農林水産委員会 第13号
- 発言数
- 156 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1982/04/13
会議録
○羽田委員長 これより会議を開きます。 漁業再建整備特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 本日は、本案審査のため、参考人として、全国漁業協同組合連合会会長宮原九一君、日本鰹鮪漁業協同組合連合会会長増田正一君、全国沖合いかつり漁業協会会長長谷川巖君、日本遠洋底曳網漁業協会会長徳島喜太郎君、全日本海員組合副組合長柴山義一君、農林中央金庫常務理事堀川春彦君、以上六名の方々に御出席をいただき、御意見を承ることにいたしております。 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、ありがとうございます。本案につきましてそれぞれのお立場から忌憚のない御意見を承りまして審査の参考にいたしたいと存じます。 次に、議事の順序について申し上げます。宮原参考人、増田参考人、長谷川参考人、徳島参考人、柴山参考人、堀川参考人の順序で、お一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。 なお、念のため申し上げますが、発言の際には委員長の許可を得ることになっております。また、参考人は委員に対し質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。 それでは、宮原参考人にお願いいたします。
○宮原参考人 ただいま御紹介いただきました全漁連の宮原でございます。 まず最初に、本日参考人として現下の漁業の実態とそれに対する意見陳述の機会をいただきましたことについて厚く御礼を申し上げる次第でございます。 また、本日のテーマでございます漁特法の改正につきましては、省エネルギーの推進が強く求められております折から、時宜を得たものとして私どもとしては賛意を表明するものでございます。 二百海里時代を迎え、また、第一次石油ショック以降、政府におかれましては各種の漁業経営対策を実施されてまいりました。すなわち、燃油対策特別資金、経営維持安定資金等々でございますけれども、それらはおのおのその時点におきましてそれなりの効果を発揮いたしましたが、金融中心の施策については限界がございます。新たな政策展開が求められておるわけでございまして、昨年から構造再編事業が浮かび上がっておりますように、いまや燃油価格の高値安定、新海洋秩序の定着、魚価の低迷等からすれば抜本的な基本対策が求められるのは当然の事態でございます。 そこで、漁業経営の現状から見まして、まず最初に二つの点について御指摘を申し上げたいと思います。 第一には、漁業経営危機はいまや沿岸漁業を含む多業種に及び、まさに漁業全体が想像を超える深刻な状況に立ち至っておりますので、漁業再編整備に当たりましては業種間に不均衡を生じないように特に、御留意をいただきたいという点でございます。すなわち、昨年全漁連が漁業経営実態を調査いたしましたところ、新たな対策を必要とする業種は沿岸漁業を含めて二十一業種に及んでおり、調査経営体の半数は、負債額を償却前利益で償還するといたしますと実に二十年以上を要するということが明らかになっておりまして、水産庁の統計におきましても全般にこのような傾向の度を増しておることもわかっております。従来、沿岸漁業は比較的安定していると言われておりました。特に、安定漁業として言われておりました小型底びきの危機が各地に表面化し、また、ノリ養殖漁業が破綻のふちに立たされておるなど、厳しい現実に直面をいたしております。これらのことから、業種を指定して行う再編整備は、広く、かつ、均衡を失しないような配慮を特にお願いをいたしたいという点でございます。 第二には、漁業経営危機が漁業協同組合経営の悪化に直結をし、崩壊寸前の漁協が少なくないということであります。一たび漁協という支えを失いますると、漁業経営体の倒産が一挙に噴出することは必至でございまして、個別経営対策と並行して、抜本的な漁協対策を講ずることが必要であろうかと存ずる点でございます。 申すまでもなく、水揚げ不振による販売事業の伸び悩み、燃油を中心とした購買代金回収の遅延、滞り、貯金の伸び悩み、後向き資金の激増による融資構造悪化等による信用事業の不振など、漁協は各種事業面で問題を抱え、四苦八苦しておる状態でございます。新設されます負債整理資金もその運用を誤りますると、漁協に過大な犠牲を強いて、その機能を麻痺させることにもなりかねないのでございます。 それに伴って、特定不振漁協対策事業が拡充されることになっておりますが、適用基準がまだまだ厳しい上に、予算上の対象組合数が三十組合にすぎないこと、さらに、融資機関、系統団体の負担が依然として過重であることなど、不十分でございまして、漁業経営再建を円滑に進める意味でも、広い範囲にわたる漁協経営対策の早急な確立が求められていることをこの際に強く訴えたいのでございます。 次に、漁業再編に関連をいたしまして幾つかの点を申し上げたいと思いまするが、当面をいたしております漁業の経営危機は、率直に申し上げまして、漁業者自身の合理化努力が不十分であったという点は否めません。しかしながら、漁業を取り巻く環境条件の変化が急激な余りに、その緊急対策に目を奪われ、根本的な対策が講ぜられなかったことにも、今日の漁業危機の一因があると思われます。しかしながら、事ここに至りますると、現実を直視して、漁業の体質改善を強力に推進することが唯一の生き残る道であろうかと思量いたします。 このため、漁業生産構造再編整備が実行に移されるわけでございます。施策の前提は、あくまでも業界の自助努力に置かれておる点については、先ほども申しましたようなことで十分自覚はいたしております。また、国の財政事情という制約についても十分漁業者は理解をいたしております。しかしながら、疲弊した業界の力には限界がございまして、食糧確保、地域経済振興、就労機会の確保等の面から、重要な食糧産業の一つとして、いままで以上に国の積極的な支援が不可欠であるという点でございます。たとえば、減船にいたしましても、国際規制関連の先例に匹敵する措置があってもいいと思いまするし、またそのため、漁特法の抜本的な見直しを含む検討の必要性をこの際強調いたしたいのでございます。 次に、生産能力と資源の整合性、生産コスト低減等を目標として再編整備を進めるに当たっては、少なくとも水産物の輸入を含めた需給の見通し、外国漁業との関連、自国周辺水域活用の方策、採算見通し等を明らかにし、明確な将来展望のもとに、施策を体系化して進める必要があろうかと思います。 第三に、これら一連の施策を円滑に推進するために、漁業の諸制度の見直しが求められている点であります。水産庁では、水産問題研究会等により水産政策の見直しを進められてきましたが、早急に制度改正に向けて勇気をもって歩を進めていただきたいと考えております。特に、沿岸漁業の立場から緊急を要する事項として御理解をいただきたいのは、その存続を左右するほど深刻化しておるのが遊漁並びに密漁問題でございます。幸い遊漁問題については、漁場管理制度の一環として目下、水産庁主催の検討が行われております。われわれ漁協系統としては意見を集約し次第、積極的に提言をいたしていくつもりでございますが、密漁問題につきましては、昭和二十四年以来据え置かれておりまして、もはやその抑止力を失った罰則では、現在の無法に対応できないというところまで追い込まれておるわけでございまして、これらの強化が緊急の必要事でございまして、社会の公正を維持する意味からも早急に法改正に着手を願いたいのでございます。 第四は、雇用の問題でございます。構造再編に伴う雇用問題もまた重要な課題であると認識しており、業界といたしましても、これには可能な限りの努力を払っておりますけれども、同時に、政府におかれましても、漁特法の離職者対策を充実するなどの対策を講じていただきたいのでございます。 最後になりますが、せっかくの機会でございますので、さらに二、三について簡単に要望を申し上げたいと思います。 まず、水産物の消費、流通対策についてでございますが、国民の嗜好、生活様式の変化、肉類と比較した割り高感等により魚離れ傾向があらわれております中で、生産コスト低減を進めることと並行して、消費者に対する啓発、ニーズに合った商品の開発、合理的な流通システム開発もまた重要な課題であり、国としてもこの面の施策の充実を図っていただきたいのでございます。 第二は、漁業者年金等の福祉問題でございます。船員保険につきましても、負担能力の面から格別の配慮をお願いしておりますけれども、これに加入できない圧倒的多数の漁業者は、言ってみれば、福祉の谷間に置かれておるわけでございます。幸い、長年の悲願でございまして昨年お認めをいただいた漁業者年金につきましては、発足以来短期間ではありますけれども、すでに一万人強の加入を見ました。引き続き加入拡大に努力する決意でございますので、厳しい漁業環境の中において関係漁業者はこの政策を希望の光と思っておりまして、漁業の担い手を確保するためにも、助成並びに税制面から格別の育成措置を講じていただくようにお願いを申し上げます。 なお、この年金の事業主体は全水共でございます。全水共の行う各種の共済事業は、本来、漁業協同組合の事業として位置づけるべきものであるにもかかわりませず、農協等と異なりまして、ひとり漁協系統のみそれが認められていないのでございまして、早急な制度的裏づけ措置を講じていただきたいと存じております。 いよいよ最後に、水産物自由化の問題でございますが、全漁連会長として並びに水産物輸入対策協議会の会長としてお願い申し上げたいと思います。 すでに水産物の多くは自由化され、マグロ、ワカメ等々、輸入水産物により苦しんでいるのが現状でございまして、残存輸入制限品目のほとんどは近海魚、海藻など、中小零細漁業者に係るものであり、その影響を考えますると、自由化はとうてい受け入れられない。工業製品輸出のはね返りになることは筋違いでございまして、先ほどから申し上げておりますような厳しい漁業再編に取り組みつつある漁業者の努力を水泡に帰せしめるものであるという点で、この点は絶対に反対をいたしておるところのものでございまして、どうか諸先生方の漁業に対する特段の御高配をお願い申し上げまして、意見の開陳を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○羽田委員長 ありがとうございました。 次に、増田参考人にお願いいたします。
○増田参考人 御指名を受けました日鰹連の増田でございます。 本日は、漁業再建整備特別措置法の一部を改正する法律案に関連いたしまして私の意見をお聞き取りくださいますことについて、深く感謝申し上げます。 また、カツオ・マグロ漁業の維持安定につきましては、各先生方には平素から特段の御配慮、御指導をいただいておりますことについて、この機会をかりて厚く御礼を申し上げます。 さて本日は、私の職務柄、遠洋カツオ・マグロ漁業の現況と減船問題、及び減船後の経営安定対策の二点にしぼって私の意見を述べてみたいど存じます。 まず最初に、遠洋カツオ・マグロ漁業の現況と減船問題についてでございますが、近年のカツオ・マグロ漁業は、内外にわたるまことに厳しい背景と環境条件の中に置かれております。すなわち、その一つは、二百海里入漁に関する諸条件、なかんずく、入漁料の増額要求等が逐年悪化してきていることでございます。その二つは、内地、外地を通じての燃油価格の高値定着と、それを基軸にした漁業生産コストの著しい増高であります。その三つは、需要停滞による生産地価格の低迷していることであります。 このような漁業を取り巻く背景、環境条件の悪化によって、私どもの遠洋カツオ・マグロ漁業はここ両三年にわたって赤字企業が続出し、倒産件数も多発し、漁業系統組織存続への危機感が出始め、該当地域における社会不安の醸成等も顕著にあらわれてまいりましたので、このような状態をそのまま放置することはできないとして、私ども日鰹連傘下の中央、地方を通じ組織を挙げて論議を重ねてまいりました結果、業界の体質の改善強化、体制整備を図るべきであるとして、二割の減船実施を決議した次第でございます。 そして遠洋カツオさお釣り漁業につきましては、五十五年度に三百トン型漁船二十一隻を、五十六年度には二十二隻について減船を実施いたしました。なお、引き続いて五十七年度には三百トン型漁船十二隻について共補償方式による減船の実施を計画しております。また、遠洋マグロはえ繩漁業につきましては、五十六年度において、二百七十八トン型漁船六十九隻につきまして共補償方式によってすでに減船を完了いたしております。なお、引き続いて五十七年度には、二百七十八トン型漁船九十六隻についても同様方式による減船を計画している次第でございます。 以上述べましたように、減船を計画し、かつ実行する間に私は幾つかの苦い経験を持っておりますので、この際、漁特法に関連する若干の点につきまして、参考までに意見を申し述べてみたいと存じます。 その一つは、共補償方式による減船事業におきましては、その事業主体に所属していないいわゆる員外者の同調協力を取りつけることが絶対に必要でありまして、これなくしては減船の実施は事実上困難でございます。そのため、員外者規制の規定を法律に明記するか、少なくとも法律に基づいて行政庁が員外者の同調協力について強力かつ有効な行政指導ができる道を開いておくことが肝心であると存じます。このことは、五十一年に本法が制定されました際の衆議院、参議院の附帯決議においても言及されているところでございます。 その二つは、今回の共補償方式による減船事業は、減船を必要とする原因が二百海里問題による漁場の喪失と規制の強化及び燃油価格高騰による生産コストの増高に起因しているものでありますから、減船補償金が目下のところ農林漁業金融公庫からの整備資金融資八〇%と自己資金二〇%となっておりますが、この点につきましては、政府の財政的支援措置を一段と強化してほしいものでございます。 その三つは、減船事業の実施によって生ずる廃船の処理につきましては、その処理方法を一歩誤ると減船の効果を著しく希薄にし、ときには阻害することにもなりかねません。政府も、この廃船の処理につきましては、五十六年度から漁業生産構造再編整備事業として廃船処理費用の一部助成について予算措置がなされておりますが、より一層実情に即するよう改善措置を講じてほしいものと存じます。 次に、論点を変えて、減船実施後の経営安定対策について意見を述べてみたいと存じます。 減船実施の主眼は、当該漁業の漁獲努力をその水産資源にあるいは漁場に見合うように調整を図るとともに、その残存する漁業者の経営安定を確保することにあると存じます。そのため、私ども遠洋カツオ・マグロ漁業界においては、ポスト減船の大事業として、目下衆知を求め、活力を結集して、漁業経営安定のための課題とその実行方法について全力を尽くしておりますが、現在時点での課題と施策の方法につきまして、参考までに要約して触れておきたいと存じます。 まず第一に、省エネルギー、省力に関する問題といたしましては、カツオさお釣り漁業における自動釣り機の新規開発と現存釣り機の改良。次に、マグロはえ繩漁業における操業工程の省力化機器及びロボットの実験実用化。次に、三五%の燃油節約の成果を上げております省資源型マグロ漁船の普及と在来船自体の省エネルギー化。次に、A重油にかわる重質混合油の活用と政府関係機関の協力。 第二に、操業の合理化、経営の近代化に関するものといたしましては、二百海里問題の進展による漁場の制約、変更に対応する新しい漁場の合理的利用。次に、カツオさお釣り漁業における低温生きえ装置の開発及び人工えさの開発。次に、マグロはえ繩漁業における塩化カルシウム凍結方式の改善実用化。 第三に、財政金融対策などに関するものといたしましては、漁船建造資金の貸付条件の改善。次に、倒産、不振企業からの負債のしわ寄せを受ける地区漁協、県単漁協の維持安定のための特別の低利長期資金制度の創設。次に、魚価安定基金の機構及び機能の改善強化。次に、維持安定資金、燃油対策特別資金の存続維持と負債整理資金の拡充強化並びにこれら資金の融資条件の改善。次に、水産物の秩序ある輸入の確保。次に、入漁料の一部直接助成の実現。 以上、遠洋カツオ・マグロ漁業の経営安定のための課題について業界の検討結果を特に列挙した次第でございますが、この中には、当然のことながら中小漁業に広く共通する項目も少なくありません。私ども業界といたしましては、これらの課題の実現に向けて自助努力を尽くすことは当然のことでありますが、同時に、政府の適切な行政指導と有効な財政援助措置を得てこれらの課題が着実に遂行され、そうしてわが国中小漁業の維持発展を図るようにすることが最も肝要だと存じております。 なかんずく、前述いたしましたように、共補償方式によって減船を実施した業種の残存漁業者に対しましては、これらの施策が最も重点的に、かつ優遇的に指向さるべきであると考えております。 御高承のように、現行漁特法は、第一次石油危機直後の、いわば石油危機序幕段階にあった五十一年に制定されたものでありますから、必ずしも今日の時局に適合しているものとは思われません。すなわち、第二次石油危機や二百海里時代の深刻な条件や外圧のもとにおいても十分に適応、合致するよう大幅な漁特法の改正に向けて作業に入ることが最も重要だと考えております。あるいはさらに一歩を進めまして、中小漁業振興法とも言うべき単独の法律が制定されることにでもなるならばまことに幸いと存ずる次第でございます。 以上をもちまして私の意見を終わります。御清聴を感謝いたします。(拍手)
○羽田委員長 ありがとうございました。 次に、長谷川参考人にお願いいたします。
○長谷川参考人 漁特法の一部改正につきまして参考人として御意見を申し上げます。 イカ釣り漁業につきましては、現在、収支採算が非常に悪いために日本の漁業の中では経営の内容の一番悪い漁業であるというふうに言われておるわけでございますが、今度の漁特法の改正によりまして特別償却を認める。ところが、こういう経営の内容の悪い漁業でございますので、これを直ちに適用するというわけにはまいらないのじゃないかと思うのでございます。この恩典を受ける隻数はきわめて少ないのじゃないかと思うのでございます。しかし、イカ釣り漁業もいつまでもこういう状態であってはならない。そこで、どういうふうにしたならばこの漁特法の特別償却の恩典を受けられるようになるかというその対策等について少し御意見を申し上げたいと思うわけでございます。 イカ釣り漁業は、五十五年度におきましては非常に豊漁でございまして、またその上に輸入が相当増加いたしました。その結果、在庫が非常に多くなりましたために、魚価が前年度に比べまして約半値に暴落したわけでございます。その結果漁業者は、燃油高の魚価安ということで非常に経営が苦しくなりまして、倒産も相当出たような状況でございます。ところが、五十六年になりましたら、その反対に今度は非常に凶漁でございまして、日本海方面におきましては、沖合いの温度が低かったために前年度の五五%程度しか水揚げが上げられないというふうな状況でございました。また、海外におきましてもイカ漁業の生産が非常に少なかった、こういう状況でございましたので急に在庫が減りまして、昨年の秋口から魚価がだんだんと上がってまいりまして、暮れには相当の高値を示したわけでございます。ことしに移りましてから少し魚価は下がりましたけれども、前年の値段の大体七、八割の価格を維持しておるようなわけでございます。こういうようなところから、本年は何とか期待ができるのじゃないか、私はかように思っておるわけでございます。 このようにイカ釣り漁業は不況でございますが、これはイカ釣り漁業の不況ということだけで済む問題ではないのでございまして、御承知のようにイカ釣り漁業は隻数が非常に多い、そして地区の漁業協同組合と非常に密接な関係を持っております。ということは、燃油資金あるいは資材の資金等は、銀行よりもむしろ地区の漁業協同組合から融資を受けておる額が多いのでございます。そうしますと、イカ釣り漁業が衰微いたしますと、勢いそのしわ寄せが地区の漁業協同組合に移っていく、漁業協同組合の財務内容はきわめて悪化する、現在そういうふうな状態になりつつあるわけでございます。つまり、イカ釣り漁業は、他の系統組織の財務内容にまで大きな影響を及ぼしておる、これがイカ釣り漁業の実態でございます。その点、私非常に責任を感じておるのでございますが、何とかしてこのイカ釣り漁業が回復すれば、地区の漁業協同組合の財務内容もよくなるのだからということで現在いろいろ努力しておるわけでございます。 これには、それでは一体どうしたらいいかという点がありますが、第一番目には、イカ漁業というものは生産構造が非常に多様でございます。まず、大手の会社のトロール漁業がございます。これが海外において相当多量のイカをとって日本へ運んでおります。それから底びき網漁業におきましても、イカを相当混獲しております。また、この三、四年急に盛んになってまいりましたが、イカ流し網漁業というものができてきまして、これが相当の水揚げを上げております。そのほかに、従来からのイカ釣り漁業、これも大型、中型、小型というふうに分かれておりまして、私が会長をやっております中型漁業というのは三十トンから百トン未満の船でございます。このほかに百トン以上五百トン未満の大型漁業がございます。それから三十トン未満の小型イカ釣り漁業がございます。この小型イカ釣り漁業は、現在のところ、隻数にいたしますと大体三万五千隻程度はあるというふうに推定されております。中型の三十トン三百トンのイカ釣り船は、昨年の初めの承認隻数におきましては大体二千隻、百トン以上は二百隻というふうな状況でございます。 こういうふうに分かれておりますけれども、三十トン未満は、現在のところ、一部の県におきましては県知事の許可制になって隻数を規制しておりますが、大部分の県では海区調整委員の指示によるとか、あるいは全然自由漁業として放任されておるというふうな状況でございます。したがって、この三十トン未満のイカ釣り船をそのままの状態で野放しにしておきましたのでは、中型以上のわれわれがいかに減船等の措置を講じて自粛いたしましても、どんどん小型船がふえていくというのではこれは何にもならないわけでございます。 そこで、まず、イカ漁業の体制を整備するという意味におきまして、私どもは、かねがね三十トン未満の小型船の制度化ということを水産庁にお願いしておるわけでございます。三十トン未満の船三万五千隻全部というわけにはとてもまいりませんので、少なくとも十トン以上三十トン未満の船につきましては知事の許可制にしていただく、そしてこの隻数の増加を規制していただきたい、また漁期等の規制も中型以上のイカ釣り漁業と同じように考えていただきたい、イカ釣り漁業の体制をまず整備していただきたいということが一つでございます。 それからもう一つは、私どもの中型は昨年の初めにおきましては約二千隻と申し上げましたが、これが五十六年の一年間におきまして約七百五十隻減船されております。これは従来のいわゆる共補償による計画的な減船ではございません。イカ釣り漁業はもうだめだというので、イカ流し網漁業に転換したものが大体三百七十隻ございます。そして残りの三百八十隻は廃業した業者でございます。こういうふうに、イカ釣り漁業はもうだめだということで七百五十隻の多数の船が他の漁業に転換し、あるいはまたみずから廃業していったというふうな状況でございまして、五十七年の大臣承認隻数は、まだ水産庁から承認書が交付されておりませんけれども、恐らく二千隻から千二百五十隻程度には減少しておるのじゃないか、かように思うわけでございます。私といたしましては、少なくともこの千二百五十隻というものは今後イカ釣り漁業に腰を据えていただいて、じっくりイカ釣り漁業の振興を考えてもらわなければならぬ人たちだ、かように存じております。 そこで、何とかしてこの中型漁船、残存しました千二百五十隻の漁業者の経営が立ち直るように、その一つとしまして直接影響が一番大きいと思われますのは、いわゆる集魚灯でございます。このイカ釣り漁業におきましては、全燃料の約四〇%程度が集魚灯のために消費されておるわけでございます。従来の集魚灯というのは白熱灯でございますが、この電力消費量というものは、大体全燃料の四〇%前後というふうに言われておるわけでございます。こういうふうに非常に燃料をたくさん使う集魚灯でございますので、私どもは、第一次のオイルショック以来、何とかしてこれを自主規制しようじゃないかということでトン数階層別にソケット数を限定しまして、そして、使用する白熱灯も三キロワット以下のものを使いなさいというふうにして、一つのめどを立てましてそれを指導してまいったわけでございます。それからもう六、七年たつわけでございまして、だんだん効果は出ておりますけれども、この集魚灯というものは幾ら光力がなくてはいかぬというものではございません。他の船と並んだ場合に、他の船よりも明るければそこへよけい集まってくるというふうな状況でございますので、自然にそこに過当競争が出てくる。あの船よりもうちは少し明るくしよう、あれよりも明るく、それでだんだん大きくなっていったというのが現状でございます。それをわれわれは、そんなに光力を使う必要はないんだから、この程度下げなさいということで規制を設けてやったのでございますが、遺憾ながら、これは自主規制である、罰則もございません、業者の良心に任してやる。最近、燃料がこういうふうに高くなってまいりましたので、業者の方も、うん、なるほど、こんなにむだ遣いをしてはいかぬなということで、だんだんわれわれの規制した数値に近づきつつはございます。ところが、昨年あたりから放電管方式の集魚灯が技術開発されたわけでございます。これによりますと、これは業者の話でございますが、いろいろ種類はありますが、従来の燃料の大体四分の一で済みますということを言っておるわけでございます。早速それをつけた漁業者もおります。そういう人の話を聞いてみますと、少なくとも七〇%前後の燃料の節約にはなるようだということを言っております。燃料の節約がそういうふうにできることはわかりましたが、ただ遺憾ながら、その光力はどの程度でいいのか、あるいはそれが漁獲にどういう影響を与えるか、それがまだわかっておりません。 そこで、先般来、水産庁等の御指導を受けまして集魚灯の技術開発研究委員会をつくりまして、大学の先生、試験場の先生等を交えまして、あるいはすでにそういう省エネ集魚灯をつけておる業者等を集めまして、今後その点につきましてできるだけ早い期間に結論を出していこう、こう思うのでございます。そこでこの結論が出ましたならば、私ども中型の沖合いイカ釣り漁業は現在、構造改善業種に指定されておりますが、その構造改善の基本方針の一つにぜひひとつ加えていただきたい、かように思うわけでございます。 現在、省エネといたしましては、省エネ漁船の建造、取得あるいは省エネ機関につきましては構造改善の計画に載っておりますが、先ほども申しましたように、イカ釣り漁業は現在不振をきわめておりますために、新しい船をつくるなんという人は、現在のところ年にまあ一、二隻しかありません。また、省エネエンジンといいましてもすぐ開発されるわけではございません。いま目の前に業者が欲しいと言っているのは、この省エネの集魚灯でございます。ぜひこれを構造改善計画の基本方針の一環に加えていただきまして、この融資につきまして低利の資金を公庫から借りられるようにしていただきたいということでございます。