大蔵委員会 第4号
- 発言数
- 131 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1982/02/23
会議録
○森委員長 これより会議を開きます。 堀昌雄君外八名提出、所得税の物価調整制度に関する法律案を議題とし、提出者より提案理由の説明を聴取いたします。伊藤茂君。 ————————————— 所得税の物価調整制度に関する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○伊藤(茂)委員 ただいま議題となりました所得税の物価調整制度に関する法律案につきまして、提案者を代表して提案の理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。 給与所得者の所得税の急激な増大を是正することは、いまや天の声、地の声、すべての国民の声となって広がっております。物価調整減税を実施することは全勤労国民の切実な要求であるだけでなく、不公平税制是正のための最大の課題として即時断行すべきものであります。 すでに五年にわたって所得税の物価調整が行われず、課税最低限が据え置かれたままであり、毎年の巨額の自然増税の大部分は勤労者の負担となり、そして実質賃金は改善されないのに名目ベースアップの二・五倍のテンポで税金がふえ、政府の言う財政再建期間中手をつけないとすれば五十三年以降に所得税額は五倍以上となります。このような理不尽な悪政がまかり通っている国は日本以外に例を聞かないのであります。 無理がまかり通って道理が引っ込むような悪い税制は直ちに改善されなければなりません。当面、全野党とすべての勤労者の要求する一兆円減税の実施を強く要求するとともに、所得税の物価調整を政府、財政当局の恣意的裁量にゆだねるのでなく、法律による制度として確立すべきであります。これが本法律案を提案する第一の理由であります。 第二の理由は、本法案と同様の所得税の物価調整制度はいまや世界の常識となっているということであります。現在物価調整措置を制度として導入している国は、先進国、発展途上国を問わず、国際的に幅広く広がっており、制度的には完全自動調整措置、部分的自動調整措置、準自動調整措置などに分類されますが、私たちが調査しただけでも、カナダ、アルゼンチン、ウルグアイ、イギリス、スウェーデン、オーストラリア、ペルー、フランス、オランダ、イスラエル、ルクセンブルグ、ブラジル、チリ、デンマーク、アイスランドのほかスイスの五つの州、アメリカの六つの州の合計十七カ国で制度として導入されており、アメリカのレーガン政権も近く導入することを公約しております。この問題についてOECDの報告書にも見られるように、これは税の公平のために欠かせない課題として幅広い国際的認識となっており、これを拒否するならば日本は世界の非常識となるでありましょう。 この法案を提案した第三の理由は、所得税の物価調整制度は、本来的に減税の要求でなく取られ過ぎの是正であり、不公平是正の立場からの権利の問題として制度化されなければならないということであります。 物価上昇に伴って名目賃金は上昇するが実質賃金は赤字か横ばいという状況の中で、名目賃金を基準とし、高い累進税率によって所得税が急激に増大する税制改正なき大増税をチェックすることはきわめて当然のことと言わなければなりません。 第四の理由は、この制度は活力ある日本経済の発展のために、また景気、雇用対策の面で重要な役割を持つということであります。現在の景気の落ち込みは内需の不振、消費不況の性格が強いことが指摘されております。その原因として各界から指摘されているように、勤労者世帯の可処分所得の低下は所得税の物価調整なし=事実上の増税によるものであります。経済政策、景気対策のてことして所得税の物価調整措置の導入=勤労者の可処分所得の増大−個人消費の拡大はきわめて重要であると言わなければなりません。 次に本法案の概要について御説明申し上げます。 まず第一に、この法律は、物価の上昇に伴う名目所得の増大に起因する所得税の負担の増加に対処するため、所得税について、物価の上昇に応じ所得控除の額等の改定を行う制度を確立し、もって所得税の負担の適正化と公平化を図ることを目的とするものであります。 第二に、改定の措置についてであります。 所得控除の額等を改定する措置は、総理府において作成するその年の前年における年平均の全国消費者物価指数(以下「物価指数」という)が昭和五十五年(本法による措置が講ぜられたときは、直近の当該措置が講ぜられた年の前年。以下「基準年」という)の物価指数の百分の百五を超えるに至った場合において、その年分以後の所得税につき、当該物価指数の上昇に応じて行うことといたしております。 第三には、改定の対象とする所得控除の額等についてであります。それは、まず給与所得控除額に係る金額、次に、障害者控除の額、老年者控除、寡婦(夫)控除の額、勤労学生控除の額、配偶者控除の額、扶養控除の額(同居老親等に係る加算額を含む)及び基礎控除の額、さらに税率の適用所得区分の金額といたしております。 第四には、改定の方法についてでありますが、それは、改定対象となる金額にその年の前年における物価指数の基準年の物価指数に対する割合を乗ずること等により行うものといたしております。 第五には、所得税法別表の改定であります。 すなわち、所得控除等の改定が行われる場合には、所得税法別表第二、別表第四から別表第七まで、別表第七の付表及び別表第八についてもそれぞれ必要な改定を行うものといたしております。 第六には、政府の義務についてであります。 すなわち、改定の措置を講ずる場合においては、その年分以後の所得税について、それを行うための所得税法及び租税特別措置法の改正に関する法律案を国会に提出することを政府に義務づけることといたしております。 最後に、この法律は、公布の日から施行し、昭和五十七年分以後の所得税について適用するものであります。 以上が、本法律案の提案の理由と概要であります。御審議の上、速やかに御賛同くださいますようにお願い申し上げます。
○森委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 ————◇—————
○森委員長 次に、国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。 まず、政府より提案理由の説明を聴取いたします。渡辺大蔵大臣。 ————————————— 国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案 法人税法の一部を改正する法律案 租税特別措置法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○渡辺国務大臣 ただいま議題となりました国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 まず初めに、国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 現在、国税収納金整理資金においては、国税収納金等を受け入れ、過誤納金の還付金等を支払い、この国税収納金等の額から還付金等の額を控除した額を一般会計または特別会計の歳入に組み入れることとしております。 他方、還付金等と合わせて国が支払うべき還付加算金につきましては、歳出予算に計上し、これを国税収納金整理資金に繰り入れて、その範囲内で支払うこととされております。還付加算金につきましては、このように還付金等とその取り扱いを異にしているため、最近における還付の件数の増加等に伴い、還付事務の円滑な処理を図る上で、支障となっている状況にあります。 こうした状況にかんがみ、還付加算金の支払いの迅速化による納税者の利便の増進と、還付事務処理の簡素合理化を図るため、本法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案につきまして、その内容を御説明申し上げます。 第一に、国税の還付加算金の支払いを還付金等の支払いと同様、直接、国税収納金整理資金から行うことといたしております。 第二に、大蔵大臣の行う資金の支払い計画の示達に関する事務は、現在、国税庁長官のみに委任できることとされておりますが、これを国税局長等所属の職員に委任することができることといたしております。 なお、この法律は、昭和五十七年四月一日から施行することを予定しております。 次に、法人税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 政府は、最近における社会経済情勢の推移及び現下の厳しい財政事情に顧み、法人税制の整備合理化を行うこととし、ここにこの法律案を提出した次第であります。 第一に、法人税の延納制度について縮減の措置を講ずることといたしております。 第二に、適格退職年金契約の範囲に、全国共済農業協同組合連合会が締結する生命共済契約を加えることといたしております。 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、御説明申し上げます。 政府は、最近における社会経済情勢の推移及び現下の厳しい財政事情に顧み、租税特別措置の整理合理化、交際費課税の強化を行う一方、長期安定的な土地・住宅税制を確立するとともに、土地供給及び住宅建設を促進する等の見地から、土地 住宅税制について所要の措置を講ずる等の改正を行うこととし、ここにこの法律案を提出した次第であります。 すなわち、第一は、既存の租税特別措置の整理合理化であります。 まず、企業関係の租税特別措置につきましては、適用期限の到来するものを中心に見直しを行い、利用状況が悪く政策効果の期待できないものを重点に四項目を廃止するほか、価格変動準備金制度について、価格変動の著しい物品以外の物品を対象から除外する等、特別償却制度及び準備金制度等の整理合理化を行うことといたしております。 また、登録免許税の税率軽減措置につきましても所要の整理合理化を行うことといたしております。 第二は、交際費課税の強化であります。 すなわち、交際費課税制度につきましては、今後三年間の措置として、中小規模の企業に対する定額控除を残した上、交際費の全額を損金不算入とし、課税の強化を図ることといたしております。 第三は、土地・住宅税制の改正であります。 土地・住宅税制につきましては、土地譲渡所得の長期・短期の区分を譲渡のあった年の一月一日において所有期間が十年を超えるかどうかによることとし、長期譲渡所得については、特別控除後の譲渡益四千万円超の部分を二分の一総合課税とするほか、所有期間十年超の居住用財産の買いかえについて、三千万円特別控除との選択による買いかえの特例制度を創設する等の措置を講ずることといたしております。 第四は、福祉対策等に資するための措置であります。 すなわち、同居の特別障害者については、現行の特別障害者控除、扶養控除等のほか、五万円の特別控除を認めることとするとともに、勤労者財産形成貯蓄の利子等の非課税制度について、年金形式で支払いを受ける一定の勤労者財産形成貯蓄の利子等については、退職後も引き続き非課税とする措置を講ずることといたしております。 第五に、国際科学技術博覧会出展準備金制度を創設するとともに、適用期限の到来する租税特別措置について、実情に応じその適用期限を延長するほか、所要の改正を行うことといたしております。 以上、国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由と内容の大要を申し上げました。 何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。 以上でございます。
○森委員長 これにて各案の提案理由の説明は終わりました。
○森委員長 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。戸田菊雄君。
○戸田委員 経済企画庁から来ていると思いますが、最初に、経済見通しについて若干質問してまいりたいと思うのです。五十六年度、一定の経済見通しをやって予算編成したわけでありますが、その後何回か修正をするような状況に相なった、こういう状況なんですが、いま経企庁で経済見通しを立てる上でどういう方法をとっているのですか。その方法についてひとつ述べていただきたい。
○大竹政府委員 見通しの方法でございますが、ごく概略を申し上げますれば、その時点におきまして判明しております総体的な、いわばマクロ的な経済の状況、それからミクロの面でのさまざまな経済指標をもとにいたしまして、一つはある程度の関数式も用いまして、同時に、業界等からのヒヤリングなども織り込みまして作成をいたします。 ただその場合に、単に現在の趨勢をそのまま延長するということではなくて、政府の経済見通しでございますので、経済としての望ましい姿を想定するというような政策的な努力を織り込んで作成する次第でございます。
○戸田委員 端的に言いますと、二つの方法があると言われているのですね。 一つは近代経済学の計量モデルによる方程式群を利用するもの、これが一つ。もう一つは、過去の好不況などの局面比較を念頭に置きつつ、これまでの趨勢、主要項目の相関分析あるいは弾性値分析、こういったもので分析をする、こういう方法をとって今日の経済見通しをやってきた、こういうことなんですが、これはどちらにウエートを置いてやっているのですか、いまの二つの方法。
○大竹政府委員 御指摘のように、一部計量的なモデルを使用する面はございます。それと同時に、モデルだけではなくて、ただいま申し上げましたような聞き取り調査であるとか政策的な目標の設定といったような政策的な配慮というものも当然入るわけでございます。それから、いろいろな経済的な所与の間の相関的な関係といったようなものも、もちろんチェックをするための材料として使うことは御指摘のとおりでございます。
○戸田委員 現在の状況ですけれども、五十六年度を土台にいたしましていろいろと検討してみたのでありますが、確かに経済見通しはなかなか困難な問題があると思うんですね。確かにあると思うのです。しかし、やはりより的確な判断を指し示していかなければいけないのだろうと思うのです。 現在、五十六年度の経済見通し、あなた方がやったその結果を私若干指摘をしておきたいと思うのですが、個人消費は依然として低迷を続けておりましょう。それが非常に景気にブレーキをかけておる、こういう状況だと思うんですね。勤労世帯での収入から税金、社会保険料など非消費支出を除いた実質可処分所得がマイナスになっている。まあ月によって若干違いますがね。したがって勤労者の皆さんは、いま五十六年度春闘でかち取った賃上げ率が大体七・七%平均ですが、これは実質可処分所得を見るとマイナスになっている。それから住宅建設、こういうものについても大変な不振につながっている。中小企業の設備投資も余り芳しくない。したがって政府は、二回にわたって各般の見通しを修正いたしましたね。 五十六年の十二月四日発表の七月−九月期の国民所得統計速報によりますと、同期の経済成長率は季節調整済みで前期比でまいりますと名目で一・二%、実質〇・六%。これをさらに年率換算をいたしますと実質で二・四%。これは四月−六月期の四・八%を大きく下回った、こういう状況ですね。 さらに五十六年の十月二日、経済対策閣僚会議を開きまして、当面の経済運営と経済見通し暫定試算をそこでやったわけでありますが、これを見ましても、五十六年度の実質成長四・七%、こういうことで下方修正をやっておる。GNP基準年次は大体四十五年が従前基準年次だったけれども、これを五十年に置きかえた、だから実質的には余り変わりはないよということをあなたの方では言っているのですが、それにしても実質成長からはるかに引き下がっている、こういう状況だと思うんですね。ですから、当初の五十六年度の成長率五・三%、この内訳は内需四%、外需一・三%、こういうことで内需依存型でやってきたわけでありますが、暫定試算では四・七%、内需が二・五の外需が二・二、四・七%、いわゆる外需内需の均衡型にならざるを得なかった、こういう状況だと思うんですね。 このように、予算編成当初に策定をした経済見通しは、その後何回か重要な閣僚会議その他で修正をせざるを得ない。確かに経済は生き物ですからむずかしい点はあると思うのですが、しかしもう一度やっているんですよ、後で質疑しますが。こういう狂いが生ずるというのはどういうところから来ているんでしょうね。これをちょっと教えてください。
○大竹政府委員 経済見通しを作成した時点から何カ月かたちますと、やはり私どもが見通しの前提として想定をいたしました経済の動向につきましてかなりの変化が生ずるということが間々あるわけでございます。五十六年度の見通しにつきましてはそういう変化が幾つかございましたが、国外では国際経済関係の状況が第一点でございましたし、国内経済の面では、そうした海外経済の影響を受けまして、在庫調整のおくれ等が原因となって当初の経済見通しを下回る実績見通しという形になっておるわけでございます。
○戸田委員 大体これから最終大詰めに来ているわけでありますが、十二月二十一日の閣僚会議で五十六年度実績見込みについて、名目七%、実質四・一%、これは十月の試算よりもさらにダウンしているでしょう。さらにこういうものを数字的に実現をしていくということになりますると、十月−十二月、そして五十七年の一月−三月、こういうものを通して年率六%ないし七%成長が必要だということになってくると思うのですが、そうでないと税収の減収その他に対しても大変な狂いが生じてくる、こう思うのでありますが、この辺はどうお考えですか。
○大竹政府委員 非常に機械的な計算をいたしますと、上期の実績がございまして年度がございますから、下期の成長率は幾らという計算はできるわけでございます。 ただ、税収との関係につきましては、私ども承知しております限りにおきましては、この成長率そのものと税収とが非常に直接的な関係で計算をされているということじゃないというふうに伺っておるわけでございまして、本年度の税収と本年度の経済の成長率、たとえば四・一といったようなものとが非常に一義的な関係で結びついているというものではないということでございますので、その点の議論は別といたしまして、本年度の下期でございますが、一つは、国内経済の面におきまして在庫調整が大体七月から九月にかけて完了したということがございます。その結果が統計の面では生産指数の増加となってあらわれておるわけでございますし、その関係で申しますれば、所定外給与の伸びといった面で、所得面でも増加が期待をされる。一方、物価も非常に落ちついておるという状況でございまして、そうした経済全体の姿から申しまして、下期にかけてかなり力強い回復の姿になってくるものと想定をしておるわけでございます。
○戸田委員 民間の比較でいきましても、民間の各調査機関がいっぱいあるわけですが、たとえば三菱総研、これは実質成長大体三・二%と見ていますね。それから野村、朝日生命、これは三・四%、第一勧銀、山一証券三・三%、このように見ていますね。ことに経常収支については当初政府の見通しは六十億ドル、一・三兆円の赤字、こういうことだったんですね。ところが五十六年の十月、暫定試算で七十億ドル、一・六兆円の黒字でしょう。最近は百億ドル、約二兆円を超す、こういう状況になっているのですね。こういうものが、やはり結果的には、海外先進資本主義国家との間に貿易摩擦その他が発生しているという結果になってきているものだと思いますが、余りにも数字の乖離が大きいと思うのですね。こういう点はどう考えていますか。
○大竹政府委員 数字の乖離が大き過ぎるという御指摘でございますが、特に経常収支の数字をお挙げになっての御質問かと思いますが、確かに当初の見通しでは、五十六年度の経常収支は六十億ドルのマイナスという数字を想定したわけでございますけれども、その後の状況は、日本の輸出が非常に伸びる、一方輸入が停滞するという状況が起こって、かなりの黒字になるという見通しに現在なっておるわけでございます。 この理由は、まず第一には、為替レートが非常に急速な勢いで、しかも大幅に円安に転じたということでございます。これは申すまでもなく米国の高金利による全面的なドル高の反映でございまして、そのことが非常に大きく影響したということでございます。そのことをあらかじめ想定できなかったのはけしからぬではないかという御指摘もあろうかとは思いますが、やはり現在の世界の情勢あるいは日本経済のよって立っております市場経済、自由主義的な経済の動きというものは、やはりある程度の誤差というものが生ずることはまあやむを得ない状況でございます。 もちろん、そのまま放置をしていいわけではございませんので、そのときに応じまして弾力的に政策運営を進めてまいってきておるわけでございます。お話にもございましたように、昨年の三月あるいは十月というように、そのときどきに必要な対策を講じてきておるわけでございます。
○戸田委員 そこで五十七年度の経済見通しですが、これは五十六年の十二月二十一日閣議了解、これでいきますと、国民総生産が、名目で八・四%、五十六年度は七%ですね。それから民間最終消費支出が、五十七年度八・六%、五十六年度は六・四%。国民総生産の実質は、五十六年度が四・一%、五十七年度が五・二%。民間最終消費支出の実質は、五十六年度が一・八%、五十七年度三・九%。それから民間住宅は、五十六年度の二・四%が五十七年度は一四・三%、実質で五十六一年度は〇・九%、五十七年度見通しが一〇・四%。民間の企業設備投資は、五十六年度が四・九%、五十七年度一〇・五%、実質が五十六年度二・四%、五十七年度が七・七%等々で、ずっと見通しが一応立てられている。これはこのとおりまいりましょうかね。どうですか、自信のほどは。
○大竹政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもの現在の経済に対します認識といたしましては、まず国内経済では在庫調整が完了しておる。もちろん素材産業の一部等には構造的問題のある部門があることも事実でございますが、全体として在庫調整が完了しておるということでございます。 それから、その他の各需要項目で見ましても、民間消費につきましては、物価の安定、それから経済全体の回復基調によりますところの雇用者所得の伸びといったようなものを反映して消費支出の増加の高まりが想定されるわけでございますし、民間住宅につきましても、御承知のような税制面あるいは財投の面でのさまざまな施策を講じておるわけでございます。あるいは民間の設備投資につきましても、これは大企業中心でございますけれども、かなり強い投資意欲というものがあるという調査がいろいろございます。 そういうことから、国内的に経済を見ました場合には、国内民間需要を中心とした景気の回復という局面にある。現在その回復テンポが弱いということは、まだ数字の面ではそういう面があるかと思いますが、これがさらに今後は強まってくるであろうという想定でございます。 一方、海外の方でございますが、実は五十六年度の経済見通しをつくりました時点では、OECDの発表しております経済見通しにおきましても、一九八一年、昨年は後半から世界景気特に先進国の景気がかなり急速に立ち直るという想定をしておりました。これが一つかなり違ったところがございまして、景気回復がおくれておるという状況が現状でございます。 ただ、この点につきましても将来の見通しはどうかということになりますと、昨年の十二月に発表いたしましたOECDの経済見通しによりますと、一九八二暦年でございますが、今年は下期からかなり景気回復のテンポが早まってくるという想定でございますし、事実、西欧諸国でも一部の国におきましては景気回復の兆しがある、あるいはアメリカ経済におきましても下期から景気回復というような状況になっておる。 それから、これも重要な点でございますが、国際的な物価の安定というものが非常にはっきり出ております。御承知のように、石油価格が非常に安定しておりますし、農産物価格も安定しておる。世界の主要原材料も非常に安定した動きを示しておるというようなことから申しましても、物価安定のもとで世界経済が安定的な回復基調に入るということが海外の環境としてあるということでございます。 こうした国内の要因、それから海外の要因を考え合わせますと、五十七年度の政府の見通しというものは私どもの想定で考えております線に行けるのではないかというふうに考えております。
