内閣委員会 第5号
- 発言数
- 312 件
- 登壇者
- 27 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1982/03/23
会議録
○石井委員長 これより会議を開きます。 労働省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川本敏美君。
○川本委員 私は、労働大臣を初め労働省の関係の皆さんに、労働問題一般についてきょうは質問をいたしたいと思うわけです。 まず最初に、初村労働大臣、まことに失礼ですけれども、ことしの二月二十三日の朝日新聞に「労働省の毎月勤労統計調査結果が、昨年十一月末の内閣改造で初村労相となって以来、閣議報告事項から外され、労働側から「労働省が自民党、財界の圧力に屈したのでは……」との声があがっている。」こういう記事が載っておったわけなんです。初村労働大臣が就任した途端に、毎勤統計が今度は閣議で報告されなくなった。これは労働省が大分地盤沈下したことになるわけですから、これはほうっておけないと思うわけです。大臣、これはどういうわけですか。
○初村国務大臣 いまお話がありましたような実情につきまして、前大臣の発言というものは、昭和五十五年の二月以降、実質賃金が前年同月を下回る月が数カ月続いたために、この事実を物価安定の必要性から閣議で述べたものと聞いておるわけであります。昭和五十六年四月以降実質賃金はプラスに転じております。この件について、最近労働大臣が発言をしておらぬじゃないかというようなお話がありますが、今後再び同様な事態が生じた場合には、私は積極的に発言をしていく所存でございますので、労働関係に私が下向きということは絶対ありませんから、御了承を賜りたいと思います。
○川本委員 藤尾労働大臣はこの新聞記事の中でも「昨年度は、実質賃金の伸びが統計史上初めてマイナス(一・一%減)を記録、藤尾労相が春闘前の閣議でこのことを根拠に、大幅賃上げの必要性を訴えた。」こういうことが記事として書かれているわけです。 御承知のように、ぼつぼつ八二年の国民春闘が始まろうといたしておるわけですけれども、昨年十一月、十二月、GNPではマイナス成長ですね。そして、その間不安定雇用労働者というものがだんだんと増加をしてきて、失業者の数も余り減っていない。こういう情勢を見たときに、不況を克服する、内需の拡大をする、景気のてこ入れ、こういうような観点から思い切って大幅賃上げや一兆円の減税が必要じゃないか、こういうことが最近いろいろ言われておるわけです。河本経企庁長官なんかはその先頭に立って言ってこられた方ですけれども、特に最近一兆円減税の中でやかましく言われましたのは、五十二年以来物価調整減税が行われていない。物価調整減税が行われていないために、最近の実情では、賃金が一%上がったら税金の方が二・五倍も上がる、こういうようなことも言われているわけです。 サラリーマン勤労者の家計の実情はどうかといいますと、総評や中立労連などでつくっているいわゆる国民春闘共闘会議が、昨年十月に首都圏の組合員三百五十世帯に対してアンケート調査を行った。その結果、実収入は平均二十九万七千円、夫が残業をふやして妻がパートや内職で補って得た収入が二十九万七千円ですけれども、それで前年よりふえた収入は大体五%程度。これに対して税金や社会保険料などの非消費支出は約四万二千円で、一三%の増です。七年前に比べると実収入は六・一%しか伸びていないのに、非消費支出はその二倍半もふえておるわけです。いわゆる可処分所得というものが、物価上昇率を割り引くと実質〇・三%マイナス、こういう結果が出ていることはすでに多くの人々が指摘しているわけです。生活費に充てられる消費支出は当然低下をして、実質〇・一%減という三年連続のマイナスに陥っておる。こういう情勢の中でいま八二年国民春闘が闘われようといたしておるわけです。労働省としても、こういう情勢の中で、八二年国民春闘に対して私は労働大臣から一言あってしかるべきだと思う。 いわゆる税金はクロヨンとかトウゴウサンとか言われておるように、サラリーマンにとっては大変重い重税感をいま持っておるわけです。この一兆円減税の問題については、この間予算委員会で最終的には玉虫色の解決とか言われていますけれども、一つは、いわゆるサラリーマン勤労者、労働者の立場から見た場合に、減税というのは五十八年からじゃなしに五十七年からこれはぜひやってもらいたい、そういう切実な要求を労働大臣はどう思われるか。 あるいは可処分所得が減っている、こういう状態を考えた場合に、ことしの賃上げというものはもうすでに六%とか七%とかいろいろ世間ではうわさされていますけれども、労働大臣としては賃上げに対してもどのような考え方を持っておられるのか、まず冒頭、大臣からお聞きいたしておきたいと思います。
○初村国務大臣 いまのいろいろな統計から、勤労者が非常に重税感を担っておるというお話がありました。五十三年以降課税最低限が長期的に据え置かれておるために勤労者の税負担が高まっておって、最近の調査では、先生お話しのように、八〇%以上の人が負担感を感じているということは承知いたしております。したがって、労働大臣としてもこの問題については深い関心を持っております。 先般の予算委員会のときもこれに関連して質問があったものですから、私としてもこういう問題を長く捨ておくことはできない、深い関心を持っておるという御答弁をしたわけでありますが、御承知のとおりに大蔵委員会で小委員会をつくって一兆円減税をする段取りをするようでありますが、私といたしましても減税のできる環境づくりに力を入れたい、こういうふうに考えております。したがって、大蔵委員会の小委員会でどういう、衆議院議長見解の形で合意されると思いますが、その合意が、結果ができますと、労働大臣としてもそのように取り組んでいきたいと考えております。 それから、減税の問題についてはいま申し上げたとおりでございますが、賃金については、なかなか労働省がことしの賃金のベースアップは何%でいいとかなんとかということの見解を述べる立場にないものですから苦しいわけであります。そこで私は、あくまでも労使間で十分な話し合いをして賃金問題の円満な解決を図ってもらいたいということを念願しておるわけであります。
○川本委員 春闘の賃上げについては労働省が介入すべき問題じゃない、労使間で決めることだと言わんばかりの言い方ですけれども、過去の八〇春闘とか八一春闘とかを振り返ってみますと、いつの場合でも政府がいわゆる介入をしておるわけです。このことはもういまさら申し上げなくても御存じのとおりです。 気持ちとして大臣、あなたの個人的な気持ちでもいいですよ、ことしはやはり景気回復のためにはちょっと物価上昇率より上回った大幅な賃上げをしてもらった方が政府としてはいいんじゃないかとか、そういう方向が望ましいんじゃないかぐらい言えるでしょう。
○初村国務大臣 なかなかむずかしい答弁になるようでございますので、気持ちを聞かれれば、気持ちは気持ちに変わりありませんから、できるだけ内需の拡大をしてもらいたい、減税もやってもらいたい、賃金もできるだけ時の情勢をながめてやってもらいたいと、気持ちはありますけれども、これを委員会において、はい、そういうふうなことに変わりありませんとか、こう言われない苦衷をひとつ察していただきたいと思います。
○川本委員 それでは話を一歩前進させまして、きょうの労働省設置法がかかっているのは、御承知のように高齢者対策部の設置、それと並んで失業対策部の廃止、こういうことが労働省設置法の改正で行われようとしておるわけです。これは、わが国は世界の歴史上かつてないような急速な速度で高齢化社会というものが進行しつつあるわけですから、その点については私ども決して高齢者対策部の設置について否定をするものではありませんけれども、高齢者対策部を設置しようという趣旨はどういう趣旨ですか。
○関(英)政府委員 先生ただいま御指摘になりましたように、わが国は世界に例のない急速なスピードで、しかも先進諸国がかつて経験したことのない高率の高齢化社会に進みつつあるわけでございまして、そのようなもとにおきまして、わが国が従来と同じように活力を持ち福祉社会を実現していくということのためには、高齢者の雇用対策というものが非常に重要になってまいります。高齢者がある一定の年齢まではわが国の経済や社会の担い手として活躍し、そしてその後は、社会保障制度との有機的な連携のもとに、円滑な職業生活からの引退が図られるように雇用対策面から的確な施策を推進していくことが必要でございます。 このような考え方のもとに、今後重要性が増大いたします高齢者の多様な就業希望に対応する対策、あるいはまた民間企業における常用雇用の場を開発していくこと、さらにはまた事実上高齢者を中心とする失業対策諸事業を適正に運営していくために、こういった高齢者雇用、就業対策を一元的、統一的に企画、実施する、そのための組織を設けよう、これが高齢者対策部設置の趣旨でございます。
○川本委員 いまお聞きしていましたら、失業対策の諸事業を適正に進めていくため、こういう言い方をされる。私は、失対部を廃止するということは、全く失対事業というものを廃止してしまおう、こういうたくらみがこの中に隠されているのじゃないかと思うわけです。高齢者対策部が設置されるということによって失対事業の中身が変わってくるようでは私はおかしいと思うわけですが、今後失業対策諸事業というのはどういうふうに考えておるんですか。
○加藤(孝)政府委員 新たに部を設置するに当たりましては、政府としては、行政改革を最重要課題として取り組んでおります現状のもとにおきまして、行政機構の増設にならないように対処する必要があるわけでございます。このために、就業者の高齢化によりまして高齢者に関する他の施策との有機的な連携が必要となってきておりますので、失業対策事業などを所掌しておりますこの失業対策部を振りかえ廃止することにしたわけのものでございまして、これは今後の高齢者対策部の重要な部門として残るわけでございます。 そういう意味におきまして、失業対策部という名称はなくなりますけれども、現在の失業対策事業に関する事務は、改正後は引き続きまして高齢者対策部の企画課及び失業対策事業課ということで対応することにいたしておるわけでございます。そういう意味で、決して失業対策事業を打ち切るというような観点からいたすものではないわけでございます。
○川本委員 従来、労働省は労働者対策というものの限界を六十五歳というところに設定して、そして法律や諸制度をつくってきたと私は思うわけです。しかし、先ほど来お話しのように、高齢化社会が急速にやってくるという状態の中で、いままでの六十五歳を限度としたいわゆる高齢者対策といいますか労働政策は、見直されなければならないのじゃないかと私は思っているわけです。 御承知のように、労働省でも定年制を六十歳にするとかいうような施策をいままで進めてこられました。六十歳の定年でやめたら今度はシルバー人材センター、シルバー人材センターは六十歳から六十五歳まで、六十五歳を超えたら今度はもう各種雇用開発給付はしない、そういうような基本施策をもって今日まで臨んできておると思うわけです。厚生省の方でも高齢者対策が行われている。老人の生きがい対策というのが行われている。労働省でやっているシルバー人材センターと、そして厚生省で行っている高齢者職業紹介事業というのがあるのですね。これは労働省の認可をとって安定所のかわりにそういう団体を市町村や都道府県につくって、そこが六十五歳以上の方々の職業の紹介をやっている。現実に、一カ月四万円から十五万円ぐらいの収入を得たり、中には常用化される、こういうことで、全国的にはかなりの成果を上げているわけです。 六十五歳以上の働ける人々の雇用政策、所得政策、こういうものについて私は本来労働省が担当すべきと思っておるわけですけれども、ところが労働省は、労働者の労働政策として六十五歳というものを一応のめどとしていままでやってきております。法制上もそうなっておる。だから、六十五歳以上の高齢者の職業の紹介や所得保障、そういう面については厚生省がやっている。私から言わせればこれは変則的ですよね。だから少なくともこういう六十五歳という労働政策の限界点をさらにアメリカやあるいは西ドイツやヨーロッパの諸国並みに、まあ西ドイツは六十五歳に引き下げましたが、そういう形ですけれども、アメリカでもいわゆる定年というものが六十五歳を超えておる、そういう世界の現実に広く目をやったときに、わが国が六十五歳で労働政策としての限界をつくっておる、この壁を七十歳ぐらいまで、あるいは七十五歳——年寄りというものはいろいろですから、老人といっても健康な人は年が七十だからといって体力は六十五歳ぐらいの人もおるわけですよ。だから、健康で働ける人は六十五歳を過ぎても、あるいは技術を持っておる方は六十五歳を過ぎても、その人の体力で働ける、技術で働ける間はこれを労働政策の中に取り入れて法制化して、六十五歳以上でも雇用保険の各種開発給付金も支給される、そしてまた失業給付ももらえる、社会保険にも入れる、このような体制をつくっていかなければいけないと私は思うわけです。その点について労働省はどう考えていますか。
○関(英)政府委員 確かに先生の御指摘のように、労働省は労働者の職業安定を図ることを目的としているわけでございまして、このため失業を予防したりあるいは離職者に対する失業給付をしたりあるいは求職者に対する職業紹介をするといったことは年齢に制限を設けておりませんし、今後高齢化社会が本格化するにつれて、ますます年齢に制限を設けずにそういうことをやっていかなければならないというふうに思っております。 ただ、先生御指摘ありましたように、雇用に関して公的な負担で特に手厚い援護措置を講ずるという年齢については、六十五歳ということで制限を設けております。これは就業の実態なりあるいは社会保障政策との関連を考慮してこういった制限を設けておるわけでございます。六十五歳以上でも元気で働くことを希望される方に対しましては、現在でもやっておりますが、今後ともますます重点を置いて職業紹介、私どもそういったお世話に努めていくつもりでございます。 厚生省の方の無料の職業紹介事業を許可いたしておりますけれども、これは社会保障施策を行っていく上で、いろいろ相談する過程で職業の問題もあるいは出てくる場合もある。そういうときに一々それは安定所の方に行きなさいと言うことはかえって御本人に迷惑もかける。そういう意味で厚生省のそういった相談機関のところで職業紹介事業をやることも認めておりますが、これは決して公共職業安定所が手を抜くという意味でやっているわけではございません。そういう意味で今後とも力を入れていきたいと思っております。
○川本委員 私は、その点については労働省の考え方は一方的だと思うわけです。この間も私の近くで、満六十五歳で会社をやめた人が雇用保険の失業給付をもらいに安定所へ行ったら、やはりあなたは収入が何ぼあるどういう仕事なら仕事しますかということで求職票に書き込んで、あそこにいいところがあるから一遍行ってきたらどうだとかいうような紹介をされたそうです。私のところへ来て、六十五歳過ぎても職業紹介されたら行かないきませんのかと言うから、それやったら安定所へ行って就職した場合もう一回雇用保険に入れてもらえるのかどうか聞いてこいと言った。後は雇用保険に入っても各種給付金はもらえないということになれば、六十五歳になれば一年間ぐらい失業給付があるわけでしょう。それを短期間で打ち切らして、そして失業給付の期間を短うするだけ、後は野となれ山となれ、今度は雇用保険に入っても各種給付金はやらぬぞ、それじゃ全く一方的だと私は思うわけです。少なくともそういう点で、私は、今後の高齢化社会に備えて、六十五歳以上であっても雇用保険制度の中に取り入れて各種給付金ももらえるような法的措置を講じなければいけないのではないか、この点を強く申し上げておきたいと思うわけです。 次に、シルバー人材センターの問題についてですが、いま労働省の許可をいただいて私の地元の奈良市でも昨年来シルバー人材センターをやっておる。聞きますと、その仕事の内容は、厚生省のやっておる老人の生きがい対策と中身は全く同じことをやっておるのですよ。そういうものだから、市役所の中へ行きますと、民生部の方とシルバー人材センターの担当の方との間にお互いに遠慮があって、シルバー人材センターの方は、六十五歳以下の人はシルバー人材センターでめんどうを見ます、六十五歳以上になったら民生部の方の老人の生きがい対策の方に行ってください、こういう壁をお互いに設けてしまう。これは現場の状態ですけれども、これじゃおかしいのじゃないかと私は思うわけです。これも全く同じことをしておるのだからやはり一本化していくべきだと思いますし、特に地元で話を聞きますと、民間だけの仕事ではなかなか限界がある。ところが政府、労働省は、シルバー人材センターの仕事については官公庁は余り仕事を出すなというような指導をしておる。官公庁のそういうシルバー人材センターにふさわしいような仕事があっても余り頼まない。私どもの奈良県庁ではたった一人をシルバー人材センターから雇い入れてもろうておるというだけで、県庁でたくさんの仕事があっても現実になかなかシルバー人材センターに仕事が回ってこない。 だからそういうことを考えた場合に、シルバー人材センターをさらに充実強化をしていかなければ、いわゆる就職率といいますか、一カ月のシルバー人材センターでの働いておる率が大体二七%から三〇%程度だったら全国的にもいい方ですよね。そういうことを考えた場合に、もう少し働きたいという人々がせめて半分は働けるようにするためには、民間での仕事の開拓と同時に、官公庁でもそういう短期間の突発的な事務的なことでもシルバー人材センターに発注をしてもらう、協力をしてもらう、そのような努力をするべきではないか。厚生省の生きがい対策とはできるだけ一本化して、六十歳以上であれば、六十七歳でも七十歳でもどこへでも行けるような形のものをつくっていく努力というものが必要じゃないかと思うのですけれども、その点について労働省の考え方を聞きたい。
○加藤(孝)政府委員 御指摘ございましたように、シルバー人材センターにつきましては原則として六十歳から六十五歳、そしてそれ以上の年齢の方でも健康で働きたいという方は年齢の上限はございません、こういう運営をいたしております。一方また、厚生省の生きがい対策のための事業につきましては一応六十五歳以上、こういうような形でやっておることは事実でございますが、実際の運用といたしましては、いわゆる相互乗り入れと申しますかそこに年齢の大きな壁をつくらないで、それぞれ希望する方に年齢については壁を設けないで相互乗り入れをするというような形での運用をしておるつもりでございますが、現地レベルでそういう運用面でいろいろ壁があるというふうな点につきましては、私ども十分指導しなければならぬと思いますし、また、そういった点についても厚生省ともよく相談しなければならぬと思っております。 ただ、一応シルバー人材センターあるいは厚生省の生きがい対策の事業につきましては、それぞれ目的なり運営主体とか、そういったものをいろいろ異にしております。ことに今後の高齢化社会を迎えて打ついろいろな対策の一つとしていわばいろいろな試みを行っておる段階でございますので、それぞれの目的に沿った事業についていましばらくそれぞれの試みの今後の進みぐあいを見ながら検討していきたいということで、いますぐドッキングするということではなくて、いましばらくそういったものについての運営の実態を見守らせていただきたいと思うわけでございます。 また、官公庁からの仕事でございますが、これは私ども、官公庁は仕事を出すなということを言っておるわけではございません。ただ、官公庁の仕事にまるっきりおんぶした形の運営にならないようにということでの指導はいたしておりまして、できるだけシルバー人材センターが高齢者の自主的な団体として仕事自身も事業所とか家庭からもらうようにいろいろ努力する、そういうような中で官公庁でも仕事があればもちろん出していただくのは結構でございます。ただ、官公庁に全くおんぶするというような形にならないようにということを私ども懸念いたしておりまして、その辺はシルバーもできるだけがんばってくれというふうに言っておるということでございまして、その辺については御理解を賜りたいと思うわけでございます。
○川本委員 私は、きょうは時間の関係もあるから、厚生省の生きがい対策やそういう老人対策を担当しているところを呼ばなかったわけですが、これは私が申し上げなくても、労働省は厚生省が老人の生きがい対策でどういう事業をやっておるのかということは御承知だと思いますし、連絡機関も設置されていると思う。私は、その辺の調整を早急に進める中で高齢者の労働政策というものを一本化していく努力というものを怠ってはならぬ、このように思います。それと同時に、シルバー人材センターをより拡充強化をしていく、十万都市から、さらに五万都市でもできるところがあれば下げていく、こういうようなことをひとつ強く要求しておきたいと思うわけです。 次に、失対事業についてですけれども、失対事業は、一昨年の十二月の調査研究会の報告に基づいて、六十五歳を限界とする、いわゆる労働政策の限界が六十五歳だということから発想して、向こう五年間ぐらいでこの失対事業をやめていこう、こういうような趣旨に基づいて調査研究会報告が出され、それに基づいていま労働省は動いているわけです。そして昨年の七月から九月の間、特例措置を講じて、失対事業に従事する人たちの高齢者の退職勧奨を行ったことは御承知のとおりです。 戦後あの混乱した日本、荒廃した経済情勢のもとで失業対策事業というものが果たしてきた役割り、これはやはりそれなりに評価をされなければいけないし、この緊急失対事業によってようやく職場を得て一家の生活を支えてきたこの方々が、もう三十年以上も経過するわけですからそれなりに高齢者になっておることは御承知のとおりであります。あと五年程度で六十五歳定年制を失対事業にも実施して、六十五歳以上の人はやめてもらおう、こういうような計画を労働省は持っておると言われるわけですけれども、その点については労働省はどう考えておりますか。
○加藤(孝)政府委員 先生御承知のように、一昨年の失対制度調査研究報告におきまして、五年程度の経過期間を置いて六十五歳未満の者にしていく、こういう基本的な考え方が述べられておるところでございまして、その具体的な実施の時期につきましては、今後の経過期間内におけるいろいろな情勢を見きわめましてその辺については判断をする、こういう考え方で対処しておるところでございます。 いずれにいたしましても、失対事業につきましてのいろいろな問題点をこの研究報告の趣旨に沿いまして改善していく、労働政策の事業として適正なものに改善していくという努力をこのところ続けていかなければならぬ、こんなふうに考えておるところでございます。
○川本委員 昨年七月から九月までの間のあの特例措置の中で労働省は、これは就職支度金でもない退職金でもない、いわゆる特例援助金という名前で、退職勧奨として、この期間に失対事業をやめた方には百万円出しますよということで勧奨されましたね。それでどのぐらいの人がやめたのですか。
○加藤(孝)政府委員 国の百万円の特例措置でやめられました方が一万五千名程度でございます。
○川本委員 現在、何名おるのですか。
○加藤(孝)政府委員 現在、失対就労者で残っておられます方が約七万五千名弱でございます。
○川本委員 三十年も働いてこられた。特に戦後の一時期この人たちはニコヨンと呼ばれておったわけですね。ニコヨンといって全国的に有名になったこの失対事業の労働者の方々は、大変御苦労だったと私は思うわけです。三十年も働いていまどき百万円というような退職金ありますか。特例援助金という名前、それは皆さんが勝手につけた名前ですよね。制度としては就職支度金しかない。退職金は払えない。就職支度金は次にもう一回働くという人でなきゃ出せないのです。だから特例援助金というような名前をつけられたと私は思うわけです。これは頭のいい労働省や大蔵省の方が御相談してつけられた名前だと思います。 しかし、私はもうここで割り切らなければいかぬと思うわけです。就職支度金から退職金の制度に変えられたらどうか。六十五歳以上の失業対策事業の労働者がおるわけですから、その人たちに就職したら毎回就職支度金を渡しますというのですか。これじゃおかしい。だから私は、思い切ってこれらの方々には就職支度金という制度を退職金という制度に変更すべきだと思うわけです。そうしたらいままでの失業という問題を就職というように認めることになるので大変だと労働省はお考えですけれども、もう新しい失対事業に労働者が参入できるような制度は中高年法の附則二条によってなくなっているわけですから、だからそういうことは度外視をして、七十歳を過ぎた人に就職支度金を渡すのもおかしいでしょう、この際思い切ってこれは退職金というように変えるべきだと私は思うわけです。 昨年は百万円という特例援助措置が講ぜられましたけれども、現実には三百万円以上市町村が負担して退職勧奨した市町村もありますよね。御存じだと思うわけです。百万円がいいのか三百万円がいいのか四百万円がいいのかということは別として、研究会報告の中でも、高齢者が自立、引退がしやすくなるような環境づくりをすべきだということが指摘されている。少なくとも研究会報告の中で言う自立、引退がしやすくなるような措置というこの中には、やはり退職金の制度とか退職金の増額とかあるいは引退後の生活、福祉等の相談体制の整備とか、こういうことが私は指摘されているんじゃないかと思うわけです。 行財政改革で政府、大蔵省は渋いかもしれませんけれども、これは初村労働大臣、先ほど最初に指摘したように、労働省がいま政府部内で地盤が沈下しておるんじゃない、こういうことをおっしやるのなら、私は、この高齢者が自立、引退をするときの退職金をこの前の特例援助期間中にやめた者だけに百万円出すというのじゃなしに、これから体の都合とかいろいろなことでやめたいという人が出た都度に、もっとこれを百万円よりも二百万円ぐらいには少なくとも上げて、地方自治体が負担をしなくてもいいようにして、そうして自立、引退がしやすくなるような環境づくりをしなければいけないと思うわけですが、労働大臣どう思われますか。
○初村国務大臣 いまお話がありましたとおりに、特例援助措置というものが、研究会報告によって指摘されたように高齢就職者の早期の自立、引退、それから生活体系を急激に変更するという事情を考えて一回限りでやったわけでございますので、これをさらに前向きで上積みして検討したらどうかというような御趣旨でありますけれども、なかなか現在の財政事情からむずかしいようでありますけれども、環境づくりには私どももできるだけ努力していきたい、こういうことで御了承を賜りたいと思います。
○川本委員 ひとつ前向きで検討して、努力いただくように要望しておきたいと思うわけです。 さらに、その後昨年十二月九日に労働省は職発第六百四号という局長通達なり業発第五十一号という課長の内翰ですか、こういうものを都道府県知事あてとかに出しておられるわけです。その中身を見ますと、これまた大変なことが書かれているわけです。 その中でどういうことを労働省は考えているかといいますと、これは私が申し上げるまでもないと思いますけれども、いろいろな内容を含んでいるわけです。その中に出てきておりますことは、強制留保の問題が書かれております。一定のこういう条件、一項目から七項目まで列記をして、そうしてこの条件に当てはまる者は今度職業紹介をしない、いわゆる失対事業で働く紹介をしないようにというようなことが書かれている。これは言いかえれば、七十歳以上で、そうして体の弱い人々を失対事業から締め出していこう、こういうような意図を露骨に示しておるものだと思うわけです。さらにもう一つは、七十歳以上の方、乙事業就労者を今度は甲事業の就労に強制しよう、あるいはそういう運営改善計画の中で労働時間を延長したり、雨天就労の中身の条件を悪くしたり、あるいは作業管理などをいろいろ指摘しているわけです。私はこれはもう一番弱い者いじめの最たるものだと思うわけです。失対事業でしか働く職場のない人をどうしても働けないような状態に追い込むためには、事業場の変更を命じたり、あるいはもうあなたは体が弱いからきょうは職業の紹介はしませんよ、失対事業への就労は認めませんよ、一方的に労働省が自分たちの決めた基準で締め出していこうとしておるわけです。 私は、このような問題については少なくともまず対象の労働者でつくっておる労働組合、いろいろな労働組合があると思うのですけれども、その労働組合との間に協定をして、そうして納得ずくでこれを実行しなければ、一方的に強制的にこれを行うというのは行き過ぎではないか、このように思うわけです。この点について、この通達の実施について労働省はどう考えていますか。
○加藤(孝)政府委員 失対事業を労働政策としての事業として今後適正に維持運営されるものにしていこう、また地域社会に役立つ事業に改善をしていこうということで、現在いろんな改善措置を進めておるわけでございますが、その一つといたしまして、紹介対象者が当面疾病、病弱または高齢などによりまして体力が著しく衰えている、そして正常に就労する能力を欠いておる、こういうような方につきましては、失対事業への紹介を停止する旨の通達を昨年十二月に出したわけでございます。 こうした極端に老化現象の著しい人などを失対事業に就労させることは、失対事業の本旨からも問題があるばかりではなく、現場におきます作業管理にもいろいろ支障を生じておる、また安全管理の上からもいろいろ災害があるというようなことで、問題があるわけでございます。したがいまして、こういった方々につきましては当面失対事業の紹介を停止して、もし体力等が回復して正常に就労し得る方は再び失対事業に紹介することにしようということでとった措置でございます。 基本的には、これは失対事業を今後本当に地域社会に役立つ事業に改善していこう、こういう基本的な考え方に沿ってやっておるものでございまして、こういう紹介停止の運用に当たりましては、もちろん先生御指摘のように、現場での無用の混乱を避けるための配慮をしなければならぬところでございます。このため、著しく体力等が衰えている方というのはどういう事例かというようなことにつきまして具体事例を示しまして、必要によりましては就労団体とも十分よく話し合いをしながら適切な対応をするように指導をいたしておるところでございます。
○川本委員 それと同時に、体力が衰えておって、そして就労者団体とも協議をして、あの人はもうやめてもらわにゃしようがない、紹介はできない、これは客観的にも就労者団体も第三者の人も認める、そういうような人については、もし私はやめますというのなら、特例援助金と同じような措置を講じていくべきではないか、それが当然ではないか。ところが労働省は、特例援助措置の期間を外れた者にはもう一切めんどうを見ませんよ、これでは調査研究会の報告の趣旨とも違ってくると思いますので、そういう弱い失対事業の労働者を一方的に締めつけるようなやり方というものをこの際変えてもらわなければいけない。これも強く要求しておきたいと思います。 それからもう一つは、今度は市町村、事業主体ですね、事業主体が従来単独措置でもって就職支度金を出したりあるいは夏期、年末等の手当を出しておる。ことしも聞きますと、五十七年度の予算要求の段階では労働省、政府がいままで出しておった就職支度金六万円、これを倍の十二万円にふやそうという要求をされましたけれども、最終的にはこれは六万円で落ちついた。これは、国の方が六万円が十二万円になれば、地方は、仮にいままで五十万円出しておったところだったら、七十万円にふやすとか八十万円にふやしたいというような意向を持っておった市町村までもが、国が六万円で据え置きでは自分のところの事業主体も市町村の議会に諮る場合に同意が得られにくいということで、そのまま据え置きになっておる。これでは私は、一方的に通達を出して強制留保にするということだけで片づく問題ではないと思うわけです。なぜ六万円が十二万円にできなかったのか。あるいは、地方に対する抑制をしないように、市町村、事業主体がもっと進んで、強制留保になるような人、病弱者がやめたいと言ったら、自立、引退を促進するような環境づくりに協力してもらえるような体制をつくるべきだと私は思うわけですが、その点について再度お答えをいただきたい。
○加藤(孝)政府委員 一昨年の十二月に出されました失業対策制度調査研究報告におきましても、就職支度金制度につきましての内容の充実が指摘されておるところでございますので、労働省といたしましてもこの金額の増額等につきましての予算要求をしたわけでございますが、残念ながら五十七年度につきましては、財政当局と十分合意を見るに至らず、据え置きになったということでございます。 今後、いろいろな御指摘の面も含めまして、就職あるいは自立に有効に機能し得るかどうか、また、今後のそういう高齢者の自立、引退というようなことも見守りながら、この制度の改善につきましては研究をし、金額の引き上げ問題も含めましてぜひ検討をしていきたい、こう考えておるところでございます。
○川本委員 予算編成のゼロシーリングとか行財政改革とかいうのは、生産性の向上とか経済成長とか、失業者を少なくするということを無視して行われてはいけないと思うのです。そういう情勢を財政当局が理解したならば、労働省に対する予算の増額とか、そういう施策に対する理解というのはしてもらわなければいかぬ。それをようしてもらわぬようだったら、これは労働大臣以下労働省の努力不足だと言われても仕方がない。済んだことは言いませんけれども、これから、幾ら財政再建が優先だと言われても、失業者を出さない、すべての国民が憲法で保障された幸福追求の権利がある、働く権利がある、その人たちの権利を守る立場から、労働省は声を大にして積極的にがんばっていただく、こういう姿勢をとり続けていただくように要望いたしておきたいと思うわけです。 そこで、中高年齢者の雇用の問題について私はお聞きしたいと思うわけです。 中高年法とか雇用対策法とかいろいろ法律がありますけれども、定年延長とか六十歳以上の再雇用、雇用の延長、雇用給付等いろいろな形でやっておられますが、現在定年延長はどういう状態になっておるのか、六十歳以上の再雇用や雇用の延長に対していまどのような状態になっておるのか、まずお聞きしたい。
○関(英)政府委員 まず定年制の状況でございますが、労働省で実施しております雇用管理調査によりますと、五十六年一月現在の状況でございまして一年以上も前で恐縮でございますが、一律定年制を採用する企業のうち、定年年齢が六十歳以上である企業の割合は四二・六%ということになっておりまして、五十五歳定年の企業の三八%を上回ってきております。そういう意味で、以前と比べますと非常に進んできているということが言えると思います。 また同じ調査で、今後定年年齢を六十歳以上に引き上げることを決定または予定している企業というのを調べておりますが、これを含めますと、六十歳以上を定年年齢とする企業の割合は五三・七%というふうに半数を占めるに至りまして、特に五千人以上の規模の大企業では七三・五%になるというふうに、六十歳定年の一般化に向かって定年延長は着実に前進しつつあるということが言えると思います。 また、定年年齢を定めております企業の多くが、その定年年齢後の再雇用あるいは勤務延長制度、こういったものを有しておりまして、六十歳以降の再雇用や勤務延長を促進するための助成措置をこの一月から行っているところでございます。
○川本委員 そこで、現在ある中高年法とか雇用対策法ですが、先ほど来お話しのように、高齢者対策部をつくらなければいけない、そういう状態の中で高齢者がどんどんふえてくる、あるいは最近やかましく言われる産業用ロボットの問題がありますが、産業用ロボット対策、こういうようなことを考え合わせますと、いまの雇用対策法の改正とかあるいは中高年法の改正というものが必要ではないかと言われておるわけですが、それに対して労働省はいまどのように考えていますか。
○関(英)政府委員 現在の中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法なりあるいは雇用対策法なり、そういった法律の規定に基づきまして私どもは施策を進めておるところでございますが、特に、雇用対策法に基づきまして雇用対策基本計画というものをつくりまして、その計画に沿って雇用対策を進めているところでございます。そういった場合に、これからの本格的な高齢化社会への対策を特に重点を置いて行っているところでございます。 労働組合等から、いろいろ中高年法あるいは雇用対策法についての要望も私どもは承っておりますが、そういったものが法律改正を要するものならば私どももそれに取り組むにやぶさかでないわけですが、現在までのところ、そういった基本計画なりあるいは関係の給付金の見直し、それに伴う整理統合の法律案の御審議をいただいてその成立を見たというようなことで対応してやってまいっておりますので、これからも各方面の御意見を十分承りつつ対応していきたいと考えているところでございます。
