農林水産委員会 第7号
- 発言数
- 293 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1982/03/18
会議録
○羽田委員長 これより会議を開きます。 松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。保利耕輔君。
○保利委員 きのうから松くい虫防除特別措置法の一部改正案について審議をしていただいているわけでございますが、松は古くから日本人に大変親しまれておることは再三言われておるところであります。私もいろいろな絵巻物を見る機会がございますが、古くからきれいな松が描かれている絵がありますし、また各地の地名とか姓名にもかなり松という字が入っているのは御存じだと思います。 ところで、近年松の被害が非常にふえてまいりまして、松枯れが全国的に広がっていることは御承知のとおりでございます。特に、昭和五十三年以降毎年二百万立米を超える松が被害に遭っています。二百万立米というのは、私は専門家ではないので、実はどのぐらいの量かというのが余りよくわからなかったわけでありますが、いろいろ調べてみますと、松材の需要が年間大体四百万立米ぐらい、昭和五十五年の需要で四百二十一万立米というのが資料に出ております。こうやって見てまいりますと、二百万立米という量は大変莫大な量だということが感じられるわけでございます。二百万立米と四百二十一万立米とをそのまま直接比較することはできませんが、二百万というのは丸太に直して大体百八十万立米ぐらいになるのではないか、それにしてもえらい量の松が枯れているものだということを考えるわけでございます。松といえば森林資源の重要な一部でございますが、この松材の森林資源としての位置づけあるいは松くい虫対策に対する基本的なお心構えをまずお聞かせいただきたいと存じます。
○秋山政府委員 先生ただいま御指摘のとおり、わが国の木材生産に占めますところの松の生産量は四百二十万立米でございまして、国産材全体の約一二%を占めておりまして、杉に次ぐ重要な生産樹種であるわけでございます。さらに、松林につきましては保安林等に相当ございまして、防風とかあるいは飛砂防止、土砂扞止というふうな国土の保全の面でも大変大きな役割りを果たしておりますし、さらには風致景観の面におきましても生活に大変潤いを与えておるわけでありまして、私どもはきわめて重要なものであると認識しておるわけであります。 このように森林資源として大変重要な松に対し最近特に被害が異常発生しているわけでございまして、資源政策上もきわめてゆゆしい事態でございます。したがいまして、私どもは、今後防除を一層強化いたしまして、この森林の持っておりますいろいろな機能を確保するためにあらゆる手だてを講じて対処してまいりたい、かように考えているところであります。
○保利委員 農林水産省でおつくりになりました「松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律案参考資料」の七ページの表によりますと、昭和五十三年に被害が急増しているということが一目瞭然わかるわけでございます。そして、この表には出ておりませんが、この内訳を別の資料で見てまいりますと、茨城県において五十二年に二万六千五百立方メートルのものが、五十三年には七十四万二千立方メートルと二十八倍という大きな被害が出ているわけでございます。これはきのう来いろいろ議論されているところでございますが、再度お尋ねいたしますが、どうして五十三年にこのように爆発的な被害が茨城県に集中的に出たのかということについて御説明いただきたいのと同時に、五十四年にも同じような傾向が見られますが、五十五年に入って急減しておる。五十五年の数字は三十九万四千立米と急に下がっている。その理由等についても御説明いただきたいと存じます。
○秋山政府委員 お答えいたします。 茨城県におきましては、先生ただいま御指摘のとおり五十二年に二万七千立米でございましたのが五十三年に爆発的に上昇いたしまして、全国の民有の被害量の三八%に相当します七十四万二千立米の被害がございまして、前年の被害量に対しまして二十八倍という非常に爆発的な被害になったわけであります。茨城県におきましては、昭和四十六年に水戸市周辺に材線虫が確認されまして、徐々に拡大してきたわけでございますが、比較的寒冷地に近いために、いままでこのような激甚の被害が出るとは予想されなかったわけでございます。 五十三年の六月から九月にかけまして、水戸の気象台開設以来の高温少雨というふうな異常気象でございまして、このときの、六月から八月までの平均気温が例年を二・二度も上回るとか、雨量が平均の九十九ミリも少ない、そういう異常気象に見舞われたことが第一点でございます。これによりまして材線虫が大変活発な増殖をしたということが一つの原因であります。それからもう一つ、松林が平地に連続的に分布しておるわけでございますが、土壌が比較的乾性土壌でございまして、雨量が不足しますと松の抵抗力が弱るという面がございまして、これがやはりそれに輪をかけたということであります。もう一つは、この松林が、先般の現地視察でもおわかりのとおり、農耕地に錯綜しておりまして、薬剤散布の実施が非常に困難であったという面もございます。それにもう一つは、従来、被害が比較的軽微でございました関係上、防除体制も十分整備されていなかったというようなこともございまして、爆発的に増加したわけでございます。 したがいまして、五十一年、五十二年当時は、特別防除につきましても二千ヘクタール程度の防除しかできなかったわけでありますが、その後、防除体制も整備され、特別防除につきましても積極的にやり、さらには伐倒駆除も鋭意努力した結果、最近は被害が減少してまいった、こういう実情になっております。
○保利委員 いま長官御説明のとおりだと思いますが、先日、私どもも茨城県に行ってまいりまして、筑波山ろくの様子を目の当たりに見せていただいたわけでございますが、空中散布をしたところと空中散布をしていないとごろというのは一目瞭然にわかるような形でわれわれは観察することができたわけでございます。 そこで、昨日来、空中散布に対するいろいろな疑問が呈せられておりますけれども、私は、空中散布というものが非常に効果があるのだという例を一つ大臣にもぜひ聞いていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。 私のところは、佐賀県という九州の玄海灘に面したところでございますが、ここに、松が百万本植わっております通称虹ノ松原と申している松原がございます。これが、昭和四十七年ごろ松くい虫の被害に大変にやられまして、二千本近くの松がばたばたと倒れてしまう、茶色くなってしまうという事態が発生いたしました。一方、昭和四十八年から空中散布を始めまして、昭和四十七年に千九百十七本という松がやられておったわけでございますが、昭和四十八年、空中散布を始めた年には、すでに六百七十九本というふうに被害が減っております。そして、ずっと続けてまいりましたが、昭和五十五年には、何とわずか二十九本の被害しか見られない。ほとんど終息に近づいたというような効果を上げているわけでございます。 同時に、この虹ノ松原だけではなくて、周辺地区も非常に減少してまいりまして、県別の被害統計がございますが、それをごらんいただきましても、佐賀県においてはけた外れといいますか、けたが一段も二段も低くなっているわけでございます。四百年の伝統のあります虹ノ松原、防風林、防潮林としての機能を果たしてきた虹ノ松原を守ろうという地元の人たちの意思が結実したということもありまして、御協力を大変にいただいたわけでございます。そして、空中散布そのものについても、これを実施いたします方々が大変に注意を払ってやっておる。 ちょっと申し上げますと、六月、ちょうどマツノマダラカミキリが活動を開始いたしますころ、二回にわたって、しかも早朝、朝の風が全くとまったときに、煙をどこかで上げながら、その風の様子を見ながら、そして地元の御協力をいただいて、小鳥でありますとかミツバチでありますとか、あるいは養魚場などにシートをかぶせたり、あるいは、できるものは避難をさせる等の御協力をいただきながらこういうことをやっているわけでございます。そして、この被害を食いとめた。また、もう一つ申し上げれば、もし松くい虫を蔓延させることによってこの松原が枯れてしまったら、その背後にありますところのたんぼでありますとか畑でありますとかに対する塩の被害というものを大変に受けるであろうという地元の心配、その心配が御協力となって実りまして、そして、注意深い散布とが相まってこのような成果を上げたものだと私は思っておるわけでございます。 さらに、ちょっとつけ加えさせていただきますと、現在のやり方では、松林の上わずか十五メートルのところまでヘリコプターがおりてまいりまして、非常に低いところから薬を散布いたします。スミチオンというのはいまはまいておりませんで、セビモールという薬をまいておるそうでございます。しかも、松林の境界からわずか十メートル離れたところに点々と試験紙を置きまして、そこに薬剤がかかるか、かからないかという試験をやりながら、注意をしてやっておるということでございます。 〔委員長退席、加藤(紘)委員長代理着席〕 こういう注意を十分に払った散布の仕方、そしてまた住民の御協力、そういったものによってこの松くい虫の被害がところによってはこんなに食いとめられているのだという例がありますので、時間をかけて御紹介を申し上げたわけでございます。 空中散布は注意してやれば大丈夫なんだ、そして地元に対して十分な説明をし、御協力を受けることによってこれはうまくいくのだということでございます。したがって、空中散布をこれからやっていくということについては地元に対する説明が必要だと思うわけでございますが、そういった説明あるいは御協力の得方について林野庁はどのようにお考えになっていらっしゃるか、御所見を賜りたいと思います。
○秋山政府委員 ただいま虹ノ松原を例に挙げられまして、この対策につきましての、また特別防除の成果につきましてお話を承ったわけでございます。 昭和四十一年に虹ノ松原の保護対策協議会ができまして以来、この防除活動につきましては、地元の皆さんが非常に積極的に協力してこれを進めてこられてまいりまして、現在りっぱにこの虹ノ松原が保護されているということであります。そこで私ども、今後とも、特別防除を適正に実施していくというためには、この特別防除と地上散布を実施する府県におきまして、市町村長を含めた地元関係者と松くい虫防除推進連絡協議会をまず開催しまして、十分その意思の疎通を図るということ。それからさらに、特別防除を実施するに当たりましては、事前に地区の説明会を開催するとか、あるいはパンフレットを配布するとか、あるいは有線放送をするとか、いろいろな方法で地域の住民の方々、利害関係者の方々に周知徹底を図っていただく、御理解をいただくというふうにお願いしてまいっておるところでございますが、何と申しましても、松はあらゆる面できわめて重要な森林資源でございますので、この防除の円滑な推進を図ってまいりたい、かように考えておるところであります。 なお、今度の法案におきましてもさらに地区の実施計画ということをつくるわけでございますが、この場合におきましてもやはり地元における連絡協議会というものを設置するように指導してまいりまして、万全の体制をとりながら円滑に推進してまいりたい、かように考えているところであります。
○保利委員 万全の対策を講じつつ、空中散布によってできるところはできるだけ早くこの松食い虫の被害をとめていただきたいものだと、私は念願をしておるわけでございます。 次に、先日農林水産委員会といたしまして茨城県の林業試験場へ参りまして松食い虫の実態というものを顕微鏡等を使って見せていただいて、私も初めて見まして相当なショックを受けたわけでございます。ああいう気持ちの悪いものはいなくなってほしいと思うわけであります。 このマツノザイセンチュウのもたらすところの松枯れ病の被害は大変なものでございますが、このマツノザイセンチュウが入ることによって、なぜあんなに大きな松がばたばたと倒れてしまうのか、枯れてしまうのかというメカニズムの解明については、もう一歩突き進んでやっていただかなければならないところがあるんじゃないかと思うわけです。あんな小さな、米粒の半分もないような虫が入って、樹齢三十年、五十年というような大きな木が枯れてしまうというのは、何か素人考えでもよくわからない。一説によると、マツノザイセンチュウが特殊な酵素を出しているから、その酵素によってあれだけの大きな松がやられてしまうのだとか、あるいは特殊な毒を出しているんだというようないろいろな説があるようでございます。したがいまして、ここら辺をよく解明することによって、さらに一段と高度な対策がとられるようになるのじゃないかと思うわけであります。もし、特殊な酵素を出しておって、それで松がやられるということであれば、それを中和させるような薬剤の開発ということも行われますでしょうし、また、さらに適切ないろいろな手法というものが開発されていくだろうと思うわけであります。 こういった問題について、将来どういうふうな方向で研究をしていかれるか、現在やっておられるかというようなことについて御説明いただきたいと思います。
○秋山政府委員 マツノザイセンチュウの樹体内での発病機構ということにつきましては、まだなかなか解明できない面も実はございまして、現在、特に生理化学的な変化の面が非常に未解明の部分があるわけでございます。 そこで、昭和五十六年度からでございますが、四カ年計画の特別研究といたしまして松枯損防止に関する新防除技術開発のための発病機構の解明という問題に取り組んで、現在、発病に影響するところの生理化学的な要因だとか、それから、先生いま御指摘のように、毒性物質がどうやって生成されるかという機構あるいは毒性物質の特性とか、さらには毒性物質が生成されるのをどうやって制御したらいいのかということを中心に解明に努力しているわけでございます。やはりこういう問題が早期に解明されませんと徹底した防除体制ができませんので、鋭意有効な手段を開発するための前提としまして、これらの問題に取り組んでいるところでございます。
○保利委員 大変に大事な問題でございますし、今後とも大臣におかれましてもこの方面にも関心をお持ちいただいて、予算等十分配慮していただくようにお願いを申し上げたいと思うわけであります。 ついで、いまの枯れた松を、なかなかお金がないとか労力がないとかということでそのまま放置をしておくということは、いわば、松食い虫を飼っているあるいは増殖をさせているというようなことに匹敵をするわけでございますから、これを退治をしないといけないんだということのPRをもうちょっと強くやっていかなければいけないんじゃないかという感じがいたします。 さらにまた、枯れたままの松を放置しておるということは、いわば病気になったものをそのままほったらかしてさらに蔓延させるもとをつくるということでございますから、これの伐倒駆除というものがどんなに大事かということを一般の人々に説明をすることが本当に必要じゃないかと思うのです。松がどうして枯れちゃうんだろうねと普通の人に聞きましても、そのからくりを知っている人というのはほとんどおりません。倒さなければどういうことになるんだということについて知っている方も、一般の国民の方はほとんどいらっしゃらないわけです。こうなんだというそのからくり、あるいはその対策等について十分PRすることが必要だと思います。そしてまた、この伐倒駆除を推進するということが本法案の一つの大きな目的でもあろうかと思います。こういったほとんど松というものに対して見向きもしない方々に対して、関心を呼び起こすという意味で、どういうふうな心構えでPRをされていかれるか、その辺についてちょっと御意見をお聞かせいただければありがたいと思います。
○秋山政府委員 これまでもこの松食い虫の防除の重要性につきましては私どもなりに努力をしてまいったつもりでございますが、ただいま先生御指摘のとおり、まだその原因、それからどういう形で枯れるかというふうなことにつきまして、必ずしも十分ではないというふうに私どもも反省をしているところでございます。したがいまして、今度新しい法案が審議されるのを契機にいたしまして、やはり松食い虫の被害の出ている地域につきましては、地域への説明会あるいはパンフレット、さらにはいろいろの審議会等を通じ、場合によりましては冊子等も配るというようないろいろの方法をとりまして、正しい松食い虫の防除への理解とこれに対する協力体制をつくっていただくようにさらに一層の努力をしなければならない、かように考えておるところでございます。
○保利委員 日本人の心の中にあります松に対する郷愁といいますか、そういうものはどなたの心にもあると思うのです。特に海岸に植わっております松というのは、そういう情緒的な問題だけではなくて、本当に農業を守っていく、大事な防風、防潮の役目を果たしているということを考え、そして日本の海岸にはこの松が大事なんだということを子供のときから植えつけていかなければいけないのじゃないか。そのためには松に対して親しんでもらわなければならない。松原等に出入りがしやすいように、そして子供さんたちに、ああいい松だなあと、何年もかかってこんな大事な松がこういうふうなかっこうになってきたんだなということをPRする必要があると思う。ということは、松原に親しんでもらうということが必要だと思うわけでございます。 翻って、私どもの方の松原は、昔はみんな松原の中に入って、ショウロをとりましたりあるいはおべんとうを開いたりあるいは松葉かきをやったりして過ごしたものでございますが、いまは、予算の関係等もあるのでしょうけれども、大分下草が生えてしまいましてジャングルのようになっているところが間々見受けられるわけでございます。したがいまして、この下草刈りということをやって、そして松原に親しんでもらうということも非常に必要なんじゃないかと思うわけでございます。いろいろな理由で植えましたニセアカシアというアカシアが松林の中にかなり繁茂しておりまして、このニセアカシアというのはとげがございますので、なかなか松原の中に入りにくい。入りにくいからあそこはジャングルなんだというふうに子供たちが思ってしまうということは、松に対して一歩退いてしまうような気持ちを醸成させてしまうのじゃないかと思うわけでございます。したがって、下草刈り等につきましても十分な御配慮を賜りますようにお願いを申し上げたいと思うわけでございます。 ただいま申し上げましたように、松というのは日本人の気持ちに昔から根深く入っておりますし、それからまた、私の子供なんかに聞きましても、何で海の中にある岩だけのところに松が生えるんだろう、こういう質問も私は子供から受けることがあるわけでございます。石の上にだけでも松の木は生える、そして根がしっかり張って山を守るというような、岩だけの山をしっかり守っているというような大事な点もあるわけでございますので、これの保護には十分な対策が必要だと思うわけでございます。 こういった松の保護あるいは松枯れ病の対策について大臣がどういうような御所見を持っておられるか、特に、いま申し上げました虹ノ松原の空中散布の成功例等お話を聞いていただいてどういう御感想を持たれたか、私は空中散布というのは非常に有効であると思っておりますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○田澤国務大臣 保利委員御指摘のように、生活の中の松の役割りというのは非常に大きいのでございまして、特に松と私たちの心というのは大変な結びつきがあるわけでございます。古くから松は縁起のよい木だと言いますし、神が天からおりるのを待つ木だという意味で松、さらには祭り木あるいは春夏秋冬常に青いのは松だというので、常に繁栄を意味するという意味で縁起のいい木としてまあ松竹梅、あるいは料理でも松竹梅といいますと松が一番おいしい料理になっているわけでございますから、それだけとうといものに扱われておりますね。それから家紋だとか名所の松、いまの虹ノ松原のような、それからまた、盆栽あるいは古典芸能にも背景に松がやはり使われている。さらに、絵画の対象は松でございますね。日本画を見ますというと、すべて松が主材になっているという点、さらにいま防風あるいは防砂林等としての役割りを果たしているわけでございます。 また、山の管理あるいは森林の管理がその国の民族性というものを象徴するものと私は思うのですよ。いま、私たちは、松くい虫で被害木が枯れたまま林立していることが、何か日本に枯れたものがある、心のどこかに何かそういう枯れたものがあるということを意味するような気がして、やはりああいうものはできるだけ早い機会に排除して、青々とした山をつくることが日本民族の将来の一つの指標でもあろうと思いますので、そういう点ではどうしてもこの松くい虫の防除はしてまいらなきやならない、終息をしてまいらなきゃならないと思うのでございます。 虹ノ松原も、過去の保利委員の先輩の方々がおつくりになったと思うのです。それは、厳しいあの自然環境の中で農作業を進めるためには、この松原によって支えようとしたと思うのです。私の県にも、やはり積雪寒冷地の北の果てで、津軽の平野に農業を営もうとしたら大変なんです。それを支えるにはシベリアからの季節風を支えなきゃならぬわけでございますので、当時津軽藩の津軽為信という方がいまから二百年前に屏風山という松林をずっとつくったわけです。いまなおその屏風山によって津軽の農業が支えられているわけでございますが、われわれの先輩の非常に大きな知恵なんですね。これをいま枯らしたら大変だと私は思うのです。 私は、そういう意味で、確かに五十三年以来のこの松くい虫の激増というものは恐ろしいまでの勢いで進んでおりますけれども、御指摘のように空中散布を適期に行う、これが一番だと思う。正確に行わなければいかぬと思うのですね。虫のいわゆる活動、生理現象をよく考えて行うことが必要だと思いますので、私は、これからも松に対する青少年の関心を高めると同時に、その管理に対しては十分な配慮をするとともに、この松くい虫の終息のために、この法律を基本にして徹底して進んでまいりたい、かように考えますので、御協力のほどと御理解のほどをお願い申し上げる次第でございます。
○保利委員 時間がなくなりました。 空中散布はそれなりの注意を払ってやれば非常に効果があるものでございますし、家庭の中でも害虫が出れば薬剤を散布するわけでございますから、これは適時にやっていただきたいと思います。この法律によって日本の松が守られることを念願して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○加藤(紘)委員長代理 以上にて保利君の質疑は終わります。 続いて、小川国彦君。
○小川(国)委員 私は、松くい虫防除特別措置法に関する今回の改正案について、従来の案それから今回の改正案というものを対比しながら、これからの対策のあり方について質問をいたしたい、こういうふうに思います。 今度の改正案が、従来の空中散布中心から特別伐倒駆除、樹種転換、こういった総合的対策の方向を示していることは一つの前進であろう、こういうふうに思っております。ただ、ここで、しかし五年前に枯損木の対策、被害跡地の対策、こうしたことを抜本的に松枯れ対策をやる、こういう必要性を主張してきたわが党の主張に対して、政府の方は、航空機による薬剤散布が最も安全かつ的確に防除できる、こういうことで私どもの党の主張を聞き入れなかった、こういうことが一番大きな問題点として指摘されるのでありますが、この当時の役職員の方々というのは一体どういう責任をとるのか。当時、政府委員としてお出になった方々はどういう責任をおとりになるのか。五年たって顔ぶれが変わってしまうと、それはもうそれで済んでしまうのか、そういう政治責任というのは、どういうふうにお考えになるのでございましょうか。
○田澤国務大臣 五年前に、確かに、鈴木農林大臣を中心に、当時の林野庁長官はどなたでございますか、当時のいわゆる防除技術をして、またその当時の松くい虫の現状等を見てみますというと、まああの程度、あのことで完全に五年間で終息できるという目標で進められたと思うのでございますが、何せ自然を相手のことでございますから、これはそのときの五年間の間に、当初考えられたと全然違った自然現象というものが起きてくると思う。それが、きのうから申し上げておりますように五十三年の異常気象というものがやはり大きな原因になっていると私は思うのでございまして、そういう点では、自然を相手のこの松くい虫の防除に対する認識というものは、自然というものを全然考えずにやったということに大きな欠陥がございますけれども、しかし、そういう全然考えられない自然現象が起きているということをも私たちは考えていかなければならない。ですから、私は、もちろん責任は農林水産省にあると思います。ですが、その責任をいわゆる追及するよりも、私は、むしろこの松くい虫をいかに防除するかということに重点を置いて、今後、その責任を果たすことが私たちの役割りであろう、こう考えますので、そういう点で小川委員の御了解をいただきたい、かように考えます。
○小川(国)委員 前回の五年前の法案の際には、それ以前にかなり長期にわたる林野庁の研究スタッフの調査があり、それを踏まえて政府の方はそれぞれに対してこれを五年以内には完全に終息できるという見通しを、その当時の鈴木、現総理ですね、農林大臣初め林野庁長官、首脳部もやってきた。この研究陣とそれから首脳部の責任というものは、やはり厳しく反省されなければならない、こういうふうに思います。これは、これからまた五年間やられる皆さん方にもその辺を十分踏まえて出発点を決めていきませんと同じような、そのときさえ過ぎればいいということになってはならない、こういうふうに思いますので、その点の五年間の総括をきちんと林野庁自体も農林水産省としてもおやりくださるように要望をいたしたいと思います。 この五年間やってまいりました国費の総額は約四百億円というふうに見られておりますが、国、県全部ひっくるめての総額はお幾らになっておりますか。
○秋山政府委員 お答えいたします。 五十二年度以降五カ年におきまして、民有林におきます松くい虫の防除事業の実施に要しました国費の累計額は二百七十四億円でございます。さらに、これに伴いまして各都道府県の累計額は百十一億円でございますので、合計三百八十五億円となっております。
○小川(国)委員 そうすると、この三百八十五億円が松くい虫対策に使用された総額、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○秋山政府委員 そうでございます。
○小川(国)委員 このうちおよそ空中散布、地上散布をいたしてまいりました農薬の占める割合、それからその中における空中散布のための航空機代の占める割合、これはどのぐらいになっておりますか。
○秋山政府委員 特別防除に要しました民有林の経費は二百十一億五千三百万でございます。それから、地上散布につきましては二十七億一千六百万、伐倒駆除に百四十四億九百万円でございますが、特別防除の中での航空機と薬剤につきましては、ちょっとわかりかねます。
○小川(国)委員 この二百三十八億円の中に農薬代と、主として経費としてかかりますのはヘリコプター代、こういうふうに思うのでございますが、林野庁の方としておよその数字を、この五年間に総額で二百三十八億ヘリ防除をやったその中の農薬代とヘリコプター代というものを、大まかな仕分けで結構でございますから何対向の割合になるか、お伺いしたい。
○秋山政府委員 薬剤費がおおよそ五七%、それから散布費がおよそ四〇%、その他雑費が三%というような割合でございます。
○小川(国)委員 この形が続いてきているわけでありますが、総体で見ると二百三十八億対百四十四億ということで、いままでの推移で見ると、やはり特別防除、地上防除、いわゆる農薬防除に重点が置かれて、伐倒駆除の方に対してのウエートは非常に乏しいわけであります。これが五十六年度を見ますと、特別防除、地上散布のいわゆる農薬散布は、足しますと四十六億八千万、それから伐倒駆除、伐採跡地駆除を足しますと約十八億七千万、これが五十七年度予算では特別防除、地上散布は四十二億、これが農薬散布。それから特別伐倒駆除と伐倒駆除、それから伐採跡地駆除、これを足しますと約二十四億、こういう数字になろうかと思いますが、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
○秋山政府委員 特別伐倒駆除につきましては、これは五十七年度新たに計画する予定になっておりますが、これが十億九千五百万、それから特別防除が三十八億一千九百万、地上散布が四億八千万、伐倒駆除が十二億一千三百万、こういうことになっております。
○小川(国)委員 私は、松くい虫退治の方法として、いわゆるヘリコプターを使って農薬を上からまく、下から農薬を散布する、こういう方法と、もう一つは伐倒駆除という方法、考え方として大きく二つに分けているわけですね。そういうふうに分けた場合に、五十六年度予算でいくと薬の防除が四十六億八千万、それから伐倒駆除が十八億七千万、それから今度五十七年度予算で行くと、四十二億対二十四億ということで伐倒駆除の方がふえてきている。こういう傾向はこれから五年間の推移の中ではどういうふうにお考えになるか。早く言えば薬と伐倒との割合というかその比重を、これから五年間どういうふうに考えていかれるのか、その点をお伺いしたい。
○秋山政府委員 今後の松くい虫防除に当たりましては、まず予防措置といたしましてこの特別防除をするわけでありますが、同時に、今後の感染源をなくすという面からやはり伐倒しそれを駆除するということが重要でございまして、この両者を併用いたしまして今後の被害の終息を見てまいりたい、かように考えているところでございます。 そこで過去五年間の実績を見てまいりますと、やはり特別防除だけでは被害がなかなか終息を迎え得ませんので、私どもといたしましては今後やはり特別伐倒駆除というようなことで、伐採してチップ化あるいは焼却するというようなことを特に重要な松林について徹底的にやってまいろうということでございますので、今後両者の併用を考えて終息方向に持ってまいりたい、かように考えておるところであります。
○小川(国)委員 その併用の割合ですが、それは地方自治体が現実に実施してきている状況を見ますと、農薬散布よりも伐倒駆除に力を入れてきている。特に、この五年間の推移を見ましても、被害の大きかったたとえば、茨城県はこの五年間に農薬の散布は十三億三千三百万円、それに対して伐倒駆除には倍近い二十七億八百万円、あるいは愛知県を見ますと、農薬の散布が四億二百万に対して伐倒駆除は十八億四千五百万、鳥取県が農薬散布が六億八千五百万に対して伐倒駆除が十八億七千七百万、こういう数字が上位にランクされる三県を見ましても、伐倒駆除に倍かさらには三倍、四倍という力をかけてきているわけです。これは早く言えば、ハチの巣の根源をたたくと同じように伐倒駆除が一番根本的な対策だということが、第一線で苦労している都道府県の実感でこういう予算になってあらわれてきていると思うのですね。それから見ると、いまの長官の答弁は併用していくという考え方ですね。これは第一線でこの五年間苦しみながらいろいろな経験を積み重ねてきて伐倒にウエートを置いてきた地方自治体の行き方に対して、長官の答弁では併用していくという漠然たる考え方、これでは根本的な対策が立つのかという疑念を感ずるわけです。この割合を今後一体どうしていくのか。単なる併用ではなくて、こういう都道府県、自治体がやってきた実績にかんがみてどういうふうに考えているか。