○戸田委員 答弁を聞いておりますと非常に楽観的ですが、私は決してそう思わないのですね。 五十七年度予算編成に当たって政府の基本的態度は内需中心でしょう。そこで問題になるのは、いろいろありましょうが、一つは国民の消費動向はどうか、あるいは公共事業の進展はどうか、あるいは民間の設備投資はどうだ、なかんずく住宅等の問題について、これは前年比で一〇・四%増になっているのです。個人消費は三・九%増。住宅件数について、これは数年前は大体百五十万戸建設を考えておったけれども、五十五年度は百二十一万戸、五十六年度は百十五万戸、ずっと減ってきている。五十七年度は逆に百三十万戸に回復希望、こういうことではじいておりますね。これはそのとおりいきますか、住宅一つとらえても。
○大竹政府委員 確かに住宅投資が昨年かなり停滞をしておるということは、そういう数字になっておるわけでございます。ただ住宅につきましては、潜在的には非常に需要が強いということは御承知のとおりでございます。それを顕在化させるための政策的な努力というものがありますれば、これは実現ができるというふうに考えておるわけでございます。 その政策的な努力につきましては、細かいことは省略させていただきますけれども、一つは住宅の供給面でございます。これは、主として土地の供給といったような点が一つの問題になっておるわけでございますので、地価を安定させるとともに宅地の供給をふやすという政策が必要である。そういう観点から、税制の面におきましても農地の宅地並み課税あるいは住宅の譲渡所得の課税の改正といったような措置がとられておるわけでございます。 一方、やはり住宅を取得する能力を高めていかなければならないということがございます。この面につきましては、御承知のように住宅金融公庫の融資戸数を増加させるというような措置をとる、あるいは金利につきましてもいろいろな配慮をする、あるいは財形貯蓄による融資を拡充するというようなことを講じておるわけでございます。こうした効果を少し前倒しでやるということで、ことしの一月の募集から一部こうした措置を織り込んでおります。その結果もございまして、最近までの住宅金融公庫の募集の受け付け状況は非常に出足がよろしゅうございます。昨年の一月に比べましてもかなり数字はよくなっておる。昨年の夏とか秋の募集戸数の伸びよりも、かなり上回っておるという状況でございまして、最近になく応募状況が力強いというような点もございます。 一例でございますけれども、そうしたようなことから考えますと、住宅につきましては、政策努力とそれから物価の安定、所得の向上という面が相まちまして、おおむね政府の見通し程度の数字に達するものと考えておるわけでございます。
○戸田委員 時間がありませんので、問題を多く持っているものだから、ひとつ要領よく簡単に答弁してください。 いろいろといま述べられましたが、私はとてもいまの答弁のようなぐあいにはいかぬじゃないか、こう思うのですね。 一つだけ、住宅金融公庫の関係で話をしておきますと、大蔵省は今回、確かに予算全体としてはここにウエートを置いておりますけれども、住宅公庫の金利を若干変更して、従前五十平米から百二十平米、百二十平米から百三十平米と、床面積の割合に応じて五・五%、七・五%等々やっておったわけです。今度は六・五%の金利をやって、片や大蔵省としては逆ざや解消の一端でしょうが、そういうことになっているのです。 だから、恐らくウサギ小屋脱出というようなことがあるのかもしらぬけれども、いろいろなそういう金利が前よりは若干かさむわけですから、そういう面も考えたり、あるいは、いま国民のふところは冷え切っているのですよ。だから、この住宅ローンで大変苦労している。大体元金千五百万借りて総体で七〇%近い利子を取られるのですから、二千万だったら、これはとにかく普通のサラリーマンでは手を出しませんね。そういう状況だと思うのですよ。十八年の貸付期間の中で、ようやく十年超えて初めて元金の方の返済が多くなる、こういう姿ですからね。よほどふところぐあいがよくなければ、前途に対して安心して住宅を建てるというようなことはなかなかいかない、そういうのがいまの現状だと思うのですね。だから、なかなか容易じゃないんじゃないかと思うのです。 もう一つは国民消費ですね。大体、今年度のGNP二百七十七兆二千億、それに対して国民最終消費は百六十兆三千億円、総体の五八%ですよ。これはいきますか。どうですか、その点。
○大竹政府委員 先ほど来申し上げましたように、最終消費につきましても、一方では物価の非常な安定ということがございますし、一方では経済全体の回復、所得の安定的な増加という面から、消費者の態度というものはかなり安定化してきつつあるという面が見受けられると思います。こうした動きが今後とも持続し、明年度の見通しにつきましても、実質で三・九%程度の伸びというものは達成できるのではないかというふうに考えております。
○戸田委員 大蔵大臣、どうでしょう。五十六年度の経済見通しは全くめっちゃくちゃだったんですが、五十七年度、いま言ったような説明があるわけですが、大臣としてはどう考えますか。この見通しで大体五十七年度素直にいける、こういうお考えですか。
○渡辺国務大臣 これは、経済見通しは非常にむずかしいことでありまして、過去においても毎年経済見通しを立てておりますが、なかなかずばりそのものが当たらない。これはもう計画経済の国でも当たらない。まして自由主義の国では非常に当たりづらい、これはもう事実でございます。 しかし民間の見通しよりも、当たらない中でも政府の方がやや当たっているというのもいままでの経験値でございまして、私はそういう点から見ると、今回民間の見通しが少ないというのは、いま審議官からも説明があったように、早い時期に限られた材料で見通しを立てた。その中には、住宅政策とか土地政策とか、いろいろなことが入ってないというために、その点にやっぱり狂いがあることは事実だろうと思います。何とかこれはその見通しが実行できるように、今後とも政策運営の面で配意をしていきたい、そう思っておるわけでございます。
○戸田委員 それじゃ本題に入って、大綱五点について質問をしてまいりたいと思うのであります。 その第一点は、五十六年度の税収落ち込みと事後措置についてであります。その内容の一つですが、五十六年度補正で四千五百二十四億円の税収減額、これを行ったわけでありますが、税収の現状は一兆円を超える減収がおおむね今後必至ではないか、こういうふうに巷間取りざたをされておるんですが、この点は大臣どうお考えですか。
○福田(幸)政府委員 税収の現状でございますが、十二月までわかっておるわけです。 十二月までで、進捗率といいますか、入りました税金の割合が補正後に対して五二・六という、半分の段階ということをまず御承知願いたいと思います。その段階での税収としましては、十二月末の累計として一一〇・三%伸びております。補正後が一一八・五という所要伸び率でございますので、低調であるということはまず申し上げられますが、これはいままでのところのやはり物価の安定、それとのうらはらという関係もあろうかと思いますが、景気の回復のおくれというものが全般に影響します。 技術的に申し上げますと、また、法人税のいままでのところは延納が前の年に入ったとか、それからいろいろな、申告所得税で申せば予定納税というのが昨年の三月の低い水準で予定納税をやられておるとか、それから各企業がいままで業態別にばらつきがあって、景気のよくないところがいまの決算にあらわれておる、そういうことでいままでの水準は低かったということがこの原因であろうと思います。 今後相当の伸びを要するわけで、一二九・一%という所要伸び率が要るわけでございますけれども、これは法人税が全体の税収の一割を占めておりますし、法人税の中で三月決算が三割を占めています。これが五月に入りますので、それまではわかりづらいという要因がございます。それから申告所得税が現在申告を受け付けておりますけれども、これがどういうふうに入るか、申告所得税の六割方がこの三月十五日の申告にかかっております。 したがって、この辺の申告所得税、法人税等の大きな部分が残されておるということで不確定要因はございますが、補正後の数字としてはこれ以外に置きようがないという意味で、補正後の数字がわれわれとしては見通し得る数字であろうというふうに考えております。申しおくれましたが、補正といたしましては、これまでの経済の状況、すなわち物価の関係では物品税が従価税になっておる部分が多いわけでございますので、名目が落ちますとそれによって落ちるという関係で千七十億落としています。それから関税が、やはり輸入の減少もございますが、価格の低落等で六百億を落としております。印紙収入もやはり名目の取引金額に課税されるというようなことでございますので、取引形態の変化もあったと思いますけれども、ここで九百九十落としておる。それから石油税が、輸入の数量が減ったことと同時に国際的な価格の安定の一環として原油価格が落ちついたというようなことで四百九十落としておる。それから源泉分でございますが、これは一人当たり雇用者所得が当初七・五であったものが実績見込み六・二であるということでございますので、この分ははっきりした分としてやはり源泉分を千二百八十九、この中には先般の特別減税の三百九十九が入っております。それから申告分にも八十五億の特別減税が入っております。 以上、合わせて四千五百二十四を落として、いままでの分としてはっきりした分を表に出すというので補正をやったわけでございますので、先ほど申し上げましたように、今後はいろいろな不確定要因がございますが、補正後の数字としては、われわれとしては見込み得る最大限の努力をした数字であるというふうに申し上げたいと思います。
○戸田委員 主税局長の言われるように各般の配慮をしつつ対処したようでありますけれども、しかし、これはある調査でありますが、中期展望に照らし合わせてみまして、たとえば補正予算見込みの四千五百二十四億円、それからもう一つは七千五百億円見当、もう一つは一兆円見当、三段階でいろいろと中期展望に合わせて計算をしてみたのです。 そうしますと、この一の場合、四千五百二十四億円のものに対して、五十七年から五十九年、これまではおおむね一五%の伸びがないとうまくないのじゃないか。あるいは七千五百億円を基準にした場合、約一七%弱の伸び。一兆円という場合には一六%の伸び。しかし、これは旧「財政の中期展望」ですので、先月新しくつくられておりますから、それで見ますと、五十八年度から六十年度までともに一一・九%ということですから、若干この計算の数値は下がると思います。下がると思うけれども、一一・九%というのはやや不安じゃないかという気がするのですが、この点はどうでしょうか。
○福田(幸)政府委員 中期展望との関連での御質問と思いますが、中期展望におきます歳入、税収の計算と申しますのは、仮定計算、機械的な計算を置いておるということが率直な内容でございます。 と申しますのは、中期展望は歳出の方にウエートのある表でございまして、歳出が後年度負担型でどういう数字になるかというのを、歳出の方を今後見るのに手がかりにするという意味でこれがつくられておりますので、各省が今後どういうふうになると見ておるかということでの歳出面での中期展望というのが単年度の査定の参考になろうという意味での歳出面に重点のある、しかもそれが手がかり的なものとして中期展望ということで発表になっておりまして、税の方はそれに比べますと非常にウエートが落ちるというか参考という意味の計数として載せておる数字でございます。 それで計算方法は、いまおっしゃいましたように、新経済七カ年計画、九・五の伸びでございますが、これが五十七年度からスタートします中期展望でございますので、五十七を見通してからりなぎますので九・五が九・九になります。それに過去十年の平均値、平均値十年を使うというのが、中期展望としてはそれ以外にないものですから、一・二で掛けますと一一・九ということになります。去年までのものは、一一・七という新経済七カ年計画の数字に一・二を掛けた一四・〇という数字であったということでございますが、それとの比較では一一・九は下がりますし、いまおっしゃったような、へこんだところから延ばせばこれが高くなるにしても、そこはなかなかむずかしかろうという御質問は理解できます。 いずれにしましても、仮置きで置いた中期展望というよりも歳入の一応の長期的な数字が置かれておる、機械的な計算が置かれておるという意味でございますので、各年の経済を反映します税収の問題としては別途の検討を要しよう、こう思います。
○戸田委員 時間がなくなりましたから、項目的に質問してまいりたい。 一つは、補正で減額してさらに税収落ち込みが生じた場合にはどういう対策をとっていきましょうか。 もう一つは、税収落ち込みに対処するために不用額を捻出、こういうやり方をやりましたね。私はこれは邪道だと思うのでありますが、そういう見直しをやって、補正で節減額を大体六百億計上しておるわけですね。こういうものに対してはどういう考えを持っておりましょうか。
○福田(幸)政府委員 いままで御説明いたしましたように、補正をさせていただきました補正後の税収としては、われわれはこれ以外に数字がないと思っておりますので、それからさらに落ち込むという前提での御質問に対しては、残念でございますがお答えしようがないということでございまして、それ以外の法制論ということであれば主計局からお答えすると思います。
○戸田委員 しかし、税収が補正以上に落ち込んだという場合には、一つは決算調整資金、これはいま大体二千五百億円ありますね。したがって、もし一兆円という税収不足になったということになりますと、こういうもので埋め合わせしていかなければいけないんじゃないでしょうか。どうでしょう。
○西垣政府委員 仮定の問題といたしまして、大幅な歳入不足で決算で大きな赤字が出るというような場合に、どういう制度が準備されているかということでございますので、私から御説明申し上げます。 決算調整資金というのが五十三年に成立いたしております。これは五十二年の十二月に財政制度審議会からこういう制度を創設すべしという建議がございまして、それに基づいて国会で御審議を経まして、五十三年の二月に法律として成立したものでございます。 財政制度審議会の建議の中で、この資金の創設の必要性についてきわめて説得的に述べられておりますので、それを御紹介申し上げますと 我が国経済、財政の推移をみると、高度成長期には、景気がある程度変動しても結果的には税の自然増収が生ずることが多かったが、石油危機後の経済の下では、景気のわずかな落ち込みでもかなりの規模の税収不足を招くという蓋然性が高くなってきている。 このような予見し難い税収の落ち込み等によって歳入不足が見込まれる場合、それが年度途中であれば、歳出の節減等によって対処するほか、これによって対応しきれない場合には、補正予算によって対処するのが通例である。しかしながら、そのような事態が年度末近くになつて見込まれる場合や年度経過後に結果的に決算赤字が明らかになるような場合には、補正予算等では対処できない。 したがって、このような事態に備えて一般会計に決算調整資金を置き、決算赤字が生ずる場合にはこれを取り崩して歳入不足を補填する制度を五十二年度中にも創設する必要があると考える。 こういうことが述べられておりまして、これに基づきまして、先ほど申し上げましたように、五十三年の二月に決算調整資金に関する法律というのが成立しておるわけでございます。この法律の第七条にございますが、「資金に属する現金は、各会計年度の一般会計の歳入歳出の決算上不足を生ずることとなる場合に限り、当該年度の翌年度七月三十一日までに、当該不足を生ずることとなる額を補てんするため、その全部又は一部を当該不足を生ずることとなる会計年度の一般会計の歳入に組み入れるものとする。」こういう規定がございます。 現在、この決算調整資金には約二千三百億の資金がございます。それが不足する場合、それでは足りない場合にはどうするかということでございますが、この法律の附則の第二条に「国債整理基金からの繰入れ等」という規定がございまして、その第一項に「第七条第一項の規定により資金に属する現金を一般会計の歳入に組み入れる場合において、資金に属する現金が決算上不足額に不足するときは、当分の間、当該不足する額を限り、国債整理基金から基金に属する現金を資金に繰り入れることができる。」こういう規定がございます。国債整理基金の状況を申し上げますと、三兆円を超える国債整理基金がございます。 なお、その第三項に「第一項の規定により基金に属する現金を資金に繰り入れた場合においては、当該繰り入れた日の属する年度の翌年度までに、予算の定めるところにより、当該繰入金に相当する金額を、一般会計から資金に繰り入れなければならない。」こういう規定がございます。 仮定の話として、五十六年度決算で赤字が生ずるということになりまして、もしも国債整理基金から繰り入れなくてはならないというような事態が生じました場合には、この規定によりまして「当該繰り入れた日の属する年度」つまり五十七年度でございますが、その翌年度つまり五十八年度までに「一般会計から資金に繰り入れなければならない。」こういう制度になっております。
○戸田委員 日本の収支決算はどっちもゼロ、ゼロ、こうなっていくわけですから、もし一兆円等の減収があって欠損を生じたということになれば、いずれにしても補正を組んで、調整資金から二千五百億、足らなければ国債整理基金、こういうことになると思うのですが、そういうことで理解していいのでしょう。そうすると補正予算を組まなければいけない、こういう段取りになっていくわけでしょう。
○西垣政府委員 ただいま御説明しましたように、補正によって対処し得ない、決算処理として対処するように追い込まれた場合の制度を申し上げたわけでございます。したがいまして、このような事態が生ずることが判明するのは五十七年度に入ってからという場合の制度でございます。
○戸田委員 それで、一つ事務的なことですが、決算調整資金に関する法律というものがありまして、その附則二条で、国債整理基金から借り入れることになる、こういうことになった場合に、重要な事項を附則二条で決めて、本体から外した、こういう状況なんですが、これはどう考えておられますか。私は、やはりこういう重要な問題は本法に繰り入れておくべきじゃないか、こう考えるのですが、その点が一つであります。 いま私が言ったことは、結局、国債整理基金の借り入れあるいは決算調整資金以上の金を借りるようなごとは不当ではないか、そういう予想の上に立って恐らく附則委譲をやったのじゃないかという気がするのですが、その辺はどうでしょう。
○西垣政府委員 いまの御質問の御趣旨、ちょっとはっきりわからなかったのですが、二つあったように思うのです。 一つは、そういう事態がはっきりと見込まれるのであるならば、補正予算によって対処するのがいいのじゃないか。これは先ほど御紹介申し上げました財政審の建議の中にもございますように、「年度途中であれば、歳出の節減等によって対処するほか、これによって対応しきれない場合には、補正予算によって対処するのが通例である。しかしながら、そのような事態が年度末近くになって見込まれる場合や年度経過後に結果的に決算赤字が明らかになるような場合には、補正予算等では対処できない。」そういった補正予算等では対処できない場合のいわば緊急避難的な制度として、この決算調整資金が設けられている、こういうことでございます。 それからいまの、本則ではなくて附則に国債整理基金からの繰り入れの規定が設けられたというその理由でございますけれども、これは立法技術的な問題ではございましょうが、いわばこれも緊急避難というようなことで、本則の規定ではなくて附則に置かれたのではないかというように考えます。
○戸田委員 仮定の問題での質問ですから、一応これ以上はやめます。 ただ問題は、先ほど主税局長からもいろいろと説明があったのですが、補正組み込み金額で大体大丈夫だ、こういうことですが、全体の状況としてはやはり一兆円以上見当の減収が再度やってくる、だからこういう面での処置方式をやはり政府はぴしっとしておかなければいかぬだろう、こういうふうに私は考えるわけでございます。もし、そういう減収がさらに大きく見通しよりも上回った、こういうことになった場合には、やはり適正な経済成長とか財政再建、この問題に大変な影響を与えると思いますし、五十六年度のそういう減収がひいては五十七年度予算に対しても大変な影響を与える、こういう状況だと思うのですね。ですから、その辺に対しての見解をこれはひとつ大臣、お答えを願いたいと思います。
○渡辺国務大臣 先ほどから私が申し上げているように、なかなか経済見通しが当たらないということになると、当然、経済見通しそのもので税の見積もりをしているわけではありませんが、やはりその基礎となるものは物価とか雇用者所得とか積み上げでやっておりますから、大体似たような結果が出てくるということであります。 そこへもってきて、去年は台風等の災害が発生して、歳出面でも追加需要があったというようなことから補正を出すことにいたしました。この結果、それじゃこれで全部満杯できるんだねと言われましても、私どもは、一応専門家が見積もって、それ以上に直すといっても直す根拠がはっきりしない、法人税が足らぬじゃないか、申告税が足らぬじゃないかと言われても、じゃ幾ら足らないかと言っても、趨勢値からは一応想像はつくが、積み上げ式で幾ら幾ら足らないということが実証的に得られないということなので、わかったものだけを直すということにしたわけであります。したがって、それ以外のことは目下考えていない。 いずれにしても、行政に支障を来さないように、仮にの話ですが、もし仮にそういうような税収不足があった場合には、当然不用額等もあるわけでございますし、そういうようなものをどういうふうに充てていくか、節約もまだできるでしょう、それでもなおかつ足らないという場合には、そのときのいろいろな制度を活用して、行政に支障のないようにやっていきたい、そう思っておるわけでございます。
○戸田委員 中期財政展望について若干質問しておきたいのであります。 五十七年度予算編成に対しては中期財政展望を大体鏡にして行ってきたようですね。要調整額、これは新財政展望でまいりますと、五十八年度三兆三千七百億、こう理解するわけでありますが、いずれにしても、歳出削減でこれらを賄ったということで、財政当局としては高い評価を与えているようでありますが、予算編成と中期展望の関係ですね、この点をどう考えておられるか、ひとつこれを説明してください。 それから、予算編成が中期展望に縛られている面があったように思うのですが、予算編成と中期展望のメリット、デメリットというのはどういうところにあったか、この点についてひとつ。
○渡辺国務大臣 中期展望も、先ほど説明があったように予算編成上の手がかりであるということでございます。 そこで、要調整額が五十七年度で二兆七千億円程度生ずる、それを増税によらないで歳出の削減合理化、抑制、繰り延べも少しありましたよ、いろいろな手を使ってやったわけです。そこへもってきて、大体五十七年度七千億円ぐらいの減収になるんじゃないかということがあらかじめある程度察知されたので、それで、とても歳出削減だけでは合わないということから、約四千億円の税の見直しをやっていただいたわけでございます。 この中期展望のメリットというのは何か。これはやはりある程度先の見通しをつけるという意味で、どうしなければならぬかということがわかってくるし、たとえば、その中でも国債費とか地方交付税などというのは自動的にどんどん伸びていくということもはっきり数字で出てくるわけですね。こういうものは抑えようがない。こういうことばあらかじめ覚悟を決めなければならぬから、そして入る方は経済の動向によってえらく違うけれども、仮にどの程度の成長率が続くと仮定したらば、これしか入らないんじゃないか、そうすると、そこでお金が足らないということについて、あらかじめどの程度の要調整額が出るかという一つの目安が立つということは、非常に私はメリットだと思うのです。 そうなれば、やはり増税に安易に頼るということでなくて、まず高度経済成長時代にできたいろいろな諸制度、その当時としてはみんな国が持ちなさいということでよかったかもしらぬけれども、現在のように税収の伸びが思わしくないという時代になってくれば、これについては何らかの措置を講じなくちゃならぬというようなことで、そういうような一応の腹づもりができるという点においては、私は非常にこの点もいいんじゃないか。 デメリットは何があるかと言われますと、何か中期展望が一つの財政計画のように錯覚を起こされて、それと違ったようなものは何か計画上の狂いのようにとられるということがあるとすれば、そういうものはやはりデメリットかな、よく分析したことはないけれども。それ以上のことは事務当局から説明をいたさせます。
