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96回国会衆議院1982/01/30

大蔵委員会 第2号

発言数
76
登壇者
11
会派数
6
開催日
1982/01/30

会議録

森喜朗自由民主党

○森委員長 これより会議を開きます。  理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。  先般、理事でありました保岡興治君及び竹本孫一君が委員を辞任されましたので、理事が二名欠員になっております。その補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森喜朗自由民主党

○森委員長 御異議なしと認めます。よって       中西 啓介君 及び 和田 耕作君 を理事に指名いたします。      ————◇—————

森喜朗自由民主党

○森委員長 次に、国の会計、税制及び金融に関する件について調査を進めます。  この際、渡辺大蔵大臣より、財政金融の基本施策について所信の説明を求めます。渡辺大蔵大臣。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 今後における財政金融政策につきましては、先般の財政演説において申し述べたところでありますが、本委員会において重ねて所信の一端を申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願いする次第であります。  現在、欧米先進国の多くは、依然として二けたのインフレとそれに近い大量の失業に苦しむなど、経済面できわめて困難な事態に直面しております。特に、失業の増大は治安の悪化を招き、国民生活を不安に陥れています。  一方、わが国の経済は、良好な実績を示しております。  すなわち、物価上昇率は四%程度と先進諸国の中で最も鎮静化し、失業率も二分台と最低となっております。  景気については、内需の回復の足取りは緩慢でありますが、今後は、次第に改善し、明るさが増してくるものと期待されております。  国際収支については、経常収支は昨年四月以降黒字傾向にあります。これを背景として、欧米諸国から貿易不均衡の是正を求める声も高まってきております。  このような内外経済情勢のもとにおいて、私は、特に次の点を基本的課題として今後の財政金融政策の運営に当たってまいりたいと考えております。  まず第一は、引き続き物価の安定を基本とし、国内民間需要を中心とした景気の着実な回復を促進することであります。  物価の安定は、国民生活安定の基本であり、今後とも、財政金融政策を通じ、物価の安定に努力してまいる所存であります。  景気につきましては、その着実な回復を図るとの見地から、昭和五十七年度予算においては、厳しい財政事情のもとではありますが、住宅建設の促進を図るため、住宅金融公庫の融資枠の拡大、税制上の措置等の施策を講じております。公共投資につきましても、財源の効率的配分、地方単独事業の拡充、民間資金の活用等により事業量の確保に努めております。  また、金融政策においては、一昨年八月以降一連の金融緩和措置を講じてまいりました。昨年十二月には、第四次の公定歩合引き下げ措置がとられ、これを受けて預貯金金利を含む金利水準全般の引き下げを図ったところであります。  今後の金融政策の運営に当たりましては、物価、景気、海外経済情勢等経済の動向を総合的に判断して、引き続き適切かつ機動的に対処してまいりたいと存じます。  第二は、調和ある対外経済関係を促進し、経済の発展に貢献していくことであります。  世界経済の活力の源泉は自由貿易にあり、わが国としても積極的にこれを推進することにより、世界経済の調和ある発展に貢献していかねばなりません。  かかる観点から、政府は、先般、対外経済対策を決定したところでありますが、特に関税につきましては、わが国市場の開放に資するとの見地からいち早く対応し、その引き下げを図ることを決定いたしました。すなわち、東京ラウンドの合意にのっとった関税の段階的引き下げ措置を来年度に予定した分に加え、さらに、一律に例外なく二年分繰り上げて実施するなどの前向きの改正措置を講ずることといたしております。  また、原油代金の産油国への偏在が、世界経済をゆがめていることにかんがみ、世界貿易を円滑ならしめるため、オイルマネーの還流について、わが国は引き続き積極的にその役割りを果たしていくことが必要であります。  さらに、開発途上国の経済発展のための自助努力を支援することは、これらの国々の国民福祉の向上と民生の安定に寄与するのみならず、世界経済全体の均衡のとれた成長と安定を確保するためにも重要であります。このような観点から、経済協力については着実に拡充を図ることとし、あわせて、その効率的実施に十分配意し、政府開発援助の中期目標の達成に引き続き努めることといたします。  世界経済の円滑な発展のためには、国際通貨の安定は欠くことのできないものであります。円相場は、わが国経済の良好な基礎的諸条件を反映して、基調としては、円高方向に動くことが期待されております。今後、関係諸国とも密接な連絡を保ちつつ、円相場の安定に努めていきたいと考えております。  次に、最も緊急かつ最大の課題であります財政再建について申し述べます。  わが国の公債発行残高は、昭和五十六年度末で八十三兆円、五十七年度末で九十三兆円程度の巨額に上り、その利払い等に要する経費も、五十七年度予算においては一般会計歳出の一六%程度を占めるに至りました。これは公共事業関係費をも上回り、防衛関係費の三倍程度にも相当いたします。  将来を展望いたしますと、わが国が世界有数の長寿国となったため、年金や医療の経費はますます増加が見込まれる一方、天災やエネルギー問題等今後の経済情勢の変化にも財政は対応していかなければなりません。しかし、遺憾ながら現状のままでは、財政にはこのような課題を解決するために新たな施策を講ずる余力はありません。  また、公債発行残高の累増は、金利水準の引き下げの阻害要因になるなど、金融政策の円滑な運営に大きな影響を及ぼすに至っております。さらに、大量の公債発行を続けることは、民間資金を圧迫し、経済にインフレ要因をもたらすことにもなりかねません。ことに、インフレは現に世界にその例を見るがごとく、景気を後退させ、失業の増大を招き、国民生活の安定そのものを損なうものであります。  したがって、できるだけ早く公債依存の体質から脱却する必要があります。  政府は、このような考え方に基づき、鋭意、公債発行の減額に努力しているところであります。昭和五十七年度予算に関しては、何よりも行財政の徹底した合理化、効率化によって財政再建を進めるべきであるとの世論がつとに高まったことにかんがみ、行財政改革による歳出削減を中心として予算編成を行うこととし、公債発行額を前年度当初予算より一兆八千三百億円減額いたしました。  財政再建の道のりは険しく、また困難なものでありますが、すでに財政再建に向かって軌道の上を着実に歩んでおります。私は、昭和五十九年度特別公債脱却を目指し、引き続き財政の再建に全力を傾注する決意であります。  大蔵委員各位の御理解と御協力を切にお願いする次第であります。  昭和五十七年度予算につきましても、ただいま申し述べました考え方に立って、経費の徹底した節減合理化によりその規模を厳しく抑制したところであります。特に、国債費及び地方交付税交付金以外の一般歳出を極力圧縮いたしました。  また、補助金等については、昨年八月に決定された行財政改革に関する当面の基本方針に定めるところにより、整理合理化を行いました。  さらに、国家公務員の定員については、新たに策定された第六次定員削減計画に基づいて、削減を着実に実施する一方、増員は極力抑制いたしました。この結果、行政機関等職員については、一千四百三十四人に上る大幅な縮減を図ったのであります。  これらの結果、一般会計予算の規模は、前年度当初予算に比べて六・二%増の四十九兆六千八百八億円となっております。また、このうち、一般歳出の規模は、前年度当初予算に対し一・八%増の三十二兆六千二百億円であります。一般会計予算及び一般歳出の伸び率がこのように低い水準にとどまったのは、それぞれ昭和三十一年度及び昭和三十年度以来実に二十数年ぶりのことであります。  歳入面におきましては、経済情勢の変化などにより、昭和五十七年度の自然増収が、ゼロシーリング決定の際参考とした「財政の中期展望」における自然増収より約七千億円不足することが見込まれましたので、経済の実態に即し、この不足分を補うため次の措置を講じました。  まず、税外収入において極力増収を図ることとしました。  次に、なお残る不足分を税制面の見直しにより措置することといたしました。すなわち、税負担の公平確保の重要性などに顧み、租税特別措置については、期限の到来するものを中心に整理合理化を図るとともに、交際費課税を強化することとしております。また、法人税については、貸倒引当金の法定繰入率の引き下げ及び延納制度における延納割合の縮減等を図ることとしております。  なお、税の執行につきましては、国民の信頼と協力を得て、今後とも一層適正・公平な税務行政を実現するよう努力してまいる所存であります。  公債につきましては、先に申し述べましたように、その発行予定額を前年度当初予算より一兆八千三百億円減額し、十兆四千四百億円といたしました。この減額の内容は、特例公債一兆五千六百十億円、建設公債二千六百九十億円となっております。これにより、特例公債の発行予定額は三兆九千二百四十億円となり、建設公債の発行予定額は六兆五千百六十億円となります。  財政投融資計画につきましては、厳しい原資事情に顧み、民間資金の活用に努めるとともに、対象機関の事業内容、融資対象などを見直すことにより規模の抑制を図り、政策的な必要性に即した重点的、効率的な資金配分となるよう努めたところであります。  この結果、昭和五十七年度の財政投融資計画の規模は二十兆二千八百八十八億円となり、前年度当初計画に比べ四・一%の増加となっております。  以上、財政金融政策に関する私の所信の一端を申し述べました。  本国会に提出し御審議をお願いすることを予定しております大蔵省関係の法律案は、昭和五十七年度予算に関連するもの七件、昭和五十六年度補正予算に関連するもの一件、合計八件であります。それぞれの内容につきましては、逐次、御説明することとなりますが、何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げる次第であります。(拍手)

