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96回国会衆議院1982/03/09

大蔵委員会 第7号

発言数
178
登壇者
21
会派数
6
開催日
1982/03/09

会議録

森喜朗自由民主党

○森委員長 これより会議を開きます。  国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡部一郎君。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 長年月にわたり分離課税のもとに置かれた利子配当というものは、昭和五十九年より総合課税へ移行することが五十五年度所得税法改正で実現しております。グリーンカード制は、マル優、特別マル優、郵便貯金の非課税貯蓄制度を維持し、適正な管理を行うとともに公正な総合課税の実効を確保していくために必要なものとみなされてきたわけでございますが、最近、このグリーンカード制度の適否について斯界の議論が沸騰しているところであります。したがいまして、政府の御関係筋の御意向をもう一回確かめておきたいと存じております。  まず、グリーンカード制度の実施が決まってから、郵便貯金と民間マル優預金との間に不公平があるという議論が巻き起こりまして、郵便貯金の方に猛烈に大きな金額がシフトした。一昨年末、大蔵、郵政両省でグリーンカード番号による名寄せというものが決まり解決したということになっているわけでございますが、このグリーンカード番号による名寄せシステムの開発費というものが、昭和五十七年度の予算案に計上されていると聞いておりますが、この両省の合意に基づいてその辺はきちっとできているものかどうか、その辺から、まずお伺いしたいと存じます。

福田幸弘大蔵省主税局長

○福田(幸)政府委員 お答え申し上げます。  非課税限度の管理というのは重要な問題であります。租税特別措置法によりまして一人三百万、郵貯が三百万、国債が三百万、九百万というのが免税になっておるわけですから、免税を与える以上、確実に担保してもらうということは郵便貯金及び銀行について同様に必要なことでございます。したがいまして、いま御指摘の点につきましては、取り決めに基づきまして厳格に両者やるということで、予算上の措置も、これは郵政の方に予算措置が講じられておりまして、名寄せのための機械化の開発が進められておるという状況であります。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 このグリーンカード制度実施のために、金融資産がグリーンカード制度の適用を受けない資産に逃避する動きが非常に大きく起こっているという議論を見かけるわけでございますが、銀行局においては、最近の民間金融機関における預貯金の伸びの状況というものをどう把握されておりますか。

宮本保孝大蔵省銀行局長

○宮本(保)政府委員 五十六年中一年間でございますが、たとえば銀行でございますと四二・三%増加でございまして七兆五千億、相互銀行の場合にも三三%増加でございまして一兆七千億、信用金庫は一七・二%で二兆六千億、それから信用組合も一六・五%等々でございまして、全体といたしましては三十五兆二千億ふえまして七・九%の伸びでございます。前年が三十二兆七千億でございまして二・四%の伸びでございますので、前年に比べますと、五十六年はかなり伸びたというふうなことが言えるかと思います。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 大臣がせっかくおいでになりましたから、先に大問題を一つお尋ねしたいと存じます。  先月の十一日、十二日、十三日の各紙の報道等あるいは江崎訪米団からの御報告等によりますと、アメリカの日本に対する最近の摩擦というものは、貿易摩擦ではなくてサービス、投資分野における相互主義というものに対して強い要求が集まっているように見えるわけであります。このサービス、投資分野というのは、日本側の用語で言えば銀行であり、証券であり、保険であり、不動産売買である、こういうふうに見えるわけであります。特にブロックUSTR、米通商代表部代表は、サービス、投資分野の相互主義を求めたロス議員提出の法案には政府として同調できると述べ、逆に、物の貿易面で相互主義に基づく輸入制限措置を織り込んだダンフォース議員やハインツ議員の提出している法案には政府は賛成できない。つまり、ロス議員の提出のサービス業の公平化の相互主義を要求する法案に対しては賛成する、こう述べておるわけであります。  また、アメリカのホーマッツという経済問題担当の国務次官補は、サンフランシスコで記者会見をした際に、日本は一層国内市場の開放に協力する措置を示さなければ、六カ月以内に西側から、つまりアメリカ及びヨーロッパから巨大な圧力に直面することになるだろう。これは明らかにヨーロッパとも打ち合わせ済みと思われるニュアンスを述べているわけであります。  また、ブロック代表は、十一日開かれた上院財政委員会国際貿易小委員会の席上、七四年通商法にはサービス、貿易での報復権は規定があるが、権限の範囲と運用に疑問がある。次に、海外での投資規制への報復権は含まれていないと指摘し、ガットすなわち関税貿易一般協定では投資、サービスは対象になっておらず、投資、サービス分野で報復措置をとればガット違反に問われるおそれがあることから、サービス、投資の分野に重点を置いて現行法を改正、報復措置を拡大する。  これは、もうこのくらい挙げれば十分かと思いますが、要するに、アメリカのねらっているのはミカンでもなければ牛肉でもない。もちろんそれは、テーマとしては貿易の問題として象徴的に挙げられてくるのでありましょうけれども、ねらいは明らかに銀行であり、証券であり、保険であり、不動産売買の問題である。  大蔵省がアメリカ側に対して説明をするために江崎訪米団に渡された文書を私は拝見しました。これはどういうふうに書かれているかというと、日本側は日本国内におけるアメリカ系企業、日本系企業をほとんど均等に扱っておる、またアメリカに行った際に、日本企業、アメリカ企業はほぼ均等に扱われていることを示しているものであって、アメリカ側の要求とは違うのではないかと私は見ております。というのは、アメリカ側の要求は、アメリカ国内でやれることとほぼ同じことを日本でもできるようにしろという要求であります。ある意味では内政干渉、ある意味では日本側のルールというものを承知しない言い方でありますから、日本側には説明のしようが幾つかあるかと思いますが、ここは、両国間の国力の強大な差というものを考慮すると、ただ済ましておれない面がある。  特に、大蔵省が述べられておりますように、大蔵省の説明が余り適切でない、たとえば一般外銀に対するCD発行条件の緩和、小口CDの発行とか、銀行間預金金利の自由化とか、金融債発行の要望とかあるいは外国損保による日本法人の設立とか、こうした問題については、日本国の財政問題、金融制度上の問題からいって、そう簡単にはうんと言えませんよと言っている部分、ほんの小部分ですが、これだけはちょっと困りますよと言っているこの部分に、まさにアメリカの、それこそ強大な憎悪と反感が集中していると見なければならない。今度のは貿易摩擦問題と日本では理解されているが、貿易ではなくてまさに摩擦問題である、日米摩擦問題の焦点はここにあると私は見ているわけであります。  まず、この問題についてどういう御判断をもって処理していこうとされているか、これを承りたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 後半で渡部委員が言ったように、アメリカと同じことをやらせろということのようです。しかし、それはできない相談でございまして、制度の違いがございますから、日本国内においては、アメリカの銀行も証券の支店も同様に扱っておるわけでございまして、その点は説明をすればわかると私は思っております。わからない人は幾ら言ってもわからないわけですから、これは説明のしようがない。  実際問題として、ともかく選挙もあるし、失業者は多い、インフレは進むという中での出来事でございますから、その気持ちはわからないことはありませんが、私は、この問題はいろいろな面でしばらく続くだろうと思うのです。しかし、やはり道理は道理でございますから、われわれもできるだけのことはやってまいりますが、できないことはお断りをするとはっきり言っていきたいと思っております。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 私も、大臣の言い回しは日本風な表現ですから、わからぬわけではない。しかし、アメリカ側の言っている今回の圧力のかけ方その他から見ると、そう言っておられないのではないかと思う節がある。特に、アメリカ国内におけるロス議員の提出された相互主義法案、これらの問題について報復措置ができることを決める法案が出てこようとしている。  そうすると、アメリカ国内で日本系の金融機関が受けている取り扱いと、日本国内において外銀が受けている取り扱いをこういうふうに比較して、向こうの方がはるかに自由度があるのは、それは当然ですし、こちらは厳格なる銀行局の御指導のもとにやっておるわけでありますから、とても比較にならぬ。そうすると、その二つを比較して相互主義法案が通過してしまう、報復措置がとられてくる、それはアメリカ、ヨーロッパ同じように、日本に対してその措置がとられてくるという状況になろうとしている。  したがって、この問題については、できぬものはできぬのだと言うのは、対象を言わない場合には結構ですけれども、国際的な配慮のある御発言が大臣としても必要ではないか、こう思っておるわけであります。余りたくさん詰めると、日本側の立場を悪くすることになるだろうと私は心配しているわけなんです。だから、私はきょうは余り申しません。ぜひともこの問題について十分御検討いただき、アメリカにおけるサービス業に対する相互主義法案というものが成立しないように、また、そうかといって日本側の権益も侵されないように、さまざまな配慮をしながら御検討並びに交渉をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 さように誠意を持って努力してまいります。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 きょうはそこまでにしておきますが、この次はもっとがっちりやりますので、ひとつ御研究をお願いいたします。  次に、大蔵省は、国際金融取引に租税、為替管理の面の特恵を与えるところの東京ダラー市場と申しますか、インターナショナル・バンキング・ファシリティーと申しますか、それを五十七年度じゅうにも創設する御意向を固められたのではないかと思いますが、この問題についてお尋ねしておきたいと思います。  公式に伺うわけでございますが、東京を環太平洋地域の国際金融センターに育て、オイルマネーなどのドル資金の還流を期す、先ほどの議論にも絡むわけでありますが、日本の金融市場というのが国際金融市場の中では特異な閉鎖的かつ鎖国的なニュアンスというのを与えておる理由の一つは、この面にも多くあるのではないかと思うわけであります。  このほど発足された国際金融基本問題研究会、大蔵省国際金融局長の私的諮問機関と言われておりますが、そこでもお計らいされるというふうにも承っておるわけでありますが、どういうふうに検討されるのか、何と何をポイントとされるのか、その答申はいつごろ出て、大蔵省としては、どういう方向性でやろうとしておられるのか、政府の責任ある御返事を承りたいと存じます。

大場智満大蔵省国際金融局長

○大場政府委員 ただいま先生御指摘の東京オフショアマーケットの創設の問題でございますが、私ども現在検討を進めていることは事実でございます。  と申しますのは、御承知のとおり昨年、ヤンキー市場と通称言っておりますけれども、オフショアセンターがニューヨークにできたわけでございまして、この活動ぶりに注目しているところでございます。日本にこのような市場をつくることにつきましてはメリット、デメリットいろいろあるわけでございまして、メリットは、たとえば東京におけるこういった外貨建ての取引の規模が大きくなる、あるいは東京が国際的な金融のセンターになるというメリットもございますが、またデメリットも幾つかあるわけでございまして、ぜひその他の問題もこれから検討しなければいけない問題であるということでございまして、私ども、いま御指摘の国際金融基本問題研究会にこういった問題を研究していただくのが適当かとは思っておりますけれども、まだ具体的な進め方はしておりません。私ども内部で検討を行っている段階でございます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 昨年の十一月、一番問題になりそうなニューヨークとシンガポールを訪ねまして、私がシンガポールの国際金融庁長官に会いましたときに、現地の長官は、東京市場が開設されることについては、私の方としてはこれをノーということはできない、シンガポール航空が日本航空に対して特殊なサービスを売り物にして回復できたように、シンガポール市場としては、東京市場が開設されたら、それと意欲的に取り組み提携していく形で相互補完の形を何らかとれないものかといま研究中である、われわれとしては、むしろこの際積極的に日本の市場開設というものに敬意を表して、協調していきたい、こういう意向が表明されたことをお伝えしておきたいと思います。  またニューヨークにおいては、東京市場というものができれば地球は一回りするのであって、これについては非常に大きな興味を持っていると述べましたが、特にアメリカ系の銀行、金融機関は、この問題こそがサービス業の公平化の問題の中の大きな柱であると明らかに述べておりまして、この問題は先ほど述べたテーマと同じように御検討あることが必要ではないか、この観点を外さないように御検討いただくことが必要ではないかと思われるわけでありまして、これに対する御見解を承りたい。

大場智満大蔵省国際金融局長

○大場政府委員 ただいま御指摘いただきました点を含めまして、今後検討を進めてまいりたいと思っております。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 大臣のお越しがちょっと遅くなっておりますから、お約束の時間がもうほとんどありません。  ですから大臣、私はこれはまとめて申し上げます。国際金融の面を特にきょうはたくさん私は申し上げようと思ったのですが、例のグリーンカードであります。グリーンカードに対する反論、批判、その他山ほどいまあるわけでございまして、それに対して、私は、大臣の御見解を一つずつ丁寧に、かつソフトにお尋ねしようと思ったのです。しかし時間がないようですから、大臣に、あと五分ばかりございますから、この問題に対する現在の御見解をまとめてお尋ねしたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 グリーンカードの問題は、御承知のとおり、課税の公平を期せという強い強いたくさんの方からの御要望がございまして、そのためには利子配当等の総合課税をやれ。しかし現実の問題としては、総合課税といっても現状では捕捉が非常に困難であるから分離課税をとっておるわけでございます。しかし、何とか総合課税をやるためには、架空名義の預金などいっぱいできてしまってもむずかしいし、また一方は少額非課税制度というのがございますが、これとても現実の問題として捕捉が非常に困難になっているというのも実情でございます。  したがって、そういうようなものを何とか御要望のようにするのにはどうするかということで知恵をしぼった結果、皆さんの御賛同を得て国会で成立させたものでございますから、われわれとしては、目下これを変更する考えはございません。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 いろいろな言い方がございますけれども、グリーンカードの問題は、金融資産の運用についてグリーンカードというものが不当にあるいは過剰に実態を明らかにするために困るのだという意見が一方で非常に強く出ておりますということと、プライバシーの侵害があるという問題が一つあるという意見があるということと、二つあるように思われておったわけでございますが、最近では、むしろ日本における金融資産、これはどういう勘定で行われるかわかりませんけれども、一説によれば、三百三十兆円に上る金融資産のうち約二〇%、六十兆くらいのアンダーグラウンドにありまする金融資産というものが、最近は高い金利の外国系の金融債等を求めて日本から流出しているという説がもっぱらであります。  これは、グリーンカードの問題点の一つと絡んでごちゃにまぜられて議論しているように思われますが、これは重大な問題ではないかと思います。たとえば一兆円の減税をして景気を刺激しようなどという議論をしている途中で、横で五兆も十兆も、下手をすれば六十兆もというお金が海外へ流出しているのだとすれば、それはもう景気刺激どころか、どんな景気浮揚策をとったとしても問題なのでありまして、この傾向はすでにドイツにおいて強くあらわれており、議論の対象となっているところであります。  したがって、私は、ここで述べますのは、グリーンカードの問題も大変ですけれども、むしろ、このような日本の金融資産というものが高金利を求めて世界へ向かって自由円としてスタートしていく、こういう徴候に対する基本的な対策がない限り、この議論は集約しないものと思うわけであります。この辺の御研究あるいは御見解等がありましたら、お話をいただきたい。これもまた大問題でありますので、基本的なことを伺いたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 私は、数十兆なんという金が行っているとはもちろん思っておりません。おりませんが、ゼロクーポン等がよく実態がわからずに、そういうものをまた証券会社等がどうも勧め過ぎるのじゃないかというような点はなきにしもあらずでございますので、それについては自粛を願うというようなことは考えておるわけでございます。  いずれにしても、経済は生き物でございますから、生き物には生き物らしく対応をしていかなければならないというのも現実の姿でございます。しかし、このことが直ちにグリーンカード云々ということに発展をするとも考えておりません。いずれにせよ、われわれ国会で非常に忙しくて考えている暇も実はないのですが、何とか早い時期にいろいろな諸方策を講じて、いろいろ悪巧みがされないようなことは考えていかなければならぬ、そう思っております。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 もう時間もないようですが、大臣のおっしゃったゼロクーポン債だけ、ひとつ最後にお尋ねします。よろしゅうございますね。  最近、ゼロクーポン債が大量に売れた、一説によれば六百億とか七百億とか八百億とか千億とかいうレベルだと承っております。このクーポン債について、何でそんなに売れたのかとお尋ねしてみましたところが、利子でもなければ配当でもないので、旧来の課税原則から言うと課税する方法はないということでございました。そして、おまけに証券会社が、グリーン対策として結構ですよ、源泉課税が行われませんよ、もっともこれはアメリカ債の場合は一〇%かかり、ヨーロッパ債の場合はゼロ%ですから、源泉がかからないという言い方も納得できるわけですが、かかりません、そして総合所得の中にもかかりませんよ、これはもう絶対安全なのです、財産隠しに絶好ですと声を大にして日本の最大の証券会社が売り立てにかかった。これは明らかであります。そしてしかも最後に、その課税されないということについては何が行われたかというと、国内の割引債については償還時に支払い調書が提出されるのに対して、ゼロクーポン債の償還益については支払い調書が提出されないですよということまで宣伝されてしまった。  私は、この質問を通告したときに、お役所の方をお招きして詰めてみましたのですけれども、その支払い調書については、やがて来年か再来年かなんかのうちには、そのうち何とかいたしますという御返事であったのですが、政府は、私たちが、国会が減税問題で暗礁に乗り上げておる間に一気に、これは売ってはいかぬというふうに証券会社を御指導なさったようでございます。  私は、この問題もまた、アメリカがにらんでいる真っ最中にクーポン債を買わないということを一気に決めたわけですから、これまた金融、サービス業の公平化の問題でひっかかる可能性のある決断であったと思いますが、今回の場合は緊急でもうやむを得ずなさったのだろうと思います。しかし、このような支払い調書が提出されないでいいなどと宣伝されるのを、この数カ月にわたって黙って見ていた責任というものは見逃すことはできないと思いますし、また、ゼロクーポン債の発行主体が意外に大企業ではなく、十年後においてはこの発行主体がつぶれてしまっている可能性も高い。アメリカやヨーロッパ等において、こうしたものの発行というのは意外と怪しげなグループとされておって、その怪しげなグループのために、しばしば巨大な銀行や証券会社が倒産していることも事実でありますから、こうしたものについては早く警告を発するのが、強力なる行政指導をふだんから行っておられる大蔵省として当然であったのではないかと思うわけです。  だから、指導しないなら指導しない、指導するならもっと早くやる、これは早く分けなければいけなかったのじゃないか。今回の大蔵省の対応というものは、早いような遅いような奇妙な態度であった。そして、いまこの期に及んでいきなり売るなというのは、私は、ますます被害者や混乱を多くするばかりではなかったかと感じているわけであります。この問題についての大臣の御見解を承りたいと存じます。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 われわれは、一切売るななんということは言ってないわけですから、問題は行き過ぎが困るわけであります。もう一つは、やはり行き過ぎた募集とか宣伝とか、そういうのはいかぬ。あなたのおっしゃるように、発行しているところが、十年先に四倍になりますと言ったって、つぶれてなくなってしまうかもわからぬし、円レートがどうなるかわからぬし、そういう不都合なところはみんな一方的に黙っておって、よさそうなところだけ宣伝して買わせる、そういうのが悪いわけだから、そういうことについては正しい知識を持って正しく説明をさせる。  それから税の問題でも、仮にそういうようなものを宣伝するとすれば、十年先がもしらぬが、幾らでも手当てができることでございますから、これはともかくも税金は絶対逃れられますよなんという宣伝をしたって、うその宣伝になることもある。したがって、そういうような行き過ぎたことをさせないということを言っておるわけでございます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 これで私の質問はやめますけれども、正直言いまして、今度のゼロクーポン債についての扱いは、大臣、まずかったですな。というのは、これだけ混乱が起こってから処理するとなると、早目に処理したのと後から処理したのでは、処理の仕方が全く変わってしまう。  私は、なぜこうしたゼロクーポン債の件を申し上げるかといいますと、このたぐいの金融商品というものは、いま世界的にいってもう乱発状態になっておる。特にコマーシャルペーパーの中には恐るべきものがたくさんあるのは御承知のとおりであります。したがって、日本においてこうしたもののたちの悪いのも入ってきますよと、これについて国民にPRをしておくことが私は必要だと思うのです。全然入れないのか、それとも、ある程度入ってきても関係各機関がその正体について説明、PRを十分にしておくのか、私は、両方とも場合によっては必要ではないかと思います。今後は、こうした混乱を招かないように十分の御配慮をお願いしたいと思いますが、いかがですか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 最初から入れるなというお話もいまございましたが、そういうふうに何でも禁止的には考えていないのです。  こういうことは何でも程度問題ですから、問題は、余り混乱をするようなことがあったり、いま言ったように無知につけ込んでそれで金もうけするとか、いっぱい売るとかいうことがいけないことであって、やはりそういう点は、ちゃんとメリット、デメリット、両方説明をするということならば、そういう問題は起きない。ですから、そういうような点については、今後も十分に注意をしてまいりたいと思います。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 どうもありがとうございました。

