商工委員会 第18号
- 発言数
- 211 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1982/08/06
会議録
○渡部委員長 これより会議を開きます。 通商産業の基本施策に関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤茂君。
○後藤委員 一昨日、同僚議員からの最近の景気動向につきましてそれぞれ具体的な質問に対する政府側の答弁があったのでありますが、幾つかの問題について重複を避けながら、なお私ただしておきたい点がありますので、二、三点にしぼりまして、通産大臣、経済企画庁長官にお伺いをしたいと思います。 OECDが、七月六日であったと思うのですけれども、今後一年半の経済見通しを発表いたしております。この中で、加盟国全体で三%成長を取り戻すのは来年の下期になってからだ、このように予測をしているわけであります。日本の場合は八二年、年度ではなくて暦年ということになっておりますが、政府の五・二%の成長を大きく下回る二%、八三年になってやっと四%、こういう見通しを出したようであります。 長官にお伺いをしたいわけでありますけれども、一昨日の御答弁の中でも、憂慮すべき数字が出始めてきている、失速しかねない、失速のおそれがあるということも安倍通産大臣もお答えになっておられる。私は、このOECDの見通しの方が、各種経済指標をクールにとらえて指摘をしているのではないだろうか。政府の場合には、政策の妙といいますか、経済財政運営というものを効果的にやることによって五・二%を実現していきたい。河本長官は、常々経済の潜在成長力というものは五%を超えるものがあるんだ、これに対して経済財政運営を効果的にやることによって、これが実現をできるんだというのが持論であったかと思うわけでありますけれども、そういった点と最近の経済指標のそれぞれの動きというものを見ておりますと、どうもOECDの見通しの方が当たっているのではないか、かように考えるわけでありますけれども、長官からこの点について見解をお伺いしたいと思います。
○河本国務大臣 現時点の経済の特徴を申し上げますと、一つは、昨年の秋以降輸出が減っておる、こういうことだと思います。そのために、最近は生産、出荷が減少いたしまして、在庫が再び相当ふえております。昨年の秋ごろには一応在庫調整が終わっておりましたが、昨年の春の在庫の状態よりもなお悪い状態になっておるというのが一つの特徴だと思います。輸出の減退、これは世界経済が昨年の秋から現在まで戦後最悪の状態にある、こういうことがその背景にあるからだと判断をしております。 そういう状態でございますので、最近は中小企業の設備投資も相当大幅に減っておる。また大企業も設備投資を減額修正する、そういう動きが相当目立ってまいりました。一面、物価が比較的安定をいたしておりますので、これを背景といたしまして、実質可処分所得は二年ぶりにプラスになっております。そのために消費はやや伸びております。この傾向がずっと続くかどうかはもう少し見きわめなければなりませんが、以上申し上げましたようなことが現在の経済の特徴だ、こう思っております。 したがいまして、このまま何もやらないということになりますと、現在は大体三%前後の成長が続いておるのではないか、こう思いますが、あるいはもっと厳しい状態になるかもわかりません。しかし、そういう状態では、御案内のように、日本ではもうすでに失業者がどんどんふえ始めておりますし、税収も政府の見通しよりははるかに少ない金額になっております。貿易摩擦も依然として厳しい状態が続いております。こういうことでは困りますので、政府といたしましては、経済の活力を拡大するための何らかの対策を来月中には考えなければならぬ、こういう準備をいたしております。したがいまして、何もしないということであれば、あるいは三%あるいはそれ以下になる、こういう場合もあろうかと思いますが、それでは困るので、必要な経済政策を今後決める、そういたしますと、当然成長率もまた変わってくる、こういうことでございます。
○後藤委員 そういたしますと、何もしないというわけじゃないでしょうが、いまのままで心配の数字が現実化してまいりますと、OECDが指摘しておるような五・二%を大きく下回る二%台というようなことになるおそれがある。したがって、早急に緊急の対策を講じていかなければならないということになるかと思うのですが、もう一つ、OECDの対日分析の中で大変興味がある指摘は、先ほど長官も言われておりますように、回復の動きが若干見られないわけじゃないが、しかし、中小企業の設備投資の弱さが民間の企業設備投資の沈滞の非常に大きな要因になっている、こういう指摘がなされているわけであります。 私、法人企業統計季報を見せていただいているわけでありますけれども、これを見ましても、中小企業の設備投資が昨年一—三月期以降伸び悩んでいる、とりわけ七—九月から三期連続して前年水準を大きく下回ってきている、こういう状況になっている。この法人企業統計季報を見ますと、資本金一千万円から一億円のところの数字が出ているわけでありますが、もしこれを一千万円以下のところまでおろしていきますと、もっと落ち込んでいるのではないだろうか、かように考えるわけであります。特に中小企業の設備投資動向をどのようにとらえているのか、この点をお伺いしておきたい。 八月一日の日経ですか、大企業の設備投資も減額修正の動きが大変広がってきている。これは輸出の落ち込みが大きく響いて先行きに不安を持ち始めてきているということが、通産省の方の調査でも明らかになっているということであります。とりわけ中小企業の設備投資動向、先行きが大変不透明であるということから、設備投資動意が見られないのであろうと思いますけれども、最近の状況あるいはこれからの見通しというものをどういうように見ておられるかお伺いしたい。これは通産大臣にもお伺いをしておきたいと思います。
○神谷政府委員 御指摘のように、中小企業の設備投資の動向は、昨年の第四・四半期ごろからややかげりといいますか停滞の状況を示し始めてきておりまして、本年度に入りましてからはかなり低迷しておるという認識でございます。しばしば引用されます中小企業金融公庫の調査によりますと、製造業でございますが、五十七年度の中小企業設備投資は前年度に比べまして、二一・八%の減、こういう調査結果があらわれております。この数字は、先生も御承知のとおり、年度の初めに調査したものでございまして、中小企業の設備投資調査は年度をだんだんと経るに従いまして上方修正が行われるという傾向がございますので、このままの数字そのものが直ちに減ととらえることは早計かと思いますけれども、従来の同時期における調査と比べましてもかなり低い、少なくも中小企業者の投資マインドが現時点において非常に落ち込んでおるということを示しております。 さらに、政府関係金融機関の設備投資の申し込みの状況を中小公庫並びに商工中金の数字から見てまいりますと、やはりこれも五十五年の第四・四半期から、前年同期に比べまして減少の傾向を示しておりまして、四月、五月等は、両機関の合計で前年同期比二九・一%あるいは二四・三%減という数字が出ております。六月は期末の状況もありまして、若干の動きがございましたが、それにいたしましても一一%強のマイナスである。こういうことで、貸し付けではなくして窓口を訪れて貸してほしいという人がこれだけ減ってきておる。金融機関関係の若干のシフトということも想定はいたしましても、かなり大きな投資マインドの冷え込みであり、これがこのまま推移いたしますと、年度間を通じまして相当低い水準になるのではないかと考えられます。
○後藤委員 先ほどの御答弁をお聞きいたしますと、中小企業の投資マインドの冷え込みというものは、こうした最近の景気停滞の中では大変憂慮すべき指標として考えていかなければならない、こういうように理解をするわけであります。とりわけ製造業の中では、俗に五〇%投資と言われております、あるいは好調時には五五%前後と言われる中小企業の投資がこういうように冷え込んでくるということになりますと、先ほど河本長官が御指摘になりましたように、緊急に機を失せず対策を講じていかなければならない段階に来ているのではないだろうか。確かに四—六の数字というものが出てくるのが八月の末、場合によると九月の初めということだそうであります。その段階で判断をしていく、つまり政策の選択をしていくというんではちょっと遅いんではないかという気がいたします。 最近の調査なり分析というものは、相当正確度を高めていると私は考えるわけでありますから、もうすでに四—六間の数字というものは、ある程度確定的にとらえていい見通しがなされてくるだろう。そういたしますと、一昨日の長官の御答弁の中でも触れておられましたけれども、たとえば前倒しをいたしました公共投資に対して、切れ目のない追加の投資を考えていかなければならないのではないか、あるいは住宅建設に対してもっと刺激的政策をとっていくべきではないか、さらにもう一点投資減税というものを考えていくべきではないかというような御答弁であったと理解をするわけであります。 この公共投資につきましては、意見がいろいろあるだろうと思いますけれども、長期に見ると、これは経済を大変刺激をしていく、拡大をしていく要因にはなろうかと思いますが、いま緊急に取り上げていかなければならない対策としては、私は必ずしも良策ではないように思います。また、住宅につきましては、潜在的には住宅建設の要求というものは大変高いわけでありますけれども、これはまた資金なりあるいは土地等の制約がありますからそう簡単にいかない。そういたしますと、投資減税というものは緊急に取り上げていくべき性格のものではないか、私はかように考えるわけでありますけれども、長官、この点いかがでございましょうか。
○河本国務大臣 中小企業に限らず民間産業が設備投資をしようといたします場合には、まず景気動向を判断いたしまして、そしていま投資をすればどういうようなメリットが出てくるか、こういうことから決断をするわけであります。それで、そういう場合に有利な資金が投資のために確保できるということになりますと、これは一つの大きな投資刺激になろうかと思います。また投資をした場合に、投資減税制度などが仮にごく短期間であっても存在する、こういう場合には、これまた非常に大きな投資刺激効果が出てくるのであろう、このように思います。特に中小企業の場合に設備の近代化投資をやりたい、あるいは省エネルギー投資をやりたい、こういう投資計画は非常に多いわけなんです。ただしかし、いまやっていいかどうかということで判断に迷っておられる、こういうことでございますから、どうすれば投資を刺激し、それぞれの企業者の決断を促すことができるか、こういうことはいろんな角度から考えていかなければならぬ、こう思います。
○後藤委員 考えているうちにだんだん時がたっていく、失速状況に入っていきはしないかという安倍通産大臣の御心配も現実化するという危険性があるだろうと思うのです。長官、やるとすれば、早急に、長官がしばしば発言をなされておりますように、少なくとも九月中くらいに臨時国会を召集して、投資減税に対しては積極的にこれに取り組むという姿勢をとる段階に来ているのではないかというように私は考えるわけです。 安倍通産大臣にお伺いをしたいのですけれども、これは七月十四日の日経の記事でありますが、「通産省は投資減税を本格的に検討」という見出しが出ている。ただ、ここでちょっと最近の経済指標と若干認識の面で違うかと思いますのは、通産の方の本格的検討の記事を読んでみますと、五十八年度税制改正で投資減税を実施する。つまり五十八年度の税制改正の一環として投資減税を考えてはどうかというところにあるかと思うわけです。いまこの投資減税の問題をとらえる場合に、九月、十月になるかわかりませんけれども、緊急にそれこそ切れ目のない追加公共投資ということからすれば、切れ目のない投資減税といいますか、投資に対する意欲をかき立てていくという対策をとるときは、むしろ本年度をおいてないのではないだろうか。来年やるということになりますと、先ほどOECDの見通し等を見ましても、また政府のいろいろな施策等を見ておりましても、下期から回復基調に入っていくのではないか。アメリカの金利等の低下状況なりあるいはいま輸出が後退いたしておりますけれども、これもまた上向きになっていくというような動きも出てくるかと思うのです。問題は秋口にこうした思い切った、機を失さない対策をとるべきではないか、かように考えるわけでありますけれども、通産大臣はこの点はどういうようにお考えでございましょうか。
○安倍国務大臣 投資減税をすれば投資が促進をされることになるわけですし、中小企業にとっては大変好ましいことであろうと思うわけであります。ただしかし、この問題は全体の税制との関連もあります。同時にまた九月に、いま政府の方針としては、九月の初めには四—六の経済指標がはっきりするわけでございますので、それを踏まえて総合的な経済政策を打ち出そう、こういう方向でいま検討を進めておりますから、その際に、この問題もいろいろの角度から検討をしたらいいのじゃないか、こういうふうに存じておるわけであります。
○後藤委員 事は相当急いで対策を講じていかなければならない。先ほど申しましたように、四—六の数字が具体的にきちっと出てきた段階でさらに考えるというような状況ではないのじゃないかというように私は理解をするものでありますから、重ねてこの投資減税の問題についての見解をお伺いをしたわけであります。 なお、これは私の考えでありますが、仮に投資額を一〇%減税いたすといたしますと、一千億の減税で一兆円の投資が形成をされていくという算術計算が成り立つわけであります。追加の公共投資あるいは七七・三%の前倒し、こういうようなことを言っておられますけれども、公共投資の投資効果というものは息の長いものであります。そういう点から考えてみますと、もう一度特に投資減税の問題、エネルギー投資減税等の制度もあるわけでありますから、真剣に考えていくべきであろう。この点は、今日の日本の経済力というのがこれまでの投資主導型といいますか、設備更新なりあるいは新たな技術開発に基づく投資に相当な努力をしてきた。その結果が生産性を向上させている、あるいは賃上げといいますか所得向上の財源を確保することもできるし、物価安定にも役立っているし、国際経済力の強化にも役立っているだろう、かように思うわけであります。 先ほど来私が指摘いたしておりますように、もし中小企業が、先行き不透明である、したがって投資は見合わせていこう。しかも投資をしたとしても、それに対するメリットがない。こういうことがここ二、三年続いていくということになってまいりますと、競争力もダウンしてくるのではないだろうか。あるいはせっかく大企業と中小企業との格差が狭まり始めてきているのがまた拡大していきはしないだろうか。あるいはまた物価に対しても大きな影響を与えていくだろう。ということになりますと、事は最近の景気落ち込みに対する刺激策、景気対策の一つとしてということを超えた考え方に立つ必要があるのではないかと私は考えておりますので、こうした投資減税の問題に対して、私がいま指摘を申し上げたような観点から各種の対策を講じていかなければならないということになるでしょうけれども、財政再建なり行政改革という声のみに押され、せっかく角を矯めて牛を殺すことのないようにしていかなければならない。事は経済本体が大変重要な段階に来ていることを考えてみますと、その大きな先行指標の一つとしての投資に対する対策に真剣に取り組んでいく必要があるだろうし、取り組めば取り組むほどこれは早期に打開策を提起をしていくべき段階にあると考えるわけでありますので、再度一言ずつ長官と大臣の方からお答えをいただきたいと思います。
○河本国務大臣 政府の方は、先ほど来申し上げておりますように、近くいろいろな経済指標が出そろってまいりますので、それを見た上で総合的な景気判断と対策を立てたい、こう思っております。しかし、いまの御意見は、そんな手ぬるいことで一体どうするのだ、指標が出てくるのを待たなくても大体いまの経済の状態はおおよその見当はつくではないか、できるだけ早くいろいろなことをしっかりやれというお話でございまして、御意見をお聞きいたしますと、私ももっともな点がある、こう思います。 そこで、いま国会が政治に対する最高の権威を持っておられるわけでありますから、たとえば最近の国会のいろいろな議員立法を見ておりますと、いま一番大切な参議院の全国区の改正の法律も議員立法と承知しております。あるいは近くグリーンカード五年延期ということを実現するための議員立法も出るやに聞いております。これらはいずれも非常に大きな問題でありますが、それをひとつ議員立法で解決していこう、政府の考えは考えとして、国会はこういう考え方でやっていくんだ、こういう御判断でありますが、いまいろいろお述べになりましたようなことなど、仮に与野党で皆さん御賛成だということであれば二、三日あればすぐできることでありますから、私としてはむしろそういうようにやってもらえれば大変ありがたい、このように思います。 ただ、政府といたしましては、繰り返し申し上げますが、一応来月中にいろいろなことを判断したいということでございますが、いまのお話は手ぬるい、早くやれということでございますから、それも確かにお聞きいたしますと、大変すぐれた意見のようにも思いますので、大変結構だと私も思います。
○安倍国務大臣 私も実はいま中小企業の状況を非常に心配をいたしております。このままでいったら中小企業全体が非常な危殆に瀕するという憂いすら持っております。これに対して何らかの措置を講じなければならぬ、やはりタイミングを失してはならない、こういうふうに思っておるわけでございますが、いまここですぐに何がやれるかということになりますと、いま進んでおります公共事業の前倒しを着実にやっていく、あるいは住宅建設百三十万戸という政府の見通しがありますが、これもずいぶん落ち込んでおるようですから、これを上積みして百三十万戸を確保していくための対策を講ずる、いまやっていくとすればそういうことしかないわけです。さらにそれ以上やろうということになれば、政府としては、いまの四—六月の状況を踏まえ、あるいは七の情勢等—八月等も見まして、早急に総合的な対策を打ち出して、時期を失しないでこれを推進する、こういうことであろうと思います。そういう中で、いまのお話のような中小企業の投資を促進するためにどういう方法がいいかということも重要な検討課題として検討していかなければならないと考えるわけです。
○後藤委員 長官から鈴木総理のような御答弁をちょうだいして、何でも立法府にお任せをするという形になるのではないか。やはり大蔵当局もあるわけですし、財源の問題等もあるわけですから、政府内における合意がある程度固まっていかなければ、そう簡単に議員立法という措置に出るというわけにもいかないと思いますので、この点は、閣内においても、今日の経済状況をとらえて一体どうするのか、行革も大切だろう、財政再建も大切だ、しかし生きた経済というものに処方せんを誤ってはならぬという角度から、ぜひひとつお二人の長官、大臣から政府の方向を明らかにしていぐように努力をすべきではな一いかという御注文をしておきたい。長官、よろしゅうございますので……。 次に通産大臣に、サハリンの大陸棚石油・ガス開発プロジェクトの問題。これは八月五日の日経に「ソ連に輸銀特別融資」、「年七%台の低利も」という記事、またこれに対しては「米「対ソ譲歩」と反発必至」というような観測記事も出ております。一言で結構でございますが、最近の日ソ貿易の数字をずっと見ておりますと、前年度比ふえていく傾向にあって、八十一年度も五十二億八千万ドルという数字を上げているわけであります。しかし、対ソ制裁の問題が出てまいりまして、西欧諸国においては対ソ貿易は微増といいますか、著しく増加しておったり、少なくとも後退はしておらないわけでありますが、日本の場合は、特にアメリカの対ソ制裁に同調したことによって、十億ドルぐらいの輸出機会を失っているというような観測も出ているわけであります。事は、アメリカとソビエトと日本との関係でありますから大変むずかしい問題があろうと思いますが、大臣もたしか言っておられたと思うのですけれども、対ソ制裁ではなくて対日制裁ではないか。とりわけサハリンの大陸棚石油・ガス開発プロジェクトは、政府としても積極的に取り組んでいかなければならないのに、こうした対ソ制裁のためにせっかくの協定が不履行というようなことになる危険性だって出ようとしてきたわけでありますけれども、アメリカに対しましても、こうした必ずしも日ソ関係がいい状況でない中で、一つの日ソの大切なかけ橋でありますサハリンのプロジェクト、このことに対してはもっと積極的に物を言っていくべきである、かように私は考えるわけでありますけれども、大臣、いかがでございましょうか。
○安倍国務大臣 米国政府は去る六月十八日に、対ソ経済措置として、サハリンプロジェクトにつきましても輸出ライセンスを発給しないとの結論を出しておるわけですが、わが国政府からは、これに対して再三再考を求めております。このサハリンプロジェクトは、七年半の懸案でありますし、対アフガニスタン問題について対ソ経済措置が行われた際も、これは継続して行われておるわけでございますので、これは不当である、再考してほしい、別の案件である、こういうことで強く再考を求めて今日に至っておりますが、現在のところ、ヤンブルグの問題ともあわせて、アメリカはなかなかこの措置を解禁しようという態度に出ていないということはきわめて遺憾に思っておりますが、われわれは粘り強く、この対ソ制裁措置の中のサハリンプロジェクトの解除については、今後とも折衝を続けてまいりたい、こういうふうに思います。
○後藤委員 それでは次に、非鉄金属関係、鉱業政策の問題について若干意見をお伺いをしたいと思います。 ここずっと、私も毎国会のようにこの問題を取り上げているのでありますが、どうも思わしくない。こうした傾向で、特に六月に入りましてもLMEの相場が相当落ち込んできている。七月には若干回復基調にあったようでありますけれども、非常に憂慮すべき状況にあるわけでありますが、海外でも鉱山の休廃止、コスト割れが出てきておる、こういう動きもございます。こうした非鉄金属の現状を政府はどのように認識をしておるか、まず最初にお伺いをしておきたいと思います。
○小松政府委員 いま先生からお話がございましたように、非鉄金属鉱業は近年非常に厳しい状態に追い込まれておりまして、特に最近の世界的な景気の低迷、それから米国の高金利、こういうものが影響いたしまして需要が減っております。その結果として減産を余儀なくされ、また先ほど先生からお話がございましたように、一部鉱山の閉山というようなことも行われておりまして、これは世界的な傾向であるわけでございます。 こういう状況が国内の非鉄金属鉱業にもそのまま反映されておるわけでございまして、特に国内市況というのは、国際市況にそのまま連動しているということもございまして、銅の値段を例にとってまいりますと、五十五年二月がたしかピークでトン七十八万円しておりましたのが、現在この八月では四十一万円まで下がっておる、こういうことでございまして、国内の非鉄金属鉱山の十八社の昨年度、五十六年度の経常損失も、十八社で八十億円に上る、こういう状況でございまして、経営面からも非常に厳しい状況に追い込まれておるわけでございます。 今後の見通しにつきましては、今後徐々に世界景気が回復してくるというふうに見ておりますが、その足取りもなかなか遅いわけでございますし、一方、こういう鉱山とか非鉄金属にそういう影響が及ぶことはどうしてもおくれてくる、こういうことを考えますと、ここ当分はやはり厳しい状態が続くというふうに見ざるを得ないというふうに思っております。
○後藤委員 厳しい状況の中で、一つは五十八年度の概算要求がマイナスシーリングという厳しい枠がはめられようとしているわけなんです。片一方、たしか昨年八月であったかと思いますけれども、鉱業審議会の鉱業政策懇談会を再開をして、中長期展望に立った対策検討に着手する、こういうことが決められておったのではないかというように私は承知をいたしておるわけであります。それが今日なお再開されていない。鉱政懇あるいは鉱業審議会等を活用していきながら、いま長官がお答えになっておられたようなこういう厳しい情勢に対応する対策をこれまた緊急に確立していかなければならないのではないだろうか。事は、国内金属鉱業にかかわる問題でありまして、これがもし仮に、いまのようなコスト割れから、せっかくいい鉱物資源を持っておるのに、海外市況のあおりを受けて閉山をしていくというようなことに追い込んでまいりますと、取り返しのつかないことにもなるわけでありますから、どういう基本的な考えで五十八年度の鉱業政策を進めようとしているのか、鉱政懇との関係、鉱業審議会との関係についても触れてお答えをいただきたいと思います。
○小松政府委員 わが国の鉱業政策を進めるに当たりまして、私どもといたしましては、先ほど先生からお話のございました鉱業審議会の意見を聞きながら、その都度いろいろな施策の充実を図っておるということで、毎年鉱業審議会の場を活用しながら、今後の政策についてもいろいろ御検討をお願いしているわけでございます。 御指摘のございました鉱業政策懇談会というのも、たしか昭和四十七年と五十三年の二回開催されておりまして、その都度そこで重要な政策を決めて、新しい鉱業政策に反映させるという方向をとっております。 来年度の政策につきましても、先ほど先生からお話がございましたように、現在の財政事情が非常に厳しいわけでございまして、特に一般会計の場合にはマイナスシーリング、それから一般補助金、そういう助成制度についても厳しい合理化を行うという方向になっております。そういう財政事情、経済状況の中で鉱業政策をどう進めるかということが非常に大事な問題になってきているわけでございます。 ただ、御指摘のように、日本の場合、非常に乏しい国内資源をぜひ活用していく、それによって安定供給源を確保するということは非常に大事でございますので、私どもそういう財政の状況の中ではございますけれども、鉱業政策についてはできるだけ後退しない、むしろ現状を維持するという方向でいろいろ検討を進めておるわけでございます。何分厳しい財政事情でございますが、いろいろ知恵を出しながら、来年度の政策につきましても、現在積極的な方向で検討を進めておる段階でございます。
○後藤委員 大臣にお伺いをしておきたいのでありますけれども、大臣も御承知のように、地下資源の開発、特にこういった非鉄金属関係というのは、掘りますとなくなるという宿命を持っているわけであります。これはいわゆる減耗産業というように言われているわけでありますから、どうしても掘っていけばなくなってしまう、なくなると企業の存立の基盤が失われていくわけであります。 そこで、一つは、つまり減耗産業でありますから、減耗控除の制度というものを確立をいたしまして今日まで来ている。リスクの非常に大きい探鉱活動をしていかなければならないわけでありますから、減耗控除制度というものを確立しているわけです。これは日本だけではなくて、アメリカやカナダやフランス等においても早くから税制上減耗控除の制度を創設してきております。わが国では四十年からこの制度が創設されて、探鉱の促進に大きな役割りを果たしてきたということは、大臣も御承知かと思うわけです。五十八年の三月まで、つまり五十七年度でのこの制度が一応期限が切れるわけであります。この制度は、単なる企業優遇制度であるとかあるいは不公平税制の一つであるとかいう理解を持ってはならない、構造的な問題を持っている制度でありますから、ぜひこの恒久化を図るべきではないかということを私どもはかねてから強く指摘をいたしておりまして、四十年に制度がつくられましてから、過去何回くらいになりますか、約八回か九回くらい小刻みな延長が繰り返されているわけであります。今年度で一応切れるわけでありますが、このことによって日本の数少ない資源が各地で開発され、あるいは探鉱で確認をされてきているわけでありまして、この点について大臣から、この減耗制度の維持、さらにはまたこれの恒久化のための対策というものについてのお考えをお聞きしておきたいと思います。