森喜朗自由民主党

○森委員長 以上で説明は終わりました。     —————————————

森喜朗自由民主党

○森委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤観樹君。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 ただいま大臣の方から、五十七年度の経済運営についての基本的な考え方が述べられたわけでございますけれども、景気の面におきましてもあるいは財政の面におきましても、大変むずかしい局面にいま来ている、大変選択の幅が狭いいまの状況ではないかと思うのであります。  そこで、まず最初に私がお伺いをしたいのは、五十七年度の経済運営を考える場合にも、五十六年度のあと残された期間が果たしてうまくいくのかどうなのか。その一つの結論、三月末−事実上それがわかるのは六月末でありますけれども、その上に五十七年というのは出発するわけでありますから、五十六年度が一体どういう形に終わるのだろうか、その点からひとつお伺いしていきたいと思うのであります。  本会議でもいろいろと議論があったわけでございますけれども、まず、そもそもこの大蔵委員会で一番大事な、またいまの財政上一番重要な五十六年度の税収というものが、補正予算で四千五百二十四億減らしましたけれども、それでもなおかつ予定どおりいくのだろうかということが大変疑問視されているわけであります。もちろん財政を預る大臣といたしましては、当然、大体そういうことは可能でありますというお答えになると思いますが、予算規模の大変大きくなりました現在、一、二%違いましても大変な額になるわけでありますから、二、三%くらいのことはしようがないというような発言も大臣が言われたとかいうようなことが新聞等で報じられているわけでありますけれども、まず五十六年度の補正予算で約四千五百億減らして、大体見通しどおり税収は上がるのだという御自信はありや否や、いかがでございますか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 税収の見込みというのは非常にむずかしいことでございます。なるべく正確に税収の見込みをつかみたいということで、いろいろなデータに基づいて、いつでも十一月から十二月にかけて作業をいたします。いたしますが、残念ながら毎年、多いときは昭和五十年度で予算に対して二〇%違うとか、あるいは四十七年度一〇%の違いとか、また逆に四十八年はよけい取れちゃったとかいうことで、経済扇情の変動というものもありまして、なかなかぴしゃっとということが非常にむずかしいのです。  今回も二兆円国債減額ということをうたっておりますから、私どもはそれを守りたいということで、こういう補正をつけるべきかどうかということも実は議論があったところなんです、実際は。しかしながら現実の問題として、物品税の落ち込み等、印紙税等が目立って落ち込んでいる。一方、物価も卸売物価は四・一ぐらいとして予定したものが、現実は一・八になっちゃっている、経済見通しも途中で変更というような情勢でございますので、その経済の実態に合わせて、ともかくはっきりしておるものについてやはり直しておくことの方が、憲法の精神からいってもいいのじゃないかというような点で、いろいろ議論はあったところでございますが、残念ですが、国債の追加発行をして税収不足を賄ったというのが実情でございます。  そこで、あとはぴしゃっと出るかということでございますが、私といたしましては、この方の計数の専門家でありませんから根拠ははっきりわかりませんけれども、大体いけるのじゃないかというような結論に達しまして、一応補正予算をお願いをするということになった次第でございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 十月二日に経済見通しも変わって下方修正がされた。それで四−六の伸び率、七−九の伸び率、この達成した分を除いてみますと、残りで平均して四・八%実質伸ばさなければならぬというようなことになりますと、過去の四−六の三・七、七−九の三・二という数字から比べてみて、後半そんなにしり上がりになるだけの経済的な力を現在持っているだろうかということについて、経済見通しの面からいってもかなりきついのではないだろうかということは私は言えると思うのであります。  この点、いま余り深く触れる時間はありませんが、それからもう一つ、いろいろな税収の見通しを立てるやり方があると思いますけれども、余りこの場で数学的に論争になるような点を、たとえば租税弾性値をおのおのの税目ごとにやってみるとか、そういったことをやってまいりますと、余り数学的になってしまって議論が細かくなってしまうので、一番わかりやすい、それである程度見通しが立てられるのじゃないかというのでやってみたのが委員各位の手元に配られている私の試算であります。  これは特別大したことが書いてあるわけじゃないので、大蔵省からもらいました五十六年十一月末の「租税及び印紙収入、収入額調」からはじいてみたものでありますが、きわめて簡単なものでありますけれども、たとえば所得税をとってみますと、五十六年の補正予算額というのは、つまりもうすでに補正で落とした分、除いた額、十二兆九千四百十六億円を充てているわけであります。対前年伸び率が一九・八%、これに対して五十六年十一月末までに入った税収実績、これが六兆五千百二十三億になっているわけであります。対前年伸び率、つまり五十五年の十一月末までに入っている伸び率と比べてみますと、一二・五%ここで伸びているわけであります。そして、この補正予算額を達成するために必要な税額の残りは幾らかと申しますと六兆四千二百九十三億、これは、簡単に引けばいいわけでありますから、必要なわけであります。十二月以降の分というのは、五十五年の十二月以降の実績に比べて一体どれだけ伸びなければこの額が達成できないかということで伸び率を計算してみると、対前年伸び率二七%という伸び率がないことには、この補正予算額というのは達成できないという数字であります。  これはきわめて簡単な計算であります。したがって、すでに十一月末までに達成した伸び率が一三・五%、それに対して十二月以降というのは二七%でありますから、ちょうど倍達成しなければ所得税は予定どおり入らない、こういうことになるわけであります。ところが補正予算では源泉所得税で八百七十四億落としているわけですね。したがいまして、八百七十四億もうすでに落とした後なおかつ倍所得税が伸びなければ、この五十六年度のすでに補正をした予算額が達成できない。法人税を見ましても、対前年伸び率が十一月末でマイナス〇・七%に対しまして、十二月以降は二八・九%伸びないことには予定額は入らない、こういうことになってくるわけであります。  過去一体こんなことがあっただろうかと思って比較をしたのがBの表であります。過去の伸び率、五十一年からずっとやってもらいましたけれども、前半でこれだけ弱くて後半こんなに倍近く伸びる可能性があるというのはほとんどないわけであります。ただBでちょっと私書き忘れましたけれども、五十三年で括弧書きしてあるのは、五十三年は御存じのように税収を十三カ月分取り込んでおりますので、これを調整した数字を計算していただいたわけでありますけれども、そのことをちょっと書き忘れておりますので、括弧書きはそういう意味であります。五十二年だけが所得税の場合には十一月末が三・四に対しまして、十二月以降が八・八、法人税は逆に十一月までが二三・九伸びましたけれども、十二月以降はマイナス二・七、こういう異常な状況になっているのであります。  主税局長、この五十二年というのはどういう年だったのですか。所得税だけは後半がぐっと伸びたけれども、法人税は逆にがくっと落ち込んだ。それが五十三年まで引き継がれているという状況になっていますが、五十二年というのはどういう年だったのですか。

福田幸弘大蔵省主税局長

○福田(幸)政府委員 お答えします。  手持ちがございませんけれども、記憶で申しますと、オイルショックのときインフレで収入が上がったわけですけれども、その後、その反動で法人税の方は実態が悪いものですから落ちたというのがそこにあらわれているのじゃないか。一方においてインフレが続いておったということで、雇用者所得の方は伸びが続いたということではないかと思います。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 いま御説明がありましたように、簡単に言えば、主にインフレ要因ですね。  ところが、ことしは幸いなことに、大臣が言われましたように、インフレ要因というのはほとんどなかったということでありますから、このように前半の低い伸びに対して後半が約倍近く伸びるということはちょっと考えられないのではないだろうか。  そこで、私がどのくらい不足税収が出てくるだろうかということで試算をしてみたのが表のCであります。これもそうむずかしいことではない。要するに、一昨年、五十五年十二月以降の税収の実績額、これは十三兆二千四百五十八億円でありますけれども、これに対して伸び率が二〇%の場合、一五%の場合、一〇%の場合を計算してみたわけであります。  そうしますと、たとえば二〇%の場合には、簡単に一・二を掛ければいいわけでありますから、五十六年十二月以降の税収見込み額というのは十五兆八千九百五十億円あるわけであります。これに五十六年の十一月以前の実績十四兆九千五百八十二億を足しますと、三十兆八千五百三十二億という数字が出てまいります。これと五十六年の補正予算額三十一兆八千八百億円との差を出せば、いわば不足税収額というのは出てくるわけでありますが、二〇%伸びたといたしましても一兆二百六十八億円足りませんよ、ケースBで一五%伸びた場合には一兆六千八百九十一億、ケースCとして一〇%しか伸びなかった場合には二兆三千五百十四億円足りなくなるだろう、こういう数字が出ているわけであります。  政府が言うように、これを最終的な五十六年補正予算額に合わせるためには、逆算してみますと伸び率が二七%もなければならぬということでありますので、これは過去の実績からいってほぼ不可能に近いのではないか。私は、政府にきわめて好意的という立場で見まして、ケースAの二〇%というところが最大ではないだろうか。補正予算で四千五百億円余を減らしましても、約一兆円余というものは歳入欠陥が出てくるのではないだろうかというふうに見ざるを得ない。五十七年度にはこの幅がさらに大きくなってくると見ざるを得ないと思うのであります。  この表自体は、いま御説明しましたように、きわめて単純な、ほとんど個人的な見解を入れずに計算したものでありますから、そうそう主観が入っているわけじゃない。ただ何%くらい伸びるだろうかということにつきましては見通しがあるわけでありますが、それも過去の一応の伸び率を頭に入れて計算をしてみたわけでございますので、そう間違いはなかろうと思うわけでありますけれども、大臣は、冒頭に御説明ございましたように、大体いけるのではないか。それは規模が大きくなれば一%の振れが数字では大変大きくなってまいりますから、その面で私も一円たりとも違うなということは申しませんけれども、このことをかなり頭に置きながら今後の経済運営というのをしていかなければならぬのじゃないか。  ちょっと言い忘れましたけれども、たとえばAの表の場合には増税額の問題が入っておりませんので、その点を加味しなければなりませんし、Cの場合にはすでに増税額の問題については捨象ぎみに入っておりますので問題にならないと思いますが、いずれにいたしましても、私が単純に見た場合でも、前半の状況から見てそんなに後半底力があってぐぐっと押し上げるほどの経済的な力はないのではないか。せめてケースAの、よくても二〇%伸びる、ひょっとすると、このケースAとケースBの一五%と二〇%の間で、約一兆五千億と一兆との間くらいさらに歳入欠陥が出てくる可能性があるのではないか、こう見ているわけであります。  恐らく大臣は、いや大体うまくいくだろうというお話だろうと思いますが、もう一度その点についてお伺いをしておきたいと思うのであります。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 そういうような御心配をなさる方もあるのです。あるのですが、私どもとしては、十一月から十二月ごろにかけての状況を見ると、ややよくなってきておるという点もございますので、断言するわけにはまいりませんけれども、大体いくのじゃないかというように見ておるわけでございまして、細かい点は主税局長から説明させます。

