農林水産委員会 第5号
- 発言数
- 76 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1982/03/16
会議録
○羽田委員長 これより会議を開きます。 松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 本日は、本案審査のため、参考人として東京大学農学部教授金光桂二君、東北大学農学部助教授西口親雄君、理化学研究所主任研究員見里朝正君、森林・林業政策調査室長木村武君、朝日新聞編集委員大谷健君、以上五名の方々に御出席をいただき、御意見を承ることにいたしております。 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、ありがとうございます。本案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を承りまして、審査の参考にいたしたいと思います。 次に、議事の順序について申し上げますが、金光参考人、西口参考人、見里参考人、木村参考人、大谷参考人の順序で、お一人十分程度の御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。 なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、参考人は委員に対し質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきお願いしたいと思います。 それでは、金光参考人にお願いいたします。金光参考人。
○金光参考人 東京大学の金光でございます。私は農学部附属演習林におりまして、森林学、森林昆虫学を専攻しておりまして、松くい虫問題に最も深い関心を持っている者の一人でございます。 私は、森林というものが長い年月の間に絶えず変化するものだという見方をしております。こうした観点から、現在の松林、特にいま問題になっておりますアカマツ、クロマツ林ができ上がった過去を振り返ってみますと、最近の数百年におきまして、人間のつくった生活環境の中へ松は大変巧みに適応し、繁栄してきた樹種だと言えます。 また、松は大変有用な木でありますので、人間が積極的にこれを植栽し、繁栄を助けてきたという歴史もあります。現在人間が居住しております地域、その周辺、至るところ松林になっておりますが、人手の入っておりません深山幽谷というところでは、松林はほとんどありません。 こうして栄えてきた松林をもしこのまま放置しておきますと、植生の動態という観点では、ある場所では徐々に常緑の広葉樹林に変わっていくであろうと私は予想しております。しかし、松は元来荒れ地に強い樹種でございますので、人間の活動が継続し、ほかの樹種が育ちにくい状況がありますと、その場所は松林で続くかと思います。 松林の過去、現在、未来がこうした変化をたどるということを底流に置きまして現在の松枯れ問題を考えてみますと、古い大きな木が枯れましてそのかわりに若い木が生える、あるいは松が枯れた後にカシ、シイ、クヌギというような広葉樹が生えるということはきわめて自然な現象であって、こういう樹種交代が自然に行われるのがむしろ望ましいような場所も日本の各地にございます。 したがって、現存する松あるいは松林を一本も枯らさないように守るというのは少し狭い考えだと私は思います。別な言い方をいたしますと、ある程度の量の松は枯れてもいいというような考えの方が健全な森林政策であると私、考えております。 しかし、現実に多量の松がいま枯れております。その中で、枯れてもよい松林と枯らしてはいけない松林を区別して、後者の松林について限定して害虫駆除を行うというのが賢明な策だと考えます。 さて、防除を必要といたします森林に対して、航空機による殺虫剤の散布、いわゆる空散は、現在、私どもが実行し得る手段の中で最も経費も安く、そのわりにきわめて効果の高い防除法であります。しかし、空散に限らず、地上散布も含めまして殺虫剤を散布するというだけでは、これまでの経験から申しましてどうしても十分な防除効果が上げられないという現実があります。これは殺虫剤の施用に伴いまして生ずるさまざまな環境汚染を考慮し、散布回数あるいは散布量を制限しなければならないとか、害虫でありますマダラカミキリが一年じゅうの大部分を樹木の中で過ごし、成虫になって出てくる時期が大変まちまちで、早く出るもの、遅く出るものがありますために殺虫剤の網にかからない個体が出てまいりまして、駆除効果が低下する原因になっております。 かつてオーストラリアとニュージーランドで、一九五〇年代と六〇年代に、ラジアータマツ林にノクチリオキバチという害虫が発生いたしまして、大被害を起こしたことがあります。その駆除に当たりまして、当然のことながら航空機による大々的な殺虫剤の散布も行われましたが、それと並行いたしまして、かの国の国、公共機関が相当額の補助金を出して被害木を伐倒し、搬出して、その中にいる害虫もろともパルプに利用したという駆除法を行いまして、大変大きな成功をおさめたというふうに聞いております。 日本の場合にも、いま松は枯れておりますが、この枯れた直後であればまだ十分パルプ材として利用できるものであって、大変貴重な天然資源を有効に利用し、それが同時にきわめて確実な害虫防除となるとするならば、これは政府において国策としてでも、民間のパルプ会社とかチップ工場と契約して被害木を買い取らせる、そういうような政策がとれないものだろうかと、かねがね考えております。 今回、改正になります防除法案は、従来の空散一点張りというような特別措置法を大幅に前進させて、特に被害木の破砕、焼却、こういったことを義務づける特別伐倒駆除や、また、松をほかの樹種へ転換するというような多様な防除対策を盛り込んでいる点で、私はこの法案を高く評価しております。 近年、松枯れが大変多いので、このまま参りますと松くい虫によって日本から松がなくなるのではないかというような悲観論が一部私の耳にも入りますが、そんなことは決してございません。松がなくなるということは絶対にあり得ないと私は断言してもいいと思っております。 私が勤務しております東京大学の千葉演習林は房総丘陵の中心にありますが、昭和四十年代に松くい虫の激害を受けましてたくさんの松が枯れました。しかし、その跡地を詳しく調べてみますと、大径木がまだ点々と残っております。枯死率で申しますと、五%から一〇%のものが生き残っております。そして、これらの松はある程度の抵抗性を持っておりまして、ただいま昭和五十三年、五十四年、五十五年と連続三年人工的に材線虫を接種いたしまして、なお枯れない松を、有力な抵抗性候補木として、それから穂をとり、また種子を採取して、現在、苗木生産を行っております。こうした抵抗性の松がもうすでに九州初め関西一円で、国立林業試験場、材木育種場等でたくさん見つかっておると聞いております。日本列島の多くの松林で、このように確認はされていないのですが、抵抗性のあるものが天然にたくさんあろうかと想像いたします。それらから種子が落ちて、ある程度の抵抗性を持つ若木が各地でたくさん育っていると想像されます。 こういった抵抗性松を今後植えることができるということが現在の松枯れに対し有効な対策であると確信いたしまして、私の意見陳述を終わります。
○羽田委員長 ありがとうございました。 次に、西口参考人にお願いいたします。
○西口参考人 東北大学の西口でございます。 松枯れに関しまして私の基本的な考え方を申し上げます。 松が枯れるというにはいろいろ原因がございます。水が切れただけでも松は枯れます。しかし、いま伝染病のようにどんどん広がっていく松枯れ、これはマツノマダラカミキリというカミキリムシ、それからマツノザイセンチュウという小さな線虫、これの共同作戦によるものであるということはほとんど疑う余地がございません。ですから、マダラカミキリとマツノザイセンチュウのコンビ説といいますか、それ以上にうまくこの現象を説明できる説が現在のところほかにございません。ですから、もしマダラカミキリなり材線虫なりに打撃を与えるといいますか、その病原を断つことができればこの激害型の松枯れは防ぐことができます。事実、その松枯れが起こっている林分から枯れた松を切って林外に搬出する、外へ出してしまうということをするだけでも松枯れはとまる、そういう実例がございます。 もう一つ、基本的に重要なことは、この松枯れの原因であるマツノザイセンチュウは、どうやらアメリカから日本へ侵入してきたものらしい。つまり外来病だということなんです。病原微生物が自国のものであろうと外国のものであろうと、どちらでも関係ないというような見方をされる人もいますけれども、実はそうではなくて、外来病というものは非常に恐ろしい。 世界に三大樹病と言われているものがございます。一つはクリの胴枯れ病、二つ目はストローブゴヨウマツの発疹さび病、三番目がオランダ・ニレ病という三大樹病と言われているものがございますけれども、それはいずれも病原菌が外国から侵入したものなんです。それで日本の松枯れ病は世界第四番目の大樹病になるのではないかと私は考えております。それほど激しいものなんです。 なぜ外来病がこわいか。それはその木の方に抵抗性が全くないということなんです。どんな生き物でも、人間も含めまして病原微生物に対して生物というものは全部抵抗性を持っておるものです。もし抵抗性を持ってなければやられてしまう、滅びてしまう。つまり、生き物は絶えず病原微生物と接触することによって抵抗性を獲得する、歴史的にそうなってくるのでありますけれども、外来病原菌に対しては抵抗性を持ってない、いわば白紙の状態なんです。ですから、こういうものに対しては、全部が全部じゃないのですけれども、へたをするととことんまでやられてしまうということがございます。その世界三大樹病と呼ばれているものが実はとことんまでやられた例なんです。この松枯れもいわばその危険をはらんでいるということです。つまり、それだけこの松枯れ病というのは非常に恐ろしいものだという認識がまず必要じゃないかと思います。 では、どのようにすればいいのかということなんですけれども、もちろん空散でいろいろ対応していくことも必要でありましょうけれども、私は、基本的には日本の森林の体質を改善するということしか切り抜ける道はないのじゃないかという気がします。 それに関連しまして、今回の法律改正について少し意見を申し上げてみますと、結局松枯れに対しては、はっきり言ってこれだというような決め手がないのです。前回の法律は五年の時限立法でして、いわば五年間の実験期間だったと思うのです。五年過ぎたいま、多少部分的な効果はあったと考えますけれども、全般的に見れば、いろいろ理由はあるのですけれども、松枯れというのは鎮静化の方向にはない。これはどうも事実です。とすれば、次の五年間はどのようにやるべきか、少しやり方を変えてみるべきじゃないかというふうに考えるのです。 確かに、今回提出された改正法案を見ますと、「特別伐倒駆除」というようなものを新しく導入したり、それから被害林の樹種転換を積極的に打ち出すなど、そういう多面的、総合的に取り組む姿勢が見られております。これは僕も大変結構なことだと思います。しかし、特別防除、つまり薬剤の空中散布に多額の経費を計上している、多額の予算を計上しているというところを見ると、やはりまだ薬剤散布に依存するといいますか、頼っている傾向、姿勢がなきにしもあらずと思います。 私は、薬剤の空散は最後の切り札としては必要だと思いますけれども、それに頼るべきではないんじゃないか。たとえば、どうしても守らなければいけない海岸防潮林、こういうものに対して、いま空散で守っているところもございますけれども、いつまでも空散に頼るべきではない。やはり究極的には薬なしでできる防除法を考え出さなければいけない。たとえば被害木の伐倒、焼却あるいは今度法案に出てきましたようなチップにするとか炭化するとか、そういうような形の利用、そういうような薬を使わないやり方を考え出さなければいけない。それで、空散というものはあくまでもそういう薬なしのやり方ができるまでの経過措置といいますか、それに至るまでの過程でございまして、永久に空散に頼っているようでは、これは永久に解決できないのではないかというふうに心配するわけなんです。 結局、伐倒、焼却あるいは利用というようなそういう手段を大いに使うべきだと思うのですけれども、たとえば激害地ではなかなかそういう手段をとることができない。ですからそういうところでは、全面的にまだ被害が林に及ばないうちに早目に全部切って利用してしまうというような、健全林群、健全というか、枯れた林群だけじゃなくて、枯れる前の林群をも、枯れるということがわかったら早目に切って利用してしまう、そして、別な樹種を植えるとか天然更新をして別な森林に育てるとか、そういう樹種転換を積極的にするべきじゃないか、そういうことにもっと予算を使うべきじゃないかというふうに考えております。 要するに、従来は、薬をまけばそれで防除完了というような感じがございましたけれども、そうじゃなくて、薬をまくのはあくまでも経過措置であって、森林の体質改善、それが松くい虫の根本対策である。要するに、発想の転換をこの際やるべきじゃないかというふうに考える次第でございます。 終わります。
○羽田委員長 ありがとうございました。 次に、見里参考人にお願いいたします。
