大蔵委員会 第25号
- 発言数
- 75 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1982/08/04
会議録
○森委員長 これより会議を開きます。 この際、お諮りいたします。 第九十四回国会より継続審査となっております越智伊平君外三名提出の貸金業の規制等に関する法律案及び出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律案、堀昌雄君外八名提出の貸金業の規制に関する法律案及び出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律案、鳥居一雄君外二名提出の貸金業の規制等に関する法律案及び出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律案につきまして、それぞれ提出者全部より撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○森委員長 御異議なしと認めます。よって、撤回を許可するに決しました。 ————◇—————
○森委員長 本日付託になりました大原一三君外五名提出の貸金業の規制等に関する法律案及び出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律案並びに第九十四回国会より継続審査となっております正森成二君外二名提出の小口消費者金融業法案及び出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。 まず、提出者より順次提案理由の説明を聴取いたします。大原一三君。 ————————————— 貸し金業の規制等に関する法律案 出資の受入れ、預り金及び金利等の取り締まりに関する法律の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○大原(一)委員 議題となりました貸金業の規制等に関する法律案及び出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律案につきまして、自由民主党及び新自由クラブ・民主連合を代表いたしまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 近年、貸金業の業務の運営が、いわゆるサラ金問題を中心に、大きな社会問題となっております。 これは、貸金業が届け出のみにより容易に事業を行うことができるため、業者が乱立し、資金需要者の返済能力を超えた貸し付けが行われていること。その二は、年利一〇九・五%までの利息の契約をし、または受領しても刑事罰が課されないこと。その三は、法律による業務の規制がないため、資金需要者の立場を無視した一方的な契約を行い、かつ、厳しい取り立てが行われていること。その他、貸金業者の経営基盤の脆弱さやモラルの低さ等によるものであります。 このように貸金業の業務の運営が、社会に重大な影響を及ぼしている現状にかんがみ、貸金業者に必要な規制、監督等を加えて利用者の利益の保護を図るとともに、処罰される金利の限度を引き下げて高金利による弊害を取り除き、貸金業に対する社会的批判にこたえるためには、新たに法律を制定する等の必要があると考え、両法律案を提出した次第であります。 以下、両法律案の内容について御説明申し上げます。 まず、貸金業の規制等に関する法律案について申し上げます。 第一に、この法律は、貸金業者に登録制度を実施し、その事業に対し必要な規制を行うとともに、貸金業者の組織する団体の適正な活動を促進することにより、その業務の適正な運営を確保し、もって資金需要者等の利益の保護を図ることを目的といたしております。 第二に、貸金業及び貸金業者についての定義を規定し、貸金業とは、金銭の貸し付けまたは金銭の貸借の媒介で業として行うものをいうことといたしております。ただし、国または地方公共団体が行うもの等を除外することといたしております。また、貸金業者とは、本法に基づく登録を受けて貸金業を営む者をいうことといたしております。 第三は、登録についてであります。貸金業を営もうとする者は、二以上の都道府県に営業所等を設置する場合は大蔵大臣に、一の都道府県のみの場合はその営業所等の所在地の都道府県知事に、申請書等を提出して登録を受けなければならないものとすること。登録は、三年ごとにその更新を受けなければ効力を失うものとすること。大蔵大臣または都道府県知事は、登録を受けようとする者が、登録を取り消されてから三年を経過しない者、禁錮以上の刑に処せられ、その執行が終わった後三年を経過しない者、この法律もしくは貸金業関係の法律に違反し、または貸し付け契約の締結、債権の取り立てに当たって刑法その他の規制法令に違反して罰金刑に処せられ、その執行後三年を経過しない者等である場合には、その登録を拒否しなければならないものとすること。その他、登録の失効、登録事項の変更・廃業等の届け出、無登録営業の禁止、名義貸しの禁止等について規定を設けております。 第四は、貸金業者に対する業務規制についてであります。すなわち、貸金業者は、顧客等の資力、信用等を調査し、返済能力を超えると認められる過剰貸し付け等をしてはならないものとすること。営業所ごとに顧客の見やすい場所に貸し付けの利率その他の貸付条件を掲示しなければならないものとすること。業務に関して広告をするときは、貸付条件について人を誤認させるような誇大な表示をしてはならないものとすること。貸付契約の締結をしたと夢は、遅滞なく、契約の内容を明らかにする書面を相手方に交付しなければならないものとすること。弁済を受けたときは、その都度、直ちに、受領金額及びその利息または元木への充当額等を記載した受取証書を弁済者に交付しなければならないものとすること。債権の取り立てに当たっては、人を威迫しまたはその私生活等の平穏を害するような言動により、その者を困惑させてはならないものとすること。その他、帳簿の備えつけ、債務者等からの白紙委任状の取得の制限、債権取り立てについて委託を受けた者の取り立て行為の規制、全部弁済の場合の債権証書の返還義務、標識の掲示義務等について規定を設けております。 なお、貸付債権を譲り受けた者は、転々譲渡される場合の譲り受け人を含めて、その債権について、取り立て行為規制等の業務規制の適用を受けるものとし、貸付債権を譲渡する者は、その旨を書面で譲り受け人に通知しなければならないことといたしております。さらに、貸金業者は、相手方が暴力的取り立て行為をするおそれが明らかな者であること等を知りながら、債権の譲渡または取り立ての委託をしてはならないことといたしております。 第五は、貸金業協会及び全国貸金業協会連合会の設立についてであります。現行の貸金業者の自主規制の助長に関する法律を廃止するものとし、従来の庶民金融業協会及び全国庶民金融業協会連合会にかわるものとして、貸金業者は、貸金業協会及び全国貸金業協会連合会を設立して、貸金業の適正な運営及び不正金融の防止に資するための指導、勧告、調査、苦情解決、業務研修、過剰貸し付けの防止等の業務を自主的に行うことができることといたしております。 第六は、貸金業に対する監督についてであります。大蔵大臣または都道府県知事は、登録業者がこの法律、金利等取締法等に違反したとき、または貸し付けの契約、債権の取り立てに当たり、物価統制令の抱き合せ・負担つき行為の禁止規定に違反したり、刑法等に規定する罪を犯したとき、債権譲渡等をした場合に、相手方が暴力的取り立て行為をするおそれが明らかな者であることを知らなかったことを証明できず、かつ、現実にその者が暴力的取り立てを行ったときは、一年以内の期間を定めて業務の全部または一部の停止を命ずることができることといたしております。また、登録業者が欠格事由に該当することとなったとき、登録がえをしなかったとき、業務停止処分に違反したとき等は、その登録を取り消さなければならないことといたしております。その他、業者の所在不明のときの登録取り消し、監督処分の公告、業者に対する報告徴収、立入検査等について規定を設けております。 第七に、利息制限法との関係について、貸金業者に対して本法において各種の厳しい業務規制を課し、また、金利等取締法を改正して刑事罰対象金利を引き下げることとしていること等にかんがみ、貸金業者との利息の契約に基づき、債務者が利息として任意に支払った金銭の額が、利息制限法に定める利息の制限額を超えるときは、その超過部分の支払いは、同法第一条第一項の規定にかかわらず、有効な利息の債務の弁済とみなすことといたしております。ただし、このみなし弁済規定は、契約書面を交付しない場合、受取証書を交付しない場合、業務停止処分に違反して貸し付けの契約が締結された場合、金利等取締法の高金利の処罰規定または物価統制令の抱き合せ・負担つき行為の禁止規定に違反して契約が締結された場合における支払いについては、適用しないものといたしております。 第八に、無登録営業、書面交付義務違反等について必要な罰則規定を設けることといたしております。 なお、この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとするとともに、所要の経過措置を講ずることといたしております。 次に、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。 本案の内容は、第一に、現在、この法律の第五条第一項において、刑事罰の対象となる制限利率は年一〇九・五%となっておりますが、これを改め、業として金銭の貸し付けを行う者については、その制限利率を年四〇・〇〇四%とすることといたしております。なお、一般私人については、現行の年一〇九・五%の制限利率のままといたしております。 第二に、刑事罰対象利率の急激な条件変更を緩和するため、附則に経過規定を設けて、法施行後三年間は、制限利率を年七三%とすることとし、三年経過後別に法律で定める日までの間は、制限利率を年五四・七五%とすることといたしております。なお、別に法律で定める日については、この法律の施行の日から起算して五年を経過した日以降において、資金需給の状況その他の経済・金融情勢、貸金業者の業務の実態等を勘案して検討を加え、速やかに定めるものとすることといたしております。 第三に、質屋及び日賦貸金業者についての制限利率は、その業務の実情にかんがみ、現行の年一〇九・五%とする特例を設けることといたしております。 以上のほか、罰金の上限を引き上げることといたしております。 なお、この法律は、貸金業の規制等に関する法律の施行の日から施行することとするとともに、所要の経過措置を講ずることといたしております。 以上が、両法律案の提案の理由及びその内容の大要であります。 何とぞ御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