森喜朗自由民主党

○森委員長 野口幸一君。

野口幸一日本社会党

○野口委員 大臣が予算委員会の方にお見えのようでございますので、大臣のいらっしゃる間に二、三点お伺いをいたしたいと思います。  まず、減税問題でございますが、与野党の協議によりまして、その結果と申しますか、そういった協議に基づいて議長見解が出されました。この議長見解について、大臣はどう認識していらっしゃいますか。この点、まず一番初めにお伺いをいたしたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 議長見解そのものは、別に大蔵大臣が御相談にあずかってつくったものではございません。これは、各党間でいろいろいきさつがありまして、そのいきさつを踏まえまして、国会審議の正常化のためにこれが示されたものだと私は考えております。  したがって、この内容については、私は特別に反対の意見もございません。穏当なことが書いてあると思っておるわけでございまして、この中身は、いろいろ詰められましてもお答えはできません。これはこのとおりでございますから、やはり予算成立後に各党間で話し合って、この大蔵委員会の中に小委員会を設けて、ここでいろいろ御検討をいただくということだと思っております。

野口幸一日本社会党

○野口委員 それでは、そういうことであるならば、私もあえて大臣にお話しをする気も起こりませんからやめます。  そこで、私は、財投の関係で若干伺いたいと存じますが、実は現時点における原資の調達の状況を把握いたしたいと存じますので、若干の御説明をいただきたいのであります。  財投の資金運用部資金の残高に占める構成比率、これは郵便貯金が非常に大きいのでありまして、六〇・四%を占めているわけでありますが、この郵便貯金の現在の純増状況といいますか、ふえているのかあるいはまた減っているのか、その現状をひとつ御説明をいただきたい。

岩島康春郵政省貯金局管理課長

○岩島説明員 郵便貯金の増加の状況でございますけれども、先生御承知のとおり、昭和五十五年は金利の天井感といったものもございまして郵便貯金が非常に伸びた年でございますけれども、五十五年十二月に利下げがございまして、それ以降郵便貯金の伸びが急激にとまっております。  五十六年度でございますけれども、この増加の伸びの停滞というのがずっと続いておりまして、この二月末現在の状況で申し上げますと、純粋に市中から郵便貯金として集まってまいりました純増加額というのが三兆四千九百三十九億でございまして、これは同じ時期の昨年度の伸びに比較いたしますと五六%、昨年度は大変大きく伸びた年でございますが、不振でございました前々年度に比較いたしましても、八〇%の伸びというふうに大変不振でございます。これに元加されます利子額を加えました郵便貯金の全体の増加額といいますのが、二月末現在で七兆六千三百八十三億でございます。今年度の私どもの増加目標額は八兆九千億でございまして、これに対しまして八六%という推進状況になっております。

野口幸一日本社会党

○野口委員 そこでお尋ねをいたしますが、五十五年度に異常とも言える増加を示しておりますが、五十五年度になぜこんなにたくさん郵便貯金が急に伸びたのか。また、五十六年度がそれに比して急に下がっておるわけでありますけれども、その不振になってきた理由というものをお聞きをいたしたい。

岩島康春郵政省貯金局管理課長

○岩島説明員 先ほど申し上げました五十五年度の伸びでございますけれども、これは五十五年の四月に金利のアップがございまして、金利の天井感といったようなことがございましたことが一つと、ちょうど五十五年度あたりから郵便貯金の問題がいろいろ問題にされまして、国民の皆さん方に郵便貯金への関心が大変深まりまして、定額を中心にいたしまして郵便貯金が伸びたといったようなことが原因だろうと思っております。  本年度の伸びの停滞と申しますのは、郵便貯金の伸びそのものは、五十三年度くらいからずっと停滞ぎみでございまして、五十五年度の一時の伸びを除きましては、最近停滞しております。その原因といたしましては、経済成長の鈍化に伴います家計の可処分所得の伸びの低下といったようなこととか、また住宅ローンでございますとか進学ローンでございますとかいった家計の負債がふえまして、その返済額がふえている、そういった一般的な状況があろうと思います。また五十六年度にとりましては、御承知のように、民間銀行の方で期日指定定期でございますとか、あるいは貸付信託のビッグとか証券会社のワイドとか、そういった大変高利回りな商品が出てまいりまして、郵便貯金に強力なライバルと申しますか、そういった商品も開発されまして、こういった民間の高利回りの商品に郵便貯金もかなり食われてきているのではないかというふうに考えております。

野口幸一日本社会党

○野口委員 もちろんそういった理由もあると思うのですけれども、一昨年の末から郵便貯金に対する世上の風当たりが非常に強くなったという一つの原因に、いわゆる金融懇なるものが設けられまして、郵便貯金をめぐる議論が非常に活発化をいたしました。一時は、郵政省が郵便貯金をするということは罪悪だと言われるようなありさまで、そんな状況が影響してか、職員の士気が非常に落ちて募集の成績が落ちているのではないか、こう思うわけですけれども、そういうような原因はありませんか。

岩島康春郵政省貯金局管理課長

○岩島説明員 先生御承知のように、郵便貯金は、お客様が郵便貯金を選びまして窓口で預けていただくといったこともございますけれども、特に貯金を勧誘してまいります外務員あるいは窓口におきましても窓口の職員がしょっちゅうお客様に郵便貯金の勧奨といいますか、お勧めして入っていただくといったようなことがあるわけでございまして、そういった郵便貯金に携わっております職員の士気の低下といったようなことは、私どもはそう思わないのでございますけれども、いま先生おっしゃいましたような、郵便貯金を集めること、大きくなることが悪いことだみたいなことが一部言われたりいたしますと、やはり人間生身でございますので、士気が低下するといったことが郵便貯金の伸びにも多少影響しているのではないかと懸念しているところではございます。

野口幸一日本社会党

○野口委員 大蔵省も郵便貯金の不振の原因の一つをおつくりになったのではないかと私は思っておりますが、それにいたしましても、財投の六〇%を占める郵便貯金の不振というものは、現実にことしの財投資金の目標額に一兆円足りない、こういう現象があらわれておるわけであります。  それに対して、いろいろと考えておられるだろうと思うのでありますけれども、それに先立って、郵政省自身も、やはり一兆円足りないということを今後打開していかなければならぬと思うのであります。郵政省は、この足りない現状を、来年度は約一兆円減らして七兆九千億の目標にしておられますけれども、今後は増加することがむずかしいのか、あるいはまた、どのようにこの打開をしていこうとなさっているのか、この点もう一度郵政省から伺いたい。

岩島康春郵政省貯金局管理課長

○岩島説明員 先生御指摘のとおり、来年度の私どもの増加目標額は、本年度八兆九千億円から増加状況等を考えまして一兆円減らして七兆九千億というふうに立ててございます。しかし、いま申し上げましたような事情というか、郵便貯金を取り巻く環境が急に変わるというふうには私ども思いませんで、この七兆九千億の目標を達成いたしますにも、私ども職員の勧奨の努力といったものを求めていかなければならないと思っております。  基本的には、これ一発といったことはなかなかございませんけれども、じみちに郵便貯金をわかっていただく、たとえば私ども四月から愛育貯金といった形のものを発売いたしたいと思っておりますけれども、そういったようなじみちな努力をして、何とか七兆九千億を達成してまいりたい、こういうふうに考えております。

野口幸一日本社会党

○野口委員 それに対応いたしまして、銀行局長にお聞きをいたしますが、最近の銀行の期日指定などの利用状況、どのような伸びか、また個人預金の増加状況、そういうのはどういう状況にあるか、概括をお伺いいたしたい。

宮本保孝大蔵省銀行局長

○宮本(保)政府委員 まず期日指定定期でございますが、実は去年の六月からこれを発売いたしておりまして、都地銀では約八兆円強集まったわけでございます。ただ、これは、かなりの部分が従来ございます定期預金からの振りかえというふうな点もあるようでございまして、でございますので、純粋の増加額というわけではございません。  それから、最近の個人預金の状況でございますが、昭和五十六年、去年一年間をとってみますと、個人預金の増加額は、預金全体といいますか、いわゆる個人貯蓄全体でございますと、一年間で三十五兆二千億伸びておりまして、これは前年の三十二兆七千億に比べますと七・九%の増加でございまして、可処分所得が伸び悩んだわりには、個人貯蓄はふえているのではないかと思います。  ちなみに、銀行でございますと、七兆五千億で約四割、相互銀行が一兆七千億で約三割強、信用金庫が二兆六千億で一七、八%というふうな数字でございまして、全体といたしまして、貯蓄は、所得の伸びに比べますと比較的順調に伸びているのではないかというふうな気がいたします。

野口幸一日本社会党

○野口委員 お聞きのような状況で、郵便貯金だけが実は目標額に達していないといいますか、募集状況あるいは貯金の進行状況がよろしくない、こういう現状でございます。  そこで、ことし目標にいたしました八兆九千億という財投への繰り入れが一兆円足りなくなる、いわゆる目標額を達成しない、こういうことでございます。そういたしますと、財投でも一兆円足りなくなるわけでありまするから、財投計画は一体どのように変更をなさるのか、あるいは変更をなさらないのでしょうか。一体、財投の関係でこの一兆円をどう補われるのでしょうか。

吉本宏大蔵省理財局長

○吉本(宏)政府委員 ただいま御指摘のとおり、昭和五十六年度におきます郵便貯金の伸びが余りよくない。八兆九千億の目標額に対しまして、一兆円余ダウンするのではないかというふうに見込まれておりまして、御指摘のように、郵便貯金は財政投融資の原資の大宗でございますので、この原資の伸びがよくないということにつきましては、私ども非常に憂慮しているわけでございます。  しかし、原資のダウンによりまして財投計画の実行自体に支障があってはいかぬ、こう考えておりまして、私どもとしては、財政投融資は何とか五十六年度の当初計画どおり実施をしてまいりたい、このように考えているわけであります。幸い、年金資金等につきましては若干当初計画より上回るというようなこともございますし、昨日でございますが、資金運用部で保有しております中期国債二千億円を市中で売却するというような措置もとりまして、金繰りについて万遺漏なきを期するように努めているところでございます。

野口幸一日本社会党

○野口委員 年金資金からのいわゆる繰り入れ増加があるというのですが、どのくらいあるのですか。

吉本宏大蔵省理財局長

○吉本(宏)政府委員 これはまだ見込みでございますので、最終的に固まった数字ではもちろんないわけでございますが、厚生年金、国民年金の特別会計におきまして六千億円ほどの予備費を計上しておりまして、この分の支出がないのではないかと一応見込みまして、年金資金について六千億円程度の当初計画に対する増加があるのではないか、このように見込んでいるわけであります。

野口幸一日本社会党

○野口委員 六千億というのは非常に大きな金なんですが、これは年度当初にはわからなかった、いまになって、その六千億が年金資金から出てくることがわかったわけですか。

吉本宏大蔵省理財局長

○吉本(宏)政府委員 特別会計の預託金につきましては、私どもは、あくまでも予算におきます特別会計の収支差額を財投の原資として計上しているわけでございます。  したがいまして、予備費の支出というものも前提といたしまして、これはやはり支出、歳出の方に入っておるわけでございますから、その結果出てくる収支差額を財投の原資に計上しておる、こういうことでございます。しかし、実際に予備費の支出がなければ、結果として年金資金の積立額はふえる、こういうことになりますので、私どもとしては、六千億円を当て込んでもいいのではないか、このように考えておるわけであります。

野口幸一日本社会党

○野口委員 そういたしますと、一兆円ぐらい減っても財投の計画変更をしなくてもいいということになりますと、財投の計画というのは案外ずさんなんですね。これは持ってくる金がそこにあったからよかったものの、三月ぐらいになればどこかから何とか差し繰りしてきて、一兆円ぐらいの金はつくってくるということは簡単にできるのですか。もっともっとむずかしいものだと思ったら、わりあい簡単に資金をあっちこっちから回していらっしゃるのですか。財投というのはそんなに余裕があって、そして計画というものは、そんなにぶすぶすと変えられるものなんですか。

吉本宏大蔵省理財局長

○吉本(宏)政府委員 財政投融資計画と申しますのは、一つの原資の見込みとその運用計画ということでございますが、執行上若干ずれがございます。たとえば、当初計画に組み込まれましても、それがその年度に全部借り入れられるわけではないわけであります。若干、繰り越しと申しますか、そういった形で計画と実行上のずれがございまして、その点、一つのバッファーがあるというふうに御理解いただけるかと思うのです。そういうことで、地方債計画等も含めまして、大体例年二兆円余の繰り越しがございます。それが結果として一つのバッファーに使われておるというふうに御理解いただけたらいいのではないかと思います。

野口幸一日本社会党

○野口委員 繰越金のことにつきましては後でまたお尋ねをいたします。郵政省、結構ですからどうぞお帰りください。  そこで、五十七年度の問題に入りたいと思いますが、五十七年度の財投計画に対して郵貯が、先ほども述べられておりまするように一兆円程度不足である。見込みとしては一兆円ぐらいまださらに減るのじゃないかということでございますので、財投の計画ではやはり一兆円減らしておられますか。

吉本宏大蔵省理財局長

○吉本(宏)政府委員 御指摘のとおりでございます。

野口幸一日本社会党

○野口委員 それでは、その一兆円は来年度の場合は何をもってそれに充てよう、いわゆる足らない分の補いをしようと考えておられますか。

吉本宏大蔵省理財局長

○吉本(宏)政府委員 御指摘のように、五十七年度は郵貯の目標額が一兆円落ちまして、この落ち込み分を何でカバーするかということについて、私どもはいろいろ苦慮をしたわけでございます。  私どもの過去の経験に照らしましても、郵便貯金の目標額が前年対比で落ち込んだのは、昭和三十一年と三十四年の二回しかございません。あとは大体、郵便貯金の目標額というのは前年対比かなりの増額を見込んでいるわけでございます。そういうことで、五十七年度は一兆円の減ということでございますが、財投計画自体を前年対比減にするというわけにはまいらない。資金の効率的な運用を図らなければならないことは当然でございますけれども、何とかめりはりのきいたきちっとした財投を組む必要がある。また、国債の運用もやはり相当額の引き受けをしなければいかぬ、そういうようなことも含めまして、いろいろ苦慮をしたわけでございますが、結果としては、政府保証債を六千二百億前年対比で増額をいたしまして、その他、資金運用部におきます回収金等もかき集めまして、前年対比で七千九百九十一億円の増という形で財投計画をつくったということでございます。

野口幸一日本社会党

○野口委員 いま御説明を伺いますと、五十七年度は、郵貯の現状をいろいろと考えたけれども、政府保証債なるものを増発しよう、こういうことであります。当初聞いておりましたら、一兆円ばかり政府保証債をふやそうと言われていたのを六千二百億にお減らしになったと聞いておりますが、なぜこんなに減らされたのですか。

吉本宏大蔵省理財局長

○吉本(宏)政府委員 私どもとしては、民間資金の活用をできるだけやりたいということで、シ団と申しますか政府保証債の引き受けシ団との間で、何とか一兆円ぐらい政府保証債を増額してくれないかという話を最初したということは事実でございます。しかし、これはやはり交渉事でございますので、その結果としては六千二百億ということになったわけでございますが、なお、政府保証債のほかに縁故債あるいは借入金、こういったものもいろいろ工夫をいたしまして、全体としての財投各機関の運営に支障のないように措置をしたということでございます。

野口幸一日本社会党

○野口委員 民間の金融機関が引き受けに難色を示した、そのことによって、当初一兆円と予定したけれども六千二百億円に減らさざるを得なかったというのが真相だと言われておるのですけれども、どうなんですか。実際は、引き受けが余り芳しくないので、一兆円予定したんだけれども六千二百億に減らさざるを得なかったんじゃないですか。そうじゃないんですか。

吉本宏大蔵省理財局長

○吉本(宏)政府委員 一般的に申しまして、金融機関を中心とするシ団におきましては、公共債いわゆる国債とかあるいは政保債の引き受けというものに対して、できれば額を減らしてもらいたいという気持ちがあることは事実でございます。五十七年度は国債を一兆八千億円余減らしておることでございますし、私どもとしては、この政府保証債の増額についてかなりいろいろとシ団と話をいたしまして、経過的にあるいは一兆円というような話も出たかと思いますけれども、六千二百億という増加は最近にない増加額でございますし、話し合いとしては成功したというふうに私どもは理解しております。

野口幸一日本社会党

○野口委員 六千二百億お借りになることになりました。結果するところ、非常に高い利息でお借りになるわけであります。たしか利率は八・〇二五%と承っておりますが、そのとおりですか。また、財投における郵便貯金へ払われる財投の支払い金利は幾らですか。その差はどのくらいありますか。

吉本宏大蔵省理財局長

○吉本(宏)政府委員 政府保証債の条件でございますが、クーポンレートが七・八%でございまして、国債より〇・一高いわけであります。発行価格が九十八円七十五銭ということでございまして、応募者利回りが八・二九六ということでございます。  なお、運用部の預託金利は、現在、七年以上の長期ものにつきまして七・三%という預託金利になっております。

野口幸一日本社会党

○野口委員 長期ものは七・三%かもしれませんが、もっと安いのもあるわけであります。  いずれにしても、私がここで指摘をしたいのは、一昨年来の金融懇以来、郵政省に対して民間の補完的役割りであるとまで言わなかったかもしれませんが、そこまで言われるほどの郵政省の貯金に対する強い圧迫があって、結局、結果として一兆円の貯金の増が見られなかった。いわゆる貯金の目標額に達しなかったということが、結果としては、これは政府が損をして、高い利息で金を借りなければならない結果になってきた、こういうことになると思うのであります。  一兆円足りない来年度においても、こういう措置をとられるわけでありますが、政府保証債が財投における郵便貯金に比べて高いのは、一体どういう理由で高くしておられるのですか。大体、財投で賄う金利というのは同じような形にしなければならぬと思うのですが、これは特殊な場合だとして、政府保証債については、先ほどおっしゃったように七・八%ですか、そのように認めておられますが、そういう理由は一体どこに存在をするのでしょうか、ついでにそのことをお伺いいたしたい。  そういうことをお伺いした後に、あわせて、そんなことなら郵貯をもっと奨励をして財投に回してもらった方がいいのではないか、安い金利でいけるのではないか、こういう逆説といいますか、その方法がいいのではないかと私どもは思いますが、その点についてもひとつお答えをいただきたい。

吉本宏大蔵省理財局長

○吉本(宏)政府委員 私どもとしては、郵便貯金が財投原資の大宗であるということからいたしましても、郵便貯金の安定的な伸びを期待しておるわけであります。しかし、先ほどからお話がございましたように、五十五年度は郵貯の伸びがやや異常でございまして、目標額をかなり上回るというようなこともございましたし、結果として民間資金、民間預金とのフリクションというものが生じたのが実情ではないかと思うのであります。  野口委員御案内のように、郵貯の伸びは、戦後特に四十年代、非常に高うございまして、残高対比で前年度二五、六%というふうな、かなりの伸びが実現したわけでございます。     〔委員長退席、大原(一)委員長代理着席〕 その過程で、銀行に対して郵貯のシェアが拡大するということもございまして、銀行が非常な一種のおそれを持ってそれに対抗した、こういうのが実情かと思います。そういうことでございまして、私どもとしては、基本的には郵貯の安定的な、かつ民間預貯金とバランスのとれた伸びというものを期待しておるということであります。  それから、運用部の預託金利が七・三%で、政保債、先ほど八・二九六と申しましたが、これは発行者コストでございまして、応募者利回りは八・〇二五でございます。先ほど申し上げた七・八、九十八円七十五銭というのは八・〇二五でございますので、ちょっと訂正させていただきます。  この政保債と運用部の預託金利の間に差があるではないか、これは事実でございます。国債もやはり高いわけでありまして、これは市場実勢と申しますか、市場の流通利回り等を基本にして発行条件を弾力的に決めていくというようなこともございまして、応募者利回りが若干高くなる、こういう条件がなければ引き受けてもらえないわけでございまして、私どもとしては、これはやむを得ないのではないかと思うのであります。  一方、運用部の預託金利でございますが、これは御案内のように、長期プライムレートと預貯金金利との間のバランスのとれたところに預託金利を決めるというのが従来の慣行になっておりまして、昨年預貯金金利を〇・五引き下げまして、また長期プライムを〇・三下げる、こういった間に運用部の預託金利、これはイコール貸付金利でございますが、貸付金利を〇・二下げて七・三%にしたということでございます。