九十九トンの船でございますと、一隻当たり現在のところ大体一千七、八百万で足りるわけでございます。ぜひひとつこの融資を構造改善においてめんどうを見ていただきたいということでございます。 それから第三番目は、私どもの漁業は太平洋の北海道並びに三陸方面を主体にいたします。それからまた、日本海を主体にいたした漁業でございますが、私どもがいつも頭を抱えておりますのは朝鮮の問題でございます。御承知のように、朝鮮が五十二年の八月から二百海里法をしきまして、豆満江の国境から三十八度線に向かって直線を引きまして、さらにその先に五十海里の線を平行に引きまして、それをもって軍事警戒ラインとしたわけでございます。その外に経済水域というものを設けまして日本漁船の入域を認めてやろうということになったわけでございます。その広大な軍事警戒ラインの中にこそ本当の朝鮮の資源はあるわけでございますが、われわれは遺憾ながらその軍警ラインの外側でしか操業できない。現在その外側において操業できておりますものは、イカ釣り漁業と日本海のマス漁業とカニかご漁業、この三種類の漁業でございます。また、五十二年の二百海里法がしかれます前は、西海岸においてもイカ釣り漁業、フグの延べ繩漁業あるいは以西底引き漁業が操業しておったのでございますが、西海岸の方は完全にシャットアウトされてしまったわけでございます。ですから、現在は東海岸の経済水域におきましてこのイカとマスとカニの操業ができております。 ところが、これが暫定協定でございまして、しかも国交がないために、私どもが日朝議員連盟の御支援のもとに向こうに参りまして、民間同士の話し合いによって二カ年ずつの延長でやっておるわけでございます。ことしの六月でちょうどその期限が切れます。ことしあたりは何か一つ向こうから相当な条件が出るのじゃないか、ことしは相当の条件闘争になるのじゃないかという心配があるわけでございます。一昨年の交渉のときには、向こうから相互主義によりまして日本の漁船を入れるかわりに朝鮮の船も入れてくれ、これは毎回言っておるわけでございますが、私どもはそれはできません。ただ、日本の二百海里の法律がありますから、その法律に従って政府が許可すれば、私どもが入れてもらっておるその業種につきましてはおいでになることもよろしいと思います。それはわれわれが入れてもらっているのだから、われわれはわれわれの業者を納得させることはできますが、他の業種について朝鮮の船が太平洋の真ん中でサバをとる、イワシをとるといっても、それは私どもはオーケーとは言えませんということで拒否しておるわけでございますが、そのかわりに、それじゃバーター制度を設けてくれ、自分らのとった魚をあなた方買いなさい、そしてその代金でもってわれわれの欲しい資材を送ってください、そうしてくれれば漁船乗り入れの相互主義にかわるものとして認めようということを前回の会議では言われました。私ども、それは一つの貿易でございますが、われわれは零細な生産者団体であるからしてすぐそれにオーケーするわけにはいきません、ことにあなた方の欲しいのはスケソウダラでございましょう、スケソウダラは日本においては非自由化品目、IQ品目になっておりますから、これは私どもがすぐ、はい買いましょうと言うわけにはいきません、まず第一番にIQの枠をつくってもらわなければならぬ、これがまた非常にむずかしい、そして生産者が貿易に手を出してもなかなかむずかしいので、これは貿易の専門の商社に代行してもらわなければなりません。そういういろいろな問題がございますから、われわれは実現に努力いたしますから、今回はひとつ次回まで検討させてくださいという条件のもとに帰ってきておるわけでございます。 そういうようないきさつからしますと、ことしの会議におきましては相当な条件が出てくる、スケソウダラの買い取りのために枠をつくれというふうな条件が出てくると思います。そういう点につきましてひとつ政府の方も、また諸先生方にも御支援をいただきたい、かように思うわけでございます。 これで私の意見を閉じさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○羽田委員長 ありがとうございました。 次に、徳島参考人にお願いいたします。
○徳島参考人 ただいま委員長から発言を許されました日本遠洋底曳網漁業協会会長の徳島でございます。 日ごろ、諸先生には漁業関係につきまして大変御尽力と御高配をいただいておりますことを、この席をかりて厚くお礼を申し上げます。 私は、漁業協会の会長をしておりますが、私自身約六十年間東シナ海で底びき網を経営してまいりまして、三代目に当たるわけでございます。そういう意味におきまして、私の前に三名の参考人からいろいろ御意見が出ておりますのでできるだけ重複を避けながら、以西底びき網漁業につきましてお願いをいたしたいと思います。 結論から先に申し上げますと、漁業再建整備特別措置法の一部改正でございますが、これは、非常に悪化しておりまする漁業経営の再建にとりまして一歩前進でございますので賛成をいたしたいし、ぜひひとつこの国会におきまして決めていただきたいと思うわけでございます。 私たちの以西底びき漁業は東シナ海並びに黄海で操業しているものでございまして、この以西漁業につきましては、ちょうど戦争の終わったときの食糧不足、まだ南氷洋も北洋も出漁は許されない、しかし、この漁業は最も計画生産ができる漁業だということで、食糧増産のために政府の積極的な措置によりまして、資材の不足のときに九百九十五隻の船を建造して増産に努めたわけでございます。しかし、このシナ海をめぐります国際情勢は非常に複雑でございまして、すでに昭和二十三年には台湾の艦船による日本漁船の拿捕、銃撃事件が起こりました。さらに、朝鮮動乱、二十五年十二月から中国の艦船による拿捕事件が発生しております。また、昭和二十七年には韓国が李承晩ラインを設定いたしまして、わが国漁船の拿捕、銃撃が始まったわけでございます。これを集計いたしますと、拿捕された漁船数は五百六十六隻、抑留された船員が六千八百三十五人、死亡または銃撃による死亡を合わせまして七十二名の犠牲者を出したわけでございます。 そういうことで、何としても漁業を守り、安全操業ができるために、まず漁場の依存度の一番大きい中国に民間でアプローチをしていこうというふうに相なりました。われわれの底びき漁業、まき網漁業、それから全漁連傘下の漁業者、西日本の漁業者、さらに労働組合も含めまして民間で日中漁業協議会を結成いたしまして、中国の民間協会であります中国漁業協会との間に昭和三十年四月に日中民間漁業協定ができまして、漁民間の友好を基礎に安全操業ができることに相なったわけでございます。 そういうことの努力を繰り返しやってまいったわけでございますが、いろいろとまた問題が起こりました。 以西底びきはわが国の漁業の中で減船問題を真っ先に実行した団体でございます。第一回は昭和二十五年でございますが、水産資源枯渇防止法によりまして二百八十五隻の減船をいたしました。これは九百九十五隻の二八・六%でありました。政府の助成もありました。一部自主減船をしたわけでございます。続きまして第二回は、昭和四十七年六月に百七隻の減船をいたしました。これはすべて自主減船でございまして、全額共補償で賄ったわけでございます。これはやはり資源の保護の必要があるということ、それから漁業の永続性を図るためには船を少なくして資源を守ろうということ、それから単位当たりの生産性が上がるということと同時に、当時魚価のアップも期待できたということでございます。さらに、高度成長に伴いまして、船員の不足対策として減船を実行したわけでございます。第三回は昨年でございますけれども、北海道周辺で操業しておりまする韓国漁船の規制に伴い、以西の方では済州島周辺の漁場の規制ということになりまして、これで六十隻の減船をしたわけでございます。 以上総計いたしますと、終戦直後に九百九十五隻ありました漁船を四百五十二隻と半分以上減船をいたしまして、四百四十一隻が現有の勢力となっておるわけでございます。 こういうわけで、われわれはこの厳しい状況に対応いたしましてどういうふうに以西漁業界の再建を図るかということでございます。省エネルギーにつきましては三人の参考人のお話のとおりでございますが、私たちの方は五十六年建造の新造船から省エネエンジンを採用することによって一五%の燃油の節約をやっております。それから、A重油とC重油をブレンドいたしまして燃油価格を下げていくという努力をすでにしておるわけでございます。それから、漁獲物に付加価値をつけて市場価値を上げる、こういう方向で進めております。第三番目は、いままで二そうびきでやっておりまする底びき漁業を一そうびきでやれないかということで、これも政府の協力を得まして、本年の八月から一そうびきの漁法を取り入れまして試験操業を続けるわけでございます。これが成功すれば新しくモデル船をつくってさらに研究をしていきたい。 私たちは一そうびき漁法が成功するならばどういうメリットがあるかということを検討しているわけでございます。二隻が一隻になりますので、省エネの目的は達成される、それから資源の保護になる、設備投資額が少なくて済む、不足がちな船員対策として有効である、それから漁特法のうたっております経営規模の拡大、適正規模、こういったものについてはその方向に向かうのじゃないかということで、いま真剣にこの問題を検討しているわけでございます。 次は、そうすると以西漁業界は減船というものを将来どうするのかという問題が一つございますが、残念ながら現在のところ業界全体のコンセンサスは得られておりません。しかしながら、一部減船をしてほしいという声もあることは事実でございます。われわれ業界は五十三年から赤字経営になっておりまして、現在、債務超過の会社も相当数に達しております。したがって、全額共補償によって減船をするという場合にも、こういう経営状況から残った業者の負担能力というものが非常に貧弱なわけでございます。これは、わが方の経営対策委員会でさらに十分の研究をしておるわけでございますが、将来、減船という事態が起こるときには、ぜひひとつ政府の助成の増加ということを検討していただくことを特にお願い申し上げたいと思います。 そこで、この機会に私から二、三お願いを申し上げたいと思うわけでございますが、政府の適切な施策と漁業界の真剣な自助努力によって何とか経営を再建したいわけでございます。私は、中小漁業というのは効率のいい漁業だと考えております。資本力とか組織力とか特殊なノーハウを必要とする漁業は別といたしまして、中小漁業の生産性は非常に高い。それは、乗組員と一体になった経営ができるからでございます。血の通った経営ができるからでございます。それから、中小漁業者は魚をとる以外に生活の道を知りません。真剣に打ち込んでおりますので、中小漁業の振興には特に力を入れていただきたい。 それから第二点は、以西漁場というのは、わが国の二百海里を実行しておりますけれども、中国と韓国には適用を除外しておるわけでございます。したがいまして、漁場関係は、現在のところまあいい方の部類に属すると思います。しかしながら、この漁場も国際漁場でございまして、分裂国家が残っております。したがいまして、中国、韓国とのいい状況を続けていただくように御尽力を願うし、また民間もそれ相応の努力をしてまいりたいと思います。 また、北朝鮮との民間協定の延長につきましても、やはりこの民間協定がうまくいかないと西の方にも波及するおそれがありますので、この延長につきまして久野先生にお願いをしているわけでございます。 最後に、わが国の漁業は、年間に六百万キロリッターの燃油を確保していただきまして、国家予算三千二百億円で年間一千万トン以上の漁獲をしております。またその漁獲は、国民の必要とする動物たん白の約半分を供給しておるわけでございます。この意味におきまして、ひとつ、漁業は重要な産業であるという位置づけをしていただきまして、さらに積極的な施策を勇敢に取り上げていただくように諸先生にお願いをいたしまして、私の発言を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○羽田委員長 ありがとうございました。 次に、柴山参考人にお願いをいたします。柴山参考人。
○柴山参考人 全日本海員組合の柴山であります。 さて、昭和五十二年二百海里時代の幕明けとともに、公海自由の原則は崩壊し、距岸二百海里内の海洋資源の管理、海洋環境の保全は、沿岸国の主権に帰属するものとして沿岸国が漁業を管理するというように、海洋秩序は大きく変革し、世界は海洋分割時代に入ったのであります。その結果、わが国遠洋漁業は減船を余儀なくされ多くの漁業離職者が発生するとともに、引き続く第二次オイルショック以降の燃油の高騰、消費者の魚離れによる魚価の低迷、遠洋漁業の停滞、沖合い漁業の伸長等大きく変貌したところであります。 このような、わが国漁業の現状を踏まえて、私は漁業労働者の立場から日本漁業の問題点を指摘するとともに、その対策の方向について意見を述べるものであります。 まず第一に、アメリカの対日漁獲割り当てと、貿易リンクの問題であります。 現在、アメリカ議会に上程されている新ブロー法案は、余剰原則の廃止、恣意的な適正漁獲量の決定、分割割り当て方式の採用、水産物貿易及び漁業振興への貢献度と割り当て量の開放等の措置が盛り込まているのであります。新ブロー法案の成立によって、日米漁業関係はますます厳しくなるとの懸念はきわめて大きいのであります。 昨年十二月、アメリカは対日漁獲割り当て量をおおむね前年並みの百十四万トンとし、実際上の割り当てについてはその五〇%と決定したのであります。そして、その残量割り当てについては本年四月と七月に開放することとし、割り当てに当たっては、アメリカの水産物貿易及び漁業振興に対する日本の貢献度を見た上で決定するというものであります。わが国は四月分の追加割り当てを受けるため、スケソウの洋上買い付けを二万トン上積みして六万トンに拡大するなどの協力を約しましたが、アメリカはなお不満であり、現在のところ四月分追加割り当てはきわめてむずかしい状況にあると伝えられているのであります。四月分割り当てが大幅におくれることは、わが国の北方トロールや北転船が係船という最悪事態に追い込まれ、ゆゆしい問題に発展するのであります。四月分割り当ての早期決定につきましては政府の強力な外交交渉に期待するとともに、私どもは労組外交を積極的に展開し、ときにはアメリカの不当な要求について国際世論に訴えるなどして、官民一体のもとに取り組んでいかねばならないものと考えるのであります。 第二点は、日本の漁業の役割りであります。 わが国漁業は、国民の食ぜんに低廉かつ良質な水産たん白を安定的に供給することが主要な役割りであることはいまさら言うまでもないのであります。これを通じて漁業が産業として自立し、経営の安定を確立する中において漁業労働者の職場の確保と生活の維持向上を実現していくことも、漁業の重要な役割りであることは言うまでもないのであります。 今日、国民一人一日当たりのたん白質摂取量三十九グラムのうち、水産たん白は十八グラムを占め、全体量の五〇%を割っているのであります。総たん白に占める水産たん白の比率は、四十年六一%、四十五年五二・二%、五十年五〇・七%であって、たん白食糧の主座を水産たん白が保持してきたのであります。ところが、五十二年二百海里時代とともにこれが四八%に低下以来減少傾向が続いており、国民の魚離れを如実に示し、畜肉にたん白食糧の主座を奪われてきたのであります。 このように失われた消費者の目を魚に引き戻すためには、漁業の役割りを再確認し、畜肉に対抗し得る適正価格による水産たん白の供給態勢づくりのため、流通機構の近代化、漁業生産構造の抜本的改善が強く求められているのであります。 第三点は燃油対策であります。 昭和四十八年における第一次オイルショック、続いて五十四年のイラン政変を契機として、漁業用燃油であるA重油は一キロリットル三万円台から七万円台へと二倍以上に急騰し、生産コストに占める燃費の比率は二五%以上にはね上がり、漁業経営圧迫の大きな要因となっているのであります。 漁業における燃油一キロリットル当たりの漁獲トン数、すなわち、石油生産性は沖合い漁業であるまき網、沖合い底びき網は高く、遠洋漁業であるカツオ・マグロ漁業はきわめて低いのであります。これは漁場の近い沖合い漁業は操業の効率が高く、漁場の遠い遠洋漁業は効率が低いことを示し、沖合い漁業の伸長、遠洋漁業の停滞の主要因となっているのであります。 わが国漁業にとって二百海里国際規制の直撃に続く燃油価格の高騰は、漁業経営を一層厳しいものにしているのであります。したがって省エネ対策としては、省エネ船型、省エネ機関の研究開発を初め、A重油とC重油の混合使用、C重油等低質油の使用、乗組員の技術の向上など積極的に推進することが強く求められているのであります。 第四点は自主減船と雇用対策であります。 遠洋マグロはえ繩漁業の経営安定のため、五十六年度六十九隻、五十七年度九十六隻、合計百六十五隻に上る自主減船が計画されているのであります。 減船に伴う漁業労働者の雇用対策については、残存船への吸収を初め、他業種への転換を図るなど労使で最善の努力を重ねることは当然でありますが、わが国漁業の実態から見て現実はきわめて厳しいものがあり、政府に対して適切な措置を強く求めるものであります。 また、漁業再建整備特別措置法で定める漁業離職者の就職あっせん、職業訓練の実施、職業転換給付金の支給等についても、その内容の整備改善を速やかに行うよう政府に対して強く要請するものであります。 第五点は漁業制度の見直しの問題であります。 二百海里時代の到来によって、海洋秩序は大きく変革し、わが国遠洋漁業は沿岸国との漁業協定に基づき、相手国政府発給の許可証とわが国政府発行の漁業許可証の併有が義務づけられ、許可関係は従来と大きく変化しているのであります。 また、わが国漁業を食糧産業として位置づけ、水産たん白食糧の自給体制の整備を初めとして、資源管理体制の確立、輸入水産物の規制、栽培漁業の進展等漁業環境は大きく変貌してきたのであります。したがって、漁業法を中心とする現行漁業制度の見直しを急ぐ必要があるものと考えます。 政府は、速やかに法的措置を講じ、漁業制度調査会等を設置して各界の英知を結集し、漁業制度の検討に着手すべきものと考えるのであります。 最後に、今次漁業再建整備特別措置法の一部改正は、中小漁業構造改善計画の中に省エネ対策を追加するというものでありますが、遅きに失した感は免れないとはいえ、本件に対して賛意を表明するものであります。同時に、さきに述べた省エネ対策の研究開発等についても、政府において積極的に措置されるよう強く要請して、私の意見開陳を終わる次第であります。(拍手)
○羽田委員長 ありがとうございました。 次に、堀川参考人にお願いいたします。
○堀川参考人 本委員会におかれましては、漁協系統金融に対しまして深い御理解をいただき、また、日ごろ適切な御指導、御支援を賜っておりますことをこの機会に厚く御礼を申し上げます。 また、今回の漁特法の改正につきましては、省エネルギーの問題は漁業の振興を図る上からもあるいは漁業経営の改善を図る上からもきわめて重要な事項でございますので、全漁連会長も申されたとおりきわめて時宜にかなったものでございまして、私どもといたしましては一刻も早くその成立を希望いたすものでございます。 まず冒頭に、漁業の経営の状況なり負債の状況等について現状認識を申し上げたいと存じます。 他の参考人も申されましたとおり、漁業をめぐる厳しい環境条件のもとで多数の漁業者が極端な低収益あるいはまた赤字経営を余儀なくされているわけでございまして、当農林中央金庫自体の調査によりましても、五十五年度におきまして主要十三漁業種類の六百隻余の漁船について調べたわけでございますが、その四二%が赤字経営でございます。五十六年度も大体同様の傾向が続くのではないかというふうに見ております。 また、負債の状況について見ますと、先ほども全漁連会長もお触れになりました農林中金と全漁連と共同で行いました五十六年の三月末現在の調査によりますると二十一業種、四千経営体、これは調査対象といたしましては漁業経営維持安定資金の借入者あるいはまた延滞債務を有している者ということで調べたわけでございまするが、これらの経営体の中で、その調査時点からさかのぼる三年間の償却前利益の状況と借り入れている負債の状況との関係で見ますと、通常の償還期間ではなかなか償還ができないという経営体がおよそ七割ございます。そしてこの七割にも達する経営体の負うておる債務の総額を合計いたしますると、これらの方々の年間に上げております漁業の収入、所得ではございません、漁業の収入を債務が上回るという状況になっているわけでございます。したがいまして、こういった漁業者の方々は通常の方法ではなかなか借入金を返済するめどが立たないという方が相当数おられるというふうに思っておるわけでございます。 こういった状況の中で、政府といたしましてはいろいろと施策を講ぜられてきたわけでございまするが、漁業用燃油対策資金でございますとか、漁業経営維持安定資金等の融資制度をつくりまして実行をしてまいっておるわけでございます。その累計は、五十一年度以降五十六年度までの間におよそ四千億円に達するという巨額なものでございます。こういった金融措置はそのときどきの漁業経営の危機を回避するという意味で効果がございました。五十一年の本法の制定の際の審議の過程で全漁連の前会長が、こういった資金措置はいわばカンフル注射であるというふうに参考人として意見陳述をしておられますが、そういうカンフル注射的な効果ももちろんございましたけれども、こういったことによりまして経営の混乱というものを回避することはできましたが、しかし、この負債を漁業収入の増加によってきちんと返済していくということは、総じて見れば、相当困難な状況にあると言わざるを得ないと存じます。 こういった状況を克服いたしまして安定的な漁業経営の状況をつくり出すということにつきましては、漁業者の自己努力はもとより必要でございますが、国におかれましても、従来とかく金融に依存をするという政策展開でございましたけれども、もっと抜本的に、総合的な生産構造の再編を図るというような政策と並行いたしまして行われる必要があると思うわけでございまして、特に、五十七年度から新たに登場いたします新負債整理資金、こういった制度融資は、こういった関連を持つ抜本的な施策と並行して行うことによって初めてその本当の効果が発揮できるというふうに思う次第でございます。さように全体の状況としては認識をしている次第でございます。 〔委員長退席、加藤(紘)委員長代理着席〕 ところで、漁協系統金融の立場から、現在のこういった経営の状況なり負債の状況等を拝見いたしまして、一体どういう問題があるかということを多少整理して申し上げたいと存じますが、第一には、緊急資金の融資残高がきわめて増加しつつあるということでございます。こういった緊急資金は、系統金融といたしましては漁業経営体の危機を救うという立場におきまして最大限の協力を行ってきたところでございまして、これらの資金の九割は系統が融資を申し上げておる、こういうことでございます。しかしながら、燃油資金にいたしましても、維持安定資金にいたしましても、実質的に、これによって積極的な経営体の収益を上げるという効果を持つものではございません。どちらかと言えば、後ろ向き資金というふうに評価をしてよろしいと思いますが、そういったことでございますので、通常の金融ベースからいたしますと、金融機関としては非常に貸しにくい資金の種類であるというふうに言えようかと思います。 そうして、こういった緊急融資資金が系統の貸出残高の一五%を占める、あるいは長期の資金残高からいたしますと三〇%を占めるというような状況になっておりまして、これは、何%をどうということを画一的に申し上げるのはむずかしいと存じますが、系統金融の現在の力量から見まして、もはや限界に達したのであるということを言う方々が相当多数この系統金融に携わっておる方の中にはおるわけでございまして、私も、そういう考え方もむべなるかなという気がするわけでございます。 問題の第二といたしましては、中小漁業融資保証制度の問題でございます。 こういった緊急資金は、先ほども申したとおり通常の金融ベースになかなか乗りにくい資金でございますので、こういった制度金融に系統金融機関といたしまして御協力を申し上げる前提といたしましては、やはり何と申しましても制度保証の裏づけが必要であるということでございます。五十五年度に貸し出されました漁業経営維持安定資金のおよそ九割近くのもの、あるいは当年度に貸し出されました漁業用燃油対策特別資金の六割近くのものにつきましては、漁業信用基金協会の保証がつけられております。 一方、この基金協会の現状を見ますと、漁業経営の不振の深刻化に伴いまして、返済不能となる漁業者がここへ来て急にふえてまいっております。信用基金協会といたしましては保証の履行、つまり、代位弁済をする代弁額が大幅にふえてきております。いまのところ、基金協会といたしまして支払い資金の不足等によって代位弁済ができないというようなケースはまだ発生しておりませんけれども、協会の財政状況も次第に窮屈になってきておりますので、代位弁済の請求、履行に当たりまして、従来のようにはこれが円滑にいかないという懸念があるわけでございます。 今後とも、この保証制度の運営につきましては、これにいささかの不安でも生じてくるということになりますと、金融機関、特に系統金融機関といたしましては多額の不良債権を抱えるということになるわけでございますので、系統金融の正常な運用を期する上からも、保証制度の運営につきましては、国におかれましても全面的に責任を持ってこれを強力に推進するというお立場をとっていただきたいというふうに思うわけでございます。私どもも、今後の動向につきましてはきわめて心配をしながら注目してまいりたいというふうに考えておるところでございます。 次に、三番目でございますが、不振な漁業経営体が非常に多いわけでございますけれども、こういった経営体が経営に行き詰まって廃業するとかあるいは倒産するというようなことになりますと、他への波及、影響というものが大きくあらわれてくるということでございます。 その影響の一つは、他の漁業者への影響ということでございます。漁業者が金融機関から借り入れをいたしましたりあるいは基金協会の保証を受けるに当たりまして、通常、他の漁業者の連帯保証を取られるということが通例でございます。こういった状況の中で倒産とか廃業とかいうことになってまいりますと、連帯保証人が借り受け人にかわりまして保証債務を履行しなければならぬということになるわけでございますが、この連帯保証人も、十分な資産あるいは経営もそうよろしくないというようなことでございまして、十分な資産がないという場合には、一人の倒産、廃業が他の漁業者にも直接的な連鎖的影響を及ぼすということが考えられるわけでございまして、現にそういう実例が相当数出ておるわけでございます。こういった問題が一つ。 それからさらに二つ目は、漁協への影響の問題でございます。これは他の参考人もお触れになったわけでありますが、漁協は漁業者に対しまして相当の多額の燃油の販売代金等の売り掛け債権を持っておるわけでございます。倒産とか廃業をします方は、当然に債務超過でございますのでこれらの債権を完全に回収することができない、不良債権の発生という形になって表面化するということになるわけでございます。また、漁業者に貸し出します資金を漁協が上部の信漁連なり農林中金から借り入れておるというような場合に、漁業者の支払いの遅延あるいは不能ということが起こってまいりますと、漁協が立てかえて払うか、あるいは保証機関が支払いをした場合においてはその求償債務の履行を漁協が行わざるを得ないという形になって、漁協に負担がかかってくるということになるわけでございますので、そういった金額が多い場合には、漁協の経営基盤を根本から揺さぶるというほどの大きな問題になるわけでございます。 さらには、こういった不振漁業経営体が倒産、廃業等のところへ参りますと、当然のことながら中小の造船所でありますとか食料品等の仕込み業者等々直接の関係を持つ者はもちろんのこと、その他の一般の事業体にもかなりな影響が出てくるわけでありますし、あるいは乗組員の雇用問題あるいは生活の問題というような深刻な問題も出てくるということを見逃すわけにはまいりません。 そういった問題があることを踏まえまして、直接的に国の漁政に対します御要望を申し上げることをお許しいただきたいのですが、系統金融の立場から、三点に集約いたしまして申し上げたいと存じます。 一つは、先ほども触れました中小漁業保証制度の問題でございます。国におかれましては、ゼロシーリングというような大変厳しい財政、予算の状況の中で、制度強化のために五十七年度は大幅な予算の増額を図っておられるわけでございまして、私どもとしても大変ありがたいと思うわけでございますが、最近行われましたこういった中小漁業保証制度の予算編成に関連しての制度見直しの中で、保証料の引き上げなりあるいは代位弁済が起こった場合に、それにかかわります金融機関の特別の出資が、さしあたりの措置としてもとにかく義務づけされるというようなことになっておるわけでございまして、こういったことは、いずれもこの制度を利用いたします漁業者なりあるいは関係する金融機関の負担によりまして、漁業信用基金協会なりあるいは中央漁業信用基金というものの収支の改善ということになるわけでございますので、こういったことにつきましては私どもも協力をするという姿勢をとっておるわけでございますけれども、あくまでもその前提としては、今後とも保証制度の十全なる機能発揮ということを前提とし、かつまた、暫定的に応急的な措置をとられたことについては、今後、長期にわたりまして改善をしていただく根本的な検討というものもお願いしたいわけでございまして、この点十分な配慮をお願いしたいと思うわけでございます。 二番目には、漁協の経営対策の問題でございます。全漁連の会長も触れられましたように、国の制度として特定不振漁協等の再建整備事業がございますが、五十七年度はこの拡充のための予算措置もなされたわけでございますけれども、今後、漁業者の負債整理や業界の構造再編ということを進めていく中で起こってくるであろう漁協の負担増ということを考えますと、これでは不十分だという気がするわけでございまして、今後に向けまして十分御検討をお願いいたしまして、こういった不振漁協の立て直しのための施策が適用しやすく、かつまた、漁業団体あるいは金融機関の負担の上からも問題のないように、国を初めとする公的負担をふやしていただくというようなことをお願いいたしたいと思うわけでございます。 最後に、公庫資金の問題でございますが、五十七年度は先ほど申し上げましたような借り受けをする漁業者と連帯保証人の関係がございますので、連帯保証人の債務保証履行資金というものにつきまして、公庫資金の中の整備資金の中でこれをこなしていくという措置がとられて実行される予定でございます。これは大変ありがたいことであり、資金の性格からいいまして民間資金ではなかなか対応することのむずかしい分野でございますので、こういった面につきましては今後ともぜひ拡充強化を図っていただきたいというふうにお願いする次第でございます。 どうもありがとうございました。
