決算委員会 第6号
- 発言数
- 362 件
- 登壇者
- 32 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1982/07/07
会議録
○永田委員長 これより会議を開きます。 昭和五十四年度決算外二件を一括して議題といたします。 この際、前回の委員会において保留となった楢崎委員の質疑に関し、防衛庁当局から報告を求めます。石崎防衛参事官。
○石崎政府委員 前回委員長から御指示のありましたリムパック82におけるミサイル発射訓練の調査結果を御報告いたします。 まず、事実関係でございますが、リムパック82において海上自衛隊が実施したミサイル発射訓練では、護衛艦「しらね」がシースパローミサイルを一発、同じく護衛艦「たちかぜ」と「あさかぜ」がそれぞれターターミサイルを二発、合計四発を標的に向けて発射したわけでございます。発射された合計五発のミサイルは、いずれも標的を直撃することはありませんで、標的に非常に近い、至近距離を通過しまして、すべてこれは射撃上有効であるというふうに判定されました。 訓練に使用された標的は、そういうわけで直撃しませんでしたから、すべてもとの状態のまま回収されたということを米海軍から連絡を受けております。以上のようなことで、標的がミサイルによって撃墜された事実はありませんでした。 次に、このように標的が撃墜されなかったにもかかわらず標的が撃墜されたというような報道が当時かなり行われたことにつきまして、参考にいろいろ調べてみた結果について申し上げます。 標的撃墜ということがなぜ言われたかということで、関係方面全部調査しました。その結果、「たちかぜ」の一発目のターターミサイル発射の際に、ミサイルを発射してしばらくたってから護衛艦「しらね」の艦上において、ここに新聞記者その他の人が大ぜい乗っておったわけですが、そこで、当たった当たったという声が上がるのを聞いた人たちがたくさんいたことが判明いたしました。 実は、直撃と有効弾ということは、海上自衛隊の中で日常的には余り厳密な用語の区別をしないままに、直撃の場合も有効の場合も、当たったとか命中したとかいうことを俗に言っていることが多い状況にありますために、この当たった当たったという当時の「しらね」艦上の大ぜいの人が語り合っていたことが直撃というふうに理解されて、その結果撃墜という理解になったのではなかろうかということが一つの参考事項でございました。 もう一つの参考事項は、ミサイルを発射してしばらくたってから、はるか高空において白い煙がぱっと飛散するのを目撃した人が多数おります。発射されたミサイルは、標的の至近距離を通過した後は、はるか遠方に、どういう場所へ落ちるかわかりませんので、その落ちる場所の危険を防止するために、空中で爆破する自爆装置を持っておりますが、この自爆装置によってミサイルが自爆したとき、白い煙が飛び散ることがあるわけで、この、はるか高空で白い煙が飛び散ったのを目撃した人たちが、これは標的機に直撃したものであるというふうに理解された可能性がある。 以上のようなことが調査の結果、判明いたしました。 以上の調査結果は、前回の本委員会でも申し上げたとおり、海上自衛隊の主要幹部及び派遣部隊の指揮官から直接かつ詳細な報告を受けたことはもちろんでありますが、なお一層正確を期すために、当時現場に居合わせた新聞社、通信社等の記者の協力も得て、いろいろお話を聞かせていただいて取りまとめたのが調査結果であります。したがいまして、去る五月十四日の本委員会において行いました防衛庁の答弁は事実に即した報告に基づくものであり、委員会に対して事実に反する報告を行ったこともありませんし、事実に反する報告を海上自衛隊から私どもは受けたこともありませんということが、調査の結果改めて確認できた次第でございます。 以上で御報告を終わります。
○永田委員長 楢崎弥之助君。
○楢崎委員 ただいまの事実は、私が先月ハワイに行って調べた事実と相違をいたしております。 十三日の日に内閣委員会で防衛二法がかかっておりまして、詳しいことはそこで行いますけれども、もともとあのリムパック82では、アメリカの報道官なり司令官が発表したことを後で一々防衛庁か外務省か知らないけれども訂正さしておるという事実があります。その訂正も、真相と逆の違う訂正を再三にわたって行っておるという事実もあります。そしてまた、随行記者にいろいろと圧力をかけたふうがある。 それは十三日の日に内閣委員会で明らかにして、ただいまの報告に対する私の見解はこれくらいにしておきます。 ――――◇―――――
○永田委員長 次に、本日は、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫について審査を行います。 この際、お諮りいたします。 本件審査のため、本日、参考人として日本中央競馬会理事長内村良英君、日本中央競馬会常務理事近藤充君、日本中央競馬会馬事課長田口邦臣君、日本軽種馬協会副会長今泉貞雄君及び農業資材審議会会長明日山秀文君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ―――――――――――――
○永田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
○永田委員長 それでは、まず、農林水産大臣から概要の説明を求めます。田澤農林水産大臣。
○田澤国務大臣 昭和五十四年度の農林水産省の決算につきまして、大要を御説明申し上げます。 まず、一般会計の歳入につきましては、収納済み歳入額は二千五十九億八千五百八十万円余でありまして、その主なものは日本中央競馬会法に基づく納付金であります。 次に、一般会計の歳出につきましては、支出済み歳出額は三兆五千七百七十九億百六万円余でありまして、この経費の主なものは、地域農業生産体制の総合整備といたしまして六千三百五十八億九千百六十万円余、需要の動向に応じた農業生産の振興といたしまして一千四百二十五億五千四百三十三万円余、農業生産基盤の整備といたしまして八千五百七十九億三百三十三万円余、住みよい農山漁村の建設と農業者の福祉の向上といたしまして九百八十五億三千四百八十六万円余、農産物の価格の安定と農業所得の確保といたしまして八千八百十六億百五十六万円余、国産農産物の需要拡大、流通加工の近代化と消費者対策の充実等といたしまして四百二十六億五千四百万円余、農業技術の開発と普及といたしまして七百七十八億九千八百七十九万円余、農林漁業金融の拡充といたしまして一千十四億一千四百十二万円余、農業団体の整備といたしまし二百七十七億三千八百六十四万円余、森林・林業施策の充実といたしまして三千三百二十二億四千六百二万円余、水産業の振興といたしまして二千六百億九千九百五十三万円余、その他災害対策等の重要施策といたしまして二千九百六十三億九千八十三万円余の諸施策の実施に支出したものであります。 続いて、各特別会計につきまして申し上げます。 まず、歳入につきましては、収納済み歳入額は食糧管理特別会計各勘定合計において十兆五千四十七億四千二万円余、国有林野事業特別会計各勘定合計において五千四百八十一億一千五十九万円余、農業共済再保険特別会計各勘定合計において一千二十七億四千二百一万円余、漁船再保険及漁業共済保険特別会計各勘定合計、森林保険特別会計、自作農創設特別措置特別会計及び特定土地改良工事特別会計の総合計において二千二百三十一億四百五十九万円余であります。 次に、歳出につきましては、支出済み歳出額は食糧管理特別会計各勘定合計において十兆四千九百八十一億四千七百六十七万円余、国有林野事業特別会計各勘定合計において五千四百二十一億八千五百七十二万円余、農業共済再保険特別会計各勘定合計において五百九十二億七百三十七万円余、漁船再保険及漁業共済保険特別会計各勘定合計、森林保険特別会計、自作農創設特別措置特別会計及び特定土地改良工事特別会計の総合計において一千七百四十三億七百二十五万円余であります。 これらの事業の概要につきましては、お手元にお配りいたしました昭和五十四年度農林水産省決算概要説明によって御承知を願いたいと存じます。 これらの事業の執行に当たりましては、いやしくも不当な支出や非難されるべきことのないよう、常に経理等の適正な運用について、鋭意努力をしてまいりましたが、昭和五十四年度決算検査報告におきまして、不当事項等として指摘を受けたものがありましたことは、まことに遺憾に存じております。指摘を受けた事項につきましては、直ちに適切な措置を講じましたが、今後とも指導監督を一層徹底いたしまして、事業実施の適正化に努める所存であります。 何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
○永田委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。磯田会計検査院第四局長。
○磯田会計検査院説明員 昭和五十四年度農林水産省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を説明いたします。 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項十七件、意見を表示しまたは処置を要求した事項二件及び特に掲記を要すると認めた事項一件であります。 まず、不当事項について説明いたします。 検査報告番号五四号から五九号までの六件は、公共事業関係補助事業の実施及び経理が不当と認められるものであります。 これらは、圃場や農道の整備等の公共事業関係補助事業におきまして、事業費を過大に精算していたり、事業を実施していなかったりなどしていたものであります。 検査報告番号六〇号から七〇号までの十一件は、公共事業関係を除く補助事業の実施及び経理が不当と認められるもので、事業を実施するに当たりまして、補助の対象とは認められないものを事業費に含めていたり、補助の目的を達していなかったり、事業費を過大に精算していたりなどしていたものであります。 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について説明いたします。 その一は、補助事業の実施及び経理の適正化に関するものであります。 国の補助事業は、原則として補助対象年度内に完了しなければならないことになっておりますが、やむを得ない事情等により年度内に完了しない場合は、当該未完了分についての予算の繰越手続をとることになっております。 しかるに、農林水産省の補助を受けて地方公共団体等が事業主体となって施行している農道、林道、治山、農業近代化施設等の補助事業について検査しましたところ、年度内に補助工事等が完了していないのに、予算の繰越手続をとることなく、年度内に完了したとする処理を行い、国庫補助金の全額の交付を受けていたものが多数に上っており、これらの経理処理について見ますと、いずれも工事等が年度内に完了したとする関係書類を作成し、このうち、出納閉鎖期日、通常は翌年の五月三十一日、までに完成したものは、当該年度の予算から支払い、また、同日までに完了しなかったものについては、これらに係る工事費等の残額を別途に保管し工事等が完了した都度支払ったり、工事等が完了していないのにその全額を支払ったりなどしている状況でありました。 このような事態は、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律等の関係法令に違背するばかりでなく、交付済みの補助金が事業主体に長期間滞留することになり国庫補助金の効率的執行が妨げられ、適切とは認められないものであります。 このような事態を生じましたのは、地方公共団体において補助事業を法令に従って実施する意識に欠けていることによりますが、農林水産省においてもこのような事態が発生した場合に厳正な態度で臨む姿勢に欠けていたことによると認められます。 したがいまして、農林水産省においては、地方公共団体等に対し実効性のある強い指導を行うとともに、今後このような事態に対し、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律に基づく厳正な処置をとるなどして、補助事業の実施及び経理の適正化を図る要があると認められるものであります。 その二は、農村地域の生活環境施設の設置に関するものであります。 農林水産省では地域農業の振興を図るため、農業構造改善事業等の各種補助事業により事業実施地区ごとに一定の事業費の中で、土地基盤整備及び農業近代化施設等整備並びに農村の生活環境条件整備等に必要な事業を地域の実情に応じて実施することとしておりますが、農村を安定した地域社会として建設するためにはこれらの総合的な関連の中で計画的に実施する要があります。そして、特に近年、農村を取り巻く環境の変化に伴いまして、農村の生活環境条件の整備事業の中でも集会施設、多目的研修施設等のいわゆる農村地域の生活環境施設の設置に係る費用が毎年多額に上っておりますが、これら環境施設の設置に当たりましては、土地基盤及び農業近代化施設の整備状況を考慮しつつ経済的、かつ、効率的に実施する要があると認められます。 五十五年中に、北海道ほか三十六都府県管内の事業主体が五十二年度から五十四年度までの間に設置した生活環境施設のうち、鉄筋コンクリートづくり等の建物八百二十五施設について調査しましたところ、次に述べますように適切を欠いている事態が見受けられました。 その第一点は建設費についてでありますが、農林水産省において補助事業審査の基準となる標準単価を定めていないため、建設費の単価が事業主体のそれぞれで区々となっており、中には、同一県内で同程度の建物で建設費の単価が大幅に相違しているものもありました。 しかし、地方公共団体が起債事業で庁舎、会館等の施設を設置する場合や他省庁所管の補助事業で庁舎、会館等の施設を設置する場合はそれぞれ基準となる標準単価等が定められておりますが、調査しました生活環境施設の建設費の単価は多くの場合起債事業に係る単価を上回っている状況でありました。 第二点は規模についてでありますが、研修施設等六百七十四施設について見ますと、農林水産省において収容予定人員に対する施設の規模について定めていないこともあって、使用目的が同じ研修施設等であるのに収容予定人員一人当たりの床面積に大幅な開差を生じている状況でありました。 しかし、建築参考資料等によれば通常の研修施設の場合、廊下、ロビー等を含めた一人当たりの床面積は三平方メートル程度あれば十分であるとしていますから、これらを参考として床面積を定める要があると認められます。 第三点は合体施行における費用配分についてであります。 生活環境施設を農業協同組合の事務所と合体して建設しているものの建設費は、その使用の実態に対応してそれぞれが費用負担すべきでありますが、農業協同組合が建設費を負担する範囲を事務室、役員室等の専用部分に限定しておりまして、農業協同組合が自己のためにしばしば使用する会議室、研修室部分の建設費をすべて補助対象事業費としているものが相当数見受けられました。 しかし、農業協同組合が単独で建設した五十五事務所について調査しましたところ、農業協同組合事務所における事務室、役員室、廊下、ロビー等を合わせた床面積に対する会議室、研修室の床面積の割合は約二五%となっており、合体施行の場合におきましても農業協同組合としての運営に一定の床面積の会議室等を必要とする事情は変わらないと認められますので、合体施行における会議室等に係る建設費はこのような実情に合わせて配分すべきであると認められます。 したがいまして、農林水産省においては、今後も農業生産条件、農村の生活環境条件の整備を計画的に推進するのでありますから、生活環境施設の設置に当たりましては、補助事業の審査の基準となる施設の種別に応じた建設費の単価を設定し、収容予定人員に対応する適正な規模を定め、また、合体施行については、適正な費用配分方式を設定する措置を講じて、経済的、かつ、効果的な実施を図り、国庫補助金の効率的な使用に努める要があると認められるものであります。 次に、特に掲記を要すると認めた事項について説明いたします。 これは国営農地開発事業によって造成した農地の利用に関するものでありまして、農林水産省が直轄で施行している日置川、麻植及び羊角湾並びに五十二年度に完了している国東地区の各農地開発事業によって造成した農地の利用状況について見ますと、五十四年度までに農地千二百八十九ヘクタールを造成し、このうち千二百六十二ヘクタールが、受益者が作目を栽培するため、配分または一時利用地の指定を受け利用できる状態となっているのに未植栽のまま放置されていたり、作付はしたもののその後の管理が十分でなかったり、あるいは途中で管理をやめているため雑草の繁茂に任せていたりしている造成農地が約三百五十ヘクタール見受けられました。 このような状況となっているのは、これらの地区の主な作付予定作目であった温州ミカンの生産過剰の現象が四十七年ごろから顕著となり営農計画の見直しをするなどして他作目への転換が必要となりましたが、立地条件から地区に適合した他作目の選定がむずかしかったことなどのため作目の転換による営農の定着が進まなかったことや、地区の農業就業構造の変化などもあって受益農家の一部に営農意欲の減退が生じたことなどによると認められます。 しかしながら、造成農地が十分利用されない事態が打開されませんと、投下した多額の事業費がその効果を発現しない状態が継続することにかんがみ特に掲記したものであります。 なお、以上のほか、昭和五十三年度決算検査報告に掲記しましたように、農業構造改善事業等により設置した農機具格納庫の規模及び農用地の地目別集団化を伴う土地改良事業の実施地区における水田利用再編奨励補助金の交付について、それぞれ処置を要求しましたが、これらに対する農林水産省の処置状況について掲記いたしました。 以上が昭和五十四年度農林水産省の決算につきまして検査をいたしました結果の概要であります。 次に、昭和五十四年度農林漁業金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果を説明いたします。 検査の結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。 以上をもって概要の説明を終わります。
○永田委員長 次に、農林漁業金融公庫当局から、資金計画、業務計画等について説明を求めます。中野農林漁業金融公庫総裁。