○安倍国務大臣 おっしゃるように、減耗控除制度は鉱業の経営存続の基本でありまして、非常に大事であると思います。特に探鉱活動を安定的に継続をするという意味からいっても、これは必要不可欠である、こういうふうに認識をいたしております。こうした観点から、通産省としても、お話のように今年度末で本制度の期限が到来するわけでございますが、本制度の延長に最大の努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○後藤委員 いまの大臣の御答弁の方向でひとつぜひ努力をしていただきたいということと、それから長官、現在収入基準が一三%に縮小されていると思うのですけれども、この収入基準、当初創設したときには一五%であったわけでありますが、従前どおり一五%に戻すべきではないかという考えを私は持っているわけでありますけれども、この点についての御見解といいますか、その努力のほどをひとつお示しいただきたい。
○小松政府委員 いま先生からお話がございましたように、減耗控除制度の収入金額の算定、準備金のあれが一三%ということになっておるわけでございますが、現在の財政事情の中でこれを維持していくということが私どもとしてはぎりぎりいっぱいの線ではないかということで、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、この単純延長ということで主張するのが現段階では精いっぱいではないかというふうに思っております。
○後藤委員 単純延長で、収入基準をもう一度従前に戻していくということについてはどうも積極的な御答弁が得られなかったわけでありますけれども、もちろん大蔵省との関係もあるでしょうし、いろいろな制約要件もあるでしょうけれども、事は、大切な国内資源、少ない資源でありますから、これをなくしていかないためにも、私は、こうしたきめ細かな対策というものは、長官、ぜひひとつお考えに入れていただいて対応してもらいたいということを要望しておきたいと思います。 先ほどの減耗控除との関係で、もう一つ大変大切な問題は、いわゆる国内探鉱の助成策であります。三段階探鉱、こういうように言われているわけでありますが、こうした広域・精密調査の結果、最近でも北鹿あるいは神岡、菱刈、粟原等で相次いで有望鉱床が発見をされて、大変大きな成果を上げているわけであります。 〔委員長退席、野田委員長代理着席〕 北鹿等の餌釣なんというのは、この土地の地名というのは非常に象徴的だと思うのですけれども、ちょうど釣りと同じようにえをまいて、そして魚を釣り上げていく。私は、探鉱助成の非常に大きな成果として、こうしたところで黒鉱なりあるいは鹿児島等における有望な金属鉱床等も発見する要因になってきた、かように考えるわけであります。 とりわけ中小鉱山も、新鉱床の探査補助金等でやっと命脈を保っている、こういう現状でありますから、これがもし若干でもカットされていくというようなことになってまいりますと、数少ない国内鉱山というものが、これまた閉山の憂き目を見なければならない、こういうように考えるわけであります。 この三段階探鉱に対する対策というものに対して、長官、どのようにお考えになっておられるか、お伺いしておきたいと思います。
○小松政府委員 いま先生お話しございました、現在の三段階方式、これは国内の鉱業政策、特に探鉱開発、これを進める基本になっておりますし、この制度が現在非常に厳しい環境の中で日本の国内資源の開発を支えておるというふうに私どもも認識をいたしておりまして、先ほど来申し上げましたように、非常に財政事情が厳しいわけでございますが、この制度はぜひ存続させたい、維持、充実していくという方向で現在検討を進めております。 特に、中小鉱山に対する助成につきましては、現在、中小鉱山の経営基盤というのは非常に脆弱になっておりますので、こういう面も勘案いたしまして、鉱業政策に後退がないように、いろいろの知恵を出して、現在の財政事情の中で実質的に現在の制度が確保される方向で現在検討を進めておる段階でございます。
○後藤委員 いまの三段階探鉱に関連をいたしまして、二、三点長官にお聞きをしておきたいと思っておりますが、最近、現に稼行いたしております鉱山の周辺、あるいはすでに知られている鉱床の深部に有望な鉱床が発見される傾向が出てきているわけであります。そこで、企業の探鉱に結びつけまして、広域・精密調査の対象を深部究明に拡充強化すべきではないだろうか、これが一点であります。 それから、現行の精密調査費の企業負担分と都道府県負担分の軽減策を考えていくべきではないか。 さらに、その点に関係をいたしまして、私はこれはこの前にもこの委員会で指摘をいたしましたけれども、低品位鉱、国際的には必ずしも低品位鉱ではないのですけれども、国際価格の低落の中で相対的には低品位鉱になってしまうという宿命を負っているわけですが、この低品位鉱の開発、活用、あるいは随伴をしてまいります希少金属、レアメタル、てれの技術開発というものに対してもっと真剣に取り組んでいくべきではないだろうか。たとえば、この暮れには閉山になると言われております北海道の下川鉱山等は銅単味鉱山でありますけれども、コバルト等がごく少量ではありますが随伴をしてくる。これは大変貴重な金属でありますけれども、これを分離活用していくという技術に対して積極的な投資がなされていないために、閉山の憂き目に遭っていかなければならない、こういうような状況にもなっているわけでありますから、こうした三点につきまして、長官、どのようにお考えになっていらっしゃいましょうか。
○小松政府委員 いま先生御指摘の、制度の改善の問題でございますが、私どもも従来から、現在の制度ができるだけ実情に合うようにということで、先ほど来お話がございました広域・精密地質構造調査の段階、さらに新鉱床探査の段階での助成の充実というのを図ってきておるわけでございますが、今後とも運用の問題を含め、また新しい事態に対応した補助制度その他の充実については、現在そういう面も含めて検討をいたしております。ただ、財政事情が非常に厳しいわけでございますので、今後の検討は財政事情等を勘案しながら、先生の御指摘の点も含めて前向きに検討したいと思っております。
○後藤委員 私、先日ある資料を見ておりましたら、こういう数字が出ているわけであります。現在の国内鉱山の銅地金が年五万トン、鉛、亜鉛地金が年二十八万トン、これは国内産出の鉱石。これをもし海外の新規鉱山開発で調達をするといたしますと、その総開発費は約三千億円以上という計算になる。これに七〇%の輸銀融資を適用いたしますと二千百億円。市中金利との差二%をかけてまいりますと、約四十二億円の利子補給を受けることになる。新鉱床探査費補助金年十四億円、これの約三倍の財政資金を必要としているというような計算が成り立っていくわけであります。 これほど大変リスキーな鉱山開発。しかも、海外に開発地点を持つといたしますと、大変な投資を要するわけであります。それだけに国内鉱山の開発に対する財政的、制度的、金融的あるいは税制的援助というものが、セキュリティーの観点からいきましてもやはり大切であろう。非常に重要な基礎素材を提供していくわけでありますから、こうした数字を見まして、改めて国内鉱山の金属鉱業対策というものを強化していかなければならないという感を大変深くしたわけであります。 そこで、最近のマイナスシーリングだとかあるいはいろいろな税制の見直し等の中で、先ほど減耗控除の問題あるいは三段階探鉱の強化の問題を私は指摘したわけでありますけれども、特に海外経済協力の点で、メタル関係への協力というものは、技術移転等につきましても非常に成果を上げていると聞いているわけであります。したがって、海外経済協力費と金属鉱業対策等をリンケージしながら考えていくという発想がとられていいのではないだろうか。国内鉱山というものは一つの学校であります。通産省も中小企業大学校だとか貿易大学校というようなものをつくっているわけでありますけれども、海外で開発をしていく、あるいは海外に経済協力をしていく、その技術移転等をしていくもとというのは、国内に鉱山がある、このことによってその技術移転なり協力の成果が上げられていくのだろう、といたしますと、もちろん技術的には大変むずかしい問題がありますけれども、海外経済協力との関係で見ていかなければならないという発想を持っていいのではないかという考えを私は持つわけでありますけれども、大臣、そうした考えもあり得るというお考えに立っていただけるかどうか、お伺いをしたいと思います
○小松政府委員 いま先生お話しのように、確かに国内の資源開発というのは、国内資源の有効活用という意味で非常に大事でございますが、同時に、今後日本の場合は、海外鉱山の開発に協力していく場合に、その技術を温存していく、こういう観点からも非常に意味があるわけでございまして、私ども、鉱業政策に対するあらゆる面での助成を考える場合にも、先生御指摘のような点を常に配慮しているわけでございます。今後とも、御指摘の点は非常に大事な点でございますので、鉱業政策を充実する一つの重要な理論武装の拠点として、私どもとしても努力していきたいと思っております。
○後藤委員 これはぜひひとつ検討していっていただきたいと考えております。 時間がなくなってまいりましたので、二点ばかりお伺いをしておきたいと思うのです。 一つは、やはりエネルギー、つまりエネルギー多消費産業でありますから、このエネルギーのコスト、とりわけ電力コストのアップというものは逃げられない。価格上昇に転嫁をしてまいりまして、企業努力によってもなかなか吸収しがたいという状況にあるのが製錬なり非鉄金属の持っておる構造的な問題であろうと考えるわけであります。 そこで、政策料金の導入ということが大変むずかしい問題であることは承知をいたしております。しかし、企業努力で解決し得ない。しかも非常に貴重な、重要な資源であるので、これを倒産とか閉山とかいう形に追い込んでいかないためにも、政策的努力が大切でありますから、エネルギーの低コストの確保ということについて、いままでの単なる融通なりあるいはピーク時を避けた運用というものを超えた対策をぜひひとつ講じていくべきであろう。きょうは時間がございませんので、なぜ製錬所等が僻地に立地されてきておるかというようなことについては申し上げませんけれども、この電力料金等に対するとらえ方をもう少し多様な角度から考えていく必要があるのではないかということを一つ申し上げておきたいと思うわけであります。 もう一つは、坑廃水の問題であります。これも対策を講じていただきまして、今日まで具体的に進められているわけでありますけれども、特に金属鉱業等鉱害対策特別措置法に基づく休廃止鉱山鉱害対策基本方針の期間が切れていく。五十七年度末ですか、つまり五十八年三月で切れる状況になってきているわけであります。お聞きをしますと、蓄積鉱害等の残工事量がまだ約百八十億ばかりある。こう考えてみますと、これまた延長を検討していかなければならないということになろうかと思うわけでありますが、鉱業審議会に蓄積部会等もつくってこの対策を考えるというようにいま進めているということを仄聞いたしておりますけれども、この問題についてどうお考えになっておるか。 最後にもう一つ、非金属対策。先ほど来メタルマインの問題について申し上げたわけでありますけれども、非金属鉱業も、窯業だとかセメントとかガラスとか鉄鋼、建設業等の基礎素材を供給する重要な役割りを果たしているわけであります。これらは主として地表資源でありますから、いろいろな権益との競合だとか環境の制約、こういうことで新規開発だとか採掘区域の拡大等が容易ではないわけであります。しかし、こうした基礎素材というものは、将来安定的に供給をされていかなければならないということも考えられますので、これはひとつこれからの検討課題といたしまして、必ずしも多品種にわたっておる実態が十分に把握されていないと聞いておりますが、非金属鉱山の調査あるいは有効利用の研究、鉱種別、用途別の需要統計資料等の整備をこれからひとつ積極的に進めていただきたいと考えるわけであります。 以上、三点の問題につきまして御答弁をお伺いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○小松政府委員 まず先生御指摘の、非常にエネルギーコストが上がったために、非鉄金属鉱業その他が窮状に陥っておるので、電力料金その他について弾力的運用が必要ではないかというお話でございますが、政策料金という点については、先生も御理解をいただいておると思いますけれども、これは電気事業法の基本的な運用にかかわる問題でありますので、私どもとしては、政策料金というものを導入することは、逆にいろいろな面で厳しい問題も出てまいりますので、できるだけ現行電気事業法の運用の範囲内で弾力的な運用を図る、こういう観点に立ちまして、非鉄金属の場合には、深夜電力その他こういう電力の需要の形態に着目をいたしまして、その料金面での弾力的な運用を図っておるわけでございます。こういうことによりまして、ことしのたとえば三月、長期短期需給調整契約の改定期に当たりましても、電力業界を指導いたしまして、特定の電力需要者に対しては、その需要の実態に着目して料金の逓減を図るというような努力はいたしております。今後ともそういう観点からいろいろの知恵を出していきたいというふうに思います。 エネルギー多消費産業全体の問題につきましては、単に料金の問題ではなくて、総合的な観点から対策を検討していく必要があるのではないか、かように考えておるわけでございます。 さらに、鉱業審議会に非金属分科会というのを設けておりまして、今後のあり方についてはいま検討をいたしてもらっておるところでございます。
○福原政府委員 休廃止鉱山にかかわりますカドミウム等の蓄積鉱害問題につきましては、四十八年度制定されました金属鉱業等鉱害対策特別措置法に基づきまして、その発生源対策につきましては、大臣の基本方針に沿いまして現在工事を進めてまいったわけでございます。御指摘のように、五十七年度をもちまして現在の基本方針終了期限を迎えるわけでございますが、なお残存工事量が、先生御指摘のように、事務所不存在の鉱山分につきましても約百八十五億ございます。これにつきましては、ただいま鉱業審議会の中に蓄積鉱害対策分科会を設けまして、各界の先生方の御意見をちょうだいしておるところでございます。これを受けまして、必要な対策を講じてまいりたい、このように考えております。(後藤委員「もう一つ、非金属」と呼ぶ)
○小松政府委員 先生御指摘の非金属の問題につきましては、現在鉱業審議会の非金属分科会におきまして、今後のあり方について検討をしてもらっておる段階でございます。この結果を踏まえまして、検討していきたいというふうに思っております。
○後藤委員 終わります。
○野田委員長代理 中村重光君。
○中村(重)委員 すでに通告をいたしておりますが、私がこれから質問をいたしますのは、集中豪雨による災害対策、中心は商業関係になります。 さらに、災害と都市再開発ですが、これはそれ自体は建設省所管になりますけれども、経済の活性化、振興という観点から両大臣の見解をただしていきたいと思います。 次に、石油精製設備の休廃止、通産大臣の独禁法見直し発言、行革と景気対策、アメリカの金利と円安との関係、これは両大臣と公取委員長にお尋ねをしてまいりたいと思います。 時間の制約がありますから、災害関係は、きわめて詳細に質問の項目を申し上げ、内容にも触れておりますし、それから大臣と長官の答弁をそれぞれ区別をいたしまして要求をいたしておりますから、一括質問をし、一括お答えをいただきたいというように思います。 まず第一点の、具体的内容についてはもう省略をいたしますが、激甚災害貸付限度額、現在の八百万を一千万に引き上げる必要がある。八百万だと仮に長崎市の場合六千事業所ということになりますと、四百八十億円の貸し出しにすぎないということになります。損害額は九百億をオーバーいたしております。さらに、これは直接の被害でありますから、災害によって相当期間営業ができなかったという間接被害の額は入っておりません。 さらに、三%の特利は法律事項になっておりますが、三年というのでは短過ぎるのではないか。したがって、五年程度に延長する必要がある。これは法律事項であり、将来の関係もありますから、通産大臣からお答えをいただきます。 さらに、別枠融資は通利となっております。これでは被災者の立ち上がりは金利の負担増によって大変困難でありますから、これを引き下げる必要がある。特に商工中金は、差額を法律事項によって国からその分を支給されるわけであります。中小企業金融公庫と国民金融公庫はそういう制度になっておりませんから、みずから持ち出すことになります。この点からいたしましても、商工中金の金利というものはもっと引き下げていかなければならないと考えますし、さらに中小公庫と国民金融公庫は据え置き期間がありますけれども、商工中金は据え置き期間がございません。したがいまして、据え置き期間が二年ないし三年なければいけない、そのように思いますから、この点もでき得れば、これは長官でもよろしいでしょうけれども、大臣のお答えがいただきたいというように思います。次に、間接被害であります。長崎の場合には三十四号線の国道が壊滅をいたしておりまして、今日に至ってもというよりも、年度末まで完全回復の見込みがございません。したがいまして、その中にあります卸売団地あるいは青果市場、これには元売り、仲卸、小売、関連商品の販売がこの災害によって非常に痛手を受けているわけでありますから、この間接被害に対するところの融資が、これまた通利になっておるということでございますので、これも直接被害に対する三%の特利ということとあわせ考えますとき、通利というのではなく、もう少し引き下げていく必要があるのではないかと思います。 それから、既債務の償還猶予期間、これは法律事項ではございません。運用でございますが、大体運用が原則二年という形でやっておりますから、この猶予期間をもう少し延ばしていくような運用が必要であろう、このように考えます。 信用保証は別枠でありますけれども、既債務がしばらくの間償還猶予となる関係もありまして、この別枠ということがたてまえだけになって、担保を要求するとか、なかなかそれだけの別枠の保証をしてくれないということが現実でありますから、実効ある措置をどう進めていくのか、その対策について伺いたいと思います。 さらに、民間金融機関の手形決済期間というのを若干延ばそうと言っておりますが、地場銀行におきましては、二週間程度だという言い方であります。二週間程度手形決済を延ばすということになりましても、これは延ばしたことになりません。したがいまして、これは大蔵省の所管になりますが、この点は通産大臣からひとつ、大蔵大臣との折衝もございましょうから、お答えをいただきたいと思います。 それから、被害額の証明は市町村長ということになっておりますが、これはよろしいわけでありますけれども、証明が出ました後で再調査というような形が出てまいりますと、これは補助金ではないわけでありますから、融資でありますから、したがいまして、再調査ということに相当長期間を要するということであってはなりません。市町村長を信頼するという形で、この被害額を確定をするということでなければならないと考えますから、この点は、もちろん事務的な関係でありますから、お答えは長官で結構であります。 被害状況の実態調査及び事務所等の復旧に要する経費に関して、商工会及び商工会議所の小規模事業指導員補助金の特別措置というものが必要になってくることは言うまでもございません。この点はお答えは長官で結構であります。 次の三点は、大臣からお答えをいただきます。 これは新しい制度という形になりますから、商店街の環境復旧整備事業を新たに付加いたしまして、商店街の活性化を図っていく必要があると考えます。したがいまして、その助成措置について検討していかなければならぬと考えますが、この点に対する大臣の前向きのお答えをいただきたい。 商店街における火災等の防止施設の整備補助を行っていく、そして再び今回のような大災害の発生を防止をするという意味からいたしましても、自助努力と相まって国も助成措置を講じていく必要があるのではないか、そのように考えますから、この点も大臣からお答えをいただきます。 さらに、火災共済協同組合が風水害に対しまして、火災が中心でありますけれども、風水害も約款によりまして一割あるいは二割といったような程度の共済金を支払っているわけでありますが、これは、その火災の場合とひとつ同様の算定をしてほしいというような要請が非常に強いわけでございます。しかし、これは相互扶助の制度であります。他にもいろいろこういう共済制度があるわけでありまして、国からの助成というものが行われていないというような関係もありまして、特に約款に反するようなことはなかなかむずかしいでありましょうし、約款を改めなければならぬということになると私は考えます。しかし、御承知のとおり輸出保険等いろいろな保険がありますが、国から相当な助成措置が講じられておるということを考えてまいりますと、これは後ろ向きの制度ではないわけでありますから、この点は前向きに対応していくというようなことを考えますと、何かやはり国の助成措置というものを検討していく必要があるのではないかと考えますから、この点もひとつ大臣からお答えをいただきます。 それから民間金融機関が、体質強化資金ということで国から保証協会に対しまして預託をして、保証協会は今度は銀行に預託をして、その六倍の融資を民間金融機関が行いますが、これはすべて信用保証協会の保証つきという口とになるわけであります。相当信用保証協会の保証能力というものを高めていくのでなければ、いわゆる一般の融資に対する圧迫という形になってまいります。したがいまして、これは融資基金の中から行うわけでありますけれども、相当額この融資基金に対する手当てをしていくのでなければいけないのだろう、このように考えます。したがいまして、この点もひとつ大臣からお答えをいただきます。 以上の点をそれぞれ、私は要請をいたしておりますように、大臣、長官からお答えをいただきまして、最後の都市再開発の問題は河本経企長官の関係もございますから、これはひとつ一問一答という形で別枠としてお尋ねをし、お答えをいただきたいと思います。 以上、それぞれお答えをいただきます。
○安倍国務大臣 まず私から先にお答えをさしていただきます。 長崎を中心とする今回の災害、まことにお気の毒であると存じます。政府といたしましても、災害対策本部を設置をいたしまして、全力を挙げましてこれが対策に努力をいたしておるわけでございます。ただいまの中村委員からの質問は多岐にわたるわけでございますが、私からまず私に対する御質問についてお答えをして、あとは中小企業庁長官から補足をして説明をさしていただきます。 まず、政府系中小機関によるところの災害貸付制度の問題でございますが、現在すでに御承知のように、災害貸付制度を発動をいたしておるわけでございまして、これによりまして、通常に比しまして融資枠の拡大であるとかあるいは貸付期間の延長等が図られております。また、激甚法による指定が行われる、こういうことになりますれば、特別利率によるところの貸し付け、これは御承知のように三%または六・五五%ということになります。あるいはまた信用保証につきましての枠の倍額増ということも行われるわけでございます。さらにまた、設備近代化資金の償還期間の延長等が可能になってくることは御承知のとおりでございます。それらのほかに、国と県とが共同して行うところの体質強化資金制度等その他の金融対策を適時適切に、かつ最大限に活用してまいらなければならない、こういうふうに考えております。 また、集中豪雨により被災した商店街の環境復旧整備事業に対し、新たな商店街活性化のための事業を付加した助成措置を講ずべきではないか、こういう御質問でございますが、今回の災害は商店街の中小小売・サービス業者にも著しい打撃を与えたと聞いておるわけであります。これを機会に商店街の近代化、活性化を図ることができるよう商店街の改造計画等地域ぐるみの商業集積の整備を図るための計画、ビジョンづくりの推進及び復旧整備のための商店街の組合に対する中小企業事業団の高度化融資の活用の方途などにつきまして、県等の関係部局の意見や被災された商店街の御希望などを承りながら、適切な再建、近代化が進むように今後協力をしてまいりたいと考えております。 〔野田委員長代理退席、委員長着席〕 次に、商店街における水害及び火災防止等の防災施設の整備について助成措置を講ずべきではないかという御質問でございますが、商店街の組合が共同防災施設を設置する事業及び防災設備のリースを行う事業に対しましては、本年度から中小企業事業団の高度化融資の対象とすることにいたしております。また、個々の中小商業者または組合が消火設備等消防設備を設置する場合には、中小企業金融公庫及び国民金融公庫の特別融資を活用をしてまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。 さらに、信用保証協会が保証するに当たっては、担保を増す、弾力性に努めるべきではないか、こういう御質問でございますが、信用保証協会が保証を行うに際して、従来より各地域、各業種の実情を十分考慮して適時適切な信用保証が行われるように指導いたしておるわけでございますけれども、今回の災害におきましても、中小企業者の資金調達に支障が生じないように適切に対処してまいりたいと存じております。
○神谷政府委員 ただいま大臣から御答弁いたしました項目以外の項目につきまして、補足して御説明をさせていただきます。 まず、商工中金の貸し付けでございます。一般的に商工中金の金利が高いではないかというお話もございました。確かに資金構成コストが高いわけでございますので、割り高になっておるものもございますけれども、しかし、中小企業者に対する総合的な金融機関であるという利点も発揮しながら、中小企業の育成のために努力をしておるわけでございまして、この点をひとつ総合的に御勘案をいただきたいと考えております。 災害特別貸し付けにつきましては、御指摘のように、政府からの補助金によりまして三%ということで、この点は他の政府金融機関と同様の条件で貸し付けを行うということになっておりますし、先ほどの据え置き期間につきましても、短期は別といたしまして、長期については三年の据え置き期間を置く、こういう形になっております。いろいろな実態に即した運用を行っていくよう商工中金その他も含めまして、政府関係金融機関にはきめ細かに指導を行ってまいりたいと考えております。 それから、設備近代化資金等の償還期間の延長が二年では短過ぎるではないかという御指摘でございます。御承知のように、法律で決まっておることではございます。物損の著しい中小企業に関して二年の範囲内ということになっておりますが、一般的な償還期間の延長は、やはりこれでやらしていただかなければならないと思いますが、個々の中小企業者の特殊事情に関しましては、これは償還期間の延長という形ではなくして、むしろ償還猶予というような形で、個別の御相談という方法でどうしてもという場合には対処をさせていただきたいと思っております。 それから、民間金融機関も今回いろいろ協力いたしまして特別の融資を行っておる、こういうことで、私どもといたしまして、その態度に非常に敬意を表するわけでございます。これに対して何か国が補助すべきではないかということでございますが、むしろボランティア的にせっかくやっていただいておるものでございまして、国の補助金目当てということではなくして、地域のために大いにがんばっていただきたいもの、このように考えております。 手形期間につきましては、一応大蔵省あるいは銀行関係の所管ではございますけれども、御指摘のように、二週間の決済期間の延長を決定して実施中であるというふうに聞いております。手形期間は余り長いこと延長するわけにもまいりませんと思いますが、全般的に申し上げれば、やはり金融の問題でございますので、金融の大きな枠組みの中で処理していきたいと考えております。 市町村長の証明書を信用保証協会あるいは政府関係金融機関が信用しないでいろいろせんさくをするのではないかという御指摘でございましたが、そのようなことはございませんで、権威ある市町村長が証明したものでございますので、私どもとしては、やはりそれを信頼して手続を行っていかなければならないと考えております。ただ、やはり手続上の瑕疵、形式上の瑕疵がある場合には、いろいろお尋ねをし、調査をしなければならない問題ではないかというふうに考えておるわけでございます。 次に、小規模事業者の被害状況の実態調査だとか、あるいは復旧に関して商工会がいろいろ努力をしておるあるいは商工会議所が努力をしておるので、そういうものに関して国が補助金で何か特別のものを考えるべきではないかという御指摘でございます。このあたりも、先ほどの問題と同じように、まさにボランティアといいますか、あるいは仲間たちのために一生懸命やっておるというその精神と、やはり中小企業団体でございますので、それほどの財政的な余裕がないという問題、この辺の絡み合わせの中から対処を考えていかなければならない問題だろうと思いますが、第一義的には、商工会等に対する補助金の補助事業内容の変更であるとかあるいは経費の配分の変更については弾力的に認めていくことにしたい、このように考えております。また、個々のいろいろな状況については、個別に御相談をし、できるだけの御協力をしていきたい、このように考えておる次第でございます。 大体、以上の点が補足説明として残っていたものではないかと承知をいたしております。
