農林水産委員会 第14号
- 発言数
- 241 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1982/04/14
会議録
○羽田委員長 これより会議を開きます。 農用地開発公団法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本案審査のため、本員農用地開発公団理事長大和田啓氣君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○羽田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○羽田委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岸田文武君。
○岸田委員 まず冒頭に、世界の食糧需給の将来をどう認識するか、こういう点からお尋ねをさしていただきたいと思うわけでございます。 これから先、長期にわたる世界の食糧需給の見通し、これにつきましては、各般の調査がすでに発表されておるところでございますが、その中で米国政府の発表しました「二〇〇〇年の地球」、この本を私、読みまして、この中で農業に関して三つの重大な指摘を行っておるように感ぜられるわけでございます。 それは第一には、一人当たりの穀物生産量、これは二〇〇〇年までに約一五%伸びるであろう。ただその中で、発展途上国のかなりの国についてはほとんど横ばい状況、中にはかなりの低下が予想される、こういうような指摘が第一点でございます。それから第二点としましては、栄養不足人口について触れております。世界の人口の中で栄養不足状況にある者、これが現在約五億人である。ところが二〇〇〇年になりますと、この五億人が十三億人にふえていくのではないか、こういう点が第二点に指摘し得るのではないかと考えられます。さらにまた、第三点でございますが、二〇〇〇年までに耕地の面積がどのくらいふえるかということにつきまして、この報告によりますと、この間全体として四%しかふえていかない。そのことの結果でもございますが、一ヘクタール当たりの扶養人口、現在二・六人でございますものが四人ぐらいまでふえていかなければならないだろう、こんなことを報告の主なポイントとして私読み取ったわけでございます。 これは一つの報告でございまして、この見方については多分に悲観的に過ぎるというような意見もあろうかと思いますが、私は、このこと自体の中にかなり重要な問題を暗示しておるのではないか、こう感ずる次第でございます。 そこで、まずもって農林省にお伺いをいたしたいと思います。発展途上国の問題は追って次にお伺いしますが、まず、世界全体をとらえまして食糧需給の将来についてどういう展望を持っておるのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○角道政府委員 お答え申し上げます。 ただいま岸田先生からアメリカ政府の発表にかかわります「二〇〇〇年の地球」についての御紹介があったわけでございます。私どもも、農政審議会におきまして今後の食糧安全保障問題を検討いたします過程におきまして、世界の食糧需給というものにつきまして農林省独自のモデルで検討いたしたわけでございますが、この結果も、大体におきまして「二〇〇〇年の地球」というものにあらわれました需給の方向と傾向としては同じでございまして、今後二〇〇〇年にかけましては、中長期的には食糧需給は楽観を許さないというような方向になっております。 また、発展途上国につきまして見た場合におきましても同様、人口増加あるいは畜産物消費の増大、耕地制約の強まりという点から、やはり需給の逼迫傾向というのは非常に顕在化してまいりまして、特に、先進国に対しまして輸入依存という程度をさらに強めるのではないかというような結論も持っております。
○岸田委員 いまのお答えの中で、私が心配しております発展途上国につきましてもかなり問題が深刻である、しかも、将来にわたって見ましたときに、需給の逼迫の度合いはこれからさらに強まっていくであろう、こういうことが農林省自体の調査でもうかがわれるということでございまして、私同様、農林省としてもいろいろ問題を当然お感じになっておられるはずであろう、こう思うわけでございます。 私はかねがね、日本が世界に貢献する道は何だろうかということを考えてまいりますときに、日本は経済的に恵まれた国である、この恵まれた地位を活用して経済協力の面から世界の経済の発展に寄与する、このことが日本のためだけではなくて世界のためにも喜んでいただける道である、経済協力の問題はぜひこれからしっかりやっていかなくてはならない、こう考えておったところでございます。しかも私、数字をいろいろ見てまいりますと、ここ数年日本の経済協力に対する力の入れ方というものはかなりのものであるということが言えると思います。かつてはGNPに対する比率におきましても、どうも世界の先進国の中でまことにお恥ずかしい状況にあった、このことも事実でございますが、いまはまあまあ人並みに近いところまではやってきたのではないか、そのこと自体は喜ばしいことでございますし、これからもがんばっていかなくてはならない、こう考えておるわけでございます。 ただ、このような経済協力全般の問題の中で、特に、農業協力の問題を重視しなければならない。実は先ほど、世界の食糧需給についていろいろお尋ねをいたしましたのも、これからの経済協力の中で農業協力を重視しなければならないということはいわば世界的な課題ではないか、私はそう感ずるわけでございます。そして、こうした世界的な課題であるということだけではなくて、日本にとっても農業協力というものは非常に大きな意味を持っておる。このことも、先ほど申し上げました「二〇〇〇年の地球」、アメリカ政府の発表しました報告の中でいろいろの数字を見ておりますと痛感をさせられるわけでございます。あの調査を見ますと、一般的に先進国におきましては需給状況は改善をすることが予想されておるように読み取れるわけでございますが、その先進国の中で日本をとってみますと、生産は若干伸びる、しかしながらその若干の伸びをはるかに上回る消費の伸びが予想されることによって需給は一層不均衡が拡大するということが報告をされておるわけでございます。 こうなってまいりますと、食糧に関する経済協力は、単に世界的な課題であるというだけではなくて、日本としても真剣に取り組んでいかなければならない課題である。何となれば、やはり世界の需給の緩和に貢献をする、そして食糧の安定供給のための一つの足がかりを得る、こういった意味で、日本にとって農業協力を大いに進めていかなければならない一つの大きな要素がそこにひそんでおるということを感ずるわけでございます。 以上私の所見を申し上げたわけでございますが、ここでひとつ農林省にお伺いいたしたいと思います。 海外経済協力において、農業協力を重点的に推し進めていこうという決意のほどを農林省としてどういうふうにお考えになっておられるのか、お聞かせをいただきたいと思うわけでございます。
○塚田説明員 お答えいたします。 ただいま先生から御指摘いただきましたように、開発途上国におきましては、その国民の約七割が農村住民であるというようにその多くが農業国でございます。したがいまして、これらの国にとりまして経済の発展なり民生の向上を図るためには、まずもって国づくりの基礎であります農業の振興、農村の開発を図ることが重要であるとの認識が高まってきており、経済協力の中でも農業の分野におけるわが国への協力要請が高まってきているところでございます。 また、食糧の増産、これはお話にありましたように、飢えた人々が非常に多数いるというように、現実の問題としても重要でございますけれども、長期的に見ても世界的な重要課題となっております。なかんずく、食糧不足に悩みます開発途上国におきましては、まず、食糧増産を行うことが緊急の課題でございまして、このことは、世界の食糧需給の安定を通じてわが国をめぐる食糧の国際環境の安定にも長期的には寄与するという点で、わが国の食糧供給の安定確保にとっても重要であるというふうに考えております。したがいまして、農林水産省といたしましては、今後とも開発途上国の要請に応じ、真に相手国のニーズにこたえるような各般の農業協力を積極的に推進していく考えでございます。
○岸田委員 ぜひしっかりやっていただきたいと思います。 いまのお答えに関連をして若干お尋ねをしておきたいと思うわけでございます。大いに日本も農業協力について力を入れておるということでございますが、先進国の中で日本もがんばっているのだということを示すような何か具体的な資料がもしありましたら、お示しをいただきたいと思います。
○塚田説明員 お答えいたします。 先ほど申しましたように、わが国といたしまして農業協力の推進に大いに努力しているところでございますが、その状況を、DAC諸国の中でどのような位置を占めているかという角度から御説明申し上げますと、次のようになるわけでございます。 わが国の二国間の政府開発援助のうち、農業食糧援助の占める割合をDAC諸国の一九七九年のものと比較いたしますと、約束ベースで見まして、日本は二三・四%であるのに対しまして、DAC諸国平均は二〇・四%というふうになっております。これはDAC諸国の中で第五位の比率でございます。なお、一九八〇年の日本の農業食糧援助のシェアは約一八%となっております。また、一九七九年の二国間政府開発援助のDAC諸国合計約四十五億ドルに対しまして、日本は約六億ドル、一三%のシェアとなっております。
○岸田委員 いまの数字を伺っておりまして、恐らく一般の方々は、日本の経済協力というのは工業製品が中心である、農業には余り手が回ってないんじゃないかというような印象をお持ちになっておられる方が多いように感ずるわけでございますが、実際はそうではなくて、農業の面でもかなりの力を入れられておる。日本もがんばってやっているのだということが理解できたような気がするわけでございます。 そこで、続けてお伺いしたいことでございますが、それでは発展途上国が日本の経済協力に期待する分野というものはどういう分野なんだろうか。逆に言いますと、日本が得意とする分野というものはどういう分野なんだろうか。農業協力の中でひとつ具体的にお示しをいただきたいと思います。
○塚田説明員 お答えいたします。 わが国は、五年間で政府開発援助を倍増以上とするという中期目標を設定しているところでございます。その中で、先ほども申し上げましたように、開発途上国に対する食糧農業開発に対する協力を重点分野として推進しているところでございますが、開発途上国からの農業協力に対する要請を具体的に見ますと、近年は、稲作のほか畜産、林業、水産業など多岐にわたっております。また、生産面のみならず、農産物の加工あるいは処理あるいはまた農民組織など、奥行きの深いものにも及んできております。このように農業協力は次第に広範多岐にわたってきているわけでございますけれども、わが国の農業が、御案内のようにアジアモンスーン地帯での長い稲作の歴史を有するものでありますことから、技術の蓄積や専門家の価値という面で見ますと、やはり稲作と灌漑技術の分野が最も得意な分野であろうというふうに考えております。
○岸田委員 稲作については長い経験も持ち、技術的に練りに練ったものを持っておられるわけですから、当然であろうと思います。そのことから結果としては、数字にも明らかなように、日本の農業協力というものはアジアが圧倒的に重点になっておるという結果が読み取れるわけでございますが、私考えますのに、アジアも大事でございましょうが、これからはもっともっとほかの地域への農業協力というものに真剣に取り組んでいかなければならないし、また、そういうほかの国、世界各国からの農業協力の要請が日本へ舞い込むほどの力をつけていくということが大事なんではないかなという気がするわけでございます。こういった点についてひとつ御意見を聞かせていただきたいと思います。
○塚田説明員 お答えいたします。 わが国の農業協力は、先生いま御指摘のとおり、何といってもアジアが中心になってきておりまして、近年は中南米なり大洋州、アフリカ等からの要請も次第に増加しつつある状況にございます。そういう意味で、協力の対象地域も徐々に拡大してきているわけでございますけれども、そのように拡大していく場合、わが国の農業と共通性の薄い乾燥地帯の農業をどうするかというようなことがございます。その場合に、特に、人材の不足というような問題もありまして、私どもはこのための対策として、海外研修等によりまして専門家の育成に努めているところでございます。私どもとしましても、何はともあれこうした技術者の養成が大事でございますので、こうした措置によりまして、今後ともできる限り広く要請にこたえられるように努力していきたいと考えております。
○岸田委員 そこで、法案の内容に入らしていただきたいと思います。 今回の改正は、農用地開発公団に対しまして、従来の国内業務に加えて発展途上国に関する農業開発の調査、こういった仕事を新たに加えようということでございまして、方向自体は、いままで申し上げました各般の議論から出てまいりますように必要な方向であり正しい方向である、こう考えておるわけでございます。 ただ、運用につきまして、いろいろまた考えなければならない問題があるように思いますので、以下若干の点についてお尋ねをさせていただきたいと思います。 まず、第一点でございますが、農業協力の中で農業開発協力、これの占める役割りについてお尋ねをいたします。
○森実政府委員 お答え申し上げます。 最近、農業協力の中で農業開発協力に対する要請が大変ふえてきております。件数だけで申しましても、この数年間に二倍から三倍になっているという姿がございます。これは一つは、発展途上国自体の地域開発の投資がようやく農業に大きく重点を向けられるようになったという背景と、それからもう一つは、耕種技術の改良というものだけではやはり農業生産の増大が有効に作動しない。そういう意味においては、農業開発を通じて耕種技術も有効な成果をおさめることができる、こういった状況が背景になっていると考えられるわけでございます。 具体的には、大規模な灌漑施設の整備、それから湿地帯等の排水改良、それからさらに先ほど先生からも御指摘のありました農用地の確保という視点での農用地の開発等、多角的な内容を持っております。
○岸田委員 そこで、ひとつ大臣にお尋ねいたしたいわけでございますが、従来はこういう農業開発に関する調査、国際協力事業団から民間のコンサルタントを通じて実施してきた。今回、農用地開発公団が乗り出していこうということになった。この発想の転換の背景なり基本的な考え方をひとつ大臣からお伺いいたしておきたいと存じます。
○田澤国務大臣 先ほど来御指摘のように、中長期的に見て世界の食糧の需給というのは非常に不安定でございます。そういう背景でございましょう、いわゆる開発途上国は最近とみに食糧の増産と農業振興というものが大きな課題になっておるのでございまして、したがいまして、農業開発協力の要請というものは、質的にも量的にも非常に拡大されているわけでございます。したがいまして、政府開発援助の積極的な拡充を図るという意味から、農村あるいは農業開発を経済協力の重点分野の一つに方針を決めたということでございます。そこで、公的機関によるいわゆる組織的な形で要請にこたえていこうということなのでございまして、そのために、今回の法改正によりまして農業の新しい開発を進めていこうというのが新しい方向でございます。
○岸田委員 そのこと自体は大いに期待をいたしておるわけでございますが、ただ、そういうことになりますと、従来、民間コンサルタントを使ってやってきた。そしてまた、恐らくこれからも使ってやる分野がいろいろあるかと思うわけでございます。その場合に、民間コンサルタントとそれから農用地公団、この二つの分野調整の問題が出てくるのではないか、この辺の線の引き方なり運用なり考え方をひとつお知らせをいただきたいと思います。
○森実政府委員 最近の農業開発に対する協力要請の内容に即して考えますと、量的に拡大するだけではなくて、質的に見て非常に複雑で大規模なものが技術的に見て増加してきている趨勢にあるわけでございます。私ども、やはり民間コンサルタントの活力はできるだけ生かしていくことが必要であろうと思いますが、たとえば、派遣技術者のチームづくりあるいは長期にわたる調査の実施とかその調査成果のトレースという視点から考えますと、なかなか民間だけの力では対抗できないという点がございまして、いわば大規模、複雑なプロジェクトを中心に公団を活用してまいりたいという考え方でございます。その目安なり基準についてはこれからかなり詰めていきたいと思っておりますが、御案内のように、この制度はいわば国際協力事業団の委託を受けて農用地開発公団が実施することになっておりまして、国際協力事業団とも十分協議をしながら、また具体的には主な案件ごとの認可制を採用しておりますので、認可に当たってはそういう点も十分配慮して、民間の活力を損なわないように配慮してまいりたいと思っております。
○岸田委員 実際の運用においてはなかなかデリケートな問題があろうかと思いますが、ひとつそこはうまく力を合わせてやっていただきたいと思います。 これを農用地開発公団が具体的に実施する場合に、新しく公団の中に室を設けておやりになるように聞いておるわけでございますが、そういう特別の室を設けるというやり方が適切なのかどうか。私は、公団には数々のすぐれた技術者がおられますし、それらを機動的に使いながら対処していくという方がもっと効率的なのではないかという気がいたします。この辺のところをちょっとお答えいただきたいと思います。
○森実政府委員 御指摘の点でございますが、私ども目下のところ、海外農業開発技術協力室というものをつくって、農業開発に関する調査とか工事の設計とか監理その他の業務を担当させることにしております。 しかし、いわばこの機構はJICAとの連絡、関係国との連絡等の窓口という点あるいは資料の集積を図っていく、こういう点に力点があるわけでございまして、具体的に技術者の活用に当たっては、各セクションにおります公団技術者で余力のある者をできるだけ総合的に活用することも考えておりますし、それから県、市町村等の地方公共団体や民間等の技術者もいわば一時的に公団の身分で嘱託として参加していただくこと、さらには、国の技術者の派遣とセットで実質的な運用を図ることを考えておる次第でございます。
○岸田委員 以上、新しい業務に関連して若干お尋ねをさしていただいたわけでございますが、ここで本来の公団の業務に立ち返りまして、私、見ておりまして、公団は畜産業の発展のために今日まで数々の貢献をしてきた、このことは率直に認める次第でございます。 大臣にお伺いしますが、公団が実施しております事業、これの農政上の位置づけといったものについて基本的なお考えをお漏らしをいただきたいと思います。
○田澤国務大臣 御指摘のように、この公団が畜産に大きな影響を与えてまいったのでございまして、畜産物は、御承知のようにわれわれの食糧の中の大きな位置づけをするものでございまして、しかも、先ほど来御指摘のように、畜産物そのものの世界の需給というものは必ずしも楽観できない状況にあります。したがいまして、私たちはあくまでも国内で生産できるものは国内で賄うという基本を貫かなければならない。そういう意味から、やはり今後はこれまでの未利用地の有効利用による農用地の確保と、それから十分な飼料基盤を有する生産性の高い畜産経営体の創設というために、やはり大規模な草地開発と、これを基礎とする近代的な畜産経営体に必要な施設、設備の事業を一貫施行方式あるいは短期集中投資によって実施するということが大きな意味を持つものであるということで御理解をいただきたい、こう思います。
○岸田委員 最後に一問お許しをいただきたいと思います。 これからひとつ海外協力をしっかりやっていこう、大変結構なことだと思うわけでございますが、先ほどの御報告にもございましたように、日本自体を考えてみますと、将来食糧の需給の逼迫が予想される。そうなりますと、海外協力もさることながら、自分の足元を固めるということが大変大事なことでございまして、この際、やはり自給度の向上ということについて思い切ってがんばってやっていかなければならないということを痛感させられるわけでございます。数日来、世界情勢を見ておりますと、日本の農業をめぐる環境についてひときわ厳しい動きがまさに現実のものとしてなってきておるわけでございます。これについてはまた折を改めていろいろお尋ねをすることもあろうかと思いますが、この自給度の向上、今日の問題に即してひとつ御意見をちょうだいし、質問を終わりたいと思います。
○田澤国務大臣 御承知のように、中長期的に見て世界の食糧の需給は非常に不安定である。また、国内的にもいろんな悪い条件があるわけでございますが、それらの条件の中で、私たちはあくまでも長期の展望に立って、先ほど申し上げましたように、国内で生産できるものは国内で賄うという基本に立って生産性の向上を図る。さらには、農業の再編成を図りまして、食糧の自給率の確保に努力をしてまいらなければならない、かように考えているわけでございます。したがいまして、国際的にもあるいは国内的にもいろんな問題がございますけれども、その中で新しい農業をいかにつくり上げるか、そうして活力ある農業をどうつくるかということがひいては食糧の自給率、自給力の確保につながるものである、かように考えておりますので、今後ともひとつ御協力をお願いしたい、かように考えます。
○岸田委員 ありがとうございました。質問を終わります。
○羽田委員長 串原義直君。
○串原委員 まず私、大臣に伺って質問に入りたいわけでありますが、農用地開発公団法の改正の必要を今回生じた理由、要因は何でありますか。あなたの提案理由の説明によりますと「国際協力事業団を通ずる政府ベース技術協力の実施体制の下において、公的機関による組織的推進が必要となってまいりました。」とありますけれども、それを農用地開発公団にこの業務を担当させることにした背景、検討の経過、それを含めまして御説明を願いたいと思います。
○田澤国務大臣 先ほども岸田委員にもお答えしたのでございますが、中長期的に見て国際的な食糧の需給状況というのは非常に不安定でございます関係から、開発途上国はいま食糧の増産と農業開発というものに大きな関心を持っておるし、また、大きな課題でもあるわけでございまして、そういう点からいって、農業開発協力の要請というものが質的にもそれから量的にも非常に大きくなったということでございます。したがいまして、わが国は、政府開発援助の積極的な拡充を図るというような意味から、今回、特に農村、農業開発を経済協力の重点分野の一つとする方針を決めたということでございます。したがいまして、公的な機関によって組織的にこの要請にこたえようというためにこの法改正を行いまして、農業開発に関する総合的な技術力を有する農用地開発公団の活用を図ることとして、必要最小限度の改正をお願いしているというのが私たちの目標でございますし、またお願いでもあるわけでございます。
○串原委員 この法律改正案の中で十九条の二の一「国際協力事業団その他政令で定める者の委託に基づき、」こうありますね。国際協力事業団のことはわかりましたが、「その他政令で定める者」、これは何を指すのですか。
○森実政府委員 目下のところ考えておりますのは外国政府等でございます。
○串原委員 大臣に質問を継続していきたいと思うのですけれども、さっき御答弁になりました経過の中で、公的機関が必要だと考えるに至ったということになりまして、つまり外国からお願いをされて、委託を受けて海外農業協力業務をやるということになるならば、これは農林省でもできたのではないか。これを農用地開発公団にすることになった、そのことを私は先ほどあえて伺ったのであります。いかがですか。
○田澤国務大臣 この開発公団は、御承知のように国内で得た知識、経験というものを生かして進めるということが大きな成果をもたらすものであろうという意味で開発公団にお願いする。農林省みずからやるよりは、経験と知識の豊富な公団にお願いした方がむしろ効率的であろう、こういう意味でございます。
○串原委員 大臣、この種の業務は農林省よりも公団の方が経験と知識が豊富だ、そういうことですか。