○森委員長 正森成二君。 ————————————— 小口消費者金融業法案出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○正森議員 ただいま議題となりました小口消費者金融業法案並びに出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律の一部を改正する法律案について、提案の理由とその内容を御説明申し上げます。 小口消費者金融、いわゆるサラ金に対する有効な規制措置は、いまや社会の強く求めるところとなっております。 過去における政府機関による調査結果によっても悲惨な被害の実態や事件の背景が明らかにされてきております。 警察庁が行った調査でも昭和五十三年の八カ月間でサラ金に起因する自殺者が百三十人、家出人が千五百二人という驚くべき数字とともに、暴力団関係の営業が三千五百四十六店に及ぶという衝撃的な事実が明らかになっています。その後、これに類する調査はありませんが、今日でも事態はより深刻化しているというのが関係する人々の定説であります。また大蔵省が昨年行った貸金業の実態調査で見ると、業者みずからが記入し、郵送によるという不十分な方法にもかかわらず、民事上無効となる年利二〇%を超える金利での貸し付けが、六四%以上を占め、中でも六二・〇五%を超えるものが全体の五七・二%以上に上るなど異常な高金利の横行を裏づけています。そればかりか、契約書を交付していないが一八・八%、受領書を交付していないが九・三%など、常識を超える業界の業務実態の一端が示されております。 自殺や心中、夜逃げなど悲惨なサラ金地獄を引き起こす原因の第一は、異常な高金利の野放しであります。現在年利二〇%を超える金利は利息制限法によって民事上無効とされており、支払いを遅延した場合でも最高倍額の四〇%とされております。ところがサラ金業界においてはその不法ぶりを取りざたされておりながらも、出資の受入、預り金等の取締等に関する法律の上限である年一〇九・五%に近い金利が多くあるばかりか、悪質な場合にはそれをはるかに上回るものさえ少なくありません。借り受け者である一般市民が高金利の重圧のもとで返済不可能な事態に陥るのもしごく当然であります。 第二に、現行の届け出制のもとでは自由に開業できることであります。都道府県知事に届け出さえすれば何の制限もなく開業できるため、資金源確保のための暴力団の参入や、悪質業者の開業が野放しとなっているのであります。 第三に、業務規制が全くないことであります。このため過剰な貸し付けや強迫的取り立てなど違法、不当な行為の常態化を許す結果となっております。 今回、これらの諸点に深くメスを入れた抜本的な改善策が求められておるわけでありますが、これに対する政府の対応はきわめて不十分であります。 わが党は、ここに小口消費者金融業法案、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律の一部を改正する法律案を提案し、所要の法的措置を講じようとするものであります。なお、この二法案の他に現在法務委員会に付託となっております利息制限法の一部を改正する法律案があることを付言させていただきます。 以下、小口消費者金融業法案並びに出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律の一部を改正する法律案につき、内容を御説明申し上げます。 まず、小口消費者金融業法案についてであります。 本法案では、物上担保なしの個人に対する金銭の貸し付けを業として行うものを小口消費者金融業とし、他の貸金業とは別に、大蔵大臣または都道府県知事の免許を受けることを義務づけております。免許の際には厳正に審査し、禁治産者や禁錮刑受刑者などとともに「不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者」には免許してはならないこととしております。 貸付業務については、一営業所から一借り主に対する貸し付けは百万円を限度とし、貸付期間は二年を超えてはならないこととしたほか、未成年者、学生など弁済資力のない者に対してみだりに貸し付けることや白紙委任状の徴取、物品購入等の要求行為を禁ずるなどによって不当な貸し付けを規制することとしております。 取り立てに関しては、正当な理由がなく、早朝または深夜に、借り主、保証人またはこれらの者の縁故者の住居を訪問することや、債務のない縁故者に対する支払いの強要、借り主、保証人、縁故者を威迫し、またはその私生活や業務の平穏を害するような言動、第三者からの借り入れによる返済の強要などを禁じております。なお、返済のあったときには領収証を交付することを義務づけております。 また、利用者の保護を図るため、業者は営業所ごとに、利率、利息計算方法等を掲示することとし、広告においても所定の事項を明示しなければならないことにしております。 監督については、業者がこの法律や他の法律に違反し、業者として不適当と認められる場合には、大蔵大臣または都道府県知事は必要な指示ができることとし、さらに悪質な者に対しては、業務の停止、免許の取り消しを行うこととしております。業者の不正、不当、不誠実な業務行為についてはだれでもが大蔵大臣、都道府県知事に申告し、改善措置を要求できることとしたほか、大蔵大臣、都道府県知事は事業年度ごとに業務報告書を徴し、必要に応じて指導や報告の徴取、立入検査等ができるようにしております。 最後に、罰則については、不正手段による免許取得や無免許営業、名義貸し、業務停止命令違反に対し、併科を含めて、三年以下の懲役もしくは三百万円以下の罰金に処するなど、所要の規定を定めております。 次に、高金利規制のための出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律の一部を改正する法律案についてであります。 出資法第五条第一項の刑事罰の対象となる金利の上限を現行の年利一〇九・五%から四〇・一五%に引き下げることとしておりますが、これは異常な高金利の引き下げとともに、利息制限法第四条で遅延金利など賠償予定額の最高限を利息制限法金利二〇%の二倍、四〇%までとしていることにかんがみてとった措置であります。これによって、四〇%を超える高金利は処罰対象となり、経済実態に見合った金利が実現することになります。さらに罰金額は最高三百万円まで引き上げを図ることといたします。 なお、法務委員会に付託となっているわが党提出の利息制限法一部改正案においては、同法第一条第二項を削除し、債務者が任意に支払ったときでも利息制限法を超える利息分は返還請求ができるようにし、一連の最高裁判例の趣旨に沿うものとしております。 なお、この法律は、昭和五十八年一月一日から施行することとし、期日修正を行う予定にいたしております。 以上が本法案の内容でございます。 何とぞ慎重審議の上、御賛同いただきますようお願い申し上げます。
○森委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 —————————————
○森委員長 この際、ただいま議題となっております各案審査のため、本日、参考人として日本弁護士連合会司法制度調査会委員長代行白上孝千代君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○森委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○森委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平林剛君。
○平林委員 私は、ただいま議題になりました貸金業の規制に関する法律案及び出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律案につきまして、若干の質疑を行いたいと思っております。後日の参考にするために少しばかり意見を付して質問を展開いたしたいと思いますから、御了承いただきたいと思います。 貸金業の規制に関する法律案は、いわゆるサラ金悲劇を解消する一つの措置として、一日も早く成立が望まれている法律案であります。幸い、各政党関係者の御協力によりまして成案がまとまり、成立に向けて審議が行われることは、関係者の一人としてこれを前進的に評価をいたしたいと思っております。 数年前から、サラリーマン金融をめぐりまして、その利用者の中から生活破壊、一家離散、自殺、一家心中という悲劇が起こりましたことは提案者も述べられたとおりでございまして、大きな社会問題になりましたが、この間、かなりの年数がたったのにかかわらず、議会としては何もできない、政治としては何の手の施しようもない。これはサラ金悲劇を野放しにしておったということになるわけでございまして、これが政治の面から、政治そのものが問われているという事態にあったと私は思います。もちろん、サラ金の悲劇の背景には、現行出資法による上限金利一〇九・五%という超高金利すれすれの融資があったということや、返済能力を超える過剰融資が行われていた、そして業者による過酷な取り立てがあったということが問題でございましたが、私は、利用者の立場に立つならば、これを救済する法的措置を考えるのが今度の法律案だと考えております。 しかも今日、貸金業者は、届け出件数だけで見ますと、昭和五十六年の十二月末に法人、個人合わせて十九万七千六百五十八、貸金業の業務形態は各種に分かれておりますが、その利用者は推定で三百万を超える、こう言われておるわけであります。この現状に対しまして、私どもは、サラ金の悲劇の発生を最小限に抑制をして、悲劇を発生させる土壌そのものにメスを入れる、一日も早く貸金業の規制に関する法律案をまとめる必要がここにあると私は思うのであります。 ただ、今日まで非常に時間がかかり過ぎまして、まことに残念でございました。いろいろ議論はあるけれども、なぜもっと早くこの結論を得ることができなかったのだろうか。難問あるいは障害は幾つかありました。しかし、今日の決断を私は評価する反面、時間がかかり過ぎたという点についての政治家としての反省をいたしておるわけであります。 同時に、私のお尋ねいたしたいことは、政府に対してであります。なぜ今日われわれが議員立法をもってこの措置をとらざるを得なくなったか。しばしば私は国会でも追及してまいりました。この状態を野放しにすることはできないじゃないか、さすれば、政府みずからがこの法律案を提案してサラ金悲劇の解消に努力をすべきではないかと。残念ながら議員立法によらざるを得なくなりました。 この際、なぜ議員立法によらざるを得なかったか、これを会議録にとどめるためにも、政府側からそれぞれ御答弁をいただきたい。一つは法務省、一つは大蔵省、お願いをいたしたいと思います。
○飛田説明員 法務省刑事局の立場から御答弁申し上げますと、法務省の当局といたしましては、いわゆるサラ金業者と呼ばれる貸金業者を監督規制する立場にないことをまず御理解いただきたいのでございますが、お尋ねの問題につきましては、内閣審議室が中心となりまして政府部内に貸金業問題関係省庁連絡会が設けられまして、ここにおいて種々の検討がなされてきたものでございます。 そして、法務省の刑事局といたしましても、右連絡会に出席いたしまして、高金利違反事犯の実態調査結果などについて同連絡会に報告するなど、貸金業者の規制に関連しての罰則の制定の面において協力を申し上げてきたところでございますが、その後各党から貸金業等の規制に関する法律案が提案されるに至りまして、さらに各党間において協議検討がなされた結果、今日のようになっている、こういうふうに承知しております。
○宮本政府委員 大蔵省といたしましては、この問題につきましては、先生御指摘のとおりサラ金禍ということで社会的にも大変な問題でございました。昭和五十二年十月以降、先ほど法務省からもお話がございましたが、関係六省庁、総理府、経済企画庁、警察庁、法務省、自治省並びに大蔵省が集まりまして、真剣に検討を行ってきたわけでございまして、かなりの時間をかけまして検討いたしたわけでございます。 しかし、この出資法の特に大きな柱となります上限金利をどこまで引き下げるのかという点につきまして、なかなか政府といたしましては理論的な根拠が見出しにくくて、どうするのかという点が一つあったわけでございます。 もう一つは、いわゆるグレーゾーン金利の取り扱いでございますけれども、最高裁判例等との関係もございまして、各省庁間の意見がまとまりませんでした。というふうなこともございまして、遺憾ながら政府といたしましては法案を提出することができなかったものでございます。
