石炭対策特別委員会 第12号
- 発言数
- 87 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1982/07/08
会議録
○枝村委員長 これより会議を開きます。 石炭対策に関する件について調査を進めます。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 夕張新炭鉱事故問題について、本日、参考人として夕張新炭鉱事故調査委員会委員長伊木正二君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○枝村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、参考人の意見は委員の質疑により聴取することといたします。
○枝村委員長 去る二日、政府に報告されました夕張新炭鉱事故調査委員会の調査結果について、政府から説明を聴取いたします。福原立地公害局長。
○福原政府委員 去る七月二日、伊木東大名誉教授を団長といたします夕張新炭鉱事故調査委員会から「事故調査委員会報告書」が政府に提出されまして、政府といたしましては、夕張新炭鉱ガス突出災害対策本部として本報告書をちょうだいいたしました。その骨子につきまして御報告をいたします。お手元の骨子に沿いまして御説明申し上げます。 まず、災害の概要でございます。 昭和五十六年十月十六日十二時四十一分ごろ、北第五区域でガス突出が、これは一次災害でございますが起こりまして、救助活動中の同日二十二時十分ごろ、同区域でガス爆発、二次災害が発生して坑内火災が起こったわけでございます。今次災害による死亡者は一次災害で八十三名、二次災害で十名、合計九十三名の方のとうとい生命を失ったわけでございます。 ガス突出、すなわち一次災害についてでございますが、まず突出の形態でございます。 今次突出は、北第五ロングゲート坑道掘進作業場付近で発生いたしました。初動に引き続きまして連続して起こったものと考えられます。したがいまして、その規模が拡大し、大規模の突出になったということでございます。その規模は、突出炭量は約四千立米、突出ガス量は約六十万立米と推定されております。 原因の推定でございます。 まず、北第五区域は、地表下一千メートルを超える深部にありまして、全体として、まず断層、褶曲の影響等のため地質構造的にガスの多い地帯であったということでございます。次に、周辺の採掘が行われていない、いわばこの地域は処女区域であったためにガスが抜けにくい環境にあったということで、ガス突出についてはそもそも不利な環境に置かれていた地域でございました。 二番目に、災害後実施した探査ボーリングの結果、災害発生個所である北第五ロングゲート坑道の掘進方向に、対策上注意を要すべき断層及び擾乱帯、これは地層、地質に複雑な乱れのある区域でございますが、これが存在することが確認されました。 三番目に、さらに災害の発生した当該現場付近において、ガス突出の予兆とも言える次のような変化があったことが判明いたしました。 まず、北第五盤下立て入れナンバーワンにおいて、着炭時、ボーリングによるガス誘導量が多かったこと。 次に、上記着炭ボーリングにおいて、北第五ロングゲート坑道周辺区域のガス量が多かったにもかかわらず、当該坑道の先進ボーリングにおいてガス抜き量は少なく、かつその減衰が急激であったこと。なお、せん孔中にガス湧出を伴うものも数本ございました。 次に、北第五ロングゲート坑道の掘進の進行とともに、発破後のメタンガスが増加傾向を示しました。 次に、北第五ロングゲート坑道の進行に伴って、当該坑道の炭壁の軟化が見られました。 次に、災害の直前に、これは約二時間前でございますが、坑外の集中監視装置のメタンガスのチャートに気流中のガス濃度の不安定な現象が記録されておりました。 以上のような状況の中で、北第五ロングゲート坑道の掘進を進めたことにより事故が発生したものであり、ゲート坑道の奥部に対するガスの去勢が不十分であったということが原因と考えられます。 次に、二次災害の火災について申し上げます。 災害の状況でございます。 一、ガス突出による濃厚なメタンガスが存在する中で、圧気管の断管により酸素の供給があり、何らかの火源によりガスに着火して爆発したものと考えられます。 二、現場の取り明け状況から見ますと、北第五盤下立て入れナンバーワンから北部人気斜坑マイナス八百十巻き立てにかけての間で特に燃焼が激しく、鉄管、アーチ枠等が溶融するような場所があり、ところによっては最高温度が千五百度C程度にまで達した状態にあったということが判明いたしました。火災の範囲は同個所よりさらに人気斜坑を経て北第五上部坑道にまで及んでおります。 次に、原因の推定でございます。 着火位置は北第五盤下坑道ナンバーツー・ボーリング座付近から北第五盤下立て入れナンバーワン付近にかけての間と推定されます。 着火源につきましては、電気工作物、自然発火等火源となり得る可能性のあるすべての物件につきまして現場での確認、あるいは実験場、試験場等におきます試験等により逐一検討いたしましたが、結局、静電気の放電による火花であるということに推定されるに至りました。 静電気の発生の可能性のあるものとしては、救護隊の作業に関連して持ち込まれたビニールシートあるいは救助作業者の身体への帯電が考えられます。 以上が、一次災害、二次災害の状況並びに原因の推定でございます。 今後の対策といたしまして、まずガス突出災害防止対策でございます。 これには、探査ボーリング等による地質状況等自然条件の事前把握の強化。自然条件に見合った、より効果的な坑道掘進方向のガス去勢対策の強化。ガス突出に係る各種情報の収集、的確な解析評価等、日常監視の強化。現場の状況変化に対応した迅速な強化対策の実施。救急設備等緊急時対策の見直し、これは二次災害も含めてでございます。これらのガス突出防止対策が必要であるということでございます。 次に、二次災害の防止対策といたしまして、救助作業時の静電気帯電防止処置等静電気対策の徹底が必要であると言われております。 さらに、将来の課題といたしまして、今次災害の反省に立って、今後次の項目について研究開発を促進することが必要であるということになっております。 それは、まず地層破壊音、地層変位量等を組み込んだ総合的な予知システムの開発。次に、ガス突出防止対策としての応力解放技術の開発。緊急時の情報収集、伝達及び退避誘導システムの確立。坑内危険作業の自動化、遠隔操作化技術の開発。最後に、採掘予定地域の自然条件を把握する技術の開発。これらが必要であるというふうに報告書は述べられております。 以上でございます。 —————————————
○枝村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺省一君。
○渡辺(省)委員 夕張新鉱の災害がございまして、大変痛々しい大事故があったわけでございますが、その後、きょうは伊木調査団長お見えをいただきましたので、いささか政府に対する報告に関連をしまして二、三お伺いをしたいと思うわけでございます。 大変厳しい状況下での大事故であったわけでございますが、伊木先生を初めとして各調査団の方々大変御苦心をされて、そして貴重な報告をしていただいたわけでございまして、その御努力に対しまして深甚の謝意を表すると同時に、今後ともこの災害を防止する調査の経過、結果を十分ひとつ生かしながら、われわれも石炭の安全な状態でのエネルギー源確保、こういうことで努力をしたい、そんなときでもございます。 そこで、端的にお伺いをさせていただきたいと思いますが、調査団の報告が七月二日にございまして、新聞その他報道等を通じましてこの事故が人為的災害であるか不可抗力の自然災害であるかなどの議論もずいぶんあったようでございますが、報道によりますと、少しく努力が不十分でなかったかの報道もされておったことも事実でございます。 そこで私がお伺いをしたいのは、いまの御報告によりますと、一次災害、二次災害があるわけですけれども、一次災害は少しくガス抜きが十分でなかったのではないか、そういう状況判断をされている報告を受けたわけでございます。二次災害は静電気等による火花が原因ではなかったかという趣旨の御報告があったわけでございますけれども、そこで、きょうは先生をお迎えしているので率直にひとつ二点お伺いしたいと思うのでございますが、どうしてこんな大きな事故が起きたかということの環境なりその経緯をまずお伺いをさせていただきたい。 それから二つ目は、これだけの大事故を防止するすべは一体あったのかなかったのか、その点について団長としての御見解をお伺いさせていただきたいと思います。
○伊木参考人 私、伊木でございます。 このたびの夕張新炭鉱の災害の調査委員会の委員長を仰せつかりまして、先ほどお話のありましたように七月二日に御報告申し上げた次第でございます。ただいまの御質問に対して、調査委員会として判断いたしましたことにつきまして御報告申し上げます。 まず一つは、どうしてああいう大きな災害が起きたかということでございますが、それは、あそこの地質状況はもう皆様御承知だと思いますが、一つはペンケ断層というのがございます。それからまたペンケマや背斜軸というのがございまして、非常に複雑なところでございます。それからまた地表からの深さが千百メーターぐらいの非常に深いところでございます。しかも、地表に露頭のない炭層をいきなり深いところで採掘するという非常にむずかしい条件にあったことは皆様御承知だと思います。 そこで、そういう深いところにございます炭層と申しますのは、どうしてもガスがたまりやすい。また、しかもいま申し上げたような地層が複雑なところにはガスがたくさんだまっておるというのが普通でございます。そういうところへ採掘が進んでいった。採掘と申しますよりも坑道掘進が進んでいって、まだ全然採掘をしていない地域でございます。ですから、当然ガスが多いということは想像されておっただろうと思います。そして、しかもその掘進をやる中で、地層に断層がございますと申し上げましたが、一つの大きな断層だけでなしに、その先にその断層から派生した小さな断層が幾つかございます。それに対しては探査ボーリングというのをやって、ある程度地層の乱れというものは認めておったようでございます。 それから後にまた、今度は災害後でございますが、われわれの方で指示をいたしまして、突出跡の探査ボーリングをいたしました結果等総合いたしますと、ある断層が幾つか存在するということも判定いたしました。 そういうところに坑道を掘進していったわけでございまして、そのために非常に大きなガスが含まれているということが直接の原因ではなかったかというふうに考えております。 もちろんガス抜きがやられておったわけでございまして、先ほど報告の中にございましたように、ガスも、あるボーリングからは多量に出た、あるボーリングからはほとんど出なかったというようなこともございました。ですから、その部分にガスがどういう状態で入っていたか、これはわれわれもなかなかつかみ得ないことでございますけれども、非常に異常な状態で入っていたのではないか、しかもそれが非常に大規模にあったということから大きな突出になったのではないかと考えておる次第でございます。 それから二番目の御質問の、こういう事故を防ぎ得なかったかどうかという問題でございますが、私どもはあくまで災害後のいろいろな状況から判断したものでございます。 われわれの調査いたしましたのは、災害後の現場の状況、これを取り明けとそれから別の新しいボーリング等によって調査するとともに、それまでの災害前のいろいろな記録を見て、最終的にはある予兆があったのではないかという判断をしておるわけでございます。しかし、現場の方々がそれをどういうふうに当時、災害前に判断されたかということにつきましては、われわれはそこまでは調査する権限もございませんし、むずかしい問題でありますので、そこまでは入っておりませんけれども、われわれは結果的に見て、予兆等から考えればある程度防ぎ得たのではないかということは考えております。 しかし、いま申し上げたように、それを現場の方々が災害前に判断する場合に、単なるその地質状況だけだとかあるいはガスの抜きぐあいだとかいうようなことだけでなしに、それ以外のいろいろなことを考慮に入れて総合的に判断されませんと、なかなかガス突出の前兆と申しますかその予知をすることはできないわけで、一つの事例だけをとってこれが予兆だというわけにはまいりませんので、その辺の総合的な判断をどういうふうにされたかはちょっと私どもにはわかりかねておりますが、われわれが結果的に見たことは、いま申し上げたように、ある意味では予知ができたのではないかという判断をしたわけでございます。 以上でございます。