○秋山政府委員 ただいま先生御指摘の中には、各市町村におきまして自主的に防除された部分も入っていると思いますが、国のこれまでの実績について若干御説明申し上げます。 特別防除につきましては、五十二年二十七億、五十三年三十五億七千万、五十四年四十一億六千万、五十五年四十一億六千万、本年も同じであります。それに対しまして伐倒駆除の方は、特に五十三年におきましてこれまで微害でございました地域に異常発生をしたということもありまして、予備費を約五億導入いたしまして、これを伐倒駆除に向けた関係もございまして、五十二年は二億一千万でございましたが、五十三年に八億二千万、五十四年に四億六千三百万、五十五年に十四億四千八百万、五十六年には十七億三千八百万というふうに伐倒駆除による部分も漸次増加してまいってきております。 一方、空中防除につきましては、先ほど私が触れましたとおり、五十七年は一部まかなくて済む部分もございまして一割減になってきておりますが、他方、伐倒駆除の部分はふえてまいっておりますので、当面は両者を被害の実態に合わせながら進めてまいるということはいまのような傾向も含めて申し上げた次第でございます。
○小川(国)委員 どうもその辺、長官の姿勢が併用という形で、まさに国の方を見ますと薬、ヘリの方に倍を使ってきている、こういう形です。地方自治体の財政負担の状況を見ますと、地方自治体は、これも国の倍近い負担割合をしてきているわけです。茨城県では国費が十七億五千二百万に対して県費は二十七億四千四百万、愛知は国費が五億二千九百万に対して県費が十七億一千八百万円、鳥取が国費八億四千五百万に対して県費十七億一千七百万、こういうふうに、いずれも本来なら国が七割ぐらい補助するというのが一般の農林水産行政における補助状況なんですが、これで見ると、国はもう対等に出しているところはいい方でありまして、むしろ二分の一か三分の一しか負担していない、こういう状況になっているのですが、こういう状況が一つ問題があります。 こういう状況の中ですら伐倒駆除に自治体が力を入れているのは、伐倒駆除がやはり根源を断つ方法だと考えているわけなんですね。自治体の対応から見れば、国も伐倒駆除に今後七割、八割、最終的には九割ぐらいの力を注いで、農薬による空中からの、地上からの散布を減らしていく、こういう考え方が生まれてこなければならないと思うのですが、この点はいかがなんですか。 〔加藤(紘)委員長代理退席、渡辺(省)委 員長代理着席〕
○秋山政府委員 私、併用と申し上げましたのは、マダラカミキリが材線虫を腹に入れまして松を後食いたしまして被害を及ぼす時期が、全国的には五月から六月にかけまして若干ずれがございますが、やはりこの時期に一斉に予防することが、現在の被害が非常に激甚の場合にはどうしても私は必要だろうと思いますので、そういう方法をとりながら、また被害が出たところについては特別伐倒駆除とか伐倒駆除によってやっていくというふうな方法をとりませんと、なかなかいまの二百万立米に及ぶような被害のところについては終息できませんので、まずは両方うまくかみ合わせて、被害の現況に合った形でいくことが大事ではないかと考えております。
○小川(国)委員 何遍聞いていても、五年間の対応策についての地方自治体の第一線が苦労してきている状況というものを林野庁は把握してない。把握しているかもしれないのだけれども、それができない状況というのを、私は、この五年間の中に林野庁がつくってきてしまったと思うのですね。私はその一面を、農薬会社とか農薬団体あるいは航空団体、こういうところに林野庁の幹部が大変に天下りをしている、こういう事実がございます。 具体的に名前を申し上げますと、社団法人林業薬剤協会というのがございまして、この会長大政正隆という方は林業試験場長を三十一年六月に退官されて、この社団法人林業薬剤協会に行っている。それから専務理事の谷井俊男という方は林野庁の監査官を三十八年六月に、同じく林業薬剤協会の開発部長の伊尾木稔という人は林野庁の監査官を四十五年八月に、同じく主任研究員の川崎俊郎という人は林業薬剤研究所室長を五十三年一月に、いずれも林野庁から林業薬剤協会に天下っている。 それからもう一つは、農薬の取り扱い数量で見ますと、薬剤が二種類散布されているわけでありますけれども、MEPとNAC、こういう薬がございます。このうちのNACという薬は井筒屋セビモールという商品名で、NAC四〇%の有効成分含有量で井筒屋化学産業株式会社がつくったものが使われているわけです。 〔渡辺(省)委員長代理退席、委員長着席〕 これは散布量でいきますと、五十二年に二百六十二トンだったものが五十三年三百三十七トン、それから五十四年四百五十六トン、五十五年は五百三十八トン、この四年間にNACが二・一倍もふえてきているわけです。そして井筒屋という化学会社に大西孝という林業試験場の九州支場長が技術顧問として、それから梅木喜一という林木育種場の支場長が東京出張所の営業次長として、それから秋保親悌という東京営林局の監査官が東京出張所の次長に、名古屋営林局の課長の北田五郎という人が岡山出張所長に、そのほか川野秀雄、武藤和也、勝毛忠雄、坂之上泰雄といういずれも営林局の部長、署長、課長、係長をやった人が井筒屋化学の調査役、技術顧問、営業所長というような形で天下っているわけです。この天下りがふえるほどに井筒屋化学の薬の受注量がふえていく、こういうシステムができ上がっているわけです。このほか中外製薬とかヤシマ産業に天下った人もおりますが、大きいのは井筒屋化学というのが農薬の約半分を納入しておって、そこに林野庁の幹部が次々と天下っている、こういう実態がございます。 こういう実態について大臣や長官、一体どういうふうに考えられますか。第一線では一生懸命伐倒を主力にというときに、一方ではあくまでも農薬散布だと言い続ける。しかし、言い続けている陰でこうした農薬メーカーに次々と林野庁の幹部が天下っていく、それによって受注量もふえていく、こういう仕組みは、私は林野行政が本当に松くい虫退治に取り組んでいる姿勢であるというふうには見られないと思うのですが、いかがですか。
○秋山政府委員 薬剤の散布量につきましてはただいま先生お話しのとおりでありますが、この選択につきましては各都道府県の自主性に任せて実施しておるわけでありますが、このNACの方につきましては、ヒノキに対するところの被害がないというようなこともございまして、隣接にヒノキ林等がある場合にはこちらの方がそういう意味での被害がないということもありまして、こちらが最近ふえてまいっておるわけでありますが、私ども、これはあくまでも地域の林況あるいは地況に応じましてそれぞれ選択をさせておるところであります。
○小川(国)委員 長官、肝心なことに答弁していないのではないですか。農薬の選択は都道府県に任せてある、こういうことをおっしゃっておりますが、私が申し上げたように、社団法人林業薬剤協会というのはこの薬剤の配布なりそういうことに対してのメーカー団体として存在しておって、そこに林野庁の幹部が天下っている。それから具体的に納入しているメーカーにも天下っている。要は、買っているのは都道府県だという言い方ですが、こういうようなあらわれてきている数字とか天下りの実態というもの、長官、どういうふうに責任を感じるのか、これは当然だというふうにお考えになっていらっしゃるのですか。
○秋山政府委員 林業薬剤協会でございますが、これは林業薬剤それから施用技術の開発を行いまして、その普及を図って林業生産性の向上に寄与するということでありまして、中身は試験研究、普及、資料の収集、交換、研究会というふうなものを実施しておるところでございまして、これは今後の新しい薬剤を開発していくという協会であるというふうに理解をしております。 それから、私ども、いまそれぞれの会社に入っている方は、技術面でそれぞれの経験をお持ちでございまして、それが買われて就職したものと考えております。
○小川(国)委員 しかし、現実には九名もの林野庁の役職員が天下っている、その会社の薬だけがふえていくというのはちょっと異常に感じられるのですが。しかも、ヒノキに害がないということでこの会社を採用したということなんですが、林業薬剤協会というのは、メーカーが三十七社、ディーラーが四社、そのほかユーザーが三社、一公団、三団体、個人が二名というのが入っているのですが、これが、林野庁から天下った二人が業界団体のいわば会長と専務を占めているわけなんですが、この中にいずれも関係メーカーが入っているわけですね。こういうような形はどう見ても林業の行政と薬業界の癒着というほか見えないわけですね。業界団体、業者を全部集めて協会をつくって、会長と専務は林野庁から行って、しかもその中から業者が選ばれている。しかも特定な業者だ。これらの団体に天下った実態というものがあると思うのですが、恐らく九名も天下った会社というのはこの中にはないんじゃないかと思うのですが、皆さん、三十七社への天下り、それから井筒屋化学への九名の天下りについては審査なさったですか。
○田中説明員 林野庁業務部長でございます。 林業薬剤協会あるいは井筒屋へ多数就職をしておるというお話でございますが、林業薬剤協会につきましては、国公法に定めるあるいは人事院規則に言います営利企業でございませんので、審査の対象とはいたしておりません。 なお、井筒屋につきましては、特別防除用のNACを製造販売しておりますのはこの会社のみでございますので、ここからの購入ということになるわけでございますけれども、国有林におきましては直接の購入をこの井筒屋からはいたしておりませんので、直接の取引は関係がございません。したがいまして、就職に際しましての審査には該当をいたしておらないわけでございます。
○小川(国)委員 なるほど、なかなかうまい答弁でございます。 皆さんの方は、先ほどのお話のように五十六年度では四十六億、ことしも若干減らしましたけれども四十二億。この金を各自治体に配分をしているのは林野庁なんです。その補助金をもらった自治体がこの井筒屋に発注をする。それは都道府県がやっていることだからこっちは関係ない、こういうことなんですが、現実にはこの九名の人の中には、五十六年四月とか五十六年十二月とか、公務員法で言えば、国と直接取引のあるあるいは職務上関係のあったところには二年間就職できないという公務員法の厳しい規定がありますから、国が直接井筒屋に発注したのであれば、そこへ行ったことはこの二年間の規定に触れる、しかし都道府県が直接業者に発注している限りではこれに触れない、こういうことなんですね。法では触れないかもしれません。しかし、どう考えてみても、国がこれだけの、五十七年度四十二億円という農薬の予算を組み、それを都道府県に落としてその半数近くが井筒屋に発注されて、そこに林野庁の幹部が行っているということ、これは癒着としか私どもは理解せざるを得ないのですよ。法には触れないかもしれない。しかし、法に触れると同じような行為がここに行われていると私は思うのです。大臣、いかがでしょうか。これから五年間、国は毎年大変な六十億を超える予算をつぎ込んで、五年間真剣にやらなければならないというときに、こういう癒着の構造が続いていく。林野庁長官の答弁で言えば、これからまだ両方併用していくのだという考え方は、こういう癒着の構造があるから、先輩が行っている、同僚が行っている、だからそこに仕事は半分向けていかなければならない。これじゃ松枯れはとまらないですよ。いかがでしょうか大臣、こういう癒着の構造を正す考えはありますか。
○田澤国務大臣 薬剤の購入あるいは薬剤散布の行為については、都道府県かあるいは市町村、森林組合あるいは航空会社等と適正な契約で進められているわけでございまして、本来なら疑惑を持つゆとりもないと私は思うのでございますが、いま御指摘のような、仮にも疑惑を持たれるということだけでも防除に対しては大変な障害になると思いますので、今後、私たちは、こういう点、いま御指摘の点については十分注意をして、そういう疑惑を持たれぬような状況で進めてまいりたい、かように考えています。空中散布に重点を置いているということは直ちにこれにつながるというような解釈は私は当たらないもの、こう思います。
○小川(国)委員 もう一つ、私は、ヘリコプター会社の問題についてただしておきたいと思うのです。 この四十二億円に上る農薬をこれからまた散布していく。これの配分を取り仕切っているのが、社団法人農林水産航空協会という協会がございます。この会長が正井保之という方でありまして、この人は元農林省東京営林局長。それから常務理事の上田浩二という方が常勤で、これが元農林省植物防疫課の係長。それから理事の中に下山一二という元農林省農地局の技官であったと言われる人、中沢三郎という元農林省水産技術会議におったと言われる人、それから遠藤武雄という元農林省植物防疫課の課長補佐をしておった人、監事には佐々木亨という人で、元農林省の東北農政局、これは時間が少なくて完全に確認できなかったのですが、いずれも、農林省の出身者がこの農林水産航空協会の役員、理事で天下っているわけです。ここが松くい虫を防ぐ薬の散布のヘリコプター会社を全部会員にしまして、これをまたこの団体が取り仕切っているわけです。この加盟のヘリコプター会社は、日本農林ヘリコプター、朝日ヘリコプター、東亜国内航空ヘリコプター、日本ヘリコプター、インペリアル航空とか、ずっと十六の航空会社があって、これらが五十七年度二百十六機空中散布の運航予定というふうに言われているわけであります。 ところが、この航空協会は、ヘリの防除を受注いたしますと、その中から約三%の会費を取る、こういうことになっているわけなんです。ちょうど建設業界が、工事を受注するとその何%かを会費に納めるように、こういうヘリコプター会社が散布の受注をすると三%近い会費を納める、こういうふうになっているわけですね。だから、そうするとこの農林省の認めた社団法人というものは、まさに農薬防除のための仕事の中で収益を上げていく、こういう仕組みになっているのですね。これはいかがなんですか。ここで全部采配をやらせているわけですか。
○小島政府委員 農林水産航空協会の役割りはいろいろあるわけでございますが、農林水産業にヘリコプターを使います場合の技術の開発、乗員の養成、訓練、あるいはお話にございましたような機体の運航に関する計画を役所の指示によってつくっておるわけでございます。 その主なねらいと申しますのは、御承知のように、農林水産業でヘリコプターを使いましたはしりは水田防除でございますが、各実施母体がそれぞれ航空会社と契約を結ぶわけでございますが、めいめい勝手に発注をいたすということになりますと、非常に端的な例で恐縮でありますが、三つの地区がそれぞれヘリコプターを呼んでくるということになりますれば、作業をしてない運航時間というのは当然長くなるわけでございまして、それによるコスト高というのを招来いたしますのと、あわせて、機体数が少ない場合には取り合いということにもなりかねないわけでございます。 そこで、全体の計画を国が都道府県を通じまして実施団体から集めまして、それをもとにいたしまして、全体の保有機数をもちましていかにすれば全体の需要を充足し得るかという計画をこの協会につくらしておる、その計画に基づきまして各実施団体がヘリ会社と契約をする、こういう仕組みになっておるわけでございます。 森林防除の方はおくれて発足いたしたものでありますので、おおむね水田につきましての航空防除の仕組みをそのまま取り入れまして実施をいたしておるわけでございます。したがいまして、航空協会の会員でありますところの航空業者、もちろん利用者側の団体も入っておるわけでございますが、それぞれ会費負担をしていただいて会の運営をいたしておるわけでございまして、航空協会といたしましては、利用料収入の二・九%をもって会費としてちょうだいをいたしておるわけでございます。 それから、役員の構成についてお話がございましたが、この協会の常勤の役員には確かに二十年ほど前に役人歴を持っている人がおるわけでございますけれども、その後いろいろな経歴を置きまして今日に至っている人でございまして、俗に言う天下りというふうなものと私どもは理解をいたしておらないわけでございます。 それから、非常勤の役員の中にも公務員歴のある方が入っておりますが、これは、それぞれの関係団体の役員の資格において入っておるものでございまして、当然報酬を伴う地位ということではないわけでございますので、いわゆる会員の代表のような形で理事に入っていただいておる、こういうものでございます。
○小川(国)委員 林野庁に伺いますが、五十二年から五十六年まで実施してまいりましたこの松くい虫防除のための運航費はそれぞれお幾らになっておりますか。 〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕
○秋山政府委員 この運航費につきましては、現在わかりません。
○小島政府委員 農林水産航空協会の会員が国の補助事業にかかわる松くい虫防除によって得ました運航収入、これが総額で約十七億円になっております。
○小川(国)委員 いまの数字は、五十六年度までの数字でございますか、五十六年度単年度の数字でございますか。
○小島政府委員 失礼いたしました。単年度の数字でございます。
○小川(国)委員 参考のために五十二、五十三、五十四、五十五年の数字をお示しいただきたい。
○小島政府委員 ただいま五十六年度単年度しか持ち合わせておりませんので、後刻調べまして御報告申し上げますが、それほど大きな数字の変動はなかったと記憶いたしております。
○小川(国)委員 それほど大きな数字の変動がないというふうに見ますと、五十二年から五十六年まで五年間ですから、年度平均十五億にしまして七十五億、これだけのヘリコプターの運航費があるわけです。そうすると、この七十五億の運航費の中から——いま園芸局長がお答えになったのは私は二・九%と理解しておりますが、この運航費の中からチャーター料を取りますのは何%ですか、正確な数字を言ってください。
○小島政府委員 ヘリ会社は機体の運航作業をいたしまして、その対価を実施団体からちょうだいをいたしておるわけでございまして、その単年度の収入総額が十七億と申し上げたわけでございます。それから、二・九%と申し上げましたのは、そのヘリコプター会社の収入の中から、農林水産航空協会が会費として事業割りに徴収いたしております会費の率でございます。
○小川(国)委員 いずれにしましても、単年度で十七億、五年間で言えば七十億前後になるでありましょう。その数字の中からも当然二・九%の会費がここに納められるという仕組みになるわけです。考えてみますと、私、各都道府県に、一体この農薬を散布するヘリコプターはどこに依頼しているのかと聞いたら、一様に返ってきた答えが、この農林水産航空協会にお願いをしております、こういうことなんです。 そうすると、何もこうしたことをこうした団体に頼んで、しかも三%の会費を払わなくても、林野庁の中で当然これだけのヘリコプター会社の——それは確かに言われるように、水田の農薬散布時期もありましょう。それから松くい虫で五月初旬から七月初旬までまかれる時期がある。しかし、その調整を何もこの航空協会に頼んで、そして七十億円の三%を払わなくても、直接林野庁がこの配分ぐらいは、航空の運航調整ぐらいは、林野庁のデスクプランでできる仕事じゃないですか。行政改革を叫んでいるなら、こういう役人が天下った外郭団体を通さなければヘリコプターも飛んでこない。こういうところに私は行政の弛緩があり、さっきの天下りの癒着が出てくると思うのですよ。だから、そういう点から言うならば、こういう団体に飛行機の運航配置をするぐらいは、俊英な方々がそろっている林野庁、一万人からの職員のいらっしゃる林野庁でこのくらいのことはおできになるのじゃないか、そんなところへ何億ものお金を払わなくても、それだけの費用を伐倒費に回せるのじゃないかと私は思うのですが、いかがでしょう。
○秋山政府委員 農、林、水、合わせましてこの運航計画をつくっておるわけでございますので、私は、いまのやり方がやはり合理的であろうというふうに理解しております。
○小川(国)委員 水田をやるなら、農林省の中に水田をやっている部局もあるわけです。林野庁もあるわけですね。なぜそれが中でできませんか。このヘリコプター会社、十数社ですよ。持っている飛行機も、使います飛行機も百何機かでございますよ。それの運航計画ぐらいのデスクプランが農林水産省で直接おできになりませんか。
○小島政府委員 いま林野庁から申し上げましたように、これは林業だけで完結するわけではなくて、農業もあるということももちろんございますけれども、いわゆる利用者側の都合で計画をつくるということだけでもうまくいかないわけでございまして、機体を持っており仕事をしておる航空会社の都合というものと両方突き合わせまして計画をつくりませんと、実際の計画がうまくいかないということになるわけでございます。 したがいまして、全国を眺めてみますと、ヘリコプター会社の所在は比較的中央に偏しておるわけでございまして、会社の都合だけからすれば近間だけをやらせてもらうというのが都合がいいわけでございますが、遠隔の地は非常に来にくい、ないしは非常に高くなる、こういうことになりますので、全体を眺め渡しまして利用者側にとりましても、また作業をする方の側にとりましても最善と思われる計画をつくらせる、こういうのが仕事の仕組みでございます。
○小川(国)委員 どうもそれは私は納得いきません。農林水産省の中に水田を管理している構造改善局も、農蚕園芸局もありますし、林野庁もありますし、その関係者が寄れば利用者の立場に立ってヘリコプター会社を農林省に集めて会議室で、それぞれの御都合を出してほしい、こっちの都合はこうだということで総合調整するぐらいの仕事が、こういうところに何億もの経費を払わなくても、私はできると思うのです。 皆さん方は、先輩のつくった外郭団体を守らなければならないから理屈にならない理屈をおっしゃっているのだと思うのですが、こういう仕事は、それこそ行政改革で減らす前に、皆さんみずからの仕事があるんじゃないですか。林野庁だって行政改革の対象になって大変な苦労をなすっている。こういうみずからやる仕事があるじゃないですか。そういうことを外郭団体にやらせて、みずから行革の対象になって苦労されているということはどうも解せません。この農薬の問題もヘリ防除の問題も、林野庁がいま持っておる一万人の職員を本当に有効適切に活用すれば、伐倒駆除の先頭に林野庁が立ち、民間の労働者も引っ張ってやっていける体制をつくれるはずですよ。こういう予算を林野庁の赤字克服の一つの有効な事業にできるはずですよ。それを半分以上こういう民間や外郭団体の荒稼ぎに任せておくというのは、本来の林野行政じゃないような気がしますね。そういう反省を込めて、それから、いま出発点なんですから、この五年間やってきたこういう癒着や外郭団体依存の行政じゃなくて、林野庁が、林野行政にもっと真正面から取り組むという姿勢でないと、私は、これからの五年間の松くい対策に非常な疑念を感じます。 最後に大臣に、こういった状態をお聞きいただいて、いま申し上げた問題点を公正な立場で大臣は判断できると私は思います。これを十分踏まえて取り組んでいく考え方をひとつ示していただきたい。
○田澤国務大臣 ヘリコプターの会社との問題については、いま林野庁長官あるいは局長からお答えしたとおりのようでございますが、しかし、農林水産省として何かもっとデスクプランで立てる余裕がないだろうかということは、私は検討するに価値がある問題だと思いますので、今後こういう点は、事実こういう問題に携わっている方々とさらに話し合ってみて、できるだけ農林水産省でやれることは農林水産省でやってまいらなければいかぬと思いますので、そういう点は検討してまいりたいと思います。
○小川(国)委員 大臣の改善の成果を期待しまして、質問を終わります。(拍手)
○戸井田委員長代理 次に、竹内猛君。
○竹内(猛)委員 私は、松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律案に関連をして、若干の質問をいたしたいと思います。 質問するに当たって、私は幾つかの前提に関する問題についても触れていきたいと思うのです。 というのは、この法律をつくる五年前に、私は農林水産委員会の理事としてそのころから関連をしていたわけでありますから、この点については当初、どういうような問題があったかということについても承知をしております。そういうことからいたしまして、きょう御出席になっている大臣初め——秋山長官は当時は長官ではなかったわけだけれども、多くの方々はもう役所をやめられた。鈴木総理大臣は当時農林大臣だったわけですが、多くはやめられてしまって、当時の答弁の責任というものは一体どうなるのかということが追及できない。あの当時、これは終息ができるということで、われわれの追及を押し切って通した法案だ、これが第一の問題です。 それから第二の問題は、この委員会では、委員会に法案が出てくる前に、当時の閣僚の中にも異議を挟む者がいた。御承知のとおりに石原環境庁長官は、何項目かの問題を出して、この法案が出るときについても異議を唱えた。同じような問題が今日やはり続いている。 それから、本委員会を法案として通るときにも、それぞれの政党から修正案や附帯決議が出たけれども、これも賛成、反対、棄権というような形で、大変不幸な通り方をしている法律です。 だから、初めからこの松くい虫の法案というものは完全な形で生まれたものじゃない。初めから奇形児なんだ。その奇形児が、五年間たった今日において、依然としていままでの議論があるようにそのまま継続——そのままではない、多少予算の組み替えをしたけれども、根源におけるところの問題に触れることなしにこれを継続しようとするところに問題がある。こういう問題を私はまず先に申し上げておかなければ、なかなか本論に入りにくい。この総括に対する意見の一致、認識の一致がなければ、この法案をこのまま継続する意味がないじゃないか。つまり、四百億の中央、地方の金を使って、この行財政改革のさなかに松はどんどん枯れていくのですよ。それで、これを五年間に終息する確信があるのかどうか、まずそのことを私は聞きたい。
○秋山政府委員 五十二年の松くい虫防除特別措置法成立以来、私どもといたしましては全力を挙げてこれに取り組んでまいったところでありますが、その後の異常気象等によりまして、従来被害のなかった地域、さらには微害があった地域につきましても、異常な発生を見たところであります。 したがいまして、それに対しましては予備費を投入しまして伐倒駆除をするとか、あるいは林地転換のための経費をさらにこれに投入するとか、緊急治山の経費を投入するとか、いろいろとその後対策を講じながらやってまいり、さらにはこの五年間の成果につきまして中央森林審議会の中に松くい虫対策部会をつくりまして今後さらにこれをより合理的、効率的な防除方法はないかということで検討した結果、今回御審議いただいておりますような松くい虫被害対策特別措置法案の内容を策定した次第でございます。したがいまして、私どもは過去の五年間の実績の反省の上に立ちまして、異常に拡大した被害をできるだけ早く終息するといういわば特例的な措置といたしまして、今後、従来の特別防除に加えまして特別伐倒駆除、さらには林種転換、また市町村の協力体制等を総合的に実施しまして、できるだけ早くこの被害を終息させたい、かように考えておるところであります。
○竹内(猛)委員 大臣、どうです。
○田澤国務大臣 いま長官から答弁があったとおり、過去五年のいわゆる責任の問題でございますけれども、これは確かに当時の防除技術からいって、また当時の松くい虫の被害状況からいって、この対策で進めたならば必ず五年間に終息できるという目標で進めたことは事実でございますが、自然を相手のことでございますので、その後大きな変化、自然からくる大きな原因によって今日の状況を迎えたわけでございまして、それは先ほど来申し上げておりますように五十三年の夏のいわゆる異常天候というものが大きな影響を与えている。またもう一つは、やはり特別防除に対する実施の一つの限界と申しましょうか、それもありますし、また被害木の処理に対する限界等もあったわけでございますので、そういう点をいま振り返ってみて、それらを含めて新しい法律の姿でいま出しているわけでございまして、決して私たちは責任を逃れようとするわけではございません。むしろその責任を負うためにも松くい虫の防除を徹底して被害を終息させなければならないということでいま努力をしようとしてこの法案を提案いたしているわけでございます。 いま、私たちの防除技術は、確かにまだ松くい虫に対する完全な対策でないかもしれません。しかし、技術の開発のためにはあしたからでもきょうからでも技術開発のためにさらに努力をさして、また経費を投じて随時防除技術の開発のためにも努力をする、そうして五年間に松くい虫の防除に万全を期したい、かように考えているわけでございますので、その点は御理解いただきたいと思うのでございます。
○竹内(猛)委員 なかなか理解ができないのですがね。というのは、前回の五年間のときに、確実に縮小する、こういうことを大臣が誓っている。その間に確かに異常天候というのはありました。ありましたが、これは昨日来の議論のとおわに別にそのときだけが異常天候じゃない、前回もそういうことがあった。にもかかわらず、材線虫とマダラカミキリというところに問題を集中をして、そうして本来の伐倒という方向、根源的に物を絶つという方向にいっていない。だから私は、他の法案なら五年間たってもう成果をうやむやにすることはできるかもしれませんが、つまり、自然現象と自然社会を相手にするものは五年間たてば必ず結論は出るんだ。これは出るんですよ、現に出ているんだから。そういうことについて、もうそのときにはここの皆さん、恐らくここにはいないかもしれない、同じいすにはだれも一人も座っていないかもしれないが、しかし住民はいるのですよ。やはり松のところに生まれた者、そのところに住んでいた者は、茨城県の人間も茨城県に住んでどこにも逃げるわけにいかない。皆さんはここにいらっしゃらないかもしれない。だから、そこで政治の責任をどうとるかという問題はこの議論のときには一番大事なことなんだ。政治が信頼されるかされないかという問題なんですね。これが第一。 第二は、皆さんのところで働いていらっしゃると思うのですけれども、朝日新聞の二、三日前の投書欄の中に——これは命がけで投書したと思う。現に法案が審議をされている中に、この北村さんという方は農林水産省の職員でしょう、この方が明らかに証言しているじゃないですか。 〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕 同じ新聞の中に、三百カ所の空中散布をやったけれども空中散布によって救われたところは一カ所もないということも書いてある。もしそれがうそなら農林水産省は朝日新聞に抗議を申し込むべきですよ、いま審議をしているのですから。そうでしょう。その抗議をしたということも聞いてない。そうすると、この朝日新聞の両方の記事を承認したということになるじゃないですか。そうなるでしょう。しかも、恐らく各支局を通じて松くい虫の空中散布による被害あるいは危惧、心配、こういうものでたくさんの投書があったはずだ。こういうことは知っているはずですよ。それにもかかわらず依然として唯一の方針としてマツノザイセンチュウとマダラカミキリに集約する。 三つ目の問題は、私はこの間茨城県の現地に行きました。これは私の常時住んでいるところだからもう説明を受けなくてもよくわかる。その後でも現地に行ったのです。それですから仮に——先ほど保利耕輔さんからお話があったように、虹ノ松原にも行きました。林野庁の誇る有名なところというのは、そういう特殊なところを誇っているけれども、ここでも年じゅう空散をしなければいつ虫が来るかわからない。だから、確かに空散で予防処置をして、残る山に毎年毎年空散をしなければいけない。そうすると、予算はどんどんふやさなければいけないということになる。きのう岡山県の水田さんがここで言ったように、竜の口の国有林の話があったでしょうが。あれも三年間続けてやって四年目には真っ赤になっちゃった。この枯れたやつは別ですよ、切って捨てちゃうのですから。ところが、これから守っていくものについては、あの方式だけではますます予算をふやさなければ乗り切れないということになる。だから、どうしても松くい虫のこれからの方法については根源的に何が問題であるのかという総合的な対策というものを立てなければならない。 そこで、松くい虫の名称の問題に入るのですけれども、名称は依然として松くい虫の法案として、若干は変わったかもしれないが変わってない。答弁を聞いていると、長官も大臣も言うのは、総合的にやると言っている。そういう答弁が出るんなら、やはり松枯れに対する総合対策というように名前くらい変えたっていいじゃないか。どうです。