○中野説明員 昭和五十四年度における農林漁業金融公庫の業務の概況について御説明申し上げます。 国においては、昭和五十四年度将来にわたる国民食糧の安定供給の確保と農林水産業の健全な発展を図ることを基本とし、長期的視点に立って総合的な施策が展開されました。こうした国の施策に即応して、当公庫は、業務の運営に当たりまして、関係各機関との密接な連携のもとに、農林水産業の生産基盤の整備及び経営構造の改善のための融資を推進するとともに、多様化する資金需要に対応して、融資条件の改善も含め、融資の円滑化に配慮してまいりました。 昭和五十四年度における貸付計画について申し上げますと、貸付計画額は七千百七十億円を予定いたしました。 これに対する貸付決定額は五千七百九十一億九千六百五万円余となり、前年度実績と比較して三百三十三億二千二百三十一万円余の増加となりました。 この貸付決定額を農業、林業、水産業に大別して申し上げますと、一、農業部門四千四十四億百二十二万円余、二、林業部門六百十五億二千四十九万円余、三、水産業部門千四十三億三千六百三十三万円余、四、その他部門八十九億三千八百万円となりまして、農業部門が全体の六九・八%を占めております。 次に、昭和五十四年度の貸付資金の交付額は五千五百四十八億四千九十五万円余となりまして、これに要した資金は、資金運用部からの借入金四千三百四十億円、簡易生命保険及び郵便年金の積立金からの借入金二百億円並びに、貸付回収金等千八億四千九十五万円余をもって充当いたしました。 この結果、昭和五十四年度末における貸付金残高は三兆四千六百五十一億四千四百五十三万円余となりまして、前年度残高に比べて三千六百三十六億三千二百七十二万円余、一一・七%の増加となりました。 貸付金の延滞状況につきましては、昭和五十四年度末におきまして、弁済期限を六カ月以上経過した元金延滞額は五十九億八千四百七十四万円余となりまして、このうち一年以上延滞のものは五十六億二千二百七万円余となっております。 次に、昭和五十四年度における収入支出決算の状況について御説明申し上げますと、収入済み額は、収入予算額二千三百二十億七千九百三万円余に対し二千三百二十三億二千五百四十四万円余となりました。また、支出済み額は、支出予算額二千四百十五億八千三十四万円余に対し二千三百五十七億六百七十二万円余となり、支出に対し収入が三十三億八千百二十八万円余の不足となりました。 最後に、昭和五十四年度における当公庫の損益計算の結果について申し上げますと、貸付金利息等の総利益は三千百三十九億八千三百二十五万円余、借入金利息等の総損失は三千百三十九億八千三百二十五万円余となり、利益と損失が同額となりましたため、利益金はなく国庫納付はありませんでした。 以上が、昭和五十四年度における農林漁業金融公庫の業務の概況であります。 何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
○永田委員長 これにて説明の聴取を終わります。 ―――――――――――――
○永田委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上一成君。
○井上(一)委員 私は、日本中央競馬会が、種馬の輸入に関して数多くの疑惑がその中にあるというそういう観点から中央競馬会の種馬購入にかかわる問題にしぼって質問をいたしたいと思います。 まず、私と週刊宝石のスタッフが、五十二年度に購入をいたしましたハンザダンサーについて多くの疑惑を提起いたしました。それ以来、中央競馬会がアメリカに調査員を派遣してその実態究明に当たられたわけでありますが、冒頭にその実態究明に当たった経過、実情等をまずは報告を願いたいと思います。
○内村参考人 お答え申し上げます。 ただいま先生から御指摘がございました五十二年のハンザダンサー号購入に関する疑惑が起こりましたので、その担当輸入業務代理を務めた藤井一雄藤井治商事社長から六月十六日に事情を聴取したわけでございます。 競馬会はハンザダンサー号をファシグ・ティプトン社から購入したと認識しておりましたけれども、ワールド・ホース・エージェンシーを通して買ったことを、藤井社長が初めてその事実を明らかにいたしました。 ワールド・ホース・エージェンシーはフランス人のダーレーというフランスの家畜取扱商のアメリカの代理店でございまして、メールアドレスだけの会社であるということも明らかにいたしました。さらにダーレーの会計の委任を受けているのは清水という方である。ダーレーは、藤井治商事から百二十五万ドルを受け取って九十二万五千ドルをファシグ・ティプトン社に払ったということも明らかにいたしました。 さらに、六月十四日にダーレーから藤井治商事あてに送付されました百二十五万ドルの受領確認書を本会に提示がありまして、お金の流れはほぼ明らかになったわけでございます。 以上の事実が明らかになったわけでございますが、その前に競馬会といたしましては、藤井社長が日本におりませんでしたので、ほぼそれ以前において知り得たことに基づきまして、事実関係調査のため六月十一日から二十五日まで職員二名をアメリカに派遣したわけでございます。その結果によりまして、次のことが明らかになりました。 種牡馬の取引については、一般的に取引の証拠書類を残す形で必ずしも行われておらず、ハンザダンサー号についても当時の取引を証拠づけるものは得られませんでした。馬代金の流れにつきましてはファシグ・ティプトン社がワールド・ホース・エージェンシーから二度に分けて九十二万五千ドルを受け取り、九十万ドルをティコーという売り主へ渡していることは確認できました。 ワールド・ホース・エージェンシーについては、その存在、活動、実績等についての確認は得られなかったわけでございますが、同社の住所にはアサヒシューズ・アンド・ドライグッズ一責任者清水光彦氏がありましたが、清水氏はワールド・ホース・エージェンシーは知らないと答えているが、これが真実であるかどうかはさらに調査中でございます。 なお、藤井治商事の関係会社、フジイ・ファーム・インターナショナル・コーポレーション、ステーツ・エンタープライズ・インコーポレーションの住所及び電話番号はアサヒシューズ・アンド・ドライグッズと同一であったことがわかったわけでございます。 以上が米国に調査員を派遣した結果判明した事実でございまして、さらにヨーロッパに現在職員を派遣して事実関係を調査中でございます。
○井上(一)委員 調査員に対する実務的な指示、あるいは報告を受けた後の判断等はどなたがなさっているのでしょうか。
○内村参考人 直接の担当は近藤常務理事が行っております。
○井上(一)委員 直接の担当でいらっしゃる近藤常務さんに尋ねますが、いまの報告を受けてあなたとしてはどういう感想、あるいはどういうお考えを持たれましたか。
○近藤参考人 お答えいたします。 いま理事長からお答えいたしましたように、ワールド・ホース・エージェンシーの内容につきまして具体的な調査結果がはっきりいたしておりませんので、私どもの職員もヨーロッパに派遣をいたしまして、このワールド・ホース・エージェンシーの当時の支社の元締めと申しますか、フランスのダーレー社の社長でありますゴドルフィン・ダーレーに直接会いまして経緯を聞くというようなことを考えました。
○井上(一)委員 私は疑惑の根拠に指摘をしたのは、一通の売り主からの私に対する回答であります。ハンザダンサー号は九十万ドルで藤井治商事に売った、この回答がきっかけになりました。当然私は、売り主側のエージェントの手数料二万五千ドルは別にいたしましても、三十二万五千ドルの金の流れにも問題はありますが、ハンザダンサーを九十万ドルで売ったティコー氏には調査員は会ったのでしょうか。
○近藤参考人 お答えいたします。 ティコー氏には会っておりません。
○井上(一)委員 なぜ会わないのですか。あなた方はこの実態を把握するために調査員を派遣されたのです。三十二万五千ドルを通したであろうというワールド・ホース・エージェンシーの実体もさることながら、なぜ売り主に、馬主に会わないのですか。それで実態の把握ができると考えたのか。
○近藤参考人 お答えいたします。 調査員の報告によりますと、ティコー氏は当時米国におりませんで会えなかったということで、その代理をいたしておりますマクナットという経理担当の職員に会っております。
○井上(一)委員 代理の人に会った――近藤常務はそういうことをきっちりと指示を逐一なさったというおつもりでしょうね。
○近藤参考人 お答えいたします。 その都度調査員とは連絡をとりまして必要な指示をいたしました。
○井上(一)委員 済みませんが、近藤常務さん、そこへかけてください。――私は今回の問題を指摘したときに、競馬会は素早くこの真相究明に乗り出すべきだということも指摘をしておきました。調査員を派遣したと言う、これは事実そのとおりですが、私は何か非常になまぬるさを感じるし、本当に核心に触れて真相を究明しようという姿勢がどうも見受けられない。むしろ一通りさらっと流して、そして何とかその場をつくろうという、そういうような指示をなさっていたんじゃないだろうか。もっと具体的には、この問題が出たときになぜ藤井治商事の社長である藤井一雄氏をいち早く競馬会に呼ばなかったのですか。あなた方はまた、それは藤井社長が海外に出張しておったと言うでしょう。そんなこと、海外におったってすぐに帰れるのですよ。これだけ大きな問題を、いち早く海外から呼び戻してでも、調査団と一緒に同行してでも関係者に面談をし、かつその実態の詳細をなぜやらなかったか。
○近藤参考人 お答えいたします。 私どもがこの事実を知りまして、当時社長はおりませんでしたので、直ちに藤井治商事のかわりの代表の人を呼びまして一日も早く社長が競馬会に事情説明に来るように指示をいたしますとともに、当時の社長にかわります人からいろいろな事情は聞きました。
○井上(一)委員 さっきの売り主の馬主に対しての取り組みも、いま藤井氏に対する取り組みも、発想としては全く同じなんです。世界はもうそばなんですよ。アメリカであろうがヨーロッパであろうが、すぐもう隣なんですよ、そう時間的に長くかかるわけじゃなし。これだけ大変な問題になろうとしている、そういう疑惑を積極的に解明していくんだという姿勢がどうも見られぬのじゃないか。中央競馬会はただ何か事態の鎮静化を待っているような姿勢にどうも見受けられる、こういうことなんです。 そのことは、中央競馬会が藤井治商事となれ合いのような立場にあるのじゃないだろうかと思われても仕方ないような対応の仕方に、やはり少し問題があるのじゃないだろうか。いまもヨーロッパに派遣をしているということですが、それは後でまた問題を指摘しますが、このアメリカのハンザダンサー号についての真相究明に対する取り組みも非常になまぬるい。そんな体質それ自身にやはり問題を起こす要因、素地があるんじゃないか。問題が起こったら素早くきっちりと対応する、そういう事実を積み上げていかなければいけない、いまどうもなまぬるいというふうに私は思うわけですが、近藤常務、どうなんですか。
○近藤参考人 お答えいたします。 私どもとしましては、毎日のように同社の社長の代理の者に電話あるいは出頭を求めまして、社長の居場所あるいは社長の即刻の帰国と競馬会への事情説明を求めておりました。
○井上(一)委員 求めるだけ、言いっ放し、伝えっ放しじゃ、これは問題の解決になりません。要はもっと、引き戻してでも連れ戻してでも、あるいはそこへ飛んでいってでもこのことについての解明をする、そういう姿勢がやっぱり欲しい。後でもう一点、きょうすでに報道されておりますが、アンズプリテンダー号についても私は指摘をしますので、競馬会が今回の種馬の輸入にかかわる疑惑一切を含めて解明をしていくという姿勢を冒頭にきっちりと表明してもらわなければいけない。 それには、たとえば対策室というのですか、それの究明、対策をする、そういうプロジェクトをつくるのだ。それは近藤常務を筆頭にするのかどうか、そういうセクションをつくってでも、まずそういう取り組みをやるのだというぐらいの姿勢がうかがえないものですから、ただアメリカへ行きました、ヨーロッパへ行かせております、いやワールド・ホース・エージェンシーが言っておりました、そんなことではこれは国民は納得しませんよ。そんなことでは、われわれとしてはどうしてもただしていかなければいけないわけなんですが、そういう点についてはいかがですか。
○近藤参考人 いま先生御指摘のことを含めまして、私どもとしてはこの問題について農林省等とも十分協議をしながら対処をしてまいりたいというふうに思っております。
○井上(一)委員 農水大臣、いま中央競馬会は農水省とも相談をしてということですが、まだ取っかかりですから、これからいろいろな問題が質疑の中で出てくると思うのですけれども、疑惑解明のための、中央競馬会が取り組む一つの対応室というのですか対策室、そういうことを真剣にやらなければだめだと思うのです。農水大臣としては、対策室をつくってでもという何かそういう専任のプロジェクトをつくって、そして関係機関との協力を得ながら真相究明に取り組む、いま一番大事なことはそれだと私は思うのです。そういうことを指導なさるお考えをお持ちでしょうか。
○田澤国務大臣 日本競馬会は、御承知のように健全な娯楽を提供することによって、その収入は国の大きな財源になっている。しかも、畜産振興に大きな役割りを果たしているわけでございますから、ただいまのように種馬の輸入問題等について先生御指摘のような問題があるとすれば、この中央競馬会の本来の目的を達成するに大きな阻害になると思いますので、私はこういう問題は徹底究明すべきものだ、かように考えますので、私の方からもそのような指導をいたしたい、かように考えております。
○井上(一)委員 あるとすればという前段がありますので、事実あったということをこれから認識をしてもらいましょう。 日本中央競馬会は、ハンザダンサー号の購入についてワールド・ホース・エージェンシー、ダーレー氏の子会社、このエージェントが介在をしていたということは承知をしていたのでしょうか。
○近藤参考人 お答えいたします。 本件が週刊誌に出まして、その前に記者等からの取材を受けまして、直ちに藤井治商事に対しまして、真相の究明と申しますか事情の説明を求めました。私どもの求めましたのは、競馬会が当時藤井治商事に交付しました馬代金がどのような形でどこに送られているかというふうなことを聞いたわけでございます。 それに対しまして、当時社長はおりませんでしたけれども、その代理の者から六月七日に、ロサンゼルスにありますワールド・ホース・エージェンシーに馬代百二十五万ドルが送られたという裏づけ資料が提出されまして、その日にこの事実を知ったわけでございます。
○井上(一)委員 藤井社長の代理の者から、問題が指摘されて、そして初めてワールド・ホース・エージェンシーなるエージェントの介在を承知した、こういうことですね。 それでは、ワールド・ホース・エージェンシーの介在を知った時点で、もちろん先ほどの現地調査員の派遣ということもありますが、藤井治商事に対して中央競馬会はどういうような対応をされたのでしょうか。
○近藤参考人 お答えいたします。 いま申し上げましたように、六月七日にそのような資料の提出がございましたので、このワールド・ホース・エージェンシーというのはどういう会社かというふうなことを直ちに尋ねました。それに対しまして、この会社はフランスに本社があるダーレー社の米国の支社であるという説明がありました。これに対して私から、なぜこのワールド・ホース・エージェンシーに馬代金を送らなくちゃいけないのか、その事情を説明をしてくれというふうに申し上げましたところ、社長が帰らないと事情がわかりませんから社長が帰るまで事情説明は待ってくれというふうな代理からの話がありました。
○井上(一)委員 そして社長が帰って、事情を聞かれたのでしょう。それじゃ中央競馬会は事情を聞かれて、藤井治商事の社長の言うとおりに認識をしているのか、あるいはまた違った角度での認識をしているのか、まずこれは近藤常務に尋ねましょう。
○近藤参考人 お答えいたします。 藤井社長から六月十六日に説明がありましたのは、ハンザダンサーの取引についてはファシグ・ティプトンのほかにワールド・ホース・エージェンシーが介在をしていたというふうなこと、それから競馬会から藤井治商事が受けた馬の代金はワールド・ホース・エージェンシーに送られたというふうなこと、第三点としまして、ワールド・ホース・エージェンシーはこの中から九十二万五千ドルをファシグ・ティプトンに送ったということ、それからもう一つ、馬主のティコー氏の代理からこの馬は藤井治商事に売られたというふうなことが出ているけれども、あれは誤解である、以上四点の説明が六月十六日藤井社長からございました。
○井上(一)委員 内村理事長に伺いますが、競馬会としては、ワールド・ホース・エージェンシーの介在は藤井氏から聞くまで全く知らなかった、そういう認識には立っていなかった、いま近藤常務の話でも明らかなんです。ただ、近藤常務については、藤井氏の四点の言いわけを聞いた。そして、その聞いたことに対する近藤常務の認識、感覚、考えは答えられておりません。 それで、内村理事長に。中央競馬会は藤井治商事がワールド・ホース・エージェンシーに三十二万五千ドルを払ったといういわゆる認識のない商社、まあペーパーカンパニーだ、トンネル会社だ、こういうように言われております。そういう認識に私も立っております。中央競馬会はだまされたというような認識に私は立っております。内村理事長として、中央競馬会としての認識を私は聞いておきたいと思います。
○内村参考人 お答え申し上げます。 競馬会といたしましても、ワールド・ホース・エージェンシーがハンザダンサーの購入に介入していることを聞きまして、全然知らない事実だったことでございますから非常に驚いたわけでございます。私は、この段階になってそのような報告がありましたことは、藤井治商事は非常に著しく信義に反する行為をした。それからワールド・ホース・エージェンシーに送られた手数料と申しますかマージンと申しますか、それはわれわれの常識から見てきわめて多額であり、どうも納得しがたい感じはいたしました。
○井上(一)委員 納得しがたい、遺憾である、それだけなんですか。それだけしかあなたは認識なさらないのですか。少なくとも三十二万五千ドルについてはだまされた、中央競馬会は報告を受けずに、そういう経緯を知らされずに、むしろ馬代金として購入価格に上乗せをさせて支払いをさせられたという認識を私は少なくともしているのですけれども、三十二万五千ドルについての認識ですね、遺憾であるとかそういうことだけしか感じませんか。
○内村参考人 ハンザダンサーの購入代金につきましては、軽種馬協会からハンザダンサーを百二十五万ドルで買いたいという正式要請がございまして、それに基づいて競馬会といたしましては百二十五万ドルを購入価格として払ったわけでございます。それも先ほど近藤常務の説明であったと思いますけれども、百二十五万ドルはワールド・ホース・エージェンシーに送られております。したがって、私どもといたしましては、藤井治商事のやった行為は非常に信義に反するというふうに思っております。
○井上(一)委員 それは理事長、信義に反している、遺憾であるということは先ほど言われたわけです。私は、だまされたのと違うか、私はだまされたと思っているのだ、それでそういう認識を持っていますかということを聞いておるのですよ。持っているのなら持っている。だまされた、三十二万五千ドルについては少なくともだまされた、私はこういう認識を持っているのだから理事長に聞いているわけなんです。だから、あなたが持っているのなら持っている、持っていなければ持っていないと、僕は素直におっしゃっていただきたい。
○内村参考人 繰り返して申しますけれども、私は、藤井治商事のとった行動は非常に競馬会に対する信義に反する行為だと思っております。
○井上(一)委員 三十二万五千ドルについての認識は、どういう認識を持っているのですか。
○内村参考人 常識に反する非常に多額な手数料だと思っております。
○井上(一)委員 さすれば、この三十二万五千ドルは不当に支出をさせられた、常識を逸する不当な高額な手数料、それを競馬会は支出をしたのだ、軽種馬協会を通してですけれども、一応三十二万五千ドルの支出については不当だ、不当な支出としての認識を持っていますか。
○内村参考人 非常に多額な納得しがたいものだと思っております。
○井上(一)委員 納得がしがたいということは、不当である、不当な支出だ、こういう理解をしてよろしいですね。
○内村参考人 私は、繰り返して申し上げますけれども、われわれの調査によりましても、手数料というものは大体五%か一〇%だというふうに聞いております。その点から見ても著しく多額だ、こういうふうに思っております。