福田幸弘大蔵省主税局長

○福田(幸)政府委員 詳しく御分析いただいておりますが、われわれもこの数字は大体同じ数字でございます。ただ、特別減税分が出るなどとなっておりますので、たとえば二七・八、二七・四程度のことで、大きな姿はこれで結構でございます。  これは過去の異常な数字があったりしますので、過去の比較がなかなか問題でございますけれども、過去十年間で見まして、十二月以降の伸び率で見ますと、四十七年度が三〇とか四十八年度が四二、これは特殊な要因があったと思うのですが、そういう数字がございます。  もう一つ、やはりいままでの伸び率と今後の開きのところが問題だろうと思います。そこのところの開きはやはり大きい感じがございます。確かにわれわれいろいろ心配しながら計算しておって、確信を持っておるというわけではないのですが、これ以外の見通しがなかなかできない。しかし、はっきりした分は落としておった方が正直ではないかということで出したわけで、あくまで見積もりでございますし、われわれも限界もございますので、その辺は今後この予算額が達成できることを期待しておるという気持ちでございます。  それで、機械的にいままでの伸び率とあとの残りの差額というふうに単純に比較するのがどうかという点は、経済の回復の見通しとも絡むのですが、なかなかむずかしいので、もう少し具体的に申しますと申告所得税でございますが、これはいままでは予定納税できていますので非常に低い。特に去年の三月の申告が年税額で八%台で非常に低い水準ですから、それが予定納税で入ってきていますので低い水準で入ってくる。したがって実績は非常に低い。しかし、今度は三月の確定申告が出てきますから、そこではいままでとの低い差額では大きく出る感じがいたしております。所得税の中でそこがどう動くか、これは一つ申告所得税の問題です。  それから法人税でございますが、これは予算額の三分の一強の実績しか出ていないわけでございます。それで、補正を組むころの時点ではまだ税収が二割も入らない。一八%ぐらいのところで残りの八割以上を見込めというような年度区分の改正があった後の作業は非常に困難になっております。これは一つの問題であろうと思います。予算を組む時点、年末の時点では翌年三月を見越して、しかもさらにその先の三月を見越すという非常に至難な作業になっています。すなわち、昔は五割ぐらいのところであとを埋めたりしてきたのですが、いずれにしろ、三月実績を踏まえられないというところが、想定にさらに想定をやるということです。  しかし、その困難作業をやっていくわけですけれども、それで三分の一という税収が通常三月法人のウエートであります。しかも、商法改正の結果等があって、一年決算に大きく移行していますので、九月決算が実績的に余り意味がない。そういうことですべて三月にかかっておるというところで、非常な振れが過去においても、五十五年度においても生じたわけでございまして、昨年のいまごろの論議では、やはりその辺にいろいろな不確定要因があったかという気がいたします。  それで、いまの時点で申しますと、どうもことしは特定業種の業績にいろいろな偏りがあるような気がいたします。いままであらわれている実績というものがそのまま今後として引き延ばせるかという辺の業種ごとの偏りが、月によっていろいろ業種の決算が出てきますけれども、その辺が、いままでは悪い業種があらわれていたものが今後ともそのままで推移するかという延ばし方としてはなかなか困難がある。それが一つです。  それから、下期の企業業績は改善傾向というのは一般に替われていまして、悪い期が二期続いた後でそれを回復するという過程にあるということはいろいろな動向調査でございますが、その角度がどういうふうな角度で上がっていくか、その辺、見方はいろいろあろうかと思います。いろいろな調査機関、日銀短観等も見ながら、その回復のところの角度を業種ごとに、また各法人ごとに当たっておるということでございます。  もう一つ物品税でございまして、これは新規課税、先ほどちょっとおっしゃったのですが、新規課税が始まりますのが十月庫出しからでございますので、それが一月税収以降にあらわれてくるという増税のはね返りの問題が例年とは違った要素であろうと思います。  そういうことで不確定要因が多いわけでありますが、また別の面で単年だけで取り出すのもどうかと思うのですけれども、源泉で見ますと、補正は八百九十億円を立てておりますけれども、所定外労働時間、超勤瞬間が最近よくなってきておるのは一つの明るい数字だろうと思います。九月以降は前年同月比で一〇〇を上回っております。それから申告所得税は先ほどのようなことで、いままでは悪いのですが、確定的な数値というのは今後にあらわれてくる、これは申し上げました。  それから法人税で申しますと、ちょっとまた補足になりますが、一時的要因として五十五年三月の決算法人の延納分の収入が減っておる。すなわち金利が下がった関係で即納率が高かった、その裏返しとして今年度税収の最初のところで延納分の入りが悪かったということもいままでの実績を悪くしているという感じがします。  それで、あと鉱工業生産指数がわりに今後の実力をあらわしてくると思うのですが、九月以降は五%台で動いています。十二月はちょっと足踏みしていますが、この辺がさきの超勤時間等に関係するかどうか、やはり生の数字のその辺の推移を見ております。  それから、あと物品税でございますけれども、これは意外に伸びが最近よくなりまして、十一月分の伸びは一一六・一ということで、十月も一一三でございます。九月から一〇〇を上回っておりますが、その中身はエアコンディショナー、まあルームクーラーといっても冷暖房を兼ねますが、これが十月以降急激な上昇をしておりまして、九月が五〇・四と下回っておったのが、十月が一五三・五、十、月が一九一・七、それから冷蔵庫も九月までは下回っていましたのが一二四・二、一四三・三と急激に上がっております。これは流通在庫があったのが夏場にはけた、その前の年が冷夏でございましたから、そのたまったのが夏場にはけて、その後新製品もあらわれて、在庫の一掃の後で出荷ベースで伸びておるということが具体的にはございます。  それからもう一つは小型乗用車でございまして、税額の三割を物品税の中に占めますけれども、九月以降の新車の登録が二けたになっておるという、明るいところばかり取り上げていますが、景気はやはり気分でございますので、いいところも申し上げたいわけであります。新車の登録台数が、モデルチェンジ等もあったのでしょうか、九月が一一〇、十月が一〇九、十一月が一一二と二けたになってきておる。これがさきの超勤とか、それからまた消費の動向にも絡んできている過程で乗用車の伸びというのがわりに大事な気がします。この辺の伸びを注目しています。  そういうことで、いろいろな要素がございまして、十二月はまだ集計中でございますが、明るい数字が来月初旬中には発表になるかと思います。いずれにしましても、今後上向きで補正額を達成できることを祈っておるという気持ちでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 何かずいぶんいろいろと御説明をいただいたのでありますが、最後は私祈っています、歌の文句のようなことで終わっておる。私も主税局長の言われることをそれなりにいろいろと御説明を聞いてわからぬわけじゃないのでありますが、ただ、そういった要因も過去の伸び率の比較の中に入っているものもある程度あるわけで、いわばそれとの差になりますから、絶対に私の数字が正しいとか言っているわけじゃないのです。ですけれども、これも結果を見てみなければわからぬという点はありますけれども、それだけの底力というのが十二月以降に税収になってどれだけあらわれるだろうかというのは、なお私も疑問を持っているわけであります。  次に、「財政の中期展望」についてきのう発表があったわけでございますけれども、ちょっと経済企画庁にお越しをいただいているはずですが、きのう発表になりました「財政の中期展望」、この中で、私がまずぱっと見て異常に思いますのは、投資部門の公共投資、これが五十八年度から急激に大変高くなっているわけですね。五十八年度が九・五、五十九年度が一〇・五、それから六十年度が一一・二ということで、五十六、五十七は実額横ばいということになっておりますから実質マイナスになっておるということになっているわけでありますけれども、それの基本が、新経済社会七カ年計画のフォローアップ五十六年度報告というところの基本である、二百四十兆をいわば一年半達成を延ばして百九十兆の公共投資だというところにこの基盤があって、したがって「財政の中期展望」でいま申しました投資部門の公共投資が大変高い伸びになっているということだと思うのであります。  確かに、このフォローアップでも公共投資も大変控え日に書いてあるわけですね。「一般会計の現状からみて、その達成には相当の工夫と努力が必要であり、計画に掲げる費用と負担の適正化等を含め幅広く検討していく必要があると考えられる。」というふうにきわめて控え目に書いてあるわけでありますけれども、この百九十兆の公共投資、これ自体もいまの財政事情の方から考えると高過ぎるのではないか。ただ、この新経済社会七カ年計画自体が、これは中身も非常に詰める必要があるのでありますが、なるべく内需を中心にしていこうという姿勢があるわけですね。これは非常に重要なことでありますし、一体どのくらいこれで日本経済が内需中心型になり得るのかどうなのかというのはもう少し詰めてみる必要がある大変重要なテーマだと私も思うのでありますけれども、そういう面から、かなり公共投資というものに中心を置いているというふうに思います。  しかし、それにしても、いまの財政事情からいって、二百四十兆の公共投資額を一年半おくらして百九十兆、これ自体も大変高い。それがこの「財政の中期展望」の中で、国民に対しましては、いや足りないぞ足りないぞという、いわば大変おどかしの材料の基礎になっているのではないかというふうに見ざるを得ないと思うのでありますが、一体この公共投資百九十兆というのはどういう観点でフォローアップでされているのか、ちょっと御説明いただきたいと思います。

