P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
96回国会衆議院1982/03/18

社会労働委員会 第3号

発言数
401
登壇者
29
会派数
6
開催日
1982/03/18

会議録

唐沢俊二郎自由民主党

○唐沢委員長 これより会議を開きます。  小委員会設置の件についてお諮りいたします。  小委員十四名よりなる高齢者に関する基本問題小委員会を設置したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

唐沢俊二郎自由民主党

○唐沢委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

唐沢俊二郎自由民主党

○唐沢委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  小委員及び小委員長は、追って指名の上、公報をもってお知らせいたします。  なお、小委員の辞任の許可及びその補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

唐沢俊二郎自由民主党

○唐沢委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————

唐沢俊二郎自由民主党

○唐沢委員長 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長野祐也君。

長野祐也自由民主党

○長野委員 まず初めに、医薬分業に取り組む厚生省の基本的な姿勢を大臣に伺いたいと思います。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 医薬の分業につきましては、医師と薬剤師が相互にその職能を尊重して、それぞれの専門分野から医薬品の有効性、安全性の確保を図りまして、国民医療の向上に尽くすという観点から積極的に推進すべきものと考えております。  医薬分業が進むためには、第一に関係者間の積極的な話し合いが必要であると考えますが、国としても、従来より実施してまいりました調剤センター等の設置に対する補助等医薬分業の基盤の整備に努めるとともに、昭和五十七年度には医薬分業の実態調査を行いまして、その結果等を踏まえ、今後の推進策についてさらに検討を進めたいと考えております。

長野祐也自由民主党

○長野委員 大臣より医薬分業は積極的に推進すべきものと考えるという大変前向きの御答弁をいただきまして、力強く感じました。  しかしながら、その分業の実態というものを見てみますと、推定分業率についての厚生省のデータを見ましても、昨年の九月時点で七・二%と大変低く、必ずしもいまの答弁のようには厚生省は積極的でないように私は思われてなりません。  そこで、厚生省にも決意を新たに一層の努力を切望いたしたいと同時に、政府の広報番組を担当しておられる総理府に要望したいのでありますが、大臣のただいまの積極的な答弁を具体化していただくために、医薬分業について国民の理解を深めるためのPRについて総理府の積極的な御見解を賜りたいと思います。

小野佐千夫内閣総理大臣官房広報室長兼内閣官房内閣広報室長

○小野(佐)政府委員 お答えいたします。  総理府広報室におきましては、政府広報を効果的に行うために各省庁が共同で利用できる広報手段を包括的に確保いたしまして、各省庁との緊密な連絡のもとに、必要とする各般の政府広報を鋭意実施しているところでございますが、長野先生御指摘の医薬分業にかかわる政府広報につきましては、厚生省ともよく御相談申し上げまして積極的に対処してまいる所存でございます。

長野祐也自由民主党

○長野委員 ただいま総理府から、厚生省と相談をして積極的に対処したいという答弁でございますので、ぜひ具体的な実行をお願い申し上げたいと思います。  次に、医師法二十二条によりますと、患者が必要のない旨の申し出をしない限り処方せんは交付しなければならないと思いますが、法律解釈上これでよろしいかどうか。  そうであれば国立病院は率先をして範を示し、処方せんを書き、医薬分業を推進すべきではないかと思いますが、御見解をいただきたいと思います。

大谷藤郎厚生省医務局長

○大谷政府委員 医師法二十二条では、先生御質問のとおり、医師は患者に対しまして薬剤を調剤して与えなければならないと認めた場合には、患者が必要のない旨を申し出た場合あるいは暗示的効果を期待する場合など一定の場合を除きまして、処方せんを交付しなければならないと規定されております。しかし、薬剤の交付を医師が告知いたしましても患者から異議がないということは、処方せんの交付を必要と考えない患者の意思があらわされているものであるというふうに考えられますことから、このような場合に直ちに医師法第二十二条違反という問題が生じるとは考えておらないわけでございます。  そこで、国立病院におきます医薬分業につきましては、地域の調剤薬局の受け入れ態勢あるいは患者の意向等に十分留意いたしました上、院外処方せんの発行を積極的に推進するよう従来から全国の国立病院長会議等におきましても指示しているところでございまして、逐年相当の増加が見られているところでございます。先生御指摘のように今後とも医薬分業の推進に努力いたしたい、指導してまいりたいというふうに考える次第でございます。

長野祐也自由民主党

○長野委員 ただいまの前段の解釈は私も正しい解釈だと思うのです。ただし、患者から異議がないということを暗黙に処方せんの交付を必要と考えない患者の意思があらわされているものと解するということは、私は大変疑義があると思います。これは処方せんの発行義務の免除の要件にならないのではないかと私は思う。  お手元にもお渡しをしてありますが、昭和三十年七月二十九日、この分業の立法ができましたときの参議院の議事録がここにあります。その中で提案者の大橋武夫衆議院議員は、「薬をいただきたいという意思の表示は、これは処方せんの交付を必要としないという意思の表示とは観念的に明らかにこれは相違いたしておるのでございます。何らかその場合、いろいろなそのときの状況によりまして、薬をその医者からもらいたいということが、同時に処方せんの交付を必要としない旨の申し出をもあわせて意味するというような場合が、状況から推定される場合が相当あるかもしれませんが、この修正案の解釈といたしましては、この二つの申し出は全然別個のことでございましこの際においては、処方せん交付を必要としないという申し出、これが交付義務解除の唯一の要件である、こういうふうに考えております。」と答弁をされておられるわけです。  この立法時の考え方とただいまの御答弁とは明らかに違っておるわけでありまして、これは大変重大な問題だと私は思うのです。実態が法のとおり行われていないということは私も十分承知をしておりますが、いまはそのことを問題にしているのではなくて、その法解釈を正しく確認しておきたいと思うのです。つまり、勝手にこの解釈を変えてもらっては困るわけでありまして、私は、いま読み上げた立法時の精神、解釈を尊重して法の実行を進めるべきであると思いますが、大臣、この点についてどうお考えでしょうか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 法の運用につきましては、やはり反対の立場もあるわけでございまして、両方がいろいろと、それぞれ解釈上の相違があるだろうと思うのです。そういうことで習慣上、法律を離れまして、昔から薬師という言葉がありますように、医師から薬をもらわないと効かないような間違った考え方が現在の医学でも残っておるということは、この医薬分業を非常に阻害しておる要因であるというように実は思っております。  そういうことで、医師法第二十二条には長野議員がおっしゃったような内容の方向づけはされておりますが、一挙にその方向には行かないという習慣上の問題もございますし、いま医務局長よりお答えしたようなことでございまして、厚生省といたしましては、先ほど総理府からも話がありましたように、医薬分業の方向に啓蒙、啓発によって進めていくように全力を挙げていきたいと思っております。幸いデータを見ましても、昭和四十九年の〇・七が五十六年には七・二になっておりますし、これが飛躍的に進んでまいりますように努力をいたしたいということを申し上げます。

長野祐也自由民主党

○長野委員 大臣の御答弁の阻害をしている原因と実態の問題は、私も先ほどから申し上げているようによくわかるのですが、立法時の法の解釈がこんなにも行政によって曲げられるという事例は、私は珍しいと思うのです。これは大変な問題でありますから、医務局長、もう一回その点についてはっきり御見解をいただきたい。

大谷藤郎厚生省医務局長

○大谷政府委員 法二十二条につきましては、除外規定が多数設けられているわけでございまして、私といたしましては、先ほどその全体として申し上げたわけでございまして、先生の御趣旨につきましては十分検討させていただきたいと思います。

長野祐也自由民主党

○長野委員 除外規定にはいま私が指摘したことは入らないわけでありますから、いまの御答弁のとおりこの問題は重大な問題でありますので、正しい解釈を、立法時に返って、原点に返って再検討を御要望しておきます。  国立病院における医薬分業につきまして、全国の国公立病院の会議等において指示しておるということでありますけれども、具体的に何年の会議でどのような指示がなされたのか。  また、国立病院における院外処方せんの発行状況の厚生省の資料をいただいておりますけれども、それによりますと、五十五年時点で、外来処方せん約七百三十二万枚のうち院外処方せんは二十七万六千枚でありまして、わずか三・七%にすぎないわけで、これでは国立病院が分業が進んでいるかどうか大変疑問である。これについての御見解を承りたいと思います。

大谷藤郎厚生省医務局長

○大谷政府委員 私どもでは毎年定期的に病院長会議あるいはその他の会議を実施いたしておりまして、その会議の際に、この問題につきまして極力指導に努めているところでございます。  それから、国立病院の院外処方せんの発行状況は、確かに先生のおっしゃるように少のうございますが、これを年次的に見ますと、たとえば昭和五十年には院外処方せんが三万六千枚でございましたけれども、五十五年には二十七万六千枚、七・六倍の増加になっているわけでございまして、今後ともできるだけ院外処方せんの発行が増加いたしますように指導いたしたいというふうに考えております。

長野祐也自由民主党

○長野委員 いまの数字は、これはもともと五十年のスタートの時点が一%にも満たないわけで、その伸び率を言われても、分業が伸びていると私は理解できません。したがって、国立病院が調剤薬局の受け入れ体制がないというようなことを言わないで、もっと薬剤師会とも事前に話し合いが持たれるように、国立病院を具体的に指導していただきたいと思います。  もう一つ。保険薬局は、健康保険法第四十三条ノ三で指定をされますと、国民健康保険法第三十七条の第三項で国保上の取り扱い機関とみなされているわけであります。更生医療、児童福祉法、労災保険、結核、原爆、生保等による指定についても同様な方法をとって簡略化すべきではないかと思いますが、これについての御所見を承りたいと思います。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○三浦政府委員 先生御指摘の問題につきましては、おっしゃるとおり、いろいろな制度によっていまばらばらになっておりますが、その指定薬局数につきましても、結核では一万件、原爆では七千件と、かなりばらばらになっております。これを簡略化することにつきましては、医療機関に対する取り扱いとの均衡上、いま直ちにということは非常に困難でございますけれども、御指摘もございますので、ひとつ各局とまた相談させていただいて、検討してみたいと思っております。

長野祐也自由民主党

○長野委員 いま、医療機関に対する取り扱いとの均衡上直ちにはとおっしゃったのですが、この医療機関に対する取り扱いとの均衡上ということは具体的にどういうことなのか。  それから、医療機関と一口に言いますけれども、それぞれの機関によっては業務内容が異なるわけで、たとえば診療所は、患者を認定をしたり特殊の患者の治療のために特殊な設備が必要でありますけれども、薬局に関して言えば、その処方せんによる調剤、投薬のみで、これは他法による業務と特別変わるところはないと私は思うのですね。したがって、その業務内容というものを見ないで一口に医療機関というふうに横並びをするという考え方について、私はどうも納得ができません。行政簡素化ということがいま当面の課題として言われている中で、私は、薬局に限って見れば、やる気があればできると思っておりますが、これについての厚生省並びに労働省の御見解を承りたい。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○三浦政府委員 これにつきましては、各法律で別々に指定をしておるわけでございまして、またこの医療の内容につきましても、特殊な結核のような場合がございますので、いま直ちにと申しましたのは、先生の御指摘を受けましてすぐというわけにはまいりませんが、確かに簡略化ということは大事なことでございますので、ひとつ内部において早急に検討させていただきたい、こういうふうに申し上げておるわけでございます。

岡部晃三労働省労働基準局監督課長

○岡部説明員 労災保険の薬局の取り扱いにつきましては、労災保険法施行規則に基づきまして、開設者の申請によりまして都道府県労働基準局長が指定をするということで、健康保険における保険薬局の取り扱いとほぼ同様のかっこうになっております。  その間の簡略化の問題を先生から御提起になったわけでございますが、労災保険の場合には、労災患者の地域的な存在の状況、それから労災医療に資するという、目的が若干異なるような点がございますが、さらに、これは省間にまたがる指定ということでありまして、その辺の技術的な問題もあろうかと思います。しかし、ただいま厚生省からお話がございましたように、簡略化という問題は大事でございますので、さらに厚生省との間でいろいろと話し合いを続けていきたいというふうに考えます。

長野祐也自由民主党

○長野委員 薬事法では薬局はどの処方せんでも調剤するように規定をされております。国民ももらった処方せんというのは自分の好きな薬局を選択して行ける。そういうことが国民にとっていいことであると私は思う。ところが、いまお話がありましたように、保険の各法が法律によって縦割りになっておりますために、それぞれの指定を受けた薬局でなければ国民は調剤してもらえない仕組みになっております。これは国民にとっては大変不合理なことだと私は思います。それを縦割りの法律ではあっても指定ということを統一化することによって国民は薬局選択の自由を得られるということになるわけで、これは事務簡素化の上でもいいことであり、やろうと思えばできることである。要は国民のためにやる気があるかどうかの問題だと思うのです。いま答弁で内部で早急に検討するということでありますから、私は必ずしもこの答弁には納得できませんけれども、きょうはこれ以上議論をしている余裕がありませんので、今後も問題提起をしていきたいと思いますし、今後の早急な検討の結果を見守りたいと思います。  次に、医療費の適正化対策について、私の所見を述べながら厚生省の見解を六点承りたいと思います。  薬価差の原因は、一つには二千四百とも言われる製薬メーカーの過当競争と流通の乱れにあると私は考えるのであります。したがって、この二つの問題にメスを入れずして薬価基準の適正化、医療費の適正化はあり得ないのではないか。この二つの点について厚生省として従来どういうことをなさってこられたのか、承りたいと思います。

持永和見厚生省薬務局長

○持永政府委員 先生御指摘のように、薬価差の大きな原因として過当競争、流通問題があるという御指摘はそのとおりだと思います。このために、私どもといたしましては従来とも薬価という面で言いますと薬価調査を機動的にやる、それに基づいて薬価算定をやるということをやっておりますが、流通の適正化という問題につきましても私どもかねがねいろいろとそういった面での行政指導をしているところでございまして、たとえば添付販売を禁止するとか、サンプル品を過剰に供与するようなことについて規制するとか、あるいはプロパーと申します医薬情報担当者の資質向上を図るための研修会をやりますとか、あるいは倫理規定をつくるとかいうようなことで医薬品流通の適正化について努めているところでございますが、さらにいろいろとまだ問題も指摘されているところでございますので、こういった医薬品流通のあり方につきましては、現在私どもの方で学識経験者をメンバーにした研究会を設置いたしましてその検討を進めております。  この研究会がことしの四月ぐらいを目途に報告書を出すということになっておりますので、その報告を踏まえましてあるべき流通の姿、そういったものについて適正な対策を講じてまいりたいというふうに考えております。

長野祐也自由民主党

○長野委員 研究会をつくって四月に報告書を出されるということでありますから、期待をいたしたいと思いますが、要は基本的なことはやはり流通機構の問題を避けて通れないわけで、これをきちんとしない限り何回薬価調査をやってみても根本的な解決にならないということを私は指摘しておきたいと思います。  次に、今日の医療費の膨大化につきましてはいろいろ原因があろうと思いますけれども、医療政策の出おくれによるむだの蓄積というものが最も大きな原因であるということについての認識が、率直に言って厚生省には欠けておられるのではないか。この点についてどう思われますか。

大谷藤郎厚生省医務局長

○大谷政府委員 確かに先生御指摘のように、私ども医療政策についていろいろな面から努力はいたしておりますけれども、総合的な視点におきまして必ずしも十分とは申せないわけでございます。しかしながら、こういった点につきまして、非常に迂遠なようでございますけれども、医の倫理、教育、あるいは地域医療、いろいろな諸側面からこういった方向に努力をいたしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。

長野祐也自由民主党

○長野委員 私はここに日本医師会の武見会長の論文集を持ってきておりますが、これを拝見しておりますと、率直な感じとして言わせていただければ、どうも火事が大きくなってからあわてて後追い行政をやっているような感じが否めないわけであります。この昭和三十年三月号の中央公論に、老人の増加にどう対処するかという大変先見性のある警鐘がなされているわけでありますが、これが二十数年間放置されてきた責任は大変重いと言わなければならないと私は思うわけで、その時点でこういう先見性のある警鐘に厚生省が敏感に対応しておるならば、今日の医療費の半分はそのむだを防げたのではないかという説もあるわけです。そういう意味では、非常に後追い行政であるということを私は指摘をしておきたいと思います。  次に、いわゆる医療関係法の陳腐化という問題でありますが、もっと技術革新に対応した法律形式が必要であると思いますけれども、この点についての御見解を伺いたいと思います。

大谷藤郎厚生省医務局長

○大谷政府委員 確かに、日進月歩の技術革新に即応いたしますようにシステムを柔軟に対応できるようにすべきだということは当然のことでございますが、これを一々法律でそういうふうに規制するというふうなことは大変むずかしい問題でございます。しかしながら、厚生省といたしましては、そういったむずかしい面がございますけれども、昨年来いろいろ地域医療計画でございますとかそういった観点から法改正等の勉強も進めておりまして、こういった問題に前向きに取り組みたいというふうに考えておるわけでございます。

長野祐也自由民主党

○長野委員 前向きに取り組みたいということでありますが、こういう法令の一部の改正というつじつま合わせ的な対応でなくて、もっと基本的には生命観とか健康に対する価値観というものが変動している中で、医師法や医療法の中にもそういうような基本的な問題が欠けているような気が私はいたしますので、そういう点での一大発想の転換をお願いしておきたいと思います。  次に、医療費の通知に関しまして、被保険者が自分のかかった医療費を知るということは、私はいいことだと思うのですが、それがやり方によっては医師とその患者との信頼関係が損なわれるおそれがある。この点についてはどういうふうに考えておられますか。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 おっしゃいますように、医師と患者の信頼関係が失われるということは非常に困ることでございます。これはあってはならないというふうに考えるわけでございます。現在各保険者のやっております医療費通知の方法につきましても、その通知の内容を、たとえば患者の医療費に係る事実に限定いたしまして、病名、それから診療内容などは書かないということによりまして、医師と患者の信頼関係が損なわれないように、そのようなことでやっておるところでございます。

長野祐也自由民主党

○長野委員 高額医療機器の共同利用に関しまして、これは国公立病院でやろうとする考えのようでありますけれども、外部の開業医はそれではどうも気軽に利用できないのではないか。したがって、国公立病院でやるよりはむしろ医師会病院等を中心に考えるべきではないかと思いますが、その点についていかがですか。

大谷藤郎厚生省医務局長

○大谷政府委員 医療機器の共同利用につきましては、私どもも積極的に推進いたしたいと考えております。先生のお話のように、開放型病院として運営されております医師会病院では、すでにそれぞれの地域で相当共同利用的なことが行われておりまして、私どもも非常に敬意を払っているところでございます。しかし、国公立病院におきましても、私どもの方では地域医療研修センターという形で、教育研修部門も合わせましてこういった高額医療機器を開業医の方々に利用していただくという考え方で進むべきものである。  ですから、これは医師会病院にするとかあるいは国公立病院にするとか一方的な考え方ではなしに、こういった問題は地域医療計画全体の問題としてできるところから進めていくというふうに考えておるわけでございます。

長野祐也自由民主党

○長野委員 レセプト審査の充実に関連をしましてコンピューターの導入ということが言われておりますが、このコンピューターの導入はあくまで統計的な処理にすぎないと思うのでありますが、一般の人ではコンピューターでも審査できると思っている人が多いわけで、これはどうも私は間違いではないかと思いますが、この点について明確にしていただきたいと思います。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 支払基金におきましては、五十七年度からレセプト審査の充実にコンピューターの活用を開始するということにしておりますが、これは審査委員会におきまする重点審査をより的確かつ公正に行いますために、コンピューターによって作成いたしました統計資料を活用するというものでございます。御指摘のとおり、コンピューターで審査そのものをするということではございません。

長野祐也自由民主党

○長野委員 以上、医療費の適正化対策についての疑問点をただしたわけでありますが、最後に強く要望しておきたいことがあります。  それは、この医療費の適正化対策の六項目は、医療費が増大することへの対策としては私も十分理解をできるわけでありますが、どうも率直に言って、対症療法的な感を免れないわけで、もっと抜本的な対策があるのではないかと思うわけです。医療費の膨張に対するあるべき施策として私の考えられることは、医療費というものを単に消費としてとらえる見方をやめて、国民の健康を守るための必要経費であるという考え方を確立していただき、そしてまた、これを医師のみの責任とするかのような警察行政的な医療費削減方策を行うことではなくて、さきに指摘いたしましたように、長期的な見通しを持たなかった厚生行政の過去の反省の上に、未来に対する問題を考慮しつつ医療を育てるという姿勢が何よりも必要であるということを私は強調して、今後の厚生省の医療費適正化対策を見守っていきたいと思います。  次に、歯科の問題について伺います。  国はかつて、昭和六十年までに人口十万人に対しまして五十人の歯科医師数を確保するという目標を打ち出したわけでありますけれども、この五十人という数字は何を根拠に打ち出されているのか。今日すでに人口十万人に対し五十人の歯科医師数を確保するという目標は達成されて、このままいきますと世界有数の歯科医師過剰国となることが予測をされております。歯科医師増に対する対応策はどうなっているのか。また一方では、無歯科医地区あるいは歯科医師の過密地区がかなり多く存在をしておりまして、歯科医療の過密過疎に対する対応策が早急に立てられなければならないと思いますが、この点についての御見解、並びに現在の大学数や定員についてどのように考えておられるか。この三点伺います。

大谷藤郎厚生省医務局長

○大谷政府委員 適正な歯科医師数はどのように決めたのかというお話でございますが、これにつきましては大変むずかしい問題でございます。私どもとしては、たとえばアメリカが人口十万対五十人、西ドイツが五十人、フランスが五十一、こういうふうな数字をいままでにらんでおりまして、大体先進諸国の進歩の状況と合わせて一応目標数を五十ということに置いてきたわけでございます。この問題につきましては今後とも十分勉強させていただきたいと思うわけでございます。  それから、大臣がお答えになります前に、無歯科医師地区あるいは歯科医師過密地域というふうな問題でございますが、確かに歯科医の偏在の問題というのは、トータルの問題のほかに非常に現実の問題といたしましてあるわけでございます。トータルで十万対五十と申しましても、ある地域では非常にお困りになっている地域もあることも事実でございます。したがいまして、厚生省といたしましては、地域医療計画の策定の推進や僻地医療対策の充実というふうな問題で細々とした施策をあわせまして、地域において均衡のとれた歯科医療の確保に努めるよう努力いたしておるわけでございます。  大学につきましては、現在事務的に文部省との間で検討会を開きまして検討をいたしているところでございます。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 医師並びに歯科医師の人口十万に対する比率は、百五十とか歯科医師に対する五十、ただいま御指摘ございましたが、これはあくまでも、医務局長が答弁いたしましたように、かつて先進国でございましたドイツであるとかアメリカであるとか、そういうところを基準にしてきたものだろうと私は思っております。しかし先ほど長野議員から、いろいろ医の倫理とか医業の個人から公共性を持つ、いわゆる点から面に広げていかなくてはいけない、また治療も大事であるけれども、予防ということも大事であるというような新しい医療の方向づけ、これはもっと早くやっておけばこんなことにならなくてよかったのにという御意見もございますけれども、そういうことを踏まえて、決して五十人がどうだとか百五十人がすべてであるということを限定はできないと思いますし、また将来私どもは、やはり日本の医療というものは海外まで出ていって海外援助等も含めてかなり現在と変わった数になってもしかるべきである、こういうふうに実は考えております。  そういうことで、将来の歯科医師数については今後の歯科治療の動向また社会情勢の変化等を総合的に勘案いたしまして、適正な規模になるようにする必要がある、このように思っております。

長野祐也自由民主党

○長野委員 先ほど医務局長が将来の歯科医師数につきまして文部省との間に検討会を設けて検討しておるというお話でしたけれども、これは歯科医師の関係者が入っているのかどうか、いままで何回会合が持たれたのか、そして結論はいつごろ出されるのか。

大谷藤郎厚生省医務局長

○大谷政府委員 厚生省の医務局の中に歯科衛生課長、歯科医師出身の課長がおりまして、またそのスタッフにも歯科医師がございます。そういうふうなことで、特別専門の歯科医師を外からお招きしてということではございません。これは部内の検討会でございますから、そういうふうなことで十分歯科医師の御意見というものはこれに反映させてやっていきたいというふうに考えているわけでございます。  それからまた、この問題につきましては、非公式の会議でございまして、公式の会議というのは二回だけ行っておりますが、その他にも非公式に事務レベルで会議をいたしているわけでございます。

長野祐也自由民主党

○長野委員 冠や義歯の現行の保険料金は、諸外国と比較いたしましてその料金の何分の一という低いものになっております。冠につきましては、日本の保険料金を一としますと西ドイツは九、スウェーデンは五でありまして、また義歯については日本の保険料金を一とすると西ドイツは四、スウェーデンは三であります。このように諸外国の実態と比較して格差があり過ぎると思いますが、この格差の実態をどういうふうに見ておられるのか。またこの格差に対してどのような対策を考えておられるのか。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 この診療報酬の体系は、国によりましてなかなか違っておりますので、単純に比較することは困難であると考えておるわけでございます。そこで診療報酬は、各診療行為の点数の均衡とか全体として保険医療機関の健全な経営が確保されるという観点から設定をしてきたところでございまして、今後とも中医協の御意見を踏まえまして技術料の適正評価ということをやってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

長野祐也自由民主党

○長野委員 技術料の適正評価につきましては、国民歯科医療の向上のためにもぜひ御検討をいただきたいと思います。  最後に、歯冠修復や欠損補綴の中には保険給付外の扱いのものがあります。保険医療範囲の拡大についてどのように考えておられるか。  前歯部の鋳造歯冠修復及び歯冠継続歯において、保険給付外の貴金属を使用した場合には、使用した貴金属と保険給付である金銀パラジウム合金の差額を患者が負担する材料差額方式が取り入れられておりますが、今後もこの方式の拡大を実施していかれるのかどうか。  今後も材料差額方式の拡大を実施していくのであれば、技術料の適正化が前提になると思いますが、どうでしょうか。  また、保険給付外のもののうち、材料差額方式では処理できない歯冠修復や欠損補綴があると思いますが、どのようなものがあるのか。  これらの診療行為を患者が希望しますと、希望する段階から全くの自由診療の取り扱いとなりますので、患者の保険診療における既得権が失われる結果となります。これについてどのように考えておられるか。材料差額方式で処理できないものを今後どのように取り扱っていくのか、お尋ねいたします。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、自費ということの範囲が非常に広いということになりますと、国民生活上困るということになります。したがいまして、私ども、国民生活上必要かっ緊急とされるものは保険給付とするということにいたしまして、段階的に保険給付に取り入れてきております。これは五十三年の医療費改定あるいは五十六年、昨年の医療費改定におきましても逐次採用をしておるところでございまして、また先ほど言われました材料差額方式の採用も必要でございます。これも逐次段階的に取り入れてきておりますし、今後とも取り入れてまいりたい。  そこで、材料差額方式を取り入れますに当たりまして技術料の適正評価というものが必要ではないか、こういうお話でございます。ごもっともでございまして、これは私どもも、材料差額の範囲の拡大につきましては、基礎的技術料の適正評価というものも並行いたしまして行っていくというふうに考えておるわけでございます。  以上でございます。

長野祐也自由民主党

○長野委員 材料差額方式で処理できないものは。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 材料差額方式で現段階におきまして処理できないというものは、金属床あるいはメタルボンドなどの項目数項目がございます。これらにつきましても、保険財政との関連もございますので、どの段階で材料差額方式に切りかえていくかという問題はございますが、これも保険財政などを見ながら、中医協の御意見を伺いながら進めてまいりたいというふうに考えておるわけであります。

長野祐也自由民主党

○長野委員 時間の関係で、最後にまとめて四点お尋ねいたします。  一つは中国孤児の問題でありまして、沖縄が返らなければ戦後は終わらないという佐藤総理の名言を引用しますと、中国残留日本人孤児全員が日本の土を踏むまでは、戦争の償いと戦後の処理はまだ終わっていないと言えると思います。その中国残留日本人孤児がなお相当数いるということであれば、人道的な見地からこの肉親捜しのスピードをもっと早めるべきではないかと思います。また、これを含めまして中国孤児対策に関しましてはむずかしい諸問題があるわけでありますが、こういう問題を解決するための抜本的な対策を考えるべきではないか。大臣は彼らを直接激励をされるなど大変積極的に取り組んでおられる姿に私も深く敬意を表したいと思いますが、どうか積極的な取り組みの御所見を伺いたいと思います。  第二点は、出生率の減少によりまして保育所の入所者数が減少をして定員割れを起こしている施設がありますが、国は今後この問題にどういうふうに対応をされていかれるつもりか。  第三は、国際障害者年は終わりましたけれども、障害者行政というものを一年限りのものとしないで長期的に進めるために、政府は長期行動計画の策定を含めまして今後どのように対応されていくか、基本的な考え方を伺いたいと思います。  最後に、ことし十月から実施が予定されます老人保健法に関連しまして、老人保健事業に伴うマンパワーの確保については、実際に可能な方向で確保できるように御配慮をいただきたいと私は思います。特に保健婦の方々に大変大きな負担がしわ寄せされるというようなことにならないように、二点お尋ねをしておきたいと思います。  第一は、一部の保健婦にしか適用されておりません育児休業法を看護婦と同様に全面的に適用をされるようにすべきではないか。  第二点は、保健婦の業務は母子、精神、成人病、結核等と範囲が非常に広くて、一人当たりの受け持ち人口も多いわけでありますが、また、市町村保健婦と保健所保健婦の連携がとりにくい行政システムにもなっているようであります。したがって、この保健婦の定数を法的に裏づけることはできないのか。  以上の点についてお尋ねいたします。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 中国残留日本人孤児の問題につきましては、中国政府の御理解とまた国民すべての大変な御同情によりまして、今回、六十名の方のうちで四十二名、七割の方が肉親とお会いできました。また、お会いできなかった方も、母国に帰れたというような、非常に喜びを持ってお帰りいただいたと思います。そういうことで今後とも続けまして、しかもいまおっしゃいましたように、まだ私どもの推定では千名近い方が残っておるということで、スピードアップを進めなくてはいけない。そういうことでこの二十二日に石野事務次官を派遣いたしまして、北京政府に御礼を申し上げますとともにお願いをいたします。  それから、これは鈴木総理も非常に御熱心でございまして、御指示がございましたので中国残留日本人孤児問題懇談会をつくりまして、有識者またボランタリーの方々を含めまして早急にこの問題について検討をする。非常に民間団体等の御協力もございまして、この問題につきましては私どもも非常にありがたい問題だと思うと同時に、戦争の悲惨な面、平和のありがたみというものをあの孤児の御対面を通じてわれわれは感じておったわけでございます。そういうことで、これこそ最大の福祉であるし、また国民の共感を得た精神的な問題であるというふうに受けとめています。  それから第二点は、また関係政府委員が答えますが、障害者年の問題、これは去年障害者年で「完全参加と平等」ということを大きく打ち上げまして、今後十年間の行動計画によって示していこうということでございます。従来は、ややもすれば言葉だけで終わってしまう面がございましたが、総理大臣が本部長になりまして、あと強力なスタッフによって障害者の方々の福祉のために、また幸せのために具体的にやっていこう、これが国際障害者年、今後の問題に対する取り組み方であります。  それから老人保健法の問題につきましては、これはもう衆議院を通過させていただきまして、ありがたいと思っておりますけれども、先ほどからるる、いろいろな問題、また健康に関する問題等、お話がございました。私は、高齢化時代に備えて、老人が元気で健やかに長生きしていただけるように、またむしろ予防に力を入れて、治療よりも予防という面で四十歳から治療を始めていただく、そういうことで、これからの新しい医療の方向は老人保健法によってかなり目的を達するであろう、このように思っております。また法の運用もその方向でやっていきたいということでございます。  あと関係政府委員から御答弁をさせます。

幸田正孝厚生省児童家庭局長

○幸田政府委員 質問の第二点の保育所の定員割れの問題でございますけれども、御指摘のとおり、昨年初めて保育所の入所者数が減少いたしました。子供の数が減っておりますので定員割れを生じている場合がございますけれども、他方では女子労働の増加、特に配偶者を持っております女子の第二次産業あるいは第三次産業への進出というのは非常に著しいものがございます。そういった意味で社会的にいわゆる乳児保育、特に一歳児あるいは二歳児といったような保育需要が増加をしてきておりますので、こういった面での対応といったようなこと、あるいは保育所自身がいろいろな保育の面でのノウハウを提供するという保育センター的な役割りを果たすといったようなことも、今後の方向としては考えられるのではないかと思うわけでございます。  いずれにいたしましても、地域地域でそれぞれの保育需要に十分対応したしっかりした計画が必要であろうと思いますので、関係者が不安を抱かないような方向で先生御指摘の問題について指導をしてまいりたい、私どもはかように考えております。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○三浦政府委員 最後の御質問の保健婦の問題でございますが、その一つはいわゆる育児休業法の問題でございます。これにつきましては、看護婦等の勤務の特殊性によりまして要員の確保が非常にむずかしいという業務に従事する者に対しまして育児休業制を適用しているわけでございますが、保健婦につきましては、御指摘のように病院、診療所に勤務する場合、あるいは僻地に駐在する場合に限って現在認められておるわけでございます。もちろん保健所や市町村に勤務する保健婦さんの確保の重要性というのは私ども十分認識しているわけでございますけれども、保健所とか市町村に勤務する保健婦につきましてはほかの医療技術職員あるいは一般事務職員とチームになって仕事をしている場合が非常に多いわけでございまして、この保健婦だけ特別に取り扱うということにつきましては、職員の勤務管理上いろいろなトラブルを伴うことになるわけでございます。非常にむずかしいのじゃないかと思っております。ただ、日本看護協会の調査なんかを見ますと、条例によってそういったことを決めてあるところがあるということを聞いておりますので、これは先生一度調査をさしていただきます。  それから、第二の問題でございますが、保健婦の必要数につきましては、都市部あるいは農山村部の生活環境の相違とか医療機関の配置状況、こういう観点からいろいろ検討する必要があると思いますので、この数を法律で決めるというのはいま非常にむずかしいのではないかと思っております。  なお、現在保健婦の一人当たりの受け持ち人口というのは大体七千六百人になっておりますが、この保健婦の配置につきましては地域的に相当な格差があるのも事実でございまして、新しい老人保健制度の発足を機会に必要な保健婦数の確保をしてまいりたいというふうに考えております。