○川本委員 失業の状態については、最近少しふえつつあるような状態ですけれども、求人倍率等を見てみますと、やはり地域によってかなりのアンバランスがあるわけですね。ヨーロッパとかアメリカは、いま若年層の失業者が多いわけですね。アメリカなんかは、特に十六歳−十九歳というところに失業者が集中をしている。それも、多民族国家ですから、特に黒人の方々の十六歳−十九歳というのは四五%ぐらいの失業率。ヨーロッパも大体若年層に集中している。ところが日本の場合は逆ですね。中高年に失業者が多い。そういう状態と、さらには地域的に大きなアンバランスがある。この点に着目するときに、私はやはり、失業多発地域においては新たな雇用創出という制度が考えられて当然ではないか、こう思うのですけれども、その点についてひとつ労働省の見解をお聞きしたい。 それから、時間がありませんので、さらにもう一つ重ねてお聞きしますが、最近、産業用ロボットについて、世界の産業用ロボットの八〇%までがわが国にある、こういうふうに言われているわけです。産業用ロボットの導入ということが雇用に及ぼす影響はないのか、その辺労働省はどのように考えておるのか、あわせてお聞きしたいと思います。
○関(英)政府委員 初めに、地域対策の問題についてお答え申し上げたいと思います。 確かに失業多発地域というものが現にございまして、そういった地域におきましては再就職が非常に困難だという実態にございます。そこで従来から雇用機会不足地域につきまして、労働大臣が指定する地域あるいは五十七年度から新たに市町村その他の関係者の協力を得て雇用開発を推進する必要のある地域として労働大臣が指定する地域につきまして、地域雇用促進給付金制度といったようなものを設けまして、施策を充実していこうということを考えているところでございます。 この五十七年度から新たに指定します雇用開発地域につきましては、雇用機会が量的、質的に不足している地域の中から、民間の活力を生かしながら地域の主体的な努力によって雇用開発を推進する地域で、かつ、他地域における自発的な雇用開発の取り組みのモデルとなるような地域を指定しまして、雇用開発事業を進めていくことを考えておるわけでございます。 また、地域開発といったことは、いままで取り組んだことのない非常に重要な問題でございますので、とりあえず来年度からそういうことにいたしておりますが、中央におきます雇用開発委員会というのが置かれておりますが、そこでいろいろ雇用開発の問題を議論していただいて、いままで雇用情報の充実とかあるいは三次産業におきます雇用対策の提言をいただいておりますが、現在、中央の雇用開発委員会において、地域開発について今後どう進めるべきかというような御議論もいただいております。そういった開発委員会の御提言、そういうものをいただきましたならば、さらにこういった地域対策を進めていきたいというふうに考えているところでございます。 それからロボットのお話がございました。わが国の産業界では、先生御指摘のように、欧米諸国よりも非常に産業用ロボットの導入を初めとしたマイクロエレクトロニクスを中心とする技術革新が進んでおります。これまでのところ、ロボットの導入によって深刻な失業が発生するといった事態は発生していないというふうに言われておりますし、私ども五十五年に実施しましたNC工作機械あるいはMC工作機械あるいはトランスファーマシン等を導入した事業所におきましても、そういった結果が出ております。しかし、そのことは技術革新が雇用に何ら影響を及ぼさないという意味ではないと思っております。 こういったロボットに象徴されますような省力効果の非常に高い技術革新が広範にかつ急速に進みます場合には、雇用に対して大きく分けて二つの影響があるのではないかと思います。 一つは、マクロ的といいますか、国全体の雇用量としてどうなるかという問題でございます。省力化が非常に進んでいけば、同じ生産であれば当然雇用量、労働量は少なくて済むわけでございます。そういう意味で、雇用量といいますものは労働時間掛ける人員でございますが、その総体が同じ生産であるならば少なくなる。したがって、それにどう対応していくかというマクロの問題が一つあるかと思います。 もう一つは、現実にそういった産業用ロボットなどが導入された現場の問題でございます。導入されれば、従来その仕事に従事していた労働者の仕事が産業用ロボットなり導入した機械に置きかえられるわけでございますから、そこにいた労働者にとっては配置転換あるいは職種がかわる、そういったような大きな問題があるわけでございまして、それに対応していくためには新しい教育訓練もあるいは受けなければならない。あるいはまた、そういった技術革新が非常に進展してまいりますと、労働時間の問題がどうなるか、労働条件の問題がどうなるか、配置転換後の労働条件がどうなるか、あるいは新しい機械に対する安全衛生上の問題がどうなるかといったような具体的な問題がございます。 そういうふうに広く雇用という言葉で言います場合にもさまざまの問題があろうかと考えられますので、この問題については労働省挙げて来年度から調査研究に取り組んでいきたいと考えているところでございます。
○川本委員 そこで話をもう一つ進めて、私はパートタイマーの問題についてお聞きをいたしたいと思います。 いまわが国で、いわゆるパート労働者とか言われる不安定雇用労働者の数は、大体どのくらいありますか。それから、パート労働者というのは一体どういう人を指すのかという、その定義はどうなっておるのか。
○石井(甲)政府委員 まずパートタイマーの定義の問題でございますが、これは現在のところ必ずしも統一された定義が実はございません。代表的なパートタイマーのとらえ方といたしましては、パートタイマーを短時間就業者とみなしまして、週間の就業時間が三十五時間未満の者とするものが代表的なものでありまして、これは総理府統計局の労働力調査に表示されておるものでございます。これが一般的に使われている場合が多いと思います。 さらに、たとえば一日の所定労働時間がその事業所の一般の労働者よりも時間が短い者あるいは一日の所定時間が同じであっても一週の所定労働日数が一般の労働者よりも少ない者といったような場合もございます。あるいは事業所においてパートタイマーあるいはパートと呼ばれている者といったような、かなりいろいろの定義がございます。国際的に見ましても、たとえばECの経済社会委員会では、パートタイマーとは通常より短い労働時間とそれに応じた低い賃金を伴う恒常的かつ自発的労働というようなことでございまして、現在のところまだパートタイマーの定義が統一的にされておりません。 そこで、パートタイマーというのは現在どのくらいおるかということでございますが、まず、先ほど申し上げました総理府の労働力調査の週間労働時間が三十五時間未満の非農林の雇用者によって見ますと、その総数は昭和五十六年平均で三百九十四万人、非農林雇用者全体の一〇%という数字になっております。
○川本委員 最近わが国の特徴としては、パートタイマーの労働者がどんどんふえつつある、激増しつつある。そしてパートで働く方々の労働条件がなかなか労働基準法どおりに守られていない。それがパートだからという言葉で、全部労働基準法が適用されていなくてもそれがそのまま無視されて、その権利が奪われつつある。そういう悪い労働条件や低賃金の中で、いま日本の企業というのは大企業から中小企業、中小企業から小企業、小企業から家内工業、下請ですからね、そして一番そのしわ寄せがすべてパートタイマーに来ておる。そのパートがいま日本の経済を支えておると言っても過言でないんじゃないかと思われるほどの状態になりつつあると思います。これは無視することができない。 そこで、パートというのは、わが国ではまだまだフルタイマーでないのは全部パートだ、こういう形で表現されていると思うのですが、大学生とか高校生のパートがありますね、アルバイトがある。これらは別として、いわゆる一家の生計を支えてパートで働いておる人もおるわけです。いままで正規の社員であった人が、今度は赤ちゃんが生まれると、保育所の保育時間等の関係があって朝早く家を出られない、夕方早く帰ってこなければいかぬ、正規の社員をやめてパートに切りかえられる人もあるわけです。私は、このような不安定な雇用労働者というものをきちっと労働基準法どおりに守らしていくということは、これからわが国の労働基準行政の中での一つの大きな仕事ではないかと思っております。 そこで、これは念のためにお聞きしたいのですが、パートの労働者でも、解雇予告手当とか生理休暇とか年次有給休暇とかいうものは、たとえ一日三時間、四時間、五時間であっても当然あってしかるべきじゃないかと私は思うのですけれども、どうですか。
○石井(甲)政府委員 御指摘のように、パートの労働者というのは最近大変大きなふえ方をしております。しかも、特に第三次産業、流通部門もそうでありますけれども、スーパーのごときはパートタイマーがむしろ中核労働力という状態であろうかと思います。日本のパートタイマーというのは、御指摘のように昔は不安定雇用とかあるいは臨時労働的なものでありまして、これを解消すべきものというふうに位置づけをされておりましたが、現実にはむしろそれが中核的な、しかも恒常的な労働の形態となっているということは御指摘のとおりでございます。 そこで、労働基準法は、本来雇用形態のいかんを問わずすべての労働者に対しまして適用があることとなっておりまして、パート労働者にとっても基本的には労働基準法が適用され、基準法上の権利が認められておるわけでございます。したがいまして、労働時間、休日、休憩、生理休暇等につきましては、パート労働者にも当然労働基準法上の権利が認められるということになっておるわけでございます。 ただ、パートの場合に、たとえば二カ月以内の期間を定めて使用される者であって、雇用期間がそれ以上延長されないような労働者の場合には、これは当然のことと言えば当然でありますけれども、三十日前の解雇予告あるいは三十日分の解雇手当の支払いを要しないというのが基準法上の規定でございます。これは要するに、三十日前の予告ということからいたしましても、いわゆる短期雇用というものの当然の一つの位置づけでございまして、それ以外につきましてはまさにすべて基準法上の権利が認められております。 ただ、基準法の権利の行使について、あるいは権利を守ることについて、あるいは使用者がこれを守ることについて、これまでのいわゆる短時間被用者に対する使用者側の対応というものにはやや問題がございます。基準行政といたしましても、このパートの重要性あるいは位置づけからいたしまして基準法を守らせるということに最大限の努力を今後とも払ってまいりたいというふうに考えております。
○川本委員 私はここに持っておるのですが、これは日経連の短期パートタイマー就業規則というモデル案が示されているわけです。その本の表紙を見ますと、労働省労働基準局監督課監修と書いてある。これは財団法人労働法令協会が発行しているものです。 この中では、パートタイマー、いまおっしゃいましたが、二カ月以内の者という限定をしておられますけれども、二カ月契約して、二カ月がたつと一日だけ来ないでくれと言って一日休ませて、そして一日置いて翌日にまた新たな二カ月間の契約をする、こういう繰り返しで、長い人は七年も八年もパートをやっている。その人にでも年次有給休暇は与えなくてもいいとかあるいは解雇予告手当は支給しないとかいうような、モデル案の中には、そういうことを前提としないで二カ月以内の期間を定めて雇い入れられた者、一年以内の期間を定めて雇い入れられた者、こういう前提を置いてですけれども、そういうやり方をしておる。これは全く脱法的な就業規則だと私は思うわけです。こういうことについて、労働省労働基準局監督課監修なんて書かれておる。これでは全く労働省の姿勢が疑われると思うわけです。 この点についても、先ほどの労働基準法上で認められておる労働者の基本的権利を正確に守るという立場で労働省は、この前全国の基準局長会議か何かのときにもそういう監督行政を強化するということを指示しておられると思うのですけれども、ぜひひとつ強力に守らせるように、こんな間違った就業規則のモデル案は改正させるように正しく指導していただきたいと思うわけです。 次に、雇用保険の問題ですが、労働省はさきに通達を出して、先ほどもお話がありましたが、いわゆるパートという労働者は一週間に所定労働時間の四分の三以上で最低二十二時間以上の者でなければ雇用保険には入らせてはいけない、他の社会保険に入っている者でなければいけないというようなことで指導をしておるわけです。 まず、パートというのは四分の三、二十二時間、これに縛られていると私は思うのですけれども、八時間労働だとすれば、四分の三というたら五時間じゃだめですね。しかし、五時間しか働けない人もたくさんいる。だから私は、四分の三とか二十二時間というのは別として、先ほど三十五時間ということを言われていますけれども、少なくとも四分の二以上ぐらいの人であれば、社会保険にも入りたい、雇用保険にも入りたい——これはその賃金の八〇%しか雇用保険でも給付されないのですからね。だからそのようにやるべきではないかと思うのですけれども、この点についてもう一度念を押しておきたいと思います。
○関(英)政府委員 雇用保険制度といいますものは、賃金を生活の基礎としているような労働者が失業によって賃金を得られなくなった場合にその生活の安定を図るということを目的とするものでございまして、臨時内職的に就労する、みずからの得た賃金によって生活するというものでない者となりますと、この制度にはなじまないわけでございます。いわゆるパートタイマーと呼ばれる者についての就労実態は非常にさまざまでございますが、このような制度の趣旨からして、一定の基準を設けて被保険者として取り扱うようにしているわけでございます。 現実にパートタイマーとして働いている方々の中には、やはり夫の被扶養者として、税法上あるいは他の社会保険上も被扶養者として継続することを希望している方々も多うございまして、そういう意味で、この基準を下げていきますと就労者の希望にも合わないような実態になりかねない、そういう問題もございます。そういうことをいろいろ考慮いたしまして現在この基準ができていることを御理解いただきたいと思うわけでございます。
○川本委員 時間がありませんので私はくどくど言いませんけれども、やはり社会保険にも入りたい、雇用保険にも入りたいという人もおるわけです。だから、私は全員強制的に加入させよと言うのじゃない、少なくとも一家の生活を支えている中心的な役割りを果たしている人であり社会保険や雇用保険に加入を希望する人には、四分の三に満たなくても、一時間とか二時間とか一週二日というのは困るだろうと思いますけれども、一定の基準を設けてもう少しその枠を広げるように、ヨーロッパの諸国では二分の一という国もあるのですから、その辺はひとつもう一度考えてもらいたい、こう思うわけです。 最後に、個別案件ですが、私は一つお聞きしたい。 実はソニーサービスという会社があるのです。これはソニー製品のアフターサービスを主にやっておる会社ですけれども、ソニーの子会社なんでしょうね。全国十四カ所に地域事務所を持ち、この地域事務所の下に多数の営業所、この営業所はテクニカル株式会社と言って別法人にしておるそうですが、持っておる。ところが、ここには外勤の技術職員と内勤の技術職員がおるわけですが、外勤の技術職員をASEと言い、内勤の技術職員をSEという名前で雇用しておるのですけれども、その雇用の形態がいわゆる委託契約という形をとって、そして労働基準法の適用もあるいは雇用保険の適用も逃れよう、卑劣なといいますか、そういう雇用政策をとってきておるわけです。 そこで、全国のこういうソニーサービスで働く労働者が、一九七八年に大阪、京都、奈良、和歌山、西日本とか関東とかいうところで労働条件の改善を要求するためにおのおの労働組合をつくりまして、ソニーサービスと交渉をやった。ところが、その場にはテクニカルというのは一つも出てこないわけです。全部ソニーサービスの役員の方が出てきて、そういう闘いの中から、いわゆる賃金の引き上げ、向こうに言わすと技術委託料の引き上げということになるわけですけれども、交渉して協定を結んできた。 その中で、先ほど申し上げた内勤のSEについては一応正規の雇用労働者として認めてきたわけです。しかし、ASEについては、全国で約千人ほどおるそうですけれども、まだ法の適用を認めない、労働基準法の適用を認めないというところで、これらの代表の方が労働基準法違反でないかということで大阪西監督署に申告をして、そして大阪西監督署が、ソニーサービスとかあるいはテクニカルの関西地域事務所、大阪中央テクニカルというようなところの会社側を招致をして、いろいろ今日まで事情聴取を行って調査をしてきたわけです。 去る二月二十四日に組合の代表が大阪の西労働基準監督署でいろいろ交渉したところが、労働基準監督署としては、関係者から事情を聴取して調べたところ、ソニーサービスにはASEが千人余りおる、しかし大体の状況は、これは労働基準法上の労働者であると私たちは判断をしておるけれども、影響するところが大き過ぎる、関係業界にも影響を及ぼす、そこで大阪の労働基準局に相談をした、労働基準局からは、会社はもとより業界にも大きな影響を及ぼす問題であるので、わずかな人たちの申告だけで判断するなという指示を受けて、大阪西労働基準監督署は、ただいま労働省の判断待ちである、このように言っておられるわけです。 私はこれを政治的に解釈をして、実情調査した大阪西労働基準監督署は労働基準法上の労働者だと認めておるのに、労働省がもし仮に、影響するところが大きいからこれは委託契約が正当だ、労働基準法上の労働者でないと、これを否定するようなことになれば、これは大きな政治問題だと思うのです。労働省の見解をお聞きしたいと思います。
○石井(甲)政府委員 ソニーサービスは、製品のアフターサービスを主たる事業とする会社でございます。全国にソニーサービスステーションを設立いたしまして、このソニーサービスとサービスステーションの二社と、御指摘のASEと称する出張修理員との間に修理委託契約を締結をいたしまして、ASEにソニー製品の出張修理業務を行わせているということであります。 問題は、そういう修理業務をどういう契約関係のもとで行わせるかということについては、当事者が自由に決めることができるわけでございます。ただ、労働基準法等につきましては、その当事者間の契約形式のいかんを問わず、実態から見て使用従属関係が認められるか否か、この点によってその適用の有無を判断することにいたしております。 ところで、御指摘の、大阪のソニーサービスステーション所属のASEの労働者性の問題、つまり雇用従属関係があるかどうかという問題につきましては、昨年十二月八日、ソニーサービスエンジニア労働組合から大阪西監督署に申告がございました。現在、同署におきまして関係者から事情聴取をする等の調査を行っている段階でございます。また現在、労使といいますか、当事者間で自主的な話し合いによる動きもあるようでございます。 先生御指摘のように、基準行政といたしましては、その使用従属関係が認められるかどうかということでございまして、実態的に認められまするならばこれは労働基準法の適用を受けるということでございまして、もちろんその実態に応じて判断し、行政を行うということにいたしておるところでございます。
○川本委員 これはもう使用従属関係があることははっきりしておるのですよ。SEというのは内勤ですからね。これはもう毎日出社することは当然です。だから、この人たちについては、昨年二月十六日以降、組合の要求を入れて正規の社員にいたしました。 ところが、ASEも毎日、まず出社をして、そこでその日その日の作業内容を営業所長から指示されて、それに基づいて仕事をして、会社はこれらの人を十分に管理しておるわけです。だから、そういう形から見れば、これはもういわゆる雇用従属関係にある労働基準法の労働者であるということは、私どもでも明らかだと思いますし、調査をされた大阪西労働基準監督署でも、それはそのとおり使用従属関係もあるというふうに認めておられるわけですから、ひとつ、ただいま局長のお話にありましたけれども、早急にこれは労働者の健康や命やあるいは暮らしを守る、そして労働基準法の労働者として労働条件を守らせる、そういうことでなければ、これから日本の経済発展を担う労働者が——職業安定法にもこんなものは違反するのじゃないか。労働力だけを一〇〇%提供する者を委託契約という名前で毎日出社をさせて、それに仕事を指示して、管理をしながら仕事をさして、それが労働者でないということになれば、労働基準法はあってもなくても同じだと私は思うわけです。その辺について、もう一度局長の決意のほどをお聞きいたしたい。
○石井(甲)政府委員 現在大阪西監督署におきまして調査中でございますので、御指摘のように、それが事実労働者性を持っておるということであれば、これは厳正に労働基準法の対象にいたしてまいりたいというように考えております。
○川本委員 それでは、あと上田先生の関連を……。
○石井委員長 上田卓三君。
○上田(卓)委員 わが国は今後ますます高齢化社会になっていくと思いますが、そうなれば、高齢者の就労問題といいますか雇用問題が大事になる、このように考えますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
○初村国務大臣 わが国は高齢化社会に入っていくわけでございます。したがって、今後の労働条件、労働者のことをいろいろ考えれば、何を言っても若年労働者が少ないわけでございますから、高齢の労働者についてはあらゆる面で労働省としては対策を備えるべきである、かように考えます。
○上田(卓)委員 当然福祉の充実ということも大事でしょうし、また、高齢化に伴い高齢者の就労問題に労働省として重点的にいろいろな形の施策が必要である、こういうことだろうというように思うのです。 そこで、今回の失業対策部を高齢者対策部の中に吸収して云々、こういうことですが、考え方によれば、私はちょっと、何か失業対策部という部をなくして高齢者対策部をつくって、その中に失業対策の問題を位置づける、こういうことのようですけれども、高齢化社会になってますますそういう高齢者の雇用対策が必要であるというならば、まさしく高齢者対策局くらいつくって、その中に失業対策部があるのならこれはよくわかりますよ。そうじゃなしに、何か高齢者対策部の中に失業対策課みたいなのができるということになると、失業対策というものが縮小され廃止されていくのじゃないかという懸念がどうしても生まれてくると私は思うのですが、その点どうですか。
○関(英)政府委員 確かに今後の高齢者雇用対策の重要性を考えます場合に、先生御指摘のように局ぐらいの組織をもって強力に推進すべきだということは非常にごもっともだと思いますが、御承知のように労働省の組織は、労政局、労働基準局あるいは婦人少年局、訓練局、それと職業安定局といった分担になっております。高齢者の問題といいますと、職業安定局の問題だけではございませんで、やはり高齢労働者が増加してくれば、その労働の条件がどうあるべきか、安全衛生面で若い人よりもいろいろな配慮の必要な面も出てまいります。高齢になってもなお生き生きとして働けるには健康管理はどうしたらいいかというような基準行政上の問題も非常にございます。それから、訓練局におきましても、中年者あるいは高齢者の能力開発といったものに大いに力を入れていかなければなりません。そういう意味で、それぞれの局でこれから高齢者対策に取り組んでいかなければならぬわけでございます。 先生御承知のような行財政改革の中におきまして、新たに高齢労働者雇用対策局のような一局をつくるということは非常に至難のことでございます。そういう現状の中で、私ども何とか高齢者雇用対策を統一的に一元的に強力にしたいということでいろいろ考えまして、失対事業におきます就労者も高齢化している、それもあわせこの部でやるということで、現状の中で苦心の作として考えたものであることを御理解いただきたいと思うわけでございます。
○上田(卓)委員 行革というのは必要でないところを減らしていくので、必要であればふやしたっていいわけですから、いいことはどんどん進めてほしい、こういうように思います。そういう意味で趣旨は御理解いただいておるようですから、今後この高齢者対策部を局に昇格するぐらいの努力をぜひともしていただきたい、このように思います。高齢者の方々に安心していただく、こういうことが大事ではないか、こういうように思います。 そこで失業対策事業でありますが、この目的は失業者が再就職するまでの一時的な就労の場の提供である、こういうことでなかっただろうか、こういうように思っているのですね。ところが、労働省がこの目的を果たさないで、再就職の道を積極的に開発というのですかあるいは雇用の創出というのですか、公共事業体等でいろいろサービス部門もあるわけですから、そういうところへどんどん失業対策というか新たな雇用創出ということを考えないばかりか、現在ある失業対策事業そのものもだんだん減らしていった嫌いがあるのではなかろうか、こういうように思うのです。 かつて二十万も三十万もおられた人がいま七万人近くになっているというのは、再就職していったという側面よりも、高齢化してあるいは亡くなっていった方もたくさんあるのじゃなかろうか。自然に減っていくことを期待するというのですか、そういう再就職の道へどんどん切りかえていく努力をしないで、失業対策事業というものを縮小してきた、そこに私、問題があるのではないかと思うのですが、この点についてどのようにお考えですか。
○関(英)政府委員 失業対策事業は、先生御指摘のとおりに失業者に対する一時的な就労の場を確保する、提供するという趣旨の事業でございます。したがいまして、こういった事業に長期にわたって依存するということは、本来制度の趣旨とするところではございません。労働省としましては、失対事業の運営に当たりまして、就労者ができる限り早期に再就職できるような積極的な職業紹介あるいはまた職業訓練の実施あるいは雇用奨励制度の活用等に努めてまいったわけでございます。 ただ、そういった中でも、一部就労者団体の反対等もあったとしても、経済が非常に高度成長する中でこういった就労者が民間企業に常用就職するということが必ずしも十分にかなえられずに、現在なお失対事業に就労しているということにつきましては、行政としてもまことに残念なことだと考えております。 今後の事業運営に当たりましては、これまでの失対事業の経緯を踏まえて、国民からも批判を受けることのないように適正な運営を図っていきたいと考えておるわけでございます。
○上田(卓)委員 失業対策事業に従事する方々に対して、安定雇用の方に移動させる努力といいますかあるいは職業訓練などもして、現在失業対策事業でもらっている賃金とかそういういろいろな条件よりももっとりっぱなところへ就職あっせんすれば、移っていくのですよ。ところが、そういうことをあなた方はしないから、いつの間にか失業対策事業自身が安定雇用というのですか、それ自身がもう職業になってしまっている。この責任は労働省にある、国にあると言わざるを得ない、こういうように私は思っているんですね。だから、そういう状況の中で失業対策事業を縮小していくということは、その人たちの職をあるいは生活を奪うものであるという立場から、やはり団体などからは反対するのも現状としてはやむを得ない状況があったのではないか、こういうように考えておるわけであります。いずれにいたしましても、いま七万人ほどの人たちが失業対策事業に就労されておるわけでありますが、そういう意味では、私はこれは労働省の怠慢の犠牲者だと言わざるを得ないのじゃないかと思うのです。 それからもう一つ、いま残っておられる従事者は、たとえば産炭地の方々とかあるいは同和関係の地域の方々であるとか、そういう人たちの比率が非常に高まっておるわけです。それだけこういう人たちが差別されてどこにも行けない、こういうことになっているのじゃないかと私思うので、三十数年間こういう形で、国の無策から、また逆に言うならば労働省の何か厄介者扱いみたいな形で扱われてきたこういう方々に対して、労働大臣からねんごろなねぎらいの言葉もあってあたりまえじゃないかと私は考えざるを得ないのです。本当によくしんぼうしていただきました、御苦労さんでしたと。あるいは、今後の問題についても、失業対策事業の運営とかあるいはそういう立場というものを尊重していくのだという形で、いままでの身分というものに対して、大分高齢になっているわけですから、不安を感じさせないような施策、安心させる言葉が必要じゃないかと私は思うのですが、その点、大臣から今度は答えてください。
○初村国務大臣 いま、戦後三十年間就労した労働者に対して、三十五万人から七万人に減ってはおるが、七万人現在おるということは労働省の責任ではないか、したがってこういう方たちに対する一つの感謝の気持ちというか、そういうことをあらわして、今後労働行政に十分留意せよというような御趣旨でございますが、私は、日本の経済が発展したということは、戦後、日本国民が勤勉であり働いたればこそ、今日の経済が発展したと考えております。したがいまして、特に産炭地とか同和関係のところにそういう関係者がいらっしゃるということも聞いておりますので、今後労働行政に当たっては十分その点に留意して指導していきたい、かように考えております。
○上田(卓)委員 一九八〇年十二月六日に、失業対策制度調査研究会の報告というのですか、そういうものが出されておるわけであります。それによりますと、小規模事業主体は極力それを廃止する、このようにうたわれておるわけでございます。しかし、失対就労者の所属しておるところの事業主体が少数になったということは、先ほどから言っておりますように、それだけ国が積極的に公共事業部門で失業対策の方々が働けるようなものをつくらないで自然に任せておったためにそういう小規模事業主体が少なくなってきたということのあらわれだ。行政の怠慢のあらわれでそうなっているわけですから、小規模事業主体が少なくなったから極力これを廃止するのだということは主客転倒ではないか、私はこういうふうに考えざるを得ないのでありますが、それでは血も涙もない、こう言わざるを得ない。本当にわずかの人がそこにすがっておるわけですから、それが少なくなったからもう廃止するんだということは、多過ぎたから少なくするというのなら労働省の側に一つの理屈があるのかもしれないけれども、今度は少なくなったからそれを極力廃止するのだということはどうも納得できないのですが、その点はどうでしょうか。もっと小規模事業体はそれなりの工夫をして、その人たちが安心して働けるようなことを考えるべきじゃないですか。
○関(英)政府委員 失業対策事業といいますものが、本来であれば多数の失業者が発生して民間企業に就職することが非常に困難である、したがって事業を興す、こういうたてまえから考えますと、非常に小規模の、就労者の人数の少ない事業というものは制度本来の趣旨からするとどうも合わないし、事業運営上もいろいろ問題が出てくるわけでございますが、そこに至る経緯については先生先ほど来いろいろ御指摘ございまして、行政上の努力の足らない点についてもわれわれ十分反省していかなければならないと思っております。 そういった意味におきまして、小規模事業主体につきましても一定の基準を設けて、全く一方的、強制的にこれを廃止するということで就労者の方に非常な不安を与えるというようなことは私ども考えておりませんで、就労者の方あるいは事業主体、その他関係機関と十分お話し合いをして、安心できる形で、事業の正常な運営ができるだけ可能な程度の規模の失対事業として運営していくという趣旨に合うように、しかし就労者の方にいたずらに不安を起こさせないように、心して対処していきたいと考えております。
○上田(卓)委員 昨年の七月から九月にかけて特例一時金、百万だと聞いているのですが、これが支給されて、約二万人の人々に失業対策事業から手を引いてもらうというかやめてもらう、こういうような作業がされたようであります。 このときに特に顕著なのは、大分の職安が手紙を本人と家族に対して出しております。これは「死に神の暑中見舞」だということで、大変物議を醸しておるわけでありますが、ちょっと読みますと「今後においては病弱、高齢者の方には少からず無理な作業内容となる見込でありまた、六五歳以上の方は五年後においては就労できなくなります。ご参考までに申上げますと、ここ二ケ年の間において病弱、高齢のためにやめられた方は次のとおりとなっております。五四年度一七名 内、死亡一一名 五五年度三四名 内、死亡一八名 計五一名 内、死亡二九名」こうなっておるのですね。 この手紙を読むと「もうじき死ぬんだから早くやめろ」と言わんばかりの、内死亡何名というような形で、事実関係には違いないけれども、もう年をとって死んでいくのだから早くやめなさい、この百万を受け取った人はさっさとやめなさいと言わんばかりの血も涙もないやり方ではないか、私はこういうように思うのですが、大臣、この事実を知っていますか。
○初村国務大臣 安定所から各個人個人にそういう文書を流したことを聞きまして、私もまあまあどうしたものだろうかなとは思いました。 そこで、大体これは本人の理解を得るためにやったことであって、それが逆に変なことに解釈されたということは非常に残念に思っております。したがって今後は、本人の意思に反してそういう一方的なことのないように指導していきたい、かように考えております。
○上田(卓)委員 私はやはり行き過ぎだと思うのですね。こういうことはやめていただきたい、このように思います。 そこで、通常、自立とかあるいは退職者に対しては就職支度金ということで六万円出されておるわけですね。しかし、これは就職支度金という名前ですけれども、実際は退職金ですね。就職していく人は少ないわけですから、実際はもう六万円で退職していく、こういうことになっているんじゃないかと私は思うのです。そういう意味で、余りにもこの六万円というのは少な過ぎる。関係者の方から、最低三百万くらいあってしかるべきではないかという意見も出ていますよ。だから名前がどうあろうと、就職支度金だから、次に就職していくのだから六万円でいいという理屈になるかもしれぬが、実質的に退職金という性格を持っているとするならば、やはり退職一時金制度というものを確立して、そして三百万円なりそれに見合うものを出すという努力が必要だと思うのですが、これについてどのように考えておりますか。
○加藤(孝)政府委員 失業対策事業就労者は、たてまえといたしましても日々雇用ということでございますし、それからまたできるだけ早い機会に民間へ就職していただく、こういう制度であるわけでございまして、そういう意味で、民間で行われております退職金というのが一面ではできるだけ企業に長くいていただくというような観点から退職金があるということからいたしますれば、こういう退職金という形ではなかなか失対制度にはなじみにくい。 しかし、先生御指摘ございましたようにこの就職支度金制度というものがございまして、またこれについては、一昨年の研究会報告におきましてもその今後の内容の改善等についての検討を指摘をされておりますので、この報告の趣旨に沿いまして、今後内容の充実等につきまして検討をぜひしていきたい、こう考えておる次第でございます。
○上田(卓)委員 ひとつ積極的に検討を進めていただきたい、このように要望しておきます。 次に、地方公共団体によって就労者への単独の措置、夏期手当とかあるいは年末の支給など独自にされている向きがあるのですが、それに対して昨年九月、労働省は第四百七十二号通達で、地方公共団体に対してこれを抑制するような指示をされておるようでありますが、これはもってのほかだ、こういうように私は思っているのです。国の施策が不十分だからプラスアルファ分を地方公共団体がなされておるわけであります。特にこの問題につきましては、地方公共団体においては各地においていろいろな事情とか経過というものがあってこうなっておるわけでありますから、一片の通達だけでそういう形で抑制するということはやってはならない、このように思いますので、この点について十分配慮していただきたい、このように思いますが、この件に関しては最後ですから、大臣の方からひとつお答えいただきたい、このように思います。