○加藤(紘)委員長代理 ありがとうございました。 以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。 —————————————
○加藤(紘)委員長代理 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木村守男君。
○木村(守)委員 まず、きょうの各参考人の皆さん方、お忙しいところありがとうございました。 時間がありませんので、はしょって具体的に二、三質問して教えていただきたいと思います。 一つは、長谷川さんに伺いますけれども、燃油価格が十年間に七倍強にもはね上がってきている、こういう現況にかんがみて、先ほど来からのイカ釣り漁業を初めとして、価格低迷はもちろんでありますが、携わる方々が非常に困窮してきている、そういうときにどうしても省エネというものがさらに大事である。 そこで具体的に、先ほどから新しい技術のものが出てきているというお話を承って、集魚灯、キャッツアイの件ですね、それが私の調べたところによるとまだ二〇%前後より普及されていない。先ほどのお話では制度資金、近代化資金が大体使われているようでありますが、公庫の再建整備資金でやれないかというお話を承っておりますし、ぜひまたこれに該当する方向で私ども自身のサイドからも努力したい、こう思うわけでありますが、何といっても他の畜産とか農林関係ですと償還期間の相当長い制度があるわけですけれども、いままでの近代化資金で皆さん方使っているのは五年以内とかになってくると、どうしてもこういう実情では苦しいのじゃなかろうか、こう思います。 そこで、この公庫再建整備資金に該当させていった場合のワンセット四十五万ぐらいの枠の、そのトン数にもよるんでしょうけれども、大体このキャッツアイ等新しいものを生かしてつけた場合に、四分の一ぐらいの省エネになるらしいということを承りましたけれども、業界としては指導しながらこれに該当させていった場合、何年ぐらいでどのくらいの見通しを持てるのか、お話をお願いしたいと思います。簡単にお願いします。
○長谷川参考人 お答えいたします。 省エネの集魚灯のことだと思いますが、先ほども申しましたように、全体の燃料消費節約量は少なくとも三〇%程度の節約にはなろうと思っております。そうしますと、九十九トンの船で三千万円の燃料を使いますと一年間に大体九百万円の燃料の節約、こういうことでございます。イカ釣り漁業の経営の面からいうと相当大きなウエートを占めている、こういうことでございます。
○木村(守)委員 ありがとうございました。 次に宮原さんに伺いたいと思います。 これは基本的なことにかかってくるわけですが、何といっても水産業界というのは私どもが守らなければいけないという認識は持っております。そこで、ただいまも申し上げたとおり十年間に七倍以上も燃油が上がってきたということ。そうなってきますと、生産構造の改革とかいろいろな近代化とかいうことが伴っていかなければ実らないといっても、油の安定供給を確保することに努力されていることを私は多としますが、最近は大分需給も緩和いたしておりますが、あなた自身も業者に供給されている立場でございますが、その燃油の確保という立場から今後の見通しをどう認識されているか、基本的な点で簡単にお答え願います。
○宮原参考人 大企業を除く石油の消費量は大体四百五十万から五百万トン、全漁連がそのうちの百万トンでございますけれども、全漁連の輸入等による多国間輸入という方向に持っていきまして、そして、その系統利用率を上げることによって燃油価格の上昇に及ぼす漁業影響というものを少しでも少なくしていきたいという努力をしていきたいと思っております。
○木村(守)委員 宮原さんにもう一言お願いします。 残存輸入制限の撤廃ということが問題になっているわけですが、特に、ニシンとかスケソウダラの問題ではなかろうかと思うわけですが、いずれにいたしましても、もしこれが自由化の方向なり、あるいはアメリカがいま日米貿易小委員会などでいままでの推移からいって枠の拡大という方向にいったとしても、どの程度の影響が予測されているのか、教えていただきたい。
○宮原参考人 ただいま計数として正確にお答えする用意はございませんけれども、従来、マグロは大丈夫だということで自由化されて、いまきわめて厳しい影響を受けておるわけでありますので、現在の生産量との比較においての影響とこれが将来にわたる影響とはとても予測しがたいというようなことでございまして、残存輸入品目の輸入自由化については、影響の問題は別として私どもとしては反対を唱えておるところでございますので、御理解いただきたいと思います。
○木村(守)委員 最後に、農林中金の堀川さんにお願いをいたします。 先ほどあなたから実態を教えてもらったのですが、ある意味では私はあなたに逆にお願いしたいという気持ちなんです。政府においても、いままでにすでにこういう実情にかんがみて負債整理資金の創設とか保証の充実などをやってきているのですが、それにしても信用基金協会のこの需要の増に伴っての一つの危険もあるわけですが、非常に窮屈にもなってきている、そういう点も私ども自身もまた考えていかなければいけないわけでありますが、そういう点はお互い認識は一致できるわけであります。こういう状況にその実情を教えてもらうだけでなくお願いしたいことは、農林中金自体がこれにどれだけのことができるのか、こういう状況下に何をしてくれるのかということを僕はお願いしたいわけです。そういう点でカンフル注射的なこともという言葉もあって、まさに当面カンフル注射をお願いしたい、私はこういう立場です。そういう意味で、農林中金としてはこういう諸般の事情を踏まえてどれだけのことを、いま何をしてくれようとしているのか、私はお願いを込めて具体的に集中的に何ができるのかということをぜひ教えていただきたい。 特にこの機会に参考人の皆様方にも申し上げておきたいわけでありますが、私どもの国は何といっても水産国家でもあります。そして貿易問題に端を発して、なお国内自給率あるいは国際価格に対応できない、そういう現況にある。そこで国民の健康を保持していく、将来の民族のことを考えたときに、何といっても皆さん方は一千万トン以上のたん白の供給をいままで努力されてきた。これは心から敬意を表したいと思います。しかも私どもは、これから十年、二十年の将来の展望に立った場合、世界の各民族の摂取カロリーなどを分析しても大変危機感さえ持っております。それだけに、今後、使命感に燃えてこの現況を突破してさらに努力してもらいたいわけでありますが、わが国のいまの国民の摂取量はカロリーにおいて二千五百キロカロリーと言われている。そのうちで四六%は外国からの輸入に頼っている。先ほどの柴山さんのお話などを聞いても、たん白源、そのうちで、落ち込んできてでも水産たん白は四八%を占めている。そういう実績があるわけですから、いろいろ長期的に考えても水産関係は大事なことだというのは皆さんと一致できる認識であります。危機感を持っております。それだけに堀川さんの方には、こういうときにせっかくきょうお越しいただいて先ほど教えてもらいましたから、いま何ができるかということを率直に御協力いただけることをぜひ教えていただきたい、お願いを込めてお願いしたいと思います。 以上であります。
○加藤(紘)委員長代理 答弁が行われる前に委員長より申し上げます。 本日の本会議が一時ジャストから始まりますので、あと残っております質問時間が全部で一時間十五分ございます。したがって、できれば答弁の方も簡潔にお願いし、また、質疑の方も簡潔にお願いして一時まで間に合わせたい、こう思っておりますので、御協力をお願いいたします。
○堀川参考人 現在、当金庫といたしましては四千九百億ほどの水産に関します貸し出しを持っておるわけでございます。その中には、先ほども申しました緊急資金も含まれておるわけでございます。先ほど緊急資金の金融対応における限界ということを申し上げましたけれども、こういう状況が続いている中でございますので、これは漸減するにしましても私どもとしてどうしても必要な資金については対応しなければならない、また負債整理資金についても同じである、しかし、それらに関連いたしましていろいろと御要請を申し上げたところでございます。
○木村(守)委員 ありがとうございました。
○加藤(紘)委員長代理 木村守男君の質問はこれで終わります。 新盛辰雄君。
○新盛委員 本日は、日本の水産振興のために日ごろ御活躍をしていただいておられます関係者の皆さんに御多忙の中おいでいただきましたことをまず厚くお礼を申し上げます。時間が限られておりますので、端的に質問をしたいと思っています。 まず柴山参考人に二問ほどお願いしたいのです。 安い魚あるいは良質な水産たん白を安定的に供給をしたい、あなたのおっしゃっておられるこれからの問題としては、やはり流通機構の近代化、漁業構造の抜本的な改善が必要じゃないか。その抜本的な改善ということについてどのようにお考えなのか。 第二は、現行の漁業制度という問題が各面から新しい二百海里時代で議論されておりますが、この見直しをどうしたらいいのか。これは新しい漁業制度の検討ということになると思いますが、力点をどんなところに置いたらいいだろうか、まずこの点、お答えいただきたいと思います。
○柴山参考人 お答えをいたします。 まず流通機構の近代化の問題でございますが、現行の流通機構は、五段階あるいは六段階ということで非常に多段階の流通網を持っておるわけでございますので、これをできるだけ各段階を短縮をしていくというのが重要な課題であろうと思います。第二点は、漁協、農協生協による協同組合組織間の流通網の形成でございます。第三点は、消費者運動の育成と産地直売制度の定着化の三点を考えているわけでございます。 漁業生産構造の抜本的改善の問題でございますが、基本的な考え方といたしましては、一定の漁場で適正な漁獲を長期的に維持できる体制を考えたい。しかもそういう中で、最大の付加価値と他産業に比べて遜色のない生産を上げ得る漁業への再編成ということを基本的に考えるわけでございます。具体的な対策といたしましては、資源管理の観点から適正漁獲量の決定をする。この適正漁獲量を漁船でとる場合の漁船規模と漁船隻数の決定を適正にやって過当競争を排除をしていくことが必要であると思います。また、操業日と休漁日の組み合わせによる労働再生産の配慮というものを考えているわけでございます。 第二点の漁業制度を見直す場合の力点でございますが、五つの点を考えているわけでございます。まず第一点は、水産たん白食糧の自給体制を整備をするということでございます。第二点は、科学的資源評価に基づく資源管理機構の制度化でございます。第三点は、漁民の自主性を尊重した漁業管理機構の確立でございます。第四点は、経営の裏づけとなる水産金融の役割りの見直しの問題でございます。第五点は、自国水産物と輸入水産物の調整問題の五点を漁業制度を見直す場合の柱にしたいと考えているわけでございます。
○新盛委員 次に、増田会長さんあるいは宮原会長さん、いずれも両参考人からお答えいただいた方がいいのじゃないかと思うのですが、水産物の調整保管事業、これは五年くらい経過もございますが、どういう評価をそれぞれにお持ちになっているのか。政府も若干の介入をしてということなんですが、いつも前途に不安を持っているわけでして、全漁連なりあるいはまた日鰹の方でもそれなりにお考えがあるのじゃないかと思いますが、率直なお考えをお聞かせいただきたいと思うのです。
○増田参考人 ただいま新盛先生から御質問がありました調整保管の方法の問題でございますが、私ども日鰹連といたしましても従来からこの調整保管については幾たびか実施をしてまいっております。私どもが実施してきました具体的な諸条件は、沖合いの漁模様あるいは漁船の集中入港、こういうことによって需要と供給がきわめてアンバランスになる、そのために魚価が急激に低迷する、これを生産者のサイドからできるだけ支えるために調整保管ということをやるわけでありますが、私は過去の経験から見ますと、調整保管によって魚価を向上するということは、これはとうていできない。ある程度平均化する、こういう措置が調整保管の目的であろうかと思います。 したがいまして、私どものいまやっております調整保管は、本筋としては受託をたてまえにいたしております。ただ、きわめて異常な事態の場合には、緊急避難措置として買い取りということもやっておりますけれども、これも現実の実勢価格を無視した価格向上というものは実際は困難ではないかという感じがいたしております。
○宮原参考人 従来まで果してまいりました調保の役割りについては、私どもは高く評価をいたしておりますが、現実の問題としては、試行錯誤を続けておるということも事実でございまして、やはり将来にわたって質、量の改善を、拡大を図っていただきたいと思いますのと、それから本質的に需給バランスを長期にわたって崩しておるものの調保のあり方をどうするのかといったものについては抜本的に今後検討を続けてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○新盛委員 長谷川参考人にちょっとお聞きしておきますが、イカ釣りの北朝鮮との関係ですけれども、協定が六月に大体切れることになるわけですね。いまいろいろとその対策を立てておられると思いますが、一体業界としてはどういう熱望を持っておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。内容については十分わかっていますので、これからの取り扱いとしてどうしたらいいのか。政府なりあるいは当委員会としても議論をすべき問題だと思いますのでお答えいただきたいと思うのです。
○長谷川参考人 お答えいたします。 朝鮮問題は五十二年以来の問題でございまして、何分にも国交がないものでございますから、われわれといたしましては、前回申しましたように日朝友好促進議員連盟でございますか、この議員連盟の御援助によりまして、議員連盟の会長さん以下朝鮮にいらっしゃいますときにわれわれも専門家としてついていきまして、そして向こうで交渉するということをやっておるわけでございます。 今後の問題でございますけれども、ことしの六月で期限が切れます。それで五月の連休にまた久野先生にお願いして向こうに行っていただいて、そして第四回目の交渉になりますが、四次の交渉をやりたい、こう考えておるわけでございます。ところが、この三月に、もうお聞き及びと思いますが、向こうから予備会談をやりたいということで朝鮮の代表団が日本訪問を呼びかけたわけでございますけれども、不幸にして構成員の一部に異論があるということで入国許可になりませんでございました。相互主義ということで、向こうからこちらに来るのを拒否すれば、こちらから向こうに行くのも拒否されるんじゃないかという懸念も実はしておるわけなんでございますが、久野先生が今度金日成の七十周年の生誕記念の式典にきのう御出発になりましたので、久野先生に向こうに行っていただいて、あるいはその点について向こうの了解を得られれば、後日また向こうがこっちへやってくるとか、あるいはこちらから向こうへ行くとかというふうな関係にはなるんじゃないかという希望を持っておるわけでございます。それができないということになると、これは大変なことになるなというふうに考えております。
○新盛委員 金融の問題で堀川参考人にお聞きしますが、今回の漁特法で新たに負債整理資金として三百五十億、これはきわめて効果的にという、従来よりは少し踏み込んでいるわけですが、この中で、金融措置というのは負債整理を含め、あるいは漁業経営安定のための必要資金として融資を行うわけですが、最近、御承知のように制度融資資金の過剰的なあり方に対して、生産額を融資残高が上回るというきわめて異常な状態になっているわけですね。 そういう中で今回の三百五十億、さらにこれからの経営安定のために効果的にやっていかなければなりませんが、何としても金利が何とかならないかという強い要望もありますね。これが一つ。 それと、選別融資を今度の改正では考えておられるわけですが、選別融資というのはどうも不公正な形にあらわれるんじゃないかど危惧を持っているのですが、どういうお考えを持っておられますか。
○堀川参考人 新負債整理資金でございまするが、これは従来の緊急資金等にかわりまして、より長期の条件のいい融資にかえたいということでできたものでございます。そのための所要の利子補給措置がございまするので、まあ金利は低ければ低いにこしたことはございませんけれども、現下の状況ではやむを得ないかというふうに思っております。 それから融資の姿勢の問題でございまするが、こういう状況のもとで漁業者の必要があるからという観点だけで融資を行うというのは、先生も御心配のとおり漫然たる融資ということで問題の解決にならない。したがいまして、融資に当たりましても、もちろん、他の関連施策の充実と相まつことが必要でございまするが、十分経営体の指導を行いつつ再建ができるようにやってまいるという基本態度は必要であろうと思っております。
○新盛委員 ありがとうございました。
○加藤(紘)委員長代理 次に、武田一夫君。
○武田委員 きょうは六人の参考人の皆さん方には大変御苦労さまでございます。 まず最初に、宮原参考人と、それから柴山参考人にお尋ねいたします。 私は、これからの日本の漁業というのは外交というものを重視しないと大変厳しい情勢にますます追い詰められるんじゃないかというそういう気がしてなりません。漁場が狭まる、あるいは先ほど話があったように入漁料が高くなる、あるいはまた乗務員の手当も大変法外なものを吹っかけてくるというような話もございますので、今後、日本の漁業外交というものに対して、特に、政府が今後皆さん方と協力しながら日本の漁業をますます安定的な方向に持っていくための努力をする上での御注文がございましたら、いままでの経験を踏まえての日本漁業外交に対する要望等、ひとつ簡潔にお二人から聞かしていただきたい、こう思うのです。
○宮原参考人 水産庁御当局、大変努力をしていただいておりますが、もう少し各国の在外公館に水産の専門官が配置していただけるような形になれば大変ありがたいと、このように考えております。
○柴山参考人 二百海里時代に入りましてから漁業外交の重要性というのは先生の御指摘のとおりだと思います。 私は、今日の漁業外交の段階におきましては、今回のアメリカの対日割り当て交渉に見られるように、現実にアメリカ自体がスケソウの供給能力がないにもかかわらず日本に買い付けを押しつけてきておる、こういう不当な要求が相手国から出た場合は、私どもは国内の世論を結集するとともに、国際世論の形成の努力をしていかなければならぬと考えるわけでございます。また同時に、政府も毅然たる態度で、ここまでならば日本としてのめるけれども、この先はだめであるという態度を明らかに持った交渉を進めていただきたいというふうに考えるわけでございます。
○武田委員 それじゃもう一度宮原参考人にお尋ねします。 私は宮城県ですが、漁業関係者とお会いしますと、どうも日本の漁業政策というのは、大きなものには非常に温かいのだが、小さい沿岸の零細、そういう方には非常に手薄だ、不公平だという声を聞くのですが、この点について何かお気づきの点があって、やはりこの点はこうすべきだというようなことで常日ごろ考えている問題がございましたらひとつ聞かせていただきたいと思います。
○宮原参考人 全国の沿岸の漁業者から、ただいま先生がおっしゃられたようなことは全漁連にも相当の声として上がっておることは事実でございます。私自身も沿岸出身でございますので、松浦水産庁長官には絶えず沿岸対策についてお願いをいたしております。水産全体の予算における沿岸の比重というものは決して小さくはないということでございますけれども、メニューが多元化されておるので、ストレートに中小と違って沿岸には響かないという点についての認識を改めるという点での全漁連の努力も今後必要かと思いますけれども、もう一つそれ以上にまた沿岸が苦しくなってきておることも事実でございまして、今後の水産行政のあり方の中で、ノリの問題等を含めて沿岸対策については五十八年度の予算では大いに水産庁にがんばっていただきたいということで、ただいま積極的な要請を続けておるような次第でございますので、諸先生方にも何分の御高配をいただきたいと思います。
○武田委員 増田参考人、それから長谷川参考人、それから徳島参考人、三人の方にお尋ねします。 この燃油対策ですが、省エネ船を建造あるいはまた部分的に改造するという余裕、おのおのの業界にそういう余裕はどのくらいあるか、これから進めるに当たって果たしてこれが喜んで取り入れられるかという、そういう状況はどうでしょうか。
○増田参考人 ただいま御質問がありました省エネ船型の導入あるいは在来船の省エネ機器の導入の問題でありますが、先ほど意見開陳の際に触れましたように、現在、マグロ漁船で省エネ船型というのができておりますが、これの一航海の消費量と在来の漁船の消費量を比較しますと、大体燃料消費量に三五%の差があるわけです。これは漁業経営の上にも非常に大きな問題でありますし、同時に、省資源という見地からも非常に重大だと思います。したがいまして、私どもは極力そういう省資源型の漁船の導入について指導しているわけでありますけれども、先生も御指摘になりましたように、現在のカツオ・マグロ漁業者の経営の実態から見ますと、なかなか農林漁業金融公庫からの借り入れするだけの資格といいますか、余力といいますか、それに乏しいということでございますから、当然私は、この省エネ船型を導入する際には従来とは違った角度においてひとつ選択してもらって、できるだけそういう導入が可能になるような道を開くということが大事だと思います。 それからもう一点は、私ども、いまのとうらはらになるわけでありますが、在来船についてできるだけ部分的に省エネ機器を導入するということもいまいろいろと検討を進めております。これについては、一つの船の導入ということとは違って金額も安いわけでありますから、どういう部分を機械を導入すればどの程度の省エネができるかということも、具体的にいま設計しまして個々の業者にも指導してまいりたい、かように考えております。
○長谷川参考人 お答えいたします。 当初、私からお話し申し上げましたとおり、イカ釣り漁業は非常に不況でございますので、なかなか新船建造というようなところまで進めないというのが現状でございます。ことしの構造改善事業計画におきまして調査いたしましたところ、新船建造の希望が現在のところ三隻出ております。非常に数としては少ないわけでございます。それから、新しいエンジンと申しましても、これもすぐできるものじゃございませんです。 そこで、私どもとしましては、最初に申しましたように、イカ漁業の組織の確立と三十トン未満の制度化とか、それからいま早急に実現したい省エネ集魚灯も構造改善の項目に加えていただきたい、あるいは朝鮮海域においての漁場の確保を図りたい、この三点が実現いたしますればイカ釣り漁業もやがてはよくなっていくだろう、そのときにはまたいろいろと一部改正の恩典に浴したい、こう思っておるわけでございます。
○徳島参考人 お答えいたします。 新造船の場合におきましては、省エネということにつきまして、船型、エンジン、補機を含めまして総合的に省エネの効果は発揮できるわけでございます。したがいまして、昭和五十六年度に以西で代船建造をしたのは十二隻あると思いますが、この船は大体一五%程度の省エネができております。さらに、エンジン関係の省エネの研究が進みまして、今期、五十七年度以降については大体二〇%程度の省エネができると思います。ところが、先ほど申しました四百四十一隻の中で船齢が十年以上の船が七〇%に達しておるわけでございます。したがいまして、A、Cの重油ブレンドの装置にいたしましても、十年の船にその装置をいたしましても、償却金利とそれから燃費の節約を計算しますと引き合わないという結果が出ております。したがいまして、そういう場合は補機を削って主機で稼働するというふうないろんな工夫を加えなくてはならないのじゃないかと思います。古い船にはなかなかそういった装置が設備費の割りにメリットがない。あるいは船の寿命が短いものですからこれがむずかしい。したがって、やはり新造船からそういったことをやっていかざるを得ないのじゃないか。ただ、苦しい経営でございますので、以西の業界といたしましては年間に十隻程度の代船建造しか需要がないのじゃないか、こういうふうに考えております。