野口幸一日本社会党

○野口委員 なぜそういう差ができているのかという問題について、いわゆる政府保証債なり国債と郵貯の財投の支払い金利との差という問題については、また後ほど議論をしたいと思いますが、きょうはその辺でやめさせていただきます。  五十七年度の財投原資の中で、先ほどもおっしゃいましたが、これは毎年のことでございますが、回収金というものを見込んでおられます。来年度の予算では非常に多く見積もっておられまして、約七千億ぐらい回収金の原資の増がございます。  この回収金というのは、どういう性格のものかということもさることながら、この回収金がなかなか私どもにはわかりにくいのでありますけれども、本年度における調達見込みとして六兆六千八百二億円ですか、これは本年度末の見込みとして、どのくらい回収金としての達成割合というのが見込まれるでしょうか。

吉本宏大蔵省理財局長

○吉本(宏)政府委員 回収金と申しますのは、資金運用部が財政投融資の各機関に対しまして一定の条件に従いまして融資をいたしまして、これが約定に従いまして返済される資金を回収金というふうに申しております。これは、一定の条件に従いましてきちっと回収計画が立ちますので、この各機関の返済額を積み上げて計算をしております。  五十六年度につきましても、そういう意味で、実行上も回収金等はおおむね確保されるというふうに考えております。

野口幸一日本社会党

○野口委員 そうしますと、ここ数年、たとえば五十四年度の回収金の見込みというのは、もちろん貸付金といいますか融資金額によっても違ってくるのでしょうけれども、異常に伸びておりますし、来年度においては、その伸び率は三一%という異常な伸びになっているわけです。これは、この回収率をよくするという具体的な手だてというのは、一体、回収金をどのように回されることによって、この回収率が上がってくるのですか。

吉本宏大蔵省理財局長

○吉本(宏)政府委員 私どもとしては、特に回収金をふやすために、回収を促進させると申しますか、返済を促進するというような手だてはとっていないわけでございまして、あくまでも、貸し出しの際に一定の約定、返済条件というものが決められまして、それに従って返済をされるということでございます。何分資金運用部の貸付額はかなりふえてきておりますので、したがいまして返済金もふえておるというのが現状でございます。

野口幸一日本社会党

○野口委員 そうしますと、来年度七兆三千六百八十九億ですか、こういう金額になっておるというのは、たまたま来年度においてのいわゆる返済金額がそこに集中をして、三十何%の伸びになっているということになるわけですか。そう理解をしてよろしゅうございますか。

吉本宏大蔵省理財局長

○吉本(宏)政府委員 そういうふうに御理解いただいて結構でございます。

野口幸一日本社会党

○野口委員 それで、回収金というのは、いまちょっとそういうようにお聞きをしたわけですが、私どもには全くつかみにくい予算の一つですね。  というのは、結局、計算されるのは大蔵省の中でおやりになっておられるのでありまして、来年度どのくらいの回収金の予算が立つのかということ、来年度、再来年度というように一定の年度を先を越して見積もることができますか。これは、先ほどおっしゃった言葉を裏返しますと、わかるようになっていきますね。返す日がはっきりしているのだから、年度別に、来年度はどのくらいに立つ、再来年度はどのくらいに立つということはわかるものなんですね。そうなんですか。

吉本宏大蔵省理財局長

○吉本(宏)政府委員 これは、私どもの局に資金管理課というのがございまして、ここで、各貸し付けにつきまして一本一本コンピューターに入れて管理をしておりまして、したがいまして、既往の貸し付けに係る回収金につきましては計算ができるということでございます。

野口幸一日本社会党

○野口委員 間違いなくやっておられることだろうと思いますけれども、私どもから見まして、この回収金がどういう仕組みで返ってきて、予算計上の際に、どのような見込みといいますか、そういうものが事前にわかるというような方法は、はっきり言いましてわからないわけですね。示されていないから、わからないわけなのです。財投の中で、たとえば国民年金が幾ら、あるいは厚生年金が幾ら、郵便貯金が幾ら、あるいは政府保証債が幾らというのは、出されてくる予算見積もりでありますからわかるのでありますけれども、回収金だけは、金額が示されてあっても、その中身が妥当なのか、少ないのか多いのか、これは本当にこの数字なのかということを実は見ることができない、はっきりわからないというのが現状じゃないでしょうか。  そうしますと、回収金というのをもう少し明確に、私どもにわかるように御説明いただける資料は前もって出ておるのでしょうか、出ておらないのでしょうか。出ておるとすれば、お示しをいただきたいと思います。

吉本宏大蔵省理財局長

○吉本(宏)政府委員 回収金の実績につきましては、予算委員会にも資料として提出してございます。したがいまして、もし御必要であれば、いつでも差し上げたいと思います。

野口幸一日本社会党

○野口委員 予算委員会に出しているというものは、回収計画も全部入ったものですか。いわゆる回収計画、年度別の回収計画が入って、この年度ではおよそこの金額になるということが示されてあるわけですか。

吉本宏大蔵省理財局長

○吉本(宏)政府委員 回収計画はお出ししてございません。実績でございます。

野口幸一日本社会党

○野口委員 私どもから見れば、回収計画そのものがわからないわけですから、示された数字が正しいのか正しくないのかということを見ることができないわけでして、本当を言えば、わからないというのが現状なのですよ。いままで回収金の問題は、おっしゃるとおりというので過ぎてきていると思うのです。  たとえば「財政投融資原資の推移」という資料がございます。これは大蔵省がお出しになったものですが、毎年何%ずつ上がっていく、増加していく、その増加していく数字とパーセントはわかるのですけれども、なぜこれが増加していくのかということについては、私どもにはわからないわけです。そうでしょう、なぜふえるのかというのが。こんな、うまくつじつま合わせで金合わせたなという気しか出てこないわけでありまして、それならばそれで、来年度の予算で三一%伸ばすというのは、どういう理由で三一%も本年度よりも回収金がよけいふえるのかということがわからないと、私どもには理解がしにくいということですね。私も拝見しましたけれども、おっしゃるような資料だけで、それはわからないわけでして、少なくとも今後においては、この回収金の計画問題、計画の段階における数字は少し前もってお知らせいただくわけにはいかないでしょうか。

吉本宏大蔵省理財局長

○吉本(宏)政府委員 回収金につきましては、先ほど申し上げましたように、各財政投融資あるいは資金運用部の貸付機関の返済額を単純に積み上げておるということでございまして、特に、回収金をことしは多くしてやろうとか、ことしはちょっと削っておこうとか、そういう操作はないわけでございますね。機械的に出てきた一つの計数を資金運用部の原資として計上しておるということでございます。したがいまして、各機関の機関別の実績というものをお示しすれば、回収金の実情をお知らせするということは大体足りるのではないかと私どもとしては理解しておったわけでございます。

野口幸一日本社会党

○野口委員 この際お願いをいたしておきますが、私どもが財政投融資の原資の状況を見ますときに、先ほどから申し上げていますように、一番わかりにくいのはこの回収金なんです。この回収金を調べる、あるいはそれが妥当なのかということを見るためには、いまおっしゃったような資金の返ってくる状況というものが、いつ貸したものがいつ返ってきてという形をある意味ではお示しをいただかないと、五十七年度における回収金が幾らあるかということの算出根拠が実はわかりにくい、だから、もう少しその点は親切にお示しいただかなければならないのじゃないか、こういうことを申し上げているわけで、次からぜひともそのことは御実行いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

吉本宏大蔵省理財局長

○吉本(宏)政府委員 一度検討をさせていただきたいと思います。

野口幸一日本社会党

○野口委員 ぜひともその問題は、私ども今後研究をさせていただくために必要でございますので、お出しをいただきたいし、お見せをいただきたいと思います。  ちょっと関連いたしまして伺いますが、二月二十八日の朝刊に、減税要求の問題に端を発しまして、補助貨幣回収準備資金という金が政府の中にありまして、大蔵省によれば、貨幣の信認を得るために、現在発行している補助貨幣の総額に見合う金額を政府資金として別にプールしている制度だ、こういうことなんでありますが、その後で大蔵省が言っておられますのは、準備資金は、資金運用部資金として有効に使っているので、減税の財源に回すことは不可能である、資金運用部の計画に穴があき大変なことになる、こういう御説明があったと新聞には書いてあるわけですが、資金運用部資金のどこに、この一兆何千億という金がどのような金額で回されておるのでしょうか。

吉本宏大蔵省理財局長

○吉本(宏)政府委員 貨幣回収準備資金の残高は、昭和五十六年の十二月末現在で一兆一千五百億ございます。このうち、資金運用部に預託されておりますのは九千七百五十六億円でございます。また当座預金が六百三十一億円、別口預金が千六十六億円ございます。別口預金と申しますのは、貨幣を造幣局が日銀に引き渡しまして、日銀の窓口からまだ流通に投じられていない、いわば日銀の在庫に見合うものでございまして、これは別口預金として別途管理をしておるということでございます。  ところで、この九千七百五十六億円は資金運用部に預託されておりまして、運用部のバランスシートの上では、郵貯あるいは年金資金積立金あるいはその他特別会計の預託金等と合わせまして、資金運用部の債務と申しますか預かり金として計上されておる、それは別途、運用面におきましては国債、地方債その他財政投融資の各貸し付けというような形で運用されておるということでございます。

野口幸一日本社会党

○野口委員 そうすると、「財政投融資原資の推移」というこの種の統計の中には、その数字は入っていないのですね。どうですか。これは大蔵省がお出しになって私どもに示されています。これには九千何がし億というその金額は入っていない、これだけでしょう。郵便貯金と年金とその他回収金、この中に入っているのですか。

吉本宏大蔵省理財局長

○吉本(宏)政府委員 失礼いたしました。  いま私が申し上げましたのは残高ベースでございまして、フローベースでは、先ほどの資金運用部の原資の中で「回収金等」とございますね。回収金とその他に分かれまして、その他の中に、フローベースとしてこの貨幣回収準備資金の預託額約千八百億円が計算に入れられておるということでございます。(野口委員「千八百億ですか」と呼ぶ)フローベースでは千八百億でございます。残高では九千八百億でございます。

野口幸一日本社会党

○野口委員 そうすると、「回収金等」という中に入っているということは、先ほど来のお話で、回収金というのは、こういう形で翌年度の予算の中で計上されていく経緯なんだということを御説明になったのですが、その「等」の部分は説明がなかったわけですね。「等」は、いま言ったような補助貨幣回収準備資金なるものもお使いになっているということでございますがね。細かいことを言うようですけれども、実は私どもに示されているこの資料の中では「等」の中に入ってしまっているわけで、だから、このものが出ていったときに、果たして本当に財投に回っているのかということについて疑いを持ったわけでございます。  そういう意味でも、先ほどから申し上げていますように、この「回収金等」という中身を私どもにももう少し詳しく御説明いただかないと、実際は検討させていただくのに不可能だという意味で、もう少し詳しい資料を提出いただきたいということをお願いをしておきます。これはいかがですか。

吉本宏大蔵省理財局長

○吉本(宏)政府委員 回収金とその他でございますが、その他と申しますのは、各特別会計の預託金でございますね、各特別会計は非常に種類が多うございまして、それらの特別会計の資金余剰分を運用部に預託してまいります。それを一つの見込みを立てまして、五十七年度の「回収金等」という形で総括しておるわけでございますが、野口委員の御指摘につきましては十分検討させていただきたい、このように思います。

野口幸一日本社会党

○野口委員 次に、財投における資金の未消化問題について伺いますが、五十六年度における資金の未消化は一体総額幾らぐらいになるのですか。

吉本宏大蔵省理財局長

○吉本(宏)政府委員 五十六年度はまだ年度の途中でございますので、最終的にいわゆる不用額がどのくらいになるかということは正確につかんでおりませんけれども、私どもの見込みでは、昨年千五百億という不用を出しておりますが、大体その前後程度になるのではないというふうに考えております。

野口幸一日本社会党

○野口委員 いまおっしゃったのは不用額ですね。全体の未消化額という形ではどのくらいですか。

吉本宏大蔵省理財局長

○吉本(宏)政府委員 先ほどもちょっとお話が出ましたが、繰り越しの額がございます。これは、地方公共団体の繰り越しを主といたしまして、二兆円強の繰り越しというものが出ておるわけでございますが、五十六年度におきましても、大体二兆円を若干上回る繰越額が出るのではないかというふうに考えております。

野口幸一日本社会党

○野口委員 この未消化の問題なんですけれども、繰り越しと不用と分かれているわけですけれども、この未消化は、どうしてこんなものが出てくるんだろうか。また、出てくるその様子をちょっと拝見いたしますと、特定の機関に集中している。なぜこんなものが特定の機関に集中をして、毎年同じようなものが繰り越しと不用額に出てくるのか。この辺の御説明はいかがなものですか。

吉本宏大蔵省理財局長

○吉本(宏)政府委員 この繰り越しでございますが、これは、特に特定の機関に集中するということでもないのではないかと私どもは考えておるわけであります。  たとえば、五十五年度の例を見ますと、輸出入銀行が千八百億ばかりの繰り越しが出ておりますが、これは海外プロジェクトの実施の遅延等によります貸付需要のずれというふうに説明されております。それから、住宅公団につきましても千百四十五億の繰り越しが出ておりますが、これは、地元との調整がおくれたとかあるいは用地買収の難航というようなことで、事業の実施がおくれておるということでございまして、これらにつきましては、制度上も若干の繰り越しというものを認めておりますので、まあやむを得ないのではないかと思います。  特に大きいのが地方債でございますが、御案内のように、地方債の場合は翌年度の四、五月の出納整理期間に貸し付けが集中するというのが例でございまして、そういう意味で、この繰り越しの大宗は地方公共団体の分であるというふうに御理解をいただきたいと思います。

野口幸一日本社会党

○野口委員 地方公共団体が大部分だというお話はよくわかりますが、この一定額になっている理由がいまおっしゃったような理由だとするならば、次年度に繰り込むように変える方法はないのですか。いつも、毎年毎年、同じ時期に同じものが出てくるとするならば、一定の時期で切って、次の年度からは次の時期に合わせた融資をしていけば、こういう繰り越しというものはなくなるように僕ら思うのですが、その辺のお考えはないのですか。毎年毎年、同じようなものを同じ金額というような繰越金という形で繰り越されるというのは異様だと思うのですが、この辺はどうお考えになっていらっしゃるのですか。

吉本宏大蔵省理財局長

○吉本(宏)政府委員 御指摘の点は私どもも十分認識しておりまして、地方公共団体の繰越額が多い、何とかならぬかなということは考えておるわけでございます。  ただ地方債は、御案内のように、各年度の地方財政計画と地方債計画に定めるところに従いまして計上しておりまして、やはりそれらとの整合性が要求されるわけでありまして、財投計画だけを年度をずらして計上するというのはいかがであろうかということで、従来この繰り越しを、かなり出るにもかかわらずそういう計上の仕方をしておるわけでございます。  ただ、御案内のように、この地方債計画の運用のずれ、繰越分につきましては、翌年の四、五月に大部分が実行されまして、過去の例を見ましても、八割から九割は四月ないし五月に実行されているわけでございまして、そういう意味におきましても、現在の財投計画の計上でいいのではないかというふうに考えているわけでございます。

野口幸一日本社会党

○野口委員 この際お伺いしておきますが、繰越額の総額のうち地方公共団体、いま強調されておっしゃっています部分というのは何%ぐらいあるのですか。五十五年度で繰越額の総額は三兆一千百九十億、そのうちの地方公共団体分というのは大体どのくらいあるのですか。

吉本宏大蔵省理財局長

○吉本(宏)政府委員 ちょっといま計算をさせますが、御指摘のように、五十五年度の繰り越しの総額は三兆一千百九十億でございまして、そのうち地方公共団体の繰越額が二兆三千七百二十三億ということでございまして、七六%に当たります。

野口幸一日本社会党

○野口委員 私は、この財投の非常に効率的な運用という問題から考えますと、どうも地方債の二兆三千億という繰り越しが、いま言われるような御説明にまだ納得できないのです。どうも構造的なものだと思うのです。だから、もう少し上手に運用すれば、この二兆三千億なる数字というものはもっと少なくなるのではないかと思いますが、この辺の見解は、これからとられる処置等についても、どのような具体的なものを今後お考えになっているのか。その辺についての御説明をひとつ十分いただきたいのです。

吉本宏大蔵省理財局長

○吉本(宏)政府委員 先ほど申し上げましたように、地方債計画あるいは地方財政計画というものと整合性を保つという意味で、若干の繰り越しを前提と申しますか覚悟いたしまして、財投の地方債計画をつくっておるわけでございます。その繰越分は翌年度の四、五月にはほとんど使われてしまうということでございますので、若干の時期のずれというふうに理解をしておるわけであります。  また、このずれと申しますか繰越見合い分について、これをただ資金運用部に積み上げて持っているわけではございませんので、現実には、これは国債の買い入れとか引き受けとか、先ほど申し上げました原資の若干の見込み違い、郵貯が減ったことによる原資の減に対応いたしまして、一つのバッファーとして使われておるわけでございまして、私どもとしては、財投計画の運営上、その程度の繰り越しはやむを得ないんではないかというふうに考えているわけであります。

野口幸一日本社会党

○野口委員 いずれにいたしましても、財投の融資計画の実行状況なんかを拝見いたしますと、年度を追うごとに未消化の金額も、五十四年度と五十五年度を比べれば五十五年度の方が減ってきておりますけれども、漸減しているのだという見方もできないわけではありませんけれども、いずれにしても、総額にして三兆二千億という未消化額がある。繰越額が先ほどおっしゃったように三兆一千億という繰越額になっていて、うち不用額は千五百二十九億ですか、このぐらいの数字でとどまっておりますが、状況全体を見ますと、先ほども申しましたように、どうも構造的に常に繰り越し、不用というものが繰り返されているような気がしてなりませんし、この辺のところは一考あってしかるべき問題だと思うのであります。  次に、政府関係の金融機関の未消化額の問題でありますが、特に目立ちますのは医療金融公庫、環境衛生金融公庫、農林漁業金融公庫、北海道東北開発公庫、それから先ほどお話に出ました日本輸出入銀行、こういうところが特に目立っておりまするが、なぜこういう機関において未消化が起こり、かつ不用額が顕著に出てきているのはどういう理由なんでしょうか。その辺は把握していらっしゃいますか。

吉本宏大蔵省理財局長

○吉本(宏)政府委員 財政投融資につきまして不用が多いではないかという御論議が出ましたのは、昭和五十三年度に一兆五千億円余の不用額が出まして、これは財投が運用上非常に非効率ではないかという御議論を賜ったわけでございます。  私どもとしては運用に特に留意いたしまして、先ほど申し上げましたように、二十兆に近い財投の運用額の中で千五、六百億ぐらいの不用ということにとどめておるわけでございます。私どもとしては、五十三年度が景気対策という観点から相当額の財投の追加をしたというような特殊の事情もございまして、あるいはこの資金が超緩慢で借り入れ需要が少なかったというような原因もございまして、そういった点、五十三年度はいかにも遺憾であったわけでございますが、その後事態は急速に改善されているという点について、御理解をいただきたいと思うのであります。  それからまた、財投の機関でございますが、特に、いわゆる札つきというような形であの機関の財投の不用が多いのではないかということは、私どもとしては考えていないわけでございますけれども、世上いろいろ、あの機関は不用が多いというような御議論もございますので、五十七年度の財政投融資につきましては、原資が非常に厳しいという点も踏まえまして、かなり厳しく査定をいたしまして、前年対比伸び率も四・一%と、相当の機関が前年対比減というようなことをいたしておりまして、その点についても今後十分改善されるのではないかというふうに考えているわけであります。

