉の問題が出るとは思いませんよ。思いませんけれども、何かないといかぬというので、けさも報道されておりますけれども、市場開放宣言というようなものをかっこよくぶち上げて、そういう中にこういうものも入っていますよというようなかっこうをなさるのかどうかわかりませんけれども、そんな心配がありはしないかということであります。 話のついでですが、市場開放宣言などというものはどんなふうに作業されているのか。これは経企庁ですか、伺います。
○海野説明員 御指摘の市場開放宣言なるものの具体的な中身について、けさの新聞あたりで総理の指示があったかのように報道されておりますけれども、私どもはその具体的な指示についてはまだ明確に関知いたしておりません。
○安井委員 そのうちおりてくるのかもしれませんけれども……。 きょうは大臣がいないから、政務次官から言っていただくよりほかないと思うのですが、総理の立場もあるのかもしれませんけれども、サミットでかっこよくするために日本の農民を犠牲にするということでは困ると思うのですよ。その点は、農林水産省の責任者として、ひとつこの際明確に決意を伺っておきたい。
○玉沢政府委員 現在の世界の経済の悪化した状況におきまして、貿易の自由化をできるだけ図ってこれの活性化を求める、こういう方向は確かに認められるわけでございます。しかし、そういう目的で協定がなされましたガットの中におきましても、農産物に関しましてはいろいろ制限条項があるわけでございます。たとえば、第十一条の二項におきましては、国内で過剰生産をやっておるようなものに対しましては自由化をある程度制限してもよろしいとか、そういう条項もいろいろあるわけでございますし、世界の食糧の長期の需給関係を考えました場合には、必ずこれは大きな問題になってくる。また、予想されざるアルゼンチンとイギリス等の国際紛争、もしこれが拡大をいたしますと、世界の穀物市場における大きな混乱の状態になってくる。また、緊急事態に対しましては、工業製品におきましてはすぐ対処できるかもしれませんが、食糧の問題におきましては、直ちに増産をして緊急事態に対処するということもなかなか困難でございますし、同じ自由競争という立場を考えました場合におきましても、自然的、地理的な条件、その他があるわけでございますので、やはり将来の農業というものを考えた場合におきましては、日本としましても長期的な視点を踏まえまして、主要農産物におきましてはあくまでも国内の農業によって確保する。そのために、生産性を向上させていく、土地基盤の整備を行っていく、経営規模の拡大を行っていく、農業技術の拡大を行っていく、こうしてできるだけ国際価格と同じような安い、そして質のいい農産物をつくりながらやっていく。それと同時に、どの国々にも日本の事情を理解をしていただきまして対処していくことが、今後、日本の農林水産業におきまして非常に重要ではないか、こう考えておるわけでございます。
○安井委員 御決意を伺ったら、そのあとまでたくさんあって、いまの第二弾の段階における農畜産物は入れないという方針を覆すようなあらゆる措置に対しては、あくまで明確な態度でいくということは間違いありませんね。
○玉沢政府委員 つまり、食糧問題に関しまして、あるいは農業問題というものは、各国にそれぞれの誤解とかそういうものがありまして、確かにこの自由貿易の大義名分というものはわかりますけれども、それぞれの国の事情というものを理解をしながら共存共栄をやっていかなければいかぬじゃないか。だから、日本の立場というものを理解せしめるように、そういう努力を国内においてもしなければならぬと思いますし、国外に対してもやっていかなければならぬ。そういう立場に立ちまして、ただただこの自由化というものに、第二弾にどうするとかなんとかいうことじゃなく、やはり基本的な考えを踏まえまして対処していくべきである。第二弾の問題に対しましても、米国との間でいろいろなあつれきがあるわけでございますが、話し合いで相互理解を深めまして解決をしていく。しかし、今回の場合におきましては、第二弾におきましては、先ほど来述べてきたことは変わりないわけでございます。
○安井委員 もう一つ、伝えられるところによりますと、通産省首脳は、六月のサミット直前に、第三弾とでも言うべき開放措置を打ち出さざるを得ないであろうというような見通しを明らかにしたという報道があります。まだ第二弾が決まらないので、その話し合いをしている最中でありますが、やはり第二弾から漏れたものというお考えなのかどうかわかりませんが、サミット直前にまた第三弾というような考え方を通産省は持っておられるわけですか。
○本郷説明員 私、不勉強で、その記事も実はいま初めてお伺いしたわけでございますが、そのような考えは全くございません。
○安井委員 いまの第二弾とでも言いますか、そういうものがいろいろ論議されていて、いわゆる市場開放に対する日本政府の態度がだんだん明らかにされていくのではないかと思うわけでありますが、そういう中で、単なる自由化だとか、いや反対だとかいうことだけじゃなしに、もっとグローバルな、食糧全体の立場から問題を考えていくべきではないかというような、河本企画庁長官の問題提起があるということを聞いたわけでありますが、私は、その辺は非常に大切な問題だと思います。 国内的には、内需を拡大したり、そういった総合的な対策が必要だということは、先ほど来言われたとおりでありますが、もっとグローバルに考えてみれば、いま食糧の問題でアメリカと日本の中に話し合いがあり、問題化されているわけですけれども、これも非常に奇妙な構図だと思います。というのは、飢え死にをしている人が地球上にいるわけですよ。それを、食糧が余っている国が、こっちも腹いっぱい食べている日本に買え買えというのですから。もっと飢え死にをしている人をどうするかということを考えることの方が、グローバルな意味の食糧問題ではないのでしょうかね。その観点が全くないのは、私はきわめて奇妙なありようではなかろうかと思うわけです。そのような際に河本さんの、国際機関を通して、アメリカの余剰農産物を食糧援助に利用していけという問題提起、私はおもしろいと思うのですがね。これはどこまで話が行っているのですか。
○西谷説明員 御説明申し上げます。 先生御案内のとおり、河本大臣の構想でございますが、非常に大きな構想でございますし、また、国際的な合意を必要とするような構想でございます。したがいまして、事務的にはいろいろと勉強を続けておりますが、ただいまのところでは、やはりまだ構想の段階というようなことではなかろうかと考えております。
○安井委員 もう時間ですから終わりたいと思いますが、私は、やはり日本の農業の将来を考えるこの農林水産委員会の立場から、われわれの構想の原点というのは、やはりこの議場で決まったあの自給力強化の決議ではないかと思います。その原点に立って問題を考えるべきであり、外国の圧力によって日本の農民を不幸に陥れるというような決定に対してはあくまでも反対をしていく、こういう態度をわれわれは明確にすべきだと思います。そのことを一つ結論として終わります。
○羽田委員長 安井君の質疑は終わりました。 次に、松沢俊昭君。
○松沢委員 農産物の貿易の自由化の問題につきましては、きのうも当委員会におきまして各界の学識経験者十人の先生方をお呼びいたしまして、いろいろな角度から御意見を賜ったわけなんであります。そしてまた、われわれといたしましても、実はきょう、やはり貿易摩擦、そういうところから農産物の自由化の要求というのがアメリカの方から来ているということになっているわけなんでありまするから、したがって、単に農政の問題ということだけでなしに、日本の政治経済全体の問題としてこれをとらえていく必要がある。そういう立場からしますと、いままで戦後もうすでに三十六年たっておるわけなんでありまするが、農政問題といたしましてはやはり最大の難関にぶつかっているわけであります。したがって、鈴木総理みずからこの委員会に出席をしてもらって、そしてこれらの問題に対しまするところの所信を明らかにしていただき、また、われわれの方といたしましても、われわれの言い分というものも総理の方に聞いていただく、きょうはこういう委員会にしたいということで、理事会等におきましてもいろいろと相談をし、そしてまた、総理に対しまするところの要求というものもやってきているわけなんでありまするけれども、いまだにはっきりしたところの答えが出ていない。これは大変残念なことなんでありまして、きょうは理事会でもいろいろ御相談しましたけれども、羽田委員長、これは責任を持って来るべき委員会までには一つの結論を出すように御努力を賜りたいということをまず冒頭にお願い申し上げるわけなんであります。 そこで、現在の貿易摩擦、この貿易摩擦というのは、一体いつごろからどういう経過をたどってこういう貿易の摩擦という現象が起きてきたのであるか、そして、この貿易摩擦の性格というものはどういうものであるかという——やはり病気を治すにおきましては、病気そのものの性格というものが明確でないと、お医者さんにしましても処方せんを出して投薬をして治療するというわけにはいかぬと私は思います。そういう点からいたしまして、この貿易摩擦というものがどういう経過をたどって今日のようなこういう状態になっているんだ、また、その性質というものはどういうものであるかということにつきまして、閣係の省庁が来ておられますけれども、これはまあどなたが答弁した方がいいのかわかりませんけれども、どなたかからひとつまず御答弁を賜りたいと思います。
○海野説明員 貿易摩擦という一言で言われます言葉の定義、中身、いろいろ受け取り方が異なっていると思いますけれども、私の経験からいたしますと、昭和五十年代に入りましてから、いわゆる第一次オイルショック後世界経済が非常に停滞してきた中で、いろいろわが国を中心にいたしまして、諸外国との間にいわゆる摩擦と言われる現象が起きてきたわけですが、私の記憶でいきますと、あるいは経験で申し上げますと、昭和五十三年に一度いわゆる経済摩擦と言われたものがございまして、それから昭和五十五年、昭和五十六年とこの五十年代に入りましてから三回ほど貿易摩擦という言葉が、あるいは活字が新聞紙上をにぎわしたという記憶がございます。 私、その五十三年以来こういった問題に携わっておりますので、振り返ってみますと、五十三年のときにはいわゆるオイルショック後、各国がOPECに対して皆赤字であったときに、日本だけがいち早く国際収支が大幅な黒字になってきた。そして、その大きな原因は円高によりまして日本の輸出単価が猛烈にドルベースで上がる、しかし、輸出数量は相対的に落ちてしまいまして、たとえば、五十三年で申しますと、前年に比べて五・六%ぐらいマイナスになっておる。減っておる。一方、輸入の方は円高で外国製品が非常に安くなるということで、前の年に比べて一〇%近くふえる。こういう状況の中で、名目的なドル表示の国際収支が非常に黒字になった。五十三年には百十九億ドルあったと思いますけれども、そういう大幅な黒字を日本がグローバルベースで出しておったということがございまして、貿易摩擦が起きた。これは、当時は輸出数量がふえているわけではございませんで、むしろ減っておりまして、輸入数量が逆にふえているという状況の中で起きた貿易摩擦、それから、こういうときにはもちろん、政府間でいろいろ日本は黒字をため過ぎるという議論が起きて貿易摩擦が起きてきたわけですが、個々の品目なりあるいは企業間のトラブルというのは、輸出数量が減り、輸入数量がふえているわけでございますので、余り起こらなかったという記憶がございます。 ところが五十五年になりますと、第二次オイルショックが起きまして、日本は大幅な国際収支の赤字になりました。しかし同時に、猛烈な円安になってきましたので、輸出の数量がふえてくる。そして一方では、国内の需要が停滞するということを反映いたしまして輸入数量が減ってくる、こういうことでございまして、しかし、輸入の単価は非常に高くなる。石油価格を中心にいたしまして、平均的にドルベースで猛烈に輸入単価が上がる、輸出単価は逆にそれほど上がらないということで、結果的には名目的な国際収支は赤字になってくる。そういう赤字になっている中で、輸出数量が非常にふえている、そして輸入数量が減ってくる、こういう状態でありますので、政府間ではそれほど大きなトラブルが表立ってない。つまり、日本全体としては赤字でございますので、日本はもっと輸出を減らしたりあるいは輸入をふやせという要求になりますと、それは日本政府に対して、日本はもっと赤字をふやせということの要求になりますので、政府間ではそれほど大きなトラブルがない。結局、しかし個別の商品間では、たとえば、五十五年で見ますと、前年に比べて十数%の輸出数量の増になりますし、輸入は逆に減るという状況でございますので、外国に失業を輸出している、こういったような受けとめ方をされまして、いわば個別商品ごとのトラブルが起きるあるいは企業間で起きる、産業間で起きるということで、自動車だとかテレビだとかそういった問題が起きてきた。 ところが、五十六年になりますと国際収支が一応黒字になってくる上に、依然として輸出数量がふえ続け、かつまた、輸入がそれほどふえないというような状況で、五十三年のトラブルと五十五年のトラブルを同時に発生させる、こういうような事態になりまして非常に両方から問題が浮かび上がってきている。その上に、今日、第二次オイルショックの影響を受けまして世界経済が非常に停滞し、しかも失業者がその結果として非常にふえてきている。特に、ヨーロッパにおきましては人口問題がございまして、第二次ベビーブームの時期が約二十年くらい前にございまして、そこで生まれた人たちが現在ちょうど労働市場に入ってきているということで、若者を中心とする失業率が非常に高くなっている。その上に、国際収支は一向に回復しない、インフレが一向に改善されないということで、いろいろな意味での経済的な困難に直面している。そういう中で、日本が国際収支は黒字になり、そして輸出数量をふやして輸入数量はそれほどふやしていないというような状況が同時に発生したことが問題を一層深刻なものにしている、こういうのがこれまでのいわば貿易摩擦のいきさつと申しますか、経緯と申しますか、マクロ的に見ますとそういうことではないかというふうに私は理解しております。
○松沢委員 いろいろと経過の御報告、説明がございましたけれども、結局、五十三年からがたがたと始まってきている、こういうお話でありますが、この五十三年というのは第二次オイルショックの年ではないかと思いますが、これはどうですか。
○海野説明員 五十三年はまだ第二次オイルショックは起きておりませんで、七三年に起きました第一次オイルショックの調整を各国とも大体終えて、特に、アメリカを中心にいたしまして、アメリカは七六年以降すでにかなり急速な経済成長を遂げまして景気の上昇過程にあった年でございまして、それほど大きな経済的な困難というものはなかった時代です。 ただし、第一次オイルショック後、アメリカのエネルギー政策が、海外で非常に上がっているにもかかわらず国内石油との関係で石油価格をかなり抑えておったということもございまして、第一次オイルショック当時五百万バレルしか輸入しておらなかったものが、七八年をピークにいたしまして、七八年には八百万バレルくらい輸入するということで、ネット三百万バレル以上も石油に対する需要をふやす、そういうことがあって、国際的な石油需給を非常にタイトなものにしていたということで、五十三年の十二月のたしかアブダビの総会でOPECは五十四年、七九年に三回にわたって段階的に石油価格を上げるということを決議いたしまして、三月、六月それから十月と三回にわたって平均一〇%上げるということを決めたわけです。ところが、その後需給が非常にタイトになっておったために、私の記憶では三月だと思いますが、一気に三月に一〇%上げ、それから六月に、東京サミットの直前にかなり大幅に上げまして、それ以後、五十四年を通じてずっと上がり続けた、それが第二次石油ショックだったと思いますので、五十三年はまだ第二次オイルショックが起きていた年ではないということでございます。
○松沢委員 わかりました。 それで、いわゆる石油問題が、第一次のオイルショックから、とりわけ資本主義世界で経済的にいろいろがたがたしてまいりまして、それで第二次、四年だというお話でありますけれども、いずれにしても、またオイルの値段を上げなければならぬとかいう騒ぎが起きてくるわけです。だから、これでオイルショックは二回目ということになるわけですね。 それで、二回目、五十四年で、こっちの方で調べたのによりますと、原油が上がって実質的には全体の所得が四兆円ぐらい減った、そういう調査が出ているわけです。経企庁の方でそういうのはおわかりですか。油の値段が上がって実質的に所得が減ったという減った額。
○海野説明員 数字は定かではございませんですが、第二次オイルショックによりまして、それまでバレル当たり大体十三ドル程度のものが、五十四年の平均でいきますと二十何ドルかに上っておりますので、五十四年一年間だけで石油支払い分は恐らくざっと二百数十億ドル増加になったと思います。したがいまして、当時の為替レートからいきますと、おっしゃるとおり四兆円前後の支払い増になったというふうに思います。
○松沢委員 いま、貿易摩擦という事態に入っておりまして、攻撃を受けているのは日本であります。 〔委員長退席、亀井(善)委員長代理着席〕 アメリカあるいはまたECからいろいろ言われているわけでありますけれども、この油に関する経済の対応の仕方が日本の場合においては非常にうまかった、だけれども、アメリカやその他ヨーロッパの国々の場合においては対応の仕方が下手であった、そういうところで差がついてきた、こういう意見を出している人がおりますが、そういう点は政府の方はどうお考えになりますか。
○海野説明員 御指摘のとおり、第二次オイルショック後、国際収支、インフレあるいは経済成長率等におきまして日本は諸外国に比べて格段の良好なパフォーマンスを実現していることは事実でございまして、逆に言えばヨーロッパあるいはアメリカがそれだけ第二次石油ショックに対する対応の仕方がまずかったのか、対応が少なくともおくれているということは事実でございますし、そういった対応のおくれというものが国内で失業の増大あるいはインフレ、国際収支の悪化といったものを解消と申しますか、改善できない状況にあるということが今日のいわば国際経済摩擦、貿易摩擦を一層深刻なものにしているという原因だろうと思います。
○松沢委員 そこで私は、日本の対応の仕方がうまかった、うまかったといっても日本という国はやはり階級社会なんですから、大企業もいれば労働者もいれば農民もいる、こういうことになるわけでありまして、だれが一番うまくやったのかという問題であります。これは、五十五年の統計なんでありますが、勤労者の実収というのは前年の対比をしてみますと、四月を除いてはいずれもマイナスなんですよ。それから、製造工業の場合におきましても、上半期の経常収益を見ますと、中小企業の場合におきましては、前年と比較いたしますとマイナス一三・五ということになるわけです。それから、中堅どころでマイナス三一、大企業はプラス八となっているわけです。そういうことになりますと、いま海野さんの方からいろいろとお話を承ったのですが、石油ショックによって実質的には四兆円ぐらいの所得減があった。これをみんなで負担をするということになれば非常に公平であったわけなんでありますけれども、その損した分の負担というのは労働者、それから中小企業、中堅企業、こういうものが全部かぶってしまったわけなんです。この時期に入りますと、農民の農産物価格というのがほとんど上がっていない、こういう状態なんですね。ですから、ヨーロッパやアメリカの方におきましては日本よりも権利意識といいますか、民主主義が発達しているといいますか、そういうようなことで労働者の権利、国民の権利というものはそう簡単に抑圧をするというわけにはいかない。しかし、日本の場合においてはいとも簡単に抑えつけることができる。抑えつけることができるという国柄であるからうまく対応ができた。相手の方はうまく対応ができなかったというのは、それだけそういう権利というものが尊重されているからうまく対応ができなかった。こういうところに日本とアメリカ、ヨーロッパとの大きな差というものがあるんじゃないか、こんなぐあいに私は見るわけなんです。 だといたしますと、今日、貿易の摩擦が大変な問題になっている。朝野を挙げて大変だ大変だと言っていますけれども、しかし、大変ではあるけれども、だれがその責任を負わなければならないかということを国内におきましてはやはり明確にしなければならぬじゃないかと私は思うのです。もちろん、日本の国内的な、いま私が申し上げました問題だけが貿易摩擦の原因であるとは私は思っておりません。アメリカの経済政策にも大きな問題があるでしょう。ヨーロッパの経済政策にも大きな問題が各国にあるでしょう。そういう欠点はあると思いますけれども、日本の国の中でどう対応していくかということになりますと、階層別にだれが責任を負わなければならないか、これだけははっきりしてかかっていかないと、もろに一億一千万総ざんげみたいな形で、要するに、だれも責任のとり手がないということになるおそれがあると思いますので、その点をはっきりさせるべきではないかと思いまして御質問申し上げているわけでありますが、その点はどうでしょうか。
