大蔵委員会 第10号
- 発言数
- 113 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1982/03/18
会議録
○森委員長 これより会議を開きます。 国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、これを許します。平林剛君。
○平林委員 おはようございます。 きのうに引き続きまして質疑を行いたいと思いますが、きょうは、税金の応能負担原則の問題についてお尋ねをしようと思っております。 日本国の憲法第十四条に「すべて國民は、法の下に平等であって、人種、信條、性別、社會的身分又は門地により、政治的、経済的又は社會的關係において、差別されない。」法のもとの平等がうたわれておるわけでありますが、この法的意味は、税金の分野で言えば各人の能力に応じて負担をするという応能負担原則を意味する。これは、私の意見というよりは、日大教授の税法学の権威である北野弘久先生の学説でございます。応能負担の原則というのは、単に租税政策上の原則だけではなくて、憲法上の原則でもある。この応能負担の原則は、常に、課税物件の量的な担税力だけではなくて、質的な担税力も考慮するものでなくてはならない、こういうことでありまして、非常に私は現在の税制においての一つの問題点を指摘しておると思うのであります。 これに対しまして、はなはだ愚問で恐縮でございますけれども、次の三つのうちから、どれが一番担税力が高いかということを答えてもらいたいと思うのです。一つ、資産所得、つまり利子とか配当、不動産の所得。二、事業所得。三、勤労所得。どういうことになりますか、主税局長からお答えいただきたいと思います。
○福田(幸)政府委員 余りにも基本的で、ちょっと僭越ながら申し上げますが、憲法との関連では、法のもとの平等ということがあると同時に、税については租税法律主義及び納税義務の明確化、これが憲法にあるということでありましょう。 それで、平等主義から担税力が議論される、その論理は、私よくいますぐのみ込めませんが、むしろ租税法律主義がいままでの民主革命から来た租税の原則であろうと思います。ですから、どういう租税をお決めになるかという国会至上主義、これがやはり基本にあるということであります。 それで、次に平等というのは、これはあくまであらゆる場合に基本的な考え方でしょうが、その平等の前提にどういう担税力を求めるかという御質問であろうと思います。そのうち資産性所得、それから事業所得、勤労所得でございますが、すべて所得である。所得課税という前提でいけば、あらゆる所得は所得として課税される。所得平等の原則、バック イズ バックといいますか、一ドルは一ドルであるという原則が正しいので、どの所得が担税力ありというよりも、所得は所得として平等に扱うということ、それが累進課税の前提を満たすわけで、どの所得が担税力ありということよりも、同じ所得として扱うということが正しいと思います。 いまのは所得課税だけについての議論でありますが、所得以外の課税標準については、また同じく平等ということはございましょうが、いずれにしろ、担税力というものを応能に求めるか応益に求めるかという議論は別途ございますが、いまの御質問については、所得は所得であるということで考えるべきものであろうと思います。
○平林委員 私の愚問に対しましての回答としてはバツ、全く外れています。 私は、常識的に考えると、この三つの所得の中で担税力が高いものはやはり資産所得だ。次に事業所得、三番目に勤労所得。どうも現実には資産の所得を中心に高額所得層ほど実質税負担がかかっておる、これが私は一般の国民の常識的な答えではないのかと思っております。 固定資産税の税制でもそうであります。たとえば土地の所有者の実態あるいは所有をしている目的、所有の面積など、いわば所得の実態というものを全く考慮しないで、画一的に課税標準税率を規定をしておる。これも北野先生の指摘ですけれども、私は全く同感であります。やはり質的な担税力を考慮して、憲法の趣旨である応能負担の原則を具体化するためには、固定資産税の税制についても検討すべきではないか。たとえば標準税率一・四%となっておりますけれども、これは昭和三十年からそのままであります。これでは庶民の住宅地などの固定資産税額はどんどん上がってしまう、私はこういう実態ではないだろうかと思います。 それで、不動産業者の持っている土地だとかあるいは企業の遊休土地など、これは投機的な財産でありますが、こういうものに対しては高率負担の税金をかけていいのではないのか。そして、生存権的な個人の財産、住宅などにつきましては低率の負担の固定資産税でいいのではないのか。私はそれがむしろ平等なんだ。確かに住宅用地の課税標準には特例というものがございまして、二分の一とか四分の一とかいうふうに特例はありますけれども、応能負担の原則に従って土地税制を考えるというようなことは、これは私は、今後の住宅政策の上においても非常に大切な政策ではないかなと思っています。今回政府の方で提案をされた土地政策も一つございましょうが、固定資産税に見られるような考え方、私の申し上げておる応能負担の原則に従って固定資産税の問題などについても再検討すべきではないかと思うのでありますが、これはいかがでございましょうか。
○湯浅説明員 固定資産税の関係につきまして御答弁申し上げますが、現行の固定資産税の考え方としましては、固定資産自体の有する資産価値に着目いたしまして、その資産を所有することに担税力を見出して、その資産価値に応じまして課税をするという、いわば物税的な考え方をとっております。そして、この固定資産と市町村の行政サービスとの間に一定の受益関係があるということから、いわゆる応能というよりも応益の原則をむしろ強く打ち出した税というふうに私ども理解をしているわけでございます。したがいまして、現実にその土地から生じている土地の収益が多いか少ないかとか、あるいは資産の所有者が法人か個人かとかというような区分とか、あるいは課税標準が大きいか小さいかというようなことによりまして税負担に差を設けるということは、現行の固定資産税の考え方から申しますとややむずかしい問題があるのではないかというふうに考えるわけでございます。 ただ、ただいま御指摘のとおり、現在の制度の中におきましても、住宅政策上の配慮から、住宅用地につきましては一般的に評価額の二分の一の課税をする、あるいは二百平米以下の小規模の住宅用地につきましては価格の四分の一とするというような特例を講じまして、結果的には、一般の土地と宅地用地との間に税負担の差を設けているということもございますし、また固定資産税は、御案内のとおり、土地、家屋のほかに償却資産、いわゆる機械設備につきましても課税をしているわけでございますが、これは当然のことながら、この償却資産につきましては、事業の用に供する資産に限りまして課税の対象にしているということでございまして、現行の固定資産税の制度のもとにおきましても、収益を上げている事業資産と個人の一般資産との間には、そういう形での税負担の相違が出てきているというのが実態でございます。
○平林委員 大蔵大臣、私はいま、現在の税法の解説を聞いているんじゃないのです。そんなことは承知の上で質問しているのです。ただ、いまの税法の解釈が、いま説明をされたことだけでは、現在の税制には私が申し上げたような主張がどうも考えられていないと思うのであって、こういうことに対してどう考えるかということを聞いておるわけなんです。
○福田(幸)政府委員 大臣がお答えする前に、ちょっと整理を私なりにいたしますと、応益課税というのと応能課税という問題。応能課税のところで平等原則をおっしゃったと思うのですが、その場合、資産性、事業所得、勤労、どれが一番応能というか負担力があるかというところで、資産性のものがあるだろうという御指摘で、それはそれで御主張はわかりますが、その際、所得は同じだと私申し上げているわけで、その所得の計算過程で、資産性所得は利子所得でありましたら引くものはない、そのまま不労所得として全額が総合課税されるべきだという議論がこのポイントです。その次、事業所得は経費を引くという形でそこの担税力が所得という形に算出されるということであります。勤労所得は給与所得控除という形で、体一つで働くというところのもろさといいますか弱さを調整する、これは経費論もありますし、体の償却論ということもあります。 担税力の比較論もまたありますが、そういうことで、はじかれた所得としては所得である。その過程においてはいろいろな経費とか控除があるということで、これは応能原則だと思いますが、応益原則は、これはまた別途の観点の話でございまして、特に地方税において不動産関係が応益課税が基本になっている。これが地方税の各国共通の考え方で、そこは資産が所在するということで資産に着目して、応益という観点から、固定資産税中心の安定財源が地方にある。そのときには応益でありますので、応能的な考え方は本来なじまない。しかし、そこは、調整できる範囲ではできるだけ自治省が言っているようなこともやりますが、原則はやはり資産価値に着目する応益課税であるというふうに二つが割り切れて、その応益的なところに応能を入れるには限界があるということではなかろうかと思います。
○平林委員 むずかしい話だから次の問題に移りますが、いまの一般の国民の税金に対する考え方の中には、ただいま御説明のあったようなものでない考え方がありますので、私は、そうしたことについても取り入れていくべきだと思っておりますが、きょうは主張だけ申し上げておきたい。 そういう意味では、大企業の法人税等も比例税的であっていい、いまの比例税的であるということは、それ自体が応能原則に反する、こういう見解もあると私は思うのです。だから、そういう意味では、大企業の法人税についてもやはり累進税化することが必要だというのが私の主張であります。 たとえば、資本金一億円を超える法人の実効税率は、大蔵省の予算委員会に提出した資料を見ますと、法人税の四二%と配当分の表面税率の三二%を合算して三四・八二%になる。事業税でも、表面税率一二%が一〇・七一という状態であります。ですから、社会党は、この間、段階的に累進税率の採用を提唱いたしまして、年所得一億円以下の金額は現行どおり四二%でいいが、一億円を超え十億円以下は四四%にして、十億円を超えるものについては四六%にしたらどうか、こういう提案をしておりますことは御承知のとおりであります。 ただ、政府の中では、累進税率の考え方というのは自然人について言えるけれども、法人にはなじまないというような解釈をとっておるようでございますが、私は、応能負担原則の立場から考えたら余り説得力がないのではないかと思うのでありますが、これにつきましても、ひとつ政府の見解を聞かしてもらいたい。
○福田(幸)政府委員 先ほどからの応能原則の延長の御議論としての法人累進課税の御質問だろうと思いますが、応能と申しますのは、これは従来から申しますように、個人の能力という問題が基本であろうと思います。課税の原則は、個人が払うというのが最終のところの負担でありますので、個人が所得で払うか個人が消費で払うかというのが基本的で、法人自体に固有の担税力を認め、それに累進をかけるというのは性格的になじまない気がいたします。やはり能力というのは個人の能力というところにポイントがあろうかということを繰り返して申し上げざるを得ないわけです。 したがって、法人に累進と申しましても、資本金の大きな法人がそれに相応した所得を得た場合に、所得の絶対額が大きいことを理由に高い税率を適用するということは、同じ十億円の所得でも、資本金十億円の法人と資本金百億円の法人とでは意味合いが全く異なるわけであります。したがいまして、累進税率を適用するとしますと、資本金利益率を基準とするしかないと思われますけれども、そうしますと、一般的に言って中小企業の方が資本金利益率が大きいので、中小企業の負担が高くなるというふうなこともまた考えられる。そういうことで、この辺は、資本金との関係で所得を考えていきますと、累進というものをどういうふうに考えるかということで疑問が出てくるわけです。 先ほど、実効税負担が上の方で低いというのは、配当軽課等の影響があると思いますが、これは政策というか、配当を促進するというような政策があれば、その政策の結果として出てきておるものでありますから、政策をどう判断するかということであろうと思います。外国で累進的なものがありますが、むしろ考え方は中小企業軽課という累退的な考えで、考え方の基本は法人はやはり比例税率である、そしてそれが受取配当という個人のところで分解されるべきで、法人固有の課税をいたしますと、その負担は商品に転嫁するなり賃金を圧迫するなり、いろんな形で前転後転するわけでありますから、やはり基本は個人が能力に応じて課税を受ける、これが所得税の方の応能、消費税でしたら応益という関係、地方税でしたら応益というふうになっていく種類のものでありまして、応能的に法人に累進というのは本質的に問題があろうかと思います。
○平林委員 きょうは、私は、これは対立する意見なんだから、そこから結論を求めようと思いませんけれども、とにかくこういう考えがあるということは今後ひとつ検討してほしいという意味で申し上げておるわけであります。したがって、もう一つ重ねて言いますが、だから、私は、応能原則に反するものは、これはすべて不公平税制であるという考え方をとるべきだと思っております。 たとえば、赤字法人でありましても設備投資をする。これは、税金は赤字法人ですから払わないのだけれども、しかし、設備投資をできる力があるということは、それはいまいろいろな税法上の理論はあるかもしれませんけれども、隠れた応能負担の能力があるというふうに見るのが正しいのじゃないか。そういう意味では、私もちょっと二、三の業種の赤字法人の実態を調べてもらいましたけれども、赤字経営でありながら固定資産税はどんどんふえている、確実にふえているという実態にぶつかるわけであります。私は、企業の担税能力には見えない能力があるのだ、所得が赤字だったとしても、しかし実際の能力は隠れている、だから、所得が赤字だということだけでその能力をとらえることはできないのじゃないかというような感じをしておるわけであります。 それで、お手元に資本階級別の一億円以上の欠損法人についての実態をちょっとまとめてみたのでありますけれども、百四十万二千六十の法人のうち、四七・六%に当たる六十六万七千八百三十八の法人が欠損法人でありまして、いわば税法上で言えば税金を納めなくてもいいということになっておるわけでありますが、いま申し上げました趣旨からいきますと、隠れたるところの応能負担能力があるということを私は指摘したいと思いまして、まとめてみたわけであります。 たとえば、赤字法人でありましても役員賞与を払っておる。そして支払いの配当もある。最近、赤字だからこういうことはおかしいという議論が臨調や行革ではやっていますけれども、法人に関しましては役員賞与も払い、支払い配当もできる。しかし欠損法人である。貸し倒れ引当金だとか退職引当金などの租税特別措置はたっぷり活用しておる。そして利益が消えて赤字法人となる、法人税は負担しない。寄附金の方を見ると、寄附金は一人前に出して、交際費はたっぷり使う。租税特別措置だけが不公平税制ではない、こういうふうに思うのでありますが、この一覧表を見てどういうお感じをお持ちになりますか。主税局長は理屈を言うからいけないので、大蔵大臣は感じをひとつ言ってもらいたい。