○田澤国務大臣 責任の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、私たちはやはりまず松くい虫被害を徹底して終息するということで責任をとってまいらなければならない。もし被害がますます拡大するようでは、農林水産省の信頼にもかかわることでございますので、私たちはこの法律を基本として終息のために最善を尽くして国民の期待にこたえなければならない、かように考えております。 また、朝日新聞の投書は私も読みました。空中散布というものが余り効果がないという意味の論文でございましたが、ただあの人の論文について遺憾なのは結論がなかったということです。しからば何によって松くい虫を防除できるのかという対策がなかったということが非常に残念だと思うのです。そういう意味で、松くい虫の防除のためにみんなで官民一体になってこの運動を展開していかなければならないと私は思いますので、そういう点では私は非常に遺憾だと思うのです。先ほど保利委員から適時に空中散布さえすれば必ず効果があるというお話がございました。また林野庁の研究の結果もそういうような結果が出ておりますので、予防の意味でも空中散布はぜひ今後も進めてまいらなければいかぬ。そこで、基本的には総合的にこれを進めていかなければならないと私は考えております。 ただ名前については、今回松くい虫被害対策特別措置法と被害対策を加えたということは総合的な意味を含めるものでございますので、そういう点はどうぞ御理解をいただきたい、こう思います。
○秋山政府委員 ただいまの大臣に若干補足をさせていただきますが、先生御指摘の松枯れ対策というふうにおっしゃられる場合におきましては、私ども申し上げている松くい虫が運ぶところの材線虫による枯損以外に、公害等による枯損松も含めた対策というふうに私ども理解しているわけでございますが、私ども本法案を出すに当たりまして、長い間林業試験場等におきまして研究した結果でありますが、現在松林に発生しておりますところの被害は異常でございまして、あくまでもこれはマダラカミキリがもちろん媒介しますが、マツノザイセンチュウがその主犯であるということでございます。 そこで、当面はまずもちましてこの異常な被害を終息させるということが私どものいまの対策でございまして、そこで大臣が申し上げましたとおりあらゆる方法を体系化しているわけでございます。 そこで、私どもその法律の内容をはっきりあらわすという意味におきまして、松くい虫被害対策特別措置法というふうに案で命名しているわけでございます。したがいまして、今後、松にはそれ以外に枯れるものもないとはもちろん断言できませんが、いずれにしましても異常な被害を起こしているもとがマツノマダラカミキリが媒介する材線虫でございますので、それをまず徹底的になくすという趣旨でこの法案の名前をつけております。
○竹内(猛)委員 そう言うけれども、実際五年間で一番松の被害があったのは、きのうから言うと気象条件だとおっしゃったでしょう。茨城県が二十数倍にふえたのはあのときの干天と高温だ、こうおっしゃったじゃないですか。松くい虫だとは言わないでしょう。それはどういうわけです。
○秋山政府委員 元凶でございますところの材線虫でございますが、これにつきましてはいままで実験室でいろいろとその生態を調べた結果、二十五度前後から三十度になりますと相当のスピードで増殖をするということがございます。また、マダラカミキリも温度が上がりますと繁殖が高まるわけでございますが、一方、松の方は蒸散作用と導管を通る水のアンバランスによりまして弱体化する、そういうふうな高温少雨というふうな異常気象の中におきまして相乗的にこれが松にマイナス面でかぶさってきた、こういう意味で被害が異常に発生したというふうに私どもは理解しております。
○竹内(猛)委員 この議論はきのうも続けたから僕は意見として申し上げますけれども、茨城県が二十何倍になったということは確かに気象条件、土壌条件いろいろあると思うのですね。実際は総合的なものなんです。同じ気候のもとではどうです。長野県やあるいは福島県や北海道、そういうところは温度の関係もあるでしょうが、まだ高いところには被害がない。だから、気象条件ばかりに逃げ込んでしまってもぐあいが悪い。やはりやり方に問題があるんだということ、やり方の総合性に問題があるんだということをここではっきりしておかないと、私は、また五年後に言わなければならない。五年後には皆さんはいなくなるかもしれないけれども、われわれはまた五年後にここへ来てやらなければならない。その五年後のために明らかにしておきます。 そこで、環境庁来ていると思うのですが、宮城の前の松が非常にきれいな緑ではつらつとしているが、あれはどういう手当てをしていますか。
○高峯説明員 皇居前の松につきましては、皇居前の景観はわが国唯一の非常に貴重な景観であるということがございまして、松の管理には非常に重大な注意を払って管理いたしておるところでございます。特に松くい虫のお話がございますので、その点につきましてはマツノマダラカミキリを駆除することはもとより、樹勢を損なうことのないように配慮する必要がございます。したがいまして、毎年薬剤散布、薬剤といたしましてはバイエタン、セビモールというのを散布いたしております。そのほかに施肥、松のこも巻き等行って管理に徹底を期しておるということでございます。
○竹内(猛)委員 どれくらいの面積でどれくらいの金を使ってどうしているかということを言わなければ、あたりまえの話をしたってだめですよ。
○高峯説明員 皇居外苑の面積は九十五万五千九百八平方メートルでございます。その中に松が二千三百五十三本ございます。手入れのための予算でございますが、五十六年度におきましては一千三百十四万六千円を計上いたしております。
○竹内(猛)委員 御承知のとおり、二千三百五十三本の松に一千三百十四万六千円というお金を使って手入れをすれば宮城の松のようなきれいな松ができるんですよ。だから、虹ノ松原のように歴史と伝統のあるところで松がきれいになるのはあたりまえなんだ。ああいうところを枯らしてはいけない、だれもかれも。だから、虹ノ松原、虹ノ松原と言ったり、宮城というのが出てくるのはあたりまえの話だ。 いま、ここに幾つかの資料がありますが、私のところでは日本三大公園と言われる水戸の借楽園の松が枯れた、鹿島神社の松が枯れた、それから土浦市の中の城址である亀城公園の松が枯れて、四、五日前にこれを切った。その亀城公園にはかつて二百本の松があって、これに毎年二百万円ずつの散布をしていた。注射もした。これが枯れてしまった。そういうようなことで、いま現在五十本しかなくなってしまっておりますが、こういう中で国宝であり、県からも保護されている松がそういうふうになっている。そういう状態で手をかけてもなおかつ枯れてしまうというところに気象条件とかそういったいろいろな条件があるわけだが、手をかけて努力をすれば守れるということはもうここではっきりするわけですから、そこで松の林というものも今後も持続する場合にどのような手ほどきをするかということを、材線虫だけに頼らないで、どうしてももう少し他の工夫をしていくということはできないものかどうかということを、この際、いまの宮城の前の松と比べて私はなお執拗に要求をしたいと思うのです。 林業試験場の話を聞いてみても、課長さん、部長さんの話を聞きましたが、もう材線虫とマダラカミキリに決め込んでしまっている。他の要因というものに対して余り振り向きもしないような感じがしてしようがない。だから、現在、駆除の真っ最中に、五年間たってまだマダラカミキリと材線虫にだけ問題を求めようとしているところに何か不自然なものがあるのじゃないか、こういう感じがしてならない。どうしてもこれをもっと総合的に検討する気持ちはないのですか。
○秋山政府委員 松の枯損の原因につきましては、先生いま御指摘ございましたが、確かにマツバノタマバエによる被害だとか、あるいはツチクラゲ菌による被害だとか、あるいは風害による気象害とかそれぞれございますが、四十三年以来林業試験場におきましてプロジェクトチームをつくりましてやってまいった結果におきまして、異常に激発型の被害が出てくるというのは、やはりマダラカミキリが媒介する材線虫によるところの被害であることがはっきりしております。したがいまして、当面は、私どもといたしましては、この激発型の被害を終息させるということに重点を置くとすれば、ここにまず焦点をしぼってこの対策を徹底することが一番重要であるというふうに理解しております。
○竹内(猛)委員 いまちょっと大臣、用事があるそうですからいいです。 では、大臣の留守中にちょっと質問の角度を変えますが、文部省見えていますか。文部省はいつから郷土史とかあるいは社会科の中から林業というものを削ったですか。どういう目的で、いつ削りましたか。
○熱海説明員 お答え申し上げます。 新しい学習指導要領が小学校では五十五年から、中学校は五十六年から実施されることになっております。今回の改定で、御承知のとおり知識の量が多過ぎるから、もう少し精選をして教育する必要があるだろう、あるいは小中学校、高等学校までの教育内容というものを一貫的に見て、整理できるものは整理してほしい、こういうような答申などを受けまして、実は社会科の教科の構成を今度変えたわけであります。 今度変えた趣旨というのは、従来各種の産業を小学校、中学校それぞれ比較的網羅的に取り扱っておった。これをできるだけ重点的に取り扱ったらどうだということになりまして、特に、小学校については食糧生産、工業生産ということで、農業、水産業、それから工業、こういったところに重点を置いて指導していく。ただし、その他の産業についてはそれぞれの地域の実態に応じて取り扱う必要があるだろう、こういうことにしたわけであります。 また、中学校については、各種の産業は従来どおり取り扱う、こういう考え方で今度社会科の内容を変えて、その結果、小学校の五年生でいままで取り扱っておった林業、この部分が教科書のページ数などを見ても少し薄くなっている、こういう実態になっておるわけであります。
○竹内(猛)委員 きのうからもいろいろお話があるように、林業というのは単に材木をつくることだけが目的じゃないことはわかっていると思うのです。これは美しい自然を守り、観光あるいは資源、それから生活に必要な酸素を出す、あるいは防風林というような形もある。多くの役割りをしていることは御承知のとおりだ。そういう林業とか山というものを教育の中心から消してしまって、産業中心に重点を置きかえる、これは開発中心になるでしょう。要するに、自然破壊というものをだんだん認めざるを得ないような形になってきて、山の中に開発がどんどん進んでホテルができたり、あるいはいろいろな利益誘導機関ができてくるというようなことになってくる。山の自然が壊されていくということについて、もう山などというものは育てなくてもいいんだ、こういうようなことに受け取れるんだけれども、それを否定することはできますか。
○熱海説明員 お答え申し上げます。 ただいま森林の保護とか、あるいは森林の重要性、こういったものについては社会科でももちろん学習いたしますけれども、理科で相当扱っているわけであります。 社会科では、たとえば、わが国の自然の特色を理解させたりあるいは資源の開発と産業という学習をしておりますが、こういったところでその重要性というものを理解させるようにしております。理科では、たとえば、植物が相互に影響し合いながら成長しているとかあるいは人間と自然のかかわり方、こういったところで森林というものが実に大事だ、こういうことについて学習しているわけで、森林の重要性とか役割りについては十分指導するようにいたしておるわけであります。
○竹内(猛)委員 この問題をそれほど長く議論することはできませんが、私はかつて、小学校の教育の中から農業協同組合というものがない、ところが農家の人たちはほとんど農協の組合員であるわけなんですね、こういうものがなくなったということについていろいろ取り上げて問題を出したことがあります。森林もそうですし、それから農業というものは国の安全保障なんです。食糧をつくり、そして緑を守り、防風林、防災林、そして酸素を出すということは必要なことなんです。そういうような自然を守っていくという中に美しい人間性が生まれて、その国を愛するという愛国心が出てくる。それをだんだん壊されてしまって、そうして材木は外国から輸入してくればよろしい、山が荒れっ放しということでは、これは非常に困るのです。 そういう点で、もっと自分の郷土に愛情と愛着を持つようなそういう教育をなぜ文部省はしないのか。山を守るということは決して軍国主義とは違うのですよ。最近は非常に右翼反動の方向に行こうということで心配をしておるけれども、山は自然なもので、これはもともと非常に平和なものなんです。だから、教育を見直してもらいたいし、やがて農協法の改正の問題のときにはまたもう一遍これをやり返しますから、きょうはこれくらいにしておきます。 さて、今度は林野庁ですけれども、被害木の処理についていろいろ問題にしたいのです。被害木は民有林が多いでしょう。被害のうちの大体八割以上が民有林でしょう。そのために枯れた松がそのまま残っている。これを除去するのにどういう手法を用いたか。または、今度の計画の中にも地区計画というのがある。市町村が計画を立てる。その計画の立て方について、国、県、市町村というような上からの指導をするのか。それとも住民が、おれのところは松枯れで困る、どうも松があやしくなったから、ひとつ防除の方式を提案する、提案したものに沿って、その地域住民並びに松の所有者あるいはその地域にあるところの国有林の関係者、特に林政民主化共闘会議という、国有林の皆さんが中心になって組織をしているものが県及び各地にあるのです。そういうような民主的な力で一緒になってそれをやるというような考え方があるか。この二点について、まず長官から伺いたい。
○秋山政府委員 地区の実施計画をつくるに当たりましては、先生いま御指摘ございましたが、やはり地域の自主性をできるだけ尊重して、自主的な松くい虫の防除対策を推進するということが一番重要だろうと思っております。したがいまして、これを策定するに当たりましては、森林所有者の意見は当然でありますが、被害対策の推進に当たりまして、やはり連絡協議会等におきまして地域の住民の方々の意見を伺うように指導して、実際にこれが動くような計画をつくらなければならぬだろう、かように考えているところであります。 そこで、私ども、策定するに当たりましては、直接利害関係を有する森林所有者とか、農業、漁業を営む皆さん、さらには松材を利用する方々、それから被害対策を実施する地域の住民の方々をいま考えておるわけでございますが、特に、現段階におきまして労働者の方々の代表を入れる考えはございませんけれども、地域の事情によりまして参加することも当然あり得るだろうと考えております。
○竹内(猛)委員 立て方を、上の方から指導してやるのか、それとも住民から自主的に盛り上がったものを軸にしてやるのか、そういうやり方が大事なんだ。さっきから聞いていると、官民一体と盛んに言うけれども、上からやるのは官民一体じゃなくて上意下達ですよ。大体いままでの農政のやり方というのは上意下達なのです。減反なんかまさにその最高のものだ。法律でないものをつくっておいて、それに従わなければ、今度は横の方から補助金をやらないと言っておどかして、おまえが減反をやらなかったからこっちに補助金がこないじゃないかと、悪いやつは仲間をけんかさせるようなことをやっている。現にそうでしょう、法律でないものを持ってきて、仲間げんかをさせている。農政の上からも、米をつくれ、米をつくれと言って米をつくらしておきながら、余った米の始末を仲間げんかで減反でやらせる。そういうことだから政治がなかなか信頼されない。 だから、この際、この松くい虫等についても、ぜひこういう方法で駆除をやりたいということがあれば——これは空中散布を望む声があるかないかわかりませんよ。伐倒駆除を要求すれば、伐倒駆除をするために民意を結集してその選択をやる。そのときに、下から起こってきたものであるならば非常にぐあいがいいけれども、市町村あたりが計画をしてやるときに、賛成と反対があった場合に、賛否の基準、これはだれがどう決めますか。
○秋山政府委員 計画は、あくまでも自主的な積極的防除という体制の中で論議がなされるものと思いますし、地域の住民の方々の意見も当然聞くように、私ども指導してまいりたいと考えております。 そこで私は、そういう指導をしていきますと、地域住民の方々の中で十分意見調整は図られ得るとは考えております。もし仮に論議が分かれましたならば、市町村が、法律第四条の二項に規定してあります趣旨に従いまして、被害の状況あるいは防除効果、さらには、計画するに当たりましても、全体的な防除体系の中におきましての地区の防除をどうするかということに相なるわけでございますので、都道府県でつくります実施計画との調和というようなものを勘案しながらこれを判断することに相なると思います。
○竹内(猛)委員 これはでき得る限り総意を結集する中で——森林所有者というのは必ずしもその地区に住んでいるとは限らない。だから、そこで生活をしている人たちの同意を得るくらいのことはしなければまずいでしょう。同意を得ないのにまかれたのでは困っちゃう。どうです、その同意の問題は。
○秋山政府委員 地区の実施計画をつくるに当たりましては、ただいま申しましたように地域における自主的な防除対策をつくるということでございます。しかしながら、つくるに当たりましては、先ほど触れましたとおり県でつくる計画との調和を図るということも大前提でございますので、そういう中でつくられていくわけでございますが、この防除措置はやはり森林から松くい虫をなくすということでございますので、森林所有者の意見を聞くこととしております。また、被害対策を進めるに当たりましての地域住民の方々に対しましては、連絡協議会等におきまして十分伺うつもりでございます。 〔委員長退席、加藤(紘)委員長代理着席〕 したがいまして、被害対策で被害木を伐倒するという関係におきましては、地域住民の方々には直接規制を及ぼす性格のものではないというふうに理解をしておりますので、私は、意見を聞くということで進めてまいればよろしいと思っております。
○竹内(猛)委員 これは大臣、非常に重要なことなんですよ。山の所有者というのは大変遠くにいるのかもしれませんが、そこに住んでおる人たちはいろいろな産業をしているのですね。養蚕もやっているし、ミツバチもあるだろうし、それから魚も飼っているであろうし、またあるところには水源林もある。こういうところで空散をされたのでは非常に困る。そういうことで各地からいままでに多くの反対や異論が唱えられたと思うのですけれども、そういうことを繰り返さないために今度は特別伐倒方式あるいは伐倒方式というように予算も多少組みかえておるようですけれども、この点についても、扱い方について非常に大事だと思うから、やはり住民の同意、協力を得られるような努力をするということについて、最後に大臣、そういうことについてはどうお考えですか。
○田澤国務大臣 この点については、私は、県あるいは市町村計画の段階でいろいろそういう点を配慮しながら進めていくことが妥当だと思いますので、あえてそのことを言わなくても、県なり市町村なりの計画の段階でそれらのことを配慮しながら進めてまいるのが一番素直な、しかも効率的な進め方だ、私はこう思いますので、そういうような方向でするのが妥当じゃないだろうか、こう考えるわけであります。
○竹内(猛)委員 もう時間がないから最後に申し上げますが、茨城県においても大変な松枯れがありました。これも実際手を加えればちゃんとなるのですね。たとえば、あそこに林業試験場があるけれども、林業試験場の中の松はりっぱにきれいになっているし、筑波大学がありますけれども、あの筑波大学の構内における松は実によく緑を保っておる。別に宮城前の松だけじゃない。手を加えてちゃんと努力をすればりっぱに育つのです。ただ最近は、燃料の関係やらあるいは所有者の関係やらいろいろな関係で松がどんどん枯れてしまっているのです。 そこで、この際、山の緑を保つために枯れる松の処理とそれから樹種転換をやって、そうして本当に山の緑をさらにつくっていくということをやらなければならない。この間もあるところで樹種転換の現状を見ました。これは杉にかえていますね。これが一本四十八円から六十円ぐらいしますか、それを植えかえると相当な金もかかりますが、そういうような樹種転換をしていく。そして枯れる運命にあるものについては、これはある意味においてはやむを得ないとは言えないけれども、これは赤くなったときには、葉がしおれたときには、ほとんどもう虫がついているわけですね。今度は緑が残った部分については毎年空散をしなければいけないという形になるわけだから、そこでやはり虫に強い樹種にかえていく。そのための労働力、それから手法、やり方、それから何をどうするかという点については、何か考えられていることがあるかどうか。
○秋山政府委員 まず第一には、被害木につきまして、森林所有者がやはり積極的にこれを伐倒し駆除するという態勢にするためには、その資源を有効利用していくということが必要だろうと思います。したがいまして、資源を有効利用するためには、やはり伐倒し、それを搬出するための助成措置とかあるいはそれを加工する施設等に対する助成等も私ども考えておりますが、さらにチップ等につきまして売る先が十分確保されなければいかぬわけでございますので、これにつきましては、パルプ材に利用されるものもありましょうし、削片板に利用されるものもありましょうし、さらには最近特に茨城等におきましては、おがくずと同じように畜舎の敷きわらにするというようなこともございますので、そういう面での利用につきましてさらに積極的にそういう協議会等も持ちながら利用してまいりたいと思っています。 それから普通林地等におきまして、現段階でどうしても森林の機能が保ち得ないところにつきましては、思い切って林種転換ということでこれを伐採いたしまして、跡地につきましてはその土地、土地に合うように杉なりヒノキなり、場合によっては広葉樹なりを入れていく。また、その土地の中におきまして瘠悪的な面があるとしますならば、さらに土地改良というような方法も含めながら助成措置をするというようなことで進めてまいるわけであります。そういうことによりまして、森林機能をより拡大、充実強化していかなければならぬと思っています。 これらの事業を進めるに当たりましては、やはり地域の森林組合なりあるいは素材生産の業界の皆さんなりに協力を得ながら進めてまいるというつもりでこれから進めてまいりたいと思っております。
○竹内(猛)委員 森林の持つ社会的な役割りとして、緑の効用というようなことでいろいろ計算をされている中で、水源林の涵養であるとか土砂の流出の防止とか土砂崩れの防止あるいは野鳥の生息確保、それから酸素の供給というようなものを価格に計算をすると、いろいろな計算の仕方があるでしょうが、四十七年を一〇〇とした場合にそれが十二兆八千二百億、それが二十一兆一千五百億というように計算をされている向きもある。それはとり方によっていろいろあるでしょうが、それくらいの社会的な役割りをしている山林、こういうものをもっと育成をしていくということは政治の責任だ。だから、やはり樹種転換をするのなら思い切って樹種転換をして計画的にこれをやっていく。そのときの労働力等々について、できるだけ国有林に働いている皆さんも一緒になって、やはり地元の労働力を活用する。そしてその地元の者が山を愛するということにならなければ、せっかく樹種転換をやっても、大企業がまたそこへ入ってきてやったのでは困る。 そういうふうにしてもらいたいということが一つと、それから予算の問題です。さっきもちょっと予算の話をしたのだが、今度七十三億近いものになっておると思うのです。それはゼロシーリングの中で努力をしたと思うのだけれども、一体その基礎になっている被害というものは、予算の問題とは別に自然現象だから、どんどん虫食いが進んでいったときにはそれは構っているわけにいかない。こういうときにはどうするかという問題がありますね。そこで最後に、予算の問題とそれから山づくりの問題をお伺いして終わりたいと思いますが、これは大臣どうですか。
○田澤国務大臣 山を緑にするということは、私たち日本民族に課せられた課題だと思うのでございます。私は、日本の文化を積み上げるのには、資源のない日本としてはまず教育の積み上げによって人をつくる。もう一つは植林によって山を緑にする。そのことが、いまお話しのように水資源涵養に大きな役割りを果たす、また災害防除のための大きな役割りを果たす。国土あるいは自然の環境を保全するという面からも私たちはこの文化を積み上げていかなければならない。こう考えますので、松くい虫による被害木が林立している日本列島というのはやはり醜い姿だと思いますので、そういう点では今後徹底してこの終息のために努力をしたい、こう考えます。 そのために予算の問題でございますが、今回所定の予算を編成してございますけれども、被害の状況によりましてはそれぞれまた予算の面についての対策を十分考えていかなければならない、考えるべきであると私は考えております。
○竹内(猛)委員 五年後には本当に予想したとおりにがっちりいくかどうかということを、私どもは新たな角度から提案もこれから同僚がしていきますが、監視をしながら、ひとまずこの質問を終わります。(拍手)
○加藤(紘)委員長代理 竹内君の質疑はこれにて終わります。 続いて、島田琢郎君。
○島田委員 私は、きのうからの論議を聞いておりまして、どうも政府当局に厳しい総括、反省がない、こんな感を重ねて強くしたわけです。したがって、私の疑問は晴れませんし、また当然納得ができないという部分が幾つか新たにいま出てきた、こう思います。この際、その幾つかの点について、再度林野庁当局の考え方をただしておきたいと思うのです。 いま思い起こしますと、五十二年のあの論議のとき、私の頭に鮮明に浮かんでいることは、当時の林野庁長官、大臣も含めて非常に自信をもって終息できる、われわれがずいぶん幾つかの細かな疑問点を投げかけた点についても、きわめて高姿勢にこれは終息してみせるというように誓い、自信にあふれた答弁を繰り返しなされていた。それが私はいま強く印象に残っているのです。ところが、きのうから各委員こもごも指摘をしているように、実態はまさに終息どころか被害が拡散するという状態になった。非常事態です。ところが今度提出されている改正案は、確かに一部反省と見られるような法案補強が行われている点はある。これは私は率直に評価をしたい。しかし、大事な点がどうも欠落しているばかりか、一層疑問を深めるような点もたくさんある。 そこで、まず口先だけの反省ではいかぬのでありまして、それがしっかり今度の五年間にわたる実行の中で必ず終息するという目標に近づかなければならない。もう五年前のそうした発言と実態が大きく乖離したことにこりたのか、きのうからの大臣以下の皆さんの答弁はかなりその点では自信を失っているという感じもする。しかし当時、私どもはこのままでいってこれで五年で終息できなかったらどうするかというまで詰めていますね。しかし絶対できます、一%以下の微害にとどめることは可能です、これもまた言い切り。本来ならば、この三月三十一日でこの特別措置法が失効した後、別な法律によって対応するということに本当はなっていなければならぬのです。なってないばかりか大変な事態になっているのですから、私は、まさに非常事態と位置づけていいんだろう。それじゃ、その非常事態に対処するのには一体どこにどういう問題点があったかを総ざらいして、総点検してそこのところをしっかりと補強するというのでなくちゃ、これは口先だけの反省だということにもなってしまうのではありませんか。そういう点、私は非常に危惧の念を持っている一人であります。 その一つに、きのうから繰り返し失敗の原因は何なのか、こう言ったら、その原因の一つに異常気象ということを挙げられた。これは五十三年を指しているようであります。しかし私は、あれだけ胸張ったという事実のある限り、いまさら言いわけされてもこれは私どもとしては納得ができません。そもそもこれを実施するに当たって、すべてを網羅し尽くした対応策というものが経験されてその上に立って自信を持って実施するということになったんだと思うのです。その中に異常気象という要因だって十分含めておかなくてはならなかったはずなので、いまさら異常気象が原因でございましたという御答弁は、これは言いわけにすぎない。 そこで、異常気象とは何だという点をもう少し詰めておかなくてはならない。というのは、五十三年のああいう状態というのは、これから先起こらないという保証もないのでありますから、それにどう対応しようとされるかという点も聞いておきませんと、またこの先五年の間に異常気象が起こったら、また異常気象のせいでございましたとか言って頭を下げて済む話じゃないのです、今度の場合は。この点ひとつお尋ねをしておきたい。
○秋山政府委員 現行の特別措置法制定時、いま先生御指摘のとおり、林野庁といたしましては特別防除を中心としました防除対策で、いわゆる微害程度に終息できるというふうな判断で進めたわけでありますが、やはりそれまでの気象条件と五十三年におきましての気象につきましては、たとえば、茨城で申し上げますと、茨城の測候所始まって以来のきわめて異常な高温少雨というふうな状況下におきまして、材線虫につきましての研究におきましても昭和四十三年以降の研究でございまして、まだ生態そのものにつきましては、私は、率直に申しまして不十分な面があったんだろうと思っております。そこで、以来、大型プロジェクトによりましてこの材線虫の生理的な活動、あるいは毒素を出すかというような問題それから温度に対しましてたとえば九・五度以下ではほとんど生息できない、二十度以下では木にこれを注射しましても活動ができない、二十度を超えますと活動をしてくるというふうなそういう温度との関係、それからマダラカミキリとの関係というものにつきましては、それ以後だんだん成果が上がってきたんだろうと思います。率直に言いまして、その当時の段階では材線虫、マダラカミキリの共生関係につきましても不十分な面があったと思いますので、これは、その後のそういう研究成果を私ども踏まえてやらなければいかぬと思っております。 そこで、いま申しましたように、この大発生したときの関係で見てまいりますと、五十一年、二年まで比較的微害であったところ、と申しますと茨城、栃木それから静岡、愛知、鳥取、神奈川というところが特にひどうございましたが、この付近が当時の気象状況を見てまいりますと、異常に高温少雨という結果になっていまして、この六月ないし八月の平均気温がこれまでの年平均に対しまして二・二ないし二・四度アップしたというようなことやら、それから雨量におきましては、同じく六月ないし八月におきましてそれまでの年平均に対しまして九十九ミリあるいは百ミリの減少というふうなきわめて異常でございまして、当時農業におきましてもいろいろと緊急措置がとられたことば御承知のとおりであります。そういう中におきまして、これまで微害であったということもありまして、確かに県内の防除に対する体制というものは私は不十分だったろうと思いますし、この特別防除につきましても、五十二年、五十三年等におきましては被害が非常に多かったにもかかわらず、わずかに二千ヘクタールぐらいしかできなかったというふうなこと、それから一遍に出たために伐倒駆除等をするための組織がなかったということが異常発生につながったという気がいたしております。そういうふうな地域の報告も受けております。 そこで、五十二年、五十三年というふうにだんだんと地域の防除体制が整備されてまいってきておりまして、五十六年におきましては、七十四万から三十九万というとまだ非常に多うございますけれども、相当下向きになってまいってきておりますので、私ども従来の経験を踏まえまして特別防除、予防すると同時に今度はやはり保安林等の重要なところにつきましては、徹底的に伐採してチップ化してあるいは焼却するというふうな方法をとったり、さらには、感染源をなくするためには普通林地でどうにもならぬところは積極的に伐採して跡を植えかえるというふうなことで機能をつくるというようなこと、さらには、地元の自主的防除と申しますか市町村、地域の皆さんの積極的な協力、国と県と地元の皆さん全部が一体の体制でやることが一番重要でございますので、過去のそういうふうな反省に立ちましてこれから一生懸命やりたいというつもりでおりますので、これは御理解を賜りたいと思います。