○中村(重)委員 いまお答えをいただきましたので漏れておりますのは、激甚災害の指定によっていわゆる特利融資というのが行われるわけであります。三%の期間というのを、三年から四年になりますと六・五五に上がるわけでありますから、これに対して五年程度に延長してやる必要があるのではないかということに対するお答えがありません。 それから、間接被害に対しては通利である。間接ではあっても相当被害を強く受けているわけでありますから、やはり通利というのでは余り気の毒ではないか、若干勘案してやる必要がある、このお答えがございません。 それから、商工中金に対して、総合的な融資機関である、私はそのとおり認めます。認めますけれども、激甚災害にあるところのいわゆる特別貸し付けが行います場合の三%と通利の差額は、これは法律によって交付されるわけでありますから、中小企業金融公庫と国民金融公庫はみずから持ち出さなければなりません。したがいまして、この商工中金の金利というものは、総合金融機関であるといたしましても、当然これらの場合におきましては若干金利を引き下げていくことが必要ではないのか、そのように考えるわけでございます。いわゆる別枠融資に対してである。この点漏れておりますから。 それから、特に大臣にお答えを注文いたしました火災共済協同組合に対する助成の問題です。これは、きわめて内容に理解を示しながら、何か後ろ向きでないのだから、前向きで考えていく必要があるのではないか。輸出保険であるとか、いろいろ国から相当な助成措置を講じているわけでありますから。この共済制度というものは、他の関係もあるわけです。それと横にらみもしていかなければなりませんけれども、今回の激甚災害の実態ということを考えてみますと、やはり検討に値するのではないかと思いますから、それぞれ漏れている点を、きわめて適切、簡潔にお答えをいただきます。
○安倍国務大臣 激甚災害法によりましては、店舗の全半壊であるとか商品の滅失等の直接被害を受けた中小企業者の再建資金につきましては、特に優遇することになっております。間接被害を受けたものに対しては、その他の諸制度によりましてできる限り救済をすることになっておるわけであります。 政府系中小企業金融機関の災害貸付制度につきましては、五十六年度に貸付限度の引き上げによるところの改善を行ったところでありまして、特別利率を適用する限度の引き上げ及び低利融資期間の延長の御要望があったわけでありますが、これについては、災害対策本部を中心として検討もしてみなければならぬとも思うわけですけれども、しかし現在のところ、なかなか困難な面もあります。中小企業体質強化資金助成制度というものがありますので、これらを含めまして、まず現行の制度を最大限に活用して、これに対処したらどうだろうかというふうに考えておるわけでございます。 それから、輸出保険等の問題でありますが、御指摘のように、国が行っている各種保険につきましては、国が基金を出資する等の措置を行っておるわけでありますが、これは保険対象事業にかかわるところのリスクが大きく、民間のみの相互扶助では十分カバーできないということによるわけでございまして、火災共済協同組合の共済事業につきましては、火災等によるところの組合員の建物等に係る損害を相互扶助によりカバーすることを本来の目的とするものでありまして、昭和三十二年に同組合の制度が創設されまして以来、関係者の御努力によりまして、国の助成措置に依存することなく健全に運営されてきたところでございます。したがって、今後におきましても、火災共済協同組合がその本旨とするところの相互扶助の精神に基づき、自助努力によりまして、その共済事業の改善等を図られることを期待をいたしたいと考えております。
○神谷政府委員 商工中金の金利につきまして、若干先ほどの御答弁が舌足らずであったと思いますが、激甚災害の指定を受けまして特利融資を行います際は、先生御指摘のように、国から補助を受けますので、一般の通利が若干高い分もその補助金で埋めまして、三%の期間は他の公庫と同様三%、その期間を超えた場合には六・五五%という条件で全く同じにいたしております。
○中村(重)委員 どうも答えにくいのか、そのままずばり答えられないんだけれども、時間の関係がありますから……。 間接被害に対して、大臣、これは民間金融機関に体質強化資金という融資制度を、これは六・七%の金利で優遇いたしておりますから、これが一件当たり二千万円という形になっています。それらの点を配慮して、この金額をやはり引き上げていくというようなことで調整をしていくと、大臣いまお答えになりましたような形になっていくであろうというふうに考えます。したがいまして、その点はそういう方向で努力をしていただきたいということを要請をいたします。 火災共済の問題は、私も理解を示したように、自助努力、いわゆる相互扶助でありますから、そのことは否定しないんです。否定しないんだけれども、輸出保険というものは、これは国がやっているのだ、これとは違うのだ、それは言えなくはない。しかし、少なくとも協同組合法の改正によって、こういう火災共済に対して風水害を一部入れるというような制度を設けたわけでありますから、法律によってやります場合は、あめ政策というのか助成的な措置というものが付随をしてくるということが通例であるわけでありますから、これらの点に対しては、やはり前向きで検討していく必要があるであろう、そのように思いますから、これはもう重ねてお答え要りませんけれども、他の関連がありますから慎重な答弁にならざるを得なかったんだろうと思います。それは理解をいたしますが、十分これらの点は事務当局を通じて各省との間にも話し合いを、いわゆる検討課題としていただきたいということを要請をいたしておきます。 次に、これは河本長官からお答えをまず最初にいただきましょう。 この都市再開発の問題でありますが、それ自体は申し上げたように建設省の所管でありますけれども、今回の災害の経験ということからいたしますと、もう長崎の地形の問題等十分知り尽くしていらっしゃる両大臣でありますから、詳しくは申し上げません。実は、町の真ん中がすり鉢の底のようなところでしょう。ですから、もう土地が狭いということで丘へ山へとどんどんどんどん切り開いて家をつくっているわけですね。今回はそうしたこの丘、山が崩れて三百名近い、二百九十名、行方不明八名でありますが、三百名の人たちが恐らく亡くなったであろうと思う。その七割五分くらいはこのがけ崩れ等々によって亡くなっているわけです。そして防災計画というか防災施設がきわめて不十分でありましたから、一面、山の上から全部コンクリート敷でございましょう。それでずうっと町に流れ込んでいった。そして町に流れている川はきわめて中小河川でありますけれども、集水面積というものが非常に狭いわけでありますから、したがって町をどんどん洗い流してしまったという実態で、物すごい、先ほど申し上げましたような数字の被害をもたらしているわけであります。しかも、その町の真ん中には一戸建ての家がたくさんあるわけであります。ましてやそれは公営住宅が一月建てのままであります。これを都市開発によって高層化していく、そして一定期間家賃を安くしていくといったようなことが当然考えられなければならないのじゃないか。他の先進都市あるいはブラジルなんかにおきましても、あの広大な土地に、町の中心部にいわゆる高層建築というものがある。それに人口が相当集中している。これは交通政策の面からいたしましても非常に参考に値するのではないか。 これらの今回の災害の教訓ということあるいはまた都市再開発を行うことによって地価の問題との関連も出てまいりまして、地価を抑制する役割りを果たしていくであろう、そのように考えます。それから経済振興という面にも果たす役割りも大変大きいと私は考えますが、それらの点から都市再開発ということについて、しかもその都市再開発は、いわゆる治水、利水、住宅、公園、環境、これらの一連の完全な都市計画というようなものを行うことによって、安全な町づくりというものをこの際ひとつ強力に推進していく必要があるのではないか。 案外どうもこの住宅の問題は、長官も強くおっしゃるのですけれども、これらの問題に対する声が小さい。これは同じことは通産大臣にも言えるわけであります。住宅の問題については、これは景気対策の引き金だ、これは冷え込んでどうにもならない。この原因は、土地が高い、いろいろな要件があるわけでありますけれども、私が指摘をいたしましたようなことについて、どのような御見解をお持ちでしょうか。
○河本国務大臣 今回の長崎の災害は、私は、この長崎の特殊な地形から起こっておる、こう思います。したがいまして、災害復旧といいましても、もとに復するということだけでは必ずまたもう一回災害が起こる危険性がございますので、抜本的な、やはりこの際、都市づくり、都市計画、いろんなことをお述べになりましたが、そういう観点に立って私は思い切ったことをやらないといかぬのじゃないか。特別の地形でございますから、また特別な配慮が必要だ、こういう感じがいたします。
○安倍国務大臣 私も何回か長崎に参りましたけれども、いま河本長官が答弁をされましたように、長崎は独特な地形にあるわけでありますし、そういう中であれだけの犠牲者が出たわけでありますから、この犠牲をむだにしないように、いまお話がありましたような、やはり新しい都市づくりに抜本的な考え方で対処していかなければならない、こういうふうに思います。
○中村(重)委員 それでは他の問題に移ります。 通産省は、石油業界に減産指導を七月に実施されたようでありますが、八月も実施をしようというお考え方のように伝えられているわけですが、いつまで続けていこうとしておられるか、その点を簡潔にひとつお答えをいただきましょう。
○小松政府委員 石油産業に対します生産指導につきましては、本来石油業法に基づきまして石油供給計画というものをつくりまして、その供給計画の運用ということで従来も指導をしておったわけでございます。昨年も七月から一時月別の減産指導をいたしましたが、その後、事態が若干改善したということもございまして、四半期別の供給計画の運用ということを続けてまいったわけでございますが、ここ四月以降さらに石油需給の不安定要因が増してまいりまして、非常に厳しい事態に追い込まれる。こういう中で、需給の安定を図るという観点から、石油供給計画の運用をもう一度月別の指導に戻すということで七月かち始めたわけでございまして、現在七月は月の全体の生産供給運用の目標を示しまして、それについて各社に対して指導を行った。八月も同じような観点から指導を行っております。 現在、石油需給の動向というのはきわめて不透明でございまして、今後どうなりますか、その事態については、現在先行きも含めまして調査をいたしておるわけですが、その動向を見ながら、きめの細かい運用を今後とも続ける必要があるというふうに思っております。さしあたり七月、八月を続け、九月以降につきましては、八月の動向を見て、月別減産を続けるか、それとも四半期別の供給計画の運用の指導に移行するか、その点は今後の動向を見て検討したいというふうに思っております。
○中村(重)委員 公取は、月別減産目標の設定というのは、業界のカルテルを招きやすくなるから好ましくない、そういう見解のように伺っているわけですが、いかがですか。ずばり答えてください。
○佐藤(徳)政府委員 お答え申し上げます。 御指摘のようなおそれがあるということは、私どもの考え方でございまして、本件につきましても、月別の目標量といいますものは、事業者の自由な活動を制約するような度合いが強いので、やり方によってはおそれがあるというようなことで、そういうようなやり方はできるだけやめていただきたい。もしも石油の需給計画上何らかの措置をとる必要があるのであれば、これは石油供給計画そのものを実態に合うようにするのが先決ではないかという私どもの考え方を通産省にも申し上げてあるところでございます。
○中村(重)委員 さらに、石油精製能力の一七%、日量百万バレルを休廃止するという方針のようですが、これは通産省は行政指導でやるお考えですか。
○小松政府委員 現在、石油精製設備の設備能力というのが、許認可設備で五百九十四万バレルございます。実際の現在の稼働率は大体六〇%を下回るという状況でございまして、こういう状況の中で非常に石油精製業界としては過剰設備を抱えておるわけでございます。こういう点について、将来石油業界についての体質改善を図る必要があるということで、昨年の十二月二十一日に石油審議会石油部会の「今後の石油産業のあり方について」という、ここで石油産業の体質改善を図るために過剰設備の処理を進める必要があるという答申を受けております。これを受けまして、本年の三月、五月、石油審議会の石油部会、特に五月の石油部会におきましては、石油業法に基づく五十七年から六十一年度までの石油供給計画を決めておるわけでございますが、その一環として設備処理目標として百万バレルというのを示したわけでございます。 百万バレルという数字は、私ども「長期エネルギー需給見通し」昭和六十五年で考えてみましても、原油の処理量は三百七十万バレルでございますので、仮に七五%の非常に安全を見越した稼働率を見ても四百九十三万バレルあれば十分である。ということになりますと、現在の五百九十四万バレルは、約百万バレルさらにそれを上回っているわけでございまして、その百万バレルは、石油業界の全体の体質改善のために過剰設備を処理する必要があるということを、石油供給計画の一環として、その目標値を決めておるわけでございます。これを示されたのを受けて、各社がそれにのっとった計画を現在通産省に処理計画という形で出しておるのであります。 今後この処理をどう進めるかという点につきましては、各社の体質改善についての考え方、それからさらに石油審議会石油部会の中に小委員会が開かれておりまして、小委員会の意向、小委員会で十分検討もいただく、こういうことを通じまして、この処理をぜひ実現していきたいというふうに思っております。
○中村(重)委員 エネルギー庁長官のきわめて懇切なお答えはありがたいのだけれども、何しろ私の方は十二時十四分までに終わらなければならぬという時間的制約がありますから、そのまま質問に対してずばりお答えをいただきたいのです。 行政指導でやるのかというのが質問のポイントですから、その点いかがですか。
○小松政府委員 石油業法に基づく行政指導ということでやっていきたいというように思っております。
○中村(重)委員 公取は石油業界から休廃止について事情聴取を開始したようでございますが、調査の目的というものは何ですか。
○伊従政府委員 お答えいたします。 通産省の行政指導に関連しまして、業界において共同して一律の設備削減が行われようとしていくのではないかという疑いがございましたので、これにつきまして、先月中旬以降調査をしてまいりましたけれども、現状においては、その事実が確認できないということで、この調査を打ち切っております。
○中村(重)委員 エネルギー庁長官、これは安倍通産大臣とは話をし、その了承を得ていわゆる石油業法で行政指導ということになったのだろうと思うのですが、どうも通産省と公取は、この石油の問題についていつも意見が合わないのだな。またかという感じを与える。これはもう少し通産省と公取は隔意のない意見の交換というものがあってしかるべきだと思うのです。 それから、石油業法でやったから行政指導だ、行政指導は行政指導に間違いない。だから、なぜ不況カルテルでおやりにならないか。不況カルテルで設備の廃棄というのは、新しいいわゆる新独占禁止の実務という形によって、これはできるという解釈になっているわけだから、それをやれば公取との間に意見は食い違わないで、石油業界の実態はいまあなたがお答えになったような実態なのだから、公取もその点はきちっとした法的根拠に基づいておやりになれば、それに了承を与えられるということになるのだろう。なぜそれをおやりにならないのか。
○小松政府委員 私ども設備処理の問題につきましても、それから生産についての石油供給計画の運用の指導につきましても、公取とは十分話し合いをいたしましたし、また双方十分その点については意見の一致を見て実施いたしておる段階でございます。
○中村(重)委員 それはいま公取は私の質問に対して簡潔にお答えになったのだけれども、一致を見ておるならば、私はいまのような調査という形に公取が乗り出すということにならなかったと思う。 それから、減産指導の問題だってそうでしょう。意見が食い違ったじゃありませんか。十分な話し合いがなされていなかったということはここで明らかになったじゃありませんか。わかり切ったことを不適当なお答えをするということは正しくない。そのことを私は強く戒めておきたい。 それから、私が非常に疑問に思うことは、減産指導、設備廃棄をしなければならないという実態の中で、毎日石油の値段の値上がり報道というものばかり行われている。私は安倍通産大臣が石油製品の上限価格を撤廃しようとされたときに、その理由は需給が緩んでおるからということであった。私は本委員会において石油の需給が緩んでおるけれども、上限価格を撤廃すると、値上げをねらっておる連中、業界が、さあ値上げ値上げという形になるであろう。たてまえはそういうことだろうけれども、実態は値上げに道を開くことになる、これは適当ではないという指摘をいたしましたよ。いかがですか。私の指摘のとおりになったではありませんか。これらの点に対してどのような反省をお持ちになっていらっしゃるのか。 それから、なるほど円安になった、石油の値段は高くなる、それだけ円安によって石油業界が損害をこうむるということになるだろう。それは数字の面からそういうことになるかもしれない。ところが、円高のときに為替差益を返しますとあなた方は言いましたか。返さないでがっぽりとこれを抱き込んだじゃありませんか。そういうときには何にも言わないで、円安になったとき、石油業界が困るからといって石油業界の立場ばかり考えて行政を行うということは、国民無視ではありませんか。国民が納得しない、わかりにくい行政をなぜにお進めになるのです。こういうことに対する反省はいかがですか。
○小松政府委員 私ども、セーリングプライスを撤廃いたしましたのは、現在の石油需給の動向から見てセーリングプライスをやっておりますと、コストプラス適正利潤を認めるというようなこともございますので、むしろ市場メカニズムに任せる方がいいのではないか、こういうことで上限価格は撤廃いたしたわけでございます。 その後の状況でございますが、これはもう先生御承知のところでございますけれども、円安傾向が相当進んでおりまして、昨年度の石油各社の経常損失というのは三千億を超えておるというような状況でございます。それからことしの上半期に入りましても、円安が二百五十円から六十円近く、こういう状況の中で石油業界は非常に厳しい。しかも、実際に値上げを各社が言いましても、その値上げは実際に転嫁されてない、実現してないというのが実情でございます。ですから、そういう意味で、それが石油業界の赤字という形であらわれているわけでございまして、そういう状況の中で石油産業の安定を図るというためには、石油産業自身も経営基盤をある程度確立する必要があるわけでございます。 そういう観点をいろいろ踏まえまして、極度な需給アンバランスは、通産省の立場からいたしましても、石油の安定供給、それから安定供給を担う石油業界の安定という面もございますので、こういう観点から、現在、需給バランスの調整を行うための石油供給計画に基づく減産指導をいたしておるわけでございます。現在の市場価格というのは、むしろ原価を相当割っておる段階でございます。いまの円安から見ますと、相当原価を割った市場価格で現状が推移しておる、そういう状況でございますので、各社がいろいろ値上げその他を検討しておる段階でございますが、実際には、これはまさに市場メカニズムに任されておるわけでございますので、なかなか値上げが実現してないというのが実情でございます。
○中村(重)委員 石油業界の利益につながる場合は市場メカニズムと言い、不利益になるというときは市場メカニズムと言わないで、さあ行政指導だ何だということで高価格の方向へ持っていくようなことをやる。市場メカニズムにゆだねてはいないということだ。これでは国民が理解、納得しない、わかりにくい、こう私は指摘をしているわけだ。だから、石油上限価格の撤廃のときは、私の質問に対して通産大臣がお答えになった。大臣と私のやりとりであった。そのとおりになったから大臣はお答えなさいと私は言ったんだけれども、後でこれは答えていただくことにいたします。 私も石油業界が置かれている現在の事情、円安という面からわかってはいる。わかってはいるけれども、ともかくもうかっているときには何にも言わないではないかと言うんだ。為替差益はがっちりため込んできたではないか。これを国民に返そうとしなかったではないか。返させるような努力をしなかったではないか。それでは国民は理解しないだろう。だから理解できるような行政を進めなさい、こう私は言っているわけなんだ。それが本当の政治ではありませんか。私は、少なくとも通産省は業界癒着なんということは、長い間商工委員会に籍を置く私は、そういう非難を受けられることはうれしくはない。なるべく非難を受けられないような行政をやってほしい。それを私は願っているわけなんです。しかし、残念ながら私が指摘をしましたような、非常にわかりにくい、国民が理解しない行政が進められているから、姿勢を正しなさい、こう指摘をするわけです。 通産大臣、あなたは独禁法の見直しをするという発言をされたように報道されているわけですが、だとしたらばねらいは何ですか。
○安倍国務大臣 私は別に独禁法見直しとか改正というようなことを言っておるわけじゃありませんで、独禁法はもちろん運用については公取が行うわけでありますが、いまの独禁法の運用について私が考えておる希望といいますか、そういうものを言ったわけであります。 その真意というのは、御承知のように、この自由主義経済を基調とするわが国経済におきまして、自由競争、秩序を維持することによりまして、民間活動の維持、発揮を図ることが必要不可欠でありますし、独禁法の果たす役割りも、そういう意味では非常に大きいと考えているわけですが、一方独禁法は、広く公共の利益を考慮しつつ経済事情の変化に伴う産業の実態に即した適切なあり方が求められておることはもとよりでございまして、わが国は御案内のように、二度にわたるところの石油ショックを受けまして、エネルギー価格の高騰であるとかあるいは需要構造の変化や市場の一層の開放ということを背景として成長率が非常に低下をしてきた。また海外との競争がますます激しくなってきておる。そういう状況の中で、アルミ製錬であるとか石油化学であるとかいう基礎素材産業が非常に厳しい構造的不況に陥っておりまして、業界みずからが将来展望を見きわめつつ積極的に構造改善のための自主努力を行うことが、業界のみならず地域経済あるいは雇用、中小企業、そういう面からも強く求められておるわけです。独禁法は、その運用のあり方についても、こうした経済情勢や産業の実態、変化、そういうものに即して設備の処理であるとかあるいは事業の集約化など、業界による構造改善の自主的な努力の円滑な実施を妨げることがなく、国民経済の健全な発展に資するものであってほしい、こういう観点から私が発言をしたわけでございます。
○中村(重)委員 低成長下においてはなじまないのだというような談話も述べていらっしゃるのですが、いまお答えになった自由経済の維持、この自由経済を維持していくということについて、私は独占禁止法の果たしている役割りは大変大きいと思うのですよ。不公正取引を指摘をしているでしょう。独占は排除しているわけですよ。これこそが自由経済を維持していくことにつながるのではありませんか。そういう面からいたしまして、通産大臣のお答えというものは、いまお答えになったように、独禁法というものの評価もしておられるのでしょうけれども、どうも邪魔になってしようがない、行政指導でやるようなことで一々公取からチェックされるといったような率直な感情、そういうものが働くのではないか。いま独禁法というものがある、それがこの日本の経済というものの秩序を維持していく、そして消費者の利益を守っていく、こういうようなことを正しく評価をしていくということでなければならないと私は思います。その点は十分ひとつ検討してやっていただきたい。 もう時間が迫ってまいりまして、委員長から三十分くらい延長していただければ、準備をしております問題についてお尋ねをできるのですが、後藤理事がおりますから、話をしてオーケーというサインを出していただければなお結構ですが、同僚諸君に御迷惑をかけるのであればいたし方ありません。 両大臣にお尋ねをいたしますが、景気対策の必要性というものを両大臣とも強調していらっしゃる。先ほど後藤君からの質問に対して、投資減税の問題についてもお答えがありました。あるいは公共事業の追加といったようなことについても強調しているのですが、行革最優先、土光さんの方に最敬礼をしていらっしゃる鈴木総理の考え方というものを変更させ得るという自信がおありになるのかどうかということが私は懸念されるのです。両大臣の考え方というものは、大筋において私は賛成なんです。ですけれども、これはやはり徹底した行革、財政再建、端的に申し上げれば歳出構造に根本的にメスを入れなければだめなんですよ。そして切るものを切っていく、弱者にのみ痛みを与えるということではなくて、財界にも痛みを与えていく、積年の弊をここでなくしていくというくらいの思い切ったことをやらないと、財政再建はできません。 さらに、その最たるもの、いわゆる歳出構造、圧力団体なんというようなものに対して、痛みをひとつがまんさせるということの中で、渡辺大蔵大臣が言っている医療費の二割カットなんというのは当然じゃありませんか。十四兆円でしょう。薬づけだ、検査づけだと言われている。その十四兆円の中に占める薬代は四割ですよ。アメリカは一二%でしょう。西ドイツが一四ないし一五%ですよ。日本だけなぜに四〇%ですか。そして出来高払いの現在の医療制度、こういうものにメスを加えていく。そういうことによって、いま国が財政支出をしておるものについて二割カットすることによって、いま申し上げましたように、国民負担全体ということからいたしますと、一兆、二兆あるいは三兆というぐらいの思い切った財政節減というものが、国民負担を節減させることができる。そのことは個人消費を高めていくことにもつながる、内需を拡大していくことにもつながる。一つの例であります。数多くそういう問題はあるんでございますけれども、そのような点についてどのようにお考えになっているのだろうか。 まだサインが出ませんからお尋ねいたしますが、稲山哲学、私は強者の論理だと思いますよ。稲山さんが新日鉄の社長として、あるいは会長として、当時私は、富士と八幡製鉄の合併の際の審議に当たりましたが、そのとき指摘をいたしました。この合併は必ずプライスリーダーとしての役割りを果たしていくだろう、必ず鉄の価格を引き上げていくというような形になってくるのではないかという懸念を表明してまいりましたが、稲山さんは、公務員の給与なんというのを改定するのは抑えろと言っている。それによって民間賃金も抑えていこう。できるだけ人件費を節約する。鉄の値段はみずからのプライスリーダーぶりを発揮して、そして値段を高くする。そして自分だけは痛みを感じない。これが強者の論理の稲山哲学ではありませんか。そういうことではだめなんですよ。本当に真の行政改革というものをおやりにならなければならぬとお考えになるならば、問題にメスをずばり入れていくということ、そういうことでなければならぬというように思います。 一応ここらあたりでお答えをいただいて、そしてできれば続けさせていただきたいと思いますが、いかがですか。