○平林委員 貸金業の規制に関する法律案をまとめて、とにかくサラ金被害を最小限に食いとめ、これ以上悲劇を野放しにするなという声は今日各方面から寄せられまして、世論になっておると思います。 しかし、その障害になりましたのは、ただいまお答えがございましたように、一つは出資法による上限金利一〇九・五%という超高金利を幾らまで引き下げ得るかということ。第二は、利息制限法による制限金利を上回る金利の支払いが、最高裁判決によって不当利得返還請求権というようなことが起こりまして、その取り扱いをどうするか。こういう二つの点にありましたことは、いまお答えになられたとおりでございます。 このうち、出資法上による上限金利につきましては、日歩十銭、年四〇%に引き上下げる、しかし段階的に、法施行後最初の三年間は七三%、三年経過した後の三年間は五四・七五%、四〇%にするまでには法施行後五年を経過した後におきまして速やかにこれを実施する、私どもはこれに合意をいたしたわけであります。 ただ、私どもは、このような金利がいつまでも許容されるとは思っておりません。法定化されたといたしましても、この金利はなお高金利であります。もちろん、理想を言えば利息制限法の上限金利一五%とか二〇%に合わせるのがあるいは理想かもしれません。しかし、私どもはこの法律に合意をいたしましたが、この法律に賛成をいたしたとしましても、この金利を是認したわけではない、あくまでもこれは上限金利である、貸金業の規制に関する法律案をまとめるために現状においてはやむを得ない、こう判断を実は私はいたしたのでございます。 現に、出資法の一〇九・五という超高金利がありながら、実際の業界におきましては、日歩十二、三銭のところもあればあるいは八〇%、九〇%がいまなお通用しておるという事態にもございますので、たとえ初めの三年間七三%にいたしましても、実際金利がなるべくそれより下回ったものにすることができれば一歩前進である、こう考えるわけでございます。 それなら七三%の初めの三年間は高過ぎるじゃないかという議論がございます。私は高過ぎると思います。しかし、高過ぎるといいましても、貸金業者特に消費者金融の分野においては、いわゆるサラ金業者の大多数はいまなお日歩二十銭、七三%を超える金利で経営しておるということです。一部においては、これより低い金利で営業していますが、大多数は七三%を超える金利で営業しており、かつ、消費者金融業界の定款は八〇%ないし九〇%の定款をもって定めておる。この実態を知らずして、ただ七三%は現行でも高過ぎるという理論は必ずしも当を得ていない。利用者は、その高金利を知りながら借りておるわけであります。この実態を考えますと、高過ぎる七三%ではありますけれども、一歩前進と言えるのではないか。 説をなす者は、現在日歩十銭とか十五銭で経営する貸金業者があるじゃないかと言う。私もそのとおりだと思います。しかし、それは業者の全部ではない、大多数はそうじゃない、この現実は残念ながら認めないわけにはまいりません。ほうっておけば金利は下がるじゃないかという議論があります。私も初めはそう思っていたのです。この法案をある程度政府・与党と話し合う場合におきましても時間をかけましたのは、確かにこの間に金利が下がってくることを期待しておりました。大手においては確かに下がりました。だが、大部分のサラ金業者は一向に下げる気配はございません。この間の大蔵委員会の参考人の意見を聴取いたしましても、五年後においてもこんなのは荒唐無稽な金利だということで批判する向きがございますように、大多数はこれについていけないのであります。 では、この間サラ金悲劇はそのままほうっておいていいのか、こういうことになるわけでございまして、私どもは、この線で決断あるいは踏み切ったというわけでございます。したがって、この金利を是認したわけではなく、あくまでも上限金利として、これ以上は刑事罰を科しますよ、つまり抑制的措置を定めたものであると理解をいたしておるわけでありまして、上限金利以下の金利で経営するように、一段の努力をわれわれは業者に要求いたします。現に、相当数は法定以下の金利で営業しておる業者があるわけでありますが、低金利への牽引力になるように、その営業態度を前進させることを私は要求したいと思っています。 せっかくの貸金業の規制に関する法律案でございます。もちろん、四〇%でも高いから三六・五にせよとか、初めの金利は七三では高いから五四・七五から出発せよとか、こんなものなら法律に反対だという議論もございますけれども、そのためにまた無法地帯に野放しにするということは、もはや許せないのじゃないか。もし、今日の決断が五年前にあったらどうだったろう。今日の決断がもし五年前にあったならば、年利五四・七五から出発して、いまごろは次の段階に踏み込めたわけであります。これを思いますと、理想だけを追って現状を肯定することは矛盾だと私は判断をいたしておるわけであります。 それにいたしましても、五年ないし六年後の経済というのはどういうふうになりましょうか。資金需要の状況とか金融情勢あるいは貸金業者の業務の実態、どういう見通しをつけるか、これはなかなかむずかしゅうございます。しかし、やや中期的に判断をして選択をすれば、五年後の五四・幾らという金利は、社会的にはいつまでも許容さるべき水準にはない、もっと低くしなければならぬ情勢が展開するのではないかと思っています。五年先のことは、神ならぬ身でなかなか確定することはできません。しかし、私は金利低下の方向に向かうだろうと思っておるわけでございますが、大蔵省銀行局あたりは、将来の状況を考えまして、この議員立法によります五年後の五四・七五、そのときの情勢で判断することになっておりますが、私の推理するような方向に行くかどうか、御意見があれば承りたい。
○宮本政府委員 五年後にどういう状況になっているかという点につきましては、いま先生御指摘のとおり、資金需給の状況とか経済金融情勢あるいは貸金業者の業務の実態等によって異なってまいりますので、見通しを申し上げることはなかなか困難ではございますけれども、一般的に私ども金融を考えております立場から申し上げますと、高度成長期とは違いまして、当然のことながら、金融市場全体の資金の需要供給の関係は緩やかになってまいるということは予想されるわけでもございます。 それからまた、こういう法律が成立いたしまして、貸金業界の中で適正な競争が行われていくような状況も考えられます。それからまた、貸金業界のそういう情勢を受けまして、金融機関等によります資金の供給、そういうものも円滑化していくであろうということは当然予想されるわけでございまして、御指摘のとおり、いまでもかなり低い金利でそういう資金を供給しておられる会社も出てきておるようでございます。 いろいろ考えますと、金利は、五年たってみますと、いまここで考えておりますよりはもう少し低いような状況があるいは出現しているかもしれません。これは全くの予想でございますが、感じとしては、私どもとしてはそういう感じを持っているわけでございます。
○平林委員 五年を経過した日以降におきまして、資金需要の状況とかその他の経済金融情勢、貸金業者の業務の実態、これをいま推定することはなかなか困難である、私はこう思います。しかし、サラ金業界における金利は低下しつつありますし、低下の傾向をたどるだろうという判断は、私は妥当ではないかと思っております。 これは実を言うと、相当の大手の場合でも、五十三年ごろはまだかなり高い金利だったのですね。ところが、この問題が大きく社会問題になりましてからは五〇%前後に低下いたしまして、五十七年度ではもう年四〇%程度になってまいりました。しかも、なお大手業者におきましては非常に収益が高い。高いですから、この法施行後のサービスの提供という問題については、各界の努力があればさらに低下させていくことは可能だと見ています。それに、今回の法律が制定されましたならば、信販とかリース会社とかスーパー、生命保険会社がやる消費者ローン、相互銀行なども消費者金融、小口ローンに乗り出してまいりまして、大体三十万円ぐらいまでの貸し出しに対する実質金利は年一八%程度になっておる。都市銀行などは、教育と住宅のローンは年一〇・八%ぐらいでございますが、最近多少消費者ローンは金利を上げまして、年一三%ぐらい。 私は、これからはサラ金業者だけでなくて消費者ローン全般においての金利の競争時代に入ると思う。したがって私は、この法律が成立した以降におきまして、消費者金融の充実のために、引き続き低金利で貸し出しができるように、市中金融機関の生活金融あるいは地方自治体におきましても福祉政策の充実を求めたいと思っておりますから、こういうことを通じて金利の低下を誘導することは可能である、こう思っておるわけであります。ですから、五年後の速やかな時期にそうした金利水準が実現することを強く期待をいたしております。 同時に、大蔵省といたしましても、サラ金業者に対する融資金利の低下について相当の行政措置をとるということはできないだろうか。もちろん、今日まで貸金業者に対する金融機関の融資につきましては銀行局長の口頭通達で自粛を求められておりますね。かつて私は、この問題について取り上げて自粛を求めた張本人でございます。なぜかというと、銀行がたとえば二二%とか一〇%で融資をいたしましても、貸金業者がそれで四〇%でもって貸し出ししたのなら、こんなうまい話はございません。社会から見て、これほど批判される話はございません。したがって、これに対して、いかに貸し倒れがあるからとかあるいは人件費がかかるから、経費がかかるからと言っても、私は、野方図にこういう措置をとれということは社会的批判が出てくると思います。しかし、本法成立後に、サラ金悲劇を中心に考えるならば、貸金業者の貸付金利を引き下げるための政策として、金融機関から貸金業者に融資ができるよう考えてもいいのじゃないかという意見があることは事実です。 そこで私は、これにも条件をつけて、節度というものがある。また、融資の金利が低下につながるものでなければだめだ。そういうような条件を慎重に考えながら、そのルールの限度あるいは今後の許容さるべき措置というものを私自身も検討したいと思うのでありますけれども、大蔵省銀行局においては、そのような考えがおありかどうか、この際承っておきたいと思います。
○宮本政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、おっしゃいますとおり、五十三年の三月に銀行局長の口頭通達によりまして貸金業者に対する融資について自粛を求めたわけでございますが、これは、当時のサラ金禍問題について、悪質な貸金業者に対して金融機関が融資することによってそれに加担するということがあっては、公共的使命を有する金融機関のあり方としておかしいではないかというふうな御指摘等もございまして出したものでございますが、これは、特に問題がないと認められるような、非常に世の中のためになっておる適正な業務をしておる貸金業者に対する融資についてまで自粛を要請したものじゃないのでございまして、従来からも、健全な貸金業者に対する融資につきましては、これを差しとめておるわけではなかったわけでございます。 ところで、今回この法律が成立いたしますれば、大蔵大臣、都道府県知事の監督のもとにいろいろ業務規制に服するというようなこともございます。また、御指摘のとおり競争の時代に入るわけでございまして、貸金業者の業務運営が適正化されてくるというふうなことでございますから、金融機関がそういう貸金業者に対する融資を増加させていくということは当然予想されるわけでございますけれども、消費者金融の重要さという点も含めまして、健全な貸金業者に対する融資につきましては、これは自主的に金融機関が決定することでございますけれども、私どもといたしましても、いま先生御指摘の御趣旨は十分よくわかりますので、そういう方向で行政を行ってまいりたいと思うわけでございます。そういうふうなことが行われますれば、御指摘のように金利も自然に下がってまいるということではないかと思っておるわけでございます。