○見里参考人 理化学研究所の見里でございます。 私は、昭和二十一年から約二十年間農林省の農業技術研究所で、四十一年から現在に至るまで理化学研究所で、三十六年間農薬の研究をしてまいりました。その間、主として新農薬の開発研究で農業用抗生物質とか大豆レシチン、重曹農薬というようなソフト農薬の開発の研究をしておりまして、直接松くい虫の仕事には関係しておりませんでしたが、松くい虫に関しましては、昨年、松くい虫防除問題懇談会の委員としまして一年間勉強させていただきました。そういう以上の経験から、主として農薬という立場から今回の法律案についての参考意見を述べさせていただきたいと思います。 農薬の空中散布に関しましては、空中散布をしているのに被害面積が拡大しているではないかというような意見がよく聞かれます。けさの朝日新聞の「論壇」にもそのような意見が載っておりました。そういうようなことが言われるには、私は二つの理由があると思います。 まず第一は、農業では、たとえば稲のいもち病の場合なんかですと、非常に広面積に対して同時防除、同時に農薬の散布が行われますので、完全な防除ができますが、松くい虫に関しましては、モザイク状と申しますか、一部分の面積だけで、大部分の面積には農薬はまかれていない。したがって感染源はほかにたくさん存在するということが一番大きな原因ではなかろうかというふうに思います。すなわち、お配りされている資料の中にあると思いますが、松林の面積は二百五十五万ヘクタール、被害面積が六十六・七万ヘクタールに対しまして、空中散布がされた面積が十三・三万ヘクタール、地上散布が一万ヘクタールで、薬剤散布されたのが合計十四・三万ヘクタールにすぎません。すなわち、松林面積に対しては五%、被害面積に対しては二一%というわけでありまして、この感染源がほかにたくさんあるということが、一番防除に徹底を欠いた点だと思います。しかしその点、今回、特別伐倒駆除命令が出されるというふうに法案が大きく改正されたことは、非常に大きな進歩であるというふうに私は思います。 それから第二の理由としましては、散布回数がございます。これはこの法律が通った昭和五十二年三月の議事録を拝見いたしますと、そこで馬場先生が御指摘になっておりますが、二回散布では足りないんじゃないか、三回、四回まいた方がいいんじゃないかというような御指摘がございましたが、私も確かにそう思います。空中散布しますスミチオンの有効なのは一、週間ぐらいですから、それを二回まいても一カ月半ぐらいですが、それに対してマダラカミキリの発生は二カ月以上に上るというようなことで、この前、昭和五十二年に伊藤一雄先生が答弁されておりましたが、確かにそうだ、二回だと約八〇%ぐらいの防除効果しかないというようなこと、しかしやむを得ないというようなお話でしたが、そういう意味ではやはり防除がいわゆる完全な防除にはなっていなかったんじゃないか。たとえば、私二、三年前に四国の栗林公園に参りましたが、栗林公園なんかは周りの山は全部松林が枯れておりましたけれども、栗林公園、もっともあそこは松林、松がなければ公園が成り立たないということですが、栗林公園の松は青々としておりまして、一本も枯れておりません。そのとき同行しました四国の農事試験場の方の話によりますと、地上散布で年に四回ぐらいまいておるというような話でした。それから虹ノ松原その他の実際に防除を完全に行っているところでは、十分に松枯れが防げているのではないかというふうに思います。 それでは、その対策としてはどうしたらいいかということになりますが、それはもっと散布を徹底的に行うということが一つですが、しかしそれは無理といたしましても、やはり必要最小限度の松林を守るということでありますが、やはりその空中散布に対する地域住民の理解を求める必要があると思います。それに対しましては、まず一番重要なのは農薬の危険性といいますか、それへの理解を深めてもらうということです。 農薬の危険性に対しましては、二つの考え方があります。すなわち、直接的な毒性と間接的な毒性です。直接的な毒性といいますのは、すなわち、パラチオンの例に見ますように、農薬の事故につながる直接的な毒性でございます。ところがパラチオンは分解して、これは間接的な毒性はございません。間接的な毒性の代表はDDT、BHCです。DDTは戦後日本人がみんな頭からかぶっても安全であるというぐらいに、DDTぐらい直接的な毒性のない安全な農薬はございません。しかしながら、DDTは間接的な毒性、すなわち分解しないで環境汚染をして、それが生物濃縮して人畜に蓄積するという間接的な毒性が強いということで禁止になったわけでございます。 すなわち、農薬にはその二つの毒性があるんですが、空中散布されているスミチオンの毒性はどうかといいますと、スミチオンは直接的な毒性はLD50がマウスで千三百三十六ミリグラムパー・キロということで非常に低毒性になっております。しかし、スミチオンはなぜそれじゃ虫を殺すのかといいますと、人間、高等動物の場合はスミチオンを分解する酵素がございますが、虫にはそれを分解する酵素がないということで、虫だけに非常に選択的によく効くという作用機構でございます。それで間接的な毒性はどうかといいますと、スミチオンは比較的早く分解しまして、環境にそれほど大きな影響を与えないということは、五カ年間の実際の空中散布をやった結果の資料からもおわかりいただけると思います。 そのほか、空中散布の面積からいきますと、農業用に使われております空散の面積は百四十万ヘクタールで、そのうちスミチオンが十八万ヘクタール散布されておりますが、林業では先ほど言いましたように十三万ヘクタールであります。そのほか、スミチオンは国内では農業用として二千三百九トン、防疫用としまして百八十三トン使われておりますが、海外に輸出されて使われておりますスミチオンの量は日本国内よりもはるかに多くて、三千四百十三トン使われておりまして、日本以外に約五十カ国で使用されております。カナダではそのうち三百九十トンが森林に散布されております。 それでは空中散布以外に方法がないかといいますと、あと人家が密集したり、人家に近いようなところ、たとえば、鎮守の森だとか仏閣だとか公園などの名木、こういうものに空中散布するわけにはいきませんが、こういうものに対しては浸透性の殺虫剤で単木処理をする研究開発がされております。すなわち、樹幹注入というのが二種類、土壌施用が一種類研究開発されております。 たとえば、樹幹注入の方はテラクワPという薬がございます。これは五〇%水溶液が五十ccのアンプルに詰まっておりまして、一メートルの高さのところにハンドドリルで九ミリの穴をあけて、そこから注入するということですが、これはマダラカミキリの羽化三カ月前までに処理するということで、約二年間の残効がある、二年間有効であるということになっておりますが、これは急性毒性が十ミリグラム・パー・キロということで非常に強いということで、まだ登録が許可になっておりません。しかしながら、これよりは低毒性であるということで現在同じくネマノーン注入剤というのが開発されておりまして、これもテラクワPと同じような使い方をしまして、効果が約一年ということですが、開発されております。これのしD50はマウスに対して二百九十ミリグラム・パー・キロということでして、テラクワPよりもかなり減って低毒性になっておりまして、劇物に指定されております。 それから土壌施用のダイシストン粒剤五%というのがございますが、これは松の根元に半径約一メートル以内に全面に散布あるいは溝を掘って施用ということで、これは十二月ないし二月に施用して、根から吸収移行させて松くい虫を防除するというような使い方がされております。ただし、これは一本の木に百五十グラムの粒剤をまくということで、環境汚染という面でちょっと問題があるのではなかろうかと思います。 いずれにしましても、樹幹注入の場合には環境汚染には全く関係なくて防除できるということですので、かなり有望な薬ではないか。特にネマノーン注入剤というのは現在登録申請中で、毒性も低いということで登録が近く許可になるのではないかというふうに言われております。 しかし、いずれにいたしましても、こういう薬は二百九十ミリだから低毒だとも言えませんので、これもやはり前に私が同じく朝日新聞の「論壇」に投稿したことがあるのでございますが、農薬士制度というものをつくるべきではないか。やはり農薬というものに毒性がある以上、これをだれでも使っていいというふうにしないで、危険な農薬でもそういうライセンスを持った人が扱って防ぐ。たとえばテラクワPなんというのも毒性が強いからなかなか許可にならなかったのですけれども、これもそういうライセンスを持っている人がもっと早く使っていればもっとたくさんの名木が松くい虫の被害から防げたのではないかというふうに思います。 アメリカの場合には農薬の使用にはライセンス制度がございます。医薬でもお医者さんの使う薬と一般の薬屋さんで使う薬が異なりますように、農薬の場合にも、一般の普通の農民が使える本当に事故のないような安全な農薬と、それから少し危険だけれどもやはり特効薬的によく効いて治すというような薬、これはライセンスを持った人が使えるような制度にするということが一番いいのではないかというふうに私は思います。 これに関しましては、たとえば全国の農業協同組合、いわゆる全農の農協系にもいろいろなそういう専門家がおりますし、それから全商連系というのですか、商系の方にもそういう専門家がおります。そういうのは皆講習を年に何回か受けて専門的になっておりますから、全国合わせると数千人の専門家たちがいるので、そういう人たちを動員してそういうライセンスを持たせて、その人たちにそういう薬を使わせれば事故が防げるのではないかというふうに思います。 これは余談ですが、ことしの夏に国際農薬学会というのが京都で開かれ、約千五百人の人が内外から集まりますが、そのときの主要テーマというのがヒューマンウェルフェア、エンバイロンメント、ペスティサイドと言いまして、人類の福祉、環境、農薬というのでございまして、農薬は人類の福祉、要するに、食糧増産だとか防疫だとかあるいはその環境を守るということに役立っているんだということを私どもは信じているわけでございます。 以上で終わります。
○羽田委員長 ありがとうございました。 次に、木村参考人にお願いいたします。
○木村参考人 参考人の木村でございます。 本委員会に付託審議されております松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律案について意見を述べたいと存じます。 昭和五十二年第八十回国会で現行の松くい虫防除特別措置法が成立をいたしまして、以来五年を経過して、この年度をもってその効力を失うわけでございますが、この法律案審議の中でも大変論議があったところでございますが、政府は、当時、松枯れ被害について松くい虫によるものであるとして、その防除策をもっぱら薬剤の空中散布、つまり特別防除によってその被害を立木本数一%以内の終息型に持ち込み得るという確信を再三にわたって披瀝をして、特別防除のみではその効果は疑わしいとの意見を押しのけて成立させたわけでございます。ところが、その結果は、御存じのとおり被害は終息どころか一層拡大し、その傾向を強め、今日の事態を迎えているものであります。この責任はきわめて大きいと言わなければならぬと思います。 本法案について、さきの政府提案理由、説明によりますと、今日の被害拡大の理由として、昭和五十三年度の高温少雨であったこと、特別防除の実施面での限界があったこと、こういうふうに述べられております。これは全く責任逃れだと思うのであります。実施面での限界ということは、言いかえれば、実施の段階で思うようにできなかったということでありまして、それは結局、薬剤を空中からばらまくというやり方が、地域住民にとって薬剤の具体的被害事実を知るに及んでその安全性に不安を抱き、反対の動きが出て、それを説得し得るだけのものを持ち合わせていなかったからであると思うのであります。このことは、すでに当時から予見されていたところでありまして、今日においてもなおこの安全性に対する危惧は解消されておりません。むしろ、各地での薬害事実はその不安を一層強めているように思うのであります。 もともと松枯れを効果的に防除するためには、松林に対してふだんからの積極的な保育管理、そういうものを行いまして、健全かつ旺盛な林分形成に努めることが重要だと思うのであります。しかも、単木的な被害程度のうちに積極的に先手をとって被害を除去することが最も適切確実なものであると思うのであります。仮に、薬剤を空中から散布するにしても、それのみに頼るのではなくて、伐倒駆除等の防除策を幾つか組み合わせることによって効果を発揮し得るものだと思うのであります。 幾つかの実例が示すように、空中散布地の周辺の伐倒駆除を怠ったがために、散布地に松くい虫が入り込み松枯れ被害が出ているところさえあるのであります。このように、薬剤空中散布は、それは絶対的な防除策ではなく、むしろ伐倒駆除等を主体として、これの補完的、補助的手段として用いるべきであろうと思うのであります。 その意味で、今回、提出されております本法案は、特別伐倒駆除や樹種転換などの手段を組み合わせ、総合的に防除策をとることとなっております。そういう点は、これまでよりも前進的なものとして評価し得ると思うのであります。しかしながら、その予算措置や実際の実施計画を考えますと、まだまだ薬剤の空中散布に軸足を置いていると見ざるを得ません。このままでいきますと、またぞろ本法案成立以降五年後のことがおおよそ想定されるのであります。むしろ日本の松林は壊滅に瀕し、防除対策を施す林分すら見当たらないという皮肉なことになりかねないと思うのであります。 そこで、そのような事態を招かないためにも、本法案について次の諸点を修正し、その防除策を充実すべきだと思います。 その第一は、法律名であります。いま申し上げましたように、従来の失敗を繰り返さないという発想の転換が必要であります。防除策内容を総合化し、大きく転換しようとするならば、当然、法律名もその目的、内容にふさわしい法律名として、大方の協力のもとで行政の実効を上げていくべきであり、従来の発想を引きずって単に延長させたもの、そういう印象を与えることはこの際払拭すべきであると思います。私は、これは形式の問題として言っているのではなくて、このような被害の事態を一刻も早く終息させるためには、何といっても行政の信頼を早く取り戻すことであり、そのためには、行政としてメンツにこだわることなく、謙虚に改めるべきは改めて、全体の協力を得ることが必要であると考えるからであります。 第二は、第三条の「松くい虫の被害対策に関する基本方針」での特別防除にかかわる問題であります。 政府案は、特別防除による被害についての必要事項を、農林水産大臣が基本方針で定めることとしております。この点は、これまでの法律の条項を単に並びかえただけで、薬剤の空中散布による防除被害について配慮すべき事項は農林水産大臣に委任している点で、変わるところはないわけであります。これまでの特別防除による地域的トラブルの事例等から考えて、このような自然環境、生活環境の保全に関する事項を行政措置として委任することは、今日の国民的要請からして当を得ないものであると考えるのであります。したがって、特殊鳥類、天然記念物等の貴重な野生動植物の生息または分布している地域や、現に居住している家屋や学校、病院、飲料等の水源などに薬剤をばらまき流入させることのないよう、自然環境、生活環境保全のために、必要最小限の条項を明記し、これら該当地区には空中からの薬剤散布を禁止し、特別伐倒駆除等他の防除策をとるよう修正すべきだと思います。 第三は、政府案第八条に関連しての問題であります。特別防除を行うに当たって、農業、漁業その他の事業に被害を及ぼさない必要な措置について、これらの関係者からの同意を得て行うよう規定すべきであります。特に、蚕、桑、葉たばこ、ミツバチ、水産動物の増養殖場などについては、薬剤を空中散布する際はこれらの人たちに必要な防護措置の協力をも願わなければならないわけでありまして、このような直接利害関係者については、少なくともこれらの人から同意を得ることが必要だと思うのであります。 第四は、特別防除を計画するに当たっては、地域の実情に応じて自然保護団体等とも十分説明、意見を聞き、話し合いが行われ、理解が得られるよう努められるべきであり、その趣旨の条項を盛り込むべきであると考えます。 第五は、特別防除を実施するに当たっては、薬剤による被害を及ぼさぬよう適切な被害防止対策を講ずるとともに、地域住民や当該地域の、たとえば登山であるとか釣りをする人、山菜取り、そういう入山利用者に対して周知徹底を図り理解を得るよう努めるべきでありまして、その趣旨の条項を盛り込むべきであると考えるのであります。 以上、本法案について、ただいま申し上げた修正条項を入れ、総合的防除の実効を上げ、松枯れ・被害の一日も早い終息をもたらすよう願いまして、私の意見開陳を終わります。
○羽田委員長 ありがとうございました。 次に、大谷参考人にお願いいたします。