○森実政府委員 ちょっと補足させていただきます。 まず一つは、農林省を直接使うのか、公団を使うのかということでございますが、これは、私どもいろいろ議論の過程で、内部では考えた過程もございます。しかし、どうも国ではなかなかうまくいかない。それはいろいろな具体的な理由がございまして、一つは、かなり大きな技術者のチームを派遣する場合、国の技術者だけというわけにはいきませんで、やはり公団にもかなり活用できる技術者がいるし、県や民間の技術者も活用していかなきゃならぬ。そういう総合的なチームづくりということを継続的にやらすとすれば、やはり公団の方が機動性を持って動けるのではないだろうかという問題が一つあるわけでございます。 それからもう一つは開発調査、その後の開発ということを考えますと、継続的に相手国に関する知見なり情報というものを蓄積していく必要がある。そういう継続性をねらっていくとすると、行政組織自体ではなかなかうまく作動しない点がある。そういうことが一つあったわけでございます。 次に、そこで公団の技術内容なり技術力のどういう点に着目しているかということを申し上げますと、農業を中心とする地域開発、つまり、開発と同時に新しい農業をつくるという知見を持っているということ、もう一つはコミュニティーづくりという農業の大規模開発にとってはうらはらの関係にある問題についての知見を持っている、それからもう一つは、現実に高級技術者から、たとえば、オペレーターとか測量技術者というような中級技術者までかなり幅広い技術者を抱えているということ、そういったことを頭に置いて農用地開発公団を使うのがベターであろうという判断をしたわけでございます。もちろん、こういった技術過程が個々の問題として国にないわけではございませんで、国としても私ども持っていると思いますが、農用地開発公団がそういう意味ではいつでもセットで稼働できる体制にある、こういう意味で申し上げているわけでございます。
○串原委員 農林省、公団どちらにこの業務を担当させることがいいか検討した、その経過はいま御説明を願ったわけでありますが、その御説明をいただけばいただくほど、今回の法改正によりまして農用地開発公団の任務と目的が大きく変わってくると言ってもいいのではないか。つまり、今日までの公団の姿と目的というものに変化をもたらした、変わるのだ、こういう理解でいいと思うんだけれども、いかがですか。
○森実政府委員 客観的に見まして、業務が拡張されたことは事実でございます。ただ、それが法律に言う公団の目的なり性格を変えたかどうかということにつきましては、法案にもございますように、在来業務に支障のない範囲で行うという基本的なたてまえをとっております。こういった立法例はほかにも実はたくさんございまして、そういった他の立法例等から徴しましても、私どもは立法的表現としまして公団の目的まで変える必要はないのではないだろうかと思っております。 先ほどもちょっと触れましたが、現実には、広範に存在します農業開発協力について、公団がすべてに出動していくという姿を私どもは考えておりませんで、大規模、複雑なプロジェクトを中心にして、民間だけではやれないものについてJICAの委託を受けて、あくまでもJICAの委託を受けてやるというたてまえにしておりますので、その趣旨は、私が申し上げた本来的な目的、性格が変わるものではないということはその点からも御理解いただけるのではなかろうかと思っておるわけでございます。
○串原委員 局長、いま触れられましたけれども、公団法の目的規定の改正をしない。ところが、そのまま新しい条文を追加して海外の農業開発協力事業を行うということになるわけでありますが、そういたしますと、将来、公団の業務が従来の国内業務との関連の中でどうなっていくのか、これは大事なところだと思うのです。御答弁願います。
○森実政府委員 先ほど大臣からも申し上げましたように、公団が長年にわたって蓄積しております知見、知識、経験というものを、特に、技術的な問題についてこれを農業開発の協力に生かしていくということだろうと思います。それは、昨今のいわゆる農業開発に関する諸外国の要請の案件の複雑、大規模化という状況を頭に置いての問題でございます。しかし、今後とも私どもは、国内業務が中心となるものであり、その意味では海外業務は、先ほども申し上げましたように国内業務の遂行に支障のない範囲で行うということにしておりますし、また法律上明らかにしておりますようにJICAの委託を受けてやるというたてまえになっておるわけでございまして、私ども、直接新しい業務に着手することが国内業務の運営に重要な影響を与えるというような性格のものではないと考えておるわけでございます。
○串原委員 そうしますと、あくまでも国内業務が主体であるということでありますならば、将来ともに国内業務と海外協力事業との事業量の割合、これを単純に割合と言ってはどうかと思うけれども、あえて触れたいと思いますが、やはり国内業務が中心であるとするならば、海外業務が国内業務を超えることはない、こういう理解でいいわけですか。
○森実政府委員 当面、私ども考えておりますのは、年に一、二件、多くて三件程度の開発調査を担当することになるだろうと思いますし、それからまた同時に、先ほど申し上げましたように、公団職員以外の自治体や民間の職員の方にも出向願ってチームをつくってやっていこうという考えでございますので、先生御指摘のとおりと理解しております。
○串原委員 大臣に伺いたいわけですけれども、提案理由の説明にもありますように、政府開発援助について政府は昨年一月新中期目標を設定いたしました。この中で政府開発援助の対GNP比率の改善に努め、今後五年間、つまり、昭和五十六年から六十年ということになりますが、この実績を昭和五十一年−五十五年の過去五年間百六億八千万ドルの倍以上にするように努めるというふうにいたしておるわけであります。ところが、近ごろの厳しい国家財政事情の中で、政府開発援助の新中期目標をどのように進められるのか。なお、そのGNP比率を昭和五十五年で見ますと〇・三二くらいでありますが、このGNP比率をどの程度に高めようと考えていらっしゃるのか、政府の基本的な姿勢、考え方について伺いたいわけであります。
○田澤国務大臣 御指摘のように、昨年の一月政府開発援助について今後五カ年間で過去五年間の倍増以上とする中期目標を設定したところでございまして、政府開発援助全体については私の主管するところではございませんけれども、五十七年度予算の一般会計のうちの政府開発援助分は一一・四%となっておりまして、一般会計全体の六・二%増を上回る数字となっておるわけでございます。今後も中長期の目標の達成に努力してまいりますけれども、また、わが国の政府開発援助の実績の総額は一九八〇年において約七千五百億、対GNP比がいま御指摘のように〇・三二%となっております。ですから、DAC諸国平均の〇・三七%に比してなお改善の余地があると私は思います。そこで、これはODA全体の問題については先ほど申し上げましたように所管ではございませんけれども、今後、できるだけ改善のために努力をしてまいりたい、かように考えております。
○串原委員 御努力を期待をいたしております。 そこで、いまお話しの政府開発援助の中で技術、資金など農業関係協力のシェアをどの程度まで今後高めていこうとお考えになっていらっしゃるか。時間がありませんから詳しくは触れられませんが、資料によりますと、昭和五十五年が政府開発協力に占める農業協力のシェア一〇・一%、昭和五十四年が一六・六というくらいですね。私はこれを高めていく方向でありたいと願っている者の一人であります。どんなふうにお考えですか。
○塚田説明員 お答えいたします。 先ほども申し上げましたように、開発途上国の多くは農業国でございまして、これらの国にとりまして経済の発展また、民生の向上を図るためには農林水産業の振興なり農村の発展、開発を図ることがきわめて重要であるわけでございます。そこで、私どもといたしましても政府開発援助の一環として御指摘のように農林水産業分野における協力を高めるということで、各国からの要請にこたえて技術、資金両面において協力を推進しているところでございます。そのウエートは、農業協力の割合でございますけれども御指摘のように約一八%ということになっております。私どもといたしましては、食糧農業開発に対する重要性から、経済協力の重点分野として推進していくということを考えておりますし、また現に、昨年十月行われました南北サミットの場においても、総理から農業協力あるいは食糧協力の拡充を表明しておられるところでもございますので、このシェアが高まりますよう今後ともその積極的な推進に努力してまいりたい、このように考えております。
○串原委員 大規模、複雑な開発プロジェクトというお話ございました。この大規模な複雑な開発プロジェクトにつきましての協力要請が、現在のところどのような国から具体的に要請があるのか、お聞かせ願います。
○森実政府委員 お答え申し上げます。 昨年から実施しております地区として中国の三江平原の開発がございます。これはJICAの委託を受けて現在ADCAが実施しておりますが、今後の開発調査に当たっては農用地開発公団もいろいろな分野で各種の協力が必要だろうと思っております。具体的には、実は五十七年のJICAの実施計画がまだ決まっておりません。そういう意味では具体的な調査案件がどうなるかということについてはまだ明らかにすることが困難な段階でございますが、私どもの情報では、南米、東南アジアの諸国から、特に大規模なプロジェクトについての協力要請があるのではないかという情報を聞いております。具体的な地域といたしましては、たとえば、ボリビアの農業開発とかパラグアイの農業開発等も例としては挙がってきつつございます。
○串原委員 そこで私、大臣に伺うわけでありますけれども、先ほどもちょっと触れられましたが、わが国の穀物自給率はいま三二%、先進国の中では最低というまことに危険な状態であると私は思う。食糧の安全保障問題は国を挙げての政治課題であると私は思うのでございます。したがって、このことが海外経済協力における農業重視となって今回の公団法改正案を提出するきっかけになったのではないかと一部の皆さんは言っているわけでございます。先ほどお話しのように、長期にわたる世界の食糧需給の見通しというのはまことに厳しい。この委員会でもたびたび議論されておりますように、わが国の現状から見ましても、少し長期的に見ますならばとてもとても安心できるという食糧情勢ではない。先ほどもちょっと触れられておるようでありましたけれども、ある資料によりますと、アメリカ政府は、西暦二〇〇〇年の日本の穀物輸入量を四千五、六百万トンと見ておる、こういうふうに指摘をしているわけです。私もこの資料を見さしてもらったんですけれども、そういたしますと、昭和五十五年度わが国の穀物輸入というのは二千五百万トン前後である。ということになりますと二〇〇〇年のころには現在の約二倍に輸入量がふえる、こういうことになるわけですね。 大臣は、このところのアメリカからの農産物自由化攻勢と考え合わせまして、この辺をどうお考えになっていらっしゃるのか、そしてわが国の食糧の安全保障に対する施策の進め方はこれから一体どうするのか、なお、国内需給対策というものと公団法改正案に見られますように海外農業協力との関連というものをどのように考えていらっしゃるのか、そして今後そのことをどのような位置づけにしていこうとお考えになっていらっしゃるのか、諸種について御答弁願いたいと思います。
○田澤国務大臣 御指摘のように穀物の自給率は三二%でございまして、穀物の依存度は大体二千五百万トンの依存をいたしているのは事実でございます。しかしながら、私たちとしてはあくまでも中長期的な目標を立てて国内で生産できるものは国内で賄うという基本、それを基礎にしながら国民の需要の動向というものをよく見て、さらに、生産性の向上あるいは農業の再編成を図って自給力の維持確保をしていかなければならない、これを目標にいたしているわけでございます。 確かに、お米、野菜、果物あるいは畜産物等はある程度自給できる見通しはございますけれども、小麦、大豆あるいは飼料作物等は非常に他に依存せざるを得ない状況でございますので、これは輸入との関係を調整しながら自給力の維持確保を進めてまいらなければならない、かように考えているわけでございまして、私たちは、先ほど申し上げましたようにできるだけ国内で賄えるような体制をつくり上げたいということで進んでいるのでございます。 それといまの公団法の改正によって対外援助をするのとどういう関係にあるかといいますと、やはり国際的な食糧の需給の不安定な中に置かれているのでございますから、そのためにも食糧の需給の不安定な地域、開発途上国に対してはできるだけ日本の技術あるいは知識で援助をして、世界全体の食糧の需給の安定を図るということも私たちの使命であろう、こう思いますので、一つには、自給力の推持確保をすると同時に、世界的な面で海外の、世界全体の食糧の自給力をも強化していくという二つの仕事を、役割りを私たちは果たしていかなければならない、かように考えておるのでございます。
○串原委員 そういたしますと、今後、委託ではありますけれども、公団の担当いたします開発調査等の基準というのはどこに置かれるのか。つまり、委託を受ける国、発展途上国等々の農業に関連することは当然ですけれども、農村に関連すること一切を含めますのか、生活環境の問題も含めて。あるいは特定の業務にこの開発調査等の基準は決めておくのか、この辺に対する方針はいかがでしょう。
○森実政府委員 お答え申し上げます。 二点から限定して考えていくことになるだろうと思います。 一つは、言うまでもなく、農業開発を目的とした調査でございます。具体的には、農用地造成とか灌漑排水等の土地改良事業、そういった問題が中心になるわけでございまして、これらの事業の計画化を目的とした調査という当然の限定になるだろうと思います。 それから第二に、その内容につきましては、先ほど申し上げましたように大規模、複雑なものをJICAの委託を受けて公団が担当していくという立場で、現にございます民間団体の活力を損なわないように配慮する必要があると思っておりまして、これにつきましては、やはり先ほど例示しましたようにかなり大規模で総合性があり複雑なもので、いわば公団がまとめて委託を受けてやっていくということが必要なものということに限定していきたいと思いまして、これらは今後、業務運営の認可等に当たって十分配慮をしてまいりたいし、また外務省、JICA等の意見も聞いてまいりたいと思っております。
○串原委員 そうしますと、農村に関連する生活環境等々の問題については業務は担当しない、こういうことに理解していいわけですか。つまり、農用地の開発、灌漑排水等々を基本とする計画調査である、それに限定するんだ、こういうことであるならば、それ以外の農村地域に関連するいろんな問題がありますけれども、そういうことについては触れていかない、こういうことですか。
○森実政府委員 たとえば、大規模な排水改良を実施するとかあるいは用水補給と農用地造成をあわせ行うという場合においては、開発の過程において当然新しいコミュニティーづくりという問題も起こってまいりますでしょうし、また、農業経営に必要な条件整備のための、道路等の条件整備等も入ってくると思います。そういった、いわば農業開発の一環として行われますいわゆる生活環境整備的なものと申しますか、コミュニティーづくりに関する事業の計画化のための調査はあわせて行うことが当然あり得ると思っております。 〔委員長退席、渡辺(省)委員長代理着席〕
○串原委員 つまり、局長、こういうことでしょう。農村生活、農村のコミュニティーに関連することであるならば担当して、調査計画等を委託業務をやっていきます、こういうことでしょう。つまり、言いかえますならば、特殊なことは別にして、農村にまつわる業務はほとんど委託があるならばやってまいります、こういうことの理解でいいのじゃないですか。
○森実政府委員 実は、まだ具体的な例がないので私も明快な判断を持ち得ない点もございますが、率直に申し上げまして、東南アジアとか中南米の農業開発については、あわせてコミュニティーづくりをやらなければならないという場合が必ず起こってくると思います。そういう狭義の農業開発とあわせてコミュニティーづくりをやるものは、一緒に一つの調査計画として取り上げてやることは当然考えられる。ただ、独立してコミュニティーづくりだけの事業をやるかどうかということについては、いまのところはちょっと考えられないということを申し上げておるわけでございます。
○串原委員 理解をいたしました。 そこで、技術協力をいたしまして資金の協力、援助をいたしまして、農業開発計画が一応形だけはできた。こういうふうになりましても、その国自身の技術者の養成、人づくり、組織づくりというようなものが並行していくということでなければ結実をしない、真の開発は成果を上げない、こういうふうに私は理解するわけですよ。この辺に対してどういうふうに対処していこうと考えていらっしゃるか御答弁願います。
○塚田説明員 お答えいたします。 私ども、農業の振興ということを考える場合に大事なのはやはり人と土地というふうに考えておりますけれども、そういう意味で、開発途上国に対する農業協力の実施に当たりましても、国づくりあるいは農業の基礎となりますのはやはり人材の育成であろうというふうに考えております。また、人材を育成すると同時に、日本から移転した技術が末端まで伝達するような組織づくりを積極的に推進していかなければならないということにつきましては、まさに先生の御指摘のとおりでございます。 このため、わが国といたしましては、専門家の派遣なり研修員の受け入れなりあるいはまた機材の供与を行いまして、こうした人材の育成を図ってきておりますほか、これらを組み合わせて行いますいわゆるプロジェクト方式の技術協力というものにつきまして、たとえば、インドネシアの中堅農業技術者訓練計画あるいはバングラデシュの農業普及計画におきます多収穫品種の導入を含む稲作を中心とした栽培技術等の改善あるいはその普及というように、技術指導、人づくりを直接目的とした協力を行っているところでございます。そして、それを包含した組織づくりに対する協力といたしましては、タイの農協組織育成計画作成のための調査も行っているところでございます。 このように人づくり、組織づくりは非常に重要でございますので、その重要性にかんがみ、農林水産省といたしましても今後とも積極的に推進していきたい、このように考えております。
○串原委員 そういたしますと、先ほどの局長の答弁とあわせまして、一番最初大臣にも伺いましたように、公的機関による組織的推進が必要となってきたということも含めて考えますと、ただいまの人づくり、組織づくり、技術者養成等々の大事な仕事というものは、今回の法改正の精神と関連をして、どうしても車の両輪みたいに考えていかなければならぬ問題だというふうに考えるわけであります。そうであるといたしますならば、その辺に対して制度的にも明確な考え方というものをきちっとしておくべきではないのか。単純に、土木という感覚でこの海外協力というものはあるのだという理解ではいけない、その辺をもう少し制度的に検討してきちっとしておく必要があるのではないかと私は思うのですけれども、いかがなものでしょうか。
○森実政府委員 御趣旨は私も全く同感でございます。問題は、一つはこういった農業開発調査をやる、さらに場合によってはそれが開発の資本援助にもつながってくる、こういう過程において、そういった発展途上諸国の農業開発に関する投資が有効に結実するためにはやはり人材の養成、技術者の養成ということに真剣に取り組んでいかなければならない。そういう意味におきましてはいわば開発に関する技術協力だけではなくて、当然それと並行して、あるいはそれと連動させて、開発が行われる地域に対する一般的な営農に関する技術協力というものも重点的に実施していく必要があると思います。もちろん、これは相手国の自主性を尊重し、その要請を基礎としてやらなければならないことは言うまでもございませんが、私ども、こういったいわゆる狭い意味での開発よりも、もっと広い意味での農業に関する技術協力を開発の協力に連動させていくということは十分配慮していく必要があると思います。 それからもう一つは、実は、これは私ども体験的に痛感していることでございますが、開発調査の過程において相手国の技術指導者の養成をあわせて図っていく、たとえば、測量の問題とかオペレーターの問題とか、そういう要求が現実に非常にあるわけでございます。こういったことは現に三江平原等でも逐次具体的な解決を考えつつございますが、機材の供与の問題とかあるいは研修の実施とかということを並行実施させまして、開発調査ともいわば連動した形でそういう受け入れ国、発展途上国のこれに関連した技術者の養成ということにもできるだけ積極的に協力してまいりたいと思っているところでございます。
○串原委員 積極的にやりたいということでありますから期待をいたしますけれども、連動して考えられる制度、仕組みというものをもう少しきちっとしておくべきではないのか、積極的にやりましょうということではあろうけれども、制度、仕組みというものを考えるときに来ているのではないか。この辺はどうです。
○森実政府委員 まず、大規模な総合開発の実施に当たりましては、相手国の要請も基礎になりますが、いわゆる土木の専門家だけではなくて、耕種技術者やそういった他の方面の農業技術者もあわせてチームに参加させて、開発が行われた後の営農というものについても有効なアドバイスができる体制をできるだけしきたいと思っております。我田引水で恐縮でございますが、そういう意味では、実は農用地開発公団はそういう体制が相対的には非常に整備されているのではないかと思っているわけでございます。 それから第二に、現に開発が行われた場合、その効果を上げるようにそれにどういう技術協力をするかという問題がこれからの課題であると思います。ただ、率直に申し上げますと、今回、公団が考えておりますのはいわば開発の調査の段階の問題でございまして、それから先に現実に資本援助が行われ、これは日本だけではなくて国際機関や諸外国が行う場合もあるわけですが、そして開発が進み、それに応じてそこに新しい営農がつくられていく段階で必要になるというふうにある程度のタイムラグがあることは事実なわけでございまして、そういう意味での問題はございますが、考え方としましては、先ほど申し上げましたようにいわば日本が開発調査を援助した地域については、特に、技術協力の問題についてはその後のアフターケアを十分やっていく、さらに追加の技術協力もやっていくということは十分心がけていきたいと思っております。ただ、時点的なずれもございますし、相手方の対応もありますので制度的に日本が押しつけるという形ではなくて、相手国の要請を尊重しながら、その時間の経過に応じてやっていくという配慮が要るだろうということを申し上げているわけでございます。
○串原委員 先ほどちょっと触れられましたけれども、この改正案が成ったといたしましたら、見通し得る範囲内で公団の受託事業量というのはどの程度になるのかお答え願いたい。
○森実政府委員 先ほど申し上げましたように実施計画が五十七年はまだ決まっておりませんが、当面の見通しとしては、大体年間二件程度の大型プロジェクトの開発調査を担当するのではないだろうかと思っております。 それで事業量でございますが、実はこれは開発調査なものでございますから、派遣期間中の人件費とか旅費とか一部の機材費等大体がそういう人件費的な経費でございますので、事業量としてはそう大きなものにならないと思います。当面一応の予算としては、来年は一億強を織り込んでいるわけでございます。これは基本的には、わが国の農業協力に関する援助資金がふえていくのに応じて、当然農業開発が相当大きな比重をもってふえてくるということが考えられますので、しかもその中には大型プロジェクトがどんどんふえてくると見ておりますので、またふえてくれば単年度でやれるような調査はなかなかございませんから累積になってきますので、今後はそういった全体の環境の中でふえていくだろうと思っております。
○串原委員 ただいま御答弁になりましたように、累積をしながら将来はふえていくであろうということであります。 そこで伺っておきたいわけでありますけれども、これから公団が海外業務を実施するためには、この事業実施に要する経費は順次多くなるであろう、これが考えられるわけでありますが、その経費、予算の確保について、政府のきちっとした方針というものをこの際伺っておきたい。
○森実政府委員 制度のたてまえといたしましては、やはり相手国の要請に基づいて、かつJICAを窓口としてその委託を受けて実施するということになるわけで、公団が能動的にこれだけの事業量をやりたいというわけにはなかなかいきかねる点があるだろうと思います。しかし、現実には、そういった委託の業務を予定して制度改正を行い、業務を実施するわけでございますから、毎年毎年の予算では、そういった全体の国際協力に関する予算情勢を十分頭に置きながら、必要な予算枠の確保ということを、私どもといたしましても国際協力事業団、さらに外務省等に働きかけてまいりたいと思っております。
○串原委員 先ほど答弁がありましたように、五十七年度は公団の調査費補助は一億四百万円ですね。これは、事業団からの委託費というのはどの程度を予定しているのですか。