○島田委員 異常気象に責任を負わせるという考えが依然として長官の頭から消えていない。しかし、今後の取り組みとして、後段のところは私はいいと思います。それだけお約束になったんなら徹底してやってもらわぬと困りますよ。そして同時に、国会答弁というのは、あなたはいま前任者の発言を否定されたわけだ。異常気象というのは実はやはりうちの方は手抜かりであった、詰めて言えば、それを認められて反省をしています、こういうふうに私は受け取りました。だから、余り胸を張らぬ方がいいと僕は思うのですが、しかし自信は持ってもらわなければいけません。自信と、やはりいま約束したことは守るということはしっかりお約束してもらわないと、五年たってまた五十三年当時の異常気象とまた違った気象が出てまいりましてなどとここで泣き言を言ったら、私は承知しない。それくらいマダラカミキリ対策はまだまだ研究が不十分だったということなんですから、何もかもこれで絶対やれるなどというような考え方で胸を張られるなんというのは国会を愚弄するものだと、私は、いま腹立ってならぬのであります。それは前任者の言われたことだからと言われれば、あなたを責めるのは酷かもしれない。しかし、みんな長官の答弁を信じていままでわれわれは見守ってきた。結果がこうなって、いまさら死んだ子の年を数えても始まりませんが、いま言われた言葉はしっかり議事録にとどまっているのだし、また同じようなことをこの席で言うようなことは絶対にないという、そういう毅然たる、いわゆるこの対策に取り組むという姿勢を示したと私は受け取って次に進みますけれども、以下、お答えになる立場でも、ぜひそういう考えを十分持ってお答えを願いたい、こう思っています。 さて、ここで気象庁来ていただいておりますが、いま結論のところまで行っちゃったから、気象庁はお引き取りいただいて結構であります。余り変なことを言うなら証言に立ってもらおうと思ったけれども、そこまで決意を言ったのですから、これ以上深追いはやめておきましょう。 そこで、いま言われた点はかなり法律の根幹に触れるところだから、私はそこで了解はするのですが、さて、いろいろいままでの経過を振り返ってみますと、やはり薬剤の散布というようなことで、それが最大最高の手段であるということにはならないということもきのうの議論でほぼ明らかになっているわけであります。私どもは、率直に言って、何も薬剤の散布を全面否定するという立場には立っていません。しかし、現行法といいますか、この五年間のやり方をこのままで継続することはだめだ。だから、重心を移して伐倒駆除、特別伐倒駆除で徹底的にやる、そしてここのところは空中散布やむを得ないという場所に限定してそれを最小限の範囲で行うべきだというのがわれわれが従来主張してきた点であります。ところが、改正法も依然その軸足がわれわれの主張するような方向に変わっていない。空中散布がまず主で、補完的に伐倒駆除、特別伐倒駆除、そのほかの問題に取り組もうという姿勢をどうしても固執しようとされているように私にはうかがい知れるのです。しかし、何といっても第一次災害を阻止するために第二次災害というようなものが起こってきたのでは、これは何にもならぬのです。やらぬ方がいいということになるのです。ところが、こういう事態というのは、この五年間に限定してもずいぶんあちこちに起こってきた。私どもの心配は一層つのるばかりです。しかも、それに対する手当てや対応策が全くゼロに等しい。こうなりますと、この延長については私どもは相当の厳しい枠をはめていかざるを得ない、こういうことになります。 ところで、きのうもちょっと水田委員から指摘がございました中で、私は非常に疑問に思いました。散布が終わったいわゆる実行後のトラブルとか、いろんな環境汚染とか、生態系の破壊とか、もろもろの問題がその地域に起こっているにもかかわらずそれが正確に把握されていないということについて、私は、これは一体何たることだ、極端に言えば法を犯している、法違反ではないかというふうにさえ感ぜられるのでありますが、大体、きのうの長官答弁では、三十カ所の効果調査を行った、十カ所についても、そのほかのいわゆる環境等の問題を含めて調査を行ったが、異状はなかった、こういう説明であります。本当にそうなのかどうか。それなら、いろんな新聞をにぎわしているこのトラブルやあるいは被害というものをどのように把握しているのか、きわめて疑わしいと私は思う。 重ねて聞きますけれども、こうした各地に起こっている実態というものを正確に把握しているのかどうか。いかがです。
○秋山政府委員 特別防除実施によりまして農業あるいは漁業に被害が発生したりあるいは周囲の自然環境並びに生活環境に悪影響を生じた場合などには、遅滞なく林野庁あるいは関係方面に連絡しまして事後対策を講ずるようにこれまでも通達し、指導してまいっております。 これらの事後対策の関係でございますが、これまで出てまいりましたのは被害の程度が軽微なものであることや、あるいはパイロットの操作ミスによるものなどがございまして、都府県の段階におきまして、薬剤散布の受託者が被害の補償を自主的に行うというようなことによりまして迅速な処理をいままでしてまいっておりまして、それらにつきまして幾つか実は私どもも例がございます。それで私どもも、防除を進めるに当たりましては地域の皆さんの御理解をいただきながら、そういうトラブルの起きないように万全の配慮を払うことが一番大切でございますので、今後ともそういう形でやってまいりたいと思っております。
○島田委員 長官、私の質問に正確に答えなくちゃいけません。私の手元にも、たくさんの被害の実態というものの報道された資料があります。このほかにもあると思うのですが、林野庁としては、こうした新聞の報道あるいは新聞以外の報道もあるでしょうが、それらの点を正確に把握しているのですかということを聞いたのです。
○秋山政府委員 新聞等に報道されましたものにつきましては、各都府県に連絡をとりながら、その実態につきましてその都度把握し、対処してまいっております。
○島田委員 それじゃ、どれぐらいあるのですか。
○秋山政府委員 お答えします。 件数につきまして、五十二年から申しますと、特別防除による被害の発生状況を見てまいりますと、件数が二十四件、それから五十三年が十七件、五十四年が十二件、五十五年が二十九件、五十六年が二十件、合わせまして百二件ございます。
○島田委員 そこで、それらの対応といいますか、処理についてはどういうことをおやりになったのですか。
○秋山政府委員 それは先ほど触れましたとおり、都道府県段階で全部処理をいたしまして、国の方に上がってきているものはございません。
○島田委員 都道府県ではどういう処理をしたと報告されていますか。
○鈴木説明員 ただいま、香川県の例でございますが、クルマエビに被害があったというような訴えがございまして、これに対して見舞い金等を支払っております。
○島田委員 調査を実施した県は十県と言われましたが、どことどこの県ですか。
○秋山政府委員 お答えします。 千葉県、静岡県、兵庫県、和歌山県、広島県、山口県、福岡県、大分県、宮崎県、鹿児島県の十県でございます。
○島田委員 いま百件余にわたる事件の報告があったということをおっしゃいましたが、県別に分けますと、どういうことになりますか。ちょっと補足します。そういう問題として出されている県が、いま報告された十県のうちどれだけ該当しているか、こういうことです。
○鈴木説明員 県別には後ほど調査して御報告をいたします。ただいまここには持ち合わせておりません。
○島田委員 私は、その中で特に数件しか申し上げませんが、私の手元にある新聞で、林野庁が調査をしたという県は、該当する県はたった一県しかないのです。兵庫県であります。百何十件の事件が起こっておりますから、いまのお話にあった十県にそれぞれ起こっているのでありましょうけれども、特に、大々的にこんな大きな記事で発表になっている県の該当県は兵庫県だけなんですね、あなたの方で調査をされた県は。あとは県の段階でそれぞれ対応した、こういう報告ですけれども、県がどういう対応をしたかという点は正確に把握されているのですか。
○鈴木説明員 県の方では、それぞれそういう実態がございました場合は調査をいたしまして、見舞い金等の対処をいたしております。
○島田委員 少なくともこういうでかい活字で報道されているところについては、林野庁としては相当関心と神経を払わなければならぬのは、これはやはり監督官庁としての常識でしょう。おやりになりましたか。
○鈴木説明員 たとえば代替水を毎日配布いたしまして、薬剤が検出されるまで取水を禁止したというような事例もございます。
○島田委員 これまた私の質問に正確に答えようとしない。私は、いま例として数県を挙げているにすぎませんよ。しかも、これだけあなたの方から、大臣がごらんになってもわかるぐらいのでっかい活字です。朝日新聞もあり、サンケイ新聞もあり、相当の有力紙にこれだけでかでかと載っている。これも県に任せて対応させるというような無責任で一体いいのかどうかと私は疑問に思えるのです。いまお聞きすると、さっぱり具体的な対応らしい対応はしていないと思えるのですが、そんな無責任なことでいいのですか、長官。
○秋山政府委員 現在のお話の件でございますが、これは都道府県知事の責任において実施したものでございますので、都道府県知事にその措置を任せておるわけでございますので、こちらの方に、先ほど先生御指摘のとおり、すべて県に任せるということであります。
○島田委員 それでは、こういう問題が起こったときに一カ所でも林野庁から現地に出かけて調査をしたということがありますか。
○秋山政府委員 現在、事実関係を私、掌握しておりません。すぐ調べます。
○島田委員 恐らく行っていないんでしょう。一カ所でも行っていれば、あなたは胸を張って、行っております、こう言うはずでありますから。もってのほかじゃないですか。そもそも、長官も先ほどおっしゃったが、基本方針に基づいて県に指示をしていますね、長官通達で。あなた、責任ないとは言えないんですよ。それは県に任せたのだからと言えないんですよ。なぜおやりにならぬのですか。人間の命にかかわり、環境破壊にかかわり、大変な社会問題にもなりかねないこういう問題を、それは県に任せてあるのだから、県はうまくやれよ、おら知らぬよ、こんな無責任なことで、一体重大なこの空中散布をそのまま続行させるなんということには絶対にならぬ。重ねて答弁を求めます。
○秋山政府委員 私ども、法律第三条に基づきまして、基本方針では、先生御承知のとおり生活環境あるいは自然環境への十分なる配慮を規定しておりますし、また八条におきまして、薬剤を散布する場合の注意も十分規定しておりますので、これに基づきましての方針あるいは通達等で進めておりますが、今後さらにこういうことにつきましては一層徹底していかなければならないと考えております。
○島田委員 私は、その反省がないということを言っているので、これから心を改めてやりますと言うだけでは、私は直ちに信用できないのです。 ところで、指導部長は、問題のところは中止させましたというお話をされました。中止したところは何カ所ですか。
○鈴木説明員 個所は正確に把握いたしておりませんが、面積で申し上げますと……
○島田委員 そんなことを聞いていません。具体的じゃないですか。具体的に把握していないというのは何たることですか。中止した個所も把握していないのですか。——指導部長、もういい。 それでは、私は、次の点からまず姿勢をただしたい。 長官、いまいみじくもおっしゃったが、法第一条に基づき、第八条にも明記されているとおり、諸般の状況に「考慮を払いつつ、」これは大変大事な文言ですね。法律に明記されている点です。これを受けて基本方針がつくられ、長官通達が出されている。私どもは、この辺のところは大変心配なんで、全会一致の附帯決議にもこれを明記しました。具体的にどんな考慮が払われたかをこれから聞きたいのですが、私はさっき結論めいたことを言いました。恐らくこういう状態だろう、実態だろうと思うから、法律違反と言われても仕方がないでしょうということを言ったのはこの点であります。中止すべきであるというのも大変大事な国会決議の柱になっているのです。中止した個所も把握していない。それもこれも全部県任せですか。そうしたら法律はどうなるのですか。基本方針、長官通達はどうなるのですか。まして、われわれ国会が真剣に議論をし、重大な問題としてここのところだけはきちっと附帯決議にも明記して、われわれはあなた方を信頼して行政に任したのですよ。何もやっておらぬということは、これは国会軽視ではないですか。 そこで、一つ聞きますが、国会がこの法律を成立させた日にちは五十二年のいつでしたか。——何ですか、一体。あなた方が大事な法案としてわれわれにも成立にぜひ協力してくれと、あれだけ熱意を込めてやった法律がいつ成立したか知らない、調べなければわからぬなんてばかな話がありますか。
○秋山政府委員 五十二年の四月十八日でございます。
○島田委員 長官通達が出されたのはいつですか。
○秋山政府委員 四月二十日でございます。
○島田委員 その間何日ですか。
○秋山政府委員 二日でございます。
○島田委員 国会の意思が明確でない中で、すでに、二日しかなかったのだから長官通達、基本方針はつくられていたわけですね。
○秋山政府委員 法案作成段階からこれにつきましては十分検討を加え、かつ国会段階での御審議を踏まえまして結論を詰めていった。したがいまして、国会通過後、できるだけ早くこれを通達いたしませんと、すでに特別防除をする時期が迫っており緊急を要する段階でございましたので、そういう準備作業の上に立ってやった次第でございます。
○島田委員 大臣、無罪放免するんじゃありませんからね。あなたの都合で、国会のことを考えて、私は罪一等を減ずるような気持ちでいま解放するのですから、あと長官からひとつ篤と報告を受けて腹を据えてくださいよ。 その作業に私は難くせをつけるつもりはありません。五月、六月の第一回の散布に間に合うようにしたいという熱意は買う。しかし、大事な点が欠落している。あなたはいまいみじくも国会の御意見などを十分尊重して、また論議を踏まえてとおっしゃったが、その大事な柱になっていたのは何かといえば、「考慮を払いつつ」という簡単に言えばこの数文字の点なんであります。 〔加藤(紘)委員長代理退席、委員長着席〕 そして被害が出た場合には中止をせよ、これにもさよういたしますと答えている。そういう点を国会の論議その他各党の意思を持ち寄って附帯決議にかなり鮮明に明記した。ところが、二日しかなかったからという言いわけになるかもしれぬが、大事なその点があなたの指導通達の中に盛られていない。そもそも最初からもうたかをくくって四月十八日成立したら一瀉千里におれの考えでやってしまえということを通達の中に、基本方針の中では固定してしまっていたということでしょう。国会軽視ではないですか。いかがです。
○秋山政府委員 私は国会の内意を踏まえて出したものと理解しております。
○島田委員 それなら中止をした個所も把握するとか、あるいは地方の都道府県に任せるだけではなくて、この五年間そうした点、国会の議論を踏まえ意思を尊重して正確にこれを進めていかなければならぬはずのものでしょう。一片の紙切れを出しておいて、これだけの被害が起こったにもかかわらず調査にも行かなければ何の林野庁自身の対応もしない。都道府県の判断で中止はしたけれども、その中止命令だって林野庁の長官のところから出ているとは思えない、この間の答弁を聞いていると。まことに無責任きわまりない態度だ。だからこんな結果になるのですよ。少々声が大きいかもしれぬけれども、私は熱心に考えるからです。再び同じ結果や過ちを繰り返してはならぬ。この熱意でいささか声が大きくなります。本来は、私は余り声の大きい方ではありません、仏の島田と言われているくらいでありますから。しかし、これだけは私は許せぬな。その反省が一つもない。いま私が指摘した点は、われわれは心配だから法律にちゃんと明記しろと主張しましたが、どうもこの点は入れられそうもない空気の中にいるようだ。だとしたらきちっとした中止条項、すべてに考慮を払いつつという点については改めて基本方針に明記しなければ、同じことをやろうとする姿勢だと言われても仕方ありますまい。きちっとそれをやりますか。
○秋山政府委員 私ども、特別防除につきましては、先生触れましたとおり第一条におきまして規定し、さらに法第三条におきまして、基本方針におきまして環境保全に関する事項を定めなければならぬと言っていますし、さらにこれを受けまして、基本方針におきまして環境の保全に必要な事項を法で実施することを明記しておりますので、今後におきましては、基本方針におきましてさらにそれらの問題につきましては十分踏まえてまいりたいと思っています。
○島田委員 それと、正確なる情報収集というのは機能としては大変大事な点です。さっきのお話によると、都道府県から上がってこなければ全く入ってこないというシステムになっているように聞こえます。僕は林野庁の情報収集機能というのは抜群だと思っているのです。たとえば私が地元の営林署を歩きます。メモ係というのがおるようですね。それで足りなくてテープ係もおるようであります。私のあいさつを逐一メモにしテープにとって局を通じ林野庁、東京にまでその日のうちに上がってくるというほど情報収集機能というのは高いのですね。事松くい虫に対しては何でその機能が生きないのですか。僕らだって新聞のちょっとした、こんなでかい記事でなくても松くい虫と活字が出たらぱっと見るのですよ。いわんやあなた方、毎日新聞を見ていて、県から上がってこなければ知らないなんというようなことになりますか。恐らく議員一人一人の行動というのはみんなつかまえているはずですね。私の知らないうちに、林野庁にどこどこの営林署で私がどんなあいさつをしたかということが皆ぱっと上がってくる。これくらい情報機関が発達していて、まさに戦時中の何かを思い出すくらい大変な情報収集機能を林野庁は持っておる。私は常日ごろそういうふうに感心していたのであります。事松くい虫になったら全然情報収集の機能がないじゃありませんか。そんなばかな話がありますか。常識では考えられないことです。裏を返して言えば、それはまさに無責任きわまりないということです。一片の紙切れを出しておいて、後は知らぬ、うまくやれ、問題が起こってもおれらの方に上げないで地元で処理せいよ、こんな態度でこの先五年間やられてはたまったものじゃありません。きのうも厳しい御意見があったじゃないですか。国費のむだ遣いだという話まであった。一体いかがなんですか。その機能というものを最高限生かし、日常きちっとアンテナを張って、問題が起きてはいないか、問題が起こるようなことがないか。むしろ、予防措置として起こってはいけないという立場に立っての情報収集機能ばかりじゃない、それをやれとあなたは基本方針に明記されて通達されているのです。国会のわれわれの附帯決議もそこのところが心配だから非常に厳しく意見として出している。 重ねて言うけれども、われわれは行政を信頼しなければならないと思います。だから、一定の注文はつけても、附帯決議をもって、これは行政は責任を持ってやってくれると信頼しているからわれわれは安心してこの五年間任せてきた。全くおかしいじゃないですか。これから一生懸命やりますという反省の声はわかるけれども、総括を厳しくやって、本当に腹の底から反省があって、それが文字にも行動にもあらわれて初めてああ本当に長官が言ったとおりだなということになるのであります。あなたは、わずかあと何分かしかない島田とのつき合いが終わればしめたものだなどというようなつもりで物を言っておられてはかなわないのであります。その点は責任を持ってやっていくということを、あなたは口としてはおっしゃっているが、私はあなたの人柄を決して憎たらしくも思っていません、まじめないい人だと思っている。しかし、それとこれとは違う。まじめならまじめなりにきちっと責任を持って、あと二年もしたらおれは長官職じゃなくなるわいというような感じでおやりいただいたのでは国民はたまったものじゃない。いま指摘の点はどうですか。
○秋山政府委員 いま、いろいろと御指摘いただきましたが、今後の松くい虫の防除対策につきましてはあらゆる角度からこれを検討いたしまして、終息に向けまして最大の努力を払うつもりでございますし、ただいま御指摘の点等につきましては、基本方針の中身を検討するに当たりまして十分考えてまいりたいと私は思っております。
○島田委員 われわれ社会党はその点を非常に心配したから法案を堅実なものにしたいという努力を重ねてきました。しかし、今日までわが党の本当に考えている点が理解されないできたのはまことに残念なことだと思います。 この際、私はもう一つお尋ねをしておきたいのですが、どうも環境庁とのかかわりがきちっとなっておらぬような気がする。きのうもその質問がありましたが、いみじくも環境庁の体質が明らかになった。環境庁には自然保全のための審議会が置かれている。少なくとも役所同士の話し合いはあるかもしれないが、これだけ大がかりな世紀の大事業をやるのです。空の上から薬まぶれと言われるほど、日本列島農薬まぶれじゃないかと言われるほどの大事業を構えた。それにしては環境庁と林野庁とのかかわりというのはどうも理解のできない部分を残したままこの五年間推移してきたと思えてなりません。ここのところはひとつ反省してもらわなければならぬ。 まず、環境庁にお尋ねしますが、こういう問題が各地に起こっているということについて正確な把握ができているのかどうか。つまり、いま林野庁に指摘したような情報の収集機能というものは十分果たしているのだろうかどうか。その点が大変疑問に思える点ですが、環境庁いかがです。
○高峯説明員 環境庁といたしましては、国立公園のような指定された地域、こういった地域につきましての情報はシステマチックに入ってくるということで、そこで何か問題が起これば直ちに入るようになっておりますが、そういう指定地域以外の地域におきましては都道府県の環境担当部局からの報告によるという形になっております。そういうシステムでございますので、いま御指摘になったような情報が一〇〇%正確に私どもの方には入っていない場合もございます。
○島田委員 環境庁はいみじくも本音を言ったわけであります。これもまた地方任せだ。私は、地方行政機関とのタイアップなりパイプというものを壊せと言うのではありません。毎日毎日細かなことまで含めて目をみはれと言っても、それは大変ですから、地方に任せるところは任せなければなりません。しかし、少なくとも実害をこうむった、環境上これは大変な破壊につながったということの判断は、実行行為がある前後にはきちっと環境庁としては把握しておかなければなりません。破壊されてしまった後幾ら実態を把握したって、環境庁としてはどうしようもない。林野庁に文句を言うだけが精いっぱい。後で直すとかなんとか言ったってできっこない。だとしたら、日本列島が環境破壊につながったり、生態系が破壊されたり、人の命や動植物に重大な影響を及ぼしたりしないように見張っているのが環境庁の八割の仕事だと私は思う。地方から上がってこなければ全くつんぼ桟敷、これでは環境庁に対する国民のいわゆる信頼は地に落ちるばかりで上がるわけがない。ましてや国民は、空からの農薬散布に対しては異常なまでの神経を使っている。おれのところは特別保護区域だけ守っていればいいと言って済む話ではないと私は思う。法律上や行政上の責任の分担から言えば、いまあなたがおっしゃったとおりでしょう。しかし、私は、もう一歩それを踏み越えてもらいたい、環境庁本来の使命に徹してもらいたいという希望をいま述べているのです。そういう考え方で五年間林野庁としっかり連絡をとり合って、いささかも問題を起こすようなことがないようにしてほしいという私の願いがある。これにこたえる新たな考え方をお持ちでしょうか。
○高峯説明員 国立公園等以外の場所につきましても、自然環境いわゆる環境問題に関するいろいろな情報はできるだけ把握するようにということで、昨年来国立公園の管理事務所長に対しましては、常に公園外であっても重要な情報は連絡するようにということを指示しているところでございます。しかしながら、国立公園の管理事務所は全国に十カ所しかございませんので、それだけではやはり不十分という点がございます。いま御指摘がございましたように都道府県の環境部局を通じて、それ以外に環境庁は出先機関を持っておりませんので、それに頼るほかはないわけでございますが、そういった情報が私どもにも十分把握できるような方法というものを今後検討いたしてまいりたいと考えております。
○島田委員 林野庁お聞きですか。環境庁としては対応する用意がある、検討したいと言っていますから、あなたは何が何でもとそこだけ考えていくようなことがないように、日常的な緊密な連携をとり合うということをおやり願いたいと思う。これは約束できますね。
○秋山政府委員 これまでも森林の取り扱いにつきましては環境庁と連絡をとってやってまいったところでありますが、この松くい虫防除の事業の推進に当たりましては今後さらに緊密な連携をとうてまいりたいと思います。
○島田委員 私はそもそも、やはり大事な場面では、環境庁としては、行政の立場の判断だけではなくて、審議会にかけていくということも大事だと思うのです。せっかくある、しかも日本の学者頭脳を総動員した環境の審議会であります。このオーソリティーの頭脳を有効に使っていくというこうした公的な機関があるのですから、それを大いに活用されて、林野庁のやろうとしていることに対して十分監視すべきだ。両省庁としては、私のこの提案に対してはいかがですか。
○秋山政府委員 まず、都道府県段階でいろいろ審議会がございますが、県の森林審議会の中に御承知のとおり松くい虫対策部会というものを設けまして、これの対応をこれまでやってまいったところでありますが、その委員構成につきましても十分配慮するようにということで、また環境保全部局とも十分連絡、協議をとってやってまいってきているところであります。したがいまして、そういう段階におきまして、環境保全に関する意見が森林審議会の段階で十分反映されていると私ども思いますが、さらにそういう面につきましても連携を密にとってまいりたいと思います。
○島田委員 私は、あえて法律を持ち出す必要はないと思っていましたが、なぜ私がそういうことを強力に言うかというと、この法の第一条「目的」のところに「周囲の自然環境及び生活環境の保全に適切な考慮を払いつつ、」という大事な条項が入っているからであります。環境庁、こういうことを考えますと、地方審議会も含めて機能していかなければならぬ。それが十全の役割りを果たしていないばかりか、機能を果たすような行政側の考え方も全くない。これではまた私は非常に心配だから、少なくとも国民にかわって監視している環境庁として襟を正してもらいたいと思うからです。林野庁は、私どもに言われれば、緊密に連絡をとってやってきましたし、これからもやります。しかし、現実に起こっている問題は、御説明のあった点が全くやられていない。私は心配だからそれを言うのです。環境庁としてのお考えを聞かしてもらいたい。
○高峯説明員 いま、いろいろ貴重な御提案がございまして、私どもといたしましてもそういった御趣旨を踏まえまして、今後どのように対処していくかについて検討を重ねたいと考えております。
○島田委員 そこで最後に、これは明快なお答えをいただければ五分以内で済む話でありますが、伐倒駆除あるいは特別伐倒駆除を初めとする新たなやり方を導入するという点について私は一定の評価をいたしました。必ずしもそこに重心が移り切っているとはいえないという疑念を残しながらも、これは認めざるを得ないでしょうが、しかし、何としても五年間伐倒駆除、特別伐倒駆除によって対応するという点は、いままでと違ってかなりウエートが高くなっていかなくてはならない。これが今度の改正案の大事な点であります。そうすると大変人手を多く必要といたします。今日的な状況から言えば、林業労働者の人数を把握するということは、あるいは集めるということはなかなか至難だという点はわかるが、しかし、こういう非常事態を迎えた松くい虫の撲滅作戦には異常な決意を持って臨まなければならないのは重ねて言うまでもないことです。人を山に集め、そして人海戦術でこれを撲滅していくという対応が必要でしょう。それには幾つかの問題を整理しておかなくてはならないということは、私自身もよく理解している点です。しかし、これだけ山が不況になり、木材が不況になってくると、どうも人が集まらなくて困るというこぼし話の方が先行する。これでは私はいけないと思う。この際、山の不況をぶっ飛ばすぐらいの反転攻勢をかけていくこの法律をよりどころにしたやり方を考えるべきだと私は思う。そういう点で言えば、労働雇用対策というのはもう一つの柱としてこの法律の中で十分考えていかなければならない点だと思うのですが、その対応について具体的にどんな考えがあるか、この際伺っておきたい。
○秋山政府委員 今後の松くい虫の防除を積極的に進めていくためには、地上におきますところの特別伐倒駆除あるいは伐倒駆除等も積極的に進めていかなければならぬと思っております。そういう意味におきまして、労働力の確保というのは重要な問題であるというふうに私は理解をしておるわけであります。そこで、私どもは今度進めるに当たりましては、森林組合の作業班あるいは素材生産業の方々の労働力の確保に努めてまいるわけでありますが、それにも増して、山村におきまして林業を安定的にできるということが非常に重要でございますので、基本的には林業生産基盤を整備し、そこに就業の場を十分に確保するということが非常に重要でございますので、そういう面からもこの問題に積極的に取り組んでまいろうと思っています。したがいまして、私どもは、いまの林業政策の基本は林業振興でございますが、当然そこには山村の生産基盤を整備し、そこで働く場を設け得るような政策がきわめて重要でございますので、そういう点から五十七年度におきましても各種予算をそういう点に特に志向してやっておるところでございますので、私ども、今後ともそういう方向により一層力を注いでまいりたい、かように考えておるところでございます。
