P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ ☆
第96回国会衆議院1982/07/06

内閣委員会 第17号

発言数
81 件
登壇者
6 名
会派数
1
開催日
1982/07/06

会議録

石井一自由民主党

○石井委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事市川雄一君より、理事辞任の申し出がありますので、これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石井一自由民主党

○石井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石井一自由民主党

○石井委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事に鈴切康雄君を指名いたします。      ————◇—————

石井一自由民主党

○石井委員長 次に、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を求めます。伊藤防衛庁長官。     —————————————  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○伊藤国務大臣 ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の提案の理由及び内容の概要について御説明申し上げます。  初めに、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案の提案の理由及び内容の概要について御説明いたします。  まず、防衛庁設置法の一部改正について御説明いたします。  これは、自衛官の定数を、海上自衛隊千三百二人、航空自衛隊六百三十人、統合幕僚会議四十六人、計千九百七十八人増加するためのものであります。これらの増員は、海上自衛隊については、艦艇、航空機の就役等に伴うものであり、航空自衛隊については、航空機の就役等に伴うものであり、統合幕僚会議については、防衛庁中央指揮所の開設準備等に伴うものであります。  次いで、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。  これは、自衛隊の予備勢力を確保するため、陸上自衛隊の予備自衛官二千人を増員するためのものであります。  次に、防衛庁の職員給与法の一部を改正する法律案の提案の理由及び内容の概要について御説明いたします。  この法律案は、任用期間の定めのある自衛官いわゆる任期制自衛官が引き続いて任用された場合及び任用期間の定めのない自衛官いわゆる停年制自衛官となった場合の退職手当の支給方法等を改めるものであります。  すなわち、自衛官に対する退職手当は、現在、任期制自衛官については、任用期間が満了する都度、任期制自衛官から三等陸曹等に昇任した停年制自衛官については、任期制自衛官以外の期間を基礎にして支給しております。しかし、停年制自衛官としての勤続年数が長期にわたることとなる者にあっては、任期制自衛官に対する退職手当は支給しないで、当該期間をその者の停年制自衛官としての勤続期間に通算して支給する方がよい場合がありますので、その者が希望した場合には、当該退職手当は支給しないことができるように改めるものであります。また、任用期間が満了したときに退職手当の支給を受けなかった任期制自衛官が、三等陸曹等に昇任しないで退職することとなった場合等におきましては、支給を受けなかった退職手当を退職時等に合算して支給できること等に改めるものであります。  この法律案の規定は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  以上、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げましたが、何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いいたします。

