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96回国会衆議院1982/04/07

農林水産委員会 第11号

発言数
218
登壇者
10
会派数
5
開催日
1982/04/07

会議録

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 これより会議を開きます。  漁業災害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。日野市朗君。

日野市朗日本社会党

○日野委員 これから漁業災害補償法の一部改正に関する質疑をいたすわけでありますが、前回の改正から今日まで、すっかり漁業もさま変わりをしたということになりましょうか、特に、中小漁業の再生産確保の施策ということになりますと、非常に重要な課題を抱えているわけで、今日、この漁災制度の検討が行われて法案が提出されたということは、時宜にかなったことであろうかと思います。特に私、この改正に至る経緯を見ておりまして、水産庁やそれから漁業共済制度検討協議会に参加をされた方々の御苦労というものを高く評価いたしたいと思います。  それでまず、このさま変わりをした漁業ということをとらえて、そしてその漁災制度はいかにあるべきかということを考えますと、いろいろと詰めておかなければならない問題点が数々あろうかと思います。それで私、漁済制度検討協議会の協議の内容なども見させていただきました。そこでの問題意識というのは非常に深刻なものがありまして、この漁災制度を水産政策の中でどのように位置づけていくかということについては、非常に強い関心が払われていたようであります。私もまず、これは単純に災害対策としてとらえていくのか、経営対策としてこれを見ていくのか、ここのところの性格はやはりきちんとしておかなければならない点であろうかというふうに思いますので、ここについての水産庁のお考えをまず第一にただしておきたい、このように考えるわけであります。     〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 お答えをいたします。  漁業災害補償制度は漁船損害補償制度とともに、沿岸漁業等振興法第三条第一項に掲げられております国の講ずべき施策のうちで、第八号の「災害による損失の合理的な補てん等によって、再生産の阻害の防止及び経営の安定を図ること。」というこの規定を実現するために設けられている施策であるというふうに考えている次第でございます。  このように規定の上から考えてまいりますと、漁業災害補償制度は災害対策という位置づけになっていると考えられるわけでございますが、潮あるいは海況の異変といったような自然災害ばかりではなくて、この漁災制度は資源の豊凶あるいは価格の変動、さらには突発的な魚病といったようなかなり広範な事態に対処しまして、この制度によって対応していく、そういう制度になっていると考えられます。さらに、本制度の目的は、漁業災害補償法第一条にも見られますとおり、中小漁業者の経営の安定でございまして、そのような意味では本制度は広義の経営対策の一環ということも言えると考えます。  しかし、いずれにいたしましても、私どもの考えでは、漁業災害補償制度だけで漁業経営の安定という目的をすべて満たすということはできないというふうに思いますので、各般の水産施策を適時適切に講じまして、漁業経営の安定に努めていくということが基本であろうかというふうに考えている次第でございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 いまの水産庁のお答えでありますけれども、私もおおよそそういうような形になってこようかというふうには考えるわけでありますが、問題なのは、災害対策として位置づけ、また経営対策として位置づけ、総合的な位置づけをするというふうにいたしましても、国の漁災制度に対するかかわり合いと申しますか、国の側でどのような手当てをこの漁災制度に対してこれからやっていくのか、基本的な姿勢になっていくのかということが問題として論じられていなければならないだろうというふうに思うわけでございます。  国の財政的な援助ということになりますと、国のいろいろなかかわり方というものはあるわけでありますが、この漁災制度に対する国のかかわりぐあいというものは、本来どのようなものであるべきかという点については、どのようにお考えになっておいででしょうか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 この漁災制度と申しますのは、農業の場合にも同じでございますが、やはりその基本は、中小漁業者の相互救済の精神が基調でございまして、さような意味でこの制度も共済制度と言われているわけだろうと思います。その協同組織を通じまして事業運営を行っていき、また、相互救済をしていくということでございますけれども、しかしながら、一面、これはあくまでも国の災害対策ということで、いわゆる公的救済制度という範疇に属している性格もあるというふうに考えているわけでございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 公的救済制度という一面、これはまさにそのとおりでありまして、制度としては公共性が非常に強いというふうに思うわけで、この制度は、わが国が世界に先駆けて確立した制度であると思いますし、その点については非常に誇ってもいい制度であろうというふうに思っているわけでありますが、こういう制度を一たん取り入れる、そして、これが災害対策、また経営対策というような形で、一本の水産業の機構の中に、システムの中に位置づけられてまいりますと、国のこれに対するかかわり合いというものは、本来は共済なんだから、これは事業者同士の助け合いということを根本に据えるにいたしましても、国のかかわり合いというものは非常に強いものになってくるであろうというふうに思います。これは単に、国が恩恵的にこの制度に対して資金的にいろいろな援助をしていく、投資をしていく、これを恩恵的なものというだけではちょっと理解できないのではないか。むしろ国の側としては、これをきちんとした負担というふうに認識をして、国もかなりの強い義務づけを負わされた一つの制度であるというふうに考えていくべきが至当ではないかというふうに思うのですが、どうでしょうか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 ただいま御答弁申し上げましたように、これは国の災害対策という角度から公的救済制度という位置づけを持っている制度であるというふうに考えておりまして、先生も御案内のように、漁業者に対する共済責任の一部を組合、連合会、ともに国も負担するという形になっておりますし、また中小漁業者の広範な加入を促すというためのいわゆる共済掛金に対する補助あるいは健全な事業運営を確保するための共済団体に対する事務費の補助あるいは共済基金に対する出費といったこともやっておるわけでございます。またさらに、異常な大災害に際しましては、国の保険特別会計に対しまして一般会計より繰り入れを行ったということもございます。  御案内のように共済掛金の補助額は八十二億に達しておりますし、また共済団体に対する事務費の補助も五億二千万といったような多額に上っており、さらに共済基金に対する出資金も十三億という巨額に上っておるわけでございます。ただ、ただいま先生御指摘のように、確かにこのような意味では、漁災制度に対する国のかかわり合いというものは公的な救済制度ということから非常に深いものであり、かつそれは性格的には負担という制度ではないかというふうな御質問でございますが、確かに基本的には、私どもは単なる補助というものを超えた制度としてこの共済事業に対して国がかかわっているというふうに考えております。  ただ、この共済制度におきましては、用語として補助という言葉が使われていることは事実でございます。漁業共済に対する助成が、負担という用語を使っております農業共済あるいは漁船保険と比べまして、補助という言葉を使っているということから、ややこれは国のかかわり方が軽度であるというふうに思われがちであると考えるわけでございますけれども、法律の条文をよく読んでみますと、国の補助につきましては、一般的には補助事業に対する補助は、「補助することができる」という規定になっておりますけれども、この共済掛金の補助につきましては、補助という文字は使っておりますが、「補助するものとする」というふうに書いてございます。その性格は、やはり負担に近いものということで考えられたというふうに私どもは理解をいたしております。  ただ、なぜ補助という用語を用いたかということでございますが、これは制度ができましたときに、農業共済の場合にはその末端の組織が、市町村ごとにできておりますところの農業共済組合というきわめて公的な性格の強い団体が末端の運営をやっておりましたが、この漁業共済制度は末端が漁協系統団体ということでございますので、これが基盤となって自主的に行われる相互扶助組織という角度から補助という文字を使ったのだというふうに聞いておる次第でございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 私も、いま長官がお答えになったこととほぼ同じように考えてよろしいのではなかろうかというふうに思いますが、この漁済制度の検討協議会などでもそこらのところは非常に問題になっているようでございまして、関係者の関心は非常にそこのところに強く集中しているという印象を受けます。ですから、これは国家の財政の収支によって著しく左右されたり、特別会計収支でありますが、その収支の問題が前提となってこの制度自体の運用に誤りを来すというようなことではならないのであって、やはりきちんとした負担という考え方、これは用語上はそういう形で使われてはおりませんけれども、そこらの意味をきちんと強く認識してこれからの運用を図っていただきたいということを私の方からも特に強く要望をいたしておきたいというふうに思うわけでございます。  それから、これも基本的な問題に関することでありますけれども、漁災法の運用というもの、漁災制度の運用というものは行政的な指導による運営の妙がかなり大きく図られ得る制度ではないかというふうに思います。  たとえば、漁災法の百九十五条四項という規定がございまして、ここにはこれらの補助のほかに、漁済団体が行う事業の円滑な運営に支障を生じないよう適切な措置を講ずることに努めなければならないという規定がございます。この規定というものは、かなり弾力的に運用を図ることができることを定めているというふうに理解していいと思うのですが、いままでこの規定が現実に運用をされてきたことがあったのかどうか。これらについてその例があったならばひとつお聞かせをいただきたいと思いますし、これを利用して、この漁災制度の適切なこれからの経営の安定のために、また、災害対策のために、適切な処置をこれからも講じていくおつもりがあるかどうか、そこらについてお伺いします。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 漁災法の第百九十五条第四項の規定でございますが、これはこのような公的な組織というものを前提にいたしまして、国ができるだけこの団体の運営に対しまして責任を持ちながら適切な措置を講じていくという規定であろうと思います。このような角度から、水産庁としましてはこの百九十五条の一項及び三項の助成を行いますほかに、漁業共済事業の運営上に生ずるさまざまな問題につきまして、逐次法令の改正等を行いながらその対応をいたしてまいったわけでございまして、このような広範な規定の内容というものは、従来までのいろいろな運営上の指導あるいは法律改正等を通じましたところの団体の運営上の問題につきましての解決策、こういったものに反映されていると考えます。  特に、今後の問題といたしましては、昭和五十七年度から実施しようといたしております漁業共済団体の事業運営の健全性を確保するためのいわゆる累積事業不足金の対策というものは、このような趣旨に即してこの制度運営に当たっていくということであるというふうに私どもは考えておる次第でございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 いま事業運営上の不足金の話が出てまいりました。何といっても、現在、この漁災制度の中で最大の問題点というのは赤字問題であろうかというふうに思うのでありますが、私、この漁済のいままでの収支の傾向というものをずっと眺めてまいりますと、赤字が、それまでまあまあの線で来たものが、昭和五十二年、いわゆる二百海里時代に入ってから急増をしてきているというようなはっきりした傾向というものが見てとれるわけでありまして、二百海里時代に突入をしてきた、ここで漁業自体が大きな転換点を迎えて、漁業者の経営上も大きな問題点を抱えることになった、こういう状況が一つの大きな赤字の原因になってきているというふうに思うのですが、この認識は間違いないでしょうか。     〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 漁業共済組合及び全国漁業共済組合連合会、それにさらに政府の特別会計、これらを通じましてかなりの赤字が生じてきておりまして、先ほど申しましたような団体に対する事業不足金の対策といったようなことも講じようというふうに考えておるわけでございますが、これは確かに先生おっしゃいますように、二百海里が実際に施行されて後におきまして相当な赤字がふえてきたということもございますけれども、起源的に申しまして幾つかの原因がございまして、漁獲共済につきましては特に昭和五十二年以降、流氷、しけ等による昆布漁業の不漁、あるいは資源水準の低下によるイカ釣り漁業の不漁、あるいはサケ・マス漁業、定置漁業の回遊不順等による不漁、魚価の異常な乱高下による共済事故の多発、こういったものが魚獲共済において赤字の原因の大きなものになったというふうに思います。  また、養殖共済につきまして申し上げますと、一つは、五十二年の六月から八月にかけまして、三重県から鹿児島県まで八県にわたって発生いたしました異常赤潮、あるいは五十三年七月に瀬戸内海の播磨灘を中心にして発生いたしました異常赤潮による被害、また、五十年ごろから全国的に多発しましたいわゆる連鎖球菌症を主体にいたしましたハマチの魚病、五十二年、五十三年の高水温によるノリの腐れ、五十三年九月十五日の台風十八号による養殖タイ、養殖カキの被害等、例年になく大きな災害が発生いたしまして、これら総合いたしましてこのような大きな赤字が生じたというふうに考えている次第でございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 いまずっと赤字の原因をお挙げになったのですが、五十二年から五十四年まで、これは魚獲共済を見ますと、この間の支払い額は三百六十二億円であります。その要因別の割合を見ますと、不漁によるものが四一%、不漁及び魚価安によるもの三五%、二百海里規制によるもの一二%、魚価安によるもの一二%というようなデータが示されているところでございますが、このデータについては、これは間違いがないというふうに考えてよろしゅうございますか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 ただいま先生がお話になりましたデータ、これは恐らく魚済の団体の方がはじかれたものであろうというふうに思います。私考えますに、いま四つの赤字原因に明確に区分をなさって、それでその被害の原因をお示しになっておられるわけでございますが、何分にも漁業共済制度のもとになります魚獲の実態というのは、非常に複合的な要素によりまして魚獲が落ちるあるいは水揚げ高が落ちるというようなことが起こっているわけでございます。したがいまして、その中に二百海里の原因によるものということで特定をしておる部分もございますが、私も、決してこれは二百海里が関係していないということを申そうというつもりはございませんけれども、いろいろな複合的な原因によりましてこれは起こっている事態であるということを御説明申し上げたいと思います。  また、その中で、価格の変動によるものというものも、ある意味ではまた二百海里と関連している部分があると思います。たとえば、二百海里の実施に伴いまして、かなり魚価が高くなった、そしてまた、その後においてある程度まで漁場の確保なりあるいは魚獲高の確保が進みまして、その結果、反動として魚価が下がってきた事態がございます。このような状況の中におきまして、やはり魚価の変動による事故の発生というものもございますので、さような意味では、それもある程度まで二百海里にかかわりを持っているというような要素もあるというふうに考えますので、一概に、その数字による截然たる区分はなかなかむずかしいんじゃないかというふうに考えている次第でございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 まあ、はっきり線引きができるかどうかという議論に私はいまここでそう深入りをしようとは思わないわけでございますが、データによりますと、昭和五十二年には、共済掛金つまり収入の側が五十七億、そして支払い金が百八十三億になった、五十三年には、百二十六億の共済掛金に対して支払いが二百十六億になった、これはもうえらい赤字でございますね。しかも二百海里時代に突入した、こういう時代になって、こういう膨大な赤字を二事業年だけで抱え込んでしまう、こういうことになりますと、これは共済制度そのもののピンチだということになるであろうと思うのですが、私は、こういう場合などは、先ほども指摘しました百九十五条四項の規定によって、国などは一工夫むしろあってしかるべきだったのではないかというふうに思うのです。いかがでしょう、ここらの時期にどのような努力を国の側でなさったのかという報告をも含めて、お聞かせていただければと思います。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 確かに、日野委員おっしゃいますように、二百海里に突入した時期、昭和五十二、五十三年前後というものは非常な激動の時期だったことは事実でございまして、通常の漁災制度の運用の外側に、非常に構造的な、漁業を取り巻く、特に漁業に非常に大きな影響を与え、かつ漁災制度に影響を与えるようなそういう事象が進行したということは否定できない事実であろうと思います。  そこで、このような事態におきまして、共済制度の方にそのような大きな構造的な変化の影響を与えないようにするということが漁災制度の健全な運営を確保する上において必要ではなかったかという御質問だろうというふうに考えるわけでございますが、たとえば、仮に外国の二百海里規制の実施等によりまして損失が発生することが明らかであるという場合におきましては、たとえば操業海域が全くなくなったといったようなことで漁獲ができなくなった、あるいは損害発生の危険が著しく高まったというような場合につきましては、組合は共済契約の解除といったような措置を講ずることができるようになっておることは事実でございます。この意味におきまして、二百海里規制による損失は他の一般の漁獲量または魚価の変動による損失と区分して措置すべきではなかったかという御指摘は、私もわかるところでございます。ただ、その当時の現実を振り返ってみますと、私も当時海洋漁業部長で、ほかの方の担当をいたしておりましたが、しかし漁済の方面にも十分、その当時どういう事態が起こったかということは知っているつもりでございます。  そのようなことで申し上げますと、現実の問題といたしまして、二百海里の規制によりまして操業水域を全面的に喪失したというようなことはなかったわけでありますし、また同時に、あの当時の、減船を生じるような非常に大きな変動をこうむった、たとえば、北方トロール船であるとかあるいは北転船であるとか沖底船とか、サケ・マスの中でも中部とかあるいは母船式のサケ・マス漁業につきましては、やはり組合の加入というものも余りなかったということもございますけれども、同時に減船措置もとりまして、ある程度までの対応はいたしてきたわけでございます。  ただ、そうは申しましても、やはり二百海里の規制の影響を受けまして、漁業者の漁獲高の減少を起こしたであろうと思われるそういう魚種はあり得るというふうに私も思っております。ただ、その場合に、その影響が一体どの程度まで起こるかということを明確に区分してそこでこの対策をとるにはなかなかむずかしい事態ではなかったか。これは先ほども申し上げましたように、こういう被害というものは非常に複合的に起こるものでございまして、さような意味で、それを取り出すということはなかなかむずかしかったのじゃないかなというふうに考えるわけでございます。  また、先ほども魚価の変動に触れましたけれども、魚価の変動の要素というものは、確かにあの二百海里の実施がされました時期におきましては相当な乱高下がございまして、このために漁業共済の面でも確かに価格の低落その他によりましてその赤字を増したという要素はあると思います。しかし、これもなかなか、どの部分が二百海里であったかということを特定することはむずかしかったのじゃないかということでございます。  したがいまして、原則論といたしましては、基本的な操業条件等が外国の規制を受けるような業種については、健全な運営を確保するということから、危険の程度に応じまして制度的に一定の引き受け制限を加えるといったような措置をとるべきではなかったかということが論ぜられると思うわけでございますけれども、現実の問題としましては、種々いろいろなケースがございましてそこがなかなか特定できないために、たとえば共済組合としては、法第百十一条第一項の規定による補償水準を勘案いたしまして適切な事業運営をやったというような、そういうことは講じられたようでございます。しかしながら、先ほども申し上げましたような、引き受けをとめるといったようなことの措置までとりましてその結果によって共済制度への二百海里の影響をとめるというようなところまではやらなかったというのが現実ではなかったかというふうに思います。

日野市朗日本社会党

○日野委員 いろいろ長官にお答えをいただいたわけなのですが、結局、線引きができるかどうかは別として、二百海里規制というようなことによる影響が、共済制度にもろに影響してくるというところで、これを不漁だったという扱いにするのか、これはもう漁業者の努力を超えたところで発生する問題をも共済制度の事故と見るのか、ここらの線引きが非常にむずかしいところに問題点があるのだろうというふうに思います。先ほどから長官もそのことは意識しておっしゃっておいでになるようでありますから、私ここで、北海道における太平洋小型サケ・マス、これを一つの材料にいたしまして、少しその点についてのお話をしてみたいというふうに思うわけであります。  あの小型サケ・マスの問題について、まず共済制度から見た場合、一つの問題は共済の契約をする段階、それから、現実に不漁であるかどうかは別として魚がとれなくなった、とれない結果に終わったという二つに分けて考えてみたいと思います。  まず、魚がとれなくなったという事態について考えてみたいのです。これは私もその当時の新聞なんかいろいろ調べてみたわけなのですが、ずいぶん大混乱をいたしているわけでございます。つまり十トン未満の船でなければ入っていけない水域に四十トンぐらいの船がどんどん出ていった。これは現地側も非常に考えなければいかぬところなのでしょうが、まず、十トン未満の船で許可だけとって、船が出ていくときはどうも四十トンの船に許可証を乗っけて出ていったとか、一応許可だけとっておいて、その船を二つに切って、その間に船倉をつくりかえたとか、こういったいろいろな問題点がありまして、おばけ船というのだそうですね、こういう非常に混乱した事態というのは、決して漁業者だけ一方的に責任を追及するということだけで割り切るわけには、どうも私は感覚的にいかないのです。これは北海道の知事の許可による漁業でありますが、こういった事態というのはもうずっとささやかれていて、こういった事態があるのだ、おばけ船というようなものがあるのだという事態そのものがかなり知られていて、それについて行政側の指導が非常に立ちおくれたという事態があったのではないかというふうに思います。これは北海道庁側でも大分あわてて、いろいろ指導を強めるというようなこともしたようでありますが、その際の水産庁のこういう事態に対する認識はどのようなものだったかということを伺いたいと思います。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 私も、当時その仕事の関係をいたしておりましたので記憶がかなり鮮明にあるわけでございますけれども、先生がそこまでおっしゃられますならば申し上げますが、実は、そのような事態があるということまでは水産庁としては正式には知らなかったということが事実でございます。特に、ソ連の監視船によりまして臨検を受けました結果、登録トン数よりも実トン数の方が多いという船が発見されまして、私どももその際に調べましたところが、それがかなりたくさんの隻数に及んでいる。そういうことになりますと、非常に危険なところにこの船をやるということは、事故を非常に多発させて、漁業者自身にとっても非常に気の毒でありますし、また同時に、国際的にも問題が起こるということでございまして、北海道庁が中心になりまして、北海道の周辺水域で操業するということでそこが主力漁場になったわけでございます。ところが、たまたま五十三年のサケ、マスの来遊がほとんどその地域に回ってこなかったということでございまして、先ほどから私、複合的な被害ということを申しておるのはそのような意味でございます。  この漁業災害補償制度の対象になる被害というのは、単に漁労行為を行っておるということだけではなくて、その漁労行為というのは、国内的なあるいは国際的ないろいろな規制のもとに、ある一定の条件のもとに行われるという性格を持っておるものでございますから、どうしても漁獲高あるいは水揚げ高というものが複合的要素によって出てくる、こういうことが大きな問題であろうというふうに考えるわけでございます。これは漁災制度の持っているある種の宿命でございますけれども、基本的にはそこにサケ、マスが回遊してこなかったという意味での不漁ということも言えると思いますが、また同時に、その原因が、先ほど申しましたような国際規制に関係のある原因という点もございまして、さような点ではこれは国際規制の問題とは無関係じゃないということも申し上げておるわけでございます。どちらか一方に断定できない、そういう分野の問題ではないかというふうに考える次第でございます。     〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕

日野市朗日本社会党

○日野委員 複合的なとおっしゃるわけですが、私もどうも、これはテストケースといいますかリーディングケースといいますかそういったものとして、この共済制度のこれからの運用を考える上に非常に参考になるケースなので、まあ恥部に触れる部分もあるのじゃないか、恥ずかしい部分に触れることもあるのだろうと思いますが、あえてこれを取り上げさせていただきたいのです。  その当時、日ソ漁業交渉で、こういった十トン未満の船に認められた水域にこれらの船が入っていけない実態になったことだけは間違いないわけですね。そして、私これを見ておりますと、どうも出漁もかなりおくれて出ざるを得なかったという事態もあったようでありますが、その当時の新聞記事なんか見ますと、わずかな水域にどんどん船が入り込んでいって、これらの船が入れるところに集中的に入ったわけですから、これは船が非常に多くて、事故もずいぶんあったようですね。多くの船が入っていっていろいろな魚の奪い合いになる、また網が絡み合うような密集操業をやるということなんかもあったようでありますが、こういうような事態が出てくるまで、国の側も、そこを見逃していたことにちょっと手落ちがあったというふうにはお考えになりませんか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 正直に申しまして、私自身は、そのような船が操業しているとは思っていなかったということははっきり申し上げられます。したがいまして、国の手落ちかと申されると、これは私も手落ちがあったということは申し上げたくないわけでございます。しかしながら、これは二百海里の規制そのものと申しますよりも、十トン未満の船であの水域に出かけていかなければならないということは日ソ漁業条約の長い、お互いの約束でございまして、さような面で私どもが、北海道も十分に監督をし指導をしてもらいたかったという気持ちを持っていることは事実でございます。先生がさっきおっしゃられましたように、このようなことからこのような共済の事故が発生するということは決していいことではないことは事実でございまして、やはりきちんとした国際条約の遵守、またそのような指導体制を十分とりまして、今後こういうことが起こらないようにしなければいかぬということでは、確かに他山の石になるというふうに私は思う次第でございます。  なお、このときに、先ほどもちょっと申しましたが、非常に多くの漁船が集中いたしました水域に前年よりも魚が回遊してこなかったということも私ははっきり記憶しておるわけでございまして、さような意味では不漁という要因でもあったというふうに考えている次第でございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 数字を見ますと、例年より少なかったかなという感じは確かにいたしますけれども、それにしてもかなり多くの要因は、そこの規制を守らないような船をかなり野放しにしておいたといいますか、これは北海道庁の責任かという責任論で、いまここで追及しようとは思いませんけれども、水産年鑑なんかを見ましても、小型サケ・マス漁業については北海道知事許可漁業であって、許可等について水産庁と協議の上で基本方針が定められているのだ、このようになっている。これはたてまえでございましょう。もっとも、本音とたてまえの関係というのは非常にむずかしいものがありますが、水産庁も、そこのところはたてまえはたてまえとしてきちんとした指導をしていかなければならないものであったろうと思いますし、それに、二百海里規制というものはそんな甘いものではないんだよということを漁民の方にもしっかりわからせる姿勢が必要ではなかったかというふうに、いまにして思いますと考えるわけなんです。  それで、長官と私の認識の間に若干のずれはあるとしても、そこのところはお互いの認識をぶつけ合う程度にしておいて、問題なのは、これに対する漁災の適用の仕方であったろうというふうに思います。これについては、まず契約をするに当たって、漁済団体と水産庁との間に何らかの連絡はなかったのか、これを指導するということはなかったのかどうか、ここいらはいかがでしょう。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 連絡があり、また、水産庁として指導をいたした面もございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 その指導の内容のポイントをちょっとお聞かせください。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 水産庁といたしましては、当時、魚種組成の変化に伴う影響あるいは漁獲数量による影響といったようなことも考えまして、補償水準を引き下げるようにという指導をいたしたことは事実でございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 補償水準引き下げを指導したその理由を端的にお聞かせください。ちょっと、いまよく聞こえなかったものですから。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 ただいま申し上げましたように、魚種組成の変化に伴う影響、漁獲数量による影響ということを理由にいたしまして、補償水準の引き下げ方の指導をいたしたということでございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 総じて二五%引き下げたということでございますね。こういう場合、これはいろいろ指導をなさるのでありましょうけれども、指導をする場合にかなり基準的にはっきりさせないといけない点があろうかと思います。たとえば、漁災法の百十一条を見ますと、ずっとありますが、「その他当該地域における漁業事情を勘案して組合が定める金額に、百分の九十を越えない範囲内において」云々と書いてありますね。当該地域における漁業事情を勘案してこれは決めることになっている。そうすると、漁済団体だけの手に負えないいろいろな事情というものがこの中に含まれてくるのではないかというふうに思います。たとえば、国際的な関係なんかはその最たるものだと思うのですが、ここいらをきちんと基準化をするとか、指導するに当たって、どのような場合に指導をするのかというようなことをある程度はっきりさせておく必要があるのではなかろうかというふうに思います。いかがでしょう。     〔戸井田委員長代理退席、加藤(紘)委員長     代理着席〕

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 先ほどからいろいろと私が御答弁申し上げている中で、ただいまの当該水域における漁業の事情というものをこのような形で表現をし、そして指導したという状況につきましては、あるいは御理解いただけたのではないかなというふうに思うわけでありますけれども、問題は今後だろうと思います。  今後の問題といたしまして、私どもは、もう一度このような事態があってはならないと思いますし、それからまた、われわれも水産外交を十分に展開いたしまして、あのとき起こったような事態をできるだけ回避してまいりたいという気持ちはございますが、仮に、こういう事態があった場合におきましては、その影響が共済に及んでくるということにつきましては、当然区分けしていくということの方が正しい考え方だろうというふうに私は思います。  さような観点から、今後どのような事態においてどのような対応策をとるかということにつきましては十分に検討をさせていただきまして、そのような事態が生じました場合の共済団体の対応ということにつきまして、その指導に誤りなきを期していきたいというふうに考えておる次第でございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 この問題に類似の問題が、実は近々中に起こりかねないという事態が現実にあるわけですね。きょうは外務省にもおいでをいただいているわけでありますが、それは北朝鮮の水域であります。この北朝鮮の水域には、いまイカとかあるいはカニとか、そういった漁船がかなり出漁いたしまして、そこに関連している漁船員等は大体一万五千人近くと言われているわけでありますが、この北朝鮮水域における漁業というものは民間ベースで進められているわけでありまして、この民間の取り決めがこの六月で切れてしまいます。そうすると、それから先は一体どうなるのかというような状況があります。これについてまず水産庁はどのように考えておられるのか。そして外務省としてはどのように考えておられるのか。両省の立場をひとつお聞かせいただきたいと思います。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 北朝鮮水域、これは民間暫定合意によります操業水域でございますが、ここに出漁いたしておりますわが国漁船は、イカ釣り、マス流し網、マスのはえ縄、ベニズワイガニあるいはかごといったような漁業でございまして、漁獲量が約三万トンから四万トンございますし、それからまた、操業隻数は千五百隻から二千隻という状況に上っております。  このようなことで、もしもこの水域にわが国の漁船が入れないような事態になりますと、これは非常に大変なことになりますので、私どもとしましては民間協定、民間の暫定合意が続きますように、民間の交渉が円滑に行われますように期待をいたしているというのが実態でございます。

藤井宏昭外務大臣官房審議官

○藤井(宏)政府委員 お答えいたします。  これまで民間漁業者の努力によりまして、わが国の漁業の継続と安全の確保は図られてまいったわけでございますが、御指摘のとおり、現在の暫定合意書が本年の六月末で期限が切れるわけでございます。これまでの民間漁業関係者の努力に対しまして、外務省といたしましても評価しているわけでございますが、残念ながら北朝鮮とは国交がないわけでございますので、政府としての漁業交渉を行う立場にはないわけでございます。暫定合意書の延長につきまして政府としても大きな関心を持っておりますし、さらに、今後の話を通じまして延長がなされるように期待しておるわけでございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 このところを少し詰めてちょっと伺いたいのですが、これは水産庁も外務省も非常に期待しておられるのですが、特に外務省に伺いましょう。  北朝鮮側から、この交渉を日本において行いたいということで代表団の日本入国を要請してきているということはもう周知のことでございますが、これに対して日本側が入国に色よい返事を与えていないということもまた報じられているところでありますが、この点の事実関係はいかがでしょう。

藤井宏昭外務大臣官房審議官

○藤井(宏)政府委員 ただいま御指摘のとおり、われわれが承知しております限りにおきまして、北朝鮮側は今回の交渉を東京で行いたい、そのために北朝鮮の人々を東京に派遣したいということを言ってきております。正式な入国申請は来ておりませんが、そういう話は承っております。  それで、それに対しまして、特にそのヘッドになる方でございますけれども、玄峻極さんという話を聞いております。玄峻極氏が入国するということについて、ただいま申しましたように正式な申請があったわけではございませんけれども、これにつきましてはきわめて困難であるという態度をとっております。

日野市朗日本社会党

○日野委員 済みません、玄峻極氏についてどうだと言われたのですか、ちょっと聞き取りにくかったので……。

藤井宏昭外務大臣官房審議官

○藤井(宏)政府委員 玄峻極氏の入国はきわめて困難であるという立場をとっております。

日野市朗日本社会党

○日野委員 どういう理由で困難なのでしょう。

藤井宏昭外務大臣官房審議官

○藤井(宏)政府委員 玄峻極氏は過去三回日本に参っております。一番最近は、昨年の六月に訪日なさっておるわけでございますけれども、その際に、入国の条件といたしまして政治活動を行わないという条件を付したわけでございますが、この条件に違反いたしまして、全斗煥大統領等に対する誹謗を行ったわけでございます。したがいまして、玄峻極氏の入国を認めるわけにはまいらないというのがわれわれの立場でございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 外務省の民間ベースでの交渉に期待するという言葉とはうらはらに、その交渉の代表に対して、これが玄峻極氏であろうとだれであろうとそれについて異を唱えて、これの入国を認めないというような態度を表明されるということは、その間に非常に多くの矛盾があるような感じがして私はならないのでありますが、ここでは矛盾をお感じになりませんか。

藤井宏昭外務大臣官房審議官

○藤井(宏)政府委員 わが国の北朝鮮との交流でございますが、従来から貿易、経済、スポーツ等の分野で交流を実施してきておるわけでございまして、その交流の進め方でございますけれども、南北の朝鮮の微妙なバランスに配慮していく必要があるわけでございます。したがいまして、政治的な活動を北朝鮮の要人が日本で行うということは、われわれとしては認めるわけにまいりません。  と同時に、御指摘のように先方は交渉を東京で行いたいと言っておるわけでございますし、われわれといたしましても何とかこの暫定合意の延長ができるようにということを希望しておるわけでございます。外務省といたしましても、日朝議連の先生方と話をする等陰ながらいろいろ協力をしておるわけでございますけれども、協力のできることと基本的に困難であるということのけじめと申しますか、そういうものがあるのではないかと思います。過去におきまして、この日朝漁業取り決めの交渉はすべてピョンヤンで行われております。この交渉を東京で行わなければいけないということも必ずしもないかと思います。  いずれにしましても、われわれとしては片やこの暫定合意の延長を強く希望するものでございますけれども、同時に、南北間のバランスを考えながら北との接触を維持していく、交流を維持していくという立場を崩すわけにいかないということでございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 交渉の場所がいままでピョンヤンで行われてきたということは事実でございますけれども、これはピョンヤンでやらなければ認めないのだというような形になってしまいかねないのですよ。というのは、南北朝鮮は御承知のような関係であります。韓国から来た人はピョンヤンを批判するでありましょうし、北朝鮮から来た人は韓国側に対する強い批判的な言辞をするようなことになる、これはもうある程度やむを得ないことだと思いますね。それのどこからどこまでが政治的な言動であるかということについても、これはその線引きもかなりむずかしい問題であります。でありますから、そこいらを恣意的に政治的な言動として判断をするわけにもいかない。容易に線引きのつきかねる問題ではなかろうかというふうに私は思います。  そういった点から考えてみて、何よりも現実の問題として、この北朝鮮の水域にいままでずっと出漁をしてきた船が数多くあって、関係する業者が非常に多くてというような状況のもとで、そこいらを外務省が非常に構えてしまいますと、これは話は成り立たぬというふうになってしまいます。そうすると、もうこの漁業取り決めが成立しないのは外務省の責任というような形にまでなってくると思うのですが、どうでしょう。

藤井宏昭外務大臣官房審議官

○藤井(宏)政府委員 先生の第一点の交渉の場所でございますけれども、過去すべて交渉はピョンヤンで行われたということでございますが、それはもちろん必ずしも将来の交渉もすべてピョンヤンでなければならないということではございません。われわれといたしましても、純粋に、日朝の民間漁業取り決めの延長交渉のために、仮に代表団が訪日するといたしまして、それが技術的かつ実務的な代表団であれば入国は認められるのではないかというふうに考えます。  それからさらに、どこで線を引くのだという御指摘でございます。これにつきましては一般論で申し上げますと、仮定の話になりますのでケース・バイ・ケースというふうにしか申し上げられないわけでございますけれども、この玄峻極さんにつきましては、先ほども申し述べましたように、昨年六月来日の際に、政治活動を行わないという確認書に反しまして、全斗煥は光州市民を大量に虐殺したし、南朝鮮を血で染めた犯罪者であるというようなことを新聞に述べる等明らかに政治活動を行ったばかりの方でございますので、この方を今日ただいま認めるわけにはまいらないということを申している次第でございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 これはむずかしい問題なんでしょうが、外国人が他国に行って話す、これは特に新聞などからインタビューを受けて感想を求められれば、それについて答えるなという方がむしろおかしいのであって、これは当該の外国人であってもその外国における行動というものはたてまえとして自由であって、それについて条件がいろいろついてくるという筋合いのものであろうと思うのですが、そういった外国における行動について、これをどこで線引きをするかという場合、特に日本の場合は、北朝鮮について非常に厳しい一つの基準を持っているのではないかという感想を私は持っているのです。これは、ほかの外国人に対するよりも北朝鮮からの人については厳しい。これは国交を持っていないからだというふうにおっしゃるのが通常でありますけれども、それ以上の、さらに重い基準を北朝鮮の人に対しては課しているのではないかというような感じも持ちますが、いかがですか。

藤井宏昭外務大臣官房審議官

○藤井(宏)政府委員 特に、北朝鮮の場合に重い条件を課しているということはないと了解しております。確認書は、単に北朝鮮の人のみならず、状況によりましてほかの場合にも課しておることはあるというふうに了解しております。

日野市朗日本社会党

○日野委員 いまここでいろいろこの問題で深入りをしてしまいますと本論の方が飛んでしまいますので、そんなに深入りはしたくないと思うのですが、玄峻極さんが団長で来る段に対しては一切入国を認めない、これが外務省、これからも不変の態度ですか。この問題については、いままでずいぶん国会でも問題にしているようでありますし、それ以外のところでも、何とか入国を認めて交渉のテーブルをつくりたいということで、関係者は熱心に外務省にお願いもし、要求もしているところだと思いますが、どうでしょう。

藤井宏昭外務大臣官房審議官

○藤井(宏)政府委員 先ほど冒頭に述べましたように、きわめて困難であるというのが外務省の態度でございます。ただ、入国につきましては当然法務省が主管の官庁でございますので、法務省との相談ももちろんあるかと存じます。外務省の態度につきましては、繰り返しますけれども、きわめて困難であるというのが現在の態度でございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 農水省としては、いまの外務省の話をお聞きになってどうですか。これは人のことというかよその省のことではありますけれども、水産庁としてお困りじゃないですか、どうですか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 事は高次な外交交渉のことでございますので、外務省の御判断につきましては、当然私どもとしても尊重しなければならないことでございますけれども、一方、われわれといたしましては、あくまでも水産庁は漁民を保護し、かつ漁船が当該水域で安全に操業できるようにということが基本的な立場でございますので、さような意味で、何らかの形でこれが解決をされて、民間のベースによりまして所定の期日までに暫定協定が延長されるということを強く期待し、望んでいるというのが水産庁の立場でございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 これは大臣にも伺っておきたいのですが、水産庁としては本当に困り抜いておられるだろうというふうに実は私思います。本当は大臣にまでお聞きしようとは思わなかったのですが、余りにも外務省あたりの態度がかたくななので、大臣の御感想をちょっと……。それから、何か大臣としてこんな手段がとりたいというようなお考えでもあればお聞かせをいただきたいと思うのです。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○田澤国務大臣 御承知のように、昭和五十二年の八月に北朝鮮二百海里水域の設定がありまして、しかし、外交交渉がございませんものですから、民間で暫定合意という形で何回か継続されて今日に至っているわけでございますが、いま私たちとしてはできるだけ早い機会に交渉が進められて、継続されるのを期待いたしているわけでございますが、いま外務省から答弁がありましたように、事高次元の外交問題でもございますので、ぜひこの交渉が早く再開されて、そして継続されることを期待しておりますけれども、一方、外交上の問題はやはり外務省にお任せしなければいけないという状況でございますので、私たちとしてはできるだけ外務当局に対しても水産関係の状況を御説明申し上げまして、この問題の継続が可能になるように期待をいたしているというのが率直な見解でございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 大臣も急に私から聞かれてもちょっとお答えしにくかろうかと思いますが、関係者の苦衷をひとつ十分にかみしめていただいて、しかるべき処置をおとりいただきたいということを、私の方からも大臣にも十分にお願いをしておきたいところであります。  北朝鮮水域の問題をいまここで問題としましたが、似たような問題は、このような国際情勢になってまいりますと、至るところで頻発する可能性が出てまいります。  それで、先ほどのテストケースといいますかリーディングケースに、またサケ・マスに戻らしていただくのですが、契約の際の指導については先ほど伺った、今度は共済金の支払いの方ですね、支払い側がこれを事故だと認めて支払いをするときの水産庁の方の指導、これはいかがなものであったのでありましょうか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、引き受けの時点におきましては、先ほどのような理由のもとに指導を行いまして、補償水準の二五%の引き下げを行ったわけでございますが、共済金の支払いにつきましては、確かに先ほど私、複合的なという言葉を使いましたけれども、しかし、そこにサケ、マスが回遊してこなかったことは事実でございますので、これは不漁によるものであるというふうに考えまして、共済金についてはその支払いを特にストップするといったようなことの指導はいたさなかったということでございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 まさに複合的であるという点、おっしゃる点はわからないでもないんですけれども、もしこれがきちんと当初予定されていた水域に入っていれば、保険事故としては出てこなかった可能性というのは非常に強いだろうと私、実は思っているわけなんですね。そうすると、これの支払い、これは保険事故であるという取り扱いをするについて、全く割り切ってやるわけにも私としてはまいりません。これはそのときのいろいろな状況を考えてみた場合、かなり政治的な判断といいますか政治的といいますか、この制度本来のものよりちょっと離れたところでの判断がかなり強く働いたというような感じがするわけでございますね。しかも、そこで支払った金が漁業共済の非常に大きな赤字の一因をなしているんだという指摘は公知のところだ、公に広く知れ渡ったところではあるまいか、多くの人たちの認識ではないかというふうに考えられるところですね。この漁業共済制度検討協議会でもここらについてはずいぶん深刻な討議もやっているようですが、やはり複合的なものもかなり出てくると思います。これからの取り扱いをどのようにしていくのか、ここはやはりきちんと決めておかなければならぬところだと思いますね。どのようにこれから取り組まれるおつもりでありましょうか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 今後の取り扱いということでございますが、これは確かに、私どもこの漁業災害補償制度を取り巻くその他の要因によりまして、たとえば二百海里規制といったようなものによりまして漁業の共済制度の経営の安定性が失われるというようなことは決して適当ではないというふうに考えるわけでございまして、さような意味におきましては、そのような事態が生ずることを予測いたしまして、共済金の支払いによりまして漁業共済制度に不安定な要素が入らないように、引き受けその他につきましてあらかじめ指導をしておくということが今後とも必要な場合があるかというふうに考えるわけでございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 特に、国際的な問題の見通しなどは漁済の関係者だけではとうていわからぬだろうと思います。やはり国が総合的に集めている情報等による指導というものが常に必要になってくると思いますので、そこらの密接な関係を維持しながら指導を強める必要があろうかというふうに思います。  そういった場合に出てきますのは、問題の取り扱い方をきちんとしていくという態度をとらないと共済団体そのものも困ってしまいますし、それから漁民の側も困ってしまうと思うのですね。そこらについては、そういったきちんとした情報は常に団体の方に届けるという、そういった密接な関係をこれから維持していく、つくり上げていくということについては、そういう態度をとられるということでよろしゅうございますね。     〔加藤(紘)委員長代理退席、委員長着席〕

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 ただいま日野委員おっしゃられるとおりでございまして、さような意味で私ども今後の団体の指導に当たってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 今度は、若干別な側面からこの赤字の問題や何かについての質問を進めたいというふうに思います。  魚価の問題について端的に伺いますが、PQ方式にいま依拠しているわけですね。私も、PQ方式以外の方法で何か適当なものがあるかと言われると非常に困るわけでありますが、どうも魚価を決定しているメカニズムというものがこれもまたすっかりさま変わりになってしまったように思います。豊漁であれば魚価が安いとか、不漁ならこれが高くなるというような需要と供給との関係からくるものばかりではなくて、これはいろいろなパターンが考えられてきているわけなんですが、もっときちんとこういう魚価の変動の要因を分析し、そして魚価についての指導をしていく、魚価を誘導していくという一つのメカニズムが漁災制度というものを維持して健全な運営をしていく上ではどうしても必要になってくるのではなかろうかというふうに思うのですが、いかがなものでしょう。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 確かに、この漁獲共済につきましては、いわゆるPの要素があるということはこの制度の仕組みの一つの基本的な要素になっておるわけでございます。私も二年前に経済局長で果樹共済の御審議を願いました際に、PQ共済の御議論をこの委員会でもずいぶんさせていただいたわけでございますが、そのときにも、果樹共済につきましてはPの要素を入れていくということは、大数的な保険の事故の平準化ということから考えてみてなかなかむずかしいのではないかという御答弁をいたしましたのを記憶しておるわけでございます。しかしこの漁業共済というのは、この仕組みから考えましてどうしても混獲の問題がございますから、Pの要素を入れざるを得ないということは先生もよく御承知のとおりでございます。また、損害の認定といった面からも水揚げ高というものを押さえていかざるを得ないといったような要素から、これはどうしてもPQの方式をとらざるを得ないということは事実だと思います。  そこで、このPQの積、これが長年にわたって安定しているという経験からこのPQ共済というのは成立しているというふうに思うわけでございますが、しかし、確かに先生おっしゃられますように、外的な変動要因によりまして構造的にPQの積が、特にPが変わってくるという要素がございますと、この魚価変動のメカニズムをうまくPQの中に組み込んだ漁獲共済というものの運営がなかなかむずかしくなってくるということは事実であろうというふうに思います。特に、漁獲量が余り変わらないのに魚価が相当高騰してしまう、そういう場合には翌年には補償水準が大幅に上がりまして、したがって、支払い共済金がふえるといったようなこともございますし、それからまた漁獲量が変わらないのに魚価が低落するといったような場合には、翌年には漁業者は低い補償しか受けられない。ここにまた逆選択の可能性といったようなことで赤字要因も出てくるということは事実でございます。このようなことから、確かに、二百海里の時代の当初におきましては魚価の乱高下が起こりまして、これによって共済金の支払いが増加したということも事実だろうというふうに私は思う次第でございます。  そこで、私、基本的には二つあると思うのでございますが、一つは、魚価が構造的な側面におきまして、つまり通常、漁獲量が少なくなって魚価が上がる、これが普通のメカニズムでございますけれども、そういったメカニズムを超えましてある種の構造的なと申しますか、動態的なと申しますか、そういう要素によりまして魚価が非常に乱高下するといったようなことはできるだけ政策的に、と申しますのは、他の周辺政策も含めましてこれを防止していくということが必要であろうというふうに考える次第でございます。  また同時に、このような魚価が乱高下をいたします中においても漁済の仕組みというものが安定的に運用できるという制度もビルトインしていくということが必要ではないかというふうに私は思うわけでございます。今回の制度改正で、ただいま御審議をいただいておりますいわゆる継続契約方式ということを御提案申し上げておるわけでございますが、これは補償水準、つまり、共済限度額の乱高下を防止する仕組みでございまして、その共済限度額は前年度の共済限度額の上下一定の幅の中にとどめるという措置を設けようということで御提案申し上げているわけでございまして、このようなことによりまして、魚価の変動がある程度まではこの共済の仕組みの中でその影響が緩和されるということが期待できるのではないかというふうに考えます。  そのような意味で、PQ共済の見直しにつきましてはその効果も踏まえまして今後とも十分に検討してまいらなければならないと考えておりますが、まずとにかく、継続契約方式というものをこの中に取り込んでいくということが私どもの一つの態度であるというふうに御理解を願いたいと思う次第でございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 私最初に申し上げましたように、PQ方式、これは何かそれにかわるものというとなかなかむずかしいので、当面はいま長官も言われましたように乱高下を制度的に防止していくというような一つの政策はきちんととっていかなければならないのだろうというふうに思います。これは、決して共済運営上の問題ばかりではなくて、広く国民への食糧政策の一環として大きな経済的位置づけを与えなければならないというふうに思うのです。  ところが、私も、政府の魚価安定対策をずっと洗ってみまして、必ずしも納得がいくものでもないような感じが実はしてならないのですね。幾つかずっと目玉的な安定対策があるわけですが、漁業生産調整組合法による一つのシステムがあるわけですね。この法律に基づく一斉休漁だとか、漁獲制限、水揚げ制限というような生産調整事業なんですが、これは現在果たしてうまく機能しているだろうか、こういうことも一つは見てみなくてはいかぬだろうというふうに思いますけれども、この点はどうでしょう。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 私は、この一斉休漁あるいは漁獲制限、水揚げ制限といったような漁業生産調整組合法に基づくいわゆる生産の制限によって魚価を安定させるという措置につきましては、全魚種についてこれが効果があるというふうにはなかなか思えないわけでございますけれども、しかしながら、まき網漁業あるいはサンマ棒受け漁業といったような分野におきましてはこのような調整措置がとられておりまして、その効果というものはやはりある程度まであるというふうに考えている次第でございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 ここらについての評価は、実は私なんかとはちょっと違うのですが、あとは漁特法の審議のときにでもまたやることにいたしましょう。  それから、在庫量をよく調査してこれを調整する、指導するのだ。特に、冷凍水産物の需給情報について、これらの在庫量の調整という一つの方針も打ち出しているのですが、これについてはつとに、多くの筋からこれが不徹底ではないかという指摘を受けているというふうに私思っておりますが、これらについての評価はいかがでございますか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 この制度は、たしか、魚価が急騰していわゆる魚転がしといったようなスペキュレーションによって魚価が乱高下するという事態がございまして、このときにとられた措置でございまして、そのとき以降、魚価がかなり鎮静化し、安定化しているというときには、このような需給情報がかなり効果的に民間において使われているのじゃないかというふうに私は考えております。これにつきましては、大体いま二カ月に一遍ずつ連続してこれをやっておりまして、そのような意味におきまして、この在庫量の調整には民間を誘導していくという意味において相当な効果を持っているというふうに私は考えております。