○島田委員 口で言うほど簡単でないということは私もよくわかっている。だから、地方におけるあらゆる頭脳を結集するということも必要でありますから、こういう段階における協議の場をしっかりつくるとか、またこの特別伐倒駆除で雇用しようとする人たちに対しての労働条件や社会保障というものもやはり考えていく、こうやっていかなければ人は集まってきません。そういう点をしっかりおやりいただきたい。きょうは注文だけつけておきますが、特に、振動障害認定患者の中で軽労働可と診断された方々がずいぶんたくさんいます。そこで私はこういう人たちもこの際動員するべきだと思う。できる場所はあるはずであります。監視機能を強化させていくとか、あるいは振動障害に影響のない仕事というものは、山の総合松枯れ対策を進めていく上では幾らでもそういう分野があるわけであります。つくっていけるはずであります。こうやって、せっかく山で働いていたにもかかわらず山の病気に倒れるという不幸な目に遭っている人たちをもう一遍救済していくというのは、社会的な大事な役割りであります。林野庁に与えられた責任の一つだ。この点についてはどうですか。
○秋山政府委員 松くい虫の防除対策を進めるに当たりましては、地域地域における被害の状況、さらには林業労働力の現状等を総合勘案しまして対処していかなければならない。かように考えておるところでございます。 そこで、振動障害の方々で、症状が軽くなりまして軽労働可となった方の件でございますが、引き続き治療を要する実情等がございますと、実際問題としてなかなかむずかしい問題があるのではなかろうかと考えております。そこで、私どもといたしましては、先ほども触れましたとおり地域の実態を十分踏まえながら必要な労働力を確保するように努力してまいるわけでございますが、軽労働可となった方々の活用につきましては、やはり地域におけるところのいろいろの具体的な問題等とも関連づけて考えていかなければならないと思っております。
○島田委員 終わります。
○羽田委員長 午後三時から再開することとし、この際、休憩いたします。 午後一時二十一分休憩 ————◇————— 午後三時一分開議
○羽田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。吉浦忠治君。
○吉浦委員 松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたします。 松くい虫防除特別措置法は、森林病害虫等防除法に対する特別法として制定された五カ年間の時限立法であります。計画的な特別防除、すなわち、航空機を利用して行う薬剤防除を緊急かつ計画的に実施することによりまして、昭和五十六年、本年度末までに松林に発生している異常な被害を終息させることを目標としてこの法律は実施されたわけでございます。マツノマダラカミキリ、マツノザイセンチュウの媒介による原因が昭和四十六年に判明いたしまして、五十二年の五年前の審議の折に、私ども新説に対する興味が大変ありながら質問したことを思い出すわけでありますが、この森林病害虫等防除法に基づく松くい虫防除事業として薬剤の空中散布が実施された結果、この防除方法が松くい虫防除にきわめて有効性の高い方法であるというふうに評価されたわけでありますが、その後異常発生等が起こり、松くい虫被害というものが終息できないような状態でますますその被害が大きくなっているような現状であります。 そこで、まず最初に、松くい虫被害増大の原因というものを政府はどのようにとらえていらっしゃるのか。
○秋山政府委員 お答えします。 昭和五十二年以来、松くい虫防除特別措置法に基づきまして鋭意努力してまいったところであります。その成果につきましては、虹ノ松原とかあるいは静岡の千本松原とか、その他防除を徹底的にやりましたところにつきましてはそれなりの成果を得、地域の皆さんの御理解をいただいているわけでございますが、五十三年におきまして高温少雨というふうな観測史上まれに見る異常気象がございまして、それによりましてこれまで非常に微害の傾向で推移してまいりました茨城とかあるいは静岡、愛知、鳥取というふうな非常に高温少雨の激しいところにおきまして、非常に異常な爆発的な被害が出てまいったわけであります。 また一方におきまして、これまで被害のなかった埼玉、群馬、山梨、新潟というふうなところにおきまして被害が出てまいったわけであります。一方におきまして、従来から松の被害をずっと受けておりましてそれなりに防除体制を敷き、特別防除並びに伐倒駆除をしてまいりました地域につきましては、横ばいないしは減少するというふうな成果が出てまいっておりますが、国全体で見てまいりますと、特に、爆発的な増加を見ました茨城等におきましては全体の三〇%を超えるような大きな被害が出たのに、全体では二百万立米を超える被害に相なったわけでございます。 これによりまして、特に林業試験場等の試験結果等も総合して判断いたしますと、材線虫と申しますのは二十五度前後から三十度にかけまして非常に活発に増殖をするということでありますし、マダラカミキリもこの温度では相当繁殖が激しく相なりますし、一方におきまして少雨のために松の力が弱まりまして、これらが総合的に作用いたしまして結果的に大きな被害を見たわけであります。 そこで、私ども五十三年以降におきましては特に特別防除に対応いたしまして、一方におきましては予備費によりまして伐倒駆除を導入するなど、さらには林種転換の必要な個所も出てまいりましたので、五十五年度以降におきましては林種転換のための造林事業、さらには治山事業等もこれにつけ加えましてだんだんとその対応をし、かつまた中央森林審議会の中に松くい虫のための部会を設けまして、過去におきますところの実効上の問題につきまして分析をし、今後に対応していこうということで現在進めておるところであります。
○吉浦委員 松の枯損原因について、マツノマダラカミキリの媒介によりますマツノザイセンチュウ説がございます。ございますというよりもそれが主体であるというふうに林野庁お考えのようでございますが、大気汚染説並びにそれらの複合原因説やらあるいは乱開発等による説等がいろいろ唱えられておりますけれども、政府は、この点についてどのようにとらえておられますか、お答えをいただきたい。
○秋山政府委員 松の枯損原因につきましては、大気汚染等の環境悪化に基づく枯損の場合もございますが、今回のような地域的にもあるいは立地条件、林齢等にかかわらず、非常に広域に発生しているのがやはり激害型の枯損ということでございまして、試験場におきますところの長い間の研究結果から、材線虫とマダラカミキリによるところのこれは枯損のパターンであると言われておるわけであります。 一方、いま先生御指摘の大気汚染の説でございますが、大気汚染等の環境悪化が主因で枯れる場合もないわけではございませんが、地域の立地条件あるいは林齢等にかかわらず広域に発生してまいる激害型枯損というのは、やはり材線虫によるものであると解明されています。それから、大気汚染によりまして枯れる場合の針葉の変色状況というのは、今回のような五、六月からわずか数カ月で一遍に枯れるようなそういう症状とは明らかに違うというふうに言われています。 また、乱開発、手入れ不足等の森林の管理の問題でございますが、いま触れましたように松の激害型の枯損の直接の原因は、マダラカミキリが媒介するマツノザイセンチュウによるものでございまして、森林施業方法その他のものが原因というふうにはこれは理解ができないわけであります。 それからもう一つ、最近被害がふえた原因といたしましては、従来松材と申しますのは被害木を燃料として積極的にこれが使われたわけでございますが、燃料革命以降におきまして、こういう被害木が燃材として利用されなくなったというのも一つの原因ではなかろうかと考えております。 それからもう一つ、天敵の減少説もございます。現在までの林業試験場等における研究結果によりますと、マダラカミキリの天敵昆虫類と申しますのは、数種類確認されております。しかしながら、これの生態等を見てまいりますと、いずれもこれはマダラカミキリそのものの密度を制御する基本要因としては大きな働きはされていないというふうに言われておりますし、密度の制御の基本的な要因といたしましては、むしろカミキリのえさになる産卵対象木そのものの発生量が非常に重要であるというふうなことがわかってまいりました。 それから、富栄養化と申しますか、土地が肥えることによりまして植生遷移があるわけです。これはプラントサクセッションと申しますが、これらの森林の植生遷移で松が枯れるというものもございますが、むしろこれは長期にわたりましての期間にだんだんと陽性の樹種から陰性の樹種に変わっていくという過程でございますので、今回のような激甚な、急に出てまいります枯損とは体系が違うというふうに理解されています。 なお、そのほかに黒変菌説あるいは青変菌説等もございます。林業試験場におきましても、これまでの研究過程におきましてこれらを直接松に接種しまして実験を行ったわけでございますが、これらも松を枯死に結びつけるような強力な病原性を持っていないというふうに結論づけられております。 それから、一部におきまして、ツチクラゲ菌と申しまして、海岸等においてたき火などをする場合におきまして、局地的にこのツチクラゲ菌によりまして枯損をする場合もございますが、これは非常に局地であるという結論がなされておるところであります。
○吉浦委員 マツノザイセンチュウによって被害が拡大されているという説に対して、その被害を大きくしている理由というものがいま長官の答弁の中にありましたけれども、昭和三十年以前と以後に分けまして、いわゆる松に対する価値観の相違が起こってきたことによって、山を放置してほったらかしにしているという現状が被害を大きくしている原因になっていはしないか。松に対する価値観、私はまた後でこれをお尋ねをいたしたいと思いますけれども、その有効利用というものが大きく変化してきているところに原因があるのではないかというふうに思うのです。ですから、大気汚染説等もありますし、また乱開発等がこの被害を大きくしていると思うのです。参考人の先生方の御意見等を伺いましても、開発をされている道路にずっと沿って松の被害が出ているということは、これはやはり大気汚染の原因が考えられるわけですけれども、工場やら道路の開発、あるいは開発されて住宅が密集しているところの周辺が特に被害が大きくなっているという原因等もよく見ていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。 そこで次に、五年間空散を続け、空散を中心とした特別防除が実施されたわけでありますけれども、それにもかかわらず被害の異常なほどの拡大をもたらしている原因というものがどこにあったのか。政府がおっしゃるように、空散すればこの五年間で終息させられるという目安のもとに出発したのがこの法案でありまして、長官は、その当時は長官でなかったとおっしゃるかもしれませんけれども、この委員会で、本当に皆さん方が知っていらっしゃるように、対決法案と言われるぐらい審議をしてきたわけです。私どもの党も、これに対する不安がありましてこの問題でお尋ねしたわけですけれども、強行されたにもかかわらずこれが終息できなかったという点について、どのように評価をなさっているのか。また、松くい虫防除対策についてそれをどのように今後反映されようとなさっているのか。明確にお答えいただきたい。
○秋山政府委員 先ほど、特に五十三年以降の被害が急激にふえた原因につきまして申し上げたわけであります。私ども五年間鋭意努力してまいったわけでありますが、予防効果のすぐれている特別防除実施が十分なされたところにおきましては、それなりの成果をおさめたわけでありますが、周囲の自然環境等の保全とかあるいは農業、漁業への危被害の防止というふうな配慮もございまして、当初計画に対しまして実行量が落ちたという問題もございます。 それから被害が急激に増大してまいりますと、普通の伐倒駆除でございますと十月ごろまで、マダラカミキリが樹皮下におる段階でこれの薬剤防除をしますと、これは非常に効果が高いわけでございますが、それ以降になりますと効果が落ちるというふうな面もございまして、この面につきましても不十分な気がいたしまして、結果が出ておりますので、もっと徹底した防除をすべきではないかというふうな反省が実はなされたわけであります。 一方、どうにもならぬ被害が出たところにつきましては、これからの森林資源の価値、効用というものをより早目に復元させることが重要だとするならば、むしろそこにおきましては、一斉に伐採して跡地に別の樹種を植える、あるいは広葉樹を仕立てるというような方法をとることが必要だろうということもだんだんと具体化してまいっておりますし、さらには先生御指摘のように、この防除をするに当たりましても国と県だけではどうにもなりませんので、地域の皆さんも一緒になりまして自主的な防除をするということが不可欠だというふうに考えます。 特に先生御指摘のとおり、最近の燃料革命以降におきましては、被害木を薬剤駆除しましてもそのまま放置するというようなことから、それがまた原因になるということもございまして、これは昭和二十二、三年から四、五年にかけまして九十万立米、百万立米という被害があったときにおきましては、伐倒し、そのものが用材あるいはさらには燃材として完全にこれが利用されたということが終息を見る大きな影響になっておるわけであります。したがいまして、私どもは、今回この法案を御審議いただきますまでの間におきまして、松くい虫のための研究部会等と一緒になりまして議論しまして、今回、これを御検討いただくに当たりましては、従来の予防として特別防除は確かに効果的でありますが、これではなかなか制限がございますし、地上におきまして徹底防除をするというふうなこと、さらに先ほど触れましたような樹種転換とか、さらには、地域の皆さんの協力体制を一本化するとか、あらゆる方法につきまして、その被害の実態に応じまして組み合わせで防除することがこれからの進め方であるというふうな結論に達したところでございます。
○吉浦委員 長官の言われることはよくわかるのですけれども、私は、お尋ねしているその空散を主とした特別防除が実施されても、なおかつ被害が大きくなっているというところに注目していただきたいのです。強行するほどに特別防除を行われたことから、長官並びに政府の口から失敗であったとは言えないでしょうけれども、率直に認めるところは認めてこの対策を立てませんと、中途半端な考え方でまたこれを五年間実施した場合に、また終息できない、また五年、また終息できない、また五年、こうなったら、ここのところできちっとするゆえんがはっきりしなくなってくる。ですから私は、同僚議員も詰めておりましたけれども、この問題について政府の明確な答弁をいただいて次の評価なり対策を講じなければいかぬと思いますけれども、長官、いかがでございますか。
○秋山政府委員 過去五年について見てまいりますと、この被害区域の面積が約六十四万ヘクタールに及んでおるわけでございますが、特別防除を実施いたしました面積はそのうち約二十万ヘクタールでございます。特に最近の異常気象による被害が出たということで、先ほど御説明申し上げました茨城の例で申し上げますと、五十二年、五十三年にかけましては被害が非常にふえたわけでございますが、空中防除、いわゆる特別防除を実施した面積はわずかに二千ヘクタールで、それ以外につきましては伐倒駆除で一部実施しただけでございまして、なかなか一つの方法では実施し切れない。特に、茨城県の場合には平地林が多うございまして、田畑と山が交錯している等の地域が比較的多うございますので、空中防除が実施しかねる面もあり、かつまた、この防除をするに当たりましては地域の皆さんの御理解と御協力をいただきながらやるということで、無理して行わないというたてまえで進めておりますので、なかなか空からの特別防除だけでは実施し得ない。したがって、今後におきましては予防もやるし感染源をなくすための地上での伐倒駆除も進めていくというような方法で、いろいろな方法をかみ合わせていかなければならないと考えておるところであります。
○吉浦委員 いろいろな方法をお考えになったのが今度の場合の一歩前進の形の防除特別措置法ということになったのだろうと思うのですけれども、それはよくわかるのですよ。気持ちもよくわかるのですが、わかるならばわかるで特別防除の方の比率というもの、予算においてももう少しはっきりと打ち出すべきではないかと思うのです。薬剤の空散、いわゆる特別防除や薬剤の処理等の伐倒駆除だけでは松くい虫の被害を抑えることができない、私はこういうふうに判断されたことだと思うのです。 そこで、空散、いわゆる特別防除と特別伐倒駆除の予算の比率というもの、これは見ればすぐわかりますけれども、長官の口からお答えをいただきたい。そして、反省したにもかかわらず、私に言わせれば空散の比率が高いと思うのです。これで次の五年間で終息させるというふうにお考えのようでありますけれども、お考えでなかったら法案を提出なさるわけありませんから。そうすると、逆にこれが終息できないということになると、松が生えている限りは空散を続ける、こういうことになりやしないかと思うのですが、いかがでございますか。
○秋山政府委員 私、この防除をするに当たりましては先ほど触れましたとおり、まずは予防のための特別防除を実施する。また、一方におきまして感染源をなくすために徹底的に地上で被害木を伐倒駆除するという方法も必要である。やはり地域の被害の状況あるいは周辺の環境等も考慮しながら防除方法をかみ合わせ、また、必要に応じましてはその林種転換をするというようなことに相なるわけでございます。 そこで、いまお話しの特別防除と伐倒駆除でございますが、五十二年以降の私どものこれに対する対応を申し上げますと、特に五十三年の異常気象による被害の激増に対しての対応といたしましては、この特別防除につきましては予算的には五十三年が三十六億弱、それから五十四年が四十一億弱、五十五年も六年もほぼ同じでございます。一方、伐倒駆除においては、五十三年に当初三億二千万でございましたのに対して五億の予備費を使い、さらに五十四年に四億六千万、五十五年は十四億五千万、それから五十六年は十七億四千万というふうに、伐倒駆除と特別防除とのかみ合わせについては、だんだんと伐倒の方をふやしてまいっているという現状もございます。 そこで、五十七年度についてはそういう考え方に立ちまして、伐倒駆除については特別伐倒駆除と普通の伐倒駆除を合わせますと四十万一千ヘクタールを予定する一方、特別防除については五十六年に対して約一〇%減の十二万三千ヘクタールを予定し、この両者をうまくかみ合わせながら終息の方向に持っていきたいと考えているところでございます。
○吉浦委員 今度の皆さん方の終息させるねらいというものは、特別伐倒駆除にあるのじゃないですか。したがって、この特別伐倒駆除をもう少し顕著なほどに予算化しないとまた同じような轍を踏むと思うのです。 そこで私、同じことばかりにこだわっていられませんので、空散の実施に当たっていろいろ問題が起こっている事例を挙げてお尋ねをいたしたいと思うのです。 まず、現行法の実施計画策定に当たって、都道府県段階において松くい虫防除推進連絡協議会というものがあって、そこで地元住民の意向を反映する、こういうふうにされておりますけれども、この際に、薬剤の安全性等の問題で空散に対して地元住民の反対があった場合はどういうふうに対処なさってこられたのか、お尋ねをいたします。
○秋山政府委員 私どもこれまでも特別防除を実施するに当たっては、実施個所の対象地域の周辺の状況を十分調査して必要な措置を講じて実施しておるわけでございます。そこで、この特別防除を行うに当たって地域の皆さんの理解が得られないところについては、四年間に一万七千ヘクタール程度当初の計画を変更して実施したという例もございます。また、その中には農業、漁業等への危害防止の観点から見合わせたものも含まれておるわけでございますが、私どもはこれを進めるに当たっては地域の皆さんの御理解、御協力をいただいて完全実施するということが必要でございますので、法に基づいて、基本方針に定めておりますので、それに基づいて現在までやってまいっておるところでございます。
○吉浦委員 その具体的な事例によって私、質問を申し上げたいと思うのです。 ぜひ大臣に来てもらってと思ったけれども、ちょっと政務次官、政務次官は大物中の大物だから、ここまで来てちょっと見てくれませんか。——いま次官の方に渡しましたけれども、見ていただいたその地域ですが、人家の密集地帯にまき続けている。それで、福岡県粕屋郡新宮町、古賀町、それから福間町、津屋崎町、玄海町、こういう五カ町の地域の問題を先にお尋ねいたしておきたい。 この人家の密集地帯にまき続けているわけです。それをその地図に書いてございます。次官に見ていただいております地図の上に、その危険な地域に学校あり、保育園あり、養老院、児童公園、病院、水源貯水池等がある中で、九カ年にわたって住民がいろいろ——いま長官は十分意見を聞いて中止したとこういうふうにおっしゃっているけれども、地域によっては——いいですか、聞いてください。地域によっては全然住民の意見を無視してそれを行っている。その続きの福岡市においては今年は、五十六年は中止したようです。その五カ町村は現にまだ実施しているところ。そういうずさんなやり方と住民の三割が身体の異常を訴えているという資料が私の手元に来ております。 こういう点で林野庁は、この地域について住民の反対的な意見があるならば聞いてもらえるかどうか、これは次官から答えてもらいましょう。
○鈴木説明員 この地域につきましては、本年の二月二十日に林野庁にスミチオン空散に反対する住民の会伊藤さん外三名の方がおいでになりまして、特別防除を中止してもらいたいというお話がございました。反対の理由といたしましては大変終息型になっておるということと、人家の近くで生活環境にあるいは人体に影響がある、こういうことでございましたので、内容をよくお聞きいたしまして、十分お話し合いもし、また、福岡県事務当局にもその旨十分お伝えしております。
○吉浦委員 十分踏まえてということは、一つも中止するということはおっしゃらないけれども、そういう意向で進めていらっしゃるわけですね。
○鈴木説明員 十分地域の方とよくお話し合いをして進めてまいりたいということで指導いたしております。
○吉浦委員 もう一つの事例を私申し上げたいんですけれども、これは愛媛県の伊予郡の砥部町の空散の問題点でございますが、五十四年の六月から七月にかけて一年目の実施を行っておりますが、大変計画にずさんなところがありまして、ヘリコプターに対して散布区域を示す明確な旗を立てるなり、線引きといったって区域に線を引いていくわけにいきませんから、住民にわかるような知らせ方が明確じゃない。そのために子供たちが学校へ通う、あるいは幼稚園の子供が通園するという時間に空散が行われるというようなことがありまして、そういう配慮が何もなされてない。また空中散布の注意などを書いた広報が行き届いていない。一枚私はここへこの砥部町の空散についてのお願いというチラシを持ってまいりましたけれども、このチラシの中に余り活字が多いと一般の方々は読めないだろうと思うのですよ。最近は皆さん方選挙に強い方ばかりですから、御承知のとおりでございますけれども、名前だってひらがなを使うほど、周知徹底させるためには漢字が一つは多過ぎること。それと、中に「散布試験の結果、みつばち以外は、人畜、鳥類、魚類にはきわめて低い毒性ですが、」とこういう項目がある。また、これから私はスミチオンの問題等もお尋ねをいたしたいのですけれども、こういう「人畜、鳥類、魚類にはきわめて低い毒性ですが、」という文章を書いちゃいけませんよ。急性毒性の場合には低い毒性かもしらぬけれども、慢性毒性については何だというようなことを書くなら別としても、こういう文章は誤りを住民の方に知らせるようなものだ、私はこう思うのです。そういう点で、こういう一つの住民に知らせるチラシにしたってもう少し配慮する。林野庁は一枚一枚にはそれは責任はないかもしれませんが、実施する立場として十分な配慮を私はこれからしていただきたいと思うのです。 その砥部町の問題で、知らなかったから子供が外で遊んでいたとか、知らなかったので洗濯物を干していたというふうな声が聞かれておるのです。これは配慮が余りなされていないということですね。 それから空散を行うのに天候との関係をどういうふうに考えて実施しているのかなと思う疑問がある。幸い事故がなかったからいいものの、雨の中や濃霧の中でも散布を強行している。昭和五十四年六月二十六日のことでありますけれども、散布したその夜から連日四日間、四百ミリ以上の雨が降っている。そうすると、散布したものが洗い流されるようなもので、反対の方々はせいせいとした気持ちになったようですけれども、空散したものはまるっきりだめ。しかも、スミチオン等の毒性の強いものが川や海へ全く一度に流れ込んで汚染の度合いも強くなるし、空散はこれまた効果が全くないというふうなむだなことをやっている。ですから、法案を決めても、行政の段階でもって、それを受けた業者なり企画した団体なりが日にちを決めたから、ヘリコプターとの契約等が成ったからもうやらなければいかぬ。何が何でもその日にやるんだ。ほかの日はもう考えられないというようなことでやってしまうのか。朝の早い時間、五時から六時ごろということで、なるべく人も少ないし、また風も出ないという無風な状態等を選んで最初は予定するようですけれども、時間がずれ、ヘリコプターが来るのが八時ごろになるとか九時ごろになって、やむを得ず十時までくらいには終わろうとかいうふうなことで強行している向きがある。ですから、こういう問題が起こってくると思う。強行するがゆえに、天気予報が危なくなって——何のために天気予報を聞いているかといったって、豪雨になるときですらもこれを強行して、こういうむだなことをやっている。 また、すばらしい自然環境のところを破壊してしまうような森林の崩壊につながるようなことを強行されている点があります。時間がありませんからこれを読み上げませんが……。 また、散布面積等についてもその半分近くが松林がなくなっているのに量は全く同じものを使用していくというふうな計画性がない。それは地域の——これからは市町村単位の地域によってその計画書を出させられるようですから、地域の方に責任があると言ってしまえば終わりでありますけれども、そういう面のチェックを厳重にしていただきたい、こう思います。 最後に、住民への安全対策が不十分であるという点で確認をしておきたいのです。 散布区域を明確にして、山道の入り口とかあるいは危険な場所等にきちっとした注意を与えるような立て札とかあるいは入山者にわかるような方法で知らせてもらいたいし、また、散布終了直後等も、すぐかけ札を外してしまって関係ないようなことになると、薬剤の有効期間が二十日間もあるというふうなことを県は説明しておりますので、これから五月から七月にかけますれば子供たちも夏休み近くなって山に入っていく、あるいは大人だってそうでありますけれども、そういう危険にさらされることになるわけであります。こういう点で、十分なチェックをしないままいま行っているような、地域体制に任せているような点が多過ぎやしないか。こういう点でどういうふうにお考えを持っていらっしゃるのか。全体をひっくるめて結構でございますから、お答えをいただきたい。
○鈴木説明員 ただいま先生お話しございました旗の設置の問題あるいは児童、園児の通学の問題、警告板の問題等々につきましては、愛媛県にもよく指導いたしまして、先生御指摘のことのないように十分やってまいりたいと思っています。 調査いたしましたところは御指摘のような事実は大体なかったようでございますが、旗の設置につきましては、散布前に正規の位置に戻した、そういうような事実もございますし、園児、児童の通園、通学につきましては、登校時にバスを出すといったようなことで対処いたしております。
○秋山政府委員 お答えします。 先生御承知のとおり、あそこは海岸の非常に重要な森林でございまして、もし松がなくなると地域の皆さんに相当大きなマイナス面が出るということで、県当局もそういうことを踏まえまして、地域の皆さんの意向を踏まえてやったという報告をいただいております。しかしながら、いま先生からお話がございましたとおり、せっかくそういうことでやりながら途中で意思が十分地域の皆さんに徹底しなかったとか、あるいは連絡が不十分だったとか、いろいろな面で誤解もあるのは、やはりやり方につきましてもっと親切な方法をとるべきだ、また十分徹底する方法をとるべきだという面におきまして、私もこれから率直に、その問題につきまして、今回以降におきましての実施については反省する材料として踏まえて検討してまいりたい、かように考えておるところでございます。
○吉浦委員 いまの答弁を聞いて私は安心しましたけれども、指導部長のようなことを言われるとちょっとぐあいが悪いので、後の方がありましたからあれしますけれども……。 スミチオンの問題がいま出ておりますので、地元の意向等は十分聞いて対処していただきたい、こう思うのです。この地域についてもまた林野庁は十分聞いていただいて、住民の要望をどうするかということを実際に踏まえて、空散でなければならないということだけじゃないわけですから、先ほど言ったように、特別伐倒駆除の方を十分重視してくださるということをはっきり言っているわけですから、その面でカバーしていくような方法で地元民と話し合いをしていただきたい。よろしくお願いしたい。 スミチオンの安全性についてでございますが、新聞の報道やら地元民の要望やらということでまとめてお尋ねをいたします。 目が近視になっている児童がふえている。これは有機燐系の農薬との因果関係が多いというふうなことをお医者さんがおっしゃっているわけです。あるいは研究者の方によって報告をされているわけであります。一九七六年の眼科臨床医報というものに大々的に発表されているわけですが、スミチオン、いわゆる有機燐系の農薬を使った後に、中学生にしても小学生にしても、男子生徒よりも女のお子さんの方が近視の度合いが強いのですね、率が高い。どういうことなんだろう。これはお医者さんでないとわかりませんから、細かい御答弁をいただかないで結構でございます。そういうことが明確になっている。また、スミチオンの毒性等についても奇形を起こす作用の毒性があるということは言われているわけですけれども、安全だというのは林野庁だけの言い分でありまして、そういう常識は通用しないぐらい特殊毒性がある、こう言われているわけであります。 アメリカ等においても、一九七五年まで使用していたが、七六年以降はアメリカ東部地方でもやめた。スミチオンについては神経毒性について定かでないから中止するというふうな理由も述べられて、この危険性が言われているわけでありますが、こういう一連の禁止の問題あるいは催奇形性の問題、アメリカ等におけるこういう神経毒性の問題等、スミチオンの危険性についてどのような考え方を持っていらっしゃるか、お尋ねをいたしたい。