○海野説明員 第二次ショック、あるいは第一次ショック後からお話しした方がいいかもしれませんが、やはり第一次ショック後は狂乱物価が生じたわけでございます。そのとき、それに追随いたしまして賃金が非常に上がるということで、私どもの給料も、十二月にもらう差額部分はボーナスよりも多いくらいであったという記憶がございますけれども、そういうように非常に賃金が物価の急騰に対応して上がったということもございまして、結果的に見ますと雇用者所得の分配率が非常に上がったということがございました。その逆に、第二次石油ショック後は労働の分配率が逆に急速に下がって、ツケは今回は労働側に回っているという批評が一般にあったわけでございますけれども、昨年の経済白書だったと思いますが、結果的には労働の分配率はほとんど変化していない、こういうことを分析をしております。 ただし、今回の特徴と申しますのは、結局、第二次オイルショック後、五十五年には、先ほど先生御指摘のように石油に対する支払いが急速にふえたということで国内の実質所得が流出し始めていた。それに対しまして、五十六年も円安のために輸出単価が上がらない、そして、輸入単価は依然として上がったままで下がってきていないということで、両者の関係であります交易条件が非常に悪化したままの状態で五十六年を迎えた。したがいまして、実質的には輸出数量はふえておるわけでございますけれども、単価が上がっておりませんので思ったほど大きな黒字になっていない。先ほど私は、国際収支は五十六年に黒字になったと申しましたけれども、数量を前年に比べて十数%、一五、六%ふやしながらわずかな黒字になったという状況でございまして、実際には五十五年と同様に引き続き実質所得の流出が行われていた、そのツケが実はいろいろな分野に出てきておった。全体的に見れば、結局、輸出を中心にして生産活動を続けておる分野は非常に潤ったわけでございますけれども、川上の方は円安のために非常に高い原料を買って、国内で売るのはそれほど上がらない、こういう状況で、そのために国内需要が非常に喚起されていなかった。そして、大企業は主として輸出に依存する度合いが確かに相対的に高い。それから、これは一概に言えませんけれども、少なくとも中小企業は、相対的に輸出に依存する度合いよりも国内需要に依存する度合いが大きいということは確かでございまして、その結果として、平均的に見れば中小企業ないしは個人業種といったものは内需に依存する度合いが大きいだけに、内需不振であった五十六年には相対的に同じ勤労者の中でも不利な状態にあったということは言えるかと思います。
○松沢委員 それは、業種別にはいろいろございますから、細かいことは申し上げませんけれども、やはり私が申し上げたいことは、そういういま私が申し上げましたような経過をたどっておりましたから、したがってそれぞれの企業においては減量経営という時代、経過を実はたどってきているわけなんであります。最近では、行政改革というようなことでいろいろと合理化の方向で日本の構造を変えていこうという傾向が非常に強くなってきております。ただ、いま申し上げましたように、やはり賃金の面におきましても、春闘なんかにいたしましても最近余り上がりません。労働者側からすれば、もう連年連敗という状態だということが言われておるわけでありまして、これというのは、つまり、国民の購買力というものが非常に弱くなってくるということですね。ですから一方、大企業の側におきましては高利潤をとっているわけでありますから、技術革新というものが進む。技術革新が進めば進むほど、やはり貿易力ということになりますと非常に強くなるわけです。だから経済そのものが貿易依存型経済という方向に進む。一方、国内におきましては需要が抑制されるわけなんでありますから、したがって不景気になってくる、こういう現象というのが出ることはきわめて当然だと私は思うのです。ですから、要するに、貿易の摩擦というものをこれから解消していくというには、さっきもいろいろ議論がございました。第一弾、第二弾、第三弾も考えているのじゃないかなんというような話がございましたけれども、そういうふうにして政府の方でいろいろと努力をされるということも結構でございますけれども、しかしこういう基本的な問題というのを解決をつけていかないと、やはり基本的な成果というものが出てこないのじゃないかと私は思っておりますが、この辺はどうですか。きょうは政治家といたしましては玉沢政務次官も来ておられますので、総理と同じ岩手県出身でございますので、ひとつ御答弁を願いたいと思います。
○玉沢政府委員 日本の経済が、石油ショックの非常に大きな世界的な動乱期におきましてどういうふうな理由によって今日の状況を迎えたか、こういうことだと思うのでありますが、私は、若干先生と考え方を異にしておるのは、日本の階級社会によって、低階層の人たちを抑えた、こういうよりは、やはり日本人のバランス感覚といいますか、それから同時に、日本人の協調性、団結、単一民族でありますし、非常に意思が通じ合う、コンセンサスが得られる、こういう特質というものがあずかって力があったのじゃないかと考えます。と申しますのは、経済状態が苦しくなって会社の経営が苦しくなってまいりまして、なおかつ常識を超えたベースアップを要求するということになりますと、当然これは会社がつぶれるわけです。会社がつぶれますと、労働者も失業をする、こういうわけであります。つまり、日本は終身雇用制ということで非常に家族主義的な面もあるわけでございますから、お互いに苦しいときは団結をして乗り切っていこう、こういう気持ちがございまして、労働者の皆さんもあるいは経営者もその苦しいときに一致団結をしてやっていこう。それから一般の国民の皆さんも、やはり石油ショックで、余り石油を湯水のごとく使っておりますとこれはOPECの戦略にやられてしまう、日本が立ち行かない、こうなってまいりますと、省エネルギーを唱えますと毎年五%ないし六%の省エネルギーというものを実行してやっていく、こういう対応の仕方ですね。それから景気がよくなりませんと、やはりこれは公共事業をやって地方の方々にも農業以外でも働く場所をできるだけ提供して所得を上げよう、こういうようなバランスというものをとりまして、結果的にはいま財政赤字ということでそのツケがはね返ってきておるわけでございますけれども、決して階層の下の人たちを権力によって押さえつけたというよりは、日本人全体がその危機に対応する、こういう考え方で今日まで来たというところが、私は日本がこの状況において適応してきた、経済においてもうまくやってきた、こういうところにあるのではないか、こういうふうに考えます。
○松沢委員 この点は玉沢次官と若干意見の違うところなんでありまして、これはこれから大いに討論を進めて、この場所はもう時間がありませんから進めていった方がいいと思います。 ただ、私は、貿易の摩擦の解消をやっていかなければならぬことはこれはもう当然だと思います。そうしてまた、アメリカの状況なんかもいろいろ聞いてみますと、生産資材価格というのが農村の場合におきましても七、八%上がって、二年続きの豊作でそれで価格が暴落をするという、これは五、六%ぐらい暴落しておるらしいので、結局要するに、年収で三〇%ぐらい減収しているのじゃないかということで、もうこれは五〇年以来の大恐慌なんじゃないかというお話も聞いておるわけなんです。私は、同じ農村問題を取り扱っているところの一人といたしまして、これは大変同情を申し上げるわけです。ですから、その問題をどういうふうにして解決をつけるために日本も手伝いをしていくべきであるかということも、やはり考えていかなければならぬ問題じゃないか、こう思っております。 ただしかし、日本の農家を犠牲にし、日本の農業を犠牲にしてまで、これは解決をつけるために御協力を申し上げるというわけにはいかぬということになるわけなんでありまして、そういう点では、さっきもちょっと触れられましたけれども、河本構想というのが発表されましたですね。私は、これは非常に画期的な提案なんじゃないかと思うのですよ。とにかく日本もぜいたくな国なんでありまして、腹いっぱい食べているわけだし、アメリカの方も腹いっぱい食べてなお買ってくれ、こう言っているわけだから、お互いにやはりそういう豊かな国がある反面におきまして、もう餓死寸前、餓死をしているというところの、そういう仲間がまた人類の中にはいるということですね。そうすれば、国際的な基金というのをつくって、そしてそういう余剰農産物というものをその基金が買って、この人類の生存のためにそれを使っていく、こういう構想というのは、まことに雄大でもあり、人類愛的な構想だと私は考えていますが、さっき経企庁のお話を聞きますと、何か準備はしているけれども、まだはっきりと発表する段階でない、こういうことなんですか。どういうことですか。
○西谷説明員 御説明申し上げます。 河本大臣の構想でございますが、先生御案内のように、いま発展途上国いろいろな問題がございますが、その中の一つは、飢餓と申しますか栄養不足の問題であるということでございます。どの程度の人間が栄養不足に悩んでおるかということについてでございますが、いろいろな統計数字がございますが、世界食糧農業機構の推定によりますと、四億一千万人とかあるいは四億九千万人という人たちが千五百キロカロリー以下のきわめて低い栄養水準にいるということでございます。これを救済するためにどれくらいの食糧が要るかということも、世界食糧農業機構が算出しておりまして、大体小麦換算で三千五百万トンくらい必要でないかというようなことを言われております。現在、世界じゅうがこれら貧しい国々に行っております食糧援助の量が大体九百万トン強でございます。そういうことで考えてみますと、あと二千五百万トンくらい援助を続けていけば、少なくともこの問題はかなり解決できるのではないか。その場合、金額的にどれくらいのものが必要であろうかといいますと、一つの計算をいたしますと、六十億ドルくらいが目安の数字として出てまいります。この数字、大きな数字ではございますが、先進諸国あるいはOPECの一部等が実際にやる気になれば決して不可能な数字ではなかろうということでございます。それからまた、二千五百万トンの食糧というものが増産できるのかということになれば、アメリカ、カナダ、オーストラリア等には相当な増産余力がある。したがって、食糧増産という面でもこれは可能性があるということでございますので、世界全体がその気になれば、飢餓人口の救済ということもかなり可能ではないかというのが河本大臣の構想でございます。 先ほども申し上げましたが、この構想でございますが、やはり大規模な構想でございまして、国際的な合意を取りつけなければできない問題でございます。そういったことで内々の勉強ということはいたしておりますけれども、まだ、構想の段階ではないかというのが現状でございます。
○松沢委員 ぜひそれはそれなりにまとめ上げるように皆さんの方からも御努力をいただきたい、こう思うわけなんであります。 それから、私は、佐野局長何回もアメリカに行かれて大変御苦心をなさっているということに対しまして、敬意を表するわけなんでありますけれども、さっきも安井委員の方からも質問がございましたので、重複するようでありますけれども、一体アメリカは、これほどに日本に対して日本の根幹となるべきところの国民生活の食糧——小麦、それからえさ、大豆、これは日本の食生活の根幹に触れる大変な食べ物なんでありますけれども、これをこれだけ膨大に日本に出しておいて、そしてさらに牛肉、それからオレンジということの枠の拡大ということを言っているわけでありますけれども、きのうも公聴会で全中の山口専務も言っておられましたけれども、全中の計算からいっても、二つ合わせてアメリカの言うとおりに聞いても、対アメリカのインバランスの関係は百三十四億ドルですかになるわけですね。そういう大きなあれがありますから、それからやりますと、穴埋めなんかにそれがなるなどということを考えること自体おかしいと思うのですよ、実際のことを言うと。そういう問題を提起して、そして作業部会二回ぐらいあるんじゃないかと私たち思っておりましたら、一回で終わったんだ、あとはガットだ、ガット二十二条でいくのですよ、こういうことだ。 ところが、きのうの新聞を見ますと、また、別な何か提案をしてきているような話なんで、どうもわかりにくいわけなんでありまするが、これは一体どう見たらいいのですか、端的に言うと。さっきお話しありましたように、要するに、アメリカの農民のことを考えたりあれを考えたりこれを考えたりそういうことなんであって、最終的には、日本が完全に拒否をしたという場合においてはやむを得ない。それまでやるなら別な部門のこことここの方をやってもらいたいというふうにして方向転換をやるのであるかどうか。もっとも、アメリカの局長に聞いているわけでありませんから、佐野さんに聞いているわけだからあれですけれども、どうですか、見通しとしては。
○佐野(宏)政府委員 まず第一の点でございますが、牛肉にしろ柑橘にしろ、それが完全に自由化されたとしても、現在の日米の貿易のインバランスの解消にとってほとんど意味のある貢献をしないであろうということは、先生御指摘のとおりだと思います。たとえば、牛肉の場合でございますが、現在アメリカが輸出しております牛肉の数量というのは約六万トン程度でございまして、約五十数%の牛肉が日本向けになっておるわけでございますから、日本の牛肉の門戸を完全に開放いたしましても、そもそもそんなに輸出余力があるわけではないというような実情でございます。 しかしながら、一方、翻って考えてみますと、現在、日米間の懸案としてたばこでございますとか紙パルプでございますとかソーダ灰とか、あるいは最近になりますと弁護士とかあらゆる問題が取り上げられておりますが、どれ一つとってみても、これで日米間の貿易インバランスが解消できるなどというものは、一つもないように見受けられるわけでございます。ですから、何か単品で日米貿易インバランスを解消できるような大目玉を探そうとしても、どだい無理なわけでございますから、アメリカとしては一つ一つのものについてみれば零細なものであっても、やはり少しでも輸出を伸ばせるものはできるだけ努力をしていくという態度をとらざるを得ないということは、これはやむを得ざることだろうと思います。何か大目玉で一発逆転ホームランのようなものを打てば、それはそれで日米貿易インバランスが解消するというのであれば、それは小さいものは無視してもよろしいのでございましょうが、そういう事情ではないわけでございますから、小さいからといってアメリカにねらわれずに済むというわけのものではないということが一つあると思います。 それから、最近、アメリカが非公式に行ってきた動きというのが全体の文脈の中から見て理解しがたいという御指摘についてでございますが、これは先ほど来申し上げておりますように、ガットの紛争処理手続というのはなかなか厄介なものでございます。それで、フルコースのごちそうが後から食べられるという期待があっても、大変空腹感が高じておれば、目前何か変なものでもともかく何か食べたいと思うのは、これはまた人情の自然でございまして、追ってガットで勝訴して完全自由化が獲得できるとしても、とりあえず何か手近に手に入るものがあれば手に入れたいと思うこと自体は、別に私は不思議ではない。変なやり方であるとは思いますけれども、先方の身になって考えてみれば、あながちそう奇怪なる行動であるというものでもないというふうに思っております。
○松沢委員 もう時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、とにかく、私は率直に申し上げますけれども、貿易の摩擦は、それはそれなりに解消していかなければならぬことはわかりますけれどもそのツケを農林水産業に回すという手はないじゃないか、そういう点をやはりはっきりと政府の方といたしましても確認をしながら対処していただきたいということを、政務次官おられますから、重ねて確認をしまして、終わりたいと思います。
○玉沢政府委員 確かに、ただ目前の問題を解決すればそれでいい、こういう考え方でこれに取り組むべきものではないと考えるわけでございます。アメリカの方にとりましては、赤字を解消すればそれで済むという考え方に立つかもしれません。また、日本の国内でも、若干のものを自由化するという方向で何とかしのごうという考え方もあるかもしれませんが、しかし、その一時的な問題を解消するということで、日本の農業にとりましては長期にわたって壊滅的な大きな打撃を受ける、こういうことであるならば大変問題である、こう考えるわけでございます。 また、アメリカ自身にとりましても、日本の品物がどんどんアメリカに安く行くということの裏には、アメリカ自身の経済の運用の仕方による高金利政策とか、そういう問題があるわけでございますし、日本としましても、たとえば、アメリカから買わしてくれという要請を出しております石油の問題、こういうアラスカ石油等が五十億ドルも入ってくるということになれば、これまた、貿易摩擦の解消にはなるわけでございますから、また、国内でほかの省庁でやっておるいろいろな問題もあると思いますが、そういう点も含めてこの問題を解決をすべきでありまして、ただただ日本が悪者で、市場閉鎖をやっているのは農産物だけだから、それを開放すれば解決する、こういう趣旨の問題ではないと考えておるわけでございます。アメリカ自身に対しましても言うべきことははっきり言う、私はこれが友好国としての当然の態度であると考えておるわけでございますので、長期的に、包括的に、また、相互理解を求めながら、この問題は時間をかけてやるべきでありまして、早急に、ただただ目先の、相手が厳しいからということだけで相手の言うなりになるべき問題ではない、こういうふうに考えるわけであります。
○松沢委員 どうもありがとうございました。
○亀井(善)委員長代理 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時五十四分休憩 ————◇————— 午後一時三十九分開議
○羽田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。田中恒利君。
○田中(恒)委員 年前中に引き続いて、農産物の自由化問題を中心にして御質疑をいたしたいと思いますが、政府に対する質疑に先立ちまして、実はけさの毎日新聞を見ますと、総理の指示で市場開放宣言をやる、この中には市場開放の促進、こういうものがまず第一項目に載っておるわけでありまして、私ども実は農産物自由化の問題についていま一番憂慮しておりますのは、先ほど来御質疑の中にもありましたように、最終的にわが国の国政の責任者である総理の決断にかかる、こういうことでありまして、おおよその当委員会におけるこの問題についての意思はほぼまとまりかけておるのではないかと思います。そういう意味で、私どもは最終的に総理大臣の御意見を聞きたい、こういう要望が強くあるわけでありますが、ひとつこの問題はすでに理事会等でお話をしていただいておるようでありますが、改めて委員長からこの件について取り計らっていただきますように強くお願いを申し上げたいと思いますが、委員長の御見解を承りたいと思います。
○羽田委員長 田中君のただいまのお申し出につきましては、御指摘のとおり、従来から理事会の方で実は検討いたしております。また、私の方からも官房副長官の方に実は申し入れをいたしておるところでありますけれども、現在のところは、総理の日程、そういったものがございまして、まだ向こうから確答を得ておりません。今後、また理事会の方で検討していただきたいと思います。
○田中(恒)委員 外務省からお見えになっていると思いますので、お尋ねをいたします。 いま問題になっております日米それから日欧間の通商摩擦の問題は、いわゆる二国間における貿易収支改善の背景の中で取り上げられている問題だと思うわけであります。わが国は、過般、東京サミットを開催いたしまして、貿易については、いわゆる多角貿易ということを基本的に話し合ってきたところでありますが、今回の日米間の、二国間のこういう貿易摩擦の解消の問題について、外務省はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、まずお尋ねいたしたいと思います。
○朝海説明員 ただいま先生御指摘ございましたとおり、貿易の問題は、ガットの原則もそうでございますが、本来、多角的に論ぜられるべきものでございますし、貿易の均衡、不均衡といった問題も本来多角的な見地からとらえられるべきことであることは申すまでもございません。 ただ、それと同時に、現在、米国あるいは欧州との間で相当規模の黒字が生じているという事実がございまして、実際の問題といたしましては、余り大きな黒字ができますとこれが注目を集めるということはあろうかと思います。いずれにいたしましても、現在、アメリカとの間の話し合いにおきましては、アメリカ側の一番の関心は貿易の二国間のバランスそのものというよりは、むしろ、日本が国際社会の一員としてその市場を国際的に開放してほしい、そういう面からの期待が表明されていると理解しております。
○田中(恒)委員 よくその辺はわかりますけれども、しかし、二国間の貿易収支の改善だけではない要素があると今回言われるわけでありますが、それはその意味もわかります。ただ、二国間のこういう通商摩擦というものをこれほど大きく表へ出すということは、これからわが国のさまざまな各国との貿易の関係の中で、同じようなことが何度も起きないとも限らないと思うのです。そういう点については、わが国の外交としては、きちんとした方向づけをしていただかなければならない、こういうふうに私どもは思っているわけであります。この点についてはどういうふうにお考えになっておるでしょうか。