○森実政府委員 ただいまの数字は、事業団からの委託費として一億六百万を予定しているということでございます。
○串原委員 この調査費補助一億四百万円といまの委託費の一億六百万円、これは別なものじゃないのですか。
○森実政府委員 お答え申し上げます。 委託費として計上されたもので賄うのが原則でございますが、公団本来として計上しなければならない補給金は別途予定しております。先生御指摘のはその両者についてだろうと思います。公団独自の経費として見なければならない補給金自体は、私どもはあくまでもベーシックなもの、基礎的なもの、かつ補完的なものと理解しておりまして、基本は、やはり長期的に見ればJICAからの委託費というふうになると考えております。
○串原委員 前回ちょうだいをいたしました、今年度の調査費補助一億四百万円と事業団からの委託費一億六百万円というのは別でしょう。これをちょっと確認したいわけです。
○森実政府委員 ただいま申し上げましたように、いわゆる事業団からの委託費と、公団自体にベーシックな部分、補完的な部分として国が出します補給金、補助金の部分とは別でございます。ただ、先ほど申し上げましたように、長期的に見ればこの受託費の部分が中心になるだろうということでございます。
○串原委員 つまり、内容は違うけれども、合計すると二億一千万円である、こういうことですね。 そこで、その業務執行のために、海外業務担当の職員は何名を予定されておられるのか。
○森実政府委員 内部の専任職員としては、五十七年度は六人を予定しております。なお、今後五年間におおむね二十名程度までふやしたいという計画でいるわけでございます。 ただ、具体的に海外で調査事務を担当いたします際は、その他の担当職員で、余力があり、かつ技術的な能力を持った人は参加させることになりますし、先ほど申し上げましたように、県等自治体の職員や民間の職員の方でも、技術的に能力のある方には一時的に公団の嘱託という身分をとっていただいてチームに参加していただくという形になるわけでございまして、海外調査を担当する方はその職員の数よりはるかに多いというふうに御理解をいただきたいと思います。
○串原委員 ちょっといま感じたのですけれども、五十七年度は六人で担当する、五、六年の間に二十人にしたい、これはそういうことでございましょうが、ことしの事業は十月からと予定しているわけですね。そういたしますと、局長、六人で担当をして、一億四百万円の調査費補助、事業団からの委託費が一億六百万円、合計で二億一千万円ということになりますと、これはことしは消化できることになるのでしょうか。
○森実政府委員 まず、先ほど先生も御指摘ございましたように、補助金の分と委託費の分があるわけでございます。補助金の分は、実はこれは、技術情報の整備費と予備調査的な海外の農業開発に関する基礎データの収集費、それから、一部予備的な研修費等でございまして、これは消化に支障がないと思っております。 そこで、問題は受託費の部分でございます。これにつきましては、具体的な調査案件がどうなってくるかによって、まだ内容的に詰まってこないわけでございますが、先ほど申し上げましたように人件費につきましても、六人の派遣の人件費ということではございませんで、いわば公団に身分を移した自治体の職員の方や民間の職員の方のその期間中の人件費も含まれるわけでございますし、それから、公団の他の職員、この六人以外であっても、余力を持って海外調査を担当できる人のその期間中の人件費も含まれるわけでございますから、この六人のだけということにはならないと思います。 この場合、当然人件費だけではございませんで、現地調査の旅費とか機材費等も含まれるわけでございまして、私は、過去の例から見ますと、具体的な案件があればこの程度の消化は、たとえ一件であっても十分可能だろうと思っております。と申しますのは、過去の例で、大規模調査で調査団を派遣しましたときは、やはり年間二億ないし三億かかるというケースも多々ございますので、半年であっても一億程度の消化は十分可能ではないだろうか、こう思っております。
○串原委員 そこで、第二臨調の一次答申によりまして、五十七年度以降五%の定員削減を実施するということにそれぞれの機関はなっているわけ笹すね。公団の場合、そういたしますと、兵隊勘定いたしまして三十三名減ということになりましょうか。これと、ただいま答弁の、二十名くらいは増員しなければならぬ、こういうことになるわけでありますが、海外業務の新規定員とのかかわりというものはどうなるわけですか。
○森実政府委員 いささか微妙な問題でございますが、定員削減の問題は臨調の第一次答申に基づくもので、すべての特殊法人横並びで受けとめていかなければならない、それが五カ年間で五%で三十三名になるというのは御指摘のとおりでございます。 しかし同時に、やはりスクラップの側面だけではなくてビルドの側面ということがあるわけでございまして、新しく海外業務を行う場合、これに必要な定数の確保が必要だろうと思っております。その意味で、私どもは強い希望を持って、五十七年度以降五年間で少なくとも二十名程度は確保したいということを要請しているわけでございます。ちなみに、本年度は先ほど申し上げましたように六人の専任担当職員を予定としたということでございます。論理的には別の問題でございますが、関連もあること、ないとも言えないというところで、その点はなかなか微妙な点があることは事実だろうと思います。
○串原委員 外務省の方は来ていますか。——伺いますが、国際協力事業団には、農林水産計画調査部、農業開発協力部というのがそれぞれあって活動されていらっしゃる。これからも従来と同じように業務をやるわけでありましょうが、今回の公団法改正で、公団業務と重複するということはないのか、あるいは業務分担というものは明確にきちっと国際協力事業団、公団それぞれの立場でしていらっしゃるのか、このことについて伺います。
○松浦説明員 私ども外務省といたしましては、政府ベースの技術協力は国際協力事業団を通じまして一元的に実施するということでいま考えておりまして、今回の農用地開発公団の一部改正につきましても、先ほど来先生御指摘のように、法律に国際協力事業団の委託を受けて調査を行うということが明示してございまして、あくまでも政府ベースの技術協力は国際協力事業団を通じて行うという原則の枠の中で行われると私どもは了解しております。ただ、細目につきましては、今後国際協力事業団と農水省との間でさらにいろいろ話し合っていきたい、こう考えております。
○串原委員 従来まで国際協力事業団は、これから公団に委託しようとする仕事というのは海外農業開発コンサルタンツ協会に出していたわけでしょう。
○松浦説明員 先ほどからの話題になっておりますように、海外におきます技術協力におきまして農業開発を重点的に実施したいと思っておりまして、先生の御指摘のものもございますが、そのほか民間のコンサルタントに委託することもございますし、農水省の国家公務員の方にお願いすることもございますし、いろいろな形で従来から実施してきております。
○串原委員 そこで伺いますけれども、近い時期でいいのですけれども、いま言われたように、今後、公団にも出していこうという仕事を、ある年度でも結構です、どんなぐあいに委託されてきたのか、農林省に出してきたあるいは協会に出してきたその割合、件数等わかったらお教えいただきたいと思います。
○松浦説明員 先生、申しわけございませんが、具体的な件数の数字を私いまちょっと手元に資料として持っておりません。先ほど申し上げましたように、従来の開発調査におきましてはいろいろな形で実施しておりまして、大規模なものになりますと、先生御指摘のように海外農業開発コンサルタンツ協会、たとえば、現在中国で実施しております三江平原がそうでございましてそういう形をとっておりますが、小規模の開発調査につきましては民間のコンサルタントにやっていただく、さらには、農水省の専門家の方にお願いをするという形でやっておりまして、考え方としてはそういうことでございますが、申しわけございませんけれども、私具体的な数字をちょっと手元に持っておりませんので失礼いたします。
○串原委員 いまのその具体的な数字、件数、後で文書でお示し願いたいと思います。 そこで簡潔に伺いますけれども、これから国際協力事業団、農用地開発公団、ただいまお話しの民間の協会、この関係はどうなっていくのですか。つまり、先ほどから議論されておりますように、「公的機関による組織的推進が必要」となってきたということで今回の法改正が提案されているわけでありますから、その三者の中で農用地開発公団の位置づけというのはどこに置こうとされていらっしゃるのか。
○松浦説明員 その点に関しましては、先ほど農水省の構造改善局長から何度か御説明があったと思いますが、私どもといたしましても海外の農業協力関係が今後ふえてまいりますし、大規模なもの、それから複雑なものも出てまいります。そういうものを農用地開発公団にお願いしたい、こう考えておりまして、その際、民間のコンサルタントにお願いできるようなものはお願いするということで、民間のコンサルタントを圧迫するというようなことは避けたい、こう考えております。ただ、具体的な案件が出てまいりました段階で、これを民間のコンサルタントにお願いするのか、農用地開発公団にお願いすべきものなのか、その都度相談してまいりたい、こう考えております。
○串原委員 大規模なもの、複雑なプロジェクト、つまり、公的な立場で理解されるような仕事というのは公団がやっていく、こういうことですか。
○松浦説明員 先生の御指摘のとおりに私ども考えております。一言つけ足させていただきますと、私がいまお話ししておりますのは政府ベースの技術協力でございまして、あくまでも相手国政府との了解に基づきまして、日本政府として実施する技術協力についてでございます。
○串原委員 では時間が来ましたから、ちょっと国内の問題に移らしていただきます。 公団がいままでに事業完了した地区のその後の営農の状況、どんな成果を挙げておりますか、ひとつお知らせ願います。
○森実政府委員 お答え申し上げます前に、ちょっとおわびを申し上げておきますが、先ほど数字が似通っていたので予算の数字を私若干言い間違えました。補助金の方が一億四百万でございまして、委託費の方が一億六百万でございます。ちょっと訂正させていただきます。おわび申し上げます。 そこで御指摘の完了地区の営農状況でございます。五十六年までに完了地区が十七区域に達しておりまして、経営体としては三千三百戸、それからこれ以外に公共育成牧場等の経営体が二十五創設されております。 経営の実態につきましてはおおむね、たとえば、乳牛とか肉牛の導入頭数とかあるいは事業規模等は計画に沿って行われておりますが、必ずしも全部が全部経営状態が良好でないということは否めません。特に、入植後間もないという事情で、技術的にたとえば飼養管理技術とか牧草の栽培とか、あるいは利用技術等が劣っているために経費が割り高である、特に、端的に申しますと、自給飼料の利用効率が計画どおり進まないものでございますから、購入飼料の依存度がなお比較的高いというあたりの問題があるという点、それからもう一つはアクシデント、たとえば、種つけの歩どまりが悪かったとか、あるいは子牛の事故があったとかというふうなことで問題を起こしている地区があることは事実でございます。 今後の問題でございますが、私どもまず一つは、規模拡大を計画どおり実施させるように指導していくことが基本だろう。それからもう一つは、先ほど申し上げましたように、粗飼料の給与の生産性をどう上げていくかという問題でございます。これは一つはやはり適期の一斉刈り取りということによる栄養収量の向上というようなことが重要な問題だろうと思います。もう一つは、特に重視して技術指導しておりますのは、ふん尿還元による地力の向上という問題を特に強く指導してまいりたいと思います。それから経営技術的には家畜の衛生管理の問題、特に、繁殖率の向上の問題に重点を置いて考えていきたいと思っております。 全体で見ますと、専業的な経営についてはそれでもかなりな規模までいきまして、いわゆる償還を除いて最終的に手元に残る生計費への仕向け可能額、これは年間の償還額や減価償却費を差し引いた後の数字でございますが、平均すると大体四、五百万まで来ております。複合経営、つまり、他耕種との複合経営では大体三百万程度という数字になっております。
○串原委員 なかなか全部経営経過良好とは言えない。そうであろうと思うのです。ぜひ積極的な指導を願いたいと思います。 私は、この問題についていささか質問をさしていただく機会は改めて持たしてもらいますが、ここで一つ触れておきますけれども、採択基準を見ていて、大きいことはいいことだとだけ言えないのではないかと思っているのであります。時間がないから余り触れることができませんが、たとえば、基地建設事業、農用地造成面積百五十ヘクタール以上、豚に換算をして家畜の飼養頭数一万頭以上、周辺地域の未墾地等の面積千ヘクタール以上、こうありますね。ほかにもいろいろあります。これは理想ではあろうけれども、少し大き過ぎる。現地現地の実情に合ったものにしていくということが成功の秘訣にもつながっていくのではないか。百五十ヘクタール以上ではあるけれども、百ヘクタールでいけばこの地域はいけるよということなのに百ヘクタールでは落ちてしまう。採択してもらえない。こういうことになって無理して、無理してという表現はどうかと思うけれども、無理して百五十ヘクタールにしたことによって大変に負債もふえる、事業費もふえる、こういうことが皆無ではなかったと私は推察をする。でありますから、私の言いたいことは、この採択基準をもう少し検討すべきではないのか、現場に合ったものにすべきではないのか。 いま一つ、時間がないから急ぎますけれども、建設費も大変お金がかかる。自己負担も相当要るわけである。そういう場合に自己負担の利子、自己資金の利子が八%程度というのはどうも高過ぎる。もう少し考えてやらなきゃいかぬのではないか、こう思う。今後の問題としていかがでしょう。
○森実政府委員 前々から先生から御指摘のあった点でございます。いわゆる採択基準の問題につきましては、私どもは、団地要件の適用につきましてはかなり弾力的な配慮を払うことによって、地区採択が可能になるような配慮を払ってきたつもりでございます。そういった工夫はこれからも要ると思います。 ただ、一般的に採択基準を緩めるかどうかという問題につきましては、財政当局との関係もございますし、もう一つは投資効率という問題もございまして、なかなかむずかしい点があります。少し時間をいただいて具体的に勉強させていただきたいと思います。 それから利子負担の問題でございます。創設的な酪農経営全体の共通点でございますが、非常に経営格差があるという実態が客観的にあるわけでございます。そういう意味で、今日の牛乳価格の停滞とかあるいは計画生産の実施ということを背景にいたしまして、いわば投資の償還期にあるこういった経営の負担がかなり加重されているという実態を配慮いたしまして、昨年強い御要請もあり、酪農負債整理資金制度をやっと発足させたわけでございまして、これと自作農資金と合わせて負債整理等の問題には取り組んでいるわけでございます。 一般的に、こういった投資金利を軽減するという問題は、何と申しましても、全体の制度金融の体系等もございましてむずかしい点もあると私は思いますし、また同時に、先ほど申し上げましたように、個々の経営によって対応に非常に差があるという現実があることは御案内のとおりでございます。そういう意味においては、償還期において、具体的な酪農経営で問題のある経営をどうするかという問題で処理することの方がむしろ現実的ではなかろうかと思っております。金利一般の問題は、お気持ちはよくわかりますが、先ほど申し上げましたように、制度全体の均衡論というものがありますので、なかなかむずかしいという点は御理解を賜りたいと思います。
○串原委員 採択基準の問題についてぜひ答弁のように前向きに御検討願いたいと思う。 それから金利の問題は、経営が大変になってきたから資金を用意をして考えるということではなくて、最初から基本的にこの大規模団地は成功し得るのだという方向づけをするためにも検討さるべき重要な課題だというふうに私は考えているところです。いまの答弁、そうですかと言うわけにはどうも私はいきません。前向きに御検討願うことを心から期待をいたして、別の機会にいたします。 時間が来ましたので最後になりましょうか。先ごろ畜産物の政策価格が決まりました。私どもの期待に反して、私どもというより日本農民の期待に反して、結果は据え置きでございました。乳価などは実質五年の据え置きでした。諸物価に横並びいたしますと、乳価は五年間で実質二〇%くらいダウンしているんじゃないでしょうか。つまり、農家の経営実態はとても厳しい、大変に厳しい、そういう情勢の中で、公団の主要事業というのは大規模な農畜産物の生産団地の建設事業です。大きな任務と使命と期待を担っておる事業です。けれども、この厳しい情勢の中で、今後公団の事業と関連して畜産行政はどう対応していくのか。基本的な姿勢を御答弁いただきとう存じます。
○森実政府委員 畜産局長が来ておりませんので私からかわって御答弁をすることをお許しいただきたいと思います。 公団営地区に代表されますような創設的な畜産経営というもの、大家畜経営をどう考えるかは、私どもこれからも非常に重要な課題であろうかと思っております。その場合やはり足腰の強い、生産性の高い農業をつくっていくということが基本である。 この問題は、具体的に申しますと自給飼料の給与率をどこまで上げていくかという問題と、それからもう一つは、現実的な経験から言いますとやはり過剰投資をどう抑えていくかという問題と、こういう二つがあるだろうと思います。いろいろな悲観的な見方もございます。たとえば、過去十五年前に比較すると、今日牛乳の投下労働時間というのは三分の一に減っておりますし、十年間でも半分に減った。また、頭数規模も、搾乳牛規模では北海道等は四十頭規模に達するというふうにある程度EC並みの骨格ができてきたろうと私どもは思います。 どこに問題があるかということを申し上げますと、結局、一つは、短期間に集中的に行われた投資の償還がちょうど償還期に入った時期と、いわば乳価の低迷時期とぶつかったというところから来る経営のやりくりのむずかしさと、もう一つは、粗飼料給与率が予定どおりうまく上がらないというところに問題があるだろうと思っているわけでございます。その意味では、実は経営格差もかなりあるわけでございますが、基本的には、やはりそういった償還の負担の重圧にあえいでいる経営をどうやって救済し、負債の長期化の中で肩がわりを通じてどうやって年々の負担を軽減していくかという問題があるだろうと思います。やはりこの種の創設的酪農については、基本的には、何と申しましても粗飼料の単収を上げ、利用効率を上げて、自給飼料の依存度を上げていくということを着実に進めることだろうと思います。そういう意味で、私どもも畜産局も協力いたしまして、営農指導の問題については思いを新たにして取り組まなければならないと思います。 なお、今日の牛乳の計画生産の状況なり生乳需給の状況から考えますと、そういった創設的な牛の農業をつくる地域についても、従来と比べて、酪農ではなくて肉牛の経営というものもかなりウエートを持って考えていかなければならないと思います。そのためには牛肉に関する各般の施策の強化ということも要るわけでございますが、一つの問題は、酪農と違って、できるだけ過大な投資を避けるような配慮ということが非常に重要な要素を持ってくるのではないかと思います。そういう点も十分配慮していきたいと思います。なかなかむずかしい情勢でございますので、先生御指摘の点も十分頭に置きまして、関係局で十分協議いたしまして、将来の経営の改善、定着ということに努力してまいりたいと思います。
○串原委員 時間が参りましたから終わりますけれども、先ほど申し上げました採択基準の問題、利子の問題、畜産大団地をつくったけれども成功しないということではいけませんので、畜産政策全体の方向の問題も含めて積極的に取り組んでいただきますことを強く要請いたしまして、質問を終わることにいたします。
○渡辺(省)委員長代理 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時二十一分休憩 ————◇————— 午後一時六分開議
○羽田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。竹内猛君。
○竹内(猛)委員 農用地開発公団法の一部を改正する法律案に関連して、若干の質問をしたいと思います。 まず最初に、この法案を提出した経過と理由、その目的、その点について御説明をいただきたいと思います。
○森実政府委員 お答え申し上げます。 御案内のように、開発途上国における食糧の増産と農業の振興は、緊急の普遍課題でございます。特に、最近これら地域の農業開発の協力要請が量的に増大すると同時に、質的にも非常な変化を遂げまして、大規模、複雑なプロジェクトについての要望がふえてきております。また、政府といたしましても、政府の開発援助の積極的な拡充を図るための目標を設定するとともに、農業開発を経済協力の重点分野の一つとする方針を打ち出しているわけでございます。 そこで、従来の農業開発に関する技術協力の体制でございますが、JICAを中心にして、それぞれ民間の機関を活用してやってきたというのが実態でございますが、技術課題の大規模、複雑化という状況で、必ずしも民間団体だけでは積極的な対応をとれないような状況が生まれてきている。かたがた、しからばそれを組織的に対応するにはどこがいいだろうかということを政府部内でもいろいろ議論したわけでございますが、農用地開発公団が、農業を中心とする地域開発、新しい農業の創出ということについての知見を持っておりますし、またコミュニティーづくりということも十分の知見を持っております。さらに、幅広い各種の上級技術者、中級技術者を準備しております。また、個別にも、従来から農用地開発公団の職員が技術協力に参加してきた経過があるわけでございます。こういった実態をとらえまして、いわば公的機関による幅広い技術的対応を可能にするための手法として、公団がJICAの委託を受けて大規模、複雑なプロジェクトについては農業協力を行う必要があるのではないか、また、それがベターではないかという判断のもとに、この法案改正を検討いたしまして御審議を願うことにした次第でございます。
○竹内(猛)委員 そこで、この農用地開発公団が今日まで果たしてきた日本の農業、特に、畜産振興等々の中に果たす役割りは大きかったと思うのですね。そして、この開発公団が発展をする過程で、幾つかの経験をされてきたと思います。そういう中で、特にこの農業開発の技術との連携、こういう点では見るべき多くの成果があったと思いますが、これから同じような団体、海外協力事業団、あるいはADCAというような、そしてまたアジア研究所等々いろいろ同じような目的を持った団体がすでに存在をしている。こういう団体との関係、関連等については、きょうは大和田理事長がお見えですから、ちょっと理事長にお伺いしたいわけですが、どういう調整をされていくかということについて、理事長からお答えをいただきたいと思います。
○大和田参考人 お話のとおり、日本に海外経済協力あるいは農業協力の団体もいろいろございますし、また、海外にも国際機関、国際研究所その他があるわけでございますけれども、私ども海外技術協力をいたします場合には、そういう既存の団体との調整を十分やっていきたい。私どもの仕事の一つは、現在までにいろいろなところで調査し研究いたしております資料が実は一カ所にまとまって整理をされておらないようでございますので、私どもコンピューターその他を使いまして既存のデータを完全にまず集めて、いろいろな方々の御利用にも供したい、そういうふうに考えております。
○竹内(猛)委員 いま理事長からお話がありましたように、各団体の歴史と存在の意義というものと、これから発展をしていく開発事業団との独自性と総合性というものはどこでこれを調和しますか、だれがやりますか。
○大和田参考人 これは私から申し上げるまでもございません。政府関係機関は農林省その他の各省の御指導のもとに、私どもいろいろな団体あるいは機関と交渉いたすわけでございますから、終局的な調整というのは結局政府部内で行うわけでございますけれども、それに至る過程といたしましては、農業協力につきましてはJICAの委託のもとに私どもがやりますことを中心といたしまして、農用地開発公団においてできるだけ調整をいたしたい、そういうふうに考えております。