○管原説明員 まず第一点の視力障害の点でございますが、これは説がいろいろございまして、いまお話のございましたように、ある先生はそういうような視力障害があるというようなことも発表されておるわけでございますが、他方、それと共同研究をされた先生、また、その多数の人々がそういうような視力障害を訴えたというようなところを診察された大学の先生等は、これはスミチオンの障害によるものであると特定できるものではないというような説も発表されておりまして、スミチオンが原因でこの視力障害が起こったというふうには考えにくいわけでございます。しかしながら、こういうようなこともございますので、視力障害につきまして試験を実施したわけでございますけれども、この結果は、目に対する影響はないというような結果を得ているわけでございます。 それから第二点の奇形を発生させるという問題でございますけれども、これにつきましては私ども農薬登録をする際にいろいろな試験をやっておりまして、これは先ほどお話にもございました急性毒性、それから慢性毒性、そのほか催奇形性とかそういうものをやっております。その結果でも、その催奇形性という点は見られておらないわけでございまして、私どもはそういうことはないというふうに考えております。これは成績そのものが権威のある中立機関でつくられておりまして、それを先生方から成る評価委員会で評価した結果に基づいて、私ども登録している次第でございます。 それから第三番目のアメリカにおけるスミチオンの林業用の使用中止の問題でございますけれども、これは確かに米国内では一九七五年の四月に林業用薬剤として登録されたわけでございますが、その後、これは私ども聞いておりますところでは、他の薬剤と価格面で競合したということで使用が減少してきておるというように聞いております。現在では、アメリカでは家庭用の防疫用剤、ゴキブリ退治というような面に主として使われているというふうに聞いております。これは日本から輸出しておるということではございませんで、アメリカ国内で生産されたものでございます。 以上でございます。
○吉浦委員 長官、私は、常識を逸脱して質問をしたのでは申しわけないと思いますので、常識内で質問をいたしたいと思いますが、この農薬というものに対する安全性が確立してないときにこれを強行されるゆえんというのは、よほどしっかりしたものを持っていらっしゃらないと、千葉県の私の選挙区で、これは空散といっても松林の空散じゃなかったのですが、農薬の空散で死亡事件が起こっているのですね。私は、この席上で取り上げてその責任というものを明確に問いたかったのですけれども、そういう問題が起こっているほどの農薬を、これは効かなければ何の効力もないわけですから、マツソマダラカミキリがほとんど死なない。ほかのものは死んでいるというのにマダラカミキリが死んでいないということは、死ぬほどの毒性がなかったか。じゃ、それよりも強力な毒性にしてこれを散布した場合にどうなるか。まだ人間の生体実験だってできてないから、長い間の蓄積されていった結果がどうなるかということはまだわからない。ですから、危険性のあるものについて強行されるならば強行されるだけの裏づけがなくてはならぬと思うのです。私は非常な危険をいまだにまだ持っているわけです。それは先ほどの地図、後でお返しをいただきたいのですが、それに細かく書いてありますから時間がなくても後で見ていただきたいのですが、そういう実験データをちゃんと地域の方が丹念に出していらっしゃる。九大の学生等にもお願いして出ている。そういう資料を林野庁はぱっと見て余り参考にならないというようなところがあるような気がしてならぬ。これは私のひとり合点ですが、気がしてならぬ。それで大丈夫だ、大丈夫だということでおやりになるところに危険性があると私は申し上げたい。そういう点での不安を感じていることをつけ加えておきたいと思うのです。 そこで、次に、樹種転換についてお尋ねをいたしたいのですが、更新樹種の選定をどのように林野庁等で考えておられますか。樹種転換の促進のための助成措置というものについて、どういう措置をお持ちなのか。まず、この点からお尋ねをいたしたい。
○秋山政府委員 私ども今回の防除方法の一つに、いま先生お話しの林種転換の問題がございます。やはり被害が相当激甚の地域につきましては感染源を除去する、それから森林の持っております機能を再現するには林種転換が非常にいいだろうという判断を持ちまして、今回、積極的にこれを進めてまいるつもりにしています。 そこで、今度は植える樹種の問題になりますが、まず、当面といたしましては、その地域の土地条件その他によって杉とかヒノキ、場合によりましてはクヌギというふうなものに転換する。さらには土地の条件が悪いところにおきましては、土壌改良事業ということで少し林地肥培等も考えながら別の木を植えていくというような方法を考えておるわけであります。 そこで、そういう事業に対しましては、十アール以上の規模の面積については約五割の補助を適用することとしていますし、また特殊の土壌の場合には七割の補助をいたしまして、早くまた造林をしてまいることを考えております。さらに下刈りその他につきましては、また、農林漁業金融公庫の融資なりを活用するというような方法で進めてまいりたい、かように考えておるところであります。
○吉浦委員 お尋ねしたいのは、これもまた常識を逸脱したような質問ですけれども、マツノザイセンチュウというのは松しかつかないのだろうと思うんですね。だからマツノザイセンチュウと言うのだろうと思うのです。だから松でない松をつくったらどうかと思うのです。長官、聞いてくださいよ。樹種転換をする場合に、松のかっこうはしている、松のそういう効用は発揮しているけれども、中身は松じゃない。松の効用はそのまま持っている、風致にも大変役立つし、それから防潮林にもなるし、防風林にもなるし、岩山にも茂るし、どこでも日本的な松としては通用するようなりっぱなものになるけれども、それは松じゃない。だからこれはマツノマダラカミキリもつきませんし、材線虫ももちろんつかない。そういうものを樹種転換という研究の中で何かやっているやにもちょっと聞いたのですけれども、ありますか。
○秋山政府委員 松でないような松と申しますと、多分選抜育種によりまして抵抗性の強い松をつくれというお話だろうと思います。私どもこれにつきましては、若干時間がかかってまいっておりますが、昭和四十七年ごろからこの問題については取り組んでまいりまして、特に九州、四国、中国地方の激害地で枯れないで立っている松がございますが、そういうものを約二万五千本ぐらい選びまして、それからいろいろとクローンを養成しまして、現在、材線虫に強いクローンを五百個体ぐらいつくりまして、これを基礎にいたしましてこの拡充強化をしていこうということで、まずは五十九年度から海岸等にはそういうものを植えてまいろうと考えております。 それからもう一つ、今度は別の手法で、交雑育種と申しまして、日本の松と中国の馬尾松という松をかけ合わせましたF1が非常に抵抗性が強うございますので、これも鋭意それによってのクローンをつくりまして、これによりまして、これを海岸その他にまずは植えていこうということで、これは昭和五十九年ごろからだんだんと出てまいると思います。若干時間はかかりますけれども、将来は抵抗性の強い松にだんだんとかえていくという方向で進めてまいりたい、かように考えております。
○吉浦委員 時間がありませんので最後に一言だけ。次官、答えてください。 これは大臣に確認をしておきたかったし、いまの松の効用の点でも時間があればもう少し私の意見を言わせていただきたいのですけれども、いま松林等の被害が起こってきている原因は、先ほども私は申し上げましたが、経済的な価値観の低下によって所有者の経営意欲が減退してきている。もう松が枯れてもしようがない。これから林野庁が地方自治体等にあれして命令を出されるようですけれども、それでももう勝手にやってくれ、松が枯れてもうやめたいし、意欲がなくなった。こういう状態で放置したならば、これは大変なことになりますので、いま災害が起こったとき救農土木みたいなものがありますね。ちょっと言葉が、松に対する救農土木というのはありませんけれども、人の力をかりなければこれはできないことですから、年に一千万本も枯れてくる場合のその予算措置にしたって、これは微々たるものですね。特別伐倒駆除をやるといったって微々たるものです。いま東北地方から自分の居住地を離れて遠いところへ出稼ぎに行かなくても、特別伐倒駆除等にその人員を投入していけば一挙両得で、遠くに行かなくても済む、しかも収入もちゃんと保証されるという点で、そういう労働力をこれにつぎ込んで意欲を起こさせるような方法をやはり国として考えなければいけない、発想の転換をしなければいけない、こういうように思うのです。ですから、次官、ぜひそういう面での人員の導入を図られたらどうかというふうに考えますが、いかがですか、お答えをいただきたい。
○玉沢政府委員 御指摘のとおりに、森林に対する経済的な価値観が変わってきたという点におきましては、たとえば、外材等が入ってまいりますと非常に森林業というものが厳しい情勢にある。ともすれば山林を荒れたままにする、こういう傾向がやはり先生が御指摘をされた点ではないか。したがいまして、たとえば、いま戦後植えてまいりました森林面積におきましては三百万ヘクタールが間伐をしなければならない。そういう点におきましては、政府としましてできるだけ間伐対策というものに力を入れる。こういう意味におきましてこの対策を講ずる。松林におきましても被害が相当出てきておりますけれども、なかなか用材としてこれを使うことがないものですから、放置しているというような事態が生じましてマツノマダラカミキリにやられる、こういうわけでございますから、十分松林の持つ公的機能を考えまして、これは特別伐倒駆除、こういうことでやっておるわけでございますから、この雇用対策というところまで十分いくかどうかはわかりませんけれども、伐倒して駆除するわけでありますから、そういう点にも十分留意をしまして今後の対策をやっていかなければならない、こういうふうに存じます。
○吉浦委員 時間になりましたので終わります。 ありがとうございました。
○羽田委員長 神田厚君。
○神田委員 松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律案につきまして御質問を申し上げます。 昨日、一昨日と松くい虫の審議をしているわけでありますが、異常に松の被害がなかなかとまらない、大変な勢いで蔓延をしているということでございます。大臣や林野庁長官からはそれぞれお話をいただきましたが、冒頭、政務次官に、この松くい虫の被害の現状につきまして政務次官としてはどういうような御感想をお持ちであるか、御質問したいと思います。
○玉沢政府委員 松くい虫の被害に対しまして、松くい虫防除特別措置法をもって防除に努めてまいったわけでございますが、しかし五年間の努力をもちましてもなかなかこの被害を食いとめることができない。これは政府としましても全力を挙げてやってきたわけでございますけれども、この防除する面積以上に被害が拡大をした、ここに最大の原因があるのではないか。また、いままでにおきましては、伐倒駆除の効果、これも伐倒しただけでは十分ではない。やはり伐倒した木の中に松くい虫とかあるいはマツノザイセンチュウというものがとどまっておりますと、これが春になってまいりますと、また羽化して飛び立ってくる、こういう点を反省をして、やはりこれは破砕、焼却あるいは松材を用材として使う、こういうところまで徹底してやらなければ十分ではない、こういうような観点に立っておることと、同時に特別防除におきましてもやはり限界がある。これは人家に及ぼす影響あるいは農作物、水産業、そういうものに対する影響というようなものも考慮に入れますと、なかなか全面的にすべて特別防除というようなことでできないわけでございますので、こういうところに虫が残っておりまして、これからさらにまたせっかく鎮静化したところにも飛んでいく、こういうことでこの被害が再び出てきたのではないか、こういうふうに考えておるわけでございますので、一生懸命努力をしたんでありますけれども、それ以上に虫の方の脅威も驚異的に拡大をした、こういう点に問題があったんではないか、こういうふうに考えています。
○神田委員 政務次官のふるさとの方までだんだん松くい虫が蔓延していったわけでありますが、その辺のところは原因はどういうようにお考えになりますか。
○玉沢政府委員 翻ってみますと、五十三年の高温少雨というときに、非常に雨が少なくて温度が高い、こういうことになりますと松そのものが非常に弱る、同時に、その高温の時期にやはり相当の地域に飛んでいっているのではないか。これが東北の方まで、寒い地域にはなかなか松くい虫が行かなかったんでありますけれども、高温の時期、松林が弱った時期にこれは相当東北の方まで飛んでいったんではないか、こういうふうに考えております。
○神田委員 林野庁長官にお尋ねを申し上げますが、松くい虫問題はいまや林政上の非常に大きな問題になっております。重要な課題となっているわけでありますが、政府は、わが国の森林、林業の振興、そういうことから基本認識としてどういうふうに松くい虫との関係でお持ちになっておりますか、お聞かせいただきたいと思います。
○秋山政府委員 私ども日本の林業政策を進めるに当たりましての基本でございますが、まずは、木材等の林産物の安定的供給を確保することが第一でありますが、第二は子孫のために豊かな国土を保全する、それから山村振興、山村社会の発展を図るという観点から森林資源を整備し、林業を振興しようということで進めてまいっております。そういう意味におきましていままでも基盤整備あるいは間伐対策等も進めておりますが、やはり松と申しますとわが国の森林資源の約一割を占めておりますし、生産量の一二%を占め、さらには国土保全、防風あるいは砂防止という面できわめて重要なものでございますので、ぜひともこれにつきましては、できるだけ早くこれを終息型の微害に持ってまいりましてこの健全性を取り戻したい、かように考えておるところでございます。
○神田委員 松くい虫対策というのは、これは実施する時期も決められておりますし、迅速かつ広範囲に同時に展開しなければならないわけでございますから、対策の成否というのは林業労働力の確保がどういうふうにできるかという問題もあるわけでありますから、今後この林業労働力の対策というものをどういうふうにお考えでありますか。
○秋山政府委員 先生御指摘のとおり、これから松くい虫の防除を進めるに当たりましては、やはり労働力を確保することが非常に重要であります。私ども必要な労働力につきましては、森林組合の作業班あるいは素材生産業の皆さんに協力をしていただくわけでありますが、長期視点に立ちますと、やはり山村における定住条件を整備してそこに働く場を設けるということがきわめて重要でございまして、昭和五十七年の予算におきましても、そういう面からこの山村の振興に資するような施策を打ち出しておるわけでございます。そこによって初めて安定した雇用場が得られまして、この松くい虫等の防除にも十分対応できるというふうな短期、長期両面に分かれまして進めてまいりたい、かように考えております。
○神田委員 現在の松くい虫の被害の増大ということを考えますと、一つには松材が価値が低下をしている。つまり松材の需要や価格に非常に問題がある、こういう指摘がされているわけでありますが、この松材の利用促進、そういうものにつきましては何か特別にお考えになっておるようなことはございますか。
○秋山政府委員 これから松くい虫を防除するに当たりまして、やはり森林所有者といたしましても、資源を有効に活用するということがきわめて重要だろうと思います。そういう意味におきまして、私ども、これから特に、特別伐倒駆除という形で防除をすることになりますと、その伐倒駆除によりましてのいわゆるチップ化されるものが有効に活用されなければならぬ。また林業試験場等の調査結果によりますと、被害を受けた直後の材ですと、これは用材等にも十分活用できるということも言われておりますので、そういう面におきましては、やはり搬出等の面につきましても助成をいたしながら、しかもチップ等につきましては、木材チップ需給対策協議会等におきまして業界、森林所有者等と話し合いながら有効な販売ルートをつくっていくことがこれからの大きな課題だろうと思っております。
○神田委員 これは具体的に利用促進をどういうふうにしていくかということが林野庁を初めとして行政の方で考えなければならない問題でありますが、その政府としての具体的な方策というのはどういうふうに考えておりますか。
○秋山政府委員 まず、伐採するに当たりましては、私どもに、林業改善資金の中に被害森林整備資金というのがございます。これは一ヘクタール百二十万まで融資することにしています。これは無利子の金でございますが、これによりまして、まず被害木の伐採、搬出に充てたいということでおります。さらに、先ほど触れましたとおりチップにするというふうなことになりますと移動式チッパーが必要でございますし、また、炭化する場合には移動式の炭化炉等が必要でございます。そこで私ども、林業改善資金の中に技術導入資金というのがございますが、これに、いま申し上げましたような移動式チッパーあるいは移動式の炭化炉を追加してこれを活用してもらう、さらには、国産材産業振興資金の中に間伐を進めるための資金を五十七年度から計画しておりますが、それを使っていただくとか、さらには、それに関連する加工施設の事業もございますので、これらを使いまして、被害木の伐採、搬出を積極化すると同時に、今度は利用面におきましても、先ほど述べましたような業界への協力依頼をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
○神田委員 伐倒駆除の問題では、伐倒駆除の効果には一定の限界がある、こういう言われ方もしておりますけれども、具体的にどういうふうなことでございますか。
○秋山政府委員 松の被害が出てまいりますのが大体秋の初めごろでございます。秋の終わりごろまでは、マツノマダラカミキリが幹の下に隠れておるわけでございます。したがいまして、薬剤で十分浸透しましてこれが駆除できるわけでございますが、冬になってまいりますと幹の中に入り込むわけでございます。したがいまして、浸透性の、これは油剤等を使ってやるわけでございますが、必ずしも十分、一〇〇%駆除できないという、そういう面がございまして申し上げたわけであります。 それからもう一つは、やはり松材が放置されるという面がどうしてもあります。それがやはり将来の被害の温床になる可能性もございますので、これも徹底してやっていかなければならぬわけでございますが、そういう面におきまして一定の限界があるというふうに申し上げたところであります。
○神田委員 高度公益機能松林、すなわち治山治水、風致の上で重要な松林のうち、被害を受けているのは現在どのぐらいでありますか。
○秋山政府委員 現在、被害松林約六十四万ヘクタールございますが、その中で高度公益機能松林の被害面積は三十三万であります。そのうち特に激害地と申しまして、被害の五%以上あるところが七万六千ヘクタールとなっております。
○神田委員 このような松林が被害を受けることによりまして、治山治水など森林の持つ公益的機能が損なわれている実態はありますか。
○秋山政府委員 現在、一部におきまして国土の荒廃のおそれのある部分も出てまいっております。そういう関係もございまして、私ども、五十五年にこれにつきまして積極的に対応してきておりますが、これからもそういう問題については積極的に対応してまいりたいと思っております。
○神田委員 その復旧に対しましての予算等あるいはどのぐらいのお金がかかるというような、その概算の見積もりはできますか。
○秋山政府委員 五十七年度におきましては、事業費十四億円を計上いたしまして復旧整備を図る計画でございます。 そこで、今後の問題でございますが、私ども、第六次の治山五カ年計画を現在検討中でございますが、その中におきまして、約六千五百ヘクタールぐらい、事業費におきまして約八十億円ぐらいかかるのではないかということで、現在検討しておるところでございます。
○神田委員 被害を受けた松林が持っていた森林の公益的機能、これを維持しなければならないわけでありますが、その代替措置というのはお考えになっておりますか。
○秋山政府委員 これにつきましてはやはり二つあると思います。一つは、先ほど申し上げました治山でございまして、崩壊のおそれのあるところ等につきましては積極的に治山事業をするわけでございますが、一方、現在の松の被害が激甚な地域につきましては、この際、これを伐採しまして、跡地に別の樹種を入れるとかあるいは抵抗性の強い松を入れるとかいうふうなことで、やはり森林の機能をここにまた再現させるということが重要ではなかろうかというふうに私は考えております。
○神田委員 いま、松が大変枯れ始めまして、あるいは自分のところの庭にある松が枯れたりなんかするという問題もありまして、国民の松枯れに対する関心は非常に高まっているわけでありますが、銘木とかあるいは庭園の松など、身近な松の保全というのも非常に関心のあるところだと思うのですが、こういうものにつきましてはどういうふうな対策といいますか防除といいますか、それを指導なさるようなお考えはございますか。
○秋山政府委員 私ども、皆さん御指摘いただくように、名勝地あるいは庭園、公園等におきまして、その松を保護するにはどうしたらいいかというふうな御意見等もまたいろいろと聞かれるわけでございます。これらはほとんどが小規模もしくは単木的でございまして、また都市周辺にある場合が多いわけでございますから、比較的管理はしやすい場所にございます。そこで、これらの松はいずれもやはり価値が高うございまして、まあ、いままでも自主的な防除をされておるわけですが、むしろ、手法がわからないという面で、必要な技術上の指導が欲しいというふうな要請が高うございます。 そこで、これまでも林業試験場等におきまして防除技術の開発ということでいろいろの方法を研究してまいったわけでありますが、その中におきまして、線虫を殺す、殺線虫剤を幹に注射する方法と、それから根の周囲に、土壌に埋め込む方法、こういうのが非常に有効であるということがわかってまいりまして、幹に注入する薬剤といたしましてはバイジットSO体というのが非常に有効であるということが確認されておりまして、近々、農薬登録もされるように聞いております。また、土壌処理薬剤といたしましてはダイシストンというもの、これが非常に有効であるということでありますが、ただ、現在、用いる量が比較的多うございますので、さらにこれは薬量と有効性との関係につきまして検討しておりますが、これもいずれ近いうちにそういう単木等の防除に使い得ると考えます。
○神田委員 個人の庭園などで松が枯れていくという場合に、防除についての指導なり対策なりはどういう機関へ御相談したらよろしゅうございますか。
○秋山政府委員 都道府県に森林病害虫防除員というのがございます。また、森林組合等にもこれが指導をお願いするようにこれからも進めてまいりたい、かように考えております。
○神田委員 法律第十条におきまして、国有林についても基本方針に即して松くい虫の被害対策を行うべきことが規定をされております。特に国有林野事業における防除実績及び今後における実施の考え方についてはどういうふうにお考えでありますか。
○秋山政府委員 国有林野におきますところの松くい虫の防除事業につきましては、法三条に基づきます基本方針に即しまして、民有林と連携をとりながらこれまでも重要な松林を中心に被害防除に努めてまいったところでありまして、今後もやはり国有林、民有林、連携をとりながらこの防除対策を進めてまいりたい、かように考えております。
○神田委員 国有林におきまして特別防除を行う場合は、都道府県とどのような連絡調整をするのかということが一つ問題であります。さらに、国有林も地元と密接な連携をとりながら即応体制をとらなければ防除の効果を上げることはできないというふうに考えておりますが、その点はいかがでありますか。
○秋山政府委員 この特別防除を実施するに当たりましては、関係都府県に御承知のとおり松くい虫防除推進連絡協議会がございます。その場におきまして、この実施計画につきまして十分連携をとり調整をとり円滑な実施をしておるところであります。今後とも関係都府県並びに地元の関係の方々と連携をとりながら、計画的にこれを進めてまいりたいと考えておるところでございます。
○神田委員 松くい虫の問題は、これを防除しようという林野庁の大変御熱心な姿勢がありますけれども、それだけではやはりなかなかだめですね。国民的な運動に持っていかなければいけない。森林所有者もそれから不在地主の人たちにもこれを強力に行政指導しながら全国的な松を守る運動というものをつくっていかなければならないというふうに考えますし、そういうことによって自分の山は自分で守るという考え方で森林所有者に協力をしてもらわなければならないわけでありますが、松の緑を守るという国民運動を林野庁などがどうにか組織をして強力に展開していくお考えがありますかどうか、いかがでありますか。
○秋山政府委員 これからの松くい虫防除を進めるに当たりましては、国民の方々一人一人に松の重要性を理解していただき、また松くい虫被害のメカニズムを十分御理解していただかなければならないと思っております。そういう面におきまして、これまでもあらゆる機会を通じて進めてまいったところでありますが、さらに今後、現地におけるところの説明会はもちろんでありますが、各種パンフレット、さらには都府県と連携をとりながらあらゆる機会をとらまえましてこれが推進、PRに努めてまいりたいと思っています。 また、国民運動の一環としましてそういう運動をすべきではないかというふうな御指摘でございますが、現在日本の緑を守る会というふうなものも民間団体としてつくられまして積極的な展開がなされておるように聞いております。私どももこういう国民運動につきましてはいろいろと御協力をちょうだいし、またいろいろと御連絡申し上げながら積極的に進めてまいりたい、かように考えているところであります。
○神田委員 火災や気象害では森林保険制度というのがございますね。病虫害におきましてはこれはどういうふうになっていますか。
○秋山政府委員 現在、森林におきますところの保険制度には国でやっておりますところの森林国営保険、それから全国森林組合連合会で行っておりますところの森林災害共済というのがございます。さらに民間の損害保険会社等におきまして森林火災保険等がございます。しかし、これらいずれの森林保険制度も対象にしておりますものは、保険事故としまして火災それから気象災、これは風害とか水害、雪害、干害、凍害、潮害等もございますが、そういう気象災、さらには噴火による被害というふうなものでございまして、いま先生御指摘の病害虫によりますところの森林被害というのは実は保険事故の対象になっておらぬわけであります。病害虫によりますところの森林被害というのは、被害の発生の傾向がある程度特定されるという場合が多いわけでございまして、保険事故の発生に偶然性が少ないということがございます。そこで保険設計を行うに当たりましては、結局偶然性が少ないということは保険料率がきわめて高いということが予想されるわけでございますし、さらに駆け込み契約の防止が期しがたいという面がございまして、現段階では病害虫によるところの被害を保険の事故の対象にするということは非常にむずかしいというふうに言われております。
○神田委員 非常に激甚な被害を受けております松林所有者の問題がありますから、その辺のところで何らかの形で保険制度の適用なり、あるいは変わった形での援助はどういうふうにできるか、それはどうでありますか。
○秋山政府委員 非常にむずかしい問題でございますが、今後さらに勉強してみたいと思っています。
○神田委員 この特別防除の問題につきましても、防除地域に関連しまして自然環境なり生活環境なりに十二分に配慮しなければならないというふうに思っております。私どもはそのことが非常に大事だと思っておりますし、さらに特殊鳥類や天然記念物等の貴重な野生の動植物の存在、それらの問題については防除実施に当たりましてもきわめて慎重に配慮しなければいけない、こういうふうに思っておりますが、政務次官といたしまして、これらの問題につきましては特に、人の健康や学校あるいは病院、水源地等いろいろ生活環境の問題等もありますから、その辺のところをどういうふうにお考えでありますか。
○玉沢政府委員 防除を進めるに当たりましては最大限の効果があるように十分努力をすると同時に、環境の面とか人間に対する影響、農産物その他に対する影響につきましても十二分に配慮しながら実施していくことが大事であると存じます。
○神田委員 政務次官、大変力強い御答弁をいただきましたが、最後に、五年間の延長で果たして松の被害を本当に食いとめられる御自信がおありでありましょうか。政務次官。
○玉沢政府委員 五年間で極力これを完全になくするように努力をしてまいりたい。しかして、十分でないという事態がもし五年後に出た場合におきましては、国会の先生方に再度お諮りをいたしましてまたやっていかなければならぬと思いますが、とりあえず五年間におきましては全力を挙げて撲滅するように努力いたします。
○神田委員 前半の答弁は非常に結構ですが、後半は余りいただけない。これで終わります。
○羽田委員長 藤田スミ君。
○藤田(ス)委員 大変お疲れでしょうけれども、これが最後でございますのでひとつよろしくお願いいたします。 本論に入る前に一つ、これは後々のためにも役立っていかなければならないと思いますので要求しておきたいと思うのですが、農林水産省からいただいた資料、この参考資料の中には防除効果調査ということでA系列定点、B系列定点、C、D系列定点とこうあるのですが、中身がよくわからないわけです。私の方がたしか資料要求をいたしましたのですが、これは出せないということでありました。このABCは、この農水でよくもめる話なんですよね。それでは困るわけです。だからこのA系列定点百二定点とはどこを調査したのか、Bの定点とはどこなのかということをぜひ明らかにしていただきたい。 もう一つは、これは事前にお伺いしておいた方が多分よかったかもしれませんが、A系列定点五十四年の被害本数率は一・九%、新しくいただいたこの参考資料の方は二・〇%、五十四年の方は、以前いただいた林野庁の効果調査の方は三・〇%、今度いただいた参考資料は三・一%と、まあえらい細かい話を言うなというようなものでしょうけれども、数というのは大事な話になりますので、ちょっと疑問を感じておりますので、この点と二つ、資料をお願いしたいと思います。
○秋山政府委員 最初のA定点、B定点等につきましては資料がございますそうで、後ほどその場所につきまして御説明申し上げたいと思います。 それから数字の点につきましては、まずとりあえず、十二月末で調査をしまして、さらにその後若干出てくるものを調整して三月で締めくくるという関係がございまして、先生御指摘のようなことになっていると思います。
○藤田(ス)委員 資料というのは、言ったときにできるだけ素直に出してもらいたいなと思うのですよ。いまごろこんなところでたんか切るみたいな話はよくないですから。断られたのですよ、長官、御存じですか、いいですが。だからここで言わざるを得なかったのです。これは本当にいいことではないですよ。 本論に入ります。 今日、ここまで松枯れ、松くい虫の被害が広がった原因の一つは、五年前にわが党を初めとして各党が総合対策をとれ、防除対策一辺倒ではだめだということを言われていたにもかかわらず、結果的にはそうはならなかった。そうして特に、政府が期待をしていた空中散布、空中散布というのはいろいろな点で制約があるということはもう最初からわかっていたわけですけれども、結局、部分的な処置にしかならなかった。そういうことから今回は、その反省の上に立って法案にも伐倒駆除を取り入れたということは、不十分とはいえ一つの前進であるとは思いますけれども、私がもう一度ここで今日の松の被害を考えるときに、皆さんに本当に反省してもらいたいのは日本の林業です。今日、ここまで松枯れの被害の決定的な要因となったのは、何度も御指摘されましたけれども松材の需要が減少して、そして松林への手入れや管理が放置されてきた、そういうことから結局、今日こういうふうな被害が広がらざるを得なかった。だから、あの松枯れの汚いというかやるせない姿を見ますと、これは日本の林業が松くい虫にやられているようなものだと私は思わざるを得ないわけですが、この点についてはどうでしょうか。
