石炭対策特別委員会 第4号
- 発言数
- 75 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1982/02/23
会議録
○枝村委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案、臨時石炭鉱害復旧法及び石炭鉱害賠償等臨時措置法の一部を改正する法律案並びに炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案の三案を議題といたします。 順次趣旨の説明を聴取いたします。通商産業大臣安倍晋太郎君。 ————————————— 石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案 臨時石炭鉱害復旧法及び石炭鉱害賠償等臨時措置法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○安倍国務大臣 石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。 わが国石炭鉱業をめぐる環境は、近年大きく変化いたしております。すなわち、二回にわたる石油危機を経て石油価格が上昇した結果、油炭格差は逆転し、国内炭の需要は石炭の見直しの傾向を反映して、最近では一般炭を中心に増勢に転じつつあります。 しかしながら、国内炭と海外炭の価格差はなお解消するには至らず、石炭企業は赤字経営を続け、その経営基盤は著しく弱体化した状況にあります。このような実情にかんがみ、昨年八月の石炭鉱業審議会の答申の趣旨を尊重して、今後とも一層の石炭鉱業の近代化と合理化を推進すること等によってその自立の目途を立てる等の必要があります。このため、所要の施策を引き続き講じていくこととし、このたび、この法律案を提出いたした次第であります。 次に、法律案の要旨を御説明申し上げます。 本法律案の第一条は、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部改正であります。 その改正の第一点は、同法の廃止期限を昭和五十六年度末から昭和六十一年度末に変更することであります。この改正は、さきに申し述べました石炭鉱業の自立の目途を立てるため所要の施策を引き続き講ずるという趣旨に基づくものであります。 第二点は、新エネルギー総合開発機構による電力用炭の購入及び販売に関する制度を廃止することであります。この制度は、基準炭価制度の実効性を確保するために実施されてきたものでありますが、発足後二十年近い運用を経て基準炭価制度も需給両業界に十分定着したものと判断されること等から、今般打ち切ることとした次第であります。 第三点は、重複鉱区がある場合の鉱区消滅区域等における石炭の掘採の制限の一部緩和であります。この改正は、最近における一般炭需要の増勢傾向を踏まえ、重複鉱区が閉山した場合においても一般の閉山鉱区と同様、経済的な採掘が可能な場合にはその再開発を認め得る道を開くこととするものであります。 第二条は、石炭鉱業経理規制臨時措置法の一部改正であります。同法は、石炭企業の経理の適正化を図るため、所要の規制を行うことを内容とするものであり、今回の改正は、同法の廃止期限を石炭鉱業合理化臨時措置法に合わせて昭和六十一年度末まで延長するものであります。 第三条は、産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律の一部改正であります。同法は、終閉山等の際に地元中小企業者に生じる影響を緩和するため、一般の中小企業信用保険の特例等を定めるものであり、今回の改正は、同法の廃止期限を、石炭鉱業合理化臨時措置法に合わせて昭和六十一年度末まで延長するものであります。 第四条は、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計法の一部改正であります。同法は、石炭対策その他の対策を実施するため、所要の財政措置を定めるものであり、今回の改正は、同法の廃止期限を、石炭鉱業合理化臨時措置法に合わせて昭和六十一年度末まで延長するものであります。 以上がこの法律案の提案理由及びその要旨であります。 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。 次に、臨時石炭鉱害復旧法及び石炭鉱害賠償等臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。 臨時石炭鉱害復旧法は、国土の保全、民生の安定等の見地を踏まえ、累積鉱害を計画的に復旧するため、昭和二十七年に制定されたものであり、以後、二回にわたる期限延長を経て、今日に至っております。また、石炭鉱害賠償等臨時措置法は、鉱害賠償の円滑化を図る観点から、昭和三十八年、石炭鉱害賠償担保等臨時措置法として制定されたものであり、昭和四十三年に現在の名称に改称され、昭和四十七年に、臨時石炭鉱害復旧法とともに、十年の期限延長が行われております。 従来、石炭鉱害については、これら二法に基づき、これまでに相当量の鉱害が処理されてまいりました。しかしながら、累積鉱害地域においては、前回の延長時以降の採掘に伴って新規に鉱害が発生し、また、赤水湧水等の新しい形態の鉱害が見られるようになったこともあって、今般実施された全国鉱害量調査によると、最近においても、復旧すべき鉱害量が、なお六千億円程度存在するものと見込まれております。したがって、昨年十二月の石炭鉱業審議会の答申を踏まえ、引き続きこれらの鉱害を早期かつ計画的に復旧する等の必要があるため、本法律案を提出した次第であります。 次に、法律案の要旨を御説明申し上げます。 本法律案の第一条は、臨時石炭鉱害復旧法の一部政正であり、第二条は、石炭鉱害賠償等臨時措置法の一部改正であります。 これらの改正の内容は、いずれも法律が廃止するものとされる期限を十年延長し、昭和六十七年七月三十一日とすることであります。 鉱害の現状を見ますと、累積鉱害地域においては全面的な閉山が進み、鉱害現象もすでに安定しているものと考えられます。したがって、現在の復旧規模等を勘案すると、この期間内に累積鉱害の最終的な解消ができるものと考えられております。 以上がこの法律案の提案理由及び要旨であります。 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○枝村委員長 労働大臣初村滝一郎君。 ————————————— 炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○初村国務大臣 ただいま議題となりました炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。 石炭鉱業の合理化に伴い発生する炭鉱離職者に対しましては、炭鉱離職者臨時措置法に基づき、炭鉱離職者求職手帳を発給して、特別な就職指導、就職促進手当の支給を行うなど各般の施策を推進することにより、これら離職者の再就職の促進及び生活の安定に努めてまいったところでありますが、この法律の廃止期限は、本年三月末となっているところであります。 しかしながら、さきの石炭鉱業審議会の答申においても、離職者対策について引き続き実情に即した所要の対策を講じていく必要があるとされており、また、石炭鉱業の現況から見まして、今後とも合理化に伴う炭鉱離職者の発生が予想されますことから、政府といたしましては、現行の炭鉱離職者対策を引き続き実施する必要があると考えている次第であります。 この法律は、このような事情にかんがみ、石炭鉱業の合理化に関する他の施策との関連も考慮して、炭鉱離職者臨時措置法の廃止期限を、現行法に規定する昭和五十七年三月三十一日から五年間延長し、昭和六十二年三月三十一日に改正しようとするものであります。 以上、この法律案の提案理由及び内容を御説明申し上げました。 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。
○枝村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○枝村委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 三法案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○枝村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 参考人の意見聴取は二回に分けて行うこととし、本日は、参考人として石炭鉱業審議会委員向坂正男君、日本石炭協会会長有吉新吾君、日本炭鉱労働組合中央執行委員長野呂潔君、全国石炭鉱業労働組合中央執行委員長岡新一君及び全国炭鉱職員労働組合協議会議長鈴木照生君から意見を聴取することとし、後日の参考人の人選、出席日時につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○枝村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○枝村委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。 参考人各位におかれましては、ただいま議題となっております三法案について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。 次に、議事の順序について申し上げます。 まず、参考人から御意見をそれぞれ十分程度お述べいただいた後、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。 なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を受けることになっております。 それでは、まず向坂参考人にお願いいたしたいと思います。
○向坂参考人 向坂でございます。 昨年八月の石炭鉱業審議会第七次答申の原案の取りまとめに当たった者としまして、初めに、今後の石炭政策の基本的な考え方について述べたいと思います。 今後の石炭政策のあり方を考えるに当たりまして、まず第一に、わが国の石炭鉱業とそれを取り巻く環境について、その現状をいかに評価し、また、将来の見通しをいかに立てるかという問題が基礎になると思います。第二次石油危機の発生を契機として世界的な石炭の見直しが急速に進行し、現在国際石炭需給は堅調に推移していますが、この点について今後の動向をどのように見通すかということがございます。 世界的に石炭需要の増勢が続く中で、供給を拡大しようとしても、産炭国のインフラ整備等にかなりのリードタイムを要するわけですから、当面国際的な石炭需給は堅調ぎみに推移するものと見込まれます。長期的には、いろいろ不確実な要因があって意見の分かれるところでございますけれども、世界的な石炭の需要増大の傾向、石油価格上昇の見通しなどから見て、やはり需給は底がたい動きを示すことが想定されるわけでございます。 他方、国内の生産条件については、石炭企業側は、今後とも資源的にも従来程度の生産の維持は可能であり、また、深部化、奥部化の進行に対しても、それに伴う実質的なコストアップは、従来と同様に合理化努力によってこれを吸収し得るとの見通しをお持ちでございます。審議会としましても、この見通しを評価してみましたところ、その内容はおおむね妥当であると考えられたわけでございます。 以上、わが国の石炭鉱業とそれを取り巻く環境の評価を一言で要約いたしますと、わが国石炭鉱業の自立の展望がようやく開かれつつある状況にあると言えるのではないかと思います。 第二に、世界的に石炭の見直しが進みつつある中で、国内炭を総合エネルギー政策の中でどのように位置づけるかという問題がございます。 今後増大するわが国の石炭需要の規模から見ますと、将来の石炭供給の多くは海外炭に依存せざるを得ない、その安定的な確保に努める必要があると考えられます。しかし、国内炭は貴重な国内資源であり、また、産炭国における炭鉱、港湾のストライキの発生などの供給不安定要因のある海外炭に比べますと安定性を有していることなどから、エネルギー供給の安定性を高め得るものとして評価されるべきであると考えられます。しかし、他方、その活用に当たっては、やはり経済性を全く無視してよいのではなくて、安定性と経済性の調和に配慮する必要があります。 このような考え方と、さきに述べた石炭鉱業の自立の展望が開かれつつある現状を踏まえますと、現行の私企業体制のもとで石炭企業の自己努力、それを支援、補完するための政府の施策、需要業界の適切な協力という三者の協調によってその自立を目指していく必要があると考えます。 その場合、具体的な生産水準をどう考えるべきかという問題がありますが、赤字経営が続き、経営基盤が著しく脆弱化しているわが国石炭鉱業の現状を踏まえますと、当面、まず何よりも現存炭鉱における現在程度の生産水準をできる限り長期かつ安定的に維持する必要があり、これが基本であると考えます。そして、それを基調として、今後石炭企業の体質改善や石炭需給環境の好転等諸事情の成熟に伴って将来における二千万トン程度の生産の達成を目指すことを、今後の石炭政策の実施に当たって、石炭企業の自己努力、政府の施策、需要業界の協力を行う際の基本的な考え方とすべきであると思います。 第三に、国内炭生産の維持に当たって最も重要な価格対策のあり方という問題があります。 価格政策としては、国内炭の安定的生産の維持のためには石炭企業の収支が償う必要があると同時に、安定的な引き取りの確保のためには、市場環境にも配慮する必要があるということから、国内炭生産費と競合財価格とを考慮して基準炭価を定める現行制度を維持するのが適切であると思います。その際の具体的な考え方としては、生産費については、石炭鉱業の自己努力を考慮した合理的な平均的生産費、競合財価格については、需要者の消費地における海外炭の限界的な購入価格を考えるのが適当であるということをさきの第七次答申の中で御答申申し上げました。 また、価格において平均的な生産費を考慮する場合には、現存炭鉱における生産水準の維持を図るためには、当然のことながら比較的コストの高い炭鉱については、たとえば安定補給金の傾斜配分を強めるといったような格差是正策を講じて支援していく必要があると考えます。 そのほか、労働力確保対策や保安確保対策等についても、所要の施策を引き続き行っていく必要があると考えますが、時間の関係もありますので説明を省かせていただきます。 次に、石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案について意見を簡単に申し上げます。 まず、さきに述べましたように、わが国石炭鉱業の先行きにはほのかな明るさが感じられるわけですが、内外炭価格差は依然として残っており、石炭企業も赤字経営が続き、経営基盤は著しく弱体化しているのが現状でございます。したがって、第七次答申の中で御答申申し上げましたように、石炭鉱業合理化臨時措置法の延長は必要不可欠であると思います。また、今後、石炭鉱業の自立の目途を探るための対策の実施期間としては、やはり将来なお不確実な要因も多いことから、五年間とするのが適切であると考えます。所要の財政措置につきましても、これも第七次答申の中で御答申いたしましたように、引き続き、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計で確保する必要があると思います。 以上、総じて今回の法律案の内容それ自体には特段の異論はないわけでございますが、一言だけつけ加えさせていただきますと、制度が果たして実効性を有するものであるかどうかは、単に制度そのもののあり方だけではなくて、それに関係する人々の取り組み姿勢に大きく依存するものであると思います。したがって、法律論としては今回の法律案で十分であるとは考えますが、向こう五年間で本当にわが国石炭鉱業の自立のめどを立てることができるかどうかは、何よりも対策の実施に当たっての関係各方面の取り組み姿勢いかんによるものであると考えます。その意味で、第七次答申の中で具体的対策として御答申申し上げました各種の対策の円滑な実施を含めまして、関係各方面において十分な努力を払われることが何よりも必要であることを申し上げて、私の意見陳述を終わらせていただきたいと思います。
○枝村委員長 ありがとうございました。 次に、有吉参考人にお願いいたします。