○武田委員 それじゃ時間も来ましたのでこれで終わります。どうもありがとうございました。
○加藤(紘)委員長代理 次に、神田厚君。
○神田委員 参考人の皆さん方には大変貴重な御意見をありがとうございます。限られた時間でありますので、二、三御質問を申し上げます。 まず最初に柴山参考人にお尋ねをしたいのでありますが、強力な水産外交を展開する、これが非常に緊要の課題であるわけでありますが、労働組合といたしまして、民間外交、こういう立場からどのような形でお取り組みになっておられますのか、まず最初にお尋ねします。
○柴山参考人 お答えいたします。 私どもは、民間外交といいますか、労働組合外交といいましょうか、それにつきましては次の四点を具体的に今日まで実行し、今後も実行していく考えでございます。 一つは、特に対米関係が日本の漁業にとって大きな要素になっているわけでございますので、アメリカのAFL・CIO米国労働総同盟・産別会議でございますが、これと定期交流を通じながら日本漁業の実態を御理解をいただき、AFL・CIOが米国議会あるいは政府に対して影響力を行使していただくということをやってきているわけでございます。 第二番目は、私どもの仲間の組合といいましょうか、北米国際海員組合SIUでございますが、これとの連携の強化でございます。 第三番目は、国際運輸労連ITFにおける国際世論の形成の問題でございます。先般のITFの漁船部会におきましては、捕鯨問題にわが国の主張が採択をされたというような事例があるわけでございます。 さらに、アメリカの関係につきましては、現在本組合といたしまして在米連絡事務所の設置を検討しているわけでございます。これが設置の暁には、アメリカにおきまする漁業関係の情報をつぶさに報告を願う、こういうことで適切な手を打っていきたいというふうに考えるわけでございます。 なお、世界の漁業各国にはそれぞれ海員組合なりあるいは関係の労働組合がございますので、お隣の中国、韓国等々とも積極的な交流を通じる中で日本漁業の実情について御理解をいただき、適切な対応を願ってきているというのが実情でございます。
○神田委員 続けて柴山参考人にお尋ねいたしますが、漁業制度調査会が設置をされておるわけでありますが、これは大変時宜にかなっていると思っているのですが、この設置に際しまして水産問題研究会あるいは漁場管理制度研究会等の検討経過を踏まえてどのような機構、研究課題にすべきだというようにお考えでありますか。
○柴山参考人 まず、漁業制度調査会の機構でございますが、現行の漁業関係の各種審議会は漁業水産者が中心になった形の審議会でございます。そういう意味では国民全体の立場に立った審議会ではないというそしりは免れないわけでございます。私どもが考えております漁業制度調査会の構成につきましては、漁業労働者代者を含む生産者を初めといたしまして流通関係者、消費者、学識経験者のそれぞれの代表によって構成をし、国民的な立場で日本の漁業制度を検討していきたいというふうに考えるわけでございます。 また、漁業制度調査会の研究テーマでございますが、一つは、漁場ごとにあるいは漁種ごとの適正漁獲量を決定するための資源管理機構の制度化でございます。 二つは、適正漁獲量を決定いたしましてどの程度の規模の漁船何隻で魚をとるか、操業期間を何カ月にするか等、漁民の自主性に基づく漁業管理機構の確立を考えているわけでございます。 三番目といたしましては、水産物自給体制、水産金融の役割り、輸入水産物問題、漁業労働者の確保等を中心に検討を進めていきたいというふうに考える次第でございます。
○神田委員 柴山参考人に、最後に雇用の問題でちょっとお尋ねをしたいのでありますが、漁業に従事する勤労者の雇用を守る、こういう観点から、今後いかなる対処方針が必要だというふうにお考えでございますか。
○柴山参考人 漁業労働者の雇用を確保するためには、まず第一番目には、遠洋漁業を中心といたしまして外国二百海里内の漁場を引き続き確保をしていくということでございます。第二番目は、次第に沿岸国の態度も厳しくなってきておりますので、ソ連あるいはアメリカの例に見られますように、合弁漁業、共同漁業による雇用の場の確保でございます。三番目といたしましては、わが国二百海里内の再開発によって雇用を確保するということでございます。さらには、栽培漁業の進展に伴いまして、雇用の確保を新たに開拓をしていきたいというふうに考えるわけでございます。なお、一時的に漁業離職者等が発生をするわけでございまして、これが再雇用までの時間的なずれにつきましては、漁業再建整備特別措置法等船員離職三法を受け皿として対処をしていきたいと考えておるわけでございます。
○神田委員 全漁連の宮原参考人にお聞きしたいのでありますが、さきの意見陳述の中で特に、水産物の輸入問題あるいは水産物の自由化の問題についてお話がございましたが、いよいよこの残存品目を中心としてアメリカとの最終的な交渉も始まるようでありますが、全漁連といたしましてはどういう機関においてその御意見等働きかけておられますか。
○宮原参考人 全漁連といたしましては、従来は十三の輸入に関係のある漁業協同組合連合会、各県でございます。そのほかに本日おいでの鰹鮪、以西底曳その他全国の中小の漁業をやっております団体等あわせて輸対協、輸入水産物対策協議会というのをつくっておりまして、私がその会長をお世話させていただいて、その輸対協の場を通して各界の意見を総合しながら政府並びに国会等についてただいまのところ輸入自由化反対という旗印で運動を続けておるというのが実情でございます。
○神田委員 最後は、日鰹連の増田参考人に、カツオ・マグロの自主減船、これを行うということでありますが、行った後で、残存の漁業経営が好転する見通しがあるのかどうか。ただいまの自主減船の問題、いろいろ大きな問題を抱えておりますが、その辺はいかがでございますか。
○増田参考人 私ども日鰹連は、先ほど申し上げましたようにいま減船を進めているさなかでございますが、その減船後に、漁業経営をどう安定するかという問題については先ほど幾つかの課題を例示いたしましてお話しした次第でございます。ただ私どもは、当然のことながら自分のことでございますから自主努力を重ねる、しかし、問題の性質がきわめてむずかしい問題でありますから、やはり政府の適切な御指導あるいは特に財政金融的な御支援というものを待ちませんとなかなか成果も上がらないと思います。ただ、先ほど申し上げました幾つかの課題が相当程度実現ができますならば、私どものカツオ・マグロ漁業の将来の経営安定という問題についても相当明るいものを期待できるというように考えております。
○神田委員 終わります。
○加藤(紘)委員長代理 以上で神田君の質疑は終わります。 続いて、藤田スミ君。
○藤田(ス)委員 きょうは、朝から参考人の皆さん私どものためにお時間をとっていただきまして、本当にありがとうございます。 私は、まず長谷川参考人から御意見をお聞かせいただきたいと思います。 朝鮮民主主義人民共和国の二百海里水域内での操業問題についてお尋ねをいたします。 現在、国交がない北朝鮮との間で民間団体の協定が結ばれているわけですが、いよいよ六月三十日に期限切れになるわけでございます。私どもは、これまで政府が何らかの形でこの民間合意を支援するように要求をしてまいりましたけれども、政府は、支援どころか、朝鮮の代表の入国を三月十三日に拒否をするというようなことになりました。表向きの理由はともかくといたしましても、日本と韓国との経済協力の問題の交渉が難航しておりますので、韓国側をなるべく刺激したくないということによるものだろうと考えます。しかし、こんな失礼な話はないわけでありまして、もしも不幸にして朝鮮のこの二百海里水域に入れないというような事態になったら、これはもう政府の責任以外の何物でもないと考えるわけでございますが、長谷川参考人の忌憚のない御意見をお聞かせをいただきたいと思います。
○長谷川参考人 先生のお言葉、胸を刺すようなお言葉でございまして、北朝鮮との国交がないということを、これは本当に、率直に漁業者の面から申しますと、何も国交がないのは漁業者の責任じゃないじゃないかという声も実は聞かれるわけでございます。しかし、国と国との政治的な問題でございますので、私ども、漁業者をなだめて現在までやっておるわけでございます。仮に、これでわれわれの方が向こうにも交渉に行かれない、向こうからも来れないということになれば、この六月で期限切れになる暫定協定も恐らく打ち切りになるということになろうと思うのでございますけれども、私は、久野先生がおいでになりましたし。そこは何とか糸口を見つけてお帰りになるだろうというふうに期待しておるわけでございます。 また、私個人の意見になりますけれども、仮に、朝鮮がこのまま漁業を、暫定交渉を打ち切ってしまった場合にどうだろうか、朝鮮側が日本に対して頭を上げてこられるのは漁業問題だけだと思うのでございますよ。 〔加藤(紘)委員長代理退席、委員長着席〕 といいますのは、漁業の面だけは、われわれ何も向こうに与えるものなくして、ただ入れてもらっておる、入漁料も取られていない、こういう状況でございます。ですから向こうは、頭を上げて日本に対してやってくる。その漁業が仮に切られてしまえば、朝鮮は日本と一体どういう関係で大手を振ってこられるのだろうか。そういう面を私なりに考えると、これは切れることはないだろう。ただ交渉が、いままでの経過から見まして多少ずれていくのではないかというふうには考えるわけでございます。現在、これは大きな政治問題でございますので、私としてはその程度のことしかお答えができないのじゃないかと思うわけでございます。
○藤田(ス)委員 次に、宮原参考人にお伺いをいたします。 第二次石油ショックによる燃油の高騰で、先ほどからのお話でも非常に御苦労をされていらっしゃる。燃油が漁業経営費の二七・八%というような数字にまで上っている業界もございますが、これまでの政府の漁業用燃油対策特別資金による融資だけではどうにもならなくなってきているのではないだろうか。政府の融資対策で融資残高が漁業生産額を上回るような借金経営に変わってきているのは、ことしの、五十六年度の「漁獲生産額と漁業関係融資残高の推移」を見てみましても明らかでございますが、そういう現状から言えば、燃油対策として補給金制度の導入だとか、あるいは漁業用燃油対策特別資金の金利引き下げなどを図っていく必要があるのではなかろうかと思いますが、国の施策に対してどういう御意見を持っていらっしゃるか、お伺いをしたいと思います。
○宮原参考人 ただいまの先生の御質問の中で、政府融資が漁業生産額を上回っておるというように言われましたけれども、現在の大体の生産額が二兆七千億円ぐらいでございまして、水産全部の借入金、政府も民間も全部含めて二兆七千八百億円ぐらいということで、決して政府融資だけでは超過しておりませんわけでございますけれども、いずれにいたしましても、漁業が債務超過の状態において現在経営を続けておるという事実については変わらないわけでございまして、数年、第一次石油ショック以来、われわれとしては燃油価格差補給金制度を創設してほしいという問題につきまして政府当局に要望を続けておることは事実でございまするし、この願いは引き続き将来にわたっても続けてまいりたいと思っておりますけれども、現実はきわめて困難であるということ自体についても認識はいたしております。それで、私どもとしては、それにかわる何らかの対応がないのかということで、一昨年来、国会の中でも諸先生方に、燃油対策のための議員連盟といったようなものをおつくりをいただいて、与党の先生方にも真剣にこの問題について御検討をいただいておりますので、われわれはそういう場を通じながら、引き続き漁業者の要望を大きく声を上げてまいりたい、何らかの形で漁業に対する燃油問題の解決の糸口をつくることに努力をしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○藤田(ス)委員 最後に、日本海員組合の柴山参考人にお願いをいたします。 先ほどから数々参考人の皆さんから、消費者の魚離れの問題についてお話がございました。学校給食なんかでも魚の使い方が少ないのじゃなかろうかと、私は日ごろそういうふうに考えておりますけれども、いずれにしても、消費者から言えば、魚と言えばこのごろ高いというイメージが非常に強い。だから漁業界の皆さんが価格の低迷で悩んでいらっしゃると聞くと大きな矛盾を感ぜざるを得ないわけなのですが、端的に言って、この流通対策のどこに現在まずメスを入れていくべきかという点で御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○柴山参考人 流通機構の問題でございますが、現実には、生産者魚価が安くて消費者価格が非常に高いという問題がありまして、消費者段階における魚離れという問題が顕著になっているのだろうと思うわけでございます。現行の流通機構の中におきましては、やはり五段階あるいは六段階と言われる卸屋の段階を通るたびごとに流通マージンが加わっていくわけでございますので、これを国の積極的な行政指導によって短縮をしていくということが重要な課題だろうと思うわけでございます。 それからもう一つの問題は、漁業協同組合、さらには農業協同組合と都市の生活協同組合の三つの協同組合組織による流通網の形成を積極的に急がなければならない問題であると思うわけでございます。これらの流通網が約二五%のシェアを握ることによって、かなり安定的に適正な価格で消費者に魚を供給できるということが言われておるわけでございます。 もう一つの問題といたしましては、流通機構の改善がなかなかにわかに進まないわけでございますので、積極的には生産者の直売の対策というものを進めなければならないと思うわけでございます。しかし、一方におきまして都市の消費者運動がきわめて幼稚でございます。したがいまして、産地直売と都市の消費者運動の育成を両々相まってその効果を上げていきたいというふうに考えるわけでございます。
○藤田(ス)委員 終わります。
○羽田委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中のところ、当委員会に御出席をいただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。(拍手) この際、暫時休憩いたします。 なお、本会議散会後直ちに再開いたします。 午後零時三十一分休憩 ————◇————— 午後一時四十二分開議
○羽田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。新盛辰雄君。
○新盛委員 漁業再建整備特別措置法一部改正にかかわる諸問題について御質問を申し上げます。 もうすでに午前中の各参考人からの事情聴取なども行われまして、最近、わが国の漁業をめぐる諸情勢がいかに厳しいかということを改めて認識をしたところであります。 この中でも強調されておりましたが、漁業再編整備を行うという今日の段階的な施策については、この法律をさらに補強していくことによって効果あるものになると思います。しかし、これからの日本漁業の将来展望を一体どういうふうに考えていけばいいのか。現行法体系の中で二百海里という新たな段階を迎えて五年、もう抜本的な見直しをする必要がある、そういうふうに思うのでありますが、これらについて、これから農林水産委員会としてでもですが、特に、その所管の大臣としてはどうお考えになっているのか、そしてまた、これからの政府の水産政策にかかわる対策を具体的にどう進めていくのか、お示しをいただきたいと思うのです。 〔委員長退席、亀井(善)委員長代理着席〕
○田澤国務大臣 いま新盛委員御指摘のように、二百海里規制の強化、燃油価格の高騰、水産物需要の停滞、さらに魚価の低迷という非常に厳しい状況にあるわけでございます。しかし、水産業は国民のいわゆる動物性たん白質の供給源として非常に大きな役割りを果たしているわけでございますから、一方では漁業外交を強化することによって遠洋漁場を確保する、また反面、沿岸漁場の整備も図らなければならない、そのことによってこの役割りを果たしてまいらなければならないと思いますので、そういうことを前提にしながら、私たちとしては、まず水産の生産を再編成しなければいかぬ、それから省エネルギー的な対策を推進することによって水産業の合理化を図ってまいらなければならない、こう思うのでございます。 一方、遠洋漁場というものにある程度の制約を受けておりますので、沖合い漁業あるいは沿岸漁業の整備を進めてまいらなければならないと思うのでございます。さらに、先ほど申し上げましたように漁業外交を強力に進めることによって漁場の確保をする、さらには新しい資源を確保する、新しい漁場をも確保するということに努力してまいらなければいけない。また、漁港の整備を、その基礎として私たちは進めていかなければならない。さらに流通、加工等の促進をいたすこと、さらには、消費者に対して啓蒙普及をいたしまして水産物の消費拡大に努力をしていくというようなことを総合的に進めていかなければならないと思うのでございます。 しかし、いまお話しのように非常に厳しい環境にございます。また、新しい秩序がだんだんつくられようとしておるのでございますから、これに対する対策をも私たちは中長期的にさらに考えていかなければならない時代である、かように考えます。
○新盛委員 きわめて適切な総括的な大臣の御答弁ではございますが、ここからが問題なんです。確かに、これからの漁業を考えていく際に、いま大臣のおっしゃったように沖合い漁業から沿岸へ、あるいは近海の沿岸漁業制度についても午前中も大変強調もされました。あるいは漁業制度の新しい見直しをどうすればいいか、新たな資源の確保だとかあるいはまた流通機構の改善など、いまやらなければならないきわめて必要な問題を私どもが一体いつまでに、日本の食糧問題の中で水産業の持つ役割り、これは一体どういうふうに見なければならないかというところに大きな問題があると思うのです。 それに関しては、残念ながら畜産関係、いわゆる肉食のウエートがきわめて高い。昔は水産物たん白質源の補給量というのはきわめて高かったのでありますが、それが逆転をしている。こうした面から魚離れというのがある、それは魚価の問題だ、コスト高で経営が悪化している、こうした問題の悪循環をいつまでも繰り返していく。このパターンをいつか打ち切らなければいけないのじゃないか。その打ち切る方策を新たな構造改善としてどうするのか、こういうことなんでして、いまおっしゃったような意味ですべて広げていけばそれでいいのでしょうけれども、現実の問題としては、相も変わらず借金を抱えている、負債処理に困っている漁業経営者、そして油が非常に高い、魚価は低迷している。これではどうにもならないわけでありますから、有効適切な手をいまどうしたらいいか、これが基本だと思うのです。いかがでしょうか。
○松浦(昭)政府委員 ただいま新盛委員の御指摘のとおり、先ほどの大臣の御答弁なさいました内容をいかに実現していくかということがこれからの水産行政の急務であるというふうに考えているわけでございます。 このような漁業の経営の危機になりました原因を尋ねてみますると、これは申すまでもなく、外国の二百海里規制の問題、さらには燃油の価格の高騰あるいは魚価の低迷といったような事情からの漁業経営の悪化ということが何よりも大きな原因として挙げられるわけでございます。従来までの対策は、これに対しまして、燃油の資金の緊急な融資であるとかあるいは経安資金の融資といったような応急的な対策はとられてまいったわけでございますけれども、抜本的な構造の対策というものにつきましては、なかなか手を染めるまでに至らなかったというのが従来の状況であったというふうに考えるわけでございます。 さような意味から、今回御提案を申し上げ、御審議をお願いしたいと思っておりますことは、このような時期に当たりまして、私どもといたしましては漁業の生産構造の再編成ということを掲げなければいけないというふうに思いまして、特に、業界の自主的な努力によりまして計画的な減船あるいは施設の合理化といったようなことに着手し、また、それを努力して実施してくださるそういう業界に対しましては、今回は共補償資金を融資するという従来の対策のほか、さらに、特定漁業の生産構造再編推進事業をさらに強化するとともに、今回、新たに改善の大きなネックとなっております負債の整理に着手するということから、負債整理資金三百五十億を枠として設定いたし、その中で対応策を考えてまいりたいと考えておるわけでございます。 さらにはまた、このような経営の安定を図る対策と同時に、今回御提案申し上げている漁特法の改正に関連いたしまして、省エネルギーをさらに推進していくということによって経営の安定化、そしてまた強化を図ってまいりたいと考えている次第であります。
○新盛委員 漁業経営の悪化ということで、燃油なのか、あるいは魚価なのか、それとも資源の悪化なのか。一体どこにポイントを置いたら、いま長官お答えになったような形の中で処理をするとすればどれが一番問題か。
○松浦(昭)政府委員 現在、漁業経営が総じて不振に陥っているわけでございますが、その主たる原因は、業種によって程度の差はございますけれども、一つは、先生御指摘のように燃油価格の高騰、それから第二に、水産物需要の停滞と魚価の低迷、三に二百海里規制の強化といったようなことが主な原因であるというふうに考えられます。 燃油価格につきましては、御案内のように、昭和四十八年及び五十四年の二度にわたる石油ショックによりまして急激に高騰いたしておりまして、過去十年間で七倍という非常に大きな価格の上昇になっており、また経営の支出の中で二割ないし三割という非常に大きな割合になっているという状況でございまして、漁業経営の悪化の主因となっていると考えられます。 また、魚価につきましても、五十二年の二百海里体制の移行を契機にいたしまして上昇した後は、先生も御指摘のように、畜産物価格の水準とのバランスあるいは家計支出の停滞等のために伸び悩んでおりまして、産地の平均価格は五十二年の水準に達していないという状況でございます。最近の消費者の購買行動あるいは肉との競合を考えますと、燃油の価格の上昇を魚価の上昇によって吸収するということはなかなか困難なことであり、また適当ではないというふうにも考えられます。 また、二百海里規制の設定は実に九十カ国に及んでおりまして、自由な操業海域の縮小、漁獲割り当ての削減あるいは入漁料の引き上げといったようなことが起こっておるわけでありますが、私考えますに、これらの諸原因が漁家経営に及ぼしている影響ということになりますと、すべてが非常に複合的に影響が出ておるわけでございまして、どれが主因というわけにはなかなかまいらないと思います。したがいまして、先ほど大臣からも御答弁がございましたように、各般の施策を総合的に実施するということによってこの経営の危機は乗り越えられなければならないというふうに考える次第でございます。
○新盛委員 今回の法改正で、省エネルギーを促進することを政府がお考えになっていることは理解できます。しかし、この措置によって漁業経営への効果はどの程度期待できるのだろうか、また、この祖税特別措置法による割り増し償却によってどれくらいの利益を得るのだろうか、漁船規模の各層にわたる利益の配分はどの程度になるのか、つかんでおられますか。
○松浦(昭)政府委員 今回の漁特法の改正によりまして省エネルギーの措置を推進しようという考えでございますが、これによる効果を定量的に想定するということは、先生も御理解いただきますようになかなか困難でございます。たとえば、今回の改正に関連いたしまして、税制上の特例措置の対象となる省エネルギー型の漁船を導入するということによりまして、私どもの想定ではおおむね二割ないし三割程度の省エネルギー効果が見込まれるというふうに考えておるわけでございまして、その意味におきましては漁業経営費中に燃料費が占めている割合が大体二五%前後というふうに増加しておりますので、このような現状にかんがみますと、今回の改正は、現在講じている各種の省エネルギー対策と相まちまして、漁業経営の改善に相当の効果はあるというふうに考えておるわけでございます。また同時に、このような法の改正によりまして政府が非常に力を入れているということがございますれば、直接の効果ということもさることながら、また省エネに一層努力しなければならないという業界の機運も盛り上がってきているわけでございまして、さような意味での波及の効果も決して見逃し得ないところであるというふうに考えるわけでございます。 それから、お尋ねの課税の特例措置の内容となります割り増し償却、いわゆる償却の前倒しでございますが、この税負担軽減の額につきましては、償却の前倒し部分に対応する軽減税額ということで算定されるわけでございます。このようにして考えてみますると、遠洋カツオ・マグロ漁船二百九十九トンを事例として一隻当たりの税負担軽減額を試算いたしますと、定額法を適用した場合には初年度で五百万円、五年間で約二千五百万円の税の節減になります。それから定率法を適用した場合には、初年度が一千二百万円、五年間では一千七百万円ということになります。 なお今後、さらに漁業全体としてどの程度までの節減になるかということでございますが、今後五カ年間に省エネルギー型の漁船がどの程度導入されるかということにもよりますけれども、一定の前提のもとに試算いたしますると、中小漁業構造改善計画の対象業種、これは八業種ございますが、これにつきまして通常の償却に比べまして割り増し償却のできる部分に対応する税額は、五カ年間で定額法を適用した場合には七十五億円、定率法を適用した場合には八十二億円程度でございまして、平均では約七十九億円程度、一年間では十六億円程度というふうに計算をしております。
○新盛委員 さらに、この漁業経営悪化の主なる原因、これはどうしても漁業関連の融資総額が総生産額を上回る、こういう現象に見られますように、これまで問題の整理を融資という形に重きを置いた。そのための現象として漁労経営者の自己資本比率の低下を来しているという水産行政のあり方、また、これに呼応して漁船を肥大化させた業界の体質、こうした一連の官民癒着の体質というか、あるいは借金づけの漁業経営、油づけの漁業経営、こうしたところに問題がありはしないか。漁業経営体別の借入金の現状を見ましても、以西底びきにしても六七・二%、借金の年商比率が出ております。マグロはえなわにおいては九九・三%である。カツオ一本釣りにおいても一六六・三%、イカ釣りにおいて二〇三・七%、こういうことで中小企業製造業総平均の例から見ましても、例の自己資本比率は一〇・三%、欠損企業としてですね。こういうデータも出ておるわけですが、こういうことも今日の経営悪化を招いているという。これは結局、借金のこういう負債がきわめて多くなった。今度の漁特法でそうした負債整理のための三百五十億の問題は考えられているわけですが、この辺についてどういうふうに考えておられるのか。