○渡辺(省)委員 時間がありませんから、先生、端的にひとつお伺いさせていただきたいと思うのでございますが、事情を知らない人たちらは、努力が十分だったかどうかということについて、いま先生おっしゃるように幾つかの予兆があったはずだということでございますが、その予兆をどう受けてそう御判断をしたかということになりますと、これはなかなか大変むずかしい問題だと思いますけれども、私が端的にお伺いしたいのは、たとえばガス抜きのボーリングをいろいろやった機会に一つの基準を決めてあります。その基準以上のガス抜きのボーリングを幾つかやりました、そういう規定なら規定に基づいてやらなければならないこと以上のことを幾つかやったのだけれども、しかし、いま申し上げましたように、結果的にガス抜きが十分でなかったのではないかと判断をせざるを得ないという状況、こういう規定以上の幾つかの努力がされておったのかどうか、この点調査の中でもし御指摘できることがあればひとつお伺いしたいと思うわけです。
○鈴木説明員 お答えいたします。 ガス突出防止対策につきましては、各炭鉱の保安規程の中で先進ボーリングとかガス抜き等の実施の基準が決められているわけでございますが、この新鉱におきましても同様でございます。 今次災害発生個所でございます北第五十尺層上段ロングゲート及びその近傍におきましても、いずれもその基準を満足するに足る数量の先進ボーリング等が実施されていたことが確認されております。
○渡辺(省)委員 ちょっと理解できなかったのですが、幾つか具体的な個所が、それから具体的な問題があるわけですね。それを総合的に判断して、たとえば個々の基準は先進ボーリングその他何本打つという規定がありますね。それ以上幾つか打っている、そういうことは調査の中で出てきたのかどうかということを聞いたわけです。ですから、具体的に申し上げますと、いま伊木先生おっしゃったように、幾つかやらなければならないことがあったではないか、その中でこれこれのことはやっておるという、調査の段階でそういうものが具体的にあったかどうかということを聞いているわけです。
○鈴木説明員 保安規程によりますと、たとえば盤下坑道からのガス抜きボーリングでございますが、これは炭層方向に向かいまして二十五メートルメッシュに一本のボーリングを打つということになっていますが、これはその規定どおりやられておりました。 それから、なお沿層坑道の先進ボーリングにつきましては、規定では六本以上ということになっておりますが、これにつきましても十一本だと思いますが、六本以上実施されておることがわかったわけでございます。
○渡辺(省)委員 具体的にこの中身を精査しますと、私は専門家でないからわかりませんが、そういう幾つかの事例の中に、規定以上の努力を積み重ねてやったけれども、一つには総合判断に少しく問題があったのではないかということであるとか、規定以上やっているのだからこれでベストであるというふうにいろいろの状況判断をしたかどうかということと、それ以上もっとやるべきであると判断をすれば、ガス抜き十分であったということに結びついたかもしれません。ですから、私は今次の災害が一つの基準以上の努力を幾つか積み重ねたけれども、不幸にしてこういうことになったという努力の跡が、いま規定以上の努力をされたということがございましたが、そういう努力をしたものという報告を了といたしまして、これは伊木先生にお伺いしたいのですが、あの地域の地層は、いまボーリングその他にしても規定以上のことをやったということなんですが、規定をもっと強化してやるということが将来の方向として考えられるのか。もっと別の角度から、あの地層の採炭については保安教育であるとか、もっとそういう実の伴うことで別途の対策を何か特に施さなければ、あの地層を深部化、奥部化する採炭は不可能である。むしろその点をもっと具体的に調査の結果提起ができるものがあればひとつ提起していただきたい。 裏返しで申し上げますと、隣で三菱が掘っているわけです。こちらは北炭が掘っているわけです。ですから、ややもすると地域住民の中では北炭と三菱の差かというような、ある意味では短絡した物の言い方をされているわけでございまして、私はそんなことはないと思っているのですが、そういう意味で、いま前段に申し上げましたようなことについて、もし先生の立場で御意見を聞かしていただけるなら、ひとつ聞かしていただきたい。
○伊木参考人 私の考えとして申し上げますが、ガス抜きのボーリングは規定以上にやってあったということのようでございます。そういうことにつきまして、それ以上にガスが出たのだからガス抜きのボーリングをもっとよけいやればいいのじゃないかという御意見でございます。これもごもっともで、当然ガス抜きのボーリングはふやせばふやすほどいいとは思いますけれども、これは必ずしもガス抜きのボーリングの数をふやしただけで片づくものではないのじゃないか。やはりガス突出に一番大切なことは、ガス抜きの状況が逐次どういうふうに変化していくかということを見ていかなければ、なかなかガス突出の前兆というものはつかめないのじゃないかと考えます。したがいまして、そういった面は、今後もし新しいところをやるとすれば、そういうことでいろいろな面からガスの状況を検討していく必要があるのじゃないかと思います。したがって、いままでの見方が正しかったのか正しくなかったのかということについては、私はちょっといまわかりかねるのでございますけれども、そういうことでございます。 それからもう一つは、いま後の方でおっしゃいました三菱の南大夕張とすぐ隣り合わせているのに向こうではできてこちらではできないのかという御質問でございますが、これは隣とは言っても炭層が非常に違った状態を示すことがたびたびございまして、しかも一方では急に初めから深いところに入ったものでございまして、三菱の方はその点がわりあいに地表のところから入っていったものでございますから、この点はかなり違うと思います。したがって、それだけ夕張新鉱の方がすべての条件でむずかしい状態にあり、また苦しい状態にあったのじゃないかと思います。 以上でございます。
○渡辺(省)委員 これはなかなかむずかしい問題でございますが、あってはならないことなので、先生の調査の報告の中にかなり厳しく今後の対策、当面の対策、いろいろ指摘をされております。これを通産当局がどう受けて、労使双方、自主保安というような中でどう具体的に評価していくかという課題になろうかと思いますけれども、いま先生がおっしゃられた中で、三菱と北炭の隣り合わせの比較をしようという気持ちはございませんが、いま御指摘のように、真っすぐ入って深部から掘り出すというこの炭鉱の保安対策については特殊なものがやはり必要であるということで、今回のとうとい犠牲を伴うこの中から教訓として技術的に今後育てる芽があるとするならば、いま御指摘の点も含めてこれは十分配慮をしなければ、いま実は地域の熱望もございまして、最近、地域住民はもちろんでございますけれども、石炭政策全般の中で、ひとついける山として、地域住民と関係者の皆さん方が安心して石炭が掘れる、そういう職場をつくろう、また会社の更生を願っているということから申し上げますと、その点は先生などの御指摘を十分ひとつ通産当局に生かしてもらわなければならないことが宿題であろうというふうに思うわけでございます。 そこで私は、立地公害局長にひとつお伺いしたいのです。まだたくさんの問題がいろいろあると思いますけれども、時間がありませんから先へ進めますが、いま先生等の指摘された問題を受けて、夕張に対して、当面はこの報告を軸にして、鉱山保安法だとか法に照らしてこれがどうあったかということも当然考えられることであろうし、今後どうすべきであるかということにもこれは結びついていくわけでございますが、この伊木先生の調査団の報告を受けて通産としては一体どう対応されようとしておるか、その点についてひとつお伺いしたいと思います。 ちょっと質問は漠然としていますが、私はもっと砕いて言うならば、具体的に伊木先生にちょっとお伺いしたように、規則であるとかそういうことの見直し、こういうことがこの災害を契機にしてその必要性があるかどうか、そんなことがもしあるとすればその点についてひとつお伺いしたいし、それからこれは規則の問題じゃないんだ、もっと実態論として具体的に考える必要があるということがもしあるとすれば、それはどんなことに視点を置いていくか、こんなことで、この報告を受けた段階で通産のお考えをちょっとお伺いしたいと思います。
○福原政府委員 お答え申し上げます。 いままで伊木先生からもお話がございましたとおり、夕張新炭鉱は典型的なガス山でございます。しかも稼行区域が深部にわたっていたということで自然条件も厳しいということでございまして、札幌鉱山保安監督局といたしましても特に重点炭鉱として、ほかの炭鉱に比べまして最も高い頻度をもって監督を続けておったわけでございます。普通の炭鉱でございますと大体月一回、一回が二、三日というのを、月三回くらいは巡回をしておったわけでございますが、その都度、改善するところがあればその指示を行ってまいりました。 さらに、夕張新鉱につきましては鉱山保安確保事業費補助金というのがございまして、これをもちまして坑道の整備であるとかガス抜き等の助成を行ってきたわけでございます。当鉱山に対する交付金というのは、各山の出炭のトン当たりで見ますと最も高い補助金を交付しておったわけでございます。補助金につきましては、この山に多くこの山に少なくという恣意的なことは全くございませんで、現場の状況、特にガスが多いかどうかとか、そういうものを勘案いたしまして配分しておるわけでございますが、結果におきまして、申し上げましたように夕張新鉱に対する補助金の交付は従来からも最も高かったわけでございます。 それで、御報告を受けまして今後私どもどうするかということでございますが、報告書に盛られましたいろいろの対策がございます。これは私どもすでに現行の対策として行っておるところもございますが、さらにこれを強化してまいりたいというふうに考えております。 さらに、技術開発の面におきましても、今後採炭区域は深部化していく一方でございますので、ガスあるいは地圧等の自然条件は当然厳しくなってまいります。したがいまして、ガス突出あるいは二次災害を防止するための技術開発の強力な推進ということはやらなければならないと思っております。 具体的には、たとえば坑道掘進に当たりまして、ゆるめボーリングと申しておりますが、あらかじめ大口径のボーリングを打っておきまして地層を緩めておく、そしてガスが抜けやすくなるというようなことをするためのボーリング、あるいは緊急警報あるいは連絡、脱出等を含めました総合システムの解析、あるいは坑内作業のいわゆる最近流行のロボット化というようなことも具体的な研究テーマとして今後検討してまいりたい、このように考えております。
○渡辺(省)委員 お伺いしたいことはたくさんあるわけでございますが、いま局長から包括してお話がございました。 そこで、先ほど伊木先生もちょっと触れられておったのですが、局長、あの地域は奥部化、深部化すると、断層があったり地層がもめておる、あるいは高温であるとか、幾つか特殊な条件下に置かれつつある、そういうふうに大変厳しい方向に状況が展開しているわけですね。 そこで、この夕張もその一つだと思いますが、たとえばこういうことに関連をして、いま住友赤平、これはわれわれ仄聞するところによると、昨年何か保安問題等で特に苦労して、そうして決算の状況を見るとその保安のために多額の支出をしています。結果十九億くらいの赤字である。三井の上砂川は五十億程度の赤であります。三井芦別等については十九億程度の赤であります。一体そんな赤字が、昨今の安定補給金等が傾斜配分をするなどの重厚な施策が行われておるのにそれとは全く逆の方向に行くというなら少し自主努力が足りないのじゃないかという指摘も実はしておるのですが、異口同音に出てくることは、坑内条件が非常に悪くなってきているので特に最近は保安の問題に十二分に配慮しています、こういうことを言っているわけですね。そこで、北海道というか、あの炭田自体の一つの特徴としてかなり厳しい条件があるので保安補助金をふやしてやれ、そういう短絡した言い方はしません。もっと共通する問題について何か政府が集中的に、この炭鉱、この炭鉱の特徴で深部化、奥部化する、断層がしかも急傾斜であるということについて、こういう技術がよかろうとか、こういうことをもっと具体的にやれというようなことを、どういうふうに表現したらいいかわかりませんけれども集中的に、何か個々の炭鉱が試行錯誤とは言わぬけれどもやるようなこともやり方ですけれども、そういうものを共同で、国が手厚い配慮をしながら進めていく共同研究というようなことも、一つの柱として地域全体の指導の指針とするようなことがあっていいのではないか。そして、それを個々の現場で生かしていく指導があっていいのではないかという感じが率直にするわけですけれども、そういう問題に関連して、安定補給金だけではなくて、そういう保安の面で共同開発あるいはもっと対象になっていないものを対象にして、そして経営悪化の方向にてこ入れをしてやって、あと自主努力を引き出すということの呼び水的なことを少し考えてみる、そんなことはどうかと思うのですが、この点はどうでございますか。
