決算委員会 第7号
- 発言数
- 256 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1982/08/10
会議録
○永田委員長 これより会議を開きます。 昭和五十四年度決算外二件を一括して議題といたします。 本日は、内閣所管について審査を行います。 まず、内閣官房長官から概要の説明を求めます。宮澤内閣官房長官。
○宮澤国務大臣 昭和五十四年度における内閣所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。 内閣主管の歳入につきまして、歳入予算額は一千二百五十四万円余でありますが、収納済み歳入額は一千四百二十四万円余でありまして、歳入予算額と比較いたしますと、百七十万円余の増加となっております。 次に、内閣所管の歳出につきまして、歳出予算現額は百億九千九百三十八万円余でありまして、支出済み歳出額は九十四億一千七百九十七万円余であります。 この支出済み歳出額を歳出予算現額に比べますと、六億八千百四十万円余の差額を生じますが、これは人件費等を要することが少なかったため、不用となったものであります。 以上をもちまして、決算の概要説明を終わります。 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○永田委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。佐藤会計検査院第一局長。
○佐藤会計検査院説明員 昭和五十四年度内閣の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
○永田委員長 これにて説明の聴取を終わります。
○永田委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上一成君。
○井上(一)委員 私は、まず最初に、教科書問題について触れておきたいと思うのです。 すでに何回か本院でも議論が尽くされているわけでありますけれども、いまや教科書問題は国内問題というよりも外交問題に発展をしている。さらには、この外交問題をいかに解決するか、そのことで鈴木内閣の政治力量が問われている、こういうふうに思うわけであります。ただ単に灰色で済まされるべき問題ではなくなっているという状態であります。先日の文教委員会では、小川文部大臣は日中戦争に対しては侵略戦争であることを認めているわけであります。昨日の外務委員会においては櫻内外務大臣は中国、韓国の侵略戦争の批判は正当という見解を明らかにされているわけであります。ここでまず宮澤官房長官は、わが国が戦前戦中、中国、韓国に対してとってきた行為についてどのように認識していらっしゃるのか伺っておきたいと思います。
○宮澤国務大臣 戦前のわが国の行為につきまして、中国を含めて国際的にはいろいろ厳しい批判があることは事実でございます。そのことは政府としても十分認識する必要があると考えておりますが、このわが国の行為をどういうふうに評価するかということについては、最終的にはやはり後世史家の判断にまつべきだ、従来政府はそのように考えております。
○井上(一)委員 それでは中国に対してのわが国の行為は侵略したと考えられるのか、あるいは進出したというような認識に立っているのか、いずれなんですか。
○宮澤国務大臣 ただいまお答え申し上げたとおりでございます。
○井上(一)委員 政府の見解として統一された見解なんでしょうか。
○宮澤国務大臣 終局的には後世史家の判断にまつべきである、政府は従来からそのように答弁をいたしております。
○井上(一)委員 文部大臣の認識については官房長官はどう受けとめられますか。
○宮澤国務大臣 直接承ってはおりませんけれども、もしただいま言われましたような御認識であればそれは文部大臣としてのお考えであろうと存じます。
○井上(一)委員 官房長官、史家の判断にまつべきである、もうそんなことで済まされない状態になっていると思うのです。総理の訪中が間近であるという今日の状態の中で、私はやはり政府としての見解をきっちりと出すべきだと思うのですが、その点についてはどうですか。
○宮澤国務大臣 ただいま申し上げたとおりでございまして、歴史はやはり非常に長い視野の中で考えるべきものと思います。われわれがどういうふうに中国等々から見られておるか、認識されておるかということはよく存じておりますけれども、これをどう考えるべきかは基本的には史家の判断を仰ぐべきであろうと考えております。
○井上(一)委員 他の判断にまつべきだ、立場によってはそういうことで通るかもわかりませんが、少なくとも内閣の番頭役である官房長官がそういうことでは私は済まされないと思うのです。 それでは、中国あるいは韓国の抗議は理由があり、今回の教科書問題に対する中国の抗議あるいは韓国の民衆の怒りも含めてそれは当然だと受けとめられるのか、むしろそれは内政干渉である、不当であるという受けとめ方をされるのか、その怒りについて十分な理解をすることができる、こういうふうに受けとめられるのか、このいずれなんでしょうか。
○宮澤国務大臣 当面の問題につきましては外務大臣、文部大臣が真剣かつ慎重に御検討中でございますので、私から申し上げることは差し控えさせていただきます。
○井上(一)委員 私は官房長官の意見を聞いているのですよ。あなたの持っている考えというものを聞いているので、これは答弁になりませんよ、委員長。
○宮澤国務大臣 私は所管大臣でございませんので、ただいま両大臣が慎重に御検討中でございますので、私が自分の意見を申し上げますことは事柄の解決のために役立たない。のみならず、私、自分の所管でございませんから、両大臣の御検討にただいまゆだねておるということでございます。
○井上(一)委員 所管である大臣の考えというものは、それぞれの委員会の中で一定の見解が出されているわけなんです。ここではやはり、私が官房長官に対して指摘している問題に対して官房長官としての受けとめ方を答えてもらわなければいけない、私はこういうふうに思うのです。
○宮澤国務大臣 官房長官としての考えと言われます意味は内閣としての考えということであろうと存じますので、そうでございますれば、これはいま外務、文部両大臣が真剣かつ慎重に御検討中であるということでございます。
○井上(一)委員 官房長官、あなたは非常にそつのない答弁をされるわけなんです。 私はそれじゃひとつ、わが国は戦前、国際的な立場というのでしょうか、国際間の信頼の濃度の問題、影響力の濃度の問題等があって、国内での問題が国際的に発展していくことは余りなかったわけであります。しかし、わが国が今日のように経済大国になる、国際的な地位、国際的な立場が上位にランクされていく、先進国であるという位置づけが、国内問題としての処理の仕方であったとしてもむしろ大きく国際的に影響を及ぼしていく。それは国際的に大きな波及をしていくということであって、ただ単に二国間の問題あるいは国内的な問題だと片づけるわけにはいかなくなったという状況であります。もう少し言えば、ちょっとしたことであってもやはり国際的に十分な配慮が必要だということだと思うのです。そういう配慮が欠けると、わが国は平和外交に徹していくのだ、国際間の信義、信頼を集めていくんだという外交方針も損ないますし、むしろわが国外交の基本方針からもそれていくと思うのです。 そういう意味で私は、国際感覚に非常に卓越されている官房長官の考え方というものを聞きたい、こういう認識、考えなんです。だから、ちょっとしたことだけれども十分な配慮が足りなくて今回の問題が起こった。そしてそれはいろいろな問題をさらに大きくしていく。官房長官、どうなんですか。私はむしろ個人的見解よりも官房長官だからこそ、内閣の番頭役であるからこそこの問題を——鈴木総理が長崎で、早期に解決することを強く期待し、その決意を強く表明されているのです。官房長官がこれに対して答えられないということはおかしいと思います。
○宮澤国務大臣 今日、わが国の国際的地位が上がってまいりましたにつきまして、国内問題と考えられるような問題が国際的にいろいろな反響を呼ぶ、そのことは十分注意すべきではないかと言われますことは、私もまさしく井上委員の言われますようにそのとおり考えております。むしろ、そうでございますがゆえに、この問題をただいま文部大臣、外務大臣が慎重かつ真剣に御検討中でございますので、それ以外の者が発言をするということは問題の処理のために決していいことではなかろうというように考えますので、それでお尋ねの趣旨はよくわかりながら発言を控えさせていただいておるということでございますので、どうぞその点は御了承をお願いいたしたいと存じます。
○井上(一)委員 官房長官の立場というものを私は十分理解しているつもりなんですが、あなたの言うように全く答えられない、答えられないでは、これは審議になりません。官房長官としてはやはり何らかの認識の上に立っての見解というものがあるわけですから。これは先ほどから私が指摘するように、わが国の戦前戦中における中国に対する行為についての認識、さらには問題解決に対しての打開策をあなたは持っていらっしゃると思うので、このことについて答えてもらわなければ困ると思います。
○宮澤国務大臣 その点でございますと、これは日中共同声明におきまして、わが国が過去において「戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する。」これが認識でございますことに間違いはございません。
○井上(一)委員 その深く反省の上に立っての行動というか行為というものが今度は必要になるわけですね。教科書に記述されたその問題、いま両国の間で問題になっているそれらのことについては、官房長官、どう受けとめるのですか。
○宮澤国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、文部大臣において慎重に、真剣に御検討中でございます。
○井上(一)委員 それでは、全く変わった事柄に対して官房長官の見解を聞きたいと思います。 ソ連がアフガニスタンに対する軍事介入をした、これは侵略と理解するのか、侵入、進出と理解するのですか。
○宮澤国務大臣 そのような問題につきまして公に申しますことは、私は平和を愛好する国として果たしてどれだけ役に立つことだろうかということを実は考えざるを得ません。ただ、それでもたってのお尋ねでございますから申し上げるならば、その行為に対してわが国はある種の経済的な措置をとったことは事実でございますけれども、その経済的措置は諸外国によりましては一種の制裁措置と呼ばれております。しかし、わが国の場合はそういう言葉をあえて使わずに経済措置と申しておりますので、その辺はそういう配慮も御理解を願いたいと思います。
○井上(一)委員 私が聞いている、侵略と受けとめるのか進出と受けとめているのか。経済的な制裁措置はした、それは事実なんですね、行為に対してはどういう認識なんでしょうか。
○宮澤国務大臣 わが国が経済措置をとっておりますことは井上委員が御承知のとおりでございます。しかし、そのことをあえて制裁措置と呼んでいないことも御承知のとおりでございますので、そこからわが国の考え方をひとつ御了察を願いたいと存じます。
○井上(一)委員 私は、きっちりと物事が言える、お互いにお互いの立場を理解し合いながらきっちりと物が言えるということが友好だと思う、友好関係が持続できると思うのです。何も言わずに、何か腹の中で思っていることを正確に、明確に相手に伝えることができない、これは対話にもなりませんし、そんなことが決して美徳でも、あるいは平和につながるというようなそういう認識は、私は間違いだと思うのです。きっちりと主張すべきことは主張し、反省に立って謝すべきはちゃんとそのように処置をしていく、こういう考えに立たなければいけないと思うのです。それじゃ官房長官、あなたは史家の判断にまつということでそれ以上深く答えようとしない、それもあえて意識的に。 今回中国に派遣されている二局長から、きのう非公式に外務省の橋本情文局長が第一アジア局長に接触をしたということが伝えられておりますけれども、今後の日程、そしてきのうの非公式の接触等の中で、何か問題解決のための糸口を見つけることができたのかどうか、どういう報告を受けているのか。
○長谷川説明員 お答えします。 昨日は、こちらから向こうに参りました橋本局長が、かねてより親しくしております中国外務部の肖向前局長に会いまして久闊を叙した、そのように聞いております。また、昨日の夜は、北京でもってわが方の大使が主催した食事に先方の外務部、教育部の関係者が参りまして、一緒に食事をした。 今後の日程については、現在の時点ではまだわかっておりません。
○井上(一)委員 官房長官、子供たちが官房長官にいまの教科書の記載が誤りであると聞かれた場合に、官房長官はどう答えますか。
○宮澤国務大臣 個人的には私の意見を申すことであろうと存じますけれども、ただいま国会の席でございますし、私所管大臣でございませんので、あえて申し上げません。
○井上(一)委員 もう一度尋ねますが、中国の抗議に対して、いま官房長官としてはどう受けとめますか。
○宮澤国務大臣 中国としては、中国の立場をいろいろ考えられた上で言ってこられたことと存じます。
○井上(一)委員 中国の立場で抗議に出てきた、そういうことについては十分な理解ができるということですね。
○宮澤国務大臣 中国なりに慎重に考えて出されておることだと思います。
○井上(一)委員 ということは、中国のそういう対応に対しては十分な理解をし、その上に立って今回の二局長の派遣ということがあるわけでしょう。
○宮澤国務大臣 こちらの考え方も説明をし、できればさらに先方の考え方も聞いてみたい、こういうことを含んでおりまして、基本的には、まず第一にわが国の大使館、大使以下の人々にこの問題についての十分な理解をさしておく必要がある、そのような幾つかの目的を持っておるわけでございます。
○井上(一)委員 それでは、今回のこの問題についてはどういうふうに分析をなさっていらっしゃるのか。官房長官としてどう分析されていますか。
○宮澤国務大臣 それは大変幅の広いお尋ねでございますけれども、中国としていろいろ慎重に考えた上でああいう態度に出られたものであろう。また、わが国は、戦争中のわが国の行為に対しては日中共同声明に先ほど申し上げましたように明確に述べておるところでございますから、この考え方は日本として今日といえどもいささかも変わっていない、今日再確認をいつでもしなければならない態度である、こういうことが基本であろうと思います。
○井上(一)委員 日中共同声明の前文に盛られたわが国の姿勢というものは変わっていないということですね。
○宮澤国務大臣 日中共同声明の前文に述べられておりますわが国の認識は、今日といえども変わっておりません。
○井上(一)委員 教科書の今回の改訂、書きかえられたということについては、その趣旨が十分盛り込まれていると認識をしていらっしゃいますか。
○宮澤国務大臣 この点は文部大臣の見解によらなければならないところでございますが、文部大臣は、この日中共同声明に盛られておりますようなわが国の認識、これは学習指導要領等に基づいて教科書でも十分表現をされておる、この点に関する限りはそうであるというふうに述べておられます。
○井上(一)委員 文部大臣が述べていることは私はここで聞いていないわけです。官房長官はどう認識しているかということです。
○宮澤国務大臣 教科書のことでございますから、文部大臣の御見解を政府の見解というふうにお考えいただきたいと思います。
