逓信委員会 第10号
- 発言数
- 118 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1982/04/21
会議録
○水野委員長 これより会議を開きます。 放送法等の一部を改正する法律案及び電波法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。 本日は、参考人として日本放送協会副会長中塚昌胤君、日本民間放送連盟専務理事泉長人君及び日本新聞協会事務局長山田年栄君、以上三名の方々に御出席を願っております。 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。 参考人各位には、御多用中のところ本委員会に御出席いただき、まことにありがとうございます。 本委員会におきましては、放送法等の一部を改正する法律案及び電波法の一部を改正する法律案について審査を行っておりますが、本日は、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の審査の参考にいたしたいと存じます。 なお、議事の順序でございますが、初めに御意見をそれぞれ十分程度に取りまとめてお述べいただき、次に委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。 まず、中塚参考人にお願いいたします。
○中塚参考人 初めに、今回の放送法等の一部を改正する法律案の御審議に当たりまして、日本放送協会の意見を申し述べる機会を与えられましたことに対しまして、厚く御礼申し上げます。 申し上げるまでもなく、日本放送協会は、昭和二十五年に「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように放送を行うこと」を目的として、放送法に基づいて設立された公共放送事業体でございます。設立以来、これまで放送法によって課せられた使命に基づき、放送を通じて国民の生活と文化の向上に寄与することに全力を挙げてまいりました。 NHKは、現在、国内放送におきましては、テレビジョン総合放送、教育放送、ラジオにおきまして第一放送、第二放送及びFM放送の三種類五系統の放送を実施しており、これら五系統の放送の有機的な活用を図りつつ、視聴者の要望にこたえるよう努めておりますが、最近の放送に対する期待、要望は、社会の中での情報化、高学歴化、国際化などが進むに従い、ますます多様化の度を加えてきております。今後、いわゆる新メディアの導入によっても、情報に対する国民のニーズはさらに多様化するものと見込まれます。 このような状況に対応するために、NHKといたしましては、この際、新メディアによる放送につきましても、現行の放送と有機的関連性を保ちつつ、計画的、継続的に行い、視聴者の多様な要望にこたえていく必要があると考えるものでございます。 放送分野におきます新しいメディアにつきましては、NHKは、長年にわたって研究開発を進めてきたところでございまして、すでにテレビジョン音声多重放送の実用化試験放送を実施しておりますが、さらにテレビジョン文字多重放送につきましても、その実用化のため技術的研究、検討を進めているところでございます。 このような時期に当たりまして放送法等の一部を改正する法律案が国会に提出され、テレビジョン多重放送を実用化するために必要な規定の整備が図られ、テレビジョン音声多重放送、文字多重放送の実施に必要な措置等が講じられますことは、まことに時宜にかなった適切な措置と考えられ、日本放送協会といたしましてはこれに賛意を表するものでございます。 次に、この改正案のうち、NHKに関係いたします部分について、テレビジョン多重放送を中心に個別的に考え方を申し述べたいと存じます。 第一は、テレビジョン多重放送のNHK業務としての位置づけについてでございます。 NHKは、すでに申し述べましたように、テレビジョン音声多重放送の実用化試験放送を実施してきておりますが、今後、このテレビジョン音声多重放送、さらにはテレビジョン文字多重放送について実用化を図りまして、視聴者の要望に的確にこたえ、放送法第七条に規定されておりますNHKの「あまねく日本全国において受信できるように放送を行う」という目的を達成してまいりたいと考えております。 したがいまして、今回の改正案におきまして、新たにテレビジョン音声多重放送、テレビジョン文字多重放送が第九条第一項の日本放送協会の業務に加えられたことは、適切な措置と考えております。 第二は、テレビジョン多重放送に関し、NHKの放送設備についていわゆる第三者利用の道が開かれたことについてでございます。 NHKの放送設備のいわゆる第三者利用につきましては、NHKの公共的な性格やチャンネルイメージとの関連等に十分留意する必要がありますので、その設備を利用する第三者につきましては、NHKの性格と使命を理解し、NHKの番組編集方針を尊重していただける事業者でなければならないと考えております。今回の改正案におきまして、このような基本的考え方に立った対応が可能となったものと考えております。 第三には、NHKが出資することのできる範囲が法律上拡大されることについてでございます。 これまでNHKが出資することが可能な範囲は、宇宙開発事業団、通信・放送衛星機構、有線テレビジョン放送施設者となっておりまして、きわめて限定されたものとなっていたのでございますが、今回の改正案によりますと、NHKの業務に密接に関連する政令で定める事業を行う者に出資することができることとなります。この点につきましては、NHKとしてかねがね要望してまいりましたところでもございまして、本年一月NHK長期ビジョン審議会から御提言もあった点でございます。そして、今後の経営展開のため適切な措置であると考えるものであり、政令の制定に当たりましても、NHKの今後の経営基盤確立のために十分な配慮が払われるよう希望いたしたいと考えております。 第四には、NHKは、「テレビジョン多重放送の放送番組の編集に当たつては、同時に放送されるテレビジョン放送の放送番組の内容に関連し、かつ、その内容を豊かにし、又はその効果を高めるような放送番組をできる限り多く設けるようにしなければならない。」としていることについてでございます。 NHKといたしましては、すでにテレビジョン音声多重放送における実用化試験放送におきましては、もっぱらこのような利用を図ってきたところでございますが、文字多重放送の実用化に当たりましても、視聴者の要望の多様化にこたえるため、聴力障害者向け字幕サービスその他テレビジョン放送番組を補完充実する情報の放送に努めてまいりたいと考えております。 なお、このようなテレビジョンのメイン番組の内容を補完充実するいわゆる補完的利用とともに、いわゆる独立的利用につきましても、文字多重放送の特性であります随時性、選択性などの機能を十分生かすよう考えてまいりたいと考えております。 以上、今回の放送法等の一部を改正する法律案につきまして、テレビジョン多重放送に関する事項を中心にNHKの考え方を申し述べさせていただきまして、陳述を終わりたいと存じます。 どうもありがとうございました。(拍手)
○水野委員長 次に、泉参考人にお願いいたします。
○泉参考人 泉でございます。 本日、ここに民間放送連盟の意見陳述の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございました。 今回の放送法の改正によりまして、わが国でも文字多重放送が放送界に導入されることになりますけれども、民放連ないしは民放各社にとりましても、文字多重放送というものが、国民の情報の多様化の要望にこたえる媒体として、その健全な普及発展に最大の努力をいたしたいと考えている次第でございます。 すでに、民放各社の中にも、早くから文字多重放送の研究に着手して、技術開発に多大な貢献をしている社もございますし、昨今では実験局もございます。また、社内にプロジェクトチームをつくって番組の開発なども行うなど、各社の動きも活発になってきておるわけでございます。 これを受けまして、民放連の中でも、昨年度、文字放送対策特別委員会というのを理事の構成で設けまして、文字多重放送が私たちにとって健全に発達できるように種々検討いたしました。その結果、特に重要と思われる二点につきまして、ことしの一月、箕輪郵政大臣に要望書を提出いたしまして、善処を要望したわけでございます。 これを簡単に申し上げますと、第一点は、既存の放送事業者の放送設備提供を義務づけてまで第三者の利用を認めることには反対であるという点でございます。今回の改正案では、この要望が取り入れられたというふうに私ども理解しておりまして、この点は私ども今度の改正案には賛成するところでございます。 第二点は、法案に直接関係はございませんが、その後省令で処理されるべき文字多重放送の標準方式の問題でございます。文字多重放送の標準方式につきましては、電波技術審議会のコード伝送方式の答申を待って、さきに答申されましたパターン伝送方式との比較検討を十分に行って、日本として最も将来性のあるすぐれた方式を採用してしかるべきではないかという要望でございます。 私どもが、このコード伝送方式のよさというものを要望書の中で主張いたしましたものは、パターン伝送方式に比べまして、コードは格段に伝送速度が速くて、送り得る情報量が非常に多いという点からでございます。 御承知と思いますけれども、文字多重放送の一つの番組というのは、一画面を言いますと百二十文字でございます。したがって、十番組といっても千二百字程度しかございません。パターン伝送方式に比べまして五、六倍の速度でできるコード伝送方式というのが、情報量の点からいっても望ましいというのが私どもの考えでございます。たとえば選挙の開票速報にとってみますと、これをパターンでやった場合には、同時に二十選挙区程度しか送れないわけでございますが、同じ量でコードの伝送方式でございますと、衆議院の百三十選挙区全部の開票速報が同時に送れるというメリットもございます。そのほかに、コードでございますと、たとえば簡単なサイン的な音楽だとかそういう表現もできますし、将来性のある非常にすぐれた方式であるというふうに、私どもは調べた結果、主張しているわけでございます。 また、民間放送にとりましては、文字多重放送で視聴者に多くの情報を差し上げようという裏には、当然それがある程度企業として成り立つということも必要だと思います。そのためには、やはり情報量が非常に多いということがその一つの要素にもなるかと思います。欧米の文字放送も相当行われておりますが、すべてコード方式であります。それでもなおかつ、まだ情報量が少なくて経営が成り立っていないというケースも聞いております。特に日本の場合には、漢字だとかひらがな、かたかなといろいろ種類が多いために、メモリーの価格が問題になったと思いますが、最近ではこれが非常に安くなってきておりまして、そういう問題は解決されるというふうに考えておりますし、電波技術審議会でのコード伝送方式の答申も、できるだけ促進するように民放の委員も協力をしております。この時期にあえてパターン伝送方式で先行して進めることは、視聴者にとっても二重の投資を強いることになりますので、私どもはパターンだけでスタートすることにはとうてい賛成できないというのが、大臣に対する意見書の第二の趣旨でございました。 それから、今度の法改正につきまして、その他の問題でちょっと意見を申し上げます。 まず、外人の民放株式の取得制限につきましては、適切な措置をしていただきまして大変ありがたく思っております。賛成でございます。ただ、これが省令の中で外人の株式の取得の割合の公示という点が書いてありますが、外人の持ち株を常時把握することが大変困難なので、この省令を実施される場合には、われわれの意見も十分お聞きいただきたいと思います。 それから、災害放送の義務づけの章でございますが、災害放送につきましては、言わずもがな、われわれ各局とも放送事業者の当然の責務として従来から積極的に取り組み、考えているところでございますけれども、一番ポイントは、災害時にテレビ、ラジオをつけた場合に、いかに正確な情報を視聴者に差し上げることができるかというところが問題でございまして、この点の情報伝達の一元化、責任体制、そういうものの確立がこの法案に絡んで一番重要な問題であるかというふうに考えております。 それから、最後に、NHKの出資に関する事項でございますが、改正案ではNHKの出資の枠が緩和されて、郵政大臣の認可を受ければ放送関連の事業に出資できることになっていると承っております。NHKの出資につきましての法的な歯どめが緩められることによりまして、NHKが外部の営利事業に進出していくことになりまして、民放の事業との絡みが出てまいりますと、従来、受信料によるNHKの放送、それからスポンサーの広告による民間放送という、大変バランスのよい放送の一つの仕組み、日本で成功しているこの仕組みというものが、基盤的なところからこんがらかってくるということになりますと、種々問題が出てくるかと思います。そういう点につきましては、運用の点で十分御配慮をいただきたいということでございます。 以上、民放連の意見を申し上げましたが、この文字多重放送というのは、先ほども申し上げましたように、技術的にも将来性にも大変多様な可能性を持っている媒体であると考えております。したがって、その将来性がまだはっきりしていない、多様性があると考えておりますので、今後の私どもなり皆様のいろいろな創意と工夫によってこれが生かしていけるのじゃないか。番組内容もまだ限定されておりません。将来どのように発展していくかもわかりません。したがって、法案にありますテレビ番組の補完的利用、これは大切な問題でもありますが、これだけに限定することなく独立的利用も考え、さらにどう発展していくかということも考えまして、たとえば免許の単位を一Hごとにするというようなあらかじめ限定することの方を先行させないで、もっと自由に、この文字多重放送が国民のために豊かに使えるように、規制の方は後からいってもいいんではないか。最初からいろいろな規制を考えないで、もっと自由な免許方針ないしは省令を考えていただきたい。 そういう意味で、法案には賛成いたしますが、今後具体的な運用を定める省令とか免許方針に当たりましては、十分民放関係者の意見もあらかじめお聞き取りいただけるようなことを特にお願いいたしまして、意見の陳述を終わります。 どうもありがとうございました。(拍手)
○水野委員長 次に、山田参考人にお願いいたします。