日野市朗日本社会党

○日野委員 最近は大きな事故、たとえば、北海道漁連であるとか、大きい事故というのはごく最近においては見られないけれども、非常に大きな水産物の流通過程に対する不信感というものを国民のサイドに植えつけてしまって、それがやはり魚価にも大きく響くというようなことが現在あるのが現状だと思いますが、この点も、これは二カ月に一回というようなことでありますけれども、これからもきちんとやっていくというお覚悟であることは間違いありませんね。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 最近は、このような、一時ございましたような事態というものは影をひそめまして、わりあい乱高下というものが少なくなってきていることは事実でございますが、しかし、将来ともこの制度は続けてまいりまして、魚価の安定をしていくというつもりでございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 それから調整保管事業、それから輸出調整制度がありますけれども、これはうまく機能をしているのだろうかというようなことについても疑問を禁じ得ないところなんです。たとえば、これについて全漁連等の五つの経済団体だけがこれにかんでいる。たとえば、昭和五十四年にカツオをキロ当たり百八十円で買い入れて百五十円で放出をしてしまった、そしてその赤字は日鰹連がかぶってしまって、それを今度は逆に業者の方にツケを回したような形になってしまうというようなことがあったりして、これはかなり騒いだわけですね。そして、その業者は経営維持安定資金を借り入れて、何とかかんとかこれを処理したなどという事態がありました。こういう事態なんかを見ると、これの機能というものについても徹底を欠くという点があるのではないかというふうに思いますが、いかがですか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 私は、調整保管事業は適期に発動されれば相当な効果を持つと思いますし、また、過去の事例を見ましても、調整保管事業を実施することによって魚価の安定を期し得たという事例は非常に多いと思います。と申しますのは、たとえば、ついこの間でございますが、すり身についての調整保管事業をやることにいたしまして、それによりまして、現にすり身の価格はかなり回復しているということは言えると思います。したがいまして、調整保管事業そのものの効果というものは相当大きなものがあるというふうに私は考えるわけでございますが、たまたま調整保管をした、そして在庫になっているものが適期に売れないという事象が起こりました場合に、これが漁業団体に対する非常に大きな負担になって、それが将来まで尾を引くというような実例があることは私どもも承知をしておるわけでございます。これはやはり系統による販売、出荷といったようなものを、そのときそのときの漁業の実態に応じまして的確に、また、適切に行っていくということが非常に重要でありまして、さような指導というものが今後とも必要になっていくというふうに考えておる次第でございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 そのほかに、大水でやっているお魚普及協会なんというものがあって、それに補助金を出すとか、いろいろ、一つ一つ起こった物事に対して、何とかかんとかそれを後追いで一つ一つの施策が出ていっているように、実は私は印象として持っているわけですね。魚価対策というものについては、これは需要供給、いろいろな面を総合的にコントロールしていかなくちゃいけないわけでして、特に、これからの日本人の動物性たん白資源を確保するという点から、それは非常に重要なポイントだと思うのですが、その具体的な、もっと総合的な、体系的な価格安定策が実は要望されるのではないかと思います。これは非常にむずかしいことではあるが、努力しなければならないことであると思いますね。特に、日本人のように魚から動物性たん白を得てきたという民族にとってみれば、非常に重要なことだと思います。これについての努力をこれからどのようにしていかれるつもりなのか、ひとつ大臣あたりからお答えをいただきたいと思います。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○田澤国務大臣 漁業共済制度を健全に運営していくためには、やはり魚価が安定するということはやはり御説のとおりでございます。しかし、御案内のように、水産物価格は同一業種についても変質あるいは鮮度等による価格差が大きいということ、それから水揚げが一時的に、局地的に集中し、需給のバランスが急激に変化するというようなこと等もありまして、農畜産物の価格安定措置のようなことは非常にむずかしいと思うのでございます。したがいまして、いま御議論がございました市場メカニズムの中でこれを進めていかざるを得ない。しかし、いろんな面でやはり総合的に魚価安定のための対策を今後検討してまいらなければならないということは当然だと思うのですね。この漁業共済制度は、同時に、魚価とのかかわり合いを持っておる関係上、そういう点は今後も十分検討してまいらなければならない課題であろう、こう考えます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 過去にこうだったということは余り言ってもしようがないのですけれども、たとえば、コールドチェーンシステムというのがありますね、あれなんかは魚価の乱高下に非常に大きな影響をもたらした、好ましくない影響をもたらしたと思いますね。そして魚そのものを投機の対象としてしまったというようなことがありまして、こういうコールドチェーンシステムというようなもの一つが魚価に大きな影響を及ぼしたという例を考えてみますと、これからもどんどん商品の流通についての技術が進んでまいりますと、魚価というのはまたそういった流通過程の中で振り回される可能性があるというふうな危惧を持っておりますので、そういう乱高下がないように安定対策にはやはり万全を期してもらいたいという希望を申し述べまして、時間の関係もありますので次の問題に移りたいと思います。  今度の法改正の中で一つの大きな問題点としては、加入促進ということについての努力をしておられるようであります。この努力そのものについては、私は評価をいたしたいというふうに思うのであります。ただ、私、漁済の場合、これを取り扱う団体の性格を十分に考えてみなければならないだろうというふうに思うのですが、農協と漁協というのは比較するわけにはちょっとまいりませんですね。農協の場合は信用事業についてもかなりなれてきている。しかし、漁協の場合はそうはまいりません。私なんか、果たしてここいらが信用事業をきちんと営めるのかなという危惧を常に抱きながら漁協を見ているわけなんであります。合併を推進しようという動きとはうらはらに、なかなか合併も思うように進んでいないというのが現状ですね。漁協に行ってみると、かなり年をとったおばさんみたいな人が二、三人職員でいるという漁協も珍しくないのでありまして、こういう漁協との関連をどのように考えていくおつもりなのか、そこいらはどうでしょうか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 今回の制度改正の一つの大きな柱が加入の促進ということにあることは事実でございまして、そのために共済契約の締結制限につきましての要件を改善いたしましたり、あるいはノリ以外の養殖事業につきましての一律契約割合の要件の緩和であるとかあるいは義務加入の対象範囲の拡大であるとかいろいろな対策を今度考えたわけでございます。しかし、もとよりこの対策によりまして加入の増進が私は期し得るとは思うわけでございますが、確かに先生おっしゃられますように、この漁業共済の事業は元請組合が実は都道府県段階にあるという特性を持っているわけでございまして、農業のように市町村段階までその手足がないということは事実でございます。したがいまして、漁業者への直接の接触あるいは加入の促進といったようなことに当たりましては、何と申しましても漁業協同組合に依存する度合いが非常に大きいということはお説のとおりであると思います。  さような意味で、いわば系統組織の一環として漁業協同組合も取り組んでいかなければならぬということでございまして、そのような意味では漁協の系統組織を強化する、そしてまたそこに普及、加入促進の拠点を求めていくということが非常に重要であるというふうに考える次第でございます。さような立場から、合併の助成あるいは新組合の強化というようなことにつきましてもいろいろと対策をとっているわけでございますが、今後ともこの面の対策を強化してまいりたいというふうに考えている次第でございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 漁協の弱体ということは残念ながら事実でありますね。たとえば漁獲の実態というようなものを把握するについても漁協からは実際は把握できないというようなことでありまして、各県の共済組合がお互いに連絡をとり合って把握せざるを得ないというのが実は実態であろうというふうに思います。そういった状況から見ますと、県段階での漁業共済組合は非常に重大な役割りを持ってこざるを得ない、好むと好まざるとにかかわらずここに非常に大きな負担がかかってくる、大きな仕事をしなくちゃいかぬ、こういうことになってくると思うのですが、現実に県段階での、そのレベルでの漁業共済組合を見たらどうかというと、これも決して満足すべきような状況にあるとは私は思えません。職員の研修ももっと必要であろうし、人をふやすことも必要になってくるのだろうと思います。こういうところをもっとバックアップをしていきませんと、それこそ事務的な処理だけでそれぞれの組合がパンクしてしまうおそれさえあるのじゃないか、ふっとそんな不安さえ私持つのですが、いかがでしょうか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 確かに、漁業共済組織の第一線に当たっておられるのは県段階の漁業共済組合でございまして、ここの体制強化を行うことがこの制度の円滑かつ適正な運営について非常に重要であるということは御指摘のとおりであると思います。  事業の開始以来、水産庁といたしましては人件費あるいは事務費等の一部を補助するといったようなこともやっておりますし、また、研修その他の指導にも力を入れておるわけでございます。また、この行財政改革の折に非常にむずかしい事態もあったわけでございますけれども、今日までその体制強化に努めてまいったわけでございまして、今後ともこの育成強化につきましては、むずかしいいろいろな事情はございますが、万全を期してまいりたいというふうに考えている次第でございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 行財政改革のこの時代に、これからもここについての援助、それから、指導をきちんとやっていきますということはなかなか言いにくいかと同情は申し上げるのですが、本当にここのところをもっと強化をしないと、ここいらはかなりむずかしい問題点をはらむのではないかと思いますので、大臣ちょっと退席をされましたが、長官の方からその決意のほどをしっかりと聞いておきたい感じがいたしますね、どうでしょう。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 大臣がお答えするべきところでございますが、かわりましてお答えをいたします。  この共済組合の仕事が漁災制度の適正な運営にとりまして非常に重要であるということを十分に念頭におきまして、非常にむずかしい事態の中でございますが、最善の努力を尽くすつもりでございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 それとも関連するわけですが、今度七十億棚上げという措置がとられましたですね。これも団体との関連になってくるわけですが、中央漁業信用基金に地方自治体が出資をするというのが一つの大きな目玉であります。地方自治体に出資をさせるというのはかなり苦しい工夫だったのだろうというふうにも思うわけです。地方自治体としてみれば、たしか三十億ですか出資をすることになるわけですが、これについて間違いなく出資が行われるかどうか、そこいらは抜かりなく確認しておいでになることであろうと思いますが、後顧の不安を消すために、ここいらはどのような話が進められての措置であるのかひとつお聞かせいただきます。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 漁業共済基金に対しましては、現在、海に面しております三十九の都道府県が合計六億八千五百万円の出資を行っております。今回、三十億の増資をいたします場合に、都道府県の方にもその四分の一をお願いすることになっておりまして、七億五千万円の出資をお願いするわけでございます。実は、この増資につきまして、すでに予算折衝の過程におきまして担当官庁でございます自治省とは十分に調整を行った次第でございまして、関係都道府県による会議も開催いたしましてその理解と協力はすでに得られておるわけでございまして、計画どおりの増資が行われるものというふうに私どもは考えておる次第でございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 日本の現在の社会というのは非常に激しい競争社会でありまして、特にその中で一番激しい競争をやっているのは保険業界じゃないでしょうか。これは最も激しい競争をやっているし、特に、今度はまたアメリカからいろいろな保険なんかがどんどん入ってくるということになりますと、さらに保険業界の競争というのは激しくなってきて、いろいろな保険の企画とか設計なんかもずいぶん進んだ保険をこれからもやることになってこようかと思いますね。そういった保険と、現在の漁済が太刀打ちするといいますか、競合関係になるというのはいまのところはまずないにしても、これからそういう問題が出てくる可能性というのはないとは言えないとも思いますので、そこいらでもっと漁済の団体も十分な努力をされて、漁済に対する信頼感をきちんと得て加入を促進されるように水産庁の方からも指導賜りたい、このように付言をいたしておきたいと思います。  それから漁業共済基金が今度廃止になるわけでありますね。この法案が成立いたしますと廃止ということになりますが、漁業共済基金を廃止する必要はなかったのではなかろうか。ここはきちんと残して漁済の仕事はやらせるべきではなかったかというふうに思いますが、これが廃止されるに至った経緯を少しお聞かせいただきたいと思います。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 この漁業共済基金が廃止されまして、今回の法律の手当てによりまして中央漁業信用基金に吸収するということに御提案申し上げているわけでございますが、これは昭和五十四年十二月に、行政改革の一環ということで特殊法人の整理を進めなければいかぬということで閣議決定が行われまして、その結果、漁業共済基金を廃止するということになったわけでございますが、これは、その機能それ自身は重要な機能を果たしているわけでございまして、機能までも廃止するということはできないことは当然のことでございます。  そこで、漁業共済基金とそれから中央漁業信用基金、この両基金は水産業を基盤としておるということと、いわゆる広義の信用事業とも言える事業を行っているということで共通性があると考えまして、この漁業共済基金を閣議決定の線に沿って承継をいたしますためにこの機能を中央漁業信用基金に吸収することにいたした次第でございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 この共済基金の人なんかはどういうふうになりますか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 中央漁業信用基金の新旧の業務につきましては、今後とも漁業災害補償法及び中小漁業融資保証法の定めに従って実施するということになりますので、法人としては一本化いたしましても、業務の内容なりあるいは仕組みというものには異なる面があるということは当然でございます。そのような意味で、行政改革という立場から特殊法人の数を減らすということで今回このような措置をとったわけでございまして、たとえば、役員数の削減といったようなことは図っていくつもりでございますが、同時にまた、このようなおのおの違った機能を持っておるということを前提といたしまして、その業務に差し支えが出るといったようなことはしないようにいたしたいと考えておる次第でございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 現実に漁業共済基金が廃止になる、そしてその機能は中央漁業信用基金に継承ということになるわけですね。そうしますと私非常に心配なのは、仕事の面で一応は区分はするのだということになりましょうけれども、資金的な面で、共済基金と信用基金の二つというのは全く別の金をいじるわけですね。しかも、これは両方とも非常な赤字を持ったものなんでありまして、そこいらが果たしてうまく仕分けができるのだろうか非常に心配せざるを得ないわけなんですが、そこいらのところは大丈夫ですか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 その点は当然私どもも十分に考慮した点でございまして、今回の承継に当たりましては漁業災害補償関係の業務と融資保証関係業務を勘定区分するということにいたしておりまして、さらに、信用力の基礎になります資本金もそれぞれの勘定ごとに区分して所属させるということにいたしておりまして、融資保証関係の業務の財務が悪化いたしたという場合が仮に想定されましても、漁業災害補償関係の業務に係る円滑な融資が阻害されるといったようなことがないように措置をいたしたつもりでございます。  また、中央漁業信用基金につきましては、確かに、現在の漁業経営が非常に深刻な状態になっているということから、将来たとえば、負債の整理といったようなことを行ってまいりますと、その際、保証保険収支につきましてかなり厳しい事態が生ずるということはあり得ると思っておるわけでございます。しかしながら、これにつきましてもこれに対処するために五十七年度の予算におきましては中央漁業信用基金に大幅に出資を増額しているといったようなこともありまして、これが対応策をとっているわけでございまして、承継後におきましてもそれぞれの業務の運営につきまして政府として十分に責任を持ちまして、適切にこれに対応していくということによりまして、このような合併によりまして問題が生ずることがないようにいたしたいと考えている次第でございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 ちょっと実務的なことを伺いますが、そういう勘定区分をしてということになりますと、貸借対照表は幾つつくることになりますか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 先ほども申し上げましたように、資本金の方も全部分離するということでございますので、貸借対照表は二本できるということでございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 そうしますと、実際は一つの看板のもとに二つ、そして二つの団体の役員を若干減らしていく、そんなことになるのでしょうか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 先ほども申しましたように、これは行政改革のために閣議の決定がございまして、それによって事務の簡素化という角度から役員の数を減ずるといった措置も含んだ対策をとったわけでございますけれども、方におきまして、あくまでも業務は適正に遂行されねばならぬということでございますので、両者を勘案いたしましてこのような御提案を申し上げたということでございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 貸借対照表は二本というお話ですけれども、これは暫定的措置ですか、それともずっとそれは続けていくということですか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 私どもとしましては、これは暫定的な措置であるというふうには思っておりません。

日野市朗日本社会党

○日野委員 特に、信用基金の方は、私に言わしていただけば政府がかなり場当たり的に緊急融資をした、それの再共済の関係でこれから非常に苦しい事態に入っていくだろうと思いますね。そういう苦しい事態にこれからどんどん入っていって、そして莫大な赤字を抱えていくわけですが、それを解消するための抜本的な策というものはお持ちなんですか。たとえば、信用基金がいまやっている事業からすると再共済しているわけですから、いま、緊急資金が、倒産した者を再共済してどんどんふくれ上がってきていますね。ことしは、ちょっと数字は忘れましたが、去年あたりに比べるともうすっかりさま変わりな莫大な赤字になっています。これからは何年間かそういうものが続いていくわけですが、それを解消する抜本的な方策というものは立てているのだろうか、どのくらいこれがふえていくのか、そこらの見通しも立てておられるのだろうか、伺います。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 この点につきましては、将来、確かに信用基金の側におきまして、いわゆる代位弁済ということが行われてまいりまして、それに伴いますところの保険の支出というものが相当多くなっていくということは事実だろうと私は思います。ただ、今回の五十七年度予算でも御説明申し上げておりますように、私どもとしましては、単に従来のような経営安定資金なり燃油資金なりというものをどんどん貸していくという政策がいいことであるかどうかということにつきましては、このような対症療法的な措置にのみ頼るよりも、むしろ基本的な生産構造の改善対策というものをとるべきであるというふうに考えておりまして、このために三百五十億の負債整理資金も新たに設置したところでございますし、それからまた、共補償資金あるいは省エネのための諸般の対策、これに伴う構造改善資金等も用意いたしまして、まず体質の強化を図っていくということを考えておるわけでございまして、さような面で、一方的に基金に対する求償権、代位弁済がどんどんふえてくるといったようなことをなるべく防いでいくという基本的な考え方のもとに制度を仕組んでいる、また今後の対策を考えているということでございます。  しかしながら、それにいたしましても、基金に対する保険金の支払いの要求というものはふえてくるだろうというふうに考えますので、先ほども申し上げましたように、五十七年度予算では二十四億の増資を図って、これに対する対応策を考えているということでございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 最後に伺いますが、事業不足金のうち七十億を棚上げにするということであったわけですが、七十億とした根拠、そして七十億をこれから十年で償還するのは、私はかなり見通しはきついぞというような感じを持つのですが、これは、これから何年かのうちにもつとふくらんでいくというようなことも考えられての処置でしょうか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 まず、七十億という積算をいたしました根拠でございますが、漁業共済団体の累積事業不足金の一部は、当然当該団体、つまり、共済団体の自己資金で対応する部分がございます。したがいまして、資金繰りから漁業共済基金の貸付金に依存しているのはその残額になるということになります。そこで、今回の事業不足金の対策は、この借入金の金利負担の軽減ということを目的としたものでございますので、百四十八億円のうちから共済団体の保有掛金額等を引いております。それによって七十億という積算をいたしまして、これに対する利子の貸し付けを行うということにいたしたものでございます。しかしながら、無利息の貸し付けをいたしまして、その無利息の貸し付けによりまして、この漁業の共済基金あるいはこれを引き継いでいきますところの信用基金に赤字が残っていくということになっては当然困りますので、先ほどの出資を国あるいは都道府県団体からいたしまして、その運用利息によりましてこの赤字を解消するということを考えているわけでございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 では、時間が参りましたので終わります。

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十四分休憩      ————◇—————     午後一時三十五分開議