○福原政府委員 先生から大変貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。私ども、石炭技術研究所というのがございますので、ここに従来から委託費を投入いたしまして、そういう炭鉱全般にかかわる問題についていろいろのテーマを与えまして研究をしてもらっておるわけでございますが、これらの研究テーマの中に先生おっしゃいましたようなことも今後入れて検討させるということも考えてみたいと思っております。 さらに、北海道の炭鉱につきましては、岩見沢に鉱山保安センターというのがございまして、ここでも研究あるいは各炭鉱からの実習というようなものをやらせておりますが、これらの充実も図ってまいりたい、このように考えております。
○渡辺(省)委員 終わります。
○枝村委員長 岡田利春君。
○岡田(利)委員 夕張新炭鉱の事故調査委員会の報告書をずっと拝読しまして、非常によくまとまっている報告書である、私はこう実は評価をいたしておるわけです。これだけの大災害があって、現場の直接担当者が死亡しているという状況の中で、このような報告書が出された。従来の大災害の場合にも報告書の提出がなかなか遅いわけでございますけれども、そういう意味でも大変な努力をされたなという感じを私は持っておるわけであります。その任に当たられた伊木先生初め皆さんの御努力に感謝を申し上げたいと思います。 そこで、今次災害の「原因についての考察」、この中の「地域特性について」、その中で、さらに「地質特性」の問題あるいは「岩石特性」の問題、さらにガス抜きの条件、(2)としては「災害発生箇所付近の特殊性」、そして「断層」、「坑内状況等の特記事項」、こういう形でずっと分析をされて、最後に総合的な考察として、言わば一言で言うと今次災害はガス去勢が不十分であったことが原因である、このように結論づけられておるわけであります。 そこで私は、ガスの去勢が十分であればこの災害が起きなかったということはきわめて当然であろうかと思いますけれども、ずっと分析をされた内容から検討すると、他の炭鉱から見てもきわめて問題の地域であり、すでに鉱山保安局ではガス突出警戒区域に指定されておったところでもある。また、特に断層の状況は、この災害の起きた立て入りにおいても数本断層が見られておる、こういう状況であります。しかし、一応先ほどの答弁でもガス抜きの規格についてはある程度規格以上に強化されておった、こう答弁も実はなされておるわけであります。そうしますと、ガス去勢が不十分であったことはガス抜き規格が十分であったということとは相反することになりますし、そういう意味でガス去勢をそれでは十分にする場合には一体どうしたらよかったのだろうかという、こういう反語が出てくるわけであります。 そういう意味で、技術的にガス去勢が不十分であったという意味は、いわば具体的に特徴点を挙げればどういう点がガス去勢が不十分であったという結論につながるものであったのか、この点伊木先生の方からひとつ御説明願えればありがたいと思います。
○伊木参考人 先ほど申し上げましたように、まず一つは断層、褶曲の影響が非常に多い地質的な問題のあるところであるということ、それから周辺の採掘が行われていない、いわゆる処女地域であるということ、それにさらに断層、褶曲が多くて擾乱地域に当たっていたということでございます。 それで、それらに対してもちろんガス抜きはやっておられたわけでございますが、そのガス抜きの中で、一つは盤下から行いましたガス抜きは非常にガスの誘導量が多かったということ、それに対して北第五上段ゲートから沿層に向かった部分で同じ地域に対して行ったガス抜きのボーリングが余りガスが抜けていない。そういうことは、一つは前の盤下の方から行いましたボーリングによって十分にガスが抜けたという判断もできるわけでございます。しかし、そのゲートのところから行いましたガス抜きの中で、二本だったかと思いますが、それはガスの突出があるような、また粉炭を伴って出るような非常にガスの多いところに当たっているボーリングもございます。そういうものを見た上で、われわれはガスが非常にまだ残っていたのではないかというふうに判断したわけです。 それともう一つは、先ほど局長からの説明の中にもございましたが、やはりその坑道が、いまの沿層坑道を掘進していく段階におきまして発破とともに、発破の回数ごとにガスの量がふえていったということ。それから最後の発破、と申しますのは突出の約二時間前でございますが、その発破の後のガスの出方が普通のときとは違っておったようなふうにチャートからは見られるわけでございます。そういうことから判断して、なおガスが残っておったのではないかという意味で不十分であったのではないかというふうに判断——これは先ほども申し上げましたように、あくまでわれわれが災害後に見ましたいろいろな資料からの全体を見た上での判断でございまして、そのときに災害前に山の方々がそれをどういうふうに見られておったかは、ちょっと私どもにはわかりかねております。 以上でございます。
○岡田(利)委員 私も、今次災害が発生したときに六点の問題点を挙げて、今次災害の特性ということについてあらかじめ指摘をいたしておったわけであります。したがって、普通常識的にはこの夕張地域はガスは抜けやすい。しかし空知炭田の赤平のように非常にガスの抜けづらい地帯、空知地区とこの赤平地区の場合には、それぞれガス対策は異なった方法をとっておるわけであります。そうしますと、技術的に考えればガスが抜けづらいという点がもし確認された、認識された、こう仮定をいたしますと、当然これに対する対策というものが講じられなければならぬのではないか。また、そういう技術としては、たとえば赤平の場合は大口径ボーリングでボーリングを打って、いわば人工突出をさせながらガス対策をやる、こういう手法が早くからとられておりますし、またガス抜きの規格自体についても、この夕張地区の倍以上のガス抜きボーリングを打っているわけですね。問題は、ガスが抜けづらいという特性を持っている地域である、そういう状況にあるという認識があったかないかということで、この対応策が分かれてくるのではないかと私は思うわけであります。したがって、これも結果論と言えば結果論でありましょうけれども、抜けづらい地域にはやはり普通の方法でなくして、もちろんガス抜きボーリングもさらに多く規格として設計しなければなりませんし、また大口径といいますか、中口径といいますか、適当な口径の先進ボーリングを打つ、こういう手法をとられることが技術的には私は常識だと思うのでありますけれども、この点についてはどうお考えになっているか、これは局でも結構なんですけれども、御答弁願いたいと思います。
○鈴木説明員 お答えいたします。 ガスが抜けにくい場合の対策の一つといたしまして、ただいま先生の御指摘されました大口径ボーリングによる応力のゆるめ対策ということも考えられるわけでございます。今回の事故調査委員会の報告書の中におきましても、必要な場合にはゆるめボーリング等の追加対策の実施を検討するようにという御指示がございますので、われわれといたしましてはこれを受けまして今後大いに検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
○岡田(利)委員 問題は、この災害現場はちょうど発破を施行して、そのときに集中監視装置の方では非常にガスの湧出量が記録をされておる。そしてその二時間後にこの突出災害があったというのが経過であったろうと思うわけであります。問題は、この現場でこういう形で発破を施行することが一体適当なのかどうかということも検討の素材ではないかと思うのですが、今度の報告書には特に発破の問題については実は触れられていないわけであります。しかし、お隣の三菱の場合、発破を施行する場合には特にバージンフィールドのようなそういう場合には、あがり発破をかけられる、そして数時間置いて状況を確かめて作業に取りかかるというのが大体通例であるわけであります。この場所の場合に、まさしくそういう手法をとるべき通例の個所であったということはきわめて常識的に言えるのではないか、私はこう思うのであります。もちろん発破をかける、したがって衝撃がある、亀裂が生ずる、それを通じてガスが断続的に湧出をしてくる、そして巨大なガス突出になった、こう想定されるわけでありますから、この発破問題ということは重要な問題としてここで検討されなければならない問題ではないか、私はこう考えておるわけであります。そういう意味で、この発破の施行時期と突出の時間的タイミングから言って発破の施行ということがどうなのか、また発破の施行後十五分か二十五分で作業に取りかかるという作業システムは、ガスがもし突出した場合、対策から言えばこれは非常にまずい方法であるし、もしあがり発破であるならば、この場合その後ガス突出をすれば、災害についても相当小さく済んだのではないか、こう想定されるわけであります。そういう点について伊木先生の方からは、特に調査団がこの発破の問題について述べられていない点についてどうなのかということと、私のいまの見解に対して通産省の方ではどう考えるのか、この点伺っておきたいと思います。
○伊木参考人 発破の問題を報告書の中に触れなかったと申しますのは、もちろん検討はいたしました。しかし、発破後二時間後に起きたということで、これは発破による直接の影響ではないという判断をしたわけでございます、突出との関係で。そういう意味で触れていないのでございまして、別に検討しなかったわけではございません。
○鈴木説明員 お答えいたします。 今回の突出は、伊木委員長からのお話もございましたように、発破の二時間後に発生しているわけでございます。現状、発破施行とガス突出発生との因果関係につきましては、不時突出等もございまして必ずしも明らかになっていないわけでございますが、ガス突出による人災を極力なくするという見地からいたしまして、発破施行につきましては自然条件を配慮しつつ、かつ現場のガスの挙動等を的確に把握して臨機応変に対応していくことが必要じゃないかというふうに考えております。 先生の御指摘のとおり、特異炭層の炭鉱におきましては、発破施行後の作業の一時休止とか長時間禁止等も実施されている例があるわけでございますから、したがいまして、いわゆるあがり発破という方法につきましても今後大いに検討に値する考え方ではないかというふうに考えております。
○岡田(利)委員 私は、前段に質問しましたように、ガスが抜けづらい、中口径なり大口径のボーリングを採用する、そして発破をかけるというような場合と、そういう一応の認識も知恵もなく普通の先進ボーリングでやって、ガスが余り出てこない、したがって抜けておるのではないかという点で平常的な発破掘進をやるという場合では、おのずから違いがあるのだと思うのですね。せめて前者のような中口径、大口径の先進ボーリングでやっていて発破をかけるという場合、ある程度うなずけるわけです。しかし、普通の先進ボーリングだけで発破をかけて作業が継続されるという点については、私は望ましいことではないのではないかという認識を持っております。少なくとも、ある一本のゲート坑道が貫通した、そしてさらに別のゲートなり風坑の沿層坑道を掘るという場合になりますと、一つの経験とか実績が出てまいりますから、それなりに一応の形でできるんだと思うのです。ここの場合には、この沿層は初めての沿層でありますから、そういう点からいっても最大限注意をしなければならないところだということは間違いないと思うのです。そういう意味で、発破の施行というものについて、そういう状況の中で判断が非常に甘かった、私はこう言わざるを得ないと思うのですが、この点いかがですか。