石井一自由民主党

○石井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     —————————————

石井一自由民主党

○石井委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田名部匡省君。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 防衛庁設置法に関することでまずお伺いをいたしたいと思います。  自衛官の定数については、現時点で未充足分が相当数あるようでありますが、なぜ今回これを増加させる必要があったのかということ、充足率を高めることによって今回のこの自衛官の増員を賄うことができなかったのかどうかということを、まずお伺いいたしたいと思います。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 自衛官の定数につきましては、自衛隊が有事に即応してわが国を防衛するために必要な体制を維持するという観点から定数を定められておるわけでございます。したがいまして、平時からその定数を確保いたしまして所要の教育訓練を実施しておくことが必要であるというふうに考えております。  さらに、中でも海上自衛隊及び航空自衛隊の自衛官につきましては、艦艇、航空機というものの実際の運用という観点から必要な人員を個々に積み上げて定められておりますので、いま申し上げました平時からできる限り充足しておく必要があるということは、陸上自衛隊の場合に比して一段と強く要求されるところであります。  今回海上自衛隊と航空自衛隊につきまして定員の増加をお願いいたしておりますけれども、この点につきましては、募集でありますとかあるいは人事管理上無理のない範囲で極力充足の向上を図っていくという考え方のもとに、現在海上自衛隊、航空自衛隊はおおむね九六%という充足率でございますが、その九六%を前提にいたしまして、実際の艦艇の就役、航空機の就役あるいはそのリタイアといったものを差し引きいたしまして必要な人員の増加をお願いをいたしております。  現在九六%ということでまだ未充足ではないか、余裕があるではないかというお尋ねでございますが、この九六%という充足率は、実際問題といたしまして定員管理上ある程度の余裕を残しておく必要があるといった技術的な理由あるいは隊員の募集環境、そういったものを勘案いたしまして現在程度の充足でやむを得ないと考えておりまして、このことをもって私どもは、潜在的な欠員を抱えておる、したがって余裕があるというふうには考えていないものであります。そういったような観点から、今回お願いいたしておりますように、五十六年度、五十七年度の新たに就役する艦艇、航空機といったようなものの運用に必要な定数増につきましては、ぜひこれを確保させていただきたいというふうに考えておるものでございます。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 艦艇あるいは航空機等を運用していくために必要な人員を個々に積み上げていく、こういうお話でありますが、特に高度な技術を必要とするものは長期間の訓練が必要だと思うのですね。そういったことの対策をしっかりととられておるかどうかということを実は私ども大変心配するわけであります。この点はいかがでしょうか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 まさに御指摘のとおりでございまして、艦艇、航空機の就役に伴いまして、差し引きして必要な人員をお願いしておるわけでございますけれども、特に海上、航空の場合はただ人数のやりくりということではなくて、いま御指摘のように高度な訓練、技術を必要といたしますので、やはり適時適切にこういった充足をお願いしておかないと、急によそから回して間に合うというわけのものでもございませんので、そういう意味におきまして今回の充足についてはぜひ御配慮をいただきたいと思っておるわけでございます。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 陸上自衛官の充足率なんですが、海空自衛官に比較しても大変低いようでありますが、このような状態で演習なんかに支障を生じていないものかどうか、この点はいかがですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 陸上自衛隊の人員充足率につきましては、御承知のように過去おおむね八六%ということで推移してまいっております。ただし、この八六%というものも、実際はたとえば同じ陸上自衛隊の中でもホークの部隊でありますとかあるいは陸上自衛隊の中の航空部隊でありますとかあるいは管理業務を担当しております会計関係の部隊あるいは通信部隊、こういったようなところはそういうふうに充足を落としていくわけにはまいりませんものですから、全体的に八六%でありましても、いま申し上げたような部隊には充足を非常にアップしてやっておるわけです。したがいまして、その他の部隊につきましては逆に八六%よりかなり下回るというのが現状であります。  そこで、特に普通科部隊等におきまして、現状では第一線の中隊なんかでは六〇%前後というような状況も見られております。したがいまして、いま御指摘のように訓練、演習に支障があるのではないかという御指摘でございますけれども、実際問題といたしまして、私ども現状はもうぎりぎりである。もちろんがまんができるといいますか、最低ぎりぎり教育訓練に支障のない範囲で現在の運用をしておるつもりでございますけれども、たとえば小隊あるいは中隊、そういったものの演習上は欠員にしておいて演習をするといったようなことまでやって苦労をしながらやっておるわけでございますが、いずれにしましても私どもはさらに充足をぜひ図っていただきたいと考えておりまして、五十七年度におきましては八六%を八六・三三%に上げていただきまして、約六百人の増加をお認めいただいております。これによりまして北部方面隊の第二師団につきまして充足をアップしていきたいというふうなことを図っておるわけでございますが、全般的にいま申し上げましたように教育訓練に支障のないぎりぎりのところでやっておるという現況でございます。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 どうも、大変重要なところは充足率をうんと高めております。私たちは、ワールドカップのサッカーをやっておりますが、ここが重要だ、あすこが重要だというのはないと思うのですね。しかも、防衛庁のそうした姿勢が私はちょっと問題あるのじゃないかという気がするのです。やはり姿勢としては本当に充足率を高めて、いついかなるときでも対応できるようにしておく、それが何となくこの種の問題は、私も国会議員としての経験浅いわけでありますが、三回も国会で審議されてもなかなか通らぬ。むしろ私は、防衛庁自体のそうした考え方が国民の皆さんから見ると、何か余り重要ではないのかな、というのは、充足率を高めておかなくても何とかなっているんだろうという気持ちをやはり与えているのじゃないかという気がするわけですね。ですから私は、ここが重要であすこが余り重要でないということはない、すべて、だれが欠けても有事の際には支障を来す、こういう姿勢をお持ちになっていただきたいと思うのですが、この辺いかがでしょうか。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○伊藤国務大臣 自衛官の募集については大変苦労が多いのでございまして、私がいろいろ御報告を受けましても、地連等で本当に涙ぐましい努力をしておりますけれども、なかなか質の高い優秀な自衛官、自衛隊員をわれわれが望むとおり充足できないでおります。しかし、そうかといって、田名部先生御案内のとおりどちらの部署が大事でどちらが大事でないということはないわけでございまして、全体としての質の高い防衛力、自衛隊をつくり上げることが防衛庁に課されました責任でございますので、御指摘の点を十分踏まえまして、なお強い姿勢なり強い態度で充足率を高めるように、いままでも防衛庁は努力をしておりますけれども、なお一層努力をするように関係者を督励をしてまいりたいと思っております。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 次に、自衛隊法の一部改正に関してお伺いしたいと思うのでありますが、今後の予備自衛官の員数についてどのような方針を持っておられるか、まずお伺いをしたいと思います。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 現在、予備自衛官は四万一千六百人でございます。そのうち、陸上自衛隊の予備自衛官が四万一千人、海上自衛隊が六百人ということになっております。陸上自衛隊の場合、これを後方警備、後方支援、戦闘損耗の補充といったような要員として持っておりますし、また海上自衛隊の場合も後方警備といったような要員として充当することを考えております。  今後の方針でございますけれども、今後とも陸上自衛隊につきましては後方警備要員ということを中心にして引き続き整備を図っていきたいと考えておりますが、具体的には五三中業、五十五年から五十九年までの五三中業の期間につきましては毎年一千人程度、軽普通科連隊一個連隊分をお認めいただきたいという考え方のもとに推移してまいっております。海上自衛隊につきましても引き続き、現在六百人でございますけれども、これをさらに整備を図っていきたいと思っておりますし、航空自衛隊は現在ゼロでございますので、ぜひこれも制度化していきたいというふうに考えておるところでございます。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 今回の防衛庁設置法及び自衛隊法の改正案が成立しないということになると、一体どういう支障が出てまいりますか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 もし御指摘のように成立しないということを想定した場合どういう支障点があるかということでございますが、まず第一点は、自衛官の定数増の点につきましては、先ほど来ちょっと御説明申し上げましたように海上自衛隊と航空自衛隊の定員増をお願いしておりますが、この場合はいずれも、新たなる艦艇、航空機等の就役、それとまた逆に退役していくもの、それにかかる要員を差し引きいたしまして積み上げているといったような実情でございますので、もし成立しないということになりますとどうしてもほかのところから回していくということになりますけれども、先ほど申し上げましたように高度な技術内容、訓練内容を要するものでございますからそういうことも困難でございますし、全体的に九六%という充足率で運用しておりますので、そういった数字の上での余裕もそうございませんので、ぜひこれはお認めいただきたいというふうに考えるものでございます。  それから第二点の予備自衛官につきましては、今回陸上自衛隊の予備自衛官、五十六年度分と五十七年度分合わせて二千人お願いいたしておりますけれども、これも先ほど申し上げましたように、五三中業におきまして一定の目標を持って後方警備要員を中心にした予備自衛官の充実を図っておるわけでございますが、その点におきまして、もし成立しないということになりますと計画上大きな支障を生ずるということになりますので、この点につきましてもぜひよろしく御理解賜りたいと思います。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 先般、私スイスに行く機会がありました。スイスは御承知のとおり国民皆兵だ。私のある友人のうちにお邪魔する機会がありました。いろいろな話の中に、部屋の中には銃を備えつけてある、これは国のものだ、こういう説明でありました。スイスの人たちは国民皆兵制度をとっておるわけでありますが、私どもはこの体制がいいのかどうかということはよくわからぬわけであります。スイスの人たちのお話を聞きますと、これではとても物足りぬ、もっと強力な軍隊がわが国にも必要だと思うと言うんですね。  私どもから見ると、いろいろ予算の問題との兼ね合いもあり、一%を超えないとかなんとかという議論があるだけに、ただ単に自衛隊の諸君にだけ有事の際は国のためにがんばってもらうということだけでは何となく物足りないという感じを実はスイスへ行くと持つわけです。私はアイスホッケーの選手を連れてよく世界選手権、オリンピックへ行くわけでありますけれども、空気銃も撃ったことのない若い者たちばかりなんですね、いま。一体戦争になったとき、この若い連中はどれだけ国のために役に立つのだろうかということを考えさせられまして、本当に守るというためにはやはりスイスのような体制がいいと私は思っておったわけでありますが、スイスの人たちの話を聞くと必ずしもそうではない。民間のわれわれ国民にも何かもう少しそういう訓練をさせるというか、特に望む者にはそういう経験をさせるという場が必要なのではないかなという気がするのですが、いかがでしょうか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 具体的にはスイスの事例をお挙げになって比較的なお話があったわけでございますが、もちろんスイスと日本とでは余りにも国情が違いますから、直ちにそれでもってどうというわけにはまいらないと思います。  いま、スイスの人の意見ではやはりスイスでは物足りないという御意見であったようでございますが、御承知のようにスイスの場合はほとんど現役の部隊というのを持っておりません。いままさにおっしゃいましたように、銃を各家庭で持っているというような形でやっております。わが国といたしましては直ちにスイスのようなまねはもちろんできませんし、する必要もないと思いますが、ただ、一般的にここで私が申し上げたいことは、先ほど来予備自衛官の増員についてお願いいたしておりますけれども、予備兵力といいますか予備自衛官の充実ということは、スイスのような場合は別としまして、一般的に世界的な傾向に比しまして日本の場合は極端に予備兵力が少ないのが実情であります。そういう意味におきまして、私どもは予備自衛官の充実ということについては今後ともさらに努力していきたいということは考えておりますし、ぜひ御理解を賜りたいと思います。  それ以外の、いまおっしゃいました国民一般にそういった訓練が必要であるかどうかといったような問題につきましては私ちょっとここでお答えするわけにまいりませんけれども、予備自衛官の重要性についてはぜひ御理解を賜りたいと思います。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 次に、最近の国際軍事情勢についてちょっとお伺いしておきたいと思います。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○伊藤国務大臣 最近の国際軍事情勢につきましての基本的な認識を申し上げたいと思います。  まず第一点は、ソ連は一九六〇年代から一貫して軍事力の増強を図り、現在では米ソ間における軍事バランスはほぼ均衡するに至り、このまま推移すれば遠からずソ連が優位に立つものと見られております。ソ連は、このような軍事力を背景に周辺地域及び第三世界への勢力拡張を図ってきており、特に一九七九年十二月のアフガニスタンへの直接軍事介入を契機として西側諸国のソ連に対する不信感が高まり、国際情勢は総じて対立の側面が強まっております。  このような中で、西側の諸国はそれぞれの役割りに応じて防衛力の強化に努めるとともに、ソ連との間で戦略兵器削減交渉、中距離ミサイル規制交渉、中欧相互均衡兵力削減交渉等包括的な軍備管理、軍縮交渉に取り組んでおります。このような西側諸国による努力もあって、当面東西間においては核戦争及びそれに至るような大規模な軍事衝突は抑止をされております。  しかしながら、依然として中東情勢、朝鮮半島情勢、カンボジア情勢及びポーランド情勢等緊張、対立は続いており、特に最近はフォークランド紛争及びイスラエルによるレバノン侵攻が発生するなど、国際情勢には不安定かつ流動的なものがあります。政府としても、今後の動向には十分注目をしているところでございます。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 ソ連は、私ども固有の領土であります北方四島に軍備を配備している。一ころずいぶんと国内でこの問題が騒がれたわけでありますが、どうも熱しやすく冷めやすいといいますか、時がたつと全くこの種のことは議論にならない。まことに遺憾であるわけでありますが、一体、その後この配備されているソ連の軍備状況というものはどうなんですか。特にアメリカの国務副長官でありますステッセルがいろいろ発言をしておるわけでありますが、この辺のところをちょっとお話しをいただきたい。