○福田(幸)政府委員 まず理屈をということではございませんが、ちょっとこの表をいま見ただけですが、この欠損法人は、これは税法上の欠損法人だということのようでございます。したがって、役員賞与、支払い配当は、これは取り崩して配当なり賞与を払ったというふうに読む数字でございましょうか。といいますのは、もともと欠損法人でしたら支払いはできませんから。 あとの貸し倒れと退給、価変、この辺、貸し倒れと退給は引当金でございますから、貸し倒れは評価性、退給は債務性で、企業会計上はこれは正しい。ただし、引き当ての繰入率が正当かということ。したがって、貸し倒れは今回是正をいたしていますし、退給は検討を今後続けるわけで、そういう率の問題はございますが、制度は正しいのですから、赤字法人といえども正当な企業会計をやる。それが赤字になるということであっても、企業会計は正しいものとして考えていい。価格変動準備金は、これは政策税制でありますので、今回、一般の商品のものについてはこれを廃止いたしています。価格変動に対しては、後入れ先出し、低価法等の評価方法が完備されてきた現在、必要ないという方針でこれは圧縮の過程でありますが、一般の商品はこれを直ちにやめるということで措置したのが今回の内容に入っています。その他の価格変動の著しいもの、国際商品でありますが、これについては、経過措置を持っておるということで、これも対応しておる。 寄附金は、やはり企業がそこに存在して活動する以上、必要なものは必要なものとして形式的に出す。その内容がいいかどうかの問題で、寄附金というものが、地域活動さらに企業関係として必要なものであれば損金性はあっていい。交際費も同じ性格でありまして、応益の問題で考えましたら、むしろ企業としては応能の面があると同時にまた応益の問題があるわけで、この辺の、赤字法人といえども企業活動をしておる、そういう意味で赤字法人といえども社会的ないろいろな保護を受ける、流通が確保されておる、治安がいい、地域の利益を受けておるという意味で赤字法人が存在して活動しておることについてどう判断するかという問題は、むしろ応能よりも応益的な観点からの問題指摘になっていこうかと思います。 そういう意味で、赤字法人の問題、いま半分ぐらいが赤字法人でございますが、赤字原因が、一生懸命仕事をやったけれども景気が悪いから赤字であるという問題もあります。しかし、いろいろな経理操作で赤字になっている、所得を分割しておるとか、赤字関連費用を落としておるとか、交際費を意味もなくフルに使っているとか、そういうことで利益を出さないでおいて、個人所得の方は余裕があるという問題については、また別途の検討が要ると思います。いずれにいたしましても、応能というよりも応益的な観点というのは、むしろ赤字法人の検討の見方としては一つの参考となろうと思います。
○渡辺国務大臣 どういう感じかというんですが、なかなかむずかしい話でございます。 言わんとするところは、赤字法人といってもピンからキリまでございます。十年間もうかってきたけれども、ある年突然赤字になった。しかし、それは赤字と言っても一円でも赤字は赤字ですから、結局、莫大な積立金を持ち、利益準備金も持っておっても赤字法人は法人税は払わぬでもよろしい、そういうのは、どうもしかし常識的に納得できないじゃないか。やはりかなりの企業活動をやっているならば、法人税は少しも払わぬというのじゃなくて、正味財産を対象にするとか資本金を対象にしてとか、何か応分のものを多少出してもいいのじゃないか、私もそのような気が昔からしているのですよ。だけれども、これは理屈がいろいろありまして、どういうふうに理屈づけをするのか。また、それを理屈が合うように分類すると非常にややこしくなってしまうという問題等もあるでしょう。 いずれにしても、これは確かに一つの問題であることは間違いない。中には、当然もう債務超過で、減資したってとても減資じゃ負い切れないほどの赤字法人がいっぱい中にもあるわけですから、そういうのまで取るのか。しかし、固定資産税のようなものは払っている。ですから、そこらの分類をどうするか。これは新しい提案でございますから、こういうときですから、それは検討課題にしたい、私も勉強してみたいと思っています。
○平林委員 常識論として幾らかピントが合ったようなお答えをいただいたのですが、私はむずかしい理屈を言っているのじゃないのですよ。現行法の解説を求めているわけじゃなくて、いまのように税金の問題について国民はいろいろな関心を持っているのですが、何となく納得できないものがあるもので、それはどこにあるかということを問題提起しているだけなんですよ。法律解釈だとか理屈なんというのは何回も聞いているからわかっているのです。 ちょっとピントが合ってきたから、もう一度大蔵大臣に常識論として聞きたいことがある。私が質問するとすぐ自治省が答えるから、あれはだめ。大臣に答えてもらいたい。 それは法人住民税についても言えるのじゃないですか。法人の住民税というのは法人税割と均等割の二つがありまして、標準税率がございます。私は、これは再検討したらいいと思っている。法人住民税とは一体何だと言えば、地方公共団体の区域内で事業活動を行う法人が、地方公共団体の諸施設から受ける利益に対してこれに応じた負担をする。さっきむずかしいことで応益とか応能とかと言ったけれども、まさしく受ける利益に対して負担をするというたてまえになっているわけですね。しかし、実際問題としては、資本金が一億円以上十億円の法人でありましても、年間どのくらいの負担をしているかというと、道府県民税が二万円だ、それから市町村民税が二万四千円でありますから、月に直しますと三千六百円だけしか負担していない。もし個人でこれだけの負担をするとすれば、年収大体三百万かそこらの階層の人なのであります。ところが、資本金が一億円以上十億円までであってもこの程度の負担しかしない。だけれども、地方におきましては、消防署が、火事になって自動車を走らせても、おまえのところは一億円以上十億円だが負担金は月にたった三千六百円だから、こっちの方は余り行かないよ、個人の方は大事にするなんて区別したことはないですよ。みんな同じなんだ、法人であろうとも個人であろうとも。あるいはまた警察の警備だって、やはり個人の家だって法人のところだって同じようにやっているわけですね。 ですから、応益という面においては法人も個人もないのですよ。ところが、こういう状態になっておる。特に欠損法人になると法人税割は一銭も払わないということになるのですね。一銭も払わなくていい。そうすると、たとえ十億円以上だろうと百億円だろうと、これは階層によって違いますけれども、法律論のたてまえじゃない、とにかく常識から見てちょっと問題があるのじゃないかと私は思うのであります。だから、私は、こういう意味から考えまして、均等割というような標準税率を再検討したらいいのじゃないかと思うのでありますけれども、ひとつ常識論として答えてください。
○渡辺国務大臣 常識論で言えば、これはマルが一つ間違っているのじゃないかというくらいの感じですね。
○平林委員 マルが……。ちょっとわからない。どういうわけですか。
○渡辺国務大臣 常識論で言えば、一千万円以下の法人は二千円ということだけれども、マルが一つ足りないのじゃないかというのが常識論。そんな感じですよ。法律論は私はわかりませんから。
○平林委員 もっとふやしてもいいというわけですね。私もそう思うな。いろいろな法人がピンからキリまである。しかし、これは実は五十一年、五十二年、五十三年、それぞれ是正して、あるときは十倍にまで上げたのですけれども、どうも税収は余り上がらない。大して上がらない。 そういうところから見て、マルを一けたくらいにしただけではどうもだめだ。堀さんがよく主張しておる、こういう趣旨からいけば、法人は赤字黒字にとらわれず別個な形でもう少し取ってもいいのじゃないのかというのが意見としてございましたが、法人住民税の均等割だけ見ると、昭和五十一年に百六十二億円だったのが、いま言ったように少し倍率でふやしても二百七十二億円で、百億円くらいしかふえないし、現在は四百七十億円で、さっき言いました十倍にふやしたところがあるけれども、資本金の少ないところはそのままにしたり余り上げなかったものですから、大して税収は上がらないのでありますけれども、しかし、地方財政が苦しい苦しいと言いながら、こういう面についてはわりあいと緩慢な対応しかしてない。そのくせ法人住民税に対するところの税収に対しましては、昭和五十六年度の非課税措置による減収額はどのくらいあるかというと、国税の租税特別措置による地方税の減収見込み額は、道府県民税で七百四億円、市町村民税で九百九十三億円。まける方はずいぶんはでにまけるんですね。 私は、そういう意味では、法人と個人との比較の上において、応益を受ける分においては非常に片手落ちだ、こういうことを総合的に見直して考えたらどうか、こう思うのです。これは、租税特別措置法で地方税までが国のはね返りを受けているのはおかしいという意味も含めてですよ。ですから、マルが一つ違うのだというもう一つの常識論をひとつお答えいただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 御趣旨は、特別措置のはね返りが地方税にも及んで、地方税で多くの減税効果をもたらしているという御趣旨だと思います。 そのことについては、私は論評はちょっとできないのですけれども、本来的に法人税割が非常に少ないということは言えるのじゃないか。どんな雰細企業でもやたらにみんな法人になってしまうということのよしあしの問題があって、これは所得の税率区分に問題があるのだろうと思うのです。税率区分はいずれにしても一遍見直さなければ、むしろ弊害が多く出てくるのじゃないか。そういうような全体的な見直しを私は一遍する必要があると思っております。
○平林委員 もう時間も大分たちましたから、最後に、租税特別措置法の改正案につきまして幾つかの問題点をお尋ねしてまいりたいと思います。時間いっぱいになったら途中でやめますけれども、いろいろ聞きたいことが山ほどありますので、ちょっと紋切り型になるかもしれませんが、お尋ねをいたします。 第一は、貸し倒れ引当金の積み増しの停止をせよ、こういう主張であります。税務統計から見た法人企業の実態によりますと、五十四年の期末残高は三兆三千二百二十一億円、五十五年は三兆四千四十四億円でありまして、この制度を利用した法人の割合は三五・四%であります。 資本階級別に見ますと、資本金の規模が大きくなるにつれて高くなっておりまして、特に金融保険業の貸し倒れ引当金、これは法定の繰入率を昭和四十七年以降累次引き下げてまいりましたけれども、その貸し倒れの実績率は、税務資料のサンプル調査によってもわずかに〇・一%である。 私は、そういう意味から、この際、金融保険業の貸し倒れ引当金を含めまして、引当金の積み増しを当分の間停止したらどうかということを提唱しました。大蔵大臣よく言っておりますように、財政再建のめどである昭和五十九年まで、五十七年、五十八年、五十九年、せめて積み増しを停止しただけでも六百数十億円の財源が生まれてくるわけであります。ただ、政府はこれをやりませんでした。私は、実際に貸し倒れになっていないのに貸し倒れ損として損金にしてしまうというのは、利益の留保金になっているというふうに思うのでありまして、金融機関などは十分担保をつけておるわけでありますから、貸し倒れ引当金としてなお引き当てるということは本当に必要かどうかという疑問を持っておるわけであります。つまり、租税特別措置という既得権にあぐらをかいている。だから、せめて財政再建の期間、積み増し停止という措置をとるべきだと私は言ったのでありますが、これはとらなかった。これはなぜとらなかったのか。
○福田(幸)政府委員 これは引当金でございまして、特別措置法ではないのは御承知のとおりであります。したがって、これは評価性の引当金で、貸付金がどれだけの評価として確実なものとして経理上処理するかということですから、引当金の性格は評価性の、会計上正しいものでありますが、率がどうかというので、実際の貸し倒れ率との比較で考えなければいけませんが、法定繰入率との開きを、現行でいきますと大体実績の三倍前後、こうなっております。それを見まして、過大繰り入れであるのはやはりいけません。しかし、実績に合わせたらこの制度の意味はなくなりますので、そこはどこまで直すかということで、この積み増し停止をやりますよりは——今回やりましたのは二年間にわたって二割カットしますから、これはむしろ積み増し停止よりも強力なカットであります。これは、めり込ませるわけです。したがって、積み増し停止よりも強力な手段を二年間続けます。したがって、増収額も初年度九百五十という大きな数字になります。そういうことでございます。
○平林委員 それにかわるべきものとしてのお話でありますが、私は、貸し倒れ引当金というのは租税特別措置とは違う、不公平税制でないという考え方はやはり納得できない。引き続き、この問題については今回の改正でも不満足であるということを表明しておきたいと思います。 二番目、退職給与引当金の積み増し、これにつきましても、私は三年間停止をすべきであるという主張をしたのであります。五十四年の退職給与引当金の期末残高は六兆八千四百三十二億、五十五年は七兆千三百五十二億円であります。これで、五十三年から五十四年までで五千五百六十一億円の積み増し増加、五十四年から五十五年までは、やや引っ込みましたが、二千九百二十億円の積み増し増加になっております。 ところが、この制度を利用した法人の割合はわずかに七・八%にすぎません。たとえば新日本製鉄とか三菱重工の実例を申し上げますと、新日本製鉄の場合には、期末残高が千二百九十一億円、当期の増加額が二百八十五億三千四百万円、目的の使用額は一三・八%であります。三菱重工を例にとりますと、期末残高が一千億円、当期の増加額は百七十七億円、この期間の目的使用額は一四・二%。明らかに過当な引当金の積み立てになっていると私は思います。 中小企業の方は、退職給与引当金の積み立てはむしろ奨励してもいいんじゃないかと私は思いますが、現状では、この制度を利用した法人の割合は七・八%ということから見まして、一般の中小企業はこういうものを積み立てる余裕はないというのが実態じゃないのかと思うのであります。 つまり、退職金の支払い額に対しましても引き当て残額が過大であるということ、それから退職給与を引き当てたといいましても、その支払いのお金をちゃんと保全されているかというと、そうじゃない。こういうことから見て基本的な検討が必要であるというのが、私の昨年来から主張してきたことであります。今回若干の措置をとりましたけれども、この批判は免れないと私は思うのでありますが、この際、こうしたことに対しましても、たとえば積み増しの停止をやるとか、あわせて考えてみたらどうか、こう思うのですが、これについてもお答えをいただきたい。