亀井善之自由民主党

○亀井(善)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田中恒利君。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)委員 私は、午前中の日野委員の質問に重ならないように、なお、日野委員の質問の中で若干お尋ねをしなければいけない問題があるように思いましたので、その点からまず入らせていただきます。  先ほど来、漁済団体の百四十八億円の事業不足金、通称赤字と言われるものの原因につきましていろいろな理由を長官は述べられまして、特にこの二百海里の規制の問題で、昭和五十三年の太平洋小型サケ・マスの出漁の問題については複合的な理由があって、二百海里規制がどの部分かというのはなかなかわからないので、共済の対象としてこれを処理した、こういうことでありました。そういう御事情もあったと思いますが、この問題で今後きちんとしておかなければいけないのは、二百海里問題というのは、北朝鮮あるいは南太平洋漁場、これはこれからも問題としてはまだ相当発生してくるわけでありますが、そういう場合に、二百海里規制に基づいて国が責任を持たなければいけない場合というか部分というか、同時に、漁業共済組合が漁災法に基づいて処理しなければいけない部分、この部分の区分けというか基準の判断になるものは一体何なのか、この点をまず最初に、一般的なことになるかもしれませんが、お尋ねをしておきたいと思うわけです。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 先ほど、昭和五十三年の太平洋小型サケ・マス流し網漁業に関しますところの共済金の支払いにつきまして、この事故はある意味では複合的な事故であった、やはりそこにはいろいろな事情が幾つか介在いたしましてあのような事故になったということを私申し上げました。ただ、共済金のサイドから見ますと、これは不漁という理由が立ち得るわけでございますから、その際の共済金の支払いはさような理由で支払っておりますということを申し上げたわけでございます。しかし、これから生じますところの海外の漁場の確保の関係と関連いたしまして、共済事業の運営について幾つかこれから考えなければならない問題があるということも申し上げたわけでございます。  そこで、これからどのように対応するかということでございますが、先ほどから申し上げておりますように、当然共済金として支払うことが適当でない部分あるいは場合というものにつきましては、これは何らかの措置をとって指導をいたしまして、これに対する新たな赤字負担を共済事業にしょわせないということを考えてまいらなければならぬわけでございますが、そのような基本的な立場に立ちましても、これから起こります事象というものにはいろいろな形態があろうと思います。たとえば、じわじわと来る二百海里の問題もありましょうし、急速に来る場合もありましょう。それから全面的な漁場の喪失というような問題もありましょうし、また部分的な場合もあるだろうし、あるいは規制の強化という関係でこれが来るといったようないろいろなケースがございます。  そこで、共済のサイドから考えました場合には、極端な場合にはもちろん引き受けを拒否するというような法的な措置をとらなければならぬ場合もありましょうし、あるいは先ほどの五十三年の小型サケ・マスのように補償水準の引き下げというケースで対応する場合もあるだろう、あるいは契約割合を変更するといったような対応の仕方もあるだろうと思います。それはそのケースに応じまして適切な指導をしていくことが必要であろうということを申し上げたわけでございまして、共済金の支払いをする場合におきますところの状況、どういう事情からどの程度のものがどんな状態で起こったかということによって適切な指導をしていこうということを申し上げた次第でございます。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)委員 ケース・バイ・ケースで処理したいということのようですが、そういたしますと先ほど質疑がありました北朝鮮の問題、この北朝鮮の問題は日本政府はできれば話し合いをしたいがということですが、一方では外務省のように向こうが交渉団が入るというのを入らさないというわけでありますから、これはこのままいけば話し合いができないので、期限が来れば決裂するわけであります。こういう場合には、そういたしますと政府が責任を保証というか、政府保証のものに該当するのか、たとえば、漁済の対応で処理しようとするのか、どういうふうになるのでしょうか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 もとより、私どもといたしましては北朝鮮の水域における民間の暫定協定が、民間ベースの交渉によりまして何とか妥結するということを期待しておるわけでございまして、さような意味では、そういう不測の事態を想定することははなはだ嫌なわけでございますが、お尋ねのように万が一さような事態が起こりました場合におきます対応でございますけれども、これもいかなる措置を向こうがとってくるかということによってまた変わってくると思います。それからまた同時に、どの程度までの漁獲量の減が出るか、たとえば、イカ釣りの場合でございますと、もちろん北朝鮮の水域だけでとっているわけではございません。したがいまして、さような漁業の種類あるいはその漁業の種類について出てくる仮に協定が切れた場合の効果、そういうものを判定いたしまして、その中で最も適当な対応策はどういうものかということを指導していくことになろうかというふうに思う次第でございます。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)委員 いろいろありますが、もう一つ日野委員の質問に関連して私ちょっと疑問に思っておりますのは、太平洋サケ・マスの場合何か十トン未満の船はもう三百隻余りの中でわずか数隻、あとはほとんどそれ以上の船であった。こういう違反船に対して共済金が支払われておるわけですね。こういう問題がこれからまた起こらないとも限らないと思いますが、これについてはそういう形で出漁しなければいけないという漁業の実態があると思いますが、こういう問題は今後どういうふうに取り扱ったらいいのですか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 先ほどもお答えをいたしておりましたように、あのケースにおきましては本来、知事許可漁業のもとに九・九九トンという十トン未満の船型の登録トン数の船であったわけでございますけれども、これが事実上は非常に大きな船であった、実トン数が大きかったという状態でこの問題が発生したわけでございますが、しかし私どもとしましては、あの場合には先ほども御答弁申し上げましたように、同時にその漁船が操業いたしておりました水域にサケが回遊してこなかったという事情から、これを共済金として漁獲の減という形でお支払いすることにつきましては理由があったと私は思っておるわけです。つまり、逆に申しますれば、これが複合的な理由ではなくて、全く漁獲が不漁という状態のもとに、つまり、海況なり漁況なりの変動というものがなくして、これだけの事由でこれが共済金の支払いの対象にはなり得なかったと思うわけでございます、そのように私御答弁申し上げておるわけでございます。  そこで、今後の問題でございますが、このようなトン数につきまして、特に、国際的な関係の条約上の遵守の問題といったようなことでこのような事故が起こるということははなはだ適当ではないことでございまして、私どもといたしましては、さような登録トン数よりも実トン数が多いといったような事態が起こらないように、漁船行政の上できちんとやっていくことが必要であろうと思っております。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)委員 よくわかりますが、あなたのところは何かこの問題はなかなかしんどいいろいろな内容がある。われわれから見れば、そういう問題があるから共済——これは日ソの地帯の二百海里規制の問題と絡んで、政府の方が責任をとらなかったのを共済の方にあれさせた、それは不漁という形でやらなければいけない、そういうところがいままでの水産庁の考え方に流れておるのじゃないかというように私どもは理解しておるわけですが、いずれにせよケース・バイ・ケースで、具体的になって見た場合のあるいは向こうの出方、こちらの実態、そういうものに基づいてさまざまに処理していくということでは、これは漁災法なりあるいは共済理論なり保険理論なりのたてまえからいって、きわめてあいまいな感じがするわけでありまして、少なくとも二百海里規制に伴ういわゆる補償なり共済なりについてはこういうふうな条件、こういう類型、そういう程度のものは明らかにしてもらわないと、これから共済組合にしてもわれわれにしてもこの問題の対応が非常にわからなくなるわけですよ。そういう点はできるだけ早急に明確に、そういう仕様というか基準というものを明らかにしてもらいたい、こういうふうに思っておりますが、いかがでしょう。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 生じます事態が非常に多岐多様にわたっておりますことと、これが予測がなかなかつかないという問題、さらにこれに対応するわが国の漁業の側の対応もなかなか多岐多様にわたっているということで、一律にこれを律することはなかなかむずかしい問題であろうと思いますけれども、先生のおっしゃられることもわかりますので、今後の研究課題にさせていただきたいと思う次第でございます。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)委員 時間がありませんので、私もいろいろ御質問申し上げたいわけですが、ひとつ要点をしぼって質問させていただきますが、この百四十八億円の漁済団体の持っておる事業不足金、つまり、赤字でございますが、この処理について予算等で一定のあれを示されておるわけですが、もう一度ここでちょっと示してください。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 まず百四十八億円の赤字のうちで、無利子の棚上げ措置をする分が七十億円でございます。この七十億円につきましては先ほども御答弁いたしましたように、共済団体側も自分の保有の掛金でこれに対応できる分がございますから、その分を差し引いて七十億円という計算をいたしまして、これについて無利子の貸し付け措置を講ずるということにいたしたわけでございます。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)委員 あとの七十八億円は、共済の掛金のいろいろな操作の中で一応運用ができておるからこれはそのままにしておくということですが、七十億の分は十年までにこれは掛金を上げるということで、一年間七億円掛金アップということが考えられるわけですね。七十八億の場合は十年とも限らずにその後何となく、いずれにせよこれを消さなければならないわけですが、それについてはどのようにお考えですか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 七十八億の分につきましては、これは団体の内部で手持ちの掛金もございますし、団体の責任において処理ができるということであると考えております。  それから七十億の分につきましては、先生おっしゃられますように、これは将来の掛金率の増になってくるということになりますが、これが、私ども現在推定いたしておるところによりますと大体六パーミル、千分の六ぐらいではないかと考えております。ただし、これにつきましては一方で、今回加入の促進という措置を法的にもとってまいりますし、また同時に、漁業の実態に即した形で共済事業を運営できるように御改正をお願いいたしておりますので、そのような措置がとれますれば掛金率そのものが一方で下がってまいります。したがいまして、双方相殺いたして考えますと、漁民の負担が増高しない形で処理ができるのじゃないか、そのように処理いたしたいと考えている次第でございます。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)委員 いずれにしても、これは共済ですから、百四十八億は現段階、五十五年末ですね。ですから、これは恐らくふえておるはずです。約二百億、相当ふえておると思いますが、これは足らないし、赤字でありますから消さなければいけない。消すということになれば、一つは掛金を上げるか国庫補助をふやすか、支払いの方を何か軽くするか、その三つしか大きな流れはないと私は思うのです。今度、この法改正が出ましたが、私も水産庁から非常にまとまっておる資料をいただきました。各項目ごとに一々細かく言いませんが、これを見ると、メリットは掛金が下がります、ざっとこう書いてあるわけです。しかし、この百四十八億という今日の事業不足金の圧力というものは、この改正をやったって、掛金はさて下がるのだろうか。これは個別には下がるはずですよ。ハマチの足切りをやるし、契約期間は長くするし、個別には下がるでしょう。しかし、それは理屈であって、現実の実態の共済制度の財政収支というものは、この改正で本当に下がるのか。新しく入ってこられる皆さんは、こういう資料を見たら、安くなると思って入るかもしれませんよ。しかし、実態はなかなかそんなものではないんじゃなかろうか。七十億、一年で七億、千分の六ですか、それだけのものが重なっていく。あとの七十八億というものも何らかの形で重なっていくわけなんです。そうすると、果たして下がると言い切れるのか。いま長官は、できるだけ軽くするようにと言われましたが、この改正で、漁民の負担すべき掛金というものは一体どういう方向になっていくのか、この点をこの際ひとつ明らかにしておいていただきたい。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 仮に、この制度改正が十年前に行われたということを仮定いたしましてロスレシオをはじいてみますと、一〇三ぐらいの数字になるということでございます。現実のロスレシオは一二〇を越しておるわけでございますから、したがって、今回の制度の効果というものは相当程度あるというふうに判断できるわけでございます。しかも、この過去十年というのは、御案内のように、昭和五十二、五十三年という非常に大変な年を経験したその中でのロスレシオでございますから、もしもこのような大変な時期におきましてもこのような制度改正が行われていたら、一〇〇ちょっとという状態であった、こう考えられます。したがいまして、今回の改正はこの損害率をかなり落としていくという効果が明確でございますので、そのようなことから掛金率も当然落ち得るはずであるということを申し上げておるわけです。  一方で、この七十億の処理ということもございますが、これが大体千分の六ぐらいの掛金率の引き上げになりますので、そのようなものを相殺いたしますると、それほど掛金の増高を招かない、つまり、漁民の負担が多くならない形でこれが処理できるのではないかということを申し上げた次第でございます。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)委員 それは七十八億というのは操作ができるから構わないんだという考えでしょう。七十億だけでしょう。しかし、七十八億というのは実体があるのですよ。共済会計の中で、これは次から次へ順送りであれできるから構わないというお考えでしょうけれども、場合によってはなかなかそうもいかない面もあるので、それを考えると、そう簡単なものではないんじゃなかろうかと私は思います。  それからもう一つは、これから新しく入ってくる方、その人々は、ある面では七十億なり百四十八億のいわゆる過去債務というものを持たなければいけないことになるんじゃないか。こういうものについては、この改正の論議を通して一体どういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。これもあわせてひとつお聞かせいただきたい。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 この点についてはこのようにお答えをいたします。  まず、七十八億の分でございますけれども、これは先ほど申し上げましたように、保有掛金額をすでに共済団体側で持っておりますし、かつまた、責任準備金も持っておるわけでございます。したがいまして、これに団体として対応できるという状態でございますから、七十億と切り離してこれは転がしていけるという前提で申し上げているわけでございます。これが第一点。  それから第二点は、これから入ってくる人については、七十億の分担の部分については、原因がないにもかかわらず新たな債務を負わせるのではないかという御質問だろうと思いますが、共済事業というのは長期の均衡に立って考えておりますので、そのときそのときに、加入なさっておいでになられる方に、その時点における掛金を負担していただかなければならぬということから仕方がないわけでございまして、過去におきましてもいろいろな掛金率の改定がございましても、それは増高した場合には、常にその前の分というものをその増高の原因については切り落として掛金の御負担を願うということはないわけでございますから、これは長期均衡のもとに入っていただくということ以外にはないだろうというふうに思うわけでございます。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)委員 私は、党の方では養殖共済を中心に質問せよというふうに仰せつかっておったわけですが、若干別な質問を申し上げましたけれども、この養殖共済二百二億のうちの百六十二億、八〇%はハマチ養殖であります。ハマチ養殖のその理由は、病害が非常に多くなっておるということですが、この原因をまずちょっとお示しをいただきたいと思うのです。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 ハマチ養殖における魚病被害の大半は連鎖球菌症と類結節症でございまして、これらの魚病は常在性の細菌に起因するものでございますが、過密養殖による健康度の低下、あるいはえさの与え方による自家汚染といったようなものが、発病の間接的原因になっているというふうに考えております。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)委員 もう一つお聞きをしておきます。  今度の改正で、ハマチ養殖の魚病の多発地帯には足切りをやるということでありますが、足切りをやらなければいけないというたくさん病気が発生して共済金がたくさん出るところと、全然ないところ、こういうふうな傾向が非常に出てきておるから、その辺をある程度ずらしていく、これは考えとしてはわかるわけです。しかし、足切りをやられるところになってみるとこれはいろいろ問題があるわけでありますので、こういう病気が非常にたくさん発生しておる地域に対しては、別途に、発生をなくしていくような具体的な政策がやはり必要だと思うのです。そういうものに対して何かお考えになっていらっしゃるかどうか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 今回、常習的なハマチの病害の地帯につきましては、いわゆる足切りの制度を導入するわけでございますけれども、この漁業共済事業は広範な事業者が利用しているということで、また、そのような利用の状態をつくらなければいけないということが一方でございますし、また同時に、事業運営の健全性を確保するということも、この事業運営に当たっては非常に重要なことでございます。そこで、これ以上、常習地帯におきまして常に病害が発生してくるといったような事態が起こりますと、どうしても掛金率が上がる、それによってまた加入率が下がる、悪循環になって加入が非常にまずくなる、と同時に、事業運営の健全性が図られないということを考えて、足切りの措置をやむを得ず導入するということにいたしたわけでございますが、一方、足切りを適用する地域につきましては、当該地区における足切り割合を具体的に定めるために基準を設けまして、これによりまして地域の漁業者の意向も十分酌み取りながら、三割の範囲内において足切り率を変えていくということも考えております。  そのようなことで実態に即した足切り率を設定いたしますが、同時に、田中委員がおっしゃられますように、根本的な問題は、このような常習地帯においてもできる限り魚病を起こさない、あるいは起こしてもこれを軽度に済ませるということが非常に重要なことであり、この対策が求められるということは当然のことでございます。したがいまして、魚病問題につきましては、漁場の汚染をできる限り防止するということで、関係省庁とも協力をいたしまして一層努力いたしますと同時に、漁業者に対する養殖管理についての適切な指導、あるいは魚病の発生の未然防止といったようなことに努力いたしますし、また同時に、魚病対策総合検討会の検討を踏まえまして、たとえば、魚病の技術者の教育あるいは防疫技術の開発といったような分野での施策を総合的に実施することによりまして、このハマチの養殖事業につきましての共済事業を健全化していくということを考えておるわけでございます。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)委員 ハマチの養殖というのは、言ってみますと、一つはえさですね。ともかくイワシの半分腐りかけたようなえさをばらまいて、それが下に沈でんしてヘドロになって海を非常に汚しておる。これが連鎖球菌といったような状況をつくる。ですから、漁場の環境整備をどうしていくかというところが最大の問題だと思うのですよ。そういたしますと、たとえば、ハマチにしてもいまたしか一つの生けすに二千四、五百匹入れておると思いますが、昔はもっとたくさん入れておった。昔は生けすが六メートル四方でしたが、いまは十メートル四方まで大きくなっております。一つの生けすの中に飼育する適正な数はどの程度がいいのかという問題が一つあると思います。  それから、農業でしたら病害虫防除のためには薬を散布して、予察事業から始まっていろいろなものがありますね。私は、漁業だってつくる漁業ということでこれほど大号令をかけておるわけですから、病害虫防除を、ハマチなどのように多いところはむしろ義務づけるぐらいな考えで相当強い指導で、しかも、それは国としても一定の防除費の援助など農業の例があるわけですが、そういうものをやって、漁場の環境整備をどうしていくかというところが一番の問題なんですよ。そういうところに水産庁はもっと力を入れてもらわなければならないと思うわけです。ですから、これは恐らくあなたのところもりっぱな技術陣を持っておるわけですから、大体どの程度の飼育をやれば病気が起きないのかというようなこともある程度試験結果としては出ておると思うのです。そういう行政指導の強化あるいは別途対策として魚の病気の防除対策に対しての予算なども考えてもらって、銭がないからなかなかしんどいと言われるんだろうが、それをやらないと海はきれいにならないし、できないと思うのですよ。そういう点を考えておるわけですが、どうでしょう。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 田中委員のおっしゃられること、まことにごもっともだと思います。特に、中高級の魚介類に対する需要の拡大がございまして、ハマチ養殖が非常に着実な伸びはいたしておりますが、一方、小割りの生けすを濃密に漁場内に設置したり、あるいは生けすのハマチの収容密度が高いというようなことのために漁場が老化するといった現象が起こっておることは事実でございます。  そこで、水産庁といたしましては昭和五十三年に「はまち養殖に関する指導方針」というのを出しておりまして、一つは維持すべき漁場の水質基準、二番目が地域の実情に応じた収容密度、たとえば、夏場の閉鎖性内湾における小割り生けすの放養密度の目安は立方メーター当たり七キログラムということで、こういう指導の基準を設定いたしております。それからまた、県による漁場診断の実施といったようなことについて指導してきているところでございまして、これに基づきまして養殖関係県のほとんど、愛媛県も含んでございますが、各県の漁場の実態に応じまして漁場面積に占める小割り生けすの面積割合あるいは小割り生けすことの収容密度等について基準を定めております。これによって指導をいたしているところでございます。  それからまた、国としてはこのような適正養殖についての指導を続けると同時に、沿岸漁業の構造改善事業あるいは沿岸漁場の整備開発事業、地域栽培養殖推進整備パイロット事業等によりまして漁場の老朽化の防止、さらに漁場の造成改良、たとえば、底質土のところを改良していくといったことも含めまして、漁場の管理に当たっていきたいと考えておる次第でございます。  それから、いま一点先生がおっしゃられました防除体制をもっと強化したらいいじゃないか、特に、農業共済の方でも病虫害の防除事業もやっているじゃないかというお話でございますが、私ども、その考え方につきましてはお説のとおりだと思います。ただ、現在の段階では、まだ魚病の関係は農業の方の病虫害ほど研究が十分いっておりません。特に、ハマチの養殖については病害の発生のメカニズムと申しますか、その解明がまだできておりませんで、これができませんと防除措置を検討するということがむずかしい段階でございます。  現在、五十七年度予算から考えておりますことは、どのような状況のもとに、つまり、常在菌でございますところのこのような連鎖球菌というものがどの程度まで、ある一定の水域内に発生した場合には、魚の方がどのような健康程度になるとどのようなことが起こるかというこの関連メカニズムを解明いたしませんと予防がなかなかできないということで、実は、すでに地域の水試も使いましてこの試験研究を始めるというところでございます。このような研究の成果を待ちまして、効果的な予防措置を考えまして、これができますならば養殖共済についてもいろいろな今後の対策の展開ができるというふうに考えている次第でございます。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)委員 私も、連鎖球菌の症状を私の地域において少し調べに行きました。京大からと私のところの地域大学の学者を入れて議論もしましたが、確かになかなかむずかしい。専門学者すらまだいろいろの意見があるようですが、これは早く研究体制も強化していただいて何とかしないと、せっかくのあれが効果が上がらないと思います。  それで、今度は真珠共済についてちょっとお尋ねしますが、これは物共済ですが、真珠共済の責の単価は幾らに見ておりますか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 真珠で百十円、真珠母貝で三十五円であります。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)委員 どういう根拠でこの単価は出しておるのですか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 この算出は昭和五十二年度の漁業経済調査報告の漁家の部を資料として雇用労賃、核代、母貝代及び施設の減価償却費等の経費を求めて、これを基礎数値として一つの責当たりの共済価格を算出したものでございますが、何分にも年次が古かったので、現在の単価は五十五年度で真珠については一三七・五%、母貝で一四〇%と大幅にアップさせて決めている次第であります。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)委員 五十二年の漁業調査というのは——もうお答え要りませんが、たしか件数は三十数戸じゃないかと思いますが、大変わずかな漁家であります。私のところで調べたものを見ると、この責の単価が大変安い。多少は違いますが、四百五十円、四百八十円、五百円、五百二十円とか、われわれのところでは平均五百円と言っています。母貝が三十五円ですが、これが五十円内外であります。非常に実態に合っておりません。ハマチはたしか三千七百五十円、これは市価とほぼ同じだと思いますけれども、ホタテガイもどうも真珠の貝の単価と同じような傾向だと聞いております。私のところはハマチ養殖をやっておりますけれども、どうも単価が非常に安いということで関係者の方から非常に強い要望や意見が出ております。これは聞いてみると全国的に、多少地域的にアンバランスがあるようでありますが、しかし五倍も実態と差があるようなものでは、これでは入れと言ったって入るわけはないので、早くこれは再調査もしていただくし、当然これは予算との関係もあると思いますけれども、実態が実態ですから直すところは直してもらいたい、こういうふうに思います。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 ただいま先生もちょっとお触れになりましたが、予算との関連がございますので、いま直ちにここで改定をいたしますということを申し上げられる状態ではございませんが、さっそく調査をいたして、これが調査の結果を見て、見直しを行ってまいりたいと考えております。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)委員 ノリの養殖共済について。  浮き流しの養殖の施設を今度施設共済の対象に入れられるということでありますが、これは結構であります。このノリ養殖共済については、四十九年からすでに八年間試験実施が行われておるわけですね。二本立てになっておるわけですが、実際に二つの共済の型があるというのはおかしい。やはり試験研究を本格実施に移行しなければいけない。八年たっておるわけですが、何か数字ができていないとかというような意見を聞くわけです。しかし、もう七年も八年もやってまだ本格実施への移行ができないというのは、そのことよりもむしろノリのいろいろな不安定な状況でちょっと瀬踏みしておるのじゃないかと私は思います。いずれにせよ、本格実施に踏み込んでいかなければいけないわけですが、いつごろ踏み込んでいくおつもりですか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 ノリの特定共済については、新しい養殖技術でございます浮き流し式を中心にいたしまして加入が見られておるわけでございますけれども、依然、従来の養殖共済の需要も根強く残っておりまして、この双方が併存している形になっております。  そこで、特定養殖共済につきまして見てみますると、これ自身が果たしてノリ養殖業者の共済需要を十分に満たした仕組みになっているかどうかということは問題があろうというふうに考えまして、今回も施設を取り込むと同時に、ノリの特定養殖につきましても改善を行ったという状況でございます。このような改善の効果、これも見ました上で、また実際のところを申しまして、ノリ養殖経営の構造的変化がやはり進んでいるということも決して否定をできないところでございまして、これらの状況を十分見守りまして、現時点ではいつという判断を下すわけにはまいりませんが、当分の間、試験の実施をいたした上で本格実施に移りたいというふうに考えている次第でございます。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)委員 時間が五分しかないそうですから、あと重要なのを一、二一括して御質問をしておきたいと思います。  一つは、先ほど来も御質問がありましたが、漁業共済のいわゆる手法はPQですね。PQというのが現実に機能しがたいような漁業をめぐる客観情勢がやはりいまある。したがって、価格の乱高下の問題から入ってPとQとでなかなか適正な基準価格というのが出てこない、こういう問題があるので、私どもから言わせれば、これは専門的に入っていくとPQにプラスアルファ何がつくか、こういう問題があると思うのですね。ですからその一つは、先ほど来日野さんの方から御質問があったいわゆる魚価対策というものが本格的にどう出ていくかという問題がありますが、それはさておきまして、当委員会の漁災法の、すでに二度ですか、質疑を通して幾つかの問題が出て、附帯決議などがなされております。四十九年の本法改正の附帯決議の中には「漁獲共済における共済限度額並びに養殖共済及び漁具共済における共済価額については、漁業実態の推移に即応して適切な措置を講ずること。」こういう事項が、これは第一項目にあるわけですね。  そこで、PQの、大きな問題ありますけれども、細かいたとえば、現在、漁獲共済というのは三年間の平均に八〇%を掛けていわゆる基準限度額というものが、共済限度額というものが出ておるわけですね。こういうものをたとえば、三カ年というものをどうするか、あるいは八〇%というものをどうするか。特に、いまのように共済団体が抱えておる相当な事業不足金といったようなこういう特別な事態、こういう中での運用については、この辺の問題についてももう少し弾力的に考えていいんじゃないか、こういうふうに考えるわけでありますが、これらの点については水産庁はどういうふうにお考えになっておるのかということが一つ。  それから、この責任分担の区分でありますが、これは今度の改正の中でいわゆる連合会ですね、共済の連合会の負担というものが非常に重くなっておるということで、単位組合、県段階の組合と連合会との負担を一〇%、一五%にしていく、こういうこと。それから国の区分は、保険区分を、あれは八つですか、それを幾つにするんですか、ちょっとたくさん分けられますね。そういうことになっておりますが、本来、いわゆる一・三ですね。一・三までは共済組合でというのですね。この一・三を一・二なり一・一なり、ともかく下げるということを、この中でもやれるんでしょうけれども、思い切ってこの一・三を一・二なり一・一なり極端に言えば一・〇なり、そういう制度にやはりやるという考えはないか。この点も本来、農業共済などであれば通常災害は共済で見て、異常の場合は国が見る、こういうたてまえがあると思うのですけれども、この場合だってそういう意見はなきにしもあらずだと思いますが、こういう責任区分の問題について今回の改正の中でどういうふうな議論がなされ、今後どういうふうに考えていくのか、これをこの際明らかにしておいていただきたいと思います。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 確かにPQ方式の実際の運用に当たりまして、限度額率等をいじりまして、それで弾力的な対応を図るという考え方もあろうかというふうに思うわけでございますが、しかしながら、先生も御案内のように、漁獲共済の補償水準は基準漁獲金額に限度額率を乗じて算出するわけでございますけれども、この限度額率というのは、一つは経費の率という考え方もございますけれども、やはり損失の一部というものは漁業者の方も負担をしていただくということによりまして、通常の漁獲の努力を期待し、または共済事故発生の確率を一定の範囲内に抑えるという効果を持っておるわけでございまして、その意味では自家保険と申しますか、そういった要素も持っているんじゃないかというふうに考えるわけでございます。  この点につきましては、従来から何度が改正もいたしまして、実は現在の段階では、先生百分の八十と申されましたけれども、百分の九十を超えない範囲内というところまできておりまして、かなりいっぱいいっぱいのところまで実は限度額率を上げ得る状態で省令を決めているという状態でございます。そこで、これ以上上げるということになりますと、自家保険部分がなくなるという状態の保険もできてまいりますし、また確かに現在の漁業経営の中には赤字の経営になっている。したがって、九十どころか百十というようなそういう経費の支出の状態になっているところもあろうかと思いますけれども、しかしながら、これは限度額率を上げていくということではなくて、やはり基本的に経営の内容を改善していく。たとえば、省エネの推進だとか、あるいは水産構造の再編といったようなことを行いまして、それによりまして適正な限度額率のもとにおいてもこのPQの共済が成り立つというような方向に持っていくということが正しい方向ではないかというふうに私は思っております。  それから、第二点の保険区分でございますが、保険区分につきましては、国の保険責任の分と、それから漁済連との間の責任分担を明確にして、現在はいわゆる総額超過損害再保険方式というものをとっているわけでございますが、現在の保険区分は、漁業の実態が変わってまいりました結果、必ずしも適正にこれが対応できないということがございまして、実は今回、従来まで七区分でございましたものを、漁獲共済、養殖共済含めまして、全部で漁獲が八、それから養殖が五という区分にいたすつもりでございます。しかも、その場合の先ほど申されました一・三という数字でございますが、これは保険区分に従いまして、現実に実態に合わせた形でこの比率を決めていくというふうに考えておりまして、一・三よりも下がるものもございます。さような状態で処置をしていくというふうに考えておる次第でございます。