長野祐也自由民主党

○長野委員 時間がありませんので終わりたいと思います。ありがとうございました。

唐沢俊二郎自由民主党

○唐沢委員長 次に、森井忠良君。

森井忠良日本社会党

○森井委員 森下厚生大臣はお気の毒なことに厚生省最大の受難の年に厚生大臣におなりになりました。もう一度申し上げますが、お気の毒でございます。  これはあなたのときじゃございませんでしたけれども、早々と厚生省は予算編成で退却をいたしまして、去年の夏には何と年金のスライド時期を五カ月ないし六カ月おくらす概計要求をいたしてまいりました。結果として、御案内のとおり一カ月おくらされたわけでございます。厚生省関係の年金等の一カ月おくれに要する費用というのはざっと百億でしょう。P3Cという飛行機がありますが、あれ一機が百十九億です。ざっと百二十億です。あれ一機をやめて、全国のお年寄りの年金のスライドの時期をおくらすことを防げなかったのか。もう一度申し上げますが、本当にお気の毒だったと思うわけでございます。それから、苦しまぎれでしょうけれども、例の国民健康保険等の都道府県移管の五%の問題にいたしましても、にべもなく自治省から断わられまして、大急ぎでその財源対策にきゅうきゅうとなさった。まことに言いにくい話でございますが、そういう状態なんです。  私も長い間社会労働委員会の委員をいたしておりますが、率直に申し上げまして、防衛費の伸びとそれから社会保障関係費の伸びは、社会保障関係費の伸びの方が対前年比較をいたしまして大幅に伸びてまいりました。御案内のとおりです。去年それが防衛費の伸びと社会保障費の伸びが対前年度比でようやく肩を並べました。そしてことしは、防衛費の方は大方八%、社会保障関係費は二・九%、こんなばかなことがありますか。涙が出るほどくやしい。私はそう思います。かつてないことです、防衛費の伸びと社会保障費の伸びがそれだけ違ってきたということは。  この際ですからついでに申し上げますと、私ども苦労いたしまして年金のスライド時期というのを少しずつ引き上げてまいりました。早くしてまいりました。御案内のとおり国民年金は、本来一月というところを拠出制の場合は七月まで、半年も早くすることにいままで努力をしてまいりました。一挙にそれが音を立てて瓦解をするように一カ月おくらす。しかも、申し上げましたように、値段はP3C一機、これをやめればできるわけです。この際、そういった意味での厚生大臣のお考えをまず承っておきたいと思います。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 御同情いただきましてまことにありがとうございます。厚生大臣といたしましては、国民の要望にこたえて、社会保障、社会福祉の面において、すべての政党政派から褒めていただくように予算を取るのが当然であったかもわかりませんけれども、厳しい財政状況のもとにおきまして予算を組まざるを得なかった。しかし仕上がりにつきましては、いろいろ御批判がございますけれども、何とかかっこうがついた。率直に申し上げまして多少のやりくりはございます。しかしながら、防衛費突出、福祉後退を許しているということは、私どもはそこまでは行っていないと実は自負はしておるわけであります。  そういうことでいろいろ十一カ月の予算計上につきましても、支給時期を一カ月延ばした、そのために百億、P3C分だけ節約したじゃないかというような御叱責も、数字的にはそのとおりでございます。  そういうことでいまお尋ねいだだきました中の十一カ月予算の計上、この分につきましては、国の財政事情が非常に厳しい、そういうことで国保の補助のあり方について検討した結果、政管健保や公費負担等と同じように、国庫補助の年度区分の基準を医療機関における診療時から保険者の支出時に変更いたした、こういうことでございます。

森井忠良日本社会党

○森井委員 時間が限られておりますので、ひとつ御協力をお願いしたいと思います。  この際若干の見解の違いがありますが、苦しい財政事情の中では、そうは言いますものの、御努力なさったと思うのです。厚生省案で行きますとスライド時期は五カ月ないし六カ月おくれることになっておったのですから。それが一カ月で済んだ。まあ物は言いようでございまして、いまよりは悪くなるのですけれども、初めうんと強くほっぺたをたたかれたものですから、それを少しさすっていただいた感じがするのですけれども、しかし、この際このことについても申し上げておきたいと思うのです。五カ月ないし六カ月のスライド時期が一カ月にとどまった。言葉は悪いのですが、これは厚生大臣、厚生省の力というよりも、御存じのとおり公務員の賃金その他関係がございまして、結果としてこういう数字になったわけでございまして、私はもう一押しがんばっていただきたかったという感じでございます。  そこで、具体的にはこれは法案が出るわけですからそのときの審議に譲るといたしまして、とりあえず二つのことを約束していただきたいと思うのです。  一つは、年金については今回も四・五%の引き上げになっておるわけでございますが、これは物価に連動いたしております。したがって五%以下でも——これは前例もあるのですよ。昭和五十四年度に三・四%引き上げていますからね。したがって、森下大臣来年度の予算をお組みになるのかどうなのか、多分まだ内閣はあると思いますし、改造もないと思いますから、五十八年度についてもやはり五%以下でも物価のスライドを続ける、これをひとつお約束願いたい。  それから二つ目は、ことしは金がないということで勘弁してあげますけれども、来年は少なくともいままでどおり厚生年金は六月といったふうにもとに戻していただきたい。この二つについてお約束を願いたいと思うのです。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 従来は特例的に五%以下でもスライドさせていただいたわけでございますが、五十八年度につきましては、ここで私からそのとおりいたしますということは言えません。しかしながら、五十八年度の方針につきましてはいわゆる白紙の状況であるということだけを申し上げたいと思います。

森井忠良日本社会党

○森井委員 納得できません。改めてこれは年金等の議論もございますから、きょうは譲ることにいたします。  そこで、先ほどもちょっと申し上げました国民健康保険の都道府県移管、これがだめになりましたね。財政的には厚生省予算で二千数百億の影響が出てきたわけでございますが、大臣がお話しになりましたように、苦し紛れに十一カ月分の予算を組むということでざっと千八百億財源を浮かされたわけなんですね。ただ、ずっとたどっていきますと十一カ月予算になっていない。市町村や国保組合等は十二カ月の予算を組むようにあなた方は強制をしておられる。これはえらい話が違うわけです。これは一体どういうわけですか。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 この問題につきましては、結論から申しますと、市町村あるいは国保組合に対しますところの国庫補助は変わりません。つまり十二カ月分の予算を組んだ、それに対して十二カ月分の国庫補助が行くということで、国保の運営に支障のないような形になっているわけであります。  そこで、なぜそのような、先生おっしゃいましたようなことになっておるかといういきさつを御説明いたしたいと思うわけでございますが、この国保の十一カ月予算の編成に当たりまして、これは昨年の予算編成時の短い期間であったわけでございますが、そのときの私どもの方針は、国は十一カ月予算を組む、それから受け入れの方の保険者も十一カ月予算を組ませる。つまり現在いわゆる四−三ベースと言われたものを三−二ベースにする、国も地方もいわゆる保険者も三−二ベースにする、こういうことで進んでまいったわけでありまして、そのような指導を保険者にもいたしたわけであります。  ところが、この問題につきまして、国の方の十一カ月予算、これはもうそうである、ただ、保険者の方の十一カ月予算というのは、従来からいわゆる四−三ベースということで来ておる、それを一挙に変えるというのはなかなかむずかしい、市町村の関係当局の納得を得なければならぬ。関係省庁と相談をいたしまして、それならば国保の運営に支障は来さない、こういう前提で国は十一カ月である、それから市町村あるいは国保組合は十二カ月予算を組め、ただ十二カ月予算につきましては、私どもその差額の一カ月につきましては五十八年度で措置する、制度的にもそのように手当てをいたします、こういうことでそのようなことになったわけでございますので、先ほど申しましたように、国保の運営につきましては支障は来すことのないように配慮をいたしておるわけでございます。  ただ、その過程におきまして、市町村あるいは国保組合が十一カ月予算を組み、またそれを十二カ月に改めるといったようなことで御迷惑をおかけした向きがあるわけでございまして、それにつきましては私ども遺憾であると存ずるわけでございますけれども、あくまで予算上の支障は来さないという前提で来ておりますので、御了承いただきたいと思います。

森井忠良日本社会党

○森井委員 国の予算が十一カ月で、そして各保険者の予算が十二カ月というそんな手品みたいなことができますか。これは問題だと思うのですよ。  そこで、具体的に申し上げますが、五十七年二月六日付で各都道府県知事あて、厚生省保険局長名で通知を出しておられますね。これを見ると、けしからぬことが書いてあるんだな。いまあなたが言ったことをちょっと裏づけるんだけれども、そこの中にこういうことが書いてあります。  短いからざっと読んでみますと、「昭和五十七年度の国民健康保険助成費については、国庫補助の方法を従来の診療時基準から支出時基準に変更することとしたことに伴い、」これも勝手なことなんですが、「十一か月間の医療費に対応する療養給付費補助金及び財政調整交付金を予算計上しており、市町村の歳入の会計年度所属区分について昭和五十八年五月三十一日までに昭和五十七年度分の国庫支出金として調定した額を、市町村の昭和五十七年度の会計の歳入としうる旨の特例が設けられる予定であること。したがって、昭和五十七年度の市町村の予算編成は、現行どおり、十二か月の歳出に対応する歳入を計上すること。」こういう通達を出しておられますね。このことは認めますか。一言だけでいいよ。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 そのとおりでございます。

森井忠良日本社会党

○森井委員 そこで、こういうことになるんですね。あなたが言われたように、本来なら三−二ベースにしたがったんだけれども自治省の反対でどうしても四−三ベース、いままでどおりになった。そこで、一つは金の支払い方法について、診療時から支出時に発想を転換をしていくということが一つ。それでも国の出納閉鎖は四月いっぱいで、市町村の出納閉鎖は五月いっぱいということになってくる。そこで五十八年度、つまり来年度の予算を、三−二ベースが四−三ベースに、厚生省の希望どおりにならなかったことに伴い、五十八年度の予算を先食いする前提でお組みになったわけでしょう。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 これは当然国の五十八年度の予算として計上されるべき、つまり療養給付費補助金その他でございます。それを保険者の五十七年度予算の中に繰り入れる、こういうことになるわけでございます。

森井忠良日本社会党

○森井委員 つまり、十二カ月予算にすれば、十一カ月分の予算で指導されたんですから、一カ月穴ができるんです。  ちょっと具体的に申し上げておきますが、たとえば建設国保の場合で申し上げますと、十二月二十三日には厚生省から市町村国保及び国保組合に対し、十一カ月予算を組むに当たっての内簡をお出しになっております。たとえば国保組合の中で全建総連の国保組合等を見ますと、一月十八日に会議を招集して、萩原国保課長が出席をして十一カ月予算に対する予算編成上の注意を説明した、こういうような経過があるわけです。ところが、急遽、それから一カ月足らずの二月二日に十二カ月分の予算を組んでくれという新たな内簡が来た。もうそれぞれの国保組合等は、最初の説明が一月ですから、それに基づいて理事会等を招集して、来年度の保険料を含む予算案をつくって、すでに関係者に通知をした。ところが十二カ月で組めと言われることになると、保険料が違ってきます。十一カ月と十二カ月ですから。もう十一カ月で被保険者に通知をして、五十七年度の保険料はこれだけですよと言った後で急遽十二カ月に変えられたわけですから、十一カ月と十二カ月では、保険料が当然のことですが違ってまいります。大あわてをして無理をしておる、なぜこうまでして十二カ月にしなければならなかったのか、理由を説明してください。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 先ほど申し上げまして、これは私どもの事務的な問題でございますが、御迷惑をおかけしたわけでございますが、この主管の自治省といろいろ御相談をいたしました。その過程におきまして、四−三というのは従来から来ておる。そういう解決済みだ。したがって、四−三というのを三−二に保険者のサイドにおきましてこれを直す、国の方は四−三を三−二、これはもうもちろんいいわけでございますが、保険者においてそれを直すには非常に時間も少のうございまして、やはり関係者の納得を得るということでは、なかなか関係者の納得も早急には得られない。したがって、保険者におきましては四−三ということにしてくれぬか。それはもうやむを得まい。そこで、先ほど申しましたように、五十七年度予算の段階で、国保の運営に、保険者の運営に支障を来さない、こういう前提において、それでは自治省のお話にわが方も合意をいたしましょうというようなことで、そのようなことになったわけでございます。  さらに、先生おっしゃいましたように、いろいろ国保組合等におきまして、十一カ月分だ、それを十二カ月に直すというようなことの混乱は確かになかったとは言えないわけであります。それはそういったことで御迷惑をおかけいたしたわけでございますが、その際、私どもといたしましても一番気になりましたのは、国保組合等で一遍組合会を開いた。全国から集まった。そこで組合会を開いて十一カ月予算にするということを決めた。またそれじゃ一遍集まって、先生おっしゃいましたように、保険料をさらに引き上げるような組合会を設けるというのは事実上無理だ。その場合に一体どうするかというような問題もございます。  それにつきましては、国保課長内簡をもちまして、当面そういった組合会を開くことができないところにつきましては、暫定的にそれでも承認をしようというような取り扱い、その他幾つかの便宜的な取り扱いをこちらの方で認めまして、次回の組合会でそれが補正できるような形で持っていけばいいのではないか、そういうような取り扱いをやっておるところであります。

森井忠良日本社会党

○森井委員 具体的に聞きますよ。あなたがいまごちゃごちゃ御説明なさったことによって、十二カ月に組まざるを得なかった。それじゃ療養給付費、これはどうなるのか。そうしますと、一カ月足りない分は五十八年度の予算を使う、こういうことでしょう。これだけちょっとはっきりしてください、イエスかノーかだけ。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 おっしゃるとおりでございます。

森井忠良日本社会党

○森井委員 これは越権もはなはだしいと私は思うのですよ。五十八年度の予算をいま審議していますか。いま審議しているのは五十七年度の予算。しかも「特例が設けられる予定であること。」こうなっておりますが、これはどういう特例を設けるのか知りませんけれども、いま五十七年度の予算を審議して、あなた方は十一カ月分の予算ですと説明しておきながら、十二カ月分の、あと一カ月については五十八年度の予算を、前倒しというかっこうになるのでしょうけれども、私ども百歩譲って認めようとしても、国の出納閉鎖は四月いっぱいなんだ。ところが支払い月でいったら五月いっぱいになる。しかもいずれにしても五十八年度の予算を特例として五十七年度に使うのでしょう。いいですか。五十八年度の予算を五十七年度に使うという特例が、これはできるのですか。私は、幾ら何でもこれは絶対に承服できない。これが一つ。  二つ目は、いま療養給付費は申し上げましたけれども、あなた方の課長通知には臨調については一言も触れていない。臨調はどうなるのですか。十二カ月でふえるのですか、ふえないのですか。これは臨調ははっきり十一カ月分でしょう。臨調も五十八年度の予算を先に使うのかどうなのか、納得のいく説明をしてください。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 前段の御質問でございますが、五十七年度は保険者、つまり市町村あるいは組合、これの五十七年度予算、この中に残りの一カ月分というものは国の方から出しましょう、こういうようなことでございます。  したがいまして、手当てといたしましては、国の方の支出、国の方の国庫負担を決めまするところの法制上の問題といたしましては、これは国保の国庫負担金の額の算定に関する政令、これを改めまして、先ほどの四−三ベースから三−二べース、つまり医療機関における診療時基準としている補助方法を支出時基準とすることに改める、こういう法制的な手当てをいたすわけでございます。  それから受け入れの方につきましては、保険者の会計につきまして、これは地方自治法施行令の改正によりまして、その附則になろうかと思いますが、それによりまして、先ほど先生おっしゃいましたような、五十七年度におきまして一カ月分の受け入れができるという、そういう特例を設けることによりまして、財政的なつじつまが合うというような形で進められるわけでございます。これは政府部内での合意ということで、そういうような進め方をいたしております。  それから後段の問題でございますが、これは国保組合の臨調ということになろうかと思いますが、これは老人保健制度の創設だとかあるいは近く発足いたします例の懇談会、国保問題懇談会における論議等を踏まえまして、これも国保事業の運営に支障のないように、私どもといたしましては適切に対処をするという考えでございます。

森井忠良日本社会党

○森井委員 終始趣旨が一貫しないのは、まず療養給付費と臨調の関係については同じでしょう、十一カ月を十二カ月に組むんだから。療養給付費についてはできないと思いますがね。五十八年度の予算を五十七年度に使うなんというのはできるのかどうなのか。これは私は納得できませんよ。一年遅く使うのは、繰り延べその他手続をすればできますけれども、いま審議をしている五十七年度予算案、これに足すんでしょう。これは結局足すんだから、できないと思う。仮にそれができたとしても、そんならなぜ療養給付費だけでなくて臨時財政調整交付金についても五十八年度のを食わないのか。片手落ちじゃないですか。臨調については何とか懇談会で議論をして結論を出しますなんて、そんなばかなことはないです。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 療養給付費補助金は、先生御承知のように、これは定率でございます。したがって、五十七年度において定率の補助というものは、これは自動的に額がカウントされるという仕組み、これは全く御承知のとおりでございます。臨調におきましては定額でございますので、その点の違いがあるということをいま申し上げたわけでございます。

森井忠良日本社会党

○森井委員 ちょっとついでに臨調だけ片づけておきますけれども、大蔵に八十億要求したんですね。結果として七十五億が決まった。いま審議をしている予算案は、国保組合の場合七十五億が入っている。七十五億が決まって、これは十一カ月でございまして、これを十二カ月に直せば要求とおりの金額になりますという評価をなさっておる。あなただけじゃない。関係者、厚生省の首脳全部そうだ。恐らく大臣もそうでしょう。そうすると、十二カ月になったのなら、臨調についても定額とおっしゃるなら、当然十二カ月に直した定額でなければおかしいじゃないですか。明確にしていただきたい。  この件につきましては大蔵省からも意見を伺いたい。  大蔵省からはついでにもう一つ。先ほどの五十八年度の予算を五十七年度に使わせるというのはどういうことなのか。これは大蔵省も了解しているはずですから、納得のいく説明をしてください。

持永和見厚生省薬務局長

○篠沢説明員 まず臨調の問題についてお答えをいたします。  臨調につきましては、先ほどから保険局長が申し上げているとおりでございますが、療養給付費補助金などとは異なりまして、定額の補助であるということでございますので、五十七年度の金額は、厚生省と予算折衝の過程でいろいろ御相談をして決定してまいりますときに、老人保健制度の創設とそれから年度区分の変更というようなことも考慮しながら、補助額というものを決定したわけでございます。五十八年度につきましては、老人保健制度の創設や年度区分の変更による影響も当然考慮してまた考えてまいることになると思いますが、さらに厚生省の国保問題の懇談会の検討も参考にしながら決めてまいることになるのではないかと思います。いずれにしても、国保の継続的な事業運営には支障のないように適切に対処しなければならぬ、こういうふうに思っておるわけでございます。  それから療養給付費の方でございますが、五十八年度の予算の中から一カ月分を五十七年度分として調定して使うということについてのお尋ねでございます。  まずこれにつきましては、国のサイドで申しますと、国の補助金の問題といたしましてはどこからどこまでを歳出と考えていくかということでございます。国保に対する補助の仕方といたしまして、国の債務の存在を確認いたしまして支出をするということを決めた時点に着目をいたしまして、債務が確定したときで歳出額を決めていくということでございますが、そういう方式にはそれなりの合理性がある、先例もあるということで、その方式に基づく分をまさに五十七年度の歳出というふうに決めておるわけでございます。国の補助としてはそういうことだと思います。  それから、地方の方におきましてそれをどういうふうに受けとめるかということにつきましては、むしろ地方財政における会計年度独立の問題との関連であろうかというふうに考えるわけでございますけれども、厚生省が通達をいたしておりますときの考え方は、やはり国というものは、継続的に流れておるわけでございますから、五十八年度にも五十八年度の予算を組まれるであろう。組まれる場合には、その中で調定する分ができるのではないかということを予定したもの——確かに先生おっしゃいますように、五十八年度予算というものはまだ影も形もないわけでございますけれども、物の考え方としてはそういう流れの中で見ていくということであろうかと思っております。

森井忠良日本社会党

○森井委員 私はとめたくはないですけれども、これは絶対に納得できないですよ。とにかくいま歳入欠陥の予算を組ましているのですよ、五十八年度の予算はまだないのだから。十二カ月にしたら歳入欠陥の予算を組ましている。そんなばかなことはないです。これはちょっと困ったな。前へ進まないですがね。

持永和見厚生省薬務局長

○篠沢説明員 ただいま申し上げましたように、国の予算といたしましてはこの十一カ月分を歳出とし、そしてそれに見合う歳入というものはそれなりに確保されているということであろうと思うわけでございます。あと、国と地方の財政の問題としてそれをどういうふうに受けとめられるかということについては、自治省においてもいろいろお考えがありまして、むしろ地方の市町村の国保特別会計では十二カ月で組めるという御判断をされたものと考えております。

森井忠良日本社会党

○森井委員 どうしても納得できません。それは、もともとは厚生省の案というのはいままでの四−三ベースと言われた四月から始まって三月に終わるというのを苦し紛れに一カ月短縮して、いわゆる三−二ベースにしたわけなんですよ。ところが、これは自治省の同意を得るに至らなかった、これがもとなんです。だから、大急ぎで十二カ月の予算に変えた。先ほど局長が認めましたように、大きな迷惑を受けた。  問題はあるのですよ。たとえば、保険者の決められた予備費なんか組めない。たとえば健保組合で言えば、通達によると五%の予備費を組めと言うのだけれども、とにかく十一カ月の予算を大急ぎで十二カ月にするのだから予備費なんか足りなくなる。積立金も崩さざるを得なかった。そういういろいろな問題がいま出てきているわけです。このままでいったらめちゃくちゃになってしまう。しかも大蔵省、それなら臨調について、あれは十一カ月分じゃなくて、五十七年度の臨調が国保組合の場合七十五億ということで、これは十一カ月になっても十二カ月になっても同じということなんですか。そんなばかなことはないでしょう。療養給付費については、これは先ほど指摘したような手品か何か知りませんが、インチキをして前倒しができたとしても、臨調についてはそのままなんというのはけしからぬと思う。  それから、この際ちょっと聞いておきたいのですが、自治省、何で四−三ベースでなければいけないのか。厚生省の案は三−二ベースでいって、とにかく一カ月分浮かした上で順次そのまま制度化していこうという考え方があったわけですが、自治省のお考え方をもうちょっと聞かしてください。

中島忠能自治省行政局行政課長

○中島説明員 国の方が十一カ月予算をお組みになった、その十一カ月予算をお組みになったということを前提にいたしまして保険者の業務運営に支障がないようにするということが大前提でございます。そこで先生お尋ねのどうして三−二ベースにできないんだ、こういう話でございますけれども、一つは現在地方団体の会計年度所属区分、歳出の所属区分と言った方がいいかもしれませんけれども、それはすべて事実の発生時というとらえ方を原則としていたしております。したがいまして、国保の件に関しましてそういうような考え方、支払い時ベースですね、そういう考え方というのは、地方財務会計制度上非常に異例なものに属するということで、私たちはそれは避けたいという考え方をしているのであります。  もう一つは、十一カ月予算を国の方がお組みになった時点で、私たちの方はそれを地方としてどういうふうにこなしていくかということにつきまして全国市長会とか全国町村会の意見もよく聞いてみました。そこで、地方の方に十一カ月予算を組ませるかそれとも十二カ月予算を組ませるかという選択の問題になるわけですけれども、仮に地方の方に十一カ月予算を組ませるということになりますと、地方の方といたしましては、たとえて言いますと国民健康保険税を五十七年度は十一カ月分ということにせざるを得ないわけでございますけれども、それは国保税の税条例の改正が必要になる等いろいろの事務手続が出てきますから、全国市長会とか全国町村会といたしましては、五十六年度と同じように十二カ月予算を組めるような方向で物を考えてくれないかというような話もございました。  そこで私たちは、先ほど保険局長がるる説明されておりましたけれども、そこは厚生省とよく御相談申し上げまして、いかにすれば保険者の業務運営というものが安定的に確保できるかという見地からいろいろ御相談申し上げましたところが、やはりこの際、地方に十一カ月予算を組ませるという方向での解決というものは避けた方がいいだろうということで合意いたしまして、いま先生から厳しい御批判もございますけれども、それが全体として見た場合には一番安定したやり方ではないかというふうに考えておるわけでございます。

持永和見厚生省薬務局長

○篠沢説明員 臨調につきまして再度のお尋ねでございましたが、先ほども御説明申し上げましたように、五十七年度の臨調の額を厚生省と相談しながら考えてまいるというときに、老人保健制度の創設ということやそれから同時にこの年度区分の変更という問題も考慮して補助額を決定したというふうに御説明申し上げたわけでございます。したがいまして、療養給付費の方が十一カ月か十二カ月かそのいずれでも臨調の額は同額であったのかというお尋ねになりますと、恐らく同額ではなかったのではないかというふうに私は考えます。それなりに年度区分の変更の要素というものは考慮したつもりでございます。  五十八年度につきましてそれではどういうふうに調整をするかということにつきましては、そういうことの影響も考慮して、それから厚生省の国保問題懇談会でいろいろ全般的な調整問題の考え方の整理というものが進むと思いますので、そういうことを参考としながら検討をしてまいりたい。それで全体として国保の業務運営に支障を生じないように対処しなければならぬ、こういうふうに思っておるわけでございます。

森井忠良日本社会党

○森井委員 先ほども申し上げましたように、自治省の強力な反対があって、結局十一カ月分の予算は十二カ月にせざるを得なかった、こういう経過なんですね。しかも、現在参議院で予算審議をしていますが、これはそれに直接かかわる話なんです。先ほど大蔵省の答弁がありましたけれども、五十八年度の予算を五十七年度に使うということについては私は絶対に納得できない。それから先ほど自治省からもちょっと話があったかと思うのですけれども、地方自治体等の出納閉鎖の時期というのは五月ですよね。五月なんですけれども、これは最後は少なくとも前年度に、当該年度に起きたものの最後の出納閉鎖が五月という形になるわけでして、やはりこれは地方自治体からしても、五十八年度に国からの補助が来るのを予定して予算を組むなんということは事実上できない。残念ですけれども、私は質問を続けるわけにはいきません。

唐沢俊二郎自由民主党

○唐沢委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕

唐沢俊二郎自由民主党

○唐沢委員長 速記を始めて。  森井忠良君。

森井忠良日本社会党

○森井委員 この際、予算編成上の扱いにつきましては私納得できませんが、臨調の扱いについては、申し上げますように、私どもは十一カ月予算ということで認識をしておりました。それで、大蔵省あるいは厚生省は、定額だからということで変わらないという意味での発言をいたしておりましたが、最後は主計官の発言はある程度柔軟になってまいりましたから理解はできなくはありません。  この際、厚生大臣から臨調に関します見解だけ承って、残余の問題につきましては、私後刻質問させていただいて結構だと思うのです。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 臨調の問題につきましては、森井委員が御指摘のとおり処置いたしたいということを申し上げます。

森井忠良日本社会党

○森井委員 大蔵省、いいですか。

持永和見厚生省薬務局長

○篠沢説明員 五十八年度予算の問題といたしまして、厚生省からの御要求を待って私ども検討するわけでございますけれども、先ほどから申し上げておりますように、国保の業務運営に支障が生じないように、その御要求を見まして、前向きの態度で考えてまいりたいというふうには思っております。

森井忠良日本社会党

○森井委員 それではこの件に関しては質問を留保いたしまして、次の御質問を申し上げたいと思います。  次は、医療法です。  大臣の先般の所信表明も私つぶさに見させていただきました。こういうふうに書いてあるんですね。「国民的要請の強い救急医療、僻地医療、がん、循環器病等の専門医療についてその体系的整備を進めるとともに、地域における総合的な医療供給体制の整備を図るため、地域医療計画の策定を推進する措置を講じてまいりたい」、こう大臣は所信の中で申しておられるわけでございます。つまりこれは医療法をこの国会に出して、そして成立を図った上で大臣の所信を実行に移されるものと私どもは理解をしております。それでよろしいか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 所信表明で申し上げましたように、医療法の改正につきましては、現在関係方面との意見調整を進めておるところでございますが、さまざまな御意見をいただいております。その調整に日時を要しているところでございます。今後精力的に調整を進めまして、今国会提出に向かって努力してまいりたいと考えております。

森井忠良日本社会党

○森井委員 すでに去年の三月の時点で医療審議会あるいは社会保障制度審議会におかけになって、そして一定の意見や答申をもらっておられるわけですね。ですから、去年一回通常国会を済ましている。ことし通常国会になって、なおまだそういうことで態度が決まらない、これはきわめて問題だと私は思うのです。一体どこに原因があるのですか、一言言ってください、与党なら与党と。

大谷藤郎厚生省医務局長

○大谷政府委員 医療法の昨年の内容につきます改正につきましては、日本医師会を初めといたしまして医療関係の諸団体に種々御意見がございまして、調整に日時を要しております。今後とも積極的に調整を進めまして、今国会提出に努力をいたしたいと思っております。

森井忠良日本社会党

○森井委員 医務局長、関係審議会におかけになって答申をもらわれた上で国会に提出できないというのは、私は背信行為だと思うのですよ。私どもは、あの政府の医療法改正案というのは必ずしも全部賛成するものじゃないのです。国の責務がはっきりしておりませんし、あるいはその地域医療計画等についても私どももかなり意見を持っております。しかし、医療法改正のもとになったのは、たとえばその一つにあの富士見産婦人科病院の問題があり、十全会病院の問題があったのです。これは世間のひんしゅくを買った。法律の根拠がないのに、十全会の場合はとうとう役員まで交代をさせるというようなことをやったのです。法的な根拠がないのです。あれだけ問題を起こしながら、そして園田厚生大臣等は、医療法を出す出すと言ってはっきり約束しながら今日に至っておる。聞くところによると、あなたが答弁した以外に、与党の中に反対論があって出せない。私はけしからぬと思うのですよ。これは議院内閣制のもとで少し変だと思うのだな。  したがって、いろいろ困難はありましょうが、わざわざ厚生大臣が所信表明の中で明確に出していらっしゃるわけですから、大臣もう一回、この国会といいましても五月に入ってお出しになったのではこれは間に合わぬわけですから、いつごろをめどにお出しになるのか、やはりこれは大臣の政治的な決断だと思いますので、ぜひひとつ大臣の明確なお答えをいただきたいと思うのです。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 いつという日にちは明言できませんけれども、できるだけ早く提出させていただくように全力を挙げたいと思います。

森井忠良日本社会党

○森井委員 この国会でですね。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 そのとおりであります。

森井忠良日本社会党

○森井委員 大分時間がなくなりましたが、それではこの際、薬価調査の問題、薬の問題についてお伺いをしたいと思うのです。  去年十二月を調査月として御調査をなさいました。もう時間の関係で多くは申し上げませんが、調査の集計が終わるのは一体いつですか。そして概要については公表されるべきだと私は思うのですけれども、その点についてお伺いしたいと思います。

持永和見厚生省薬務局長

○持永政府委員 先生御承知のとおり、十二月を対象月にして一月に本調査をやっておりまして、一月、二月にかけて事後調査をやっております。その後の追跡調査もやる必要があると思っておりますが、そういったものを含めまして集計をしたいというふうに考えております。現在の時点でいつ集計ができるかということを明確にお答えできる段階ではございませんけれども、できるだけ早くまとめたいということを考えておるわけでございます。

森井忠良日本社会党

○森井委員 調査の結果は、五十七年度の薬価基準の改定に使用するわけですね。

持永和見厚生省薬務局長

○持永政府委員 そのつもりでの薬価調査でございます。

森井忠良日本社会党

○森井委員 つもりというのだけ余分だな。  厚生大臣、昨年は薬価基準の引き下げをやや大幅に一八・六%なさいました。しかし私どもの理解からすれば、まだ実勢価格とかなり乖離があるというふうに理解せざるを得ません。いま薬価調査をなさっていらっしゃるわけですが、少なくとも薬価基準については毎年改定をされる必要があると思うのです。いかがでしょう。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 薬価の改定につきましては、毎年一回見直しをする、そして必要があれば改定をする、こういうことになっておりますが、ただいまその作業を進めておるわけでございまして、薬務局長より先ほどお話し申し上げたとおりでございます。いつまでにその結論が出て、いつ改定するかということは、いまの段階では明言を避けたいと思います。

森井忠良日本社会党

○森井委員 いずれにしても、五十七年度もおやりになる方向で検討なさっておるのでしょうね。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 そのとおりでございます。  ただ、結論によっては、見直して現状のままでいいということになればそのまま据え置きなんですが、やはりその出たデータによりまして薬価を上げるとか下げるとか、そういうことになるわけであります。

森井忠良日本社会党

○森井委員 そこで、問題になりますのは、五十六年度調査が十二月なんですね。栃木県下で例のメーカーと卸のやみカルテルあるいはやみ再販の問題等が明らかになっておる。これが栃木県下で行われたのは十一月です。その後、公取は十二月に入りまして、独禁法違反の疑いで全国六十五カ所の立入調査をなさっておる。そうしますと、たまたまそのやみカルテルをやっているときに、十二月の調査がぶつかっちゃったわけです。同じ月なんですね。私は、これは薬価調査に非常に大きな影響がある、こう理解をせざるを得ないわけですね。したがって、調査なさったものがやみカルテル、やみ再販等に基づくものかどうか、これは当然厚生省として十分チェックなさる必要があると思うのですが、この点が一つ。  それから、この際公取にお伺いしたいのですけれども、これは時間がありませんから簡単で結構でございますけれども、六十五カ所の調査をおやりになりまして一体いつごろ結論が出るものなのか、調査の状況と見通しについてお伺いしておきたいと思うのです。

持永和見厚生省薬務局長

○持永政府委員 前段の御質問についてお答え申し上げますが、現在私どもの方で薬価調査をしておりまして、時期は確かに先生御指摘のように公取の立入調査が行われた時期でございます。そういったことも十分踏まえて、この調査に私どもとして臨まなければいけないのは当然でございまして、先ほど申し上げましたように現在は事後の調査をやっておりますけれども、今後さらに追跡調査を行いまして、そういった問題について十分フォローした上で、市場価格の適正な把握に努めてまいりたいというふうに考えております。