野口幸一日本社会党

○野口委員 確かにおっしゃるように、私ども資料を見せていただきましても、五十三年度と対比いたしまして五十五年度は非常に少なく、計画的にやっておられることは認められますが、ただ気になりますのは、先ほどもちょっと申し上げましたように、この残っているところの金融機関ですか、それが特定されているような数字に目立つわけでございます。  たとえば医療金融公庫の場合は、五十三年度に不用額の割合としまして一八・六%でありましたのが、五十五年度もやはり依然として一三・三%の不用額がございますし、また北海道東北開発公庫におきましても、先ほどおっしゃたように五十三年度で二二・三%の不用額を出している。問題になりましたその年でありますが、五十五年度も二二%の不用額を出している。御説明の全体としての努力はわかるわけでありますが、個別に見てまいりますと、同じような数字が集中しているのは一体どういうわけなんだろうかということを指摘せざるを得ないのであります。  もちろん改善されている部分もございまして、五十三年度において非常に大きな不用額を出しているところが、もうほとんどないというようなところまできている機関もあることはありますけれども、ただ、いま申し上げますように、医療金融公庫だとか北海道東北開発公庫の場合、この、二機関については、依然として同じような数字が不用額として上がっているではないか、ことしもまだ同じでちっとも改善されていないのはどういう理由かということでありますが、その辺のところの把握をしておられましたら、御説明をいただかなければならぬと思います。

吉本宏大蔵省理財局長

○吉本(宏)政府委員 御指摘の点につきましては、私どもも、財政投融資の査定に当たりまして十分考慮に入れまして、たとえば昭和五十七年度について申し上げますと、環境衛生金融公庫は、一般貸し付けについて前年対比八・六%の減、財政投融資で七・五%の減ということにしております。また医療金融公庫は、貸付規模におきまして前年同額、財政投融資につきましては前年対比二%の減、北海道東北開発公庫といたしましては、出融資規模につきまして前年同額、特に五十六年度も貸付規模は前年対比三・六%の減というような形でかなりしぼりをかけておりますので、そういった御批判も、五十七年度に関する限り解消されてくるのではないかというふうに考えております。  また今後、臨調等におきまして、これらの機関のあり方というような問題について十分御討議いただきまして、その結論が出ますれば、私どもとしては、その点を踏まえて、さらに慎重に配慮してまいりたいというふうに考えております。

野口幸一日本社会党

○野口委員 この質問で最後にいたしますが、いずれにしましても、財投の有効的な運用ということは国民の要望するところであり、私どももその推移については見守らなければなりませんが、第一に、やはり財投といえども金利の安い資金を集めなければならぬという使命があるわけでありますから、先ほども申し上げましたように、郵便貯金の穴埋めを高い政府保証債で埋めなければならぬという事態だけは招かないような措置を考えていただかなければならぬということが一つであります。  また、中身を拝見いたしますと、回収金の問題も、先ほど来申しましたように、私どもが中身を検討さしていただくについては資料が非常に大まかでわかりにくい、そういった意味で、今後詳細な資料をいただきたいということをお願い申し上げた次第であります。  また、いま不用額の問題につきまして若干申し上げましたが、年を追うごとにだんだんよくはなっているとはいうものの、繰越額の地方公共団体分というのは、金額にして大体同じ金額がずっと残っている。いわゆる構造的に残っているとするならば、組み込む年度をどのようにするかということの措置などについて、改めて御検討いただかなければならぬということを御示唆申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。  それについて、総括的な御回答をいただきたいと思います。

吉本宏大蔵省理財局長

○吉本(宏)政府委員 野口委員の御指摘につきましては、私ども、常日ごろ十分認識をしておるつもりでございます。そういった観点も踏まえて、今後も十分留意をしてまいりたいと思います。

野口幸一日本社会党

○野口委員 終わります。

大原一三自由民主党

○大原(一)委員長代理 玉置一弥君。

玉置一弥民社党・国民連合

○玉置委員 減税問題で非常に長く大蔵委員会がとまっておりましたので、減税問題について、大蔵省当局の受けとめ方をお伺いしていきたい、かように思います。  野党の共同要求ということで文書が出されました。それについて、議長見解ということで決着を見たわけでございますけれども、財政上非常に厳しい面があるのではないか、そんな気がいたします。野党がこういうふうに言うとよくないのですけれども、実際のところ、いまの財政状態を見た場合に、大変な御苦労がこれから生じてくのではないか、そのような気持ちでございます。しかし現在の、特に勤労所得者を中心にした所得税の重税感、これが年々大変な様相を示しておりますし、また五十二年以来課税最低限が固定をされている、そして税率の伸び率が三八%にも及んでいるというような状況の中で、国民としてそういう要求が出てくるというのは当然のことだと思います。そういう中で、今回一応決着という形になりました。  この大蔵委員会の中で小委員会を設けて検討されるということでございますが、それについて、大蔵当局として政務次官は、どのようにお受けとめになって、これからどういう心構えで取り組んでいかれるのか、お伺いしたいと思います。

山崎武三郎自由民主党大蔵政務次官

○山崎(武)政府委員 議長見解については、文字どおり、そのとおりに受け取っております。したがって、その趣旨を体して誠実に実行してまいりたいという気持ちでいっぱいです。

玉置一弥民社党・国民連合

○玉置委員 主税局長、いかがですか。

福田幸弘大蔵省主税局長

○福田(幸)政府委員 政務次官の答弁どおりであります。

玉置一弥民社党・国民連合

○玉置委員 聞くところによりますと、議長見解というのは非常に玉虫色であるというようなこともございまして、いまのお答えは、玉虫色を鏡に映したらそのまま映ってくるわけでございますから、当然そうではないかというふうに感じるわけです。  確かに、いまの財政状態は非常にむずかしくなっておりまして、そういう中で、特に五十七年度予算を見てみましたら、非常に抑えつけられた予算というような感じがするわけです。十二月の当初、一兆六千億くらい予算からはみ出ている。いろいろな要件がありました。それが一兆円になり、そしていつの間にかうやむやになってしまったというような状況の中で、昨年でございましたけれども、昨年の春、日本の経済、国内の景気はいまが底である、そして徐々に浮上していくであろうというようなことが言われました。いわゆる底入れというか、そういう表現でされましたけれども、それ以来一向に景気が回復をしてこない。  一つは、いわゆる労働時間の短縮もありますけれどもいわゆる減少、これはやはり残業時間というものがありまして、それで生活をしておられる方が非常に多いわけです。たとえば第一次オイルショックのございました昭和四十九年、この時点は四十七、四十八年と大変な好景気の中に残業時間がふえてまいりまして、それが急激に低下をした。一時は稼働率が七五%前後に低下をしたということでございますから、従来の定時間以内の操業ということにほとんどのところがなってしまったわけです。これがいわゆる住宅問題の大変な破綻を来した大きな原因となっておりまして、実質的な所得が大変大幅な低下をする、そういう状態でございました。現在でも稼働率が、まあまあそこそこいっておりますけれども、そんなに思ったほど伸びていない。というのは横ばいの状態であるということでございまして、所得、要するに実質的な取り分というものがふえない。税負担としてはふえてきておりまして、可処分所得が、税あるいは物価上昇等差し引きますと、五十五年、五十六年はマイナスになっている、こういう状態でございます。  その辺の内容について、大蔵当局あるいは政務次官は御存じかどうか、御回答をお願いしたいと思います。

福田幸弘大蔵省主税局長

○福田(幸)政府委員 今後御議論があろうかと思うのですが、とりあえず最近の数字を申し上げておけば、家計調査が最近発表になっております。  これで見ますと、勤労者世帯の実収入、これは十二月の速報でございますが、これはマイナスの〇・四。その原因を見ますと、賞与の伸びが伸び悩んだという点と消費者物価の上昇、二つが影響しているようです。この二つの要因というのは実収入の減であらわれてきているということが一つのポイントであろうと思います。可処分所得は再び実質減少でマイナス一・三ということでございます。十一月はプラスの〇・三だったわけです。消費支出は、消費性向が上がっているにかかわらず、消費支出がマイナス〇・四になっておるということであります。十一月が〇・四です。これはどうも実収入の減が影響したということがあるようでございまして、それと消費者物価の上昇、この二つが影響しておる。この傾向が今後どうなるかでございます。一般世帯の方は一・一と実質増加でございます。全世帯がマイナス〇・六なんですが、これはやはり勤労者世帯のマイナス〇・四、これが影響しているようです。したがいまして、実収入の減、そこから始まっておるという点が一つの傾向だと思います。これをどう読むか。  先ほど時間外の話がございましたが、これは景気の指標としては大事なポイントであろうという点は私も同感でございますが、最近の数字のところで見ますと、これは源泉所得税のところで関係してくる重要なファクターであります。昨年の四月から八月までは平均九七・六ということで前年同月を下回っておりました。九月から一〇〇・九ということで、十月一〇二・四、十一月一〇〇・九、十二月一〇〇・九、一月一〇〇・一と前年よりは上回った数字でいっておるというのが一つの最近の傾向であります。  そういうところをにらみながら、しかし、一方において家計調査にあらわれたような実収入の減もありますので、いまの趨勢というものは見きわめるのに非常に注意を要する。物価の安定というものが続きながら消費が伸びていくというパターンがそのまま実現できることを期待しているわけでございますが、どういうふうになっていくかということを注視すべきだと思います。

玉置一弥民社党・国民連合

○玉置委員 税負担ということで考えていきますと、所得が伸びれば、少々税金がふえても実質的には実際の手取りはふえるわけです。ところが、一昨年のように物価に食われますと実際の取り分もなくなってくる。ましてや、いまの累進課税率でいきますと、所得がふえた分だけ上に移行するということになってまいりまして、そういう意味で、単なる減税という問題じゃなくて、いまの所得税のあり方というものが問われるような時期になってきているのではないかというふうに思うわけです。  欧米との比較というものがよく出てまいりまして、アメリカは直接税型である、ヨーロッパは間接税型であるというような言い方をされますけれども、日本の場合にいままでの直間比率が変わってきたのは、やはり所得税、法人税が大変大きく伸びてきた。これを昨年、社会党の堀先生でございますけれども、予算委員会ですかで質問されまして、これは実質的な増税であるというようなお話をされましたけれども、まさにそのとおりだというふうに思うわけです。片方、いわゆる間接税の方が固定をされておりまして、数量的にはふえておりますけれども、全体の伸び率からいくと、直接税の方がはるかに大きく伸びてきている。  こういう場合に、果たして直間比率が崩れたと言えるのかどうか。確かに比率としては形は崩れておりますけれども、税制度そのものの見直しというものをやはり考えていかなきゃいけない、そういうふうに思うわけです。自動的に累進課税率によって増税という形になってきておりまして、年々大きな伸びを示しております、自然増と言われておりますその税収の中の半分以上がいま所得税、法人税に占められている。まあ所得税ですね。そういうことを考えますと、やはりこれから所得税のあり方というものを考えていかなきゃいけないというふうに思うわけですけれども、それについてはいかがでしょうか。

福田幸弘大蔵省主税局長

○福田(幸)政府委員 直間比率の問題からお答えしますと、直ちに直間比率というふうに考えていいかという点が一つございますけれども、御承知のとおり、五十七年度予算でございますが、直接税七二・四、間接税が二七・六ということで、戦前が、直接税三四・八で反対に間接税が六五・二であったという時系列の変化というのも、国民から見れば税負担感の受け取り方に何らかの差が生じておるかという気がいたします。  戦後のところで見ましても、これはシャウプ勧告の前後でございますけれども、二十五年当時では半々ということで、二十五年では五四・九が直接税であったというときにシャウプ勧告があったということで、シャウプ勧告の前提の状況は決して直接税中心ではなかったわけであります。しかし、その後直接税がふえてきていますのは、これはやはり弾性値の関係で、累進税率の構造の関係であるわけです。したがって、所得税が累進構造でありますので弾性値が高い。したがって、そのままにしますと直接税がふえる。  それから、直間と申しましたけれども、全体の税収の中での法人税のウエートは、五十七年度で見ますと三二・六になっています。先ほどの直間比率の中の三二・六というのが法人税で、所得税は四〇・九です。源泉分は三〇・五ということですから、いまの弾性値が効きますのは所得税の方、さらに法人税の方は景気の変動を受けるという形で伸びてくる。したがって、直間というときに所得税の系統と法人税系統を分けて考える必要があると思います。法人税が成長過程で弾性値的に上下に非常に振れながら伸びてくるわけです。伸びたりへこんだりするわけです。結果的には、先ほどのように直接税が七〇を超える姿になったということであります。したがって、直間と直ちに指摘する前に、直接税の中で所得税、法人税、こう分ける必要があると思います。  一方、間接税の中で従量税といいますか従価税でない、値段にスライドしない従量税的なものがあるわけでありまして、酒税とかさらに揮発油税、こういうものは従量税ですから自然と負担が下がってきますので、そういう意味で間接税のウエートは下がってくる。一般的な従価的な税というのがウエートが少ないために、間接税の方は落ちてくる。だから、両方に挟まれまして、直間というところが逆転してくる構造になるわけです。  そういうことで、これは特に法人税ですが、税収の面でも非常に見通しづらい問題があると同時に、一方負担感の方では、直接税というのは、所得税、法人税ですが、企業活動または勤労活動の対価というところで課税が行われるという意味で負担感が大きい。さらに、所得税は累進構造という宿命を持っていますので、それがさらに重く感じられる。そういう意味で、租税構造からくる負担感の問題は、それぞれに掘り下げて分析する必要があろうと思います。今後さらにこの御検討があろうかと思います。  以上が大体の感じでございます。

玉置一弥民社党・国民連合

○玉置委員 一説によりますと、いまの物価上昇分を五十二年度から換算すれば、二百四十九万円ぐらいを課税最低限にすべきであるというような話があると聞いております。  しかし実質的には、これは言っていいのか悪いのかわかりませんけれども、課税最低限を引き上げるよりも、逆に累進課税率を見直していく方が、より税負担をする人数をふやし、そして一人当たりの税額を少なくするという方向に行くのではないかというふうな気がするわけです。ところが、二百四十九万円も言えというようないろんな支持団体の話もございますから、一応言っておきますけれども、二百四十九万円というか、いま二百一万五千円以下の方を通常考えてみて、ごく普通の勤労所得者であれば、大体その近辺に行くのではないかというふうに思うわけです。そういう意味から見れば、欧米との比較がよく大蔵省から出されますけれども、そう悪くもない。しかし、物価上昇分というものはやはり加味すべきであるというふうな気がします。  そして、昨年ですか、大蔵大臣がグリーンカードを実施する際に累進課税率を見直したいというふうな話をされました。その中で、確かに天の方は地方税を含めますと九三%になるという話でございますけれども、天はわれわれは余り関係ないですから、もちろん真ん中辺でよくお願いをしたいと思います。  先日の、二月二十八日の新聞でございますけれども、先ほどお話がございました厚生省の調査の結果によりますと、いわゆる中年層に重圧がかかっているというような表現で書かれております。これによりますと、日本人の生活意識というものが調査されまして、昭和五十六年度の結果でございますけれども、生活が「大変苦しい」という方が一〇・九%、「やや苦しい」という方が二九・二%、「普通」という方が五三・三%、「多少ゆとりがある」という方が六・二%、「大変ゆとりがある」という方が〇・五%、こういう数字が出ております。  いまの累進課税率の話に戻りますけれども、所得者の階層別のデータ、これは大蔵省から委員会に出されているものでございますけれども、これで当初、五十一年で見ますと、二百万以下という者が約一千万人おられました。で、いま現在二百万以下という者が、これは五十五年でございますけれども八百二十七万人というふうに人数が減ってきております。かわりに五百万円以下、いわゆる五百万から三百万ぐらいの間の方、この方が当初六百五十万人ぐらいしかおられなかったのが千百万人にふえてきております。ほぼ倍増になってきている。昔から、大体中間所得者層といいますのは、当初はやはり三百万ぐらいであり、いまは六百万ぐらいではないかというような感じがするわけです、百万前後の幅がありますけれども。  そういう面から見てまいりますと、確かにこの五年間でそのように所得の枠の、それぞれの階層が移行してきているという実績がございます。そして税率の方が昭和五十二年から固定をされておりまして、それぞれの所得に累進課税率が適用されるということになっておりまして、上へいくほどに税率がアップをするということでございます。  そういうことになりますと、いま、たとえば四十代の方あるいは五十代の前半の方、いわゆる昭和の初期ですね、そういう方につきまして、どういう生活をいままでしてこられたのかということを考え、そしていまの家庭環境というものを考えた場合に、果たして、そこの層に重税感を味わわせるだけの、そういう仕打ちをしていいのかどうかというような感じがするわけです。われわれはもうちょっと下で、別に苦労して生活をしてきたという覚えは余りないんですけれども、ちょうど政務次官から上のクラスが非常に苦しい中に、戦後の苦境の中に生きてこられまして、ようやく一家を支えて、そしていまは大変な生活をされておりますけれども、結局、苦しい時代からいまもうすでに累進課税率の重い部分にだんだん移行してきているという面を考えると、本当にいいところがなかったんじゃないか、そういう気がするわけです。  そういう面から見て、課税最低限という話もございますけれども、そういう意味での累進課税率の見直しということをやはり考えていかなければいけないのではないか。そういう中には、教育費が非常に大きく値上がりをしているというような内容もございますし、また年代的に大変つき合いがふえてまいりまして、人間関係を特に重要視する世代でございますから、そういう面でのいろんな費用も要るという面から考えますと、実質的には、総額で見ると三十代の方よりは総額が大きいのでございますけれども、出費から見ると、出費といいますか、生活に充てる費用を考えてみた場合には、ほとんど変わりがないんじゃないかというような気がするわけです。ぜひこれから先、所得税の体系を見直しをされるときに、こういう部分について十分な手厚い方法を御検討をお願いをしたい、かように思うわけですけれども、いかがでしょう。

山崎武三郎自由民主党大蔵政務次官

○山崎(武)政府委員 課税最低限の引き上げという要求と、累進課税率の改定をより実質的にやられた方がいいのではないかという御意見、それぞれあります。  大臣も答弁しておりましたが、グリーンカード制の施行と相まって、この累進課税率をどの点をいじるかということもやはり相当大きな問題でありますし、いま先生が言われたことを念頭に置いて、改正すべき点があれば改正しなければいけないというふうに考えております。     〔大原(一)委員長代理退席、委員長着席〕

玉置一弥民社党・国民連合

○玉置委員 早急に、いますぐというわけにはいきませんので、いろいろ調査していただいて、努力しても生活が苦しいというのはちょっと、やはり努力したら報われるような、そういう体系にぜひ修正をしていただきたい、かように思います。  それから小倉税調会長が、国民所得当たり税負担率が二六から高くて二八、そのぐらいが日本として適当ではないかというようなことをいままで言われてきたわけです。五十五年度を見ますと、国民所得に対する税負担率が二三%であります。五十六年度が二四・四%に上がってきております。五十七年度は、いま改正をされておりますけれども、若干上がるであろうというふうに思われております。こういうようにいきますと、二六%というのは場合によってはことしじゅうに、五十七年度中にいってしまうんではないか、そういうところが出てまいりました。本来適当であろうと思われておりました税負担率にすでになりつつある。ところが、いまの財政状態を見て考えた場合に、まだまだ税金が欲しいなというように思っておられる方が大蔵省の中に大変たくさくおられます。  そういうようなことを考えますと、じゃ適正を超えた場合にどうなんだということをやはりわれわれとしても考えていかなければいけない。適正を超えるか超えないかということで、いま所得減税の話が出てきているわけですけれども、われわれとしても、財政再建というのはやはりやらなければいけない。そして健全な財政の中に不公平感のない、そういう運営をされていかなければいけないというように思っているわけです。  ところが、財政再建になる前に、要するに、もうリミットいっぱいの税負担になってしまうということになると、その上に今度また何か出されるんじゃないかという心配が出てくるわけです。これから先、財政再建期間中、そして財政再建後の税負担についてどのようにお考えになっているか、その辺についてお伺いしたいと思います。