田中恒利日本社会党

○田中(恒)委員 大臣に最後に御所信のほどを承って質問を終わりたいと思います。  先ほど来いろいろ御質問申し上げてきたところでありますが、日本の漁業は二百海里規制の問題から漁場汚染の問題から、あるいは燃油価格の高騰、ともかく非常に厳しい状況にありますが、その中でやはり沿岸漁業の振興ということが非常に大きな政策目標になっておりますし、その内容の中につくる漁業、こういうことも言われて久しいわけでありますが、しかし現実はなかなか思うように進んでいないわけであります。漁災法の審議を通しましてもやはりいろいろその厳しい局面が出てきておるわけでありますが、この際、特に、わが国の沿岸漁業、中小零細漁業振興のために今後どういう御決意と政策の方向を掲げてお取り組みいただくか、最後に大臣の御意見をお聞きをいたしまして私の質問を終わらしていただきたいと思います。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○田澤国務大臣 御指摘のように、二百海里規制の強化あるいは燃油価格の高騰の中で期待される漁業は、沖合いあるいは沿岸漁業の振興だと思うのでございます。したがいまして、私たちとしてはいま漁業災害制度を健全に運営することによって沿岸漁業のいわゆる経営を安定させるということも、これは当然やらなければならないと同時に、やはり沿岸漁業の振興のためにも最大の努力をしてまいらなければいけない。したがいまして、今回は漁港整備長期計画あるいは沿岸漁場整備のための長期計画を設定いたしたわけでございます。  それを基本にしながら、私たちといたしましては次の五つの点に重点を置いて今後この沿岸漁業の振興のため、つくり育てる漁業の振興のために努力をしたい、かように考えておるのでございます。  その第一は、漁業経営の改善あるいは維持安定のための長期低利の資金の融通でございます。第二番目は、沿岸漁業構造改善事業等による共同利用施設等の整備でございます。それから、漁港及び漁村生活環境の整備を進める。第四番目には、水産物の流通確保の合理化による水産物価格安定と消費者に対する普及、啓蒙等による水産物の消費の拡大をする。最後に、漁場環境の維持保全対策を積極的に進めることによりまして沿岸漁場の整備、振興を図ってまいりたい、かように考えております。

亀井善之自由民主党

○亀井(善)委員長代理 武田一夫君。

武田一夫公明党・国民会議

○武田委員 漁業災害補償法の一部を改正する法律案につきましてお尋ねをいたします。  昭和三十九年の創設以来、この制度は、中小漁業者の相互救済の精神を基調とした共済事業でありまして、その事業を通して漁業経営者の経営の安定に非常に重要な役割りを果たしてきたということでありまして、私は、それは事実として認めなければならない、こういうふうに思うわけであります。  しかしながら、最近いろいろと情勢の変化がございまして、特に、わが国の水産業界を取り巻く環境は非常に厳しい、そういうことでございまして、私は、この厳しさはこれからも一層強まるのじゃなかろうか、こういうふうに思うだけに、この中身、経営の安定という問題一つとりましても、政府が取り組まなければならない重大な問題だと思っております。そういう意味で、今回この法の改正に当たりまして、私は、共済事業というのが、一層中小漁業者の経営の安定のために機能が十分に果たせるような内容のものとしての改正を心から期待をしているわけであります。そういう意味でいろいろと中身を見ながら考え、あるいは疑問の点などございますので、その点まず確かめながら質問をしていきたいと思います。  まず最初に、いま大臣が水産業に対する五つの今後の対応の仕方をお述べになったわけでありますが、大臣は、日本の水産業は今後どういうふうに推移していくというふうに考えられているか、その見通しをいかがお考えであって、そのためにはいま五つのこういう対応策をやるという発言がありましたけれども、ここ四、五年特に強調するべき対応策として考えられていることが何かあるものかどうか、この点をひとつまず最初にお伺いしておきたいのであります。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○田澤国務大臣 御承知のように、二百海里規制の強化あるいは燃油価格の高騰によりまして、水産業の置かれている現状というのは非常に厳しいのでございます。しかし、国民の動物性たん白質の重要な供給源としての水産業の役割りというのは非常に大きいわけでございますので、したがいまして、私たちとしては、まず一つは、沿岸漁場の整備を思い切って図るということ。それからもう一つは、漁業外交を強力に進めることによって遠洋漁場の確保をしてまいらなければいけない。さらに、燃油価格等の高騰あるいは二百海里規制等によって経営が非常に不安定な状況にございますので、そのための金融措置あるいは援護対策を進めてまいらなければならない。さらに、水産物の需要は非常に落ち込んでおりますので、それに対する対策を基本的に進めてまいらなければならない。  確かに、いま御指摘のように非常に厳しい状況にございます。新しい秩序をつくるまでに、私たちとしてはかなり苦労もしなければならない、新しい努力もしてまいらなければならないと思いますけれども、ただいま申し上げました点を基本にしながら、今後積極的な水産振興の対策を進めてまいりたい、かように考えております。

武田一夫公明党・国民会議

○武田委員 そういう決意でひとつきめ細かな対応をしていただきたいと思うのです。農業に比べまして、水産業というのはわりと粗っぽいような感じがします。いってみますとどんぶり勘定、これは漁業者の方にも半面の責任があると私は思うのですが、そういうことは否定できません。ですから、政府がもっときめ細かな対応をしながら、漁業者もやはりそういう対応に応じるような経営感覚を養っていかなければいかぬと思うのです。こういう意味で、ひとつ政府の前向きの対応をお願いしておきます。  そこで、今回、義務加入の問題がまず最初に出てくるわけでありますが、なぜいままで加入が十分にいかなかったかという問題があるわけです。やはり入る方にしてみれば、それなりにプラスになるものがなければ入らぬわけです。それが余りプラスがなかったのじゃないか、メリットがどうだったのかということでいろいろ聞いてみますと、やはりそういうようなことを関係者は言うわけでありますが、加入がいままで不十分であったというその原因、それを今回克服できる内容のものであるか、果たしてこれに加入したことによって、安心して、喜んで加入できるものになっているかということを、まずひとつ確認をしておきたいのであります。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 確かに漁業共済事業への加入率は、制度発足時に比べますとかなり向上はいたしておりますものの、まだまだ一部業種を除きまして低い水準にあるということを認めざるを得ないわけでございます。漁獲共済につきましても三・八%、養殖共済で三六・二%、漁具共済で七・三%、ノリの特定養殖共済で一二・六%といったような水準でございまして、まだまだ加入の促進をしなければならないという状況にございます。  そのような低い加入率の原因は幾つかあり得ると思うのでございますけれども、一つは、損害の認定を適正に行いますために、漁業協同組合による共販体制が整っておりませんと、水揚げを押さえることができませんので、これが必須の要件になってまいります。ところが、地区によりましては、まだ共販体制が整っておらないで、そのために共済加入ができない場合があるということが一つの大きな理由であります。それから第二は、共済契約の締結要件を満たすことができないといったような実態がある地区もございます。それからいま一つは、漁業者ごとに危険の発生の程度に差がありまして、比較的危険の程度が低いと見込まれるような漁業者は、共済の加入意欲が低い、場合によってはこれがひいては逆選択といったようなことから掛金率を上げ、さらにまた悪循環で加入が低くなっていくといったような事情があるのではないかというふうに考えるわけでございます。  したがいまして、このような実態を打破いたしまして、今後、加入を強化していくということにつきましては、まず何と申しましても、漁業協同組合の育成強化策をとりまして、これによりまして共販体制の整備ということが何よりも肝要であるというふうに思います。これはもとよりのことでございますが、今回の改正を行いまして加入率を上げようというふうに考えております施策といたしましては、一つは、共済契約締結要件のうちで漁業の実態の変化やあるいは共済技術上の必要性に応じて緩和できる分野は緩和いたしまして、要件の緩和によりまして加入率を上げていく。たとえば、細かくは申しませんけれども、第二号漁業の漁獲共済の日数要件の緩和であるとか、あるいはノリ以外の養殖共済の契約割合単一要件の廃止といったようなものはこれに対応するものでございます。また、共済事故となる確率が低いものにつきましては、危険の程度に応じまして低い掛金率で加入ができる状態をつくるということが非常に重要であるというふうに考えられまして、これに対応する制度の改正といたしまして、継続申し込み特約の創設であるとか、あるいは常習病害についての支払い方法の改正であるとか、あるいは特定養殖共済の支払い方法の特約の創設といったような改正を御提案申し上げておる次第でございます。

武田一夫公明党・国民会議

○武田委員 二十トンないし百トン未満ですか、義務加入の対象とする条件が整ってきた、こういうわけであります。具体的にどういうような条件が整ってきたということか。そうして、そういう方々が今後その条件の整ったことによって着実に加入が伸びていくであろう、こういうふうに言うているわけですが、今後、どのくらいの加入がどのくらいの期間で進むものかというその見通しをちょっと聞かしてもらいたいと思います。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 このたびは第三号漁業の一部につきまして、つまり二十トンから百トンの間の階層について漁船漁業の義務加入制度を設けました。これによって国庫補助率についても改正を行うという御提案を申し上げておるわけでございますが、このような条件が整った事情と申しますのは、やはり漁業の協同組合がかなり強化されてきておりまして、系統送金等もかなり行われるようになってまいりましたために、損害の実態把握、つまり、水揚げの状況が的確に把握できるようなそういう条件ができてまいりましたので、そのためにこのような階層についても義務加入の制度を創設できるといったような状況になってきたというのがバックグラウンドでございます。  それから、このような義務加入の改正のみではなくて、先ほどから申し上げておりますような全般的な加入促進策というものを今回御提案申し上げておるわけでございますが、それによりまして共済団体への加入がどのぐらいふえるかということは、数値をもって確定的に申し上げることはなかなかむずかしゅうございますけれども、一応五十七年度予算においては、五十七年度平常ベースに比べまして約一〇%増ぐらいにはいくのではないかということを考えておる次第でございます。

武田一夫公明党・国民会議

○武田委員 私はなぜそういうことを聞くかと言いますと、細かいデータは余りないのですが、この漁業共済の推定加入率をずっと見ていきますと、漁獲共済で漁船十トン未満が大体二八%、これは義務加入です。十トンから二十トン未満が四〇%、これも義務加入です。それから二十トンないし百トン、これは今度義務加入になるわけだが三〇・八%、それから小型定置が二二・七%、いずれにしても、これはずいぶん低いのです。  それで、五十二年から五十五年度まで共済の加入率を見てみますと、毎年少しずつでも上向きになっているというのは余りないのです。減っている。要するに、伸びたかと思うとまた落ち込み、また上がって、また落ち込むとか、あるいは落ち込み、落ち込み、たとえば底びき網の場合、これはトン数などわからぬですよ。聞いてもわからないのだからデータは出てこないと言うんですね。これもまた私は非常に心外なんですが、どの部分の加入が伸びて、どの部分が悪いのかということをもっとはっきりわからぬといかぬと思うのです。その点は少し問題だと思うのですが、いずれにしても、この底びきを見ましても、五十四年度が一一・一%、五十五年度が一〇%、その前の五十三年度が七・一%、ふえたり減ったりするパーセントは少ない。これは減っている。それからイカ釣りなどは当初五十二年から比べると毎年加入率が減っている。少しくらい伸びてもよさそうだなと思うのだけれども、これも減っているし、その下のサケ・マスはえ縄も毎年加入率が落ち込んでいます。カツオ、マグロもしかり。これは粗っぽい見方ですが、こういうようになっているわけです。だから、どのところがどういう理由で加入率がふえないのか、そのためにはどういう対応をするのかという、そういうきめ細かい個々に対する対応が私は必要だと思います。  そこで、今回、無事戻しの制度を考えている、それから継続加入への優遇措置を考えているというわけですが、これはどういうふうなものがその相手の方にメリットとして出てくるのか、具体的なものをひとつここで説明をしてもらいたいのです。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 ただいま武田委員のおっしゃられますように、漁業共済の加入率につきましては、確かに漁業種類ごとに伸びているもの、あるいは伸び方の余り顕著でないもの、また下がっているものというものがあるわけでございますが、これは個々の漁業種類ごとにそれぞれ異なった事情があると思います。  ただ一般的に申せますことは、何と申しましても義務加入制度がとられているもの、たとえば、漁船の十トンから二十トン、あるいは漁船の十トン未満、小型定置といったようなところは、確かに義務加入制度の導入後にかなり伸びていることは事実でございます。さような意味で、今回、漁船の二十トンから百トンの階層について義務加入制度がとられますならば、これは相当な効果があるということが言えると思います。  そこで、実際上の効果でございますが、補助率がたとえば、二十トンから五十トン未満のところは従来連合全数で四〇でございましたものが、義務加入で四五になるということでございますし、それから五十トンから百トン未満のラインは連合全数が三〇が三五に補助率のアップになるということになっておりまして、これは相当な効果が期待できるというふうに考えるわけでございます。  それからいま一つ重要な点は、このように年々加入率が上下いたします原因といたしましては、やはり共済契約の安定性がないというところに問題があろうというふうに考えられます。そのために今回は、いわゆる継続申し込み特約という制度を設けておるわけでございまして、この特約をいたしました場合には、特約を付さない場合に比べまして、まず第一は、掛金率が相当程度低く設定される、掛金が安いというメリットがあります。それから第二は、共済限度額水準が前年の水準の一定範囲を下回らないように設定されるということで、損害が現実に起きました場合にその共済金のもらい分が、考えていたよりも、従来の制度で低くしかもらえなかったものが、このような補償水準の安定によりましてきちんと一定の金額が払われるという問題、それから無事故または受け取り共済金が少額であった場合には奨励金が交付されるということ、それから、契約手続の簡素化というメリットがある。これによりまして安定的な継続契約というものが確保できるのではないかというふうに考えておる次第であります。

武田一夫公明党・国民会議

○武田委員 これはそのくらいにしておきましょう。  ところで、補償額の計算の問題です。いろいろと現地へ行きまして聞いてみますと、限度額率の問題ですが、たとえば漁業経営の安定に資するということを考えますと、やはり再生産を賄えぬような補償水準では困るんだ、これはそのとおりだと思います。ところが赤字が三年、四年と続いてきた人のような場合、コストも賄える制度が必要だという声があるわけです。要するに、漁獲収入よりもコストの高いときはこの〇・八を一にして計算してもらえないか、これはどうでしょう、現実問題としてこういう声があるのですが。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 先ほども田中委員に御答弁申し上げた点でございますが、限度額率と申しますのは、確かに、漁獲金額のうちの共済で補償すべき部分というものを算出するための割合でございまして、特に、漁獲金額に占める経費の割合をもとに算定しているということは事実でございますが、一方におきましてこの限度額率という考え方は、いわゆる自家保険の割合ということで共済の制度を安定的に持っていきますためには、やはり個々の共済にかかっておられる方々が最善の努力を尽くして漁獲をしていただくということを保証するという意味におきましてもこのような一定の自家保険部分というものを認めざるを得ないというたてまえになっておるわけでございます。したがいまして、損害のすべてを共済でてん補するということになりますと、通常行うべき損害防止のための努力といったようなことも、場合によってはなおざりになるというケースもありますし、さような部分は、やはり自家保険部分としてとっておかなければならぬという部分であろうと思います。この上限は一応九〇%ということになっておりまして、これはかなり改正も行いつつこれを引き上げてきているわけでございますが、もうおおむね限度にまで来ておりまして、これをさらに引き上げるということはなかなか困難であるというふうに考えるわけでございます。むしろ、これからの対策としては、先ほどからも申し上げておりますが、経営が安定してコストが下がってきて、それによって一定の共済限度額の中においても安定した経費の比率が出てくることによって共済金の支払いが行われ、共済制度が正常な活動をするということが必要でありまして、そのためにはむしろ周辺の対策、たとえば省エネ、省コストといったような対策をとっていく、あるいは生産の構造の改善といったようなことを講じまして漁獲金額を上げていくといったようなことによって、正常に共済制度が運営できていくという体系をつくっていくということが必要であろうというふうに考える次第でございます。     〔亀井(善)委員長代理退席、委員長着席〕

武田一夫公明党・国民会議

○武田委員 これはやはり加入を定着させるためには中身を一つ一つ整備しながら、より経営者が安心できるような対応をこれからの努力でお願いを申し上げます。  そこでもう一つ加入の問題で私が痛感したのは、これは漁業団体とかそういう団体だけの力ではとてもだめだということです。ところが、どうも地方公共団体とか県の対応とか私は冷たいんじゃないかなと話を聞いていて痛感するのです。水産庁もそういうことでしょうが、地方公共団体の理解と協力が必要である、こういうことで加入促進に当たってはそういう推進体制の弱体化を改めなくてはいけないということを言っておるわけでありますが、地方行政との関連の問題、これはどういうふうな形でこれを進めていくかということですが、この点についてはどういうふうにお考えですか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 確かに、この漁業共済制度を健全な形で運営してまいりますためには、漁業協同組合を中心にしました共済事業の第一線で活動していただく団体が強化されなければならないということももちろんでございますが、一方におきまして、やはり地方公共団体が協力をいたしまして、この制度を国もまた地方公共団体も公の面から強化していくということが非常に重要であるというふうに思うわけでございます。従来も、地方公共団体等が災害対策あるいは漁業経営の安定対策として講じている施策と有機的に結びつきまして、地域の実態に応じてその効果的な運用を図ってきていただいておるわけでございますが、また加えまして、多くの地方公共団体におかれましては、この共済事業の運営のための各種の奨励策、また、助成策も含めましていろいろな御協力を願っておるというのが実態でございます。先ほども御答弁いたしました共済基金に対しまするところの趣旨といったようなものも、非常に大きな力になっておるわけでございます。しかしながら、先生御指摘のように、さらに今後ともこの地方公共団体の協力を強化していくということが必要だというふうに考えますし、特に、先ほどから大臣も御答弁なすっておられますように、共済事業だけでは共済事業の健全な運営が図り得ない、その周辺のいろいろな対策というものが非常に重要だということを申し上げているわけでございまして、さような分野におきましても、たとえば、漁業対策一つとりましても、公共団体の十分な協力というものが期待されなければならないというふうに考えておる次第でございます。