○松浦(昭)政府委員 午前中の参考人の御意見の陳述、あるいはそれをめぐりましての御質疑の内容から申しましても、確かに、現在の漁業の資産の内容の状況というものは非常に異常な状況でございまして、全体として見ましても、総体の借入金の額が一年間の水揚げ量を上回るといったような状況に相なっておるわけでございます。 また、ただいま新盛委員御指摘のとおり、業種によりましては自己資本比率をとってみますると、これが△印の立つような業種も幾つか見られるわけでございまして、大変異常な状態であると言わざるを得ないわけでございます。 このような状態になったということを考えますと、その原因は、わが国の漁業は本来、安い燃油の価格とそれから処女漁場の存在、あるいは国民所得の上昇による非常に強い需要というものに支えられまして、今日、拡大に拡大を重ねてまいってきたわけでございまして、そのような漁業の体質が、操業の面におきましても石油消費型の漁業ということに相なってきたのじゃないかというふうに思います。そこに持ってまいりまして、二回のオイルショックによりまして魚価が大変に高騰する、一方におきまして魚価が低迷するということから緊急融資を次々と行いまして、その結果が、自己資本比率のきわめて低い脆弱な体質になったということで大変残念に思うわけでございます。 われわれとしては、このような緊急融資制度というものは、その時点におきましては確かにこうせざるを得なかったし、また、そのために今日まで何とか漁業をつないできたという大きな効果はあったと考えるわけでございますが、かかる事態になりました以上は、やはりある意味では大きな構造改善ということを前提にしました手術をいたしまして、それによって初めて漁業の経営が安定していくというふうに考えるわけでございます。 さような意味におきまして、今回考えておりますことは、関係業界の協力も得て自主的な計画、それに基づきますところの減船なりあるいは施設の合理化といったようなことを主体といたしました漁業生産構造の再編整備ということに着手していただく。それからまた同時に、省エネルギーということで、とにかくコストを落としていくという努力を漁業全体としてやっていただくということで、ハード面あるいはソフトの両面における省エネルギーの対策をとりまして、燃油価格の変動に強い漁業体質へ持っていくということが現在の課題ではないかというふうに考えて、今回の法律も御提案申し上げている次第でございます。
○新盛委員 そこで、漁業経営負債整理資金融資枠三百五十億円の問題になってくるわけでありますが、これは将来における健全な漁業経営を確立をするためだ、そういう趣旨になっておるわけでありますが、選別融資というものを行う、これは問題がありはしないか。選別というのは、農業の例において、減反政策などで反対する農民に加えられている行政的な制裁、不平等のイメージを持っているわけでありますが、なぜこういう選別的な融資を行うのか、本資金の性格及び貨し付け方針、これらを考えてみますと、当然経営安定策としての展望にお立ちになっていると思いますが、一体何を基本として選別するのか。また、本資金の性格も貨し付け方針も本資金の対象者をも、これは一体どういうふうに考えているのか、またどうなっているのか。もし選別対象に漏れた者の経営安定対策、これに漏れた経営者というのは一体どうなるのか、こういうことなどがこの選別融資によって生まれてくるわけですね。これは一体どういうことになるのだろうか。末端金利、沿岸五%、遠洋六・五%。償還期限、減船必要業種、漁業者十二年、特例十五年、漁協十五年、減船不必要業種十年、こうなっています。だけれども、これらの金利の問題も、私どもは、もっと下げろ、三・五%ぐらいにしたらどうなんだ、こういう気持ちを持っています。それらについてもひとつお答えいただきたいと思います。
○松浦(昭)政府委員 ただいま漁業経営負債整理資金が健全な漁業者を確立するためということで、選別融資と申しますか選別的融資と申しますか、そういうことを水産庁としては行うように企画しているのではないかというお尋ねであるというふうに思いますが、私ども、選別融資をしますということを一度も申し上げたことはないわけでございます。と申しますのは、このような漁業を健全にするためには、弱い漁業者を切り捨てていくというような、何かそういうイメージのもとに選別融資というようなことを言われているのではないかというふうに考えるわけでございますけれども、先生も御案内のように、漁業経営の負債整理資金につきましては、減船と漁業生産構造の再編整備を促進するために、こうした再編整備に参加する漁業者を対象としてその負債整理をいたしますということは申しております。この場合におきまして、具体的な減船者の選定、つまり残っていく方、それから去られる方、こうした減船者の選定、また同時に、漁業生産構造の再編整備に関する計画の具体的内容というものは、あくまでも関係漁業者の方々が参加する自主的な話し合いの結果決まっていくものでございまして、だれとだれとを差別して融資をするとか、この人は減船者にしなければならぬというようなことは何も考えていないわけでございます。このような話し合いの中で、自由な意思によりまして、自分は残りたい、あるいは自分はこのような経営のもとにおいてはとうてい将来が期待できないから去っていきたい、そのかわり漁業の権利なりあるいは船なりを処理していくので、そのために補償してほしいといったように、このように分かれていく。その過程はあくまでも話し合いであり、自主的な過程であるということでございます。 そうして私どもは、このような自主的に決まりました減船者あるいは残存者双方に対しまして負債整理資金を貸し出していくという考え方でございます。つまり、減船者につきましては、漁業権の整理なりあるいは漁船の処分なり、あるいは負債の整理なりをしていかれます際に、どうしてもその方の荷であるところの負債の整理をしょってあげなければいかぬわけでありますし、また残存者につきましても、これは共補償をしていくほかに、経営近代化の施設の合理化をし、さらにはまた、この残存者も負債整理をしていくという必要がございますので、双方についてこのような形の負債整理資金を貸していく。さらに、減船不必要業種につきましても、負債整理が必要な場合にはこれはやっていくという考え方でございます。したがいまして、現在われわれの考えのもとで減船者あるいは残存者の双方とも対象として考えてまいります際に対象となります者は、減船者のうちで漁業を廃業する者につきましては、その負債整理に協力する漁協等の償還条件、緩和等に要する資金を対象とします。それからまた、減船者のうちで他の漁業でなお漁業を継続する者につきましては、その者の負債整理に要する資金を貸す。それから他方、減船業種の残存者につきましては共補償負担を容易ならしめるために、その負債整理に要する資金を対象としてお貸しするということでございまして、さような意味では、非常に広範な方々にこの負債資金はいくということに相なるわけでございます。 ただ、先生も御指摘のように、確かに、この計画に自主的な参加をなすっていただけない方に対しましては、制度の本質から申しましてこの負債整理資金をお貸しするわけにはいかないわけでございますけれども、このような方につきましては、漁業経営負債整理資金は適用いたしませんが、漁業経営維持安定資金はもともとございますから、この方については自由な意思により御参加なさらぬわけでございますから、この経営維持安定資金によって問題を解決していただくという考え方でございます。
○新盛委員 そうなりますと、ここで漁協の信用事業という問題などを含めて考えてみなければなりませんが、最近の銀行法の改正によって非常に危機的状況に見舞われているのじゃないかと思うのです。農協などは御承知のように、五十八年から全国銀行内の国内為替制度、いわゆる銀行内の国の為替制度でありますが、全銀データシステムで加盟を決定している。しかし、この漁協の信用事業の中ではそういうふうなことにもなっていない。したがって、この熾烈な競争のもとにありますだけに、漁協の信用事業をどのようにこれから位置づけていかなければならないのか、また、これを保護して指導していかなければなりませんが、水産庁はそのことについてはどう考えておられますか。
○松浦(昭)政府委員 大変重要な御指摘であると思います。銀行法は本年の四月から施行されまして、この改正によりまして銀行が公共債に対する証券業務を営むことができるようになりましたし、また銀行の休日が日曜日その他政令で定める日とするということで日曜日以外にも銀行が休むことができるようになってきたわけでございます。それと関連いたしまして銀行の配当、店舗設置等の弾力化が図られるといったようなことで銀行行政がかなり自由化、弾力化の方向に向かっていることは事実でございます。 これを契機にいたしまして、農業協同組合の方は五十八年度を目途に全国銀行内国為替制度に加盟し、系統外金融機関との内国為替取引を開始するといったようなことも伝えられておるわけでございます。 このような金融機関相互間の競争が激化するという中にありまして、漁協の信用事業というものをどう位置づけてどう指導していくかということにつきましては、漁協の規模がきわめて零細でございまして、とにかく農協に比しましてもさらに小さいというような状況から、この漁協の信用事業をどう持っていくかということは非常にむずかしい問題であるというふうに認めざるを得ないわけでございます。そのようなことから、実は、漁協の中においてもすでにいろいろな芽が出てきておりまして、たとえば、数単協の信用事業を一元的に処理するような事務組合的な組織をつくっているというような県も一部出てまいりましたし、あるいは弱小漁協に対しましては信漁連が漁業者に対して直代する、あるいはじかに預金を預かるといったような事業を実施するといった動きもございまして、いろいろな動きが出ているわけでございます。 そこで、このような非常にむずかしい問題でございますが、私どもの考えといたしましては、この漁協の信用事業というのはある意味では農協とやや違った面があるのじゃないかという感じがいたします。と申しますのは、農協の場合には兼業農家の預金等もかなり預かるわけでございますけれども、漁協はどちらかと申しますと、漁村という地域にきわめて密着いたしましたいわゆる職能組合と申しますか、協同組合の組織として特性を生かしましたそういう方策、あるいは行き方といったようなものがあるのではないかという感じがいたしました。水産庁としましては先ほども申し上げましたようないろいろ全国的な萌芽があるわけでございますが、この萌芽を十分見守りますと同時に、全体の銀行法改正に伴う金融情勢の変化というものも考えまして、また、先ほど申しました漁協は漁協なりの独自の行き方というものも十分に考えてみまして、今後、このような諸点をにらみながら、いかに漁協金融制度のあり方を考えていくかということを検討してまいりたいと考えている次第でございます。
○新盛委員 今回の予算措置によりまして不振漁協の整備進促に何とか対応したい、これもねらいですね。さらにはこの二百海里規制の影響を受けた漁業者の負債の肩がわりによって経営の不振を何とか取り除こうとしているのですが、実態としてはこの漁協の数多くが経営不振に陥っていると私ども聞いているのです。こうした対策に対して、特別措置法によって整備基金というものを従来も対応してこられたのですが、今回のこの措置では考えられないかどうか。特に、負債整理資金の適正な運用が果たしてうまくいくのか。中には足抜き論などという話も出ます。しかし、このねらいどおりやってもらわなければなりませんが、これはあくまでも漁業をよくするための負債整理資金であることは間違いないのでありますから、そうしたことにひとつぜひ前向きに取り組んでいただかなければならない。その面では特別措置法みたいな、こういう不振漁協の整備進促を図るという意味では何か考慮する必要があるのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
○松浦(昭)政府委員 確かに、外国の二百海里の規制、あるいは個々の漁業者の経営が非常に悪くなっている、その負債も固定化しているという状況から、漁業協同組合が相当な欠損を生じておるという事態は事実でございます。明確な統計はございませんが、昭和五十四年五月に全漁連が行いました調査によりますと、二百九組合のうちで欠損を有する組合八十三、うち国際規制の強化を主因とした欠損を抱える組合二十二ということで、一漁協平均欠損額が六千万円というのが状況として把握されております。 このような不振漁協の整備を進促するために幾つかの対策をとっているわけでございますが、一つは昭和五十三年から欠損金を有する漁協等につきまして、いわゆる整備強化指導事業というものを実施して予算上の措置をいたしております。それから、昭和五十五年度からは国際規制の強化等を主因とする欠損金を抱える漁業協同組合の欠損金見合いの貸付金金利を軽減するという金融機関に対しまして都道府県等が利子補給する場合に、それに要する経費の一部を国が助成するということで、特定不振漁協等再建整備事業というものを実施しておりまして、五十七年度予算におきましても、先ほどもちょっと参考人が触れられましたけれども、この対象漁協の選定がやや制限が厳しかったものでございますから、その基準を緩和するということを目下検討して、また予算上の措置もとっているわけでございます。ただ、先生のお話になりましたいわゆる特例法を設けて合併の促進その他を進めていったらどうかということでございますが、現在、昭和五十五年三月に漁業協同組合合併助成法の期限を六十年三月まで五カ年間延長しておりまして、引き続き合併促進のための助成事業を漁業協同組合等の特別指導事業の一環として実施しているという状況でございます。 実はこの措置をまた格上げをいたしまして、たとえば、前に整理基金を設けて特別措置をとったというようなこともございました、あるいは税制上の措置等も設けまして、それで実はこれに対応するといったようなことで特例法を設けたことは確かにあったわけでございますけれども、現在の状況を申し上げますと、この中で多くの分は実はすでに他の制度あるいは予算の措置によって特例法の内容が実現しているという状況に実はなってきております。たとえて申し上げますと、昭和三十五年の際の漁業協同組合整備促進法と同様に、欠損金見合いの借入金の利息軽減を行う金融機関に対する利子補給を行う特定不振漁協等再建整備事業、先ほど申し上げましたが、すでにこれを実施しておるわけでございまして、これは整備基金というものは設けておりませんが、予算措置によって実質的には同じ効果を上げるようにやっております。 また、不振漁協の整備計画の樹立及び認定、それから欠損金見合いの貸付金債権の利息減免を行う金融機関に対する利子補給金の交付、それから不振漁協に対する合併についての協議等、これらはいずれも特段の立法措置を要せず実施可能になります。 それからまた、対象漁協の欠損金に対する税法の特例がございます。これは前の特例法の時代にあったものでございます。それから、合併の場合の漁業権行使規則の特例、これらにつきましては、その後におきまして租税特別措置法及び漁業協同組合合併助成法等において同様の規定を設けておりますので、実質的には、特例法を設けなくてもほとんど同じ効果を現在の法令でできるという状況になっておるというのが実態でございます。
○新盛委員 融資対策問題はもっとあるのですが、また機会を別にして、次に、中小漁業の構造改善事業、これは中小漁業振興特別措置法に引き続いて本法に基づいて行うことになるわけですが、昭和五十一年の第一期の基本方針で経営規模の拡大、生産の協業化等の経営の近代化、財務内容の改善等が行われてきていたわけですが、こういう第一期の方針でこれまでの成果と結果というか、そういうものもつかんでおられると思います。特に、カツオ・マグロ漁業などの面を見ますと、必ずしも効果があったとは思えないのです。この原因というのはどこにあったのか。生産行程の協業化についても、成功したという例は余り聞いていないのである。このことを踏まえて第二期の構造改善基本方針が五十六年に策定をされて、今後五年間、これまた構造改善を推進する。業種別に政府の計画目標というのがあるとは思うのですが、こうしたことについても、成果は成果としてもっとそれを拡大する、欠陥は欠陥として完全に形を変えて再出発をするとか、反省の上に立って新たな構造改善という形が生まれなければいけないのに、どうも同じところをぐるぐる回っているような気がしてなりません。そのことについて一体どういうお考えを持っているのか。 また、省エネ船の新造計画などもそうですが、恐らく漁業者に新たな投資希望というものが出てくるわけでして、現状では、こういう制度融資資金など漁業経営の負債が拡大をしている際には、なかなか自分たちでは思うようにいかないんじゃないか。だから、理屈とすれば、八年以上の船なども、マグロ船とか在来船を、船型を変えて省エネのファクターに乗っけるというのはあるわけですね。構造改善資金というのがあるわけですが、農業の関係では三・五%というのがあるのだけれども、漁業関係になると、構造改善資金の面でも、融資政策の面でどうもぴったりと、末端においてそれが可能な活用というか力を発揮しない。こういうことがあり得るので、この辺についても考えていく必要がある。省エネ船の新造計画などというのは抑えていく方がというふうな意見もあります。だからこの辺について、操業形態の見直し等とも関係があるのですが、これからの問題としてどういうふうに考えておられるのか、お聞かせをいただきたいと思うのです。
○松浦(昭)政府委員 幾つかのお尋ねを分解いたしまして御答弁申し上げたいと思うわけでございますが、第一期の構造改善事業のまず成果について考えてみますると、これは昭和五十一年から五十五年までの計画で実施をしてまいりまして、沖合い底引き網漁業、遠洋カツオ・マグロ漁業等七業種につきまして、操業隻数の増と協業化等の経営規模の拡大、こういったことを実施してまいりました。この件数が二百五件でございます。また省力、省資源型の漁業、漁労機器の導入等の経営規模の拡大に関する事業、これを一千十人件実施したということになっておりまして、それはそれなりに漁業経営の近代化にはかなり役立ったのじゃないかというふうに私どもは思っております。 たとえて申しますと、沖合い底引き網漁業につきましては、省資源型船への移行、あるいはサイド式からスターン式への転換といったような合理化が進んだわけでございますし、漁獲効率の増大あるいは経営コストの切り下げといったようなことを通じまして経営を合理化するといったことも行われました。また、遠洋カツオ・マグロ漁業におきましては、省資源型漁船への移行とか、あるいは一経営体当たり増隻による経営基盤の強化といったことで努力が進んでおったということでございます。 ただ、反省をいたしますると、確かに、これが目立ったような効果があって、そのことによって、現在遠洋カツオ・マグロ漁業が隆々としたということはなかなか言えないわけでございまして、それはこの構造改善の期間におきまして、外国の二百海里の規制に伴う大きな問題が続出しまして、漁場の喪失だとかあるいは入漁料の負担の増大が起こったということによりまして、あるいはまた一方におきまして、燃油の高騰といったことによってコストがかさむということから、せっかく経営の近代化に取り組んでおりましたけれども、そのメリットが十分に発揮されないままにより大きな波をかぶったというのが実態であったのじゃないかというふうに思うわけでございます。もちろん、こういう事業を実施していなかったならばもっとひどい状態になったということは言えるかと思いますが、残念ながら、このような外的な与件によりまして、十分な効果が発揮されて経営体が非常に健全なものになるというところまでは至らなかったというふうに考えるわけでございます。 そこで第二期につきましては、このようなことから省資源型の漁船をつくるとか、あるいは省資源の施設を整備するとかいったような構造の改善面に相当力点を置きながら事業の計画を立てておりまして、そのような意味で、さような構造改善面での計画の件数というものもふえているといったことが特徴として見られております。 ただ、生産行程の協業化といったことが非常に重要であるということを先生が御指摘なさいました。まさに構造改善計画の中にもこの協業化ということが取り入れられておるわけでございますが、ある業界におきましては、その動きが見られるということは率直に言えるわけでございます。たとえば、北海道の稚内地区におきましては、水揚げ高の全船プールということを沖合い底引き漁業について実施しておったり、あるいは下関とか福岡とか長崎の地区における以西底引き漁業に見られるように、鮮度保持ということから操業の効率化を図るということで、漁獲物の運搬体制の共同化といったものも実施したり、あるいは北海道の北転船業界が協業化の実施を検討しておるといったことがございまして、地方によりましては若干このような動きがあることは事実でございます。しかし、先生御指摘のように、率直に申しまして、協業化に当たってはなかなかむずかしい問題があって進んでいないということは事実でございます。たとえば、これは個々の経営格差とか、企業者の技術格差とかあるいは地域間格差といったようなことがございまして、生産行程面でも協業化がなかなか進まない。さらに、率直に申しますと、中小漁業の船主の方々はそれぞれ一国一城のあるじでいらっしゃいまして、なかなかこの協業化ということになじまないという性格も持っておられます。さようないろいろな問題がございまして協業化が進まなかったということは事実だと思います。しかしながら、私どもとしましてはこのような協業化というものは将来の漁業経営の合理化ということを考えますと、どうしても取り入れていかなければならない問題であると考えますし、同時に、それは省エネルギーという立場から申しましてもいろいろな手法があるのではないかと考えておる次第でございます。 たとえば、イカ釣り漁業につきまして、いま魚群の探索をいたします場合に皆それぞれが魚群を求めて出かけていっているわけでありますが、それを共同の探索船を出すというようなことをいたしますればりっぱな協業化ができるわけで、これはもう省エネにもつながっていくコスト低減の方策でもあるわけであります。また同時に、以西底びき漁業につきましては漁獲物の共同運搬といったようなことも考えられます。それからまた、先ほども増田参考人が申しておられましたが、カツオ・マグロ漁業におきましても共同運搬といったことでの協業化といったようなことも検討されているということでございまして、今後、この共同化の問題というものはさらにわれわれとしては指導もし積極的に取り組んでいかなければならないし、同時に、業界の方もかなり目を向けてきているという感じもいたすわけでございます。 ただ、最後に、先生御指摘のように新造船にのみ頼りまして今後の省エネを進めていくということについては、確かに、一面における問題はあろうかと思います。もちろん耐用年数をできるだけ延ばしまして、旧来の船を使いながら省エネを進めていくということも非常に重要でございまして、私どもは、決して新造船だけで省エネをやっていこうというつもりはございません。しかしながら、新造船をつくるに当たってはぜひ大幅な省エネ化をしてもらいたいということが今回の法案の提案の趣旨でもあるわけでございます。さような意味で、省エネの漁船の建造を促進するほかにも既存船の適正な運航、たとえば、エネルギーを節減するために速力を若干落とすとか、そういうことは皆さんの話し合いでできるはずでありますし、あるいは保守管理の励行といったようなことでも相当省エネができるということでございます。 それから、先ほどイカ釣り漁業の新しい集魚灯のお話もございましたが、ああいった補機の適正配置あるいは補機の改良あるいは集魚灯といった施設の改良といったようなものによって省エネが実現できますし、また効率的な冷凍方式、たとえばマグロ漁業における塩化カルシウムブライン凍結法といったようなものの導入によっても旧来の漁船を使いながら省エネを相当実施できるということも考えられるわけでございます。先ほどの協業化対策も含めまして、実は私ども業界の方々とも技術の再開発ということでいま真剣にわが水産庁の技術陣営を動員いたしまして話し合いを進めているところでございます。さようなことから、新造船による以外の省エネの方法も私どもとしましては十分に努力をしなければならぬということで、目下取り組んでもおり、今後ともさらに努力を傾注してまいりたいと考える次第でございます。
○新盛委員 次に、減船問題についていろいろ質問をしてみたいと思うのであります。 遠洋カツオ・マグロ漁業の二割減船ということで、今回の本法の第九条第二項に基づいて農林漁業金融公庫の資金の貸し付けなどを受けられる自主減船、こうなっているわけです。五十五年、五十六年で四十三隻、これはカツオ一本釣り漁業であります。それからツブ漁業で昭和五十六年に八隻、マグロはえなわ漁業で昭和五十六年六十九隻、五十七年九十六隻、合計百六十五隻自主減船ということになっています。 この貸し付けをされる、共補償を含めたこれからの処置についていろいろ問題があるわけでありますが、まず基本的な考え方として、五十二年のソ連の二百海里水域設定に伴いまして政府交付金、これは減船補償金と言われましたが、交付を行ったことがございます。これと今回の遠洋カツオ・マグロ漁業などの、自主減船という名前になってはおりますが、この政策という面では、二百海里という諸条件は北も南も変わりないじゃないか。なのに、一方の方では交付金、一方の方では貸し付け、こういう不公正さを持っていること自体にいろいろと業界内でも不満があるのだろうと思いますが、北洋漁業の場合は緊急避難的な措置として、あれは漁業環境の急激な変化だという受けとめ方をしておったことは事実ですね。しかし、同じケースのものではないか。それは緩やかなものであるかもしれませんが、経営が悪化していることは間違いないのですから。それが同一次元にとらえられないという——政府主導型によるそれこそ積極的な国の助成というのが必要になってきたのじゃないのか。この面について、基本的な問題ですから、どう判断をしておられるのか、また、どうされようとするのかお聞かせをいただきたいと思います。