福田幸弘大蔵省主税局長

○福田(幸)政府委員 租税負担の数字だけ申しますと、先ほどおっしゃった国税、地方税を合わせた対国民所得の租税負担率、これは五十六年のところが二四・四、その次五十七年度予算では二五・四でございます。これは租税収入ベースということであるわけで、租税収入ベースというものに、あと日銀納付金とか中央競馬会納付金とか手数料、許可料、地方の収益事業収入、これを加えたのが国民経済計算ベースということで経済計画の目標のところにつながっていくわけです。この租税収入ベースだけのところで申しますと二五・四までわかっております。  いずれにしましても、これがどうなるかということは、その分母になります国民所得ないしGNPの伸びが落ちてきますと、負担率としては上がるという面が一つございます。  それから、見合いの歳出がどうなっておるかということを考えませんと、租税負担だけでは議論ができないと思います。それは、歳出に対して歳入がどういう割合を占めているか、税調会長が指摘しているのもその辺からきているわけで、歳出に対して租税、印紙収入の割合が五十七年度予算では七三・七ということになっています。これは四十五年度当時は八九・一ということでございますので、この辺がずっと税金のシェアが下がっておるということがむしろポイントであろうと思うのです。  また、外国の比較をする際も、租税負担率だけではなくて、一方において、歳出の中で税がどれだけ占めておるか。フランスでは約九〇だとか、イギリス、西ドイツは八二とかいうような水準にあるという前提での租税負担率でございますので、歳出との関係でどれだけの開きがあるかという点も大事だろうと思います。日本の場合は、租税負担がふえている一方において、歳出もGNP比もふえている。したがって、その開きのところで、先ほどのように租税収入の占める割合が歳出に対して落ちておるという関係にありますので、単に租税負担率だけの議論は問題があろうと思いますし、総合的な今後の御検討があろうかと思います。  以上が租税負担率のお答えであります。

玉置一弥民社党・国民連合

○玉置委員 税調会長とよく調整してほしいのですけれどもね、それぞれ別々の発言をされると非常に受けとめにくいわけですから。そういうことでございまして、負担率というのは結果でございますから。  時間があと三十分でございますから、ちょっと話題を変えまして、もう一回戻ってきますけれども、ほかの方向にちょっと移りたいと思います。  実は、中小企業関係のいわゆる相続税の問題でございますけれども、中小企業関係いろいろありますけれども、特に同族企業といいますか同族会社、そういう関係につきまして、株価の評価でありますとかあるいは土地の評価という面で非常に負担を強いられまして、その結果、後継者が引き継いだ時点にはその同族会社は企業体力が喪失してしまっているというような状況が生じてきております。  そういう面から考えまして、いま農家において行われておりますような相続での援護といいますか、そういう面が考えられないかということでございます。一時大蔵省内で御検討されたことがあるというふうに聞いておりますけれども、その辺についての経過と、そして御見解をお伺いしたいと思います。

福田幸弘大蔵省主税局長

○福田(幸)政府委員 中小企業の承継税制の御質問でございますが、農地との比較ではなかなか問題があろうと思います。  農地というのは、農業基本法、農地法に基づきまして農地の所有と経営の不可分という本来の性格を基本にいたしておりまして、民法の均分相続制ということにとらわれない農業の自立経営を継続するという点でございますので、農業の方はやはり特別の対策であり、またそれなりの基本法、農地法の前提があるという点であります。中小企業というのは、そういうふうな点では特別にそこまではいかない。農地というものと上の生産が一体になっておるという点が、特に日本の農業が今後どうするかという基本政策に絡むわけです。  御指摘の点、やはりいろいろございますが、延納制度の活用というのが大事だろうと思うのですが、延納の利用はまだ二四%でございまして、特に不動産、事業用償却資産それから株式、これは同族の非上場株式でありますが、立木、それが相続財産の半分を超えますと、不動産等そういう固定的なものに対応する分は十五年、原則は五年でございますが、十五年で年五・四%、原則は年六・六%でございます。そのように十五年、年五・四ということで、不動産以外のところは十年、年六・〇ですから、相当な長期の延納があるということも御承知おき願いたいと思うのです。これが余り利用されてないということでございます。  したがって、どれだけ負担がどういう形で生じておるかというのは、よく調べる必要があると思います。相続税のために、どういうふうな問題が実際に生じたかという点がポイントであろうと思います。  相続税というのは税の基本でございまして、所得税で課税いたしてきまして、課税漏れがありましても、最後の相続のところでキャッチするということで税制が成り立つわけでありますから、さらに相続のところで課税漏れが生ずるというか、そこがしり抜けになるということでは基本的に問題があります。農業以外にも、いまの中小企業が問題になりますと同様に医者の方にも同じ問題があります。それからサラリーマンの住宅についても問題がありますので、その辺説明のつく範囲での解決が必要だろうと思います。  これは株の評価の問題にしぼられてくると思いますので、取引相場のない株をどう評価するか。これにしぼりまして、技術的な面を今後政府税調の場で専門的に検討していただこうと思っています。その際に、いろいろな実態を反映させて、また理論的に説明のできる解決を求めたい、こういうふうに考えております。

玉置一弥民社党・国民連合

○玉置委員 いま土地については非常にむずかしいという話でございましたけれども、たとえば山林事業者がおられまして、山林の場合には三世代にわたらないと優良な木が育たない。最低四十年と言われております。いわゆるおじいさんの時代の木を切っていま生計をする、事業をするということになっておりまして、いま植えておられる木が、孫の代に木を切るというような形になるわけです。  農業と山林と若干違いますけれども、結局、相続という関係においては、生産財が相続されるということになるわけでございますから同じではないかというように考えた場合に、山林事業者についても同様の措置がとれないかというような気がするわけです。それについてはいかがでしょうか。

福田幸弘大蔵省主税局長

○福田(幸)政府委員 山林というのは、土地の上に立木が立つという点では、土地の上の生産であるという点では共通しておるかもしれませんが、普通の農地と違って、農業基本法とか農地法的な基本的な特別の対策がないのは、おのずから農地と林地の違いが本質的にあろうかと思います。  これは農業政策、林業政策の問題ではありましようが、基本的に戦後の農地の対策ができて、ここのところが基本的な法制が講じられたということに対して、林業は資産であるというのが前提にあろうと思います。また、それは相当な資産であるということを前提に置かないと、先ほどの相続税の本質に反してきますが、しかし一方において、成長する期間が長い、伐採期が先であるという特殊性もあるわけでございますので、この辺を考えた相続税の対策は講ぜられておるところでありまして、立木の価額が相続財産の三〇%以上を占めておる場合には、十五年のときの金利が五・四ということになるわけでございます。これは三〇%で五・四です。先ほど五・四と申しましたのは五〇%以上だったわけですが、立木の場合はそこが緩和されております。  それからもう一つは、森林の施業計画ということによって経営をいたしておる場合は、その立木が相続財産の四〇%以上を占めておりますと十五年、四・八%というふうに軽減されています。これは、そういう施業計画ということによる縛りがありますし、その際については、特別に金利の方で軽減するというので林業の特殊性は考慮されておりますので、それをどこまで拡大していいかということは、また非常にむずかしい問題があります。  ほかの相続財産との比較で、山林という資産家の持つ税金をどこまで緩和するかは、立木の性格からくる伐採期の長いということから延納の制度を重点にして、その金利が延納が長いだけに考慮せざるを得ない、そこが限度であろうかと思うのです。それをまた広げるということについては問題が多過ぎる気がいたします。

玉置一弥民社党・国民連合

○玉置委員 ちょっときょう時間がありませんので、お願いだけにしておきたいと思いますけれども、いま中小企業者と同じような悩みを山林事業者の方も持っておられるわけです。それと、たとえば伐採したときに税金を納めるとか、いろいろな方法があると思いますけれども、そういういろいろな方法を単なる資産家という形でやっていますと、どうしてもその部分を確保したいということで木材が高くなるわけですから、そういう面で機敏な対応というものをお願いしたいと思うわけです。  次に、法人税の問題でございますけれども、中小企業庁の方。  中小企業の資金需要という面から、今回の法人税の延納の問題について、問題があるのではないかというような指摘が再三されております。事実、中小企業の資金繰りという面から見ると、現在の制度でも、決算時あるいは月末の支払い時には資金がショートするというようなことが多々あるわけでございまして、そういう面で、今回の法改正が中小企業の資金需要についてどういう影響を及ぼすか。それと、実際はいろいろな行政指導を中小企業庁がやられていると思いますけれども、要は、中小企業について活力を持たせていくにはどうしたらいいのか。今回の引当金とかいろいろなそういう改定がございますけれども、そういう面も含めて、中小企業庁の御意見をお伺いしたいと思います。

米山揚城中小企業庁計画部金融課長

○米山説明員 お答え申し上げます。  最近の中小企業の資金繰りの状況でございますけれども、先生御案内のように、やはり大企業に比べますと相当厳しい状況下にはあるわけでございますけれども、たとえば、先般発表されました日銀の短期経済観測あるいは政府系の中小企業金融機関等の調べによりますと、最近はやや改善の兆しが出てきておるというような状況でございます。そういった中で、たとえば借入残高の増加の理由といたしまして、納税あるいは賞与資金といった季節的要因を挙げる企業もどうやら最近減ってきておるというような状況にございます。そういうことで、全般的にかなり金融は緩和しておるというのが現状ではなかろうかという感じがいたします。したがいまして、現在政府系の中小企業金融機関に対します資金の貸し付けの申し込み等もかなり落ちてきておるのが現状でございます。  それから、御指摘の延納制度との関係でございますけれども、御案内のように、この制度ができましたのは昭和二十六年当時でございまして、そのころと現在の金融事情を比較してまいりますと、かなりそこは情勢が好転しているのではなかろうかということで、恐らくさほどの影響はないのではなかろうかというふうに私どもは感じております。しかし、やはり個別の中小企業者によりましては、いろいろ問題も出てこようかという感じがいたしますので、そういった個別の中小企業者の問題については、実情に応じまして資金調達ができますように、必要があれば政府系の関係機関にもよく指導していきたい、かように考えております。

玉置一弥民社党・国民連合

○玉置委員 緩和されているということであればいいわけでございますけれども、要するに、資金的に余裕がないから一時期のなれといいますか、ある程度なれるまでは政府系機関の融資を受けるような経過措置というものをとっていただきたい、かように思うわけです。これについて、お約束をいまいただいたような、いただかないような感じでございますけれども、大蔵省としてはどのように考えておられますか。

吉田哲朗国税庁直税部長

○吉田(正)政府委員 本制度の中小企業に及ぼす影響につきましては、ただいま中小企業庁からお答えしたような認識でございまして、全体として、やはり金融は円滑な形で、余りタイトな状況ではないと思っておるわけでございます。政府系金融機関について、特別の融資制度はいま特に必要とは思っておりませんけれども、個別の中小企業の実情によりまして十分配慮を払うようにしてまいりたい、今後の状況を見守ってまいりたい、かように考えております。

玉置一弥民社党・国民連合

○玉置委員 状況を見守っていて手形が落ちないと大変なことになるわけですけれども、ある程度事前に枠取りといいますか、法律改正によってこういうことになりました、ついては、資金が緊急に必要な場合には、こういうところを利用くださいというようなことを、ある程度事前にやっていただかないと、中小企業の場合、手形が切れる切れないとわかるのは大体前日ぐらいなんですね。あわてて走り回っているようなんですね。税金の場合は手形じゃないんですから、ちょっと待っていただけるかと思いますけれども、そういう面で、ある程度事前に中小企業者に対するPRということが必要かと思いますけれども、その辺についてはお考えになっておられますか。

吉田哲朗国税庁直税部長

○吉田(正)政府委員 ただいま政府系中小企業金融機関の資金の状況でございますが、これにつきましては、設備と運転資金の貸出割合というのがございます。運転資金は国民公庫でも七五%、それから中小公庫でも六割近く、商工中金でも七割強というような形で、いわばこういうつなぎ資金についても実績がございますし、今後ともそういう形で資金を確保していくというようなことで対処していきたいということでございます。

玉置一弥民社党・国民連合

○玉置委員 わかりました。  次に、財形貯蓄の問題に移りたいと思います。  ことしの十二月で廃止をされます財形貯蓄の控除制度といいますか、これについて、いま労働省の方で勤労者財産形成促進制度といういろんな制度の中で検討されておりまして、年金ですか、勤労者財産形成促進法というもので、今度住宅年金というものを創設なさるということでございますけれども、いままで頭金をためようということで財産形成を一生懸命やってきた、そういう方々が頭金なしで単に借りられる。その借りた金で果たして家が買えるのかという心配もあるわけでございまして、そういう面から、われわれとしては、いまのこの法律を残していただいて、さらに住宅年金というものをやっていただきたいというふうに考えているわけでございます。それについて、これからの勤労者の財産形成、特に持ち家の関係だと思いますけれども、その辺について、今回の改正を含めてどのようにお考えになっているのか。  そして、時間がございませんのでまとめて申し上げますけれども、たとえば、いままで預金をされて、ため込んできた、そういう方が恩恵を受けられなくなって、急遽年金に移行せざるを得ないというような形になるかと思いますけれども、その際に、できるだけ両方のメリットがそういう方たちに加えられるように御配慮をお願いしたい、かように思うわけです。そういう面で、どのようにお考えになっているのか、その辺についてお伺いしたいと思います。

石岡愼太郎労働省労働基準局賃金福祉部福祉課長

○石岡説明員 財形制度におきましては、住宅の頭金の貯蓄を奨励いたしまして、それによりまして住宅を取得していただくために、住宅貯蓄控除制度というものを設けてまいりました。この控除制度を中心に財形政策をいままで展開してきたわけですが、今回私どもはこの政策のあり方を改めまして、利子補給を中心とする政策に転換いたしたいというふうに考えております。  それで、この考え方を若干申し上げますと、従来の住宅貯蓄控除制度につきましてはいろいろ問題もございまして、たとえば持ち家促進対策といたしましては、住宅の取得段階で利子補給をする、それによって負担を軽減するというような方法と比べまして、効果が少ないのではなかろうかということ、あるいは、この住宅貯蓄控除制度は暫定的な措置でございまして、二年ごとの見直しが行われておりますけれども、サラリーマン以外の人を対象にします一般住宅貯蓄控除制度は、すでに五十六年度からその効果がないということで廃止されております。その他いろいろ問題がございまして、労働省といたしましては、住宅貯蓄控除中心の政策を改めまして、新たに、持ち家の個人融資を受ける方々には貯蓄額の三倍から五倍の貸し付けを行い、さらに五年間七%の利子補給をいたしまして、一人当たり約三十八万円の負担軽減を図るという制度などを導入していこうといううふうに考えている次第でございます。この法の改正によりまして、現在財形貯蓄が約五兆円もたまっておりますけれども、財形の融資がその二%にしかすぎない一千億しかはけないといった実態を改めることができるのではなかろうかと考えている次第でございます。  これが、財形制度の改正に対する考え方はどうかという御質問に対するお答えの第一点でございます。  それから第二に、住宅貯蓄控除制度を廃止しまして、果たして頭金はたまるのであろうかという御指摘でございます炉、私どもは、次のような理由によりまして、頭金は財形貯蓄制度を利用して引き続き勤労者の方々がおためになるのではなかろうかというふうに考えております。  その第一は、財形貯蓄制度は、先生御案内のとおり、元本五百万から出てまいります利子につきましては非課税でございますし、それから天引き貯蓄でございまして、勤労者にとりましては手間暇のかからない非常に便利な貯蓄制度でございます。  それから、その二といたしましては、財形法の改正法案が今国会で通りますと、先ほども言いましたように、財形貯蓄者は貯蓄残高の、従来三倍だったのですが五倍の融資を受けられること、さらにその融資につきましては五年間七%の利子補給があり、一人当たりにしますと約三十八万円の負担軽減になるといった恩典がございます。  こういった二点を考えますと、財形貯蓄制度には住宅を目的として貯蓄をやる場合にいろいろな恩典がございますので、この制度を利用しまして、多くの勤労者の方が住宅目的の貯蓄を実施されるというふうに私どもは考えております。  それから第三に、住宅貯蓄控除制度の廃止に伴いまして、現在貯蓄をやっておられる方々に対しまして、残存期間の控除を認める経過措置がとれないかという御質問でございますが、これは、私どももいろいろ検討いたしましたけれども、次の理由によりまして、とるべきではないのではなかろうかというふうに判断いたしました。  その第一は、経過措置を認めますと、現在の住貯を行っておられます勤労者の方々は、たとえば通算七年なりの残存期間を利用して貯蓄を続けられるわけですが、そういたしますと、税額控除は平均で約三十五万円を享受されることになります。その貯蓄が満期になりますと、先ほど言いましたように、利子補給つきの一人当たり三十八万円の補助をする新しい融資を受けられることができるわけでございます。しかしながら、こういう方々に比べまして、五十八年一月以降住宅貯蓄控除制度に入れない方々を考えてみますと、その方々は三十五万円の税額控除がない、しかしながら三十八万円の利子補給の融資は受けられるという形になりまして、同じような財形貯蓄努力をいたしましても、今後、経過措置を導入しますと勤労者の間に不均衡が生ずるという問題がございます。  それから第二に、現在の住貯にお入りの方々には、その廃止に伴いまして実損を与えないということを私ども考えておりまして、具体的には、五十八年以降は住宅を建てない場合でも追徴はしない。言いかえますと、過去に与えました税額控除は本人にそのまま帰属させるという措置もとりますし、それから財形法の附則によりまして、いままで住宅貯蓄によりましてためられましたお金を今度新たに発足します老後目的の年金貯蓄に移しかえられる場合には、その残高を一指年金貯蓄の方に預入していただくという道も講じております。  以上のような二点から申しまして、私どもは、経過措置をとらなくても、現在住貯を行っておられます勤労者は、円滑にその改正に対応できると考えております。

玉置一弥民社党・国民連合

○玉置委員 聞いているとなるほどと思うようなことになってしまいましたので、何か質問しにくくなったのですけれども、まあよろしくお願いします。  この資金が五兆円あるというお話でございますけれども、そのうち還元されているのが二%くらいだ、ほかのものは普通の一般の金融機関に流れておるわけですね。そういう意味では、利用度を上げていただいて、勤労者の財産というか持ち寄ったものでございますから、有効に活用してなるべく効果のある使い方をお願いしたい、かように思います。  それと、時間があと三分しかございませんけれども、自動車重量税の問題でございます。  いま、臨調絡みで車検問題がやられておりまして、いつの間にか閣議に出そうということになってしまっているようでございます。多分十二日の閣議には出てくるのではないかといううわさが大分出ておりますけれども、いままでいろいろな論議をされておりました重量税一括払い、現在は車検ごとに二年間一括払いということでやっておられますけれども、今後、新車三年、その後二年継続ということになる場合には、初年度に三年分を払い込まなければいけない、そういう事態が発生いたします。  重量税だけではなくて、自賠責保険についても三年分の掛金を払うということになるわけでございまして、初年度のいわゆる新規登録の際の諸費用の負担がかなり高額になってしまうわけです。車検が三年になるというだけで、買い控えが出るのじゃないかとうわさをされておりますけれども、このように大変初年度の負担が大きくなるということになりますと、一般のユーザーにとってかなりの負担になるわけです。  それと、いまたとえば新車を買って半年でつぶしてしまったというときに、あと一年半の還付金が返ってくるかということがよく言われるわけでございますけれども、一向に返してもらえない。一回取ったら返さないというのが大蔵省でございまして、各都道府県は自動車税をちゃんと返してくれるのですね。そういう面から考えまして大変不合理ではないか。大体、使っていないのになぜお金を取っているのだというような気もするわけです。  そういう面で、ちょっと時間がなくなりましたけれども、余り話ができなかったら、またあしたお願いしたいと思いますけれども、きょうお願いだけにしておきましょうか。あと一分しかございませんので、またあしたじっくりとやらせていただきます。

福田幸弘大蔵省主税局長

○福田(幸)政府委員 税の性格からいきまして、また徴税機構の点からいきましても、これはいまのやり方を変えるのは困難であろうと思います。  税率を上げることになりますが、それは三年に延びるということでありますので、やむを得ないという気がします。いまの負担としては、千六百ccのところでは重量税二万五千円でございまして、これが二年が三年になるということでお考えいただければいいと思います。  また詳細な御説明をいたす機会があろうかと思います。