○有吉参考人 日本石炭協会の会長をいたしております有吉でございます。 石炭政策につきましては、かねてから本委員会の諸先生並びに関係御当局には格別の御配慮をいただいておりますが、本日はまた石炭業界の立場から発言する機会を与えていただきましたことを、心からお礼申し上げる次第でございます。 一昨年八月、通産大臣から石炭鉱業審議会に対し、第七次石炭政策に関する諮問があり、まる一年の検討を経て昨年八月答申がなされました。その間、私どもは答申の立案に当たられました審議会の先生方にいろいろと要望を申し上げ、また、昨年五月には当委員会において諸先生方にもお願いを申し上げたところでありますが、このたびの第七次答申によりまして私どもの要望をお酌み取りいただき、石炭産業自立に向けての方途を示していただきましたことに対し、深く感謝申し上げる次第でございます。 第七次石炭政策答申の基本は、石炭産業の自立を目指すことにあり、そのためには、第一に、石炭産業自身のより一層の自助努力が要請されており、第二に、政府の適切な指導と助成並びに関係地方公共団体の積極的な支援が必要とされており、第三に、需要業界の引き取り、価格設定等の面においての協力が要請されております。私ども石炭業界といたしましては、この答申の精神を率直に受けとめ、業界一致協力いたしまして最善の努力を傾注していく所存でございますので、なお一層の御支援を賜りますようお願い申し上げます。 私どもがかねてから申し上げておりますことでありますが、いかに立派な政策が答申に盛られておりましても、これが実行に移され、現実のものとならなければ、全く意味がないと存じます。その意味におきましては、このたび御審議いただきます石炭関係法律の改正があるゆる石炭政策実現の基盤となるものでございますので、ぜひとも第七次石炭政策の具体化のために、石炭鉱業合理化臨時措置法等の改正案を成立させていただきますようお願い申し上げます。 ところで、昨年十月北炭夕張新炭鉱で発生いたしましたガス突出事故は九十三名に及ぶ犠牲者を出し、諸先生、関係御当局を初め各方面に大変な御心配、御迷惑をおかけいたしており、この席をおかりしておわび申し上げますとともに、数々の御厚意に対し、心からお礼を申し上げる次第であります。 北炭夕張炭鉱株式会社は会社更生法の適用の申請により、同社の将来は裁判所の判断にゆだねられているわけでありますが、夕張新炭鉱の貴重な石炭を、保安を確保しつつ国産資源として役立たせるために、何とか再建への道が開かれることを念願をしてやみません。 いまさら申し上げるまでもなく、保安の確保は石炭産業にとりましては生産の基礎であり、私どもは、全炭鉱心を新たにして、かかる災害が二度と起こらぬよう災害ゼロを目指し、その上に立って安定供給を達成するよう最善の努力を傾注する所存であります。 次に、石炭業界といたしましては、何としても今次の第七次石炭政策のもとで、基本として示された石炭鉱業の自立を達成しなければなりませんが、問題は需給と価格であります。 現在においては、残念ながら、国内炭は海外炭に対して経済性において劣ることは否定できませんが、昨今の円安という状況もさることながら、最近の海外炭の趨勢からすればその差は縮小の方向にあり、特に一般炭につきましては、二次輸送を要する需要先の炉前価格ではきわめてその差が縮まり、所によっては逆転して国内炭の方が安いケースも生じていることは事実であります。 将来の予測はきわめてむずかしくはありますが、世界的なエネルギー価格の高騰、一般炭需要の増大、石炭輸出国のインフラを含めての対応などから見て、答申にもうたわれておりますとおり、国内炭の果たす役割りが高まる展望が開ける可能性は十分あり得ると考えられます。 このようなことから国内炭についての優先的な引き取りを前提とする長期的な需給バランスの設定が必要であり、石炭業界といたしましては、需要業界に対し、きめ細かな中長期需給計画を策定するようお願いをしてまいりたいと考えております。 価格につきましては、答申にそのあり方が示されておりますが、具体化する段階におきましてはいろいろと問題が生ずることを懸念をいたしております。今回の法律改正はその点につきまして、通商産業大臣は毎年、石炭鉱業審議会の意見を聞いて、石炭の生産費、石炭の輸入価格、石炭以外の燃料の価格、その他の経済事情を考慮して石炭の販売価格の基準額を定めるという、価格の基本となっておりますいわゆる基準炭価の項目につきましては、現行どおりとなっております。 私どもは、答申に示されたあり方の趣旨にのっとり、業界挙げてコストアップの抑制ないし吸収にできる限りの自己努力をいたしますが、かねがね申し上げておりますように、何とか炭鉱が再生産していけるだけの炭価を基準炭価の制度により定めていただきたいと念願をしてやまない次第であります。 したがいまして、具体的に申し上げますれば、需給の問題を含めて、具体化の段階でいろいろと問題が生じた場合には、石炭鉱業審議会の需給価格部会等において御審議願い、あるべき姿をお示し願いたいと存じておる次第であります。 次に、鉱害処理対策につきましては、昨年十二月石炭鉱業審議会の鉱害二法の有効期間延長についての答申がなされ、今回の法律改正案の御審議をいただくことになりましたが、これまで数次にわたる制度の改正により逐次拡充強化され、復旧事業も精力的に推進されてまいりましたが、遺憾ながらまだかなりの鉱害量が残存しており、申しわけない次第であります。 今回の御審議により法律有効期間の延長を実現していただき、私ども有資力賠償義務者といたしましては、答申にも示されておりますとおり、今回が最後の有効期間の延長であるという認識を肝に銘じ、関係御当局の適切な御指導のもとに、関係各方面と一層緊密な連携を図り、計画的、効率的な復旧事業が行われますよう最善の努力をする所存でございますので、ぜひとも鉱害二法の有効期間延長をお願いする次第でございます。 最後に、今次答申が真に石炭政策として実効をあらわすよう、私ども業界といたしましては最善の自己努力をお誓いいたしますとともに、その基盤となります法律案の成立につき特段の御配慮をお願いいたしまして、陳述を終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。
○枝村委員長 ありがとうございました。 次に、野呂参考人にお願いいたします。
○野呂参考人 炭労の野呂です。 常日ごろ石炭産業の発展のために、絶大な御協力をいただいております石炭対策特別委員会に所属する諸先生方に、日本炭鉱労働組合を代表いたしまして厚くお礼を申し上げるとともに、本日、石炭鉱業合理化臨時措置法等の改正法案に対する意見を述べさせていただく機会を与えていただきましたことを、心から感謝を申し上げる次第であります。 さて、初めに石炭鉱業合理化臨時措置法の改正点を中心として、若干意見を申し述べたいと思います。 その第一は、同法の廃止期限の延長問題であります。 第七次石炭政策の対策期間が一応五カ年とされており、これとの関係から見て、昭和六十二年三月三十一日まで延長するという措置は妥当なものと考えます。 ただ、政府や石炭企業は、この第七次石炭政策を通して、今後五カ年ほどで石炭鉱業の自立を図ることを目指していますが、私たちは、本当に自立できるのか、いろいろと疑問を持っているところであります。たとえば、深部化、奥部化の進展に伴なうコストアップを果たして合理化努力で吸収していけるのかどうか、また、労働時間の短縮が社会的趨勢となっている中で、石炭企業も何らかの形でこれに対応していくことが迫られていること、加えて、現場までの往復時間が増大し、実労働時間が短くなっていくこと、特に自然条件、立地条件に起因して、経常損益から見た企業間格差が拡大しており、すでに黒字転化した山もある反面、ますます赤字幅が増大しているところもあるわけであります。このような実態一つをとらえてみても石炭鉱業の自立は容易なわざではなく、現状を最善と考えての自立では問題があると断定せざるを得ません。したがって、次の検討時期が到来し、さらに延長を要する実態が明らかとなった場合は、しかるべく措置されることを御要望したいと思います。 その第二は、新エネルギー総合開発機構による電力用炭購入販売制度の廃止問題についてであります。 これは、御承知のように、第七次石炭政策で廃止の方向で検討すべきことが提起されているわけであります。このような措置がとられる背景について、提案理由の中で「基準炭価制度も需給両業界に十分定着した」との判断があることが明らかにされています。しかし、本当に基準炭価制度が定着しているのか、この点について、私たちは大きな疑問を持たざるを得ません。 今日までの経過を見ますと、確かに毎年のように基準炭価が改定、告示され、石炭の購入販売が行われてきています。この限りでは、定着していると見ることができると思います。しかし、問題なのは、この制度の運営の中身であると考えます。 石炭鉱業合理化臨時措置法では、基準炭価の設定に当たっては、1石炭の生産費 2輸入炭の価格 3他の燃料の価格 4その他経済事情を考慮して決めるべきものとされていることは、御承知のとおりであります。しかし、実際には、石炭企業側とユーザー側の炭価交渉が先行して値上げ幅が決められ、これを告示で追認するという結果に終わっているのが実態であります。そして、この場合、基準の一つとなっている生産費——私たちは、これこそ最大の基準とされるべきだと考えているわけですが、この生産費については事実上考慮が払われず、もっぱら競合燃料価格との対比で決定されているというのが実態であります。このような中で、弱体企業である石炭側がユーザー側に押し切られ、その指し値どおりの額でのまされることとなり、この結果、各山元には採算ベースに乗らない買い取り価格が押しつけられ、赤字を累積させているというのが現状であります。 したがって、当面、1国の指導により、基準炭価決定に当たっては、生産費が補償されるよう運営すること 2また、炭価交渉に当たっては、力量の弱い石炭生産側の意向も十分取り入れられるシステムを採用することが重要ではなかろうかと考える次第であります。このような具体的な裏づけがないまま、この制度の廃止が進められれば、将来大きな問題を残すことになるのではないか、私たちはこの点について深く危惧するものであります。この問題は、主として行政府の問題であろうと考えますが、立法府としても、法の適正な運用という観点から、十分な御指導をお願いする次第であります。 その第三は、鉱区消滅区域における石炭掘採制限の緩和問題であります。 国内資源の有効活用あるいは深部移行の緩和策の一環として、現在すでに一定条件下にある鉱区消滅区域の再開発の道が開かれておりますが、これとの横並びで、今回重複鉱区についてもこの道を開く、これが法改正の趣旨と存じます。これについては、私たちとしては当を得た措置であると考える次第であります。 石炭鉱業合理化臨時措置法の改正点を中心として私どもの考え方を述べたわけですが、以上のほかに、この機会に、同法に関係する幾つかの問題点について二、三私たちの意見をつけ加えたいと存じます。 その第一は、新鉱開発に関する問題であります。 現行法では、この問題をめぐり、1国による調査を踏まえ、新鉱開発の地域を指定、告示すること 2通産大臣が、指定地域における石炭開発計画を策定すること 3以上の手続を経て、当該指定地域に鉱業権を設定している鉱業権者が、国が定めた開発計画に準拠して事業計画を定めること等々きわめて積極的な規定が盛り込まれていると考えます。つまり新鉱開発に当たっては、国が開発可能性調査から開発の基本構想の策定まで、十分指導性、積極性を発揮して実施していくという趣旨が制度化されていると考えます。しかし、実態は、このような積極的な制度は、たとえ諸般の事情があるにせよ、生かされていないまま推移してきているのが実態です。 他方、鉱業法との関係を見ると、鉱業法では、鉱業権の設定登録後六カ月以内に事業に着手することが鉱業権者に義務づけられているわけですが、石炭を目的とする鉱業権者に対しては、石炭鉱業合理化臨時措置法第五十七条により、この規定を適用除外しております。確かに、昭和三十年当時の石炭事情から見て、このような措置をとらざるを得なかった背景は理解できますが、エネルギー事情が百八十度転換し石炭時代を迎えたいま、このような措置が存置されていることは、全く理解に苦しむものであります。国内炭が新たな時代の要請にこたえていくためにもこのような措置は見直し、しかるべき方向を確立すべきであると考える次第であります。 この場合、六カ月で果たしてよいのかどうか疑問も持たれるところであり、これを一年あるいは二年と読みかえることとあわせて適用除外規定を外すこと、これにより貴重なエネルギー資源を休眠させる根源の一つを改善させることが大切ではなかろうか、私たちはこのように考える次第であります。 その第二は、石炭鉱業合理化臨時措置法という名称についてであります。 過去二十数年にわたり、合理化の名においてあらしのようなスクラップ化が推進され、この結果、多数の山がつぶされ、大量の炭鉱労働者が職場を奪われてきました。のみならず、合理化の名において劣悪な労働条件でがまんせざるを得なかった苦い経験を持っています。このような中で、合理化という言葉に暗い印象しかないというのが率直な気持ちです。特に国内炭が新しい時代の要請にこたえて果たすべき役割りを考えると、この法律をもって国内石炭産業の長期安定化の土台を築いていくこと、そういう観点に立つことが必要であると考える次第であります。このような意味で、この際、法律名を石炭鉱業安定法と改称してみてはどうか、いささか愚見を申し述べた次第です。 また同時に、このような趣旨を踏まえ、この法律の全面的な見直しを行い、内容の充実を図られるよう特にお願い申し上げます。 その他、関係法案の延長につきましては、特に意見はありません。 最後に、北炭夕張新炭鉱の再建問題について触れたいと考えます。 この問題については、すでに国政調査団も派遣され、いろいろと御心配と御迷惑をかけ、同時に議論が重ねられてきており、現状については十分御承知のことと思います。 現地では、事故発生以来、遺体の早期収容と復旧、再建の達成を目指して全力を挙げた取り組みを行ってきたわけですが、会社側は、昨年十二月十五日、会社更生法による更生手続の申し立てを行い、自らの手による収容、復旧、再建作業を放棄するという無責任な挙に出たわけです。このような状況の中で、再建が成るのか成らないのかは札幌地裁の判断にゆだねられることになっていますが、私たちは、どのような事態となろうとも、いまだに坑底に残されている四十三名の仲間の遺体を収容すること、また、貴重な国内エネルギー資源である石炭を開発し、国民生活や産業活動に役立てていくこと、同時に夕張新炭鉱の再建によって産炭地域社会の振興に寄与していくこと、こういう観点から今後ともあらゆる努力と協力を惜しまないで再建に取り組んでいく所存であります。 本委員会におかれましても、私どもの考え方を了とされ、全面的なお力添えを賜るよう切望する次第です。 特に当面、次の点について格別の御高配を賜るようお願いする次第であります。 その第一は、当面遺体収容を促進しつつ、更生計画策定まで操業を維持していける体制を確立すること。特にこのための四−五月の資金確保が急務となっておりますが、この点で特別の御高配を煩わしたいと考えます。 その第二は、更生計画の中で真の再建が達成され、安全職場、安定職場が確保されるよう特段の御配慮を煩わしたいと考えます。 その第三は、新区域である平安八尺層区域の開発についての資金並びにその間に至るまでのつなぎ資金対策など、物心両面にわたる御指導、御援助を賜るようお願い申し上げる次第であります。 以上をもって日本炭鉱労働組合としての窓見といたします。 ありがとうございました。
○枝村委員長 ありがとうございました。 次に、岡参考人にお願いいたします。