新井弘一防衛庁参事官

○新井政府委員 お答え申し上げます。  北方領土におけるソ連軍の再配備は、御承知のとおり一九七八年に始まったわけでございます。それで現在、いままで繰り返し申し上げましたように、ソ連軍の規模は師団規模である。具体的な装備について申し上げますと、戦車、火砲あるいは対空ミサイルあるいは攻撃型ヘリコプターミル24ハインド等配備されております。そのほか、国境警備隊とか警備艇ということでございまして、過去三年間にわたります全般的な軍事上の配備の実態は、この一年大きな異同はないというふうに読んでおります。  他方、いま先生がおっしゃいましたステッセルの証言についてでございますけれども、私ども基本的に同様な認識をしているということでございます。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 そこで、日本に対するソ連の脅威論というのがずいぶんといろいろな形で議論されてきたわけでありますが、この辺の要因についてひとつお伺いをしたいと思います。

新井弘一防衛庁参事官

○新井政府委員 ソ連がなぜわが国の固有の領土である北方領土に再びそのような規模の軍事力を配備したのか、そういう背景を考えてみますと、一つには、先般来の極東地域における全般的な兵力強化の一環であるというふうに思えますが、同時に、オホーツク海あるいは日本海から太平洋に抜ける一つの通路としての戦略的な重要性、そういった点も軍事的には念頭にあるということは言えるのではないかと思います。  他方、同時にわれわれとして十分認識しなければならないのは、ソ連の政治的なねらいでございます。要するに一言で言いますと、師団規模と私申し上げましたけれども、このような大きな兵力を北方領土に配備するということによりまして、わが国及び国民の北方領土返還運動、これに対して無力感を与える。要するにこれは、ソ連は動かない、そういう意味で無力感を与える、そういう大きなねらいがある。この点はわれわれ十分注意してかからなければならないというふうに考えております。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 従来、ソ連の脅威というといろんな兵器のことが取りざたをされるわけでありますが、私は仮想敵国と言うことは余りいいことではないと思うのでありますが、フォークランドの紛争を見ておりますと、いつどことどういうことになるのかということをわれわれに非常に示唆したと思うのですね。いままで非常に共存共栄を図っておった国同士が急に戦争を始めるということですから、このフォークランドの事件というものは、新たな観点に立って私どもは反省をしなければいかぬことだと思うのであります。  ただ、私ども一般的にソ連の脅威と言う場合に、確かに巨大な軍事力が脅威論の中心になるだろうと思うのでありますが、その背景であります何といっても食糧政策が、国の計画より六千万トン不足して三年間これが続いているということ。かつてソ連は石油の産油国と言われたわけでありますが、いまや消費国に回って、いままでは石油を売ることによってソ連の外貨の半分は稼いでおったわけであります。それが、もう輸出を全然できる状態にない。生産性の向上と言いますけれども、なかなか生産性は上がらぬ。そういうことになってまいりますと、あの巨大な軍隊を抱えてどうするかということをソ連の人たちは本当に真剣に悩んでおるだろうと思う。これが脅威の一番のもとになるであろう。したがって、石油だとか食糧の不足しているソ連にとっては、いよいよになりますとどこへ出ていくかわからぬというのが、いま世界でいろいろ議論されていることだと思うのです。  私は、日本がそういう立場に立って、直接脅威だとかなんとかということもありますけれども、そのことによって間接的に、産油国がソ連の手中に入るということになりますと、そして日本に石油が入ってこないということになりますと、それだけで日本は大変な状態に陥る。強力な軍隊と相まって、むしろそういうことが脅威の大きな原因だ、私はそう感じておりますが、いかがでしょうか。