○西垣政府委員 大臣から御説明申し上げましたことに尽きますが、私どもが昨年中期展望を初めて出しましたときに、これはもう財政審で数年かけて検討していただいた結果として中期展望は出したわけでございますが、そのときに一番心配し警戒いたしましたのが、規範性のあるものというふうに受け取られないように、それから固定的なものとして受け取られないように、一度中期展望に上がった以上は既得権扱いされないように、そういった点を一番心配いたしました。ですから、強いて挙げればそういった点がデメリットではないか。 それからメリットとしては、大臣が先ほど答弁されましたように、将来の財政運営の手がかりとして、現在の財政の状況、体質、体力、そういったものを赤裸々にお示しすることができるといった点がメリットではないかというふうに事務的には考えております。
○福田(幸)政府委員 歳入の面で申しますと、歳入の方は機械的な計算であるということを御認識願いたいということでございまして、歳出と性格が違うということであります。 それをやはり予定的な税収としてお考えいただきますと、それに達しない場合、これは機械的に計算した数字であるのにひとり歩きしまして、実際の税がそこに至らないときに、その差額を増税でとか、そういうふうな受け取られ方をするのは間違いであろうというふうに考えます。
○戸田委員 時間がなくなってきたので、減税の必要について明快な回答をお願いしたいと思うのでありますが、われわれ一兆円減税を、おおむね所得減税で七千億円、地方住民税で三千億円見当の減税はやるべきだという考えに立っていろいろといまやっているわけであります。 いろいろな自民党の皆さんの御意見などを拝聴しますと、たとえば野田代議士等は一般消費税の礼賛論でありますが、私は内容は余り賛成しませんが、いずれにしても減税をやるべきだという趣旨だと思うのですね。それから税調においても、きょう実は会長が来られれば、いろいろとその辺について聞きたかったのでありますが、やはり減税はやるべきではないかというようなことで種々討議をした、こういうことを聞いておるわけであります。そのやり方は、財源探しとして、でき得れば物品税等の値上げをやって、そこでというような考えもある、あるいは間接税等々、いずれにいたしましても増税対減税、こういう考えのようでありますが、こういう点について大臣はどういうお考えを持っていましょうか。
○渡辺国務大臣 所得税減税の問題について、五年間、税の区分それから課税最低限等が据え置きになっている。そのために、月給が上がらなければ税金も上がらないのですからね、月給がやはり上がっていますから、月給の上がった率よりも税額の上がった率の方が多いという御批判がございます。それは超過累進税率体系をとっておりますから当然そういう結果が出てまいります。したがって、これについて私もこのまま固定をしておくということだけがいいと思っているわけではございません。 しかしながら、よく考えてみると、いまから十年以上前には日本の課税最低限というのは諸外国に比べて非常に低かったわけです。それが高度経済成長のときにどんどん毎年のように所得税減税をやってまいりました。その結果は、二百二万円ですか、というほど高い課税最低限になった。これも事実で、言うならば減税の先取りをしてしまったような形になってきたということも言えないわけはないのでございまして、現在、諸外国と比べましても所得に対する税負担というものはまだ低いわけでございます。 ですから、そういうような非常に財政窮乏の中でございますので、やはりこの際はまとまった所得税減税をするだけの余裕はない。もしそれをするとすれば、そのかわり財源を何に求めるのか。歳出カット、一言でこう皆さんおっしゃいますが、じゃ、どこを切るんだということになりますと、なかなかこれはないわけですね。防衛費なんと言う人もありますよ、中には。そう簡単に割り切ってしまえばいいのかもしらぬけれども、これはわれわれとしては国の基本政策にかかわる問題で、そういうわけにはいかないということになると、なかなか大幅に切るということは現実的に現在の制度の中では少なくともできない。ということになれば、結局他の税との置きかえでもするかということも一応考えられるわけであります。 しかし、これもいろいろ議論いたしましたが、現在の段階において、ともかく五十七年度予算を修正して他の税目との切りかえをするというようなことはとても不可能に近いことであって、とうていコンセンサスが得られるものではない。 そういうことになれば、それでは赤字国債を発行して減税をするのか。さなきだに、赤字国債の削減の仕方が足らないじゃないか、五十九年度までに本当に脱却できるのか、責任を持て、こう言われている状態でございますから、さらに赤字国債をふやして減税に回すということもできない。 ということでございますと、やはりこの際は、ともかくそういういろいろな条件から見て、世界との比較という点から見てもひとつ御容赦いただきたいというのが政府の一貫した方針でございます。
○戸田委員 一貫した方針で来ているわけですが、大臣、もう少し国民の実情を理解してもらいたいと思うのです。 課税最低限、これは五年据え置きでしょう。他国に比して先取りして高くしたというけれども、四人世帯で二百一万五千円、夫婦者で百十三万ちょっと、独身が八十一万三千円、こういうことですね。独身の八十一万三千円ということになりますと、これは月どのくらいですか。計算してみると六万七千五百円見当ですね。いま青年層の割合がふえていると思うのでありますが、高校卒で就職をする方は、だれもが大体自動車を買いますね。そうすると、これは全部月賦です。まあ昔のげた履き同様ですから、大概は車を持っている。こういう状況の中で下宿などをしますと、下宿料は結局うちから持ち出しということにならざるを得ない。そういうものに課税対象で税金をかけているわけでしょう。私は全くこれは過酷じゃないかと考えるわけです。 それから、年々四兆円近い自然増収。そのうちの半分以上のものは所得税負担です。この六年間の減税据え置きでもって、九十何%ですから、恐らく倍ぐらいの実質的な増税ですね。こういう状況になっている。 片や物価は、昨年は七・八%も上がっているわけでしょう。賃上げは七・七%ですから、物価よりも下回った。だから実入りが少ない。実質賃金は減って、さらに減税がなされない。それは単に勤労者だけでなくて、農村に行ったってそうです。生産者米価は上がらない。凍結。あるいは老人の皆さんは、今度は所得制限でもって自己負担が強要される。児童手当もなくなっていく。そうすると物価が上がる。これから国鉄運賃とか授業料とか各般の値上げが軒並み押し寄せる。こういう面を考えると、全く二重三重四重の負担が勤労者におっかぶさっていく。 朝日新聞じゃないですけれども、今回の行革の中で、実行されたもの、やらないもの、三分類して出されましたね。あれでもって実行したものは国民生活と全く関連するものだけじゃないでしょうか。医療関係とか文教費関係とか厚生費関係とか社会保障、福祉、こういうものに集中的に十四項目全部。最も国民が望んでいた特殊法人とか租税特別措置の見直しとか、こういうものに対しては至って冷淡でしょう。やらない。国民はそこを一番やってもらいたいと考えているわけですからね。 だから逆立ちしていると思うのですが、その上減税は一切やりませんよということで、予算委員会その他を通じまして、当の責任者の大蔵大臣初め鈴木総理大臣がそういうことを言明する。これでは全く勤労者は踏んだりけったりという状況じゃないでしょうか。この現状を一体どうお考えになりましょう。
○渡辺国務大臣 しかし諸外国と比べますと、たとえばサラリーマンの標準家庭で、所得税だけにして見ると、三百万円で日本では六万六千円しか取っていないわけです。月給二十万円の収入の人は月に千五百二十円なんですよ、所得税というのは。賞与のときは少し取られますが、それでも年間六万六千円なんです。アメリカは二十二万取られているし、イギリスは五十六万円取られている。西ドイツも二十六万、スウェーデンは六万七千円で最初の三百万クラスは大体日本ぐらい。したがって私は、そういうほかと比べても、そう高いと実は思っていないのです。 しかし、できることならば、何年間も据え置いてあるから、それはやって差し上げなければならないという気持ちは持っております。しかしながら、歳入というのは歳出のためにあるわけですから、それらの歳出を切ることができないということになれば、何らかの形でだれかが負担をしなければならない。それをいままで、当然税の中で賄うべきものを、ややもすれば安易に流れて赤字国債の増発によって賄ってきたというきらいなきにしもあらず、それが今日の財政窮乏を招いているという現状から見ると、日本のその他の経済諸条件はよくなっているんだが、財政構造だけが非常に悪くて、現に国債の消化もできない、増発をするということになればもう発行利息でも上げなければなかなか消化できないというような状況にある。したがって、総合的に考えて今回は見送らざるを得ないということを実は申し上げておるのです。 農村では、確かに所得税減税というふうに騒いでいる方、騒いでいると言ってはしかられるけれども、農村で所得税が高い、高いと言っている方は、私余り聞いたことがないです、実際のところは。やはり中小企業とかサラリーマンの方の方が多い。しかしそれも、確かに一千万円、八百万円クラスになってまいりますと、所得税だけじゃありませんから、住民税も取られるということになりまして、それはもう一千万円の人が一割収入が上がれば、標準家庭で住民税と所得税で、百万収入がふえたら四十四万取られるわけですから、これは物価の値上がり等も加算すると、かなり日本はきつい累進税率になっているために重税感が出ているということを実は私は率直に認めておるのですが、これらの税率構造等も含めて、いずれは将来抜本的なことを、何か国民のコンセンサスを得られるような形で変えなければなるまい、こう思っております。 いずれにしても、当年度においてはそれをやっているだけの、なかなか合意も得られないし時間的余裕もないし、ほかにかわり財源もないしするので、ひとつ御容赦願いたいということを申し上げておるわけです。
○戸田委員 最後に、提案された個々の法案について若干質問しておきたいと思うのでありますが、一つは交際費課税の強化、これは趣旨は賛成なんですが、前提として、土光会長は、増税なき行政改革、こういうことを言われている。鈴木総理に言わせると、増税ではなくて増収云々と、これは大山中先生がおりますけれども、ずばり言ってこれは総理の言うことば詭弁だ、こう山中先生も率直に言っているわけです。しかし党人である限りはそれに従わなければいけないとちゃんと言われているのですが、あんな認識では内閣総理大臣、困ると思うのです。これはきょう大臣がいないからだけれどもね。 いずれにいたしましても、今回のそういう増税措置というものは、行革との兼ね合いはいろいろありましょうが、やはり租税特別措置法にあるいまの優遇税制、こういうものは全廃の角度に立って見直しをすべきではないか、私はこういう考えを持っておるわけであります。 そういう中で交際費支出、大体三兆円の大台に乗っているわけですね。時間がありませんから詳しく申し上げることができませんが、これはやはりもう少し強めてもいいんではないだろうかという気がするわけです、中小企業のものは定額控除据え置きですから。大法人の場合は、見ますると利益その他も相当上がっている、こういう状況ですね。内部留保も目いっぱいとっている、こういう状況ですから、数字的なものはきょうちょっと時間がありませんから割愛をしますが、もう少し強めてもいいんじゃないだろうか、こういうふうに考えます。 それから延納措置ですが、これは、一つ心配するのは中小企業に対するものですね。いま下請で仕事をやる、大体現金が入ってくるのが六カ月ないし三カ月ないしは長いので一年ものなんというのがあるのですから、そうすると、その間運転資金で大変な苦労をしているというのがいまの実情であります。そうすると、そういった中小零細企業の皆さんですと資金のやりくりに大変な苦労をしているのです。そういうところに延納三カ月の納入割合を今度四分の三、中期決算そして決算期、本決算期、こういうことで、あとの四分の一は三カ月間延納体制を認めよう、こういうことです。しかし、これは私、非常に唐突な感じがするのですね。財政のやりくりのためにやったとしか考えられないのですがね。これは五十七年度だけでしょう。五十八年度以降は同じかっこうになるのでしょう。だから、ことしだけ予算関係の帳じりを合わせるためにやったような考えを持つのですけれどもね。五十七年度でとった、この辺が少しどうも私は理解ができないところであります。 それから租税特別措置、当初広告課税やギャンブル税やあるいは退職引当金等々、幾つか大蔵原案としてはやろうという考えがあって作業をいたしましたが、それぞれのプレッシャー団体によってこれは引っ込めちゃった、これは全く情けないと思うのですが、その辺についてはどういう実情だったか、ひとつお答えを願いたいと思います。 それからもう一つは、先ほどわが同僚議員の伊藤委員が提案しました物価調整減税、これは減税とは違う制度的なものですからね。諸外国でもこれは全部やっているわけですから、このくらいは制度的に社会党案で設定してもいいのではないか。非常にりっぱなものを出しているわけですから、十分ひとつこれの御検討をお願いいたしたい。 以上五点について、項目的で申しわけありませんが、御答弁をいただきたいと思います。
○福田(幸)政府委員 最初は租特の整理全般のお尋ねであろうと思うのですが、租特は五十七年度での減収は一兆一千億でございまして、問題はその中の法人関係と所得税関係でございますが、法人税では二千二百億でございます。中小企業分が八百七十億ということでございまして、残りがエネルギーとか科学技術とかいう種類の政策目的に応じたものであるということで、それはそれなりの意味があるというふうに考えるべきであろうと思います。それから中小企業はやはりそれの特殊性ということを考えざるを得ない。 所得税等のところで八千八百五十億ございますので、その中でマル優というような貯蓄優遇、これが三千二十億ある。それから生命保険とか損害保険で二千百五十ある、こういう問題。それから社会保険診療報酬が千二百三十、これは現象としては減っておりますが、いずれにしましても、法人税では二千二百であるということと所得税のところでこれを基本的にどう考えるかという問題は、今後の重要な問題として考えざるを得ないし、しかし、それに対する具体案があるかといいますと、これはなかなかむずかしいという気がいたします。 この中で交際費をお示しになりましたが、これは本来経費であるものを否認しておるということで七千三百七十億のプラスになる要因であります。したがって、交際費を除きますと一兆一千五十が三千六百八十ということで、五十六年度の交際費を調整しました四千三百八十というものよりは減収額が減る数字になっていますのは改善の結果であろうと思います。 交際費につきましては、これは本来経費でございますので、会社経理で経費になるものを否認する、しかも全額否認を今回原則的に考えたわけでありますから、これは三カ年というふうに考えて、経理の適正化を待つという姿勢であろうと思います。そういうことで、四百万さらに三百万という定額控除は中小企業対策として残したという点は、それなりの理由があろうと思います。 次に延納の問題でございますが、これはむしろ、延納制度自体ができましたときの経緯から見ますと、現在これを残す理由がないというそれ自体の検討の結果でありまして、二十六年当時には滞納の割合が四七・九という非常に高い状況であったことを考慮した延納であったかと思います。それまでは延納がなかったわけであります。現在、五十五年度ではこれが二・二という滞納状況であることは、環境が非常に変わっておるということ、これが第一点。 それから、個人所得税との関連でも比較をいたしませんとやはり公平の観点から問題があるということで、所得税の場合は、御存じのとおりに予定納税については延納はできませんし、確定申告についてだけ税額の二分の一以下について二・五カ月分となっておりますので、これとのバランスで今回の改正をいたしたわけで、中間申告は延納はなし、確定申告は四分の三納めれば四分の一ということにしますと、延納の利益がほぼ見合ってくるという計算で、それ自体が是正を要するということで考えたわけでございます。 中小企業の関係は資金繰りが当時よりは好転しておりますし、また、特殊な事情の場合にはそれなりの納付委託とか納税の猶予等の措置がございますので、これに対しては特別の困難がないとわれわれは考えていますし、制度として中小企業を分けるということは、延納の性格からいったらできないというふうに考えます。むしろ所得税とのバランス、環境の変化で適正化を図ったということであります。 それから、退職給与の問題と広告課税、ギャンブル課税の御指摘でありますが、退職給与、これは検討いたしました。これは問題点が確かに、実際の取り崩しよりも余分といいますか、それより開いた引当金があるのは事実でありますが、債務が発生したものについて引き当てるという債務性の引当金としては正しい。ただ、そこをどういうふうにこれを繰り入れていくかというときに、残りの勤務年数をどう見るか、利子率をどう見るかという議論が理論的にあるわけであります。さらに、年金に今後移行していくという問題、社外に拠出する年金の関係が今後の退職給与との関連で重要な問題になりますので、むしろ総合的観点と長期的観点で見る方が正しいということで、今後の検討を総合的にやるというふうにいたしたわけで、決してこれをギブアップしたというようなことではございません。むしろ根っこから議論すべき問題として今後に残して、われわれはもっと基本的な検討をしたい。 それから広告課税、ギャンブル課税も、われわれは常時、毎年検討している課題であるわけでありますが、新税はやらないということでありますので、両論あるこの両税等につきましては今回は見送ったということでございます。 それから物価調整の自動的な減税制度については、さらに御質問があると思いますので簡単に申し上げますと、外国でやっておるといたしましても、国情も異なりますし、制度自体にインフレ心理を織り込んだものになるという基本的な問題がございます。財政のギャップが拡大する、歳出と歳入の両方でギャップが拡大するという問題がございますので、そういう意味で、諸外国の例をわれわれは十分に検討いたしましたが、これを自動的な連動として物価との関係づけでの減税制度は財政制度としてなじまないというふうに、われわれとしては現段階結論づけています。今後ともわれわれは検討いたしてまいりますけれども、現状としては、国際的な動向にもいろいろな問題がございまして、これはまたお尋ねがあろうかと思いますが、国際的にはむしろ見直しされているという状況でございます。これはまた十分に御説明いたしたいと思います。
○戸田委員 いろいろ説明がありましたが、臨調の答申によって第二分類でもってまだまだこれからやらなければいけないような税制上の改善策、これはいっぱいあると思うのです。たとえば、朝日新聞の調査の中身をいろいろ検討してみましたが、これによると、大体医師会とかあるいは道路族とか軍恩関係とか、こういうプレッシャー団体のかかっているものについては全部放置、そのままですね。これは、国民から言えばもう少し真剣に取り組んでもらいたいという気がするわけであります。 租税特別措置にはいまだに七十数項目あるわけですね。そのうち二十六項目はいろいろと検討した、こういうことは言われておるのですが、これは五十七年度の予算全体を見ましても、五十八年度以降の予算編成は大変な状況になってくると思うのですね。先ほどいろいろ減収の問題も話をしましたが、そういうものばかりではなくて、つじつま合わせでツケ回し、ツケ戻しでやっている点がいっぱいあるわけです。たとえば地方自治体に交付する国民健康保険療養費の四〇%、この五%のやつは十一カ月しか組んでおらないのです。あと五十八年に持ち越し、こういう状況。そういったものが幾つかあるわけでしょう。そういうことで総額で大体七千五百億円つじつま合わせでやっている。あるいはツケ回し、ツケ戻しというやつでしょう。そういう状況ですから、五十八年度以降何らかの抜本政策をとらなければ予算編成は大変だろう、こういうふうに考えるわけです。 そこで、恐らく当事者としてはやはり何らかの形の増税というものを考えざるを得ない状況に追い込まれるんじゃないかという気がするわけですね。その場合に、税調等で検討されているように、物品税の値上げでいくのかどうか。しかし、これは大変な逆進性の強いものですから、あるいはまた国民の選択のできるものですね。ふところぐあいが悪ければ買わなくていいんですから、こういうものは私は余り賛成できないわけです。 そういうことになると、やはりこれは付加価値税もしくは一般消費税ということに勢いいかざるを得ないんじゃないでしょうか。野田さんはそれを言っているわけですね。誤解の一点、二点、三点、ずっと言って、礼賛と全部やっているから、やはりいま自民党内部における趨勢はおおむねそこにいっているんじゃないかという気がするのです。すると大蔵大臣、どうしてもそういう形で五十八年度以降何らかの増税対策というものをとにかくとらなければいけないんだというような気がしてならないのでありますが、この点について明快な御答弁をお願いしたい。 もう一つは、直間比率でもって七、三体制、こういうことを言われたわけですね。しかし私は、アメリカ方式でこれは導入されて、いろいろ税制の基本をつくってきたわけですが、この総合累進税率というのは比較的制度としてはいいんだと思う。しかし六年も八年もそれぞれ手がけずにきたから、制度上の乖離が大きくなっちゃったんで、これはやっぱり直さなくちゃいけませんけれどもね。 それと、五十七年度の景気浮揚全体を見ますると、政府として考えられるのは、たとえば公共事業の前倒しとかあるいは国民消費の高揚とかあるいは公定歩合の引き下げとか等々いろいろありましょう。しかし、その中でも一番大きなウエートを占めているのはやっぱり国民消費なんですから、今年度の見通しからいったって五八%、民間の最終消費ですね。こういう数字を出しているわけですから、やっぱりこれは一番いいのは減税だろうと私は思うのです。これはもう一石二鳥ですね。こういう効果があると私は判断をするわけですが、もう一度この点についての大臣の御答弁を伺って、私の質問を終わります。
○渡辺国務大臣 簡潔に申し上げます。 要するに、五十八年度以降どうするんだという問題については、結論から言えば国民の選択によるということだと私は思うのです。それは歳出を延ばすのか歳出を切るのか、歳出を守れば、その所要財源を何によって確保するのか、結論はそこにかかってまいります。 直間比率の問題については、これも選択の問題でございまして、諸外国で大体四〇から六〇ぐらいが間接税の割合だけれども、日本は昭和二十五年から四十年ごろまでは四五から四〇ぐらいありたわけです。それがだんだん減ってきて、いま二八ぐらいになってきた。果たしてこれでいいのかどうなのか、これも検討材料の一つじゃないか。 それから、減税すれば消費が伸びるとおっしゃいますが、現在はなかなかこの消費というのが、消費節約運動が徹底しちゃって、物価安定にえらく寄与しておりますが、貯蓄の方はふえているわけです。ところが貯蓄率というものは減らない、貯蓄率は下がらないというような問題は、やはり果たして効果がどれだけあるか。それはもう何兆円という減税でもできれば別だと思いますが、景気刺激策としての効果というものは、むしろ何か政府自身が支出をした方が、どちらかと言ったらば効率は高いんじゃないかという気がします。
○戸田委員 以上で終わります。
○森委員長 伊藤茂君。