○鈴木説明員 お答えいたします。 炭鉱におきましてガスが多く存在するということと、それからその地質上ガスが抜けやすいかどうかということにつきましては必ずしも一致してない点がございまして、ガスが抜けにくい炭鉱におきましては、確かに大口径によるゆるめボーリングを実施しているわけでございますけれども、この炭鉱の場合はガスも多く、かつ一般的にはガスが出やすいというところでございますので、特段大口ボーリングを採用するのが技術的にベターかどうかについてはさらに検討を要する必要があるわけでございますが、ただ先進ボーリング、ガス抜きボーリングを進めるに当たりましては、単にボーリングをやるということだけではなくて、そのガス量の変化とか、それからガス圧、さらに繰り粉量、それから先ほどございましたように噴気中のメタンガスの濃度の変化、そういったものをあくまで総合的に判断しながら進めていくべきものだというように考えております。 当時、この現場でボーリングをされていらっしゃる方がどういう判断で進めていかれたかにつきましては、現在捜査中でございますので、その辺の解明を待ちましてまた検討してまいりたいというように考えております。
○岡田(利)委員 今次報告書につけられている第十二図(その一)それから(その二)という図面が載っているわけですね。この図面では明らかに着炭ゲート展開のところに断層が二本ある。さらに今度の突出部内の中にも断層が走っている。ですから、ゲートではこの断層状況というのは把握できたと思うのですね。言うならば断層沿いにゲートが展開されたということにこの図面はなっているわけであります。したがって、普通のフィールドと違った条件でゲートの位置が設定されたわけです。そこにすでに断層が出ているわけですから、いわば断層沿いに沿層ゲートが展開されているわけですね。そういう点では非常に特殊だ、非常に気をつけなければならぬところだということは、もうはっきりしておったのではないでしょうか。そう認識することが技術的に常識ではないでしょうか、いかがでしょうか。
○安藤説明員 事実関係について私は御説明したいと思います。 いま御指摘のありました断層とゲート坑道の設定との関係でございますが、図面に示しているとおり、立て入れ坑道とゲート坑道のクロスする部分にその断層らしきものがあったことは事実でございます。これがいつの時点でわかったかという問題でございますが、取り明け後、天盤際に石炭がついているということから、どうもおかしいということでよく精査しますと、約一メートル程度の、俗に言う盤折れ程度の断層が見つかったわけでございます。したがいまして、それ自体が坑道設定との関係においてきわめて注意を要すべきであったかどうかについては見解の分かれるところじゃないかと思います。
○岡田(利)委員 私が図面を見て、少なくとも一メートルあるいは一メートル五十の断層が二本出ている、こういう図面になっているわけですから、この点は把握できない問題ではないということであったろう、こう思うのであります。 そこで次に、前兆があったといろいろ言われているわけでありますけれども、炭労の調査団の報告、これは木下北大工学部の教授も入っておりますから調査団と同じメンバーの学者も入って出された報告書でありますけれども、この中で、十月十三日から事故災害の発生まで、ダイナマイトを使った坑道掘進を行った事実を挙げている。その中に、同九日一番方から十二日二番方までの先進ボーリング中、中程度の山鳴りが十九回、小規模のものが八十二回も発生、十三日以降も事故直前までに大小十一回、合計百十二回の山鳴りが起きておった、いわばその結果ガスの濃度が上下をするさみだれ現象というものがはっきり出ておった、こういう点が指摘をされておるわけです。あるいはまた、先ほど先生が言われた、会社側は地上の集中監視装置でこれらの事実を掌握していたのに、単に注意指示を出しただけで、作業を一時中止するなどの具体的な安全対策はとらなかったという点も、実は炭労調査団の報告では指摘をされているわけです。この点は恐らくデータが同じでありましょうから、調査団としてもこの事実は同じではないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
○伊木参考人 いまの数字は確かに同じものを私ども伺っております。ただ私ども考えたのは、山鳴りというのは必ずしもガス突出とつながらないものがかなりございます。いわゆる地層がどこかで割れるとかいう場合に起きるもので、山鳴りが非常に多かったから突出が多いというふうには一概に申せません。また山鳴りは人が聞いたものでございまして、必ずしもそれを一つ一つ記録していたかどうかということも疑問がありますし、聞こえなかったものもありますしいろいろでございますので、その点はわれわれとしては取り上げておりません。われわれはあくまでできるだけ正確なデータをもとにということで検討しております。
○岡田(利)委員 山鳴りの問題だけでなくして、ガスの濃度が急激に上下するさみだれ現象があり、そういう点は集中監視装置で把握をされ、そして一応注意だけはしておったことも事実であります。そうしますと、総合的に判断すると前兆があったということが言えるのだと思うのです。したがって、現場の係員といいますか、保安技術職員といいますか、現場の管理者が一体どう判断し、これに対応したかということがやはり問題なんですね。こういう前兆の評価、それから現場管理者の判断、この点に非常に大きな問題があるのではないかと思うのですが、局としてはどう判断されておりますか。
○福原政府委員 御指摘のとおり幾つかの予兆があったということは報告書の中にも明記されておるところでございますが、これを現場の管理者がどういうふうに判断をしたかは、現在別途司法当局でも調査中でございます。捜査の重要なポイントになる点だろうと思っておりますので、現在捜査の進行中でございますので私から申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
○岡田(利)委員 今次災害の原因が今回調査団によって報告されたわけですが、その原因を取り巻く遠因といいますか、そういう点について少し考えてみなければならぬのではないかと私は思うわけです。 その第一点として挙げられることは、当夕張新鉱は、言うなれば保安管理者あるいは副保安管理者、保安に責任を負うきわめて重要なトップの人事は一年ごとくらいにかわってきておったことも事実であります。そういう保安管理体制の面からいうと、管理体制がそうしょっちゅう変わるということは、なかなかきちっと風通しのいい体制になっていなかったのではないのか、そういう点が一つ遠因として考えられないだろうか、こう私は思うのであります。 第二の問題は、当炭鉱は、開坑以来出炭は計画を下回ったということで、開坑そのものも三年計画が五年になり、その後計画を何回も修正して、とにかく未達の状態で長く推移してきた。しかも、災害以前においては生産体制の安定化、経営の安定を目指して経理審査小委員会からも厳しい注文がついて、これが最後の施策である、こうまでも言い切られたわけであります。災害が発生したときに現地で林社長といろいろ意見の交換をしたのですが、保安の問題ももちろん考えておるのだけれども、結局はそういう経営的な焦りというものが今度の災害に結びついたのではないか、こういう質問をいたしたところ、林社長から率直に、焦りがなかったと言えばうそになりますというお答えがわれわれにもたらされたわけであります。 そうしますと、結局第二の遠因としては、この新鉱の置かれておった状態、そういう中で、もちろん経営者であろうとあるいはまた保安管理者であろうと、すべてに保安の責任はあるのでありますけれども、そういう前兆やいろいろなものがあったけれども、これに的確に対応するという点についてやはり手抜かりがあった、切り羽は切り上げて三月まで展開をしなければこの炭鉱は安定しないという絶対的な条件であった、そういう状況は非常に明らかだと思うのです。したがって第二の遠因として、そういう状況の中で焦りというものがあった。結局、いろいろの現象に対して対応していく余裕がいわばなかったというような状況が災害につながったと言えるのではないかと私は思うのです。 この災害の前に六月には三井砂川でガス突出があるわけですね。私も去年十一月に三井砂川に行ってまいりましたけれども、さすが三井鉱山ですから災害後の対策なんか非常に慎重を期して、すべてその現場をストップして新しいフィールドに展開をしている。そのことが大幅な出炭減で、六割出炭しかできなかったわけですね。それが先ほど渡辺委員が言った五十六年度五十億の赤字になった。しかし三山あるわけですね、優秀な三池もありますし。そういう意味で三井鉱山はこれを抱えて、そして今日砂川は大体目標出炭が安定的に出る。やはりこれは半年以上かかっておるわけです。そういう面から見ても、北炭自体も本来余りいい状況ではありませんし、真谷地はウエートは小さい山でありますから、そういう判断から言えば二つの点はこの災害の遠因として残念ながら指摘をしておかざるを得ないし、そうであったのではないかと言わざるを得ないと思うのですが、見解はいかがですか。
○福原政府委員 今回の災害の遠因として、あるいは坑道展開を急ぎ過ぎたのではないか、あるいは保安管理体制に問題があったのではないかという御質問でございますが、事故調査委員会の報告書では坑道展開と事故の発生について直接的な因果関係は見出せなかったということでございます。政府といたしましても、直接原因はあくまでも委員会の報告が結論であるというふうに確信いたしております。 また、災害発生個所である北第五十尺層の上段のロングゲートの掘進速度でございますが、当時の掘進速度は一日大体四メートルで、これは過去の実績に照らしましても特に速かった、急いだという実績はなかったわけでございます。 それから保安体制の状態でございますが、鉱山保安法並びに同法に基づく石炭鉱山保安規則では、石炭鉱山において整えるべき保安管理機構について定めてあるわけでございますが、夕張新鉱につきましてもこれに基づきまして監督員を五名配置して監督体制をしいておったわけでございます。監督員五名という配置は最高で、北海道の炭鉱ではあと幌内が五名あるだけでございまして、先ほどもお話ございました砂川でも二名だったか三名だったか、その辺であったかと思います。 さらに、北第五区域が主要区域であったということから、ガス突出防止対策につきまして機会あるごとに炭鉱側に対しましても保安監督局といたしましては注意を喚起いたしてまいったところでございますが、ほかの炭鉱に先駆けましてガス突出防止に関する諸情報を集約、解析させるための管理体制として、ガス突出防止実務担当者、これは係長クラス、さらにガス突出防止総括責任者、これは副保安技術管理者クラスでございますが、これを定めさせましてガス突出防止にかかわる保安体制の強化について指導を行ってまいったわけでございます。これらにより、相当条件の厳しい個所を克服してきた実績もあるわけでございます。体制面で基本的に欠けていた面があったとは私どもは考えておらない次第でございます。
○岡田(利)委員 そう答弁されるだろうと私も想像しておりましたから、そう答弁されたことは別に驚かないわけでありますけれども、ただ私は、先ほど言いましたように置かれておった状態、また経過等考えると、二つの問題が遠因であるという意味は、原因ははっきりしておるわけです。何も調査団の報告書とは関係がない話でありますから、別に調査団の報告書がどうのというものじゃないわけであります。ただ、われわれはわれわれなりで状況判断しますと、その二つが遠因である、少なくともそういう遠因の要因に挙げられるということを申し上げておきたいと思うのです。そのことはやはりこれからの石炭政策に問題を投げかけている。言うなれば一社一山体制になっていくわけでしょう。太平洋とか松島とか赤平は一社一山ですね。もし何か大きなトラブルがあったりすると、なかなか挽回がきかないという状況になるわけであります。だから保安面からいって、いまの私企業ベースの石炭政策がこれからもいいのか、どんどん深部化していくわが国の炭鉱でこういう体制でいいのかどうかということが問われているのではないのか、私はそう思うのです。しかし、第七次政策が今年出発の年でありますからあれでありますけれども、そういう点についてこれからの石炭政策の中でぴしっと決断を持って考えていかなければならぬ時期が必ず来るのではないか、こう私は思いますので、この点は指摘をしておきたいと思います。 そこで、次に二次災害の問題について、この報告書を見ますと、対策の方で書かれている内容の方が詳しいのだと思うのです。相当実験もされたのだと思うのですけれども、前の三菱大夕張の災害も最終的に原因は静電気だということになったわけですね。その後対策もとられて、このビニールなんかについても補助金が出ている、こういうことでありますけれども、そうしますと、たとえば断管して空気が噴き出す。当然微粉状の炭じんがさらにその刺激によって拡散をして、それが蓄電をして静電気を持って、ビニールシートとか救護隊の肌、衣服に触れることによって、これが発火をする。そして、この場合には用語としてはガス爆発でありますけれども、恐らく大きなガス燃焼の状況が起きたのではないか、こう想定されるわけです。この点はずいぶん実験されて今回こういう結論を出されたと思うのですが、どのような角度で御検討なされたのかという点について承っておきたいと思います。