○井上(一)委員 手数料は、いわゆる売り主側ではちゃんとファシグ・ティプトン社が入っているわけなんですね。そして、手数料はいわゆる中央競馬会と藤井治商事との間できっちりとした、購買馬の馬代金の二%を支払うのだということをちゃんと契約しているのです。だから、私は正規の手数料は当然支払うべきであり、それが五%であろうが一〇%であろうが、やはり常識の枠はあるにしても、契約どおりのことはちゃんとしなければいけない、こう思います。しかし、ワールド・ホース・エージェンシーが急に浮かび上がってきたわけですね。私が問題を指摘してから浮かび上がってきたわけです。 そして、それはあなた方は知らなかったというわけです。そこへ五%、一〇%の域でない三十二万五千ドルが手数料として支払われておった。これはだまされたことであるわけです。三十二万五千ドルは不当に支出をさせられたという認識を私は持っているわけです。そういう理解をしていいかということを言っているのだけれども、どうもすきっとした答えができない。なぜそれほどまごまごしなければいけないのか。あなたが率直に言えないのですか。なぜまごまごした回答をしなければいけないのか。どっちなんだ。不当に支出された、だまされた金じゃないですか。三十二万五千ドルは正当だと思われるのですか。信義に反するとか遺憾だとか、そんなことは答えになりませんよ。答えになりません。 改めて私は内村理事長から、私の理解、そのとおりなんだ、私もそうなんです――立場上、いろいろあなたとしても御心労だということは私は理解もします。でも、やはり、だまされたというのは、三十二万五千ドルはだまされたのですよ。これはきっちりとそういう認識に立って、どのような対応をしていくかということが私は大事だと思うのです。それが問題の解決になると思うのです。どうなんですか。
○内村参考人 繰り返して申しますけれども、藤井治商事が、ワールド・ホース・エージェンシーを取引に介入させながら競馬会に報告しなかったことは非常に信義に反する行為でございます。 ただし、種馬の国際的な取引において、そうした者を入れるということが、特に欲しい馬を買うときにはあり得ることだということを聞いておりますし、事実そういうことがあるようでございます。 それから手数料につきましても、たとえば買い手がどうしても欲しいというような馬を買おうとするときには、かなり多額の手数料を払うケースもあるようでございます。そうしたことから考えまして、私は、藤井治商事のとった行為は非常に信義に反する、遺憾だと思っておるわけでございます。
○井上(一)委員 内村理事長、藤井サイドでは、あるいはダーレーのサイドでは、そういうことを言いますよ。私もダーレー氏に会って、ダーレー氏は必要以上にそれを言っています。欲しい馬については五%、一〇%じゃない、二五も三〇も取るのだ。値打ちがあって値打ちがないのだというのは予防線なんです。さらにまたそういう事実関係が出てきたときの予防線を張っているわけだ。私は、社会的な通念というのでしょうか、常識というのでしょうか、やはりもっと、そんなばかなことが許せるのだろうか、あり得るのだろうか、こんなこと、普通、国民の中で、多くの競馬ファンの中で、中央競馬会の認識が、いや、だまされたとは思っておりません、そんなことじゃ許しゃしませんよ。私はそういう点では、言葉としてあなたが表現することのむずかしさを意識していらっしゃる、こういうふうに思います。 農水大臣、私はいま三十二万五千ドルの法的な解釈なんてここで論議しません、それが法律でどうだとかこうだとか。しかしいまの質疑の流れからして、通常は、これはえらい一杯食わされた、だまされた、素直な感覚としてそういうふうに受けとめるのが国民感情じゃございませんか、僕はこういう質問をしているわけなんです。全くそのとおりですと言えばこれはすぐに済む問題なんだけれども、どうも何かすかっとした回答がないものだから、農水大臣、一般国民感情として、これはだまされましたなというような認識に立つのではないでしょうか。
○田澤国務大臣 いま御説明がありましたように、確かに手数料としては高いものでございますが、先ほどお話がありましたように、種馬の輸入についてはいろいろな形式があるようでございまして、いい馬を獲得するのには常識以上のその種の手数料等が支払われている例もあるようでございますので、そういう意味でいま理事長が、非常にそういうような事態の中で取引が行われている、それが報告なしで行われていることは自分にしては本当に遺憾だということを申しておるのでございまして、私たちも常識的に見てそういう世界なのかということで、実はいまいろいろな先生との質疑の中で驚いているような状況でございますが、やはりこういう取引は将来とも慎しんでいかなければならないものだ、かように考えます。
○井上(一)委員 大臣、すっきりしませんよ。すっきりしませんが、では内村理事長、私が承知する一つの問題を尋ねます。 最近、藤井社長が、日本中央競馬会に迷惑をかけた、ひとつ連帯して責任を負わなければいかぬ、言葉はどういう表現をされたか、三十二万五千ドルに相当する金を返しに行った。そういうことを聞いているが、そういう事実はあるのかどうか。
○内村参考人 六月二十九日に、藤井社長から、社会的に迷惑をかけたので、この際、ダーレーから取り戻してお金を返したいという申し入れがございました。私どもは、その際、返還の趣旨がはっきりしませんでしたので、受け取ることはできないと言ってお断りいたしました。
○井上(一)委員 二十九日ですね。私は、二十五日にダーレー氏とパリのダーレー氏の事務所で会っていました。ダーレー氏とのやりとりの中で、ダーレー氏の意思というのでしょうか、私はそういうことも予想をいたしておりました。 その折は、中央競馬会は、趣旨がわからないということでお断りしたということです。きょう今日、新たな疑惑をまた一つ提起したわけでありますけれども、このハンザダンサーについては疑惑が非常に鮮明になったわけです。きょう、いまの心境はいかがですか。いまでもなお、まだ受け取らないというようなお考えなのですか。いまの心境、いまのお気持ちを聞かしてください。
○内村参考人 欧州に調査員を派遣しました等の結果、事実関係が大分はっきりしてまいりました。したがいまして、現時点において関係者から自発的に返すという申し入れがこの際あれば、競馬会は受け取ります。
○井上(一)委員 自発的に返すということがあれば受け取る。そこが競馬会の体質なのだな。アメリカでの調査にしても、国内における事情聴取にしても、何もかも含めて、その取り組みがどうも手ぬるい。私が冒頭にしつこく言ったのはそのことなのです。自発的に申し入れがあれば――持ってくるまで待っているのですか。そして、その三十二万五千ドルは、いま受け取るとおっしゃいました。だまされたから受け取るのでしょう。不当に出したから受け取るのでしょう。正当な支出であれば受け取るべき金じゃない。不当に支出をした、そういう判断に立った。それは、アメリカだけの調査ではまだ十分じゃなかった、その二十九日まで、あるいは逐一の報告があるまで。それは前進だと思います。理事長のおっしゃる認識は、前進された。それはそれなりに、いわゆる解明に努力をされていることは、理事長、私も認めます。 しかし、そういうことであると、さっき私が質問をしたように、だまされたのだ、だから三十二万五千ドルはやはり何かけりをつけなければいけない。そうしたら、返してもらうか、それに対してどういう措置を講ずるか、これは競馬会が考えていかなければならぬことだ。私は、もっと積極的な――持ってくるまで待っている、そんなことでは、これはまた冒頭の競馬会の姿勢がどうもなまぬるいということを責めなければいけないわけであります。 さらに、私は直接藤井氏から聞いておりませんが、藤井氏の言う競馬会との連帯意識、競馬会にえらい迷惑をかけたから、連帯意識の中で責任をとろう、こういうような認識だというように私は受けとめておるので、もしそういうことであれば、競馬会の中にも、そういうことを知っておって一緒に、あるいは少しぐらい知っておってそのままにしておったのではないか。競馬会にも、十分の一の責任なのか十分の二の責任なのか、このハンザダンサーの三十二万五千ドルについては。私はいま、このハンザダンサーの三十二万五千ドルについてしぼって質問をしているのですが、そういうことになるわけでありまして、いまの、自発的に持ってくれば受け取る、それは不当な支出であったという認識での受け取りようだ、こういうことですね。
○内村参考人 お答え申し上げます。 競馬会といたしましても、何とか取り返そうということを実はよく研究したわけでございます。専門家の意見等も聞きまして、取り返せるなら取り返したいと思ったわけでございますけれども、馬の価格は、現地商社の手数料込みである。その手数料の額は、必ずしも一定の基準が決まってないわけでございます。したがいまして、非常に多額であるということだけで法律上の返還請求をすることはむずかしいということが明らかになったわけでございます。
○井上(一)委員 法律的に取り返す、法律的な解釈をいま言われたわけですけれども、それは、後で私はこの契約書についての質疑をします。 とまれ、藤井から自発的な返還があれば受け取るということを言われたわけですけれども、もう一歩進んで、むしろ中央競馬会から積極的に、それは取り返したいという気持ちがあるのだから、その意思伝達をする用意があるか。法的な問題については、その解釈の云々ということは競馬会でいろいろ法律家と相談をされていると思うのだけれども、そうじゃなく、取り返したいという気持ちがあるのだ、向こうから持ってくるまで待っているのだということじゃなく、今度は積極的に、三十二万五千ドルを返還さすべき努力をいたしますか。
○内村参考人 藤井治商事から意思表示があれば、積極的に返してもらうようにいたします。
○井上(一)委員 藤井治商事から意思表示があればなんというようなことでは私は困ると思うのだな。中央競馬会は、相手側からのアクションがない限りじっとしているのです、みずからの意思は持ちながらも、取り返したいという意思は持ちながらも、相手がアクションを起こさない、申し入れをしない、あるいは自発的に出てこない限りはじっとしているのですでは済まされない。だから、そういう意思をやはり表明しないといかぬ。そのことにおいて相手がどう対応するかというのは、これはまた別なんですよ。中央競馬会は、取り返したいという意思を藤井治商事にやはり言わなければいけない、伝えなければいけない。そのことが誠意ある中央競馬会の積極的な取り組みだと私は思うわけなんです。そういうことをなさいますか、こういうことなんですよ。
○内村参考人 六月二十九日に藤井治商事から返したいという意思表示がありまして、そのときは、はっきりしないので断ったわけでございますが、その後の調査、本日の国会論議を踏まえて、藤井治商事に返す意思が依然としてあるかどうかを照会いたします。
○井上(一)委員 限られた時間で質疑をしなければいけないので私はしつこく言っているのです。だれが聞いてももうわかり切った話なんで、藤井治商事に意思があればということじゃなく、取り返したいというその気持ちを伝えるかということですよ。これだけなんですよ。意思を尋ねなさいなんという質問は私はしてないわけです。あなた方が、取り返したいという意思があることを言われたから、その意思を伝えるかと、こういうことです。
○内村参考人 その辺のところは、私どもの要求によって、先方も理解できるような態度で対処したいと思います。
○井上(一)委員 大臣、これだけの質疑の中で、疑惑の解明はもうあなたなりに頭の中でできていると思うのです。私は、内村さんは非常に実直に、理事長として本当によくやられている、そういう認識に立っているのです。非常にお困りなんです。むしろ大臣から、農水大臣が、指導監督のその権限の中で、取り返したいという気持ちをきっちり伝えさせるように指導しますか。
○田澤国務大臣 競馬会の意向というのはいまお答えしたとおりでございますから、その線に沿うてできるだけ私たちも指導したい、かように考えております。
○井上(一)委員 ところで私は、さらにハンザダンサー号についての藤井治商事と日本中央競馬会との契約書の写しをここに持っているわけです。そして、この第四条に、手数料として、いわゆる二%という規定があるわけです。もちろん、さっきから何回となく質疑の中で明らかにしてきたように、藤井治商事は百二十五万ドルに対する二%を請求し、六百二十五万三千円何がしを裸馬代金の二%として――これは中央競馬会からいただいたやつです。エージェントの手数料込みで二%とは書いてありませんよ。あなた方の認識もそうだし、藤井治商事も。さらには、航空運賃の五%の手数料がそこに加算をされて概算払いをして、精算をされているわけなんです。さっきからエージェントが出てきて、いや、そこで多額なマージンが信義に反する、遺憾だと、いろいろなことを言われておりますけれども、五十二年、五十三年、五十四年、五十五年も五十六年も、この契約書というものの趣旨というものは何ら大筋において変わりないでしょう。どこかで変わったことがあるなら、いつから変わったということを言ってほしいのだけれども、大筋においては変わりないでしょう、理事長。
○内村参考人 大筋において変わりございません。
○井上(一)委員 それで、五十五年と五十二年の契約書があります。五十五年は後で言うアンズプリテンダーの契約書なんです。馬代金というのと購入価格という、この違いだけがあるわけです、契約書で。第四条で、手数料として甲が乙に支払う、いわゆる商社に支払う、その場合に、購買馬の購入価格、しかし括弧書きとして現地牧場渡し外貨建てというただし書きがあるわけでありますから、購買馬の馬代金、購買馬の購入価格、この違いはあるけれども、裸馬価格、いわば現場の牧場渡しの値段に対する二%なんですね。確かに購入価格あるいは、いろいろな意味で購入価格は、仲介の、いわゆる幻の商社のエージェント料も含めて購入価格だとおっしゃるかもわからない。しかし、そうは言わせませんよ。現地牧場渡しの外貨建て、さらには馬代金だ、そういうことになりますと、私は、九十万ドルと二万五千ドルの、いわゆる九十二万五千ドルの二%が藤井に正規の手数料として支払うべき手数料でないのか。いわゆる百二十五万ドルの二%というものは、これは契約書からは外れているし、契約違反である。もっと、九十二万五千ドルの二%と百二十五万ドルの二%の差額、六千五百ドルについては、これは取り過ぎで、だまされた上にまただまされている、こういうことなんです、私の言っているのは。三十二万五千ドルの上に手数料乗せているわけですから、これは、この手数料として九十二万五千ドルに対する二%でなく、百二十五万ドルに対する二%、その差額六千五百ドルについてはどういう考え、どういう認識をいま持っているのですか。私はこれもだまされたと思っているのですけれども、この六千五百ドル。だから全部返すということ、それは受け取るということです。これはわかりました。手数料の六百二十五万二千何がしの、百二十五万ドルに対する二%、九十二万五千ドルに対する二%、これの差額、私は、正規の手数料は支払ってあげなさい、やはり商社に対しては。そういう、私の計算によると六千五百ドルについては、それじゃどうなさるのですか。これも、藤井治商事は中央競馬会から契約に反してだまし取っておるんじゃないだろうか、こういうことなんです。この問題については非常に微妙な、手数料二%、あるいは契約書の解釈の問題等もありますが、ひとつ五十二年から、あるいは五十年から五十五年までの契約書をずっと検討されて、大筋において何ら大きな変更がないということであれば、私は、いま指摘した馬代金、現地牧場渡しのその値段に対する二%が正規の手数料であるという認識に立つわけです。いかがですか。
○内村参考人 国際的な、あるいは日本においてもそういうケースが多いわけでございますけれども、種馬を売ろうという場合に、持ち主が直接売るのではなくて、向こうのエージェントに頼む、そういうことを商売にしている人に頼むわけでございます。したがいまして、そういう手数料は馬代金の中に入っているというふうに考えております。
○井上(一)委員 それじゃこの六千五百ドル、いわゆる手数料は、百二十五万ドル分払うということですか。
○内村参考人 ただいままで明らかにされた事実に基づけばそういうことに相なります。
○井上(一)委員 この問題は、しかし重要なんですよ。九十万ドル、売り主の手数料二万五千ドルを入れて九十二万五千ドル、百二十五万ドル、その差額、だまされたから三十二万五千ドルは返してもらう、アプローチをしよう、手数料については百二十五万ドルで支払う、これは矛盾しませんか。三十二万五千ドル返してもらう、さすれば、私は、やっぱり手数料も九十二万五千ドルに対する二%でなければいけない。これは非常に大事なんです。百二十五万ドルで、返してもらいたいんだと言って返してもらうと言う。百二十五万ドルの手数料を払っているんだから、手数料はやっぱり返してもらった分についても……。わずかですよ。総額からすれば非常にわずかな額だ。しかし理屈として、理論として成り立ちませんよ。九十二万五千ドルに対する手数料を払っておくことが理屈ですよ。三十二万五千ドル返してもらうんだから、これを、返してもらう、その額に対する二%の手数料だけはおいておきます、上げておきますと、そんな理屈は通らぬですよ。金額のそれは三十二万五千ドルに比べれば六千五百ドルぐらいだから、額で僕は議論するんじゃない。やっぱりきっちりとした理がそこになければ、これは国民感情として許せないし、われわれとしても納得はできない、僕はこう思うんです。いかがですか。いま私が指摘をして、内村理事長頭がこんがらかっているかもわからない。三十二万五千ドル、えらいこと、それと、九十二万五千ドルの手数料、手数料はもうやっぱりエージェントにも払ったというんだから払っといたろうかと、いろいろこんがらかって……。それなら三十二万五千ドルに対する、取り返したいという気持ちに沿いませんよ。
○内村参考人 先ほど申し上げましたように、現在までに判明し得た事実からは、競馬会としては法律的には請求し得ません。
○井上(一)委員 私法律的にという言葉は聞いておりませんし、そんなことをえらい居直ったようにも受けとめられるのだけれども、私は気持ち、そしてどうしていくかという取り組みを聞いてきたのです。そして、あなたも素直に答えてこられたわけです。いまも私はその連続で、その線上に乗って質問しているわけです。法律的にどうですとかこうですとかいうことは、私は一つも言っていないわけです。それはそれなりにまたお考えになられたらいいことです。三十二万五千ドルは返してほしい、もう取り返したい気持ちだ、それで、向こうに自発的なそういう意思があれば受け取りますと言う、大臣もそういうことで指導しようと言う、ここまではようわかった話で、そういうふうに流れはなっていくんだな、そうしたら今度は、金額はわずかだけれども、この手数料の問題についても考えなければいけませんよということを私は申し上げたわけなんです。 農水大臣、農水省、これは競馬会だけではどうもきっちり話が詰まらぬ。私のさっきから言っている質問の趣旨は十分のみ込めてもらえると思う。わからなければ逆に聞いてください。私はこの二%についても、やはりそういう認識に立って努力をすべきだという理解をしているし、そうすべきだということを言っているわけなんです。金額の問題じゃない、やはり筋論としてこれは通せ、そういう指導をなさいますか。指導すべきだ。なさいますかじゃない、すべきだと私は思うのです。これは担当の畜産局長からでも大臣からでもどちらからでも結構ですが、一応やはり大臣から中央競馬会に対する指導の見解をちょっと聞いておきたいと思います。