○伊藤(茂)委員 大臣が予算委員会に行かれまして、大臣がいないところで質問をするのも、どうも私どもとしては特例、例外の措置でございますけれども、若干技術的な問題について質問さしていただきます。 まず一つ、これは主税局長に注文なんですが、先ほど提案をさしていただきました物価調整制度化についての法案に関係をいたしますが、昨年の行革臨時国会で大蔵大臣に取り扱いのことでお願いをしたわけであります。 〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕 政府の方が当初意図しておりました一般消費税などにつきましては、私の手元にいただいただけでも、積み上げて三十センチ以上ぐらいいろんな説明、PRを含めました資料が届いておりますが、主税局の方に、物価調整制度についての世界のいろんな実例などを調べてもらいたいと言いましたら、ザラ紙一枚、一覧表にしたものを持ってまいりまして、その後OECDのレポートなど注文しましたら、英文のコピーを大変親切にいただきました。言うならば、政府のやりたいことは山ほど資料を出す、やりたくないことは紙っぺら一枚になる。これでは国民に対して大変不公平な措置ではないだろうかという苦言を申し上げましたら、大臣は、そういうことについては特に国会の審議に十分参考になるように努力をいたしたいという御返事をいただきました。 その後具体的に注文いたしておりませんでしたが、評価の問題は二の次にして、さっき申し上げたように、私どもが調べただけでも十七カ国やっている。その中にはいろんな類型の違いもあります。それから完全自動調整、カナダみたいなところもあれば、政府に相当の裁量権を与えているという国もありますし、またそれについての議論も、これは変えることはできないという国の議論もあれば、さまざまな議論が起こっているということも私ども承知をいたしております。少なくとも当委員会あるいは国民の前に、世界のそういう実態、しかもサラリーマン初め多くの勤労市民が重大な関心を持っているわけでありますから、やはりフェアにそういうものは提供されて、さっき大臣も今後のことは国民の選択、御判断と言いましたが、そういうものを求めていくということがフェアな政治ではないだろうかというふうに思うわけであります。たしか主税局にも調査課、専門のところもあるようですから、私ども調べただけでも相当の資料を調べましたので、それ以上の、一般消費税で三十センチありますから少なくとも十センチぐらいは調べて出すのが当然ではないだろうかと思いますが、そういう努力をぜひ早急になさっていただきたい。大臣の約束でありますから、約束をしていただきたいと思います。
○福田(幸)政府委員 物価調整制度というのはわれわれ前から調査いたしております。ほかの制度ももちろんあらゆる制度を調査いたしております。 これにつきましては、われわれの調べた範囲の資料というのは限られておりますし、伊藤先生のお持ちになっているのと同じだと思いますし、OECDの資料、あとは各国からも情報というのは常にとっておりますけれども、お求めがあればこれは率直にお出しする性格のものだと思います。また、こういうふうに正式に御要求がございましたら当然に委員会にもお渡ししますし、さらに、御質問に応じてこういう場で御説明するのが本来私たちとしてはその真意なりが伝わると思いますし、いまから御審議いただければ十分に尽くします。 ただ、資料がどのくらいあるかと申しましても、資料としてはわりに限られている感じがします。付加価値税というのは非常に膨大な資料がございますが、これは非常に限られた資料でございまして、OECDの資料が一つ、それぐらいで、あとは断片的な各国の情報の一環だという気がいたします。いずれにいたしましても、今後とももちろんフェアに御説明し、また提出を正規にやっていきたい、また御質問に応じてこういう場で御説明するということであります。
○伊藤(茂)委員 質問もいたしますけれども、大臣も昨年約束されたことですから、ぜひ可能な資料をまとめてもらって、私どもの立場で調べたものもありますから、こういう問題について大いに議論が事実に基づいて行われるようにしていただきたいと思います。また私どもも理事会などで相談をして、どの程度の資料を出すようにとかいろいろと要望をしていきたいと思いますから、ぜひ前向きに協力をしていただきたいと思います。 それから、先ほどの主税局長の同僚議員への答弁を聞きますと、これは聞き捨てならないですね。初めからなじまないとかあるいは物価、インフレ問題とつながってくるとかというふうな話の端々がありました。私どももそういう点について議論するならば、一体こういう制度がそれによってインフレにつながるかどうか、いろいろな意味での考え方も整理をして持っております。それはまた改めて御議論をしたいと思います。 私は手順のことでお願いをしたのですが、こういう問題は国際的にも行われておる大きな問題である。カナダの財政委員会ですかの友達の人に聞きましたら、これはいまカナダでは何党に政権がかわろうとも変えることのできない制度として定着をしている、そして考え方としては、政府の経済政策の通信簿であるというのです。要するに、政府の経済政策が成功して物価上昇率が非常に低い水準に抑えられたということになれば、翌年の調整をして所得税の収入が減るということがないわけでありますから相当自由な経済政策が行える。政府の経済政策が失敗をして相当過大なインフレになれば、翌年は相当痛い思いをしなければならない。そういうことを考えると、これは政府の経済政策の通信簿みたいなものですよという話を私は聞かされました。 ある意味では大変フェアな考え方であろうと思いますし、それから、なじむ、なじまないという話がありましたが、たとえばアメリカの経過を調べてみましても、若干の州税の面で採用されている。それから連邦議会でもこの調査委員会をつくって法案の準備などもなされている。その経過を聞きますと、フリードマンの提唱といいますか、フリードマンの意見の影響が非常に大きいのですね。私も改めて「自由の選択」を引っくり返して読み直しましたが、一つの考え方ですね。それで、そういう世論が高まって、レーガンもこれをやりますということを公約した。八五年の一月一日からという公約でありますから一そのときにあの人が大統領になっているかどうか、私もちょっと遅過ぎるんじゃないかというふうに思いますけれども、これはよその国の話でありますから。 そういうのをずっと研究して調べてみますと、いずれにしろ、こういう議会の場でも、それから政府税調とかいろいろな国民の責任を持った議論の場でも、それについてディスカッションが行われる、意見交換が行われるということは、初めからそれを否定したのじゃ始まらぬだろうと思うのですね。そういう意味で替りたら、私は、税調会長がいらっしゃったら、税調会長にも強く要望したいと思います。皆さん方の方からも、皆さんなりのその制度のメリット、デメリットの意見があるでありましょう。それは否定しません。そういう問題について私どもも法案を提出して、そしてまた私も説明しまして、多くの国民が関心があることでありますから、むしろ政府の側からも、大蔵省の側からも税調などで、こういうことも大きな関心事ですから、テーマとしていろいろな議論をしていただきたいというくらい取り扱ってもらったらどうだろうか、内容ではなくて、そういうフェアルールでの取り扱いということについての私の考え方なんですが、いかがでしょう。
○福田(幸)政府委員 おっしゃるとおりに、一つの制度としては外国に例がありますし、また考え方としてはあり得る制度でございますので、税調で議論するというのは私はやりていいと思います。今後開きましたときに、こういう御議論がありたので、われわれの資料はこうである、またお持ちの資料はこういうものだというのをフェアにやるのは私は正しいと思いますので、御議論願うのはいいと思います。 ただ、私たち答弁いたしておりまして、われわれの検討した結果こうであるということは率直に言わしていただきたいと思います。言い方が悪いとかいうことも、われわれとして検討した結果こうであるということは、それはこういうところでフェアに議論するという性格であろうと思いますので、そういう税調の場での議論も大事でございますが、こういう専門的な意見を交換する大蔵委員会での意見の交換をフェアにやっていくというととでお答えをしていきたいと思います。 〔中西(啓)委員長代理退席、委員長着席〕 その際、われわれの意見が違っておっても、それはお許し願いたいということであろうと思いますが、いま御指摘のところで、これは検討した結果での感じでございますので、今後とも検討を続けますが、カナダは私も在勤しましたが、私がおったころはなかったのです。インフレを抑圧するという大蔵大臣の姿勢でインフレ抑制に非常に力点を置きました。その後、私が帰国した後でこの制度が入ったわけでありますけれども、カナダが入れましたときには、国債依存度は非常に低かったわけですね。六%ぐらいで、これは一九七四年だったわけです。財政状況は非常によかったのであります。そのときにインフレの問題が起きたということがございます。要するに、公債依存度が低くて財政がいいのにインフレ状況になったということに即応したわけです。 ところが現在ですと、カナダでは一九八〇年の公債依存度は二二%となっております。これは歳入の方が物価調整のインデクセーションのために減ったということの歳入のロス、それと歳出の方が物価にスライドする条項が多いということで、財政が悪化したことを示しています。さらに、インフレの率がいま二けたになった。かつては非常にいい成績だったのですが、そういうところの結果を見て考える必要があります。 さらに、おっしゃっているような政府の物価政策に対する評価という点はあり得ると思いますけれども、これは英国の方で見ますと、英国は八一年度はインデクセーション、とれを取りやめております。これは一つのポイントだと思うのですね。財政収支が悪くなったので、こういうことはやれないというので英国はやめております。それからオーストラリアが八二年度からこれを制度として廃止する、こう言っております。アメリカは財政収支が黒字になることを予定される八五年度以降ということで、財政収支がよくなるという前提が基本にあると思います。 これは、この場でお答えするのはあれですが、われわれ十六カ国と見ておりますのは、ウルグアイが違うと思います。ウルグアイは所得税をやめまして付加価値税を導入したわけです。付加価値税を導入しましたのでこういうものがなくなったのですが、ヨーロッパでオランダとかその他わりに多くの国がやうております。これはなぜかと申しますと、所得税の依存が小さくて間接税のウエートが高いわけです。所得税についての関心がれしろ低いと申しますか、間接税のウエートが高い。しかも付加価値税が非常に多い国がこれを採用していますが、そうしますと、物価が上がりますとその分が間接税で入ってくるという仕組みですから、こっちの方の直接税のインデクセーションもあり得るということです。 そういうことで、やはり総合的に考えませんと、各国での実験の結果といいますか、そういうところでは結果的には増税をしている国がフランスあたりで多いわけです。これは付加価値税はありますけれども、さらに従量税を増税するということで赤字を埋める。それでカナダはそういうふうに状況が悪化してインフレが深まる。 私も、この間も予算委員会でちょっと新聞に皮肉られたのですが……(伊藤(茂)委員「内容を聞いているんじゃないよ」と呼ぶ)ちょっと聞いていただかないと、議論の交換ですから。 OECDの租税委員会で、これは私も出たのですが、そのときにインフレに対してそれを組み込んだ制度は財政上正しくないというのをドイツの代表は主張していました。その結果が、現在のインフレ状況としては日本とドイツがいいということは、結果論としてはこういう制度の評価としては大事だと思います。 日本の評価としては、高度成長が続いておった時期に物価以上に非常に引き上げてきたということで、四十年度では日本が一番低かったわけですね。五十万を下回るくらいの規模だったのが、いま二百万というので、フランスと大体同じで一番高い水準である。フランスは間接税が高い。そういうことで、非常に長いというか中長期的に見ればまたどういう評価があるか、いまのところはこれでやれない財政状況ですが、いずれにしましても、本制度としては、私のいまの調査の結果では常識ではない、むしろいろいろな反省がされておるという感じがいたします。しかし、これは今後ともよく資料の交換、提供をいたしながら、検討をフェアにやっていくという点では同感であります。
○伊藤(茂)委員 主税局長は、何か私の質問しないことまでやや意気込んで反論を展開しているけれども、私の方はフェアルールでこういうことを話題にしましょうということを言っておるので、そうですということを言ってもらえばいいのですが、ただ私は、一々具体的にわれわれも反論を全部用意しているから、それから政府がこういうことを言うであろうということは活字にして持っているからやりますけれども、申し上げたのはルールなんで、ただ主税局長、言うならば、政務次官もそうですけれども、肝心なことを忘れては困ると思うのですね。 なぜ、こういう声が日本で起こってきたのか。それは、先ほども申し上げたように、とにかく毎年の自然増収の中でも五割、六割あるいは六割以上というのが所得税にかかってくる。しかもその多くの部分がサラリーマンの源泉にかかってくる。クロヨンの問題もある。ベースアップの二倍以上のテンポで税金はふえていく、実質賃金は上がらない、これは切実な庶民の声ですよ。こういうものをどう改革するのかというまじめな気持ちがなくて、諸外国の制度がどうとかこうとか言ったって、それは私は違うと思うのですね。そういうものにどうこたえて公正な、あるいは取る、取られる気持ちではなくて、やはり社会のためにこれは負担をしなくちゃならぬというふうに国民の方に思ってもらえるような努力をどうするのかということが大前提だと思うので、そういう視点を抜きにした、そういう意味での誠意ある姿勢を抜きにした論争ということでは意味がないのではないだろうか、私はそれだけ申し上げておきます。 いずれにしても、こういうことは政府と私どもとの間での議論も結構でしょう。ここではもっとさまざまの豊富なデータを出し、資料を出して議論してもらうべきであり誓う。私は、できたら、これは委員会のルールとしては若干違いますけれども、前からこういう問題についてラウンドテーブルで、政府対野党ではなくて各党みんなが意見を出し合って大いに討論し合う、国民の切実な税制、財政再建の問題ですから、そういうふうなこともして議論をしていきたいというふうに考えておりますが、私は手続だけを聞くつもりだったので、それだけにしておきます。議論は改めてみっちりやりたいと思います。 次に、若干技術的な問題でお考えを聞きたいのですが、先ほども戸田さんの質問の中で、いわゆる直間比率についての考え方の問題がありました。これは先ほど議論もありましたし、本会議でも私ども同僚議員の質問もございました。これは七、三というよりも七をちょっと上回り三をちょっと切るという状況になってきているわけですね。これをどうするのか。大臣の、五、五が望ましいけれどもせめて六、四ぐらいの比率がいいのではないだろうかというお考えは、いろんな報道を通じて何遍も聞いております。それから報道を見ておりましたら、臨調あるいは税調というような中でも、こういうことについての話題が大分出ているようであります。 ただ、私は、直間比率の問題について、政治上の判断は別にして技術論として伺いたいのですが、一つは、一般消費税のような新たな税制をもって直間比率を変えるというケースがあると思います。もう一つは、現在の税制の中で直間比率を変える、言うならば間接税の比率を上げていくという方法があると思います。前者の方は非常に大きな問題でありまして、亡くなられた大平さんの当時に出されました一般消費税、あれがあのまま出てくるということは、私は政治的にはあり得ないと判断をいたしておりますし、後者の方で考えれば、たとえば間接税の主な税目で言えば、まあ三つくらいしかないと思います。税目の大きなものとしては、物品税、酒税、揮発油税くらいなものですね。 それでお伺いしたいのですが、たとえばまず一つ物品税の問題でありますけれども、昨年、物品税の幅の拡大、税率のアップの審議を通じて非常に特徴的になったのは、一体この税金とは本質的に性格は何であるかということがお互いによくわからない。いままでの議事録を繰ってみますと、政務次官なども大変正直に、性格的にはなかなか明瞭にならない実は言いにくい性格でありましてというようなことも言われているような状態でありますし、基本的にこれは奢侈品課税である。しかし、何が奢侈品であり何がぜいたく品であるか、すべてその多くの部分が日常生活必需品ということになっているのじゃないかというふうな、さまざまな議論が行われました。 私は、物の考え方として、そういうふうな形の基本的性格、要するに戦時立法の税法から始まったこの沿革を振り返れまでは言いませんが、そういうものを拡大をする、あるいは税率を上げる、そして事実上の消費税的なものに持っていって間接税の税率を上げる大きなてこにしていくということは、私は、もともと税のあり方から無理なんではないだろうか、ある意味では根底からあり方が問われなければならない税目ではないだろうかというふうに思うわけでありますが、先日の毎日新聞ですか何か見ましたら、一面トップで税調でそれを考えている、このたぐいのものがときどき大きく出ますからあれですが、出ておりました。責任ある主税局長はどう考えますか。
○福田(幸)政府委員 直間の問題というのは、今後の方向ということでなかなかはっきりしたことを申し上げられないので、一般論で直間と言うときに直を一つにくくっているところに一つ問題があると思うのですね。直というのは所得税と法人税であるということが案外抜かされておりまして、日本の税制で一番特色のあるのは、法人税の割合が高いということを皆忘れられているようであります。諸外国では法人税の税収の割合は非常に小さくて、その半面、所得税の割合は日本よりはもちろん高いわけです。 そういうことで、全体の税収の中で言えば、直間比率というときに、直間という前に直接税の中でどうかという議論が今後あろうかと思います。日本は、五十七年度で税収の中で三一%、約三分の一が法人税、それから三九%が所得税です。しかし、この中で給与所得分はまた小さくなりますが、そしてあとは個別物品税が二七%、これはもう御承知のとおりです。これが西ドイツですと、法人税は六・八しかない、所得税が四一で、付加価値税というか課税ベースの広いのが約三割、残りは個別物品税です。ちょっと答弁が長くなるのですが、フランスですと御承知の付加価値税が四四%、そして法人税は一〇・三で所得税は二三、その他の個別物品が一六・幾つです。 ですから、直間と言わないで租税構造をどう考えるかという議論が大事な気がします。そのときに、いまのような租税構造ということを考えませんと、直ちに一律の間接税議論に入りますけれども、まずその前提の議論があるということです。 それから物品税自体、現在個別物品税であるということは、税制の理屈だけで言いますと非常におくれた税制であるのは間違いない。これは第一種が小売で第二種が製造ということになっていますし、その物品の拾い方はいろいろな理由があって拾われておりますけれども、奢侈品が何かとか、こういうものを外すべきだというときのメルクマールが非常にしにくい個別物品税をとっている先進諸国はないわけでございます。酒とかたばことか揮発油税とかいうものが個別物品税の柱であるわけで、あとのところはいま八十品目ですか、ちょっとあれですがい個別品目で何を拾い上げるか、またそれを税率に応じてグルーピングするのにどういう基準で考えるか、これは税制としては困難がある、そして抜けているものがあるというような問題、それはやはり税制自体としては問題がある。しかし、性格としては転嫁を予定しておるという間接税であることは間違いないわけです。 先ほどの新聞での報道、これはわれわれ全然関知しない問題でございまして、物品税自体には問題があるが、これをどういう方向で考えるかということについては、いま具体案がありません。もっと基本的な検討も必要かと思いますが、この物品税をどう広げるかということが直間比率の是正策として検討されて、いま具体的に取り上げられているということではございません。一般論としての検討はやっておりますが、やはり問題が多いということは税制論としては言えると思います。
○伊藤(茂)委員 いまのままでは問題が多いという考え方は私どもも同じであります。しかし、個別物品税という形から新たな一般的ということにならないようにということだけは警告を申し上げておきます。 それから、さっき三つ申し上げましたが、もう一つは酒税の問題がありますね。これも二兆円近い大きな税目であります。昨年のいまごろ酒税の審議をやっておりまして、そのときに特に清酒の等級のいまのあり方がいいのかどうかというようなことも含めまして、酒税のあり方についての検討をやっておりますというお話がありました。また、昨年春以来関係団体等も含めていろいろな研究討議がなされているようでありますが、その後どうなっておりますでしょうか。 たとえば等級制の問題と関連しますが、特級、一級、二級、もちろん二級酒が消費の量としては一番多い、税金は一番安い。わが大蔵省としては、たまたま等級制廃止といういい議論もあったから、この際全部一級酒の方に合わせてしまおう、まあ特級酒の千円以上の税金に合わせるわけにはいかぬだろうと思いますけれども、この際それを通じて税収増を図る。ですから、安くてうまい酒を飲むということよりも、等級制廃止を機会にして均一料金で高くなったものを飲まなければならないというふうなことを意図しているのではないかという心配も実はあるわけであります。 私は余り飲まないのですけれども、最近清酒の消費量も落ちているようでありまして、なかなか伸びないようでありますし、いろいろな意味で業界からも問題があるだろうと思いますが、間接税の二つ目の大きな税目であるこの酒税について、どんなめどの作業が行われておりますか。
○福田(幸)政府委員 酒は、間接税の物品としては、さきの物品税とまた特殊の性格を持った課税対象であろうと思います。それでこの酒、たばこ、あと揮発油税を申し上げたのですが、これは自動車関係ということでしょう。残り三本柱があるわけですが、物品税は一般消費税的に扱っていますけれども、これは各国とも同じ考え方をとっています。 そこで、この酒のところはいま御指摘の点が昨年からございますし、われわれもそういう問題意識を持っていますので、昨年の六月以来酒税問題懇談会というのを、これは主税局の関係の勉強会ということで、関係業界また学者の方も入って勉強をやっています。これでいろいろな問題点を詰めまして、基本的な方向を出していく必要がやはりあると思うのです。酒税法も非常に古くなっておりますし、今後どう考えるか。 たとえば、やはり酒税をかける理由というのがまず要ると思いますし、さらに級別の問題が確かにございます。いま官能試験で級別をやっておりまして、それを率に絡めておりますけれども、従量税が相当部分で従価税が上の方の価格についてはあるという体系、この従量と従価をどう考えるかということと級別の問題。それから庫出しのところでいまかけていますけれども、担税力から見れば小売価格もしくは従価税というものが正しいのではないか、いい物は高く売れるという前提であれば、それを前提にした税率の方がいいのではないかという間接税としての原則的な考え方もあるわけです。いまのような従量税で、しかもそれが級別ということで段階を設けておるけれども、そこが客観性があるのか。それでいま二級酒がふえておるわけで、審査に持ってこなければ二級酒になってしまうわけです。 ですから、いい酒でも持ってこなければ二級酒で税率は低い、そして二級酒がうまいというふうに宣伝されますと、いい酒を審査を受けて高い税率を払っておるところとのバランスをどう考えるかという点では、やはりいまおかしな姿になっておるという気がします。値段に応じた課税が本来の間接税のあり方ですから、この辺を基本的にどう解決するかを税制として合理的に考えるべきで、これをただ増税策というような短期的な見方でなくて、その辺を基本的に検討した上で見直しを要するところは見直すという姿勢で取り組んでおるということでありまして、直ちにこれが増税策というよりも、適正な負担をどういう形で求めるかというのがこの作業の問題であろうと思います。
○伊藤(茂)委員 いまの話を聞きますと、合理化であって税金をよけい取るチャンスという気持ちではなさそうでありますから、その点はきちんとして作業を進めていただきたいと思います。 それから、もう一つ揮発油税があります。これは前からいつも議論になっている道路財源、特定財源の問題でありますし、税調でも臨調でもさまざまの意見が出されているし、また答申の中にも若干表現されているということも御承知のとおりであります。また、今年度は特にあれはなかったわけでありますけれども、こういう財政事情のもとで揮発油税の今後の使途、あり方の問題について、これから今年、来年と重要な時期でありまして、この点についてもさまざまの抵抗はありますけれども、ひとつあるべき方向も考えるべきではないかと思いますが、どうでしょう。