○秋山政府委員 わが国におきますところの松の重要性と申しますと、森林資源におきまして約一割を占めておりますし、現在の木材生産量でも一二%を占めております。さらに、海岸に非常に多いわけでございますけれども、その場合におきましては防風、飛砂防止というふうな機能もございますし、また、山岳地におきましては国土保全上きわめて重要な役割りを占めておるわけでございます。そこで、さらに景観の面でも重要でございまして、私どもといたしましてはわが国における森林資源の中での松の重要性はきわめて高いものであると理解しているわけであります。 そこで、昭和五十二年以来松くい虫防除特別措置法に基づきまして特別防除を実施すると同時に、地上では伐倒駆除を進めてまいったわけでありますが、昭和五十三年の異常気象ということもございまして、いままで被害の余りなかった地域に爆発的にふえたとか、さらにはいままで全く被害がなかった県にこれが拡大していったというようなことで被害がふえてまいってきています。 また、特別防除につきましても、自然環境、生活環境、あるいは農業、漁業への影響、被害の防止という面からやはり限界のあることもこの五年間で私ども知ったわけでありますが、さらに先生も御指摘ございましたが、かつて昭和二十年ないし二十五年の松くい虫の被害当時につきましては、松材が燃料として非常に活用された関係もございまして、これが実質的には今度は防除にも非常に効果があったということでありますが、最近、燃料革命以後におきましては、松材そのものが防除されましても放置されるという面もございまして、それがやはり被害の原因の一つにもなっていると私ども理解しております。 これらのいろいろの過去における事象等を踏まえまして、私ども今後におきましてはこの従来の特別防除で予防すると同時に、また地上におきましては保安林等の重要な森林につきましては徹底的に防除するということから、伐倒してこれをチップ化あるいは焼却をするというような方法、さらには被害のきわめて多い普通林におきましてはこれをほかの木に転換しながら、あるいは将来におきましては抵抗性の強い松に転換しながら森林の機能を高めるとか、さらには、防除体制につきまして地域の皆さんが自主的に防除できるようなこともお願いしながら、何とかしてこの被害を終息する方向に持っていきたいということで現在考えておるところでございます。
○藤田(ス)委員 大変長い長い御答弁いただいたのですが、私がここで言いたかったのは、今日これほど松くい虫が発生し松枯れが広がったのは、いわば日本の松材の需要が減少して松の値打ちが低下してきた、魅力がなくなったというところから手入れを怠ってきた、そこのところで林業をもっと興していく、そういう国の側に責任があった、そういうことについて言っているわけです。このことは、松の素材生産が昭和三十年に比べまして今日三分の一に低下しています。それから造林の面積も六分の一に減ってしまっているわけです。松材の蓄積は現在、いただいた資料でも二億七千万立米ある、こういうふうになっているわけですが、この松材利用は、これは健康な松も含めての話ですが、五十二年が三百六十九万立米、五十三年が三百六十三万立米、五十四年が三百七十三万立米、五十五年が四百二十一万立米というふうに、そんなに変わってないわけです。結局、松材の用途をもっと活発に広げていくように手を打っていかなければ、そして松林そのものをもっと活用するようにしていかなければいけないと思うのです。その用途というのは製材用とパルプチップ用なんですけれども、パルプチップ用にしても、さっき一二%と言われましたけれども、全体で、千百二十七万立米に対して百四十二万立米しか利用されておりませんですよね。しかも、いま日本で使われているパルプチップというのは七割までが輸入という現状でしょう。こういう状態の中で、政府としてこの松の経済的価値を高めるためにどういうふうにしていかなければならないのか、今後どういうふうにやっていこうとお考えになっていらっしゃるのか、ここのところを私はお伺いしたいわけです。
○秋山政府委員 現在のわが国の木材需給で見てまいりますと、先生御指摘のとおり約七割近くが外材で、三割が国産材というふうな実態でございます。しかしながら、今後におきまして二十一世紀に向けて見てまいりますと、世界的に見ましても、木材の森材資源の傾向は減少傾向になってまいるわけでございまして、私どもは、いまこそ国内の森林資源を整備強化しなければならないと思っておりますし、また、戦後植えられましたところの人工林がようやく間伐期に入ってまいっておりますので、積極的に間伐を進めまして、将来に向けての資源整備を進めてまいらなければならぬと思っております。 松につきましてもただいま御指摘のとおり、建築材、パルプ用材といたしまして非常にこれは利用されておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては国内の森林資源の有効利用、さらに林業振興という立場から、国産材の積極的な利用を図っていくことが重要でございます。また、木材の中での松材の利用促進につきましても重要でございますので、それらの面につきましてもさらに一層の施策を積極的に進めてまいりたい、かように考えておるところであります。
○藤田(ス)委員 政務次官、北海道では、道産のカラマツをパルプ材協会と森林組合連合会が価格を決めて取引をするというようなことをやっているわけです。こういうふうなことを、もっと政府も手を入れて強力に指導援助してもらえたらいいのになあというのが大方の森林組合の要望なんです。こういうことで積極的に森林対策、林業対策に力を入れていくのだということをはっきりお約束していただきたいわけです。これはもうこれ以上追及しませんけれども、これから資源を守るというのにこれほどの空費はないわけです。だから、この点ではしっかり約束をしておいてください。
○玉沢政府委員 森林の持つ公的な機能というものを十二分に認識をいたしまして、いま御指摘のございました流通対策とかあるいは間伐対策等、これは五十七年度の予算に組み入れまして、そうしてこれをこれから大いに実施をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○藤田(ス)委員 松枯れ被害の根底にある松の利用対策、これはひいては松枯れの防止につながるわけですから、今後ともぜひ力を入れていただきたいわけです。現に、この被害が広がっていて、これを抑えていくために最も確実で的確な方法が伐倒だということはだれもがいま認めるところになっているわけなんですが、今度もようやく法案に伐倒駆除というものを取り入れて対策を打つことにはなったわけですけれども、問題は、その伐倒駆除も、本当に口で言っても言い尽くせませんが、とにかく相当力を入れて短期間にやっていかなければ悪循環になるのです。 そこで私は、愛媛県松山市潮見地区のお母さんたちが五十三年度春からの松の枯れぐあいをこういう図にしてつくられたのをいただいてきました。これは一ヘクタールの面積です。ここに松が三百四十五本あります。あの愛媛県の松山市というのは、名前に松がついているとおり本当によくやっているわけです。国が空散がいいと言ったので空散も力を入れ、しかし、独自に予算を組んで伐倒にも力を入れ、つまり、この山は空散して伐倒して、空散して伐倒してというのを年々繰り返している。ところがこういう状態なんです。五十三年度の春は一ヘクタール、これは仮になかったとしますね。ところが秋になったら、松くい虫にやられた松がこういうふうになりました。そこで市の方は、この赤い枯れた松を切り倒しました。六十三本出たので六十三本切り倒しました。単純に図をかけば松がこれだけに減ったわけです。ところが五十四年度の春は、もうこれを切り倒しましたのでこういうふうにあらわれた松が消えまして、数は減りましたけれどもとにかく青々とした松だけ残ったわけです。これはいいぐあいだと思っていたら、五十四年の秋になりましたら、またこれだけ松くい虫にやられました。そこで、市はまたこれを切り倒しました。だから数は減りましたけれども、またきれいな松だけが残りました。これはいいなということになりましたけれども、またその年の秋になりましたらやっぱり松くい虫にやられています。そこでまた切り倒しました。結局、こういう繰り返しをやって、この一ヘクタールに三百四十五本生えていた松が二百二十本に減ってしまいました。これは空散と伐倒を繰り返しつつこういうふうな被害になったんです。首かしげはるから情けないわけです。だから定点のことを言ったんですよ。こんなことになるのです。それで果たして五十六年の秋はどうなるかというところにクエスチョンがついて終わっていますが、とにかくこういうことです。これは五十三年、五十四年、五十五年、三年間で累積した被害を入れたらこうです。初めは全く松くい虫のいない一ヘクタール三百四十五本の松が、やられるたびに切り倒していたのにこうなんです。これはなぜだろうなということを私は考えたんです。これは結局部分的であった、なるほど、この一ヘクタールの地域は一生懸命伐倒もし空散もした、けれども、結局周りに被害の松を残し過ぎていた、そこで徹底した駆除がやれなかった。駆除というのは空散じゃないですよ。伐倒も含めて相当本腰を入れていかなければならないのだということをこの図は示していると私は思いますが、どうでしょうか。
○秋山政府委員 松くい虫の防除をするに当たりましては、私は、予防も大事でございますし、また地上における伐倒駆除も大事だろうと思います。これは、あるかたまりの松全体にそういうふうなあらゆる方法をとって効率的に実施するということが、大前提だろうと私は思います。
○藤田(ス)委員 相当の決意でやらなければできないですよということを私は言っているわけです。今度こそは五年間で終息させるという気なら——だけど、もしも終息させるという気があいまいで、五年たってどうせまたここでこんなふうにだれかが怒ったらいいわというような気持ちだったら、これはもう日本じゅうがみんな松に対して非常にニヒルになってしまいますよ。森林そのものに対して一層ニヒルな気持ちが広がると思うのです。だから、私は、伐倒駆除ということを非常に重視はしておりますけれども、伐倒駆除とて、やりましたという形だけではこういうことになるんだということを申し上げているわけで、これはまた後ほど政務次官からもお伺いいたしますけれども、よく腹に据えておいていただきたいと思います。 伐倒の徹底も、結局、その枯損木をどう経済的価値あらしめるか、これはもう人間お互いそこのところが一つの隘路になってくるわけですね。だから、枯損木対策にはもっと力を入れてもらいたい。その点では、基本方針の中にも枯損木を利用する対策というのを明記せよということを共産党の方は主張しております。結局、枯損木の活用も、いままで被害枯損木に対しては五十二年から五十五年で七百四十万立米、これに対して国の補助事業で伐倒駆除を行ったのは百八十万立米、非常に部分的ですよね。だから、そういうふうな部分的に過ぎたやり方をもっと広げて、伐倒駆除を本格的に、本気に取り組み、その利用に対しても基本方針の中にきっちり明記をしてもらいたい、こう私は考えているわけです。政務次官、どうでしょうか。
○秋山政府委員 いま御指摘のとおり、松くい虫の防除を徹底的にやるということは、被害木の有効活用、またこれがそれなりに利用されるということが積極的に伐倒木の作業に従事する励みになると私ども思っております。 そこで、私どももこの伐倒木の活用につきましてはチップとして紙パルプ用に利用するとか、さらには繊維板、削片板に利用するとか、あるいは一部におきましては畜舎の敷きわらのかわりに使うとか、いろいろとそういう意味での利用開発をしていかなければならないと思っております。そこでまず、伐倒しこれを搬出するということになりますと、林道の問題がございますが、林道等につきましてもこれらを配慮しながらするわけです。伐倒搬出のための資金でございますが、これにつきましては森林整備資金におきまして無利子の金を活用してもらったり、さらには、それをチップ化するためあるいは炭化するための資金として技術導入資金を活用してもらいまして、移動式チッパーとかを利用しながらその活用をしていただくとか、さらには、間伐材の促進資金、これは間伐等促進資金でございますので、これらは枯損木の伐倒にも活用できますから、これらを利用しまして積極的にその活用を図ると同時に、地域の木材需給関係、特にチップ関係の会議等でこれらの活用についての方法も考えてまいりたい、かように考えておるところであります。
○藤田(ス)委員 私は、今度の法案に基づいて組まれた予算を見て、昨日もどなたか御指摘がありまして、頭の切りかえができてないというふうに言われておりましたが、私も正直そう思いました。本当に被害木を伐倒していくというなら、あれだけの予算では足りないだろう。しかし、いまは、長い目で見たら、この資源を守るために悪循環を繰り返さないために、少々予算を上積みしてでもやっておく方が得なんだというふうに私は考えています。 先日参考人の金光先生ですが、ニュージーランドとかオーストラリアでは行政がチップ工場と契約をして、枯損木を活用するように、そのためにいろいろな補助までした、それが被害を終息させていく一番有効な手段であったということをおっしゃっておられましたが、これは日本でも、言うまでもなく、戦後の歴史も教えていますし、それからいまも多くの人たちがそれを一番——その点ではだれも反対する人はいないのですね。だから、この点は少々予算をつぎ込んででも枯損木の利用に対してはもっと現状に見合った補助、対策を積極的に行っていかなければいけないと考えます。最後に政務次官、一言お願いをいたします。
○玉沢政府委員 松くい虫の防除を効果的に進めていく上におきましては、国民の皆さんの理解を得ることが大事であると思います。あるいはいま藤田委員が御指摘されましたように、部分的な防除ではだめだ。確かにこれは具体的な事例が挙げられましたが、周りの地域で全然防除しなければ、せっかくやったところにまた虫が戻ってくるということでございますし、国民の皆さんの理解を経て、そうしてこの予算が十二分に効果を上げるためには、さらに国民の皆さんの協力を一層いただくことが効果があることであると考えるわけでございます。枯損木の利用につきましてもより一層努力をいたしまして、効果を十分に上げるように努力をいたしたいと存じます。
○藤田(ス)委員 次に進みます。 伐倒対策とあわせてこの被害防止の上で非常に大事なのは、やはり松枯れの問題についての原因だとか対策、これをさらに進めていくことだと思うわけです。いろいろな問題がこれから出てくるでしょう。きのう、きょうと通じた中でも、いかにこれからの研究課題が多いかということがたくさん出ておりましたけれども、そういう点で、現在研究されております原因や誘因について、これが根本的な被害防止対策につながるように一層努力をしてもらいたいわけです。 総合研究で誘因剤や天敵利用の研究、抵抗性育種の研究が行われていたわけですけれども、総合研究ということでは五十七年度で終了することになるわけですね。だから、これを引き続きさらに特別研究として力を入れていってもらいたいというのが第一点です。 それから二点目は、午前中にも出ておりましたが、発病機構の解明のための研究、これについては努力をして早くいい成果を上げてほしい。 三点目は、大気汚染の影響です。これが少なくとも松枯れの一つの要因になっていることはお認めになっていると私は理解をしているわけですけれども、どうしてその研究を打ち切られてしまったのか、このことに大きな疑問を持っております。大気汚染が松を弱らせていることから、複合的な要素として今日こういう被害を広げてきたということはもう否めない事実だと思いますし、大気汚染が主犯だというような説をとっていらっしゃる方々さえいるわけです。したがって、その研究をぜひ再開していただきたいと思いますが、どうでしょうか。
○秋山政府委員 現在、実施中の大型プロジェクト研究によりまして、将来に向けての防除対策としましての有効な天敵あるいは微生物の検出、さらには新しい誘因剤の開発、また、単木的に貴重な松に有効でございます樹体に対する注入剤とか土壌施用剤の確認等の成果が得られたわけでございます。現在、今度はこれらの成果の実用化へ向けまして、積極的に野外実験等を進めているところでございます。そこで、私ども今後の研究の推進方法につきましては、この成果を踏まえてさらに検討してまいりたいと思っています。 それから次に、松枯損の防止に対する新技術開発問題でございますが、これにつきましては五十六年から始めまして、いま鋭意努力しているわけでございますが、この材線虫によりますところの松くい虫の発病に関する生理化学的な要因の解明、発病に関与する毒性物質の生成機構の解明、また毒性物質はどのようなものであるかという特徴、さらには毒性物質の作用等、いろいろの面でこれは研究をしているわけでございまして、やはり根本的な問題についてさらに努力するつもりでございます。 それから、大気汚染の関係でございますが、昭和四十三年以来の大型プロジェクト研究、これは林業試験場でやりました結果、いまのようないわゆる爆発的な、異常な被害と申しますのは材線虫とマダラカミキリの食害による原因であるということがはっきりしております。したがいまして、私どもといたしましては当面この異常な被害の出ております松くい虫の防除に鋭意努力することが一番大事でございますので、研究陣を挙げましてこれに取り組んでいるところでございますので、この大気汚染の問題につきましては、これはこれによって枯れるという説もありますけれども、これの枯れ方と現在わが国で発生しています松くい虫の枯損の状況とは違いまして、間違いなくやはり材線虫によるところの被害であるということがはっきりしていますので、まずはここに鋭意精力をつぎ込んでまいりたい、かように考えているところであります。
○藤田(ス)委員 おかしいと思うのですよ。私は、何も材線虫が松枯れの原因じゃないなんて一言も言っていませんよ。だけれども、材線虫が、松くい虫がこれほどはびこっていくのは松が大気汚染によって弱っている、そういうようなことも一つの誘因になっているんじゃなかろうかということでは意見に違いはないわけですよね。そこも違いますか。私はその道の専門家ではありませんので、むずかしいことはわかりませんが、しかし、だれもがそういうことは心配の一つの種として持っているわけですよ。だから、そういう点では、いま、材線虫が問題だからこれをやっつけるんだと言うけれども、人間でも菌を飲んでどうもない人があるんですよ。それはやはり抵抗力とかなんとかの関係で、家族で同じようなもの食べててもおなかが痛くなる人と痛くならない人とあるように、松にもそういうようなことがあるんじゃなかろうかというような、研究を中止するということがおかしい、かたくなになっている姿勢の一つのあらわれだと私は思うのですよ。委員長さん一生懸命首振ってくれて賛成してくれてはるみたいですけれども、長官ちょっとあんばい答えてください。
○秋山政府委員 先般、先生も茨城の被害状況を御視察いただいたわけでございますが、茨城におきまして御承知のとおり、昭和五十二年から五十三年にわたりましての被害状況を見てまいりますと、わずか一年の間に二十八倍という七十四万立米の被害が出たということであります。御承知のように、茨城県自身を見てまいりますと、特に被害の多い地域と申しますと、これは農山村と申しますか、田園都市周辺でございまして、大気汚染との絡みというのはむしろ少ないわけでございますが、ああいうところにおきまして一斉に出てまいるというのは、何回も申し上げてまことに恐縮に存じますけれども、材線虫、マダラカミキリの運び屋との関係での被害であるということがわかっておりますので、私どもはいまも重点をそこに置いて、まず材線虫なりマダラカミキリの問題に研究陣をつぎ込ませることが大事だろうと考えておるのであります。重ねて申し上げてまことに恐縮でございますが、以上でございます。
○藤田(ス)委員 これはひとつ考え直してみてください、時間がありませんのでこれ以上言いませんけれども。 それから、要望として研究者の皆さんから承ってきておりますのでお願いをしておきます。 とにかくこういう種類の研究というのは、本当に人が見たらわからないような時間とか、それからあるときにはお金もかかりますし、それから人手も要るわけですね。ところが、現場では人手不足が一番つらい問題だというふうに言っております。やはり幅広く研究をしていって、どうしても日本の森林を守っていくんだというそういう構えを、この研究体制を充実させることでも見せていただきたい、こういうふうに思います。政務次官、一言で結構でございます、お返事を。
○玉沢政府委員 森林を守るという決意を持ちまして、鋭意研究に相努めてまいります。
○藤田(ス)委員 次に、空中散布についてですが、五年前の審議のときにも、空中散布の結果、生活環境や自然環境への影響、農業、漁業に対する影響等々ずいぶん問題にもなりました。そういうことで当時の鈴木農林大臣は、住民の意見を尊重せよというそういう意見に対しまして、特に、これは法案を修正するべきだという点で出したのに対して、わざわざ修正しなくても十分御心配の点は確保できるというふうに御答弁をしていらっしゃるわけです。それを当委員会は附帯決議でも住民の意見は尊重するべきだ、空中散布に際しては意見を尊重せよということを取り上げていたわけですけれども、本当に住民の意見が尊重されてきたというふうに確信を持って言えますか。
○秋山政府委員 特別防除を進めるに当たりまして、やはり周囲の環境への影響等の問題もございます。そこで、現在御審議いただきます法案におきましても、第一条にも書いてありますし、第三条におきましても基本方針におきましてもそこは十分配慮し、また現行の通達におきましても詳細な基準を設けまして指導してまいっております。また、薬剤の安全、適正な使用につきましても運用基準を定めまして、その対応に配慮をしてまいっておりまして、一部におきましては、地元との関係におきまして空中防除等を中止したところもございますけれども、それらのところにつきましては、さらに私ども今後におきまして反省を加えてやってまいりたいと思っております。
○藤田(ス)委員 ところが、私はきょうここで一つの例を出したいんですが、先ほど見せた松山市です。ここでは散布地域の住民に対して、市は五十メートル以上は安全区域だというふうに言っているわけですね。これは林野庁も五十メートル以上は安全区域だというふうに言っていらっしゃるので、そのとおり言ったまでだと思いますが、そうですね。無風のときは五十メートル以上は飛散しない。
○秋山政府委員 現地の実情に応じまして十分の距離を置くというふうな指導をいたしております。
○藤田(ス)委員 林野庁が五十メートル以上は安全だというふうに言っていらっしゃったことは事実ですね。十分に注意するとかいうのはあたりまえのことですが、一応のめどとしてそういうふうに言っていらっしゃったことは事実ですね。
○秋山政府委員 最低五十メートル以上という指導をしていますが、五十メートルで安全だというふうな指導はしておりません。
○藤田(ス)委員 それではその辺の徹底が足りませんね。愛媛県では、無風の状態で散布したわけです。ところが、県が調査をしましたら、空散地点から百五十メートル先の地点でも七百十マイクログラム飛散しているのをキャッチしています。それから、さらに千三百メートルの地点でも二十六マイクログラム飛散をしていたということが調査されております。これは愛媛県の調査、この中に入っております。 当時の林野庁長官は、スミチオンの微粒子は二百ミクロンから四百ミクロン、風速五メートル以下であれば目的地以外に飛散しない、こういうふうに言っているのです。これは答弁の中でそういうふうに言っていらっしゃるわけですけれども、違いがずいぶん大き過ぎると思うのです。この地域は、千三百メートルの地点ということになりますと、その間に幼稚園からスーパーから住宅から全部すっぽりかぶさってしまうのです。だから、空散をした後この地域の方をいろいろと調べてみましたら、のどが痛いとか、皮膚が少し変になったとか、目が痛いとかいうような症状を訴える人が出てきたというふうに言っているのです。 このときに、同時に、こういう空散に対しての意見を求めたら、百四十人の人を対象にした意見の中では、百二十一人がもう反対だとか、なるべくやめてほしいとかいう声があったわけです。だから、その声をもって市の方に言ったわけですけれども、これが聞いてもらえないで、五十四年、五十五年と空散をやっているわけです。私は、これを市の責めにしたくありません。市の責めにしたくないからここで言っているのです。あれほど地域住民の理解、悪影響は及ぼさないと、基本方針にもあるんだと言いながら、結局こういうことになっているから、私たちは、今度の新しい法改正の中では、住民の意見の尊重や不服の申し出ははっきりと認めていくべきではないかということを主張しているわけです。時間がだんだんなくなりましたので、簡単にお答え願います。
○秋山政府委員 今後実施するに当たりましては、基本方針ではっきり明示しておりますことを徹底するように指導してまいりたいと思います。
○藤田(ス)委員 地域の住民の理解と協力を得るというような言い方を何遍繰り返したって、実行にならないのですよ。本当は法律の中に住民の意見の尊重と不服の申し出はできるんだということを保障してやらないとそうならないんです。理解や協力というのは、これはまあ言ってみたら、わかったかという立場ですから、上からの押しつけになるわけです。だから、こういうような問題が起こってくるのです。だから、私はこのことを厳しく言っているわけなんです。 大臣、いま突然おいでになって大変申しわけないのですけれども、わかりますでしょう。——林野庁の方が、無風のときには空散したら目的地以外には飛ばないと言っていたのです。ところが、千二百メートルも向こうまで飛んでしまったのです。これは風が吹いてなかったのですよ。林野庁の言っていることと全然違ったのです。それで住民がこれは大変だというので、やめてほしいと訴えているのにやめてくれなかったのです。だから、法律にやはり住民の意見の尊重や不服の申し出等というのは、うたうべきではないかということを言っているわけです。そうでなければ、理解と協力ぐらいでは、上からの押しつけにしかならないのですよということを申し上げているのです。
○秋山政府委員 まず、事務的に申し上げます。 今度の法案におきましては、特別防除を実施するに当たりましては、法第一条におきまして、生活環境保全に適切な配慮を払うということを規定しておりますし、法第三条におきまして、基本方針において、環境保全に関する事項を定めなければならないということにされております。 そこで、この基本方針におきましては、ただいま先生御指摘のような薬剤の飛散、流入によります周囲の環境に悪影響を及ぼすおそれのある場合には、環境保全等の必要な措置を講じて実施すること、また、それができない場合には実施しないこと等、自然環境、生活環境に対する特別防除の影響に配意した基準を定めているところでございます。さらに、今後におきましては、こういう問題については一層徹底を期すようにいたしたいと考えております。 なお、現在の薬剤におきましては、展着剤をつけておりまして、なるべく四方に飛ばないような方法に変えておりますことを申し添えておきます。
○藤田(ス)委員 もう一問ございます。 これも住民の意見の無視なんです。愛媛県の伊予市と砥部町にまたがる大谷山という国有林で国設谷上山鳥獣保護区、ここで昨年の六月六日と二十九日に空散がやられた。ここは特別保護区なので、空散を実施してはならないというところではないわけですけれども、しかし、地域の自然保護団体の人たちが野鳥の天国だから中止してほしいというふうに言ったにもかかわらず、結局、これもやられた。その跡を調べたら、昆虫類が百六十六種、千個の死骸が見つかった。しかも、大谷池という貴重な生態系を持っている池からも、ミジンコが三時間で半分は死んでしまうという〇・八五ppb、これよりも高い一・二ppbという数値のNACが検出されたというふうなことがあったわけです。だから、これは大変だということでいろいろと問題になっているわけなんですけれども、私はこうした問題を見るにつけ、やはり自然環境保全審議会の意見というのは十分尊重していくべきではなかろうかと、大体こういう環境問題に対して、とにかく松を守らなければならないということを口実にして、余りにも環境を無視したやり方があるんではなかろうかというふうに考えます。そこで、私どもは、自然環境保全審議会の意見を聞くということを、法案の中に組み込むべきではないかということを主張しているわけであります。時間が参りましたので、もうやめなければなりませんが、このことについて一言御意見を聞かせていただくとともに、今後はそのことについては、厳重に自然環境を尊重して、自然環境を十分配慮して慎重にやっていくという立場をとっていただきたい。 それから、せっかく大臣がおいでになりましたので、最後に私は一つ提案があります。 松枯れの問題で心を痛めない国民はないわけです。そこで、この問題に本当に政府が本気になって取り組むという気持ちがおありなら、国民の知恵と力をもっとかりるべきだ、そのためにはたとえば、NHKなんかの場面をかりてでも、もっと松枯れのメカニズムだとか、薬を与えるときの適期の問題だとか、あるいは伐倒という有効な手段があるのだとか、あるいは植樹についての指導だとか、こういうことでもっとやはり国民の知恵と力をかりる、そういう姿勢が要るというふうに考えますが、最後にそのことを大臣にお伺いをいたします。 大谷池の問題についてはどうぞ長官お願いします。
○秋山政府委員 私ども基本方針を定め、あるいは変更する場合には、中央森林審議会におきまして松くい虫対策部会を設置いたしまして、環境保全を初め、各分野にわたる学識経験者の方々を委嘱しておりますし、また、環境庁等関係行政機関とも十分連絡調整をとっております。各都道府県におきましても、同じような考え方に立ちまして連絡をとっているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、この森林審議会、環境庁との連携等で自然環境保全に関する意見は十分反映されていると思っております。したがいまして、この自然環境保全審議会の意見を聞くというのは必要性が乏しいのではないかと思いますし、この両審議会の設置されておる根拠法並びに設置目的が異なっておりますので、両方の審議を得ることは適切でない、かように考えております。
○田澤国務大臣 国民生活の中での松の役割りというのは非常に大きいわけでございます。また森林資源の管理というものはその民族の心であると私は思いますので、松が枯渇して林立している状態というのは、やはり日本の心が痛んでいるということの象徴にもなりはしないか、こう思いますので、私たちはやはりこの松くい虫の防除のために徹底的な対策を講じて、この終息のために努力をしてまいらなければいけない。そのために法の改正をお願いしているわけでございますので、今後、松くい虫に対するPRについては、いま御指摘のような点を配慮しながら、十分してまいりたいと考えております。
○藤田(ス)委員 ありがとうございました。