○山田参考人 日本新聞協会の山田でございます。 本日は、参考人としてお招きをいただきまして、意見を述べる機会をお与えいただきましてありがとうございました。 ただいま御審議中の電波法、放送法改正案のうち、新聞界にかかわりますのは文字多重放送でございますので、本日は文字多重放送について意見を述べさせていただきます。と申しましても、現在新聞界はこの問題に対して鋭意研究中というところでございまして、具体的な対応といったものはまだ打ち出せない段階でございますので、新聞界の基本的な考え方を申し述べさせていただきます。 文字多重放送は、これまで音声、映像が中心でありました放送に文字が加わるわけでありますから、放送の側から見ますと媒体機能が拡大されてくるということになりますが、新聞の側から見ましても、文字による情報伝達の手段がふえることになりますので、これは新聞の機能の延長であるというとらえ方ができると思います。 新聞は、これまで情報を文字で紙に印刷をいたしまして、これを広く社会に提供してまいりました。こういった紙面を提供するという新聞の機能は将来ともに維持されていくことはもちろんでありますけれども、最近は技術の進歩によりまして、紙以外にも、文字情報を伝達できるようなさまざまな電子的手段が開発されてまいりました。 一方、社会の情報に対するニーズは非常に多様化しておりますし、かつ分化してきております。こういう情報環境になりますと、新聞社が、紙面をつくるというだけでなくて、みずから収集し蓄積した情報を新しい手段を使って伝達して、多様なニーズにこたえていく、さらに紙面活動を補強していく、こういう方向に向かってまいります。これは新聞の社会的機能から申しましても当然の方向であろうと思います。情報伝達の技術が今後ますます発達してくる、こういう情勢を踏まえまして新聞界の将来の姿というものを考えますと、紙面活動を中心にいたしまして、そのほかさまざまな電子的手段を使って、ニーズに応じて情報を多元的に提供していくという複合的な構造になるであろうということが、新聞界のほぼ共通した認識になってきております。 新聞界では、こうした観点から、現在すでに第二期実験が行われております有線系のキャプテンシステムには、情報提供者、IPとして参加しておりますが、文字多重放送にも積極的に参画し、新聞社の持つ機能を生かして、この普及、発展に寄与したいというのが基本的な考え方でございます。 文字多重放送は、既存の放送事業者が利用するだけでなくて、第三者の独立的利用にも開放されるべきだという考え方は、五十一年の多重放送調査研究会議の報告でも示されておりますが、先ごろ公表された放送の多様化に関する調査研究会議の報告でも、第三者の参加によって普及の促進を図るべきだという提言が行われております。ただいま申し上げましたような新聞界の基本的な考え方というものはこの提言の趣旨にも沿うものと考えております。 しかしながら、文字多重放送は、既存の放送事業者の設備を使いまして電波のすき間を利用するわけでありますから、放送界全体との緊密な協力がなければこの実施は困難でございます。したがって、この協力関係の維持というものが、文字多重放送の今後の普及、発展には必要不可欠な条件であると考えております。 文字多重放送は、その媒体の特性から言いまして、比較的速報性が要求されるような情報の提供に適していると思いますが、これが独立したメディアとして魅力のあるものになっていきますためには、速報性だけでなくて、番組の多様性ということがなければならないと思います。特にパターン方式の段階では提供できる情報量が非常に限られますので、この多様性を確保するということが大きな課題であろうと思います。さきの多様化調査研究会議の報告では、独立的利用の事業主体には、ニュース速報、各種情報を常時大量に蓄積し、かつ、短い更新サイクルで提供し得る能力を持つものが適していると述べられておりますが、新聞社や通信社はこうした条件を最も満たすことができる機能を持っておると思います。 放送界は、放送による情報伝達について長い歴史を蓄積されております。新聞界は、文字で情報を伝達するということで百年を超す経験を積み重ねてきております。この両者の経験と能力というものが結びつきまして調和が図られるとすれば、文字多重放送の将来の発展というものは十分に期待できると考えております。 また、文字多重放送は、キャプテンと違いまして、段階的に地域が拡大されていくというものではございません。当初から条件が整えば全国どこでも実施できるわけでありますので、したがって、新聞界がこれに参画する場合も、新聞、通信各社が公平、平等かつ自由にこれに参加し、放送の多様性と地域性が確保されていくことが望ましいわけであります。したがって、これができるような環境づくりと政策上の配慮が必要であろうと思います。 現在御審議中の放送法改正案では、文字多重放送を既存の放送事業者が利用するだけでなくて、第三者による独立利用にも道を開く法的措置が図られていると理解をいたしておりますが、具体的な免許方針は郵政省令で別に定められるようでありますから、現在のところはこの文字多重放送についての放送政策の全体像というものがなかなかつかみにくいわけでございます。今後省令が決まってまいりますと全体の輪郭が明らかになってくると思いますが、新聞界はその意味でも省令、免許方針を非常に注目をいたしております。省令を定められる過程では、関係各界の意見を十分に吸い上げられまして、特に新聞界の意見も十分聞かれて尊重してくださるようにお願いをいたしたいと思います。 文字多重放送に限らず、新しいメディアが出てまいりますと、既存のメディアに何らかの形でインパクトを与える、これはもう避けられないところだろうと思います。しかし、この新しいメディアが社会的なニーズに明確に適応し得るものでありますと、既存のメディアと共存して相互に発展しながら社会的な利益を増進していくということが可能でございます。これは過去の情報メディアの歴史からも言えることであろうと思います。社会的ニーズというのは、このメディアの特性あるいは提供される情報の内容ということもさることながら、これを入手するための視聴者の経済的負担ということも重要な要素でありますから、こうした点も十分に考慮され、文字多重放送の実施に当たっては、社会的ニーズをできるだけ的確に予測されて、運営面、制度面で慎重に対処されていくことが将来の発展のために必要と考えております。 最後に、この文字多重放送に関してもう一点申し上げたいことは、番組基準の問題でございます。 現在、放送法では、四十四条で番組の編集基準が定められておりますし、五十一条では番組審議機関の設置を義務づけております。しかし、この規定は音声、映像を中心とした放送を対象といたしましたもので、文字多重放送のような新聞の機能をあわせ持ったような放送の形態には必ずしもなじまないのではないかと考えます。 さらに、放送メディアの将来展望には、コード方式による文字多重、ファクシミリ多重、専用波による文字放送、いろいろありまして、文字による情報提供が今後量、質ともに拡大されるという方向が予測されます。こうした段階になりますと、文字放送が新聞の紙面と同じような社会的な機能を果たすということになりますので、新聞が伝統的に保持しております表現の自由が、文字放送の領域でも尊重されて、編集基準は自主規制にゆだねられるということが妥当であると考えております。放送多様化の調査研究会議の提言でも、番組編成のあり方等が放送多様化の進展に伴って現在の放送制度では十分に対処できないことも考えられるので、実用化が近いと思われる文字多重などの実施状況によりでは、技術の発展動向も考慮しながら放送制度の見直しが必要となることも考えられると述べております。この提言には、四十四条の見直しということも含んでいるものと理解いたしておりますので、今後この問題の御検討をお願いをいたしたいと思います。 以上、文字多重放送に関する新聞界の現段階としての基本的な考え方を申し述べさせていただきました。御理解を得られれば大変幸いでございます。 ありがとうございました。(拍手)
○水野委員長 ありがとうございました。 以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。 ―――――――――――――
○水野委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木強君。
○鈴木(強)委員 本日は、三人の参考人の諸先生には大変御多端の中を当委員会においでいただきまして、ありがとうございました。また、ただいまは大変貴重な御意見の陳述をお聞かせくださいまして、心からお礼を申し上げます。 最初に、新聞協会の山田参考人、民放連の泉参考人にお伺いしたいのですけれども、民放連の泉参考人の場合には、聞いておりまして、放送方式のパターンかコードか、この点の問題についてもう少し見きわめた上でやったらどうだろうかということでございますので、時期尚早論的に拝聴したわけでございますが、確かに、この委員会でもこの点については、諸外国でもコードを採用しているわけですから、早くこのコード方式を電波技術審議会で検討をして、その上でやったらどうだろうかというような意見もございました。しかし、われわれ例のカラー放送をスタートさせるときにも、いまは亡き当時の正力社長さんが積極論者でございまして、その他の民放各社は慎重論だったのですけれども、結局正力さんの意見でかなりスタートが早くなったわけですね。しかし、その当時NTSC方式というアメリカの方式か、あるいはSECAM方式か、いろいろ国際的な方式を先に決めるべきではないか、こういう意見もありましたけれども、スタートしてみて、今日はもうスイッチ一つでNTSCであろうとSECAMであろうと全く問題ないというような時代に来ているわけでありますから、将来の展望の上に立って、この実施の時期について、パターンでとりあえず発足してコードで追いかけていく、その場合にはいろんな受信設備等のロスもあるというような件でございますが、その辺の絡みについてちょっと意見を聞かしていただきたいと思うのでございます。 それから、新聞協会の山田参考人、民放連の泉参考人とも、第三者事業の場合の免許の方針でございますね、これについては省令で決めることになっておるが、一H十番組というようなことではございますけれども、その際に十分に私たちの意見も聞いてほしいというような意見だったと思うのですね。現在、御承知のように、マスコミの集中排除という、独占の排除という方式がございますね。新聞、ラジオ、テレビ、そういうものを一切持ってその上に何か新しいメディアを持つことはできない、こういう原則がございます。しかし、文字放送の場合には、そういう原則はあってももう少し独占排除の範囲を広げたらどうかというようなふうに山田参考人の御意見はちょっと聞こえたのですけれども、そういう意味ではないでしょうか。その辺に対する御意見をお聞かせいただきたいと思います。最初にその点だけ先にひとつお願いします。
○泉参考人 泉でございます。先に私の方からちょっと御返事をいたします。 ただいま方式の問題の御質問がございましたが、ちょっと先ほどの私の陳述で申し上げましたように、パターンとコードとの比較はいわゆる十倍、少なくとも五、六倍の量をコードは持っているわけでございます。したがって、五、六倍のスピードのあるということは、それをたとえば事業的に運営する場合に、事業の基盤としては五、六倍の基盤を持つということになりまして、やはり情報量が多いことが事業的に成り立つ一つの要素になるかと思います。 それと、先ほど申し上げましたように、番組の多彩性というものも入るわけでございますが、ただ、パターンの方を先行することをカラーテレビのことでおたとえになりましたけれども、いま審議会でやっておりますコードの審議は、ここ一両年で結論が出るというふうに私たちも予測しておりますし、一両年ではっきりめどがついているものを、特にパターンで出発してその受信機をある程度普及させることは、最初に買った人たちに一、二年の間にまた二重の負担を強いるんではないか。それと、私たちの事業経営の問題、送り出す側の事業経営の問題も両方兼ね合わせますと、やはりコードまで含めて考えた最終案でやってほしいというのが希望でございます。 それから、免許の方針の方でございますが、たまたま最初は二Hしか使えないということでございますが、その中での暫定的な考え方としては、仮に第三者がわれわれも納得できるというような方々であれば、特に二Hとも民放が使うんだというがんばりはいたしませんけれども、先ほど申しましたように、非常にこれからの発展の可能性のあるものでございますから、そのスタートの時点での考え方を将来とも堅持するような考え方でなくて、マスコミの独占排除というものは、そういうところにまで一体該当せなければいけないものかどうか。海外ではテレビの多重につきましては放送事業者の責任でやっておりまして、そういう点から考えますと、いまの放送事業と対比した問題ではなくて、もっと部分的な問題でございますので、もっと自由に将来を見越して、将来の運営の仕方の中から管理は考えたらどうかという意見を申し述べたわけでございます。
○山田参考人 ただいまの御質問でございますが、私が申し述べましたのは、省令で集中排除の免許方針というものを緩和しろという趣旨ではございません。むしろ、文字多重放送の第三者による独立的利用というものは、多様性を確保するために、かつ地域性を確保していくためにも、全国的に自由、平等、公平に新聞、通信社が参加できるような環境をつくることが望ましいというふうに申し上げたわけでございます。
○鈴木(強)委員 わかりました。 そうしますと、新聞協会の郵政大臣に対する申し入れ等も私ども拝見をさせていただいておりますが、文字多重放送について、新聞、通信社は、その運営に積極的に参画し、発展に寄与していきたい、こういう考え方が基本的にあることは承知しておるわけです。そこで、いまよくわかりましたが、第三者利用の場合には、新聞協会としてはむしろその中に積極的に参加をしたい、こういう御意見のように承りました。というのは、公平そして平等かつ自由にその運営ができるような仕組みをしてほしい、地域性、多様性等も考えながら環境づくりをしてほしいということですから、簡単に言ったら、第三者利用は新聞協会にもひとつやらせてくれ、こういうふうに受け取ってよろしいですね、通信社を含めて。
○山田参考人 新聞協会という団体ということではございませんで、新聞協会に加盟している報道機関の各社が第三者利用する場合には、いろいろな参加の形態があると思いますので、事業主体になる、ならないというような問題も含めまして、とにかく文字多重放送に対する情報提供に積極的に参加できるような環境をつくっていただきたい、こういうことを申し上げました。ただ、この事業主体のあり方等につきましては、現段階ではまだ研究中、私どももよく承知いたしておりませんし、免許方針そのものがまだわかりませんので、基本的なことを申し上げたわけでございます。
○鈴木(強)委員 そうすると、泉参考人の方の御意見というのは、第三者利用というのは、要望書の中にありますように、当初は、他人に貸すことを義務づけることは財産権の侵害だ、そういうふうな意見で反対をされておったのですが、そこは法律から消えたわけでして、さっきも陳述されたとおりでございますが、本来的には、いま二Hで、一Hを第三者に既設の放送事業者が契約して了承すればできるという仕組みに法律上はなっているわけですね。そういうことよりも、むしろ既存の放送局が文字多重もやるべきだというところにウエートを置いて民放の方は考えている、こういうふうに考えていいわけですか。