樋口嘉重公正取引委員会事務局審査部第一審査長

○樋口説明員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のとおり、昨年の十一月と十二月に大手製薬会社あるいは卸売業者の本支店、それから業界の団体に対しまして立入検査をいたしました。  現在、収集いたしました資料について整理をいたしまして、関係人からいろいろ事情聴取を行っているところでございます。関係人の数が非常に多うございまして、結論を得るまでにはこれから相当の時間がかかるのではないかというふうに考えておりますが、見通し等につきましては、現在審査中でございますので、意見を述べることは差し控えさせていただきたいと思っております。

森井忠良日本社会党

○森井委員 この際、公取は、反国民的なゆゆしい事態でもありますから、厳正に調査をしていただくように強く要望しておきたいと思うのです。  それから一言申し上げれば、時間がありませんから省かしていただきますけれども、厚生省の担当の方もやはりいろいろ誤解があったようです。調査してみれば誤解か本当かもわかりますけれども、ともかく言動については十分御注意をいただきたいと思います。  そこで、もう一つ薬価調査についてですが、問題はこの薬価の算定方式です。中医協に諮っていらっしゃる。当初は保険局長がいかがでしょうかという正式の諮問ではなくて、去年の九月からは厚生大臣が正式に薬価の算定方式について諮問をしておられるわけですけれども、僕に言わしたらこの諮問の根拠がないのです。社会保険医療協議会法には診療報酬はありますよ。しかし、薬価の算定方式について何で中医協へ諮らなければならぬのか、これが私は非常に問題だと思う。その点いかがですか。  それから、御存じのとおりどちらにしても九〇%バルクラインというのは常識で考えたってこんなばかなことはない。ほかはうんと安くしたって一〇%だけ高くしておけばそれがもうその値段になるというこんなばかなことを許しているのですが、審議が長引けば長引くほど九〇%バルクというのは生きているわけですね。  聞くところによりますと、一応答申を期待されるのは三月だというふうに聞いておりますが、三月までに答えが出るのかどうなのか、答えが出なかった場合にどうするのか。御承知のとおりこれは厚生大臣の専権です、薬価基準の改定なんというのはどこにも諮らなくて厚生大臣ができるのですから。したがって、この際明確にそういっためどについても明らかにしていただくとともに、中医協に諮ったら三者構成ですからね、たとえば診療側が拒否してごらんなさい、これは絶対にまとまりっこない。その場合には大臣独自でおやりになるのかどうなのか。薬価の算定方式について改善をなさるのかどうなのか、明らかにしていただきたいと思います。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 中医協の所掌事務というのに「健康保険及び船員保険における適正な診療報酬額に関する事項」というのがあるわけでございます。この薬価基準の算定方式のあり方はこの適正な診療報酬額を定めるに当たってきわめて重要なかかわりを持っている、これは御承知のとおりでございまして、そういう観点からこの薬価基準に関する重要な事項というものにつきましては中医協に諮るもの、こういうふうに私ども考えております。現在薬価基準の算定方式のあり方について中医協に御審議をいただいておるわけでございますけれども、それはそういう考え方でお願いをしているわけでございます。  それから、先生おっしゃいますようにこれは昨年の九月二十六日にいわゆる検討依頼、包括諮問という形で薬価基準のあり方、特に薬価算定方式を中心として御諮問を申し上げたわけでございますが、それよりも前から、例の医療費改定が終わりました直後からこの問題については毎月一回必ず審議がされております。これはかなり熱心な御審議があるわけでございます。ただ、どうも三月いっぱいというのはこの段階ではちょっと無理だろうというふうにわれわれ考えておりますが、できるだけ早い時期に中医協がこの問題につきまして御結論を出していただけるように、私どもといたしましては期待をしているところでございます。

森井忠良日本社会党

○森井委員 あなた変なことを言ったんだけれども、どうして診療報酬と薬価基準というのは関係があるのですか。おかしいことを言いなさんな。診療報酬は診療報酬で医師の技術料を中心にしてやるのでしょう。薬価基準なり薬価算定方式というのは厚生大臣が専決でできる。大体薬でもうけるというのはおかしいのだから、あなた、いまの議論は少しおかしいよ。それから、薬価基準そのものは厚生大臣が決めるのでしょう。厚生大臣が決めるのに、薬価調査もする、算定方式だけ何で中医協にかけなければいけないのですか。  それから、時間がないからもう一つ。めどが明示されておりませんが、仮に期待どおり算定方式の見直しが行われた場合には、当然のことでありますが、薬価については新しい算定方式で行うと私は理解をするが、それでよろしいか。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 第一の御質問、これはもう繰り返しになるわけでございますが、御承知のように薬価につきましては診療報酬の総額の三十何%を占める、こういったようなことできわめて関係が深いわけでございます。そういう意味で薬価基準の基本問題につきましては従来から中医協で御審議をいただいておるところでございます。中医協におきましては御承知のようにいろいろ関係団体というものがあるわけでありますが、それはまたこの薬価算定方式につきまして非常に影響が大きいわけでございまして、関係団体の御意見を十分お聞きすることが必要であるというふうにも考えておるわけでございます。  また、中医協から薬価算定方式につきましての答申が行われました際は、もちろん私どもはそれに沿いまして薬価改定を行っていく、こういうふうに考えておるわけであります。

森井忠良日本社会党

○森井委員 時間が参りましたから最後に一問だけ、第二薬局の問題です。きょう時間があったら十分お聞きしたがったのですが、要するに昨年園田厚生大臣から法改正も含めて第二薬局の撲滅を図る、こういう明確な御答弁があった。ところが、一年たった今日、いままで何にもしてないのですね。たとえば、千七あった第二薬局がいまどうなったかということも全然調査もしてない。それから、五十四、五十五年度で急にふえたのですね。これは医師優遇税制の一部是正の問題と合わせて急激にふえた。五十四年としますと、五十五、五十六、五十七と三年ですから、今年度がもう一回認可をするかどうかの更新の年になる。しかも放置をすればそのまま自動的にまた保険薬局として存在をするという形になっておるものですから、したがって、このままではもう絶対に容認できない。しかもレセプトはどんどんふえてきておりまして、もうすでに現在ではいわゆる医薬分業によるところの調剤薬局からの保険請求というのは恐らく年間七千万枚ぐらいいっていると思う。そのうち三割、ざっと二千万枚は第二薬局からの請求なんです。そして不当な処方せん料を稼いでいる。  今度、医療費の改定で五百円が五百五十円になった。同じ建物の中で処方せんを書いて、そして同じような経営主体から調剤をするだけで、不当にもそれだけで五百五十円。五百五十円といいますと、これは太い金額、百億以上です。百億以上の金がこれだけむだになっている。具体的に局長通達を出すなどして都道府県を督励すること、どうしてもできなければ法改正をすべきだと思うけれども、当面積極的な取り組みを強く要求したいと思うのですが、これは局長と最後に大臣からもお考え方を一言お伺いをして終わりたいと思います。

持永和見厚生省薬務局長

○持永政府委員 まず少し数字の点を御説明申し上げたいと思いますが、先生御指摘のように第二薬局の許可件数は五十四年、五十五年と非常にふえてまいりました。その後いろいろ国会などの御議論もございまして、私どもも第二薬局の医療機関との構造的あるいは機能的、経済的な独立性について十分窓口の指導を行ってまいりました。その結果と申してはあれでございますけれども、五十六年には許可件数が五十五年に比べましてかなり減っているという実態がございます。  私ども薬事法の立場から申しますと、これはいろいろと制約がある問題でございまして、先ほど申し上げましたように、やはり薬局としての独立性は保たなければいかぬという立場でいま現在指導をしております。  私どもも全国の担当課長会議その他事あるたびにこういった指導を行ってまいりまして、こういった指導を今後とも一層強化徹底して、第二薬局の実際の数をできるだけ少なくするという方向に努力をしてまいりたいと思っております。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 保険局の立場からも一言申し上げたいと思いますが、ただいま先生がおっしゃっておられますように、この第二薬局問題につきましては、保険の立場からも決して好ましいものではないという面が多々あると思います。ただ、これにつきましては、確かに先生おっしゃいましたように、かなり前に先生からこの御質問がございまして、私どももいろいろ検討したわけでございます。これはなかなかむずかしい問題がございますが、特に私ども、今後の問題といたしまして、医療機関からの独立性の問題あるいはそれ以外のいろいろな問題点を検討いたしまして、何とか保険薬局の指定に当たって適切な指導を行うことができるよう、現在対応策を慎重に検討しているところでございまして、実際に、早急に検討を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

森井忠良日本社会党

○森井委員 この問題についてはまた後日に質問することにいたしまして、終わります。

唐沢俊二郎自由民主党

○唐沢委員長 次に、栂野泰二君。

栂野泰二日本社会党

○栂野委員 私は、東村山市の医療法人浩徳会の精神病院都病院の倒産に絡む問題で質問をいたします。  この問題は、すでに三月十二日に参議院の予算委員会で片山議員が質問をされておりますし、私の持ち時間は三十分でございますから、前置きを抜きにしてお尋ねいたしますが、現時点で厚生省の調査の結果確認された事実はどんなものか。  一つは、生活保護患者の日用品費の不正流用の問題。二つは、宗教法人東善光寺の墓地造成の絡みで、都病院と東善光寺の間でどういう金のやりくりがあったのか。その他、特に問題になるような事実があれば述べてください。要点だけで結構です。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 厚生省といたしまして東京都から報告を受けております状況について申し上げますと、まず、都病院は昭和五十六年六月に、一時的に入院患者の日用品費を流用した事実がございましたので、東京都は流用金品の返済を確認の上、同病院の管理者から始末書を取り、厳重に注意いたしたわけでございます。  次に、その後東京都は、昨年十一月に再度日用品費の不正流用の疑いがあるとの情報を得ましたので、実地調査をいたしましたところ、昨年十二月現在で、患者からの預かり金約三千二百万円中約二千四百万円の使途不明金があることが判明いたしましたので、一月三十日を期限といたしましてその原状回復を命じたわけでございますが、期限を過ぎましても履行されず、再三督促をしている状況でございます。

大谷藤郎厚生省医務局長

○大谷政府委員 昨年の五月七日に立入調査をいたしまして、また六月二十二日には第二回目の立入調査、七月六日には報告書の提出を求めております。この三月十五、十六日の両日にわたりまして、牧山理事長及び経理責任者であります山本経理部長を都へ呼びまして、事情の聴取を行っております。  先ほどお尋ねの宗教法人東善光寺との関係では、昭和五十三年から五十四年にかけまして、四億円から五億円程度の資金が仮払い金という形で、同医療法人から宗教法人東善光寺の方へ提供された模様でございます。しかし、この事情聴取ではそれを裏づける資料というものがはっきりいたしておりませんので、その点につきましてさらに調査を継続いたしているところでございます。

栂野泰二日本社会党

○栂野委員 いまのお話のように、日用品費の点につきましては、昨年の六月段階、それから十二月段階に東京都が調べたようですが、これはその時点で厚生省は連絡を受けていますか。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 私どもは東京都から、昭和五十六年六月の最初の流用問題につきまして、病院の管理者から流用金を返還させ始末書を徴した上、厳重に注意をした旨の処理報告を受けたわけでございます。  私どもはこれに対しまして、同病院に対しまして十分留意して指導に当たるよう指示をいたしたところでございます。

栂野泰二日本社会党

○栂野委員 十二月は。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 第二回目の流用事件につきましては、先般、三月十一日以来東京都から事情を聴取し、とりあえず、確実に事実関係を把握し厳正な措置を講ずるよう指示いたしたところでございます。

栂野泰二日本社会党

○栂野委員 ですから、十二月にも東京都は調査をしていますね、その十二月時点で、調査があったらすぐに連絡を受けたかと聞いているのです。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 私どもが連絡を受けましたのは、ただいま申し上げましたように、第二回目の流用事件につきましては、先般、三月の時点で東京都から報告を受けたわけでございます。

栂野泰二日本社会党

○栂野委員 これは、精神病患者の日用品費を流用するなんというのはとんでもない話です。しかも、都が十二月に二回目をやっているわけですね。二回やっているのに連絡を厚生省にもしないというのは私は合点がいきませんが、この日用品費の預かり金について、一体どういう処置をこれから厚生省はやろうとしておられるのですか。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 ただいま申し上げたような状況でございますので、まず、患者からの預かり金の保全策を早急に講ずること、第二に、現状を確実に把握するため証拠書類を集めること。ただいまの段階では、事務長からの伝聞が主体となりまして私どもは報告を受けておりますので、確実な証拠書類を集めるように指示いたしております。  なお最後に、横領罪による告発が可能か否か検討いたしますとともに、ただいま申し上げましたように、これに必要な実態を把握するように指示いたしているところでございます。

栂野泰二日本社会党

○栂野委員 証拠書類を集めるといったって、この病院側の理事会長牧山一昌はこれは認めているのでしょう、なぜそんなものが必要なんですか。もうすでに認めています。事実に争いはない。  それからこの告発についても、可能かどうか検討するとおっしゃっているんだが、検討の余地はないじゃないですか。事実は確定しているじゃありませんか。業務上横領であることはもうはっきりしている。どうなんですか。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 この点につきましては、私どもはそういった方向で検討するように指示しているわけでございますが、何といいましても先生御承知のとおり第一次的な監督機関は東京都でございますし、また東京都の方では内部に訴訟関係の部局もございまして、ただいまそれらといろいろ検討している最中でございます。具体的な結論はまだ私は聞いておりませんが、そういった方向で動いているものと考えているところでございます。

栂野泰二日本社会党

○栂野委員 これは倒産したのは昨年の四月段階です。こういう不正が出てきたのが六月段階。もう一年近くたっているわけですよ。いまごろ証拠書類を集めるなどとおっしゃっているけれども、もう二千四百万、これは大変なことですよ。生活保護の精神病患者の預かり金でしょう。具体的にどうするのか厚生省は考えて、東京都に指示してやらなければいかぬ。証拠書類なんか集める段階じゃないと思う。告発するかしないか、もうこの段階で決断ができると思う。  大臣、どうでしょうか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 都病院の問題は、精神病患者という特殊な患者を悪用して大変不届きな事件を起こしたわけでございます。そういうことでいま栂野委員御指摘のように、告発する段階に入っておる、早急にやれとおっしゃっておるわけでございまして、私の方もできるだけ早く、公金横領的なそういう内容も持っていることも承知しておりますし、東京都とよく相談いたしまして早急に手を打つように指示をいたしたいと思っております。

栂野泰二日本社会党

○栂野委員 警察庁、見えていますね。警察はいまのいろいろな事実についてはいつごろつかまれましたか。捜査はもうすでに開始されておりますか。

森広英一警察庁刑事局捜査第二課長

○森広説明員 お答えします。  先般の参議院の予算委員会、三月十二日でございますが、あそこで質問を受けましてから承知をいたしたところでございます。現時点におきましては所轄の警視庁におきまして東京都の担当官の方から各種事情を聴取しておるところでございます。

栂野泰二日本社会党

○栂野委員 この東善光寺をめぐる資金のやりくりも四、五億が行っているようです。これは場合によっては背任罪になる可能性がきわめて強いと思うのですが、こっちの関係も警察は捜査を進めておられますか。

森広英一警察庁刑事局捜査第二課長

○森広説明員 捜査の内容につきましてはこれからの問題でございまして、いろいろ警察といたしましては証拠を持って結論を出さなければならない立場にございますので、いかなる容疑があるかとか、どういう方面に捜査の方向を向けておるかというようなことにつきましては答弁を控えさせていただきたいと思います。

栂野泰二日本社会党

○栂野委員 三月十六日の毎日新聞の夕刊によりますと、この都病院の医療法人社団浩徳会の代表者牧山一昌氏が理事長を兼ねています社会福祉法人昭青会という老人ホームがあるようですが、ここでも、この老人ホーム、これは松寿園というのでしょうか、国や地方自治体から振り込まれた委託費が約千四百万円、これが都病院の経費に流用されているという事実がわかった。これはやはり東京都の福祉局指導第二課の調査が昨年四月に行われている、こういうことです。それでこれは早く返せと言ってきたのだが、ことし二月段階でなお八百万円が返されてないという、こういうことが報道されていますが、この事実は厚生省はわかっていたのですか。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 ただいま先生言われましたこの社会福祉法人昭青会の特別養護老人ホームの措置費の一部が医療法人浩徳会の都病院に貸し付けられていたという事実につきましては、概略はただいま先生言われたとおりでございます。この点については、私ども報告を受けております。

栂野泰二日本社会党

○栂野委員 警察はこの事実はどうなんでしょうか。

森広英一警察庁刑事局捜査第二課長

○森広説明員 国会の御論議とか新聞で知りまして、目下そのような事実があるかどうかということにつきまして、東京都の担当者等から事情を伺っておるところでございます。

栂野泰二日本社会党

○栂野委員 とにかくこの牧山氏という人物は、でたらめきわまることをやっているわけです。この際、精神病者や年寄りを食い物にするこうした人物の責任は徹底的に追及してもらわなければなりません。ほかの役員や幹部にもこの責任問題は波及するかもしれませんが、しかし一方この都病院にもまだ三百人の患者が残っているわけです。職員の皆さんもこれは何とかしなければいかぬというので、いまがんばっているところです。  社会的に信用失墜していますから、普通の企業だったらこれは一たまりもないかもしれませんが、事こういう精神病院ですから、これは何とか再建させなければいかぬ。患者のためにも、残っている職員のためにも、これは厚生省が責任を持って再建させてやるということをしてもらいたいと思っているところでございます。もちろん、もういま倒産状態に入っていますから、債務の処理その他直接厚生省がどうこうできないという面があることはわかりますが、とにかく最大限の手当てをしていただきたい。残っている患者の皆さん、職員の皆さんを勇気づけるような手を早急に打っていただきたいと思うのですが、その点ひとつ確約願いたいと思っております。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 処罰等は厳重にやるべきだと思いますが、いまおっしゃったように、入院している患者の方や職員の方々、こういう立場にある方々のために、やはり病院自体は存続させる方向で事態の解決を図っていくことが望ましいと考えております。万一病院が廃止されるようなことになった場合でも、患者の方々、その他職員の方々が他の病院へ転院等に万全を期するよう十分指導をしてまいります。

栂野泰二日本社会党

○栂野委員 ところで、この牧山氏のような人物、いまの医療法で医療法人の役員から解任する手だてがございますか。

大谷藤郎厚生省医務局長

○大谷政府委員 医療法では医療法人の役員の資格につきまして特段の制限規定がございませんので、むずかしいと考えます。

栂野泰二日本社会党

○栂野委員 できませんね。社会福祉法人の場合には役員の解職勧告ができるという規定がございますね。また、医療法上いまこういう問題が発生した場合には、医療法の六十三条「都道府県知事は、医療法人に、法令、法令に基いてする都道府県知事の処分又は定款若しくは寄附行為を遵守させるために必要があると認めるときは、医療法人から、その業務又は会計の状況に関し報告を徴することができる。」結局、医療法人の経営に不審な点がある、不正行為があるという場合、この条文しか現在厚生省が調査その他をやるのに根拠規定になるものはないのじゃありませんか。

大谷藤郎厚生省医務局長

○大谷政府委員 調査権といたしましては先生御指摘のとおりでございます。

栂野泰二日本社会党

○栂野委員 先ほど森井委員の質疑で医療法改正の問題が出ましたから私は繰り返しませんけれども、ここがいままで問題になってきたところですね。立入調査もできない。役員の解任権もなし。いま厚生省あるいは東京都がこの問題に立ち入る場合に、言ってみれば周りでやきもきしているけれども、中へ入れないということは、確かに法的な根拠がないからという点もあると思います。  そこで、これはどうしてももう少し強力な指導、監査権限を持たなければいかぬ。政府の医療法の改正案の要綱を見ますと、医療法人に対する立入検査権、それから医療法人の役員の解任権と  いう規定を新しく設ける、こうなっておりますが、いま大臣は医療法改正案をこの国会に出すように努力するのだ、こういうお話でございましたが、仮に出されましても、この辺が骨抜きになったものが出たのじゃどうにもなりませんが、この点は大臣、医療法改正に当たって絶対に今度は挿入するのだという約束をしていただけませんか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 先ほど森井委員からも医療法の改正問題についての御質問がございまして御答弁いたしました。医療法の改正につきましては、地域医療の計画の策定はもちろんでございますが、ただいま問題になりました医療法人等の監督規定の整備を内容とする改正でございまして、ただいま申されました内容のことにつきましては、十分配慮いたしまして、努力することを申し上げて、この国会にできるだけ早く提出できるように努力をいたします。

栂野泰二日本社会党

○栂野委員 そこで、時間も余りありませんから進みますが、医療法がいまそういう状況にあるので、立入検査その他ができないということで、実は一昨年の富士見産婦人科病院の事件が起きた。それでいわば医療法改正が行われるまでの間のつなぎという意味でしょうか、園田厚生大臣のときに、この種医療機関の不正があった場合に対応するために、三省庁の連絡会議というのが設置されたはずであります。これは一体いまどうなっていましょうか。

大谷藤郎厚生省医務局長

○大谷政府委員 三省庁連絡会議につきましては、医療に関する諸問題に対しまして的確な対応を図っていくということで設けられておりまして、随時意見の交換を行っているところでございます。ただ、会議の開催内容等につきましては、三省庁の申し合わせ等もございまして、その内容につきましてはできる限り控えさせていただきたいというふうに思うわけでございます。

栂野泰二日本社会党

○栂野委員 これはあのときに設置が決まって恒常的に置かれているのですか。つまり事務局あたりは厚生省にきちんとできているものですか。その辺はいかがでしょう。

大谷藤郎厚生省医務局長

○大谷政府委員 期限つきではございませんが、一応恒常的という考え方でよろしいかと思います。

栂野泰二日本社会党

○栂野委員 事務局はどこにあるか。

山本純男厚生省医務局次長

○山本(純)政府委員 はうきりとした事務局ということはございませんので、必要の都度、三省庁の担当課の間で相談をいたしまして開催をいたすということになっております。

栂野泰二日本社会党

○栂野委員 それではこれは有効に機能しません。やはり事務局がきちんと置かれて、これは厚生省に置かれるべきものだと私は思いますがね。こういういまの都病院のような事件が起これば、直ちに三省庁の連絡会議を招集していただいて、そこで対策を考えてもらう、私はこういうふうにしてもらわぬと、せっかくできても意味ないと思う。これは園田厚生大臣の時代でしたから、大臣がかわればもうそれっきりというんじゃ困ると思うのですが、ひとつ都病院の関係で三省庁の連絡会議、大臣、すぐ招集して呼びかけていただけませんか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 そのように努力をさせていただきます。

栂野泰二日本社会党

○栂野委員 実は私、この都病院の方は一月くらい前に調査に参りました。病院の関係者にもいろいろお話を聞きましたが、牧山理事会長という人は、かねがね職員に向かって、君たちの仕事は患者を治療するというのではなくて患者を管理することにあるんだ、こういうことを言っていたようですね。ですから、彼にとっては精神病患者というのは治療の対象じゃないのですね。金もうけの手段としか考えていないわけでございます。  ですから、ほかの精神病院が受け入れに難色を示すような患者でも、何でもいいからどんどん都病院に入れてくれ、こういう調子で一ころは定床の三割くらいオーバーして患者を入院させていたようでございます。この倒産時点では三百三十四床くらいですか、それで四百三十くらい入院患者を入れる計画だった、こういうのであります。もちろん開放病棟なんか全然ありません。全部廊下はかぎが締まって中からあかない、こういう状況です。医療スタッフもいつも標準を割って東京都からしばしば注意を受けるという、これは厚生省もお認めになっていますが、そういうことです。  問題は、こういう精神病院の実態が都病院だけならばさほど問題はないでしょうが、しかしそうじゃないのですね。実はいま全国の精神病院の多くは似たような状態にある。この点が私は大変心配なんです。  もう時間がありませんからこれ以上は進みませんが、一つ申し上げますと、この間も資料をいただきましたけれども、全国の精神病院の病床数に対する入院患者の比率、これが最近の厚生省の調べによると一〇〇・二九、こういうことになっているのですね。少しずつよくなっていますが、この数年ずっと一〇〇をオーバーしているのです。ということは、つまり定床数よりも患者が多いということなんですね。一体はみ出た患者はどこにどうなっているのか。恐らくベッドがなければ、私が行ったある精神病院は、柔道場のようなところに布団が敷いてあるのですね。これが六人が定員だとすれば、七人、八人布団を敷いて寝させる。こういうことでもしなければできないのですよ。今日時点なお一〇〇%を超えているわけですね。  少しずつよくはなってきました。しかし、こういうことが放置されている以上、やはり都病院のような事件は引き続いて起こる可能性がある。よほどこの際厚生省としては精神医療問題について抜本的な改革をしてもらわなければならぬと思うのです。精神病院の関係者の話を聞きますと、大体一〇%定床数をオーバーして入院患者を入れなければ経営は成り立たないと言うのですよ。これはどこでもそう言うのですね。ひとつこういう事件を契機にしまして精神医療体制の充実を図っていただきたいことをお願いして私の質問を終わりますが、大臣のその点に関する御意見をお聞かせください。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 御指摘のようにそういうような不幸な事件が全国各地であることは私も聞いております。特に弱い立場にある老人、しかも精神的に障害のある患者を食い物にするということは、これはもう人道上あるいは医道上まことにけしからぬ話でございますし、特に昨年は障害者年でございましたし、その行動計画を十年間で進めていこうというふうなときでございますし、厚生省といたしましても御指摘のように、やはり人命はとうとい、特に御老人には健やかに長生きをしていただきたい、そういう精神を生かすために、医道に背くような、また人道に背くようないわゆる経営というかそういうあり方の病院については厳しく指導していきたい、また厳しく処置をしていきたい、このように実は思っております。強い決意で進めたいと思います。

栂野泰二日本社会党

○栂野委員 終わります。

唐沢俊二郎自由民主党

○唐沢委員長 次に、山本政弘君。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 今度費用徴収の問題が厚生省の方から提起をされておりますが、そのことについてきょうお伺いをしたいと思うのです。  私は全体を通して考えてみると、現在ホームで生活をしている老人たちが費用を負担することによって、二つか三つの問題は解決するだろう、しかしそのために、不合理な問題を未解決なままに経済性を尊重して、あるいは重視してと言った方が正しいかもわかりませんけれども、発車してしまうというふうに今回の費用徴収問題については考えざるを得ないわけです。  そこで、本論に入る前にちょっと教えてもらいたいことがあるのです。費用徴収に関して、各施設にだと思いますけれども、施設利用者に対してこういう文書を出しておりますね。つまり、なぜ利用料を変える必要があるのか、どんな手続をとればいいのか、「家族のみなさまへ」ということで、「老人ホームの利用料が変わります 入所者ならびに家族のみなさまへ」というのが厚生省から出ておるのですが、御存じでしょうか。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 私どもがそれを作成し配付したというものではございません。私も実はただいま初めて拝見いたしましたが、恐らく老人ホームの施設関係者ではないかと思っております。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 私は施設の方からこれをいただいたのです、厚生省の方からこういうものがありましたということで。  そこでちょっとお伺いするのですけれども、費用徴収というのは、これは次官の通知ですか。厚生次官の通知で済むわけですか。イエスかノーだけでいいのです。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 根拠は法律でございますが、その他通知で指導いたしております。     〔委員長退席、今井委員長代理着席〕