○初村国務大臣 いま、地方自治団体が独自でいろいろな経費を上積みして給付したことについていろいろとお話がありましたけれども、私どもは、地方自治団体が低所得者層に対する福祉措置として支給する金品等については直接政府が関与するものではない、かように考えておるわけであります。 しかしながら、その支給額が一段と高くなりますと、これが失対就労者の自立とかあるいは就職等の阻害要因となるなど、失業者就労事業の適正な運営を妨げる大きな障害になってはいけないというような考え方から、失業者就労事業そのものの厳しい批判を招く要因となっていることから地方自治団体の理解と協力を求めていくわけでありますから、そういうことのないように努力していきたいと思います。
○上田(卓)委員 これらの施策については、そう多額なものというのですか、地方自治体の財政をすごく圧迫しているというようなことでもないように私は思っておりますし、福祉対策という側面も十分に絡んでいる問題であろう、私はこういうふうに思いますから、十分御配慮をしていただきたい、このように思います。また、失業対策事業のいままでの果たしてきた役割り等もひとつ十分に考えていただきまして、現存する失業対策について十分な考慮を払っていただきたいということを申し上げまして、この点について質問を終わりたいと思います。 次に、大学生の就職問題に絡んで二、三御質問申し上げたい、このように思います。 昨年の十一月二十六日に労働省が大学生の就職協定から手を引く、こういうことを表明されて以来、関係各方面で大変な混乱といいますか、心配、不満、そういうのが渦巻いてきておるようでございます。特に、就職協定遵守委員会に労働省がいままで参加されてきたということ一つ見ましても、大学生の就職はやはり労働省の責任である、そういう立場から参加されてきたことは事実だと思うのですね。ところが今度それから手を引くということは一体どういうことなのか、篤とお聞かせいただきたい。 特に、国立大学協会とかあるいは日本私立大学連盟などの関係十一団体が、この協定の存続と遵守に当たっては特に労働省の参加が不可欠である、こういうように申し合わせて要請されているんじゃなかろうかと思いますし、また特に関係各界から、ぜひとも労働省はこの委員会に復帰してほしい、こういう要望が強いと思いますが、その点について労働省はなぜ手を引いたのかということをひとつ明確にお答えをいただきたい、このように思います。
○関(英)政府委員 労働省はこれまで、大学関係者からの要請を受けまして中央雇用対策協議会という場におきます就職協定、これに参加をいたしまして、行政として可能な限り遵守活動を展開してまいったわけでございますが、しかし遵守活動や行政指導を強化すればするほど協定違反が潜行いたしまして、そうして求人求職活動にゆがみや弊害が生じてまいりました。労働行政として今後もこの協定に加わって関与していくということを続けるとすると、どうしても行政の公平性を失いかねない、また大卒の就職問題に関しまして今後いろいろなゆがみを残すことになりかねない、こういうふうなことを熟慮いたしまして、行政として協定には参加しないということを意思表明したものでございます。 先生御承知のように、職業安定法上、大学卒業生につきましては大学みずからが職業紹介機関として学生の推薦、紹介をいたしておるわけでございます。やはりこの問題は、大学側と企業側とがそれぞれみずからの問題としてこの紳士協定であった就職協定を自分らで守っていこうという気持ちがなくして、私どもが遵守活動あるいは行政指導をいかにやりましても、その基本のところがうまくいきませんとどうしてもゆがみや弊害の方が目立ってくる、こういうことでございますので、ああいう意思表明をいたしました結果、当初は大学団体等もぜひ労働省にまたもう一度復帰して参加してもらいたいというような意向も強かったわけでございますが、その後大学側と企業団体側との話し合いで、本年はとりあえず大学側と企業団体側と双方でそれぞれ協定をつくって遵守していこう、そしてそれ以降のことについてはことしの秋までにまた話し合っていこう、こういうふうなことになったわけでございます。 例年になくこの問題について大学側、企業側が非常に関心を持ちまして討論をし、認識を深めて、それぞれみずからの協定をつくられましたので、私は従来にないそういう意識の高まりがこの就職問題に非常によい影響を与えるのではないかと見ているところでございます。
○上田(卓)委員 協定が守られない、行政指導がなかなか行き届かない、こういうことがあるから手を引くのだ、手を引いたら、ますますそれを野放しにすることになるのではないか。労働行政の責任を回避するものじゃないか。私は、その強化という中身についていろいろあろうかと思いますが、手を引くということに対して非常に納得ができないわけであります。特に、大学生の就職あっせんについては職業安定法の第三十三条に規定されているということですから、規定されていないなら別ですけれども、ちゃんとそういうことがあるのですから、やはりその委員会に参加して行政なりの指導を的確に行うべきだ、こういうふうに思います。 そこで、文部省の方がお見えでございますが、今回の労働省の撤退に対してどのような考え方を持っておるのか、お聞かせいただきたい、このように思います。
○井上説明員 お答え申し上げます。 文部省といたしましては、就職協定の重要性等を十分認識いたしまして、従来からその周知徹底を図ってきたところでございます。就職協定は、今後とも学校教育の適正な実施及び就職の機会均等の確保等からも、その存続と遵守がきわめて重要であるというように考えている次第でございます。 本年一月には大学側と企業側の話し合いも行われまして、来年度の就職協定については、大学側がかねてからその必要性を主張しているとおり、二月八日には従来どおり就職協定の申し合わせを行っており、企業側もその必要性を十分認識されまして、一月二十九日の中央雇用対策協議会で就職協定についての申し合わせが行われまして、大学側、企業側、双方とも就職協定の存続と遵守の必要性についての見解は一致したところでございます。 今後、就職関係者みずからが、就職協定をいわゆる紳士協定といたしまして、その存続と遵守を図るよう一層努力することによりましてその実効を期する必要があると考えております。そのような立場から、文部省といたしましては、今後とも、大学側、企業側双方に通知を発することなどによりまして、就職協定の遵守を要請してまいりたいというように考えております。
○上田(卓)委員 文部省の方にもう一度お聞きしますが、昨年の十一月二十六日付の文書によりますと、文部省の考え方の中に「不参加については慎重な配慮をあらかじめ労働省に対し申し入れている。」こういうように述べておられるわけでございますので、この間、労働省とどのような話し合いをなされたのか。また文部省は、労働省がみずから言っておられるように、労働省が引くことによって就職問題のゆがみがなくなったり事態が好転するということが果たしてあり得るのか。労働省はそうおっしゃっておるのだが、文部省はそういうふうに考えておるのか。好転するのか悪化するのか、その点文部省はどのようにお考えですか。
○井上説明員 お答え申し上げます。 まず、就職協定につきまして労働省の方から私どもの方に、先ほど職業安定局長からお答えがございましたとおり、行政指導をすればするほど就職協定について非常に潜行化して、行政の公平性を確保できない実態が生じつつあるというようなお話がございましたのが十一月の中旬でございまして、私どもとしては、やはり就職協定の存続の必要性、また遵守についての関係者の努力ということから、ぜひとも労働省も就職協定から撤退を思いとどまるように私どもとしてはお願いを申し上げ、あわせてその際に指定校制度の廃止等についてもお願いをしたところでございます。 しかし、この就職協定からの撤退につきましては、十一月二十六日の中央雇用対策協議会の席上、労働省からの見解が発表され、その見解に基づいて就職協定からの撤退が本決まりになったわけでございまして、私どもとしては基本的に、先生が先ほどおっしゃいますように、労働省がそういう決議に参加しないということは今後企業側の就職協定の遵守に影響を及ぼすおそれがあるというように考えておるわけでございますので、また大学側からもぜひとも労働省に就職協定に復帰していただきたいという要請もございますから、そういう点につきましても労働省にお願いをしてきているところでございます。 今後は、五十八年度以降の就職協定のあり方につきまして、大学側、企業側がそれぞれ部内で検討いたしまして、両者で協議をし、十一月末までにその協議を調える予定で進めているというように聞いているわけでございますので、今後とも私どもといたしましては、労働省とも十分協議しながら、就職協定の実効あるあり方というものを検討していきたいと考えておる次第でございます。
○上田(卓)委員 ことしの就職戦線で青田買いが横行し混乱が生じるのではないかというように考えておるわけでございまして、それこそ弱肉強食といいますか、就職の秩序というものがなくなって、学生の勉強意欲が阻害されるということになりかねないと思いますし、それが大学の教育の荒廃につながるのではなかろうか、こういうように大変危惧しておるわけであります。特に歴史の新しい、知名度の低い私立の大学やあるいは地方の国公立大学の学生は、非常に不安がっておるのが現状であります。また、有名大企業に学生が集中するということで、中小企業の人材採用が非常に困難になってきはしないだろうか、こういうことでございますし、特に私どもの大阪の地元でも、たとえば近畿大学を初め各私立大学なども相当この問題について危惧の念を抱いておるというのが現状であります。大臣もお二人のお子さん、学生さんをお持ちのようでございますので、そういう点について特に大学生の就職あっせんといいますか、こういうものは法律上からいっても労働省の仕事の中身であるわけでございますから、いま聞けば、文部省側もぜひとも撤退ではなしに復帰していただきたいということを強く御要望されておるようでございますから、今後、撤退表明というものに余りこだわらずに、各団体等でぜひとも十分な御協議をしていただきたい、こういうように思っておるわけであります。 そういう点でやはり、今回の撤退表明というのは何か強引なやり方ではなかっただろうか、こういうように思っておるわけでございまして、撤退表明までの関係団体との話し合いというものもどこまでなされたのかという点についてもお聞かせいただきたいと思います。 時間の関係もございますので、いま申し上げた諸点について、大臣なり局長から明確にお答えいただきたい、このように思います。
○関(英)政府委員 昨年の見解表明までに一昨年から、この協定問題について、本来の紳士協定であるべきものがその協定当事者がそれを遵守する意向が余りなくて、非常に乱れておる、これを私としては、行政として関与し続けることはできないということを表明いたしておりましたところ、ぜひまたやってくれというようなお話がございまして、それならばというので、私どもの職員数、ごく少ないわけでございますが、私を含めて幹部も動員して、たとえば昨年は主な大企業に個別にこの遵守を要請する、大学側にも文部省にお願いして幅広くこの協定問題について周知を図る等、いろいろな手だてを尽くしたつもりでございます。にもかかわらず、一層協定違反というものが潜行していくというような形をとりましたので、これ以上行政として公平性を失いかねないということで撤退することにいたしたわけでございますが、先生御指摘のように、大卒者の就職問題については大学当局に任されてはおりますものの、最終的に労働省として私は十分な責任を持っていると考えております。 そういう意味で、この撤退声明以降関係者の間で十分な議論が行われ、これを守っていこうということでそれぞれの協定が五十八年三月卒の学生について行われましたので、従来より以上にこの協定遵守が行われるものと思いますが、労働省としては、協定が十分守られますような環境整備、たとえば就職情報誌等に対するいろいろな要請というようなこともすでにやっておりますし、あるいはまた、先生御指摘がありました中小企業の就職情報を労働省として集めて学生に提示する、そういう職業情報の提供というようなことに力を入れたいと思いますし、また地方の企業の就職情報は、たとえば大都市の大学には余り来ません、そういう意味でUターン希望学生に対する情報の提供、相談、そういったことにも力を入れたいと思いますし、あるいは身障者である学生の職業紹介については従来から労働省としてやってきております。そういうふうな点には今後とも力を入れたいと思っておりますし、ことしこの協定が青田買いの横行というようなことでまた守られないとすれば、これは大問題でございますので、私どもも重大な関心を払って見守っていきたいと思っているところでございます。
○初村国務大臣 私ども労働省といたしましても、大学生が就職の道をそういうことで若干危惧する懸念があるということは教育的にも非常によろしくない、したがって産業界と大学側が自主的にこれを円満に守っていくことに非常に私ども関心を寄せておりますから、今後一層、いま局長が答弁したように環境づくりに大学側と一緒に手を握ってやっていきたい、かように考えております。
○上田(卓)委員 時間が来ましたので、質問を終わります。
○石井委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時四十五分休憩 ————◇————— 午後一時四十五分開議
○石井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。鈴切康雄君。
○鈴切委員 このところ内外ともに山積する政治問題がありますが、なかんずくこれから、現在を含め中長期的な問題として、高齢化社会というものが急速に進展をしてきているということ、これに対処するために今回職業安定局に高齢者対策部を設置されたということは時にかなった問題ではないか、私はそのように思っております。 そこで、労働省としても労働行政上の最重要課題の一つとして高齢者の雇用対策を挙げられているわけでございますけれども、労働力人口の高齢化の現状と今後の見通しについて簡単に御説明をいただきたいと思います。 あわせて、高齢者の雇用の現状についていまどんな状態になっているのか、その認識が甘いとやはりこれから打つ手も自然とちぐはぐになるわけでございますので、そういう点についての御説明をまずお伺いいたします。
○加藤(孝)政府委員 平均寿命が大変に伸びてきております。また、出生力の低下等を背景にいたしまして労働力人口の高齢化が進みつつあるわけでございますが、今後はそれが加速をいたしまして、二十一世紀初頭には世界で見てもきわめて高齢労働者の多い社会になるものと見込まれておるわけでございます。 すなわち、昭和四十五年から五十五年の十年間におきまして、十五歳以上の人口に占める五十五歳以上の人口の割合が一九・六%から二三・一%へと上昇しておりますが、これに伴いまして労働力人口も高齢化いたしておりまして、高年齢者の割合は一四・六%から一六・一%へと上昇いたしておるわけでございます。また、将来の人口を厚生省の人口問題研究所の推計によって見ますと、昭和五十五年から七十五年の間に十五歳以上の人口は約千六百二十万人増加が推定をされておりますが、その九割に当たります約千五百四十五万人というものが高年齢層での増加でございまして、その割合も二三・一%から三四・二%へと大きく高まっていくことが見込まれるわけでございます。 こうした人口の高齢化に伴いまして労働力人口も高齢化してまいるわけでございまして、この点につきましては、雇用政策調査研究会で行いました「労働力需給の長期展望」、こういうものによって見ますと、労働力人口は五十五年の五千六百五十万人から七十五年には六千四百十三万人、約七百六十五万人増加が見込まれておるわけでございまして、年齢別に見ますと、高年齢層では五十五年の九百十二万人から七十五年には千四百七十四万人へと約六割増加するのに対しまして、若年層では五十五年の六百九十九万人から六十五年には七百八十五万人に増加した後、七十五年には七百二十六万人へと減少する、こういうふうに見込まれるわけでございまして、この結果、労働力人口全体に占めます高年齢者の割合は五十五年の一六・一%から七十五年には二三%へと上昇いたしまして、労働者の約四分の一が高年齢者、こういう状況になると見込まれるわけでございます。 一方、高年齢者の雇用の現状についてのお尋ねでございますが、最近の高年齢者の雇用情勢を見ますと、依然として厳しい状態が続いております。すなわち労働力需給の動きを、年齢別有効求人倍率、これは昨年十月の調査によって見ますと、全体としては〇・七二倍ということでございますが、四十五歳から五十四歳層は〇・五〇、五十五歳以上の高年齢層になりますと〇・一四と、きわめて低い状態になっておるわけでございます。また、完全失業率について見ましても、五十六年平均で全体としては二・二%でございますが、五十五歳以上では二・八%、こういうような状況となっておるわけでございます。 しかし一方、企業におきます高年齢者の雇用状況につきましては、最近着実な改善が進みつつあるわけでございます。すなわち高年齢者の雇用率、これは五十五歳以上の者につきまして法定雇用率六%というものを定めておるわけでございますが、その達成状況を見ますと、昨年の六月現在で実雇用率は六・六%ということでございまして、前年に比べますと、前年は六・二%でございましたものが六・六%、こういうふうに増加をしておる。また、こういう雇用率の未達成企業の割合も五十五年には五一・八%ございましたものが五十六年には四九・四%ということで、未達成企業が半数を割ってきておる、こういうふうな状況になっております。 一方、また定年年齢の引き上げも着実に進行いたしておりまして、昨年一月一日現在の一律定年制の定年年齢は五十五歳が三八%、これが一年前は三九・五%でございましたけれども、五十五歳が三八%になっておる。そして逆に六十歳以上が四二・六%になっておりまして、前年の三九・七%というものに比べまして六十歳以上の定年制がふえてきておりまして、六十歳定年が定年年齢の主流となりつつある、こういうような面もあり、今後こうした面での行政努力がさらに望まれるというような状況にあるわけでございます。
○鈴切委員 ずいぶん詳しい御説明をいただいたわけでありますけれども、五十五歳以上は雇用率六%が六・六%であるというその内容自体大変また問題があるので、これは後でちょっと質問をさせていただきます。 そこで、いま高齢者の雇用をめぐる環境というものは大変に厳しいという印象を受けたわけでありますけれども、今後労働人口の高齢化の急速な進展を考えますと、高齢者の雇用対策はますます重要になってまいります。そこで政府としては、高齢化社会に対応した雇用対策としてはどのような施策を講じていかれようとされておるのか、その対処方針についてはどうお考えになっていましょうか。その点についてまずお伺いします。
○初村国務大臣 高年齢者の雇用対策は労働行政の最重点課題の一つであると私どもは心得ております。そこで今後とも精力的にこの問題については取り組んでいく考えでありますが、具体的には従来からこの六十歳定年の一般化をできるだけ早く実現することが一つ。 それから、今後高齢化の波が移る六十歳台前半層については、六十歳を超える雇用延長の制度化の促進を図っていきたい。またシルバー人材センターの育成援助など、その多様な就業の希望に応じた対策の推進、さらに離職した高年齢者の再就職の促進などを積極的に今日まで推し進めてきたわけであります。今後ともこれらの施策を総合的かつ強力に推進し、高年齢者にふさわしい雇用就業機会の確保に努めてまいる所存でございます。
○鈴切委員 昭和六十年六十歳定年の一般化ということが最も基本的かつ重要な施策のようでありますけれども、五十五歳定年がいまでも非常に多いわけですね、三八%でしょうか。定年制の現状はどういうふうになっておりましょうか、その点についての御説明をお願いいたします。
○関(英)政府委員 先ほどもちょっとお答えいたしたところでございますが、労働省で実施しております雇用管理調査、これで現在わかりますものが五十六年一月現在の数字でございます。したがいまして、一年以上前の実態ということになりますので、ことしの一月の状況は六月ごろになると判明いたすと思いますが、現在のところこの五十六年一月現在の状況を申し上げるほかないわけでございます。 それによりますと、六十歳以上の定年制を採用する企業の割合が四二・六%、五十五歳定年制を採用する企業の割合が先生おっしゃいましたように三八%、こういうようなことになっております。 これを企業規模別に見てまいりますと、ごく最近になりまして大きな企業での定年延長が非常に進んでまいりました。先ほどもお答えいたしましたが、今後の改定予定等を含めますと、五千人以上の規模の企業では七三%を超えるような企業が六十歳定年になるというふうに予定されております。企業規模別に見ますと、三百人から九百九十九人の規模のところが、超大企業に比べますと定年制の延長の動きに相対的にややおくれが見られるように思います。今後の定年延長の課題が、その辺の中堅規模と申しましょうか、三百人から千人未満のところあたりに問題があるというふうに私ども現状を見ておるところでございます。
○鈴切委員 六十歳以上の定年制を採用する企業は四二・六%ということで、五十五歳定年を上回っているということでありますが、いまだ約三八%の企業が五十五歳定年であるという状況から見ますと、高齢者の再就職の困難な現状がつぶさにあらわになっているわけであります。 そこで政府は定年延長を推進するために具体的にはどのような施策を講じようとしておられるのか、定年延長を実現するために政府としてはこれからどういうふうな措置を講じようとされておるのか、その点についてお伺いします。
○関(英)政府委員 定年延長推進に当たりましては、第四次の雇用対策基本計画におきまして昭和六十年度には六十歳定年の一般化を図るということを掲げておるわけでございますが、そういった方針に従って従来から行政指導を強めているわけでございます。 具体的には、業種別に労使の代表の方々に集まっていただきまして、業種別の定年延長推進のための労使会議というようなものを開催いたしまして労使の合意形成を促進するとか、あるいは定年延長につきまして問題点を抱えている企業に集まっていただきまして、定年延長研究会といったものを開催いたしまして問題解決の指導、援助に当たっていく、あるいは高齢者雇用率の達成指導を通じて、その中で定年延長を指導していくということ、また定年延長奨励金という制度がございます、この活用を通じて定年延長を促進する、こういうようなことに努めているわけでございます。 今後におきましては、六十歳未満の定年制を有している企業につきまして、個々に個別企業に行政指導を計画的に推進して、できるだけ早い六十歳定年の一般化を実現していきたいというふうに思っております。また、定年延長に伴いまして、賃金コストの計算等いろいろ企業側で苦労する問題点についてコスト計算サービスというようなものを提供していく、あるいは高齢者の働く職場をつくるために企業が設備投資を要する、そういう場合におきます高齢者職場改善資金制度、こういったものを充実いたしまして、できる限り六十歳定年の早期実現に努めていきたいと考えております。
○鈴切委員 定年の延長対策は労使の自主的な努力を基本としているようでありますけれども、いまお話がありましたように、行政指導ということで業種別に個別的に指導しておるのだということでありますが、実際にはなかなか効果が上がらないというのはデータに出ているとおりであります。 そこで、昭和六十年六十歳定年の一般化の目標を達成するために、六十歳定年の法制化を実施する必要があるのじゃないだろうか、世間にはそういう声なんかも実はあるわけであります。そうしませんと、行政指導だけで達成するということはなかなかむずかしい、高齢化社会に対応するために昭和六十年六十歳定年ということはなかなかむずかしいことだと思うのですけれども、その法制化を実施する必要があるのじゃないかという国民的な声に対してはどういうようにお考えでしょうか。
○関(英)政府委員 御承知のように、わが国の雇用慣行は、欧米諸国と違いまして、終身雇用慣行というものが非常に一般的に行われております。定年もそういった雇用なり賃金あるいは退職金の慣行と結びついて制定されておるということが企業の実態でございます。したがいまして、定年延長に当たりましては、労使で十分話し合いながら、これらの年功的な賃金慣行、退職金の慣行あるいは人事管理上の慣行、こういったものを見直して取り組んでいくということがどうしても必要でございます。 このような雇用、賃金慣行の見直しと全く切り離して別個に定年について法律上規定をするということについては、いろいろな問題が非常に多いかと思うわけでございますが、先生も御承知のように、この法制化問題につきましては国会の場で非常にいろいろ御議論がございまして、与野党の合意に基づきまして、現在、雇用審議会に労働大臣から法制化問題を含めて諮問をいたしておるところでございます。その後雇用審議会では非常に精力的に審議が行われ、中間報告も出されましたが、法制化問題については、近いうちにこの雇用審議会の結論もまとまるかと思います。そういった雇用審議会の答申を受けまして私どもは対処していきたい、こういうふうに考えているところでございます。
○鈴切委員 昭和六十年六十歳定年ということを普及し効果あらしめるためには、もっと力を入れなくてはならないわけであって、行政指導だけではこういう問題はなかなかうまくいかないだろうと私は思うわけであります。 次に、先ほどちょっと話がありましたように、高年齢者雇用率については、中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法に基づいて、事業主は常用労働者の六%相当数以上の高齢者を雇用するよう努めなければならないというふうになっております。この雇用率の達成状況については、先ほど、六%に対して六・六%であるから非常に雇用率がよくなったんだ、こうおっしゃっているわけでありますけれども、しかし、実際に内容を見ますと、むしろ大企業においてはこの状況は決してよくないわけであります。 ですから、百人から三百人ぐらいの、言うならば小規模の企業においてはかなりの高率になっており、それを平均して六・六%ということであって、そう考えたときに、私は、大企業がこの問題について余り真剣じゃないというような感じがするわけでありますけれども、規模別、業種別に、この雇用率の達成状況についてひとつ御説明願いたい。
○関(英)政府委員 高齢者雇用率の規模別の達成状況でございますが、昨年の六月一日の状況で申しますと、実雇用率は、千人以上が四・九%、五百人から九百九十九人が六・七%、三百人から四百九十九人のところが七・四%、百人から二百九十九人のところが九・四%、こういう規模別の状況でございます。これを全体にならしまして、先ほどお答えいたしました六・六%という数字になるわけでございまして、企業規模の大きいところほど実雇用率が低いという御指摘のとおりの結果となっております。 これは、大企業ほど、新規学卒者を毎年春定期に雇用して、そして終身雇用のもとで従来であれば五十五歳定年まで、こういう雇用形態をとっているわけでございますので、最近定年延長が非常に進んでおりますものの、五十五歳以上の人員の割合はいまだに低い。しかし、六十歳定年というものが一般化していけば、この雇用率は年々上がっていくものというふうに見ております。 それから、産業別に申しますと、サービス業、農林水産業、建設業等で実雇用率が高く、未達成企業の割合も低いわけでございますが、卸・小売業、金融・保険・不動産業などで実雇用率が低い、未達成企業の割合も高いといったような状況になっております。
○鈴切委員 いま、大企業については、新規の若年雇用者が多くて、そして終身の雇用ということであるから、どうしてもそういうことについては低率にならざるを得ないということについて、私はちょっと納得がいかないわけです。それは、中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法、そういう法律に基づいて、事業主は常用労働者の六%相当数以上の高齢者を雇用するように努めなければならない。こういう、言うならば特別措置法があるわけですかち、そんな簡単に、若年の方々を雇用したから低率なんだというわけにはいかないと私は思うのです。 雇用率未達成企業の割合というものが約半数にも上っておるわけでありますけれども、こういう未達成企業に対する行政指導はどのようにしているのですか。少し甘いのじゃないですか。そんなことでは、高齢化社会を迎えるに当たって雇用率を大きく伸ばしていこうということがなかなかできない。もうなるがままにしているというような状態ではいけないのじゃないか。行政指導についてはどのようにやっていますか。
○関(英)政府委員 先ほど、大企業につきまして実雇用率がいまだに低い、その従来の原因を私は申し上げましたが、そのような状態でほうっておいていいというわけではもちろんございませんで、中高年特別措置法で雇用率の努力義務を課しているわけでございますので、大企業につきましても、まずは定年を延長し、そして高齢者を雇っていただくように指導しているわけでございますが、特に雇用率未達成企業につきましては、雇用率の低い大企業を中心として、雇用率の達成のための計画をつくるように命令いたしまして、それに基づき提出されました計画の実施のための指導を、その計画の中で書かれております達成方法に応じましてきめ細かく指導していくようにいたしておるわけでございます。そのほかの未達成企業につきましても、命令をしないところにつきましてもできるならば自主的な計画を作成していただく、そして実施を促すというようなことに努めております。 このような実施計画の指導に当たりましては、企業の規模等に応じまして、第一線の公共職業安定所任せにするのでなく、本省でも直接個別企業に来ていただきまして指導を行ったり、あるいは都道府県段階で幹部が中心になって指導を行うというような形で強力に行政指導を展開しているわけでございますが、今後ともそういう形で雇用率の達成指導を強力に図ってまいりたいと思っております。特に、計画を出した企業のうちで定年年齢が六十歳に満たないところにつきましては、強力に定年延長をするように、そのことによって雇用率の目標を達成するように強く指導してまいりたいと思っております。
○鈴切委員 事業主は常用労働者の六%相当数以上の高齢者を雇用するよう努めなければならない。努力目標でございますから、これに対してやはり行政指導ということになるわけでしょうけれども、しかし、行政指導では雇用率の達成というのはなかなかむずかしいわけです。この際、高齢化社会に対応してやはり雇用率を上げるためには義務化をする必要があるのではないだろうかというふうに思っておりますけれども、その点についてはどうお考えでありましょうか。 先ほどもお話がありましたように、全体としては六%を達成しておりますけれども、しかし、今後の急速な高齢化社会を勘案しますと、六%という達成率はちょっと低過ぎるのじゃないだろうか、もう少しこれを吸収するように、引き上げをあわせて検討する時代ではないだろうかというふうに思うのですけれども、その点についてはどうお考えでしょうか。
○初村国務大臣 いま先生御質問のように、いろいろと六%の率をもっと上げなさいというような希望のようでございますけれども、高年齢者雇用率の達成というものは、年功賃金等わが国特有の雇用、賃金慣行の改善を図りながら行われなければならないという実情にあるようであります。こうした雇用、賃金慣行の改善は、本来労使が自主的に話し合って進めるべき事項であって、これと切り離してこの雇用率制度に強力性を持たせるということは、私どもはただいまのところ適当でない、かように考えております。 そこで、六%の法定雇用率の引き上げについては、雇用率の未達成企業の割合が約半数を占めておるわけでございますから、何よりもまずこれら未達成の企業の雇用率達成に向けて最大限の努力が必要であり、当面このために強力に行政指導を展開していくべきであると考えております。それから、今後とも雇用率のための計画作成命令の活用等によって事業主に対する行政指導に努め、雇用率の達成を図ってまいりたい、かように考えております。
○鈴切委員 行政指導をすることによって何とかやりたいとおっしゃっておりますけれども、実際に企業の中においては、これに対して真剣に本当に取り組んでいこうという姿勢の欠けるところもあるわけですね一ですから私は、いまの時代になりますと、雇用率のアップということを考えるという意味においては、そのようにして努力を余りしない未達成企業については公表するくらいの今後労働省としては取り組みをしていかなければ、この問題についてただ行政指導しておりますからと言って、陰で話し合いをしておるようではなかなかうまくないのじゃないだろうか。だから、公表に踏み切ったらどうだろうかと私は思うのですが、その点についてはどうお考えでしょうか。
○関(英)政府委員 先生の御指摘の制度は、身体障害者の雇用率に公表制度あるいは未達成の場合に納付金を納めるような制度、それに類したようなものを考えたらどうかということだろうと思いますが、先ほど来お答え申し上げておることの繰り返しになって恐縮でございますが、わが国の雇用慣行の中心でございます賃金なり退職金なりあるいは人事配置のいわゆる年功的なこの慣行を労使で十分話し合って見直していくということが、どうしても定年を延長したり雇用率を高めていくための中心になるわけでございますし、前提になるわけでございます。そういう意味で、そういった労使の話し合いと切り離してこれに強制力を持たせるといったことには、非常に問題が多いというふうに私ども考えておるわけでございます。 しかし、だからといって、この雇用率未達成企業をそのままに放置しておいていいわけではもちろんございません。そういう意味で、六十年六十歳定年の実現と、それから雇用率の未達成企業に対する指導、この点は私どもこれからの行政の最重要課題として強力に個別指導に取り組んでいく考え方でございます。 経営者団体の中では、労働省の行政指導というものが余りにも個別企業に対する干渉であるというような反対の声も聞かれるところでございますが、この定年延長と高齢者雇用率の達成については、今後とも強力に個別指導に取り組んでいく覚悟でございます。
○鈴切委員 いまそういう程度で事は済まされるわけでありますけれども、これから急速に進む高齢化社会に対応するためには、もっともっと先取り的な考え方で対処しませんと、なかなかこれが後手後手という形になってしまうおそれがあるので私は申し上げているわけでございまして、この問題はなかなかこれから大きなネックになる以上は、労働省としてもやはり相当力を入れながら、あらゆる角度からこの問題に対しての検討を今後していかなくちゃならぬだろう、そういうことを老婆心ながら申し上げているわけであります。 そこで次の問題でございますけれども、このところ全国各地に高齢者事業団とかあるいは福祉事業団等ができておりますけれども、政府は、今後急速に進展する高齢化社会に対応するための新しい労働対策の一環をなす重要な施策として、五十五年度からシルバー人材センターの育成援助を実施しているようでございますが、シルバー人材センターの現状はどういうふうになっているのか。五十五年度、五十六年度の団体数と補助金の額はどのくらいになっているのか。また五十七年度についてはどうお考えになっているのか。その点についてお伺いします。
○加藤(孝)政府委員 この高齢化社会の進展いたします中で、定年で一応会社などをやめた、しかし、まだ元気なのでぜひ何らかの仕事をして地域社会の役に立ちたい、こういう高齢者の方々が増加をしてきておるわけでございまして、こうした高齢者の方々の就業ニーズに応ずるために、新しい就業対策として五十五年度からこのシルバー人材センターの育成援助に取り組んできたわけでございまして、大変に全国各地で好評を博しておりまして、本年の二月二十日現在で百三十五団体が業務を開始しておる状況でございます。 五十五年度の当初は、予算といたしまして百団体を予定いたしましたところ、九十二団体の設立を見たわけでございます。これにつきまして補助金の総額が六億円ということでスタートしたわけでございます。五十六年度になりましてこれを百五十団体にふやすということで取り組んでまいりまして、現在のところ百三十五団体、こういうことでございまして、予算の総額は九億七千万円を計上いたしております。さらに五十七年度におきましては、これを二百団体にふやしていきたい。そして予算の額といたしまして、十四億八千万円を予定いたしておるところでございます。 また、この補助金の単価につきましても、二分の一補助でございますが、五十五年度に六百万円ということでスタートいたしまして、五十六年度は継続分につきましては七百五十万円、そして五十七年度につきましては継続分として平均八百三十万円、こういうことで、補助単価の増額等も図りながら今後の拡大を図る構えで進めておるところでございます。