○竹内(猛)委員 それでは、その政府の内部の問題に関連をして、これは大臣がお答えした方がいいかと思いますが、いままでは四省庁体制と言われて、農林水産省が外されていたわけですね。実際、この農用地開発公団がJICAの委託を受け、あるいはADCAとも相談をしながら、海外に拠点を求めながらこれから活動するというときに、その中心の指導監督省庁である農林水産省が外されるということは好ましくないと思います。まして、国際協力事業団の関連の中でも、農林水産省が指導監督の役割りをするという形になっている。にもかかわらず、除かなければならない理由はどういうことですか。これはやはり入るべきじゃないですか。まず、なぜ除いたかということを聞いて、それから今度は大臣からお答えいただきたい。
○松浦説明員 先生御存じのように、二国間の経済協力は政府借款、技術協力、無償資金協力の三本柱になっておりますが、先生御指摘の四省庁体制というのはその中の政府借款についてでございまして、現在、ここで審議されております農用地開発公団は技術協力に関与するものでございます。 技術協力に関しましては、政府ベースの技術協力は国際協力事業団を通じて一元的に実施することになっております。そして、予算も外務省に計上されておりますが、農業関係の技術協力に関しましては農水省と緊密な連絡をとっておりますし、法律上も農水省との法定協議ということになっております。したがいまして、技術協力に関しましては、外務省と農水省が全く二人三脚で実施しておりまして、私ども、現在の体制で問題があるとは承知しておりません。 〔委員長退席、亀井(善)委員長代理着席〕
○田澤国務大臣 いま外務省からお答えがありましたように、この技術協力については国際協力事業団の委託によって私たちは進めるわけでございます。しかし、事務的には常に密接な連携をとって進めるということでございますので、単に参加しないからということによって農林水産省の意向が反映しないということにはなりませんので、そういう点は現状で十分やれるということをひとつ御理解いただきたいと思うのであります。
○竹内(猛)委員 現状というのは、いままでは現状だったけれども、これからは参加をしていくんでしょう、そういう理解をしていいですか。今日までは四省庁で来た、これからはやはり参加をしていく、そういう理解をしていいですか。
○森実政府委員 先ほど外務省から御答弁申し上げましたように技術協力の問題でございまして、これにつきましては四省庁体制ということではなくて、農業に関してはまさに外務省と農林省が相談し、またJICAの業務の運営等についても、農林省が実質的にも大きく関与しているという歴史と経過があるわけでございます。これから農用地開発公団が行います技術協力というのも、いわばJICAの委託を受けて行うわけでございまして、当然のことながら私どもは外務省との連絡をさらに密にすると同時に、JICAとJICAの業務運営についてもいろいろ相談をしてまいりたいと思うわけでございます。 その場合、農用地開発公団とJICAの関係でございますが、これは委託者と受託者という関係になるわけでございます。やはり農用地開発公団が独自の知見を活用いたしましてこの業務を担当するわけでございますし、必要な予算措置等講じて情報の整理等にも当たるわけでございますから、御指摘の点も頭に置きまして、JICAと農用地開発公団の連携体制の強化ということは、この機会に一段と考えてみたいと思っております。
○竹内(猛)委員 この機会に経済企画庁にお伺いします。 経済企画庁は今日まで、この海外の開発についていろいろ努力されてきたことはわかっていますが、農業面についてはどの程度の比重をかけてきたか、それからまた今後は、どの程度かけようとしているのか、この点について、いままでとこれからに分けて御説明を願いたい。
○西谷説明員 御説明申し上げます。 農業開発の問題は、多くの発展途上国につきまして経済社会開発の基盤をなすものでありまして、きわめて重要な分野であるというふうに考えておりますし、また、わが国の政府開発援助の重点分野の一つであるというふうにも考えておるわけでございます。 ただいま先生の御趣旨は、経済協力基金がどのようにやってきたかということであろうかと思いますが、経済協力基金におきましても、農業開発あるいは農林水産業の開発については円借款等を供与してまいっております。最近の傾向といたしましては次第にふえてきておりますし、農業開発の重要性にかんがみまして、非常に好ましいことであるというふうに考えております。
○竹内(猛)委員 大変恐縮だけれども、パーセントとか数字で話をしてもらわないと、形容詞だけではどうも理解しにくいですね。
○西谷説明員 数字で申し上げますと、経済協力基金の貸付承諾額ベース、累計でございますが、四十一年から五十六年度の間に約八%程度でございます。割合としてはやや低いような感じもございますが、ここ二、三年の傾向といたしましては、たとえば、五十六年度の場合、合わせまして一一%強というようなことで次第に率が上がってきており、好ましいことだと考えております。
○竹内(猛)委員 今度農林水産省の関係に質問しますけれども、当初は確かに出発ですからそう大きなことにはならないと思うけれども、やがては、この仕事はさらに発展をしていくものだ、こう考えるわけですね。そこで、二〇〇〇年の農業の食糧の問題等々がこの間出された、あの中で海外協力あるいは事業団に対する期待、こういうようなものについては考えておられるのかどうか。
○森実政府委員 二〇〇〇年の世界食糧モデルは先般公表したわけでございますが、これはいわば西暦二〇〇〇年の世界の食糧の需給関係についての過去の趨勢値や現在の動向を踏まえての一つの予測数字でございます。ただ、この予測にも出ておりますように、やはり全体としては食糧の需給関係はタイトになってくる、穀物とか牛肉等の土地利用型農業の産物は割り高な時代に入ってくるだろう。また、地域別に見るならば、やはり発展途上国が人口の増加、一人当たり消費量の増加に必ずしも生産の増加が追いつかない、そういう意味においては、総体的な不足量というものが増大してくるという問題があるわけでございます。まさに、そういった状況というものが今日の国際社会における発展途上国の主張の中にも出てきているわけでございまして、自国の産業なり社会の離陸を図るためにも、それから食糧問題の解決を図るためにも、農業協力に対しての要請は非常に強まってきているわけでございます。 また、特に大型の農業開発による農用地の確保とか単収の飛躍的増大を志向する動きは出てきておりますし、地域開発の投資も、これら発展途上国では農業にかなりのウエートがかかるようになってきているわけでございます。いわば、そういった動向を受けて今回の法律改正もお願いしているわけでございます。私どもといたしましては、やはり長期的に見た場合、こういった発展途上国の自国の経済及び社会のレベルアップと、食糧問題解決のための自助努力というものに対して、できるだけの応援を技術協力、資本協力を通じて行うということが日本の基本的なたてまえであろうと思います。その結果、発展途上国の農業問題、食糧問題の状況が緩和するならば、それが間接的にわが国の食糧問題にもいい影響を与えてくるということは期待できるわけでございますが、あくまでもこれは基本は発展途上国自体の自助努力への支援体制の強化ということであるわけでございます。
○竹内(猛)委員 森実さん、大分抽象的なことで中身が、数字がさっぱりないから、どれだけのものをどこに期待するかさっぱりわからない、これではまだちょっと私は了解しにくい。 そこで、大和田理事長にお尋ねしますけれども、この法が通れば十月一日から執行するわけですけれども、大体発展途上国をポイントに置いておるわけですが、どの辺にポイントを注がれているか、おおむねどの辺でしょう。
○大和田参考人 私どもまだどこに重点を置いてやるということを決めておりません。話といたしましては、中国、東南アジア、アフリカ等々いろいろございますけれども、法律が通りましてから十分時間をかけて討議をいたすつもりでおります。
○森実政府委員 ちょっと補足させていただきます。 私どもいまのところまだJICA、国際協力事業団の事業予算が決まっておりませんので、具体的な地区が特定している状況ではございませんが、当面は、大体二件程度の技術協力を農用地開発公団が担当することになるのではないかと思っております。 さて、それではどういう地域が多いかということにつきましては、やはり東南アジア、中南米等が今後の状況から見て非常に大きく浮かび上がってくるのではないかと思います。なお、現在実施しております中国の三江平原の開発調査、これは先生先ほど御指摘のADCAが担当しているわけでございますが、法律の改正が通りましたら、これら機関とも協力して応分の協力体制というものを農用地開発公団もしいていかなければならないと思っております。 そこで、第三に、しからばこれがどういうふうに世界の食糧問題に役立つかという問題でございますが、これは、あくまでもやはり世界の食糧問題の基本の一つとして発展途上国の農業振興があり、その重要な手段として農業開発がある。これは最終的には開発とその開発効果を実現できるような営農の改善によって期待できるわけでございますが、いわばその前段に投資があり、さらにその前段に技術協力がある。このいわば入り口の部分について私ども、できるだけ技術的なお手伝いをしてまいりたい、こういう意味でございますので、抽象的というおしかりを受けましたが、そういう関係にあるということを御理解を賜りたいと思うわけでございます。
○竹内(猛)委員 農用地開発公団は、国内において、機械、八郎潟新農村その他を合併をし、各公社、公団、事業団を一つにして今日まで来たわけですね。主として食糧問題、特に、畜産の問題に寄与してきたという歴史があるわけでしょう。日本の食糧自給率というのは三四%。米は、でき過ぎた、こういうことで減反をしている。これからは穀物を何とかしようじゃないか、こういうことになっているのでしょう。だから、穀物を何とかしようということになれば、どこで、どういうようなものをねらうかというぐらいのことはおおむね腹の中になかったら、あの予算の一億四百万という金は一体何をするんだ。予算がついているでしょう、調査費というのが。これはただ全然無目的でああいうものはあるはずはないですね。何事かをするためにあるわけだ。どうですか。
○森実政府委員 まず、御指摘のございました予算の内容について申し上げます。 私ども、補助金として一億四百万ばかり、それから委託費として約一億六百万を期待するということで業務の予算をめどをつけているわけでございますが、この補助金は、いわば基本的な農業開発に関する技術情報の整備、端的に申しますと、たとえば、プログラムの開発とかデータのマイクロフィルム化の問題とか、それからもう一つは海外の農業開発の基礎データ、問題になっております東南アジアとか中南米等を対象にしまして、気象とか、水温とか、土壌、土質の基礎データの整備とか、それから灌漑施設等の農業基盤整備事業に関する整備、それから若干の研修費等を予定したものでございます。 これに対して、委託費の一億六百万は、いわば業務が出発しました後、現実にJICAから委託を受けまして調査をする際の、派遣する職員の人件費とか現実の調査費とか若干の機材費ということになるわけでございます。 そこで、一体どういうふうな地域を具体的に考えているのかという問題なわけでございますが、先ほど申し上げましたように、必ずしもまだ内容については決まっていないわけでございますが、具体的には、東南アジアと中南米等の農業開発についての技術協力が中心になるだろうというふうに見ております。内容的には、まだ申し上げられるようなところにも来ておりませんけれども、たとえばボリビアのサンタクルスの農業開発とか、パラグアイのヤシレタの農業開発などが最近若干議論に上りつつあるし、また、中国の三江平原の開発という問題が二年越しで軌道に乗っているという状況にあるわけでございます。
○竹内(猛)委員 これは大臣にお伺いしますが、今日までの日本の海外開発における反省と、これからの海外に対する開発の基本的な理念というようなものについて、ちょっと大臣から……。
○田澤国務大臣 先ほど来局長からお答えしておりますように、いま、開発途上国ではやはり食糧の増産あるいは農業の振興が重要な課題になっておりますので、それにこたえるためにも、農業開発協力というものが質的にも量的にも非常に拡大されてきておりますので、したがいまして、私たちとしては、これまでの開発途上国への経済協力はいろいろな面で進めてまいりましたけれども、その中に、特に農村、農業というものを重要な柱にしていくということがこれまでと大きく変わった点じゃないだろうかと思う。特にまた、先ほど来話題になっております世界の食糧の需給動向も、中長期的に見て非常に不安定であるというような状況から考えますと、やはり食糧の不足な地域に対しては農業の技術協力によりまして、これらの国際的な食糧事情をできるだけ緩和していくということもわが国の役割りであろう、こういうような面からいいまして、農林水産省としてもこの点に極力力を入れていくということが、これまでの開発途上国に対する大きな考え方の変化だと私は思うのでございます。
○竹内(猛)委員 大臣のお考えは理解できますが、私はさらに、この問題については、先ほどから局長からも答弁がありましたが、長い目で物を見ていくということが必要ではないか。つまり、長期のビジョンというものがあって現実の日本の食糧需給状況があり、世界の食糧の流れがある。特に、発展途上国というのはやはり技術的にも経済的にもおくれていると思いますね。そういうところだけに、従来ややもすると商社が入っていって、たとえば、インドネシアのミツゴロの失敗、金を入れたらすぐ元手を取り返そうというこの拙速主義、これはよくないと思うのですね。だから、その国の国民との間で理解、納得、そしてその国の仲間と一緒になって、日本が食糧の輸入等等を特定の国に任せないで、輸入のやむを得ないものはやはり多国的に輸入するルートというものをつくっていくということが必要じゃないか。今日のようにアメリカだけに依存すると、アメリカが自由化を押しつけてくると、わずか五億ドルに満たないものでこれだけの騒ぎをしなければならない情けない状態というものを何とか克服しなければならないと思うのです。 そういう点で、長期の計画というものとそれから開発計画というものは、これは単に農用地開発公団だけの問題ではなくて、あらゆるものについてそういう姿勢が必要ではないか。略奪とか収奪とか侵略とかという過去の悪いイメージは、この際払拭しなければならない、こういうことを私は主張したいのですが、この考え方についてお答えを願いたいと思う。
○森実政府委員 いろいろ示唆に富む御発言があったわけでございますけれども、私どもやはり基本的には、農業開発というのはその国の食糧問題、農業問題を解決するための努力の手段として表現されていると思います。それに日本が必要な技術的援助を行い、さらに可能であり、要すれば、資本援助を行うということが要るし、また、これに対応して技術指導なり営農指導のようなアドバイスもやっていくということになるだろうと思います。したがって、それはあくまでもその国の農業の振興なり食糧問題の解決ということが基軸でございまして、これは私ども、直ちにそれを従来のコマーシャルベースの開発のように、開発輸入にむしろ直結させることは避けていくべきではないだろうかと思います。あくまでもその国の自主性を尊重していくということだろうと思います。しかし、長い目で見れば、それが世界の食糧需給の緩和に役立つし、また、具体的には、地域によっては日本への開発輸入につながってくるという問題があることは事実だろうと思います。その意味においては、こういった発展途上国で大規模な農業開発が行われ、作物の増収と品質の向上が図られるならば、また、生産性の向上を通じて価格が競争的な条件が整備されるならば、それは結果としてわれわれとしてはやはり輸入の多角化につながってくるということは評価していいと思いますが、それを具体的なプロジェクトにすぐ直結させて考えることは、先ほど申し上げたように、むしろ慎重であるべきではなかろうかと思っているわけでございます。
○塚田説明員 お答えいたします。 先生ただいま御指摘のインドネシアのミツゴロ農場でございますけれども、御指摘のように、少なからぬいろいろな問題がございます。他面、現地における雇用の増大等に貢献したということを私どもは考えておりますけれども、病虫害の発生等予想外の困難があったことも事実でございます。そういうように、農業開発の推進というものに当たりましては、このインドネシアのミツゴロのような教訓を生かし、いままでにも増して慎重な事前調査を行うとともに、先生御指摘のように、長期的な観点に立った協力が必要であるというふうに私ども痛感しております。また、そのように努力してまいりたいと考えております。
○竹内(猛)委員 まず、そういうような観点からする場合に、これは単に農業開発ということだけではなくて、道路、港湾あるいは建築というように、一つの地域づくりのような形のことにしていかなければならないだろう。そして、特に発展途上国には宗教というものがありまして、わが国には宗教はそれほど政治に災いをしないけれども、その国々には宗教の災いというものはいろいろと大変大きい計算をしなければならない。それを考えたときに、その地域における技術指導というか技術協力といいますか、そういう点についての注意すべきものは人づくりではないか。人間をつくっていくことではないのかというふうに考えるけれども、この点についてはどのようにお考えですか。
○塚田説明員 お答えいたします。 私どもいずれの国の農業の振興でもそうだと思いますけれども、農業振興のために基礎的に必要なことは人と土地というふうに考えております。そういう意味で開発途上国に対する経済協力、あるいは農業開発を行うに当たりましても、人づくりというものが基礎であり、また人づくりばかりでなくて、先進国の技術が末端にまで届くような組織づくり、この基本はやはり人づくりでございますけれども、組織づくりも必要であるというふうに考えております。そういうことで、従来からもこの面には十分留意しまして、積極的にやってきているつもりでございますけれども、人づくりの問題も長期的な問題でもありますが、今後とも人づくり、組織づくりについて積極的にやっていきたいというふうに考えております。
○竹内(猛)委員 私は、先般東南アジア、インド方面に行ってきましたが、特に痛切に感じたのは、やはり宗教の問題であったわけです。 それからもう一つは、確かに農林水産省の技術者が行って技術指導をしております。二年間ぐらい滞在をして帰ってこられて、資料を整理してまたかわって行くというようなことでありましたが、これはインドネシア、フィリピンにも農業改良普及員のような形での米の指導をしている技術者がおりましたが、そのときに、一方において、町づくりの中で建設省が参加し町づくりの指導をしているわけですね。当然道路に関してもいろいろと指導協力というものをしていると思うのです。 そこで、いま幾つかの地域が挙げられましたが、これからの地域の中で、いまの四省庁という話を申し上げたが、それにいま農林水産省、さらに建設省などの役割りというものはどういう形になっているのか、その点について、これはどなたでも関係者からお答えをいただきたい。
○森実政府委員 先ほど例に挙げましたのもそうでございますが、私ども、基本的に大規模な農業開発を行う地域の技術協力の体制整備を法案の形で改正をお願いしているわけでございます。 そこで、この大規模な技術開発のタイプは幾つかのタイプがございますが、比較的多いのはいわゆる大規模な湿地帯の大規模な排水改良、これによる耕地化とか単収の増大、それから用水補給並びにそれと結びついた新しい農用地の造成、こういったものが中心のタイプだろうと思います。これらにつきましては、かなり大規模な開発でございまして、農用地の造設を伴うことからいわば農業の創設ということが当然起こってくるわけでございまして、入植も起こってくる。そうするとやはり地域社会の問題、コミュニティーづくりという問題が大なり小なり出てくるわけでございます。そのような意味で、私どもといたしましてはいわば農業開発の一環としてコミュニティーづくりが必要であり、そのために道路網の整備を図る、その他の問題については、私どももそういった農村の生活環境整備や道路整備等については十分な知見を持っておりますし、特に、公団事業等は新しい開発道路の問題については相当な知識の蓄積を持っておりますので、担当していきたいと思っております。 ただ、発展途上国の経済開発のための大規模投資というのは、農業を軸にする場合ももちろんいま言ったようにたくさんあるわけでございますが、それ以外に港湾を軸にする場合あるいは新しい都市建設を軸にする場合とか、高速道路網を軸にする場合等もありますので、これらはそれぞれ専門の領域における技術協力が生かされてくるだろうと思います。もちろんわれわれも具体的なプロジェクトの実施に当たって、知識その他で不備な点があればさらにそういった方面の専門家の参加を求めていく、いろいろアドバイスを受けていくということについてはできるだけフランクにオープンに取り組んでいく必要があるだろうと思っております。
○竹内(猛)委員 何度も申し上げるようですが、開発途上国においては先進国とどうしても違うわけですから、農業だけでなくて社会的な基盤整備、インフラストラクチュアというものが非常におくれているわけですから、地域全体の総合的な開発をするという意味で、農業あるいは農村、道路、橋、港湾、こういうものが一環として整備をされる、そのためには農林水産省が加わった中で建設、運輸というような各省庁との連絡が大事じゃないかと思いますけれども、これは大臣のところで調整をされますか、どこでやりますか、とにかく、そういうことでついていかなければ目的は達しないのではないかと思われますが……。
○田澤国務大臣 農業開発を進める段階で、一つは技術協力及び無償、有償の資金協力、それ以外にいま御指摘のように、あるいは運輸省、建設省等のそれぞれの大型プロジェクト開発を進める作業と互いに連携してまいらなければならない、こう思います。特に、私は、インドあるいは東南アジア等を回ってみまして、やはり人づくりが非常に必要だと思いますので、そういう点についてはやはり積極的に進めなければいかぬと思うのです。 私は、ちょうど十年ほど前でございますが、インドに参りましてボンセルという老将軍に会ったのです。この人はかつてガンジー翁時代の陸軍元帥でございまして、いま、インドの青年訓練所の所長をやっております。この人の訓練所を私も見学に参りましたけれども、その人は日本の歴史に非常に関心が深うございまして、明治維新に非常に関心を持っておりまして、明治百年のあの歴史が今日の日本の大きな原動力になっている、しかも明治維新というのは青年でつくられたということで、私も新生インドをつくるためにいま青年教育に力を入れていますというお話だったのでございます。そういうように日本の私たちが経験した一つの歴史をその地域の人にお話しをし、それを中心にしてまたいろいろ新しい人づくりの参考にしていただくということも大きなことでございましょうから、私は、技術協力あるいはまた資金協力、さらにまた公共事業等の関連する各省庁といろいろ連携をとりながら今後農業開発の成果を上げてまいりたい、かように考えております。
○竹内(猛)委員 今度は公団の職員の問題についてちょっと触れてみたいと思いますが、現在、公団には六百六十名の職員がおりますが、行革等々の関係もあるわけですけれども、これから発展をし伸びていこうというときに減らされるということ。不必要なところは配置転換をしてもやむを得ないと思うけれども、これから新しく法律をつくって伸びようというときに人を減らすということはちょっと納得がいかないわけです。 〔亀井(善)委員長代理退席、委員長着席〕 現在までの開発公団が抱えている職員と、これは理事長の努力によって従来からのいろいろな約束をかなり果たしていただいておりますが、また、新しい出発でありますから、法案が通ってさらにこれからの公団ができていく過程における人員との関係はどういうふうになりますか。
○森実政府委員 まず、定員削減の問題でございますが、第二臨調の答申も受けまして政府全体の方針として五%の削減ということが決まっておりますし、農用地開発公団としてもそれは受けとめていかなければならないと思います。しかし反面、新しい海外業務の実施に当たっては必要な専門職員を配置することが必要でございます。そこで、本年度も六名の職員で海外業務の実施に当たる技術室を設置することにしたわけでございます。なお、現実に海外に行ってこういった海外業務に従事をいたします職員は、これは地方公共団体や民間の職員の方等にも御出向願って一時的に公団の身分で出ていただくとか、あるいは公団の他部門に従事している技術者で知見を有するし、ゆとりがある場合は、その人も活用していくということを考えたいと思います。 いずれにいたしましても、私ども、こういった海外業務の需要の増大に伴って技術職員の必要な定数の確保ということは長期的視点に立ってさらに確保したいということで、実は五年間で少なくとも二十名程度まで持っていきたいという要求を出しているところでございまして、ひとつできるだけ努力をしてまいりたいと思っております。