○福田(幸)政府委員 順を追って御質問をいただきましたその最後が揮発油税の特定財源の問題であろうと思いますが、税の理論だけで申しますと、これは税調でも指摘されていますように、その使途が何かの歳出に特定されるということは、税の立場から見ては好ましくないというのが本来の姿です。財政の硬直化を招く。また、そこに縛られて、その歳入の性格が特定されてしまって弾力性をなくするということは、税の立場から見るとやはり問題があると思いますが、現在の道路の問題、それをどういうふうに評価するかは主計局の歳出面での問題でもありますし、これはまた別の見方があろうかと思います。主計局の方から答弁すると思いますが、税の方だけの議論では、いろいろな広い角度から検討を要するというふうに指摘されております。
○伊藤(茂)委員 直間比率に関係をして大きな税目の三つだけ、取り扱いといいますか、考え方を聞きました。 私は、これらの税目それぞれについては否定的な、上げるという意味での、あるいは大きな増収をここにさらに求めるという意味で否定的な言葉で申し上げたわけでありますが、議論としては、直間比率の問題がこれからさらに差が大きくなっていいのかどうか、いろいろな議論は私も当然あり得るだろうと思います。ただ私の気持ちとしては、とにかくいまのような税の不公平是正あるいは税制改革についての取り扱い努力が非常におくれている段階で、安易な議論がこの問題についてはされるということは非常によくないのではないだろうかというふうに考えて申し上げているわけであります。 それから、もう一つだけ伺っておきたいと思います。 午後御質問をすることの関連で、一つだけ伺っておきたいのですが、五十六年度約四千億収入減、税収減ということで補正予算が組まれているわけでありますが、それに加えて、五十六年度補正でもさらに六千億とか一兆を超えるとかということになるのではないかという議論が、当委員会の冒頭からも予算委員会でも行われているわけであります。 それについてさまざまの御議論があることは事実でありますが、一つだけ伺っておきたいことは、特に主税局長が緻密な頭で相当いろいろと検討して、この四千何百、まあ減税財源四百八十億を除いて約四十億という計算をはじいて五十六年度はおさめようということで、責任を持った提案を政府がなさったということだと思いますが、今後の見通しについての議論あるいは五十八年度に関連をする議論をする前に、どういう気持ちでこの約四千億という判断をなさったのか、率直な気持ちを伺っておきたい。
○福田(幸)政府委員 税収の実績をずっと見てまいるわけでありまして、予算編成期が十一月の終わりから十二月の初め、税収がわかっているのは十月までであったわけでありますが、それまでのところで実績を見まして、先ほどのように、物価の関連とか景気の関係から、そのへこみが回復し切れないと見られるものについては補正をするというのがやはり正しいことじゃなかろうか。ずっと実績を待つということよりも、また赤字国債がその結果出るということはわれわれは関知しませんで、むしろ税収だけの観点からいけば、そこで補正を出すことの方がフェアであろうということであります。 ただ、金額をどうするかということは、そこまでで出たものではっきりしたものを出すということで、この四千四十、それに特別減税をやりましたから、その分が含まれて四千五百二十四ということではじいたわけです。 その後の数字がどうかと申されますと、やはり最初に予算を組んだものからその分を差っ引いたものを補正後予算として考えざるを得ないということで置いてあるということであります。
○伊藤(茂)委員 では、あとは午後にさせていただきます。 —————————————
○森委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 ただいま審査中の法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案について、来る二十六日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○森委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 この際、暫時休憩いたします。 午後零時五分休憩 ————◇————— 午後三時三十分開議
○森委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案について質疑を続行いたします。伊藤茂君。
○伊藤(茂)委員 質問を続けさせていただきます。 主税局長、率直に伺いますが、五十七年度予算の租税負担率、国民所得比及びGNP対比何%になりますか。
○福田(幸)政府委員 租税負担率を国税で申し上げますと、五十七年で二八・七、それから地方税を入れますと二五・四、いまのは国民所得に対するものでございます。GNPに対する国税の負担率という御質問でお答えいたしますと、四十年度が九・八、五十五年度が一一・九。それから、あと個人所得と法人所得の方も……(伊藤(茂)委員「よろしいです」と呼ぶ)
○伊藤(茂)委員 私は、租税負担率の趨勢を見て非常に疑問に思うのでありますが、政府がいま採用している租税負担率の中期のめどとしては、一つは新経済社会七カ年計画があります。もう一つは政府税調の中期答申があります。 私が言うまでもありませんが、双方とも一般消費税と申しましょうか、大型消費税の採用と申しましょうか、それを前提にしているわけでありますけれども、新経済社会七カ年計画の方では、昭和六十年度までに国民所得比二六・五%を見込む。消費税を前提にしてであります。昭和五十三年の一九・九、実績は一九・八でありますが、昭和五十三年度の一九・九%から昭和六十年度に二六・五%に増大することを見込む。また、これも私が申し上げるまでもありませんが、五十五年十一月の政府税調の中期答申、これは昭和五十九年度までに五十五年度に対比してGNP比三ポイントほどアップが必要であろう、その三ポイントのうち一ポイントは自然増収で、また二ポイントは増税を見込む、その増税として大型消費税を考えなければならないということに実はなっているわけであります。 主税局長、正確な数字でなくても結構ですから、改定財政中期展望でいって、五十八、五十九、当面財政再建期間が終わるまで、それで終わるかどうかはまた別問題ですが、終わるようにさせると政府は言っておるわけでありますから、それまでそれぞれ二・九の税収伸び率で計算をいたしております。これについての是非も財特法の議論などでいろいろ出てまいると思いますけれども、一応それを前提に置いて考えますと、新経済社会七カ年計画で言っている昭和六十年二六・五を超して二七・五ぐらいになるのじゃないだろうか。また、政府税調の中期答申で言って昭和五十九年までに三ポイントアップという目標でございますけれども、それも三ポイントといいますと、五十五年一八・五、五十七年予算で二〇・八、その間に二・三ポイントプラスをしているというわけでありますから、それから概算をいたしますと恐らく二二・五くらい。新経済社会七カ年計画についても、税調の中期答申についても、それぞれ一ポイントほど超過達成をする、そんな数字になるのではないかと思いますが、どう思いますか。
○福田(幸)政府委員 租税負担率の実績が判明いたしておりますのが五十五年度まででございまして、国民経済計算ベースで五十四年度二二・五、五十五年度二三・四でございます。これが六十年度に新経済社会七カ年計画で二六・五というベースに合うのが、実績で五十五年度二三・四、五十四年度二二・五という数字でございます。 その前に、一般会計税収というのが中期展望ベースの一般会計のところであるわけでございます。ですから、一般会計のところで申し上げますと、五十五年度が一三・九、五十六年が補正後で一五・三、五十七年度の予算が一六・一ということになります。中期展望の計算で続けていきますと、六十年度のところでは、いまの中期展望の前提での計算でありますと、仮の計算でございますが、これが一六・九というふうに機械的計算としてはなります。 問題は、その一般会計のところはそういうふうに一応計算できますが、国民経済計算ベースの二六・五に見合うものが幾らかということになってきますと、地方税の方がどうであるかとか、税外負担がどうであるかとかいうのがございますので、この二六・五という数字をオーバーするといたしましても、一体どのくらいかというのは計算的にはまだはっきりいたしておりません。 いずれにしましても、この二六・五を超えましても、これは、その中で一般会計はどうだという問題に焼き直した場合のお話が大事なんで、その場合、一般会計の方は、さきのように一六・九、一七未満になるかと思うんですが、そのときに、見合いに歳出がどうなっておるかが問題だろうと思うのです。 中期展望の方で、歳出の方は相当税収を上回る姿で後年度負担型になっておりますので、そこのギャップをどうするかという問題。むしろ、歳出が後年度負担型で非常に上回った姿であるということは問題でございまして、税負担だけで見るということよりも、そこの開きがどうであるかということの方が大事なことでありまして、税負担自体が高い、高くなったということ、これはGNP、国民所得が下回って推移しておることから、反対に率としては高く出るわけですから、それは一般会計ベースで見ますと、見合いのところの歳出がギャップを大きく持ったままで推移しておるというところに問題がございますので、租税負担率だけで高くなった、しかもGNPの土台が余り伸びなかったということで、そこが率として高くなったから税負担が高いんで、オーバーであるということよりも、その見合いのところの歳出が開いた姿で推移していった形がその年度、先の年度のところにあらわれておるというところが大事でありまして、そのフォローアップでも、その辺を全体として考えるべきであるということが指摘されておるわけであります。
○伊藤(茂)委員 主税局長、大変回りくどい説明をなさいましたが、大蔵省主税局が出されました税負担率、GNP対比、国民所得対比、あなた方のつくった数字の中には五十七年度予算案、国民所得比二五・四、GNP比二〇・八となっております。それから一般会計だの支出何とかの関係だのということは抜きにして、改めてこの五十五年十一月の中期答申、それから新経済社会七カ年計画の税負担について述べている部分、それから毎年のフォローアップ、今年早々の経企庁のフォローアップ、二六・五というのはずっと変わっておりませんですね。 新経済社会七カ年計画あるいは税調の中期答申、ここで述べていること、それから今度の予算、大蔵省主税局の出している数字、五十年からずっと歴年書いてございますね。それら全体をひっくるめて考えれば、要するに、新経済社会七カ年計画や政府税調が中期答申で述べた目標は、それぞれ昭和六十年、昭和五十九年を待たずして一年あるいは二年繰り上げ達成になる、そういう数字になるわけであります。さらに、それぞれ双方ともいわゆる大型消費税、一般消費税を前提にしてその程度の税収アップに持っていかなければならないということになっている。 しかも、片方では財政中期展望改訂版が出ています。これも政策的な方向づけというわけではなくて、いろいろな前提を置いて、昨年の前提条件と比べればことしの方がずいぶんソフトに、また何となく遠慮がちに表現が書いてあります。そういう前提の上に書いた数字でありますから、確かに政策的なはっきりした方向づけというよりも、一つの試算としてのメルクマールといいますか、そういうことであろうというふうに私思うわけでありますけれども、改訂中期展望を見ても考え方はそれしかありませんから、新経済社会七カ年計画フォローアップの考え方をベースに置いてやっている。ところが、その中期展望の数字を繰っていくならば繰り上げ超過達成というのは一層明らかになるということはないだろうかというふうに実は思わざるを得ないわけであります。 ですから、ことしの税収見込みあるいはこれから来年、再来年どうなるのか、財政再建、今後の税制についてのさまざまの議論をするのに、政府が公式に掲げている目標は目標以前に超過達成される、しかも一般消費税という前提抜きで達成される。しからば一体政府の方では、責任上新経済社会七カ年計画やあるいは政府税調の中期答申などの目標値なり何なりを変えてもっと高い目標値を立ててやるということになるのか、あるいはまた、中期の目標として立てたことがすでに達成されるのだから、もうこれ以上考えるわけにはまいらないということになるのか、政策論上のけじめはきちっとつけなければならないのじゃないかという感じがしてならないわけですが、どうでしょう。
○福田(幸)政府委員 経済計画におきましては、六十年度における国民経済計算上の租税負担率を二六・五、こう想定しておることはもう御承知で、私もお答えしたわけですが、これは六十年度におきます国、地方を含めた公的部門全体としてのマクロ財政の姿でございますので、先ほども申しましたように、一般会計の歳出歳入の姿がどのようになっているかについては具体的に示してないわけです。 一般会計においては、昭和五十七年度ベースの「財政の中期展望」においてお示ししていますように、多額の要調整額があるという姿で見通されるわけでございますので、この辺は直ちに六十年度の二六・五というものと中期展望における現実的な歳出の姿、また仮置きします歳入とのギャップの大きさという問題が結びつかないわけでございます。 この二六・五を上回るかという問題があるわけですが、その点につきましては、先ほど申しましたように、GNPの伸びが見直す前よりも低くなっておる、一一・七が九・五になっておるということからくるわけですから、そこの関係で負担率が高くなるということをもって負担がすでに目標を達成したというふうに受け取るべきではなくて、それは一方において、先ほどの中期展望が示しますように、歳出のギャップが大きいという姿があることを同時に考えなければ、負担率の論議だけでは、すでに負担率が重い、すでにそこは達成したというふうには考えてはいけないという気がいたします。
○伊藤(茂)委員 大臣、これをどう思われますか。本会議や予算委員会の御答弁では、日本の勤労者の税負担率も国際的に見てはまだ低いからという御説明をよくなさっています。まあそれはそれでいろいろな議論があるわけであります。財界が出している資料から見ても、円でもらう月給の購買力から見て国際比較はどうかとか、あるいは負担とサービスは大ざっぱにはパラレルの関係にあるのは当然でありますから、その対比で見て税負担率は一体高いのか安いのかとか、単純に数字を並べてPRするのとは違った分析をしなくちゃならぬと思います。しかし、税負担率は国際的に見てまだ低い水準にあるのでという言い方は、政府税調でも政府の方でもよくなさるわけであります。 ところが、いま申し上げましたが、私も、素直に政府税調の答申あるいはまた新経済社会七カ年計画のところ、これは私ども主税局長ほどプロじゃないから、ある意味ではアマチュア的解釈かもしれません。だけれども、その中で言っていることは、新経済社会七カ年計画では昭和六十年に二六・五まで持っていくんだ、中期答申では昭和五十九年にGNP対比三ポイント五十五年に対比して上げなければならないというところが印象強く残っておるわけですね。大蔵省の数字にも出ています。確かに一般会計その他云々という御説明、解釈の仕方もあるかもしれません。しかし、素直にこの文章を読めば、一般消費税なしに超過達成されるのですよ。国民の目にはそう映ると思う、僕もそう読むのだから、多くの人には。そうして中期展望の方はもっともっと大きい数字になる。それじゃ目標をもっと高くするのですか、あるいはしないのですか、そういうことをはっきりわかるようにしなければ、ここはわからぬだろうと思うのです。 ですから、主税局長がいろいろと一般会計でござい何でございと言うならば、初めから全部そういうことがはっきりわかるようにつくってもらえばいいのだろうと思うのですけれども、その辺のけじめがつかないと、中期に立てた目標である新経済社会七カ年計画ではみんなが二六・五、二六・五と言っている。こちらの方は三ポイントアップだ、アップだと言う。そして財政中期展望がある。みんなちぐはぐになって数字がわからぬわけですよ。それは全体を通した中期の目標値その他を明確に、どういうふうに続けて、変えるのか変えないのか、どうなるのかということをやらないと、多くの国民の目にはわからぬじゃないかと思うわけでありますが、大臣、どうですか。
○福田(幸)政府委員 ちょっと補足いたしますが、中期答申で言っています三%程度を上げるという話の前提の前段のところには、歳出に対して税が八〇%程度の割合まで引き上げられるべきであるという前提でこの三%、一%が自然増収で二%が負担の引き上げ、こう言っています前提は、歳出歳入が受益に対して負担がどうかという議論が根っこにあるわけでございまして、これが中期展望ともまた絡むわけで、この八〇%といいますのが四十年代のわが国の受益に対する負担の割合であるわけです。四十年では八一・九、四十五年は八九・一というわけです。これが五十七年では七三・七になっているわけでございますね。開きが下がっておるわけです。したがって、中期答申が言っています八〇%に至るための過程は変わらない。 外国の場合も御参考に申し上げますと、アメリカは八九・一で、大減税を今度やってもこれはそんなに変わらないというか、八七ぐらいだと思うのですが、いずれにしても相当高い数字。フランスが五十五年には八九・九という、九〇%は税金で賄っておる。イギリス、西ドイツも八二であるわけですから、日本の場合、七〇を出るところの歳出に対する歳入の割合のこの開きは、中期答申が言っていますこの八〇まで引き上げるということのバックにあるわけですから、そういう姿は変わらないままであるということは租税負担率だけをとって議論することよりも重要なことでありまして、おっしゃっている点は、確かに整合性のある、負担率をわかりやすくという点につきましては、このフォローアップの一環として今後検討される問題であろうと思います。むしろ中期展望のギャップの問題及びこの歳出歳入の割合の開きの問題が端的な財政の状況であろう、こう思います。
○伊藤(茂)委員 大臣にお願いしますけれども、これはプロの説明はあります。しかし大体常識で見て、われわれでも、それからいろいろな新聞報道でも、経済新聞でも雑誌でも書いていますよね。 それぞれの中期の計画がある。これが閣議了解のベースである。それでは三ポイントアップであるとか、そのうち二ポイントは増税であるとか、これは消費税であるということが全部書いてありますからね。新経済社会七カ年計画では昭和六十年二六・五である、これは一体どうなるのかということを頭に置いていろいろな検討をするわけですよ。大蔵省主税局からこの間もらった租税負担率というのが一番最初にあるから、その歴年出た数字を全部見てみました。五十七年は僕がさっき言ったとおり書いてあります。それは、これでいったら五十九年や六十年じゃない、来年達成じゃないか、どうなのか。 要するに、これは主税局長が言うようなさまざまな理屈があるのならば、そういうふうにきちんと書いてもらわなくちゃならないわけだし、そうでないならば、とにかく計画を変えるか、あるいはこれ以上増税をしないか、わかるようにしてもらわなければ話にならぬだろうと思うのですね。そうでないと、多くの国民の皆さんも一体これから税金をどれだけ払って社会はどうなるのか、私どもといたしましても、歳入歳出を一体どういうふうにして考えたらいいのかということについて正確な議論がしにくいということになりますね。やはりその辺は考えてもらう必要があると思うのです。
○渡辺国務大臣 実はこの予算論議の際も同じような質問が現実にわが党の中で出ているわけですよ。別にここで初めて出たわけじゃない。 本当にこの七カ年計画というのはあのとおりできるのか、そんなに高い成長率がずっと続くのか、もし続かないとすれば、収入面だけでかく出ちゃって、それで結局はそんなに税収が入らないということになったらば、財政再建の計画が立たなくなってしまうのじゃないか、余りできもしないでっかいことを書かない方がいいとか、いろいろな議論はあるんですよ。しかし、現にそういうような七カ年計画がある以上、将来の見通しを立てるとしても、一応それをよりどころにしないで立てれば、じゃこれは何をよりどころにして立てたんだということにすぐなりますね。したがって、この問題は根本的な大きな問題なんです。 現段階においては、やはり七カ年計画を毎年フォローアップはしておりますが、フォローアップと言えば一年分だけはいいけれども、その後の分は前のままなんだから、これは毎年やるようじゃ困るから、三年ぐらいやらなくてもいいように、もう一遍抜本的に見直したらいいじゃないかという議論もございます。 しかし、私ざっくばらんな話を申し上げますと、これは予算委員会の真っ最中でして、もうそのことだけで、なかなかそこに取り組んでいる余裕がないというのも現実の姿です。しかし私は、やはりいずれは謙虚に経済の実態、世界の趨勢等を見て、そして一遍再検討しなければならぬのじゃないだろうかな、私の所管じゃありませんよ、所管じゃありませんが、そういう感じを持っております。 しかし、そうなると、仮にGNPの伸び方がもっと下がるということになれば、歳出がそのままならば租税負担はもっとふえるということになりますね。当然そうなるわけです。そんなに租税負担をふやされたんじゃかなわぬということになれば、歳出をもっと切れという話になりますね。そこが国民の選択だ。結局、歳出を切るといってもどこを切るんだということになると、これはなかなかむずかしいんですね。軍事費を切れなんという人もあるにはありますが、そう簡単に割り切ってしまったら、これも簡単なんだが、そこはなかなかそうはいかない。 そういうことで、そこをどういうふうにしていくか。もう高度経済成長時代のものですから、何でも国が持て、国が持て式な考えの制度というのがたくさんございます。これは私は、まだ別に大蔵省の中でも固まったわけじゃないが、今後の問題としては、やはり受益者負担の原則というものはもう一遍見直す必要があるんじゃないか。何でも国家財政に依存というんじゃなくて、受益者がそれ相応の負担をいまよりも多くするような何か発想の転換を考えなければ、なかなか歳出カットと言ってもそう簡単にできないんじゃないかという気がしておるわけでございます。 したがって、いずれ時間をもらって、そういうような現実の姿と乖離があるということになれば、そういう計画は余り役に立たないということになるわけですから、それは役に立つか役に立たないかも含めて一遍検討する必要があるだろう、そう思っております。
