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96回国会衆議院1982/03/23

農林水産委員会 第9号

発言数
313
登壇者
24
会派数
6
開催日
1982/03/23

会議録

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 これより会議を開きます。  砂糖の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。田澤農林水産大臣。     —————————————  砂糖の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○田澤国務大臣 砂糖の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  砂糖の価格安定等に関する法律は、変動する国際糖価の影響を緩和して国内糖価の安定を図るとともに、国内産糖と輸入糖との価格調整を行うことにより、甘味資源作物の保護育成と国民生活の安定を図ることを目的として、昭和四十年に制定されたものであります。  その後、経済の成長の中で砂糖の需要は順調に伸び、昭和五十年ごろまでは、輸入糖も増加傾向を続けてまいりました。  一方、価格面では、国際糖価が乱高下を繰り返してきたのに対し、国内糖価は、糖価安定制度のもとで、総じて安定的に推移してきております。  この間、石油ショック後の国際糖価が高騰した時期に、日豪間の砂糖輸入の長期契約が締結されました。この長期契約の履行の問題を契機として、いわゆる砂糖の売戻し特例法が制定されましたが、この特例法は、本年三月末に期限が切れることとなっております。  しかしながら、砂糖をめぐる諸情勢は、最近に至り、大きく変化してきております。すなわち、近年において、一般的な甘味離れの傾向が見られます。その中にあって、でん粉を原料とする新しい甘味料である異性化糖が急速に増加し、砂糖の需要は大きく減少するに至っております。他方、国内産糖は、近年、北海道におけるてん菜糖の増加が顕著であり、全体として自給力の向上が見られます。このようなことから、輸入糖の数量は大きく減少しております。  以上のような情勢の変化により、糖価安定制度上、次のような問題を生じております。  その一つは、国内産糖の価格支持に関し、輸入糖の単位当たりの負担が急増していることであります。本制度の円滑な運営を図るという観点からこのような状況に適切に対処することが必要であります。  次に、本法においては、国内産糖の売戻し価格の決定に当たっては、市価を参酌することとされておりますが、さきに述べました情勢の変化に伴い、市価が低迷している場合における事業団収支の対策について適切な対応が必要となっております。  このため、糖価安定制度について所要の改正を行うこととし、この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、新たに異性化糖を蚕糸砂糖類価格安定事業団の売買の対象とすることであります。異性化糖につきまして、一定の場合に、同事業団による売買を行うことにより、砂糖との価格調整を行うこととしております。この場合の売買差額の算定は、輸入糖の場合に準じた方法によることとしております。また、その水準につきましては、異性化糖が砂糖の価格形成に及ぼす影響の程度等を考慮して定めることとしております。  なお、異性化糖の事業団売買に伴う収入の見込みに応じ、砂糖の売戻し価格を修正することとしております。  第二は、さきに述べました市価参酌措置を円滑に行うため、輸入糖及び異性化糖の蚕糸砂糖類価格安定事業団の売戻し価格につきまして、その特例措置を定めることであります。すなわち、砂糖の市価がいわゆる形成糖価を下回っている場合等において、各企業につき一定の数量を超える輸入糖及び異性化糖についての売戻し価格は、通常の売戻し価格に一定額を加えた額とするものであります。  この一定額は、砂糖の供給数量の増加が砂糖の市価等に及ぼす影響の程度を考慮して定めることとしております。  以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 補足説明を聴取いたします。渡邉食品流通局長。

渡邉文雄農林水産省食品流通局長

○渡邉(文)政府委員 砂糖の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由説明におきまして申し述べましたので、以下その内容につき、若干補足させていただきます。  まず第一に、目的規定の改正について御説明いたします。  新たに、異性化糖を蚕糸砂糖類価格安定事業団の売買の対象とし、砂糖との価格調整を図ることとしておりますので、目的規定について、異性化糖の砂糖との価格調整に関する措置を加えることとしております。  第二に、異性化糖の砂糖との価格調整についてであります。  輸入糖につきましては、平均輸入価格が国内産糖の合理化目標価格に満たないときは、蚕糸砂糖類価格安定事業団の売買を通じてその価格調整を図ることとしておりますが、異性化糖につきましてもこの輸入糖に準じて価格調整を行うこととしております。すなわち、異性化糖の製造者は、製造した異性化糖をその製造場から移出する場合、異性化糖の平均移出価格が異性化糖調整基準価格に満たないときは、その異性化糖を事業団に売り渡さなければならないものとし、同事業団は、その買い入れた異性化糖を当該異性化糖製造者に売り戻さなければならないものとしております。  輸入糖の平均輸入価格に当たります異性化糖の平均移出価格は、原料でん粉の価格、異性化糖の標準的な製造販売経費を基準として定めることとしております。また、異性化糖調整基準価格は、国内産糖合理化目標価格を異性化糖の価格に換算して定めることとしております。  異性化糖の売買差額につきましても、輸入糖に準じ、異性化糖の平均移出価格と異性化糖調整基準価格との差額に一定率を乗じて算定することといたしております。  なお、売買差額の水準につきましては、異性化糖が砂糖の価格形成に及ぼす影響の程度等を考慮して定めることとしております。  第三に、輸入糖の売戻し価格の修正についてであります。  新たに、異性化糖を蚕糸砂糖類価格安定事業団の売買の対象として砂糖との価格調整を図ることとしたことに伴い、輸入糖の売戻し価格について、異性化糖の事業団売買に伴う収入の見込みに応じて所要の修正を行うこととしております。  第四に、輸入糖及び異性化糖の売戻し価格の特例措置についてであります。  国内産糖につきましては、蚕糸砂糖類価格安定事業団の売買を通じてその価格支持を図ることとしておりますが、その売戻し価格の決定に当たりましては、砂糖の市価を参酌することとされております。このため、砂糖の市価の参酌を円滑に行うための措置として、輸入糖及び異性化糖の売戻し価格について特例措置を定めることとしております。  すなわち、砂糖の市価がいわゆる形成糖価を下回って推移し、または推移するおそれがあり、これにより同事業団が行っております国内産糖の売買業務に支障が生じ、または生ずるおそれがあるときにおきましては、各企業ごとに定める一定の数量を超えて事業団売買されます輸入糖及び異性化糖の売戻し価格につきましては、通常の売戻し価格に一定額を加えた額で売り戻すこととしております。  この一定額につきましては、砂糖の供給数量の増加が砂糖の市価等に及ぼす影響の程度を考慮して算定することとしております。  以上のほか、事業団売買をした後でなければ異性化糖を移出してはならないものとすること、異性化糖を製造しようとする者の届け出等所要の規定の整備を行うことといたしております。  なお、異性化糖の事業団売買につきましては、昭和五十七年十月一日以降移出されます異性化糖から行うこととしております。  以上をもちまして砂糖の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。      ————◇—————

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 次に、農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産業の振興に関する件について、本日、畜産振興事業団理事長森整治君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。串原義直君。

串原義直日本社会党

○串原委員 実は、二日ほど前に一部新聞で、農林水産省がやみ超勤手当を支払っているという報道が大きくなされたのでございますが、農林水産省の中で払われている超過勤務手当は約五十億円、具体的に指摘をいたしまして、この超過勤務手当は、つまり、月一万二千円払われている。このうち九千四百円程度が残業をしたようにして払われている、つまり、やみ超勤である、こういうことを指摘をしているわけでございますけれども、内容は事実どうなのか。ここに指摘をされたように、やみ超勤手当というようなものが支払われていたのかどうか、この際、明らかにしておいてもらいたいと思う。

角道謙一農林水産大臣官房長

○角道政府委員 お答えを申し上げます。  一昨日のある新聞紙上に「農水省がヤミ超勤手当」というのが出ておりますが、私どもこの内容については、まだ資料を入手したばかりでございますし、ちょうど連休のことでございますので、まだ実態については十分把握ができておりません。私ども従来から勤務の裏づけのない超勤手当というのは一切認めておりませんし、このことはあってはならないことでございます。したがいまして、こういうことは私どもないと信じておりますが、早急に調査をいたして、実態を把握したいと思っております。  御承知のように、公務員の場合、超過勤務手当は、一般の民間労働者と違いまして予算の枠の中でしか支払われておりません。そこで、本省あるいは出先機関等によりまして、月間の予算の超過勤務手当の時間数というのは限られておりまして、たとえば、本省をとりますと、一月約十八時間というのが予算の制約になっております。そこで、仮に本省におきまして国会中あるいは予算時期等月を平均しまして数十時間あったといたしましても、この十八時間、一日当たりにしますと約四十分でございますが、この四十分以内の超過勤務の中でしか総額としては払えないというところから、超過勤務手当の支払いにつきまして、たとえば、一定時間までは足切りをするとか、ある時間以上は打ち切りをするとか、そういうことによりまして超過勤務手当の範囲内でいかにして超勤を支払うかというのが給与担当者あるいは人事担当者の一番の悩みでございます。そういう意味におきまして、私ども実体のない超過勤務手当というのは支払ってはおりませんし、また、支払ってはならないことと考えておりますので、これにつきましては、この新聞の事実につきましてなお詳細に調査をいたしたいと考えております。

串原義直日本社会党

○串原委員 官房長から、いま、この種のやみ超勤手当は支払ってはいない、また、支払ってはならないことである、こういう御答弁をいただきましたが、そうだとするならば、この報道にあるようにそう受け取られるような誤解みたいなものを解く処置、施策を講じなければならぬと思うのです。これが一つ。  それからいま一つは、いま官房長、調査をいたします、こういうお話でありましたから調査をしてもらいたいと思うけれども、調査した結果、いま御答弁のようにやみ超勤手当に属するものはありませんということになれば大変結構ですけれども、万が一あったというかっこうになるとするならその処置はどんなぐあいにお考えになっていますか、ひとつこの際お聞きをしておきたいと思う。

角道謙一農林水産大臣官房長

○角道政府委員 ただいま二点御質問がございましたが、第一点の勤務の実態からいってどうするかというお話でございますが、これは、一般の民間労働者と同じように予算の制約外で超過勤務があればそのとおり確実に支払うというような方法がとれれば一番望ましいと思いますけれども、これにつきましては、予算の問題もございますし、相当いろいろ議論があろうかと思います。もう一つは、同じような方法かもしれませんが、勤務時間をあるいは超過勤務を予算の範囲内で抑えるということでございますが、これもなかなか現在の勤務の実態からいいまして、予算の制約の範囲内でしか超過勤務をやらないということは一般の工場労働者と違いまして労務管理上非常にむずかしい問題があろうかと思いますので、これにつきましては解決の方法はなお検討いたしてみたいと思います。  第二点の、こういう実態があったらどうするかということでございますが、私ども万一にもこういう実態があった場合にはやはり厳しく処分をするということをやる考えでございます。なお、詳細につきましては少し時間をいただきたいと考えております。

串原義直日本社会党

○串原委員 さて、次の問題でありますけれども、あと二日ほどで畜産物政策価格決定となるわけでありますが、そこでまず伺いたいと思いますことは、肉豚、肥育牛、この肥育牛の中には去勢肥育、乳雄肥育がありますけれども、それぞれ五十六年度一頭当たりの生産費、販売額、差し引き収益というのはどうなっておりますか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 肉豚、それから肥育牛につきましての生産費調査が出ておりますが、これは御承知のように五十五年の七月から五十六年六月、去年の半ばまでの数字でございます。この期間につきましては、御承知のように肉畜経営の生産コストといいますのは、肉牛、養豚とも素畜代が約半分ございます。それからえさ代が四割というぐらいでございまして、この二つの動き方によってほぼ収益が左右されるという性質を持っております。そういう意味で、そういう二つの要素の動きとそれから出てまいります枝肉価格との差、これで収益性がほぼ決まってしまうわけでございますが、いま御指摘の五十六年、五十六年度と言っておりますのは五十五年の七月から五十六年六月までの肥育牛、肉豚の生産費調査、それを使いまして申し上げますと、肉の専用種の肥育につきましては、五十四年から五十五年、ちょうどこの時期に出てきますものの素牛価格が大変高うございまして、それから配合飼料も値上がりの時期ということでございまして、生産費では約一六%上がっております。一方、枝肉価格はほぼ横ばいでございまして、その間の一頭当たりの所得は所得率で約一二ポイント落ちておりまして、一頭当たり六万九千百三十七円という数字でございます。それから乳用雄の肥育でございますが、これも五十四年の素畜価格が高くて、えさも上がったということがございまして、生産費は約一七%上がっております。枝肉価格はむしろ対前年比で申しますと中心価格を若干下がる水準で経過をいたしておりますので、一頭当たりではむしろ数字の上では赤字で、二万一千八十二円という赤字の数字が出てまいっております。それから肥育豚でございますが、生産費全体では一一%上がっておりますけれども、枝肉価格がむしろこの時期は高い水準で推移をいたしておりますので、前年に比べて非常に数字としましては増加いたしまして、一頭当たり四千二百七十八円という平年水準まで回復している。これはむしろ前の年が悪いということでございます。  いま申しましたように五十六年の六月までの数字でございますが、五十六年の半ば以降の経営環境を申しますと、素畜価格につきましては高値を脱しているとか、あるいはえさの価格につきましては御承知のように下がってきているということでございまして、五十六年半ば以降はいま申しました条件よりもはるかに好転をしてきております。畜産物の場合どうしても一年単位でとりますとこういうプラスが出たりマイナスが出たりいたしておりますので、先生も御承知のように、農家経営安定というような意味でたとえば、農家の平均払い制度というようなものを導入しまして、比較的よかった時期のたくわえをむしろ悪い時期に充てんするというようなことをいたしておりますけれども、少なくとも五十六年度の生産費調査に見る限りにおきましては、豚はよろしゅうございますが、肉経営については必ずしもいい結果になっていないというのが現状でございます。

串原義直日本社会党

○串原委員 そこで、肉豚、肥育牛、それぞれ、政策価格の場合、算定方式を昨年と同様とした場合に、今年何%ぐらいの上昇ということになるのか。どうなんですか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 いろいろの作業をいたしておりますが、まだ数字を完全に固め切っておりません。したがいまして、ここでどういう動きをするかということは申し上げかねるわけでございますが、一般論で申し上げますれば、大きく水準が変わらないというような形に出るのではないかと思っております。

串原義直日本社会党

○串原委員 つまり、算定方式を昨年と同じにしていった場合に、一般論ではあろうけれども、数字はほとんど横ばいである、こういう理解ということですか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 昨年の一年間の実勢価格の動きを見ますと、実勢価格としましては余り大きい変動をしてない。安定価格帯を豚は御承知のように一時割りましたけれども、初めは高くて一時割り込みましてまた上がってきている、それから乳用種につきましては、中心価格を中心にして初め下の方へ走ってそれから上へ上がってくる、和牛はちょっと高い水準で横ばいしているということでございますから、いまの実勢価格を中心にしてあと若干の生産性の向上その他を見るという実勢価格方式からすれば余り大きく動く性質のことではないと考えております。

串原義直日本社会党

○串原委員 この算定方式ですね、ことしは昨年と変わるんですか、変わりませんか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 方式は需給実勢方式というものをそのまま踏襲するつもりでございます。算定の要素につきまして若干の変更があることがありますけれども、これは逐年そういうことはいたしております。

串原義直日本社会党

○串原委員 ちょっと確認いたしますが、つまり、算定方式は変わらない、要素については若干動くことはあるだろうけれども、算定方式は変わらない、こういうことですね。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 いま要素と申しますのは、御承知のように、たとえば、豚なら五年というような形でその五年をとりますときの基礎となります数字がずれてまいります。そういうようなことも含めて申し上げたわけでございます。したがいまして、ごく一般的に言えば同じ算定方式とお考えいただいて結構かと思います。

串原義直日本社会党

○串原委員 では、次に、ちょっと伺いますけれども、ことし、いま一つは明年を見通してもらいたいのですが、ことし、来年ぐらいまで飼料の価格はどんなぐあいに推移するであろうか、推移すると農林省見ておられるのか、私、世界の穀物需給事情、このところ何かこう心配でならない。いま一つは、円安という状況になってまいりまして、その円安によって値上がり不安が強いというふうに私は判断しているわけであります。したがって、急速ではないであろうけれども、じりじりっと価格上昇という傾向になるのではないかと私は思っているのであります。農林省の見通し、判断をこの際伺っておきたいと思います。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 飼料穀物の価格あるいは国内における最終的には配合飼料の価格をどう見通すかということになろうかと思いますが、飼料穀物につきましては、御承知のように昨年来のアメリカの大豊作ということでいわゆる飼料穀物の備蓄と申しますか、要するに、在庫数量というのは大変高い水準でございます。したがいまして、来年の作況といいますか、これからの作況ということも含めて少なくとも現時点でこれを余り悲観する材料は見当たらない。もう一つ、これはアメリカとかアルゼンチンとかそういうことも含めてでございますが、そういう国に大変依存をいたしております計画経済国家、ソ連あるいは東欧圏というものにつきまして作が悪くて輸入をふやしてきたわけでございますが、最近の動向を見ますと、御承知のように、そういう国々もなかなか需要は、たとえあったとしても支払いその他のことがございましてなかなかそう容易に穀物を買い入れられないという事情も新たに加わっているように思います。  それから、もう一つの飼料の材料でございます大豆油かすそれから魚粉等のたん白原料につきましても、大豆も増産基調で在庫が相当ある。それから魚粉等も国内のイワシ等の漁獲もふえておりまして、価格はむしろ弱含みということで材料自身に余り心配する要素はないのではないか。それからもう一つは、御承知のように、海外から運んでまいるわけでございますから、フレートの問題があるわけでございますが、フレートにつきましては石油需給が緩和基調でございます。したがいまして、どちらかというと、フレートも低水準、そういうことからフレート面での心配も少ない。それからもう一つが先生いま御指摘の円相場でございますが、これに関しましては率直に申しまして、こういう国際需給とかあるいは国際貿易とかいろいろな要素があろうと思うのですが、全く予測することが困難な事態でございまして非常に当てにくい、これは、ありとあらゆる方々に伺いましてもなかなか的確の見通しが得られないし、またそういうことが出たとしてもそれがどれほど信憑性があるかということでございますけれども、少なくとも幾つかの要素の中でこの為替の問題が一番当てにくいわけでございますが、こういうものもある程度の変動を頭に置いた価格設定をいままでもしているということでございまして、そういう面から言えば、いまこれから、たとえば、今度の改定期であります七月なら七月という時点で大きく飼料価格を変動させなければいけない条件にはないんではないかというのがわれわれの見解でございます。これは私どもだけではございませんで、飼料関係者等も含めての感じでございます。万が一というお話もございます。そういうこともございまして、御承知のように、配合飼料の価格安定制度を持っておりまして、急速に値上がりをいたしました場合にはこれを補てんするという制度を一応持っているわけでございまして、たとえば、民間備蓄のための原資につきましても、少しでもえさが安い現状で極力積み立てをするようにということで、五十六年度から御承知のとおり、トン当たり千二百円の積み立てを千八百円にする、そういうことで安いときになるべく価格変動に対応するものは御承知のように財源確保のためにやるというようなこともやっておりますので、かつてありましたような大変な問題になるというような事態はないものと考えております。

串原義直日本社会党

○串原委員 これは非常にむずかしいことでありますから私は余りここで議論をしたくはなくて、むしろ今後の推移を見なければならない、こう思っているところであります。ただ、私は、局長の答弁のようにいけばよろしいが、不安要素が強いということだけはこの際強調しておきたいというふうに思っているところであります。  そこで、農家の負債の問題については後で触れさせてもらいますけれども、総括的な質問でありますが、肉畜を飼育する農家経営がとても大変だ、これはお聞き及びだというふうに思っておるところであります。さっき局長は、豚も牛も価格はまあまあというところで推移したんではないかという意味の御答弁をなさった。しかし、それにしてもどうしてこんなに畜産農家の経営が苦しいのか、大きな問題点が幾つかあるんではないか。このことを含めまして総括、概括的な質問ですけれども、この畜産農家の経営の厳しい状態というものを農林省はどういうふうに判断されているのか、実態をどういうぐあいに把握されているのか、御答弁願えませんか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 私どもいろいろな形で農家の経営の実態を調べているわけでございますが、一番数字的なものは、御承知のように、各生産費調査というものをいたしておりまして、たとえば牛で言いますと三百戸前後、これは和牛と乳牛いずれもそれぐらいの戸数やっておりますが、そういう調査を使って、そういう調査の中身を分析するということが一つの経営の中身を分析する手法でございます。そういう手法だけによりましてもなかなか実態を知りがたいわけでございまして、いろいろな関係団体等からそのときどきの事情等も承っております。そういうものを総合しながらいろいろな経営状態を分析するわけでございますが、端的に申しまして、畜産経営の場合にはかなり階層的な区分もあります。非常に大型化してどんどん多頭化しているもの、それから兼業的な形のもの、たとえば、養豚とか乳雄経営あたりになりますとかなり専業的な農家分の比重が高いわけですが、和牛の肥育等につきましては、和牛の子取りなんか特にそうですが、肥育なんかにつきましてもまだ数頭みたいなものですから、単に肉牛肥育農家という形だけではなくてその他の生産も含めた兼業といいますか副業的な経営として判断しなければいかぬという点もございます。そういうものを見ながらわれわれの政策を立てるわけでございますが、端的に申しましてこういう肉畜経営の場合は、かつて言われたビッグサイクルだとかあるいはキャトルサイクルとかというふうな、比較的順調なときと順調でないときというのが交互に来ているというのが実情だと思います。そこで、御承知のように、ある時期大変好調である、それが裏返しになってある時期になると非常に停滞的になるというようなこともありまして、こういう畜産経営を安定させます場合には、どうしても、いままで一番振れる要素は先ほども申しました素畜価格がどう動くかということ、それからもう一つはえさ価格、この二つでほぼ勝負が決まるわけでございます。したがいまして、豚等につきましては、御承知のように、すでに六十数%のものが一貫経営ということで、要するに、素畜の価格の変動では余り動かされないということになっているわけでございますが、肉牛経営の場合には、依然としてそういう素畜価格の変動が大きいわけでございます。したがいまして、子牛価格安定だとかいろいろな制度を組んでみておりますが、まだ素畜価格の変動が必ずしも緩やかになってきているわけではない。それからもう一つ、えさにつきましては、いま申しましたようないろいろな価格安定対策をやっておりますが、しかし根っこのシカゴ相場の動きというものを決定的にとめるわけにはいかぬ。そうなりますと、いいときと悪いときを極力ならす方の施策、たとえば、先ほど申しました平均払い制度のような、いいときに全部使ってしまうということでなくて、いいときの原資を比較的不調の時代に回すというようなこともあわせて考える、こういうことをいろいろやりながらやっているわけでございまして、いまの状況から申しますと、まず肉牛のところにつきましては、どちらかというと今度の調査に出たところが底のあたりで、これからは若干回復期。それから、その中で特に乳雄等につきましてはその傾向がはっきりしてまいります。豚につきましては、例の昨年の末ごろの低豚価、要するに、基準価格も割ったわけでございますが、これを若干順調に取り戻してきておりますので、計画生産よろしきを得ればえさの価格が下がってき、それから子豚の価格等も安定しているこれからがむしろ若干順調に回転する時期ではないか、そういう判断をいたしております。

串原義直日本社会党

○串原委員 つまり、畜産経営は、局長のおっしゃるとおり、いいときと悪いときとある。これは端的に申し上げますならばいま一番悪いときにある、こういうふうに私は判断をしているわけであります。上向き傾向になってきたかもしれないけれどもとにかく底である、こういう判断ですね。底ということはそれぞれの農家にとっては本当に苦しいときである、こういうことですね。こういう判断で私はいいと思っているが、局長さん、どうですか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 現時点と申しますより、いま出てきました五十六年度生産費調査の実行された時期、五十五年の七月から五十六年の六月と、まあ去年の前半までの方がむしろ数字的には悪うございまして、昨年の後半からはむしろ上り坂で来つつあるという判断でございます。

串原義直日本社会党

○串原委員 そこで、私は大臣に伺いたいのですが、肉豚あるいは肉牛の飼育、それぞれ農家経営は大変に苦しい。それから、言うまでもありませんけれども、購入しなければならぬ諸資材の高騰が大変に厳しい。それから、私は若干局長とは意見がずれたけれども、円安などの影響もあって、飼料が今年の後半などはどうも心配、不安要素が多いということも考え合わせまして、当然のこととして私は考えておりますけれども、畜産物の、つまり豚、牛の保証価格はこの際引き上げるべきである、こういうふうに考えるのですけれども、いかがでございますか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 算定につきましては、私どもでいろいろと数字をいま調べておりまして、その算定の基本に従いまして、審議会にかけて御意見をいただきまして決定をしなければならぬと思っております。  価格につきましては、法律にも書いてありますように、一方では農家の再生産も確保しなければいけませんけれども、もう一方、やはり消費者が安定的に畜産物が消費されるように——最近、特に私ども気になっておりますのは、家計消費がそう簡単に伸びにくい状況になっている。それから、御承知のように二千五百キロカロリーという、要するに、腹いっぱいの状態になっておりますと、消費者の購入態度も非常に価格に鋭敏になっている。たとえば、五十四年、五十五年、牛肉の価格が比較的高い段階で推移しましたときに、みごと消費者の需要が減ってきた、そういう消費者の需要の動向というものもこれから農家の方々が本当に安定的に手取りを取るために必要なことではないか。牛乳の世界でも申し上げておりますように、たとえば、消費がうんと伸びるというような前提で生産が実需以上に伸びますと価格が下がるというしっぺ返しで、実際はなかなか農家の手取りにつながらぬという状況もありますので、私ども、再生産確保に必要な、要するに、農家としては生産が継続できる畜産物価格でなければならないと同様に、そのものが消費者にとって受け入れられて十分——私は、畜産はまだ微小ではございますが、需要が伸びる部門だと思っておりますが、そういうことも頭に置きながら価格決定をしていかなければならないと考えております。

串原義直日本社会党

○串原委員 消費者の立場に立つこと、これは当然でしょうね。  次官、ちょうど次官がいらっしゃるから聞きますけれども、私は、先ほど申し上げましたように畜産農家の経営が大変厳しい情勢にある中で、きょうは余り深く議論はしませんけれども、局長さんが答弁された以上に、私は、いまの農家の経営は大変だと思っている。このままでいくと、本当に倒産するのは幾つもできるのじゃないか、こう思う。つまり、この原因は、いろいろありますけれども、価格にあると思う。私は、いささかなりとも価格を上げてやるということが畜産農家の自信につながっていくのではないか、それから経済の動向からいうても当然ではないか、こう考えている。審議会の意見を聞きながらということではあろうけれども、次官としては、何とか考えてやらなければならぬ、こうお考えになりませんか。いかがですか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産政務次官

○玉沢政府委員 個人としてはいろいろな御意見もたくさんあるかと存ずるわけでございますが、やはり法律に従いまして、審議会の意見を十二分にお聞きをいたしまして適正な価格を決定していく、こういう立場に立っておるわけでございますので、いまございましたえさの価格の動向、あるいはまた国際的な状況、また国内の経済の動向、消費者の意向等も十分踏んまえた上で、最終的な結論を目指して努力をしてまいりたい、こういうふうに存ずる次第であります。

串原義直日本社会党

○串原委員 そういうことでしょう。しかし次官、この実態、農家の実態を踏まえて少しは上げてやらなければ、ことしは無理じゃないかなという気はしませんか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産政務次官

○玉沢政府委員 十分御意見を承りまして、今後検討の材料にしてやってまいりたい、こう存じます。

串原義直日本社会党

○串原委員 私は、もう繰り返しませんけれども、農家が生きられる施策を強力に推進願いたいと思っています。  そこで、豚肉の需給均衡を図るために農家は御承知のように自主調整を進めてきたところでございますけれども、時間がありませんからここで統計の数字は繰り返しませんが、統計が示しておりますように、近時、輸入量が余りにもふえてまいりました。農家が生産調整をする、生産を減らしていく、しかし片方ではそれ以上に輸入がふえていく、そして国内畜産農業を後退させていく、これでは農政が存在するのかどうかという批判を受けてもやむを得ないと思うわけであります。したがって、わが国農業を守ってまいりますために、厳しい道ではありますけれども、輸入調整を関係方面とよく連携をとる中できちっとやっていかなければならない、やるべき時期に来ているのではないか、こう思うのです。その具体的な方策等ございましたならばひとつ御答弁を願います。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 昨年の価格決定の時期と前後しまして、御承知のように国内では計画生産を進めて価格も比較的堅調に推移いたしております。そういう中で若干安定価格帯が上がるのではないかといううわさ等が出ておりまして、私ども大変望ましくないうわさだと思っていたわけでございますが、そういう中でひょっとして価格帯が上がるのであればもう少し輸入をしておけば先行き非常に好都合じゃないかという、いわば若干思惑的な輸入が先行したという事実がございました。結果的には、大変不幸なことでございまして、それが年の前半に対前年比大体六割増くらいの姿で輸入が入ってまいっておりまして、国内の計画生産して出してきたもので初めはよかったわけでございますが、それが十月ごろを契機にいたしまして、国内の出荷頭数がふえると同時に価格が低落をいたしまして、御承知のように、安定基準価格を割るという不幸な事態になったわけでございます。私どもとしましては、すでに成約はいたしておりますものではございましたけれども、そういう形で輸入が進められれば、いま先生の御指摘のあった国内生産の計画的な生産にもひびが入りますし、それからそういうことを扱っていらっしゃる商社の方なり、あるいは需要者であるメーカーの方々にとっても豚の価格が非常に乱高下するということは決していいことではございませんので、商社、加工メーカー、生産者団体、そういう方々でかねがねやっておりました会合を大変頻繁にいたしまして、そういうことが決してプラスにならないということで自主的な輸入の調整をしていただいているわけでございます。去年の六月から八月、九月、十一月、一月、二月と実に六回にわたりましてそういう事柄をやりまして、秩序ある輸入が行われるようにということをいたしたわけでございます。その結果、豚肉の輸入につきましては下期に入りましてからは非常に急速に減少してまいりまして、去年の十月からことしの一月までで申しますと、若干上回っておりますが、ほとんど前年度水準になっておりまして、したがいまして、例の安定帯の中の価格もだんだん回復をしてきているという実情にございます。そういうことを生産者から最終のメーカーまでを含めて自主的にやっていただくわけでございますが、そういうことが行われますと、外部からは行政的、要するに、これは自由化している品目でございますから、自由化している品目について政府が要らざる干渉をして自由化物資の輸入を抑え込むのだという非難を諸外国からされる、現にされたこともございますけれども、これはあくまで生産者から最終需要者まで本当に国内における豚肉価格、あるいは豚肉の水準というものを乱高下させない、乱高下させることは生産者だけじゃなくて、末端の消費者にとっても決していいことではないということで自主的におやりいただいているわけでございますが、今後におきましてもこういういわば定期的な協議の場を設けまして、そういう豚肉が輸入によって振り回されることがないように考えていきたいと思っております。

串原義直日本社会党

○串原委員 これは次官に伺いましょう。  牛の飼育農家が大変な負債を抱えて経営危機にあるということはさっき申し上げました。したがって牛肉の輸入拡大も含めまして貿易自由化は絶対に許されない。ところが政府部内、自民党筋にはまたまた自由化はやむを得ないのじゃないかというような声が出始めているというふうに聞くわけであります。私は、貿易自由化、輸入枠拡大は絶対に阻止しなければならないというふうに強く考えている者の一人であります。私は、次官もそうだろうと思う。ここで農林省の姿勢が一足でも後退するならば、大げさな言い方をするならば、日本の牛小屋はつぶれてしまう、こういうことになると思うのですが、改めて農林省の決意のほどを伺っておきます。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産政務次官

○玉沢政府委員 牛肉の問題につきましては、さきの東京ラウンドにおきまして一九八三年度までの輸入枠につきまして合意を見ておるわけでございまして、今日まで、わが国といたしましてはこの合意に従いまして誠実に実行してまいったわけでございます。御指摘のとおりに、わが国の畜産業におきましては非常に厳しい状況にあるわけでございますので、畜産農家を育成していく上におきましても農林省といたしましては、いろいろな自由化要請があるわけでございますが、これに応じることは困難であるということは明確にいたしておるわけでございます。したがいまして、米国との間におきましてはことしの十月以降に交渉をする、こういうことに相なっておるわけでございますので、こちらの方から一方的に自由化するとかそういうことは考えておりませんので、この点は十二分に御理解を賜りたいと存じます。

串原義直日本社会党

○串原委員 次に、乳の問題に移りたいと思うのでありますが、これは基本的な問題ですから次官にまず最初に伺いたいのであります。  牛乳の生産費は百キログラム当たり五十四年八千四百九円、五十五年八千九百四十一円と上昇いたしまして、どうも五十六年の場合恐らく九千三百円、四百円前後になっているのではないかと思うわけでございます。ために、四年間の保証価格据え置きで実質乳価は一七%程度ダウンした、こう言われております。したがって、ことしもまた据え置きなどということは私は絶対に承知できないことなのであります。しかし好ましい条件としては、一つは、民間の乳製品過剰在庫が解消の方向にある、さらに相場も指定乳製品におきましては安定指標価格水準を上回るところまで回復してきている。ことしこそ加工原料乳保証価格は酪農民の要求にこたえて引き上げられなければならない、こう思っているわけでありますが、大臣のこれに対処する姿勢について次官の方にひとつお伺いいたしたいと思います。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産政務次官

○玉沢政府委員 大変格式張った答弁に相なるわけでございまして恐縮でございますが、畜産価格と同様、加工原料乳の保証価格につきましても畜産審議会の審議の結果、御意見を十二分に承りまして決定をしていくということに相なっておるわけでございますので、先生の御意見も十分承りまして最終結果を決定の方向に持ってまいりたい、こう存じておるわけでございます。