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 徴収対象もそうですね。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 そのとおりでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 それじゃひとつお伺いいたしますが、ここで「家族のみなさまへ」と書いているのです。「今までは入所者の方が少額でも利用料を払った場合は、御家族の方は費用を負担しなくてもよいことになっていましたが、」こういうふうになっているのですが、これは通知による。そしてその法的な根拠は老人福祉法ですね。「今後は御本人の利用料の額がその方を老人ホームでお世話するのにかかる費用にみたない場合は、不足額の範囲内で御家族の方にも負担能力に応じた負担をお願いすることになりました。」こういうふうに文章が、実は正確に言うと分かれておるわけです。  そこで、老人福祉法の二十八条一項に、「又は」という言葉で、費用徴収についてどちらか片一方、利用者もしくは扶養義務者ということになっておったのですが、今度は両方からいただくというふうになっておるわけですね。私は法制局の見解を聞きましたけれども、「又は」というのは二つあった場合のどちらかを選択することだ、こういうふうに解釈として承ったわけであります。つまり法制局の見解というのは、「及び」と「並びに」という場合には両方を、「若しくは」と「又は」という言葉を使う場合にはその片一方ということになっておる、そういうふうに解釈をして結構でございますということがあったわけであります。今度は両方とも。二十八条一項の解釈によるということであるならば、二十八条一項とこれは矛盾するのじゃありませんか、両方からいただくということは。僕の言いたいことは、法改正が必要じゃないかというのです。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 ただいまお尋ねの老人福祉法第二十八条でございますが、「当該措置を受けた者又はその扶養義務者から、その負担能力に応じて」云々と書かれております。この「又は」という文言の解釈は、いずれか一方または両方からというのが従来からの私どもの解しているところでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 これは私に言わせたら大変おかしいんですよ。「老人ホームの利用料が変わります 入所者ならびに家族のみなさまへ」こう書いておるのです。従来だったならば入所者または家族の皆様へ、こうなるものが、「入所者ならびに家族のみなさまへ」というんだったならば、これは入所者の方々からもいただく、家族の皆様にもひとつ知ってほしい、こういうことでしょう、この文書は。  そうすると、あなたの言うように、並びにということをなぜお使いにならないのかということですよ。文書に関しては、「入所者ならびに家族のみなさまへ」というのは入所者からもいただく、家族の方からもいただく、こうなるんじゃないですか。「ならびに」というのは厚生省が使っているのだ。それなのになぜ二十八条の「又は」というようなことについて法の改正をなさらないのだろうかというのが私の疑問なんです。  そういうふうな解釈というものは厚生省の一方的な解釈じゃないでしょうか。私は法制局にお伺いしたけれども、片一方、場合によっては両方というような言葉の使い方は、法律の解釈としてはやはりちょっと無理でしょうというお話なんですが、いかがでしょうか。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 まず、ただいま先生がおっしゃいましたその文書といいますか、そのチラシにつきましては、私もただいま初めて伺いました。私ども厚生省の担当者もそれを知らないと言っております。したがいまして、それは恐らくどなたか関係の方がおつくりになったのであろうと思います。  次に、いま申しましたこの「又は」の解釈でございますが、これにつきましては、私ども従来から双方という意味にも解釈できるというように熟した解釈であると考えているわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 どうも水かけ論になるようですけれども、それでは、こっちの方はあるんですな。まさか厚生省のものじゃないとおっしゃらぬでしょうね。つまり「養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの近代化について」というものが出ておるのですけれども、これはわが党の社労の委員会の方々に説明をなすったときのものでしょう。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 ただいまの資料につきましては、私も承知いたしておりまして、これは私どもの方で作成した資料でございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 それでは、ここに「養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの近代化について」こう書かれてありますが、いろいろな説明が入っておる。「養護老人ホーム居室の状況」というのがありますね。ここに個室、二人部屋、三人部屋、四人部屋、五人以上の部屋と分類をされております。五十五年四月一日から五十六年四月一日、一年間で、いま申し上げた各室の整備状況が出ておる。個室について言えば百十八、二人室については六百八十三ふえた。三人室、四人室、五人室以上については百五十六、九百五十七、百三十四とそれぞれ減っている。こういうふうに書いて、いかにも整備がされたように書いてはおられます。  そこで私がお伺いしたいのは、二年前に私がお伺いしたときに、改善をなさる、こういうお話でお約束をされましたけれども、この数字が果たして改善をされたと言い得る数字なのかどうかということについてお伺いしたいのです。それだけです。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 ただいま先生がお話しになりました資料は事実でございまして、また別の見方から申しますと、個室または二人室を大いにふやすべきであるという御意見があることも承知いたしております。それで、個室または二人室につきましては、先生は五十五年と五十六年のことを言われたわけでございますが、もう少しさかのぼりますと、昭和五十一年には個室または二人室は四三%でございましたものが、昭和五十六年度末には六二%に増加いたしております。これはある年急になったというわけではございませんで、逐年増加しているわけでございます。なおまた、今後新設の場合あるいは増改築の場合におきましては、一人室または二人室以外は認めておりません。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 五年とか十年とかいう年月をとったら、それはかなりふえたということになるでしょうよ。しかし、これは私の質問した速記録なんですが、要するに今後改善を進めてまいりますということだったんですが、一体個室がどれだけふえているかというんですよ。一道一都二府四十三県ですから、四十七県になりますか。そこでこの整備をされた百十八、六百八十三、百五十六、九百五十七、百三十四という数字を一応四十七で割ってみますと、個室については一県当たり二・五しかふえてないんです。二人部屋ではなるほど一二・六ふえている。三人部屋では三・三の減少で、これはいい傾向ですね。四人部屋は二〇・三、しかし五人部屋以上は二・八しか減ってないんです。そうしたら、これは約束どおり、要するに大幅に改善をされたと言えるかどうか。  一年だけじゃ何だと言うんだったら、二年、五十六年度をとってみると、個室は一県当たりに二・一室しかふえてない。二人部屋は二十一室しかふえてない。三人部屋に至ると平均して三室しか減ってないことになる。四人部屋は一〇・五減る。五人部屋以上は〇・四しか減ってない。これはまさに減ってないということですよ。これが一体厚生省の老人ホームに対する取り組みなのかどうかということなんです。一県平均にならしてみたら、こんな数字しか出てこないんです。こんなばかなことがありますか。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 確かに先生おっしゃいましたように、一県ごとで見ればそういったことは事実であろうかと思います。ただ私ども、先生方にもあるいは前にも申し上げたこともあるかと思いますが、老人ホームの国庫補助面積でございますが、一人当たり面積は昭和五十二年度には二十二・六平米でございましたが、五十五年度には二十四・六平米、五十七年度には二十六・三平米まで引き上げております。この結果、従来は大体一人二畳程度でございました居室部分でございますが、それが現在は倍以上になっております。  それで、また五カ年計画を立てまして、木造施設の大部屋はまずそれから解消していこうということで、昭和六十一年度には解消する見込みでございます。木造以外のところにつきましては、すでにできておりますものを急に壊すということも不経済な点もございますし、施設の自己負担の問題等もございますので、急にはできないわけでございますが、今後は新たにつくっていきますものあるいは木造を改造いたします場合には、一人部屋または二人部屋以外のものはすべてなくなることになっております。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 それは養護老人ホームにも言えるんですか。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 ただいま申し上げましたのは養護老人ホームの方でございまして、特養はやはり御老人の関係から、四人部屋とかいろいろこれは残していかざるを得ないと思います。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 養護老人ホームというのはふやさないという方針じゃないんですね。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 これは地域的にはやはりどうしてもないところもございます。一般的には、全国的に見ますと、確かに養護老人ホームはかなりいいところまでまいっておりまして、これからは特養の時代であろうかと思いますが、しかしやはり改築その他もございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 金田さんのおっしゃっていることは私に言わせたら問題のすりかえなんですよ。それは要するに老人の処遇の基本条件というものは、いままで議論された中での一つの要件というものは、プライバシーの確保というのが要件だったのでしょう。ですから、個室をふやせという声が非常に多かったのだろうと僕は思うのです。各県に平均ならしてみたら、個室については一県で二・五しかふえてないじゃないか、あるいは五人部屋以上というものは〇・四室しか減ってないじゃないかということは、そういう意味で僕は申し上げているのです。あなたの御答弁というのは、面積で僕に対してお答えになっている。それは問題のすりかえなんですよ。だから、基本条件というのは、あくまでも申し上げますけれども、基本条件の一つというのはプライバシーの確保であるということが、これは施設の担当者からもあなた方がしばしばお聞きになっている言葉だろうと僕は思うのだけれども、それが十分になされてない点についてのお答えをいただきたいというわけなんです。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 この点につきましては、確かに全国的に見ますと急速には進んでいないかもしれませんが、先ほど申しましたように、個室、二人部屋、両方合わせますと、昭和五十一年に四三%でございましたものが、五十六年度末には六二%へと増加いたしております。また、二人部屋については御不審を抱かれるかもしれませんが、二人部屋は、夫婦の場合、あるいは御老人の場合情緒不安定のような方もありまして、御一緒にしておかなければまずいような点もございますので、二人部屋は一応は必要であろうかと思っております。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 私は、二人部屋がふえるということについてけしからぬと言っているんじゃないのです。ただ、いま申し上げた数字から言って特徴的なのは、プライバシーを守るべき個室の増というのはきわめて少ない。そして二人部屋の伸び率というものが非常に高い、もう一つは、四人部屋というものはなるほど減っているけれども、五人以上の部屋の減りはきわめて少ないじゃないか。要するに五十五年に私が御質問申し上げた方向どおりにはいってないじゃないか、一体どういう指導をあなた方はなさっているのだろうかということなんですよ。傾向としては、大部屋が減っているわりに個室または二人部屋は意外に伸びてないというのが、僕の申し上げたこの数字の中で読み取れるでしょう。その辺について一体あなた方はどのようにお考えになっておるかというのですよ。今後やりますと言うなら、具体的にどういうことをやるのか、要するに具体的にお知らせいただきたい。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 私は、ただいま申しましたように、個室または二人部屋が、四割が六割までこの五年間で伸びているという点を、先生にも御意見あろうかと思いますが、御評価いただきたいと思いますのと、それから私どもも全国で課長会議その他関係の会議を毎年定例的にやっておりますが、たとえばことしも強く各県の課長に対しましてこの点を指示いたしたわけでございます。  それからまた、補助でございますが、木造の場合には、ただいま申しましたように、六十一年までにすべて大部屋は解消する計画をつくっておりますし、また、それ以外の場合におきましても、もし大部屋解消のために補助をしてほしいという御要望がありました場合には、これは喜んで補助いたしたいと私どもは思っております。そういった意味で、いろいろ努力をいたしておるつもりでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 六十一年までに大部屋全部解消すると言うのですね。いまのあなたの答弁はそうですね。すべて解消したいということですね。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 木造でございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 御参考までに東京都の五十六年の二月の調べを申し上げますと、一人部屋というのは六百二十二室。二人部屋が七百七十九。それから三人部屋、四人部屋と、こうありますけれども、一人部屋の比率を申し上げますと、九・三%なんです。二人部屋が二三・四%なんです。残りが要するに三人部屋以上の部屋であるということなんです。はなはだしきに至っては九人部屋というのがありますよ。そこに六十室で五百四十人収容されている。八人部屋七百二十人収容されているところがあるのです。  ですから私は、そういう意味で費用徴収するというのは、決して費用徴収していけないと言うのじゃありません。場合によってはそれは必要かもわかりませんし、それから自立心を高めるというあなた方の意見にもすべて反対と言うのじゃありません。しかし、こういう人々を放置しておいて費用徴収ということをやっていいのか。なるほど、減額いたしますと言うけれども、減額なんというもので済むのだろうかということを僕はお聞きしたわけです。  同時に、木造というものは、それじゃ全国の施設数は幾つあるのですか。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 全国の施設の数でございますが、特別養護老人ホームは一千三十一カ所、定員が八万三百八十五名、大体毎年一万人ぐらいずつ現在ふえております。これは五十六年の状況でございます。それから養護老人ホームは九百四十四、定員が七万四百五十でございます。これはそんなにふえておりません。(山本(政)委員「養護が幾らですか」と呼ぶ)養護が七万四百五十でございます。(山本(政)委員「いやいや、施設数です」と呼ぶ)施設数は九百四十四でございます。(山本(政)委員「木造ですね」と呼ぶ)いえ、これは全部でございます。木造はちょっといま調べて御報告申し上げます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 木造、いまわかりますか、養護も特養も。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 わかると思います。もうちょっとお待ちいただきたいと思います。——ただいまお尋ねの木造の施設は現在百四十三施設でございます。これは養護でございます。いま申し上げましたのは養護老人ホームの中の木造施設ということでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 特養はどうなっていますか。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 特養は、木造はまずほとんどないと思います。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 そうすると、木造を全部改築をする、しかしそれだけでは十分じゃありませんね。いまの要するに鉄骨ですか鉄筋ですか、そういうどころも恐らく改築もしくは改造しなければならぬと僕は思うのですよ。そうしなければいま申し上げた数字を解消するわけにはいかぬわけですから。  それじゃお伺いしますよ。いまそういう施設は、公立と私立では圧倒的に私立が多い。いわば養護老人ホームとか特別養護老人ホームというのはその大部分が民間に依存をしているということは、僕は否定できないだろうと思う。そうすると、これを建てるとか建てかえるとかいうことになった場合に、その費用はどうなるのですか。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 原則といたしまして、二分の一が国庫補助、都道府県が四分の一、地元負担が四分の一ということでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 それでいいんですか、それで。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 なお、非常に老朽いたしております民間施設につきましては、利子を無料にしたり、そういった措置は別途とっております。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 ここに民間老人ホームの建築の報告例があるのです。これは実際にいまやっているところです。総事業費が二億七千六百三十八万九千九百八十八円かかっているのです。その中で自己負担が八千四百五十二万一千九百八十八円。自己負担ですよ、これは。  ちょっとお伺いしたいのですが、百四十三の施設が一律にとは申しませんが、いま言ったように八千四百五十二万円もの金がかかる場合に、自己負担ですよ、これは。繰り返し申し上げますがね、これだけの金が一体出るのですか。あなたは民間で負担できるというふうにお考えですか。民間でそのことが容易に負担できますか。これは常識的にお答えいただきたい。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 民間社会福祉事業の財源につきましては、これはいろいろございます。たとえば共同募金その他の寄附金等もございます。そういったものによりまして従来から改築等もしてきたわけでございますが、私どもとしましては、そういったもので処理願いたいと思っているわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 そうすると、厚生省の、大部屋を解消して個人の部屋というものをプライバシーを守るためにつくらなければならぬ、そういうものについては、木造についてはこれは全面的な建てかえが必要である、鉄骨か鉄筋の建物についてもこれは改造しなければならぬ場合がある、しかし、それは民間の募金によっておやりなさい、これが従来のあり方でございますということであるならば、何の指導性もないじゃないですか。あなた方はそういうことに対して、頭の上であるいは紙に書いて、そしてこういうふうに六十一年は解消しますと言うけれども、募金によってそれを解消するというんだったら、そんなことは当てにならぬということになるんじゃありませんか。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 私の御説明が募金というようにおとりいただいたかもしれませんが、施設が主体になって広く募金をするといったようなケースは比較的少のうございまして、篤志家の寄附その他がございますので、そういったことで従来から資金を賄っておるわけでございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 六十一年までには木造のものは全部解消しますというのがあなた方の計画なんですよ。僕に対する御答弁なんですよ。     〔今井委員長代理退席、委員長着席〕  そうすると、要するに六十一年までには少なくとも木造の養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、まあ特別は大部分が鉄筋だ、こうおっしゃったが、養護老人ホーム百四十三の施設に対してこれをやるのに、篤志家の寄附によって全面的な建てかえをするということは、あなた方の政策になりますか。指導になりますか。篤志家の寄附あるいは募金によってそれをやるということは、僕は厚生省の青写真としてはまことにお粗末きわまるものじゃないだろうかと思うのです。これはあなたに聞かぬで、僕は大臣にお答え願いたい。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 事務的な点もございますので、私からちょっとお答え申し上げたいと思います。  私がいま御説明申し上げましたのは、その自己負担の四分の一をいきなり民間で寄附金等で調達しなければできないような印象を受けられたかもしれませんが、実はそうではございませんで、ちょっと説明が舌足らずでございまして恐縮でございました。  その自己負担の四分の一の分につきましては、先生も御承知の社会福祉事業振興会がございます。社会福祉事業振興会でその四分の一を貸し付けをするのがたてまえでございまして、しかも社会福祉事業振興会の場合は、民間利子に比べまして非常に低利で貸し付けをいたしております。その後、長期間にわたりまして解消していただく、十五年、二十年にわたりましてこれを償還していただくわけでございますが、その財源につきまして、先ほど申しましたようにいろいろ各施設で工夫していただくという考え方を申し上げた次第でございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 非常にずさんなんですね。いいですか。私はいま自己負担額八千四百五十二万、こう申し上げたんです。ほかにも例があるんですよ。五十六年度に完成を予定をされている特別養護老人ホームがあるんです。この自己負担額は四億八千八百二十六万九千四百二十五円です。もう一つの例を申し上げますと、これは要するに五十人でケアセンターを含んでいるのです。もう一つは、これは百人の収容のホームであります。これは自己負担が二億五千八百五十一万五千百八十八円、こんな自己資金を一体どうやってつくるのか。実際にここの人たちの話を聞いてみると、もうひいひい言っているのですよ。あなたのように、利息が安いからとか篤志家の寄附があるとかカンパがあるとかということで、これは成り立っているんじゃないですよ。身ぐるみはぎながら、要するに自分のところをはぎながら建てておるというのが実態なんですよ。  だから私が言っているんだけれども、一番ここで金額が高いのは五億円近い、四億八千八百二十六万ですから。そのほかに、一番初めに申し上げたのは、これは五十人収容のものですが、八千四百五十二万。こういうものが、百四十三カ所あるものが、一体、利子が安く借りられるから、要するにそういう資金繰りがありますからとか篤志家の寄附がありますからということで、あなた方が私どもに、六十一年には解消すると、こうおっしゃるんだったら、私はこれは、あなた方のおっしゃることは絵にかいたもちになっちゃうんじゃないだろうか、信用できないと言うのです。もっと抜本的な対策を講ずる必要があるんだろう、こう思うのです。  私は、金田局長じゃなくて、そういうことに対して一体大臣はどういうふうにお考えになっているのか——ちょっとお待ちください。五十五年に私が質問したときには、ブループリントをちゃんと出して、そしてやる、こうおっしゃったんです。しかし、いまさっきお話し申し上げたように、一県にならしたら二・五部屋しか個室はふえていないという実情がある。大部屋については〇・四でしたか、先ほど申し上げたようにそれしか減少してないというんだったら、これはまさしく、いま金田局長が御答弁になったように、民間に多くを依存し、そしてその民間は、金田さんの御答弁によるならば、利息の安いところから資金繰りをするとか篤志家の寄附を仰ぐとかあるいは大衆から寄附を仰ぐということでやっていくんだということになれば、これは政府の政策としては余りにもお粗末過ぎはしませんかと私は申し上げたい。そのことに対して大臣は一体どういうふうにお考えになっておるのかと、こういうことです。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 ただいまの……

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 ちょっと待ってください。大臣の答弁を先にしてくださいよ。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 養護老人ホームの問題につきましては、目的がプライバシーの確保ということから、個室または二人部屋をできるだけ多くとれ、またその方向でやりますということで、厚生省といたしましてもその方向では進んでおりますが、御指摘のようにまことに遅々たる進み方であることは、数字的にも私も認識いたしました。  そこで、今後の改築等の問題につきまして、いろいろ二分の一、四分の一、四分の一という一応の補助率、また安い金利等の制度がございますけれども、やはり学校建築なんかもそうでございますが、いわゆる超過負担という、やはりよりよきものをつくりたいという気持ちがございますし、そういうことから個人負担が、二億七千万のうちでも八千万個人負担しなければいけない。そういう例は、私はいろんな施設であると思います。幾らボランタリー精神がございましても、大きな施設費がかかることは大変なことでございまして、いろいろこの前に御質問されてから現状とかなり隔たりがある、これでは将来とも非常に心配であると。私もやりとりを聞きまして、非常に実は心配をしております。自己負担の四分の一は社会事業施設共通の問題でございますけれども、やはり孤独と闘っております御老人の方々が最後の寄る辺となる施設でございますから、やはり社会保障、社会福祉の中でも重大な問題として取り上げるべきである。特に老人保健法、衆議院の段階で通させていただきました。これはこの問題とは直接関係はございませんけれども、やはり健やかに老後を送ってもらいたいという精神が入っておるわけでございまして、高齢化時代にも備えて、老人ホームにお入りになる方々、また特養にお入りになる方々、そのためにまだまだ厚生省としても努力をしなければいけないし、やはり現実に合ったような政策をやらなければいけない、そういうように実は思っております。  いま数字的な問題をお聞きしたわけでございまして、よく御趣旨はわかりますし、私といたしまして御趣旨に沿うような方向で全力を挙げて、いままでのような進み方でない方向で努力をいたしたいということがただいま発言できる範囲でございます。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 私が申し上げたいのは、実は、たとえば建てかえをする。建てかえをする場合には設置者の自己負担が要るわけですね。それがもう民間では限界に来ているのじゃないかと思うのですよ。養護にしたって特養にしたって、大方は民間に依存したそういうやり方をおやりになっている厚生省が、民間がすでにそういう限界に来ているということがおわかりにならないのだろうかどうだろうかということなんです、私が申し上げたいのは。  同時に、先ほど申し上げました八千四百五十二万円というお金、これを老人一人に直しますと、自己負担額は一人当たり百六十九万円になるのですよ。私が一番危惧することは、低利の融資を受けるということもあるでしょう、篤志家にお金を出してもらうということもあるでしょう、それから多くの人々からも要するに寄附を仰ぐということもあるかもわからぬ。せっぱ詰まったときにはこういうお年寄りにそういう負担がかかりはしませんか。その上の費用徴収、月額の上げということになってきたら、あなた方のお考えと、裏は知りません、表向きのお考えについて違背すること、大変なことじゃありませんか。僕はそのことをあなた方にお考え願いたいと思うのですよ。あと三分ですから、私はもっと国として抜本的な対策をおやりになる——断っておきますが、僕は費用負担すべきものはしたらいい、しかしそれに対して経済優先でなくてもっとほかにとるべき、とらなければならぬ、そういう政策というものが国としてはあるのではないか、このことをお伺いしておるのです。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 お説ごもっともでございまして、個人の負担にも限界がある、そのとおりであります。その足らないものをいわゆる施設利用者に使用料という形で負担さすということはまことにいかぬことでございまして、十分そういう点は配慮いたしまして、今後個室または二人部屋の改築を含めまして、費用負担の分も含めて考えてまいりたいと思っております。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 では最後ですからお願いしておきます。  過日、私どものいまここにおる森井さん、金子さん、それから参議院の高杉さんが厚生省に対してお願いしたと思います。  それは、一つは養護老人ホームの整備については個室を主体とし、三人部屋以上は全廃する方針で五カ年程度の計画をもってしてほしいということがあります。いま申し上げたように、民間にはもう限界が来ているということを踏まえて抜本的な対策をぜひ示していただきたい、これをお約束していただきたいのであります。  同時に、自己負担というようなことで百四十三カ所ですか、そういうことをやる、あるいは既存のものについても改築をする必要がある、そういうことを考えた場合には、私は暫定措置についても慎重な取り扱いをしていただきたい。そして何よりも利用者が納得をするような姿勢をとっていただきたい。  第三番目には、五十七年度の予算が現在参議院で審議中であります。予算はまだ全部終わったわけじゃありません。しかしながら、都道府県担当者会議を開催したり地方議会に条例の制改定などを求めるということは厚生省としては行き過ぎているんじゃないだろうか、私はこう思いますが、その点についても十分な配慮をしてほしい、私はこう思うのです。そして徴収された費用は老人ホームの整備に重点的に使ってほしい。このことをお願いいたします。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 将来は個室並びに二人部屋に全部変えていく、この趣旨を体しましてできるだけ早く実現するように全力を挙げることと、五十八年度以降の料金等の取り扱いにつきましては、今後の実施状況等を見きわめつつ十分山本議員のおっしゃった御意思を生かしまして検討をしてまいりたいと思います。

山本政弘日本社会党

○山本(政)委員 終わります。

唐沢俊二郎自由民主党

○唐沢委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後一時十八分休憩      ————◇—————     午後四時五十九分開議

唐沢俊二郎自由民主党

○唐沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  厚生関係の基本施策に関する件について質疑を続行いたします。川本敏美君。

川本敏美日本社会党

○川本委員 それではきょうは、いま国民の意識の中にありますハンセン氏病に対する差別や偏見をなくしていくためにはどうしたらいいのか、こういうような観点から私は若干質問をしてみたいと思っているわけです。  実は私は、去る一月十六日、十七日の二日間岡山県邑久町にあります長島愛生園並びに光明園を視察してまいりました。その中で、療養所の園長さんを初め関係の職員の方あるいは患者自治会の役員の方々とも会談しながら実情調査をしてまいったわけでありますけれども、そういう中で平素から私が考えておりましたことがますますはっきりとしてまいりまして、これは何とかしなければいけないのじゃないかというような感じがするわけです。  まずお聞きしたいのですが、現在ハンセン氏病の患者はどのくらいおられますか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 ハンセン氏病すなわちらい病でございますが、患者数が九千二百八十二人、これは五十六年末現在でございます。そのうちで療養所入所者数が八千三百五十四名、こういう数字になっております。

川本敏美日本社会党

○川本委員 ここ数年間のハンセン氏病患者の新規発生数はどのような状態ですか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○三浦政府委員 最近五カ年間の新規発生者の状況でございますが、昭和五十二年が六十四名、五十三年が六十一名、五十四年が四十四名、五十五年が三十七名、五十六年が四十四名でございます。

川本敏美日本社会党

○川本委員 あと二十年もたてばわが国においてはハンセン氏病というのは事実上撲滅される段階に来ているのじゃないか、こう言う学者の方がおられますけれども、厚生省はどのように考えておられますか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○三浦政府委員 確かに現在減る一方ではございますけれども、やはりまだ、最近全体的に国民の寿命も非常に延びてきておりますし、老齢患者が多くなっておりまして、そう急に減るというふうには考えられません。ただ、こうして新患の発生が、しかも若い層にもあるという以上、やはりこれは一つの伝染病として対策はしなければならぬと思っております。  なおまた、ヨーロッパ諸国等を見ますと、最近外国からの侵入もあるということでございますので、減ってくることは事実でございますけれども、この対策の手は緩めるわけにはまいらぬというふうに考えております。

川本敏美日本社会党

○川本委員 現在まだ国民の中には、このハンセン氏病はあるいは遺伝するのではないかとか、あるいは空気で感染するのじゃないかとかいうような誤った認識に基づく偏見や差別が厳然としてあると思うわけです。  この間も新聞に載っておりましたが、作家栗本薫さんの「癩伯爵」という本ですか、こういう本を取り寄せて中を読んでみましても、それは指摘されるように、「わしにとりついた業病は、空気にふれてひろまるので、」というような記述があったり、あるいは「癩という業病にきくのは、人の生血と、生肉以外にはない」とかいうような、これは全く、幾らSF小説だといってもちょっとこれはひどいのじゃないか。こういうような差別や偏見を拡大するような小説すら出ておる状態ですから、差別や偏見があることは私は間違いないと思うのです。  この差別や偏見をなくしていくためには、まずはっきりしておかなければいかぬと思うのですけれども、ハンセン氏病という病気は治癒するのかどうか。これは伝染病であり、治癒するのじゃないか。細菌学者の方々あるいは関係者の方々の書物を読みますと、肺結核の結核菌より弱い細菌で、今日までは医学が発達をして新しい薬品が開発されているので、もう入院しなくても、外来患者で注射を打っただけでも完全に治癒することができる段階に来ていると言われておるのですが、その点について厚生省はどう考えておりますか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○三浦政府委員 らいと申しますのは、結核菌に似ましたらい菌の感染によって起こる非常に伝染力の弱い伝染病でございます。かつては遺伝性の不治の病と考えられておりましたので、患者さん方は長い間こういう誤解や偏見を受けて苦しんできたこともよくわかっております。しかし現在では医学の進歩によりまして大部分の患者さんが完全に治癒いたしまして、社会復帰が可能となっているわけでございます。一方において、まだ昔から誤った考えを持つ人もおるわけでございますから、患者の社会復帰が円滑に進まないという実情も一部にはございます。  厚生省としては、こうした現状にかんがみまして、毎年「らいを正しく理解する週間」、こういうものも行いまして、国民のらいについての正しい理解が深まるように啓蒙運動もやってきておることでございます。  御指摘の法律の名称の問題でございますが、ハンセン氏病という言葉がございます。私どもはいつもそういうふうに使っておりますけれども、これは医学用語としてまだ正式に用いられていないことから、らい予防法という名称を変更するということは現在のところまだ困難でございまして、厚生省といたしましてはらいに対する偏見が除去されるように努力していくことが当面の課題であると考えておりますけれども、患者の皆さん方のお気持ちも踏まえまして、その扱いについて今後のらい対策を考える中で検討していきたいというふうに考えております。

川本敏美日本社会党

○川本委員 私はまだそこまで聞いていないのですがね。先に答弁をいただいてあれですが。  私は、明治以来今日まで一貫してわが国の政府がとってきたいわゆる強制隔離といいますか、そういうらい予防のあり方、らい予防法、それが今日、偏見や差別を大変助長する役割りを果たしてきておると思うわけです。  世界の国々でもいろいろ法制化されておりますけれども、ノルウェーなんかはそういう強制隔離の政策をとらずに、完全にいわゆる撲滅する段階まで来ておる。わが国においては、当時いろいろな状況があったとは思いますけれども、今日すでに、先ほどお話しのように、新薬が開発された中で、そんな後遺症が残るようなところまでいかなくても外来で治療をして完全に治るというような状態になっているにもかかわらず、現在法律はそのまま強制隔離方式をとっておるわけです。私はこれは憲法違反だと思うわけです。  憲法第十一条には「國民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。」こういう規定があることは申し上げるまでもないと思うのですが、さらに憲法第十三条では「すべて國民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に封ずる國民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の國政の上で、最大の尊重を必要とする。」と明記されておるわけです。私は、この憲法の崇高な精神をハンセン氏病の患者の人たちの上に一日も早く実現しなければいけないと思うわけです。現在ハンセン氏病の患者の方々には、まだこの憲法の理念すら十分行き渡っていないんじゃないか。わが国の行政の中には、このハンセン氏病患者の基本的人権を踏みにじった上に今日の予防法が制定されておるんじゃないかと思うわけです。  御承知のように、最近新聞やテレビで報じられておりますように、アメリカやEC諸国との貿易摩擦とかいろいろ言われておりますけれども、現在わが国は、もう世界で第二位の経済大国だと言われておるわけです。また、これは外国に言われておるだけじゃなしに、鈴木内閣も、わが国の政府自身もそのように認めておるのじゃないですか。そういう中で、世界で第二番目の経済大国にまで発展をしてきた日本、そして最近は、御承知のように後進国の援助だとかあるいは極貧国への援助だとか難民の救済とかいうことで、日本の占める役割りというものもやはり国際的にはだんだん大きくなってきておる。また、この間から中国残留孤児の肉親捜し等をやっていただいておりますけれども、そういうことでいろいろいままで戦後の問題を政府は取り扱って一生懸命やってきておりますけれども、そういう中で一つ忘れられておるのは、私はハンセン氏病の患者じゃないかと思うわけです。戦前の法律そのままで、戦後二十八年に現在の予防法は改正されておりますけれども、その中を貫く精神そのものはいわゆる強制隔離そのものであります。そういう中でいままでハンセン氏病患者の基本的人権が踏みにじられていて、これに国民は素知らぬふりをしておる。差別と偏見に満ち満ちた行政、それをあたりまえのことのようにやってきておる。こういうところを私たちはひとつ一日も早く直していかなければ、世界の先進国と言えぬのじゃないかと私は思うわけです。そういう意味において、ひとつきょうはいろいろ問題を指摘しながら私はお聞きをしていきたいと思っておるわけです。  そこでまず冒頭にお聞きしたいのは、現在のらい予防法というこの昭和二十八年に改正された法律、これは形骸化している、死文化している、こう言われておるわけですけれども、現に厚生省はどのように考えていますか。  私は、この間国立療養所の松丘保養園の園長さんの荒川先生の論文を手に入れました。この論文の中でもはっきり書かれておるのですけれども、「昭和三十年にはらい研究協議会が誕生し、らい療養所の医務課長、事務長、患者等の各種研究会が発足し、厚生省は、これらの研究成果より、その方針を取り、予防法を百八十度逆方向に空洞化する運営を実施して今日に至ったことは周知の通りである。」こう書いてある。これは療養所の園長さんですよ。現在のこの予防法は空洞化しておる、死文化しておるということを厚生省は認めますか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○三浦政府委員 らい予防法というものは昭和二十八年に制定されまして、国といたしましては、この法律に基づいて患者の医療をらい療養所において行うほかに、入所患者あるいはその家族に対する生活の援助とかあるいは職業指導をして、入所患者の社会復帰の促進を図ってきたわけでございまして、さらに先ほど来申し上げましたように、らいに対する国民の正しい理解を深めるための啓蒙運動も行ってきたわけでございます。しかし、らいの治療技術が大変進歩いたしてまいりまして、在宅での治療が可能になってまいりまして、相当数の患者の方々が療養所の外で生活されておられる一方で、従来からのらい対策が、ややもすればらい療養所の入所を前提とした対策であったということは先生御指摘のとおりでございます。  在宅患者の問題につきましては、昭和五十二年から三年間にわたりまして調査を行っておりまして、昭和五十六年にこの結果を得たところでありますので、今後これをもとに専門家の御意見を伺いながら検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

川本敏美日本社会党

○川本委員 そこで、私はもう少し具体的な問題を指摘しながら御答弁をいただきたいと思うのです。  まず、この間私は長島愛生園や光明園へ行ってきました。そこで聞きますと、一日の食費は大体七百四十円だそうですけれども、不自由者棟とかあるいは夫婦棟とかに分かれて生活をしているわけですけれども、朝食は朝七時半で、昼は十二時で、夕食は四時に配られるそうです。夕食の四時というのは、夏になりますとまだお昼下がりみたいなものですよね。おやつの時間よりちょっと遅いぐらいですよ。  それで、昼は作業に出たりいろいろしてきて、夜七時ごろに帰って御飯を食べようという時分には、焼き魚でもあるいはてんぷらでもみそ汁でも皆冷えてしまって、もう家庭的な雰囲気の中では食べられない。それでもいわゆる食品の数に限りがあるし、予算にも限りがあるからということで、全部年じゅう四時には配達をされるわけです。  これじゃ言いかえれば刑務所の食事と同じですよ。私も二十日ばかり刑務所へ拘留されたことがありますけれども、それじゃ刑務所と同じですよ。食いたくなくても四時になったら持ってくる。私は、そんな強制的に人権を踏みにじって自由の権利を剥奪しておいて、そして今日その後遺症の中で療養所で生活を余儀なくされておる人々、その人に対してもう少し家庭的な、人間的な温かみのあることを、食事一つをとってみてももう少し考えられないのか。たとえて言いますと、年に一回や二回水炊きとかすき焼きでもできるのかと聞いたら、そんなのはとても、いまだかつてやったことはありませんというわけです。私はそのようなことを、もっと人間的な、血の通う政治をやってもらいたいと思うわけです。  さらに私は不自由者棟というのを拝見しました。これはもう不自由者棟の中にはいわゆる後遺症で手の先が、完全に治っておりますけれども、しかしもう感覚がない。点字新聞を読むのでも、唇とか舌で読まなければならぬというような方もたくさんおられるわけです。その方々は、汚い話ですけれども、びろうな話ですけれども、おトイレへ行って、洋式便所ですけれども、使った後紙を使う、ここに感覚が麻痺しておるのですから、だからまあ中には、最新式の温水が出て温風が出て乾燥さすという施設を取りつけている方もおるわけです。約二十万ぐらいするそうです。ところが、それでもこれは療養所が取りつけておるんじゃなしに、個人で、自分で買って取りつけておる。自費で取りつけておる。だからお金のある人は取りつけておるけれども、お金のない人は取りつけられない。それであたりまえだと療養所も思っておるし、みんなも思っておる。そんなことはおかしいんいじゃないか。そういう方々には設備はしてあげるべきではないかというようなことを考えて、私は園長さんにも質問しましたが、まだトイレが共同使用のところすらある状態でございますので、水洗便所になっていないところもある状態でございますのでと、これじゃもう総額の予算をふやす以外にないですよね。私は、もう高齢化して平均年齢が六十歳になっておる、こういう方々に対して、これからもう短い老い先ですから、この人たちに本当に地上の楽園としての生活ができるようないろいろな施策をやるためには、これは思い切って発想を転換して予算の増額をやっていかなければいかぬと思うわけです。  光明園へ参りましたところが、薮池地区というのがありまして、これは海抜ゼロメートル地帯、ここに夫婦棟が五十世帯ほど建っておるわけですけれども、ゼロメートル地帯ですから梅雨期になると浸水をしたり、床下に水がたまったりするそうです。その移転改築工事をやってもらいたいと言っているそうですけれども、五十四年には三棟で十八室、五十五年はゼロ、五十六年は一棟で六室だけができて、五十七年はどのように計画されておるのか知りませんけれども、たったこの五十世帯の薮池地区の世帯ですけれども、それが何年には全部新築した場所へ移れますという計画を持っておるわけですか。私はそういう点についてはっきりとした政府、厚生省の態度をお聞きしたいと思っているわけです。  さらに、いま長島に建設されようとしておる瀬戸内三療養所の医療センターがあります。これもいつ落成するのか知りませんけれども、これも荒川先生の論文を読みましても、荒川先生は書いておられるわけですが、「ハンセン病の医療について一考すると、閉鎖社会の僅かな限られた人口に対し、各科を備え充実した医療機関を育てることは、誰がいくら声高く叫び求めても不可能である。」  もうハンセン病の患者の方々は老齢化しておるから、ハンセン氏病が再発するのじゃなしに、がんとか成人病とかほかの病気にかかるわけですよ。ほかの病気にかかっても、この方々は現行の予防法の法的な制限を受けておるために一般のお医者さんにかかれない。私たちが病気になったのなら、がんなら築地のがんセンターに入院したい、お医者さんに診てもらいたいと医者の選択をする権利もある、医療機関を選択する権利も私たちにはあるわけです。ところが療養所におる人は、みずからあのお医者さんに診てもらいたい、あの病院に入院したいという権利すら現在は剥奪されておるわけです。  ところが、その一方でいまの療養所の中に医療センターをつくっても、そこに最新式の機械を設置して、そして若い有望なお医者さんを集めて看護婦さんを集めて、みんなの期待にこたえられるような医療が果たして可能なのかどうか、こういうことになると、荒川先生も指摘されるように、これは不可能に近いのです。だから、医療センターという形だけをつくっても魂が入らなかったら、全くこれはごまかしの政治だと言われても仕方がないと私は思うわけです。  そうすればどのようにしたらいいのか、こういう問題が起こってこようと思うわけですけれども、こういう点について、まず厚生省の明快な答弁をお聞きしたいと思うわけです。

大谷藤郎厚生省医務局長

○大谷政府委員 先ほど来先生の御指摘の件につきましては私ももっともであると思っております。厚生省といたしましても、従来からこれらの問題につきましてできる限りの努力をいたしてきたところでございますけれども、何分患者さんの高齢化も進んでいる、あるいはその他いろいろな条件の整備も要るということで、いろいろな問題でまだまだ解決されなければならない問題がたくさん残っていることにつきましては、本当に遺憾に存じます。今後とも全力を挙げてそういったことにつきまして改善を進めてまいりたいというふうに考える次第でございます。  お尋ねの邑久光明園の薮池地区の夫婦舎の移転の問題でございますが、これは現在低いところにございまして、高台にある宮ノ段地区というところに新しい居住者棟を整備するということで進めているわけでございます。  先生がお話しになりましたように毎年わずかずつであるという点はまことに残念なことでございますが、これにつきましても総枠の整備予算をできるだけ拡充していくということで、毎年非常な努力を払っております。  また、これをどういうふうにハンセン氏病のいろいろな諸施設に配分するかということの問題がございます。全国の十三園の均衡ということもございますし、これは各園とも十分協議いたしまして、先生が先ほど御指摘の問題もございますので、できる限りこの問題については優先的に考えてまいりたいというふうに考えるわけでございます。ただ、五十七年度に何棟つくるかということを明快に示せと言われますと、ただいまのところ、私どもといたしましても、これにつきましてはやはり各園の皆様方と十分協議をいたしまして決めたいというふうに思っておりますので、先生の御趣旨は十分拝承いたしまして、この点に留意しながらその配分について考えさせていただきたいというふうに思うわけでございます。  それから、長島愛生園の治療センターのことでございますけれども、現在、全国で三園の治療センターの整備を進めようという考え方で進めておりますが、すでに多磨全生園につきましては治療センターが完成いたしまして、非常に患者さんからも好評を得ているところでございます。長島愛生園につきましては、昭和五十六年度予算で約二億円ということで、ことしの七月に竣工するということを目途にいたしまして、現在鋭意整備を進めているところでございます。医療機器の購入費といたしまして、五十六年度で二千万円、五十七年度におきましても二千万円の予算を予定いたしておりまして、五十八年度以降におきましてもできる限り医療の充実を図るということにいたしたいと考えております。  また、定員につきましては、現在国全体といたしまして非常に増員が厳しい現状、むしろ定員削減が加わっておるという現状でございますけれども、この治療センターにつきましては、五十七年度に医師、看護婦等十名の増員を行うという予定にいたしておりまして、今後ともハンセン氏病療養所の治療センターの整備ということについては全力を挙げて努力いたしたいというふうに考えております。