○岡参考人 全国石炭鉱業労働組合の岡でございます。 本日、第七次石炭政策について意見を申し述べる機会を与えていただきましたことに対しまして厚くお礼を申し上げます。 御高承のとおり、石炭産業は、戦後の荒廃の中から、日本経済再建のためのエネルギーの担い手として労働力の確保と増産のための傾斜生産方式による増産体制を求められて以来、政策産業としての道を歩んでまいっております。特に昭和三十八年の第一次石炭政策の実施以来今日まで、国内石炭産業の安定化に対し、本石炭対策特別委員会の諸先生方には格段の御努力と御指導を賜りましたことに対しまして深く感謝を申し上げる次第でございます。 しかしながら、過去における政策は、対策の面においてそごを来し、政策が求めた安定化とはうらはらに石炭産業は縮小の一途をたどり、かつ企業の体質も脆弱化し、その結果、労働諸条件の相対的低下とともに働く者の政策に対する不安と不信を招くところとなっております。ことに石炭見直しを命題とした第六次政策の二の舞だけは絶対に避けていただきたい、このように考えるわけでございます。 昨年八月、石炭鉱業審議会の議を経て第七次石炭政策が答申されましたが、その内容は、第六次政策の見直しとともに石油代替エネルギーとして石炭の利用拡大を図り、特にエネルギー需給の安全保障の意味を含めて国内炭二千万トン程度への到達を目途とし、その安定供給と優先活用を位置づけ、国内石炭産業の自立を図るとしているところに重要な意義があると存じます。 政策策定作業段階で向坂検討小委員長も申されましたように、文章だけ整ったものであっても実行なければ画餅に帰す、実行できる政策こそ必要であるとの方針のもとに策定された政策であり、また、田中前通産大臣は、答申を受けて、政府が責任を持って必ず実行に移すと確約されましたが、私どもが、今次政策策定に当たって、第六次政策の二の舞となるようなものであってはならないと強く求めてきただけに、大臣の発言に心強さを感じたのであります。したがって、全炭鉱は今次新政策に対し、一部に不満と不安を残しながらも、基本的には国内石炭産業の安定化を目指すものとして率直にこれを受けとめ、これをてことして石炭産業及び企業の長期安定化のために真剣に取り組み、魅力ある職場づくりのために展望を切り開く決意でございます。 そのような立場から石炭関係諸法律並びに五十七年度予算の審議に当たりましては、第七次石炭政策が実効性を持つ政策として機能いたしますよう、特にただいまから申し上げます諸点について御配慮くださるようお願い申し上げる次第でございます。 第一に、二千万トン程度とした生産水準に不満はありますが、現状千八百万トン台の生産規模から見れば、上向きの生産水準を目途としたものであり、これは五十二年度下期以降の貯炭増による生産制限や災害などによる減産分等をも配慮し、その生産復元をも含めた積極的な姿勢として受け取れるわけでございます。 また、二千万トン程度の持つ意味は、今後企業の経理基盤の確立や坑内骨格構造の改善強化並びに需給環境の好転に伴う増産あるいは新鉱開発により到達することを意味するものと理解いたしております。 最近、北炭災害をきっかけに生産水準の引き下げあるいは二千万トン明示の無用論などを見聞いたしますが、北炭新鉱の貴重な資源を放棄させてはならないというのが私どもの決意でございますし、したがいまして、新政策の国内炭二千万トン程度という目標はぜひ明示していただきたいのであります。 第二に、保安についてでありますが、保安の確保は魅力ある職場としての大前提であります。私どもは、保安の確保対策は、各山の実態に即した作業手順や保安対策及び保安設備を整備し、これを周知徹底させる教育と訓練が重要であると存じます。そのためには、自主保安意識の徹底と労使の真の信頼関係が前提条件であります。 私どもは、今後とも保安確保のために最大の努力を払いますが、政府の施策の面におきましても、次の事項について御配慮をお願いいたしたいと思います。 その一つは、採掘現場の深部化、奥部化により、ガス突出、山はね、自然発火などの災害を防止するため、坑内防災技術の研究開発を促進すること。 その二つが、今後なお高温個所、湧水量などが増加し、作業環境の悪化が予測されるため、これに対応した採掘技術の改善並びに機器の開発促進を図ること。 その三が、今後、保安技術者、技能者の定年退職などでその減少傾向が強まっておりますため、その後継者の充足は不可欠の条件となっております。したがって、今後の保安対策を確立するとともに、これに必要な保安技術者、技能者を確保するため、既存保安教育機関の拡大強化と教育内容の充実を図ること。 その四が、ガス突出事故などによる災害対策のため、ガス警戒区域における携帯用マスクについては、酸素発生用マスクに切りかえること。 その五として、保安機器の操作を含めた保安教育の徹底を期すとともに、保安機器、これは救命用具をもちろん含んでおりますが、その点検については厳正な抜き打ち検査を行うなど、その整備の徹底を期すことなどでございます。 第三に、企業経営基盤の改善と強化についてでございます。 新政策では、石炭企業経営の現状を脆弱な体質と指摘した上で、その体質の改善強化を強調し、そのために、企業努力に加うるに政府の各種助成策と需要者側の協力による再生可能な炭価決定のあり方に重点が置かれています。 政府の助成対策につきましては、厳しい財源事情を理解しながらも、第七次政策を消化し得るような積極的な対策を期待するものでありますが、炭価につきましては、決定ルールが不明確であり、一応の基準として賃金、物価上昇程度を織り込んだ合理的な生産費を基礎とし、「消費地における海外炭の限界的な購入価格を参酌する」となっておりますが、第六次政策の経過から見ても、炭価決定のあり方に不安が残るところであります。したがって、生産費を償い再生産を可能とする炭価が決定できるような炭価決定ルールを定めていただきたいのであります。 また、採掘区域の深部化、奥部化によるコスト上昇分については、企業の合理化努力によって吸収可能だとなっておりますが、既存炭鉱の実態から見てきわめて厳しい判断であり、労働組合としてもその努力を否定するものではありませんが、結果的には、保安あるいは労働諸条件の面で労働者にしわ寄せとなることを懸念するものであります。 第四に、国内炭の引き取り対策については、国内炭優先使用の原則に立って、一定割合高いものでも引き取るとの需要者側との合意のもとに、安定的国内炭引き取り関係を配慮しながら、当面、輸入炭割り当て制度を運用し、国内炭が安定的に引き取れるようにするとなっております。そのために、需給両業界による中期的なローリングシステムにより需給計画を作成し、一年ごとにその見直しをしていくことになっており、その適切な国内炭引き取り対策の運用に期待するものであります。 しかしながら、第六次政策に輸入炭割り当て制度がありながらも、貯炭が累増したことから、今後、円高等によって内外炭価格差が拡大した場合の国内炭の安定的引き取りに対する不安は解消されないのであります。 第五に、労働力確保については、国内炭の安定的生産維持のため不可欠の前提であるとし、そのためには、将来展望のある魅力ある石炭産業であることが基本であると位置づけています。このため、各企業が経営基盤の確立強化のため自主的に努力を払い、政府は、その努力を補完するために所要の施策を引き続き実施すべきであると明記しております。もちろん、具体的労働諸条件は労使間の話し合いで決定さるべきものであり、そのためにも経理基盤の確立が必要であります。政策には、文章的に期待すべき方向づけはあるものの、先ほど申し上げました第三の項との関連においてきわめて厳しいものと受けとめざるを得ないのであります。 労働力確保は当面の急務であり、そのためには石炭企業の体質改善の確立に至るまでの間、政府の助成と行政指導の強化あるいは補完的施策を積極的に推進していただきたい、このように存ずるのでございます。具体的には、関係者に対し別途御相談申し上げたいと存じておるところでございます。 第六に、ボタ捨て場の確保対策についてでありますが、現行公有水面埋立法によりますと、ボタ捨て規制が厳しく、そのために生産コストを圧迫する原因となっております。出炭に伴ってボタは必ず産出されるものであり、したがってボタ捨ての関係法規を一部改正していただきたいと存じておるところでございます。 また、ボタ捨てに伴う漁業補償、護岸工事等の諸費用については、ボタによって造成された造成地の政府買い上げなどを含めまして、助成策を講じていただきたいと思うのでございます。さらに、ボタの海洋投棄につきましては、補助金の対象としていただきたいと存じております。 第七に、鉱害処理についてでありますが、鉱害復旧が都市計画に組み入れられたり、社会的変化からくる復旧内容の質的改善等もありまして、有資力企業における負担は年々増額の方向にあります。そのことが既存炭鉱に働く者の過重負担とさえなっていることを考えるとき、無資力と鉱害処理との対比において、負担の限界を明らかにしてほしいと思うのであります。 また、鉱害処理の早期かつ円満な促進を図るため、国、これは事業団ですが、関係地方自治体、有資力企業が一体となって対応できるようにしていただきたいと思います。 さらに、鉱害復旧について紛争が生じた場合、中立、公正な機能が発揮できるような裁定委員会制度を設けていただきたいと存じます。 最後に、北炭新鉱につきましては、繰り返すようでありますが、国内資源確保の見地から、再建を前提としてその存続のために有効な対策をとっていただくようお願い申し上げ、実は時間の制約の関係で舌足らずの点も多分にございますけれども、以上で私の意見の陳述を終わらせていただきます。
○枝村委員長 ありがとうございました。 次に、鈴木参考人にお願いいたします。
○鈴木参考人 炭職協の鈴木でございます。本委員会の諸先生方には、常日ごろから石炭産業の安定化のために特段の御配慮をいただきまして、厚く御礼申し上げます。 冒頭におわびを申し上げますが、昨年十月に北炭夕張炭鉱でのガス突出によるものと思われます重大災害によりまして、関係者の皆様方に多大の御迷惑をおかけし、また社会的にも大変お騒がせいたしましたことにつきまして、保安技術職員で構成する炭職協の立場といたしまして、その責任の一端を感じ、謹んでおわびを申し上げる次第でございます。とともに北炭夕張の再建問題につきましては、諸先生方初め関係者の皆様方に御心労を煩わしまして、いろいろ御配慮を賜っておることに対しましても厚く御礼を申し上げる次第でございます。 また、本日は、参考人として意見開陳の機会を与えていただきましたことに対しまして、心から感謝申し上げる次第でございます。 まず、石炭鉱業合理化臨時措置法等の法律の一部改正につきましては、今次答申の趣旨を全面的に反映させるためにさらに内容の拡充を図っていただき、真に石炭鉱業の自立に資するための法律期限の延長をお願いいたしたいところでございます。 また、新エネルギー総合開発機構によりますところの電力用炭の購入及び販売に関する制度廃止の件につきましては、基準炭価制度が二十年近い運用の中で十分に定着したという判断の中で、行革との絡みもありまして廃止されたものと推測いたしますが、基本的に需給業界の発言力に大差があるということを考えた場合、基準炭価制度の実効性が従来同様今後とも確保されるように、政府並びに石炭鉱業審議会の皆様方の御支援と御指導をお願いいたしたいと思っております。 なお、消滅鉱区等の再開発につきましてその運用を一部緩和する件につきましては、現実的な対応として賛成し、その推進を期待しているところでございます。 私たちは、新しい石炭政策に向けまして炭政会議という場を通じましていろいろ発言をし、行動してまいりました。炭政会議の考え方につきましては本席に配付されておると思いますが、私たちの考え方といたしまして、現存炭鉱の重要問題ということで、三点につきまして、今次ありました答申との絡みによりまして意見を申し述べてみたいと考えております。 まず一点目が、企業体質の改善と強化の問題でございますが、そのうちの一つが企業収支の問題でございます。答申には「石炭企業の収支が健全化することは、国内炭の再生産を維持するための基礎である」とその重要性を指摘しております。その認識につきましては全く同感でございますが、その具体的方策の一つといたしまして、たとえば第三次肩がわり以降の累積赤字と累積債務につきまして何ら触れていないことが指摘されるのではないかというふうに考えております。特に保安あるいは新鉱開発、こうした債務につきましては、単年度におきますところの経常収支がたとえ黒字になりましても、これらの累積債務が企業経営にどんな影響を与えるのか、資金繰りを含めて憂慮されるところではないかというふうに考えております。 その企業体質の改善強化のうちの二点目でございますが、炭価問題でございます。 答申では、需要業界は国内炭の持つ意義を適正に評価し、引き取り、価格設定等で協力することが必要ということで、炭価問題が石炭政策のかなめであることを強調しております。 しかしながら一方「国内炭価格の設定に当たっては」国内炭をめぐる市場環境を無視して価格を定めることは好ましくないといたしまして、具体的には、平均的生産費の上昇率は賃金、物価の上昇率程度、競合エネルギー価格としては、一般炭の場合、消費地における海外一般炭の限界購入価格としておるわけでございます。 われわれといたしましては、競合エネルギーがいわゆる油から海外炭となったことにつきまして、エネルギー政策としてではなく、現実的な対応としてはやむを得なかったと考えております。が、ただ、果たしてこれで自立への道、すなわち企業収支の赤字を解消しまして、償却不足をカバーして、資金を回転するためのある程度の内部留保が可能なのかどうかということになりますと、非常に疑問なしとしないわけでございます。一方、深部化、奥部化によるコスト上昇要因は、従来同様企業努力によって吸収可能としている点については非常に不安があるわけでございます。 もちろんわれわれ保安技術職員といたしましては、全力を傾注いたしましてこのコストアップ要因を取り除くために努力するつもりではございますが、技術革新が一朝一夕でできるものでないだけに、一〇〇%吸収が果たして可能なのかどうか、非常に問題は残るというふうに考えております。 いずれにいたしましても、答申では、基準炭価を設定するについて、経済性と安定性の調和のもとに国内炭の生産維持を図ることを基本に、需要者の公正な負担等にも配慮しつつ、石炭鉱業審議会需給・価格部会において総合的な見地から検討するというふうになっておりますが、六次政策の轍を踏まないように、石炭鉱業審議会という公正な立場におきまして実質的な炭価の検討を期待するところでございます。 次の二点目が労働力確保の問題でございます。 答申にも指摘されておりますように、労働力確保の基本は、石炭鉱業をいかに将来展望があって魅力あるものにするかということでございます。全く同感でございますが、しかし、現存炭鉱の実態は非常に厳しいものがございまして、当面は、政府の行政指導と答申の諸施策を強力に推進することが肝要であるというふうに考えておりますが、特に技術者確保につきましては非常に問題があると考えております。このためには、労働条件の改善に加えまして、若年労働者を確保し、その中から優秀な人材を公的機関におきまして教育するとか、あるいは技術者養成機関の具体化を急ぎまして技術者を育成するなどの施策の早期推進を期待するところでございます。 さらに、答申が避けて通ったという表現は適切でないかもしれませんが、高齢化と長時間労働の実態につきましては、現実を直視しまして、労働時間の短縮や技術の伝承という立場からも、定年延長問題につきましても積極的な行政指導が必要ではなかろうかと考えております。 次は、格差是正の問題でございますが、答申の見解につきましては全く同感でございますが、格差の是正につきましては、本来企業の自助努力で縮小すべきものでございますが、その補完として安定補給金の傾斜配分等を提言しておりますが、果たしてこれだけでもって完全に格差是正が解消するかどうか非常に疑問を持っておるわけでございます。今後さらに各種補助金の再配分などの検討を通じまして、その拡大と拡充を図るべきではないかと考えております。 最後に、われわれは第六次答申を、従来からの、生かさず殺さずというふうな表現が適切ではないかもしれませんが、そう考えられるような政策から脱皮した前向きな対策というふうに受けとめまして、その政策の趣旨が具体的な展開の中で生かされまして、新しい政策の目的が達成されることを期待して賛成いたしました。 しかしながら、現実的には円高等の経済情勢の変化はあったといたしましても、答申が実行されなかったというふうに私たちは判断しておるわけでございますが、そのことにつきましては、政府も需要家もそして国民も、総合エネルギー政策の中における国内炭の意義について確固たる認識を持っていなかったからにほかならないと考えております。 したがいまして、石炭鉱業の自立を現実のものとするためには、国内炭は必要であるという国民的な認識の上に立ちまして、答申の確実な実行こそが唯一のかぎであろうと考えております。 最後に、私たちは、保安を確保いたしまして、安定供給と生産性の向上のみが国民の期待にこたえる道であるということを心新たにかみしめるものであります。 以上をもちまして私の陳述を終わりますが、委員長を初め、諸先生方の御理解と御支援を特段にお願い申し上げたいと思います。 どうも、ありがとうございました。
○枝村委員長 ありがとうございました。 以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。 —————————————
○枝村委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺省一君。