○福田(幸)政府委員 御指摘の点を踏まえまして検討中でありまして、年金との関連もまた新たな今後の、長期的には重要な問題、また、被用者から見てそれがプラスかという問題もやはり考えませんと、企業側の制度だけではございませんので、労働者という立場から見てこの制度がいいか悪いかという問題、それは年金とまた絡みます。いまのような過大であるかどうかという問題、それから支払い保全の問題も当然問題点であります。いずれにしましても、これは債務性引当金ですから、それをどういうふうに現在の価格に換算するか、年数とか利息率という技術的な問題もありますの で、総合的に検討いたします。 積み増し停止を御提案でございます。これも検討はいたしましたが、五十五年度改正で五〇%を四〇%に引き下げております。その過程でありますので、積み増し停止をいたしましても増収はほとんど僅少であるということで、その積み増し停止のやり方では増収という問題になりません。むしろ、率をどう考えるかという問題として、今後とも全体の立場で検討を続けさしてもらいたいと思います。
○平林委員 この問題は、定年延長というような制度が始まりまして勤続年数も長期化をするということになっていますし、高齢化社会のもとにおきましては、最近は退職金を年金で払うというようなことから見まして、情勢の変化が非常に見られる。大体、全員が退職するんだという前提に立って、そのうちの五〇とか四〇%というような率というのを定めていることがむしろ問題だと思うのでありまして、やはり今後、退職給与引当金の制度については新しい発想に立って検討すべきだと思うので、いま主税局長がお話しになったことで私もいいと思いますけれども、これはもう一回、はっきりする意味で大蔵大臣からもお答えをいただいておきたいと思います。
○渡辺国務大臣 私もかねて大体同じような主張を持っておりまして、もともとそういう負債性のものなら、じゃ労働組合にそれに見合ったものを名義書きかえしておくとか、それから担保を仮登記しちゃうとかいうのはわかるのですよ。前には、四分の一だけが別途預金をつくれ、それは担保に入れてもいかぬし、使ってもいかぬという制度で発足したわけですから、それはそういうところが緩んじゃって、それで積み増し額だけ多くなって実際は繰入率は少ない、これはやはり高度経済成長時代に金が余って仕方がないときの惰性で来ているわけですから、こういう時世になれば、もともとなかった制度なんだから抜本的に見直すのはあたりまえじゃないか、私はそう思っています。
○平林委員 第三は、賞与引当金の積み増し、これも私は停止したらいいと主張しておるわけであります。 賞与引当金は、五十四年の期末残高で三兆三百七十八億、その利用の割合は一四・八%であります。この二、三年の増加額は、五十一年から五十二年で二千三百五十七億円、五十二年から五十三年で二千九百九十七億円、五十三年から五十四年にかけては二千二百六十一億円、いずれも資本金の大きい企業にとって有利な制度になっておりまして、これを利用することによって特別減税を受けているのじゃないか、私はそういう結果になっていると思うのであります。これは利潤の資本の蓄積化でありまして、応能負担の原則から考えてみても公平を欠いておると思います。したがって、当分の間積み増しを停止すれば一千億円の減税は確保できる。せめてこれも、私は、財政再建の基準年次を目標にいたしまして、積み増し停止の措置を併用すべきだと思いますが、これについても御見解を承りたいと思います。
○福田(幸)政府委員 御指摘ではありますが、この賞与引当金はいままでの引当金とはまた違ったもので、当期の勤務期間に対応する賞与のうちで、その支払いが決算日より後になる部分について、その前一年の実績を限度として積み立てるということでございますので、翌期中には必ずこれは取り崩されるという性格であります。したがって、積み増し停止というものにはなじまない性格のものでございます。 もう少し申し上げますと、使用人に対する賞与というのは配当と同様な利益分配ではないわけで、むしろ勤務の対価である、こう考えられております。したがって、賞与の実際の支払いが翌期になるものであっても、当期の収益獲得に寄与したその勤務に対応する分は当期の費用という会計上の考え方でありまして、そういう意味の一種の未払い人件費であるわけです。繰り入れ限度額は前一年の実績を基礎として計算するとともに、翌期中において必ず取り崩して支払われるものでございまして、三月期でしたら六月賞与支払い、こういうことになりますので、実績に比して過大であるというような問題もない、合理的な制度で、これはちょっと別であろうかと思います。
○平林委員 私の問題提起とあなたの答弁を後で活字で見まして、またもう一回やりましょう。きょうはそんなに時間の余裕がありませんから、それぞれの質疑応答で、あとはさらに検討をするということにしたいと思います。 第四は、価格変動準備金、これは廃止せよ。価格変動準備金は、五十四年の期末残高で七千四百七十六億円。この制度を利用した法人の割合は二〇・五%。しかも、一億円以上の資本階級別で見ますと、百億円以上の法人が二四%で、千八百六十五億円。つまり、この制度は、棚卸し資産の価格の低落に備える準備金とされておりますけれども、将来の価格変動なんというのは私は予測しがたい、物価上昇傾向のもとでの準備金は利益の積立金であるという見解をとっておるわけであります。企業会計理論からも、私は合理性は余りないと思っております。今回、五十七年度の税制改正で価格変動の著しい物品以外の物品を対象から除外するとしておりますけれども、私は、この制度を置いておくという理由は見当たらないという考えです。もし価格変動準備金を置いておく理由があるというならば、今日のように円相場が乱高下しているのだから、それによって損をしたりなんかすることがあるから円相場変動準備金というのをつくれ、こう言われたらどうしますか、あなた。そういうことを考えると、私は、これを存続される理由というのはないと思うんですよ。もし存続される理由があるというならば、円相場変動準備金という制度も創設してしかるべきだ、こういう理屈になるわけでありまして、これはいかに理屈の好きな主税局長でもむずかしいから、常識論の大蔵大臣から答弁をしてもらった方がいいと思います。
○福田(幸)政府委員 御指摘の点は正しいと思います。(「大蔵大臣が先に答弁しなさいよ」と呼ぶ者あり)いや、私も同じ意見ですから。 そういうことで、今回一般の物品を廃止したわけで、これは御指摘のとおりで、価格が変動するということに備えて棚卸し方法がいろいろと、日本の場合あらゆる方法が、先ほど言いましたように低価法あり、後入れ先出しというライフォーというのが認められている。外国ではライフォーなんという原則は認めない、アメリカでは。ドイツがこの価格変動のあれがあるのですけれども、逐次これを縮減していくということでございますので、おっしゃるようなことで、これは縮減方向をとっています。それで、御趣旨に沿っていま縮減し、今回廃止したのは一般の物品、また価格変動の激しいものについても御趣旨がよくわかりますので、さらに縮減に努力する、いま縮減過程でありますが、御趣旨を踏まえて検討を続けたい、こう思います。
○平林委員 確かに政府は、段階的に六十三年までには〇・五%程度まで圧縮するという方針でございますけれども、私は、これは今回の改正に引き続いて今後二年か三年の間で全廃すべきものだ、こう思っておりますから、またいずれお目にかかりたいと思います。 もう大臣も退席されましたし、時間も時間ですから、最後に一つだけお尋ねをいたしまして私の質問を終わりますが、第五の問題は、技術等海外取引に係る所得の特別控除、海外投資損失準備金、これにつきまして問題を提起しておきます。 今回の改正案によりまして、政府は、海外投資損失準備金は二年の延長を提案しておりますし、技術等海外取引に係る所得の特別控除につきましては、著作権の譲渡等を除外しておりますけれども、この制度は、戦後の外貨不足の時代につくられた制度でありまして、私は、現在の外貨事情とか貿易摩擦問題等が起きておる現状から考えてみますと、これを存置させておく合理的な理由というのは失っていると思うのです。企業が自分の責任と計算において海外投資を行う。これに対して税制上の特例を認めるというのは、過去は過去の問題であったといたしましても、わが国の輸出競争力の現状から考えてみて、どちらかというと輸出優遇税制と見られるようなのは不適当である、こういうふうに考えるわけでございます。主税局長、どう考えられますか。私は、どうもこうした問題についてはむしろ廃止すべきだと思いますが、お答えをいただきたいと思います。
○福田(幸)政府委員 これは、開発途上国に対する民間ベースでの技術援助というようなことで、向こうで技術を欲しがっておる、パテントとか技術、コンサルティングを欲しがるというときに、それを向こうに与えるということの対策、特別措置と一緒の政策だと思います。 そういう意味で、現在のような状況変化の中においても、いろいろな開発途上国への技術援助とか、また貿易摩擦の緩和という面もあろうかと思いますが、これは、状況変化に応じて、いまでもなお新しい意味があるかどうか、これから検討を続けていきたいと思います。五十一年、五十三年、五十四年、五十五年でずっと見直しをやっておりますが、これは一般論として特別措置というのが意味があるかどうか、実績がどうかというのは、前も佐藤議員から御指摘がありましたので、われわれ、相手の言うことについて、実績がどうだ、現在の意味はどうかということを率直に、また積極的に聞きまして、見直しというのを毎年やっていくという姿勢です。御指摘を十分踏まえて検討を続けたいと思っています。
○平林委員 ひとつこの実情の資料をいずれ御提出いただきたいと思います。 それからきょうはもう時間がありませんから、株式売買損失準備金とか証券取引責任準備金とかあるいは商品取引準備金、これも廃止すべきだと私は思っておりますが、この制度の活用の状況、実績等につきましても後ほど資料で御提出をいただきまして、なお議論を続けたいと思っておりますから、お願いをいたしておきたいと思います。 ちょうど時間になりましたので、これをもちまして質疑は終了いたしたいと思います。
○森委員長 この際、暫時休憩いたします。 午前十時休憩 ————◇————— 午後五時二十五分開議
○森委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 この際、沢田委員より発言を求められておりますので、これを許します。沢田広君。
○沢田委員 昨日のわが党の塚田議員の質問に関連いたしまして、答弁が不明確な点がありましたので、この機会にただしておきたいと思います。 今回の住宅貯蓄控除制度の廃止に当たっては、勤労者に実害を与えることのないよう、持ち家取得のため十分効果的な施策を講ずるべきであるという趣旨でありましたが、改めてこの機会に回答を求めたいと存じます。これは労働省の局長にお願いいたします。
○石井(甲)政府委員 ただいまの先生の御発言の趣旨を十分尊重いたしまして、効果的な施策を十分講じてまいる所存でございます。
○沢田委員 じゃ終わります。
○森委員長 三案に対する質疑を続行いたします。堀昌雄君。
○堀委員 けさの新聞を見ますと、最近グリーンカードの問題でいろいろな問題が起きておるようでありますが、ちょっと気にかかる記事なので、これは新聞が書いておることですから、大蔵大臣の真意だけお答えいただければ結構だと思うのです。 これは日本経済新聞の十八日の朝刊でありますが、「渡辺蔵相は十七日の参院予算委員会で五十九年一月から実施されるグリーンカード一少額貯蓄カード一制度について「非課税貯蓄に対するグリーンカード制度は実行せざるを得ない」と述べ、課税貯蓄については同制度の適用を避け、源泉分離選択課税制度を存続させる可能性のあることを示唆した。」ずいぶん回りくどい表現でして、どうもこれじゃ私、本当にあなたがそういうことを発言されたのかどうか、これまでの大蔵大臣の御発言から見ると、こんなことはあり得ないな、こう思うのですが、まず可能性という枠を一つかけておいて、その上に、それを示唆したというのですから、私も、これはかなり意図的な記事ではないかという感じがするのですが、誤解を招くといけませんので、一遍大臣の方でこの問題についてお答えをいただきたいと思います。
○渡辺国務大臣 われわれは法律を執行するわけですから、いま政府が改正案を出す考えはございません。
○堀委員 いまという問題ではなくて、いま新聞で伝えておるところでは、自由民主党では議員立法でどうとかということでしょうから、そのいまという問題ではなくて、少なくとも五十九年に実施をされるということが前提でありますから、それまでには当然政府でそういう何かの対応をすることはない、こう理解してよろしゅうございますね。
○渡辺国務大臣 これは法律は国会か決めることでございまして、政府としては、提案をしたものは国会の承認を受けてやっておるわけであります。 私が言っておるのは、五十九年に実施する、それは非常に結構でそのとおりでありますが、要するに、総合課税にするという場合には、現在の税率区分という問題等について当然一遍見直す必要があるのではないかということを申し上げたわけでございます。したがって、五十九年度実施をしないとかやめるとかいうことは申しておりません。
○堀委員 いま、ちょっとよくわからないのですが、税率区分をというのはどういうことでしょうか。