及川昭伍経済企画庁総合計画局審議官

○及川説明員 お答えいたします。  新経済社会七カ年計画は、策定しましてから二年半ほど経過しているわけでございますけれども、毎年経済情勢の変動に応じて弾力的、機動的に対応するためにフォローアップを行うことにしているわけでございます。  昨年度のフォローアップにおきましては、御存じのとおり、当初公共投資総額は計画では二百四十兆円というふうに考えておりましたけれども、経済の整合性の観点から、これを一年半繰り延べて百九十兆円程度に計画期間の累積投資額を考えるというふうに修正をしたわけでございますけれども、今回のフォローアップにおきましては、一年半程度おくれの百九十兆円程度という額はそのままとして考えております。考え方としては、公共投資それ自体は国民生活の安定と充実なり経済発展を図るために非常に大事な部門でございますし、さらに国民のニーズも非常に強うございますので、経済全体の整合性の観点から、この程度の公共投資を今後四年余の間に実現できるものと私どもは考えているわけでございます。  ただ、フォローアップの中にも書いておりますように「一般会計の現状からみて、その達成には相当の工夫と努力が必要である」ということも書いておりますし、あるいは計画にも当初から言っておりますが、その費用なり負担なりというものを適正化することをあわせて考えていく必要もあるということを言っておりますが、一般会計につきましては、百九十兆円程度の公共投資総額の中に占める割合というのはおおむね四分の一ないし三割弱というような程度の範囲内におさまるのではないかなというふうに考えておりますけれども、一般会計に多くを期待することができないといたしますと、私どもの工夫と努力というのは七割以上占めるその他の財源、具体的には地方交付税等も含めた地方の一般財源でありましたり、あるいは財投等を含めた、あるいはその他の民間資金の活用でありましたりというようなことを含めて、工夫と努力により、国民のニーズの高い、また経済の整合性の観点からいって、この程度の投資を計画期間中に進めていくことが可能であるというふうに考えて今回のフォローアップをしているわけでございます。  ただ、フォローアップの中でも、計画を策定しましてから大分時日もたってきておりますので、その後の情勢を踏まえてさらに引き続き検討を進めていくことが必要であるということが言われているわけでございますが、現段階においては、この程度の投資は可能であり、工夫と努力を続けていくというふうな立場をとっているわけでございます。  以上でございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 その点は非常に重要な要素でありますので、本来ならもう少し詰めたいのでありますけれども、きわめて時間もわずかでございますので、それはそれとしても、とにかく公式にこういう「財政の中期展望」というのが出されているわけですね。  それで大臣、国民の側から見あるいは報道の仕方から見ても、要調整額、いや六十年度にはとにかく六兆二千八百億円足りないぞ足りないぞ、こういう見出しばかりになってくるわけであります。中身についていろいろとさらに詰めなければいかぬ点はあるにいたしましても、大蔵省がこういうものを出し、五十七年度はとにかくつじつま合わせをしてきましたけれども、五十八年度以降はさらになかなかそうはいきませんよということを言いたいのだと思うのであります。  こういう試算、あくまでこれは試算でありあるいは政策の手がかりであるという言い方をしておりますけれども、大臣としては、財政方針演説の中でも言っておりますように、結局、補助金をもらっているのも国民じゃないか、行政サービスが下げられるのがいいか、負担が多くなるのがいいか、負担が少ない方がいいか、これは選ぶのは結局国民じゃないか。国民といっても、現実には政府が一つの方針を立て、そして政策を実行していく。そのときに、与党がありあるいは野党があり、その周りに国民がいるわけでありますから、全く一つの方針を持たずに、政府が国民の選択ですと言っているわけにいかないわけですね。  ここで出された「財政の中期展望」からいって、五十八年度以降のことになるわけでありますので、そのころ大蔵大臣が大蔵大臣のままであるかどうかわかりませんから、なかなか言いにくい点はあろうかと思いますが、ここで出された中期展望というものが、したがって高負担をしてくださいということなのか、それとも、要するにこれ以上負担をふやさないためには一般会計の伸び率は大変低いですよ、ひとつそういった小さな政府のままでいきましょうやということなのか、ことしに限ったわけじゃないわけでありますけれども、この中期展望とはどういうかかわり合いで、なるがゆえにこれからどうしたいということ、一体その点はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのですか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 この「財政の中期展望」は、生まれてきたいきさつをお考えいただきたいと思うのです。  これは実は非常に議論を呼ぶことであるし、なかなか経済も変動の激しい中で、長期にわたって見通したものを、正確なものを出すということは実は不可能に近いわけです。したがって政府としては、正直のところ出したくはなかったのです。ところが予算委員会で財政計画、ドイツなんかでも出しているのだから財政計画を出せという非常に強い御要望等があって、それでは、現在の施策等をもしそのまま続けるとすれば一体どういうふうになるかという一つの手がかりとしてつくってみよう、これはかなり時間をかけ議論をしまして、それでつくったわけです。  ところが、御承知のとおり大変な、五十七年度だけでも二兆七千億の要調整額が出てくるわけですから、それを増税で賄うのか、それとも歳出カットでやるのかということで、たまたま時あたかも行革ムードということで、まず歳出カットを最優先にすべしというようなことから、歳出カットを中心にいたしまして五十七年度予算を組んだわけです。  ところが、そうすると、当然その中では法律によって三年間経費の少なくなるものもあります、行革関連法等によって。それは制度自体が変わったわけですから、少なくとも三年の間だけは。それからまた変わらないものもあります。それから予算措置で一年間だけ来年に繰り延べしたというような、たとえば国民健康保険の十一カ月予算なんというのはそのことであって、これは五十七年度は歳出は減るけれども、五十八年度からは減らないという話ですから、要するに、そういうようなものなども踏まえまして、五十八年度は五十七年度のままでいけばどうなるかというのを出したのがこの数字なわけです。  これについてはいろいろ議論がありまして、何だ、二兆七千億円も要調整額を削ったのにかかわらず、また三兆三千億も出るのか、おかしいじゃないか、四兆九千億から二兆七千億を引けばもっと少ない数字になるじゃないかという議論が当然出てきているわけです。  御承知のとおり、これでも税収見積もりというものは当初よりも減らしたわけです、経済計画が変わってきておりますから。したがって、収入面が少し、前の、去年のものと比べて五十八年度のは減っていますから、したがってその分は上乗せになるもので三兆三千億となってくるわけです。さあどっちでやるのだ、私がいまそれを言われましても、方針がなければけしからぬという議論が一つあるのですよ、当然に。だけれども、本気になって歳出カットをやるとすれば、これもやってできないことはないと思うのですよ。しかし、大蔵省だけではできるわけがない。これはやはり国会の同意が得られなければできるものじゃないわけですから、どこで切るかということになると、いままでの発想と発想を変えて切らなければ大幅に切り込むなんということは、言うべくして、それはやってみたのだけれどもなかなかそう簡単なわけにはいかない。  そこで、これはもう一遍みんなで議論してもらおうということなのです。そうかといって、増税で安直にふやすということは行政改革と相矛盾する話。財源を増税や公債の増発というように求めることは安易な道でありますから、これもいかぬ。両方から責められているわけです。  われわれとしては、国民の声を聞いてと言っても、全国民の声を聞けるわけがない。したがって、今国会を通して、国民の代表である国会の皆さんの御意見等も十分聞いた上で、五十八年度の予算編成に向けて、要するに概算要求というものの枠をまた示さなければならない。そのときまでには少なくとも方針を決めなければならぬ。いつまでも国民の皆さんにというようなわけにはいかないわけですから、政府として、概算要求のころまでにはどっちの道をとるかという方針は当然固めざるを得ない、そう思っております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 一兆円減税のことについては本会議でもずいぶんいろいろと議論がありましたけれども、終始財源がないということで実現不可能ということを政府側としては答弁されていたわけでありますけれども、その際に総理としては、たとえば赤字国債からの脱却のめどがつくとか、あるいは財源のめどがつくとか、いずれにしても国民的な合意が減税についてなされなければこれはできないと、国民的合意ということを言われているわけですね。  それで、一兆円減税の必要性についてはいまここでくどくど言う必要もないと思うので、私はあえてもう申しませんけれども、いずれにしろ、どうも総理が言う言葉の端々には、一つ要調整額の問題もあり、大型の間接税あるいはその他の、何兆円単位で入る税源を考えながら、片や税の執行上あるいは制度上の不公平さを直すという意味においても、新しい財源というのを考えながら、片面では減税をしていくということが頭にあるのではないかということが、われわれのように財政をやっている者から言いますとうかがい知れると思うのであります、総理はかなり否定をしておりますけれども。  総理の言うように、いま大臣も言われましたけれども、国民的合意、国民的合意と言うけれども、これはなかなかできるわけじゃないので、しからば、いま大臣が言われましたように、事実上概算要求のシーリングということになりますと、このごろ大変早くなってきていますから、具体的には今国会末くらいには、一体この要調整額を歳出カットでいくのか、あるいは増税でいくのか、あるいはその中間でいくのかという方針を何らかの形で出さざるを得ないと思うのであります。これは恐らく渡辺大蔵大臣のもとでということになると思うのであります。その点についてはいまどういうふうに考えていらっしゃるのですか。全くいま白紙だというふうに私たちは思っておいていいのですか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 減税の問題については、御要望をされる皆さん方の心情を私も心に痛み入るほどよく知っておるわけです。しかしこれも、もう専門家ですから私は皆さんにくどくど申しません。現在の財政事情の中では一兆円減税をする余裕がございません、したがってことしは御勘弁いただくほかないということを繰り返し言っておるわけでございます。  そこで、今後の問題をどうするのかということは決まってないというのが本当です。まず今回の国会を終わって、そして皆さんの広い意見をもとにして、政府が方針を決めて皆さんの御協力を願うという方向に持っていかざるを得ないじゃないか、そう思っております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 大変時間がなくなったので少しはしょりますが、一つこういうことを提案をしたいのであります。  それは、いまのように、サラリーマンの場合には源泉徴収で、ベースアップになればこれは累進課税でいわば大蔵省のふところにどんどん入っていってしまう。クロヨン、トーゴーサンと言われるように、執行上の不公平がサラリーマンと事業者、農業者、この間にあるのではないかということは常々言われているところであります。  そこで、日本の所得税法というのは、もうくどくどと申すまでもなく、所得基準でやっているわけですね。簡単に言えば、自分は納めるべき所得がないと思えば申告しなくていいという制度になっているわけですね。こういう制度は先進国の中では日本だけなんですね。これはどういう歴史的な経緯があったか、このことはいま触れません。しかも所得税法の百二十条を見ましても、時間がないから全部読みませんけれども、これを計算をするためにはかなり専門的な知識がないことには、要するに自分の総所得というのは何であるか、総所得金額というのがまずわからなければいかぬし、そこから引けるものにはどういう範囲のものがあるかということがわからなければいかぬし、あわせて、それが配当控除を超えるか超えないかを正確にちゃんと計算ができなければいかぬということであり、なおかつ脱税をしないで自分が納めるという意思を持っていないことには申告書を出すか出さないかは判断できないという所得基準方式になっているわけであります。  いま五十四年度の青色申告の実態を見ましても、大分進んだとはいうものの、実は所得が一千万円以上あっても青色申告をしていない人が、たとえば一千万円超で青色申告をしている事業者というのは八九・四%でありますから、逆に約一一%の人は一千万円超所得があっても青色申告をしていない。所得が一千万円以上というのはかなり大きな事業ですね。たとえば五百万から一千万の範囲をとりましても、一二、三%の人は白色申告で済ませているということになり、これはいろいろ統計があるのでありますけれども、つまり事業所の数から青色申告をしている人の数を引きますと約四百四十四万人、もちろんこの中にはいわゆるしもた屋というか、たばこ屋さんに毛の生えた程度のおじいちゃん、おばあちゃんがやっていらっしゃる店も入っておりますけれども、いずれにしても、そういった人を除きましてもかなりの方々がちゃんと記帳をやって納税あるいは申告書を出すということをまだまだやっていない。日本の制度はそれを求めていないわけですね。  いまこの財源難というときには、これを改めていく必要があるのではないか。一つは、商法上、税法上やはり記帳義務を課すということ。もちろん非常に細かいものは除きます。あわせて、所得基準ではなくて収入基準によって、たとえば自分が年間一千万円以上収入がある場合には記帳して申告をする。その際には税額が出てこない場合もあり得るかもしれません。しかし、それをすることによって正確な収入が出てくるあるいは税の執行上大変公平さが求められますし、あわせてそれによって増収が図られるということなら一石二鳥ではないかと私は思うわけであります。  この所得税法百二十条、いまの所得基準というのを収入基準に変え、なおかつ記帳義務を課するということにぴちっと法律改正すべきだと思いますけれども、いかがでございますか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 その考えはかねて堀議員などからも聞かされておりまして、これは一つの見識だと私は思うのです。  商法でも商人は帳簿を備えなければならないというような意味のことが書いてあったように昔習った記憶がございます。したがって、商売をやる人は帳簿を持つというのは原則だろうと私は思っております。それを税法で義務づけるというのは先進国に例がないわけではございません。しかし、いざこれをやるとなるとまた一騒ぎあることも事実だろうと思うのです。しかし、こういうような時期でもあるし、最有力の野党である社会党がもし党議決定をして本当に政府に要求されるということになれば世の中の実態が変わるかもわからない。これは自民党の中でも賛否両論当然あるわけです。しかし、こういう時期でもありますから、私は、この問題は真剣に検討を深めていく必要があるというようには考えております。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 ただ、申すまでもなく一体どこでその収入金を、どれ以下はその記帳義務はいいですよと外すかというのは、いろいろ議論があると思うのであります。  いま申しましたように、所得が一千万円以上あっても青色申告すらしてないということで、サラリーマンと事業者というのを比べた場合に、本当に納税の執行上の公平さというのが保てるだろうかということについては私は大変疑問があると思うので、これはさらに詰めていく必要がある。もちろん、収入金基準を出してもらっても、それを担保するためには調査をしないことには何もならぬわけでありますから、そのために税務署の職員の数をどうするというような問題も出てくるでしょうし、いろいろ問題はあろうかと思いますけれども、このことは徴収策としても、細かい、小さいものは除くにいたしましても、ぜひ必要だ、それがトーゴーサン、クロヨンと言われるような執行上の不公平を除去していく大変有力な一つの方法になっていくだろうと思うのであります。  その次に、今度五十七年度予算では、政府短期証券いわゆる大蔵省証券、これが約二兆円ふやされて七兆四千億円という大変な額になるわけであります。もちろん、これは一時的な借り入れでありますけれども、五十七年度の特例公債が三兆九千二百四十億円、四条公債が六兆五千百六十億円、おのおのの公債の額よりも七兆四千億というのは大変大きいわけですね。しかも、二兆円も一挙にふやされたということであります。しかも、現実にはこれは公定歩合よりも〇・一二五低い大変低利な発行条件になっておりますから、事実上日銀引き受けになっているということであります。昨年も五月、十一月に日銀が売りオペをしたということで、この差額の損というのは日銀の収益マイナスということに立ってきますので、政府への納付金が少なくなるということになってくるわけであります。  こういったことを考えてみ、また日本の証券市場は短期のものが大変少ないということでありますから、投資家がたとえばアメリカのTBを買う、その辺が貿易外収支、経常収支の赤につながってくる、円安になるということの遠因になってくるわけでありますので、この際二カ月ものの短期証券といえども公募入札をすべきではないか。何か新聞の報ずるところでは、大蔵省も、昭和六十年度の大量償還時期に備えて三カ月ものあるいは六カ月もの、九カ月ものというような短期の国債を発行するというようなことも報道されているようであります。  一体、そういった短期の国債を六十年度の大量償還時期に合わせて発行する考えがあるのかどうなのか。あわせて、三カ月もの、二カ月ものでも債券には変わりないわけでありますから、三カ月もの以降の方は市中公募をやる、二カ月ものは従来どおり御用金申しつけで日銀引き受けろというような発想では本当の短期市場は日本では醸成できないのではないかと思いますので、この際、金利の自由化問題も含めまして、私は大蔵省証券も公募方式を当然とるべきだと思うのでありますけれども、以上二点についてお伺いをしておきたいと思います。