○石川(弘)政府委員 ただいま御指摘のありました手数料部分の取り扱いでございますが、理事長がおっしゃいました法律的の問題と、それからもとの三十二万五千ドル自身にも法律問題とそうでない問題がございます。両方の問題を十分頭に入れまして処置の仕方について競馬会と相談をいたしたいと思っております。
○井上(一)委員 私の指摘した問題を十分踏まえて正しい疑惑解明に努力をしていただきたいと思います。 そこで内村理事長、ハンザダンサー号について非常に詳しくここで質疑をしてきたわけですけれども、不明朗。あなたが答えられたように、信義にも反するし非常に遺憾だ。もう本当にだまされたという表現は使われないけれども、心の中ではもう私と全く同じだと思うのですね。取り返したいというあなたの気持ちは、期せずしてもう体じゃうににじみ切っていますよ。しかし、言葉には出ぬだけの話。 日本中央競馬会が藤井治商事に対して、こういう不当な信義に反する取引、あるいは非常に遺憾な行為、不明朗かつ私の認識ではだまされっ放しだ、そういうような取引を放置しておくわけにはもういかぬと私は思う。だれが聞いても、そんなばかなことが通るのか、まさに政治不信が国民感情としてより倍加していく。今日、臨調行革、歳入欠陥、福祉が切り捨てられる、教育が十分保障されていかぬ、いろいろな意味で国民には大きな重圧感を片方では与えていく。片方で一兆四千億も大衆競馬ファンが、それこそ大きな夢を持ってばんばんあなた方の収入源――これは一部国庫に入ってくるわけです。いわゆる国民の行政に寄与するための財源になる。決算でも、収入源の大半は中央競馬会からの財源だという報告がさっきあったわけです。 そういうことを考えていくと、よろしくない藤井治商事に対する、こういう事件こういう問題をとらえて一つの、一定の厳しい制裁が、そんなこと言ったら、また法律的だとかなんとか言うかもしれぬが、少なくとも国民感情としては社会的な制裁、さらには毅然たる中央競馬会の姿勢が求められると私は思うのです。そういう意味で、中央競馬会は社会的な制裁、さらには中央競馬会の毅然たる対応、そういう両点から考えて――法律的なことは言ってませんよ、法的なことは私はまだ一言も触れてない。そうではなく、一般国民感情として中央競馬会はどういうような対応を考えていらっしゃるのか、聞いておきたいと思います。
○内村参考人 お答え申し上げます。 これまで競馬会と藤井治商事の関係は、輸入種馬の輸入事務委託という契約を結んでやってきたわけでございまして、それ以外には何の取引もございません。先ほどから繰り返して申し上げておりますように、非常に信義に反する行為をとった相手方でございますから、競馬会といたしましては、今後藤井治商事とは一切の取引を行わないつもりでございます。
○井上(一)委員 競馬会としては一切の取引をしない、これは僕は常識だろうと思います。そういう点は内村さんの決断というか、そういうことについては、それなりの評価をしたいと思います。 さらに、私は欧州馬について少し触れたいのでありますけれども、その前に、参考人でお越しをいただきました田口さんなり今泉さんに、二、三質問をいたしたいと思います。 まず田口さんに、ハンザダンサー購入に立ち会われましたね。
○田口参考人 私は、ハンザダンサー号の購買に立会人として同行いたしております。
○井上(一)委員 先ほどから問題になっておりますワールド・ホース・エージェンシーの介在を、あなたは承知していましたか。
○田口参考人 一切承知しておりませんでした。
○井上(一)委員 田口さん、楽に聞いておってください。 私は、さっきから言っているワールド・ホース・エージェンシーの介在というものは、まさにトンネル商社、ペーパーカンパニーだという認識に立っているわけですけれども、価格の百二十五万ドルについて、ちょっとおかしいなと思いましたかと聞いても、あなたが思いましたなんということは答えられないと思うのですよ。思うのですけれども、百二十五万ドルの価格は別にして、何か流れとしてどうも変だな、そういうような感じを持たれたことがあるでしょうか。
○田口参考人 当時は、特にそのような不審に思った点はございませんでした。
○井上(一)委員 当時はそうは思わなかったけれども、ごく最近、振り返ってみれば、やはりそこに何か不審というのでしょうか、やはりあのときはあそこがおかしかったなというようなことをいま思い返されますか。
○田口参考人 私は帰国後に、今回ハンザダンサー号の現地側の代理店でありましたファシグ・ティプトン社の社員から、ファシグ・ティプトン社につきましての資料も受けておりまして、私どもとしましては、現地側の代理店として初めて登場したファシグ・ティプトン社につきまして余り実務的なことも存じておりませんでしたので、資料等も送付してもらって、その時点ではそのような現地側の代理店であるという認識を持っておりました。
○井上(一)委員 ティプトン社は私は現地側の代理店だという意識、認識ですね。いま聞けばそれも余り詳しく知らなかったということですね、いまのなにでは。
○田口参考人 ファシグ・ティプトン社はメーンのビジネスは競りの開設でございます、競走馬の取引市場を開設する世界一の会社でございますが、馬のエージェント業務についてはメーンの業務ではないので、競りの業務のほかにどういうような業務をやっているかというようなことも含めまして、当時の担当の社員であった方にひとつファシグ・ティプトン社についての資料をいただきたいということで資料を入手しております。
○井上(一)委員 何か余りティプトン社についてもサイドワークのような、サイドビジネスで今回のハンザダンサーのエージェントになったような、まあそれはそういう認識、あるいは十分ティプトン社との交流がなかったということですが、もちろんさっきから言ったワールド・ホース・エージェンシーとは全く皆無でしょう。皆無であったわけでしょう。五十六年の購買の折に、やはりあなた自身だれからかあるいは同行の中で、いろんな不審な、そういう不明朗なことのないようにお互いに気をつけなければいかぬなというぐらいの、そういう話し合いというのでしょうか話はあったように私は聞いておるのですけれども、そういうことは記憶ありませんか。
○田口参考人 そのようなことは、最近の発売されました週刊誌上では拝見しておりますけれども、当時、昭和五十六年に私が御一緒しました軽種馬協会の購買員の方から直接あのようには聞いておりませんでした。
○井上(一)委員 いま田口さん、今回こういう問題が非常に明らかになってきて、あなたに感想を聞くのはどうかと思うのですけれども、実はほっとした、非常に良心の動き、そういうものに左右されながらあなた自身――決して私はあなたが藤井とぐるだというような認識持ってませんよ、そんなことは一向に。これはあなたの名誉のために私は申し上げて、まじめにあなたは立ち会いをされて、しっかりと職務につかれたと私は信じています。しかし、種馬の購入、輸入にかかわっての流れがどうも不自然だという感じを、五十二年当時は別として、ごく最近あなたが持っていらっしゃる、そういうことを私は察するわけです。いま明らかになって、いかがですか、やはりもっともっと疑惑解明に積極的に取り組んで、これは競馬会として独自にきっちりとした解明策を立てなきゃいけないという強い意思を持っていらっしゃるか、感想的なものをちょっと聞かしておいてください。
○田口参考人 私は、昭和五十二年、それから昨年、昭和五十六年、いずれも立会人として購買に同行しております。立会人の立場は主に技術的なアドバイスを求められればするということでございまして、私自身も、獣医師でございまして、馬の目ききといいましょうか、そういうような立場で参加しておりますので、最終的な御判断は、私ども日本中央競馬会から購買馬の選定を委託してあります日本軽種馬協会の購買員がなさるわけでございますので、私は立会人の職務の範囲内で行動したつもりでおります。
○井上(一)委員 田口さん、結構です、どうもありがとうございました。 続いて、軽種馬協会の今泉さんにお尋ねをしたいと思います。 今泉さんは、いま問題の藤井一雄氏との交流は、いつごろからあったのでしょうか。できれば、どんなきっかけだったのでしょうか。
○今泉参考人 お答えいたします。 私は、藤井商事とのつき合いは、昭和四十六年、ズグという馬を購買したときに交際が始まっております。
○井上(一)委員 今泉さん、今回のハンザダンサーの百二十五万ドルの中にはワールド・ホース・エージェンシーの手数料が、藤井氏が言う、ダーレー氏が言うその手数料が含まれていたということは承知をなさっていたのでしょうか。
○今泉参考人 お答えいたします。 ワールド・ホース・エージェンシーというようなものは私は存じておりません。
○井上(一)委員 ということは、その百二十五万ドルというものはワールド・ホース・エージェンシーの手数料が含まれているとは承知してないということにもなりますね。
○今泉参考人 百二十五万ドルという数字は即外国の商社から藤井治商事に渡ってきた価格である、かように考えております。
○井上(一)委員 外国の商社というのはどこを指すのですか。
○今泉参考人 私どもは、馬の選定、購買という役割りを帯びておりますけれども、日本から同行しております指定商社の二社以外には外国の方々とは、もちろん自分もしゃべれませんけれども、その他の折衝がございませんので、どこの商社というようなことは明確に私は存じておりません。
○井上(一)委員 今泉さん、ハンザダンサーの検査の折には、いわゆるワールド・ホース・エージェンシーのダーレー氏は立ち会っておったのでしょうか。
○今泉参考人 立ち会っておりません。
○井上(一)委員 通常はそういうエージェントは立ち会うのでしょうか立ち会わないのでしょうか。かかわったエージェントは、外国もこちらの方も含めて、そういう場合には立ち会うのでしょうか全く立ち会わないのでしょうか。
○今泉参考人 立ち会いません。私どもは、向こうの、日本の指定した商社から見積もりを取りまして、そしてその見積もりを開封して、要するに入札者の最低価格に注文を発する、このようになっております。
○井上(一)委員 馬の引き渡しの折には、それでは、通常立ち会うのはだれとだれとだれなんですか。
○今泉参考人 馬の引き渡しと申しますと、どういうことでしょうか。
○井上(一)委員 馬を外地で幾ら幾らで購入するというときに、あなたが立ち会い、通常は向こうのエージェント、関係者が立ち会うというふうに私は聞いているのですけれども、全くそういう機会はないのでしょうか。
○今泉参考人 ちょっと委員長、この「購買の詳細」というものを一応読み上げまして、大体の認識を得ていただいた方が大変話し合いがよろしいと思いますので、一、二分きりかかりませんから、これをひとつ読み上げさせていただきたいと思います。それじゃ井上先生よろしいですか。 昭和五十二年の十月に中央競馬会から種牡馬購買を日本軽種馬協会に委託されましたので、日本軽種馬協会の理事会の議を経て、私が購買委員に任命されました。十月二十六日に中央競馬会の専門役田口邦臣君と同道で、指定商社藤井治商事、株式会社野沢組の関係社員とともにアメリカ、カナダに向けて出発をいたしました。 私が出発に先立ちましてどういう基準で馬を選定するかということを勘案いたしまして、選定基準は、父母の血統を重視して競走馬の改良に貢献できるもの。競走成績は、全獲得賞金を三十五万ドル以上とすること。ただし、賞金が基準をはるかにオーバーしてもタイトルなしの場合はだめである。 グループ競走Iというのは、これは日本のクラッシックレースに当たりますが、このクラッシックレースを一勝以上、なおグループⅠの二着、グループ五の二着等を加味して候補馬として勘案する。 グループ競走Ⅱの場合、これは日本で申しますとさっき賞とかあるいは四千万か四千五百万円程度の競走を指して言うのでありますが、この場合は二勝以上、なおグループIの二着、グループIIの二着等を加味して考慮する。 グループ競走Ⅲの場合は三勝以上で、なおグループⅡの二着、グループⅡの二着を加味して考慮する。 体型は、種牡馬としてふさわしい数値、すなわち一メートル六十二ないし一メートル六十八程度を必要とする。 血統的に偏らないもの、すなわちたくさん入っている同じような血統はなるべく避けること。 以上の考査基準を参考といたしまして、候補馬グレートコントラクター、候補馬フルアウト、候補馬ハンザダンサー、以上の三頭を候補馬といたしまして、十月二十六日の午前十時野沢組松本課長、藤井商事角谷部長に対し候補馬の馬名を告げ、それぞれ関係商社と談合の上最終価格を決定し、十月二十七日午前十時今泉購買員のルームまで見積書を持参、集合されたき旨申し渡しを完了いたしました。 選定購買馬決定の十月二十七日、ニューヨークヒルトンホテル今泉選定購買員のルーム、決定に立ち会った者、今泉貞雄日本軽種馬協会副会長、田口邦臣日本中央競馬会専門役、藤井一雄藤井治商事株式会社社長、角谷正美藤井商事総務部長、松本精一野沢組畜産課長。そして昭和五十二年十月二十七日午前十時、私と田口君が立ち会いのもとに、藤井治商事と野沢組が持ってまいりました封書をそこで開封し、ハンザダンサー百二十五万ドル、グレートコントラクター百三十五万ドル、フルアウト百四十五万ドル、以上の価格を、開封した結果認めまして、購買馬は、価格の点、血統、馬格、競走成績等を参照し、最適と認めたハンザ、ダンサー号と決定いたしました。 以上でございます。
○井上(一)委員 いま購買の経緯については読んでいただいてどうもありがとうございます。 私は、現地の馬の検査のときに立ち会ったのはだれなんでしょうか、こういうことをさっきから聞いているのですが、馬、現物を見る場合に、いろいろの馬を見ますね。そういうときにはだれがどこかで一緒だったのでしょうかということを聞いているのです。
○今泉参考人 一緒ではございますまい。
○井上(一)委員 さらに、それじゃ今泉さん、少し個人的なことになるかもわかりませんけれども、今泉さんは藤井一雄氏から種馬を買ったことがありますね。
○今泉参考人 種馬を買いました。
○井上(一)委員 それはいつごろでございましょうか。よろしかったら購入の価格も教えていただけぬでしょうか。
○今泉参考人 お答えいたします。 昭和四十八年の七月二十日でございます。
○井上(一)委員 大変失礼なんですけれども、価格と、代金の支払いは一括で支払われたとか、あるいはどういうふうに、即刻競馬会と同じような支払い方法をとられたのか、ちょっとその点、あるいはできれば手数料も含めて……。
○今泉参考人 お答え申し上げます。 金額は手数料を込めて全部で七千万です。そしていま御指摘になりましたように、支払い方法は、これは今泉貞雄の馬ではございませんで、シンジケートの馬でございまして、四十五株で福島県下の水産業者全部が集まりまして、金を拠出いたしまして、農林中金から五千万円を借用いたしまして全額を支払っております。
○井上(一)委員 そのときの手数料は、もしよろしかったらパーセンテージで……。今回のハンザダンサーのようなえげつないことをやっているのかどうか。
○今泉参考人 馬代金は七千万でございます。 それから、つけ加えますが、あとは運賃、保険料その他で約一千五十万円くらいは別でございますから、総額で八千五十万円の価格になっております。
○井上(一)委員 四十六年に藤井氏と知り合って四十八年に藤井氏から種馬を買った。私は、別にその行為それ自体に問題があるという指摘はいたしておりません。しかし五十二年のハンザダンサーの購入についてはあなたが購買員になっている。何か藤井氏との強いつながりというものがだんだんだんだん……。想像の域でありますけれども、そういうような感もするわけなんです。まさかあなたが藤井治商事のダーティーな部分の片棒を担がされているなんというようなことは思いたくありません。思いたくありませんが、ひとつ今回のこの問題に関して、一言で結構ですが、今泉さんの感想、藤井氏に対する怒りがもしあれば、あるいは購買員としてのプライドに対するそういう点もあわせてちょっと聞かせてください。
○今泉参考人 今回のこの問題を聞きまして、私は非常に驚いております。そして、私は一言申し上げたいのは、よけいなことかもしれませんけれども、このハンザダンサーという馬が非常に成績のいい優秀な馬であったということでございます。
○井上(一)委員 今泉さん、どうもありがとうございました。 購買員の選定について、これは中央競馬会に軽種馬協会から上がってくるわけですけれども、最終決定はあなたの方でなさるわけだと思いますが、私はいろいろな意味で今後の参考にされたらいいと思うのです。 余り時間がありませんが、さらに私は、すでにきょうの新聞で報道されておりますように、ハンザダンサーだけじゃない、欧州馬についても疑惑があるということを私の調査で指摘をしております。五十五年に購入したアンズプリテンダー号、その一例です。このことについては、昨日も中央競馬会に私は具体的な問題を、たとえばフランスのどの商社にどういう形で問い合わせをしなさい、さらには牧場主あるいはさっき言われた馬のシンジケートの一員である四十株のうち三株を持っているニコル氏等も含めて、私は具体的に指摘をいたしました。 これは、けさまでの報告によると、競馬会の方からは私が指摘したような照会をせずに、関与をしたかとかあるいは関与しているならこの問題について教えてほしいとか、的を射た照会ではなかったと私は思うのですね。もう素早く手が回っておった。そしてフライング・フォックスの社長にしても、けさ私の方に入ったテレックスでは、私に対して言ったのは間違いだとか、もう言いわけをしてきております。しかし、このアンズプリテンダーについては、野沢組、フライング・フォックス、藤井治商事、さらにはダーレー氏が介在をして、シンジケートである馬主の株の配分はポンドにして三十万ポンド、中央競馬会が購入したのが六百六十万フラン。株主には、売り主、馬主の方には半値なんです。その間の金がどのように流れていったのか、これはやはりきっちりと調査をする必要があると思うのです。私は具体的に人名、エージェントの名前を含めて競馬会に指摘をしたし、話をしてあります。いかがですか、これについて克明な調査をするのかどうか。 いまヨーロッパに派遣をしている調査員は、きのうの時点ではロンドンにおる、ハンザダンサーだけの問題でダーレー氏に会った。なぜほかの馬にも当たらなかったのか。国際的なこの馬の購入にかかわる関係者は、もういわゆるみずからの商売を正当化するための具体的な方策を講じようとしている、講じつつある。やはりいち早く問題解明に取り組むべきだと思うのです。きょうのアンズプリテンダーについても、即刻事実解明に乗り出すかどうかをまず聞いておきます。
○近藤参考人 お答えいたします。 昨日先生からこのお話がございまして、直ちに、いま先生からもお話しになりました外国の商社にテレックスを打ちますと同時に、現在ヨーロッパ、ロンドンにおります調査員に対しまして、先生の御指摘の人物等に会って事情を調査するよう指示をいたしました。
○井上(一)委員 さらに、これは競馬会の方に入った私が指摘をした人からのテレックスですけれども、アンズプリテンダーにフライング・フォックスと野沢組は直接関与していませんでした、しかし、藤井治商事の代表とともにこの馬を検査したときには、フライング・フォックスと野沢組の代表がその場におりました、こういうことはテレックスであなたの方にも入っていると思います。コミッションはとってないというようなことなんですが、私には、フライング・フォックスのサンセーヌ社長は、五%から一〇%の正規の手数料をわれわれはもらった、これは当然だと思うのです。そして野沢組、藤井治商事、そしてダーレーと、競合したからこの馬については四社共同で取り組みをしたという話があったわけです。素早く否定するような行動がとられているわけですけれども、やはり直接関与していない、直接という言葉を使っていますけれども、間接的に関与したのか、どこまで関与したのか、やはりそういう一歩進んだ調査をやるべきであるし、この際、少なくとも昭和五十年以降について外国から購入した種馬についてすべてを洗い直すべきである、こういうふうに思います。理事長、少なくともですよ、五十年以降に購入の馬一頭一頭について調査するかどうか、この点についてその意思を確認しておきます。