○平林委員 金利問題はこの程度にいたしまして、次に私がお尋ねしたいのは、貸金業者がこの法律によりまして登録をすることになるわけであります。この登録の問題につきまして、若干お尋ねをしたいと思っております。 サラ金の被害といいますと三つの病気がございまして、一つは高金利ですね。二つは過剰融資、三つは過酷な取り立て、こういう三つの病気がどこから発生するかということを考えなければならない。サラ金の被害を抑制するためには、この三つの病気をどうやってなくしていくかということがポイントであります。 そこで、私は、業者の資本力というものを無視することができないと思っております。現在十九万の業者がございますけれども、大蔵省銀行局が先般調査いたしましたこれら業者の自己資金はどのくらいかというと、百万円未満のものが一四・二%であります。五百万円未満のものが四七・七%であります。それから五百万から一千万円程度のものが二〇・一%、つまり一千万円以下の自己資本しかないものが八二%を占めているということです。ついでに申し上げますと、五千万未満が一三・五%、一億未満が一・六%、一億円以上は〇・八%。私の言いたいことは、自己資金がとにかく五百万円未満のものが五〇%近く、一千万以下でも八二%を占めているという事実であります。つまり、この資本力で利益を上げようといたしますと、過剰融資になるのですよ。そして貸し付けたならば、取り立てしなければ自分が損するわけでありますから、過酷な取り立てが発生するわけです。そして資本力が弱ければ弱いほど、こういうような問題は倍加するわけであります。 そう考えますと、貸金業を営むものが登録する場合に、私は、この法律で規定するもののほかに、資本金額の条件を付することが考えられてよかったんじゃないだろうかと実は思っておるわけでございます。各種業界におきましても、登録とか認可という場合におきましては、たとえばたばこの販売許可でも、ある一定の買い付け能力がなければなかなか認可がおりない。酒類の販売におきましても、大体近所のぐあいを見ながらでもかなり資本力は重視されております。業界の各国の例も少し調べてみたのですが、アメリカでも一九七四年に統一消費者信用法というものができましたけれども、これは年一八%以上の金利を適用する業者は州の免許を要するというふうな条件を付するとか、いろいろな例がございます。 私は、そういうことを考えますと、貸金業者の登録についても、たとえば資本金の制限をするということ、これが十九万という業者がどんどんふえていくという現状に対して抑制をし、そして発生源であるところのサラ金業者を、除去と言うとおかしいのですが、淘汰していくということになりはせぬか、こんなことを考えまして、法律はもう少しこの点について補ってもらったらよかったなと実は考えているわけでございます。しかしながら、行政の面についても補う意思があれば補うことができるのではないか、私はこうした問題を提起しておきますが、監督官庁の大蔵省として、こういう問題についてひとつお考えがあれば承っておきたい。
○宮本政府委員 貸金業者の資本金の充実につきましては、先生おっしゃるとおりだと思います。 ただ、今回の法律によりましてこういう基準が設けられなかったのは、多分、不特定多数の者から預金を集めるという預金業務を扱っていない、いわゆる片一方だけの一方通行の金融業であったためではないかというように私は思うわけでございます。それは同時に、職業選択の自由といいますか、そういうものと法律による制限との兼ね合いの問題から、今回この基準が設けられなかったのではないだろうかと思うわけでございます。 ところで、法律にはないけれども行政でひとつ処置したらどうかという御提案、おっしゃることは非常によくわかるのでございますけれども、行政はやはりその法律を適正に執行するのが役割りでございます。したがいまして、今回この法律に定める要件にないものを基準にいたしまして、法律上の行為でありますところの登録事務を行うことはできないような状況でございます。ただ、おっしゃることは非常によくわかります。貸金業の資本金の充実等につきまして行政的にできることがあれば、今後できるだけそういう方向で考えてまいりたい、こう思う次第でございます。
○平林委員 もう一つは、ついでと言っては語弊がありますが、要請しておきます。 この法律の成立によりまして、貸金業者に対する所管庁が大蔵省または都道府県というふうなところで事実上行われることになるのではないか。その際、それぞれの指導監督の態様が不統一にならぬように注意をせねばならぬと思っております。政府におきましては、これについて十分配慮すべきであると考えるわけでありますが、これについてお答えをいただきたい。
○宮本政府委員 この点も先生御指摘のとおりでございまして、法の施行に当たりまして、所管庁の違いによりまして運用の実態が区々になることはまことにぐあいが悪いわけでございます。 たとえば信用組合の監督につきましても、実は都道府県に委任いたしておるわけでございますが、この場合も大蔵省と都道府県とが不統一が起こらないように、常時われわれの方から統一的な通達を発するとか、あるいは地方財務局と都道府県との間で密接な連絡をとるとか、あるいは共同で説明会を開催するとか、いろいろな方法をとっているわけでございますが、この貸金業に対する指導監督に当たりましても、大蔵省と都道府県との間で十分密接な連絡をとりながら、必要があれば私どもの方から統一的な通達も出す等、その不統一が起こらないように運営してまいりたいと思っております。
○平林委員 次に、私は、法第四十三条いわゆるみなし弁済の条件とその効果についましてお尋ねをいたしたいと思います。 貸金業の規制に関する法律案の第四十三条、これにつきましては、私は、貸金業の規制に関する法律案を成立させるためには、この問題の処理を避けて通ることができないという考えでございます。金利も高過ぎるから反対だ、四十三条もあるから反対だ。これらに対して反対だと言いながら規制法をつくれと言いましても、法の実効というのは期すことができない。今日までの議論の中で、たとえば貸金業の規制に関する法律案だけまとめて、おれは反対だからそれは除いてくれというような議論があったわけであります。 私たちも、一時は貸金業の規制だけの法律をつくって、そしてそれで現在のサラ金悲劇の発生を何とかなくしたいという人の期待にこたえたいと思ったことはございます。しかし、業務の規制に関する法律案をつくっても金利を一〇九・五%にほうっておいたら、何のことはありません、一〇九・五すれすれまでは営業できるのだというような法律でございましたら、規制に関する法律案なんというのは空文化するわけであります。私は、これは本質的な問題の解決にならぬと思っております。 もう一つの問題は、この四十三条の問題でございます。私は、サラ金の悲劇をなくしてその土壌を改良するには、実効のある規制法をまずまとめることが現実的である、こう考えておりまして、いろいろ考えました。四十三条絶対反対だとという議論があります。その議論は、先ほど来述べてまいりました理由がございますので、私は理解できないわけではございません。しかしながら、サラ金の悲劇が発生した後、最高裁の判決があるからおれはそれで救済してやる、これがないというと救済する道がふさがれる、サラ金悲劇者が訴える一番拠点になるものがなくなるという議論がございますが、発生したから後でそれを救うという考え方も、私は、これはまた一理あると思います。そこに弁護士さんの活躍する舞台があるわけであります。 しかしながら、そのサラ金の悲劇を発生しないような土壌をつくる方がもっと大切だと私は思うのです。発生してから、これは最高裁の判決があるからおれが救ってやる、こういう考え方もあり、私は、使命感に燃えた、サラ金悲劇解消に闘う人々に対して敬意を表します。でもその前に、サラ金の悲劇が発生する土壌、それを直す方が私は政治家の役割りだと思っております。その努力をしないで、ただ悲劇が出たら救ってやるという考え方で、四十三条をなくせという考え方だけで今日の悲劇はなくならぬ、私はこう思っております。すなわち、サラ金悲劇が発生をしないように最善の努力をして、そしてこの規制法を成立させることでそれをなくしていく方が先決ではないのか、私はこう思うのでありまして、四十三条の規定につきましては問題はあります、問題はありますが、それに条件を付するということで処理したらどうかと考えたわけであります。 つまり、契約書、受取証書を交付しない場合それから業務停止処分に違反した貸付、出資法の処罰金利違反の契約を結んだ場合は有効とみなさないということは、みなし弁済の四十三条の規定がございましても、実質的にはサラ金悲劇を防止する意味では九〇%以上の効果はあると私は考えております。これは判断の問題であります。判断でありますが、この四つの条件を付すれば、四十三条の規定はけしからぬというけれども、この条件があれば九〇%はカバーできるのではないか。名目は外したが実質は外してない、こういうことになりはしないかという、これは判断でございます。そういうことで相当数のサラ金悲劇は解消できるのではないか。そして、これらの条項に違反した場合は返還請求権は認められるわけであります。返還請求はできるのであります。 私は、サラ金悲劇の発生というのは、融資を受ける側におきましても、借りたものは返す、借りるときは返済能力を考えて借りる、金利が高ければ金利を考えて借りる、もう借りられるならどこからでも借りるといって、家族や親類や縁者の迷惑を考えない安易な借り方はしないようにすることも大事だと思っております。したがって、この法律で四十三条の規定がございましても、悪質な業者、つまりどんな法律をつくっても法の網をくぐるような強引な商法、これは、今次考えられました法定の条件のほかに、業務規制法に対する悪質な違反として十分対抗できるんじゃないのか。 この件は、私は素人でございますけれども、法務省側の見解を聞かなければなりません。私は、四つの条件で九〇%程度はカバーできるんじゃないかという判断、それから悪質な業者に対しましては業法違反ということで十分対抗できるというような意見、ある人は、この法律ができるともう返済の訴訟はできないんだなんという勘違いをなさっている人もございますが、そんなことはないという、この三つの点の問題を抜き出してみました。これについて法務省の見解を承ります。
○濱崎説明員 法務省民事局の立場からお答えさせていただきます。 いわゆるサラ金業者の悪質な行為に対する規制は、この法律案におきましては、主として監督官庁による取り締まり規制それから刑事罰の適用に期待するところが大きいというふうに考えているわけでございますけれども、民事的にも、この法案の四十三条によるいわゆるグレーゾーンの適用は、貸金業者が先生御指摘のような一定の規制を遵守した場合に限って四十三条の規定が適用されるという形になってございますので、これによりまして、間接的にこれらの規制の遵守が確保されるという効果があるのではなかろうかというふうに考えております。
○平林委員 私は、貸金業の規制に関する法律案あるいは出資法の改正案につきましていろいろ勉強する機会を得ました。それで、わが国だけに限らず、アメリカあるいは諸外国ではどういうふうになっているかということも検討してみたわけでございます。 時間の関係もありますから、アメリカの例を申し上げますと、アメリカにおきましても、消費者金融に関する法整備については相当の年月を要しております。一八〇〇年代の後半から一九〇〇年の初頭におきまして、アメリカでも、ローンシャーク、貸し金ザメと言うんだそうですけれども、こういう状態が起こりまして、超高金利の場合には年三〇〇%から五〇〇%がざらだった時代がございました。アメリカではわめき屋というのがありまして、借りた家に行って返さないと言うとわめいて大騒ぎさせるわめき屋、こう言うんだそうでありますけれども、こういうわめき屋と称する集金人の過酷な取り立てが問題になりまして、一九一六年になって統一小口金融法ができ上がり、上限金利はそのとき年四二%、最大貸付額は三百ドル、政府監督官の定期調査や広告規制、契約書の交付などをもとにいたしまして、やがて一九六八年に消費者信用保証法が成立をしたようであります。そして一九七四年になりまして、一八%以上の金利で行う業者は州の免許を要するという統一消費者信用法というものができまして、大体最近に至っておる。 このことから考えましても、貸金業の規制に関する法律案に類似したこれらの問題は、各国におきましても長年月を要しながら漸次前進をさせていったという歴史があるようでございます。 法務省に聞きたいことは、その後アメリカでは、一九七九年の十月になりまして改正破産法というものがまとまりまして、破産宣告が非常に簡単にできるようになったわけでございます。たとえば、正味財産が三万ドルを欠けるというような事態になる場合には無担保負債をすべて免除する、自己の財産が確保できるようにするために改正破産法が成立いたしまして、簡単に自己破産ができるようになりました。一九八一年のこれの利用者は四十五万人でございます。非常に多数でございます。 日本ではそんなことはないのかというと、そうではありません。日本でも、破産法を活用いたしましてサラ金被害者を救っている例は、大阪の弁護士会のサラ金問題対策協議会等で積極的に活用しようといたしておりますが、まだ二けた台のようでございます。東京地方では、まだこの方式は余り活用されておらないようでございますが、とにかくアメリカではこういう法律があって、かなりの人がこれを利用しておる。私は、これが必ずしも正しいとは思いません。借りておいて初めから借り倒すというようなことが横行いたしましたならば、これは問題でございます。しかしながら、本当に、家族は崩壊し、そして自殺をし、一家心中をしなければならぬというようなときに、最後の頼みの綱としてこういうことを活用するということは、私は、悲惨な悲劇を行うよりはベターである、こう考えるわけでございます。 私の言いたいことは、法律第四十三条のみなし弁済を非常に問題にし、これを中心に物を考えておられる方もありますけれども、私は、四つの条件で悪徳業者からの救済はできるという判断をいたしております。業者に著しく違反があれば、それを理由に対抗できると考えております。 なお、アメリカのような、それでもだめな場合には破産法のような活用はどうなのだろうか。アメリカだけではない、大阪でもやっておるが、積極的にこれが活用することも道があるのではないか。したがって、法四十三条だけを例にとりまして、こんな法律はない方がいいなんという議論がはやっておりますけれども、これは私は、現実を見ない議論でないのか、こう考えておるわけであります。 いろいろ意見を述べましたが、法務省に聞きたいことは、こういうような破産法というのがあるけれども、こんなときに適用できると思うがいかん、こういうことであります。