○井上(一)委員 さっきから何回言っても、官房長官は、文部大臣あるいは所管が云々、教科書は文部省。そうじゃないのですよ。やはり中国に対しては、日本は日中共同声明に明確にその意思を表明しているわけなんです。だから私は、その意思は今日も継続しているというなら、それならば今回の教科書問題が中国から大きく抗議を受けなければいけないこれほどの国際的な外交問題になった、発展していったということは、やはり中国の言い分というものに耳を傾けなければいけないから、わが国の見解も説明しながら二局長を派遣したわけですから、そういうことになるならば、官房長官は、書きかえられた教科書について、その日中共同声明に盛られたわが国の精神が十分そこに反映されているという理解に立っているのでしょうかと聞いているのですよ。官房長官に聞いているのです。
○宮澤国務大臣 官房長官として公の席でお答えを申し上げることができますのは、日中共同声明の前文に述べられておることが今日でも政府の態度であるかというお尋ねに対しましては、さようでございますということを申し上げることができます。 次に、このような政府の態度が教科書というものに反映されておるかというお尋ねにつきましては、これは文部大臣はそのように信じておりますということを私としてかわって申し上げる、これが政府の見解でございます。
○井上(一)委員 そのことが問題になって中国から抗議を受けているのでしょう。十分反映されていないと中国はとっているわけでしょう。中国はそういう理解に立っているのでしょう。だから抗議があったのでしょう。その抗議は、官房長官としては中国の立場というものは理解されているのでしょう。
○宮澤国務大臣 その点は、私、直接に中国の王暁雲公使の話を聞いておりませんので、聞いた者から申し上げるのが正確と思いますけれども、共同声明の前文に述べられておるわれわれの考え方、これは今日も変わっていない、そしてそのことは教科書には基本的に反映されているというふうに文部大臣は信じておられますが、問題は、そのことよりは個々の表現について、出来事の説明なり表現について問題が提起されておる、私はそう聞いておりますけれども、なお必要でございましたら直接文部当局からお聞き取りをいただきた いと思います。
○井上(一)委員 それじゃ官房長官としては、個々の表現に問題がある、こういう理解、そういう報告を受けている、そういうことですね。
○宮澤国務大臣 詳しくは文部当局からお聞き取りをいただきたいと思います。
○井上(一)委員 官房長官、いまあなたの答弁の中で底流としては、流れとしては、日中共同声明のその趣旨は両国が尊重し、わが国政府も尊重している、そしてそれが教科書に反映されていると自分では信じている、官房長官としては信じている。しかし、今回の問題は個々の表現の問題であろう、こういう認識に立っている、いまそういう答えがあったわけなんです。そこで私は、あえて確認をしているわけなんです。そうなんですね。
○宮澤国務大臣 と、報告を聞いておりますけれども、私、直接にその会合に立ち会ったわけでございませんので、正確には事務当局からお聞き取りをいただきたいと思います。
○井上(一)委員 あなたが報告を聞いているのだから、正しい報告だと私は思います。 それじゃ、個々の表現ということになれば、個々の表現を変えるあるいは書き加える、そういうことで本問題については問題が解決する、そういう分析をされているのでしょうか。
○宮澤国務大臣 私は文教を担当しておりませんので、私の立場で御質問にお答えができません。
○井上(一)委員 これは文教の問題ではないということを最初に僕は申し上げたでしょう。政府、外務省も、中国に情文局長を派遣しているのですよ、文部省だけではなく。外交問題なんですよ。官房長官の認識はどうなんです。私は最初に、これは国内問題、文教問題だけとしての取り扱いではなく、やはり国際的に外交問題としてこの問題は発展したということを言っているでしょう。どういう認識なんですか。だからこそ鈴木総理のああいう発言があるのでしょう。あなたがそんな——もう本当はいろいろな策を講じていると私は思うのですね。思うのだけれども、それはここで言えないという、そんなことじゃいかぬのですよ。きっちりと、やはり政府はこういう方針でこう対応していくのだということを言わなければいけない。そういう対応策、打開策を持たなければいけない。いま今日、何ら打開策がないのか。どうなんですか。
○宮澤国務大臣 これは井上委員も言われましたし、私も冒頭に申し上げておりますとおり、文部大臣及び外務大臣において慎重かつ真剣に検討されておる問題でございます。そして先ほど、教科書のその部分についての御指摘がございましたから、それはお二人の大臣のお仕事の中で文部大臣のお仕事に属するところであろうと申し上げたのですが、問題は、確かにその両大臣の御所管の問題になっておる、そして両大臣ともこれをどうするかということについては慎重にいろいろ御検討でございますけれども、私の口からいまそれを申し上げる段階ではないということでございます。
○井上(一)委員 中国と同じく、むしろそれ以上に、強い日本に対する国民的な運動、怒りの激しい運動が展開をされている韓国の問題について、わが国の過去三十六年間の朝鮮半島支配に対する抗議、このことに対して官房長官はどういう認識を持っていますか。
○宮澤国務大臣 昭和四十年であったと思いますが、日韓共同コミュニケが発表されました中で、韓国の外相が、不幸な関係のために生まれた韓国民の日本に対する感情を説明されたのに対して、わが国の椎名外務大臣は、「このような過去の関係は遺憾であり、深く反省している」と述べておりますが、これが今日も変わらないわが国の立場でございます。
○井上(一)委員 中国のときにも、僕は認識の違いということに少し触れたのですけれども、韓国についても、当然あなたは答えとしては椎名発言を引き合いに出されると思ったのです。 それじゃ松野発言は、一体どういう認識でああいう発言がなされたのか。それで松野発言については、官房長官としてはどういうふうにこれを評価するのか、ここはどうなんですか。
○宮澤国務大臣 これは個人の発言であって、内閣を代表しての発言ではございません。
○井上(一)委員 さっきも言ったように、いまのわが国が置かれている国際的立場、個人的見解だといえども、閣僚ですよ、内閣の一員ですよ、配慮が足りない。配慮が足りないということは、相手の立場を尊重していない。やはり相手の立場というものを十分尊重していく。配慮が足りない、十分な配慮が足りなかったと言って謙虚にそういう点は官房長官が答えられると私は思うのですけれども、個人的見解で済ますのですか。
○宮澤国務大臣 個人的見解でございます。民主主義の国においては、個人的な見解を述べることはだれでも自由でございますけれども、同じような体制でない国にはそれがことに強く伝わることがございます。民主主義同士の間でもあり得ることでございますから。したがいまして、そのように受け取られたといたしますと、それは残念なことであった。しかし、これは決して日本政府の見解ではないということを繰り返して申し上げておきます。
○井上(一)委員 政府見解でない、そのような発言をしたということは遺憾でしょう。やはり配慮が足りなかったのでしょう。
○宮澤国務大臣 閣僚といえども個人的な意見を述べる自由はもとより持っておると思いますけれども、この場合、相手方に、それがあたかも政府の発言のようにとられたとすれば残念なことであって、決して政府の考えではないということをこの席を通じて改めて申し上げておきたいと存じます。
○井上(一)委員 さらに、韓国の文部省の外郭団体である国史編さん委員会で、わが国の教科書十六冊を総合的に分析をして、二十四項目について問題を指摘しているわけなのです。この問題指摘に対しての認識について、まず私は外務省に尋ねます。 この問題指摘を外務省はどういうふうに受けとめ、認識をしているのか、聞いておきたいと思います。
○長谷川説明員 教科書の具体的な記述の問題につきましては文部省御所管の問題でございますので、外務省としてはコメントすることを差し控えたいと存じます。
○井上(一)委員 それでは文部省はどのように理解をしますか。
○藤村説明員 私どもも新聞で拝見しただけで、その詳細についてまだ承知いたしておりません。
○井上(一)委員 これだけ問題になっているのに、文部省も詳細に把握をしていない、外務省も答えられない。 それでは官房長官、この二十四項目という問題ごとの指摘が、韓国の文部省の外郭団体である、先ほど私が指摘した国史編さん委員会で問題になっているわけなのです。これは報告を受けていませんか。
○宮澤国務大臣 報告を受けておりません。
○井上(一)委員 文部省は、さっき十分な認識をしていない、承知をしていないということでしたが、このことについてはどこからも情報を得ていませんか。
○藤村説明員 現在のところ入手いたしておりません。
○井上(一)委員 外務省もこのことについての情報は得ていないでしょうか。あるいは情報を得て、どちらかに情報を提供したということはありませんか。
○長谷川説明員 この問題につきましては、八月五日、韓国のKBSのラジオのニュースで、五日に開かれました韓国国会の文公委員会の議事につき報じておりますけれども、その内容につきまして現地大使館から報告がありまして、その中で二十四件について、韓国の国史編さん委員会が調査、検討した結果、いろいろ問題がある、そのような報告がございます。
○井上(一)委員 外務省省内だけの情報入手であって、ほかへはこの情報は提供していませんか。
○長谷川説明員 この報告は関係先に配付してございます。
○井上(一)委員 関係先とは、どことどことどこなんですか。
○長谷川説明員 文部省でございます。
○井上(一)委員 これは委員長、文部省は報告を受けてない、全然知らない、外務省は報告した、こんなことでは審議になりませんよ。文部省は、先ほど全然これを受けてないと言う。官房長官、こういうことがいまの政府の実態なんですよ。 官房長官も報告を受けてない。非常に問題になっている。足を踏まれた痛みは忘れることはできないわけです。踏んだ方は忘れているかもわからない。踏まれた人の痛みを少しでも分け合って自分の痛みにするのだという対応がやはり欲しいわけで、文部省は、さっき受けてないということなんですけれども、外務省が報告したというのは一体どんなことになっているのですか。
○藤村説明員 そういう報道がなされたということは、私どもは承知しております。しかし、それについて具体的な内容を詳細に把握していないということを申し上げたつもりでございます。
○井上(一)委員 ちょっと時間がないから、これは後で、この委員会が終わるまでにはっきりしてもらいたい。外務省は、二十四項目について現地大使館からの報告があり、文部省に報告した、情報を提供した。 それで官房長官、私はちょっと聞きたいのですが、わが国の立場を十分理解してもらうために、中国の見解に対する対応、あるいは中国に派遣をしたと同じように、韓国に対しても当然対応をされると思います。しかし、いま指摘をした二十四項目について、韓国に関する記述の部分で、向こうの権威ある編さん委員会からの指摘なんです。私は、指摘された問題について何らかの形で理解を得ようとするならば、やはり一つ一つ説明を加え、韓国の指摘に対してこたえていくのが筋として当然だと思うのです。いかがですか。韓国から指摘があった。それに対してわが国の対応はどうなさるのですか。
○宮澤国務大臣 先ほどから関係者が申し上げておりますとおり、その中身がわかっていないわけでございますので、それにもよることと存じますのと、もう一つは、聞くところでは、これは韓国政府のいわばアクションではないようでございますので、その点も一つ考えておかなければならないかと思います。
○井上(一)委員 一つは、中身の問題が十分でない、これは後で報告があろうと思いますけれども……。政府の外郭団体からであるけれども問題が指摘をされた。二十四項目できっちりと問題が指摘をされたのですから、それに対しての何らかのわが国政府としての対応が必要である、そういうことは当然されるべきだ、それが誠意ある対応策だと私は思うのです。 もう一つ、官房長官、ちょっと気になることですけれども、政府の見解でない、そう受けとめているのですか。
○宮澤国務大臣 要するに、この中身が全くわからないことでございますので判断がむずかしゅうございますが、それらのことは外郭団体、恐らく歴史といったような学術に関する団体であろうかと存じますけれども、そういうものであるのではないだろうか。仮にそういう想定といたしますれば、それはそれとしてやはり考えられなければならないだろうと思います。
○井上(一)委員 韓国の問題指摘に対してわが国は対応しますね。何らかの形で対応をしなければいけないでしょう。これは無視するのですか。中身がわからないって——それじゃ私の方から中身の二十四項目を指摘しましょうか。それはもう外務省は知っているのでしょう。
○長谷川説明員 ただいまの官房長官御答弁のとおり、韓国の方から具体的な記述については政府間では申し入れてきておりません。
○井上(一)委員 古代史から近代史に至るまでいろいろ、挺身隊の問題、徴用の問題、徴兵の問題、神社参拝の強要の問題だとか、三・一独立運動の原因及び契機等についてのわが国の教科書の記述に対する問題が指摘されているわけなんです。それじゃ官房長官、三・一、この問題についてのあなたの認識、強制連行についてのあなたの認識、これをまず聞きましょう、教科書とは切り離して。
○宮澤国務大臣 十分存じませんので、まことに申しわけありませんが、お答えはできません。
○井上(一)委員 十分存じませんという、まあ、よく知っていらっしゃるのにそういう答弁をされるわけです。わが国の植民地支配に対して反対をし、朝鮮民族独立の、いわゆる自国独立を求めての運動、これが三・一運動ですね。教科書では暴動というふうに記述をされている。そういう暴動であるとか民族運動であるとか、どちらなんだということを、私はストレートにあなたに聞きたかったのだけれども、そのことを聞かずに、この三・一事件の行動というものをあなたはどう認識されているのですか、あるいは過去戦時中の徴兵、徴用というのを国民徴用令の適用だと理解をしているのか、強制連行だと理解をするのか、そこらはどうなんですか。
○宮澤国務大臣 私が申し上げられることは、椎名外務大臣が、「過去の関係は遺憾であって、深く反省している」と述べられておる以上、そういう幾つかの具体的なことがあったということは、この反省の中に含まれておるんだと思いますけれども、具体的な事件をどう解釈するかということになりますと、私はその方の専門家でもございませんので、お答えのしようがございません。
○井上(一)委員 それじゃ、問題を指摘をされたら、政府レベルの指摘でない限りには回答をしないのでしょうか。正式な外交ルートでない限り、わが国はその国民的な運動に対しても。韓国政府に対してわが国の対応というものは、政府レベル、外交レベルを通さない限りには対応しない、こういうことなんでしょうか、官房長官。
○宮澤国務大臣 ちょっと事実関係がよくわからないままのお話でございますけれども、韓国政府としてこういう考えであると言っておられるのではないように、いま井上委員もそういう前提でおっしゃっておられますので、したがいまして、そうであればこちらの政府がそれに対応するということにはすぐにはならないのではないだろうか、こういう想像をいたしますけれども、ちょっと具体的な案件がわかりませんので、それ以上お答えができません。