○泉参考人 文字多重は全部民放、テレビ放送事業者がやるのだということではなくて、やはり視聴者の立場を考えて、民放放送事業者は放送事業をやっていることにおいて多くのデータをストックしております。それを視聴者に還元するのも一つの社会的使命でありますから、われわれは、文字多重におきましても相当な還元をする用意もある。しかし、たとえば民放事業者に欠けている新聞の情報その他、そういうのがあるとすれば、それをあえて抑えて視聴者に出させないということはあり得ません。当然そういうことも考えますが、そのときには、要望書にもちょっと書いてありますように、既設の私たちのテレビ事業のイメージを損なわないような方々に御協力をお願いした方がよろしいのだという意味でございます。
○鈴木(強)委員 そうしますと、第三者利用の道を開くことについては、義務制でなければよろしい。必ずしも自分たちがやるということでなくて、多様化する国民のニーズにこたえるために、どういうふうにしたら一番いいかということを検討した上で、とにかく既設の放送事業者がオーケーを出さなければできないわけですから、その場合に既設の放送事業者の意向が体せられて、これならよろしいということで了承を与え、それが免許を申請して新しい放送局になるわけでございますから、その辺は民放既存事業者の意見をかなり尊重していくでありましょうし、政令、省令その他の内容についても、われわれもその辺は、NHKもそうなんですけれども、公共放送にふさわしい第三者でなければいかぬ、こういうふうに意見を述べておるのでございますけれども、その点はよくわかりました。 そこで、そういう意味において、いよいよ契約をしますね、施設を使うことに対して利用を許すわけです。そういう場合に、第三者に施設を使わせるために法制上はどれだけの金を取るか、そういった面が全然ないのです。 それから、もう一つは、さっきお話のありました外人の持ち株取得の割合について、この法律の中には入っておりますが、果たしてこれが何十%がいいのか、この辺はまだ論議のあるところだと思うのですよ。泉参考人としては、この辺についてはどのくらいが妥当だというふうにお考えになっておるのか、ちょっと参考のためにその点も一緒に答えていただけませんでしょうか。
○泉参考人 第三者利用について民放はどういうふうなお貸しの仕方をするのか、また逆に、第三者利用について民放はどのくらい出資をするのが適当かという御質問かと思いますが、まだそこまで私どもの委員会その他で検討は進めておりません。そういう意味で、これから、一体、設備にはどのぐらい金がかかるものか、お貸しするのには、たとえば第三者が民放とどのくらい深いかかわりあいがあるのかないのか、それによっていろいろな契約上の、賠償とかそれらの問題がございますから、そういうパーセンテージとか金額という問題は、まだいまから確定できないのじゃないかと思います。
○鈴木(強)委員 新聞協会の山田参考人にお伺いしたいのですけれども、お話にありましたように、文字多重放送というのは、言うならば、いままで新聞が長い歴史と伝統の中で文字によって情報を伝達してくださったわけですね。ですから、それの延長線上にあるものだ、こうお述べになりましたね。私もそう思います。 そこで、今度の文字多重にしても、ただ単に画面に文字が出るだけでなくて、それが附属設備のプリンターとしてニュース、天気予報、その他いろいろな情報がどんどん文字になって出てくるわけでございますね。したがって、新聞の面から見ると、速報性のあるマスメディアを使って、一般の新聞より以上に活字になったものが各家庭にどんどんと入ってくるわけですから、全体的な新聞の果たす使命に見たら、それは微々たるものかもしれませんけれども、その一部分というものがかなり速報性を持ってくるということになりますと、新聞の文字による従来の伝達に対して、かなりの影響があると見なければならぬのだと私は思うのですね。したがって、お話のように、できるだけ積極的に参加していくということもよくわかるのですが、一方ではマスコミの独占排除というものがございます。恐らくキー局の場合と、それから各県域における放送局の場合と二つあるのですね。ですから、東京にありますキー局の場合は、ある程度それを利用してローカルがやればできるところがありますけれども、やはりローカルはローカルとしての自主番組、ローカル番組をつくる義務を課せられておりますから、したがって、そういうものをつくるときには、ローカルはローカルなりにひとつまた送信機をつくらなければならぬわけですね。そういう場合に、各地方にある地方紙、こういったものがまたそれを利用しようとすることも無理からないことだと思うのですね。ですから、新聞の果たす使命に対して、この文字多重放送というのはかなりの影響を与える。したがって、ここであなたがおっしゃるように、政府としては、そういう一つの時代の流れの中で変革を来すわけですから、環境づくりを十分考えておいてくれよ、こういう御意見を強く出されたのだと思うのですけれども、この第三者利用については、もちろんいずれも義務化はしていないわけですから、これからの話だと思いますけれども、特に非常に大事なことですから、第三者利用に対する山田さんの、これは新聞協会を代表してきょう来ていただいているわけですけれども、何かまとまった意見があるのか、もしないとすれば、個人的な意見でもよろしゅうございますから、お聞かせいただければ非常に参考になると思うのでございます。
○山田参考人 ただいまの御意見でございますと、文字多重放送を新聞が積極的にやった場合は、文字多重放送という媒体を使って情報が早く流れるから、紙面そのものに影響があるのではないかと……
○鈴木(強)委員 そうじゃないのです。ちょっと、それじゃもう一度。 文字多重放送ができますと、新聞には関係なしに第三者なりあるいはいまの既設の放送事業者が一々使うわけです。それは補完的にやりますね。そういう面から言うと、新聞とは全く関係なしに新しいプリンターによってニュースが伝わり、天気予報が伝わっていくわけです。そうしますと、従来は新聞は夕刊なり朝刊でやっていますから、速報性から見ると非常に遅くなるわけです。これはただ単に画面へ出るだけじゃない、プリンターになってニュースがだっと出ていくわけですから、そういう面から言うと、従来の新聞が果たしてきた使命と、足跡といいますか、そういうものにかなりの変革を与えるだろう。新聞の先を越して新しいニュースがどんどんプリンターでいく、しかもこれは各家庭に直接にいくわけですから、見たニュースがまたあしたの新聞に入ってくる、夕刊で来るというようなことになりますから、そういう面から見ると、速報性の面でこれは大変な影響があると考えざるを得ないのです。 したがって、そういうメディアの発達に対して、新聞協会としては負けないだけの体制をつくらなければいかぬということは当然あると思うのです。そういう意味において、第三者利用について新聞協会の方としても参画をしたいという意見を発表されているのは、私は当然だと思うのです。ただ、そこにマスコミの独占排除という方針もありますし、これからの省令等によって決まることですから、この際、新聞側として意見があったら述べておいていただきたい、こういうことですから、出題の趣旨をひとつよくわきまえてお答えをいただきたいのです。
○山田参考人 新聞というのは、紙面活動というものは、大変ゼネラルな情報を提供いたしております。それから、文字多重放送というのは、ただいまお話しのように、ニュースの速報、あるいは各種の情報というものも放送を使うわけですから非常に速報性がある。したがって、新聞がこれに対して積極的に参画したいというのは、新聞社は絶えず情報を蓄積しておりますが、それが現在の紙面活動ですと、朝、夕刊二回しか読者に提供できない、それを、この文字多重放送に積極的に参加し、新聞社が蓄積した情報を文字多重放送という媒体を使って社会に提供することで、この紙面の活動を補強していけるという考え方が基本でございます。 ただ、新聞の紙面の速報という問題は、すでにテレビジョンが出現したときに、新聞とテレビジョンとの間の機能論としていろいろと問題になりまして、やはり速報機能では現在でもテレビの方が速いわけでありますが、新聞はそういう情勢に対応して、それなりの紙面編集といったような方向の改善というようなことで、新聞独自の機能を果たしてテレビと共存してきたということでございますので、さらにこの文字多重放送というメディアができましても、新聞がこれに直接参加をするという形で紙面活動を補強し、紙面と共存をしていけるというふうに考えております。
○鈴木(強)委員 よくわかります。ですから、テレビと新聞の長短は、テレビの場合には記録性というものがない。ところが今度は記録性が出てくるわけですから、そういう面において相拮抗するような場合も出てくると思います。ただし、第三者機関ができましても、その機関が直接に情報をキャッチして取材をして全部流すというようなことはまさに不可能でしょう。したがって、どこかの新聞社なりと連携をして、いまでも大体4チャンネルは読売ニュース、こういうようになっておりますわね。昔のようにニュースエージェンシーが国際的にあったときは、同盟通信社というのが特派員を派遣して、それによってNHKニュースでも何々発同盟というのをわれわれの子供のころは聞かされたものですが、いまは特派員が全世界に飛んでおって、瞬間的に新しいニュースがどんどん入ってくる。時代は変わっているわけです。ですから、そういう意味において、第三者機関と新聞社の連携を十分図って、間違いのない情報を速く送っていただく、そしてそれが記録されて各家庭に配られる、こういう面においては私は共存性というのは強くあると思うのです。むしろそういう面におけるニュース源として新聞の果たす使命は大きなものがあると考えるわけです。そういう趣旨だとお答えを承りましたので、よくわかりました。 もう一つ、山田参考人にお伺いしたいのですが、大臣に対する申し入れ書というか要望書というか、この中に、新聞が持つ表現を尊重するということから現行放送法四十四条――四十四条というのは一つの制限があるのでございますけれども、これを適用するのは望ましくない、実施者の自主規制によればいいんじゃないか、こういう御意見があるように思うのですけれども、この辺は、言論、報道の自由は認めながらも、不特定多数を対象とする、幼児からおじいちゃんまでいる放送については、四十四条の制限といいますか、あそこに示しているような一つの番組基準というものがあるわけですね。これを外してしまうというのはちょっとどうかなという気がするのですけれども、ここに申し入れをされた意見の論拠をひとつ聞かせてほしいと思うのです。
○山田参考人 放送は、先ほども申し上げましたように、四十四条で編集基準というものが定められております。しかし、将来文字放送が非常に発達をしてまいりまして、さらに新聞社がそれに参画して、新聞社みずからが取材し蓄積した情報を文字放送を通じて提供をするといったような形も十分予想されるわけでありますし、ただいまお話しのように、それがハードコピーとして文字となって取り出されていくというようなことになってまいりますと、そういう情報というものの社会的機能というのは新聞とほぼ同様の機能を持つのではないか。現在、日本の新聞は直接法的な規制を受けておりません。しかし、法的な規制を受けていないということから、かえって倫理的な責任は強く求められるわけでございまして、現在、新聞協会の加盟各社は、それぞれ社内的に厳密な編集基準を持ちまして紙面の社会的な責任というものを果たしておるわけでございますので、そういった自主規制の慣行というものはすでに新聞界に十分定着をいたしております。したがって、新聞社から提供されるそういった文字放送による情報というものも、新聞と同じような自主規制の手段によって、法によらなくても十分社会的な責任を果たしていけるのではないかというのが、私どもの基本的な考え方でございます。
○鈴木(強)委員 趣旨がわかりました。法律で規制しなくてもそれぞれの社が、新聞で言うならば各社、通信社が編集上の方針を持っておる。放送の場合には四十四条がありまして、それぞれの放送局が番組審議会を持って、その審議会の一つの方針に基づいて番組を編成してもらっているわけです。ところが、いろいろ批判もありまして、われわれ少し古い人間ですから考え方がずれている点もあるかもしれませんけれども、番組によりましてはちょっと目をそらすようなものもあるわけです。その点は世論の批判も受けておるし、嫌ならスイッチを消せばいいじゃないかという意見もありますけれども、決められた番組が公序良俗に反しないで国民の豊かな教養を高めるために電波を通じて有効に働いていく、これが公共性を持った放送事業の使命だと私は思うわけです。ですから、そういう意味において、基本的には、各社が自主的に本当に国民によりよい番組を送ってやるということが基本でございますから、そういう趣旨は一応わかるのでございますけれども、いまにわかにおっしゃるような形で四十四条をなくするということも私ちょっと問題がありまして、ここで論争するつもりもありませんし、御意見として承らせていただきたいと思います。 それから、最後に、NHKの方にちょっとお伺いいたしたいのですけれども、NHKは一Hについては義務化されましてやらなければなりませんね。そこで、第三者の一Hについては、委員会でも質疑のありましたように、NHKは公共放送でありますから、その第三者を決定する際には、少なくとも、いまお述べになりましたようなNHKの公共的な放送であるというものにふさわしいものでなければならないと私は強く確信をしているわけでございます。当然第三者はスポンサーによって利潤を得ていくことになると思いますが、そのスポンサーについても、泉参考人からもお話がありましたように、やはり一つの節度を持って、国とかあるいは地方自治体とか公共的なところとか、そういったところにある程度限定をしていくようなことも考えていかなければならぬと思うのですけれども、NHKとしては、第三者を選定するときに、施設を許可するときにどういう方針なのか、もう少しさっきの点につけ加えて御意見があったら述べておいていただきたいと思うのです。特に、いま放送法によって第三者に施設を貸したときには国会の承認を得なければならぬことになっておるわけですけれども、今度はそれがなくなって、郵政大臣が決められることになっておりますので、われわれは手が届かない、後から報告を受けるというようなことになるわけですから。その点はNHKがちゃんとしていただかないと困るわけでありまして、その点をひとつ。 それから、もう一つは、さっきも申しましたが、各県域のローカル局、NHKは七つの中央放送局的なものがありまして、そのほかに各県にございますから、だから、中央から送る全中についてはいいですね、全部中央のコントロールでできるわけですけれども、問題は、ローカルになりましたら、そこをどうするかということもやはり問題になると思いますから、その辺に対する一つの考え方をどうしたらいいか、もし持っておられたらお聞かせください。