○朝海説明員 現在生じておりますところのいわゆる経済摩擦、貿易摩擦に関します私どもの基本的な考え方は、どうやって自由で多角的な貿易経済関係を維持発展させていくかということでございます。そういう観点から現在いろいろ検討がなされておるわけでございますが、その検討の過程におきましては、当然多角的な見地、つまり、日本の、世界のさまざまな国々との貿易経済交流を全体として拡大していこう、そういうことが一つの基本的な柱になっておりまして、検討しておるところでございます。
○田中(恒)委員 通産省にお尋ねいたしますが、対米百三十四億ドルのわが国の黒字の原因を通産省はどういうふうに把握していらっしゃいますか。
○本郷説明員 ただいまの御質問、日米インバランスの原因をどう考えているかということでございますが、まず、実際の数字を申し上げますと、八一年暦年の対米輸出通関ベースで申し上げますと、三百八十六億ドル、これに対しまして、アメリカからの輸入は二百五十三億ドルでございます。その差額百三十三億ドルが日本側の黒字となっております。なお、八〇年は、黒字額は七十億ドルでございました。 したがいまして、このインバランスが八〇年から八一年に非常に大幅にふえたわけでございますが、その原因としまして、まず第一に、アメリカの高金利があると考えております。このアメリカの高金利を主因としまして、八一年の初めから、ドル高円安という為替相場が出現いたしました。これが日本に有利に働いたのが第一でございます。第二番目は、日米間のインフレ格差によって、相対価格が、わが国の価格が優位になっているということでございます。第三番目は、わが国の内需停滞がありまして、輸入がこれによって停滞しておるということが挙げられます。 さらに、こういった当面の原因のほかに、長期的に貿易インバランスが生み出されてきた背景といたしまして、アメリカにおける生産性の伸びが余り芳しくない。これに対して、わが国は生産性が長期的に着実に向上してきているということがございまして、それによって起こっている競争力格差というものが存在していると考えております。
○田中(恒)委員 高金利、日米間のインフレの格差、輸入の停滞、そういう問題は現象的な形でとらえたことじゃなかろうか。やはり根本的には、後段に言われました、アメリカ経済の国際競争力、特に、日米間の比較でいくと、わが国の金属機械工業の生産性がアメリカを追い抜いておる。これは、労働生産性の問題、賃金の問題、あるいは設備投資の問題、そんな問題を計数的に見てもほぼ明らかになってきておるのじゃなかろうか、こういう感じがするわけであります。そこへ為替のドル高、いわゆる実力以上のドル高現象が出てきておる。この辺が一つの大きな理由であって、これからこの問題はそう簡単におさまるようなものではなくて、相当長期というか、日米間のこういう経済摩擦というものは、競争は激化していくでしょうけれども、私は、為替相場がどうなったから落ちつく、こういうふうに単純に考えるだけでは済まされぬものがある、こういうふうに思っておるわけですが、その辺は通産省としてはどういう御理解をしていらっしゃるでしょうか。
○本郷説明員 高金利の問題とドルの相場の問題は、国際金融等々の専門家の方々の御意見もお伺いしなければいけないと思いますが、最近におきましてはアメリカの国内物価の動向がかなり鎮静化してきておりまして、それに伴って金利の動向もかなり下がってくるというふうに一般には見られておりまして、私どもも、早くそういう事態が生じて円が適正な相場に戻るということを期待しているわけでございます。
○田中(恒)委員 いまアメリカでは議会で幾本かの相互主義法案が提出をされておるわけです。これが今度の日米貿易交渉の一方の旗になっておるわけであります。もし仮にこの貿易、通商上の摩擦というものがうまくいかなかった場合に、この相互主義法案というものが幾つか成立をしたと仮定をいたしますと、その際、わが国の国内経済に対しては具体的にどういう形で影響を及ぼしてくるのか、これはやはり通産省だと思いますが、この点をお答えをいただきたい。
○本郷説明員 ただいま御指摘の米国における相互主義法案でございますが、たくさん議会に提出されております。いわゆるダンフォース法案、これは一九八二年相互主義的貿易投資法案という名前でございますが、そういったものとか、あるいはハインツ法案、その他たくさん出ております。これらにつきましてアメリカ議会サイドにおきましては、貿易の公平性を確保するための手段であるという説明が行われているようでございますが、私どもは、これらの法案の性格は、基本的には、相手国市場の閉鎖性に応じて輸入制限的措置をアメリカ側で講ずるという後ろ向きの相互主義であるというふうに理解しております。 このような後ろ向き相互主義というものが仮に実現いたしますと、保護主義を招き、自由貿易体制を根本から揺るがすものだというふうに考えておりまして、この動きについては大変懸念しているわけでございます。これがもしも実現するようなことがあれば、これは自由貿易主義という現在の世界の経済秩序に大変大きな打撃を与えるものと考えております。したがいまして、このような私どもの見解を機会あるごとにアメリカ側には指摘をし、また、アメリカ政府におきましても、現在、自由貿易体制の堅持が必要であるという基本方針に基づいて、保護主義の台頭の可能性には懸念を有して議会側といろいろ折衝しているというふうに承知しております。
○田中(恒)委員 日本製品に対する輸入制限をアメリカがやっていく、こういう形の内容になるだろうということであります。 そうなりますと、いまわが国の経済の中で対米貿易で圧倒的に多い分野、これは金属機械部門が約八七%、もうほとんど大半であります。いわゆる自動車を中心として電機製品など、こういう日本の近代的な重化学工業部門の輸出産業に非常に大きな打撃を与える、このことが国内の雇用なり景気にまた直ちに響いてくるだろうというふうに思うわけであります。この問題の取り扱い方いかんによっては工業部門に非常に大きな影響を与える。もちろん農業なり中小企業にもこれが直接関連を持つということは言うまでもないわけでありますが、そういう性格をこの交渉は持っておると思うのですね。 ところが、現実にいまわれわれの前に投げかけられておる問題は、農産物を中心とした国内の市場開放をやれということであります。私どもも、この間アメリカからいろいろな議員がお見えになって、何人かとお会いしておりますけれども、確かに向こうの言い分もそれはある。日本は生産性の高いたとえば、自動車をアメリカにたくさん持ってきて、アメリカの企業はつぶれたけれどもアメリカの国民はその恩恵に浴しておる、そうであるならばアメリカの生産性の国際的に高い農業を日本の国内へ持っていって、そこで牛肉がつぶれ、オレンジがつぶれ、これは同じじゃないか、こういう論理が彼らから絶えず投げかけられてくるわけですね。しかしそれは、アメリカからはそう言っても、私どもは国内の段階でそのことについては考えていかなければいけない問題がたくさんあると私は思う。これはまた後段でいろいろ議論をさしていただきたいと思いますが、ともかく、基本的に日本経済というものが外需主導型の体質になってきておるというところだと思うのです。 これは一九八〇年度四・二%の成長に当たって外需依存度が三・五%を占めておる。八一年は二・九%の成長に対して二・一%はいわゆる外国貿易に依存しておる。こういう日本経済の体質をどう変えていくかというところが基本であることは言うまでもないし、この委員会でもすでに議論をされてきておるところであります。この問題について何らかの具体的な政策を構えなければ、この問題はいつまでたったって国内の日本の経済政策としては私は対応できないと思うのです。そういう意味で、いま貿易摩擦の取り扱いをめぐって、第二弾とか第三弾とか、あるいはサミットとかいうことが言われておるわけであります。一体そういうところに焦点を置いた対策というのが考えられておるのかどうか。これは経済企画庁が中心になって進められておるというふうに聞いておりますけれども、経済企画庁は河本さんなんかは盛んにそういうことを言っていらっしゃるわけですけれども、具体的に通商摩擦解消のために内需をどう喚起していくか、この施策についてどのようなものを持たれておるのか、この際明らかにしておいていただきたいと思うのです。
○丸茂説明員 いま先生御指摘のとおり、昨年来のわが国の経済成長の中では、輸出の増加によります外需の伸びが中心になっておりまして、内需の回復は緩やかなものにとどまっていたわけでございます。また、昨年の第四・四半期には、十−十二月でございますが、日本の経済成長全体としましてはマイナスになりましたが、これは主として輸出の鈍化によるものでございまして、内需はそれ以前に比べてやや伸びを高める傾向にございます。しかし、現在の状況では国内需要の伸びが不十分であるということは事実でございまして、このために政府といたしまして、先般の閣議におきまして公共事業の前倒しというのを決定されたところでございます。今後もこの公共事業の前倒しの効果を見守りますと同時に、経済の動向を注意深く見守りまして、必要な対策を機動的に講じて何とかして内需中心の経済拡大を図る、それによって国際収支の不均衡を是正する方向に持っていきたいというふうに考えております。
○田中(恒)委員 抽象的なそういう御答弁はしばしば聞いておるのであります。しかし、私どもは、公共事業の前倒し、前半期七五%ですか、そういう政策が出されたということは聞いておりますが、これは従来の手法と余り変わらない。基本的に内需拡大というのは、私どもは、たとえば賃金をどうしていくか、これは労使の関係であるけれども、やはり賃金というもののウエートは圧倒的に多いわけであります。あるいは農村から言えば農民の所得をどう確保していくか、具体的な政策手法としては価格の問題がある。あるいは社会保障の問題をどうするか、あるいはいま国会で問題になっておる減税問題にどれだけ乗り込んでいけるか、こういう問題があると思うのです。しかし、こういう問題は、さほど進められておるようにはどうも思えない。そして、いまこの問題をめぐって大きな政策選択の課題になっておるのは行革の問題、財政再建の問題と内需拡大の景気対策、この二つをうまく組み合わせていくんだということでありますけれども、私どもは、この二つをそろえてやっていくというような神技はできるようには思えない。少なくとも中心はどちらか選択しなければいけない。 ところが、きのうあたりの新聞を見ると、財界の諸君は財政再建を先行せよと盛んに言っておる。政府の内部でこういう問題についての話し合いや詰めができてないと、これは前へ向いて進まないと思う。この点はどうですか、経済企画庁はどういうお考えで財政再建と内需拡大政策とをどういうふうに進めていくのか、どういう選択をとろうとしておるのか、あるいは具体的に内需拡大策というのを持っていらっしゃるのか。今回の第二弾と称するものの中にどういうものを考えておるのか、ちょっとお示しをいただきたい。
○海野説明員 内需拡大の具体的な手段は何か、財政再建とどちらを優先させるのかという御質問かと思いますが、基本的にはどちらかを一方的にとるというようなたぐいのものではありませんで、財政再建といえども、一方では支出をカットするという努力をしながら、一方では入るべきものが入らなければ再建ができないわけでございますので、景気の維持拡大策と財政再建というものとの間に相互に二者択一的な関係があるわけではなくて、相両立するものであると私どもは考えております。 そして、御存じのように三月十六日でありますけれども、公共事業の前倒しを中心にいたしました内需喚起策を一応決定していただいておるわけでございますが、何といいましても内需拡大の具体的な施策は、オーソドックスなものとしては御存じのように財政、金融政策があるわけでございまして、不況業種対策、中小企業対策等個々のものがもちろんありますけれども、財政、金融政策の両方を使いまして景気を刺激していくということがオーソドックスな施策でございまして、その第一段階として公共事業の前倒しを大幅にやっていただくということを決定していただいたわけです。その後どうするかという話がよくあるわけでございますけれども、現在はまだ通常国会中でございまして、将来のことに関しまして、たとえば、臨時国会で議論さるべきような新しい財政政策あるいは経済政策の展開ということは、私どもは、現在の時点ではまだ早過ぎるのであって、通常国会でお認めいただいた本予算の効果的、効率的な使用ということによって景気の維持拡大を図っていく、これが一つの大きな柱として出されておるわけでして、その効果をいま見守っておるという最中でございまして、そのほか各省におきましていろいろ個別対策を同時並行的にやっていただいておるわけでございます。 〔委員長退席、加藤(紘)委員長代理着席〕
○田中(恒)委員 大変大きな問題でありますが、ここでさらに突っ込んでいろいろ議論をしていくという時間的な条件も許しません。 ただ、通商摩擦の対象としてこの問題がいまのところ非常に明確に、具体的に出されていないし、たとえば、アメリカに対して納得させるだけのものが整備されているように思えない。しかし、この問題は一番大きな問題であると思うから、政府としてこれらについての施策を考えて積極的に対応していただかなければいけない、こういうふうに思っております。 そこで、農産物の自由化の問題で、各省お見えになっておりますから、この際確認をさしていただきます。 私ども社会党は、去る十五日に党の貿易自由化反対特別委員会を設置いたしておりますが、役員が外務、通産、大蔵、農林水産各大臣にそれぞれお会いをいたしまして、農畜産物の自由化をすべきでない、枠の拡大にも応ずべきでない、こういう強い御要請を申し上げました。その際、共通して各大臣が私どもにはっきりと言明されましたことは、農産物の自由化はむずかしいということ。第二は、農産物についての話し合いはガットの場で進められるであろう。こういう二点は各大臣とも共通しておりました。外務大臣はさらに、サミットの議題にはならないだろう、こういうこともおっしゃっておった。あるいは通産大臣は、この問題は、いわゆる日米間の経済摩擦は日本の国際競争力の高い企業の対米進出によってもたらされたという面はあるので、わが国の企業の中でそういう強い分野がまずできるだけ対応すべき点は対応したいと思うという大変前向きの御意見を私どもにお示しをいただいたわけであります。これは大臣とわれわれが直接会った話し合いの中身でありますが、この点を改めて、きょうは各省の代表ということでお見えいただいておりますので、ここでそれぞれ御確認をいただきたいと思います。 農林水産省は政務次官でありますので、政務次官の方から改めて——これは農林水産大臣はもう当委員会でも何遍もおっしゃっておるように、二十二品目に手をつけさせないということでありまして、重ねてまず、政務次官の方からこの点について確認をさせていただきたいと思います。
○玉沢政府委員 農産物の二十二品目につきましては自由化には応じられない、この態度は変わっておりません。また同時に、日本の農業のわが国経済上に占める地位あるいは食糧の重要性、こうしたものをるる考えますと、自国で食糧を生産する手段を持っておることがこれからの国際情勢の激動の中にわが国国民が生きていく最良の手段である、こういうことも考えあわせまして、外国に対しましても日本の立場を理解していただくように今後とも説得していきたい、このように存じておる次第であります。
○田中(恒)委員 外務省、大蔵省、通産省、それぞれお答えをいただきたいと思うのです。
○朝海説明員 農水産物の問題につきましては、私どもも直ちに全面的な自由化が可能であるというふうには考えておりません。大変困難な問題であるということはよく承知しております。 他方、同時に、一般的な考え方といたしまして、幅広い意味で日本としても世界的に自由貿易主義を盛り立てていく、開放的な経済関係をつくっていくということの重要性も念頭に置いておく必要はあろうかと考えております。 先生御質問のサミットの点につきましては、現在、いろいろ打ち合わせがされておるところと承知しておりますが、大きなテーマといたしましては、世界経済の再活性化の問題であるとか各国の保護主義の問題であるとか、そういった点について大局的な見地から意見の交換がなされるであろうというふうに承知しておりまして、先生御指摘のとおり、個別の細かな問題についてそれを議題にして話し合うということにはならないのではないかと考えております。
○長富説明員 お答え申し上げます。 先日、ワシントンで開かれました作業部会の経緯につきましては、佐野局長の方から御報告のあったとおりと私どもも承知いたしておりまして、農水産物の輸入割り当ての問題につきましては農水省の所管でございますが、私どもの方も、このまま事態が推移すれば大蔵大臣が申し上げたような方向で協議が行われるのではないか、かように考えております。
○本郷説明員 先生方がこの前大臣のところへ来られたお話し合いにつきましては、私どもも大臣からお伺いしております。大臣からは、現在、政府部内で検討しておるこの第二弾の対策には通産省としては思い切って取り組め、こういう指示がおりております。そのような考えの基礎といたしまして、現在の世界の経済的な困難の中で日本が持っている地位にふさわしい責任を果たす必要があるということでございまして、世界経済の安定的な発展に向けてどのように貢献するか。私どもとしましては、まず第一に、産業協力、経済協力等を通じた世界経済の再活性化ということ、第二に自主的に市場開放に努めて貿易の拡大均衡を図る、こういう考えでございます。 〔加藤(紘)委員長代理退席、委員長着席〕 これに従って私どもも従来から市場開放対策をとってまいっているわけでございますが、今後とも努力したいと考えております。
○田中(恒)委員 先ほど第二弾の市場開放対応策の中には農産物の取り扱いは農林省としては含まない、ガットの場で話し合う、こういう非常に明確な御答弁がありました。しかし、これはまだ政府として決まったものではないと思いますが、経済企画庁がこの取りまとめに当たっていらっしゃるようでありますが、ただ仄聞すると、農水省はそう言っておるけれども、通産省や外務省などは農水省の農産物の対応策の出方次第、こういう各省間のにらみ合いといったようなものもある、こういうことも流されておるわけでありますが、こういう状況などについて担当の企画庁がやはり調整しなければならないような状況になっておるのか、あるいはこの第二弾の作業というのは事務的には一体いつごろ煮詰まっていくのか、この点をお尋ねしておきたいと思うのです。
○海野説明員 作業の進捗状況は、再三申し上げておりますとおり、現在、各省庁が担当する分野について私どもの方でまとめました項目、八項目ございますが、これについてどのように対処しようとしているのかということについて御意見を承っている最中でございまして、まだその意見が固まるといったような段階ではございません。 農産物が入るか入らないかというような御質問に対しましては、これは非常に積極的な御意見を出されるところ、国内の調整を非常に重視されるところと、農産物だけではなくていろいろな問題についてそれぞれ立場がございます。そういう立場を十分お伺いした上で、最終的に意見調整させていただくということでございまして、まだ煮詰まっていない段階、十分意見の出ていない段階で、調整役であります企画庁が独自の意見を出すことは差し控えさせていただきたい、こう考えております。
○田中(恒)委員 それでは、いろいろな省に聞きたいけれども、時間がありませんので一番関係の深い通産省にお聞きしておかなければいけませんが、通産大臣は、農産物についてはガットで話し合うのだ、こういうふうにはっきり私どもにお話しいただいたわけですが、通産省当局はこの認識で臨んでいらっしゃると理解してよろしゅうございますか。先ほど御答弁いただいたけれども、いま関係して第二弾問題に入っておるわけですが、どうですか。
○本郷説明員 農産物の問題は現在、関係各省の間でいろいろ調整を進めているところでございまして、私どもが政府部内においてどう議論しているかということは、現在の段階では対外的にもいろいろまずいことがあろうかと思いますので差し控えさせていただきたいと思います。
○田中(恒)委員 だから、この委員会はできたら大臣とか正式の政府委員に来てもらわなければ話にならぬ、こういうことを申し上げておったわけですが、いまの話を聞くとどうもわからぬのです。大臣は、農産物はガットで話すのだと言っていらっしゃるし、それは通産省としてもいま確認せられたわけですね。ところが、第二弾の問題になっていくとまだまだ何かもやもやとしておるのですね。そういうところが私どもも全く納得いきませんが、これ以上あなたに御質問いたしましてもなかなかむずかしいことでしょう。 そこで、農林省にお聞きしますが、問題になってガットへ出た場合に、たとえば、わが国の酪農あるいは果樹、温州ミカンなどは生産調整をやっておるわけでありますが、これはガット十一条の事項に該当するだろう。ガット十一条は、政府がやるものとか実際にやっておるとか、そういう条件がついておるようでありますが、ガット上もこういう国内の生産調整をやっておるところについては考えていくというようなことに該当するだろう。生産調整を政府主導でやっているかどうかというところが出てくると思うのですけれども、少なくとも政府がこれに対して財政援助を出しておることは事実でありますから、私はそういうふうに理解をしておるわけですが、こういう点をこれから主張せられるのだと思いますけれども、佐野局長はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