○内村参考人 正直に申しまして、私的取引にかかわることでございますから非常に調査がむずかしい面はございます。しかし、競馬会といたしましては調査をしなければならないというふうに考えております。
○井上(一)委員 もう冒頭から言うように、理事長、調査をしなければならないから調査をする、農水大臣、調査をしなければならないという競馬会の意思、農水大臣としては調査をさせますか。
○田澤国務大臣 調査させるように指導いたします。
○井上(一)委員 調査に当たっては確かに私的な面も部分的にあるわけでありますけれども、やはり買い主は中央競馬会であり、その資金はやはり何としても政府関係資金でありますから、そういうことになりますといろいろと関係機関、外国の関係機関も含めて積極的に協力を求めていかなければいけない、こういうふうに私は思います。競馬会はそういう努力をいたしますか。積極的に関係機関にも協力を求めていくという考えを持っていますか。
○内村参考人 種馬の取引の世界でございますので、非常に特殊な世界でございます。したがいまして、関係者も競馬会その他の関係者の方が一番よく知っているわけでございますので、極力そうした人たちの話を聞き、あるいは事実を聴取しながら調査しなければならないと思っております。ただし、必要があれば当然関係機関に協力を求めることはもちろんあり得るわけでございます。
○井上(一)委員 いま、ハンザダンサーだけに限らず、アンズプリテンダーだけに限らず、他の馬についてもやはり徹底して究明しておく、そして国民の前にそれを明らかにしていくということが、最優先すべき中央競馬会のとるべき仕事だというふうに私は思います。疑惑の解明こそ中央競馬会のいま一番大事な仕事だ、そのことを農水大臣も指導、督励するという約束をしてくれました。そういうことが明らかになるまで、非常に不明朗、疑惑を持つ種馬の購入については一時凍結をすべきである、私はこういう考えを持っているわけなんです。 中央競馬会としては、生産者の育成、保護の問題、いろいろなこともあるでしょうけれども、この疑惑の解明をせずして、さらに種馬を購入するというような、そんなばかなことは私はせぬと思うけれども、まず中央競馬会の考えをここで聞いておきます。
○内村参考人 競馬の施行について、いろいろな人がかかわっているわけでございますけれども、生産者というのも馬を供給する人たちでございますから非常に重要な人たちでございます。しかも、生産者の中には零細な、米の転作によって軽種馬生産に変わったような農家の方々もおられるわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、そうした生産者の立場も考えて種馬の購入を、昭和三十三年以来、買わなかった年もございますけれども行ってきたわけでございます。したがいまして、この問題につきましては生産者も非常に強い関心を持っております。 そこで、今日まで競馬会が行ってきました生産者対策を振り返ってみますと、なかなかいい手がないわけでございます。そこで、種馬の購入というのは非常に大きな対策になっておりまして、あとは育成牧場に対する補助とかいろいろなことをやっておりますけれども、大事な仕事であったわけでございます。 しかしながら、今般のことによりまして、売買取引の中間段階においてかなり不明瞭な部分があるということが明らかになりましたので、競馬会といたしましては、主として学識経験者を中心といたしまして検討委員会を設置いたしまして、具体的には競馬会が直接買うことの可否あるいは売り主側のオファーのチェックができるかどうか、あるいは売り手側との直接取引ができるかどうか。それから一番価格がはっきりするのは競りでございますから、種馬についてはほとんど競り市場がないということのようでございますが、フランス等においては若干ある、アメリカにも何か混合市場というのがあるわけでございまして、そういうところで買えるかどうか。あるいはリースをする、もう買わないで種馬をリースをする、これはアメリカ等でもう始まっているようでございますが、リースをする、あるいはエージェントの機能というものを根本的に洗い直すというようなことを検討する委員会をつくりまして、本年度末を目途に、可及的速やかにこの問題に取り組みたいと思っております。したがいまして、それまでの間は外国産の種牡馬購入予算は、ことしは予算に計上してございますけれどもこの執行は行わないということにいたしたいと思います。
○井上(一)委員 競馬会はことしの予算は執行しない、それは当然ですよ。生産者対策についての取り組みはいま関連して答えられました。それもまた検討しなければならない問題であります。しかし、私が指摘をしているのはやはり疑惑の解明こそがいまは先決であるということなんです。疑惑の解明をするまではやはり一時凍結をしなければいけない、こういうことを繰り返してはいけない、こういうことなんです。これは競馬会としては現在の予算を未執行に置く、こういう意思表示しか、その域しかできないと思います。これはやはり農水大臣の決裁の事項だ、こういうことですね。 農水大臣、生産者の保護育成のことも大事ですから、それはそれなりに対策を立てていただかなければいけない。しかし約二時間の持ち時間を疑惑解明に当てて、具体的にその疑惑がある事実を指摘してここまで質疑をしてきて、流れはわかったわけです。それで疑惑解明をさせる、指導するという意思も明確になりました。疑惑が解明されるまで、私は外国産種馬の輸入については一時留保していく、凍結をする、これは当然だと思うのですよ。何もことしだけという問題じゃない。ことしは、そうすべきだ、当然そうなってしまう、こういう考えなんですけれども、大臣、私の考えに全くそのとおりだ、そういう考えだと大臣がおっしゃるのか、いや、違うというのか、どっちですか。
○田澤国務大臣 強い馬づくりを趣旨として予算が計上されておるのでございまして、ただいま御指摘のような問題にかんがみまして、やはり疑惑が解決されるまでは予算の執行を見合わせるように指導してまいります。
○井上(一)委員 それは中央競馬会がいま計上されている予算だけに限らず、その解明までは将来ともにという、そういう理解でよろしいですね。
○田澤国務大臣 そのとおりです。
○井上(一)委員 中央競馬会はいまの農水大臣の回答を十分肝に銘じて、これはきっちりと処理をしてほしい。 警察庁の方、来ていらっしゃいますか。――お聞きのように今回の種馬購入についての疑惑の実態が逐次明らかにされているわけです。もちろん、すでに警察庁としても、この問題については強い関心を持って実態の把握に努めていらっしゃると思いますが、いかがでございましょうか。
○中平政府委員 お答えいたします。 警察としましてもこの問題についてはかねてから関心を持っておりまして、現在中央競馬会の関係者の方々の協力も得つつ情報の収集あるいは事実関係の解明にいま当たっている、こういう段階でございます。したがいまして、警察としてはこれらの事実関係の把握の上に立って今後いかように対処してまいるか、こういうことを考えてまいりたい、かように考えております。
○井上(一)委員 関係者からの事情聴取というようなそういうことは、もう行われたでしょうか。
○中平政府委員 関連情報の収集あるいは事実関係の把握の上で必要な範囲におきまして逐次事情を聞いてまいっておる、こういうことでございます。
○井上(一)委員 聞いてまいるというのでしょうか、もうすでに関係者から聞いた……。
○中平政府委員 一部の関係者の方々からの事情はすでに聞いております。
○井上(一)委員 わかりました。今回指摘している問題は、お聞きのように非常に国際的にまたがる問題である。そういう意味から先ほども中央競馬会にも関係機関への協力、これは内外ともになんでございますけれども、警察庁にも緊急速やかに諸外国に対しての協力要請の必要が私はあると思うので、そういう協力要請の用意を持っているかどうか、この点についても聞いておきたいと思います。
○中平政府委員 この問題につきましては、私ども警察の関係には御案内のように、ICPOという世界的な警察の情報のネットワークがあるわけでございます。したがいまして、今後必要によりそういう機関の協力も得つつ事実関係の解明に当たってまいりたい、このように考えております。
○井上(一)委員 必要によりという、私はこれはもう当然必要であるという認識に立っているわけです。まだ、関係者の事情聴取をされたのはごく一部だろうと思いますから、そこまでいま警察庁が認識に立っているかどうかこれはわかりませんけれども、将来的な展望として必要性が大いにある、そういう考えに立っていらっしゃるでしょうか。
○中平政府委員 現時点では先ほど申しましたように、関係者からの事情聴取等を通じまして事実関係の把握に努めてまいっておる、こういう段階でございまして、その事実関係の把握をさらに深めるために必要な場合あるいはその把握がさらに深まった場合、そういう場合にそういう機関を使う用意もあるという意味で必要によりと申し上げたわけでございます。
○井上(一)委員 さっき私の質疑の中から、中央競馬会の内村理事長は何とか取り返しをしたいということで、私の判断ではハンザダンサーの三十二万五千ドルの不法支出、こういう問題について、先月の二十九日、藤井氏の方から返還というのですか、返すという申し出があったということがいま明らかになりました。このことについて、そしてそのときは断ったけれども、きょうの時点では返してもらう。警察庁としてのこれに対する見解をできればいま聞かしていただきたいのです。
○中平政府委員 藤井さんとおっしゃる方が、三十二万五千ドルでございますか、それをお返しをしたいというお気持ち、協会の方はお受け取りになる用意がある、こういうお答えを先ほどやりとりの中でされておりましたが、そのことと私どもの立場とは全く関係がございませんので、私どもとしてはその問題については直接介入する立場にない、このように考えております。
○井上(一)委員 あと余り時間がありませんので、国税関係について一点だけ聞いておきたいと思います。 藤井治商事が今回いろいろな輸入馬の問題で商法的な信義に反するという競馬会の受けとめ方ですけれども、むちゃくちゃな商売をしている。そういう中でハンザダンサーの手数料と思われる節のある、私はもっと具体的にハンザダンサーのもうけ八千七百万くらいの半分、四千二、三百万、ダーレー氏と折半をしたとしたら。そういうような修正申告があったのかどうか。あるいはこれは守秘義務だと言ってしまわれればそれまでなんですけれども、何らかの形で昭和五十二年の所得において修正があったのかどうか。それはどれくらいの修正なのか。ハンザダンサーの金であるとかないとか中身については答えられないと思います。それは必要ありません。そういう修正をした事実があり、私が指摘したような金額にほぼ近いのかどうか、こういう点についてちょっとお答えをいただきたいと思います。
○平北説明員 お答えいたします。 申告ないし修正申告の中身につきましては、私たちの立場上答弁を差し控えさしていただきたいと思いますが、五十二年といいますと、この藤井治商事株式会社は決算期が十一月三十日でございまして、事業年度は十二月一日から十一月三十日となっております。それで五十一年十二月一日から五十二年十一月三十日までの事業年度、当初の申告が九千七百万円でございます。その後、一億三千万円という修正申告がございました。それから五十二年十二月一日から五十三年十一月三十日までの事業年度に関しまして、当初の申告は所得金額が二億五千二百万円でございましたが、修正申告が出ておりまして二億八千五百万円ということになっております。
○井上(一)委員 更正決定をされた年もあると聞くのですが、そういう年もありますか。
○平北説明員 更正をしたかしないかにつきまして、個別の問題でございますので答弁を差し控えさしていただきたいと思いますけれども、いま申しました五十二年十一月三十日に終わる事業年度、それから五十三年十一月三十日に終わる事業年度の両年度につきましては、先ほど申し上げました修正申告がある、これが現時点の最終の所得金額になっております。
○井上(一)委員 私は、そこに今回の疑惑との関連が大いにあるという考えを持つわけであります。今後十分な関心を示していただきたい。これは要望だけにとどめておきましょう。 さらに、欧州馬のアンズプリテンダーについては調査の報告を待ちます。あるいは五十年以降の問題についても調査の報告を待ちます。あと時間がありませんので、残された質疑については次回にいたします。 最後に、農水大臣、いろいろと指摘をし、質疑を通して大臣も実態を認識していただけたと思うのです。こんなことが平気でまかり通ってきたという中央競馬会自身の体質にも問題があり、その責任も問われなければいけないが、またその上に立っての監督官庁であるべき農林水産省の責任というものも無視でき得ない、農水省の監督責任というものもこれまた大である。そういう大臣が、この問題が起こったときには何も大臣じゃなかったのですけれども、たとえば予算一つをとらえても、そんな問題はきょうは時間がないから指摘しませんけれども、契約を決めておいて、この馬何ぼで買うねんというて決めておいてから大臣の決裁をもらうとか、あるいはもう半分先に手付けだけ打っておいてまだ決裁がおりていない、言うたら事後的な事務処理をしていたような疑いもあるわけなんです。そんなことで、大臣のまあ安易な決裁が非常に大きな問題に、つながってきた。私は、そういう意味では農水大臣の責任というものも大いにある、単に競馬会だけの問題ではない、こういう考え方も持っているわけです。 もう一つは、こういうことが許されてきた背景というものがそこにあるのじゃないか。それはどんな力なのかということは私はわかりません。わかりませんけれども、やっぱり背景というものがある。その背景の力に甘んじて藤井治商事がずるいことをしていた、悪いことをしていた、こんなことじゃいけないので、すべてを徹底的に解明していってすっきりとした状態の中で、大衆競馬ファンの期待をやはり中央競馬会は担っていかなければいけないし、反面生産者の保護育成というものも考えていかなければいけないし、そういうところに行革というものは私はあると思う。本当にむだなこと、あるいはちょっとした油断、ちょっとしたすきがこういうことにつながっていった。 いろいろもっと指摘したいわけでありますけれども、中央競馬会の責任、体質を変えていく責任、そして農水省の監督責任、大臣の指導、背景を徹底的に究明しなければいけないとか、そういうことを踏まえて最後に大臣からの決意と申しますか取り組む姿勢、考えを含めてひとつお答えをいただきたいと思います。
○田澤国務大臣 競馬が健全大衆娯楽として今日まで振興してまいったのも、また将来振興させていくためには何としても国民の信頼が第一だと思うのでございます。したがいまして、日本中央競馬会の体質も常に改善していかなければならない、またその競馬の運営その他についても常に積極的に改善に努力をしてまいらなければならないと思いますので、したがいまして、この種の事件を契機に私たちは一層指導監督を強化して、この種の事件その他が起こらぬような体制、体質にしてまいりたい、かように考えております。
○井上(一)委員 残余の関連質問については次回にいたしまして、きょうの質問はこれで終えます。
○永田委員長 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時三十二分休憩 ――――◇――――― 午後一時三十分開議
○永田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。新村勝雄君。
○新村委員 私は、米価について幾つかの点をお伺いしたいと思うのです。いまちょうど米審の前でございますので、数字的な、具体的な点をお答え願うことはあるいは無理かという気がいたしますけれども、米価に対する大臣の基本的な考え方を伺いたいと思います。 米価というのは、わが国の自由経済の中で、食糧の確保あるいは農業の保護というような見地から、特殊な環境、条件のもとに置かれてまいったわけでありまして、いわゆる政治的に決められておるということでありますけれども、いまちょうど米審の時期を控えて、農業団体あるいは農民は大変強い関心を持っておるわけであります。そこで、農業団体等では、現在の経済情勢あるいは行革等をも考慮に入れながら、きわめて慎重な要求をされておるようであります。 そこで、米価について、大臣としては基本的にどういう態度で対処なさるのかということをまずお伺いしたいと思います。
○田澤国務大臣 新村委員御指摘のように、米はわが国農業にとって非常に重要な産物でございます。申し上げるまでもございません。私たちは、食糧の安全供給というものを基本にしながら農業政策を進めておるわけでございますので、そういう意味では、米の位置づけというのは非常に重要なのでございます。したがいまして、食管法に従いまして、米の需給関係をよく見きわめながら、再生産を旨として、やはり進めていくということでございます。したがいまして、この十三日から米価審議会を開いて、審議会の意見を十分聞きながら、正しい、適当な価格を決めたい、かように考えております。 申すまでもございませんが、米の過剰な状況だとか内外の農産物の自由化の要請、あるいはまた農業の保護に対する見直しをしようなどという厳しい環境にあるわけでございますが、そういう点をも踏まえながら、米価審議会の意見をよく聞いて、正しい米価を決定したい、かように考えております。
○新村委員 農業団体等では、ことしの米価の要求というか要請といいますか、これについては、春闘等の労働者の賃上げ率あるいは総合物価の上昇率、これらを勘案をして、農協中央会では、製造業者労賃の上昇率を六・三四、総合物価上昇率を二・四三として、それらが各生産費中に占めるあるいは生産費中の物財の占める割合等を見て、四・三七というアップ率を強く要請しておるようでありますが、こういう考え方について、数字もですけれども、まず考え方について、これは妥当であるのか、あるいはそういう基本的な態度は容認されるべきであるのか、その点をお伺いしたいと思います。
○渡邊(五)政府委員 お答えいたします。 ただいま新村委員からお話のございました、このたびの農業団体の要求が従前の算定方式にとらわれず、従前の算定方式でございますと三〇%近くなると言われるものにつきまして、おっしゃるような四・三七%という、労賃、物財費の値上がり分を要求するというふうに変わったことにつきましては、厳しい現下の情勢についての理解を深められたものと私ども評価をいたしております。 ただ、算定方式の問題といたしまして、いわばこの方法はパリティ指数による方式と似ているというふうに考えてよろしいかと思いますが、これはすでに麦の場合にも、土地の生産性なり労働の生産性といったような、生産性の向上する分を還元できないという問題点を残しております。これだけが唯一絶対の算定方式とも思いません。私どもも、より実態に合った算定方式等を現在検討いたしまして、十三日の米価審議会には私どもの考えを披瀝するものでございますが、現在の農業団体の要求されてこられました状況については、私どもとしてはそのように理解いたしております。