玉置一弥民社党・国民連合

○玉置委員 あしたやります。

森喜朗自由民主党

○森委員長 正森成二君。

正森成二日本共産党

○正森委員 本日は大蔵大臣がおられないようでございますから、政治的な質問は主にあすに回していただいて、多少技術的な問題になるかもしれませんが、御容赦を願いたいと思います。また、政治的な問題等については政務次官からお答えをいただくことにしたいと思います。  現在、国民が減税を非常に要求しているのですけれども、大蔵大臣や大蔵省が一番頭にあるのは、減税のための財源がないということだろうと思うのですね。それで、きょうは、法人税あるいは租税特別措置の法案についての質問でございますが、広い意味での税制について二、三質問をさしていただきたいと思います。  まず第一にお伺いしたいのは、昨年の三月三日でございますが、有価証券取引税関係で質問をしたことがございます。そのときに、五十四年の改正で、キャピタルゲイン課税が強化されたわけでありますが、その申告状況あるいは納付金額等について質問いたしましたところ、五十四年分の申告は、いろいろなケース全部集めても二百九十二件しかない、こういう答弁でありました。そこで、ここに速記録を持ってまいりましたが、そのときに私の方から調査実績について質問いたしましたら「なお、昭和五十四年分の調査実績については、まだ取りまとめを終わっておりません。」こういう答弁でありました。  そこで、五十四年の調査実績の取りまとめがもう終わったと思いますから、その点について、まず答弁を願います。

吉田正輝大蔵大臣官房審議官

○吉田(哲)政府委員 お答え申し上げます。  五十四年分の有価証券譲渡益の課税状況でありますが、先年御答弁をいたしましたときよりも、かなりふえております。  内訳を申し上げますと、まず、所得税法施行令二十六条のいわゆる継続的取引による所得、五十回二十万株というところでございますが、百二十五件でございます。それから、施行令二十七条の買い占めによる所得の関係は実績がございません。それから、措置法の施行令二十五条の五第一項の同一銘柄二十万株以上の譲渡による所得は十四件でございます。それから、特別報告銘柄を二十万株以上売買したことという、いわゆる措置法施行令の二十五条の五第三項の関係はございません。それから、事業等の譲渡に類似する所得、所得税法施行令二十八条の関係でございますが、二百二十件でございます。  したがいまして、先年国税庁で御答弁いたしました合計二百九十二件と申しますのは、いま合計いたしますと三百五十九件になるわけであります。

正森成二日本共産党

○正森委員 約五、六十件ふえたようですけれども、微々たるものでありますし、それから特に買い占め関係では、誠備グループだとかいろいろ言われているにもかかわらずゼロのようですね。  それで、それによって税収はどのくらい上がっているのですか。

吉田正輝大蔵大臣官房審議官

○吉田(哲)政府委員 お答え申し上げます。  この関係の所得ということになりますと、いろいろな経費の控除等の関係がありまして、実は所得金額そのものがはっきりいたしません。また、税金はいろいろ税率の関係がございまして把握できないのが実情でございます。しかしながら、ただいま申し上げた件数につきまして、この中には実は赤字分もあるわけでありますが、黒字分だけの売買利益を合計いたしますと、約五十億円程度になろうかと思います。

正森成二日本共産党

○正森委員 それは課税所得ですか、それとも税収ですか。

吉田正輝大蔵大臣官房審議官

○吉田(哲)政府委員 これは所得と申しますよりも、売買による利益、差益だけでございます。

正森成二日本共産党

○正森委員 ですから、そこから得られる税収というのは、キャピタルゲイン課税によって国庫に入る金は、本当に少ないということはおわかりになると思うのですね。  それでは、昭和五十五年の申告所得、それから調査実績がわかっておりましたら答弁願います。

吉田正輝大蔵大臣官房審議官

○吉田(哲)政府委員 五十五年分につきましては、やはり前年と同じような状況にありまして、まだ最終的と申しますか確定的なことはつかんでおらないのでございますが、一応現時点で押さえているものを申し上げますと、まず五十回二十万株という継続的取引による所得は九十四件でございます。それから買い占めによる所得の関係はございません。同一銘柄二十万株以上の譲渡による所得は二十七件ということになっております。また、特別報告銘柄を二十万株以上売買したことによる所得、この関係はございません。それから、事業等の譲渡に類似する所得の関係が二百二十二件でございます。

正森成二日本共産党

○正森委員 政務次官、いまお聞きになってもわかりますように、五十四年の申告と五十五年の申告を比べるとほとんど差異がなくて、四種類か五種類例外的にキャピタルゲインについて課税しておりますが、それを全部ひっくるめてもせいぜい三百件ぐらいだ。それで、申告している課税対象となる利益といいますか、そういうものが全部ひっくるめても五十億あるかないかだ。というようなことは、わが国のように発達した資本主義社会で考えられないような捕捉率なんですね。それはまた、もちろん税制がキャピタルゲインについて原則的に課税するのじゃなしに、原則が非課税になっておって、こういう例外だけ課税するというようになっていることの当然の帰結であります。  しかし、私は、きょうこのキャピタル課税について、理論的な問題は昨年一、二回申しましたから、シャウプ税制勧告で出ているキャピタルゲイン課税こそが核心なんだ、それをやらないで、法人擬制説の上に立っていろいろやったって、それは核心に外れているのだということを改めて申そうとは思いませんけれども、これは、確かにわが国税制において非常に不備な点であるということは論をまたないところだと思うのです。  これは、きょうは大臣はおられませんけれども、渡辺大蔵大臣がそれはそうだということをお話しになりまして、高橋元前主税局長、いま次官ですが、「総合課税の対象に取り入れるということは基本的な路線でありますが、その中で漸次段階的に強化を図っていきたい、」というように答弁もされているのですね。それから、私がいろいろな背景的事実や理論について申し述べましたら、渡辺大蔵大臣からは「本当に私が常日ごろ考えていることと全く同じなんです。」というように、珍しく同意をされるということがあったのです。  これは、現在のように財源がない、財源がないと言っている場合には、大蔵省として真剣に考えなければならないことであるというように思われるのですが、政務次官のお考えはいかがですか。

山崎武三郎自由民主党大蔵政務次官

○山崎(武)政府委員 昨年の先生の当委員会における質疑の模様は、私も当時聞いておりまして、確かに大蔵大臣もいま正森先生が言われたような答弁をしたと思っております。一方、大変財政事情が逼迫しておりまして、財源探しに大蔵省はいまきゅうきゅうとしておるというのもまた現実であります。  ただ、株式の売買における譲渡益に対する捕捉の体制というのが一体完備されているのであろうか、そのことについても一つ問題点がありますし、制度上原則として非課税であるということは、今日ほど発達した資本主義体制下における株式売買が一体それでいいのかということに対しては、先生から出たような問題点をまた私もそのとおりだというふうに思っております。  こういうすべての要素を絡み合せて、漸次的にせよ制度を改正していくというのが本筋であろう、私もそう思っておりますし、先生の御指摘、まことにそのとおりだと考えておる次第でございます。

正森成二日本共産党

○正森委員 主税局長あるいは場合によっては国税庁に伺いたいと思うのですが、そのときに私の質問の中で、把握が非常にむずかしいのだということをたしか答弁者も言われたと思いますが、そのときに、そうではない、証券会社に顧客資料の提出を命じれば十分に把握できるはずだということも申し上げたはずであります。  私がそういうように言いますのは、論拠が二つありまして、たとえば利子配当所得の場合には、今度グリーンカード制という大変なことをやるわけでしょう。これは利子配当課税を免除してほしければグリーンカードで届け出なさいということで、本来課税の義務のない者に対して、六千万人、七千万人ということでカードの提出を義務づける、そうでなければ課税しますよということになるわけですね。そのために、前の前の次長だったか忘れましたが、私が聞きましたら、百円の税収を上げるために、費用が普通は一円五十銭ぐらいしかかからないのです、税金というのは。それが、グリーンカードの場合には初年度二十円から三十円ぐらいかかりそうだということを答弁している。それくらいまでして、グリーンカードで利子配当所得を総合課税にするために、いろいろ制度を整えるということなんですね。  それぐらいの気持ちで、株式売買に伴う譲渡益、これはもうかった人に課税するわけですから、それをやろうと思えば、これはわけのないことで、現に有価証券取引税の場合は、何十万回、何百万回という有価証券の取引について、ばっちりと一定の割合で課税をして税収を上げているわけですね。  ですから、顧客資料の提出を義務づけて売買をチェックするということにし、それでも足りない部分については、それこそ税法で定められている質問検査権を行使するということであれば、決してできないことではないのですね。いま中小業者は、クロヨンだとかトーゴーサンだとか言われて、痛くもない腹を探られている人もおりまして、次々に質問検査権で裏調査をやられるということをやられているわけですね。  それからまた、今度利子配当所得ではグリーンカード制で大変な手間暇をかけるということをやっている場合に、ひとりキャピタルゲインの獲得者あるいは利益を上げた者が野放しになって、実際上は申告した者だけ、それもいま聞きましたら、五十四年も五十五年も、日本国じゅう全部合わせてわずか三百件ぐらいであるというようなことを放置するというのは、課税の公平という意味からいいましても、これは非常に問題があるのじゃないかというように思いますが、実務当局が真剣にこういう問題を考えているのかどうか、お答えを願いたいと思います。

福田幸弘大蔵省主税局長

○福田(幸)政府委員 あと庁の方で執行のお答えをすると思うのですが、グリーンカードでは、マル優の三百万の限度管理ということで、個々の取引というよりも限度管理に重点がある。それから、本人確認を課税貯蓄のところでするという点でございますので、それが直ちに個々の取引の把握につながるかどうか、さらに検討を要すると思います。私も、この辺はまだよく勉強していませんが、やはりキャピタルゲインは理論上は課税するのが正しいというのは言えるかと思うのですが、あとはわれわれ研究しています技術的な問題です。  それからもう一つは、キャピタルゲインとロスがうらはらであるという問題がございます。したがって、ゲインとロスの通算ないしキャリーオーバーをどう考えるか。そうしますと、まあうらはらでございますので、ロスの方が多いような、そういう問題もあって、今度は、有価証券取引税というものがそれに代替するほど高い税率になっているという議論もございます。ですから、これは理論的にはそうでございますが、そこを損益のプラスマイナスのところまで考えた仕組みとしてどうするかというのは、いつも非常に勉強いたしております。  一方、おっしゃっているような技術論のところを段階的にどう考えるか。ちょっと話がそれるかもしれませんが、ゼロクーポンなんかの問題があるわけです。アメリカではキャピタルゲイン課税しますから、アメリカで発行しましたゼロクーポンはむしろ海外で売れるというのが、これがいま問題になっておる現象の基本にあろうと思うのです。ですから、日本のいまのこの問題はグリーンカードから起きているのではなくて、課税の仕組みが、キャピタルゲインということで課税される、日本のところでは課税されないから、その非課税の利益を追っておるという形で売れたという問題があると思うのです。ヨーロッパは同じくなかなかキャピタルゲインに課税しないところが多いわけですから、同じく悩みがあるということで、やはり個別のところでおかしな問題をどう処理するかという問題から入ることもできるかと思います。  しかし、私もこれは成案を持っていませんが、いずれにしましても、技術的にどこに問題があるかというのはもっと詰めていく。しかも段階を追ってですから、どういう段階を追っていくかということは、庁の方と、また証券行政をやっているそっちの現場の実務が前提になりますので、また必要によっては補足説明すると思いますが、問題点がどこにあるかをよく詰めてみたい、こう思っています。

吉田正輝大蔵大臣官房審議官

○吉田(哲)政府委員 有価証券譲渡益の課税につきましては、私ども、ほかの調査と同じように力を入れているわけでございまして、決しておろそかにしているわけではございません。  先ほど、昨年御答弁したのと件数が増加しているということを申し上げましたけれども、大部分は調査によってふえたものと御理解いただいてよろしいかと思います。いろいろな資料を収集総合いたしまして調査の端緒をつかみまして、必要に応じ証券会社の調査をやって、極力課税の充実に努めているわけであります。  ただ、所得税法なりあるいは措置法なりにいろいろ要件がございますので、調査いたしてみました結果その要件に当てはまらないとか、あるいは結果的に赤字であった、そういうことでむだになるものもあるというのが現在の実情でございます。

正森成二日本共産党

○正森委員 いま直税部長から答弁がありましたが、国税庁として、いろいろむずかしい点があると思うのですね。原則非課税なんですから、そういうところを大きな顔をして調査に余り乗り込めないという点がありますから、国税庁の御苦労もわかりますし、現在の税制の不備という点が非常に大きな役割りを果たすと思うのです。  ただ、主税局長に一言言いますと、何か、有価証券取引税がありますから、そことの関係も考えなければならぬという意味のことを言われましたけれども、本来税制としては、有価証券取引税というのは、利益があろうがなかろうが取引をしたら何でもよこせと言うて、大蔵省がやらずぶったくりで取るわけですね。だから、そうじゃなしに、シャウプも言うているように、キャピタルゲイン、キャピタルロスというのがあっても、それを正確に把握して、資本主義の上昇期の場合にはゲインの方が多いのが普通なんですから、だから、それをがっちり把握するということであれば、取られた者も文句言わないですね。  いまの有価証券取引税といったら、大損しようがどうしようが、にこにこ笑うのは大蔵省だけである、こういう税制でしょう。だから、そういう税制はおかしいということを言うておるので、それを導入せざるを得なかったのは、キャピタルゲイン課税を昭和二十四、五年ごろにやめちゃったから、だから余り不公平だというのでそれを取り入れて、いつまでもキャピタルゲイン課税をやらないから、税収を上げなきやいかぬということで取引税を去年も上げるということでどんどん上げてきて、現先との間に不公平があるとかないとかということだって言われているわけでしょう。  ですから、主税局長が答弁としてやはり一言言うておかなければいかぬというので言われた真意はわかるのですけれども、しかしその答弁自体、有価証券取引税というのはなるほど税収を上げておるけれども、税制そのものとしては、利益があろうがなかろうがふんだくる税制であるという点から言えば、合理性を欠くという点は非常にはっきりしているので、だからそういう点について、証券会社に顧客資料の提出等を求めれば十分に把握できるものであるということは、「国民のための財政百科」その他でわれわれは前から指摘しているわけですから、さらに検討を深めていただきたい。  それから、あなた方は段階的に検討すると言っていますけれども、何も別に段階的にやらなくてもいいわけで、把握するのだけはばっちり把握した上で、税制は段階的に強くしてやろうということだっていいわけですから、初めから及び腰で段階的だ、段階的だというようなことになる必要はないのではないかという問題を指摘して、この問題は昨年もある程度、昨年の方がむしろ理論的に申しましたので、この国会ではあえて重複をしませんから、御考慮のほどをお願いしておきたいと思います。  次に、株式のプレミアム発行というのが昭和四十三年ごろから非常に行われておりますね。後で禿河証券局長にもお伺いしますが、あなたも新聞紙上で、後で読みますが、いろいろ世の行く末について心配して発言をしておられるようですね。私は、あの部分については大いに賛成であります、後でまた出番が来たら言ってもらいますが。  そこで、きょうは大蔵大臣がおられませんから、少し事務的なことも聞いていきたいと思うのですが、まず物の順序として、公募時価発行のプレミアム課税については、戦前はどうなっておったかということをごく簡単に答弁してください。

福田幸弘大蔵省主税局長

○福田(幸)政府委員 昭和十八年の改正前は全額益金算入、こうされておったのは御承知と思います。それから十八年の臨時租税措置法の改正ということにおきまして、一定の設備拡充に充てた場合には、額面超過金の二分の一を益金不算入とするというふうに条件つきになっております。それから昭和二十一年の旧租税特別措置法の制定によりまして、額面超過金の一般的な、条件を外して一般的な二分の一益金不算入ということになっております。戦前と申しますか戦争直後でございます。  あとは昭和二十五年、改正前の商法という、商法の面で見ますと、法定準備金が一定限度に達した後はプレミアムの自由処分が許されるということになっておりまして、商法上もプレミアムを利益と解する説が有力であった、判例もいろいろ反対のものもあるようですが、プレミアムの自由処分があるというのが大きなポイントであろうかと思います。あとは昭和二十五年以降になりますので割愛します。

正森成二日本共産党

○正森委員 昭和二十五年以後の分については、また後で伺います。  いまの答弁でも明らかなように、昭和十八年以前はプレミアムを利益とみなして、当初は第一種所得税と言っていたのですね、そういうもので全額課税をやっていた歴史があることは非常にはっきりしているのですね。  私は、何もこれが全面的に正しいという主張を固執するわけではありませんが、当時からこの問題については、プレミアムは果たして利益なのか資本なのかということで、法律家と会計学者等の間で非常な論戦があったのです。そして、判例によって争われた事件も幾つかあるようであります。その幾つかの判例についてはどういう結果になったか、大蔵省は知っておりますか。知っていたら答えてください。

福田幸弘大蔵省主税局長

○福田(幸)政府委員 判例そのものは読んでおりませんが、結論的に、全部が全部ではございませんが、国が勝訴した例もあるようであります。議論が分かれておったということでありましょう。

正森成二日本共産党

○正森委員 私は弁護士なものですから、次官も弁護士ですが、国会図書館へ行ってその判例を全部調べてきました。いま入手できるのは六つであります。そのいずれもが国が勝訴しているのです。その判例は、プレミアムは利益であり、これに対して課税するのは当然であるという立場をとっているわけです。それは当時の税法もそうでしたし、そういう立場をとっているわけです。  それで、物の本によりますと、一番古く争われたのは明治三十二年ころなんだそうです。その後本格的にこの問題が裁判等で出ましたのは、明治四十一年ころと大正に入ってからのようであります。  判決の中身なんかは詳しく言う必要もありませんから若干御説明いたしますと、たとえば原告が株式会社名古屋銀行、被告が名古屋税務監督局長。当時監督局長と言っていたのですね。そこで裁判が起こりまして、判決要旨は「株式會社カ其營業上資本ヲ増加スルノ必要アリトシ新株ヲ募集シタルトキハ之ニ依リテ取得セル利益ハ營利ノ事業属スルモノトス從テ新株ノ價格差金ハ所得税法第五條第五號ノ規定ニ該當セス」つまりプレミアムは課税すべきなんだということを言っておるわけです。これは明治四十一年の行政裁判所判決録に載っているわけですが、「原告ノ請求相立タス」という主文ですね。われわれから見れば原告の請求を棄却するというのが、そのころは、原告の請求相立たず、こういうように言っていたのですね。  そのほかに、株式会社福岡同盟銀行と金沢税務監督局長という事件もありまして、これも同じような結論ですね。さらに、これも明治四十一年ですが、株式会社共通銀行対金沢税務監督局長というのがもう一件あります。さらに明治四十一年に富山電気株式会社対金沢税務監督局長、金沢でずいぶん問題になったのですね。その次には、これは大正四年に飛ぶわけですが、岐阜県の板取川電気株式会社対名古屋税務監督局長、これも原告の請求相立たずで、税務署つまり大蔵省が勝っているのですね。それからさらに、ちょっと前の大正二年には東京でルナパーク株式会社対東京税務監督局長、これもやはり国税庁が勝っておるというようなことで、大体調べたところでは六件ぐらいあるようであります。  これについて、私は何も、この判例が正しいとか当時の税制が完全に正しいと言っているわけじゃないんです。そのころに、プレミアムが利益であるかあるいは資本であるかという点について非常な論争がありまして、この論争は、現在の資本主義社会の発展段階から見ると、虚心に言いますと、私も個人の意見で申し上げるのですが、勝った者常に正しからずで、どうも裁判所や大蔵省側の理論にも無理があったんではないかという気もいたしますし、現に、そういう立場から非常に鋭い批判を加えられた学者がおられるわけですね。  その学者の意見を御披露しますと、これは申し上げておきますが、私ども共産党はプレミアムに課税しろという立場なんですから、こういう反対の学者の説を紹介すると、敵に塩を贈るといいますか、山崎政務次官と福田主税局長に塩を贈るというかっこうになるんで、私は上杉謙信ほど偉くはないんで損かもしれないのですが、これは、大蔵委員会で今度小委員会をつくることになりましたが、いろいろな説を申し上げて一緒に御勉強するということは大切だと思うから、紹介しているんです。  その中で、こういうように言っているんですね。これは下野直太郎氏という当時の学者であります。この学者がどう言うておられるかといいますと、これは「會計」という雑誌の第二十三巻第六号に発表なさった論文のようであります。その中でこう言うておるんですね。「要するに現行会社法のもとにおいて新株をプレミアム付で発行することはきわめて愚劣な政策である。最も賢明にして最良の方策は、これを旧株主に割り当て、彼らをして彼ら自身の勘定において(筆者いわく、市場において)処分させることである。いずれにしても、割り増し金は新株主より旧株主に支払うべきものにして(筆者いわく、新株主の現会社財産収益への新参加)会社がこれを取得すべき権利はない。会社はただ後になって旧株主に渡すために一時かわって収得し得るのみだ。」これが非常に大事な考え方なんですね。恐らく証券局長なんかはわが意を得たというところでしょう。「会社に属しないものを会社が収得するのは横領である。横領金に課税するのは横領と同罪である。」  こういうことで、この学者は、当時の大蔵省は横領罪と同じだ、本来株主に属するもので会社に属するものでないものを、会社が自分のところのものだと言っているような顔をして、大きな顔をして使っているのは、まあ言ったら横領罪みたいなものだ、それをいいことにして、そこへまた税金をかけるという大蔵省は、横領した人間の上前をはねるやはり横領罪である、こういう思い切ったことを言うておられるのですね。  これは、ずいぶんはっきりした物の言い方でありますが、私は、この中には非常な卓見が含まれていると思うのですね。これは、われわれのように課税をしろという立場からの者から見ますと、ある意味では反対説のように見えるんですけれども、しかし、プレミアムというのが本来会社がわが物顔に、後で申しますが、おれのものである、つまり負担の少ない資金であるという考え、そういう考えでやるというのは間違いなんであって、本来は株主の物を一時預かっておるにすぎないんだ、そういうものに対して課税するというのは間違いであるという考え方なんですね。これはやはり、当時大正年代でありますが、いろいろな論戦が行われた中で、下野氏がこういう見解を述べて、当時の判例あるいは大蔵省を批判しておられるということは、非常に注目すべき議論だというように私は考えるわけであります。  そこで、横領の上前をはねたものとされているこの説に対しての大蔵省の感想なり見解をまず聞いておきたいと思います。昔横領に同意したということ、参加したということを肯定されますか。