○中塚参考人 そのNHKの施設を利用して文字多重放送を行う第三者というのを、先ほども申し上げましたように、またただいま先生からも御指摘がございましたように、NHKの施設を利用するわけでございますから、NHKのチャンネルのイメージというものがそれによって損なわれるようなことがあってはならないということは、われわれも非常に深く考えているところでございます。ことしの三月に出されました放送の多様化に関する調査研究会議の報告書でも、「NHKの放送設備を利用する第三者の選択については、NHKの公共放送としての性格、視聴者に対するチャンネル・イメージの維持、その設備が視聴者の受信料によって形成されているという性質等NHKの性格や使命に十分留意した対応を図る必要がある。」というふうに述べられておりまして、NHKといたしましても、NHKの放送設備を利用する第三者というものにつきましては、先ほども申し上げましたように、NHKの公共的性格と使命、これを理解し、かつチャンネルイメージを損なうことのないように業務の運営に当たってもらえる、そういう事業者である必要があるというふうに考えております。 じゃ、具体的にどういう利用者であるかということでございますが、NHKときわめて近しい関係にあり、NHKの意思が十分に伝わりかつ尊重してもらえるような事業者というものを将来つくっていく必要があるのではないかというふうに考えまして、現在検討いたしております。 〔委員長退席、渡辺(紘)委員長代理着席〕 それから二つ目の、全国的な情報、これは設備を全国的に広げていかないと全国的に伝わりませんけれども、全国的な情報、それから文字多重放送で伝える情報というのは、やはり地域に非常に密着した生活情報であるとかそういうもののウエートが非常に重くなると思いますので、順次全国的にそういうローカル的な情報、これがローカル的に届けられるようなそういう体制は、第三者の場合もとっていく必要があるというふうに考えております。
○鈴木(強)委員 わかりました。 それから、もう一つ、中塚副会長、実は新聞に最近、きのうだったかおとといか出ましたけれども、受信料の問題で、われわれ国会で決めてあるわけですから、一カ月単位ですからね。たとえば一日でも満額払うということに対して大分不満な意見が出ておりましたけれども、ああいうものに対して、若干の検討をしておいていただきたいと思いますが、ここではいいですけれども、要望としてお願いしておきます。 それから、最後に二、三……。これ、いろいろ始まるわけですけれども、あなたははっきり言って、簡単に言って時期尚早論者ですね。ですから、パターンまで待てよ、そんなものやったって大したあれはないぞ、またいずれ受信者も迷惑するということなんですが、大体いまやろうとする方法で、コードでなくてスタートした場合、需要というのはどのくらい予想できるものでしょうか。これは山田さん、新聞協会の方からも、これは需要予測ですからなかなかむずかしいと思いますけれども、こういうものがスタートしても、聞き手がなければどうにもならぬわけですからね。どの程度になるかぐらい、こういうことは検討されているでしょうな。
○泉参考人 詳しい調査はしたわけではございません知れども、パターンでありますと、先ほど申し上げましたように非常に情報例が少ないので、買ってみてもがっかりして、ほとんど普及しないのじゃないか。それと、いまのパターンとコード論争というのは意外と普遍的に知られておりますので、コードができるともっと情報のいっぱいとれる受像機ができるんじゃないかという想定もありますと、やはりそれが足を引っ張るのじゃないか。そういう意味では、普及は、だれかが、国か何かが特別に補助してやるとかという特別なことをしない限りは、積極的に買うのは余りないんじゃないかというのが私たちの予測でございます。
○山田参考人 何分まだ一台も端末のない問題でございますので、非常に需要予測というのはむずかしいと思いますし、新聞協会でもそういうデータを持っておりません。ただ、先般の調査研究会議でなさいました若干の調査、これは東京と甲府の例でニーズの調査がございますが、テレビ文字多重放送への関心度ということで、放送が始まったらすぐ機械を買ってみたいというのが、東京では一八・四%ですが、甲府では二八%ございます。それから、しばらく様子を見て検討したいという、できるだけ見る方向で積極的に検討したいという意見が、東京では四〇・七%、甲府では四〇%、ほぼ同じくらい。全く関心がないというのが、東京では三三・五%、甲府では一七・〇%。これを見ますと、むしろ地方の方がニーズの予測としては高いのではないかということから、この文字多重放送というものは非常に地域性を求められているのではないかなということは推測はできますけれども、ただいまのところどの程度ニーズがあるかということはわかりません。これは放送が始まった場合の情報内容、こういうもの、それから、これは価格もあると思います。非常に高ければなかなか買えない、見たいけれども買えない。ですから、入手できる経済的な負担が適切であって、しかもそれがメディアとして相当魅力があるというものでありましたらば、かなり伸びていくのではないかなというふうに予測は、個人的でございますが、私は考えてはおります。
○鈴木(強)委員 では、これで終わります。ありがとうございました。
○渡辺(紘)委員長代理 これにて鈴木強君の質疑は終了いたしました。 次に、阿部未喜男君。
○阿部(未)委員 きょうは三人の先生方、お忙しい中を御出席をくださいまして、参考人として非常に有意義な意見を聞かせていただきまして、ありがとうございました。実は、お伺いしたいと思っておったことのほとんどは、いま同僚の鈴木先生から御質問がございましたから、少しくどくなるかもわかりませんが、二、三点、御意見を聞かしていただきたいと思います。 まず、泉専務さんの方にお伺いしたいのですけれども、いま、最後までこの意見が出ておったのですが、コード方式とパターン方式という方式の問題について、先ほどからのお話を承っておりますと、どうも本心はコード方式ができるまで待った方がいいのではないか、そういう本心のようですけれども、お話の中には、パターン方式でもコード方式にきわめて順調に移行できるような方法があるならばそれでもいいんじゃないかというようなお話のように聞けたのですが、はっきり言って、一応パターン方式で出発をしても、コード方式に切りかえる際にそれほど困難が伴わないならばそれでもいいというのか、拙速は慎んで、コード方式ができるまで待て、こうおっしゃるのでしょうか、はっきりひとつお伺いしたいと思います。
○泉参考人 民放連としての意見は、コード方式ができるまで待てということでございます。
○阿部(未)委員 はっきりわかりました。 それから、二点目ですが、NHKの出資の規定を設けて、NHKの出資の枠が広がる、現行の言うならば放送の体系にも影響があるのではないかという御意見でしたが、これは明らかに、NHKがその施設を提供して、そして第三者が広告収入によって放送をするということは、現行の放送の仕組みからすれば明らかに問題があるのではないかという気が私はするのですが、その辺、もっと明確に、単に現行放送体系に影響があるなどというのではなくて、これはやるべきでないならやるべきでない、こうはっきりと……。どうお考えですか。
○泉参考人 はっきり申し上げますと、NHKの第三者利用が民放の放送事業と競合しては困るということでございます。 それから、先ほど鈴木先生がおっしゃったように、NHKの第三者利用は地方の公共団体や何かの費用も考えられるじゃないかとおっしゃいましたが、皆さんも御承知のように、民放の中には地方公共団体が相当出資している放送局もございます。そこによって経営が成り立っている県域放送もあることも御承知のとおりでございます。したがいまして、その分をまた同じNHKの第三者利用が費用の点で競合いたしますと、やはり問題は起きてきますし、そういう意味から、そういう競合がNHKと民放の番組その他で調和のある発展をしてきたものに悪影響があるんじゃないかということを心配して申し上げたわけでございます。 以上です。
○阿部(未)委員 先ほど山田先生が、これは新しいメディアができるたびに既存のメディアは何らかのインパクトを受けるものなんだ、しかし、いわゆる公平、平等、自由な参加によって共存できないことはないだろう、あるいはもっと発展すると申しましょうか、そういう御意見のように拝聴したのですけれども、いまの泉専務さんのお話、これは同じように、民放がいま御希望では、もちろん補完的な利用は結構だけれども、独立的な利用についても十分配慮してもらわなければ企業としてはなかなかやりにくいんだというお話がございましたが、その民放の設備を利用してまた第三者が文字多重放送ができる、このこともまた、ちょうどNHKと民放の競合のように、民放の中でのまた競合という問題が起こってくるのじゃないでしょうか。その点はどんなふうにお考えですか。
○泉参考人 当然起こってくると思いますが、ただ、その際、民放が独立利用して視聴者にサービスをするという一つのデータバンク的な能力を超えた、もっと民放以上に視聴者に対してサービスができるものに対して、それをすらあえてがんばって抑えるというような、独占的な考え方は持っていないということでございまして、そういう場合の競合はあり得ることは覚悟はしております。 〔渡辺(紘)委員長代理退席、委員長着席〕
○阿部(未)委員 私もそのことはあれで、実際問題としてはどんなものでしょうか、たとえば、これは新聞にも関係が出てくるのですけれども、情報としては、全国的な情報網というものが一つと、それからきわめてローカル的な情報、そういう二つのものが当然あるだろうと思うのですけれども、その場合、民放さんの場合は、やはり独立の利用についても相当ローカル的な情報というものが入ってくるだろう、そして第三者の方もやるとなりますと、同じ情報が第三者の文字多重でもそれから独立利用の文字多重でも出てくるような、そんな形の競合というのは考えられませんか。
○泉参考人 当然考えられると思いますが、民放事業者としては、やはり地域に対する企業の責任というのは一番重く感じておりますので、そういう点では、民放のやる文字多重も当然それに絡んでくるかと思いますが、そういう競合の点がありますので、民放のイメージ、チャンネルイメージを損なわないようにということを申し上げているのは、そういう点が一つ含まれているわけでございます。御了承願います。
○阿部(未)委員 それから、山田先生の方ですけれども、いわゆる公平、平等、自由な参加という御趣旨でございますけれども、これもまた、新聞の場合、いわゆる全国紙というようなものとローカル紙というようなものがございます。参加の形態についてはどういうお考えになるわけでしょうか。
○山田参考人 参加の形態について、まだまとまった考え方というものは新聞界にもございません。ただ、考えられる参加の形態というのは、いろいろな形態があると思います。たとえば情報提供者として参加をする、あるいは事業主体である第三者機関に出資をして参加をするという形、さらに、それが単数で参加する場合、あるいは複数者が参加する場合、いろいろな形態がありまして、それはそれぞれの地域の事情、それから放送事業者との間の関係等によって、それぞれかなり個別的になるのではないかというふうに考えております。
○阿部(未)委員 おっしゃるように、参加の形では、一つは出資の形がありますし、一つは情報の提供、これはいずれの場合でも、情報の提供の方は避けがたい参加だと私は思うのですけれども、そのあり方として、これは片方ができてみなければわからないのですけれども、全国紙が地方のすべての第三者の文字多重にまで出資をする、そういうことが考えられるのか、これは全国的なものだけに参加をして、地方については地方紙に任せるとか、そういう参加の仕方はどうなりますか。
○山田参考人 その点になりますと、これは一つの経営政策の問題でございまして、私は、文字多重放送について全国紙がどういう経営政策を持っておるか、あるいは地方紙がどういう経営政策を持っておるか、現段階では承知しておりませんし、恐らく、現段階では各社ともはっきり具体的な方針というものは策定されてないと思います。しかし、この文字多重放送は、全国的な情報というものを伝達する手段としても使えますし、それと地域的な情報といったようなものも使える、この二つを調整していくということもやはり可能であろうと思います。しかし、これについての多様性、特に地域性といったようなものがかなり求められますので、それぞれの地方で、地元の地方新聞社が持っておる情報提供能力といったようなもの、これを活用しなければ、文字多重放送としての番組の地域性、多様性といったようなものを将来にわたって確保していくということはなかなかむずかしいのではないかというふうに考えております。
○阿部(未)委員 私も、情報の提供、情報参加という意味ではそれはもう全くおっしゃるとおりだと思うのですけれども、出資の方の参加と分けて考えます場合に、余り中央紙が大きく参加をしていくと、地方の新聞が資本面で圧迫をされて、自由な、自主的なといいますか、運用についてやりにくい面が出てくるのではないか。したがって、これは私の希望みたいなものですけれども、情報の参加は当然やっていただかなければならぬけれども、出資の参加についてはある程度の規制、法的な規制ではなくて自主規制みたいなものが考えられていいのではないかという気がするのですが、いかがでしょうか。
○山田参考人 御意見としては承りますが、まだこれについては現段階では何ともお答えできません。
○阿部(未)委員 よくわかりました。 それから、免許の方針の問題ですが、これは泉専務さんの方もお話しになっておったのですが、余り厳しくせずにかなり自由にしておくべきではないか。たとえばさっき一Hなどと決めずにというお話があったのですけれども、もっとわかりやすく言うと、自由にしておけというのはどんな形が免許については最も好ましいということになるのでしょうか。
○泉参考人 たとえば、仮に当初二Hしか使えない場合に、一Hは放送事業者が番組を補完するようなもので、一Hは第三者というような決め方は余りにも形式的ではないか。仮に第三者が手を挙げなくて、既設の放送事業者が補完以外に十分視聴者に対して還元できる情報が提供できるなら、それを許すことによって必ずしもマスコミなり情報の独占ということにそこで定義づける必要は全然ないのではないか。視聴者のためになることであって、メーンのテレビ局を左右するほどの情報がそこに並立して出てくるわけはないと思いますので、そういう意味で、申請した既設の放送局が新しい第三者なりそういうものを比較考量して、民放自体もそういう視聴者のためということを前提に第三者を選べばいいわけでございますので、これから非常に多様性のある文字多重について初めから規制を余り考えない方が、発展するのにはいろいろな考えが出てくるのではないかということを申し上げたわけでございます。
○阿部(未)委員 それから、先ほど大体お考えをお伺いしたのですが、文字多重放送を民放が独占しようという考えはない、第三者の利用についてもこれは当然だと思うというお話だったのですけれども、いま出されておる法案は、御承知のように施設の提供の義務はないわけでございます。したがって、もし非常に悪意に解釈をして、二Hとも民放が使うんだ、だからおまえのところとは契約しないぞ、そういうことは公然とは言えなくとも、むずかしい条件が出れば契約できないわけですから、契約ができなければ第三者の機関はできないわけでございますから、そういう危険性というか、そういうことにならないように、これはもう自主的な判断に待つ以外にないのですが、民放連としてはどうお考えでしょうか。
○泉参考人 三十年の歴史を持っている民放事業者の良識を信じております。