○渡辺国務大臣 それはもう、いままでこれは国会でも十回も十五回も言っております。 要するに、アメリカなどで総合課税にしておる、したがって日本も当然そういう利子配当を総合課税にすべきだというところから、このグリーンカード問題は出てきたわけでありまして、それを捕捉するのにいまのままでは捕捉ができない。特に非課税制度というものもあるから乱用されている、それを完全に捕捉するためには、やはり登録制かグリーンカードのようなものがなければだめだ。そこで出てきたわけです。しかし、それだけでは非常に、最高九三%の課税になるわけですよ。現実にいま七百万円の所得がある人が、ともかく九百万以上の定期を持てば、それについては現在よりも重い、分離課税以上に働くわけですね。一千二百万円の人だったら五十何%かになるわけですよ、同じ利息をもらっていても。したがって、そういうものが最高九三というようなことになることはいかがなものであるか。したがって、総合課税にする以上はそういうことを全然頭になくてやってしまうことは好ましいかどうか非常に問題があるということは、かねて私が言っておることであって、しかし、それは別に政府で決まったわけでもないし、それから大蔵省で決まったわけでもない。 たとえば、その資産合算の問題にしても、総合課税にするということになると、一方においては、現在も資産合算制度があるわけですから、女房の持ってきた預貯金等の持参金あるいは働いた金の利息でも、ある一定以上のものは亭主の方に乗せるということになっていますね。そういうことと一体なじむのかという問題等があるので、そういう面は実施までには何とかすべきではないかということを言ったことが、そういうふうに書かれているのだろうと思います。それをきのう言ったわけじゃないですよ。
○堀委員 去年の、これは予算委員会であったか大蔵委員会であったか覚えておりませんけれども、実は、いまの税率を総合課税ができるようになったら下げた方がいいんじゃないかというのは、私が委員会で提案をしておることですから、そのことはグリーンカードの問題ではなくて、要するに、総合課税が行われていないときといるときで、いまの日本の税率の最高税率が高過ぎる、アメリカよりもイギリスよりも高いから、それを下げることによってブラケットの幅を広げて、いわゆる自然増収が次々に起こってくるのを何とか少し緩やかにしよう、だから、上の方の問題だけに着目しているのではなくて、税制全体を緩やかにすることがいまの意図せざる増税を減らすことになるんだ、そういう問題も含めて議論をしておるし、あわせて二分二乗も昨年私が論議をしているのは、いずれもそういう問題を下敷きにしてやっているわけですから、そのことは所得税制度の改革の問題だし、いまのこれはやはり所得税の改革でありますけれども、預貯金の分離課税をやめて本則に戻すというのが昨年の所得税法の改正ですからね。 だから、そこのところはちょっと何か誤解を招くようなふうに新聞が書いているから、私は、あなたがそんな答弁をしておられるとは思わないけれども、ちょっとそういう誤解をここで正しておいた方が、いまのグリーンカードのいろいろな問題に公正な判断が行い得るだろう、そういう意味でお尋ねをしたのですから、その点はこれで結構でございます。 そこで、今度の法案で実は土地税制の問題が出されているわけですが、ちょっと大臣に、細かい土地税制というよりも、一体住宅政策というものが基本的にはいかにあるべきかという、ある意味での基本的な物の考え方、今度の税制もそうですし、最近いろいろ土地税制で行われておることは、土地所有者が土地を売りやすくしよう、そうすると、売りやすくして土地が出てくる。出てきた土地に、じゃ何が建つかというと、一般的には低層住宅がずっと建つ。 日本のように土地が限られていて非常に高いところで、土地を供給したとしても、それが低層住宅で処理をされるというようなことでは、これは私は非常に問題があるのじゃないかと思う。やはり土地利用という問題の基本的な考え方というものが、もう少し政策上確立をしてこないとまずいのじゃないかな、こういう気持ちがあるので、一体大臣は、もちろんこの土地税制で土地が出てくれば出ないよりもいいのですけれども、出たからといって、それが本当に日本経済全体に、国民生活に非常にプラスになるかどうかというと、ある限られた人たちだけがそれによって満たされるだけであって、全体を満たす形にはなかなかなりにくい、こう思うものですから、土地利用と住宅政策といいますか、そういう問題についての基本的な考え方を最初にお尋ねをしておきたいと思います。
○渡辺国務大臣 私は、今度の税制改正で土地の譲渡のいろいろな税率の緩和、限度の引き上げ、これはそれなりにかなりの効果があるもの、こういうように考えております。 しかし、税制だけで宅地政策をやるといっても、これは非常にむずかしい問題で、私は、これも前にも何遍も国会で言っているのですが、土地と水と空気につきましては、特に大都市におけるところの土地というようなものについては社会公共的な使命が非常にあるのではないか。農村で振興農地というのがあって、それはやはり社会公共的使命があるから農地法が適用されて、自由に売買もできなければ、自分のものでも勝手にほかにつぶすわけにもいかない、そういうために恩恵を受けておる。 ところが、市街化区域の中へ入ってしまって自由に売買もでき、届け出だけで壊廃もできるというものと同じくしておるようなことはいかがなものか。しかし、これについては、今回は、土地を買っても遊んでおかしたものについては保有税を強化するとかいう裏の面も強く出ておりますし、それから五年ごとにもう一遍見直すというようなことも出ておりますから、かなり歯どめは効いてきておりますが、根本的にはやはりある一定の地域の土地は公共の福祉に従うという、憲法違反になるのかどうか、これはいろいろ問題があるようですが、しかし、それに近いくらいの考え方に立たないと、土地政策というものはなかなか言うべくして動かないのではないか、個人の自由意思、個人の尊厳だけでいったのでは動かないのではないか。だから、税制だけでやるといっても非常にむずかしいのではないかという気が私はいたします。
○堀委員 いまの大臣の御答弁は、私もおおむね同感の立場でございます。 そこで、三月十二日でありましたか、経済企画庁が昭和五十六年度の第三・四半期の速報を出しました。経済企画庁、入っておられますね。 そこで、実はいまの土地の問題と関連をするわけでありますけれども、この速報を拝見して、第三・四半期は前期比マイナス〇・九ということで大分いろいろと問題になっているようでありますが、私は、上がったり下がったりというのは、経済ですからそんなに気にすることはないと思っておるのですけれども、問題は、国内需要はどうだろうかと思って見てみると、実はこの第三・四半期は久しぶりで前期比〇・五まで国内需要は上がっておる。ところが、この五十五年の一−三からずっと見てくると、どうも国内需要というものは必ずしもすっきりしていない。たまに上がるけれども、また下がる、こういう状況になっておる。 そこで、いま企画庁としては、この国内需要の五十五年の一−三月から五十六年の十−十二月までを見通して、今後の国内需要の見通しというものをどう考えるのか、ちょっと答弁をいただきたいと思います。
○大竹政府委員 一−三の数字はごらんのとおりでございます。 今後どうなるかということでございますが、国内と国外と二つの面からお答え申し上げたいと思います。 国際的な環境といたしましては、私どもは、OECDあるいはその他の国際的な機関等が発表しております本年の世界経済の動向から見まして、後半になりますと世界経済も回復に転じてくるという外的な環境の好転が一つ考えられると思います。 それから国内では、御承知のように、在庫調整がおおむね終了しておるというような状況でございますので、これから内需が循環的な局面から考えますと拡大をするという要因も考えられるわけでございます。基本的には、物価が安定をしておるということでございますし、日本経済のパフォーマンスのよさというものは失われておらないわけでございますので、私どもといたしましても、機動的な政策運営に努力することによりまして、何とか内需中心の経済成長に持ってまいりたい、こういうふうに思っているわけでございます。
○堀委員 私は、いま外需の話は聞いていないのですね。外需がこれからどうなるかということについては、一月は少しよかったようですが、二月はまた落ち込んでいますね。ですから、私は、外需はこれからはいまのこの円安であっても必ずしもそう拡大はしにくい条件がある。そうすると、やはりわれわれが対応できるのは、一体国内需要がどういうふうになるかということだと思うのですが、たまたまいまの皆さんの資料で見ると、五十六年の十−十二月は内需は前期比で〇・五上がってきている。しかし、いま全体で見ると、ここのところ、新指数で見ると、日本経済というのは大体三%台に何だか低迷をしてきている。五十六年度も一−三月、計数的に見ると、過去から、国民所得統計というものは一−三月は実態よりもどうも少し高く出るという傾向があるように私は感じているわけですが、それには企業の生産対策とかいろいろなものも影響しておるのだろうと思うのですが、しかし、それにしても五十六年度は大体三%程度。政府はこの前、改定見通し四二と出しておりますけれども、三%程度というのが大体いいところではないか、こう思っておるわけです。その点はどうか、ちょっとそこから先にお伺いします。
○大竹政府委員 一−三月期につきましては正確な見通しを持っておるわけではございませんが、御指摘のように、急速に内需が非常に大幅に増加するということはやや困難な状況かと思いますので、四・一という私どもの見通しの実現につきましてはきわめて厳しいというふうに考えておるわけでございます。
○堀委員 四・一はもちろん問題にならないのですけれども、実は可能性として、過去の状態をじっと見てみますと、五十五年の一−三月というのは前期比で実質一・六%ですね。それから五十六年の一−三月は前期比〇・七。こういうことですから、いま五十五年並みに五十六年度の第四・四半期が前期比で一・六伸びたと仮定して、五十六年の実質成長率は大体幾らになりますか。
○大竹政府委員 いろいろ想定は私どもやっておりますが、一・六という数字をちょっと計算してないのですが、一・五という数字で二・八前後かと思います。
○堀委員 私が一・六と言ったのは、たまたま五十五年の一−三月が前期比で一・六であったから、丁六と言っただけのことでありまして、一・五でもいいのです。これは、どうなるかわからないことですが、かなり高い計数ですね。 ことしの五十六年は、第一・四半期が対前期比一・二、第二・四半期が、〇・六だと思ったら〇・七に今度ので修正されているようです。それで今度がマイナス〇・九だということですから、まあまあ一・五でも、これまでの計数から見るとかなり高い計数だ。おまけに一月は輸出が前期比一一%ぐらい伸びたのですか、しかし今度は二月はまたマイナスになった、こういうことですから、私は、このいまの五十六年度が大体三%程度ということはまず避けられないだろう、こう思っておるわけです。 そうすると、今度はスタートが三%で、一・一違うわけですね。皆さんの実績見込みが四・一、実際の実績が三・〇だと仮にいたしましょう。そうすると、そこで一・一違うわけですからね。五・二なんというのは空想的な数字であって、だれもが信用してないけれども、そういう情勢で見ていくと、大体この五十七年度も三%程度というのが一番実態に近い姿になるのじゃないだろうか。いま、いろいろと前倒しだとか話があります。ちょっと後で聞きますけれども。しかし、少々やったところで、いまの日本経済はそんなに簡単に拡大はできないという諸条件がいろいろな点であるから、もし何かをやるとすれば、かなり思い切った何かをやらない限り、三%台程度からはなかなか抜けられない、こう実は私は見ているわけです。 だから、これは物の見方ですから、要するに、政府は五・二を出しているのに、私が三%程度だからと言っても、ちょっと皆さんの立場では答えられないと思うので、答弁を求める気はないのですが、そういう前提で、これから多少でも景気を拡大したいという選択肢というのは、いま考えられるのはどういう選択肢か、これは一応経済企画庁で答えていただきましょうか。
○大竹政府委員 去る十六日の閣議で、この十—十二月期のQEが出たことに伴いまして、経済企画庁長官から発言がございまして、今後の経済運営についてこういうふうに申し上げております。 今後の経済運営については、引き続き金融政策の適切かつ機動的な運営、それから財政については災害復旧事業の促進に努めるということ、それから住宅対策として公的資金住宅の建設を促進するなどの措置を講ずる必要があると言いまして、この際、特に五十七年度公共事業等について、地方も含めてできる限り前倒しを行うこととしたいというのが現在の政策スタンスでございます。
○堀委員 けさの日本経済新聞は、まあこれは見込み記事でありますけれども、「長期債、来月から全面利下げ国債など〇・三%程度 事業債も同幅下げ有力プライム〇・三%、連動へ」こういう記事が出ているわけです。 私は、現在の円安の問題というものの基本はどこにあるのかと考えてみますと、短期金利もさることながら、長期金利が非常に関係がある、こう私は思っているのです。いまの、企画庁が金融政策の弾力的運営という話ですから、一体その円安と金利の関係というのはあなた方どう見ているのか、ちょっとお答えいただきたいと思います。
○大竹政府委員 為替レートと金利の関係につきまして、なかなか一義的に申し上げることはむずかしい問題かと思います。ただ、現在の時点で考えますと、かなりアメリカの高金利と日本の為替レートが連動している現象になっております。