串原義直日本社会党

○串原委員 公式的にはそうでしょうね。そういう答弁でしょう。私が伺いたいのは、審議会はあさってでしょう。その審議会に諮問するあなたの姿勢、ことしは少しは考えなければならぬな、上げてあげなければならぬなという姿勢で臨むのか、据え置きでいくのかということになると、審議会の意見を徴してというその基本が大きく変わってくるわけですよ。五年間据え置きというのはどうかなということでことしは少し考えてあげなければならぬ、こう考えていらっしゃるかどうか、こういうことを伺っているわけですよ。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 周辺事情を若干申し上げておきますと、いま先生御指摘のように去年非常に問題になっておりました乳製品の市中在庫、これは先生おっしゃっていますとおりに市中在庫に関しましては好転の傾向にあることは御承知のとおりでございます。ただし、残念ながら畜産振興事業団が手持ちをいたしておりますバターは一万二千トンくらい、それから脱脂粉乳四万四千トンというオーダーは実は全然変わっておりませんで、そういうことが横にあるものでございますから、先生いま御指摘のように、過去四年間安定指標価格以下で推移してきました乳製品につきまして、回復の基調は見られておりますけれども、バターは昨年の十月ごろ一〇〇の水準に来まして張りついたままでございます。本来もう少し均衡をとって一〇〇を上回ってくるとよろしゅうございますけれども、一〇〇の水準のまま、それから脱粉その他につきましても一〇〇は超えましたけれども、どんどん上昇するというわけではございませんで、安定指標価格の一〇四まで上がってまいりますと事業団が在庫を放出して売り戻しをするわけでございますが、その手前にとまって動いていない、これは明るさは見えてまいったわけでございますけれども、それをもって完全に需給均衡に回復したとはちょっと言いがたい事情ではないかと私思います。  もう一つ、私ども非常に頭を痛めておりますのは、生乳の三分の二の生産を占めますいわゆる飲用乳のところにおきまして、実は、これは残念ながらいまだに農家手取りが下がり続けている、このことはよく加工原料乳と関係ないとおっしゃる方もあるわけでございますが、これはまさしく一番の問題点でございまして、物の本当の需給の均衡がとれまして、用途別に本当に均衡がとれてきたならば、市乳価格についても回復しそのことが農民の手取りにならなければならない。いまの法律でも生乳の生産及び需給事情と言っておりますのは決して酪農製品のことだけではございませんで、市乳のことも含めて言っているわけでございますので、そういう点においてまだいささか、いささかと申しますかそこが一番われわれとしまして容易ならざる事態と考えております。  それから、先生がおっしゃいましたいろいろな生産の諸事情、これは特に五十六年におきましては、毎度申し上げますようにえさの価格も上昇していること、それから子牛の価格も下がったというような事情、これは副産物でございます。それから特に北海道におきましては冷害に見舞われたといった諸事情を考えますと、酪農家の方々には大変苦しい事情が累積をしたということも承知をいたしております。しかし、五十七年度の乳価を考えます際には、五十七年度の経営において、たとえば、えさの価格はどうなるだろうかということも織り込んで算定するしきたりになっておりますので、そういう面ではマイナス面だけではなくて農家経営面ではプラスになる事情もあるわけでございます。  このような諸要素を見ながら現在慎重に検討しているわけでございまして、そういう意味で、そういう諸事情を勘案した上のわれわれの考え方を決めて、それをもって審議会にお諮りしなければならないのではないか、そういうことで作業を進めているところでございます。

串原義直日本社会党

○串原委員 これ以上進展しないだろうと思うから、ともかく肉畜と同じように少なくとも五年据え置きなんという答えを出さない、そういう姿勢で積極的に対処してもらいたい、強く要請をしておきたいと思います。  そこで、生産者は第三次酪近計画によりまして経営規模拡大と経営近代化を図ってきたところでありますけれども、五十四年度からはこれとは反対の方向に、つまり自主的生産調整に取り組まざるを得ない厳しい状況となったことは御承知のとおりであります。ところが、最近需給の均衡化が進んで、指定乳製品におきましては価格の回復の傾向にある。中央酪農会議の試算では五十七年、指定乳製品の需要量を二百七万三千九百トンと見込んでおりまして、供給計画は乳製品在庫の完全解消を目指して四万九千トンの放出を予想し、これらを差し引いて二百二万四千九百トンの供給を要するというふうに見ているようであります。といたしますと、現在の限度数量百九十三万トンよりもおよそ九万五千トンほど不足をする、こういうことになるわけでございますが、この中央酪農会議の試算等々も踏まえまして、限度数量枠の拡大についてはいまどんなふうにお考えになっておりますか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 これにつきましても現在検討中でございますが、周辺の事情だけ御説明をいたしますと、中酪がそういう数字を出しましたことも十分承知をいたしております。  私ども、指定乳製品の価格が安定的に市況と申しますか、需給均衡しますれば、これはかつてはもっと高い水準であったわけでございますから、そういう水準に回復してちゃんと安定的に売り買いができるようにする。それをやるためには何としましても先ほど言いました脱粉の四万四千トンとかバターの一万二千トン、これは生乳換算しますと実に四十五万トンの分量のものを抱えているわけでございます。これがもう少し身が軽くなると申しますか、そういうおもしにならないような状態をつくり上げることが必要だと思っております。したがいまして、単年度需給でもう少しつくれるのではないかというお話よりも先に、やはり事業団在庫というものを、これはゼロにする必要は実はないわけでございますが、もうちょっと身軽なものにするというのは一つの要因として要るのではないかなということは頭に入れておかなければいけないことではないか。  それからもう一つは、実はこの指定乳製品の価格が異常に下がった、先ほど申しましたように非常に在庫があって一〇%以下に下がったわけでございますが、その事態によって起こってきた事態かと思いますので、いま決定的なことは申し上げかねるわけでございますが、従来市乳の世界、要するに普通の牛乳の世界からつくられていたものの非常に多くの部分が、実は、財政負担の要る脱粉の世界に変わってきているのではないか。たとえば、発酵乳とかヨーグルトとかそういうものをつくります際に、従来ならば飲用乳の世界、市乳の世界から流れていたものまで実は、財政負担のかかる脱粉に水を加えて戻すというような形になっていたきらいがあるのではないか。これは量とか質の問題でもっと検討しなければいけませんけれども、そうなりますと農家の手取りが余り変わらないというかほとんど変わらないのに財政負担だけ要るということで、これは今後、この加工原料乳不足払いの制度を運用するために非常に問題な点ではないか。ですから、いまのように脱粉市況が若干回復しますと、そういうことはなくなるのかもしれませんけれども、その辺の判断がいま一つはっきりしない、このような要素がございますので、去年指定乳製品の需要がある程度伸びたことは数字の上ではっきりしているわけでございますが、そのことを直ちに限度数量の増加に結びつけていいのかどうか、その辺のことも検討の素材にして現在検討中でございます。

串原義直日本社会党

○串原委員 そうすると、その検討はいつごろ答えが出ますか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 諮問の際に、そういう数字も含めて諮問するつもりでございます。

串原義直日本社会党

○串原委員 そこで、メーカーが買っておりますところの原乳百十八円の場合、卸、小売手数料、運賃等含めまして、市販はリッター二百三十円でないと採算がとれないというふうに聞いているわけでございます。しかし、実際にはそれよりもずいぶん安い牛乳が市販されていると聞きます。飲用乳の最低価格を話し合って守っていく、そういう必要が生じてきたのではないか。つまり、政府は指導価格、ガイドラインを設定指導すべきときに来ているのではないか。もはや野放しにしておいてはいけないときだ、こういうふうに私は思うのでありますが、いかがでしょうか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 市乳の価格のあり方につきましては、これはいろいろございまして、かつて、たしか昭和四十年代は生産者の価格、それから処理業者の価格、それから末端の小売業者の価格につきましても、役所としていろいろと指導いたしておりまして、いわば末端一本価格みたいなものもやってきた経緯がございます。ただ、これにつきましては御承知のように四十二年の国民生活審議会の消費者保護部会で、そういうやり方は適当でないんではないか、事と次第によっては独禁法上の価格カルテルの指導になりやすいという御批判があったわけでございます。時を同じゅうしてそういうところに、御承知のように販売店で一本幾らというような売り方をする牛乳から、紙の容器に入れてリッターで、しかも大量売りをするということになってまいるようなことも進んでまいりまして、いわゆる末端価格を行政指導をするというような姿についてはいろいろ問題が出てきた。  そこで、私ども現在問題にしておりますのは、いま先生もおっしゃいましたように、たとえば、農家取り分百十八円といったような、これは大都市圏中心にありますような市乳の一応の生産者の売りの希望の価格としてそういうものもあり、それについてはメーカー側もある程度受け入れていたわけでございますが、片側でいろんな生産の合理化もある。そういう中で、実はもうちょっと安い牛乳でもやれるという生産者サイド、特に、末端では相当合理化して大量売りをしますともっと安い値段でもやれるというようなことが重複してまいりまして、市乳価格水準というのはいまどんどん下がってきているわけでございます。  その場合に建て値自身ではなくて、そういう建て値にそれ以外の、いわば割引的な形で、たとえて申しますと、契約している数量の十なら十のうち九は建て値でもいいけれども、あとの一割は特別安い価格でというようなことで、農家の手取りも下がってくる。またメーカーとしても原乳の手当てを安くできるのであれば、末端のスーパー等でよくありますような目玉商品の供給源にもなるというふうなことで、これは端的に言いますと、需給が大変緩んだことから自然発生的に出てきたわけでございますが、そういうことがいまだに行われており、決してそれがとまっていない。そういうことが実はよくスーパーの身勝手から乱売が行われていると言いますけれども、生産者サイドあるいはメーカーサイドにもそれにつけ入れられる余地があるわけでございます。私どもはむしろ、生産者が本当にコストならコストを意識して、十分コストの上からも耐えられるような水準を本当に守る、メーカーとしてもそういう一部の安売り原乳を求めるという形ではなくて、全体として供給ができるような水準を生産者団体と話し合う、こういうことがぜひとも必要だと考えておりますので、そういう生産者の団結なり、あるいはメーカーとの話し合いにつきまして、われわれもある程度口をききながらそういう話し合いが円滑に行われる場をつくるという意味で行政指導を進めていくつもりでございます。これはあくまでそういういわば独禁法といったような法律の面からも許される範囲内で、しかも生産者、それが決して消費者の利益を損なわない、そんな形でやっていくのが必要かと思っておりますので、かつてのような末端価格水準を抑えるというような手法はとるべきではないと考えております。

串原義直日本社会党

○串原委員 先ほどから議論してまいりましたように、畜産農家経営は大変に負債を負いまして重大な危機にあるわけでありますが、私がしばしば申し上げましたように、その実態は予想以上のものがございます。この際、関係する農業団体、生産者団体と協力をして急いで実態調査、総点検をすべきであると考えますけれども、どうでしょうか。  そこで、昨年も農林省が相当な配慮をいたしまして融資制度を行ったわけでありますが、その調査をぜひ願いたいと思うけれども、その実態が明らかになった場合は、負債整理に農業団体の要請する資金を、つまり、長期、低利資金を手当てすべきではないか、こう思うのであります。これは積極的にやってもらわなければいかぬ、こう思う。いかがでしょう。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 農家の経営の中でいろいろと、そういう当初予定をしておりませんでしたいろんな要件の中で負債が積み重なっているという事例もあろうかと思います。酪農につきましては、御承知のように昨年負債整理資金をつくりまして、まず初年度の貸し付けを始めたわけでございます。  いま御指摘の肉畜の経営につきましては、一般論といたしますと、肉用牛の肥育につきましては、先ほど申し上げたように、五十五年から五十六年半ばにかけての経営について悪い要因が重なっておりますから、そういう意味の条件の悪化というのは一応言える。養豚経営につきましては、端的に言いまして、去年の数字自身はおととしに比べましてむしろプラスの数字でございますから、一般論として、そういう議論はなかなかしにくいという事情がございます。これは一般論でございます。  それから、農業団体等と話をいたしております中でいろいろ出てきますのは、酪農と違いますのは、酪農負債は御承知のように非常に固定的な資本の投入とか、それから牛自身、御承知のように生まれたときから言えば八年間も飼うわけでございます。どちらかというと、そういう固定資本のこげつき的な感覚の負債でございます。それに対しまして、国用牛それから養豚は、それがもっと短いわけでございますが、要するに、何がこげついているかという中身は、そういういわゆる畜舎サイド的な固定資本的なものよりも、えさ代であったり、素畜費であったりする。そちらの方はまた金も大きいわけであります。そういう意味で負債の性格が違うというのが一つ基本としてございます。  しかし、そういう事情を頭に置きました場合でも、肉畜、肉用牛経営の相当部分、それから養豚の場合は、どちらかというと全体の傾向というよりも、経営の優劣格差みたいな形で負債が累増しているものがあるということは事実のように思います。したがいまして、そういうものをこれから健全な経営に振りかえていきます場合に、酪農で行いました程度の、手厚さはともかくも、何らかの意味で資金的な手当てをすることが経営の前向きの回転に役立つものもあろうかと思います。  これはあくまで一般論としていま申し上げておりまして、先生も御指摘のように、これにつきましては性質と申しますか、そういうのがいいという性質の御要望はあるわけでございますが、酪農の場合のように、より具体的に経営分析をいたしました指標がまだ整っておりませんので、そういうことをやはりまず第一にやりまして、経営の実態というようなものの洗い直しを含めて、そういう数字の上に立ってそういう資金を手当てすることが経営の健全化に役立つと判断されますれば、そういうことも今後のわれわれの畜産施策の重要な柱になろうか。ただ、言葉といたしまして、いわゆる負債整理というような言葉がいいのか、それとももう少し前向きの経営改善といったようなことも含めたことがいいのか、この辺は考えようでございますが、その辺の勉強をいまいたしているところでございます。

串原義直日本社会党

○串原委員 時間が参りましたので、終わることにいたします。

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 安井吉典君。

安井吉典日本社会党

○安井委員 いま串原委員から質問が展開されていたわけですが、私も全部お聞きできないような事情にありましたので申しわけないのですが、まず乳製品の問題から、酪農の問題から始めていきたいと思います。  いま、いろいろ新聞等で報ぜられているところによりますと、農林事務次官は今度の酪農部会への諮問は据え置き諮問であるということを言明されていると伝えられておりますが、もうそういう方向は決まったのですか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 私どもが先ほどから申し上げております周辺の事情等について御説明をいたしております。そういう意味で、周辺事情としていろいろ厳しいものがあるということは申し上げておりますが、農林省自体として諮問案はいまだ決定をいたしておりません。

安井吉典日本社会党

○安井委員 そうしますと、事務次官の言明というのは一体それは何ですか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 私どももときどきそういう記者会見というようなことがございまして申し上げますが、周辺事情、たとえば、決めていないということを申し上げた上でいろいろ事情を申し上げても、紙面に出ますときには決めたという姿で出ることも往々にしてございますので、私どもとして決めたという事実はございません。

安井吉典日本社会党

○安井委員 据え置きあるいは据え置きムードということになれば、昨年もその前の年の価格算定方式を変えたのですが、また変えなければいけない。毎年毎年価格が導き出される算式が変わるということで、いいかげんなものだな、農林水産省の価格決定なり諮問のあり方というのはそんなものであっていいのだろうかという声が出るわけであります。いつになっても同じような方向で答えが出るような、そういうことで信頼を回復するという考え方はありませんか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 要するに、価格算定方式というのは、最終的には一つの計算式になっておりますけれども、法律で言っておりますのは、こういう酪農の生産、需給の事情、それからその他の経済事情をよく勘案しろ、それから酪農経営の合理化を促すような形で決めろということが書いてあるわけでございます。そういう言葉を一つの方式に直しまして、そういう一つの方式を使いながらやっているわけでございますが、先生も御承知のように、酪農の計算方式につきましては、要するに、実数をそのまま入れていいところ、これはいろいろ実際かかった経費みたいなところ、そういうところは全部実数を入れていく方式でございますが、要するに、動きますところは、御承知のように飼育管理労働のところの労賃の評価の問題、これは実際はかかっていないものをどんな労賃と考えて置きかえるかということ、それからもう一つは自己資本の利子、これは生産の場合は別に支払いを要するものではございませんが、自己資本の利子を一体どういう評価をしたらいいかということ、それから自分の土地の地代、これも本来払うべきものではございませんが、自分の地代を幾らに見立てるかという、この三つのところが評価の要素で決まるところでございます。昨年、制度をどうこうとおっしゃられましたのはその評価の場所のところではなかろうかと思いますが、そういうものにつきましては、先ほど申し上げましたような生産、あるいは需要、あるいはその他の経済事情、こういうものの中には財政とかいろいろございますが、そういう事情だとか、あるいはそういうことをやることが酪農生産の合理化のプラスかマイナスかという判断をいたします場合に若干の評価の仕方の取りかえというようなこともあるわけでございますが、そういう問題につきましては、まさしく、政府がそういう案を出すというだけではございませんで、そういう評価の場所こそ審議会等でいろいろ御議論をいただいて、そういう評価の考え方はいいかどうかというようなことを御判断いただいているわけでございまして、私どもも基本的にはそういう考え方で今後もやっていきたいと思っております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 それじゃ伺いますが、いろいろあなたの方も試算をやっておられると思うのですが、もし昨年どおりのあの式を置いてそれにいま農林水産省でいろいろお調べになっているはずの数字を当てはめた場合、それで諮問されるかされないかこれはわかりませんが、それとは関係なしに、そういう仮の試算をやっていただければ原料乳価格はどれぐらいになりますか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 これはあくまでも一般論としてお聞きいただきたいと思いますが、大きく数字が動くような形には出ないのではなかろうかと思っております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 それじゃひとつ昨年どおりの形で数字を当てはめてみた場合どれぐらいになるか、原料乳価格に一応限りますが、それについての試算がいますぐ示されますか。後にいただけますか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 もとになります生産費の調査自身がまだ確定値を出しておらない段階でわれわれが一定の幅で試算をしていることでございますので、現時点でお出しすることはできませんが、私が申しましたのは、一般論として、大きく数字を動かすようなものではないということでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 生産費がまだ出てないのですか。これもあなた方が諮問するのは二十五日でしょう。その結論を出すのはきょうあすじゃないですか。それで出てないなんというのはおかしいですよ。表に出してないというだけでもう出ているはずです。あるいはそこでいろいろ調節をされたのじゃ困るのですね、これは統計数字ですから。そういうものじゃないと思いますね。大体の目安は私は、つきそうなものだと思うのですが、どうですか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 したがいまして、一般論として大方の目安でと申し上げたわけでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 これはいますぐにここでおっしゃられなければ後でも結構ですよ。後ろにいっぱい計算機を回すのが達者な皆さんがいるし、いろいろ試算もされているはずです、ただ言わないだけで。ひとつ後で教えてください。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 またあした実は、御承知のように肉の方のをやりまして、それと同時並行的に数字をとめていくわけでございますので、お見せできますときはわれわれとしてもそういう判断ができたときということでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 もう肉は肉の専門家がいるし、乳は乳の専門家がいるのじゃないですか。肉と絡めて問題を言うようなことは大体おかしいですよ。ひとつ早く私の要求をかなえていただくようにお願いしておきます。  そこで、在庫の状況が限度数量に響いてくるということでありますが、先ほどのお尋ねにもそういう答えがございました。しかし、昨年度の乳価決定の際に、農林水産省はもう大変なミスをおやりになったわけですね。在庫の見通しの誤りなんですよ。政務次官も畜産局長も当時とはかわっておりますけれども、頭を下げてその数字を全部訂正しに歩かなければならなかったというようなぶざまな状況をつくっているわけです。しかも、それがただ頭を下げて済むというふうな問題ではなかったと私は思います。もういま責任者がかわっているから私の方から申し上げますけれども、初めあなたの方は、民間の在庫は生乳換算二十五万トンだと言った。それを基礎にして昨年の諮問価格をはじかれた。ところが、最後に四月になってから悉皆調査をやったら十五万八千トンでありました、大変な誤りでありますと言って謝って歩かれたわけであります。しかし去年のあの諮問のありよう、内容は、限度数量のところで畜産局長はこう説明しているわけですね。特定乳製品の需要量は生乳換算で百九十三万トンと見込まれますが、過年度に需要を上回って生産された特定乳製品が生乳換算二十五万トン五十六年度に持ち越されることとなるものと見込まれますので、その過剰を三年間で解消することを目標として五十六年度は二十五万トンの三分の一に当たる八万三千トンを差し引いた百八十四万七千トンが生乳需要量と見込まれるわけであります、それを限度数量といたします、こう言っているわけですね。つまり、限度数量というものの基礎に二十五万トンという数字を出してそれで計算してお出しになって、四月になって全部決まってからあれは間違いでしたと言う、それならこの百九十三万トンからこれに変わったというその基礎そのものの問題にさかのぼらざるを得ないわけであります。ですから、そんなようなかっこうでつくられたあの諮問なるものを私ども信ずるわけにいかぬわけですよ。政務次官、これは去年のことを御存じかどうか知りませんけれども、どうですか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 御指摘のような事情、まことに申しわけない事情であったと思っております。したがいまして、私ども、まずことしの事情から申し上げますと、これは市中在庫を見通すというのはやはりなかなか商売のこともございまして見通しにくいことでございますけれども、昨年のような一定の推計方法をとるということでは過ちを犯しやすいということで全メーカー、これは大手のみならず中小、農協系も含めて全メーカーに申告をしてもらって数字をとっていること、それからそのこと自身につきましても、やはりいろいろと見方が変わってはまずいということで、二月末に大方予想されました数量について何らかの疑問はないかということで、メーカーだけではございませんで生産者団体にもそういう数字を伝えまして、そういうニュアンスの違いがないかということを現在確かめております。したがいまして、私ども今度使います市中の在庫予想量というものについては、単にメーカーサイドだけじゃなくて生産者団体等も含めて御異議のない数字を使いたいと思っております。  それから昨年の事情でございますが、諮問の際に、いま先生お読み上げになりましたようなことで百九十三万トンを削減をいたして審議会に諮問いたしましたけれども、審議会における御議論その他を踏まえまして、実行段階では前年同の百九十三万トンに戻して、百九十三万トンを限度数量にいたしたわけでございます。そういう意味では、諮問で説明しましたと違いました結論を行政庁としましてはとったわけでございます。私どもも今度の事情を考えます場合に、まず、市中についてはいま先生もおっしゃっておりますし、われわれもそう思っております通常在庫の線に近づき、また、見方によってはある程度通常在庫というのは完全に達成している。メーカーの見方はもっと小さいものを言いますが、小さいものでもいいというのは逆に事業団にたくさんあるからという前提でもあろうかと思います。ただ、事業団在庫は現状ではまだ前と同じでございまして、そのことの結果が安定指標価格を余り上げない形に抑えられているんじゃないか。このあたりがことし解決する際に頭に置かなければいかぬ事情じゃないか。もう一点、酪農製品を生乳からいくか指定乳製品からいくかという問題、先ほど申し上げましたけれども、そういう事情も考えながら今度の限度数量は考えていきたいと思っております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 きょうは事業団の理事長もおいででございますが、事業団として、在庫状況をお話し願いたいと思います。それからまた、民間在庫の見通しについてもこの際お聞かせをいただきたいと思います。

森整治畜産振興事業団理事長

○森参考人 事業団がどう見ておるかということでございますので、その線に沿ってお答えいたしますが、全体といたしましては畜産局で需給全体を把握しておられるというふうにお考えいただきたいと思います。私どもといたしましては、先ほど畜産局長からお話のございましたようにバターで約一万二千トン、脱脂粉乳で、切れますけれども約四万四千トンの在庫を持っておるわけでございますが、海外援助あるいは中国の災害対策用に使いました以外は、全部手つかずで保管をしておるというのがただいまの現状でございます。正直申しまして、確かに、民間在庫が畜産局の調査によりまして相当減少をしてきている。過剰がある程度過剰とは言えないかもしれない。しかし、反面、価格を見ますと、安定指標価格にパターはずっと張りついております。それから、脱脂粉乳はちょっと安定指標価格を上回りました。最近、またちょっと下がったというふうな現状でございます。したがいまして、需給そのものはある意味ではバランスをしておるのではないだろうかというふうに私ども見ておるわけでございます。ただ、こういうものはいろいろな需要あるいは思惑、仮需要というようなものが起こるとすぐ価格が動き出すということでございまして、基本的には、需要の底がたさというものがなければそういうふうにはならないわけでございますが、非常に微妙な段階にあるというふうに私どもは思っております。しかし、先ほどから局長申し上げておりますように、事業団の在庫というものがある意味ではおもしになっておることも事実でございましょうし、がまた、あることによって安定指標価格そのものの水準を維持しておるわけでございますので、私ども事業団としましては、需給に中立でなければいけないと思っておりますし、そういう意味ではございますけれども、今後の動きを慎重に眺めながら適時適切な対応措置を講じていかなければなるまいというふうに思っております。もちろん、これは畜産局等とよく相談をいたしまして、重要な時期でございますから態度を決定をいたしたいというふうに思っております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 いま生乳換算約四十五万七千トンでずっと動かないわけですけれども、その四十五万トンというのは事業団としては正常在庫と思うのですか。

森整治畜産振興事業団理事長

○森参考人 事業団の正常在庫という概念がいいか悪いかちょっと言葉の使い方、私もよくわかりませんけれども、こういうふうに思っております。  かつて、事業団が在庫がないときに、バターにしろ脱脂粉乳にしろ相当値段が急騰いたしました経験がございます。したがいまして、事業団といたしましては、そういう場合に備えまして一定の在庫を持っておった方が望ましいのではないだろうかというふうに思っております。それにつきましては、昨年も当委員会で御答弁申し上げたと思いますけれども、それぞれ約一カ月分程度が、持っていた方がいいのではないかという数量といたしましてはバター、たとえば、去年も申し上げましたけれども五千トン、脱粉一万トンということを、過去の例からいたしますと、その程度は持っていた方がいいかなというふうに思っておるわけでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 民間在庫がどんどん減っていっているという一つの証拠に、事業団に預けている民間の在庫のうち、これは新しいものと取りかえていくわけですね、内部操作として。ところが、取りかえの品物は持っていってもかわりのものをなかなか持ってこない、いわばメーカーが品借りみたいなかっこうで現実の運営があるという話を聞くわけでありますが、その点は理事長、どうですか。

森整治畜産振興事業団理事長

○森参考人 事業団が保管をしております乳製品のうち、バターにつきましては昨年の末あたりから交換が非常に遅延をしてきておりました。そのことはいろいろ背景がございますが、パター、要するに、無塩のパターでございます、無塩のバターの業務用に使いますバルクのものでございますが、その品物が、要するに、新しい製造のものが少なくなってきて、あるメーカーでございますが、交換が思うようにいかないという事態が起こりまして、事業団といたしまして、二十四カ月たったバターを保管せざるを得ない状況になってまいったわけでございます。そこで二十四カ月になるようなバターにつきましては、これは品質保持のために事業団で保管をしておると問題であろう、さりとて、これを放出することは時価に影響を及ぼすおそれがある、そういうことでございまして、時差交換といいますか、品質保持のために六カ月間そのメーカーに貸しましょう、それでそのメーカーは、要するに、自社生産のほかの製品ですね、それを使ったものに使って消化をするけれども、八百八十トンでございますが、その分につきましては倉荷証券をください、ということは、その分は必ず市中に消化されない状況に置いてほしいという措置をとったわけでございます。簡単に言いますと、同量の倉荷証券を担保に品物は向こうで保管してもらう、事業団は保管料を払わないで済むし、品質は保持ができる。それで六カ月後、すなわち六月に必ず現物を返していただきたいという契約を結んだわけでございます。したがいまして、そのものを市中に放出して需給に影響を及ぼすというふうには私ども考えておりませんで、品物を切りかえて新しいものを後で返してもらう。その間、倉荷証券を私どもは預かっておりますから、その分は一般に消化をされない、こういう判断をいたしておるわけでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 いまお話を承りますと、その品貸しというのは実際上本当であったということを知るわけでありますが、いずれにしても、その時差が行われている間だけ、それは市場に回っていたかもしれないわけですよ。それは回っていたのか回っていないのかわかりませんけれども、そのメーカーはダブってよけい置いてあったわけじゃないわけですから、全体量の、八百八十トンですか、その分だけメーカーの方にあって事業団の倉庫になかった、こういうことになるわけです、それがどんなふうに処理されたかは別として。したがって、民間の方はそれをもって過剰が全くなくなった、足りなくなったという状況だとは判断しがたいかもしれませんけれども、いずれにしても過剰傾向というものがかなり緩んでいるなあという印象を私どもは受けざるを得ないわけであります。畜産局として現在の状況を、事業団とそれから民間と合わせて、正常であって過剰ではないというふうに理解していいと思うのですが、どうなんですか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 私は先ほどから申し上げておりますように、事業団在庫を含めまして真の需給均衡に達しますれば、もう少し安定指標価格を上回った価格水準が形成されなければおかしい。極端に申しますと、バターが、去年の十月ごろようやく安定指標価格一〇〇へ来まして、これに張りついたまま全く上がらないわけでございます。いろいろ生産者団体の方で需給均衡に来たのではないかということを申される際、特に、乳製品等については足らないという声さえあるのではないかというお話がありますとき、私申し上げるのですが、そういう売り手にとって有利な市場であれは、かつて指定乳製品の価格はもっと高い価格が形成された時期があったわけでございまして、売り手として当然、より高い売り値をつけて売れるのではないか、しかし依然として安定指標価格の一〇〇、それから脱粉等について一〇〇を若干上回りますけれども、ボウで上へ上がっていくのではなくて、ある水準を回復するとそのまま横に並んで進んでいかない。そのことは、やはり需給について、去年のようなどん底ではなくなったわけでございますが、やはりそこにまだ問題が残っている。早くこれを解消することが賢明な措置ではないか。  それからもう一つは、いま申しましたのは加工乳の原料の世界でございますが、一方、市乳の中では依然として乳価がうまく形成されぬという意味で、乳価全体の抑圧要因がある。このあたりが今回の乳価決定の場合でも私どもが一番心配をし、早くこの条件が取り除かれるような環境づくりが必要ではないかと考えております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 いま畜産局長が言われましたけれども、安定指標価格が上がらぬという問題は、これはメーカーの内部的ないろいろな事情にもよるのではないかと私は思いますが、そういうふうな状況の中で、最近、北海道の指定生乳生産者団体であるホクレンに各乳業メーカーより、新年度の道産乳の買い入れをかなりふやしてほしいという申し入れがあったと聞いています。たとえば、雪印は五十六年度より五万トン多い八十七万トン余りを希望すると言うし、北海道農協牛乳あるいは明治、森永等も一万トンから五万トン程度の買い入れ増の希望があるということのようであります。昨年度は年度の途中で、一昨年からそうだったのですけれども、途中で削減をするというような状況があって大騒ぎになったのとはまさにさま変わりということではないかと思います。これは希望量であって、決定ではないとは思いますけれども、最終的にはどうなるかわかりませんが、しかし、このような緩みの状況は出てきているのではないか、こう思うのですが、どうですか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 先生御指摘のように、北海道におきましてはメーカー、これは農協系、商系含めまして、加工原料乳をより前年度以上消化をしたいという要望があることは聞いております。これはメーカーといたしましては、一番効率の高い北海道において乳製品をつくりたいという希望でございまして、彼らは北海道によってよりつくりたいということの反面、むしろ非効率な内地の生産を若干切ってでもというのがかねがねの考え方でございます。したがいまして、そのことは乳製品全体の需給の問題からいいますれば、現に乳製品協会がわれわれに持ってまいっております要請書の中では、要するに、事業団在庫があるということを十分考えてやってくれ、あるいは限度数量の決め方が、結果的に乳製品の建値を崩さないようなものを頭に置いてやってくれと言っておりますこと一つ見ましても、決して彼らは量を増産しようと言っているのではなくて、生産者、メーカーにとっても一番有利な北海道での生産をふやしたいということでございますので、その点は北海道の農民にとっては有利な条件ができ上がっているわけでございますが、全農民的な規模で申し上げますとメーカーは限度数量を緩めて大いにつくって、その結果が、万が一値段が下がればまたかぶるのはメーカーという気持ちがございますから、全体として限度数量を大いにふやせというような形には決してなってないわけでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 先日の島田委員の質問に対して畜産局長は、五十六年度の百九十三万トン、しかし在庫から十八万トンが供給に回ったというようなお話でございました。そうしますと百九十三万トンプラス十八万トン、つまり二百十一万トンの需要があったという理解でよろしいですか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 去年の事情と申しますれば、それだけのものが消化されたと言えると思います。

安井吉典日本社会党

○安井委員 こういう状況から言えば、五十七年度の中酪の生産計画、つまり乳製品の需要見通しを約二百三十七万トンと見て、これに対応する供給として五十七年産生乳の加工向け二百三十二万トシですか、在庫から五万トンを見ているわけですね。こういうようなことで指定乳製品向け、つまり、限度数量は約二百二万トンという計算をしているわけでありますけれども、これも決して無理ではない、二百二万トンという数字は無理ではない、妥当な数字ではないかという気がするわけでありますが、どうなんですか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 その中酪の計算によりますと、過去にわれわれが抱き込んでおります乳製品、これは事業団在庫の問題には触れてないわけでございます。要するに、単年度需給の問題として考えていらっしゃるということ、それが一つでございます。要するに、私どもはむしろ事業団在庫をできるだけ早く条件を整えながらある程度、もう少し価格に敏感に動くようなところにすることが結果的に安定指標価格を動かして農家の手取りにとっても弾力的素地をつくるのじゃないかと思っておるわけでございますが、事業団在庫が減りませんような状態をつくり出せば、やはり安定指標価格が敏感に動かない。したがいまして、いわば生産者が一生懸命つくった物の最終商品の値段が変わらぬということになるわけでございますので、そういう条件を何とか早くなくするためには、事業団在庫がもう少し市況圧迫要因にならないような水準にすることが要るのではないかということです。  それからもう一つ、先ほど申し上げましたけれども、去年、ここ数年の動きを見まして非常に心外と申しますか困ったなと思っておりますのは、先ほど言いました脱粉の値段が安過ぎたから起こったのかもしれませんが、いままで生乳の世界、要するに、市乳と同じように加工原料乳でない世界からつくられていたもの、これは発酵乳だとかあるいはヨーグルトみたいなもの、そういうもののうちで何十というオーダー、これはいろいろな見方があるのですが、かなりのオーダーのものが脱粉を水で溶かして使う方に回ったのじゃないか。そうなれば、余り農家の手取りが変わらないのに、財政負担だけかかるというやり方をやられますと、この不足払い制度の大きな抜け穴になるのではないか。これは脱粉価格が回復して、そんなことをしなくても市乳の方から使えばいいんだという方へだんだん回ってきますれば余り問題とする必要はないと思うのです。たまたま、いま起こっていることは脱粉価格が非常に安い中で起こっておりますから、そういうことを心配しないでいいのかもしれませんが、去年使われたとかここ数年使われたという実勢からしますと、それで使ったからあれは実の需要であってそれだけ生産してもいいんだという方にはなかなか結論を出しにくい。この二つの問題を頭に置きながら、一方で、先生も御指摘のように案外使われたという感じもする。去年はいささか異常だと思いますが、七月とか八月ぐらいのアイスクリーム生産量なんというのは対前年比一四〇とか一三〇とか、要するに、三割、四割よけい売れたというちょっと異常な事態でございます。そういうことも頭に置きながら、いまから限度数量を考えていきたいと思っております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 もう一つ限度数量の問題で見逃すことのできないのは、加工市場に対する牛乳の供給を百九十三万トンということで抑えたその結果が飲用の市場の方へ供給過剰になっていく、そのことが飲用のだぶつき、値崩れという方向に進んでいったということも否めない事実ではないかと思います。こういう状況もあるわけなので、限度数量の問題で私はかなり議論をしてまいりましたけれども、これは政務次官どうですか。昨年の加工乳製品の需要の実績からいっても、あるいはまたその他の一般的な状況からいっても、まさか百九十三万トンというようなところで諮問がなされるのではないのではなかろうか、かなり明るい状況の中にあるという前提に立って、少なくも限度数量は二百二万トンと中酪が言っているわけでありますが、そういうような方向で決められるべきではないかと思うのですが、どうですか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産政務次官