○渡辺(省)委員 きょうは、石炭関連法案の改正に伴いまして、五人の参考人の諸先生に大変お忙しい中を御出席を賜りまして、ただいま貴重な御意見をいろいろ伺わしていただいて大変恐縮に思っておるわけでございます。私の持ち時間は少ないので、端的にひとつ向坂先生からお伺いさしていただきたいと思うわけでございます。 いま、参考人の諸先生からいろいろ御意見を伺っておりますと、第七次答申の方向づけは、対外的な問題や対内的な競合エネルギーとの中で石炭の位置づけについて御答申をいただいたわけだけれども、その生産体制は、やはり安定的でしかも経済性を加味して二千万トン、緩やかな生産体制ということで、その方向については皆さん認識が一致しているようでございます。 そこで、その中身について先生にお伺いしたいのは、いまいろいろの御意見があって、格差是正の問題やらあるいは炭価の決定等についていろいろ具体的な提言も関係の皆さんからございました。この問題につきまして、どうも今日的な炭価の決定は、評価によっては将来の長い意味の需給計画、そういうものに基づいて価格が構成されるべきであるという提言もございましたが、今日、事故が起きて安定供給という面が損われることだとか、いろいろわれわれは耳にしているわけですけれども、もっと客観的な物差し、そういうものを少しく洗い直しをしてやるべきでなかろうか。それは生産者の立場、ユーザーの立場を離れて、少しく客観的で、物差しが具体的に、なるほどそうである、こういうふうに納得できる一つの物差しのレールを敷いて、それにあと何か調整値を掛けていくというようなことがあっていいではないかということはしばしば聞いておるし、今日もなお続いておるわけでございますけれども、この七次答申の機会にそれらの問題等についてもっと具体的な御意見を伺わしてもらえれば、参考のためにお伺いさせていただきたいと思います。 それから、格差是正の問題について、委員会でも大変御審議をいただいて御配慮をいただいたことと伺っておるわけでございますし、五十七年度の予算では、安定補給金についても傾斜配分するなどの措置を考えていただいているようでございます。 ただ、その中で先生が話されたのは、時間がないから少しくはしょるよということで、労働力の問題と保安確保対策の問題については、先生がお述べになられた御意見の中では、ちょっと時間が足りないから触れないという感じにとれると私は理解をしたわけですけれども、これらについて何か格差是正の今日的な処方が具体的にあるのかどうか。特にありますれば、この際にお伺いをさしていただきたいと思うわけでございます。 それからもう一つは、二千万トン以上にすべきだという意見と、おおむね二千万トンに近い出炭体制でもってやるべきであるという各界の御意見もそれぞれございましたが、いま、現実の問題として北海道で大変御迷惑をおかけしておるわけでございます。北海道炭礦汽船株式会社夕張新炭鉱が事故を起こして、再建に向けていま努力が払われておるのでございますが、この二千万トン体制の中で、巷間伝わるようないろいろな問題点、もちろん更生開始を決定しなければならない、そういう問題も実はあるわけでございますが、そういう経過を見なければ意見を述べられないと言われればそうかもしれませんが、将来の石炭の安定出炭というような問題等もいろいろ考えながら、それから、夕張新炭鉱は強粘結の原料炭であるというようなことで国内的なエネルギー源としては大変貴重な石炭であるという認識をしているわけでございますが、それらの問題等について先生御意見がありましたら、この機会でございますのでひとつ率直に伺わせていただきたい。 再建の具体策というような具体的な問題はいろいろあるにしろ、その方向として、事故が起こった当時かなり世界的に報道された。裏返して考えますと、原料炭については日本は深部化され奥部化されているから、これがもし失敗だということになれば、これからの石炭の安定供給という面に大きく落とし穴ができて、国際場裏の中で原料炭等については価格の問題も含めて大変な事態になるということを憂慮している、そういう意見もしばしば聞いておるものなので、そういうことも含めて、一つの方向づけ等について御意見を伺わしてもらえれば、この機会に伺いたいと思います。
○向坂参考人 お答えいたします。 まず、第一の炭価決定の問題でございます。先ほども申し上げましたように、今度第七次答申において石炭企業、石炭産業の自立の方向を目指すということを主眼としておりますが、そのためには適正な炭価が設定されるということが最大の眼目であろうというふうに私も考えております。 審議会の討議の過程で、炭価ルールをどのようにするかは一番論議の集中したところでございました。もしいま先生の言われたように、客観的なルールで、一定の計算方式で需要業界も石炭業界も納得できるようなものができればそれにこしたことはない。私どももそれを願望するものでございますけれども、その点はどうもそういう客観的な価格設定、スキームというようなものは、計算方式はとてもむずかしいという結論でございます。 そうかといいまして、これまでの炭価設定が必ずしも適正であるように行われたとは私も考えておりません。どちらかというと、取引の力関係からいって石炭業界に不利であって、赤字をずっと残してきたということについては、私ども委員としても責任を感じている次第でございます。今度の五十六年度の炭価決定に当たりまして、これ以前もそうですけれども、一部の審議会の委員やあるいは資源エネルギー庁の石炭部は、いわば裏でといいますか、審議会の場ではございませんけれども、需要業界に対して非常にいろいろな働きかけを行っていることは事実で、大変な努力をしているということも事実でございます。 これまでの炭価決定について反省してみますと、私の考えは、基本的には私企業の取引、商業的な取引として交渉する、これを基本に置くべきだというように思います。その交渉の過程で需要業界の意向もよくわかり、それから、生産業界、石炭業界においてもいろいろな意味で合理化を迫られるというメリットも生まれてきて、国民経済的に妥当な炭価がそこで決定され得る可能性があるわけですから、私は商業的な交渉といいますか、業界間の交渉で基本を決定するべきものだと思います。 ただその場合に、政府が基準炭価を決める際に全く後追いであってはいけないので、やはり政府がある程度の指導性を持たなければならない。いま申し上げたように、これまで一部の委員や資源エネルギー庁では、両業界の交渉の過程で適正な価格が出せるようにいろいろな働きかけは行っておりましたけれども、石炭鉱業審議会の公式の場において、そのときどきのいろいろな事情、過去の実績を考慮しながら、価格水準そのものを業界間の交渉に先立って出せるかどうかはわかりませんけれども、むしろそうでない方がいいと思いますけれども、いろいろな要素を審議会の場で検討して、両業界に対していろいろなアドバイスをしていくというような意味で、これまでよりはもう少し審議会が表に出て、合理的な価格設定に貢献していくということが必要じゃないかと私は考えている次第でございます。 それから、第二の御意見の格差是正の問題ですが、この審議会の答申におきましても安定補給金の配分の傾斜度を強めるということで、自然条件その他の地理的に不利な位置など、企業の合理化努力では克服し得ない要素によって他の炭鉱に比較して生産費が高くならざるを得ないような炭鉱に対しては、安定補給金の限度いっぱいに傾斜度を高めるという方向でまず考えるべきです。それから、同時に、企業としましても、北海道の北部の四山で共同でいろいろ合理化できることがあればやってほしいというようなこともこの答申では言っているつもりでございます。果たしてそのような施策で最も自然条件の不利な炭鉱の赤字が消せるかどうか、これは全体の炭価決定と企業の合理化努力、それに安定補給金の傾斜配分などを加味してその実績を見なければ、いまの段階では十分判定できないと思いますけれども、そういう方向で格差是正の努力をしていく必要があると思います。 労働力の確保あるいは労働条件の改善などについては、この答申に書いたとおりに私も考えておりまして、第一の基本は、石炭産業を働きがいのある場所にする。それは企業の体質も改善し企業の収支も改善して、企業の体質の脆弱性も逐次解消していくという方向に向かって、石炭産業がいい働きの場であるというふうにすることが基本であろうと思います。その過程で労働条件など労使の合意を経ながら逐次改善していく必要があるのではないかと思います。 それから、保安についてはあえて私からいろいろ申し上げることもなく、今後奥部化、深部化が進むわけですから、それに伴って日本のようにガスの多い炭鉱では保安に万全を期する、そのために従来やってきた諸施策をさらに強化するという方向で対処すべきだと思います。 それから、生産水準と夕張炭鉱の関係ですけれども、この答申では、まず基本は石炭業界、政府の施策、それに需要業界の協力が相まって現存炭鉱の生産水準を維持するというところにまず最大限の努力を傾け、さらに需要の増大あるいは内外炭格差の縮小、あるいは新しい有望な鉱区の発見などによって新規の炭鉱を開発し得る条件ができてくれば従来の開発助成制度を適用して開発を進めていく、それによって二千万トンを目指すというふうに考えたわけでございます。 その夕張炭鉱がもしつぶれてしまったら現存炭鉱維持の政策はどうなるのだということが御質問の趣旨だと思いますが、この点につきましては、夕張新鉱の問題はいま司法の手にゆだねられておりますので、それの決定を待たざるを得ませんけれども、この答申の立場から言いますれば、基本的には第七次答申の線に沿って夕張新鉱が再建されるということが考えるべき方向であろうと思います。 夕張新鉱は大変質のいい、原料炭、粘結炭としては日本で最もすぐれた、しかも豊富な埋蔵量を持っている炭鉱ですから、ぜひこれを再建することをこの答申の立場からも願っておりますし、この答申の線に沿うような方向で、企業が将来自立し得るというめどを持って再建計画が立てられていくという方向でいくことを私としても念願している次第でございます。 舌足らずでございましたけれども、以上で終わります。
○渡辺(省)委員 炭価の決定等については大変踏み込んだ意思表示があったわけでございますが、いろいろと御意見を賜りながら、答申の完全実施というか、業界がさらに安定的な出炭体制ができて、また逆から言うと地域が安定できる、そんな趣旨で今後御指導いただきたいと思います。ありがとうございました。 私の時間は十一時十分ということで、岡田先生が後に控えているわけでございますが、時間をちょっとオーバーするかもしれませんが、有吉会長さんにちょっとお伺いさせていただきたいのです。 いま組合を代表されて三参考人からそれぞれ具体的な提起がございまして、ちょっとお伺いしたいこともあるのですが、これはまた場所を譲りたいと思います。そんなことで、いま私が向坂先生にお伺いしました炭価の決定問題等について、もし石炭協会としてこの機会にわれわれに伺わせていただけるような御提案でもあれば率直にお伺いしておきたいと思います。 それからもう一つ、いま向坂先生にお伺いしたわけですが、二千万トン体制の中で、いま起こっている北炭の災害等を協会としてどう受けとめておるか、この辺をちょっとお伺いしておきたいと思うのです。 差し支えがあるかもしれませんが、端的な表現で申し上げますと、国にもいろいろ制度があって処置をしているわけですが、業界自体でいま経営に大変御苦労されているわけでございまして、各社が、あるいは協会として拠出をして、その拠出に対して国もまた、基金というような形になるかどうかわかりませんが、拠出をする、そういうことをある程度自主的な形で石炭産業が、この北炭問題のみならず今後ないという保証はないと思うのでございますが、もっと小回りのきく、石炭産業救済のために柔軟な支援ができるというようなことを協会自体として、各社がもうちょっと検討してみてもいいのではないか。もしそういう考え方があれば、いまの資金制度との関連で、少し制度そのものを見直すかという話もないわけではございませんが、それとの関連で、災害やその他に関連するときの柔軟な何か業界の自主的な——先ほど自助努力という、指導性を持ってやるとかいろいろな話がございましたが、そんな理念に一歩近づけるのではないかという気がするのですが、こんなことはどういうふうにお考えになっているのかお伺いしたいと思います。
○有吉参考人 最初の炭価決定の問題でございますが、これは私ども、いま向坂先生のおっしゃいましたように需要業界との相対の交渉になっておるわけでございまして、決まったものを審議会の需給部会で追認をするというのが従来のやり方でございまして、需要業界との交渉におきましてはどうしても私どもの方が弱いわけでございますので、私どもは百上げてもらいたいというのが需要業界ではやっぱり七十ぐらいしか、こういうことになって、それがそのまま基準価格で決められるというのが従来のなにでございますので、向坂先生もさっきおっしゃいましたように、本来の需給部会としてもう少し積極的にそこで決めるということにたてまえはなっておるわけでございますので、実際は非常に問題があると思いますが、しかし、そういうふうなもうちょっと積極的な関与と申しますか機能の発揮、こういうことを私どもはぜひ……。 それで、また一方的に決めるというわけにいきませんわけでございますし、やはりそういうところを共通の場にいたしまして、需要家さんを交えて十分にお互いに理解をして、私どもの希望しておりますのは、石炭産業が再生産できるようなという、いろいろ炭価についての基準が述べられておりますけれども、根本は国内炭を維持すべきであるというならばその再生産を維持する、それはその収支がペイしなければならぬ、こういうことが中心でございますので、そういったものを基準にいたしまして、そして、私どもは再生産コストとこういうときには、各炭鉱、各社によりまして違いますから、私どもは平均でもいい、平均でもペイするようにしてもらいたいんだ、これが中心でございます。そういう審議会の場というものをもうちょっと本来の姿になにしてもらえぬか、こういう希望でございます。 それから、北炭夕張のことにつきまして、御質問の趣旨が業界で金の援助ができないか、こういうふうにも受け取れたんでございますが、そういうふうなことと解釈いたしまして御返事を申し上げますけれども、いま業界としましては、調子のいいところもございますけれども、平均いたしますと、やはりトン当たり三百円くらいの赤字じゃないかと思うのでございます。そういうふうな状況でございますので、すでに業界としましては、みんなでひとつ北炭さんに対する見舞い金を、これをなにしなければということでやったわけでございますけれども、災害復旧とか不足資金に対してみんなで、共同でひとつ云々ということは、これはちょっとなかなか手に負えない、およそけたの違った数字じゃないか、こういうふうに思っておるわけでございます。 その制度というようなものを考えられぬか、こういうことでございますが、いまたてまえとしましては、経営改善資金という制度がございまして、災害のときには第一に適用する項目として災害時の所要資金というのが経営改善資金の項目になっておるわけでございますけれども、ただ、これも一つの貸し付けの限度、一つの基準がございまして、北炭さんの場合にはもう災害以前にいっぱいいっぱいに借りておられるわけでございますので、それ以上のものがなかなか出ない、こういうふうなことでございます。その辺につきまして、これは財源の問題もございますのでなかなか簡単にいかないと思うのでございますが、その辺の運用と申しますか、これも一つの規定でございますので、その辺を多少考えていただくとか、こういうことにもなれば当面の問題には多少の役に立つのではなかろうか、こういう感じを持っております。 以上でよろしゅうございますか。
○渡辺(省)委員 いまの問題、ちょっと認識に違いがあるといけませんので申し上げておきますが、北炭の災害を石炭協会でひとつ何か拠出をして再建せいということを申し上げたのでなくて、この機会に、今後災害がないということは断言し切れないんじゃないか、そうすると、大きい災害、小さい災害いろいろあると思うけれども、国の制度であるとか自力の資金であるとか、そういうものを活用する中で、もっと柔軟に対応できるように協会自体で——起こった災害に対して、どうも資金的なめどだとかいろいろのめどがなかなかつきづらい状態の中で業界としては守ってやろうというようなことは今後考えていくべきではないかというあり方としてお伺いしたわけでございますが、時間がありませんから——済みません、じゃ……。そういう趣旨でちょっとお伺いしたつもりです。
○有吉参考人 災害、これも起こすべきではないわけでございますが、そういう不測の事態に備えまして、業界内部としましても、そういった災害対策基金というようなものを業界でそれぞれ拠出をいたしまして、一種の積み立てをいたしましてそれに対応するというようなことはどうだろう、そういう必要はあるんじゃなかろうか、こういうことを話し合ったことはあるわけでございます。 これは業界としても当然そういうことを考うべき筋合いだろうと思うのでございますが、問題は、そういたしますとそういう一つの積み立てを取らなければいかぬわけでございますが、いまの石炭産業の現状はどういう状態にあるかと申しますと、それよりも前の経常の収支すら赤字である、こういうときにそういう引き当てを取って一つの拠出基金をつくる、これはいまの現状におきましてはとうてい考えられない、こういうことで一応さたやみになっているというのが現状でございます。 そういうことでございます。
○渡辺(省)委員 どうもありがとうございました。
○枝村委員長 岡田利春君。