○濱崎説明員 御指摘のとおり、結果的にどうしようもなくなったという場合に破産という制度が用意されているわけでございます。御指摘のアメリカの破産法の改正について、私詳細には存じておりませんけれども、今次の改正において、差し押さえ禁止財産の範囲を広げるとか、あるいは破産者に対して自後社会的に不利益な取り扱いがされることがないようにという趣旨の改正も盛り込まれているというふうに伺っております。 わが国の破産法におきましても、債務者から申し立てる破産、いわゆる自己破産の制度が認められているわけでございますので、これによっていわゆる消費者破産についても十分対応し得る法制度になっている。御指摘のような場合には、この自己破産の申し立てをすることができますし、それによって十分対応できるという制度になっているというふうに理解いたしております。 御指摘のように、弁護士会等を中心にいたしまして、そういう被害者の救済のために破産という方法を利用するということが行われているようでございます。大阪だけではなくて、各地でもそういう形の自己破産の申し立てというのが、正確に数字を把握しているわけではございませんけれども、次第にふえつつあるというふうに伺っておりますし、現在の破産法によって、そういう場合の救済に不適切である、具体的に手直しをしなければならない問題があるというふうにも伺っておりません。そういうことでございますので、現在の破産制度によって相当の救済がされるというふうに理解いたしております。
○平林委員 以上、私は、条件つきの四十三条でございますが、その条件は自主的な返還請求権をすべて奪うものではないし、いわんや弱者を救済せんとして下されました最高裁の判決の趣旨を否定するものではない、これと対立する考えではないということは意見の中でも申し述べてまいりました。いわんや貸金業の規制は、サラ金の悲劇を解消するために利用者の立場からの発想でございまして、これは消費者の悲願である、被害者救済のためである、こういうふうに考えておるわけでございまして、いまのいろいろな手段を講じながらも、悲劇を解消するためにその土壌を直していきたい、こう思っておるわけでございます。 ただ私は、このほかにも、サラ金悲劇を解消するためには実は貸金業界の協会がありますが、この協会の問題について少し触れておきたいと思うのです。 現在の貸金業者の組織する団体に対して社会的な批判がないわけではございません。私どもはかつて、貸金業者の自主規制の助長に関する法律案によりまして、団体の適正な活動の促進を期待をいたし、業界の自主的な活動によって消費者や利用者の利益を図ろうという試みはしたのでありますけれども、必ずしも成功したとは思っておりません。今日、貸金業者が十九万も超えておりますが、庶民金融業協会の加入状況はその六・八%、実際に営業していると思われる業者に対しましても一〇%を超える程度の影響力でございますから、なかなかその全般に及ばないということは、これを認めるわけでありますけれども、この法律が施行いたしますれば登録が実施されます。私は、登録業者は十九万の半数程度以下になっていくのではないかと推定をいたしておるわけでございます。同時に、新しい登録、加入、業務範囲の拡大が行われることになりますから、庶民金融団体の体質というものが変わってくると思います。その再編成によりまして機能も違ってくる、業界のモラルも前進をするのではないか、私はこれを期待いたしておるわけでございます。 こういう傾向になりますれば、利用者の立場から見ましてよい環境になります。サラ金悲劇の解消には、私は幾分役立つだろうと思います。しかし私としては、協会の組織率を高める、一〇%しかないような組織率ではやはりアウトサイドをたくさん残すことになります。そこで、貸金業者のモラルを高め、サラ金悲劇をなくすための自浄作用に役立つように、つまりサラ金悲劇の土壌を改善させる方向に向かわせるためにも、この協会の組織率を高めるということは大切なことだと思っております。この件に関しまして、直接監督指導なさる大蔵省についても注文をしておきたいのでありますけれども、御見解はいかがでございましょうか。
○宮本政府委員 金融業界におきます協会の持つ意味というのは大変高いと私どもも思っております。サラ金業界だけじゃなくて、それぞれ金融を業としております業界が協会を持ちまして、その中でいまおっしゃられました自浄努力といいますか自浄作用といいますか、いろいろな社会的な機能を果たしているわけでございまして、この協会の持つ意味というものは大変大きいと思います。 特に、御指摘のサラ金業界におきまして、この協会の運営いかんによってこの業界の将来が決まると言っても過言ではないような気がいたすわけでございます。そういう意味におきまして、できるだけ協会の組織率を高める。おのずから、これも御指摘のとおりでございますが、いろいろサラ金業者の質も向上してまいるでございましょうし、またスーパーとか信販とか大手資本の新規参入等もあるわけでございますので、当然のことながら組織率は高まり、協会の持つ機能の発揮が大いに期待されるわけでございますが、私ども行政といたしましても、いまおっしゃられましたような、この協会の機能を十分活用できるように、この協会自体をりっぱなものにすると同時に組織率も高めていくというふうなことで、都道府県等にもいろいろと連絡をとりながら努力してまいりたい、こう思う次第でございます。
○平林委員 最後の質問でございますが、本法の実施時期につきまして伺いたいと思います。 サラ金による暴利、暴力事犯は依然として後を絶たず、また、この法律がまとまるまでに数年を要しておりますことから見まして、私は、なるべく早い時期に本法の施行ができますように、政府においても精力的に準備を進めてほしいと思っておるわけでございます。つきましては、現在の準備体制はどうなっておるのか、私の希望はかなえていただけますか、この点についてのお尋ねをしておきたいと思います。
○宮本政府委員 法律案におきましては、法の施行は公布後一年以内の政令で定める日、こういうふうになっておるわけでございますが、われわれといたしましても、本法の目的にかんがみまして、また社会的な大変強い要請等にもかんがみまして、法律が成立いたしました暁には、施行のために必要な政令、省令、通達等の制定などにできる限り努力いたしまして、その所要の準備を最大限迅速に進めるように努めてまいりたいと思っておるわけでございまして、できれば新年度早々には間に合わせたいというふうなことでございます。
○平林委員 これで私の質問は終わりますが、私は、今日のサラ金悲劇の発生の中に、政府の政策の足らなかったことも大変大きな要因の一つになっておると思うのでございます。政府だけでなくて、わが国の金融業界におきましても、消費者に対するところの金融という分野がとかく置き去りにされまして、企業金融中心に行われてきたということが問題の一つに挙げられると思うのでございます。 この間、日本の消費者信用統計を調べてみますと、貸金業者といわゆる銀行の消費者ローンとの対比を見ますと、もはや今日では、庶民金融の分野は貸金業者の方が半数を超えるという事態になっておるのでございます。都市銀行を初め市中金融機関は七十兆円という預金量を持っておりますが、消費者金融に割く割合というものは微々たるものでございます。これが今日の必要に迫られた、サラ金利用者が数百万いるという事態になったのでございまして、こうした面についての反省を政府においてもして対応してほしいと考えております。 なお、サラ金業者の数でございますが、アメリカあたりは、人口が二億を超えておりますが、こうした業者は約千五百人しかおりません。日本は人口一億で貸金業者が十九万人。これは異常でございます。私は、こういうことが今回の登録によりまして整理淘汰されていったならば、またおのずから違う展開があり得るだろう。 五年後のわが国の金融環境を考えましたならば、私は、いままでのように企業金融だけで過ぎるという金融政策というものは、だんだんに消費者金融も含めた分野に移行していかなければ、金融機関はもたぬと思っております。したがって、五年後の消費者金融というのは、わが国の金融政策のあるいは中央に座るのじゃないかとさえ私は思っております。いま議論しております法律案は、そういう時代に向かっての出発点であります。したがって、出発点でありますだけに、まだまだ法に対しましては欠陥があるし、補いたい点がございます。しかし、一歩前進させることによって、なお、これを補正するという態度を持ち、将来に備えるという考え方は私はより必要だと考えるわけでございまして、一日も早い成立をこいねがってやまない次第でございます。 以上、多少意見を述べましたけれども、私の質問をこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○森委員長 簑輪幸代君。
○簑輪委員 私は、質問に先立って一言申し上げたいと思います。 まず最初に、きょうの法案審議のあり方についてです。この二つの法案は、数々の重大な問題点を持ち、ことに最高裁の判例を否定するような内容を持つという意味で、広範で非常に深刻な影響を及ぼすものです。ところが、この法案に対しては、いわゆる慎重審議ということではなく、わずか一時間半で終わらせてしまおうということはとうてい納得できないと私は思います。 前回、五月七日の質問の際に、私は委員長にもいろいろなお願いを申し上げました。あのとき、参考人として出ておられた業者の方々に対して、金利に関して業者の実態を明らかにするために、所得税の確定申告書あるいは貸借対照表、損益計算書などの提出を求めましたところ、業者の方は、大蔵委員会の御要請があれば考えさせていただきたいというふうに、それにこたえる態度を示しているわけですが、それに対する要求はされないまま今日を迎えております。 また、前回の質問の際に最後にも申し上げましたように、この法案は、何はともあれサラ金被害に遭った被害者の方々の切実な声、これを十分踏まえた上での審議をされることが何より肝心なことだと私は思うわけです。被害者の声あるいは被害者の救済に携わってこられた弁護士、学者、その他の方々の数々の運動を踏まえた上で今日に立ち至っていることを思えば、このような被害者、学者、弁護士の方々の声を十分聞くという機会を設けていただかなければならなかったはずだと私は思います。本日、日弁連の白上先生が参考人としてお越しいただいておりますけれども、私は、さらに被害者の声なども含めて一層審議を進めることを希望していきたいと思います。 サラ金問題というのが社会的に大きな問題になって、世論の厳しい批判にさらされるということになってから久しいわけですけれども、そうした中で、被害者や弁護士、学者、労働者の皆さん方が、その救済のための手だてをとるために、法案の提出やあるいは意見など消費者サイドに立った具体的な提案を数々行ってこられました。実践に基づいた切実な被害の実態に基づいたこうした提案に十分耳を傾け、そして、それに立法府としてどうこたえていくのかというようなことをやらなければならないと思うわけです。特に日弁連の方からは、このサラ金問題に関する法案に対して詳細な検討がされ、逐条的にいろんな問題点も指摘されております。そうした中で、四十三条問題について言うならば、最高裁判所の判例を否定するというような重大な問題が含まれておりますので、ぜひともこの点に関する一層の審議を深める必要があるわけです。 私は、こうした中で、サラ金の悲劇がなくなるためにとして出されてきたこの法案が、サラ金の悲劇を一層拡大し、解決することができないようなことになってしまっては、大変な事態を招くのではないかというような不安を感じて問題を指摘するわけです。そうした中で、私は問題点を指摘しながら御質問させていただきたいと思っております。 最初に白上先生にお尋ねいたします。 日弁連としては、全国各地のサラ金被害者からの切実な相談を受けながら、その解決に当たってこられたわけですけれども、そうした相談の実情から見て、最近の特徴を幾つか述べていただきたいと思います。