○阿部(未)委員 大体お話を聞いておりますと、この文字多重放送で一番問題のあるところは、いまの、免許を余り小さく分けずにやったらどうかということ、それから、コード方式でいくように努力せよという御意見のように承りました。 もう一つ、山田先生、新しいメディアについて視聴者の負担が余り大きくならないように配慮しなければならぬのではないかというお言葉があったような気がするのですけれども、この点は新聞社としてはどうお考えか。たとえば、視聴者の負担というようなものがどの程度までなら許されるというふうにお考えになっておられるのでしょうか。
○山田参考人 具体的な数字はもちろんいま持っておりません。ただ、これは当然のことでございますが、情報を入手するという社会の経済的な負担といったようなものは軽ければ軽いほどよろしいわけでございまして、文字多重放送が当初どのくらいのお金を出したらば受けられるようになるのかということで、私もまだその機械の値段が幾らになるか正確な数字は承知しておりませんが、それはできるだけ安い方がいい。それにはやはり普及を促進して量産によってコストダウンを図っていくというようなことでありましょうから、普及の促進によって経済的な負担が軽減されるような方向にできるだけ努力をしていただきたいということでございます。
○阿部(未)委員 結局、最終的に先生方にお伺いしたいのは、山田先生おっしゃったように、文字多重ができることによって新聞がインパクトを受けますし、それからまた、同じ民放の中でも、第三者利用ができることによって民放それ自体がインパクトを受けるわけですが、何とか知恵を出し合って共存というのが理想でございますけれども、こんなに多様化していってそれぞれが本当に企業として、たとえば新聞がいままでどおり、あるいは民放がいままでどおり、そして第三者が新しくできて、企業として成り立っていくものだろうかどうだろうか、私は率直に言ってそれが心配なんです。できなければやらなければいいじゃないかと言えばそれまでなんですけれども、現に、御承知のように、東京なら何チャンネルも見られるのに、ローカルではチャンネルが制限されて幾つも見られない、そういうことがどんどん拡大されていくのじゃないだろうか、企業として成り立たないから、したがって視聴者の範囲が限られて、成り立つところだけがどんどん先行していくような、そういうことが起こらないだろうかということを心配するのです。それについて専務さんとお二人に……。
○泉参考人 企業として成り立つかどうかということ、私たちもそれが一番心配でございます。したがって、先ほどのパターンじゃなくてコードで出発しなさいというのも、その成り立つべき要素をコードの方が含んでいるという原因から言っているわけであります。 それと、当初カラーテレビは非常に値段が高かったのですが、その後、非常に魅力のあるものであったので、爆発的に普及したと同じように、文字多重も魅力のあるものであればうんと普及しますし値段も安くなってくると思います。そのためにはまず情報量のたくさんあるコードでやってほしい、そういう関連性で私たちの主張が成り立っておるわけでございます。
○山田参考人 ただいま御指摘のように、文字多重放送が仮に始まりましても、全国一斉に用意ドンでわっと始まるというふうにはちょっと考えておりません。恐らく地域的な条件等でばらつきが出てくると思います。 それで、御指摘の経営の問題でございますが、これも非常に大きな問題、もちろん最重要な問題でございますが、新聞がこれに参画する場合の経営の見通しはいろいろな角度から考えられるわけでございまして、参加の態様によっても、情報提供者として入るのと、あるいは事業主体として参加するということでは違ってくると思います。それから、事業主体として参加する場合も、放送事業者との間の設備提供の契約の条件、あるいはハード、ソフトの経費、それに要する人手の経費等がどのくらいかというようなことで決まってくると思いますが、やる以上は、事業でございますから当然採算というものは考えなければなりませんし、参加する以上は、企業努力によってできるだけ早く採算のバランスをとるということに努力する必要はあると思います。 ただ、経営上の観点からこれを判断した場合には、単に数字に出たそろばんだけでなくて、新聞社としてこれに参加する場合はいろいろな角度からのメリットが考えられると思います。まず、文字多重放送に参加して情報を出すということによって新聞社の活動機能が増大するということ、それによって意欲が促進されるということもございましょうし、さらにまた、文字放送の将来展望に立ちまして、文字多重放送の段階からこれに参加することで、電子媒体を使っての文字による情報伝達にいろいろなノーハウを蓄積できるというようなこともございます。したがって、そういうものを総合的に考えながら、経営判断としてこれに参加するかどうか、どういう形で参加するかということを、各社それぞれ判断すべき性質のものであろうと考えております。
○阿部(未)委員 実は与えられた時間がもう少しあるのでございますけれども、お伺いしたいことが終わりましたので、これで終わります。
○水野委員長 阿部未喜男君の質疑は終了いたしました。 次に、竹内勝彦君。
○竹内(勝)委員 まず最初に、民報連の泉参考人とそれからNHKの中塚参考人に具体的な問題でちょっとお伺いをしておきたい点がございます。 まず、一点は、この放送法一部改正の中で、協会及びテレビジョン放送を行う一般放送事業者は、テレビジョン多重放送の放送番組の編集に当たっては、同時に放送されるテレビジョン放送の放送番組の内容に関連し、かつ、その内容を豊かにし、またはその効果を高めるような放送番組をできる限り多く設けるようにしなければならない。これは身体障害者、耳の不自由な人等に対しての字幕スーパー等も含めて、しなければならないというかなり厳しい受けとめ方があるやに伺っておりますけれども、むしろこれには相当費用もかかることでございますし、各放送事業者での状況というのはいろいろあると思うわけでございますし、それからペイしていかなければなりませんし、そういう面で、この受けとめ方、どのようにしておりますか。
○中塚参考人 メイン番組を補完するそういう内容を多くしなければならないということ、そういう義務づけ的な表現になっておりますが、このほかにも現行の放送法の中にそういう義務づけ的な表現の条文は何カ所かございます。それはやはり、NHKなりあるいは一般放送事業者としても、放送を行う者がそういう心構えでそういう努力をしなければならないということでございまして、それを特別に介入であるとかそういうふうには私どもは受け取っておりません。 確かに、ただいまおっしゃいました聴力障害者向けの字幕サービスというのは、技術的にもまた経費的にも非常に大きい負担になることは事実でございますけれども、かねてから聴力障害者向けのテレビの放送、そういうものに対しまして非常に強い要望がございました。私どもいままですでに及ばずながらその努力をしてきたわけでございます。今度この文字多重放送が実施、実用化されることになれば、その面のサービスというのは、飛躍的と申しますか、従来以上にサービスができるということでございまして、私どもといたしましては、このメインの番組の内容を補完充実する番組の編成には一段と努力をしていきたい、そしてこの改正案の趣旨に沿っていきたいと考えております。
○泉参考人 改正案には補完的利用を大分強くうたっておりますけれども、先ほど申し上げましたように、そういう法の趣旨そのものは理解はできるのですが、民放としては、やはり一つの企業でございますので、そういう社会的な意味での寄与、それに対しては経済的な裏づけもなければ長続きしないと思います。そういう意味で、もちろん難聴の方々に対するサービスというのは考えて、現に手話の放送をやっている社もございますが、人手と時間が非常にかかるわけです。アメリカの例でも、一時間の番組の文字をつくるのに三十五時間ぐらいかかるとか、費用も政府にお金を出していただいた公共的な団体でやるとかという、いろいろな工夫がなされておりますし、そういう意味で、非常に支出のみを伴うものについて余り強く強制されてもなかなかむずかしいので、民放各社、NHKさんも含めてそういう方々に対するものはもっと広く研究を進めなければならない問題だと思います。 なお、テレビ番組に関連する補完的な利用といたしましては、たとえば、スポーツの場合にはそのデータを裏で出すとか、いろいろな工夫を考えてはおりますが、そういう意味で、経営的にプラスになる補完的な利用、そういうものも十分考えながら、こういう社会的なサービスの負担というのも並行して考えていったらというふうに考えております。
○竹内(勝)委員 こういう耳の不自由な人であるとか、そういったものを要望しておる状況の中にあっては、お願いしたい点はみんなの要望である、こう私も思います。その辺、いろいろと放送事業者の中での状況というものはあるわけですが、ぜひ御努力のほどをお願いしたい。この点をお願いしておきます。 同じく具体的な問題として、先ほど参考人の方からも挙げて説明がございましたが、災害の場合の放送に関する事項として、今度は、協会及び一般放送事業者は、災害が発生し、または発生するおそれがある場合には、災害の予防または被害の軽減に役立つ放送をするようにしなければならない。これはかなり義務事項になっております。こうなってくると、これも非常に重要なことでございます。いままでからもそれはもちろん努力してやってきておる点はうかがえておるわけでございますが、たとえばテレビ、ラジオが切れておる。それが災害が発生して、こちらからの送信によって自動的にスイッチオンし、そしてまたスイッチオフしていかなければならないというような、そういう面まで含めてどんなふうに考えておるか。同じくNHKと民放にお伺いしておきたいと思います。
○中塚参考人 この条文につきましても、先ほど御指摘のありました点の義務づけ的表現と同様に私ども考えております。特にNHKの場合は、災害対策基本法によって指定公共機関に指定されております。この場合には、この規定よりもさらに一段強い義務づけがあるわけでございます。しかし、私どもといたしましては、今回の災害放送に関する規定の内容につきましては、NHKとしてはこれはもう当然の責務であるという理解をいたしておりまして、従来からも災害対策の放送には常に訓練をし、万全を期しているところでございまして、今後とも総力を挙げてこの災害放送というものには取り組んでまいりたいというふうに考えております。 それから、深夜、スイッチが切ってあった場合にも、災害が起きた場合に特定の信号を出せばスイッチがオンになるという技術的な研究は、すでに実験の段階にも来ているわけでございます。この技術的な基準が現在審議されておりますので、それがはっきり決まりました場合には、できるだけ早くこれを実用化していくようにいたしたいというふうに考えております。
○泉参考人 今度のこの法案は、ちょっと先ほど私も言わずもがなと申し上げましたが、放送事業者としては社会的責務として常に考えていることでございまして、こういう法律条項ができなくても、当然責任を持ってやっているわけでございます。 ただ、この法案が何を意図しているものか、たとえば、いま先生がおっしゃったように、寝ている人を起こすための信号を義務づけるためにつくられたするならば、それは私は少し見当違いではないかというふうに思います。もっと放送事業者としてやるべきことは、災害が起こりそうだという情報があったり、起こった場合に、テレビ、ラジオをつけたときに、正しい放送、正しい情報をどうやって流すか、そのことの方がウエートが高くて、そのことについては研究を幾ら進めても進め足りないというぐらい、災害というのはどんな形でどう起こってくるかわかりませんので、そのとき、一体正しい情報源はどこになるのか、どこからそれをとるのか、そういうことがもっともっと研究されてしかるべきだし、私どもも腐心をしておるところでございます。ちょっと申し上げましたが、警急信号と言いまして、眠っている方の受信機をスイッチオンをするような場合、では、いつがスイッチをオンする非常災害なのかという判断は、果たしてだれがどういうときにするのか。放送局が、自分のチャンネルを受けさせようとして勝手にした場合に、スイッチが入ってみたらそれほど必要な災害情報でなかったというと、スイッチをオンすることが逆に社会的な信用を失うことになりますし、きわめて重大な災害のときにだけそれが働くとするならば、ふだん働かなければこれもまた宝の持ちぐされで、受ける人がいつもスイッチをオフにしていて受からないということもあり得る。生活者の感覚ということも十分考えてそれは義務づけなり実施をすべきであって、問題は、放送事業者としては、視聴者がテレビ、ラジオを聞いたときに正確な情報をちゃんと流せるかどうか、われわれはその方に重点を置いてこれを受けとめておるわけでございます。 以上でございます。
○竹内(勝)委員 そこで、新聞協会の山田参考人にお伺いしておきます。 先ほどの御説明の中にも、第三者機関に提供するという面でかなり積極的に望んでおるやに伺っておりますが、どれぐらいの情報量というものを満たしていったならば、新聞協会として望んでおるものにマッチしていくのか。先ほど民放の泉参考人からは、これはパターン方式ではちょっと賄い切れない、むしろコード方式まで待った方がいいじゃないかというお考えもあるわけでございますし、また、ここで何も一Hだけということでこだわっていく必要ももちろん何らないと私は思うのですよ。このインターバルの中で普通に考えても八H利用できる。さらに、これはたとえば東京の例を見ても、1チャンネルの次は3チャンネルに飛んでおるわけですよ。2チャンネルというのはあいているのですよ。あるいは5チャンネルというのはあいているのですよ。これを利用するとなれば、五百二十五本の走査線があるわけですから、これは半分使ったとしても二百幾つからのものが使えるわけなんですよ。だから、要望があるならば、何もそれは一Hにこだわらなければいかぬということはない。そういう面で、新聞協会といたしましては、一体どんな情報量をどんなふうに望んで、また国民に提供していこうと考えておるのか。率直に御発言いただきたいと思います。
○山田参考人 このコード、パターンという方式につきましては、新聞協会としてはこのどちらがいいかといったような見解はまとめておりません。ただ、パターン方式ですと、情報量が非常に限定されるということは確かでございますし、コード方式の方が情報の伝達量ははるかに多い。ただ、技術的には、私は余り詳しくわかりませんが、一長一短があるようでございます。情報量の制約されるパターン方式における文字放送の情報は、多様性を持たせるという点では、情報を提供する方で番組編集にかなり苦心すると申しますか、苦労はあると思います。したがって、できるだけ早い機会に情報量の多いコード方式といったようなものが採用されることは望ましいわけで、その技術基準とというのはなるべく早くつくられる方がよいと考えております。量的な面では多い方がいいには違いないのでありますが、放送である以上、文字多重放送というのは提供量にある程度の制約というものはございますから、その制約の枠組みの中で文字放送としてのメディアの特性というものをどう生かしていくかという、これはむしろ提供する側の編集上のいろいろな努力といったようなものが強く要請されてくるのではないかなと思っております。