○松浦(昭)政府委員 大変基本的な問題でございますが、確かに、昭和五十二年あるいは五十三年の北洋漁業の大減船の際には政府が交付金を交付したという事態でございました。 これは、国際協定によりまして、当時、日ソ、ソ日の協定であるとかそのほかの国際関係の協定を結びまして、直接に隻数あるいは漁獲量が規制されて急速に減船を余儀なくされたという状態でございました。当時は、もう出漁間際になっておりまして、すでに従業員も船に乗り込んでおられる、あるいはすでに網も入れておられるというようなことで、労務費等操業に伴う直接的な経費については政府の交付金によって助成をしなければとうてい間に合わないだろうということで実は交付金を交付したという経緯がございます。 一方で、あのときも業界の自主的な減船に伴う相互補償、これはいわゆる共補償でございまして、漁業再建整備特別措置法によりまして措置をしたという経過になっておりまして、交付金と共補償という二本立てからなっていたということでございます。 現在の遠洋沖合いにおきます中小企業の経営の安定の苦しさについては、燃油価格の高騰であるとか魚価の低迷であるとか二百海里の規制といったような諸要因が全業種にわたって複合して影響を及ぼしているということでございまして、特定の国際協定に基づいて直接直ちに減船に追い込まれたというような事例とは若干違うものでございますから、さような意味から、政府の交付金を交付することは困難であるというふうに考えるわけでございます。 しかし、このようなことで私ども、決して共補償だけに頼ってやっていただきたいということを申し上げているわけではないわけで、今回の措置でごらんになっておわかりいただけますように、水産庁としては自主的な計画減船によって生産構造の再編を行うという業種については、その円滑化を図るために漁特法によるいわゆる共補償といったような措置のほかに、国による補助事業として残存業者に対する補償負担の軽減、これは共補償の補償の場合の金利をさらに軽減するということができる措置でありますが、この助成金の交付あるいは減船者に対する不要漁船処理のための助成金の交付を内容としまして特定漁業生産構造再編推進事業というものを五十六年度十億、五十七年はこれをさらにふやして二十億ということで、実は五十七年度予算でも実現をさせていただいているわけでございます。また同時に、今回、共補償だけでは不十分である、そういう事態をも想定いたしまして、その際の一番大きな問題でありますところの負債整理というものに特に着目いたしまして、漁業経営負債整理資金というものを三百五十億設けたわけでございまして、共補償以外のこのような補完的な措置によりまして、北の問題と同様に南の問題も処置をしていくということで実は考えているということでございます。したがいまして、北と南とを区別して、事態の相違はございますので違った措置をとらざるを得ないわけでございますが、南に手薄にいたすというつもりはないわけでございます。
○新盛委員 関連して、共補償を前提とする自主減船であるために、主として経済的な原因から減船者は漁船の輸出や大目流し網、イカ流し網などへの転用ですね。残存漁業者の競合関係が非常に悪化しているわけですね。各地で問題を起こしているわけですが、これらの問題についてはどういうふうに指導されようとしているのか。海まきと一本釣り、大目流しとはえ縄、イカ流し網と釣り漁業の対立、こうした漁業技術の発達によって新旧の対立関係が生まれてきていることは事実なんですね。だから、こうした問題がいわゆる減船という問題と関連をして、あるいは共補償あるいは残存漁業者、こういうような関係も含めた中で起こってくるわけですから、どういう調整をしていかれるのか、お聞かせをいただきたいと思うのです。
○松浦(昭)政府委員 確かに、今回の漁業生産の構造の再編制という過程を通じましていろいろな漁業種類の調整ということが必要になってくる事態は、先生のお説のとおりでございます。 たとえて申し上げますと、先ほど増田参考人も話しておられましたが、カツオ・マグロの減船をやりました場合に、その減船の効果が十分に発揮されるためには、カツオ・マグロ業界の中におきましても、また日鰹連傘下以外の漁業者もおられるわけでございまして、そのアウトサイダーをどうするかという御質問がありまして、また、それについての政府の対応策というものもお話になっておられた、これも一つの例だと思います。 それからまた同時に、カツオ・マグロの減船をやっていきました場合には、今度はそれが流し網の漁業との競合をどうするか、大目流しですが、こういう問題もあろうかというふうに考えるわけでございます。そのようなことから各漁業者、漁業種類間の調整の問題というものが起きてきているということも一方においては事実でございます。 それからまた同時に、日本の周辺水域二百海里内の漁業というものが非常に重視されてくるわけでございますが、この中におきまして、各種の漁業が新しい技術の展開によりまして、新旧の漁業がいろいろと調整を必要としている事実というものは、これも先生御指摘のとおりでございます。たとえば、カツオの漁業の中で一本釣りの漁業とそれからまた海まきの漁業とをどう調整するかといったような問題もございますし、また、先ほど申しましたマグロのはえ縄とそれから大目との調整をどうするのかという議論もございますし、またさらには、話が少しマグロから外れますけれども、イカ釣りとそれからイカの大目、イカの流し網とをどう調整するかという問題があろうかと思います。 最初の方から申し上げますと、たとえば、カツオ・マグロ漁業の内部での調整、つまり、アウトサイダーとの調整につきましては、これは私どもも十分に先ほどの増田会長の御意見は伺っておるわけでございまして、この点につきましては、実は二割の減船をカツオ・マグロ業界に実施をお願いする以上、そのアウトサイダーにつきましては今回の一斉更新の際にアウトサイダーも含めまして、同様な漁獲努力量の調整と申しますか、さようなことを実現するような方策を考えておりまして、さような意味での特に減船をした業界に不利が生ずるというようなことがないように、私ども考えておる次第でございます。 それからまた、話の順序でございますので、大目流しとマグロとの関係で、流しと釣りの関係ということでお話を申し上げますと、減船をいたしました漁種、特にカツオ・マグロの漁業でございますが、これにつきましては、発生した不要な漁船が、日鰹連の調査によりますと、大目流しあるいはイカ漁船等に転用されるという事例がやはりかなり見受けられるようでございます。そのほとんどは実は既存漁船との代船という形で置きかえられていきまして、さらに、悪い漁船はスクラップにされるとかいろいろな形になりますが、少なくとも優秀な漁船がこのようなところに流れていくというような傾向があるようでございます。 そこで、カツオ・マグロ漁業を廃業いたしまして、カジキ等の流し網あるいはイカ釣り等に転換してまいるわけですが、その場合にカジキ等の流し網漁業に転換していくということになれば、カツオ・マグロ漁業の減船をいたしましても、結局しり抜けになっちゃうんじゃないかということが言われるわけでございまして、マグロの業界からは、この種の漁業は自由漁業から農林大臣の承認制に移してくれという御希望があることも私ども聞いているわけでございます。 ただ、この場合注意しなければならないことは、この大目の流しの大半が実はイカ流しの裏作である。あるいはサケ・マス漁業の裏作、さらに申しますと、率直に申しましてカツオ・マグロ漁業そのものの裏作というケースもあるわけでございます。したがいまして、このような裏作の関係というものを調整するということはなかなか複雑な要素がございまして、農林水産大臣の承認制の枠にはめるべきかどうかということにつきましても、よく業界の意見を聞いてその調整を図りませんとこれがうまくいかないんじゃないかというふうに考えているわけでございます。 そこで、現在、実は水産庁が中心になりまして、これら関係者の団体間でこの問題の調整を検討中でございまして、その結論をまちまして、要すればこの点につきましての所要の措置を講じていくというつもりで目下調整中であるという段階でございます。
○新盛委員 非常に親切に御答弁いただいているのですが、時間の関係もありますから、これからは端的にお答えいただきますが、減船によって当然漁業離職者の雇用対策という問題が出てきます。 海上関係の雇用対策は、昭和五十二年の十二月制定されました国際協定の締結等に伴う漁業離職者臨時措置法あるいは船員の雇用の促進に関する特別措置法等がございます。 今回の場合、漁業離職者職業転換給付金制度の内容改善を求めている声が実は漁船同盟などからも出ておったのですけれども、この種取り扱いについては、自主減船ですが、全漁連、日鰹連、漁船同盟、それに水産庁や運輸省、社会保険庁などを含めてつくられておりました例の遠洋かつお・まぐろ漁業雇用問題懇談会等で事務レベルの中ではずいぶんと議論が進んでいるわけであります。しかし今回、自主減船であろうとも漁臨法への取り扱いはできないものかという議論もなされておったやに聞いております。しかし、なじまないというようなことで一笑に付しているんじゃないんでしょうが、適用はできない面できわめて厳しいことになっているようであります。 給付金の内容の関係につきましても、前は四十五歳、これは雇用法等の関係で出たんですが、四十歳以上と四十歳未満というふうにしました。しかし、近年、若年化していくこうした漁業の従事者は、そういう基準ではとうていできなくなっている。三十五歳以上、三十五歳未満というようなことも考えていいじゃないかというふうにして、旧制度の内容改善を図るべきだと思うのでありますが、これは雇用対策との関係もございますので、どういうふうにお考えになっているのか。私が説明申し上げるまでもなく、現在の適用になります漁特法の四十歳以上というのは、就職促進手当、技能習得手当、移転費、自営支度金、再就職奨励金、雇用奨励金というふうにあるのですね。四十歳未満の者については、訓練期間中における就職促進手当と技能習得手当のみで限定されている。これだから三十五歳以上と未満にという強い要望もあるのでありますが、どういうふうにお考えになっているのか。 また今後、離職者職員というのは、この種減船等に伴って相当出てくる。毎度のことですけれども、これらの問題について今回、五十七年三月五日に結ばれました日鰹連、全漁連、全国漁船同盟の三者協定書を見ましても、少なくともこれらが完全に実施される指導、これが唯一の問題でありまして、遠洋カツオ・マグロ漁業のこうした自主減船に伴う処置を、それこそそれなりの効果ある形に、離職者の問題、就職あっせんその他を含めましてこうしてつくられたわけですから、これを完全に守ってもらう、これが何としてもこれからの水産庁が指導していく面の大事なところじゃないかと思うのですが、それをお聞かせいただきたいと思います。
○松浦(昭)政府委員 今回のマグロ・カツオ漁業の減船につきましては、漁特法の適用によりまして非常に重大な漁業の離職者対策を講じてまいるわけでございますが、確かに、この漁特法の対策は漁臨法と若干違った点がございます。漁臨法の方は三十五歳以上が適用になっておりますが、漁特法は改正されて四十歳までになりましたけれども、まだ五歳のギャップがあるということと、失業の手当につきまして、若干三十日間ほどの猶予があるかないかというこの二点でございます。 今回の対策は、漁臨法によらなければならないような非常に急速な国際関係の規制がかかってきたわけではございませんので、やはり漁特法によって措置をすべきだと思いますけれども、実は、三十五歳から四十歳の間の漁船員というのは非常に少なくなってきておりまして、その意味では、むしろ離職者に特別な対策を必要とする方もおられると思いますけれども、大部分の方はどんどんとほかの船なりに行ってしまわれるという階層の方でございまして、この漁臨法と漁特法との差が離職者対策に非常に大きな影響を及ぼす状況であるというふうには判断しておりません。むしろ、ただいま先生がおっしゃられました日鰹連と全漁連と漁船同盟、この三者で話し合いによって決めました離職者対策が十全な効果を発揮するかどうかということが、私ども一番の注目の的でございまして、この三者の協定が守られていく状況につきましては、私ども水産庁といたしましても、これが守れるようにこの業界を指導していきたいというふうに考えておる次第でございます。
○新盛委員 この協定を守っていただくように、ぜひひとつ多面的な指導をお願いしたいと思うのです。 漁臨法の適用は、客観情勢がそうならないからという御説明なんですが、現に、それらの問題については多くの介在する問題もありますけれども、それこそ客観情勢が変わってきている、環境の整備ができてきているから、漁特法という形をもう少し進めて、漁臨法にもっていくぐらいの努力はあってしかるべきじゃないかと思うのです。どうですか。やる気がありますか。
○松浦(昭)政府委員 漁臨法は、先生も御案内のように、国際協定の締結に伴う漁業離職者対策を講ずるということで、国際協定の締結なり、あるいは一時に多数の離職者が出るというケースについて適用するわけでございまして、今回の場合には、これが措置が若干適用の対象として違うということから、漁特法の対象ということにいたしたわけでございますが、これは先ほどから申し上げておりますように、実質的には、漁特法でやりましても漁臨と同じ程度の効果は期待できるということで考えているわけでございます。この漁特法そのものを漁臨に近づけるのかどうかという問題につきましては、将来の問題として検討させていただきます。
○新盛委員 ぜひ検討していただきたいと思うのです。それは二百海里で、ここ一、二年条件が変わってきたんですね。御承知のように、脆弱な漁業外交あるがゆえにと、いろいろと指摘を受けておるようでありますが、いま各国々とも、南太平洋フォーラム諸国を初めとして、きわめて厳しい。だから、これは激変の時代を迎えている。それに対応する措置はぜひひとつ考えていただきたい。 時間があと十分ぐらいになりましたので、ここで、こうした漁業法を中心とした現行の漁業制度の見直しがやはり必要になってきたのじゃないか。法的な措置を速やかに政府が講ずるためには、三十九年ごろにございました漁業制度調査会などをまた設置してもらって、各界の英知を集めて、漁業制度の検討を、機構あるいは構成、現行法の改正など含めて、新しい漁業基本法みたいなものをつくる必要があるのじゃないかと私は思うのです。それは政府が今後、水産業を食糧産業として位置づける長期的な需給計画の上に立って、漁業生産体制のあり方あるいは二百海里という、各国々の規制する水域内に入れなくなれば、資源の増殖とか管理のあり方、こういうものを、近海あるいは沖合いのあたりを中心とした漁業がこれから行われるということになれば、漁業の再編成じゃないか。 〔亀井(善)委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、漁業基本法というものをつくって、少し漁業制度の見直しをやらないと、自主減船だなどと、こそく的なやり方で業界に任す、それを共補償、残存者の経費軽減のために融資政策を与える、相も変らず同じパターンですね。これではよくないのですよ。だから、政府がきちっとそうしたことについての展望を示すべき時期に来ていると私は思うのでありますが、この辺は大臣にひとつ決意をお示しいただきたいと思うのです。
○田澤国務大臣 確かに二百海里時代あるいはまた燃油価格、魚価の低迷等大変な時代を迎えておりますし、さらに沖合いと沿岸とのいろいろな問題があるわけでございますので、そういう点からいいますと、新しい一つの機構をつくるということも考えなければならぬ時代でございましょうけれども、先ほど来申し上げておりますように、私たちはやはり強力な漁業外交を進めるとか、沿岸漁場の整備をするとか、漁港の整備をするとか、さらにはまた流通とかあるいはその他加工等の合理化を図りまして、それで消費の拡大をするという、いまやらなければならないことを積極的に進めてみて、その上でいろいろ新しいものを考えなければいかぬと思うのでございます。ただいまも私たちは一つの審議会のようなものを設けまして、それを検討はさしておりますものの、ただいまの時点では、いまやらなければならない仕事をいかにしていくかということに重点を置いて進めているということでございます。あとはまた水産庁長官からも答弁させます。
○松浦(昭)政府委員 大臣の御答弁のとおりでございまして、まず、私ども当面いたします問題を処理するということで、ただいま生産構造の再編その他の対策に取り組んでおるわけでございます。 ただ一点補足させていただきたいと思いますのは、私ども漁場管理制度研究会というのを設けまして、実は、その研究会をすでに数回開きまして検討いたしておるわけでございます。これは何かと申しますると、特に、つくる漁業へという方向でわが国の漁業が大きく転換をしていかなければならないわけでございますが、その場合において栽培漁業ということに着目をしてまいりますると、従来の漁業法の体系でいいかどうかということが当然大きな問題になってまいります。つまり、どのような人がその経費を負担し、どのように漁場管理をしていくか、そしてまた他の漁業とどのように調整していくかということは非常に大きな問題でございます。 さような観点が一つと、もう一つは、何と申しましても、先ほどの参考人の御意見にもございましたように、遊漁との関係をどう調整するかということが非常に大きな問題でございまして、さような意味でわが国の漁場の管理というものをどうするかという観点から、実は前長官の今村さんに座長をお願いをいたしまして、目下研究会を数回開いているところでございます。そのような成果がまとまりまして、必要がございますれば漁業制度の改正という問題にも取り組んでいかなければならないということで、目下準備をしておるという段階でございます。
○新盛委員 やはり漁業の持つ役割りの一面では、けさほどの柴山参考人からも、結局、安い魚、質のいいたん白質源の供給を安定的にするためには流通構造を考え直さなければいけないのじゃないか、こういう話が出ていました。現状の市場組織を明らかにしていただきたいと思うのでありますが、この流通経路を多元化せよという意見を持っておられる方々もあります。いま産地直送の話題も出ておるわけでありますが、しかし、やはりこの流通機構にメスを入れるという抜本的な対策、これはもう水産庁として当面の課題ですから考えておくべきだと思うのですが、どういうふうに取り扱いをされようとしておるのか。 第二の問題は、目下アメリカとの間の摩擦になっております農畜水産物制限品目の二十二品目の中に、水産関係のものが三品ぐらいあるだろうと思いますが、この枠拡大あるいは自由化という面でアメリカからちょっとぎくっとするような話が出ましたね。スケトウ洋上買い付け四十万トン、これなどがもし許されていけば水産物の面ではもうすべて、ブロー法案の新規なのが出ようとしておりますし、それぞれの国々もそうした面で求めてきましょうから、この自由化ということについては水産業界の皆さんが非常に気になっていることですし、もちろん反対であります。それに対してどういうふうに考えておられるか、お答えをいただきたいと思うのであります。
○田澤国務大臣 自由化問題については私からお答えしたいと思うのでございますが、御承知のように、農畜水産物の市場開放に対するアメリカの要求というのは非常に強いのでございまして、それに対して日本としては、農畜産物についてはこれは農畜産の基幹をなすものである、あるいはまた水産物品目についてはこれは水産振興上重要な品目であるということから、これは開放するわけにはまいらないということを機会あるごとにアメリカに対して説明をし、かつ主張をいたしてまいっているわけでございます。 特に、アメリカの関心の強いニシンの輸入についてでございますが、これはさきのいわゆる貿易小委員会で実務者協議ということにしてあるわけでございまして、この実務者会議を現にきょう、あすと進めておりまして、その中で私たちはわが国のいわゆる水産界の現状というものを強く主張してアメリカの理解を求めよう、かように考えております。 さらに、いまお話しのスケトウダラの洋上買い付けの問題でございます。これも年々十万トンから二十万トン、二十万トンから四十万トンというように要求が高うなってまいってくるわけでございますけれども、これについては私たちとしては、第一にこの事業が採算ベースに乗ること、それから洋上買い付けの実施によりわが国の漁船が減船にならないようにしなければいけない。もう一つは、買い付け数量が米国漁船の能力あるいは漁場条件等を考慮すること、この三つを強く主張をいたして今後交渉に当たりたい、かように考えております。 結論として、私たちとしては、二十二残存輸入制限品目の中の水産物に対してはできるだけこれを開放しない線で努力をし、またアメリカの理解を得たい、かように考えております。
○松浦(昭)政府委員 水産物の流通の問題につきまして御答弁を申し上げたいと思います。 燃油価格の高騰によりまして漁業経営コストが上昇いたしておりますが、一方におきまして水産物の需要が伸び悩んでおりまして、私ども非常に頭を痛めている点でございます。特に、最近の状況におきましては、消費者の選択が、価格が上昇いたしますと途端に需要が落ちるという非常に厳しい状況でございまして、これがためにはどうしても水産物の流通を改善しまして流通コストを低減するということが非常に重要でございますし、これは漁業者にとりましても非常に重要であるというふうに考えるわけでございます。 そこで、これが対策に取り組んでいくわけでございますが、これは非常に総括的なと申しますか、総合的な対策によらなければならないと思います。たとえば、流通経路にいたしましても、単一の流通経路を急に改善するということはなかなかむずかしいわけでございまして、最近の流通経路が多元化していくという状況をとらえまして、その中でやはり流通コストを下げていくということが非常に重要ではないかというふうに考えるわけでございます。 このようなことから、私どもといたしましては、一つは流通加工施設の計画的整備ということで、昭和五十五年から発足いたしました水産物流通加工拠点総合整備事業という事業を実施しておりまして、主要水揚げ地における流通加工施設の計画的な整備を促進しておりますが、これをさらに充実していく。また、第三次卸売市場整備計画に基づきまして卸売市場を整備していくというようなことも考えておる次第でございます。また、適正な価格の形成の促進ということにつきましては、主要な産地及び消費地において水産物の入出荷量、価格等に関する情報を把握、整理いたしまして、これを生産流通関係者に提供するといったようなことで、いわゆる一時ございましたような魚転がしと申しますか、そういうことを防止していくということを考えておりまして、また、現に実施しておりますし、五十七年度からは小売経営の実態等についても調査を行うつもりでございます。 それから第三は、効率的、合理的な流通システム等の開発、定着ということでございまして、各水産物の種類に応じまして保管期間に見合った適正な保管温度を科学的に設定してその普及を図る、あるいは五十七年度から新たに水産物に鮮度賞味期間等を表示いたしまして、これを消費者段階において保証するシステムを開発するといったような新しい事業も実施したいというふうに考えております。 このようないろいろな流通段階における対策を総合的に実施しますことによりまして流通の改善に資してまいりたいというふうに考えている次第であります。
○新盛委員 時間が来ましたので終わりますが、実は、時間切れになっちゃったのですけれども、私が五十二年の水産庁職員の例の漁業操業に当たっての取り締まりなどしている監督官の処遇改善を要望して、前回、亀岡大臣から検討して善処するというお話があったのですが、これはお答え要りませんから、内容はそれから改善されたふうには見えておりませんので、この種問題も含めて、これはやはり漁業モラルを確立していく第一線で働く職員でありますから、ぜひひとつ最善の御努力をいただいて改善していただきたい、要望申し上げて終わりたいと思います。ありがとうございました。
○羽田委員長 武田一夫君。
○武田委員 私は、まず法案の質問に入る前に、最近、宮城県気仙沼市の市場、いわゆる魚市場の岸壁で韓国籍の冷凍運搬船第十一豊洋丸ですか、向こうの名前ではプンヤン号だそうですが、八百二十八トン、これが事故を起こしまして、不幸にして七人の死亡と六人の重軽症者を出したという事件がございます。この問題につきまして二、三、運輸省、労働省あるいは警察庁もおいででございますのでお尋ねをしておきたいと思うわけであります。 この問題、いろいろと話を聞きますと、問題を抱ておえるわけです。しかも、この豊洋丸というのはパラオ島からマグロ・カツオ八百トンを積んで気仙沼港に入港した。その荷揚げ作業中に船倉の天井付近の冷凍用アンモニアパイプが破損してアンモニアガスが噴出して、その作業に携わっていた気仙沼の漁協の職員が三人、日本通運の気仙沼支店の職員が四人、合計七人が死亡して六人が重軽症を負った、こういうことであります。ここでまず、その事故の原因をその後いろいろな角度から究明されているものと思いますが、どんなものであったか、それがまず一つ。 それから、いろいろと作業上、操作上何かミスがあったのではないかという思惑もあるのですが、その点どういうふうにとらえているか。 それから三番目は、その仕事における安全対策の面における対応に不十分な点があったのではないかという問題について、どういうふうな調査が進められているか。 それからもう一つ、船が非常に古いのですね、一九六三年の形だということで。多分これは日本から売ったものを向こうが買って使っているというふうに思うのですが、構造上に欠陥がなかったのかどうかという心配があるのですが、これは特にカツオ・マグロが不足すると缶詰用のものとして気仙沼まで持ってきた、こういうことでありますし、こういう事故を今後の一つの大きな教訓にしなければならぬと思うだけに、ひとつどういうふうになっているか。特に、日本の船であれば、貨物船にせよその他の船にせよ安全点検というのは春秋二回ほどきちっとやっておるそうでありますが、こういう点についてはどうなっておるのかということが非常に心配でございます。この点についての調査、そして今後の対応というものをお尋ねしたい。 それからもう一つは、遺族の方々に対する補償というものをどういうふうに進めているか、この点を要点だけひとつお尋ねをいたしたい。亡くなられた皆様方に大変心からのお悔みを申し上げるわけでありますが、この中には、親切心からたまたま作業員が非常にふなれなのを見て手伝ったという方々が三人ほど犠牲になっているということでありまして、これは今後もあり得るであろうと思われるケースをたくさん含んでおりまして、この場所でだけは私は済まないと思うわけでありますが、一応大変な問題としてわれわれも認識しておるわけでございますので、ひとつ要点だけ御報告と対応をお聞きしておきたい、こう思います。
○仁平説明員 このたびの事故の概要でございますが、本年四月十一日午後一時四十分ころ、宮城県気仙沼市気仙沼魚市場前岸壁に係留中の韓国船プンヤン号八百二十八トンの船倉内で冷凍マグロ・カツオなどの荷揚げ作業中に、同船倉に設置されている冷凍用アンモニア管が何らかの事情で破損し、液化アンモニアガスが漏れて充満したために日本人の作業員七名が死亡し、七名が意識不明の重体になったというものであります。 警察におきましては、現在所轄気仙沼警察署に捜査員約百五十名から成る捜査本部を設置いたしまして、荷揚げ作業員のほか船長等事故関係者からの事情聴取、ガス漏れ部分を中心とした船倉内等の現場検証等所要の捜査を進めているところでございます。ただいま先生から御指摘のございました作業上の問題あるいは安全対策上の問題、さらには構造上の問題等につきましても当然捜査の対象といたしているところでございます。
○石井説明員 御説明いたします。 ただいま警察から御報告がありましたように、現在、本船につきましては、現場検証が行われております。また運輸省といたしましても、東北海運局の気仙沼支局から係官を派遣いたしまして調査に当たらせているところでございます。現在、調査中でございますので、まだ構造等について問題があったかどうかは推定できる段階ではございません。また、安全検査の問題でございますが、わが国の安全法は本法施行地にある外国船にも準用されることになっておりますけれども、船舶の安全確保については、国際的に基準を定めて各国が自国の船舶に対して検査を行うことを義務づけた国際条約、海上人命安全条約というのがございますが、これに加盟いたしております国の船舶につきましては、わが国としては特に必要と認める場合以外は、通常わが国に入港する際に検査を行うという方式はとっておりません。また、条約に加盟しております国ではほぼわが国と同じような検査制度をとっておるものと思われます。 以上でございます。