○竹内(猛)委員 公団の理事長は、いまのお答えについてどうですか。
○大和田参考人 私も、臨調体制下で農用地開発公団だけが特別だということはなかなか言いずらいわけでございますけれども、海外事業もしっかりやれるように人は確保いたしたい、そういうふうに考えております。
○竹内(猛)委員 私は、当初から申し上げているように、農用地開発公団が今日までの日本の農業開発に果たしてきた幾つかの歴史的役割りの中で、あるときには自分の内部を整理をし自己革新をしながら、また、外部に対して新しい課題に取り組んできたという、この二つのことに取り組んできたと思うのですね。そういう中で、公団としては大変成果を上げてきたのではないかと思われますが、さらにこれが海外国際協力事業団と競合するわけではないけれども、それの委託を受けて、あるいはADCAと相談をしながら、新しい課題に取り組むについては、何としてもこれは従来の成果の上に新しい力を加えていく必要があるだろう。その場合に、やはり外部から入れるというよりも、内部ないしそのことに十分にたけた人材を活用する。こういう人材活用という問題について提案をしてみたいと思うのですけれども、この点については何か考えがありますか。
○森実政府委員 お答え申し上げます。 私ども申し上げております農用地開発公団の知見を国際協力に活用するというのは、まさに先生御指摘のような人材の活用という意味でございます。そういう意味では、さらに今回の法令改正を契機といたしまして、先ほど申し上げましたように室をつくり、そこで専門の職員を配置すると同時に、公団職員についても、さらに研修の強化、さらに派遣チームへの参加等を通じて幅広くその知見を広めていく。国内の知見を海外に生かすと同時に、海外の知見を蓄積し、それを身につけた技術者をふやしていくという内部養成の問題については、できるだけ積極的に取り組んでまいりたいと思っておるわけでございます。
○竹内(猛)委員 人間の問題だからなかなか軽々に扱えないと思いますが、これから、十月から直ちに出発するのは六人、やがてはもっとふえると思いますが、海外農業開発の協力の業務を担当する地域は当然発展途上国であるわけですから、生活環境がきわめてよくないところに行かれるわけですから、その業務に当たる職員に対しては、その労働条件やそういう点については十分に考慮してもらわなければ困る、こういうふうに思いますが、そういうような例はいままでありますか。
○森実政府委員 派遣する技術者の身分保障というのは、私も大変大事な問題であろうと思っております。 そこで、二つございまして、一つは、派遣中の身分の確保という問題でございます。公団を通じて派遣します場合、公団職員の場合はもちろん問題ございませんが、地方公共団体とか民間の技術者を一時的に公団の嘱託にして派遣する、こういう場合においては、出向前の身分の確保ということが大事であろうと思います。これについては、関係機関とできるだけ前向きに協議して、その安定に努めたいと思います。 二番目は、現地における処遇の問題でございます。JICAの委託を受けて事業を実施いたしますし、JICAも各方面で各機関を使って、各機関に委託して各種の技術者を派遣しているわけでございまして、派遣条件もいろいろ一つの型ができ上がってきているし、タイプもでき上がっているようでございます。最近では、地域によっては基本的な旅費、手当等では不足するようなところについては特例を認めるというような措置も講ぜられているようでございます。そこで、これは派遣される人の立場に立って、私ども、むしろ派遣する、委託するJICAにこういった出張中の待遇の問題について具体的に必要があれば十分お願いをして、職員が海外において安心して業務に専念できるような条件づくりに努力してまいりたいと思っております。
○竹内(猛)委員 海外に行く者についてのことはわかったが、今度は、内部に残る人がいますね。従来の仕事を国内でやる人がいる。その国内でやる場合に、ぼつぼつ、予定された十年間の仕事がほぼ完了する。この国内は、その後何を開発していこうという、何か計画はありますか。
○森実政府委員 現在、実は公団の事業地区として全体設計地区を七地区現に実施しております。国営事業等に比べると非常に順調に完了が行われておりますけれども、私ども、まだ今後、調査の予定地区もたくさんございますし、まだまだ農用地開発の問題、またその上での大規模な大家畜の畜産経営の創設という問題は重要な政策課題だと思っておりまして、前向きに取り組んでいくつもりでございまして、いま国内の業務が終わって人が浮いてくるというふうな形は私ども考えておりません。むしろ、開発業務をどうやって積極的に予算化していくかということが大事だろうと思っているわけでございます。
○竹内(猛)委員 やはりどうしても、先ほども申し上げましたけれども、食糧の国内自給体制の確立の必要という問題から、現在、農林省がこの間公表された二〇〇〇年の世界の食糧需給の見通しといいますか指標というか、そういうものの予測が出ましたが、国内において八〇年の展望というのが出ているわけです。その中で、特に土地改良の長期計画が一応ピリオドを打って次の段階に入る。その土地改良は、前にも申し上げましたが、金の面から言えば約一〇〇%近いものを出しているけれども、面積からいくと、水田においてあるいは畑地帯内において非常におくれている。こういうことを考えると、国内でもまだやるべきことがたくさんある。その国内でやるべきことと海外とのつながり、結合、これをはっきりさせないと長期の見通し、展望は立たないと思うのですね。その点はどうです。
○森実政府委員 土地改良長期計画の実施率、達成率については、確かに先生御指摘のように名目では九割を超えておりますが、実質は四割台ということは否定いたしません。 来年から新しい長期計画の年になるわけでございます。私ども、新しい農政の展開の基盤づくりに当たるこの土地改良事業の長期計画については、できるだけ前向きな対応が要ると考えております。 具体的には、先般公表いたしました需要と生産の長期見通しなり農業生産の方向づけに従って検討することになると思いますが、必要な農用地の造成、確保、水資源の確保それから汎用水田化の促進、利用権集積なり機械化を進めるための基盤の整備、さらに最近では混住社会化現象を踏まえた農村環境整備等を重点に置いて長期計画をつくり、来年の予算ころまでにはこれを取りまとめて積極的な展開を図っていきたいと思っております。 海外の農業開発の問題は、私ども、まず技術協力について複雑、大規模なプロジェクトについて積極的に対応できる体制ということで今回の法改正をお願いしたわけでございますが、もちろん、そういったものが次の段階においてはいわば国際協力の中の資本援助の問題として出てきて、それにわが国がどう対応するかという問題もあるわけでございまして、私どもも、国際協力の中における農業協力の比重の増大に省を挙げて努力し、海外におけるそういった食糧問題の解決、農業問題の解決、そのことがひいては世界の食糧問題の解決に役立つという視点に立って前向きにひとつ協力をしていきたいと思っております。
○竹内(猛)委員 最初に申し上げましたけれども、海外の農業の研究あるいは指導等々の場所として、学問的に言えばアジア研究所もあるし、それから仕事の面からすればJICAあるいはまた民間から言えばADCA、それから農林水産省の熱帯農業研究センターあるいは京都大学の東南アジア研究センター等々のいろいろな研究機関がありますが、この資料を一括して整理をして、そしてそれを公表する、そういう場所は残念ながらないと思うのですけれども、そういうのはありますか。
○森実政府委員 最近JICAがかなり広範に資料の整理に当たっておられるようでございますが、いま御指摘のようなJICA、ADCA、アジ研、熱帯農研、京大の東南アジア研究センター等、各般にわたるこういった研究機関、調査機関の資料なりあるいは解析結果というものの取りまとめはまだ行われていないようでございます。これは国際協力を促進する意味で大事な課題だろうと思いますので、私ども、農業の問題に関しては、少なくともそういったデータを整備するために十分努力をしなければならないと思います。 当面、農業開発に当たっても、具体的な地域を頭に置いて、単なる技術的な問題だけではなくて、やはりその地域の先ほども申し上げました自然条件のデータとかあるいは経済条件のデータを的確に把握する必要があると思いますので、まず、とりあえずはこの農業開発に関する有益な各般のデータの整理、解析に当たっていきたいし、また、そのファイリングを考えていきたいと思っておりますが、基本的には、省全体としてあるいは政府全体として取り組むべき問題だと思いますので、これから、これら機関や団体との関係を密にする努力を続けながら、そういう情報交換とデータの整理の問題等についても合理的な方法がとられるよう、積極的な提案に努力してまいりたいと思っております。
○竹内(猛)委員 これは大臣に特に要請をしたいのですが、いま、局長からお話があったように、米をつくる研究というのは日本では嫌というほどやって、米博士が山ほどいるのですね。ほとんど米博士みたいな者ばっかりだ。ところが、これからの新しい農業の課題、食糧問題に対しては、その専門家というものを探してみると、そうざらにいるわけじゃない。米退治をやって、新しくこれから動物性のたん白でいこう、牧草、牧野の改良あるいは家畜のえさを栽培をする、これを伸ばす、こういうことになると、その陣容というものは必ずしも豊富だとは言えない。これをどのように養成をし、そしてそれを活用するか、この点について何か大臣、考え方はないですか。
○田澤国務大臣 確かにいま日本の農業は、われわれの生活様式あるいはまた、食生活の多様化によりまして、国民の需要の動向が非常に変わってまいりました関係から、大きく転換しなければならないという時代を迎えているわけでございます。そういう意味では、いま米の過剰というものを処理するために水田利用再編対策というものに取り組んでいるわけでございまして、この水田利用再編対策を通じて、やはり米の需給関係をどうするかということと、さらにまた、畜産あるいは果樹、蔬菜等をどういう状況で配分をいたしまして、日本の総合的な農政をつくるかということが、これからの大きい課題だと思うのでございます。 したがいまして、私たちとしてはまず、畜産についてはこれまでもずいぶん力を入れてまいりましたけれども、畜産については御承知のように、五十一年から五十三年までは確かに成長時代であったわけでございますが、五十四年以降やはり畜産の需要というのは落ち込んでまいりましたものですから、いま、この五十一年から五十三年までの成長時代の過剰投資がまたさらに畜産に大きな負担を与えているというような状況でございまして、ですから、いまの段階では、いわゆる計画生産をせざるを得ない状況にございます。しかし、その計画生産によってわずかに二%程度の成長を維持しようということが私たちの目標でございますけれども、将来の日本の畜産業、酪農あるいは肉、畜草を含めて、少なくともヨーロッパ、EC並みの規模あるいは経営というものをつくり上げていかなければならない、それを目標にしたい。そういたしますと、やはり採草地の拡大というものは非常に大きいと思いますので、そういう点では、今後もこういう点に大きな力を入れていかなければならない、私たちは、アメリカ並みの大きい畜産業というのは望めないとしても、少なくともEC並みの畜産業というものを目標にして、それを達成するために努力をしていかなければならないかように考えております。
○竹内(猛)委員 私は、やはり米が今日まで中心になってきたことは事実だと思うけれども、その米がさらにこれから八十万ヘクタールもまだ減反をしよう、しかもそれはもとへ戻ることがないほどにもう農家の心を痛めてしまっているのですね。これは大問題だと思うけれども、需要というものが限界に来てしまっていて生産だけが伸びるということになると、これは海外に出すわけにもいかないということで、それじゃ国内でどう転換をするかといえば、それはもう穀物にかえる以外にはないだろう。そういうことになると、土地改良のあり方もあるいは技術のあり方も農業研究も、すべてが変わってこなければならないし、同時に、海外における協力の仕方についても、ほとんどが米というよりは穀物が中心になっていくであろうと思われるのですね。それの取り扱いについて、全体としての計画、あり方というものを総合調整する場所が役所の中で必要になってくるのじゃないか。これはどこがおやりになるのか。外務省がやるのか、農林水産省がやるのか、それとも経済企画庁がおやりになるのか。そういう計画は立てたことがありますか。
○森実政府委員 展開過程では、確かに御指摘のような問題が起こることもあると思います。そこで、先ほども申し上げましたように、技術協力の問題につきましては、現在農林省と外務省が農業に関しては非常に密接な連絡をとって実施しておりますし、またJICAの業務の運営等にも農林省は重要な関心を持ち参画していることも事実でございます。 そこで当面は、私ども、これからの技術協力の問題をテーマにする場合には、やはり農林省と外務省の協力体制にJICAを参加させると同時に、こういった開発プログラムについては農用地開発公団も参加させるということを中心にして問題を進めていかなければならないと思います。 問題は、先ほども御指摘がありましたように、それが資本協力の段階でどういうふうになっていくかという問題があるわけでございまして、われわれはそういった技術協力の成果も踏まえて、資本協力についても省として関係各省に積極的に意見を述べてまいりたいと思っているわけでございます。
○竹内(猛)委員 私が申し上げているのは、そういう国が必要とする食糧を計画的に処理をしていくところの場所は、農林水産省なのか外務省なのか経済企画庁なのかと、こういうふうにお尋ねをしているわけなんです。
○田澤国務大臣 経済全体の計画についてはもちろん経済企画庁が中心になって進めてまいりますし、また国際的な食糧の状況だとかあるいはまた対外援助だとか、また外交面でのいろいろな措置等については外務省が行いますけれども、食糧そのものの安定供給、それからわが国の自給力の確保という点、それが国際的な全体から見ての日本の状況等を判断し、またそれを進めるのは、あくまでも農林水産省であろうと私は考えます。
○松浦説明員 外務省といたしましても、いま農林水産大臣が御指摘になりましたように考えておりまして、先ほど私が申し上げましたように、海外におきます二国間の経済協力は、円借款、無償資金協力、技術協力と三本柱で進めておりますけれども、それぞれメカニズムが違いますが、外務省がそれぞれ中心になって役割りを演じておりますので、海外との関係におきましては外務省が接点に立ちまして、これらの農業協力以外の協力についてもいろいろございますが、国内の関係省庁とよく連絡をとりまして推進してまいりたいと思います。 先ほど来、農水省の構造改善局長から御指摘がございます円借款に係ります四省庁体制というのがございますけれども、確かに、この円借款に関しましては農水省は四省庁に入っておりませんが、私どもといたしましては、円借款に先立ちますいろいろなミッションには全部農水省が入っておりますし、それから実際に円借款を決める過程におきましても、外務省としては農水省とよく連絡をとりまして、実態面におきましては支障のないようにやっていきたいと考えております。
○竹内(猛)委員 この機会に農水省もかやの外に置かないで、かやの中に置いて一緒に生活させるようにした方がいいでしょう。ぜひそういうふうに取り扱ってもらいたい。外に置かないで中に入れてひっくくって、十分に話し合いをしていくということが大事なことじゃないですか。この法律を機会にそういうふうにしてもらいたい。その方がわれわれもわかりがいいですね。
○松浦説明員 先ほど私が申し上げましたように、農用地開発公団が関係します政府ベースの技術協力につきましては、外務省と農水省が全く二人三脚で実施しておりまして、外務省から見ましても全く問題がないと思っておりますが、先生いま御指摘の資金協力に関しましては、円借款に関しましては、従来からそういう問題点を農水省からも指摘されて私どもも承知しておりますが、実は、農水省以外にも、建設省、運輸省、郵政省からもそれぞれ関係の省庁の所管する案件が円借款で出たとき同様の問題がございまして、円借款全体の体制をどうするかということは農水省との関係だけではなくてほかの省庁との関係にもございますけれども、当面、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように運用面の改善で実態的に支障のないように、先生はかやの外というお言葉をお使いになりましたが、私どもといたしましては決してかやの外ではございませんで、農業協力は農水省と一緒になって進めなければ御承知のように進められないわけでございまして、一緒にかやの中に入ってやっておるつもりでございます。
○竹内(猛)委員 先ほど私は、経済企画庁に海外協力の農業協力の点についてお伺いしたのですが、日本のように人口が多くて技術が進んでいて、輸出する物はあるけれども原料も乏しいし食糧もないという国では、貿易の黒字を出すだけが能じゃないので、でき得るならば海外の農業開発等についてももう少し気張ってもいいのじゃないか、力を入れてもいいのじゃないかと思うのですね。どうも経済企画庁の海外の農業に対する力が少し足りないように思うけれども、これはどうだろうね。
○西谷説明員 御説明申し上げます。 先ほど数字を挙げて御説明申し上げたわけでございますが、必ずしも数字的には高いと申しにくいところがあるように考えられます。 今後の問題でございますが、先生御案内のように、円借款につきましては相手国の自助努力を助けるという基本原則のもとで相手国の要請を待つという形になっております。そういう面から申し上げますと、いろいろな発展途上国が農業の重要性ということをさらに認識していただくことが基本になると思いますけれども、私どもといたしましては農業、農村開発の案件につきましては、農業開発の重要性にかんがみまして、やはり優良な案件については積極的な姿勢で取り組んでいくことが何よりも重要である、かように考えております。
○竹内(猛)委員 今日までの質疑を通じて、全体として農用地開発公団がこれから前の方へ進んでいこうとすることについての周辺なり主体なり、そういうものがかなり明らかになったと思いますが、最後に、これと関連をするJICAの今日までの成果というものについてちょっと報告をしてもらいたい。
○松浦説明員 先生御存じのように、国際協力事業団の前身は海外技術協力事業団と移住事業団でございますが、これを一体化いたしまして現在の国際協力事業団が発足いたしました。私どもといたしましては、先ほどから申し上げておりますように、国際協力事業団を通じて政府ベースの技術協力を一元的に実施するということで進めてまいりまして、現在、技術協力は国際的に見ますとまだまだ伸ばす必要があると思っておりますけれども、皆様方の御協力によりまして、現在、五十七年度の予算におきましては、国際協力事業団の予算は七百十七億円になっております。これは、事業費のみではなくて管理費その他も入れて全部の数字でございますけれども、かなりの規模になっておりまして、私どもは、そういう予算を背景に、それから農業におきましては農水省その他それぞれの関係の省庁の御協力を得て、今後とも海外におきます技術協力を国際協力事業団を通じて推進してまいりたい、そういう形で技術協力——先ほど先生から御指摘ございましたように、開発途上国の人づくりに貢献する非常に重要な協力の形態でございます。したがいまして、私どもとして今後とも力を入れてやってまいりたいと思っておりますが、その際、国際協力事業団は、実施面においてではございますけれども非常な役割りを果たしていくと確信しております。
○竹内(猛)委員 それでは、時間が参りましたから最後に要請をいたします。 まず第一に大事なことは、同じような形の事業団、公団あるいは協会がありますけれども、それがそれぞれ自主性を持ちながら相互に十分に連絡をし合ってそれぞれの成果を上げていくということについてぜひやってもらいたいということが一つ。第二番目の問題は、長い展望の上に細かい計画というものを立てながら、いままでの成果を生かしながらこれを結合させていくということが大事なことではないかと思うのです。それから三つ目は職員の問題です。従来のそれぞれのところでがんばってこられた職員のいままでの権利あるいは待遇というものを落とすことなしに、これをぜひ確認をした上で新しい課題にたえられるような処遇をしてもらいたい、こういうことです。それから資料の面においては、いろいろな研究団体やそれぞれの団体がありますけれども、それの資料がばらばらにならないで、これをまとめてできるだけ集中的に公表ができるような処置をとってほしいということをこの機会に申し上げたいと思います。 それから次の問題は、発展途上国の皆さんから略奪であるとか収奪あるいは搾取であるというような言葉を言われないように、ひとつ理解と協力と相互平等のその立場を貫いていくようにしたい、こう考えますけれども、これらについてひとつそれぞれお答えをいただいて私の質問を終わりたいと思いますが、これは大臣からお答えいただけますか。
○森実政府委員 幾つかの事項の御指摘があったわけでございます。 各団体との協調並びにその自主性の尊重ということは、私どもも業務の運営に当たって十分留意させていきたいと思っております。 それから二番目に、国際協力に当たっての過去の経験なり成果というものは十分活用していかなければならないと思っております。 第三に、職員のいわゆる処遇問題でございますが、十分職員の立場を考慮してその所要の条件が確保されるよう配慮していくように努力したいと思っております。 四番目にデータの問題でございます。これはいろいろむずかしい問題がございますが、少なくともまず農業開発の部門からこのデータの集中、解析、ファイリングということに努めると同時に、省全体としてもこの問題について前向きに取り組んでまいりたいと思っております。
○竹内(猛)委員 以上で質問を終わりますけれども、最後に、お忙しいところ大和田理事長に来ていただいてありがとうございました。 これで終わります。
○羽田委員長 吉浦忠治君。
○吉浦委員 農用地開発公団法の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたしたいと思います。 海外協力に力を入れて友好関係を維持、強化することが国際平和に役立つことは、これはきわめて重要な点でございますが、とりわけ開発援助については、これまでややもすれば国内向けに固まった体制を、発展途上国の立場に立った姿勢に切りかえるべきであるという考え方で、大変私はいい着想だと思うわけでございます。 しかし、わが国の外交を見てまいりますと、いろいろ言われておりまして、お公家さんの外交だとかあるいはもっと適切な情勢判断に基づいて、現地に即した、時代にマッチした積極的な外交が展開されるべきであるという意見もあるわけでございまして、そのためにも、海外に対する情報収集と分析力の強化についての体制確立というものを図らなければならないと考えるわけであります。 そこで、まず最初に、海外経済協力の進め方と農業協力の重視政策についてお尋ねをいたしますが、わが国が一九七八年に政府開発援助の三カ年間に倍増計画を設定され、また、一九八一年には五年間で倍増計画を設定するなど、海外経済協力に対する積極的姿勢を打ち出されておりますけれども、その意図というものは何であるのか、特に、開発援助の推進に当たって基本的な理念をまずお尋ねをいたしたいと思います。
○松浦説明員 御質問の経済協力の理念につきましては、世界各国いろいろな理念を持っておりますが、根本的に共通しておりますのは、南北問題の根底にございます開発途上国と先進諸国は深い相互依存の関係にあるということ、それから開発途上国におきましてはまだまだ発展段階がおくれまして、外国からの援助に頼らなければやっていけないという面があるということ。一言で申し上げますと、前者が相互依存でございまして、後者が人道的な考慮でございますが、この二つの理念を各国とも基本の理念にしておりまして、日本も同じように、この二つの基本理念のもとに、先生御指摘の中期目標に基づきまして開発援助の拡充に努めてきております。
○吉浦委員 日本の経済力に見合った援助をすることが必要であろうということは、もう論を待ちませんが、それが相手国の民生と産業経済の発展に寄与することが大事だと思います。この配慮すべき点はどういう点に配慮をなさって援助をなさるのか、お尋ねをいたしたい。