○伊藤(茂)委員 大臣は御答弁の中で、受益者負担の見直しか、考え直しかという方まで触れましたが、それは全然別な問題で、これはいろいろ議論がありますから。 大臣は長くいられないようですから、二つ一緒にお願いをして、予算委員会に行っていただいて結構だと思いますが、一つは租税負担率、それから中期計画というような観点で御質問を申し上げたんですが、私はそれらを改めて読み直してみますと、新経済社会七カ年計画にしても、公共投資を当初二百四十兆とかそれから今度百九十兆とか、何かそういう意味で経済刺激か、経済と財政と裏表ですからあれですが、当然裏表で両方とも重要視しなければならぬわけですが、何か経済あるいは公共投資、何がどうとか、そういうところが非常に大きな印象になって計画がつくられている。これは大蔵省でなくて経企庁がつくるわけですから、そうなりやすいかもしれません。 ただ私は、財政再建期間五十七、五十八、五十九、それから場合によっては財政再建期間を二年ほど延ばそうという話もあるわけであります。今度の予算でもたくさんのツケ合わせがあるわけであります。本格的償還期間が来る昭和六十年以降しばらくの間も非常にむずかしい財政運営だ。そうなってきますと、経済見通しも結構だ、大臣がさっき言われた問題を含めても結構でしょうけれども、いろいろな意味で、やはりこの財政というものをどう持っていけるのかという視点を相当大きくした見直しといいますか、そういうものをやっていく必要がある。 それから大臣も言われましたように、毎年のフォローアップもありますけれども、やはりどういう形がいいか。本体を抜本的に見直すということになるのか、あるいは何らか半分ぐらいの姿勢で、毎年のフォローアップじゃなくて、もう一つ何年か見通したフォローアップをする、フォローアップというのか、ローリングか何かやってみる。いろいろな方法があるでしょう。しかし私は、その財政論を中心に置いた見直しをしないと、さまざまな問題がうまくいかないんじゃないかという気がするわけでありまして、それの御感想が一つであります。 それから、時間ですから大臣にぜひ伺いたいことは、さっき休憩前に主税局長に五十六年度補正でなぜ四千五百二十四億税収減、頭のいい主税局長は相当確信があったんだろうと思いますけれども、うちの佐藤議員その他某氏がした計算では、とてもそういかぬじゃないか。まあ祈るような気持ちで眺めているというようなお話もございましたけれども、私は、そのとおりいくかいかないか、まあ神のみぞ知ると言ったらあれですけれども、なかなかむずかしいところであろうと思います。そういう現実ですから、さまざまな可能性があると思うのです。場合によっては、ぽかぽかと税金が入って、三月決算もえらく景気がよくて、補正どおりでおさまるということがあるかもしれぬ。私はあり得ないと思いますけれども、仮定としてはですね。そのほか、たとえば五、六千億ぐらいの場合とかあるいは一兆円ぐらいの場合とか、場合によっては一兆円を超すとか、いろいろなケースが態様としては考えられなければならないと私は思います。 いままでの予算委員会その他の議論を伺いましても、そこになると第二次補正は組まないし何とかかんとかという話なんですが、まあここは大蔵委員会、お互いの専門委員会のところですから、正直言って、当然ながらこういう時期ですから昨年以上に不用額を出すようにというのか、あるいはこれからの財政運営でむだ遣いをしないようにというのか、節約をするようにというのか、こんなことは当然考えられることではないだろうか。昨年の場合にはああいう経過がありまして、不用額を出せ出せとみんな騒いで、官邸からも言う、大蔵大臣からもお達しをするというふうなこともありましたが、そんなことは当然あることではないだろうかということが一つ。にもかかわらず、補正でおさまらないことも考えられると思いますが、その場合には、これは政策論、理屈抜き、大体そのときに手当てしなければならないであろうことは、予備費の残とか不用額とか税外収入とかなんとかでつじつまを合わせる。それがむずかしければ、これは法律であるわけですから決算調整資金に手をつける。それでもだめな場合には、国債整理基金からお金をお借りして一年後に少しずつ返す。 こういう一、二、三、四という順番になってくると思うのですね、取り扱いとしては。これは私ども担当委員会としてはきわめて当然のことであろうと思うわけですが、そう思いますか。
○渡辺国務大臣 これもいろいろ議論が実はあったのでございまして、四千億円減るかどうかだってわからないのじゃないか、だから二兆円国債減額と言ってあるのだから、ともかくそれで決算してみた結果でいいんじゃないかという議論も実は一方にあるのです。しかし、現実に物価の安定、景気の立ちおくれ等から物品税等が予想よりも極端に低いという事実がはっきりしてきておれば、それは毎月月報の入るやつは大体わかるわけですから、法人税のように昔は年二回決算だったから非常につかみやすかったのだけれども、商法の改正や今度銀行法の改正によって年一回決算ということになってくると、決算が出なければわからないというようなむずかしさもございます。 したがって、わかったものだけ、これは政治的な問題は何も考える必要はない、これは見積もりなわけですから、与えられた資料の中で見積もって、どれくらい足りなくなる危険性があるかということで出した数字が四千五百億ということでありまして、それは二兆円減額が、三千七百五十億かの赤字国債がその分だけ追加発行、つまり二兆円減額にならないで、それを引いたものが減額ということになるけれども、これは最初の目標はそこに挑戦したのだが、途中で、経済は生き物だから、後になって結果が出ることなんだし、だからそれは直したらいいじゃないかということになりまして、それで補正予算を出したということなんです。したがって、現段階においてそれ以上に実際法人税も所得税もわからないというのが本当のことなんですよ。ですから、第二次補正は組まないという考え方でございます。 仮に、それじゃ、それで組まないのはいいが、後になって赤字が出たときはどうするのだ、税収不足がもっと出たらどうするのだという議論が必ずございます。しかし、これは仮定の問題でございまして、そういう現実のものにぶつかれば、われわれは行政に支障のないようにやらなければならないことでございますので、それは当然に、いま言ったようないろいろな予算の節約、それから不用額、何も急がなくてもいいものは残せと言いますよ。そういうようなことは、税外収入で急いで何か売れるものはないかとか、そういうものもやります。いろいろやって、それでその結果またどうなるかということになると、これは六月過ぎなければわからないわけでございます。そしてどうしても足りないときには、そういう万一の場合の手段方法もあるわけですから、その場合は当然そういうようなものも使うこともあるかもわからない。しかし、いまのところは全然考えていないということでございます。
○伊藤(茂)委員 大臣が行ったから言うわけじゃないけれども、いままでの予算委員会などの答弁を新聞で見ておりますと、上下三%から五%ぐらいは誤差の範的なんということを二、三回見ました。三%から五%ぐらいの範囲というと、一兆何千億ということになるのじゃないですか。いずれにしても兆以上になりますよね。私は、財政当局の姿勢としては、もう誠心誠意極力確実な見通しを立てるように努力をする。それから、相当大幅な誤差が出る、とにかく補正の上にさらに出て合計して一兆何千億になったとか、そういうことについては襟を正してさらに努力をするというのが姿勢じゃないだろうか。何か居直るような言葉に聞こえるから、そういう姿勢は国民から財政を預かる立場の者のとるべき言葉や姿勢ではないだろうというふうな気がいたします。 主税局長に一つ伺いますが、さっきの税負担率との関連ですが、勤労者の所得税の特に源泉分が非常に急激な伸びを示している、過大な負担であるということが言われているわけであります。その中の一つとして、法人税と所得税、源泉分と申告分があるわけでありますが、それの伸び率が非常に特徴的な動きを示している。大まかな数字を挙げますけれども、昭和三十五年に所得税一〇に対して法人税一四・七、それから昭和四十年か四十五年ごろには所得税が一〇に対して法人税も大体一〇、それから昭和五十年以降最近の状態では、所得税一〇に対して法人税は七・五から八、言うならば、昭和三十五年ごろに比べて所得税に対する法人税の割合が半減に近いような状況が出ている。 確かに、一つの統計で企業剰余という数字と雇用所得という数字を見れば、何となくそれと合うような数字が並んでおります。ところが、実際の企業利益の伸び、それから勤労者の実質生活水準、これは総理府、労働省それぞれ出しているところで申し上げるまでもないわけでありますが、この一、二年統計で初めてなんという可処分所得の伸び率、実質賃金の度合いなどが出ているわけであります。 私も、時間がなくてそういういろんなデータを全部並べて見ているわけじゃないのですが、私は、国民所得の中における企業剰余というものと雇用所得のトータルの数字だけでは、こういう変化をそのまま是認するというのはどうも解せない。やはりこういうことについてもっと多面的な分析を行って、そして社会的に公平感が出るような努力をしなければならないというふうな感じがするわけでありますけれども、所得税、法人税のこういう特徴的な変化については、どうお考えになりますか。
○福田(幸)政府委員 国税収入の中の所得税、法人税の比率から見ての御質問だと思いますが、いま伸び率で御比較になっておりましたが、これは端的には国税収入の中の所得税収と法人税収の割合ということで見れば同じことになりますけれども、四十年度では所得税が二九・六、法人税が二八・三、こうあったわけですが、五十七年度では所得税が三九・三、法人税が三一・三で、この間所得税のウエートが九・七上がっております。法人税が三・〇のプラスだということが構成比としては言えるわけです。いずれにしましても、所得税の方が法人税より大きいという構成比は変わっていません。 それで、ちょっと時間をいただきたいのですが、GNPに対する国税の負担率は、先ほどのように四十年度が九・八、これは一一・九に二・一ポイント上がっています。個人所得に対する所得税負担率は四十年度の三・四七が五十五年度四・七三となっていますので、一・二六のプラス。ところが、法人所得に対する法人税負担率、法人所得に対する法人税全体の負担ですが、四十年度の三二・六、これが五十五年度に四七・三になっていまして、一四・七ポイント上がっておるというのも数字の示す事実であるわけです。むしろ法人の負担率が高まっておるということがこの数字から出ます。 それからもう一つ、最初に申し上げました所得税のシェアの方が法人税のシェアより高まっておる、三・〇より九・七、伸び率の関係から来るわけですけれども、このバックにございますのは、基本的に法人所得の伸びより個人所得の伸び、税というよりも個人所得の伸びが高いということ、それからもう一つは、言うまでもなく所得税の累進構造から来るわけですが、この法人所得と個人所得の比較をやる必要があると思います、御指摘のマクロで見るという場合。国民所得は四十年度と五十五年度の間に七・三倍にふえておりますが、個人所得は八・二倍、法人所得は六・六倍。したがって、個人所得の方が所得自体として伸びが大きいですから、それが累進構造と加えてシェアの拡大になっておるということです。 さらに、もう少し加えさせてもらいますと、法人税の実効税率の比較は、御承知のとおり日本の場合五一・五五で諸外国と大体似ておる。税収に占める所得税と法人税のウエートでございますけれども、日本の場合、五十五年度で三八・一が所得税、法人税が三一・四ですが、所得税の方が三八・一というのは、大体国際的に見ますと税収中のウエートとしてはどちらかといえば低い方です。英国が四〇、西ドイツが四一・五、フランスは低いのですが、いずれにしろ英国、西ドイツより若干低いくらいの税収ウエート。ところが法人税のウエートはずば抜けて高いということで、三一・四と申しますのは、英国が八・〇、西ドイツ六・八、フランス一〇・三というふうな税収の構成比を持っておるということも、この所得税収と法人税収の割合という点では国際比較として指摘できる、こう考えます。
○伊藤(茂)委員 時間がないから、主税局長、改めて別の機会にでも、こういう場でなくとも一遍議論したいと思います。 主税局長がおっしゃったような数字の御説明は確かにあります。政府が言われているのも大体そういう方向でいままで説明されてきました。同時に、私は、もうちょっと違った視点、GNPの中における雇用所得の総額というものは確かに大きな伸びを示している。ところが、現実には実質賃金とか可処分所得とか、いろいろな統計が非常に厳しい状態に推移をしているという視点というものは、生活実感として当然考えなければならない視点ではないだろうかというふうに思いますし、それから企業剰余の問題にしても、じゃこういう数字が出てくる現在の試算の計算の仕方の問題なり仕組みの問題でもあるだろうと思います。 たとえば欠損会社が四七%とか、そういう実態というものを一体そのままとらえていいのかどうかということもあると思いますし、それから業界によって景気のいい悪いが非常にありますけれども、全体としての利益の伸び率というのも、まあオイルショックのときみたいなのもありますけれども、相当高い伸び率を示しているというのもあるわけであります。ですから、いまいつも言われているようなお話を伺いましたが、そういう別の視点からのことも研究して、ぜひまた議論させていただきたいというふうに思います。 時間がありませんので、自治省と建設省に来ていただいておりますので、そちらの方に質問をしたいと思います。 一つは固定資産税の問題でありますが、これは地方行政委員会とか自治省担当の方でいろいろな形での議論がなされたと思います。また地方財政の視点というものをベースに置きながら議論をされるということになるわけでありまして、私は、大蔵的視点から見ますといろいろな問題を感ずるわけであります。 たとえばのことになりますけれども、ことしは三年ごとの評価がえの年に当たる。五十七年、ことし一月一日の土地価格を参考にして、一挙に上がらぬように三年間の段階制というものを調整をしてやるというようなことになるわけでありますが、たとえば私のところの横浜なんかの場合には固定資産税の平均アップ率は二六から二八ぐらいになるだろう。神奈川県に秦野市というところがあります。ここでは聞いてみますと約四〇%。異常な状態ですね。土地の値上がり率が非常に高いのだろうと思いますが……。 私のところの横浜全体でも平均アップ率が二六ないし二八、それから県の中では四〇%のアップ率というふうな場所があるというわけでありまして、課説の傾斜方式をとりましても一〇%以上上がっていく。たとえば二六ないし二八%平均といたしますと、ことし一〇%、来年二一、そして再来年に二六か八かというようなことになります。それから四〇%なんというところでは一五、三二、四〇とか、急テンポで上げなければならぬということになるわけであります。 この間私のところに、ある退職者、これは恩給生活の方でありますが、長い手紙が来まして、金額がずうっと書いてありましたけれども、もうとてもじゃないけれども払えない。まあ昔から住んでいるという市街地の中のぽろんこ家なんですね。固定資産税を払うために、切り売りをするか全部売って引っ越すか何かしなければならぬ、もうこの年になってとてもかなわぬという話でありまして、実は私もずいぶん身につまされてその手紙を読んだわけであります。 それで、これらについてどう思われますか。幾つか申し上げますが、理論的に言えば、利益を生まない庶民の宅地、これが、一〇%、一五%ベースアップになることはいまむずかしいあれですから、とにかくそれよりもはるかに高い率で上がっていく。それは地価が高い。しかし、それは売る財産ではない。私は、理屈から言えば応能主義の憲法に違反するという理屈にもなるんじゃないかという気がいたします。少なくとも、こういうものは据え置きが当然ではないだろうかという気がいたします。また、特に首都圏でも中心部よりちょっと離れたその辺のところが急激に地価の上昇率が高い。そういう急激に地価が上昇するところの勤労庶民への対応というものがあっていいのじゃないだろうか。たとえばほかの税制と同じように免税点とか基礎控除制度とかいろいろあってもいいのじゃないかという気がいたします。これこそ地価上昇に対応する物価調整があってもいいのじゃないかと思います。 それからもう一つは、宅地並み課税の問題がいろいろございました。これについては時間がありませんから、是非は避けます。しかし、宅地並み課税で今度決まったものは、まあ自民党税調でもずいぶん苦労して、大臣、実力十分の方もずいぶん苦労したようですけれども、十年間売らないといいますか、十年間とにかく営農意思表示をすればということ、五年見直しというのはありますけれども。じゃ一体農民の側で、市街化の中の土地でそういうことならば、十年間いまの家に住んで引っ越さない、そういうのも同じように特例の課税にする。そうしなければ、同じ町の中の農家の土地所有と、農家の土地所有といったってへんぴなところじゃなくて、とにかくきれいに区画整理をしたところで、かっこうをつけて大根を植えているというようなのがあるわけですから、いま勤労者と農家と階級対立というわけじゃありませんけれども、非常に不公平じゃないだろうか、取り扱いとして、制度として不公平じゃないだろうかというふうな気がいたします。一応、商業地とか宅地というものの目的区分といいますか区分はあるわけでありますけれども、やはり利潤を生むために使っている土地の場合と勤労市民の場合の土地と、もっと明確な目的、利用区分があって、税制も考えるべきではないだろうか。 幾つか申し上げましたけれども、私はとにかく、さっきちょっと申し上げましたが、長い手紙をいただいて、本当にこれは大変だ、固定資産税を払うために自分の長年住んできたところを売らなくてはならぬというようなことにもつながってくるわけでありまして、特に地価急上昇地域、それから市街化の中の零細勤労市民の宅地にそういう配慮がなされるべきではないだろうか、地行や自治省などの関係もあると思いますが、特に私どもの方からは声を大にしてそれを言いたいというわけでありまして、お考えを伺いたい。
○湯浅説明員 固定資産税というものは、土地や家屋などの固定資産の所有者に対しまして、その資産の価額に応じて税負担を求めるという税でございます。この適正な資産価値を求めるために、土地あるいは家屋につきましては三年に一回ずつ評価がえを実施することになっているわけでございます。この評価がえの結果資産価値が増加するということになった場合に、当然のことながら、これに対応いたしまして税額が増加するということになるわけでございます。 しかしながら、ただいま御指摘のとおり、評価がえに伴いまして税負担の急激な増加があることも非常に問題がございますので、これを緩和するために、土地につきましては、今回御提案申し上げております地方税の改正におきまして、毎年度の税負担の増加を一定の範囲内にとどめるように負担調整措置を講ずることにしているわけでございまして、また、その負担調整の刻みにつきましても、前回の評価がえよりもこれを細かくいたしまして、税負担の増加の緩和にさらに配慮を加えているところでございます。 また家屋につきまして、在来分の家屋でございますが、この従来から建っております家屋につきましては、今回の評価がえに伴いまして前回の評価額を上回る場合には、原則として前回の評価額で据え置くという措置もとっているわけでございます。 また、先ほど御指摘の利益を生まない土地についてでございますが、住宅用地につきましては、二百平米以下のいわゆる小規模住宅用地につきましては価格の四分の一の課税をする、それから、そのほかの住宅用地につきましてはその価格の二分の一の課税をさせてもらうというような特例措置を現在講じておりますけれども、今回の評価がえに際しましても、この特例措置はそのまま存続をするというようなことを考えているわけでございます。 こういう措置によりまして、評価がえに伴います税負担の急激な増加をできるだけ緩和するように配慮をしているところでございます。
○伊藤(茂)委員 私が言っているのは、あなたが前提に言った、資産価値が値上がりして増加をする、税額も増加をする、緩和その他いろいろな努力はいたしますというわけなんですが、その前提の考え方のところをこういう現実に合わせて考えないといかぬじゃないだろうかというわけですね。 たとえば、これはちょっと特徴的な例になりますけれども、神奈川県の秦野で四〇%上がる。それで一五%、三二%、四〇%という刻みはどうなりますか、これからいろいろあれですが。たとえばそういうことで上がっていく。その場合に、一五%、三二%、四〇%払えるように収入がありますか。売ったときには入りますよ。売ったときに、その値段が上がったのなら、それに対応するように税金をいただくということはあると思うのですよ。住んでいるうちにその支払うあれは何にもないわけですからね。どうやって払いますか。どうやってその収入を確保しますか。 これは理論的に言えば、憲法問題からも理屈はいろいろあるんだけれども、地方財政の視点も考えて、少なくとも、いままでもそうだったかもしれぬけれども、特に今回の見直し、ことしの見直しについては、そういう特別な世帯にどうするのかということを検討する意味は非常にあるんじゃないだろうか、また検討しなければいけないんじゃないだろうか。それはあなた方が検討して、最終的に、できます、できません、あると思いますが、しかし、何か検討していろいろとまじめにやってみる。 大体、土地の値段が上がるのは、そこに住んでいる人たちのせいじゃないのですからね。これは、土地無策と言われる政府の責任なんだから。そういう視点がないと、さっき私のところの投書の例を申し上げましたが、あっちこっちそんな例が出てきますよ。とにかく値上がりによってぼろもうけをする人もいるだろうし、それで泣く人もいるということなんですから、そういう地域の諸問題についてぜひ前向きに検討していただきたい、検討すべきではないかと思いますが、一言だけその点について。
○湯浅説明員 固定資産税につきましては、ただいま私が申し上げましたとおり、市町村の税源といたしまして比較的広く税負担をしていただくというたてまえから、この税負担の額というものは、評価水準から申しましても、また税率からいたしましても、これは相当抑制した形で税負担をお願いしているというのが現実でございます。 さらに、この小規模住宅用地の問題でございますとか住宅用地につきましては特例措置を講じているということもございますし、また、上昇率が非常に高いところにつきましては負担調整措置も講ずるということで、できるだけ税負担の急激な増加がないような、そういう努力をしているものでございます。今後ともこの点につきましては努力は続けるわけでございますが、今回の改正におきましては、これによりまして何とか国民の御理解を賜りたいというふうに考えるわけでございます。
○伊藤(茂)委員 まあそんな議論をしてもしようがありませんが、そういう切実な声がたくさん上がっているわけでありますから、ひとつ強力に押しかけるようにしますから。 あと、建設省に来ていただいておりますから、一つだけ最後にお願いいたします。土地税制、宅地並み課税の取り扱いの問題、それから譲渡税の緩和の問題とあるわけでありますが、住宅政策と兼ね合ってさまざまな議論もあるところでありますけれども、時間がございませんから、一つだけ伺いたいと思います。 それは、今回の改正と土地の供給の見通しの問題、土地が供給されなければ百三十万戸建たないわけでありますから。これは実績の問題ですね。税制緩和で供給がふえたというのは、たしか昭和四十四年当時には効果があって、そういう数字があらわれたと思います。うちの方でも文句を言い言い、多数の力でこの譲渡税の緩和が何年か通ってきました。ところが、昨年度を見ても、私のとった数字では、供給はかえって減少しているという数字になっております。要するに、むちとあめと両面でやったけれども、むちの方もあめの方も、実績として見通しの効果はないんじゃないのかというふうに考えざるを得ないわけであります。 それは、たとえば宅地並み課税の方についても、業界の方からは、土地の供給拡大、その効果のためにというわけでありますが、現在納めている値段と土地の値段とをずっと計算をしてみますと、本当にこれはごくごくわずかですね。一〇〇持っていれば、〇・五ぐらい売れば税金の分はすぐカバーできるというふうな状態でありまして、実際には効果はないんじゃないだろうか。 要するに、時間がありませんから、理屈抜きで、一体この二、三年間の税制緩和措置でどれだけ増があったのか、それから、百三十万戸とも兼ね合って、今回の緩和によって確実にそういう動きは変わってくるというふうに考えているのか、どの程度そういう見通しなり試算を持っているのか。どうでしょう。
○黒川説明員 本年度の土地税制の改正につきましては、われわれの基本的な考え方としましては、昭和四十八、九年ごろの異常な土地投機をベースにしましてでき上がっております現在の土地税制が、現在のような安定的な経済成長下におきまして、土地の流動化について問題が生じてきているという前提でいろいろお願いしていたものでございまして、これにつきましては本年度の政府の提案によりまして抜本的な提案がなされております。 先生御指摘のとおり、五十四年あるいは五十五年においても優良住宅地について税制を緩和する、あるいはさらに一般のものにつきましても一部緩和をするという税制改正がなされたわけでございます。その過程におきまして、税制の効果そのものとしましては相当な効果が期待され、また効果があったと思っておりますけれども、いかんせん土地の流動の絶対量そのものと申しますと、やはり全体の経済の状況あるいはその当時におきますその後の地価上昇の見込み、そういったもろもろの社会的経済的諸要因によりまして影響を受けまして、その効果が若干減殺されて出てきているというところはあろうかと思います。 本年度の土地税制の改正でございますけれども、宅地並み課税につきましても、やはりその適正化を通じまして土地の持っている価値にふさわしい利用というものに転換していくということが期待されますし、それから譲渡税につきましても長期安定的な制度ができるということで、土地の流動化に大いに期待しているところでございます。