○玉沢政府委員 需給関係が好転をしているというのはいままでの議論でも明確になっておるわけでございますが、限度数量、こういうことになってまいりますとこれは畜産振興審議会の御意見を十二分に聞いて最終決定をするということに相なっておるわけでございますので、現在、私個人の意見はここでは慎ませていただきたいと存じます。御了承願います。

安井吉典日本社会党

○安井委員 いまの段階ではそれしか言えないかもしれませんけれども、しかし去年とことしとはまるきり状況が違うということ。去年は過剰乳製品がたくさんあって、だから乳価は上げられない、算式も変えなければいけない、そして限度数量も抑えなければいけないというその論理が先走ったわけでありますけれども、それは消えたという理解に立たざるを得ないということを申し上げておきたいと思います。  そこで原料乳の保証価格の問題でありますが、いま申し上げましたように、昨年度の価格を決定する際には生産費は上がった、それは認めます、これははっきり認めながら、しかし一方、在庫需要が悪いから、過剰が多いから算式を変えていかなければなりません、こういう言い方であったわけです。ことしの場合は、生産費の上昇はこの間うち以来ここで何度も何度も言われているようにどんどん上がっているわけです。しかも在庫需要も変わってきているわけです。したがって、算式は昔に戻してやるべきだし、そういう中から計算すべきであると思うわけであります。その点どうですか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 先ほどから申し上げますように、農家の実感としまして五十六年が大変きつい事情の年であったということは私どももわかります。と申しますのは、えさも上がっておりますし、それから災害要因もあったということで、そういう農家の実感として五十六年度の現実にかかったものについていろいろ御苦労があったということを否定しているわけではございません。五十七年度の乳価を算定いたします場合は、各生産要素の構成要素はなるべく近い時点でどのような生産要素になったかということを酌みますが、そこに入れます数字については、たとえば、えさで申しますれば、昨年算定をいたしました時点よりはるかに——はるかにという言葉は若干問題があろうかと思いますが、下がってきている。そういうものは現時点の要素として入れるわけでございますので、私どもそういう諸要素を入れながら算定をやるという考え方でございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 私が聞いているのは、去年もやはり最終的にそうだったわけですよ。具体的な数字を当てはめたらこうなりましたという答えであったわけですけれども、その前提としてあなた方の方で言っていたことは、生産費が上がったのは認めます、しかし在庫過剰が問題であります、だから据え置きです、その論理構成があったわけですよ。ことしの場合は、私は同じことを繰り返しますけれども、生産費が上がったのは出てきているし、在庫事情は変わったわけですから、去年の論理構成とは変えていかなければならないと思いますよ。その点はどうですか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 法律に書いてありますとおり、生産の事情それから需給事情その他の経済事情を勘案しながら再生産を確保しろという要件と酪農経営の合理化を促すような形で決めていけということが要件でございます。その中で、私再度申し上げておりますように、昨年は、私も議事録等を読ませていただきますと、民間在庫ということを非常に強調し、民間在庫のことをもってしても大変だということを主張しているように思います。     〔委員長退席、渡辺(省)委員長代理着席〕 私は先ほどから申しますように、生産と需給の事情で申しますと、特に、需給事情ということで勘案すべきものは何だろうかと考えますと、酪農製品、要するに、指定乳製品の需給事情、これについては民間在庫がなくなったという意味では明るさを増したということは事実でございます。しかし、事業団在庫は依然として変わっていない、それの最終的なあらわれは何かと申しますと、安定指標価格の水準の問題だと思います。安定価格の水準の問題がバターについて一〇〇にきたとかあるいは脱脂粉乳について若干一〇〇を上回ったという事情はございますが、それをもってしてあらゆる事情が解決しているわけではないということ。  それからもう一つ、余り論議されておりませんけれども、本当にこの制度を円滑に運用しようと思えば、市中のいわゆる普通の市乳の世界で値段が下がり続けているという状況は、一般の消費者の感覚からすれば物が余って値段が下がっているという意識になるわけでございます。これは何としてでもこういう条件はなくするような条件をつくりませんと、たとえば、学校給食の世界で言われているように丁財政が支えているところでは何とかなって財政が支えてないところでは値段が下がっているのはおかしいではないか、そういうところに大きな財政負担するのはおかしいではないかという全く庶民の一般論になかなかこたえられない、その辺もこの問題の解決にはゆるがせにできない問題ではないか。そういう事情を考えながら方式を決めていくということになろうかと思います。  基本的な方式自身をそんなに大きく動かしてどうこうするというようなことはなかなかないわけでございますので、後は、先ほども申しましたように評価をいたしますようなところを一体どういう数字を使うのがいいのかどうか、これも役所が勝手にやるわけにはまいりませんので、審議会におかけいたしましてそういう考え方がいいのかどうかを承りながら決定していくというのが現在の私どもの考え方でございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 いずれにいたしましても、後でも触れますけれども、交易条件が変わってきて悪化の一途なわけです。負債はどんどんふえていくばかり。そういう条件の悪さを解決する道は価格やあるいは限度数量の問題で処理するよりほかないわけですから、もちろん政策的な配慮がいろいろあることは当然ですけれども、そういうような中で五年も据え置くなどというばかげたことが実現するというようなことでは、政治そのものに対する農民の信頼が失われていくのではないかと思います。  保証価格の問題については先日来しばしば触れられておりますので、ほかの問題もありますからこのくらいにいたしておきますけれども、諮問案決定の際には、毎年毎年勝手なことを言って抑えようとするんだ、こういうふうにみんなが受けとめないような措置をひとつ希望しておきます。政務次官、どうですか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産政務次官

○玉沢政府委員 十二分に先生方の御議論、それから国内の需給状況、また経済の動向、こうしたものを勘案しまして、畜産振興審議会の御意見等を承りまして適正な価格を決定をさしていただきたいと存じます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 基準取引価格の問題について十九日の島田質問がかなり触れておりますので、私も多くをつけ加える必要はないかと思いますが、加工製品の中の原料乳価格は大体ヨーロッパ並みになっている。しかし製品の価格はヨーロッパより高いという点については、これは農民の問題よりもむしろメーカーの問題ではないのですか、どうですか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 原料乳価格で、と申しましても政府が不足払いを冠しておりますから、基準取引価格自身でございますとまだやはり若干差がある。いま、先生おっしゃるのはそれ以上に製品価格で大きい差があるのではなかろうかということだと思います。それにつきましては、御承知のように向こうは長い歴史の中で酪農製品の比重が非常に大きい酪農経営でございます。日本の場合は、北海道におきましては酪農製品の比重が高うございますが、内地の大半の酪農製品はいわば飲用乳の余乳処理的なことでございます。したがいまして、大変コストのかかる、フル生産ができないという本質を持っています。そういうことから酪農製品についてはいまだに格差が大きい。それに加えましてメーカー等、いわば諸外国に比べてそういうフル稼働という面でも問題がある以上に、いわば歴史の浅い、したがいまして、十分償却済みでないようなそういうものも持っているというようなこともありまして、これがなるべく早く酪農製品の価格面においても競争力がつくようにすることが大切だと思っておりますが、現状では遺憾ながら酪農製品になった場合に若干海外格差が大きいという事情でございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 ことしの乳価論争の中で特徴的なのは、いまの基準取引価格の問題が論議されている点でありますが、基準取引価格が安過ぎるのか、それとも安定指標価格が高過ぎるのかあるいはその両方なのか、いずれにいたしましてもメーカーの経営や利益の状況はかなり良好であります。酪農家の方は経営が全く悪化して利益どころの状態でない、負債に次ぐ負債という状態であって、これは相対的に少し目立ち過ぎるように思うわけです。したがって、保証価格の査定と安定指標価格並びに基準取引価格の査定との間でもっと均衡をとっていく必要がないのか、この点が一つのポイントではないかと思うのですが、どうですか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 保証価格の決定の論理と、それから基準取引価格の決定の論理は全く違った観点でつくられているわけでございます。保証価格は毎度申し上げますとおりに、要するに、酪農家が再生産を確保して、しかも酪農経営の合理化を促進するようにという酪農生産がうまく回るかどうかということで決められる水準でございます。それに対しまして基準取引価格は、御承知のように、酪農家としてつくられます原乳、これは再生産確保はできなくても、メーカーとして酪農製品がほどほどの値段で売れる、そのためにはこれくらいの製造経費、販売経費がかかる。そうすれば農民にはこれだけしか支払えないという水準でございます。ですから、これだけしか支払えないという水準がもっと支払えるということになりますと、保証価格が一定ならば、政府が負担しております不足払いの額を減少させればいいというのに働く議論でございます。私どもは、基準取引価格につきましては、御承知のように、生産者はもっと高く買ってくれとおっしゃるのは当然だと思いますし、現に現在、乳業者団体は五年間もその製造販売経費を完全に据え置かれているので、そういう面からいうと、メーカーがいまの安定指標価格で乳製品を売り続けるのならば、基準取引価格は逆に十一円ばかり下げてくれという要請が来ているわけでございます。私どもはメーカーとしてもいろんな負担はあろうかと思いますが、ようやく安定指標価格水準に近づきつつありますので、そういう十一円も下げて基準取引価格を下げなければいかぬ。十一円下げるということは、逆に不足払いが十一円ふえるということでございますから、そういうのではないんではなかろうかということを申し上げております。したがいまして、生産者の方々が基準取引価格をもっと上げられるんではなかろうかというのは、何か不足払いが当然幾らか絶対額があって、基準取引価格を上げることが保証価格を引き上げるんだというような論理でおられるとすれば、これは現在の法律制度から言えば大変おかしな議論ではないか。それはむしろ保証価格として、保証価格がどういう形で上げられるかということが先でございまして、基準取引価格の問題はいわば財政負担がどれだけ要るかという副次的なことではなかろうか。御指摘のように、基準取引価格についても実は製造販売経費、安定指標価格自身を動かしておりませんし、逆に五十二年から五十三年に下げておるありさまでございますから、基準取引価格ということについてわれわれも見直しする必要がありますけれども、その財源が直ちに何か保証価格を引き上げるというような論理でございますれば、これはいまの考えておる制度に合わない考え方ではなかろうかと思っております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 もう時間がなくなりましたから多くを申しませんけれども、政務次官、政治的にこの問題を考えていく場合に、ことしの乳価決定についてぎりぎり問題になるのは加工原料乳の価格やあるいは限度数量だと思います。ところが、農民側の要求もありますけれども、しかしぎりぎり決着、私は二、三十億円くらいのお金の問題になってくるのではないかというふうな気がします、こんなことを言うのは少し早いかもしれませんけれども。それくらいのお金なんですから、これはもう政府の方も少しくらい思い切ってもいいし、メーカーの方だっていつもとは大分違うわけですから、畜産局長まるでもうメーカーの代弁みたいにおっしゃっているけれども、そういうつもりで言われているのじゃないかもしれませんが、私は、そういう状況にあるだけに、政府もメーカーもこの際ひとつ腹を決めるべきではないか、そういう中で問題の解決を政治的に図っていくということが必要ではないかと思うのですが、どうですか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産政務次官

○玉沢政府委員 適正な価格と、こういうことで表現をいたしておるわけでございますが、価格の問題と同時に、いろいろな各般の施策を講ずる、こういうことも含めまして今後の最終決定に持ち込んでまいりたいと考えております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 きょうは慎重な御答弁よりほかにないと思うのでありますけれども、とにかくいつもの年と違いますから、そういう異常な農業経営やその他の状況にあるということをぜひ考えておいて大臣と御相談いただきたいと思います。  最後に、酪農経営の悪化の問題についての対策について伺います。  とにかく政府の近代化計画に従って施設を拡大し、家畜を増殖していく、借金はどんどんふえていく、そういう規模拡大の結果の負債の増大でありますだけに、乳をさらによけいしぼってそれを返していく、あるいは乳価の引き上げを期待する、もうその二つよりないわけですよ、酪農民にとっては。それが、どちらも抑えられて五年間もきているという状況であることが今日の最大の問題であるわけです。昨年も負債整理の資金が乳価決定に附帯してつくられて、第一年度がいまこなされてきている点は先ほども局長が言われたとおりでありますけれども、現地の状況からすれば、そんな去年の額ぐらいではもうどうしようもないというふうな声も高いわけであります。さらにまた、先ほども串原委員からお話がありましたように、肉用牛や養豚経営についても固定化負債が激増している。これに対する対策もあわせて実現すべきである、こういう声が高いわけであります。このような経営悪化対策についての御所見をひとつ伺っておきたいと思います。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 御指摘のように、経営条件の悪化の中でいろいろと巡回転ができない方があるということは事実でございます。ただ、計画生産はいたしておりますけれども、米と基本的に違いますのは、この計画生産の中でも酪農生産は二・五%ぐらいずつは生産を伸ばしてきているわけでございます。要するに、計画生産が非常に負担に感じますのは、五十一年から五十三年あたりの伸び率を見ますと、年率七%とか八%とか、それくらい伸ばしてきた。これではなかなか需要に合わぬということで計画生産をお願いしているわけでございますが、今度の中酪の計画をごらんになってもおわかりのように、大体少なくて二%、多ければもうちょっとぐらいのところは伸びるという前提でいまも生産がされているわけでございます。そういう伸び率を小さくした中で計画生産をするという意味では、米のような生産削減というような意味のつらさは実はないわけでございます。しかし、もっと伸びるであろうという前提で組まれたいろいろなものにそごを来していることは事実でございますので、御指摘のありましたように、昨年負債整理資金三百億という枠を設定いたしましたが、御承知のようにまだ単年度では百六十億台しか融資をいたしておりません。これは二年以降本当の経営の状況をもう一遍見まして、真に貸し付けの必要なものについてはさらに貸し付けをふやしていく、そういう意味で金利負担を軽減をしていくという措置はとるつもりでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 もう時間がないようですから、最後に、私のところへ酪農民からたくさんいまはがきが来ています。一、二読んでみますと、「酪農民はいま滅亡の一歩手前の瀬戸際に立っています。周囲ではどんどん離農していきます。それを見て、あるいは聞いて、いつ自分がと思うと気が気ではありません。公務員の方はベースアップがあるのに、何で私たちは据え置きなのでしょうか。」あるいはまた、これも稚内市の郊外の農民でありますけれども、「きょうも私たちの町からまた一人の若い酪農家が経営不振を理由に離農していきます。もうこれ以上の経営費の切り詰めもできない状態です。」こう言います。最後に政務次官に御感想を伺いたいわけでありますけれども、とにかくこのような状況の中にあります。「私のところは五、六十頭の牛飼いですけれども、日も夜もなく働いて負債が五千万もあります。年五百万円ぐらいの赤字です。われわれ農民が休日がないのは仕方がないが、人並みの生活ができるようにぜひともお願いをしたい。」こういう切実な願いに対する答えをこれからあなた方お出しにならなければいけない。御決意を伺います。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産政務次官

○玉沢政府委員 いま乳製品、牛肉等、農産物につきましては外国からの貿易自由化等の要求もあるわけでございますが、先ほど来から申し上げておりますように、何としましても日本の農民によりまして日本の主要食料品を確保しなければならない、こういう決意で臨んでおるわけでございます。したがいまして、いま御審議をいただいております酪農乳製品の問題等につきましても、できるだけ実情というものをしっかりと把握をいたしまして、今後、畜産酪農が発展をする道を講ずるように一層努力をさせていただきたいと存じます。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 先ほどから申し上げておりますいろんな諸事情がございます。法律に定めておりますようないろんな諸事情を十分勘案いたしまして、政府の考え方を畜産振興審議会にかけたいと思っております。

渡辺省一自由民主党

○渡辺(省)委員長代理 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三分休憩      ————◇—————     午後一時二分開議

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。北村義和君。

北村義和自由民主党

○北村委員 いよいよ二十四日、二十五日、食肉部会、酪農部会が開催されるわけでありますが、いままで酪農、畜産をめぐる現状認識については各党のそれぞれの委員の方々から厳しく指摘をされているわけであります。これらの意見を踏まえて、もうすでに農林省はある程度腹構えができておるのではないか、こんなふうに実は考えるわけでありますが、いまここで北海道の酪農民が「国民の皆さんへ」ということでアピールをいたしております。その一文をちょっと読ませていただきます。保証乳価は五十二年から実に五カ年にわたり同一水準で凍結されております。一銭も上がっていません。この間に私たちの売る原料乳の手取りは四%下がりました。買うものの物価は二二%上がり、生産資材は一六%も上がった。酪農所得は実質二五%前後の減少となりました。そしてさらにこの五カ年の間に酪農民は三六%の労働生産性を向上した。やるだけのことはやってきた。このまま据え置かれたのではもうとてもしんぼうの限度にきておる。こういうことを国民の皆さん方に訴えております。それからもう一つ、国際比較の問題については、北海道の場合、規模を拡大したために負債が多くなっておる。しかし、欧米の水準、規模に達した。原料乳価も一・三倍だ。国際比でも国内でも、物価の優等生でないか。こういう認識を持ちながら、ことしの保証乳価に非常な期待を持っておるわけでありますけれども、こういった点を踏まえ、あるいは各委員の意見を踏まえて、もうそれぞれ農林省は腹を決めておられるのではないか、こんなふうに思いますが、局長、いかがでございますか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 いま先生がお読みになりました要請文自身は私も承知をいたしております。あの中で一番わが方の今後の行政として考えなければいけないのは、いまも先生おっしゃいましたように、加工原料乳不足払いの対象としておりますいわば保証価格は据え置きでございましたけれども、先生いまお読みのように、乳価は下がっているわけでございます。そこにやはり物の資材が上がってくる、これは、いろいろな生活費も上がりますが、農業資材もいろいろな形で上がってくる。その中で、やはり自分たちのつくった製品がそれだけの価値のあるものとして消費者に受け入れられなければならないと思っているわけでございますが、残念ながらこの過剰基調の中で、本来こういう値段で売りたいという値が通らないと申しますか、加工原料乳でいいますと、酪農製品の価格は一応安定指標価格というものがございまして、その水準で売れれば生産者もメーカーもほどほどの手取りになるわけでございますが、生産者の手取りは基準価格で保証いたしましたとしても、安定指標価格を割る形でしか乳製品が売れないということは、結果的にはそういうことを継続していけばメーカーとしてはなかなか成り立ちにくくなる。そういうことが、たとえば農民に支払っておりましたその他のいろいろなものまで切り下げてくる。それが乳価にはね返ってくる。  もう一つ、生乳の世界では、これは普通言っております五十三年に決めました基準取引価格が下がってきた。その水準を現在守り切っていないし、この問題に関してはむしろなお下がりつつある。こういう事態を放置いたしますと、いかに酪農民が一生懸命やりましても、そのつくられた物の値段が市中で実現できない、やはりこういう状態を直しませんと、酪農問題解決の一番大事なところが抜けているのではなかろうか。そういう意味で、かねがね申し上げておりますように、市乳の取引、市乳の末端価格のばらつきというものを何とか直さなければいかぬ。  それからもう一つの加工原料乳の世界につきましては、先生も御承知のように、市中の過剰在庫はようやく消えて、過剰在庫といわれているものはもう大体解消していると私どもは思っておりますが、事業団在庫がなお相当部分ある。そのことが、本来、需給が均衡すれば当然押し上げるであろう安定指標価格水準を、まだ基準を、たとえば、バターならば同一価格あるいは若干それを上回るというような条件でとめている。このことをやりますことが、やはり今後の乳価問題の一番大事なところではなかろうか。  おっしゃいましたもう一つの資材面につきましては、これは物によって上がったり下がったりすることがあるわけでございますが、去年はこれが大変上がる時期に当たっておりますので、去年の酪農民の経営は容易ではなかったと思います。たまたま去年の中ごろ以降、ことし年初を通じましてえさ価格が下がってまいりましたことが、今後における酪農経営にはプラスに働くと思っております。しかし、長い間価格を動かしておりませんことから農家の方々にいろいろな御不満があるということは、直接お会いしていろいろ承知をいたしております。しかし、この価格の決定につきましては、やはり法令に定めるような要件に従いまして厳密にわれわれも考え方を整理し、かつ、そういうものが生産サイドの方はもちろん、消費者の方にも御納得いただける価格決定の方式をとらざるを得ないと考えておりますので、鋭意そういうことにいま努力しているところでございます。

北村義和自由民主党

○北村委員 保証価格の水準は五十二年以来生産を刺激しないようにということが根底にあって進められてきたということについては、一面理解することができるわけであります。しかし、その間に酪農家の経済がどうなっていっているかということについても農林省としては押さえておられるだろう、こういうふうに私は思うのでございますが、それをひとつお示しいただきたいと思うのであります。と申しますのは、北海道の酪農家の場合、これはもうあくまでも主産地化しておりまして、専業化していっておるわけであります。したがって、牛を飼う酪農、畜産経営をやる以外に農家労働を使い切ることにはならないわけであります。そういう観点で私ども試算をさせてみますと、五十六年度の時点で補給金を入れても、百五十トン生産農家で赤字が大体四十二万、それからまた二百トン生産農家で約四十四万という試算が実は出てくるわけであります。  それからもう一つ、これは大変驚いておるわけでありますけれども、先ほども北海道の代議士会で別海の町長さんが指摘されておりましたけれども、五十二年に別海の酪農家千四百戸、所得税を納める農家戸数が六百十七軒、これでようやっと先が見えたと喜んでおったそうであります。ところが五十三年は、その六百十七戸が四百三十七戸、五十四年には三百三十六戸、五十五年には三十二戸、五十六年、ことしの三月十五日では三戸になった、こういうことを指摘されて、農村地域の実態を実は説明をされておったわけであります。  これは御承知のように、地方自治体において、町村において、それぞれ町村税その他等との絡みがありますから、しっかりとした一つの申告指導をして積み上げておるものでございまして、この辺の実情というものを裏書きしておるんではないだろうか、農家の経済の実情というものを裏書きしておるんじゃないだろうか、こんなふうにも実は考えるわけであります。したがいまして、この五十二年以降の主産地における酪農家の経済の動向というものをどのようにとらまえられておるか、お伺いいたしたいと思います。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 農家の経営動向をとらえます際にいろいろな指標を使うことができるわけでございますが、一つとらえるとらえ方といたしましては、一日当たりの家族労働報酬がどのように変化しているかということでございます。酪農の場合、特に専業的でございますので、多頭化飼育による生産性向上とか、生産費に占める配合飼料が他の畜産経営より低いとかいうようなことがございまして、一般論としては、いままで他作物よりも比較的高い水準に経過をいたしておりました。何と比べるのがいいかという場合、北海道の場合、畑作経営と比べるというのが多うございますが、畑作経営に比べて、かつては並んでおりましたのが、最近、ややそれを下回ってきておるというのも事実でございます。しかしながら、稲作経営等に比べますと、一貫して稲作経営を上回っているという水準で従来からも経緯をいたしております。  それから、農家所得というとらまえ方があるわけでございますが、農家所得という観点で見ますと、多分五十三年ごろまでは比較的順調に上がり続けてきたという数字が出ていると思いますが、五十五年ぐらいから数字がむしろ下がる方向に出てきております。これは御承知のように、先ほど言いました過剰生産によって、いろいろ販売する物の値段は下がってくる。投資しましたもののいろんな償却その他の経費はかかるということで、そこで循環が逆になってきまして、五十五年でもこれはたしか北海道で五百万程度の農家所得という数字が出ておりますが、これも前の年をかなり下回った数字。それから五十五、五十六という両方の数字、五十六はまだ出ておりませんけれども、私は直感的に言いましても、余りいい数字は出るとは思いません。と申しますのは、御承知のように、先ほどから申し上げている経費の面でも、えさ代は上がってくる。たとえば副産物の子牛の価格は下がる。それから過剰生産、そういうものが乳価にきますから、結果的には乳価も上がらない。むしろ下がる。経営費はかかるものはかかるわけでございますから、そういうマイナス条件が出てきていると思います。そういうことの結果、私はいま農家の方々が容易ではないとおっしゃっていることは本当だと思います。  その場合に、それでは乳価がどうこうという話にすぐつながってくるわけでございますが、乳価の計算をいたします場合に、そういう要件の中で好転しているものは好転した数字を入れる。典型的に言えば、えさ代等につきましてはそういう議論になるわけでございます。したがいまして、私は、農家の方々の実感というものは、かなりつらい感じを持っていらっしゃることは否定をいたしませんが、算定上われわれが使いますこれからどうなるだろうという数字については、先ほどもちょっと申しましたように、五十五年の中ごろまでが数字としては底に出てくる、一番不利益条件が出てくるのであって、乳価自身につきましても若干好転が見られているところもありますけれども、その後のいろんな数字につきましてはややプラスに働いてくるものも多いのではないかと思っております。  それからもう一点、町村とかあるいはそういう地域全体として容易ならざる状況だということにつきましては、一つはやはり酪農民が、単に所得がどういう水準になって、したがって税金が払えるかどうかという問題のほかに、これまであの地域に特に相当大規模の投資を続けてきたわけでございます。これは御承知のように、第三次酪農近代化計画の中でも、基盤整備とかあるいは上部施設、たとえば、サイロといった上部施設に対する資金の投入といったようなものがかなりのテンポで、また集中的になされた。そういうことが周辺のいろんな事情、これは商業の問題であったり、建設業の問題であったり、そういうもので相当のいわば周辺の経済効果があった。しかしながら、何度も申し上げますように、それは六%とか八%とか年率で大変高い生産の伸びを維持したときには可能であるわけでございますが、現在のように二%とか三%の需要の伸びに対応して物をつくらなければいかぬ、そういう場合に、既存の投入された資材だとかあるいは土地だとか、そういうものをフル稼働しながら経営を改善していただかなければいかぬわけでございますから、そういう意味で周辺にいろんな投資をするということはなかなか不可能な、また、むちゃな投資をしますれば過剰投資のそしりを受ける、そういう条件でございますから、周辺の事情も容易でないという感じもわかるわけでございます。  しかしながら、そういう地域ぐるみの問題として一番大切なことは、あの地域が将来、日本の酪農の中心となってそういう経営基盤を強くして、一番生産性の高いところと考えておりますので、そういうことが確立されなければいかぬわけでございます。そのために私どもできるだけのことを、これは単に価格だけで済むことじゃございませんので、たとえば昨年やりました負債整理の問題、これ一つとりましても、かなり膨大な金利負担を肩がわりするということをやるわけでございますが、そういうことも含めてあの地域の酪農が安定するように、先ほど先生も申されたように、EC水準に到達している、そこまではっきり製品も含めて言い切れませんけれども、ECに負けないような酪農を国内にもつくっていくという面では、今後とも全力を挙げてやっていきたいと思っております。

北村義和自由民主党

○北村委員 農家所得が低減になってくるについての乳価水準の引き下げの大きな要因は、需給のバランスが崩れている。そして特に、その場合に大きくいま問題になってくるのは飲用市場、こういうことでございますが、これについて農林省はそれなりの努力をされておると思いますけれども、やはり決め手は限度数量を通じて行政指導をするということ、これが一番効果があるのではなかろうか。したがって、従来の限度数量の見方とは変えて、局長の先般来の説明をお聞きいたしておりますと、相当強いお気持ちで秩序立てをしよう、こういう熱意が答弁の中に見られるわけであります。そうだとするならば、それを具体的に実行に推し進めていくということになりますと、今年度は本当に全体の計画生産の中における、要するに、限度数量のあり方については、新しい局長の立場で検討してしかるべきではないだろうか、私はこんなふうに思いますが、局長の見解をお聞きしたいと思います。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 限度数量につきましては、限度数量を決めますことは、それだけの量について農家の所得を確保することにもなるわけでございますが、もう一つ、限度数量の決め方いかんによって、いわば乳製品の価格水準がどうなるかということにも関係あるわけでございます。たとえば、限度数量を非常に多く認めて、その結果、非常に多くのものが生産されて、それが実際の需要に結びつかないとしますれば、ここ数年間味わったような非常に情けない事情、要するに、製品はあるけれども、値段はどんどん下がってしまったということは、農民がつくりましたものがほどほどの値段で売れないような状況をつくり出すということになるわけでございます。そういう結果として、いま民間の、市中の過剰在庫はほぼ消えましたものの、事業団にまだ生乳換算四十数万トンのものが残っておる。そのことがおもしのように働いて、せっかくバターは一〇〇のところまで上がってきましたけれども、去年の十月以降一〇〇のところから全然上がらない。たとえば、もっと高くしようと思っても、事業団の方の一万二千トンを売ってくれば、とてもそんな値段では売れないのではないか。だから、こちらも売れない。そういうような条件をつくっているわけでございまして、単年度に農家の方にどれだけ指定乳製品をつくっていただくかという話と、もう一つ、事業団在庫を極力合理的な範囲にしなければいかぬということの両方の要請にこたえて限度数量の問題を考えなければならないというのが一つでございます。  それからもう一点は、これも若干残念なことではございますが、ここ数年間、指定乳製品、特に、脱脂粉乳の価格がいわゆる指標価格を大きく下回っておりましたので、脱脂粉乳は割りに合うと申しますか、比較的使いやすい商品になっていたわけでございます。そのためにいろいろな二次製品、たとえば、ヨーグルトだとかあるいはほかの乳酸菌飲料なんかをつくります場合に、いままでなら牛乳からつくっていたものまで、どうやら脱脂粉乳を水に溶かして使うというようなことが行われていたのじゃないか。そういうことになりますと、そうでなくても苦しい財政事情の中で、いろいろな不足払いを援助しておったのが、農民の所得のプラスには余り働かないのに、財政負担だけ出ていったというのでは、財政の有効な運用という面でまずいといういろいろな見方もあるわけでございます。たまたま、現在少しそういう傾向があるということは、どうやら脱粉の値段が余りに安かったからじゃないか。脱粉の値段がほどほどに戻ればこんなことも起きないかもしれぬとも思われますが、ただ、これは私の一存でそうだろうといま割り切るにはいろいろ問題がございますので、そういう事情を両方見ながら、限度数量をどのようにしていいかということを慎重に判断したいと思っています。

北村義和自由民主党

○北村委員 いずれにしても、諮問案が出されて、回答といいますか答申があってから、いまの御見解についての詰めをしなければならぬ、こんなふうに実は思うわけでございます。  ちょっとこれは話が別になりますけれども、デンマークの口蹄疫の関係、大ざっぱでよろしゅうございますから、御説明いただけませんか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 デンマークのフューネン島のブレンダーラップというところにあります、酪農をやっております農場で、三月の十五日に口蹄疫が発生いたしまして、デンマーク政府は、その農場に飼っております牛六十六頭を全部殺処分にいたしております。そういう意味で、防疫措置は直ちに行ったわけでございます。デンマーク政府自身、こういう口蹄疫が発生いたしましたので、デンマークでも偶蹄類の豚とか牛を輸出するのを禁止をいたしております。  私どもの方といたしましては、現在、デンマークを、豚肉、牛肉の輸入禁止の地域とするように、家畜伝染病予防法施行規則の改正の手続中でございまして、その間も行政処分といたしまして、いわば向こうから出してきたものにつきまして所要の措置をとることにいたしております。これは、三月の十五日に発生はしておりますものの、それ以前に潜伏しているものがあると思われますので、一応二月の二十二日以降に屠殺されました豚とか牛を原料とする豚・牛肉、ハム、ソーセージ、ベーコン等につきましては三月の十九日以降、輸入検疫証明書を交付することを停止するよう、動物検疫所に指示をいたしております。そういう面で、防疫の観点からいいますとほぼ完璧な措置をとっているつもりでございます。  問題は、そのことがわが国の豚の輸入にどのように影響するかということでございますが、いままで大体総需要量の一割をちょっと超すくらいの数量が外国から輸入をされておりまして、一昨年までは大体アメリカ、カナダ、デンマーク、台湾というようなところがあれだったわけでございますが、去年は実はデンマークの輸出量が大変ふえてきておりまして、デンマークの全体の四割前後のものを輸出してきたという事情がございます。このデンマークから輸出されております豚肉につきましては、どちらかといいますと加工用、特にべーコン用に使われておるものが多うございまして、そういうものについては、国内の加工業者との間で非常に密接な提携をして、比較的規格の統一されたものを出してくるという面でデンマークもいろいろな努力をしたわけでございますが、こういう事情になりますから、私どもとすれば、この口蹄疫問題が解決するまでは入れるわけにいかない。ただ、輸入先はいま申しましたように一国ではございませんで、アメリカ、カナダ、台湾等もございます。その用途によってはなかなか代替がきかないという議論もありますけれども、極端にそのことでたとえば、不足になって値上がりするとかそういうことのないように、いろいろと各方面を指導していくつもりでございます。ですから、端的に言いますと、防疫面では万全の措置をとっているつもりでございますし、価格その他の面についても、そのことで極端な影響が出ないように努力するつもりでございます。

北村義和自由民主党

○北村委員 最後に、玉沢政務次官にお伺いをいたしたいのでございますが、だんだん質問を申し上げましたとおり、今日の酪農、畜産物の問題は、経済問題を超えて、地域においては政治問題化してきている。先ほども申し上げましたように、所得申告の戸数の傾向、それらがやはりもろに町村の商工経済に影響いたしまして、今日では生産者ともども地域ぐるみの、いわゆる酪農経済再建ということで、この北海道の主産地の町村長、町村議会が、何とかこの酪農危機を突破するために、われわれ地元としてやれるだけのことはやるけれども、この際、国の施策で手をつけてもらわなければならないものはつけてもらわなければならぬ。その第一点は、何としても、五年も六年も据え置きする、こういうことでは若者の意欲をつないでいくことができないというふうに切実な叫びになって実は出てきておるわけであります。そういった観点から、畜産局長のいろいろな説明は法に基づいたそれぞれの手順で取り進められていることは間違いはございませんけれども、問題は、いま申し上げましたように政治的な問題に実は変化しつつあるという観点を踏まえて、今年度の適正乳価指導を取り進めていただきたいものだ、私はこんなふうに考えますので、次官のお答えをちょうだいいたしたいというふうに考えます。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産政務次官