○岡田(利)委員 初めに向坂参考人にお伺いしますけれども、いまの政府のエネルギーの暫定見通し、需給見通しの改定作業が進められておるわけです。大体三月末くらいを目途にして答申をする、こう言われておるわけですが、先般エネルギー研究所の一つの需給見通しというものが出されておるわけです。 この中でやはり一番問題点は、政府の成長率とエネ研で見ている経済成長率、エネ研の場合には四・三%の成長を見ているんですね。そうして、それぞれのエネルギーの需給の関係を算出をされておるわけですが、私は、ここ十年間というのはエネルギー研究所のこの需給見通しというものは大体的を射ているんではないかな、こういう感じをするわけです。 その中で、特に一次エネルギーでは、従来の政府見通しから言えば一億五千五百万キロリッター、石油換算で二〇%の減。特に海外一般炭の場合でも、当初五千三百五十万トンに対してエネ研では四千二百二十万トン、一千百三十万トンのダウン。もちろん原子力についても一千五百万キロワット下方修正。LNGについても六百五十万トンの下方修正。そして弾性値で見ますと、エネ研の場合には〇・六三、従来の政府は〇・七六、こういう見方が出されておるわけです。 私は、どうもいままでのエネルギーの需給見通しというものは、もちろん経済の変動もありましたし、国際的な状況の変化もありましたから、ずいぶん手直しをしてまいったわけです。しかし、そろそろ八〇年代のわが国のエネルギー政策の方向を決めるためには、この需給見通しに全体が信頼感を持つ、こういうものを出さなければならない時期にあるのではないかと思うわけであります。そういう意味で、八〇年代のエネルギーの方向について、この機会に先生の御所見を承っておきたいと思うのです。
○向坂参考人 八〇年代のエネルギー需給の見通しを立てるのは大変むずかしい仕事であることは御承知のとおりでございます。第一、経済成長も、世界経済、特に欧米経済がどうなるかということは日本にも非常に響いてまいるわけでございますし、日本の技術革新がどう進むか、いろいろなことがございますけれども、経済成長についてどういう見通しを立てるかもむずかしいし、それよりさらにむずかしいのは、経済成長の低下と省エネルギーによってエネルギー需要がGNPあるいは工業生産との関係でどの程度伸びるか、いわゆるエネルギー消費弾性値をどう見るかということも見通しが大変困難な状況にあるわけでございます。 エネ研の見通しは、できるだけ政策的な配慮をしないで現実的な見通しをやってみようということでやっております。政府の見通しは、特に政策的な意味を加味しまして一つの政策目標を出すわけですから、そういう現実的な見通しよりもやや意欲的な目標になることはやむを得ないし、また、政府の目標としてはそれが妥当ではないかと思うわけでございますから、政府の数字がエネ研の数字から見てそのまま過大であるというふうには簡単には断定できないと思います。ただ、第二次石油危機以来、経済の状況、エネルギーの状況が非常に変わりましたから、政府の暫定見通しを早急に改定しなければならない状況にあることは確かであって、しかも経済成長率においても、またエネルギー弾性値においても、従来の政府暫定見通しよりもやや小さくなる方向に修正すべきだと私は考えているわけでございます。 エネルギー需給のことにつきましては、いま御指摘もありましたが、エネ研の見通しは経済成長率を四・三%、結果的にエネルギーの消費弾性値は〇・六三というように見ておりまして、最近の日本経済研究センターその他、中長期の経済見通しを見ていましても、実質成長率が大体四%台の前半程度に見ている。私は、こういう見方が妥当であると考えております。 それから、エネルギーの需要ですけれども、これも省エネルギーがすでにかなり進展しましたし、今後も、この三、四年ほどのスピードではないけれども、省エネルギーがさらに進展するという状況を考えますと、GNPに対する弾性値は下がると思いますし、それからもう一つは、産業構造の変化が進むだろうと思います。これは端的に言えば、エネルギー多消費の素材産業の伸びが小さくて、あるいはアルミのように減産する産業も出てまいります反面、加工度、付加価値率の高い精密加工工業、高度加工産業といったようなものの伸びが大きいと考えられますので、産業構造は依然として八〇年代変わっていくと思いますので、工業生産指数単位当たりのエネルギー消費原単位はやはり下がっていくだろうと考えられます。そういった要素を考えますと、エネルギー需要の伸びは従来考えていたほど大きくはならない。それに従って供給面の方も目標を変えていくという必要がございまして、これもなるべく現実的な可能性を考えまして、それぞれのエネルギー源別にその供給可能量を見てみたものでございます。 その結果は、原子力においても、現在の目標である一九九〇年の原子力の設備能力五千百万キロワットあるいはそれを若干超えるというような目標を三千八百万キロワットというふうに修正いたしましたし、それから、海外炭においても、さっき御指摘のような数字に改定いたしました。エネルギーの中ではLNGの契約が順調に進んでおりまして、これは現在の政府の暫定見通しに比べて、九〇年における供給量の減少幅は比較的小さくて済むというようなことで、そういう代替エネルギーの開発を進めていくということを前提にしますと、石油の供給量は、現在の水準から見まして年率一、二%の上昇にすぎなくて、かつてのピ−クである一九七九年の石油輸入量三億何がしキロリットルにまで果たして九〇年代に到達するかどうかというような状況と考えられます。といいますのは、八〇年、八一年の二年間に石油の消費量、即輸入量ですけれども、およそ二割程度減っている。そこから考えますと、今後一、二%伸びたとしても、八〇年代末で七九年の輸入のピークに達するかどうかわからないというような状況で、かなり供給面でも構造が変わりつつある。石油依存度を下げるという意味では好ましい方向に変わりつつあるというふうに考える次第でございます。
○岡田(利)委員 今度七次政策の答申を見てまいりますと、この文書に書かれていないものというのが非常に重要だと私は思うわけです。何が文書に書かれていないのかというと、従来も六次政策で「格差の是正」ということが載っておったわけですが、実行が行われなかったわけですね。今度は格差の是正について今年度予算においてもすでに組まれておりますから、初年度からこれが実行をするという点が六次と七次の違いだと思うわけです。その格差是正というのでは、どういう基盤と前提があって行われるのかという点は、この答申の中には書かれていないわけです。 私どもがこの委員会で議論しましたのは、五十五年度後半において、海外炭の炭価が一斉に値上がりをした、そのとき炭価の値上がりで一番小幅であったのは南アフリカなんです。これが大体十ドル上がったわけです。これが一番値上がり幅の最低なわけです。そうすると、当時円レートが二百二十円でありますから二千二百円上がった。したがって、二千二百円の最低のところを押さえて、そしてこれを二年間でやると大体千百円、千百円、こうなるわけですね。五十六年度の炭価は千百三十円程度で実は決まっておるわけです。 そうしますと、第七次政策の出発の今年度は、当然、われわれが議論した面と審議会で議論した内容から言えば、五十七年度の第七次政策のスタートは昨年同程度の値上がりが想定されておらなければ、この七次政策の基盤というものはおかしいと私は思うわけです。したがって、海底炭鉱から安定補給金の二百円を削って、そして急傾斜には今度はプラスをしますから、格差は九百五十円になるわけであります。したがって、その初年度の五十七年度の炭価政策と格差是正というのがいわばうらはらの関係になってこの政策は構築されておる、こう私は理解をしておるわけですが、この点はいかがでしょうか。
○向坂参考人 五十六年度の炭価について、これはちょうど北海道電力の料金改定の時期と絡みまして、炭価決定の中心になる電力用炭をどの程度引き上げるかということがいろいろ交渉されたわけでございます。決定したものは、石炭業界の要求炭価に比べますと幾らか低い程度でございますけれども、しかし、五十五年度までの炭価決定の状況に比べますと、石炭業界の要求額にかなり近寄ってきているということであろうと思います。 この炭価が果たして五十五年度の炭鉱の収支を均衡させるかどうかということについては、これはもう本当に実績を見てみなければわかりませんし、最近伝えられるところによると、一部の炭鉱では炭層条件などによって減産があるということでございますから、そういった自然条件の変動に基づくものを企業収支の観点からどう読むかというようなことは問題が残るかと思いますが、いずれにしても、五十五年度の実績を見なければ、合理的な妥当な生産費をカバーできたかどうかということは判定し得ない状況にあろうと思います。 五十七年度はどの程度の炭価であるか、私にはよくわかりません。少なくとも、賃金の上昇分、一般の物価の上昇分をカバーし得るに足る炭価の引き上げが行われるべきものだと思いますし、その炭価の引き上げが行われるように業界間の合意を見ることを期待しておりますし、また、審議会においても何らかの働きをする必要があるというふうに考えております。 その格差是正の問題については、いま申し上げたように、全体としてやはり平均的な生産費をカバーするという方向で考えるということがまず第一のことでございましょう。やはり平均的なもので考えざるを得ない。そうしますと、どうしても急傾斜など自然条件の悪いところは赤字幅が大きくなる。それが果たして安定補給金の九百五十円といいますか、平均から言うともう少し少ないのですけれども、そういうものでおさまるかどうかということは、これもまた実績を見なければわかりません。しかし、これは勘ですけれども、やはりまだ急傾斜炭鉱などそういうものについては、平均的な生産費がカバーできても赤字が残る可能性が大きいのではないかというように考えておりまして、したがって、今後急傾斜炭鉱の、まず保安が第一ですけれども、保安に万全を期しながら合理化をどのように進めていくか、その様子をよく見るということと、それから、何らかの共同事業で合理化する余地があればそれも積極的にやり、その支援も政府も考えていくというようなことで、その状況を見ているという状況でございます。
○岡田(利)委員 先生にも前に質問いたしたわけですけれども、炭価の決定の場合、特に一般炭の場合、一番障害になるのはやはり北海道電力との炭価の話し合いです。今回の場合には、一応五十七年度の炭価についてはすでに織り込み済みで料金が認可をされておる。こういう意味では従来と違った、七次政策は私がいま申し上げた方向でスタートできるのではないか、こういう実は期待をいたしておるわけです。 そこで、先般北電の奈井江火力が石狩川の温水のために故障を起こしまして、大体半年かかるわけです。電気料金の値上げの認可のおりる前だったものですから、この燃料費の違いを修正して五十億円追加をされて、そして北海道の電気料金が認可をされたわけです。私はその前から、伊達の三十五万の石油火力と苫東の三十五万の石炭火力を比較すると、燃料費で一年間百億石炭の方が安いということを指摘してまいったわけです。そのことがいみじくも今度の奈井江の災害によって、私のその百億違うという数字が、半年で五十億でありますから、どんぴたり証明をされた、こういうことに実はなったわけであります。したがって、そういう意味で、特に八〇年代石炭の活用という問題は、もちろん地域地域もありますけれども、そういう意味で大きなメリットがあるという点を特に強調いたしたいわけであります。 たとえば、原子力も安全性の問題が議論されておりますけれども、原子力の経済性等についても比較をしてみますと、先生が部会長をされておる電力料金の部会でも、今度バックエンド費用というものを二円織り込んでいくという計算になっておりますし、あるいはまた核燃料は特別勘定、この勘定は電力の場合には石炭と違ってすべて事業報酬の対象になる。そうすると、十年間であれば一円の核燃料はこれは二円を超すわけであります。もし挿入核燃料が一円以上になれば、実際に投入される場合には事業報酬の対象になりますから二円五十銭にもなる。そうしますと、この面だけを考えても、百万キロ四基をつくるという通産省の試算がありますけれども、その場合には発電原価が大体十一円から十二円、燃料費は大体そのうちの四分の一、そうすると二円七十五銭から三円という数字が出ているわけですね。したがって、再処理費用はそれに含まれておるとしても、あとの高レベルの関係の処理費用等を追加し、そして核燃料勘定の事業報酬を追加すると、黙っていてもそれだけで二円上がるわけですね。そうすると大体十四円くらいになる。石炭火力の場合も、大体六十万キロ四基で計算してモデルは十四円ないし十五円、こういうようになりますから、原子力がそんなに、油の火力に比べては経済性は高いけれども、何かべらぼうに経済性が高いんだというのはちょっと誇大宣言ではないのか、私はこういう気持ちがするのですけれども、いかがでしょうか。
○向坂参考人 お答えいたします。 確かに原子力発電コストは、再処理費用からさらに廃炉の費用までずっと含めていきますと、石炭火力とのコスト差がかなり接近するということは事実であろうと思います。電気料金制度部会で検討いたしましたときには、これは全く暫定的試算でございますけれども、原子力発電所百万キロワットを五十六年時点で新設したというふうに仮定して計算したわけですけれども、その発電コストはキロワットアワー当たり大体十二円から十三円という数字が出てまいりました。これには、資本費などのほかに核燃料費それから再処理費用、もちろんそれに使用済み燃料やプルトニウムなどの輸送費とか、さらに将来の廃炉の費用も一応加えてみたわけです。特に廃炉の費用はまだ十分な実験が行われておりませんから、このコストの評価が正しいかどうかは非常に問題のあるところでございますが、現在の欧米、日本などのいろいろなデータを集めた結果では、それを含めても大体十二円ないし十三円というところでございます。それから、石炭火力につきましては、排煙脱硫、脱硝、それに灰捨ての費用などをもちろん全部込めまして、百万キロワットでキロワットアワー当たり大体十四円から十五円という計算が出てまいっております。したがって、その差は二円弱というようなところで、かなり接近してきているということは事実であります。 ただ、将来を考えたときに、原子力発電は、十年、二十年というスタンスで考えますと、恐らく建設コストなど下げ得る可能性があるし、燃料費も燃焼度の向上などによって下げ得る見通しがございますから、原子力発電については、再処理費及び廃炉費などとの関係もございますけれども、実質的にはそれほど上がらないで済まし得るのではないか。ところが石炭火力の方は、石炭価格がどうしても上がらざるを得ないので、その点では現在の状況以上に石炭と原子力との格差が縮まるという可能性は少ないように私は見ているわけでございます。
○岡田(利)委員 しかし、原発の立地点は非常に遠隔なところですから、送電費用なんというのは一千億以上超えるわけです。そういう計算をしますとまだまだ議論があるわけですけれども、そういう意味で、石炭火力というものを電力会社ももう少し前向きで受けとめる必要があるのではないかということを申し上げたかったわけであります。 そこで、今度の答申は五年間に限ってあるわけですね。私はこの五年間というのは非常に大切な五年間だと思うのです。五年間に区切ったことは正しいと思うわけです。ということは、格差是正の面から考えても、わが国の石炭産業の採掘条件から考えても、いまの体制で安定するということはむずかしいと私は思うのです。だから、この五年間を経過した総括の中で、さらに石炭の歴史的な使命を全うさせるためにどうしていかなければならぬかという議論は必ず五年後に来ると見ておるわけであります。山が少ないですから、単位炭鉱一つ一つ調査をするとそういう点を私はもう痛切に感ずるわけです。先生として今回の七次答申を出されるに当たって、いまは解決できないけれども、そういう面をも描きながら、議論されながらこの七次答申を出されたのでしょうか。
○向坂参考人 今度の七次答申を討議するに当たっては、いろいろなことを十年程度できるだけ見通しを立ててみよう、しかし変動要因が非常に大きいので、今度の法改正の期限も五年間ということにすることが妥当ではないかというのが結論でございます。 国内の資源状況から考えて、現在の稼行している炭鉱が資源その他の条件でいつまで続くかということは少なくとも十年間は見通し得るということでございましたし、十年間ぐらいならば、企業側のデータを見ましても政府の検討の結果を見ましても、奥部化、深部化によって保安上あるいはコストを実質的に余り上げないようにすることについてそれほど大きな障害はなさそうだ、そういう見通しを立てましたので、いろいろな石炭の供給者側の状況から見ますと十年程度を見通しました。 一方、今後の日本の国内炭にとっては、海外炭の状況がどうなるかということは非常に大きな関係がありまして、これも十年間見通し、いろいろ論議してみましたけれども、とてもそういうことを自信を持って見通すことは困難でございまして、少なくとも五年程度は需給はかなり堅調な状態が続くだろう。といいますことは、石油から石炭への代替がなお続くということ、これは日本だけではございません。それから、供給者側の供給増大のためには、南アを除きますと、ほかはいろいろなインフラの整備などかなりのリードタイムを必要とする。そういう面から見て五年程度は少なくとも需給はかなり堅調であって、したがって海外炭価格は上がっていくだろうという見通しを立てました。ただ、その先になりますと、いま御承知のように豪州もアメリカも腰を決めつつありますけれども、対日供給をふやそう、アジア太平洋地域に対する石炭供給をふやそうというためのいろいろな計画を持っておりますから、場合によっては石炭需給が一時的に緩和するということも考えられますので、確かにいま先生のお説のように、五年くらいの間、国内的にも海外的にもあるいはエネルギー需給全般についても、いろいろな問題、変動が起こり得るので、五年間の状況をよく見ながら、さらに長期の自立達成を目指してどういうふうにしたらいいかを考える必要があるというふうに考えた次第でございます。