○竹内(勝)委員 同じく山田参考人にお伺いしておきますが、NHKあるいは民放のところから第三者機関として提供していく場合、NHKの場合はおのずと公共放送というものを踏まえてのものでございますし、民放とは性格がちょっと変わってまいります。その意味で、NHKとしては決定はしてないと思いますけれども、対応として大体どういうようなものを要望しておるか、どのようなところを第三者機関に考えていくことを要望しておるのか、お考えがあったらお知らせください。
○山田参考人 NHKが文字放送をなさる場合のNHKに対する要望ということでございますか。――NHKが先ほど中塚参考人がおっしゃったような御方針で文字放送をお考えになっているということは理解いたしておりますが、文字放送の場合は、公共放送と民間放送というその違いが、文字情報ではテレビ等に比べるとむしろ少ないのではないか。公共的な情報、特に文字で表現する場合は、情報の内容はおのずから文字表現という枠の中で限定されてまいりますので、提供する情報が公共放送と民間放送で非常に性格の違ったものになるというふうには考えておりません。
○竹内(勝)委員 山田さん、もう一点、これはもしここで御発言できたらお願いしたいのですが、新聞社は幾つもあるわけですけれども、具体的に大体こんなような方向でと――たとえば一般の放送事業者ですと、系列のものは大体こちらではニュアンスがわかるわけですが、NHKの場合は私どもにはちょっと考えられないものを持っておるわけです。大体どんなようなところをお考えですか。
○山田参考人 その辺になりますと、私もまだ考え方を持っておりませんし、考え方ができるほどの条件等の材料がございません。
○竹内(勝)委員 NHKの中塚さんにお伺いしておきますが、その件に関しては、新聞社も幾つもございます、そういう意味では大体どういうようなところをNHKとしては望ましいとお考えでございますか。
○中塚参考人 一般的に言って、先ほどからも申し上げておりますように、NHKの性格、使命、チャンネルイメージ、そういうものを十分尊重して事業をやっていただける第三者、その内容につきましては、先ほど山田参考人からもお述べになりましたように、文字で表現し得る情報でございますから、民放の設備を使って行われる第三者とNHKの設備を使ってやる第三者との間で、そんなに大きな内容の違いというものは現段階では私としても考えられない。将来いろいろなものが開発されてくる可能性はあると思いますけれども、そんなに大きな相違というものはないのじゃないか。 ただ、NHKの設備を使って行う第三者、これは法的にはNHKでもない、あるいは放送学園でもない、いわゆる一般放送事業者という範疇に入るわけでございますから、スポンサーをとって放送を行っていいということになるわけでございます。しかし、その第三者、一般放送事業者が行う文字多重放送というのは、NHKの、東京で言えば1チャンネルの中にその文字多重放送が出てくる。そういう点からいきまして、NHKといたしましては、もちろんその番組の内容、提供される情報の内容についても、十分NHKの番組の編集方針に沿った内容でなければならないし、また、仮にスポンサーをとる場合にも、NHKの公共的な使命というものを十分理解した上でそのスポンサーの選択をする必要があるというふうに考えている次第でございます。
○竹内(勝)委員 いまの件はわかるのですが、中塚さん、もしお差し支えなければ……。大体新聞社も限られたものなんですよ。こういうようなところを考えている、何社ぐらい考えているとかということになると思うのです。一チャンネルで一社ならば、教育放送と総合テレビとで二社なら二社とか、あるいはそれ以外にも考えているとかというものになるならば、ちょっとその点を御説明いただけますかと、こう聞いているわけです。
○中塚参考人 現在予定されているのは二Hでございまして、それは可能性としては、総合、教育、この二波についてそれぞれ二Hということでございまして、そのうちの一HはNHKが補完的利用並びに独立的利用に使用する、あとの一Hは第三者に開放するということでございますから、教育も含めれば二H。それは、その第三者というものが一つの社で総合と教育を使った文字多重放送をやるのか、あるいは別々の事業者がやるのかということは、これからの検討の問題だろうと思います。だから、最大にいたしましても二社というふうに考えております。
○竹内(勝)委員 泉参考人にお伺いしておきますが、民間放送連盟としてはむしろコード方式でいくべきではないかというお考えを泉参考人としては強硬に持っておるようでありますが、コード方式には難点があるでしょうか。いまのパターン方式と比較しても、情報量の面から見てもそれは全然段違いで違うわけですし、また、外国の例を見てもみんなコード方式でいっていますね。そういう意味で、私も泉参考人の言うことを非常に妥当であると考えておりますけれども、しかし、あえて探せばどうでしょうか。コード方式には何か難点があるでしょうか。
○泉参考人 これは電波技術審議会でも検討されておりまして、パターンよりも若干時間がかかっておりますのは、たとえば誤字率の問題であります。それから、前は価格の問題もありましたけれども、価格の問題はもうほとんど解消したということで、あとは誤字率程度であろうかと思いますが、これもこれから一、二年の間に結論が出て、コードもパターンも同じような、そういう問題点は解決されて、あとはキャパシティーだけの問題になるかと私どもは理解しております。
○竹内(勝)委員 中塚参考人にお伺いしますが、中塚参考人はコード方式に対する認識はどんなお考えでございますか。
○中塚参考人 何かNHKがパターン方式を非常に強く主張しておって、民放連の方がコード方式を主張しておられるというふうな誤解が世上あるようでございますけれども、決してそうではございませんで、先ほどから述べられておりますように、パターン方式、コード方式それぞれメリット、デメリットがある。パターン方式は速度の問題からいたしまして提供できる情報量が非常に少ない。コード方式の方は情報量が非常に多く提供できる。しかし、ビル陰等あるいは反射障害等の電波障害のある地域、要するに電波の弱い地域での誤字率というのがコード方式の場合は多い。これは文字の場合、外国語の場合はアルファベット二十六文字でございますけれども、日本語の場合、漢字かなまじりということで、漢字等が脱落するあるいは間違った字に出てくるという場合に意味がわからなくなるというふうなことから、そういう点ではパターン方式の方がいい。しかし、情報量の方からはコード方式の方がいい。パターン方式についてはすでに技術審議会で答申がなされておる。そして、パターン方式でスタートして後にコード方式になっても視聴者にむだな負担をかけないで済むという前提で、パターン方式でスタートしてもいいんではないかということでございまして、私どもも何が何でもパターン方式がいいんだということを申し上げているわけではございません。
○竹内(勝)委員 それでは、山田さん、もう一点お伺いをしておきます。 この文字多重という面で情報が送られていく、そしてこれがスタートされていって将来の問題になると思いますが、たとえばテレビ文字多重放送で送信されてくる文字信号を、今度は家庭の簡易プリンターで受信すれば、これは一秒間に四百八十字印字できるという電子新聞の発行が可能になってきますね。そういう面も含めて、今後新聞協会としてはこういったものにスタートしていく上に当たってはどういうビジョンを持っておるのか、もちろんこれはキャプテンに関連してまいりますけれども、とりあえずはこの文字多重でどういうような方向性をお持ちなのか、御説明ください。
○山田参考人 冒頭の陳述でも申し上げましたように、電子的手段によって文字で情報を送るということの将来展望というものは、非常にいろんな領域が考えられまして、拡大されてくると思います。いまおっしゃいましたように、ハードコピーでもってこれが取り出せるといったようなことになりますから、新聞社としては、将来の新聞界のあり方としては、現在の紙面、これはやはり社会一般にゼネラルな情報を提供するということで、新聞社活動の中心的な機能としての役割りを果たす。さらに、さまざまな電子的な媒体を使ってニーズに応じて多様な情報を多様なニーズにこたえるような形で提供していくというような、何と申しますか、重層的な情報提供機能といったようなものが将来の新聞界に構築されてくるであろうというふうに一つのビジョンとしては考えております。 それで、これは私の私見でありますけれども、放送の多様化といういわゆるメディアの多様化ということが非常に言われておりますが、このメディアの多様化というのは、情報伝達手段の専門化、細分化と申しますか、専門的な情報を専門のニーズにこたえて特定の領域に送るというような方向がどうしても強まってまいります。しかし、情報というものの社会的な機能というものを考えてみますと、やはり社会全般に対してゼネラルな情報が一定の形で絶えず供給をされておるという状態がまず基本にならなければならないわけでありまして、こういうところで、従来の新聞紙面の機能というものは、記録性、一覧性ということも含めましてゼネラルな情報というものを提供する。その上に立って、いろいろな手段を使って多様なニーズに応じた手段が構築される。全体として、社会全体で一つの情報の体系というものが構築されるということでなければならないというふうに考えております。新聞社としては、そういったような基本的な考え方で、紙面とそれから他のいろいろな手段を使った多様な情報をニーズに応じて提供する、こういう重層的な考え方でこれからは臨んでいかなければならないというふうに基本的には考えております。
○竹内(勝)委員 それじゃ、もう一問お伺いして終わりたいと思います。 民放連の泉さんにお伺いしておきますが、テレビ局と第三者の文字放送事業者との間に、今後放送する中でいろいろアクシデントがどちらか一方で起きたとしても、それは電波に影響しますね。そういうときには当然補償問題等が出てくると思います。そういう処理の問題であるとか、あるいは一般の労働条件の問題、職務のいろいろな問題で、たとえばストが行われたなどというような場合は、最も大事な機械が放送局の中心に置かれておりますよね、大変な混乱になると思いますけれども、賃貸契約の中でスト権の行使などを含めてどのような配慮をしようと考えておるのか。 それから、経営的に、先ほどもいろいろ話がございましたけれども、経営的に果たして本当に成り立つのか、具体的な裏づけはあるのか、そういったものも含めて最後に御説明いただければありがたいと思います。
○泉参考人 いま先生の御指摘のようなことは当然あるかと思います。そういう意味から、私どもはある程度一Hごとの免許基準というよりももっとフリーにしていただきたいというのは、当初やはり経営がむずかしいときには、既設の放送事業者が仮に第三者にお願いするとしても、もっとそこに相当めんどうを見なければならない部分もあるかと思いますし、その中でいま言ったような契約の問題も含めて解決されていくものだと思います。当然、放送事業者のイメージを壊さないという私たちの希望も、そういう中で生きてくるんじゃないかというふうに思っております。
○竹内(勝)委員 じゃ、終わります。
○水野委員長 これにて竹内勝彦君の質疑は終了いたしました。 次に、中井洽君。
○中井委員 参考人の皆様ありがとうございます。少し声がかれておりまして御迷惑かけますが、お願いいたします。 最初に、NHKの中塚さんにお尋ねをいたします。 文字多重放送をおやりになる場合、この間委員会で予算等は聞かしていただいたわけでありますが、その文字多重放送にかかわる人間を特別にふやさずに、いま人員計画に基づいておやりになっているわけでありますが、特別にふやさずにおやりになるおつもりかどうか、この点が一つであります。 それから、出資の対象の改正が行われました。この改正によって、長期ビジョン等にも書かれておる、NHK自体で法制面のいろいろな改正をお願いして、副次収入等をふやし、まあまあできるだけ値上げを抑制する、こういう方向が書かれて・いるわけでありますが、そういったことができるとお考えになっているかどうか。この二点をお尋ねいたします。
○中塚参考人 文字多重放送を行うに当たりまして、その二Hのうち一HはNHKが行う、それには補完的利用をできるだけ多くやるようにということでございますが、補完的な利用と、そしてまたNHK自体の独立的な利用、これを一Hでやる。で、もう一Hの方は第三者に使用させるということでございますから、その一HのNHK自体がやります文字多重放送につきましては、私どもといたしましては、そのために要員を――もちろんその仕事をやる要員は必要でございますが、それは現在の要員の中から捻出をしてこれを実施するという、そういう効率化計画というものを立ててやってまいりたいと考えております。 それから、NHKが出資をし得る対象が拡大されるということでございます。それには、NHKがいままでいろいろ蓄積してまいりました情報素材あるいはノーハウ、そういうものを有効活用することによって国民への利益を還元する、あるいはNHKの業務の円滑な運営に資する、そしてまた、財源の多様化の一つとして副次収入の増加を図ることが可能になるわけでございますけれども、一方において、NHKは営利行為をやってはいかぬということがあるわけでございます。仮に出資をいたしましても、株式を持てば、もし出資した事業体が利益を出せば株の配当はあると思いますけれども、それ以上に、NHK自体が営業活動をやってもうけをする、営利行為をするということはできないわけでございますから、確かに副次収入を増加させることが可能であるということは言えますけれども、それによっていまの財政構造を大きく変えて収支が改善されるというふうなことは期待できないのじゃないかと私は考えております。
○中井委員 泉参考人にお尋ねをいたします。 この法改正の中で、先ほども少しお話があったと思うのですが、多重放送が補完的な役割りを果たして、内容を高めるような番組をできる限り多くつくらなければならない、こういう規定があるわけでありますが、逆に読めば、「できる限り」でありますから、音声多重においても文字多重においても、番組と関係のない放送ができると私は理解をするわけでありますが、民放等において、音声の場合、文字多重の場合においても、かなり多方面の多様な利用の仕方があるのでしょうか。あるいはまた、そういった方がやはり営業的にもふえるという形で出てくるとお考えでしょうか。
○泉参考人 私どもも先生と同じように解釈しております。独立利用ができる、しかし、補完的利用を重視しなさいというふうに受け取っております。それと、私どもは、そういう補完的利用をするにいたしましても何にいたしましても、企業的に成り立つということを考えざるを得ないわけです。独立的利用をする場合に、いまちょっと研究をしておりますが、仮に文字多重の場合でも、いまのテレショップ的な、あるいは生活情報という部面では、相当経営に寄与する情報も流せますし、番組と関係ない場面で視聴者のために通信販売的なこういうものが一つ利用できるのじゃないかというのも、研究の一つの成果として出ております。 音声多重は、いままで番組と関連あるもの以外許されておりませんでした。それによって音声多重の受信機をお買いになった方は、買った費用の中に音声多重の分が入っておっても、実際に音声多重を十分に楽しんでおられない面があるかと思います。そういうむだな部面では、もっと独立利用をして視聴者の期待にこたえるようなこともし、かつ企業的にも成り立つことを考えるのが事業者としての考え方ではなかろうかというふうに考えております。