○鈴切委員 シルバー人材センターの一団体に対する補助は、最高は五十五年度は六百万、それから五十六年度が七百五十万、五十七年度は八百三十万ということで、補助金が徐々に上がっているらしいですけれども、シルバー人材センターの規模とか活動の実態に応じた補助金のランク制の導入というのが検討されているというふうに聞いておりますが、ランク制を導入した場合、上限、下限の基準をどう定め、補助金をどのようにランクづけするのか、その検討状況というのはどうなっていましょうか。
○加藤(孝)政府委員 御指摘のように、活動がいろいろ大きいところ小さいところとだんだん出てまいりますと、同じ金額ではどうかというようなことで、特に活動規模の大きなところ等からのいろいろな要望等も出ておりまして、現在平均単価は、予算単価でございますが、この予算の範囲内でABCの三ランク制というものを検討いたしておるわけでございまして、一応、センター設置市の人口規模あるいはまた会員数あるいは就業延べ人員、こういったような要素などを入れまして、具体的にこのランク制の導入についていま鋭意検討を進めておる、こういう段階でございます。
○鈴切委員 そうしますと、三ランク制に一応やっているけれども、実際にはまとまっていない、こういうことなんでしょうかね。
○加藤(孝)政府委員 率直に申しまして、大きいところはぜひ単価をふやしてほしいということでございますが、活動規模の小さなところがこれはやはり減らされては困る、結局、平均単価の中での問題でございますので、そういった若干経過的な措置をどうするかというような問題もございまして、なおいろいろ実情を踏まえて詰めが必要でございまして、まだ最終的な決定案をつくるまでには至っておりません。
○鈴切委員 その最終の決定案というものは大体いつごろになるのかということについても検討されていると思いますけれども、その点についてはいつごろになりましょうか。
○加藤(孝)政府委員 その補助金の申請が新年度に入りますと早々いろいろ出てまいりますので、できる限り四月中あたりには何とか成案を得たい、こんなふうに考えておるところでございます。
○鈴切委員 シルバー人材センターが発足して二年近く経過しておるわけでありますけれども、地域によってはまだその趣旨や仕組みが十分に理解されていない面も見受けられております。今後の発展を図っていくために、もっともっとPRに力を入れなければならないだろうと思いますけれども、それに対して労働省としては対応策をどのようにお考えになっていましょうか。
○加藤(孝)政府委員 御指摘のようにシルバー人材センターが各地でなかなか好評を博しているというものの、いろいろ伺ってみますと、まだ、ああそんなものがあったのかと言う高齢者もありますれば、また、事業所あるいは一般家庭などでも、そういうところがあったらわれわれも何か仕事が出せたかもしらぬというようなお話を伺うことがいろいろございます。おっしゃるようにこの高齢化社会でいろいろ機能を期待されておるシステムであるだけに、私どももさらに一層PRに努めたいと思っておるわけでございまして、最近は、このシルバー人材センターにつきましての活動状況をフィルムにいたしまして、そういったフィルムをこれからまた全国にも流していきたい、こんなふうにも考えておりますし、また、来年度の予算でシルバー人材センターの全国協議会というようなものの活動につきまして補助する準備を進めておるわけでございまして、そういう全国協議会などの場を通じましてさらに積極的に全国PRを強めたい、こんなふうに考えておるところでございます。
○鈴切委員 今後の事業の進展と拡大に伴って、実はその事務や対応に携わっている事務局の職員が直面する諸問題が多くなってくるのではないかというふうに心配されておりますが、職員の研修についても今後さらに力を入れていかなければならないと思いますけれども、どのような対応策を考えておられましょうか。
○加藤(孝)政府委員 御指摘のように、シルバーの仕事の開拓についての方法とか仕事の受注とか提供に伴う契約関係であるとか、あるいはまた金銭の収支の経理関係事務、あるいはまた公益法人としての会計処理事務、さらにはまた会員の技能訓練関係の業務等々、事務局体制の整備あるいはまた事務局職員の研修等が、やはり今後シルバー人材センターが本当にうまく発展していくかどうかの大きなかなめになってきておるわけでございます。 そういう意味で、今後都道府県を通じまして、こういう事務局職員に必要な知識あるいは考え方の研究、指導をやっていきたいと考えておりますが、さらに、先ほど申し上げましたシルバー人材センターの全国協議会の援助育成を通じまして、全国協議会の主催というような形で各センターの事務局職員研修会というようなものを全国レベルであるいはまたブロックレベルで開催をいたしまして、この研修問題に積極的に取り組んでまいりたい、こう考えておるところでございます。
○鈴切委員 労働大臣、いまも論議してきたわけでありますけれども、シルバー人材センターの拡大充実という問題は、今後やはり高齢化社会に対応して必要欠くべからざる問題だと私は思っております。そこで、労働大臣としては、今後シルバー人材センターの拡充とか充実、これをどういうふうにお進めになっていかれるつもりでいるのか、その労働大臣の決意をお伺いしておきましょう。
○初村国務大臣 いま問題になっておりますシルバー人材センターというものは、急速に進展する高齢化社会に対応するための新しい労働政策の一環をなす重要な施策であると私は考えております。 そこで、今後とも六十歳以上の高年齢者の就業対策としてますます重要な役割りを果たすことが期待されるものであって、真に必要な地域にこのシルバー人材センターが増設されるように一層の努力をしてまいりたい、また、シルバー人材センターが活力ある地域社会づくりに寄与していき、深く根づくとともに、この助成内容等についてもできるだけ充実を図っていきたい、こういう決意でございます。
○鈴切委員 高齢者の一つの悩みは、いままで自分が勤めておった職業であるならばそれなりに対応はできますけれども、しかしこれから新しい職業につかなくちゃならないということになりますと、はたと困る問題が実はあるわけであります。そこで、高齢化社会への進展を踏まえて高齢者の職業能力の開発向上ということが、これは一つは雇用率を高めていく重要な問題にもなろうかと思いますけれども、具体的にどのような施策を講じようとされておりましょうか。その点についてはいかがでしょうか。
○森(英)政府委員 先生御指摘のとおり、わが国社会が高齢化社会へと急速に移行しておる中におきまして、長期化する労働者生活の安定充実を図りながら、他面、高度の産業技術に支えられたわが国経済社会の活力を引き続き維持していきますためには、とりわけ中高年齢者に対する能力開発の問題が非常に重要であろうと考えております。 そういう見地に立ちまして、職業訓練行政といたしましては、この中高年齢者に対する職業訓練を最重点の一つに考えておりまして、現在、約七万数千人の規模で離転職者に対する能力再開発訓練を行っておりますが、これは当然再就職のむずかしい中高年齢者に重点を置いて行っております。特に六十歳台前半層につきましては、ビル管理、表具、家電サービス、園芸、造園というふうな高齢者に適した訓練科を設けまして、その増設を図りながら中高年齢者に対する職業訓練の充実に努めておるところでございます。また、定年退職予定者に対しましては、定年退職前職業訓練、職業講習を実施しておりまして、定年後の再就職の円滑化に資しておるところでございます。 さらに、中央職業能力開発協会に人材カレッジを設けまして、中高年齢者の能力開発のニーズに直接コースを設けて対応しますと同時に、事業主等に対する相談、指導、情報の提供等を行いまして、民間における中高年齢者に対する職業訓練の普及振興にも資してまいろうということをやっておるわけでございます。 なお、五十七年度におきましては、これらの施策の一層の充実を図りますと同時に、さらに生涯訓練奨励給付金制度というものを新しく設けまして、約二十二億円の予算を計上しておるところでございますが、これによりまして、事業主が生涯訓練の基本の上に立って段階的、体系的な事業内訓練計画をつくりまして、それに基づいて中高年齢者等に教育訓練を行います場合には広く助成をするという措置をとることにしておるところでございまして、公共訓練及びこういう民間の訓練を総合的に活用いたしまして、高齢者の職業能力の開発に遺憾のなきよう期してまいりたいと考えておるところでございます。
○鈴切委員 労働省のもう一つの大きな施策の柱としては、心身障害者の雇用対策という問題がやはり大きな問題だと私は思います。昨年は国際障害者年ということで大変に身障者がクローズアップされてきましたけれども、何も昨年の国際障害者年ということだけではなくて、これはこれからの問題として続けていかなければならない問題だと私は思っております。やはり就職に当たって、心身にハンディキャップを持った人たちの雇用をするということはなかなか大変な問題でありますけれども、しかし、それをカバーするために、身体障害者雇用率制度とか身体障害者雇用促進法の運用を図りながら雇用の促進を図ってこられてきております。 しかし、労働省が昨年行った調査によりますと、雇用率を一・五%以上と定めている民間企業のうち、四六・六%が実は未達成であるわけであります。一・八%以上の特殊法人に至っては五一・五%が未達成というありさまでございます。特に民間企業については、大企業ほど雇用率が低い。百人以下の小企業が六一・四%達成しているのに対して、千人以上の大企業は一九%にすぎないというデータが出ております。 障害者はそれなりのハンディがありますけれども、生産性が著しく低いという結果は決して見られず、また欠勤率はむしろ低くてまじめだという評価を受けている事例が実は明らかになっているわけでありますけれども、政府に企業の雇用意欲と社会的責任を全うする強い行政指導が必要だと私は思うわけでありますが、この心身障害者等に対する雇用についてはどういうふうな御認識でございましょうか。
○関(英)政府委員 先生御指摘のように、企業規模の大きいところほど雇用率の達成状況が悪いという現状にございますが、昨年の国際障害者年を契機といたしまして、大企業におきましても、あるいはまた従来比較的雇用が進まなかった銀行等金融関係におきましても、身障者の雇用に非常に熱心になってまいりました。 そういう意味で、私どもは昨年を一つの契機として、先生御指摘のように、これから身体障害者の雇用を強力に進めていかなければならないと思っておりますが、具体的には、雇用率未達成企業につきまして、特に大企業中心に雇い入れの計画の作成を命令いたしまして、計画的に身体障害者を雇用するよう指導していくということに努めたいと思っておりますが、その計画の実施状況の悪い企業については、計画を適正に実施するよう勧告をするというようなことに努めているところでございます。今後ともこういった行政努力を通じて身障者の雇用促進を図ってまいりたいと思っておるところでございます。
○鈴切委員 定められた雇用率以下しか身障者を雇っていない企業から一定の罰金とも言える雇用納付金を徴収するということが決められておりますけれども、身障者を雇うより納付金を払う方が楽であるという風潮がまだまだ残っているように見受けられるわけであります。 なかんずくけしからぬのは、大企業の場合においては、先ほどの大企業の高齢化社会に対応する高齢者の雇用率が低いと同じように、この問題においても達成の割合が一九%にすぎないという数字があらわれているわけですね。やはり雇用率未達成の企業名は公表するとか、あるいは雇用納付金をもう少し大幅にアップするとかいう強い処置をもってこれに対処しなければならない時代じゃないだろうか。そういう甘えが結局は大企業をしてこのようにして低い雇用率にしているわけでございますから、労働省は高齢者の雇用の問題とかあるいはまた身障者の雇用の問題について余りにも手ぬるい問題があるのじゃないかという批判が国民の中にあるわけでございますけれども、その点についてはどう対処されますか。
○関(英)政府委員 雇用率未達成企業につきましては、先ほど申し上げましたように、大企業中心に達成計画の作成を命令し、その計画どおりの実施を行わない企業に対しては適正に実施するような勧告を行っているところでございますが、法律の定める手続によりますと、この勧告にもかかわらずなお計画が進まないような企業名を公表する措置も身障者雇用促進法に書かれているわけでございます。現在こういう法律の手続に従いまして勧告という段階まで来ているわけでございますので、ことし六月一日現在の雇用状況、こういうものを見まして、勧告によって企業におきましてどこまで改善措置が図られたか、十分見きわめをつけまして、場合によっては企業名の公表措置もあり得るということで臨んでいきたいと思っておるところでございます。 なお、納付金につきましては、法律の規定に従いまして、昨年秋に関係の審議会で見直しをしていただきまして、そして前回決めた以降の物価上昇等、身障者の雇用に係る特別費用の額の実態調査結果に基づきまして審議会の答申を得ておるところでございまして、五十七年四月一日から現行月三万円を四万円に引き上げるようにいたしておるところでございます。この納付金制度の活用を通じまして身障者の雇用促進を図ってまいりたいと思っております。
○鈴切委員 私も時間の制限がありますから、もう一問だけで、中途で質問を関連の市川君の方に譲りたいと思っております。 ことしに入って、一月に中央心身障害者対策協議会から「国内長期行動計画の在り方」の提言がなされ、さらに重度障害者特別雇用対策研究会からの報告が出され、二月には身体障害者雇用審議会から「国際障害者年を契機とする心身障害者雇用対策の今後の在り方について」という意見書が提出されております。今後の心身障害者対策を総合的に推進していくに当たって、重要な内容を持ったいま申し上げました三つの提言に対しまして、政府としてはどのようにこれを受けとめ、またどのように対応されるのか、その点をお聞きしまして、次の関連にバトンタッチをしたいと思います。
○初村国務大臣 心身障害者の雇用対策については、従来から行政の最重点課題の一つとして取り組んできたところでありますが、昨年の国際障害者年を単に一年限りの問題として終わらせることなく、これを契機に障害者雇用対策の一層の充実を図ることが重要であると考えております。 御指摘の中央心身障害者対策協議会の提言は、長期的視点に立った今後の幅広い対策のあり方が示されているものであります。また、身体障害者雇用審議会の意見書は、同協議会での審議も踏まえながら中長期的視野に立った障害者雇用対策のあり方について専門的立場から検討され、さらに具体的な対策の方向が示されているのであります。今後の障害者雇用対策の展開に当たっては、これらの意見書を十分尊重し、その方向に沿った心身障害者雇用対策の充実強化に努めてまいります。 具体的にはこれらの意見書に基づいて重度障害者の雇用の促進に最大の重点を置いて、障害の種類や特性に応じたきめ細かな対策を展開すること、さらに現行の諸制度だけでは一般雇用につくことが困難な重度障害者に対して新たな対応策を検討すること、さらに精神薄弱者については、その雇用上の諸問題を解決するための条件整備を進め、その進展を見きわめながら精神薄弱者に対する雇用率適用を検討すること、そして職業リハビリテーションに携わる専門職員の養成、研修体制を整備し、職業リハビリテーション関係機関の充実に努めることなどを中心に、今後の長期的な障害者雇用対策の確立に努めてまいる所存でございます。
○鈴切委員 以上で私の質問は終わります。
○石井委員長 次に、市川雄一君。
○市川委員 失対事業についてお伺いしたいと思います。 昨年の七月、失対就労者に対する自立引退特例援助金制度を実施したわけですが、この運用について実際には就労者に趣旨が徹底されなかったりあるいはいろいろ問題があったように現場サイドで聞いておりますが、労働省として、この自立引退特例援助金制度というものを実施した結果、どういう結果をいま把握しているのか、その結果についてどういう評価を下していらっしゃるのか、まずその辺からお伺いしたいと思います。
○加藤(孝)政府委員 昨年の七月から九月までの間に特例援助措置を実施をいたしまして、この間におきまして国の百万円の特例援助措置によりまして自立、引退された方が一万五千二百九十八名、それから地方の単独の特例援助措置や通常の就職支度金等によって自立、引退された方が二千九百二名、こういうことで、合計一万八千二百名の方が五十六年度下半期から失対就労者ではなくなられまして、その結果約七万五千名の失対就労者が残られた、こういう状況でございまして、この点につきまして、趣旨の徹底の問題等につきまして私どももポスターであるとかチラシなどをつくりましてできるだけの周知には努めたところでございますが、地域によりましては就労団体等がやはりそういうPRそのものにいろいろ抵抗等もございまして、そういう中で必ずしも完全に徹底しなかったという面があるいはあったのかもしれませんが、私どもとしてはできるだけ個々の就労者の方にそういう周知できるような努力はしたつもりでございます。 当初予算上で計上いたしておりましたのは約二万名ということでございましたが、結果といたしまして約一万五千三百名という状況でございまして、一応の効果は上げたものだというふうに考えておるところでございます。
○市川委員 大臣、いかがですか。
○初村国務大臣 いま失業対策部長から報告がありましたとおりに、二万名の予定が一万五千名程度であった、そういう点についてはいろいろと反省すべき点もあったというようなお答えがありましたけれども、私は、この特例援助措置は今後失対事業を労働政策として維持運営し得る内容に改善していくための措置の第一歩として実施したものでありますから、この措置によって相当数の高齢就労者の自立、引退を図ることができたということで、一応の成果があったものと認めております。
○市川委員 いろいろ問題があったわけですが、これを一つ一つお聞きしたいと思います。 その前提として、これは五十六年度限りというふうに伺っておりますが、しかし、実際七万五千人の方が残っていらっしゃるわけですけれども、その年齢別の構成を拝見しましても、事実上六十歳以上の方が圧倒的に多いわけです。したがってこれから、六十五歳以上はおろか七十歳以上の方も残っておるわけですし、いろいろな問題があると思うのです。 一つは、体力とか能力というものを全然考慮しないで一律に線引きするというやり方、これはちょっとやり方としてどうなのかという疑問が残りますし、また自立、引退後の生活のあり方というものを考慮しないで、ただ百万円出すからやめろという、そういうやり方はどうなのかという、いろいろな点で疑問を感ずるわけです。これは五十六年度限りということですが、今後こうした特例措置というものを全く考えていないのかどうか、その点はどうですか。
○加藤(孝)政府委員 昨年度この特例援助措置を実施いたしました趣旨は、今後の失対事業を労働政策としての事業として適正な運営のものに改善をしていこう、そういう中で高齢、病弱等のためになかなか就労が困難だという方について、この百万円を差し上げることによりましてできるだけ早期に自立、引退をお願いしたい。また、百万円という金額は政府としては相当思い切った措置でございますが、この研究会報告にも申し述べられておりますように、いままで失対に就労して生活を支えられていた方がここで短期間のうちに失対をやめて、生活体系がいろいろ変わる、そういう急激な変化に対応するという観点で思い切った額を支給した、こういうものであるわけでございまして、今後こういう措置につきましては、そういう急激にやめるということではなくて、これからいろいろ事業を適正に運営していく中でいろいろな措置が進んでいく、その中で、今後の、たとえば引退後のいろいろな生活相談、そういったような、徐々に高齢者の方もいろいろな今後の対応を準備していただくということとあわせて対応を進めていかなければならぬと考えておるわけでございまして、そういう意味で、こういう一時金的なものを出してどうこうということは現在考えていないところでございます。
○市川委員 この失業対策制度調査研究報告によりますと、いま答弁でおっしゃっていましたけれども、「就労者が長期にわたって失対事業へ依存してきた生活を急激に変更することとなる事情等を十分に考慮し、特例援助措置の内容について特別に配慮する必要がある。」これは、いまの御答弁ですと百万円という金額を思い切ってやったんだということなんですが、しかし生活を急激に変更するということなんですね。ですからこの百万円という額は、それは政府にとっては大きな思い切った額だったのかもしれませんが、自立、引退する人にとっては、これからの生活がどうなるのかという、このことが非常に大きな不安だったわけですね。そういう点での施策というか、これからは何か年数をかけてやるとおっしゃっていますが、今回の特例措置にあわせてそういうことをもっとしっかりやるべきだったんじゃないのかというように思うのですね。 では具体的に聞きますが、百万円という額をお決めになった根拠は何かございますか、どうですか。
○加藤(孝)政府委員 この金額についてはいろいろ見方もあろうかと存じますが、これが自立、引退後の生活がこの百万円で大丈夫だ、そういうものではもちろんないわけでございまして、一つには、この就労者がこの際踏ん切りをつけて引退あるいは自立をされる、こういう踏ん切りをつけやすくする、あるいはまた失対事業に依存してきた生活を急に変更いたしまして、たとえば息子や娘の世話になるとかというようなことでの何がしかの金が要るというような事情、あるいはまた、昭和四十六年にやはり特例措置に似たものをやったことがあるわけでございますが、十年前のこの金額が二十五万円というようなこと等もいろいろ勘案をいたしまして決めたものでございます。
○市川委員 先ほど御答弁の中で、ポスターをつくったりいろいろ周知徹底には努力した、しかし関係方面に抵抗があったりして、こうおっしゃっておりましたけれども、そういう抵抗を全くしないで、むしろ政府の今回の特例措置に金額等に大きな不満は持ちつつも協力をしていこうということで、たとえば横須賀市の全日自労横須賀分会などでは、話が来てすぐみんなに知らせようと努力をしているわけですね。それでも話が来たのは九月だと言っているわけです。実際にここに、生活相談日は九月十二、十三日、組合事務所で行います、十二日土曜日は午後一時から午後五時まで、十三日日曜日は午前九時から午後三時まで、組合の関係者と市の関係者が一緒にそろってこの特例措置の内容について相談を行います、これは全然抵抗してないのですよ。 〔委員長退席、田名部委員長代理着席〕 むしろ特定の政党の失対事業に対する介入というものに対して非常に反発を持っている組合なんです。ですから、百万円という金額には非常に不満だけれども、いろいろな世間の御批判があることを十分承知して、自覚して協力をしよう、こういう組合なんです。この組合でさえも話を聞いたのが九月だと言う。ですから、土曜日、日曜日をつぶしてまで一生懸命精力的に相談したんだけれども、実際自立、引退後どうするのかという問題について家族と十分に話し合う時間が持てなかった、こういう実情があるわけですが、こういう点は御承知になっているのですか。
○加藤(孝)政府委員 この制度につきましては、実は、一昨年研究会の報告が出ましたときに、一応就労団体にはすべてそういう措置について説明はいたしました。また予算が成立いたしました時点でも、特に通達を出しましてそういった面の周知に努めたところでございますし、また、制度が始まります七月の前の時点でもそういうPRに努めたところでございます。 いまお示しのものは具体的な土地名が入っておりますので私もなかなか答えにくいのでございますが、県によりましては、就労団体が徹底的にそういう相談も一切させない、あるいはビラも一切まかせないということで、県の本部レベルで大変強く抵抗された一部のところがございまして、そのお示しの例もそういった地域の一部だというふうに私は聞いておるわけでございまして、確かにそういうところもあったことは事実でございますが、全体的には大体六、七月あたりで一応のPRはできていた、こういうふうに見ておるところでございます。
○市川委員 では、県レベルでとまっていたということですか。そういうふうには聞いてないのですが、 では、次に移りますが、これは自治体がすごい負担になっているのですね、特例措置は。実際問題としては、百万円、国が大幅に決断したとおっしゃっているのですが、国が持つのは三分の一、あとは県市で三分の二。自治体が非常に負担になっているという事実は御承知ですか。実際は百万円の三分の二ということでなくて、別の金額も自治体で負担しているのですが、そういうことについては国の方で何か実態を御承知ですか、どうですか。
○加藤(孝)政府委員 この百万円につきましては国、都道府県、それから事業主体である市町村が原則として三分の一ずつということでやったわけでございまして、この三分の一というのは、現在就職支度金の補助率が三分の一というようなこととの並びでそうなったわけでございます。しかし、都道府県あるいは市町村の負担分につきましては、自治省等とも何度も協議を重ねまして、特交あるいは地方交付税等の形で何らかの配慮をするというような点で自治省にもいろいろ御協力をお願いいたしたところでございます。 ただ、百万円を上回る面につきましては、確かにこれが各事業主体あるいは都道府県等で負担になっておるという事情はいろいろ伺っております。地域によりましては相当高額な負担になっておるというような事情もよく伺っておるところでございます。
○市川委員 ですから、事は国が考えているほど簡単な問題ではないということを申し上げたいわけです。 たとえば神奈川県の横須賀市の例を引いて申し上げますと、百万円の負担についてはどういう負担をしたかというと、国が三十三万三千円、県が四十四・九万円、市が二十一・七万円、そのほかに就職支度金で県が三十六万、市が十四万、合わせて県市で五十万出しているわけですね。そのほかに市として六十二万七千円という慰労金を出しているわけですから、合計で一人当たり二百十二万七千三百四十円という金額が出ているわけです。ですから県や市のレベルでは、こういうものを出さないと、いまの失対に就労している労働者の実態からいって国の言う百万円をぽんと渡しただけではもうどうにもならないという実態を把握しているわけです。ですからこういうことをやっているのだと思うのです。 今回のこの特例は五十六年度限りということでございますが、今後も自立、引退という人に対しては県市で支度金を五十万、それから市は慰労金六十二・七万というものを出していこうという意向を持っておるようです。そういう意味で、国の取り組みというのは何でもいいから早くなくせばいいという方に力点がかかり過ぎているのではないか。やはりいろいろな経過があって今日に至っているわけですから、引退後の生活をどうするのかということでその痛みを国の行政はもうちょっと感じる必要があるのではないか、こういうふうに私は思っているわけですが、その辺についてどうですか。県市はこれだけ真剣に取り組んでいるのに国の方がどうも安易な感じがしてならないという点が第一点です。 もう一つは、この研究会報告に「特例援助措置実施後の就労者の自立、就職の促進について特例援助措置実施後において、日雇労働者就職支度金制度の内容の充実を図るとともに、」こういうところがあるのですが、「日雇労働者就職支度金制度の内容の充実」、これは何か具体的に充実を図るお考えがありますか、どうですか。
○加藤(孝)政府委員 この百万円にプラスいたしますこういう地方単独の上積みの関係につきましては、その地方の就労団体、就労の実情あるいはまたそれぞれの自治体の財政事情というようなものもございまして、この辺につきましては私どもとしては地方公共団体の独自の判断にゆだねたわけでございまして、各地によりまして高い低いがいろいろ出ているわけでございます。そういう意味では、地域によりましてそういう支度金などについてかねて単独で相当大きな上積みをしておられるところは、それを今度の百万円にプラスして出されるというようなことで高くなったところもございますし、あるいはまた就労団体からの強い要請に応じて上積みをされたというようないろいろなケースがあるわけでございますが、こういう事態に対しまして、私どもとしては特に上積みをしろとかするなとかいうことには一切関知しない形で対応してきたわけでございます。 地域によって、就労者の多いところは総金額が多くなるということでなかなか高額も出せないというような面もいろいろあったようでございまして、私どもとしては、この百万円の補助対応分については国としてもその辺について何らか配慮すべきだというふうなことで臨んできたところでございます。また、今後自立、引退される方につきましては、私どももその人その人の希望に応じた対応というものをやはり考えていかなければならぬ、特に関係の職業相談室であるとか社会福祉関係機関とか、そういったものとの連携等も今後図っていかなければならぬと考えております。 今後の就職支度金制度につきましては、現在六万円を倍増する形での予算要求を提出したところでございますが、残念ながら財政当局と意見が十分かみ合わなかったわけでございます。今後これにつきましては、内容の改善あるいはまた適応の仕方といったようなものも含めましてぜひ検討を進めていきたい、こう考えておるところでございます。
○市川委員 ですから、今後は日雇労働者就職支度金制度の充実でこれを準用してやっていこうというお考えのようですけれども、いま六万円ですね。その六万円も、国が三分の一で二万円でしょう。仮にいまおっしゃられた倍増をされたとしても十二万、国が三分の一として四万ということですよ。ところが県市は県市で支度金を五十万、市は単独で慰労金を六十二万出そう。切実な実態があるから県市はそういう行政取り組みをやっているわけですから、国の方もそういう痛みというものをもうちょっとしっかり持ってもらいたいということを申し上げたいわけです。 次に、乙事業から甲事業への移行について、五十六年十二月の職業安定局長の通達及び失業対策部長の通達によって、七十歳以上の者はすべて甲事業の紹介対象者とするということで一律七十歳で線引きをしてやっておりますが、実際、七十歳以上の方でも六十歳ぐらいの体力、能力のある方もいらっしゃるし、あるいは逆に若くてももう七十歳以上の体力、能力しかないという方もいらっしゃるわけでして、そういう点を一律にただ年齢だけで上から下へやるというやり方はどうでしょうか。地域によっては、そういう組合と事業主体者の市、自治体と話し合って、それで個人個人の体力や能力を見ながら振り分けをやっているところも実際あるわけです。そういうところまでこの通達でやれということになると現場が非常に困る、混乱する、こういう意見もありますが、この点、地域のそうした自主性というものもある程度重んじていくのだというお考えはありますか、どうですか。
○加藤(孝)政府委員 この事業を甲、乙に分離をいたしましたのは昭和五十一年度からでございますが、体力、能力、年齢がさまざまな人たちが混在しておりますと、作業内容、就労秩序あるいは労働時間という面でどうしても低きにつかざるを得ないという面があったわけでございまして、そういう意味で、今後の事業の適正な運営ということをねらいといたしましてこの甲乙分離を進めてまいったわけでございます。 それで、五十一年度当初におきましては六十五歳を基本としてやってきたわけでございますが、これがなかなか完全に実施をされないという面もございまして、今後これをどうしても労働政策の事業として適正なものにしていきたい、特に乙事業についてはできるだけ効率のある事業にしていきたい、こういうようなことで、当面、五十七年度当初において七十歳以上の方を甲事業の紹介対象者ということにしたわけでございます。 一人一人仕分けるということにつきましては、本人は、私はまだ元気だ、私はまだがんばる、こうおっしゃいましても、はたで見ますと実はなかなかそうもいかないというような事情もいろいろございまして、どうしてもこういう体力、能力について客観的な判断基準というものの確立がむずかしいわけでございまして、そういう意味で、一般の労働者にも一応たとえば六十歳とか六十五歳とか、そういう定年制がございますように、ある程度は一定の年齢によって定める以外にはないと考えておるわけでございます。 しかし、七十歳以上の方でありましても、たとえば技能者に準ずるような方で事業遂行上どうしても必要だというような方につきましては乙事業の紹介対象者にとどまっていただいて結構だ、こういうようなことでの若干の弾力性は持って、そしてここは、事業主体それから安定所それから就労団体、よく話し合いをしながらやってくれ、こういうことで指示をしておるところでございます。
○市川委員 そんなこと聞いてないじゃないか。そんな労働省の言うような技能者なんていないのですよ。技能者がいれば、とっくにもう自立しているのです。そんなむちゃなことをやったって無理なんです。 そうじゃなくて、こういう一律の通達を出しているけれども、年齢で線引きするという気持ちも理解はできるけれども、一律にやるなということを言っているわけです。実際問題、あなたは無理だよ、もう甲へ行きなさい、組合長が率先してそういうふうに選別して市と話し合ってやっているところだってあるのですよ。そういうところまでこういう通達を押しつけられちゃうと困っちゃうわけです。そういうところについては、ちゃんと国の趣旨と合うようなことをやっているのだから、通達を盾にしてそういうことを現場にやるなということ。それはどうですか、それを聞いているわけですよ。もうちょっと行政としてそういうことに柔軟に対処しなさいということを言っているわけです。
○加藤(孝)政府委員 この問題については、就労者が乙事業から甲事業へ移るあるいは移らない、こういうことで、いろいろ本人の今後にもかかわることでございますので、私どもも十分現場レベルでよく話し合いをしてやってくれ、決して強行するな、こういうことで現地の指導をいたしておるところでございます。
○市川委員 しかし、変な手紙を県に出したりなんかして大分おどかしているのですよ。国に協力しないと補助金を引き揚げるとか、そういう文書もあるわけです。 時間がなくなってきましたので、一括して御質問しますが、たとえば屋内作業の廃止縮小というものを今回通達で打ち出していますね。しかし、五十一年二月二十三日の職業安定局長の通達では、むしろ屋内作業の現場拡大に努めることと逆のことを通達していたわけでしょう。今回は逆に廃止縮小せよ。五十一年と五十六年では事情が変わったと言えば事情が変わったのでしょうが、一方は廃止縮小、一方は拡大せよ、こういう何か場当たり的な印象を非常に受けるということ。 それから、乙から甲へ移行を推進しようとしていますね。乙から甲へ。ところが、甲の仕事の主体である屋内作業は廃止縮小だ、こう言っているわけでしょう。これはどうするのですか。乙から甲に移す、甲事業の主体をなしている屋内作業は廃止縮小を推進せよ、これはなくしちゃえ、こういうことじゃありませんか。この点はどういうふうにお考えですか。
○加藤(孝)政府委員 五十一年度以降におきましては、高齢者または体力の低い方の安全あるいは健康管理、こういったような問題も確保するために、各種の消耗品などの製造など、こういう屋内作業現場の拡大を進めてきたことは御指摘のとおりでございます。しかしながら、就労者が年々高齢化し、病弱者も増大してくるということに伴いまして、作業能率も次第に低下してくる、そしてこうした方でもできる仕事の選定に大変に苦慮してきたわけでございまして、その結果、著しく非効率的あるいは非経済的な事業の選定を余儀なくされる、こういうような問題も提起をされてきたわけでございます。今後における失対事業のあり方というものにつきましては、いろいろ世論の批判を受けることのないよう失対事業を地域社会にできるだけ役立つ仕事にしていこう、そのためにいろいろ地域社会の環境整備あるいは福祉の増進に積極的に寄与し得るような、そういうものに変えていこう、こういうことで、この研究会の報告以来努めておるところでございます。 もちろん、御指摘のようなそういう事情もございますので、これは、一遍にということではございませんで、それぞれの地域の実情に即しまして、計画的、段階的に縮小していきたい、こういう方針で臨んでおるわけでございます。またこれは、直ちにこういうものはだめだめ、こういうわけではなくて、たとえば地域社会の環境整備に役立っておりますような土のう用袋だとか測量用くいだとか、こういったようなものの事業だとか、あるいは積雪地域で冬季間に実施される事業とか、そういったものについてはいろいろまた特例的に扱っていくというような、いろいろきめ細かな配慮もしながら、段階的に進める、こういうようなことでやっておるところでございます。