○河本国務大臣 私は、今回の臨調の本答申、これは尊重して実行していかなければならぬと考えております。ただ、臨調も行政改革と景気対策は別個に取り扱っておると私は思うのです。したがって、赤字国債に対する取り扱いと建設国債に対する取り扱いもおのずから区別をいたしております。行政改革をやれば、それが自動的に財政再建につながるものではない。財政上大きな効果は出てまいりますけれども、財政再建というものは、行革も必要ですが、同時に経済が力を維持する、活力を維持する、こういうことが肝心でございまして、両々相まって財政再建ができるわけでありますから、この点が一番の大事な点でなかろうか、私はこう思っております。
○中村(重)委員 通産大臣からもお答えを聞きたいのですけれども、それは私も同じようなことを実は言っているのです。ただ、財政再建の中身というものにメスを入れなさい、そういうようなことによって、それを景気対策の方向に持っていく必要があると言っている。 私は、これで質問を終わるのでありますけれども、実は軍事費の突出の問題に対しましても、本当に真剣にお考えにならないとだめなんです。鈴木総理は国連の軍縮特別総会に出席をして何と言ったと思いますか。五千億というような軍事費、こんなむだな金を使ってはいけません、この金を民生安定のために、そして開発途上国の発展のために使わなければなりませんと言ったのです。私は拍手を送りましたよ。私が拍手を送ったのが契機となりまして、万雷の拍手だったんですよ。握手攻めに遭ったんですよ、総理は。やっていることは何ですか。逆じゃありませんか。軍事費ぐらい高くつくのはないのですよ。長崎の今回の災害は、戦闘機三機分の節約をしたならば、九百億の商店街の損害は半分以下で済みましたよ。三百名の人命を三分の一くらいにとどめることができましたよ。いかに軍事費というものが高くつくかということの証明ではありませんか。 こういったようなことに対して口を緘してはいけないと私は思う。反論するところは反論する。あなた方二人は重要閣僚です。少なくとも日本の経済を本当に健全な姿にする。そして中小企業は低成長時代におけるところの柱ですから、そして内需に依存をするのですから、中小企業の振興、そのことは日本経済の安定につながるわけでありますから、そういうことに対して思い切った発言をし、これを実施に移すということでなければならぬと思います。 ひとつ簡潔で結構でございますから、両大臣の見解をそれぞれ伺って、委員長の注意がない前に質問を終わりたいと思います。
○安倍国務大臣 私、そういう立場にありませんから、いまここで防衛費について中村委員と論争しようと思いませんが、財政再建と景気の問題については一言言わしていただきます。 いまおっしゃいましたように、財政再建、行政改革、これはどうしてもやらなければならぬ、こういうふうに私どもも思っております。ただしかし、これは中長期にわたってどうしても実現をしていかなければならぬ課題でありますが、景気の問題の当面の課題とはおのずから別個のものじゃないかと私は思います。むしろ景気が非常に停滞をして、経済失速を起こすというようなことになってしまえば、失業者もどんどん出てくる、あるいは倒産もふえるということになって、肝心の財政再建、行政改革すらできないような客観情勢になるおそれすら私はあると思いますし、景気を安定することによって自然増収も確保できるわけで、財政再建へもつながっていくわけでございますから、やはり財政再建をやるにもあるいは行政改革をやる上においても、経済が安定をしていくということが大前提ではないだろうか、こういうふうに思うわけであります。 もちろん高度成長を夢見る状況ではないわけでありますから、少なくとも現在のわが国の潜在的な力からいけば、低成長といえどもある程度の成長によるところの経済安定の道は、財政再建、行政改革を貫く中でこれを実行ができる、私はそういうふうに思いますので、そういう点で経済安定、いわゆる景気対策を、この際、当面の課題として行財政改革の大前提としても考えなければならぬ、そういう時期に来ておるということを強調しておるわけでございます。
○河本国務大臣 現在の世界の総軍事費は六千億ドルを超えておると言われておりまして、これは世界経済の足を大きく引っ張っておることは事実であります。そこで、先般も総理は、国連総会でもう少し低いレベルでの軍事力の均衡はできないか、こういう趣旨の演説をされたんだと思います。臨調の今回の答申にも、防衛費の問題について言及をいたしております。しかし、わが国は一定の計画のもとに自衛力の増強を図っておるわけでございまして、現状はきわめて貧弱でありますから、ある程度の増強は万やむを得ない、こう私は思います。ふえたと言いましても一%を超えておらぬわけでございますから、欧米諸国から比べますとはるかに低い水準でございまして、御意見は理解できないことはございませんが、やはりある程度の防衛力、自衛力の増強は必要である、このように考えております。
○中村(重)委員 残念ですが、公取委員長に医薬品の価格協定、やみ再販の事件の進捗状況等も伺いたかったのですが、また改めてお尋ねをすることにいたしましょう。 いまの長官のお答えの中にも反論は大いにありでありますけれども、残念ながらまた別の機会をひとつお与えいただきたいと思います。これで終わります。
○渡部委員長 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時十九分休憩 ————◇————— 午後一時五分開議
○渡辺(秀)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。横手文雄君。
○横手委員 私はまず大臣にお伺いを申し上げます。 御案内のとおり、けさほど来本委員会におきましてもいろいろと討議がなされておりますように、現在のわが国の不況はきわめて深刻であります。輸出の停滞、内需不振によってその様相は一層深まっており、この回復のために、大臣初め政府関係者が日夜奮闘しておられるところでございまして、その御健闘に敬意を表します。 しかし、中小企業はまさに二重底に落ち込んでいるのが実情であります。とりわけ構造不況業種に指定されている繊維産業は深刻であります。私は先般福井県の産地を回ってまいりました。特に、福井県における繊維産業は、工業出荷額ベースにおいてあるいは従業員ベースにおいて圧倒的な地場産業を形成し、いわゆる産業城下町と呼ばれているところであります。こういった中にありまして、本年度のベースアップの状態を見ても、労使の懸命な努力にもかかわらず、他産業に比べて低位で妥結せざるを得ない、あるいは夏期の一時金につきましても、中には支給のめどが立たない、いまだに夏の一時金が決まっていない、こういう状態を見るわけであります。 先般、私はある組合の大会に行ってまいりました。それは地域における有力企業で、組合は昨年二十周年を迎えたのでございますけれども、この不況の中で、会社の行く先がどうにもならないということで、工場を閉鎖し、労働組合の解散大会が開かれたのであります。あるいはそのほか、人員削減を伴う合理化問題が随所に提起をされております。県内の各業界の皆さん方に尋ねても、訴えられる不況感、それはまことに深刻なものでございます。こういった中にあって通産省、中小企業庁が懸命になって金融政策を施し、強化資金等について十分な手当てをしていただいておる、このことに感謝をしておられます。まことにありがとうございますということでございますけれども、今後の見通し、いわゆる輸出先市場の在庫増、その他内需の低迷、あるいはまた途上国の追い上げ等大変悲観的な材料が多い、こういう実情の中にあります。大臣、御案内のとおりであります。 そういった意味で、北陸の繊維産業に当面救済対策を完備していかなければならないということと同時に、産地の長期的活性化を図っていくことがいまきわめて重要な問題であると私は考えておりますけれども、大臣の御所見をお伺いいたします。
○安倍国務大臣 福井県、石川県等北陸産地の合繊長繊維織物業、撚糸、かさ高加工糸製造業は、昨秋以降、アメリカ、中東及び中国等主力市場における合繊長繊維織物の輸出成約の減少によりまして、工賃の急激な下落に見舞われ、経営環境がきわめて悪化をしておることはよく承知をいたしております。産地では自主減産を実施いたしておるわけでございますが、当省としましても、繊維産業に占める北陸産地の重要性にかんがみまして、県とも連絡を密にしつつ所要の対策に遺憾なきを期す所存でございます。いまお話しのように、中小企業全体が非常に落ち込んでおる、そういう中で構造不況の繊維は特に厳しい状況にあるということを認識し、その上に立って諸対策を講じていかなければ救えない、こういうふうな感じを持っておるわけであります。
○横手委員 いま大臣から大変力強い長期政策を含めた対策を実施するというお言葉をいただいたわけでございます。産地の皆さん方もさぞかし喜んでおられることだと思います。 そこで、私は、好況、不況を繰り返すこの繊維産業の実態あるいは一面的な宿命というのでございましょうか、そういった点について、大臣にお伺いをするわけでございます。 後ほどまた触れますけれども、いま産地ではそれぞれの業種ごとに共同廃棄事業、政府資金による設備の買い上げ等が計画をされあるいは実施に移ろうとしておる時期であります。そもそも繊維産業というのは、諸外国を相手にして競争していかなければならない、あるいはまた途上国からの追い上げも大変激しい産業である、こういう認識の上に立ちますと、どうしても設備の更新、近代化を図っていかなければならない。そうすると、必然的に生産過剰傾向が出てくる、あるいは世界の市場の動向いかんによって、外的要因によって一気にその不況が起こってくるといった一面を持っております。したがって、設備の更新をしなければならない、その反面生産の過剰を来す、そうすると、設備廃棄をしていかなければならない、こういったような宿命的な一面を持った産業であるというぐあいに認識をしておるわけであります。 たとえば日本の繊維産業が世界の中できわめて強い立場にあるということと違いまして、途上国からの追い上げがきわめて激しい。そして先進国と言われる人たちも、繊維に限っては途上国といえども先進国並みであるということで、二国間協定等が結ばれているのであります。ところが、日本はそういった措置がとられていない。しかもいわゆる途上国という恩恵を与えながら、わが国の繊維産業は彼らと競争していかなければならないといった一面を持っておりますので、設備の更新をする、スピードアップをしていく、そして一方では古くなった設備を廃棄していくということが繰り返される、そういった一面を持った産業であるというぐあいに考えておりますが、大臣、いかがでございますか。
○安倍国務大臣 わが国の繊維産業が新興工業国の追い上げに対処するために、設備の更新あるいは需要の低迷等による過剰設備が顕在化する傾向を持っていることは、これはもう否定ができないわけでございまして、おっしゃるとおりであろうと思います。 こうした繊維産業の安定と発展を図るためにどうしたらいいかということが、いま当面している最大の課題であろうと私は思いますが、いまお話しのような背景というものも十分考えまして、通産省としては、御案内のように、六月に今後の繊維産業及びその施策のあり方ということについて、繊維工業審議会並びに産業構造審議会に諮問をいたしまして、現在鋭意御審議をいただいておるところでございます。私としてはやはり早くこの答申をいただきたい。この審議会の結果を踏まえ、答申もいただいて、繊維産業の安定と発展のために、これからの対策を総合的な立場でとっていかなければならないのではないか、そうしなければいけないのではないか、こういうふうに考えております。そういう方向で努力をしてまいりたいと思っております。
○横手委員 いま大臣がおっしゃいました繊工審、局長にお伺いをいたしますが、いま大臣のお述べになりました繊維工業審議会は、五十一年の提言の中で、設備の登録制については廃止の方向で検討すべきであるということが述べられているのであります。そしてまた八〇年代の繊維ビジョンということで、来年の六月を目指して繊工審がいま開かれたのでございますけれども、私はそういった底流があるのではないかという心配をいたします。まさに心配であります。と申しますのは、いま構造不況業種である、そのためにはあるいはやむを得ず設備廃棄をしていかなければならない産業であるということをいま大臣はお認めになったわけでございますけれども、これを進めていくためには、設備の登録というのはもう不可欠の条件ではないかというぐあいに私は思うのであります。あるいは一般論として、そういう過保護はだめだ、自分の力で企業運営をしていかなければならない、いつまででも国に対しておんぶにだっこというのは許されないというような意見がある、これは私承知をいたしております。それも一つの論理であろうと思います。しかし、いま申し上げてまいりましたように、繊維産業の実態を踏まえた場合に、この設備登録制を廃止をしていく。すなわちおっ放しにして競争させていく。好きなだけやりなさい、こういうことは、仮に出たとするならば、現在の日本の繊維産業の活性化の道につながらない。むしろそれは日本の繊維産業の混迷の道を確実に歩んでいく道だと断定せざるを得ないというぐあいに私は考えますが、局長、いかがでございますか。
○志賀政府委員 お答えいたします。 現在繊維産業の各業種にわたりまして設備の登録制がしかれております。これは業種によってかなりまちまちでございますけれども、昭和二十七年ぐらいから不況克服の緊急対策として設備の登録制が始められまして、現在まで続いてきているということでございます。 この設備登録制につきましては、先ほど先生おっしゃいました昭和五十一年の繊維ビジョンの中におきまして、この設備登録制について、業界秩序の維持という点において一定の効果があるということを容認しながらも、他方におきまして、工程別の横断的な同業種間の固定化をもたらすものという観点から、長い目で見まして繊維産業の活力あるいは柔軟性の確保、維持といった観点から段階的に緩和をすべきではないか、こういうことが指摘されているわけでございます。この設備登録制の問題というのは、繊維産業にとりまして大変重要な問題でございますし、また歴史も非常に長い経緯の中にでき上がってきているものでございまして、これを今後どういうふうに考えていくかということについて、現在行われております繊維工業審議会、産業構造審議会の合同の場におきまして、今後検討が進められていくということになるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、急激な変革ということは業界に混乱をもたらすであろうということは、五十一年ビジョンにも指摘されているわけでございまして、先生が先ほどおっしゃいましたような登録制についての評価、これは一つの評価として十分あり得るわけでございます。 ただ、他方において、やはり長い目で見た場合に、登録制というのが結局日本の繊維産業にとってマイナスに働かないだろうか。特に、異業種間の連携を強めていくというようなそういう考え方の中で問題があるのではないか、こういう考え方も一方にあるわけでございまして、いずれにいたしましても、今後審議会の場におきまして、そういったいろいろな考え方を総合しながら検討を進めていきたいというふうに思っております。
○横手委員 私は、その繊工審の議論を頭から否定するわけではございません。おっしゃるような一面があるということは、先ほど申し上げたとおりであります。しかし、この中に盛られておる繊維産業の垂直化を進める、その構造改善のために登録制が足かせになりはしないか。むしろ繊維産業の将来的発展のために、この登録制度がマイナスになりはしないかという一面と、その繊維産業に対する過保護論みたいなものが入ってきて、そしてその設備登録制の問題についてその廃止を求める、こういう前提があるような気がしてならないのであります。 繰り返して申し上げますけれども、私は、私自身十五歳のときから繊維産業の職場の中にあります。そして操短の繰り返しであります。あるいは日本の紡績を見たときに、明治の初めにすでに操短に入ったという記録もあるわけであります。私は、そういった産業であるならば、その不況時において設備の凍結あるいは共同廃棄、こういう宿命的な一面を持っておるということであるとするならば、この登録制度は断じて残していかなければならない。理想を求めてこの登録制度を外してしまったならば、それは繊維産業の発展の道には断じて行かない。それは混迷の道を歩いていく。そのことがはっきりしておるというぐあいに思うわけでございますけれども、もう一遍いかがですか。
○志賀政府委員 先ほども申し上げましたように、登録制、現在のような不況の事態における繊維産業の中で、きわめて大きな役割りを果たしておる、意味を持っておるということは、私ども十分認識しておるわけでございます。そういうことで、今後先生がおっしゃったような御意見、他方において登録制度についてのいろいろな批判の意見もございます。そういうことを両方あわせながら、十分慎重に検討してまいりたいというふうに思っております。
○横手委員 それでは、各業種ごとに当面の対策についてお伺いをいたします。 まず、撚糸業界についてであります。撚糸業界においても、特に仮より業界は、特安法による設備処理によりまして、合繊の需要の停滞あるいは輸入による圧迫、こういったことで幾つかの要素が重なりまして、加工賃の低下による構造的不況に陥っております。したがって、きわめてその経営状態は厳しい状態の中にあります。現在、イタリー式撚糸機は二五%の操業短縮の状態の中にありますし、仮よりの加工賃の低下は採算を大きく割っている状態であります。かつて、第一次オイルショックの後、仮よりの加工賃が低下をいたしました。そのときに業界の皆さん方は、ハイライト加工賃、こういうことで嘆いておられたのであります。つまり当時はハイライトは八十円でございました。これではどうしようもないというととで設備廃棄が行われたのでございますけれども、今日では当時のハイライト、つまり八十円を割り込んでしまったということさえ聞いているのであります。あれから電力料金は大幅に二回の値上げをいたしました。御案内のとおり、仮より機は電力を多量に消費をするところであります。まさに原料と言ってもいいぐらいのところであります。これが大幅に上がってきた。こういう中にあって、なお加工賃はこういうところに低迷をしておるし、そしてまだ底さえ見えないという業界の皆さん方の不安があるのであります。御案内のとおりであります。 こういった構造的な不況を抜本的解決をしていくために、先ほど申し上げましたように、設備の共同廃棄事業を行い、業界の体質の抜本的強化を図るべし、こういうことで業界の皆さん方が通産省に対して陳情をしておられました。それを受けて仮より機の廃棄事業について作業が進められておるのでございますけれども、その状況はいかがでございますか。
○志賀政府委員 仮より業界につきましては、過去におきまして二度過剰設備の共同廃棄をやっております。今回再度過剰設備の処理をやりたいということを業界の方におかれて希望されておるということは、私どもよく承知をしておるわけでございます。 今回の仮より業界の不況の要因でございますけれども、一つには、合繊長繊維織物の需要全体が非常に落ち込んできているということ。二番目には、合繊工業におきまして、特安法に基づいて過剰設備処理をやったわけでございますけれども、それに伴う設備間のアンバランスの問題が出てまいりました。さらには発展途上国からの輸入の問題も影響していると思いますけれども、いずれにいたしましても、そういうようなことを背景にいたしまして、仮より業界は大変な不況に陥っているということはよく承知しております。先生からただいまお話がございましたように、加工賃も非常に落ち込んできております。経常利益ベースで言えば、五十三年以降仮より業界は連続して赤字を続けてきている、倒産企業もかなりの数に上っている、こういう状況でございます。私どもといたしましては、そういった仮より業界の大変な不況の状況、困難な状況を踏まえまして、業界からの御要望を受けまして、現在中小企業庁ほか関係機関と共同廃棄事業の内容につきまして鋭意検討を続けているところでございます。
○横手委員 鋭意検討ということでございますけれども、私が業界を回って皆さん方のお話を聞いたのとではかなり認識に違いがあるような気がいたします。かなり進みつつある、むしろ業界によっては、間もなくそれが始まりますという受け取り方をしておられるわけでございますけれども、そこまではいっていないにしても、いまの答弁では、これは業界の皆さん方と全く合わないような気がいたしますけれども、どうですか。
○志賀政府委員 やや言葉足らずであったと思います。現在内容につきまして中小企業庁とともに検討をし、協議をしているわけでございまして、私どもといたしましては、できるだけ早く結論を得て実施に移していくということで、現在鋭意作業をやっている、こういうことでございます。
○横手委員 それではそういうことできわめて精力的に作業を進めておる最中であるというぐあいに認識させていただきたいと存じます。よろしゅうございますね。——そうしますと、私はこれから……(「検討ばかりではだめだ」と呼ぶ者あり)もうちょっと待っていてください。これを進めるに当たって幾つかの問題があります。これは必ず実施をされる、間もなく急いでやるのだということの前提に立ってのことでございます。そこで、せっかくのお言葉でございますから、もう一遍そこら辺を確認いたしますが、局長、どうですか。
○志賀政府委員 当局といたしましては、できるだけ早く実施に移すという方向で鋭意作業をやっている、こういうことでございます。
○横手委員 そこで、私は具体的な内容の問題にちょっと入らせていただきたいと思います。 お答えの中にございましたように、この業界は過去二回設備の共同廃棄を行っております。一回目は残存者負担ということで行われました。問題を残して終結をいたしましたけれども、いずれにしても残存者負担ということでございました。二回目は政府資金による買い上げ、制度による買い上げということが行われたのであります。 その買い上げ価格の問題でありますけれども、たしかそのときには、その廃棄する時点における簿価の三倍、これが買い上げ価格、当時たしか八百万ほどであったと思います。したがいまして二千四百万、約四二、三%が事業主の本当の手取りになる、こういう形で行われたと思います。こんなことはないと思いますけれども、仮に前回のようなことでこの買い上げ価格が決められるとすると、あれからもう四、五年たっております。私も細かい数字は持っておりませんけれども、恐らく簿価は三分の一程度に下がっているのではないかということで、これは私の予想でございます。そうしますと、前回のような買い上げ価格の算定が用いられると、これはどうしようもないことに相なります。まさかそういうことが今回はとられるというぐあいには考えておりませんし、買い上げに応じられる業界の皆さん、一部縮小あるいはこの際廃業したいという人たちにして見れば、どういう算式が持たれるか、どういう算式によって算定をされるかということよりも、一台幾らであろうかということがやはり大きな問題になってくるのであります。 そこで、業界の皆さん方にすれば、こういう時節だから前回よりも高く買ってください、こういうことでございましょうし、あるいは通産省は、先ほど関係の中小企業庁とも相談しながらということでございますので、必ずしも業界の皆さん方の要望に満杯にこたえられないというようなお考えがあるいはあるかもわかりませんけれども、しかし、その価格の面について、前回の金額、そういったことについていま通産省が考えておられるその買い上げ価格の決定、これらの問題についてはいかがですか。
○志賀政府委員 お答えいたします。 仮より機の買い上げをいたします場合に価格をどうするかという問題が実はございます。ただいま先生から御指摘がございましたような問題があるわけでございますけれども、私どもといたしましては、いずれにいたしましても、前回の価格がどうであったかということも頭に入れながら、御指摘の点について十分慎重に検討してまいりたいと思っております。
○横手委員 いま作業の最中であるし、そういう観点に立って局長が御努力をなさっておられるということでございますので、業界の皆さん方にかわって、この業界を救っていかなければならないという立場で御期待を申し上げたいと思う次第であります。 いま一つは、時期の問題であります。業界の皆さん方は、これは全部の地域かどうかわかりませんけれども、少なくとも北陸地域におきましては年内破砕、そして年末までにその代金の一部がいただけるのではないか、こういったような期待をしておられますし、そうなるであろうというような前提に立っておられるようなところも一部あるわけであります。そうしますと、この買い上げ価格が決定をいたしますと、これは全部政府資金ということではなくて県も負担をしなければならない。そうなりますと、県としては、少しだけならあるいは予備費の流用というようなことがあるかもわかりませんが、産地におきましてはそういうことではだめだと思います。やはり県で補正予算を組まなければならないという事態が発生をいたします。これは各県によって九月議会で補正を組んでもらわなければ間に合わないということになります。九月補正を組もうということであるとするならば、もうあと何日もない、こういう気がするわけですけれども、そういう観点に立って進められておるというぐあいに理解をしてよろしゅうございますか。
○志賀政府委員 先ほどできるだけ早く実施に移せるように鋭意作業をしているということを御答弁申し上げましたけれども、その意味するところは、県によって九月に補正が行われるということを頭に入れながら作業を進めている、こういう意味でございます。
○横手委員 そういうことでぜひ進めていただきたいと思います。 中小企業庁長官にお伺いをいたしますけれども、いま申し上げてまいりましたように、次の業種のときにも出てまいりますけれども、そういうことで中小企業の活性化のためにこの法律を発動して、そして業界を救い、新たな再活性への道を歩もうということで、通産省、業界の皆さん方と十分相談をしながらやっておられる。特にそういうときに、先ほど局長が言っておられますように、中小企業庁とも十分に相談をしながら、御理解をいただきながら、こういうことが何遍も言葉の中に出てきたわけであります。中小企業庁長官として、これら一連の廃棄事業に対するお考えをお伺いをいたします。