○中井委員 泉さんにあと二つほどお尋ねをいたします。 一つは、第三者利用の場合の契約の問題でありますが、先ほど、民放連としては第三者利用を法律で義務づけるのには反対だったのだ、しかし、この法律ならばいい、こういう御意見がございました。それを見ると、NHKの第三者利用は、何やかや言いますが、NHKが御出資をしてその会社と契約をしてやるという形でいくのであろうと私は思います。大体、民放各社においても、そういうNHKがやるであろうというような形と同じ形で契約が結ばれるとお考えでしょうか。
○泉参考人 これはそこまで深く研究はしておりませんが、ただ、話の中で出ております考え方からいきますと、やはり当初は、文字多重をわれわれがやっても第三者がやってもペイをしないだろう。そうなりますと、人間とそれから情報を持っている放送局がやはり主体的にならざるを得ない。第三者といえども、われわれのテレビジョンのチャンネルのイメージを傷つけないようにという御注文をつけている反面、そういう面での出資もあり得るかもしれませんし、それから、第三者が仮に関連している新聞関係でありますと、そういう協力をしなくても、新聞としての社会的使命からある程度のリスクを負っておやりになることもあるでしょうし、浮動的でございますが、当然NHKさんのように出資することもあり得るとは思いますが……。
○中井委員 もう一つお尋ねをいたします。 これまた先ほどの御意見の中にあったと思うのですが、災害の場合の放送、これを義務づける、こうなっておりますが、何か精神規定みたいな形でこの法案には書いてあるわけです。私自身も、どうしていま各民放もNHKもおやりになっていらっしゃるのを書くのだろう、こういう疑問があるわけであります。悪く解釈すれば、こういうふうに書いておいて、たとえば台風が来たときに、台風のニュースを娯楽番組をやりながら流す、けしからぬじゃないか、災害のときに娯楽番組をやってけしからぬじゃないかと言おうと思えば言えるような法律の書き方じゃないか、番組の内容にまで干渉しようと思えば干渉できるような書き方じゃないかなというふうに、悪く変なふうに考えているわけです。そういった私の考えについて、どういうふうにお思いか。
○泉参考人 私は、この法律は精神規定と受けとめております。いま先生のおっしゃったように、国がそういう悪いような運用を、それをもとにされるとは決して思っておりません。 先ほどちょっと申し上げましたように、もしかこれを一つのよりどころにしておやりいただけるとするなら、非常のときは、情報の一元化とか、正しい情報はどこが責任を持って出すのか、そういう点でみんな協力する一つの精神的なよりどころというふうにお考えであるならば賛成でございますということを申し上げたわけです。
○中井委員 最後に、山田参考人にお尋ねをいたします。 先ほど番組基準の問題についてお述べになりました。私は、山田参考人のお考え、そのとおりであろう、そのように思いますが、一方、逆に考えれば、新聞社、特に大手の新聞社は、テレビあるいは週刊誌あるいは文字多重放送それからラジオ、ありとあらゆる情報の伝達の機関を押さえるわけですね。大変な影響力をいまでも持っておるし、またこれからも持ち続ける。世界じゅうでこれだけ多方面なメディアを大手の新聞社が押さえておるのは珍しいと思うのであります。また、その新聞自体が世界にも冠たるぐらい部数が多い、こういうことであります。日本の社会で一番影響力があると思うのであります。そうした場合に、参考御意見をいただいたのとちょっと違うかもわかりませんが、先ほど十分内部規制をやっておるのだというお話がございましたけれども、新聞社の経営そのものあるいはそこにお勤めになっている方のモラルそのもの、そういったことに関して、昨今では少し総合雑誌やら週刊誌がようやく新聞の批判というものをするようになりました。なかなか新聞の批判というものはやりにくい面があるわけであります。そういった大変な力を持つ大きな新聞社、総合的なメディアの機関が、自分たちでどういう社会的な責任というものを自覚されながらこれからやっていこうとされておるのか、あるいは現実にそういう形をどういうふうに経営者や働いている人たちがいま受け取っておられるのか、そういったところをざっくばらんにお聞かせをいただければありがたいと思います。
○山田参考人 文字多重放送とちょっと離れるような御質問だと思いますが、一応私の考え方を述べさせていただきます。 ただいまお話しのように、日本のマスメディアというものは非常に大きな社会的な影響力を持っております。新聞は四千六百万部出ております。テレビは二千九百万台、週刊誌は東販、日販等の調査によりますと、年に延べ部数十数億部、さらにこれに雑誌があるという、世界に冠たる情報の豊かな国でありまして、かつ自由でございます。世界で日本のように報道の自由というものを享受している国は、国連加盟の百四十八カ国の中でも二十カ国ぐらいであろうと思います。したがって、これは日本の民主主義を維持していくために非常に貴重な自由な権利であるというふうに基本的には考えますが、反面、非常に責任が大きい。したがって、言論の自由という権利と社会のさまざまな権利との調和、社会全体の利益と表現の自由という権利をどのように調整をしていくかということは、マスメディア、マスコミに課せられた非常に大きな使命であろうと思います。 私どもは、そうした自覚に立って、内部規制措置をいろいろとやっておりますし、新聞協会の加盟社は、協会が昭和二十一年に設立いたしまして以来、新聞倫理綱領というものを指導精神として、紙面の倫理的な向上と新聞の自由の確保というものに努力しております。私どもは会員紙の紙面を、審査室という機構がございまして、毎日見ております。新聞倫理綱領に照らして、主として性表現、人権に対する記事等を中心にチェックをいたしておりますが、各新聞社はそれぞれ編集方針に基づいて、ほとんどの私どもの会員社の新聞は記事審査部門を持っておりまして、毎日非常に厳密なチェックをいたしておりますが、この記事審査部門の責任者が定期的に新聞協会の場で会合をしておりまして、意見交換をいたしております。特に人権にかかわるような問題につきましては、絶えず新しい問題に直面をいたしまして、一本の記事、一枚の写真をめぐって、その扱い方で長時間議論をするということも珍しくございません。 こうした討議を通じて、新聞界で共通の認識が生まれて、これが会員各紙の紙面活動に反映をいたしておるわけでございますけれども、こういった活動を積み重ねまして、いま御指摘のような新聞を含めたマスメディアの社会的責任というようなものを果たしてまいりたいというふうに基本的には考えておりますし、いろいろ行き過ぎがあった場合は必ず読者の社会的な批判がございます。こういった批判を無視して行き過ぎを続けておれば、これは新聞の信頼を失墜いたしますし、社会的責任が果たせなくなるわけでありまして、最近新聞に対する、特に週刊誌等を中心とした雑誌ジャーナリズムの批判というものは大変活発でありまして、これは決して影響力がないことはございません。正当な批判には耳を傾けまして、私どもは紙面活動面で社会的な責任を果たすためにできる限りの努力をしているというふうに御理解をいただきたいと思います。
○中井委員 ありがとうございました。 終わります。
○水野委員長 これにて中井洽君の質疑は終了いたしました。 次に、藤原ひろ子君。
○藤原委員 私は、まず最初に、日本新聞協会の山田さんにお尋ねをしたいと思います。 昨年の十二月二十四日に新聞協会がお出しになりました要望書を拝見いたしますと、その中で、文字多重放送につきまして、「現行放送法に規定される、いわゆる放送番組の編集基準などの適用は望ましくない」というふうに述べていらっしゃいます。これは言いかえますと、文字多重放送について放送法第四十四条の適用はしない方がいいということなんでしょうか。先ほど陳述の中でも、この放送多様化の中で放送制度の見直しを検討すべきだという意味の御発言があったわけですが、この理由をちょっと御説明いただきたいと思います。
○山田参考人 放送法四十四条で放送の編集基準ということが定められておりますが、これは音声あるいは映像というものを中心とした放送に対して定められた基準でございます。文字放送はもちろん媒体の形態としては放送でございまして、そういう点では放送という形でこの基準の適用を受けるというふうに解釈されるわけでございますが、ただ、文字放送の将来を考えますと、放送という形で文字による情報が伝達される領域が拡大されてくる、しかもそれがハードコピーで取り出されてくるといったような状況が十分に予測されます。新聞の紙面あるいは紙面の一部そのものを放送という形で提供するということも可能になってくるような時代が来るかもしれません。そうなりますと、文字放送というものはやはり新聞と同じように社会的な機能を果たしていくわけでありますが、まあ現在日本の新聞は法的な規制を受けておりませんで、先ほど申し上げましたような内部的な自主規制によって社会的な責任を果たしておる、こういう慣行というものが十分に蓄積されておりますので、番組基準につきましても、文字放送については、これは文字による情報の伝達ということと音声あるいは映像による伝達ということは、やはり基本的に違うのではないか。特に、これが拡大してくると新聞と同じような機能を持つというところから、これを特例として文字放送には適用されないで、文字放送については提供者の自主的な規制、これによって基準というものをつくっていき、公共的な責任を果たすという方が妥当ではないかという考えを申し上げたわけでございます。
○藤原委員 私の党自身も赤旗という新聞を持っているわけです。こういう中で、新聞としての良識に基づきながら、表現の自由ということもありますし、もちろんいまおっしゃったような自主規制というものは行いながら、事実に基づいて真実を報道するという立場に立っているわけです。ところが、放送法は不偏不党という網がかかっている。そうして、先ほど参考人がおっしゃった、紙面を使った新聞とそれからこの文字多重、電波を利用した新聞とが同時併用されてくる。そうなると、たとえば新聞の主張とか、その事実があってもそれに対する解説がそれぞれ新聞の特徴によってありますね、そういう点がどうなるのかなというふうに私自身も思うのですが、その点はいかがでしょうか。いまおっしゃっている意味はそういうことなんですか。
○山田参考人 文字放送というものが、当初の段階では非常に速報的なもの、ニュースあるいは天気予報その他各種の情報といったようなものを中心に恐らく情報が提供されてくるであろうというふうに思います。それから、これが拡大されてまいりましても、おのずから新聞の紙面の情報あるいは論評、意見、社説、こういったようなものがそのままその文字情報でもって提供されるかどうかということは、これは一概に言えないと思いますが、ただ、文字によって情報の送れる量が非常に拡大されてきますと、やはり解説あるいは意見を交えた論評、これが文字放送になじむかなじまないかという議論は別といたしまして、そういうものが提供し得るというようなメディアの状況ということは十分考えられる。そうした場合に、新聞が現在保持しております表現の自由というようなものが、文字放送の領域でも保持され確保されるということが私どもは原則的に望ましいというふうに考えております。
○藤原委員 民放連の泉参考人にお尋ねをしたいと思うのですが、三月二十三日付の民放連の機関紙「民間放送」によりますと、三月十八日の民放連の放送法制委員会の会合に出席をした郵政省の志村電波監理局企画課長が「NHKの第三者利用の場合、民放と同じCMを流すのは問題があるのではないか。この点は現在検討中で、公共団体の有料告知などに限ることも考えられる。」このように述べられたと書かれているのですね。これは事実でしょうか、いかがでしょうか。
○泉参考人 私どもの新聞にあるとすると事実だと思います。
○藤原委員 そうしますと、NHKの第三者機関というものはどのようなやり方をするべきなのか、具体的なイメージをお持ちであったらちょっと教えていただきたいと思います。
○泉参考人 これは、私どもの機関でNHKさんの第三者利用はいかにあるべきかということは議論はしておりません。ただ、NHKさんが自分のチャンネルのイメージを損なわないようにということの条件でお許しになる第三者機関が、民間放送事業と競合するようなことがあっては、私たちは反対であるという考え方は持っておりますが、具体的にはNHKさんはどういうことをやるべきかということは検討しておりません。
○藤原委員 競合するということは、スポンサーが侵害してくるという意味なんですね。
○泉参考人 そうでございます。
○藤原委員 それじゃ、討論はしておられなくても、あるべき姿として、さっきの陳述でもおっしゃっていました、NHKは受信料だ、それから民放はスポンサーがついて広告料を取ってというやり方なんだから、そういう二本のいまの放送のあり方を変えてはならないんじゃないかという御意見でしたね。そういうところまでお考えでしたら、全体民放連として討議されていなくても、泉さん個人としてでも、受信料を取るようなNHKはやはりこうあるべきでないかというような御意見をお持ちだろうと思うのですが、フランクに語っていただいたらいかがでしょうか。
○泉参考人 私も不勉強でなかなかそういうことを考えていないのですが、たとえば、仮にNHKは可能であるとすれば、第三者利用をやっても全国放送のような文字放送ができるわけでございます。そうしますと、やはり民放の波を使っての文字放送とのウエートの比較の問題も出てきますし、それがまたコマーシャルをとるとしますと、そちらの方にコマーシャルが流れていくという競合の問題も出てきますし、そういうところから派生して、せっかくNHKと民放が共存共栄、ただ財政的基盤だけが違うということによってそれぞれ立場を理解し合いながら共存共栄してきたところが、下の方の妙なところでこんがらかってくるのではないかという心配をしております。したがって、いま民放が扱っているようなCM、コマーシャルを出している企業とか、一部地方公共団体、県もございますが、それ以外にもまだまだ、そういう文字放送をNHKの第三者利用をして市民社会のために出したいというやり方というのは、工夫すればあるのではないかというふうに私個人は考えておりますが、不勉強で申しわけありません。
○藤原委員 それでは、NHKと民放両方に数点お聞きしたいのですが、それは文字多重放送の独立利用と補完利用ということなんですが、まず、文字多重放送の実施について具体的なスケジュールというのは現在立てていらっしゃるのか、それともこれから立てられていくのか、いかがでしょうか。