新井弘一防衛庁参事官

○新井政府委員 ただいまの先生の情勢判断、基本的に私も同様でございます。  すなわち、ソ連は国内においてきわめて劇的な軍事力の増強を展開しておりますが、同時に、この点につきましては先ほど防衛庁長官からも触れられましたけれども、近年特に第三世界周辺地域における行動が活発化し、かつ大胆になっている。こういった点は十分われわれ注意しなければならない、そういうふうに認識しております。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 そこで、財政が非常に困難なもとで防衛力をどうして整備をしていくかということはいま防衛庁の中で一番頭の痛い問題だろうと私は思うのでありますが、この辺について、ひとつお伺いをしたいと思います。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○伊藤国務大臣 先生御指摘のような状況であります。しかし、私どもは自由主義諸国の有力な一員として、みずからの国はまずみずからの手で守るという決意のもとに必要最小限度の防衛力を整備するということは、わが国並びに私ども防衛庁に課せられた当然の責務であると考えております。そのために現在「防衛計画の大綱」に従いまして防衛力の整備を進めておるわけでございますが、御承知のとおり、現在の防衛力はその大綱に定める規模にも達しておりません。また、装備の老朽化、即応態勢の不備、抗堪性、継戦能力の不足等いろいろの問題点も抱えておるところでございます。また、先ほど申し述べました、また政府委員からも補足をいたしました現下の厳しい国際情勢等をもかんがみますならば、このことにつきましては田名部先生からも御指摘がございましたけれども、そういう国際情勢というものをかんがみますと、大綱に定めております防衛力をできるだけ早く達成する必要があるものと考えております。  ただ、先生も御指摘のとおり、財政再建が緊急の課題にもなっております。また財政事情も厳しいわけでございます。そのことは十分承知をしておりますけれども、いま申し上げたような考え方に立ちまして、自由主義諸国の一員として行うべき防衛努力、大綱のできるだけ早い達成、それらと厳しい財政事情、さらには国のほかの諸施策との調和、また、大事なことでございますけれども、国民世論等を総合的に勘案をいたしまして、着実に防衛力の整備を行っていかなければならないというふうに考えておりまして、長官としてこの目的達成のためにできる限りの努力をさらに傾注してまいりたいと考えております。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 かつて大平首相がアメリカを訪問されたときに九・七%増を約束して帰ったわけでありますが、結果的には二%減の予算編成をしたために、大変アメリカがこれに対して不満を持った。  一九八〇年の主要国の国防費とGNP比の資料がありますので、私、これをちょっと調べてみましたら、国防のための支出総額でアメリカは世界で第二位、千四百二十七億ドル。ソ連がはるかに多いわけであります。日本は八十九億六千万ドル、この時点では世界で八位であります。七位のフランスとどのくらいの差があるかというと、順位でいくと八位でありますが、フランスが二百二億ドルであります。八位の日本が八十九億六千万ドル。この辺から、われわれの友好国であるアメリカにいたしましてもECの国々にいたしましても、防衛努力が足りないという日本に対する批判が非常に強く出ている。しかも、これを国民一人当たりで見てまいりますと、日本の場合は主要二十カ国の中で二十番目であります。一人当たり七十五ドルであります。しかもGNPに占める割合は最下位であります。  こうしたことが貿易摩擦に発展し、あるいは農産物の自由化の方へと発展してきているのではないかと私は実は心配しているわけであります。経済大国世界第二位といわれながら、自分の国を自分が守ろうという努力はこの数字の中からは感じられないだろうと私は思うのですが、このことに対しての御意見はなかなか出しにくいだろうと思うのであります。ソ連の軍事費は千六百五十億ドルでありますから、GNP対比でアメリカの倍以上なんです。いま政府では閣議で一%を超えないということを決められておるようでありますが、西欧諸国、イギリス、フランスは大体五・五%ぐらい、私はこう伺っておるのです。その他の小さい国でも三・五%、わが日本は一%、こういうことになっておるようであります。  そこでお伺いしたいのでありますが、五六中業の経費、防衛庁原案では大体二十兆円前後になって、GNP比が確実に一%を超える計算とされておるようでありますけれども、この原案の費用はどのくらいであったのか、また、GNP比一%以下の閣議決定を守ると総理は公約をしておるわけでありますが、これは一体守られるのでしょうか。いかがですか。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○伊藤国務大臣 前段でいろいろ国際関係比較の数字を挙げられたのでございますけれども、もちろん、それらのことにつきましてはわれわれも十分承知をしております。しかし私どもは、先ほど私が基本的な考え方を申し上げましたとおり、いろいろの条件の中で、しかも自主的な判断で防衛力の整備を図っていくという基本方針を今後とも貫いていくわけでございまして、その中の一環として五六中業の問題に触れられたわけでございますけれども、五六中業は、先生篤と御案内のとおり、「防衛計画の大綱」に定める防衛力の水準を達成することを基本としてただいま防衛庁が関係省庁との協議を随時行っておるところでございます。  数字等にもお触れになりましたけれども、この時点でまだ事業内容等につきましては固まっておらない段階でございまして、御指摘の対GNP比がどのような姿になるかにつきましてはまだ申し上げられる段階でないということを御理解をいただきたいと思います。  また、当面一%を超えないことを目途とするとの閣議決定との関係につきましても、われわれがいま作業を進めております五六中業は、効率的な、かつ節度ある整備に留意をして、この閣議決定をも踏まえ、さらにまた大綱水準の達成を図りたいということで、整合性を目指しながら目下ぎりぎりの努力をしているところでございまして、このことにつきましても重ねて御理解を賜りたいと思います。したがいまして、当面、各年度の防衛関係費がGNPの一%を超えないことをめどとするという昭和五十一年十一月の閣議決定は、現在のところは変える必要はないものと考えております。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 私どもは、それで一体国際社会の責任を果たせるかどうか、非常に疑問に思っているわけであります。先ほど申し上げた数字から言いましても、世界の国は非常に経済が苦しい中でもこれだけの防衛費をつぎ込んで自分の国を自分で守ろうとしているんです。それを一%を超えないという議論に終始しておるものですから、一体日本は、こういうことになるわけであります。どこの国だって金があるはずがない。特に経済のいいときにしっかりやっておけばいいものを、いま苦しくなってから求められて非常に苦しんでいるんじゃないですか。  そういうことで、五十八年予算についても後年度負担、人件費、新規の調達等GNP一%、こう言っておりますが、GNPだってどうなるかわからぬじゃないですか。逆に言うと前年を下回るかもしれぬ。GNPがどうなるかわからぬから仮定の話になりますが、こういうことで一%一%にこだわっておりますと、去年よりも予算が下回るというようなことになったら一体どういうことになるのか。  これは一九八〇年の資料でありますが、日本はGNP一兆二千億ドルです。いまの換算で仮に一ドル二百五十円という計算でいくと大体三百兆円なんですね。この一%ですから三兆円が国防費だ。この三兆円をたとえば一億の国民で割ると国を守るためにわれわれは三万円のお金を負担しているということなんです。アメリカはGNPの七%。かつてアメリカは、三十年代、四十年代ごろはGNPは世界の半分を占めておった時代があった。それがだんだん低下して、いま大体二五%ぐらいですよ。アメリカは六百二十五兆円のGNP、その中で七%ということになりますと大体四十三兆円。GNP対比でいくとアメリカの半分まで日本が迫ってきたんです。そうすると七%というとその半分の三・五%ぐらいが大体国の力からいって当然だろうというのが外国の人たちの一般的な見方なんですね。特にアメリカはそう思っている。したがってアメリカは、これを人口二億で仮に割ってみますと一人当たりの国防費というものは大体二十一万円ですよ。私どもは三万円で国を守っている。アメリカは一人二十一万円負担して国を守っている。これが、日本が一生懸命じゃないということでのいろいろな批判になってくるわけであります。ちなみに、私どもはいま医療費は十兆円を超えていると言われているでしょう。そうすると、健康を守るためにわれわれは一人が九万円ぐらいのお金を使っているわけです。国を守る方は二万円か三万円だ。こういうことになりますと、これから防衛庁長官も塩田局長もアメリカといろいろな折衝をされる上においてよほどしっかりした考え方を持って話をしていかぬと、数字の上からではとてもとても理解できた話ではないというふうに私は考えるわけであります。  この五十八年度の歳出化予定の後年度負担、人件費、新規の調達等、またGNPが当初から見て縮まる可能性があるのかないのか、この辺についてひとつお話しをいただきたいと思うのです。