○神谷政府委員 中小企業庁といたしましては、当然のことながら中小企業者の側に立って物事を考えてまいりますが、同時に、政府資金という非常に貴重なものを運用しなければならないということでございますので、この点も私どもとしては十分、十分以上に念頭に置かなければならない、こういうふうに考えております。したがいまして、今回当業界の廃棄事業が三回目である、こういう事実、過去の事業実施の状況、そういったものを踏まえながら、冒頭申し上げましたような観点から、担当原局とともに誠心誠意、いま話し合いを進めておるところでございます。
○横手委員 担当原局と十分に相談をしながら、こういうことでございます。担当原局の局長とのいままでの質疑をお聞き取りいただいておりますが、そういう観点に立って担当原局としては業界の皆さん方にこたえたい、そのために中小企業庁の理解と協力をいただきながら進めたい、こういうことをおっしゃっておるわけでございます。それにこたえていきますというのが中小企業庁の長官の答弁であるというぐあいに理解してよろしゅうございますか。もう一遍……。
○神谷政府委員 生活産業局長が真剣に一生懸命取り組んでおられる、こういうことはもう十分認識しております。
○横手委員 何遍聞いても同じことになるかもわかりませんので、それではそういうことを御期待をしながら、次に入らせていただきます。 局長、この仮より業界はもう一つの大きな悩みといいましょうか、そういったものを持っておられます。先般来、業界紙を初め多くのところで新聞報道になりましたように、いわゆる新兵器の開発が非常に進んできた、そしてそれを導入の動きがあるということであります。つまりこれはPOY−DTY化ということでございましょうか、これが非常に進んでおる。これは私は、今日まで日本の繊維産業、とりわけ合繊産業が世界の中で冠たる地位にあった。しかし追い上げによっていま大変苦しみの中にある。残された道はコスト競争によっていい品物が安く、こういうことで世界の市場と競争していくということにある。そのためには織機がどんどんどんどん高速化してくるように、これらの仮よりの機械も必然的に高速化してくる、こういうことは認識をしておるわけでございまして、そういうことはやむを得ないことであろうというぐあいには思うわけでございますけれども、ただ、いまのこの設備が現行設備能力毎分百から百五十メートルの加工能力に対しまして、これは毎分八百から千メートルという八倍から十倍の能力を持った機械であり、そして大手が資本力でもってこれをどっと入れる、こういうのが一部報道されておるわけでございますが、これらのことが余り急激にやられるということは、業界の皆さん方に必要以上の混乱を起こすことになりはしないか、こういう気がしてならないのでございますが、いかがでございますか。
○志賀政府委員 お答えいたします。 ただいま先生からお話がございましたように、合繊メーカーの中でPOY−DTY化によって、仮より加工系の内製化と申しましょうか、そういう動きがあるということは私どもよく承知しております。いずれにいたしましても、ただいま先生もお話ございましたように、合成繊維関係の国際競争力を維持、強化していくというためには、やはり関連業界それぞれの分野において特段の合理化努力が必要だろうというふうに思っておりまして、この合繊メーカーにおけるPOY−DTY化の動きも、それの一環をなすものというふうに存じます。 したがいまして、そういう方向で、やはり合成繊維産業全体としての競争力の維持、強化を進めていかなければいけないというふうに存ずるわけでございますが、ただ、一面において、確かに先生が御指摘になるようなそういう問題もあろうかと思います。いずれにいたしましても、このPOY−DTYの機械、設備でございますけれども、このDTY機、DTY設備については、これは設備登録の対象になっておるわけでございまして、そういう面から申しますと、そういう設備面での調整というのは行われているというふうに承知をしております。同時に、やはり仮より業界の方におかれても、この専業者として技術の向上なり設備の合理化あるいは差別化商品の開発、いろんな面で仮より業界としての存在意義というものを確立していくという努力がやはり必要だろう。そういうことが両々相まちまして、日本の合成繊維産業の国際競争力というのが強化されていく、こういうことではないかというふうに思います。
○横手委員 私は口で言えばそういうことになるだろうというぐあいに思うのであります。仮より業界の実態はどうかということでございますけれども、先ほど買い上げの値段のときに申し上げましたように、四年前からすると、あるいは簿価は三分の一に下がっているかもわかりませんよということを申し上げた。それはそれだけ設備投資が行えない、不況業種として悩み苦しんでおられる業界なんだということなんであります。設備更新がどんどんできていくということであれば、四年たって簿価が三分の一になるようなことはあるまい。ところが現実にそういう傾向にあるということは、設備投資すらできないいわゆるじり貧の中にあった。そして今回設備買い上げによって何とか活性化の道をと、こういう業界にあるという前提に立って、これはおっしゃるように、新しい機械がどんどん入ってくる。大手もやる。だから既存の業界も力を合わせてあるいは近代化のためにやっていく。当然のことでございましょうけれども、それをそれだけでこの業界がわかりましたと言えない状態の中にあるのです。 申し上げてまいりましたように、今日まで不況のどん底にあった。一体全体どうしたものだというときに、こういう問題がばっと業界紙等に出されると、必要以上の不安感に駆られて、この先もう真っ暗やみになってしまうのではないか、こういうむしろ活性化よりも後ろ向きのような話になってしまうおそれがある。このことを私は大変危惧するわけでございますので、そこはそれ中小企業の皆さん方叱咤激励をしながらがんばっていただくのが原局の仕事であるというぐあいに考えますし、そういうことを両々相まっての施策、指導のあり方、こういうことについていかがでございますかということをお尋ねをしておるのであります。もう一遍……。
○志賀政府委員 お答えいたします。 確かに仮より業界の経営が大変困難な状況にあるということで、設備投資が十分に行われていないということは、これは事実でございます。恐らく今度の業界の方で希望されております共同廃棄事業というものも、やはり将来に向かって仮より業界の体質を強化していくための基盤整備という側面というのがあるのだろうというふうに思います。したがいまして、そういう意味におきましても、私どもとして、共同設備廃棄事業についく先ほど申し上げましたように、現在鋭意作業をやっているわけでございますけれども、そういった際にも、そういったPOY−DTY化というようなそういう客観的な情勢の変化というものがあるということを頭に踏まえながら作業をやっているところでございます。
○横手委員 ぜひそういったきめの細かい指導をお願いを申し上げ、そのことが仮より業界の活性化のために、将来への発展のためにつながる、そういう指導をお願いを申し上げておきます。 次に、合繊織物関係について御質問を申し上げます。 この業界も大変厳しい状態の中にあります。今日まで仕事量は減ってきた、あるいは加工賃はどんどん下がってくる、こういうふうな背景のもとに、何とかしなければならないということで、福井県では四—六に操短が行われました。そしてその操短が解除された七—九におきまして、その加工賃の状態は、全般的に多少上がりぎみではございますけれども、中にはなお下降線をたどっているところがある。しかも、その今日の加工賃たるや前年度に比べて品物によってはもう半分ぐらいに落ち込んでしまっておる。こういうようなきわめて困難な状態の中にあります。 〔渡辺(秀)委員長代理退席、森(清)委員長代理着席〕 したがって、これらの業界におきましても、これから先、構造改善を進めていかなければならない。こういうことで、一気に村区分まではいかないにしても、それを福井県あるいは石川県の県単位で認定制を実施をしようということが行われておるということを聞いておりますけれども、その内容と進捗状況についてお伺いをいたします。
○志賀政府委員 お答えいたします。 ただいま先生からお話がございましたように、福井県、石川県、両県におきまして、現在の不況を克服するための一つの対応といたしまして、織機の認定制を検討されております。七月十六日に日絹連の正副会長会議におきまして、福井県と石川県において県単位での認定制を検討していこう、こういうことになったというふうに承知しております。この認定制の内容でございますけれども、現在両県の組合におきまして検討を続けている最中でございまして、詳細について必ずしも私ども明らかにしておりませんけれども、考え方といたしまして、それぞれの組合の認定を受けたそういう織機でなければ合成繊維織物を織ることができないというような形にいたしまして、両県における合成繊維織物織機の能力を一定の限度に抑えていこう、こういう内容のものというふうに承知をしております。
○横手委員 私は先ほど来申し上げておりますように、繊維の設備の登録制の問題、これはどうしても必要な問題だと思いますし、あるいは他の業界の関係もあってなかなか一気に村区分までいけないということのために、さらに今後設備廃棄等の問題が具体化する、こういうことのためには、ぜひそれらの問題について、設備廃棄をしたわ、しりからはどんどん漏れておったわ、こういうようなことにならないためにも、これはぜひ必要なことであるというぐあいに考えますし、通産省としての御指導をお願い申し上げておく次第であります。 先般、通産省に対しましても、福井県織物構造改善工業組合からの陳情書が届いておると思います。局長のお手元にも行っておると思いますけれども、この中にも述べられておりますように、昨年の十月以降、輸出環境の急変、内需不振、こういうことによって四十九年のオイルショックによる大不況をしのぐ不況に見舞われておる、こういった関係から、機業の倒産あるいは蒸発多発といったような社会問題にまで発展をし、当業界は深刻な危機感に襲われております、こううことを訴えておられるのであります。具体的には、一つとして「設備共同廃棄の早期実現について」こういうことで陳情がなされております。これは絹織物業と化合繊織物業と二つに分けられると思いますけれども、この問題についていかがでございますか。
○志賀政府委員 お答えいたします。 先ほど先生からお話がございました福井県の織物構造改善工業組合からの陳情書、私もいただいております。その中で、合成繊維織機についての共同廃棄の御希望が出ているということもよく承知をしております。この合成繊維織物についての設備の共同廃棄事業でございますけれども、本件について福井県から御要望が出ているわけでございますけれども、私どもといたしまして、日絹連として全体としてこの過剰設備処理をやりたい、こういう御希望が出てきた段階におきまして、その内容をよく検討して対応してまいりたいというふうに存じております。 なお、絹織物の方でございますけれども、絹織物の方は、すでに業界の方でまとまって計画を立てられているというふうに承知しておりまして、本件については、私ども前向きに取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○横手委員 これは福井県の構造改善組合でございますから、やがてこれも日絹連の問題として出てくるのではないかというぐあいに考えます。したがって、余り仮定の話をしてもどうかと思いますけれども、私はこの際にも、先ほど申し上げましたように、買い上げ価格の問題はやはり大きな問題になってくるであろうというぐあいに考えておるところであります。この陳情書の中にもそのことが明記をされております。 御案内のとおりでございましょうけれども、これは本年の三月三十日のある銀行の調査でございます。福井県における織物製造業に対する市中銀行からの貸し付けは約八百八十七億、このうち織物全体が約六〇%とすれば五百三十二億、それを一台当たりに割り返しますと、七十八万円というのが三月三十日現在の時点であります。しかし、先ほどから申し上げてまいりましたように、この四—六で操短に入りました。そして通産省並びに中小企業庁、そしてまた地元の自治体にこの操短を乗り切るために金融措置をつけていただいたのでございます。体質強化資金あるいは市町村の景気変動資金、こういうことをあわせまして、織布業界がこの期間に借りた金、用意された金ではなくて実際に借りた金を見ますと、二十六億五千万円、こういうことに相なっております。したがって、三月三十日現在の一台当たりの織機の借り値の状況と今日時点、四月から六月までの間に実際に借りられたというのを合計いたしますと、一台当たり約百万円ということに相なります。ところが、これは百万円で買ってくれということにはなかなかならないというぐあいに思いますけれども、この陳情書の中には、絹織物がいわゆる再調達価格の四分の三という規定がある。化合繊織物は二分の一ということで今日まで行われてきた。ところが化合繊織物についても、たとえば原糸一つをとっても、いわゆる国際糸価と国内糸価との間には大きな隔たりがある。こういった関係から、これは構造的な、政治的な、政策的なものが多分に含まれておる。そして織物になって外国と競争しようとすることになれば、その価格が圧迫をされる。国内における糸の値段は高い。そのしわ寄せはどうしても先ほど申し上げましたように、こういったことで加工賃の中に入ってきてしまう。したがって、その借金はこういうようにふくれ上がってしまうのだ、こういうことが克明に述べられておるわけでございます。 さすれば、こういった背景の上に立って、次に行われる設備廃棄、買い上げのときには、その価格は絹織物の織機並みの基準にしていただきたいということが強く述べられておりますけれども、この点について通産省のお考えはいかがでございますか。
○志賀政府委員 先ほど申し上げましたように、合成長繊維織物の織機の廃棄につきまして、まだ業界の方からまとまった形で話が出てきておりません。出てきた段階で私どもとしては検討をさせていただこう、こういうことでございます。したがいまして、いま価格の点について申し上げるのもいかがかと存じますけれども、この前、福井県の方が私のところにおいでになりまして、価格の点について絹織機並みの価格という御要望を強くおっしゃっておられました。私どもの考え方といたしまして、絹織機について確かに特例を講じたわけでございますけれども、これは生糸の一元輸入という国の政策による被害、影響に対する救済措置として、特に講じられた特例でございまして、仮に将来合成繊維織物についての織機につきまして、共同廃棄事業をやるという場合におきましても、価格の点について絹並みということについてはなかなかむずかしいのではないかという感じを持っております。
○横手委員 その絹についての政治的な背景はよく承知をいたしております。しかし、いま申し上げたような化合繊織物の中においても、絹の一元化輸入ほどのことはないにしても、いま申し上げましたように、国内価格と国際価格の糸価の問題等から追い詰められてくると、その差額分だけ、つまり一匹当たり約四キロということでございますので、仮に一キロ百円違ったにしても、その四百円分は加工賃にしわ寄せがきておる、だからもうにっちもさっちもなりませんという言い分があるわけでございます。これを全く否定されますか。
○志賀政府委員 お答えいたします。 特に不況の状態になりますと、加工賃にしわ寄せがきがちであるということは否定できないだろうというふうに存じます。ただ、いずれにいたしましても、日本の原糸価格につきましても、確かにアメリカの国内価格などに比べますと原燃料のコスト差というようなこともございまして、日本の原糸の方が高いというような実態にはあろうかと思いますけれども、そういった点について、原糸メーカーにおきましてもいろいろな面でコストの切り下げのための努力をやっているところでございまして、そういった合繊メーカーにおける原糸のコストの切り下げのための努力等々によりまして解決をしていく問題ではないかというふうに存じます。
○横手委員 いずれこの問題が具体化したときに、またひとつ具体的な問題を詰めながら取り上げさせていただきたいというぐあいに考えます。 余り時間もございませんので、次は染色業界でございます。 これは具体的にどうこうということではございませんけれども、この実態もずっと見てまいりました。御承知のとおり、染色業界はその取引形態が受託加工一本ということでございますので、大変弱い立場にあります。したがって、もう不況になってくるとどうしてもそこへそのしわが寄っていく。あるいはなかなか加工賃でしわが寄せられないということに相なってまいりますと、マーケットクレーム、こういうことによって実質的加工賃が大幅に切り下げられてしまう、こういうことで、いま北陸地方における染色業界は大変な苦しみの中にあるわけでございます。業界としても適正加工賃のためにということでいろいろ御努力はなされているようでございますけれども、しかし、業界の体制そのものがいまなおばりっとしたところがない。こういうようなことで、心の中ではみんな思いながらもなかなかこれが具体的な足並みとしてそろってこないし、足並みがそろわないから一斉に歩こうということはなかなかできない。しかしながら、苦悶の最中にあるこういう実態を私十分見てきたわけでございますけれども、これらの問題に対して、通産省として適切な指導の方針などございましたらひとつお聞かせいただきたい。
○志賀政府委員 お答えいたします。 染色業界の特質といたしまして、先生からお話しございましたように受注加工という特質がある。同時に設備産業でございまして、一定の稼働率を維持していく必要が特に強い。こういうようなことから、特に不況になりますと、加工賃の切り下げというような影響が出て経営が悪化する、こういうような状況にあるということはよく承知しております。 私どもとしては、一つにはその非常に低い不当な加工賃の押しつけというようなこととかあるいは不当な返品であるとか、いろいろないわゆる不公正な取引ということが仮にあったとすれば、そういった点については独禁法なりあるいは下請代金支払遅延等防止法、そういったものを通じましての指導ということになろうかと思います。いずれにいたしましても、そういうことと離れまして、やはり取引慣行の近代化、改善ということも必要だと存じておりまして、これは従来から私どもとして取引近代化のための協議会を設けまして、その協議会の活動を通じて繊維取引についての近代化、合理化を指導しているところでございます。 なお、申し上げるまでもございませんけれども、染色業界として非常に高い技術レベルを持つ企業、これはかなりの対抗力を持っているはずでございます。したがいまして、同時にそういう染色業界において、やはり技術の向上なり何なりを通じて対抗力をつけていくということが必要ではないか。私どもとして、そういう方向で、そういう面での指導ということはやってまいりたいというふうに存じます。
○横手委員 技術の向上によって加工賃をみずから高めていく、そういうこともそれぞれの企業で懸命に努力がなされておる。これはもう御承知のとおりでございまして、それが彼らの命でございますので、これは労使挙げて新技術の開発等には取り組んでおります。しかし、いま局長も御指摘ございましたように、しょせん受託加工という大変弱い立場の中にあります。不当なことを言われる、たとえばマーケットクレームがつけられるとしても、これは不正取引法に違反をいたします、したがって、私のところではこの法律に基づいてあなたを訴えます、こういうことが言えたら私はこういうことにならないと思うのです。法律はあってもなかなか使えない。使わない方が悪いのかあるいは使えないほど弱い立場なのか、そういったところが議論だと思いますし、その議論を進めてみたところでこの解決にならないのでありますから、先ほど御指摘ございましたように、業界の足並みをそろえるような形、そして業界全体として不当なマーケットクレームあるいは返品等に対して集団的に対抗できるような業界の指導育成ということが大変大事なことじゃないか。そのためには、やはり通産省あたりから積極的に出かけられて、これらの指導に当たっていただくということが大変重要なことだ。業界の皆さん方もそれを待っておられるという気がいたしますので、ぜひこの機会にそれらの積極的な御指導をいただくようにお願いを申し上げておく次第でございます。 それから、中小企業庁の金融課の方おられますね。 一つだけお伺いをいたしますけれども、今日、信用保証協会を通じて貸し付けがどんどんふえてくる、そして事故が起こる、代位弁済がふえてくる、こういう非常に残念な状況の中にあるわけでございます。こういう状況を反映をいたしまして、いま信用保証協会は大変厳しくなってきたという声を中小企業の皆さん方から聞くのであります。私も具体的にこんな事例があったということをいま持っておるわけではございません。話としてそういうことでございます。 ただ、貸し付ける窓口として、返済計画を持ってきなさい、こう言うことは当然のことでございましょう。ところが、中小企業としてはなかなかそういうものはつくれない。返済計画もなかなかつくれないところにお金を貸すわけにいきません。これは私のところは金をあげるところじゃなくて貸すところでございますので、返してもらう計画がなければお金を貸してあげるわけにもいきません、これもわかるのであります。これもわかりますけれども、しかし、そういうことがなかなかスムーズにいかない。したがって、目いっぱい借りてきておる。だけれども、どうにもならない。不況業種については特定枠を設けた、こういうことも行われているのであります。中小企業者の皆さん方にしてみれば、その与えていただいた特定枠は名前ばかりでございましょうかというまた一面の不満も出てくるところでございます。大変むずかしい問題でございましょうけれども、全国的にそういった事例もたくさん挙がってきておることだというぐあいに思います。これらの問題について、具体的な指導ということになるとなかなかむずかしいのでしょうけれども、こういう悩みがたくさん挙げられておりますよという実情を聞いてまいりましたが、いかがでございますか。
○本郷政府委員 先生ただいまお尋ねの信用保証につきましては、中小企業の担保力とかあるいは経営の実態等からいいまして、その金融上の信用保証が最後のよりどころということになることが非常に多いわけでございまして、したがいまして、先生もいまお話しのとおり、実際の信用保証の引き受けに当たりまして、非常にむずかしい問題が現場においてはあるということでございます。 特に、不況業種につきましては、中小企業信用保険法におきまして不況業種を指定いたしまして信用補完の特例を設けておりますし、その実績を多少申し上げますと、現在時点で産業分類でいいますと、九十九の業種が指定されておりまして、指定されますと、特例措置としましては、付保限度の別枠、保険料の軽減、てん補率の引き上げというものを信用保険公庫が行いまして、各県の信用保証協会の負担の軽減を図るということ、それからまた予算措置としまして、この信用保証の特例を行うために、信用保証協会がこうむるおそれのある不測の損害をてん補するため基金補助金というものを交付することを行っております。 実際に、不況業種の特例を活用しております利用状況といいますと、五十六年度の数字で申し上げれば、約三百三十億円がこの特例保証によって金融が行われているということでございます。この実際の利用に当たって、私どもといたしましては、中小企業の立場に立って保証がうまく行われるよう実際の仕事をしておる保険公庫、信用保証協会等を指導しているところでございます。
○横手委員 時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。
○森(清)委員長代理 宮田早苗君。
○宮田委員 今日財政再建を何としても行わなければならぬという重大なときでございますだけに、これを実行するに当たりましては、経済が失速しておりますとこれも実行できない、こう思うわけであります。 そこで、行財政改革の枠の中で実効のある個別産業対策をとることが特に必要か、こう思うわけでございます。そこで、いま非常に苦境に立たされております石油化学、それとアルミ製錬等深刻な不況にあることは大臣も御存じのとおりと思いますが、これらの業種に対しましてどのような対策をお考えになっておりますか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
○安倍国務大臣 現在、石化、アルミ等の基礎素材産業は、産構審の関係部会の答申等を踏まえて、構造改善、再活性化へ向けて自主的な努力を行っているところでありますが、その方向といたしましては、発電燃料の石炭転換、それから原料転換などの原材料、エネルギー対策、それから二番目としては、過剰設備処理、生産の受委託等を含めた集約化を通ずる産業体制整備、三番目として生産の方法、製法転換などの技術開発などが考えられるわけでございますが、通産省としましては、現下の厳しい財政事情ではありますが、基礎素材産業の重要性にかんがみまして、これら業界の今後の対応を見詰めつつその自主努力を支援するため、所要の税制であるとかあるいは金融上の措置、環境整備のための法的措置等の実効ある総合的な対策を検討、実施していく必要があると考えておりまして、このため産構審のもとに設置された基礎素材産業対策特別委員会、最近設置されたばかりでございますが、この委員会における審議等を通じまして、具体策を煮詰めていくことといたしておるわけであります。
○宮田委員 もう一つは、日本経済全体が跛行型というふうに言われております。この跛行型になりました最大の原因というのが輸入ということでないかと思います。特に素材産業は、この輸入に対しまして非常に苦しんでおるのじゃないかと思いますが、これに対しまする考え方がありましたならばお聞かせ願いたい、こう思います。
○斎藤(成)政府委員 基礎素材産業が輸入の増大で困っております原因というのは幾つかあろうかと思いますけれども、私どもは供給面で原因が三つぐらいあるんじゃなかろうかというふうに考えております。 第二次石油危機によりましてナフサとかチップとかそういった原材料の値が上がった、あるいはまた電力などエネルギーコストが上がっている、こういったコスト上昇の問題が一つでございます。 それから二番目には、これはほかの国と日本とエネルギー供給構造が違うものですから、日本の場合は、特に油に依存している度合いが大きいということで、相対的に日本が不利になります。そういう国際競争力が低下しておるという問題が二番目。 それから三番目は、こういった素材産業の場合は、製品の差別化ということがなかなか困難なものですから、各企業間の競争がどうしても激しくなりまして、特に装置産業でございますから、増産をすることによって値を下げようとする、そういう増産圧力も加わりまして過当競争が激しくなってくる。 供給サイドでは、大きく言えばそういった問題じゃなかろうかと思います。 需要の面から申しますと、最近特に内需が低迷しておりますこととかあるいは価格変化によりまして需要構造が変わってまいりまして、需要がほかの方に移ってしまう、そういうことが原因というふうに考えられているわけでございます。 したがいまして、こういった原因に対して適切に取り組むということが必要なわけでございまして、その具体的な内容をどうするかということにつきましては、まさに今後の課題でございますから、勉強をさせていただきたいというふうに考えております。
○宮田委員 さきに大臣おっしゃいましたように、今度産業構造審議会の下部機構として基礎素材産業対策特別委員会が設置されるわけでございまして、大変結構なことと思いますが、これの趣旨、さらには運用、役割り、それと特別委員会が検討をいたします項目、さらには検討の過程の中で当然起こってくると思います公取との関係、各業界との関係、これの調整方法、早速でございますが、けさの新聞あたりには公取の方からいろいろ問題も投げかけられておるようでございますから、これらの問題、特に特別委員会を設置するに当たりましてのいろいろな問題点、たくさんあると思いますけれども、ひとつ御説明願いたい、こう思います。