○大谷参考人 大谷でございます。 ではさっそく、松くい虫法案について意見を述べさせていただきます。 現在の法案の松くい虫防除特別措置法ですけれども、五年たってみましていろいろ欠点があらわれております。この措置法の根幹をなすものは、やはり林野庁の研究陣がマツノザイセンチュウとマツノマダラカミキリの因果関係をみごとに解明されまして、それを退治する農薬とか、いろいろそういう実験を重ねられたわけでございます。現在のマツノザイセンチュウ、マツノマダラカミキリの因果関係の発見というのは、私は非常に大きな発見だと思いますけれども、やや自信と気負いがありまして、その因果関係を解明し薬剤を散布する、それが特効薬であり、しかもそれはわれわれ国がやってやるという、一つの何か気負いみたいなものが感じられるわけでございます。しかし、五年の経過を経まして、自然の脅威というのは人間の努力よりはるかにまさる非常に強力なものであるということがわかってまいりました。 もう一つ、やはり国が県を使って上からやるというのじゃなしに、松くい虫防除というものは下から、住民から盛り上がってやらなくちゃならない。松くい虫の現在の被害地というのは私有林が圧倒的に多いわけでありまして、自分の山の松を守るという意識をもっと強く盛り上がらさなければいけなかったわけでございまして、国が大いにやろうという一つの自信というものでやってきたわけでございますが、下からの協力が非常に足りなかった。その点、いまの法の問題点がございます。 今度この法案が改正されますと、松くい虫被害対策特別措置法ということになるわけでございますが、この対策は従来の空中散布重点政策よりもいろいろの方法で多角的になったということ、それと同時に、やはり重点的になったということですね。この対策の変更というのは、正しいあり方であると思います。 もう一つ、地元の自主性というものがやはりなくちゃならないということが自覚されて、市町村実施計画という項目を入れられたというのも、当を得ているというように思われます。やはり自分の山の松の木が枯れるのを黙って見ているという住民のあり方というのは非常に問題でございまして、たとえば茨城県で県の人が松枯れ病の対策を相談しに行ったところ、いや県でも国でもどうでも何とかやってください、どうせ処理していただければここを宅地として売れるのですからと言ったというのですが、そういうことでは大変困るわけでございます。たとえば空中散布したところがあるのですけれども、やはり周囲の境界線というものは散布しないために、それで徹底的に駆除できないわけでございます。なるほどハチとか蚕とかハマチとか、そういうものは大事でございますけれども、選択の問題でございまして、そういう個々の家業の人にしばらく遠慮していただいて、駆除するところは徹底的に駆除するという重点政策でやらなくてはならないのに、それに遠慮したあげく、結局、不徹底なものになったという例が大変多いわけでございます。たとえば、県が薬剤を配りましても、配られたまま農家の倉庫の中に入れられているという例も大変多いようでございまして、地元の自主性をもう少し喚起するという立場、これは行政と言って政府や県に任せるのじゃなしに、やはり地元から盛り上がるものを沸き立たせなくてはならないという気がいたします。 しかし、率直な話、松の木に対する松の持ち主や住民の意識が非常に薄れているわけでございます。つまり、松林が日本人、所有者に見捨てられているわけでございます。つまり、そのことは松材が価値を失ったということでございます。松というのはかつてエネルギー資源でありまして、薪や炭の材料になったのですが、それが全部石油に取ってかわられました。木材の資源であったわけでございますが、これは国産材から輸入材への転換によって価値を失った。肥料も堆肥だったのが化学肥料に取ってかわられた。食糧資源として松林からマツタケがとれましたが、松林の管理が行き届かないためにマツタケが余り生えず、かわりにシイタケというものが出てまいりました。つまり、松というものは何にも価値がなくなった。だから自分の所有の松が枯れているのに黙って見捨てているわけでございます。 しかし、この松がなくては大変だというところはちゃんとそれを保護しております。大洗ゴルフ場というところをごらんになったらわかりますが、大洗ゴルフ場は松の木がなければゴルフ場としての価値を失うわけです。ですから必死になって、金銭を投じて守っておりまして、いまもみごとな松林がございます。そういうわけでございまして、松材が経済的な価値を失ったというところに現在の松くい虫の非常に大きな問題点があると思われます。 究極の問題としては、松材がもっと価値を持ってくるように——松材が一つの価値を持ってくる時代というのはあるのだろうかないのだろうか。松林が松くい虫に食われた後、それを再び松としてやるのか、あるいは日本にとって経済的にもっと価値のある木に植えかえるのか。松の利用形態がいま非常に変わってまいりましたから、その松の価値というものをどう見るかによって、今後松くい虫に食われた後の森林というものをどういうものにしていくのかということが決まってくるものと思われます。 ただ、一つの明るい材料としましては、世界の森林資源がだんだん減ってくるということでございます。そういうことで木材の市場価格というものが今後上がってまいりましたとき、市場価格の騰貴に応じて日本の森林も見直されるときがあるかもしれません。 林野庁の推定では、終戦時に植えた木が現在ちょうど三十年を経過しておりますが、もう十年、二十年たちますと五十歳になるわけでございまして、この中には戦後チップ材として植えた松がたくさんございます。それが十年、二十年の間に成木となり、われわれ日本人としてそれを利用できる道が開けるわけでございますが、それまでこの松くい虫防除という手を打っていかなくてはならないだろうと私は思います。 この松くい虫被害対策特別措置法といいますものはあくまで対症療法でございまして、これで非常にひどい被害に鎮痛剤を与えるというだけでございまして、日本の森林あるいは日本の林業の噴き出した矛盾がこの松くい虫に出てきているという気がいたします。だから、この特別措置法という対症療法は必要でございますけれども、その上にさらに重ねて、日本の森林政策、林業政策を深く御検討いただくよう、先生方にお願いしたいと思います。 じゃ終わります。
○羽田委員長 ありがとうございました。 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。 —————————————
○羽田委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。亀井善之君。
○亀井(善)委員 ただいまは参考人の皆さんから大変貴重な御意見を承りまして、まことにありがたく、厚くお礼を申し上げる次第でございます。 いろいろむずかしい議論もございます。先般、私ども、現地視察に茨城県に参りました。そういう中で、想像以上にあの枯れた姿を見てまいりまして、大きな問題としてこれを取り上げていかなければならない。特に、松が日本古来のものとして日本の景観に、あるいはまたあの緑が私たちの生活に潤いを与えてくれている、いろいろの問題があるわけでございます。 そこで、ひとつ木村さんにお伺いをしたいわけでございます。松くい虫の専門家というようなことも承っておるわけでございます。 この間も、現地視察の中で話が出てきたわけでございますが、被害の原因につきまして、これは先ほどもお話がございましたマツノマダラカミキリ、マツノザイセンチュウ、こういう問題もあるわけでございますが、現在、いまだに大気汚染を挙げている面があるわけでございます。全国的に被害面積を見てまいりますときに、茨城県があのとおり大変大きな被害の面積を占めておる、あるいはまた四国であるとか九州であるとかあるいは静岡県、ある県におきましては突出的にふえておる、こういうようなことも見ることができるわけでございます。したがって、大気汚染の有無とは関係なしに、広域に一定の時期に松が大量に枯れていく現実を見て、なおそのような主張をされている方があるわけでございますが、このことについてどうお考えになるか、あるいはまたこのように松が枯れていくのと大気汚染の因果関係、これを科学的に裏づけると申しますか立証した研究があるものであれば、ひとつあわせてお伺いをしたいわけでございます。 さらにつけ加えれば、今日のあのような激甚な被害が松くい虫によるものでないということを実証しているような研究があれば、それもひとつ伺わせていただきたいわけでございます。よろしくお願いします。
○木村参考人 お答えいたします。 第一点の松枯れの原因の問題でありますが、確かに今日の松枯れという現象はマツノマダラカミキリが運ぶマツノザイセンチュウ、つまり松くい虫による枯れが大半だと思います。 問題は、御質問のように大気汚染との因果関係でありますが、私は化学の方は余り詳しくございませんが、もっぱら森林施業の方に携わってきておりまして、その経験から言いますと、たとえば、同一林分の中でも松くい虫に被害を受けた林木と受けないものがあるわけですね。それを分類してみますと、林業関係で言いますと樹勢と非常に関係を持っているというふうに見られるわけであります。つまり、同じ林分でありながら、しかもそこには松くい虫がはびこっているにかかわらず、単木的に見ますと、茨城の場合にも、私行っておりませんが、同じ林分でもそういうのが散見されたという話を聞きまして、先生も見られたと思うのでありますが、そういう意味からしますと、樹勢というものは一つの関係を持っているというふうに見ざるを得ないわけであります。 そうすると、その樹勢というのはどういうふうになっているかといいますと、植えてから刈り取るまでないしは天然成長で生育をしていくわけでありますが、その過程で枝を払ってやるとか、あるいは周辺の樹木を切り払ってやるとか、そういう保育的な面で幾つかの配慮をすることによって樹勢が衰えないで旺盛な健全な林木になっていくということ。もう一つは、それと関係ありますが、それをやっても周辺のたとえば工場等の排煙、これはもう御存じのように、たとえば足尾銅山のようなところははっきりしているわけでして、煙害によって林分を破壊されている。そういう意味からすると事実関係は因果関係を持っているわけですが、問題は、すべての地域にそういうことがきちっと因果関係で特徴づけられるかどうかという点を私はまだつかんでおりませんけれども、足尾銅山の例はまさにそういう大気汚染によって森林が破壊されたということ、これは事実として証明されていると思うのであります。したがって、大気汚染が樹勢を衰えさせる、そこにこの松くい虫が入り込んで松枯れという現象を起こさせている、こういうふうに考えるわけであります。 それから第二点の、松くい虫によるものではないという文献があるかどうか。一、二ありますが、手元に持ってきておりません。私の見解によれば、一、二ありますが、大方の説とすれば、松くい虫による被害であるというふうに考えています。 以上です。
○亀井(善)委員 再び木村参考人にお伺いをしたいわけでございますが、先ほど今度の法律の改正、そういう中でいろいろ修正の点を指摘をされておるわけでございます。このことについてお伺いをしたいわけでございます。 特別防除等につきまして、周辺に与える影響、こういう問題についてお伺いをしたいわけでございますが、いろいろの法律や制度にも若干のマイナスの面、これはあるわけでございます。そのために補償制度であるとか、あるいは賠償の制度等々を入れておるわけでございます。まあしかし、いま私も松くい虫の被害状況を申し上げました。あるいはまた茨城県で実際現実にこう見てまいりますと、意外に進んでいる。これは何としても一日も早く阻止しなければならないわけでございます。そういう点で、今日の松くい虫の被害の現状と一部で生じます周辺との問題、これは先ほどもどなたかからお話もございましたが、あるいは比較の問題ではなかろうか、このように考えるわけでございます。 そこで、先ほどの修正の問題、特別防除の手続を従来以上に、同意の問題であるとかあるいは地域の限定、地域のトラブル、こういうようなことにつきまして制限を強くしていかなければならないようなお考えがあったわけでございますが、木村さんはこの被害の現在の状況についてどのようにお考えになっているか、この点伺わせていただきたいわけでございます。
○木村参考人 お答えいたします。 ただいまの質問に二つの側面があると思うわけであります。つまり、薬剤空中散布による被害がどういう認識をされているかという側面からの問題と、その認識と関係をいたしまして、地域で幾つかの薬害によるトラブル、そこから私の参考意見として申し上げました同意ないしは規制の問題の限界の問題であります。 二つ目の方から申し上げますと、私は、そのすべてが悪くて、空中散布絶対だめ、できれば、先ほど申し上げましたように確実でしかも適切な方法というのは伐倒駆除である、あるいはまたふだんから林分の健全な保育管理を拡充するということが基本にあります。そう言ってみても松枯れは起きてくるわけでありますから、それに対して先手をとるということは必要なんであります。しかし現実には経済的な効果といいますか、松枯れの被害効果というよりも、投資効果といいますか、大変奥地の山に、人里離れたときにどう防除するかといった場合に、いまの状況の中では薬剤を用いるということもこれはやむを得ないことであろうと思うのであります。 そこで、その措置と伐倒駆除とをやはり有効に組み合わせていくということを考えた場合に、いままでの経過でいいますと、先ほども言いましたように学校があるとか病院があるとか家屋がある、そういうところはいままでの空からまくことについてどうしても手控えるということになるわけです。それよりも、そういうところは特号伐倒駆除でいくということを明確にして、そしてまくところは断固としてまく、特別伐倒駆除でいくところはきちっといくというふうにしていく方がより効果があるだろう、家屋の周辺はどうしても濃度が少なくなりますから、それをもって駆除終わりというのではなしに、そこから単木的に松くい虫がせっかくまいたところに入り込んでいくわけでありますから、そういうところは伐倒駆除すべき地域をきちっと明示をする。そういうことは、逆に言えば、空からまく行為についてはこれを禁止していく、そしてその奥の方はまいていくというふうにきちっとした方が防除効果が上がるのではないかという考えで申し上げておるわけです。したがって、学校の場合でも、休みのときにまいてもいいのではないか、それからまた、一軒家屋があるからそれがあるがためにまけないという問題が生じてくるんだろうと思いますが、私は、基本的には、物置であるとか空き家が一軒しか建っていないというところまで規制林分に入れるべきでないと思っておるわけです。一軒であっても、やはりそこに生存をして生活を営々として営んでいるわけでありますから、食器にも当然かかってきますし、飲料水にもかかってくるわけであります。そこへ頭の上から薬剤をばらまくというあこぎなことは慎むべきであろう。その周辺はやはり他に用いる確実な方法がないかと言えばあるのでありますから、伐倒駆除でその周辺はやって、遠いところは薬剤でまいていくという組み合わせが必要だろう。学校の場合も、日曜日あるいは連休があるからまいていいというのではなくて、それはやはり肋木であるとか砂場であるとか食器だとかそういうものにかかるわけであります。そういう地域は周辺は伐倒駆除でいって、奥地の方は空からまく、こういうふうにしていくべきだろうと思っているわけであります。 それから第二に、二つ目の側面で申しております薬害の問題であります。私の手元にも幾つかありまして、ずっと以前のものを申し上げるといろいろありますが、去年の幾つかの例を見ますと、これは新聞報道でありますが、西日本新聞、五十六年六月二十六日付でありますが、三百名を対象にアンケート調査をやりました。その結果、体に異常を訴えている者二七%、そういうものも報道されておりますし、朝日新聞の去年の七月二十日にも周辺地域の幾つかの実例が出ております。それから九州大学理学部の生物学科の調査、これはカニを使った動物実験でありますが、「農薬の飛散一キロに及び、百メートル地点でカニの死亡は三〇%」こういうふうに新聞に出ております。つい最近の新聞でも、愛媛でしょうか、出ておりましたが、マツノマダラカミキリの死骸がなくて、他の昆虫類の死骸が上がってきている。 ということは、効果のことはともあれ、やはり森林というのは、冒頭の参考人が申し上げましたように、森林の生態系というのは大変流動的に動いているわけでありますから、当然その天敵の利用ということがあるわけでありまして、マダラカミキリの天敵についても鳥類等の保護というのは当然必要なんだろうと思うのであります。その鳥類のえさ、昆虫でありますから、そういう自然の一定の原理といいますか、そういうものを踏まえて考えていかなければいかぬだろうと思うわけであります。 これは幾つかの人体、動物の実験でありますが、これらをもってすべて薬剤を全部やめろということを私は申し上げているのではなくて、今日の事態を見ますと、やはり有効にやっていかなければいかぬだろうというふうに思いますので、まかないところ、あるいは同意を得るところ、同意を得るところも不特定多数、だれか強情張りがいてだめよということで実効が上がらぬということを言っているのではなしに、現実にミツバチを飼っているとか蚕を飼っているとか、そういう人たちにまく日に覆いをしてもらうとかミツバチを移動してもらうとか、まく側の配慮も必要でありますが、こういうまかれる側も一定の協力を願うわけでありますから、そこのところはやはり原則的には同意をいただく。おまえには損失補償するんだからいいではないかということではなしに、やはりそこは事前の御了解をいただいていくということがこの問題の実効ある方法ではないだろうか、こういうふうに思っているわけであります。