○松浦説明員 先生まさに御指摘のように、経済協力の目的は開発途上国の経済社会開発の支援、さらには民生の安定、福祉の向上支援ということでございまして、別な言葉で申し上げますと、開発途上国の自助努力に対しまして私どもが側面から援助するということでございまして、やはり肝心な点は自助努力でございますけれども、その自助努力を踏まえつつ、私どもとしてもできるだけ効果的な援助を実施してまいりたいと考えております。
○吉浦委員 現在のような資金援助のあり方というものが、ともしますと、相手国の特権階級の地位確保に利用されたり、あるいは経済的、社会的地位の格差を拡大したりしまして、真の意味の民衆レベルで歓迎されるものというふうになっていないのじゃないかという点もあるわけですが、この点についてどういうお考えなのか。
○松浦説明員 先生の御指摘のような援助は、私どもといたしましてもまさに避けたい、そういうことはしてはならない、こういうふうに考えておりまして、一言で申しますと、私どもといたしましては開発途上国のできるだけ多数の一般大衆に裨益するような援助を行っていきたい。先生御指摘のような特権階級を裨益するとか、一部の支配者を裨益するというようなことではなくて、一般大衆に裨益するような援助をしていきたいと考えております。 そのために、具体的にどういうことを考えているかと申しますと、私どもの言葉で基礎生活援助、これは英語で申し上げますとベーシック・ヒューマン・ニーズということになりますが、開発途上国の一般大衆が基礎的な生活をするために最小限必要なものを援助していく、具体的には、先ほど来話題になっております農村、農業、それからさらにつけ加えますと保健、医療、家族計画、飲料水、エネルギー等々、こういう基本的な点に重点を置いて援助してまいりたい、こういうふうに考えております。
○吉浦委員 真に相手国の発展を願うならば、まず、教育水準を向上しなければいけないというふうに思うわけでありますが、それは後で人づくりの点で触れたいと思いますけれども、一部のエリートの育成というものをするのではなくて、むしろ先ほど述べましたように、国民一般の教育水準の向上を図るような点が大事ではないか、こういうふうに考えるわけであります。 この海外援助の問題についてはたくさんの問題が指摘されておりまして、どうも海外援助のあり方というものが非常に疑問を持たれるような結果になっては相ならぬと思うのです。相手国によっては、先ほど述べましたような特権階級の——日本が一生懸命援助したものが、期間が終わると、それは向こうの特権階級の方がその地位を利用して、国内に明かさないで、それは自分の力でやったのだ、そういう援助になっている面もあるし、また、どういう面に使われたかわからないような面も多々あるわけでありまして、そういう点で詰めてまいりたいと思いますけれども、現在のわが国の開発援助の実績は、他の先進国に比べますと、GNP比率で必ずしも高いものではないというふうに聞いておりますけれども、その実態はどういうふうになっているかをまずお答えいただきたいと思います。 続いて開発援助の国際目標については、一九八〇年の国連総会で採択されました第三次国際開発戦略において一九八五年までに対GNP比率を〇・七%まで高める、こういうふうになっておりますけれども、わが国においては、最近の緊縮財政のもとで目標が果たして達成可能かどうか、この二点をお尋ねいたしたいと思います。
○松浦説明員 一九八一年の実績につきましては、ただいま集計中でございまして、まだ数字がございませんので、八〇年の数字で申し上げたいと思います。八〇年の数字でございますと、これはちなみに、三年倍増計画の最終年度に当たりますが、日本の実績はドルベースで三十三億ドルでございます。これは絶対額では先進国の中でアメリカ、フランス、西ドイツに次いで四番目でございます。しかしながら、先生御指摘のようにGNP比となりますと、いま申し上げました日本の三十三億ドルは〇・三二%ということになりまして、先進諸国中十二番目ということでございます。先進諸国と申しますのは、この場合全部で十七カ国でございますので、残念ながらかなり下の方でございます。 それから、もう一つの今後の方向でございますけれども、先生御指摘のように八〇年の暮れに国連総会で第三次国際開発戦略が採択されました。その中におきまして、政府開発援助の対GNP比〇・七%目標を達していない先進国はこの目標を八五年までに、遅くとも八〇年代後半までに達成するよう最善の努力を払うということがありまして、日本もこれを受諾しております。ただし、八五年までとか八〇年代の後半までというタイムリミットに関しましては留保しております。したがいまして、私どもといたしましても〇・七%を目がけて政府開発援助の拡充に努力してまいりたいと思いますが、残念ながら、日本の現在の水準から見ますと、この〇・七%目標の達成というのは当面なかなかむずかしい課題であるというふうに考えてはおりますけれども、昨年一月採択されました新しい中期目標のもとでもGNP比の改善に努めるということになっておりますので、今後ともGNP比の改善に向けて努力してまいりたい、こう考えております。
○吉浦委員 政府は、今後の海外経済協力の推進に当たりまして農村、農業分野における協力を重点的に実施したいというふうに内外で表明しておられますけれども、現在、農業分野の占める割合はどの程度のものか、また、将来どの程度まで高めるというふうに予定をなさっておられますか、お答えをいただきたい。
○塚田説明員 お答えいたします。 農林水産省といたしましては、農林水産業の振興、農村の開発ということに開発途上国への協力の重点分野を置いているわけでございます。そういう協力の中で、政府開発援助の一環として農林水産業の分野におけるシェアでございますけれども、一九八〇年の数字をとってみますと、技術及び資金協力の両面におきまして食糧農業の占める割合は約一八%ということになっております。私どもは、南北サミットの場でわが国政府が強調してきましたように食糧農業開発が重点分野でございますので、今後もこのシェアを高めるよう農業協力を積極的に推進してまいりたいというふうに考えております。
○吉浦委員 今後の農業協力等に当たっては、相手国の要請に基づいてその自主性を尊重した自助努力を助長する方式が必要と考えますけれども、従来の農業協力に当たっては、政府においても開発輸入という言葉をしばしば使用しておられますが、開発輸入というのは何を意味するのか、お答えをいただきたい。
○塚田説明員 開発途上国に対する農業協力を行う場合まず大事なことは、先生も御指摘のように開発途上国の自主性、自助努力を尊重するということでございます。これなくしては有効な開発途上国への協力は行われないというふうに私ども思っております。 そこで、御指摘の開発輸入でございますけれども、従来、開発輸入という言葉について多少の誤解もあるようでございます。私どもの物の考え方は、開発途上国に対してはまず食糧増産、農業開発を支援するということでございまして、これらの国の食糧不足の解消ができれば一番いいわけですけれども、できない場合でも食糧不足を緩和するというようなこと、それから経済の発展、民生の安定に資するというようなことでございます。そうしまして、こうした食糧需給の緩和ができれば世界全体の食糧需給、あるいはまたわが国をめぐる食糧の国際環境が安定していくということでございます。したがいまして、私どもの協力の基本的な考え方といたしましては、食糧の買いあさりというような意味での開発輸入ということは考えていないわけでございます。
○吉浦委員 食糧の輸入源の多角化という美名のもとで、食糧の不足している国に対して資本力に物を言わせた略奪的開発が行われてしばしば批判を受けたところでありますけれども、これに対して政府はどのようにお考えをお持ちなのか、先にこのことをお答えいただきたい。
○塚田説明員 お答えいたします。 先ほども私御答弁申しましたけれども、開発途上国に対する農業協力は、まず、食糧の面に着目いたしますと、すでに現に御案内のように、開発途上国においては数億の飢えた人々がございます。その飢えた人々に対する食糧を供給するということ、また、そういう人たちに対して長期的には農業開発を行ってみずからの国で食糧を供給できるようにすること、当面の問題ばかりではなくて、長期的にもこういう農業協力を行って食糧不足の解消に努めていくということでございます。 したがいまして、私どもは、そういう援助なり協力を行った結果、その国が食糧の生産が伸びまして輸出余力を持つというようなことになりますれば、その国の要請にも応じて食糧を輸入するということを考えるにやぶさかでないわけでございますけれども、現に御案内のように、ほとんどの開発途上国は食糧不足でございますので、私どもはそのような国から食糧の買いあさりというようなことを行う気はございませんし、また、そうした批判が生じないよう常に努めていかなければならないものというふうに考えております。
○吉浦委員 特に、インドネシア等における開発輸入の問題で、これは完全に失敗であるというふうに批判を受けておりますけれども、その失敗した原因というものはどこにあるのか、今後また、政府は、どのようにこれを解消されようとしておるか、お答えをいただきたい。
○塚田説明員 お答えいたします。 わが国の民間企業によりますインドネシア・ランポン州での農業開発事業でございますけれども、この事業は、現地における雇用機会の創出等を通じましてインドネシアの地域開発に寄与するところが少なくはなかったというふうに私どもは考えておりますけれども、これらの農業開発事業は、その発足以来、予期せざるたとえば、病虫害の発生とか、周辺農民との関係等の問題によりまして経営は好ましくない状況にございます。本件事業を今後どうするかということでございますけれども、これは関係企業とインドネシア政府との間でも話を現に行っておりまして、その対策を検討中であるというふうに聞いております。その結果を待って、どのような対応が可能であるかにつきまして関係機関と協議の上、現地の実情等も十分踏まえまして検討してまいりたいというふうに考えております。
○吉浦委員 やはり行きつくところは人づくりの問題だろうというふうに思うのです。鈴木総理がASEAN等の諸国を訪問なさったときも、現地の方々に人づくりの約束をされたようでありますが、この農業協力を進めるに当たって重要な点の人づくりの問題で、たとえば、灌漑排水施設をつくる場合でいえば維持管理する人の育成が必要であろうと思いますし、多収穫品種をつくる等については、普及する人材の育成というふうな方が必要であろうと思うわけです。このように基礎教育やあるいは実施教育が必要であるが、政府がこの面でどのように力を入れられるのかという点を先にお尋ねをいたしたいと思うのです。 その前にくるめまして、人づくりの教育の問題で、政府も国民も発展途上国への理解を十分しなければなりませんが、そのためにもわが国の教育の内容というものも改めて考え直す必要があるのではないかと思うのです。 文部省おいでいただいていると思いますが、そこで現在、わが国の国立大学で国際学部といった国際的視野を養う学部が設けられている大学は一つもないのではないか、こう思うのです。いわんや、発展途上国に対する理解を深めようとする機運は全くない。教鞭をとれる人もいないのじゃないか。あるいは専門家、学者もきわめて少ないと言わなければならないと思うのです。いわんや、現地語を話せる人はほとんどいないと思わなければならぬ。こういう現状を文部省はどのようにとらえていらっしゃるのか。文部省、お見えになっておりますか。まずお答えいただきたい。
○齋藤説明員 わが国の大学は西洋文化を中心に移入をするということで、その意味ではヨーロッパやアメリカの文化なり言語なりのいろいろな講座部門を持っておるという非常に特異な国ではないか、こう思えるわけでございます。 ところが、いま問題になっておりますような開発途上国等に関する教育研究は十分でないというのは御指摘のとおりであろう、こう考えておるわけでございます。もとより、東京外国語大学では十六学科ございますし、大阪の外大も十七学科ございまして、ここにはいろいろな国の言語、文化を研究する学科があるわけでございます。ただ、そのほかにつきましては、こういう地域研究のようなものはどうしても学際領域になるために、まだ十分教育体系にまででき上がっていないというのが現状でございます。 文部省といたしましては、特定の学部でそういうことを行うことも大事ではあるけれども、あらゆる再攻を通じてそれぞれの文化なり国際的な常識を涵養する、このことも必要であるという認識に立ちまして、たとえば、大阪大学言語文化部でありますとか、東京大学言語文化センターでありますとか、こういうようないろいろなセンターは相当数設けてきておるわけでございます。ただ、学部の数について申しますと、御案内のようにまだないわけでございますけれども、学科でありますれば、たとえば、一橋大学に国際関係の法学部の課程を置くとか、あるいは東京大学に国際的な相関関係の教養課程を置くとか、そういうような学科は五つほどあるわけでございます。 なお近年、御指摘のような問題もあるわけでございまして、たとえば、昭和四十九年度にできました国立民族学博物館におきましては、数十の部門であらゆる世界の国々の言語、文化、民族を研究する、あるいは東京外大ではアジア・アフリカ言語文化研究所が設けられておるとか、京都大学では東南アジア研究センターがあるとか、北海道大学ではスラブ研究センターがあるとか、こういうような意味では、研究面では若干おくればせではございますけれども徐々に最近設けられてきておる、こういう現状になっておる次第でございます。
○吉浦委員 開発援助関係者という方に対する待遇改善の点でちょっとばかり、これは農水省関係お尋ねいたしたいのですが、青年海外協力隊というものを編成しても、その待遇改善がほとんどなされていないと思うのです。いわゆるいまの大学の方の方々も、エリートの方はこういう海外援助には余り協力的じゃないのじゃないか。それは、そこへ行きますと出世の道がとまりまして、帰ってきてももとの職場でエリートコースには戻れないことがあり得ると考えられているように、海外の問題は非常に複雑である、こう思うわけであります。 〔委員長退席、亀井(善)委員長代理着席〕 また、青年海外協力隊の待遇改善等も、帰ってきて再就職ができない、それから派遣中の報酬が余りにも格差が大き過ぎる、社会保障制度等もほとんど確立していない、打ち出すだけはきちっと打ち出されているけれども、そういう待遇改善についてはほとんど触れられていないというのが現状でございます。この点についてどういうふうにお考えになっているか。
○内田説明員 お答えいたします。 協力隊の待遇改善につきましては、私どもも事業団業務の一環といたしましてつとに努力している次第ですが、先生御指摘のとおり、そもそもが奉仕活動を目的とする青年のボランティア活動というところから出発しておりますので、専門家の待遇その他に比べましてまだなお格差が大きいという点はそのとおりでございます。この点、私ども協力隊の奉仕精神というものを生かしながら、待遇改善の面におきましても今後とも努力していきたいと思っている次第でございます。 もう一点、協力隊の帰国後の就職の問題でございます。これも協力隊活動の今後の進展を妨げている大きな問題点の一つであるというように私ども認識しておりまして、これは国民各層、特に、各企業におかれての御理解、御協力を得なければなかなか解決し得ない問題であるというように考えておりますが、最近では青年会議所等々もこの問題の重要性を認識いたしまして、各地での青年会議所活動を通じて引き受けの企業を探し求めるといった形で協力が得られておりまして、漸次改善の方向にあると考えている次第でございます。
○吉浦委員 文部省、どうもありがとうございました。 改正案に関連した問題で二点だけお尋ねして終わりたいと思います。 その第一点は、最近、行財政改革を進める上で、臨調等においては公社・公団等の特殊法人のあり方に対して厳しい批判がされているわけでありますけれども、今回、農用地開発公団に対し海外農業協力業務を付加することを積極的に理由づけられたそれは何なのか、この点を簡潔で結構でございますのでお答えいただきたい。
○森実政府委員 農業開発に対する各国の需要は年々増大しておりますし、特に、大規模な複雑なプロジェクトの要請がふえております。従来の民間体制だけでは対応が不十分である。そこで何らかの形で公的機関による推進が必要であろうということが前々からも指摘されていたわけでございますが、幸い、農用地開発公団がこういった農業を中心とする地域開発とかコミュニティーづくりとかの経験を持っている、その知身を十分生かすだけのスタッフを備えているし、またオペレーターから専門技術者までの幅広い技術者をいつでも準備できる体制がある。それは公団自体だけではなくて、その周辺的な母集団からも選別できる条件にある。こういったことから、政府としては農業開発に対する協力体制を強化するという政策課題のもとに、農用地開発公団にあわせてこの業務を実施させることが適当と判断したわけでございます。臨調の議論等もいろいろ政府部内においてもあったわけではございますが、そういった今日的な政策課題に現実的に対応するベターな方法として大方の合意を得られまして、政府の内部の意見もまとめまして、また臨調にもお話し申し上げましてこの成案をまとめて提案した次第でございます。
○吉浦委員 最後に、公団の海外業務は従来の国内業務に支障のない範囲で実施する、こういうふうにされておりますけれども、海外業務は今後の公団の業務としてどのように位置づけられるのか。公団の国内業務が先が見えてきたということで、新しい業務につけ加えたとの批判もあるわけです。もうちょっと批判をさしてもらいますと、この臨調絡みのいまの公団に対する厳しい批判があるときに、目先を変えて延命工作のために、こういう受けとめられ方もあるやに私は聞いているわけです。こうなると大変なことでありまして、そういうことでこういう援助の問題が論議されるようでは大変だというふうに思うわけでありますが、最初は局長、その後に大臣の答弁をいただいて、私は終わります。
○森実政府委員 率直に申し上げますが、そういう議論が一部にあったことは私も否定いたしません。しかし、私どもは、今日の具体的な行政需要にこたえるためには、農用地開発公団を改組し海外業務を行うことは適当であると判断して、先ほども申し上げましたように関係行政機関や調査会等のメンバーの方にもお話しを申し上げまして、この問題の重要性を認めていただいて、今回の制度化が政府部内において方針が決まったということでございます。 なお、この業務のウエートでございますが、私ども、先ほど申し上げましたように大規模、複雑なプロジェクトを中心に考えるという前提で、毎年二件程度の開発調査を当分実施するということを予定しておりまして、あくまでもJICAの委託のもとでそれも行うということでございまして、現実の国内業務に比べますれば一部の仕事、限られた一部の仕事ということで、これが新しい公団の業務の大部分を占める、相当部分を占めるというふうな考え方は持っておりません。 なお、今後の農用地開発公団の国内業務の問題でございますが、やはり今日の農用地確保の必要性、また大規模畜産の創設の農政上の必要性から考えまして、私ども、現にかなりの実施計画地区を持っておりますし、また全体設計地区を持っておりますし、さらに調査計画も進めておりまして、当面この業務がすぐ減少するような事態はまずないものと思っております。
○田澤国務大臣 世界の食糧事情は中長期的に見て非常に不安定だというようなこともございまして、開発途上国では食糧の増産あるいは農業の振興という要請が非常に強いのでございます。したがいまして、これにこたえるために私たちは、新たな公的な機関としての組織的な取り組み方をしなければならないということから、これまでいわゆる知識と経験を持っているこの公団をしてこの仕事をしていただく。しかし、この公団はあくまでもこれまでの仕事もしていただく。もう一つは、これから進められる農業開発援助についても努力をしていただく。この面に積極的に努力をするように私たちは今後も力を入れていきたい、かように考えておるのでございます。
○吉浦委員 ありがとうございました。終わります。
○亀井(善)委員長代理 藤田スミ君。
○藤田(ス)委員 最初に、大臣に二、三お答え願いたいと思います。 私は、日本の経済協力というのは、発達した工業国として世界の平和と諸民族の独立、全人類の進歩のために、つまり、人類進歩のために国際的な連帯の立場から行われなければならないと考えるわけですが、大臣はいかがお考えでしょうか。
○田澤国務大臣 経済開発援助というのは、それぞれの国の自助努力に対して援助申し上げる。さらに、それを基本にして経済社会の安定あるいは民生の安定等に努力をしなければいけない。ことに、一般大衆の生活の基礎となるべきものを援助してやるということが基本だと思いますので、そういう意味では農業の開発がいかに大きいかということを私は痛切に感じているのでございます。
○藤田(ス)委員 しかし、政府の経済協力の方針を見ますと、そういうものになっていると言えるでしょうか。たとえば私は、ここに先進国首脳会議、あのオタワサミットの鈴木総理の発言の記録を持っておりますが、こういうふうに言っていらっしゃるわけです。「西側全体がその平和と安定を確保するためには、」「第一に、ソ連の継続的軍備増強とそれを背景とした第三世界への進出に有効に対処しなければならないこと。」「第三として、南北問題の解決に貢献し、第三世界の経済・社会開発を通じてその政治的安定を促すべきことである。」さらに「西側社会の「総合的安全保障戦略」を効果的に行なうために」「わが国の対応は、経済面・経済協力面、アジアをはじめとする第三世界における政治的・経済的役割を中心としたものになると考える。」こういうふうに述べられております。 さらにこれは一九八一年一月の日米経済関係グループの報告書、日米首脳会談でも非常に評価されたものなんですが、この中で述べていることは、日本の防衛政策の一環として経済協力計画を再構築するよう要求しているわけですが、こう書いています。つまり、「日米安全保障条約に基づく、日米安全保障上の協力体制の信頼性と有効性を高めるために、日本がその防衛上の役割を明確化し、自衛努力を一層強化すること、および総合的安全保障努力における日米の負担の公平をはかることが期待される。そのためには地域の安全保障、ひいては世界の安全保障に寄与するために、経済援助や外交面における活動を一層強化することが望ましい。」こういうふうに言っているわけです。要するに、アメリカが日本の軍備拡大を迫る一方で、負担の公平という名目で経済援助の拡大を迫ってきているわけなんです。日本も、これが日本の役割りだとして拡大を約束している。これが今日の経済協力の基本性格ではなかろうか、こういうふうに考えます。農林大臣は総合安全保障閣僚会議の一員としてもそのメンバーでおられるわけですから、こういう点についてはどういうふうに認識をしていらっしゃるか、お答えを願いたいと思います。
○田澤国務大臣 日米の安保体制の確立ということは私たちとしては当然考えていかなければなりませんけれども、対外経済協力あるいは対外経済援助というものについては、先ほど申し上げましたように、それぞれの国の自助努力に対して援助を申し上げよう、しかも、その国の要請に応じていろいろ進めてまいりまして、その国のいわゆる自主性というものを尊重しながら今後とも開発援助を進めていこう、私たちはこういう考えでございます。
○藤田(ス)委員 たとえば、外交青書を見ますと、「援助は多目的なものであり、従来から、援助は開発途上国の経済社会開発を支援し、民生の安定、更には地域の安定に役立つとの考え方があったが、ソ連によるアフガニスタンへの軍事介入を契機とし、援助の政治的側面はより強調されることとなった。」こういうふうに述べているわけです。つまり、私が先ほど指摘いたしましたそういう性格というのは、この外交青書の中で一層強められていると言わなければならないのじゃないか、この点は指摘にとどめます。 次に問題なのは、わが国の経済協力が大企業の発展途上国への進出を支援し、その補完物になっているという問題です。 これは先ほどからも問題として挙げられておりましたけれども、さきに引用しました日米経済関係グループの報告書も「日本の対外援助は現在、産業界の利益と密接に結びついている場合があまりにも多く、また、日本と経済的利害関係が強い地域に集中しすぎている。」こういうふうに指摘をしております。国際協力事業団の設立の際にも、これは日本の大企業の新植民地主義的海外進出への援助である、こういうふうな批判が非常に強かったというふうに私は考えておりますけれども、大臣は、この日米経済関係グループのこのような批判をどのように受けとめていらっしゃいますか。