○玉沢政府委員 北村先生から御指摘をされましたように、生産者の皆さんが非常に厳しい状況にある、このことは生産者あるいはそれぞれの市町村長さんからのお話で十分承っておるところでございまして、この困難を何とか克服する、こういう観点に立ちまして総合的な各般の施策を講じなければならないと考えております。したがいまして、総合的な観点に立った場合におきまして、たとえば、外国からの乳製品、畜産物の自由化、こういうものに対しましては、まず、日本の農民がつくれるもの、生産するもの、こういうものは何としてでも日本の農民によって確保しなければならない、この大前提に立ちまして外国の国々とも交渉し、理解をするように努めていかなければならない。まさにこの問題は政治の問題でございます。  さらにまた、価格の問題もございます。御指摘のとおりに価格の問題におきましては、これは今後畜産振興審議会の意見を聞きまして決定をするということに相なっておるわけでございますが、ただ、価格の問題だけがすべての総合的な施策ではございませんので、やはり経営の改善の問題あるいは市乳の価格の低下に対してどのような対処をするか、こういうような総合的な観点に立ちまして、審議会等の御意見を承り、またここで御論議をされました観点を十二分に承りまして今後の決定に持ってまいりたいと存じております。

北村義和自由民主党

○北村委員 終わります。

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 竹内猛君。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 私は、五十七年度の畜産物及び蚕糸の振興に関する諸問題について質問したいと思いますが、まず養蚕の問題に関連をして質問をします。  昨年は、海外からの生糸あるいは織物その他の輸入、たとえば、青竹というような問題があって、在庫が非常にふえて、その一方、景気の低迷のために需要が伸びないということで、本委員会においても三月から五月まで議論をいたしました。そうして結果は、基準糸価を一万四千七百円から七百円切り下げて一万四千円ということで決定をする、こういうことになったわけですが、それから一カ年間たってこの状況はどうなっておるのか、まずこの辺からお伺いします。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○小島政府委員 基準糸価の引き下げは、国内的には需要を増進し供給を抑制する、そういう効果をねらいますとともに、外国との絹輸入交渉につきましては輸入数量を圧縮する、そのための国内の厳しい情勢というものを十分理解させる、そういう効果をねらって行ったものでございます。  当時予定いたしましたように、その後の経過といたしましては、昨年の秋以降ようやく需給改善の効果も少し出てまいりまして、一方、輸入の方は過去一年八カ月も生糸輸入をとめておることの効果もございまして、市況といたしましては漸次明るさを取り戻しつつある、こういう状況と見ておるわけでございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 それでは養蚕農家の現状というものはどうなっているのか。つまり、八〇年の長期展望というものを農林省が発表した。これと照らし合わせて見た場合に、養蚕の現状というものは毎年後退をしている。前進ではなくて後退なんだ。たとえば、五十四年に十二万五千ヘクタールの桑園があったものが昨年十一万七千と八千ヘクタール減少、それから収量においても五十四年が六十四・九キロのものが昨年には五十五・三キロ、農家の戸数が十七万六千戸から十五万戸というようにそれぞれ減っている。この現状というものは、長期展望との関係から言えばはかるに後退をしている。この原因は何であるか、そのことについて聞きたい。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○小島政府委員 お話しございましたように、養蚕の生産関係のいろいろな指標で見てまいりますと、桑園面積あるいは収繭量、農家戸数なども含めまして次第次第に減少の傾向が見られております。ただ、私ども、六十五年の長期見通しにつきましては、たとえば、桑園面積は基準年の五十三年の十三万ヘクタールと同じ十三万ヘクタール、こういうふうに見ておるわけでございますが、その間の経過といたしまして、ずっと五十三年と同じ水準が続く、こういうふうに見ておるわけではございませんで、その間に引っ込むときもあれば伸びる年もある、こういうふうに見ておるわけでございます。  一概に申し上げますれば、これまで養蚕の主な担い手でございました地域及び農家におきまして養蚕を実際にやっております方々がかなり老齢化してまいりまして、その過程で養蚕が続けられない、こういう方々の脱落というものも出てまいりますし、それから場所によりましては、養蚕よりははるかに収益性が高い果樹でありますとか野菜でありますとかそういうものに向かっているという地域もあるわけでございます。そういう過程を経ながらもその中でさらに生産性の高い、足腰の強い養蚕経営というのは育ってまいりまして、六十五年までには見通しの目標を達成できるのではないか、こういうふうに見ておるわけでございますが、もちろん、その間における需要がどういうことになっていくのかということと無関係に生産が成り立つわけでもございません。六十五年におきましては、一応需要といたしまして年間四十万俵というラインを想定いたしておるわけでございますが、長期的な着物離れ、短期的には景気の動向、こういった問題も絡んでまいりますので、その辺よく見きわめながら短期的な生産の指導をやっていく必要があろう、かように考えておるわけであります。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 これは政務次官にも聞いてもらいたいけれども、これには二点にわたって問題があるのですね。長期展望というのは、簡単に農林省の事務局がメモをつくってそしてそれを公表したということじゃないでしょう。少なくとも農政審議会の議を経て閣議で決定しているのでしょう。それが一年もたたないうちにどんどん後退をしていくということは、それはそこに一種の暗黙の契約、つまり、長期展望のもとに農家がその方向に進んでいこうとして投資をする、そういうことに対するこれは違反なんだ。だから、そういう意味においては、この後退をする現状、これは農政上に問題があるということにならなければならない。  それから第二の問題は、水田の減反の中で、今度は桑園にこれを変えていくということで一時指導をしてきた。ところが、桑園に変えようとしたら途中でこれをやめてしまった。こういうように、一方においては計画を立てながら一方ではそれを抑えるということにしたら、農家は一体どうしたらいい。中央の都合で勝手にどんどんどんどん変えてしまう、そしてその責任は農家にみんなしわ寄せする。先ほど北海道の酪農の話があった。酪農をやれ、酪農をやれと言って進めてきて、そして価格の決定になると、今度は四年も五年も据え置きにする。養蚕の問題でもそうじゃないですか。こういうような長期の展望なら展望を立てて公表して、堂々とこれは発表しているでしょう。そういうものが一年や二年守れない。そんなものだったら発表しない方がいいんだ。そういうことではこれは承知できない。この責任は、これは政務次官、政治の責任なんだよ。どうです。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産政務次官

○玉沢政府委員 御指摘のとおりに、当初見通しなり計画を立てたものを途中で変更せざるを得ない、こういう状況がありましたことはまことに遺憾であり、申しわけないと思うわけでございます。  といいますのは、一つは、何と申しましても日本の経済の仕組みというものが、計画経済という形ですべてを律することができない、やはり自由経済のもとで需給関係のバランスをとっていかなければならない、こういうことで、生産が計画どおりに伸びてまいりましても需要が当初見通しを立てた計画どおりに伸びないという場合におきましては、生産の過剰ということで見直しを迫られてきた、こういう経緯があると思うわけでございますので、政策といたしましては、この繭におきましてもあるいは牛乳生産におきましても、需要をいかに拡大いたしまして生産の拡大に対応するか、ここが政策のポイントであると考えるわけでございますので、そういう点に十分留意をしなければならない、このように存じます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 これはここで議論するわけじゃないけれども、計画経済でないこともよく知っているし、自由経済であることもよくわかっている。そういうことがわかっていても、その中で長期展望というものを出している。それで、農政審議会で議論をして、これは責任を持って出しているはずでしょう。そういう中で、水田から養蚕に転作をするということを一時指導をしてきて、それで今度はやめる、そういうことになったら、その責任として補助金を出すとかあるいは金利でその穴埋めをするとか、そういう何がしかの手当てをしなければ、指導しっ放し、借金だけ残して、後は勝手に農家がやれ、こういう切り捨て御免の政策というのは許せないですね。こういうのはこれからまた問題にするということで、ひとまずそれはとどめておきます。  続いて、今度は通産省にお伺いします。  確かに、需要が伸びなかったということがあります。その点について、通産省に去年からことしにかけてかなり努力をしてもらった。これは農水省も努力をした。その努力をしたけれども依然として需要が伸びないということが一つと、もう一つは、この一年間に群馬県、熊本県等々において製糸工場がつぶれております。計画的につぶしたのかあるいは市況の中からつぶれたのか、それはわかりませんが、それの処置はどういうふうになっているのか。これは通産省だけじゃなくて農林水産省も関係があると思うから、両方からお答えを願いたい。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○小島政府委員 製糸の問題は私の方でございますので、私の方からお答えを申し上げます。  私どもの所管いたしております製糸業界でございますが、かつて繭の生産量が相当に多く、製糸工場がそれぞれ十分な原料手当てができた、こういう時代に比較いたしまして、現状におきましては、繭の生産量が大変減ってきておる、こういう状況の中で、製糸工場にもそれなりの合理化をしてもらわなければならないわけでございます。  農林水産省の方として、格別、何工場を減らすという指導をいたしたわけではございませんが、そういう原料手当ての困難性、さらにはコストの上昇ということの中で、その分を生産性向上により十分吸収し切れない、こういう工場が昨年春以降におきまして十七工場休廃業または工場閉鎖をいたしております。  もちろん、そういう現状に照らしまして、私どもの方では、そこで働く人の雇用問題、さらには業種の転換問題、それぞれ考えておるわけでございまして、雇用保険法に基づきますところの雇用調整助成金の対象業種にするとかあるいは中小企業の転換対策臨時措置法に基づく転換業種に指定するなどいたしまして、これらの転換あるいは事業所閉鎖がスムーズに移行いたしますように、必要な対策を講じてきておるところでございます。  後の需要の増進対策につきましては、昨年以降、特に、蚕糸砂糖類価格安定事業団の助成勘定によりますところの資金の交付などもいたしまして、一般国民の絹に対する認識をより改めてもらう、同時に、一般の着物離れの一つの原因でありますところの自分で着物が着れないという人に対する着つけの講習でありますとか新しい製品の開発普及、これは通産省の大変な御助力をちょうだいいたしておりますが、官民一体となりまして需要の増進に努めておるところでございます。

若林茂通商産業省生活産業局繊維製品課長

○若林説明員 通産省の方でやっております需要振興のことを御説明申し上げます。  先生御指摘のとおり、絹の需要は和装が大部分でございますが、これが減ってきているのは事実でございます。しかし、絹の需要振興、これをやるにはやはり着物の振興が大事だ、こういう認識に立ちまして、われわれ、昨年来、いろいろな手段を用いまして着物の振興をやってきております。たとえば、産地中小企業対策臨時措置法に基づきまして、各産地で新しい着物をつくった場合に新商品の開発とか展示等を促進いたしますとかあるいは絹振興資金というのが繊維構造事業協会にございますが、これを用いまして着物の振興事業を各種やっているわけでございます。  それから着物だけではございませんで、そのほか、和装以外の洋装、そういうものの需要振興も図らなければいけない、こういう観点から、絹の新製品の開発に対する補助金というのを昨年から始めまして、これによりまして新しい洋装の需要の開発等もわれわれ努めているわけでございます。  それから輸出の関係につきましては、洋装の新しい素材を開発いたしまして、これをことしの五月、ニューヨークで展示会をやりますが、こういうものを促進するとかやっております。  このように、いろいろな手段を用いましてわれわれとしては絹の需要振興に努力しているところでございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 そのような努力にもかかわらず、ようやく在庫が十四万俵台になったということで価格が若干持ち直したという経過がありますが、この間に、海外から輸入させた乾繭それから生糸それから撚糸、絹製品、この状況はどうでしょう。

林昭彦通商産業省生活産業局通商課長

○林説明員 私ども通産省の所管しております絹糸それから絹織物の輸入状況でございますが、五十五年度で絹糸が約三万俵でございまして、これは五十四年度に比べると一一%減。それから五十六年度、これは昨年の四月からことしの一月まででございますが、約一万七千俵、五十五年度に比べまして約三八%減少ということでございます。それから絹織物の方でございますが、これは五十五年度は約二千八百万平米でございまして、五十四年度に比べまして約二一%の減少。それから五十六年度、これも昨年の四月からことしの一月まででございますが、同じ五十五年度の四月−一月に比べまして一六%の減の千九百七十万平米ということで、韓国あるいは中国といったような主要な産出国の理解を得まして大幅な輸入削減を実施してきているところでございます。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○小島政府委員 生糸の輸入の方について申し上げますと、これは期間をどのようにとるかによりまして数字は違ってまいりますが、五十五暦年で申しますと生糸の輸入量が約五万俵ほどでございます。五十五年はもうすでに需給状態が非常に悪くなっておったわけでございますが、それ以前に契約いたしましたものの入着、さらには事業団が直接管理しておりません保税の生糸、こういったものを合わせまして約五万俵ほどの輸入があったわけでございます。これを五十六暦年で見ますと、この間におきましては事業団の輸入というのは全面停止をいたしておりますので、保税加工用の生糸約一万五千俵だけが輸入をされておるということでございまして、五十五年、五十六年を対比いたしますと際立った減少ということに相なっておるわけでございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 それぞれの努力にもかかわらず、五十七年の三月末現在において依然として十四万八千三百六十俵というものが在庫をしているという数字が出ていますが、これは一元輸入、二国間協定という厳しい中においての現状なんです。この在庫の状況を見ると、国産の糸が五万二千百二十五俵、それから輸入が九万六千二百三十五俵ということになっている。適正在庫というものは五万俵ぐらいだと思われるわけですね。そうするとこの在庫が適正になるまでは外国からの輸入というものは一時抑える、中止をする。この十六日に九段の会館で全国の大会が開かれたが、あの決議の中にも一時中止という強い要請があった。政務次官、これについてどうですか。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○小島政府委員 政務次官のお答えの前に一言申し上げますが、生糸及びその加工品も当然そうでございますが、すでにIQ品目、輸入割り当て品目からは外された品目でございます。かつて日本の生糸が国際競争力を持っておりました当時にそのように相なっておるわけでございます。その後において国際的な価格の格差が激しくなりまして一元輸入制度が発足いたしたわけでございますけれども、国際的には、一元輸入制度というのは輸入を禁止するということを意味するわけではない、必要なものについては買い入れをするというたてまえでございますので、二国間の話し合いによりまして輸入数量を決めておるわけでございます。過去の数字をごらんいただきましても、五十四年度におきましては前年対比一割減、五十五年度には前年対比五割減ということで輸入数量の圧縮をいたしてまいりまして、それから五十六年度につきましては、すでに年度を終わろうといたしておりますが、いまだにその話し合いがついていない、こういう状況に相なっておるわけでございます。したがいまして、すでに約束をいたしました五十五年度の分につきましては、事業団の在庫水準をふやさない範囲内においては買い付けをするという約束もございますものですから、全く輸入をストップしてしまうということは非常にむずかしいのではないかと考えておりますが、今後とも話し合いによる輸入圧縮にはさらに努力をするつもりでございます。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産政務次官

○玉沢政府委員 いま局長から御説明したとおりでございまして、自由品目ということに相なってまいりますと、日本が貿易立国であるという立場からいたしましても輸入中止という手段はなかなかできないのではないか。したがいまして、二国間におきまして極力輸入の抑止ということで話し合いをいたしまして、御理解を得ながらやっていくということが必要なのではないか、こういうふうに存じます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 厳しいことは承知をしているけれども、ともかくこれは生産者団体の強い要請でもあるし、そのぐらいの気持ちでひとつ臨んでもらいたいということです。  と同時に、もう一つ質問をしますが、それならあの事業団の在庫の操作がもう少し弾力的にできるように法律を改正する意思はないか。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○小島政府委員 生糸はいわゆる相場商品でございますので、事業団が買い入れをする、あるいは売り渡しをするということにつきましては、現行の繭糸価格安定制度におきまして買い入れ、売り渡しの要件を厳しく法定いたしておるわけでございます。そして、私どももこの線にのっとりましてこれまでの事業団業務の運営を指導してまいったわけでございますが、昨今のように在庫数量が相当な数量に上っておるという事態の中で、新規の用途あるいは販路に振り向けるべくいま少し機動的、弾力的な運用ができないか、こういう声が関係業界の方から持ち上がっておることは十分承知をいたしておりまして、今後の検討課題ではないか、かように私どもも考えております。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 政務次官、いまの答弁をさらに前進をさせた政務次官としての答弁をひとつ……。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産政務次官

○玉沢政府委員 御趣旨を十二分に踏んまえてこれから検討してまいりたいと存じます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 この問題についてはわれわれも深い関心を持っているし、それなりの行動を起こしたいと思っておりますので、この点はぜひ協力してもらいたいと思います。  続いて、五十七年度の基準糸価はどうされるのか。もうぼつぼつ決定をする時期でありますし、審議会の時期でもありますから、これはどうされるのか。去年は基準糸価を七百円、四・八%切り下げたわけですが、その後物価も上がっているし、税制の改正もない、農家の買う物は高い、こういうときでありますし、今度の大会の様子を見ても農家は必ずしも値を上げてくれとは言ってない。つまり所得を保障してくれ、再生産を保障してくれと言っている。大変むずかしいことですけれども、これについてお考え方はどうですか。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○小島政府委員 中間安定帯の趣旨は、生産事情、需給事情等から見て、適正な水準に生糸価格を安定させる、こういう趣旨のものでございまして、いわばその下限をなしておりますのが基準糸価でございます。その意味におきまして、お話のように、この基準糸価が農家の手取りということに直結するわけでは決してございませんが、昨今の需給の状態から見ますと、この厳しい環境というのはなおしばらくは続く、こういうふうな見方をいたしておるわけでございます。  そういう意味で、近く審議会を開きましてこの水準を決定しなければならないわけでございますが、与えられております条件というのは依然としてなお厳しいということを踏まえながら、十分検討して、諮問をいたしたいと考えております。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 それは、その値はどうするの。下げるの、上げるの、現状維持なの。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○小島政府委員 現時点で、まだ具体的な方針を申し上げる段階ではないと考えておりますが、気持ちはいま申し上げた趣旨でございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 去年は値を下げたのですよ。七百円下げてようやく現状になってきた。ことしは生産は減っていますね。実際は、去年の冷害で単収も落ちているのだ。それで、在庫が多いということが問題なのだけれども、とにかく農家には借金もあるし、いろいろの乗り切らなければならない条件もあるわけだから、価格の面で必ずしも保障ができないとするならば、ほかの面でこれのカバーをしていくというような、そういう温かい気持ちはあるかないかということを、これは政務次官に聞くかな、どうだ。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○小島政府委員 養蚕経営の場合には、その生産費の中の労務比率というものが非常に高うございまして、固定資産などの取得のための借入金というのは意外に多くはございません。しかしながら、昨年のように基準糸価を七百円も下げる、こういう事態の中では、養蚕の経営の安定を図るという観点から、蚕糸砂糖類価格安定事業団の利子補給措置によりまして、経営安定資金を年利率五分ということで貸し付ける措置を講じたところでございます。そのほか、政府の直接支出いたしますところの生産面の各種の助成、さらには、事業団も資金の許します範囲内において生産関係の助成もいたしておりますので、それらを合わせまして、養蚕経営が十分成り立っていきますように特段の配慮を払ってまいる所存でございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 これは特に、通産省の関係になると思うのですが、原料が一万数千円、最終価格が六十万というような流通過程があるわけですね。これを何としても縮める。中間経費というものが一体だれのところに移っていくのか。農家あるいは機屋が出すときには少なくとも一万数千円台のものが、最終的に消費者の手に渡るときには、染めたり、織ったりいろいろな形があります、手がかかりますが、それが五十万、六十万という、この過程をもう少し圧縮をして需要を拡大する道はないかどうか。これを検討をすることがぜひ必要だと思うけれども、これについてお考えになったことがありますか。

若林茂通商産業省生活産業局繊維製品課長

○若林説明員 着物の流通コストの問題は、先生御指摘のとおり、いろいろ問題があるわけでございますけれども、ただこれは繊維製品全般に言われることでございますけれども、流通の各段階が非常に分業化されておりまして、その間にいろいろ卸問屋が介在するという形で流通が長くなっております。そのためにコストが非常に高くなるということが一つ。  それともう一つは、着物の場合は最近、需要構造が変わってきておりますので、ふだん着といいますかカジュアルといいますか、そういうものから高級なフォーマル物に需要の大宗が移りつつある、こういうことから自然高いという形になってきているわけでございます。もちろんそのほかに、いろいろ是正しなければならない返品とか不合理ないろいろな取引慣行があるのは十分承知しております。したがいまして、こういう流通を合理化いたしまして、流通コストを安くし、着物の値段を下げ、需要を喚起するということは大事でございますので、通産省といたしましても、繊維工業審議会でいろいろ検討してもらい、それに基づきまして現在、繊維取引近代化推進協議会というのをつくっておりますが、ここにおきまして取引慣行の改善についてのいろいろな行政指導を進めているところでございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 やはりこれは伝統的産業でもあり、そしてまた日本古来からのなくてはならないものでありますから、この際ぜひ官民一体ということで、需要の拡大の研究をともに努力をしたいし、また、われわれもこれは協力しなければならないことだと思います。  そこで、今度は委員長にお願いしますけれども、養蚕問題というのは確かに日本の場合においても地域性があって、深い関心を持っているところと、意外にこれは消滅してしまったところもあるわけだから、そういうことも関連をしながら、しかもいま言ったように生産者と消費者の価格の間に非常に幅がある。それから輸入の問題も、これは別にアメリカとの関係じゃないのですが、別に貿易摩擦があるわけでもありませんが、また別な問題が生じてくると思いますけれども、そういう点で業界もそれぞれあります。それですから、この委員会の中に小委員会か懇談会をつくって、そこで養蚕問題を各界各層からの意見を聞いてゆっくり議論をする、あるいは見学をするというような場を与えてもらいたいと思うのですね。これはどうだろう、委員長からひとつ見解をお願いしたい。

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 竹内君からいまお話のございました点につきましては、やはりまず、いろいろな立場の実情を調査する必要もあるというふうにも考えます。いずれにいたしましても、この問題につきましては理事会の方で検討させていただきたいと思います。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 それでは理事の皆さんにお願いしますが、ぜひ私がいま問題に出したことを取り上げて実現をしてくれるようにお願いをしたいと思います。  続いて、今度は養豚の問題に移ります。  豚肉は自由化をされていて、どこからでも入ってくるようなことになっているわけですね。そこで、豚価を決定する基準は一体何を基準にして決めるのか。つまり、四人家族で豚を飼う場合に、どれぐらいの豚を飼ったら採算がとれるのか、こういうように損益分岐点というものを一つ決めていく。そのときにどういう金利を使ってどういう施設をやれば、豚を何頭ぐらい飼ったらやっていけるのだ、こういう物差しを示さないと、あるときには豚をたくさん飼いなさい、あるときには生産調整をしなさい、こういうことではこれまたどうにもこうにもならない。この点でざっくばらんにどうです。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 御指摘のような標準的な経営というものを算定いたしますにはいろいろと前提を置かなければいかぬわけでありますが、仮に、いまの枝肉価格を安定価格帯の中心価格水準程度に置きましていろいろと試算をしてみたわけでございます。その他条件としまして、たとえば、生産費みたいなものはこの前出ております五十六年度の生産費調査と同じようなものを生産費として一応想定しまして、先ほどもちょっと言いました五十六年度の生産費調査では家族労働報酬というのは七千二百円というのでまずまずの水準が実現しておりますので、そういうものを入れまして、夫婦子供二人くらいの標準的な世帯所得を総理府の家計調査で、大体それくらいのものがいわば普通の標準家庭世帯の経費として大体三百九十万前後のものが得られるような経営としまして、豚の出荷を二ないし二・五回程度に想定いたしますと、粗っぽく申しまして二百頭規模から三百頭規模の豚の肥育の経営ならば三百九十万前後の家計費を支出するに足るようなものになるのではないか。たまたま二百頭という水準で考えてみますと、五十六年度で見ますと養豚戸数の約二〇%程度はそれくらいをカバーし、その二〇%の戸数の人が出しています豚の総量が約七〇%くらい、六九・何%、約七割くらいのものを出しておりますので、ほぼこれくらいの経営であれば養豚経営だけで普通の生計が十分保てるのではないかな、そういう感じでございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 私は過ぐる一月二十六日に一日間地元の養豚家の皆さんと一緒に芝浦の屠場を見学をした。そして農林水産省の皆さんとその後いろいろ討論、やりとりをした。その後、また現場でのいろいろなやりとりをしながら、どうしても養豚農家というものが専業的にやっていくためには幾つかの克服しなければならない条件があるけれども、その中の一つとして、本当に専心的に打ち込める規模をほぼ確定をして努力する、そのための金融、それからその価格、それから施設に対する負債整理、こういうようなものが相伴うと同時に、外国との関係についても配慮しながらやっていく必要があるということを痛切に感じたのです。  そこで、現在の養豚農家の持っておる負債について、そのときには明らかにされなかったのだけれども、現在、農林水産省としてはいま二百から三百の豚を飼っている経営者の中の負債がどれくらいあると思っておられるのか、この点はどうですか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 養豚経営の負債の状況につきましては、昭和五十五年における都府県の単一経営一戸当たりの借入金を見ますと、借入金総額で約五百五、六十万のオーダーでございます。それの背後にあります資産額は三千三百万くらいの資産額を持っております。借入金五百五、六十万ありますものの中身の大体六割は系統の資金でございます。それから約三割弱、二八%ぐらいのものは財政資金でございます。残りました一〇%程度のものが銀行とか個人の借入金でございます。先ほど申しました資産と負債という関係から申しますと、酪農の場合なんかに比べますと資産額の方がかなり上回っている。  問題は、その負債額の中で順調に回転しているものとそうでないものがあるのではなかろうかと思います。順調に回転いたしております場合には、この程度の資金ボリュームでございますと償還不能ということはないわけでございますが、御承知のように、五十四年に豚の卸売価格が大変低迷いたしまして、それに対してえさは逆に高かったという環境が悪い事態がございまして、五十五年に価格をやります際に、既存の貸付金について借りかえ等の措置をいたしたわけでございます。御承知の養豚経営安定推進資金ということで末端の金利が五%、償還年限五年以内、貸し付け限度額は肥育豚一頭当たり一万円、繁殖豚一頭当たり七万円、融資額としまして百五十億円といったようなものを投入しまして、いわば負債の借りかえをしているわけでございます。養豚経営の場合の負債の実態は、どちらかといいますと、施設費よりもえさ代なり素畜費なり、本来ならば比較的短期の資金で賄うべきものについて、先ほど言いました枝肉価格と飼料費とかあるいは子豚の価格等の関連もあって順調にいかないで、それが累積しているものがあろうかと思います。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 最近の状況からいうと、いままでに施設をつくった者はやれるけれども、これから施設を新しくつくろうとする者は施設費に金がかかる。補助金をもらったり金を借りようとすれば、こういう施設でこういう会社のものを使ってこれをしなければだめだというように、商社まで指名をして決めるようなことをやっているのですね。  それで、何年か前に私どもは農林委員会で、いまの大蔵大臣の渡辺美智雄氏が農林政務次官のころ、古材は使えないのかということを言ったことがある。それは結構じゃないかということで古材を使ってやろうとしたら、全部これはキャンセルですね。末端が許可しない。そのことについてはずいぶん調べたことがあるのですよ。そうしたら、古材を使っていいことになっている、そういう通知も出ているけれども、農政局の下の方がそれを聞かない。こういうことをやられると、鉄骨だのコンクリートにばかり金をかけちゃって、実際に経営に金が回らないということになる。これは直してもらわなければ困る。鉄骨やコンクリートばかりに金をかけても生産にはならないですよ。それはまた別の問題を生じている。つまり公害という、ふん尿をどう処理するかという問題に関連をするわけだ。私どものところではふん尿処理という問題は大変な悩みです。あるところではメタンガスを取ったり、あるところでは土壌に還元をしたりするが、いろいろのことがあるけれども、新しく経営をしようとする者の経営のあり方というものとそれから公害と称するふん尿処理、この問題は無関係じゃないのですね。この点について最近の——中央は別ですけれども、下部の方では依然としてまだ古材が活用されていない。非常にむだな支出をしているという点があるということを幾つかの例を挙げて言うことができるけれども、これは厳重にそういうことがないように指導してもらわなければ困ると思うけれども、どうですか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 かつて御指摘のような事案がございまして、私ども、そういういわば必要以上に大きな投資をすることにつきましては、そういうことではないようにということの指導を強化いたしております。  まず、豚全般で申し上げますと、いまはそんなにどんどん設備投資をして大増産をしていくという時期ではないと考えております。したがいまして、既存の施設を極力有効に活用していわば経営体質の強い養豚農家を育てるべき時期だと考えております。ただ、先生も御指摘のように、養豚の場合は立地が大変問題でございまして、いわばそういう環境問題で移転を余儀なくされるというような場合がございます。こういう場合につきまして、非常に限定された姿で施設の助成等もいたしますが、そういう場合でも、いま御発言のありましたように極力コストのかからない、たとえば、例が違いますけれども和牛等の肥育の場合でも、林野のところでなかなか使われないで困っている間伐材等もあるわけですが、ああいうものも極力活用してほしいとか、いま御指摘の有効な古材等を使うことも認める、そういう形で余り金をかけないでやれるようなものが進むようにと考えております。  それからもう一点御指摘の公害問題、これは養豚にとっては大変な問題でございまして、やはり市街化の地域に近いところでそういうことをやっておりますと経営もなかなかできないということで、いま言いました移転の手法もあります。しかし、私は、やはり基本的にはそういう有機質は土へ返すべきものと考えておりまして、流してしまうというふうな形ではなくて、片側では地力が劣ってきているという問題があるわけですから、せっかくの有効な肥料分等については土地へ返す。そのために必要ないろいろな助成につきましては、今回統一的にやりました例の畜産総合対策という中でもそういうものを認めておりますので、極力土地へ返してそういう地力の復元に役立てるという方向で今後も指導していくつもりでございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 古材を活用して、そして本当に必要な金というものは生産のために使っていくということでいくためには、会計検査院がうるさいということをよく言うんですよ。会計検査院は古材を使うことについて文句を言うというわけです。だからこれは会計検査院にもよく説得しなくてはならない。これはどこの責任かよくわからないけれども、国会の答弁が二つ出たのでは困るので、前からの話ですから、ぜひそういうことのないように、やはり金というものは有効に使って、むだなところにそんなに使う必要はないので、ぜひそれはそういう指導をしてもらいたいし、それからふん尿の土地還元はぜひ必要ですから、それに対する努力をしてもらいたい。  さてそこで、この豚肉の価格を決めるにも何を決めるにも、そういう公害施設をやったりいろいろな処理をしても、それが意外に肉の価格に盛り込まれない。全部それは農家の犠牲になってしまう。それは酪農でも一緒でしょう。だから、ことしは一体この豚の基準価格は幾らにするつもりですか。新聞によると据え置きと言っているけれども、いつも据え置き据え置きじゃどうにもならぬじゃないですか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 まだ決めてないわけでございますが、養豚の場合に生産者も含めて特に問題になっておりますのは、昨年のいろいろな経緯の中でも、豚肉の価格というのは一応自由化をした上で御承知の一定の関税あるいは余り下がり過ぎたときは差額関税で守るということにしてございます。したがいまして、価格の決め方というものは当然国内の畜産農家の再生産を確保するという観点で決めるわけですけれども、そういう価格に対しては外国の輸入も含めて大変敏感に動く性質のものを持っております。  そういう意味で、私ども昨年の数字をちょっと申し上げましたけれども、あとの和牛なり乳牛については去年は前年度よりもわりと悪い条件でございましたが、豚肉は五十六年度の生産費を見ましても、むしろよくなってきている。そういう中で、現実の豚肉価格は、去年御承知のように、初めがよくて十月前後に下がって、それをいま取り戻してきているという、実勢自身がそう大きな動きをしておりませんので、余り実勢自身を大きく動かす必要はない性質ではなかろうか、むしろそのことの方が農家の所得を確保しやすいのではないか。名目的な支持する水準を上げまして、たとえば去年上げましたような、輸入が入りやすい条件などをつくるのは決して得策ではないのじゃないかというようなことも頭に置きながら、現在、算定をしておるところでございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 それで、先ほどもデンマークの話が出たけれども、十九日にデンマークに口蹄疫が出たということで、従来、豚肉が十七、八万トン輸入をされた部分について、デンマークからの輸入は七万トンくらいあったわけでしょう。そうすると、この部分の肉は輸入はされない。こうなると直ちに市場に反映をしてきて、きのうあたりから豚価が上がりましたね。四十円くらい上がったでしょう。これは上がることになるけれども、政府の政策を待たずして自然に、デンマークに口蹄疫が出れば四十円上がってしまう、これは見通しはどうですか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 デンマークから五十六年の四月からことしの一月までで入っておりますのは約五万九千トンでございます。それだけのものが入ってきておりまして、特にデンマーク産の豚肉は、たとえば、用途としましてベーコン等の用途では大変評価をされておるということでございますから、そういうものが一時的に途絶をいたしました場合に、全く価格に影響がないわけではございません。しかし、そうかと申しまして、豚肉の輸出国はアメリカ、カナダ、台湾等ございまして、いろいろな代替的な輸入は確保しようと思えば確保できる性質のものでございます。したがいまして、何かこういうのを機に、たとえば、またうんと上がるんだというようなことで、下手に大増産に踏み切ったり輸入をえらいふやすというようなことに踏み切りますと、また暴落をするという危険もございます。私ども、こういうものを、自由化している商品をうまく適正に輸入させますためには、生産者団体、輸入の商社あるいはこれを大量に使っておりますハム・ソーセージメーカー、そういう人たちの意見を調整をしまして、こういう突発時でございますから若干の調整は要りますけれども、それを機会として何か値段を大きく操作するということのないように指導しなければいかぬと思っております。  これは豚肉の価格に直接どう響くかということでございますが、私は、国内の供給も安定的に供給できる体制でございますから、たとえば、四万トンとか五万トンという数量が何か決定的な要因になって大変動を起こすということではないし、また大変動を起こさないような措置をすることが国内生産、メーカーあるいは消費者、ともにいいのではないかということで、各関係者の意向を聴取しながら、需給調整協議会等を開いて、事柄が穏当に推移するように指導していくつもりでございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 もう時間がありませんから最後に申し上げますが、先ほど玉沢政務次官が言っているように、自由主義ですから計画じゃないが、しかし、実際養鶏にしても生産調整をやる、養豚も生産調整だ、酪農にしても生産調整でしょう。これはみんな自主調整している。中にはしない者もいる。不届き者が相当あちこちにいる。養鶏なんというのはその最たるものだったです。しかしこれは抑えるわけにはいかないでしょう。それぞれの皆さんの良識と努力にまつ以外にはない。そうなってきて、ここでこういうような問題が起こってくると、また先駆けをする者もいるし、大変むずかしい。  そこで、価格の問題については、どうしても農家が再生産が償えるような価格にする。それでなければ今度は負債とか資材とかあるいは別な形で農家の手取り所得が保障されるようにするか、何かそういった方策を講じてもらわないと、このままでは黙って下がるわけにはなかなかいかないです。  そこで最後に、農家負債というものが畜産というのはよくわかるのですよ。負債の形がわかるわけですから、その負債を整理をして、何とか農家負債というものをこの際政治的に処理をしていくというお考えはないかどうかということを最後にお伺いします。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 酪農につきまして昨年ああいう措置をとったわけでございますが、肉用牛生産について、一般的に昨年からことしにかけて条件が悪いということを申し上げております。養豚につきましては、昨年よりもことしが条件が特に悪いわけではございませんが、経営を個別に見た場合に、若干の優劣差が出てきているという事態はよく調査をしてみる必要があろうかと思います。そういうものが経営の本質を侵しているような形がありますれば、そういうものを何らかの姿で軽減させることは、これからの施策の展開上の一つの重要な要素ではなかろうかと思っております。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 最後に、次官の方から。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産政務次官