○井上(一)委員 私は、韓国文部省の外郭団体である、権威あるそういう国史編さんの委員会での問題指摘だから、当然わが国はこれに対して何らかの対応をすべきである、こういうふうに指摘をしているのです。しかし、政府からの正式な指摘でないというようにあなたは認識をしていらっしゃる。そういう正式な指摘でない限りにはこの問題については対応しないのですか、私はこの問題についても何らかの形で対応をすべきではないかという質問をしているのです。それについてあなたの方の考えを聞かしてもらいたい。
○宮澤国務大臣 先ほども何か古代史からずっとというふうに言われましたが、その中身が第一わかっておりませんし、われわれとしてそれを直接聞いたわけでございませんから、問題がちょっと把握できませんで、正確にお答えができないのでございます。
○藤村説明員 韓国におきましては、大体本年の七月の上旬から朝鮮日報などで、日本の歴史教科書の記述内容についての批判が一斉に行われ始めたわけでございます。文部省としましては、このような韓国内の教科書の論議にかんがみまして、五十七年の七月三十日文部省初等中等教育局長が在日韓国大使館李相振公使を招きまして、文部省としては、韓国政府の強い関心に留意し、韓国内の論議には謙虚に耳を傾けたいこと、二番目として、わが国の教科書制度は検定制度を採用しており、文部省としてはこの制度のもとで最善の努力を払っていること、三番目に、検定は日韓友好の精神の上に立って行われており、今後とも学校教育においても日韓親善と友好を深めていきたいことという説明をいたしております。 なお、私どもの方といたしましては、必要に応じまして機会を見て説明をする等の必要があるというふうに判断をいたしております。
○井上(一)委員 官房長官、私は、三十六年間の認識の違いが今回の問題を引き起こしている、その違いに対しては、こちらの表現に対する配慮が十分でなかった、配慮が足りないという認識が必要だ、そういう認識に立たなければいけない。そして、官房長官も結論としてはそのことは理解していると私は思っておるのですが、配慮が足りないという見解の違いあるいは認識の違い、そのことが今回の問題を起こした、今回の問題はそういうことで起こってきている。そういうことについてはお互いの立場を十分理解しながら、表現には十分な配慮が必要である、こういう認識は当然官房長官は持っていらっしゃる、私はそう理解をしているのです。個々の問題についてはもうあなたは頑として、なかなかうまい答弁をされますが、しかし、そのことだけは通じますね。
○宮澤国務大臣 先ほども足を踏んだ側、踏まれた側という、まことに適切な比喩をお使いになられましたが、まさにそのようなことが椎名外務大臣のこの共同コミュニケで申しておることでございまして、こういう物の考え方は、当然基本的にはわが国の教科書編さんに当たっても学習指導要領等を通じて反映されているものというふうに思うわけでございます。
○井上(一)委員 くどいようですけれども、もうそういう指導要領に反映されておる——反映されておったら今回の問題は起こらなかったと私は思うのです。だから、それは官房長官、通り一遍の椎名発言ですべてが包括されているんだという、確かに椎名発言の見解というものは尊重されるべきであるし、現在も継続されていると思いますけれども、それであるならばあるほど、やはり今回の問題がなぜ起こったかということの認識が問われるわけで、それには十分な配慮が足りなかったということではないでしょうか、結論として。
○宮澤国務大臣 わが国の韓国に対する基本姿勢、過去の関係に対します考え方はここに述べたとおりのことでございまして、この点は今日といえどもいささかも変わっていないということを政府としては申し上げることができます。
○井上(一)委員 それは何回も聞いています。そういう姿勢は変わりはない、変わりがないのだけれども今回問題が起こった、そのことはやはりいろいろな意味での配慮が足りなかった、私はそう思うのです、そうでしょうと言っているのです。
○宮澤国務大臣 それは、足を踏んだ側、踏まれた側というまことに適切な表現をお使いになったと思いますけれども、わが国はやはりそういう立場であったものとして、この共同コミュニケの中で申し述べたようなことを今日といえども政府は考えておるということでございます。
○井上(一)委員 政府としてこの問題に対する統一した見解は出すべきだと私は思うのです。さっきから、閣僚それぞれが表現の自由という一つの民主主義の中で、民主主義というのはお互いの立場を尊重し合えるという大原則の上に立っての自由なる行動、自由なる発言があるわけです。そういう意味で私は、ここで民主主義について議論しようとは思いませんが、政府としての統一見解を出すべきであるというのは当然だと思うのです。松野発言があれほどまかり通って、あたかもそれは椎名発言とはうらはらな発言なんです。それで閣僚の一員の個人的見解だと済まされる問題ではない。ここで私は政府の統一見解を出してもらうべきであるということを強く要求します。
○宮澤国務大臣 私が先ほどから何度か日中共同声明並びに日韓コミュニケにございますことを引用させていただきましたのは、そして今日も政府の態度は変わっておりませんと申し上げましたのは、それが政府の今日の統一した見解であるということを申し上げるためであったわけでございます。
○井上(一)委員 私は一応約束の予定の時間が来ましたので、残余の質問については後刻理事会等で相談しながら続けたいと思います。 なお、文部省と外務省との情報提供の問題については、ひとつきっちりとしたもので私の方に報告をしてもらいたいというふうに思います。
○永田委員長 新村勝雄君。
○新村委員 文部省にお伺いをいたします。 文部省は昭和五十四年十二月二十七日付で東日本学園大学の理事長に対して、その運営の適切でない面について指導をされております。その内容は「貴学の設立に際し、寄附を行った株式会社のために、昭和五十三年度に同社が有していた負債を肩代わり弁済したこと、貴学の設立及び学部増設に際し寄附を行った個人に対し昭和五十三年度及び昭和五十四年度に無利息で資金の貸与を行っていること及び貴学の運用財産である土地の開発を請け負った株式会社に対し、同開発費の一部に充てる目的で昭和五十三年度に当該開発されたものを含め運用財産である土地を著しく低廉と思われる価格で売却したことは、学校法人に重大な損害を与える不当な措置と認められる。 よって理事長及びその他の役員の責任において速かに是正の措置を講ずるとともに、かかる適正を欠く学校法人の運営を行ったことに対し理事長及びその他の役員の責任を明らかにすること。」こういう指導をされておるわけであります。 この中で幾つかの大きな問題点があるわけであります。それについてお伺いをしたいと思いますけれども、「寄附を行った株式会社」とはどういう会社ですか。
○福田説明員 お答えをいたします。 新日本観光興業株式会社というところでございます。
○新村委員 次に、「寄附を行った個人」とはどなたですか。
○福田説明員 佐々木真太郎さんと伺っております。
○新村委員 ここに文部省が指摘をされておる不当事項でありますけれども、その事項とは、具体的にどういうことでございますか。
○福田説明員 一つは、東日本学園大学の設立に際しまして寄附を行いましたただいま申し上げました株式会社のために、昭和五十三年度に同社が有しておりました負債をこの東日本学園が肩がわり弁済をしたということでございます。 もう一点は、東日本学園大学の設立及び学部増設に際しまして寄附を行ったただいま申し上げました個人に対し、昭和五十三年度及び昭和五十四年度に無利息で資金の貸与を行ったということでございます。 第三点は、東日本学園大学の運用財産でございます土地の開発を請け負った株式会社に対しまして、当開発費の一部に充てる目的で昭和五十三年度に当該開発されましたものを含め運用財産であります土地を著しく低廉と思われる価格で売却したということでございます。
○新村委員 文部省の指導文書によりますと、寄附を行った株式会社及び個人とありますが、この寄附はいつの時点で、どういう目的で幾ら、どこに寄附をされたのか教えてください。
○福田説明員 新日本観光は二十八億九千万学校法人に寄附をいたしたわけでございますが、ただいま申し上げました東日本学園大学の設立に際しまして、この創設のためのお金を寄附をした、こういうことでございます。(新村委員「もう一人の方は」と呼ぶ) 個人の問題でございましょうか。——佐々木さんからは、学校法人に対する寄附金につきましては、東日本学園大学が四十九年に薬学部、歯学部が五十三年に開設されておりますが、その際、両方合わせまして、まず薬学部に十四億、歯学部に三十二億寄附をいたしておりますが、あと十億ほど薬学部の借金返済の際に寄附をされておりまして、合計五十六億学校法人に寄附をされております。
○新村委員 大学等に寄附をする場合には、特に大蔵省のこれは承認のもとにだと思いますけれども、特定の寄附として免税をされるという制度があると思いますけれども、その制度との関係はどうなっていますか。
○福田説明員 指定寄附金の御質問だと思いますが、東日本学園大学に対します日本私学振興財団を通じまして指定寄附を受けました指定寄附金につきましては、四十九年から五十年の間に十四億九千万円。五十年度、五十年の五月から十二月末日まででございますが、十億。五十一年でございますが、これが十億。計三十五億の指定寄附になっております。
○新村委員 そうして、一方では、先ほどこれは御答弁があったように、新日本観光株式会社が負っておる負債の肩がわりをした。それからまた、個人に対して、これは佐々木真太郎氏に対してだと思うのですけれども、無利子で資金の貸与を行ったということでありますが、これは会社に対して肩がわりをした金額が幾らであるのか。それから、個人に対して無利子で貸与を行ったのは、いつ、幾ら貸与をされたのか、これを伺います。
○福田説明員 株式会社のために負債を肩がわり弁済をしましたのは、二十八億二千九百万円ということでございます。これは昭和五十三年度でございます。 それから、佐々木氏に対しまして無利息で資金の貸与を行ったというのが、これは五十三年度、五十四年度二カ年にわたりまして二十六億円となっております。
○新村委員 そうしますと、いままでお伺いした経過を総合してみますと、新日本観光株式会社及び佐々木真太郎氏は、東日本学園大学の設立に関して巨額の寄附をしたわけですね。そうして、そのために同大学は開学をすることができたということです。しかも、その寄附に伴って、個人から寄附をされた額については、指定寄附金として、免税措置がされておるという事実が一方にあるわけですね。その一方で、新日本観光株式会社、これは佐々木真太郎氏が社主である会社でありますけれども、この会社に対して、その負債の肩がわりを、二十八億の肩がわりをした。それから、さらに、個人に対しては無利息で二十六億貸与をしたということでありますが、さらに、私の調査によりますと、そのほかにも、この会社及び佐々木真太郎氏に対して、いろいろの形で大学から資金が還元をされておる、こういう事実があるわけです。文部省は、そういう事実を十分把握をされてこういう資料になったと思うのです。 これはきわめて遺憾なことでありまして、一方では免税措置を受けて資金の提供をしながら、一方ではその回収をいろんな形ではかっておる、こういうことが事実として知られておるわけなんです。こういうことに対して、文部省はその後どういう措置をされておるのか。 それからまた、いま御答弁をいただいた二十八億及びこれらの負債の肩がわりという形で会社に学校から資金が流れておる、また一方では個人に対して無利息で貸し付けるという形で二十六億が本人に行っておるということでありますけれども、そのほかの資金の流れについても把握をされているのかどうか。 それからまた、この学校を舞台としたきわめて不明朗な事件に対して、文部省はいままでどういう監督をされておるのか、それを伺います。
○福田説明員 お答えをいたします前に、先ほどの説明で多少説明不足だったかと思いますので、補足をさせていただきますと、私学振興財団を通じましての指定寄附、これは法人の関係でございます。新日本観光とかその他の企業の分でございまして、個人につきましてはこの指定寄附の事項には入っておりません。 ただいまのお尋ねの件でございますが、まず第一点の、株式会社のために肩がわり弁済をしたということにつきましては、五十四年から回収が行われておりまして、五十七年七月九日までに二十七億六千万円が回収されております。 第二点の、個人に対し無利息で資金の貸与を行ったということにつきましては、昭和五十七年五月三十一日に元金を回収いたしております。 この問題につきましては、先ほど御指摘ございましたように、昭和五十四年、これは私立大学審議会が、その設置後のアフターケアで視察に参りまして、こういう問題点を把握をいたしまして、その結果、五十四年十二月二十七日に、文部省管理局長通知で、是正措置につきまして指導をいたしたわけでございます。その後五十五年、五十六年引き続きその是正を求めてまいりまして、ただいま御説明したような状況に立ち至っておるわけでございます。
○新村委員 両方について完全に回収をしたということでありますけれども、これは回収をすればそれでそういう措置が全く合法化するのかどうか、完全にその行為が治癒されるのかどうか。これはきわめて疑問ですね。いやしくも特別の国の恩恵措置を得て指定寄附金として免税措置で寄附されたわけでありますから、それが不当な形で還流をしたという時点で、これは完全に違法な事態がそこで生じておるはずでありますから、これに対する措置をどうするのかということです。 それから、完全にそれが回収をされていたにしても、そういう一連の不当行為を文部省はどう解釈しているのか。これを伺います。
○福田説明員 このような学校運営の適正を欠くということは、御指摘のとおり、まことに遺憾なことでございます。先ほど申し上げました通知の中におきましても、「役員の責任において速かに是正の措置を講ずるとともに、かかる適正を欠く学校法人の運営を行ったことに対し理事長及びその他の役員の責任を明らかにすること。」ということを五十四年十二月に指摘をいたしたわけでございます。五十三年に一度補助金が交付されておりましたが、それは取り消しをいたしまして、その後この法人に対しては経常費の補助を行う措置はとっておりません。行われておりません。 この役員の問題でございますが、この学校法人といたしましては、私どものそういう指摘に対しまして、理事長は、指摘を受けた事項につきましては、適正を欠く運営行為であり、学校法人の運営管理責任者としてその責任の重大性を痛感し、深く反省しておる。私どもに対する回答をしてまいりましたこの改善措置を速やかにかつ確実に履行するとともに、今後は学校法人の善良なる管理者としての義務を果たして、今回の轍を二度と踏まないよう努力するという回答をいただきまして、いま先ほど来御説明をいたしましたこの運営の適正を欠いた点について改善の措置をとっていただいて、今日までまいっておるわけでございます。
○新村委員 そうしますと、寄附を行った会社の負債の肩がわりをしたということ、それから無利子で資金の融通をしたということ、これは完全にもとに戻っておるということですか。それで、この両者と学校との間にはいま資金の関係については何にも問題がないということですか。それをもう一回確認します。