○岡田(利)委員 炭価の決定問題について先ほど渡辺委員からも質問がありましたけれども、これは通産大臣が基準炭価を告示する。通産大臣が決めなければならぬことに法律上はなっておるわけですね。しかも石炭鉱業審議会の需給・価格部会で意見を聞いて告示をするということですから、本当は法律を素直に理解して運用すると、私はそうむずかしい問題ではないのではないかな、こう思うわけであります。そして、最近のエネルギー状況から考えますと、先ほども四点炭価決定の要因を出しているわけですが、あれを決めたときは石油がまだバレル三ドルくらいの時代ですし、とてつもなく安い時代。そして、原料炭についてもあるいはまた一般炭についても、国内炭の価格は海外炭を輸入した場合の価格とはそう変わらない、むしろ割り安の傾向もあったわけですね。ですから、そういう面から考えますと、このような需給の関係がタイトになってきた時代は法律を素直に運用する。そういう意味で、審議会の需給・価格部会の方も、七次政策をスタートさせるに当たって従来と違った新しい対応で臨んでほしいという強い意見がありますので、この点は特に向坂先生に私は要請を申し上げておきたいと思います。 そこで、有吉参考人に三点ほどお聞きいたしたいと思うのですが、一つは、夕張炭鉱の問題で先ほどいろいろ御意見が開陳されたわけであります。協会としては一億円の見舞い金を出されておるわけですが、私は、いまの石灰政策下における炭鉱各社というのは、やはり連帯性というのがあると思うのですね。炭労は組合員一人二万円カンパをしたわけであります。そうしますと、私はいろいろの方法が労使であるのではないかなと思うのですね。もちろん裁判所の決定にゆだねておるとはいうけれども、他に三山の炭鉱があるわけです。それに親会社がまだあるわけでありますから、知恵を出すといろいろな手法があるのではないのか。昔、救援炭なんということもやったことがあるわけですね。そういう意味で連帯的に夕張を再建するという場合には、確かに平均三百数十円の赤字があるかもしれないけれども、積極的に一歩進んで連帯的な面をみんなが担っていく。限界はあるでしょうけれども、そういう姿勢が私は非常に大事ではないか、こう思うわけであります。大きなグループ別で見ますと、三菱が二山、住友が一山、あとは全部、大きく言えば主力炭鉱は三井グループの炭鉱ですね。ですから、そういう面からいっても、非常に連帯しやすい条件は私はあるのではないか、こう思うのであります。その点についてひとつ積極的な姿勢で臨まれることを期待しながら、御意見を承りたいというのが第一点であります。 それから、第二点は、炭鉱間格差の問題でありますけれども、これは向坂先生も述べられているように、今度の九百五十円の是正だけであってはまだ格差は埋められないだろうということは、私もそうだと思うわけであります。私の試算では、今度の格差及び坑道掘進補助金、保安補助金、それと急傾斜の山は炭価水準が比較的に原料炭の得率も高いという面で計算して、大体三千二百円程度くらいに計算をするとなってくると思うのですね。それでもたとえば赤平のような一社一山のような体制ではなかなかむずかしい。こういう面はやはり残ると思うのですね。したがって、今回の政策から見て、どの程度、もう幾らの格差の是正があればまあまあという水準にいくのか、この点、もしお知りであれば伺っておきたいと思います。 第三点は、いま私は、この五年間というのは非常に重要な年だと申し上げたのですが、協会自体としても、やはり五年後の展望というものについて、五年間に十分時間をかけて議論を詰めていく必要があるのではないかなと私は思います。もし安定的な状況になれば、カニは甲羅に似た穴を掘りますけれども、炭鉱は経済ベースにかなった生産規模、これを安定化させるというのが常道だと私は思うんですね。そうしますと、飛躍的に増産ができる炭鉱なんというのはほとんどないわけです。むしろ生産をダウンした方が安定性がある、こう見るのが常識的だ、こう思うんですね。そういう状況から判断をし、深部化していく既存の炭鉱の稼行条件から言えば、私は、ある程度体制的な問題についてもこの五年間検討しなければならぬのではないかと思わざるを得ないのであります。たとえば砂川が、災害があって四割出炭カットをして、そして保安体制を築いてがんばっている。ということは、やはり三井三山があればできたのであって、一山一社なら絶対にできないわけです。これはもうはっきりしているわけですね。だから、災害の場合の資金制度なんという問題も渡辺委員から出たと思うんですね。そういう状況を素直に考えれば、そういう意味で五年後の展望という問題について素直にお互いに議論を詰める必要があるのではないかなと私は思うのですが、この三点について御意見を承っておきたいと思います。
○有吉参考人 最初の夕張の問題でございますが、業界としての連帯性と申しますか、救援炭というような方法もあるのじゃないか、こういうお話でございますが、先ほど渡辺先生からの御質問もございましたように、いまの石炭業界といたしましては、そういう資力的な応援というのはちょっとむずかしいと思います。金でなしに石炭でという、これも結局同じことでございまして、それから、現在はもうすでに貯炭はずっと減ってきておる、こういうふうな段階でございますので、私ども、もちろん一千万トンというものを維持していきたいと思っておりますし、ぜひ再建してもらいたい、それに対しまして私どものできる応援はひとつやりたい、こういうふうに思っておりますが、今度恐らくは更生手続開始、こういうところになるのじゃないかと思っておりますけれども、この計画立案に関しましての技術的な問題とか経理問題とか労務問題とか、これは非常な問題があるのじゃないかと思っております。これにつきましては、御要請があれば、私ども協会といたしましては、専門的な立場から計画立案につきまして、いま申しました方面につきましては万全の体制をもって、ひとつ応援体制をしきたい、こういうふうに思っているわけでございます。 それから、格差の問題でございますが、これはおっしゃいますように、五十七年度に初めて安定補給金の傾斜配分というのが実現をしたわけでございまして、私ども、これは第一歩として非常に喜んでおるわけでございます。 それで、今度の傾斜配分によりまして満足すべき状態になるかどうか、こういうことでございますが、これは五十七年度の炭価アップの状況等もひとつ見てみたいと思うのでございます。もう五十七年度はこれで一応やっていくしかない、こういうふうに思っておりますが、私の感じとしましては、先生もおっしゃいますように、いまの傾斜配分だけでは、恐らく北空知を中心にいたしました急傾斜の炭鉱ではやはり足りないのじゃないか、こういう気がいたしております。大体、急傾斜炭鉱というのは、協会で調べましたところ、コスト的にはどうしても平層に対しましてやはり三千円から四千円のコストの差があるわけでございまして、したがいまして、恐らくはこれでは十分ではないのじゃないかという気持ちを私は持っております。 それからもう一つ、この傾斜配分と申しますのは、客観的な基準に従いまして山ごとの格差というとらえ方をすべきだろうと思うのでございますが、つまりこの企業の赤字を一種のつかみ金で赤字の消えるように配分する、こういうことであってはならぬわけでございます。しかしながら、そういうふうなことではございますが、いまの経営体制といいまするのは企業の体制になっておるわけでございますので、一社一山の場合はこれは問題はないのでございますけれども、そうでない場合におきましては、つまり、たとえば安定補給金という一つのファンドの中で、片方を取り上げて片方に渡すわけでございますので、傾斜配分の金をよけいもらう山そのものは少し赤字が減る、こういうことになるかもしれませんけれども、一方において出す方の山があるわけでございますので、そういう両方の山を持っている企業としましては、片方で出して片方で受け取るので、企業としては少しもよくならない、こういうふうなことになる。そして、やはり企業が石炭の生産を担っておるわけでございますので、そういう意味で、やはり客観的基準で山元を対象として格差配分というものは考えるべきでありましょうけれども、大きな目的からいいまし二そういった問題も、これはあわせてもう少し検討しなければならぬじゃなかろうか、こういうふうに私は考えておるわけでございます。 それから、どの程度だったらいいのか、こういうことでございますが、これはひとつ今年度、五十七年度の炭価アップあたりも見ました上で、今年度の実績を見ました上でもう少し案を固めたい、こういうふうに考えております。 それから、五年間という問題と体制的な問題も検討の対象にすべきじゃないか、こういうことでございます。今度の答申におきましては、明瞭に私企業体制のもとにと、こういうことになっておるわけでございまして、私どもとしましては、体制そのものが目的ではないのでございますけれども、かねて主張をいたしておりますように、石炭産業が平均的にペイするようなそういうことを実現させてもらいたい。それには、いままでのような炭価交渉とかそういうことでは実現ができないのだ、したがって需要家さんも、補助金を出している国も入ってもらって、そうしてその三者一緒になった一つの石炭産業というものをひとつ考えたらどうだろうか、実はこういう提案をしたいきさつもあるわけでございます。したがいまして、この五年間の外部の経済状況もいろいろ変化する、また五年間のうちにはいろいろな見通しも大体できてくるかと思いますので、とりあえずはその私企業体制、こういうことでいま私どもいこうと思っておりますが、角度を変えたこういう一つの考え方も従来からも多少はやってきておりますし、格差是正とかそういう問題と絡めまして、何らかの検討の必要があるのではないか、こういうふうに考えております。
○岡田(利)委員 終わります。
○枝村委員長 では田中昭二君。
○田中(昭)委員 まず向坂先生にお尋ねいたします。 重ねてのお尋ねで恐縮でございますが、第七次答申で、将来においては二千万トン体制というふうに言われております。いまいろいろ述べられましたように、わが国の採炭についてはますます深刻な状況といいますか、深部化、奥部化、またいろいろな特殊な環境、そして劣悪な条件にある採炭であるというふうに聞いております。今回の夕張の事故等を見ておりますと、北炭の関係は当初のとおりの出炭が可能かどうかというようなこともございます。そういう中で、現在の千八百万トン体制を維持するということは困難ではなかろうか。そういう状況のもとに、いまのわが国の特殊な事情を考えますと、将来の達成の目標を現在よりも上回るような目標で進めていかなければなりませんけれども、やはり何といいましても、山の保安体制といいますかそういういろいろな面で安全面も考えなければならないが、どうしてもその体制では安全面が軽視される可能性もなきにしもあらず、そういうことを考えます。今後、炭鉱の事故が絶対ないとも言えないと思うわけでございますが、そういう意味からも、強いて政策上から二千万トン体制を固守しなければならないということについてどのように——いろいろなことがあると思いますが、その二千万トン体制を固守していかなければならないという必要性はどういうところでございましょうか。
○向坂参考人 この第七次答申の考え方ですけれども、二千万トン体制を固守するというような考え方ではないと私は理解しております。 まず、千八百万トンの生産水準を維持したい。これは答申にも書いてありますように、供給の安定性がやはり海外炭よりすぐれている。ですから、ややコストは高くてもこれをエネルギーの安定供給という立場から維持したいということと、それからもう一つは、やはり産炭地経済の維持といいますか、そういう意味でもできるだけ長く現在の稼行炭鉱を維持していきたいということが、この現行稼行炭鉱維持の理由になっているのは御承知のとおりと思います。ただ、現在稼行炭鉱の維持、生産水準の維持と言っておりますけれども、これはやはり、まず石炭業界が適切な合理化努力を続けていくということや、それから需要業界は、やはりこの供給の安定性ということを含めて適切な評価をして、石炭の引き取り価格について必要な協力をしてほしいということと、それから政府は、必要な施策を講じていく、この三者が一体となって進めていくことによって現行稼行炭鉱が私企業体制のもとで維持できるというふうに考えているわけでございます。 二千万トン体制というお言葉を使われましたけれども、ここの答申にはそういうふうには書いておりませんで、いま言ったようないろいろな条件が整えば、従来の消滅鉱区を活用したり、あるいはまた新規のかなりの規模を開発したり、あるいは小規模な露天炭その他を開発していく、そういうことを進めて二千万トン程度になるということになれば、エネルギーの安定供給上貢献できるからそういうことが望ましいという態度であって、したがって、何が何でも二千万トン体制にしなければならないというふうには考えていないと思います。 夕張炭鉱の問題ですけれども、先ほども少し言葉足らずでございましたが、いまの第七次答申から言えば、現存炭鉱はできるだけ維持してほしい。特に夕張新鉱は資源量が豊富であり、しかも非常にすぐれた粘結炭も持っているわけですから、これをすぐ生産再開してあれができるかどうか問題ですけれども、何らかの再建策、再建計画を立てて、それで一時は縮小しても、あそこの炭鉱を長期的には炭量を活用できるような体制に戻す再建計画をつくるという必要があることを期待しているわけでございます。ただしかし、その再建計画は、夕張新鉱が負担し切れないような巨額な新投資を必要としたり、保安上非常に危険なところを稼行したりというようなことは考えられませんで、やはりある程度規模は縮小しながら、将来若干の残された債務の返済をし、それから企業として収支の均衡をとって、将来の自立の道を歩む期待が持てるような再建計画のもとで夕張新鉱が再出発されることを、この答申としては期待しているというふうに私は理解しているわけでございます。
○田中(昭)委員 確かに、いまのむずかしい状況のもとでの第七次答申は、私たちみたいな素人がいろいろ言う筋合いはないと思いますけれども、方向としては種々御検討なさった結果であると思います。現在の炭鉱での生産の体制の中にやはり無理があるといいますか、問題を惹起するようなことについては私たちも考えなければならない。それは、取り上げてみれば、いわゆる人命尊重という意味からは、仮に事故が起こっても最小限に食いとどめて、それが再生産につながるという方向に行かなければならない、このように思っておるわけでございます。 そこで、向坂先生にこういう細かいことをお尋ねしてどうかと思いますが、今度の夕張のガスの突出ということも、やはり深い坑内で起こる問題です。こういう場合の対策は大変むずかしいと思うのですが、こういう問題に対する完全な安全策というのは、いまの技術等ではできないものでしょうか、どうでしょうか。
○向坂参考人 お答えいたします。 完全ということはまああり得ないでしょう。しかし、こういった大災害に結びつくようなことはもう全力を挙げて防ぐという姿勢で、坑内の保安、たとえばガス抜きなど十分に行っていくというような細心の注意が必要であろうと思います。 大事故についてはもう完全に防ぐというような意気込みでやらなければなりませんけれども、日本の奥部化、深部化、特に大変深部のガスの多いところでやる以上、若干の災害が起こるということを絶対に防ぐわけにはまいりませんでしょうが、とにかく人身にかかわるような事故をできるだけ防ぐように万全の保安体制をとってほしい。したがって、第七次答申で生産水準の問題を議論したときにも、決して無理な水準の増産を期待しているというつもりは全くない。やはり万全の保安体制をとりながら、しかも現存稼行炭鉱をできるだけ長期に維持していく。あわててたくさん掘る必要はなくて、長く炭鉱の命を延ばすことが重要ではないかということを考えた次第でございます。
○田中(昭)委員 もちろん完全ということはないとは思いますけれども、やはり完全を目指してそれに対応するものは考えていかなければ、今後のわが国の深い層での採炭ということもあるわけでございますから、そういう人道的立場といいますか、またしかし、国の政策にこたえるためには経済上のむずかしい問題も乗り越えて採炭を進めていかなければならない、そういう正当性は私はどこにあるだろうかということを素人なりに考えるわけですが、その正当性ということについての、何かお教えいただければありがたいと思うのですが……。