○斎藤(成)政府委員 一昨日の産業構造審議会の総合部会で設置が決まりました基礎素材産業対策特別委員会でございますけれども、まだメンバーは確定いたしておりません。私どもがこういった方々の御参加をというふうに関係の方々と御相談をしておりますのは、もちろん基礎素材産業の業界関係の方々にお入りいただきますけれども、そのほかに学界の方々、それから当然一番影響の大きい労働界の方々、それから基礎素材産業は各地方の産業の核になっている分野が多いわけでございますから、そういった地方自治体の方々、また基礎素材産業とおつき合いの大変深い中小企業の関係の方々、その他たとえばジャーナリズムとかそういったところまで考えまして、できるだけ広範な方々の御参加を願いまして、そこで御検討をお願いするということを考えております。内容はもちろんこれら基礎素材産業の再活性化を図ることをねらいとするわけでございまして、できるだけ総合的横断的な審議検討が行われることを期待しております。具体的な検討項目は今後の問題でございますけれども、いまのところは、基礎素材産業の現状と問題点、基礎素材産業の国民経済上の位置づけ、それから基礎素材産業対策の方向と具体的内容、大体こんな項目を考えております。 それから、御質問のございました公取との関係でございますけれども、この特別委員会でもし独禁法に関連する事項が議論の過程で俎上に上りますれば、多分上ると思いますけれども、その場合には、私どもとして公正取引委員会と十分調整をいたしまして措置したいと考えているわけでございます。けさの新聞のことをちょっと御指摘ございましたけれども、新聞は必ずしも当方で考えております内容を正確に伝えてないようでございまして、公正取引委員会の方も、現在私どもが考えております基礎素材産業対策特別委員会の構成については異論を持ってはいないと聞いております。
○宮田委員 いずれにいたしましても、この特別委員会で打ち出されます結論は、業界あるいは労働界等々直接かかわっております人々が非常に関心を持っておりますだけに、ぜひ期待に沿うようにお願い申し上げたい、こう思います。 そこで、石油化学業界のもう一つの問題といたしましては、過当競争体質が今日顕著になってきておるのじゃないかと思います。この過当競争体質は産構審でも指摘されているところでございますが、業界の再編、体制整備に向けて通産省は当然指導をなさる、してもらわなければならぬわけでございますが、どのような指導をお考えになっておりますか。いままでこの種の関係についていろいろ御指導なさった経過があれば、含めて御説明願いたい、こう思います。
○植田政府委員 御指摘のように、石油化学工業におきまして過当競争体質があると私どもも思っております。現在内需も大変落ち込んでおりますし、輸入も急増しておりまして、大変困難な状況に置かれておるわけでございます。そういったところで過当競争が行われるということは、まさにみずからの首を締めると申しますか、大変問題であろうと私どもも考えておるわけでございます。 これに対する対策といたしましては、産構審の答申にも書かれておりましたので、私どもといたしましては、石油化学産業の体制小委員会というものを現在すでに設置してございまして、その中で今後の体制のあり方、その進め方あるいは政府の支援策等を検討しているところでございます。その検討の中で、当然この過当競争問題も重要な問題意識となっているわけでございますが、こういった検討を踏まえまして、今後私どもは適切な手を打っていきたいというふうに考えているわけでございます。 〔森(清)委員長代理退席、委員長着席〕
○宮田委員 特に、この問題の解決の基本は構造改善を行うということにあろうかと思いますが、この構造改善を行う過程においては、どうしても業界が一体とならなければ、言うならば、全企業が参加しなければなかなか成功しない、これはいままでの例もそうでございます。そのためにはアウトサイダーという問題が出てくるわけでございますが、この問題について指導の方法といいますか、通産省の考え方ございましたらひとつ説明していただきたいと思います。
○植田政府委員 構造改善に当たりましては、私どもといたしましては、何よりも企業の活力の維持あるいは創意とか工夫といったものを最大限に発揮することが重要ではないかというふうに考えているわけでございます。そういった点、業界といたしましても、コストダウンとか製品の高付加価値化あるいは産業体制の整備等によって国際競争力の回復を図るということの必要性については基本的には一致しているというふうに見ておりますが、正直申しまして、各企業になりますといろいろな事情等もございまして、必ずしもすべての意見が完全に一致するというわけにはまいっていないのが実情だろうと思います。 私どもといたしましては、あくまでも企業の活力を維持するということはベースとして踏まえる必要があると考えておりますが、先ほど申しました体制小委員会でもいろいろと体制整備の進め方を検討しておりますので、そういった審議を踏まえまして、企業の活力を尊重しながら必要な対策を講じていきたいというふうに考えているわけでございます。
○宮田委員 ことしの上期、これは一−六月でございますが、エチレン換算輸入量が二十二万トンに達したわけでございますが、輸出量は十九万トンと半期ベースで輸出入が初めて逆転をしておるわけでございます。最近は輸入の急増が顕著になってきておりますが、通産省はこの輸入対策に何かお考えを持っておられるかどうかお聞きいたします。
○植田政府委員 御指摘のように、最近は輸入が急増しております。従来、輸出の方が輸入よりも多かったわけでございますが、昨年の十二月から輸入の方が多いという状況が続いております。これは御承知のように、安い天然ガスを原料とするアメリカとかカナダあたりから汎用品を中心にふえているわけでございますが、こういった状況は、もちろん先のことをいまから的確に見通すことはむずかしいといたしましても、基本的には汎用品等においては、こういう厳しい状況が続くであろうというふうに私どもは見ているわけでございます。 それで対策でございますが、これは基本的には体制整備とかコストダウンとか、そういった企業の体質を強化する、そこにあることは言うまでもないわけでございますが、この輸入急増ということ自体に着目して考えますと、私どもといたしましては、基本精神としては、自由貿易の保持ということ、これはベースに置かなければならない。ただ、いわゆるダンピング輸出とか、そういった不公正な貿易というふうなものがある場合には、やはりガットのルールにのっとった対応策を講ずる必要があるのではないかというふうなことを考えているわけでございまして、そういうた意味では、業界等におきましても、そういうふうな対応の動きがあれば、当然私どももそれに応じた対処をしていきたいというふうに考えております。
○宮田委員 ぜひそうしていただきたいと思います。 もう少しこの輸入の問題についてお問いしますが、これからも輸入というのがどんどん増加をしてくる傾向にあると思うのです。しかも、需要は逆に減少をするということになりそうでございまして、そうしますと、国内生産には非常に大きな影響を今日より以上に与えるのじゃないかと思います。そこで、輸入の問題を中心にいたします将来の見通しということで、非常にむずかしい質問になるわけでございますけれども、見通しの問題についてどのようにお考えになっておられるか、わかればちょっと知らせていただきたいと思います。
○植田政府委員 見通しにつきましては、一言で言えば大変厳しい状況であろうというふうに見ているわけでございます。 内需につきましては、御指摘のように、今後そう大きな伸びというふうなものはなかなか見込めない状況にございます。いわゆる既存の素材へ転換する、代替していくという傾向も、ある程度一巡しておりますし、あるいはまた、最近相対価格が非常に上昇しておりますから、そっちの面からなかなか需要が伸びにくいという面もございますし、あるいは需要も内需も大きく伸びるということは期待できないというのが基本的な見通しであろうと思います。そういうことからいたしますと、一方、設備面ではかなり過剰な状態がこのままでいけば続くというのが率直なところの見通しでございます。
○宮田委員 産業構造審議会の中の化学工業部会、これの答申についてちょっと御質問したいのは、わが国のエチレン換算内需量、この答申によりますと、一九八五年が四百五万トン、九〇年が四百七十五万トン、生産は八五年で三百八十万トン、九〇年で四百五万トン、それから輸出入バランスを、八五年が二十五万トンの入超、九〇年が七十万トンの入超、こういう計算をしておるところでございます。いま挙げましたこの答申はちょっと無理があるのじゃないか、こう思うのです。 そこで、無理があるならば下方修正をしなければならぬと思うわけです。確信があれば、これを一つのもとにしていろいろ対策を立てていただかなければなりませんが、そういうふうな考え方についてお聞きしたいということと、それからもう一つは、これに関連して言えますことは、需給の見通しに少し甘さがあるのじゃないかというふうにも思われるわけでございまして、そういう点について通産省としての見方、考え方がございましたら、ひとつお知らせ願いたいと思います。
○植田政府委員 この答申の需給見通しにおきましては、幾つかの前提を置いた計算をしているわけでございますが、主な点を申し上げますと、石油の価格の値上がりというのは、実質的には当面そう大きくないだろうというふうな一つの見通しがございます。それから経済の成長の見通しにつきましては、政府の長期経済見通しというのを根拠といたしまして、いろいろマクロ的な計算とかあるいは積み上げの計算とかやりまして出しましたのが、先ほど御指摘のあった数字でございます。 それで、これが果たして見通しとしてどうなんだという御指摘でございます。将来のことでございますのでなかなかむずかしいわけでございますが、その後輸入の急増というふうな状況も踏まえまして、いろいろ関係者の間には、将来の見通しとしてはもう少しかた目に見た方がいいのではないかというふうな御意見もあることは事実でございます。私どもといたしましては、そういう御意見も十分貴重な御意見でございますので、現在ワーキンググループを産業構造審議会の化学工業部会のもとに置いておりますので、そこでかなり専門的な立場からいろいろな検討を行っておりまして、この答申の数字はもちろん尊重しなければなりませんけれども、同時にまた、いろいろな角度から検討いたしまして、さらにもう一遍見直すべき点があれば見直すという姿勢で、いま改めてまた検討しているというところでございます。それを踏まえまして、将来の設備のあり方なり体制のあり方を考えていきたい、こういうふうに考えております。
○宮田委員 最後でございますが、今日のわが国の素材産業は景気が非常に悪いということ、これは内需が不振である、原燃料価格が非常に高くなってきている、自然国際競争力が低くなっておりますし、同時に輸出がそれに伴って減少する、逆に輸入が急増する、これは大臣御存じのとおりでございます。 そこで、産構審挙げてこれからいろいろな面で検討なさると思いますが、いずれにいたしましても、産構審としての答申が近いうちに出されるんじゃないかと思います。出されましたら、できるだけ速やかにそれに基づく実効の上がる政策というものを樹立していただきたいということを特にお願いを申し上げておきたいと思います。大臣、見解がありましたらひとつ……。
○安倍国務大臣 いま御論議いただきましたように、基礎素材産業はいわば構造的不況といったことで大変な危機にいま陥っております。これに対しては、抜本的な対策を講じないと生き残れない。日本経済をこれまで支えてきた基幹産業でありますから、どうしてもこれは残さなければならぬ産業であります。 そこで、産構審で特別委員会をつくりまして、円城寺さんに委員長になっていただきまして、精力的に論議を煮詰めていただいて、大体十一月ごろまでには具体策を出していただく。それを踏まえて法律改正等があれば法律の改正もしなければならぬと思いますが、対策を実行しなければならぬ。何としても実行をして、基礎素材産業の立ち直りを図らなければならぬ、こういう決意を持っておるわけであります。
○宮田委員 終わります。
○渡部委員長 渡辺貢君。
○渡辺(貢)委員 七月の豪雨問題、さらに台風十号についての被災問題の対策について質問いたしたいと思いますが、それに先立ちまして、長崎を中心とする七月の豪雨、引き続く台風十号によって多数の方が亡くなられていらっしゃいます。心から御冥福をお祈りいたしますとともに、被災者の皆さんにお見舞いを申し上げたいと思います。 そこで、まず中小企業庁にお尋ねをいたしたいと思いますが、あの豪雨災害でさまざまな被害が続出をしているわけでありますが、長崎、熊本、大分など、特に中小企業の被害も甚大であるというふうに聞いております。また台風十号においても、各所に被害が発生をいたしておりますけれども、こうした中で特徴的な各県における中小企業の被災の状況について、まず御説明をいただきたいと思います。
○神谷政府委員 まず、今回、梅雨前線による集中豪雨、それに引き続く台風十号関係の被害、これらをわれわれは一連のものとしてとらえておりますが、まず長崎地区に降りました集中豪雨の影響は、山崩れあるいは土砂崩れ等で甚大な被害を起こしております。さらに、市の中心街でございます浜市商店街あるいは観光通り商店街等々、東京で言えば銀座に当たるような商店街が軒並み二メートルないし三メートルという形で浸水をいたしまして、これら中小商店の商品等回復不能な状態での直接被害を受けております。そのほか東長崎地区等長崎県内での被害、諫早市の被害等も加えまして、特に大きく、推定八百五十億程度の直接被害が中小商業関係であったというふうに現在推定いたしております。そのほか熊本等の被害を加えますと、九州全県で九百十七億円の被害があったというふうに現在報告を受けておるところでございます。 台風十号関係の中小企業関係被害は、現在詳細を調査中でございますが、八月四日時点では、奈良県で約三十六億円、三重県で七億円、和歌山県で約一億円との報告を受けております。
○渡辺(貢)委員 かなり大変な被害でありまして、長崎の中心街、商店街は壊滅的であるというふうに言われているわけでありますけれども、こうした被害に対して、すでに長崎などにおいては災害救助法が発動されている。あるいは和歌山、奈良でも同様だと思うわけであります。そうした中で、現在まで具体的にこうした中小企業関係の救済といいますか、とられた対策について。二番目に、今後どういうふうな対策を進めていくか。この二点について御説明いただきたいと思います。
○神谷政府委員 まず、直ちに現地を視察いたしまして、被害の状況を把握するとともに、県、関係市町村とも協力をいたしまして、被害実態を集計し、激甚法の指定をできるだけ速やかにとる手続を現在進めておるところでございます。 さらに、政府系中小企業金融三機関に対しましては、災害貸し付けを長崎県等幾つかの被害が起こっております県に対しましてすでに発動いたしております。これらの災害貸し付けにつきましては、激甚法の指定に伴って超低利融資が受けられるようになった場合にはこれに切りかえも可能なような措置を考えておるところでございます。また政府関係金融機関に対しましては、金融相談等の窓口を開いて、これらの被災者の方が一日も早く立ち直るよう親身になっての相談を行うよう指導しておるところでございます。
○渡辺(貢)委員 災害救助法を適用して、たとえば政府系三金融機関での貸し出しもすでに発動されているということでありますけれども、しかし、たとえば災害貸付制度を見ましても、中小公庫五千万円、国民金融公庫一千万円が限度でありまして、金利も八・二%という通例の金利が適用されているわけなんですね。そういう点で、たとえば激特の指定を行っていくならば、現在借りていらっしゃる方も二年あるいは三年というふうにジャンプすることができる、あるいはこれは地方自治体との協力もあろうかと思うのですけれども、八%前後の金利から三%の金利に下げることも可能ではないだろうか、こういうふうに考えるわけでありますが、激特の指定、いま手続中ということでありますけれども、大体いつごろになるのか。それから貸し付けの制度の面についても一層の充実が必要だというふうに考えるわけでありますが、もう一歩その点についての見解をお聞きいたしたいと思います。
○神谷政府委員 確かに災害特別貸し付けは通利でございますので、激特を指定いたしまして三%の金利にできるだけ早く切りかえていただきたいと思っております。 この指定は現在手続中でございますが、私どもが直観的に考えるところでは、指定要件は満たしておる、このように考えておりますので、鋭意関係方面との調整を進めておるところでございまして、きょうが五日でございますので、今月の中旬には指定の運びに持っていきたい、こういうことでできるだけ早い時期を考えております。
○渡辺(貢)委員 ぜひそういう措置を希望したいと思うわけでありますが、今度の災害を通じまして、かなり人災的な側面も強いというふうにも指摘をされているわけであります。そういう点で、政府としてももちろん緊急の施策は講じていらっしゃるわけでありますけれども、やはり激特法の指定などこういう被災に対しては機を失せず機動的に対応しなければならない。ある意味では政治的な判断が必要ではないだろうかというふうに考えるわけであります。とりわけ中小企業の場合には、消費不況で大変深刻でありまして、今度の災害によってダブルパンチを受けているような現状でございますので、ぜひそうした機動的な運用を図るように切望をいたしたいと思いますけれども、この点についての通産大臣の御所見を最後にお伺いいたしたいと思います。
○安倍国務大臣 今次の災害は相当ひどいわけでありまして、それに対する激特関係の法律の施行ということは、われわれ見ておりましても当然であろう、こういうふうに考えております。そのための準備をいま急いでおります。施策は急がなければなりませんので、そのために全力を尽くしておる最中であります。
○渡辺(貢)委員 ぜひそういう点、一層努力をしていただきたいということを要望申し上げたいと思います。 次に、これはかなり政治的に高度の問題でございますけれども、通産大臣に質問をいたしたいと思います。 七月二十八日にわが党の市川参議院議員が質問主意書を提出いたしました。いわゆるブロック・アメリカ通商代表の書簡問題とその追記文書について質問主意書を提出いたしました。また、この間、各委員会等においても論議がされているところでありますが、この点について若干の問題について質問をいたしたいと思います。 一つは、報道によりますと、五月六日に安倍通産大臣が鈴木総理にお会いをされて、三極会議等に出席する場合に、この貿易通商摩擦についての総理の談話が必要ではないかというふうな趣旨のお話をされて、談話を出そうということになった、こう伝えられておりますが、その談話について、骨子をアメリカの通商代表部の方に説明を電話でした。これは八月三日の政府の統一見解でありますけれども、アメリカ側に説明をしたというその内容でありますが、これについては安倍通産大臣の権限でアメリカ側に説明をしたのか。総理大臣の談話という性格を持っているわけでありますから、当然私は、鈴木総理大臣に事前に談話の骨子等を示し、総理の了解を受けた上でアメリカの通商代表部の方に説明をしたのではないかと思うわけでありますけれども、その点について、どういう経過なのか、まずお尋ねをいたしたいと思います。
○安倍国務大臣 この問題については、当委員会でも、私からもその経緯を詳しく説明をいたしたわけでございますが、第一弾の市場開放を行った。ところが、これがなかなかアメリカやECの評価を得られなかった。そこで、日本に対する批判がさらに高まってくる、そういう状況の中で、第二弾を行わなければならぬということで、われわれは全力を尽くしたわけでございます。 そういう状況の中にあって、五月六日に、確かに私が鈴木総理にお目にかかりまして、実は十日から三極会議に出発するわけでございますが、その三極会議の対策についていろいろと御相談をした際に、第二弾とともに、やはり総理の声明を出して、日本政府としての市場開放に対する積極的な姿勢をそういう形で明確にすべきではないかということを私から申し上げまして、総理も、そのとおりである、そういう方向でぜひひとつ案をまとめてほしいということで、基本的な骨子についてはその際お話をしたわけでございます。 そこで、私から事務当局に、三極会議に臨むに当たりまして、アメリカ側に対して、わが方の考えておる市場開放の内容、骨子、さらにまた総理の声明の骨子について大体説明をしておくように、こういうことを指示いたし、それによって事務当局がアメリカのUSTRに、大臣は大体こういうことを考えて三極会議に出席をして説明する予定になっておる、こういうことで電話で連絡をした、こういうふうに聞いておるわけでございます。 これは第一弾のああした状況にかんがみまして、第二弾の発表に当たりましては、これがやはりアメリカやECに十分理解をされる、同時に評価されなければならぬ、それには彼らに対しても、やはり十分な根回しといいますか理解をさせることが必要である、こういうふうに私は痛感をしたものですから、私の全責任において、事務当局に指示をして、連絡をとって説明した、こういうことであります。
○渡辺(貢)委員 いまの通産大臣の御説明によりますと、骨子については総理大臣に説明をされたということでありますけれども、その説明の仕方等については通産大臣の責任において行った。つまりアメリカ側に説明するに当たっては、総理の了解をとっていないというふうに理解してよろしいわけですか。
○安倍国務大臣 これは私の責任においてやったわけでありまして、別に総理の了解をとる必要のないことである、こういうふうに判断をいたしております。
○渡辺(貢)委員 これは大変重大な問題だと思うのですね。総理大臣が談話を発表するというのは、一国の総理として、まさに主権国家としての最高の責任者がみずからの談話なり声明を発表するわけでありますから、国権の行使そのものだというふうに考えるわけなのです。ところが、いまのお話ですと、通産大臣が責任を負って行ったということでありまして、そういう点では、われわれの理解からすれば、これだけ重大な貿易通商摩擦、これは単に農業問題がどうだということだけではなくて、今後の日米間あるいは日欧間の国際的な諸問題を含んでいると考えるわけでありまして、そういう重大な問題、しかも総理声明、総理談話の内容を、総理の了解がないままやるというのは重大な越権であるというふうに指摘せざるを得ないと思うわけであります。 ですから、最近の週刊朝日などにおいてもかなり厳しい批判が出されているわけですね。八月六日付の週刊朝日では「売国通産省」こういうふうに断定的に書かれておりますし、あるいは七月二十日付の日本農業新聞でも「市場開放に通産省が陰謀」こういうふうに指弾をされているわけであります。そういう点からみると、通産大臣の責任はきわめて重大だと思うわけでありますが、この点についての認識をどう持っていらっしゃるか。
○安倍国務大臣 いろいろと報道もされておりますが、私から言わせれば見当違いじゃないかと思っておりますし、私がやったことは間違ってない。これは外交交渉でも通商交渉でもよくあることでありまして、相手側の理解を深めて、そうしてやったことについての評価を得るというためにはしばしばこういうことが行われておることは私も知っておりますし、これは御承知のとおりだと私は思うわけでございます。 また、総理声明というのは、何もアメリカ側から何だかんだ言われて出しているわけではないので、日本政府が、総理大臣の独自の判断によって決定をされて、自主的に出すわけでございますから、何も仕組まれたとか陰謀だとかいうことでは絶対にないわけで、いろいろとそういう批判があることは私にとっては納得ができない、こういうふうに存じます。
○渡辺(貢)委員 通産大臣は真っ向から否定的な見解をとられるわけでありますが、現実には、五月十一日のOECDの閣僚会議の席上、ブロック書簡とともに付記という形でそれが出されてくる。そして日本国の外務大臣は初めてそこで見る。どういう経過なのか。少なくともアメリカとの交渉の中で、日本側の足並みが乱れているということは事実だと思うのですね。しかも、その声明というのは、発表されたのが五月二十八日であります。ブロック通商代表がOECDの席上で示したのが五月十一日でありますから、ある意味ではそれから二週間以上もたって総理大臣の談話が発表される。これは公式の談話の発表であります。この二週間に、初め一これは通産大臣の責任でやったと言われている骨子、十一日の櫻内外務大臣などに対する付記の内容を見ると、その文言の中には、これは否定されておるわけでありますけれども、国内においては衝撃的な措置云々、こういう措置をとるのだ、まさに衝撃的な措置という問題がわが国にも大変衝撃的な事態を与えたわけなんです。だからこそ正式の発表までの間には十数日間、二週間以上もたっている。その間に、これは私の考えでありますけれども、アメリカ側の意向がある。そして国内におけるこの問題を通じての衝撃的な事態が起こってきている。だから、当初の骨格らしきものから、最終的には五月二十八日、総理大臣の談話という形で幾らか文言がやわらげられている。つまり一国の総理大臣のそういう談話が十数日間の日本とアメリカ側のすり合わせによってできたのじゃないか、こういう疑問が十分に考えられるわけでありますが、その点についてはいかがでありましょうか。
○安倍国務大臣 全くそういうことはありません。わが政府の自主的な判断で声明の内容を、一字一句政府の責任において、総理大臣声明として出されたわけでありますし、また私も、三極の会談では、改めてブロック代表とかボルドリッジ商務長官には、われわれの考えておることと同時に、総理声明についてもその内容を説明いたしたわけでございます。 五月二十八日に市場開放対策を発表するということは前々から決まっておったわけでございます。その他いろいろな対策等も含めて、まとめて五月二十八日にパッケージとして発表した。その際、総理声明も一緒に発表した、こういうことになっておるわけでございます。アメリカがこの総理声明に対して何らの関与をしておるわけではありません。ブロック代表からの書簡は確かにあるわけでありますが、これはブロック氏のいわゆる希望を申し述べたにすぎない、われわれはそういうふうに判断をいたしております。
○渡辺(貢)委員 通産大臣は否定され、強弁されるわけでありますけれども、しかし客観的な事実、その経過を振り返ってみた場合には、一国の総理大臣の談話が事前にアメリカ側に伝えられて、そしてその骨格、骨子が変わった形で五月二十八日に発表されるという客観的な経過をたどったということは、否定できない事実であります。 もちろん日米間のこういう経済問題歴史的に見ましても六〇年代の繊維戦争、最終的にはアメリカの要求に屈服をする。七〇年代の家電の問題でもそうであり、七〇年代後半の鉄鋼でもそうであり、そして自動車でもそうである。最近はIBMをめぐってのいわゆるFBIのおとり捜査の問題もありました。日本では考えられないようなことが、もちろん私たちは単純に大企業のやっていることがいいというふうには申しておりませんけれども、アメリカがかさにかかってそういう手法をとってきている。そういうときに、真に日本の国民の利益を守っていく、同時に世界の経済的な協調もやっていくということになれば、もっと主権国家として襟を正していかなければならない、こういうふうに考えるわけであります。軍事費の問題についても、防衛費一%がいいか悪いかというのがアメリカ側から指摘をされるということではなくて、日本側のしっかりとした態度。つまり日米安保条約に基づく軍事的なあるいは経済的なアメリカへの従属性というものがこうした事態を起こしているし、今後もやはりそういう点を明確にしなければ、真に日本の国益というか日本の民族の立場を守れないというふうに私どもは考えるわけでありまして、その点を指摘をして、次の問題に進みたいと思います。 お尋ねをいたしたいと思いますけれども、七月の初旬に朝日新聞やあるいは各新聞などで、日本商工会議所の永野会頭が八月二十六日を目途に商工会議所の会員を結集して政治連盟を発足させるというふうな談話を出し、それが各紙でも報道されておるわけでありますけれども、その点については御存じでありましょうか。