吉本宏大蔵省理財局長

○吉本(宏)政府委員 お答えを申し上げます。  御案内のように、現在の大蔵省証券は、財政法第七条の「国は、国庫金の出納上必要があるときは、大蔵省証券を発行し又は日本銀行から一時借入金をなすことができる。前項に規定する大蔵省証券及び一時借入金は、当該年度の歳入を以て、これを償還しなければならない。」こういう規定がその根拠になっておるわけであります。  その消化でございますが、これは現在定率公募ということでその大部分が日銀の引き受けになっていることは事実でございます。  御案内のように、大蔵省証券は、国庫の資金繰りと申しますか、歳入歳出のずれ等をファイナンスするということで発行されておりまして、たとえば昨年の六月、これは地方交付税とかあるいは国債の利払いというようなことでかなりの資金が散布されました。かねて国債の発行が休債というような事態になりまして、国庫の金繰りがかなり窮迫いたしました。五兆一千億円程度の短期証券を発行したわけでありますが、五十六年度の限度額が五兆四千億ということになっておりまして、私ども資金繰りにかなり困難を感じたというのが実情でございます。この点は十一月にも同じような事態がございまして、何とか、国庫の金繰りの問題でございますので、この金繰りに支障の生じないように、限度にある程度余裕を持たせる必要があるのではないかということで、五十七年度の予算におきましては、限度を二兆円引き上げまして七兆四千億円ということでお願いをしているわけでございます。  ところで、蔵券でございますが、国庫の金繰りに応じて発行されるという性格から申しまして、非常に発行あるいは償還が頻繁に行われます。たとえば、最近の例で申し上げますと、十二月五日には一兆三千四百三十億円の残高がございましたが、十二月末にはこれが四兆三千三百八十億円になりまして、さらに最近の一月十四日の数字で申し上げますと一兆四千百四十億円に落ちております。こういうことで、発行残高が非常に変動するわけでございます。アップダウンが大きいわけでございますね。そういうことで、こういう金繰り、資金を公募入札でやるということになりますと、繰り上げ償還等も必ずしもできない。繰り上げ償還ができない場合には、それだけ国としてはよけいな利払いをしなければいかぬ、こういうふうなこともございまして、私どもとしては、こういう大量の資金を一町に短期間に調達する方法としては、現在の蔵券の発行制度が一番いいのではないかというふうに考えているわけであります。  ところで、それじゃ将来ともこういうものを出す考えはないのかということでございますが、私どもとしては、将来、六十年度以降大量の借換債が発行されなければならない、こういう事態になった場合を考えますと、現在御承知のように国債の発行、消化は十年債を中心にしてやっておりまして、それに二兆七、八千億円の中期債の発行、これをあわせてやっておるわけでありますが、こういう長期ないし中期の国債にあわせまして短期の国債というものを発行することも研究課題としては考えられるのではないかというふうに考えておりまして、当委員会において堀委員からもいろいろ御提案をいただいておりますので、その辺を含めて十分研究をしたい、このように考えておるわけでございます。

佐藤観樹日本社会党

○佐藤(観)委員 もう一点、時間がなくなりましたので最後にお伺いしておきたいと思いますが、いわゆる国債の銀行窓販につきまして三人委員会に委託をされているようであります。なかなか結論がむずかしいようでありますけれども、新聞の報道するところ、銀行局は銀行側に立って、証券局は証券側に立って、その間に立った大臣官房がいわばその間に入って局の調整をしているというように報道されているわけであります。  私は、三人委員会に任せたのだから、それなりの権威のある森永前日銀総裁であり、あるいは佐々木直さんであり、あるいは河野証取審の会長さんであり、それぞれ三人の方に任せたわけでありますから、その結論を待ってというのが筋だろうと思ったのでありますが、どうも新聞の報ずるところは、証券局、銀行局がおのおの案づくりを始めているような感じもする。あるいはグリーンカードの制度の導入の時期に合わせてこの問題は何か結論が出されるように報道もされている。この問題というのは、グリーンカードの導入の時期という問題よりも、国債の個人消化というものをどういうふうに最もスムーズにこれができるかどうかということの発想から出てきている問題であって、グリーンカードの導入の時期の問題とは関係ない、また関係すべきでない。その前じゃいかぬとか後でなければいかぬとか、そういう性格のものではないと私は思うのであります。  この点について、大蔵省というのは、とかく局あって省なしとよく言われるように、縦割りが大変強いところだと言われているわけであります。ひとつこれはいま申しましたように、国債の個人消化というのを混乱なくスムーズに、国民のためにどうやれば一番スムーズに行くかという観点から問題を考えるべきだというふうに私は思います。担当の銀行局、証券局、おのおの見えていらっしゃいますので、その結論だけお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 これはそれぞれ業界がございます。それは証券、銀行にも一長一短、利害、思惑の絡んだ話ももちろんないわけではないわけですから、みんな自分に有利にやろうという思惑がないとは言い切れないでしょう。  そのために、それらに動かされないりっぱな人、しかもそれらに精通した人ということで三人委員会というものを実は発足させて、その人たちならば両業界ともけちのつけようがない。そこで、いままでも数回に及んでいろいろヒヤリングをやっておられるようです。もちろん中間的な報告がまだ私のところにはありません。私は、お願いするに当たっては、皆さんの出された結論を十分尊重してやりたいということを申しておりますから、結論が出ればそれに従って解決の方向に持っていきたい、そう思っております。したがって、どちらにもうちの方だけ万歳だというようなことはあり得ないと私は思っているのです。

森喜朗自由民主党

○森委員長 柴田弘君。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田委員 私は、まず大臣に所得税減税の問題につきまして御質問をいたしたいと思います。     〔委員長退席、小泉委員長代理着席〕  前の大臣の所信表明をお聞きしておりましても、所得税減税ということについては一言も触れられておりません。ところが、御案内のように、現在所得税減税につきましては、各野党を初めといたしまして、労働界あるいは消費者団体あるいはまた学者、文化人、はたまた経済界の一部あるいは政府の一部の中にも、この所得税減税の必要論はいろいろと言われているわけでございます。  大臣もこの辺はよく御承知だというように思うわけでありますが、かねがね大臣の答弁を聞いておりましても、大臣は、私は減税はきらいな大臣ではない、所得税減税は政策的な判断である、このようなこともしばしばおっしゃっているわけでございますが、この所得税減税についての必要性、これをまず大臣はどのような御見解をお持ちになっているのか、その御認識というものについて最初にお尋ねをしておきたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 私は、所得税減税を御要求される方々の心情は非常によく理解をいたしておりますということを申し上げてまいりました。  問題は、減税するには財源が必要なわけですから、その財源を何に求めるのか。歳出カットで置きかえるのか、増税でやるのか、それとも国債を発行してやるのか、やり方は三つしかないと私は思うのですね。問題は、国債を増発して減税財源をつくるというような状況ではない。一方、他に増税をして置きかえて、ことし五十七年度でやれるようなこれも雰囲気ではない。じゃ歳出カットということになりますが、歳出カットはずいぶんわれわれもやってまいりまして、そうしてゼロシーリングの中で人件費の上昇まで含めて抑え込むのに実は現在の状況では精いっぱいであった、これも率直に申し上げてそう言えると思うのです。  そうなりますと、一方において五十九年度までに特例国債からの脱却という目標もございますが、特に超過累進ですから、所得の高い方、一千万円以上の方は半分ぐらいは税金で消えちゃうということで、しかも子供もかなり大きくなって金のかかる年だということで、そういうようなことは私はよくわかっておるのです。しかし、これはやはり一遍何らかのときに税体系全体の見直しをいずれやらなければならない時期が来るのじゃないか、私はそう思っておりますし、ここで小手先の減税をやるということはひとつ御勘弁いただいて、将来の課題として大いに勉強していきたい、そう思っておるわけでございます。     〔小泉委員長代理退席、委員長着席〕