○向坂参考人 あらゆることにそうですけれども、人命尊重を最優先にして十分な対策を講じて現在の生産水準を維持するというような方向で進むべきだと思います。
○田中(昭)委員 先ほど有吉会長も言われましたが、貴重な国内資源はやはり再生産ができなければならない、再生産するのは現在全部私企業がやっておるんだ、そういうことであるために、政府の助成も、またいろいろな指導等もなされておるわけでございますが、この私企業体制というのは将来に向かっても堅持していくのがわが国の状況としては妥当なのかどうか、その辺のお考えをお聞きしたいと思います。
○有吉参考人 答申にも私企業体制でいくんだ、こういうことになっておりますが、私は、やはり原則的には国営だとか公団的なものよりも私企業体制の方がいい、そういうふうに思っております。 ただ、先ほどから申しますように、炭価の交渉等がなかなかうまくいかないわけで、格差是正、これも非常にむずかしい問題でございまして、こういったものをいかに実現をしていくかということに関しまして、私企業ベースという精神を生かしながらどういったモディファイされた体制があるのか、これはやはりどうしても必ずいつまでも残る問題だ、こういうふうに思っております。
○田中(昭)委員 簡単明瞭におっしゃっていただきまして、そういうことだろうと思いますが、その場合、先ほどおっしゃいましたように、国の政策、私企業がそれにこたえていく。ところが、先ほどからいろいろ問題になっておりますように、企業はみんな赤字で大変だということになりますと、そのしわ寄せというとおかしいのですが、その狭間に出てくるのは、いろいろな事故が起こった場合の対応とかそういうものがあると思います。そこで、そういう中では、先ほど渡辺委員なり岡田委員からも協会としての対応をお聞きしました。私は、何はさておいても、業界が生き残っていく上においては、そういう問題を、困難であっても資力がないからということで済まされないことにつながる、そういうふうに思うわけでございます。 そこで、時間も大変制約されておりますから、そういう問題で、保安体制をしいた上での安全性ということで、企業側のいま一番国民に対してこのことだけはこの石炭政策の中でもやらなければならないということがあれば述べていただきたいと思います。また、働く労働者の方もそれぞれ、幾つもあると思いますけれども、人道的立場から保安についてのこれだけはぜひやりたいということがあればお聞かせ願いたいと思います。
○有吉参考人 炭鉱におきまして保安問題というのは何を差しおきましても一番大事な問題でございます。それで、よく、赤字であるから生産を急いだ、つまり生産のために保安を犠牲にしてというような、そういうなにがあるのじゃないか、こういうことを聞くことがあるのでございますけれども、少なくも現在の石炭産業におきまして、保安を犠牲にして生産とか、こういう考え方は、これはおよそございません。ただ、北炭さんの場合に、遺体の収容後の原因の究明というものを待たなければ私どもわかりませんけれども、どういうやり方をおやりになっておりましたのか、こういうことは十分ひとつ一そういうことでございますが、もうすでに保安問題につきましては、個々の企業の問題じゃなしに、そういう事故の原因究明というものは石炭産業全体の問題としましてみんなで検討する、こういうふうなことになっておるわけでございます。それを貴重な教訓として次に生かしていく、こういう考え方でやっていくつもりでおります。
○田中(昭)委員 時間もございませんから、各労働組合の方からも一言簡単にお願いしたいのですが、その前に、私は去年も現場視察に行きましたときに、私も余り専門家じゃありませんが、現場では、たとえば山鳴りがするというようなことがあればもう必ず事故が起こる可能性があるというように私は聞いておるのですが、ところが現場に行きましてそういう山鳴りがする、それに対して、それじゃ労使ともどうなっているのか、こういうような率直な疑問が起こるわけであります。そういう点も含めて簡単にお願いしたいと思います。
○野呂参考人 保安問題について田中先生から御質問がありました。労使とも保安には全力を挙げてこれが起きないように山元では対策を行っているつもりであります。しかし、残念ながら夕張新炭鉱のような問題が起きたので、われわれもいままでのやり方が果たしてよいのかどうかということをいま一度メスを入れて考えてみたい、こういうように炭労としては考えているわけであります。つまりその基本となるのは、安全が保障されないというようなところでは原則的には働かないということをまず第一われわれはとるべきであろうというのが基本的な姿勢であります。ただ、これから深部化、奥部化になっていくわけでありますので、田中先生がいま言いましたような山鳴りの問題であるとかあるいはガス突出の問題であるとか、その他いろいろな問題が起こるわけであります。そとで、これについてはわれわれとして、いま少し政府の方でも金をかけてそういう問題についての真剣な研究という制度、まあ私たちは試験炭鉱だなんというようなものも提起をしましてやっているわけですが、そういうような現実の現場に適応したようなことを一つ一つもう少し力を入れてやってもらわなければ、今後深部化あるいは奥部化になっていった場合に、夕張新炭鉱のような事情ですと、これでは危険であるいは心配で働けないというような気持ちが起きてくることを非常に憂えているわけでありますので、そこのところをいま少し補強していただいて、学問的にもあるいは技術的にも克服する諸対策を早急に講じていただきたいという考え方を持って要望書の中にも入れておるわけでありますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。 以上であります。
○岡参考人 お答えいたします。 全国の百万人当たりの災害率を見ますと、昭和四十年の二九七に対して五十五年では一四九というように下がってきておる。これは、以前は生産と保安は車の両輪というような言い方をされておったのですが、いまどの炭鉱でも保安は生産に優先をするというような言葉に変わってきている。しかも、私どもは自主保安ということを念頭に置いて、自主保安ということを教育の中心に据えて現在やっております。したがって、たとえば山鳴りの徴候があらわれる、あるいは山鳴りみたいな現象がちょっと出ておるという場合には、一応みんな退避をする。そして係員にそれを連絡をして、それが本当に山鳴りかどうか、こういうものを確認した上で、そしてまた安全が確認された上で作業をする、このようなシステムをいたしております。 ただ、先ほど私ちょっと陳述の中で申し上げましたが、たとえばガス突出等があった場合、いま使っておるCOマスク、一酸化炭素用のCOマスクでは間に合わない。したがって、これを酸素発生用マスクに切りかえたならばどうか、そしてまた、それは軽い量のものでございますから、したがって途中待避所においてしばらく状況を見る、そしてその後外に出るかあるいはまた回復すれば作業に従事する、そういうようなことで酸素マスクの使用を申し上げたということでございます。今後とも保安技術の向上について努力もし、またそれぞれの研究機関にお願いをしてまいりたい、このように考えております。
○鈴木参考人 何といいましても人命尊重というのが第一でございまして、これにつきましては、私たちも死亡者ゼロということを目標に掲げまして常日ごろ努力しているつもりでございますが、このような大きな事故が起こったということは、われわれの努力がまだまだ足らないのじゃないかというように深く反省をいたしております。いずれにいたしましても、重大災害が起こったことによりますいろいろな問題を考えますと、今後とも起こしてはならないし、われわれもさらに一層の努力をしてまいりたい。 なお、昨今石炭産業の労働力の確保の問題なんかも考えてみますと、労働環境の整備ということが何といいましても一番大きな問題だろうというふうに考えておりますので、あわせまして今後ともますます保安問題につきましては慎重に対処していきたい、かように考えております。
○枝村委員長 小渕正義君。
○小渕(正)委員 本日の参考人の方たちの御意見をお伺いいたしておりますと、ほとんど共通しているわけでありますが、特に最大の課題は、何といいましても基準炭価ですか、適正な基準炭価の確立、そのためのルールをどうするかということが皆さん方共通の一番大きな問題でなかったかと思うわけであります。そういう点で先ほどからの質問もいろいろ出されておりましたが、有吉さんは業界の立場でしょうから、なかなか物が言いにくい面があったので遠慮されたのじゃないかという気もいたしましたが、現在の第七次答申では、私企業における商取引という原則の中ですべてやろうとしているのが考え方でありますから、そういう中で現行の実情は、需要者にも若干負担してもらおう、政府も何とか少しめんどうを見ていこう、国民としても何とか少しめんどうを見ていこうというのが政府のめんどう見ようということでしょうが、また炭鉱も会社も、ある程度の犠牲はやむを得ぬけれどもがんばってくれ、こういう形で現在やられていると思いますが、ただ、いま皆さん方言われたようなことで、生産費が十分償えるような基準灰価をどう設定するか、そのルールをどうつくるかということについて、いまのままではどうにもならぬということでありましょうから、そこらあたり何が問題なのか、思い切ってこういうようなことをしてもらいたいというそういった対案をお持ちであれば、そういう考え方でも示していただければと思うわけであります。そういう意味で、まず労働組合側からそれぞれ、もしそういう点何かお考えがございますならば、簡単で結構ですから、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
○野呂参考人 私、先ほどいままでのルールの問題について多少意見を申し述べたところであります。そこで、ポイントになるのは何かといいますと、やはり再生産ができるような炭価、つまり山元のその炭価でもって石炭の値段を決めていただきたいというのが基本的な考え方なんです。そういたしますと、企業努力とかそういうものはその中に全部捨象されてしまうのじゃないかというような御意見があろうかと思います。しかし、現状どの炭鉱を見ても最大限に努力をし、そして生産を上げ保安をよくするためにやっている、私はそういうように判断をいたしていますから、個々の炭鉱でもってやるべきことをサボってそういうようなことになっているのではないというように判断をいたしているわけであります。ですから、そこまでいかないとするならば、いろいろと問題がありますように、急傾斜炭鉱、それから平層といいますかそういう炭鉱とがあるわけですが、急傾斜炭鉱は現状の中で機械化を考えたとしても非常にむずかしい問題がございますから、そこのところを思い切って、さらに第二、第三といいますか、坑道掘進の補助のことについてももう一回見直しをしていただいて、そういうようなところをつけていただく等の諸対策をしていただいて格差を是正をするというようなことと同時に、やはり炭価の問題についても考えていただきたい、こう思うところです。 以上です。
○岡参考人 先ほどから炭価要請に対して、力関係もあって低く炭価が決まってきたと言われておりますが、私どもの立場から四十九年以降五十六年までの要求炭価とそれから決定炭価、それの格差を見ますと、四十九年はトン当たり二百円マイナス、五十年が五百円、五十一年五百八十円、五十二年五百六十円、五十三年四百円、五十四年四百五十円、五十五年四百円、五十六年二百二十五円、これを合計いたしますと三千三百十五円でございます。したがってこれがそのままもし通っておったとするならば、先ほど有吉会長が言っておられた格差是正、この財源にいみじくも匹敵するような金額になってくるわけで、私どもとしても、格差是正の必要ありということで統一管理会社をつくったらどうかということを、第七次答申ができる前に検討小委員長の方にも申し入れたことがございます。しかし、これが実現はいたしませんでしたが、やはり全体平均して赤字だという状態の中で格差是正をやっても全体がじり食になるのではないか、そういうことから適正炭価の設定ということを小渕先生もおっしゃった、このように理解をいたしております。したがって、適正炭価の決定ということになれば、当然平均的にペイするあるいは平均的よりも若干プラスになる、というのは過去の償却残がかなりあるわけで、これが現場に働くわれわれの肩にも大きくのしかかっておるということを考えますならば、やはり炭価ルールというものはどうしても必要だということになってまいります。しかしながら、炭価ルールがなかなか決めがたいというふうな先ほどの向坂先生のおっしゃったことを耳にいたしますと、私どもとしては、どうしても現在ある制度の需給部会あるいは価格部会、こういう制度をフルに生かして、この中で力関係には関係なく決められる、こういう制度の活用が必要ではないか、このように考えております。
○鈴木参考人 前のお二方が申し述べておりますので、私もつけ加えることはございませんが、いま岡委員長が言っておりましたように、最終的に需給部会、ここに強力な権限を持たせまして、ここでもって決定をする、そういうルールの確立こそが一番大切じゃないかというふうに考えております。
○小渕(正)委員 わかりました。 次に移りますが、向坂参考人にお尋ねいたします。 国内炭のコストアップについては、合理化努力で何とか吸収できるということのお話がきょうあったのでありますが、国内炭のコストアップという要因は、資材費の値上がり、労務費の値上がりその他あるわけでありますが、わが国の炭鉱の労働者の生産性は世界の中でもトップクラスだというふうにわれわれは聞いているわけであります。そういう中で、こういった国内炭のコストアップを合理化によって吸収できるということの見通しはどうなのか。いまからますます採掘条件といいますか採炭条件といいますか、深部化、奥深く行くような環境の中にあるにかかわらずそういうことを言われるということは、そういう見通しを立てられた要因といいますか、そういうものを、時間がございませんので簡単で結構ですから、ひとつ二、三点お示しいただければと思います。
○向坂参考人 坑内の骨格構造を改善する、あるいは人車の輸送距離などを短縮するとか、あるいは採炭の自動化、機械化を進めていくとか、そういうことをやりますればなお生産性向上の余地はある。保安を確保しながら生産性向上の余地があるというのが業界から出された検討の材料でございますし、また、それに基づいて石炭部で細かく検討した結果、その結果を委員として聞きまして、深部化が進むだろうけれども、コストアップ要因は合理化によって吸収できるだろうという見通しを立てたわけでございます。
○小渕(正)委員 それでは、あと一つお尋ねいたしますが、いまの石炭産業の中で非常に立ちおくれておる時間短縮の問題、それからあと一つは、これから石炭産業を持続するために一番大事な労働力確保の問題、こういう問題が当面の大きな課題でありますが、労働力確保対策については、これは何といいましても魅力ある職場づくりといいますか、根本的には職場が危なくない、危険な職場でないということを社会的にどうイメージアップするかということがまず第一であり、その上に立って快適な労働条件をどうつくり出していくかということで、そういうものの中で初めて労働力確保対策が生きてくるんだと思うのです。 そういうことをいろいろ考えますと、保安対策その他についてももう少しお尋ねしたいのですが、時間がございませんので、時間短縮の件についてしぼってお尋ねいたしますが、やはり炭鉱労働者の人たちの労働時間が非常に長いという意味で、時間短縮というものは当面の現在の大きな課題だと思いますが、ここらあたりについては、働く立場から思い切って問題提起をどんどんしていく。私が問題提起をしていくというのは、事二千万トン体制に組合側は非常に固執された面がございます。だから私は、そういうことよりも、まず出炭はある程度の基準の中で一応やむを得ないとして、労働時間短縮をある程度進めていく、そういう労働時間の短縮の方向がある程度でき上がったとき初めて次の出炭を幾らとするかということを考えていく、そういうふうに着想を逆に変えてやらないと、労働時間短縮をみずからの手で少しでもやろうということにならぬのじゃないか、私はこういう気がするわけでありますが、そこらあたりについての組合側関係者の皆さんの何か御意見ございますればお尋ねしたいと思います。