○福田説明員 株式会社の件につきましては、先ほど申し上げましたように、肩がわり弁済した額が二十八億二千九百万円余ということでございます。先ほど申し上げましたように、大部分の二十七億六千万円余が回収されておりますが、なお若干まだ残っておりますし、またそれに相当する利息の分がこれから回収されなければならないという問題がございます。 なお、個人に対する資金の貸与についての回収でございますが、これは相当額が、二十六億そのまま還元をされているということで、これも若干利息の問題は今後引き続き回収するということになろうかと思います。
○新村委員 個人については大部分と言いますけれども、正確には幾ら回収をされているのですか。
○福田説明員 個人につきましては二十六億円でございましたので、二十六億円五十七年五月三十日にすべて元金は回収されております。 それから株式会社の方でございますが、先ほど申し上げましたように、肩がわり弁済した額が二十八億二千九百万円余でございますが、回収額が二十七億六千万円余でございます。
○新村委員 それで、この事態に対して、この事件は明らかに背任あるいは横領の罪に該当するのではないかと思いますが、この問題について法務省の御見解を伺います。
○飛田説明員 ただいまいろいろ御論議がございまして、拝聴しておりましたけれども、東日本学園大学という大学の設立に関して、資金が学園大学の方にあるところから流れて、その後いろいろなことがあって、その資金かあるいは別の資金かわかりませんけれども、とにかく寄附をした方に無利息の貸与がなされ、あるいは肩がわり弁済がなされたということは事実のようでございますけれども、それはどういういきさつでなされたか、あるいはそういうふうな行為をやった人たちがどういう気持ちでやったかということがはっきりいたしませんと、犯罪の成否ということを論ずることはできないと考えております。 ですから、ただいまの段階で犯罪になるかどうかということについては明言をすることはできないというふうに承知しております。
○新村委員 この事態に対して調査をされるかどうか。いままで調査をしたことがあるかどうか、それからこれから調査をされるかどうか、それを伺います。
○飛田説明員 犯罪の捜査をこれからするかどうかということについては、本来公にすべきものではないと思います。現在まで判明した事実について、犯罪になりそうだとかなりそうではないということが全く見当がつきませんこういう段階では、捜査権という相当強大な権限を軽々しく行使することはできにくいかというふうに考えておりますが、捜査当局はこの事態の成り行きについてはそれを見守っているところであろう、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
○新村委員 もう一つ。この東日本学園大学の設置に関して、東日本学園大学設立準備委員会がその地元の町から破格に安い価格で土地を購入しておりますね。坪十円というきわめて安い価格で購入をしておるわけですけれども、その土地を今度は十数倍の値段で——十数倍の値段といってもきわめて安い値段ですけれども、転売をしておるという事実があります。これもやはりこの文部省の指導文書の中にありますけれども、「昭和五十三年度に当該開発されたものを含め運用財産である土地を著しく低廉と思われる価格で売却した」とありますが、この値段についてもその地方の一般に取引をされている値段の約十分の一程度で売却をされているということが言われておるわけであります。この問題については、文部省はどう処理されましたか。
○福田説明員 ただいまの問題につきましては、学校法人の運用財産としての土地でございますが、当時の取得価格は二億四千五百万円余であったというふうに承知いたしております。それについて開発費を六億ほどつぎ込んだわけでございます。それでその土地を二億九千万円余で売却をいたした、こういうことでございますので、帳簿上の損額と申しますか、そういうものが五億五千万余出てくるわけでございます。そういうことで著しく低廉と思われる価格で売却した、こういうことでございますので、その是正方についていま御指摘にありました通知で指摘をしたわけでございます。
○新村委員 その事件が起こったのは、この通知が出されているのが五十四年ですからその前にすでにそういうことが行われているわけですね。そしてそれからすでに二年半くらいたっておる。その間にどういう是正の措置が行われたのか、それからその間において文部省がどう指導されたのか、伺います。
○福田説明員 私どもの学校法人に対しての指摘に対しまして、学校法人からの是正の計画といいますか、そういうものが出されておったわけであります。これは売ってしまったわけですが、その売った先の会社が将来土地を売却したときに六億程度の、譲渡益により学校法人に還元するというような話になっておったわけでございますが、当初のこの是正の計画が現在履行が困難な状況になっておるわけでございます。この状況になったことにつきまして理事の責任の所在を明らかにするために、とりあえず理事長と四名の理事が五十七年五月三十一日、一千万円の損害の補てんを行い、今後とも理事長の責任において可能な範囲での補てんがなされるよう努力をするという報告を現在受けておるところでございまして、これを見守りながら今後必要な指導を行おうというふうに考えております。
○新村委員 この土地の価値からして一千万円では全く問題にならないわけですね。この学校に与えた損害は全くけた違いに大きいわけでございます。そうして同時に「理事長及びその他の役員の責任を明らかにする」ということを文部省がみずから言っておられるわけでございます。この問題については、その後の経過はどうなんですか。
○福田説明員 ただいまの通知で指摘しております問題は、五十四年に学校法人のもろもろの運営について適正を欠くということに対しての役員としての責任を明らかにしてほしい、こういう指摘をいたしたわけでございますが、先ほどお答えを申し上げましたように、これに対して学校法人からは、この指摘を受けた事項につきましては適正を欠く運営行為であって学校法人の運営管理責任者としてその責任の重大さを痛感し、深く反省しておる、こういうことでその当時指摘しました事項について改善措置を立てたわけでございますが、その改善措置を速やかにかつ確実に履行するとともに、今後は学校法人の善良なる管理者としての義務を果たし、今回の轍を二度と踏まないように努力をするという回答をいただき、その是正計画に従って所要の改善措置がとられるように指導をしてまいっておるところでございます。
○新村委員 それから国税当局に伺いますが、この寄附金のうちで指定寄附金として免税になった部分がありますね。その免税された金が先ほどの経過のような形で全く不明朗な形で所期の期待されたような効果を上げていない。是正を若干されておるにしても期待されたような使い方がされていないわけでありますけれども、そういう場合にはこの免税措置はどうなりますか。
○日向説明員 先ほどからの御議論にありましたように、寄附金におきまして指定寄附金の指定を受けました場合には、所得計算上法人の場合には損金に算入、個人の場合には所得控除ということになりますが、先ほどからの事実関係をお聞きしておりますと、法人につきましては指定寄附の問題があるようでございますけれども、それ以外の件については特にメンションされてないようでございます。したがって、われわれとしては個別の問題について具体的にここで申し上げることはできませんので、それ以上のことはここでは申し上げられません。ただ、そういった事実関係がいろいろとございました場合には、その事実関係は十分念頭に入れまして、これからの課税上の問題の処理に当たっては対処していきたい、こう考えております。
○新村委員 対処していきたいとおっしゃるのですけれども、それはどういう対処をされるのか。
○日向説明員 いろいろな資料、情報を総合いたしまして、事実関係といたしまして指定寄附に相当することが妥当かどうかということがまず第一であろうと思います。ただこの点につきましては、私どもの見ている点ではまあそう大きな問題はないのではないかと考えております。 それから、その指定寄附なりあるいは一般寄附なりによって寄附されたものが、今度は学校法人においてどういうふうな扱いを受けておりますか、ないしはその学校法人とそれから役員である個人ないしはその個人が主宰する会社との関係でどういうことになっておりますかということにつきましては、その関係間における資金の移動の事実関係ないしは移動した資金の性質というものを十分解明いたしませんと何とも判断しかねるわけでございます。したがいまして、一般論としてそういったことを解明した上で判断することではないか、私はこうお答えしているわけでございます。
○新村委員 その点はひとつ十分に資金の流れを調査をされて、疑惑にこたえていただきたいと思います。 それから、文部当局にお伺いをいたしますが、この一連のことを考えてみますと、資金が非常に不明朗な形で裏で動いておるという事実、それからまた膨大な土地を、地元の自治体が公共性を考え、地元の発展を考えてほとんど無償に近い値段で払い下げをしたにもかかわらず、その後の扱いがまるで、いわゆる土地転がしというような形で転々としているという事実、これらを考えると、この学校の設置というものがその裏に当初からきわめて不純な意図が伴っていた、事実からしてそう考えざるを得ないわけです。ですから、こういった問題を踏まえて、文部省はこれからどういうふうに、国立はこういう問題は起こらないと思いますけれども、私立大学の監督をしていかれるのか、特に財政面での監督をしていかれるのかということ、これをお伺いをいたします。 そして、えてしてその裏面には入学に際しての巨額の寄附金を強要される、こういう問題もあるわけであります。そういった問題もやはりこの問題は伴っておるわけであります。そこらの点を考えながら、今後どういうふうに指導していかれるのか、伺います。
○福田説明員 近年、特に私立の医科あるいは歯科大学の一部におきまして、不明朗な大学の経理処理等の問題が生じ、社会的な不信を招いておるということは、まことに遺憾に存じております。こういうような状況にかんがみまして、昭和五十二年に一度、私立医科、歯科大学に対しまして入学に関する寄附金の収受等の禁止、あるいは入学者選抜の公正確保、あるいは学生の負担軽減措置、また経営の健全化、経理の適正処理などにつきまして指導を行ったところでございますが、同時に個々の指摘された学校法人につきましても、個別に事情聴取をしたり指導を行ってきているところでございます。 昨年の五月二十二日にもう一度、新たな通知をもちまして、私立大学医学部等におきます入学者選抜の公正確保あるいは経理の適正等につきまして重ねて指導をいたし、同時にその趣旨を全国の私立の大学にもあわせて注意の喚起をいたしたところでございます。 学校法人の設立等の問題に当たりまして、いろいろ御指摘の御心配の点も私ども十分ございまして、この審査に当たるにつきましても、従来は単年度で審査をしておったというようなことを、二回にかけて、新設の場合は審査をするといったようなこともしておるわけでございます。今後とも管理運営の適正な確保に努めてまいりたいというふうに思っております。
○新村委員 官房長官にお願いをいたしますが、いまお聞きをいただいたような、一連のきわめて不明朗な事実があるわけであります。この大学の設置そのものが一つの金もうけあるいは土地転がしを意図しながら計画したのではないかと思われる節さえも、これはあるわけであります。きわめて遺憾であります。そのほかにもこの問題にまつわる裏口入学の件であるとかあるいは多額の寄附金の問題であるとか、学校、学生管理の点における問題であるとか多くの問題があるわけでありますから、こういったことを考えた場合に、まさにこれは教育の荒廃きわまれりという感じがするわけであります。民間の私学といえども、きわめて良心的に文教政策に協力をし、あるいは国民の教育を高め、文化の進展に寄与しておられるほとんどすべての優秀な大学の中で、こういう不良な大学があるということはきわめて遺憾でありますし、このことによって教育に対する国民の信頼を裏切るということにもなるわけでありますから、今後の私立大学の新設はもとより、管理についても十分こういった点にも留意をされて進められるように、文部大臣の方へひとつお伝えをいただきたいと思いますし、また官房長官の御意見がありましたら伺いたいと思います。
○宮澤国務大臣 私立大学が負っております社会的な責務は非常に重大なものでございますから、政府として大学が適正に管理され、運営されるように常に指導に心がけねばならないところであると存じます。先ほども文部省の方から、昨年にも新しい通知をし、指導したということを申し上げたわけでございますけれども、新設等も含めまして、十分今後とも、政府としても指導いたさなければならないと存じております。御指摘の点、私からも文部大臣にお伝えをすることにいたしとうございます。
○新村委員 終わります。 〔委員長退席、中川(秀)委員長代理着席〕
○中川(秀)委員長代理 春田重昭君。
○春田委員 何点かお伺いしますけれども、官房長官におかれましてはなるべく抽象的な答弁でなくして、わかりやすい形で御答弁をいただきたいと思います。 まず、臨調の問題についてお伺いいたしますけれども、第二臨調の基本答申が七月三十日に政府に提出されておるわけでありますが、この答申に対する御見解、そして今後いかなる形で具体的にこの臨調答申を実現されていくのか、冒頭にお答えいただきたいと思うのです。
○宮澤国務大臣 臨調の答申につきましては、たまたま本日閣議決定をいたしたところでございますが、その内容は、この答申を最大限に尊重するということ、当面具体化を急ぐべき措置については速やかに成案を得て所要の施策を実施に移す、制度改革を伴う基本問題等今後の検討及び処理にゆだねられた事項の取り扱いについても、逐次所要の結論を得てその実現を図るよう措置するということでございまして、本日この閣議決定をいたしましたので、これから具体化に取り組んでまいろうと考えております。
○春田委員 急ぐものは速やかに成案を得て早急に取りまとめていくということでございますけれども、政府としては臨時国会を、いろいろ取りざたされておりますけれども、お考えになっておるのですか。
○宮澤国務大臣 私の承知しております限り、政府としてそれにつきましてまだ何も決定をいたしておりません。
○春田委員 決定はしてなくとも、この臨調答申だけでなくして、景気の問題もありますし、またいわゆる歳入欠陥の問題、財政運営の問題その他必要事項がたくさんあるわけでございまして、臨時国会というのは時期の問題は別として、必要性は非常に高まっているのではないかと思うのですけれども、官房長官としてはどうお感じになりますか。
○宮澤国務大臣 確かに御指摘のように御審議を仰ぎたい案件が幾つかございますことは事実でございますけれども、御承知のように自民党の問題といたしまして総裁の任期満了に伴います改選の問題がございまして、そういうこともございますために、総理大臣としてはいま自分の立場で臨時国会云々ということを申すことはいかがかと思う、不謹慎のそしりを免れない、こういう心境であるように存じております。