○堀委員 その連動しておるアメリカの高金利という問題と日本の金利の問題で、日本の金利の長期金利を下げても為替には影響がないということでしょうか。富士銀行がこの前調査月報で出しているところを見ると、富士銀行の分析では、基本的には長期金利の方が実は関係が多いというデータを出しているという事実があるのですが、私は、そういうふうに長期金利とか短期金利とかいうふうに区別することなく、日本の金利総体とアメリカの金利総体と見なければ、どっちが短期でどっちが長期だからどうなったらというような細かいことで問題があるのじゃないだろう、こう見ておるわけですね。 だから、それはそういう意味で、この時期に一体〇・三%程度の長期金利が下がったら、それは民間設備にそんなにプラスに大きく働くのかどうか。要するに、金利が高いからいま民間設備が出ないのではなくて、問題はやはり経済のいまのパフォーマンスの中から実は民間設備が出てこない、こう見るべきではないか。だから、短絡的に長期金利を下げたらいいなどという問題ではないし、いま、きょうなんかの新聞を見ると二百四十一円、やや円高傾向。二百四十円を超えていて一円ほどともかくシフトしたら、これを円高傾向なんというのはとんでもない話だと思っているのですね。 私は、実は一月の二十日ごろに民間のエコノミストといろいろ懇談する機会がありました。そのときに民間エコノミストは、今度は五十七年度については大体内需が外需より大きくなるという見通しが一つと、平均して一体為替を幾らに見ているかというところが大体二百円だというのが、民間エコノミストの五十七年度見通しのベースになっているわけです。私は、その方たちに、私はそうは思わない、大体二百二十円がベースだろう、そこから上下に振れるということで、そういまの為替の先行きは甘くないですよ。その甘くない理由は、いま世界の経済というのは経済合理性に基づいて動いていない。政治優先で経済合理性を無視した政治のいろいろな影響が経済にはね返っている。そうすると、私は、レーガンのこの一九八三年度予算関係は、相当これまでの路線が継続をされていくということを考えてみると、すでに昨年の暮れに予算のストックマンが出した八三年の財政赤字見通しなどを見ておりましても、そんなに甘くないと見ておったので、恐らく日本の五十七年度の為替レートの平均というものが二百円まではとても行かない。二百二十円を中心に大体前後するということではないかという話をしておりました。 ですから、先月の暮れにまたその人たちと会ったときに、どうでしょうかと言ったら、やはり大分われわれも考えを変えざるを得ないなという話になっていたわけでありますが、経済企画庁は、これはそういう見通しではなくて、過去の実績をもとにして実はなっているのですがね。予算ベースは二百二十円くらいだったように思うのですが、ちょっとそこを主計局の方で答えてください。
○西垣政府委員 予算積算上のレートは一ドル二百二十九円でございます。
○堀委員 これは何も五十七年度を見通したというんじゃなくて、過去の実績の平均値ですからね。 ですから、私は、ややどうもその方が近いかなあという気持ちをそのときから持っていたわけでありますが、そういうふうに考えてくると、いまの情勢で長期金利を下げるという話は、果たしてこれが適切なのかどうだろうか。これは銀行局長のところですね、長期金利は。そうでしょう。だから、ひとつ銀行局長、いまの長期金利、これはいまの経済の刺激策として下げるという話は、私は、そういう意味ではかえって問題があるという気がしているのですが、銀行局長、ちょっと答弁してください。
○宮本(保)政府委員 ただいまの資金需要でございますけれども、大企業はかなり堅調のようでございます。それから中小企業の方は、景気の実態を反映いたしまして、余り資金需要はないという状況でございます。 先生御指摘のように、現在の経済状況の中で金利を下げる効果がどのくらいあるかという点につきましては、過去におけるような高度成長期とは違いまして、金融の持つ意味が変わってきておりますので、過去に比べれば、相対的には効果というものは薄まってきていると思いますけれども、しかし、下げれば下げたなりのそれなりの効果があるんじゃないか、私はこういうふうに思っております。
○堀委員 いまのお話のように、長期金利が下がって得をするのはどうも大企業じゃないかと思うのですね。中小の方は、要するに需要がないから設備投資ができないのでして、そういうパフォーマンスがきちんとならないで金利だけ下がったらやるというような、そんな甘い経済情勢にはないと思っているものですから、それでは、将来内需中心の中小企業がさらに設備投資をするような環境をどうやってつくるかという方が先であって、そういう環境が整う過程で金利が下がるというなら話は別ですけれども、環境もないところで金利を下げてみても余り効果がないのじゃないか、私はこういうふうに見ているわけです。 その次に、財政の方で災害の復旧をちゃんとやる。これは大変いいことですね。当然やらなければいけないことですが、あともう一つ、公的住宅という問題がここで出されていますね。公的住宅というのがこれは予算の中にちゃんとあるのでしょうから、この意味は、要するに、公的住宅を前倒しでやりたいということかどういうことか、ちょっと企画庁で、いまあなたの方の答弁でしたからお答えください。
○大竹政府委員 公的住宅という場合は、いわゆる公的資金の融資による部分を含んで考えておるわけでございますので、公庫融資住宅等も入れて考えておるわけでございます。
○堀委員 さっきから私申し上げているのですけれども、大臣、十分というんだけれども、何分たっている、いま大臣出られて。もう十分以上たったね。
○森委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○森委員長 速記を始めて。堀君。
○堀委員 実は、大臣が御不在の間に経済企画庁と景気対策の問題でちょっと議論をしてまいりました。 そこで、ともかく三月十六日ですかの経済閣僚会議か何かで、金融政策の弾力的な運営、財政では災害の早期の復旧、公的住宅をしっかりやりたいというのが出ている。 そこで、さっき私、大臣に住宅問題の基本についてお尋ねをしたわけです。私は、ちょいちょいとっぴな話を当委員会でするのであれですけれども、今後日本経済を安定的に、そして国民にもそれがプラスになる形で運営していくために、行政改革、財政再建の話もやると大変ですから、これを横へちょっとどけて、要するに、日本経済の将来の見通しという問題を下敷きにして考えてみると、どうも一つ欠けておるのは、やはり日本の政府がやっておる住宅政策の基本にありはしないか、こういう感じがしておるわけです。 私は、いま荻窪に住んでおりまして、自分で車を運転しながら高速を出てくると、見渡す限り低層住宅なんですね、東京というのは。この低層住宅のために幾ら土地を供給しても、これは大変だし、日本のサラリーマンの現状はどういうことになっているかというと、居住環境について関心も高まっているせいでしょうか、三十代ぐらいでローンで住宅を買う、そのローンを返すことが人生の一つの主たる目的みたいになっている。ですから、日本のいまの国民というのは、住宅を親からもらった者は大変いいけれども、そうでない者は、住宅を手に入れるために一生働いておるという感じになっている。その結果、その住宅が、それじゃ余裕のある住宅かというと必ずしも余裕がある住宅ではない。 人間の生活の中で、今日われわれは衣食住と言いますけれども、衣はおおむね、いま継ぎはぎの物を着ているような人はほとんどいないわけですから、衣は大体満たされている。それから食もおおむね、飢餓状態にある国民というのはいま余りいないと思いますから、ここもおおむね満たされている。残っておるのが住なんです。この住が非常に重要だというのは、今後のわれわれの生き方に非常に関係してくると思うのですね。だから、将来を展望して、余裕の面積のある住宅というものを一番重要な政策として政府が取り上げるということが日本経済の将来に非常に大きな問題だ、こう私は思っているわけですね。 そこで、さっき大臣が、いまの個人のそういう私権という問題と公共の福祉、あわせて公共の福祉というのは、ただ平面的な公共の福祉というのではなくて、要するに、これから日本は、五十年、百年、百五十年という将来を展望してみたときに、ともかく三十年か五十年で建てかえなければいけないような住宅を建てて、そのために一生のエネルギーをつぎ込むような日本人の生き方というものをやはり改めなければいけないんじゃないだろうか、少なくとも、まともな住宅を建てたら二百年や三百年使えると私は思うのですね。 そうすると、われわれはひとつここで発想を転換して、要するに、百年とか百五十年とかという長期のビジョンに立って住宅政策を考えてみる、そういう投資をこれからしっかりやっていく。ともかく基本的な考えは、一定の私権を制限してでもひとつ政策を転換するということが、今後の日本経済と日本国民の将来に非常に大きなかかわりのあることではないか。木造住宅というものは、どうやったって五、六十年で耐用年数が来てしまいます。それがつぶれたらまたやらなければいかぬ。それをともかくも二百年、三百年もつ建物にすれば、これはストックという意味では国民に非常に大きなプラスになるのじゃないか、私はこう思うので、まずその基本的な考えを大臣に伺いたいと思います。
○渡辺国務大臣 もう土地はふやすわけにはいかないわけですから、埋め立てとかなんか言ってみたって知れたものですし、そういうことになれば、やはり空間利用という以外には解決の方法はないだろう。そういう点では、私は、大都市においてはそういう考えに同感でございます。
○堀委員 そこで、これからが私の一つの夢物語でありますけれども、ともかく狭い範囲での処理、対応というものは非常にむずかしいと思うのです。相当な、何十ヘクタールというか、余りめちゃくちゃに広くしてもいけませんけれども、一定の限度のロットを限って、ひとつその地域は特別立法によって五階建てぐらいの中高層住宅を建てると仮に考えましょう。 そうしますと、いま低層住宅が建っておるところに五階建てを建てるということは、少なくとも面積利用としては五分の四だけは空間ができる、こういうことに理論上はなりますね、五分の四になるかならないかは別ですが。その五分の四をそのまま全部緑地とか空き地にするということでは問題は解決しないと思うので、それはもう少し空き地の面積は減らしていいと思うのですが、要するに、高層住宅にすることによって、それもいいかげんな建物ではなしに、いま私が申し上げたような二百年とか三百年とかもつような建物、しっかりしたものをこれから建てて、広さはともかくも長い期間を見て、二LDKとかなんとか細かいものを建てて、だんだんこれがスラム化していくわけですが、そういう長期のものを建てることを考えてみる必要があるのじゃないか。 そうすると、そのためには、まずいまいる人たちがこれに協力をしてくれなければなりませんから、それを協力してもらえるように、たとえば、いまこのロットの区画の中にいる人たちで自分の土地を持って自分の家を建てている人には、土地代金はひとつ時価に見合って交付公債で払いましょう、だから土地だけは国が買い上げます、あとは、いまの建物を評価し面積を考えて、少なくとも今度は長く耐用年数のあるりっぱなものを建てるんだから、それにひとつ移ってください。移るときは、少なくとも現状の面積よりは五割増しのものを提供いたしましょうというような考え方で、それで大きな区画を限って、ひとつそこに高層住宅で一区画やっていく。それができたら、また次はそれでいくということで、一遍にはできませんから、長期計画で都市改造をやるということになると、いまの公共事業の中で景気にプラスしてくるので一番大きいのは何といっても住宅ですから、そういう意味では、全体のバランスを見ながら少し長期計画で基本的な住宅政策というものを考えてみる必要はないのか。一時的には金が要るような結果になるでしょうけれども、しかし、これは、われわれの日本はあと五十年でなくなるわけでもなければ百年でなくなるわけでもないのですからね。 そういうしっかりしたストックをつくるという考え方で住宅政策をやるという形になった方が、いまの三%成長なんというのでなくて、日本の潜在成長力を考えてみれば、五%ぐらいやることはそんなに不可能ではないけれども、いろいろな諸条件が圧縮してきてそうなっているわけですから、そういう意味で、日本経済の問題というのを余り短い距離で考えなくて、官僚の皆さんにすると、そんな二百年なんという話はとてもだめだということでしょうが、少なくともわれわれ政治家は、そのぐらいの物の見方をしていかなきゃまずいんじゃないか。 私、昭和三十八年に大蔵委員会で欧州へ参りました。そのときの話ですけれども、イタリーのたしか外務省だったと思うのですが、新しく建物が建っているのですね。この外務省、実際使っているところは隅の方しか使っていない。だから、こんな大きな建物がどうして要るんですかという質問に対して、大体百年したらこれでちょうどいい、こういう話でしたね。なるほどローマというのが、あのいろいろな施設を見ながら話を聞いてみると、ローマのときにつくった橋はいまでも使えます、ムッソリーニのときにつくった橋は全部だめです、こういう話ですね。 ローマは一朝にして成らずというのですけれども、どうもわれわれ日本人は、こういう土地の状況あるいは貧しかったというような状況で、ともかく短い距離でしか物を見ないという国民性があるのですが、われわれは、ここらでそういう物の考え方に立って、財政再建の問題は財政再建の問題としながらも、要するに、長期的な展望で日本経済をどうするかという問題を考えてみる必要があるんじゃないか、こう思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
○渡辺国務大臣 私は、一つの大きなアイデアである、そう思います。しかし問題は、発想を変えないとなかなかうまくいくかどうか。 たとえば都営住宅というのがあって、二階建てとか三階建てでずいぶんあちこちにあります。必ずしもよくない。汚い。家賃が二千円とか千何ぼとかと言っておりまして、五棟も六棟も一カ所にある。こんなものは取り壊して十階建てぐらいにして、そしていまの倍ぐらいの面積を与えてやれば、土地代はただなんだからそんなに高くなるはずもないし、入居者全部入れてもあと何倍も入れる。いままでの人にはもう少し安い価格にして、後からの人は高く取って、できそうなものだというようなことを言って聞いてみたところが、なかなか入居者が頑として動かない。おれは千円の家賃で汚くてもいいんだ。そういうところで、個人の尊厳もいいかもしれないが、それでがんばられれば何もできないのだという発想ではうまくいかないんじゃないか。 それから、市街地再開発法というものをこしらえてはみたが、どの程度有効に機能しているかどうか、私は疑問があると思うのですよ。これなども、やはり個人の尊厳というか権限、個人の所有権、入居権とか、しかし、これを本当に守ってやればほかのところに問題が起きるわけですから、だれが考えてもあたりまえじゃないかと思うようなことについては、もっと強い権限を付与しないとむずかしいんじゃないか。 問題は、だから発想ですね。こういう土地問題というものについては、所有権は認めるけれども、利用収益権は公共の福祉に従うんだということの憲法解釈の問題ですが、憲法九条くらいの解釈をすればできるんじゃないかと私は思っているんだけれども、本当に私としては、もっと強力な解釈の仕方というものはあるんじゃないか一そういうことは長話になりますからやめますが、本当にそう思っております。問題はそこでございます。