夏目晴雄防衛庁長官官房長

○夏目政府委員 本来経理局長の答弁事項でございますが、便宜私からお答えいたします。  御承知のように、五十八年度の概算要求に当たっての環境というものは、昨年度に比較しましても一段と厳しいものがあることは御案内のとおりであろうかと思います。そこで、現在大蔵省から示されておる概算要求のいわゆる要求枠、シーリングについても相当厳しいものがあるわけでございますが、私どもとしては当然のことながらこの財政再建という大義名分には従わなければいけない。しかし一方には「防衛計画の大綱」というものをできるだけ早く達成したいという希望があるわけでございまして、こういう中において私どもの要求をぎりぎりどこまでお願いできるかということをいま寄り寄り大蔵省とも折衝中でございまして、いま果たしてどういう数字になるかということを明確にお答えする段階にないことを御理解いただきたいというふうに思います。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 五十八年度の防衛予算はマイナスシーリングだということをよく言われて、最近の新聞では、これは別枠だ、こういうことが言われておるようでありますが、この辺についてはどうなんでしょうか。

夏目晴雄防衛庁長官官房長

○夏目政府委員 一般に五十八年度の概算要求がマイナスシーリングであるということを言われておりますが、いま私ども事務的に連絡を受けている数字は四・六%、千二百億円の増ということが事務的に示されておる数字でございまして、私どもとしては、この数字では先ほど申し上げたような「防衛計画の大綱」の速やかな達成ということがとてもできないということで、納得しかねるという姿勢のもとでいまいろいろ調整、協議をしているということでございます。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 自民党の防衛力整備小委員会がGNP一%撤廃を提言しておるようでありますが、これについて長官はどうお考えでしょうか。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○伊藤国務大臣 御披露を賜りましたように、自民党の安全保障調査会に設けられております防衛力整備に関する小委員会におきましては、先般五六中業で大綱の防衛力整備を完全達成するためにGNP一%の枠を取り払うということを提言しておられますことは承知をしております。御理解あることだと思っておりますが、防衛庁としては、先ほど私自身、また経理局長のかわりとして官房長が申し述べましたとおり、財政再建あるいはGNPについての閣議決定等を踏まえながら、また反面大綱水準の達成を図りたいという願いを持ちながら、その整合性を図りたいということで目下ぎりぎりの努力をしておるところでございまして、GNP比一%を超えないことをめどとするというような政府決定については、これを変えるという考えは現在はございません。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 なかなか一%は変える気配はないようであります。  この事業内容でありますが、まだ固まっておらぬということでありますが、大体いつごろを予定しておるのでしょうか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 五六中業の作業につきましては、昨年の四月二十八日の国防会議の御決定以来、おおむね一年をめどということで作業をしてまいっておりまして、現在、今月中には作業が終わるようにというめどで——と申しますのは、五六中業の初年度が五十八年度になるものでございますから、五十八年度の概算要求にはこれを間に合わせたいというのが私たちの希望でございまして、そういった線で作業を進めておるところでございます。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 六月二十八日の新聞記事でありますけれども、これでは「五六中業の骨格固まる」「二十七日までの防衛、大蔵両省庁の非公式折衝でほぼ固まり、主要正面装備調達経費の総額は四兆三、四千億円程度に落ち着く見通しとなった。」こう出ておるのですが、これはいかがですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 そのような新聞報道があったことはもちろん承知いたしておりますが、先ほどお答えいたしましたように、現在作業中でございまして、まだ決して数字的に固まっておるという段階ではございません。ただ、もういずれにしましても残された期間がそう多くはございませんので、私どもといたしましても、鋭意先ほど申し上げましたような今月中には何とかしたいということで努力をしておるという段階でございます。いまの御指摘の新聞報道でいろいろ数字まで挙げて報道ございましたけれども、私たちがいまこの段階でコメントできる状況にないということを御理解いただきたいと思います。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 こういう数字は一体どこから出て——何もないことを書いているはずがないと思うのです。どうも私、国会議員として勉強不足なせいか、ほとんどマスコミを通じていろんなことが入ってくる。われわれの中でまだわからぬことまでこうした形で出てくる。これはどこかからやはり資料をとっているんじゃないですか。そうでないと、こんなにはっきり金額まで入って「「一%枠」は玉虫色」なんということが出るということは、もう固まっておるけれどもなかなか出し切れぬのかなと思って私は勝手に想像しているのですが、これはいいです、まだそうじゃないと言うのですから。  そこで、前国会でも議論されました千海里シーレーン防衛はアメリカに公約したとかしないとか、日本の考え方を述べたとかという議論がずいぶんにぎやかにされたわけでありますが、どうなんですか。千海里シーレーン防衛はアメリカに約束したのかどうかということと、憲法上あるいは能力の問題から言って、どの程度できると考えておられますか。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○伊藤国務大臣 御指摘の点につきましては、防衛庁はもとより、政府もこれまでたびたび申し上げているところでございますけれども、わが国は、わが国の周辺数百海里、航路帯を設ける場合はおおむね一千海里程度のわが国周辺海域におきます海上交通の安全を確保できるということを目標といたしまして、憲法を踏まえ、自衛の範囲内でその目標達成のために逐年海上防衛力の整備を行ってきているところでございます。  昨年、ワシントンのナショナルプレスクラブで鈴木総理が述べられたことも、このような従来の政府、防衛庁の考え方を説明されたものと承知をしております。また、米側もこのようなわが国の考え方を十分理解しているものと承知をしております。したがいまして、同発言というものが具体的な約束といったものではなく、わが国が従来から引き続き取り進めております防衛政策の説明であるということは、総理の文言上も明らかであるものと考えております。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 直接お話をされた総理以外は余りわからぬわけでありますが、アメリカもいまの長官のお話ですと、わが国の考え方を理解しあるいは承知しているというお話でありますが、果たしてそうかどうか。理解をしたり承知していると余り問題にならぬはずなんですが、ずいぶんとアメリカがうるさく約束を守らぬと言う。そのナショナルプレスクラブというところの発言というものはどういうものか、どの程度の重みを持つものか。しかし世界各国の記者がおって、そこで希望的に日本がこういうふうに進みたいという、そんな話まで日本語と英語でやりますから、その受け取り方、話し方では誤解を生じたのかもしれぬ。どうもえてして私ども非常にイエスとノーをはっきり言わぬ国民でありますだけに、しかもアメリカの方に行って十分検討しますなんていうことを言うと、やるということに受け取っているのだろうと思うのです。われわれの言う検討をしましょうということは、考えてみて、やるかやらぬかはそれからです、こういうふうにわれわれは受け取るわけでありますが、そういうことがアメリカに対してはっきり伝わったかどうか。ですから、水かけ論で、いや約束した、あるいはしなかった、こういう議論になっているのではないかと思うのであります。そのことはここで議論してもどうにもなることではありませんが、この千海里の航路帯を自衛隊が守るということは、いわゆる海域分担の考え方をとるもので、集団的自衛権の行使としてどうなのかということをちょっとお伺いしたいと思うのです。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 自衛隊がわが国の周辺海域の海上交通の保護を行いますのは、あくまでもわが国の防衛に必要な範囲内で行うものであります。このことは従来からるる申し上げておるところであります。  仮に日米間で公海上の海域を分担しまして、自衛隊が分担する海域を決めまして、その海域にあるわが国の船のみならず、その海域にある船は特定の他国の船も含めて全部守るんだ、また逆に、わが国が分担しない海域についてはわが国の船も守ってもらうんだ、こういうような意味での海域分担をしておるわけではございません。