○伊藤(茂)委員 何を言っているのですか。私は、いままでのあれでどれだけ効果がありましたか、今度どれだけ見込めますか、数字を言ってくださいと言っているのに、これは何もないで出しているのですか。皆さんの法案の説明には書いてありますよ。宅地の供給をして、優良宅地がどうで、住宅百三十万戸建てるのだという話になっているわけでしょう。ぼくが調べてみたら、緩和したけれども、これはここ二、三年減っているのだ。何の意味があるのですか。数字で言えるのですか、言えないのですか。
○福田(幸)政府委員 かわりに答弁いたしますが、ここ三年ほどで面積も、長期、短期申しますと、長期が五十三年度七万五千ヘクタール、五十四年度ふえまして八万六千、それから五十五年度は減って七万六千、短期が五十三年度が一万一千、五十四年度が一万四千、五十五年度一万五千、これは面積の問題です。 それで課税額、譲渡価額で申しますと、五十五年度で十三兆円ございまして、長期が八兆二千、それから短期が四兆七千です。問題は、長期譲渡のところが八千万超のところを御承知の四分の三重課をやっていますので、八千万超のところでは譲渡所得が〇・一兆円しか出てこないという姿になるわけです。結局、そこから重課になるものですから、八千万以上にならないように売るとか切り売りするとか、そういうことで課税にならないようにしておるところがネックになっておったというのが数字であらわれております。 したがって、この四分の三重課を外しますと、考えられることは、そこの阻害要因が消えますので、そこがあらわれるという意味で譲渡はふえるでしょう。ただ、これを税収で見込むというのはわれわれ土地についてはやりませんので、幾らというふうに計算しておりません。しかし、ここが頭打ちになっておったのが数字に出ておりますので、ここを外せば、そこが切り売り的にはならないでまとまって出るということは、数字の経過から言えるようです。 それから譲渡の方は、これは重課税になっていますけれども、いろいろな特別控除で課税にならないような形で控除を受けておるようです。したがって、その辺全部にらみまして税制改正のポイントを置いたということで四分の三を外す。そこで、十年という問題で四十四年一月一日以降というのを十年で区切るということをあわせますと流動化が始まるというのが税制の面の緩和というか、そういう本則的な考え方になることによって阻害要因は消えるということが言えますので、それでふえるということは当然期待できる。ただ、どのくらいになるかは見込みにくいということですが、プラスになることは間違いない、こう考えております。
○伊藤(茂)委員 建設省は知らなくとも、さすがは大蔵省ですね。数字を並べましたが、もう時間が過ぎましたから、これで終わりたいと思いますが、言いたかったのは、大蔵省に要望したいのは、たとえば私なんかにしても田園都市線沿線に住んでおります。非常に名前はいいところだし、青葉台なんて非常にいいのですが、もう最近宅造で売り出している家も七千万、八千万、九千万台ですよ。みんな歩きながら、一体何様が住むんだろう、どんな人が買うのだろうかというような状態ですね。百三十万戸も結構だけれども、やはり何か異常に異常がたまっている。私は、そういう状態が続いたら、住む人全体の気持ちにまでひずみが出るような事態になるのじゃないだろうかという気も実はするわけであります。何か不動産協会のいろいろな要望があって、土地税制をどうする、あれがどうとか続いておりますけれども、やはり抜本的に土地住宅政策を考え直す。大蔵省の方も、いろいろと持ち込まれてそういうふうにいつも応接をしながら、こんな法律をちょこちょこ毎年出しているということをしないように、政策的展望のあるような対応を大蔵省がされますように要望いたしまして、時間を過ぎて恐縮でございました。 質問を終わります。
○森委員長 午後五時四十分に再開することとし、この際休憩いたします。 午後四時三十六分休憩 ————◇————— 午後五時四十分開議
○森委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。鳥居一雄君。
○鳥居委員 まず、土地税制と土地政策について伺いたいと思います。 これまでの土地税制を十数年見てみまして、ざっと猫の目税制の繰り返しで非常に評判の悪いところでありますが、これまでの譲渡税は、四十四年に緩和、四十七年後は二年刻みに小幅強化、五十一年には大幅の重課税方式に切りかえ、五十四年に再び一部緩和、こういう様子。これは税制がくるくる変わるということに対して、特に土地税制を考えましたときに、税制緩和は近いんだから土地の放出は待とう、こういう心理的な影響というのが、特にここのところ二年、三年の土地供給量の減少という形で出ているように私には思えてならないのです。 そこで、土地税制と土地政策、この関係につきまして、土地住宅問題の基本というのは土地住宅政策なのかあるいは土地住宅税制なのか、こういう基本的な問題でありますが、まず大臣のお考えを伺います。
○渡辺国務大臣 私は、両面あるんじゃないか。一つはやはり税制によって土地の供給をふやしたり、あるいはもう一つは物すごい地価値上がりを防ぐというような目的もございましょう。それから不公平是正、不公平の問題をなくするという点もございましょう。 いずれにいたしましても、五十一年のときは、重課税をやったときには狂乱物価の後を受けてやったわけでございまして、土地の値上がりは物すごい。それによって、凍結をしてでも地価値上がり、狂乱物価の一翼を抑えていこうというふうな考えが強く働きました。 今回は、要するにそれでは土地が動かない。現在住宅政策をやっても提供者がいないということでは、これまた住宅を建てろといっても建たないわけですから、したがって、これについては土地が流動するように、そのときの経済情勢に即応して直すということにしたわけでございます。 しかしながら、これはどこまでも長期安定的な土地税制を確立するということが大事なことでございまして、またもう少したったらもっと税率緩和になるんじゃないかというような考えがありますと、これはまた動かないということになります。したがって、むしろ今回は特定の宅地等については分離課税を認めるが、これは三年限りですよというようなことで年限を切って、その間に供給した人にだけ恩典を与えるというようなことをやったり、あるいは、買っても宅地として利用しないというものについては土地保有税で重課をしていくというように、めりはりのついた土地供給に役立つ税制に改正をしようとしておるものでございます。
○鳥居委員 昭和四十四年以降、土地問題解決の決め手として、需給のバランスの上から言って供給量をふやす必要があるだろう、そして供給量が、土地が出てくれば地価は安定するのだ、こういう考え方のもとに緩和策がとられた。ところが、供給量がふえても、吐き出されました土地につきましては企業が土地を押さえる、投機的な取引が非常に横行いたしまして、地価は安定するどころか、これが狂乱土地物価というのを生み出した。これが一期目の土地税制の反省、教訓であったと私は思うのです。 今回、昭和五十三年以降の次第に緩める政策をとることに転換いたしました。四十九年以降第二期と言われる時期を経まして、そして今回大幅な緩和策をとろうとしておられるが、一期のときの教訓をどういうふうに生かしていくのか。まず、狂乱土地物価を生み出してしまったところに反省がなければ、今回の税制の上から言っての土地政策転換ということについては一期目の二の舞をするのではないか、そういう心配が実は大いにあるだろうと思うのです。この点についてはどうでしょうか。
○木内説明員 お答え申し上げます。 先生の御指摘のように、四十四年当時の税制改正によりまして土地の流動量はかなりふえたわけでございますけれども、とかく企業、法人の方が買い占め等に走って不要不急の土地保有が多くなったということも事実かと思います。 そういった反省の上に立って今回考えるわけでございますけれども、四十四年当時と違いますのは、一つは、税制自体におきましては、四十四年は譲渡所得税の軽減のみでございまして、たとえば法人重課税とか特別土地保有税とか、そういった法人の方の対処措置があわせて講じられておらなかったわけでございますけれども、今回は法人の方の特別土地保有税あるいは法人重課税というような措置が一応講じられておりますので、税制の上でも違った点があるわけでございます。 〔委員長退席、粕谷委員長代理着席〕 そのほか、大きな違いとしましては、御承知のように国土利用計画法が制定されまして、国土法のもとで土地取引のチェックが厳重になされているわけでございます。こういったことはかつて四十四年当時には全然なかったことでございますので、今後とも国土法の土地取引チェック、規制の体系を厳格に実施することによりまして、こういった不要不急あるいは投機的取引のないような形で運用したい、そういうふうなもとにおきまして今回の譲渡所得税の軽減をさせていただきたいと考えているわけでございます。なお、軽減と申しましても本則に戻すわけでございまして、四十四年当時のように本則以上に軽減するという軽減ではないという点を申し添えておきたいと思うわけでございます。 それからもう一つは、四十四年当時以降のような、四十年代後半の過剰流動性というふうなものにつきましても、関係各省等にお願いしまして適切な抑制措置というものをお考え願っておるということも当時と違った情勢ではないかと考えているわけでございます。
○鳥居委員 私は、昭和四十三年七月に政府税調から出ました土地税制の出発点とも言うべき「土地税制のあり方についての答申」、この一節を取り上げざるを得ないのです。土地問題解決のためには土地税制に寄せられている期待は大きい、土地問題の深刻さが日を追って深まるにつれて、土地税制に対する期待もまた高まっていると思う。こういう前提で 当調査会は、土地税制について慎重に検討した結果、現実に実施可能な税制上の施策によつて、需給の不均衡の是正を図ることにはおのずから限界があることを認めざるをえず、土地政策全般において土地税制の果たしうる役割は、あくまでも補完的、誘導的なものにとどまることをこの際強調せざるをえないと考える。 さらに、税制と土地政策全般との斉合性についての配慮を十分に行なわないまま、土地税制のみが先行して何らかの措置を講ずるときは、かえって将来にわたる土地政策全般の遂行を阻害する結果となる。 こういう指摘をいたしております。つまり、土地税制に関しては、まず第一に税制が補完的であること、第二には総合的土地政策が必要であること、この二つの点が基本であるという指摘をしております。 ところで、この第一期の土地税制の反省、つまり狂乱土地物価を生み出してしまったという、その出発点に立たなければならないと思うのですけれども、その第一期の反省とも言うべき税調答申の税制のあり方についてつまみ食い的な税制をとった、このために土地成金を生み出してしまい土地の買い占めが非常に激しくなった、こういう反省が実はあるわけであります。今回の答申を見ましても、五十七年度土地税制改正に当たっての政府税調の答申を見ましても、総合的な土地政策のあくまでも補完的な役割りを土地税制というのはやっていくべきなんだ、それから総合的な土地政策の確立が大事なんだ、この二点の指摘を相変わらずやっているわけです。 伺いますが、五十七年度土地税制改正、緩和策と並行して、総合的な土地政策はどうとろうとされているのでしょうか。
○福田(幸)政府委員 いままでの経過と今回の改正の考え方をまず申し上げておきたいと思うのですが、委員いま御指摘のとおりに、まず四十四年から五十年の時期、これが第一期だと思います。 ここでは、四十三年十二月三十一日以前に取得したもので保有期間五年超、これを長期としまして、この分につきましては譲渡の時期に応じて比例税率で分離課税をするというのを、四十五、四十六年は譲渡の時期がその年であれば一〇%、四十七、四十八年であれば一五%、四十九、五十年であれば二〇%ということで高くなっていくという税率を分離で設けることによって土地の供給促進を図るということは、この答申にあります誘導的というところに着目したものであろうと思います。 一方、短期の方は、四十四年一月一日以降に取得したものにつきまして、御存じの重課が四〇%相当もしくは全額総合課税した場合の上積み税額の一一〇という、短期については重課をやっておるということで、投機の抑制についても着目したということであろうと思います。 この間、四十九年四月以降のところで見ますと、これは取得は四十四年一月一日でございますけれども、法人につきまして、これは課税の強化をいたしておるということが同時にあります。 したがって、この四十四年−五十年の第一期のところでは、この答申の中にございます「補完的、誘導的」ということ、もう少し詳しく申し上げますと、その補完的、誘導的を、土地の供給及び有効利用の促進という政策にする、及び需要の抑制ということ、及び開発利益の吸収の三側面で政策的にとらえておる。補完的でありながらも、そういう政策面にわりに傾斜があったということが、いまの長期の方の階段的な税率による供給促進、一方において投機を抑える、需要の抑制という面を、短期の重課ということ及び法人に対する重課、これでやっておるという意味では、補完的、誘導的と言いながら政策的観点が強かったというのが第一期であろうと思うのです。 第二期の五十一年−五十四年のところは、この間投機的な動きが非常に出てきたということを受けまして、長期のところにつきまして供給促進をやった税制の跡を見直しておりまして、ここで二千万までは二〇%ですが、二千万を超えるところで四分の三総合ということで、長期のところに非常に重い特別の税率をかけたというのが、この五十一年−五十四年期の第二期の特色であります。それ以外の短期及び法人課税は同じやり方を続けておるのですが、こういうことで、ここで反省に立って、長期に対する課税強化として四分の三という異例な課税を二千万超についてやったというのが第二期であります。 〔粕谷委員長代理退席、委員長着席〕 その後、それによって投機はだんだん抑制されたわけですが、五十五年以降のところで見ますと、これは四十三年十二月三十一日以前に取得したものという点は同じですが、その長期につきまして二〇%を四千万までに広げ、一方、四千万から八千万の間は二分の一総合というのが中に入りまして、この二分の一総合というのは四十四年までのところの基本的な考え方であるわけですが、そういう基本的なものを真ん中に置きながらも、なお投機に対する懸念といいますか抑えるという政策を、八千万超のところは四分の三ということで残しておいたという形で現在に至ったわけです。 今回の改正は、むしろ税制自体は四十七年の答申にあります補完的に考えるべきで、税制はむしろ中立的になって本来の土地政策、住宅政策を展開すべきである、税が補完的とは言いながら余り誘導的に介入し過ぎてはいけないのじゃないかということ、及び長期安定的な税制にしないことには、言われるように目の色が変わるようにまたくるくると変わっては、思惑で土地が動かない問題も出てきます。したがってこの際、むしろこの四分の三というのがあることが土地供給を阻害している面があらわれてきた。投機を抑えているという問題よりも、投機はおさまったのですが、むしろこの四分の三が阻害要因になって、先ほども御説明しましたが、八千万超のところでは土地が出てこないという弊害がある。また一方、そういう変転が余りにもいろいろありますと、さらにこれが変わるのじゃないかという思惑が出ますので、この際、長期安定税制にするということでこの四分の三を外しまして、四千万超はすべて二分の一総合という基本的な姿にして長期安定的な形にする方が、税制としても中立的になるし、その安定税制のもとで土地が動く。今後はこの基本的な姿を前提に考え、政策的なものは後に引っ込み、本来の政策は土地、住宅それ自体として展開すべきであり、税の方は中立的というか本来の姿に戻る方が望ましいという判断で、先ほど大臣申し上げたような四分の三の廃止等の改正があったということでございます。一方において、補完的な面では優良宅地とか市街化区域の課税、これは本来の問題も含まれておりましょう。 それからもう一つは、こういう緩和によって土地が出ますので、土地の問題というのは住宅が建つということが前提でございますので、土地を取得しまして二年以内に建たなければ、それ以降は特別土地保有税、これはいままで投機の抑制のために広い面積を買った場合に課税しておったわけですが、これは自治省の問題でございますけれども、東京に例をとりますと、東京都の特別区でございましたら二千平米を三百平米というところまで基準を落として、土地を買っても家が建たない場合には特別土地保有税という保有課税によって住宅建設を促進する。これはやはりその間、補完的ではありますが、その政策がその辺で総合的に考えるという意味で入っていますから、有効的といいますか、土地政策を住宅ということでちゃんとそこを締めるということをやりますけれども、基本的には、税制はこの際原則的な長期安定税制に戻すということが基本であるということで、従来の経過の上に立って、現時点においてはそういうふうな安定税制にしたということで御理解願いたいと思います。
○鳥居委員 国税当局はやはり補完的な役割りとして土地税制を考えている。 国土庁としては一体どうなんですか。総合的な土地政策というものの確立、これはいまだに政府税調では言わなければならないし、現にこれから例示をし御説明を求める幾つかの施策につきましては、もう全く制度、法律そのものが生きていない、こう思えてならないのですが、あくまでも土地税制を補完する位置づけとして総合対策を進める、こういうお考えをお持ちなんでしょうか。
○木内説明員 お答え申し上げます。 土地税制は、総合的な土地政策というふうなものと対比してみますと、補完的と申しましょうか、全体ではございませんで、一部を有機的に構成すべきものだと考えております。ただ、補完的という用語がよろしいのかどうかという問題につきましては、土地税制がすべての政策ではございませんけれども、土地政策の中でかなり有力と申しますか強力な手段ではあるというふうに私は考えるわけでございます。 しかしながら、すべて土地税制で処していこうというふうなことではございませんで、総合的な土地政策としましては、国土庁としましてはまず大きく分けて二つの方向を考えているわけでございます。 第一は、あくまでも投機的な土地取引の抑制策というふうなものが必要ではないかと考えております。その投機的土地取引の抑制策としましては、国土利用計画法の的確な運用、それから不要不急の土地取引に対する融資の抑制、それから税制の活用、これは特に法人重課税、譲渡所得税の短期の問題、特別土地保有税、そういうものの活用がございます。 それから第二としまして、宅地供給の促進策というふうなものが必要ではないかと考えております。宅地供給の促進策といたしましては、まず第一に、農住組合制度等の活用によりまして市街化区域内の農地の宅地化を促進すること、これが重要だと考えております。農住組合制度のほかに、たとえば借地方式による宅地の開発につきまして今年度から新たに公庫融資ができたというふうなこと、それから段階的な土地区画整理事業という制度を導入したというふうなことも今年度から新たにしようと考えているところでございます。 それから二つ目は、都市計画におけるいわゆる線引きの見直し、市街化区域、調整区域の見直し、これによって開発適地を弾力的にふやしていくということが必要だ、あわせて調整区域における開発許可の運用も検討をする必要があるというふうに考えております。 それから第三は、住宅関連公共公益施設の整備でございまして、これにつきましては、来年度は事業対象の区域の拡大等を図ろうと考えておるわけでございます。そのほか、遊休土地の活用、たとえば区画整理済み地の活用等につきましても都市計画審議会に建設省から諮問がなされたようでございます。それから既成市街地につきましては、木造の賃貸住宅の建てかえの促進あるいは再開発の促進ということもあわせて必要だと考えております。それとあわせまして、宅地供給促進の見地から、譲渡所得税、宅地並み課税というふうなものも今回お願いしているというふうに考えておるわけでございます。
○鳥居委員 それでは具体的に建設省に伺いますが、建設省のこれまで進めてこられました事業がありますが、新住宅市街地の開発を行う事業、これが昭和四十七年から始まっております。新都市基盤整備法に基づく事業、これはその後実績はどうなんでしょうか。昭和四十四年以降の供給量がふえるだろう、土地が出てきたらその受け皿として新しい政策を確立しなければならない、こういうことで始まった一つの施策がこれでありますし、また同時に、「日本の都市」という資料の中で、新都市基盤整備事業については四十九年度末現在いまだに実施に移されていない、この手法によれば土地所有者にも開発利益を配分することができるし、また母都市からある程度独立した新都市の建設も可能である、こうしておりますけれども、今後この新都市建設の計画をお持ちになる考えがあるのかないのか、これまでのところの実績はありません。 それから、昭和三十八年以降の新住宅市街地開発法、これに基づいて行われました事業個所、面積、建設戸数はこれまでざっと幾らになっておるか、お示しいただきたいと思います。
○市川説明員 お答えいたします。 いま御指摘ございました新都市基盤整備法につきましては、昭和四十七年の六月に制定されたものでございますが、現時点におきましても、この法律に基づきます事業手法を用いて宅地開発を行った例はございません。 その理由につきましては、実はこの新都市基盤整備法に基づきます事業につきましては、その事業規模につきまして全体で五万人以上の計画人口になることという条件がついてございます。最近の団地開発におきましては、計画人口密度はヘクタール当たり大体百人でございまして、五万人以上と申しますと、それは約五百ヘクタール以上の大規模事業になります。 したがいまして、基本的に、まず大都市周辺ではそもそも確保することが容易ではない規模でございますが、実はこの四十七年法制定後ころから、地方公共団体におきましていわゆる開発抑制傾向がきわめて強まりました。法施行後、実際に同じような規模で事業が認可され行われましたのは、宅地開発公団が茨城県の龍ケ崎で行いました龍ケ崎ニュータウンを初め四カ所ございますが、それらもすべて実は四十四年ぐらいから用地の先行買収に入ったものばかりでございまして、したがいまして、実質的に昭和四十七年以降こういう規模の新しい事業の新規着手はまだ一つもないということで、結果的に新都市基盤整備事業の実績がゼロになっておるということになります。
○鳥居委員 あめとむちの原理でありますけれども、今回、特定市街地内の農地、A農地、B農地の宅地並み課税につきましては、営農の意思十年、五年ごとの見直しをやる、実はこういう改定をしようとしているわけでありますが、事実上五年で徴税猶予、そして免除をしていこう。この徴税猶予という制度が宅地並み課税を骨抜きにしてしまっているし、効果という点では全く期待できない、こう思うのでありますが、線引き後これまでの十年を上回るこの期間の中で、三大都市圏に限りましてA農地、B農地の宅地化進捗率、これはどうなっているでしょうか。
○湯浅説明員 このたび、長期安定的な土地税制の改正の一環といたしまして、市街化区域農地の課税の問題につきましても一定の改正を加えることにいたしております。 御指摘のとおり、従前、A、B農地しか対象になりませんでしたものを、今回は一定のC農地にまで拡大をするということと同時に、長期に営農を継続している方々に対しましては、従来は、三年間営農を継続しようという意思のある方々について一年ずつ、その農地課税相当額を上回る額を減額をしていたわけでございますけれども、今回、それを十年以上営農を継続することが適当であるということを認められるものについてだけ五年ごとに徴収猶予していくということで、これは私どもにとりましてはかなり課税の強化になっておるというふうに考えているわけでございます。 そこで、お尋ねの、いままでのA、B農地の状況でございますが、昭和四十八年度にいわゆる宅地並み課税の一部が始まったわけでございますが、このときから昭和五十六年までの間におきまして、A農地におきまして四四・九%の減少、それからB農地につきましては三八・九%の減少という形で、かなり三大都市圏の特定市におきますA農地、B農地は減少いたしております。これは結果的には宅地化されたものだというふうに私は理解をしているものでございます。