○伊木参考人 今度の二次災害の原因につきましては、そこにございますように着火の原因になるようなものをまず挙げまして、そしてその一つ一つについて点検をしていきましたけれども、電気工作物、それから自然発火等はその証拠をつかみ得なかったわけでございます。そこで最後に残りましたのが静電気でございます。静電気の場合でも、正直申しましてこれは証拠はつかみ得ません。 それで、実験をしていただいたのは、できるだけ坑内のその場と同じような状態にあるところで粉じんを立たせていただいて、そしてそこにビニールのソートを置いて実験をしていただく、あるいは炭じんだけの場合の静電気の問題もテストしていただいたのですが、炭じんだけですと、空洞が非常に大きくございませんとなかなか着火するほどの帯電ができません。そこで、炭じんだけではないという結論になりました。 それで、あとはビニールシートを持っていったという事実は確認しておりますが、ビニールシートを持っていってどういう作業をしておったかということは確認できないわけでございます。ビニールシートを持っていく場合に、粉じんの上を引きずって持っていかざるを得ないので、その間に炭じんがかなりビニールシートについておる、あるいはエアで噴き上げられた炭じんがビニールシートについていると思います。そういう場合に、ビニールシートの方に静電気が相当に起こるわけでございます。そのビニールシートを開く場合に放電をいたしますが、その放電の火花がガスに着火するということが実験的にわかりましたので、そうではないかという推定以外には二次災害の原因がつかめないわけでございます。それでビニールシートではいたしました。もちろん救護隊員の服装についても同じことでございますので、その点は実験はしておりませんけれども、どちらかの問題ではないかという結論に達したわけでございます。
○岡田(利)委員 「今後の対策」として「ガス突出災害防止対策」を示されておるわけであります。したがって、「探査ボーリング等による地質状況等自然条件の事前把握の強化」「自然条件に見合った、より効果的な坑道掘進方向のガス去勢対策の強化」、それに伴って最も安全な適合性のある採炭方針が決定されている、こうなっていることはきわめて基本的な観点だ、私はこう思うのであります。そして、幾つかの問題点がさらにつけ加えられておるわけです。したがって、「今後の対策」を出されたこの内容を読みますと、この地域はこういう点をきちっとやれば安全に採掘ができるのだということを調査団として示されたもの、こう受けとめていいかどうかというのが第一点であります。 第二点は、地上ボーリングを幾つか打っているのですが、いまだにガス湧出をしているボーリングもあるわけです。大変な量で、一時は噴き出したという地上ボーリングもあるわけであります。そうしますと、この地域の採掘の骨格坑道の展開というものを見ますと、そのときの条件がいろいろあるでしょうけれども、ごく学術的、技術的に見た場合、この条件、他の連絡坑道との関係から言えば、この骨格坑道の展開はまあまあの展開である、こう評価されるものでしょうか。この点きわめて学術的、技術的な観点で結構なんですけれども、いかがでしょうか。
○伊木参考人 ここに挙げております「ガス突出災害防止対策」、これは今回の事故の調査をいたしました結果こういった点が盲点になっていたのではないかという点で掲げたわけでございます。 たとえば一番最初の「探査ボーリング等による地質状況等自然条件の事前把握の強化」ということでございますが、これはもちろんボーリング等でやる、あるいはそのほかの方法も今後は開発していかなければならないと思いますけれども、現在のところではボーリング等でやる。そういったものを正確に記録を収集して、そして全体的に検討を進めることが必要だという意味でございます。 それから二番目の「自然条件に見合った、より効果的な坑道掘進方向のガス去勢対策の強化」ということがございますが、これは場合によってはボーリングの追さくをする必要もあるんじゃないか。 そのほか、次の段階では、いろいろな扇風機のチャートの問題、あるいはガスの記録をした記録チャートの中で異常を早く見つけるということ、見つけてそれを幹部に報告するとかいったような連絡を密にすることが必要なのじゃないかということでございます。これを今後やればいいのかということでございますが、もちろんこれをやればいいとは思いますが、これをやること自体において簡単にそうガス突出が防げるというものでもないと思います。 それからまた一つの御質問でございますが、あそこの骨格構造がどうであったかということにつきましては、きょうは私はこの事故調査委員会の委員長という立場でございますので、そこのことを申し上げますと委員会から文句がございますので、きょうは御勘弁願いたいと思います。
○岡田(利)委員 今度の災害で、災害に至るまでの監督、災害が起きた後の対応の仕方、こういう点で保安監督行政上反省点というのは一体あるのかないのか。言うなれば保安監督行政上の責任に帰属するものはないと思われているのか、この点この機会に率直にお聞きしておきたい、こう思うわけです。
○福原政府委員 石炭鉱山におきます保安の確保というのは、基本的には労使一体となりました自主保安というものが大前提であると私どもは考えております。国といたしましては、自主保安体制を補完するという立場から、保安の確保に必要な助成、あるいは監督、検査の実施、あるいは技術開発の推進、あるいは鉱山保安センターにおける各種保安教育の実施ということで鋭意監督指導を行ってまいっておるわけでございますが、今後ともこの基本線に沿って監督指導の充実を図ってまいりたいと考えております。 特に、今回の事故調査委員会の報告で指摘されております自然条件の事前把握とそれに見合った対策の実施等につきましては、従来からやっておりました監督指導をさらに一層強化していくというふうに考えております。たとえば、先生のお話がございましたゆるめボーリングとかいうようなものにつきましては、実は今年度から早速補助金の対象といたしまして補助金を交付しております。それから、札幌鉱山保安監督局にはさらに一課新設をいたしまして、深部保安技術課と申しますが、深部採炭についての技術指導に重点的に当たらせるというふうに考えております。 いずれにいたしましても、報告でいただきましたことを私どもは今回の教訓として受けとめまして、保安監督体制の充実に邁進してまいりたい、このように考えております。
○岡田(利)委員 保安監督員が一体どういう勧告をしていたのか、勧告の内容は未公開になっているわけです。あるいは新しい制度でできた保安監督補佐員、補佐員が監督員に対して一体現場の保安問題についてどういう進言をしていたのかということも私はきわめて重要な問題だと思うのであります。そういう面から、ここでは責任がある答弁はないと思いますけれども、やはり注意をしなければならぬことは、保安監督行政全体の中で、メタルと炭鉱を比べれば、最も災害強度の強いのは炭鉱ですよ。北海道の保安監督局はメタルと炭鉱全体を把握するわけですね。しかし、いま置かれている現状から言えば、炭鉱の保安という問題は特に北海道の場合重大に考えなければならぬですね。そういう点でいろいろまた冷静に考えてみなければならぬ面もあるのではないかなと私は思うのです。そういう意味で、いまの答弁もありましたけれども、そういう点について冷静にこの報告書を受けて、政府の保安監督行政についても考え直してみるというような謙虚な言葉が必要である、私はこう思うのであります。この点は答弁は要りませんけれども、私の意見として指摘をしておきたいと思います。 同時に、これも私、多年問題にいたしているわけでありますけれども、有資格鉱山労働者、指定鉱山労働者という資格がありながら、掘進先の先山やロングウォールのロング長に何らの保安資格がない。保安係員を補佐する位置づけもないわけですよ。これは今日の炭鉱の状況からいって問題ではないか。少なくともある一定の先山には保安教育をする必要がある、一般の鉱山労働者以上に時間をかけて教育する必要があるのではないか、できれば保安係員に対するダブルチェックの役割りを与えてはどうなのかということを問題提起をしているのですが、なかなかまだ結論が出ていないわけであります。しかし、これからの状況を考えますと、そういう点に踏み切らざるを得ないのではないのか。もう一度この点について検討されるように要望いたしておきたい、こう思います。 以上で保安関係の問題について終わりますけれども、あと北炭新鉱自体の問題について二、三質問しておかざるを得ないと思うのです。 ここ数日、北炭新鉱の再建問題についていろいろ御意見が出ておるわけです。きょうも朝のニュースで報道されているのですが、伝えられるところによれば、大沢管財人に対して北炭社は一案と二案の再建方式を出した、提案をした。その第一案は、すでにその前に報道されている夕張新鉱を旧買い上げ方式によって二百九億で買い上げてもらう。そしてこれは国に結局売却するということになって、その後どうするかという問題についてはその後考えられたらいいのではないか。そしてそのお金で労務債とかその他のものを払うという点が出されて、しかもこれは北炭グループの実質上の首領である萩原さんが記者会見までされて実は意見を述べられておるわけであります。したがって、これはきのうの段階ではまだ正式に提案されていないと思うのですが、きょうの報道によれば、正式に大沢管財人に一案と二案を提案された。二案の場合には、二年間ぐらいかかって新しく坑道展開をして採掘をするというような構想になっておるわけであります。 したがって、きょうの質問に当たって、正式に大沢管財人に提案されたのかされないのか、同時にまた特にこの第一案については、この真意について通産省としてはただしたことがあるのかないのか、また、ただしたとすれば通産省はどう理解をしておるのか、この点についてお答え願いたいと思います。
○弓削田政府委員 お答えいたします。 質問の第一点でございますが、実はきょう、北炭の粕谷管財人代理から大沢管財人に対しまして北炭サイドの案について提案があった、こういうことをテレビ放送で聞いておるわけでございますが、私どもまだ具体的にこの内容について承知をしておりません。 それから第二点目でございますが、御案内のとおり、買収構想につきましては先日の日曜日あるいは月曜日に新聞報道がされたわけでございます。私ども実は五日に北炭の幹部を呼びまして事情を聴取したところでございます。北炭サイドの話によりますと、北炭サイドにおきましても現在幾つかの再建の案について検討中、こういうことでございます。新聞で報道されました買収構想について腹を固めた、こういうことではないという説明がございました。 なお、こういう構想の真意につきましては一体どういうことなのか、これにつきましては説明ございませんで、私どもも非常にその真意について理解に苦しんでいるところでございます。
○岡田(利)委員 この旧方式の買い上げ制度、これは私が本院に議席を持ったときに、この制度でスクラップ・アンド・ビルドをやっておったわけであります。この制度は名存実亡なのか、それとも実存名亡なのか、一体どういうことに位置づけられておるのか承っておきたいと思います。