○亀井(善)委員 またいまの同意の問題につきまして木村参考人に伺いたいわけでありますが、特別防除等々、周辺の住民の同意の問題、これを修正という中で先ほど意見の開陳があったわけでございますが、松林をお持ちの森林家、こういう利害関係者には事前に公表して不服の申し出の機会、こういうものを与えたり、あるいはまた一方では命令をするというようなこともこの法律に入っておるわけでございます。あるいはこの命令にかえて、大臣やあるいは知事が直接特別防除を実施できるようなことも入っております。あるいはまた、松林の所有者に対しては受忍の義務、こういうものも入っておるわけでございます。そういうことで最大の利害関係者であります松林の所有者についてさえ防除の重要性、緊急性からこのような取り扱いをされている中で、松林の所有者が自分の持っております松が、山があのように赤くなっていくということは耐えられないことでもありますし、また、その方々が努力をしてずっと守ってきたわけでございます。 そういう中で、いまも同意の問題につきましてお話をされたわけでございますが、どうも法律的にそれを制度化すると申しますか、固定的に規定をするということは、この法律の趣旨からいきますとちょっとどうかな、制度の趣旨に逆行するんじゃなかろうか。若干その運用の面での配慮と申しますか、あるいは現在も特別防除をやるにつきましては風を十分考えて真剣に取り計らっておられるようでありますけれども、そういう点をいろいろ配慮するわけでございますが、問題も生ずることは事実だと私は思います。そういう意味合いから、法律上の制度として固定をする、こういうことにつきましてはどうも納得がいかないわけでございますけれども、この点について御意見を伺わせていただきたいと思うのです。
○木村参考人 お答えいたします。 確かにそういう問題なしとはしないのでありますが、私が申し上げたいのは、山持ちもそれからその周辺にいる他の業を営んでいる人たちも、山村においては大変重要な共同社会だと思うのであります。ですから、行政側が所有を超えて一定の地域に薬剤をまく、しかもそれを命令というものでかえてやる、そういう強制措置を一方にとる場合にはやはり可能な限り、何もかにもということを申し上げているわけじゃないわけで、共同社会における本当にごく限られた直接その利害を持つ人たち、まさに特定できるようなそういう人たちの合意を得ることが、行政の強制手段を最も有効ならしめるものではないか。そこのところをあいまいにすることによって多少そこを手控えてみたり、あるいは伐倒駆除でいくべきところを空から多少まいて形式的に終わってしまう、これが今日被害の拡大の一番大きいところだろうと思うのであります。ですから、農林水産大臣の基本方針の委任事項ということで一つの方法に現行でなっておりますけれども、私の考えで言えば、あれもこれもじゃなくて、少なくとも基本方針の基準を定める一つの目安として最も必要最小限のところ、そこを明示することによって空散でいくところ、特別伐倒でいくところをむしろ権威づけた方がいいのじゃないだろうか、こういうふうに思うわけであります。
○亀井(善)委員 どうもありがとうございました。
○羽田委員長 新盛辰雄君。
○新盛委員 参考人の皆さんには御多用のところ、当農林水産委員会に大変貴重な御意見などを賜りましてありがとうございました。皆さん方からお話のございました松枯れの被害対策については、それぞれに非常に憂慮していらっしゃいますし、今回出されようとしております法案等についてもそれぞれの見方があるようでございます。 そこで、この五年間薬をまき続けて、結果的にはマツノマダラカミキリムシ、マツノザイセンチュウ媒介のメカニズムをどうしても破壊することはできなかった。言ってみれば、薬はまいたけれども何一つ効果がなかったじゃないか、むだな金を費したんじゃないかという世間様のいろいろな御指摘もございます。百害あって一利なし、こういうことも言われておりますし、私も五十二年の審議の際に、日本列島を薬漬けにするのじゃないか、こう心配をして訴えたのであります。しかし結果的には、この際反省をして伐倒、焼却、破砕あるいは樹種転換、こうしたことを少し考えてみようということの併用的な法律提案になってまいりました。 そこで、この功罪について諸先生は一体どのようにお考えになっておられるか。言うならば、被害拡大の原因というのは一体何であったのか。薬剤の空中散布で一定の効果はあったかもしれないが、それでもなおかつ被害が出た、これは何か因果関係がほかにあるのじゃないか。マツノマダラカミキリムシのいわゆるメカニズムだけではなくて、大気汚染だとか森林の保有管理の不十分さ、あるいはまた樹勢が衰えてきたということも一面あったのではないか。あるいは、いまや茨城からずっと盛岡の方まで、北限はどこまでいくかわからないぐらいその進行が速いわけでありますが、単木的な被害の除去処理をすべきじゃないか、この意見についても皆さん同じように言っておられます。 金光先生にお伺いしますが、今回改めて出されますこの法案、これから五年間のこの特別防除のほかに伐倒などを入れた地上からの森林対策として総合的にやるべきであるけれども、樹種転換をして少なくとも抵抗性のある松を植えたらいいのじゃないか、空散よりもむしろその方が有効ではないか、こうおっしゃっています。その力点は、言ってみれば空散よりは地上からの対策をすべきじゃないかという先ほどの御説明でありましたが、その辺のところはどうなのか。 それと西口先生は、空散は最後の切り札なんだ、この切り札という言い方は、結果的には薬なしでやっていけないことはないとおっしゃっているわけです。この辺のところが功罪の別れ道でありまして、改善すべき状況の中で、私どもはいまから審議をするわけですが、このことについていま少しお聞かせをいただきたい。 それから見里先生は農薬の専門家でいらっしゃるそうですが、スミチオンというのは低毒性のものだというふうに私ども以前いろいろ説明を受けたことがございます。しかし、体に異常を来したり目がちかちかしたり気分が悪くなったり、あるいは数日間吐き気が続いたなどという実例が各地に出ておりますし、この空散に使う、また農薬にも使っている有機燐系の農薬スミチオンの残留基準はどの程度にあるものかということについてはこれまで相当議論してきました。しかし、どうもこの基準を決める場合に、蛇口の底に出る被害のppm、外に出てきたときのppm、その辺のところからも化学的な究明というのがなされていなかったのじゃないか。これもちょっと困るので、この際はもう樹幹注入が必要だ。樹幹注入ということは、結果的に見て地上からの対策ということになります。だからこの際私どもが言う樹種転換もそうですし、伐倒も焼却も破砕、樹体注入などもこれは空散ではなくて地上から防除する、最悪の事態になって空散も補完的にやるのだ、こう理解するのですけれども、先生のお考えをお聞かせいただきたい。 それから大谷先生は、どうも住民の自覚が足らないじゃないか、こういう防除対策はもっと総合一体的になって立てなければいけないのですよ、本当に理屈から言えば下から盛り上がった力を全体的に上に広げていく、ところが上からこのマツノマダラカミキリムシが原因ですよとそのメカニズムを発見した農林省が自信と確信を持って気負い過ぎて空中散布をやり過ぎてきたきらいがなきにしもあらずだ、だからこの際地元の自主性を尊重して、やはり防除対策というのは下からの理解と納得の上でやるべきではないかという御指摘でありますし、協力体制が必要だ、こういうふうなおっしゃり方であります。一般的に見れば全くそのとおりでありますが、特別記念物あるいは保護鳥類とか、まさに日本が守らなければならない自然の保全あるいはそうした環境の問題等から、まいてはならない個所については農林省もこれまで気は使ってきたのです。しかし、この禁止すべきところも理解と納得をということになるのかどうか、それは絶対だめということなのか。 あるいは、地域の中では利害関係がございます。蚕とかあるいは養殖をしておられる淡水魚の皆さんだとか、そういうところを一々、協力をせよということですから、それを移しかえなさい、養蜂箱を持ってどこかへ逃げなさいとか、囲ってある池を掘り返してどこかへ持っていきなさい、中に入っている魚を全部どこかへ移しなさいというわけにはなかなかいかないわけであります。だからその場合のやり方として地上かちの防除、それを今度の法律で決めるわけですから、そういうふうな形にして松の枯死を食いとめる、こういうふうな考え方を持つのですけれども、下からの住民の自覚が必要だという形では住民も相当協力はしていると思うのですが、その辺についてぜひお聞かせいただきたいと思います。 それと、木村先生に一言お聞きしますが、同意条項ですけれども、同意を得られなかった場合、いままでは全国的に一体どういうふうな形にあったものかどうか。その理解と納得は、前回の法律では政令でもって一応の留意事項が決められてはおったと思いますけれども、現実、空散をして抵抗が強かったので結局成果が上がらなかったじゃないか、先ほど質問もございましたが、その辺のうらはらの関係をお聞かせいただきたい。 各先生にまことに一潟千里に申し上げましたが、それぞれのニュアンスは違いますから一言ずつお答えをいただいて、その後また再質問をしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○金光参考人 御質問いただきましたが、松くい虫は過去二十年あるいは三十年、日本全国にどんどん広がっていっておりまして、この被害がどうして拡大したのか、また今後どこまで拡大していくのかということについては、私、先の見通しについて定かにできませんが、先ほど西口参考人の方からございましたように、材線虫が外国から入ったのではないかという強い疑いを私どもが持っているということもございまして、もし外から来たものであるとしますと、これは相当広がるということはいままでの過去の例がございます。それからそうでないといたしますと、日本でカラマツの先枯れ病とかあるいはクリタマバチが蔓延したとかあるいは外国の病害虫の発生した記録等がいろいろございまして、これは松くい虫がこれから五十年も百年も続くというものではなくて、いずれ自然の力で抑えられる時期が来ると考えておりますが、ですからこれは定かには申し上げられません。 それで、この五年間に政府が大変力を入れて航空散布ということで努力をしてまいりましたのが、しかし表面的には余り効果が上がっていないように被害量がふえておる。これは私ども人間の防除の力が、今回の場合は流行病でございまして、とてもその防除が追いつかないというのが現状でございます。きちんと防除をしたところは被害を食いとめておりまして、そうでない場所で非常に蔓延したというのが現状でございます。これからもまだまだそういきそうでございます。 それでこの対策につきまして、私は抵抗性の松の問題というのを特に力点を置きましたが、ほかの広葉樹でも結構でございます、ある程度松の枯れましたところで、ほかの木の生えるようなところはほかの木でもいい、どうしても松が枯れて困るところは抵抗性のあるものを植える、こういうふうな防除対策ですね、そして不幸にして枯れました木につきましては余り労力を惜しまないで伐倒し、これを破砕する。破砕するということは、その中におります虫を殺すということでございます。こういうふうな確実な防除をやっていけば、これからの松くい虫対策としてこういった方法しか考えられない、かように考えております。守るところは守る、そういうふうな政策がいいと考えております。 以上でございます。