○白上参考人 このサラ金の問題につきましては、日弁連は早くから被害者救済のための検討を続けてきたところでございます。 昭和五十三年の七月十五日に小口金融業法案、現在の貸金業法のもととなる案を作成しまして発表しております。さらにその後、五十四年九月十四日に自民党法案に対する見解も発表しております。その後も鋭意サラ金被害の救済のための対策を続けてきたわけでございますが、本年四月二十四日、全国都道府県サラ金対策シンポジウムを開催いたしました。この大会の資料に資するために、金利の引き下げ等の指導啓蒙、その結果等がいかなる状況であるかということについて、各都道府県からアンケートを求めたわけでございます。そうしましたところ、五十三年から五十六年三月ごろにかけまして金利の引き下げを、七三%にしたというふうに思われる四県についての例を調べましたところ、その県のサラ金被害の相談件数は減るどころか漸次上昇しつつあるという状況でございます。そういたしますと、七三%の金利などというのはもうすでに時代おくれであるというふうに思っております。
○簑輪委員 実際に相談に携わっておられる中から、七三%という金利ではとても新たな規制というのにはほど遠いというお話のように承ったわけでございますけれども、相談者自身はそういう中でふえている傾向があるというお答えでございますけれども、そうしますと、今回の規制法案のもとで、サラ金被害の解消ということについて一定の効果があるというふうにお考えでしょうか。
○白上参考人 今回の法案につきましては、貸金業法四十三条の存在することが一番問題であるというふうに考えております。この四十三条は、利息制限法を超過する部分についても有効な利息弁済として認めようというわけでございます。 ところで、御承知のように、明治十年に太政官布告で利息制限法が制定されております。その太政官布告の立法理由は「暴利をむさぼるの弊を禁圧するにある」というふうに、かつての大審院判例もはっきり言っております。「暴利をむさぼるの弊を禁圧するにある」、こういうことでございます。その当時の利息は最高一割五分、最低一割ということでございます。それから戦後の動乱期を経まして、昭和二十九年に利息制限法が廃止され、新たな利息制限法ができたわけでございますが、これは、過去判例上問題とされた点を整理した以外に、利息の上限を少し上げたというわけでございます。それは一割五分から最高二割までに上げたということでございます。 つまり、明治十年から戦後の動乱期を経ましても、昭和三十年時代では少なくともその程度の利幅以上は暴利となるというふうな考え方であったと思うのであります。したがいまして、後日の最高裁判例が制限超過利息の支払いをどういうふうに考えるかというふうな場合に、制限超過利息は元本の充当とみなし、あるいは不当利得返還請求ができるというふうな判断を下した理由はそこにあるわけでございます。 したがいまして、現在の利息制限法は、やはり国民にとっての暴利という観念からながめられなければならないというふうに考えるわけでございます。その点が今回の貸金業法案で果たして真剣に考えられたかどうか。ただ経済の変動があるからというだけで変えてしまう、あるいは台なしにしてしまうということは非常に問題であるというふうに考えておる次第でございます。
○簑輪委員 今回の改正の中で四十二条が重大な問題であるという御指摘ですけれども、先ほどの平林議員の質疑をお聞きになっていたと思いますけれども、そのときに、四十三条で四つの条件を付しているのだから、これによって九〇%の問題は解決できるのだというふうな御意見が述べられておりましたけれども、これに対してはどのようにお考えでしょうか。
○白上参考人 先ほどの私の答弁に尽きると思いますが、さきの四条件を備えているからといって、基本の経過措置の利息七三%を含め最後の目的である四〇%の間の利息を取るということは、やはり国民全般から見て暴利行為であるというふうに考える次第でございます。
○簑輪委員 先ほどの質疑の中で、この四十三条、最高裁判例との関連において、最高裁判例を残して守っていくというようなことは、悲劇が出たら救ってやるという弁護士の方の考え方のように御指摘があったわけですけれども、悲劇が出たら救ってやるということではなく、悲劇を未然に防止するという立場から見て、この四十三条問題がどうかという点についてはいかがでしょうか。
○白上参考人 この問題は、利息制限法があるからそれで救ってやるというふうな考え方ではございませんで、やはり国民道義に根差した観点から救うということでございますので、便宜的な手法というふうな点は全然考えておりません。
○簑輪委員 日弁連としては、この四十三条についての基本的お考えをいまお聞かせいただいたわけですけれども、四十二条に関連して、その他任意性の問題についても御指摘をいただいておりますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○白上参考人 この点につきましては、最高裁の大法廷判決が出るまでは非常に問題とされていたわけでございますが、今度の貸金業法四十三条にも任意の支払いという文句が出てくるわけでございます。この任意の支払いというのは、法律的に考えますと、強制手段によらない支払いということを意味するものと思われますが、早朝深夜執拗な取り立てを行う、あるいは脅迫、恐喝まがいの厳しい取り立てを行うというふうな場合にも任意の支払いと言えるかどうか、これは非常に問題であるというふうに考えます。 また、利息制限法の存在を知らずに支払った超過利息は一体どうなるんだろうかというような問題もございます。また、元金と利息を区別せずに支払った場合に借り主の返済は一体任意の支払いに当たるんだろうかどうだろうかというふうな問題がございます。 これらの問題が、この四十三条が施行されることによって新たに大きな紛争となって振り返ってくるであろう、こういうふうに考えております。
○簑輪委員 提案者にお尋ねします。 いままで、日弁連の方からの四十三条にかかわる重大な問題点の指摘がございましたけれども、提案者の方としては、こうした批判に対してどのように受けとめ、どのようなお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
○大原(一)議員 お答えいたします。 やっと質問が回ってきたのでありますが、日弁連からのいろいろの御要請、私も実は白上先生ともお会いをして、いろいろ議論をいたしました。 今回の法律は、非常に問題の多い、社会問題となっているサラ金問題をいま少しその問題が起こる背後にある原因のものを直していかなければならない、いまのまま野放しにしておったのでは、これからも次から次に問題の生起は絶えないだろう。そこで、現在のような野放し状態よりも、一〇九%という高額金利であるよりも、漸進的にこれを引き下げていくことが必要であろうということを考えたわけであります。 そこで、共産党さんを除く各党の御相談をいただいた結果、将来は四〇%へ行くことを目途にいたしますということでございますから、四〇%になればグレーゾーンはなくなるわけでございます。そういう意味で紛争もなくなるわけでございまして、共産党さんの言われるように、一気に四〇%に持っていけと言われましても、現在、平林先生の御説明にもありましたように、実際は七五、六%、高いのは八〇%というところでやっているわけでございますから、その状況の中で漸進的にそれを四〇に近づけるということでございますから、私としては、これらのいわゆるサラ金問題の起きる要因を排除するための手だてがこの法案によってできたのではないかというふうに一つは考えます。 第二のグレーゾーンの問題でございますけれども、その過程において最高金利と四〇%の間ではいわゆる問題が起きます。問題が起きますが、先ほども御指摘がありましたように、六項目、五項目については、これは任意ゾーンを認めませんというような規定が入っているわけでございまして、やはりいままで駆け込み寺はありましたけれども、まるきり駆け込み寺をなくしてしまったわけではないわけであります。 その問題が一つと、いまも御指摘になりましたような任意性の問題ですね。これはこの法案においても依然として残っておるわけでございますので、任意とは何ぞやという議論になりますと、この法案では解決できていないわけでありますので、裁判の問題は依然として残る、私はこのように考えております。
○簑輪委員 金利を引き下げるということについて、被害者からの強い要求もあり、規制法案が必要だということも当然のことでございますが、それから自動的に最高裁判例を外すということが出てくるとは必ずしも言えないわけですね。そういう中で、批判が高まり、法律の専門家であり問題の解決に従事してきた日弁連からこれほど厳しい批判が出されているということは、やはり耳を傾けなければならないのではないかと思うわけです。 それから、任意性の問題について、いまこの法案では言っていないというお話がございましたけれども、ただいま参考人の方からお話がありましたような早朝深夜の執拗な取り立て、脅迫、恐喝まがいの厳しい取り立て、そういうものによって支払われた場合に、任意の支払いと言えるものだろうかというようなことについては、これはきわめて明らかではないでしょうか。いかがでしょう。
○大原(一)議員 法律の専門家の簑輪さんに私から申し上げるのもどうかと思うのですが、いまのところ、利息制限法に任意と書いてございますが、ここに書かれた任意も利息制限法の任意と同じ意味だと思います。それを一応参考までに申し上げますが、一般に任意とは、詐欺、錯誤、脅迫が認められず、かつ強制執行によって強制的に弁済に充てられた場合を除くなどと解される。これは通説になっております。 そこで、いま簑輪さんのおっしゃいました脅迫までに至らないか至るかという議論等々は、これはあくまでも裁判によって解決する余地が残されているわけでございますので、この法律で全部その問題を払拭してしまったという性格のものではありません。私はそう考えております。
○簑輪委員 法律の解釈の問題と事実認定の問題とをごっちゃにしてはいけないと思うのですね。 こういう明白なものについては任意の支払いとは言えない。ただし、それに当たるかどうかという事実認定に関しては、裁判において認定されるということになろうかと私は思うのです。そこのところをすべてあいまいにしてしまって裁判所任せというのでは、これは何のために立法するのかわからないというふうに指摘せざるを得ないと私は思うわけです。そういうことで、この問題点につきましても、まだまだ問題が残っているということを指摘しておきたいというふうに思います。 それから、今回、金利の引き下げということが言われておりながらも、なおかつきわめて高利が残るわけでございまして、そういう状態の中で、この法案ができることによって今日まで以上にかえって行き詰まる人がふえてきて、本当に解決を求めておられる人たちの期待にこたえられない、解決にならないのではないかということを心配されるわけですが、専門家で担当しておられる白上先生にも、その辺の見通しについてお聞かせいただきたい。
○白上参考人 いまの質問につきましては、これからは被害者がますますふえ、その被害金額がますます増大するということで、実際の救済手段はほとんどなくなってしまうであろうというふうに考えております。