○市川委員 五十一年には屋内作業拡大に努めるようにという通達を出しておいて、今度は廃止縮小の通達を出す、非常に矛盾している。また、乙から甲へ移しなさいということを推進しながら、今度は、甲の一番作業主体である屋内作業を非能率、非経済的だからなくしなさい。これは、ではどうしろということなんですか。 たとえば横須賀市の場合なんか、甲の人たちがやる仕事がないんです。正直言って、実態はわかりますよ。たとえばほうき一本つくるのに、市販品で買えば三百円、これが人件費を含めて屋内作業で一本三千円もかかっているわけです。あるいは封筒一枚一円で市販で買えるものが、実際この作業では六十四円もかかっている。こういう実態は、私たちよりも失対労働者の方がもうよく知っているわけです。市も困ったので、労働省から屋内作業を拡大しろという通達が来たから、市としてもしようがないのであれこれ仕事を考えて、甲の人たちに、市の不用書類を封筒につくり変えてもらうとか、そういう仕事を考えては出したわけでしょう。今度は、乙から甲にふやしなさい、で、甲の主な作業である屋内作業は廃止縮小しなさい。これは実際非常に現場サイドは困るわけですよ。 これはやはり、失対事業というのは生活困窮対策事業ではない、だからという論理が労働省にあるんだろうと思うのです。しかし現実には、生活困窮対策事業という色彩を持っている要素もかなりあるわけです。ですから、そういう実態というものをもっとお考えになって、ただ何でも上から通達や法律で締めつけていけばやめるだろうという発想ではなくて、実際問題こういう、たとえばほうき一本三百円のものが三千円だ、封筒一枚一円のものが六十四円だ、しかも人件費、お金を払う、こういうことが今後三年四年五年と実態としては続いていかざるを得ないだろうと思うのです。そういうお金を払うなら、むしろ今回のような特例援助措置というものをもうちょっとしっかり考えてやった方が国のためにもなるし、働いている人たちのためにもなるんじゃないのか。そういう現実的な考え方というものをもっと強く持ってもらいたいと私は思うのですが、この点はどうですか。
○加藤(孝)政府委員 先生も御指摘になりましたように、大変に高い封筒、高いほうきというような形が出てきておりまして、税金のむだ遣いではないかというような形の批判もいろいろ出ております。私どもの出しております考え方は、やはり長年失対事業に就労してきた方々でございまして一挙にどうこうというのはなかなかできませんが、ただ、できるだけやはりより役に立つ、より効率的な仕事を選んでいこう。ただ漫然といまやっている仕事ではなくて、少しでも、こういう時勢でもございますので、役に立つものを選定するべく努力をしていこうじゃないかということでやっておるわけでございます。私どもとしては、こういう一時金という形で何かすぐ失対をやめていただくという方向での考え方ではなくて、そこに失対で就労しておられる方々がいまよりもうちょっと生きがいのある、もうちょっと働いていただけるというような方向への改善をぜひ目指していきたい、こういうことでいろいろ努力をしておる最中でございます。
○市川委員 その考え方そのものはわかるのですけれども、ただそれが、矛盾したことを押しつけたり何かおどかしに聞こえるようなやり方ではなくて、私はもっと現実的なやり方というものを考慮してほしいということを申し上げて、質問を終わります。
○田名部委員長代理 次に、上原康助君。 〔田名部委員長代理退席、委員長着席〕
○上原委員 最初に、ちょっと法案との関連でお尋ねをしてみたいと思うのです。 すでに御質問があったと思うのですが、今回の法案の提案内容というのが、要するに高齢化社会に向けての雇用、失業対策というものをより推進をしていくために今回の法改正をしようということのようですが、問題は、こういう法律改正をやることによって従前の失業対策事業にかかわる労働者の問題なり、またそれに包含されていない無技能者等の失業対策というものがおろそかになる懸念はないのかどうか、そこいらのことについては今後どういうふうな位置づけでその対策と労働条件の維持、確保を含めておやりになろうと考えておられるのか、その点についてまずお聞かせをいただきたいと思います。
○関(英)政府委員 高齢者対策部の設置を考えましたのは、これからの急速な高齢化社会への移行に当たりまして高齢者雇用対策を統一的に、一元的に強力に実施したい、こういうことでございますが、その高齢者対策部設置と失対事業の今後の運営とは直接的に関係のあるものではございませんで、この新しい高齢者対策部の重要な仕事の一つが失業対策諸事業の実施、運営でございます。 失業対策事業につきましては、一昨年の研究会報告の趣旨に基づきまして、私ども今後労働政策の事業としてその運営に努力してまいりたいというふうに考えておりますし、その場合には、当然そういった諸事業に就労される方の労働条件の問題も含めて適正な運営を図っていくということでございます。
○上原委員 そうしますと直接の関係はない。しかし、特例措置で、いまもお話がありましたが、政府の考え方というのは、失対事業に従事をしている方々はできるだけ早目にやめてもらおうというかなり無理した通達なり施策をとってきているのは事実なんですね。これに対して御不満が強い。しかも地方公共団体の負担というものも大きい。そういうことも、これからの雇用情勢の厳しさということあるいは高齢化社会の中でも特にそういう方々の雇用の確保ということに重点を置くということであるならば、いまの局長の御答弁だけでは納得しかねる面が多いわけですね。 政府が百万円くらい支給をして早目にやめてもらおう、あるいは漸次縮小していこうという計画が思うようにはかどっていないというのは、問題があるからでしょう。それらについては、どのように今後処置をしていかれるおつもりですか。
○関(英)政府委員 失業対策事業につきましては、一昨年の調査研究会の報告に基づきまして、非常な高齢の方あるいは病弱者の方を中心に、今後こういった就労事業に継続従事していくことが無理な方につきまして、特に特例の措置をとって自立、引退を図ったわけでございます。そういうことを通じて今後五年間程度、いろいろな生活相談あるいは社会保障等の相談、そういったものを通じながら高齢者、六十五歳以上の者の自立、引退を進めながら、昭和六十年度以降につきましてもさらに労働政策の事業としてその適正な実施を図っていくわけでございまして、失対事業をとにかくなくすということでやっているつもりはございません。その考え方は、高齢者対策部の設置とは直接かかわりなしに、調査研究委員会の報告の趣旨に沿って今後とも失対事業については進めていきたいというふうに考えているところでございます。
○上原委員 先ほどもありましたが、画一的にあるいは線引きをやってやるということに非常に該当者の御不満もあるわけですから、そこいらは当事者の意向なども尊重した上でのより弾力的運用をやっていただくように、これは要望を申し上げておきたいと思います。 そこで高齢者の雇用問題でもう少しお尋ねをさしていただきたいわけですが、御承知のように一九八〇年から二〇〇〇年、昭和五十五年以降約二十年間の労働力人口の伸びを見てみますと、五十五歳以上の労働力人口というのが急速に伸びていくという数字がいろいろな分析の中で出てきているのは御承知のとおりです。 これはちょっとだけめくってみたのですが、五十四年に労働省が策定をした雇用対策基本計画、第四次ですかの中でもそういう面が指摘をされております。そういう社会情勢あるいは人口動向を見計らって今回のこの措置もなされようということでしょうが、このように労働力の高齢化が著しく進むとなると、高齢者の雇用が非常にむずかしい。あるいは該当者にとっては将来に対しての不安というものがある。一方では定年制というものがしかれておる。そうしますと、経済も大変先行き不安定要素が強い、また安定成長を維持するのもむずかしいというようなことになりますと、これからの完全雇用を目指した雇用計画というか雇用情勢というものがどうなっていくかということに、もう少し現在の経済社会、雇用状況の中で問題点を整理して将来の見通しを立てなければいかぬのじゃないかという感じがしてならないんですね。 先ほど引用しました第四次雇用基本計画の中でも、昭和六十年度の失業率は一・七%以下に抑える。しかし現状はどうなんでしょう。そういう面を考えた場合に、いま労働省なり経企庁あたりが出している指標というのは必ずしもうまくいくような気配にはない。こういう面は労働省としてはどうお考えなのか。今後の人口増加と、労働力人口の中でも特に高齢者の問題あるいは失業率の増加傾向を考えた場合に、経済の落ち込み、そういういろいろな要素を入れてこれからの雇用政策を立てていく場合にはどのようにやっていかれようとするのか。ここいらの基本についてもう少し明らかにしていただきたいと思うんです。
○関(英)政府委員 確かにこれからの二十年ぐらいの間、労働力の需要、供給両面に相当大きな変化が起こると見込まれるわけでございます。 供給面については、先生お話ございましたような人口の高齢化、これは厚生省の人口問題研究所で将来推計をいたしておりますが、昭和七十五年には五十五歳以上の高齢者が三千六百十五万人、構成比で三四・二%になるだろう、こういうような見込みでございます。これは当然に、これまた先生からお話ございましたが、労働力人口の高齢化を招くわけでございまして、私どもでは、昭和七十五年には五十五歳以上の労働力人口は一千四百七十四万人、構成比で二三%、働く者の約四人に一人は五十五歳以上の高齢者というふうになるだろうと見込まれます。 そのほか供給面で言えば、女子の労働力化が進んで社会参加が進んでいくであろうし、また高学歴化も進展してまいります。あるいはまた労働者の地域志向といいますか、そういう意向も強くなって、地域間のアンバランスの問題も起こってくるだろうと思います。 また、需要側につきましては、先生のお話もございましたように、かつての高度成長というようなことが見込まれない。その中で技術革新がさらに一層進展していく。そして経済のサービス化といいますか三次産業化が進んでいくであろうというふうに見込まれます。 そういった労働力需給両面の変化に対応してこれからの雇用対策を進めていかなければならないと思っておりますが、その最重点は何といっても高齢者の雇用対策であろうかと思います。年齢別の労働力需給のギャップというものは非常に多かろうと見込まれるわけでございます。今後十年ぐらいもし五%程度の成長が続くならば、失業率は第四次雇用対策基本計画で想定しました程度に改善を図ることができるというふうに私ども思っておりますが、それは全体としての問題でございまして、特にその中で年齢別の需給ギャップは非常に問題が多うございます。そういう意味で高齢者の雇用対策に力を入れていかなければ、失業率の改善ということは、全体の計算ではできても実際にはなかなか実現不可能だということになろうかと思います。 そういう意味で、定年の延長であるとかあるいは六十歳以上の再雇用なり勤務延長なり、何らかの雇用の継続を促進するとか、あるいは六十歳以上の方の多様な就業希望に対応したシルバー人材センターの拡充強化とか、あるいはパート雇用の紹介あっせんを充実するとか、さまざまな形の高齢者雇用対策を強力に進めていくことが非常に重要だろうと思います。また、男女の性別によります需給のアンバランスという問題もございますし、地域間の需給アンバランスという問題もございます。そういったことについても、今後さらに雇用対策を進めていかなければならないだろうと思っております。
○上原委員 なかなかそう簡単な問題ではないと思うのです。 そこで、後ほど経済見通しと雇用の需給のバランスについてもちょっとお尋ねしたかったのですが、いろいろ後の日程のこともあるようで、質問を少し省略しなければいかぬ面もあって困ったんですが、高年齢者を中心とする雇用対策という場合に一つの問題は、すでにお尋ねもあったと思うのですが、定年延長促進対策をどうするかというのが大きな柱、根幹であることは間違いないと思うのですね。 これは、定年の線引きをするかどうかはいろいろ疑問もありますし、なかなかコンセンサスを得にくい面もあるわけですが、しかし現在定年制が制定をされておる。一律定年制実施の企業もあるでしょうし、あるいは個々人の健康状態、能力その他技能等を勘案をして決める面もあるでしょう。だが、いずれにいたしましても、中高年齢者の雇用延長というものあるいは雇用対策というものを考えた場合に、もう従来の五十五歳定年なんというのは、これはちょっと問題があるというだけじゃないですね。五十五歳なんて皆まだびんびんしている。六十歳しかり。そうしますと、やはり労働省としても、定年延長についてはいろいろこれまで定年延長の促進対策を、これも五十四年ごろからですか、この第四次の雇用対策基本計画が閣議決定となった段階からそういう方針を出して促進に努めてこられたようなんですが、今後の見通しは一体どうなのか。ここいらについては労使次元で片づける問題だということで任すわけにはいかない。やはり政府全体の一つの経済政策というか雇用政策という中で、十分なガイドラインというか方向性というものを私は出すべきだと思う。それを率先して推進をする主役というか、それを果たさなければいけないのはやっぱり労働省だと思うのですが、この点についてはどうなのか。これは、これからの雇用政策の基本問題を含めて、大臣の方からもあわせて御答弁をいただきたいと思います。
○関(英)政府委員 定年制の問題につきましては、先生のお話ありましたように、第四次の雇用対策基本計画で昭和六十年に六十歳定年というものを一般化するということを閣議決定で決めまして、私ども、たとえば業種別の労使会議というようなものを開催いたしまして、特に取り組みのおくれている業種につきまして労使のコンセンサスを促進するというようなことに努めてまいってきているところでございますし、また、高齢者の雇用率の達成計画を計画どおりに実施していただく行政指導の際に特に定年延長に重点を置いて個別指導をするというような形で、昭和六十年六十歳定年の実現ということに向けて最大の行政努力を傾注しているところでございまして、最近の動きを見ますと、六十歳定年がすでに五十五歳定年を上回ってきておりますし、特にいままでおくれておりました大企業において延長の取り組みが非常に進んでおります。また、従来おくれていたと言われるような銀行あるいはその他の金融機関関係においても定年延長の取り組みがなされてまいりました。そういう意味で、私どもは昭和六十年度と言わず、一年でも早く六十歳定年が一般化するように行政努力を続けていきたいというふうに思っておりまして、五十七年度からは、三百人以上の六十歳未満の定年制の企業すべてについて、計画的に行政指導を個別に行う計画をいたしておるところでございます。 また、六十歳定年で事が終わりということでないことは先生御指摘のとおりでございます。ただ、六十歳以上になりますと、働く方についてもその希望は非常にさまざまでございまして、従来どおりフルタイムの常用労働者として働きたいという方ももちろんおられますけれども、短時間就労でないと困るとか、あるいは自分の好きなときに好きなだけ働きたい、任意就業といいますか、そういう希望の方もふえてくるわけでございます。そういう意味で、でき得るならば六十五歳までの定年延長、しかしまあそれがむずかしければ、希望者についての再雇用なり勤務延長なり、そういった制度によって六十五歳までの雇用をできるだけ継続するように奨励していくこと、あるいはパート雇用希望の高齢者についてはパートバンク等を拡充いたしましてその紹介に努めていく、あるいは任意就業希望の方にはシルバー人材センターを拡充強化していくというようなことを通じまして、六十歳台前半層の雇用対策にも強力に取り組んでいきたいと思っております。 それで、こういった考え方につきましては、労働省だけの考え方ではございませんで、経済社会発展七カ年計画にも六十年六十歳定年の一般化その他六十歳台前半層対策についても取り入れて閣議決定していただいているところでございまして、政府全体の方針になっているところでございます。労働省はその最大の責任官庁として今後とも行政努力を傾注していく考えでございます。
○初村国務大臣 わが国の高齢者が急激に増加するという中で中高年齢者にふさわしい雇用、就業機会を確保するということは、わが国の経済社会の活力を維持発展させるために、委員がお話しのとおりに、重要な課題であると私は思っております。したがって、いま局長からお話がありましたもろもろの政策を私どもは強力に推し進めていかなければならない。 特に六十歳定年をさらに六十五歳に延ばすべきじゃないかというお話もありましたが、まだまだ六十歳定年の一般化が完全でないものですから、これが完全化した暁にはそういうような考え方で定年延長をしたいということに変わりありません。したがって、再就職の問題とかあるいは高齢者の職域拡大等について雇用の確保を図らなければいけないというような点で、できるだけのお力添えをしてやらなければならない、かように考えております。
○上原委員 端的にお尋ねしますが、そうしますと、昭和六十年までに六十歳定年の実現の見通しというか可能性は、一体労働省としてはどう見ておられるのか。確かにいま五十五歳定年よりも六十歳定年の方が若干上回りますね、一・五ポイントぐらい、二%程度ですかね。これは実現は可能なんですか、見通しはどうなんですか。
○関(英)政府委員 定年制の現状は、先生お話ございましたように、五十六年の一月の数字で、六十歳以上が四二・六%、五十五歳定年が三八%、その間が一八%というような分布になっておりますが、これは一年以上前の状況でございます。昨年度におきましても定年延長について、先ほどちょっと申し上げましたように、金融機関等で非常に前進的な取り組みがなされてきております。そういうわけで、いまや私は、六十歳定年昭和六十年度までにということはもう大きな社会的な流れになっており、労使のコンセンサスも得られているというふうに見ております。 そういう意味で、昭和六十年度までに六十歳定年の一般化ということは必ずなし遂げねばなりませんし、私はできるというふうに思っておりますし、そのためにも、先ほどちょっと申し上げましたように、三百人以上の企業で六十歳未満の定年を有している企業について、三カ年の間に計画的にこれを延長していくように個別の企業に対する行政指導に強力に取り組んでいきたいと考えているところでございます。
○上原委員 ぜひそこいらのことにつきまして十分な促進を図るように御努力を要望しておきたいと思います。 それともう一点は、この高年齢者雇用率制度の運用の問題ですね。たしか中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法が制定をされ、その法律で高齢者の雇用率を六%を限度としてですか、やらなければいかぬということになっていると思うのですが、これはたしか大企業であればあるほどこの達成率はよくないようですね。どうしてそうなっているのか。また、せめて雇用率を達成させるために、労働省としてはどういう御努力をやっておられるのか、こういうことについてもぜひ御見解を明らかにしていただきたいと思います。
○関(英)政府委員 高齢者の雇用率につきましては、お話がございましたように、法律上六%という努力義務が各企業に課せられているわけでございます。その実情を見ますと、平均的には昨年、五十六年の数字でございますが、六%を上回りまして六・六%の雇用率になっておりますけれども、未達成企業がまだ、半数をちょっと下回りますけれども、半数近くあるわけでございまして、企業規模別に見ますと企業規模が大きいところほど未達成の企業が多い、実際の雇用率が低いという状況になっているのが現状でございます。 まず、その原因はなぜかということでございますが、大企業ほど日本特有の終身雇用慣行がございまして、毎年春に新規学卒者を一斉にたくさん採用いたしまして、それを社内で教育訓練しながら定年まで雇用する、その定年年齢が従来大企業においては五十五歳というところが多かったわけでございます。そういたしますと、高齢者というのは五十五歳以上でございますから、五十五歳定年であれば雇用率ゼロになってしまうわけでございまして、最近大企業も定年延長をいたしておりますが、それに該当して雇用が継続する者が、まだ延長したばかりでございますので、非常に少のうございます。そういう意味でまだまだ実雇用率が低いわけでございます。もちろん、まだ定年延長をしていないところは雇用率が低いのはその当然の結果ということになるわけでございます。 そういう意味で、私どもは大企業を中心にこの雇用率の達成指導に力を入れ、その際には特に定年延長ということを最重点に行政指導しているわけでございます。 具体的には、未達成企業に対しましては、特に雇用率の低い大企業につきまして、雇用率達成に関する計画を作成するよう命令を発出いたしまして、それに基づき出された計画の実施の指導をその計画に記載されました達成方法に応じてきめ細かく行っていく、これがまず第一でございます。 それから、その実施指導に当たっては、その状況に応じて第一線の公共職業安定所あるいは県段階で、あるいは場合によっては本省段階で個別企業に来ていただきまして指導を行っておるわけでございますが、この計画の実施状況が著しく悪い場合には、適正に雇用率を高めていくように勧告を発しているわけでございます。 そういういろいろな行政措置を通じて雇用率の達成指導に今後とも努力していきたいと考えているところでございます。
○上原委員 これまで勧告を発した事業所というのはどのくらいあるのですか。
○関(英)政府委員 申しわけございません。ちょっと私の答弁を訂正させていただきたいのですが、計画の作成を命令した企業が六百七十三ございます。それから、特に命令をかけてということでなく、自主的に提出していただいた企業の数が千百六十八ございます。 この計画が大体五年で雇用率を達成しようという計画でございまして、現在、一番早い五十三年度に命令したところでようやくその計画の半ばに達したところでございます。 勧告は、ことしの六月の状況を見まして、実施状況の非常に悪いところに勧告を発して行政指導をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
○上原委員 もう少し内容について、どういう企業態様なのか、あるいは雇用員数はどのくらいの企業なのか、業種はどういうものかもお聞きしたいのですが、時間の都合もありますから、要するに申し上げたいことは、法律はつくっても、大手なりあるいは官界との言うところの癒着、そういう面で手ぬるいことをやってこういった雇用対策ができないということではいけませんので、その点はないように特段の御配慮を求めておきたいと思います。 そこで、最初に少し触れたのですが、最近の完全失業率というか失業者というか、雇用状況というのはどうなっているのか。果たして基本計画でうたわれているように昭和六十年段階で失業率は一・七%以下に抑えるという可能性はあるのかどうか、ここはもう少し明確にしていただきたいと思うのです。
○関(英)政府委員 完全失業率についてのお尋ねでございますが、これは年平均の数字でございます。昭和五十六年で二・二%という状況になっておりますし、ごく最近の状況を季節調整の数値で申し上げますと、十二月が二・一七%、一月はさらに失業者がふえまして二・二三%というふうになっているわけでございます。 先生御承知のように、オイルショック以降雇用情勢が非常に悪化いたしまして、その後経済の回復とともに多少持ち直しが見られたわけでございますが、昨年秋以降再び雇用情勢は足踏み状態といいますか、改善傾向がストップしているような状態にあるのが現状だというふうに私ども見ておるわけでございます。
○上原委員 そうしますと、これは五十五年度は上限が大体二%くらいで、一・五、六ないし一・七、八くらいで推移をしておったんじゃないか。年平均は二%ぐらいかな。しかし八〇年以降、八一年、ことしに入ってかなり上昇傾向にあるということだけは言えると思うのですね。したがって、先ほど引用いたしました第四次計画の中で出している完全雇用達成、失業率は一・七以下に抑えるということは相当無理な計画であるといまの段階では見ざるを得ない。しかし、これが好転するという見通しもなかなか立てにくいことではありましょうが、私は厳しいと思うのですね。本土もそういう状況になってきているということ。 そこで、この四次計画というのも、まあこれまで一次から四次まで、つくられてその中途でまた修正をしたりいろいろ見直しはされてきていると思うのですが、やはりそれ以降の経済動向なりいまの雇用状況というものを考えた場合には、新経済社会七カ年計画もやはり見直しは必要じゃないのかということがすでに言われている。恐らくそれと関連してこれもできたわけでしょう。そういう面でこの計画の見直しなり、もう一遍再検討を余儀なくされるんじゃないかと思うのですが、そこいらについてはいかがでしょうか。
○関(英)政府委員 まず、失業率が今後どうなっていくかという問題でございますが、五十七年度の政府の経済運営の基本的な態度といたしまして、内需の喚起による経済の発展を企図しているわけでございまして、そこで政府が想定しているような経済発展が見込まれれば昨年よりは失業情勢は改善していくというふうに見込まれますけれども、まだ四次雇用対策基本計画で想定しているほどの失業率にはちょっとむずかしいんじゃないかというふうに思われますが、第四次雇用対策基本計画は昭和六十年度の目標として失業率を掲げているわけでございまして、これから五十七年度以降五%程度の経済成長が見込まれていけばそういった失業率も達成できるんではないかと一応見ているわけでございます。 ただ、制定されてから今日まで相当程度客観情勢あるいは国際経済の状況等変化があるわけでございまして、そういう意味で新経済社会七カ年計画についても見直すべしというお声があることは私もよく承知しておりまして、経済計画と整合性を持ってつくられたこの雇用対策基本計画につきましても、経済計画の方が見直されるようになればそれと軌を一にして私どもも見直しをしていくことが必要だというふうに考えております。
○上原委員 これはやはり見直しを余儀なくされるんじゃないかと思いますね、この中身にちょっと目を通した限りにおきましては。 そこで、その他、私は中小企業の雇用状況は特に厳しいんじゃないかと思いますし、倒産状況なりあるいは春闘のことについてもお尋ねをする予定なんですが、ちょっと順序を変えまして、時間の関係もありますから、沖縄の雇用、失業問題について尋ねさせていただきたいと思うのです。 実はこれは沖振法の審議の過程で、労働大臣にもぜひ沖縄北方対策委員会に御出席をいただいていろいろお尋ねをしなければいかない内容のことだったのですが、予算委員会の関係その他ありまして、お尋ねできませんでした。 そこで、きょうは開発庁の総務局長もせっかくおいでをいただいて敬意を表しますが、開発庁もそうなんですが、労働省も、どう考えても沖縄の雇用、失業対策の認識というものが私はきわめて甘いのじゃないのかという気がしてならないわけですね。目下の状況というものをどうとらえていらっしゃるのか、また今後の雇用、失業対策というものを具体的に何をなさろうとするのか、そういうしっかりした方針というか、考え方をまずお聞かせいただきたいと思うのです。
○初村国務大臣 沖縄における雇用失業情勢が徐々に好転してきたとは申しておりますけれども、五十七年一月現在で完全失業者数が二万三千人でございます。それで失業率が四・九%で、全国平均が二・三%でございますから、その倍以上ですね。したがって、公共職業安定所における求人に対する求職者の比率を示す有効求職倍率も、全国平均が一・八倍であるのに沖縄は五・一倍という厳しい情勢の数字が示されておるわけであります。 そこで、沖縄における雇用失業情勢の悪化は、まず基本的に予想を上回る急激な人口の増加、これが一番原因ではなかろうかと思います。そこで、労働力人口が就業者の増加に比べて著しく増加しておる、県内の労働力需給に不均衡が生じてはおらないか、こういう点が一番問題であろうかと思います。また、復帰直後には駐留軍関係の離職者等の大量の離職者が発生したけれども、今日これらの離職者の有効求職者に占める割合は著しく低くなっております。最近ではむしろ、県内志向のために県内にとどまる学卒無業者あるいは本土からuターンした者が、要するに若年失業者の滞留が目立ってきておるという状況のようであります。 したがって、今後の沖縄県においては、引き続き労働人口の増加が想定される中で、県内における産業の振興開発による就業機会の増大を図っていくとともに、県外への就職とその定着を促進し、かつ援助していくことを沖縄には強力に特別に考えなければならない、かように考えております。
○上原委員 ですから、その強力に考えなければいかないということは私も何回か聞かされてきたのですよ、大臣。その強力に考えている中身を明らかにしていただきたい。そっちもわかっておって答弁しないのか、あるいはわからないで答弁しないのか。こっちは少しわかっておって質問するからよけいむずかしいのですが、時間の都合もありますから具体的に聞かしていただきたいのですが、熱意のほどはわかりますよ大臣、その熱意はひとつお名前も初村さんのようですから、初心を忘れずにやっていただきたいのです。 そこで、いまそういう実態については御認識をいただいている。これは前々からそういう議論をわれわれはしてきたわけですね。政府が何もしなかったとも私は言わない。そう言っているわけじゃないのです。しかし、ではなぜ解決しないのかということを、どうすれば解決するかということを、いつも私は議論をかみ合わせていただきたいということを申し上げているのです。 そこで、いま大臣いみじくも、労働力人口はもちろんですが、沖縄の人口動向についておっしゃいました。開発庁も振興法の審議の過程で、二次振計のフレームをどうしていくかということをお尋ねしたら、まだ検討中なのでということで、少し濁したのですね。しかし、人口の動向というか、大体向こう十年間でどのくらいの人口になっていくであろう、そして労働力人口はどうなるであろう。現在でも失業者は二・五倍から三倍近くまであるのだから、それを解決をしていくには、本土の雇用失業対策よりも倍以上か三倍くらいのことをやらなければ沖縄の雇用失業問題の対策は不可能だということは、これははっきり出てきているわけなので、そういうところはどのようにお見通しなのか。その前提があるならば、それを解決していくための方針なり具体策なりが、正直申し上げて出てこないといかないのですよ。それはどうなんでしょう。どっちからでもいいからお答えいただきたいと思うのです。
○美野輪政府委員 お答えいたします。 第二次計画期間中、これは目標年次が六十七年度でございますが、その間における労働力人口等の見通しについてのお尋ねでございますが、この人口等のフレームにつきましては、私ども現在種々検討をいたしておるところでございまして、最終的にまだお話し申し上げるほどに詰まっておらないというのが実情でございます。 ただ、先生御指摘のように、傾向といたしましては、これまでの急激な増加ではないにしても、伸び率としては若干緩くなるにいたしましても、なお今後とも沖縄の総人口は増加をしていく。そういうことの中で、また沖縄の人口の年齢構成が非常に若うございます。全国のいわゆるちょうちん型あるいはつり鐘型から、沖縄はむしろピラミッド型に近い年齢構成になってございます。したがいまして、総人口の伸び以上に生産年齢人口、ひいては労働力人口が伸びていくであろう、伸び率は総人口の伸びを上回っていくということは十分に見通されるところでございます。 ただ、その数値につきましては、先ほど申し上げましたように私ども現在鋭意計算等を行っているところでございまして、なお若干の御猶予をいただきたい、このように考えております。
○上原委員 どうもそこらが合点がいかないのだよ。それはそんなに秘密にするようなほどのものでもないし、もう百二十万以上になるであろうということははっきりしているのでね。美野輪さん、何であなたはそんなにそこを触れたがらないのか、不思議でたまらない。 それでは、これはまた後ほど関連させてお尋ねしますが、強力な施策を推進していかなければいかないという大臣の御答弁でしたが、そこで、たしか昨年の十二月の十八日ころだと思うのですが、総評が沖縄県労協と一緒になって策定を見た「沖縄における雇用失業問題の特質と改善施策についての研究報告」これを具体的にお出しになっておると思うのですね。私もこのことにつきましては若干かかわってまいりましたが、相当膨大なものなので全部触れるわけにはまいりませんが、やはり沖縄における雇用問題あるいは失業対策、同時に産業構造をどうしなければいかないのか、さっきの人口の動向を含めてこれは相当分析をされた中身だと見るわけです。まるまるそのままにはいかないかもしれませんが、ここで提言されているものについて一体労働省として、あるいは開発庁としてどう取り入れようとしているのか。これは二次振計の中身と密接なかかわり合いを持ってきますよ。後ほど少し触れますが、これはどうなさるおつもりですか。
○関(英)政府委員 総評と沖縄県労協とで昨年の十二月にお話のありました報告をまとめられまして、政府、沖縄県それぞれに対して要請されたところでございまして、労働組合がこういった問題に真剣に取り組み提言をなさる、そういったことについては私は深く敬意を表する次第でございます。 その報告書は、復帰十年に当たりまして、沖縄の経済社会の問題は本来振興計画で解決すべきであったけれども、その未達成ということが新しい別の問題も激化させている結果となっている。このため、今後に予定される二次振計を展望いたしまして、労働組合の立場から雇用失業問題の包括的な改善施策を提言したものだというふうに受け取っているわけでございます。 主な内容といたしまして、県外就職者の定着対策の実施、それから公共事業の円滑な執行等を内容とする短期的な当面の雇用対策、それから県内産業の基盤整備及び振興を柱とする中長期的雇用対策、それから沖縄の特殊事情から、その実態に対応した独特の開発形態を推進するため、沖縄県特定経済社会開発事業団というものを設立して、事業の計画、決定、実施から民間企業に対する経営のノーハウの応援というような、そういう非常に広範囲のものを事業団を通じて積極的に実施しようといったことを提言しているものというふうに受け取っておるわけでございます。 これらの提言に対しましては、現地の組合関係者の意見を十分にくみ上げた、そして中央の総評も加わっての検討結果でございまして、貴重な御意見として私ども今後検討させていただきたいというふうに思っているわけでございますが、いずれにいたしましても、具体的に本当に沖縄の実情に即して効果の上がる施策としてどういうものが考えられるのかが一番重要でございますので、そういった点から十分検討していきたいと思っているところでございます。
○上原委員 十分検討していくということですが、そうしますと、ここで提言をされているいろいろの課題については、随時これから総評沖対あるいは地域の労働団体とも協議をなさって取り入れられるものは取り入れていく、そういう理解でいいのか。 もう一つ、これとの関連で、私は政府がやろうと思えばもう少しは手ごたえのある政策が出てくると思うのです。容易でないということはわかりますけれども、それは意欲があるかどうかという問題です。これだけの問題提起をしているにもかかわらず、ただ検討に終わらせてはいかないと思うのです。 たとえばここでも、いまも局長お述べになりましたが、事業主体設定に関連する課題として、県独自の長期自立経済社会開発計画の策定をやって、その中で沖縄県特定経済社会開発基金制度を設けて雇用創出とその事業拡大をやっていかなければいかぬじゃないのか、単なるいまの制度や法律になじまそうというだけではなくして、そういう新たな発想と新たな制度、新たな特別措置的なものを講じない限り、いまさっきから言っている雇用の問題というものは解決しないよというのがこれの基本の視点なんです。こういう共通の認識の上に立たないとなかなかうまくいかぬじゃないのか。そういう点を含めてぜひひとつ前向きにこの問題については私は取り上げていただきたいと思うのですが、改めて御見解をお聞きし、基本的なことでもありますので、この件につきましては大臣の方からも御所見をちょうだいしておきたいと思います。