○玉沢政府委員 負債整理も必要でありますけれども、やはり健全な経営を維持していくことが、本来、畜産経営におきましても一番望ましい姿である、こう考えるわけでございますので、そのためには需要に見合った生産をどういうふうに確立をしていくかということと、価格が余り上下に変動することがないように、こういう点と、最終的には需要の拡大を着実にふやしていく、こういう点に留意をいたしましてやっていく必要があるのではないかと考える次第であります。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 終わります。

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 吉浦忠治君。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 畜産、蚕糸の問題で、全般に触れて私は質問させていただきたいと思います。  わが国の農業をめぐる情勢は大変厳しい状態にあるわけですが、その中でも畜産、酪農もその例外ではないわけでございます。畜産物が生産調整を余儀なくされている中で、輸入は増大をしている、あるいは国内消費の伸びは停滞をしている。加えて諸物価は上昇する一方。そうしますと、畜産物価格は抑えられているという状態になるわけであります。そういうわけで、畜産、酪農家の経営は、いま大変窮地に追い込まれている現状であります。その上にまた、質問がございましたように、酪農家の多くは負債を抱えて、深刻な様相を呈しているのが現状でありまして、それにアメリカ等からのいわゆる市場開放攻勢というものが、わが国の畜産、酪農家に対して大きな不安と、また大きな憤りを与えているのが現状だろうというふうに思うわけでございます。  そこで、畜産、酪農の安定的な発展、またわが国の農業の健全な発展と食糧の安全保障確保について、畜産、酪農をこのままに放置しておいたならば重大な状態になるということを踏まえながら、質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  農産物の輸入制限措置というものは、それらの農産物がわが国の農業にとって基幹的な作物でありながら、輸入農産物の進出によりまして国内の生産が減退する一途をたどっているわけでありまして、また、壊滅する状態になるかもしれないというようなことで心配をいたしております。これまでわが国は、多大の犠牲を払いながら残存輸入制限品目の自由化を進めてきておりますが、これら自由化された農産物が、いかに今日のわが国の農業の脅威となっているかは明らかな点でありまして、現時点で残された品目は、特に制限が必要なものばかりであるわけであります。これら制限品目の輸入自由化は絶対に阻止しなければならない。自由化が強行されるならば、生産農家に重大な被害を与えるのは火を見るよりも明らかであります。そこで、自由化はもちろん、輸入枠の拡大も絶対に阻止しなければいけないというふうに感ずるわけでありますが、最初に次官の所信のほどを伺いたい、こう思います。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産政務次官

○玉沢政府委員 現在、農畜産品におきまして輸入制限品目は二十二品目でございます。これらの品目におきましては、わが国農畜水産業の基幹をなす作物でありますし、また、地域的に重要な作物でもあり、沿岸漁業等の振興上重要な品目に限られておりまして、いずれも自由化がむずかしいものであります。したがいまして、あくまでも国民の基礎的な物資であります食糧は、わが国の主要な品目におきましては、日本の農民、漁民の手によって確保する、こういう観点に立ちまして、足りないものは外国からの輸入に仰ぐということでございますけれども、あくまでもこの残存輸入制限品目におきましては、自由化あるいは輸入枠の拡大要請につきましても、諸外国に対しまして、わが国の置かれております立場を十二分に理解をしていただきますように図っていかなければならない。同時にまた、国内の農畜水産業に対しましても悪影響を及ぼさないように十二分に配慮いたしまして、これは慎重に対処していかなければならない、このように存じておる次第であります。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 櫻内外務大臣がきょうのお昼のニュースで、レーガン大統領との会見の後の記者会見か、その声明発表かの中で、六月のベルサイユ・サミットまでに自由化の線に沿って話し合いをしていくという、何か一本大きなくぎを刺されたような形の話し合いがなされたようでありますが、との出発前に、農水省として外務大臣にどういう要請なりまた請願なりなさったのかどうか、お尋ねをいたします。

佐野宏哉農林水産省経済局長

○佐野(宏)政府委員 櫻内外務大臣御出発の前に、外務省の深田経済局長と私との間で、櫻内外務大臣の訪米に当たって農林水産省所管の分野で予想される事態についての対処方針について相談をいたしました。その結果、外務省といたしましては、すでにアメリカ側との合意済みの手順に従って残存輸入制限の問題について協議をしていく、従来の既定方針どおりでいくということで話がついております。  ちなみに、三月の九日、十日の日米貿易小委員会の席上におきましても、残存輸入制限問題を協議するための作業部会を設置することにいたしましたが、その際、日本側からは、これは残存輸入制限の撤廃の可能性があるという意味に解してもらっては困る、残存輸入制限存続のもとでどうやって双方歩み寄れるかということを探求したいという趣旨の発言をしたわけでございますが、これも外務省との完全な意見の一致を見た上での発言でございました。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 具体的には、もうすでに農産物の中で牛肉とオレンジというのは十月以降でございますか——十月以降ということになっておりますけれども、十月前に繰り上ぐべきだという意見が聞かれているわけですけれども、政府部内でもこの点についてどういうふうにお考えなのか。また、オレンジを初め数品目については、近い将来、これも制限を撤廃する方向で調整する以外にないのじゃないかという声が農水省の中でささやかれているような気がするのですけれども、いかがですか。

佐野宏哉農林水産省経済局長

○佐野(宏)政府委員 お答えいたします。  九日、十日の日米貿易小委員会の席上、牛肉及び柑橘につきましては十月中の双方にとって都合のよい時期から協議を始めるということで合意をいたしましたが、これは外務省も含めて日本側の一致した見解として、十月一日までに協議を始めたいというアメリカ側の提案に対する反対提案を行って合意に達したものでございまして、政府部内においてこの点に関して意見の不一致があるというふうには考えておりません。  それから、省内でささやかれておるというお話でございますが、私の耳には届いておりませんので、一向によくわかりませんが……。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 次官、どうですか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産政務次官

○玉沢政府委員 経済局長がただいま御説明をいたしましたとおりに、十月以降におきまして両国で交渉するということがきっちり決まったわけでございますから、それを途中で前倒しをしましてやるというようなことは一切聞いておりませんし、両国が公正にいままで、先般の、三年前の東京ラウンドでやってきたことを日本も忠実に履行してきたわけでございますから、したがいまして、それをすべてほごにして、交渉によらずして何でもひっくり返すということは公正の原則に反することだと私は考えておりますので、あくまでも公正に、取り決めに従いましてやはりそれは堂々とアメリカとの間でやっていくということが一番正しいと考えておるわけであります。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 大臣がいらっしゃると大変いいのですけれども、政務次官は大臣に次ぐ大物ですから。大臣に、わが党で申し入れをいたしましたときに畜産局長もそばにいらっしゃったけれども、よほどの決意でないとこれはこの委員会での答弁のようにはうまくいかないのじゃないか、こう思うのです。というのは、お昼のニュース、ごらんになったかどうか、委員会だったからごらんになってないかもしれませんが、櫻内外務大臣がアメリカの意向をやわらげるため行かれたのかあるいは国内の事情をつぶさに報告または協議するために行かれたのか、いろいろの面があろうとは思いますけれども、いま非常にむずかしいときに日本の立場を正しく主張できるか、真にアメリカのペースにはまらないような行き方じゃないといけない時期に、時が時だけにレーガン大統領の考え方のとおりになりはしないかという不安を持つわけでありまして、畜産局長、この自由化の点について、私申し入れをいたしたときの大臣の所感からいたしましてどういうふうにお感じになっていらっしゃるか、お答えをいただきたい。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 先生から、畜産物価格を含めて大臣にお申し入れありましたとき、私一緒に聞かしていただいておりましたが、大臣は、いま政務次官がおっしゃったように、そもそも国内で自給できるものは極力国内でつくるのだ、それで足らないものは外国から入れるといういまの体制を守る、しかもわれわれからすれば、いままでのアメリカ等との約束はちゃんと守っているのだとおっしゃったように記憶いたしております。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 反対する理由なら理由について、アメリカはアメリカの立場があろうと思うのですが、日本には日本の立場があるわけでありますから、アメリカの立場をそのまま日本に押しつけるような形が、いまどうやらその流れになりはしないかという不安を持って私は質問しているわけで、私は、日本は必ずしも閉鎖的ではないと思っているのです。ですから、農産物輸入等においても世界一に輸入しているわけでありますから——また、アメリカにおいても同じじゃないか。十四品目については非自由化の方法をアメリカでもとっているわけであります。特に、また、日本の場合にはアメリカとは違って、畜産物あるいは野菜等においても、あるいは代表的なものはお米でありますが、過剰基調でありますから、いま農民は大変苦しい中に計画生産をしているわけであります。また、価格も長期低迷という現状でありますし、あるいは国内産業の自給力の向上を図ろうとして、いま国民食糧の安定確保を目指して農民はがんばっているという現状をつぶさに訴える迫力がないのじゃないかという気がしてならない。次官、もう一回決意のほどをお願いします。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産政務次官

○玉沢政府委員 決意はしっかりいたしております。同時に、これは外国の国々に対しましても日本の実情を十分に理解していただく、理解をしていくための努力、これをもっとしなければならない。どうも一部の誤解に基づきまして議論が進行しているような感じがしてならないわけでございます。したがいまして、できるだけ外国に日本の立場を理解していただきましてやっていくと同時に、国内におきましても農業に対しまして非常に一知半解的な議論がなされておる、したがって、農業の重要性というものがどこかでどうも誤解に基づいた議論がなされておる、こういう点につきましてもできるだけ日本の農業の重要性を——国民の食糧を生産することがどれほど重要であるか、また、国土保全という上において公的な役割りを果たしているということも非常に重要である、こういう点も含めまして、国内におきましても国民の皆さんの理解を得るように努力をしていかなければならないと存じます。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 外務省見えていますか。——四月の事務協議というのは、もう大体内容がわかっているのでございますか。

佐野宏哉農林水産省経済局長

○佐野(宏)政府委員 四月の事務協議というのは、恐らく先般設置の決まりました作業部会の第一回の会合を四月にやりたいとアメリカは申しておりますので、そのことではないかと思います。そのことなら私からお答えできますので返事をいたします。  四月についてはまだ詳細の議題まで決まっておりませんが、先般、日米貿易小委員会の開かれました際、私の方から日本側が作業部会の席上主張したいと思っている論点というのをあらかじめ予告をいたしておりまして、その中では、まず日本側としては、アメリカ自体が農産物の輸入制限をやっておるではないかというところから議論を始めたい。     〔委員長退席、亀井(善)委員長代理着席〕 それに続いて、日本側がなぜ残存輸入制限を続けざるを得ないか、それから残存輸入制限品目が残っていることは残っているが、しかし、いろいろな国を横に並べて見れば、日本の農産物市場を保護している程度というのは外国に比べて決して並み外れた保護の仕方をやっているわけではないし、それから、日本の農産物の保護政策がアメリカの農産物輸出に対して障害になっておる度合いはほかの国に比べればはるかに低いものである、そういう比較論もやりたい。そういう議論を日本側からまずやりたいと考えておるので、こういう議論について問答無用、聞く耳持たぬという態度をとってもらうことのないようにいまから申し上げておくということを先般の日米貿易小委員会の席上申し入れてございます。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 それでは次に進ませていただきます。  次は、最近の畜産物の需要と供給の動向ということです。需給均衡を目指した計画生産、すなわち、生産調整に取り組まれているにもかかわらず海外からの畜産物の輸入が高い水準にありまして、これが国内の需給と価格に大きな影響を与えているわけでありますけれども、最初に、政府は需要の動向と生産の動向をどのようにとらえておられるのかお尋ねをいたします。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 酪農製品と申しますか、牛乳から先に申し上げます。  牛乳は、御承知のように五十一−五十三年の間は生産が七%とか八%というような高い伸びで走っている時代でございました。しかし、需要はそういう高い伸びをいたしておりませんで、せいぜい二、三%台ということから、需給の観点から言いますと、生産が需要動向を追い越して高くいった。そのことが、御承知のような酪農製品の過剰とか、酪農製品の値下がりとかあるいは生乳の値乱れといった形になったわけでありまして、五十四年から計画生産をお願いして、五十四年はほぼ三%台まで生産が縮小してきた。五十五年はほぼいいところまで来ているのではないか。五十六年も総量の姿からいうとまあ需給均衡に近づきつつあるのではないかと思っているわけです。ただ、残念ながら、総量としては均衡しましても、用途別、酪農製品で使うか、それとも市乳に使うかというようなところでは、現在なお市乳の方に押し寄せる力が強うございまして、酪農製品は、量の問題、価格も若干持ち直してきましたが、市乳の世界ではまだ下がっている、そういうのが実情だと思います。  先生の御指摘の輸入問題は、酪農製品につきましては、御承知のようにここ三年間、一般的な事業団の一元輸入品目は全く輸入いたしませんで、せいぜい、値段が合わないという意味でどうしても必要な、えさに回す脱粉とか、学校給食用脱粉の若干とかあるいは国内で使われてない乳糖、カゼインのたぐいを入れていたのですが、これについても、これだけ生産が上回っている段階で極力減らそうということで、五十六年度の乳製品輸入は前年度を下回る水準に抑え込んできた、こういうこともございまして、輸入阻害要因というのはこの酪農部門では比較的小さくなっていると思います。  これ以外に、御承知の調製食用油脂等もございますが、調製食用油脂は一五%減らすという形でやっておりますので、輸入問題をいまの程度に安定させますれば、国内の生産と需要はほぼ均衡に近づきつつありますので、これを極力、用途別の需給も狂わないように持っていくのがいま一番いいことではないかと思っております。  それから牛肉でございます。牛肉は、御承知のようにある程度の伸びを示してまいりましたけれども、五十四年、五十五年というところで値段も若干強含みに推移をいたしました。この時点で、どちらかというと値段も強含みに推移する中で、価格、特に家計の面で値段が上がってきたことが消費の減退を招いておりました。五十五年から五十六年にかけて若干回復はしましたけれども、家計費で見ましての一人当たりの消費量はまだ五十四年水準にようやく到達するというありさまでございまして、このあたりは、需給という観点からいたしますとなかなかむずかしい時点になってきたのではないか。牛肉の場合どうしても約三割程度の数量は輸入に頼っておりますので、これはMTNの合意に従いまして毎年若干ずつ輸入をふやしてきたわけでございます。  ところが、先ほど言いました需要は頭打ち、輸入は若干ふえてきた中で、昨年からことしにかけまして乳雄の国内生産が伸びてまいりました。したがいまして、ちょっと荷もたれの状態といいますか、畜産振興事業団はいままでかってないような大量の在庫を持つということになりましたので、御承知のように、昨年の後半の割り当ての際に、これは前期も減らしたのですが、後期も同額減らしまして、期として初めて八千トンの輸入枠をカットしているわけでございます。したがいまして、これは、どちらかというと、国内生産の円滑な伸びとそれから消費が伸びなかったその差を輸入を抑えるという形で需給を均衡させてきたということが言えるかと思います。  それからその次に、豚肉でございますが、豚肉は、どちらかといいますと、その前が不調でございましたので、上期は順調でございます。計画生産の結果、生産はある程度抑えられ、需要がある程度ついていきましたので、価格も高騰ぎみに推移をいたしておりました。ところが、昨年の価格決定の際、いろいろな思惑等が走りまして輸入が大変大きくなりまして、その結果、上期の方ではたしか一・六倍近いようなものが入ってくるというようなこともありまして、われわれとしても、生産者から流通業者みんな含めました需給調整をいたしまして、輸入を抑制して、下期はほぼ前半並みぐらいになったわけでございます。国内生産も安定的な計画生産をいたしておりましたので、一時輸入の増がかなり働いたと思われる値下がりも去年の暮れからことしにかけて解決をして、現在は、価格が中心価格に向けて若干値上がりをしてきている、そういう状況でございますので、豚肉の総量自身は、かつては、たとえば消費支出が伸び悩むときは牛が伸びなくて豚が伸びるというようなこともあったのですが、去年の暮れあたりの様子は、むしろ牛の方が若干伸びていて豚肉の方が停滞的ということでございますので、そういう意味で、ほぼ需給の均衡を達しているとは思いますけれども、これは、片一方で、いまちょっとお話がありましたデンマークの輸入肉がとまるというような問題もありますので、その辺も慎重に見ながら国内生産と輸入を合わせていく必要があるのじゃないか、そういう時期になろうかと思います。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 部分的には、あと、時間がありましたら詰めてみたいと思います。  畜産物の価格の低迷というものは深刻なものでありまして、畜産あるいは酪農農家の大きな打撃になっているわけですが、その上に、冒頭にも申し上げましたように、借金の増加に続き固定化負債の累増などできわめて苦しい実態にあるわけであります。今後さらにこうした事態が続く場合には、わが国の畜産業界の基盤さえ大きく崩れるというふうに心配をいたすわけであります。  そこで、経営費の動向はどういうふうにとらえていらっしゃるのかが第一点、第二番目に、収益性がこういうふうに悪くなってきている点についてどのような対策をとればいいというふうにお考えなのか、三番目に、固定負債の増加について政府はどういうふうな方途を持っていらっしゃるのか、その三つの点についてお答えをいただきたい。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 畜産の場合は、御承知のように、経営費の動向の非常に多くの部分は素畜の経費それからえさの経費、この二つの部分が大変大きな比重を占めております。ですから、このものの動向が経営費の動向を大きく動かしていると言っても過言ではなかろうと思います。これはそのときどきで相当動いておりますけれども、えさの値段と生産物の販売価格との関係、飼料と畜産物価格関係を一つの比率を出しましていろいろと論議をする場があるわけでございますが、一般論として、飼料価格が上がってまいりました五十四年から五十五年にかけてはこの種の係数はみんな悪く出ております。要するに、価格はそう上がらないけれどもえさは上がっているという意味で悪い数字が出ております。  それから収益性ということになりますと、この経費と収入のほかにどれだけ生産性を上げたかという要素が入るわけでありますが、そういう場合に、各経営が若干ずつの生産性向上をいたしておりますから、その分だけ、生産性向上部分だけは、単にえさの値段と販売物数の価格の比率を見たよりも修正されるわけでございますが、経営改善のテンポというものは一般論としましてそんなに速いものではございませんので、どちらかというとえさの価格あるいは素畜価格と製品の価格によって生ずる優劣差の方が大きく出ているというのが一般論として言えるのではなかろうかと思います。  借入金でございますが、借入金につきましては、一般的に申しまして酪農それから肉用牛、養豚、ブロイラーはいずれも増加をいたしております。これは経営の拡大の過程にあるものでございますから、一応はそういう規模拡大の過程の中で借入金増加という姿が見られるわけでございまして、たとえば、酪農とか肉牛で言いますと、いまから三年ほど前に一頭四十万のものが五十数万に上がったり、肉牛では二十数万のものが三十万台に上がったりという形で一頭当たりの借入金等は増加をいたしておりますが、ただ、採卵鶏だけは逆に少し減ってきている。これは投資がほぼ一巡して、これ以上新規投資をする場面ではないということかと思いますが、そういう傾向がございます。特に、借入金の動きの中で問題となりますのは、そういう借入金に見合った資産がどんどん造成されて、借入金も一定の条件に従って償還が可能な場合は、借入金の額自身が大きいということはそれほど心配ではございませんが、長期の借入金等——これは長期じゃなくて短期のものでも結果的に長期になりまして返せないというようなことにつきましては、酪農が一番典型的にそういう事態がございまして、去年酪農負債整理資金を始めたわけでございます。  肉用牛につきましては、先ほどちょっと申し上げましたように、五十五年の真ん中から去年の中ごろまでというのは条件が悪うございます。えさ、素畜費の関係と製品の値段との関係が悪うございますから、一般論として収入は下がって出てまいっておりますので、こういう借入金が増大する中で収支が悪化するという面では若干こういう固定化負債を生じやすい条件にあろうかと思います。  養豚は、先ほども申し上げましたように、去年からことしにかけての傾向はその前の年よりもむしろ好転いたしておりますので、一般論として経営的に資金繰りが困難になっているということは言いにくい数字でございますが、いろいろ生産者の方々なり農業団体の方々にお聞きをいたしておりますと、全体としてはそうかもしれぬが、個別の経営について優劣格差がついている。したがって、いい人と悪い人の間に差がついているという意味では全く問題がないという事態ではないというような御意見のようでございます。  これからの見通しといたしましては、これも大変一般的なことで恐縮でございますが、えさ価格は昨年来むしろ下げの方に動いてきておりますので、そういう価格の見方のもととなるえさは農家経済にとってプラスに動いてくるのではないか、それからたとえば素畜の価格についてもかつてのような高い水準ではないところへ来ているとか、いろいろとプラスに動く面もございます。そういうことも見ながら、先ほど御指摘のあった経営の各指標、それから合理化の度合い、借入金の現状といったものを見ながらこれからの各畜種別の施策を展開していきたいと思っております。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 生乳の需給均衡を図るために、生産者団体は昭和五十四年以降厳しい計画生産に取り組んできておりますが、この計画生産は毎年着実に目標を達成している現状であります。こうした懸命の需給均衡への努力にもかかわらず、乳製品は依然として高水準にあるわけでありますが、さらにまた、最近では脱脂粉乳あるいは全脂粉乳を九〇%も含有するココア調製品の輸入が急増しております。このココア調製品については、すでに昭和四十八年より政府の行政指導によりまして業界が年間輸入量を一万七千五百三十五トン、こういうふうに自粛されておりますけれども、一向これが守られておらず、昨年の一月から十二月まででは二万三千六百六トンに達している現状でありまして、このように擬装乳製品については強力な輸入規制措置を含む実効ある行政指導を実施すべきだと再三言われてきております。この輸入抑制の行政指導をどのようになさろうとなさっているのかお答えをいただきたい。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 いわゆる擬装乳製品の中の調製食用油脂につきましては、御承知のように事前確認制をとりまして、輸入につきまして実需者、輸入業者の自粛、それから輸出国でございますニュージーランドの自主規制等も働きまして、五十六年度の輸入は対前年比約一五%落ちたわけでございます。これと同じことにつきまして、ココア調製品についてもぜひ自粛するようにということをやっているわけでございますが、実は、調製食用油脂と若干違いますのは、このココア調製品といいますものは基本的にはチョコレートの需要にほぼバランスをする。これは製品で輸入してくるか、こういうもので入れてくるかということでございますが、この時期、実はチョコレートの需要が強くなりまして、ココア調製品だけではなく、カカオ豆とかカカオ脂とか、そういうチョコレートをつくる同種の原材料が若干よけい目に入っております。ココア調製品は一九%くらいなんですが、ほかはみんな三割くらい、物によっては六割も多く入ってきておるわけでございます。これは実は値段が大変差があるものでございますから、それをとめたら国産を使うかというとなかなか使い切れぬものではございますけれども、せっかくそういうことで自主規制の約束をしたことを守っていないことでございますので、私どもとすれば、理由のいかんを問わず、要するに、実需者に対してまずそういうことを約束した線にとどめてほしいということ、それから、これを扱っております輸入担当者に対しても、約束事として決められていることであるからこれ以上の輸入を行わないようにということを強く求めておりまして、この種のことを余りやり過ぎますと行政的な干渉だといろいろ言われることもあるのでございますが、いままでの経緯から考えて、ぜひこの水準を守るようにということを再三にわたってきつく指導をしているところでございます。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 自粛の指導の実効ある行き方というのは、局長、これはないものですか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 こういう場では大変申しにくいわけでございますが、かなりきついことをやった結果こういうような姿になってまいりまして、片方の調製食用油脂につきましてうまい形になっているわけでございますので、もう一つのココアの方についてもそういうような結果になるようにかなり個別、具体的に指導していきたいと思っております。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 ちょっと先に進めさせてもらいますが、五十六年度から酪農経営については事業団の方の助成約九十億円、融資枠三億円で末端金利五%以内、貸付期間が十五年というふうな長期、大型の低利融資が実現しておりまして、いわゆる酪農経営負債整理資金特別融通助成事業として実施されております。そこで酪農のみならず他の畜種でも、特に、経営条件の悪い肉用牛あるいは養豚経営においても同様の措置を考慮していただきたいという声が強いわけです。また、畜産経営の安定及び改善のための融資措置を今後とも円滑に進めていくためには、ぜひとも畜産関係資金に対する農業信用保証保険機能の充実やらあるいは強化を図ってもらわなければならないというふうに考えるわけでありますが、こういう点についてどのようにお考えになるか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 酪農につきましては、先生御指摘のような資金を創設をいたしまして、その改善に努めているところでございます。肉牛につきましても、昨年実は肉用牛肥育経営につきまして、若干の改善をいたしますために、肉用牛経営安定資金という資金を設けておりまして、これは五%、償還期限五年、据え置きが一年ございまして、一頭当たり八万円とか六万円とか、そういうような金を貸すという制度をつくったわけでございます。これはそういう意味である程度前向きに機能しているのではないか。養豚は実は去年よりもおととしの方がつらいと申しましたが、五十五年にこれも金利五%で償還期限五年以内という、これは肥育豚一頭一万、繁殖豚一頭七万という資金を百五十億ばかり融通したわけでございますが、こういうものがいま御指摘のような経営改善にプラスになっていると思っております。御指摘は、そういう資金をさらに拡充してもっと経営的にいろいろと問題のある農家についてさらに救済をすべきではないかという御指摘かと思います。  先ほど申しましたように、肉用牛につきましては、一般論としてそういう事情があるような気持ちもいたします。養豚につきましては、個別経営の問題だと申し上げましたが、こういうものもいずれももう少し実態について精細な調査をしながら、真にそういうものが今後の経営改善の重要な柱となるのであれば、そういうことも政策展開の中で考えるべき時期であろうかと思っております。  それから、保証問題等につきまして、やはりこの種の資金はかなり資金的に見まして問題のあると申しますか、償還について困難のある資金ということで、従来も保証制度でいろんな形の補完を受けているわけでございます。こういうものがいまの程度でいいのか、あるいはさらにもう少し保証のために力をつけるべきなのかというようなことも、御指摘のような観点でわれわれも検討をいたさなければならない課題だと考えております。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 負債対策だけでは後ろ向きでありますから、前向きの対策が必要であるというふうに思います。  そこで、畜産物価格の決定に当たりまして、先ほども質問がございましたが、生産費及び所得補償方式に基づいて畜産農家の再生産ができる所得の確保を図らなければいけない、こういうふうに思うわけでありまして、まだこれから畜産審議会にかかるわけでございますけれども、もうすでに据え置きなりというふうな情報が流れているわけでありまして、価格の引き上げもぜひ生産農家にとって要望している線に引き上げていただきたい、こういうふうに感ずるわけでありますが、この点が一つ。それから、乳価において限度数量の引き上げをどうしても行わなければならぬというふうに私も感じておるものでございますから、この点についてどういうお考えなのか。それから、いわゆる国内生産は、輸入を抑制しない限りは圧迫されると思うのですけれども、この三点についてお答えをいただきたいと思う。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 畜産物の価格につきましては、先ほどから御説明いたしておりますように、一応需給の実勢というものをにらみながら、その後における農家の生産性の向上とかそういう要素も加味して決めるという、現在の需給実勢方式というのが適当ではなかろうかと思っておりますので、そういう考え方に沿いまして諮問案をつくっていくということをいまからやろうと思っております。  それから限度数量につきましては、先ほどから申し上げておりますように、乳製品の需要自身はある程度出てきたわけでございますけれども、その背後にはなおかつ安定指標価格が上がらないという事情、これは率直に言いまして事業団在庫がかなりの圧迫要因でございますので、これをなるべく早く正常な姿に近づける方が望ましいという観点、それからもう一つは、最近の指定乳製品の需要の拡大の中には、たとえば脱脂粉乳等が異常に安かったために、生乳から本来使うべき用途まで脱脂粉乳を戻して使っていたという事情もある。このあたりのことを勘案しながら限度数量は適正に決めていきたいと思っております。  輸入につきましては、先ほど申しましたように、牛肉につきまして大変激しい要請があります中でも、たとえばどうしても国内の生産との関係が調整つかない部分については、枠を五十六年度につきましては若干カットをしたというようなことまで、そういう意味じゃ大変厳しい運営をいたしておりまして、その他たとえば、一元輸入品目の乳製品につきまして、これで三年間輸入を停止しているとか、対外問題が激しい中ではございますが、必要な輸入のコントロール策をいたしておりますので、今後におきましてもそういう国内の需給動向を見ながら適正な輸入に努めるということでやっていきたいと思っております。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 飲用乳の安売り問題については、どういうふうにお考えでございますか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 実は、酪農の最大の問題の一つではなかろうかと思っております。農家の売ります牛乳の三分の二は実は飲用で使われるわけでございます。その三分の二の飲用のところで、実は農家の手取り価格がむしろ下がってきたというところが農家の方々の所得確保の面で最大の問題でございます。  一つは、いままで量が多いから下がったんだということでございましたけれども、量が多いからというのは総量ではございませんで、総量がいかに均衡されても、その他の乳製品のところからいつでも市乳に売り込んでくるという体制がありますれば、量のコントロールができない。そういう意味で用途に応じた量を確保するというのが一点でございます。  それからもう一つは、各産地が競って大消費地、特に、首都圏とか近畿圏とかそういう大消費地に向けて市乳化競争をいたしておりまして、せっかく指定生乳生産者団体というある意味では独占的な地位を生産者団体に与えているわけでございますが、自県内では整々とした販売をいたしますが、一度自県を飛び出して首都圏に売り込むときには安値売りの競争をするということではまずいわけでございます。これは生産者団体の相互間のコントロールによって、そういう市乳化競争にある程度制約をするというとおかしゅうございますが、要するに、お互いにコントロールするということが一つでございます。  もう一つの安売り要因は、メーカーが過剰な生産能力を持っております。いつでも市乳をもっとつくれるという能力を持っておりますので、現在私どもは新しいそういう施設をふやすことを抑えておりますけれども、その場合でもまだ既存の能力に余力がある。特にこの場合にメーカー間の不信感が多うございまして、大手、中小、農協という、お互いの系統が他の系統を信用していないということから起こるいわば乱売競争、これを何としても抑えていく必要があるのではないか。  もう一点は、かねがね問題となっています非常に大きな力を持ちますスーパーの買い手としての力、これが余り極端なことをいたしますと、独禁法上も問題がございますので、これについては昨年の十月ごろにガイドラインというものを一応設けて、お互いにスーパーとの競争をします場合にも秩序ある形で競争をするようにということを指導いたしております。  以上、簡単に申しましても四つぐらいの問題点がございますので、この四つぐらいの点について何か適切な施策を、私、政策も若干申し上げましたけれども、組み合わせて、これが言葉の上だけではなくて実行できるようにすることが必要でございまして、現在、そのための各種の指導を開始しておるところでございます。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 畜産関係は時間の関係でもうそれくらいにしまして、蚕糸の問題について二、三お尋ねをいたしたいと思うわけでございます。  まず最初に、簡潔にお尋ねをいたしますが、蚕糸業の見通しを政府はどのようにとらえていらっしゃるか、この点をお答えいただきたい。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○小島政府委員 蚕糸業の数量的な長期の見通しといたしましては、六十五年見通しというものを一つのガイドラインと考えておるわけでございます。生産の具体的な担い手といたしましては、養蚕農家戸数はだんだん減っておりますが、その反面におきまして、生産性の高い、やや専業的ないしは主業的と申しますか、そのような養蚕経営が数多く育っていくということを期待をいたしているわけでございます。  製糸の関係につきましては、養蚕の立地の移動ないしは全体的な数量の減少ということに対応いたしまして、これまた構造改善を進めまして、能率の高い製糸経営というものを存続発展させる、かように考えております。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 蚕糸業を考える場合に、生糸あるいは絹織物等の需給改善は最も大事であるわけでありますが、国内の繭生産の縮小を図るなど、国内生産基盤を崩壊させてまで対策を急ぐだけのものでは解決はできないのじゃないかと考えるわけでありますが、まず、生糸の需給動向というものをどういうふうにとらえていらっしゃるか。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○小島政府委員 生糸、絹製品全部合わせまして、絹の消費動向といたしましては、五十年代の初めごろまでは年間四十五万俵以上、こういう消費実績がございました。五十四年以降急速に需要が減ってまいりまして、最近では大体三十五万俵前後というところが消費の実力であろう、かように考えておるわけでございます。  一方、輸入の方は、消費が四十五万俵ぐらいございますれば、国産も相当に生産をし、輸出をしております国に対しましても、二国間交渉等を通じましてある程度の輸出を可能ならしめるだけの数量を与えることができたわけでございますが、近年、全体の消費が落ちてまいりました。もちろん、輸入数量につきましても、話し合いを通じまして圧縮に努めておるわけでございますけれども、国内生産の方は、大体五十五年ぐらいまでは三十五、六万俵ぐらいで横ばいで来ておるわけでございます。  そういう状況でございますので、全体の需給改善という観点から、国内生産についてもある程度の生産の縮減というものを余儀なくされるのではないか、こういうことを考えておりまして、昨年以降、需給改善さらには輸入の圧縮、こういうことについて努力をしてきておるところでございます。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 現在の事業団の生糸の在庫量が異常じゃないかというように私は感ずるわけでありますが、異常ならば、どのようにこれを軽減なされるおつもりなのか、また、この国内の繭や生糸生産を衰えさせないように、あるいは生産基盤をどのように守っていくかということが大事でありますから、政府はその次にどの程度が適正在庫というふうに見ていられるのか、この点を先にお答えいただきたいと思います。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○小島政府委員 事業団の本来の機能は、一元輸入及び中間安定帯の運用を通じまして需給の過不足を事業団在庫という形で調節するのが本来的な役割りでございますので、最近のように需要が急激に冷えました割りに供給の方がそこまで圧縮し切れない、この段階におきまして在庫がふえるというのは、事業団の役割りから見ればいわば正常な活動をしておるということでございます。ただ、想定いたしております事業団の在庫量というものは、いっときのような十六万俵というふうな多くのものを想定いたしたわけではございませんで、借入金及びその金利、倉敷というものの膨大な金額から見ましても、やや多きに失するのではないか。こういう意味で、事業団の在庫縮減ということを一つの大きな政策課題と考えておるわけでございます。  適正量というものについて具体的な考えがあるわけではございませんが、昭和五十三年度ぐらいまでは事業団の在庫量が大体五万俵以下、こういうことで事業団の機能も正常に発揮されましたし、また輸入の物を合わせまして国内のユーザーに円滑に供給できたという過去の実績がございますものですから、その意味では五万俵前後ぐらいが適正なものであるかなというふうに考えておるわけでございます。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 時間になりましたが、生糸あるいは絹織物について、韓国、台湾等から安い絹織物が大量に流入し、国内の生糸、絹織物業者が打撃を受けるのを防ぐためには、すでに輸入規制が行われておるところであろうと思いますけれども、通産省は国内の生糸あるいは絹織物業等の振興を図るために今後とも規制を強化なさるお考えがあるかどうか、この点をお尋ねいたしたい。