○新村委員 農業団体は、従来の主張を変えて、現在の経済情勢あるいは世論の動向等を考慮されながら、きわめて控え目というか、実情に即した要求をされていると思うのです。製造業者労賃の上昇率にいたしましても六・三四しか見てないわけでありまして、実際の春闘よりは低いわけです。総合物価の上昇率二・四三、これは実態に近いと思いますけれども、仮にこの程度の上昇率が認められたとしても、名目の国民総生産の半分あるいは三分の一程度にしかすぎませんし、農業生産を維持すると同時に、農業が独立の産業として立っていく、維持されていくためにはこれは最低の要求ではないかと思うのです。 そういった意味で、確かに米に対する過剰の問題あるいは食管会計の赤字等は厳しいものがありますけれども、それと同時に、いままでの農業が食管制度という枠の中で維持されてきたということがあるわけです。同時に、それらの配慮がもし変わるとすれば、農業の生産性を上げるような抜本的な施策が従来もとられて、もっと積極的にとられてこなければならなかったはずでありますけれども、遺憾ながら、なかなかそれが伴って進んでこなかった、こういうところから現在の農業の厳しい状況が生まれてきたわけでありますから、それらを考えるならば、少なくともことしの米価はこの程度の考慮がされてしかるべきではないかと思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
○渡邊(五)政府委員 おっしゃるように、今回非常に現実に即した御要求の態度をとられたということは、それだけ日本の農業といいますか、稲作を取り巻く現況が非常に厳しいということ、大幅な生産調整を現在実施している、かつ、財政的な面から申しましても、かなりの厳しい条件下にあるという現状を理解されてそのように考えてこられたと思うのでございますが、私ども、稲作自体の方向としましては、かなり経営的に進んでいる面もうかがわれます。土地の生産性にいたしましても、平年単収ベースで見ますと、ここ十年ぐらいに約一割上昇しておりますし、労働時間の縮減等もさらに大幅なものがございます。特に、最近の傾向といたしまして、規模の大きい稲作農家におきます生産性はかなり向上しつつあります。こうした、これから育っていきます担い手ともいうべき経営においては相当の成果もおさめていると思います。 従来の平均的な概念よりも、そうした階層における動きというものを十分考えながらこれからの米価なりを考えていかなければならないだろう。確かに、そのような御要求に変わったということについての評価は、私どもとしては十分いたしておりますが、具体的ないまの稲作をめぐります条件、これらを考えながら今後の方向づけをしていかなければならない。その中にあっての適正な米価を決定するつもりでございます。
○新村委員 それで、それに関連してですけれども、最近臨調部会が、将来の日本農業、特に米作に対する見解を発表しておりますね。これによりますと、生産者米価については生産抑制的に定める、そして食管制度についても、全量管理は外して、次第に政府管理部門を縮小していくべきだ、こういう報告をしておるわけですけれども、これでは農家、特に米作農家は非常に不安になるわけでありまして、いままでの戦後三十年にわたる日本農政のあり方をもちろん一挙に変えるわけにはいかぬと思いますけれども、基本的な方向をこの際変えろという報告でありますから、きわめてこれは重大だと思うのですね。そういった点で、生産者米価を抑制的に定める、あるいは全量管理を廃止をする、こういうことに対する当局としてのお考えはいかがですか。
○渡邊(五)政府委員 お話に出ましたのは、先般の第二臨調の第一部会の報告であろうと思います。生産者米価につきまして、やはり需給の状況からいたしましても抑制的に考えるべきだというのは、これは昨年の第一次の答申におきましても同じような点を言われた点だと思います。私どもも、現在の大幅な生産調整を実施しているような状況、他作物への転換、この定着を図っていくために、やはり現下の米価については抑制的に考えていかなければならないだろうとは思いますが、ただ、今回新たにつけ加えられました、ただいまの食管の見直しのような御意見でありますが、これは第一部会の報告におきましても、中長期的に各種の条件を踏まえながら総合勘案してという、わりに慎重な言い回しで現行の全景管理方式の見直しを行うというふうな御提案かと思います。 ただ、御承知のように、昨年食管法を改正いたしまして、制度と実態の間にギャップがあったことにつきましては十分私どもとしては調整いたしまして、実態にそぐうものといたしまして本年一月十五日に実施を見まして、新制度が事態の変化に十分対応できる弾力性を有しておりますし、今後、この改正食管法において十分機能し得るものと考えておりまして、抜本的な見直しを行う考えは目下ございませんので、この点は、現行改正食管法で私どもとしては実態に合った適切な生産、供給、需要への対応をしてまいりたい、このように考えております。
○新村委員 食管法は維持をされるということでありまして、それは結構でありますが、確かに米をめぐる情勢は大変厳しいわけであります。米の消費量は、六十五年の農林省の予想では一人一年六十五キロ前後になるであろうという予想がされております。そういう状況の中で消費の拡大をどういうふうに考えていくのかということが一つあるわけです。それから、米の消費量の減少という一方の条件の中で、やはり米作農家の保護というか育成というか、これもやはり同時に図っていかなければならないわけです。そういう意味で、将来の日本農業のあり方、特に米作農業の日本におけるあり方をどういうふうに将来構想されているのか、それからそれに到達をする道筋、経過をどういう形で誘導していこうとするのか、その考え方を御説明願います。
○渡邊(五)政府委員 今後の稲作の方向でございますが、一昨年「農産物の需要と生産の長期見通し」を閣議決定いたしまして、同時に「八〇年代の農政の基本方向」ということで、これからの農政の基本方向を農政審議会からの答申をいただきまして、その方向で私ども進めていくわけでございます。特に稲作の場合、土地利用型作物という分野におきましては、非常に中核的な担い手といいますか、の販売なりのシェアが少ない、生産のシェアが少ないという問題が際立っております。酪農なり果樹あるいは施設園芸等に比べましても、こうした点におきましておくれている。より大規模にコストを引き下げていくようなことがこれからの土地利用型作物、特に稲作の場合には必要ではないか。そのために、先般制定されました農用地利用増進法によりまして、賃借権なり利用権設定によります規模の拡大を図り、かつ、基盤整備あるいは技術の普及、徹底によりまして、より規模の大きな経営によりますコストの引き下げということに今後努力していかなければならないだろうと、また、そのために各般の施策を進めながらこれらの農家の育成に当たってまいりたい、このように考えております。
○新村委員 食糧というのは他の物資とは違った特殊性がありますし、特に食糧の一定程度の自給率を確保するということはいろいろな面から必要だと思うのですが、それと、日本の農業、特に米作農家を維持発展させるためには、何といってもいまおっしゃったように生産性の向上によって単価を下げるということが非常に重要な柱になると思うのですね。 ところが、いままで農林省がおやりになった土地改良、いわゆる基盤整備事業ですが、いままで第一次、第二次と二回にわたって土地改良長期計画が実施をされているわけですが、これは五十七年度で第二次が終わるのですか、その中で進捗率が、予算の面では九〇%程度いっておると思いますけれども、予定面積では三六%強というように聞いております。そういたしますと、これは石油ショックを初めとする物価上昇が大きい影響があると思いますけれども、予算は確かにかなりの予算をお使いになっておりますが、面積の点では非常に低い、こういう実態があるわけです。 これに対して、第三次が来年から発足するということだと思いますが、第一次、第二次の反省の上に立って第三次をどういうふうな構想でおやりになるのか、これを伺いたいと思います。それから、面積三六%というのは単なる物価上昇ということであるのか、その達成率が非常に低い理由を伺いたいと思います。
○森実政府委員 土地改良長期計画の現在の達成率は、御指摘のように、金額ベースで申しますと十三兆に対して十二兆四千億ということで九五%ということになっております。ただ、この間における賃金、物価の上昇は、他の公共事業同様にこの十年間の事業単価の上昇はきわめて大きいものがございまして、リアルベースと申しますか、つまり基準年次の金額ベースを見ましても面積ベースで見ましても、約五割を割る達成率であるということは事実でございます。 ただいま御指摘のございました三十数%という数字は、その中で特に達成水準の低い農地造成等についての御指摘ではないかと思いますが、中心になります圃場整備が四九・三%、それからその他の草地造成等は四七%ということでございまして、総じて、リアルベースでとらえますと大体四五%前後という数字ではないかと推計しております。これは、ただいま御指摘のように物価の上昇に伴う予算単価の上昇という一般的な公共事業に共通の問題もございますが、特に具体的土地改良の事情といたしましては、圃場整備事業について末端の排水対策を強化する、それから農道の舗装率を向上させる、さらに農用地造成につきましては、非常に奥地化しまして単価が上がると同時に防災対策事業が関連してふえてきているというような事情があるわけでございます。しかし、大部分の理由は賃金、物価の上昇と御理解いただいていいと思います。 現在、第三次の長期計画について私どもも検討を進めております。農政審議会から答申のございました「八〇年代の農政の基本方向」を頭に置いて考えているわけでございまして、やはり農地と水資源の確保という問題、それからもう一つは水田の汎用化の推進という問題、それから規模拡大なり面的集積につながるための面的整備と申しますか圃場整備等の推進という問題、さらに定住社会建設のための農村環境整備の問題等に特に力点が置かれることになると思いますが、私どもといたしましては、こういったマクロベースと申しますか国のベースでのいわゆる長期計画というものが、それぞれ各県が立てておられます土地改良の長期計画があるわけでございまして、そういったものとの平仄を十分合わせながら考えていくと同時に、やはり現在政府といたしましても長期経済計画の見直しを進めております。そういった長期経済計画なり財政展望というものとの関連を頭に置きまして最終的な調整をつけなければならないと思いますが、御指摘のような点も頭に置きまして必要事業量の確保については極力努力してまいりたいと考えているわけでございます。
○新村委員 次の問題に移りまして、漁業の問題ですけれども、最近、養殖漁業の発展に伴いまして魚の病気、それに対する薬剤の投与というようなことでいろいろと問題が指摘をされております。特に消費者団体の方からは、それが人体に及ぼす影響等について多くの危惧が示されておるわけであります。 獣類の病気については獣医師法の中で規定をされておりまして、こういう動物の病気は獣医がやるということになっておりますが、魚介類については、獣医師法には規定がないようです。そうしますと、魚類の病気を処理する、あるいは担当する専門職はだれなのか、何なのか、獣医師がやるのか、獣医師法にはそういう規定がないわけでございますけれども、まずそこらの点を伺います。
○松浦(昭)政府委員 お答え申し上げます。 最近、魚類の養殖が非常に進んでまいりまして、現在、魚類養殖の総生産額が二十六万五千トンという水準まで上がってきておりまして、ブリ、マダイ、コイ、アユ、ウナギ、ニジマスといったような多くの魚が養殖されておるわけでございますが、これに対しまして薬品の使用が非常にふえてまいりまして、その養殖魚に残留して人体に摂取された場合に人の健康を損ねるのではないかということで、消費者団体の間でも問題が起こっているということはよく承知をしているところでございます。 これに対応いたしまして、私どもといたしましては、五十三年から魚病対策総合検討会という学識経験者の集まりの会を設けさせていただきまして、昨年四月から、薬事法に基づいて医薬品の使用基準をつくりまして、使用できる魚種、用法、容量あるいは出荷前の使用禁止期間といったようなものを決めまして、医薬品の使用に係る安全性の確保を図っているところでございます。 その中で、特にただいま先生御指摘になりました、だれがこれを守らせるかという点でございますが、私ども、現在国の助成によりまして、特に水産の技術者の中で魚病の専門家を養成しているところでございます。そしてまた、全国に魚病指導総合センターというものを設けておりまして、現在、全国十三カ所ございます。建設中のものも三カ所ございますが、これらの魚業の技術者を中、心にいたし、また同時に、動物の医薬品でもございますので獣医師の方にもお願いいたしまして、双方両々相まちましてこの魚病の対策に当たっているというのが現状でございます。
○新村委員 そうしますと、魚病については専門家を養成中だということでありますが、法的な裏づけはまだないわけですね。ですから、魚病については獣医師なりあるいはいま養成中の専門家が担当するというような法的な裏づけあるいは法的な整理が必要ではないかと思いますが、そういう配慮があるのかどうか。 それからまた、魚病の専門家については、やはり獣医師とか医師とかと同じような一定の厳しい資格認定を行って一定の資格を与えるようにするのかどうか、あるいは、単に一定期間講習のようなものを受けてもらって認定をするのか、その辺です。 魚類の病気については、人間との共通した病気はないというふうに言われておりますけれども、これもまた完全なものではないので、あるいは研究を進めればそういう場合も発見されるかもわからないわけですね。そういったこともありますので、やはり養殖漁業の発展と同時に、魚病に対する対策、体制の整備を至急にすべきではないかと思いますが、そういった点を伺います。
○松浦(昭)政府委員 魚病の場合には若干一般の動物の病気と異なった点がございまして、病気そのものについての知識というのは、かなり水産学的な知識も要りますし、また養殖管理技術上の知識も要るわけでございます。また同時に、薬理上の知識と申しますとこれは獣医師さんが持っておられるということで、現在の段階を考えますると、魚病を担当する者につきましては、水産関係者のみがやるということも問題がございますし、また同時に、獣医師のみがやるというのも、まだ現段階では十分な体制ができてないという状況でございます。したがいまして、私どもといたしましては、ただいま申し上げましたように、国も助成をいたしながら水産の技術者も養成もし、一方で獣医師さんの方々にもお願いいたしまして、双方でこの体制を仕組んでいくということを考えているわけでございます。ただ将来の問題といたしましては、先ほど申しました魚病対策総合検討会という会合を持っておりますので、そこにおかけいたしながら、将来の資格あるいはどのような法制化をするというようなことも含んで検討をしていただきたいというふうに考えている次第でございます。 なお、先生御指摘のように、魚病の問題というのは、特にその薬品の使用によりまして人体に摂取する場合というのがありますので、特に人の健康にかかわることでございますから、私どもといたしましては、先ほど申しましたような医薬の使用の基準を定めてこれを十分に指導徹底するということもやっておりますし、いま一つは、やはり基本的には漁場の管理をきちんとするということが非常に大切かと思います。特に抗生物質等が問題になるわけでございますが、その場合にはえさを適当にやって漁場を汚染しないというようなこととか、あるいは過密な養殖をやめるとか、それからまた、漁場の環境の保全に当たるといったようなことが非常に重要でございますので、これらの面は漁業の改良普及員等も通じまして管理技術を普及していくということから、魚病の予防もやっていきたいというふうに考えている次第でございます。
○新村委員 現在養殖魚に対する薬剤はかなりの数に上っておるようでありまして、サルファ剤六品目二十種、フラン剤が七品目十六種、抗生物質が五品目十種、合成抗菌剤が三品目四種、計二十一品目五十種ぐらいあると言われておりますが、それらについての薬害あるいは抗菌性、そういったものについてはまだ完全な十分の研究がなされていないというふうに言われております。そういった点で、この薬剤投与に伴って人体に直接間接悪影響が心配である、こういう声があるわけであります。この問題については、すでに国会の中でも何回か指摘がされたと思います。たとえば、武田薬品のハマチの養殖に使うハマチエードというのがあるそうですが、これはニトロフラン剤の一種だそうですけれども、発がん性を持っているというようなことで、この製造中止を政府はさせたはずでありますが、実際にはまだ出回っておるというような情報があるわけでありますけれども、それらの取り締まりの実態、現状はどうなってきておりますか。
○松浦(昭)政府委員 ただいま先生御指摘になりました医薬品の中で、特に消費者の方々から御心配の提起がございますところのいわゆる発がん性の問題のあるフラン剤でございますが、これらにつきましては、一部はすでに使用の禁止をかけております。それから、フラン剤一般につきましては、養殖魚に使用されてこれが危なくはないかということでございますけれども、私どもも医薬品が出荷魚に残留することを防止するために、出荷前の医薬品の使用禁止期間を定めておりまして、また同時に、養殖魚の医薬品の残留検査を実施しているところでございます。現在使用されております禁止していないフラン剤につきましては、われわれの相当検体とりました試験結果によりますと、日光に当てますとかなり早急に分解いたしまして毒性がきわめて薄くなるということ、あるいは体内に入りましてからはかなり早急にこれが消えてまいるということもございますので、現在は医薬品の残留は認められないという状況でございますが、なお人体に影響することでございますから、なお一層この検査につきまして充実をいたしまして、誤りのないようにいたしてまいりたいと思います。 なお、水産用の医薬品の安全性等につきましては、現在全般的な見直しをやっておりまして、中央薬事審議会におきまして再検討されているところでございますので、できるだけ早く、この結論を待ちまして全体的な整合性のある医薬品につきましての指示あるいは措置をとってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○新村委員 ニトロフラン剤がいまでも養殖場にある、こういう情報があるわけですよ。前には政府としては製造中止をさせる、こういう言明があったようでありますけれども、その後の状況がどうであるのか。それから、このニトロフラン剤、問題になった薬品でありますが、その完全な回収がなされているのかどうか、それらが心配でありますが、どうなっておりますか。
○松浦(昭)政府委員 お尋ねのハマチエードと言われている商品名を使用しましたフラン剤につきましては、これは使用を禁止しまして、かつ完全に回収をしているはずでございます。そのほかにフラン剤を使いました医薬品はなお認めているわけでございますけれども、これは先ほど申しましたように、その使用しているフラン剤系統の薬品につきましては、残留の試験を実施しておりまして、その結果は現在のところ医薬品の残留は認められないという報告を受けておりますので、現在のところはこれを使用禁止しておりません。しかしながら、先ほど申しましたように、これは非常に分解度の早いものだけに限っておりますので問題ないと思っておりますが、しかしながら、万全を期しますために、これらの現在使用されているフラン剤の薬品につきましても、なお検査を続けて、問題があれば当然これに対する措置をとるということで考えている次第でございます。