武田一夫公明党・国民会議

○武田委員 これは大臣にもお願いしたいんですが、見ていると、金を貸すことにばかり走る傾向があるんですな。たとえば、激甚災害のようなときは施設に対してはただで金をくれてやるでしょう。こういうことは喜んでやるんですよ。ところが、そういう指導をしながら入れるとかという努力が、どうも人手も足りないのかどうかわからぬけれども、そういうための協力というものが非常に悪いようにも思えます、話を聞いてみると。金を貸すのは簡単ですわね。金を貸している人は、いっぱい借金をつくってどうするかということも考えないで貸している。私は、酪農に行ったときと同じようなことが漁業の中でも感じられるんですよ、話を聞いてみると。ですから、指導しながらなぜ加入してないんだと聞きながら、そのいろいろな状況を聞いて指導しながら加入するということもあわせて行政の立場でやるような方向を今後の一つの大きな課題として取り入れていかないと、一つ中身がよくなったとしてもなかなか思うような加入の促進にいかぬと思うのですよ。その点、大臣、答弁結構ですから頭の中に入れておいて対応の中でひとつ指導をお願いしたい、こう思います。  それでは三番目に、共済の支払いの増加がどんどんありまして赤字が出てきた、五十二、五十三年ですか。その赤字の要因に、二百海里時代に突入して国際規制による影響が漁業活動に支障を与えた、漁場が狭まるあるいは漁獲量が少なくなるとかあるいはまた魚価の問題が出てきたとか油が高くなったとか、もう一つは水産物の輸入がまたふえてきておるとかいろいろな要因がたくさんありまして、これは水産庁で出している資料の中でも問題点として、漁業実態の変化の中で二百海里時代の到来によって漁獲規制あるいは魚価の乱高下、需給事情の変化、魚価の低迷、それから漁場環境の変化、魚病、異常赤潮の発生、その他操業形態の変化、こういうふうにあるわけです。この団体の人、こういう仕事に携わっている人が自分たちがこの共済で払うべきものでないものも払わざるを得ないといういままでの状況があったと言うんですね。たとえば二百海里の規制によるいろいろな環境の状況によって起こった漁業被害というものは、これは国の責任で払ってもらいたい、こういうふうなことを言ってくるわけです。あるいはまた異常赤潮の発生とか魚病の蔓延による被害などもやはりそういう方向でやるべきでないかという、これは意見であります。こういう意見というのは私は一応聞いていただきたいと思うのでありますが、二百海里以降の今後の日本の水産業を考えると、領海もますます狭まってくるのではないか。入漁料なども非常に高くなってきております。それから乗組員の乗船料も非常に高くなってくるとか負担がずいぶんかかってくるわけです。遠くまで行かなければならないというので油代もかかるとかという、いろいろな状況が、また、国際的な状況変化が悪い方に行く要素が多いと思うわけであります。そういう場合、はっきりとこれはこの共済の中で支払うものである、これは別に国として新しく対応しなければならないんだという立て分けをしっかりしておかなければいかぬと思うのですが、この点についてはどう考えているんですか。私は、資料をもらって、この漁獲共済の共済金の支払いで見たときに、支払い件数が、五十二年が七千五百三十九件、五十五年が未確定ながら四千七十一件ですか、そうすると、その内訳の中に、共済金の支払いの割合が、不漁によるものが一つ、魚価安によるものが一つ、それから不漁・魚価安ミックスしたものが一つと、三つ分けてあるのですが、漁済連の方を見ると、それに二百海里による影響と、一つ設けているわけですね。水産庁が考えている分け方と彼らが考えている分け方と、ここでも違うわけです。そこに彼らが、赤字要因が二百海里云々のところにかなりの部分があるんだというような一つの理由としても言ってくるわけですが、この点はどういうふうに考えて、今後どういうふうに対応していくか、このことをひとつ答弁していただきたいのです。     〔委員長退席、亀井(善)委員長代理着席〕

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 確かに、私、先ほども御答弁を申し上げておりましたように、昭和五十二年、五十三年におきましては非常に大きな共済金の支払いが行われ、それが共済団体の事業不足金の大きな原因になったということは事実でございます。その中におきまして、確かにあのような二百海里の時代の到来ということによりますところの激動期に基づく共済金の支払いの増高というものがあったということは否定すべくもないことだろうと思います。しかしながら、同時に私申し上げたいことは、これらの中身をつぶさに精査いたしました場合に、確かに、あのときに多くの漁場が遠洋漁業にとって失われたわけでございますが、その場合の対応といたしましても、政府は決してこれを共済金に全部おぶさったというようなことではないわけでありまして、交付金を交付したり、あるいは共補償資金を出したり、いろいろな対策をとったわけでございます。また、減船もいたしたわけでございます。それで、特定の問題につきましては、先ほどから大分御議論があったわけでございますが、そのような場合につきましても、単に二百海里の規制に基づくということだけではなくて、複合的な要素によりましてこれが問題になり、かつ共済金を支払った、その場合には明らかに海況あるいは漁況といったようなことに伴うところの不漁というものがその複合的な要素の中にあったということを申し上げているわけでございます。それからまた、同時に、二百海里の到来によりまして魚価が急速に変動したというような事態によりましても、確かに、共済金の支払いが価格の下落によって起こったということがあるわけでございますが、これにつきましても、一体どこの部分が二百海里で、どこの部分が二百海里でないかということはなかなか判定のむずかしいことでございます。したがいまして、私どもは、このような非常に大きな構造的な変化が起こる事態というものをできるだけ防止していくということがまず第一でございますが、しかしながら、そのような事態が起こりました場合につきましては、今後の問題といたしまして、たとえば二百海里の規制というものがさらに強化されるといったようなことが万が一ありました場合には、その強化された態様をよく研究し、また、これに対応する漁業者の方の実態というものもよくにらみ合わせまして、共済金の支払いの中に二百海里の規制といったようなことによって赤字が生ずるような原因になるそういう支払いの仕方が行われないように指導してまいるということを先ほどから申し上げているわけでございます。

武田一夫公明党・国民会議

○武田委員 赤字がどんどんふえているだけに、その赤字要因を連合会等が、あるいはまた掛金を出している漁業者の方が負担するとなると、またこれは大変な問題ですから、そういう事態が出てきたときにこそ、この共済というのは生きないといけないわけですから、そういう点も研究をしながら、中身をもっと濃いものにしてほしいということを私は要望しておきます。  それから、これは昭和五十一年、五十三年に、漁船保険関係の立法あるいは一部法改正の国会審議がございましたとき、附帯決議が出されまして、「漁業関係保険、共済制度の統合、一元化について引続き前向きに検討を加えると共に、それぞれの保険、共済制度についても相互に調整を図り、漁業者にとってわかりやすく」——本当にわかりやすくしなければなりませんな——「簡便な制度となるよう努めること。」こういうふうになっているのですが、この辺で、このやり方というのはどうなんだ、総合共済というのを考えるべきでないかという声も聞こえてきているわけですね。附帯決議が出されながら、前向きに検討する。どっちの方、前を向いて検討しているんだ、前の方へさっぱり向いていないのでないかという声が聞こえるのは、われわれとしてもやりきれない思いですがね。これについてどういうふうに考えて、どういうふうに対応していかれるものでしょうかね。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○田澤国務大臣 この点につきましては、昭和五十年度から漁業に関する災害補償制度検討会を開催いたしまして、この制度の統一、一元化についていろいろ論議していただいておるのでございますが、必ずしも、その機関では意見の一致を見なかったのでございます。そこで、さらに昭和五十二年度から、保険共済団体による保険共済事務共同化事業試験実施事業も行ったのでございますけれども、これがちょうど五十四年度で終了いたしました。しかし、試験実施事業を実施した保険の共済団体からも、事業の現状を踏まえて、当面、事務の共同化よりも、それぞれの事業における事務の合理化、加入促進等に努めた方がよろしいのじゃないだろうかという意見が出ておりますものですから、今後さらに十分検討してまいりたい、かように考えております。

武田一夫公明党・国民会議

○武田委員 日和見的な対応であれば、これはやはりまずいと思うのですな。何らかの結論なり、一つの中間報告を通して今後の対応なりをわかりやすく、はっきりと示してやる必要があるのではないかと思いますので、今後の対応をひとつ十分にしてほしい、こういうふうに思います。  それから次は、ノリの養殖の共済の問題、それからハマチの問題で質問するわけですが、ノリも悪いですよね、どう見ても。わが宮城県もノリをつくっているのですが、ノリの生産者の表情はさえないのです。聞いてみると、加入率が低いのもなるほどなと思う点がたくさんございます。この中身、これはこれから一番問題になってくるのではないかと思うのです。そこで、本則共済と特定養殖共済と二つあるわけですね。二つの制度が同一共済の対象に併存するのはどうなんだ、これはやはりすっきりしてほしい。それから、加入率が両方合わせて三六・四%ですよね。ですから、この加入の促進というのをどうするんだ、こういう問題があるのですが、これについてはどういうふうにお考えでしょうか。     〔亀井(善)委員長代理退席、委員長着席〕

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 確かに、ノリ漁業につきましては、需給のバランスがかなり正常な状態ではないということでございまして、私どもも実は苦慮いたしておるわけでございますが、現在までやっております制度といたしましては、いわゆる本則ノリ養殖共済という本来の共済事業と、それから五十四年でございましたか、特定養殖の共済事業というものを始めたわけでございます。この両方を見てみますると、確かに、両方合わせましても加入が伸び悩んでいるということは先生御指摘のとおりでございます。これの原因をいろいろと考えてみますると、ノリの特定養殖共済事業は、漁協を単位といたしました集団加入をとっておりますために、掛金額が一単協についてきわめて多額に上るということがございまして、なかなか全員が入っていただくための関係者の意思の取りまとめが容易じゃないということが実態であるというふうに聞いております。そこで、比較的小規模の漁協で取りまとめの容易なところは加入してくるけれども、ノリ養殖の主力の漁協につきましてはなかなか加入ができないというのが実態ではないかというふうに考えます。したがいまして、今回ノリの特定養殖共済事業につきまして御提案申し上げている改正は、いわゆる約定限度内のてん補方式ということを考えておりまして、比較的生産が安定している地域でございますと、非常に高い被害のところはむしろ切ってしまう、それによりまして安い掛金率で加入できるという制度を今回御提案申し上げているわけでございます。それからまた、同時に、かねてから御要望の非常に強い浮き流し式の養殖施設を共済対象に追加するという改正をしておりますので、これによりまして私どもといたしましてはこの特定養殖の方がかなり伸びてくれるのではないかという期待をいたしているわけでございます。  ただ、この事業は試験実施でございまして、これをいつまで続けていくかという問題があるわけでございますが、依然として、ノリ養殖経営自身がある意味では非常に構造的な変革期に来ているのではないかというふうにも考えられるわけでございまして、現時点におきましてはこの試験実施をさらに本格実施というところまで踏み切るにはなお試験期間が要るというふうに考えているわけでございますが、今回の改正の推移もあわせてよく検討してみまして、今後の対応策を考えてみたいというふうに考えている次第でございます。

武田一夫公明党・国民会議

○武田委員 これはよほど研究していただかないとノリ業者はつぶれてしまいます。これは間違いないわけですからね。市場に出てきているノリが高いわりには全然、サンマやイワシの例じゃないけれどもただみたいなものですから、この点はひとつよく調べて、実態に合った対応をしていただきたいと思います。  それからハマチ養殖ですが、これは余りにも病気が多過ぎますね。病気の発生地帯も広がっていますね。この間は沖縄の方でも大変そういう病害虫がいるとかということでございますので、被害防止の技術対策というのは相当重要だと思うのですな。しかし、私はずっといままで見てみますと、水産関係の技術面に対する対応というのは農業と比べるとちょっと弱過ぎると思います。そういう点で、今後水産面における技術面の充実を私はお願いしたいのでありますが、ハマチのいろいろな病気、病害虫に対する対応、今後どういうふうなものをどういうふうにしていくかということをひとつ簡単にお聞かせ願いたいと思います。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 ハマチの養殖業におきますところの魚病の発生の防止の技術といたしましては、先ほども申し上げましたが、一つは過密養殖を防止するための養殖場における適正な放養量を研究していく、これが非常に重要でございまして、現在も指導はいたしておりますが、これをさらに一層強化してまいらなければならぬというふうに考えます。  いま一つは、漁場汚染を防止するという対策でございまして、もちろんこの場合に自家汚染を防止するといったようなことが非常に重要でございますが、たとえばモイストペレットといったような技術は将来非常に期待できる技術でございまして、これが多量化してまいりますれば、金額的にはもう少しでペイするというところまで来ておりますから、この技術を生かし、またこれを量産化するということが私どもとしては非常に重要ではないかというふうに考えている次第であります。  それから、いま一つの重要な魚病の防止対策は、何と申しましてもその主要な病気でございますところの連鎖球菌に基づく病気それから類結節症等のいわゆる常在菌、常に水中におります細菌による病気でございますが、この発生が魚の健康度において一体どのように影響してくるのか、一体どのようなときに病気になるのかということを学理的に究明いたしまして、これによりまして発病のメカニズムがわかってまいりますと、今後の予防に非常に効果的な技術が確立できるというふうに考えるわけでございます。このようなことで、五十七年度からは主要養殖県の水産試験場に委託をいたしまして養殖現場における研究調査を実施する予算も組んでございますので、これによりましてこの病気の発生のメカニズムを通じたその解明による魚病防止の技術を確立してまいりたいというふうに考える次第でございます。

武田一夫公明党・国民会議

○武田委員 養殖漁業というのは非常に注目を浴びているだけにそれに対する対応を前向きに検討していかぬと、これだけでなくほかにもいろいろなものが出てくるわけです。沖縄で原虫アマミクドアですか、これによってやられているわけですね。これも大変な問題です。いろいろとこういう問題を投げかける魚病対策をしっかりとしてほしい、こういうふうに思います。  時間が来ましたので、最後に、漁業共済基金の廃止という問題であります。これは中央漁業信用基金によってその機能は承継するというわけでありますが、関係者は、これで前みたいにうまくいくかということが心配なんですよ。一つは、国のような信用あるところですね、漁業共済基金というのは言うならば信用力をバックにして農林中金から円滑に金が供給されるわけですな。ところが、中央漁業信用基金となると許認可法人というのですか、信用の度合いに違いがありますな。前と同じように機能を受け継ぐと言うけれども、果たしてその金の供給が円滑にいくのかという心配は大変なものでございます。間違いなく以前の機能は中央漁業信用基金によって受け継がれるものであるということをひとつ明言していただきたいと思うのでございます。そうでないと心配でしようがないということでございます。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 今回、漁業共済基金の組織を変えまして、これを中央漁業信用基金に統合するという措置を法案の中に盛り込んでおるわけでございます。これは先ほども申し上げましたように、昭和五十四年十二月の行政改革に関する閣議決定によりまして、特殊法人の整理統合という観点から昭和五十七年中に整理をするということからこのような御提案を申し上げた次第でございます。しかしながら、当然この漁業共済基金の持っておりました機能は今後とも十分に発揮されなければならぬということでございまして、さような点から資金の円滑な供給に支障を来すというようなことはあり得ないし、また、あってはいけないというふうに考えておるわけでございます。確かに、一方は特殊法人であり一方は認可法人でございますけれども、政府の認可にかかった法人でございます。しかも、これにつきましては農林水産省としては両者の機能を十分に発揮させるということで単一の法人に統合を行うわけでございますから、それにつきましては十分にこの機能が発揮できますように、資金の供給等に支障を来さないように十分な努力を払ってまいるつもりでございます。また、両者が統合することによりましてあるいは片方の事業が非常にむずかしくなった結果、一方に悪影響を与えるという可能性につきましては、勘定区分等によりまして業務の収支の悪化を常に一方だけで食いとめるという制度にもなっておりますので、その点は御安心をいただきたいというふうに思う次第でございます。

武田一夫公明党・国民会議

○武田委員 それじゃ時間が来ましたので終わります。

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 近藤豊君。

近藤豊民社党・国民連合

○近藤(豊)委員 この漁業災害補償法について、まず非常に根本的なことを一つ大臣にお尋ねします。  この法律は、そもそも災害が起きたときに災害から漁民を救済する、そして再生産を可能にさせるための法律である、これが趣旨だと思うのですが、目的の条文の最後の方には生活安定にも資すると書いてあるわけです。私は、この法律の運用において、これは災害補償あるいは再生産を可能にするためのものなのか、それとも生活の安定に資するためのものなのか、どうもその理念に混乱があるように見受けますけれども、大臣としては、この法律は理念上の問題としてどこを問題としているかということについて、まず明確にしていただきたいと思います。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○田澤国務大臣 漁業災害補償制度は漁船損害等補償制度とともに沿岸漁業等振興法第三条第一項に掲げられている国の講ずべき施策のうち第八号の「災害による損失の合理的な補てん等によつて、再生産の阻害の防止及び経営の安定を図ること。」という規定を実現するための策であることはいま御指摘のとおりでございまして、このように漁業災害補償制度は災害対策として位置づけられているのでございます。  さらに、本制度の目的は、漁業災害補償法第一条にも見られるように中小漁業者の経営安定であり、本制度の広義の経営対策の一環になっているということでございますので、第一義的にはやはり災害対策である、しかし広義の面から見ますと経営対策の作用もするというように解釈すべきではないだろうかと私は思います。

近藤豊民社党・国民連合

○近藤(豊)委員 したがって、依然としてこの法律の目的については混乱があると私は思います。  そこで政策当局にお伺いしますけれども、そもそも災害というのは通常保険業務の中でカバーされるものなんですね。生活安定を確保するということは、むしろ国の行政のカバーする分野である。この二つが区別されることによって一部の災害補償については保険に回す、あるいは保険が非常にむずかしいものであれば、その保険業務に対して政府が補助金を流すというようなことはまた別途の問題として可能性があると私は思うのですが、現在、この法律の運用が災害補償の面とそれから生活安定の面とどうも一緒くたになっているがゆえに経理面の赤字が非常にふえるとか、加入者の数が全くふえないとかということで苦労をせざるを得ないところに追い込まれているのじゃないかと思いますが、これは水産庁長官どう思われますか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 近藤委員のおっしゃられておりますことも私よくわかるわけでございます。ただ、この漁業災害補償制度というのは他の災害補償制度、たとえば農業の場合であるとか林業の場合であるとか、こういうものに見られない独特の制度であるわけでございます。それはなぜかと申しますと、この漁業災害補償制度がいわゆるPQ方式、つまり、価格の要素も入った共済制度という点にあると私は思います。これは本来、物的な損害、物的な災害というものを事故として補てんするという目的のみにとどまらず、価格の下落、そういうところも補てんするという形になっております。  これはなぜかと申しますと、漁業の場合にはどうしても混獲がございます。特定の魚種だけがとれればいいわけですが、いろいろとれるわけですので、そのために水揚げ高を押さえましてこれで被害を測定していく、こういう要素がございます。したがいまして、経営の内容、たとえば、価格とかそういった問題にもこの制度はタッチしてくるというところから、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、物的な損害の補償のみならず経営の安定策といったような性格も持っているということでございまして、さような点から、法制上の混乱ということは私ども必ずしも納得いたさないわけでございますが、多目的な機能を果たしているということが言えるのではないかと思う次第でございます。

近藤豊民社党・国民連合

○近藤(豊)委員 そこで、最近、保険業界が非常に複雑多岐な商品を開発して売り出してきているわけでして、たとえば、いままでは想像もできなかったような形の保険が可能になってきているわけです。離婚した場合に、どうしても生活できるだけのお金がもらえなかったからその場合には幾らの保障があるとか、いわゆる価格要素、期待価格がもらえなかった場合の保険すらあるわけですから、今後は、むしろそういう方面に保険業界が多角化し進歩していくという予想の上に、政策当局としては何もいますぐじゃないけれども、一つの研究課題として十分今後検討すべき値打ちのあるテーマだと私は思いますから、これは要望しておきます。  それから、現在、二百海里体制のもとで非常に漁業界が困っておる、漁民が困っておる、油代も三万円から七万円に上がってしまったということで経理内容が悪いという状況のもとに、政府として仮に、この災害補償法を生活安定のためにも使っていくということであるならば、今後の長い、たとえば、十年ぐらいを見通して、果たしていまの漁民の数、漁船の数で、新しい改正法によって期待されている一つの価格水準、そうしたものが確保できる、つまり、それでいまの累積赤字が消せるほどだんだんシステムがうまく作用するのかどうか、その点どういうふうに見通しておられますか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 実は、これは漁業の特殊性から申しましてなかなかむずかしい課題でございます。農業の場合には、八〇年代の見通しといったようなことである程度まで農家の戸数であるとか農業の生産金額といったようなものがはじかれておりますし、水産業もこれに類似した需給の見通し等は持っているわけでございますけれども、しかしながら何分にも水産の場合には、海外の漁場の確保というものは二百海里の大きなうねりの中で交渉しながら実は実態が決まってくるといったような要素がございまして、これは確定するにはなかなかむずかしい問題がございます。  それからもう一つは、それならば日本周辺の漁場につきましてもどのような実態であるか、またその将来はどうかということでございますけれども、たとえば、浮き魚一つとりましてもイワシの生産が現在三百二十万トンからございます。このようなものが一体何年間続くか。これは沖合い漁業の将来を規制する非常に大きなポイントになるわけでございますが、底魚類につきましてはある程度までいろいろな調査が進んでおりまして、浮き魚の将来を確実に測定するということは技術的にまだまだむずかしいと思います。しかし、われわれとしてはわが国の周辺の漁場につきましても、なおその資源の状況というものを管理し得るようなそういう漁業としてとらえて、その資源の実態を調査していくという考え方は持っておりまして、一挙に先生のおっしゃられるようなところまで、ビジョンを持ちまして保険の設計も含めた水産政策の運用ということはなかなかむずかしい状態ではございますけれども、これに接近していく努力は将来やってまいりたいと考え、またそれをもとにして構造政策というものも考えていきたいと思っておる次第でございます。