○田澤国務大臣 対外経済援助は、開発途上国と先進諸国との間の融和というような面から、先ほど申し上げましたようにいわゆる経済社会の安定あるいはまた、民生の安定等を基本にしながら進められていることでございまして、私たちは常にそういう面を考えながら、今後とも農業の開発援助に努力をしたいということでございますので、そういう点は御理解願いたいと思うのでございます。
○藤田(ス)委員 公団の活用の対象については先ほどの御答弁でも南米、東南アジア、中国、こういうふうに御答弁がございました。要するに、ASEAN、中国、ブラジルなどが対象国なんでしょうか。これはADCAの事前調査の実績を見てもそういうふうに考えられると思うのですが、いかがでございますか。
○森実政府委員 先ほど申し上げましたように具体的な実施計画はこれから決めていかなければなりませんが、私ども従来からの情報等をベースに判断いたしますと、中国、インドネシア、マレーシア、ビルマ等のアジア以外にブラジルとかボリビアとかパラグアイといったふうな中南米地域が、やはりこの種の大規模農業開発は立地条件、自然条件、経済条件からどうしても多くなってくるのではないかと思っております。
○藤田(ス)委員 結局、これらの国々は政治的、軍事的に重要な国あるいは日本の大企業が資源供給先、輸出市場あるいは資本投資などの市場として非常に重視をしている国々だと言えると思うのです。しかも、特に中国、ブラジルは輸出作物の生産のための開発という位置づけが主要な側面であって、これによって外貨を稼がせて、そうしてまた、日本の工業製品を輸出していこうという性格が見え見えではないかというふうに私は考えるわけです。農業協力だから大資本への奉仕というようなことではないんだというふうにおっしゃるかもしれませんけれども、さっきから問題になっておりますインドネシアの三井、三菱、伊藤忠などの商社資本、一九六〇年代の後半から七〇年代の前半にかけて、あれはエネルギー欲しさにその見返りとしてインドネシアに合弁農場をつくって、あわよくば開発輸入での飼料用トウモロコシなどを日本に輸入しようと試みたけれども失敗に終わった。そこで、国際協力事業団を通じて道路だとか学校など直接もうからない分野に非常に低い利息の融資をさせてきたわけです。 今度の法改正というのは直接このような合弁農場をつくるということにはならないにせよ、農業生産の基盤整備を大企業にリスクを負わせないで、そうして国費を投入してやろうとするものではないんでしょうか。私は、現在の政府の援助方針のもとではこういう性格を持たざるを得ないというふうに考えるわけなんです、この点は指摘にとどめますけれども。 公団と民間コンサルタントの会社の仕事の調整というのは大変むずかしいというふうに思いますが、公団は大規模で複雑な仕事をやると言われているけれども、その基準は一体どういうものなのか、この点を明確にしていただきたいわけです。
○森実政府委員 農業開発に関する技術協力は、誤解があってはいけませんのでもう一回繰り返させていただきますが、あくまでも相手国政府の開発計画を軌道に乗せるための必要な技術協力でございます。つまり、開発調査を担当するわけでございます。そこで、相手国政府の要請でJICAがこれを受けましてどこに委託してもらうかというとき、民間の各種のコンサルタントと公団とに振り分けられるわけでございますが、年間三十件程度の開発案件のうちで、恐らく大規模複雑なものとして今後農用地開発公団が担当するのは二件程度であろうということを申し上げているわけでございます。 基準と申しますのは、別に客観的に決まっているわけではございませんが、民間が単独でなかなか処理できないという点から見ると、一つは数万ヘクタールというふうな広大な万単位の地区面積を持ったような事業とか、あるいは灌排とか圃場整備とか干拓とかそれから暗渠排水とかさらに除塩事業とか凍上、つまり氷ですね、凍上対策事業とか、こういった各種の事業を複合して実施しなければならないような事業が恐らくその対象になるだろうと思います。 具体的な運営に当たっては十分JICA、外務省と農林省が協議いたしまして、民間の活力を損なうことのないよう配慮しつつ、またこの農用地開発公団の特性を十分生かせるよう配慮しつつ決定してまいりたいと思います。
○藤田(ス)委員 相手国の要請ということでしたけれども、ADCAの資料を見ましても、二国間の政府で話が始まる前に、あらかじめ相手の受ける適切なプロジェクトを見つけ、そうして両国政府に勧告、助言し云々というふうに、やはり誘導するというような事実があるわけなんですよ。これは議論しませんが、余りきれいごとばかりおっしゃると困るわけです。 今度の改正の契機になったのは、午前中の御答弁を聞いていても中国の三江平原の開発の問題などが契機になったなというふうにお伺いをしたのですが、この場合は中国側が単なる開発調査だけではなく、技術移転だとか営農試験などを要望しているわけなんですね。そうしますと、これが開発調査のコストに入っていないためにリスクがあるということが指摘されております。そこで、大型プロジェクトですから民間会社が単独で担当できないということもあるでしょうけれども、しかし経過からすれば、リスクのあるものは公団が担当して、うまみのあるものは従来どおり民間がやるというようなことになるのではなかろうか。この点の配分についてどういうふうなお考えを持っていらっしゃるのか、そしてこれに対する基準はどういうふうにつくっていかれるのか、この点をお伺いします。
○森実政府委員 誤解があるといけませんのでちょっと三江平原の例を申し上げますと、三江平原の問題が、実は民間では大規模複雑な開発調査を実施するのはなかなかむずかしいという一つの教訓になったことは事実でございます。しかし、基本的には、その種の問題が非常に多くなってきているということが背景にあるわけでございます。それから資材供与の問題とかあるいは営農試験をやるというふうな問題は、いわばJICAの予算の中にどう織り込むかという話でございまして、JICAの委託を受けて行うのが民間であっても農用地開発公団であってもその点は同じ問題なわけでございます。むしろ、実は私どもも具体的案件として非常に困りましたのは、やはり相当膨大な各種の技術者のチームを編成してやっていかなければならぬ、技術情報をずっと集積していかなければならぬ、それが民間の機関では継続的になかなかむずかしいし、またチームの編成にも限界があるということで、三江平原の場合は例外的に農林省が大分個別に汗をかきましてやったという経過があるわけでございます。 基準の問題につきましては、私どもは従来から、JICAが民間の機関に委託して通常実施されておりました仕事を農用地開発公団に持ってくるというふうな発想ではなくて、今日、非常に問題になりつつある大規模、複雑なプロジェクトを中心にして調査を担当してまいりたい。その意味では、先ほど申し上げましたように地区面積が数万ヘクタールに上るとか、それから各種の工事を組み合わせてやっていかなければならないとか、そういう複雑性を持っているというふうな場合が、調査に当たって農用地開発公団が行う場合の一つの判断の基準になるだろうと思っております。
○藤田(ス)委員 次に、農用地開発公団の業務体制と労働条件の問題についてお伺いをしたいわけですが、理事長さん、お願いいたします。 現在、公団から専門家派遣の形で海外の業務に出ているわけですが、その労働条件が国際協力事業団などと比較して非常に不利なものになっているのですね。ここに比較表がございますけれども、これを見ましても日当あるいは宿泊費の減額規定が、滞在三十一日目以降はJICAの方は一〇%減なのですが、公団の方は二〇%減になっています。それから滞在六十一日目以降の減額はJICAの方は二〇%、ところが公団の方は現在三〇%というふうになっております。あと扶養親族に対する旅費もJICAの方はついておりますが、公団はついておりませんね。それから手当を見ましても、JICAの方は在勤基本手当から家族手当から忌引の一時帰国あるいは見舞いの一時帰国、病気療養の一時帰国、そのほか十三項目にわたって非常に細かい手当をつけておりますが、公団の方は全くありません。こういう格差を抱いたままこれからいよいよ専門家の派遣が頻繁に行われるということになりますと、これは非常に意欲もそがれますし、問題だと思いますので、ぜひ是正を行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○大和田参考人 御指摘になりました公団の旅費規程は、私どもが持っております外国旅費支払規程だろうと思います。それで、現在数名の者がJICAの委託で海外に参っておりますけれども、これは全部JICAの旅費規程に従ってやっておりまして、私どもの旅費規程は昔つくったもので海外で仕事をするということを考えておりませんので、それを適用しているわけではございません。したがって、御指摘の三十日以上とか六十日以上公団の旅費規程で出張いたしておる者は公団ができてからまだ一人もおらないわけでございまして、それはいわば適用の対象が違うわけで、今回、法律の改正が行われましたところで、国の公務員の海外の旅費規定でございますとかJICAの旅費規程でございますとか、そういうものを参考にいたしまして当然新しいものをつくるつもりでございます。御指摘になりましたものはそれでやっているわけではございませんから、ひとつ誤解をお解きいただきたいと思います。
○藤田(ス)委員 改正を検討していただくというふうに受けとめて、次に、農用地開発公団の体制の問題なのですが、これは天下りが非常に多いなというふうに思いました。理事長、副理事長、理事、監事が八人いらっしゃいますけれども、全部天下りです。そして内訳を見ますと、農水省が五人、大蔵省、自治省、総理府おのおの一人ずつ。さらに公団の部課長クラスを見ますと、公団本社の部長、室長九人中七人までが天下り、二人しか内部登用をしておりません。それから北海道、東北、阿武隈八溝、それから九州、この所長はすべて天下りと出向です。本社の課長を見ましても、十五人いらっしゃいます中で内部登用は三分の一のたったの五人、あとは出向あるいは天下りです。したがって、二十八ポストの中で天下りが二十一、内部登用が七、こういうような数字になっております。 しかも出向が非常に多くて、本省の課長クラスが公団の部長になり、四、五年で本省に帰って地方農政局に戻っていく、あるいはまた本省の課長補佐クラスが公団の課長を務めて本省に戻る、こういうパターンが主流になっているわけです。おまけに計画部、経営施設部あるいは企画調整室などの中枢部は天下り、出向組に伝統的にがっちり押さえられているというような状況でございますが、これでは公団職員の士気がさっぱり上がらないのも仕方のないことで、そういうことに差し支えがないとは言えないのではないかと思うわけです。公団は農水省の単なる下請機関にすぎないのかどうか、この点はいかがなものでしょうか。
○森実政府委員 公務員の出向者の数は全体で七十四名ございます。ただ、そのうち退職して来ております者は五名で、あとの六十九名は実は復帰予定者でございます。これは先生もいま御指摘のように技術職員が中心でございますが、やはりそういった業務への技術的判断なり知識、能力というものを考えまして、現状では公団のプロパー職員ではまだそれだけの者が育っていないという事情でこういった人事が行われていることは否定いたしませんし、そのことが技術面からいって業務の上では重要な役割りを果たしていることも事実だと思います。 しかし、公団が設立して時日も経過し、逐次業務に精通した職員が生まれつつあることは事実でございまして、今後、内部登用の問題については、時間をかげながら努力してまいりたいと思っております。
○藤田(ス)委員 大臣、先ほどからこの天下りと出向が非常に多いということを聞いていただいたと思うのですね。 去年の四月十五日のこの委員会で、亀岡大臣は、寺前議員が蚕糸事業団や糖価安定事業団の管理職ポストの大部分が天下りであるということを指摘いたしましたのに対して、当時大臣は、特殊法人は役所としての特色と民間としての特色を十分に発揮させるためのもので、したがって、本来特殊法人に入社して育っていく人が管理職になり、そして役職についていくというのが常識的な望ましい方向だというふうに答えていらっしゃいます。役所の繩張りポストという姿を是正していくということをお約束されたというふうに私は記録を読んで思ったわけですが、この公団は前身が農地開発機械公団ということで、もう十七年も長く存在しているわけです。当然十七年経過した今日では、幹部として資格を持った、能力を持った人たちが、これは他の特殊法人よりもむしろここにはもっと多いのじゃなかろうかというふうに考えます。したがって、現在二十八ポスト中二十一までが天下り、出向というふうな状況というのは、ぜひ改めるように強い指導をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○田澤国務大臣 この種の機関には、御承知のように、技術の面からいってどうしても当初農林省等から登用される場合が多いわけでございまして、しかもその間にできるだけ内部登用というのを私たちは考えておるのでございまして、今後も私たちはできるだけ内部登用をするように努力をしてまいらなければいかぬ、かように考えますが、なかなか仕事の内容等からいって、それが今日まで行われないままに来ているということはまことに残念でございますけれども、今後はできるだけ内部登用というものを考えながら進めてまいりたい、かように考えております。
○藤田(ス)委員 私は、ここでもう一度鈴木総理の発言に戻って、大臣から御意見をお伺いしておきたいと思うのです。 昨年の十月の南北サミットで、農業は国づくりの基本であるとか、あるいは基幹産業であるとかいうことを述べられて、当時鈴木総理はこういうふうに言っていらっしゃるわけです。「我々は、農業をなおざりにして重工業化を急いだために、経済が悪化し、国民生活に不安定をもたらした例を知っております。また、農業生産が不十分なために、国民の営々として取得した外貨をあたら食糧の輸入に支出している現実も見ております。」「開発途上の国々に特に示唆したいことは、農業に対し国家開発のなかで十分な優先度を与え、食糧増産・農業開発に関する総合的施策を講じ、これを断固たる決意の下に実行することであります。特に農業を魅力ある職業とし、農民にやる気を起こさせることは、当該国の政府が行わずして、誰も行い得ないものであります。」こういうふうに説教をされているわけです。そのために「農業生産がその努力に見合った成果を収めることを保証する政策が肝要であります。価格、税制面での措置により農業生産に刺激を与え」こういうふうに強調をしているわけなんですが、私は、この鈴木総理の演説はその大部分が日本にも当てはまるのじゃないかというふうに考えるわけです。 大臣は、わが国にとって農業が工業と並ぶ基幹産業と考えられないでしょうか。また、減反の拡大だとかあるいは米価、畜産物価格の据え置きなどで、農業が魅力ある職業でなくなってしまって、農民にやる気をなくさせてしまっているとは考えないでしょうか。
○田澤国務大臣 確かに御指摘のように、いま日本の農林水産業を取り巻く環境が非常に厳しゅうございます。また、社会経済の推移によりましてわれわれの生活環境が非常に変化してきておる、また国民の需要の動向も非常に変わってきておるという中で、やはり農林水産業もそれなりに一つの転換を要求されていると私は思うのです。 たとえば、お米にいたしましても、これまでは米を中心にした食生活を私たちはいたしておるのでございますが、今日、米が過剰だという現象を私たちはどうしても捨てるわけにいかぬ現状にあるわけでございます。したがいまして、これまでの米中心の農業から、他の作物をも合わせた総合的な農政というものを確立していかなければならない現状にあるわけでございます。 そこで、その過渡期的な時期に、やはり魅力のある農林水産業をつくるということは大変むずかしいことでございますけれども、私は、それはやらなければならない、避けて通れない一つの大きな課題だと思いますので、私たちとしては、農業団体あるいは農家の方々あるいは農林水産業全体に携わる方々に、非常に苦痛ではございますけれども、水田の面では水田利用再編対策、畜産の面では生産計画、あるいはまた水産の面ではいわゆる減船計画等をいたしながら、新しい秩序確立のために努力をいたしているわけでございまして、その中から新しい農業の芽を私たちは育てていかなければならない、かように考えているわけでございます。 いま私は、若い方々が農業に携わっていただけるような方法をどうしたらよろしいか、魅力を感ずるような農業をどうしたらつくれるかということで一生懸命なのでございまして、私は各地に遊説に参りますと、農業に携わっている人、あるいはまたこれから農業に大きな関心を持っておられる方々は、二人以上のお子さんがありましたら、どうか一番頭のいい人を農業に従事させてください、二番目をサラリーマンにしてくださいということをお願いしているのですよ。それは、これからは対外経済摩擦だとかあるいは単に生産だけでなく加工、流通等の面に、やはり頭を使った農林水産業をしなければいけない、頭脳産業であるというような点を強調しているわけでございまして、そういう点で頭脳産業としての形を整えれば、若い人も魅力を感じて農業に従事するようになるのじゃないだろうかと、私はそれを目標にしながら、いま鋭意農林水産行政に携わっているというのが現状でございます。
○藤田(ス)委員 ただいまの大臣の御答弁からしましても、私は、いまわが国の農業は決してうまくいっているとは言えない、そういう大きな苦悩を抱えた国だというふうに思うわけです。それは先日発表されました農業白書を見ましても、わが国の食糧自給率は先進諸国の中では最低なんですね。こういうことからも、うまくいっていない国だというふうに私は考えるわけなんです。ところが、鈴木総理は、よその国に行って、得々と説教をしたあげくの果てに「わが国農業は、国の食糧増産政策と農民の創意工夫、組織力等があいまって狭小な農地を集約的・多角的に活用し、農業生産力を上げ、わが国の経済社会全体の発展に貢献してきました。」と非常に日本の農業はうまくやっているという鼻高々の論をぶち上げていらっしゃるわけです。私は、農民の方が苦労してそういうふうな貢献をされてきたことは否定しません。にもかかわらず、いま日本の農業の中で、そういう農業政策の中で農民が苦悩している。そして担当していらっしゃる大臣もまた苦悩していらっしゃる。それなのに、よくもこんなにいばった演説ができたものだというふうに思ったわけです。 これは、海外援助の問題が出ておりますので、これを機会に、南北サミットで演説された総理のこの演説の御感想を私はぜひ聞いておきたいと思いまして、あえてここで取り上げているわけですが、最後にもう一度大臣の御感想をお聞きして、きょうの質問を終わります。
○田澤国務大臣 確かに総理が、南北サミットあるいは東南アジア諸国を訪問した折に、日本農業のすばらしさを紹介したと思うのでございます。また、多くの面に問題はありますけれども、日本農業は他の開発途上国の農業と比較したら、すばらしい特徴を持っていると私は思うのです。アメリカの農業あるいはECの農業にも決して劣らない一つの特徴を持っていると私は思うのです。ですから、そういう点は強く強調してよろしいと私は思うのです。ただ、いま私が申し上げたのは、しかし、そういう日本の農業にも多くの悩みはございますよ、苦労もあります、これからの課題もあります、ということを申し上げておるのでございますから、この問題と鈴木総理の問題とは別の問題でございまして、そういう点はひとつ御理解いただきたいと思うのでございます。
○藤田(ス)委員 続きのまだお尋ねしたいことが残っておるのですが、次の機会に回して、きょうはこれで終わります。 ありがとうございました。
○亀井(善)委員長代理 阿部昭吾君。
○阿部(昭)委員 今度の農用地開発公団が海外業務に手をつけていくということにつきましては、基本的にいいことだと私は思っております。 いま第三世界、開発途上国は、一つは、急激な人口増の問題で苦しんでおります。もう一つは、飢餓と栄養失調で苦しんでいる。そしてもう一つは、文盲の問題、教育の問題で第三世界は非常に苦しんでいる。こういう中で、農用地開発公団が今回海外に、第三世界、開発途上国に対して新たな業務を展開しようということについては賛成をいたします。 そこで問題は、外務省、いま国連の人口基金を通し、またバイラテラルな関係で世界の人口問題に対して日本が協力しておる総枠は一体どのくらいでしょうか。
○小宅説明員 お答えいたします。 国連の枠内にはいろいろ開発途上国向けの計画がございますが、そのうちでも人口問題に特化して取り組んでおりますのが国連人口基金でございます。これは一九六七年以来動いているわけでございますが、これに対しましてわが国は本年度、五十七年度の予算からは三千三百五十万ドル、恐らく拠出額としては第二位だと思いますが、これだけの拠出をしております。この人口基金の活動というものに対して私どもといたしましては人口問題の解決に向かって多大の貢献をしているというふうに評価しております。
○阿部(昭)委員 いま私は、第三世界が非常に困難に直面しておる問題を三つ挙げましたが、外務省の説明には、バイラテラルは入っておりませんね。
○内田説明員 人口家族計画の問題につきましても、国際協力事業団を通じまして、バイラテラルの技術協力を進めているところでございます。人口家族の問題につきましては近年、予算面で見ましてもその規模を大きく拡大してきておりまして、たとえば、今度五十七年度の予算額で見ますと、前年度の約二七%アップの六億六千万円を人口家族計画協力事業に充てることを予定しております。
○阿部(昭)委員 構造改善局長、いまお聞きになったとおりであります。第三世界が非常に問題にしております人口問題に対してもかくのごとく協力を強めておるわけであります。もちろん、いまの開発公団の関係が第三世界の農業に対する協力のすべてではない。しかしながら、この協力の関係というのは、相当息長く突っ込んでいかなければ成果は上がらぬ事業であろうと思います。今度のこの海外業務に進出をするという初年度における計画はきわめて微々たるものであります。先ほど、当面六名と言われたのは、ある意味で言えば、司令部でありましょう。これが中心になって、いろいろな分野とのチームワークをとっていくのだろうと思います。思いますが、先ほどは、わが国の海外協力事業の五年間倍増という基本に立って展開をするということなんでありますが、もうちょっと長期的に言うと、いまの農用地開発公団の海外業務というのは、どのくらいの展望というもの、見通しというものを持つのか。もちろんこれは、それぞれの国々の要請に基づいてやっていくということであって、まだまだ煮詰められてはおらぬような御答弁が、先ほどからそういうふうに感じ取っておりますけれども、将来、全体の計画は一体どのくらいまでのことを考えておるのか。
○森実政府委員 お答え申し上げます。 先ほど申し上げましたように、具象的に、かつ計量的にまだ申し上げられるような状況ではございませんが、現在、農業開発に関する技術協力はこの数年間二倍ないし三倍になりまして、大体三十件くらいの案件が来ております。このうち特に大規模なもの、具象的に申し上げますと、何万ヘクタール以上の地区面積を持って、しかも総合的に各種の事業を実施するものを対象にして農用地開発公団は調査業務も担当していくことになると思います。ここら辺は今後、外務省、国際協力事業団と十分相談して決めていかなければなりませんけれども、大規模、複雑というものを頭に置きますと、年間では大体二地区ぐらいではないだろうかと思っております。しかし、具体的に申しますと、これらの地区はいずれもかなり大きい地区だろうと思います。三江平原の例を申すまでもなく、一回に派遣する技術者の数は二けたの数に上らなければならないし、しかも、数カ年にわたるということもあるだろうと思います。そういったものが逐次累積していくことになるだろうと思います。そういう意味においては、初年度は半年分でございまして、委託を受ける金も一億強を織り込んだわけでございますが、逐次増加していくと思っております。 なお、人間の問題につきましては、先生もまさに御指摘のように、司令部と言っていいのかどうか私にもわかりませんが、この六名は公団の内部で専心その業務に当たる者でございますが、現実に技術者として派遣されます者は、この六名の中の一部と、それから公団の他の部課に所属しております能力を持った職員、それから公団に一時出向していただいて、出向していただく地方公共団体や民間の方というふうに、かなり大きな編成になるというような性格のものだろうと思っております。