○野呂参考人 いま小渕先生から労働組合としての基本的な持つべき姿勢について御指摘もあったわけでありますが、私たちもできる限りそういうようなことで努力をいたしたいと思っているわけであります。 ただ、石炭も二千万トン程度という目標も与えられ、現状の千八百万トンというような出炭があるわけでありまして、われわれが労働時間の短縮を要求したがために生産量がどんどん減っていくというようなことでは、やはり対外的にもあるいは需要業界の協力も得られないのではないかというように判断をいたしまして、われわれの基本的な考え方としては、日々の労働時間は短くするが、出炭量を減らさないでそういうことができるのかどうかということで、できる限りそういう問題と取り組んでいこうというところまでわれわれ考えているわけであります。小渕先生の言われたように、基本的にそういうような考えを持った時期もありましたけれども、われわれとしては、現状では生産を確保しながらどうして労働時間を短くできるか、たとえば三番方なんかの採炭なんというようなことをなくするというようなことなどにおいて出勤率を高めていくというようなことなども必要であろう。それから、これは一例でありますが、すでに北海道のある炭鉱では、正月の一番初めに出たその日でも、A級つまり採炭、仕繰りとか充てんとかという、そういう第一線に働いている人も九〇%以上の出稼率を維持しているわけであります。そういう点からいきますと、働くべきときは完全に働く、休むべきところは完全に休むというように私たちも持っていきたいものだ。 そういうことで、日々の労働時間を短縮するように一生懸命努力しようということで、現在労使の間に専門委員会を持ってそこのところの詰めを行っておりますので、われわれもそういう形で一生懸命努力をいたしたい、こう思っています。 以上であります。
○岡参考人 大体われわれがいま対処している方向については野呂炭労委員長が申し上げましたのでそこは省かせていただきますが、現状、炭鉱が約二千四百時間、それから産業平均で二千百時間くらいというふうに資料では見ております。これを短縮しなきゃならぬということなんですが、実は炭鉱は長い間の習慣がありまして、人員はどんどん定員職場というものに変わってくる、そうするとそこでだれかが休むとほかの人に今度は負担がかかるというようなことで、負担がかかったところは今度は逆にまたその人が休むというような形になってまいります。したがって、その交代要員をどうするかとか、現場ではいろいろ努力はいたしております。それからまた、現場に到達するまで歩いていくということになりますと負担が大きくなるから、その負担をできるだけ軽減するような人員の運搬方法、こういうもの等の改善にも努力いたしております。そういうものを片面で進めながら、片面では出勤率を確保する、そういう中から労働時間の短縮もできるのではないかということで、いろんな考え方を持ち寄って現在検討しておる、こういう段階でございます。
○鈴木参考人 私たちも長いこと労働時間の短縮の問題とかいろいろ言ってきておりました。それがなかなか実現できないという理由もいろいろあると思いますが、先生おっしゃるように発想の転換、生産量との対比における発想の転換とまでは私はちょっと踏み切れませんが、何らか発想の転換をもってこの問題を解決しないと、労働力の確保その他について非常に問題が出てくるというふうに考えておりますので、なおさらにこの問題については進めてまいりたい、かように考えております。
○小渕(正)委員 終わります。
○枝村委員長 小沢和秋君。
○小沢(和)委員 まず、向坂参考人にお尋ねをしたいと思うのです。 夕張でああいうような事故が起こったことについては、私は石鉱審も第三者ではないのではないかというふうに考えているわけです。御存じのとおり、再建案についてずっと経理小委員会など開いてタッチをされてきた経過があるわけです。そこで、これが最後の援助であるとか、あるいはまた九月の段階では、計画どおりいってないというようなことで大変きついおしかりを受けた、こういうようなことが北部への展開を急がせるというようなことにもなりましたし、私は、そういう意味では石鉱審としても、この夕張の災害については、こういうような手法で夕張の再建を進めてきたということについて、それなりの立場からの反省があってしかるべきじゃなかろうかということを感ずるのですが、この点いかがお考えでしょうか、これが一つ。 それから、二番目の問題としては、深部化、奥部化に伴ってコストアップがどうしても問題になる。これは先ほどから議論されているとおりです。これについては、骨格構造の改善なども含めて合理化の努力で吸収すべきだという考え方が示されておりますけれども、私は、いま示されているようなこの七次申程度の手法ではそういう大がかりな若返りの投資などが非常に困難で、結局は、先ほどから言われているような労働条件などあるいは安全という点から見ての危険性が高まるというようなかっこうでしわ寄せがされるんじゃなかろうかということを感じておるわけです。 この二点について、まず向坂参考人にお尋ねをします。
○向坂参考人 お答えいたします。 夕張の問題について審議会、特に経理審査に当たって経理小委員会、私は委員長ではございません、一委員にすぎないのですけれども、この委員会の方針がこの夕張新鉱の事故を誘発した責任の一端があるというふうには私は考えておりません。夕張新鉱の再建問題については何回かの経理審査委員会で討議いたしましたけれども、必ず保安については最優先に考えるということを前提にして再建計画の審査をしておりまして、細部のことは私よく記憶しておりませんけれども、その都度いろいろ、北部への展開の時期を早めるということが果たして危険性を伴うかどうかとか、そういうことは十分審議した上で、それで再建案の推進、つまり最終的には政府がもうこれ以上いつまでも追加的な援助をしない、その前提に合理化を考えてほしいという結論を出したわけで、そのことが事故を誘発したというふうには私ども考えておりません。 それから、第二の合理化努力でございますが、これはここに書いてありますように、答申の十ページにいろいろ書いてありますが、確かに御指摘のように、こういういろいろな骨格構造の改善その他やるには投資が必要であることは当然でございます。その投資については当然企業側としても、今後五年、十年にわたってどのような投資を必要とするか、そのための資本費がどの程度かかるかというようなことを一方では検討し、またその合理化投資の効果を考えながら、こういう方向で言えば、安全を確保しつつ合理化を進めて、深部化、奥部化に伴うコスト上昇要因を吸収し得るということをわれわれとしても認定したわけでございます。
○小沢(和)委員 いま石鉱審としては責任がない、それは安全については口を酸っぱくして言っておったからだというお話でございますけれども、私は、ただ口を酸っぱくして警告を発するというだけでは実際の保障がないと思うのです。一方で実際に人は減らしなさい、能率を上げなさいというような要求をこれについては徹底的に追及していく。それで、ただ口でそういうことを言われても、だからといって責任なしというふうには言えないのじゃないかと私は思うのですが、きょうは論争まではいたさないことにしたいと思います。 それから、有吉参考人にお尋ねをしたいと思うのですが、北炭がこれまで何回も大きな事故を引き起こしてまいりました。今度もああいう事故を起こしてから何回も再建計画というのを立てても、通産省を初めとして関係方面はいずれもこれではだめだということで突っ返すというような事態で、私は北炭に対してはほとほと不信感を持たざるを得ないわけです。こういうような企業は果たして再建する能力を持っておるのだろうかということも端的に感じておるわけですけれども、参考人としてはその点どうお考えか。これが一つ。 それからもう一つは、鉱害復旧の問題について参考人はお触れになっておられますが、この点についてはいままでも努力してきたし、今後も努力をする、特に今度のは十年間最終的な延長だというように考えて、これが終わるまでにやり上げたいというように言っておられるのですけれども、実際に鉱害が最も深刻な地域におります者の立場で言うと、有資力というのはさっぱり進まない。だから、これで十年間今後抜本的に改善をされるような保障が、いまのようなただ努力をしたいというようなお約束だけでは大変心もとないのです。どういうふうに今後強めていっていただけるのかということについて、もう少し具体的な裏づけがあればお尋ねをしたいのです。
○有吉参考人 第一点の北炭さんの再建計画に関する問題でございますが、石炭協会というところは各社の突っ込んだ内情まではよくわからないのです。(小沢(和)委員「個人の立場で結構ですよ」と呼ぶ)そこで、北炭さんから出されましたいろいろな計画、それを役所のサゼスチョンもあったのだろうと思うのでございますけれども、北炭さんの方から石炭協会に、こういう計画をちょっと検討してもらいたい、知恵をかしてもらいたい、こういうような話がありまして、協会は各社の専門家を集めましてその検討に携わった、そういう経緯はございます。検討の結果は、北炭さんの原案は多少修正せざるを得ないんじゃないかというような意見も協会としては出しておるわけでございます。それに伴いまして、またいろいろな再建に関する条件というものが出てくると思うのです。 もっと具体的に言いますと、北炭さんの出炭計画、出炭数量ですね、協会では、とてもそんな数量は無理じゃないか。そういたしますと収支は非常に悪くなるわけですから、借金の負担をそれに伴って軽減しなければならぬ、人も減らさなければならぬとか、こういうふうな問題に連なってくるわけでございます。したがいまして、その程度のことはやっておるわけでございますが、具体的に可能なのかどうなのかと聞かれますと、そこまでは立ち入っていないわけです。したがいまして、先ほどもどなたかの御質問にお答えいたしましたように、いま更生計画の立案ということになりますれば、私ども専門的な立場におきましての協力は辞さない、こういうふうな考えでおるわけでございます。 それから、鉱害問題でございますが、十年間に果たしてやれるのか、こういうことでございまして、私ども実はそれを一番心配いたしております。ことに有資力が一向進まぬじゃないか、それはそのとおりでありまして、被害者の同意がとれないというのが一番大きな原因になっておるわけでございます。私どもが強く今度の鉱害問題の審議の場に訴えてまいりましたのは、御承知のように有資力というのは全体の一五%かそこらのもので、無資力が八五%見当でございますが、国でやります、鉱害事業団でやります無資力鉱害の復旧とわれわれ有資力がやります復旧と、国の、地方自治体の公共事業の計画とか、こういったものはやっぱり一元的にひとつ計画をつくりませんと、もう一遍やり直しをやったり同意を取りつける、そういうことがむずかしいのです。したがいまして、ぜひ一元的な計画立案と実行、これを中心にお願いをしてきたわけでございます。したがって、そういう制度に切りかえてはどうかというのが私どもの意見であったのでございますが、諸般の情勢で現状の法律のまま延長ということになったのでございますが、私どもは、それに関しまして、法律は法律でもいいのですが、実際の実施に当たりましては地方自治体と無資力、有資力が一体になって取り組んでほしい、地方の通産局とかそういうところが中心になられましてそういった指導をひとつやってもらいたい、そうでないとこれは十年間には片づかない、こういうふうにお願いをしておるわけでございます。
○小沢(和)委員 時間の関係もありますから、最後に、野呂参考人に二点ほどお尋ねをしたいと思うのです。 夕張の事故後、いわゆる遺体をすべて収容もし、そして今後の安全対策についても確立されなければ操業すべきでないということが強く言われておったのですけれども、その後、そういうような遺体の収容などをするためにも資金が要るしというようなこともあって、一部操業が再開されております。それで、私どもは、どうもこれはなし崩し再開ではなかろうか、こういうような再開のやり方で今後本当に夕張ではもう二度と災害を起こさないというような抜本的な体制ができたのだろうかという点についての不安を禁じ得ないわけです。この点については労働組合としても恐らく一生懸命対処をされたと思うのですが、そういう安全な職場をこれを契機に今度こそ確立できたというような対策を打ち立てたと言えるような状況になっているとお考えかどうか、若干の経過説明も含めてお答えをいただきたいと思うのです。 それから、もう一つは、先ほどのお話の中で、現在のこの合理化法を石炭鉱業安定法とすべきだという御提言がありました。実は私も同じようなことを考えておるわけです。いまの合理化法というのはもともとは非能率な山をつぶしていくという手法を盛り込んだ法律だというふうに私、基本的には考えているわけです。その後情勢が変わって、幾らかは、たとえば災害の復旧とかあるいはビルド鉱にも使えるような手法というようなのもいろいろ織り込まれてきてはおりますけれども、やはり全体としてはそういうような性格を免れないと思うのですね。それで、今後そういうような接ぎ木していくようなことでなくて、やはりこの際抜本的に考え直してはどうかということを私も考えているわけです。その点でもう少し御意見があれば承って終わりにしたいと思います。 以上です。
○野呂参考人 夕張問題について若干経過もというようなこともありますから意見を申し述べたいと思うわけであります。 北炭の、これは言葉が過ぎるかもしれませんが、過去のとってきた態度といいますか、そういう姿勢についてやはり問題が一つは大きくあったというように判断をいたしているわけであります。それは一般には放漫経営、こういうように言うわけでありますが、結論を言うと、やはりどこの炭鉱でも機械化をしたり合理化をしたりしていろんな形でもって省力化を図ってきている中でそういう姿勢がとられていたのかどうかということになると問題があろうかと思います。 それともう一つは、やはり政府の石炭政策にあったと思うわけであります。つまり、新鉱が開削をされて新炭鉱という炭鉱ができ上がるときには、一番大きな問題としては、第一次のエネルギーショックがありまして大変予定よりも金がかかったという問題があります。それからもう一つは、幌内で事故が起きたという問題がやはり第二にあるわけであります。 そういうことで、新炭鉱というのは、やはり長男坊ということで、そしてまた予定をされておった北三の方を採炭をするならばほとんどそれも早期に返済ができるというようなことがあって、そこに荷物を大きく背負わしたという問題があるわけであります。そういう点で鉱業審議会としての責任問題というようなことも小沢先生が指摘があったのだと思いますが、われわれとしても、やはりできないことはできないというようにはっきりと言うべきであったと思ってはいるのですが、なかなかそこのところは言いにくいところなんです。 今回の平安八尺の問題につきましても、石炭協会でも検討していただきまして、通産もいろいろと検討してメスを入れて、それをわれわれなりにこれならば大丈夫だなということになりますと、工期はあと一年くらいよけいかかるのではないか、こう見るわけです。そうすると五十七年度中ではなく五十八年度いっぱい、つまり昭和五十九年くらいからでなければ平安八尺に届かない。では、その間のつなぎ資金——赤字がどんどん出ていくわけですから、だれがその金をつないでくれるのかということになりますとやはり問題があろうかと思いますので、そういう問題を含めて私たちもいろいろと検討いたしておりますので、それらの問題を含めて、では安全対策はどうかというようなことを御指摘をされると、過去の姿勢についてはいろいろあったと思うのであります。しかし、今回再開をしたところにつきましては、御承知のように事故を起こしたその直接の現場ではありませんし、それらの安全対策をそれぞれ点検をし、監督官に入っていただいて、あるいは石炭協会の技術者も入っていただき、炭労としても入り、十分検討に検討を重ねて、現段階ではこれは安全は確保されているというように判断をいたしましてそういう再開に踏み切ったわけであります。その間には遺族のこともございましたが、了解も得ましてやりましたので、われわれとしては、現段階では大丈夫であろう、こう思っています。 それから、安定法のことでありますが、愚見を述べたのでありますので……。ただ、新石炭時代に入ったのだ、そして石炭は二千万トンという位置づけ、その方向というものをはっきりと示していただいて、それに対する突っかい棒をぴちっとしていただきたい、そして暗いイメージから明るいイメージに持っていっていただきたいということで言ったのでありまして、名前の方についてはこだわりません。ただ、一応社会党の方の案もございますし、その他いろいろな案もございますから、いままでのような合理化臨時措置法という暗いイメージを払拭していただきたいという考え方でございますから、法律の内部にも意見はありますけれども、そこのところを率直に取り上げていただきたいものだ、こういう愚見を申し上げたわけであります。 以上です。
○小沢(和)委員 終わります。
○枝村委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。 本日は、御多用中のところ当委員会に御出席をいただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。(拍手) 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時散会 ————◇—————