○春田委員 この臨時国会というのは、総理だけのそういう個人的な、そういう心境だけで決められる問題ではないと私は思うわけでございまして、国民のそうした緊急の大きな問題、課題等があるわけでございますから、わが党としても中道四党で要求しているわけでございまして、この臨時国会は、私は当然開催すべきである、こう要求しておきます。 そこで、いわゆる臨調答申に対しましては、いま長官も最大限に尊重していくということをおっしゃっておりますけれども、最大限尊重していくということはどういうことかということでございます。いわゆる理念とか精神はわかるけれども、実際に中身の実行といいますか、実践につきましては相当いろいろ抵抗、反対もあるみたいでございまして、むずかしいというニュアンスもとれるわけでございまして、この最大限尊重するということはどういうことか、長官の御答弁をいただきたいと思うのです。
○宮澤国務大臣 臨調の答申につきまして、最大限尊重というのはどういう意味かということでございますが、答申の基本になっております根幹的ないわゆる大骨と申しますか骨格になる部分につきましては、可能な限り答申の趣旨に沿っていく。もとより具体的な問題になりますと、どういう方法が適当かというようなことについていろいろ議論はあり得るわけでございますから、すべてのことを一〇〇%答申のとおりというわけではございませんけれども、基本的な物の考え方についてはこれに沿って施策をしてまいりたい。また、御審議を仰ぐべき法律案がございますれば、それもその趣旨に沿って提出をして、国会の御審議を仰ぎたい、こういう趣旨でございます。
○春田委員 そうした官房長官の答弁が、とり方によっては、総論は賛成するけれども各論は反対であるという声になってくるわけですね。現実に、たとえば省庁の統廃合の問題の中では、臨調のいろいろな部会報告の中でも相当反対の声もあったわけでございますけれども、基本答申には出されております。 この国土庁と北海道開発庁、沖繩開発庁の統廃合の問題がいわゆるかなり問題にされたけれども、最終答申になっているわけですね。それから、総合管理庁として、行管庁と総理府の人事局の統合の問題についても、いわゆる答申が出されているわけでございますけれども、各省それぞれに反対の声が出ているわけでございまして、こうした具体的な省庁の統廃合につきましては、一番私は根本になる問題だと思うのですけれども、この点については官房長官どうお考えになっておりますか。
○宮澤国務大臣 さしずめ、国鉄の再建に関する部分等々が臨調としても非常に緊急であるというふうに指摘をしておられますので、まず最初に着手すべきはそのあたりの問題、それからそれとの関連もございまして、年金をどうするかというような問題も早く検討に入るべきかと存じております。 ただいま省庁の統合についてお話がございました。これにつきましては、政府・与党で行政改革を推進するための推進本部というものをつくっておりまして、その幹事会と申しますものが関係閣僚あるいは党の役員等で構成されております。そこで、ただいまのような問題は具体的にどういうふうに運ぶべきかという議論を始めたい、こう考えておるわけでございます。
○春田委員 私は、今回の基本答申に盛られております省庁の統廃合の扱い方いかんによっては、恐らく来春に出されるでありましょう省庁の統廃合の問題がかなり影響されるんではなかろうかと思うのですね。そういう点でいろいろな論議をされたけれども、いま一番国民が望んでいるのは、いわゆる省庁の統廃合の問題なんですよ。そういう点で、官僚といいますかそういう抵抗もかなりあると思うのですけれども、省庁の統廃合は真っ先にやるべきである、このように私は主張しておきたいと思うわけでございます。 それから、行革の理念にもあります「増税なき財政再建」というものが再び強調されているわけでございまして、大蔵省なんか非常に強い抵抗を示しているみたいでございますけれども、歳入欠陥の問題がある今日、政府としてこの「増税なき財政再建」という基本理念、基本方針といいますか、これは堅持できるというかたい決意があるかどうか、長官の御見解を伺いたいと思います。
○宮澤国務大臣 第三次答申におきまして、「増税なき財政再建の推進」ということにつきましてかなり詳細に定義を含めて述べておられます。この趣旨に沿ってやってまいらなければならないと思います。と同時に、いわゆる税外収入を含めまして、幅広くそのような歳入面を考えなければならないことも、これも事実であろうと存じますけれども、基本的に臨調が述べております「増税なき財政再建」、これは推進してまいらなければならないと思います。
○春田委員 長官も第三次答申の中身は隅から隅とまではいかないかもしれませんけれども、重要な部分はごらんになったと思うのです。この中で「全体としての租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たな措置を基本的にはとらない、」この項目でございますが、税制上の新たな措置というのは、新税ですね、一般消費税、またよく言われます広告税やギャンブル税の問題とともに、既存の税制改正で増税等もやらない、こう私は理解しているわけでございますけれども、これは直接的なものは大蔵省だと思うのですが、官房長官はどうお考えになっておりますか。
○宮澤国務大臣 実は本日閣議決定をいたしたばかりでございまして、この辺を厳格にどう読むかということは、私、ただいまお答えをいたしますだけの知識がちょっとございません。大蔵大臣がおられますとお答え申し上げられると思うのでございますが、ただここで申しておりますのは、国民所得に対比しての租税負担率をいわば全体として引き上げるような、そういう税制上の新しい措置は基本的には回避せよ、こういうことだというふうに私は読んでおります。
○春田委員 この問題につきましては、また大蔵省所管のときに具体的に質問してまいりたいと思います。 時間の関係で結論だけ申し上げますと、いずれにしましても、わが党は基本的には今回の臨調答申をおおむね評価はしているわけでございますけれども、具体的内容やプロセスにつきましては不鮮明な部分、また踏み込みが足らない部分も相当目立っているわけでございます。そういう点で国民の声を背景にしながら、この臨調答申を見守ってまいりたいし、またわが党でも言うべきところは言っていきたい、こう思っているわけでございまして、いずれにいたしましても政府がうまいところだけをとって食い逃げするようなことのないように、官房長官としては番頭としてそうした監視をしていただきたい、このように要求しておきます。 続いて、日韓の経済協力の問題でございます。この問題も外務省が中心でございますので、具体的な問題はその外務省所管の時点でやりたいと思いますけれども、いま教科書問題等でも韓国等が相当荒れているだけに、この経協問題も相当関心を持って見ているわけでございます。 そういうことで見解を聞きたいわけでございますが、去る七月五日ですか久しぶりに日韓外相会談が行われて相当いい雰囲気であったそうでございますけれども、内容面においてはまだまだ並行線をたどったままに終わっているのではなかろうかと私は思うのです。韓国のプロジェクトはことしから始まっているわけでございますけれども、五十六年度の経済援助もまだ決まっておりませんし、今後の五カ年間、向こうから要求するものもまだ決まってないわけでございまして、教科書問題とともに新たな政治課題となっているわけでございます。官房長官、解決の見通しは大体どのようにお考えになっているのですか。
○宮澤国務大臣 御指摘のように先般韓国の新しい外務部長官が来られまして、日本政府の首脳と話をして帰られまして、いまおっしゃいましたように雰囲気が好転しつつあると申しますか機が熟しつつあるという感じを私どもも持っておるのでございますけれども、しかし具体的な数字の詰めになりますとなかなか、ここまでいけば大体妥結ができるというような見通しまで得ておるわけではございません。しかし、本来でございますと、かなり時間もたっておりますので、わが国としてのできる範囲のことを先方に伝えて妥結をぽつぽつしたい時期だと私どもとしては考えております。 教科書問題が起こっておるわけでございますけれども、本質的にはこれは全く別の問題でございますので、私どもとしては別の問題として経済協力は何とか結論を出したいなというふうな感じでおります。 〔中川(秀)委員長代理退席、委員長着席〕 韓国の方がそこをどういうふうに考えておられますか、別の問題と申しましても事柄が事柄でございますから、先方はあっさりと教科書問題の方はしばらく別にしてというふうな対応になっていくのかどうか、韓国には韓国の気持ちがあるだろうと思うのですが、私どもとしては別な問題として経済協力をなるべく早く円満に妥結したいと思っておりますことは変わりがございません。
○春田委員 別問題とは言いながら、向こう側としてはリンクしているように感じているのではないかと思うのです。教科書問題も大きな問題でございますけれども、相当いろいろなデモとか暴動等が起こっているみたいでございますけれども、そうした底流には経済援助がうまくいかないという点もリンクしていることはあるのではなかろうかと私も思っておるわけでございます。 時間の関係で官房長官に確認しておきたいのですが、四点だけ申し上げますのでお答えいただきたいと思うのです。 一つは総額でございます。五年間で六十億ドルを要求していたわけでございますけれども、それだけのプロジェクトがないということでわが国の試算ではせいぜい四十億ドルが限度であるという報道等がされているわけでございますけれども、六十億ドルを四十億ドルに下げたので合意されたのかどうか。 第二点としては商品借款でございます。従来から中進国にはわが国の方針として商品借款は出していなかったわけでございますけれども、これを認めるかどうか。 第三点目には、最近問題になります内資分ですね、労務賃とか外国からいろいろな商品等買っていく輸送費等の内資分の増加を認めるかどうか。わが国は基本的には円借款の三〇%を限度として考えているみたいでございますけれども、いわゆる商品借款が問題になっているだけに内資分の増加という形で新たな措置を求めてきているようでございます。これをどう考えるのか、増加を認めるかどうか。 第四点目には、従来、昭和五十五年までは年間百九十億円、八千五百万ドルというのが大体の過去の実績になっているわけでございますけれども、仮にこの円借款を十五億ドルとした場合、単年度平均では三億ドル、従来からいったら三倍ないし四倍の援助額になるわけでございます。これだけ韓国に援助額がふえれば当然他の国への影響といいますか、援助額が減っていくんではないかという心配があるわけでございます。政府は倍増計画がございますけれども、この点はどう考えるのか、この四点にわたりましてお答えをいただきたいと思うのです。
○宮澤国務大臣 総額で四十億ドル程度がわが国が負担し得る限界ではないかということは、私もそういう感じでございまして、本当はそこへ行くのもなかなか容易なことではないという感じを持っております。 それからもう一つ内資というものが要るだろうということは、恐らくそういう事情が韓国にあると思いますので、わが国の法律なりたてまえ、方針で許す範囲のことは考えられるのなら考えるべきじゃないかと思っておりますが、私自身実は余り詳しい内容を存じませんので、お尋ねの点、外務省の方からお聞き取りをいただきたいと思います。
○小倉説明員 先生がおっしゃいました四点につきましてお答え申し上げます。 第一点につきましては宮澤長官が申し上げたとおりでございますが、そもそもその四十億ドルという問題はいわば一つのめどの話でございまして、私どもとしましてそういうものに正式に合意するとか合意しないとかという問題では必ずしもない。ただ、向こうも五カ年計画を持っておりますので、全体としてその期間にどの程度の援助を期待し得るかということについての日本側の考え方を示してほしいということでございますので、そういう意味で話し合っておるということでございます。数字そのものの程度、規模につきましては、いま長官が申し上げたように日本の政府としては考えております。 第二点の商品借款につきましては、韓国のような国に対しましてはきわめて困難であるというのが私どもの考え方でございまして、これはいろいろな場で私どもが申し上げているとおりでございますし、韓国政府にも何遍も申し上げているとおりである。 第三点の内資分の問題につきましてはいま宮澤長官が申し上げたとおりでございますが、基本的には現在の制度の枠内でケース・バイ・ケース、プロジェクトに沿って検討していきたいというのが私どもの考え方でございます。 最後の、百九十億円をふやした場合にどうなるかという点につきましては、ODA倍増計画もございますので、その中で私どもとしては韓国の分も当然考えてまいる、したがってその場合にはもちろん第三国の問題も考えなくてはいけないというふうに考えておりますが、現在、まさにそうであるがゆえにほかの国にも配慮した形での対韓援助の増額を考えていきたい、このように考えております。
○春田委員 最後に防衛問題について若干お伺いしますけれども、五十八年度の予算は各省マイナス五%シーリングの中で、防衛庁の予算は七・三五%の伸びになったわけでございます。国民の批判の声もあるわけでございますけれども、せんだって七月二十三日に防衛庁が五六中業を発表されております。この防衛庁案でいけば、五十一年の十一月閣議決定されましたGNP一%を守るという方針が突破するのは時間の問題である、このようにも言われているわけでございますけれども、この点、官房長官どうお考えになっておりますか。
○宮澤国務大臣 五六中業の実施に伴う期間中の問題でございますけれども、分子になります防衛関係の経費、これは御承知のようにいわゆる正面装備につきましてはある程度詳しい見積もりをしておりますけれども、後方関係あるいは人件、糧食費等は大変にラフな概算をしておるだけでございますために、まず分子になります防衛関係費が正面装備以外はかなり流動的な要素を含んでおるということがございます。それからGNPにつきましては、分母につきましてはもとより本来そういうものでございますので、分子、分母とも大変に大まかと申しますか、かなり流動的なものだというふうに考えなければならないと思っております。 他方で、防衛庁としましても、できるだけ費用対効果の結果を大きくするように最大限の努力をしていくということでございます。この期間中に一%を超えるといったようなことを前提にして五十一年の閣議決定を変えるということは必要のないものというふうに考えております。
○春田委員 防衛庁の試算では、正面装備費用が期間中で四兆四千億から四兆六千億になっております。その他後方支援とかいわゆる食糧費ですか、糧食費というのが出ておりまして、総予算額は十五兆六千億から十六兆四千億になっておりますけれども、私から言わせれば、後方支援の問題、人件費、糧食費の問題はかなり圧縮された額で出てきているのじゃないか、こういう点を考えているわけでございまして、これは当然防衛庁の試算よりももっともっと伸びていくのじゃないか。となれば、当然いわゆる分母の数は、数字は大きくなっていくわけでございます。 また、先ほどおっしゃったように分母となりますいわゆる経済見通しでございますが、新経済七カ年計画では五・一%の平均の伸びを見ているわけでございますけれども、非常に厳しい状況になっております。五十六年度が御存じのとおり二・七%の経済成長、五十七年度はまだ出ておりませんけれども、五十七年一月から三月の短期速報では年率にして三・三%を出ていないわけですね。四−六期は大体この九月前後に出てきますけれども、これもそんなに伸びないだろう、よくいって三%台だろうと言われているのですね。恐らく今週から手直しの作業にかかられると思いますけれども、四%ないし三%台の今後の経済成長ではないか、こういう点から考えてみた場合、当然分母の数字は小さくなっていくわけでございまして、それだけ分子の防衛費が大きくなってくれば、もう一%を突破するのは期間内というよりも、五十九年ぐらいに突破するのじゃないかという説もあるわけでございまして、間違いないと思うのです。そういう点で、当面とかいう言葉を使われまして、当面は、現在のところは変える必要はないとおっしゃっておりますけれども、この当面とか現在のところというのは、その辺の数字は未確定でございますが、たとえどういう状況になろうと一%は守っていくのだ、こういうかたい決意があるかどうかという問題を私は聞いているわけでございまして、数字の成り行き次第によってはこれは結果的に一%を突破してもやむを得ないという考え方があるのかどうか、この辺のところを長官の御見解をいただきたいのです。