○福渡説明員 お答えをいたします。 お尋ねの点のうち作業を行う点でのまず安全確保の問題、作業の安全という点についてでございますが、これも現在、私どもの方は宮城労働基準局の中に対策本部を設けまして、局長を本部長にして調査に当たっておるところでございます。 原因等については、先ほど警察庁の方から答弁がありましたように、合同で調査をするということにしております。 それから安全の確保でございますけれども、こういう船内荷役作業あるいは岸壁の作業につきましては、一応船内荷役作業主任者という資格を持った人を作業に当たらせるということ、それからクレーンを使っておる場合には、クレーンの運転についての講習を修了した者が当たるというようなこと、あるいは荷物を揚げるときの玉掛け作業についても有資格者がこれに当たるということになっておりますので、そういう点がどういう状況にあったのかということを現在調査中でございます。 それから次は、遺族の方に対する補償でございますけれども、こういう事故の場合には、私どももできるだけ補償が十分にできるようなというような考えで対処することにしておりますが、今回の気仙沼漁港におけるアンモニアガス中毒事故については、死亡者七名、それから中毒にかかった方七名おられますけれども、これらはいずれも全員が労災保険の給付対象となっております。死亡者七名のうち、六名の方については労災保険の遺族補償年金の支給対象となる見込みでございますし、一名については現在遺族関係等を調査中でございます。いずれにしましても、被災者全員が労災保険の給付対象となる方でございますので、現在一保険給付の請求等についても指導している、こういう段階でございます。
○武田委員 まだ十分な調査ができてないようでありますが、関係者から言わせると、大変いろいろなミスの重なったものが結局一つの事件を大きくしたということでございます。しかも、こういうようなことは前々から予想されていたというようなことも——たとえば、このアンモニアガスによるそういうものが以前にも何回かありまして、抜本的に対応を迫られていたということでございますから、この問題はこのくらいにして、今後また少し詳しく対応というものを取り上げるつもりであります。また、特に亡くなられた方に対するきちっとした手当てをしてほしいということをまず要望して、この問題は終わらしていただきます。 そこで、漁業再建整備特別措置法の一部を改正する法律案、けさ六人の参考人の皆さん方から御意見をちょうだいしまして、いろいろな条件のもとに水産業界の厳しさというものがひとしお高まっていることをわれわれ改めて確認をしたわけでございます。国としましても、四十九年、五十年、五十一年等々、大変いろんな手当てをしておりますけれども、関係者に言わせますと、どうも後追いである、そういう感想が強いわけですね。やはり火事は火が燃えてからそれを消すという、そういう感じのものがいままでは多過ぎた。特に、つなぎ資金とかを中心とした金融というものはもう限界にも来ているということで、構造的な問題ひっくるめた漁業全般の見直しをしなければ、今後の厳しい漁業情勢というものの克服はできないということを一様に言うわけでございますし、私もそのとおりだ、まあ、水産庁等が努力しないということではないのでありますが、それ以上に大変な環境だということを私たちはしかと腹に決めて今後の対応をしていかなくてはいかぬ、こういうふうに思っております。 そこで、大臣にお尋ねいたしたいのでありますけれども、日本のこうした漁業界の危機を突破して将来に対する明るい展望をやはり与えていかなければならない、これは一つは政治の大きな役割りでございますし、これに対してどういうようなお考えで今後取り組んでいかれるか。特に、水産外交——外交というのは水産ばかりではございませんが、特に水産外交というものが一段と重要度を増してきているだけに、この問題も含めまして大臣の今後の対応策をひとつお聞かせいただきたい、こういうふうに思います。
○田澤国務大臣 いま御指摘のように、水産界を取り巻く環境というのは非常に厳しゅうございます。したがいまして、いま緊急融資措置のみの対策ではもはや限界に来ていると思うのでございますので、五十七年度からは、従来の措置をも継続してまいりますけれども、一つは、減船等による漁業生産構造の再編整備をより一層促進してまいる。そのために、政策融資として、従来からの共補償融資枠の拡充等とあわせて、漁業経営負債整理資金制度を創設していく。 さらに二番目としては、従来からの金融措置とあわせて、税制も特例措置等をも講ずることによって漁船の省エネルギー化を推進して、燃油価格の変動に強い経営の体質をつくり上げるというようなことをこれから進めてまいりますけれども、それ以外に、先ほど来申し上げておりますように、まず、強力な漁業外交を進めるということでございます。 そのためには、まず、私としては、関係国の在外公館への水産担当官の配置、民間使節団の諸外国への派遣、海外漁業協力の推進等によりまして漁業外交の強力な推進を図ってまいらなければならない。そのことによって新しい、いわゆる遠洋漁場の確保をしてまいらなければならないと思うのでございます。 一方、やはり、つくり育てる漁業というものを進めてまいらなければなりませんので、沿岸漁場の整備、そのための漁港の整備等をこれから積極的に進めてまいらなければならないと思いますし、また、流通加工の合理化によりまして水産物の価格の安定を図る。さらに、需要が停滞しておりますので、需要拡大のために消費者に対する啓蒙、普及を積極的に進めて消費の拡大を図るというようなことを総合的に進めてまいらなければいけない。 確かに、いま燃油価格、あるいは二百海里規制、さらには、当時の第一次オイルショックと異なりまして、燃油価格の高騰が——第一次オイルショックでは魚価の高騰によって支えられたのでございますが、いま、燃油価格の高騰はしますものの、魚価が低迷しているという、経済的な背景というものを非常に異にしておりますので、水産業はなかなか複雑な背景を抱えているわけでございますので、これに対応して、今後総合的な対策を考え、さらに中長期的な面からこれらの対策を検討してまいりたい、かように考えております。
○武田委員 そこで、省エネ船の問題でお尋ねしたいのですが、私はあちこち歩いてみますと、とても新しい船をつくれるような状況ではないわけですわ。きょうもお話を聞きましたら、確かに、そういう状況を裏づけるような発言がたくさんございました。いかつり漁協の会長さんは、希望はいまのところわずか三隻だ、遠洋の場合も四百四十一隻中十隻くらいだろう、カツオ・マグロに至っては金に余力がないので何か別の方法でいかぬものか、あるいはまたイカ釣りの場合は別な方法での省エネ対策、いま集魚灯の話が出ましたが、いろいろ話を聞いてみますと、これはもっときめ細かにその状況状況に応じて対応していかないといかぬのじゃないか。先ほども話があったのですが、特に、古い船などは省エネ化のために部分を転換しても採算上全然合わない。ということは、結局は新しい船に切りかえなくてはいかぬだろうというようなことでありますから、私は、この問題はそう簡単にいくとは思わない。ただ、やらなくてはいけない。そこで、ひとつきめ細かな、先ほど長官も参考人の御意見を伺っていたようでありますから、そういうことをひっくるめて実りあるような、効果あるような対応をしてほしいと思うのであります。 それとあわせ、やはり機械だけでなくて、何というのですか、油種の転換ということを研究しているのでしょうか。たとえば、いまの油でないものでそういう余り金のかからないものを研究しているのかどうか、あるいはまた、以前に漁業界が特に騒いでいたいわゆる価格差補償の問題がありましたね、燃油価格の補償、これは重要なたん白源の獲得のためにがんばっているのだから、その価格差を補償するような制度はどうなんだという要望もずいぶん強かった。最近は言わなくなったが、これは遠慮して言わないのです。現地に行くと、何回言ってもだめだからと言って遠慮しているわけですが、遠慮することはない、かなうまでよいと私は言っているのであります。こういう省エネ対策に対する総合的な対応というものを今後どのように取り進めていくか、私はこの問題をひとつお聞きしたいと思うわけであります。
○松浦(昭)政府委員 確かに、先ほどの参考人の御意見を伺っておりますと、新造船によってのみ対応するということはなかなかむずかしいという御意見も多々出ていたことは事実でございます。しかしながら、私どもとしましては、やはり新造船の対策は一つの大きな柱であるというふうに考えております。つまり、船齢が来ている多くの漁船もあるわけでございまして、そのことは先ほども参考人の方々がおっしゃっておられるとおりでございますから、そのような意味で、船齢がある程度まで達しましてそのために新造船をつくらなければならぬというような場合には、当然省エネ型の漁船をつくっていただく、そのような省エネ船をつくりますと船型の改良、これは肥瘠係数と申しますか、要するに、やせ型の漁船をつくり、大口径のプロペラをつけるというようなことによりまして若干建造価格が上昇いたしましても、長い目で見ますと明らかに燃油の消費の度合いが少なくなることによってその建造価格を十分カバーし得るという状態でございますので、さような面では相当大きな投資にはなりますけれども、新しい船をつくります場合にはぜひこれを推進していきたいということを考えているわけでございます。しかしながら、私どもは、決して省エネの対策は新造船のみによってやろうということを考えているわけではございません。前々から指導いたしておりますように、たとえば、主機関の運転回転数を一〇%減速させるということによりまして相当な省エネ効果がございますし、また、保守、管理というようなことを十分やることによりまして相当な省エネ効果を発揮できるということがわかっておりますので、このような点の指導も十分に行ってまいりたいというふうに考えるわけでございます。 また、新しい船をつくらないまでも、先ほどのイカ釣り業界のお話にもございましたように集魚灯の効力を省エネ型に変えていくというような方法は十分に考えられるわけでございます。これは集魚灯の新しい形のものを使うことによりまして、先ほどもお話がございましたように全体のエネルギー消費の四〇%が集魚灯でございますから、このうちの十分の一というのはちょっと極端でございますけれども、三分の一ないし五分の一のようなエネルギーの消費量になるということからもその省エネ効果は非常に大きなものがございます。そのほか、先ほども御答弁申し上げましたようにいろいろな補機の改良という点も考えられますし、また二そう引きを一そう引きにするという考え方、探索船を共同化するあるいは運搬船を共同化するという共同操業、協業化の導入といったようなことによりましても省エネ効果を十分に発揮することができるということが考えられるわけでございます。 かような点から、私どもとしましては、実はわが水産庁の技術陣営を総動員いたしまして、業界とも十分話し合いをしながら新しい技術の開発ということを検討しておりまして、その成果も上がりつつあるわけでございます。そのメーンテーマは省エネでございますので、かような点十分業界とも話し合いをいたしまして、新造船はもとより、そうでない分野につきましても省エネ効果が上がるような技術開発を進めていきたいというふうに考えている次第でございます。 それから、最後にお話がございましたいわゆる価格差補給金を設けるべきではないかというお話でございますが、この点につきましては、やはり石油価格上昇の影響というものはわが国の国民生活及び産業活動全般にわたっておりますので、燃油の価格差補給金を漁業者のみに行うことはきわめて困難な事情にあるということは御了解いただけると思うわけでございます。さような点から、私どもとしましては、燃油対策資金を融資したり、あるいは今回生産構造の再編成ということで負債整理資金等も用意いたしまして、これによって生産の全体の構造の改善を図っていくことによりまして業界の体質を改善していきたいというふうに考えるわけでございます。 それから、いま一つお尋ねのございました新しい油の技術開発はどうかというお話でございますが、確かに、現在まで主として使われてまいりました重油はA重油でございますが、C重油という重油を使いますと、現在の価格差は二〇%ぐらいあるというふうに考えられます。このA重油とC重油の混焼を行うという汽缶につきましても実は現在開発中でございますし、業界によりましてはC重油だけの漁船をつくって、それですでに運航しているところもございます。このような価格の安い重油を使っていくということも確かに一つの方向でございますので、技術開発の一環として取り組んでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○武田委員 最後に一つだけ。三百五十億の漁業経営負債整理資金、この貸付対象者というのは、減船関係漁業者または減船に匹敵する程度の合理化を実施する漁業者ということですね。そういう条件があるわけです。これから漏れた方々をどうするかという問題があるのですが、どちらかというとこういう人というのはわりと余裕があるわけです。その余裕のない人たちをどうするかというのが大きな問題として残っておるのですが、これについてはどうしますか。
○松浦(昭)政府委員 先ほども新盛委員の御質問に御答弁したとおりでございますが、今回の生産構造の再編対策というのは、あくまでも自主的な計画によりまして減船あるいは減船に匹敵するような施設の合理化をしていただく、それによりまして業界の体質を改善していただくということが前提でございまして、このような自主的な計画を立てていただきます際には、もとより、これは減船される方あるいは残っていかれる方ともにその自由な意思によりまして減船計画に参加していただくことになっておりますので、できるだけこれの参加を多くしていただくことによりまして、減船の対象あるいは減船に匹敵する効果を持った生産構造の改編対策に取り組んでいただいて、漁業経営負債整理資金を借りられる要件をつくっていただくことがいいことであるというふうに考えるわけでございます。 しかしながら、これは自由意思でございますので、これに乗っておいでにならないという方もあろうと思います。このような方につきましては前々からすでに漁業経営維持安定資金をお貸しするということになっておりますので、この分野につきまして融通することによって対処していきたいというふうに考えている次第であります。
○武田委員 時間が来ましたので終わります。
○羽田委員長 神田厚君。
○神田委員 漁業再建整備特別措置法の改正につきまして御質問を申し上げます。 本日は、午前中参考人六氏からいろいろ御意見を聞かしていただきました。法改正そのものにつきましては、きわめて前向きの評価もされていたようでありますが、内容の問題につきまして二、三御質問をさせていただきます。 最初に、ただいまもお話ございましたが、漁業経営負債整理資金の問題でありますが、この整理資金の性格はどういうものであるか。いまお話がありましたように選別融資になるというおそれはないのかどうか。さらには、この負債整理資金の対象となり得ないものに対する経営安定策というのはどういうふうにこれを考えているのか。この二点につきましてお伺いいたします。
○松浦(昭)政府委員 今回の漁業経営負債整理資金は、本格的な二百海里体制への移行あるいは燃油価格の高騰、魚価の低迷といったような漁業環境条件が悪化いたしておりますので、このような状況のもとに漁業経営の危機が叫ばれておりまして、従来まで応急的あるいは緊急的な措置としてその役割りは果たしてまいった漁業経営維持安定資金あるいは漁業用燃油対策資金のみをもちましては、基本的な生産構造の改編、それによる漁業経営の体質の強化というものはなかなか達成できないということを考えまして、構造的な側面に取り組んでいくということのためにとられた措置でございます。 そこで、このような考えのもとに、業界の自助努力を基本といたしますところの計画的な減船あるいはこれに匹敵するような施設の合理化等、漁業生産構造の再編整備を促進することといたしまして、従来からも共補償資金であるとか、あるいは共補償資金の軽減のための特定漁業生産構造再編整備事業を拡充してまいったわけでございますけれども、これに加えまして、新たに漁業の負債というものが非常に重要な問題になってまいりますので、再編整備に参加する漁業者の負債整理のための長期低利の資金を創設したというのがその性格でございます。 この生産構造の再編整備を行う必要がある漁業者につきまして、これはこの負債整理資金を貸し出していくわけでございますが、その場合には、対象は自主的な減船あるいはそれに匹敵するような事業に参加をしてくださる、いわゆる減船、施設の合理化等再編整備に参加する漁業者に限定するということにしております。これは、事業参加者の負担する負債をより長期の低利資金に切りかえることによって減船による共補償負担等をさらに容易にする、そういう考え方があるということが一つ。それから、事業参加者は減船等の合理化によるメリットが将来期待できますので、その債務をより長期化いたしまして、長期低利資金を融通してこれを切りかえてまいりますれば経営の再建が可能であり、そしてまた、その負債の整理資金を返還していただける要素も出てくるということから考えたわけでございます。 しかしながら、これはあくまでも選別融資ではないわけでございまして、先ほども申し上げましたように、このような具体的な内容、あるいはどの方が減船者になるかということはあくまでも自主的な話し合いによりまして決定していくということになっておるわけでございまして、減船者となるかあるいは残存者となるかは、あくまでも漁業者本人の自由意思によって御決定いただくということでございます。そしてまた、そのようなことでございますので、これは非常に広範な融資対象者を想定いたしておりまして、残存者に対しましても、それから減船者に対しましても、その資金が貸し出されていくということになるわけでございます。 すなわち、減船者につきましては、漁業を廃業する者につきましては、その負債整理に協力する漁協等の償還条件緩和ということを通じましてこの資金が融通されていくわけでありますし、また減船者のうちで他の漁船でなお漁業を継続できるという方につきましては、その者に負債整理に要する資金を貸し出していく、あるいは減船漁種の残存者につきましても、共補償負担を容易ならしめるために、負債整理に要する資金を融通するということになっておるわけでございます。 しかしながら、この考え方は先ほども申し上げましたように、あくまでもこれは自主的な減船、あるいはこれに匹敵するような合理化の事業に参加してくださるということを自由意思のもとにお決めくださる方々に対しましてお貸しするわけでございまして、残念ながら、この計画に参加なさらないという方にはこの負債整理資金はお貸しできないシステムになっております。しかしながら、できるだけこれに参加していただくということを期待いたしますと同時に、これに参加できない方につきましては、従来からございますところの漁業経営の安定資金というものをお貸しいたすことによりまして、諸般の対策は万全を期してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○神田委員 漁協によります漁業者の負債の肩がわりが非常にたくさんある、こういうふうに聞いておりますが、その実態はどういうふうになっておるのか。また、このことによりまして経営不振となっている漁協もあるというふうに聞いておりますが、これらの経営安定策はどういうふうにおとりになるのか。この二点につきましてお尋ねします。
○松浦(昭)政府委員 漁協に対します漁業者の負債が固定化いたしまして、これが漁協の欠損金となりまして漁協の経営を圧迫しているということは事実でございます。特に、このような情勢のもとにおきまして生産構造の再編対策を推進していく上におきまして、先ほどから御質疑がございましたように、漁協の経営安定ということが非常に重大な課題になってくるということは私どもも自覚いたしておるわけでございます。 まず実態でございますが、水産庁の調査によりますと、昭和五十四年におきます調査対象の沿海地区の出資漁協二千百四十四のうち、理由のいかんを問わず当期損益が欠損となっている漁協数は、約一四%の二百九十一組合という状況になっております。このような欠損金を抱える不振漁協の整備促進に当たりましては幾つかの方策を用意しておりまして、一つは、昭和五十三年度から実施しておりますところの欠損金を有する漁協等につきまして漁協の整備強化指導事業というものを実施しておりまして、五十七年度予算にも計上いたしております。また、五十五年度から国際規制の強化等を主因とする欠損金を抱える漁協への欠損金見合いの貸付金の金利を軽減する金融機関に対しまして都道府県が利子補給をする場合に、これに要する経費の一部を補助する、非常に長いものでございますが、いわゆる特定不振漁協等再建整備事業ということで金利の補給を実はいたしておるわけでございます。これは従来からその要件がかなり厳しいという御批判もございましたし、先ほどの参考人の御意見もございましたが、五十七年度からは対象漁協の選定基準を緩和するという措置をとりたいというふうに考えております。 なお、規模が零細な漁協を合併いたしましてその組織を強化するということも必要でございますので、六十年三月まで五年間合併助成法の期限が延長されておりますので、引き続き合併促進のための助成事業を漁業協同組合等特別指導事業の一環ということで実施してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○神田委員 さらに、共補償による自主減船が大変多く取り上げられましたが、共補償による自主減船は、お話を聞いておりますとどうもやや限界に来ている、こういうふうに私ども判断をしているわけであります。したがいまして、政府交付金の交付を含めて、自主減船に対する国の助成を強化すべきである、こういうふうに考えておりますが、いかがでありますか。
○松浦(昭)政府委員 かつて昭和五十二、三年、日ソ交渉等によりまして大減船をいたしましたときには、国際協定によりまして直接隻数あるいは漁獲量が規制され、また出漁の準備が整っているところでこのような国際規制がかかったということから、その労賃等の適切な経費を払うという意味から交付金を交付したことは事実でございますが、当時もやはり共補償はいたしておりまして、これは漁業再建整備特別措置法によってやったわけでございます。現在、遠洋、沖合いにおける中小漁業経営の苦しさというものは先ほどから申し上げておるとおり、全漁種に影響を及ぼしておるわけでございますが、その原因は、国際規制という問題もございますけれども、やはり国際規制による直接減船ということよりも、むしろ魚価の低迷であるとか、あるいは燃油価格の高騰とか、あるいは外国の二百海里の規制といったようなものが徐々に漁業経営を圧迫してきているという形でございまして、さような複合的な原因によりますところの経営の悪化あるいは減船というものに対しましては、政府交付金を交付するというのはなかなかむずかしいことでございます。 そこで、私どもといたしましては、先ほどから申し上げておりますように、このような交付金ではなくて、自主的な計画減船ということで生産構造の改善をしてくださるという業界に対しましては、この共補償のほかに、さらにこれに加えまして、共補償の負担の軽減のための助成金あるいは不要漁船の処理といったようなことに使います特定漁業生産構造再編推進事業のための予算二十億を組んでおるわけでありますし、また、今回、三百五十億の漁業経営負債整理資金を新たに創設することによりましてこの共補償資金を補完いたしまして、このような減船対策に備えていきたいと考えているわけでございます。
○神田委員 私は、やはりもう少し国の助成が強化をされなければならないと思っておりますが、現在、遠洋カツオ・マグロ漁業では減船を実施中でありますが、減船の効果は本当にあるのかどうか。 なお、減船によって発生する不要漁船についての対処方針はどういうふうになっているのか。さらには、遠洋カツオ・マグロ漁業の減船によって発生する不要漁船が輸出されたり、あるいはほかの漁業に転用されて減船の効果を弱めるおそれがあるのではないか、こういうことが心配でありますが、その点をあわせて御答弁いただきたいと思います。
○松浦(昭)政府委員 カツオ・マグロ漁業につきましては、いま二割の減船を実施中でございますが、実はカツオ・マグロ漁業の大きな問題は、いわゆる釣獲率が非常に落ちているわけでございまして、昭和四十年代には全海域平均で二・八五の釣獲率がありましたものが一・四三と実は半分に落ち込んでいる。また、航海日数も非常に長くなりまして、一年を超えるような航海をしている、そういう漁船もたくさん出てきているというような状況でございます。 このような事態に即応いたしまして、今回の二割減船が実施されました場合には、釣獲率の向上なり、航海日数が縮減するなり、あるいは一隻当たりの年間漁獲量が増大いたしますので、これは経営の収支の大きな改善になってくると考えるわけでございます。 また、減船によりまして、経営が極度に悪化したものを整理するというようなことになりますので、残存者の連鎖倒産といったようなこともなくなるわけでございますから、そこで、地域経済が安定してくるというような効果もあると思います。 さらに、残存漁業者に対しましては、省エネルギーによる生産性の向上、経費の削減といったようなことが実現できますれば、先ほど増田会長もそれでいけるということを申しておられましたように、私どもも、経営の安定及び体質の強化が達成できると考えておる次第でございます。 そこで問題は、減船によりまして発生いたしました不要漁船をどう処理するかということでございますが、カツオ・マグロの減船による不要漁船につきましては、他の漁業への代船あるいは転用、運搬船、スクラップ、魚礁への活用といったようなことで、多角的にこれに当たりたいと考えておるわけでございまして、政府としましても、業界による自主的な不要漁船の処理を円滑にしますために、一つは沿岸漁場整備事業のうちで魚礁の設置事業、これにスクラップの漁船を使うということを試験的に今回、初めてでございますが実施したいと思っております。それからまた、特定漁業生産構造再編推進事業のうちで、不要漁船の処理対策事業ということで補助をいたすということも考えておるわけでございます。 このようなことで、不要漁船につきましては、業界とも十分話し合いをいたしまして適切な措置を講じますことによりまして、減船効果が弱まらないようにしたいと思います。 また同時に、この不要漁船が輸出をされるというようなことになりますと、外国の漁業が非常に強くなりまして、そのために、せっかく減船した漁業が不振に陥るということもございますので、マグロ漁船の輸出につきましては、一定の隻数の枠内で、わが国マグロ漁業に悪影響を及ぼさないように規制してまいる方針でございます。 また、他の漁業への転用につきましても、イカ流し網など、マグロ漁業と関係のない漁業への代船、転用を中心にするように、業界とも協議の上で対処してまいりたいと考えている次第であります。
○神田委員 さらに、遠洋マグロ漁業の減船によりまして漁業離職者の発生が予想されるわけでありますが、これらの方はいずれも、特に、高齢者が多いという事情もございまして、十分な離職者対策が必要と思われるわけでありますが、その点についてはどうでございますか。