近藤豊民社党・国民連合

○近藤(豊)委員 さて、そうしますと、加入の拡大がどの程度図れるかということが非常に大きな問題になりますね。予定どおり加入の拡大が図れなければ、結局またさらに赤字は累積していくわけです。現在のこの改正を行うことによって、特に、漁獲共済の方、それから養殖の方ですが、この二つについてはどの程度の加入の拡大が図れる、こう考えておられるわけですか。予測といいますか期待、数字をひとつ。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 今回の改正におきましては、共済契約締結要件の緩和であるとか義務加入制度の拡充であるとか幾つかの御提案を申し上げておりまして、これによりまして加入の拡大を図ってまいりたい。それからまた同時に、このような制度の改正だけではなくて、加入を促進してまいりますためには、第一線で働いてもらいますところの漁業協同組合が共販体制を整えて実際上損害評価もできる、そういう状態になっていかなければならない。また同時に、この漁業協同組合が普及、加入といったことについても全力を尽くしてもらわなければならないということで、そのような制度面、運用面での総体的な活力によりまして初めて加入が増進すると考えるわけでございます。現在、確かに加入状態が低くて、これをある一定の水準まで持ち上げなければならぬわけでございますが、まだまだこれを定量的に確定して申し上げるわけにはいかないような状況でございますけれども、少なくとも五十七年度予算におきましては、養殖と漁獲と両方を分けて申し上げることはちょっとむずかしいわけでございますが、大体五十七年度で一〇%ぐらいは加入率を伸ばしたいというふうに考えている次第であります。

近藤豊民社党・国民連合

○近藤(豊)委員 そうすると、改正後の国庫補助率の改定された数字が現在出されておりますけれども、現在の予定されている補助率で加入者がふえれば、それだけ今度財源はよけいに必要になりますね。補助の金額全体はふえていくけれども、それだけの財政支出をよけいにすることによっていまの累積債務はふえないんだ、大体、累積債務がさらにふえる、赤字がふえるというようなことはないんだ、こういう見通しを立てておられると考えてよろしいのですか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 実は、このような義務加入の増大、拡大等によりまして、先ほど五十七年度におきましては一〇%程度加入がふえるだろうと申したわけでございますが、その加入の増加をもとにいたしまして、五十七年度予算では補助の額につきましても当然その分を増額して実は予算に組んでいるということもちゃんとやっております。  それからもう一つは、事業不足金の問題でございますけれども、実は、過去十年を振り返ってみた際に、このような制度の改正なかりせばロスレシオがどのぐらいになったかということをはじいてみておりまして、現実のロスレシオは、過去十年間の単位をとりますと一二〇ぐらいになっておるわけでございます。非常に高いロスレシオでございます。ところが、もしもこの制度を導入しておったら恐らく一〇三ぐらい、つまり、五十二年と五十三年の非常に厳しい状況がございましたときにおいても一〇三程度でとどまっただろうというふうに考えられますので、非常に激動が生ずるような漁業環境ということがあれば別でございますが、通常の状態で推移していくならば、この制度は不足金の対策にもかなり効果があるというふうに私どもとしては考えておりまして、共済掛金その他もまた減額できるというふうに考えておるわけでございます。

近藤豊民社党・国民連合

○近藤(豊)委員 そのようにうまくいくことを私も期待いたしますけれども、必ずしもそうは問屋が卸さぬ場合がある。  もう一つは、どうも長期的円安の傾向という時代に入ったのではないかと思いますから、漁民の経営内容を見ていっても、かなり油代の先行きは楽観を許さないと思います。そうしますと、たとえば、仮にイカが非常によくとれてたくさん収入が上がったとか、あるいはイワシが値段が高くて非常にもうかったとかいう場合は、当然税務署の方はばっちりと税金を取りにおいでになる。そういうときに、将来の変動を見越して、ある一定の所得を超えた者については特別に一つの災害時の準備金として、これはどういう積み立ての仕方をするかを検討するのですけれども、免税措置あるいは控除の金額をふやすというようなことを真剣に考えて税務当局と交渉する考えはございませんか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 漁業は、年による豊漁と不漁との差が非常に大きいわけでございまして、確かに先生おっしゃられますように、利用者の掛金負担の能力も年によって大きく変化するという実情にあることは当然のことでございます。そこで、従来から、著しい豊漁年に利益の一部を免税扱いにしてそれを積み立てて、不漁年の掛金の支払いに充当してはどうかという御提案がございまして、そのようなことで実は仕組みを考えたこともあったわけでございます。ところが、この制度は継続して加入することが義務づけられていない制度なものでございますから、たとえば、農済の場合ですと、強制加入になっておりますので必ず継続しますけれども、この制度は毎年加入するというかっこうになっております。そこで、漁業共済制度におきましては、単なる積み立てということで終わってしまうという可能性もございまして、そのような意味で税制との関連ではなかなかむずかしい問題がございまして、実行がいまだにできていないという実情でございます。  ただ、今回は、四年間セットで申し込みができる継続申し込み特約方式といったようなことも導入するわけでございますから、この方式の定着の経過を見ながら、いまのようなアイデアにつきましても検討してみたいというふうに考えておる次第でございます。

近藤豊民社党・国民連合

○近藤(豊)委員 確かに、継続加入ができないことが税務上の措置のできない一番大きな原因だと思うのです。  そこで、四年間の継続加入という門戸がここで開かれたわけですけれども、これをさらに継続加入を長くさせる方向を考えながら、同時に、それとセットで税の控除とか特別な措置というものを考えていくことが今後特に必要になるのじゃないかと思うのですけれども、では、これからそういう方向で検討される用意がおありになるのですね。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 ただいま御答弁申し上げましたように、継続申し込み方式というものを前提にいたしまして、この定着の状況を見ながら検討さしていただきたいというふうに考えております。

近藤豊民社党・国民連合

○近藤(豊)委員 いまの点は、漁民にとっては非常に関心のあるところだと私は思うのです。これは、大臣の政治力が非常に左右いたしますので、大臣も同じような決意でそういう方向に御努力いただけるかどうか、ちょっと御回答をいただきたいと思います。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○田澤国務大臣 いま水産庁長官が答弁したとおりでございます。

近藤豊民社党・国民連合

○近藤(豊)委員 さて次に、地域共済の関連でお伺いをいたします。  地域共済事業というのは、国の掛金補助や事務費補助は全然行わないわけですけれども、まず第一に、地域共済事業の対象としてアサリを考えておられるのかどうか。  なぜこういうことを申し上げるかといいますと、この委員会の場で私は再三質問をいたしておりますけれども、現在、圧搾空気のポンプを船につけて、高速船で全くの小さなアサリまで吹き上げて、そうしてアサリを絶滅させる漁法がはやっておる。大分県などはそのポンプも認めておるそうですが、これにはやくざが絡んでおります。現在、私どもの愛知県にもこの問題があって重大問題であります。ところが、水産庁の巡視船よりも足の早い船のポンプで彼らはぶうぶうやっておりますので、巡視船が取り締まりにお出かけになると影も形もなくなっておる。あるいはもっと早い船を持ってまいりますと、ちゃんと見張りの人が雇われておって、いま巡視船が出たよというラジオの連絡が行きますと、そのポンプを据えつけた船はさっさと逃げてしまう。アサリ業者はいま非常に困っております。せっかく稚貝のアサリをまいて大事に養殖していきながら、実は、政府や県あるいは当局、取り締まらなければいけない義務のある者が取り締まれないわけですね。これも場合によっては、どうしようもないのだと泣き寝入りをするのか、われわれも自衛手段でポンプでもってばんばんやって、日本の近海のアサリをだめにしてしまうのか、重大問題だと思うのです。  この点、法改正という面についても、それから効果的な取り締まりという面についても、依然として回答が出されていないと私は思いますが、このアサリの問題を地域共済に繰り入れられる可能性というものはどうなのかという点を回答していただきたい。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 現在、地域共済事業の対象として候補に上がっておると申しますか、御要望のあるのは、ハウス養鰻、それからモガイの養殖といったようなところが言われておるわけでございます。  この地域共済事業の対象となる養殖業につきましては、漁業共済事業と同様に、一つは危険分散が可能であるということと、それから損害認定が適切になされるといったようなことで、保険設計が可能であるということが前提でございます。ただ、この地域共済事業は、漁業共済組合にその仕組みを自主的に考えていただくという制度になっておりますので、私どもとしましては、事業の実施に当たりまして認可申請をしていただきますれば、具体的にどのような事業になるかということは、その申請を待って、危険分散なりあるいは損害評価の価値なりということを十分審査いたしました上で判断する、こういう立場に立っておるわけでございます。  ただいま先生のおっしゃられました愛知県のポンプを使ったアサリの密漁につきましては、私も十分聞いておりまして、非常に頭を痛めている問題でございます。これは徹底的に取り締まりをして何とか秩序を回復してもらわなければならぬと思いまして、愛知県にも強力に言っておるわけでございますが、ただいま先生おっしゃられました事情もございまして、なかなかむずかしい状況であることは事実でございます。しかし、これはポンプを認めるのか、それともきちんと取り締まりをするのかということでこの問題は解決をつけなければならぬ問題であるというふうに私は考えておる次第でございます。

近藤豊民社党・国民連合

○近藤(豊)委員 このアサリの問題はちょっときょうの審議テーマから外れているのですが、大臣が御臨席でございますので特にこの点お願いをしておきたいのです。これをほっておきますと日本の近海のアサリは全滅してしまうのです。大分県がポンプを認めているから、ポンプを一律に禁止漁具にできないのだという点があるのですが、どうやら仄聞するところによりますと、大分県でポンプでやっておる連中は、文句を言うとシャツを脱げばくりからもんもんの方々がおやりになっておるようです。そうしますと取り締まりをする連中はみんなぶるってしまうわけですね。県任せではとてもらちが明きません。ですから、これはぜひ水産庁で、場合によっては警察当局と協議しながらポンプ漁法というものを取り締まるべきなのか、それとも野放しにして、場合によっては日本じゅうからアサリがなくなって韓国から輸入するのか、これはぜひ真剣に検討していただきたいと思います。どうぞひとつこの点ははっきりと要望しておきますので、大臣、取り上げていただきたいと思います。  次に、小さな漁船と大きな漁船との間に制度的には差別はないですが、結果的にかなり燃料油のコストについて差が出ていると思うのです。それは現在、外国船舶扱いで舶用品として関税や内国消費税のかかってない免税の油を使っている漁船と全然免税のない漁船があるはずでありまして、この免税扱いの油を使うのはそれこそ大手の大きな船舶、資本的にも運転資金にもちっとも困らない漁業者がそういう安い油を使っておる。現実に零細漁民は高い油で、しかも税金のかかる油、場合によっては道路税まで負担をした油を使ってそれで漁をしているわけです。これでは、ただでさえ油代が上がって大変なときに非常に不公平じゃないか。政治は公平を旨としますから、そういう点で、制度上非常に技術的にむずかしい問題はあるということを知っております。しかし、何らかの形でこの辺公平な扱いにできる方法を考究すべきであると私は思いますけれども、この点、水産庁はどういう考えでおられるか、はっきり答弁をしていただきたいと思います。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 遠洋の漁業船の関税の取り扱いといたしましては、船用品を外国貨物のまま積み込むことができることになっておりまして、石油につきましても保税地域から積み込むものについては保税船用油ということで関税がかからないことになっておることは事実でございます。ただ、これにつきましては政令で母船式に限られているということのために、母船式を持っておるのは大手だけでございますから、そこで母船式につきましても大手の漁業が有利であるということはおっしゃられるとおりだと思います。  ただ、母船式漁業はきわめて限定されたものでございまして、その点につきましては、むしろ私ども中小の漁業者と大手の漁業者の間で相当な価格の差がある。たとえば、大手の漁業でございましたらキロリッター当たり七万三千円ぐらいのものが、中小あるいは沿岸で買いますと七万六千円を超すというようなことでございます。これは一つは、大手の場合には多くは東京、大阪、神戸といった製油所の近くで元請の各社から直接給油を受けることができるのでございますけれども、一方、漁連系統の場合にはどうしても末端需要者が全国に散らばっておりますので、そのための製油所からの転送の経費というものがかかりまして、このために荷口が小さいということもありまして流通経費がかかるという点に大きな問題があるというふうに考えておる次第でございます。

近藤豊民社党・国民連合

○近藤(豊)委員 いずれにせよ、引き続き油のコストの低減という点については真剣に考えていただきたい。なぜなら、外国から魚を輸入するよりも日本の漁民がとった魚を食べた方がいいわけですから、われわれが払うお金が石油の税金に消えていくのかあるいは外国の漁師の労賃に消えていくのか、これは日本の漁民に落とした方がいいわけですから、何かいい便法があるかどうか引き続き検討を続けていただきたいと思います。  それから最後に、今回、ハマチを中心に足切りが行われます。損害の足切りが行われるのですけれども、足切りをするということはこの制度の合理的な運用のために必要やむを得ざるものだと私は思います。しかし、その反面、より効率的な漁業運営方式等について、たとえば、乗組員全体の利益分与制度を考えて、早く漁場に行って早く仕事をして早く帰ってくればそれだけ魚が高く売れる、そういう場合には乗組員はより多くの報酬が得られるのだとか、実はいろいろな工夫があり得ると思うのです。漁法だけじゃなくていろいろな工夫があると思うのですが、足切りをする以上は、より生産性を上げるための指導について水産庁としては今後どういう面を主に強化をされていくつもりですか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 今回、ハマチの養殖について、特に常習的な被害の発生地域について足切りを導入せざるを得ないという措置をとろうと考えておるわけでございますが、もとより、これは足切りをただ導入したいがために導入したわけではございませんので、できるだけ掛金率を安くして加入を促進していただくということでこのような制度をとったわけでございます。ただし、この運用に当たっては足切り率の最高限を三割といたしておりますけれども、やはり実態に合わせて足切り率を設定していくということで、漁民の方々の御意向も十分承った上でこの措置をとってまいりたいと思います。  ただ、近藤先生おっしゃられますように、確かにこれの裏打ちとなる対策が必要であるということは事実でございまして、この足切りをいたす漁業の対象はハマチの養殖、しかも常習的な病害を起こすところでございます。したがいまして、魚病の防止、予防といったようなことが最も重要な対策になると考えております。したがいまして、漁場の汚染をできる限り防止するための対策を関係省庁とも協力して実施すると同時に、漁業者に対して適切な養殖管理というものを指導して魚病の発生を未然に防止する、さらに魚病対策総合検討会の検討も踏まえて魚病の技術者を教育する、薬を与える人あるいは養殖の指導をする人、こういう者を教育する、あるいは防疫技術についての開発等の施策を総合的に講じまして魚病ができるだけ起こらないようにすることを考えてまいりたいと考えております。

近藤豊民社党・国民連合

○近藤(豊)委員 この共済制度の問題を議論をしていても結局は二百海里という壁が非常に大きな問題であるということは明白だと思うのです。そこで、漁業協力というような形で、たとえば、日米貿易摩擦においても一部漁業協力の問題が持ち上がってきておりますし、スケソウダラのすり身をもっと買ってくれという話もありますし、他面また、アメリカ側の制度の中で非常に効率の悪い、アメリカでつくった高い船をアメリカの——これは余り外には言えないのですけれども、生産性の悪い漁師がとっているスケソウダラを高く押しつけられたんでは、われわれのちくわやかまぼこは高くなるわけですから、そうした面も含めて強力な漁業外交、二百海里の壁をくぐっていくような漁業外交を今後ぜひ進めていただきたいと思います。大臣、この点についてよろしくお願いしたいと思いますが、いかがですか。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○田澤国務大臣 二百海里規制の強化によりまして、特に、いま御指摘の日米漁業交渉というのは非常にむずかしい状況にございます。ことにスケソウダラの洋上買い付けの問題というのは年々その量がふえてくる状況にございます。そのことがわが国の水産加工業に大きな影響を与えるものでございますから、御指摘のように私たちはこの漁業外交を今後とも強力に積極的に進めてまいらなければいかぬと思っております。