○宮澤国務大臣 防衛関係経費といえども、もとよりその年その年の財政経済状況と無縁なものではございません。無関係なものではございません。それに加えまして、防衛庁自身ができる限りの効率化、合理化等を考えているわけでございますので、したがいまして、いま政府の立場として一%を超えることはやむを得ないと考えておるわけではございません。むしろそうでなくて、昭和五十一年十一月五日付の閣議決定、この線は変えずに努力をしょう、こういうふうに考えておりますのが政府の立場でございます。
○春田委員 くどいようでございますけれどももう一度確認しますが、いわゆる数字の変化次第によっては一%を突破してもやむを得ないというお考えになっているのかどうか、この点だけもう一回お答えいただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 やむを得ないと許容する態度でおるわけではございませんで、閣議決定を変えずに、ひとつその中で全力を尽くしていこうという態度でございます。
○春田委員 時間が参りましたので、この問題は別の機会にまた改めて御質問申し上げたいと思いますが、いずれにいたしましても、五十一年十一月五日に閣議決定されたGNP一%の防衛費の予算、これを破壊するということは、非核三原則や武器輸出の禁止三原則、こうした問題をなし崩しに崩壊してしまうおそれがなきにしもあらず、こう思っておるわけでございます。こうした意味からも私は整合性のある防衛予算をつくっていただきたいし、国民の納得のいく防衛予算、防衛力の増加をやっていただきたい。国民のアンケートでは、防衛についてはあくまでも必要だと感じているけれども、いわゆる必要以上の防衛力の増加、強化というのは反対である、こういう結果が出てきているわけでございますから、こうした面も踏まえながら対処していただきたい、このように要望しておきます。 それでは時間の関係で終わります。
○永田委員長 和田一仁君。
○和田(一)委員 臨調の答申が出まして、政府としてこれに対してどのように取り組むか、きょう閣議で新しく決定があったようでございますので、改めまして私も、この臨調答申についての政府の姿勢について、官房長官の御所見をまず伺いたいと思います。
○宮澤国務大臣 今朝閣議をいたしまして、臨調の答申を最大限に尊重するということを決定いたしました。と同時に、当面具体化を急ぐべきものについて、それからまた制度改革を伴う基本問題等今後処理すべき問題についてというふうに分けまして、実現を図ってまいりたいと考えておるわけでございますが、もう少し具体的に申し上げますと、その中で国鉄の問題が非常に急であるというふうに臨調答申も指摘しておりますので、国鉄再建監理委員会というものを、これは国会に法案を提出いたしまして御決定をいただかなければならないわけでございますから、その準備をできるだけ早くいたしたいというふうに考えております。 それから専売、電電につきましては、行政改革につきまして私ども政府と自民党との間で推進本部を設けておるわけでございますが、その幹事会に党の役員、閣僚等が入っておりますので、電電、専売の問題の検討は、その幹事会でできれば九月中にでも着手をいたしたいと考えております。 それから、年金問題についての指摘が答申にございますが、これは国鉄の再建に関係がございます点もございますので、これも比較的早く担当大臣を指名して問題の検討をしてはいかがか、こういうふうに考えておるわけでございます。 ただいま申し上げましたことがさしずめまず第一に着手をいたしたいと考えておる点でございまして、残余の問題につきましては今後この幹事会において逐次検討をして決めていきたい、こう考えておるわけでございます。
○和田(一)委員 いま、この行財政改革については、これは大変な国民的課題でございまして、これの推進については国民がこぞって、何とかこの機会に行革を実施していかなければいかぬ、こういうことでございますので、きょうの閣議決定の線に沿ってぜひひとつ強力に推進していただきたいと要望いたします。 加えまして、いま御答弁の中にありました国鉄再建監理委員会、こういったものの設置については、この国会にお諮りになる御予定がございますか。
○宮澤国務大臣 ただいまの国会に提出して御審議を仰ぐということは、準備の都合もあり、むずかしいかと存じます。
○和田(一)委員 速やかに実施に移したいという御決定のようでございますので、これは先ほども御質問がありましたけれども、臨時国会、そういう機会がそうなると一番早い機会だと思いますけれども、こういうことのためにも臨時国会を開催される御意思があるかどうか、お伺いします。
○宮澤国務大臣 臨時国会云々につきましては、先ほどもお聞き取りいただきましたような事情で、総理自身が、いま云々することは不謹慎だという気持ちを持っておりますので、確たることを申し上げることができませんけれども、国鉄再建監理委員会などは最も早い時期の国会で御審議をいただく必要のある、急を要する問題であると存じております。
○和田(一)委員 国民的な課題であり、また同時に、タイムリミットもぎりぎりに来ているというこの行財政の改革でございますので、できるだけ早い時期に準備をしていただいてこれが実施できるようにお願いをしておきます。 この臨調の答申に絡めまして、国防会議についても答申が出ておりますので、若干この点について御質問をしたいと思います。 国防会議というのは申し上げるまでもなく、これはわが国の国防の根幹にかかわる大変大事な会議でございます。この国防会議というものは、この使命あるいは任務、権限というものを考えますと、これは本当に非常に大事な会議体でありますけれども、これに対して臨調は「必ずしもその機能を適切に発揮しているとはいい難い。」こういう指摘をしております。 国防会議の設置と目的を考えますと、まず第一にここに挙げられておりますように国防の基本方針、二つ目には防衛計画の大綱、三つ目には防衛計画に関連する産業等の調整計画の大綱、四つ目に防衛出動の可否、そして五番目にその他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項、これらの事項については、これは国防会議に諮らなければいけない。内閣総理大臣としては、こういうことについては国防会議に諮るべし、こうされておるわけでございまして、これは大変大事な責務が与えられておる、こういうふうに思うわけでございます。 これだけ大事な国防会議が臨調の答申によりますと「必ずしもその機能を適切に発揮しているとはいい難い。」こういう指摘が出ておりますけれども、官房長官、いかがでございましょうか、こういった指摘に対してどのようにお考えかをまずお伺いしたいと思います。
○宮澤国務大臣 この臨調答申の中で、ただいま和田委員が御指摘のようなことが述べられておりまして、そして「定例的に会議を開催するほか、随時国防政策にかかわる諸問題を検討する等、その機能の活性化を図る。」ことが大事であると述べられております趣旨は、私も率直に申しまして賛成でございます。そういうふうな国防会議の活用に努めてまいりたいと思っております。
○和田(一)委員 臨調の答申を率直にお認めになって、その線に沿って改めていただけるということなので、大変結構だと思います。 私どもは、この国防会議のあり方そのものについてもかねてからいろいろと御意見を申し上げてきたわけでございますけれども、こういった指摘を受けたこういう機会に、これだけ大事な国防会議でございますので、これを改組して独立の法律による国家安全保障会議、こういったものに拡充させていく、こういうことの方がむしろいいのではないかと思うのですが、そういう点について、官房長官いかがでしょうか。この答申は尊重するが、これを手直しすればいいというお考えか、むしろもっと抜本的に見直してもいい、こういうお考えがあるかをまずお聞きしたいと思います。
○宮澤国務大臣 国家安全保障会議、アメリカなどにはそういうものがあるということを聞いておりますけれども、わが国の場合には御承知のように閣議が非常に厳格に週二回行われておりまして、その点は米国の場合には閣議というものは大統領によりましてほとんどやらない人もございますし、少なくとも毎週やるといったような運営は全然やられておりませんので、この点が私は大変違うところではないかと存じております。したがいまして、そういう関連で申しますと、国防会議はいまのような形で、ただこれを機能よく、先ほど申しましたようなことも含めまして運営するというふうにした方がよろしいのではないだろうかと私は考えております。
○和田(一)委員 いま内閣には総合安全保障閣僚会議というものが設けられておって、ここでまた同じような安全保障の問題を論議しておる、こういうふうに聞いておりますけれども、これは一体どういうことを相談し、国防会議との関係はどういうふうになっているのか、その辺をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 総合安全保障関係閣僚会議が志向しておりますところは、各省庁が当然その施策の中でやっておりますことが結果としては国の安全保障に寄与しているには違いないとは思いますけれども、そういう施策を国の安全保障という観点からとらえて、意識して整理していったらどうかというのがこの総合安保閣僚会議を設けた趣旨でございます。したがって、その議題になりますところは、狭い意味での防衛力の整備ばかりでなく、経済協力でありますとかエネルギーでありますとか食糧問題、科学技術等々、そういうものを今日までこの案件にいたして議論をいたしております。そういう意味では、広い意味での国の安全保障というものを考える、こういう場でございまして、比較して申しますならば、国防会議そのものは狭い意味での防衛力の整備と申しますか、そういうものを所掌しているという関係になるであろうと思います。
○和田(一)委員 そうしますと、総合安全保障閣僚会議、ここはそういった国防が重点ではなくて、非国防的なことの安全保障を論議する。国防に限ってはやはり国防会議が中心である、こういうことのようでございます。 先ほどの長官の御答弁で、いまの国防会議を臨調答申の方向で充実していきたいということのようでございますが、どの辺をどのようにしたらいいのか。国防会議の中身を見ておりますと、これで国防会議に与えられている任務と責任が果たせるかなという不安が大変出てくるわけなのですが、それが本当に果たし得るような方向に、この臨調の答申を踏まえて、大幅に改めていっていただきたい、私はこういう感じがしてなりません。 いま、国防会議は、議員は、総理大臣を議長にして、あとは副総理、外相、蔵相あるいは防衛庁長官、経企庁長官、こういった方がメンバーですが、このメンバーを支える事務局というのがまだ十分でないという感じがしてならないわけです。事務局は、事務局長一名のほかに、参事官として、専任の参事官の方が三名、兼任の方が六名、こういう構成のようでございます。そのほかに参事官補の方がいて、主査がいらして、あとは女性、運転手さんを含めて総務関係、そういうスタッフのようで、事務局全員で二十一名の定員ですが、実員は十八名、そのうち七名が総務関係の事務をやっておられる方で、実際には十一名というのがこの大事な国防会議を支える事務局スタッフである、こういうふうになっておるわけなのです。私は、今度の答申を踏まえて、この辺がきわめて力を入れて拡充していただかなければならぬ点だ、こう思いますが、いかがでしょう。
○宮澤国務大臣 この点も臨調の答申に述べられておることはもっともだと思います。事務局をもう少し人的に充実せよということでございますが、これは決して役人の数をふやすということをすぐに意味するわけではございませんで、各省から出向してもらうということが十分に考えられることでございますから、そういう意味で、臨調の答申が言っておりますようなことは十分検討に値すると考えております。
○和田(一)委員 今度、五六中業が、七月二十三日に国防会議で報告、了承された、こういうことでございます。前の五三中業のときにはこういった手続が踏まれておりませんでした。今回は、これが国防会議の議を経て了承された、こういうことになっておりますが、これは私は大変結構なことだ、こう思うわけでございます。国防会議が持っております意味合いを考えますと、こういった大事な問題については、いままでかけなかった方がおかしいと思うわけでございまして、これからもこういう手続はぜひきちっと踏まえていってもらわなければいかぬ。シビリアンコントロールという立場からいっても、なぜいままでこういうことがされなかったかと思うくらいでございます。 今度はかけられましたけれども、この五六中業の中身について、これはいわゆる防衛大綱の達成のための防衛庁の計画である、こういうふうに言われておりますけれども、国防会議がどのようなチェックをされたのか、あるいは、出てきたものをそのまま承認したのか。ともすれば、従来、この国防会議というのは防衛庁の政策のただ追認をしているのではないかというような感じがされておっただけに、今度五六中業がかかって了承されたというその審議の中で、果たしてどういうような審議が行われたのか。ただ原案を承認したのか。その辺をお伺いしたいと思います。
○宮澤国務大臣 五六中業は、毎年度の予算をきつく拘束するという性質のものではございません。しかし、防衛計画大綱を達成いたしますための大切な道行きを示しておる、作業を示しておるものでございますから、これはやはり国防会議で報告を受けた方がいい。こういうことは、御記憶のように、民社党と自民党との党首会談がございましたときに、民社党の御提案がございまして、まことにごもっともだと考えましてそういう実行をいたしたわけでございます。 それから、この計画を付議いたしますに至ります過程で、国防会議事務局が十分に防衛庁と事前の段階でいろいろ討議をし調整をしておったように承知しておりますけれども、要すれば国防会議の事務局長から御説明をしてもらいます。
○伊藤(圭)政府委員 御承知のように、国防会議を開く前に、事務的にはいろいろな段階を経て防衛庁の計画を検討いたします。 まず、御承知のように各省から課長クラスの参事官が出ておりまして、この参事官会議は通常も開いておりますけれども、特にこの問題が起きましてから、防衛庁が最初に原案をつくる段階において各省の調整が必要であるということで、大蔵省はもとより、経企庁、さらには通商産業省、また科学技術庁等から来ておりますその参事官会議におきまして五、六回この問題について審議をいたしました。 さらにまた、特に具体的な問題として、一番関心の深いのは財政当局でございますので、財政当局と防衛庁との間、さらには、この「防衛計画の大綱」に従って防衛力整備を進めていくその過程が妥当であるかどうかというような問題につきましては、特に事務局の方にも意見を聴取いたしまして調整してまいった結果、一応まとまりましたので、それをさらに次官クラスの幹事会にかけまして御審議をいただきました。そして最終的に国防会議で御審議をいただきまして了承をいただいたわけでございます。