柴田弘公明党・国民会議

○柴田委員 時間がありませんのではしょって申しますが、いま大臣が減税のための税体系の見直しは早急に進めなければならぬとおっしゃっておりますが、私も全くそのとおりだと思います。減税の必要性というのは、申すまでもなく、一つはいま国民の中に起こっております税の不公平感の是正という問題、それからいま一つはやはり国民生活を防衛するという問題、この二点から、私は緊急の課題であるというように考えております。  いろいろなデータを見てまいりましても、この所得税減税の見送りによる実質増税、これは納税者の増加数から言っても、あるいは業種別一人当たりの納税額を見ても、サラリーマン、給与所得者には非常に厳しいものになっておる。なおかつ、同じサラリーマンの間でも、低中所得者層ほど増税が著しい。あわせて、非消費支出の負担というのは中間所得者が厳しい。だから、所得の平準化、いわゆる所得格差の是正、こういったものを素直に喜べない現状であるわけでありまして、いま所得税が累進課税制度をとって応能負担の原則に基づいておるわけでありますが、しかし制度を超える不公平というものがここに存在をする。だから、この不公平是正という意味においても、当然早急に減税を実施しなければならない。  それから、二つ目の国民生活の防衛という観点、これは経企庁長官も言っておりますように、景気停滞の原因はこの二年続きの可処分所得の減少、あるいはまた昨年の倒産件数は一万七千六百十件でしたか、史上第三位ということでありますが、やはり中小企業というのは個人消費に負うところが多いわけであります。中小企業庁の調査によりましても、最終部門、いわゆる需要の生産依存度というものが、個人消費は大企業は二三%でありますが、中小企業は四七%、いかに個人消費に負うところが多いか。だから、個人消費を回復するためにも減税というのはどうしても必要ではないか、私はこのように蓄えているわけでございます。  くしくも、大蔵省が一昨日ですか国会に提出いたしました五十七年度の「租税及び印紙収入予算の説明」を見てまいりましても、課税最低限の据え置きということによって、給与所得者は六・九%所得が上がったが、所得税の方は一一・三%もふえている、これは大蔵省自身がみずから提出した資料によってそれがあからさまになったわけでありますが、国民の各界各層からいま出されている減税要求というものが非常に現実的なものである、当然であるという、その証明したものを出したもの、私はこういうふうに理解をいたしているわけであります。  でありますから、景気回復の一番の柱である個人消費を支える健全な給与所得者層を育成し維持するためにも、減税実施に向けていま真剣に検討を開始していかなければいけない、そして早急な結論を出すときである、こういうふうに考えておりますが、この早期実施についての大臣の御見解、見通しというものがあれば、ぜひここでお聞かせをいただきたい、こういうふうに思います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 先ほども説明いたしましたように、早急に所得税減税をするという見通しはございません。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田委員 では聞きますが、大臣、減税、経済に対する政府・自民党の統一見解というのが最近出されましたですね。  それでその中に、所得税減税の財源を調達するための大型間接税を導入し云々というところの、これに対する統一見解として、所得税減税の財源手当てが可能になる条件を国民的合意のもとにできるだけ早く整えたい、具体的にどのような方法によるかは、広く国民各層の意見を聞きながら幅広い角度から検討を進めていく、こういうふうにあるわけでありますね。こういった見解、これは玉虫色のわけのわからない統一見解であり、果たしてマスコミ等が言っておりますように大型間接税の導入というのを見返りに所得税減税を進めるのかどうか、こういう点も非常に疑問に感じているわけであります。  私は、いま本当に政府あるいは大蔵省が、また大臣として進めていかなければならないのは、総理大臣も代表質問の中で、この所得税減税に対し、長く課税最低限を据え置くことは適当ではない、ですから財源に国民的な合意が得られれば減税もあり得る、こういった意味の答弁をなされておると記憶をいたしております。これは、私どもだけでなくて、国民からすれば非常に興味のあることではないかというふうに思います。  私はかねがね、行政改革の徹底あるいは不公平税制の是正、これによって所得税減税というのは行うべきであるという持論を持っておりますが、こういった総理の答弁あるいは統一見解から考えてまいりますと、財政当局である大蔵大臣としても、いまここで国民に合意を求める財源を示す必要があると思います。そういった財源、国民に合意を求められる財源を示すときではないか、またその責任が大臣としてあるのではないか、またそういった努力をこの五十七年度に積極的にすべきではないかと私は思うわけでありますが、この辺はいかがでございましょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 ただいま柴田委員からおっしゃったとおり、所得税減税については、現在の厳しい財政事情のもとでは残念ながらこれを見合わせるほかございません。しかしながら、所得税の現行課税最低限と税率構造を長期にわたって固定するということは適当ではありません、そう思っております。したがって、将来条件が整えば減税は検討したい、こう考えております。  そこで、将来というのは五十七年という意味ではないのでございます。その条件も、総理が答弁しているように、歳出歳入の両面にわたる徹底した見直し、歳出の見直し、それから歳入の方ももちろん見直すのです。それを進める。それから五十九年度特例公債脱却の明白なめどもつける。所得税減税財源の手当てが可能であるということがもう一つ必要だ。その手当てをどうするかということについて、これはもう歳出カット、これも私はもっと思い切って将来国会の合意を得てできないものか。それからもう一つは、もう一遍歳入の見直しができないか。ただ増税反対、増税反対と言うだけでなくて何かできないか。そういうような両方の点を全部合わして並行的に検討を深めていかなければならない、そう思っております。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田委員 時間もあとわずかですが、減税問題に関連してあと一点お聞きしておきます。  それは、先ほども申しましたように減税に関するこの統一見解ですね、具体的にどのような方法によるかは広く国民各層の意見を聞きながら幅広い角度から検討を進めていく、こういうふうに言っているわけであります。これは大臣、はっきりしていただきたいのですが、大型間接税の導入を示しているのか、示唆しているのかどうかということですが、どうですか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 別に大型間接税を示唆しているわけではありません。歳入の見直しというようないろいろの勉強をこれからしていく必要がある。  また、こういうことを言うとちょっと言い過ぎだといってしかられるのかもしれませんが、昭和九年から十一年ごろまでは日本は直間比率というのが間接税六五%ぐらいだったのです。フランスはいまでも六〇%ぐらい間接税なんですね。それから昭和二十五年から四十五年ごろまで約二十年間というのは、日本は間接税の比率が四五から四〇ぐらいのところでずっと推移してきているのです。高度経済成長の後半になりましてから、所得税と法人税がどんどん入るということで間接税の比率がどんどん下がって、現実には二七・六%ぐらいの比率になって、このままでいけば二六とか二五とかと落ちていくでしょう。そういうようにどんどん間接税のシェアが少なくなって、法人税と所得税だけに頼っていくという財政構造が果たしていいのかどうか。諸外国の例等も考えて、ドイツ、イギリスあたりは大体四〇から四五ぐらいの比率、日本は三〇を切って二六、五、四、三とだんだん下がっていく。  一方では、社会保障費というものはいやおうなしにふえるのですね。老齢化社会を迎える。それは長生き政策をやっているわけですからあたりまえのことであって、老人がふえれば年金がふえる、病気がふえれば上医療費がふえる。これは着実に伸びていく。したがって、そういう制度を守っていくというならば、当然にそれを守っていくという決意がある以上は、その負担は何かでしてもらわなければならぬ。だから、そういう負担をどういうふうなもので求めていくのか、保険料と収入だけでふやして対応するのか。  それからもう一つは、社会保障といっても、中身についてはもっと受益者負担の原則というものも入れて、いわゆるばらまき福祉というようなことまでやれるほど——みんな所得税が大変だと言っているわけですから、そういうようなものはもう少しどういうふうに考え直すのかというようなことも本音で大いに議論をしていく必要がある。これはそういうような全体の中で考えるものであって、ただ単に大型間接税だけを頭に置いて、それだけで税収の増大を図ってというふうには思ってないのです。もう少し広くいろいろなものもひっくるめて、歳入歳出とも両方を含めて検討をしていくということを言っておるわけでございます。

柴田弘公明党・国民会議

○柴田委員 時間が参りましたのでこれでやめますが、そうしますと、あくまでこの統一見解は大型間接税を示唆したものではない。  ただ、いま大臣がいろいろとおっしゃいましたいわゆる直間比率の問題あるいは税体系をどう見直していくのか。もちろんそういった歳入を含めて歳出カットということもあるわけでありますが、ここで一言、私は、あくまでも所得税減税というのは歳出カット、行財政改革の徹底、不公平税制の是正、そういったもので国民的な要求にこたえていただきたい、心からこれを要望いたしまして質問を終わります。

森喜朗自由民主党

○森委員長 和田耕作君。

和田耕作民社党・国民連合

○和田(耕)委員 きょうは十七分くらいしかありませんので、まとまった質問ができないと思います。  大蔵大臣の見解を伺いたいのですが、大蔵大臣は、いま減税という問題で野党こぞって、各労働組合、諸団体も全部が挙げて一兆円減税という問題を主張されておるのですけれども、減税をすることと景気を浮揚さすということとがどのような関連があるとお考えになっておるのか。現在の日本の条件で減税をすればすぐ景気が浮揚すると思われておるのか、大したことはない、やるにしても少しは大型で何年も続けてやらなければできないとか、いろいろな見解があると思うのですけれども、大蔵大臣は、現在の日本の諸条件から見て減税をすることが日本の景気を浮揚さすということと直結している非常に大事な要素だとごらんになっておるのか、あるいは大した要素ではないというふうにごらんになっておるのか、その点からお伺いをしたい。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 それは規模によると思います。  問題は、二千億とか三千億とか減税したからといって、二百七十兆というGNPの中で景気浮揚に大きな力になるというふうには思っておりません。しかし、うんと大型のをやれば影響はあるかもしれませんが、問題は、財源がないというところに問題があるわけでございます。

和田耕作民社党・国民連合

○和田(耕)委員 これは官房長官あるいは総理なんかもときどきいろいろその問題についての断片的な所信を出されることがあるのですけれども、アメリカのレーガン大統領は昨年から三年間継続で三〇%の所得税減税ということをおやりになりました。アメリカは一年やったわけですけれども、大蔵大臣、よその国のことですけれども、この成果をどのように判断をされておるのか。あの減税によってアメリカの景気が浮揚されたかどうかということなんです。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 人様のことは余り批評する立場にございませんが、非常にむずかしいんじゃないかと私は思っています。

和田耕作民社党・国民連合

○和田(耕)委員 この問題は、政府として減税をやらない、拒否するにしろしないにしろ、この見通しの問題についてもっと真剣に検討してもらいたいと私は思うのです。  そうでないと、ただ減税の要求があるから減税の約束をしましょうというのでも、国民に対しての責任は果たされないし、といって、いまの日本の景気が非常に落ち込んでおる、大型の歳入欠陥も出てきておる、一説によると、いまの五十六年度の欠陥は一兆五千億を超すんじゃないか、こう言われている説もあるわけで、この問題を政府が処理する場合には、それは公式にしなくても何でもいいのですが、もっと真剣にこの問題を検討して、ある時期には国民に対して政府の所信を明らかにしてもらいたいと私は思うのです。いかがでしょう、この問題は。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 それは当然真剣に検討いたしております。

和田耕作民社党・国民連合

○和田(耕)委員 たとえば、このいまの大型の消費税、間接税というものが議論になっている。その反面で、一兆円か何か知らぬが、とにかく大幅な減税というものの主張が行われる。これらの問題についても、やはり景気浮揚という問題が背景にあるわけでありますので、それとどういう関係になるのかという問題ですね。所得税減税の方は景気をあおり、間接税の方は逆に下げていく、そういうふうな関係ももっとこの際に政府として詰めておく必要があると私は思うのです。  いずれにしましても、きょうの日本の大きな新聞で、かなり権威のあると思われておる新聞の一面トップの記事に、政府はやはり、五十九年度までに財政再建のめどをきちんとつける、特例公債はゼロにする、あれを二年ぐらい延ばすんじゃないか、そういうふうな方向で検討を始めたんじゃないかという記事が載っておるんです。実は私どもも、この問題が議論され始めたときに、五十九年にはちょっと性急過ぎる、六十一年ごろまでにというふうな方向で案をつくった方がいいということをかなり真剣に議論したことがあるんです。  私は、これは政府がやると言うんだからやらせればいいじゃないかということを言ったわけなんですけれども、しかし、いまの条件から見て、とても五十九年はむずかしい。昨日閣議決定された中期見通しの場合でも、たとえば五十八年で三兆三千七百億、五十九年度では五兆六千七百五十億、こういう歳入不足というものを予定する文書を大蔵大臣として閣議で決定するということの意味はどういう意味があるのか。予算審議を控えてこれは大変ですぞということを申すだけじゃなくて、とてもこれはできないということを言外に含めた意味があるのかどうか。つまり、あれを閣議決定された意味についてお伺いいたしたい。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 中期展望を閣議決定をした意義は、やはりこれは国会に配るものでございまして、しかも、今後の予算編成を拘束するものではございませんが、後年度の負担の推計を基本とした一応の見通しと、これを手がかりにして将来の財政の問題を検討しようというようなことでございますから、それはいろいろ条件が違えば変わってくるじゃないかという議論は当然あるわけでございますけれども、やはり大きな問題提起であることは事実でございますので、したがって閣議で御報告を申し上げて了承を得たということでございます。