○泉参考人 私ども、この間の要望書にもございますように、一つの企業として成り立つことを前提にし、また、視聴者に対する多様なないしは将来性のある文字多重をやりたいということから、パターン方式じゃなくてコード方式を含めて十分考えた最終的なスタイルで出発してほしい。その段階は私たちはあと少なくとも一両年のうちにコードを含めた基準が決められるのではないか、また、それに向かって協力しようではないかということを内部的に申し合わせておりますので、一、二年のうちにコード方式を含めた最終的な文字多重の方式が決まりましたら、それは電子機械工業会その他と相談しまして、その一、二年後には実際に実用化できるようにそのようなスケジュールを考えております。その間に、どうやったら事業的に成り立つか、どういう番組を出せば市民社会に役立つかということで、番組についてはわりと社ごとに研究をずっと深めておるようでございます。
○中塚参考人 NHKといたしましても、いまここでいつという明確なお答えはいたしかねるわけでございます。と申しますのは、この文字多重放送を本格的にNHKが実施いたしますには、まずこの改正案が成立をしてこれが施行される、そして必要な省令等が整備される、これに基づいて放送局の免許申請を行って、免許を得て実施をするという段取りになるわけでございますので、NHK側の予定だけでいつから実施ということは申し上げる立場にはちょっとないわけでございますが、しかし、NHKは常に視聴者の要望にこたえて最大限の努力をしなければならないというふうに考えておりますので、文字多重放送につきましても、聴力障害者向け等の字幕サービスの放送、そういうものにつきまして鋭意努力、検討いたしまして、これが実施できるようになれば、できるだけ早く実施に移したいというふうに考えておりますが、きわめて雑な予測をいたしますと、一年ないし二年後ということになろうかと思います。
○藤原委員 いまの点で、泉参考人がおっしゃった、コードでできたなら一、二年後に実用化できるように考えているということでしたね。この法案は、「公布の日から起算して六月を経過した日から施行する。」こういうふうになっておりますね。いよいよ参考人質疑が終わって、あしたまた討論やって採決にもというふうな動きになっておりますのですが、とにかくNHKの方は、法案も通らぬ前からはっきりは言えない。それは形式的にはそうなんですね。しかし、とにかくそんな遠い将来じゃなくて近い将来にこれは衆議院は通過する、まあ参議院にも送らなければなりませんけれども、そういう状況にある中で、NHKが準備しておられる聴力障害者の問題も一、二年のうちにはというふうな計算をしながらやっておられるわけですね。そういうのと民放の放送事業者との間に、実施するについての計画なりそういう努力なりの、言ったら悪いのですけれども、差があるように私は感じるのですね。いろいろ経営の問題とかがありますから、それは差があっても当然ですが、そういう点について、たとえば聴力障害者についての補完的利用も、義務づけられているんじゃないから、いや、しなくていいんですよ、法には触れませんよ、こういうことにならないかという心配が大変あるのですが、その点、泉さんいかがでしょうか。
○泉参考人 何回も申しますように、私どもは、視聴者の二重投資といいますか、そういうむだ遣いも避けたいし、せっかく情報を差し上げるなら多様化する情報で差し上げたい、また、それが経営につながるという意味から、コード方式で実施することが決まってから実行に移したい、そうなりますと、いまNHKさんの、パターンでやる場合の仮定でお答えになった実施時期よりも、二年か三年はおくれるんではないか。しかし、それは電波技術審議会の審議もなるべく促進していただいて、その時間差を縮めるように努力していただきたいと思いますし、民放としては、いまのところ、パターンからすぐ始めるという各社の考え方はないようでございます。やはりコードでやりたいというのがどうも一致した意見でございます。時間的には、もしかパターンでお始めになると、民放の場合は、コードができ上がってからということになりますので、少しおくれることはやむを得ないことだろうと思います。
○藤原委員 それでは、独立的な利用としての放送というのはどのような内容の番組が考えられるのか。これもNHK、民放、両方にお聞きしたいのと、時間の節約上、もうあと二つ、一遍にお願いをしますが、文字多重放送を実施する場合に、放送施設費以外の運営費はどのくらい必要なのか。それから、次に、災害放送の義務づけが今回の法案でやられているわけですが、このような義務づけがなければ災害放送というのはできないのかどうかという点について、両方からお聞きしたいと思います。
○中塚参考人 NHKが独立的利用をする場合に番組の内容がどういうものかということでございますが、もちろん、ニュース、それから生活情報その他、交通情報であるとかあるいは趣味とか、そういう生活情報、そういうものはやはりNHKの独立的利用の中にも入ると思いますが、やはり何といってもニュースというものが一番の、NHKが独立利用する場合の内容の主なものであろうというふうに考えております。 それから、費用がどれくらいかかるのかということでございますけれども、これもまだそう詰まった検討はいたしておりませんけれども、東京から全国的に全部情報を流すという場合と、それから各地方ごとにそこでも情報を収集してそれを多重放送するという場合で違ってくるわけでございます。東京から全部出すという場合の実施費というのは約十八億、それから、七つの地方のブロックごとに出す場合にはさらにそれにプラス七億、それから、全国各県域の四十局で独立的にその地域ごとに情報を集めて放送をするという場合にはさらに四十億という、大ざっぱな計算、したがいまして、全部トータルいたしますと約六十五億ぐらいの費用がかかる。これは設備の費用でございます。運用費については、まだ詳細な検討はいたしておりません。 それから、災害放送でございますけれども、これはこの改正案の条文が仮になくとも、われわれは従来からもやっておりますし、この条文が入りましても別に従来やっていることが特段変わるということではございませんで、NHKの性格、使命からいって当然やらなければならないことだというふうに考えております。
○泉参考人 民放側でお答えいたします。 独立利用についてどうだというお話でございますが、今度の法による規定は、番組と関連した補完的利用について、特に陰に隠れて主張されているのは、やはり難聴者に対する社会的なサービスをおっしゃっているのかと思います。それ以外に、たとえばいまの音声放送で言われるように、テレビでニュースをやっているときにニュースの文字放送をやれというような意味にとられますと、これは文字放送の有効的な使い方に反すると思います。ニュースをやっていないからこそ文字放送でニュースを見たいという希望もあるでしょうし、天気予報をテレビでやっていないから文字放送で天気予報を見たいということがあるわけです。ですから、同じ時間帯に同じ関連づけた番組をやるのが補完的利用だというふうに厳しく受け取られますと、私たちは、文字放送の発展を阻害するのではないか。民放事業者は、一日のうちにニュースあり、天気予報あり、番組あり、スポーツあり、あらゆるものがございますし、それから生活番組があるわけですが、そういうものを随時文字放送として視聴者の立場を考えながら組み立てていくことが補完的利用、事業者としてやるべき利用でございますし、われわれはそれを、いまの時間的に同一でなければ独立だとおっしゃるなら独立利用かとも思いますし、そういう意味で、文字放送は、やはり受け手の立場を考えて、放送事業者として、いまのテレビなりそういう媒体を預かっていることでまだ足りない部分を、文字放送という部分を利用して還元したいということでございますから、私たちは、いわば文字としての独立した使い方ということの考え方を非常に強く持っております。また、それでないと普及しないし、経済ベースにも乗りません。ですから、難聴者に対するそういう意味での、表番組に対する補完を十分考えろというふうにあの条文を受けとめておりまして、そのことも十分わかっているつもりでございます。 それから、費用の問題でございますが、これはNHKさんと同じで、運用費については、私たちはコードで行きたいと思っておりますし、まだ時間もありますし、そこの数字を出してもらったケースはございません。民放連そのものが企業でございませんので、そういうのは各社から集めなければならないわけでございますが、そういう数字をいただいた記憶がないのですが、施設費の方につきましては、一社二、三億はかかるのではないかという話を聞いております。 それから災害の問題でございますが、先ほど私も繰り返して申しましたように、これは精神規定と受け取って、私たちは、こんなことがなくても、放送事業を受け持たせていただいている以上、これはもう責務としてやっていることでございますが、過去の反省も含めて考えますと、視聴者が何か地震があったときにテレビをつけてみたらそれに対する的確なニュースが流せなかったとか、それから、新しいニュースは一体どこからとってくればいいか、どこが正しいニュースの中心点かというようなこと、そういうものを今後官民一体となって考えていこうじゃないかという精神規定として受けとめて、賛成をしているわけでございます。
○藤原委員 泉参考人に意見として申し上げたいのですけれども、聴覚障害者の要望です。これは、もちろんニュースとかそういう文字で表現できるものであれば、文字多重ということでニュースの時間でなくてもいいということになりますけれども、こういった方々が強く要望しておられるのは、われわれ健常者と一緒の、たとえばドラマならドラマの画面に出てくる、それが音として聞こえないのだから中身を文字で要約して入れてほしい、こういう強い要望があるということをよく御存じだと思いますが、そういう点があるので、せっかく聴覚障害者の強い御要望がありますのでこれを急ぐのですというのが政府の答弁ですから、しかし民放はそういう認識に立っていただけないのなら、本当に聴覚障害者のニーズにこたえるということにならないので、その点をぜひ肝に銘じていただきたいということ、これは要望でいいです。もしどうしても御意見があれば、後で言っていただいてもいいです。 それから、災害の問題、両方とも、従来やっているのだ、精神規定なんだから義務づけされなくてもやるんだというふうにおっしゃっておりますが、それじゃなぜわざわざ今度義務づけがされたのか。先日の逓信委員会の政府側の答弁では、いままではほかの法案に書いてあったから、言えば自主的な規制として、この放送法の中にみずからの規制ということで書くんだというふうな、私は余り理屈にならぬ理屈だなと思って聞いていたのですけれども、なぜわざわざ書くのかという点について御意見はないのかどうか。 それから、これで終わりにしたいと思うのですが、NHKに追加してお聞きしたいのは、今回の法改正の第九条二項で、第三者に放送設備を賃貸することができる、この第三者機関としてはどんな機関が考えられるのか、また、その場合に財政的な裏づけというものはどのようなところから得るのかという点を、二点つけ加えて、いまの災害放送の義務づけの問題と一緒にお答えいただきたいと思います。
○泉参考人 いま藤原先生は、民放が難聴者に対する対策を非常に軽視しているようにお話になりましたが、そういうことはございません。今度の法案の中に出ている、番組に関連したものをやれということは、さっき申し上げたように、そのことだろうとして受けとめておりますということで、私たちはそれを重要に考えているわけですが、これは海外での実態もおわかりになるように、一時間の番組に文字をつくるのに三十五時間かかる、人手もお金もかかる、それをどうやっていくかという問題は、一社の問題じゃなくて、各社話し合ったり、NHKさんとも話し合ったりして、できるだけ合理的に経済的に難聴者に対するサービスができればということで、今後大いに研究しなければならない問題だというふうに受けとめております。 それから、災害の問題につきましては、先ほども申しましたように、政府の答弁にあったように、精神的な規定だというふうに私たちもまともに受けとめているわけでございます。
○中塚参考人 NHKの設備を貸与して文字放送を行う第三者、先ほどからも申し上げておりますように、この第三者というのはNHKの施設を使用して事業を行うわけでございますから、NHKの性格、使命、それから番組の編集方針等を十分理解し、それを損なわないような事業体であるべきである。したがって、NHKと十分意思の疎通できる事業体でなければならないということでございます。今回の改正に当たりまして、一方でNHKの出資範囲の拡大が可能になるということから、この事業体にはNHKの出資も考えていくべきであるというふうに思っております。しかし、その事業体は事業を運営して俗に言えば食っていかなければならないわけでございますから、それの収入を得る道を考えなければならない。しかも、その事業体は事業を運営してNHKに賃貸料も払うわけでございますから、その収入をどこから得るかということでございます。で、先ほども申し上げましたように、だからといって一般の事業体と同様の営業活動をやって収入を得るということになれば、NHKのチャンネルイメージを損なうおそれもあるし、また、NHK本体の方が受信料で支えられているという、受信料制度そのものにも影響が出てくるおそれもあるというところから、その第三者が行う営業活動はおのずから制約されなければならないだろう。したがって、公共的な性格の強い公共団体と申しますか、そういうところの有料告知放送というふうなものに限定して考えるべきではないかというふうに考えて、現在NHKといたしましても検討をしているところでございます。 それから、災害放送についてでございますが、これは先ほども申し上げましたように、NHKは災害対策基本法で報道機関としては唯一の指定公共機関というふうに規定されております。それから、大規模地震対策特別措置法あるいは気象業務法などでも、災害が発生または発生するおそれのある場合には果たすべき役割りが規定されております。したがって、先ほども申し上げましたように、仮に今度の改正の条文がなくとも、われわれとしてはその使命にかんがみて十分その責務を果たしていかなければならないと考えておりますが、しかし、これが法律でこういうふうに決められますと、それはやはり単なる努力義務ということではなくして法律上の義務というふうになるわけでございます。しかし、その内容、災害の場合に放送する内容、あるいはどういう場合に放送するのかという判断は、放送事業者の判断に任されているものであると考えておりまして、われわれとしては、従来どおりあるいは従来以上に、災害の場合の放送について努力をしてまいりたいと考えております。
○藤原委員 終わります。
○水野委員長 これにて藤原ひろ子君の質疑は終了いたしました。 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。 本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、ありがとうございました。今後の委員会審査の参考にしてまいりたいと存じます。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。 次回は、明二十二日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時一分散会