○阿部(昭)委員 そこで、人口問題の例を見ますと、受け入れる国々がそれぞれみずからやろう、こういう意欲のあるところにもちろん入っていったわけであります。当初の間は、その国の政府は相当やる気がありましても、現場に参りますと多くのそごを来すような問題が大変ございました。たとえば、人口問題でありますが、先進国の日本が人の国で人口がふえようと何しようと何のおせっかいをやくのだというような問題等もあった。ある時期にこれが大きく展開しましたきっかけは、回虫駆除、こういう分野と家族計画というものをうまく組み合わせることによって意外に地域の広範な住民の支持と理解を得たというような例もございます。したがって、先ほどもお話に出ましたように、その国の政府が熱意を持って要請することを中心にして展開をする。しかし、考えてみると、第三世界はいろいろな問題を抱えておると思います。先ほど御指摘のように、その国の一部特権階級などがやはり政治を動かしておる。したがって、そこへ突っ込んでいった。地域の住民は案外農地改革がどの程度進んでおるとか農業の経営形態がどのようになっておるとか——いろいろな意味ではそごを来しかねないという面も、いままでの農業協力の面でも私は思わざるを得ない点がたくさんございます。 そういう意味で、六名の司令部、将来五年間ぐらいで二十名ぐらいに本部機構を広げていくというのでありますけれども、これが東京にでんと座っておったのでは現場の方、そんなにすんなりいくとも思われない。やはりどうしてもいろいろな地方自治団体の出向者であるとかあるいは民間団体との協力とかいろいろなものを組み合わして成果を上げていこうということでありますから、今後の運営というのは、せっかくこの分野に進出をするのであれば、よっぽど本腰を入れた立ち向かいの仕方をやらぬと成果は上がらぬのじゃないかということを、しかも、現地の方は大変期待をすると私は思うのであります。しかし、この司令部は東京に座っておる、現地の方はいろいろな混合部隊で出かけていっておる、果たしてうまくいくであろうかということを、従来のいろいろな海外協力の事業の例から若干の懸念を感じておる面もあるのでありますが、そのあたり、大臣、一体どういうふうな御決心を持たれて、せっかく進出をされるのでありますから成果の上がることをやっていただかなければならぬ、こう思うのでありますが、お考えをお聞きしたい。
○田澤国務大臣 たとえば中国の三江平原、これなどは、いままでの農業開発と異なりまして、国際的な食糧事情も不安定であるので、中華人民共和国としてはやはりどうしても食糧の自給を基本に、柱にしなければいかぬということで、いまの三江平原の開発を考えたわけでございます。そういう下から盛り上がった一つの計画、それに私たちは援助していくということでございます。非常に少数の専門家によって最高の計画が進められているわけでございます。現に、技術的な提携等ももう進められておるような状況でございます。そういうように、やはりやる気がある国に仕事を御援助申し上げる。また、開発途上国全体を見ても、現に農作物の余っている地域にこれを進めても意味がないと私は思うのでございます。中南米からアフリカ、東南アジア全体を見て、農村、農業開発をすることによって、食糧増産をすることによっていわゆる世界の食糧危機に大きなショックを与える、ダイナミックな刺激を与えるには果たしてどこが一番の地域であろうかということを私たちは見詰めながら、やはりその地域、その国の努力、意欲というものをも十分参酌をしながら進めてまいらなければいかぬ。 たとえば、私はこの前、昔のセイロン、スリランカへ旅行しましたが、あそこはイギリス領時代はセイロンと言って紅茶さえつくっておればよかったわけで、あとは食糧その他すべてイギリスから供給を受けたわけでございますが、独立してから食糧の自給率は五〇%以下なんですよ。それで、独立国としてお米を、主食をやはり自給しなければいかぬというので、日本の技術者を招いて、たしかあのときは三名ぐらい技師がおったと思いますが、その方々が日本型のいわゆる稲作、作付を奨励して、また研究をいたしておりました。なかなか意欲的なんですね。いま今日、どういう結果になっておるか私は知りませんけれども、その当時のスリランカの意欲的な農業というものを見てきました。そういうように、やはりその国の農業、食糧に対する熱意と私たちの技術援助とがマッチすることによって、少数の技術者で最大の効果が上がるのじゃないだろうか、また、そういうように進めてまいりたい、かように考えております。
○阿部(昭)委員 わかりました。 そこで一つは、本業は海外事業ではなくて国内の問題だと思うのですが、この将来的展望にどの程度までこの公団は役割りを果たそうとしておるのか、これも概括的に大枠で結構ですから、お聞きしたい。
○森実政府委員 まず事実を申し上げますと、現在、全体実施設計を実施しております地区が七地区ございます。それからさらに、調査を予定している地区、また、調査地区もかなりございます。私どもは、やはり従来程度またはそれ以上の地区数の事業を計画的に実施していくことが必要だろうと思っております。私ども、農政の長期見通しに立って物を考える場合、大分テンポは落ちてきましたが、人為壊廃、自然壊廃を通じて農地の壊廃が進んでおりまして、やはり今日の三万ヘクタールないし四万ヘクタールという年間の農用地造成ということは重要な課題だろうと思います。この場合、やはり畜産経営の定着を図るための飼料基盤づくりというものはこれからの農業の形態としては重要なウエートを持ってくる。その場合、日本の限られた国土、資源の状況のもとでは、やはり農用地開発公団が行っておりますようないわゆる未開発地域における集中的な飼料基盤を中心にした農用地造成を行い、そこに能率の高い大規模経営を創設していくということが現実的に非常に重要な課題だと思っております。その意味で、今後とも予算の確保には努力してまいりたい、かように思っております。
○阿部(昭)委員 最後に、一つは先ほど御意見の出ました採択基準、これはたとえば一つの地区、その隣接の地区、またその隣接の地区と、トータルにいたしますれば一定の規模になる、こういうようなところも採択基準の中に運用として考えていい時期に来ておるのではないかということを私は御提案をしておきたいと存じます。御検討いただきたい。 もう一つは、やはりこれから海外に出ようという以上、内部の士気はきわめて重要であります。したがって、内部の皆さんが、海外に進出をするということに対して、誇りと自信と、ある使命感を持って出ていけるような体制整備にぜひひとつ一層の御努力を願いたいというふうに思います。
○森実政府委員 採択基準の問題はなかなかむずかしい問題がございますが、ただいま先生の御提案のありましたような、団地をどう見るかという問題は、私は現実的な解決の方向だろうと思っております。十分検討させていただきたいと思っております。 それから内部の関係者の士気を高めることは非常に大事だろうと思います。私は率直に申しまして、公団の指令室に任せるだけではなくて、農林省自体がこの問題に組織的に取り組む体制を整備することが大事だと思っております。その意味で四月から、非公式ではございますが、いわゆる技術協力の対策室も発足させたわけでございます。外務省、JICA等と十分話し合いまして、スムーズに行われる条件整備をするとともに、チームづくり、それから派遣した職員の処遇、取り扱いの問題、それからさらにその成果のファイリングの問題等、広角的に効果が上がるような努力を続けたいと思っております。
○阿部(昭)委員 終わります。 ————◇—————
○亀井(善)委員長代理 種苗法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。田澤農林水産大臣。 ————————————— 種苗法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○田澤国務大臣 種苗法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。 種苗法は、新品種の登録制度により育種の振興を図ることを目的として、諸外国における新品種の保護の動向をも踏まえつつ、昭和五十三年に農産種苗法を改正して制定されたものであります。自来、種苗法の適正な運用を通じて品種登録制度の定着に努めてまいりました。 一方、植物の新品種を保護する条約といたしましては、従来ヨーロッパ諸国を中心とした植物の新品種の保護に関する国際条約があり、新品種の育成者の権利を保護していたところであります。 しかしながら、種苗の国際交流の増大に対応してより多くの国の参加のもとに新品種の国際的な保護を図るため、昭和五十三年十月に従来の条約の内容を基礎として新しい条約が作成されました。この条約は、その後発効に必要な数の加盟国の参加を得て昨年十一月に効力を生ずるに至りました。 政府といたしましては、育種の振興を図ることによりわが国のみならず世界の農業の発展に資するため、今般の発効を機会にこれに加盟することとし、今国会に別途本条約の締結の承認案件を提出しているところであります。 本条約に対応した基本的な制度はすでに種苗法に規定されているところでありますが、本条約に加盟するに当たり技術的な面で若干の整備を行う必要が生じておりますので、この法律案を提出した次第であります。 次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。 まず第一に、品種登録を受けることができる外国人として、新たに、条約加盟国に住所等を有する者を加えることとしております。 第二に、外国へ品種登録の出願をした者がその後一年以内にわが国へ出願をする場合の優先権に関する規定を整備することとしております。 第三に、条約の効力に関する規定を設けることとしております。 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○亀井(善)委員長代理 補足説明を聴取いたします。小島農蚕園芸局長。
○小島政府委員 種苗法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。 本法律案を提案いたしました理由につきましては、すでに提案理由説明におきまして申し述べましたので、以下その内容につき、若干補足させていただきます。 本法律案は、千九百七十二年十一月十日及び千九百七十八年十月二十三日にジュネーヴで改正された千九百六十一年十二月二日の植物の新品種の保護に関する国際条約への加盟に伴い、種苗法の規定について所要の整備を行うことをその内容としております。 まず第一に、品種登録を受けることができる外国人の範囲の拡大であります。 現行法においては、品種の育成に関し日本国民を保護する国の国民は品種登録を受けることができることとされておりますが、新たに、条約加盟国に住所もしくは居所または営業所を有する者についても品種登録を受けることができることとするものであります。 第二に、優先権に関する規定の整備であります。 同一の品種については、先に出願をした者が品種登録を受けることができることとされておりますが、すでに外国へ出願をしている者がその後一年以内にその品種についてわが国へ出願をする場合には、その出願が先願であるか否かを判定するに当たり当該外国への出願日をもってわが国への出願日とみなすという特例的な規定が設けられております。 今回の改正により、この出願日の特例のほか、優先期間におけるその品種の公表、譲渡に関しても特例的な規定を設け、条約に定める優先権と同一の内容を有する優先権を規定することとしております。 すなわち、品種登録の出願者は、加盟国へ出願をした後一年以内にその品種についてわが国へ出願をする場合等には、優先権を主張することができることとし、優先権を主張したときには、加盟国等への出願の日からわが国への出願の日までの間に、同一品種についての出願、公表、譲渡がされても、品種登録は妨げられないものとしております。 第三に、工業所有権保護条約その他の国際条約に対応する他の国内法の立法例にならい、条約に別段の定めがあるときは、その規定によるものとしております。 以上のほか、本法の施行に伴う経過措置等の規定を整備することといたしております。 本法律案が成立し、別途提出しております植物の新品種の保護に関する国際条約の締結について御承認がいただければ、政府といたしましては、速やかに本条約に加盟することとしております。 本条約への加盟を通じて種苗の国際交流及び新品種の国際的な保護が促進され、新品種の育成の振興、ひいてはわが国農林水産業の発展が図られるものと期待されます。 以上をもちまして種苗法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。 ————◇—————
○亀井(善)委員長代理 次に、農業協同組合法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。田澤農林水産大臣。 ————————————— 農業協同組合法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○田澤国務大臣 農業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。 農業協同組合法は、昭和二十二年に、農民の自主的協同組織としての農業協同組合の発達を促進し、農業生産力の増進と農民の経済的、社会的地位の向上を図ることを目的として制定されました。以来、経済及び農業の歩みとともに農協の発展に寄与してきたところでありますが、この間、情勢の変化に対応して所要の制度改正を行ってきております。最近では、昭和四十八年に、農協の金融機能の拡充、資金の貸付範囲の拡大等の改正措置を講じたところであります。 しかしながら、その後の農協をめぐる社会経済情勢、とりわけ一般金融情勢の変化には著しいものがあります。 このような情勢の変化に対応して、農協がその本来の使命をよりよく果たしていくためには、特段の自主的努力にまつところが大きいことはもとよりでありますが、そのためにも、制度面について、特に、信用事業を中心として、所要の改正を行うことが緊要となっております。 すなわち、信用事業に関し、農協の行う内国為替業務の全国オンライン化を実現するための措置を講ずること、信用事業を行う連合会で貯貸率が著しく低位となっている等のものについて資金の安定的、効率的な運用を確保するための措置を講ずること等が緊要となっております。 また、これらとあわせて、連合会の総代の選挙方法について、会員数の急増という実情に即して改正を行う必要があります。 このため、今般、農業協同組合法の一部改正を提案することとした次第であります。 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。 まず第一に、信用事業を行う組合の内国為替取引について、員外利用制限を受けずに行うことができることとしております。 第二に、信用事業を行う連合会の有価証券の払込金の受け入れ等の業務について、地方債等に限り、員外利用制限を受けずに行うことができることとしております。 第三に、信用事業を行う連合会の貸し付けについての員外利用制限について、特定の連合会に限り、特例的にその資金量の一定割合までこれを緩和することとしております。 第四に、連合会の総代を定款で定めるところにより、総会外においても選挙することができることとしております。 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○亀井(善)委員長代理 補足説明を聴取いたします。大坪審議官。
○大坪政府委員 農業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。 この法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由説明におきまして申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。 まず第一に、信用事業を行う組合が内国為替取引について員外利用制限を受けずに行うことができるものとすることであります。 最近の金融機関における内国為替業務のオンライン化の急速な進展に対応して、農協としても、組合員等の利便に資するため、その内国為替業務について、全国オンライン化を早急に進めることが必要となっております。このため、全国銀行内国為替制度にすでに加盟済みの農林中央金庫及び信用事業を行う連合会に加えて、新たに組合も加盟することが計画されておりますが、この場合、その利用者が組合員であるか否か等の確認を行うことは、事務処理の面から見て事実上不可能でありますので、組合についても、信用事業を行う連合会と同様に、内国為替取引を員外利用制限を受けずに行うことができることとしております。 なお、信用協同組合、労働金庫等についても、さきの通常国会においてそれぞれ同様の法改正が行われております。 第二に、信用事業を行う連合会の有価証券の払込金の受け入れまたはその元利金もしくは配当金の支払いの取り扱いの業務について、地方債等に限り、員外利用制限を受けずに行うことができるものとすることであります。 信用事業を行う連合会の有価証券に関する業務については、会員による有価証券の発行がほとんど行われていないことから、現行の員外利用制限のもとでは、員外者である地方公共団体の発行する地方債等の元利金の支払い等をみずから取り扱うことができない状況にあります。このため、連合会及び組合における地方債等の保有が著しく増大しているにもかかわらず、その元利金の支払い等の取り扱いについては、銀行等他の金融機関に依存せざるを得ない実情にあります。このような実情にかんがみ、また、信用協同組合、労働金庫等についても先の通常国会においてほぼ同趣旨の法改正が行われておりますことから、連合会について、地方債その他主務大臣の指定する有価証券に限り、元利金の支払い等の業務を員外利用制限を受けずに行うことができることとしております。 第三に、信用事業を行う連合会の資金運用方式の改善についてであります。 最近、信用事業を行う連合会の中には、地区内の農業情勢、経済情勢の著しい変化の中で、貯貸率が著しく低位となっている等の連合会が見られます。このような連合会について、傘下組合の経営基盤の安定に資するためにも、有価証券運用、農林中央金庫への預金とのバランスに配慮しながらその貸し付けの拡充を図ることにより、資金運用の改善を進める必要があります。 このため、員外貸付制限について、現行の制限を存置しながらも、特例的に貯金及び定期積み金の合計額すなわち、資金量に百分の十五以内において政令で定める割合を乗じて得た額まで緩和する道を開くこととしております。この場合、特例の適用を受ける連合会は、資金の運用状況、地区内の農業事情等から見て、資金の安定的、効率的な運用を図るため、現行の員外利用制限を超えて員外貸し付けを行うことが必要かつ適当なものとして主務大臣が指定するものに限ることとしております。 第四に、連合会の総代の総会外選挙制の導入についてであります。 昭和五十二年に全国段階の連合会へ組合が加入するといういわゆる単協の直接加入が行われたことに伴い、これらの連合会では会員数が急増し、総代会制が採用されることとなりましたが、これらの連合会の総代の選挙については、現行制度のもとではなお、総会において行わなければならないこととなっております。 このため、連合会における総代の選挙について、組合と同様に総会外においても行うことができる道を開くこととしております。 以上をもちまして、農業協同組合法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。 ————◇—————
○亀井(善)委員長代理 次に、昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。田澤農林水産大臣。 ————————————— 昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○田澤国務大臣 昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。 この法律案は、農林漁業団体職員共済組合による給付に関し、恩給制度、国家公務員共済組合制度その他の共済組合制度の改正に準じて、既裁定年金の額の引き上げ等による給付水準の引き上げ等を行おうとするものであります。 次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。 第一は、既裁定年金の額の引き上げであります。これは、退職年金等の年金額の算定の基礎となった平均標準給与を、昭和五十七年五月分以後、昭和五十六年度の国家公務員の給与の上昇率を基準として引き上げ、年金額の増額を行おうとするものであります。 なお、その引き上げ後の平均標準給与の額が一定額以上である退職年金等につきましては、昭和五十八年三月分まで、増額分の三分の一の支給を停止することとしております。 第二は、退職年金等についての最低保障額の引き上げであります。これは、恩給制度の改善に準じ、退職年金、遺族年金等に係る最低保障額を引き上げようとするものであります。 第三は、掛金及び給付の額の算定の基礎となる標準給与の月額の下限及び上限の引き上げであります。 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○亀井(善)委員長代理 補足説明を聴取いたします。大坪審議官。
○大坪政府委員 昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。 この法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容につき、若干補足させていただきます。 第一は、既裁定年金の額の引き上げであります。これは、昭和五十六年三月三十一日以前に給付事由が生じた退職年金、減額退職年金、障害年金、遺族年金、通算退職年金及び通算遺族年金につきまして、その年金額の算定の基礎となった平均標準給与を、昭和五十七年五月分以後、昭和五十六年度の国家公務員の給与の上昇率、平均五・〇%を基準として引き上げるものであります。 なお、その引き上げ後の平均標準給与の年額が四百十六万二千四百円以上である退職年金、減額退職年金及び通算退職年金につきましては、昭和五十八年三月分まで、増額分の三分の一の支給を停止することとしております。 第二は、最低保障額の引き上げであります。これは、退職年金、障害年金及び遺族年金につきまして、年齢及び組合員期間の区分に応じ、その最低保障額を昭和五十七年五月分から引き上げるとともに、遺族年金については同年八月分からさらに引き上げることとしております。たとえば、六十五歳以上の者の退職年金については、最低保障額を昭和五十七年五月分以後七十四万九千円から七十九万二百円に引き上げることとしております。 第三は、標準給与の下限及び上限の引き上げであります。これは、掛金及び給付の額の算定の基礎となる標準給与の月額につきまして、その下限を農林漁業団体職員の給与の実態等を考慮して七万二千円から七万五千円に引き上げるとともに、その上限を国家公務員共済組合制度に準じて四十二万円から四十四万円に引き上げようとするものであります。 このほか、所要の規定の整備を図ることとしております。 以上をもちましてこの法律案の提案理由の補足説明を終わります。
○亀井(善)委員長代理 以上で各案の趣旨の説明は終わりました。 ————◇—————
○亀井(善)委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 農林水産業の振興に関する件について、明十五日、畜産振興事業団理事長森整治君を参考人として出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○亀井(善)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 また、農林水産業の振興に関する件、特に農畜水産物輸入自由化問題について、来る二十一日、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○亀井(善)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、参考人の人選及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○亀井(善)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次回は、明十五日木曜日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時十七分散会 ————◇—————