林昭彦通商産業省生活産業局通商課長

○林説明員 絹織物あるいは絹糸の輸入管理体制でございますが、一昨年でございますか、スペイン青竹事件ということがございまして、これに対しては私どもの方から告発いたしまして、先般、一月の末でございますが、告発された人については全員懲役刑というような厳粛な判決がおりておるわけでございます。  それから、その関連で従来から二国間協定あるいは輸入承認制というようなものを組み合わせた管理体制ができておったわけでございますが、一層この管理体制を整備いたしまして、その後、御指摘のような無秩序な輸入というのは大体問題なくなったというふうに認識をいたしております。今後とも、この管理体制でやっていけるというふうに私ども考えておるわけでございます。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 最後に、絹織物製品の需給拡大対策と、それから国内の絹織物業の振興対策をどのようにお考えなのか、この点をお尋ねいたします。

若林茂通商産業省生活産業局繊維製品課長

○若林説明員 絹織物の需要振興を図ることは大切でございまして、通産省としてもここ数年、あらゆる手段を講じましてやっているわけでございます。特に、最近は和装着物の需要が落ちておりますので、これの振興をいかに図るかということをやっておるわけでございます。現在、産地ごとに産地中小企業対策臨時措置法等を用いまして、産地で新しい着物をつくるとか、あるいはそれの展示会をやるとか、そういうものを積極的に応援いたしますとか、あるいは繊維工業構造改善事業協会の中で絹振興基金というものを設けているわけでございますが、これで着物振興のいろいろな事業をやりまして着物需要の拡大をやっているわけでございます。  それから、着物以外でございますが、新しい洋装あるいは室内装飾、そういうものに対する需要拡大も大事というでございまして、本年度からそういう新素材の開発についての施策について補助する、こういう事業もやっているわけでございます。そのほか、輸出関係振興ということで本年五月ニューヨークで新しい洋装素材の展示会をやりますが、ジェトロの御協力も得ましてこれを応援するということで、通産省といたしまして絹織物関係の振興ということであらゆる手段を使いまして需要の拡大に努めているわけでございます。今後ともこれを拡大してまいりたいと考えております。

吉浦忠治公明党・国民会議

○吉浦委員 時間になりましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

亀井善之自由民主党

○亀井(善)委員長代理 近藤豊君。

近藤豊民社党・国民連合

○近藤(豊)委員 畜産局長が先般三月十五日付で畜産振興審議会に出しておられる報告の中で、わが国の牛肉の生産は規模においてはEO並みになった、同時に今後各種の努力をしていくことによって土地あるいは資源の制約のない豪州や米国並みは無理としてもEC並みの水準にすることは可能である、こういう報告をされております。  現下の日米貿易摩擦あるいは日本と欧州の貿易摩擦と、これから日本が非常に苦しい状態に直面をしていく場合に、まず第一に、EC並みの水準にまで牛肉生産あるいは酪農関係全般を持っていかなければ言いわけはなかなかできない。そして、こちら側のショックをやわらげるための準備が整っていないうちに無理やりに門戸を開かざるを得ないような立場に追い込まれることを非常におそれております。そうした事態に対処するためにも、早くEC並みの水準に持っていくことが必要不可欠であると思います。  そこで、農林省としては欧州並み、つまり、EC並みの水準にまでわが国の畜産、特に、酪農及び食肉生産を持っていくためにはどれくらいの年限が必要であると考えておられるのか、またそのためには中心として今後どういう施策を行っていくべきであると考えているかについてまず述べていただきたいと思います。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 先生御指摘のように、ECを目指してあるいはそれを展望する水準にということを目標にやっているわけでございますが、現時点で何年後ということを的確に申し上げることには私は大変ちゅうちょがございます。と申しますのは、いまから申し上げますような幾つかの条件を整える必要がございまして、そのために私どもできるだけ早くそういう点に到達したいと思っておりますが、いまから申し上げます幾つかの点を解決することによってそういうところへ到達できると考えているからでございます。  まず第一は、向こうと非常に違っておりますのは、日本の場合、たとえば、供給の七割が乳用種から出てきております。ECはほとんどが乳用種でございますが、日本の場合は肉専という比較的拡大はむずかしいけれども、個別価格は若干高いというものとの併用でございますが、乳用だけで申しましても、日本の場合の肉生産、特に乳雄を使いました生産はどちらかというとEC等に比べまして自給飼料の比率が低い飼い方をいたしております。要するに、購入飼料に頼る度合いが若干高い。本来ならば、自給飼料に頼る度合いが高いほどコストが安くならなければいかぬわけでございます。そのためには相当の基盤整備が行われ、そういう基盤整備に基づきまして比較的低廉な自給飼料が得られなければいかぬわけでございますが、日本の場合は往々にしまして、草地の拡大等によりまして本来的には自給飼料が安く手に入らなければいかぬ体制でございますが、初度投資的な面、欧州のように非常に長い時間をかけて草地がつくられておりませんので、短期的に申しますとそういう初度投資も含めた自給飼料の値段が思ったほど安くつくれないというギャップがございます。これは時間をかげながら、土地の移動等をやりながらやらなければいかぬことだと思っております。  もう一つは初生段階、生まれて初めての段階での事故が乳雄について若干高いように思っておりますので、こういうものを解決するといったような技術的な問題がございます。さらに、日本の場合に、多頭飼育特に、乳雄等を多頭飼育する技術の面におきましては、たとえば、いま申しました初生段階での事故が高いことも含めまして技術体系が確立をしていない、そういう意味で長い年月を要した諸外国よりもまだ若干問題がある。もう一つは、日本の場合は比較的肥育の期間が長うございまして、出荷牛が大変大型化しておりまして、そういうものはえさの効率が余り高くない、したがって、生産コストが上がる、こういう問題につきましてもいろいろ改善する必要があろうと思っております。ただ、これは手をこまねいて見ておるわけでなくて、現在、そういう多頭化技術だとか各種の基盤整備等をやっておりますので、こういう条件が整っていくと、片側では、御承知のようにECの方は比較的支持価格水準がこのところ上がってきておりますから、そういう問題でこっちの努力と、それからここ数年の動きを見るとどうも向こうの方が上がり方が大きいというようなことで、その辺のバランスがとれる時期がいつかなということを見ながらいろいろな政策展開をしているところでございます。

近藤豊民社党・国民連合

○近藤(豊)委員 幾つかの要素が絡まっているわけですから、見通しを立てることがきわめてむずかしいことはもちろんわかります。しかし、いまの日米貿易摩擦の彼我の交渉状況等を見ておりますと、農水産物資に対してはアメリカ側の風当たりが非常に強い。仮に、全部自由化してしまったとしても、アメリカ側の一説によると、そうすると六十億ドル助かるという話でありますが、そういうことはあり得ないわけでして、当然のことながらアメリカの牛肉が日本に入ってくる前にニュージーランド、オーストラリアの牛肉が入ってくるでしょうし、柑橘類等にしても同じように南米のものとの競合があるということから、農水産物資を自由化しただけでそう簡単に貿易摩擦が解消するとは思わないわけです。しかし、口実を与えているということが日米関係あるいは日本に対する国際的な風当たりを非常に強くするわけですから、その場合にある程度の時間を切った努力目標でも示すことができれば貿易摩擦問題に非常に大きく寄与することができる、そうした考慮からいまの質問をしたわけなのです。もちろん、いま御説明のとおり非常にむずかしいことはわかりますが、たとえば五年間ぐらいを一応のめどとしてというような形で努力目標を示すということについてはいかがですか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 実は、目標としておりますEC自身が、よく御承知のようにそういう差額関税制度、課徴金制度というようなものを使いまして、かなり大きな障壁をアメリカとの関係で持っているわけでございます。それからもう一つ、アメリカ自身がオーストラリアとの間で、食肉輸入法という法律をもって障壁をつくっているわけでございますので、私ども一国の判断としての自由化というのは、肉の世界ではあり得ないのではないかと思っておるわけでございます。ただ、先生御指摘のように、一定のものに到達するときに目標をつけて、そういう目標になるべく近づけてやるというのが一つの物事を改善しますときの手法であろうかと思いますが、残念ながら、この肉用牛が日本でだんだん飼育されました歴史を見ましても、先生御指摘のようないまの五年というようなタームは、そういう目標を達成するにはいささか短い期間ではなかろうか、もう少し時間の流れの要る性質のことではなかろうかとわれわれとしては思っております。

近藤豊民社党・国民連合

○近藤(豊)委員 それが結局、今回の価格問題等にも関係してくると私は思うのですけれども、局長の報告においても、それからこれまでの農林省のいろいろな場での発言、意見の表明においても、とにかく規模の拡大をしよう、それからその他のいま御説明にあったような合理化をどんどん進めていこうということははうきりと示されているわけで、そうしますと、いわゆる限界生産農家と言われているような比較的に生産性の低い立場の農家は、生産者は今後はもっともっと努力をしてもらわなければいけないんだ、努力をしてもらわない限りはこの価格問題でも救うことはできませんよということが従来いろいろな声明あるいは意見発表の中で言外に含まれていると思うのです。その点については、私が理解しているような方向で間違いないかどうか、御確認いたします。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 畜産の中で非常に専業的比重の高い方々がおやりになっているのは、御承知のように、どちらかというと中小家畜の分野、これは養豚経営それから養鶏、養鶏もブロイラーと産卵経営、これは非常に企業的というか大きな規模の方のシェアの高い分野でございます。それからいま御指摘のような土地利用型で言いますと、酪農というのも比較的大きい規模で専業的になってきておる。そういう意味で、一番規模の問題が進んでなかったのが肉用牛生産でございます。この肉用牛生産についても、少なくとも乳雄を肥育している層につきましては非常に大きくなってきている。問題は、一番大きくなってないのが和牛の生産でございます。ただ、乳雄でもかつて非常に零細だと言われたのがいま平均七頭弱ございますし、乳雄の肥育でございますと、やがて二十頭という大きな水準になっているわけでございます。一番小さいのが和牛の子供を取ります子取り生産でございます。これもいままで一、二頭飼いとかいっておりましたが、最近は、五頭以上飼っている人が供給しています和牛の子牛でございますが、それが全供給量の三〇%以上になってきたわけでございます。そういうようなぐあいで、向きとしては間違いなく進んできておる。したがいまして、そういう場合に、何か小さいのを切り捨てるという感じではございませんけれども、そういう大きな供給の安定性を持った人のシェアがだんだんふえてくる。それじゃ一、二頭飼いはみんなつぶしていいかということになりますと、やはり供給量全体がどちらかというとまだ不足のどころでございますから、一、二頭飼い、特に、和牛の一、二頭飼い等の中には御承知のように農家の高齢者、老人の方が飼うというようなこともございます。こういうものは量をたくさんつくっていくという面では主力ではないと思いますが、そういうようなものも方向としては極力大規模生産の方へ誘導していく、その中で、たとえばほかの耕種畑作と一緒に牛を飼っているというのもあろうかと思いますが、そういう意味で、方向とすれば規模の拡大というのは絶対の要件だと考えております。

近藤豊民社党・国民連合

○近藤(豊)委員 いま答弁の中にあったように、要するに、方向としては子取り生産を専門にしている人でも五頭以上というふうに大規模化してきているわけで、そうしたことを農林省としても成果として挙げておられる。そうした成果として挙げておられるだけじゃなくて、私が申し上げたいのは、やはりこういう厳しい時代に対処していくわけですから、いつまでも甘えは許されないんだというこれからの状況を時間的な長さで示す。ひょっとしたらそれは五年間と示しても、五年たったからそこでおしまいだということにならないかもしれません。だけれども、もっと勇敢に、政府が責任を持って、たとえば五年間とか七年間とかいう数字を示して、現在のEC、たとえばECの中でもデンマーク並みのレベルにまで到達をすることを目標とするんだ、だからそのために皆さん努力してください、もちろん、努力をしてもらうだけではなくて、そうした農家に対しては極力ほかの財源を割愛しても必要な支援をするわけですけれども、そうした目標をつくることがやはり必要じゃないか。そういう目標なしにできるだけ早くやりますでは、これはなかなか国内的にも生産者自身も一つのめどが立たない、あるいは厳しい認識をするのにそれでは欠けるところがあるかもしれない。そういう意味で、私は、ある程度の努力目標をはっきりと設定するということがこの際非常に必要だと思うのです。  そこで、政治的な判断としてその点を政務次官、どうお考えになりますか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産政務次官

○玉沢政府委員 食肉の問題食糧の問題に関しましてはやはり長期的な観点からの見通しも持つ必要があるのではないか。たとえば、今後世界におきましては人口が二十一世紀までの間に二十億人ふえる、こういうふうに予想されておるわけでございます。これに十分食糧を賄うだけの生産というものが間に合うかどうか、こういう点をひとつ考え、また特に、牛肉等におきましては口蹄疫を持つ国々もあるわけでございますので、外国に輸出をするだけの能力を持った国はきわめて限られておる。食糧がまた安全保障という観点からも取り上げられておるということは先生も御承知のとおりであると思うのでありますが、日本に対して食肉の自由化を要求しておりますアメリカそのもの自体が、食肉輸入法ということで外国の輸入を制限して、日本は三〇%市場開放しておりますが、アメリカは七%にとどめておる。また、畜産局長が申されましたようにEC諸国におきましては課徴金制度という非常に大きな障壁を設けておるわけでございます。  こういう点を考えてまいりますと、食肉というものが将来貿易の自由化品目ということに果たしてなり得るかどうか、こういう点はよく検討する必要があるのではないかと考えるわけでございますので、よい品質で安い牛肉を達成する、こういう目標を今後も追求をしていく必要があるかとは存じますが、やはり食糧の安全保障、食糧が将来逼迫する、こういう点から考えてまいりますと、いますぐ牛肉の自由化というものを前提として考えること自体がどうであるかという点はよく考えておく必要があると思うわけでございます。

近藤豊民社党・国民連合

○近藤(豊)委員 私は、そういう角度からお聞きしているのではないのです。自由化をするべきだという要求でもないのです。実は、いまの日本の農業が国際的な批判の的になっておる。これはある意味では不当な批判もたくさんあるのです。それは御指摘の中にも一部含まれておる。そうではなくて、いわゆる自由化をしろというのではなくて、EC並みのところまで到達するのだという目標を設定することによって、関係者全部がお互い努力する一つの目安ができるのだ。それによって、もちろんみんな一生懸命やっておられる人ばかりだと思いますけれども、一部には甘えがあるかもしれない、あるいはまた完全に自由でないことによるいろいろな意味での不合理がまだまだ存在しておるということも私は承知しております。ですから、そうした実情を踏まえて一つの目標をつくる。目標をつくるということはわれわれ自身が努力をすることであり、行政関係者もそれから立法府においても、そしてまた生産農家そのものが努力をする一つのめどをつくるべきだ、そのめどをある程度時間を限ることによってより達成しやすくなるということを私は申し上げたかったのです。  そこで、決して自由化要求をすべきだとか自由化したらいいとかいうことは考えておりません。それから、EC並みに到達すればその段階で、ECがやっていると同じようなことが日本はある意味では堂々と主張できるわけです。それからまた、どこが、ECがやっているからとかアメリカがやっているからとかいういままでのような外国横並びの議論は、これからの日本は、世界により大きな貢献をしなければいかぬという目で見られているわけですから、許されない。われわれが自分たちの実情に応じて、どの国に比べても恥ずかしくないほどの努力をして、あるいはどの国と比べてもそれ以上の努力をすることによって到達をしたものはわれわれは守るのだということが初めて言えると思うのです。そういう意味で申し上げたのであって、そういう努力目標にすることについては、政務次官はどう考えられますか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産政務次官

○玉沢政府委員 いまの日本の農業に対しましては非常に厳しい御意見があるわけでございますが、しかし、反面におきましては農業者自身が努力をしてまいりまして国際的な水準に達したものもあるわけでございますので、こういう点はひとつ大いに称揚してやっていいのではないか。たとえば卵であるとかあるいは鶏、こういう点は国際水準に達しておるわけでございます。これもかなりの努力をして今日まできておるわけでございますし、豚肉におきましても国内で生産をできるだけ応援しておるわけでございますけれども、自由化に踏み切ってこれも努力をしておるわけでございます。  総じてみますと、鶏とか豚肉におきましては、一頭から何頭も何羽も出てくる。ところが牛の場合は一頭から一頭しか子牛が生まれてこない。もし農業技術の改革によりまして、たとえば、人間でも五つ子が産まれてくるわけでございますから、牛におきましても五つ子を産むことができるような技術が発明されれば、日本人は非常に器用でございますから、たちどころにアメリカ、ECを追い越すことができるのじゃないか、こういうことも夢として考え、実際に農林省の筑波の研究所におきましては、とりあえず一頭の腹から二頭を確実に生産することができないかということを研究しまして、もう少しのところまでいっているのじゃないかと考えておるわけでございます。当然、これは消費者というものがあるわけでございますので、生産者はできるだけ消費者の意向に合うように安くてよい品物を供給する、これを最大の努力目標として今後やっていただくように農林省としましてもできるだけそこに力を入れてがんばってまいりたい、こう存ずるわけでございます。

近藤豊民社党・国民連合

○近藤(豊)委員 では、目標を限るかどうかについてはまた後日の議論に任せるとしまして、合理化あるいは生産性向上の大事な努力の一つとしての粗飼料ですか、特に牧草の栽培あるいは飼料用作物の栽培、そういう点については今後、農林省としても大いに奨励をして増産を図られるという方向にありますね。この点について、特に、休耕地などがほったらかされてある、あるいは私の出身地の方は昔から二毛作地帯です。私も小さいころは麦踏みもしましたし麦こきもした。それが最近は全くほったらかされていますね。ある意味では米価が相対的に非常にいいことによって、これは人為的に高くなっているという面もあるのでしょうが、米をつくる二種兼農家が、分の悪いあるいは非常につらい寒いときの作業である裏作を嫌っている、奨励金だけでは十分ではないというような面もあると思うのです。しかし、これは日本のように非常に限られた土地を何とかして有効利用しなければいけないときに、莫大な面積がほったらかされているというのは、これはもうもったいない限りでありまして、こういう点も実は海外からの視察者は大変不思議な面持ちで眺めているわけです。この休耕田あるいは二毛作が可能な地帯での裏作を活用して、自家生産の飼料あるいは飼料用の穀物を栽培するという可能性の追求、この具体的な考えがあれば聞かしていただきたい。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 御指摘の点が大変大事だと私どもも思っておりまして、実はいま水田転換の中で飼料作物というのが私ども一番入ってほしい分野でございます。その場合に、単に米をやめて飼料作物をつくるという場合でも、表だけではなくて裏と表と一緒につくっていただきますれば相当効率がよくなるわけでございます。そういうことで水田転換でも大いにやってもらいたいわけでございますが、それ以外に裏作についても、たとえば、そういう裏作麦、これも飼料麦という対策がございますが、こういうもので努力してもらえないかとか、ありとあらゆる面で、ただ外延的拡大だけではなくて、既存の耕地の中でも飼料穀物が入るようにという対策を考えておりまして、今度の予算の畜産総合対策の中でもいわば他人様の土地を利用しながらそういう作物も入れていくとか、あるいはつくったものと畜産農家との間の結びつきの悪いものをなるべく結びつきをよくするとか、あるいはもう一つホールクロップサイレージみたいな感じで、実まではとりませんけれども、実ができる寸前のところで裏作、表作を利用して周年優良なサイレージを入れていく、そういうようなことに相当重点を置いていきたいと考えております。

近藤豊民社党・国民連合

○近藤(豊)委員 それでは、えさの国産増進に関連して二つの質問をします。  一つは、ドイツあるいはスイスでは畜産農家に対して、牛一頭について何アール以上は牧草をつくれという義務づけをしている例がありますね。わが国においても、北海道などはとにかく非常に牧草をつくっております。これは、減反が多いからとにかくやらなければしようがないということもあるのでしょうが、私どもの東海地方等になりますと、なかなか土地が高いこともあって牧草がつくられないあるいは飼料用作物もつくられない。牧草と限る必要はありませんけれども、畜産農家は牛一頭について何アール以上あるいはどれだけ以上の飼料を自家生産すべし、そういう義務づけをすることの可否、これが一点。  それから第二点としては、もうずいぶん前から研究がされており、品種的にもかなりの試行錯誤が繰り返されているえさ米の問題、えさ米を思い切ってある程度の失敗は覚悟の上でとにかくつくり出してみる。そして休耕田をむだに遊ばせておかない。たんぼが荒れますから、せっかくの大事なたんぼをとにかくえさ米をつくる、あるいはそれが横流れなんかする心配があるならそれは農協単位で請け負ってもらって、そしてとにかくえさ米をつくり始める、そしてえさに流してみるということをする可能性はないのか、この二点について答えていただきたいと思います。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 現状で申しますと、搾乳牛につきまして北海道は六十アールくらい持っておりますけれども、内地は十アール程度しか持っていないわけでございます。これはむしろ義務づけるといいますよりも農家は実は大いにつくりたい。しかし、自分の耕地はそんなに持っていないので、他人の耕地をむしろ貸してもらってでも、貸してもらうにはいろいろ手続等が要るわけでございますが、そういうようなものを貸してもらってでもふやしたいということでございますから、酪農家にしてみれば義務づけられるというよりも、行政サイドなりあるいは関係の農民の方々が何とか貸してくれないかということであろうかと思います。したがいまして、いま流動化促進だとかうちのいろいろな補助金の中で、できるだけそういう遊休地を農家に渡すための施策をやっておりますので、法制的に義務づけるという感じはいささか問題かと思いますが、そういう努力はわれわれの施策の中で大いにやっていきたいと思っております。  それから飼料米の問題でございますが、これは御承知のように研究という観点でやります場合に、一定の限られた要件はございますが、転作にカウントするというところまでは踏み切っているわけでございます。問題は、奨励金まで出してそういうことをやれるかどうかということにつきましては、要するに、多収穫米というものがうまく固定されていない、そういうことで再々申し上げておりますが、いま試験研究機関で超多収穫品種というものを早く固定をしようというところの研究をやっております。  実はそれに非常に似たものでえさ麦がございます。えさ麦の世界、麦で言いますと、農家の手取りで十数万円台になるものをえさにすると三万か四万、その格差約十万くらいございますが、これは私どもがある種の補助をしながら、それから飼料会社、飼料生産者等もある程度負担しながらえさ麦、食管で買えば食用になるものをなるべくえさに回すということをやっているのでございますが、残念ながらなかなか量がふえてこない。量で申しましても四万トン前後のものが辛うじて動くという状態でございます。  米につきましてはもっとその格差が大きゅうございまして、人間が食べれば政府の買い入れの値段でトンで三十万円弱でございまして、それを三万とか四万という飼料の価格にできるかどうかという大変な基本的なギャップがございますので、直ちにこれを転作対象にするというわけにはいかぬと思いますが、片側ではそういう試験研究的なものでのカウントの問題と、もう一つはそもそも超多収穫品種ということを早く固定できるような研究をする、この二本柱で当分進まざるを得ないのではないかと思っております。

近藤豊民社党・国民連合

○近藤(豊)委員 いまの答弁によれば、えさ米については価格差が大きいからなかなか手が出せない。それからもう一つ、いわゆるえさ麦ですか、えさ用の麦についてもこれは転用可能の問題等もあり、そう簡単ではないということなんですけれども、先ほど私が質問した裏作が全然行われないで、非常に貴重な土地がほっぽらかされてある。特に、東海はほっぽらかされてある。そういう土地を何か団体別にそこに請負でもさして、そして耕作をさせて飼料の国産化率を上げるという点については検討をされているアイデアはありませんか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 実は裏作が入りにくい理由の一つは、裏を入れますと表が必ずしもうまく取れない。要するに、いまの米を中心に考えている方は下手に裏作でどうこうするより、米を目いっぱいつくった方がいいという感じで、なかなか裏が入りにくいという実情もございます。  先ほど申しましたホールクロップサイレージみたいなことをいま私どもが考えておりますのは、完全に実まで取ってしまいますとなかなか期間が調整ができないわけですが、ホールクロップサイレージをやりますときは実が完全に実り切らない段階で取るわけでございます。これはうまく組み合わせますと年に表と裏と両方をそういうホールクロップサイレージで取っていけるということになりますと、年間を通じまして大変効率のよいサイレージができるといったようなこともございまして、裏になるべく入れていこうとします場合は、いま先生御指摘のように、集団化した土地で大規模な面積をだれかが一遍にやるという形で経費を下げるか、それとも表作に余り大きい影響を与えないような形で物をやっていくか、このどちらかでございますので、そういう方向も検討の余地はあろうかと思っております。

近藤豊民社党・国民連合

○近藤(豊)委員 このえさの問題を考えますときに配合飼料の割合、特に、日本の場合には非常に配合飼料がたくさん使われておる。そして濃厚な飼育が行われている傾向にあるわけですけれども、この配合飼料の割合はヨーロッパと比べたら日本の場合うんと高いわけですね。これをもっと下げるのは、いま農林省でこれからやろうとしておられるような粗飼料給与率を何とかして引き上げるといういろんな施策があるのですけれども、どうもそれだけでは私は十分じゃないんじゃないかと思うのです。もう少し配合飼料を買って、そしてそれをフィードロットに流せば済んでしまうというやり方でなくて、畜産農家が個々に、自分たちが手に入れることのできるわらにしても何にしても、そういうえさになるもの等を混ぜ合わせて、そしてそのコスト低下を図りながら飼料をつくっていく、そういう努力を促すべきじゃないかと思うのですが、その点どうも日本は配合飼料だけで、配合飼料一色でえさの業界が動いているように思います。単体飼料でもって販売したりするケースはもうほとんど見られない、この点については農林省としてどう考えておられますか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 いま御指摘の配合飼料の問題は、一つは、先生御指摘のように、大家畜のように本来粗飼料を相当食べなければいかぬものが、粗飼料の給与が少なくてみんな濃厚飼料に代替されているという問題、これは肥育の肉なんかがその典型でございます。これはやはり大家畜の生理の関係からいいますと、当然ある程度の粗飼料を食べなければりっぱな乳も出ませんし、肉牛生産にしてもりっぱな体格の牛ができぬわけでございますから、これはぜひ粗飼料給与率を上げたいということで、家畜改良、増殖の目標だとか、あるいは酪農近代化計画の目標等についてわれわれも粗飼料給与率をもっと上げるんだという目標を立ててやっておるわけでございますが、残念ながら、その耕地の拡大とか裏作、いま先生御指摘のような既耕地にえさが入るという度合いがなかなか思ったように進んでおりませんで、それよりも速いテンポで家畜の数がふえていっているというような形でなかなか粗飼料の給与率が上がらない。特に、土地の制約のある内地では余り上がらないというのが実情でございます。これは何としましても、やはりじみちなことでございますが、草地改良だとか既耕地における粗飼料を入れていくとか、あるいは稲わらみたいな——これは極端に言いますと、いま稲わらさえ外国から買っているというような事例さえあるわけでございますから、そういうものを飼料に回して家畜の腹を通す。家畜の腹を通して土壌に還元するというのが一番正しいやり方でございますので、そういう方向づけをやる必要があろうと思っております。  もう一つは、先生御指摘のように、それじゃ濃厚飼料というものが非常に輸入の穀物に頼った、非常に穀物比率の高い濃厚飼料じゃないかということでございます。これは諸外国のものと比較をいたしました場合、まさしく日本の配合飼料というのは、言い方によりますれば大変程度が高いといいますか、いろんな家畜の肥育段階に最も必要な栄養分をバランスをとって入れるということからその配合の仕方について、これは畜種によっても違いますが、高度な分析をいたしましていろんなものを入れております、ですから、たとえば、似通った生産を上げていると思いますECあたりと対比しましても、穀物比率は日本の方が大変高い。それから油かすみたいなものは向こうが高いとか、成分がいろいろ違っております。それに対して一方で、たとえば、もっと単味と申しますか、単品の飼料をやったらいいじゃないかとか、ここは農家の選択に任したらいいじゃないかという御議論もあることを承知をしております。たとえば養豚等の世界ではもう少し単純な飼料をということもございまして、私どもといたしましては、そのために、たとえば御承知の二種混と称しまして、混合の比率を大変——トウモロコシ以外に魚粉等を入れまして転用されないという前提でのえさも実は売っているわけでございます。これはトウモロコシ等は無税で入れておりますから、他に転用されました場合に困りますので、必要最小限度の混合もさせるということもやっておりますが、こういうものも生産者の方に十分理解していただきながら、飼料の性質によって生産者が真に求めている飼料を供給できるようにと、そういう考え方でやっているわけでございます。

近藤豊民社党・国民連合

○近藤(豊)委員 確かに配合飼料についていろいろなまぜ方とか、それから使い方などが日本では進んでいることはそのとおりだと思うのですけれども、それは反面、今度は各畜産家が創意工夫をするチャンスをある意味では奪ってしまった。むしろヨーロッパの場合には、そういう点では単体でえさを買って、そして自分たちがいいと思う方法で、あるいは手に入りやすいものを使って配合するケースがたくさんあるわけですが、そういう方向をもっともっと、確かに御説明のような制約はあるけれども、助長すべきではないか、こうお考えにはなりませんか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 たとえば、酪農で申しましてもいろいろ土地にありますえさを有効に使う。たとえば、トマトをしぼっておりますような工場がありますと、そのかすを使うとか、そういうことは各地域、地域で極力安いえさを使うという努力はいたしているようでございます。そういうものと自分たちの粗飼料、それとどうしても栄養分の上で足らないものをいわば購入飼料で埋めていく、こういうことが必要かと思っておりますので、この辺は完全配合飼料万能ではございません。ただ、そういうえさが生産を誘導するという要素もございます。非常にすぐれた栄養分をとりまして最低の経費で最大の肥育効果を上げるというような研究もいたしておりますので、そういう方向と、それからいま御指摘のような農家の創意工夫も含めてと、そういうものの中におのずと、何と申しますか、最も望ましい姿ができてくるんではなかろうかと思っております。

近藤豊民社党・国民連合

○近藤(豊)委員 いま私は、実は畜産農家の側からの努力をし、創意工夫をこらすチャンスということを申し上げたんですけれども、もう一つ、いわゆる飼料会社側が、供給側ですね、供給側の努力は果たして十分なんだろうか。特に、現在とっておられる承認工場制度、これは、ある意味では自由競争を否定をして、以前確かに麦や雑穀の生産がうんと日本にあって、国産が多くてそれと見分けがつかなくなってしまうから、輸入品を使わせる工場はきちんと管理をする、まず保税工場に始まってそれが承認工場制度になっておるのですけれども、承認工場制度そのものが現在存立の意味ありや否やという点について非常に疑いを持っておるわけなんです。承認工場制度はむしろえさの業者の保護になってやしないか、そしてそのえさの業者がある意味では独占の上に安住してやしないかという疑いを持っておりますが、この辺はいかがですか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 配合飼料工場、これは自家配も含めまして、これの新設に当たりまして一定規模以上の生産量の確保をしますことによって生産性を向上させる、あるいは需要に即応した供給体制を整備するという観点から、一定の基準を設けております。御承知のように、一般配合飼料につきましては大体月間八千トン以上の操業をする、それから自家配の原料工場につきましては、魚粉二種混合飼料につきましては月産千トンぐらい、それから加圧圧扁トウモロコシ二種混合につきましては月間百トンくらい、これくらいの規模を持っていていただきたい。余り微小なものに認めますと生産性も必ずしも十分じゃないということもあります。いま御指摘のような何かそういうことが競争を制限しているのではないかという御趣旨でございますが、御承知のように、現在のえさの供給は、農協系、要するに、農協がやっておりますものが約四割、商系が約六割でございまして、えさの世界におきましては価格を誘導しますプライスリーダーと申されるようなものはむしろ生産者団体系が持っておりまして、そういう意味ではえさの世界というのは大変競争の激しい世界と言われております。したがいまして、私ども工場の承認制そのものが競争を制限しているような実情はなかろうかと思っております。逆に、若干そういう二種混等を認めろというお話の中には、むしろもっと小さいものまで認めたらどうかというようなお話もございますので、この辺は、やはり私どもとすれば、適正な競争が行われ、かつ、やはり効率よく行ってもらえる限界はどの辺かなということを見ながら、現在の基準というのはほどほどの基準ではなかろうかと思っておりますが、いろんな御意見もございますので、その都度、こういうものも点検をしながら運用をしているところでございます。