○佐野(宏)政府委員 先般のワシントンでの作業部会の席上でも、日本側が輸入制限を弁護するために用いましたのは、大部分のものについて先生御指摘の十一条二項でございます。それでわが国の温州ミカンの場合はどうであるとかトマトの場合はどうだとかいう個別の産品ごとの生産調整が十一条二項の援用を正当化するものであるかどうかということについては、アメリカ側としては承服いたしておりません。それで、これから生ずべき事態に対処してそこのところの攻撃、防御のやり方はさらに工夫を要するところがいろいろあろうかと思いますが、敵前で手のうちを明らかにするわけにもいきませんので、工夫を要する点がどういうところであると思っておるかという点は御容赦をいただきたいと思います。
○田中(恒)委員 私は、いまいろいろお話をお聞きしていると、やはり国際自由貿易というものを守らなければいけない、そのための開放経済体制を念頭に置いて対応していらっしゃる、こういう意味の御意見が随所に出てきておるわけであります。ただ、私どもは、今日の自由主義陣営の貿易というものが、果たして通常言われる自由貿易体制なのかどうかということについては若干の疑問を持っております。これも非常に大きな問題でありますが、IMFの通貨基金体制を中心とする金の流れ、あるいはこのいまの為替の問題など、私はやはり一つの大きな世界の経済圏の中において装置があって、その中で動いておるという大枠があると思う。 それから、中へ入っていくといろいろな問題がある。いわゆる工業と特に農業の関係というのは、やはり経済学でもこの農業と工業というのは非常にいろいろな面で本質的に違うのであって、自由貿易という以上は、自由貿易の幾つかの原則がなければいけないと思う。いわゆる同じスタートラインに立って走らせて早い者が勝っていく、こういうことなんであるけれども、事農業については、もう皆さん御承知のように、これは土地という問題があるし、あるいは気象という自然現象というものがある。だから、初めから同じ条件にはないわけなんですね。しかも、この農産物の世界貿易に占める割合というものは、工業製品なんか、たとえば、日本の自動車なんか恐らく五割から六割アメリカへ行っておるんじゃないでしょうか、そういう状態であるけれども、食糧の貿易量というのはきわめて限られておりますね。 細かい数字を申し上げるまでもありませんけれども、日本が一番買っておる飼料穀物だって、世界の生産量の二八%しか国際市場では出回っていない。しかも現実にこの飼料をアメリカが圧倒的に握っておる、一国の支配の中にあるということもまた事実であります。そういう中で、一体自由貿易というものはどれだけ自由ということが言えるのか、私は、やはりこういう意見はあってしかるべきだと思うのです。特に、この農業についてはそういう側面があるだけに、国内でわれわれが一体どういう農業政策を通して、通常言われる保護でありますけれども、そういうものをとっていくかということは、もうこれも御承知のように日本だけじゃない、日本以上にアメリカもやっておるし、ECもやっておる、そういう状況で、今回の自由化摩擦の犠牲的なものを農業なり農産品にかけられていくということは、われわれはどうしても納得がいきません。 こういう点について、私はここで、御回答は要りませんが、きょうは各省お見えになっていらっしゃいますが、ぜひ私どもの意見もひとつ十分取り入れて、各省間でさらに当面の通商摩擦対策、確かに何とかせにゃいかぬわけでありますから、御協議を練っていただきたい、こういうふうに申し上げておきます。 時間がありませんので、最後に若干チチュウカイミバエの問題について重ねて御質問を申し上げたいと思います。 昨日の参考人の意見の中にも出ておりましたけれども、アメリカ、カリフォルニア州を中心としたチチュウカイミバエは、ある地域においては撲滅というか、大分少なくなって見えなくなった、こういうところもあるようですが、きのうもお話があったように、ロサンゼルス近郊の住宅地などでは実際問題として撲滅はむずかしいだろう、こういう新しい報告がございました。あるいはハワイ、これは昔からあるわけでありますが、ハワイが非常にたくさんあって、ハワイからアメリカへ来たんじゃないかと言っておりますが、同時に、このハワイはわが国とは最も近い関係にあるわけでありまして、これはもう新婚旅行のコースになっておるわけでありますから、日本人はほとんど行ったり来たりしておるわけであります。こういう状況にチチュウカイミバエが現に存在しておるわけであります。そういたしますと、私は前から申し上げておりますが、もうやがてこの五月から六月にかけてが出てくる時期でありますから、この時期に出てくるかどうかということがポイントでありますが、やはりロサンゼルスの近郊にこれが出てきたら、これは三年間アメリカは存在するということになるのであります。こういう三年間もカリフォルニア州に現存しておる、こういう実態が把握をせられた場合に、植防法のたてまえからこれはどういうふうに取り扱っていくのかという問題が一つ。 それから万一これが日本に入った場合、対応策ができておるのか。特に、いま関係地区の農民の諸君の間からわれわれが言われるのは、このミバエによって被害が起きた場合に、その被害は一体だれが責任をとってくれるのかという問題であります。この点について御回答をいただきたいと思うのです。
○小島政府委員 今回のカリフォルニア州に対するチチュウカイミバエの侵入は、一九三〇年以降のアメリカのこの虫の侵入の経験からいたしますと、数えて八回目ということになるわけで、過去七回の侵入はいずれもアメリカは完全に撲滅に成功をいたしておるわけでございます。 今回の場合、カリフォルニアのサンフランシスコ周辺で発見されましたのがおととしの六月でございますから、それを継続してみますと、満二年に近くなんなんとしているわけでございますが、最近の様子を眺めてみますと、カリフォルニア全体といたしましては、昨年の十一月の下旬以降約五カ月間一匹の成虫、幼虫も発見されておらない。特に、ロサンゼルス周辺ということになりますと、過去六カ月ほど一匹の発見もないということで、事態は非常に改善されつつあるし、いま現在も一生懸命防除に努力をしておるという状況でございます。このことは先般、アメリカに派遣いたしました調査団の報告によっても明らかなところでございます。したがいまして、今後、向こうの撲滅の状況を見ながら、適宜適切な対策を講じてまいりたいと思っております。 なお、ロサンゼルス郡の撲滅宣言が、当初予想されました五月中というよりはおくれておるというのは、この冬、ロサンゼルス郡は意外に雨が多うございまして気温が低かったということから、計算上、最後の一匹が見つかりましてから三世代観測する、その上で撲滅宣言を出すというルールでございますが、一世代の長さが気温が低かったことによってやや延びておるのではないか、こういうことから六月中旬ぐらいになるのではないかというのが目下の予想でございます。 それから、ミバエのわが国に対する侵入の危険ということは、お話しございましたようにハワイには昔からおるわけでございまして、そのほか中南米諸国にもおるわけでございます。ハワイにつきましては、従来からこの虫のつきませんパイナップル、それからわが国が消毒方法を認めまして消毒済みのパパイヤ、その二種類以外のものは持ち込みを禁止いたしておるわけでございます。ただ、何分にも大ぜいの旅行者が参るわけでございますから、携帯品その他の中に禁止品が紛れて入っていることがないように、旅行客にもPRに努めておりますし、また空港などの検疫体制にも万全を期しておるところでございます。 それから、万が一入った場合どうかということでございますが、これは入れないようにすることが基本でございますが、万々が一ということもございますので、昨年の夏以降、全国に約千四百カ所のトラップを仕掛けまして、入りました場合の早期発見という体制を組んでおりますし、また、この虫を退治するに必要な農薬の買い入れというふうなこともすでに手当てをいたしておるわけでございます。したがいまして、国内の農業に御迷惑をおかけするようなことは万々ないと確信をいたしておりますが、万が一そういう事態が起こったらというお尋ねでございますので、その場合には植物防疫法の定めるところによりまして、国の経費によりまして防除措置を行いますし、防除そのものによって財産的な損失を受けたというものについては補償するという規定もあるわけでございます。その意味で、国内の生産者にいたずらな不安、動揺を与えないようにできるだけの対策を講じてまいるつもりでございます。
○田中(恒)委員 時間が参りましたので終わらしていただきますが、農産物の自由化の問題は、私ども農業に関係ある者にとりまして、日本農業のまさに荒廃につながるような危機感を持っておるわけであります。現実に関係農民諸君の間にはそういう不安が非常に高まっておるわけでありますので、農林水産省を先頭に、各省ひとつ力を合わせてこの問題に対処する方策を早急に打ち立てていただきますように御要請を申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
○羽田委員長 田中君の質疑はこれで終わりました。次に、武田一夫君。
○武田委員 最近の日本に対する貿易摩擦、そしてまた農産物の市場開放、枠の拡大、日増しに強いように思うわけであります。私は、日本の農業、そして日本の食糧の問題に対して大変な心配をしている一人でありますけれども、国は総力を挙げましてこの問題の解決に取り組まなければならない、こういうふうに思うわけであります。 日本というのは、御承知のとおり農業、漁業、林業ともにいろいろな面で厳しい環境に置かれているだけに、昨日の参考人の御意見もちょうだいしますと、特に、現在よりも将来に対する心配、不安、そういうものが後継者の確保に多大な影響を与えているということもこれあり、今後の対応というものが、農林水産業の振興とそうした日本の農業の発展の上に重大な問題を投げかけている、こういうふうに思うわけであります。そういう意味から、政府はあらゆる力を振りしぼりましてこの貿易摩擦に対処しながら、農業というものが守られ、そしてまた、農林漁業者がその犠牲になることのないような対応をひとつしっかりとしていただきたい、私はこのことをまず最初に強くお願いをする次第でございます。 以下、私は、この問題につきまして数点お尋ねをいたしたい、こう思います。 まず最初に、このように連日のようにアメリカから市場開放あるいは輸入の自由化、枠拡大という強い攻勢があるわけでありますが、なぜこんなにも大変な攻勢があるのかということ、これは私も不思議に思っておるわけであります。それはそれなりに理由があるんだろうと思うのでありますが、この問題、これは、貿易摩擦、経済摩擦というところがどういうわけか農産物の方に影響が大きくかかってきているということもまた、われわれとしては理解できないのでありますが、そのような貿易摩擦、経済摩擦というもののよって来る原因というのは何であるかということをまずしっかりとしておかなければいかぬな、こう思うわけであります。そういう意味で、貿易摩擦あるいは経済摩擦のよって来る原因、そして今後二度とこうした問題が起こらないような対応も真剣にしなければならぬということで、これに対する対応策というのはどういうふうにしなければならぬかという問題、このことをまずお尋ねをしたいわけでありますが、きょうは外務省や通産省、経済企画庁もおいででございますから、まず最初に外務省から、続いて通産省、経済企画庁、そして最後に農林水産省、こういう順序で御所見を伺っておきたい、こういうふうに思います。
○朝海説明員 貿易摩擦がどのような理由でこういう状態になっているかという御質問でございます。 けさほどの審議でもいろいろ御説明があったとおりでございますが、大きく申し上げれば、たとえば、日本の側においてはここ数年あるいは十年のことでございますが、国の経済力がだんだんと向上してきている、生産性も向上してきているというようなことが一つございます。その半面と申しましょうか、他方、アメリカあるいは欧州の側においては、短期的な要素もいろいろあろうかと思いますけれども、全体として経済の幾つかの分野にかげりが見られる傾向があると思います。それと同時に、けさほどの審議でも御説明がありましたとおり、累次にわたる石油ショック、それに伴う調整過程としていろいろな問題が出てきているということがあろうかと思います。 今後の大きな対応といたしましては、やはり根本にありますのは欧米各国あるいは世界全体としての経済の活力、生産性をどうやって向上させていくかという一つの大きな課題がございます。それと同時に、各国の経済の停滞を背景としてどうしても保護主義的な傾向が出てまいるわけでございますので、こういう保護主義的な傾向を各国が協力してどうやって抑えていくか、どうやってより自由で開放的な経済交流を進めていき、それによって世界全体としての繁栄も図っていくかということが現在の課題でございまして、そういった点について今後も取り組む必要があろうかと考えております。
○本郷説明員 現在の経済摩擦のよって来る原因をどのように見ているかという御質問についてでございますが、長期的な要因といたしましては、戦後の発展過程において日本とアメリカ、あるいは日本とヨーロッパの相対的なポテンシャルといいますかあるいは生産性、もっと具体的に言えば生産性格差というものが、日本が欧米に追いつき、さらにそれをしのぐような趨勢にあるという要因があろうかと思います。 ただ、そのような長期的な趨勢の中で特に、最近問題が出てきております背景としましては、石油ショック後の経済運営のむずかしさ、そういうところから来ております欧米の失業の増大、国際収支の困難、インフレの増大という実態、それに対してわが国が比較的それらの困難にうまく対応しているという当面の景気動向の問題がございます。 さらにそれに関連しまして、わが国におきましても現在の景気状況から輸入が大変停滞して、国際収支といいますか貿易収支が大幅な黒字になっている、あるいはアメリカの高金利政策の結果、為替レートがわが国に有利に働いているというような要因も働いていると考えております。 このような通商摩擦にどのように対応するかという点につきましては、自由貿易の維持、強化、貿易の拡大均衡ということで従来から政府全体といたしましても市場開放措置を実施してきておりますし、私ども通産省としましても、それに沿っていろいろと努力をしております。 さらに、この市場開放の問題のほかに、世界経済の再活性化を図るということが現在の世界経済の状況からいうと必要不可欠というふうに考えておりまして、そのような観点から産業協力、経済協力あるいは世界のニューフロンティアを開くという意味で、共同の利益のある技術開発等に取り組んでいく必要があろうかと考えております。
○海野説明員 経済摩擦のよって来る原因につきましてはすでに両省から御説明のあったとおりだと思います。日本がヨーロッパあるいはアメリカという先進国に比べて、長期的に見てパフォーマンスがいいということは、彼らにしてみれば、おくれて出てきた東洋の一小国がこれほどまでに経済力を拡大し、自分たちの市場を占拠していくのを見ているときに大きないら立ちとフラストレーションを起こすというその結果、日本は経済活動において何かわれわれと違ったアンフェアなことをやっているに違いないといったような考え方で日本を見る、こういう点が一つあるのではないか。 もう一つは、短期的に言えば、これは意図せざる結果でございますけれども、第二次オイルショック後、わが国が外需依存型の経済成長をしてしまった、そしてその過程で国際収支も黒字になってきた。それで、内需の不振を外需に頼っているのではないか、そういう政策をひそかにとりながら経済成長しようとしている、こういうような見方をして、わが国に対して非常にいら立ちなりフラストレーションを起こしている、こういうことではないかと思うわけでございます。 したがいまして、経済摩擦を解消する当面の非常に大きな柱は、よく御存じのように内需を拡大する一方、市場を開放することである、この二つが同時に進むことによって経済摩擦が解消されることになるかと思いますが、何と申しましても、日本経済自体が外需に依存する成長でなくて、内需に依存した成長をしなければならないということだと思います。ただ、内需依存の経済成長をしようといま政府としては努力を続けているわけでございますけれども、世界的な高金利、特に、アメリカの高金利が日本が内需拡大策をとる上での一つの大きな障害になっているということは御存じのとおりであります。これは、日本だけでなくてヨーロッパの国々もそういった状況にあるわけでございまして、日本は内需拡大を図りながら、そして市場の開放を進めながら、片一方ではインフレ抑制の自助努力をヨーロッパ、アメリカに求め、高金利の是正を求めていく、こういうことをしなければならない、こういうことを通じて世界経済の再活性化を図っていく。何といっても世界経済が停滞しているということがこの経済摩擦の最大の原因と申しますか、直接的な原因ではないかというふうに考えておるわけでございます。
○佐野(宏)政府委員 ただいままでの各省の御答弁でおおよそ尽くされておるわけでございますが、元来、これだけ経済の国際化が進んでまいりますと、とかくいろいろ苦情めいたことをお互いの国同士で言い合う、そういう意味での摩擦であれば、言うなれば日常茶飯事であろうと私は思うのです。 ただ、現在われわれが直面しております政治的意味合いを含むような緊張状態がいかなる理由によって生まれたかというところが問題なのであろうと思うのでありますが、これは何といいましても先進工業国の経済がおしなべて大変沈滞しておるということ、特に、政治的意味合いを生みやすいあれとしては失業の増大ということが根本にあるように思います。そういう中でわが国は相対的にはすぐれた経済のパフォーマンスを示しておりますし、また、個別具体的な失業多発の特定の産業について日本商品の輸出と因果関係があるというふうな認識が欧米に広まっているということも、特に日本がターゲットにされやすいという状況をつくり出しているように思います。 それで、こういう問題を解決するためにはやはり先進工業国全体の経済の再活性化ということが必要であるわけでございますが、わが国もその方向への一つの貢献として、経済の成長をできるだけ内需依存型の経済成長にシフトさせていく努力が必要なのであるというふうに考えております。
○武田委員 各省庁のお考えをお尋ねしていろいろお答えいただいたわけでありますが、日本がいま進めている集中豪雨的輸出といいますか、こういう日本経済あるいは経済構造を前提としている限り、やはり日本はこれからも米国など海外から農産物市場の開放を繰り返し突きつけられることは間違いない、第一の攻勢がいまあり、第二、第三の攻勢が来るという宿命的構造を持っているのだ、こういう意見が相当あるわけでありますが、私もそれはうなずけるわけでありまして、先ほど話がありましたように、いま日本が貿易摩擦の原因として取り上げられている大きなものは、工業製品の過度に突出した輸出であることは明らかでございます。経企庁の方がこれを是正するために内需の拡大に一生懸命取り組んでいるのだということでありますが、これは今後ぜひ必要な大きな課題である。そのためにはもう一つ、日本が現在進めている貿易のあり方といいますか、産業構造というものについてこの辺で中身を少し検討すべきではないか、こういうふうに思うのであります。鈴木総理が昨年、貿易摩擦の第一弾としての関税の二年分前倒し引き下げを決めたのでありますが、どうもこのときを時点としまして貿易の拡大均衡ということを日本の国是にしてきたのではないか。ですから、この姿勢は今後変わらぬのじゃないか、それによって工業製品の輸出が高まって貿易摩擦が一層出てくるのではないかという心配を非常にしているわけでありますが、そういう懸念はないものかどうか。この点、経済企画庁あるいは通産省からひとつお答えをいただきたいと思うのです。
○伊藤説明員 お答えいたします。 資源エネルギーに乏しいわが日本といたしましては、貿易立国として国を建てていくということが非常に大事なことは当然でございまして、私どもは、貿易の安定的拡大を図っていくということがわが国が適切な経済成長を実現するための最も基本的な条件の一つではないかと基本的には考えておるわけでございます。 ただ、先生御指摘のように、貿易摩擦ということで諸外国との関係もいま非常に問題になってきておりますし、確かに集中豪雨的輸出、要するに、特定の国に特定の商品が集中豪雨的になだれ込むということを慎んでいく、これもまた当然のことでございまして、私どもその点でいろいろ留意をいたしてきておるわけでございます。たとえば、わが国の花形商品でございます自動車輸出、これも昨年度、それから五十七年度の方も百六十八万台というような数字で輸出自粛するということで一応の評価を得ているわけでございます。ただ最近、先生も御承知のとおりでございますが、わが国の輸出動向が必ずしも芳しくございませんで、むしろ伸び率としてはずいぶん落ち込んでまいりました。五十六年度全体では千五百十九億ドル、一〇・一%の伸びがあったわけでございますが、特にこの二月、三月ずいぶん落ち込んでまいりまして、対前年同月比をとってみましてもマイナス三・六%というのが二月、三月と二月続いたわけでございます。したがって、私ども貿易のじみちかつ安定的な発展という観点から見ますと、やはりこれは一つの問題点ではないかと思っておることも事実でございます。したがいまして、こういう状況でございますので、この時点で輸出政策をいかに展開していくか、これはもう大変大事な、かつ慎重に対処すべき問題でございまして、私ども日ごろから貿易政策を担当しております者としていろいろな検討をいたしておるわけでございます。 輸出を抑制する措置、たとえば、輸出課徴金の導入というようなのが極端な意見としてはあるわけでございますが、もしそういったことをやりますと、この貿易立国でありますわが国としていわば輸出を罪悪視するというようなことにもつながりかねないということもございますし、いずれにいたしましても、輸出意欲をかなりそいでしまう。したがって、現在でも内需の方も余りはかばかしくございませんわが国経済でございますが、さらに、民間設備投資をも衰退させ、わが国経済をますます失速させかねないというような懸念も抱いておるわけでございまして、いま非常にむずかしい経済運営の時期に来ておるということかと思います。 ただ、先生から御指摘をいただいておりますように、このわが国の対外貿易政策、対外経済政策、これはもう本当に世界先進国のいろいろな動向等をも勘案しまして慎重にやっていく、まさにそのとおりでございます。私ども、この国際社会の安定と発展の中においてこそわが国の長期的な繁栄が実現できるというような基本的考え方でやっておるわけでございますが、単にこれを作文として終わらせずに、やはり本当に名実ともにそういう方向で経済運営を行っていくということが現時点において非常に大事なことではないだろうか、かように考えておる次第でございます。