○堀委員 いま特別立法でやろうというのも、ともかく常識的に見て、いまいる人が非常に損をするということでは、幾ら強権でも私は無理だと思うのですね。しかし、少なくともそれに相当見合うと一般的に考える範囲でそういう交換に応じてくれと言って、さらにいやだと言うのなら、これはまさに日本民族の将来の問題を含めて、その人たちの問題を含めて、強権を発動して土地を収用しながら、どうぞこっちへお移りくださいということがいまの日本の情勢でできないのかどうか。 だから、私権だけをがんばっていれば、これはだんだん成長もあれになって、やがて先へいけば失業も出てくる、こういうことになってくるのを、やはりわれわれなりの考えで、いまから将来の展望を考えてやるためには、私権のその程度の制限の方が国民全体にとってプラスじゃないかな、こう思っているのです。 〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕 そういう意味で、西ドイツでこういう話があるのです。西ドイツのエーベルト研究所という労働組合の研究所が日本分析をやっている。日本分析をやっている中で、われわれの国では住宅をしっかり建てている。賃貸住宅を建てている。要するに、投資の主要部分を住宅に持ってきている。日本は投資の主要部分を全部産業基盤へ持ってきている。ともかく住宅には少しも投資をしない。そういう形でわれわれと競争してきているのだ。これは大きな問題だ。 こういう指摘が、実はエーベルト研究所の日本分析の中に出てきているのですね。これは、いまの日欧摩擦、いろんな点で私は非常に重大な指摘であると思うのですね。この前の例のOECDで、ウサギ小屋に住む働きバチですか、そういう話があったのは、まさに象徴的にそういう彼らの気持ちがそこへ出ているんじゃないかという感じが私はしてならないんですがね。 そうすると、少なくとも日本民族が将来にわたって平和で豊かな生活をするためには、いまのような貿易摩擦の問題をしょっちゅう繰り返していて、私は、日本が将来平和に生き残れるとはどうしても思わない。そうすると、われわれでできることをわれわれでやるということが当面の国際関係に非常に大きな問題なんで、そういう意味では、私がいま言っていることは一つの問題提起ですから、それは十分いろいろと専門家に検討してもらわなければいけませんが、財政再建をやっている間はそういうのは何もやらないんだ、財政再建が終わったらやろうとかなんとかという話じゃないのじゃないかと私は思うのです。 だから、日本経済の将来を考え、国際摩擦を考えるときに、どうしても国内需要で処理できるようにする一つの道は、何らかそういう問題で住宅を公的にでも建てるということにしか道がないのじゃないか、私はこう思っておるのです。ですから、これは今後ひとつみんなで検討しなければならぬ問題で、大蔵大臣一人が答弁してどうこうなる問題ではありませんけれども、しかし、実はこれは予算に関係しているところは大蔵大臣所管でありますから、要するに五十八年度の、これからゼロシーリングあるいはマイナスシーリング、いろいろあるのかもしれません。あるかもしれないけれども、別の方はそうやってでも、要するに、長期的展望に立って国際摩擦を減らすというための確たる方策を決めるか決めないかで、私は、欧州なりアメリカが日本を見る目が変わってくるのじゃないだろうか、こう考えるのですが、大臣、いかがでございましょう。
○渡辺国務大臣 同じようなことを申すようですが、やはりその前には、そういう公共の大目的のためには個人の私権をある程度制限するという発想で各党が一致すれば、かなり新しい展開ができるのじゃないか。みんなそこにぶつかっちゃうわけですから。 現実の問題として、新宿のあのビルに対して、台東区か江東区の方から訴えが出ている。何でだと言ったら、あそこが建ったために電波障害になっている。まるっきりわれわれには考えられないような問題があるというのですね。高いビルは日照権とかなんとかいう話がすぐ出る。したがって、そういうところをどういうふうに調整し、整合性を持たせるか、そこのところが決まれば、堀委員の夢は夢じゃなくて本当の現実の問題になるのじゃないか、しかし、それが決まらぬというとなかなか進まないのじゃないか。根本問題はそこにある。そういうところのコンセンサスづくりをぜひひとつ進めたい、私はそう考えております。
○堀委員 そこで次は、私どもが長く問題として取り上げてきて、なおかつなかなか問題の進まない週休二日制の問題をちょっとこれからやらしていただきます。 最初に労働省に聞いておきますけれども、いま貿易摩擦、いろいろ大変あるのですけれども、欧州は全部週休二日で、フランスの場合は現在週三十七時間労働という状態になっているわけですが、この週休二日の問題というものもやがて貿易摩擦の大きな一つの課題になっていくだろう、私はこう思っておるわけです。それはやはり片一方が休んでいる間に働くわけだから、当然それだけ生産性が高くなって、コストが低くなる、競争力がつくことになると思うのですね。 そこで、こういういまの情勢を踏まえて、一体労働省は本気で週休二日問題をやっているのかどうか、ちょっと最初に労働省からお答えいただきたい。
○望月政府委員 お答えいたします。 労働省といたしましては、先生御指摘のように、わが国の労働時間の短縮の問題がこれからの貿易摩擦との関連できわめて重要だという認識で行政を進めておりますが、目下週休二日制等労働時間短縮推進計画という計画をつくりまして、私ども、昭和六十年までのわが国の経済発展の姿をもとに、昭和六十年を目標に、一つは労働者生活の充実、それから高齢化社会への対応、それから第三は先生御指摘のような国際化社会、国際化時代への対応、この三つをねらいといたしまして、昭和六十年までに欧米主要国並みの水準に近づけるということで、いまやっております。その内容は、御承知のように、昭和六十年までに年間二千時間を割るという水準になるようにしたいということで一生懸命やっておるところでございます。 それから、その具体的な方法といたしまして、私ども昭和六十年に週休二日制を完全に実現するためには、いまから相当具体的なことをやっていかなければいかぬということで、本年一月の十一日に全国銀行協会連合会会長をお招きいたしまして懇談をするとともに、金融業界における週休二日制、特に、少なくとも五十九年までに完全に土曜閉店という制度にひとつ努力していただきたいという強い要請を行ったところでございます。それをもとに、ほかの関連業界を初め一般産業について六十年を目標に完全週休制を実現したいということで、本気に取り組んでおります。
○堀委員 いま労働省の方では、金融機関の週休二日を前に立てて、そうして週休二日の実行をしたい、こう言っておるようですね。そこで当面の、第二土曜日の休日を政令に加える条件に欠けているというのは一体何ですか。
○宮本(保)政府委員 金融機関の閉店によります週休二日制の実施につきましては、各界各層の国民的なコンセンサスが必要だと思っております。特に金融機関の閉店をいたしますと、手形、小切手決済制度とかあるいは為替取引等も土曜日を休みにしなければいけないわけでございますから、この点につきまして、特に中小企業等の同意が得られるかどうかという点が非常に決め手になるわけでございます。また、土曜日閉店によります不便につきまして預金者の理解が得られるかどうかという点、もう一つ金融界側として重要なことは、郵便局、農協などと足並みがそろえられるかどうかという問題があると考えているわけでございます。 本件に関しましては、金融界におきましても早期実施ということを考えまして、現在全銀協の方で、具体案といたしまして、いま御指摘の月一回土曜日閉店を実施する案を精力的に検討いたしているわけでございまして、この月一回土曜日閉店の実施でございますと、総じて比較的無理なくまず実施ができまして、今後の土曜日閉店の進め方といたしましては現実的な一つの方法とも考えられるわけでございます。ただ、この場合におきましても、中小企業あるいは預金者等の利用者、郵便局、農協等を含めての金融機関全体のコンセンサスということが必要であるというふうに考えておるわけでございます。 したがいまして、現在の段階では、こういうふうな諸条件が整うめどがまだはっきりいたしておりませんので、四月施行の銀行法等施行令で土曜日閉店を手当てすることはなかなかむずかしい、こういうふうに考えているわけでございます。ただ、政府といたしましても、各方面でのコンセンサスが得られる見通しがたちますれば、私どもといたしましては、速やかにまず月一回土曜日の閉店制から政令手当てを行っていく用意があるわけでございます。
○堀委員 いまの答弁にもあるのでありますけれども、今回の銀行法の政令に土曜日を休日にするということが書き込めないというのならば、政府としては、できるだけ早く政令が対応可能になるような環境づくりを進めるべきだ、こう考えますが、この点についての大臣の見解をひとつお尋ねしておきたいと思います。
○渡辺国務大臣 政府としても、できるだけ早く政令手当てが可能となるよう努力をいたしてまいりました。 しかしながら、現在は、信金、信組の職員については交代制による四週五休もおくれているという現状にあります。月一回土曜閉店をするためには、職員の交代制による四週五休が定着しなければならないと思いますが、とりあえず金融機関の月一回の土曜休日、四週五休の実施につきましては、信金、信組についても今年じゅうに全面的に実施されるよう強く指導してまいりたいと考えております。 〔中西(啓)委員長代理退席、委員長着席〕
○堀委員 「ししゅう五休」というのじゃよくわからないので、ここは「よんしゅう五休」と言わないとちょっとわかりにくい。そこのところだけをあなたに御答弁を訂正いたしておきます。 いま大臣が誠意を持って、いまの金融機関の月一回の土曜休日、四週五休の実施については信金、信組についても本年じゅうに全面的に実施されるように強く指導するというお答えでございますから、これはひとつ必ずやっていただきたい、こう考えるわけでございます。 そこで、信金、信組についてもそういう特別の配慮をしておるということは一歩前進と評価をしますけれども、農協関係、郵政関係が取り残されることになる。これでは金融業務を担う者としては問題が残ると思うのでありますが、この点についてひとつ御答弁をお願いします。
○宮本(保)政府委員 月一回土曜日閉店案につきましては、現在、郵便局、農協を含めまして、業界全体でその実施について具体的な検討が進められているところでございますけれども、やはり金融機関が全体として一つの信用秩序を構成しておるわけでございます。また、週休二日制が社会の大勢であるというようなことを考えますと、各界各層におきますコンセンサスを早期に得まして、郵便局、農協も含めて金融機関が同時に土曜日閉店に移行することが望ましいと考えておるわけでございまして、私どもといたしましてもそれで努力いたしますし、現在全銀協におきましてもその方向で努力を続けているところでございます。
○堀委員 そこで、いまのこの問題でありますけれども、一体いつごろを目途として処理ができるのか。さっき労働省は、六十年までには全体がそういうふうになることを希望する、こう言っておりますけれども、一体これは来年じゅうには実行ができるのですか。どうかひとつそこを答えてください。
○宮本(保)政府委員 繰り返し申し上げておりますが、月一回の土曜閉店の実施に当たりましても、やはり中小企業、預金者等の利用者あるいは郵便局、農協を含めての金融機関全体など、多方面にわたりますコンセンサスが必要であるわけでございますけれども、いま先生来年中にどうなるかという御指摘でございますが、その御趣旨に沿って鋭意努力いたしたいと考えております。
○堀委員 農協、漁協はおのおのの規則で処理をするということで、大蔵省の政令の処理とはやや趣を異にしておるし、郵便局も告示によってやるということですから、ちょっと趣を異にしておるわけですが、この際、いま大蔵大臣の答弁もあり、銀行局長のこういう答弁がありますので、郵政省側はどういう対応をするのかを答えておいていただきたいと思います。
○鴨政府委員 郵便局につきましては、先生御承知のように、大小さまざまなものがございます。それからまた、郵便、貯金、保険といった三つの事業を一体として運営しているということでございまして、私どもも、週休二日制が大きな趨勢であるということは十分承知をいたしておりますが、社会経済全般に与える影響あるいはサービス面における影響といったことを考慮いたしますと、郵便局の窓口を閉めることにつきましては、国民のコンセンサスを得るということが何よりも大事であるというふうに思っております。いま申しました三つの事業につきまして、それぞれの実情に応じて、できるだけサービスの水準を維持しながら実施できる方策を検討していかなければいけない、このように考えております。 なお、民間金融機関におきまして土曜日閉店の問題を検討しておられるということは私どもも承知をいたしておりまして、民間金融機関が土曜日閉店を実施いたします場合には、いま申しました国民のコンセンサスを確保できる条件といったもの、サービス水準を維持するための条件を整備しながら、郵便局としても何らかの方法で土曜日閉庁の対応をしたいというふうに考えております。 なお現在、この問題に対処しますために、省内に郵便局の土曜窓口のあり方に関する検討対策小委員会というものを設けまして、郵政事業にふさわしい土曜日閉庁のあり方を検討いたしているところでございます。
○堀委員 いま週休二日の問題については現在時点における政府側の対応をお尋ねしたわけですが、ひとつ本日の答弁に沿って、誠意を持ってこの問題に取り組んでいただきたい。それは私は、単に日本国内の時短問題というだけではなくて、前段でも触れましたような国際的な問題がこれからなかなかむずかしい条件に向かうときでありますので、十分その点の配慮をしていただきたい、こう思うのであります。 最後に、ちょっと大臣がおいでにならなかったところで景気対策の問題をやっておりましたので、そこのところだけを、ちょっと重ねて大臣の御意見を承っておきたいと思うのですけれども、経済閣僚の会議で、さっき申し上げたようなことが対応されておると思うのですが、この財政再建という問題とそれからいまの景気対策という問題は、実はちょっと矛盾した問題なんですね。この際、大臣は、どっちの方が優先すると考えておられるかというのをちょっとお尋ねをしておきたいと思うのです。