近藤豊民社党・国民連合

○近藤(豊)委員 まさしく過当競争のような気配を呈しております。けれども、大型の工場が多いですから、それが日本を東から西まで全部とにかく自分たちの飼料を売るんだということでえらい手を伸ばしております。これは当然かさむ商品ですから輸送費が相当のコストになります。トン当たり七、八千円から一万円なんという場合だってあるわけなんで、油代がこういう状況ですからこれからますますかさむかもしれない。そうなりますと、まさしく局長がいま後段に答弁をされた、もっと小さなところまで認めていいじゃないか、私はそう思うのです。地域地域で、確かにトマトをつくっているところならトマトの殻があるとか、あるいはそれ以外に地域地域の本来なら捨てられるものの中でえさの中に入れていったらいいものもあるわけですから、小回りのきくえさ屋さんができていっても少しも構わない。そういうことを押し詰めていきますと、しょせん承認工場制度というのは要らなくなる。過当競争があってつぶれるところがあればそれはつぶれていいではないですか。何も農業関係については一切つぶしちゃいけないんだという理由はない。自由競争の世の中ですから強者が生き残るわけでして、特にサービスがよく、あるいは地域の特性を考え、そして畜産農家にもいろいろな助言をし得るようなそうした業者が生き残っていくわけです。したがって、承認工場制度でそういう混乱を防ぐとか言われますけれども、もうその必要がない、むしろどんどんこういうところは自由に門戸を開放してみんなにやらしていった方が、かえって畜産農家がより安いものあるいは思いがけなく地域のものを利用してえさが使えるかもしれない、あるいはそういうところが逆に今度は裏作などのほうってあって使っていない土地を活用するきっかけをつくるかもしれない、私はそういうふうに思うのです。この点いかがですか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 先生御指摘のように、産地が移動しまして、たとえば養鶏とか養豚とかいう海外からの飼料に多分に頼りますものがどちらかというと北の方、南の方に産地が移動していきます過程で、実は工場も立地をだんだん転換をしているわけでございます。その場合、私ども増設型ではなくてむしろスクラップ・アンド・ビルドというかっこうで工場移転というようなこともやらしているわけでございます。いま御指摘のように、決して私ども承認制度で何か個別の企業を保護しているわけじゃございませんで、こういう運営の中でも実は激しい競争の中で企業の合併統合というのはどんどん行われてきたわけでございます。決してそういう面ではこれで守っているということじゃございませんが、ただ、特定の品物、特に無税の品物を持たせて、これは保税工場とかあるわけですが、そういうことをやらせましてしかも効率よくえさを生産していただくというような要件は決して現段階でも失われていない。そういうものの基準をどう見るかということについてはいろんな御議論があろうかと思いますが、いまこれを何かえさというのはだれがどこでどんなことをやってもいいというようにするには問題があるのではなかろうかという気持ちでございます。

近藤豊民社党・国民連合

○近藤(豊)委員 私は依然として、えさの業界は自由競争が認められてしかるべきであるし、それほど害はないと確信をいたします。  このえさの関係でもう一つ大事な問題があると思うのです。今度第三国への援助用穀物をアメリカから買い付けて流すというような新聞報道がありました。そうした用意があるのかどうか。用意があるとすれば、財源及び予算措置はどういうふうになさるのか。これは畜産局長の問題ではないかもしれませんが。——後にしましょうか。  それでは別の問題に進みます。  合理化努力の中で、先ほどの説明にあったように施設費が日本の場合非常に高くつきますね。ヨーロッパの場合にはみんなおじいさんがつくった牛舎をそのまま使ったりしているわけです。それが、わが国では新たに投資をして畜産団地でも何でもつくりますから、非常にそういう点大きな差がある。その差があるのを埋めなければこれはEC並みに追いつけないわけです。そういう点いまの畜産関係の制度融資の五%という利子がまだまだ高過ぎる。非常に利子の支払いがかさんで困っている農家も多いわけですし、すでに各種の書類で御指摘のように貯蓄を上回って負債がある、あるいは償還をしなければいけないというような農家もふえているということなら、この段階でわれわれが日本の畜産をりっぱな畜産にするのだという決意を固めるなら、むしろ施設にかかわるいろんな借金の利子はもっと政策的配慮をして切り下げるべきだ。たとえば、お医者さんは医院をつくるのに二・五%の金が借りられますね。畜産農家の場合になぜ同じような施設をつくるのに二・五%の金が出てこないのだ、こういう声も実は農家の間にあるわけです。今後、厳しい努力を農家に課すにしても、これは非常に政策的にも必要なことだと思うのですが、この点は畜産局長として、別に大蔵省がどう言うか構いませんけれども、どうお考えになりますか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 一般的に申しますと、畜舎等につきましてもかつてはわれわれ融資よりもはるかに条件のいい補助制度をかなり活用していたわけでございます。共同畜舎その他、それから構造改善事業等によってかなりの補助をしてきたという経緯がございます。これに対しましては、いろんな面でそれがプラスになったという面と、それから補助事業という場合往々にして非常にぜいたくなといいますか、投資の規模の大きいものをやってそのことが後半かえって農家の負担になっているじゃないかという御批判もあったわけでございます。最近の酪農を例に申しますと、私どもは、いま酪農に関しましては既存の施設を有効に活用していただく時期じゃないか、新たに施設投資を積極的にやるのじゃなくてむしろ既存の施設の中の有効活用でやれる時期じゃないかということで、補助事業による畜舎の新設等はいま抑えてございます。ただ、公害問題で移転とかそういう場合に若干のめんどうを見るということでございます。こういう場合に、普通国が補助するのではございません場合は融資でございます。融資の場合、農業近代化資金なり農林漁業金融公庫の主務大臣指定施設資金等がこれに当たるわけでございますが、一般論として個人施設の金利というのは若干高うございます。ただ、いま先生御指摘のような、他のたとえば中小企業とか医療とかという場合の金利といいますものも大変融資率が低うございますから、自己負担を含めれば私ども農林の各種の融資もほどほどの金利だと思っております。特に、土地改良等につきましては三分五厘とかいうような安い、しかも長いものもございますけれども、私どもこれから一般論で申し上げるのでございますれば、個人の施設は余り補助するというような体系は組みにくい。その場合、極力低利融資がそれにかわるという方向がいいのではなかろうかと思っております。

近藤豊民社党・国民連合

○近藤(豊)委員 時間がなくなってきたので、この第三国援助用穀物を日本が米国から買って、それを第三国に援助として流す、これがいわゆる日米貿易摩擦の交渉過程の中から新聞で報道されておりました。こういうことを現実に考えておられるのか。考えておられるとすれば、それはいかほどの予算を持ってそういうことを考えておられるのか。経済協力費なのか、それとも農林省で特別に計上されるのか、その辺のことを答弁をしていただきたい。

佐野宏哉農林水産省経済局長

○佐野(宏)政府委員 いまお尋ねの件は、実は必ずしも新しい話ではございませんで、従来から食糧援助規約に基づくわが国の食糧援助のプログラムの中に外国産の農産物を含めるということはやっておりました。五十六年度の場合にはタイ、ビルマ産の米でございますが、一昨年はアメリカの小麦を一部使ったこともございます。それで先般、昨年の十二月十六日に経済対策閣僚会議で決定されました五項目の中にも、一つには食糧援助規約等に基づくわが国の食糧援助に第三国の農産物を輸入するという問題が書いてございまして、先般、日米貿易小委員会の席上、アメリカ側が同様の希望を表明したということがございます。私ども従来からやっておりましたことでございますので、アメリカ側の希望に好意的に考えていきたいというふうに考えておりますが、目下のところ別にそのために新しく予算を計上するというわけではなくて、食糧援助規約に基づく予算というのは現に計上されておりますから、その枠の中で受益国側の希望とマッチした場合には、アメリカ産の穀物を使うことも考えていきたいというふうに思っておるわけでございます。

近藤豊民社党・国民連合

○近藤(豊)委員 つまり、これは特別にとりたてて新聞が書き立てるほどのことではなかったということだと思います。そうしますと、もう一つその関連で、私は、実は日本の穀物、つまり飼料用の穀物の輸入源がアメリカに偏り過ぎておるということを年来考えておりました。こういう際ですから、アメリカから穀物を買わないでよそから買うということは非常にむずかしいかもしれないけれども、仮に、よその地域から、たとえば、南米等から長期的な展望に立って飼料穀物の対日輸出長期契約みたいなものを結びたいということを民間セクターで話し合いが始まったとしたら、これは農林省としては歓迎をすべきことだと思いますけれども、この点いかがですか、畜産局長。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 現在飼料を入れております国は、アメリカ以外にはオーストラリアがございます。オーストラリアから飼料用大麦を入れております。それから、量は大変縮減してまいりましたけれども、タイからこれも入れております。南米につきましては、アルゼンチンということになろうかと思いますが、輸送費その他の問題あるわけでございますが、輸入先をどこかに特定するということはある意味で相当な危険の負担はあるわけでございますので、現実の問題としてはまだ相談を受けたわけではありませんが、価格それから品質その他の面においてそういう話し合いができる余地があるものであれば、いろいろ考え方としてその飼料をどこに依存するかという面でございますれば、ある程度を多角化することは望ましい方向だ。ただ、これにはあくまで自由な貿易でやらしているわけでございますので、そういう価格だとか数量とかいろいろな条件が整う必要があろうかと思っております。

近藤豊民社党・国民連合

○近藤(豊)委員 最後に一つだけ、食糧あるいは穀物の海外備蓄を以前からアメリカから注文を受けて、われわれの日本の方はこれを断ってきましたですね。いまえさ用の穀物の備蓄は一カ月しかない、これは非常に苦労した一カ月ですね。十分だとはとても思えないのです。そういう事実を踏まえて、農林省として相変わらずえさを含めて海外備蓄というのはいやだとおっしゃるのか、それとも今後アメリカ側が一たん日本側のサイロに入れた、あるいは指定の倉庫に入れた、穀物はすでに輸出した、了したもの、あとの積み出しは日本側の自由というようなことがはっきりと条約上確保されるならば、協定上確保されるならばあるいは備蓄を一部考えてもいいという可能性があるのか、その点だけ最後に一点答えてください。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 かつての穀物危機の際にそういう問題を、単に机の上の議論だけではなくて現地にも行ってということで、実は向こうの備蓄の可能性につきまして食糧庁から人を派遣しまして向こうの現地で打ち合わせたという機会がございました。そのときは結局は、極端に言いますと内陸の農家の倉庫に預けるしかないということでございまして、なかなか現実的な対応はできないなという結論を得て帰ってきておりまして、現段階におきましても、基本的にはなかなかむずかしいのではないかと思っております。

近藤豊民社党・国民連合

○近藤(豊)委員 終わります。

亀井善之自由民主党

○亀井(善)委員長代理 林百郎君。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 私は、いま日本の農業で非常な重大な問題になっております日米の貿易摩擦、ことに農産物の輸入の自由化の問題について、日本側の政府並びに委員の言うこととアメリカ側の政府並びに委員の言うこととが方々で食い違っておりますので、この点を確かめませんとお互いに国民を欺罔することになりますので、実は十九日の日にもその問題を取り上げましたが、きょう、もう少しこれをただしておきたいと思うわけでございます。  東京ラウンドの交渉の結果、日米間の所管でオレンジとジュースと牛肉の一九八〇年度までの輸入枠拡大が取り決められて、さらに一九八三年から次の一九八四年度以降の取り扱いについては八二年度、ことしの年度末前後に協議するということが決められたはずでありますが、これは間違いありませんか。

佐野宏哉農林水産省経済局長

○佐野(宏)政府委員 東京ラウンドで牛肉及び柑橘、柑橘と申しますのはオレンジそのものとオレンジジュース、グレープフルーツジュースでございますが、これらの商品につきまして、一九八三年度末までの分につきましてアメリカとの間で合意を見ております。  それで、次の協議の時期につきましては、牛肉につきましては一九八二年度末前後、それから柑橘につきましては一九八二年度下半期前後に次の協議を行うという合意でございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 ところが、三月九日、十日に開かれた日米貿易小委員会では、オレンジ、牛肉についての協議を八二年度末の前後というよりもずっと早目に、半年以上も早めてことしの十月から開始することにした、これは昨年の十二月に開かれた日米貿易小委員会では協議を早めることは拒否していたし、また田澤農水大臣も三月九日の記者会見では、拒否をする、こう述べたというように日本農業新聞にも書いてあるわけなのでありますが、これはことしの十月から開始する、要するに、八二年度末前後よりも半年も早く協議をするということになったのですか、ならないのですか。

佐野宏哉農林水産省経済局長

○佐野(宏)政府委員 まず、昨年の十二月に日米貿易小委員会が開かれました際、アメリカ側は、牛肉及び柑橘について一九八二年十月一日までに協議を開始したいということを申しまして、十二月の際は、当方は諾否は答えておりません。東京ラウンドの合意に従ってやればよろしいと思っておるということ以上には答えておりません。  それから今回、三月九日、十日の日米貿易小委員会の席上、本年の十月中の双方にとって都合のよい時期に協議を開始することにしたいということで合意をいたしました。それで、これは先ほども申し上げましたように、柑橘につきましては一九八二年度下半期前後ということでございますから、これはどんずばり東京ラウンドの合意の枠の中でございます。それから牛肉につきましては、一九八二年度末前後ということが東京ラウンドの合意でございますが、十月中の何日になるかわかりませんが、一九八二年度末ぽっきりという日にちに比べますと、五カ月と何日か早いわけでございますが、東京ラウンドの合意自体が別にどんずばりということを決めてあるわけではなくて、前後ということで若干幅を持たしてありますので、十月中の双方にとって都合のよい時期から協議を始めるということで、別に不都合はあるまいと思っております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 八二年度末ぽっきりでなくて十月でもいいと言うが、十月といえば半年も早いわけですからね。それがいいと言うなら取り決めも何もないということと同じじゃないでしょうか。そこで、仮に十月の協議では、日本の農林省としてはオレンジジュース、牛肉の自由化あるいは輸入枠の拡大というようなことについてはどういう態度で出るつもりなんですか。

佐野宏哉農林水産省経済局長

○佐野(宏)政府委員 これは三月の日米貿易小委員会で協議の段取りを決めます際に、私どもの方から、日本政府としては残存輸入制限を撤廃するということは考えていないのであるということをアメリカ側にも伝えてございます。もちろん、アメリカ側は自由化を要求するという立場で協議に臨むということは日本側に伝えておりまして、したがいまして、そういう意味では日米双方お互いの立場を維持したまま協議に入るということでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうするとはっきり確かめておきますが、十月の協議では、日本側ではオレンジジュース、牛肉の自由化はもちろん、輸入枠の拡大は拒否する、これには応じないという態度で臨むということをここで確認しておいていいですか。

佐野宏哉農林水産省経済局長

○佐野(宏)政府委員 自由化の問題につきましては先ほどお答えをいたしたとおりでございますが、枠を何トンにするかという話については、いままだ私どもも考え方をまとめておりませんので、それは協議を始めるときになってみなければ何とも申し上げられません。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 自由化は拒否するにしても枠はどうなるかわからない、わからないということは広げるということだとわれわれは考えざるを得ないわけですが、それでは国民は不安でたまらないわけですね。そういういいかげんな態度で、時期だけ十月だと、なぜそんなに早く決めるのですか。そういう態度をしっかり決めてから時期を決めてもいいのじゃないですか。十月ということは、要するに、十一月のアメリカの選挙に備えて、アメリカ側の顔を立てるということになるのじゃないですか。

佐野宏哉農林水産省経済局長

○佐野(宏)政府委員 実は、たとえば本年度も牛肉の輸入割り当ては対前年度に比べて削減をしたわけでございまして、農林水産省は、枠といえば何もふやすことばかりをやるわけではないということは、本年度の牛肉のクォータを見てもおわかりいただけるとおりであると思います。  それで、私どもとしては、いずれにしてもアメリカ側といろいろ議論をしなければいけないわけでございますから、そういう意味では、いまの段階から協議をせずに済ますということはこれは考えられないわけでございますので、協議の段取りを合意をしておくということは別にそう不穏当なことであるというふうには思っていないわけでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると、こうですか。あなたの言うことはよくわからないのですが、枠について協議はする、しかし協議をするということは、何も拡大をのむという意味ではない、いまの段階ではそうだ、そう聞いておいていいのですか。何だかちっともはっきりしないんだ、あなたの言うことは。

佐野宏哉農林水産省経済局長

○佐野(宏)政府委員 いや、これは大変はっきりしておるわけでございまして、枠につきましては、まだ一切何も決めておりません。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 それから、十九日に田澤農林大臣が、今回の九日、十日ですか、その小委員会でワーキンググループ、いわゆる作業部会なるものをつくって、四月から会議を開くことになったということで、英語でワーキンググループとかなんとか言ったから、私もワーキンググループと言っているのですが、これは正式には、日本の国民に言うには何という名前で言ってやったらいいですか。

佐野宏哉農林水産省経済局長

○佐野(宏)政府委員 作業部会と訳しております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 その作業部会ですけれども、日本のマスコミによりますと、具体的に新聞の名前を挙げますが、日本経済の三月十日の新聞には「農産物の残存輸入制限緩和に関する作業グループ」、こういうのをつくったと報道しています。同日の日本農業新聞では、農産物の残存輸入制限を協議する作業部会と報道している。一方では「緩和」と報道し、一方では単に「協議する」というように、新聞によっても報道が二色になっていますが、これは事実はどうなんでしょうか。

佐野宏哉農林水産省経済局長

○佐野(宏)政府委員 「緩和」という言葉の入っていない方が正解でございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 ややこしい言い方を言わなくて、緩和ではない、と。要するに、協議をするということなんですね。協議をするに当たっては、協議をするということは何も枠を拡大するということだけの意味ではないんだと、きょうあなたがこう言われた、こういう意味にとっていいですね。——首を下げるなら下げていいです。

佐野宏哉農林水産省経済局長

○佐野(宏)政府委員 さようでございます。枠をどうするかということは、まだ態度を決めておりません。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 それから、日本の残存輸入制限品目の中には、農産物、水産物が二十二品目、それから他の原材料が五品目あるわけですが、今回の合意では、この協議をするのは農産物だけにしたのですか。そのための作業部会ですか、それとも他の五品目も入るんですか、入らないんですか。

佐野宏哉農林水産省経済局長

○佐野(宏)政府委員 日米貿易小委員会の席上、農業の議題のところで議論をして合意したわけでございまして、通商産業省所管物資を除外するというふうに明示的には発言をいたしませんでしたが、双方ともそういう理解であるというふうに認識しております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 ちょっといまここで話していたのでよくわからないのですが、双方ともどういう点で合意をしたというのですか。要するに、農産物だけではない他の原材料五品目を含めて作業をするということですか、それとも農産物二十二品目についての作業をするということで合意したということですか。

佐野宏哉農林水産省経済局長

○佐野(宏)政府委員 農林水産省所管物資を議論する部会であるというふうに日米双方とも認識をしておるということでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 ここできょうは、農林水産大臣がお見えにならないので次官にお聞きしておきますが、一九七八年東京ラウンドの協議の最中ですが、ニューヨークタイムズが次のような報道をしておるわけです。日本人は外交ゲームに熟達していない、アメリカはちょっと駆け引きによって日本側からより一層の譲歩を引き出すことに成功した、これは外国の新聞ですからこういう報道をしているわけです。しかし、われわれは警戒をしなければならないと思うのですね。今回の合意も、いわゆる作業班についての協議の内容につきましても、日本側がずるずるとアメリカ側の譲歩を求める手のうちに引きずられていく危険があるのではないか。要するに、いま局長が答えたのは何か玉虫色で、アメリカ側は枠の拡大についての作業をするんだ、日本側はそのような決めはしてないというようなことで玉虫色でごまかされるのではないか。かつてのニューヨークタイムズの報道をも参考にしましてそう思われますけれども、大臣にかわって次官はどのような決意で今後ともこの作業班についての行政的な指導をされていく決意でしょうか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産政務次官

○玉沢政府委員 農産物につきましてはアメリカから相当の物を買っておるわけでございまして、水産物も含めますと百億ドルを超えておるわけでございます。また残存輸入制限品目におきましては、これはわが国の農産物としましては大変重要なものに相なっておるわけでございますので、そういう観点から、日本の立場を十二分に理解していただきますようにこの協議をいたしましても話をしていく必要があるんではないか、そういう点に立って今後対処すべきではないか、このように考えます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 次官もお答えのように、アメリカも十四品目近くの輸入制限品目がありますし、日本では農産物については百億ドル近くの入超になっているわけですね。だから何も農産物の貿易摩擦の協議について日本側が負い目を感ずる点はないと私は思うのです。それにもかかわらず工業製品の自動車、家電、鉄鋼等の安い賃金による集中豪雨のような輸出による百八十億ドル近くの日本に対するアメリカの入超、それが常に風当たりが農産物に集中的にくるというところに、いまの日本の農業が立っておる苦境の状態があると思うのです。そういう場合、農水省としては通産省や大蔵省のいろいろな関係があると思います、それは政府全体の機構の中の農水省ですから。しかし、農水省としては農水省としての確信を持ってアメリカと交渉すべきだと思いますけれども、その点は次官どういうように考えられますか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産政務次官

○玉沢政府委員 そのとおりでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 それでは養蚕関係についての質問をきょうすることになっておりますので、させていただきます。  いま、実際の養蚕農家は肥料や農薬、光熱動力費などが五%から九%近くも上昇して生産コストが上がる一方、数年来の繭価格の低迷によって非常な経営不安に陥っているわけなんですが、その結果、同じ広さの畑で養蚕の収入はリンゴの収入の半分と言われております。ところが、統計情報部の調査によりますと、一キログラム当たりの繭の生産費が二千九百九十四円であるのに、農水省の組みかえ修正によって農家の取引価格が二千五十円とされて、実際の生産費より九百四十四円、三二%も少ない価格で取引されているわけなんです。しかも、農水省の担当の方々は御存じだと思いますが、養蚕というのはもう私が言うまでもなく、その地域は養蚕でなければ農業が営めないという地域でやっておる農業経営でございますので、生産費を保証してやる価格の決定ということ、これを考えてやらなければ蚕繭の量が減少の一途をたどることになるのではないでしょうか。この点についてどういうように考えられていますか。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○小島政府委員 繭代は最終的には生糸の価格という形で実現をするわけでございまして、御承知のようにこれは相場商品でございますから、そのときの需給によりまして生糸価格が変動を繰り返しておるわけでございます。生糸の価格のいいときは繭の手取りもいいし、逆の場合も出てくるわけでございまして、長い養蚕の歴史の過程におきましては、そのような騰落を経ながら日本の養蚕が維持されてきたわけでございます。したがいまして、現在の価格安定制度も米価のごとく一つの価格水準にこれを安定させるということではございませんで、いわば安定帯の中にこれを維持する、こういう価格安定制度として生まれておるわけでございます。  お話がございましたように、統計情報部の生の生産費をそのまま価格に使用するということではございませんで、統計情報部の発表になりましたものを、ただいまの繭糸価格安定法の制度のもとにおける一つの従来から使ってまいりました方式によりまして組みかえをいたしておりまして、それをいわばもとにいたしまして、さらにこれを上下限に開くということで、異常変動防止価格帯が設定をされておるわけでございます。  また、最近におきましては、異常変動防止の価格帯というよりはむしろ中間安定帯の価格が主として問題になるわけでございますが、中間安定帯につきましては、法律にも、生産条件、需給事情その他の経済事情から見て適正な水準という表現でございまして、物の実際の流れ、需給関係、そういったものから見ましてどの辺の水準に安定させれば一番よろしいかということを考えて決めるようになっておるわけでございます。もちろん、生産条件ということがうたってあります以上、農家の生産事情ということは大事な要素でございますけれども、同時に、需要者側のさまざまな事態、それから国全体から見まして絹の需給関係がどういうことになっているか、また事業団の在庫事情、そういったものを総合勘案して決定すべき性格だと思っておりますので、その意味では養蚕の生産費が唯一のよりどころではないということを申し上げておきたいと思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 それはわかり切ったことを説明しているにすぎないので、どうするかという問題をいまあなたに質問しているわけです。蚕繭量が減少する一方でしょう。それをどうするかということが第一ですね。しかも、蚕繭と言いますけれども、養蚕をしている地域は、養蚕しかできないような地域で養蚕をしているわけなのですが、そこで養蚕ができなくなるということは繭価が農民を励ますあるいは農民に養蚕を続けさせる意欲をもたらさないような価格、しかもいろいろな数字上の操作がされているところに問題があるのではないか、そこのところをあなたに聞いているわけなので、事業団の在庫量のことはまた改めて聞きますから、そこまで説明しなくても結構なのです。そうでないと蚕繭量が減少する一方なので、これはこのままにしておいていいのでしょうか、農水省はやむを得ないとお考えですか。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○小島政府委員 最近のように非常に急激に需要が落ち込んでまいりました事態のもとにおきましては、供給量もそれに合わせて変動しなければ適切な需給関係は維持できない。したがいまして、第一次的には輸入の数量について圧縮に心がけておるわけでございますが、輸入数量の縮減ということだけでは十分な需給の改善が期待できないという事態のもとにおきましては、国内養蚕もまた生産量の抑制ということにつきましてこの制度を維持する上からも御協力を願わなければいかぬと考えておるわけでございます。  ただ、お話ございましたように、地域におきます養蚕に対する依存度というのは濃淡がございます。養蚕だけというところが現実にあるとは思いませんが、一部の地域におきましては、今日においても養蚕が主要な作目であるという地域があるわけでございますし、逆に、果樹でありますとか野菜でありますとか、そういうさらに有利な作物に侵食をされまして養蚕が減っておる、こういう地域もあるわけでございます。したがいまして、今後養蚕が末長く発展するためにはそれぞれの地域の実情に応じまして、養蚕経営もまた積極的なコストの低下を図って足腰の強い養蚕をつくっていく、こういうことと価格の安定と両々相まって養蚕を維持発展させていくということだろうと考えております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 あなたの言うように、養蚕をするよりも有利な条件の転作物があるならばそれに転作していった方がいいと言いますが、養蚕しかできないようなところで蚕を飼っているのですよ。それ以上有利な農産物ができるところで、わざわざ蚕を飼っているというようなところはないのですよ。それがだんだん減産していく。私の方から数字を言いますと、五十六年度蚕繭は全国で六万四千七百八十七トン、前年に比べて一一%の減少ですね。長野県なんか組合製糸がワンセットこのために休止をしなければならないということなのです。長野県だけでも収繭量の一割四百七十七トンが減収しているわけですね。その上に繭の生産価格、これは生糸から逆算してくるという点もあります。ありますけれども、蚕繭の価格を決めるのに意図的な数字が使われているということが疑われている点もありますので、その点を私は聞いておるわけなんですけれども、むしろ生糸から逆算してくるというような特殊な繭の価格の決め方もありますので、それがないとは私は言いませんがね。  そこでお聞きしますが、いま事業団の在庫が十五万二千大百五十俵あるわけなんですけれども、日本の生糸の消費量から言うと、需要量が三十六万で生産量が二十五万、十万不足しているわけなんですが、こういう事態のもとで事業団の手持ちの生糸を放出する。これはもちろん、保証価格の前後というような操作がありますけれども、こういう機会に、十万トン以上も外国から輸入しなければ日本の生糸の消費が間に合わないというときに、何もいつまでも在庫を抱えてなくても、法律の適正な改正なりをしてこれを放出するということを考えなくてもいいのでしょうか。農水省は考えるべきじゃないでしょうか。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○小島政府委員 事業団の在庫は、まさにその事業団の制度が設けられました本来の役割りであります需給ギャップが生じました場合に、在庫の増減によってこれを調節する、こういう役割りのもとに今日ただいまの在庫を保有するに至ったわけでございます。御承知のように、わずか数年の間に年間の消費量が十万俵以上も低落いたしたわけでありますから、もちろん、その供給量の調節を輸入の縮減等によって図ってはおりますが、なおかつ、一定のタイムラグがございますから、その間に在庫がふくれ上がったわけでございます。したがって、今後この在庫を減らしていきますためには、何といってもトータルの供給量を圧縮する、また一方では需要の開発、増進を図る、これが基本的な対策であろうと思っております。需要の方が供給を上回っておりますれば、その間に事業団の在庫を放出する余地が出てくるわけでございますので、それが考え方の基本であろうと思います。ただ、ピーク時の十六万俵というような数量は、当初この制度をつくりましたときにおいて、ここまでくるとは想定しなかった異常な数量であると考えておりますので、お話のございましたように、在庫縮減についての工夫というものもしていかなければならない、かように考えております。     〔亀井(善)委員長代理退席、委員長着席〕

林百郎日本共産党

○林(百)委員 通産省の方見えていますかね。私は昨年もこれを質問したのですが、高級絹織物の価格の内訳ですが、これは昨年の十月三十日の朝日ジャーナルに出ている。六十万円する高級振りそでの価格のうち生糸の価格は二・五%、それから染色、整理、縫製の工賃と問屋のマージンが三三・三%、前売り問屋マージンが一六・八%、小売マージンが四五・八%、流通部門には流通部門でいろいろの理由があると思いますけれども、これは生糸九百グラムを使用した場合ですが、六十万円の高級振りそでのうち生糸の価格が二・五%で、あとは染色、ことに問屋や小売のマージンが六〇%から七〇%以上も占めている、こういうことについては通産省としては何らかの措置がとれないんですかね。このことのために、先ほどから農水省も言っていますけれども、事業団が十五万俵の手持ちがあると言っておりますけれども、十五万俵のうち実は十万俵は外国の生糸で、五万俵は国内生糸なんですね。しかし、こういうものも持たざるを得ないようになるのは、こんな六十万円もの高級振りそでのうち、生糸価格が二・五%で、あとは中間マージンが七、八〇%だということは、これは何らかのこれに対しての措置をとらなければいけないと思いますが通産省はどうでしょうか。

若林茂通商産業省生活産業局繊維製品課長

○若林説明員 先生の御指摘の事例はちょっと、フォーマルの非常に高いものの場合かと思いますが、現在着物の値段の中で流通マージンがどれくらいかということ、これは着物の場合は染め問屋とか中間問屋とか中継ぎ、いろいろ卸段階を経てくるわけでございますけれども、それを合わせまして、四〇%ないし五〇%、若干多いものでも六〇%くらいというのがわれわれが大体つかんでいる数字でございます。これは、着物だけではございませんで、繊維製品全体につきまして、販売、金融、在庫、こういう機能を卸が何段階か受け持っているわけでございますけれども、それのマージンが大体四、五〇%ないし六〇%くらい、これは呉服に限らず洋服の場合もそのような数字になっているわけでございます。  ただ、先ほど先生御指摘のように、着物の需要を喚起するためには、流通コスト低減を図ってもっと着物が売れるようにしなければならないということは当然でございますので、合理的な、かかる流通コストはいいわけでございますけれども、それ以外に繊維製品の取引につきましては、返品の問題でございますとか、訪問販売とか、現在需要を喚起するためにまたとらなければいけないそういういろいろなものがかさんでなっているわけでございますけれども、不当な取引慣行等がございまして、それによって高くなっているものがあるといけませんので、そういうものについては取引慣行の是正ということでわれわれも行政指導してまいりたいと、こういうふうに考えているわけでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 通産省が社団法人流通問題研究協会というのに委託して、これを調査したんですかね、呉服業界のことについて。いろいろ問題が指摘されているはずなんですね。これはあなたの方もわかっていると思うのですよ。  私どもの調査によりますと、呉服業界の取引条件が非常に問題を含んでいる。すなわち、販売促進のためと称して歩引き、織物業者から問屋に納めた自生地の染めむらがあるというような理由で返品するとか、手形のサイトが平均百九十日、長いものでは二百日を超える、受注、納品などの際、契約書の取り交わしが一切ないなど、取引のあり方が商業上の力関係で左右されて織物業者が負担を強いられているというような問題がありまして、京都の府立中小企業総合指導所の府下二百七社のアンケートの調査によりましても、現在の呉服の価格が高過ぎると思うという答えが九〇%、呉服の低価格化が可能であるというのが八〇%というような回答が出ているわけでございます。もちろん呉服業にも大呉服業と中小の零細呉服屋があることは私も知っていますが、大きな呉服問屋、このあり方がこういう繊維、ことに生糸の繊維製品の流通に非常なチェックを与えていることになっておりはしないかというふうに思うわけですが、通産省の社団法人の流通問題研究協会に委託した結果についての報告と、それから公正取引委員会でこういうような百九十日から二百日を超えるような、品物を納めてからの長期の手形ですね、こういうものの発行は商業上の不当な力の行使にならないんでしょうかね。通産省と公取両方にお聞きします。

若林茂通商産業省生活産業局繊維製品課長

○若林説明員 繊維業界のいろいろな取引慣行につきましては、御指摘のような点いろいろあるわけでございますけれども、こういう取引慣行の是正につきましてはわれわれも意を払っているところでございまして、繊維工業審議会でこの点を議論していただきまして、不当な取引慣行の是正ということのために、現在、繊維取引近代化推進協議会というのができておりまして、ここでいろいろな方向を出しているわけでございます。  何分、取引の問題でございますので、直接行政が介入するという形はとりにくいわけでございますので、繊維取引についての取引の憲章というのをつくりまして、この中で、先ほど御指摘のございました歩引きだとか返品だとか、こういうもののあり方、それから書面契約の推進ということで書面契約の行動指針、こういうものをつくったりいたしまして、間接的ではございますが、健全な取引慣行で繊維関係の取引ができるようにわれわれ行政指導してその推進を図っているところでございます。

小倉正夫公正取引委員会事務局取引部下請課長

○小倉説明員 お答えいたします。  繊維業界におきまして先生御指摘のような問題があることは、公正取引委員会としても承知いたしております。公正取引委員会におきましては、昭和五十二年及び五十六年に繊維製品取引の実態調査を行いまして、その結果、明らかになりました書面の未交付あるいは不当な返品、あるいは不当な値引き等の下請法あるいは独禁法上の問題につきましては、その是正を図りますよう昭和五十三年の三月と五十六年の十二月に文書をもって繊維関係の五十団体に対して要望をいたしたところでございます。  それから、先生いま御指摘の手形の問題等につきましては、その取引が下請法上の取引に該当いたしますれば、うちの方にお申し越しいただければ十分に検討し、必要があれば措置をとってまいりたいと存じております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 これも私、昨年質問してその後判決があった問題なんですけれども、輸入生糸織物について二国間協定があるにもかかわらず、五十五年の七月から十月にかけて、輸入を制限されている中国産の絹織物が、いわゆる青竹問題ですが、スペイン産と偽って不正に輸入されて、外為法違反、関税法違反に問われていた事件の判決が、去る一月二十九日東京地裁であったわけです。それによると、自民党の相沢英之代議士の元秘書の手島皓二、それから旧ニッタン社長の深石鉄夫、日本バイルハック社長の白井利八、三星ジャパン元社長曹忠煥などに対して懲役一年六カ月、罰金二千五百万円の有罪判決が言い渡されたのです。  ここで問題になるのは、このようなせっかく二国間協定で日本の生糸や養蚕の擁護と保護に当たろうとしておる意図が無視されておるということに対して厳しく罰せられるのは当然ですが、注目すべきなのは、東京地裁の小瀬という裁判長が、判決の中で、これまで輸入実績のないスペインからの大量輸入で、その通関に際しては、特に注意を向けるべきだったのに、自民党代議士の元秘書の陳情を受けて安易に通関させた点を指摘して、税関当局が、国会議員秘書の陳情に対し手心を加えたといわれても仕方がない、こういう批判を裁判長が判決の中でしておるわけなんですが、この判決を受けとめて大蔵省、通産省はどういうような調査と措置をされたか、ここで報告されたいと思うのです。