○海野説明員 通産省の伊藤課長の方からお答えしたとおりでございまして、私どもの方でそれにつけ加える何物も持っていないという感じがいたしますので、私はあえて私どもの考え方をつけ加える必要はないかと思います。
○武田委員 そこで確認しておきたいのですが、経済企画庁や通産省、外務省ももし答えることができるなら答えていただきたい。 この世界経済の行き詰まりの中で日本経済が伸びていくためには、どうしてもやはり農業などの不効率部門は整理する必要があるのじゃないか、あるいはまた脱資源で高付加価値部門に重点を移していく必要があるのではないかという考え、要するに、工業製品をどんどん輸出する、その見返りに農業が多少犠牲になっても構わぬというような考えはない、間違いなくそんなことはございませんとここで言えるかどうか。 というのは、最近いろいろな人に会いますと、やはり日本の現在の経済情勢、要するに、世界における経済大国になってきたこの日本、かなりもう力がつきまして、ある意味ではアメリカなどとも対等以上の力を発揮できるのじゃないか、ヨーロッパなどにはもう相当の水をあけた、そういうことがやっかみとかあるいはやきもちのようなそういういら立ちというものによって、この貿易摩擦の一因にもなっているのだ、どっちかというと、その方が大きいのじゃないかというような感じもするのでありますが、そういうふうになりますと、その結果、貿易摩擦が起きて農産物やあるいは農業が犠牲になるということはとんでもないことでございます。そうでなくとも、以前はあの木材のときも、自由化されたために——もう木材が不足した、そのために入れようと言って入れた。当時は七割が国産材だったのが、それがもうどんどん入ってきたために、現在は、国産材が豊富になったとしても、今度外材の輸入はとまらぬとかという。これは一つの例でありますが、そういうふうに、農業あるいは農民が犠牲になるということには耐えられない不満と憤りを関係者は持っておるわけでありますが、そういうことは絶対今回の問題の解決に当たってはしないのだとお約束できますか。三省の皆さんどうでしょうか。
○海野説明員 自由貿易の利益を最も享受しておりますのは日本であるということはよく御存じのとおりだと思いますし、今後も自由貿易体制の維持強化、そして国際分業を大いに進めていくということは必要だと思います。事実、日本は今日までそういう方向で来たわけですが、ただし、そういった考え方は主として工業の分野でございまして、農業あるいは農林水産業が国際分業を進める上で同じような議論でもって議論を展開されるということではないと私も思っております。ただし、農業といえども、やはり自己努力をして大いに生産性を上げて、価格の安定なり供給力の安定を期していただきたい。すでに、たとえば、同じ畜産物の中でもブロイラーだとかあるいは豚肉等につきましては生産性はEC並みには上がってきているというような努力の結果が出てきておるわけでございまして、そういう面での競争力強化、あるいは強い農業をつくっていくための努力をしていただくということは必要かと思いますけれども、世上言われるように、工業の分野でどんどん先端技術に特化しながら大いに稼いで、そして停滞していくものをどんどん切り捨てていくべきであるという議論は、農業に直に当てはまるというふうには私どもは考えておりません。
○本郷説明員 現在の相互依存が非常に進展しておりますこの経済の中で、自由貿易の枠組みというものが、わが国の存立に基本的に不可欠な要素の一つになっているということは、先生も御承知のとおりでございます。そういった中で、工業分野がもう世界のほかの国に比べてみました場合に、完全に追い抜いて非常に強くなったというようなことが一般的に妥当するかどうかにつきましては、私ちょっと必ずしもそうは言えないというふうに思います。確かにマスプロダクションの分野ではあるいはそういう産業分野、かなり出ていることは事実でございますが、宇宙開発とかあるいは原子力その他先端分野の技術開発というようなところ、あるいは逆に中小企業の多いいろいろな分野等を見ますと、そういうことが言い得るかというと、はなはだ疑問を感ずるわけであります。したがいまして、製造工業の分野あるいは農林水産業の分野、そこで一般論というのはなかなかむずかしいというふうに考えます。この両分野いずれにつきましても、その貿易のあり方というのは、自由貿易の枠組みの中で関係国との友好関係に留意しつつ、またその各産業の需給動向等を踏まえて、国内産業と調和のとれた形で貿易を行っていくということが基本ではないかと考えております。こういった観点から、貿易の拡大均衡という原則的な考えを維持しつつ、わが国の国内の実情あるいは従来とってきた市場開放措置、それから現在われわれが持っておりますいろんな問題、そういったものを諸外国に十分説明し、その理解を得ながら、貿易市場開放といった問題に適切に対処していくことが必要だと考えております。
○朝海説明員 外務省は対外関係を扱っておる役所でございまして、農政あるいは産業政策について云々する立場には実はございませんが、物の考え方といたしましては、農業を切り捨てるというようなことではなくて、農業の合理化といいましょうか競争力の強化といいましょうか、そういうような措置を国内的には講じていくということをする一方、対外関係においてより協調的な関係が維持、発展できるようにしていくべきではなかろうかというふうに考えております。
○武田委員 いろいろと御意見を伺ったわけでありますが、それに対してどうこうと言いませんが、この問題は今後、いろいろな問題で取り上げなければならぬ、こう思いますので、後日また深い議論をしたい、こういうふうに思います。 時間の都合で次に移りますが、貿易問題がガット二十二条に基づく協議の場に移された、こういうことで一段厳しい立場に追い込まれてきたのではないか。しかしながら、政府としては、これは二枚、三枚腰でもってこの難関をしっかと切り抜ける強い交渉をしてほしいな、こういうふうに思うわけであります。 そこで、日米交渉、ガット協議、日本側はこれは受けて立つ決意を固めたものかどうか。固めたとすれば、これはどういうふうな勝算というとおかしいのですが、勝算のようなものを持っているかということですが、この点はいかがでございましょうか。
○佐野(宏)政府委員 受けて立つとかという言い方になりますと、何か非常にけんか腰のような感じがいたしますが、実は、私どもの心境はそういうことではございませんので、アメリカ側は完全な自由化を要求しておりまして、わが国としてはとうていそれは受け入れがたい。その場合にアメリカ側がガットの紛争処理手続に訴えたいというふうに考えておるわけでございまして、日本もガットの締約国といたしまして、米国がガットの紛争処理手続に訴える場合に、それに対応せざるを得ないという事態であるということを認識しておるということでございます。 それで、アメリカ側がいつごろどういう形で——どういう形でと申しますのは、二十二条か二十三条かというのは不分明でございますが、問題を提起してくるかということは余断を許さないところでございますが、私どもといたしましては十分準備をして対応したいというふうに考えております。
○武田委員 こちら側としましても十分な準備をして対応していくということでありますから、われわれとしましてはその対応の仕方を十分にしていただくのは当然としましても、国際機関の中でわが国の立場を主張して、一つ一つ相手の非は非として、こちらの主張は主張として、しかと反論すべきものは反論していくという姿勢、そういう展開での対応をしてもらいたい、こういうふうに思っているわけであります。 というのは、これは新聞や雑誌等あるいはまた、話から聞くわけでありますが、はっきり物を言わぬからかえって問題をこじらせるのだというわけです。イエスかノーかを日本は言わない。要するに、文法的、日本的な文章的構造が性格となってあらわれ、それが外交交渉の面において非常にマイナスである。「あります」のときの「ます」が「ま」まで言って「す」は小さくなる。「す」であるか「せん」であるかわからぬというようなことをよく言われるわけでありますが、やはりわが国の国益を守る上にこれはどうしても必要な、しかも正しい理由がつけられるものは遠慮せずに言うということ、相手の非も言うということ、これがこれからの外交にとって非常に必要なことだということを聞いておりますし、また、日本人というのは沈黙は金とか銀とかそんなことを言っているようでありますけれども、どうもそういうはっきり物を言わぬというところで誤解を受けている面もあるということでございますから、どうかこの際、交渉に当たってはそうした彼らが言ってきたものに対して反論すべきものはきちっと反論して、佐野局長が行くのですから、日ソ漁業交渉のときの手腕をひとつ十分に発揮してほしい、こういうふうに思うのでありますが、その点の御決意を聞かしていただきたい。これは政務次官も大いにバックアップしてもらいたいと思います。
○佐野(宏)政府委員 先ほどちょっと亀井先生の御質問のときにもお答えしたことでございますが、今回の作業部会の席上も、私どもは、アメリカの食肉輸入法の例でございますとか、あるいはウエーバーを取得する以前にアメリカが行っておりました乳製品の輸入制限についてのオランダとの紛争の経過とか、アメリカ側の耳にとっては耳ざわりなことをできるだけずけずけ言うように努めたつもりでございます。 ただ、御理解を賜っていただきたいと思いますのは、そういう議論の持つ有効性というのには一定の限界があるということも、同時に御理解をいただいておきたいと思うのでありまして、たとえば、先ほどもちょっと申し上げましたが、アメリカは食肉輸入法についてはガット違反のそしりを受けることを覚悟の上でやっているんだという、そういう話でありますから、おまえは何だというようなことを言っても、その程度のことではへこたれないわけでありまして、アメリカがへこたれなかったら言い方が足りなかったのではないかというふうに誤解なさることのないように、あらかじめお願いをしておきたいと思います。
○武田委員 一生懸命やれば、それは周りの方は理解すると思うのです。私はそういうふうに理解をしておりますが、そういう気持ちでがんばってほしい、こういうふうに思うわけであります。 ところで、最近、非公式な申し入れといいますか、探りを入れてくるようなそういう話が出てきた。何か農産物の輸入枠拡大や関税引き下げなどの六項目を入れるよう云々というそういう報道がなされておりますが、これはアメリカ側の真意というのはどこにあるのかということを、農林水産省としてはどういうふうに受けとめていますか。
○佐野(宏)政府委員 先生いま話題になされました件は、先週アメリカ側から、これは要求ではないということを繰り返し留保した上で、日本政府が、現に御検討中であると承知しておるいわゆる第二段階対策に入れていただくことが望ましい事項を示唆すれば次のごとくであるということで申し越したものがございます。これはアメリカ側の対日要求ではございませんので、アメリカ側の対日要求は依然として完全自由化ということでございます。
○武田委員 官房長官が経済企画庁の井川調整局長に対して貿易摩擦解消策第二弾の取りまとめ状況について報告を求める云々と書いてありますが、この第二弾の対応策の中で農産物の取り扱いについてはどういうふうになっているのか、この点についてお伺いします。
○海野説明員 先ほどから再々申し上げておりますように、輸入制限品目の緩和の問題、それから関税率引き下げ等の問題、輸入手続の改善に関する問題等八項目についてそれぞれ各省はどのような対応をしようとしているのかということについて意見をいま求めている最中でございまして、御質問の内容についてはまだ十分なまとまりといいますか、結論を得るに至っておりませんので、内容については申し上げかねます。お許しいただきたいと思います。
○武田委員 きょうの新聞に、鈴木総理が市場開放宣言を発表という大きな見出しで出ているのであります。これは五月七日の経済対策閣僚会議で決定する云々とある。もう間もなくこれを宣言するんでしょう。この中にそういう問題も入ってくるのかどうか。というのは、通産省が最近の新聞なんかで、二十日というのだから二十一日の新聞です。「農産物は第三弾で」、こういう見出しで何か農産物の残存輸入制限品目の自由化緩和などについては第二弾ではやらぬかもしらぬが、第三弾ではちゃんとやるんだということを報道しているんです。これはどういうことですか。これはこのとおり行くわけですか、そのような行程でいま作業を進めているわけですか。
○海野説明員 まずけさの新聞、総理が宣言をされるということにつきましては、私どもはまだそのような指示があったということは承知いたしておりません。 それから、第三弾というようなお話がやはりございましたけれども、私どもは、通産省首脳の言葉ということで新聞報道は見ておりますけれども、具体的にその際どのような発言をされたかについては全く承知いたしておりません。
○武田委員 農林水産省はどうですか。こういうことを聞いていますか。
○佐野(宏)政府委員 全く関知しておりません。
○武田委員 関知してないこと、大事な問題がこういうふうに新聞に出てくるのはとんでもないことだと思うのですぞ。時間がなくなっちゃったのですが、これは前にも言ったのです。一つの重大な国家的な問題が新聞に大々的に出てくる。局長さんも御存じない。皆さん方、一番偉い方ですよ。しかも、今回の非公式な話が出てきたというときも新聞の記事です。最近、新聞の記事もかなり取材に基づかない記事を流すんだとか、そういうことを言っているのですが、私も前新聞記者をやったのですけれども、そんなことはないと思うのであります。要するに、自由化を促進する連中がそういうようなものを流しているのじゃないかとか、何か一つ農林大臣が物を言うと通産省が発言する、外務省が発言する、全然統一がとれないようなことが新聞にばっと出てくる。この今度の問題に対してアメリカが、もう上院、下院呼吸を合わせた議会の対応、政府まで一生懸命やっている、この攻勢の姿を見たときに、日本が本当に一生懸命になって大変な問題として取り組んでいるかというと、こういう一つ一つをとって見ましても私は非常に疑問を感ずるわけです。片一方ではやれとけしかけながら、片一方ではやっちゃいかぬ、そういう茶番をやっているような、何かすっきりしない。こういう新聞報道というのを毎日見ている一般国民や農村の皆さん方というのはどう思うかということを考えると、私はここではっきりしていかなければいけないと思うのです。やはり重要なことは関係者がみんなよく知っていなくちゃいかぬ。知らないことが新聞にどっと出ちゃう。それが正しければいいですよ。中身が違ったことが報道された、それは新聞が言ってることですと言ったって、新聞が書く以上これはだれかが言っているわけだ。だれかが漏らしているわけだ。特に、外務省や通産省にも言っておきたいのだけれども、どうも農林省が物を言うとそれに対していろいろな反発というか、わが陣営の優位性を主張するとか縄張りを主張するとかいうようなことも往々にしてあちこちで聞かれる。それじゃいかぬと思うんですよ。皆さん、われわれ日本人ですよ。日本人が一つのこういう重大問題に呼吸を合わせて連携を保ってやるのがあたりまえです。どうですか、これは政務次官。これはこの間も私は大蔵の委員会で話したのだけれども、やはり政務次官のような若い張り切っている人たちがやらぬといかぬ。もう年を取っている人が多いのだな。本当にこの間山崎政務次官にも私は言っておいた。そういうふうに呼吸をしっかり合わせて、向こうの呼吸の三倍も四倍も強い結束で、われわれは絶対に日本の農業を守るんだという意気込みを示してほしいと思うのです。この決意だけ聞いて終わります。そして、総理は、きちっと農林省の話もよく聞いた上で、一国の総理大臣としてしっかりと自分の腹を出しなさい。あっちに行っていいと言って、こっちに行って悪いと言うのでは、風見鶏という人もいるというけれども、これじゃ鈴木善幸さんの名前も相当また問題になってくると思う。善幸という名前ですから、農林漁業関係者の苦労を考えたときには、そう簡単には言いたいことを言わないというようなしんぼうも必要ではないか、私はそういうふうに思います。政務次官、ひとつそれに対する考えをお述べになっていただいて、あとはそういうことを各閣僚にも関係者にもしかと申し伝えていただきたい。要望します。
○玉沢政府委員 政策を決定していく場合におきましては、やはり一つの政府の中におきましてもいろいろな意見があると思いますので、そういう意味におきましては、政策を決定し遂行していく過程におきましてはきわめて時間をかけて調整を図るということが大事ではないかと思うわけでございます。したがいまして、アメリカとの関係におきまして、貿易の摩擦の問題でありますが、アメリカも上下両院が政府と一緒になってというお話がありましたが、やはり相互主義法案そのものをめぐりましてはアメリカの国内にもいろいろな意見があるわけでございますし、また、貿易問題等におきましても、アメリカ国内にもいろいろな意見があると思うわけでございます。 さて、そういうことにおきまして日本の方といたしまして無用の誤解とか不必要な不安感というようなものを与えない努力というものが先生いま御指摘のとおりの点だと思うわけでございますので、こういう点につきましては、しかとこれは大臣にも関係機関にも伝えるようにして、そして無用の誤解とか不安を必要以上に与えないというのが大事じゃないかと思います。なおまた、沈黙は金なりという日本の言葉があるということでございますが、和をもってとうとしとなすというこの和におきましても、相手の方にただただ迎合するだけで和をもってとうとしとなすということでは国益を守れない、こう思いますので、言うべきところは言って、その上でお互いにコンセンサスを得るようにすることが両国にとっても大変利益であると思いますので、そういう努力に向かってがんばるということを申し上げたいと思います。
○武田委員 終わります。
○羽田委員長 武田君の質疑は終わりました。 次に、神田厚君。
○神田委員 昨日と本日と二日間にわたりまして、農畜産物の輸入自由化問題についての集中審議が行われているわけでありますが、この集中審議の二日目に当たりまして、農林水産大臣も、あるいはかねてから出席を要求しております総理大臣の出席もないということは、きわめて遺憾であります。その点、ひとつ政務次官が責任を持って御答弁をいただきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。 さて、昨日の参考人からのいろいろな意見も聞きまして、この農畜産物の輸入自由化の問題が、日本農業にとりましてきわめて重要な深刻な問題になってきておることは、これはもうすでに御案内のとおりであります。さてそこで、何点かにわたりまして御質問を申し上げますが、まず第一に、現在までの交渉の経過と、今後どういうふうな形でこの問題を展開していくのかということにつきまして、農林水産省の方からお聞きをしたいと思います。
○佐野(宏)政府委員 農水産物の輸入制限問題につきましては、先般、三月の九日、十日に開かれました日米貿易小委員会において二つの合意ができました。一つは、牛肉及び柑橘につきまして、十月中の双方にとって都合のよい時期から協議を始めるということでございます。それからもう一つは、作業部会を設置して輸入制限問題を審議をするということでございます。 それで今月、四月の十二、十三両日、ワシントンで作業部会が開かれたわけでございますが、アメリカ側はこの作業部会の際、日本の輸入制限のガット上の問題点の討議が終わったので、これから後は作業部会は続ける意味がないということで、作業部会は一回だけで終わりになってしまいました。それで、その際アメリカ側は、今後の取り進め方として、日本に対して輸入制限の完全撤廃を要求し、それが入れられない場合にはガットの紛争処理手続に従うという意向を表明いたしました。私どもとしては、輸入制限の完全撤廃ということはとうてい応じがたいことでございますので、アメリカ側がガットの紛争処理手続に訴えてくることは必至であると考えておりまして、その際は、日本も締約国でございますから、それは受けざるを得ないと考えております。
○神田委員 本日の新聞によりますと、ガット協議の申し入れの問題については、アメリカのバラクロフ駐日公使が、当面はこの問題についての取り扱いは見合わせるということを外務省の経済局長を訪れて話をしたということでありますが、その点はガットの場に持ち込まれるのか、あるいはそのガット協議に入るまでになお幾つかの話し合いが行われるのか、この辺の見通しはどういうことになりますか。