川本敏美日本社会党

○川本委員 そこで、次に私は、長島のかけ橋の問題についてお聞きしたいと思っておるのです。  これは長島愛生園や光明園におられる方々の長い間の念願でございまして、昭和四十六年ごろから両理事会においてそういう要求が出てきたわけですけれども、昭和四十七年の七月に長島架橋促進入園者委員会というのが設置されて、その後、運動を続けてまいりました。  このかけ橋は、いまの予防法によって島流しをされた、こういう気持ちをなくして、本当に人間としての権利を回復する、人間復権の橋だという位置づけで、この人たちは長島のかけ橋の要求を続けてまいったわけであります。らいに対する偏見を必要以上に根深いものにしている一つの原因もこの橋がないことにあったわけですから、少なくともこの問題は一日も放置はしておけない、私はこのように思うわけです。  一昨年、昭和五十五年の十月二日にこれらの代表の方々が当時の園田厚生大臣に陳情したときに、園田厚生大臣は大変りっぱなことを言っておられるわけです。強制隔離を必要としないあかしとしてこの橋を実施をしたい、長い間強制隔離政策をとってきたけれども、今日もう強制隔離を必要としないそのあかしとしてこの橋は建設をいたしますということを、その場で初めて政府の方針として厚生大臣が答えられたわけです。そしてことし初めて二百十一万七千円の調査費がついたわけですけれども、お聞きをいたしますと、これからさらに五十八年には基本調査をやったりいろいろやっていきますと、橋のでき上がるのは六十二年か三年になってしまう。平均年齢が現在もう六十歳を超えておるわけですから、この人たちが本当に人間回復の橋として期待をかけてきたその橋が着工されるのも見ずに亡くなっていく方もたくさんできてくるのじゃないか。そういう観点からいたしますと、私は、一日も早くこの橋を完成することがいわゆる差別や偏見をなくしていくためにも大きな役割りを果たすのじゃないかと思うわけです。  さらに、この橋がないことによって、いま民間のフェリーが一日八往復をしておる。私行ったら、いまだに官用船と書いてある。官用船がフェリーで一日七往復しておる。このフェリーによって毎日の食糧から、いろいろな物資から、さらに不自由者棟とか夫婦棟とかの改築とかいろいろなことの建築資材も全部運んでおる。フェリーで運ぶために、その運賃が年間約二億円ついておるわけです。もし橋がかかれば自動車で運送できまずから、その運賃も節約をすることができる。経済的にも、財政的効果から見ても、一年早くつくれば二億円。五年かかればその間十億運賃をむだ遣いしなければいかぬのですから、行政効果の面から見ても、私は、この橋は一日も早くかけるべきだと思うわけです。  私は厚生大臣にお聞きしたいのですが、園田大臣は強制隔離が間違いであったということを認めて、そのあかしとしてこの橋をかけると言われました。森下大臣も同じように隔離方式は間違いであったと認めますか。そしてこの橋を早期に完成するために大臣にどのようにがんばっていただけるか、ひとつ所信のほどをお聞きしたいと思います。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 お説ごもっともでございまして、まさに強制隔離より開放する橋でございますし、人間としての復権、偏見と差別を取り去るための心の架橋である、このように思っております。  財政的効果はさることながら、精神的な効果が非常に大きいということでこれは画期的なお考え方でもあるし、約十年前より地元の方々にも大変協力していただきましていよいよ調査の段階に入っておるわけでございますから、一日も早く橋がかかるように全力を挙げたい。そういうことで、いま川本議員からもお話がございましたし、具体的な方法といたしましては予算の数字的な問題もございますけれども、私も四国でございまして一番近いところでもございますし、四国の方もいろいろお世話になっておるわけでございますから、国会が終われば御見舞いと激励を兼ねまして参りたい。これは海峡にかかる橋でございますから、普通の橋と違って技術的な問題等もいろいろございますし、またいろいろ民家の問題もあるようでございますので、そういうことも兼ねて参りたい、こういうことを申し上げます。

川本敏美日本社会党

○川本委員 私は後で大臣にお聞きしようと思っておったのですが、大臣が自分からぜひ一遍長島へも激励を兼ねて訪問をして、そして橋をかけるのを促進するために実態を見てきたい、こういう御意見でございまして、まことに結構な大臣のお考えですので、ぜひ実行していただきたいと私は思うのです。  そこで、荒川先生の論文を何度も引用して申しわけないのですけれども、荒川先生がらい学会で報告された「日本におけるらい予防法の改正とらい療養所 法的差別の撤廃と医療の充実徹底」という論文があります。この論文は一九八〇年七月に書かれておるわけですが、この論文の中を見ますと、「改正法案は、予防と取締りが中心であって、一旦入所せしめられた患者は、それ自身社会的に抹殺されたに等しい……。」「改正法案」と書かれておるのは昭和二十八年に改正されたらい予防法です。こういうことがその当時の国会でも議論されている、ところがその当時から政府はほかに予防の方法がないということでこれを聞き流しにしている現状にある。「医療の貧困のため、患者は医師を選ぶ自由を要求するが、法的差別がそれを許さない。療養所が一般医療機関として発達することを、これをも法的差別が拒絶する。」このような現在のらい予防法、法的差別のゆえに療養所では医療が失われている、このように指摘されているわけです。  私はこのような観点から考えたときに、手っ取り早く言えば、まずらい予防法という法律の名前をハンセン氏病予防法という名前に変えるだけでも社会の偏見や意識を変えることができるのではないかと思って申し上げようとしたところが、先ほど局長は、病原菌を発見した人の名前を法律の名前にはできぬというようなこそくな考え方から私の意見を拒絶しようとしておるわけです。  厚生大臣どうですか、らい予防法というのをハンセン氏病予防法と変えるだけで国民の偏見や差別が少しでも減るのなら、そんなことはすべきじゃないですか、お金もかからないんじゃないですか。私は、この人たちの人権を踏みにじったいまの憲法違反の法律を一日もゆるがせにできぬと思うのです。ひとつ新しい懇談会か大臣の私的諮問機関でも設置をして、この問題について検討をするお考えはありませんか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 私は名前には実はこだわりません。名前を変えることによって偏見と差別から解放されるならばそれでいいと思います。  ただ、たとえば結核、昔の肺病でございますけれども、非常に恐れたり恐れられたりしたわけですが、現時点におきましては、私は肺結核であったと言われても別にだれも動じない、またこれを堂々と言っても何の抵抗も感じずにいるということで、本当にそういう意識がなくなるほどこれは完全に治る病気になってしまった。いわゆるマイシン関係のいい薬ができたためにですね。しかし、それも三十年、四十年前にはいろいろな意味で差別されたことは事実であります。だからこのハンセン氏病も、らいと言われていままで人に嫌われ、恐れられた病気も、この地球上から絶滅される時代がやがて来ると私は思います。  それで名前の問題に移りますけれども、発見した人の名前をつけたらいかぬとかいいとか私では実はわかりませんし、よく検討をさせていただきます。

川本敏美日本社会党

○川本委員 先ほども申し上げたように現行法は空洞化し、死文化しておると私は思うのですよ。大臣どうですか、空洞化し死文化しておると思いませんか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○三浦政府委員 その前に事務的にちょっとお答え申し上げます。  先ほどから隔離のお話が大分出ておるのですが、伝染力が弱いとはいえこれはやはり伝染病でございますので、ある程度の一定の制限というのは仕方ないと思うのですけれども、ただ人権につきましては、私ども本当に十分に注意を払っておるわけでございます。  それで、らい予防法の問題でございますが、先生おっしゃるように確かに現状にそぐわない点はございます。最近非常によくなって治癒するようになりましたし、外来患者もふえてまいりました。ですから外来患者をもっと取り扱えるようなものも含めたり、それから一時救護所などという制度もありますが、現在これはほとんど使っておりませんので、御指摘のように中は少し検討しなければならぬ点は幾つかございます。これはこれから検討をさせていただきます。

川本敏美日本社会党

○川本委員 もう一つ指摘しておきたいのですが、現在、このハンセン氏病は健康保険では見られないのですよね。健保法ではその取り扱いはどうなっていますか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○三浦政府委員 先に私の方からお答え申し上げますが、これは現在、入所していれば全額国費で見ておるわけです。それから外来は沖縄に外来の診療所がございまして、これにつきましては全額国費で見ておるわけです。ただ、最近在宅患者さんが多くなりまして、たとえばどこかの大学病院へ行ったというような場合は、保険を持っていればその保険は普通の病気には使えますが、らい専門の治療薬は保険の適用になっておりませんので使えないわけでございます。

川本敏美日本社会党

○川本委員 いままで私がお聞きいたしまして調査した範囲内では、良心的なお医者さん、いわゆる基本的人権を守ろうという気持ちのあるお医者さんは、新規に診察したハンセン氏病の患者があった場合、現在の予防法の規則に報告の義務があることも知りながらそれは報告をせずに、これに肺結核という名前をつけて、薬は肺結核と同じ薬を注射すれば治るわけなんですから肺結核の薬を投与して、そして世間にはわからないようにして完全に治癒をさせてやっておるお医者さんが全国に何人かおられるわけです。そのお医者さんは現在の法律に違反したことをしておるわけです。しかし、基本的人権を守るという立場から見てまだ差別や偏見のある社会ですからそういう形で取り扱って、仮に治って若い人たちが本当に夢と希望の持てる一生を送れるか、一たび療養所へ送られたならばあの人はハンセン氏病患者だといって親類縁者まで烙印を打たれて、本当にその一生を牢獄の中につながれるような結果に終わるような人生を送らせたくないと思ってあえてそういうことをしておられるお医者さんがおるということを、大臣もひとつ認識をいただきたい。  そういうことで、新規に診察をしたところハンセン氏病である、あるいはハンセン氏病の疑いがある、このように思われた患者で外来で治療して治る可能性のある人については、健康保険を適用することができるように必要な法改正をすべきではないかと思うわけです。健康保険法の第六十二条二項に、「他ノ法令ノ規定ニ依り国又ハ公共団体ノ負担ニ於テ療養費ノ支給又ハ療養アリタルトキハ其ノ限度ニ於テ療養ノ給付ヲ為サズ」このような規定が健康保険法の中にあるわけです。だから、その「他ノ法令」というのは、伝染病予防法とか結核予防法とか精神衛生法とか災害救助法とか優生保護法とからい予防法とか、いろいろ書かれておるわけですけれども、現在結核も伝染病で、結核予防法があるくらいです。その結核は全部健康保険で治療できるでしょう。そうしたら、らい予防法もその「他ノ法令」から外して、新しく在宅の患者については、世間に知れないようにそこで治療をして完全に治癒させることができるならばそうすべきだと私は思いますし、そのことによって基本的人権が守られるならば、これは大変貴重なことだと思う。そのためにも法改正は私は必要だと思うわけです。そのような前向きの姿勢で、基本的人権を守る方向で、世界第二位の経済大国、先進国である日本が、同じ日本国民の人権を守れないようじゃおかしい。そんなことは断じて一日もゆるがせにすべきじゃない、私はこのように考えておるわけです。  大臣、どうかひとつそのような点について御配慮いただけますか。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○三浦政府委員 先生御指摘のとおり、在宅患者がふえてまいりまして、外来診療が多くなってきたのですけれども、非常に特殊な診断技術も必要といたしますので、あちらこちらでこの患者さんを診るというわけにはちょっとまいらぬだろうと思っております。したがって、保険適用になるか、あるいはやはり将来らい予防法を改正して、この中で外来治療というものをもう少し重点的にやっていこうとするか、その辺少し検討させていただきたいと思っております。

川本敏美日本社会党

○川本委員 そうすると、現行法を、現実の近代国家としての経済大国の日本として恥ずかしくないような、基本的人権を尊重し、いままで踏みにじってその犠牲になっておるいまの患者の方々の福祉を増進する立場から、ひとつ新しい検討に入るということを、大臣お約束いただけますか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 前向きで検討させていただきます。

川本敏美日本社会党

○川本委員 それでは、あと若干時間がありますので、実は早稲田鍼灸専門学校の問題についてちょっとお聞きをしたいと思うわけです。  実は、この早稲田鍼灸専門学校につきましては、昨年の九月に一部の団体の同意書、これははり、きゅう、マッサージ師法の十九条に関係業界の同意を得なければいけないということが規定されているわけですが、このことは厚生省は御存じですね。

大谷藤郎厚生省医務局長

○大谷政府委員 御指摘のとおりでございます。

川本敏美日本社会党

○川本委員 そういうことによって同意書をつけて出された申請書ですけれども、一部盲人団体等、あれは日盲連というのですか、都盲連というのですか、そういう方々の同意書がなかったということで審議会で保留にされておった。それが改めて昨年十二月には、またそれらの同意書をつけて提出されてきたかに聞くわけです。  そこで、まずお聞きをいたしたいことは、現在師法十九条にも規定されているように、いわゆる視覚障害者の方々の、日本の古来といいますか、江戸時代以来といいますか、歴史的な過程の中で、唯一のこういう視覚障害者の職業というのは、はり、きゅう、マッサージという形で伝統的に今日まで職業分野が認められてきたのじゃないかと思う。そういう方々の職業分野にだんだんと最近は晴眼者の方がふえてきておると言われているわけですけれども、現在はりとかきゅうとかマッサージとかいう分野で、いわゆる晴眼者と晴眼者でない視覚障害者の比率はどのような形になっていますか。

大谷藤郎厚生省医務局長

○大谷政府委員 都道府県知事からの報告をまとめました結果では、五十五年十二月末現在で、あんまマッサージ指圧師は全国で八万五十九人となっておりますが、そのうち晴眼の方が四万二千三百八十人、視覚障害の方が三万七千六百七十九人、したがいまして晴眼の方が五二・九%、視覚障害の方が四七・一%、こういう比率になっております。

川本敏美日本社会党

○川本委員 東京都においてはどうなっていますか。

大谷藤郎厚生省医務局長

○大谷政府委員 東京都では、比率が晴眼の割合がさらに高くなっておりまして、晴眼が七六・四%、視覚障害者が二三・六%と、晴眼者が圧倒的に多いということになっております。

川本敏美日本社会党

○川本委員 師法の十九条でも保護されているけれども、現実は視覚障害者の職業分野にだんだんと晴眼者がふえてきておる。それだけ視覚障害者の方々は不安があるわけですよ。  その上さらに、私は去年の十月にもこの委員会で指摘をしましたけれども、国際障害者年だと言いながら、昨年六月の診療報酬の改定では、いわゆるマッサージというものが理学療法の中で丸められてしまって、そうしてそういうものがだんだんと消滅をしていく。そのために、ことしは盲学校の理学療法科を卒業する生徒さんに病院からの求人が一つもないという盲学校すらある状態です。  口では国際障害者年だとか長期行動計画だと言いながら、一方で診療報酬の改定でマッサージを無視したり、あるいははり、きゅう等の診療についてはいわゆる通達を出して健康保険の取り扱いでは、難病で、そして現在の西洋医学で治療の方法がないものに限って、はり、きゅうの治療を認める。しかし、それもたった六カ月だ。慢性病でたった六カ月しか治療しない。慢性病が六カ月治療して治るぐらいなら、初めから慢性病と言わぬですよ。  ところが、はり、きゅうやマッサージに対する制限を厚生省みずからが加えておいて、そして国際障害者年でも、先ほど来申し上げたように、本当に障害者の雇用の場をだんだんと減らしていくような、少なくしていくような政策をとりながら、その上さらに今度はここで早稲田鍼灸専門学校の問題が出てきたわけですから、全国のこういう方々から、私のところへはこんなにたくさんの手紙が来ておるわけです。これはひとり東京都の問題だけではない、全国の視覚障害者の問題である。  ところが、視覚障害者の方々はなかなか一人で行動できませんから、大変御苦労いただいておると思うわけですけれども、私はその方々にかわって声を伝えたいと思うのですが、今度は同意書が全部そろっておる、ところがその同意書の中には、機関の役員会とか大会とかを開いてみんなの同意を得て押した同意書でないものもまじっておるように、これらの人々は言っておるわけです。  私はこの処理について、聞くところによりますと、二十四日ごろには中央審議会が開かれてこの問題が審議されるやに聞いておるわけですけれども、仮にその場でそういう視覚障害者の全国の方々の不安を解消せずに、コンセンサスを得ないままで、書類上形式が整うておるからということだけでこれが素通りをしていくようであっては、後に大きな問題を残すと思うわけです。まず視覚障害者の方々の生活の不安、所得保障というものを確立をする政策、そしてこの人たちの生きていく場をはっきりと政府が保障する政策を確立しなくて、ただ早稲田鍼灸専門学校の問題だけを別個の問題として取り扱うようでは、これは私はおかしいと思うわけです。  ひとつこの問題については慎重に御審議をいただきたいと思うわけですが、厚生省の所見はどうですか。

大谷藤郎厚生省医務局長

○大谷政府委員 本件につきましては、先生御指摘のように、私どもも視覚障害者の方々の問題につきまして十分理解をいたしているわけでございます。反対意見も多数寄せられておりますし、このような条件を踏まえまして、視覚障害者団体の代表等の方々も委員として入っておられますところのあん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅう、柔道整復等中央審議会に慎重な御審議をお願いしたい、その場合に、かねがね国会においても御意見をいただいておりますので、そういった問題も審議会に御報告申し上げまして、慎重な審議をお願いいたしまして、その結果を勘案いたしまして対処いたしたいというふうに考えております。

川本敏美日本社会党

○川本委員 最後に一つだけ、国会の社労委員の手元にも、各党に請願書が出されるやに聞いておるわけです。この請願の採択、不採択の結果が出る前に厚生省で結論を出されたのでは、国会軽視になりますよね。だから少なくともその請願の問題が社労委員会で方向が決まるまでは慎重に扱っていただきたいということを要望いたしておきまして、私の質問を終わりたいと思います。

唐沢俊二郎自由民主党

○唐沢委員長 次に、平石磨作太郎君。

平石磨作太郎公明党・国民会議

○平石委員 私は、今回国が、厚生省が国民健康保険につきまして国庫負担金を十一カ月の予算を組んでおる、こういうことについて午前中も審議がございましたが、これについてお尋ねをしたいと思っておるわけです。  大臣にまずお伺いいたしますが、この措置は国保運営の上から、業務を運営していく上から適切妥当な措置であるかどうか、お答えをいただきたいと思います。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 五十七年度の予算におきまして国保の十一カ月予算を組んだことにつきまして、いろいろ財政事情の厳しい中でやりくり的なことはあるかもわかりません。そういう印象を与えているかもわかりませんけれども、私どもは決して運営に支障を来さない、そういう自信を持ってやらしていただきました。

平石磨作太郎公明党・国民会議

○平石委員 運営に支障を来す来さぬじゃなしに、運営に適切妥当な措置であるかどうかということです。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 ただいま大臣が申し上げましたように、この措置は財政再建のための必要な措置である、その場合にこのような形で私ども予算の編成というものに当たってまいったわけでございますけれども、その結果として運営に支障を来すというようなことがあってはいけない、これは大前提の問題といたしまして私ども取り組んでまいったわけでございます。  その結果、先ほど来森井先生の御質問等の中にもございましたけれども、十一カ月予算の指示をし、十二カ月予算といったようなことで市町村等に御迷惑をおかけした経緯はございますけれども、国保の予算上の運営といたしまして保険者には迷惑をかけない、支障を来さないということで進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。

平石磨作太郎公明党・国民会議

○平石委員 私は理由は聞いておりません。いま大臣と局長は理由を話されました。私は理由は何もお聞きしていないのです。ただ、適切妥当な行為であるのかどうか、ここを聞いておるのであって、理由はお聞きしなくてもわかります。  だから私が言いたいことは、この国保についての事業主体はどこであるか、一言お伺いしたい。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 保険者が事業主体であると考えますならば、市町村及び国民健康保険組合でございます。

平石磨作太郎公明党・国民会議

○平石委員 国はどういう立場になりますか。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 助成並びに指導監督をする立場にあるわけでございます。

平石磨作太郎公明党・国民会議

○平石委員 そこで、国保の事業主体というものはいわば市町村長、首長が保険者として事業が行われておるわけです。ところで厚生省の説明をお聞きしますと、この措置は政管健保が三−二ベースでありますのでそれに合わせたのです、こういう説明を聞きました。もちろん政管健保は三−二ベースでもって行われておるということは先刻御承知なんですが、ところでこれは事業主体はどこですか。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 政管健保の場合、これは政府でございます。

平石磨作太郎公明党・国民会議

○平石委員 そうすると、いわゆる事業主体は政府であるということから考えてまいりますと、三−二ベースでいっておろうが、あるいは七−六ベースであろうが、これはいいことなんです。だが、助成措置をする国の立場と市町村が行っておる保険者の立場とでは全然異なってくる、そういう状況の中で政管健保に合わせましたということが理屈に合うかどうか、お答えをいただきたい。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 これは政管健保だけではございません。他の公費負担医療もやはり三−二ベースということになっておるわけでございまして、政管健保のように、いま先生おっしゃいましたように、両方とも政府だ、両方とも政府といいますか政府が事業主体であるというようなものだけでなく、公費負担医療というものについてもそのようなことになっておりますので、それは国保に近い例ではないかというふうに考えるわけでございます。

平石磨作太郎公明党・国民会議

○平石委員 そこで国民健康保険法を見てまいりますと、先ほど局長がお答えになったようなことが第四条にも出ておるわけです。したがって、国民健康保険事業の運営が健全に行われるように努めなければならないという国の責務があるわけです。それと同時に、六十九条を見てみますと、「国は、政令の定めるところにより、保険者に対して国民健康保険の事務の執行に要する費用を負担する。」そして七十条で四〇%と、こういうことになっておるわけです。  ところで、この国民健康保険が現在四−三ベースで行われておるということは御承知のとおりだが、診療行為が行われるのは、もちろんのこと五十七年度の予算でお話ししますと五十八年の三月は五十七年度の会計年度に入る、事業年度に入ってくるわけです。したがって、その事業年度に入った五十八年三月の診療についてはどの年度で支払うのが本当なのですか。この点をお聞きしたいと思います。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 ただいまのいわゆる保険者に対しますところの国の補助、つまり言いますならば国におきますところの会計区分、年度区分と、それから保険者におきます年度区分、これは違うのがおかしいのではないかという、恐らく先生の御質問ではないかと思うのでございますが、これは私どももできればそれは一致した方がいいという気もいたしますが、これにつきましてはなお検討をさせていただきたいというふうに考えるわけでございます。  いずれにいたしましても五十八年の三月、つまり保険者におきますところの会計区分に即応いたしました国庫補助というものがカバーされなければ、これは国保事業の運営に支障を来すわけでございます。したがいまして、これはいろいろな国保の国庫補助のための政令であるとか、あるいは受け入れ側の地方自治サイドの政令であるといったようなものを特例等を設けまして、ただいま先生おっしゃいましたような、つまり保険者の年度区分に支出されますところの医療費、これに対する国庫補助というものは確保するということで国保の運営上の支障を来さないように全力を挙げておる、こういうことでございます。

平石磨作太郎公明党・国民会議

○平石委員 それは確保するようにしてあげねばなりません。私は、先ほどからの答弁にありますように支障はないと思うのです。原資の上からいいますと支障はないと思うのですが、ただ私が言いたいことは、三月に診療行為が行われたものが、支障はございませんと言って地方が行っておる保険者の会計年度の五十七年度に五十八年度の国の助成が決算されるということがいいのかどうか、ここなんです。当然いま私が読み上げました国保法の六十九条、事業体が必要なものについては国は助成をせにやならぬ、健全な運営を確保してあげねばならぬという法律があるのですから。  ところが、現実には地方へ十二カ月組みなさい、こういう指導をして十二カ月の一もちろん当然これはなかったら困ります。後で補正をせねばなりませんから当然十二カ月を組まざるを得ないと思うのですが、国がそういうように十二カ月の予算の指導をしておる。そうしたら、その十二カ月の予算についての原資は三月分についてはないわけなんですね。そうすると、五十八年度の補助金でもって五十七年度の支払いに充てなさい、そういうことがこの通達の中に、指導の中にあるわけです。しかも、それについては特例を云々と予定をしておる、こういうことがこれに書かれておるわけです。そういうことが決算の上でも五十八年度の予算補助、いわゆる国庫補助を五十七年度の決算に入れていいのかどうか、そこです。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 ただいまの御質問でございますが、この五十八年三月分、これは保険者に言わせますると五十七年度の医療費ということになるわけでありますが、それに対しまして五十八年度から補助を出すということが果たして妥当であるかあるいは違法ではないか、こういうような御質問だと思うのであります。  この点につきましては、五十八年三月分の医療費に対して補助を行うということについての国の債務、これは国の債務ということでございますが、国の債務は五十八年度に属するという形になってくる。しかしながら、これは国の債務でございますので、当然国が支払わなければならない。その債務を受け入れるのに、先ほど申しましたような特例を設けて受け入れるという形にするということにつきましては決して違法ではない、こういうふうに私どもは考えておるわけでありまして、政府部内でもそのような考え方で統一をいたしておるわけでございます。

平石磨作太郎公明党・国民会議

○平石委員 ちょっと自治省にお伺いいたします。  この財政、会計の所属区分というものは、地方自治体の場合は社会保険料及び国民健康保険、こういった療養の給付に要する診療報酬はどの年度に所属するのですか、ひとつお伺いしたいのです。

中島忠能自治省行政局行政課長

○中島説明員 お尋ねは歳出の所属年度区分ということだと思いますが、自治法の施行令の百四十三条に基づきまして、診療行為が行われた月、その月の属する年度ということでございます。

平石磨作太郎公明党・国民会議

○平石委員 その月に所属するということは、五十七年度に五十八年三月分は所属するということです。それを払うお金は、やはり市町村はこれを準備せなければなりませんし、さらに国の方もこれに対してそれに対応するだけのものは準備せにやならぬ。ところが、その準備するのは五十八年度にやることは違法でございません、こういうお話ですが、それでしたら、いま自治省からお答えをいただいたものに対応する所属区分は国の法律のどこにありますか。違法でないというのだから、適法だという法律は。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 この五十八年三月分に対する国の補助債務というものがあるわけであります。この補助債務は、予算というわけではございませんで、国民健康保険法上当然発生をするわけでございます。その当然発生する補助債務というものをどのような形で保険者の予算に歳入として受け入れるか、こういう問題になってくる。それは先ほど先生おっしゃっておられます保険者の五十七年度の予算に国の五十八年度の予算から繰り入れをいたします。これは当然先ほど申しましたように法令上の債務ということから、この繰り入れば合法化されるというふうに考えておるわけでございます。

平石磨作太郎公明党・国民会議

○平石委員 その法令上の債務というものは、先ほど私がここで読み上げた国民健康保険法の六十九条による債務は年度をまたがっても、まあ年度をまたがるなとは書いてないけれども、その事業体が健全な運営に支障のないように行われるように努めなければならないということを受けて、六十九条にある以上は当該年度に抱いてやるというのが原則じゃないですか。どうです。特別にこれはこんなことを今度はしたから問題になっておるわけです。いままではしてないからそのままで原則でいっておったわけですけれども、違法でないからといって年度をまたがってそういうことが行われることを将来いついつまでもやるのですか。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 この点につきましては、先ほどもお答えいたしましたように、国保の懇談会等で今後の基本的な問題につきまして議論をしていただくことになっておるわけでございまして、その際に私どもどういう形が一番いいかということにつきまして議論をしていただき、その結果を私ども踏まえまして適正に処理をしていきたいというふうに考えておるわけでございますが、ただいまの年度区分が変わった、これにつきまして違法云々という問題は、私先ほど申し上げましたように、ございません。原則がどうかということになりますと、それは今後検討していきたい、こういうことになるわけでありまして、従来のやり方とは違っていることは事実でございますが、今後これからの方向をひとつ決めていこうということになるわけでございます。  要は、そのようなやり方をすることによって国保の運営に支障を来すということは困る、これは絶対避けなければならない、これが大原則であると私は思うわけでございまして、その大原則に従いまして私どもは努力をしておるところであるということでございます。

平石磨作太郎公明党・国民会議

○平石委員 いまお話がありましたような形で、将来どうするかはわからぬ、けれども、将来いついつまでもこの方式を続けるかもわからないというようなこともいまのお話の中には含まれておるわけです。それが続くといたしますと、毎年毎年一カ月分がそういう形になってくるわけです。そして、一方は五十八年度の補助であるにかかわらず決算は五十七年度で受け入れて決算しなければならないという形が毎年そこに出てくるわけです。  これは大蔵省どうですか、そういうことをいついつまでもやるということになりますと。大蔵省の方にお答えをいただきたいと思います。

持永和見厚生省薬務局長

○篠沢説明員 国の歳出を国としてどこからどこまでをどういう原則でどうとらえるかという問題と、それから地方の保険者、まあ組合もございますが、保険者の方でどうとらえるかという問題につきましては、いずれにいたしましても一致をしている方が望ましい。よりわかりやすいし、その方が整理もきちっとするということは明らかであろうかと思います。極力そういうものの調整を図るように努力をしていかなければならないと思いますし、その点につきましては、ただいま保険局長が言われましたように懇談会等の場もございますので、どういう考え方で、国保の問題全体の検討ということでございますけれども、その一環としてまたどういうふうに持っていくかということを関係方面と鋭意詰めていくべきものではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。  ただ、その場合、一致をするその一致の仕方というのが、それではその診療時主義が絶対正しいのか、あるいは保険者の支払い時が絶対に正しいのか、これはなかなかむずかしい問題かと思います。どちらに合わせるかというのはなかなかむずかしいと思いますけれども、合っている方が通常の形ではないかということは考えているわけでございます。

平石磨作太郎公明党・国民会議

○平石委員 合っておる方が通常な行き方だと私も思います。それから、やはり診療時に支払い義務が発生する、だから、発生主義をとっておる以上は、診療月をもってその所属年度としていくのが原則だと私は思うのですよ。それから行けば、地方の保険者は発生主義によって支払って、五月までの整理期間に支払っていって、決算は前年度の五十七年度の予算に決算として上がってくるわけですから、それはまあいいとしましても、国の会計年度とそれから地方の保険者の会計年度とは合致しておる方が本当なんだ。だから、五十八年は少なくとも十三カ月組んで、またもとへ戻すべきだ、こういうふうに僕は感ずるわけです。  そこで、自治省にお伺いをいたしますが、こういったことが行われて、自治省としたら、そういった会計原則が崩れるような形をそのままいつまでも、大蔵の話は聞いたのですけれども、いつまでも続けるというようなことが許されるかどうか、ひとつ自治省の所見をお伺いしたい。

中島忠能自治省行政局行政課長

○中島説明員 五十七年度の措置につきましては、先ほど来いろいろな議論がございますので、まあ特例的な措置として保険者に影響が出ないような措置をしようじゃないかということで政府部内で話をいたしまして、そういうことで考えておるわけでございますけれども、先生がおっしゃいますように、いつまでも続くのが望ましいかということになりますと、それは先ほど来保険局長とか大蔵省の主計官がお話しになられましたように、それは一致する方が望ましいだろうというふうに思います。その望ましい方向というものを探るために、先ほど保険局長がお話しになりましたが、別な懇談会というのですか審議会というのですか、そういうところで議論しようじゃないかということでございますので、そういうような議論というものをよく踏まえながら、私たちの方も、市町村といいますか保険者の方に迷惑がかからない方向というものが結論されることを期待いたしたいというふうに思います。

平石磨作太郎公明党・国民会議

○平石委員 さっきの審議ではないですけれども、もともと私もこれについては田舎へ帰ったときにいわゆる保険者からよく質問を受けました。十一カ月予算を組めというような指導があっておるんだ、これは困る、どんなになるでしょうかとよく質問を受けた。それはおかしなぐあいや、こう言って私も話をした節があるのですが、果たせるかな、十二カ月予算を組みなさいという、自治省が特にこれについては反対を唱えたということを聞いておる。したがって、厚生省は十一カ月予算でもって押し通すというようなこと、少なくとも年度を三−二ベースに地方も合わすんだ、これなら話はわかるかもわかりませんが、一応それが厚生省の考えておったことだと思う。そして自治省が、これにはやはり国といわゆる四−三ベースで行くべきが本当ではないか、そういうようなことをするのはおかしいじゃないかというのが自治省の考えであったがために、こういう通達が出された、このように聞いておるわけです。したがって、少なくとも臨時特例として財政再建期間中のことならいざ知らず、財政が健全化された暁は、こんな変則的なことをいつまでもやっていくというようなことはおかしい、混乱を招く、私はこういうように思うし、さらに会計独立の原則を崩すものである、そういうように感ずるので、この点は強く申し上げておきたいと思うのです。  それともう一つは、この五十八年度予算云々、こういったことが先ほども指摘がありましたが、国会でまだ海のものとも山のものともわからぬようなことを指導通達の中に出すということ、私はこれは余りにも越権じゃないかという気がする。この点についてはどうですか。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 この点につきましては、先ほどもお答え申し上げました中でも触れておりますけれども、五十八年三月分の医療費に対する国の補助債務、これは法令上の債務ということで法令上当然発生するというふうに考えられるのではなかろうかということは、私どもそのように申し上げてもいいんじゃないだろうか、こういう考え方に立って申し上げたわけでございますので、ひとつ御理解いただきたいと思います。