そういう意味での海域分担ということになりますと、これは集団自衛権との関係で非常に議論のあるところでございまして、私どもが航路帯約一千海里程度を守れるような防衛力を整備したいと言っておりますのは、防衛力整備上の目標として言っておりますけれども、海上保護のあり方につきましては、あくまでも日米共同対処でという前提のもとに海上自衛隊の具体的な防衛力を一千海里程度防衛できるようなものとして整備していきたいということをかねがね申し上げていることでございまして、決して海域分担という考え方につながっているものではないわけであります。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 この集団的自衛権のことについて、私の解釈の仕方が違っていると困りますのでちょっとお伺いしておきたいのでありますが、要するに、たとえば日本の船が攻撃されたと仮定して、これをアメリカは守ってくれる、もしアメリカの船が攻撃を受けた場合には日本はこれは守らない、こういうことに理解していいのですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 個別的自衛権及び集団的自衛権ということは一体どういうことかについてはしばしば議論のあるところでございますが、仮にわが国と密接な関係があるある国が攻撃を受けた。たとえばいまのお話ですと、そのある国の船舶が攻撃を受けた、こういう場合において、しかしわが国自身にはまだ攻撃がないのだという状態のときに、にもかかわらずその密接な関係にあるある他国に対する攻撃があたかもわが国に対する攻撃であるというふうにみなして、その他国をその国と日本の武力をもって防衛するという意味において集団的自衛権というふうに私どもは解釈しておりますが、そういう意味の集団的自衛権というのはわが国の憲法上とられるところではないということを申し上げております。したがいまして、いま御指摘のように単にある他国、いまアメリカとおっしゃいましたが、アメリカならアメリカの船が攻撃を受けた、それをわが国に対する攻撃とみなして直ちにわが国の防衛力をもってこれを保護するということはできないというふうに私どもは解釈しておるわけであります。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 そうすると、有事の際に、どこかの国が日本を攻めてきて守るための態勢をつくったが、たまたま攻撃がアメリカの船に行った、これはわが国の船を攻撃したのでないから、これには一切攻撃しない、こういうことなのですか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 いまの御指摘は有事の場合の御指摘でございますが、有事になりまして日本が侵略を受けているという場合には、御承知のようにアメリカは条約に基づきまして日本に対して支援をする義務を持っております。したがって日本に対して支援にやってまいります。そして日本の自衛隊と共同対処行動をとることになると思います。そういった事態を考えてみました場合に、たとえば日本の艦艇とアメリカの艦艇とが共同行動をとっているという場合に、その日本の艦艇あるいはアメリカの艦艇が一緒に共同行動しておるところへたとえば相手国の航空機が攻撃してきたというような場合に、これは日本の艦艇もアメリカの艦艇もその相手国の航空機に対してともに戦うと思うのです。その場合に日本の艦艇が相手方の航空機を撃ち落としたとしますと、そのことによってアメリカの部隊が助かるといいますか保護を受けるといいますか、そういう形になることはあり得るわけです。これは、要するに日本が日本の自衛のために個別自衛権の行使として防衛力を行使し、それにアメリカが応援に来て一緒に戦っているという場合の事態でございますから、そういう場合に結果的にアメリカの艦船を防護することになるということは、これは幾らもあり得ることだというふうに私どもは考えております。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 それが、千海里のシーレーン内でたとえば日本とアメリカがたまたま行動をともにしておった、攻撃されたのがアメリカの船だということになると、これはどういうふうになるのでしょうか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 有事の事態が発生して安保五条に基づく共同対処行動が始まっておる段階におきましては、そのシーレーンの千海里の防衛に当たっていま御指摘のような事態が発生した場合に、日本は当然相手国の潜水艦なり航空機なりに対処いたします。そのことによってアメリカの艦船が助かるということは、それは幾らもあり得るということでございまして、その五条の発動の前にそういう事態が起こってもこれはできません。つまり、アメリカの日本に対する支援の義務が発生をして共同対処事態が始まった後、それは千海里の先であっても共同対処ですから、日本は日本の自衛のために相手国の潜水艦なり航空機なりと対処いたしまして、その結果アメリカの艦船が保護を受けることになることは、これはあり得るというふうに思います。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 何かわかったようなわからぬようなことでありますが、日本が攻撃を受けるとアメリカは直ちに行動をとってくれるわけですね。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 日本が攻撃を受けるといいます場合は、五条によりまして日本の領土、領域、領空でないとそれは発動いたしませんから、いま私申し上げましたのは、公海上で日本が攻撃を受けてもアメリカが攻撃を受けても、お互いにその条約の義務は発生しないわけです。ですから先ほど私が申し上げたのは、日本が攻撃を受けた、つまり日本の領土、領海、領空で事態が発生して五条に基づくアメリカの義務が発生した後のケースとしては先ほどのようなことが起こるということを申し上げたわけであります。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 次に長官、ワインバーガー会談においてはシーレーン防衛について具体的にどのような要請があったでしょうか。また、このようなアメリカ側の要請があったとして、これは防衛庁の千海里シーレーン防衛構想を超えていると思いますが、この点についてはいかがでしょう。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○伊藤国務大臣 御指摘の先般のいわゆる日米防衛首脳定期協議におきまして、ワインバーガー長官、米側からシーレーンの防衛につきまして、再三御指摘の昨年の鈴木総理の訪米時のナショナルプレスクラブでの発言に関連をいたしまして、わが国周辺数百海里、航路帯を設ける場合にはおおむね一千海里程度の周辺海域において行い得るということを目標に海上防衛力の整備を進めるための努力を日本が行うということについて、一般的な期待表明はございました。その期待表明というのは、これまた再三申し求べておりますように、わが国が従来からやっております防衛力整備の方法の充実になお一層努力をしてほしいというものでございます。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 洋上防空構想のことなんですが、アメリカ国防当局が日本に大変期待をしている先ほど来の千海里シーレーンの防衛の一環としての洋上防空構想に対して、日本の防衛政策の基本方針にそぐわないほか、世界の軍事的実情から見ても洋上防空は現実的でないとの見解を明らかにしているということでありますが、この洋上防空構想に対して防衛庁の見解をお伺いしたいと思うのであります。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 いわゆる洋上防空、つまり一千海里程度のシーレーンの防衛を考えます場合の防空のことでございますけれども、まず基本的に、航空自衛隊のエアカバーのできる範囲、これは本土の各基地、現在航空自衛隊の各基地からの距離はおのずから限度がございますが、少なくともその限度の範囲内であれば航空自衛隊がエアカバーをいたします、これがまず申し上げられます。  それから先、さらにシーレーン防衛に当たっての洋上防空については現在どういうことを考えているかと言われますと、わが国の艦艇の対空装備を逐次整備を図っておる、たとえばミサイルでありますとかあるいは各種の機関砲等でありますとか、そういったことの整備を図っておるということによって対処していきたいというのが私どもの基本的な考え方であります。  ただ、その前提に申し上げておきたいのは、先ほど来申し上げておりますように、あくまでもシーレーンの防衛は日米共同対処ということでございまして、その自衛隊の機能の及ばないところは米軍が支援するというたてまえになっておりまして、そういう前提の中で自衛隊としていかに対処するかと言えば、いま申し上げたような対処の仕方を考えておる、こういうことでございます。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 硫黄島のことなんですが、将来、シーレーン防衛のための作戦基地といいますか、そういうことのために整備をするということをお考えでしょうか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 硫黄島につきましては、御承知のように、現在海上自衛隊の一部部隊がおりましてあそこにある飛行場の管理等を行っておりますが、現在、これを海上自衛隊と航空自衛隊の訓練基地として整備を図っていきたいということで、逐次整備を進めております。  