○羽田委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○羽田委員長 この際、本案に対し、加藤紘一君外三名から、自由民主党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新自由クラブ・民主連合共同提出の修正案、新盛辰雄君提出の修正案並びに藤田スミ君外一名提出の修正案がそれぞれ提出されております。 各修正案について、提出者から、順次趣旨の説明を求めます。武田一夫君。 ————————————— 松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○武田委員 私は、自由民主党、公明党・国民会議、民社党、国民連合及び新自由クラブ・民主連合を代表して、松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案の内容を御説明申し上げます。 修正案はお手元に配付いたしましたとおりであります。朗読を省略して、以下修正の内容を簡単に申し上げます。 第一点は、第三条に係る修正であり、農林水産大臣が定める基本方針において、特別防除を行うべき松林に関する基準は、当該松林の存する地域の自然環境及び生活環境に対する特別防除による影響に配慮し、特殊鳥類、天然記念物等の貴重な野生動植物の生存する松林その他の松林で特別防除を行うことが適当でないと認められるものが明確になるように定められなければならないものとする旨の規定を新たに設けたことであります。 第二点は、第八条に係る修正であり、現行条文を「松林群において特別防除を行う者は、自然環境及び生活環境の保全に配慮し、薬剤の安全かつ適正な使用を確保するとともに、農業、漁業その他の事業に被害を及ぼさないように必要な措置を講ずるものとし、地域住民等関係者の理解と協力が得られることとなるように努めるものとする」ことに改めたことであります。 以上が修正案の内容であります。 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
○羽田委員長 新盛辰雄君。 ————————————— 松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○新盛委員 私は、日本社会党を代表して、松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案の内容を御説明を申し上げます。 修正案はお手元に配付いたしましたが、朗読を省略して、以下修正内容を簡単に申し上げます。 第一点は、法律の題名についてであります。 本法案の提案理由にありますように、被害対策を、緊急かつ総合的に推進するための特別法ということであります。このことは、過去五年間の特別防除、すなわち薬剤の空中散布一辺倒の対策の失敗と反省によって、特別伐倒駆除を初め樹種転換を含めた総合的な対策を推進するということでありました。したがって、法律の題名もその目的内容にふさわしいものとして抜本的な発想の転換が必要ではないでしょうか。したがって、わが党の修正による法律名を「松くい虫被害対策の総合的推進に関する特別措置法」というふうに直し、本案の目的内容にふさわしく、当を得たものに変えたいと思います。 第二点は、修正案第三条にかかわる周囲の自然及び生活環境の保全に関する事項については、これまで行政措置として委任してきたわけでありますが、遺憾ながらこの五年間、特別防除による住民への健康被害や農作物等への薬害が多数発生している実態にあります。 したがって、国民は今日、貴重な野生動植物や天然記念物を保護し、人間の生命、健康に被害を及ぼさないような厳しい立法措置による規制を強く望んでいるのであります。 さらには、農業、漁業を営む人々に対して、特別防除を実施するに当たっては、当然必要な防護措置の協力を願わなければなりませんから、これらの直接利害関係者の同意を得るよう努めることが当然であろうかと考えるのであります。 また、松枯れ被害防止の実効を上げるためには、地域住民の理解、協力が何よりも重要であるわけでありますから、特別防除の計画を関係団体に十分説明をし、意見を聞き、理解が得られるよう努めるとともに、特別防除の実施に当たっては、地域住民や入山者等山を利用する人々に周知徹底を図り、同意を得られるような措置を法律条項として明記することが必要であると存じます。 以上、修正内容の説明を申し上げましたが、これらはすべて過去の反省と総括に立ち、国民の特別防除に対する不満や不安を解消し、松枯れ防止対策の実効を上げていくため必要欠くべからざる事項であり、各党の御理解を賜り、満場一致わが党の修正に基づく法案に御賛同賜りますようお願い申し上げ、提案を終わります。(拍手)
○羽田委員長 藤田スミ君。 ————————————— 松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○藤田(ス)委員 私は、日本共産党を代表して、松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由を説明いたします。 案文はお手元に配付してでございますので、朗読は省略させていただきます。 日本を代表する樹木の一つである松が全国各地で松くい虫に荒らされており、国土と緑を維持する上でこの被害を終息させることが急務であることは言うまでもありません。 わが党は、今回の政府案が現行法と異なり空中散布一辺倒のやり方を改め、被害木の特別伐倒駆除や松くい虫被害に強い樹種への転換を法律に取り入れるなど、被害対策を総合的に進める上で一定の前進があることを評価するにやぶさかではありません。 しかし、政府案は、松材の積極的利用を図る方策を欠き、松林の管理、保護を抜本的に強化する方途がないのであります。さらに、依然として薬剤の空中散布を行う際に地域住民の意見を尊重し、環境保全対策を重視することが法律上明記されていないなどの重大な弱点を持っているのであります。 わが党の修正案は、こういう弱点を改めるとともに、松くい虫被害を一日も早く終息させるためのものであります。 その概要は、第一に、松くい虫の被害対策を総合的に推進するため、第三条の「基本方針」に松材の利用対策の推進と総合的研究の促進に関する基本的事項を定めることを明記することです。 第二は、空中散布を行うに当たって地域住民の意見を尊重するため、住民の不服申し出を認めることとしております。 第三は、自然、生活環境の保全対策を重視するため、空中散布にかかわる都道府県実施計画を定める際には都道府県自然環境保全審議会の意見を聞くこととするとともに、空中散布を行う者が人の健康に被害を及ぼさないよう必要な措置を講ずることとしております。 第四に、空中散布によって人の健康、農漁業などに被害が発生した場合には直ちに空中散布を中止し、その原因を究明しなければならないこととするとともに、その被害について無過失責任による損害賠償規定を設けております。 以上が修正案の概要でございます。 委員各位の賛同をお願いをいたしまして、説明を終わります。(拍手)
○羽田委員長 これにて各修正案の趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○羽田委員長 これより松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律案及びこれに対する各修正案を一括して討論に付します。 討論の申し出がありますので、これを許します。島田琢郎君。
○島田委員 私は、ただいま議題となっております松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律案に対する日本社会党修正案に、次の理由から賛成をするものであります。 まず第一に、政府提出の法案につきましては、これまでの本委員会での質疑でも明らかになっているように、五年前にわが党が指摘をしたように、特別防除のみでは松枯れ被害を終息せしめることは困難であること、また薬剤についての安全性に不安があることを主張してきたところでありますが、今回政府が提出している法律案では、特別伐倒駆除、樹種転換等の防除策を総合化することでわが党の主張の一部を取り入れてはいるものの、依然として薬剤の空中散布に偏重したものであることは明白であります。特別防除について、わが党は基本的に問題があるとしつつも、今日の被害状況からして自然環境、生活環境の保全のため必要最小限の部分についてこれを規制し、特別伐倒駆除等の防除策をもって対処すべきであるとの修正案はきわめて妥当なものであると考えるのであります。特に、これまでの松枯れ被害の状況からしても、伐倒駆除を有効に組み合わせていなかったことによって被害が拡大している事実を見ても明らかであります。 第二に、特別防除によってこれまでも多くの薬害が出ており、中にはこれに対する賠償、見舞い等も出しているとのことでありますが、政府は、これらの薬害についてその実態究明を具体的につかみ、その改善策を見出そうという積極的姿勢を見せておりません。これらの判断、措置をもっぱら行政面に任せようというやり方はきわめて非民主的、不当なものと言わざるを得ません。 わが党は、本法が一定の強制的行政措置を含むがゆえに、可能にして最小限のごく限られた直接的利害関係者の同意を得る行政の努力があってこそ強制的行政の権威が高められ、かつ防除の実効が上がるものと確信するものであります。 特に、蚕やミツバチなどの関係者が移動したり覆いをしたりするなど薬害防止のための防護措置をとらざるを得ないわけで、その意味で協力を得るための同意に努めることは当然のことであります。 特別防除にかかわるさきの本委員会での附帯決議すら、平然としてこれを怠るような事実経過からすれば、政府案はもちろんのこと、他の修正案も、同様、行政に従属するような修正には、立法府の権威からして同調することはできません。社会党修正案は、その意味で必要最小限の利害関係者の同意を得る努力を明文化することについて賛成であります。 また、薬害が起きたら散布を中止するなどということはあたりまえのことであって、むしろ問題は、薬害が起きても賠償すれば事足りるという薬害の究明、改善すら怠る政府の姿勢こそが問題であります。 以上、政府案はこれまでの法律に比べて幾つかの前進面は評価しつつも、これまでのやり方に基本的な反省が足りませんし、また、同じような過ちを繰り返すことは明白であると断定してはばからぬものであります。 よって、私は、社会党修正案に賛成し、他の各党修正案並びに原案に反対し、討論を終えるものであります。(拍手)
○羽田委員長 これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○羽田委員長 これより採決に入ります。 松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。 まず、藤田スミ君外一名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○羽田委員長 起立少数。よって、藤田スミ君外一名提出の修正案は否決されました。 次に、新盛辰雄君提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○羽田委員長 起立少数。よって、新盛辰雄君提出の修正案は否決されました。 次に、加藤紘一君外三名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○羽田委員長 起立多数。よって、加藤紘一君外三名提出の修正案は可決されました。 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○羽田委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。 —————————————
○羽田委員長 この際、本案に対し、加藤紘一君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 まず、提出者から趣旨の説明を求めます。新盛辰雄君。
○新盛委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合を代表して、松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明を申します。 まず、案文を朗読いたします。 松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議 政府は、本法の施行に当たり、各般にわたる松くい虫の被害対策を緊急かつ総合的に推進することにより、松くい虫被害を早急に終息させるとともに、松林の有する機能を確保するため、左記事項の実現に万遺憾なきを期すべきである。 記 一 特別防除に特別伐倒駆除、被害松林の樹種転換等を加えた総合的な松くい虫の被害対策が地域の被害態様に応じて適切に実施されるよう、国、都道府県、市町村、森林組合等を通じた実施体制を早急に整備するとともに、松くい虫による異常な被害を終息させるよう必要な予算の確保に努めること。 二 地区実施計画の策定に当たつては、関係行政機関、森林組合、利害関係者等を構成員とする協議会等の開催等により、地元関係者の意向が反映されるよう努めること。 三 特別伐倒駆除の実施に当たつては、必要な労働力の確保をはじめ被害木の破砕、焼却等に必要な施設の整備、松材の有効利用の促進、火災の防止、安全作業の確保等に努めること。 四 特別防除の実施に当たつては、利害関係者等の意見の尊重と周知徹底に努めること。 五 特別防除の関係地域住民の生活環境及び野鳥、昆虫、水質、土壌等の自然環境に及ぼす影響について必要な調査を引き続き実施するとともに、特別防除の実施により、被害が発生した場合には、直ちにその特別防除を中止し、原因の究明及び円滑な損害補償を行うこと。 六 誘引剤、天敵等の利用その他松くい虫の有効な駆除の方法についての研究開発に必要な予算及び研究者を確保し、その成果の早期実現に努めるとともに、線虫類に対して抵抗性を有する松の品種の育成及び供給体制の整備を図ること。 右決議する。 以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。 以上です。(拍手)
○羽田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 加藤紘一君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○羽田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。 この際、ただいまの附帯決議について、田澤農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田澤農林水産大臣。
○田澤国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、善処してまいる所存でございます。 —————————————
○羽田委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○羽田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○羽田委員長 農用地開発公団法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。田澤農林水産大臣。 ————————————— 農用地開発公団法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○田澤国務大臣 農用地開発公団法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。 開発途上地域においては、食料の増産及び農業の振興が重要な課題となっており、開発途上地域からの農業開発に関する協力要請は、大幅に増大しつつあります。しかも、その開発プロジェクトの内容は、大規模化、複雑化する傾向にあります。 わが国は、開発途上地域に対する経済協力につきまして、昨年一月、政府開発援助に関連する国の予算の倍増等を内容とする新中期目標を設定いたしました。また、農村、農業開発を経済協力の重点分野の一つとする方針を明らかにいたしております。 かかる情勢のもとで、わが国としては、量的、質的に拡大する農業開発に関する協力要請に円滑に対応することが必要となっております。特に、大規模、複雑な開発プロジェクト等につきましては、多種多様な分野にわたる技術を総合的に活用し、幅広い対応ができるようにしていくことが不可欠であります。このため、国際協力事業団を通ずる政府ベース技術協力の実施体制のもとにおいて、公的機関による組織的推進が必要となってまいりました。 農用地開発公団は、わが国の農畜産物の供給体制を整備することを目的として、昭和四十九年に設立された特殊法人であります。同公団は、国内において、大規模な農業開発の事業を行い、農畜産物の濃密生産団地の拠点的な建設を積極的に推進してまいりました。これらの事業の実施を通じて、同公団は、農業開発に関し、多種多様な分野にわたる総合的な技術を蓄積しております。 この技術と経験を生かせば、同公団は、開発途上地域における大規模、複雑な農業開発プロジェクト等についても、十分対応できると考えられます。このため、同公団が、開発途上地域におけるこのような農業開発に関し、国際協力事業団等の委託に基づく調査等の業務を行うことができるよう所要の改正を行おうとするものであります。 次に、この法律案の主要な内容を御説明申し上げます。農用地開発公団は、従来の業務の遂行に支障のない範囲内において、次の業務を行うことができることといたしております。 第一に、国際協力事業団その他の者の委託に基づき、農林水産大臣の認可を受けて、開発途上地域における農業開発に関する調査その他の業務を行うことであります。 第二に、第一の業務に関連して必要な開発途上地域における農業開発に関する情報の収集及び整備を行うことであります。 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○羽田委員長 補足説明を聴取いたします。森実構造改善局長。
○森実政府委員 農用地開発公団法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。 本法律案を提出しました理由については、すでに提案理由において申し述べましたので、以下、その内容につき若干補足させていただきます。 第一に、開発途上地域における農業開発に関する農用地開発公団の業務の規定の整備を行うことであります。 農用地開発公団の主要な業務は、国内の広範な低未利用地域において、近代的な農業経営を確立するための農業生産団地を建設するため、農用地の造成及び農業用施設の整備等の事業を行うことであります。本法律案は、開発途上地域における農業開発の推進に資するため、このような従来の業務の遂行に支障のない範囲内において、開発途上地域における農業開発に関する調査等の業務を行うことができるよう、農用地開発公団の業務に関する規定を整備することとしております。 まず、国際協力事業団その他政令で定める者の委託に基づき、農林水産大臣の認可を受けて、開発途上地域における農業開発に関する調査その他の業務を行うことであります。なお、国際協力事業団以外の者からの委託に基づく場合には、政令で定める業務に限って行うこととしております。 次に、ただいま申し上げました業務に関連して必要な開発途上地域における農業開発に関する情報の収集及び整備を行うことであります。農業開発に関する情報の乏しい地域について基礎的なデータを収集するとともに、既存の貴重なデータを簡便に利用できるよう整理、蓄積しようとするものであります。 第二は、第一で申し上げました新しい業務に関する業務方法書の作成、大蔵大臣との協議等諸規定の整備を行うことであります。 なお、本法律案は、昭和五十七年十月一日から施行することとしております。 以上をもちまして、本法律案の提案理由の補足説明を終わります。 ————◇—————
○羽田委員長 次に、漁業災害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。田澤農林水産大臣。 ————————————— 漁業災害補償法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○田澤国務大臣 漁業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。 漁業災害補償制度は、昭和三十九年の創設以来、中小漁業者の相互救済の精神を基調とした共済事業の実施を通じて、その経営の安定に重要な役割りを果たしてまいりました。 しかしながら、近年におけるわが国水産業を取り巻く厳しい諸環境の中で、共済事業の運営は、新たな対応を必要とするに至っております。すなわち、二百海里体制への移行を契機とする魚価の著しい変動、漁場環境の悪化等により、共済事故が多発してきております。また、危険の分散に必要な幅広い加入がいまだ確保されていないという事情もございます。 今後とも、漁業共済事業が中小漁業者の経営の安定のためにその機能を十全に発揮してまいるためには、このような新しい事態に対応した仕組みの改善を図っていかなければなりません。また、中小漁業者の共済需要に積極的にこたえる措置を講じて加入の一層の拡大を図ってまいる必要があります。このため、漁業共済事業等につき所要の改正を行うこととした次第であります。 次に、漁業共済基金の廃止とその機能の中央漁業信用基金への承継について申し上げます。漁業共済基金は、漁業共済団体のほか、政府、都道府県が出資して設立された特殊法人であります。漁業共済基金は、共済金支払い資金の不足する漁業共済団体に、低利資金を融通しておりますが、その機能は、漁業共済事業等の健全かつ円滑な運営に欠かすことができないものであります。しかしながら、行政改革の一環として、特殊法人の整理合理化を進めるという観点から、昭和五十四年十二月の閣議決定に基づき、今回、これを廃止し、その機能を中央漁業信用基金に吸収することとしたものであります。本法律案におきましては、これに必要な法的措置を定めております。 以下、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。 第一に、漁獲共済の仕組みの改善であります。まず、加入の拡大を図るため、地域の実態に応じて加入集団や加入区を設けることができるようにいたしております。また、継続的な加入を確保するため、継続申込特約方式を導入し、この方式による契約については、補償水準が大幅に変動しないようにいたしております。 第二に、養殖共済の仕組みの改善であります。まず、加入の拡大を図るため、契約締結要件を緩和し、漁業者が自己の共済需要に応じて加入できるようにいたします。また、共済金の支払い方法を改め、特定の共済事故についてはてん補の対象としない道を開くこととしております。 第三に、その他の共済事業の仕組みの改善であります。まず、現在、試験的に実施している特定養殖共済について、養殖施設を共済の対象とすること等の改善を図ります。また、新たに、地域の共済需要に応ずるため、漁業共済組合が自主的に地域共済事業を実施することができることといたしております。 第四に、漁業共済基金の整理でございます。漁業共済基金を解散し、その業務を、中央漁業信用基金が行うことができるようにするほか、権利及び義務の承継等所要の措置を講じております。 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○羽田委員長 補足説明を聴取いたします。松浦水産庁長官。
○松浦(昭)政府委員 漁業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。 本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。 第一に、漁獲共済の仕組みの改善であります。 まず、総トン数十トン未満の漁船により行う漁業の漁獲共済についてであります。現行法上共済契約を締結するには、漁業を営む日数が一年を通じて九十日以上である者が、契約の申し込み単位となる区域ごとに二分の一以上集まらなければなりません。今回の改正では、共済契約の締結を促進するため、この日数の下限につきまして、都道府県知事が地域の漁業実態に応じ九十日を超え百二十日までの範囲内で特例を定めることができるようにいたしております。 次に、総トン数十トン以上の漁船により行う漁業等の漁獲共済の契約の申し込み単位となる区域につきまして、県下一円を一つの区域とすることができるようにいたしております。 また、継続的な加入を確保するため、漁獲共済の共済契約とあわせて、一定期間内は申込書を提出することなく締結の申し込みがあったものとする継続申込特約をすることができるものとしております。この特約により申し込みがあったものとされる共済契約につきましては、補償水準が大幅に変動しないよう共済限度額の上下限を定める等新たな仕組みを導入することといたしております。 第二に、養殖共済の仕組みの改善であります。 まず、共済契約の締結要件の緩和でありますが、漁業者の共済需要に応じた加入ができるようにするため、契約の申し込み単位となる区域ごとに付保割合を単一にしなければならないという要件を廃止することといたしております。 次に、共済金の支払い方法の改正でありますが、一定の要件に該当する共済契約につきましては、特定の共済事故によって生じた損害数量の一定割合をてん補しないものとする措置を定めることといたしております。これにつきましては、共済事故の発生の態様にかんがみ、魚病多発地域における常習的な病害をてん補しないことを予定しております。 第三に、その他の共済事業の仕組みの改善であります。 まず、ノリについて試験実施をしております特定養殖共済につきまして、漁業者の共済需要に応ずるため、養殖施設に係る損害をてん補の対象に加えますとともに、浅い事故を重点的にてん補する特約を設け、漁業者がその漁業の実態に合致したてん補方式を選択できるようにしております。 次に、地域共済事業の創設でありますが、地域的な共済需要に応ずるため、漁業共済事業によってはてん補されない損失につきまして、漁業共済組合が自主的に共済事業を実施できるようにいたしております。 第四に、漁業共済基金の整理であります。 漁業共済基金は、昭和五十七年中の政令で定める日に解散することとし、その一切の権利及び義務は、そのときにおいて、漁業共済基金の業務を引き継ぐこととなる中央漁業信用基金が承継することといたしております。 このため、中央漁業信用基金が中小漁業融資保証法に規定する業務のほか、漁業共済団体に対する資金の貸し付け等の業務を行うことができる旨の規定を設けております。また、これに伴い、その業務に関しては、特別の勘定を設け区分経理を行うとともに、農林水産大臣の業務方法書及び予算に関する認可等の規定を設けております。 なお、このほか、所要の規定の整備を行うことといたしております。 以上をもちまして、漁業災害補償法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。 ————◇—————
○羽田委員長 次に、漁業再建整備特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。田澤農林水産大臣。 ————————————— 漁業再建整備特別措置法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○田澤国務大臣 漁業再建整備特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。 わが国の漁業をめぐる諸情勢は、燃油価格の上昇、水産物需要の停滞等まことに厳しいものがあります。 このような状況の中で、今後、わが国の漁業が活路を見出していくためには、漁業における省エネルギーの推進がきわめて重要となっております。 農林水産省といたしましては、中小漁業の経営の近代化を促進するため、漁業再建整備特別措置法に基づき、その構造改善の推進に努めてきたところであります。しかしながら、このような厳しい状況の中で、今後、その一層の推進を図るためには、中小漁業における省エネルギーを積極的に推進していくことが必要であります。 このため、農林水産大臣が策定する中小漁業構造改善基本方針及び漁業協同組合等が作成する中小漁業構造改善計画について、省エネルギーに関する事項に関し所要の改正を行うこととし、この法律案を提出した次第であります。 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。 第一に、農林水産大臣が策定する中小漁業構造改善基本方針に定める事項として漁船用燃料その他のエネルギーの使用の合理化に関する事項を加えることとしております。 第二に、漁業協同組合等が作成する中小漁業構造改善計画に定める構造改善に関する事項として、経営規模の拡大、生産工程についての協業化等のほか、新たに、漁船用燃料その他のエネルギーの使用の合理化に関する事項を加えることとしております。 なお、この法律案に関連して、中小漁業構造改善計画に基づき建造、取得した省エネルギー型漁船について、割り増し償却ができるよう、税制上の特例措置を講ずることとし、租税特別措置法の一部を改正する法律案にその特例措置を盛り込み、今国会に提出しているところであります。 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○羽田委員長 補足説明を聴取いたします。松浦水産庁長官。
○松浦(昭)政府委員 漁業再建整備特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。 本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容につき、若干補足させていただきます。 第一に、中小漁業構造改善基本方針に定める事項の追加であります。 農林水産大臣が策定する中小漁業構造改善基本方針は、漁業協同組合等が作成する中小漁業構造改善計画の指針となるものであります。現行の中小漁業構造改善基本方針は、経営規模の拡大等経営の近代化、財務内容の改善、漁船その他の施設の合理化等について定めることとされております。しかしながら、中小漁業における省エネルギーの重要性にかんがみ、今回、この基本方針に定める事項として漁船用燃料その他のエネルギーの使用の合理化に関する事項を法律上明記することとしております。 第二に、中小漁業構造改善計画に定める構造改善に関する事項の追加であります。 現行法上、漁業協同組合等が作成する中小漁業構造改善計画は、経営規模の拡大、生産工程についての協業化その他の構造改善に関する事業について作成することとされております。今回、中小漁業における省エネルギーの重要性にかんがみ、この中小漁業構造改善計画に定める構造改善に関する事項として漁船用燃料その他のエネルギーの使用の合理化を加えることとしております。 なお、このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。 以上が本法律案の内容でありますが、この法律が成立し、施行されました後は、速やかに、漁船用燃料その他のエネルギーの使用の合理化に関する事項を含む新たな中小漁業構造改善基本方針を策定することとしております。 なお、同基本方針に即して漁業協同組合等が新たな中小漁業構造改善計画を作成し、農林水産大臣の認定を受けたときは、同計画に基づき建造、取得した省エネルギー型漁船について、割り増し償却ができるよう、税制上の特例措置を講ずることとしております。今国会に提出されております租税特別措置法の一部を改正する法律案にその特例措置が盛り込まれているところであります。 以上をもちまして、漁業再建整備特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。
○羽田委員長 以上で各案の趣旨の説明は終わりました。 次回は、明十九日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時六分散会