○弓削田政府委員 この買収制度でございますが、先生御案内のとおり、採掘権及び鉱業施設を買収する、こういう制度でございます。昭和三十年の九月から、非能率炭鉱の整理を目的といたしまして発足した制度でございます。しかしながらこの制度につきましては、その後、手続及びその処理に長期間を要する等幾多の不都合な点も出てまいりまして、昭和三十七年に石炭鉱山整理促進交付金が新設されましたのに伴いまして、そこの役割りを終えまして、以後現在まで運用されていない制度、こういうことに相なっているわけでございます。要するに、法文上は残されておりますが、この二十年間全く運用されていない、こういう制度でございます。
○岡田(利)委員 したがって、いまの答弁で言うと名存実亡であって、これが運用されることもあり得るという面はやはり残っているということになるのですか。
○弓削田政府委員 私どもといたしましては、現在、閉山促進交付金制度を実は運用しているわけでございます。今後とも、もし閉山ということがありますれば、いまの制度を運用することを考えておりまして、旧制度を適用することは一切考えておりません。
○岡田(利)委員 きのう大沢管財人は記者会見をされて、北炭に対して、まず旧労務債の三十八億円の手当てをグループとして自助努力でするようにという要望を正式にしたという記事がけさ報道されておるわけであります。結局、会社更生法を申請した。そして管財人が選ばれた。したがって、この炭鉱の更生問題については裁判所の管轄下にあるわけですね。ところが、あっちからも意見を持ってくる。大沢さんの方には何も報告がなくて、記者会見で意見が出てくる。これは一体どうなっているのかと思うのが一般の国民的な見方ではないか、こう思うのですね。 こんな状況の中で石炭政策を進めていく側の通産省としては、的確に対応しなければならぬと思うのです。たとえば、更生計画で山を再建するといっても、いまの石炭政策から離れて再建なんてできないわけでありますから、そういう点では更生計画を立てる場合とも常に密接に関係のあるのが、いまの炭鉱の実態であります。したがって、そういう点についていろいろ報道だけがされて、通産省の方は談話ぐらい出しておるというのではどうかと思うのですね。この点やはり整理をする必要が通産省自体にあると私は思うのであります。そういう点について一体どうなのかということが第一点であります。 それから第二点として、管財人の更生計画。大沢さんは北炭グループに正式にこういう要請をしたと記表会見で述べられておるわけでありますけれども、やはり一定のめどがなければいかぬと思うのですね。そういう面から考えて、更生計画といいますか案が策定される目途は一体どのころに置いているのか。通産省としてはどう理解をしておるのか。 また、伝えられるところによれば、平安八尺の地域の採掘はもう捨てた、したがって、再建計画を組む場合には、いまの北部部内を重点に考えるということもしばしば言われておるわけであります。この点についてきょう御説明を願いたい、こう思います。
○弓削田政府委員 まず第一点でございますが、いま先生からお話がございましたように、北炭の再建をめぐりまして発言がいろいろ飛び交っておりまして、私どもも実は非常に当惑しているところでございます。しかしながら、北炭社の再建につきましては、先生御案内のとおり現在、会社更生法の定めるところによりまして、大沢管財人のもとで、保安の確保と経営の安定の二つを大きな判断基準といたしまして、石炭業界のエキスパートを集めまして鋭意検討が行われているところでございまして、通産省といたしましても、極力早く更生の方針が打ち出されることを期待しているわけでございます。その際、北炭グループは、その熱意と努力が関係者の理解を得て再建の道を見出せるか否かの決め手になるということを十分認識して、管財人の方針に全面的に協力すべきである、こういうふうに私ども考えているわけでございます。 それから第二点でございますが、ただいまも触れましたように、管財人の手によりましていま鋭意検討が行われている、こういうことでございまして、私どもとしてはできるだけ早い時期に更生計画案が策定されることを非常に期待しているわけでございます。 それから第三点の平安八尺層の問題でございますが、石炭各社の技術者グループによります検討の内容といたしましては、御案内のとおり残炭十尺層並びに平安八尺の採掘の可能性の問題、さらには、今回事故がございました新北部の開発計画を含めて現在検討が行われている段階でございまして、現在時点でまだ最終的な結論が得られてないわけでございまして、私どもとしてはそういうふうに承知しているわけでございます。
○岡田(利)委員 そうしますと、通産省としてこの山を、地域経済も考え何らかの形で再建をしたい、こういう基本的な考え方については変わりがないということを確認してよろしいですか。
○弓削田政府委員 ただいま申し上げましたように、管財人のもとで検討が進められているわけでございますが、これまでも私どもの大臣がたびたび国会でも発言しておりますように、何とか山を残すという方向で大沢管財人のもとで更生計画案が練られるということを実は期待いたしておるわけでございます。
○岡田(利)委員 最後の質問でありますけれども、実は今年は第七次の政策のスタートなわけです。たとえば安定補給金を傾斜配分をした。したがって、出した方と突き出された方で比較すると、一トン当たり九百五十円格差配分をしたということになるわけです。空知四山から見ればトン当たり五百五十円プラスになった、こういう意味であります。しかし一方、空知四山のような場合には一般炭にシフトしていくという傾向が強まっていて、特に一社一山である赤平などの場合には、昨年千百円の炭価が上がった。ところが山手で見ると、五十六年度の住友赤平の山手は四百七十六円ですか、この程度より上がっていないわけですよ。これが実態なんですね。千百円炭価が上がっても、原料炭から一般炭にシフトすると、平均トン当たり山手はこの半分にも満たない、五百円以下の手取りにしかならぬ、こういう状況なわけであります。ですから、格差は依然としてますます広がっていく。そしてこの遠因としての格差経営の不安定という問題が保安問題にもつながっていきかねないという状況にあるわけです。この点、先ほども述べましたけれども、最大のこれからの課題であります。 そこで、五十七年度の炭価は、第七次政策には書いてないけれども、五十六年度、五十七年度、この二年度の炭価の値上げ、そして安定補給金の傾斜配分というものは、構想としてはいわばうらはらの関係にあるのであります。昨年の炭価は九月にようやく決まったといういきさつがあるわけであります。しかし、今日の状況を見ますと、第七次政策による格差配分、こういう状況の中で、置かれている実態を見れば、炭価はやはり早急に決めなければならぬということは状況としてはっきりしているのだと思うのですね。本来言えばこれは通産大臣が決めるわけですから、法律上は。したがって、ちゃんと決めて告示すればいいわけです。しかし、なかなかそうはいかないわけですね。しかし、少なくともこの炭価の決定は早急にしなければならぬということだけは事実ではないかと思うのです。この点の見通しを伺って終わりたいと思います。
○弓削田政府委員 ただいま先生から御指摘のありましたように、炭価の決定等につきましては、私どもきわめて重要な問題というふうに受けとめておるわけでございます。この決定につきましては、合理化臨時措置法の五十八条に基づきまして、毎年通産大臣が、石炭鉱業審議会の意見を聞きながら、石炭の生産費、石炭の輸入価格並びに他の競合燃料の価格等を勘案いたしまして決定する、こういうことに相なっているわけでございます。五十七年の基準炭価決定に当たりましても、私どもとしては、第七次答申の御指摘も勘案しながら、法律の規定にもございますような諸条件を勘案し、なおかつ石炭鉱業の安定経営の確保並びに国内炭の安定的な需要の確保、こういう観点から基準炭価を決めてまいりたい、実はこう考えているわけでございます。 炭価決定の時期でございますが、いまの段階で具体的な時期につきましては明示はできないわけでございますが、今後とも引き続き石炭鉱業審議会の御意見並びに関係者の御意見を聞きながら、できるだけ早く決定したい、こういうふうに考えております。
○岡田(利)委員 終わります。
○枝村委員長 田中昭二君。
○田中(昭)委員 重大な事故を起こしました北炭夕張の事故原因の究明について、伊木先生を初め関係者の方が御努力をいただきましたことに対しまして、またこのような原因の究明がなされたことに対しまして、心から敬意を表するものでございます。 時間も制約されておりますから、私は、いまの岡田委員の質疑応答を聞いておりまして、岡田委員みたいに専門家でございませんもので、端的にお尋ねをしていきたいと思います。 その前に、いまの岡田委員の発言等を聞いておりまして、素人ながら思いますことは、この事故の原因の物理的な面、いわゆる科学的には、この報告書にありますとおりでございますし、いまの御意見等を聞いておりますとなるほどな、というふうな気持ちもいたします。 そこで、この事故のもう一つの原因といいますか、そういうものもあるように聞いております。これもそのとおりであろう。そして、こういう保安を一番大事にしなければならない石炭の採掘、そのことから考えてみましても、両方のものがあるということと、その両方をよく調整といいますか、そういうものを見ながら石炭政策を進めていかなければならない。その石炭政策についても、やはりいまの政府の行政と炭を掘る企業との関係におきまして、先ほどからの岡田委員の意見に私はそのとおりであろうという感を深くしたわけでございます。 そこで、その前の渡辺委員の質問も聞いておりまして、端的にお尋ねいたしますが、この事故調査の結果によりますと、いわゆるガスの突出の予兆があったということ、そして十分なガス抜きができない、いわゆるガス去勢が不十分であったことが原因である、こういうふうに報告書にもありますし、また報道等もこれを受けまして、これはあくまでも会社側の人為的なミスであって、人災ととらえることができるというふうに報道もなされております。私たちから見ても、それは確かにそこまで伊木団長の方で触れられないということもわかりますけれども、こういう報告が出たということに対して、ひとつ国民にもわかるようなお答えといいますか、お考え方をお示し願いたいと思います。
○伊木参考人 最初に申し上げましたように、私どもの判断は、あくまで災害後のいろいろな実況見分、それからまた災害前のいろいろな記録から判断いたしまして予兆であるという判断をいたしたわけでございまして、それを災害前の幹部の方々、関係者の方々がどういうふうに解釈されたかはちょっとわかりません。それで、この前も、この報告書を提出したときに報道関係に申し上げましたのは、私はこれは不可抗力ではないんだというふうに申し上げたのです。不可抗力でないと申し上げたところが、それならば人災ですねという書き方になっているので、私はそういうふうに一言も申し上げておりません。不可抗力でないということは防ぎ得るものであったとわれわれは判断いたしましたけれども、その点を前もって見たときに、それはいろいろな面から見ておられると思いますので、どういうふうに判断されたかというのが私どもにはわかりませんので、その点から見て私は直接人災という言葉を使わなかったわけでございます。 ただもう一つは、これはもう一般的なことで、人災というのは人が何かをしたときに起きた事故がこれは人災だというふうに言われて、それがその人の責任だというふうにすぐつなげられるとちょっと問題があると思います。人災にも、その人の本当の責任の問題もありましょうし、また全然そうでない、それまでには全然わからないような事情で起きた事故というものも、その人が関係したからこそ起きた事故であって、これも人災だと思います。そうしたようなことを勘案いたしますと、必ずしも人災が責任とつながるというふうには私は考えてはおりません。 今度の場合どうだったのかということになりますと、先ほどから申し上げておりますように、前の状態をいかに判断されたかというのがわれわれには判断つきませんので、不可抗力ではないんだという程度にしか申し上げられないわけでございます。
○田中(昭)委員 本当に済みません、無理なことをお聞きしてと思っておりますが。そこで通産の方にお尋ねします。 いま伊木先生も不可抗力ではない、対策を十分立てれば防ぎ得たではないかということをお述べになっておるし、またいまのお言葉もそういうことだろうと思うのですが、そういうことで人災という言葉が適当でないこともわかるような気持ちがいたします。その人の責任とかなんとかということは、またそれを判断する司法当局なり法律に従う行政の方での解釈を待ちたいと思いますけれども、まあ一般的にわかりやすく言えば、いわゆる対策が十分であれば防ぎ得たということになれば、やはりそういう言葉になるわけでございますが、そういうことを聞いて政府としては、これが人災であるかどうかは別にしまして、いまの調査報告の結果を見て、またここで論議されましたことを聞いて、どういうふうなお考えをお持ちでしょうか、政府側からお答え願いたい。