○簑輪委員 そういう大変重大な不安、心配が表明されたわけですけれども、その辺で、今後そういう事態が起こってきた場合にどのように救済をし、被害者の利益を守っていくかという点について、どんな手だてを日弁連としてはお考えでしょうか。
○白上参考人 ただいまの言葉に尽きておりますが、恐らく手段はなくなるであろうというふうに考えております。
○簑輪委員 そうしますと、私どもはサラ金のこれまでの被害の実態から見て、追い詰められた場合には、ひどい場合には夜逃げ、自殺、そして相談をやっと行った結果破産に至るというような事態をいやというほど聞かされてきたわけです。 そういう点で言えば、日弁連が利息制限法違反の金利問題について最高裁判例を活用しながら解決に当たってきた、そういうことの道が閉ざされてしまう。そして借り主の救済方法としては、今後そういう不安のもとで自殺、夜逃げ、破産というようなことに追い込まれていくという懸念は、どうしても払拭されないわけだと思うのです。 本当にサラ金被害をなくしていきたいということで法案を出されるということならば、その被害者が望む全面的な解決ではないにしても、前進面を評価しなければならないはずですが、その被害者の団体からも、このような法案については反対だと明確に意見が述べられております。貸金業規制法の四十三条の問題だけではなくて、そのほか施行期日の問題なども含めまして反対ということが述べられている。そういうふうになるはずがないじゃありませんか。本当に被害者の救済のためにということならば、被害者の方がこれに賛同する法律案になってこなければならないはずだと私は思うわけです。 今日、救援、救済活動に携わってこられた弁護士や学者の皆さんの厳しい批判がいまなお残り、いままでお聞きした範囲でも、不安は全くなくなっていないというふうに言わざるを得ません。提案者の方からの御説明も形式的に過ぎ、真に被害者の苦しい本当に切実な声を体現したものだというふうには思われません。 そうした中で、新聞報道でもこの法案についていろいろ論じているわけですが、業者に甘いというような指摘もされております。そういう点では、被害者が賛成するのではなく業者の方が賛成するというようなことであれば、これは被害者保護法案ではなく業者保護法案というふうに批判されてしまうものではないかというふうに私は思うわけです。そういう点で、日弁連からも指摘されております問題点を十分解明しないまま成立させるということになれば、重大な禍根を残すものであるというふうに厳しく指摘せざるを得ません。 そこで、日弁連の方から出されておりますこの問題の指摘は、四十三条のみにとどまらず、各条文にわたっておりますけれども、特に日弁連の方から、この四十三条以外にも強く指摘しておきたいという問題点があれば、お述べいただきたいと思います。
○白上参考人 貸金業法における業務規制の点を非常に強化していただく、それから監督の方もしっかりしていただくということが必要であろうというふうに思います。
○簑輪委員 今後の法案の運用に当たって重大な問題点を解明するという点におきましては、まだまだ質疑が不十分だと私は言わざるを得ないと思うのです。今後の予想される重大な懸念を何としても払拭しなければならないという点で、私どもは共産党案として本日提案しておりますわけですけれども、この法案こそが、被害者が真に求めている被害の救済に資するものであるということで、私といたしましては、ぜひこのような抜本的な救済策を講じるよう強く求めて、質問を終わりたいと思います。
○森委員長 これにて大原一三君外五名提出の貸金業の規制等に関する法律案及び出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律案の両案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○森委員長 ただいま質疑を終了いたしました両案について、これより討論を行います。 討論の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤茂君。
○伊藤(茂)委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております貸金業の規制等に関する法律案並びに出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律案について、賛成の討論を行います。 両法案に賛成する第一の理由は、重大な社会問題となって相次いでいるサラ金悲劇に一日も早く終止符を打つために効果ある対策と考えるからであります。サラリーマン金融を利用して借金をした市民が、その返済に追われ、社会的常識を超えた過酷な取り立てに迫られて、自殺や一家離散などに至る悲惨な事例が発生しております。しかも、このような事態に対する効果的な立法の必要性が叫ばれながら長い期間がすでに経過し、もはやこれ以上法的措置の実現をおくらせることはできないのであります。 わが党は、今日まで、このような悲惨な社会問題を絶対に放置できないとの立場から、独自に貸金業規制法案と出資法改正案を国会に提出し、五年にわたって各党と協議を続け、その成立のために努力を続けてまいりました。私たちの主張が、サラ金問題が大きな社会問題となった原因と背景を取り除くために、超高金利をなくし、安易な開業を認めず、業者の厳しい取り立てや暴力行為などを防止し、業務と金利の両面から法的規制を図ることにあったことは言うまでもありません。 今回、数年にわたる論争と話し合いを経て、関係各党、関係者の皆さんの御努力によって本法案に至ったのでありますが、わが党は、一貫して効果的な立法措置の実現のために努力し続けてきた経過の上に、いま可能にして効果的な対応を現実のものとすることが、国民に対する政治の責任であると考えるのであります。今日の現実の諸条件を無視して理想のみを追求し、結果的には法案を成立させず、サラ金悲劇を野放しのままにすることはもはや許されないというのがわが党の考えであります。 この法案に賛成する第二の理由は、これによって、今日まで指摘されてきたさまざまの業務規制が初めて現実のものとなるからであります。貸金業法に規定された資金需要者保護の目的規定、厳格な登録制度、監督規定、さらに過剰貸し付けの禁止や取り立て行為の規制を含む諸業務規制によって、厳しい世論の批判を浴びている過酷な取り立てや過剰な貸し付けが抑えられることは確実であり、サラ金問題の解決に大きな一歩を踏み出すことができると確信するのであります。 特に、わが党が強く主張してきた点でありますが、処罰金利を本則で四〇・〇〇四%に規定したことは評価されるものであります。また、いわゆるグレーゾーンの取り扱いについても、私たちの主張を反映して、契約書面や受取証書を交付しないときなど四項目に該当する場合は、みなし弁済の規制は適用しないことといたしております。本則で規定された四〇・〇〇四%への移行について、五年を経過した日以降速やかにとしておりますが、わが党は、六年後の経済金融情勢を展望するとき、そのときの個人金融、庶民金融はいつまでも五四・七五%の筒金利を許さず、本則への移行を展望し得ると判断しているのであります。 これらの内容について、今日までの経過に見られるサラ金業界の強い反対運動を含めて考えれば、私は確実な一歩前進と考えるのでありまして、制限金利が利息制限法より高過ぎると批判し、せっかくの法案をつぶせば、超高金利一〇九・五%を放任する結果になると考えるのであります。 以上が本法案に賛成する理由でありますが、本法案の成立をもって、サラ金問題をめぐるすべての問題が解決したことにはならないのでありまして、この法案の目的を十分達成するためには、関係省庁の精力的な対応が必要であり、また業界の自発的な浄化、社会的責任の自覚、庶民金融協会の正しい指導育成が大切であることは言うまでもありません。また、できるだけ低金利に誘導する金融政策や利用者への啓蒙活動も必要であります。 これらの点について、政府及び関係諸団体の積極的対応を要望するとともに、わが党は、今後の消費者金融の正しいあり方を求め、その実現に今後とも積極的に努力することを表明し、私の討論を終わります。(拍手)
○森委員長 鳥居一雄君。
○鳥居委員 私は、公明党・国民会議を代表し、ただいま議題となりました自民党、新自運二党が共同して提出した貸金業の規制等に関する法律案及び出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律案に対し、賛成の討論を行います。 昭和四十年代半ば以降、貸金業、中でも消費者向け金融を中心とするいわゆるサラ金は著しい増加を示してまいりました。それに伴って、サラ金をめぐり債務者との間に紛争が激増し、大きな社会問題となってきたのであります。 サラ金で特に問題となるのは、年率一〇〇%にも達するほどの高金利と過剰貸し付け及び返済不能の場合の度を超した厳しい取り立て行為等であります。サラ金におけるこうした問題に対し、現行法では、高金利の問題あるいはサラ金業者の資格の問題、業務内容の規制、行政監督の権限などといった健全な消費者金融として必要な規定がほとんどなく、全く野放し状態に置かれているのであります。 このため、公明党・国民会議としては、昭和五十二年五月、登録制、書面の交付義務、営業の停止等から成る貸金業法案と、上限金利一〇九・五%を三六・五%に引き下げること等を内容とする出資等取締法の一部改正案をいち早く国会に提出し、サラ金規制の必要性、緊急性を明確にしたのであります。 〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕 その後五十四年には、五十二年提出の同法案を内容をさらに充実整備して再提出をしてまいりました。この間、サラ金規制法成立を求める国民の声は高まり、各党においてもおおむね同趣旨の法案の提出がなされました。 サラ金規制の立法については、これまで三度各党間で立法の機運が高まりながら合意を見るに至らず、今国会に至ったのであります。前国会まで合意に至らなかった主な原因は、出資等取締法の刑罰金利の上限をどこまで引き下げるか、また、利息制限法を超えるいわゆるグレーゾーン金利の返還請求を認めるか否かということに関してでありました。 今度の自民党、新自連二党共同の提出法案は、公明党がこれまで提出してきた条項とほぼ同じ内容でありますが、ただ、金利の引き下げ幅とグレーゾーン金利のみなし弁済規定の取り扱いに関しては、全面的に賛成しかねるのであります。 しかしながら、金利水準に不満があるとしても、大手スーパー、金融機関などによる相次ぐ低金利を武器とした新規参入が行われている現状から、金利は今後一段と低下傾向をたどるものと見ることができることも事実であります。また、グレーゾーン金利については、旧自民党案では任意の支払いの場合は一切返還請求ができなくなっておりましたが、二党案では、契約書面、受取証書の不交付等の場合は利息の返還請求を認めるなど、一歩前進していると認めることができるのであります。 ともかくサラ金に関しては、現在も依然として著しい高金利、過剰な貸し付け、常識を超えた厳しい取り立て等が横行し、金融や法律の知識に疎い利用者が苦しんでいる状態をこれ以上放置できないのであります。金利等の面では、ある程度の不満は残る内容ではありますが、まず本法案の成立、施行こそ、サラ金利用者の悲劇を少しでも食いとめるため、庶民のための健全な消費者金融を育成する第一歩であるとの認識に立ち、今後さらに充実したものにするため、よりよき改正へ向かって努力したいと考え、二党共同提案の二案に賛成するものであります。 以上で終わります。(拍手)
○中西(啓)委員長代理 玉置一弥君。