福田幸弘大蔵省主税局長

○福田(幸)政府委員 もう時効になっておると思うのですが、真理をついておる点があると思います。  株主の帰属であるという点は、一つの卓見であろうと思います。その当時の企業会計の考え方、それを受けた商法というものと、戦後におけるそれの認識に立った商法、企業会計、さらに税法というのは、時代が変わって、それを論理的に組み立てておるというのが現段階でございます。いまのは非常に勉強になりました。

正森成二日本共産党

○正森委員 そこで、そういう経緯がございまして、昭和十八年に少し変わって、戦後もまた変わるということになりましたが、昭和二十五年に現在のような形に変わったわけですね。  そこで主税局長、申しわけありませんが、二十五年のところでとまりましたから、二十五年の改正では、どういう精神に基づいてどのように変わったか、改めて御説明を願います。

福田幸弘大蔵省主税局長

○福田(幸)政府委員 昭和二十五年の商法改正では、これは非常にはっきりした改正であろうと思うのですが、プレミアムの全額を、資本積立金という概念をはっきりしまして、資本積立金に積み立てること。それで、その性格でございますけれども、資本積立金でございますから、従来と違って配当に充てることはできないという性格が明らかになったわけであります。  そういうことで、いま昔の学者の御説がございましたが、プレミアムは株主が拠出した資本そのものであるという考えが明らかになったというのが昭和二十五年であります。  その後はまた追って……。

正森成二日本共産党

○正森委員 どうも主税局長も小出しにするようでありますが、昭和二十五年にはそういうように変わったんですね。  それで、この間本会議でこの法律の趣旨説明がございました。そのときに、わが党の野間議員が、プレミアム課税を行うべきではないかというように質問をいたしましたら、渡辺大蔵大臣が答弁をなさっているんですね。その答弁を読みますと、「それから、株式の時価発行差額、昔は課税していたのを、いまは何で課税しないのだ。これは法律が変わったからでございます。それは商法の改正、法人税の改正で、昭和四十年に法人税法の全文改正によって、一般的に資本等取引の非課税が定められて今日に至りました。この法人税法は、商法の考え方を受けて決まったものであって、いまは昔の商法と違うんだから。いいですか。資本非課税の基本的立場からプレミアムを非課税としているものでありまして、戦後の経済再建のためとか、「当分の間」という考え方はないんです。したがって、主要諸外国においても、プレミアム課税を行っている例はないと聞いております。」これが大臣の答弁ですね。  これは、恐らく大蔵省の基本的な考えを述べたものであろうというように思いますが、政務次官あるいは主税局長、そうですか。あるいは、さらに言わないと腹ふくるるわざというようなことがあれば、遠慮なくつけ加えて言ってください。

山崎武三郎自由民主党大蔵政務次官

○山崎(武)政府委員 そのとおりです。

正森成二日本共産党

○正森委員 そこで、私は、ここから問題が出発すると思うんですね。  大蔵省がそういうお考えをおとりになっているとすれば、その考えが果たして経済学的にもあるいは税法上も首尾一貫しているものであるかどうかということが、やはり問われなければならないというように考えるわけで、明治、大正のころの、原告の請求相立たずということで、単純に利潤である、あるいは利益であるというような考えからは、もう少し分析をしてみる必要があるのではないかというように考えるわけであります。  そこで、まず第一に伺いたいと思うのですが、プレミアムの時価発行といいますが、その時価はどのようにして決められるわけですか。

禿河徹映大蔵省証券局長

○禿河政府委員 上場会社の時価は、それぞれ上場されております証券取引所におきますところでついた価格、それが時価でございます。

正森成二日本共産党

○正森委員 プレミアム時価発行の場合は、証券局長、証券局長に何か物を言うようでえらい失礼ですけれども、そうは決まってないのですね。  そうじゃなしに、時代によって違ってきました。違ってきましたが、時価発行の場合には、一番最近では、増資が発表されてから払い込み日までの期間は約二カ月あるが、発行価格は払い込み日の二週間くらい前に決定される。その決め方は、決定日の前の三、四日間の引け値の平均価格から五%ディスカウントして決められる、こうなっているのですね。これは、かつては一〇%のときもありましたし、あるいはそれより多いときもあったかもしれませんが、一番新しいやり方は、こういうやり方になっておるのですね。そうでしょう。そんなもの、時価で決めるという粗っぽいことを言ったって、時価だって毎日毎日変動しているのですから。

禿河徹映大蔵省証券局長

○禿河政府委員 正確に申しますと、おっしゃるとおり、払い込み日前二週間くらいの引け値の平均価格、その時価をもとにいたしまして、大体五%までの低い価格ということで公募価格を決定する、こういう形になっております。

正森成二日本共産党

○正森委員 大蔵省に言っておきますが、きょうは、大臣がおられないから多少技術的なことを聞くということで、そのために来ていただいているわけですから、なるべく正確に答えていただきたい、こう思うのですね。われわれみたいな株の素人でも、それくらいのことは勉強してくるのです。  そこで伺いますが、それでは、このプレミアムの経済学的な性格というのはどういうものですか。

禿河徹映大蔵省証券局長

○禿河政府委員 ちょっと、学問的にどう定義づけるかということは大変むずかしいわけで、私の能力の範囲をあるいは越えるのかもしれませんが、要するに、増資に応じました株主のいわば企業に対する広い意味での払い込み資本、こういう性格を持つものだと思います。

正森成二日本共産党

○正森委員 いまの御答弁はそれなりにそれでいいんですけれども、ただ、惜しむらくは私の聞いたことには答えていないのですね。つまり、私が聞いたのは、そういうことじゃなしに、なぜプレミアムは発生するのか、つまり五十円なら五十円の株がなぜ五十円でなしにプレミアムを発生するのかという、そのプレミアムの性格は経済学的にはどういうものであるかと聞いているのです。  それがわからなければ、財政当局が課税すると言ったってできないでしょうが。いままさにそこが肝心なんですよ。昔のように、明治三十二年、四十一年のように、単純にこれは会社の利益だとか、いや資本だとかいうような単純なことじゃなしに、なぜプレミアムが発生するのか。現に発生しているのですから、それはいかなる経済学的な理由によって発生するのかということがわからなければ、どういう課税をするのか、税率はどういうぐあいにしたらいいのか、そんなことがわからないでしょう。だから聞いているのです。

禿河徹映大蔵省証券局長

○禿河政府委員 時価発行増資の場合におきます払い込み金額と申しますのは、経済的に見ますと、払い込み時点におきます企業のいわば一株当たりの資産価額というものを示す、そういうものであろうと思います。

正森成二日本共産党

○正森委員 いまの証券局長の答弁もそれなりに合っているのです。しかし、それは二つ学説があるうちの一つの立場を述べているのですね。  プレミアム論争という有名な論争があるのです。それを書いておりますのは、「財務諸表新論」で河合信雄さんという方が非常に詳細にプレミアム論争を書いておるのですね。大体二つ説がありまして、どちらかといえば、そのうちの一つの説に近い説明の仕方なんです。  それはそれで結構です。結構ですが、さらに申しますと、言われておりますのは、ここへ私が持ってきましたのは、河合信雄さんの本じゃなしに、川合一郎さんが編さんになりました「現代信用論」という有斐閣から出ている本があります。その本の中にプレミアムの分析がしてあるんですね。それを見ますと、非常に短い規定ですが、こういうように書いてあるのです。「次に、自己金融を引き起こした株主議決権の弱化は」——自己金融というのは、内部留保が非常に多くて配当性向が低くなっているわけです、ですから、株主というのは会社が利益を上げても全部を配当してもらえないで、会社へ留保して、そして言うたら会社が自分で自分の金融をやっているようなものだということを言うているわけですね。「次に、自己金融を引き起こした株主議決権の弱化は、他方では株主の新株引受け権の剥奪としてもあらわれる。すなわち、増資の際の株主額面割り当てが公募時価発行になっている。」昔の株式会社では、利益がもうかればできるだけ全額配当してもらう。しかし、残ったものは会社に留保する。そうすると、当然株価は上がりますね。しかし、新株発行の場合には新株引き受け権は旧株主に割り当てられるから、だから、それは結局は旧株主のものになるということで、株主には非常に楽しみがあったのですね。  私は商家の生まれですから、私のおやじがしょっちゅうそう言うていたことを子供心によく聞いておって、門前の小僧習わぬ何やらで知っているわけですね。だから、株を持っている人は皆それが楽しみなんですよ。ところが、それが「他方では株主の新株引受け権の剥奪としてもあらわれる。すなわち、増資の際の株主額面割り当てが公募時価発行になっている。」つまり、とられてしまうわけですね。「したがって、株式の時価と額面の差額は」つまりプレミアムですね、「従来は株主によって取得されていたのに、発行会社それ自体に入手されることになる。」本来株主のものが、会社がプレミアムだといってぬれ手にアワでもらうことになる。「この株式プレミアムは基本的には創業者利得と同じものである。」これが創業者利得説と言われるのですね。  つまり、初め株式をつくったときには、普通、原則としては会社というのは払い込み株ぐらいの値打ちしかないのですね、時には最初から創業者利得が出る場合がありますが。それが、いろいろ仕事をしているうちにお得意がつき、内部留保がたまり、いろいろなノーハウも獲得するということで、つくったときよりは業績がずっとよくなって、それが株価に反映されるのですね。したがって、これはまさに創業者利得にほかならぬ、こういうことが学者に言われているわけですね。それを結局、新株発行によって本来旧株主が全体として取得すべきだったものを株式会社自身がプレミアムだと言って取得するというのが、プレミアムの経済学的な本質であるというように学者が言うているのですね。  これは、有名なプレミアム論争の中で出てくる学説であります。そして、私が見ましたところでは、この学説が経済学的には非常に正鵠を得たものに近いのではないか、私も弁護士で別に会計学の勉強を特にやったわけではありませんし、よく存じませんが、そういう感じがするわけであります。  証券局長、私がおぼつかないながら御説明したことがおわかりになりましたですか。

禿河徹映大蔵省証券局長

○禿河政府委員 お教えをいただきまして、まことにありがとうございました。  私どもも、実は時価発行増資に絡みまして、企業と株主との関係を一体どう考えていくのが現時点においてもあるいは将来においても一番正しいのか、今後そういう問題につきましても私どもなりに勉強を重ねていかなくちゃいかぬ、かような考えでいま取り組んでいる次第でございます。

正森成二日本共産党

○正森委員 禿河証券局長には多少失礼なことを申しましたが、実は、私はあなたに非常に敬意を表しているのです。  それは、これから申しますが、八二年一月十四日の朝日新聞の夕刊に「ことしの課題」という欄がありますね。その中に、禿河さん、これは徹映さんとおっしゃるのですか、あなたのお名前は非常にいい名前ですね、大蔵省証券局長という肩書きで書いておられるのですが、その中で、わが禿河徹映氏はこう言うておられる。「今年の課題としては、とくに二つの問題を指摘したい。第一は時価発行増資の問題だ。昨年は時価発行増資ブームで、規模は一兆二千億円にも達した。時価発行増資では、株主、投資家の立場を十分に尊重してほしい。コストの低い資金が調達できる、といった安易な考えでいくと絶対に定着しない。配当性向の重視、増資プレミアムの還元などをさらに徹底させていくことが必要だ。」こう言っておられるのですね。これは非常に正当な指摘であるというように私は思うわけです。  さらに言うておきますと、第二の指摘がありまして、「第二の問題は個人の持ち株比率が三割を割っている点だ。なぜ比率が下がったかを関係者は真剣に考え、対応策を地道に行っていかなくてはならない。」こういうことも言っておられますね。これは両方とも正論であります。  こういう意見を言っておられる方は禿河さんだけではないのです。たとえば御承知のように、去年も申しましたが、東京証券取引所の谷村裕理事長、あなた方大蔵省のお役人の大先輩ですね。この人も同じことを言っておられまして、ある新聞に「公募増資で調達した金は、資本準備金という名目になっていても、株主の持ち分であることに変わりはなく、無コストの資金と考えてはいけない」公募増資で配当負担の少ない資金がどっさり入ってくると企業が喜んでいるとすればとんでもない考え違いだ、こう言っているのですね。これは基本的には禿河証券局長と同じ思索的基盤に立つものであろうというように私は考えるわけであります。  そこで、私がなぜこういうことをるる申したかといいますと、ここからは主税局長ですよ。企業が公募増資をやる、その性格については、いま述べましたように、これは本来株主のものなんですね。それを企業が一時預かっておるというかっこうのものだというのが学者も言っていることですし、識者も指摘していることなんですね。そして、そういうぐあいにあからさまな形ではありませんが、禿河さんやあるいは谷村さんも、そういう考えを背景に持っているからこそ、企業が自分の金だ、無コストの資金だなんて思っていたら大間違いですよということを言っているわけですね。  しかし、現実はどうであるかと言えば、企業は、これを全部無コストの資金だ。なぜなら、プレミアム部分については、後でまた言いますが、一部例外的に還元している部分はありますけれども、原則として資本準備金であって資本に組み入れられないわけですから、配当はしなくていいでしょう、銀行から借りたわけじゃないから利息は払わなくていいでしょう、だから無コストの金である。そんな結構なものはないということで、新株の発行増資の前になると、これは資料がありますから後で言ってもよろしいが、株価をずっと上げて、そしてプレミアム獲得部分を非常に多くする。それで増資が済んだら、プレミアムが済んだ後で新株発行の価格を割る会社がどんどん出てきているのですね。これは資料を持っていますから後で御説明します。  そういうことを野放しにしておいていいのかという問題があるわけですね。これは経済学的にもそうだし、あるいは経済学が基礎にある税制においてもその点は考えなくてはならない。企業が、ということは企業を支配している特定の支配的株主が、中小の株主を犠牲にして自分たちが企業を自由にできるからいい、無コストの金がどっさり入ってくるんだ、配当はしなくていい、銀行に利息は払わなくていい、こんな結構な金があるかということで使いまくっておるというような状況を許しておると、これは個人株主が逃げるのはあたりまえですよ。だから、いま個人株主が三割を割るというような状況が起こっているわけです。  それに対して、どういうように株式会社として手当てするかという点については、去年商法の改正が行われて、おくればせながら、ことしの十月からは二分の一資本組み入れをしなきゃならないということで歯どめをしたのですが、そうしたら企業でどういう反応が起こったかと言えば、十月以降は二分の一資本に組み入れなきゃならぬから無コストの金の割合が減る、だから、いまこそ駆け込みをやって自由に使える割合を残さなきゃならぬということで、ものすごく新株プレミアム発行のブームが去年、ことしと起こっているのですね。しかも、この商法改正を行っても、依然として資本準備金に組み入れたままで資本に組み入れなくていい金は残る。これについては依然としてぬれ手にアワで、配当しなくていい、銀行に利息を払わないでいい、税金もかからぬということになるわけですね。  だから、これに対して税制面からも、こういう経済学的な問題に着目して、そういうような企業のぬれ手にアワは許さない。一方は、何らかの形で株主に還元しなさい、一方は、それをやらない分については税制上、余りにも不当な、配当もしない、利子も払わないという金に対しては国に対して納めてもらいますよというのが両々相まって、こういう企業支配集団の横暴を防ぐことができる。これは長い目で見れば、コミュニストの私が言うべきことじゃないかもしれないが、資本主義社会の永続にもつながるのですね。だから、本当はこんなことを言わない方がいいのだけれども、そういう関係にあるのですね。だから、それについて財政当局あるいは税務当局は真剣な反省をして、やはり抜本的な対策を講じる必要がある。ましてや、これが現在税収欠陥なんか言われておるときに有力な財源になるわけですから。  そこで、こういう私の指摘に対して、政務次官でもよろしいし主税局長でもよろしいが、御見解をお述べいただきたい。  なおついでに、あらかじめ資料提出をお願いしておきましたが、昭和四十三年から昭和五十五年までの、なし得れば五十六年の、現在判明している段階でのプレミアム増資額とプレミアム分及びその還元分について、数字を報告していただきたい。同じような性格を持っている転換社債のプレミアム分についても、私どもに明らかにしていただきたいと思います。

福田幸弘大蔵省主税局長

○福田(幸)政府委員 先ほどの沿革の続きになってくるかと思うのですが、税の方は、二十五年の法人税法の改正でプレミアムの全額を益金不算入ということにいたしたわけです。これは、商法を受けたという税の性格から、ある基本的なものを前提にしたということであろうと思います。  四十年の法人税法の全文改正ではさらに明確にいたしまして、一般的に資本等取引の非課税が定められたということでございます。これは、二十二条の第二項に「資本等取引」という言葉があるわけです。資本等取引とは何かというのが第五項にございまして、「資本等取引とは、法人の資本等の金額の増加又は減少を生ずる取引」、あと若干ございますが、そういうことで整理されておるわけです。  あと昭和五十六年の商法改正、これは先ほど御指摘のあったようなことで、発行価格の二分の一以上は資本に組み入れることを強制したということで、政策的な点もあるでしょうが、その会計的な面から見れば資本的性格を明確にしたということも言えると思います。  いずれにしましても、商法の規定さらには企業会計の規定ということが、税法には非常に密接に関連します。どういうバックで、どういう動機で、またそれがどういう結果になっておるかという、このプレミアムの実態ということは、いろいろとあろうと思います。しかし税の立場としては、商法、特に企業会計の性格というものを前提にする必要がある。そのときどきで、どういうふうな動機で、どういうふうにそれが使われておるかということは、証券行政ないしそのときの環境によるかと思うのですが、資本取引という点が大事であろうと思うのです。  先ほどの経済学的な議論というのもわかりますけれども、企業会計的には、資本金がある、それを資本取引ということで行われた場合に、それは利益でないという非常にはっきりしたものがございます。だから、利益もしくは利益準備金というものと資本金及び資本準備金という、その資本準備金のところでは画然たる線があるわけでありまして、資本の取引によるものは利益でないというのが企業会計の本則でございますので、諸外国の例というのも、やはり企業会計的な資本のキャピタルトランザクションであるという、それ自体資本金的性格、資本金そのもの、もしくは資本金の延長にあるということから見れば、投機の利益というふうには考えられないということからきており、それを受けて税法は考えていると思います。  したがって、いまの資本取引という性格からいけば、法人の利益というふうに課税の対象にするのは問題である。どうも先生のは、政策論といいますか、いろいろその辺がおかしなバックで使われておるというところからきておると思うのですが、それ自体はまた別の面からのいろいろな証券行政の問題であって、税法というものが前提にします企業会計もしくは商法ということからいけば、これを利益金として課税対象にするということには基本的な問題があろうか、こう思います。