○関(英)政府委員 総評及び沖縄県労協のこの提言につきましては、先ほどもお答えいたしましたとおり、非常に現地の実情を反映した、そして労働組合の立場からの貴重な御意見だと思っております。日ごろから私ども総評とも中央段階で十分話し合いもしておりますし、今後ともこういう沖縄の問題をめぐりまして十分話し合いを続けていきたいと思っております。 特にまた、沖縄の雇用失業情勢といいますものは全国一般と比べて非常に特別の形態をとっている、当初に大臣がお答えしたとおりでございまして、全国の一般的な方策で十分対応できるというふうにも私ども思っておりません。沖縄県自体におきましても雇用問題についていろいろな構想を出し、いろいろな事業についての要請が私どもに寄せられております。そういったものの中には、あるいはまた総評の提言を含めて、考え方はよくわかるわけではございますけれども、本当に実現可能性、効率化といった点から見て問題ないかどうか、なおもっと明確にすべき点が多数残されている面が種々ございます。そういう意味でいままで私ども沖縄県とも十分話し合いを行ってきておるわけでございまして、そのうち、私どもの労働省の施策の範囲内でとりあえず対応できるようなものについては五十七年度にも対応をするというようなことで臨んできておりますことは、先生も御承知のとおりだろうと思います。 そういった沖縄の全国一般と違う事情につきまして、私どももなおよく現地の実情を知りたい、また私どもの考え方も知っていただきたい、こういうような意味合いを込めまして、現地の関係者、中央省庁の関係者に広く集まっていただきまして、沖縄の雇用問題について十分な意思疎通を図ってコンセンサスもつくっていきたいというようなことで、懇談会も発足させて、東京と現地と交互に開催して、みんなの考えていることを率直に出し合って、そして問題解決の道を探っていくようなことにも手をつけているわけでございます。今後とも、関係者、そして沖縄県の意見を十分に聞きまして、沖縄の雇用失業問題の解決に努めていきたいと思っております。
○初村国務大臣 いま局長からいろいろとお話がありましたが、やはり私は沖縄県自体の産業振興計画をつくる必要がある。これにはやはり地元の沖縄県ともよく話し合って、私どももできるだけのお力添えをいたしたい。 それからさらに、さっき申し上げましたとおり、Uターン現象の方々が多いわけでございますが、東京に就職に来たそういう方々が今度沖縄に戻らないように、東京で再就職のできるような強力なあっせんをすることも一つの手ではなかろうか、かように考えるわけであります。要は、できることは一つずつ、地元とよく相談をしてできるだけのことをいたすつもりでございますから、さよう御了承賜りたいと思います。
○上原委員 おっしゃるように全部了とするわけでもありませんが、やはり産業構造の改善というものをどうするかということが基本だと思うのですね。したがって、労働省のお立場というのは、わりといまの法律なり制度なりの範囲でちょこちょこと援護措置が主になって、雇用創出をどうしていくかということまではなかなかという、私はそれではいかないと思うのですよ。もう一歩踏み込んでいただきたい。 そこで、美野輪局長、この雇用問題というのは第二次振興開発計画の重要な柱でなければいかないわけです。本当なら沖振法でもこれはもっと議論すべきだったんですが、労働大臣もいらっしゃらないし、いろいろな面があったんで……。このいま言う総評、県労協の提言もある。こういう中身については、単なる労働団体の文書だからということで軽く見たりあるいは何か予見をもって見るようなことがあっては私はいかないと思うのです。これはどなたが見てもなかなかの問題点を指摘していますよ。 時間がありませんからたくさん言えませんが、たとえばこの十五ページに「今後の施策展開のあり方」として、「沖縄県の実情にあった施策の必要性」というものを触れておられる。これもわれわれが何回か指摘をしてきたことなんですが、第七項まで実に沖縄の特性、特徴というもの、こういう原因があるからこのような失業問題、雇用問題がむずかしいんだということをずばり指摘しているんですね。だから、それを解決をしていくのは、やはり二次振計と関連づけてどうしていかなければいかないかということをまた四、五点にわたって指摘をしておられる。こういうようなことについても、開発庁、もう少し誠意を持ってやっていただかなければいかない問題だと思いますが、これについてはどのように受けとめて、どう二次振計を策定する中で生かしていかれるのか、開発庁の見解も聞かしておいていただきたいと思います。
○美野輪政府委員 私どもも、総評、県労協が提言されました総合的な雇用対策につきまして、非常に県労協、総評等におきまして真剣に御討議の上作成されたというふうに承知をいたしております。この提言の中にも含まれておりますが、特に、中長期の対策といたしまして産業の振興というものを大きく取り上げてございます。 この産業の振興の問題につきましては、私どもといたしましても、今後の沖縄県の自立的な発展のためにも、また増大する雇用の需要に対応するためにも、きわめて重要な課題であるというふうにつかまえておるわけでございます。そういった意味におきましても、この提言の内容を十分に参考といたしながら今後の振興策を考えてまいりたい、このように存じております。
○上原委員 それと関連がありますが、もう一点、これは沖縄県が去年の八月に策定をしたものがありますね。「雇用創出のための特別の事業の実施について」。 実は雇用開発基金制度というものを設けるというのが西銘知事の公約なんです。いつの間にかメッキがはげてしまったんでちょっと疑問なんですが、それにかわってこれを打ち出してきた。これは、県労協がつくったさっき引用しましたものとも十分連携性がありますな。だから、ある面では両面の可能性のあるもの、両面の視点を生かせば、いまよりは雇用問題というのは前進する可能性が出てくると私は思う。これについては、県側とはどういう詰め方をしておられるのか。 美野輪さん、さっきから私がいろいろ実行問題聞いてみたって——これにみんなちゃんと出ているじゃありませんか。あなた方、これを読んだでしょう、県がつくってあるものだから。もう時間がないからみんな引用することができませんが、きょうは実はこういうものを全部洗いざらい出してやろうと思ったんです。 この中で、二ページの方に「今後、人口の増加と労働力率の高い年齢層(二十五−四十四歳、四十五−六十六歳)の比重の上昇、女子の労働力率の全般的な上昇傾向などを考慮すると、労働力人口はかなり増加し、次のようになるものと思われる。(1)昭和六十六年の労働力人口は、約五十三万人と推定され、年平均伸び率は約一・五パーセントとなり人口の伸び率の一・九倍程度となる。」やや労働力人口が上回っていくのだね。「(2)現在の五パーセントを超える失業率を低下させるためには、就業者数の伸び率は労働力人口の伸び率を上回る必要がある。(3)必要とされる就業者数の伸びは全国の伸び(新経済社会七カ年計画の昭和六十年までの就業者数の伸び率〇・八%)の約二倍である。したがって、昭和六十六年までの間、雇用機会の拡大を図るための努力を本土の二倍以上払う必要があることを示している。」明確になっているじゃないですか、大体の方向というのは。だから、こういうものは皆さんとっくにおわかりのはずなんですよね。これはどういうふうにしていかれようとするのか。 この中での事業というものがいろいろ出ていますね。したがって、私が言いたいことは、すでにこういう実態というものが明らかにされ、こうしなければいけませんよということは、さっきの労働団体がつくったもの、沖縄県がつくったものでも明らかにされているわけだから、これをどう具体化をしていくかというのが、労働省なり開発庁なり政府全体の政策として出てこなければいかないと私は思うのです。この面どうなさるのか、ここらはぜひ明らかにしておいていただきたいと思うのです。
○関(英)政府委員 沖縄県から五十六年五月に雇用創出特別事業という形で四つの柱から成る事業の提案がございました。産業振興雇用直結事業、能力開発就業拡大事業、臨時労働力活用事業、県内雇用確保県外就業者定着促進事業、この四つの柱から成る雇用創出特別事業というお考えを私ども承ったわけでございますが、その内容は、私どもお話し合いをしておりますと、なお明らかでない点が非常に多うございまして、今後さらに沖縄県との間で十分話し合っていきたいと思っておりますが、その考え方の中には、私どもが直ちに取り組み得るものもあるわけでございまして、そういう意味で、たとえば非常に失業者の多い若年者について、他の一般では適用しておりません職場適応訓練制度を来年度は適用して若年者の沖縄県の企業におきます就職の促進に資するとか、あるいは本土に来られた方の定着促進とか、直ちに取り組み得るものについては十分この県の考え方を取り入れて取り組んでいくつもりでございますし、今後沖縄の雇用情勢改善のために何としても沖縄の振興開発が必要でございますが、第二振計の策定を通じ、さらに県との話し合いを通じて、こういった県の考え方あるいは組合の考え方を十分参考としながら沖縄の雇用問題の解決に最も実効性のある形での事業というものを考えていかなければならないと思っております。
○上原委員 どうも皆さんの御答弁を聞いていますと、せっかく県なりが具体的に提案をしている、あるいは労働団体が出しても、それが単なる事務的にしか処理されていないという感じを抱かざるを得ないのです。 これもまだそう詰めた話はないわけですね。そうであるなら、どうですか、田代さんなんかもしばしば沖縄に行かれていろいろ御苦労はいただいていると思うのですが、労働省なり県なり労働団体を入れたこの種の提案問題を処理するための懇談会があるということでしたが、協議会ぐらい持って、これをどう具体化していくかということをおやりになる御意思はありますね。そのくらいやらぬと、せっかくみんな苦労してつくってみたってこれは何にもなりませんよ。雇用対策協議会ぐらい新たに設けるぐらいの意欲がありますか。
○田代説明員 労働省で沖縄問題を担当しておる者としまして、いま先生おっしゃられたように、私どもと県との間では日ごろから、私も直接向こうへ行っていろいろ御協議申し上げますし、県からも、先ほど来お話が出ましたようにいろいろな御提案なり御意見なりをいただいているわけでございます。 いま出ました沖縄雇用問題懇談会も、政府がそれぞれ中央関係のメンバーを出していただきまして、同時に、沖縄県下におきまして関係する業界各位の皆様方、それに県、こういう方々で——いま懇談会と言っておりますのはいろいろな問題が実はございます。究極には産業振興につながるいろいろな施策の展開が必要になるわけですけれども、やはり沖縄が戦後復帰して以来いろいろな競争力の弱い業界の実情等もございますが、その中で雇用問題の解決をしていくためには、先生おっしゃるとおり、みんなの知恵を出し合って強力な施策をつくっていくことが必要だと思います。そういう意味で現在の懇談会も、まず基礎ベースとしてお互いにどういうところからスタートをしていくかという意見の出し合いをやりながら、一つの考え方にお互いにまとめていきたいと考えているわけでございます。 その中で、先生も先ほど御指摘がございますように、一番必要なのは沖縄の産業振興でございまして、これはまた二次振計の中で沖縄開発庁を中心としていろいろな施策の検討が現在続けられておりますが、私どももそれに関連いたしまして、労働施策の面でいろいろな提案を紹介しながら、そういった施策のうちでできるものからわれわれもいま取り上げてやっているという点で、五十七年度種々の施策は先ほど局長からも説明いたしたとおりでございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
○上原委員 もちろんそういう懇談会なりいろいろ意見聴取はやっているでしょう。やらないと仕事はできないわけですから。しかし実効は上がらぬわけでしょう。集まってお茶を飲んだぐらいでは何にもならぬ。だからもう少しは実効の伴うものをやっていただくことも検討していただきたいということなんです。局長、それはいいですね。
○関(英)政府委員 現在の懇談会におきましては各界から非常に忌憚のない御意見が出されておりまして、それはまた、審議会とかいうところと違って、懇談会であるからこそ忌憚のない意見も出てくるという面もございます。そういう意味で私も非常に意味のある会合だと実際に出席してみて感じておるわけでございます。 その中には、沖縄の県民としても反省すべき点もある、また、われわれ中央政府にもこういうことをしてもらいたい、いろいろな忌憚のない意見が出ているわけでございまして、そういうものをくみ上げて、二次振計の策定に向け、そしてその二次振計による産業振興と相まって雇用、失業対策をどういうふうに進めて沖縄の雇用問題を解決していくか、組合や県の意見も十分聞きながら今後とも取り組んでいくつもりでございます。
○上原委員 必ずしも私がお尋ねしていることへのお答えになっていませんが、皆さん、開発庁も含めて強く指摘をしておきますが、この種のものは法案が通れば後はいいということで済ませる問題じゃないですよ。これだけ雇用問題が悪化をし、最大の状況になっているにもかかわらず、その場限りで濁すということには私たちは承服できませんから、しかとその点は含んでおっていただきたいと思うのです。 そこで、これも以前から問題になってきたことなんですが、皆さんいろいろおっしゃるけれども、沖振法における雇用対策さえ十分やってこなかったということは間違いないんだよ。きょうはもう時間がありませんから余りたくさん触れませんが、要するに第六章の「職業の安定のための特別措置」というもの、この第三十八条は、労働大臣はこうこうしなければいけないということになっているわけでしょう。なぜこれをいままでやらなかったんですか、やろうとしないんですか。そこが一番問題なんですよ。 そして、私が以前に沖特なりあるいは本委員会でもそうだったかと思うのですが、かなり指摘をしたことがあったんですよ。五十一年五月十四日に、長谷川さんが労働大臣をしておられたが、沖縄県の労働者の職業の安定のための計画というのをつくった。それ以来何もないんじゃないですか。あるなら出してください。なぜそうなっているのか。これ以上のことはできないんですか。長谷川さんが労働大臣をやっておられたころおつくりになったもの以上の——これが限界だったのか、この中身さえもいまだいろいろな面で実行されていないんですよ。その点を明確にしていただきたい。これはきょうで済ませませんので。 それと、今回は衆議院の沖特の段階では第六章は実効あらしめる措置をとれということを附帯決議に付せられている。これに対しては労働省はどうなさるのか、開発庁はどう思うのか、改めて聞いておきたい。
○関(英)政府委員 先生お話しございましたように、第六章の規定に基づきまして、私ども職業安定のための計画というものを策定いたしまして、その計画に沿っていままで必要な施策を実施してきたつもりでございます。たとえば五十七年度新たな施策も多少講ずることとしておりますのも、こういった計画に沿って私どもとしては考えているつもりでございます。 沖縄の厳しい雇用失業情勢に対処して今後対策を講じていきますに当たりましては、この沖特法の趣旨、そしてそれに基づいて私ども職業の安定のための計画をつくっているわけでございますから、それに沿って、それを実現すべく今後とも労働政策の面で強力に推進していきたいと思っておりますが、具体的には、先ほど来第二次振計をめぐり、あるいは沖縄県あるいは組合の提言をめぐり、そういうものの実現に向けて努力せよとの先生の御指摘にお答えしておりましたとおり、各方面の意見を十分に聞きながら今後ともこの計画に沿って施策を進めていきたいと思っております。
○上原委員 きょうは、施設庁の労務部長あるいはいらしているかもしれませんが、時間の都合がありますので、勘弁をしていただきたいと思います。 そこで、沿って沿ってと言わぬで、沿ってないんだよ、あなた。私は要望があったので早目に結論を出そうと思うんだが、なかなかそうはいかないんでね。 そこで局長、これはいま私が申し上げましたように、五十一年段階につくったものでしょう。それ以降見直しもしない。それ以降むしろ労働条件は悪化をしているんだ、労働情勢は、雇用情勢は。だから、これは何も安保問題のように対決するあれじゃないんだよ。見解の違いがそんなにあるものじゃない。だから、現時点において、結論として総評の提言もあった、さっき引用をしました沖縄県の策定なさったものもある、その後の経済社会状況の変化もある、第二次振計も立てなければいかぬ、こういう新しい状況に立脚をした、長谷川さんが労働大臣であったころつくったものをもう一遍再検討をして新しい計画をつくって、それを基礎にしてこれからの沖縄の雇用、失業対策というものを関係者で進めていかれる、その程度の熱意は私は示していただかないとと思うのですが、その点、御検討してよい答えを出すように努力いたしますね。
○関(英)政府委員 この計画といいますのは、先生も十分御承知のとおり非常に抽象的にできているものでございます。そういう意味で、私どもこの計画に沿っていままでも進めてきたつもりでございますが、先ほど来、県の要請あるいは組合の要請等もございますし、二次振計というものも新しくつくられようとしているわけでございます。そういう意味で、この計画でよいのかどうか。私どもとしては当然そういう場合には再検討していきたいと思いますが、問題は、計画で美辞麗句を並べることでなく、実際に実効の上がる事業を実現していくことであろうかと思いますので、先ほど来重ねての答弁になりますけれども、関係者の意見をよく聞いて今後とも努力していきたいと思っております。
○上原委員 最後に、大臣、こういうのは事務当局に任せておってはいけないのですよ、あなた、そういった厳しい状況にあって強力な政策を推進していかなければならぬということをおっしゃいましたから。五十一年につくって、これなんかはその間に二回か三回つくられているんだよ。政府の基本計画というのは二回修正をされ、修正というよりはつくりかえられている。やはり皆さん言いづらいからだろうが、五十一年につくって、もう五十七年でしょう。六、七年間も古ぼけたものに基づいてやっているところに問題があるんだ。そういう点は、大臣いろいろ御努力をいただいていることはわかりますけれども、この際新しい労働大臣ということで、沖縄の労働雇用政策という面でこの計画を再吟味をさせて、抜本的な政策を進めていかれるという決意をひとつ披瀝していただきたいと思うのです。
○初村国務大臣 いろいろと要望もあり、また関係局長も今日までの経過をお話ししたわけでありますが、いずれにしても、元労働大臣が五十一年当時つくったものをそのまま一、二回手直しした程度ではだめなんだ、したがって、今日に合ったような計画にやり直して、できるものからしゃんとせいというような激励であるようでありますから、私も十分沖縄のことについては認識をしておるつもりでありますので、できるだけ御期待に沿うように前向きで検討したいと思います。
○上原委員 終わります。
○石井委員長 次に、小沢貞孝君。
○小沢(貞)委員 失業対策部から高齢者対策部に、課の編成人員はどのように変わるかということが第一点。 第二点は、高齢者対策部においては課が従来の二つから三つにふえることになるが、職業安定局の総体としては、課の編成、全体の職員の数に変化はないのかどうか、まずその二点をお尋ねします。
○加藤(孝)政府委員 高齢者対策部の新設に関連をいたしまして、失業対策部の企画課、業務課、それから参事官一人、これを廃止いたしまして、そして高齢者対策部に高年齢者の職業安定に関する企画調整の事務を所掌する企画課、それから高年齢者の雇用延長、労働能力の活用等に関する指導などの事務を所掌いたします職業対策課及び失業対策諸事業の運営などの事務を所掌いたします失業対策事業課の三課を設ける予定でございまして、それ以外の職業安定局内の各課の構成は現在と変わらないところでございます。 また、職業安定局の五十七年度定員は二百四十九人でございまして、五十六年度の定員二百五十一人から見ますと二人の減員となっております。ただ、このうち高齢者対策部の定員は四十一人でございまして、失業対策部の三十七人のほか、局内のほかの課及び参事官というものから振りかえをいたしてこの四十一人にする、こういう定員構成を予定いたしております。
○小沢(貞)委員 従来より課が一つふえたのでは行政改革の趣旨に反することにはならないか、こういう疑問を持つわけであります。業務指導課、雇用政策課などの業務の一部が高齢者対策部に吸収されるのであれば、人員の配置転換により高齢者対策部の機能充実、時代の要請に沿うように機能充実を図るべきではないか、こういうように考えますが、いかがでしょう。
○加藤(孝)政府委員 御指摘の行政改革の趣旨にかんがみまして、参事官一名を廃止いたしまして、これを振りかえまして課の新設を図る、こういうように純増というものはなしで、振りかえでやっておるところでございます。 また、御指摘の高齢者対策に関連した業務を持っております課の仕事は、それぞれこの高齢者対策部に統合いたしまして一元化する、こういう形で組織もまた定員も考えておるところでございます。
○小沢(貞)委員 定年延長問題についてお尋ねしたいと思います。 まず第一に、定年延長の現状はどうなっているか、定年延長のおくれている産業は一体どういうところであろうか、企業規模別に見た場合どうなっているか、以上の点をお尋ねしたいと思います。
○関(英)政府委員 労働省の雇用管理調査というものによりまして、一年以上前になりますが、五十六年一月現在の定年制の状況を見ますと、一律定年制を採用する企業のうち定年年齢が六十歳以上である企業の割合は四二・六%、五十五歳定年の企業の割合が三八・〇%でございますので、六十歳定年の方が五十五歳定年を上回ってきたわけでございます。それから同じ調査で、今後定年年齢を六十歳以上に引き上げることを決定し、または予定している企業を含めますと、六十歳以上を定年年齢とする企業の割合は五三・七%になるという数字が出ております。 産業別にどういうところがおくれているかということでございますが、六十歳以上の定年の割合の低いところをとりますと、電気、ガス、水道、熱供給業、これが六十歳以上の定年が一二・〇%、金融保険業、これが二三・二%、こういったところの立ちおくれが見られるわけでございます。ただ、こういったところにつきましても、去年の間に非常に積極的な取り組みがございまして、銀行あるいは生命保険会社、そういったところがことしの四月一日から六十歳定年に踏み切るというようなことが昨年決まってまいりまして、おくれた産業でも定年延長が最近急速に進んできているのではないかというふうに見ております。また、電気、ガス、水道、熱供給業におきましても、五十六年四月を境に多くの企業で六十歳定年の導入が見られております。そういう意味で、もう少し新しい時点で調査すれば、先ほど申し上げました五十六年一月の数字がさらに改善されていくものというふうに思っております。 それから規模別のお尋ねがございました。五千人以上の大企業におきましては、今後の予定を含めますと、六十歳以上の定年は七三・五%というふうになっております。こういう意味で、大企業の定年延長が最近非常に進んでまいりましたが、千人以上を含めて大企業で着実に前進しているのに比べて、規模別に見ますと三百人から九百九十九人の中規模といいますかいわゆる中堅規模の企業が、進んではおりますが、大企業に比較してやや緩慢な動きといいますか、立ちおくれといいますか、そういうものが規模別に見ると目立つ、この辺が現状であろうかと思っております。
○小沢(貞)委員 近い将来改善されそうですが、いまその数字を聞いて私もちょっとびっくりしたのです。電気、ガス、水道、金融、保険、日本の代表的な企業の定年延長がおくれているというのは、いまのお話ですと改善の見通しが近いうちにあるらしいからあれなのですが、その理由は一体何か、それが一点。 それから、いまのお話ですと三百から九百九十九の中堅がおくれているようですが、これは企業の規模から見てやむを得ない点があると思うわけですが、今後定年延長のために具体的にどのように指導されようとしているか。 以上の二点お尋ねします。
○関(英)政府委員 金融保険業あるいは電気、ガス、水道、熱供給業といいますと、先生お話がございましたように日本の代表的な大企業ということになりますが、それだけにまた企業の中におきますいわゆる年功的な雇用慣行が非常にきちっとできておったところではないかと思います。年功とともに地位が上がり、賃金が上がり、退職金がふえていくというような、いわゆる日本的な雇用慣行、賃金慣行、退職金慣行が非常に確立されていたという点が強いかと思います。定年延長いたしますに当たりましてはその辺を十分見直して、企業として定年延長後も延長前と同じように人事管理がうまくいき、賃金、退職金管理がうまくいって、企業の状態として従前と同じような活力を全従業員が発揮して企業経営がうまくいくということがどうしても必要でございましょうが、そういった慣行が確立しているところほどその見直しはなかなか容易でない面があろうかと思います。特に人事管理面の見直しなどは各社とも非常に苦労することが多いわけでございます。そういったことで、労使の話し合いといったことにつきましても時間を要するといったような実態があったのではなかろうかと思っておりますが、昭和六十年六十歳定年というのが大きな社会の流れとなり、社会的責任からもこういった業種の大企業においては何としてもこれに取り組まなければいかぬということで労使間の話し合いを精力的に進められた結果、最近になってこういった業界での定年延長が進んできているということが言えるのではなかろうかと思います。 それから、規模別に見まして三百人から九百九十九人くらいのいわゆる中堅のところの企業でややおくれが見られるということにつきましては、一般的には、大企業に比べまして、定年延長に伴う人件費、コストの増を吸収したりあるいは高齢者に働けるような職場を十分用意するといったようなことが小回りがきかぬものですから大企業ほど円滑にいかなかったり、あるいはまた企業によっては非常に歴史が浅く、高度成長期以降に急速に伸びてきたような中堅規模の企業におきましては、年齢構成も若くて従業員の間でも定年延長といったものに余り関心がないとかいろいろなことがございまして、こういった企業におきます定年延長の取り組みにおくれがあったのではなかろうかと思います。あるいはまた、規模の小さいところでは定年年齢は五十五歳だけれども、それは変えないけれども、本人さえ希望すればその後もずっと雇用しますというような形で再雇用なり勤務延長なりという制度がある、したがって定年延長に対する切実感といったものが余り強くないとか、いろいろな事例があるかと思います。そんなことで、こういった規模のところの定年延長にややおくれが見られるのではなかろうかと思っております。 その次に、おくれている企業について具体的にどういうふうにして進めていくのかというお話がございましたが、おくれている業種につきましては、私ども、業種別に労使の代表の方に集まっていただきまして、業種別労使会議といったものを開きまして定年延長についての問題点を話し合って合意形成を促進する、あるいは定年延長研究会というものを開催いたしまして定年延長に当たっての問題点の解決策を研究し合うというようなことを進めるほか、高齢者の雇用率達成指導に当たっても定年延長を一番重要な施策として行政指導しておりますし、また定年延長奨励金などの活用をPRいたしまして定年延長を進めているわけでございますが、特におくれているところにつきましては、来年度以降、計画的に個別企業に対する行政指導を強めていきたいと思っております。
○小沢(貞)委員 代表的な企業が定年延長がおくれているのは賃金慣行というものが若干足かせになっているから、これはどうしても労使が話し合わなければならぬ問題だろうと思います。それで、中堅企業がおくれているのはコスト増と職場の確保、こう言われていますが、まさにそのとおりだと思います。いまの答弁の中で、一たん退職してしまって、引き続いて勤めたければ勤めろ、そういう制度もあると言うが、これはいわゆる定年延長の仲間に入らぬでしょう。 そこで私は大臣にお尋ねしますが、以上のような現状の中で、政府が目指す昭和六十年度の六十歳定年の一般化は可能であろうか、大臣からお聞きしたいと思います。
○初村国務大臣 いま局長からいろいろと御答弁がありましたとおりに、労働省の雇用管理調査によって昭和五十六年一月現在の定年制の現状を見ると、一律定年制を採用する企業のうち定年年齢が六十歳以上である企業の割合は四二・六%、五十五歳定年のものの三八・〇%を上回り、いまや六十歳定年というのが大体主流になってきておるわけであります。定年年齢を六十歳以上に引き上げることを決定または予定している企業も多いわけでございますから、これを含めると、六十歳以上を定年年齢とする企業の割合は五三・七%と過半数を占めておるという実情であります。さらに、五千人以上の大企業については六十歳定年の一般化をする傾向が着実に進んでおるわけでございますから、今後とも定年延長の取り組みについては、おくれた企業に対して個別行政指導を一層強化して、各般の施策を強力に推進して六十歳定年の一般化が早期に実現するように努力する所存でございます。
○小沢(貞)委員 これは事務局でいいですが、六十歳定年は六十年度には、これから各企業がいろいろ改善しようという見通しをつけて、一体どのくらいまで上がるか。これは質問事項にないけれども、事務局、見通しはつきますか。
○関(英)政府委員 先ほども申し上げましたように、五十七年度から六十歳未満の定年制の企業すべてについて三カ年の計画で、私ども六十歳定年の実現に向けて個別行政指導に強力に取り組みたい。そういう意味で昭和六十年度を待たずに一般化というものを実現したい、こういう覚悟で取り組んでいくつもりでございます。
○小沢(貞)委員 大臣、三カ年計画で強力に進めて、六十年には六十歳定年をできるようにしたいといま事務局が言っていますが、いいですな。
○初村国務大臣 局長からも答弁がありましたとおりに強力な行政指導をやって、必ず六十年前にでも六十歳定年になるようにがんばるつもりでございます。
○小沢(貞)委員 そういう決意でやっていただきたいが、大体政府が六十歳定年の一般化と言う場合は、具体的には六十歳以上の定年制を実施する企業が全企業の九割だとか九割五分とか、一体どのくらいまでになったら——一〇〇%とは言わないでしょうが、どうでしょう。
○関(英)政府委員 率で何%というわけにはいかないと思いますが、私ども一般化という以上は、何か特別の事情があるものを除いて、たとえば非常に不況産業になってどうにもいま直ちに定年の延長ができないというような企業もあるいは出てくるかもしれませんが、そういう特別のものを除いて、大部分が六十歳定年という状況を指して一般化の目標と考えております。
○小沢(貞)委員 そこで大臣にお尋ねしますが、いま御答弁のように特別のものを除いて一般的に、こういうことのようですが、もし六十年度に六十歳定年の一般化が実現できないとした場合には、政府はどういうようにこのときに対処しようとするか。これは大臣にお尋ねをします。
○初村国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたとおりに、私どもは一般化は十分可能なものと考えておりますので、そういうことで対処していきたい、かように考えております。
○小沢(貞)委員 どうも見込みがあるということで答弁がないようですが、たとえばこういうことはどうでしょうか。六十歳以下の定年制をとる企業は公表をする。日本の代表的な企業がいまだ六十歳定年にならぬというような事態があれば、そういうものは発表する。この間のホテルの、防火管理体制が悪いのを発表するみたいなことはそのホテルにとっては大変なことなんだけれども、やはり、社会的な制裁という言葉もおかしいが、その代表的な企業がいまだ六十歳にならぬということはちょっと恥ずかしい話ですから、公表することは私はうまい考えではないかと思うのですが、これは大臣、どうでしょう。
○初村国務大臣 企業の公表というのは非常にむずかしい配慮が必要だろうと思います。したがって、私どもは一般化の定年の完成を自信を持ってやりますから、公表ということはいかがなものか、かように考えるわけであります。
○小沢(貞)委員 これは企業も社会的責任を負わなければいかぬことですから、あしたすぐ発表しろ、私はこう言っているわけじゃない。先ほど来三年計画で努力するとか言っていますから、そういうような努力の過程の中で、見通しというものはすぐついていくわけですから、場合によってはそういうことも考える、こういう理解でいいでしょうか。
○初村国務大臣 公表というのも、でかでかとするのじゃなくして、たとえばAの企業に対して、あなたのところはこうこうこうだから一般化の六十歳定年に協力をしなければ労働省としても手を打つよ、おどかすわけじゃありませんけれども、そういうような強い指導をして努力してまいりたい、かように考えております。
○小沢(貞)委員 それでは先へ進みます。 急速な高齢化社会の到来を迎えて、いまや六十歳定年は高齢者の雇用保障のための最低限の条件だと思います。国家及び地方公務員の場合も昭和六十年三月三十一日に六十歳定年制が法律及び条例に基づいて施行されるわけであります。このような国家的な社会的要請、また官民格差の是正という見地から、昭和六十年度に六十歳定年の一般化が事実上不可能であると予想される場合に、六十歳定年の立法化に踏み切るような考えはないか、そのような状況に立っても立法化はやらないつもりか。その前に、途中においては公表するとかいろいろな過程を経るわけですが、まだそのときに至ってもいかぬ場合には立法化を考えないか、こういう質問であります。
○関(英)政府委員 先生御承知のように、この定年の法制化問題につきましては国会でいろいろと御論議がございまして、その上で与野党の合意の結果、現在雇用審議会で、定年延長の実効ある方策について立法化問題を含め労働大臣から諮問いたしまして、御審議をいただいている最中でございます。そういう経緯もございますので、この問題については雇用審議会の答申を待って対処いたしたいと私どもは考えております。
○小沢(貞)委員 大臣、立法化をやろうという意思はだめかね。いまの事務局は答申を待って善処したいと言うだけで、立法化には一歩踏み込めないですか。
○初村国務大臣 わが国の雇用慣行は終身雇用慣行になっておるわけです。したがって、定年延長を推進するに当たっては、その前提として年功的な雇用、賃金慣行の見直しが必要となるので、賃金、退職金制度や人事の管理制度のあり方について労使の自主的な取り組みを促す行政指導によることが一番適当であると私は考えております。 いずれにしましても法制化問題については、いま局長がお話ししたとおりに雇用審議会でその審議をいただいているわけでありますから、その回答が出ない前に労働省としてとやかく申し上げるのはいかがなものかと考えますので、答申ができますればこれを強力に推し進めていきたい、かように考えております。
○小沢(貞)委員 それよりしようがないでしょうから、一歩先に行って、六十五歳雇用保障の問題について質問したいと思います。 まず第一には、六十歳定年の実現はあくまで当面の課題であります。いまや人生八十年台を迎えた今日においては、社会の活力の維持、高齢者の生きがいの確保、社会保険料等の世代間の負担の公平化、これは大事なことですが、等々の理由から六十歳以上の高齢者の雇用確保が重要な課題となってきております。労働省は、かかる高齢者の雇用確保のため具体的にどのような措置を講じられるおつもりであるか、それをお尋ねしたいと思います。
○関(英)政府委員 御指摘ございましたように六十歳台前半層の雇用対策が非常に重要になってまいりますが、六十歳までと違いまして六十歳を超えますと、労働者個々人によって体力、職業能力にもずいぶん差が出てまいりますし、また、御本人の御希望もさまざまになってまいります。従来のようにフルタイムの雇用を継続することを希望される方もおりますし、短時間就労あるいは好きなときだけ働きたいというような任意就業といいますか、そういうものを御希望になる方もふえてまいります。そういう意味で、六十歳台前半層の雇用対策は、その多様な希望に応じた多様な対策が私ども必要だろうと思っております。 たとえば、定年延長できるところは定年延長を六十五までしていただくことはもちろんでございますが、それが労働者の希望に余り沿わないあるいは無理だという場合にも、希望者は再雇用するあるいは雇用を延長する、そういうようなことによってできる限り継続雇用を奨励する。すでにことしの一月からそういう奨励制度を発足させておりますが、そういうことがまず第一でございます。 また、短時間就労を希望される方につきましては、パートバンクなどを整備いたしましてパートの職業紹介、職業指導にも力を入れていきたいと思いますし、任意的な就業を希望される方につきましては、シルバー人材センターの育成援助、こういった多様な対策を進めていきたいと考えておるところでございます。