○新村委員 残留がないとおっしゃるのですが、これは残留といいましても残留がなくなるまでの時間が問題でありまして、果たして一月でなくなるのか、十日でなくなるのか、一日でなくなるのか、そこらの点が明確でないわけであります。 ニトロフラン剤の一種でニトロフラゾンという薬剤があるそうですけれども、これが、活魚、魚を生きて運ぶ場合に、必ずこれを使うというようなことも言われておりますし、料理屋等で魚を生かしておく、その場合に水槽に必ずこれを使っているというような話もあるわけであります。そうなってまいりますと、残留性がないといっても、池にそれを使って魚を生かしておいて、それをすぐに料理して食べるわけでありますから、その辺の心配が依然として残るということですね。こういう取り締まりはどうなっておるのか。
○松浦(昭)政府委員 フラン剤の残留性は、私どもの知っている知見によりますと、大体二日ないしは三日でその毒性が消えていくというふうに聞いておりまして、かなり短期間でこれが分解してしまうというふうに聞いておるわけでございます。さような点から先ほどのような御答弁を申し上げたわけでございますが。 なお、輸送に使っているフラン剤は、主として稚魚の輸送に使っておりまして、したがって成魚になりますときにはこのようなフラン剤は使われておりません。したがいまして現在のところ安全であるということを申し上げているわけでございます。
○新村委員 稚魚でも絶対安全とは言えないと思いますけれども、特に料理屋等で池に使っているという事実がありますから、それらを十分御注意をいただきたいわけです。 それから、一、二の実例をもう一つ申し上げるのですが、ウナギに対してマラカイトグリーンという着色剤が使われているということでありますが、特にこれは、外国からウナギが輸入されておるようですが、輸入ウナギの中に着色剤がかなり使われている、こういう話がありますけれども、そういう場合に、国際的に魚が移動する場合どこでチェックをするのかということですね。 それから、さらに、食べるんじゃないのですが、金魚とか、観賞用の魚類に対するニトロフラン剤が依然として市販をされておる。市販をされておって、その表示の中に、ニトロフラゾンが幾ら幾ら入っている、こういう表示もされておるのですね。ですから、ニトロフラン剤が観賞用の魚病に対して使われている、そして広く市販をされている、こういう事実があるわけですけれども、それらの点はどういうお考えですか。
○松浦(昭)政府委員 まず最初に先生が御指摘になりましたマラカイトグリーンでございますけれども、これにつきましては、去年の六月二十五日、水産庁長官通達を出しまして、このマラカイトグリーンは稚魚あるいは卵以外には使ってはいけないということを指示してございますので、実際上使われていないというふうに思っております。 それから、もう一つ、熱帯魚等の観賞魚につきまして、確かにフラン剤の系統の薬品が売られているということは承知しておりますが、これは単位が非常に小さいものでありまして、しかも非常に高いものでございますから、したがいまして、これを集めまして一般の生けすその他の医薬品の使用ということにはおよそなじまないのじゃないかというふうに考えているわけでございますが、私どもとしましては、このようなものの一般的な食用魚への使用ということはなされていないのじゃないかというふうに思っているわけでございます。
○新村委員 マラカイトグリーンがウナギに使われて、ウナギの料理で御飯が何か黄色くなったという話もあるのですね。しかも、ウナギはいま国際的に移動、貿易されておりますから、そういう場合に、国際的にこういう有害な薬剤は使わない、使ってはいけないというような協定なり条約なりがあるのかどうか。ないとすれば、そういうものが必要ではないか。あるいは、そういう国際間の移動の際に厳重にチェックをする段階が必要ではないかと思うのですけれども、それらはどうなっておりますか。
○松浦(昭)政府委員 ウナギ等にマラカイトグリーンがかつて使われていたということは、私ども承知しております。しかしながら、長官通達を出しましてかなり厳しく指導もいたしましたし、また現実にこれらの薬剤を使用しないように漁業指導員等を通じまして徹底的に指導をいたしておりますので、現段階では使われていないと思いますが、先生の御指摘でございますので、なおよく調べてみたいと思います。 それから、輸入につきましては、これは徹底的にチェックをいたしておりますので、このようなマラカイトグリーン等が使われて輸入されるといったようなことはないというふうに考えております。
○新村委員 食糧のことでありますから、ひとつ厳重に御注意をいただきたいと思います。 次の問題でありますが、老後の保障、社会福祉の一環として農業者年金というものがあるわけですが、これについては国民年金あるいはその他の国民皆年金が実現をいたしておりますけれども、国民年金が厚生年金等に比較をして、被用者年金に比較をして低いということから、農林漁業者の老後の生活を十分保障するという趣旨のもとに農業者年金がつくられました。そして現在最初の受給者がもう出ていると思いますが、この年金は、ほかの年金と違いまして、農業政策を加味した特殊の年金であると言われておりますが、いわゆる木に竹を接いだようなものだというふうな批判もあるわけであります。 その中で多くのいろいろの問題があるわけですけれども、これは六十歳から六十五歳の間に経営の移譲をしなければ年金がもらえない、こういう資格要件があるわけですね。そのために、せっかく年金をかけていざ支給をされるという年齢になって、資格がないということで年金のもらえない方が三割近くいる、こういうことです。これではせっかく農業の振興、あるいは農業者の老後を考えて、親心でこういう年金をおつくりになったわけでありますけれども、三割近くも受給者が失格するということでは大変残念なことです。 そこで、国会の農林水産委員会でもその改正が勧告をされておるわけでありますが、現在の農業者年金については、受給資格が厳し過ぎる、あるいはまた経営者の妻は受給の資格がないとか、あるいはまた死亡した場合に遺族年金がもらえないというような幾つかの重大な欠陥があるわけです。 そこで、せっかく農業者の老後をお考えになってつくられた年金でありますから、もう少し要件を緩和するなり、あるいは支給の範囲を広げるなりして、奥さんももらえる、あるいは遺族年金ももらえる、こういうような方向に改正をすべきではないかと思いますが、この点いかがですか。
○森実政府委員 農業者年金制度のあり方については、各般の御議論があることは私どもも承知しております。ただ、御案内のように、農業者年金制度というのは、農業経営の細分化防止なり規模拡大、あるいは経営者の若返りという構造政策上の視点、農業政策上の視点というものを基本にしまして、あわせて農業者の老後の保障ということを頭に置いているわけでございます。 最近の経営移譲率を見ますと、たとえば、ここに大正四年から大正九年までの数字がございますが、大体八割弱、八年生まれの方については八割を超えている移譲率になっておりまして、年金制度の本来の仕組みから考えますと、いわば高い移譲率を持っているし、御指摘のような一方的な掛け捨てというふうな形には、実態がすでにそうではなくなってきているというふうに私ども認識しております。確かに遺族年金の問題、その他各般にわたる指摘があることは事実でございます。ただ基本的に、まず老後保障という視点から考えますと、御案内のように、これは国民年金の付加年金として構成されているわけでございます。したがって、たとえば御指摘がありました妻自身の問題を考える場合においても、妻自身が国民年金に加入しているという実態がありますし、また、妻が六十五歳に達する前に夫が死亡した場合には、国民年金の母子年金や寡婦年金の支給ということもあるわけでございます。さらにいわゆる第二種兼業農家等に代表されますように、夫が厚生年金の受給者である場合には、その遺族年金の支給というものがあるわけでございます。したがって、一時的に農業者年金で老後の保障を考えるということは、いわば現在の農業者年金制度自体の基本的な仕組みのあり方にかかわる問題でございまして、それは保険収支として長期的に成り立つかどうか。現在の保険収支も非常に長期的に見れば危機的様相をはらみつつあるわけでございますが、私どもなかなかむずかしい問題があるのではないだろうかと思っているわけでございます。
○新村委員 経営移譲年金が実施をされた後の実態を見ると、経営移譲の相手方は、昭和五十五年十二月末の受給権者で見ると、後継者移譲が全体の九三%、第三者移譲が約七%ということになっていまして、農地の流動化あるいは規模の拡大という当初のねらいは余り達成されていないのじゃないかと思いますね。現在の経営移譲は後継者が中心であって、特に後継者移譲に対しては農地の細分化防止を図る観点からは評価できるものの、これが法律の目的たる農業経営の近代化に十分適合しているかどうか疑わしい、こういうふうに識者は言っておるわけです。こういったことを考えると、これはむしろ農業者の老後の保障、社会保障的な性格だけが残って、当初の目的の一つであった農業近代化あるいは農地の流動化ということは余り効果がないというのが実態ですね、実際の十年間の経験からしても。それと農業者というものは、被用者に比べると年金の水準もかなり低いわけですから、やはり農業者年金というものは福祉政策的な要素が非常に薄いと考えざるを得ないわけです。そういった観点からしても、やはり妻に対する配慮、あるいは死亡した場合の給付等は、ぜひ考えていただかなければいけないのではないかと思われます。 そして、年金の一部改正が先般行われたようでありますが、そのときの衆議院農林水産委員会の附帯決議の中にも「最近における農業就業の実情にかんがみ、農業に専従する主婦及び後継者の配偶者等についても年金への加入の途を開くよう努めること。」それからまた「農業のもつ家族経営体としての特性等を考慮し、遺族年金の創設を図るよう努めること。」とあるわけです。 それから実態を考えてみましても、特に兼業農家の場合には経営主は被用者、勤め人であって、奥さんが実際は農業の主体である、担当者であるという場合が実態としては非常に多いわけです。そういう場合にも奥さんが恩給を受けられないというのは大変実態に沿わない、こう考えるわけですけれども、この点についていかがでしょうか。
○森実政府委員 先ほど実は申し上げましたように、この問題についてはいろいろな側面からの御議論や御提案があることは事実でございます。たとえば冒頭御指摘がございました構造政策にもっと徹底純化するという意味からいくならば、加入要件とか支給要件をきわめて厳格なものにすべきであるという御議論があることも私ども承知しておりますし、また一方においては、委員御指摘のように老後保障の年金としてむしろ重点を置いていくべきだというふうな御議論があることも承知しております。 ただ、まず事実に即して事態を見る必要があると思うわけでございますが、一つの重要なねらいである経営の若返りという問題につきましては、たとえば三十五歳以前に経営者になった者の例を挙げますと、この年金発足前は六割前後だったわけでございます。現在はすでに八三%という数字になって、経営主体の若返りには非常に役立ったと私ども思っております。 それから、第三者移譲につきましても、譲り受け前には平均して一・四七ヘクタールだった経営規模が、譲り受け後は二・〇八ヘクタールとかなりの規模の農家をつくるということに役立っていることは事実でございます。 ただ、基本的に、先ほど申し上げましたように国民年金の付加年金として構成されているわけでございまして、元来、農業者年金に加入する者はいわば厚生年金を受給しない者、つまり大量的に観察するならば、いわゆる農業に専業度の高い者が中心になっているという実態もありますので、必ずしも第二種兼業農家を包括的にとらえているというふうな実態ではないわけで、いわば専業農家とかあるいは第一種兼業農家を対象にした場合において、その中でももっと構造政策的配慮の純化を払うかどうかということが一つの議論であろうかと思います。 それから、先ほどの決議にもございましたし、冒頭の御質問にもございましたいわゆる農家の婦人の扱いの問題、これは私、いろいろな面があるだろうと思います。 先ほどもちょっと触れたわけでございますが、御案内のように農家の婦人の老後保障という問題につきましては、まず基本的には夫が厚生年金に加入している場合も妻は国民年金に加入している事例が非常に多い。それからまた専業的な農家の妻自身も国民年金に加入しているという実態があるわけで、妻自身、国民年金の給付を受ける場合が多いということが、専業、兼業農家両方を通じて一般的にあるわけでございます。ただ、多くの兼業農家の場合、農業経営の実態がかなり婦人にかかってきているという実態の中で、その婦人の立場をどう考えるかということが、この年金制度とのかかわり合いとして日本農業の実態から御議論があるということは承知しております。 ただ、この農業者年金制度というのは、いわば土地の権利名義に着目いたしまして構造政策手段として構成されております関係上、権利名義がない場合は対象にならないという本質があるわけでございます。しかし、現実には、最近では方々の県で例があらわれてきておりますが、妻に権利名義を設定するということも、つまり使用収益権の設定等を行うことも可能でありまして、そういう意味においては婦人自体が本制度に加入することが可能であり、またそういった現実の姿がこれからふえていくものではないだろうかと思っているわけでございます。
○新村委員 大臣、この制度は昭和四十二年の総選挙のときに、当時の佐藤総理が、農業者は非常に老後の不安定があって気の毒だ、農業者にも恩給をやるような制度をつくりましょう、こういう選挙公約によって生まれたのですよね、そもそもの初めは。ですから、そういう経過もありますし、このときに農家に恩給を上げますよという公約の中には、いまのようなそういうことを農家は予想しなかったわけですよ。恩給をもらえる、これはありがたいということで大変歓迎したわけですね。ところが、実際に実現をしてみるとなかなか厳しいということでありますから、ぜひひとつお考えをいただきたいわけです。 それから、農林水産委員会の決議の中にもこういうことが明記されておりまして、農業に従事する主婦及び後継者の配偶者にも年金加入の道を開くように、あるいは遺族年金を創設するようにという決議があるわけでありますから、ぜひひとつその方向に努力をいただきたいのですが、いかがでしょうか。
○田澤国務大臣 農業者年金の実態については、ただいま局長から答弁させたとおりでございまして、また農業者年金のできた当時の状況はいま御指摘のとおりでございます。問題は、他の年金との関係というのは最近非常に見直される状況にございますから、そういう点をも配慮しながら今後御指摘の点に十分留意して検討してまいりたいと考えております。
○新村委員 あと一問ですが、畜産振興事業団というのがございますが、これもやはり日本農業、畜産の健全な育成と消費者の利益を図るということで発足したわけでありますが、最近その仕事の中で乳製品の市況が大分強含みになった、そこで六年ぶりに乳製品が売り渡しをされるというような報道がありますけれども、それらも含めて乳製品及び牛肉の現況と、それから短期的な将来の見通し、これを伺います。
○石川(弘)政府委員 いま先生御指摘がございましたように、乳製品につきましてはここ数年来と大変状況が違ってまいっておりまして、御指摘のように五十二年、五十三年あたりでございますが、これは大変生産が伸びましたけれども、飲用牛乳が伸びないということで、乳製品がそれによって生産が過剰となってまいりました。市況は大変安くなりまして、制度でつくっております安定指標価格を大変下回ったわけでございます。したがいまして、畜産振興事業団がこれを買い支えをいたしまして価格の維持を図ってきてまいったわけでございます。五十四年、五十五年につきましても、生産者は一生懸命御承知のような生産調整等をいたしましたけれども、なおかつ市況が大変悪く買い上げも限度に来ましたので、生産しました乳製品等につきまして金利、倉敷等を助成してやってきたわけでございます。しかしながら、ここ約三年ばかりの計画生産がようやく功を奏してまいっておりまして、生産も徐々に需要の水準に近づいたわけでございますが、実は昨年来、需要の方が今度は大変急速に拡大をいたしておりまして、それがことし御承知のような春先以来の比較的好天等もございます、それから需要面でヨーグルトとかそういう新製品の需要も大変大きいということがございまして、ことしの三月に価格決定をいたしました後に需給関係は好転をいたしてまいっております。 ことしになりまして、御承知のように安定指標価格の一〇〇という水準から若干上がってまいりまして、四月、五月にはいずれも一〇〇を若干超えるような水準になりまして、市中におきましてバターあるいは脱脂粉乳等の酪農製品が若干逼迫する、逼迫という言葉は若干大げさでございますが、需要がかなり強くなってきたということがございましたので、畜産振興事業団といたしましては市乳の価格水準、これは先生も御承知のように乳製品価格は比較的上がってきているわけでございますが、生で飲みます牛乳の方の価格は、依然として大都市周辺で乱売があるというような状況もございますので、そういうことも頭に置きながら、必要な乳製品を逐次放出をいたしておりまして、四月、五月、六月、七月と四カ月連続でございますが、バターにつきましては千五百トンから二千トンぐらいの水準で、脱脂粉乳につきましては多いときには一万トンぐらい、最近は数千トンというような単位で放出いたしております。価格は依然として需要が強含みでございまして、やはり安定価格水準を若干超えるような水準で推移いたしております。 しかしながら、これはこれから夏場に向けての需要を見ながら、しかも余り、生産も若干回復してきておりますので変に売り急いで価格を下げてもいけないし、そうかといいましてこういう需要があるものを出しませんで価格を高騰させてもいけないということで、慎重な操作をしながら、特に生産者の市乳の価格水準も維持しながら、かつ需要面で窮屈が生じないようにということを計画的にこれから進めていくつもりでございます。まだ数カ月は需要期でございますので、生産者の方にも原料乳の生産を極力計画生産の水準にするように、実は計画生産をいまやっておりますが、市乳の方は計画生産を上回る数量を出しておりますが、原料乳は四月、五月の水準では原料乳の水準にもいっていないということもございますので、そういう生産指導と、それから製品の事業団の売り渡しというようなことも含めまして、今後供給をしていくつもりでございます。
○新村委員 一つだけ大臣にお伺いしますが、乳製品の市況についてお伺いしましたけれども、牛肉の輸入拡大等の問題もありまして、畜産振興事業団の仕事、果たす役割りはこれからかなり重くなると思いますけれども、基本的に大臣のお考え、事業団に対する指導の方針を一言お伺いしておきます。
○田澤国務大臣 価格安定措置を十分考えながら進めてまいりたい、かように考えております。
○新村委員 終わります。
○永田委員長 草川昭三君。