○渡辺国務大臣 これはなかなか、どちらを優先ということも非常にむずかしい問題でございまして、財政が滅びれば必ずしも景気がよくなるとは限らぬわけですから、場合によってはインフレになるということもあるだろうし、その前には結局国債が売れない、無理に国債を出すということになれば、高金利ということにもなるかもしれないし、無理に国債を、今度は別な手段をもって政府が優先的に金を集めるということになれば、いわゆる民間資金圧迫という問題も出てくるだろうし、そういうことになると、財政再建をおろそかにして景気対策が中長期に見てよくなるということにはならない。中長期的に見れば、むしろその方がこわいんじゃないか。 景気問題は、これは確かに現在景気の停滞ということがありますが、日本は世界の中の日本でございまして、日本だけで非常に好景気をもたらそうとしても、おのずからこれは限界がある。やはりやり方を間違うと、ガスペダルの踏み方で、先ほど言ったようなインフレというような問題も、また景気対策の中から起こしかねない。したがって両にらみということになるんじゃないか。現在は、やはり景気がこれ以上失速することは困る。したがって、失速させないために与えられた条件の中で最大限の努力をするということが一つだと思うのです、そのためにはいろいろなことがこしらえてあるわけですから。それで世界の景気動向というものも日本の景気には影響があるわけですから、そういうものをにらみながら、今後どうしていくかということについては考えていく必要がある、そう思っております。 したがって、どちらを優先というふうに、ここのところですきっと決まりを分けるということではないんじゃないだろうか、そう思っております。
○堀委員 言葉のあやとしては両にらみということのようですけれども、いまのこの財政の状態はなかなかそううまくいかないんですね。 さっき、ちょっと大臣のおられないところで五十六年度の経済成長の問題の議論をしたわけです。そこで企画庁の方で、最近そんなに前期比で四半期別のGNPが伸びたことはないのですが、仮に一・五伸びるとしたら五十六年はどうなりますかと言ったら、五十六年は二・八%の成長になります、こう答えておるわけですね。大体そこら、まあ三%を少し切れるぐらいのところしかいかないんだろう。ですから、名目成長率もそれに伴って低くなる。政府は四・一という実績見込みを立てたわけですからね。 そうすると、もうすでに何回も言われているから、私も余り言う気持ちはありませんが、この五十六年の財政というものもまだなかなか憂慮すべき状態が残っておる。今度は五十七年はその憂慮すべき状態の上に積み上がるわけですから、スタートのところがもう大分違うわけですね。四・一で考えて、まあ五・二ということでしょうが、これもとても無理な話だけれども、それがもし三程度ということになれば、これはさらに下がってくる。ですから、五十七年というのは財政上は大変むずかしいということになりますね。 大変むずかしい中で七五%前倒しですから、後半の情勢によっては、もうすでに盛んに建設国債の増発というようなことが唱えられておる。しかし、これはもうそうなるとそろばんが合わないのですね。だから、いまの選択は、どちらかというと、国民に耐乏を求めるというかっこうの処理になるのか、あるいは、日本経済はそう失速すると私は思っていません、失速するとは思わないけれども、非常に低い成長をみんなで甘受するかという選択になるんじゃないか。 だから、そんなにうまいこと両にらみでいけるはずはないので、国民生活から見ると、要するに、調整インフレのようなかっこうになることは、これは大変迷惑なことです。ですから、いま物価が安定しておること自身は、税収が少なくなっても物価が安定しておる方がいいわけでして、そういう意味では、今後の財政運営というものは大変実はむずかしい情勢になるのではないのか。 いま、昭和五十六年が財政再建元年と言われておるということなんですが、ここで二兆円国債を減額した、りっぱなスタードだったわけであります。しかし、実は二兆円減額するときには一兆四千億余りの増税があったわけですね。だから、増税をして減税するというなら、これはだれでもできることであって、実はネットで言うと六千億だけが本当の意味の国債減額であった、こう見ておるわけですね。 そうすると、この間もうすでに半分以上国債発行してしまったわけですから、あと残りはごくわずかにしかなっていない。仮にこれがゼロになるということになると、財政再建元年というのは、実は財政再建元年ではなかったということになるのじゃないだろうか。財政再建二年目というのが、一兆八千三百億円の国債の減額をスタートでやった。しかし、それがどうもそれを超えて国債を発行しなければならぬという情勢になると、これは財政再建二年目というのも、どうやら幻の財政再建ということになってくるのではないだろうか。 そこで総理は、五十九年に赤字国債をゼロにすることに政治生命をかけるということをおっしゃっているわけですけれども、そういう意気込みは大変いいのですね。私も、総理がその決心を持ってやられることは大変いいと思うのですけれども、財政のようなものは実は自分たちが思ったようにいかないのでして、経済の動きによって財政はそのはね返りを受ける性格のもので、財政が積極性があるのじゃなくて、経済の方が主体で財政はやや受け身の立場にあるというふうな認識でないと、実は問題の処理が誤られるのではないかという気がしてならないわけです。 ですから、先ほどもあなたが両にらみのようなことをおっしゃるけれども、これはまさに財政の面で景気浮揚を図ろうなどということになると、財政再建から見ても簡単なことではないのじゃないかという気がいたします。いまどうしてもらいたいという話ではなくて、そういう問題意識を持ってこの五十七年の財政運営をしていただかないと、安易に、ちょっと第三・四半期が落ち込んだから、さああれしょう、これしようなどとばたばたしない方がいいというのが、私の率直な気持ちであります。 ただ、先ほどの長期的な話は別なんですね。これはことし、来年の話を言っているのじゃなくて、日本の将来を見て、いまの貿易摩擦とかいろいろなものを見て考えるという話で、それとこれとはちょっと違うのです。 だから、いま新聞を見ると、要するに長期金利を引き下げるんだ、「長期債、来月から全面利下げ」というようなことが出ているわけです。先ほど大臣がおられないときに言ったのですが、円安がかなり進行していますし、円安が進行するということはどういうことかと言えば、やはり日本の労働が安く売られるということになるわけですからね。これは国民全体として大変マイナスのことであって、そして日本は輸入物資が多いわけですから、輸入物資が値上がりをするという結果、これは経済のバランスを崩す方向にこそ行け、望ましくない。 こう考えていきますと、いまの第三・四半期が落ち込んだからと言って余りばたばたしないで、少し全体を見ながら、いまの財政状況もにらみながらの今後の経済運営をしていただかないと、後で振り返ってみて、いろいろやったのはやはりまずかったということになりかねないという気持ちが私はいたしてなりません。そういう点で、まだ予算が上がっていませんからあれですが、慎重な財政運営をひとつ考えていただきたい。 それからもう一つは、さっきもちょっと触れましたけれども、私は、公共事業がいま必ずしも外国の人たちが思うように産業基盤整備ばかりになっているとは思いませんけれども、しかし、彼らがそういう疑問を持つということについては、やはりわれわれももう少し考えてみなければいけないのじゃないかと思いますので、これは大蔵委員会がどうということではありませんが、そういう国民的利益、日本の将来を考える問題は、私は、政党がおのおの本当に真剣に話し合って、さっきの土地というものに対する公共性の問題についての何らかのコンセンサスが得られる努力をすることが、これまた私は非常に重大だと思っております。 それは国会の政党の話ですからいいのですが、今後の経済運営について、大臣は、いま私が申し上げたことを考慮していただいて対応していただきたいと思うのです。一言お答えをいただいて、私の質問を終わります。
○渡辺国務大臣 大変ごもっともな御意見でございまして、今後とも十分いろいろとお知恵を拝借して、財政運営を適切にやってまいりたいと存じます。 それからもう一つ、先ほど私が堀議員に対する答弁の中で、憲法九条の解釈云々ということは、憲法二十九条の解釈をもう少し弾力的にやってもいいのじゃないかという意味でございますので、訂正をしておわびをいたします。
○堀委員 わかりました。終わります。
○森委員長 これにて三案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○森委員長 これより討論に入るのでありますが、国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案については討論の申し出がありませんので、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の両案について、討論を行います。 笹山登生君。
○笹山委員 私は、自由民主党を代表し、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につき、賛成の意見を表明するものであります。 第一に、法人税法改正案について見ますと、延納制度の縮減が行われることになっております。この制度が創設された昭和二十六年当時と現在とでは、滞納の発生状況や金融情勢が異なっていること、また所得税の延納制度とのバランスなどから見て、この際制度の縮減を図ることは妥当な措置であると考えます。 第二に、租税特別措置法改正案について見ますと、今回適用期限の到来する特別措置を中心として見直しを行っております。すなわち、企業関係の特別措置について四項目を廃止するほか、価格変動準備金などの特別措置について縮減合理化が図られております。かねてから租税特別措置については、政策目的を達成したものや政策効果の上がらないものは、速やかに改廃の措置をとる必要が叫ばれておりますが、私は、今回の改正により、政府が特別措置の整理合理化に真剣に取り組み、税制に対する国民の理解を得ることに努めているひたむきな態度に敬意を表するものであります。 また、土地・住宅税制について、長期安定的な土地・住宅税制を確立し、土地供給及び住宅建設を促進する等の見地から、譲渡所得課税における長期、短期の区分基準の改正、長期譲渡所得課税における四分の三総合課税の廃止、居住用財産の買いかえ制度の創設等の措置を講ずることとしております。現在の土地税制の基本的部分は、昭和四十七、八年ごろの異常な土地投機を背景に整備されたものでありますが、このような投機が鎮静化した今日、これがかえって土地の流動化を阻害し、ひいては近年の宅地供給停滞の一因とまでなっていることを考えますと、今回の改正は、住宅建設が低迷しております今日、景気対策の上からも時宜に適した措置であり、土地供給及び住宅建設の促進に大きな効果が期待できると思うのであります。 なお、福祉対策に資するための措置として、同居の特別障害者について五万円の特別控除を認める等の措置を講ずることとしておりますが、厳しい財政事情にもかかわらず、福祉面においてもきめの細かい配慮を行おうとする政府の姿勢を高く評価するものであります。 以上申し述べました理由によって、今回の改正は、最近における社会経済情勢の推移及び現下の厳しい財政事情に照らし、まことに適切妥当な措置であると存じますので、両法律案に全面的に賛成の態度を表明し、私の討論を終わります。(拍手)
○森委員長 伊藤茂君。
○伊藤(茂)委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案の両案に対し、反対の立場から討論を行います。 反対の第一の理由は、両法案を通じて税制の抜本的、民主的改革への決意や意欲が見られないことであります。多くの国民は、増税に反対すると同時に、不公平税制に厳しくメスを入れることを強く要求しています。いま必要なのは、このような世論にこたえて企業税制の幅広い改革、各種引当金、準備金などの抜本的見直しを行うことであります。ところが、五十七年度税制を決める昨年末の経過を見ましても、繰り返し指摘をされてまいりました退職給与引当金の改革などにつきましても、財界の反対によって、いとも簡単に立ち消えになるという状態であります。税財政の改革に国民の関心が集中しているにもかかわらず、このような姿勢にとどまっていることは大変に不満であります。 反対の第二の理由は、展望のないつじつま合わせの予算づくりという姿勢で五十七年度税制をつくっていることであります。特に、法人税法の一部改正の主要内容は延納制度の縮減でありますが、本年度三千五百億円の増税のうち、千四百億円が予定されているこの制度は小手先のやりくりにすぎません。いま取り組むべき改革を行わないで、このような措置をとっているのでは、税制改革、財政再建の方向は日暮れて道遠しと言わなければなりません。 第三の理由は、今回提案されている土地税制についてであります。土地・住宅政策に税制が大きな役割りを持つのは筋違いであることは大蔵省としても認めているところでありますのに、本年、重ねて譲渡所得課税の緩和、宅地並み課税の当面を糊塗する内容を提出しております。危機的状況を深めている土地問題に本格的に取り組むことを初め、総合的な土地・住宅政策が緊急に必要とされているのに、このような対応に終わっていることは承認できないものであります。 第四の理由として私が特に指摘したいのは、今回政府が提案している法人税法、租税特別措置法などは、その抜本的な改革などを通じて、すべての勤労者の切実な要求である所得減税に積極的にこたえる姿勢のないことであります。 私たち五野党が一兆円減税を要求した財源案は、補助貨幣回収準備金の一般会計への繰り入れ、外国為替資金特別会計からの一般会計繰入額の増額、有価証券取引税の強化など、所得税の不公平を是正する気持ちがあればすぐ実行できるものであります。私は、このような内容を取り入れようとしていないこの政府案に反対すると同時に、今後当委員会に設置される減税問題小委員会などの論議を通じて、大胆に姿勢を変えることを強く要求いたします。 以上、主な反対理由を申し述べましたが、このような改革の意思の見られない態度を一日も早く断ち切るよう強く要望して、私の討論を終わります。(拍手)
○森委員長 鳥居一雄君。