○佐野(宏)政府委員 アメリカ側としては先ほど申し上げましたような心組みでおりますが、すでにガットの紛争処理手続に訴えるということを決めてしまったとか、いつからやるということを決めたということではないようでございます。それで、アメリカ側がいつごろそういう態度をとってくるかということは、現在のところ全く見通しの立てようがございません。ただ、アメリカ側もそこへ至るまでの過程で、ガットの紛争処理手続に訴えない別途の話し合いの機会を全く封じているというふうに申しているわけでもない、そういう事態でございます。
○神田委員 そうしますれば、来月七日に日本政府が決定すると言われている市場開放策第二弾、これらの中でアメリカが要求している問題等について、つまり、農産物等が含まれるというようなことであれば、あるいはガットには持ち込まないとか、いろいろな経緯があるようですが、この市場開放策の第二弾の中に、農産物問題というのはどんなふうな形で盛り込まれそうな感じになっておりますか。
○佐野(宏)政府委員 私どもは、IQの問題と関税の問題につきましては、いわゆる第二段階対策として対策の打ち出しようがないというふうに思っておりますが、そのほかにワイルドライスの輸入でございますとか、あるいはサクランボ、パパイヤの検疫問題でございますとか、そういう個別品目ごとの特殊問題が幾つかございます。それで、そういうものにつきましては私どももできるだけ前向きに取り組んでいきたいと思っております。
○神田委員 アメリカ側がわが国に非公式に示しているという六項目から成る農産物の市場開放の要求、完全自由化要求を米側が棚上げするならば、この六項目の要望の線について農林水産省としては将来的に検討をするというようなことも一部言われているようでありますが、この辺の関係はどういうふうになっておりますか。
○佐野(宏)政府委員 先週アメリカ側から行われました接触が、先般の作業部会の際、日本側に向かって表明されたアメリカの立場の変更を意味するものであれば、日本側もそれに対応して考え方をもう一遍再吟味してみなければなるまいと思ったことは確かにございます。しかし、どうも確かめてみますと、作業部会の段階でアメリカが表明した態度の変更を意味するものであるというふうには考えられない状況でございますので、私どもとしては、作業部会の際表明されたアメリカの公式の立場は、現在も維持されているという前提で対応せざるを得ないと思っております。
○神田委員 このガット協議の場合、いずれにしましても、協議に持ち込まれればかなり時間もかかるし、いろいろな問題があると思うのでありますが、ガット協議に持ち込まれて二十二条の関係での争いということになりますと、どういうような形の展開になりそうでありますか。通産省、来ておられますか。
○香田説明員 ガットの二十二条の規定に基づきますと、ガットの運用に関しまして協議の要請を受けましたら、これを受けなければならないという規定になっております。したがいまして、日本はガットの締約国でございますので、この規定に基づきました正式な協議要請があった場合には、受けざるを得ないというポジションでございます。しかし、アメリカのこの二十二条の協議要請については、そういう話が出たということは聞いておりますが、正式にいつ来るかというようなことはいまのところわかりませんので、今後ともアメリカの出方を見守っていくということでございます。
○神田委員 いずれにしましても、アメリカ側はいろいろな動きの中で日本市場の完全自由化を求めてきているわけでありますから、この辺のところにつきましては、ひとつ農林水産省としての基本的な線を堅持をして、それにしっかりと対応していただきたいと思うのでありますが、政務次官の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○玉沢政府委員 これに関しましては、やはり農業というものは各国のそれぞれの事情がありまして、十二分な理解がまだ得られてないじゃないか、だから十二分な理解を得られるように努力をする。また、アメリカに対しましても、わが国は百二億ドルも農林水産物を輸入しておるという立場でもありますし、これ以上市場を開放した場合におきましては、わが国の基本的な社会構造、農村構造も崩壊してしまう、これは国家存立上の問題である、こういう点ももっと理解をしてもらわなければいかぬじゃないか、こういうわけでありますので、この問題につきましては十二分に理解をしていただきますように、今後とも折衝をしていかなければならないと存じます。
○神田委員 もう一つ追加をしまして、新聞報道によりますと、この第二弾の市場開放策の中に、二十二品目の残存輸入制限の自由化に加えまして、新たにピーナツ、そば粉、チョコレート菓子などの関税の引き下げ、それからピーナツ、パイナップルなどの輸入割り当て資格の改善、トマト、リンゴなどの非柑橘ジュースの輸入枠の拡大、これらについて、ガット協議を待たずに日本の第二弾市場開放策に盛り込むようにというような要求があるというふうに聞いておりますが、これが事実なのかどうなのか。さらに、それに対しまして農林水産省としてはどういうふうに対応するか。
○佐野(宏)政府委員 ただいま先生御指摘の点は、先週のアメリカ側からの非公式なアプローチの際、米側が第二段階対策の一部として示唆をした事項でございます。アメリカ側は繰り返し、それは要求ではない、示唆であるという言い方をして、いま先生御指摘のような項目を言ってまいりました。それで私どもとしては、少なくともIQの話と関税の話につきましては応じがたいというふうに思っております。
○神田委員 そうしますと、割り当ての資格の改善等につきましては、あるいはトマト、リンゴなど非柑橘ジュースの輸入枠の拡大等については多少前向きに検討するということなんですか。
○佐野(宏)政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたリンゴジュースとかトマトジュースとかのIQの枠の拡大の方でございますが、そちらの方の話は応じがたい方の分類に入ります。 それから、輸入割り当て資格云々の話は、頭からだめと言ってしまうべき性質のものであるというふうにも思いませんが、何しろごく最近になって言われてきた問題でございますから、検討してみないと、ちょっといまの段階で何とも申し上げられません。
○神田委員 これも結局、最終的には市場開放の問題につながっていく問題でありますから、それを検討するに当たっても、日本の生産者及び生産地に対する配慮をひとつ十分にしてもらわなければいけないと思っているわけでありますが、そういうところをひとつ念を押しておきたいというふうに思っております。 それでは次に、外務省にお聞きをしたいのでありますが、アメリカ議会等におきまして、特に自由化要求、これは農産物だけではなくて、工業製品との相互主義法案も含めましていろいろありますが、最近のアメリカ議会等における対日要求の動き、新たな動き等もありましたら、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
○朝海説明員 アメリカの議会におきましては、御承知のように、最近、各種の公聴会が開かれておりまして、そういった席上で議員の側から、あるいはアメリカの政府の側から、それから証言者の側からいろいろな話が出ておるわけでございまして、その中には、個別の農産品についての希望の表明も行われております。 それと同時に、御承知のとおり、アメリカの議会で各種のいわゆる相互主義法案が出ておりますが、その中の一つの形といたしまして、農業について特に論じておる法案もございます。最近、四月の五日に下院で法案が提出されまして、内容的にほぼ似たものが四月の十四日に上院で提出されておりますが、その骨子は、米国の農産物の輸出に対して相互主義的な貿易機会が与えられていない場合は、対抗措置をとることができるというような趣旨のものであります。
○神田委員 アメリカ自身も、自国に対しましてのいわゆる保護といいますか、国境保護措置をかなりとっているわけでありますが、それらについて、アメリカはもう少し市場開放せよというような世界各国からの動きというものはありますか。
○朝海説明員 御指摘のとおり、アメリカの側においても若干の制限的な措置があるわけでございます。詳しくは承知いたしておりませんが、たとえば、食肉の関係では豪州、ニュージーランド等との間で、ときどき紛争といいますか、大きな問題になったり、時にして話し合いで静かになったりしているようなことがございます。農業の分野では、たとえば、カナダとの関係で、カナダのジャガイモの輸出でございますが、現在、若干問題になっているものがございます。
○神田委員 いずれにしてもそういう形で、アメリカ自身も自国のものは保護をきつくしながら対日要求を繰り返し続けている。こういう要求の背景には、昨日の参考人の意見の中にも二、三ありましたが、いわゆるアメリカの食糧戦略の一環として、対日市場開放要求がされているのだというようなことで議論がありました。心配をする人たちは、最終的には米までもアメリカから輸入をせざるを得ないような状況にまで持ち込まれるのではないかということで、一連のアメリカの穀物を中心とした食糧戦略の一環だというような考え方に対しましては、農林水産省はどういう判断をしておりますか。
○佐野(宏)政府委員 食糧戦略の一環という位置づけについて、私は、必ずしも十分お答えする能力を持っていないわけでございますが、いまアメリカは、食糧を戦略的と申しますか外交的な武器として使うのは対共産圏向けであって、日本に対してはそういうことは決して企てないのであるということをむしろ日本人に信じ込ませようと思っていろいろ努力をしている段階でございまして、そういう意味では、少なくとも西側諸国とのつき合い上戦略的な武器として使う可能性があるというふうに外国人に思われないようにできるだけ努力をしているというふうに私には見受けられます。真意のほどはよくわかりません。 それから、米の問題でございますが、米の問題につきましては、日本がモチ米を輸入いたしました際に、タイとか中国から輸入をして、それでアメリカのモチ米を買ってくれなかったということについて不満がございまして、これは日本の食糧庁の方の事情からいえば、ちょうど欲しいときに現実に米国産のモチ米で日本に持ってこれるようなモチ米がなかったので仕方がないことなのでございます。ある種の誤解だろうと思いますが、米国産のモチ米が差別されたと思って息巻いている人がいたことは事実でございます。
○神田委員 貿易収支のインバランス、農産物の市場開放という形でこれを是正しようというような動きは、最終的には、日本の市場をすべてアメリカの農畜産物に開放しなければならないような究極的なところまで追い込まれていく危険性があるわけでございます。現実には、そう簡単にそういうふうにはなりませんけれども、しかしながら、やはり日本の安全保障の上からいいましても、一連のアメリカの要求の真意が一体どこにあるのか。実際的には、全部農産物を開放しても百八十億ドルからのアメリカの対日赤字からすればほんのわずかしか解決できないにもかかわらず、執拗にこのことを要求してきている背景というのは、最終的に、日本をアメリカの食糧の固定した輸入市場として将来的にも安定させようという長期的な戦略の中で、われわれの食糧問題がアメリカによって握られてしまう危険性を大いに警戒をしなければならないというふうに思っているわけであります。レーガン政権を中心として強いアメリカが、日本に対しまして執拗に農産物の自由化を要求している背景を農林水産省としては外務省ともどもひとつきちんと分析をして、それに対する誤りのないような対応をしてほしいと思いますが、政務次官いかがでございますか。
○玉沢政府委員 当然でございます。
○神田委員 それでは次に、対日要求の中で、特に肉牛とかミカンあるいはコンニャク、ピーナツ等の主産地に対する影響が自由化されますと非常にあると思いますが、過去におきましてレモンが自由化されたときに日本のレモン産地はどういうふうになったのか、あるいはいろいろな意味でそういう対日要求を受け入れた後の日本の産地等の状況の報告を含めて、輸入自由化が地域農業に及ぼす影響についてお答えをいただきたいと思うのであります。
○小島政府委員 生産量の変動にはいろいろな要素が加わっておりますので、数多くの事例を申し上げにくいのでございますけれども、レモンの場合で申しますと、自由化直前に百数十ヘクタールございましたレモンが、自由化直後において三、四十町歩に減少した、こういう事例があるわけでございます。そのほか、大豆でございますとかあるいは若干の事例はございますが、他の生産条件も絡んで生産量が減少したというような事情もございますから、自由化による直接的な影響だけというふうに申し上げることは非常にむずかしいかと思います。
○神田委員 昨日、鹿児島県の農協中央会の会長さん、これは畜産問題で意見を述べられました。さらに、愛媛県の会長さんがミカンの問題で意見を述べられましたが、それぞれ、現在、アメリカが要求をしている問題について門戸開放したらばこれは壊滅的な打撃を受ける、つまり、畜産におきましては畜産経営そのものが成り立たないといいますか、鹿児島県の畜産が崩壊をする、あるいはミカンにおきましても愛媛の温州ミカンが壊滅的な打撃を受ける、こういうふうなことが言われておりますが、その辺のところに対しての農林水産省としての判断はどういうふうなことでありますか。
○佐野(宏)政府委員 現在残されております二十二品目というのは、長年かかって輸入制限品目を減らしてきて最後に残った何ともむずかしいいわくつきの品目ばかりでございますので、定量的な議論を申し上げる能力はございませんが、これらが自由化された場合のわが国農業に与える影響というものははかり知れないものがあるというふうに考えております。 〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕 ただ一言つけ加えさせていただきますと、アメリカの中で日本の農業問題についてわりに同情的に眺めてくれている人で、なおかつ、自由化を要求する人たちは、日本はこれだけ経済大国になったので、国境保護措置によらなくとも、不足払いであるか何であるか、それは日本の研究なさることだけれども、何らかの方法で、国境保護措置によらずに、自由化しても日本の農業が壊滅的打撃を受けないという方法を工夫することはできるはずだと思っている人がかなりおりまして、そういう人たちは、自由化した場合に日本の農業がはかり知れない打撃を受けるのであるという議論をかえって素直に聞いてくれないというような点がございます。ちょっと蛇足でございますが……。
○神田委員 ただ、いま局長がおっしゃったような問題は、たとえば、自由化をしていくその過程におきまして、それでは農林水産省としてはその衝撃緩和といいますか、自由化によって壊滅しそうであるという産地に対してどういう手当てができるのか、こういうことを具体的に考えていかなければ、ただ単に経済大国であるから自由化の要求に沿って自由化をすべきだということでは、産地の人たちにとりましてはそれに対応できない。ですから、もしそういうことでそういう人たちの意見に耳を傾けようとするならば、いわゆる主要産地の人たちがそのことによって微動だにしないような生産の条件整備というものを農林省が責任を持ってやるということでなければできないと私は思うのですが、その辺どうでありますか。
○佐野(宏)政府委員 仰せのとおりでございます。それで、先ほどちょっと私が蛇足でつけ加えましたような意見を言うアメリカ人に対しましては、私は、ともかく現在の財政状態から見るとそういう手法というのは研究に着手することさえできないような事態なのでそういうふうにはいかないのであるということを話しております。
○神田委員 だんだんそういうふうな話が出てくると、結局は、その自由化に向かって非常に中途半端な形で道を開いていくということになりますから、それはただいま局長の明言によりまして安心もいたしましたけれども、ひとつ十分御注意をいただきたいと思うのであります。 次に、現在、日本は水田利用再編対策の事業を推進中でありますが、自由化要求の中でかなりこれらの問題は、再編対策と関連をしまして、非常に心配される部分がありますが、この水田利用再編に対する影響も無視できないと思うのでありますが、この辺のところについてはどういうふうにお考えでありますか。
○小島政府委員 残存輸入制限品目の中には、ただいま現在、転作物といたしましてかなりつくられておる作目もございますし、また、直接ではございませんけれども、制限品目と非常にかかわりの深い作物も含まれておるわけでございます。大ざっぱに拾い上げますれば、全体の転作物の半分ぐらいのものは関係があるのではないかと思っております。これらの作物がダメージを受けるということになりますと、いわば稲作の転換の出口を閉ざされるということになるわけでございますから、その意味ではかり知れない影響を受けるのではないか、かように考えております。
○神田委員 問題になっておりますのは、昨日の参考人の意見の中でも、残存二十二品目全部をこのまま制限品目として残しておくのは多少問題があるのではないか、やはりこのうちから幾つか、たとえば、イワシとかそんなものは取り除いて少しでも品目を減らすべきだという意見もありました。しかしながら私どもは、いわゆる現在残存二十二品目がこういう形で残されているということについては、それなりの存在理由があるわけであると思っておりますから、ひとつこのことについて明確に、農林水産省としてはなぜこれらの品目を残しておくのかという問題について御説明をいただきたいのであります。
○佐野(宏)政府委員 現在、残存輸入制限品目として残っておりますものは、大別いたしますと三つのグループに分類をできるのではないかと思います。 一つは、わが国の農業にとって基幹的な地位を占める農産物、牛肉でございますとか柑橘でございますとかというグループがこれに当たると思います。それからもう一つは、わが国の農業にとって基幹的な地位を占めるという性質のものではございませんが、それぞれ特定の地域にとってみれば死活的重要性を持っておる、地域特産的性格とでも申しましょうか、そういうグループに属するもの、まあ例を挙げればピーナツでございますとかパイナップル缶詰でございますとか、そういうものが挙げられると思います。それから第三のカテゴリーといたしましては、沿岸漁業振興上の重要性を持っているものというもので、水産物の関係の残存輸入制限はこのグループに入るわけでございます。 もちろん、私どもとしても、輸入制限品目というのは、日本もガットの締約国でございますから、できるだけ減らす方向で検討すべきものであるとは思っておりますが、減らすべきものであると心得て検討しても何とも仕方のないものがいま残っておる、そういう実情であると考えております。
○神田委員 水産庁から来ていただいていると思うのでありますが、アメリカとの漁業問題について御質問を申し上げます。 現在、日米漁業協定に基づきまして漁業割り当てがされました漁業の最中でありますが、すでに四月一日におきましてクォータされるべき割り当てがいまだにアメリカの方から発せられていない、こういうことで、出漁中の漁船その他が大変困っておりまして、これは七月一日の割り当てとあわせまして、このままの状況で推移すると、いわゆる失業者といいますか、漁場から撤退をして、最終的には、失業問題にまで及ぶという非常に深刻な状況になってきておりますが、これらの状況と今後の見通しについて、あるいは水産庁の対応について御答弁いただきたいと思います。
○佐竹説明員 アメリカは今年から、従来の年間一括割り当て方式を改めまして、分割割り当て方式をとったのは御指摘のとおりでございます。その結果、ただいまのところ日本側の漁獲割り当ては昨年の約半分、五十八万トンであるわけでございます。米国はその後、四月と七月に二回に分けて米国からの水産物輸入、あるいは洋上買魚等米国漁業の発展への協力の程度を見ながら追加割り当てを行うというふうに言っておるわけでございます。 政府といたしましては、わが国が米国からの最大の水産物輸入国である、さらに、洋上買魚もまた本年大幅に拡大していること等、米国の漁業の発展には多大の協力をしているところでございますので、速やかに本年の割り当てが全量割り当てられるようにあらゆるルートを通じて働きかけているわけでございます。しかしながら、ただいまお話がございましたごとく、四月に予定されていた対日漁獲割り当てが大変おくれておりまして、漁業の種類によりましては、近い将来、操業に支障を来すような事態も憂慮されるわけでございます。 政府といたしましてもこのような事態を考慮し、今後の日米の漁業関係の長期的な安定という点をも考慮すれば、どうしてもそのような最悪の事態は避けるべきであるということを強く申し入れているところでございます。若干、有望と見られるような情報もすでに私どもも得ておりますので、いましばらく事態を見守っていただきたい。いずれにいたしましても、漁業者が洋上で立ち往生するような事態だけは何としても避けるような、そういう覚悟でおります。