ただ、作戦基地としてこれを整備するつもりかというお尋ねでございますけれども、私どもはそういう考えは現在持っておりません。訓練基地としての整備を図っておるというところでございます。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 長官にお伺いをいたしますけれども、このシーレーン防衛に関する総合安保閣僚会議において長官はいろいろな御発言をされたようでありますが、そのことをちょっとお伺いしたいと思います。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○伊藤国務大臣 五月二十日、総合安保関係閣僚会議が開かれまして、そのときは、資源エネルギー、食糧等の必要な物資の多くを海外に依存しておりますわが国の繁栄と存立にとって必要な施策について、総合的な安全保障の見地からの意見交換が行われたわけでございますけれども、その際私も、海上交通保護について発言をいたしました。  その概要は、再三申し上げておりますけれども、有事においてわが国の海上交通の安全を確保するため、わが国から数百海里、航路帯を設ける場合はおおむね一千海里程度のわが国周辺海域において海上交通の安全を確保することができることを目標として逐年海上防衛力の整備を行ってきているところであり、また、この周辺海域を超える部分については一般的にアメリカ側に依存をすることとしているという、海上交通保護についての従来からの防衛庁の基本的な考え方を御説明をいたしました。とともに、有事において船団の編成や航行ルートの指定などを円滑に実施するための体制や所要輸送量、輸送手段の確保などについても、政府として総合的な観点から検討をする必要があるのではないかというような意見も申し述べたものでございます。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 この周辺海域を超える部分というのは、具体的に申し上げますと、たとえばペルシャ湾航行の日本のタンカーがどこかの国に攻撃を受けた、これはアメリカにお願いしたい、こういうことなんですね。そう理解してよろしいでしょうか。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○伊藤国務大臣 アメリカ側にお願いをするという従来からの基本方針でございます。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 これは繰り返しになるわけでありますが、何かがあるとアメリカにお願いをしなければいかぬという立場で議論をしてまいりますと、防衛ただ乗り論だとかいろいろな話が出てくるわけです。そういったことを理解させることができるのでしょうか。何かあるとアメリカに守ってください。守ったアメリカの兵隊は戦死するかもしれぬ。そのアメリカ側から日本を見ると、金を持っていながら、寄附をしてくださいと言うとそれ相当の寄附はいやだと言う。お金のないところがたくさんの寄附をしているというのと一緒なんですね。これは国際的な交際費ですよ、お互いの国の。われわれ町内でも同じでありますが、金を持った人がやはりたくさん出すというのは常識なんですよ。金は持っているけれども、寄附帳を持ってくるとみみっちい寄附しか出さぬ、それで、何かあったら守ってくださいよ、日本は、遠過ぎてこれには一切関知しません、こういう議論というものが通るのですかね。そういうことはどうなんですか。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○伊藤国務大臣 そういう非難めいた御意見のあることも承知をしておりますけれども、われわれはいまのところは、われわれの超える部分においてはアメリカ側にぜひお願いをする。そのためにはわれわれとしては、「防衛計画の大綱」に定められた、みずからの国はみずからで守れるという必要最小限度の防衛力整備の目標は一日も早く達成をしてその実を上げたい、上げなければならないというふうに決意をしております。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 ことしの夏に予定されているハワイでの安保事務レベル協議においてどういったことが予想されるかということと、塩田局長は、協議ではアメリカの言い分を聞いてくる、こういうお話でありますが、いま私が申し上げたようなことを、ある程度きちっとしたものを持っていかぬと、イエス、ノーをはっきりする国でありますから、なかなか日本の考え方というものは理解できないだろうと私は思うのです。このことについてどういう対応策を持って行かれるのか、その辺のところをちょっとお伺いします。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 次回のハワイにおきます安保事務レベル協議につきましては、いまのところ八月の終わりということをめどにいま日程の調整等を行っておりますけれども、まだ具体的な議題といったようなところまで調整に入っておりません。おりませんが、いずれにしましても、もともとこれは、しばしば申し上げておりますように、日米双方の関係者のフリーディスカッションということが会議そのもののねらいでございますから、御指摘のように、お互いに何らかの議題を決めて結論を出し合うという性格のものではないわけであります。しかし、そこでそれではどういうことが議論をされるのかということにつきまして、議題ではございませんけれども一応議題めいたものはあらかじめ調整をしていくことになると思いますが、現在まだそこまで至っておりません。先ほど来お話のありましたようなシーレーンの問題でありますとか、特にその中での洋上防空の問題等につきまして恐らく話題になるであろうということは私、申し上げたことがございますが、そういう話題といいますか議題といいますか、固まっておるわけではございません。  いずれにしましても、フリーディスカッションということで、わが方の答えをそこできちんと出すというわけではございませんが、御指摘のようにそういったいろいろな問題、私どもも会議に臨みます以上は十分勉強して臨むべきであるということは当然でございますが、会議の性格自体はそういうものであるということはひとつ御理解を賜りたいと思います。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 そこで、リムパックのことなんですが、このリムパックは集団的自衛権に触れるという議論がたびたびなされるわけであります。これはいかがでしょうか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 リムパックの演習は今回二回目をやったわけでございますが、第一回のとき以来、集団的自衛権の行使に当たるのではないか、あるいは集団的自衛権の行使のための演習ではないのかという御議論がしばしばございました。その点につきましては、最初に私どもがリムパックに参加いたしますときにアメリカ側と十分詰めまして、特定の国を共同で防衛ということを前提にした訓練ではなくて、いわゆる戦術技量の向上ということをねらった、それも個艦訓練でなくて、ああいう場合でございますからいわゆる艦隊レベルでの訓練ではございますけれども、そういった戦術技量の向上ということをねらいまして米側と十分調整の上、日本の艦艇はアメリカの艦艇と行動をともにするということも調整いたしました上で参加したものでございまして、私ども、前回につきましても今回につきましても、その枠の中で厳密に実施しておるところでございます。そういう意味で、集団的自衛権の行使あるいは行使のための訓練というものには当たらないというふうに考えております。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 自衛隊の国連平和維持機構への参加についてはどのように考えておりますか。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○伊藤国務大臣 国連の平和維持機構へあるいは活動への自衛隊の参加につきましては、現行自衛隊法によりますと、その参加の目的なり任務が武力行使を伴わない場合であっても、現行自衛隊法では自衛隊にそのような任務を与えられておりませんので、これに参加することはできないのでございます。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 自民党においてスパイ防止法の提案準備作業が進められておるようでありますが、防衛庁としてこの問題についてはどうお考えでしょうか。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○伊藤国務大臣 自民党におきましてスパイ防止法の検討作業が精力的に進められ、行われておりますことは承知をしておりますけれども、現段階においてはまだ党内の議論なり検討の過程にあるものでございまして、防衛庁として今時点におきまして意見を申し上げるようなタイミングではないものと考えております。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 これは防衛庁の問題なんですね。これは必要なのか必要でないのか。何か周りで決めていただけばというのではなくて、防衛庁として、この種のスパイ行為が行われることによって有事の際には大量の殺戮がなされる、こういうことになると大変なことだと思うのですね。防衛庁としてこの種の法案はないと困るのか、なくていいのか、その辺は一体どうなんでしょうか。