○松浦(昭)政府委員 今回の遠洋カツオ・マグロ漁業の減船に伴います漁業離職者の雇用対策につきましては、すでに運輸省あるいは労働省とも協議をいたしました上で、漁特法及び雇対法によりまして職業訓練、就職指導、職業転換給付金の支給といったような措置をそれぞれ講ずるということで了解がついております。 なお、政府としましても、減船による離職者の発生を極力少なくするように、また、離職を余儀なくされる乗組員につきましては、労使間で円満に解決していくということが必要であると考えまして、先ほども御答弁申し上げましたが、漁船同盟と日鰹連と全漁連の三者の話し合いを円滑にするように話をいたしまして、幸いにしてその話し合いもついたところでございますので、その実施方につきましては十分に指導もしてまいりたい、それによりまして離職者対策の万全を期したいと考えている次第でございます。
○神田委員 遠洋カツオ・マグロ漁業について日本で減船を行っても、ほかの国の漁獲努力量が増加をしてしまうということになりますれば、せっかく日本が減船をしても効果が上がらない、こういうことでありますので、この漁獲努力についての国際協調、こういうことが必要ではないかと考えられますが、その点はいかがでありますか。
○松浦(昭)政府委員 わが国だけが減船をいたしまして、他国が漁獲努力量を増すというようなことがございましたら減船の効果が減殺されてしまうということはもう御指摘のとおりでございまして、これは本当に気をつけなければならない点であると思います。 今回のマグロの減船につきましては、実は昭和三十六年から輸入が自由化されておりまして、一時は漁業者に輸入による非常に大きな影響が生じたわけでございますけれども、五十一年以降、主要な輸入国であります韓国と四半期ごとに政府レベルで対日輸出数量につきまして協議を行いまして、この協議による合意数量を担保するために、輸入貿易管理令に基づきます事前確認制をとっております。これによりまして、実は韓国からのマグロの輸入はかなり秩序立ってまいっておりまして、現在、輸入によりまして大きな障害が出るという状況は見られなくなっているというふうに私どもは考えております。 また、現に、去る三月中旬に行われました日韓マグロ需給協議におきましては、わが国の減船状況を私どもの担当官から十分先方に説明もいたしまして、この機会に韓国側が輸出ドライブをかけないようにということで先方に申し入れを行いまして、先方もこれを了解したという状況になっております。 また、台湾からのマグロの輸入についてでございますが、このウエートはそれほど大きくありませんけれども、また運搬船によって加工向けの原料として輸入しますので、刺身向けを主体とするわが国のマグロ漁業とは直接に競合するという度合いは少ないと考えるわけでございますが、マグロの輸入につきましては、こちらの方も十分注意をしなければならないという状況でございますので、輸入貿易管理令に基づく事前確認制を適用いたしまして、輸入の動向については常にウオッチをしているという状況でございます。このように輸入動向につきましては十分に注視をいたしまして、今後とも、先生の御懸念なさるようなことが起こらないように処置をしてまいりたいと考えております。
○神田委員 輸入問題もそうでありますが、これはなかなか大変な問題であります。同時に、漁獲努力の国際協調ということについてちょっとお聞きしたのでありますが、簡単で結構でありますから御答弁いただきたいと思います。
○松浦(昭)政府委員 わが国の漁獲のシェアは、カツオ・マグロでは相当大きくて、三割くらいを占めておりますので、わが国が減船をすれば、世界全般として相当の効果があるということになると思います。しかし、これによって逆に、ほかの国が漁獲努力量をふやすということがありましたら非常に大きな問題になりますので、先ほども申しましたように、三月に行われました協議におきましても韓国側にこれを十分に話をしたところでありますが、実は、率直に申しまして、韓国、台湾におきましてもマグロ漁業は相当なむずかしい状態になっておりまして、海外漁場からの撤退あるいはすでに係船等も相当しておるようでございまして、むしろ今後の漁獲努力量は減少するのではないかというように私ども判断をいたしているわけでございますが、なお、今後とも先方とは十分に話し合いをいたしまして、国際的な協調に努めていくということにいたしたいと考えている次第でございます。
○神田委員 二百海里経済水域やその他の関係で、きわめて水産外交というのが大事になってまいりました。 そこで、農林水産大臣にお尋ねしたいのでありますが、わが国の漁業を守るために、政府は、在外公館への担当官の増員、これは本日の参考人の意見の中にもありますけれども、入漁料の交渉やその他で、いろいろと国の水産外交を強化してほしい、こういう要望もあったようでありますが、この点につきましてはどういうふうにお考えになりますか。
○田澤国務大臣 二百海里時代を迎えまして、確かに、遠洋漁場の確保ということは絶対的に必要になってまいりますので、したがいまして、関係沿岸国との交渉に全力を尽くす。特に、従来からアメリカ、ソ連を初めとして、関係の在外公館へ水産担当官を派遣してあるのでございます。それ以外に、さらに民間使節団、民間駐在員の諸外国への派遣、さらに、海外漁業協力の推進を図るということなどを進めまして、今後、関係沿岸国とのさらに積極的な漁業外交を進めて、沿岸漁場の確保に努力をしたい、かように考えております。
○神田委員 北洋にありましては漁業協力費、これが非常に増高している。毎年大変な金額になっておりますね。それから、南太平洋諸国におきましては、入漁料の引き上げで大変業者が苦しんでいる。このことが結局は魚価を押し上げる一つの大きな原因になっている。それでもうすでに業界では、これは払い切れないということで、その漁場に入るのを辞退する船も出てきているというようなことでございまして、私は、このことは二百海里の経済水域やその他の国際環境の中で生まれてきている問題でありますから、国の方で入漁料の一部を負担するなり、あるいは入漁料の交渉、こういうものにもう少し積極的な対応をしていかなければ、これはどんどん押されてしまうのでありまして、そのことが全般的な魚価を高めてしまう原因にもなるわけでありますから、ひとつこの辺はどうでありましょう、北洋漁業あるいは南太平洋諸国の漁業について、入漁料の問題も含めて、政府の対処方針というのはどういうふうになっていますか。
○松浦(昭)政府委員 確かに、諸外国の二百海里内に入域をいたします場合に、入漁料あるいは協力費等で納める金が年々増高しておりまして、これが漁業経営の一つの圧迫材料になっているということは事実でございます。アメリカにおきましては、ブロー法が通りましてからは非常に入漁料が高騰いたす事態が生じましたし、また、ソ連との関係におきましては、サケ・マス漁業に見られますごとく、その協力費が四十億にも達しているという状況になっておるわけでございます。また、先生御指摘のように、南方諸国につきましても、とかくその方式あるいは金額等につきまして入漁料が増高していくということは事実でございます。そこで、われわれといたしましては、何と申しましても漁業外交の強力な展開によりまして、重要な一つの項目として、入漁料をできるだけ低くするという努力をしているわけでございまして、実は、去年の対米交渉におきましても、先方の要求は当初三倍の入漁料ということで言ってまいったわけでございますが、各段階の漁業交渉を通じまして極力これに対応いたしまして、一・五倍というようなところでようやく終局を見たというようなことで、懸命の外交努力を払っているわけでございます。また、今回の日ソ漁業交渉に当たりましても、これはこれからの交渉でございますので、何ともその実情を申し上げる段階にないわけでございますが、この協力費につきましても、これは限界に来ているという感じがいたしておりますので、その点につきましては、十分に相手方との交渉に当たって配慮してまいりたいというふうにも考えておるわけでございます。また、南方との交渉に当たりましても、入漁料が非常に重要な事項でございまして、できるだけ、発展途上国といえども、とうてい入漁できないような入漁料にしてもらうということは不可能なんだということを、盛んにこちらの方としても交渉上申しているわけでございますが、特に、南太平洋諸国の入漁料につきましては、昭和五十四年度に南太平洋振興基金を設けまして、入漁料の支払いに充てるための資金について利子負担の軽減等の措置を講じておりますので、これらを活用しながら今後の対応を考えてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
○神田委員 この入漁料の問題につきましては、どうかひとつ、そういう意味でなお国の方の助成を強く要望したいと思います。 最後に大臣に。かくのごとく漁業をめぐる状況というのは非常に厳しいものがございます。そして、この諸条件の変化に対応して、政、労、使及び学識経験者からなる漁業制度調査会を設置をして、今後の水産振興のためのビジョンを検討して示すべきではないかと思いますが、いかがでございますか。
○田澤国務大臣 確かに、二百海里規制やあるいは燃油価格の高騰、あるいは需要の停滞、あるいは魚価の低迷等で大変な状況にございます。したがいまして、新しい秩序にこたえるための制度をつくり上げなければならないと思いますけれども、私たちとしては、いま現に動いているこの現象に対して、やはりいまやらなければならない措置を着実に進めていくことがいま私たちのとらなければならない仕事だと、かように考えまして、やはり漁業外交の強力な推進だとかあるいは沿岸漁場の整備だとか漁港の整備だとか、あるいは流通加工の合理化等によって魚価の安定を図る、あるいは需要の拡大を進めるというようなことを総合的に進めまして、その中で中長期的な対策を考えていくというようにいたしたいと、かように考えておりますので、今後とも、私たちとしては新しい水産界の秩序への関心は失わないようにしてまいりたい、かように考えております。
○神田委員 終わります。
○羽田委員長 山原健二郎君。
○山原委員 けさ参考人の御意見を伺いまして、深刻な実態をある意味で把握することができました。それから、私は、高知県の室戸、室戸岬両漁業協同組合に所属する遠洋マグロ漁業の深刻な事態につきまして話をさせていただき、また、大臣にも長官にも聞いていただきたいと思っております。 現在の遠洋漁業の実態というのは、ちょうど五十二年、五十三年の北洋漁業の大規模減船の際と似ているのではないかと思うのですが、その点最初に伺っておきたいのです。
○松浦(昭)政府委員 現在のカツオ・マグロ漁業の置かれている現状は、その経営の内容を分析してみますると、確かに非常に大変な事態であるということは私どもも認識しているところでございます。ただ、昭和五十二、五十三年の大減船の時代と若干違いがございますのは、その原因でございまして、一つは、先回の五十二、五十三年の大減船をした時代における北洋漁業は、まさに日ソ交渉その他の交渉によりまして国際規制によりまして直接に被害が出てくる、減船を余儀なくされるといったような事態でございましたが、今回のカツオ・マグロの減船は魚価の低迷、燃油の高騰、さらに二百海里の規制の強化といったような、そういった諸現象が複合的にかつ漸進的に進んでまいった、その結果、このような経営の危機に陥っているという点で、原因の面においては違いがあろうかというように考えている次第でございます。
○山原委員 原因の面では違いがあるかもしれませんが、いまおっしゃいましたように、深刻な事態については変わりはないと思いますし、北洋の場合に減船補償金が交付されておるわけでございますから、今回の際にもそれを適用してもらいたいという声が非常に強いことは御承知のとおりです。 そこで、私はちょっと室戸、室戸岬の実態を申し上げてみたいと思いますが、ここは御承知のように室戸、室戸岬二つの漁業協同組合に所属する遠洋マグロ漁船が九十七隻でございます。これは昨年の四月の数字です。気仙沼の場合が百十一隻ですから、気仙沼に次ぐ全国第二番目の大きいマグロ基地となっております。水揚げが去年は三百億でございまして全国の水揚げの一割以上を占めているわけです。そして、今回の日鰹連の減船方針に基づきまして、室戸、室戸岬両漁業協同組合におきましては、この三月末までに十隻減船を終了する、そして八月までにさらに十隻前後減船をする、こうなっております。そして、三月末の減船手続を終えた十隻を調べてみますと、そのうち七隻の船主は大体三億から六億の赤字を抱えています。補償金は焼け石に水という状態でございまして、このうちの三名の船主の方は家屋敷まで処分をしなければならぬという状態でございます。 たとえば、去年の九月に減船による廃業を決意しました第二十五達美丸というのがございます。三百七十三トンでございますが、この船主の隅田達美さん、七十五歳の方でございますけれども、昨年の夏、この船が南アフリカあるいはオーストラリア沖におきまして五百六十一日間操業いたしております。ここの特徴はとにかく期間が長いわけですね、一年半港を出たら帰ってこないという状態ですが、そのときの水揚げがミナミマグロ二百四十九トンで四億六千四百万円のまずまずの漁獲を上げているわけです。ところが、操業にかかった総経費を見てみますと、五億二千七百万かかっておりまして、六千三百万円の赤字ということになります。この中にはA重油の代金が一億四千六百万円、それから乗組員二十名に支払われる給与が一億二千七百万円、えさ代がイカ、サンマ四千五百万円、その上に過去の赤字操業の借金、そして今回の操業の借入金、これは四億五千万円、その利息が六千万円、これが、まずまずの漁獲を上げていますけれども大きく響きまして、隅田さんの借金はつまり三億数千万円ということになるわけです。これを抱えたまま廃業ということになるわけですが、その返済に、まず減船補償金一億九千万円、それから船の売却、これは北海道のイカ流し漁の人が買ってくれまして三千万円、そして三番目に自分の家の処分、それでも数千万円の借金が残りまして、船主仲間の連帯保証人が肩がわりをいたしておるわけであります。 農林中金の高知支所の調べによりますと、船主、地元漁協のこうした肩がわり分の総額は、今回ざっと九億円に上ると言っておりまして、また、その室戸の船主の大部分が一隻平均五億円の借入金を抱えております。その上、今回の減船による各船主の負担金は相当に痛いものがございまして、その八割までが農林漁業金融公庫から融資を受けることができるわけでございますが、その年利率は御承知のように五%、三年据え置きの十二年返済ということになっております。それは有利な制度ではありますけれども、借金増に変わりはなく、去るも地獄残るも地獄ということでございます。これが船主の姿であります。 一方、乗組員は、一隻二十人乗っているわけでございますが、現在、室戸市には約二百人の乗組員が船をおりております。そのうちの百人が室戸市内で失業保険を受けておるわけでございますが、これは四国海運局高知支局が始まって以来の記録であります。たとえば、十三年勤務の漁労長、四十五歳の方は、新築した家の借金や妻と子供二人の生活があってどうするかという嘆きを漏らしておられます。そして、船主側に減船補償金を船員にも支払ってもらいたいといって申し入れをしておりますが、その返事はありません。双方が困っておるという状態でございまして、特に、若い人の場合は仕事先があるかもしれませんが、中高年齢者や幹部船員の再乗船はほとんどチャンスがない、こういう状態です。これが船員の姿であります。 もう一つは、市の姿はどうなるかといいますと、この室戸市には四千九百人の給与所得者がおいでになりますが、そのうちの二五%が遠洋マグロ漁船員でございまして、そのために今回、市の税収入は前年度の見込みより八%、八千五百万円下回る、こういう状態です。これが市の現状であります。さらに、関連業者に波及するわけでございまして、漁具、船具、食糧、えさ納入業者、その売掛金が大体三〇%から七〇%しか回収できない、こういう状態です。 さらに、新造船の建設計画は四月からゼロでございまして、マグロ漁用のはえ縄の自動巻き上げ機では全国の九八%のシェアを誇る室戸市の漁業用機械メーカーも、受注減のため五十六年度の決算で石油ショック以来の赤字を出すという、こういう状態であります。 しかも、この室戸の特徴は、東北におきましてはマグロとサケ・マス漁業の二本立てが行われておりまして、赤字の穴埋めがどちらかでできるというようなことがあるかもしれませんが、ここの場合にはマグロ一本であるわけです。先日、私は、飛行機で、この室戸市の市長と会いまして、切々と訴えられたわけですが、それは返済の必要のない補助金を出すべきだということでございまして、融資でなくて、再建のためには補助金を出す必要があるんではないでしょうか。ここ二、三年は何とかしてがんばり抜いてほしいと切望しているわけでございますが、この窮状をぜひ訴えていただきたいというお話を聞いたわけであります。 この問題につきまして、こういう事態を迎えておるわけでございますが、先ほど大臣は税制の問題、共補償の問題あるいは強力な漁業外交の問題をお話をされました。それで私は、もう時間がございませんので、このような実情に立ちまして、北洋に行われたような補償はできないのか、あるいは共補償の一部国の肩がわりはできないのかという問題をお聞きをしたいのですが、その点、いかがでしょうか。
○田澤国務大臣 国際協定によって直接、あるいは船数または漁獲量が規制され、減船を余儀なくされた場合、政府交付金により助成したところでありますけれども、業界の自主的な減船については、農林漁業金融公庫から共補償融資を行ってきたところであります。 現在の漁業経営の苦しさは、燃油価格の高騰、魚価の低迷、二百海里規制の強化などの要因が複合して影響を及ぼしておるものでありまして、特定の国際協定に基づく規制により直ちに減船に追い込まれたものではない。従来の例からしますと、政府交付金の交付は非常に困難と考えられます。 しかしながら、国としましては、自主的計画減船に対しましては共補償融資のほか、国による補助事業として、第一には、共補償負担軽減のための助成金の交付をしたい、第二には、不要漁船処理のための助成金交付を内容とする特定漁業生産構造再編推進事業を五十六年から実施してきているところでございます。さらに、五十七年度からはこの事業の拡大を図るほか、減船に参加する漁業者の負債整理のための長期低利の資金の融通等を内容とする漁業経営負債整理資金を新たに設けるなど、減船の円滑な実施のための施策を十分強化してまいりたい、かように考えておるのでございます。
○山原委員 いま丁寧な答弁をいただいたわけでございますが、実は、本当に深刻な事態でございまして、今度の二割減船という問題は、まさに荒療治というところに追いやられた結果だろうと思います。 この高知県の場合に、漁業界の最大のしにせと言われたところが自主整理に踏み切らざるを得ない。たとえば、これは室戸の株式会社「大鵬丸」漁業というのでございますが、昭和三十五年に操業しまして四十三年に法人化して、そして第三十二大鵬丸二百九十九トン、第三十八大鵬丸四百四トン、第二十八大鵬丸二百九十九トンというのをつくりまして操業し、最も安定した業績を残してきたわけでございますが、これが例の燃料の高騰ということで、つまり、一昨年は最初の大鵬丸を売却する、ところがそれでも魚価が安定をしないために、五十六年にはまた三十八大鵬丸と次々売却していかなければなりませんが、それでも五十六年には三十八大鵬丸は六億八千万の水揚げをしております。それで、ことしも二十八大鵬丸というのが四億六千万の水揚げをしているのです。相当な業績は上げながら、なおかつ累積赤字あるいは相互補償の債務負担というようなことが重なってきましてどうにもならないということで、まさに強力な助成措置を要求しておるのが実情だと思います。この点はもう十分御承知のことと思いますので私は申し上げる必要ないと思いますが、あえて私の県にあります室戸遠洋漁業の町の実態、漁船員の実態、船主の実態あるいは関連事業の実態を申し上げたわけでございます。 それからもう一つは、今回の省エネ船の融資の問題でございますが、これも公庫融資としましては巨額の金になるわけでございまして、結局、それがまた経営を圧迫していくということになるのではないか。したがって、この負担を軽くするためにやはり融資制度の改善、たとえば、償還期間の延長あるいは据え置き期間の延長というようなことをしなければとても手が出ないという話も聞くわけでございますが、先ほどからも質問がありましたけれども、重なるようでございますがあえてこの点について対策をお伺いしておきたいのです。
○松浦(昭)政府委員 省エネルギー型の漁船につきましては、これは構造改善を行います際の一つの大きな決め手であるということを申し上げたわけでございますが、特に、マグロ漁業は燃料を非常に消費して遠くまで航海をいたしまして、先ほども五百何十日という長い航海日数を要する、その間じゅうエネルギーを消費するという漁船でございます。さような意味で、この省エネ効果というのは逆にまた非常に大きな漁業であるというように考えておるわけでございます。さような意味で、新造船を行います場合にはぜひこの省エネルギーの漁船を採用していただいて、二割なり三割なりの、計算では半分にもなる、そういう省エネルギーの効果の漁船を導入していただきたいわけでございますが、これにつきましては農林漁業金融公庫から漁業経営再建整備資金の融通ができるわけでございます。ただ、この資金は、すでに一般の漁船資金八%に対しまして六・五%ということでかなり優遇しておりますし、それに償還期限も十五年という非常に長い期間になっておりまして、さような意味でほかの貸付金の条件と比較いたしますとなかなかこれを変えることはむずかしいと言わざるを得ないわけでございます。そこで、今回も割り増しの償却といったようなことで税制上の対策も講ずるということで、諸般の対策を講じて総合的に見ましてこの新型の漁船が導入できるような対策を考えていくということを実は御提案申し上げている次第でございます。
○山原委員 最後に乗組員の問題ですが、いま私が実情を報告する中で申し上げましたように、たとえば、減船補償というものを私どもの方にも渡してもらいたいと船主に迫る、船主の方もそういうことはできない、こういう実情にあるのではないかと思いますが、これに対しては何らかの手段が検討されておるのでしょうか。
○松浦(昭)政府委員 今回のマグロ漁業の自主減船につきましては、やはり離職者の対策というのが非常に重要であるということを考えておりまして、実は、漁特法及び雇対法によりまして離職者の職業訓練あるいは離職者の転職のあっせん、さらにはその間の諸手当を給付できるように運輸省及び労働省とも話をいたしまして、さような方向で対処をいたしている次第でございます。また、漁船同盟さらには全漁連及び日鰹連、この三者が協議をいたしまして、離職につきましては三者間の協議が水産庁の指導のもとに実は調っておりまして、これが完全な実施を図ってもらえればこの離職者対策はかなりの程度問題を解決するのではないかというように考えておりまして、この三者間の約束の実施につきましては水産庁も中に入りまして十分に指導し、その約束が守れるようにしてまいりたいというように考えておる次第でございます。
○山原委員 いま説明しましたように、一つの町ではありますけれども遠洋漁業の根拠地でありますし、同時に、ある意味で特殊な内容を持っているわけですね。航海距離が非常に長いということ、それからまた遠洋マグロ一本で生きているそういう実態を考慮していただきまして、きょうは時間がございませんからこれでおきますけれども、この実情に対してぜひ十分な御配慮をお願いをいたしたいと思います。 以上で私の質問を終わります。
○羽田委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○羽田委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。 漁業再建整備特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○羽田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○羽田委員長 この際、本案に対し、渡辺省一君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を求めます。新盛辰雄君。
○新盛委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合を代表して、漁業再建整備特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。 まず、案文を朗読いたします。 漁業再建整備特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 最近における我が国漁業は、海洋新秩序の形成に伴う漁場の制約に加え、第二次石油危機に伴う漁業用燃油価格の高騰、水産物需要の停滞等極めて厳しい状況下に置かれている。このような情勢に適確に対応し、新たな長期的視点に立って水産業を食糧産業として確立し、かつ、漁業経営の現状を克服するため、漁業生産構造の再編成を強力に推進し、活力ある水産物供給体制を整備することが必要である。 よって政府は、かかる情勢を踏まえつつ、左記事項の実現に万全を期すべきである。 記 一 漁業における省エネルギーについては、漁業経営の財務体質がぜい弱となっている現状にかんがみ、過大な投資に繋がることのないよう十分配慮しつつ推進するとともに、漁業操業形態の適正化、乗組員への省エネルギー意識の普及、省エネルギー効果についての情報の提供等に努めること。 二 生産構造の再編整備が必要となっている業種については、経営安定に資するようその計画の円滑な推進及びその再編整備の効果の具現に努めること。 三 減船の実施等に伴う雇用問題に関しては、漁業離職者を発生させないことを基本とし、万一、発生が余儀なくされる場合には、再就職の確保及び円滑な職業転換に特段の努力を払うこと。 右決議する。 以上の附帯決議の趣旨につきましては、質疑の過程を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○羽田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 渡辺省一君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○羽田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。 この際、ただいまの附帯決議につきまして、田澤農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田澤農林水産大臣。
○田澤国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努めてまいりたいと存じます。 —————————————
○羽田委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○羽田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕
○羽田委員長 次回は、明十四日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時三十五分散会