○玉置委員 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました貸金業の規制等に関する法律案及び出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律案につきまして、賛成の討論を行います。 近年、一部の貸金業者の悪質な業務運営がいわゆるサラ金問題として大きな社会問題となっており、わが党も、この問題の解決のための抜本的な立法措置が必要であると主張し、その実現のために努力してまいりました。またわれわれは、多くの勤労者が、実質所得の伸びが低迷している中で緊急の生活資金を調達するためにサラ金に頼らざるを得ない状況を深刻に受けとめ、早期の立法措置が必要であると考えてまいりました。そして、一部悪質業者の行為に苦しんでいる勤労者を救済し、今後そのような事態が起こることを防ぐためには、理想に走った非現実的な論議を避け、各党が合意し得る現実的な立法措置を早急にとるように主張してまいりました。 他方、行政当局は、金利を下げるかわりにグレーゾーンをなくするという現実的提案については、最高裁判例の変更はできぬという理由で、また貸金業者についての業法による規制は行政責任が負い切れぬという理由で、消極的な対応を繰り返してまいりました。 こういった状況の中で、このたびここに議員提案として貸金業法と出資法の改正案とが議題となり、採決を迎えるに至ったことは、サラ金問題に苦しむ国民にとって一歩前進であり、わが党は賛成の立場をとるものであります。 ただし、今回の貸金業法は、二県以上にまたがる業者の登録業務を大蔵大臣の管轄としているが、このことが、わが党が主張している財務局等地方出先機関の廃止という行政改革の推進に逆行するものとならぬよう強く要望するものであります。 両法案がサラ金問題解決のために適切に運用されることを期待しつつ、私の賛成討論を終わります。(拍手)
○中西(啓)委員長代理 正森成二君。
○正森委員 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となっております自由民主党、新自由クラブ・民主連合共同提出に係る貸金業の規制等に関する法律案、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。 わが党が自民、新自運共同提出の法案に反対する理由は、本法案が悪質サラ金の被害に悩む庶民の利益を守り保護するのではなく、むしろサラ金業者の利益を擁護する立場の法案になっているからであります。 その問題点の第一は、サラ金利用者など国民の願いに反して、出資法制限金利を当面七三%までしか下げず、三年経過しても五四%、しかも法案に明記されている四〇%になるのは、法施行後「五年を経過した日以降において、資金需給の状況その他の経済・金融情勢、貸金業者の業務の実態等を勘案して検討を加え、速やかに定めるものとする。」というもので、一体いつになったら実施されるのか全くわからないことであります。 〔中西(啓)委員長代理退席、委員長着席〕 これでは、法文の上では四〇%を掲げながら、そこに到達するのはいつのことか全く不明ということであり、まさにことわざに言う羊頭を掲げて狗肉を売るものにほかなりません。わが党がこのような法案に賛成できないのは当然であります。 七三%、五四%の経過期間を置くまでもなく、直ちに最高金利を四〇%に引き下げることは十分に可能であります。現に、三年前に提出された自民党案によっても、施行後は七三%、その三年後の今日時点では五四・七五%とされております。わが党も四〇%を早期に実施すべきであるという立場から法案を提出したわけであります。 反対する第二の理由は、このように庶民の願いに反した高い金利を維持しながら七三%の金利になると同時に、これまで高金利に悩むサラ金被害者の救済の手だてとなっていた最高裁判例、すなわち、利息制限法に違反しその制限を超えた利息の支払いを無効とし返還請求を認めた判例の適用除外とすることを明記している点であります。 現在、多くのサラ金業者が七〇%前後の金利で貸し付け、しかも、そこで多くの事件が起こっていることを考えると、このような条項は、サラ金被害者及びその利益を守る弁護士等から闘う武器を奪い、被害者の利益を擁護し得なくすることは明白であり、とうてい認めることはできません。 また、この貸金業法案第四十三条は、三権分立の精神に基づき、最高裁判所が長年にわたって築き上げてきた判例を立法によって変更しようというものであって、立法府としてとるべき態度であるかどうか、著しく問題であるにとどまらず、さらに具体的事件となった場合に、最高裁判所によって再び無効とされる懸念すら十分に存在するのであります。かくては、立法府の権威そのものにもかかわるものと言わざるを得ません。これが、わが党が本法案を断じて容認しがたい第二の理由であります。 第三に、サラ金業者の問題であります。 調査によれば、近時サラ金業界の扱う貸出資金星、貸出額は大幅に伸び、その業者数は本法案の成立を見越して激増しております。そして、中小企業、庶民金融を扱うものとして出発した相互銀行が融資額一万円当たり五十九円の経常利益しか上げていないのに反して、武富士、プロミスなど大手サラ金業者はその二十倍程度、中には二十六・五倍の千五百六十六円もの利益を上げているのであります。これは、いかにサラ金業者が暴利をむさぼっており、したがってまた、上限金利を引き下げても十分に経営が成り立ち得ることを示していると言わなければなりません。 いま問題とされるべきは、これらの業者の一部の金利の制限を下げれば経営が成り立たなくなるなどということを口実にサラ金業者の要望を入れることではなく、庶民の消費生活に必要な金融の正常なルートを確立することであり、サラ金業者が安易に資金を借り入れ、それを高利に運用して、なおかつ利益を上げて成長を続けることを助長することではありません。 しかるに本法案は、庶民の願いは踏みにじり、事実上サラ金業者には甘く、その利益を守る法案となっております。業務規制の問題でも、貸し付けの限度や期間についての規制がなく、取り立てでは、単に「人を威迫し又はその私生活若しくは業務の平穏を害するような言動により、その者を困惑させてはならない。」とされているにとどまり、サラ金業者のさまざまな嫌がらせなどを規制する保証とは必ずしもなり得ないものになっているのであります。さらに、契約証や受領証の交付などという営業の初歩ともいうべき手続だけを守れば最高裁判例の適用から外すというに至っては、実質的に何ら庶民の保護にならず、国民を欺くものと言わざるを得ません。 最後に、それゆえこの法案については、日本弁護士連合会を代表して参考人もその発言の中で深く憂慮して反対の意見を述べ、また弁護士、学者、労働組合、被害者団体で組織している全国サラ金対策協議会を初め多くの方々がこぞって反対しております。わが党は、これら庶民、良識ある人々の声を強く支持し、本法案に断固として反対する意見を表明して、私の討論を終わります。(拍手)
○森委員長 これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○森委員長 これより採決いたします。 まず、大原一三君外五名提出の貸金業の規制等に関する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○森委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。次に、大原一三君外五名提出の出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○森委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。 —————————————
○森委員長 ただいま議決いたしました両案に対し、それぞれ粕谷茂君外四名より、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新自由クラブ・民主連合五派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。沢田広君。
○沢田委員 ただいま議題となりました両附帯決議案につきまして、提出者を代表して、提案の趣旨を簡単に御説明申し上げます。 顧みますると、貸金業に対する規制関係法案につきましては、昭和五十四年の第八十七回国会に各党から法律案が提出されて以来、三回の審査未了、二回の継続審査を経て今日に至ったわけであります。その間、三年有余にわたり、各党間において折衝を重ねた結果、大方の合意に達し、ただいま当委員会において可決された次第であります。この間における各党の御努力と御理解に対しまして、深く敬意を表するものであります。 申し上げるまでもなく、ただいま可決されました二つの法律案につきましては、いまだ不十分であるとの意見も一部にあることも承知いたしておりますが、多くの借り主の悲惨な事故の頻発も後を絶たず、貸金業の業務の運営をめぐる社会的諸問題を考慮いたしますと、現実的な対応策としては、現段階における最善のものと確信いたしているものであります。 しかしながら、今後、貸金業の業務の適正な運営を確保し、資金需要者等の利益の保護を図ることとする法の目的を十分に達成するためには、これらの法律の執行に当たり、適切な運用を図ることが必要であると考えている次第であります。 両附帯決議案は、このような見地から、これらの法律が施行されました際に、特に政府において留意すべき点を取りまとめたものでありまして、以下順次、案文を朗読いたしまして内容の説明にかえさせていただきます。 貸金業の規制等に関する法律案に対する附帯決議(案) 一 資金需要者の利益の保護及び貸金業界の健全な育成を図るため、貸金業協会の健全な発展の指導に努めるとともに、業界の信用保持の立場から、協会に加入していない貸金業者に対する指導、監督についても万全を期すること。 二 貸金業者が弁済能力のない債務者に対して、他の貸金業者から金銭を借り入れてその金銭をもつて自己の債務を弁済することを強要することのないよう指導を徹底すること。 三 貸金業者は、相手方の住所、氏名等が真実であることを確認した後でなければ、金銭の貸付けの契約を締結しないよう努めさせること。 ………………………………… 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 附則第四項の検討を加えた結果、附則第三項の「別に法律で定める日」を速やかに定めることが困難と認められる場合には、附則第三項の規定による金利を引き続き上限とするか、又はこれを下回る金利を上限とする経過措置の制定等を含め、適切な措置を講ずること。 以上であります。 何とぞ御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
○森委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○森委員長 起立多数。よって、両案に対しそれぞれ附帯決議を付することに決しました。 両附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。山崎大蔵政務次官。
○山崎(武)政府委員 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。(拍手) —————————————
○森委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○森委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
○森委員長 この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。 理事小泉純一郎君から、理事を辞任いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○森委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次に、理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。 ただいまの小泉純一郎君の理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○森委員長 御異議なしと認めます。 それでは、理事に中村正三郎君を指名いたします。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時十七分散会 ————◇—————