平石磨作太郎公明党・国民会議

○平石委員 局長のいま言うことはわかるのですけれども、補助債務、補助債務とおっしゃるが、補助債務はすべて予算によるとなっていますよ。財政法の十四条には「歳入歳出は、すべて、これを予算に編入しなければならない。」こうなっておるのです。予算はどこでやるかというたら、国会で議決するのです。そのことを言っておるのですよ。だから、事業補助だ何だということはそれは当然のことであって、そのためにいま私が指摘したことが許されるということはない。予算によるということは、財政法に決まっておるのです。だから、助成をする場合は予算として計上して支出しておるということはもう先刻御承知のとおりですから、私はそういう答弁はどうも受け取れない、こう思うわけでして、そこは強く指摘をして、この問題についてはこれで終わらしてもらいます。  次に、スモンのことでお伺いをしたいと思います。  キノホルムがスモン患者の原因であるということがわかって十年になります。この間、いろいろと大きな社会問題にもなり、そしてこれの救済については、製薬企業は当然のこととして、また政府の方におきましても、この救済に当たっては厚生省も精力的に取り組んでこられた。このことについて私は多とするものですが、こういう問題解決については、非常な努力にもかかわらず、まだまだ未済の方々がいらっしゃる。ざっと千名近い者が現在まだ残っておるということを聞いておるわけですが、大体どのくらい残っておられるのか、お知らせをいただきたいと思います。

持永和見厚生省薬務局長

○持永政府委員 先生御質問のスモンの和解の進捗状況でございますが、現在提訴患者が六千二百八十八人ございます。この提訴患者の中で鑑定を行いまして、その鑑定結果によりまして和解を進める、こういう形で和解の進捗を図っておるわけでございますが、いわゆる和解対象となります鑑定のすでに済んでおる方々が五千五百七十九人おられます。そのうち、すでに和解を済ませた、いわゆる和解が終了した方々が五千三百八十三人おられます。  いま先生御指摘の残った人数でございますが、全体として見ますと、提訴患者に対して見ますと、九百五人の方々が和解が残っておりまして、率で言いますと八六%の方々が和解が進捗しているということでございます。それから、現実に和解の対象になっている方々でまだ和解が済んでいないという方々は百九十六人おられます。このパーセントは九六%進捗をしている、こういう状況でございます。

平石磨作太郎公明党・国民会議

○平石委員 いま御説明がありましたように、八六%の方々が一応解決済み、そしていわゆる鑑定が出た者に対する形では九六%というものが片がついた、こういう御報告です。ところで、いまおっしゃった九百五名という者、これは非常におくれておるわけですが、この原因は一体何なのか、お聞かせをいただきたい。

持永和見厚生省薬務局長

○持永政府委員 九百五人の方々の和解が済んでいない原因としては、いろいろなことが考えられると思いますが、一つは、先ほど申し上げましたように裁判所の鑑定によって和解を進めるということになっておりまして、医学的な鑑定が済んでいない方々はまだ和解の対象者にならないということでございまして、鑑定を進めることが一つ大きな問題であるかと思います。  それから和解対象者、すでに鑑定の済んでいる方々の中で残っておられる方々でございますが、こういった方々につきましては立証の問題でいろいろむずかしい問題がありますとか、あるいは最近鑑定が出たばかりということで現在被告、原告の間で和解交渉が進捗しているものもございます。またその中には、いま申し上げましたように立証の問題その他で非常にむずかしいというようなことでなかなかうまい和解の成立を見てないというようなケースもございます。

平石磨作太郎公明党・国民会議

○平石委員 いまお話しのように、鑑定が未済であるということ、それからもう一つはいわゆる投薬証明がないというような証拠の面で明らかでないがためにこういうように残っておるということが明らかになったわけですが、五十四年の時点で確認書が取り交わされました。当時橋本大臣でございましたが、その確認書では、一応投薬証明があるなしにかかわらず鑑定が出た患者は同じように解決をしていこう、こういうことが確認されておるわけです。したがって、鑑定の出ない者はともかくとして、鑑定があった患者については少なくともあの確認の立場から言いますと解決を引き延ばすというようなことがあってはならないと思うのであって、この点については厚生省はどういう指導を企業側にしておるのか、お答えをいただきたい。

持永和見厚生省薬務局長

○持永政府委員 投薬証明のない患者さんでございましてもスモンの患者さんだということがはっきりわかっている方々については和解という形で進めるという基本方針、これは先生御指摘のとおりでございます。この問題につきましては、先生も御承知と思いますけれども、五十五年の十一月に東京地裁が投薬証明のない患者につきましても国が三分の一、製薬企業が三分の二という負担割合で和解をすべきだという所見を出しておりまして、製薬企業側も、私どもの方で強力に指導いたしまして、一応所見を受諾するという形になっております。  ただ、この所見の中には、これも先生御承知と思いますが、なお製薬企業間の負担割合については別途協議することになっておりまして、そういった協議をしなければならない問題が残っているわけでございます。  それで現在実際問題といたしまして、裁判所の訴訟指揮もそういう形をとっておりますけれども、投薬証明についてできるだけの努力を尽くすということで、従来ともすれば投薬証明のない患者さんだと言われておりました人たちにつきましても、原告側、被告側お互いの弁護士さんが大変な努力をされまして和解の成立を見ているというようなケースがずいぶん出てきております。そういう形で現在はとりあえず、投薬証明がないと言われておりました患者さんにつきましても、お互い十分努力をいたしまして何らかの形での取っかかりを見つけてそれをつかまえて和解をする。私どもの方としても、製薬企業側には、過去の古いケースもございますし、社会的責任を企業側は十分自覚して弾力的な対応で和解に臨んでほしいということを強力に指導いたしておりまして、そういう形で、投薬証明がないと言われておりました患者さんにつきましても最近順次和解が成立している状況にございます。

平石磨作太郎公明党・国民会議

○平石委員長 長い間患者さんは身体的な不自由とそれに伴ういろいろな生活上の困難があるわけでして、そういった状況から一日も早く救ってやる、償ってあげる、こういう立場で強力な厚生省の指導をお願いしたいわけです。この三月中に鑑定会が開かれるといったようなこともお聞きしておるわけですが、この鑑定にどうのこうのとは私言えませんけれども、少なくとも鑑定が引き延ばされることのないように、このことについても厚生省は十分指導してほしい。しかも、これらのことについては確認を交わしてからすでに二年、享年と時間もたっておりますし、そういう意味でこの年度内に一名も残さず片をつけたい、過日こういう会合もありましたが、こういうことを考えて厚生大臣は早期に解決できるように決断をしてもらいたいと思うわけですが、大臣の所見をお伺いしたいと思います。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 スモン問題につきましては、私も当初から年度内に解決できるようにしたいということを言ってまいりました。しかし、残念ながら年度末にはあと幾ばくもございません。そういうことでせめて、百九十六名の鑑定済みの方もいらっしゃるわけでございますし、またそうでない方も早くこの鑑定を済ませていただきまして、一人でも多く年度内に解決できることを希望するし、また私も全力を挙げたい、関係官にも指示をいたしたい、このように思っております。

平石磨作太郎公明党・国民会議

○平石委員 スモンはこれで終わらせてもらいまして、また国保へ戻らせてもらいます。  国保の将来展望です。御案内のとおり保険者は構造的にも非常に弱い団体等が多いわけですが、私の田舎の高知県あたりをずっと見てまいりますと、被保険者が千人以下の保険者が五カ所、二千人以下の保険者が七カ所、三千人以下が十二カ所、四千人以下が八カ所、三十二カ所ある。だから、五十三市町村の中で約六〇%は四千人以下の団体である。最低を見てみますと、わずか三百六十九名という被保険者の保険者があるわけです。こういう状態で脆弱な財政事情の中で透析患者等が出た場合は完全にアウトということで、老人医療等も十月からはそういった形で国保の運営にとっては非常に助かってくる面も中には出てきますけれども、本質的にそういった弱い団体が多い。これがこのままで保険者としていけるかどうかといったようなことで心配をするわけですが、大きな立場から日本の医療というもの、そしてそれを支える保険制度というものの中で、地域医療を支えておる保険制度をどういうように考えるか、ひとつ所見があればお伺いしておきたいと思うわけです。

大和田潔厚生省保険局長

○大和田政府委員 ただいま先生おっしゃいましたことは非常に重要なことでございまして、給付費も十倍、つまり一対十というような、ある村では一人当たり一、ところがあるところでは十といったように非常に給付費の格差もございますし、また保険料の格差もある。これをどうしたらいいか。先ほど先生おっしゃいましたように、高額医療が出た場合は、小さな村では人工透析なんかの場合非常に窮迫する。そういったようなことで、財政基盤をどうやって強化するかといった問題は大変大きな問題であると思います。  そのためには経営主体の問題、あるいは共同事業をどうするか、そういったようなこともいろいろ検討しなければならぬことでございますが、これからの国保の運営につきましては非常に大きな問題、これをやはり先ほど来申し上げておりますような国保の懇談会でもって十分御議論願いたい、こういうようなことで私どもは考えておるわけでございます。非常に大きな問題でございます。

平石磨作太郎公明党・国民会議

○平石委員 私どもはかねがねこの事業主体を県段階に引き上げるべきでないかというような考え方をもっておるわけです。できればそういった富裕団体とあるいは脆弱なものとの財源をプールして財政力を高めていくという意味から、県を事業主体として市町村をその窓口とすることも一つの方法ではなかろうかというような考え方を持っておるわけですが、参考までに申し上げておきたいと思うわけです。したがって、この問題は大きな問題でございますから、今度できた懇談会でひとつ十分論議を尽くして、適切な処置をとってほしい、このように考えるわけでございます。  次に、厚生年金につきましては、過日の臨時国会において国庫負担金の繰り入れ減額分、いわゆる財政再建期間中は一応この国庫負担分について二〇%を一五%に引きおろす、こういう処置がとられたわけでして、今回の予算におきましても千八百三十億円というものがその処置がなされておるわけです。前回の国会でもいろいろと、この金が果たして特別会計へ戻ってくるかどうかという非常な心配がございました。その後、国の財政事情も悪化しておるということが中期展望からもうかがえるわけですし、さらに経済が大幅に落ち込んできた、こういった新たな状況も生まれております。したがって、GNPも七年ぶりのマイナスだといったようなことが報道されておるわけです。こういう状況を考え、また一方高齢化社会に急速に突入してくる、いままさに高齢化社会の入り口に立ったわけですが、そのようにだんだんと年金会計にとっては大変な時代になり出した。こういうことを考えてみますと、果たしで戻ってくるのかなというような心配を一方に根強く私たちは持っておるわけです。  それで、高齢化が非常に進んだということが、この間の五十五年度の人口統計から見ても十カ年も早く進んでおるということが人口問題研究所で出ておるわけです。当然のこととして、この年金会計の再計算は五十一年度の人口統計をもとにして五十五年に行われましたが、今後再計算がどうなっておるのか、このことについて一言お知らせいただきたい。

山口新一郎厚生省年金局長

○山口(新)政府委員 年金制度におきましては少なくとも五年ごとに財政を見直すという法律のたてまえになっております。従来その間隔を必ずしも五年にとらわれませんで、早いときは三年あるいは四年目に行ったこともございます。  先生いま御指摘ございましたように、毎回再計算の都度一番新しいデータを使いまして将来の収支の計算をしてみるわけでございます。そういう意味におきまして、次の再計算期には当然五十五年の十一月に発表されました新しい人口推計を取り入れまして計算を行うということになろうかと思います。(平石委員「時期はいつ」と呼ぶ)時期でございますか。これは再計算期に大体大きな改正を一緒にやるということでいつも考えておりますので、具体的な時期につきましては現在の段階でまだ確定いたしておりません。ただ、五年目の六十年まで待つのはいかがかというのが私の現在の考えでございます。

平石磨作太郎公明党・国民会議

○平石委員 そこでお伺いをしたいのですが、いわゆる臨調が第一次答申の中で提言をしておること、各種年金への国庫負担率の引き下げ、老齢年金の支給開始年齢の段階的引き上げ、それから保険料率の段階的引き上げ、これが昨年臨調から出ておるわけです。これを踏まえて、いまの局長のお答えにありましたように六十年を待たずして再計算をしなければならぬ、こういうことが一応見込まれる。そうしますと、国のいわゆる財政再建期間というのは五十九年、五十九年をもって財政再建を図ろうというスケジュールになっておるわけです。  ここで私たちが心配することは、この再計算と一緒に、臨調が言っておるように国庫負担率の引き下げ、これをそのまま持ち込まれるのじゃないか、二〇%が一五%、いわゆる五%引き下げて、これは臨時の処置で後からお返しをいたします、こういうような答弁もなされておりますし、あの委員会においての確認もとっておるわけですけれども、この再計算時期と再建の時期との符合、このことから考えたときにここへそのまま逃げ込まれるということがありはしないかということが心配の一つなんです。  この点についてはどうですか。大蔵省にお答えを願いたい。

持永和見厚生省薬務局長

○篠沢説明員 厚生年金などの国庫負担減額分につきまして、年金財政の安定を損なわないように減額分の繰り入れのほか、その運用収入の減収分、それに相当する分を含めまして必ず適切な措置をとるということは、いわゆる行革特例法審議の際に関係大臣から繰り返し御答弁申し上げたところであると考えております。特例期間後の適切な措置というものが現段階でどういうふうに講じられることになるのか、その時点での国の財政状況を勘案して行う、そうする必要があるということも国会で申し上げたとおりでございます。  したがいまして、現時点でいわゆる明確な計画に基づいてどうこうということを申し上げることではないのでございますけれども、私ども適切な措置を必ずとるというふうに前国会で法律を通していただきます際に関係大臣からお答えした点につきましては、そのとおりに考えておるわけでございます。

平石磨作太郎公明党・国民会議

○平石委員 まさかこれは平石の言うとおりでございますとは言えぬでしょうが、大蔵大臣が当時お答えになったことを見てみますと、財政事情を勘案して、こうなっておるわけです。その財政事情が非常に悪化してきた。今回発表されたあの中期展望を見ましても、やはり財政要調整額というのが大変大幅に出てきておる。五十八年度で三兆三千七百億、五十九年度が五兆六千八百億、六十年度が六兆二千八百億、こういった形で要調整額、いわゆる赤字が出てきている。財政事情を勘案して運営に支障のないようにいたしますという渡辺大蔵大臣の答弁であったわけでして、その財政事情が非常に悪化してきた、経済も落ち込んできた。だから、きょうここでさらに確認をしておかないと私はどうも心配でならぬと思って、このことをいま質問申し上げておるわけなんです。  したがって、厚生大臣、このことについてはいまお聞きのとおりです。当時の村山大臣も、必ずいわゆる運用利子まで含めて返ってまいります、こういうような答弁をいただいておるわけですが、このことについて大臣の決意をひとつお聞かせをいただきたいと思います。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 この問題につきましては、私もたびたびいろいろな御質問に対してお答えしておりますけれども、特例適用期間経過後には減額分の繰り入れのほか、積立金運用収入の減収分も含めまして適切な措置を講ずる、これは前の臨時国会でも再三にわたって前大臣もおっしゃいましたし、財政事情の悪化はよくわかりますけれども、その分については絶対にお約束をするということを申し上げます。

平石磨作太郎公明党・国民会議

○平石委員 大臣のその決意をわれわれは了としますが、むずかしい状況を迎えつつありますので、さらに御努力を願いたい、こう思うわけです。  次に、もうわずかの時間でございますが、医療法の改正でございます。  これは、過日医療法を提案をしようということで御準備もあったようですけれども、それがそのままになっておるわけです。大臣も御案内のとおりいままさに医療は荒廃されておる、こういった形の報道がたくさん、あちこちから出ておるわけです。私どももこういったことは是正をしていかねばならないし、健全な医療の発展のためにも、お医者さんのいわゆるモラルの問題、医の倫理が問われるようなことが各地の病院から出てくるわけです。  そういった荒廃されたと言われるようないまの医療事情について大臣はどのようにお考えなのか、簡単に所見をお伺いいたします。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 医の倫理というお話がございましたが、まさにこの医療法の問題につきましては、医療財政のみならず国の財政にかかわる大きな問題になっておることは事実でございます。そういうことで、地域医療、それから医療法人の監督の問題、そういう一連の改正問題を踏まえて、政府としては実はたびたび原案を用意したわけでございますけれども、まだその機が熟しておらないということで今日まで提案はしておりませんけれども、この医療法の改正問題につきましては今国会に必ず出させていただきまして審議をお願いしたい、このように実は考えておるわけでございます。

平石磨作太郎公明党・国民会議

○平石委員 医療事情についてお伺いしたけれども、今期国会に必ず出させていただきますといういまの御答弁であったわけですね。私はまだそこまで聞いてなかったのですよ。そこまで聞いてなかったのですけれども、大臣がそこまでお答えになったからもうこれで問題は終わったんですけれども、いまのでよろしゅうございますね。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 ちょっと先走ったようでございますけれども、今回の国会に提出するというかたい決意で実は準備をしております。しかし、いろいろ諸機関等にも陳情もこれあり、またいろいろ意見等もございましていま直ちにというわけにいきませんけれども、政府といたしましてはこの国会にぜひ出したいという強い決意は持っております。

平石磨作太郎公明党・国民会議

○平石委員 決意はいまお伺いをいたしました。  ところで、これはたびたび準備をしながらお流れという形ですが、一体ネックはどこにあるのか。これだけ医療が荒廃されたと言われておる中で、このように出そうとして出されないというのにはいろいろネックがあると思うのですが、そこまで私はお聞きしません。お聞きしませんが、そういったいろいろな事情があることを乗り越えて今期国会にぜひ提案をするように強く要請して、質問を終わります。

唐沢俊二郎自由民主党

○唐沢委員長 次に、塩田晋君。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 厚生大臣に中国孤児の問題につきまして最初に御質問申し上げます。  今日、中国残留孤児の問題は、民間のボランティア活動から始まったとはいえ、いまや政府間において問題解決のために精力的な努力が続けられ、着々問題解決に向かって進んでおるということは、御同慶にたえないところでございます。  この問題を考えるにつきまして本当に身にしみて感じますのは、やはり戦争の被害というもの、これは全国民がほとんど受けておるものでございますが、戦争のもたらす悲惨さというものを身にしみて感ずるのでございます。そしてなお、その戦争の痛み、うずきを感ずるわけでございます。われわれ政治家としては、過去の誤りその他を含めて深刻に反省をし、政治の責任というものを痛感する次第でございます。再びこのような戦争があってはならない、また戦争を起こしてはならないという決意をますますかたくするわけでございます。あらゆる戦争に反対をして、戦争のもたらす悲惨、苦痛というものをなくさなければならないと思います。  ところが、現にいまなお世界の各地におきまして戦争が行われておる。ソ連のアフガニスタン侵入、ベトナムのカンボジア侵入、あるいはイラク・イランの間においても戦争がいまなお行われ、中南米あるいはアフリカ等においても国内戦争が戦われておるということを考えますときに、やはり超大国の世界政治についての責任を痛感し、また超大国に対して自制と反省を強く求めるものでございます。  戦争をしないということはもちろん、戦争の起こり得るあらゆる可能性をなくさなければならないということを強く感ずるとともに、この中国孤児の問題について、われわれ日本人としてあらゆることをしてこの問題の円満な解決のために努力をしなければならない、このように思います。  今日まで、昭和四十七年九月二十九日の日中国交正常化を契機にいたしまして、中国残留日本人孤児の親捜し、帰国、里帰りの対策が進んできておるところでございますが、この間、現在に至るまでの経緯といいますか、実態を含めまして、どのように推移をしてきておるか、それに対してどのように評価をしておられるかということにつきましてお伺いいたします。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 数字的な問題は後で援護局長から答弁いたします。     〔委員長退席、今井委員長代理着席〕  塩田議員言われるように、いかに戦争の悲惨さが後まで続くかということを教えられた今回の中国残留孤児の問題でございまして、あのテレビの場面、また新聞報道等を通じまして、孤児たちが日本に帰ってまいりまして流す涙の中に私どもは大いに感動を覚えると同時に、中国政府の好意に感謝すると同時に、いままで民間団体、ボランタリー団体がいろいろな御苦労をされて今日の成果を得た。昨年に比べましてことしは六十名中四十二名でございますから約七割という、かなり成果が上がった。そういうことでこの二十二日にはお礼、またお願いを兼ねまして石野事務次官を北京に派遣いたします。いろいろ後の行事もございますけれども、この問題は戦後処理の問題と同時に人道的な問題として今後とも全力を挙げてまいりたい。  私もオリンピック青少年総合センターに参りまして孤児の方々とお会いいたしましたが、特に感じましたのは、もちろん肉親とお会いした喜びと同時に、われわれが感じ得なかった、また忘れかけておった祖国愛と申しますか、母なる国日本に帰れた、この気持ちにわれわれももらい泣きをさせられた。日本人の心の中からまさに失われていこうとしておるそういうりっぱなものを孤児たちの涙の中で見た。非常な教訓を与えられた。全国民ひとしく報道、テレビ等で見まして感動を覚えたと思います。  そういうことで、今後とも全力を挙げてこの問題に取り組み、もう年もかなりいっておりますし、これはもう時との競争でございますから、いままでのような少ない人数ではとうてい解決できないということで、数的にも中国政府とよく御相談申し上げ御協力申し上げていきたいと思います。  経過につきましては担当官より報告させます。

北村和男厚生省援護局長

○北村政府委員 孤児の肉親捜しの調査につきましてどのような方法で、また経過を含んでというお尋ねでございますので、そのような線に沿ってお答えを申し上げます。  中国に残されました孤児たちは、四十七年の国交回復前におきましては、当然でございますが、日赤等の団体の手によりまして個別散発的に処理されてまいりました。これが四十七年日中の国交回復を契機といたしまして、孤児または自分が孤児ではないかと思われる人からその旨をわが国あるいは日本の出先の大使館等に名のり出ることになったわけでございます。それらの人々から寄せられました情報を私どもの方でつかんでおります未帰還者、未帰還児の資料と突き合わせまして、わかるものは直ちに身元を洗ったわけでございます。  しかし、孤児の年齢が低うございますとなかなかその手がかりもつかめません。そこで、次の段階では公開調査と申しまして、新聞、テレビ等の報道機関にこれを依頼いたしまして、広くこれを照会する方法をとったわけでございます。さらに進みまして、孤児たちの何人かを日本に招きまして、それで新聞、テレビ等で報道し放映するという方法をとって現在に至っております。  なお、調査依頼があったもので現在調査中の者は約八百七十人でございますが、すでに身元が判明いたした者は五百三十八人になっております。先ほども申し上げましたような保管資料によってこれが判明いたしました者が二百七十五人、新聞、テレビ等に出しました一般公開分が百九十五人、先般来日いたしました孤児たちの招き分につきましては、昨年の第一回と合わせまして六十八名、そのようになっております。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 ここに至る経緯につきまして御説明いただいたわけですが、やはり日中の国交の正常化ということができたその成果でもありますが、そこに至る民間各種団体を通じての大変な御努力が積み重ねられた結果であろうと思います。また中国政府が全面的にこれを取り上げて、人道的な見地からこの問題の解決に取り組み、促進をしていただいた、このことにつきまして、中国政府に対しまして深い感謝の念をあらわしたいと思います。また政府におきましても、この問題に正面から取り組んで一生懸命やっていただいております。関係者の皆さん方の御苦労に対しまして同じく感謝の意を表したいと思います。  それで、現状大体二千人ぐらいまず把握されているというふうに聞いておりますが、どのような現状であるかということと、昨年度、今年度二回にわたりまして招待をして親捜しをしてもらったわけですが、それ以前にも帰国者もあり、また一時帰国、里帰りした方もあろうかと思います。その実数等について、把握しておられる限り御説明を願います。

北村和男厚生省援護局長

○北村政府委員 いわゆる潜在孤児と申しますか、先ほど申し上げました、みずから名のり出てこない数がどのくらいいるかというお尋ねであろうかと存じますが、これはまことにむずかしい問題でございます。今後私どもは中国政府に依頼をいたしまして、日本政府がこのような方法で名のり出るのを待っていて、日本政府が一生懸命親捜しをしているという事実をもし知らない孤児が中国国内にいましたならば、どうか中国政府から、そういうことを日本政府がやっているよということについて十分周知徹底をしていただくようにお願いをするつもりでおります。  なお、ちなみに私どもがつかんでおります資料によりますと、先ほどちょっと申し上げましたが、生き別れた親が自分の子供をまだ未帰還者だといって届け出た数が約三千四、五百に上っております。これがあの動乱期の中で全員無事に生き残っているとはとうてい思えませんが、その辺が一つの手がかりになるのではないか、そのように考えております。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 中国政府が、日本人残留孤児として孤児証明書を出した者は、いま把握しておられる数で何名ですか。

北村和男厚生省援護局長

○北村政府委員 中国政府に正式に照会したわけではございませんが、孤児証明を中国政府が発行するような方は私どもの方に孤児であるということを名のり出ているもの、そのように考えますと、現在までに約千五百人名のり出ておりまして、そのうち約五百人程度が身元が判明いたしております。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 千五百人のうち、すでに何年かにわたって帰国をして国内に定住しておられる方、それから里帰りで一時帰国してまた帰られた方は何人ぐらいおられますか。

北村和男厚生省援護局長

○北村政府委員 孤児のうちで身元が判明いたしまして本邦にすでに帰国済みの者は六十五名でございます。それから、一時帰国をいたしました者は二百三十七名でございます。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 これは人数ですか、それとも世帯の数ですか。配偶者あるいは親あるいは子供、養父母の場合は少ないようですけれども、子供はかなり一緒に連れて帰っておられますが、その数ですか。

北村和男厚生省援護局長

○北村政府委員 ただいま申し上げました六十五人、二百三十七人と申しますのは両方とも孤児本人の数でございます。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 家族とか子供と一緒に帰ってきて定住している人と一時帰国の人を分けてちょっと御説明いただけますか。

北村和男厚生省援護局長

○北村政府委員 ちょっと手元に孤児の家族分だけの資料がございませんが、孤児が御主人である場合あるいは奥さんである場合、大体配偶者と子供二人ないし三人というような実態になっております。  なお、大陸から一般の引き揚げ者として戻ってまいりました者、これは孤児も含まれておりますが、人員で申しますと三千四百八十七人、そして引き揚げ者本人あるいは孤児本人の数をとりますと、いままでで千百五十五人になっております。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 この実態につきまして、なお資料等は後ほど知らしていただきたいと思います。  問題は、約千五百人の方がはっきりと日本人であるという孤児証明書をもらっている、そのうち五百人ほどが帰ってこられたということで、はっきりしている分でなお一千人あることはいま言われたとおりですが、今後どういう計画でこの人たちの肉親捜しをされるか、お伺いします。

北村和男厚生省援護局長

○北村政府委員 先ほど申し上げましたように、現在名のり出て調査中の者が約八百七十ございます。そのほかに今後名のり出てくる人が相次ぎますので、これらの者をどういうふうに調査をしたらいいかという問題になるわけでございます。そこで、とりあえずただいま御審議いただいております五十七年度予算におきましては、先般招きましたような形で倍の百二十人を招く計画を立てております。そのほか潜在している孤児の分を含めまして、中国に政府の調査団を派遣いたしまして中国政府とお打ち合わせの上、地元で調査をしたいと思っております。  それで、問題は五十八年度以降どのようなスピードでこれをやるかということになるわけでございますが、これにつきまして私どもも一層の努力をいたしたいと思っておりますほか、各界各層でこの問題を早く処理すべきだという国民の声がございますので、先般、中国残留孤児問題懇談会という厚生大臣の私的諮問機関を大臣の御指示によりまして設置することにいたし、この二十六日に初会合をする予定でございます。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 そこで、親捜し、肉親捜しに見えた方々が関係者の皆さん方の大変な御努力でだんだん判明をして、感激的な対面ということに結びついていっておる。そうでない方もあるわけでございますが、この親子関係の判定をどのような御配慮のもとにしておられるのか、お聞きしたいと思います。

北村和男厚生省援護局長

○北村政府委員 これはその孤児本人の年齢、言いかえれば記憶、手がかりの多い、少ないによって大いに変わってまいります。私どもといたしましては肉親関係の判定について、まず孤児本人が申し出ているところの自分の生い立ちのデータ、それから家族構成、肉親と別れたときの状況の記憶、それらを片方に置きます。それからまた親の方で子を捜しているときの申し立ての同じような事項がございますが、それを別々に聴取をいたしまして突き合わせるわけでございます。そして双方の薄れている記憶をたぐりたぐり、先般も何組かの方々がその両方の記憶、事実が合致して客観的に判定をいたしたものでございます。ただ、人間の血というものは恐ろしいものでございまして、先般来日したケースの中でも孤児の側にほとんどデータがなかったケースがあったわけでございますが、子供ではないかと思って尋ねてこられたお父さんと、みんながびっくりするぐらいうり二つだったというケースもございました。でございますから、そういうものもあらゆるものを勘案して、方法等についても今後とも鋭意勉強してまいるつもりでございます。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 民間のボランティアのいろいろな方々が一生懸命データを集めておられますし、たくさんのものを持っておられると思います。戦前に中国大陸で生活をされ、第二の故郷として非常な愛着を持っておられる方々が親身になって世話しておられる例を幾つも見受けるわけです。  そこでもう一つ、招待をして親捜しをされた方全員に血液検査を実施したと聞いておりますが、それは何の目的であり、何に使われるのでございますか。

北村和男厚生省援護局長

○北村政府委員 お尋ねでございますが、私ども血液検査は実施いたしましたが、全員強制という方法はとりませんでした。本人が希望し同意したケースだけということでございまして、実際はほとんど全部希望し同意されたのですけれども、この血液検査は、血液型によりましてある血液型とある血液型との間には普通科学的に親子関係があり得ないというような傍証に使うことにいたしたわけでございます。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 本人の同意を得て、希望によってということでございますので慎重な扱いはされていると思いますが、また科学的な観点から傍証としてこれが一つのデータになるということでございますが、何といいましても親子、肉親の関係というものは、昔から言います血が騒ぐということで一瞬にしてわかるというか、親子だと判定される場合がかなりあるようですね。  私の知っている人もそのような例でございまして、ある中国残留孤児でこの間の第一陣で来られた方ですけれども、本当に毎日毎日、子供じゃないかということで捜しに来られた親が七組あったそうです。会っていろいろなことを話してみたけれども、なかなか合わない。そうでないということですね。そして最後の三月二日ですか、夜のテレビ放送でその方が、遼寧省の方ですけれども、黒竜江省から来たらしいということを一言言われたので——それまでにお姉さん二人がもう引き揚げてきておられるのです、七つのときで、本人が三つのときですね。そして、遼寧省だから違うのじゃないか、しかしよく似ているなということで新聞、テレビを一生懸命見て、親たちとも相談したり話をしておった。しかし、どうも似ているけれども、遼寧省なら違うなということだった。ところが前日の夜、最終の放送で、黒竜江省から来たらしいという発言があったその一言で、これは間違いないということで、夜中の十一時過ぎに駆けつけられて、それまでの七人は何時間もかけて会ったけれどもどうもうまくいかなかったが、今度は会うなり一遍に、日本名で洋子というのですが、洋子と抱き合って、それこそ本当に一瞬にして決まったケースがございました。  その方から、途中北京に寄ったときに手紙が来ております。読み上げますと、「肉親と別れたつらい生活をまたこれから続けるようです。ああ神様、私たちだけをなぜテレビで会わせてくれるのでしょう。」これは翻訳してありますので、中国文できれいな漢字で書いてありまして、もっと実感がこもっておると思いますが、「ああ神様」と言っているのですね。「でも私はうれしいでした。私だけをなぜテレビで会わせてくれたのでしょうか。」こういう気持ちをつづっておりますね。「三十七年前に別れた親ととうとう対面できました。お父さん、三十七年来の親子の別れ、父が娘を失ったことと、娘が親を失ったことの気持ちは同じでしょう。」ということで自分の気持ちを書いてきておりまして、「本当に苦しいときがありました。でもきっと肉親に会えると信じていましたから、いままで生きていたのです。お父さん、その日がとうとう来ました。三月二日二十三時、私の幸福が来ました。来日十二日間、毎日本当につらかったのです。名のってくれる人を毎日毎日、朝から晩までお待ちしておりました。私のところへ七人来ました。やはり身内ではないのでした。お姉さんとおじさんがおいでになられたとき、一目で肉親だと感じ、涙が出ました。」そして、「お父さん、いまの家の事情を教えてください。私は何もかも知りたいのです。」というふうにずっと自分の気持ちをつづって、手紙をよこしておられます。  それから、去年帰っていったある方は、千羽ヅルをもらって、何もおみやげは要らない、千羽ヅルだけでいいんだ、帰ったら周りの人たちに、それは何の役に立つんだと言われたけれども、私は、これが自分の宝だ、親は見つからなかったけれども、これが私の命だ、そして私は紛れもない日本人だと。大臣が先ほど言われましたように、日本人がともすれば祖国を忘れる中で、祖国を見出し、自分のこの目で日本の国を見た、そして、その日本の国がすばらしく発展しているので、私は本当に誇りに思う、祖国日本の繁栄を自分はいつまでも誇りに思って、親は見つからないでまた中国で暮らすけれども、生きていきたい、こういう切々たる手紙をよこしておられる方もございます。  こういった例はもう幾つもあることでございます。幸いにして見つかった方は、こういうことで本当にうれしい限りでございますけれども、傷心のまま、見つからないで帰っていった方もたくさんおられるわけですね。今後この方々に対して、本当にできるだけのことを、あらゆることをしてあげないといかぬのじゃないかと思います。  先ほど経緯の中でいろいろ御説明がございましたが、中国政府がこの問題に非常に関心を持ち、去年の見つかった人、見つからなかった人のその後の状況を把握しており、また日本政府とのいろいろな話があったと思うのですが、政府間でこの問題を解決しよう、政府がそれぞれ責任を持ってこの問題に当たらなければならぬという考え方がかなり強く去年あたりから出てきておるようですね。去年の経験からいって、そうしなければならぬという考え方が強くなってきておるようです。  私も、つき合っていてそういうことを直接お聞きしております。それはもう非常に結構なことでございますし、政府としても、予算も倍額にして組んでいただき、また、帰国者、定住者に対する対策もいろいろやっていただいていると思います。そして帰られた方も、一時帰国ができるとか、そのときの旅費とか、いろいろなお世話をしていただく、あるいは法務省の関係も、戸籍上の問題につきまして、配偶者、子供等の日本国籍取得の問題についてもいろいろと御配慮をいただいてこれが進展していることは、非常に結構だと思います。そういった細かい配慮をひとつなお引き続きやっていただきたい。旅費についても男女差を設けないでということも方針として決定していただいたようでございますので、ありがたいことでございます。  帰国後の日本国内の永住者、これに対するそういったきめの細かい対策これはいろいろな問題が過去の経験から起こっておりますね。中には不幸な事件を起こした方もおられますけれども、また、生活に非常に苦しんでおられる方、主としてこのもとはやはり言葉の問題から来ていると思うのですけれども、そういった問題についてどのようなきめ細かい温かい対策をしていっていただいているか、お伺いいたします。