正森成二日本共産党

○正森委員 多分主税局長はそういう答弁をするだろうと思って、文献を用意してまいりました。  主税局長はちょっと早まっておるようですが、私は、議論の中でわざわざ下野さんでしたか学者の意見を紹介しましたように、プレミアムが利益だから課税せよという立場をあらかじめとっているんじゃないのですよ。もっと幅の広い立場から勉強しようということで議論しているので、こちらが言ってもおらないことを、おまえの立場はこうだろう、それだからだめだというようなことは、これは主税局長としては答弁の早とちりであるということを申し上げておきたいと思うのですね。  いま、あなたが、税法というのは企業会計原則と非常に密接な関係があると言われましたが、それは当然であって、密接な関係はあるのですね。しかし、ここに本を持ってまいりましたが、河合信雄氏の「財務諸表新論」の二百八十ページ前後にも書いてあるのですが、主税局長もよく御存じのように、企業会計原則及び財務諸表規則というのがありますが、これは企業の健全性を確保するための準則なんですね。それと非常に密接な関係があるものに、もちろん商法があります。商法を一応基礎に置いていろいろ考えているのに税法があります。この三つは非常に密接な関係にある。しかし同時に、これはそれぞれ法の目的が違っているから、企業会計原則にこうだから税法は必ずこうでなければならぬ、あるいは商法にこうだから税法はこうでなければならぬというふうに必ずしもなってないのですね。  ここに、ずらっと一覧表がありますけれども、そのうちの一部だけを言いましても、たとえば会社更生等による固定資産評価差益というのがあります。これは、企業会計原則では資本剰余金として区分けしなければならぬ。商法はどうなっているかというと、規定が何もないのですね。税法はどうなっているかというと、益金として処分する。これは損失をてん補した後は益金なんですね。だから、いま主税局長は、企業会計原則を言うなら盾にとり、ある場合には商法を盾にとって、だからだめなんだというように言われましたが、そうではなしに、企業会計原則と商法と税法では、それぞれ目的によって違う規定をしているところがある。ですから、どのような場合に、なぜ違う規定をされておるのか。  だから、プレミアム課税についても、一定の明確な理論の上に、どういうぐあいな対処の仕方が必要かということは幅広く考えなければならないので、企業会計原則がこうだから、商法がこうだから、税法はこうだというのでは、これは議論以前の考え方なんですね。そういう点を私は指摘したいと思うのです。  そういう意味から言いますと、いまの主税局長の答弁は、私の四十三年から五十五年までのプレミアムの累積額は幾らかという質問には答えておりませんが、私の持ち時間が来てちょうど時間となりましたから、それを次に答えていただいて、それから以後は、今度は大臣がおられるようですから、いよいよ一番急所の点に踏み込んで質問をさせていただきたいと思います。  それでは、本日はこれで終わらしていただきます。

森喜朗自由民主党

○森委員長 小杉隆君。

小杉隆新自由クラブ・民主連合

○小杉委員 私は、今度の提案されている法律案の中で、租税特別措置法を中心にお伺いしたいと思うのですが、まず土地税制の改正についてお伺いしたいと思います。これは前回の委員会でも取り上げましたが、残念ながら国土庁の方がおられませんでしたので、十分詰めることができませんでした。  そこで、まず第一に、かつて土地税制を緩和したことが何回かありましたが、過去の実績とか、この税制の緩和によってどんな効果があらわれたか、まずその辺から聞かしていただきたいと思います。     〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕

木内啓介国土庁土地局土地政策課長

○木内説明員 お答え申し上げます。  過去と申しましても、四十四年ぐらいから大分何回か変わっておりますので、その辺からお答えしたいと思います。  最初、御承知のように四十四年に譲渡所得税が大幅に改正がなされて、この際は租税本則よりずっと比例課税で軽減されたわけでございます。四十五年に軽減されまして、たとえば四十六年の取引では、前年の九四・五%ぐらい長期譲渡所得の金額が伸びてございます。このときの改正は、御承知のように、二年単位で一〇%から五十年まで二〇%と徐々に上げてまいりましたので、上がる節々におきましては、若干譲渡所得の金額が停滞します。また、たとえば一〇%になったときには九四・五%の伸びがございましたけれども、その次に四十七年からは一五%に上がったわけでございますけれども、その際には若干対前年の伸びが減少しまして、三・六%マイナスになるというような形になっております。しかし、また四十八年には八五%伸びるという形になっておりまして、そんな形をとりまして五十年にはこの軽減が終わりまして、五十一年に譲渡所得税が四分の三の非常に重課になったというときには、今度は逆に五十一年には五三・四%のマイナスと、大幅に対前年度マイナスが生じております。  その後、五十二年、五十三年はそのままでございましたけれども、五十四年に御承知の優良住宅の制度が導入されまして、優良住宅についてはこの重課が若干軽減されました。それを機会に、また伸び率が対前年度二九・一%と若干ふえております。しかし、五十五年にはその傾向がまたダウンしてまいりまして、現在もそう対前年度の伸びが大きくならないという形をとっております。  したがいまして、非常に大ざっぱではございますけれども、大局的に見ますと、土地税制が軽いとき、税率が軽いときには出て、重くなるに従って出がとまるという形をとっておると思います。ただこれは、税制だけで土地取引が行われたわけではございませんので、厳密な意味で、これで細いことを言うのはいけないかと思いますけれども、大勢としてはそういう傾向にあると考えております。したがいまして、今回の土地税制におきましても、譲渡所得税緩和につきましては、相当の効果をわれわれ期待しているわけでございます。

小杉隆新自由クラブ・民主連合

○小杉委員 いまの御説明で、昭和四十年代は確かに税制を緩和することによって土地の放出というものが行われたということで、政策効果はあったという御報告がありました。しかし、私は、今回の税制改正によって、果たしてかつてのような効果が期待できるだろうかと非常に危惧するものでございます。  といいますのは、最近いわゆる可処分所得が低下してきております。それと、マンションなどの売れ行きを見ましても、相当売れ行きが悪くなって、売れ残りがかなり出てきている。そしてもう一つは、最近地価の騰貴が非常に落ちついてきたとはいうものの、まだ一〇%程度ずつ毎年地価が上がっているわけです。そうしますと、土地を手放して株券なり預金にするよりも、いまの市中金利から考えましても、土地を持っている方がはるかに資産価値があるということから、実際には土地を手放さないのではないかということで、この税制改正によってどのくらいの効果が出るものか、非常に私は疑問に思うのですが、その点に関しては国土庁はどういう見解でいらっしゃいますか。

木内啓介国土庁土地局土地政策課長

○木内説明員 お答え申し上げます。  土地税制の改正による効果を数量的にぴしっと、たとえば年間何ヘクタールというふうな形で算定することは、かなりむずかしい問題でございます。これはかって、たとえば東京工業大学で、システムダイナミックスというようなモデルを使って、ある程度数字をはじいたことがございますけれども、税制改正が非常に細かくなりますと、いわゆるインプットの際にどういう形で、非常に細かいモデルであってもなかなか数字的にそこまで細かくはできないという問題がございます。したがいまして、何ヘクタール出るかという話は、他の条件をコンスタントに、一定にした形の、いわゆる実験室のような形のモデルにおきましても、なかなか数字がつかみにくい問題がございます。  ただ、私どもといたしましては、現在、新市街地における新規の宅地供給というのは九千百ヘクタールくらい必要なわけでございます。住宅五計で申しますと、新市街地における宅地供給は、年間大体九千百ヘクタールぐらい必要なわけでございます。ところが、それに対応して、五十四年度でございましたか、出ておりますのは八千六百ヘクタールくらいでございます。したがいまして、この新市街地における新規開発におきましても、約五、六百くらいの増がどうしても必要だというふうになるわけでございます。これが、既成市街地分と合わせますと、やはり千ヘクタール前後の追加はどうしても必要ではないかと考えております。  ですから、期待量としましては、土地税制、特にこの譲渡所得税の引き下げ、それから宅地並み課税、保有税の強化、それから税制以外のもろもろの施策等を合わせまして、このギャップを何とか埋める方向で期待しているわけでございます。それも、その程度のギャップでございますから、この方策、その他の方策を総合的に講じてまいりますれば埋められるというふうに考えておるわけでございます。

小杉隆新自由クラブ・民主連合

○小杉委員 先ほど申し上げたように、国民の可処分所得が下がっている現状から見ますと、この税制の改正によって、じゃ買おうかというような人はなかなか出てこないのじゃないかと思うのですね。  そうしますと、資金に余裕のある法人とか個人が、この土地税制が緩和されたからそれ買おうということで、またかつての昭和四十年代と同じように土地投機という現象が出てくることも考えられるのではないかというふうに思うのですけれども、こういう点については、そういう心配はないというふうにお考えですか。

木内啓介国土庁土地局土地政策課長

○木内説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、四十年代は確かにそういった心配が生じて、現実になったわけでございます。  ところで、今回の税制改正等につきましても、そういったことが一部心配されるわけでございますけれども、御承知のように、当時と状況が違いますのは、私どもの法律でございます国土利用計画法で土地取引の規制がなされているということが一つ、それから例の過剰流動性のときに、こりましてと申しますか、行政指導的に大蔵省さんの方でそういった資金が不動産業者等に流れることを戒めた指導がなされましたけれども、そういった面からの指導も引き続いてなされている、そういった条件の違い等もございますし、われわれとしては、不要不急の土地買いとか大手企業による買い占めとか、そういうことがないように監視してまいりたいと考えているわけでございます。

小杉隆新自由クラブ・民主連合

○小杉委員 私は、宅地の供給とか住宅の供給をこういう税制改正によるというのは余り好ましくないのじゃないか、土地税制というのはなるべく長期的、安定的に変えないという方が国民のためにもいいことだと思うのですね。  やはり、まだまだ市街地再開発とかそういう手法によって宅地供給なり住宅建設を促進するということをねらうのが、国土庁とか建設省のとるべき態度だと私は思うのですけれども、その点と今回のこの税制改正との関係についてどうお考えか、見解を伺っておきたいと思うのです。

木内啓介国土庁土地局土地政策課長

○木内説明員 その点につきましては、先生の御指摘のとおりだと思います。  そういった感じがございまして、今回の土地税制の改正も、宅地供給の促進という面を一面配慮しながらも、長期安定的な税制確立という意味で、言ってみれば余り変えないような形で、原則的に租税本則に戻すというふうな方向で検討がなされておりますので、今回の改正をさらに近い将来において余りいじるということは好ましくないことだと考えておるわけでございます。したがいまして、税制以外にも当然いろいろな方策を講じていかなければいけないと思っております。  そういうことで、従来からいろいろやっておりますけれども、先生の御指摘のございましたように、再開発と申しますか既成市街地の開発について申しますと、たとえば低質の木造賃貸住宅、そういうものを大幅に建てかえるべく木造賃貸住宅地区総合整備事業というものを来年度創設するとか、あるいは都市再開発関係の公庫融資等の融資条件を改定するとか、そういうふうな努力も並行的にしてまいりたい。また、区画整理事業なんかにおきましても、段階的区画整理事業を導入するとかあるいは住宅供給公社等が区画整理事業ができるようにするとか、そういうふうな方向で検討してまいりたい。  また、ちょっと別な角度から申しますと、いままでは主として所有権の移転を伴った宅地供給でございますけれども、今後の問題として、借地方式による宅地造成事業の方式を検討したい。それから現に住宅金融公庫で、五十七年度からの融資に借地方式による宅地造成についても新たな融資制度ができるとか、数え上げれば幾つかございます。正直申しまして、今回の税制のような華々しい形の施策はございませんけれども、幾つかの施策を総合的にやっていくことによって極力御指摘のような方向でやってまいりたいと考えておるわけでございます。

小杉隆新自由クラブ・民主連合

○小杉委員 この問題はこれで締めくくりますが、いずれにしても、大蔵省、国土庁あるいは建設省、今回の改正によって宅地供給促進効果というものが実効の上がるように、ぜひよく連携をとってやっていただきたいと思います。  それから、土地税制に絡んで一つ問題点を出したいのは特殊法人ですね。電電公社などの特殊法人に対しては、地方自治体に対して固定資産税を二分の一減免措置をとっていますね。これは、昨年電電公社は数千億円国庫に納付させたわけですけれども、いま地方財政も非常に厳しいときに当たって、昨年は国だけ吸い上げたわけです。地方には何らの還元もなかった。私は、こういうもうかっている特殊法人に対して固定資産税を二分の一まけているというのは非常に不合理だと思うのです。こうした減額をした由来とか、それから今後の考え方についてお答えいただきたいのです。

湯浅利夫自治省税務局固定資産税課長

○湯浅説明員 電電公社等の三公社に関します市町村納付金制度という制度になっておりますけれども、これは、納税者が公社であるというために納付金という形式がとられているわけでございますけれども、創設の経緯、趣旨等から見まして、その本質はやはり固定資産税ではないかというふうに考えているわけでございますが、公社の有します公共的な性格などにかんがみまして、この算定標準額を固定資産の価格の二分の一とするという特例措置を設けているわけでございます。  ところで、この納付金に関しまして、ただいま御指摘のとおり、電電公社につきまして、昭和五十六年度から昭和五十九年度までの間、各年度千二百億円の国庫納付が行われることになったことに伴いまして、地方自治体の方からも、公社の資産といえども所在市町村の行政サービスとの受益関係においては他の固定資産と同様であるので、まず市町村に対する三公社の納付金、これは再建期間中の国鉄は除かれますが、それ以外の公社につきましての特例措置は廃止すべきであるという強い要望が出されているところでございます。  また、この問題につきましては、第十八次地方制度調査会の「地方行財政に関する当面の措置等についての答申」というのが昭和五十五年十二月に出ているわけでございます。この答申におきましても、再建中の国鉄を除きまして、この市町村納付金に関する特例措置につきましては、市町村の行政サービスとの受益関係あるいは租税を初めとする総合的な公的負担のあり方などを考慮したがら、これを廃止する方向で検討すべきであるという答申をいただいているところでございます。  自治省といたしましては、これらの地方自治体の要望あるいは地方制度調査会の答申を受けまして、今後、その所在市町村の行政サービスとの受益関係あるいは公社の公共的性格等を考慮しながら検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

小杉隆新自由クラブ・民主連合

○小杉委員 ぜひそれは積極的にやっていただきたいと思います。  次に、交際費の問題について触れたいと思います。  今回の租税特別措置法の改正で、一部中小企業を除いて全額損金不算入ということにしたわけですけれども、この考え方の中には、交際費というものは、いわゆる飲み食いの冗費であるという発想があるように思うのです。大蔵省としては、この交際費の実態調査というものはやったことがあるのだろうかということをまずお伺いをしたいわけなんです。  私が一部調べたところでは、飲み食いに使っている交際費というのは大体全体の一割程度で、九〇%は販売促進費ということで、たとえば特約店とか代理店に対するいろいろな販売促進のための経費ということに使われているわけでして、交際費のいまの実態というものが、もしそういう販売促進が主体であるとするならば、こういう交際費悪者論でどんどん課税を強化していくということになると、これは企業活動を阻害することにならないか。特に、いま歳入欠陥が心配されている中で、こういう措置をだんだん強めることによって、本来の収入の確保ということが期待できなくなるんじゃないかという危惧を抱くわけですが、この点についての見解、それから今回の措置を三年間とした理由、それを聞かしていただきたい。

福田幸弘大蔵省主税局長

○福田(幸)政府委員 交際費はやはり会計上は経費であるということは動かないわけでございます。また販売促進のためであるという、企業の本来の経費である、まずそれは前提になるわけでありますが、交際費の中が社用消費的な面があるというのは、従来から言われておるところであります。  いままでの課税では、九〇%ということで否認をいたしまして定額控除があるということであったのを、一〇〇%にいたしまして中小企業の系統は残したということであります。一〇〇%課税というのは、そういう経費の性格からいけば、やはり臨時的なものであろうということであります。したがって、三年間、これは財政再建期間と言っておりますが、いずれにしましても期間を限って考えないと、本来経費であるから、一〇〇%という課税の説明がしづらいということであります。  それと、内容についての調査でございますけれども、これは五十四年のサンプル調査というのがございます。サンプル調査でございますので、内容については数字的に申すのはどうかと思うのですが、飲食が約半分ということであります。ゴルフ等が約五%というような数字はございますが、内容についてはいろいろ問題がございますのでこれ以上申し上げませんが、役員とか従業員に対する分が五、六%あるという数字もございます。  いずれにしましても、金額が現在三兆一千億ということであるわけです。配当に回っている金が日本で二兆幾らでございますので、いかにも社外に流出するもの、交際費の金額の大きさというのについては、やはり内容もさることながら批判があるのじゃないかと思います。五十年は二兆でございますし、四十五年は一兆でございますので、五年置きに倍々となっていくこの大きさということについては、国が厳しい財政をやっているときに、企業の方もやはり何らかのということも考えられるのじゃないかということで、特にお願いしておるというのが実態であります。  そういうことで、外国の場合とまた比較しますと、交際費の範囲は企業経理上も非常に限定されておるという前提の違いがあるような気がします。社会風土の差もあるでしょうが、非常に厳しく、普通の企業活動としては経費に認められる範囲が狭いのですが、その辺に差があるということが一つ。  また、政策的にも英国は一〇〇%課税をやっておりますので、政策的なものであれば、そういうことが臨時的にあってもいいんじゃないかということで、一〇〇%課税というのはあくまでも租税特別措置法による臨時的な政策課税であるということ、一〇〇%だけに三年と限定しておるということであります。交際費自体が悪であるということよりも、政策的な課税の対象として強化する、だから一〇〇%以上に強化することはあり得ないということであります。

小杉隆新自由クラブ・民主連合

○小杉委員 いまの答弁、釈然としないものがあるのですね。  これは五十四年にサンプル調査をやられたそうですけれども、しかし、ここ一、二年企業の方も経費節減ということで非常に締めておりまして、だから、最近は銀座とか新宿とか大分飲み屋さんもさびれているというようなうわさも聞いております。これは下手をすると、いわゆる民間の活力をそぐ結果になるという側面もあるわけですから、私は、むしろ三年間ということの理由がよくわからないのですけれども、この財政再建期間中、税収が本当に予定どおり入るのか入らないのかという心配があるときに、何でもかんでも企業を抑えつけていこうという、取るものは取ってやろうという発想でいって、果たして本来の収入が見込めるのかという危惧を持つわけです。  この辺は、ひとつ最近の交際費の実態についても綿密に調査を進めていただきたいということだけ申し上げて、この点はこのぐらいにしておきたいと思います。  時間が大分切迫してきましたので、予定した質問がたくさんあるのですが、もう一つ、私は疑問点について申し上げたいのは、貸し倒れ引当金であります。  今回の貸し倒れ引当金の改正によって、初年度で増収額が九百五十億円、平年度で八百九十億円に上っておりまして、これは、今回の税制改正による全増収額三千四百八十億円の三割近くにも上っているわけですね。この貸し倒れ引当金については、法律ではなくて政令の改正でできることになっているわけでございます。  私は、法律によらないで政令の手直しだけでこういうふうな大幅な増税ができるということになると、これはもうどんどん毎年政令を改正して増収を図るという安易なことが行われかねないと心配をするわけですが、こういう大きな増収については、政令によらないで法律の改正事項とするべきだと思うのですけれども、その辺の疑問についてはどうお考えでしょうか。

福田幸弘大蔵省主税局長

○福田(幸)政府委員 引当金制度は会計的には正しい制度であるということで、評価性ないし債務性の引当金があるわけです。これは法律上決まっておるわけで、ただ、その繰入率というのは政令にゆだねられておるわけであります。  ですから、その繰入率を政令にゆだねてあるのは、別に貸し倒れに限らないんで、退職給与もそうでございます。ですから、制度を法律で変えて繰入率を政令でというのは計算技術的な面が強いということで、実態との間を見ながら、実態から乖離しないように行政の方できちっとしろということであろうと思うのです。     〔中西(啓)委員長代理退席、委員長着席〕 税収というものは出るわけでありますが、それは法律では引当金制度を明確にしているわけですから、あと政令でそこのところで繰入率を決めるという、弾力性を持った、繰入率を実態に応じてという計算技術を政令にゆだねるということはおかしくないというふうに思っております。

小杉隆新自由クラブ・民主連合

○小杉委員 こういうやり方で、法律によらないでどんどん増収が図られていくということに、私は非常に釈然としないものを感じます。  それだけ申し上げて、まだ質問事項はたくさんありますけれども、時間が参りましたので、これで終わりたいと思います。

森喜朗自由民主党

○森委員長 次回は、明十日水曜日午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三分散会

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