近藤豊民社党・国民連合

○近藤(豊)委員 終わります。

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 藤田スミ君。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)委員 今回の改正は、漁業共済事業の円滑な運営を図り、共済契約の締結を促進させていくためというふうに言われているわけですが、問題の赤字ですね、これが果たして今回の改正で本当に解消できるのかどうかという疑問があるわけです。  そこで三点、この問題についてお伺いしますが、そもそもその赤字の原因というのは自然界の影響などで漁獲共済の事故件数が増加したということだけではないわけですね。先ほどから何遍も議論をされておりますが、二百海里体制を契機にして、魚価の著しい変動による事故件数が多発したため、そしてこれが赤字の一つの大きな割合になっております。二百海里体制などによるこの共済事故に対する共済金というのは、これは共済の範囲を超えるものであって、当然政府において措置を講ずるべきものであったというふうに私は考えるわけです。先ほどからの御答弁でも、しかしながらその影響の複合的なものについてはどうしても共済に依存せざるを得なかったということですが、そういうことになりますと、今後もまた同じようなことになっていくのではないかという不安を持っております。  したがって、今後は、国際規制などで操業条件が変化した場合、そういう過去の教訓に基づいて政府の責任で対応していくべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 漁業共済の赤字の原因でございますが、先ほどからるる御答弁申し上げておりますように、確かに二百海里の規制と関連いたしまして昭和五十二、五十三といったような年の前後に大きな赤字が生じたことは事実でございます。ただ、これは一つは、魚価の変動ということが二百海里の到来ということを契機にして起こりましたということでございまして、どの部分が二百海里によって起こった部分であるかということは、こういう場合には確定が非常にむずかしいと思うわけでございます。  しかしながら、一方におきまして、たとえば、漁場の制約が起こった、それによって漁獲量が減ったというような場合につきましては、これはそもそも共済としてこれに共済金を支払うことがあるいは適当ではないという場合が当然あるわけでございます。したがいまして、先ほどから御答弁申し上げておりますように、二百海里の規制の強化が今後あった場合、もちろん、そのようなことはなるべくないように私どもがんばるつもりでございますが、さようなことが起こった場合には、その原因、その効果一そしてまたこれに対する漁業者の対応の状況というものを十分に勘案いたしまして、共済がこれをかぶるというようなことができるだけないように私ども指導していきたいということを申し上げたわけでございます。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)委員 もう一つの赤字の原因はハマチの養殖における魚病なんですが、二百海里や燃油の高騰などから、昭和四十八、九年から見ますと、ブリ類の養殖業の経営体数が三千から四千と千業者ふえております。それから生産量も、したがって九万トンから十五万トンというふうに六万トンも増加しているわけです。先ほどから、とる漁業から育てる漁業というお言葉が何度もございましたが、そういうかけ声で進めてきたにもかかわらず、養殖における条件の整備が非常におくれている上に、ブリ類の生産地の価格が、たとえば、昭和五十年では一キログラム七百九十四円であったのが、五十四年になって六百九十七円と落ち込んでいるわけです。こういう状況がハマチの魚病の被害を広げる大きな要因をつくっていると言っても言い過ぎではないと考えますが、いかがでしょうか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 ハマチの魚病でございますが、確かに、従来まではこの病気の原因、これの究明がなかなか進んでいない、学理的になかなか進んでいなかったということとか、あるいはハマチの養殖につきましては漁場の汚染といったような問題もあった。特に、自家汚染がひどかったといったような問題が幾つかございまして、これが共済金の支払いというものに通じてきたということは事実でございますが、しかしながら、このような基本的な病害の対策につきましては、近年におきまして水産庁といたしましては非常に急速にこれの対策は進めてきておる次第でございます。  私どもとしましては、今後は、特に過密な養殖をできるだけ制限いたしまして、健全な養殖事業になっていくように指導もいたしておりますし、また漁場も十分にこれが管理できるような体制をつくり、さらには病害の原因も究明いたしまして、特に病害の予防といったような点に力を入れまして今後対応してまいりたいと思っておる次第であります。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)委員 この問題については後でまたもう一度詳しく聞いていきたいと思いますが、もう一点、赤字の原因でお尋ねをいたします。共済事業の養殖共済の中で、異常赤潮の被害に対する支払い共済は、五十二年から五十四年の間に約三十三億円にも上っているわけですね。一方、掛金収入の方は十四億五千万円ですから、赤字が十八億五千万円ということになるわけです。これは本来、政府がきちんと措置すべきものであって、共済連の赤字の原因になっていること自体が問題だというふうに私は思います。政府も、今回の改正が共済事業の円滑な運営のための改正であるというのなら、まずこの異常赤潮などにおける赤字は率先して解消するべきであるというふうに考えますが、どうなんでしょうか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 赤潮特約の収支の状況でありますが、昭和四十九年にこの赤潮特約が創設されて以来、昭和五十五年度までの累計収支では約十億円の赤字になっていることは事実であります。しかし、この収支の悪化の原因は、五十二年と五十三年、主に瀬戸内海を中心にいたしまして発生した異常赤潮によるものでございまして、それ以外の年度についてはいずれも収支は黒字というのが実態でございます。  今回の制度改正におきましては、異常な赤潮の被害発生の態様が異なることから、これを独立の保険区分ということにいたすことを考えておりまして、この際、養殖種類ごとに料率についても見直しをいたしまして・この異常赤潮の赤字というものに対する対応策をすでに考えているところであります。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)委員 これはぜひ、この共済事業の方の負担になるというようなそういうおかしなことにならないように努力をしていただきたいと思います。  次に、改正の中身なんですが、今回の改正の提案で加入の一層の拡大というのが出されているわけです。義務加入の対象範囲を拡大する、共済契約締結要件の改善、そういうことがいろいろ行われるわけですが、これで果たして加入が本当に促進していけるだろうか。この間も、私は漁民の皆さんに会っていろいろ聞きましたけれども、共済の加入については非常に積極的でないわけですね。あんなもん、入りとうても入る余裕がおまへんわと、こういう声がすぐぱっと返ってくるわけです。燃油は高うなっているし、魚はとれぬようになっているし、とれた魚はさっぱり値はようならぬしといったようなことを訴えていらっしゃるわけです。  こういう実態を考えた場合に、入りやすくしていくためのいろんな改善というものが今後どういう役割りを果たしていくかというのは、これは大いにこれから努力をしていただかなければならないわけですが、何といっても加入しやすい保険にして加入者をふやしていく、そのためには現行の補助限度率と補助率を引き上げていく、このことが大事じゃないかと思うのです。これは今日の共済事業における漁獲共済あるいは養殖共済の事故が、台風などというような自然の影響の方が少ないという実態を見ても、そういうことが大事ではないかと思います。  この点は、前回、四十九年の改正の際にも附帯決議で、国の補助の拡充や補助限度率の撤廃等が全会一致で採択されているわけなんです。そういうことから、一度補助率と限度率を見直すというようなこともやられてきましたし、今回も義務加入の対象範囲の拡大によって若干補助率の引き上げが行われているわけなんですけれども、私は、なお不十分だと思わざるを得ないわけです。今後、もっと補助率を引き上げ、補助限度率を引き上げていく努力、これに対して思い切った措置が求められると思いますが、いかがでしょうか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 確かに、現在の漁獲共済及び養殖共済ともに加入率が非常に低いわけでございまして、これを拡大することが共済事業の健全な運営というものに非常に重要であることは論を待たないところでございます。このためにこそ今回の改正をお願いいたしているというわけでございますが、私どもは、今回の改正によりまして、先ほどもロスレシオの点も触れたわけでございますが、かなり掛金率を引き下げるという要素がございますので、そのような意味で掛けにくいといったような事態をかなり解消できますし、また、締結要件の緩和といったような点から申しましても、掛けやすい共済になってくるというふうに考えておるわけでございます。  また、義務加入に伴う補助率のアップにつきましても、御案内のように、二十トンから百トンの階層につきまして今回義務加入制をとることによりまして補助率が改正になるという措置もとっておりますので、これによりまして今回さらに一層加入の促進に役立つというふうに考えておるわけでございます。  ただ、お話しの限度率と補助率の問題でございますが、限度率、限度額につきましては、先ほどから申し上げておりますように一種の自家保険部分というふうに考えられておるわけでございまして、従来までもかなりこの率を上げてまいったわけでございますが、これ以上上げますことはなかなか無理がございます。したがいまして、むしろ経営の安定策なりあるいはコストの低下策といったようなことをとりまして、それによってこの共済事業が適正に運営できるような環境をつくることが非常に重要だというふうに考える次第であり、また、義務加入に伴う補助率のアップにつきましては、先ほど御回答いたしましたように、二十トンから百トンの階層につきましては、その改正を図ったという状況でございます。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)委員 この問題は、今後、加入をどう促進させていくかという点では非常に大事だと思うのですね。そんなに突っ張った御答弁では困るわけですよ。やはりもっと国の努力を示していただかないと、入る方もこれやったら入られへんなというようなことになりますよ。もう一度……。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 別に突っ張って御答弁を申し上げたつもりはございませんが、要するに、今回の改正の中におきましても、加入率を上げるために相当な努力をいたしておりますし、また、補助率につきましても改正を行っておる、それに伴う五十七年度予算も確保いたしておるということを申し上げた次第でございます。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)委員 今回の改正で特に問題だと思いますのは、養殖共済におけるハマチの魚病の足切り問題です。これは、先ほどからも議論されておりますけれども、今回、養殖ハマチの魚病被害に対する措置は、共済赤字に占める割合が非常に多いことを理由にして、常習地帯に一定の割合を決めて共済金は支払わないという足切り方式を取り入れていくんだ、こういうことなんですが、この連鎖球菌症という魚病は、養殖漁家の投餌量だとかあるいは過密養殖が原因のすべてだというふうには言えないと思いますが……。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 今回、ハマチ養殖につきまして確かに足切りをいたしたわけでございますけれども、これは先ほどから申し上げておりますように、どうしても常習的なハマチの魚病の発生する地帯におきましては掛金率が高くなる、それによってまた加入も減る、それがまた悪循環いたしまして、それによってさらにまた掛金率が上がる、これを防ごうというだけの意味でございまして、別に他意はないわけでございます。ただ、しかしながら重要なことは、魚病そのものをできるだけ予防するということでございまして、ハマチの養殖における主要な魚病は、先生おっしゃいますように、連鎖球菌によるものと、それから類結節症といったものがございますが、これら病原菌は全国の沿岸水域に常在化している病気でございます。特別にあるわけではございません。魚の健康状態が低下した場合に、たとえば、過剰投餌だとかあるいは過密養殖であるとか、魚の移動といったようなことですれが生ずるということが起こりますと、これが多発するということがございます。  それからもう一つは、自家汚染等の漁場の環境の悪化というものが非常に大きな原因でございまして、これが病原菌の繁殖にとって非常に大きな原因になることは、確かにそのとおりであるというふうに思います。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)委員 海面養殖業というのは、波の荒いところではできないわけですね。できるだけ波浪の少ないところ、そういうところに求められていくから湾内が主ですね。ところが、湾内というところは、工場排水だとか家庭の下排水だとかそういうものがどんどん流入して、陸上の開発が進めば非常に問題が困難になってくる。しかし、下排水の整備というのは物すごくおくれているわけです。こういうところから、政府の方も特に漁業集落環境整備事業というようなものにも力を入れてこられたと思うのですが、私は、こういうものに対して今後特に力を入れてもらいたいというふうに考えます。きょうはこの点では特に答弁を求めませんけれども、要望しておきます。  ここで、連鎖球菌症の防止なんですが、農林水産技術会議が出しております「養殖魚における病害の予防に関する研究」という偉いりっぱな本があるわけですが、これを見てみましても、先ほどおっしゃったように、えどめだとかあるいは冷凍のえさを解凍するときに洗浄してやればいい、それが非常に有効だということを言っているわけです。ところが、えさを解凍する施設というのは、新沿岸漁業構造改善事業というのがありますが、ここでは四件、それから地域養殖生産体制再編パイロット事業というので五件、何と全国で九件しかまだ行われていないわけです。これは魚そのもの、ハマチそのものを増産させるという点でも、また漁場を汚さないという点でも、そして病気をふやさないという、連動して効果的な施設だという点では、これはもっとふやすように力を入れていくべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 ただいま先生のおっしゃられました餌料解凍施設でございますが、これはハマチの餌料でございますところのイワシなどの冷凍魚を陸上の施設で解凍いたしまして、その際に生ずる汚水は別途処理してしまうという施設でございます。これは従来のように生けすの中で、海中で餌料が解凍されまして海水を汚濁するという欠陥が除かれるということで、私は、非常に画期的な技術であるというふうに思うわけであります。この施設は、ただいまおっしゃられましたように新沿岸漁業構造改善事業、それから地域養殖生産体制再編パイロット事業で補助対象になっておりまして、これが増設を図ることは私も非常にいいことだというふうに考えておりますし、その指導に当たってまいりたいというふうに考えておるのですが、実際上、五十四年から五十六年まで両事業による施設の設置数は九件でございます。これはなぜかと申し上げますと、実は、この構造改善事業なりパイロット事業なりは地元が計画を立てられまして、地元の要望に基づいて申請が上がってまいりまするとそれに対して補助をする、こういう制度になっておりまして、地元が御採択になっていただかないとどうしようもないわけでございます。一カ所の事業費が非常に高くつきまして、一億七千万から少ないところでも三千万かかるものですから、どうしてもほかの施設の方にお金を使いたいということで、地元の御要望が上がってこないということが問題であるというふうに思います。もちろん、このパイロット事業と新沿構両方で六十二億ほどの予算が五十七年度は組まれておりますから、もっともっと要望が出てきてもいいはずだというふうに考えるわけでございます。したがって、私どもといたしましては、地元の御意向というものは尊重せざるを得ませんけれども、餌料解凍施設というものは漁場の老化防止にも非常に役立ちますので、地元を指導いたしましてこれがさらに活用されますように、県等にも指導をいたしてまいりたいというふうに考えている次第です。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)委員 もっと活用されればこういう施設をもっと安く普及していくこともできるのじゃないかというふうに考えます。地元からの要望ということですけれども、積極的に活用するように政府の方も働きかけをしてもらいたいと思うのです。  なお、この魚病の問題は非常に未解明な部分が多いわけですから、今後もっとこの研究に力を入れていってもらいたいと思います。  現状のこの下排水の処理の実態あるいは解凍施設がまだまだ十分行き渡っていないというような状態の中では、ハマチの魚病被害をすべて養殖業者の責任に帰してしまうのは、何ぼ常習の病気や言うてもやはり問題だと思うのです。それで足切り方式を導入して共済の対象としていかない、一定率で対象から外すということですが、まるまるそれは養殖漁家の責任と言い切ってしまえない部分がまだたくさん残っている中では、この足切りの率を決める際には、養殖業者の責任の範囲を超える点というものに十分考慮を加えて、そしてその責任を超える点については明確にして今度この方式を取り入れていくべきだというふうに私は考えるわけですが、どうでしょうか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 今回のハマチ養殖についての足切り率の導入でございますが、これは先ほども申し上げたように掛金率をできるだけ低くしていくということから常習地帯についてこの制度を導入するということで、むしろ共済事業をさらに拡充するためにやった措置でございます。  ただ、おっしゃられますように、この三割を最高といたします足切り率の導入につきましては、その適用いたしますところの漁場の区域がどういう状況であるか、あるいは地元の漁民の方々がどういう御要望を持っておられるかということも十分に伺いまして、その上でこの足切り率をいかに設定していくかということは考えてまいりたいと思います。  また同様に、この地域において、むしろさらに密殖なり何なりという魚病のもとになるような養殖の仕方につきましては十分指導を加えていくということも必要でありますし、また魚病対策、その予防対策、さらには汚染防止といったようなところにも力を入れて、常習災害にならないようにしていくことが必要であるというように考えている次第であります。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)委員 関連でお聞きしますが、四月三日に、ニフルピリノールという薬浴剤に発がん性があったということが取り上げられています。大日本製薬は製造、販売を中止したということも言い、回収もしたというふうに伝えられているわけですが、この記事の中にもありますように、AF2の問題が出てきて以来、消費者やその専門筋からもこの薬の危険性は指摘されていたというようなことがあったわけですが、こういう薬浴剤ニフルピリノールに対して政府はどんな指導をしてこられたのでしょうか。  あわせて、水産用の薬というのは二十四成分、百種類あると私は聞きましたけれども、これに対してはどういう指導をしていらっしゃるのか、お伺いをしたいと思います。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 このニフルピリノールという薬剤でございますが、これは主としてウナギとかブリとかそういった魚の種苗を放流する際あるいは種苗を選別する際に生ずるすれと申しますが、これを防止するために薬浴剤ということで使用されてきておりまして、薬浴濃度というのは非常に低くて五十万分の一から百万分の一という低濃度でございます。この剤は光に対してはきわめて不安定でございまして、直射日光においては通常の使用濃度では二時間ほどで分解されてしまうということでございますし、また魚に対する毒性は低い。魚体内に残る残留も短時間で、通常の使用方法でやりますと二十四時間以内には消失することが知られておったわけでございます。  しかしながら、これにつきましては、五十六年十月五日に日本癌学会で魚に対しましては発がん作用があるという論文が発表されまして、この論文が発表されましたところが直ちに実は大日本製薬の方で製造の中止をしまして、五十七年二月末には製造の廃止届けをする一方で、市場からも商品を回収したという状況になっております。実は、私どもがこのことを知りまして直ちに問い合わせをした段階で、もう製薬会社の方は製造の中止をするという段階に入っておりまして、その意味では製薬会社の方も非常に迅速に措置をとったということは事実でございます。  この問題はもうすでに市場から商品も回収されておりますので、問題は解消したとは思っておりますけれども、問題はこの系統の薬剤が今後ともどう扱われるかという点であろうと思います。この点につきましては、私ども目下水産用の医薬品についてはその安全性について中央薬事審議会の水産用薬品調査会で見直し作業をやっております。私ども今回のこのような問題を契機といたしまして、審議をできるだけ促進してもらうというふうに考えておりまして、その面で申し入れも行っているところでございます。特に、このフラン剤の系統につきましては、このような問題もあるわけでございますから、その安全性について疑義が生じてくるということで、特に厳しく御審査をお願いするつもりであります。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)委員 製薬会社が迅速な措置をとったということは、ひっくり返したら、政府の対応が遅かったということにもなるわけなんですよ。首を振ってはりますけれども、もうちょっと神経質になってもらわないと、こういう問題が起こったらだれが困ると思いますか。消費者は買わないのですよ。私はこの記事が出た日に市場に行ったのです。もうみんなハマチを買わないのですよ。魚屋さんがハマチ残っていますと言うて一生懸命売りにかかっていましたけれども。えらいもんやなと思うのです。しばらくたったらすぐまた買うかもしれませんけれども。それで結局、こういうのもやはり漁民に返っていくのですわ。製薬会社は自分でそういう問題になるようなものをつくったんだから、回収しようとどうしようとその製薬会社の犠牲はいいと思うのです、責任ですから。だけれども、安全だと言われて使っていた漁民に飛ばっちりが返ってくるのは本当に気の毒だ、政府がもっとその辺を神経質に監視をしていく姿勢がなければ、こういうことからも養殖漁家というのは一つの大きな犠牲がかぶさってくるんだというふうに考えるわけです。したがって、フラン系の薬については、この際、その使用を認めないということで早急に対策をとっていただきたいと思いますし、それから養殖漁家は困っているというのですね。いままでこれをすれをいやすために使っていたのに、これがなくなったら困るといってこれまた飼育法で一つの大きな不安になっているわけです。この点ではやはりもっとできるだけ薬を使わない飼育法というものについて指導をしていくべきだと思います。  あわせてもう一点ですが、この薬と十年つき合ってきた漁民は、へえ発がん性物質か、ということでいままでいろうてきたわけですから、これまたどういう影響がわが身にかかってくるかという不安を持っているのです。これは直接担当じゃないと思いますけれども、ひとつこの際、そういうことではなしに、漁民の体の心配にこたえてやるつもりでしかるべきところに、特に、その会社に対して人体への影響がどういうものであるかということは公表するべきだという措置をとっていただきたいと思います。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 先ほどあのような御答弁を申し上げましたのは、実は最近は、製薬会社の味方をするわけではありませんけれども、非常に迅速に製薬会社の方も対応するようになったということを、事実を申し上げたわけでございます。さような意味で使用の中止、製造の中止、回収等が非常に早く行われているという実態を申し上げたわけでございます。  なお、私ども、フラン剤につきましては、おっしゃられますようにこのような系統の中に一つそういう問題が発見されたということもございますから、今後ともできるだけ早急に使用基準等につきましては結論を出してもらうということで対応いたしたい。また同時に、漁家の方々の不安ということも私わかりますので、さような面につきましても十分に検討をいたしましてしかるべき指導をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)委員 次に、もう一点関連ですが、養殖用や定置網用の網に使用されている漁網防汚剤というのがあるわけです。これがすず系化合物を使って、そういうものが含まれているものが使われているということでやはり問題になっています。これは船の底の塗料にも入っているわけなんですが、少しずつ海水に溶けていっているということなんですね。すでに千葉大の岩崎教授なども問題にしておりますけれども、この農薬安全使用基準というのを見ましたら、これの二のところに「水産動物の被害の防止に関する安全使用基準」というのがありまして、「散布された薬剤が、河川、湖沼、海域及び養殖池に飛散又は流入するおそれのある場所では、使用せず、これらの場所以外でも、一時に広範囲には使用しないこと。」これは何を指しているかといったら、これがすず系化合物なんです。だから一方ではこういうふうに農薬の安全使用基準に厳しいチェックが入っているすず系化合物同類のものが、網に塗るときには全くいまはそういうものがなくて使用されているわけなんですね。これもさっき言いましたように、何年かたってからいまさらそれは悪かったと言われたらこれまた売れなくなるというような問題が出てきますので特に申し上げたいんですが、この問題に対してはどういうふうに対応していらっしゃるわけですか。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 このTBTOという薬品でございますが、これは長期間水中に設置しておきます漁網等、これに海藻が付着するのを防ぐために塗布する漁網防汚剤でございます。その有効成分は、おっしゃられるように有機すずが入っておりまして、いわゆる重金属でございますから、魚体等への移行あるいは蓄積が起こるといったような影響が考えられます。そこで、このような防汚剤の使用につきましては、実は昭和四十七年の三月に水産庁の長官名を持ちまして各県に対しまして、有機すず等の主成分がございますところの漁網防汚剤につきましては、使用につきまして自粛方を実は要望している次第でございます。その指導をいたしまして、これを受けまして団体側もその使用の規制と申しますか抑制というものに入っている。使用基準を定めてその使用基準のもとで使ってほしいということを傘下の漁業団体に指導しているというのが実態でございます。  ただ、その後の私どもの調べでございますが、昭和四十七年以降もこの防汚剤の有害性に対する科学的知見につきましては、すでにその収集に努めてまいったわけでございますが、現在、決定的な意味でその調査の結果が、これは使用禁止しなければならぬほどきつい有害なものであるというような知見も出されておりませんので、ただいま昭和四十七年にすでに指導いたしましたような規制の段階で目下推移しているという状況でございます。ただ問題は、おっしゃられるように食品の安全性に関する事柄でございますから、私どもとしましては、この防汚剤につきましてさらに安全性についての調査研究を進めるとともに、また知見についても十分注意して集めておきまして、専門家の意見も聴取いたしました上で、必要な場合には関係省庁とも十分協議いたしまして所要の措置をとることもあるということで考えておる次第でございます。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)委員 これは私、月刊「かん水」という全国かん水養魚協会からいただいた雑誌を見ていましたら、「スズ系化合物でない安全性の高い無公害の漁網防汚剤です。」と、こういうキャッチフレーズで新しい漁網防汚剤の広告が載せられているわけです。こういうことで、すでに業界はすず系化合物を使うことはまずいということで、これは公害になるということでもう対応が始まっているわけなんですね。私は、この問題を考えていきまして、いまこの漁網なんかに対するチェック機関、薬剤の方は曲がりなりにもという言い方余りよくないかもしれませんが、一応チェック機関を通って使われているわけです。ところが漁網についてはそういうチェック機関が全然ないわけですね。だからノリも、以前ノリ養殖用に販売されていたグリーンカットといってよけいな青いほかのものがつかないようにするそういう薬が使われていたのですが、これは漁民の方が自粛規制ということでもう使わなくなりました。こういうように漁民の方が自粛措置をとっていかなければ、後追いになっていくということでは私は困ると思うのです。この際、こういう漁網に使う薬品についても、やはりチェック機関をきちんと設けていかなければいけないんじゃないかと思います。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 ただいま漁網の防汚剤につきまして、今後、知見も集めますし、調査研究も進めるということを申し上げたわけでございますが、その検討の過程の中で、いま先生おっしゃられましたような点につきましても私ども注意いたしまして研究、検討いたし、もしも問題があれば当然チェックをするということにいたしたいと思います。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)委員 これで最後にいたします。  ノリ養殖の問題なんですが、今回のノリ特定養殖共済に浮き流し式を加え、対象に加えていかれたということは、私は評価することにやぶさかではないんです。ところが、ここでもやはり実際にやっていらっしゃる皆さんは、もうそれどころやないんですわ、こういうふうな声がすぐ返ってくるんですね。  それで、いまノリを取り巻く情勢が非常に厳しいものがございます。これは和歌山県でもらった資料なんですが、昭和三十四年に一枚八円三十銭のノリが、現在五十六年で八円六十九銭なんです。もう二十二年もたっていて、たった三十銭しか違わない、こういう状態なんです。全国海苔貝類漁連というところに聞き合わせをいたしましても、昭和四十二年十六円十一銭であったノリが、現在五十六年で十三円五銭というふうに落ち込んでいるんですね。これではもう希望がなくなるのは無理がないと思うのです。消費者側の買うときには、ノリはやはり高いなという気持ちでいつも買っているのに、どういうことになっているのか。しかも、在庫の方は三十三億枚もあるというのです。だから、この一年足らずの間に十四軒もノリ業者、問屋さんがつぶれているというようなことも聞きました。こういう状況について、政府は承知していらっしゃるのか。  あわせて、いま農業では機械化貧乏という言葉がありますけれども、ノリ業界でもまさに機械化貧乏と言いたくなるような状態、一台で二千万円から二千五百万円かかるという、そういう機械を私は見てまいりました。こういうものに対して、とても個人では負担し切れないわけですから、そういう製造機械に対しては共同利用でもっと推進を図っていくように、構造改善事業の中で共同利用の場合は補助対象にしていくというぐらいの積極的な援助が求められていると思うのですが、最後に、これに対する政府の御見解をお伺いして、終わります。

松浦昭水産庁長官

○松浦(昭)政府委員 確かに、近年、ノリの生産技術が非常に改善をされまして、特に冷蔵網であるとか、それからただいま申されました浮き流し網、あるいはノリの製造関係機器、これらの新技術が取り入れられまして、その結果、非常なコストの低下ということが図られていることは事実であります。しかしながら、これらの大量生産の技術というものがあるものでございますから、需給がアンバランスになっているということは事実でございまして、これは私もよく承知しております。昭和五十三年以降、八十億枚ないし九十億枚の生産ということでございまして、これに対する需要が七十五ないし八十という状況でございます。このために在庫も相当多くなっているということでございます。  そこで、私どもとしましては、何と申しましても過剰ぎみと言われる設備投資を極力抑えるということを考えなければいけませんし、また、漁場の利用の適正化あるいは品質の向上ということによりまして、収益性を高めていくということが必要でございます。さようなことから、水産庁としましても、全漁連等を通じまして今後これらの点につき強力な指導を行ってまいりまして、この経営問題を解決していかなければならぬという気持ちは持っておるわけであります。  ただ、全自動の乾燥機械でございますが、一台で大体三年ぐらいが利用できるというふうに承知しておりますけれども、共同利用になりますと、どうしても十個は使わなければならぬということでございまして、さような補助という対象にはなかなかなじまない性格でございますので、現在は沿岸漁業の構造改善事業資金、これは三分五厘でございますが、これの対象にいたしております。今後とも、私どもとしては、共同利用等につきましては極力推進をいたしまして、いわゆる機械貧乏といったようなことがないように指導してまいりたいというふうに考えております。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)委員 ありがとうございました。

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  漁業災害補償法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 この際、本案に対し、渡辺省一君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。日野市朗君。

日野市朗日本社会党

○日野委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合を代表して、漁業災害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     漁業災害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、漁業用燃油価格の高騰、二百海里海洋新秩序の定着等厳しい漁業環境に対処し、漁業経営安定対策の強力な推進を図り、併せて、本法の施行に当たっては、本制度が果たす役割の重要性を十分考慮し、左記事項の実現に万遺憾なきを期すべきである。       記  一 燃油価格の高騰による漁業経費の増大が中小漁業経営を圧迫している現状に対処するため、再生産が阻害されることのないよう漁業実態に即応した補償水準の設定に努め、併せて、大型漁船の操業形態に適合した制度の仕組み及び漁業経費の補てんを基本とする制度の在り方について検討すること。  二 国際規制の強化が本制度の健全な運営に著しい影響を及ぼすことのないよう、共済組合が行う共済契約締結の制限、共済限度額の調整等につき適切な指導を行うこと。  三 漁業経営の安定と本制度の健全な発展のため、政府及び地方公共団体が行う融資措置等の経営対策と本制度との有機的な運用について検討すること。  四 試験実施が続けられているのりの特定養殖共済については、すみやかに本格実施に移行するよう努めること。  五 養殖共済において常襲病害を不てん補とするについては、発病の予防及び魚病のまん延の防止等防疫措置の充実を図るとともに、適正な養殖管理につき指導を強化すること。  六 地域共済については、十分な危険分散を図ること等によって、漁業者の共済需要に対応し、かつ、その事業運営の健全性が確保されるような措置を講ずること。  七 漁業共済団体の赤字処理に当たっては、漁業者の経済負担力が弱小である実情にかんがみ、漁業者の過大な負担とならないよう十分配慮し、その円滑な解消に努めること。  八 漁業共済基金の機能が中央漁業信用基金に承継されることに伴い、漁業共済事業の運営に支障を生ずることのないよう必要な資金の調達等に万全を期すること。   右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  渡辺省一君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議について、田澤農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田澤農林水産大臣。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○田澤国務大臣 ただいま御決議いただきました附帯決議の趣旨を尊重し、今後極力努力をいたしてまいります。     —————————————

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  漁業再建整備特別措置法の一部を改正する法律案の審査のため、来る十三日、参考人の出頭を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、明八日木曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十分散会

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