北村和男厚生省援護局長

○北村政府委員 私どもは、孤児の場合だけでなく、大陸から引き揚げてこられました一般の引き揚げ者と大体同じ処遇をいたすことにしております。  ちょっと細かくなりますが、まず、その孤児も含めまして引き揚げ者が帰ってまいりますときには、中国での居住地から日本で落ちつく先までの宿泊費、交通費全額を負担いたします。それから、日本に帰りつきましたときに、当座の身の回りの物を買い調える等の費用のため、帰還手当を一人ずつ支給をいたしております。それから、日本語を習うための語学教材、テープレコーダー、カセットなどの支給をいたし、そのほか帰国時に、生活習慣等が違いますので、とりあえず日本の生活になれていただくための帰国時オリエンテーションというのを行っております。  そのほか、生活に困窮する場合でしたら生活保護法を即刻適用いたし、それから引き揚げ者家庭へ生活指導員、これは多くの場合には引き揚げ者の先輩の方を実はお願いをしているわけでございますが、派遣をいたしまして、いろいろ御指導をする。それから、やや言葉もでき、余裕もできたところで職業訓練校に通う、それのまた費用を国が負担し、順々に日本生活に溶け込んでいっていただけるように各種の施策を行っているところでございます。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 よほどきめの細かい配慮が必要だと思います。     〔今井委員長代理退席、委員長着席〕  特に、習慣がかなり違っております。考え方も育つ中で違ったものがあると思いますが、そういったギャップをどういうふうに埋めるよう努力をしておられますか。

北村和男厚生省援護局長

○北村政府委員 先ほど申し上げましたように、とりあえずの帰国時のオリエンテーションを行っているわけでございます。  ただ、これにつきましては、各方面からいろいろな御意見がございます。いきなり親元に帰してしまうと言葉の問題、生活習慣の問題から、いろいろ要らざるトラブルが起きるのではないか、ある一定の期間そういう施設に収容して集中的にそういう勉強をしてから社会に戻した方がいいのではないか、いろいろな御意見がございますので、先ほどお話を申し上げました厚生大臣の私的諮問機関でございます中国残留孤児対策懇談会で有識者の方々に、この中には先生先ほどお話のございました長年御努力いただいたボランティアの代表の方々も入っていただいておりますけれども、いろいろ御高見を御披露いただきまして、国民的合意の中で今後どのような方向で処遇をしたらいいか、その大筋を探ってまいりたい。しかも、なるべく早くしなければいけませんので、この夏ごろまでに方針を出していただくようにお願いを申し上げるつもりでございます。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 習慣等をやはり長年にわたってかなり時間をかけて親切に指導することが必要だと思いますので、指導員的な、個々にアフターケアをする方をやはり派遣するなり、講習会をやるなり、いろいろなそういうきめ細かい御配慮をひとつお願いしたいと思います。  問題は、肉親、親が見つかった、そこで、そのことは非常にうれしいことですから祝福すべきことですが、といって、日本人だから、もう、すぐ帰ったらいいんだというものではないですね。本当によかったという感激的な、センチメンタルなその気持ちだけではこの問題は解決できない。いろいろな複雑な要素、いろいろなケースをはらんでいると思いますね。現に、いろいろなケースが起こっております。住宅等については公営住宅をお世話いただいておりますが、やはり生活に非常に困窮しているというケースも報告されます。  帰国して永住しておられる方が、いま生活保護をおよそどれくらい受けておられますか。

北村和男厚生省援護局長

○北村政府委員 私ども、かつて孤児も含めました引き揚げ者の生活実態調査を行いました。その結果によりますと、帰国直後には大体八割五分から九割の方がすぐ生活保護の適用を受けております。それが、ケースケースによって早い遅いはありますが、平均をいたしますと、五年間日本社会で生活しているうちに、生活保護世帯は、受給者は二割に減ります。これは当然福祉事務所のケースワーカーが細かい観察をしておりますし、それから地区の民生委員さんたちも特にその世帯に目を配っておりますので、自然に言葉ができ、職業が身につきますと、そのようなかっこうで社会順応ができる、そのように考えておりますし、また数字がそうなっておるわけでございます。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 問題は、生活をいかに立てるようにするかという問題、言葉から発して、就職問題から住宅から、各種のいろいろな制度に溶け込んでもらう、こういうことについては、本当に心からなる保護、温かい思いやりが必要だと思います。単なるリップサービスではこの問題は本当には解決しないと思います。単に感情だけのセンチメンタリズムでは、絶対問題は解決しない、むしろ問題を大きくしてしまうことがございます。  よく言われますように、いろいろな問題が起こっていることは御存じだと思うのですが、親だと思って一緒に暮らしていたけれども、どうも違う、あるいはまた本当の人が出てきた、あるいはそうじゃないかという人が出てきたというケースもありますし、また、帰ったけれども向こうの配偶者、子供あるいは親戚、養父母の関係から思いとどまって、日本に帰らないで、永住の地は中国であるということでやっていかれる方がございます。日本に帰ってきて必ずしもよくないという状況もあるいは伝わって、中国政府もそれはある程度はつかんでいると思います。  そういう中で、本当に日本人残留孤児の幸福は何かということになりますと、帰ればいいんだ、日本人だから帰るのはあたりまえじゃないかということだけでは解決できない複雑な感情もあり、またいろいろな生活上、行動上の問題があると思います。そういったことを、これはもうよほど親身になって、腰を入れて取り組んでいただきたい、これがお願いでございます。  最近帰った方々でも、彼らは決して日本に帰国し永住することが最上の道だとは考えていない方もかなり出ております。それから中国政府としましても、日本へ親捜しに来て、祖国を見て帰ったのはいいけれども、その後、向こうの社会と溶け合っていたのがぎくしゃくしたものができてもいけませんしね。三十七年間というのは、よく生みの親よりも育ての親と言われますように、大変な御苦労を養父母はしておられると思うのですね。これは一本筋ではきていない、大変な波乱があったと思います。ときには、苦難の中を、日本人とはっきりわかっている人を預けられたということで、育て、かばい、大変な苦労をしておられる養父母の方もいらっしゃることは御存じのとおりです。それからまた関係者の方、そしていま日中友好、国交の回復後いろいろな御努力をいただいて、いろいろな過去のいきさつを水に流し、本当に本人のために親身になっていろいろなお世話をいただいている、この養父母を初めとして関係者の皆さんに本当の日本人の気持ちをどうあらわしたらいいか、本当に感謝をすべきだと思うのですね。  これはもう経済的なあるいは物でするということもあるかもわかりませんが、それだけでは解決できない、三十七年も育てていただいたということは。これは、まあ日本人はまず物を上げたら感謝の気持ちになります、そして礼を尽くすという。しかし、相手の中国の関係者の方々が本当にお礼を言ってもらった、ありがとうと言っているなという、その心をあらわすものは何かということ、これは日本人の尺度でなしに、いまの中国の関係者の方々が本当にそう思われるものを見つけないといけないと思います。  これについて大臣いかがですか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 いろいろと御意見も交えた質問でございます。一番の基本は、私は日本と中国が今後永遠に仲よくあるべきだと思います。仲よくなければ、日本に帰っておいでになった孤児の方、またその配偶者、子供さん、養父、こういう方々の立場が非常に苦しくなります。また、向こうで永住する方がいいという方も私はたくさんおいでになると思います。向こうの風俗、習慣になれた子供さんや中にはお孫さんもあると思います。そういうことを考えました場合に、自分の国は、祖国は日本だったというだけで満足される方もあると思うのです。お世話になった中国で住もう。しかしながら、日本といわゆる国交的に万一仲が悪くなりますと、そういう方々はまことに不幸になるわけでございまして、やはり基本問題は日本と中国が永遠に仲よくあるべきだ、これが私は基本であると思うのです。  その上に立って、そして、こちらにお帰りになる方、また向こうでお残りになる方、いろいろ今後の問題として懇談会等を通じてボランタリーの方々、もちろん向こうでお住みになった方もお入りになると思います。実情をすべて知った方等の、また有識者の方々の御意見も聞いて、そしてお幸せになっていただくように受け入れする。また向こうにお残りになる。これが私は基本でございまして、そのためにも二十二日に、先ほどもちょっと申しましたが、石野事務次官を北京に派遣しまして、お礼かたがたお願いもする。  それから、月末に日中孤児に関する懇談会をまず発足いたしまして、たびたび会を開いて衆知を集めて今後の問題を決めていこう。それから、五月ごろに向こうの総理趙紫陽さんが日本においでになる。それから秋には鈴木総理も中国においでになる。行ったり来たりということもございますし、そういう機会を通じまして、孤児の問題についてお礼を申し上げたり、またお願いもしたり、そういう機会がことしはずいぶんございますから、そういう考え方で、そういう機関を通じて全力を挙げていま塩田議員が御発言されましたような、またいろいろ御意見をなさいましたような趣旨を十分生かしていきたいということを申し上げます。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 ありがとうございました。ぜひとも大臣のお気持ちを十分にあらわして適切に対処をしていただきたいと思います。また、懇談会でもそういったお礼の仕方、あらわし方というものを本当に親身になって誠意を持ってひとつ御検討いただき、ぜひともそのようにしていただきたいと思います。  政府がこれからは調査団を派遣してということを言っておられます。これは結構だと思います。政府間同士で本当にそれぞれの国の状況がよくなるように、本人並びに周辺の方々が本当に幸福になるようなことを真剣に見出して、相談をして、納得の上で帰るなら帰る、あるいはどうするということを政府間できちんとしていただきたい。このことをお願い申し上げますとともに、最後にこの問題で、調査団の派遣は政府がされますけれども、そのほかにも民間のボランティアの大きな集積があるわけですから、この人たちの民間の活力といいますか、そういうものもひとつ大いに発揮してもらいたいということもあわせてやっていただきたい。  それから、一時帰国は、祖国は日本だということは、親が見つからなくてもちゃんとしておるわけですから、帰りたいとき、見たいときに来さしてあげる、その費用は持つ、あるいは持つことがあれでしたら、ボランティアの人たちが善意でやるについては、政府がちゃんと弊害の起こらないように十分に配慮しながらそういう活動も認める、奨励するというぐらいの気持ちで、この問題は政府もそして民間の善意のボランティアの人たちともどもに、今後ともひとつ取り組んでもらいたい。帰すだけでなしに、フォローが大事だということですね。これは時間がかかります。こういった問題についてひとつぜひともよろしくお願いしたいと思います。  また、この件に関しまして、特にマスコミの力の大きさというものを感じたわけですが、今後ともマスコミの皆さん方の御協力を十分に得て進めていただきたい。また、これまでのマスコミの御協力に対しましても感謝を申し上げたいと思います。  この件はこれで終わります。  時間がないのですけれども、あと五分ほどで……。  最近非常に日本人の肉体的、精神的な荒廃をもたらしつつある麻薬、覚せい剤等の問題についてお伺いいたしたいと思います。  これは麻薬、覚せい剤、LSD、シンナー、ボンド等劇物、毒物に至るまであるわけですが、一応いま一番広がってきておる、言うならば民族の危機的な様相を呈しつつある覚せい剤の問題でお伺いいたします。最近、青少年とか主婦までも広がりつつあるということを聞いておりますが、どのような実態でございますか。これは厚生省と警察庁。

持永和見厚生省薬務局長

○持永政府委員 それでは厚生省の方からまずお答え申し上げます。  先生御指摘のとおりに、覚せい剤事犯は大変急増しておりまして、特に主婦でございますとか青少年でございますとか一般市民層へ急速な広がりを見せております。事犯の数で申し上げますと、四十五年の覚せい剤事犯が千六百十八人でございましたけれども、五十六年には二万二千人を超すということで、十倍以上の増加ぶりでございます。こういうことで大変憂慮すべき事態になっておりますけれども、これらの実態、こういった憂慮すべき実態の原因といたしまして考えられることでございますけれども、一つは、最近の覚せい剤密売は暴力団組織が非常に関与しておりまして、暴力団が資金源として販路拡張を図っているというようなことが一つあるかと思います。  それから覚せい剤の乱用者自身が自分の覚せい剤の資金をひねり出すために、新たに乱用者を共連れにするというような事態もあるかと思います。  それから三番目といたしましては、覚せい剤乱用の弊害に対します一般的な認識、こういったものがまだまだ足りない面もあるのじゃないかということが考えられるわけでございますが、そのほかに、最近におきます特に社会の風潮、やや享楽的な社会の風潮、そういったものも原因じゃないかということが考えられるわけでございます。

仲村規雄警察庁刑事局保安部保安課長

○仲村説明員 ただいまお話がございましたけれども、覚せい剤事犯は、昭和四十五年以降一貫して大体増加を続けてまいっておりまして、先ほどお話しございましたように、昭和五十六年には二万二千二十四人を検挙しております。前年に比べまして一〇・六%ほど増加しております。中でも青少年、主婦に大変ふえておりまして、少年について見ますと、前年に比べまして二六・八%増の二千五百七十五人ほど検挙しております。これは全検挙者の中に占める割合は二・七%でございます。それから家庭の中心であられます主婦の覚せい剤乱用事犯もふえておりまして、昨年中に検挙した主婦の人員は五百三人でございまして、前年に比べまして一三・八%増加しておる状況でございます。  それで、その原因につきましては、ただいま厚生省の方からお話がございましたとおり、特につけ加えることはございません。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 いま覚せい剤の乱用の第二期、戦後の第二期に入っておると言われております。いま二万人検挙者があるということは、潜在的にはこの十倍の二十万人あるいは三十万人とも言われておるわけでございまして、これの及ぼす本人の肉体的、精神的な荒廃はもとより、いつ、どういう犯罪が善良な市民に及ぶかわからないという非常な危険な問題をはらんでおります。しかも、先ほど言われましたような暴力団の資金源になっておるということからも、二重三重の社会悪を生んでおるわけでございまして、これの撲滅のための体制、これについて厚生省と大蔵省からお聞きしたいと思います。  特に大蔵省は、税関の関係で、犬が非常に覚せい剤を発見するのに貢献をしているといいますか、非常に能率がいいようでございますが、どういう体制でやっておるか、これについてもそれで十分なのか、今後どういうふうに拡充していくつもりか、お伺いいたします。

持永和見厚生省薬務局長

○持永政府委員 厚生省の方の体制でございますが、政府全体といたしましては、先生も御指摘のように、警察庁を初めといたしまして、私どもあるいは海上保安庁、大蔵省、そういった関連の各省庁が、それぞれ密接な連携をとりまして、強力な取り締まりを行っているところでございますが、厚生省の場合には、全国に八つの麻薬取締官事務所と、沖縄でございますけれども、一つの支所がございます。そのほかに三つの分室がございまして、麻薬取締官が百七十人、そのほかに各都道府県に麻薬取締員でございますけれども、これが百二十三人配置をいたしまして、それぞれ関係の各省庁と密接な連絡のもとに強力な取り締まりを行っているというのが現状でございます。

西方俊平大蔵省関税局大臣官房企画官

○西方説明員 麻薬犬のことはすでに御案内と思いますけれども、これは犬の嗅覚を利用いたしまして、ヘロイン等、大麻、覚せい剤、そういったものを探知するためのものでございます。現在アメリカとか西ドイツを初め二十数九国ですでに活用されているということでございまして、わが国におきましても五十四年に、米国から二頭、一番最初に導入いたしました。その後毎年二頭ずつふやしてきておりまして、五十五年からは国内犬の調達、育成に努めております。現在六頭麻薬犬を使用しておりまして、二頭を育成中である。五十七年度につきましても、二頭育成を始めたいということで、順次整備を行っているところでございます。  それから、そのほか麻薬につきましては、全国に八つの、沖縄を含めますと九つの税関があるわけでございまして、ここで約二千名の職員が監視、取り締まりに従事しているわけでございます。いま申しました麻薬犬そのほかいろんな情報機器を整備したり、関係機関との連携を強めまして、麻薬の取り締まりの徹底に努めてまいりたいと思っております。

塩田晋民社党・国民連合

○塩田委員 これは大変な問題でございますので、また改めて申し上げたいと思いますが、行革の推進の中とはいえ、こういった問題については、他を削ってもここに充実をしていかなければならない緊急の問題だと思います。押収された量が百五十キロというのですから、金額にしますとこれは三千億円ぐらいになるわけですね。押収されたものだけでそうですから、潜在的に十倍としたら、これは三兆円という一大産業ですね。密輸産業のようなことですね。これは大変なことですから、ひとつ大臣、これは国を挙げて取り組んでいただきたい、このことを強く要請をいたしまして、終わります。

唐沢俊二郎自由民主党

○唐沢委員長 次に、小沢和秋君。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 きょうは、私が日ごろ考えておりましてもなかなか質問のチャンスのないような問題を中心にして、幾つかお尋ねをしたいと思うのです。  まず第一が、生活保護を受けておられる人たちの医療を受ける手続の問題であります。このことについては、いままでも何回か当委員会でも問題になったと聞いております。いまでも原則として、病気になったときに一回ごとに福祉事務所に足を運んで、医療券の発行を受けてからでなければ医者にかかれないことになっているというふうに聞いておりますけれども、このとおりでしょうか。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 ただいまの医療券の問題でございますが、先生御承知のとおり、医療扶助は国民の最低生活を保障する生活保護の一環として給付されることから、必要に即して行われるべきものであると考えております。このため、申請に基づき医療の要否を審査した上、医療券を交付して指定医療機関に治療を委託する仕組みとなっております。また、現行の医療券方式は、個々の被保護者の病状に応じた指定医療機関を選定し、適切な医療を確保することができること及び保護の実施機関による病状把握が迅速に行われることにより、被保護者の病状と生活実態を結びつけた円滑な処遇、たとえば被保護者が病気になりますと収入がなくなります場合に、その留守家族に対する生活扶助を直ちに変更することができるといった面、そういったことが確保されますことから、被保護者の自立自助を促進することができるものであると考えております。  医療証方式の採用というような要望もあるわけでございますが……(小沢(和)委員「まだ聞いておらぬ、そこは」と呼ぶ)  以上でございます。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 聞いたことにずばり答えていただきたいんですよ。いまあなたは、一件ごとに申請をして、その必要について判断をして、それから給付を決定すべきものだ、こういうふうに言われたわけですけれども、それが実際に生活保護を受けている人たちにとってどんなに苦痛であるかということについて、もっと温かい配慮をすべきではないかということなんです。  私ここに全国生活と健康を守る会連合会の二月七日付の機関紙を持ってきておりますけれども、これを見るというと、実際にたとえば京都市内のある人はこう言っております。「京都市内のはずれに住んでいます。病気にかかった時、わたしたちはバスで往復二時間かかって福祉事務所に医療券をもらいにいきます。苦しい体をひきずりながらいかなければなりません。なぜ、わたしたちが医者にかかるのにこんなにまでくるしめられるのでしょうか」  また、埼玉県の川越市の母子家庭のTさんも「子どもが具合がわるくなった時、そのつど医療券をもらいにいく。子どもを家に残して、福祉事務所にいき、帰ってきて子どもを病院につれていく」、こういうふうに実情を訴えているわけですね。  こういうようなことについて、もっと温かい措置をとってもいいんじゃないですか。生活保護を受けている人というのは、大部分は老人であり、身障者であり、また母子家庭のような方々でしょう。これに応ずることのできるような措置はとれないのですか。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 繰り返し申し上げるようでございますが、生活保護は先生御承知のように、詳細にその世帯の生活の実態を見まして支給額等決定しているわけでございますが、たとえばその世帯主が病気になりましたようなときに、その収入がどれだけそれによって減るかといったようなことも直ちに計算しまして、今後の保護費を適切に支給することができる。あるいは生活保護世帯につきましては、健康保険の場合と違いまして、(小沢(和)委員「そんなことは聞いてないでしょうが」と呼ぶ)一応申し上げますと、(小沢(和)委員「聞いてないことを一応申しちゃ困るのですよ。はっきり言ってください」と呼ぶ)なぜ必要かということをいま申し上げているわけでございますが、(小沢(和)委員「こっちは、温かい措置が具体的にとれないかと聞いているんだから、とれないならとれないと言えばいいでしょう」と呼ぶ)なぜとれないかの理由を申し上げているわけでございますが、たとえば生活保護の場合は、健康保険と違いまして、一部負担幾らとか何割ということではございませんで、本人世帯がどれだけの費用を窓口で負担できるかということを決定いたしませんと医療機関自体も困るわけでございます。したがいまして、本人負担幾らというようなことを懇切丁寧に書きまして、医療機関の方に届ける必要がある。また、生活保護は最後のよりどころでございますので、他法他施策、たとえば他の公費負担等がございました場合には、そういったものをすべて調査した上で医療機関の方へ渡しまして、そこで医療機関がどの程度の負担といいますか支給をしてもらうか、そういったことを決めたりしなければいけないわけでございます。  そういった意味で、生活保護が特殊と言えば特殊でございますが、生活保護という制度の実態からまいります制約がございますので、私どもとしてはそういうふうにいたしております。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 実際にはいろいろな団体などがこういう苦しい実態を陳情しているのに対して、政府としてもこのままではいかぬということで、緊急の場合にはこうするとか、休日、夜間など福祉事務所が閉まっているときにはこうするとかいうような措置もとられているという話も聞いているのですよ。あなたの話からすると、まるっきりそういう例外も何もないような話なんですけれども、実際にはある程度そういうことはやっているのじゃないですか。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 ただいまそこまでのお尋ねがございませんでしたので、私申し上げなかったわけでございますが、たとえば休日、夜間等の急迫時におきましては証明書を発行する、あるいは急病の場合におきましても、電話等で福祉事務所に連絡すれば福祉事務所から医療機関に状況を説明いたしまして、すぐ医療が受けられるようにする、そういったような便宜措置をいろいろと講じておりまして、すでに全国の会議等でも口頭で常時指示をいたしているところでございます。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 ここに私一つ見本として、長崎市などでは日曜、祭日、閉庁時などにはこういう診療依頼証というものを発行して、これでやるようにしているということを聞いたんです。これは大変いいことだと思うのですけれども、こういうようなことは全国でやらせろようにもっともっと推進するような指示などを出してはどうなんですか。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 私、長崎その他の県でどのように行われているか詳細は存じませんが、ただいま私が申し上げましたように、非常に緊急の際とか、急患あるいは日曜、夜間、そういった特殊な場合においてこれを支給することにいたしておりまして、一般的な場合におきましては、先ほどからるる御説明申し上げましたようなこういった方式、医療券という方式をとっているわけでございます。これは生活保護という制度の特殊性に基づく措置であるというように御理解いただきたいと思うわけでございます。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 しかし、長崎などでそういうことをやって差し支えなかったのであれば、これがみんなに喜ばれているとすれば、全国的にそういうような措置をとってやっていいんじゃないですか。長崎の人はこれがあれば休日、夜間も安心して受けられる。しかし、こういうものを発行してもらえないところは、それじゃ休日、夜間はどうするのかということでやはり心配があるわけでしょう。だから、せめてあなた方が弾力的に運用する、こういうようなことだけでも目いっぱいまずやるようにしたらどうかと私は思うのですが、いかがですか。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 誤解がないように申し上げておきたいと思いますが、長崎のその例がどの程度の使われ方をしているか私存じませんので正確なお答えはできないわけでございますが、ただいま申し上げましたように、休日、夜間等の急迫時に限定して使用できる証明書の発行ということはやっているわけでございます。その他急病の場合も、先ほど申しましたような福祉事務所と連絡をとって電話で医療券を発行しなくてもいいようにするとか、そういう措置はやっておりますが、ただいまの措置が果たして私どもが考えておりますような適正な範囲内のものであるかどうかにつきましては、調べました上でないと何とも私はお答えできないと思っております。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 私も質問の中でも、日曜、祭日、閉庁時などということで診療依頼証というものが出されておるとさっきから言っているのですよ。このときにこれを持っていけばそれで診てもらえるように制度としてなっておるわけでしょう。これはあなた方も公認しているわけでしょう。こういう制度は私は、生活保護などを受けているような老人やら身障者の方々にとって大変ありがたい、いい制度だと思うのですよ。だからこれは全体にやらせるようにしたらどうですかと言っているのです。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 先生いま急迫の場合などにとおっしゃいましたが、その「など」が私はよくわかりませんで、そこはよく承った上でないと何とも申し上げられないと思います。私どもは限定して申し上げているわけでございます。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 私の方は、いまあなたが「など」で気を回したわけですけれども、これをさらに普遍化して全体として生活保護受給者がこういう様式でいっでも診てもらえるようなやり方にすることが可能だということをこのこと自身が示していると思うし、ぜひそういう方向に踏み切るべきだというふうに考えているわけです。  あなた方自身も一九七四年ごろまでは、時の政務次官がテレビでこういうやり方についての検討を約束したという事実もあるでしょう。あるいはまた、幾つかの団体とも交渉などのときに検討を約束したという事実もあるはずです。ところが、最近になって姿勢を大きく後退させて、先ほどから答弁しているように非常にかたくなな態度になっておる。これは大きく後退していると言わざるを得ないけれども、これはやはり、福祉を全体としてこれ以上発展させないというような態度のあらわれではないのですか。

金田一郎厚生省社会局長

○金田政府委員 前に御検討という話はあるいはあったかもしれません。検討は確かになされたかと思います。また、私ども決してかたくなな態度ではございませんで、いま申し上げたような仕方による方が被保護者に対して懇切丁寧になることではないかと思っております。しかし、なお現行方式のもとでも引き続き受診手続の簡素化には私どもは努めてまいりたいと思いますが、原則はただいま申し上げたようなことでございます。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 先ほども私二人の事例を実際に読んで、これがどんなに苦痛を与えているかという生の声をあなたに聞いていただいたのに、そのやり方が懇切丁寧だとは全く人をばかにした話だと言わざるを得ないと思うのです。  私は、実際に全国幾つかの都市などではすでにこういう日曜、祭日、閉庁時などということでやってみて、これはもう日常全体にこれでやってもいいじゃないかということで、そういう方向に踏み切っている自治体も実際にあるという事例を承知しておるのですよ。  その中の一つのところに私は訪ねていって、あなた方恐らく一番気にしているのはこれでまた医療扶助費が伸びたりすることじゃないかと思って、その辺どうなっているかということについてもお尋ねしてみたのです。ところがその点については、少なくともこれが発行されたために伸びたとか、他の市や町に比べて非常に高くなっているとか、そういうような傾向というのは全然ないのですね。だから、こういうような事実を考えてみても、私はもっと血の通った措置をとってしかるべきではないかと思うのです。  この点について、大臣、検討するお考えはないかどうか、一言お尋ねをしてこの問題を終わりたいと思うのです。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 一応原則的には社会局長が御説明したとおりでございますけれども、福祉の精神は、あくまでも自立自助、しかも生活保護を受けられておる方々のいわゆる救貧対策という愛の精神の上に立った施策でなければいけないと思います。  したがって、二つの事例を挙げられましたが、その事例を聞いた範囲ではまことにお気の毒である。まあ病気の問題については、どういう方であろうとそれは平等に全力を尽くして痛みをやわらげるということが当然であろうと思います。そういう点はやはり率直に直すべきものは直す、また地域的にそれぞれ、いま長崎の例を挙げられましたが、それが全地域で行われておるのか特定の地域だけなのかわかりませんけれども、それも一つの方法であろうと私は思います。  ともかく、この生活保護家庭が多いことは、実は国にとっても不幸だと思うのです。御本人にとっても不幸である。できるだけこれを少なくするような雇用政策とかまたいろいろ対策を講ずるべきである、こういうふうに思っておりますけれども、残念ながらいろいろな事情で、体が悪い、また年をとったというようなことで、意欲がありましてもハンディを背負ったためにあえて生活保護を受けなくてはいけないという方々に対しては、いま申し上げましたように、基本的にはやはり自主自立を促すための愛情というものを持ちまして、厚生行政の中でもこの問題は非常に重要な問題として取り上げるべきである。そして生活保護家庭をだんだん少なくするように持っていきたい、これが私の基本的な考えでございまして、いろいろ例を挙げられましたことにつきましては、私の方もそういう悪い事例がなくなるように努力をいたしたい、これはいろいろ検討させていただきます。  私も実はそういう特別の事例を聞いたのは初めてでございまして、そういうことがあちらこちらで行われておるようなことであればまことに申しわけないし、けしからぬ、そういう気持ちでおるわけであります。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 そうすると、少なくとも病気になったときに、特に急病などのときに真っすぐにお医者さんに行きたいというのが人情だと思うのですよ。それを、申請をして、許可を受けてからでなければお医者さんにかかれないというような状態をなくしてもらうために、こういうような保険証と同じような仕組みにしてもらいたい。そうすれば、事務としても非常に簡素になるわけですね。だからいま大臣検討したいというふうに最後の結びでおっしゃっていただいたと思うのですが、そういうことも含めて考えていただけるというように理解してよろしゅうございますか。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 いろいろ事例をよく調査いたしまして、検討をいたします。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 では、次に学童保育の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  現在、働く人たちの生活が非常に苦しくなって、婦人も働きに出る傾向がますます強まっております。こういう中で、学童保育に対する要求も高まってきております。いま全国で、父母の努力によりまして私たちの調べでは四千二百八十八カ所、約九万名の児童が学童保育クラブで放課後を毎日元気に送っているわけであります。しかし、これは毎年保育所から小学校に入学していく新一年生が七十万人もおるという数字から見ますと、学童保育の対象は一、二、三年ですから、九万というのはどんなに少ないか、学童保育クラブについてはまだまだ不足している実態にあるということが御理解いただけると思うのです。  国会でも学童保育の制度化に関する請願が何回か採択されたりしたこともありますけれども、厚生省としてはこういうような請願にこたえて学童保育をどう改善していく方針をお持ちであるのか、数もふやし、内容も充実させる方針でおられると思いますけれども、その辺の点について説明を願いたいと思います。

幸田正孝厚生省児童家庭局長

○幸田政府委員 いわゆるかぎっ子等の小学校の低学年で保育を要する児童でございますけれども、現在、厚生省の施策の対象になっておりますそういった子供の数は約十四万人と私ども考えております。基本的には私ども、こういった小学校低学年で保育を要する学童に対しましては、児童館なり児童センターあるいは児童遊園といったようなことで環境の整備を図っていきたいと思っております。現在全国で児童館、児童センター合わせまして二千九百四十カ所、それから児童遊園が四千九百カ所ございますけれども、なおこれで十分と申し上げるような段階には至っておりません。  そこで、私どもは児童館あるいは児童センターといったようなものの現状にかんがみまして、こういったものの条件が整備をされますまでの経過的な措置といたしまして、いまお話しの児童育成クラブの設置、育成等の都市児童健全育成事業というものを実施いたしているわけでございます。私どもが補助の対象にいたしておりますものがそのうち一千百クラブ程度でございます。いま御指摘のとおり、小学校低学年の児童に比べますと必ずしも十分という状況ではございませんで、五十七年度予算案におきましても、児童館、児童センターの増設あるいは都市児童健全育成事業の増額を図っていることろでございます。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 私の住んでおります北九州市では、昭和五十一年に、学童保育を児童館で行う、つまりこれまで別々に運営されてきました学童保育クラブを児童館の中に吸収するという方針を打ち出しております。これに基づいて市当局は、八幡西区に黒崎児童館ができるのを契機に近くの鳴水学童保育クラブを解消して児童館に移ってほしいというふうに最近提案をしてまいりました。しかし、児童館とクラブとは機能が違うわけです。児童館は一般に開放されていますからだれが来てもいいわけですが、クラブのように専任の指導員がおりません。だから、父母にかわって子供が帰ったことを確かめ、おやつをやったり、親が引き取りに来るまで責任を持ってめんどうを見るということにならないわけであります。学童保育の対象は先ほども申しましたように小学一、二、三年の低学年の児童でありますから、こういう子供たちに児童館に行けと言うだけでは、実際上放置するのと等しいことにならざるを得ません。だから、北九州ではいま、クラブに入れている父母が猛烈な反対運動を行っております。  もちろん私も、東京でやっているように大型の児童センターをつくり、その中に指導員も配置をしてクラブも置くというやり方は、これは考えられるし推進してよいと思います。ですから、先ほどあなたが言われたことを全然否定しようとは思いませんけれども、黒崎の児童館は決して大きい児童館でもありません、指導員もいない、こういうところに移れということは、私がさっき指摘したような問題があるのじゃないかと思うのです。  厚生省は、それでも構わないから移してしまった方がいいというふうにお考えなのかどうか、この辺の指導の考え方をお尋ねしたいと思います。

幸田正孝厚生省児童家庭局長

○幸田政府委員 先ほどお答えを申し上げましたように、私ども基本的には、児童館なり児童センターが設置されるまでの経過的な措置といたしまして児童健全育成クラブの設置なり奨励をいたしているわけでございます。  いま御質問のございました八幡西区鳴水地区の学童保育クラブ、それから北九州の黒崎児童館との関係でございますが、私どもが聞いております限りでは、現在指導に当たっております鳴水地区学童保育クラブの児童指導員を黒崎児童館の方で採用いたす。黒崎児童館には児童厚生員を二名配置をする予定のようでございますけれども、そのうちの一名は鳴水地区の保育クラブの指導員をそのまま移行させる、こういうことのようでございます。  したがいまして、ただいま御指摘のようなことではないのではないかと私ども考えておりますけれども、なお十分に実情を調査していきたいと思っております。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 父母の反対運動が起こる中で、いま言われましたように、いままで指導員だった方を児童館の職員に採用するようになったことは事実です。しかし、採用された職員が今度はそこで、いままでクラブに来ておった子供たちだけについて責任を負うような立場でないことははっきりしていると思うのです。今度は全体に公開するわけですから、どこから来る子供たちも全体として見てあげなければならない、その中の一人だということになるわけですね。だから、私がさっき言ったような問題は依然としてあると思いますし、いまさらに調査もし、そういうようなトラブルが解消するように厚生省としても努めたいということですから、私はその辺を留意しながら解決のために努力をしていただきたいと思うのですが、そう理解してよろしゅうございますか。