和田耕作民社党・国民連合

○和田(耕)委員 その問題は、重ねて聞きますけれども、大蔵大臣、この前河本企画庁長官との間に、新聞に伝えられるところによると、景気浮揚の問題についての御見解がお二人で違っておるという新聞記事がありましたが、そういうニュアンスはありますか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 それはよそ様がいろいろな御批判をするのであって、私としては違っておるとは思いません。  予算編成のときなどは、大蔵大臣と各閣僚はニュアンスがかなり違うのですよ。片方は予算を要求していっぱいつけようという方だし、私の方はそんなにやらないという方ですから、そういう違いまで入れられますと、それはみんな違っていると言えば違っておる。しかしながら決まったことについてはみんな一致してやろう、これは党議決定みたいなものでございます。  ただ私の言うことは、日本の経済というのは世界の経済とつながっているのです。全然日本だけが離れ小島で、世界の経済に関係なく政府の自由意思によって上げ下げが何ぼでも上にも下にもできる、そんな問題ではありません。まして日本は自由主義経済ですから、政府が直接経済に介入して、どうだこうだとやっていることは余りないわけですからね。したがって、経済計画というんでなくて、これはどこまでも経済の見通しだということを私ははっきり言っておるのです。  世界じゅういままで非常なインフレと失業に悩んで、景気停滞でマイナス成長、アメリカなどもことしも前半はうんと悪い、後半からよくなって平均して一%ぐらいかという状況ですし、ヨーロッパの諸国も似たり寄ったりというところで、日本は名目で八・四%、実質五・二もできるとすれば、それ以上景気をよくするといったって、それは不可能ではないか。  私は、そこらの目標に向かって努力するということだけで、もうそれを実現できれば、それで上等ではないかと思っておるのです。これはもう神様でないとわかりませんが、それぞれの財政当局者及び財界や経済の研究所等でも、ことしの後半から世界の景気は明るさを見るという状況なので、われわれとしては、それまでつないでいかなければ、日本の状況は、財政は別としても、失業率もインフレ率も世界で一番いい状況にあるわけですから、何とかこれを守り抜いていくという姿勢なんです。  ですから、言い回しは違っておるかもしれませんが、そんなに目指すところが違っておるということじゃないのじゃないか。ただ積極的に物を言うかそうでなく言うかというだけであって、どうしても財政で手伝いしろと言われましても、私の方は手伝いすることができませんので、余り先に行って財政でうんと手伝えなんて言われても困るものですから、そこのところは歯どめをかけて物を言っているんで、何かうんと違ったような印象をあるいは与えておるのかもしれません。

和田耕作民社党・国民連合

○和田(耕)委員 大体おっしゃることはわかりますが、もう一点、行革の方の側で増税なき財政再建という言葉があるのです。  いまの諸条件から見て、行革でもって財政を、つまり五十八年なり九年なりという当面の財政をカバーするような行革ができますか。当面の財政再建をするためには、増税あるいは自然増収、景気が高まって税金がふえる、その二つしか当面の問題としてないじゃないか。行革の問題と財政再建の問題は別の問題だというふうにお考えになっているのか、その度合いもありますけれども、大蔵大臣の御所信をお伺いしたい。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 行革と財政は別と言えば別かもしれませんけれども、行政改革というのは、しょせんむだを省いて効率的な、簡素な政府をつくるということですから、それが実現できれば、結果としては財政に寄与することは当然ではないのか。財政に何も関係ない行革というのも、それはあるかもしれませんよ。あるかもしれませんが、いま言われているものは、簡素にして効率的な政府ということですから、財政の再建とはかなり密接に関係がある、そういうように私は見ております。

和田耕作民社党・国民連合

○和田(耕)委員 五年、十年を見れば関係はあるとしても、来年、再来年ということになると関係があるかどうかということをお聞きしているのです。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 これも私の持論なんでございますけれども、行政改革というものはきわめて速効的なものではない、遅効的なものである。中には速効的なものもあります。しかし、半年、一年でそんなにどんどん行政効果が出てくるという、増税とわけが違いますからね。やはり一つの大きな機構を改革するには二年とか三年とか、物によっては五年とかかるでしょう。したがって、それは非常に効果は出てくるけれども、肥料で言えば燐酸、過燐酸のようなものであって、アンモニア的な効果は余り期待はできないのではないか、そう思っておるわけでございます。

和田耕作民社党・国民連合

○和田(耕)委員 つまり、私が申し上げてみたいのは、この中期展望で見られるような五十八、五十九年度のかなり危機的な状態を見れば、増税なき財政再建ということは言っても、これは五年、十年のことであって、来年、再来年には間に合わない。行政改革というのはそういろ性格のものではないということになれば、やはり増税をするかあるいはもっと期間を延ばすかということが当然出てくるんじゃないかと思うのですね。こういう問題を、これはこういう機会でお答えはなかなかできないと思いますけれども、恐らく検討されておると思いますけれども、その問題を大事なことだというお答えだけでいいのですが、いかがでしょう。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 目標というのは、全然手の届かないところに目標というものを置いても、これは意味がないのですね。だけれども、簡単にすぐ手の届くところに置いても目標の意味はないのです。やはり、届かないかもしれないが、努力によって届きそうだというところに目標があってがんばるわけですから、したがって、五十九年度脱却の財政再建の目標というこの基本方針は変わらないということを言っておるわけでございます。

和田耕作民社党・国民連合

○和田(耕)委員 どうもありがとうございました。

森喜朗自由民主党

○森委員長 正森成二君。

正森成二日本共産党

○正森委員 大蔵大臣、私は大蔵委員の一人として、また国民の一人として、税収不足あるいは税収欠陥と言ってもいいのですが、それには非常に心配しているのですね。与党が困るからいい気味だというような気持ちは毛頭持っていないのです、本山に困るのですから。それで大蔵大臣や主税局長にできるだけ正直に、率直に答えてほしいと思うわけであります。  まず伺うのですが、五十六年度の税収減は四千五百二十四億円、減税分がありますから実質四千四十億円ですが、それではとても済まないのではないか。いま佐藤議員が数字をお挙げになりまして、私も計算をしてきておりましたが、重復するようですからお出しいたしませんが、いままでの累積が十一月までで九・八%ですから、もしそのまま伸びるとすれば、補正を引いても二兆三千億円ぐらい足りなくなる。あり得ないことですが、一挙に十二月から当初予想の二〇・二%をたったかたったかふえるというように計算しましても一兆四千億、減額分を引いて一兆円足りなくなる、こういうことになりますね。これは御承知のとおりであります。もし補正のままで税収不足あるいは税収欠陥が出ないというぐらいの税収を上げようといたしますと、先ほどの佐藤議員の計算とは少し違いますが、減税分を引きますと二七・四%、十二月から突如全部埋めなければならないということになるんですね。これは大蔵大臣、正直に言って非常に無理な話じゃないでしょうか。  手元に資料を差し上げましたのでごらんいただきたいと思いますが、それは何ら主観を交えないで五十四年と五十五年の累計での前年同月比の税収の推移を見たものであります。このグラフ炉よく示しておりますように、十一月の時点で、五十四年は対前年同月比累計で一一九・六の場合が、五月になっておりますが、これは三月締め切りの分が五月に入りますから、結局五月まで見なければいけないんですが、締め切りで一一八・九、ほぼパラレルですね〇五十五年はどうかというと、十一月末が一一四・三だったのが五月締め切りが一一三・二、これもほぼパラレルであります。  そういうぐあいに見てみますと、十一月に一〇九・八の場合、もし五月までに補正後の一一八・五に達しようとしますと、こういう急角度で伸びなければならない。これは、五十三年度などは区分が変わりましたから比較できませんので使っておりませんが、ほとんどあり得ない仮定ではなかろうかというように思うのですが、最近の新聞を見ますと、大蔵大臣もいまのまま突っ張ったのではなかなか大変だと思われたのかしれませんが、二十八日の閣議後でしたか、三%や四%は見込みが違うというのはあり得るんだというように言われて、わかりのいいところを示されたようですが、いまの補正予算でもう税収の赤が出ないというように言い切れるのかどうか、御意見を伺いたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 先ほども申し上げたように、これは見積もりでございますから断定的なことは申し上げられませんが、われわれが予算を直したときに、いままでの九月ごろまでの状況、十月の速報値等を見まして、それで物品税等がえらく落ち込んでいるというような点から見積もったもので、実は補正を組むことにともかく転換をしたわけです。その後の状況はやや好転をしてきているのも事実でございます。  先ほど主税局長が言ったように、問題は法人税なんです。これは大物ですから。物品税なんか全体から見たら小さいから、大きいものがどう出るか、これによってがらっと変わってくるわけですので、そこのところは、個別の大口法人などは案外最近の決算はいいんです。ですから、どう出るか、これは三月決算が一番多いわけですから断定しかねる。したがって、われわれとしてはそういうものに期待をいたしまして、本当に危ないと思ったものだけを訂正をさしていただいたということでございます。できる限り目標が達成できるように願っておるというわけでございます。  いままでも、御承知のとおり税収見積もりというのは残念ながら違うときは二〇%ぐらい違う、一〇%とか二〇%とか。今回の四千五百億円は税収に対して一・四%の誤差。その程度ですから、それでは足らぬという御議論もあるいはあるかもしれません。しれませんが、財政当局としてはこれでいってみようということになっておるわけでございます。

正森成二日本共産党

○正森委員 これでいってみようというのは結構なんです。これはあくまでもいってみようであって、そうなるとは限らないわけで……。  いまの大蔵大臣の御答弁でも明らかなように、これはいかぬというはっきりしているものだけは補正に出したんだ、だからこれはいかぬかもしらぬという程度のものは、まあまあ三月の締め切りいっぱいまで待とうということですね。だから税収欠陥が出ないとは言えないわけであります、いまの答弁でいみじくも示唆されておりますように。  それで主税局長、先ほど佐藤議員の御質問に文字どおりとらぬタヌキの皮算用で、小型乗用車がどうだとか、寒いせいか知らぬが冷蔵庫がどうだとかいろいろ言われた。寒ければ冷蔵庫じゃないのか、反対でありますが言われたのですけれども、大蔵大臣が先取りして答弁されましたように、物品税というのは、予算の見込みでも、おっしゃるとおり一兆四千億円足らずでものが知れているのですね。だから、頼みの綱は結局法人税だということになるわけです。  そこで、私もちょっと試算してみたのですが、お手元には差し上げませんけれども、ラフに言って、一体法人税がどれぐらい伸びれば補正予算だけで済むと思っていられるのですか。

福田幸弘大蔵省主税局長

○福田(幸)政府委員 お答えします。  計数だけで、残伸率と申しますか、今後幾ら伸びれば予算額という、法人税だけで申しますと——さっき二七・四というのは全体でございますね、法人税の税収、補正後で十兆三千五百二十億ですから、これを達成するものは法人税目だけでいいますと二八・九、そういう感じでございます。

正森成二日本共産党

○正森委員 二七・四伸びればいいということでしたが、それは大臣がいみじくも言われた法人税以外の余り当てにできないというものもとっとことっとこ伸びた場合に全体としていけるということでしょう。それがどうもそうならない可能性があり得るという意味のことを、私が意訳すれば、大蔵大臣が言っていられるわけですから。  物の試しに私が計算してみたのですけれども、いままで十一月で法人税以外の税、それがどれくらい伸びたかと計算すると一一四%ですね。法人税はいまのところは九九・何ぼで伸びていないのですけれども、それが同じようにとっとことっとこ一一四%で四月まで伸びたとして、頼みの綱は結局五月に税収があらわれてくる大きな企業でしょう。それがもうぐっと伸びるというように期待したとして、一体何ぼ伸びれば補正のままでいけると思っておられますか。宿題です。単純に出るでしょう。

福田幸弘大蔵省主税局長

○福田(幸)政府委員 残伸率の御質問だと思うのですが、全体は二七・四というので、法人は二八・九ですが、所得税で二七・〇、それからその他が二五・五、こういけば不足が埋まるという感じになるわけですが、税目がその辺入り組んできますので、だから個別の税目のいままでの推移のところが、やはり税目ごとにいろいろな事情、要素が入ったりして非常に下回っているものがある。たとえば先ほどの申告所得税なんか非常に低かったと思います。それから、物品税等も景気の関係それから物価の関係で低い。それが角度をつけてくるのは年によって非常に違うものですから、いまからの各税目の動きがそれぞれに関連する指標とどう実績に絡んでいくか非常に見にくいわけでございまして、おっしゃるとおりなかなかむずかしいので不確定要因が非常に多いということだけ正直に申し上げます。