忠内幹昌大蔵省関税局輸入課長

○忠内説明員 先生御指摘のように、昨年東京税関に対しましてスペインを原産とする絹織物が輸入されました。この際は、提出が法律上義務づけられております原産地証明書がスペインの発給した真正なものであるということと、もう一つは現物検査をいたしました結果、特に異常がなかったということで輸入を許可をしたものでございますが、実は、結果的には中国産のものであったということがわかったわけでございますが、不正輸入をチェックできなかったという点は非常に遺憾なことであったと思っております。ただ、この際私が申し上げたいのは、決して税関が輸入者からの陳情を考慮して安易な取り扱いを行ったわけではございません。  その後の税関の姿勢でございますが、絹織物の輸入通関に際しましては従来から慎重な審査、検査を実施しておるわけでございますが、このたびの不正事件の発生にかんがみまして、ECとかスペインから輸入される絹織物については、その申告内容とか提出書類、貨物等につきましてさらに厳重な審査、検査を行うほか、貨物が中国で製織されたものでないということの説明を求めまして、十分な説明が得られなかった場合には通関を一時留保しまして、関税局に報告するというように税関に指示しておる次第でございます。今後ともかかる不正輸入を防止するよう絹織物につきましては厳正なチェックをしてまいりたいと思います。

林昭彦通商産業省生活産業局通商課長

○林説明員 絹織物の輸入管理体制につきましては、特にスペイン青竹等で問題になりました原産地等につきましては、事前確認その他で厳正にチェックをしておりますし、今後ともその体制を続けていくというつもりにしております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 最後に、養蚕農家の実情について一言念のために申し上げて対策をお聞きしたいのですが、御承知のとおり、昨年の蚕繭は全国で六万四千七百八十七トン、対前年度比一一%減少をしているわけですが、長野県だけでも五千七十二トン、前年に比べて千二百六十七トン、二〇%減少しているわけですが、これは前年の冷夏、豪雪、春先の低温による桑の木の衰弱、桑の生育不良のため飼料となる桑の不足によるのが重大な要因の一つだと思います。このうち桑の被害による減収量は、全国では四千六百三十五トン、長野県だけでも四百七十七トン、収繭量の一割近くになっております。農林水産統計でも養蚕経営を根幹から揺るがす大きな被害であったと言われておるわけでございます。  そこで、今後のこともありますが、実は、こういうような実情を受けて、長野県でもさっき言いましたように組合製糸が四十九人が職を失ってワンセット停止しているとか、また、供繭量の不足によって器械製糸業界は不況カルテルによる二五%の操業縮小を四月から三カ月間実施しなければならないという状態なんです。もうそろそろ春蚕も始まるころでありますが、養蚕農家や製糸業界のこの苦境に対して農水省としてはどういう対策を講じてこれを回復させるように考えておるか、ここで最後にその対策を関係局長と次官にお聞きして私の質問を終わりたいと思います。事は非常に深刻で重大でございますので、ここで聞いておきたいと思います。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○小島政府委員 一昨年、昨年と養蚕地帯におきましては気象災害によるところの生産の大幅下落、それによる当然所得の喪失があったということは間違いないところでございまして、このことにつきましては農林省関係各種の災害対策を発動いたしましてその救済に万全の措置をとっているところでございます。ただ、お話がございますような、そういうことが直接の原因でありまして養蚕経営が縮小していく、生産の戸数が減っていくというふうなことではないように災害対策は実行されておるわけでございますけれども、生産そのものの動態といたしましては、従来の養蚕の担い手が一般的には非常に年老いてきているという傾向がございます。反面において、一部にきわめて優秀な労働力を持った生産性の高い養蚕経営、専業経営ないしは主業経営と呼ばれるような養蚕経営も数多く芽生えてきておるわけでございます。現在、縮小の過程にありますような養蚕農家をそのままの形で維持発展させるというのはなかなかむずかしいと私どもは考えておりますけれども、せっかく芽生えております新しい経営、これは当然産地の移動というものも伴っておりますけれども、そういうものが健全に発展できますような条件をつくるということが必要だろうと思っております。もちろん、価格安定制度もその一環でございますけれども、先ほど申し上げましたように、ただいまの需給事情というのはきわめて異常な事態でございまして、こういう事態のもとにおいては国内生産もまたその生産を抑制的に運営せざるを得ない、こういう事態でございます。こういう異常な事態が一刻も早く解消いたしまして、糸価安定制度が正常に機能をし、国内のユーザーにも十分な満足を与えながら養蚕経営も発展できる、こういう事態を速やかにつくりたいと念願いたしておるわけでございます。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産政務次官

○玉沢政府委員 いま局長が具体的な内容について申し上げたわけでございますが、まず何と申しましても事業団の在庫の解消、これは需要の拡大というものを目指して努力することが第一であると思うわけでございます。そのためには、外国からの輸入におきましても極力抑制に相努める、こういう方向で努力をいたします。また同時に、需要の動向に見合わせました生産対策につきましても十分万全を期して努力をしてまいりたいと存ずる次第であります。

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 阿部昭吾君。

阿部昭吾新自由クラブ・民主連合

○阿部(昭)委員 ちょうど農業基本法が実施をされて二十年超えたわけでありますが、あの当時選択的拡大生産であるということで畜産の部面に大いに力を入れ始めた。ある意味で考えると、わが国の農業生産の中における畜産というのは実際問題としては非常に後発の分野であると思います。そこで、農業基本法に選択的拡大生産、したがって畜産である、あるいは今度の水田利用再編、減反、こういう面からもこの畜産という問題に対して、生産現場の農村の皆さんに対して政策的にある意味では非常な奨励策をとってきた、こう私は認識をいたします。  私は、つい昨年の秋に北京で開かれましたアジア十八カ国の国連の人口会議に出てまいりましたが、その際に、インドの代表やバングラデシュの代表やタイランドの代表がこういうふうに言うのであります。いま、日本は主要な眼をアメリカに向けておる、あるいはECに向けておる。しかし問題は、先進国同士の葛藤からいずれこの第三世界と先進国の関係というのは非常に大きな問題になりつつある。そこでこの日本という国は、もうかるからといって工業部面に非常に力を入れる、そして食糧農産品のようなある意味では非常に利益に乏しいこういう分野はどんどん縮小再生産、したがって、少なくとも日本は先進国としてもっと食糧農産品の自給率を高める、こういう努力をすべきではないか。これらの開発途上国、第三世界という国々は、いずれもが膨大な人口増加となかなかそこに食糧農産品の生産が追いつかぬということで苦しんでおる国々であります。  そういう中で、いまアメリカとの関係では貿易摩擦が非常に激化をして、そして日本にさらにもっと農産品貿易を拡大しろということになってきておる。第三世界の皆さんはこの問題に対して、世界の農産品市場の価格つり上げの元凶は日本である、日本が工業輸出でべらぼうな金を持っておりますから、世界の穀物市場なり畜産品の市場なりをどんどん価格つり上げをやっておる張本人は日本である、そのことはひいては第三世界の飢餓と空腹に苦しんでおるこれらの諸国民に対して非常に大きな圧迫を与えてくる形になっておる、日本は先進国同士のやりとりのほかに、もっと第三世界に対して目を向けるべきではないか、こういう指摘がこの人口会議の際にございました。  そういう中で、先ほどの経済局長の答弁を聞いておりましても、現段階、与党を代表する江崎さんがこの問題にどういう立場で出かけておられるかはなかなか定かではありません。また今度の櫻内外相の訪米も、この問題にどのように立ち向かうのかは必ずしも定かではありません。一方、国内では、この二十年ぐらいの間に急速度に農業の体質を変えようではないか、複合経営をやろうではないか、したがって選択的拡大、畜産に大いに力を入れようじゃないかといってやってきた畜産が、現段階はもうどうにもならぬところに追い込まれつつございます。  こういう意味で、少なくともこの国会の中で論議を交わします場合、共通の認識を持つことができておるのかどうかということが非常に重要なように私は思うのであります。したがって、この根本的な問題に対するわが国農政当局の基本的な見解をぜひひとつ最初にお聞きしておきたいと思うのであります。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産政務次官

○玉沢政府委員 広範な問題でございますので、一つ一つお答えをいたしたいと思うわけでございます。  まず、日本が世界で最もたくさんの農産物を購入しているということは確かに事実でございます。しかし、単に日本だけが農産物を高騰させている原因であるかどうかという点につきましてはもっと検討する必要があるのではないかと思います。特に、開発途上国の例をいろいろ見てまいりますと、確かに人口が多い。ところが、戦後とってきた政策等を見てまいりますと、何としてでも後進国から先進国に仲間入りをするためには、経済政策として工業に重点を置くという傾向が非常に見られたのではないか。したがって、工業に力を入れた結果−農業というものは三十年、四十年しなければなかなか利益を生まないので、国の主要な投資というものを工業につぎ込んだ結果、結局、人口はふえたけれども農業の面における改善というものはほとんどなされなかった、したがって大変な飢餓状態に陥っているというそれぞれの国の経済事情もあるのではないかと思うわけでございます。  したがいまして、人口問題に対処するためには、それぞれの開発途上国が、工業の発展も同時に必要でありましょうが、何としてでも食糧生産というものに全力を挙げる、こういう姿勢が大事ではないかと思うわけでございますので、日本としましても、経済協力という面からあるいは技術協力という面からまいりますと、これらの国々が食糧を増産するという方向が最も好ましいわけでありますので、たとえば、農林省におきましては約二百八十人になんなんとする農業技術者が世界の国々に派遣をされておりまして、それぞれの地域の農業技術の向上あるいは経済協力に万全を期しておるわけでございます。また、今回の国会におきましては、農林省から提案をいたしておりますこの農用地開発公団の改正におきまして、もし御承認をいただきますならば、もっと効率のよい、つまり、海外の経済協力、農業技術協力にも効果のある政策をとることができるのではないかと考えておるわけでございます。  さて、この食料品における国際情勢の中におけるわが国の農業の位置というものをどういうふうにとらえるかという御質問であるかと思うわけでありますが、長期的に見てまいりますと、世界の人口は今後二十年間にわたりまして二十億人ふえようと言われておるわけであります。これに十二分な食糧というものを供給することができるかどうかという点におきましては、これはきわめて疑問視されておるわけでございます。したがいまして、食糧というものがきわめて限られた地域において生産をされる、同時に、この需給というものが将来逼迫をする、こういう点から見てまいりますと、日本の食糧というものは、日本の農民、漁民によって主要食料品というものは今後とも確保していく、生産をしていただく、こういう形でまず自給度というものを確保する。そして足りないものは外国から供給をしまして食糧政策というものを確立をする必要があるのではないか。同時にまた、食糧というものが将来国際間におきまして逼迫するという状況の中におきましては、食糧が外交政策あるいは安全保障上の問題に使われる可能性がある。こういう点も十二分に留意をしなければならぬと思いますので、食糧安全保障という観点からも今後、日本の食糧の生産というものは国内で確保するという道を講じなければならないのじゃないか、こういうふうに考えるわけでございます。

阿部昭吾新自由クラブ・民主連合

○阿部(昭)委員 そこで、総論としてはおおむね私どもとそんなに違わぬ言い方をなさると思うのであります。しかし、現状の日本の畜産農家、わが国の畜産農業というのは、比較的若い農村の皆さんが力を入れておる分野であります。この皆さんに、私の地域で言えば、複合経営で畜産をやろうではないか。政府及び行政側の判断としては、私の地域では養豚をやるように。したがって、農基法の始まった時代には四万頭程度しか——小さな限られた二市三郡の地域でありますけれども、日本の米どころの庄内であります。その養豚だけをとってみても、いまや二十八万頭になりました。大変な努力をしてそこまで広げてきたのであります。いま、これらの皆さんが借金でどうにも首が回らぬという状態に追い込まれておる。私の見るところ、畜産農業に携わっておる皆さんは農村の最も優秀な人たちであります。農村である意味では新しいエネルギーを持っておる人々なのであります。この皆さんが、複合経営で畜産をやりなさい、あるいは水田再編、減反をやらねばならぬ、したがって畜産の分野を広げなさいというので全力を挙げてきました。これがなかなか思うようにならない。  したがって、私のお伺いしたいのは、畜産価格安定法というのがある。この安定法が定めておる法の精神というものが、実際の運営の面で生かされておるのであろうかという疑問を常に持ちます。局長にちょっと伺いたいのでありますが、この一年間に安定価格を割りましたという状態はどの程度起こっておったか。そういう実際的な問題をどういうふうにとらえておられたか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 いま、安定価格帯で操作といいますか価格安定を図っておりますのは、和牛とそれからその他の乳雄、それと豚でございます。安定価格水準を割りましたのは、豚につきまして月をとりましても十月に水準を割ったということが一回あっただけでございます。

阿部昭吾新自由クラブ・民主連合

○阿部(昭)委員 割ったときにどうされましたか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 割りましたときにいろいろ農業団体から、たとえば事業団が買い付けをしたらどうかというような御要請もありました。私ども過去における、特に豚が安定水準を割りましたときのいろいろな事態を調べてみたわけでございますが、構造的にどうしても供給が多いという事態の場合は、やはり買い増して調整保管するという必要があったかと思います。  昨年の十月の場合は、年度の前半に、十月までの間に輸入が急増いたしまして、前半だけで言いますと六割も輸入がよけい入った。輸入量が多かったわけでございます。これは多分に安定価格帯が上がるのではないかということから、思惑輸入がされたという事情もございましたので、私どもはまずコントロールすべきは輸入の量ではないかな。これについては役所が強制するというわけにはいきませんけれども、生産者も輸入業者もあるいはこれを使っておりますハム・ソーセージ・メーカーといったものも、こういう形の輸入をやっておくことはやはりまずいということをお互いに認めまして、実は六月ごろから、十月に割ったわけでございますが、輸入がどうも多いという感じはもっと早くからいたしておりました。六月以降毎月一回ぐらいのテンポでそういう話し合いを行っておりまして、実は十月に割った時点においてはそういう事柄に関する関係者の認識がほぼ整っておりましたので、輸入を契約したものを入れないというわけにはいきませんが、先に延ばすとかいろいろな形でやっていただいたわけでございます。したがいまして、そういう輸入の調整がようやく功を奏しまして十一月、十二月と復元をしてまいりまして、現時点では中心価格にむしろ近づいてきているという状況でございます。

阿部昭吾新自由クラブ・民主連合

○阿部(昭)委員 そこで、生産地における第一線の畜産農家がどういうふうに見ておるか。値段が上がりそうなときは事業団は手持ちのものをばっと放出をする、そして安定価格を割ったときは対応は非常に遅い、こういう見方を生産現場の皆さんは、われわれもそうでありますが、するのであります。したがって、価格が落ち込むときに対応する対応は最も機敏でないと、あの安定価格というのは、私は正直言ってぎりぎりのものだろうと思うのであります。したがって、価格が少し張りそうだぞというときには、この価格を抑えるのに事業団は非常に機敏に対応する、しかし割ったときは対応がずるずるで非常に鈍い、これが生産現場の不満であります。この不満に局長はどういうふうに答弁をなさるか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 いま、豚の例で申しますと、最近はほとんど事業団は豚を持っておりませんから、放出というような声がないわけでございまして、かなり昔の話ではなかろうかと思います。  牛肉を含めまして申し上げますと、実は豚肉が昨年十月ごろ低落しておりまして大変困っておりました時点に、和牛の価格が上位価格を超える、これは逆に、消費者サイドから言えば輸入肉をもっと放出して冷ましてほしいという要望が出る時点がちょうど重なりました。私ども操作に大変苦労をいたしまして、輸入牛肉をよけい放出すると和牛の価格も下がる可能性はあると同時に、最も競合する乳雄の価格も下がってくる。乳雄の価格が下がってきますと、それと豚肉の価格もやはり関連いたしますから、そういうことになるということを大変おそれまして、実は豚肉の方の輸入調整をやりながらも、乳雄が若干その水準を上回っておりましたけれども、むしろそういう輸入肉をぶつけるということはその時点ではやりにくかったわけでございます。  豚肉が若干回復しました後におきまして、特に園価格が年末に向かって高いという御批判もありましたし、相当のものを事業団が在庫しておるということもございまして、事業団の在庫を若干従来の価格よりも安く放出して、価格を冷ますような効果も持たしたことはございますけれども、そういうぐあいに上へ行った場合でもいろいろ御批判があると同時に、下へ行った場合にも問題があるということで、いま申しました牛肉、牛肉の中でも和牛それから乳雄、さらに豚の価格をかなり神経質にと申しますか、そういうことを見ながら実は操作をしているわけでございます。

阿部昭吾新自由クラブ・民主連合

○阿部(昭)委員 そこで、先ほども御指摘がございましたが、飼料の問題で飼料用稲、僕はえさ米という言葉は使わないのであります。飼料用稲の問題で、いま多収穫品種の育成に関する試験研究を行っておる。確かにそのとおりであります。その際に、農林省内部では畜産局が大変反対であった。技術研究の側が非常に熱心で、畜産局の側が大変反対であった、こういうふうに私はあちこち情報をとりましたから聞いておるのですが、どういう認識をされておるのか、お伺いをしたい。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 どの局が賛成でどの局が反対とはなかなか申し上げられないと申しますか、それは人によりましていろいろな御意見がある方があることは事実でございます。非常に具体的な立場で申しますと、たとえば、先ほど私がちょっと申しましたえさ麦というのは、これは何も試験研究ではなくて、現に制度としてやっているわけでございます。これから麦もいろいろ増産をしてまいりますと、特に大麦の世界では食用の用途というのはだんだん限られておりますので、大麦等についてはぜひえさでもう少し使ってもらえないか。麦をつくる立場の方からいいますと、食管へ食用に売れば十数万円になるではないかと言う。えさを使う畜産農家の立場だと、そんなもの使わなくても外国の輸入麦は三万数千円から四万円出せば買えるじゃないかと言う。こういう畜産農家とそれから耕種農家の間に、お互いに自分の立場から考えるとなかなか相入れないところがある。その差額を全部財政で負担しろと言われれば、これはどんなに金があっても足らぬことになるものですから、そういう意味で、一般論として申しますと、えさを使う立場の畜産農家は、これは畜産局というよりも畜産農家といいましょうか、そういう立場は極力安いえさを購入をしたい。これはもっと具体的に言いますれば、同じ牛を飼っていながら、脱脂粉乳はなるべく高く買ってくれという話と、自分がえさに使う脱脂粉乳は安いほどいいという相矛盾した話があるのと同じことでございます。ただ私は、こういう議論は百遍やっておりましても事柄が前進しないわけでございます。したがいまして、事柄を前進させようと思えば、耕種農家とすればどこまでがまんした価格で生産ができるか、それからえさを使う立場としますれば、どういう価格水準なら国内産を使えるかということで、双方歩み寄らなければいかぬわけでございます。その歩み寄りの手段が、生産サイドから言うと、単収をどんどん向上させてくることだろうと思います。  それからもう一つ、たとえば価格差みたいな問題は、自分がつくって自分が使うときは余り問題がないわけでございますから、そういう生産集団同士でお互いにメリットがあるようなことをすれば、余り問題は、問題はあるのですが、問題は徐々に縮まる。たとえば作物生産集団と畜産集団があって、えさはそういう形で供給してもらいますが、たとえば、堆厩肥みたいなものは畑へ返すとか、そういうことをじみちにやりませんと、これは断然賛成という人と絶対反対という人が両側にいて事柄が進歩しない。そのあたりをいま試験研究で多収穫も進めておりますし、それから、たとえば麦の世界にありますように、生産集団の中の一種の共補償的といいますか、お互いに金を出し合ってどこまでがまんできるか、そういうことを詰めていくのがこのえさ穀物問題の前進のゆえんではないかと思っております。

阿部昭吾新自由クラブ・民主連合

○阿部(昭)委員 いまの局長の御答弁をお聞きいたしましても、どうも飼料用稲は余り熱心じゃないという感じがいたします。なるほど、農林省の方々に聞きますと、畜産局はどうも賛成じゃない、反対論が強かった、逆に技術研究の側は大変熱心であったというのは、やはりそうだったんだなという感じを私は深くするのでありますけれども、それはそれとして、水田利用再編という問題が、仮に、いまの六十四万から、去年おととしの冷害で今後の進路は大変安易に見ることは許されない段階に来ておると私は思いますけれども、この六十四万という現状の第二期の、いま、冷害でわずか引いておりますけれども、これを型どおりやった段階でも、これが果樹なりあるいは野菜物なりに転換をいたしますれば、その分野は市場が全部パンクすると私は思います。そうするとやはりわが国の輸入は麦であり、大豆であり、飼料穀物であり、したがって、その分野への転換がなければ全体としては組み合っていかないだろうと思うのであります。そういたしますと、少なくともいまの減反面積の半分くらいは、なかなか水田から水田以外のものにかわれと言っても、今日のいわば水田をほかのものに転換をすると言っても、そう一挙にはまいりません。したがって、水田のままで利用するとすれば、飼料用の水稲というのは直ちに生きるものであります。技術研究はまだいろいろな意味で、私どものところでも試験栽培を方々で実施をしておる。その中では相当多収の品種等もいろいろ開発されつつあります。確かに、脱粒が非常にひどい。したがって脱粒の少ない部分を選別しながらいろいろな努力をやっておるわけでございます。これで表をとる。比較的秋の刈り入れの早い品種もございます。その裏を全部緑まで、裏というのは水田といえども隣接のたんぼは水を引いておらない時期であります。したがって、これは当然裏作でえさ用の麦などは十分にやれる。緑までいくと、表作と時間的にかみ合ってこない。しかしながら、先ほどお話しのように、裏作麦も緑までいかないでとるという方法は可能であります。これを組み合わして畜産と生産地において結合させたならばどのような状況が出るか。その場合も、今日の一般的な転換の奨励金ほど出さなくとも、ある一定年限、そういうローテーションで立体的に組み立てながら持っていったならば、現地でやはり飼料をも表裏いろいろやりながら、この畜産の組み立てをどのようにできるかという観点も、相当の可能性というものを追求することができると私は思っております。そういう点に対してどうも農林省の方は非常におっかなびっくりで、畜産局長の側が、いまの御答弁でも、飼料用水稲の問題については何か少し距離を持っておるなという感じが私はするのであります。いま、現場の体制はなかなかきついわけでありますから、若干私の主観が強いのかわかりませんけれども、やはりそういう意味の新しい分野を相当追求していかないといけない時期なのではないかと私は思います。  時間がございませんので、いま、とにかく現場における畜産農家というのは大変であります。この畜産農家に現状の段階でもいろいろな借金対策、負債対策等もございます。しかし、いま予定されておるような枠組みの程度のものでは、恐らく私の地域などでは、優秀な若い一番すぐれた連中が立ち向かっておりますこの畜産農業が本当に根底からまいってしまう、こういう状況にあります。したがって、従来の枠組みと、この今日の危機、非常に困難な状況にあるこの局面に対して、やはり新しいてこ入れ策がなければ、このピンチは乗り切ることができないと私は見ておるわけであります。そういう意味で従来の、いまピンチに陥っておる畜産農家に対する借金対策、農林水産省はどういうふうに考えておられるのかお聞きしてみたいのであります。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 素畜価格とかあるいは飼料価格が生産者に不利な条件が重なった時期がちょっと続いておりますので、先ほども申しましたような肉牛の生産農家についても、一般的に交易条件の悪い条件が続いた。養豚につきましては、率直に申しますと、五十五年度より五十六年度は条件がよかったはずでございますが、これとて、先ほども申しますように個別の優劣格差はついてきているのではないか。そういうものについて、昨年にやりましたような酪農の負債整理のような、あれと同じようなことをしてもらったらどうかというお声もあるのですが、酪農の場合は、御承知のように非常に長期の性質の資金回転、これは牛自身だって何年も使うわけでございますが、それから施設投資が比較的多いのですが、肉牛、養豚とも施設投資の相対的比率は小さいとか、負債の中身が素畜費とかえさ代というようなもので、余り超長期の資金に借りかえること自身にいろいろ問題がある資金だとかそういう差はございます。そういう差はございますが、やはりここで何らかの意味での資金的な諸施策があれば、むしろ回転が順になるということであれば、これはやはり施策の一つとして考えるべきではなかろうかと思っております。ただ酪農の場合は、各県を通じましてかなり詳細な資料を持っておりましたので、単に安い金が来たら乗りかえるという甘いことだけには使えないというあれがあったわけでございますが、肉牛、養豚のお話は、個別の事案とか感じの問題としては実はわかるのでございますが、そういう行政庁も含めた意味での比較的がっちりした調査ではございませんので、そのあたりの調査も進めながら、真にそういう資金の乗りかえが生産拡大のためにプラスになるというものがあれば、そういう施策について検討してみたいと思っております。

阿部昭吾新自由クラブ・民主連合

○阿部(昭)委員 私などは生産地の生の感覚、状況の上に立っております。どうも局長の考えておる感じ方が相当違うのじゃないかと思うのです。たとえば、冒頭申し上げましたように畜産農業に立ち向かっておる皆さんというのは、農村でも最もすぐれた皆さんであります。いま私どもの方の地域をずいぶんと調査してみました。その中では、いままで音を上げたことのない連中が音を上げておるのであります。やり方がまずいとかいろいろ問題があってだめになったというのじゃなくて、全体として、本当にいままで弱音など吐いたことのない連中が、今回は、このままではやっていけないという状況になってきておる。したがって、何かいまの御答弁の中ではやり方がまずかったとか、そういうところから脱落する者が出てきつつあるのではないかという判断は私とは相当違うように思うのですが、全般的にきついのです。いままで一遍も弱音を吐いたことのない連中がどうにもならぬと言い始めておるのです。そこの認識が大変違うのです。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 私どもも単に机の上の数字ということだけじゃございませんで、農業団体の方々とかいろいろ接触いたしまして事情も伺っております。私の言い方が少し持って回った言い方をしているのかもしれませんが、たとえば、養豚経営で申しますと、危機的なのはむしろ五十五年の方が数字が悪く出ているわけでございます。五十六年はそれを取り返してきている、そういう違いがございます。私が申し上げたいのは、こういう肉畜経営は特にそうでございますが、大半は素畜価格とえさの関係が順に出るか逆に出るかということで決まってしまう性質を持っております。そういう意味で、端的に言いますと一年一年でプラスとかマイナスとかというよりももう少しならして考えませんと、いいときはいいという話で済むのですが、悪いときは悪いときだけのトーンが出てくる。そういうことで、御承知でございましょうが、平均払いというようなこともやりまして、いいときは少し貯金をして悪いときにつなぐということもやったわけでございます。  私は、基本的に先生のおっしゃっていることと違っていることを申しておるつもりではございませんが、そういう意味で、特に、負債整理資金の場合は条件がよければみんな一斉に乗りかえるということになりますと、たとえば、系統が売りましたえさ代を一括取ってしまうとかということにもなりますので、農協経営のあり方の問題等も絡めて、やはりある程度慎重は期さなければいかぬのではないかということを申し上げておるわけでございます。

阿部昭吾新自由クラブ・民主連合

○阿部(昭)委員 もう一つ、農林省は数年前に稲作転換畜産事業というものを始められた。これがいま、数年たっておるわけでありますが、全国的な流れではどのように推移をしておるか、大枠についてお聞きしたい。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 飼料作物の生産をやっておる事業でございまして、五十六年で申しますと十七万二千ヘクタールがこの事業によって飼料作物の生産を行っております。

阿部昭吾新自由クラブ・民主連合

○阿部(昭)委員 今後の計画はどうですか。

石川弘農林水産省畜産局長

○石川(弘)政府委員 六十五年見通しの線では、それは二十四万ヘクタール程度というものを想定いたしております。

阿部昭吾新自由クラブ・民主連合

○阿部(昭)委員 最後に、次官にお尋ねをしたいのでありますが、どうも畜産に対する農林水産省の考え方は、厳しい局面の中で抵抗力をみずからもつけろ、したがって、その厳しさの中である程度の淘汰や整理があるのはあたりまえだ、こういうことを考えておるのではないかと思われてならないのであります。私がさっき申し上げましたように、畜産というのは農業の中で後発の分野であります。そこへ立ち向かっておる皆さんは、農村の最も若い、新しい、農業の未来に希望を持っておる人たちであります。この皆さんは、たとえば今度の価格決定に対しても、いま状況は厳しいわけですから、いままでにない大変な注目をして、政府はわれわれ農村の、ある意味で言えば新しい、次を担うであろう人たち、この分野に対して一体どういう基本的な立場をとってくれるのであろうかというふうに思っておる。この数日間、畜産問題に論議が集中したわけでありますが、どうも何とかこの現状をずるずるっと乗り切っていこうという態度ではないかと思われてならないのであります。農村で最も若い、新しいエネルギーを持ったこの皆さんが音を上げるときは、農村全体がだめになるときであります。そういう意味で農林省は、この際基本的な決意を固めた対応の仕方をしてもらいたいと私は思うのであります。ぜひひとつその所信を聞いておきたいと思います。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産政務次官

○玉沢政府委員 非常に厳しい情勢の中にあるわけでございますが、長期的に見ますと、日本の農業、畜産業、これはどうしても確保して発展をさせなければならぬと考えておるわけでございます。したがいまして、国際化の波あるいは国内のいろいろな批判というものに対しまして十分理解を深めながら、同時にまた、現在の厳しい状況を乗り切るための諸施策に万全を期して努力をしてまいりたい、こういうふうに考えます。

阿部昭吾新自由クラブ・民主連合

○阿部(昭)委員 終わります。      ————◇—————

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 この際、渡辺省一君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合の共同提案による畜産物価格等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。新盛辰雄君。

新盛辰雄日本社会党

○新盛委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合を代表して、畜産物価格等に関する件についての決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     畜産物価格等に関する件(案)   政府は、当面する昭和五十七年度加工原料乳保証価格及び豚肉、牛肉の安定基準価格等の決定並びに畜産行政の運営に当たっては、左記の事項の実現に努め、酪農・畜産経営の維持とその安定的発展に万遺憾なきを期すべきである。       記  一 加工原料乳保証価格については、昭和五十二年以来据え置かれている実情、また生産者の三カ年にわたる生産調整の経緯及び経営費の動向等を考慮し、生乳の再生産を確保することを旨とし適正な水準で決定すること。  二 昭和五十七年度の加工原料乳限度数量は、最近における牛乳・乳製品の需給事情等を勘案し、適正に決定すること。    また、乳製品の需給及び市況に配慮しつつ、畜産振興事業団の乳製品在庫の解消に努めること。  三 豚肉、牛肉の安定基準価格等については、再生産を確保することを旨として適正な水準で決定すること。  四 酪農家に対する固定化負債の解消を図るための措置を引き続き実施するとともに、肉畜農家に対しても、実情調査の上、適切な経営安定対策を講ずること。  五 飲用乳については、秩序ある取引と適正な価格形成が図られる体制の整備とあわせ、積極的な消費拡大を図ること。    また、国産乳製品の開発、普及に努めること。  六 牛肉をはじめ畜産物の自由化及び輸入拡大要請に対しては、国内生産に悪影響を与えることのないよう慎重に措置すること。    また、調整食用脂等偽装乳製品の輸入については、引き続き実効ある抑制に努めること。  七 食肉流通の合理化を図るため、産地食肉センターの充実等を一層促進するほか、産直方式の促進、部分肉センターの有効活用、食肉小売価格の適正化のための施策を充実すること。  八 飼料の安定的供給を図るため、配合飼料価格安定基金制度及び備蓄制度の充実を図ること。  九 最近の畜産業を取り巻く厳しい経営環境に対処し、生産性の向上等経営体質の強化を図るための各種施策を充実すること。  十 飼料の国内自給度の向上を図るため、未利用山林原野等の畜産的利用と草地造成の促進を図る各種施策を充実すること。    また、水田利用再編対策等に関連して、粗飼料の生産増強とその有効利用を図る体制を整備するとともに、飼料用稲の実用化のための試験・研究を一層促進すること。   右決議する。 以上でありますが、決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じ、委員各位の十分御承知のところでありますので、これを省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願いをいたします。  以上です。(拍手)

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議に対し、別に発言の申し出もありませんので、直ちに採決をいたします。  渡辺省一君外五名提出の動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 起立総員。よって、本動議のごとく決しました。      ————◇—————

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 次に、亀井善之君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合の共同提案による蚕糸業の振興に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。竹内猛君。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合を代表して、蚕糸業の振興に関する件についての決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     蚕糸業の振興に関する件(案)   最近のわが国蚕糸業は、国内における絹需要の大幅減退、海外からの生糸・絹製品輸入等を背景として、蚕糸砂糖類価格安定事業団の生糸在庫が膨大化する等極めて厳しい事態に直面している。   よつて政府は、繭糸価格安定制度を堅持しつつ、昭和五十七年度の基準糸価等の決定に当たつては、左記事項の実現に努め、伝統的民族産業である蚕糸業の安定的発展に遺憾なきを期すべきである。       記  一 養蚕農家等の経営状況を踏まえ、再生産可能な繭糸価格の実現に努めること。  二 生糸及び絹織物等の輸入については、事業団による生糸の一元輸入措置をはじめ、絹織物等に係る輸入調整措置を継続実施するとともに、輸入数量の適正化に努めること。  三 絹需要の拡大を図るため、洋装分野への一層の進出と新規用途の開発に対する事業団在庫糸の活用等実践的な対策を更に検討し、併せて絹製品に至るまでの流通の合理化を促進すること。  四 六十五年長期見通しに沿った生産性の高い養蚕経営を確立するため、生産団地の育成、土地基盤の整備等実効ある生産対策を総合的に実施すること。   右決議する。 以上でありますが、決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて、委員各位の十分御承知のところでありますので、これを省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願いいたします。  以上です。(拍手)

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議に対し、別に発言の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  亀井善之君外五名提出の動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 起立総員。よって、本動議のごとく決しました。  この際、ただいまの両決議について、政府から発言を求められておりますので、これを許します。田澤農林水産大臣。

田澤吉郎自由民主党農林水産大臣

○田澤国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従い、最近のわが国畜産業及び蚕糸業をめぐる厳しい情勢を踏まえつつ、十分検討いたしてまいる所存でございます。     —————————————

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 なお、ただいまの両決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  砂糖の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、明二十四日水曜日、参考人の出頭を求め、その意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

羽田孜自由民主党

○羽田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、明二十四日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時九分散会      ————◇—————

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