○福原政府委員 調査委員会には、主として技術的な観点から事故の原因についてその事実関係を探求していただくということでお願いいたしましたもので、事故についての責任関係につきましては、先生もおっしゃいましたとおり司法捜査の結果を待たざるを得ないわけでございます。現在、札幌地検の指揮のもとに入りまして、札幌鉱山保安監督局も鋭意その捜査に協力しておるわけでございますが、まだ時期がいつまでとは明確には申し上げられませんが、かなり最後の段階に来ているというふうに私ども聞いております。私どもは、その原因あるいは責任の所在がいずれにあるかを問わず、行政当局といたしましては今回の教訓を深く肝に銘じまして、二度とこのような悲惨な災害が起こらないように、従来行っておりました指導の一層の強化、監督の励行等とともに、事故防止のための技術開発の促進ということに努力をしてまいらなければならないということを肝に銘じておるわけでございます。
○田中(昭)委員 そこで、先ほどから問題になりましたこの事故を反省いたしますと、いままでの法に決めた、いわゆる保安規程とかそういうものの見直しとか、それからまた二次災害を起こした問題等に対する改善というものがあるわけでございますが、これは先ほどから議論されましたから、それはそれといたしまして、事実この北炭夕張の山の今後の問題が一番大事であろう、こういうふうに思いまして次にお尋ねするわけですが、炭労あたりの調査等によりましても、保安をしっかりやれば事故のあった北部地区の再開発は可能であると、いろいろないわゆる調査実績、また、この調査団の調査報告からもそういうことは言えるのではなかろうか。保安対策を十分にやれば北部の開発は可能である、こういうふうに言えるわけでございますが、この点については伊木先生としましてどのようなお考えでございましょうか。
○伊木参考人 新しい区域の開発等につきましては、特に北部の開発につきましては、われわれ調査団の中では議論いたしておりません。ただ、全般的に言いまして、似通ったようなところに対してはこういうようなことを十分に検討してやってくださいということを、提案として申し上げているわけでございます。
○田中(昭)委員 そのことは、ここにありますいわゆる「今後の対策」でもそういうふうに出ておるわけでございまして、そのことについても、さきの岡田委員の質問等にもございましたが、それなりに今後の対策がとられれば開発が可能になるという重大な柱に十分なる。けれども、先ほど伊木先生は、この対策をやったからといってガス突出がないとは言えないというような御発言もありましたけれども、それはまた自然状況といいますか、不可抗力というようなこともございますから、それはそれでわかるわけでございますが、いわゆる「今後の対策」の中で、現実にここに数項目挙げてございます、先ほどから言われますような「探査ボーリング等による地質状況等自然条件の事前把握の強化」、また簡略に言いますがガス去勢対策の強化、そして、いろいろな情報の収集と日常監視の強化、そういうふうに言われております。また救急設備等の緊急対策の見直し、これは二次災害も含むと言われておりますから、この対策が現実に行政の方で現在どういうところまで進んでおるのか、進んでないとすれば、まだやらなければならないことがあるとすれば、それはどういうことであって、いつごろできるのか、そういう点についてのお答えを願いたいと思います。
○福原政府委員 私どもといたしましては、今回の調査報告書に盛られました指摘事項を十分に踏まえまして、それの完全な実施に一歩でも二歩でも近づけていくという努力をしてまいりたいと思います。現在、報告書でも御指摘いただきましたような事項につきましでも、すでに実施しておるものもあるわけでございますが、これをさらに一層強化していくということ、特に採掘区域の自然条件の事前把握であるとか、あるいはガス去勢対策の推進であるとか、あるいは日常の監視体制の強化、あるいは事故があった場合の待避の体制の強化ということ等につきましては、過去何回もございました事故を踏まえまして、私どもその都度監督指導に努めてまいったわけでございますが、今後さらにこれにつきましては強化をしてまいりたい、このように考えております。 さらに新しく何か考えられないかというお話でございましたけれども、この昨年の秋の事故を踏まえまして、私どもは、先ほど申し上げました補助金の対象項目といたしまして大口径ボーリング、ゆるめボーリングの作孔というようなものも対象に含めまして、さらに組織的には札幌鉱山保安監督局の一課増設ということで強化を図っております。 さらに今後の検討課題といたしましては、そういう危険な個所に労働者は入らないで採炭ができるという、いわゆるロボット化ということも将来可能ではないかということで具体的な検討に入ってまいりたい、このように考えております。
○田中(昭)委員 もう一回お尋ねしますけれども、ここで言葉だけで言うのじゃなくて、私もう少し具体的に何か答えられるならばと思って御質問しておるわけですが、今後の対策、ガス突出災害防止対策、こういうものは基本的にはその企業が、採炭者が主になってやるわけでしょうし、その主になってやるのがどの程度進んでおって、それに対して鉱山保安上さらに行政として手をかすものがあればこういうところに手をかしております、そういうことが大体現在の時点でいつごろまでには完了しますと、こういうことは答えられないのですか。
○安藤説明員 お答えいたします。 昨年の災害が起きた直後、早速全鉱山に総点検を命じ、必要な救急設備等の増強を図ることとするなど、早速対策を打ちました。また、いわゆるウォッチ体制ということで、科学的な監視装置を導入させるなど、そういった点でもできるものは早速強化させたわけでございます。なお、このガス突出に関しましては、かなり技術的な要素も多々ございますものですから、あわせて緊急研究ということで、科学技術庁の方から予算もいただきながらいま鋭意技術開発を進めている段階でございまして、そういった成果を踏まえながら、いま申しましたような対策を引き続き強化していくという考えでおります。
○田中(昭)委員 私の言ったことに少しまだ余り正確に答えてないと思いますけれども、一応次の問題もございますから次に移りますが、次は、やはりこの北炭夕張の再建が大変全国民的な心配を呼んでおる、私はこういうふうに認識しておるわけでございます。そこで、これも先ほどの岡田委員の話を聞いておりますとなるほど大事な問題であり、再建の具体的な流れといいますか、そういうものの中でまたお尋ねもしなければならないと思うのですが、ただ、いま聞いておりまして一つ私残念だなと思うことは、これは最後のところで石炭部長から、とにかくこの北炭夕張の山を残すという方向でそういうことを期待しておるという御発言があったわけです。もちろん行政のいろいろな援助がなければこの石炭政策が進まないわけですから、そうであるならば、いま報道されておりますように、北炭グループから国に買収してもらうとかというような案、これをA案とすれば、それについては、それが報道された後に、当局は責任者を呼んで真意をただしたけれども、真意の披瀝はなかった。そしてまた今度、きょうですか、テレビのニュースでいわゆる採炭継続という、これをB案とすれば、このB案に対しても、まだ承知しておりませんと言う。 採炭を私企業にさせながら、その石炭政策の中では多くの国民の税金と莫大な費用をかけて進めるという行政当局が、いつもこういうことで、報道が先になされて、そして後追いしてその真意を聞いて、聞いても真意は言わないというようなことで国民の税金を使っていく行政当局の対応でよかろうか、これはかえって石炭政策に混乱を来すのではないか、私はこういう心配をするのですが、いかがでしょうか。
○弓削田政府委員 ただいま先生から御指摘のございました点、私もよく理解できるところでございます。御案内のとおり、夕張社につきましては昨年十二月、更生手続の開始の申し立てがなされまして、ことしの四月三十日に更生開始の決定がなされました。また、大沢管財人が選任されまして、現在裁判所の管轄のもとで更生計画の検討が進められている段階でございます。 私どもといたしましては、先ほど岡田委員にお答えいたしましたように、何とか山を残すという方向で大沢管財人の手で早急に更生計画が策定されることを実は期待を申し上げているわけでございます。その際、当然ながら北炭グループの熱意と努力が関係者の理解を得まして再建への道を見出し得るかどうかがこういうことのかぎであろうと実は考えているわけでございまして、北炭グループとして今後引き続き管財人の方針に対しまして全面的に協力すべきものというふうに考えております。政府といたしましても、管財人の方針に対しまして全面的な支援をしてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
○田中(昭)委員 とにかく行政当局がつんぼ桟敷に置かれたような——一番心配してこうやって国会の委員会で議論したことも、結局は国民から納得のいく方向での石炭政策が行われるように、そういう趣旨でございますから、ひとつしっかりますますうまくやってもらうことを指摘しまして、質問を終わっておきます。
○枝村委員長 小沢和秋君。
○小沢(和)委員 まず、伊木先生にお尋ねをしたいと思います。 調査の取りまとめ、御苦労さまでございました。私どもも、この九十三名の犠牲者を出した根本的な原因を明らかにして、その対策を立てる上でぜひりっぱな報告を出していただきたいというふうに期待をしておったわけでありますけれども、報告を見ますと、ガスがどうして発生したかとか、あるいは火災がなぜ起こったかとか、非常に直接的なところにだけしぼり込まれた調査になっておるという点で、私どもとしては調査のやり方に疑問を感ずるわけです。もっと広く、経営者の出炭第一主義なり、あるいはそれのしりをたたいた政府の責任なりまで含めて総合的に明らかにしなければ、本当にこういう事故を根絶していく対策というのも全体として明らかにならぬのじゃないだろうかと考えるわけですが、まずその点、先生の御見解を伺いたいと思います。
○伊木参考人 私ども事故調査委員会といたしましては、技術的な面で調査をしろということでございましたので、技術面を主にして、しかもまた、先ほど来申し上げているように、現実に見られる記録あるいは取り明け後にチェックできたいろいろな事実をもとに原因を究明したわけでございまして、その間において、いろいろな方の証言と申しますか、そういったこともございましたが、証言というのは当てにならぬと言うとはなはだ失礼でございますが、いろいろ違いまして、とてもわれわれにはその点を一つにまとめるだけの時間的な余裕もございませんし、またわれわれの任務ではございませんので、そういうのは参考にはいたしましたけれども、あくまで事実をもとに技術的な面だけで御報告をした次第でございます。
○小沢(和)委員 それでは、具体的な問題でお尋ねをしたいと思うのです。 さっきから議論を聞いておりますと、ボーリングは規定以上にやった、あるいは政府は最高の監督の体制をとっておった、どこもよくやっておったというような話であるのに、現実にはこういう悲惨な事故が起こっているわけです。私は、こんなような説明では納得できないわけです。 そこで、特にきょうはボーリングの問題でお尋ねをしたいと思います。 この調査報告によりましても、「今後の対策」というところで、ガス抜きのボーリングについても、坑道の設定位置、あるいはガス抜き座の位置・間隔、座当たりのボーリング本数等をいろいろ考慮しながら定めていかなければならぬというような勧告になっておるわけです。これは、二十五メートル四方に一本ということで要件を満たしておるといっても、やはりボーリングのやり方には非常な不十分さ、問題がいろいろあるということからこういう勧告が出ておるんじゃないかと考えますが、その点、先生のお考えをもう少し伺いたいと思うのです。