○神田委員 さらに、これに関連しまして、アメリカ海域におきます入漁料が、これはソ連の方の海域も同じでありますが、あるいは南太平洋等もそうでありますが、各国非常に入漁料の要求が高くなってきておる。それでこれは国と国との交渉の経過、さらに二百海里法の施行、そういう事態の中での問題でありますから、私は、この入漁料の問題というのは最終的にその漁船が払うことになりますと、つまり、魚価に上乗せをされる形ではね返ってくるわけでありますから、結局、消費者にとって高い魚を食べなければならない、こういう状況にもなってまいります。 そして、この入漁料の値上がりの状況を見ますと、非常にすさまじいものがあるわけでありますから、この辺のところはひとつ農林水産省、水産庁あたりがしっかりした交渉をして、そして私は、最終的には、入漁料の問題は国の方でその一部を補助するとか、何らかの方策を考えていかなければ成り立たなくなっていってしまうのではないだろうか、あるいは消費者が高い魚を食べなければならないような状態になってしまうということを心配しているわけでありますが、その辺はどういうふうになっておりますか。
○佐竹説明員 最近、沿岸国各国は入漁料を努めて高水準に引き上げている傾向があることは御指摘のとおりでございます。わが国といたしましては、各国との漁業交渉を通じまして、たとえば、アメリカ等におきましても昨年一気に三倍まで引き上げるというものを一・五倍に抑えるように努力しているわけでございます。今後とも引き続きそのような努力を続けてまいる所存でございますが、しかし、入漁料は本来、操業経費の一部といたしまして漁業者自身が負担すべきものであるというふうに考えておりますので、これを国が直接助成するということは考えておらないわけでございます。 ただ、ただいまお話のございましたような南太平洋諸国等につきましては入漁料が非常に割高である、それからまた、一括前払いであるというようなことを考慮いたしまして、入漁料支払いのための借入金に対する利子負担軽減措置等は講じておるところでございます。しかし、基本的な考え方は、先ほど申し上げましたようなことでございまして、極力、漁業交渉を通じまして入漁料の水準を経営的に負担可能な水準にとどめるように努力いたします一方で、また、漁特法等に基づく構造改善事業を通じまして漁業経営の体質を強化する、こういうような方向で対応していくことを考えておる次第でございます。
○神田委員 入漁料の問題は、たとえば、アメリカとの関係だけ見ましても、一九七七年ですからいまから六年前ですか、そのときから比べますと昨年で約四倍になっておりますね。しかもアメリカは、昨年は一昨年に比べて三倍を要求しているということでありますから、その要求自体は非常に途方もなく大きい要求になってきているわけであります。ですから、これをそこに出漁している漁船だけに払わせるということはなかなかむずかしい事態になってきていると思うので、現在は、まだ助成についてなかなか道がないということでありますが、これは、ちょっと政務次官どうでしょうか、研究課題としてこの入漁料に対する国家助成の問題も、ソビエトとの関係なんかやっているわけでありますから、ひとつ考えていただきたいと思うのでありますが、どうですか。
○玉沢政府委員 いまソビエトの例を出されたわけでございますが、ソビエトとアメリカの入漁料の問題とは若干性格が違うわけでございますので、同一的な形では検討はできないと思うわけでございますが、アメリカにつきましては、先ほど部長が申し上げましたような線で体質強化を図りながらこの問題に対応してまいりたい、こういうふうに存じます。
○神田委員 この問題は後でまた御質問を申し上げたいと思っておりまして、時間も参りましたので最後に、きのうときょうと二日間にわたりまして農畜産物輸入自由化の問題について討議をしました。問題の所在は明らかであります。現在、アメリカが要求するものをそのまま受け入れますれば、日本の農業は壊滅的な打撃を受けてしまうということでありますから、なお交渉の途中でありますが、農林水産省としては日本の農業を守る立場から、これをしっかりと受けとめて交渉に当たってもらいたい。 大体、戦争に負けまして食糧の体質がこんなふうに戦勝国の体質に変えさせられているというのは、世界的に見て非常に珍しいのですね。米食であったものが、その大部分といいますか何割か、非常に多くの部分がパン食に変えられていくような、あるいは食べ物自体もアメリカナイズされた形での物が普及しているという状況は、食糧文化の問題から見ましても、大変世界的に例のない状況であります。したがいまして、私どもはそのことがいいかどうかはこれから判断するのでありましょうが、少なくとも日本の国がアメリカの穀物市場、食糧市場にすべてなってしまうというような状況はきわめてゆゆしい問題でありますから、食糧の安全保障という立場からもひとつしっかりと日本の食糧政策を打ち立てていただきたい。最後に、政務次官の御決意を伺いたいと思います。
○玉沢政府委員 アメリカとの交渉におきまして、ただ、日本が二十二品目の自由化を拒否しているというような印象が内外に与えられておりますが、日米間の農民の利益というものを考えました場合に、無原則に二十二品目をそのまま自由化して、果たしてアメリカの農民の利益になるか。日本の農民の利益にならないだけではなくして、アメリカの農民の利益にもならないと私は考えます。たとえば、牛肉を自由化した場合には、二千万トンにわたる飼料穀物を輸入しておりますが、これの大半を日本が輸入しないということに相なるわけでございますから、そういたしますとアメリカの大多数の穀物生産農民には大変な打撃を与えるだろうと思うわけでございます。また、二十二品目にはアメリカの関心のない作物もあるわけでございまして、たとえば、日本人だけが食べておるコンニャクはアメリカの農民は一切生産しておらないわけでありますから、これは日本の農民だけが大変な損害をこうむるだけでありまして、アメリカの農民には何らプラスに相なることがない。ですから、余り目先の貿易の赤字を解消するということだけで、冷静な判断を失いましてこの問題の解決をしてはならない。この点につきましては、お互いにもっと冷静に相互理解、相互利益の増進という上において協議をいたしたい、こういうふうな形で臨んでまいりたいと思います。 また、食糧の安全保障におきましては、昨日の当委員会におけるそれぞれの参考人からの御意見がありましたが、特に印象的でありましたのは消費者代表として参りました神戸の妹尾参考人が食糧の安全保障という観点から、安い食糧というものを求めておるのかあるいは食糧には安全保障という立場のものを求めているかというアンケートに対しまして、ほぼ半数以上の主婦の方が、やはり食糧というものは安全保障の観点から考えてもらわなければならぬ、こういう回答を出しておる。これは、やはりわが国が戦後あのような大変困難な状況になりました際に、一億国民が大変な飢餓状態に陥った。これは国際情勢というものが変化した場合、あるいは不測の事態が生じた場合には、海外に食糧を仰いでおるという政策をとった場合におきましては、必ず日本が相当の困難に陥る、こういうことが自分の一生の問題としまして体験的に国民全体が考えておられる問題ではないかと思うわけでございますので、アルゼンチンとイギリスの紛争を見るまでもなく、あるいは一九七三年にアメリカ自身が日本に対してとりました大豆の禁輸措置というものを見ました場合におきましても、平穏無事な場合には安い食糧が安定的に供給されるかもしれませんが、国際情勢が変化をいたしまして大変な動乱になった場合におきましては、現在の食糧というものが二倍、三倍、四倍に上がるということは事実でございますし、高い金を払っても食糧が確保できないという問題もあるわけでございますので、ここは国民的なコンセンサスといたしまして、食糧の安全保障という観点からも、この自由化の問題に対しましてはしっかりとした決意でもって臨まなければならない、こういうふうに存じております。
○神田委員 終わります。
○戸井田委員長代理 次に、寺前巖君。 〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕
○寺前委員 かなりいろいろ御答弁をいただいておりますので、繰り返しのようなことになってもという気もしますが、ちょっと整理をさせていただくつもりで御質問をさせていただきますので、よろしく御協力のほどお願いしたいと思います。 私はまず第一点に、日米間の外交交渉の問題の姿勢をめぐって、幾つかの点について聞きたいと思います。四月十二、十三日の日米農産物に関する作業部会でアメリカが完全自由化を要求し、ガット協議への意向を提言した、先ほどからいろんな形で言われました。日本側が部会の続行を要請したにもかかわらずアメリカは終了宣言、いわば物別れになってしまったというふうに世間で報道されております。 ところで、この部会が行われることになったのは、三月の日米貿易小委員会でアメリカ側が設置を提案したもので、日本側は幾つかの留保条件をつけて設置に応じたというふうに言われております。これを部会の初日で、もう話し合う必要はないなどという高飛車な態度で臨んできたということは、いろんな解釈はあるにしても、アメリカも問題を提起しておき、日本側が一定の留保条件を明確にし、そしてそれを合意した上で持たれたものに対するあり方としては、まことに非礼な態度じゃないだろうか。私はそのことを強く感ずるわけです。一部の資料を読みますと、留保条件にこう書いてありました。作業部会云々について、日本側は日本の関心事項について発言する機会が確保されると理解しており、日本側の発言が封じられることはないという点に米側の異存がなければ作業部会に応ずる、こういうふうに言われたというふうに私は聞いているのですが、それは当然の条件だろうと思う。アメリカ側も同意する旨表明されたというふうに要旨に書いてあります。これは私が見た要旨なんですが、そういう事実はなかったんだと言うのかどうか。もしもそういう経過の上にあったんだと言うんだったら、この高飛車な態度で作業部会を終わらせたアメリカに対して、日本政府として非礼を抗議しなければいけないことになるんだと思うけれども、その抗議は一体どうされたのか、明確にひとつ御答弁をいただきたいと思います。
○佐野(宏)政府委員 ただいま寺前先生御指摘の経緯はこういうことでございます。 三月九日、十日の日米貿易小委員会の席上、アメリカ側が作業部会の設置を提案いたしました際、アメリカ側はその当時から、日本の輸入制限のガット上の合法性を議論するためにやるのであるということは言っておりました。それで、それに対して日本側は、作業部会の設置に合意するけれども、次のことは念を押しておきたいということで二つのことを申しました。 一つは、作業部会の設置に合意することが、アメリカ側の自由化要求に応ずる可能性がある徴候であると受け取ってもらっては困る。それから、むしろ日本側は、輸入制限存続のもとでも双方にとって受諾可能な解決を探求する道はあると考えているということを述べました。それが第一点でございます。 それから第二点は、作業部会の中で行う議論でありますが、わが方としてはわが方からいろいろ言いたいこともある。まず、わが国の農業及び農政の実情についても述べたいし、アメリカだって輸入制限をやっているではないかというような議論もしたい。あるいは日本の農産物市場というのは国際的に見て果たして閉ざされた市場というべきものであるかどうか、開放度を横に並べて議論をしてみたい。アメリカの農産物の輸出をどの程度邪魔しているかということについても議論をしてみたいということを申しました。それで、そういうことについての発言を邪魔するようなことはしないだろうねということは先生おっしゃったとおりでございます。 それで、十二日、十三日とやりましたが、確かにアメリカは日本側の発言を封ずるようなことは一切いたしませんで、当初、アメリカ側はアメリカ側の主張の議題だけを議題として掲げた議題案を提示してまいりました。それは話が違うではないかということで、日本側がこういうことを発言したいというふうに予告をしておりました事項を議題に加えるように申し入れました。アメリカ側もそれに応じまして、日本側主張の議題をむしろ先にやるというやり方をいたしました。 でございますから、そういう意味では、三月の九日、十日にわが方が発言をしたいというふうに述べたことを約束を破って三月の十二、十三日に発言を阻止されたという経緯はございません。ですから、そういう意味では、一回こっきりで作業部会をやめることにしてしまったということは残念には思っておりますが、話が違う、無礼だという感じは私は持っておりません。
○寺前委員 ところが、その後の経過もまた不可解だと私は言わざるを得ないと思うのです。いま局長さんは、話が違うじゃないかというところのほどのことじゃないとおっしゃったのですが、しかし、話はもう直ちにガットの協議へ持っていこうじゃないかということに進んだことは事実だ。わざわざ作業部会を設けようとまで言っておきながら、そこを詰めてやらないということ自身は、明らかに当初とった態度と違うんじゃないか。それで、ガットの協議にしようじゃないかということで、そうか、それならガットにいこうかという態度を日本側がとり出したら、今度は、第二弾の市場開放措置の中に農産物の自由化対策を打ち出すべきだという話で、第二弾の市場開放措置の問題の中に話を持ちかけてくる。それでさらに十六日には、ネルソン米通商代表部代表補が日本大使館に、先ほどから話になっておった六項目の提案という内容に話がまた変わっていく。ガットへ持っていくのか、話し合いでいきたいのか、一体何がまともな態度なんだ、だれが見たってこれはまともな運営のあり方として、日米間の交渉の態度としてすっきりしないものを感じざるを得ないんではないかと思うのです。 ガットで協議するというんだったら、客観的な資料をもとに冷静に協議して、日本側の言い分を堂々とそこでやるから、もうがたがた途中でとやかく言いなさんなと言うんだったら言うので日本側もすっきり対応したらどうなんだ。何かはっきりしない。向こうが言い出すと、またむにゃむにゃとこちらの話が出てくるということではぐあい悪いんじゃないか。ですから、ガットでやりたいと向こうが言ったんだから、私の方もそれじゃガットで準備しましょうということで腹を決めたらどうなんだ。私はそこのところがすっきりしないんで、はっきりとそこのところの話を聞かせていただきたい。
○佐野(宏)政府委員 作業部会終了後、アメリカ側から日本側に対していろいろな接触がございまして、その接触の仕方につきましては、私も率直に申しまして先生の感じとやや似通った感じを持っております。 と申しますのは、言いたいことがあるのなら、遠路はるばる私がワシントンへ行ったのでありますから、その際、私に向かって言えばいいのであって、私が帰った後、別のルートで変なことを言うというのは何事であるかという感じは私はしております。それで、この点は在米日本大使館からもSTRにきつく伝えてございます。せっかく遠路はるばる来た当事者に向かって言わずに、別のルートから言うというのは何事であるかということは在米日本大使館からきつく申してございますので、その点は先生のいまのお気持ちのとおりの対応をワシントンの大使館もいたしております。 それからガット提訴の問題につきましては、日本側の態度はきわめて明快でございまして、二十二条であれ二十三条であれ、ガットで協議をしたいということであればそれを受けるのは締約国の義務でございますから、日本はこれを当然受けるというつもりでおります。
○寺前委員 それで、ガットでやるのかやらないのかもまた向こうの態度がすっきりしない。それでまた、こっちももたもたいろいろなことで話が広がってくる。これはすっきりしないんで、はっきり向こうがガットでやりたいんだと言ったんだから、もうその話で外交的にはきちんとその位置を据えたんだから、据えた位置で対応したらどうなんだということが私の意見の一つです。 もう一つは、ところが、衆議院の決算委員会で総理が発言している内容がまた気になる。そういう事態にありながら、第二弾の市場開放措置でわが国としてはやれるものはやっていきたいというふうな、向こうがガットでやりたいということを言い出したのにもかかわらず、何かまた途端に違う話のところに乗っていくような発言をしているというのは、総理として不謹慎じゃないだろうか。四月十四日の田澤農林大臣と総理大臣の会談のことについて報道がなされていますが、その報道を見ると、ガットの紛争処理手続事項に問題をゆだねるという合意をしたということが出ているわけです。農林大臣との間にそういう合意ができているのに、何でまた十九日の衆議院の決算委員会で総理がこういう違う態度を打ち出すんだ。これは私は、不謹慎だと言わなければならない。あるいは日本の外交のあり方として、一体総理は何を考えているんだ。 その辺の問題について、実はきょうも昼に農林大臣に会いまして、そのときに、ある新聞のインタビューで田澤農林大臣は、ECを初め各国とも農業保護政策をとってい蚕レーガンはレーガンでミバエや牛肉やオレンジの問題、個別の問題ででも農業の問題について提起をしている、サッチャーはサッチャーでビスケットやチョコレートや言っている、ミッテランはミッテランでブランデーの問題を取り上げる、それぞれ自分の国の農業の保護政策について一国の総理大統領が見識を持って問題を提起しているのに、日本の総理大臣はこの件について外国の受け入れの話ばかりを云々している、これは一体どういうことなんだろうかという話を実は彼とやっておったわけです。というのは、彼がインタビューの中でそのことについて不満げにやっているからです。私はもっともだと思う。 だから、先ほどからの、向こうがガットに持ち込みたいと言って以後の日本の総理大臣のとっている態度というのは、私は不見識だと思うのだけれども、一体こういうような態度で日米間の交渉に臨むことができるんだろうか。これは局長さんに聞くのは悪いかな。悪くなかったらひとつ発言してください。
○佐野(宏)政府委員 私は、これからどういうことになりますか、今後の対処の仕方を考えるに当たりまして、いま先生が言及なさいました決算委員会での総理の御答弁によって、今後、私どもの対米折衝がやりにくくなるという感じは毛頭持っておりません。
○寺前委員 まあ局長さんにすれば、そうでも言わなければしようがないだろうと私も考えますけれども、これは政務次官は腹にすえかねますか。いや、それはしようがないなとあなたも同じような調子ですか。言うことがあったら言うてください。
○玉沢政府委員 総理の発言を見ましても、確定的、断定的なことは言っておらないと思うわけでございまして、政府部内におきましては統一的な姿勢をこれからつくる、こういうことだと思いますので、その中の一つの過程ではないかと思います。
○寺前委員 それこそすっきりしない。ガットでやりたいというのに、それじゃガットで受けて立ちましょうと合意を農林大臣との間にやったんだから、やった以上は、そのやったとおりにやりますよと、何で決算委員会で堂々とそういうふうに言えないんだ。私は、そういう態度では、これから外交にきちっと自主性を持って日本の仕事をすることはできないと言わざるを得ないと思いますので、あえて聞いてみたところです。
○佐野(宏)政府委員 ちょっといまの点で一言補足をさせていただきます。 日米貿易小委員会あるいは作業部会、いずれの段階におきましても、日本側として、本件をガット上の紛争処理手続に従って処理をしたいということを申し述べたことは一遍もないわけでございまして、アメリカがそうであれば、日本は締約国だからということでございます。したがいまして、もしアメリカ側が、ガット上の紛争処理手続以外の、ガットの特定の条文を引き合いに出さない話し合いで事態を解決したいというふうに考え直すことがあるといたしますれば、それは、考え直すのはけしからぬと言うべき筋合いのものではないわけでございまして、その点はひとつ御了解をいただきたいと思います。
○寺前委員 それで、考え直したい、ガットのことをこの前言いまして皆さんにお帰り願ったけれども、まことに失礼でございましたと言いに来たのかどうか。別に言いにも来ていないのに、こちらが想像してやることは一つもない。だからだらしない、私はそう言っている。 これは総理の話ですから、局長さんにもうこれ以上言ったって始まらぬ話だと思いますから、ぜひ総理にここへ来てもらって、外交の姿勢の問題、日本農業の問題として一回詰めてみたいというふうに私は思っているわけです。 そこで次に、アメリカが日本の輸入制限に対して、日本が閉鎖的であると言わんばかりにいろいろな攻撃をしてきている、この問題について、私は、余りにもアメリカは身勝手過ぎるということを思っているわけです。この件について幾つか聞いてみたいと思うのです。 これもすでに出た話ですけれども、国際競争力の弱い部門である酪農や食肉など十六品目にアメリカは輸入制限を行っている。特に、ガットの義務免除、いわゆるウエーバー品目が十三品目もある。私は、この際に、ガットの歴史にさかのぼって調べてみたわけですが、これは特権的地位であるというふうに言わざるを得ないわけです。第一に、このウエーバーは十三品目に限定されるものではなくして、アメリカの農業調整法二十二条に基づいて、アメリカが必要と認める輸入制限のすべてに適用される包括的ウエーバーであって、対象を限定していない。しかも、農業調整法二十二条は、「過去あるいは将来において米国が参画する貿易協定またはその他の国際とりきめについては、本条の適用外とする」つまり、アメリカの国内法が国際条約の拘束を受けないとするものであって、アメリカが必要と認めれば自動的にガットの義務免除になるという非常に好都合なものを持っている。これはずいぶん厚かましいものだなというふうに、私は見直してみてつくづく思うわけです。第二に、しかもこのウエーバーは無期限に認められている。第三に、ウエーバーの承認はガット加盟国の二分の一以上、総会出席国の三分の二以上の賛成が必要だが、アメリカが承認をとった一九五五年三月の時点では、加盟三十三カ国中、ガット十一条国はアメリカとカナダの二カ国だ、あとはすべて十二条国であって、輸入制限をしていたという事情のもとにあった。 だから、こういう事情のもとに永久権として承認されたものだ、どこから考えても、今日の時代に見たときに、こんなものは前時代の遺物だ。だから、そんな遺物を厚かましく天下御免で使っているということ自身が、それこそ国際的な礼儀の立場から見ても友好の立場から見てもどうかと思うという問題をまず第一点指摘をしたいと思うのです。 一九五五年三月の総会では、対象無制限、無期限、しかも国内法を国際法の上に置くという乱暴なやり方に強い反対があった。そこで、総会の決定でもわざわざ、アメリカが、ある場合には、多数の締約国の貿易に不利な影響を与え、アメリカが与えた譲許の価値を減じ、この結果ガットの目的の達成を阻害することになる輸入制限を継続して行わざるを得なくなったことを遺憾とするものであることを宣言するという批判がその総会でなされています。 日米貿易小委員会でハマー農務次官代理は、日本の輸入割り当てでは、ガットの制度、精神に触れるということを批判しているようですけれども、アメリカのウエーバーも、ガット総会の宣言の立場から見ても、ガットの目的の達成を阻害するものではないだろうか。この点、アメリカ側に対して日本の見解として、さっきも言ったように、前時代的なものを持っておって、しかもアメリカの問題提起というのは、ガットの目的の達成を阻害するという性格のものだということをアメリカ側に強く批判をしなければいけないんじゃないだろうか。その点についてどのように批判をされたのか。そして、それに対して、アメリカの居直りというのか、アメリカの反論というのか、それはどういうものだったのか、率直に聞きたいと思います。