○斎藤(成)政府委員 御指摘のような新聞報道が行われましたので、私ども商工会議所の方を呼びまして、事情を確かめました。これによりますと、各地の商工会議所の一部の有志が個人として、かねてから永野重雄氏個人を推戴して日本商工連盟という団体を結成したいという動きがあるということは、会議所の方も承知をしておる、しかし、会議所組織としては全く関係がないものであって、これはあくまでも個人的な立場での動きである、新聞に言われているような日商の正副会頭会議であるとかあるいは常議員会の場で議題とされた事実はないという話がございました。
○渡辺(貢)委員 日本商工会議所あるいは各地の商工会議所というのは、商工会議所法という法律に基づいて設立されている特殊な団体だと思うのですが、その商工会議所法第四条第三項によって、政治的な中立性というものが明記をされているというふうに聞いておりますし、これは法律上明確でありますが、同時に商工会議所に対しては、国からの公的な助成、補助がかなり出されていると思いますが、その点について、たとえば昭和五十七年度日本商工会議所、各商工会議所等を通じて全体としてどれほどの公的な助成がされているのか、御答弁いただきたいと思います。
○斎藤(成)政府委員 商工会議所あるいは商工会、そういったものへの区分がちょっとはっきりしないのでございますけれども、商工会議所等への補助金の大部分を占めております小規模事業指導費補助金は、いま申し上げた商工会等へのものも含めまして、五十七年度で約三百六十五億円でございます。
○渡辺(貢)委員 まあ区分ができないというのもちょっとおかしい話でありますけれども、いずれにしても、三百六十五億円という多額の公的な助成が国から出されているわけでありまして、ある意味では、商工会議所の会頭というのは、そういう立場に立って不偏不党、つまり業者を差別することなく、思想、信条によって排除することなく、そういう厳正公正さが求められているわけでありますが、ところが、いま斎藤審議官のお話では、個人が集まって云々というふうに言われております。しかし、六月十八日に第三百回日本商工会議所常議員会というのが旭川で行われているわけですが、この常議員会というのは商工会議所におけるどういう機関なのか、御説明いただきたいと思います。
○斎藤(成)政府委員 日商の議員というのが全国で百二人おるわけでございますけれども、それから選ばれました常議員というのが五十一人おりまして、これと常議員以外の役員、つまり会頭、副会頭五名、専務理事、常務理事をもって構成する会議が日商常議員会でございます。 規約上、ここでは議員総会に提案すべき事項、規約の設定、変更等の事項であって、会員総会、議員総会に付議するいとまのない緊急なもの等を議決するということになっております。 それから、さっきちょっと舌足らずでございましたから、補足をさせていただきますが、商工会と商工会議所の区分ができないのはわからぬというお尋ねがございました。これはちょっと私が事前に申し上げればよかったのですが、商工会議所等に出します補助金の大半というのが都道府県を通ずる間接補助金だものですから、そのために会議所と商工会とのどちらにどのぐらい行くかというのが明確でない実情にございます。
○渡辺(貢)委員 いま常議員会の性格について御説明がありましたけれども、つまり常議員会というのは、正副会頭に次いで、ある意味では議員総会に対する諸問題を提案をしていく執行機関のようなものですね。そういう意味で最高の機関であって、商工会議所法では第七十六条で常議員会という性格規定があるわけなんですね。 ところが、永野会頭が発言しているのは、この第三百回常議員会で、これこれこういうふうな政治団体をつくるということをその席上で明言をしておるわけなんです。これはきわめて重大だと思うのですね。 さらに、商工会議所で発行しております日本「商工会議所ニュース」一九八二年一月一日付の「年頭にあたって」というニュースの中においても、これは商工会議所の機関そのものの発行でありますが、「今や信条を同じくする者の結集によって、全国的に広汎な活動を展開し、自由主義の基盤の拡大発展を図る時期が到来したものと考えます。」こういうふうに言っているのですね。しかも永野氏は、「わが財界人生」という中で、かつてマル経資金という問題については私が提起をしたものだ、これは民商対策に使うものである、こういうふうに言っているのであります。さらに、「多少のひっかかりが出たとしても、自民党の都市票の減少を食い止めるためのコストと考えれば安いものだ。」と言って、当時の中曽根通産大臣あるいは田中総理大臣がこれはいい案だと言って受けたというのですね。 今日の日本の中小企業というのは、たとえば中小企業のコストを見ても、大企業から抑えられてしまっている。倒産が続出をしている。貿易摩擦の影響を受ければもろに中小企業にそういう犠牲が転嫁をされる、そういう現状にあるにもかかわらず、だから、ある意味では自民党の都市票が減っていくのだろうと思うのです。政策の帰結だと思うのですよ。それを国の財政を使って、自民党の都市票を吸収するためにこういう施策をやるんだと。今度はもっと公然と、商工会議所という機関を通じて、国から三百六十五億円の助成金をもらっているところ、そこを使ってやろうというわけでありますから、これはきわめて重大な問題である。ちょっとそこら辺を呼んで確認をするだけではないと思うのです。全部こういうふうにはっきりとした機関のニュースあるいは機関の常議員会の席上で述べているわけでありますから、そういう意味で、永野会頭初め関係者をきちっと呼んで事情を聴取しなければならないというふうに思うのです。日本の中小企業を、こういうふうに思想、信条によって選別、差別していいというわけはないと思うのです、みんな苦労していらっしゃるわけでありますから。そういう行政の公平さという点からもきわめて重大な問題であるというふうに指摘をしなければならないと思いますので、改めて明確な答弁を求めたいと思います。
○斎藤(成)政府委員 商工会議所そのものにつきましては、御指摘のとおり商工会議所法第四条第三項で「商工会議所等は、これを特定の政党のために利用してはならない。」という利用禁止の規定があるわけでございます。そういう意味で、私どもは、商工会議所に特定の政治団体の結成とか運営に組織として関与することは問題であるということをよく話をしてございます。 ただ、商工会議所の役職員であるものが個人として活動する場合、これは商工会議所の組織とは無関係のことになりますので、ここまでは私ども関与することはできないというふうに考えております。
○渡辺(貢)委員 個人としてやっているのじゃなくて、日本商工会議所という機関が発行しているそういうニュースで堂々と書いている。常議員会でそういう態度を表明している。これは一私人の問題ではないと思うのですね。そこを言っているわけでありまして、私は、もちろん個人の思想、信条の自由は当然であるというふうに考えるわけでありますが、そういうふうに機関を使ってやるというのは、商工会議所法第四条第三項の精神からも大きく逸脱をしているし、ある意味では、日本の商工行政を誤らしめるものだということで問題にしているわけです。その点をしっかりとしていただきたいというふうに考えるわけなんですが、この点について、時間もありませんので、大臣の所見をお尋ねをしておきたいと思います。
○安倍国務大臣 いま永野さんの考えておられることが、特定政党を特に支持する、そのために集まれ、こういうことではないように私は聞いておりますし、商工会議所としては、もちろん特定政党を支持してはならないということになっておりますから、その辺は永野会頭も十分御承知だと思います。ただ、国を憂えるという立場から、永野さんが長い人生の中で自分の考え方を商工会議所の有志の皆さんに呼びかけて、そして結束を求めておる、こういうことでしょうから、別にこれが商工会議所法にもとるとか違反をする、こういうことではない、私はこういうふうに存じております。
○渡辺(貢)委員 それは永野さんは新日鉄の出身だし、財界の重鎮でありますから、一生懸命弁護、擁護されるのは当然でありましょうけれども、しかし、常識的に考えてみても、そういう強弁は当たらないというふうに思うのですね。本当に国を憂えるのならば、やはり今日の中小企業の困難、危急をどうやって打開しなければならないかということに意を使わなければならないのであって、それが逆に特定の政治信条の人たちを集めて、これが商工政治連盟で、しかも公の機関を使ってやるということにはとても了解することができないわけでありまして、ぜひもう一歩突っ込んできちっとした事情を調べて、そして厳正に対処されるように要望を申し上げておきたいと思います。 時間がなくなりましたけれども、最後に景気の問題でございますが、七月二十九日に経企庁でも最近の景気動向について発表されていますが、去年一時期総合指数で若干回復したのではないか、緩やかな上向だというふうに言われておりましたけれども、最近の総合指数、五月の段階に見ましても、すべての面でその重要なファンダメンタルの指数が大変厳しい状況、つまり五〇を平均値とすると大体二〇から三〇台であるということで、単なる緩やかな傾斜ではなくて、二番底と言われる深刻な事態だというふうに一般的にも解明をされているわけでありますけれども、その点についての長官としての認識はいかがでありましょうか。
○河本国務大臣 景気の流れを見ておりますと、昨年の五月ごろからだんだんと回復に向かいまして、秋ごろには生産、出荷も大分ふえまして、在庫も相当減ってまいりました。大分いい調子になったなと思っておったのですが、十一月ごろから世界不況の影響を受けまして貿易が減り始めまして、そのために再び生産、出荷が減り始めて、逆に在庫はふえ始める、現在は在庫の状態は昨年の春のときよりも悪くなっておる、こういう状況でございます。
○渡辺(貢)委員 昨年より悪くなっている。全体としてはスローダウンの傾向にあると思いますし、大企業においても来年の高卒、大卒の求人を差し控えるというふうな状況なんですね。失業率も二十六年目、最高である、こういうふうに言われておりますし、一月二十九日に五十七年度全体を展望しての経済対策もとられたわけでありますが、この中では、内需の拡大を中心にして消費を活性化するというふうなポイントであったと思うのですけれども、現実には効果を上げていない。しかも一方、第二臨調の答申などでは、軍拡を前提にして、そして国民生活は切り下げていく、そういうことでありますから、なおさら消費も低迷せざるを得ないと思うのです。そういう点で、今後の積極的な施策を要望をいたしたいと思いますが、時間もありませんので、最後に中小企業庁にお尋ねをいたしたいと思います。 今日まで中小企業向けの官公需についてかなり努力をしていらっしゃると思いますけれども、一つは、来年度について国と公社、公団等どのくらいの目標を立てていらっしゃるか。二番目は、それを進めていくためにどういう施策をされるか。この二点についてお答えいただきたいと思います。
○本郷政府委員 中小企業向け官公需の確保につきましては、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律に基づきまして、政府といたしまして、中小企業者の受注機会の増大に努めてきているところでございます。 ただいま来年度というふうに言われましたが、この法律によりますと、毎年度政府は国等の契約の方針というものを作成いたしまして閣議で決定するということになっておりまして、今年度につきまして、たしか六月二十九日であったと思います。通例ですと、毎年度七月後半に国等の契約の方針を閣議で決めておりますが、今年度は景気の状況等も考えまして、それを早めて六月末に決定をしたところでございます。それで、その今年度の目標額は約三兆九千百八十億円でございます。国等の官公需総額との比率で申し上げますと三七、二%、これを中小企業のために確保したいというふうに考えておるわけでございます。
○渡辺(貢)委員 若干微増だと思いますけれども、たとえば受注する場合の官公需適格組合などいろいろの方策、指導があろうと思いますけれども、ぜひこういう深刻な消費不況の中でもありますし、中小企業の皆さんがこうした官公需が受注できるように、中小企業庁としてもひとつ十分な指導やあるいは各省庁との関係・地方自治体との関係においても、そうした施策を強力に推進をしていただきたいということを最後に述べて、私の質問を終わりたいと思います。
○渡部委員長 小林政子君。
○小林(政)委員 経企庁長官の姿がちょっとお見えにならないので、ちょっと順序を変えまして、ミニスーパーの問題についてお伺いをいたしたいと思います。 大店法の規制対象以下の小型小売店が大変進出をしてまいりました。そして大変目立ってきている。しかも、五百平米以下の小型店、これはミニスーパーを対象としていますが、各自治体の条例、あるいはまた要綱、大綱の制定など実態はどうなっているのか、こういう点についてまず事務的にお答えをいただきたいと思います。
○赤川政府委員 ミニスーパーに関する自治体の条例、要綱の制定状況でございますけれども、七月末現在で、まず条例につきましては十七市町村で制定がございます。そして要鋼につきましては、十七の都道府県と二百八十七の市町村において制定が行われております。
○小林(政)委員 この問題については、後ほどきちっとした資料をつくってもらいたいというふうに思います。 それから、五百平米以下のいわゆるミニスーパーについて、この規制を商調法でやることになっておりますけれども、商調法では具体的にどのくらい処理されているのか。たとえば五十三年から五十六年にかけて、年度別及び十四条の二、十五条、十六条の二、こういった項目別に分けてお知らせをいただきたいと思います。
○赤川政府委員 商調法の最近の運用実績でございますけれども、これは都道府県の知事が行っておりますが、五十三年以降で見ますと、まず十四条の二の調査は十件でございます。それから第十五条に基づくあっせん、調停の案件が六十九件、第十六条の二の調整の申し出は七件となっております。
○小林(政)委員 ちょっとミニスーパーから入りましたけれども、経企庁長官、時間があるのでしょうか、もしお時間がなければ、私は一番先にやろうと思っておりましたけれども、よろしいのですか。——それでは入りましたので、これでやりたいと思います。 商調法での大企業者の定義というものを見てみますと、やはり資本の額だとか出資の総額、役員の構成、こういった形式的なものが決められていて、それにひっかからないような、いわゆる法律を避けて通るような進出の方向が最近大変ふえてきている、こういうことが言えると思います。 具体的な例として私がここで一つ取り上げたいと思いますのは、ことしの六月二十七日に開店をいたしました・渋谷区本町五の三十九の二、サンバード幡ケ谷店の問題であります。これは別名サンバードフランチャイズショップ加盟のエイトショップ幡ケ谷店という形態をとっておりますけれども、しかし、その進出の経緯を見てみますど、これはこの春、長崎屋が明らかに直営店として、直営サンバードということで出店を表明をしていたものでございます。地元の商店街は、十一の商店街が反対をいたしまして、三月二十九日にこの問題については長崎屋も断念をするということを正式に通知をしてまいりました。ところが何日もたたないうちに、その四日後に有限会社エイトショップという会社を新たに設立をして、サンバードのフランチャイズ店として同じ場所に強引にこれが進出をしてくる、こういうことがはっきりいたして、すでに出店をしております。しかも、同じ場所に出てきたわけですから、政省令の大企業のダミー規定に抵触をしないように法の網をくぐっての出店ですが、本来、私は、こうした出店については、意図的なものであり、商調法を適用すべきではないか、このように思っておりますけれども、この点についてお答えをいただきたいと思います。
○赤川政府委員 御指摘のとおり、商調法では法律及び省令におきまして大企業のダミーであるための条件が書かれております。ところが、形式的にその条件に当てはまらないけれども、実態的にはそういう面があるのではないかという問題がございます。そのためには、それじゃ法令を変えたらどうかという意見もございますけれども、これは非常に慎重な配慮が要るということでございます。余りまた規制を強化いたしましても、中小小売商の事業機会を奪うという面もありますので、慎重な検討が要りますけれども、実態的にダミーの実態があれば、地元の区とかそれから市町村、商工会議所等に対しまして、よく実情を調べて関係者で話し合いをするように指導してまいりたい。たとえば第一家庭電器の場合でございますけれども、あの場合でも地元の葛飾区が中に入りまして指導を行っております。
○小林(政)委員 長崎屋の場合は、渋谷区だけではなくて、これは私の住んでおります足立区にも全く同じ手口でサンバード関原店という形で出店がされております。これもやはりやり方としては、先ほどと同じように別会社をつくりまして、そしてトーワグランダムという会社だそうですが、こういうことをして出店をしてくる。あるいはまた、荒川区にも江戸川区にも東京の至るところにこういう出店がされているということも事実でございます。現行商調法が形式的な面で大企業者の範囲を定めているというこの間隙をついて出店をしてくるというような計画的なものではないか。非常にこれは重視する必要があるのではないか。法律上「その他その事業活動を実質的に支配することが可能なもの」ということも明記されておりますので、やはり省政令を実態に即したものにして、ぜひこれは守って指導をしていくべきだ、このように考えますけれども、その点についてもう一度お答えをいただきたいと思います。
○赤川政府委員 法律の改正につきましては、中小小売商の事業機会を奪うという観点からも慎重な検討は要りますけれども、実態的によく実情を調べまして、そういう実態があれば、知事なり地元の市町村で指導を行ってまいりたいと思います。
○小林(政)委員 安倍通産大臣にもこの問題についてお答えをいただきたいと思います。
○安倍国務大臣 フランチャイズシステムは、通例中小企業者等が自己の経営の近代化や転業のために利用されておりまして、中小小売業の振興のために役立つという一面もあるわけでございますが、しかし、このようなシステムを大企業が利用して、いまお話しのように店舗を新設する場合、商調法では、別会社の形態をとっていても、一定の要件に該当するものは、大企業のダミーというふうにみなして調整の対象とすることができておるわけであります。しかし、一定の要件に該当しない場合にも、大企業のダミーであるとして中小小売商から出店に反対されている事例があることも聞いております。このようなケースでは、大企業のダミーであるとして、新たな規制の網をかぶせた場合、中小小売商の事業機会を不当に奪うおそれもありますので、慎重な検討も要すると考えます。必要があれば、やはり地元の状況に詳しい区や市町村や商工会議所に対しまして関係者の話し合いを指導するように要請をいたしまして、円滑な解決が行われるように努力してまいりたい。また、具体的には努力も今日までいたしておるわけでございます。
○小林(政)委員 先ほどすでにお話が出ておりましたけれども、やはり家庭電器関係の量販店、これは具体的な例を挙げますと、葛飾区の金町に出店しようとしている第一家庭電器金町店の場合、当初第一家庭電器は二百六十平米で直営店でこれもやるということが言われていたのです。ところがことしの三月二十七日に葛飾区議会で、第一家庭電器出店反対対策に関する請願が採択をされると、直営店の出店を断念して、これをフランチャイズシステムによる出店に切りかえ、第一家電の千葉店の店長である木村支店長が職場を退職して、有限会社共栄無線を設立をし、第一家庭電器とフランチャイズ契約を結んだわけであります。先ほどから述べられているように、最近の事例としては、まさにこういった何か法律をゆがめるといいますか、ダミーだということを避けるための手口が非常に多く使われていることも事実であります。私は、こうした点を考えますと、これらの問題について何らかの法律の適用といいますか、やはり実態に即した問題として取り上げざるを得ないのではないか、このように思っております。共栄無線の木村という今度社長になる人は、もと第一家電の千葉店の店長をしていた人ですけれども、残りの役員の三人も、そのうちの二人はもと第一家庭電器の担当メーカーのヘルパーであった。つまり役員四名中三名が第一家電関係との直接のかかわりがあったということが明らかになっています。私は、さらに、第一家庭電器のFC本部が六月一日に設立をされますが、その前の五月二十一日に第一家庭電器が千葉の支店長であった木村氏とFC契約を結んで、木村氏の共栄無線との翌日、五月二十二日にこれの設立が登記をされた、こういった事実も聞いておりますし、またお話も伺っております。私は、こうした経過から見て、こういった実態が非常にふえているということは大問題ではないか、このように思いますけれども、さらにこの点について重ねてお伺いをいたしたいと思います。
○赤川政府委員 第一家庭電器のケースは、ほぼ先生御指摘のとおりでございまして、最初は直営店としての出店を計画したところが反対協議会ができましたので、今度はFC契約を結んで共栄無線というかっこうにした、しかもその社長は元店長であったという点は御指摘のとおりでございます。これは非常にダミー性の疑いが濃いということで、区の方では行政指導をしておりまして、週二回の話し合いの場を持っておりますが、現在残念ながらまだ話がついておりません。今後とも行政指導の面で何とかしてその話し合いがつくような道を探したいと思っております。
○小林(政)委員 こうした大企業者の直営店構想、こういったものが変形をしたダミーというやり方が最近のやり口ですから、こういったものに対しては、脱法行為ということが認められるということになれば、大企業あるいは大型店が次から次へとこの手口をまねして小型店をふやしていくということは目に見えているんです。ですから、これに対しては何らかの対策を立ててもらいたい、こういうことを強く要望をいたしておきます。 時間の関係でもう一つの点に入りたいと思います。 商調法で大企業者のミニスーパー及び大型店の業態変更については調整できるということになっておりますけれども、余りこういう問題が知られておりません。明確な指導方針がないからだろう、私はこのように思っておりますけれども、このために現場や自治体あるいは通産局、業者団体は非常に困っている。こういうことに対して早急な指導方針を打ち立ててもらいたいということが第一点。 それから最近、家庭電器の量販店の進出が先ほども述べましたとおり非常に著しいものがございます。東京都電機商業組合と出店側とで紛争になっている事例を挙げても、私の知っている範囲内で現在東京だけで十一店もございます。たとえば渋谷区の上新電機、杉並区の西友、オリンピック、葛飾の第一家庭電器、国立市のベスト電器、あるいは立川市の上新電機だとか丸善無線とか昭島市の第一家庭電器とビバホーム、調布市のベスト電器、港区のダイエーの高感度館ですか、これらには五百平米以下のミニスーパーとか業態変更あるいは第二種店舗が全部含まれております。こうなってきますと、商品構成別で調整分野規制的なこの対応というものに、具体的にこれがどうしなければならないのか、こういうことがいま大緊急の必要性を持ってきているのではないか、このように思いますが、この点について中小企業庁長官も含めて一体どのようなお考えをお持ちになっていらっしゃるのか、お伺いをいたしたいと思います。
○赤川政府委員 大型店の出店以降における品ぞろえの変更による紛争でございますが、これにつきましては、中小企業庁としましては、大店法の適用、運用によって処理できない場合については、商調法十五条に基づくあっせん、調停の活用を図りたいと思っております。現に大型店の出店後の紛争事例に関しましては、商調法十五条に基づく行政指導のケースが五十六年以降六件ございます。今後ともこの商調法の活用を図りたいということで、実は七月二十六日の日に各通産局の商調法担当課長を東京に集めまして、品ぞろえの変更については十五条のあっせん、調停が使えるので、この活用も図ってほしいという旨の指示を行っております。
○小林(政)委員 もう一点だけ。杉並の西友、西荻窪の第一号店というところが、既存店の活性化だとか不採算性の専門化の方針のもとで、従来は家庭電器の売り場二十五坪だったものを、今度は全店五百四十坪全部家電にしてしまう、こういう問題も出てきているのです。こうした問題について、確かに杉並区役所の経済課などと話し合いがすでに行われてはおりますけれども、しかし、この問題については、やはり国がしっかりとした指導方針を早く出してもらいたい。これがやられなければ大変な事態を迎えるのではないか。約一年にわたってやられておりますので、これらの点についても強く要望をいたしておきたいと思います。 それでは経済企画庁長官にお伺いをいたしたいと思います。 今日の景気の落ち込み、個人消費の伸び悩みなど深刻な事態をいま迎えておりますけれども、河本長官は、この最大の要因についてどう具体的に認識をされていらっしゃるのかということです。七月の月例経済報告によると、実質賃金は五月は前年比二・二%増にとどまり、全世帯の実質消費支出は三月は三・六%増の後は四月は一・一%増にとどまっており、とりわけ重要な点は、勤労者世帯では四月は〇・六%増というふうになっていることであります。経済企画庁が、個人消費は回復の動きを続けている、このように見ているようでございますけれども、実態は回復ではなく低迷ではないか、私はこのように考えますし、完全失業率二・四八%という高さから比べても、現在の個人消費、景気は深刻な事態を迎えている、このように見るのが正しいというふうに思います。長官は、この深刻な個人消費の低迷をつくり出している最大の要因というものについて、どのようにお考えになっていらっしゃるのか、この点をまずお伺いをいたしたいと思います。
○河本国務大臣 昨年と一昨年はいわゆる実質可処分所得はずっとマイナスでありました。しかし、ことしに入りましてから物価が非常に安定をしたということ等もございまして若干のプラスになっております。その若干のプラスが消費にある程度の影響が出ておりまして、いまお述べになりましたように、数字は一進一退でございますが、流れは去年とは若干変わったのではないか、こういう感じがいたします。 しかし、実質可処分所得がプラスになったといいましても、そう大きな数字でもございませんし、それから消費もそんなに伸びておるというわけでもございませんので、こういう状態がずっと定着するのか、さらに拡大するのか、もう少し様子を見なければ何とも判断はできない、こう思っておりますが、ただ、もう一つの経済の特徴は、昨年の秋以降、世界不況のために輸出が減り始めまして、そのためにいろいろな厳しい影響が各方面に出ております。何回か申し上げましたが、特に中小企業の関係に相当厳しい影響が出ておるというのがいまの経済の一つの特徴であろう、このように思います。