○和田(一)委員 五六中業が達成をされますとやや防衛大綱の線が達成される、こういうことになるのではないかと思います。 私どもは前からこの防衛大綱の見直しも申し上げておるのですけれども、とにかくこの大綱は、まだ達してないから、それに達するまでやるのだ、こういうことのようでございました。五六中業でいろいろと整備されていく、たとえば正面装備、そういうものがこれで決まったわけですね。結局、防衛大綱が考えている国防のあり方、防衛のあり方、それを達成するためにこういうものが必要だということでいろいろな装備をお買いになる。ということは、結局、最終的には日本の国防の方向、方針というもの、何かがあったときに、一体どこでどういうふうにそれに対応していくのだ、それがきちっと決まらなければそれに必要な装備品が何だということが決まらないと思う。したがって、そういうことが前提にあって買うべき装備品というものが決まってきた、こう思うわけなんで、そういう意味では、国防の基本的な方針というものは国防会議で決めろ、国防会議に諮らなければならぬというふうに決められておる。そこで決められた防衛の大綱の中身がいまはっきりと五六中業の中で出てきている。これは当然国防会議が中心になってこういう五六中業の中身についての、何を、いつ、どういうふうに買うんだ、そしてどういう最終的な防衛力を持つのか、そういう論議が行われていなければならない、私はこう思ったから聞いたわけでございます。 いまのお話によると、原案のときからそういう相談はされているということでございますけれども、であるならば、先ほど申し上げたように、専任の参事官の方が三名、兼任の参事官の方が六名というようなスタッフで、果たして防衛庁の欲しがるものをきちっとチェックして、これは予算的にというだけじゃないですよ、基本的なものがここで決まるのですから。そういうだけのスタッフになっているかどうか、私は非常に気になるわけでございまして、官房長官は、人数をふやすという意味ではなくてこの機能を拡充していくという方向をおっしゃったようでございますけれども、ぜひそういう意味で、この国防会議のスタッフに内閣としても十分意を注いでいただいて、ここで事前に事務当局が防衛庁と打ち合わせることが現実には日本の防衛の最終的な姿になって出てくるのですから、それぐらい大事な国防会議の事務局というものを、もっと重視して拡充をしていくならいく、そういう方向をきちっと持っていただきたい、私はこう思います。いかがでしょうか。
○宮澤国務大臣 その点は臨調の答申にも同様のことが述べられておりますので、その線に沿いまして努力をいたしたいと思います。
○和田(一)委員 まだ伺いたかったのですが、時間が来たようでございます。 最後に、この五六中業が国防会議に今回付されまして、そしてここで了承されたということでございますけれども、これは恐らくこの五項目目の「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」というものであるという認識から、国防会議に今回は諮られた、そして了承された、こういうふうに理解をしたいと思いますが、よろしゅうございますか。その点だけお伺いして、質問をやめさせていただきます。
○伊藤(圭)政府委員 ただいまおっしゃいましたとおり、「国防に関する重要事項」として御審議いただいたものでございます。
○和田(一)委員 終わります。
○永田委員長 三浦久君。
○三浦(久)委員 官房長官にお尋ねをいたします。 主に右翼暴力団の問題についてお尋ねをいたしますが、最近、いわゆる右翼暴力団の動きが非常に活発化しております。ことしに入ってからの主なものだけでも、日教組本部の襲撃事件がありますし、日教組の島原大会の妨害事件がありますし、またわが党の榊議員の大井駅頭における街頭演説に対する妨害事件もあります。また共産党本部への襲撃事件もあります。全国的に見ますと、この種の事件というのは全く枚挙にいとまがないほど頻発をしているというのが現状であります。特に共産党本部への襲撃は、十年前の一九七一年にはわずか三回だったのです。ところが、昨年はどのぐらい右翼が襲撃をしたかといいますと、千百八十回であります。平均すると一日に三回右翼が押しかけてくるという状況になっているわけですね。 これら右翼暴力団は宣伝車を使っております。装甲車ですね。これを彼らは宣伝の道具として使うのではなくて、凶器として使っています。彼らはあの宣伝カーを武器にしながら、さまざまな道交法違反を繰り返しています。また、車上に乗って石を投げたり、爆竹を鳴らしたり、また鉄パイプを振り上げていろいろな暴行を働く、そういうようなことを絶えず行っているわけですね。私もやられたことがありますけれども、彼らの攻撃のほこ先というのは、いまは反核平和運動、憲法擁護運動、また第二臨調路線に反対をする労働組合運動、または日本共産党、こういうところにその主なほこ先が向けられているわけであります。日本は大変治安が良好である、世界一治安が確立されているというふうに言われておりますけれども、事この右翼暴力団の問題に関しては、私は余りいばれない、まさに野放しにされているというような状況ではないかというふうに思うわけであります。 これら右翼暴力団のいわゆる民主勢力に対する行動というのは、まさに憲法に保障された表現の自由、結社の自由、また言論の自由というものを侵害するきわめて重大な民主主義に対する挑戦だというふうに私どもは考えておりますけれども、官房長官の御見解を承りたいと思います。
○宮澤国務大臣 暴力は法と秩序を乱すものでございますから、それがいかなる政治的な立場、右であれ左であれ、に立つにかかわらず、これは厳正に取り締まるべきものであると考えております。
○三浦(久)委員 この右翼暴力団、いわゆる政治結社化した暴力団ですね、彼らはほとんど憲法の改正を唱える、また日米安保体制の強化を唱える、軍事力の増強も言っている。さらに靖国神社の国家護持という主張まで掲げています。また核兵器廃絶運動を敵視する。こういう意味では自民党やまた一部の自民党の政治家とその主張を同じにしている。そのために、この右翼暴力団の集会に自民党の政治家が出席をして激励のあいさつをする、こういうことが頻繁に起きております。また、大企業や財界、彼らがこの政治結社化した暴力団に政治資金を提供している、こういうことが事実としてあります。まさにそういう意味では、この右翼暴力団を政治的に資金的に自民党やまた財界、大企業が支えているという状況なのであります。右翼暴力団を直接的に制圧するとか社会的に孤立させるとか、または資金源を断つ、そしてこういう右翼暴力団を根絶するというのが政府の方針だというふうに私は思っております。そういう方針から見て、現在のような、いま言った財界や自民党の一部の政治家たちが右翼暴力団の集会に激励のあいさつを送る、政治資金を提供するというような政治状況全般について、官房長官はどういうようにお考えになっていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 一概に右翼暴力団というふうにおっしゃいますけれども、右翼というものと暴力団というものは分けて考える必要があるであろうと思います。つまり、暴力というのはいかなる政治的な立場とも関係なく存在し得るものでございますが、ただ右翼ということであれば、これは思想の自由の問題でございますので、それが自民党の主張に非常に近いというようなことを仰せられまして——私は必ずしもそう思いませんけれども、しかし、これは思想の自由でございますから、これに賛同する者もあり得るであろうと思います。しかし、暴力団というものは別でございまして、これは法と秩序を乱す行為でございますから、したがって、この暴力団が右翼を仮装して、そして資金援助を受けるというようなことになりますと、これは犯罪を構成するおそれがある場合がございましょうと思いますので、その点は厳重に取り締まらなければならない。その取り締まりは暴力に対して行われるのであって、右翼という思想的な立場に対して行われるわけではない、こう認識しております。
○三浦(久)委員 商法の改正とか道交法の改正によりまして、いわゆる暴力団というものがどんどん政治結社に衣がえをしていぐ、それで多少の政治活動もする。全然しないのもありますね。また、多少の政治活動もやるがその実態は暴力団だ、そういうものもあるのです。そして、自民党の一部の政治家が集会に出席してあいさつするというようなものは純粋な政治結社のそういう団体じゃなくて、いわゆる右翼暴力団が政治結社を仮装している、警察庁自身も暴力団的な側面があるというふうに認めざるを得ない、そういうものに出ているのです。そういう右翼暴力団がたくさんありますが、それに対して財界がもうたくさんの政治資金を提供しているということは事実なんです。ですから、そういう政治状況についてどう思うかということを私は御質問したけれども答えがありませんので、時間がありませんから先に進ませていただきます。 それで、右翼に対する取り締まりが非常に甘いとか右翼暴力団を泳がせておるとか、そういう批判がマスコミその他のところからいろいろと言われておりますけれども、そういう右翼に対する取り締まりがぬるいというのはいま言ったような政治状況から出てきていると私は思うのです。いま言いましたように、この右翼暴力団を社会的に孤立させたり資金源を絶つ、こういうことによってやはり絶滅していかなければならぬと私は思う。そういう観点から言えば、政府が右翼暴力団の機関誌に広告を掲載するというようなことは絶対にあってはならないことだと思うのです。 ところが、ここに私は「大吼」という機関誌を持ってきました。これはどこが出しているかというと、大行社が発行しております。この八月号と十月号をここに持ってきましたけれども、この中には、八月号の百六十三ページそれから十月号の六十一ページ、ここに一ページの三分の一の形をした北方領土に関する政府の広告が載っている。これはどういうのかというと、「歴史が証明するわが領土 奪ったのではない 放棄したものでもない 北方四島」こういうふうになっていて、一番下の方にはこの北方領土がかかれておって、それで「政府広報総理府」こういう活字が印刷されているものであります。これは総理府に確かめたら、政府が週刊誌、たとえば週刊朝日、サンデー毎日、週刊読売、その他の週刊誌に掲載したものと全く同じものだというのですね。こういうものが大行社という右翼暴力団の機関誌である「大吼」という雑誌に二回にわたって掲載をされている。これは事実であります。 そこで、私は警察庁にお尋ねしますが、この大行社というのはどういう団体なんでしょうか。
○西村説明員 ただいま大行社についてのお尋ねでございますが、大行社というのは、暴力団稲川会の幹部であります岸悦郎が、戦前存在いたしました右翼団体であります大行社、これは大正年間に創立いたしたものでありますが、この大行社の創設者であります清水行之助から大行社の再建を委託されまして、昨年七月二十四日に結成をしたものであります。現在、全国で約三百五十人ほどの会員がおると見られておりますが、北方領土の返還運動あるいは日教組批判の街頭宣伝活動などを行っておる団体でございます。
○三浦(久)委員 これは稲川会の三本杉一家の総長が創立しているわけです。 稲川会というのはどういう暴力団ですか。
○関口説明員 お答えいたします。 お尋ねの稲川会でございますけれども、昨年末現在で一都十県に百数十団体、構成員四千数百名の勢力を有する大規模広域暴力団でございます。
○三浦(久)委員 大行社の構成人員はどうなっておりますか。
○西村説明員 大行社は昨年七月に結成されたと申し上げましたが、現在のところつまびらかでありませんけれども、三百五十人前後の構成員ではなかろうかというふうに判断いたしております。
○三浦(久)委員 どういう人々によって構成されておりますか。
○西村説明員 大行社は、いま申し上げましたとおり右翼団体として結成されたものであります。岸会長は稲川会に所属しておりましたけれども、昨年大行社を結成するに当たって、清水行之助からその大行社の存続を委託された際に、自分はもはや任侠道から足を洗って政治活動に専心する、そういう決意を披露して彼は大行社を結成したものであります。 いまその構成員がどういうものかというお尋ねでありますけれども、岸会長の決意あるいは政治活動に専念するという思想のもとに純真な会員を求めておるのは彼でありますけれども、いまだ、本来の系統から見ますと稲川会系かあるいはその他と思われるような暴力団におって活動しておった者というものもかなり含まれておるのではなかろうかというふうに思っております。
○三浦(久)委員 そうすると、警察庁としてはこれを純粋な政治結社というふうには見ないで、暴力団的な側面もあるというふうに考えておられるわけですか。
○西村説明員 大行社の結成趣意そのものについては、岸会長が決意表明いたしましたように、政治活動に専念する、こういう形で結成されているわけであります。現在、政治面としての活動は街頭宣伝活動に重点を置き、極力暴力団というような印象を与えないために岸会長が努力しておる事実もまた一面では見受けられるわけであります。 しかしながら、それが直ちにいま、結成されて一年で右翼団体として全く変貌しているのかどうかという点については、結成後日浅く、また活動においても街頭宣伝活動に重点を置きながらしておる現在の状況から見まして、一面右翼的な取り締まりを行うとともに、先ほど申しましたとおり暴力団的な構成員もおりますから、その面からの取り締まりも強化しておるというのが実態でございます。
○三浦(久)委員 いまお話しのとおりなんですよ官房長官。こういう右翼暴力団の機関誌に、なぜ、どういう経過で政府のこういう広告が載ったのか、その点を私はお尋ねいたしたいと思います。
○小野(佐)政府委員 お答えいたします。 去る六月に赤旗日曜版の編集の記者の方が総理府広報室に来られまして、先生先ほどお示しの雑誌「大吼」を提示されたわけでございますが、その中に、五十六年五月に政府広報として週刊誌に出稿いたしました北方領土に関する広報と同一のものが掲載されているということを、私どもとしては初めて承知したわけでございます。もちろん雑誌「大吼」を政府広報の媒体として利用したりそれに出稿したりしたことは一切ございません。
○三浦(久)委員 ただそれだけですか。あなた、これは重大な問題でしょう。政府が金を出して暴力団の機関誌に広告を出した、いまそういうように疑われているわけですよ。経過を明らかにしろと言ったら、いつだれがどういう方法でもってこういう雑誌に載せたということまで調べなきゃいけないじゃないですか。私たちは出したことありませんだけであなたたちのぬれぎぬが晴れると思ったら大間違いじゃないですか。いまあなたも出稿したことはないと言った。出稿したことはないと言ったけれども、じゃ、暗黙の了解を与えたことはあるのですか。そういうことも含めて、もっと経過を具体的に詳細にここで述べなきゃだめじゃないですか。
○小野(佐)政府委員 広報室から、「大吼」の出版元でございます株式会社大行社に対しまして、あたかも政府が出稿したかのような形で掲載されたことははなはだ遺憾であるとしまして、同社に対して厳重に注意をいたしました。厳重に注意いたしましたところ、大行社は大変申しわけないことをしたと謝罪をいたしました。さらに、その政府広報を掲載した当時の編集人等もすでに交代をしており、新しい編集体制のもとでは二度とこのようなことがないように注意をいたしますというふうに回答いたしました。 以上でございます。