○小沢(貞)委員 シルバー人材センターの拡充も確かに結構なことでありますが、少なくとも六十五歳までは、心身上の理由のある職種や労働は別として、そうでないものはさらに一歩進めて定年延長を図って、高齢労働者の雇用の安定を図るべきではないか、われわれはこう強く考えるわけです。重ねてこの点を大臣にお尋ねしたいと思います。
○初村国務大臣 六十歳台前半層においても、企業の実情に応じながら定年延長を含めた雇用延長の促進が重要であると考えておりますが、この年齢層では健康状態が個々に違うわけですね。これは御承知のとおり個人差が顕著にあらわれているようであります。したがって、一律に定年延長などによって雇用延長を行うのは非常にむずかしいのではなかろうか、その就業についての希望に応じた対策を講ずるのが一番適当であると考えます。 そこで、高年齢者雇用確保助成金の積極的活用、これは六十歳を超えた方々を雇う場合にことしの一月一日から助成金を出す制度でございますが、この高年齢者雇用確保助成金を積極的に推し進めていくということで雇用延長の制度化を図りたい。それからシルバー人材センターの育成助成、パートバンクの増設等の多様な就業についての希望に応じた対策を強力に進めてまいりたい、かように考えております。
○小沢(貞)委員 中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法に基づく高齢者雇用率制度は、定年を六十歳に延長するための誘導措置として実施されてきたものであったが、六十歳定年が一般化する六十年度以降、この高齢者雇用率制度はどういうようにしようとしているか、それをお尋ねします。
○関(英)政府委員 高齢者雇用率制度は、当時五十五歳定年が非常に支配的であった状況にかんがみまして、定年延長を事業主の方で自主的に進めて、そして高齢者の雇用の場を広げていきたい、こういうことに資するために雇用率制度というものを設けたわけでございますので、御指摘のように六十歳定年が一般化した暁には、この雇用率制度は根本的に見直すべき状態になるというふうに思っております。
○小沢(貞)委員 そこで、そういう状態から情勢が変わってきて、先ほど努力すれば六十年六十歳定年ができるような時代になってきたんだから、今度は六十五歳定年延長に向けて、高齢者の範囲を六十歳以上六十五歳までとして新たな雇用率制度を設けて、その実行を企業に求めるという措置を講じた方がよいではないか、こういうように考えます。いかがでしょう。
○関(英)政府委員 先ほども申し上げましたように、六十歳台前半層の就業状態あるいは就業に対する希望、こういったものは非常に多様でございまして、フルタイムの就業を希望する方ももちろんおられますけれども、そうでない方もたくさん出てまいります。そういう意味で、六十歳までの定年延長と同じように六十五歳まで一律定年延長ということが言えるかどうか、したがって六十から六十五の雇用率制度をつくれるかどうか、いろいろ検討しなければならない問題があるだろうと思っております。 もっとも、現在の高齢者の就業状態なりあるいは就業に対する希望というものは、年金を初めとする社会保障制度の現状によってそうなっている面も多かろうと思いますし、これから先になっていけば就業希望等にも変化が出てくることも考えられます。そういう意味で、六十歳定年が一般化した時点で、ただいまのお話も含めてその時点での実態というものを十分見きわめまして抜本的な検討をしなければならないと思っております。
○小沢(貞)委員 そういう御答弁だと思います。六十年の状況を見て、急速に高齢化が進んでいるわけですから、従来六十歳定年を求めたと同じような声がまたその時代においては六十五歳を求めて出てくるのではないかと思いますから、そのときにまた抜本的に見直してもらうように、これは強く希望をしておきます。 次に、シルバー人材センターについてお尋ねします。 まず第一には、昭和五十五年度から実施したシルバー人材センターの活動状況はどうなっているでしょうか。
○加藤(孝)政府委員 昭和五十五年度にまず全国で九十二団体が活動を開始いたしました。さらに、五十六年度に入りまして四十三団体が追加発足をいたしまして、この二月現在で全国百三十五団体が活動しているわけでございます。 この活動状況について見ますと、それぞれの団体の設立の時期や地域の状況によって若干差がございますが、現在での一団体当たりの全国平均という形で見ますと、会員が平均約五百名というようなことでございます。また働いておられます日数は、会員一人当たりが月に三、四日。これは実は会員になっておるということが一つの生きがい的なもので、それでなっておられる方もあるわけでございまして、実際に就業した会員の方で見ますと、大体月に十日程度、こんなような就業状況でございます。 やっておられます仕事の内容を見ますと、たとえば一般家庭関係では、植木の手入れとかふすま張りとかあるいは塀直しとか、こういったような仕事、あるいはまた会社の仕事を請け負うというような形でございますと、あて名書きとかあるいは帳簿の整理とかあるいはまた配達、こういったような仕事をやっておられます。さらにまた、官公庁とか地域の自治組織などの関係の仕事といたしまして、駅前自転車置き場の整理とかあるいは公園とか道路などの清掃、除草、こういったような地域社会におきます臨時的あるいは補助的な仕事をシルバー人材センターが請け負う、こういう形で活動をされておるという現状でございます。
○小沢(貞)委員 シルバー人材センターと類似の事業として、これは各省いろいろあるのだけれども、まず文部省の高齢者人材活用事業、それから厚生省の高齢者能力活用事業、生きがい・創造事業、農林水産省の農家高齢者生活開発パイロット事業、農家高齢者創作活動実施施設の設置、農村高齢者活動促進事業、高齢者等肉用牛飼育事業、山村高齢者林業園設置推進事業など、いろいろあります。いずれも高齢者のマンパワーに着目して、かつ、いずれも何らかの形で高齢者の共同化、グループ化等の手法を取り入れて、それに公的援助を行ってその促進を図るといったようなものであります。 シルバー人材センターとこれらの類似の事業との関係はどうなっているか。これは各省ばらばらに勝手にやっているものだろうか、何らかの調整措置、横断的な連絡というものが講じられているかどうか、その点をお尋ねをします。
○加藤(孝)政府委員 ただいま御指摘ございましたように、確かにほかの省庁におきましてもいろいろな形の高齢者対策のための事業をいま実施をされておるわけでございます。ただ、いずれもそれぞれの事業がその目的なりあるいは背景なりあるいはまたその対象者なり実施主体なりというものを異にいたしておりまして、各省庁が今後の高齢化社会対策の一環としてそれぞれの省庁のいろいろな政策観点から実施をされ、あるいはまた試みられておるわけでございます。私どものシルバー人材センターも、五十五年度から開始をしたばかりで、まだいろいろ試みの段階にあるものでございます。そういう意味で、これからの高齢化社会対策、このやり方で一つの決定的な決め手というものはまだなかなかないと思うのでございます。 そういう意味で、労働省もいろいろな試みをいたしますが、各省もいろいろ試みをされる、こういうことが現時点ではまだ必要じゃないだろうか。私どももこういう各省の施策のいろいろな情報をもらったりいろいろ事情を伺ったりしてやっておりますが、これを特別連絡調整をするというところまではまだいっておりません。しかし、今後そういう試みが進んでいきます中で、これからはいろいろ連絡調整等につきましても検討していかなければならぬ課題だと思っております。
○小沢(貞)委員 各省所管のこれらの事業の分かれ目は、マンパワーを発揮する分野ないしは着眼点の違いによるのではないか、こう思われます。シルバー人材センターがその地域に存在するすべての働く意欲と能力に対応しようという構想であるならば、各省が行っている事業は、職群別の事業内容としてシルバー人材センターに包含されるものでなければならない。シルバー人材センターを各省の類似の事業の地域における受け皿として位置づけ、施策の一元化、総合化を図るべきではないか。 いま答弁では、試みにやっていてなかなか、こう言われたが、将来の展望としては、問題点を掘り出して連絡調整、一元化を図っていくような方向がいいのじゃなかろうか。これは将来の展望ですが、どうでしょう。
○加藤(孝)政府委員 先ほども申し上げましたように、各省が今後の高齢化社会を目指していろいろな対応を試みておるわけでございますが、そういう中で、何が本当に必要な施策であるかだんだんしぼっていくという意味において、将来の財政効果というようなこともございますので、今後の課題としてできるだけ効果の高いものを、そしてまた財政的にもむだの少ない形でのしぼりというようなものはかけていく必要があろうかと思うわけでございます。 〔委員長退席、佐藤(信)委員長代理着席〕
○小沢(貞)委員 いまの答弁はそういうことよりしようがないと思いますが、シルバー人材センターを人口十万以上の市町村に限定をすることなく、センターの趣旨に合致する公共的な自主的団体としての設立が得られる限り、センターを全国津々浦々に設置していくように指導すべきではないか。これからやはり試行錯誤的にいろいろやっていかなければならないと思うのだが、こういう前向きの姿勢はいかがでしょう。
○加藤(孝)政府委員 このシルバー人材センターの試みも、現在モデル的に実施をしておるわけでございますが、ただ、何といいましても、ある程度地域社会にそういう仕事がないと、高齢者ばかり集めても容易ではない。そういう意味で、まずはそういう地域社会での臨時的、補助的な仕事がある程度見込める地域、こういうことがモデル的に実施する場合どうしても必要でございまして、そういう意味で、当初、人口おおむね二十万、こういうことでスタートいたしましたが、昨年度からはさらに人口おおむね十万というようなところまで下げて実施をしているわけでございます。 今後、このセンターの事業が軌道に乗りました段階におきまして、またさらにいろいろそれ以降のレベルのところにつきましても検討をしてまいりたい、こう考えております。
○小沢(貞)委員 続いてお尋ねします。 シルバー人材センターの自主的発展を促し、その拡充を図るためには、県レベルや全国レベルのセンターを設置し、各センター間の組織、運営、事業活動などの自主的な調整、改善を促進していくと同時に、各レベルのセンターが、対応する行政との連携のもとに、事業団相互の提携、交流を深める必要があるのではないか、この点、どうでしょうか。
○加藤(孝)政府委員 いま全国で約百三十五のシルバー人材センターが設立されまして、それぞれ、多かれ少なかれ、自主的な活動をいろいろしておられるわけでございますが、やはりお互いにそれぞれが情報の交換をする、あるいはまた意見の交換をする、こういうことが非常に大事でございますし、また、ある程度いろいろな指導も必要であるわけでございます。そういう意味で、御指摘のように県レベルあるいはまた全国レベルでのいろいろな連絡協議の場というものはぜひつくっていく必要があるだろう、こう思っておるわけでございます。 とりあえず、来年度におきましては、この全国のシルバー人材センターを会員、メンバーといたしまして、社団法人全国シルバー人材センター協議会、これは仮称でございますが、そういったようなものの設立を予定をいたしておりまして、これに対して、そういう全国レベルでのシルバー間の連絡調整なり指導なり啓蒙なりというようなものをいろいろやっていきます経費の一部を国としても補助をしていく、こういうようなことで今後のシルバー人材センターの健全な育成に援助申し上げていきたい、いまこんな取り組みを予定しておるところでございます。
○小沢(貞)委員 大分前向きに積極的な御答弁をいただいたので、次に、大臣にお尋ねします。 雇用になじまない高齢者のマンパワーについて、その調査研究を体系的かつ本格的に実施することが大切だと私は思います。 高齢者の職業生活柄、社会的引退にかけての高齢者の実像を正確に把握し、その生活とニーズの実態把握に努めると同時に、産業構造及び就業構造の変化の過程の中で高齢者のニーズの実態に対応する仕事の需要があるかないかの実態調査を実施する必要があるのではないか。 今回労働省に高齢者対策部を設置されることを契機として、これら調査研究を抜本的に進めていくことがこれからの高齢化社会にとって大切なことではないか、こういうふうに考えるわけです。大臣、いかがでしょう。
○初村国務大臣 今後高年齢者が急速に増加するという見込みの中で高齢者にふさわしい雇用あるいは就業の機会を確保するということは、わが国経済社会の活力を維持発展させていく上で最重要課題の一つと考えております。 このために労働省においては、先ほども申し上げましたとおり、六十歳定年の早期一般化あるいは高年齢者の職域拡大、六十歳台前半層、要するに六十五歳までに対する多様な就業機会の確保等各般の対策を推進しておるわけでございますが、このような対策を推進するに当たっては、高年齢者の生活状況、就業実態、就業に関する考え方を十分に把握することが一番大事ではなかろうか、かように考えます。 したがって、これらについては従来から各種の調査研究を実施してきたところでありますけれども、今後ともなお一層こうした調査研究の充実に力を入れていきたい、いかなければならない、かように考えております。
○小沢(貞)委員 失業対策部から高齢者対策部に転換をしていくということは、行政が時代の要請にこたえようという前向きの姿勢で、われわれは大いに歓迎をするわけです。 そこで、高齢化社会が急速に進む中でこれは将来ぜひ必要だと思いますが、シルバー人材センターの安定的推進が非常に大切ではなかろうか、こう思います。その制度的安定が必要でありますから、この見地からシルバー人材センター構想を、これはきょう議決されてやっとスタートするばかりですが、将来立法化して法律の裏づけによってちゃんとやっていくことが必要ではなかろうかと私は思います。大臣、これは将来非常に大切なことだと思いますが、そういう構想はどうでしょう。
○初村国務大臣 シルバー人材センターが今日各所にできまして、非常に多様化しておるわけでありますが、今後高齢化社会に適切に対応していくための重要な施策であるから、労働省としてもひとつこれを法制化をして取り組む必要がありはしないかというようなことでございますが、どのような法制上の整備を図る必要があるのかというところもまだわからないわけであります。したがって、今後の事業の運用の実情等を見て研究していきたい、かように考えます。
○小沢(貞)委員 失業対策部から高齢者対策部に変わるという前向きの行政としてのそれは、私は積極的に支持をいたしますが、昔は失業対策部はこうだったがいまはというようなノスタルジアばかりでなくて、その過去は過去でそういう歴史的な意義があったわけですが、これからは高齢化社会ですから、労働省として高齢者の対策というものに積極的に取り組んでいただかなければならない。これは時代の要請だと私は思います。それを強く希望して、私の質問を終わらせていただきます。
○佐藤(信)委員長代理 小沢君の質疑は終わりました。 中路雅弘君。
○中路委員 法案に関連して現行失業対策事業について二、三御質問しようと思ったのですが、時間も限られていますし、これに関連した問題は後で同僚議員が質問いたしますので、きょうは一つの問題にしぼって御質問したいと思います。 それは産業ロボットの問題です。最新の科学技術の成果である産業用ロボットの導入あるいは機械の自動化は、危険で過酷な労働環境、単純な繰り返し労働あるいは労働安全衛生の向上という点でも、労働条件の改善、生活向上のために行われなければならない、こういう見地で幾つか御質問したいと思いますが、先日もNHKのニュース解説を見ていましたら、この産業用ロボットの問題の特集をしていたわけです。そこで感じた問題等も含めながら御質問したいと思いますが、最初に通産省に伺いたいと思います。
○佐藤(信)委員長代理 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○佐藤(信)委員長代理 速記を起こしてください。 中路君。
○中路委員 時間がちょっと早まったので、おくれて来られて早々ですけれども、最初に産業ロボットの問題で通産にお聞きしておきたいのです。 産業ロボットの問題で、いま諸外国と比較した生産台数やロボットの導入の状況をどのように把握しておられるか、また、これからの見通し等について、通産省の方からお答え願いたいと思います。
○佐藤(信)委員長代理 通産省見学産業機械課長。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○佐藤(信)委員長代理 速記を起こしてください。 中路君。
○中路委員 労働省の方から聞いていきます。ロボットの導入の状況等については後からお聞きをするということでやりたいと思います。 通産省の方から後で御報告があると思いますが、わが国での産業ロボットの導入は、各国の状況に比べても非常なスピードで導入されてきておるわけです。特に電機産業、自動車産業、神奈川県内にも集中しているわけですが、ここでは、この数年台数も大変多くなってきています。 この問題と関連して、現在、産業ロボットが導入されたり自動化されたことによって、自動車や電気器具製造業などの大企業においてどういう状態が職場で起きてきているのか、この数カ月、私も直接幾つかの企業の職場について調査をしてまいりました。少し時間をとりますけれども、最初にその調査しました現状についてお話をして、それをもとにして労働省に幾つかお聞きしたいと思うのです。特に、解雇という問題じゃないのですが、非常に雇用が不安定になって、また労働条件が悪化してきているという状況が出てきているわけなんで、その問題を中心に三つの例でお話をしたいと思いますが、一つは小松製作所、もう一つは日産自動車、あとは三菱自工という、神奈川県内でも代表的な企業です。 建設産業のトップメーカーと言われています小松製作所の場合ですが、いま建設機械からメカトロニクスの方に一大転換を図ろうとしているわけです。最近はロボットの新商品開発を進めていますが、主にダンプ、トラクターをつくっている川崎工場のたとえば油圧機器工作部というところの機械工を見ますと、二年前には約六十名いましたが、自動化等によって現在約四十五人となり、数年後には数人の事実上無人化工場になると言われています。工程に一つの自動機械が導入されますと、七、八人の要員が二人に減っていくわけです。油圧機器工作部の機械工の場合、主に板金や組み立て工に回されているようで、若干の労働者がここでも退職をしています。 ここで言えることは、第一段階として、自動機械やロボットの導入によって、同じ工場内に異動するわけですが、技術を持つ人や熟練工が、技術や熟練を必ずしも必要としない職場に回される。次の段階として、配転先の職場でも、新入社員が採用され、かわって病弱者や高齢者あるいは定年近い人がさらに他の職場に回される。玉突きで追い出されると言われていますけれども、たとえば小松設備とか小松梱包とかいう一〇〇%出資の傍系会社への出向、あるいはKGSという小松ゼネラルサービス、一〇〇%出資の会社に出向させられるわけです。この会社の場合は、植木の手入れやコピー、さらに、ふろ沸かし、それからクラブや売店の管理、全くいままでと別の職種に、好むと好まざるとにかかわらず、事実上配置転換させられているのが実態です。こういうことによって、小松製作の籍も移されて労働条件も一切変わってしまう。こういうふうに、自動化とロボット導入によって大変不安定な雇用関係をつくり出している。これは一例でございます。 もう一つは日産自動車のある工場ですが、この車体部門では、溶接を行う場合に、従来は手打ち式のスポット溶接またはアーク溶接を手動で行っていました。ある職場で、十四名から十五名でその仕事にかかっていましたが、その後、ロボット十五、六台、マルチウエルダー四台が導入されて、結果として、部品投入と監視に合わせて六名程度が配置されるにとどまった。すなわち、八名から九名の要員が削減されたわけです。 この八名から九名の削減された要員は溶接の熟練工ですけれども、年齢も三十代後半から五十過ぎの労働者ですが、新しく配置されたラインの中での作業のスピードにはとうてい追いつけないわけです。比較的簡単な作業であっても、その経験や技術がラインスピードによって全く無価値なものになるわけで、部品の組みつけが間に合わなかったために、みずからラインの非常停止ボタンを押すあるいは同僚に非常停止をかけられるということで、オシャカが発生すると責任が問われる。そして、比較的ライン速度に拘束されないサブラインに配置される。このために、基本給の昇給率が査定で落とされたり、特別手当にもはね返っているというふうにお話を聞きました。 もう一つの、自動車メーカーの一つであります三菱自工ですが、ここでも、自動化された工程からの配転先は、非常に過酷な作業や汚い作業場、修理やラインへの部品供給、不良の直しなど、非常に劣悪な周辺作業が多くなっています。 自動車製造業では、自動化された工程から組み立てに回されるのが多くて、多種の車が高速で流れてくるラインで組み立て部品のストックは許されない。高速スピードの中で振動工具を使うわけですから、組み立てに行った労働者は、指も手も動かなくなって、六割がやめたとも言われています。また、別会社へ配置転換、出向も日常化して、工場内の一つの工程、一つの作業がそっくり別会社に移管される。出向扱いとなり、そのまま転籍が強要されますと、同じ工場内にいても、出向扱いになると労働組合の選挙権もなくなるという現状であります。 いま、私は三つの例を、小松製作所と日産自動車のある工場、三菱自工を挙げましたけれども、典型的な一つの例だと思いますが、こうした大企業における産業用ロボットや自動化が、この導入によって求められている労働安全あるいは衛生向上等の本来の役割りよりも、いま例でお話ししましたようにもっぱら経済性の追求からのみ導入しているという実態がありますから、労働者の雇用の状態を非常に不安定にしているわけです。私は、労働省がこうした産業ロボットの導入や自動化による雇用への影響についていま現状をどういうふうに認識されているのか、まずお伺いしたいと思います。 〔佐藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕
○松井(達)政府委員 私どもとしましては、大局的に見ますと、現在までのところ、産業ロボットの導入につきましては、危険な業務、有害な業務、こういうような仕事につきまして労働者にかわって産業ロボットがやっているというような面で、安全衛生と申しますか労働環境の改善と申しますか、こういう点で役立ってきているのではなかろうかというふうに思っておるところでございます。 いま先生がおっしゃいましたように、新しくたとえば溶接や塗装の職場にロボットが入ってまいりますと配置転換というようなことも起こるわけでございますが、大勢としましては、私は、日本的な雇用慣行のもとにおいて労使の話し合いが行われ、労働条件につきましてもそれなりの配慮が払われてきているのではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。しかしながら、いろいろと問題はあろうかと思いますし、その間に労使の御苦労と申しますか御苦心というのもあるのではなかろうかと思います。 そしてまた、今後さらにこのロボットを中心としましたマイクロエレクトロニクスの技術進歩が進んでくるわけでございますから、これがさらに急速に導入されてくるということになってまいりますと、いま御指摘の配置転換の問題とか職種転換の問題とか、あるいは環境が変わるということから安全衛生の問題とか、いろいろな影響がさらに出てくるのではなかろうかということも当然予想されてくるわけではなかろうかと私どもとしては考えておるところでございまして、このような面につきましては、われわれとしましては全般的な調査をやっていかなければならぬということで、来年度に向かって準備をいたしているところでございます。
○中路委員 私の挙げました三つの例というのは、まだいろいろ企業について聞き取りもやったのですが、共通した一つの典型的な例としてお話をしました。事実を認識していただく上で、少し詳しくお話をしたのですが、こうした現状について、あとの調査の問題についてはまたお伺いをしますが、産業ロボットの導入や機械の自動化によって起きてきている問題について労働省としても定期的に調査をいますべきじゃないかと思うのですが、いかがですか。
○松井(達)政府委員 私どもとしましては、産業用ロボットあるいはマイクロエレクトロニクスの導入に伴ういろいろな影響、労働の面につきましては、単に雇用だけでなくて、職場の転換あるいは職種の転換、あるいは先ほど申しました安全衛生の面、労使関係の面、いろいろな点につきまして調査をすべきだと思っております。それで、調査につきましても、単にその統計的な調査だけではなくて、やはり実態面も考えたい、いわばケーススタディー的なものもやらなければいかぬと思っております。 そしてまた、私どもの当面の計画といたしましては、来年度、再来年度と思っておりますけれども、こういう技術の進歩は、特にロボットの問題は急速に進展していくと思いますので、私どもいま考えております調査の範囲では、将来を完全に見越したものというだけの自信はもちろんあるわけではございませんので、今後とも事態の進展に応じまして、実態を踏まえた調査をやっていかなければならぬというふうに思っております。
○中路委員 特に事務部門等、製造部門以外の部門にも、オフィスオートメーションなどの普及が始まりますと私はやはり雇用問題が非常に深刻な形で生まれてくるのではないかと思うのですが、このあたりの認識はいかがですか。
○松井(達)政府委員 おっしゃいますように、オフィスオートメーションの面におきましても、これはいままでの職場のあり方と申しますのは大きく変わってくるのではないかと思いますので、これから調査研究を進めるにおきましては、これも重要なポイントとしてやっていきたいと思っております。
○中路委員 通産省お見えになったそうですから、ちょっと戻ってお聞きしておきますが、いま急速に導入が進んでいます産業用ロボット、この導入の問題について、諸外国と比較した生産台数や導入の状況をいまどのように把握しておられるか、これからの見通し等について簡潔に説明していただきたいと思います。
○見学説明員 おくれてまいりまして申しわけございませんでした。 お答えいたします。 産業用ロボットの諸外国の生産数字等については必ずしも統計がございません。導入状況についての国際的に統一した定義がないせいもございまして、なかなか明らかな数字はございませんが、五十五年にイタリアで行われましたシンポジウムにおきまして、アメリカのロボット協会からの発表数字がございますので御紹介申し上げますと、全世界で導入台数が二万台になっております。定義がやや高目のものでございまして、リプログラマブルなロボット以上のもの、こういうことになっておりますが、そのうち日本が一万四千台、米国が三千二百五十台、西独が八百五十台、スウェーデンが六百台等々となっております。日本における生産は、台数にいたしまして、五十五年が一番新しいものですから五十五年を申し上げますと、約二万台が生産でございます。ただし、リプログラマブル以下のものと申しますか、単能機的なロボットも入っております。金額にしまして七百八十四億円を記録しております。 今後の見通しといたしましては、昭和六十年で二千八百億円程度、六十五年では五千九百億円程度に達するものと見ております。
○中路委員 もう一問あわせて、特にその中でたとえば電機だとか自動車等についての状況は、もしおわかりになりましたら補足していただきたい。
○見学説明員 昭和五十五年におきます電気機械器具製造業向けの出荷台数は二千三百七台でございますが、金額にして二百七十七億円になります。 一方、自動車工業は三千六百台で、二百二十三億円と了知しております。
○中路委員 いま通産省から説明いただきましたが、諸外国に比べても日本の場合に大変急速なテンポで導入が進んでいるということがわかるわけですけれども、先ほどお話しの、五十七年度の予算にこうした問題についての調査研究をやることが計上されているというお話ですけれども、この調査研究の項目といいますか、中身ですが、もう少し詳しく説明していただきたいと思います。
○松井(達)政府委員 私どもがいま予定しております調査研究の項目といたしましては四つございます。 それで最初は、技術革新と雇用に関する調査ということで仮に呼んでおるわけでございますが、その中身といたしましては、今後ロボットなどのマイクロエレクトロニクスの導入が進みますと、当然雇用の問題あるいは生産性の問題あるいは職種などにつきましても影響が出てまいりますし、また当然雇用管理の面におきましても、また職業訓練というような面につきましても企業は多様の措置を講じているわけでございますので、この実態についての調査というようなものをここで考えているわけでございます。 それから第二番目としましては、労使関係についてのものを考えておりますが、マイクロエレクトロニクスが導入されます場合のこれまでのわが国の労使の対応の実態を、いわばケーススタディーみたいなかっこうで、さらに欧米について導入された場合にどうなっているであろうかということとも対比させながら見ていくというものを考えておるわけでございます。 第三番目の調査といたしましては、やはり雇用でございますが、むしろこれは産業別、職業別での雇用への影響につきまして調査をしてみたいと思っております。そして企業が、採用とか配置とか離転職とか、こういう面で具体的にどういう対応をしてきたかというような点を実態的に研究をしていきたいと考えております。 それから四番目といたしましては、ロボットを導入した場合に、労働災害を防止するためにどのような安全の確保というものが図られるべきであるか、あるいは図っておるのかというような点につきましての安全衛生面での研究を考えております。 来年度の予算全体といたしましては、六千万円ぐらいを考えております。
○中路委員 調査の中身についてはお聞きしたのですが、これは先日のNHKのニュース解説の中で述べられていたことで、この点は大事な問題だと私も思ったのですが、調査研究の結果によっては、ロボット導入について条件をつけて、やはり一定の制限を加える必要もあるのではないかという問題ですね。たとえば危険な作業だとか汚染の労働等については当然必要になってくるわけですけれども、そういう制約なしにどんどん導入されてくるということになりますと、先ほど言いました、ますます職場の中での雇用も不安定になってきますし、労働条件の問題にも大きな影響を与えてくるということで、労使の間でこうした問題の協議もやられると思いますけれども、企業の雇用に対する社会的な責任を果たさせる上でも、今後ロボットの導入等について何らかの条件といいますか規制を行う必要も生じてくるのではないかと思うわけです。調査研究の結果とこれは無関係でないと思いますが、労使間の問題として処理すべきというだけではなくて、労働省としても何らかのこういう問題点の対応策を考える必要が今後あるのではないかと思うのですが、この点についてお考えをお聞きしたい。
○松井(達)政府委員 私どもは、たとえば産業用ロボットと申しますかマイクロエレクトロニクスと申しますか、こういう問題だけではなくて、技術革新一般の問題としてこれを考えてみました場合に、やはりわが国の今日の経済発展というのは技術革新に積極的に取り組んできた、そしてこれを有効に活用してきたということに一つの理由があるのではなかろうかと思います。私どもとしましては、こういう技術革新の問題につきましては基本的にはやはりその推進を図っていく必要があるのではなかろうかと思いますが、同時にその際には、雇用の安定の問題とかあるいは労働者の能力の活用、それから健康とか安全とか、さらには労働条件の向上というような労働者の福祉と申しますか職業生活の改善とか、こういうような方向につながっていきますように労働省としては十分配慮していく必要があるのではないかということをまず基本に考えておるわけでございます。 このような見地から先ほど申しました調査研究をやりまして、どのような問題点があるか、さらに、仮にデメリットがあるということがわかればどうしてこれを克服していくか、積極的にはどうして成果を活用していくかというような考え方に立って進めるべきではなかろうかと思っておるわけでございますが、そのようなことも考えまして、調査研究の結果につきましてその成果を世に問うということは、調査の結果が出ました場合には当然やるべきことではなかろうかと思います。 先生御指摘の、一定の制限と申しますか規制と申しますか、あるいは抑制と申しますか、こういうものを考えろというような御指摘でございますが、私どもとしましては、やはりこれはまず調査研究をやって、そしてしかも、このような成果につきましてはやはり積極的に活用する、デメリットを克服するという点が重要ではなかろうかと思います。まずやはり労使が実情を踏まえて、このような出てきます問題点につきましてはその解消策と申しますか対応策と申しますか、十分話し合いをすることが必要だと思いますが、その際には私どもとしましては、その予定しております研究の成果というものも活用していただくというようなことで御利用いただくというふうに考えていかなければならないのではなかろうかというふうに思っております。
○中路委員 労働組合は、いろいろお話を聞きますと、OAだとかロボット、マイコン導入はやはり避けて通れない問題としてとらえているわけですが、特に雇用に与える影響あるいは職場の確保という面で、やはりこの導入については十分事前に協議をしていくということを要求しているわけです。会社側は必ずしも、お話を聞きますと、組合の要求に回答していないところもあるわけですが、労働省としてもこうした導入の問題について、職場での雇用の不安定あるいは労働条件にも大きな影響を与えるわけですから、こうした事前の協議やできればそうした問題を協定化していくという点で、やはり企業について一定の指導をすべきじゃないかというふうに考えますが、先ほどの問題と関連していまの問題についてはいかがですか。
○齋藤説明員 お答えをいたします。 いずれにしましても、産業ロボットの導入その他いろいろな技術革新が行われます場合には、いろいろな面で労働条件に影響が出てくるだろうと思います。そういう意味におきまして、労働組合と使用者側がそういうような産業ロボットの導入に当たってといいますか、事前にいろいろ話し合いをするということは非常に望ましいことだろうと思いますし、またそういうような事前のいろいろな話し合いがないとやはり導入というのはうまくいかないということになるのではないかというふうに考えておる次第でございます。また、労使双方もそういうような態度でこの問題には対処しておるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○中路委員 この問題は社会的にも大きな影響を与える問題ですから、労働省としても雇用の安定という立場から積極的な指導を強く要請しておきたいと思います。 産業用ロボットの安全の問題であと二、三問お聞きして終わりたいと思います。 産業用ロボットの導入によって、従来の自動機械とも違った新しい労働安全の問題が生まれてきているわけです。昨年七月の四日に生じた川崎重工明石工場での産業用ロボットによる死亡災害の結果、どのような対策をいまとらせておられるのか、この問題について簡潔にお伺いしたいと思うのです。
○林部説明員 やはりロボットも機械と同様の措置を講ずるという考え方で、当面は次の三点を特に重要視して措置いたしております。 その一つは、産業用ロボットの作動範囲等に関しまして、囲いを設けてその中に入らないようにする。つまり、囲い等を設けるということで作動範囲の中に人が簡単に入れないようにするというのが一点でございます。それから第二点は、点検とか調整等の作業で産業用ロボットの作動範囲に立ち入る必要がある場合というのが当然出てまいりますので、そういう場合にはロボットの運転を停止させるというのが第二点でございます。第三点は、労働者に対する安全教育の徹底を図るということでございます。
○中路委員 いまロボットの連動の機械間は容易に出入りができないように囲い等の適当な措置を講ずるというようなお話もございましたけれども、故障が起きた場合はもちろんのこと、囲いを設けてもロボットに接近をして作業を行わなければならない場合が、例は一つずつ挙げませんけれどもあるわけですね。ロボットや周辺機器の不意の誤動作や人による誤動作の結果災害になるという専門家の指摘もあります。 こうした潜在的な危険性や制御系の信頼性も含めて、考えられるすべての場合に備えて労働者の労働安全を確保するというために、調査や検討をいま急ぐ必要があるのではないかと私は思います。すでに日本産業用ロボット工業会への通産省からの委託調査研究によっても多くの危険性が指摘されているわけですが、通産省ではJIS化の問題、規格化ということもいまやるように考えられているということを聞いておりますけれども、このJIS化の内容、見通し等について通産省の方から御説明願いたいと思います。