○西口参考人 基本的には、さっき申し上げましたように日本の森林の体質を改善しなければいけないと思うのですけれども、それは一朝一夕にしてできるものではない。そして現実問題として、松枯れがあってそれを仮に放置した場合にどうなるか。その場合に、枯れてしまった後から広葉樹が生えてくるなり、また松が出てくる、森林を形成していくというようなところであれば一応そのままでもいいのですけれども、たとえば海岸の防潮林とかそういうところは、放置しますと、松が枯れた後は恐らく元の砂丘、砂浜に返ってしまうのではないかと思うのです。そうした場合に、それが住民に与える影響というのも非常に大きなもので、特に海岸防潮林というものは、要するに、藩政時代から二百年、三百年とかけて築いてきたものです。それはあくまでも、どうしても守らなければいけない。そのためには必要とあらば薬をまく。僕はそういう意味で、これは切り札として使わなければいけない、使ってもいいんじゃないかというふうに思っているわけなんです。 それからもう一つ、たとえば切り札としてどうしても使わなければいけないというのは、松が枯れた後その下に植生がない場合、松が枯れてしまえばはげ山になってしまうというような場合は、これもやはり国土保全上守らなければいけないと思うのです。いまここに一つの資料があるのですけれども、松枯れを放置すると山地崩壊の原因にもなる。たとえば山口県では昭和五十五年の梅雨期に六百カ所を超える山崩れが起きた。その原因の九割が松枯れによるのだ、そういう一つのデータもございます。そういうところはやはり放置はできない。切り札として必要とあらば空散することもやむを得ないというふうに考えております。 それから、最近、どうして松枯れがふえてきたのかということなんですけれども、ここに調査室から出ている資料の中に、被害材積の推移が出ているのですけれども、四十年代の後半から被害がかなりふえてきていますね。それから五十三年、五十四年、非常に被害がふえてきております。それは一つには、被害を受ける場所がふえているんですね。それまでは、大体三十年代というのは九州あるいは西日本に多かったのです。和歌山とか高知とか、関東地方では千葉がありましたけれども、そういう被害を受けた県が比較的限られた場所。ところが、四十年代の後半になりましてから、非常に全国的に広がってきているのです。特に、九州各県はもともと続きますけれども、岡山、兵庫、山口、それから大阪、和歌山という関西、中国地方の被害がふえてきている。それから五十三年、五十四年になりますと関東、茨城、あるいは静岡、愛知というふうに被害がどんどん加算されてくるのです。そういうことで被害面積がふえてきて、実態としては被害量が非常にふえてくるというような感じがするのですけれども、四十年代後半の被害のふえ方というのは、要するに、高度経済成長が進んできまして非常に交通が発達してきた、各地に道路をつくったり宅地造成をやったり、そういう松林を伐採したりという、かなりの松林に対する環境変化が起こってまいります。そういうものが確かに被害を大きくしている一つの原因になっていると思うのです。それは、環境破壊による松の衰弱ということも考えられますし、もう一つは、交通が非常に便利になりまして被害材をどんどん全国的に動かしているのですね。いろいろなところへ動かしている、そういうものが飛び火になりましてどんどん被害が広がってくる。たとえば茨城では四十六年に被害が出る、そのころは東北の方は被害がなかったのですけれども、五十年には宮城に出る、五十一年には福島に出る、それから五十三年には岩手に出るというふうに飛び火的にふえていくのは、被害材を動かしている。もちろん被害材を動かすのは法律で禁止されているのですけれども、何らかの形で動かしていく、それが非常に被害が大きくなってきた一つの原因ではないかというふうに私は考えております。
○見里参考人 お答えします。 スミチオンが低毒性だというのに吐き気その他の中毒が起こっているじゃないかというふうに御指摘でございますが、確かに農薬の場合、低毒性といいますのは、ほかの農薬に比べて毒性が低いということでございまして、全然毒性がないというわけではございません。というのは、何といいましても虫を殺したり草を枯らしたり菌を殺したりするわけですから、毒性がないというような農薬というのはほとんどないと思います。それで、毒性のほかに経口毒性、吸入毒性、経皮毒性、皮膚から通ってくる毒性とか吸い込む毒性というようにいろいろな毒性に分かれますけれども、やはりそういういろいろな毒性がございます。ですから、そういう意味からいって、農薬は低毒性といってもやはり毒があるんだということを、注意を頭に置いて使用しなければいけないのではないかというふうに思うのです。ですから、使用に際しての注意——安全性というのは、そのものの性質と量と使い方、この三つによって安全性というものは決まるものでして、やはり使い方を正しく使わなければ被害は防げないのではないかというふうに私は思います。そういう意味で、先ほどもちょっと申し上げましたように、農薬の使用というものをライセンス制度にすれば正しく使えていまよりもそういうような被害が少なくなるのではないかということなのでございます。 それから、農業用と林業用のスミチオンの話でございますが、かつては林業用には浸透性をよくするということでEDBというのを入れてありましたが、現在では農業用も林業用も同じように五〇%のスミチオン乳剤が使われております。 それで、農業用ですと大体スミチオンの残留、これは林業用よりは濃度も薄いのですけれども、大体一週間くらいでは分解してしまうと言われておりますが、林業用の場合ですと三週間くらい残効性があるというのが、これは林業試験場の調査では、松やにのような、そういう脂っぽい物質が松にはあって、それにスミチオンがくっつくと分解が遅くなって農業用よりは残効が長くなって効果があらわれるんだというようなデータが出ております。 それから、そういうようなことであるならば、余り伐倒駆除だとか樹幹注入というようなことで、空中散布をしないで地上散布の方を主にした方がよいではないかというような御意見でございますが、確かに私も、先生のおっしゃるように、それができればやはり地上散布の方がいいんじゃないかというふうに思います。しかしながら、樹幹注入の方も、これはいろいろな公園の名木だとかゴルフ場だとか、そういうように金がかかってもよろしいというようなところですとそれも可能だと思いますが、やはり経費だとか労力の点でなかなか地上散布だけではできないような山の松林なんかもあるのではないかというふうに思います。 それで、農薬の空中散布は、何も日本だけではなくて、やはりアメリカその他各国でも反対がございます。たとえば、アメリカのカリフォルニア州でレモンのチチュウカイミバエが昨年の秋に問題になりましたが、これも発生の初期の当時、カリフォルニア州のブラウン知事が、あのときにはスミチオンではなくてマラソンという有機燐剤でございますが、そのマラソンの空中散布に反対した。自然保護団体の圧力によってそういうのに反対しまして、州兵を動員して人海戦術でチチュウカイミバエを撲滅しようとしたけれども、結局それは失敗してああいうようにチチュウカイミバエが大発生した。それで結局、日本への輸出だけではなくてアメリカのほかの州への移動も反対されるというようなことになりまして、現在では、空中散布に踏み切ってそれでやっと鎮静化したというような例もございます。 ですから、確かに空中散布というのは最善の策とは思えませんが、これは農薬に限らずあらゆる科学技術に言えることだと思いますが、すべてプラスとマイナスがございまして、そのプラスとマイナスのどちらをとるかということは、やはりこれからその地域住民なり国民なりが決めることではないかというふうに思っております。 以上でございます。
○木村参考人 お答えいたします。 いままでの実施計画の中で同意を得られなかった場合はどうしたのかということでありますが、実は、現行法ができ上がって、第三条に基づいて五十二年四月二十日に農林水産大臣が定めた基本方針があるわけでありますが、それ以降において、この五年間にあちこちで大変トラブルが起きているわけであります。たとえば蚕が三十万匹死んだとかエビが死んだとか人体の炎症であるとか、あちこちにいろいろなトラブルが起きているわけであります。そこで、ごく最近は、この基本方針に基づいてトラブルの数はずっと少なくなってきておりますが、先ほど申し上げましたように、去年一年をとってみても、これは私がじかにということではなくて、新聞紙上でそれぞれの地域で報道されているものを見ても、大変な被害があるわけであります。したがいまして、私が述べているのは、行政措置によって幾つかの薬剤の被害防除策を講ずるという委任措置ではやはりだめではないか。禁止するところ、それから、ごく限られた利害関係者の同意を得ることによって行政措置を権威づける、そして、その周辺の特別伐倒駆除をすべきところと空からまいていくところ、そういうふうに厳格にきちっと計画の段階で明示することが必要ではないか。考慮を払え、こう言ってみた、計画を立ててやってみた、そのときにはもうすでに農薬会社が準備に入っている、契約も行われている、そこで勢い、風向きであるとか風速であるとか幾つかの考慮を払いながらも、そういうトラブルが起きてしまうのが現実であります。 ですから、過去の経験で、どういうところに被害が出てくるかということはすでにはっきりしているわけであります。それは広範な不特定多数を指しているわけではないわけでありまして、少なくともそれらの人たちについては、たとえば、この基本方針に述べているようにミツバチの巣箱を移しかえてほしい、こういう行為を促すわけでありますが、それは金を払っているからいいではないかということではなしに、やはりそういう行為を促す場合には、相手に対して同意を得るという最低のことはやってもらうことが必要ではないか。そのことの延長線上、利害関係者でなくても、同意でなくても、たとえば、いま電源開発の場合でも、ダムの緊急放水をする場合には、釣り人とか利用者がいる、この人たちに、同意とは言いませんけれども、緊急避難の幾つかの法律事項があるわけであります。あるいはまた、爆破作業、発破なんかの場合も、通行人に対して周知徹底するという法規制があるわけでありますから、私は、のべつ幕なしということを申し上げるのではなくて、必要最小限のことはやはりきちっとする、そして細かな点は政令なり基本行政に任せていいと思うのでありますが、いまの国民的要請からすれば、最小限のところはきちっと置いて効果を上げた方がいいのではないか、こういうふうに思うわけであります。
○大谷参考人 いま御質問の、空中散布をする場合、地域にいろいろ利害関係があるからなかなか移しかえたりすることもできない、だから地上防除したらどうかというお話でございます。 一つの問題は、たとえば愛知県は松くい虫の防除に非常に熱心でございまして、自分の県費を投じて徹底的な伐倒駆除をやっておりますが、隣県がそれをやらないからなかなか効果が上がらないということが出ておりますが、それと同じことが町村あるいは地域の場合に起こっているのであります。 〔委員長退席、亀井(善)委員長代理着席〕 しかし、最終的に、確かにこれは命令駆除と申しますけれども、日本のように民主主義の社会においてはなかなかそう簡単にはいかないのでございまして、地上防除にすれば問題は片づくというようなお考えかもしれませんが、これも大変でございます。 たとえば、茨城県で伐倒駆除をしようと思えば、茨城県のようなところは不在地主が多いものですから、町によりますと千人以上の不在地主に伐採の了承を求めなくてはいけない。しかも、いざ病害の木を切ろうとすれば持ち主が、いやちょっと待ってくれ、これはすでに契約ができた木だから処理するからということを言って、また半年ほどたって行きますと何もやっていないとか、お互いに村民とか町民ですから、命令といったところでなかなかそう行き渡らないというのが実情のようでありまして、地上防除にするからといって、簡単にはなかなかいかないと思います。 これは伝染病のようなものでございますから、やはりどうしても守るということで地元が熱心になり、地元民がなかなか同意してくれない人を説得するという熱意がない限り、何しろ膨大な地域でございますから、県とか林野庁の役人の行政的な手段だけではなかなか松くい虫病は治らない。もっと地元が熱心にならなくてはいけない、反対する人を説得するという熱意を持っていただかないと守れない、法律以上に、自分たちの松林を守るという気持ちを起こしていただきたい、そう考えております。
○新盛委員 ありがとうございました。 関連をして島田委員の方からお願いをいたします。
○島田委員 参考人の皆さんから大変貴重な御意見をいただきましたが、一つ二つだけお尋ねしたいと思います。 金光参考人が、枯れてもいい松林、それから枯れてはいけない、枯らしてはいけない松林、こういうことをおっしゃって、なお後段で、自然の生命力というのは人間の想像をはるかに超えた強力なものがあって、生態系なんかそんなに心配することないんだ、こういうふうに私はお聞きをいたしました。しかし、現実問題として、枯れていい松林あるいは枯らしてはいけない松林、なかなか区別しにくいんでないか。そしてまた、枯れてもいいということを前提に置くならば、生態系が、後段でおっしゃった山の持っている生命力というものも考えれば、これはいつか終息するんだから手をつけないでほっておいてもいいんじゃないか、聞きようによってはそんな感じに受け取られるお話の筋でございました。私は、いまここは枯れてもいいというふうな松林が果たしてあるかどうか大変疑問を持っておりますが、この辺の御意見は、東大演習林という現場におられて実際にやはり山の中でこれらの問題にも取り組んでいらっしゃるという立場から大変重要な御発言と私は考えていますが、重ねて私のいま疑問に思っている点、お聞かせいただきたいと思います。
○金光参考人 私は、実験林を扱って、実際に山の木を扱っております科学者というのか、生物学で見ますと、やはり生き物が枯れるという事実はどうしようもないこととしてあるというようなことが一点あるんでございますが、私は、枯れてもよい松林、これは松自体もほかの樹種と大変厳しい生存競争をして、そして自分の種属の松を繁栄させるように林をつくっておるわけでございます。ある場合にはほかの樹種に負けて松林がなくなる場合もあります。そういうふうな形で生態系というか植生というものが動いております。私は、これは人間感情というものを入れますと、現在あります松が枯れるのは大変かわいそうだ、一本も枯らしたらいかぬという考えになってしまうのでございます。そこで、枯れてもよいという表現をいたしましたが、松が枯れまして、ほかの樹種がそこを占領いたしまして、やはり森林としての働きは同じである、場所によりましては、広葉樹が茂る方が大変土壌改良にもよく、その次の樹木が育つにもいいというような場所もありまして、私はある程度枯れてもよいという少しおおらかな考えを森林政策の中に持ち込みませんと、人間感情からまいりますとどうしてもここの松林も枯らしたくない、ここも枯らしたくない、私も生身の人間でございますので、そういう人間の感情は持っておりますが、一つの冷静な判断として、松くい虫が蔓延いたしまして、松がたくさん枯れ、とてもそれにその防除が追いつかない現状におきまして、やはりここはしようがないという林、それからここはどうしても守らなければいけない、そういうものを区別して対策を考えねばと、大変冷酷な生物学の見方で申しまして申しわけございませんが、やはりそういうものが対策上ぜひ必要だと考えております。 以上でございます。
○島田委員 きょうは議論する場所でございませんから、科学者としての冷徹な立場でのお考え、こういうことで受けとめていきたいと思います。 あと西口参考人に……。 私、御意見は大変同感の部分が多うございました。ですが、特にその中で、早目早目に手を打っていくべきだ、こういうお話がございました。私は、早目早目というのは幾つか打つべき手の中にあると思うのですね。この松くい虫防除という立場というよりは、松枯れ全体を考えますときの早目に打つべき手というものの中で、特に予察行為といいますか、山の状態がどういうふうになっていっている、真っ赤に枯れちゃってからじゃこれはもう早目早目ということにもちろんなりませんし、そういう後手に回るようなことでは対策が効果を上げない。これは五年間の実績の中でも明らかになっている点で、私は、ぜひ山の状態というものをしっかり予察をするというこういう中で手を早目早目に打っていく、こういうことが大事だという主張をしている一人なんですが、参考人のおっしゃっている点はそういう面の具体的なお考えも含めておっしゃっているのではないかと、こう思いますが、これはいかがでございますか。
○西口参考人 全く御説のとおり私も賛成なんです。結局、早目に手を打つためには予察をしなければならない、それは個人ではとてもできないことでして、国とか県とか、そういう公的な機関で予察をきちっとやってもらいたい、そう思う次第です。 もう一つは、私が早目と言いましたのは、いま、たとえば、樹種転換するにしても松が枯れてしまった後を樹種転換するというような考え方のように思えるのですけれども、そうじゃなくて、仮に被害率が五%あるいは一〇%出た、これはもう将来危ないというような段階になったときには、もう思い切ってあとの九〇%、生きた木を利用する。生きておれば製材にもできますし、あるいはチップとしても利用できますし、そういう意味でもっと木材資源の有効利用も考えて早目に手を打てばよい。それで、いま申しましたように、そのためには確かに予察が必要なことでございます。