○三浦(久)委員 これからしませんと言われたからそれで引き下がってきたみたいですけれども、編集人が交代しているなら、その編集人がだれで、そしてどういう経過でこういうことになったのかはっきりさせなきゃいかぬでしょう。 たとえば、広告を出す場合には、政府が原版を雑誌社に渡すのでしょう。その原版が盗まれてこうなったのかもしらぬ。また、何かあなたたちが暗黙の了解を与えたために雑誌社が原版を渡したのかもしらぬ。そうでなければ、週刊誌を見て、週刊誌に載っているこういう広告を見て、それで写真に撮ってそれから原版をつくってこの「大吼」に載せたのかもわからぬ。しかし、もし原版を盗んでやったなんということになれば、これは明らかに犯罪でしょう。そういう具体的なことまで何も調べないというのは一体どういうことなんですか。 あなたたちがもし「大吼」にこういう広告を載せることを暗黙の了解を与えておったとか、あなたたちが金を出してこういう広告を掲載したということになれば、その担当者は首が飛ぶような、これはそういう重大な問題じゃないか。そしてまた、国民は政府に対する信頼を失うでしょう。また、こういう雑誌を見た暴力団員は大いに勇気づけられるじゃないか。社会的に孤立とか資金源を枯渇させるとか、そういう政府の方針と全く違ったことがやられておるわけだ。そういう疑いを君たちはかけられておりながら、ただ行って編集人が交代しました、子供の使いみたいなことをして、それで事態の真相を解明したということが言えるのですか。どうしてちゃんと調べないの、おかしいじゃない。僕らは、だから、そんないいかげんなことだから、あなたたちが暗黙の了解を与えたんじゃないかという——あなたたちは出稿はしないと言うけれども、出稿はしないという、ただそれだけの話だ。出稿はしなくても、暗黙の了解を与えたのじゃないかという、そういう疑いを持たざるを得ないのだよ、僕らが。もっとはっきり具体的な経過を明らかにしなさい。だれがこういうことをやったの。あなたたちがしてないというのなら、だれがやったの。はっきりすべきじゃないか。
○小野(佐)政府委員 広報室としましては、暗黙の了解を与えた事実もございませんし、それから原版等が盗まれたということもございません。 それから、先生ただいま……(三浦(久)委員「だれがやったの」と呼ぶ)推測でございますけれども、恐らく、週刊誌に出たのを向こうが写真か何かに撮りまして、それを転載したのじゃないかというふうに思います。一三浦一久)委員「だれがやったの」と呼ぶ)それは「大吼」の編集者……(三浦(久)委員「だれ。何という人。そんなこと調べないでどうするの」と呼ぶ一その政府広報が掲載された当時の編集人は岸悦郎という名前でございますが、現在は後藤という人に名前が変わっております。
○三浦(久)委員 推測でこんな大事なことを云々すべきじゃないよ、あなた。 ちょっと聞くけれど、あなたたちは、訂正記事出さしたの。謝罪文出さしたの。
○小野(佐)政府委員 先ほども申し上げましたように、私の方から抗議を申し入れましたことに対しまして先方が陳謝したということ、それから、この政府広報と同じものが掲載されました時期が約一年前のことでもございますので、謝罪文の掲載というところまでは要求いたしませんでした。
○三浦(久)委員 事は非常に重大でしょう、あなた。右翼暴力団の機関誌に政府が金を出して広告出した、そういう疑いを持たれているんだよ。何で謝罪文とか訂正文を出させないの。あなたたちに何かやましいところがあるからじゃないのですか。 それで、これは私は犯罪の疑いがあるのじゃないかというふうに思っておるのですよ。 法務省にお尋ねいたしますけれども、こういうことは、私は実務を離れて時間がたっていますのではっきりしませんが、勘で申し上げますが、公文書偽造罪とかまたは著作権法違反とか、そういう疑いがあるのじゃないかというふうに思うのですが、どういうふうにお考えでしょうか。
○川崎説明員 まず、公文書偽造罪の成否についてでございますが、文書偽造とは、他人の名義を盗用して新たな文書をつくり出すことで、一般的に申しまして、名義人の承諾なく新聞、雑誌等にその名義の広告を掲載する行為は、文書偽造罪に当たると思うのでございます。しかし、一方、他人名義の文書でございましても、単にコピーしたりあるいは他に転載する等の行為は、それが新たな文書の作成と認められない限り偽造罪にはならないとされているのでございまして、御指摘の事例につきましても、すでに他の雑誌等に掲載されたものをそのまま転載したといたしますと、その掲載の意図、文書の内容、掲載に至る経緯等に照らして消極に解される余地もございますので、この段階で直ちに公文書偽造罪が成立するとは申し上げにくいと思うのでございます。 次に、著作権法の問題でございますが、著作権法は私ども直接所管しておるわけではございませんので、正確な御答弁はいたしかねるわけでございますが、御指摘の広告は、著作権法二条にございます「思想又は感情を創作的に表現した」著作物と解する余地がございますし、また、著作権法が規定しております著作物の自由な使用が許される場合にも当たりにくかろうと思われますので、本件の行為は著作権法に違反するかどうかにつきまして十分に検討の余地がある問題であろうかと思うのでございます。
○三浦(久)委員 総理府、これは総理府と言っても、総理府の広報室長は内閣の広報室長を兼任しているわけですから、宮澤さん、あなた全然関係ないわけじゃないのですよ。 総理府、いま言われたとおりなんだ。犯罪を構成する疑いが十分にあるわけだ。特に著作権法についてはその疑いが十分にあるでしょう。公文書偽造の問題についても、私は、ただ単にこの広告をコピーしてばらまいたというにすぎない、そういう問題ではないと思う。「大吼」という機関誌にこれを転載することによって、政府自信がそれを承認して金を出した、こういうふうに一般に思われるし、そのことによって、またさらにこの媒体、いわゆる「大吼」という機関誌自信が政府が広告を出すに足るそのような雑誌なのだというような社会的効果が発生しておるわけです。だから、私は広義に解すると、新たな文書が作成されたというふうに見ても見れると思うんだね。公文書偽造罪の疑いが法務省も全くないと言うわけにはいかないと言う。著作権法違反については、これはその疑いは検討の余地がある、こう言っている。そうすれば、あなたたちは刑事訴訟法の第二百三十九条、犯罪があると思料するときは、これを告発しなければならない立場にあるんでしょう。あなたたち、こういうことをやられて訂正文も謝罪文も出させない、さあこのまま黙って放置するのですか。著作権法違反の疑いが非常に強いのに、これに対して告訴も告発もしないでそのままやみからやみに葬り去ろうとするのですか。ちょっと見解を聞きたいのです。
○小野(佐)政府委員 先生御指摘のように、政府広報を無断で掲載するということは、国民一般に対しましてもいろいろと誤解を与えることになります。私どもとしても、はなはだ遺憾と思っておるところでございます。 先生御指摘の趣旨も十分理解できるところでございますが、本件につきましては、無断掲載が先ほども説明申し上げましたように約一年前のことでもございますし、その後私どもとしましても警告をし、かつ監視を重ねておるところでございますので、今後は告発を含めまして厳重に対処してまいりたい、このように考えておりますので、何とぞ御理解いただきたいと思います。
○三浦(久)委員 終わります。
○永田委員長 楢崎弥之助君。
○楢崎委員 官房長官にお尋ねをいたしますが、内閣総理大臣の専権事項はどういうものがありますか。たとえば自衛隊法七十六条防衛出動は総理大臣のみの専権事項であると思いますが、ほかにどういうものがありますか。
○宮澤国務大臣 正確を期する必要がございますので、法制局長官からお答えをしていただきます。
○角田(禮)政府委員 専権事項という言葉の意味がへ内閣総理大臣の権限とされている事項ということであれば、これは憲法を初め各種の法律にかなりたくさんの事例がございます。ただ、恐らく御趣旨としては、いかなる場合においても内閣総理大臣の一身専属的な事項は何か、こういうことだろうと思います。そういうものとして典型的なものは、国務大臣の任免あるいは総辞職の問題あるいは衆議院の解散の問題、こういうものが内閣総理大臣の内閣の構成にかかわる問題でございまして、これはいかなる場合においても内閣総理大臣その人一身に専属している権限であるというふうに解されます。
○楢崎委員 私が言いました自衛隊法第七十六条の防衛出動はどうなんですか。
○角田(禮)政府委員 先ほど申し上げましたような第一の意味では内閣総理大臣の権限でございますが、次に申し上げました内閣総理大臣の一身に専属しているという意味においては、これはそういう権限ではございません。
○楢崎委員 では防衛出動は総理大臣以外でも出せるのですか。
○角田(禮)政府委員 私が申し上げた趣旨は、内閣総理大臣の臨時代理もまた出し得る、そういう意味で申し上げたわけでございます。
○楢崎委員 それでは、内閣総理大臣もしくはその代理しか防衛出動の下令はできない、こういうことですね。
○角田(禮)政府委員 そのとおりでございます。
○楢崎委員 そこで、内閣法第九条でございますが、内閣法第九条、臨時代理を置く場合、指定する。これはだれが指定するのですか。
○角田(禮)政府委員 内閣総理大臣でございます。
○楢崎委員 もし内閣総理大臣が不在あるいは何らかの理由で総理がだれを指定するという意思を確認できない状況のときに、臨時代理を決めなければならない必要が生じたときには、どういう措置ができますか。
○角田(禮)政府委員 この問題につきましては、過去国会において何回か論議されておりますが、通常の場合は、あらかじめ内閣総理大臣が臨時代理者を指定しているわけでございますから、そういう場合は普通には起こらないわけであります。 ただ、御指摘のように、万一の場合にそういうことが起こりましたら、そのときには第九条の規定としては何らその点については規定はいたしておりませんが、条理上当然に総理大臣以外の閣僚が閣議におきまして相談した上で、総理大臣の臨時代理を指定すべきものである、このように解釈し、そのようにずっと答弁しております。
○楢崎委員 私がこれを問題にするのは、かつて福田内閣のときに有事立法問題が起こりました。日本有事の場合を想定してそのための立法をする、そういう状況にはないではないかと私が福田総理にお尋ねをしたときに、福田総理は、万々万々が一あったときに備えるため有事立法の研究に入ったのだ、そういう御答弁でありました。ところがそちらの方は万々万々一戦後まだ起こっておりません。ところが、この内閣総理大臣不在というか、意思表明ができないような状態は起こった。私はこの九条で内閣総理大臣は総理でなくては下せないようないろいろな事項があるから、常に副総理というか臨時代理を置いておくべきだという主張をそのときにもいたしました。これは起こり得ることです。むしろ有事立法よりもこっちの方が起こり得ることだから、常に副総理というものを置いておく必要がある、そういう主張をいたしました。 そこで私は、教科書問題ではないけれども、別に政府を責める意味でもありません。ただ歴史的な事実関係だけを、真相を明らかにしたい。 そこで、二年ちょっと前に大平総理が亡くなられたときに、伊東正義氏が臨時代理になられましたね。このときはどういう状況のもとにこの指定が行われたのでしょうか。事実関係を明らかにしたいと思います。
○中村説明員 大平総理が亡くなられましたときに、伊東官房長官に対して、自分が万一の場合には君がやってくれという御指示がございまして、それが事故ある場合の臨時代理の指定であるということで臨時代理が指定されたということで臨時代理になられたわけでございます。
○楢崎委員 大平総理が亡くなられたのは五十五年の六月十二日であります。自分が万一のときという当時の伊東官房長官への伝言はいつ行われたのですか。
○中村説明員 六月十一日の午後七時半ごろ、伊東官房長官が虎の門病院に入院中の大平総理を見舞われた際に、大平総理が伊東官房長官に対して自分に万一のことがあれば君が後をやってくれという指示をなされたわけでございます。
○楢崎委員 そこでどういう手続で指定が行われたのですか。
○中村説明員 指定そのものは必ずしも文書による決裁を要しないというふうに考えられておりまして、したがいまして、指定が先ほど申し上げました十一日の午後七時半ごろに完了されているわけでございますが、現実に総理に事故が起こりました事態というのは後ほど生じたわけでございますので、大平総理の意思に従いまして内閣参事官室において事務処理を行ったものでございます。
○楢崎委員 いつ行われたのですか。
○中村説明員 起案がなされましたのは十二日の午前三時ごろでございます。実際に処理が完了いたしましたのは十二日の午前五時三十分ごろでございます。
○楢崎委員 そういうことが後に新聞報道された事実を私は知っております。しかし、そのときの各社の新聞記事は明確に後を頼むと言われたことになっていませんね。これが事実です。私はそのことを責めるわけじゃありません。時と場合によっては重大事項は超法規的になされる場合があると思います。そういうことがなされたときには後で批判にたえるものでなければいけないと思いますよ。ただ私は事実関係だけ明白にして、もしそれが事実でなかったら作り事ですよ。そういうことが現実に起こった。 内閣参事官室でやられたのが十二日ですか。じゃあ指定はいつになるのですか、指定も十二日ですか。
○中村説明員 指定行為は、先ほど申し上げました六月十一日の午後七時半ごろでございます。
○楢崎委員 非常にわかるのですよ、当時の事態としては。何回も言うようにそれを責めるわけじゃありません。ただ事実関係は、当時の新聞報道によればいまおっしゃったようなことではなかった。こういうことはやはり明確にする必要があろうと私は思う。後でつじつまを合わせるなんということは、これはよくない。そういうことがなぜ起こったかというのは、先ほど申し上げたとおり内閣法九条によってそういう副総理の指名がなかったから。こういうことはあってはならないことだけれども、官房長官、あり得ることです。だから、これはぜひ一度閣議で問題にしてもらいたいと私は思う。現実にあった問題ですから。そのことだけを官房長官に要望したいと思いますが、最後に長官のお考えをお聞きして終わりたいと思います。
○宮澤国務大臣 過去の先例を見ますと、第九条の指定をしなかった内閣の例はかなりたくさんございます。この指定は法律行為でございますけれども、場合によりましてきわめて政治的な意味合いの深い行為であることもございますので、その辺のところも考慮しなければならないのではないかと存じますが、いずれにしても、御指摘でございますので検討させていただきます。
○楢崎委員 これで終わりますけれども、先ほど申し上げたとおり、有事立法を研究するくらいだったらこのことを先にやるべきだ、私はそれを言いたいのですよ。私は有事立法に賛成の立場ではありません。しかし、有事立法を研究なさる理由が先ほど申し上げたような理由であれば、現実に起こり得るこういう手続を与党の諸君が見過ごして、そして起こるかどうかわからない有事立法の方に熱を上げられる、その矛盾を私は与党諸君にも言いたいのです、これは非常に怠慢であると。 そういう意見を付しまして、終わりたいと思います。
○永田委員長 次回は、来る十九日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時三十六分散会