正森成二日本共産党

○正森委員 大蔵大臣、物事は皆不確定要因で、われわれは仮定で議論をせざるを得ないのです。もし仮定の議論がいかぬというなら五十七年度の予算なんて組めないわけですから。問題は、どの仮定が一番蓋然性があり合理性を持っているかという議論にならざるを得ないのですね。  それで、試みに私が計算したら、法人税以外の伸びが二四%ですが、それは同じようにずっと伸びる、それから法人税もいまは一〇〇%いってないのですよ、それが四月まで一一四でびゅうっと伸びる、五月には三月決算の大企業がばっと出てくるから、これがものすごい好景気だと、それで補正を組まなくていいぐらい出るとなると、結局五月に金の入る法人税というのは七五%伸びないといけないのです。七五%伸びないと補正予算のままでいけないという結論が出るのですね。そんなことは幾ら仮定の議論でもまず考えられない。だから私は、補正予算ではとうてい済まないで税収欠陥が出ることは明らかだ、こういうように思うわけであります。  そこで大蔵大臣、時間が短いからお聞きしますが、あなたも、朝日新聞などを見ますと、去年の十二月二十一日ごろですが、このままほおかぶりして補正予算をやらずに、赤字公債を出さずにいこうか、こう思ったけれども良心の苛責に耐えかねた、それで、省内にいま出すと五十七年度予算編成に非常に困るということがあったけれども、おれが決断したんだというように言うておられますね。  さらに伺うのですが、それほど良心がおありなら年度内にもう一度補正予算を組むということでないと、明らかに予見しがたいという場合にだけ決算調整資金を使えるのでしょう。もうすでに税収欠陥が出ないなどというのは天佑神助に頼るほかはないので、税収欠陥が出ることはいまの段階でも明らかなんですね。現に決算調整資金制度がないときには第一次補正、第二次補正をやって多目に補正予算を組んで赤字国債発行の権限をもらっておかないと、税収欠陥が生じたときに処理の方法がなかったのですね。だから歴代内閣はそうやってきたのです。  今度は決算調整資金制度があるからまあ何とかなるだろうということでほおかぶりしているというのは、これは大蔵大臣、良心から見て許されないんじゃないですか。あなたの御良心というのは、まあまあ四千億円ぐらい出すという小さな良心ではあっても、一兆円も出るようなものはほおかぶりするという相当粉飾の良心じゃないですか。私はそのことをあなたに伺いたいと思います。率直な意見です。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 これは本当に議論があるところだったわけです。しかしながら、物品税その他の落ち込みの現状から見て四千億円程度の減収というものが予想されるということで補正予算を組んだわけでございまして、その後の状況を見ておりますと、まだ公表するほどはっきりした統計が出ておりませんが、比較的調子いいのです。したがって、私としてはこれでいいというように思っております。

正森成二日本共産党

○正森委員 四千億円前後の税収欠陥だということで補正予算を出した大蔵大臣としては、だれが大蔵大臣であろうとあれ以外答弁できないですよね。あれ以外に答弁したら、今度は良心がないだけでなしに不誠実である、こういうことになるわけですから、大蔵大臣の御心境はよくわかるのです。私が与党ならやはり同じことを言わざるを得ないかと。それは本当なんです。それ以外言えないのです。  しかし、あなた自身が閣議の後でいみじくも、三%、四%出るときはあるんだ、こう言われたように、私は、いまの補正の税収減でいけるようになるということはないだろうと思う。それはいまは言えますよ。仮定だから、私はこう希望しているとか手の届くところに目標があるとか言えるけれども、いやでもおうでも五月になれば、それがわかる六月になれば明らかになるのですね。もしそのときに第二次補正を組まないとすれば、決算調整資金を使うよりないですね。そうでしょう。

西垣昭大蔵省主計局次長

○西垣政府委員 いま御指摘のございましたように、一般会計に決算上不足を生じた場合の処理の制度といたしまして決算調整資金がございます。

正森成二日本共産党

○正森委員 それで大蔵大臣、決算調整資金でいまあるのは、この運用益を入れても大体二千五百億円くらいです。二千五百億円の範囲内でとどまればいいが、その範囲でとどまらない場合には決算調整資金で、ずいぶん官僚は頭がいいと思うけれども、ちゃんと手当てが書いてあって、国債整理基金から出してもよろしい、こうなっているのです。国債整理基金というのは、赤字公債やそのほかを償還するための財源なんですね。それが六十二年にはゼロになっちゃうんですよ。だから大変だということで財政再建しているのだけれども、そのとらの子の財源に手をつけるよりしようがないということになれば、これはもう財政再建の破綻でなくて何ですか。  さらに言いますと、最小限補正を引いても一兆円以上出る。私の計算では、補正を引いても大体一兆三千億から五千億円くらいは出るだろう。これは八卦じゃないから当たらぬかもしらぬけれども。  そうすると、決算調整資金の二千五百億を引いてもさらにほぼ一兆円前後赤が出る。それを国債整理基金から出しますと、それだけで済めばいいのだけれども、決算調整資金の法律を見ると、それは出した翌年度の会計年度に一般会計から返さなければいかぬ、こうなっているのですね。一兆円出れば、五十八年度はさらにそれを予算から返さなければならない。きのう「財政の中期展望」を出して、三兆三千億か四千億あって大変だというけれども、それにさらに一兆円一般財源から出さなければいかぬ。こういうぐあいになれば、財政再建なんというのは政府のもくろみどおりとうていいけないんじゃないのですか。  まだいまのうちに赤字公債を発行しておれば、それはこの年度だけで五十八年度どうこうということはないかもしらぬけれども、麻薬みたいな決算調整資金に手をつければ、そのときはいいけれども、国債の返却のための財源は減るわ、法律では翌年度までに返さなければいかぬとなっておるわということになれば、五十八年度予算というのは大変なことになるでしょう。それを国民の前に明らかにして予算委員会の審議をしてもらうのが当然なのに、それをやらないで、いやいやいまのままでいけると思うと言うて四千億円くらいの税額の減収でほおかぶりしているというのは、国民に対しても議会に対してもきわめて不誠実な態度ではありませんか。これは、いやいやあなたは言うけれどもうまいこと税収が出るんや、任しておけといまは言えるでしょう。しかし、六月になればいやでもおうでも結果は出るのですから。  もう私の時間が来ましたから、私がいまこのことを指摘したということをよく耳と胸にとどめておいて、どちらの良心あるいはどちらの見込みが正しかったかということを、そのときで議論するよりしようがないと思うのですね。何かおっしゃることがあればおっしゃってください。——ありませんか。

森喜朗自由民主党

○森委員長 小杉隆君。

小杉隆新自由クラブ・民主連合

○小杉委員 「財政の中期展望」に関連して、ゼロシーリングということについて伺いたいと思うのです。  この中期展望によると、五十八年度三兆三千七百億円要調整額が出るわけですが、先ほど来の大蔵大臣の答弁を聞いていますと、国債の発行をやるということは言っておりませんし、増税もすぐやるというわけにはいかないと思うのですね。そうしますと、歳出カットということをやはり当面最重点に考えなければいかぬという場合に、たとえば五十八年度予算をこれから編成するに当たって、五十七年度と同じようにゼロシーリングという手法で抑え込んでいくというお考えがあるのかどうか。あるいはこれも、ゼロシーリングを余り続けると景気対策に悪影響を及ぼすから考えなければいかぬというふうにお考えになるのか、その点まずお伺いしたいと思うのです。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 これは方針はまだ決まってないのです。  問題は、ゼロシーリングにするという場合には、人件費の値上がりをどうするのかという問題が一つ当然出てまいります。それから、どうしてもふやすという政府の重要項目が幾つかございます。それをどうするのか。それも現在の予算でさらに切り込むということについては、これはやはりかなりの出血を伴う話でございますから、発想の転換を図らなければ言うべくしてなかなか切り込めない。  しかし私としては、やはりこういうように安定経済になったときですから、高度経済成長時代にできた施策についてはさらにもう一度見直していく必要がある。しかし、完全なゼロシーリングということはなかなかむずかしいのじゃないかという気もしますが、今後さらに国会でも終わってからもう一遍真剣に掘り下げて、臨調の答申等も見ながら考えていきたいと思っております。したがって、いまのところ、どっちというはっきりしたことはまだ申し上げられる段階ではありません。

小杉隆新自由クラブ・民主連合

○小杉委員 行財政改革について伺いたいのですが、五十七年度予算はわずか二千五百億円程度の行財政改革による節減ができたわけですが、これはもう大蔵大臣も再三言われているように、全く一時しのぎの緊急避難措置であって、これから行財政改革については七月に第一次答申が出る予定になっておりますね。これについては、先ほど来のお話では、速効性がないから直ちに五十八年度とか五十九年度とかに財政的なプラスはないのだというお話がありましたけれども、私は決してそういう速効性がないとは考えないわけですね。やはりこれからの財政の展望を国民に示していくためには、もし行財政改革が速効性がないとするならば、長期的に年次計画といいますか、そういう行財政改革によってこの程度の経費の節減を見込むんだというふうな長期的な展望、計画というものをつくる必要があるのじゃないかと思うのですが、大蔵大臣どうお考えでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 行政改革の第二次答申がどういうものが出るかまだわかりませんので、いまからそれをどうこうということは申し上げられません。出れば、当然何らかの目安はつくってこなしていかなければなるまい、そう思います。

小杉隆新自由クラブ・民主連合

○小杉委員 先ほど増税の問題について、直間比率の是正とかというお話が出ましたけれども、最近総理大臣あるいは大蔵大臣の増税に対する態度というのは非常に揺れ動いているわけです。現実、非常にむずかしい財政状況を見ますと同情するところもありますけれども、しかし、やはり増税なき財政再建ということをはっきり行財政改革の臨時国会でも言われているわけですし、増税はしないということを大臣、ここではっきり言い切っていただくわけにいかないでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 それは、私の財政演説に書いてあるように、行政サービスを受けるのもそれを負担するのも同じ国民であります、したがってどちらを選ぶべきかは国民の判断によるところであります、と書いてあるわけでございます。したがって、どういうふうな措置をとるか。われわれとしては、行政改革を進めるという現段階においては、まず歳出のカットを優先的に考えていくということであって、それ以北のことはいま申し上げられる段階ではありません。

小杉隆新自由クラブ・民主連合

○小杉委員 もう時間が参りましたからこれで終わりますが、現在の財政を立て直すには、先ほど来お話があったように、歳出カットあるいは増税あるいは国債の発行という三つの方法しかないわけです。私としては、やはりゼロシーリング的な考え方というものを五十八年度も取り入れていくべきじゃないかということ、これを強く申し上げまして、質問を終わりたいと思います。      ————◇—————

森喜朗自由民主党

○森委員長 この際、小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。  先刻の理事会で協議いたしましたとおり、それぞれ十六名よりなる  税制及び税の執行に関する小委員会  金融及び証券に関する小委員会  財政制度に関する小委員会  金融機関の週休二日制に関する小委員会 を設置することとし、各小委員及び小委員長は委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森喜朗自由民主党

○森委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  小委員及び小委員長は、追って指名の上、公報をもってお知らせいたします。  なお、小委員及び小委員長の辞任の許可並びに補欠選任につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森喜朗自由民主党

○森委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十二分散会

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