○島田委員 見里参考人にお尋ねいたしますが、農薬の研究者といいますか、そういう立場からのお話でございましたが、私は、先ほどの新盛委員の質問に対してお話がございました中で、果樹の畑とか樹林とかいったようなところの薬をまく場合の考え方なり実行の方法なりというものは明らかにこれは違うようですね、山とは違う。こういう比較で言いますと、プラスとマイナスが常につきまとっているんだから、そのプラスの面は地域住民なりあるいは国民の判断に任すべきだというお話でございましたが、私は、第一次災害という松枯れが現実に起こった、これを防止しあるいは解消するために、第二次災害が仮に上回るようなかっこうで起こってくるということになりますれば、それは明らかにやはりプラスマイナスのマイナス面の強い判断というものがなければいけないわけであります。ですから、そういう意味ではどうも同じ次元で物を考えて農薬使用ということを考えるということは大変危険である、こう私は考えておりまして、農薬を取り扱う立場からの御意見としてはわからないではございません。しかし、そこが今度の松くい虫法案をめぐります一つの大きなポイントになっているわけでありますから、あくまでも二次災害に大きなリスクになってあらわれるようなことのないように、ここのところを私どもは非常に心配しながらこの法案にいま取り組んでいるところなんです。御意見があればちょっとお聞かせを願いたいと思います。
○見里参考人 お答え申し上げます。 農業と林業で違うということでございますが、確かに農業の場合は人間の食糧確保という面で、これが大きな目的でございますので非常に大きなメリットがある。しかし農業の方でもなるべく農薬を使わないで済めばそれにこしたことはないということで、現在、農薬による方法が化学的方法としますと、あといわゆる天敵だとか抵抗性が生物的な防除方法、それからいま光だとかいろいろな音だとかその他温度、湿度を利用しまして防除しよう、そういう物理的な防除方法なんかも開発されてきております。ですから、私も、何も農業も農薬だけで作物を保護すればよいというわけではなくて、作物を保護するにはそういう物理的、化学的、生物的、いろいろな方法で防除すべきではなかろうかと思います。その上に立っての農薬による化学的防除はいかにあるべきかということを常に考えているわけでありますが、林業におきましても同じように、そういう抵抗性の松だとかあるいは天敵を使う方法だとか、それから物理的な方法とかいろいろあると思いますが、林業におきましても、最近は天然林でなくて人工的にいろいろな植林がされてきまして、同じような樹種がずっと大面積に散布されますと農業的な色彩を濃くしてくる。農業の場合も、一面に水田にしたからそこに稲なら稲の害虫が発生するというように、一面に松林にしてしまうとそこに松の病害虫がだんだん発生してくるというようなことで、人工林がどんどんふえてくると、確かに先生のおっしゃるように、私もほかの方法で、生物的方法とか物理的方法で防除できれば一番よろしいのですけれども、経済的とか労力的とか、二次災害が起きないような使用方法で農薬を最小限度使っていかざるを得ないのではなかろうかというふうに思います。
○島田委員 時間が来たのですが、ちょっと私のお尋ねの仕方が悪うございました。私は、全般に分布している山と違って、畑には天然記念物とか特殊鳥類とか、あるいは果物の林の中に養鯉池があったり、他の魚の養殖池があったりするということはないではないか。そういう点で考えますと、同じように取り扱うことはできない、そういう問題があるのですがと、それの前置きがなかったものですから大変失礼いたしましたが、時間が来ましたのでお答えいただくことはできませんが、大変ありがとうございました。
○亀井(善)委員長代理 武田一夫君。
○武田委員 五人の参考人の皆さんには大変御苦労さまでございます。いろいろと貴重な御意見をちょうだいいたしましたが、私も二十分の限られた時間でございますので、二、三質問いたしますが、ひとつ簡単にで結構でございます、要点だけお願いできれば、こう思います。 まず一番最初に、五人の皆さん方にお尋ねしたいわけでありますが、使用されておる農薬の問題です。これはスミチオンあるいはまたセビモール、こういうものが使われておりまして、農林省当局は低毒性であるというふうに言っておりますが、これはいわゆる急性毒性に限ったことであって、慢性毒性に対してはその疑念は晴れてないということを伺っておるわけであります。そういう意味で、この問題どうなのかという皆さんのお考えをお尋ねいたしたいと思います。 あわせて、こうした農薬の散布が全国至るところに空散等によって行われた場合にいわゆる生態系の破壊を心配する方が非常に多いわけでありますが、この点いかがお考えでございますか。御意見をちょうだいしたい、こういうふうに思います。
○金光参考人 農薬のスミチオンの毒性につきまして私はよくわかりませんので、これは農薬の専門の方それから国立林業試験場その他の諸機関で検定されておりまして、これにつきまして慢性毒性がどんなものかということについては私御返答できません。 生態系の破壊という問題につきまして、これも過去五年間各地方林業試験場、国の試験場等々で大変詳しい調査が行われておりますので、全体として私は現在行われております年二回という空散で生態系の破壊というものは心配ない、かように考えております。 以上でございます。
○西口参考人 お答えします。 急性毒性はないけれども、慢性毒性はあるんじゃないか。スミチオン、セビモールですね、実は私もその点を心配するわけなんです。私はその方面の専門家ではないのでわからないのですけれども、空散もやむを得ずというからには、その辺、自分としても慢性毒性も大丈夫だということが信念としてあればいいんですけれども、その辺のところ私自身ちょっとわからないので、やはり空散する場合に絶えず私の心の中にも実はひっかかることなんです。それはもしどなたか参考人の方で詳しい方いらっしゃったら私自身聞かしていただきたい。 それから生態系に対する影響というのは、私ども直接調査したことはないのではっきり申し上げられませんけれども、たとえば、国の林業試験場なりあるいは県の林業試験場そういう関係でいろいろデータが出ております。それを参考にする限りそれほど顕著な影響はないんじゃないか、私はそう受けとめております。
○見里参考人 お答えします。 先ほど申し上げましたように農薬の毒性には二つございます。すなわち、直接的な毒性と間接的な毒性でございます。直接的な毒性というのは、先ほどの経口毒性とか経皮毒性それから吸入毒性というような一時的な毒性、これが直接的な毒性でございまして、あと間接的な毒性、これが環境を汚染し、そしていろいろな小さな魚から大きな魚、それから大きな動物というふうに生物濃縮されて最終的に人間に来る、そういう生物濃縮の問題、それからあとはそれが農作物にかかってそれが残留して入ってくる残留の毒性、この二つがございますが、いま言いましたそのうちの慢性毒性というのはいわゆる間接的な毒性になります。空中散布しましてそれが触れてというのはいわゆる一時的な急性毒性としまして経皮毒性とか、吸入毒性が調べられております。そしていまおっしゃいました慢性毒性の場合には、現在、農薬取締法は非常に厳しくなりまして、二動物、二カ年間の毒性試験を行います。マウスとかラットの二カ年というのはちょうど人間の一生涯に相当するぐらいの年月でございます。ですから人間にすれば生まれてから死ぬまでの間、農薬の入っている食品を食べさせたということになるわけですが、そういうふうな慢性毒性試験、そのほかに催奇形性試験、奇形を起こすかどうかという試験だとか、発がん性試験とか、非常にたくさんの試験をしておりますので、そういう意味では、今度は森林にまきます場合には、農作物と違いまして森林の中ですから、直接そこについているものが口に入ってくるという心配はございませんし、そういう意味でいわゆる慢性毒性の心配は要らないんじゃないか。すなわち、先ほど言いましたように、スミチオンの場合は急性毒性は確かに低毒性と言いましても、これはほかの農薬に比べての低毒性という意味でして、それは全然害がないとは申しません。ですから、農薬を散布した場合には、確かに散布してそれがかかったり何かするとやはりまずいわけでして、そういうふうにならないように注意する必要がありますが、それがいわゆる慢性毒性という形で人間やほかの生態に害を及ぼす心配はないというふうに私は思います。 この慢性毒性試験というのは、農薬と食品添加物が二カ年だけ義務づけられておりまして、医薬の場合は六カ月でございます。医薬の場合六カ月というのは、これは医者が使うから少しぐらい毒性が強くてもいいんではないかというようなことで六カ月になっておりまして、農薬の二カ年の慢性毒性試験というのは非常に厳しいあれで、先ほど言いましたように、現在、世界的にもスミチオンの安全性は認められて、世界約五十カ国で使用されているということでして、そういう意味からいって、安全性は日本だけではなくて国際的に認められているというふうに申し上げたいと存じます。 以上でございます。
○木村参考人 お答えいたします。 第一点の慢性毒性の問題ですが、結論から申し上げますと、このスミチオン、今度の空中散布で使われている薬剤については、全体として解明されていないと言う方が正しいんだろうと思います。したがって、これは慢性毒性の場合にはかなり時間を要するわけでありまして、そういう意味で安全が確かめられていないというふうに言えると思います。特に、現行法案の審議の際にも政府答弁で、残留基準を超えたものを経口摂取しない限り安全だ、こう言っている裏側には、残留基準を超えてかなり数年にわたって蓄積された場合には当然何らかの影響がある、その部分について解明されていないというふうに見るべきだろうと思います。 それから、森林の生態系にどう影響するかという問題でありますが、たとえば森林の場合には幾つかの病虫害がありまして、その病虫害の中で最も有効なのは天敵利用なんであります。つまり、有益鳥獣がその害虫を駆除する、こういう自然の摂理で森林が営まれているということでありますから、多くの例は小動物を殺している事実、あるいはまた昆虫類の死骸が見つかったという事実は、間接的に森林の生態系を壊していくという道につながる、こういうふうに考えるわけであります。
○大谷参考人 私は農薬の専門家でございませんので、的確にお答えすることはできないと思いますが、私の個人的感想を述べさせていただきます。 何しろカミキリムシを殺すほどのものですから、毒性がないとは言えませんし、慢性に幾らか影響があるかもしれない。しかし、この文明社会において、われわれはある意味で未知の部分を踏み切って使用しているという例が非常に多いわけでございます。いま端的に、松くい虫よりももっと大きな問題になっております原子力発電所も、当面直接的な影響はないけれども、しかし、慢性的な影響を心配する学者はございます。そこを深く検討していきながら、文明の利器というものを使っていくという傾向、例、これはもう数え上げればいとまがないわけでございまして、スミチオンだけを目のかたきにするには他に余りにもたくさんあって、千分の一ぐらいのものをつついて松くい虫対策をしないというのは、ちょっと適正を欠いているのではないかと思います。 それと生態系の破壊と申しますが、私は、いまの松を中心とした日本人とのかかわり合いというのは、自然の生態系じゃなしに、長い間松を利用しながら人間が培っていった生態だと思います。人間生活がこれだけ変わったら、それに応じて生態系も変わっていくだろう。私が冒頭で申し上げましたように、日本人が本当に松をどう利用していくのかということを念頭に置いた場合、ぜひ必要なところというものは残っていくだろうし、必要でないところは変わっていくだろう。この風土と人間の関係というのは、和辻哲郎さんの昔から自然というものはただ自然あるがままじゃなしに、人間との深い交流で変わっていくものである。だから、いま松が枯れていくというのは、あるいは日本人との生活にそぐわない面が出てきたために変わっていくのではなかろうか。それで松が枯れた後、松林の所有者はこれから一体何を植えるだろうか、私は決して松を植えないと思いますね。杉の生えるところは杉、ヒノキの生えるところはヒノキを植えていくだろう。そこで日本の自然というものも逐次変わっていくと思いますね。だから、現在の生態系を絶対に変えてはならないということはあり得ないので、自然的にも社会的にも生態系はやはり変わっていくのではなかろうか、私はそう感じております。
○武田委員 もう一つお尋ねします。 今回の法案の中での予算措置を見ますと、皆さんもごらんになっていただいたと思いますが、特別伐倒駆除ですね、これは聞きますと、枯れる松は年間で大体一千万本ぐらいは出るのじゃないか。果たしてこれに十分に対応できるのかという問題があるわけですが、これはうまくやらぬと、また苦労するのじゃないかという心配をしているんですが、皆さんお一人お一人の感じとしては、これはどうかという皆さん方の感じをひとつお話いただきたい。 それともう一つ、松枯れ防止の決め手は何かと非常に苦労しているわけです。これがあれば林野庁さんの苦労もなくなるわけでありますが、皆さん方として決め手は何なんだというお考えを、お一人お一人聞かせていただきた。時間もございませんので、簡単にお願いできれば幸いだと思います。
○金光参考人 最初の御質問の特別伐倒駆除でございますが、現在、大変面積も多く、材積もたくさん出ておりますので、とても全部を処理できないだろう。したがいまして、ある程度のところはもうそのままということになるのはやむを得ない、そういう感じでございます。 二番目の、松くい虫対策についての決め手、これは大変むずかしい問題でございまして、これだというものは申し上げられませんで、また、先ほど言ったようなことを繰り返すのでございますが、私は、これはひとつ人間の方でもある程度の枯れを耐えて、一つの嵐を耐え忍ぶというような感じ、そういう物の考え方が必要なんじゃないかな。決め手といたしまして、やはり抵抗性の松というようなものが生き残って、これは大変有力なものにはなると私は思います。 以上でございます。
○西口参考人 防除は、薬剤空散よりも伐倒駆除がいいと思うのですけれども、実はこの伐倒駆除というものが余り効果がないのですね。現在やっているやり方というのは、被害木を切って樹皮の上から薬をまくというやり方なんですけれども、わりあい八月、九月、十月あたりまでは効果があるとしても、冬のやつは効果がないというので、まあ全般的に見て効果がない。それで、結局それにかわるものとして、今度、特別伐倒駆除ですか、そういうものが出てきたと思うのですけれども、これであれば確かに効果があると私は思います。ただ、問題は大面積に対してこれができるかどうか。もちろんこれはできません。ですからこれが適用できるのは微害地だけなんです。要するに、被害が始まったところで放置すれば危ないというところは、薬をかけないでむしろこれを徹底的にやれば抑えられるのじゃないかというふうに私は考えます。ですから、微害地で使う。激害地ではむしろ早目に皆伐してしまった方がいいのではないかというふうに考えております。 決め手というのも、はっきりはございませんけれども、結局いま申しましたように微害のうちに徹底的に特別駆除をやる、それから激害になれば林分を全部切ってしまう、そういうようなことをやりながら、早急にはこれは解決できないと思うのです、徐々に徐々に気長に体質を改善していくというのが結局は決め手になるのじゃないかと思います。