伊藤宗一郎自由民主党防衛庁長官

○伊藤国務大臣 防衛上の秘密の保護は、もとより万全を期すべきであります。また、法制面においても必要かつ十分な体制となっていることが望ましいことは申し上げるまでもございません。  ただ、秘密保護の基本はあくまで部内における保全措置の徹底にあることもまた事実でございまして、防衛庁としてはまずこの点で、部内における保全措置の徹底につきまして万全の上にも万全を図っていくことが筋であると考えております。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 この種の法案を持っていない国というのはどのぐらいあるのでしょうか。これはちょっとわかりますか。

塩田章防衛庁防衛局長

○塩田政府委員 ちょっといま統計的に調べたものはございませんのでわかりませんけれども、世界各国のいわゆる主要国につきましては全部あるのではなかろうかと思います。

田名部匡省自由民主党

○田名部委員 まだお伺いしたいことがたくさんありますけれども、もうそろそろ終わりたいと思うのでありますが、私は自衛隊のいまの考え方、そうしたものをもう少しやはり毅然とした態度で、国を守る自衛官が国を守る誇りというものを持っていただきたいし、国民もまたそういう目で見てほしいものだ。有事になったら、妻や子供ももちろんでありますが、国家のために敢然と敵を排除する崇高な任務を持っているわけです。  私は、かつて東西ベルリンに行く機会がありました。たまたま西ベルリンから東ベルリンに入ったわけでありますけれども、あそこには、行った方もあるわけでありますから御承知のとおり、たくさんの写真が張ってありました。東ベルリンから西ベルリンに逃亡した人たちがあそこでつかまって殺されたという場面の写真であります。私は、東ベルリンに入ったときに、もし私がそういう立場にあったら命がけで逃げれるだろうかということをふっと考えてみたのです。残念ながら、意気地がないのか、私は命を捨ててまで西には自分なら行けぬだろうな、こういう気持ちになったのです。しかし、あえて殺されるのを覚悟で、車の下にはいつくばったり、トンネルを掘って西側に来た人たちのことをそこで思ったときに、この人たちは命をかけてやはり自由というものを求めて、そして東から西へ来たんだなということを見たときに、自由のとうとさ、平和のありがたさというものを私は非常に強く感じたのです。  私は、一九五七年に初めて中国へ行き、ソ連へ行きました。それ以来、チェコ、ユーゴ、ルーマニア、共産圏の国は毎年のように行きました。行くたびに思ったことは、日本に生まれてよかったなということであります。自由というものはこんなにありがたいものか、平和というものはこんなにありがたいものか、ああいう国にしてはならぬ、こんなつもりで帰ってきたのです。(「だから戦争をしてはいかぬのだ」と呼ぶ者あり)私どもは戦争を賛成しているわけではない。戦争はない方がいいし、するべきではないと思うのです。しかし、こちらの都合だけではいかぬ場合もあるわけでありますから、この現状では、軍事バランスが崩れるとどういうことになるか、皆さん方よく承知のはずであります。  私はそんな考え方で帰ってまいりまして、いつもそのことを感じております。そのための任務を遂行する自衛隊の皆さんが非常に苦しんでおられる、法案も数回の国会を経ないと通らぬ、そのことがまた世界に問われるということになるわけであります。世界の国々と仲よくしながら生きていかなければならぬ日本がこういうことをやっておっては、なかなか信頼を回復するというのは容易ではないだろうと思うのです。それもこれも、自衛隊の幹部の皆さん方の姿勢、こういうものがやはりきちっとしておりませんと、なかなか国民に理解もされない。ああ戦争はないだろうという考え方が蔓延して、その中で何も自衛隊にそんなに金をかけなくてもという考え方を持っている人たちもおるのではないだろうか。そんな考え方を持たせないように、しっかりとした姿勢でこれからの防衛のために大いにがんばっていただきたい。  以上申し上げて、質問を終わります。

石井一自由民主党

○石井委員長 次回は、来る八日木曜日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十三分散会      ————◇—————

国会会議録検索システムで原文を見る ↗