○佐野(宏)政府委員 まず、アメリカが取得しておりますウエーバーが、農事調整法二十二条を発動する限りは、品目無限定である、期限も無限定であるというのは先生御指摘のとおりでありまして、アメリカがウエーバーを取得したのは、ガットにかかわっている人たちの間では、一般に歴史的偶然であると言われておりまして、何ら正当性を持つものではないというふうに一般に認められております。それで、この点は日本側も機会あるごとに指摘しているところでございまして、この問題について最近、まず日本側が触れましたのは、昨年の十二月、日米貿易小委員会の席上、アメリカ側が三月に行いましたのと同様の日本の輸入制限に関する作業部会を設置したいという提案をいたしました際、直ちに外務省の深田経済局長からアメリカのウエーバーの例を挙げて、アメリカは大きな口をきけた義理かという話をまずいたしました。それから、今回の作業部会の席上におきましても、アメリカが取得しておりますウエーバーというのがいかに理不尽なものであって、そういうものを棚上げにして日本の輸入制限をいたけだかに攻撃するというのは道理に合わないし、公正な態度ではないということを強く主張いたしました。さらに、その際、これは決してわれわれ日本人だけの意見ではなくて、アメリカの有職者にも同様の考え方を持っている者がいるということを指摘いたしまして、昨年十月、下院歳入委員会の貿易小委員会の公聴会が行われました際、当のギボンズ小委員長自体が、アメリカの輸入制限が、アメリカが貿易上のパートナーに対して自由貿易の説教をする際迫力に欠ける原因になっているということを指摘し、ブロック農務長官もこれを認めているという事実があるということにも言及をいたしました。ただ、アメリカ側の反応は、ともかくもらったものはもらったものだということでございました。
○寺前委員 大体アメリカの態度はいまわかりました。 先ほどからも出ていますけれども、アメリカは日本の残存輸入制限について云々するけれども、ウエーバーという形でやっていることは、日本と大差ないことがもっと厚かましくやられている。それからECも、フランスの場合十九品目にわたる農産物の残存輸入制限のほかに、穀物、砂糖、畜産物、果実、野菜など、ほとんどの品目について輸入の課徴金制度をやっている。こういうふうに見てくると、国境保護というのは事実上国際的な常識になっているのじゃないか。ですから、そういうものはとやかく言うべき性格のものじゃないんだということをはっきり基本姿勢として確立しておく必要があると私は思うのですが、国際的常識として理解していいんじゃないでしょうか。
○佐野(宏)政府委員 先般の作業部会で、日本の輸入制限のガット上の合法性という議題のわが国側の冒頭発言で、いままさに寺前先生がおっしゃったような、ほとんどそっくりの趣旨のことを申しました。
○寺前委員 そこで、三十五年来ガットの歴史の中で調整がつかなかったものを、農産物の貿易問題を、サミット前に、あたかも対策を組まなければならぬような、あわてた措置というようなことは、胸を張って堂々と、そんな必要はないというふうに、ぴちっと乗り越えていくという気魄が要るんじゃないだろうか。政務次官、どうです。
○玉沢政府委員 ガットは自由貿易が一つの基本精神でありますが、農産物につきましては、先生が御指摘のとおりに、十一条とか二十条とかいろいろな制限の条項もございます。したがいまして、農産物についてはそれぞれ各国の事情というようなものがあるわけでございますので、これにつきましては、アメリカがたとえばガットで協議をしたい、こういうことでありますならば、日本の立場を堂々と国際場裏におきまして主張する、こういう姿勢が最も大切である、このように考えます。
○寺前委員 日経新聞をこの間見ていましたら、ドンケルというガットの事務局長が、ガットのルールを一〇〇%完全に遵守している国はないということを発言していました。そこで、交渉に行かれたわけですが、そういうわれわれの先ほどからの態度、皆さんの態度で向こうに行かれたわけですが、たとえば、温州ミカンの話がきのうの参考人の発言の中にありました。これは、二割の生産調整をやっている、減反をやって、他に転換をさせていっている、ハウスミカンをやったり、あるいは他のものにやっていくから、六月から八月の端境期はもう少し入るじゃないかという問題を提起されたけれども、実際はそういう状況にわれわれはないんだという話をきのうやっておられたわけです。ですから、こういうような、ずいぶんいろいろな資料をお持ちになって、そして向こうに行かれたわけですけれども、こういう具体的な、たとえば、ミカンだったらミカン一つをとってみても、実はこういうふうに苦労しているんだという話を生にやる機会にはならなかったですか。こういう話はやったのですか。どうなんですか。
○佐野(宏)政府委員 率直に申しまして、十一条二項を援用する議論をするためには、品目別の生産調整のやり方の実態を詳しく説明する必要があるわけでありますが、そこは必ずしも十分意を尽くせたというふうには思っておりません。ただ、先方も、その点は必ずしも十分には聞けなかったということは承知しておりまして、後刻外交ルートを通じて資料を欲しいというふうに申しております。
○寺前委員 時間の都合もありますので、もう少しそういう内容について深く聞きたいのですが、ちょっと、きのうの参考人の発言の中で非常に重要だなと思った問題は、先ほど政務次官は安全の問題について発言をしておられましたが、あのおっしゃった安全と違って、安全保障の安全じゃなくて、安全性の食品としての問題の安全の問題について妹尾参考人が発言をしておられました。私は、こういう問題について自由化が不安を助長する内容として非常に重要だと思うので、ちょっと農水省の見解を聞きたいと思うのですよ。要するに、日本で添加物が畜産の関係で残留として残ってはぐあい悪いのだということの結果から、幾つかのものについて禁止をさしているという事実があるのですね。日本で禁止をしておって外国で禁止をしていない、自由化をするならばそれが野放しになってくると、せっかく安全性を確保するために手を打ってきたものがつぶれる。ですから、日本の自主性の立場からこの問題については今日まで到達した点を崩さないようにしてほしいというのが、その参考人の発言の中心的な意見であったと思うのです。この問題について特に、外国畜産物との関係において問題になっておりますので、どういう対応をしようとしておられるのか、御説明をいただきたいと思うのです。
○石川(弘)政府委員 御指摘のように、飼料添加物につきましては、わが国では飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律によりまして、必要最小限度のものを添加させるということで、御承知の飼料の品質低下を防止する抗酸剤のようなものとかあるいは飼料の栄養分の補給という意味でビタミン、ミネラル、アミノ酸といったもの、それから、若干飼料の含有している栄養成分の有効利用という形から抗菌性物資というようなものを認めているわけでございますが、考え方は、あくまで必要最小限度のものを添加するという考え方でございます。 アメリカ等の場合に、この飼料添加につきましては、どちらかと申しますとそれが安全性が確認をされるということと、有効であるという二つの要素があれば、別に必要最小限度というような意味ではなくて飼料添加を認めておりますので、わが国の飼料添加物との間に若干の差がありますことは、御指摘のとおりでございます。 そういう形でつくられました畜産物が日本に輸入されます際は、これは先生御承知のように、食品衛生法によりまして肉だとかそういう品物の中に食品衛生法で禁止をされていますようなものが残っていないということが、いわゆる食品衛生法上の立場からチェックをされているわけでございます。御承知のように、全国にあります港湾とかあるいは空港にございます食品のチェックをいたします厚生省の機関におきまして、随時抜き取り検査等もやるわけでございますが、そういういろいろな問題もございまして、昨年の秋にいわば輸入をしてきます肉類等について、自主的ではございますが一斉のチェックをいたしましたことがございました。この際には、別段食品衛生法にひっかかるようなものは出てこなかったようでございますが、今後も厚生省とも十分連絡をとりまして、食品衛生法上のチェックはきちっとやっていかなければならないと考えております。
○寺前委員 中央畜産会が五十年に調査した資料によると、日本で禁止している添加物がアメリカで三十一、台湾で十三、ニュージーランドで十二、豪州で十、タイで七、デンマークで四といったように数多く使用されている。ところが、日本の水際作戦として十六の港を対象に検疫作業をやる、その担当者は五十六人だ。ですから、自由化によって大量に入ってくるときになってくると、これは大変なことになるということで、非常に自由化に対する不安を助長する内容として、きのう消費者団体の方から問題が提起されておっただけに、私は自由化によって日本の地域産業に与える影響とか産業に与える影響とかあるいは日本の独立にまで、食糧攻めに遭ったときには、重大な影響を与えるという性格の一つの問題として、添加物問題とかこの種の問題については、十分に研究をされる必要のある性格のものだということを提起しておきたいと思います。 時間が終わりに近づきましたのであれですが、ブロック米農務長官が二月末に訪米した江崎代表団に対して、米を買ってもらいたいという問題を提起されたというのが一部の新聞に流れておりました。牛肉からオレンジから、そういう分野から入り出した自由化への道というのは、最終的には、やはり米とか小麦とかそういう分野にまで話は発展するという性格を持っていると思うのです。そういう点でアメリカの側が米を買ってもらいたいという問題を提起しているということについて、そういう事実があるのかどうか、農水省としてはどう見ているのか。それから、こういう問題に対してはどう対応するのか。 自由化は、いよいよ日本の食管制度そのものまでが邪魔になるという問題提起をしてきているという事実も、小麦の場合に上院のプレスラー議員が相互主義法案を提出した後の記者会見で、そういう問題を提起しているわけですね。ですから、全面的にそういうところまでこの問題は発展してくる問題なんだというふうにとらえる必要があると思う。そこで、事実と、そういう食管制度の中にまで妨害だという問題提起をしてくる問題に対してどういうふうにこれを見ておられるのか、その点についての意見を聞きたいと思います。
○渡邊(五)政府委員 まずいわゆる江崎ミッションが本年二月の二十三日にブロック農務長官を訪問した際の長官の発言でございますが、日本がもっと米国農産物を買ってほしいという話の中で、米も買ってくれればありがたいというふうに述べたというふうに聞いております。 農林水産省といたしまして、これまでも米国の農務省との農産物定期会合等の場で、わが国の農業なり農政におきます米の重要性につきましては繰り返し十分説明してきております。米国側も米がわが国農業にとっての基幹的作物であり、最もセンシティブな作物であることはよく承知していると思います。こうしたことから、今回のブロック長官の発言は、最近の米国の稲作なり米の市況を背景にした発言ではないかと思います。 すなわち、アメリカの昨年の米の生産が約八百四十万トンと史上最高でございまして、世界的にも米の生産が記録的なものになっております。価格も昨年の六、七月ごろトン当たり約十一万円ぐらいでございましたのが、この四月ぐらいでは、これはタイの精米FOB価格でございますが、四月現在で七万円ぐらいまで下がってきております。そうした意味で、輸出もはかばかしくいっていないという事情を背景として希望を述べたものと推測いたしております。本気になって対日輸出を要請したものとは私ども承知いたしておりませんが、いずれにいたしましても、先ほど申しましたように、米がわが国農業の基幹的作物であることは、いまさら言うまでもないことでございます。私ども農林水産省といたしましても、自給できるものは自給していくという基本的な考え方に立ちまして、米国の要請は受け入れることはできない、このように対処する考えでございます。 なお、小麦につきましての再販価格の問題につきまして、過去に発言がございましたことは事実ありますけれども、私ども、これは食管制度の国内におきます農政の問題でございますので、国内のこうした政策は、私どもの食管制度の基本の上で実施していく問題でございます。他国からいろいろ言われるべき筋合いのものとは考えておりません。
○寺前委員 時間が来ましたので、終わります。
○羽田委員長 寺前君の質疑はこれで終わります。 ————◇—————
○羽田委員長 ただいま加藤紘一君外六名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合の共同提案による農畜水産物の輸入自由化反対に関する件について決議されたいとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を求めます。渡辺省一君。
○渡辺(省)委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合を代表して、農畜水産物の輸入自由化反対に関する件(案)につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。 まず、案文を朗読いたします。 農畜水産物の輸入自由化反対に関する件(案) 最近の我が国農業は、大規模な米の生産調整をはじめ、みかん、乳製品等の需給の不均衡、農畜産物価格の低迷に加え二年連続の冷害等によりまさに危機的な事態に直面している。 また、漁業においても諸外国による漁業規制の強化、燃油価格の高騰等に伴い、遠洋・沖合漁業の危機的状況と併せ経営基盤が脆弱である沿岸・中小漁業の再建について厳しい対応を迫られている。 かかる困難な時期にあつて、貿易摩擦に対処するため米国等から牛肉、オレンジを始めとする残存輸入制限品目の完全自由化等が一層強く要請されているが、すでに大量の外国農畜水産物が輸入されている状況の下で、これを軽々に受け入れることは、我が国農業・漁業に壊滅的な打撃を与えること必至である。 よつて政府は、貿易摩擦の処理にあたつては、我が国の農業・漁業をとりまく厳しい状況について諸外国の十分な認識を得るよう一層努め、残存輸入制限品目の自由化及び輸入枠の拡大等については、農業者・漁業者が犠牲となることのないよう対処すべきである。 同時に、食糧自給力強化に関する国会の決議に則し、その実現を図るため我が国農業・漁業の体質強化、再編整備を急ぐべきである。 右決議する。 本問題につきましては、昨日の参考人からの意見聴取及び参考人に対する質疑並びに本日の政府に対する質疑において、広く論議されたところであります。 御承知のとおり、最近のわが国農業をめぐる諸情勢を見ますと、農産物の輸入は年々増大の一途をたどり、一九八〇年の輸入金額は百七十六億ドルにも達し、わが国は世界第一位の農産物輸入国となったのであります。その結果、穀物自給率は三三%という、先進国では最低水準を示しております。 このような中で、基幹的生産物である米、ミカン、牛乳等は構造的な需給の不均衡問題に直面しており、現在、第二期の水田利用再編対策が進められており、また、温州ミカン、生乳等についても、農業団体が中心となって自主的な生産調整を行っているのであります。加えて、農畜産物価格は低迷を続け、さらに東北、北海道を中心とする二年連続の冷害により、農業経営は危機的な事態に直面しているのが現状であります。 また、漁業におきましても、現在、九十カ国の沿岸国が二百海里水域を設定し、漁業規制の強化、入漁料の引き上げ等、年々厳しさを増すとともに、漁業用燃油価格の高騰、魚価の低迷等により、遠洋、沖合い漁業は危機的な状況にあり、経営基盤の脆弱な沿岸中小漁業は一部減船を余儀なくされているなど、その再建について厳しい対応を迫られているのであります。 このような事態の中で、昨年来貿易摩擦の問題が再燃し、特に最近、米国、EC等の諸国は、自国のインフレ、失業、貿易赤字の増大を背景として、わが国に対し、関税引き下げ、非関税障壁の撤廃、残存輸入制限品目の自由化等、市場の開放を求める声を一段と高めてまいりましたが、特に、農畜水産物に対する市場開放要求はさらに日を追って強まり、今日、農漁民の不安、動揺はその極に達しているのであります。 他方、世界の食糧事情は、FAO等が二〇〇〇年の農業を展望しておりますように、人口の増加に農業生産が追いつかず、数億に達する世界の飢餓人口を解消するどころか、むしろ増加するとさえ言われており、各国にとって食糧問題が重大かつ緊急の政策課題になっているのであります。 このような中にあって、国民の食糧安全保障に対する関心は高く、一昨年四月衆議院において、食糧の自給力強化に関する決議を全会一致で行い、食糧自給の基本的姿勢を内外に表明するなど、農林水産業の体質改善と生産の再編成に取り組む農政が推進されているのであります。 かかる困難な時期にあって、貿易摩擦に対処するため、米国等からの牛肉、オレンジを初めとする残存輸入制限品目の完全自由化等の要請を軽々に受け入れることは、わが国農業、漁業に壊滅的な打撃を与えることは必至であると考えるのであります。 よって、政府は、貿易摩擦の処理に当たっては、わが国の農業、漁業を取り巻く厳しい状況について、諸外国の十分な認識を得るよう一層努め、残存輸入制限品目の自由化及び輸入枠の拡大等については、農業者、漁業者が犠牲となることのないよう慎重に対処すべきであると考えるのであります。 以上が、本件の提案の趣旨であります。 何とぞ全員の御賛同を賜わりますようお願い申し上げます。(拍手)
○羽田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 本動議に対し別に発言の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 加藤紘一君外六名提出の動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○羽田委員長 起立総員。よって、本動議のごとく決しました。 この際、ただいまの決議につきまして、田澤農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田澤農林水産大臣。
○田澤国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従い、今後鋭意努力をいたしてまいります。
○羽田委員長 ただいまの決議について、議長に対する報告及び関係当局への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○羽田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○羽田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 農業協同組合法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出頭を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○羽田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、参考人の人選、出頭日時及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○羽田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次回は、来る二十七日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時一分散会