幸田正孝厚生省児童家庭局長

○幸田政府委員 地元で十分円満な話し合いが行われるように、私どもも留意をしてまいりたいと思います。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 それでは、次に文部省の方にも一つお尋ねをしたいと思います。  文部省の方、お見えですか。——同じ北九州市の八幡西区で、いまもう一つ学童保育クラブがつぶされようとしておるのです。それは萩原小学校の校庭の片隅にあるクラブです。市の教育委員会は、そこにクラブを置くのを認めたのは半年間だ、だから期限が来たから出ていけということで、いままで何回か立ち退きを要求しておるのですけれども、父母も一生懸命探すけれども立ち退き先がなかなかないんですね。そこで父母は、そうは言うけれどもここにいるのはみんな萩原小学校の学童ではないか、そう冷たいことを言わぬでくれと言って陳情もしておるのですが、それに対しては、学校と関係ないというのが教育委員会の態度なんですね。萩原小学校の生徒たちが、それも一、二、三年の低学年の学童が校庭の一角で親が帰ってくるまで見てもらっているのが学校と関係がないという見解も驚くべきことじゃないかと私は思うんですね。しかも何カ月間も水道をとめたり、あるいはまた近く仮校舎が壊されるのですが、クラブの子供たちにはその仮校舎の中のトイレの使用はいままで認めておったのですが、これが壊されると本校舎のトイレは使用を認めないぞ、こういう話なんですね。一体この子供たちにどうしろというのか。結局、無理やりそういうようなことを言って追い出そうとしているとしか思えないわけです。  この北九州市の隣に福岡市があるわけですが、ここの場合は文部省の校庭開放事業を受け継いで、校庭に学童保育クラブがあるのはあたりまえになっておるんですね。だから私はこれが本当の姿じゃないかと思うのです。  文部省は、あくまでこういうような立ち退きをもう無理やりにでもやらせようというような市の教育委員会の態度は正しいとお考えかどうか、御意見を承りたいと思うのです。

横瀬庄次文部省初等中等教育局地方課長

○横瀬説明員 教室とか校地とかの学校施設につきましては、先生も御承知と思いますが学校教育法の八十五条という規定がございまして、「学校教育上支障のない限り、」社会教育その他の公共のためにその使用を許可することができるというふうにされておりまして、この具体的に許可するかどうかの判断につきましては、学校を管理する教育委員会、北九州市の場合は北九州市教育委員会において行っているわけでございます。  それで、御指摘の件について調査をしてみたわけでございますけれども、その限りにおきましては、北九州市の教育委員会がこの萩原小学校の件につきまして、昭和五十四年四月一日から六カ月間使用を許可したということでございますが、その後、その使用許可期間が終了いたしました後で、授業に差し支えるというようなことが具体的に起こってまいりましたために、教育上、管理上の支障を生ずるということから、先ほどの「学校教育上支障のない限り、」この限定のところに触れるということで、新たな許可は行わないことにしておりまして、その後施設を校地から移転するようにというような要請をしておると聞いております。  これは学校教育サイドの方の考え方でございまして、学校というものは学校教育上必要なものということで建てられているものでございますから、教育上支障があるという判断に基づいて施設の移転をお願いをするという姿勢をとっていることは、学校の教育行政の側から言えばそういうことはあると思いますが、現実の問題としては、先生のおっしゃるように、保育クラブの移転先が見つからないという実情にあるわけでございます。そういうことについては市においても現実的な問題認識は持っていると私は思っておりまして、私どもとしてはそういうことで、北九州市の中の円満な解決といいますか話し合いの動向を見守っていきたいと考えておるところでございます。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 いま授業に差し支えるということで立ち退きの要求があっておるというお話なんですけれども、実際に差し支えるかどうかは、ぜひ文部省の担当者の方も行って見ていただくといいと思うのですよ。運動場のそれこそ一番隅っこの角のところで、ふだんそんなところなんか、体育の授業をやったりする場合でも、校庭は結構広くて、およそ使ったりするような場所じゃないんです。これはもう全く私は、そういうふうな言い方をしているだけだとしか思えません。  それで、いまあなたの方は、現実的な認識をお持ちのようだから見守っていきたいと言っておられるんですけれども、しかし、この三月いっぱいの間に仮校舎を壊す。だから、四月からはトイレの問題に早速困るんだけれども、それについては本校舎のトイレの使用は認めませんよと、トイレの使用を断られたり、水ももらえないというような兵糧攻めみたいな状態では、一日たりとも子供たちはそこにおられませんよ。  だから、現実的な対応を考えているようだと言うんだったら、せめてそれくらいのことはちゃんと念も押して、もう余りトラブルを起こさないようにしなさいというくらいの勧告はしてもらいたいと思いますが、いかがですか。

横瀬庄次文部省初等中等教育局地方課長

○横瀬説明員 ただいまの水道の話でございますが、これはこの学校の改築工事があったそうでございまして、その段階で工事の必要上一時とめられたということでございますが、昨年の七月からは使用できるようになったというようなことは聞いております。  それから、いまのトイレの話は、私どもまだそこまで実情を調査しておるわけではございませんので、その辺はよく調査をいたしまして、必要があれば指導していきたいと思いますが、この具体的な支障があるかないかの判断というのは、これは学校といいますか設置者である団体に任されておるわけでございますので、市の教育委員会に任される、任されるといいますか具体的な判断は市の教育委員会でやるべき問題でございますので、この辺はいろいろ御議論もあろうかと思いますけれども、私どももその市の判断というものを十分具体的に聞いてみたいとは存じます。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 それでは時間もありませんので、その次三番目の問題として、公衆浴場の確保対策についてお尋ねをしたいと思います。  北九州市八幡東区は市の中でも中心部に当たるところなんですが、最近次々に公衆浴場がつぶれまして、とうとう昔の大字で言えば枝光とか荒生田というようなかなり大きな地区に公衆浴場が一軒もないというような事態になりまして、いま市に、何とか公衆浴場を公設ででもつくってもらいたいというような請願運動が起こっているんです。これは私は北九州だけの問題かと思って調べてみたんですが、御存じのようにいま全国的に公衆浴場は大変な勢いでつぶれていっております。五年間で全国で七千二百三十四軒も廃業しておりまして、特に夜間は人口が非常に少なくなるような大都市部では多かれ少なかれこういうような問題はある。そういう点では私、全国的な問題じゃないかという感じがしてならぬわけです。冬などはタクシーでふろ屋に行くというと、家族で二千円、三千円と一晩で飛んでしまうというんですから、これはなかなか深刻な問題だと思うのです。  公衆浴場の維持のためにということで昨年議員立法もいたしましたし、厚生省もそれなりにいろいろな措置に力を入れておるということは私も承知をしているし、それは評価もしておるのです。その上で、そういう施策にもかかわらず浴場がつぶれて、無医地区ならぬ無浴場地区がこういうように都心部に出現するというような事態になっておるという場合には、これは一体どういうふうにしたらいいかというようなことについて、厚生省としてもこういう事態も考えて対策を講じていくべきじゃなかろうか、いかがお考えですか。

榊孝悌厚生省環境衛生局長

○榊政府委員 ただいまいろいろお話がございましたように、確かに最近自家ぶろが非常に普及してまいりまして、そういった意味で公衆浴場の利用者がだんだん減っていくというふうなことで、公衆浴場自体の経営が非常にむずかしくなる、こんなことで転廃業といいますか、一日一軒あるいは二軒というふうな、全国的に見ますとそういった状態で減少してきておるわけでございます。  そういったことで、いまお話がございましたような、昨年の六月に公衆浴場の確保のための特別措置に関する法律が制定されまして、この四月一日から実は施行されることになるわけでございます。そういったことで、国といたしましても、この公衆浴場の確保対策ということで従来から環境衛生金融公庫の融資というふうなものも特別に行っておりますが、昭和五十七年度の予算におきましてはさらに、先ほど申し上げました法律の趣旨を踏まえまして、これらの融資措置を相当大幅に改善をするというふうなことをいろいろ考えております。融資の限度額等につきましても、従来の六千万円から八千万円に上げる、あるいは、さらにはいろいろな衛生設備とか近代化設備につきましては、従来の利率から大幅に改善しまして、六・五というふうな相当低利の融資をするというふうなことで、できるだけその浴場経営の安定化ということを私ども努めていきたいということで、いろいろそういった意味での施策を講じているわけでございます。  そういったものを一つの支えにいたしまして、公衆浴場の減少ということをできるだけ防ぎたいというふうに考えております。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 それじゃ私の質問に対する答えになっていないのですよ。そこは私は評価しておる。しかし、それにもかかわらずなおつぶれていく。そして、一番利用者が少なくなっている大都市の都心部などでは無浴場地区ができてしまっている。そうすると、いまこういうような浴場を利用する方は大体ひとり暮らしの老人だとか低所得者とか、こういう大変お気の毒な万に集中してきておるのですね。そうするというと、なおさら、人数は少なくても深刻な問題として受けとめなければならないのじゃないか。だから、厚生省としては何らかの策を考えませんかということをお尋ねしているわけです。  私が調べてみたら、東京都などではあの銀座のど真ん中に公設民営の浴場を昭和五十年の六月に開設しておるのですね。これは、土地は中央区の区有地を借り上げてつくりましたので、七千万円で済んでおるのです。いまそれを民営に委託しているわけですが、しかしこれは都の単費事業なんですね。だから、こういうようなことをやる場合には、その自治体に対する助成なども考える、少なくとも融資ぐらいは国としてもいろいろあっせんするというようなことをこの際検討するという気持ちはないかどうか、お尋ねします。

榊孝悌厚生省環境衛生局長

○榊政府委員 御指摘のように、いまお話がございましたような公設の浴場というふうなものも、これは入浴という行為そのものが住民の生活に最も身近な問題でございますので、各市町村等で公設の浴場をつくるというふうなことも次第にふえてきておるようでございます。統計的に見ましても、ここ数年来そういうものが次第にふえているということはございます。  そういった意味で、私どももこういったものに対してやはり何らかの、いまお話がありましたような措置を考えていきたい。たとえば一般単独事業債というふうなものについても考慮する必要があるのじゃないかというふうな考え方を持っておりまして、この辺につきましては、地方債の一つの対象となるように、自治省とも積極的に相談をしていきたい、このように思っております。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 それから、そういう無浴場地区に公衆浴場が整備確保されるまで、たとえば老人福祉センターなどがそこにあってふろがあるというような場合などは、夜間だけでも一般の住民に開放するというような措置をとれば、私はこれは非常に喜ばれるのじゃないかと思うのですが、こういうような措置を国として推進していくようなお考えはありますか。

榊孝悌厚生省環境衛生局長

○榊政府委員 その辺につきましては、やはり現地のいろいろな状況によると思いますが、いまお話ありましたそういったようなことは、実際にすでに進めておられる市町村もあるようでございます。これは近隣の公衆浴場がどの程度あるかというふうな問題とも絡むと思いますが、そういった意味でどうしても近くの人が利用できないという場合には、そういった措置も必要かと思っております。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 それでは、そういう措置の必要性は認められるわけでしたら、ぜひそういう方向を推進するようにお願いをしておきます。  そこで、第四の問題です。新宿区西早稲田にあります早稲田鍼灸専門学校で、これまでのはり、きゅうのほかに、あんまの学科を新設することでいま厚生省に認可申請が出されております。視覚障害者団体は、健常者がますますあんま業に進出し、視覚障害者のいまでも数少ない仕事の場が奪われるということで猛反対をしております。昨年六月の診療報酬の改定でマッサージ項目が削除されまして、首切りなどが病院で続発をしておりますが、このようなときに晴眼者を入学させるようにするならば、障害者団体が主張しているとおりの事態になってしまうのではないかと思います。  あん摩師等法十九条によれば、理療業を営む視覚障害者の生活を守るために、厚生大臣は晴眼あんま師養成課程を認可しないことができる、となっております。この法律の立法趣旨と現実の視覚障害者の生活の実態を考慮して、厚生省は今回の認可に対しては慎重な態度で臨むべきだと考えますが、厚生大臣の見解をお伺いいたします。

大谷藤郎厚生省医務局長

○大谷政府委員 ただいま先生がお話しのとおり、早稲田鍼灸専門学校のあんまマッサージ指圧師の新設課程の申請が出ておりまして、東京都を経まして出てきております。しかし一方では、視覚障害者の方々を中心にいたしまして多くの反対意見もございますし、そういった先生の御指摘のような問題もございますので、あん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅう、柔道整復等中央審議会に審議をお願いいたしますが、こういった問題につきましては十分御配慮をいただくよう、事務局といたしましても国会審議の経過等も御説明申し上げて御審議をお願いするつもりでございます。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 最後に一問、これも大臣にお伺いをしたいと思うのですが、スモン被害の患者、家族の皆さんが、投薬証明のない患者を含めた一括解決と国の恒久対策の確立を求めていまも運動しておられるわけであります。一括解決、恒久対策とも私は道理のある要求だと考えておりますけれども、厚生大臣としてこの問題に積極的に取り組んで、ぜひ森下大臣の時代にこの問題が最終的に決着を見たというふうに言われるようにしていただきたいと思いますが、決意を含めてお考えを示していただきたいと思います。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 スモン患者の解決の問題につきましては、私もできるならば年度内に全面解決いたしたい、このように実は思っておったわけでございますし、もう鑑定済みの百九十六名についても、一日も早く解決したい。まだ年度末まで少し日がありますから、最後まで全力を挙げていきたい、このように思っております。  ちょうど薬事法ができたとき、たまたま私も社労委員長をやっておりまして、スモン患者の実態は見せていただきました。そのときから、こういうお気の毒な方を何とかという気持ちがあったものですから、たまたま厚生大臣という重大な仕事につけていただいて、早く解決したいという気持ちは変わりません。いまお話のございました家族の問題等も含めまして、スモン患者のいわゆる薬公害で大変御不幸な方々に対する援助の手を今後とも差し伸べていきたいし、全面解決のために全力を挙げたい、このように思っています。  なお、詳細につきましては——もうよろしゅうございますか。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 いえ、答えてください。

持永和見厚生省薬務局長

○持永政府委員 スモン問題につきましては、厚生大臣に全力を挙げていただいておりまして、私ども叱吃激励を受けておるわけでございます。そういう趣旨から私どもも一生懸命やるつもりでおりますが、先生御案内のとおりに、患者さんが大変たくさんおられますけれども、この中で未鑑定の患者さんは、先ほどもちょっと御報告申し上げましたけれども、最近提訴をされた方々とか、そういう方もおられます。それから鑑定がすでに終わられた患者さんでも、最近鑑定が出たばかりで、原告側の弁護団、被告側の弁護団がそれぞれ話し合いの過程で、将来円満に解決しようという気持ちを持ちながら、まだ具体的な煮詰めが行われていないというような方々もおられるわけでございまして、そういう時間の経過の中で、最近問題が発生したような患者さんもおられるということをひとつ御理解いただきたいと思っておりますが、私どもとしては、大臣の御方針もございますので、できるだけたくさんの患者さんの和解が進捗するように進めてまいりたいという気持ちでございます。

小沢和秋日本共産党

○小沢(和)委員 これで終わりますが、いま大臣が年度末というふうに期限を切られました。年度末というとあと本当に十数日しかありません。私は、こういう厳しい期限をここで出されたというのは大変結構だと思いますので、ぜひ御奮闘をお願いしたいと思います。  終わります。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 最後まで奮闘します。

唐沢俊二郎自由民主党

○唐沢委員長 次に、菅直人君。

菅直人新自由クラブ・民主連合

○菅委員 社会労働委員会での森下大臣に対する初めての御質問を申し上げるわけですけれども、最初にひとつ最近少し問題になってきております厚生年金基金の特別法人税の課税強化についてお伺いをいたしたいと思います。  大体、年金の掛金に対して法人が、企業が払う分についても課税するということはかなり問題があるのじゃないかと、それ自体疑問に思うわけですが、それが特に上乗せ部分についての課税を最近さらに強化しようということを財務当局が考えているやに聞いているわけです。退職金という一時金の方式から、企業年金化の方式へできるだけ促進をしていこうというのがいまの方向ではないかと思うわけですけれども、この点について、現在の課税強化というものに対して厚生省としてはどんなふうに考えられているか、見解を伺いたいと思います。

山口新一郎厚生省年金局長

○山口(新)政府委員 厚生年金基金に対しまする積立金課税の問題でございますが、いまお話がありましたとおり、先月の下旬に関係政令の改正ということで話が持ち込まれております。私どもといたしましては、四十四年以来変更をいたしておりませんので、結論といたしましては、いまの時期に、ややもいたしますと基金の勢いに水を差すと申しますか、三月現在でやっと千を超えるような基金ができまして、加入者も六百万人になったわけでございますが、そういうような公的年金を補足する意味での企業年金の役割りが非常に強調されている時代でございます。そういう時代に、この企業年金の勢いに水を差すようなことは適切ではないという判断をいたしております。  確かに毎回の大改正ごとに課税のための基準の見直しをやっておりますが、実情はさっき申し上げましたように十三年間変わっていないわけでございます。そういう意味で、事項といたしましては政令事項でございますが、事柄は非常に大事な要素を含んでおりますので、短期間の間にばたばたと物事を変更することは適当でないという判断に立ちまして、現在鋭意事務的な折衝を続けている段階でございます。

菅直人新自由クラブ・民主連合

○菅委員 退職金制度というものを企業年金化していくという方向が阻害されることがないように、大臣においても御留意をぜひお願いいたしたいと思います。  それでは次に問題を移りまして、昨年来特に丸山ワクチンの認可申請をめぐる中央薬事審議会の審議をめぐって、この委員会でも何度か議論を繰り返してきたわけですが、さきの村山大臣また園田大臣が、ある程度落ちついた段階でそうした中央薬事審議会の審議の内容の公開をするということを約束されていたわけであります。それに対して、ことしの二月十二日に中央薬事審議会調査審議結果というこういう書面を新聞記者会見の席上で発表されたようで、翌日の新聞にはそのことがかなり大きな記事としてあらわれているわけです。  この資料が発表されたことは、一つは大臣の約束の実施かと思いますけれども、この資料は果たして厚生省の責任で発表されたのか、中央薬事審議会の責任で発表されたのか。  また、これは新たにつくられた資料というふうにお見受けをしますけれども、その作成の主体や責任はどこなのかということが一つ。  そしてもう一つは、これでその約束の公開をやったと、これですべてやったんだということで考えておられるのかどうか。特に中央薬事審議会の中でも調査会報告書とか特別部会報告書とか、いろんな報告書が中の審議の段階においても作成されているはずですけれども、そういう生の資料は発表しないで、こういうつくられたものが発表されたのはなぜか、この点についてお伺いしたいと思います。

持永和見厚生省薬務局長

○持永政府委員 去る二月に新聞に出ました中央薬事審議会のピシバニール、クレスチン、それから丸山ワクチンの審議概要についての御質問と思いますが、まず中央薬事審議会の調査審議につきましては、丸山ワクチンの申請をめぐりまして、国会でいろいろと御議論がございました。その中で、中央薬事審議会について非常に密室的な審議をやっているじゃないかというような御意見がございました。  ただ、先生も御承知のとおり、中央薬事審議会の場合には、個々の医薬品の審査という案件を審査するわけでございますから、委員の方々の発言の自由を保障する必要がございますし、またその審議の内容につきましては、個人の秘密あるいは企業の秘密といった部分もあるわけでございます。ただ、全体として何も公開しないと申しますか、審議概要もわからないというのはおかしいではないかという御議論もございましたので、昨年の十月に中央薬事審議会の委員の改選がございましたその機会に、私ども、中央薬事審議会の公開問題について審議会でいろいろと御議論いただいたわけでございます。したがって、その御議論の過程で、中央薬事審議会におきます調査審議の内容につきましては、先ほど申し上げましたようにいろいろと問題がございますけれども、そういった問題に支障がない範囲内で、必要に応じて調査審議結果をまとめて公表するという方針を中央薬事審議会で決定されたわけでございます。それに従いまして今回の公表がされたということでございますが、いま申し上げましたように、そういったことで中央薬事審議会の決定を受けた形での公表でございます。  今回の公表につきましては、中央薬事審議会に常任部会というのがございますが、それの了承を得まして公表したものでございまして、その公表は、中央薬事審議会の事務局でございます厚生省がまとめたものでございます。  それから、調査会の報告書とか、そういった中間の段階のものをなぜ公表できないか、こういうような御質問でございますけれども、中央薬事審議会におきます調査会の報告書というものは、先生も十分御承知のことと思いますけれども、最終的な審議結果ではございませんで、審議の過程のものでございます。したがいまして、その内容が個別の案件に係るものでございますし、また先ほど申し上げましたとおり、個人の秘密あるいは企業の秘密といったものに該当するものもございますので、一般的に公表することは適当ではないということで、こういったことも中央薬事審議会で御決定を見ておりますし、そういった形での現在の公表のあり方というのは、中央薬事審議会の審議結果を概要として公表するということになっておるわけでございます。

菅直人新自由クラブ・民主連合

○菅委員 結局、厚生省の責任で公表したと考えていいのですか、それとも中央薬事審議会の責任ですか。それだけ簡単に答えてください。

持永和見厚生省薬務局長

○持永政府委員 中央薬事審議会の了承を得て厚生省が公表したということで御理解をいただきたいと思います。

菅直人新自由クラブ・民主連合

○菅委員 ここにも公表された資料があるのですけれども、この資料を読んでいると、非常にいろいろな問題で、わからないというかおかしなところがたくさん出てくるわけです。  たとえば一つだけ事例を挙げてみますと、SSM、いわゆる丸山ワクチンというものについて私が聞いているところでは、いまがんに対して非常に効果があるのではないかと言われるインターフェロンを誘発する作用があるのではないかということが言われていると思うのですけれども、そういうことが抗悪性腫瘍剤調査会の中で審議をされたのではないか、またその調査会報告書には出ているのではないかと思うのですが、この報告書の中にはそういうインターフェロンがどうであるなんということは一言も出ていないのですね。  このインターフェロンについては審議の過程の中で議論があったのですか、なかったのですか。

持永和見厚生省薬務局長

○持永政府委員 先生いま御指摘のインターフェロンの問題でございますけれども、これにつきましては、申請の資料にはそういうものがあったかもしれませんが、調査会の報告書の中ではそういったものは一切触れられておりません。

菅直人新自由クラブ・民主連合

○菅委員 もう一回確認しますけれども、調査会報告書の中にはインターフェロンに関する記載はないと言われるのですね。——急いでください、時間がありませんから。

持永和見厚生省薬務局長

○持永政府委員 調査会報告書にはございません。

菅直人新自由クラブ・民主連合

○菅委員 私が入手した資料がもし間違っていれば間違っているのかもしれませんけれども、調査会報告書のある部分の抜粋を引き写したものがここにあるのです。この中を見てみますと、たとえば「インターフェロン産生を含む広義の自己防衛機構の促進にあるとしている。」とか、またSSM五ミリグラムを投与すると、五時間後の血中には幾ら幾らのインターフェロンが計測されたとかという記載が、抗悪性腫瘍剤調査会の七月十日の調査会報告書の中にちゃんと出ているということがあるのですけれども、どうですか。

持永和見厚生省薬務局長

○持永政府委員 それは先生、いまあれされているのは、申請書に出ている内容じゃないかというふうに理解をいたしております。

菅直人新自由クラブ・民主連合

○菅委員 それじゃ、この場で改めてSSMに関する抗悪性腫瘍剤調査会の調査会報告書の提出を求めたいと思います。  委員長、ぜひ取り計らっていただきたいと思います。

持永和見厚生省薬務局長

○持永政府委員 先ほど申し上げましたとおりに、調査会の報告書というのは、審議過程の中間的な段階のものでございますので、これを一般的に公表するということは、私どもとしては適当でないというふうに考えておるわけでございます。

菅直人新自由クラブ・民主連合

○菅委員 そうしますと、これは完全な水かけ論になるわけですよ。  じゃ、もう一つ事例を挙げましょうか。毒性についての中身が、この調査結果にはほとんど出ていない。概論的にここに「毒性試験等について種々の観点から調査審議が行われたが、」その有効性、安全性を確認するにはいまだ資料が不十分であった。たとえば特殊毒性とか一般毒性とか、そういう毒性についての議論というのは調査会でなかったのか、調査会の報告書で特別部会に上がってないのか、その点はどうですか。

持永和見厚生省薬務局長

○持永政府委員 SSM注射液の場合には、毒性についての議論は余りなかったようでございます。

菅直人新自由クラブ・民主連合

○菅委員 少なくとも私が聞いている話では、議論がなかったのではなくて、大体大丈夫だということであったと思うのです。皆さんが公表された資料の中では、「有効性と安全性を確認するには未だ資料が不十分であり」云々と、有効性の方はいろいろ議論があることはわかりますけれども、安全性についてもそういう言い方をしているのですね。議論がなかったのじゃなくて、副作用については特にその弊害が認められないということじゃないですか。

持永和見厚生省薬務局長

○持永政府委員 副作用につきましては、先生御指摘のとおり、SSMの注射液は、余りそういった弊害はないというようなことであったというふうに理解いたしております。

菅直人新自由クラブ・民主連合

○菅委員 それじゃ、何でこんなこと書いてあるのですか。安全性を確認するには、いまだ資料が十分じゃないという書き方が、皆さんが発表された文書の中に出ているじゃないですか。毒性試験等についてもやったけれども、十分じゃないからさらに研究が必要だ。有効性だけじゃなくて、安全性についてもそういうふうに書いてあるじゃないですか。

持永和見厚生省薬務局長

○持永政府委員 ここで書いてございますのは、本来の有効性と安全性を確認するにはいまだ資料が不十分であるということで、有効性、安全性両方につきまして資料が不十分だということを言っておるわけでございます。

菅直人新自由クラブ・民主連合

○菅委員 幾ら何でも、そういういいかげんな言い逃れはやめてくださいよ。この部分は第三項目で、「本剤の基礎的研究資料については、一般薬理作用、効力を裏付ける動物試験及び毒性試験等」、この後からが臨床試験のいろいろな問題に入るわけですが、少なくともこの「有効性と安全性」の安全性については、副作用の基本的な問題が入っているはずですよ、基礎的な、まさに基礎的なものが。それは調査会報告書に入っているはずですよ。どうですか。

持永和見厚生省薬務局長

○持永政府委員 調査会報告書に一部入っております。

菅直人新自由クラブ・民主連合

○菅委員 結局私が申し上げたいのは、翌日の読売新聞に、「丸山ワクチン、有効率低い」「二・六%、試験更に必要」とか、二・六%の効果しかないんだという言い方で、新聞紙上でもかなり数字が飛び交っているわけです。これは薬務局長、まだいまのポストにおられる前ですけれども、昨年の段階でも、三%以下とか、いろいろな数字がこの件については飛び交ったわけです。  この皆さんが出されたものを見てみると、単独療法の中で、いわゆる腫瘍縮小効果が三十九例中一例申請データにはあると書いてあるけれども、それも実は認められなかった。簡単に言いますと、腫瘍縮小効果は一件も認められなかったということが書いてあるのです。わざわざ二・六ということが、これは新聞社の責任だと言えばそうかもしれないけれども、しきりにそういう数字になってくる。  皆さんのところは自分たちに都合のいいというか悪いというかそこだけピックアップをして強調していて、先ほどのインターフェロンの話は未確認ですけれども、私が入手している資料であれば確実に議論がされている、動物実験がされている。そういうものが全部落ちている。これでは公開どころではなくて情報操作じゃないですか。どうなのですか。

持永和見厚生省薬務局長

○持永政府委員 私どもとしてはそういう気持ちでこの資料をつくったわけではございません。あくまでも国会の論議を踏まえた形で中央薬事審議会の概要をまとめてそれを公表するという形でつくったものでございまして、先生がおっしゃるように情報操作というような形でつくったつもりはございません。

菅直人新自由クラブ・民主連合

○菅委員 薬務局の皆さんはよく御存じだと思いますが、このときの審議の中で、当時の桜井座長にも参考人でおいでいただいて話を聞いたときに、抗悪性腫瘍剤調査会の段階でいろいろな議論があった後、その中のデータについて、それをつくられた学者の人がそういうふうな認定の仕方は間違っているということで、これは議事録にもありますけれども、桜井座長がそれについては特別部会の方で訂正をいたしましたという言い方もされているわけです。そして、よく御存じのように、最終的な答申は非常に重要な附帯決議がついたわけです。  しかし、皆さんが発表されたこの結果を見ますと、「なお一部の臨床試験実施責任者から行われた申請資料内容の訂正申し入れについても、参考資料として医薬品特別部会及び常任部会において慎重に審議が行われたが、その内容は本剤の有効性に関する最終的な結論に影響するものではないと判断された。」こんなふうにまだ書いてあるわけです。  しかし、実際には最終答申にどう書いてあったか。有効性については確認できないけれども、決して無効ではないのだということを一言わざわざ入れているのです。あと有効性を確認するためにはこういうことをやってほしいということまで入れているのです。調査会段階でそれだけの差が出ているわけです。  それを皆さんが発表されたときには、いろいろ検討したけれども、そんなのは一顧だに値しないみたいな書き方をしているわけです。これはどういうことなのですか。

持永和見厚生省薬務局長

○持永政府委員 薬事審議会の答申は、先生も御承知のとおり、現段階では有効性を確認することはできないという答申になっておるわけでございます。ここで言っております「本剤の有効性に関する最終的な結論」というのは、現在出されたデータ、出された資料から薬事審議会としてはそういうような判断をしたわけでございまして、そういった意味で「本剤の有効性」というのは答申の本文にかかわるものだと御理解いただきたいと思います。

菅直人新自由クラブ・民主連合

○菅委員 大臣、よく御理解いただきたいのですけれども、私この問題でいろいろな方の話を伺ったのですが、情報の公開ということの持つ意味を十分に理解していただいていないのじゃないかという感じが非常にしたわけです。  昨年来のこの委員会の議論の中でも、中央薬事審議会がある結論を出すと——結論が是か非かという問題は確かに専門家の皆さんの審議で決められるとすればそれはそれとして尊重しなければいけないと思うのです。しかし、その審議そのものが公正に行われていたのか、出された資料がちゃんと判断されていたのか、どういうふうに判断されていたのか、それについていろいろと疑義が出てきたわけです、委員の問題、いろいろな問題で。そういうことに対して、それではできるだけ公表しましょう、公開しましょうということで出てきたわけです。しかし、公表されたものは、また新たに公表のためにこうやって資料をつくって、少なくとも私が入手している腫瘍調査会の報告書とかそういうものの中からは重要なところでたくさんの項目を落とし、部分的なところだけはちゃんと並べてある、そういうものになっているわけです。  ですから、こういう形で情報公開をしたのだと言われると、極端に言えばしないよりもっと悪くなる。つまり、行政に都合のいいところだけピックアップをして公表し、都合の悪いところは押さえてしまうわけです。そして、中身を見せてくれと言ったら、個人の何とかとか企業の何とかで見せられない。この問題は人間の安全にも関することですし、この調査会報告書はぜひ出していただきたい。  私は、昨年の審議の中では、ピシバニールの調査報告書とクレスチンに関する報告書は厚生省から直接にいただきました。そういう事例もありますし、別にそれを見たからといって、その内容は必要であればまたあれしますけれども、そのクレスチン、ピシバニールの調査会報告書と今回出されたこの審議結果というのは、語句を含めてほとんど同じです。それらは調査会報告のまますいすいといって答申になっていますから、それはわかります。  しかし、今回出されたSSM、丸山ワクチンに関する報告書だけは、審議結果だけは非常に大きく変わっていますし、重要なところが記載されていない、私の入手している資料によればそうなっています。しかし、これが確かに本物であるかどうかと言われれば私もわからない。これはどうしても出していただかなければこのまま納得するわけにはまいりません。

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 丸山ワクチンの問題につきましては、昨年大きな問題になりまして、附帯決議等が付与されたわけでございまして、ただいま治験薬として実験を続けております。  ただいま、情報公開という線で調査結果を出せというようなお話がございました。薬務局長の方から企業秘密とかいろいろございまして出せないということでございますし、この点私は、直ちにここで出しますと言うことははばかりたいと思います。ただ、この丸山ワクチンの問題は社会問題、医療問題、政治問題等、余りにも大きな問題になったことでございます。私としては、中央審議会の権威もございますし、また厚生省としてもこの問題を公正に取り扱って、そしていろいろ疑義のあった点も解明いたしたいという気持ちでおるわけでございまして、できるだけ早くこの研究結果が出るように期待しております。  そういうことで、この資料、調査結果を出せるか出せないかは、関係者とよく相談をいたしまして後刻また御連絡いたしたい、このように思っております。

菅直人新自由クラブ・民主連合

○菅委員 大臣の積極的なと理解したい御答弁ですのでその結果を待ちたいと思いますけれども、少なくとも私の言っている資料はどうしても理事会なり何なりに提出をして——いまのでは全く議論が食い違っているわけです。そのままの形でこのままおさめるわけにいきませんので、理事会の中でもこの資料要求についてどう扱うか、ぜひ委員長の方でお取り計らいいただきたいということを申し添えて、私の質問を終わりたいと思います。      ————◇—————

唐沢俊二郎自由民主党

○唐沢委員長 内閣提出、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。森下厚生大臣。     ————————————— 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————

森下元晴自由民主党厚生大臣

○森下国務大臣 ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  戦傷病者、戦没者遺族等に対しましては、その置かれた状況にかんがみ、年金の支給を初め各種の援護措置を講じ、福祉の増進に努めてきたところでありますが、今回、年金等の支給額を引き上げるほか、戦没者の妻及び父母等並びに戦傷病者等の妻に対する特別給付金の支給対象範囲を拡大するなどの改善を図ることとし、関係の法律を改正しようとするものであります。  以下、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正であります。これは、障害年金、遺族年金等の額を恩給法の改正に準じて引き上げるものであります。  第二は、未帰還者留守家族等援護法の一部改正であります。これは、未帰還者の留守家族に支給される留守家族手当の月額を遺族年金に準じて引き上げるものであります。  第三は、戦没者等の妻に対する特別給付金支給法、戦没者の父母等に対する特別給付金支給法及び戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法の一部改正であります。これは、昭和五十六年の遺族援護法の改正により、遺族給与金を受ける権利を有するに至った戦没者の妻及び父母等並びに障害年金等を受けるに至った戦傷病者等の妻に対し、それぞれ特別給付金を支給することとするものであります。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。

唐沢俊二郎自由民主党

○唐沢委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後九時一分散会      ————◇—————

国会会議録検索システムで原文を見る ↗