○見里参考人 お答えします。 伝染病であればやはりその感染源を断つということが一番重要なんで、ですからそういう枯れている松は全部取ってしまうということ、この感染源をなくすということがやはり一番重要なことだと思います。ですから、そういう意味で特別伐倒駆除の費用が少ないということであれば、私はもっとふやした方がいいのではないかというふうに思います。 それから、第二番目の決め手といたしましては、たとえば虹ノ松原のように成功している例もございますし、これは一番最初に申し上げましたが、ヘリコプター散布をしたのは全国の松林の約五%、それから被害林の二〇%ということで、やはり薬をまいているところは効いているということなんで、全部やるのは無理とすれば、そう言うとあれですけれども、これだけはぜひ守らなきゃいけない松林だということをはっきり決めて、そこは徹底的に防除するという方向がよろしいのではないかと思います。 以上でございます。
○木村参考人 お答えいたします。 特別伐倒駆除予算措置の問題でありますが、感想をということでありますが、先ほど意見を述べましたように、予算措置においても前年度より空中散布と伐倒駆除の関係で言えば多少の異同はありますけれども、依然として半分以上が空中散布であるということでありますから、これは率直なところまだまだ従来の発想を引きずっているというふうに思わざるを得ないという感想を申し上げます。 それから決め手の問題でありますが、問題は、やっぱり山持ちが積極的に林業の生産活動をやってみよう、保育管理をやろうという気風をどうつくるかということだと思うのであります。そういう意味で、今日の林政を全体的にこの松枯れ被害に集中化することが必要だろうと思うのであります。そのためには、先ほどどなたかの参考意見としてありましたように、いまのような七〇%の外材輸入の状況では、特に松の場合にはそう高い価値を持っておらぬ、生産しても高く売れない、こういう問題がつきまとうています。したがって、山に積極的に手入れをしていこう、こういう気風がまず起きてこないところに問題があるのではないか。だからいまの林政関係の幾つかの補助金を集中化することが必要ではないか。たとえば、林道であるとか間伐であるとか造林であるとか林業生産活動のあらゆる分野で補助金体系があるわけでありますけれども、それを、先手をとるためには、松枯れになるであろう林分に対して、枯れるまで待つのではなしに、林種転換であるとか保育管理であるとか林道をつけるとかそういうことを積極的に行う、同時に、全体としてはそういう林木の有用価値、販売、利用という面で流通面についても政策を展開する必要があるのではないか。要は、空中散布よりも伐倒駆除が確実であり適切であるということは明確なんでありますから、山に人手と金を有効につけるかどうかというそこの問題に尽きるのではないか、こういうふうに思います。
○大谷参考人 五十七年度予算が多いか少ないか、いろいろ問題があると思いますが、しかし、このゼロシーリングの非常に大蔵省の厳しい要求の中で一応計算してみますと四・三%ふえておりますから、それとやはり特別伐倒駆除という措置を設けられまして多様化を図られたということ、実際の問願としてこんなものかもしれません。ただ、この松くい虫被害対策のほかに松くい虫に絡んで造林、治山事業、林業改善資金が出ておりますが、それが二〇%ほど前年よりふえております。松くい虫を防除すると同時に防除し切れなかった山を守るという予算がかなりふえたということは積極的に評価したいと思います。
○武田委員 終わります。
○亀井(善)委員長代理 藤田スミ君。
○藤田(ス)委員 きょうは参考人の皆さん本当に御苦労さんでございます。大変お疲れでございましょうし、ずいぶん同じことを重ねて聞くものだというふうに思われるかもしれませんけれども、ひとつよろしくお願いをいたします。 現行法が制定されましてから五年、結果は、だれからも言われているように大変無残な状態に終わったというふうに言わざるを得ないと思うわけです。政府の方は、その要因は気象の異変があったということとそれから散布に限界があったというようなことを言っておりますけれども、私はそれでは無責任に過ぎるというふうに考えるわけです。この問題に対してもっと総合性を持った対策をとれということは五年前にすでにこの審議のときにも強く言われていたわけでありますけれども、それが残念ながらとられてこなくて今日ここに至った。今日、松くい虫がなぜここまで広がったのかという点では、先ほどから参考人の皆さんが共通しておっしゃっておられるように、その大きな誘因になったのは、何といっても日本の森林が荒廃してしまった、松に全然経済的な価値がない、魅力がないということで見捨てられていった、これは言いかえれば、日本の森林政策に対する松の厳しい批判である、そういう姿で私は見ているわけなんです。 まず最初に、大谷参考人とそれから木村参考人にお伺いをいたしますが、政府はこの五年間当初からそのことを指摘されていて、一体この森林対策に対してどういうふうにお二人は評価をされるか、そして将来展望を持った森林政策を開くために、いま最もなすべきものは何なのかということについてお答えを願いたいと思います。 二点目なんですが、伐倒対策、伐倒駆除ということが本格的に取り入れられるようになったことは私もいいことだと思います。ただ枯損木の活用、これを十分対策をとっておかないとやはり失敗するのではないかと思うわけです。そこで、今回、この法律やあるいは基本法にも枯損木の利用対策ということを位置づけるべきじゃないかというふうに考えますが、この点は金光さんは先ほど国が積極的に補助を出して枯損木の活用をしていらっしゃるオーストラリアとニュージーランドの例を引かれて、日本もそうすればいいじゃないかということを言われましたので、この点についてお答えを願いたいと思います。 あわせて、木村参考人に、枯損木の実用化のために政府は今回たとえば移動式チッパーだとかあるいは炭化炉への融資の制度をとることになりましたけれども、いま具体的に求められているものは何なのかということをお伺いをしたいと思います。
○大谷参考人 松くい虫防除特別措置法が発足した翌年から非常に皮肉なことには松くい虫がしょうけつをきわめたわけでございまして、行政に対してはやはり林野庁が責任をとらなくてはいけないわけでございまして、林野庁の責任は重いと思います。 ただ、では林野庁は何か適切な手段がほかにあるのをしなかったがためになったのか。つまり、現在のわれわれ日本の置かれた社会というのは、行政が幾らやってもやれないことというのがございまして、社会主義社会においては政府が全部責任をとらなくちゃいけないのですけれども、この自由主義社会においては、行政のとり得る範囲というものがあるわけでございます。もちろん林野庁の行政が非常にまずかったということはございますが、私は、この松枯れや松くい虫という問題は日本の戦後の社会の大きな構造変化から生じた一つの現象だと思い、それで非常に興味を抱いているわけでございます。 そういうわけでございまして、私の一番強調したいのは、日本の松が生活とか経済の手段でなくなったところに非常に大きな問題がございまして、それが将来再び位置を取り戻すのかといいますと、まず薪炭とかそういう生活に戻るということはちょっと考えられませんし、松の新しい利用方法とかそういうものを考えていかなくてはなりません。一度申し上げましたけれども、昭和二十年後半から三十年にかけて松を植林した。それが大きくなってくるわけでございますが、一体それをどうするのかという一つの問題もございまして、やはりこれは森林政策だけではなしに林業問題あるいは木材業界の問題、そういう展望を控えてこれから日本人が考えていくべき時期でございまして、それはここ五年、十年のうちに日本人がやはりちゃんとしたものを考えなくてはならないだろう、こういうように思われます。 それと伐採した場合、そのまま——日本は戦後やはり松くい虫病がしょうけつし、それが一応おさまるわけでございますが、そのおさまった一つの原因というのは、そのころはまだ薪や炭がございまして、それに病気になった木を利用したわけでございます。現在、それを利用しないということが、いま非常に深刻な問題にしているわけでございます。なるほどわれわれ見てみましても、病気で倒れた木を切ってそのまま捨てておくというのはいかにももったいない気がいたします。茨城県で松くい虫がしょうけつをきわめたとき、これは昭和五十四年の秋でしたですね。このときはちょうど第二次石油危機でございまして、石油価格と同時に木材価格が暴騰したわけでございます。そうしますとパルプ業者は、じゃあひとつこれを使ってみようという機運が出てきたわけでございまして、岩倉組木材という会社が移動式チッパーを持ち込みまして、五十四年四月から茨城県で始めたわけでございます。ところが、あいにくその後また木材価格が暴落いたしまして、現在、紙パルプ業界は非常に不況でございます。不況のとき、こういう病気で倒れた木を一々切って集めてやるというのは大変コストがかかります。いま御承知のようにチップというのはカナダやアメリカからチップ専用船に乗せてきまして、海岸工場にそのままおろして非常にスムーズにいく体制になっておりますから、そういうわけで、この病気の木をチップとして利用するのが一とんざしております。この病害虫にやられた木だけではなしに、いま間伐材の利用も大変大きな問題になっておるわけでございますが、やはり外材にコストの面で負けておるということから、これをチップとして利用することがなかなかむずかしくなっております。一部で海外からのチップの輸入を制限しろとかそういう話もございますが、現在、日本が輸入しないといって世界から袋だたきになっておるときに輸入制限措置がとれるのかどうかという問題もございますし、もう一つ、国内のこういう間伐材とかあるいは病害虫でやられた木をチップとして利用しようとすればどうしてもコスト高になる。そういうコスト高のチップを利用すれば製品価格が上がる。これは大変勝手でありますが、私は新聞社に属しておりますから、紙の値段が上がる可能性もございます、つまり国内のユーザーの立場というのもございます。 そういうことで非常にむずかしいわけでございますが、これも世界の木材資源というのがだんだん枯渇していくその十年、二十年の間、もう少し病気になる松の木ががんばっていただいて、枯渇していくと同時に国際木材市況も上がっていった場合、日本の森林資源というものも採算が合うようになってくるかもしれない。そのとき、いま守った森林資源が経済価値を取り戻せば、日本の森林あるいは林業、製材業というのが活力を取り戻すのではないか。ここ十年、二十年少ししんぼうが必要だ、タイミングが必要だ、そう思っております。
○木村参考人 お答えいたします。いま、最も何をなすべきかということについてのお尋ねでありますが、私はこのように考えるわけであります。今日の松枯れ問題というのは、政治全般、林政全般の一つの縮図だろうというふうに思うわけであります。時あたかもいま、第二臨調でいろいろな議論をされておりますが、やはり二十一世紀に向けて人類がたどらなければならぬのは、高齢化社会、都市化社会、国際化社会というふうに、これは何人も否定できないだろうと思うのであります。そういう未来たどるであろう人類が避けて通れない課題というのは、資源と環境問題だと言われているわけであります。その資源、環境問題を、二つを同時並行的に貫徹できるのはやはり森林、林業。林業を通して森林に語りかけてそれがなし得る。そういう未来社会というものを考えた場合に、いま第二臨調でいろいろな議論をされておりますが、残念ながらいまの日本の政治の中で森林、林業がどのような価値を持つかということについて、余りにも低位に見られているのではないだろうか。その守り手である山村の人口なりあるいは林業の労働力なり、そういう面からすると、結局は伐倒駆除が最も有効であるにかかわらず、多くの薬剤に頼らざるを得ないというところに基本的に問題があるのだろうと思います。 そういう意味で、いま外材が七〇%入ってきているといいますけれども、現実にはこうやってしゃべっている一分間に、世界の森林は三十八ヘクタール、四十ヘクタール消滅しているという状況でありますから、早晩外材に依存する状況は困難と見なければなりません。そういう意味で、いまは確かに価値を生んでおらぬというふうに言われますけれども、将来を見通すと、いま枯れていく森林を腐ったままにしておくということは大変もったいない話だと思うのであります。 そういう意味で、次の枯損木利用の問題でありますが、いま、工場等の施設等について幾つかの改善措置があります。しかしまだまだ、たとえば枯損木に対してつい最近入手いたしましたが、燃料にする技術もできたようであります。それからまた、チップにするにしてもかなりコストは安くやれるように大体なってきている。ですから、まだこの面の予算措置が不十分でありますから、積極的に行っていくということが必要ではないか。日本列島は資源の少ないところでありますから、枯れるのを待つのではなくて、積極的に技術開発なりそういう資金投下をやっていくべきだろう、こういうふうに思います。
○金光参考人 昨年、京都で国際ユフロ大会がございました。その前年に世界昆虫学会がやはり京都でございました。オーストラリアから昆虫の研究の方がお見えになったときに、かねがね聞いておりましたことにつきまして、きょう申し上げましたオーストラリアの大変小さな町でございますが、そこの町長さんが町のパルプ工場にお願いをして、町で援助するからこれをパルプに使うようにというようなことで、狭い地域でございますが、ラジアータマツの枯れたものを全部工場に買い取らせて大変うまい駆除をやったというようなことからその周辺の地域に広がって、これは害虫駆除として大変成功をおさめたということを聞いておりまして、日本でもできるのじゃないか。ただオーストラリア、ニュージーランドと比べますと、あちらは平地でございます。日本は大変起伏の厳しい、激しいところが多うございますので、どこもかしこもというわけにはまいりませんが、搬出等のやさしいところでやればできるのではないか、これは私の個人的な希望でございます。現在の法案の範囲では、特別伐倒駆除は破砕、焼却というふうに限られておりますので、なお、これを積極的に、パルプぐらいしか使い道がありませんので、使うということにつきましてやはり採算ということが問題になってまいりまして、相当の補助金等というようなものを考えなければ、民間の業者が乗ってこないということはあろうかと思いますが、しかしこれは枯れた松といえども大変貴重な天然資源でございまして、私は、これを積極的に利用する方策をこの特別伐倒駆除につけ加えるとなおいいなと、個人的な希望で考えております。