○小林(政)委員 可処分所得が伸びているというような点から、昨年来に比べて少しの違いがあるのではないか、こういうようなお話でございますけれども、いまの現状というのは、国民の肩に非常に重くのしかかってきている。経済の消費不況、こういう問題を考えますと、税負担や社会保障あるいは公務員の賃金の向上とか、こういった国民の、働く人たちの実質賃金の低下、これを何としてでも伸ばしていく、個人消費を伸ばしていく、こういうことにつながっていくのではないだろうか、このように思っております。勤労者向けの減税の実施なども思い切ってやるべきではないか、このように思いますが、こうした問題等、時間の関係で、国民の立場に立った消費拡大に重点を置いて経済運営の転換を強く要望して、次の質問に入りたいと思います。 次の質問は、三越の不公正取引に関する問題でございます。独占禁止法の不公正な取引方法及び優越的地位の乱用等の違反に問われていた三越に対して、ことしの六月の十七日で同意審決が出されましたが、これは公正取引委員会が三越に対して出した五十四年四月十六日の排除勧告、五十四年五月十四日の審判開始決定を三越が全面的に受け入れたものなのでしょうか、この点をまずお伺いをいたしたいと思います。
○橋口政府委員 まさに御指摘のとおりでございまして、三越は審判開始決定書に記載された事実並びに審判開始決定書に記載された法令の適用を認めて同意審決の申し入れをしたものでございまして、したがいまして、おっしゃいましたように、全面的に公正取引委員会の見解に服従したものでございます。
○小林(政)委員 そうおっしゃいますけれども、三越の岡田社長の記者会見の記事などを——これは六月十八日、朝日新聞です。六月の二十一日の日経流通など見てみますと、納入業者に対して「R作戦」、「おすすめ販売」をやっていないことが判明したと言明しています。同意審決を見ますと、排除勧告などで明確に書かれていた、いわゆる「おすすめ販売」あるいは「R作戦」などの店頭外販売が消えているんですけれども、一体こうした問題をどのように判断をされて消されたのか、お伺いをいたしたいと思います。
○橋口政府委員 三越に対しまして審判開始決定をいたしまして、審判手続を開始しましたのは昭和五十四年の五月でございまして、その後、三年にわたって審判手続を継続してまいりましたが、その間、三年の時間の経過がございます。私どもが審判開始決定書を作成しました当時には、この「R作戦」並びに「おすすめ販売」という事実があったわけでございますが、三年の時間の経過の間でこれらの名称のもとにおける組織的、計画的販売の事実はなくなったとの心証を得たわけでございますから、そういう点から、同意審決の内容としまして、特に「R作戦」、「おすすめ販売」という名の組織的、計画的販売の事実につきましては記載をしなかったわけでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、審判開始決定書をごらんいただきますと、昭和五十年当時あるいは五十二年当時には、「R作戦」並びに「おすすめ販売」はあったわけでございまして、そういう事実は三越も全面的に認めておるわけでございますから、記者会見等でどういうことをおっしゃいましても、それは私どもといたしましては、論評に値しない行為だというふうに考えております。
○小林(政)委員 公取の了承を得て三越は謝罪広告を出すということになっていますけれども、これは実際には公取がよろしいということで認めたのかどうなのか。私は三越の謝罪広告というものを見てみますと、同意審決による円満な解決を見る運びとなりましたとか、当社といたしまして決していわゆる押しつけ販売をお取引先に対して意図したものではないなどと書かれておりますし、これまでも独禁法違反の事実を認める表現や謝罪の言葉なんというのはどこを探してもないのですね。本当に、これではやはり、いろいろと書かれているように、公取が大幅な譲歩をしたのではないか、このように思われてなりませんけれども、お伺いをいたしたいと思います。
○橋口政府委員 三越の謝罪広告なりあるいは納入業者に対する通知の文案につきましては、私どもとしては関心を持っておらないわけでございまして、私どもは審判開始決定書に記載された事実並びに法令の適用を全面的に認められたというところが大事でございまして、しかも、似たような行為を将来に向かって行わないということを明言しておられますし、またそれは文書で確認をされているわけでございますから、それから後の措置につきまして、どういう表現で納入業者等に通知をされたかという問題につきましては、私どもは法的な立場から特に強い関心は持っておらないのでございます。
○小林(政)委員 公取と三越との間でいわゆる話し合いが相当詰まっている、納入業者に押しつけ販売をしているというようなことも含めて詰められているときに、八一年四月、公取委が厳重注意した第一回三越レディスオープンに続いて、ことし四月開かれた第二回三越レディスオープンゴルフ券を納入業者に押しつけているという事実がございます。Aさんは、三越横浜店や本店日本橋店の各売り場担当者から八枚も押しつけられていると言われておりますし、またB業者は、六月の初め、お中元の内見会に来るようにと担当者に呼ばれて、担当課長が一緒にこの職場をずっと回って、そして最後に背広を買わせられたなどということも聞いております。やはりこういったものが公取委の姿勢にかかっているのではないか、このように思われますけれども、お伺いをいたしたいと思います。
○伊従政府委員 お答えいたします。 三越問題が起こりまして審判開始されましてから、三越だけではなくて百貨店、スーパーがかなり自粛しまして、五十四年の春には自主規制もつくって、われわれに対する苦情も少なくなったのでございますが、先生の御指摘にも関連いたしますが、昨年春ごろからやはり苦情がまた出てきましたので、三越を含めます百貨店、スーパー約二十社に対しまして、昨年の秋から審査部において調査を進めているところでございます。 その過程におきまして、関係の納入業者約一万社に対して、匿名の回答を求めるアンケートを出しまして、それに基づいて調査しました結果でも、先生御指摘の問題と関係ございますが、やはりまだ協賛金の強要の問題、それから押しつけ販売について完全になくなっているとは言えませんので、現在その問題を含めまして調査中でございます。 また、三越につきましては、これは先ほど委員長お答えしましたとおり、主文で将来の禁止措置を講じておりますので、その禁止措置に違反することがございますれば、これは審決違反の問題がありまして、罰則の適用の問題になるかと思います。
○小林(政)委員 まだまだ完全に解決をしたものだとは思われない面もあるというお話でございますけれども、私の調査しただけでも、特招会だとか——特招会というのは、特別招待会ですけれども、絵画だとか宝石だとかアクセサリーだとかあるいはまたエーゲ海の旅、三越の取扱商品と主演女優カトリーヌという名前が同じという理由から、「終電車」の映画会の切符だとか、こういったものをもどんどん納入業者に押しつけられておりますし、またことしの七月に入ってから日産車の販売提携以降、納入先の売り場担当者から、車を買うのなら声をかけてみてください、こういうふうに言われて、納入業者というのは若干弱みを持っていますから、それだけに日産以外の新車ではなかなか納入に行くことができないなどというような苦情も私どものところにも届いております。こう言ってぼやいているということもございますので、三越の納入業者への押しつけ販売の体質というのは依然として変わっていないというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○橋口政府委員 念のために、同意審決の主文について簡単に御説明申し上げたいと思います。 主文は「被審人は」、つまり三越ですが、「店頭外販売を主とした組織的又は計画的な販売方法その他これに類する販売方法を実施するに当たって、納入業者に対し、納入取引関係を利用して、商品又は役務の購入を要請してはならない。」ということになっているわけでございます。主として店頭外で販売することを目的として、しかも組織的、計画的な販売方法をとって納入業者に押しつける場合が審決違反になるわけでございますから、こういう組織的、計画的な販売方法以外の方法で行う場合は、直ちには審決違反にならないわけでございます。したがいまして、そういう問題に対しましては、審査部長からお答えしましたように、三越をも含めまして百貨店、スーパー等に対して調査をいたしておりますし、また調査の結果に基づいて自主的な改善措置を要請いたしております。また、百貨店協会並びにチェーンストア協会に対しましても、自主規制基準の強化の指導をいたしておるわけでございまして、全体として百貨店、スーパー等の優越的地位の乱用行為に対しましては、歯どめをかけるということで現在行政を進めているわけでございます。したがいまして、特定の会社である三越につきまして、同じような問題がもし将来発生するということであれば、当然指導の対象になるわけでございますし、さらに、くどくなりますが、主文に書かれているような行為が再発しました場合には、当然に法的措置の制裁を受けるわけでございますから、全体として問題は解決したというふうに私は考えておるわけでございます。
○小林(政)委員 私が調べた問題を述べれば、まだ相当数具体的に挙げることができるのです。花火の大会の問題にしても、これもやはり審決後なんですから、こういった問題について三越のこうしたやり方というものは同意審決以後も続いている。しかも、押しつけ販売の体質というものは依然として直っていないんだということ、非常に巧妙な手口でこれがやられているということを言わざるを得ません。 最後に、自主規制というお話もございますので、こういった問題はいわゆる三越の不公正取引の実態、これだけではないと思いますし、ほかの百貨店でもいろいろとうわさが出ているところでございますので、これに続いて百貨店の不公正取引問題を今後も追及していきたい、私はこのように考えておりますけれども、自主規制の厳守を必ずやらせる、こういう立場を表明していただきたいと思います。
○橋口政府委員 先ほどもお答えしたところでございますが、事柄の性質から見まして、業界全体として自粛措置を講じていただくということが一番適当な方法ではないかと思っておるわけでございます。もちろん看過することを許さないような違反事件がございますれば、これは当然法的な措置をとることが必要でございますが、全体として業界で自粛するような措置を推進するという方角に行政の重点を置いておるところでございます。
○小林(政)委員 以上で終わります。
○渡部委員長 石原健太郎君。
○石原(健)委員 通産大臣と中小企業庁の方にこれは御要望しておきたいのですけれども、先ほどの長崎の災害に関しまして、私も派遣されて現地を見てまいったのですが、本当に想像を絶するような被害ということで、中小商店街などを中心としまして、消費不況でただでさえ苦しいところに追い打ちをかけられ、今後の経営は非常に容易でないのじゃないか、こういうふうにも思われるわけであります。けさほど中村委員からも質問があり、激甚災に指定された場合の復旧の緊急融資限度枠の八百万を一千万あるいはそれ以上に見直してほしいという御要望があったわけであります。この限度枠を見直したくない理由というのは、恐らく財政的な問題などあってではないかと思うのであります。五十五年度に中小企業庁が支払ったこの資金の総額は千二百万でして、ことしの予算は一千六百万、今回の災害に際しましては、これが数億円にはなるかと思いますけれども、現地企業者の方々の倒産を防止するためにも、ぜひこの額の総枠の見直しはいま一度検討していただきたい。後ほど私が質問する近代化資金等助成法等では中小企業者に無利子で一千五百万も貸すというような制度もあるわけですから、災害に遭われた方たちのためにぜひ見直していただきたいと思います。 それで質問に入りますけれども、五十年以来中小企業と大企業との賃金あるいは生産性の格差は拡大する一方だということが言われておりますけれども、一体何が原因になっているのかということと、法律や制度面に何か欠陥があって、このような事態が起こっているのか、こういった点をお尋ねしたいと思います。
○神谷政府委員 御指摘のように、高度成長期を通じまして中小企業と大企業の賃金格差あるいは生産性の格差等は縮小の傾向をたどってきたわけでございますが、第一次石油危機後再び拡大傾向にあることは事実でございます。賃金格差拡大の原因というのはいろいろあるかと思いますが、主要な点を一、二挙げれば、第一には、大企業が第一次石油ショックの後新しい採用を手控えるといったようなことから平均年齢が上がってきております。こういうことから年功序列賃金をとっておりますわが国におきまして、大企業の賃金レベルが上がってきておるというのが一つあるわけでございます。第二に、オイルショック後、省エネルギーあるいは合理化投資というのが大企業においてはきわめて積極的に行われまして、これらがいわゆる労働力の構成の中において比較的単純な労働力のウエートと申しますか、あるいは賃金として比較的低目の労働力のウエートが少なくなってきておるという労働力の内容の構成が、中小企業と比較いたしますと、大企業においていま申し上げましたような傾向が著しく進んでおる。大体この二点が賃金における格差の拡大ではないかと思います。さらにはオイルショック後の大企業と中小企業の設備投資の差といったものが生産性の格差の拡大をもたらし、これが賃金格差の拡大の一つの根因になっておる、このように考えられます。
○石原(健)委員 最近の状況を見てみますと、大企業ではある程度設備投資が進んでいるようですけれども、中小企業などでは設備投資の方も相当落ち込んでいる。そうしますと、いまのお話によれば、ますます今後格差が広がることが予想されるわけであります。こういった事態にいかに対処されていくのか。 それから、いまのこういった不況だから中小企業などは苦しい状況に置かれているというような見方もあるようですけれども、あるいはこういう、状況がずっとこのまま続いていくかもしれない、こういったことも考えられるわけでして、そのうち景気がよくなれば中小企業は立ち直れるのだ、そういったことを言っているだけではいたずらに甘い希望を抱かせるだけで、問題の解決にはならないと思うのです。オイルショック前の高度成長の時代と、今日のような低成長時代と、それぞれに応じた中小企業に対する施策というものが同じというわけにはいかないのじゃないか、こういうふうに思うわけでありますけれども、その辺はいかがでしょうか。
○神谷政府委員 御指摘のように、現在の景気の沈滞を反映しての中小企業の設備投資の停滞といったことは、いま申し上げました格差を将来にわたってますます拡大していく傾向にあるわけでございまして、潜在的に非常に大きな問題をはらんでいると思います。 御指摘のように、高度成長期が終わりまして安定成長期に入ったわけでございますが、この曲がり角におきましては、中小企業は量的拡大ではなくして、むしろ新しい先端技術等を導入しながら質的な面で、あるいはその内容を合理化、充実するといった面での設備投資を従来に増して一層積極的に行っていかなければならないし、そういう面からの人材の育成に力を注いでいかなければならない時期に来ておるわけでございまして、そういう意味で、私どもはやはり日本経済の先行きに中小企業者が自信を持ちまして、いま言った面でのエネルギーの注入、投入といったものを積極的に行っていってほしいと考えており、こういった面において中小企業施策の重点といったものを高めながら、私どもとしてもできるだけの協力をしていきたいと考えておるところでございます。
○石原(健)委員 設備投資は、これからロボットとかME機器と言うのですか、そういったものの時代にもだんだんなってきている。そういった面で、もし企業の体質を変えていこうという場合には、相当多額の資金を要すると思います。また、マイナスシーリングとかゼロシーリングというようなことが言われておりまして、そういった面で中小企業に対するいままでにある制度面の運用ということは、相当窮屈になってくるのじゃないか、こういうふうに思われますけれども、この近代化資金助成制度による設備近代化貸し付けあるいは貸与事業には今後どう取り組んでいかれるのか、御説明ください。
○宇田川政府委員 お答え申し上げます。 先生御承知のとおり、中小企業設備近代化資金、それから中小企業設備貸与事業、これは国が都道府県に補助金を出しまして、中小企業設備近代化資金につきましては、中小企業のうち中企業以下、大体事業規模として従業員が百人以下という方を中心にいたしまして設備資金を無利子で、原則として設備の総額の半分を貸し付けるという制度でございますし、設備貸与制度と申しますのは、国からの資金も合わせまして、民法法人でございます設備貸与機関が行います設備貸与事業に都道府県が助成措置を講ずる、こういう制度でございます。その設備貸与制度と申しますのは、より零細、小規模な企業の方を中心にして設備貸与事業を行っておるわけでございますが、私どもといたしましては、この制度の内容、規模とも一層充実を図っていきたいと考えておる次第でございます。
○石原(健)委員 先ほどの長官のお答えの中で、今後は企業の質を向上させていく、あるいは人材を養成していくことを目指したい、こうおっしゃっておりましたが、これはやはり指導面が大切になってくるのじゃないか、こういうことだと思うのです。それで助成法によりますと、貸与機関は指導事業を行う、こういうふうに決められておりますけれども、この貸与機関の指導事業というのはどういうことを考えておられるのか、聞かせていただきたい。
○宇田川政府委員 先生御指摘の点は、中小企業近代化資金等助成法の第十五条というところにどういう事業を行っているものを設備貸与機関と考えるかというのが規定いたしてございまして、その第十五条の第四号に「中小企業設備貸与事業に係る設備の譲渡又は貸付けを受けた者の依頼に応じて当該設備の効率的な利用に資するため必要な指導を行なう事業をあわせて行なう」、こういう機関というものを設備貸与機関というふうに概念するということが規定されております。
○石原(健)委員 この制度によりますと、お金を借りたり機械を借りたりする人たちというのは、一般の市中金融機関が対象としない人あるいは政府系の三金融機関が対応できない、そういった企業なり人たちであるわけですね。それでしかも必ず返済のめどのある人たちということで、非常にむずかしい本当のボーダーライン上にある人たちじゃないかと思うのです。こういう人たちに資金を貸し付けたり機械を貸し付けるということのためには、相当綿密な審査が必要だと思いますし、こういう審査をする人たちというのは、その企業を一番よく知っている人だと思うのです。こういう人たちが資金なり機械を回収するためにも、こういった相手企業を指導していくということは最も大切なことじゃないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○宇田川政府委員 先生の、中小企業設備近代化資金の貸し付け、あるいは中小企業設備貸与事業に関しまして貸与機関が設備を貸与する、いわば一種のリースでございますが、そういうことを行うについては、相手が中小企業の中の中企業、特に設備貸与事業につきましては、原則として従業員が二十人以下という小規模、零細企業であるから、そういう企業の方に設備資金を貸し付けるあるいは機械を貸与するについては十分な指導が必要なのではないかという御指摘の点は、まことにそのとおりでございまして、私ども中小企業庁といたしましては、単に設備資金を貸せばいい、あるいは単に設備の貸与、あるいはリースを行えばいいということが本来の趣旨ではございませんで、その前あるいは後におきまして、十分な指導を行うということと両々相まって企業の経営の合理化、近代化を進めていく必要があると思っております。 具体的に申し上げますと、設備近代化資金、これは先ほど御説明いたしましたように、国が都道府県に補助金を出しまして、県が主として百人以下の企業に設備資金の半分を貸し付けるという制度でございますが、これを実施するに当たりましては、県に総合指導所という機関がございまして、ここに経営指導員というのがございます。その指導員の方々が事前に設備近代化資金を貸し付ける相手の企業に対して診断を行いまして、こういう形の合理化をすれば有効であるという判断をした上で貸し付ける。かつ、その貸し付けたところに従いまして、その中小企業の方々が設備を入れるといった後に、事後指導と言っておりますが、事後指導を同じく県の総合指導所の指導員が行いまして、十分な設備の活用というのを図っていく。こういうルールになっております。同様に、設備貸与制度におきましても、設備貸与機関の職員あるいは設備貸与機関が県の総合指導所の指導員に依頼をいたしまして、事前あるいは事後の診断、指導を行っている。こういうことで指導と設備資金の貸し付けあるいは貸与と両々相まって経営の近代化、合理化を図る、こういう形で進めておる次第でございます。
○石原(健)委員 長官にお尋ねしたいのですけれども、いま県の指導員とかいろいろお話もありましたけれども、先ほど私申し上げましたように、貸し付ける人が一番詳しく相手の企業のことを知っている。またそれに伴って人間的な関係も出てくるわけですね。借りた側が指導を受けるにしても、何か相談を持ちかけるにしても、やはりちょっとかけ離れた県の指導員よりは、しょっちゅう機械の指導とか何かで回っている人がやった方が合理的でいい指導ができるのではないかと思いますけれども、その点いかがでしょう。
○神谷政府委員 御指摘のように、貸すに当たって指導をしたり相談に乗った指導員は、事後的にもその企業のいろいろな相談に乗るようにするのが一番適切であろうと思います。いままでもできるだけそのようにやってきておりますし、今後もそのような方向で指導していきたいと思っております。
○石原(健)委員 ある中小企業団体が金属製造業関係の団体にアンケート調査をしましたら、新製品の開発とか技術革新への関心がずいぶんと高いそうですけれども、一体どこに相談をしたらいいかとか、どのようにしたらそれを実現できるのか大変悩んでいる状況にあるというような記事が最近のエコノミストなどにも出ておったのです。こういった技術革新とか新製品を開発したいというようなことを貸与された側の企業が感じた場合に、そういった相談にも貸与機関は応じてあげるのがその企業の成長のためにもいいのではないか、こういうふうに思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。
○宇田川政府委員 先生御指摘のとおり、小規模の方、中小企業の中以下の方がいろいろ技術的な、あるいは経営上の悩みといいますか、問題点を抱えている点は、先生御指摘のとおりでございます。そういう面につきましても、貸与機関は、具体的に貸与するに当たりまして、事前あるいは事後の指導の一環といたしまして経営改善、どういう方向で経営を持っていったらいいか、あるいはコスト分析をどういうふうにしていったらいいか、どういう方向で経営を運営していくべきであるかというふうな指導もあわせて行っております。 ただ、設備貸与機関は、主として設備を貸与するという事業の一環という形でそういうことを行っておりますので、先生御指摘の、特に新製品の開発という、まあ内容いかんにもよるかと思いますが、かなり高度な技術的な内容を伴いますものにつきましては、たとえば県に公設試験研究所というのがございまして、そちらの方に依頼をいたしまして、新製品の開発、研究の相談というものもそういうところであわせて行っているという制度になっておりますので、いろいろな形で総合的に企業の新しい方途を切り開いていくという指導をしているということでございます。
○石原(健)委員 そうしますと、企業側はそういったことの相談も、貸与機関を通して試験研究機関に依頼することができる、こういうふうに理解してよろしいわけですね。御返答をお願いいたします。
○宇田川政府委員 中小企業貸与機関に相談をしていただければ、貸与機関としては、みずから相談に応じる、あるいはこういう内容はこういう機関に相談した方がいいだろうというような適切な指導をしていただくものというふうに考えております。
○石原(健)委員 それからまた、貸与機関は貸付事業とか指導事業に付随するその他の公益事業をやっていると思うのですけれども、施行規則などを見ますと、事業の方法に関する規程を定めるときは、都道府県知事の承認を受けることとなっているといったことでありまして、事業の内容は、各都道府県でその地域の実情に応じて当然ばらばらなものになってくると思いますけれども、そのように考えておいてよろしいでしょうか。
○宇田川政府委員 御指摘のとおり、設備貸与機関は民法三十四条の規定に基づきます公益法人でございまして、それの業務方法書といいますか、その内容につきましては、都道府県知事の承認によって運営されるということでございます。現に設備貸与機関におきましても、設備貸与機関だけで行っております公益法人がございますし、それからそれとは別に、いわゆる下請振興事業との関係で下請企業振興協会という公益法人がございますが、そういう下請振興の事業もあわせ行っている、設備貸与と下請企業振興の両方を同じ公益法人が行っているという県もございますし、それぞれ県の実情に応じて都道府県が認可を行っている、こういうふうに考えております。 ただ、私どもといたしましては、中小企業庁として貸与機関あるいは本件に関連する公益法人の運用については、少なくともこういう点は担保したいというような点につきましては、補助金交付要綱その他を通じまして県を指導、監督している、こういう関係になっております。
○石原(健)委員 いま支払い遅延の話なども出ましたので、あれなんですけれども、いろいろな法律とか協会ですか、調停機関がありますね。にもかかわらず、現実には支払い遅延ということが頻々と起こっておりまして、私も直接そういった話も耳にするのです。そういった方が調停機関に相談に行くというのは、本当に場所を引っ越す覚悟ぐらいがなければ行けないのじゃないかと思うのですけれども、調停とかあっせんの件数なんかは実際にはどのくらいあるものなのですか。 それから、ことしから取引改善講習制度というのが始まって、まだ実施されてごくわずかな期間だと思いますけれども、こういったものの効果とか今後の方向といったものを御説明ください。
○本郷政府委員 先生お尋ねの下請代金支払遅延等防止法によります運用につきましては、中小企業庁においては、この法律に基づく下請取引の調査、立入検査というものを基本的には毎年実施しております。この調査によりますと、毎年約七万五千の事業所を調査いたしまして、その中から下請代金支払遅延等防止法に違反の疑いのある事業所に対しまして、さらに突っ込んだ文書による照会あるいは立入検査というようなことを行っておりますが、その総数は年間約八千件に現在上っております。こういった検査を通じましていろいろと指導し、非常に悪質な場合には、公正取引委員会による勧告その他の措置を請求するというようなことになるわけでございますけれども、そういった指導を通じまして、下請取引が適正に行われるように私どもとしても努力をしているところでございます。 もう一つ、先生のお尋ねの下請取引改善講習制度、これは下請取引適正化措置の一環といたしまして、本年度から設けることにしたものでございます。具体的には、親企業の外注担当管理者を対象にしまして、この下請代金支払遅延等防止法、それから下請中小企業振興法等について講習を行うものでございます。今年度初めてでございましたが、六月から七月にかけて、東京、大阪、名古屋、仙台、福岡といったところで講習会をちょうど終わったところでございます。予算的な関係がありまして、全国で八百人を対象にいたしました。申し込みがその倍近くございましたが、全部受け入れ切れないということでちょっと残念でございましたが、その講習の内容は、非常に熱心な質疑等も行われ、また講習が終わりますと試験などもやっておりまして、その成果は私ども一応所期のものを上げたと考えております。来年度もこれをさらに拡充したいと考えております。
○石原(健)委員 支払い遅延の事態が起こって中小企業者が苦しんだりすることのないようなお一層御努力されることをお願いしまして、質問を終わります。
○渡部委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時三十四分散会