○小柳説明員 お答えいたします。 先生御指摘のとおりの仕様あるいは製作の設計、そういった総合的な安全対策につきまして、産業用ロボットの安全通則というものを現在検討しております。その原案を五十六年、昨年六月、社団法人日本産業用ロボット工業会に委託いたしまして、その報告が本年三月十五日、つい先日出てまいりましたので、それを日本工業標準調査会に早々に付議いたしまして審議を得、その後早急に成案を得たいと考えております。
○中路委員 通産省がいま進めている規格化というのは、一定の規制にはなると思いますけれども直接的な法規制にはならないわけですし、私は労働安全衛生という観点から、労働省としても独自の立場からこうした問題の調査研究、検討をいま行う必要があるのではないか、一般的な機械の規制というだけでは不十分ではないか、やはり新しい問題でもありますから、新たなそうした意味での規制の検討も安全の立場から今後必要になってくると思うのですが、お考えはいかがですか。
○林部説明員 御指摘のように産業用のロボットの安全性の問題につきましては、当面はロボットも一般動力機械と同様の安全措置を講じさせるということで、先ほど申し上げましたような事項を指導いたしまして労働災害の防止を図っているところでございます。しかしながら、産業用ロボットそのものの特殊性ということもございまして、一般の機械とは異なった観点からの対策も必要だというふうに私どもも考えているわけでございまして、現在検討を行っている状況でございます。この結果を踏まえまして必要な措置を講ずることになるのではないかというふうに考えております。
○中路委員 いまお認めになっているように、やはり一般的な規制だけでは不十分で、新しい問題ですから何らかの新たな法規制も私は行う必要があるのではないかと思います。この点は十分検討していただきたいと思いますが、特に労働者の安全の問題でもありますから、この点については一言大臣のお考えもお聞きしておきたいと思いますが、いかがですか。
○初村国務大臣 最近、技術革新でロボットとかMEを採用しておるわけであります。企業側は生産性の向上という面から恐らく相当な資本を出して採用しておるわけでありますが、私どもといたしましては、ロボットとかMEが発展していく中ではどうしても雇用の安定、労働災害の防止、こういうものを十分考えなければならない。したがって、いまのところは人間が嫌う場所、人間が非常にしにくいところ等を効率的にやっておると聞いておりますが、一層労働災害についての点を考慮して今後対処して監督していきたい、かように考えております。
○中路委員 あと一問で終わりますが、ロボットの導入や自動化によって省力化を徹底して行っていきますと、今後も労働者が一人の作業によって、周辺がだれも気づかないという事故が発生するおそれが十分あります。先ほど報告いただきました川重の事故の場合も、事故を聞いて労働者が駆けつけたけれども、だれもロボットの操作方法を知らない。ロボットのアームをガス切断して被害者の身体を引き出したのは発見後二十分もたっていたということですから、このような事故を防止する上で、たとえばロボットの可動部分が人と衝突する前に停止するような検出装置及び安全面に関するソフトな面でのコンピューターの容量の確保などを含めた安全のための装置を義務づけるようにすべきではないかと思うのですが、これは費用もかかる問題ですけれども、やはりロボットの導入と絡んで労働者の安全の問題ですから、こうした安全面での確保についてのいろいろな装置の研究あるいはその義務づけ、こうした点について最後に労働省のお考えを聞いて、お約束ですから終わりたいと思います。
○林部説明員 ロボットの安全性につきましては、メーカーの側における安全化の問題、それからユーザーの側での安全な運転という問題が非常に重要でございます。御指摘のような点も含めましていろいろ検討いたしておりますので、できるだけ災害を防止するための必要な措置を考えてまいりたいというふうに思っております。
○中路委員 終わります。
○石井委員長 次に、榊利夫君。
○榊委員 まず失業、雇用問題に関してでありますが、世界的に失業問題は深刻化しております。アメリカを含むサミット七カ国だけでも二千万の大台を超えたと記憶しておりますが、日本の場合も一月度で完全失業百三十一万という数字が出ております。これは戦後最高であります。 この失業問題というのは高齢者対策で解消できないことは言うまでもございません。ところが、今回の法改正は、言うなれば単に機構の名称をいじっているだけでありまして、現下の深刻な雇用失業対策を労働省、政府としてはどう考えておられるのか大いに疑問に思うわけであります。 この失業対策というのは、もちろん労働省だけの仕事でもなければ、大変多面的な、総合的な措置をとらなければならないことは言うまでもございません。たとえば西ドイツなどを聞きましても、雇用創出計画をつくって住宅建設を促進をしたり、あるいは中小企業向けの低利の融資をやったり、そういったことと並んで職業教育の強化といったことにも力を入れているようであります。 労働大臣としてこのような失業対策の面でどう取り組もうとされているのか、基本姿勢をお伺いしたいと思います。
○初村国務大臣 最近の雇用失業情勢は、一部に持ち直したような動きもありますけれども、なお足踏み状態を脱し切らなくております。これは労働力需要が依然として緩和状態にあるものの、このところ求人は増加し、求職者も増勢の鈍化が見られます。その結果、有効求人倍率はやや持ち直したけれども、十二月、一月と引き続きまして〇・六八倍となっております。雇用者は引き続き増加を続けておりますけれども、完全失業率はなお二%を上回る状態であって、一月は二・二三%となっております。また、完全失業者は百三十一万人と、前年同月水準をもう八万人も上回って非常に残念に思っておるわけでございます。 何といっても政府としては、五十七年度の経済目標五・二%をどうしても確保したい、そういうことで、今後の経済運営において民間部門で経済活動が活発化するように経済対策を実施して景気の着実な維持拡大に努め、雇用の安定を図ることとしております。雇用対策の面においても、今後とも六十歳以上の高年齢者に対しては、雇用調整助成金の機動的活用あるいは職業安定機関を挙げての求人開拓等の諸対策を積極的に推し進めていきまして、雇用失業情勢の改善に努めなければならない、かように考えております。したがって五・二%の経済目標は、従来の貿易関係ばかりに頼らずに、民間の特に住宅政策、これに力を入れて経済の目標の達成を図っていく考え方でございます。
○榊委員 どうもいまの話を聞いていますと経済任せみたいな感じがするのであります。労働省としてやはり今日の失業対策についてはどうなのかということをお聞きしたいわけであります。その点どうなんでしょう。
○関(英)政府委員 失業者が、先ほどお話がございましたように百三十一万人という一月の数字が出ておりまして、私ども労働省といたしましては、雇用保険による失業者の生活の安定を図りながらその再就職の促進を図る、これがまず第一でございますが、再就職に当たりましては、お話にもございましたように、新しい技術、技能を身につけていただく、職業訓練を受けていただく。そういたしますと一〇〇%と言っていい就職が可能でございます。そういう意味で、雇用保険を受給しながらの訓練あるいは職場適応訓練、そういったものに力を入れて再就職の促進に努めていきたいと思います。 同時に、できる限り失業者の発生を予防するために、不況業種等を中心にきめ細かく業種指定をいたしまして、失業に至らずに何とか休業でこの場をしのいでいただけるように、大臣のお話にもありましたように雇用調整助成金の活用にも努めているところでございます。
○榊委員 いわゆる失業というのが、高齢者あるいは中高年だけではなくて、若年失業の場合もかなりふえてくるのじゃないか。ヨーロッパの場合には若年失業が大変深刻でありますが、日本の場合もどうもそういう傾向を部分的にたどりつつあるようであります。そうした場合に、幾つもある失業対策の一つといたしまして、やはり公的就労事業を十分に活用するということはそれなりにまた有意義ではないかと思うのであります。 ところが、一九七一年の中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の施行以来、失対事業の就労者というのは三十五万人から今日では約七万人へ激減をしております。大幅に減少しております。しかも高年齢化しておる。平均が六十四・三歳と聞いております。しかも労働省としては失対事業は基本的には終息を図る段階に来ておる、こういう認識であります。ところが、いま最初質問を申し上げましたように、戦後最高という失業の状態も出てきている。そこで、そういう状態のもとではむしろ道路清掃とか公共施設の管理など、あるいは公園の清掃とか、そういった地域生活に密着した、あるいは生活環境改善にそれなりにもまた役立つ、そういう公的サービス事業、これは生かし方がある。むしろ再確立が求められているのじゃなかろうか、こういうふうにさえ思うわけであります。この点の御認識はどうでありましょうか。
○加藤(孝)政府委員 一昨年の十二月に出されました失業対策制度調査研究報告におきましても、国あるいは地方公共団体の公的なそういう機関が失業対策として何か特別の事業を起こして、そしてその事業に失業者を吸収して従事させる、こういう方式につきましては、これまでの歴史的な経験等からいいましてもかえって失業者を滞留させる、その再就職につながらない、こういう基本問題があると指摘されておるわけでございます。 こういった観点から、今後の雇用、失業対策につきましては、やはり民間企業における雇用の安定あるいは民間企業における雇用の促進のための施策、こういったものの拡充発展を図っていく、そしてそういった施策の積極的活用を図るということを基本に進めていくべきだ、こういうふうに考えておるわけでございまして、過去のこれまでの経験あるいはまた国の財政問題等々を考えてみましても、公的に就労の機会を保障するような形での公的就労事業といったものを実施することは考えていないところでございます。
○榊委員 その点では基本的に見解を異にするものでありますが、つまりいまの説明だと、民間企業任せ、こういうことになりまして、いわゆる社会政策ゼロということになるようであります。もちろん私は、その公的サービス事業等々はすべて有効である、こう言っているわけじゃありません。いろいろとり得る方策の中の一つとしては有効ではないかということを言っているわけであります。その点ではいまの見解とはずいぶん隔たりがあると思いますけれども、しかし、この問題はやはり引き続いて真剣に考えなければならないときであることは間違いないと私は思うのであります。ここでそれを議論しても詰まりませんので次に進みますけれども、そういう見解だけは申し添えておきたいと思います。 今度は、労働時間の短縮の問題であります。これについては、週休二日制が事業としても大いに推進されるべきだということは、方向としてはほぼ合意が成り立っているわけでありますけれども、それにしましても、政府の方針でも、八五年までに年間総実労働時間を欧米主要国並みの水準に近づける、そして二千時間以下にする、こういう目標があったと思うのであります。 しかし、週休二日制はある程度普及しつつありますけれども、この総実労働時間という点では、たとえば五十年と五十五年を比較しますと月間三・七時間逆にふえているんですね。こういった内容の週休二日制でいいというお考えなのかどうなのか。やはりもっと雇用拡大に実効のある週休二日制が促進されなければならないと思うのでありますが、この点いかがでしょうか。
○八島説明員 週休二日制を初め労働時間短縮の問題でございますけれども、これまでの経過を振り返ってみますと、昭和四十年代を中心にいたしまして週休二日制はわが国に急速に普及してまいりました。それが四十年代の労働時間の短縮に大きく寄与したことは間違いないところであろうと思います。しかしながら、昭和五十年以降いろいろな経済条件が厳しくなったことも反映いたしまして、週休二日制の普及のテンポや労働時間短縮のテンポが若干緩やかになったことは、これもまた統計上はっきり見られるところでございます。 そこで、労働省といたしましては、こうした状況を考えまして、昭和五十五年に週休二日制等労働時間対策推進計画をすでに策定いたしまして、これに基づきまして各産業一般の週休二日制の普及など労働時間対策の計画的推進を図っているところでございまして、この点はただいま先生からも御指摘があったところでございます。 労働時間短縮による雇用拡大効果につきましては、いろいろ議論が分かれるところでございまして、この点は国際的にも議論されているように私承知いたしておりますけれども、労働省といたしましては、本来、労働時間の短縮につきましては、労働条件の改善なりあるいは労働者生活の充実ということを本旨といたしまして労働時間短縮を進めてきたわけでございます。ただ、現在のような情勢下におきましては、当然高齢化社会への対応とかあるいは国際化時代への対応、こういうものを含めまして、週休二日制など労働時間の改善を進めなければならないことは言うまでもございません。 そうした観点を踏まえまして、私どもといたしましては、昭和六十年度までに銀行の完全週休二日制の実施ということも含めまして、産業界一般におきます週休二日制の一般化に努めるための行政指導を展開しておるところでございます。
○榊委員 いずれにしましても、いま私紹介しましたように、実際の労働時間がふえているというケースがあるわけでありますので、それでは中身のない、週休二日をやったんだけれども実際は総労働時間短縮にならない、こういうことになるので、それらがりっぱに所期の目的を果たすような、雇用拡大に役立つような、実効性のある、そういう週休二日制を目指してひとつ大いに御努力をお願いしたいと思うのです。 次に、このことも若干関連をいたしますが、シルバー人材センターというのがありますね。それと並んで、自主的に自分たちで中高年者の雇用福祉事業団などをつくっているケースが最近ふえているようであります。全国に百団体くらいあると聞いておりますが、確かに東京などを見ましてもそれなりにその地域での中高年者の雇用に尽くしております。したがいまして、中高年者の雇用問題というのはますます大きな意義を持ってくるわけでありますし、一定の補助を考えてもいいのじゃないかと思うわけであります。シルバー人材センターにはちゃんと二分の一の補助があるんですが、この自主的な事業団は何かお考えになっておられますか。
○加藤(孝)政府委員 現在、全国各地におきましていろいろ就労団体などが設置母体となりまして、中高年齢者に仕事を提供することを目的、こういうことで、中高年齢雇用福祉事業団あるいはまた高齢者事業団とかいった団体が設立をされておりますが、その実態は、特定の中高年齢者あるいは組合員が集まりまして企業組合的な活動を行っている、こういうものであると伺っておるわけでございます。 労働省としては、五十五年度からシルバー人材センターの育成、援助をやっておるわけでございますが、これは六十歳以上の高年齢者であれば市民のだれでも加入、参加ができる、こういう一市一団体の公益法人でございまして、そういう任意にできております中高年齢雇用福祉事業団といったものとは大変性格を異にいたしております。 そういう意味におきまして、こういう一定の個人、組合等の参加のもとに企業組合的な任意団体を設立され企業活動をしておられるものに対して、国として特別の助成をする考え方は持っておりません。
○榊委員 現在はありませんけれども、検討する余地はあるとお考えですか。それとも、もうそれは検討する余地もないというお考えですか。
○加藤(孝)政府委員 いままで私どももいろいろ検討をした経緯もございまして、そういう面からいきまして、ちょっと特別な補助をするということは考えられない、こういうことでございます。
○榊委員 現在のところはそうでありましょうが、いろいろな可能性、いま一つ御研究お願いしたいと思います。 失対事業の問題でありますが、けさほど来ずっと質問にもあり、また答弁にもございましたが、全体として高齢化している。ところで、退職者特例援助金等々の話もありますけれども、実際問題、いろいろ聞いてみますと三百万円程度の退職金がほしいという声があることは事実でありますが、この問題については労働省、どういうお考えでしょうか。
○加藤(孝)政府委員 失対事業の就労者団体から、退職金三百万円、こういう要望、要求などをいただいておるところでございますが、この退職金制度といいますのは、これは常用雇用を前提といたしまして、できるだけ長く企業にいてほしい、こういうようなことの奨励のために用意されておるものであるわけでございまして、失対事業というものが日々雇用を原則としておりまして、また、就労者に対しましてはできるだけ早く民間企業へ再就職していただきたい、こういうたてまえの制度でございますので、退職金制度はこういう失対事業にはなじまない、こう考えておるところでございます。 なお、現在のところ、この失対就労者に対しまして日雇労働者就職支度金制度が設けられておるわけでございますが、この制度の改善につきましては、一昨年十二月の失業対策制度調査研究報告からも指摘があっておりますので、その趣旨に従いまして今後引き続き検討をいたしたい、こう思っております。
○榊委員 長くいてほしいという立場で出すものが退職金だ、これは少し違うと思うのです。やはり長年の労苦に対して出すものだろうと思うのです。その点では失対事業の人々、日々雇用とは言いながらも社会的に有用な仕事を長年なさってこられたわけでありますので、しかるべき退職金を払うべきではなかろうか、これは常識的に言って私はそうだろうと思うのです。ぜひその点御検討をお願いしたいと思います。 ところで、現実の問題で一つだけお尋ねしますが、全国で百カ所ぐらい雇用保険法が適用されてない地域がございますね、つまり島であるとか交通の便が悪いとか、そういうことのために。東京都下の伊豆諸島なんかもそうなんです。八丈島、三宅島、新島なんというのはそれが適用されていません。大島の場合はこれが適用されております。同じ島でありましても、ちょっと離れているために年間十万円ぐらいの差があるわけであります。収入減ということになっておりますけれども、近くに職安がないという、これは不幸と申しますか、地理的条件の制約でありますが、こういう場合、便法を講じてしかるべきだと私は思うのです。 もちろん、終息すべき段階にある、そんなことは考える余裕がない、恐らくそういう頭ではないかと思うのでありますが、定年間近だなんという場合は、おまえさん、定年間近なんだから保険は遠慮しなさいなんというようなことは言えないわけでありまして、やはり最後の最後まできっちりとした法の本来の趣旨というものが貫徹できるような、そういう施策というものが必要であろう。 八丈島なんかの場合でも、たとえば大島のように代表が飯田橋職安に来てちゃんと確認を受ければできるわけでありますので、飛行機で飛んでくれば近いわけだし、船でも眠ってくれば一晩で着くわけですし、ぜひひとつ、ここは花も実もある、そういう施策をとっていただけないか、こういう質問でございますが、どうでしょうか。
○関(英)政府委員 お話は、雇用保険の中の一般常用的な保険制度の方でなくて、日雇い関係の保険制度の適用のお話であろうかと思います。日雇い保険につきましては、やはり公共職業安定所に出頭して、その日、日雇い関係の求人に対する紹介をいたしまして、それにもかかわらずどうしても就職することができない、失業であるという認定をした上で保険給付をする、こういう仕組みになっておるものでございますので、どうしてもその適用区域に限定がございます。そういう意味で、安定所に出頭し得る地域についてのみ適用するという地域指定になっているわけでございます。 そこを何とかならないかというお話でございますが、これは失対事業に就労する者だけでなく、その地域の日雇い労働の方すべてに関連する問題でございますが、制度の趣旨がいま私が申し上げたようなものである限りにおいて、どうしてもその便法を講ずるにしても限度がございます。そういう意味で現在の制度ができ上がっているわけでございまして、先生のいまお話しの件は、前にも私じかにお話を聞いたこともございまして、いろいろ検討しておりますけれども、現状のもとではこれを拡大することには無理があるかと思っております。
○榊委員 法の趣旨から言いまして、やはり同じ仕事をやっているのに差別が設けられる、一方は受け取って、便法が講じられている。大島の場合、そうであります。ところが、隣の島は便法が講じられないというのでは、やはりつじつまが合わぬわけでありまして、雇用保険の全労働者への適用、この見地を貫いてぜひひとつ、それはいまから何十年もというわけじゃありませんので、これは目に見えているわけでありますけれども、ちゃんとその期間はその法の精神を生かして十分にそれが、労働省なかなか理解のある措置をとってくれた、こういうふうにも人々から感謝されるような前向きでの御検討をたってお願いしたいわけであります。ひとつ研究してください。私も労働省まで行ったことがありますけれども、ひとつこれを研究してください。
○関(英)政府委員 なお東京都を通じまして現地の実情等をよく調査してみたいと思います。
○榊委員 大変近いのですから、もうその先ですから……。 最後の質問でありますが、東京電力の人格侵害問題について二、三質問さしていただきます。 東京電力と言えば足元の電力会社でありますけれども、大変な人権侵害が行われております。それについて、委員長、ちょっと資料をお渡ししたいと思いますが……。
○石井委員長 どうぞ。
○榊委員 四、五部ありますが、これ、二つ資料がございます。 まず、上になっている方でありますが、これは東京電力の地中線建設所の書類でありますが、「休務日報」となっております。つまり勤めを休む、それを追跡しているわけでありますが、これを見て驚きますのは、全部「取扱注意」の判こが押されております。休みに何をしているのかということまで綿密に追跡調査をしておるわけであります。これはもうプライバシーという点から見ましても、憲法上の基本的人権の擁護という点から見ましても、ちょっと驚くようなことがやられている。 たとえば、一番上にあります、これは四十四年十二月十八日付のものでありますが、右の方の「休務実態」。これは名前がありますが、名前は消しておりますが、たとえばBという人について、けさ「寮は普段の通り出かけていった。」それから「十時、寮へ問合せたところ、平常通り出かけた。なお昨夜は二十一時三十分に帰寮し、田舎から従弟がきたということは聞いていない」とか、あるいはその一番下になりますと、ある人について、選挙関係と思われます云々と、こう出ております。つまり選挙といっても、これは役選なんですね。 たとえば三枚目でありますが、「本部、支部大の選挙も公示がされましたので、爾後の動向は特に注意するよう指示(依頼)しておきました。」とか、こうなりますと、労働組合の役選も会社の監視下にあるということが歴然とするわけであります。あるいは警察との連絡、三枚目でありますが、Aという人について「家事都合のため、四月七日届出あり。(左)の」、左翼という意味でありましょうか、「行事は本日特にありません。愛宕へTEL済」愛宕というのは愛宕警察署のことでありましよう。 それからこれは二枚目のものでありますが、一番下「茶封筒が届いている」これは共産党本部及び杉並分局からのものだ。「封書を至急調査をして報告するとの連絡があった。内容は未確認」こういう封書に至るまでやっておるわけですね。それから一番最初のものですが、「本欄を使用するのは容共左派と目される者が該当しておる場合に限り使用する」。 こういうふうに、つまり一つの会社の組織が政治的な立場を理由にして、憲法上保障している思想、信条の自由といったものをほっぽり出して、昔の特高警察みたいな追跡調査をやっている、こういうことであります。言うなればこれはスパイ行為であります。しかもちゃんと「取扱注意」。それで細かく調査をして、労務課長、次長、所長というふうに報告される仕組みになっているわけであります。こういうことは、憲法に照らしても実に前近代的といいますか野蛮と申しますか、労働大臣としましてこういうことが許されるとお考えでございましょうか。直ちに調査をして改善措置をとっていただきたいと思うのです。
○岡部説明員 企業が労働者の休みの実態について把握をしておるということでございます。そのこと自身、私ども労働法を扱う官庁といたしまして、たとえば労働基準法との関係はどうであろうかということを考えました場合に、当該日報と労働条件決定との関係が必ずしも明らかではないということで、その御指摘の事実をもって直ちにこれらの労働者が労働条件について差別的取り扱いが行われておる、つまり労働基準法第三条違反があるというふうに申すことは困難であろうと思うのでございます。 実はこの事案につきましては、昭和五十一年十月に地方裁判所に提訴になっておりまして、これにつきましては、一年を経過した時点におきまして所轄の労働基準監督機関の方に申告があった事案でございます。所轄の監督機関におきましては、調査を行ったわけでございますが、違法を確認するに至らなかったという経緯がある事案でございます。
○榊委員 調査をしたけれども確認できなかった——ここにあるわけです、これで確認してもらいたいと思うのですよ。こういうことが許されるという御理解ですか。
○岡部説明員 労働基準法との関係におきまして、休務実態を把握するということとこの基準法との関係、つまり労働条件についての差別的取り扱いというものに因果関係がありますれば、これは基準法上の問題でございましょうが、これにつきまして、そのこと自体が基準法との関係では判断を行うことは困難であるということでございます。
○榊委員 私は労働基準法でどうかと言っているのじゃない。労働基準法というのは少なくとも職場に直接間接絡んでくるものだ。休んでおることに関して追跡調査しているわけです。休み中に何をやっているか、あるいはどういう封筒が来たか、だれが連絡をとったか、あるいは役選その他についても、こういったことは憲法上大問題ですよ。そういったことが許されるとお考えなのかということをお尋ねしているのです。大臣にお尋ねします。
○初村国務大臣 いま資料をもって、これによって判断をせよというような意味の質問がありましたが、やはり法律に照らして違法であるということであれば私ども積極的にいろいろな処分を考えなければいけませんけれども、現段階でその資料によって軽々な取り扱いをするという考え方は持っておりません。
○榊委員 二番目の資料でございますが、これを見ていただきます。 自分のところの従業員を追跡調査しているだけじゃないんですね。お客さんまで追跡調査しているのです。 これを見ますと、「全店営業課長殿 料金課長殿」ということで営業管理課長からの文書が出ておりますが、「情報番号の電算機登録について」ということで、コンピューターでお客さんを登録するわけですね。しかも全部じゃない。たとえば電気料金についての不払い運動とか、あるいは過去に、いまじゃなくて過去に料金不払いが起こった、そういうケースであるとか、あるいはその他、「a.項目コード様式」というのを見ますと、運動経歴、運動区分、運動開始年月、情報種別、コンピューターに大変細かく入れているわけですね。それからちゃんと情報番号もあるわけです。 さらには移転先まで調べておる。これは三枚目になりますが、六ページですが、「廃止までの料金収納に十分努力するとともに、移転先を正確に掌握し関係店所へ連絡のこと」どこかの支店で目をつけられますと、引っ越していくとその引っ越し先にまで連絡をしているわけですね。 さらにそのほか「地域情報連絡会議事録」というのがございまして、これを見ますと、これはまたびっくりするのですが、ある特定の人の名前を引きまして、これは原子力反対を言っておるとか、住民運動をやっておるとか、「群馬で過去に送電停止に関してトラブルがあったらしい」東京に出ているのに群馬県のことから調べ上げている。それから「住民登録など調査するも現在のところ居住確認ができていない」これは別の人です、名前は控えますけれども。住民登録の調査をしている。あるいは都内の世田谷区烏山生活学校の運営委員をやっているCならCという人、そこから火力発電所の見学会の計画があった。ところが、その中の特定の人についてはこれを除外する方向で検討中である旨会社側から連絡を受けた等々。読みますと、とにかく大変な一般市民のプライバシー侵害。あるいはこういうこともある「なお支社長から、需要家側の思想偏向者、消費者団体加入者などに留意するよう指示があった。(特に電々は多いため)」電々というのは電電公社のことらしい。 ともかくこういうふうな、職員はもちろん、お客さん、需要家、一般市民に対してまで追跡調査をするということは、これはどこから見ましても分を越している。分を越しているどころか、こんなことがまかり通っているとするならば、これはもう憲法なしと言ってもいい。これ自体が、突き詰めていけば法に触れてまいりますよ。 いずれにいたしましてもこういう事実があるわけでありますが、法務省としては、人権擁護局は、こうした事実についてはどういう御見解をお持ちでございましょうか。
○水流説明員 企業が特定の個人とか団体の思想傾向とかその動向等を調査したり、あるいは資料収集して整理するというような場合におきまして、やはりその目的とか、手段、方法とか、その調査結果をどういうような形で使用するのかといったことを総合的に検討して判断しなければならないかと思うのでございますが、電力会社が行う業務に反対する個人とか団体についての情報を集める、あるいは料金を支払わない者に対する対抗策を講じようということでそれをリストアップする、これだけでございますと直ちに人権侵犯というわけにはまいらないのじゃないかと思うわけです。結局、こういうことが行われている目的とかあるいは調査方法、その結果の利用状況といったあたりをちょっと検討してみませんと、人権擁護機関としての意見は申し上げかねるのでございます。
○榊委員 市民団体など名指しで調査をしていく、それからいわゆる背番号制ということが非常にいろいろ問題になっておりますけれども、少なくとも東電に関して、ある限定つきでありますけれども、本人が知らないうちにちゃんとコードを持って、特定の番号で東電さんの特定のその中に入っているわけです。しかも、日常的に追跡調査をされている。どうもこれを見ると尾行までやっているみたいです。こういうことは許されてはならない。 時間がないのであれですが、この問題は基本的な人権にかかわる問題としまして、人権擁護局あるいはその他の機関としましても厳正に調査をしていただいて、そして是正をするところは是正をする、そういう指導をしてもらいたい、こう思うのでございますが、いかがでございましょうか。
○水流説明員 人権にかかわる問題でございますので、われわれも一生懸命やらないといけないとは思っておりますけれども、この問題は、労働行政の問題あるいは裁判所に現実に提訴されている問題ともかかわっておりますので、そういった専掌機関の判断がまず第一に優先されるべきではないかと考えております。 しかしながら、法務省といたしましても人権擁護機関として何らかの対応ができないかどうかという点につきまして、事実関係をさらに検討いたしまして対応策を検討してみたい、こういうふうに考えております。
○榊委員 裁判は別でございます。裁判じゃありません。やってならないことをやっている。今日もやっている可能性がある。そういう点では、厳正な調査をして是正を指導してもらいたい。重ねて要求しまして、質問を終わります。
○石井委員長 これにて質疑は終局いたしました。 —————————————
○石井委員長 これより討論に入ります。 討論の申し出がありますので、これを許します。中路雅弘君。
○中路委員 労働省設置法の一部を改正する法律案に一言反対の討論を行いたいと思います。 高齢化社会に対応しての組織整備それ自体を否定するものではありませんが、失業対策部の主要な所掌事務である失対事業を廃止する方向から見て、改正案による機構改編はこの失対事業廃止の方向と深い関連を持っています。 失対事業を廃止することは、憲法二十七条に規定された国民の勤労権を奪うものであるだけでなく、ILOの高齢労働者に関する勧告第百六十二号の、中高年齢者に対する年齢による雇用、職業上の差別の防止にも逆行するものです。そして、何よりも完全失業者が百三十万人を超えるという戦後最悪の雇用状況を一層悪化させ、とりわけ中高年齢者の深刻な雇用条件に打撃的な影響を与え、ひいては高齢化社会に対しても有効に対応できなくなります。 わが党は、公的就労事業の拡充などによる雇用の拡大を主張してきましたが、今回の改正案自体、直接に失対事業を初め公的就労事業の縮小や廃止を図るものではありませんが、失対事業の廃止を前提とし、その廃止に向けての機構改編措置には賛成できません。 以上で討論を終わります。
○石井委員長 これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○石井委員長 これより採決に入ります。 労働省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○石井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
○石井委員長 ただいま可決いたしました本案に対し、佐藤信二君外四名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新自由クラブ・民主連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を求めます。上田卓三君。
○上田(卓)委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、新自由クラブ・民主連合各派共同提案に係る労働省設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。 まず、案文を朗読いたします。 労働省設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について善処すべきである。 一 今後における高齢化社会の急速な進展に適切に対応していくため、高齢者対策部の設置を契機として、今後とも中高年齢者に対する雇用、就業対策を拡充、発展させるよう努めるとともに、関係各省の密接な連携のもとに、総合的な高齢者対策の展開に努めること。 一 高齢者対策部の設置に伴う失業対策部の廃止は、失業対策事業の果たしている役割を軽視するものでないことに留意し、今後とも必要な失業対策事業関係予算の確保と、その適切な運営を図るとともに就労者の実情に即した施策の充実に努めること。 一 高齢化社会への移行に伴い、地域における雇用開発がますます重要になっていることにかんがみ、地域の中高年齢者対策の拡充を図るための諸施策の検討を進めること。 右決議する。 本案の趣旨につきましては、当委員会における質疑を通じてすでに明らかになっておることと存じます。 よろしく御賛成くださいますようお願い申し上げます。以上。(拍手)
○石井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 これより採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○石井委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。 この際、労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。労働大臣初村滝一郎君。
○初村国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましてその御趣旨を尊重いたしまして、努力する所存でございます。 —————————————
○石井委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○石井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○石井委員長 次回は、来る二十五日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後七時九分散会