○藤田(ス)委員 次に、空中散布による影響について、見里参考人と西口参考人にお尋ねをいたします。時間が限られておりますので一点だけ。 私は、せんだって茨城県に参りまして、空散の様子を調査いたしましたけれども、要するに、激害地は三年まくとか、中害は二年、微害は一年というような実施のやり方を基本方針で決めておりますけれども、現地ではそうはいかない。やめると枯れる、だから次もまくということで、同じ地点を空散を続けているということを言いました。これは、私は聞いていて、ちょっとかっぱえびせんみたいな話ですな、やめられない、とまらないみたいなことになりますかと言ったのですが、だけれども、それでは、生態系に対する影響というのは、いままでそこまで考えてとらえられていただろうかという疑問が一つついてまいります。今回、この五年間の空散によって視力障害を起こすのではないかとか、皮膚炎が出てきたとかというような訴えも聞いておりますけれども、私は、とりわけ三年以上、もしかしたらそれが五年も七年も続くかもしれないこの問題に対して、特にお二人から御意見をお伺いしておきたいと思います。
○見里参考人 空散をやめられないという問題ですが、それは先ほど申し上げましたように、全国の松林の面積の五%の空中散布、それから被害面積の二〇%ぐらいの空中散布しか行われていないということで、そばに震源地となる、感染源となる枯れた松林がたくさんあると、どうしてもそこからカミキリが飛んでまいりますので、守ろうと思っている松林は、やはりその感染源を先ほどのような特別伐倒駆除か何かで全部なくしてしまわない限りは、やはりその松林に空中散布をせざるを得ないというふうに思います。 それから、三年というのが五年、八年続いた場合の自然生態系に及ぼす影響はどうかというような御質問ですが、スミチオンは比較的早く分解いたしますので、それを現在のところ年二回ということであれば、それが数カ月の間には全部分解してしまいまして、環境の中には残らないで、それからいろいろなお配りされている調書の中に林野庁でこの五カ年間やられたいろいろな生態系に対する影響が出ておると思いますが、それでもまいてからしばらくたつともとに戻るというようなことが書いてありますが、そういたしますと、それはスミチオンの年二回散布、それが翌年まで残っているということは考えられないと思いますので、それが三年が五年、十年と続いていった場合にどうかということは、それほど心配ないと思います。
○西口参考人 農林水産省の参考資料によりますと、いろいろ調査しているのですけれども、A系列定点調査、これは空散を始めた五十二年は前年度に対して、前年度が三・六%以内、それが五十二年は二二%に減少しています。しかしそれ以降は一・九%、二%、一・七%と、ほぼ二%台を維持しているのです。これは顕著な減少とは言い切れないわけです。それからB点、C点、D点系列では、減少傾向は見られるのですけれども、最終年度はやはり二%前後の枯損が出ているのです。ということは、空散はそれなりの効果は僕は認めるのですけれども、病原を断つというようなことは空散ではまず不可能だ。そして場合によってはただ被害を長引かせておるというところもかなりあるように思われるのです。それで私は、やはり空散というものは非常に限られた特殊な場所だけに限定すべきで、一般的には空散では問題解決にならない、やはり他の防除法を併用して、それで他の防除法に移行していくまでの暫定措置だろうというふうに考えております。
○藤田(ス)委員 ありがとうございました。
○亀井(善)委員長代理 神田厚君。
○神田委員 参考人の皆さん方には大変貴重な御意見をお聞かせいただきましてありがとうございます。時間が限られておりますので、簡単に御質問を申し上げたいと思います。 最初に東京大学の金光先生にお伺いしたいのでありますが、先生のお話を聞いておりまして、昆虫学の権威といたされまして、どうしても松枯れが起こるのはマツノマダラカミキリの生息しているところで起きるんだ、マツノマダラカミキリのいないところでは松枯れの現象は、つまりマツノザイセンチュウによる被害は発生してないというようなことが言われているようでありますが、マツノマダラカミキリは昆虫生態学からいうと大体どの程度日本におきましては生息しておりますのか、あるいはその活動の特徴はどういうことになっておりますのか、お聞かせいただきたいと思います。
○金光参考人 マツノマダラカミキリは大変昔、以前から日本にすんでおります昆虫で、最近の松枯れに伴いまして、これは材線虫と共生と申しますが、お互いに助け合うというそういう関係で、いま、マダラカミキリが非常にたくさんふえております。 それから御質問のマダラカミキリで枯れない松というものについてですが、私の理解では全体の二割か三割くらいはマダラカミキリでない、材線虫でない枯れがあるというふうに理解をしております。ですから、仮に枯れましてもマダラカミキリがそこの中から材線虫を持ってほかへ流行病を起こすということがありませんので、これは現在の流行病としての松枯れ対策の中に入れなくていい、こういうふうに考えております。
○神田委員 西口先生にお伺いしますが、松枯れの原因になっておりますマツノザイセンチュウは外来病だ、どうもアメリカから来たらしいということであるようでありますが、その辺のところ、たとえばアメリカあたりでは同じような松枯れの現象があるのかどうか、アメリカから来たという根拠はどういうふうなところからお持ちになられておるのか、教えていただきたいと思います。
○西口参考人 初め松枯れが日本で出ておりましたときに、材線虫が病原微生物であるということがわかった時点ではそれはどこのものかはっきりしなかったのですけれども、最近になりましてこのマツノザイセンチュウがアメリカにかなり広範囲に分布しているということがわかりまして、そういうことから外来病であろうと考えられるのですが、もう一つの理由は、アメリカの松は材線虫に余りやられないのですね。たとえばアメリカにはテーダマツとかスラッシュマツとかいろいろございますけれども、それは大体松枯れ、材線虫に強いのです。アメリカで被害が出るというのは、アメリカにとって外国樹種であるヨーロッパアカマツとかフランスカイガンショウとか、要するに外国から来たものがアメリカに渡って、それが向こうではたまたま病気になっておるということですから、アメリカではそれほど被害がないわけなんです。ところが、日本の場合にはそれは被害が出るというのは、要するに抵抗性がないということから出るのでありまして、日本の場合には日本の松のほとんどの個体が抵抗性がないということで現在のような激害になってくる。こういう現象は自国の病原微生物ではとても考えられないことなんです。世界の森林保護の方の文献を調べてみますと、そういう大きな被害というのはすべて外国から来た菌であるかあるいは外国から来た樹種、樹木が自国の病気にやられるという、要するに、外国との関係で起こっておるということで、日本の場合もそうではないかという疑いを持たれるわけです。 〔亀井(善)委員長代理退席、委員長着席〕
○神田委員 ありがとうございます。 それでは次に、見里参考人に御質問申し上げますが、散布の方法が空中散布二回程度じゃだめだ、どうも効果が薄いようだ、こういうことでありますが、そうでありますならば、適量な散布の量といいますか回数といいますか、それはどんなふうなことで判断したらよろしゅうございますか。
○見里参考人 お答えします。 私が二回ではちょっと不十分ではないかと言いましたのは、スミチオンが散布されましてから有効な期間が大体三週間とされております。したがいまして、二回散布ですと六週間、一月半くらいの間マツノマダラカミキリから松を守ることが可能なわけですが、マツノマダラカミキリの発生の期間が大体二月以上にかかるというようなことから、やはりもう一回、三回くらいは散布しなければいけないのではないか。散布すれば完全に防除できる。しかしながら、いま経済性だとかいろいろな社会的要因だとかということで、二回でも大体八〇%は防げる。これは林業試験場の伊藤一雄先生がこの前の委員会でお答えになっております。ですから、完全にはいかないけれども、ほかの影響を加味して二回でとめているというのが現在の実情ではないかというふうに私は感じております。
○神田委員 木村参考人にお尋ねしますが、この空中散布その他を含めまして、松枯れ防止に伐倒駆除が一番いいんだという御意見であります。しかしながら、全国の松林の面積その他を考えますと、伐倒駆除だけではやはりどうにも人手が足らないといいますか、現在のやり方ではむずかしいわけでありますが、その辺のところは、全国の松林の現在冒されている汚染状況から見まして、伐倒駆除をどういうふうに進めていったら効果が上がるのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○木村参考人 お答えいたします。 今日ただいまの状況でいいますと、いまの松枯れ被害全面積について大変な人手と金をかけていくというのは現実的ではないと思うのであります。しかし、今日の事態を迎えるに当たって厳正に反省すべきことは反省し、二度と再び繰り返さないという限定が大切ではないか、そういう意味で申し上げているわけであります。やはり有効なのは、早期発見して単木的に被害にかかっているものを除去をするということが何といっても重要だと思うのであります。したがって、かかるであろう林部に先手をとるということも必要でしょう。そういうふうに日常、ふだんの保育管理を有効にしていくということが決め手だろうと思うのでありますが、今日ただいまの状況で言いますと、やはり空からまくことも、これは完全ではないですけれども万やむを得ない補完的な、補助的な手段として認めざるを得ないだろう、しかし、有効なのは伐倒駆除であるあるいはまた積極的な保育管理、樹種転換である、そういうことを申し上げているわけでありまして、全く否定しているわけではございません。今日、空からまいていくということで軸足を拡大しておるのは、伐倒駆除との組み合わせが足らなかったと思うのであります。そういう意味で、伐倒駆除すべきところは断固としてやるという方向をとっていくことが必要だ、こういうふうに思います。
○神田委員 大谷参考人に御質問いたします。 先生おっしゃられましたように、どうも下からの盛り上がりがないといいますか、そういう意味では行政の方が非常に森林所有者やその他に対しまして——その人たちが自分たちの力で自分たちの山を守るという姿勢が少し欠けている、そういうふうな御意見だったかと思うのでありますが、ここまで汚染されてしまったこういう状況を、たとえばどんなふうな形で民間のそういう人たちを組織をして、この人たちにやる気を起こさせる方法といいますか、そういうものはあるというふうにお考えになりますか。
○大谷参考人 これはもう戦後の、現在の日本人の生活態度にかかわる問題でございまして、私は新潟県と長野県の山間部に行きまして、農家で周囲は森林に囲まれているのですけれども、灯油ストーブをたいているのですね。私が、周囲にたくさん木があるからいろりか何かしないのですかと聞きますと、いまいろりというのは、木を切る費用は非常にたくさんかかるから、旅館の観光のいろりしか採算が合わないのだというお話でございまして、でもあなたのお宅で薪に松を使えばいいじゃありませんか、それは場所は松之山温泉というところなんですが、ところがその木を切って薪にするくらいなら、日傭取りに雇われて働いて灯油ストーブを買った方がはるかに安くつくという状態でして、日本もここまで来たのかとびっくりしたような次第であります。さっきいろいろ申し上げましたように、海岸の松林のゴルフ場は死守するということでございますが、どうも日本人の生活態度というのは高度成長ですっかり油づけになりまして、石油ショックというのはそういう反省を示すいい機会だと思ったのですけれども、やはり生活態度はなかなか変わらない。また今度石油の値段が少し下がったりしておりまして、なんでしょうけれども、どうもこれは戦後日本人の生活水準というのですか生活態度というのですか、それは大革命を起こした後ですから、もう一度見直すというのは少しむずかしいのではないかと思われます。 それで、わりに松枯れ対策に渋い大蔵省が予算をちょっとふやしたりしているのは、これは明らかに、たとえば財界人などが松の木の保護に非常に熱心なのは、彼らがゴルフ場に行きましてゴルフ場の松の枯れたのを見てなるほどと感心しているわけでございまして、そうでなければこんなに熱心には動いてこないと思います。結局、どうも利害関係が密接でないと、利害関係と言いますとちょっとどぎついのですけれども、やはりその松山の所有者とかあるいはその近くの住民と松の木の有機的なつながりが薄らいだ昨今、その盛り上がりというのが非常にむずかしいという気がしてなりません。 いま、地元の盛り上がりが薄いと申し上げましたけれども、たとえば虹ノ松原だとか非常に熱心なところがたくさんございます。それで指導者のよろしきを得ればそういうこともあり得ると思いますが、全国の平凡な松の林というものを積極的に盛り上げる一つのエネルギーがどうもないというのが率直な感想でございます。
○神田委員 時間もなくなりましたので、非常にお答えしにくい問題かもしれませんが、現在の汚染状況を一〇〇として、この法律は五年間の時限立法になっておりますが、この五年間にどの程度の被害の防止ができるのか。一二〇という場合もあるでしょうし、もっと被害が拡大するということもありますけれども、その辺のところをひとつ端的に御感想を順次お述べいただきたいと思います。
○金光参考人 率直に申しまして、わかりません。少し下向くのではないか、そんな感じでございます。
○西口参考人 数量的なことはとても申し上げることはできません。さっきも言いましたように、これはやはり一種の実験じゃないかと思うのです。これでもってはっきり、どれだけ減るというものじゃなくて、これで食いとめられれば、これも続けるという一種の実験的なものではないかと私は見ております。しかし、できるだけこれでもって何とか防げないといけないというふうには思うのですけれども。
○見里参考人 先ほど申し上げましたように、空中散布をやっている面積が全体の松林に比べますと非常に少ないので、空中散布その他薬剤で防除するところは私は守られると思いますが、そうでない松林というのはやはり被害が進んでいくのではなかろうかというふうに思います。
○木村参考人 いまの法案で推移するならば、大変悲観的だと言わざるを得ません。農水委員会の諸先生方の御理解はあるにしても、国会の他の委員会の諸先生方に本当に森林、林業のことで御理解いただくというそういう政策展開が将来期待を置けるかどうかという点にかかっているだろう、とりわけ林業労働についてどれほどの手を打たれるか、金をかけるかというところに決め手があるだろう、こういうふうに申し上げます。
○大谷参考人 どうも五年目に議事録を見られたりすると大変恥ずかしい話で、予言はしたくないのですけれども、願望として、やはり被害額のカーブが日を追って下にふえていくということを祈る、そういうことでございます。
○神田委員 どうもありがとうございました。 終わります。
○羽田委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 この際、参考人各位に一言お礼を申し上げます。 本日は、御多用中のところ当委員会に御出席いただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。 次回は、明十七日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時九分散会