○鳥居委員 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、反対の態度を表明し、討論を行うものであります。 まず反対する理由の第一は、法人税の延納制度の縮減が大企業に比べ資金調達能力の弱い中小企業の経営を圧迫することであります。特に、中小企業の景気は底ばいで、倒産も依然として高水準で続いている現状では、ますます中小企業を苦境に陥れることを懸念するものであります。 同時に、この制度改正は、税収入の面から見ても五十七年度限りの一過性のものであり、財政再建に寄与しないことから、糊塗策としか言えません。 反対理由の第二は、企業優遇策とも言われている貸し倒れ引当金及び退職給与引当金の縮小について政府が消極的な姿勢をとり続けていることであります。貸し倒れ引当金の法定繰入率は引き下げられたものの、税務資料などによる貸し倒れ実績率と繰入率とを比べてみますと、各業種とも繰入率が相当高くなっております。また、退職給与引当金についても無税繰入率の縮小を五十七年度の税制改正の俎上に乗せながら、明確な理由を示さずに見送られております。このように、いわゆる不公平税制の一環とも言える制度を温存することは納得できません。 反対理由の第三は、政府が長年の懸案である総合的な土地政策を示さないまま、長期譲渡所得など土地税制を大幅に緩和していることであります。政府の土地税制改正案は、土地価格と所得水準の乖離、国税及び地方税の土地税制改正のうち、ごく一部を除いていわゆるむち効果のないことなど総合的に判断した場合、五十七年度に土地供給が積極的に進むとはとうてい考えられません。また、給与所得者などに過度な実質増税を強いながら、一部の土地保有者のみに大幅減税措置を実施することも、社会的公正確保の見地から認めがたいのであります。 最後に、景気動向は個人消費の低迷などから相変わらず足踏みを続けております。税収動向も景気の足踏みにより歳入欠陥をもたらしております。加えて、五十三年以来の課税最低限の据え置きは、給与所得者を中心に大幅な実質増税と不公平感を助長しております。したがいまして、一兆円規模の減税は、景気回復、生活防衛、公正確保など国民的要求であり、本来ならば当初予算段階において実施すべきものであります。 しかし、一兆円減税に対するわれわれの強い要求に基づいて与野党合意が成立し、衆議院議長見解が示され、五十七年度とともに五十八年度も所得税減税を行うための手がかりが得られたことは高く評価するものであります。われわれは、与野党合意に基づく議長見解に従い、五十七年度の所得税減税の実施に全力で取り組む所存であります。 以上をもちまして、討論を終わります。(拍手)
○森委員長 和田耕作君。
○和田(耕)委員 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております法人税法の一部改正並びに租税特別措置法の一部改正の法律案に対し、反対の討論を行います。 まず、法人税の一部改正の法律案についてであります。 今回の改正案では、法人税の延納制度について延納割合を現行の二分の一以下から四分の一以下に引き下げるとともに、中間申告による法人税額に係わる延納制度を廃止することになっております。この措置は、税収の面から見れば、本来次年度の税収になるべき千四百四十億円の税収を繰り上げて先取りするというつじつま合わせにすぎないと言わざるを得ません。また、この措置が実施されることによって中小企業経営者の受ける資金面の圧迫が加重されることも考えられ、そうでなくとも不況の波にさらされている彼らの経営を窮地に追い込むことも考えられて、きわめて遺憾であります。 次に、貸し倒れ引当金の問題であります。今回の改正案では、卸売業及び小売業については現行の千分の十六を十四に、製造業では千分の十二を十に引き下げることになっております。これは実際の貸し倒れ率と法定繰入率との開きを正す意味で前進でありますが、なお現実の開きとはほど遠く、今後さらに見直しを図るべきであります。 次に、租税特別措置の一部改正の法律案についてであります。 まず交際費課税について、最近の社会経済状態から課税強化の要請が強まっており、今回も交際費課税の強化が行われ、中小企業への配慮も見られるのでありますが、今回の措置が時限的なものであり、また、資本金五千万円以上の法人のみが定額控除を廃止するなど、なお今後見直しを図るべき余地があると思います。 さらに、今回の租税特別措置の整理合理化によって初年度で千九十億円の増収が見込まれるわけでありますが、これは政府がかって示したような特別措置の整理合理化はおおむね一段落との認識の誤りを示すものでありまして、この点反省を求めるとともに、租税特別措置のさらに厳しい見直しを求めるものであります。 最後に、宅地並びに住宅問題に関する措置についてであります。 これらの問題については、地価にまつわる相矛盾する困難な諸問題のあることは十分承知しておりますが、土地譲渡についての課税緩和も中途半端であり、また、市街化地域の宅地並み課税の強化も抜け穴があってその成果が危ぶまれており、一層の検討が望まれるところであります。また、住宅取得について、住宅貯蓄控除制度を五十七年限りで廃止することは、利子補給制度を創設するということはあっても、住宅についての勤労者の負担を軽減するという政策目標に逆行するものでありまして、再検討を要すると思います。 以上、反対の理由を述べたわけであります。(拍手)
○森委員長 簑輪幸代君。
○簑輪委員 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となっています法人税法、租税特別措置法の両改正案に反対の討論を行います。 反対の第一の理由は、不公平税制の抜本的是正を進めるどころか、逆に改悪さえしていることです。大企業、大資産家優遇の不公平税制に徹底したメスを入れ、適正課税を実現することは、税制を国民の立場から改革する上でも、新たな財源を確保する上でも、ひいてはわが国の財政と経済を再建する上でも不可避の課題です。 ところが、今次改正案はどうでしょうか。検討されていた退職給与引当金の見直しが財界の反対で見送られる一方で、その代替財源策として、主として中小企業に打撃となる法人税延納制度の縮減を図っています。交際費課税の強化や価格変動準備金の整理、貸し倒れ引当金の縮減など前進面がわずかに見られはしますが、エネルギー対策投資減税の拡充や海外投資損失準備金等の期限延長など、大企業への恩典措置は大勢として温存されているばかりか、科学万博を口実に新たな大企業減税が盛り込まれてさえいます。また、本委員会で繰り返し指摘されていたキャピタルゲイン課税やプレミアム課税についても何ら手を打っておりません。これでは大企業、財界には温かく、国民や中小企業には冷たい無責任な措置と言わざるを得ません。 反対の第二の理由は、景気対策を口実に土地税制の一層の緩和を図っていることです。果たして、これでどれだけの宅地供給が図れるでしょうか。しかも、需要者である国民が、住宅はおろか毎日の生活にも困っているのが現状です。これは、景気対策にかこつけた土地持ちの大企業、大資産家を助けるものにほかなりません。 最後に、特に指摘しておきたいのは、国民の多くが切実に要求している所得税減税を五年連続で見送っていることです。五十二年度から五十七年度までの五年間で所得税の国民負担は二・三倍にもふえ、勤労者世帯では税金など非消費支出の収入に占める割合が一〇%から一五%に上昇しています。これでは個人消費が伸び悩むのも当然で、消費不況はますます深刻にならざるを得ません。また、税調答申でも指摘されているとおり、所得税は累進構造のために、所得水準の上昇を上回って税負担が増大するため、取り過ぎ分を返すという負担の適正化が行われるべきものです。いまや生活保護世帯に課税するに等しい現状は、税制としてあってはならない事態です。与野党合意、議長見解などいろいろ言われていますが、まず政府みずからが減税に踏み出すべきです。 日本共産党は、不公平税制を是正し、財源を確保して、所得税で七千億円、住民税で三千億円の減税の実施を要求していますが、私は、この要求実現のため、あくまで奮闘する決意であることを改めて表明し、討論を終わります。(拍手)
○森委員長 田島衞君。
○田島委員 私は、新自由クラブ・民主連合を代表して、議題となっております法人税法の十部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論をいたします。 まず、法人税法の一部を改正する法律案についてでありますが、延納制度の意義が多少薄らいできたということは考えられますけれども、しかし、数多い中小企業の中には、申告時二分の一納税という従来の資金繰りから、改正によって申告時四分の三納税ということで、さなきだに苦しい経営に少なからざる障害になることも考えられる反面、改正を意図する立場にそれなりの大義名分はなく、むしろ単なる財政のつじつま合わせのための弱い者いじめ的増収措置の性格が明らかであることが賛成できない理由の一番大きなものであります。 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案についてでありますけれども、不公平税制の是正という点では、少しは評価すべき一面のあることは認めるわけでありますが、反面に、社会的要求にこたえるために設けられたとも言うべき公害防止関連施設に対する税制上の優遇措置の縮減を盛り込んでおることや、また、特に中小企業への実質的増税となるであろうことなどを考えると、とうてい賛意を表することはむずかしいことであります。 政府は、両法案とも財政再建をその理由の一つに挙げておるようでありますけれども、納税者の負担で財政再建をすることにはわが会派は絶対反対であります。また、不徹底な行政改革の姿勢をそのままにしての納税者へのしわ寄せについても、たとえどのような理由をつけようとも反対であります。まず政府は、みずからの努力によって徹底的な行政改革を断行し、そしてみずからの努力で財政再建を図って、全力を尽くし終えた上でこのようなことを考えるべきだと思うわけであります。 以上の理由によって両法案に反対をいたします。討論を終わります。(拍手)
○森委員長 これにて両案に対する討論は終局いたしました。 —————————————
○森委員長 これより採決に入ります。 まず、国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○森委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。 次に、法人税法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○森委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○森委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。 —————————————
○森委員長 ただいま議決いたしました三案に対し、小泉純一郎君外四名より、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新自由クラブ・民主連合五派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。沢田広君。
○沢田委員 ただいま議題となりました国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、提案の趣旨と内容を御説明申し上げます。 御承知のように、これらの三法律案につきましては、慎重かつ熱心に審議を続けてまいりましたが、この審議を通じまして今後検討しなければならない諸事項、たとえば退職給与引当金等の適正な繰入率、租税特別措置の整理合理化、総合的な土地政策のあり方、税負担の公平の確保など、また、住宅貯蓄控除制度の廃止に伴い、勤労者の持ち家取得のための効果的な施策と勤労者に実害が生じないような措置などについて、その問題点が指摘されました。 この附帯決議案は、このような指摘を踏まえて、各党協議の上取りまとめたものであります。今後、これらの各事項につきましては、私どもも論議を深めていかなければなりませんが、政府に対しても、なお一層の検討と努力を求めようとするものであります。なお、個々の事項の趣旨につきましては、案文で明らかでありますので、その説明は案文の朗読によりかえさせていただきます。 国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、左記の事項について、所要の措置を講ずべきである。 一 国税収納金整理資金に係る取扱いの改正に関連して、還付金及び還付加算金の円滑な事務処理に一層配慮し、納税者の利便の増進に努めること。 一 退職給与引当金の繰入率については、今後における企業年金制度の動向等を見極めつつ、基本的な検討を行うこと。 一 貸倒引当金の法定繰入率については、貸倒実績率の推移等を勘案し、今後とも引き続き検討を行うこと。 一 準備金、特別償却等各種の租税特別措置については、その政策目的、政策効果、利用状況等を勘案し、その整理合理化にさらに努めること。 一 今後の高齢化社会の進展に伴い、年金に関する課税のあり方等について検討すること。 一 土地税制の改正とあわせて住宅建設の促進、地価の抑制、優良宅地の供給等に資する総合的な土地政策を速やかに実行に移すこと。 一 住宅貯蓄控除制度が廃止されることに伴い、財形持家個人融資制度について利子補給を適切かつ確実に行う等勤労者の持家取得のための効果的な施策に十分配意すること。 一 全国共済農業協同組合連合会の行う適格退職年金の資金運用については、その経理区分の明確化及び長期的展望に立った健全な運営が図られるよう努め、農協職員に不安を与えないよう配慮すること。 一 自動車重量税を含む自動車関係諸税については、社会経済情勢等の推移に即応しつつ、そのあり方について幅広く検討すること。 一 世論の動向に顧み、税務執行の公平を確保するよう特段の努力をすること。 一 申告納税の基本に立って申告水準の向上等のため、制度面、執行面を通じた納税環境の整備のための具体的方策について早急に検討すること。 一 変動する納税環境、財政再建の緊急性にかんがみ、複雑、困難で、かつ高度の専門的知識を要する職務に従事している国税職員について、職員の年齢構成の特殊性等従来の経緯及び今後の財源確保の緊急かつ重要性並びに税務執行面における負担の公平確保の見地から、今後ともその処遇の改善・定員の増加等に一層努力すること。 以上であります。 何とぞ御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
○森委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○森委員長 起立多数。よって、三案に対し附帯決議を付することに決しました。 本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。渡辺大蔵大臣。
○渡辺国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意いたしたいと存じます。 —————————————
○森委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○森委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○森委員長 次回は、明十九日金曜日午前九時四十分理事会、午前九時四十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後七時十四分散会