○伊木参考人 この北炭の事故につきましては、前回の五十年にやはりガス突出がございまして、そのときに、いまのような二十五メートル四方の中にボーリングということを、たしか報告書の中にも書いた覚えがございます。それをもとに山の方で検討されて現在の保安規程をつくられたのだと私は思っております。 また、その当時の状況から言いますと、これは本当に細かい技術的な根拠のはっきりしたものはございませんけれども、その当時は、これくらいやれば過去の状況から見て大体大丈夫ではないかという判断をしたわけでございます。しかし、その後、場所も変わりますし、また深いところにも移りまして、今回の事故が発生したわけでございますが、そこに対して、いまわれわれがどれくらいの本数をやったらいいのかということを一時に結論づけることはとうてい不可能だということで、将来にと申しますか、今後やられる場合のいろいろな面で十分に検討をしていただいて本数等を決めていただくという意味で申し上げているわけでございます。決して前のときのことに従って、それが先ほど来本数は規定どおりにいっていたというようなことになっておりますけれども、今後はそれでいいのかどうかという問題はさらに検討していただかなければいけないというふうに思っております。
○小沢(和)委員 それから、この報告の二十六ページで、北第五盤下坑道のナンバーツー・ボーリング座の貫層ボーリングのことについて、多数のボーリングを行ったということが書いてあります。別のところで五十四本打ったということが書かれているわけでありますけれども、一つの座でこれだけたくさんの本数を打つということは異常ではないかと思うのです。私は、本数はとにかくたくさん打たれていればそれはますます結構というようにだけはいかないんじゃないかと思うのです。全長が百五十メートルもあるこのロングの切羽、これを一つのところからボーリングをずっと打つということでやりますと、末端の方は相当の距離になる。そうすると、これではたくさん打ったからといっても非常に不確実な状態にしかならなかったんじゃないだろうか。こういう一カ所から非常にたくさん本数を長距離にわたって打つというようなやり方自体も私は大いに問題があったんじゃないかというふうに考えますが、その点いかがでしょう。
○伊木参考人 ただいまの御指摘は先生のおっしゃるとおりで、われわれも十分に検討いたしまして、一カ所からは多過ぎるんじゃないかということは考えております。その点は報告書にも述べてあると思います。
○小沢(和)委員 これは、ただ多過ぎるというだけでなく、私は非常にボーリングの効果を不確実、減退させるものでもあるし、何よりも夕張新炭鉱の保安規程を見ましても、それにもこれは違反しておるんじゃないかと思うのです。 いまお手元に私、資料を差し上げておりますが、この一枚目は盤下坑道からのガス抜きの方法について規定をしておるわけですが、そこの中で図面の五、六のとおりにやれということが指示をされております。その五、六というのが、この資料の二枚目、三枚目なのでありますけれども、これを見ますと、面長百二十メートルの場合が資料の二でありまして、これを見ますと、一つの盤下坑道から全体をカバーするように打つということが指示されているわけですね。ところが、次の三枚目を繰っていただきますと、百五十メートルの面長になったときには一本の坑道ではカバーできないというので、三十メートルの幅でもう一本添え坑道を掘って、その二本からこの百五十メートルを全面的にカバーするように打つということになっているわけですね。 私は、いまも申しましたように、常識的に考えてみても、一カ所から非常に長いボーリングをするというようなことでは、途中で曲がったりなにかして不確実にもなってしまうし、当然こうあるべきだと常識的にも考えるわけです。この保安規程がはっきりこう規定をされているとすれば、あの場合にはもう一本添え坑道を掘ってやるべきだったのじゃないでしょうか。それをカバーするために一本で五十四本も掘るというような異常な事態を招いたことになったのじゃないでしょうか。
○安藤説明員 お答えいまします。 確かに、伊木委員長御説明のとおり、一座からかなりのボーリング本数掘ったということにつきましては、ボーリングのガス抜きの効果の面で問題があったということは、これは委員会の報告書で御指摘があったとおりでございます。 いま先生の方からございました、それがために非常に今回の払いの設定等の関係において無理があったのではないかという御指摘でございますが、確かに保安規程ではこういうふうになっておりますが、これは一つの基準でございます。臨機応変に、たとえば断層があって大変包蔵量が多いというときには、むしろこれ以上に一座から打つこともございますし、あるいはもう坑道の途中から、打てるところから多数のボーリングを打つこともございます。 今回、しからば、なぜこういうことになったか、ほかに手段がなかったのかどうか、こういう点については、いま厳重に調査しておるわけでございまして、これは多分に司法捜査の責任の問題との関係もございますものですから、その点も触れながらいま捜査中でございます。 それから三枚目の第六図の問題でございますが、払い長が長かった。確かに計画払い長、百五十メートルである。この場合においては、いわゆる二本の盤下坑道からボーリングを打つべきじゃなかったのか、この御指摘でございますが、これは一つの規格図でございます。必ずしもこういう形態の骨格構造の展開ということがユニホームなものではございません。今回はたしか一本の盤下坑道からの展開であったわけでございますが、その中において百五十メートルの面長を担保するボーリングを打ち得なかったのかどうかということについては、われわれの見解といたしましては十分打ち得る手段はあった、こういうふうに考えております。
○小沢(和)委員 これは規格だというふうに言われているわけですけれども、この保安規程というのは、私は最低の基準を決めているのじゃないかと思うのですよ。まして、この報告の中でもはっきりしているとおり、あそこのところはガスが非常にあって危険なところたと——これは何も私は、いまさらと言っては失礼ですけれども、報告で検討していただいたら危険だということがいまになってわかってきたというものじゃないと思うのです。これは前々から危険だということは常識だったところだと思うのですよ。そこでガス抜きを万全にやらなければいけないというときに、わざわざ二本でやるというのが規格になっている。それは常識的に考えても三十メートル間を置いて百五十メートルをカバーするように打つ方がいいに決まっておるのですよ。それを一本で打った方がいいという結論が出ますか。これは明らかに手抜きというか、もう重大な保安規程無視、このことだけでも大きな責任を問われなければいけない問題じゃないだろうか。この五十四本の問題というのは、私はそういうことまでメスを入れなければならない問題を含んでいるんじゃないかと思うのです。政府の責任もあると思うのですよ。いかがですか。
○安藤説明員 御指摘の点につきましては、いまいろいろな角度から捜査の段階で明らかにしたいと思っておりますが、ただ、この予定していました百五十メートルの払いに対するガス抜きが担保し得たかどうか、手段はなかったかどうかということにつきましては、われわれといたしましては、盤下坑道からいわゆる払いの近くのところにおいてボーリングを打つことによってこれは十分担保し得たというふうに考えておりますし、また、現実的には二座あるいは三座から、大体六月ごろだったと思いますが、この払いの設定位置に向かってボーリングを打っておるということでございますので、そういう面から見ますと最低の基準量は満たしていたのではないか、こういうふうに判断しております。
○小沢(和)委員 だから、最低の基準を満たしておったかどうかということじゃないのですよ。現実にこれだけ危険だということが常識のところで、そしてほかのところでは、実際この規程に基づいて面長が百五十メートルを超えるようなところについては二本打ってやっているのですよ。私は資料四を添えておきましたからこれをごらんいただきたいと思うのですが、これの上から二段目ですね。西第四十尺層というのは、五十六年の下期には掘られていたわけですが、これは百五十三メーターの面長があるのですね。ここは明らかに私どもがいただいておる資料でも盤下添え坑道というのはもう一本掘られてやっていますよ。より危険でないところでちゃんと掘っておって、こっちでどうして掘らなかったのですか。あなた方の方が施業案やら何やらの段階で当然チェックできる問題でしょう。あるいはさっきから言われておるように、坑内に五人もしょっちゅう入っておった。体制はもう最高だった。坑道が一本あるかないかなんということは、あなた方が見落とすはずがないわけですね。だとしたら、これは政府もその点については、このボーリングの打ち方という点で重大な責任があるのじゃないですか。なぜこの西第四十尺層では掘らせて、こっちで掘らせなかったのか。
○安藤説明員 坑道の展開につきましては、これは保安上から見ますと幾つかの要素がございまして、その要素を満たすための条件としていろいろな形をとるわけでございまして、西の方につきましては、これは相当奥部に展開していくということから、通気上の問題もございます、また運搬上の問題もございまして、そういったことからかなり複雑な形態をとっていたことは事実でございます。 したがいまして、たまたまいま西四のお話がございました。ここにつきましては盤下坑道が——われわれは必ずしも添えとは言っておりませんが、払いの近くにおいて二本あったことは事実でございます。 今回のこの北五につきまして、これはたしか盤下坑道は一本でございますが、上にはちゃんと七百六十レベルにおいて盤下坑道を掘っております。そこからも十分払い座に向けてのボーリングも可能でございますので、これは確かに距離が若干離れていたということはありますけれども、ガス抜きができないほどの骨格構造が問題だというふうには認知しておりません。
○小沢(和)委員 では、時間の関係もありますからその問題はそれぐらいにして、最後にもう一つお尋ねしたいと思うのは、資料第十五図で北第五盤下立て入れナンバーワン集中監視チャートというのをいただいております。これを見ますと、当日の十時四十四分に発破をかけてから非常にガスの状態が乱れておって、そして十二時四十一分に災害が発生したということがもう歴然としているわけですね。 私は不思議に思いますのは、これだけ乱れている状態が二時間続いておるというのはきわめて異例な事態だということで、先ほどちょっとお話があった。ただ注意しておったというくらいのことじゃ済まないというのが、このチャートを見ただけでも一見してわかるのじゃないかと思うのですが、こういう状態を見ても緊急の事態が予測されるというような事態ではなかったのですか。 その点を一つと、それから警察の方にせっかく来ていただいているから、いまの盤下添え坑道を一本掘らずにボーリングなどについて、私どもはこれは重大な手抜き行為だと思いますが、こういうようなことをやったことや、いまのチャートの問題などで手を打たなかったという点についても、当然あなた方が捜査上重大な関心をお持ちであろうと思うのですが、こういうような点について関心を持って捜査しているかどうか、これもお尋ねをして終わります。
○安藤説明員 チャートにあらわれておりますいわゆるランダム現象あるいはさみだれ現象、こういう言葉で表現されておるものでございますが、これにつきましては、一般的にはいわゆる発破後においてこういった現象があらわれることがあるわけでございます。これにつきまして、この炭鉱についても過去どうであったか、これほど顕著なものがあったかどうかということについては、私どもまだ定かにはなっておりませんが、いずれにいたしましても、発破後特に気流中の乱れ現象は注意しなければいけないということは保安規程の中にも入っておりますし、また、前回起きた突出のときにも、調査団の報告書の中でもそれは勧告されておるわけでございますので、当然前兆としての大変重要な要素として認識しておくべきものであったとわれわれは考えております。その点どうであったかということについては、今後の捜査の中で厳重に進めて明らかにしたい、こういうふうに考えております。
○仁平説明員 先生御指摘の事項につきましては、専門家に鑑定を委嘱するなど、警察といたしましても関心を持って捜査を進めておるところでございます。
○小沢(和)委員 終わります。
○枝村委員長 この際、参考人に一言御礼を申し上げます。 本日は、御多用中のところ当委員会に御出席をいただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時二十六分散会