○鳥居委員 そこで、総合的な土地政策、これはもう税制そのものが補完的、誘導的な役割りでありますから、政府におきましては八省庁の土地問題に関する連絡協議も行われる、こういう状況の中で、ともかく第一期の税制、これの厳重な反省に立って、たとえば狂乱土地物価が起こる心配、あるいは土地は出てきたけれども特定の人に買い占めをされてしまう、こういうことがないような保証は目下のところないわけでありますから、一期のときと全く同じような緩和策がとられようとしておるわけでありますから、総合的な土地政策の確立、それから国土利用法に基づきまして伝家の宝刀も条件を整えて抜く、こういう状況整備をした上で土地問題の解決に当たらなければならない、私はこう思いますが、この問題に関して最後に大臣の御意見を伺います。
○福田(幸)政府委員 土地政策、先ほども申し上げましたように、税制といたしましては、本来といいますか長期安定税制にするというのを基本的に考えたということは、現在の環境、土地の状況を踏まえたわけではありますが、基本的には税というのは誘導的な面に余り力を入れるべきでない、本来の土地政策、住宅政策そのものに専念すべきであって、税の方は税自体としての立場を長期安定的に確立することが正しいということを考えたわけでありまして、それはやはり現在の経済環境、土地の状況が投機を呼ぶ状況にはない、むしろ税制が阻害要因になって土地が動かない面があれば、これを本来の姿に返すということを主眼にしたものであります。 したがって、本来の姿に戻したことによって投機を呼ぶという経済環境にはないと考えますし、さらに特別土地保有税とかいうことで家が建つというようなことを地方税と一緒に考えていますので、その辺は土地、住宅政策に合う。しかし、やはりこれは補完に徹して、本来は税としては誘導的なことをやるべきでないというむしろ反省に立っておるわけであります。
○渡辺国務大臣 いま主税局長が答弁したとおりでございます。しかし、もっとめりはりのついたことをやったらいいじゃないかという御質問でもあります。 しかしながら、税制だけで土地が自由になるものでもございません。もっと根本は、線引きの見直しとか、やるべきことがもっとあるのではないかという考えも私は持っております。宅地並み課税をもっと強化しろ、私はこれは大賛成なんだ。しかしながら、議員の中には与野党を問わず賛成の人もありますが、党となるとなかなかまとまりがつかないというのも現実の姿でありまして、そういうようなことで、現在のいろいろな条件を考えて今国会で法案を通して役立てようというような限られた中でございますから、私は、そういう条件の中ではかなり前進した、こういうことで御了承を願いたいと存じます。
○鳥居委員 時間の都合もあるものですから、次の質問に移りますが、今月の十七日に国税庁がある実態調査の結果を発表いたしましたね。 昨年の衆議院の大蔵委員会におきまして、国税庁は、クロヨンの実態、不公平税制、税の執行面における不公平の存在について調査をいたします、こういうことで、調査に対する期待というものは非常に大きなものがありますし、発表したといいますから、どういう内容の発表で、ことによると、このクロヨンの実態を明らかにするような調査の結果か、こういう期待でこれを見たわけですが、これはもうとんでもない調査結果だと思うのですね。調査そのものが委員会での約束とは全く違う、すりかえと言って間違いないと思います。新聞の論調を見ましても、そんなにひどい不公平は存在しないという結果の発表に終わっている、こういう評価です。 一体、執行面における税の不公平がある、こういう指摘がなされてまいりましたけれども、真っ正面から取り組んで調査をする考えがあるのですか、この調査をもってそれにかえるのでしょうか、まず伺いたいと思います。
○小山(昭)政府委員 お答えいたします。 私ども、このたびいたしました税の執行に関する実態調査の趣旨でございますが、これは税の執行の公正さに関しましていろいろと御議論のあるところでございますが、私ども考えまするに、その内容はおおむね三つあるのではないか。 その一つは、本来納税すべき者が十分把握されていないのではないか。つまり納税者の把握は完全に行われているのかどうかということが一点でございます。それからもう一点は、納税をしている方について、その申告なりあるいは源泉徴収されている方ももちろん給与所得者についてはいらっしゃるわけですが、その所得の把握は十分に行われているのかどうかというのが第二点。それから第三点といたしましては、いわゆる世帯主の所得というものとその世帯の暮らし向きとの間にどうもギャップがあるのではないか、その辺はどういうことなんだろうか。言うならば、この三つの問題が国民の皆様の間で疑問点として出てきているのではないか、このように考えたわけでございます。 ところで、今回私どもがいたしました調査は、そのうちの一番目の、納税者の把握は十分にできているのかどうか、本来税を納める方で無申告の方はいらっしゃらないのかどうかという点が一つと、それから三番目の、世帯主の所得と世帯の暮らし向きとの間にギャップがあるのかどうか、あるとすればどういうことなのかという点、この二点について調査いたしたものでございます。 そこで、先生お尋ねの点は、二番目の、現実に税を納めている方について、その納めておられる税が果たして的確かどうか、所得の把握の実態はどうか、この辺の調査が今回の調査では必ずしも明らかになっていないのではないか、こういう御指摘であろうかと思います。 この点につきましては、実は私ども、従来から税務調査に際しまして、これは決してランダムな調査ではないのでございますけれども、対象を選定いたしまして、実地調査をいたしておりまして、実調率は四%台というふうに低うございますが、件数にいたしましたらこれは十四万件を超えている相当大きな数でございまして、この十四万件を超えている実地調査の結果、どの程度の所得の把握漏れがあるかというようなことが、たとえば営庶業者についてわれわれの調査を通じて実態としてわかっております。 その数字を申し上げますならば、おおむね二五%前後というのが毎年の実情でございます。これは、いま申し上げましたように資料がある、あるいは横並びで見て明らかに所得が低いのではないか、申告が低いのではないかと思われるような方を選んで調査いたしておるわけでございますから、平均的な営庶事業者の所得の把握漏れがそれだけあるというふうに考えるわけにはとてもいかないのでございまして、それよりは実態ははるかに高い把握率にあるというふうに思われますが、一応そういう数字があるということでもって、今回は全く目安のない点、その二点にしぼって調査をいたした、こういうことでございます。
○鳥居委員 そうすると、昨年委員会において約束をした所得の捕捉率、これの実態を調査するんだというその調査というのは、これからやるのですね。やるのか、やらないのか。
○小山(昭)政府委員 ただいまお答えいたしましたように、私どもといたしましては、現在の税務調査の実態を踏まえまして、一応私どもなりに、所得の捕捉率といいますか、そういうものについて、実感を持っております。また、そのほかにも実は業種別の税の……(鳥居委員「やるのか、やらないのか聞いているのですよ」と呼ぶ)そういう私どもが現在持っております諸資料にかんがみまして、それでもって対応できるのではないかというふうに考えておりますので、現時点で無作為抽出の方法で事業所得なら事業所得に限って実態調査をするというようなことを現在計画はいたしておりません。
○鳥居委員 それでは昨年の委員会答弁と違うと思いますよ。この所得の捕捉率についていわゆるトーゴーサン、クロヨンと言われるような実態があると言われている、これについて調査をしますという答弁じゃないですか。これからやる以外にないでしょう、いまの調査が違うのだから。 私の手元にある、これは五十五年の課税額のあった納税者、実調率一〇%という中で、給与所得者については八二・九%、事業所御者については三七・六%、農業所得者については九・八%が課税額のあった人たちですね。これから見ますと、サラリーマンのほとんどが税金を納めている。それに対しまして事業所得者というのは三七%しか納税をしてないという実態、これも一つのデータだろうと思います。 国税庁による五十四年度分申告納税者の実地調査の結果、これによりますと、調査した十四万五千件のうちの九二・八%、これが申告漏れがあった数字です。申告額の二五・五%に相当する二千百億円の巨額に上っております。 また総理府の世論調査の二月十七日の発表分、これによりましても、サラリーマン、自営業者、農民、この三者間に納税割合の差があると思うかという問いに対しまして、意識調査でありますが、サラリーマン五人のうちの四人までが、差がある、こういう回答をしているのが実態です。 この今回の国税庁の調査で、そんなにひどい不公平は存在していないのだなどという結論が出てくるような調査、もう全く無意味でありますし、調査を約束したそれと違うじゃないですか。これはすりかえですよ。この点について厳重に指摘し、この所得の捕捉率、これの実態調査を要求したいと思うのです。大臣、いかがですか。
○渡辺国務大臣 私は、かねてからクロヨン論議というのには実は疑念を持っておったのです。どうしてかというと、九、六、四の四というのは農家だ、農家の人は四割しか税金を納めないで、あとは脱税しているみたいな印象なんですが、そういうことはあり得ない。私も農村に住んでおりますから、よくわかるのです。 日本の農業というのは、御承知のとおり非常に零細で、一ヘクタールぐらいしか持っていない。まして米などというのは、つくってみたって十俵だ。十俵といったら百七十万円です。百七十万円で、必要経費がかかりますから所得が百万円というようなことで、それでは食っていけない。食っていけないから出稼ぎに行って、結局給与所得者になってしまっているというのが実情です。あるいは、いい屋敷を持っている。これは娘や悪子と大世帯で住んでいますから、百万ぐらいの農家の所得で何で自動車を持っているのだ、いい家に入っているじゃないかというように思われますが、これは息子の自動車であったり、あるいはどこか土地なんかたまたま売ったときに自動車を買う、土地を売って家を建てかえる。農家の所得で家を建てかえる人なんかはめったにない。非常に少ないです。大体財産処分というのが実態でございます。 昔、クロヨンという言葉があった時代があります。その時代は供出時代であって、いわゆるやみ米というものが供出価格の何倍もする。したがって、十俵供出するよりも二俵やみで売った方がよけいな金が入る、それが全然所得から抜けたという時代がかつてありました。しかし、いまはそういう状況じゃないから、まず農村については、それでは農業所得と給与所得と合算しているかどうか、そこまでは私はわかりませんが、私は四ということはあり得ないのではないか、そう思っております。 世帯員の所得はあるけれども、世帯主の所得が低いのだ。じいちゃん、ばあちゃん農業というように一口に言われますが、そういうようなことで、私は農業の取りこぼしというものは全然ないとは申しません。野菜農家とかあるいは果樹とか花をつくるとか、えらく金額の張るようなところにはあるいはあるかもしらぬが、一般の耕種農業ではそういうものは余りない。 それから中小企業の場合は、大体ちょっともうかるとみんな法人にしてしまっているわけですよ。この辺を歩いてごらんなさい、ほとんど皆法人ですから。料理屋に行っても八百屋に行っても、どこに行っても皆社長なんだな。社長であって、奥さんが専務でというようなことで、これは給与所得者になってしまっている。百万か二百万ぐらいしかないような零細な人だけが白色申告とか、あるいは青色なんかもしないでしょう。中には青色している人でも、二千万、三千万というような人はほとんど法人化しているのが実態だと私は思っております。しかし、中に脱税がないということはあり得ないので、やはりかなりの人も中にはあるかもわからぬ。 この調査は、サンプルではなくて、じゅうたん爆撃をやったのです。ある一定の地域を決めて、軒並みじゅうたん爆撃で九千件もやったわけです、各県の税務署を単位にして。ですから、私はかなり、実態があらわれているのではないか。 むしろわからない点があるとすれば、東京なんかでやっておっても、何で暮らしているかわからないような人がときどきいるかもしれない。マンションでも洗ってみろ、高級マンションで一人で入っていて、きれいなかっこうをして、どこからそういう所得があるのか、スポンサーが何なのか、むしろそういうところから意外な脱税口なんか見つかるかもしらぬから、そういうようなことは検討に値するということは私は言っております。しかし、この調査というのは、私は大体実態をあらわしているのではないかという気がいたします。
○鳥居委員 いや私は、国税庁が昨年委員会におきまして、所得の捕捉率について実態調査をします、こう会議録に載っかっているはずなんですけれども、この調査について、今回発表された調査がそれではない、こういう指摘をしているのです。現に答弁の中でも、その第二に当たるものであって今度の調査から漏れている、こう言われているのですから、調査を期待していいのだろうと思っているのです。 いま大臣の御答弁の中には、調査をするという明確なお答えがなくて非常に残念なのでありますが、調査の点については国税庁の方から御答弁いただくとして、最近の法人税の実調率を見てみますと、三十九事務年度に三〇%を割りまして、四十八事務年度に一〇%を割って以来、その後多少上昇はしていますけれども、五十五事務年度で見ますと一〇%にすぎない、こういう状況です。法人税について過少申告なんか具体的に指摘する作業が進んできたわけでありますけれども、この実調率は、質、量、実際の調査、これはきわめて大事な税務職員の皆さんの活動だと私は思うのです。一〇%といいますと、大体全法人平均しまして単純計算で十年に一度調査、こういうことになりますね。十年に一度の調査といいますと課税時効に入ってしまうわけです。 それからまた、五十四事務年度、五十五事務年度、一〇%と二けた台を維持しているわけですけれども、一方におきまして、ここ法人数も伸びている。そういう状況の中で、質と量の充実を図るためにどういう対応策をとってこられたのでしょうか。
○吉田(哲)政府委員 ただいま御指摘のように、法人税事務につきましても課税対象が非常にふえまして、それに対しまして担当職員の数が見合って伸びてないというような関係で、実調率につきましては、ほうっておきますと趨勢的に低下の傾向にあるわけでございます。したがいまして、私どもは極力内部事務を圧縮し、あるいは事務の合理化を図りまして、極力外部調査事務に充てる。また一件当たりの調査日数等につきましても、いろいろ調査体系の多様化を図りまして、それによりまして現在ようやく一〇%程度を維持しているわけであります。 ただ、一口に一〇%と申しましても、実は法人の半数近くは赤字でございます。黒字と赤字とを比べてみますと、黒字法人の場合には一〇%よりは相当高い実調率になっているわけであります。また法人の規模によりましても、いろいろ実調率の差をつけております。資本金一億円以上のいわゆる調査課所管法人でございますと、現在でも二〇%を超える実調率を維持しているわけであります。 そうは申しましても、事務上いろいろ逼迫があるのも事実でございます。税務の質、量を維持するためにいろいろ工夫しておりますが、現在私どもが一番重点を置いておりますのは、法人の質的管理区分というようなことをやりまして、法人につきましても、いわゆる優良法人であるとか準優良法人であるとか、あるいは常時目をつけなければいけない法人であるとか、いろいろ区分をいたしまして、それに応じて指導なり調査なりをやっていく、こういったようなことで課税の的確を期しておる、こういう状況でございます。
○鳥居委員 それで、最近の実際の調査を見てみますと、国内における法人の事業活動というのが非常に広域化している。あるいは外国との間の海外取引が多くなっている。あるいはオフィスコンピューター等が導入されまして、技術上も大変な税務調査になる。こういう実態の中で、法人数がふえ、非常に大変な状況の中でこれだけの実調率を確保しているわけですから、職員の皆さんにもかなり過重な負担がかかっているだろうと思うのですね。 ところで、短期実額調査というのがありますが、その年度別件数、これはどうなっておりますでしょうか。これはつまり実調率を上げるために、一日しか調査しないものを実調率の中に加えているという、そういう短期実額調査なんです。この実態はどうなっておりますでしょうか。その中で実調率の中に入っている件数、これはどうですか。
○吉田(哲)政府委員 御指摘のように、現在、所得税の事後調査体系の中には、近年短期実額調査というものを入れてまいりまして、これにつきましてはいわゆるポイントをしぼった調査を行うということで、おおむね一件当たり二日程度の調査をやっているわけであります。 そこで、最近の件数でございますけれども、全体の事後調査十四万六千件のうち、短期実額調査が約五万六千件ということで、かなりのウエートを占めるに至っております。
○鳥居委員 資料要求したいのですが、国税局別にこの数字はいただけますか。イエスかノーかだけで結構です。
○吉田(哲)政府委員 局別の数字は現在把握しておりません。
○鳥居委員 それで、今度個人の申告所得税につきましてどういう調査が行われているか、これを見てみました。 最近の確定申告書の提出件数、調査件数、これを見てみますと、五十一年の調査結果七百三十三万件、調査件数が八万八千件、つまり実調率は一・二%です。給与所得者、これはもう明確ですから、これを除いて大体三%から四%、大づかみでこう言える実態がこの個人の申告についての実調率ですね。四%といいますと二十五年に一回です。こういう二十五年に一回なんという調査がクロヨンを生み出している背景だ、こういうことが私は言えるだろうと思うのです。起こるべくしてクロヨンというのは起こっている。総理府の意識調査の中で五人のうちの四人があるのだと答えている。そういう背景はちゃんとやはりあるわけです。実調率、質と量、これを向上させること以外に不公平感の払拭、本当の意味の執行上の公正を図っていくということはないと私は思うのです。どんな調査も、この実際の実地調査、これの質と量を充実させる、これ以外にないだろうと思うのです。 そこで、人の問題ということが毎年のように議論されてまいりました。衆参大蔵委員会におきまして、税務職員の増加、処遇改善、この附帯決議が延々と七回にわたりましてなされてまいりました。もうほとんどここのところ実質定員の増加がないというのが現状です。今度の総理府の世論調査によりますと、「正しい申告のための対策について」問い「税務職員をふやして申告書のチェックや税の調査を厳しくする」これについて六割の人がそうすべきだとしています。不公平感の原因がここにあるのだという指摘を実はやっております。ですから、この職員の皆さんの特殊な年齢構成、これも昨年指摘したとおりでありますが、大蔵省、行管は増員について真剣に取り組むべきだと私は思うのです。 この問題についてひとつ伺いたいと思うのです。ことし多少の増員がありましたが、去年はプラス・マイナス・ゼロ、おととしがマイナス九、こういう状況です。これはもう大変なことになってしまうと私は思うのです。これはだれが答弁するのですか。まず大臣の御努力を伺って、行管当局の御意見も伺いたいと思います。
○小山(昭)政府委員 ただいま先生から、実調率を高めるためには国税の職員の一層の増加が必要なのではないか、ことしの増員は一応の増員があったけれども不十分なのではないかという御趣旨の御質問がございました。その点について国税当局としての考え方を申し上げさせていただきます。 確かに、最近におきます課税対象の非常な増加であるとか、あるいは取引が一層複雑、繁雑化してきておるというような実情のもとで、税の執行の公正を確保するために第一線の職員は懸命に努力しておるわけでございますが、それにもおのずから限界がございまして、私どもとしても毎年増員をお願いいたしておるところでございます。 その結果といたしまして、ことし二十七名の純増、これは定員削減が四百九十八名ございましたので、五百二十五名の増員をお認めいただいたわけでございますが、その数字が十分満足なものかどうかという点につきましては、いろいろな見方、受けとめ方があろうかと思いますが、全体で千四百名を超えるこの厳しい純減が行われた中でそれだけの増員をいただいたことは、私どもとしてはそれなりにありがたい御配慮をいただいておるものと受けとめまして、その限られた人員の中で五十七年度は全力を挙げて努力してまいりたい、こう思っております。 さらにまた、調査の対象の選定を一層適確に行うとか、納税者自身の納税水準の向上を図るようなさまざまな施策を進めていくとか、地方税当局その他外部の団体の協力をお願いしていくとか、職員の研修そのほかの充実を図るとか、さまざまな施策もあわせて行ってまいりますが、それでもなお不足する数につきましては、やはり来年以降も増員のお願いを続けてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○鳥居委員 行管がネックでしょう。行管ひとつ。
○神澤説明員 お答えいたします。 課税対象の増加、それから調査の複雑化等いろいろありますし、一方、いま先生御指摘のように、税負担の公平の確保という見地から、もっとしっかりやるべきではないかという声がいま高まっております。 これは、臨調においての第一次答申におきましても、税制面、執行面の充実を図れという御指摘をいただいております。ただ一方、同時に臨時行政調査会は、定員につきましてももっと縮減を図れ、定員削減を強化しろ、一部には、定員削減はネットで厳守すべきだ、こういう強硬な御意見もございます。 私どもといたしましては、税務行政の重要性につきましては重々配慮いたしておりまして、厳しい定員事情の中で、毎年四百人ないし五百人の増員を図ってきておるところでございます。そういうことでございまして、今後ともこういう税務行政の充実についてはできる限りの配慮をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○鳥居委員 それで国税庁、宿題の調査です。これは別にむずかしい問題じゃないと思うのです。調査するのは国税庁ですし、大臣に調査しますかと言ってもちょっとおかしな話で、国税庁が調査する話ですから。今回の調査が去年約束した調査と違うのだ、こういうふうに答弁されたでしょう。それじゃ、これから期待していいのですねという質問なんですから。
○小山(昭)政府委員 重ねてお答えいたしますが、先ほどちょっと御答弁いたしかけて十分申し上げなかった点がございますが、私ども、税務の実地調査、これを十四万件余りいたしておりますということを申し上げました。また、それについての所得の漏れの割合を把握しておりますということも申し上げましたが、そのほかに実は業種別に、税務の執行をしていく上で参考にいたしますために、それぞれの業種の経営実等態を把握するために、無作為で抽出した調査というものを現に行っておりますし、これまでその結果について公表等いたしておりませんが、そういうものも実はございます。 したがいまして、そういうものを踏まえまして全部を見た上で、私どもとして、重ねてそういう調査が必要であるかどうか、こういうことを判断させていただきたい。その結果、先ほど申し上げましたように、私どもとしては一応現状ではそういう計画を持っておりませんということを申し上げたわけでございます。御了承いただきたいと思います。
○鳥居委員 何かもうまるで、一年経過していて、この一年の間にその調査がそれに当たるかどうかもいまだに結論が出ていないというのもおかしな話だと私は思うのですがね。実にはっきりしない話です。何か言うことありますか。
○小山(昭)政府委員 先ほどの私の答弁の説明が不十分だったかと思うのでございますが、私は今回の調査の内容について最初から申し上げましたが、調査の性格といたしましては、昨年の国会におきまして御要求をいただき、私どもが税の不公平感というものに対してこれを何らかの形で明らかにしていくべく実地の調査をいたしたいということを御答弁いたしておるわけでございますが、その調査が今回の調査であるということを申し添えさせていただきたいと思います。
○鳥居委員 そればわかるのですよ。不公平感を調査するということと違うのですよ。所得の捕捉率について不公平があるぞという指摘に対して、国税庁はないと言うのでしょう。だから、それに対して、あるかないかの調査をしますという約束をしたのが去年の約束なんですよ。そうでしょう。これはもうしようがないですよ。去年の会議録をもう一度参照してください。きょうはもうここまでです。留保します。 以上で終わります。
○森委員長 次回は、明二十四日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時四十八分散会 ————◇—————