○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。 私は、本日限られた時間でございますが、お許しを得まして三つの問題を指摘をしたいと思います。 私は、この問題を取り上げるに至りましたのは過日の外務委員会で日米農作物交渉の中でアメリカ側が日本の、特に柑橘類等の割り当て制度という問題について非常に強い不満を持っておるということからこの問題を始めていきたい、こう思うのでありますけれども、たまたま私の手元に、アメリカの農商務省が発行いたしました「生鮮及び加工果実・野菜の日本に輸出される方々への手引き」というようなガイドブックがあるわけでございますが、この中にオレンジの輸入について日本の輸入業者、これは割り当てを受ける輸入業者がマージン率七〇%という数字をはっきりと書いて、非常にオレンジの割り当てを受ける業者を間接的に、言葉の文章ではありませんけれども、数字でもって強く非難をしておる、これは一つ例があるわけであります。非常に向こうのいら立ちというのがわかるわけでありますけれども、問題はこの輸入の割り当てを受ける業者が、それぞれこの委員会におきましても他の委員会におきましても問題点が指摘をされておるわけでありますが、具体的には、たとえば五十二年度には藤井治商事というのが一七・一三〇八という大変高位な割り当てを受けている。五十五年におきましても一三・八七一二という高位な割り当てを受けている。だから当然のことながらこの企業には大変な利益が出ることは当然でございます。 ところが、この業界のいろいろな資料を見ましても、あるいは公示所得金額等を見ましても、藤井治商事というのは他の企業に比べますと著しく差があるわけであります。たとえば同じ割り当てを受けておりますところのスマル貿易というのが業界第二位の八・九%。藤井が一七・一三〇八の割り当てを受けたときにこのスマル貿易は八・九受けておるわけでございますけれども、これなんかの公示価格を見ますと、五十六年度の所得でございますが、二億五千七百万円を計上いたしております。あるいは第三位の割り当てを受けております西本貿易、七・四三一四でございますが、これも四億八千三百万円の所得の公示をしておるわけでございますが、藤井治商事の場合はこれが出ておりません。午前中も井上先生の方からもいろいろな御指摘があったと思いますけれども、藤井商事の公示所得金額が余りにも少な過ぎるのではないかという疑問を私どもは当然持つわけでございますし、当初申告額も五十一年から五十二年の事業年度では九千七百万円、五十二年から五十三年にかけてが二億五千二百万円、五十三年から五十四年は六千七百万円、五十四年から五十五年は六億五千三百万円、そして五十五年から五十六年にかけては一億八千二百万円というように、非常に山谷の金額があるようであります。 そこで、まず最初に国税局にお伺いをいたしますが、この藤井商事というのは、藤井治さんというのは、後ほど触れますけれども、農林省に大変関係のある農薬の空中散布の仕事をしているインペリアル航空という会社を経営をしてみえるわけでございますが、この所得を見ましても、五十二年から五十三年は四千百万円の公示額になっております。五十三年から五十四年にかけましては六千五百万円の所得の申告をしているわけでございますが、これが修正申告をした例があるかないか、インペリアル航空についても御提示を願いたい、こう思います。
○平北説明員 お答え申し上げます。 まず初めに藤井治商事株式会社の所得でございます。御承知のように所得金額につきましては、法人税の場合一年決算でございますと、年所得が四千万円を超えました場合に公示されることになっております。公示金額で申し上げますと、藤井治商事は十一月末決算でございます。五十二年十一月期は当初申告が九千七百万円ですけれども、修正申告がございまして一億三千万円という修正申告額になっております。それから五十三年十一月期につきましては当初申告が二億五千二百万円、それから修正申告がありまして二億八千五百万円ということでございます。五十四年十一月期は六千七百万円、それから五十五年十一月期は六億五千三百万円、五十六年十一月期が一億八千二百万円となっておりまして、最後の三事業年度につきましては修正申告の公示がございません。 それからインペリアル航空株式会社につきまして申し上げます。五十二年三月期につきましては公示がございません。所得が四千万円以下であるということだと思います。それから五十二年四月一日から五十三年三月末までの事業年度につきましては、当初の申告が四千百万円でございますが、修正申告が後にございまして五千四百万円ということになっております。その次の期五十四年三月期につきましては当初申告が六千五百万円でございます。修正申告等の公示はございません。それから、それ以後五十五年三月期以降の事業年度につきましては所得の公示がございません。四千万円以下の所得となっております。
○草川委員 いま御答弁がありましたように、インペリアル航空についても修正申告をしているわけであります。これは具体的にどうしてこうなったのかということについては別といたしまして、とにかく事実として修正申告をしておるわけでありますが、このインペリアル航空と藤井商事との関係、私の主張したいのは、藤井商事というのは米国から指摘をされるように非常に高額な所得があるのではないだろうか。ところが申告はわれわれが考えている以上に低い。それはインペリアル航空との間において利益隠しがあるのではないかという問題点を指摘したいわけであります。インペリアル航空の収入は一体どうなっておるのか。それから農林省等から補助金をもらって空中散布をしておるわけでありますけれども、そのシェアはどうなのかということをここ再三農林省と私ども話をしておるわけですが、具体的な資料というのを公開してくれません。そこでやむを得ず私は運輸省にお願いをいたしましてインペリアル航空のフライトの時間数を中心に調べ、そして航空機事業の売上高というものが一体どうなのか。そして、インペリアル航空というものが営業外収益をどの程度計上しておるのかという数字を私は調査をしたわけであります。 それで、ちょっと簡単にまずインペリアル航空の内容について運輸省にお伺いをいたしますが、このインペリアル航空というのは主として薬剤散布をしておるわけでありますが、年間稼働時間は千五百三時間と聞いております。ところが、この薬剤散布は千三百七十七時間、早く言うならば、九二%は薬剤散布の航空会社であるかないか、それだけを運輸省にお伺いします。
○上坂説明員 インペリアル航空の五十六年度の使用事業、不定期事業の稼働実績は千五百三時間でございまして、そのうち薬剤散布に関する稼働時間は千三百七十七時間でございます。その比率は九一・八%というふうに承知しております。
○草川委員 ですから、いまお話がありましたように、主たるのは薬剤散布会社でございますし、飛行機もただいまのところ九機しか持っておりませんから余り利益の上がっていない企業でございますが、一番新しいところから逆算をいたします。五十六年度全体収入が五億四百六十八万四千円です。航空機の事業、すなわち空中の散布だとかいろいろなことでございますが、これが三億二千九百二十九万五千円です。売上高は六五・二%でありますが、営業外収益が一億七千五百三十八万九千円、営業外収益が三四・七%であります。五十五年度が同じような数字で五億一千六百四十九万八千円に対しまして、航空機が三億二百二十四万三千円、五八・五%であります。営業外収益が二億一千四百二十五万五千円で四一・四%であります。五十四年度が全体収入が四億八千五百二十四万五千円に対して航空機の売り上げが二億六千八百五十二万九千円で、売上高が五五・三%であります。そして営業外収益というのが二億一千六百七十一万六千円で四四・六%であります。 このようにずっと見ていきますと、いわゆるインペリアル航空というのは少人数で、パイロットだけであります。そして空中の薬剤散布を主たる業にしておるにもかかわらず営業外収益というものが昭和五十年はわずか一・九%、五十一年は三二・七%、五十二年が三八・七%、五十三年が四二・七%、五十四年がいま申し上げた四四・六%、五十五年が四一・四%というふうにずっとふえてきておるわけでございます。これをたまたま藤井商事の総売上高と年度別に比較をして疑問を持ちますのは、いま国税が指摘をしました五十二年、三年、四年当時、特に五十四年の場合は総売上高を三十六億と売り上げたわけでございますけれども、税引き利益金は五十四年わずか二百六十三万円しか上げておりません。そのようなものがたまたまインペリアル航空の方では営業外収益として率が上がっておるわけでありますから、ここらあたりは非常に手の込んだことをしておみえになるのではないかと私は思うのですが、このようなことを国税当局は今後どのようにお考えになられるのかお伺いをしたいと思います。
○平北説明員 御質問が特定の個別の法人のことでございますので、調査をする、しないということにつきましては答弁を差し控えさしていただきたいと思いますけれども、一般的に申し上げまして、国税当局では国会での論議あるいは新聞ですとか雑誌ですとかにあります一般的な情報、あるいは私たちが部内で集めておりますいろいろな情報をもとにしまして、適正に課税を行うように努力したいと思っております。
○草川委員 いまからまた第二番目の話に移るわけでありますけれども、いわゆる農林行政は何か業界との関係で構造的な問題があるのではないか、癒着があり過ぎるのではないかということを指摘したいわけであります。私は輸入割り当てで少し問題があるならばそれだけだ、こう思っておりましたら、ここ最近問題になっておりますところの競馬馬の輸入等をめぐる数々の疑惑が指摘をされておるわけであります。さらに私のいまから申し上げる航空行政、特に農林の薬剤散布の各企業の受注量等についても農林省は資料を公開しない、行政を公開しない、私は非常に不満があるわけであります。そういうところの一連の問題があると思うわけでありますから、ひとつ国税の立場から十分な御検討をお願いをしたいと思います。 二番目は薬剤の、特に農薬でありますけれども、空中散布のヘリコプター会社がそれぞれあるわけであります。現在十四社ほどあるわけでありますけれども、ここに対して農林省はどのような指導をしておみえになるのか、あるいは農薬散布の依頼をしておるのか、具体的には松くい虫等を含む空中散布をしておるのかということを指摘したいわけでありますが、時間がございませんのでごく簡単に申し上げますと、農林省は松くい虫を含む農薬散布を農林水産航空協会という協会を通じて各ヘリコプター会社に依頼をするわけでありますし、発注をするわけであります。特に国有林の場合はすべて協会を通じてやるわけですが、その契約がどのようになっておるのかということを質問するわけであります。 これは農林省に事前にお伺いをいたしますと、国有林の場合は随意契約ということで、本来の国の会計法上で言うところの契約の自由競争をさせていないという答弁でございました。国有林野事業における航空機利用と農林水産航空事業との調整という言葉を使っておるわけでありますけれども、早く言うならばピーク処理だ。飛行機の数が足りないから、飛行機の値段が上がるからひとつ事前に協会をつくって調整をしたい、その趣旨はわかるわけでありますけれども、問題は、そういう調整の必要があるならば農林省独自が行政上の指導として行えばいいことでございます。それを業者にやらせるわけであります。もちろん、業者プラス一部農協等の方々も入っておりますけれども、主体はいわゆる業者の方々がやるわけでありますが、これは私は非常に問題があると思うのでございます。 これは農林省にお伺いをいたしますけれども、会計法第何条の何項を理由としてやっておるか、そのことだけ簡単にお伺いします。
○秋山政府委員 お答えいたします。 農林水産業におきますところの航空機の利用につきましては、時期的に大変集中するというようなことやら地域性の問題もございますので、国有林野事業におきましての特別防除の契約につきましては、契約の目的あるいは性質という面におきまして競争を許さないという面から、会計法第二十九条三の第四項並びに予決令百二条の四の第三号に基づきまして実施しております。
○草川委員 そこで、この項は御存じのとおり、いまおっしゃいましたように契約の性質もしくは目的が競争を許さない場合、または緊急の必要により競争することができないということを言っておみえになるわけでございますが、もう一つの問題は、この業界の決算書等を見ますと、国が支払うべきところの、あるいはまた地方自治体その他の民間が支払うべきところのいわゆる支払い金額の中から、パーセントとして二・九%を散布事業にかけるわけですね。 そして散布事業の割合が、たとえば年間会費収入が三億ある中で六九%、約七〇%近いわけでありますけれども、散布事業割りとして、会費としてこれを乗せるというのでしょうか、そういうことを相談をしてそれぞれのテリトリーを分け、あるいはまた北海道の場合のように遠い場合には、国からまた別に補助金をつけて空中散布をさせるわけでございますけれども、二・九%というような経費をかけて協会の運営に当てる。しかも、その協会が自分みずからで調整をする。談合とは申し上げませんけれども、そのようなことがいつまでも許されていいものかどうか。本来の空中散布事業というのは、もう十四社もできて、それぞれりっぱな企業でありますから、もう少し自由競争をさせてもいいのではないだろうかと思うのですけれども、その点について会計検査院の方はどのように今後お考えになるのか、お伺いしたいと思います。
○磯田会計検査院説明員 私ども、この種の契約が契約の性質上随意契約によらねばならなかったというようなことで現在まで承知しておりました。しかし、航空業の状況というのは年々変わっていくわけでございますので、もう一度先生御指摘の点を踏まえましてさらに検査を徹底してみたい、そういうふうに考えております。
○草川委員 これはいまから公取の御意見を聞くのですが、公取の前にもう一回これは私、農林省にお伺いをします。 松くい虫の薬剤散布の各社実績だとか、あるいはその他の民有林というのですか、都道府県を含める仕事というのはずいぶん多いわけでございます。十四社あるわけでございますが、その一覧表というのは国会に明示できますか、それをちょっとお伺いします。
○小島政府委員 その前に、農林水産航空事業の本質的な問題について……。
○草川委員 それはもう聞いていますから結構です。時間がないですから、資料が出るか出ぬかだけ言ってください。
○小島政府委員 もともとこの事業をやっておりますのは、農林水産業でヘリコプターを多用途に使っておりますが、事業の性格上どうしてもある時期に集中をする。また、現在のヘリコプターの国内的な配置を見ますと、大体東京周辺に約七割、大阪、名古屋を含めますと九割ぐらいの機体がその辺に集中をいたしておりまして、そういう機体の偏在ということがございます。また、本来非常に効率的に作業をやるべき仕事でございますが、同時に、この狭小な国土の中におきまして安全な作業もしなければいかぬ、こういう性格を持っておるわけでございます。 そういうことを背景といたしましてもし自由に任しておきますならば、ピーク時におきましては機体の取り合い、ある場合には需要にこたえられないという事態が出てまいりますし、反面遠隔地になりますと各社とも余り行きたがらないし、仮にめいめいが契約するということになりますと、作業をしないで飛んでいる時間の飛行機代を負担しなければいかぬわけでありますから、当然コストが割り高になってまいります。過当競争ということになれば、当然安全性の問題も出てくるわけでございます。そういうことを踏まえまして需要者側とオペレーター側と申しますか、航空会社側との間を十分取り持ちまして、ただいま申し上げましたような各種の要請にこたえて機体を最も効率的に活用をする、こういう計画を協会に大臣より指示して出させておるわけでございます。もちろん、もとになりますのは各実施団体から上がってまいりました事業の希望量をもとにいたしておるわけでございます。そういうものをもとにいたしまして調整をいたしておるわけでございますから、その限りでは、私ども事業の実施者であるところの航空会社というものに関係をいたしておりますけれども、そこの営業活動の全貌についてこういう席からお話しするという立場にはないわけでございますし、当然その営業活動について社名を挙げて申し上げるという立場にもないわけでございます。しかし、御指摘の趣旨は、恐らくそういうことではなくて、機体の保有状況と各社の実際の作業の状況、端的にはそれは作業による事業収入というものによってはかられると思いますが、その関係が十分公平を保たれているかどうか、こういうことにあるのでございますれば、それなりの資料は差し上げられる、かように思っております。
○草川委員 いままで何回か資料を請求いたしても、ただいまのところ、とにかく具体的な企業の名前を挙げてシェアが何%ということは報告がございません。 そこで、私なりの資料をつくってまいりました。一番から十四社であります。第一番は日本農林ヘリコプターが三六・八%のシェアであります。二番目が朝日ヘリコプターの一三・四%、三番目が中日本航空の一三・二%、西日本空輸の六・一%、武蔵航空の五・五%、それからいま問題になっておりますインペリアル航空は三・八%、それぞれの散布の実績がありますし、これは一番最初に申し上げました運輸省の方からフライトの時間数を見ましても、若干の増減はございますけれども、やはり運輸省のフライトの数からいいますと、日本農林ヘリコプターが一万六千四十時間、これが一番であります。二番が中日本航空五千七百五十五時間であります。三番目が朝日航空五千四百三十五時間、こういうような形でそれぞれ出ておるわけでございますけれども、いまの局長の答弁は、空中散布が始まった時代の答弁だと思うのです。もう空中散布が始まりましてからずいぶんの年代がたって企業も落ちついてきたわけでありますし、あるいはまたその対応で協会自身も独自の飛行機を持つようになってきたわけでありますから、いまやまさしく自由競争ができる時代だと私は思うのです。そういう立場に立って公取の方から御意見を賜りたい、こう思います。
○樋口説明員 お答えいたします。 ただいま先生御指摘の件につきましては、事実関係の詳細を十分把握しておりませんので、ここで意見を申し述べることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般論として申し上げますと、事業者団体があらかじめ会員に取引先とかあるいは地域を割り振る等の調整行為を行うことによって、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合には独占禁止法八条一項一号の規定に違反するおそれがあるわけでございます。
○草川委員 いまの公取の御意見について、大臣どうでしょう、どのようにお考えになられますか。一般論としてのことでございますが、やはりこれは重要なことですから、局長より大臣、答弁してください。
○田澤国務大臣 確かにこの松くい虫の防除を含めての航空機による薬剤散布というものは、一定の時期が非常にありますものですから、それだけにこれには十分私たちの方も意を尽くしてまいっているわけでございまして、一般論としていま公取の方から言われました考え方、原則というものを私たちも十分考えながら今後に対応してまいりたい、かように考えます。
○草川委員 いずれにしても、私、時代が変わってきたと思うのです。ですから私は、農林行政というのはそれなりのポリシーがあるわけでございますけれども、オープン経済になったわけでありますし、従来からのいろいろな制約を思い切って脱皮をする最大の時期だと思うのです。 それはぜひ含めていただきたいわけでありますし、私は、最後の問題になりますけれども、この薬剤散布を中心といたします農林省の航空行政、航空行政という言葉が適当かどうかは別でございますが、農林省としてのかかわり合いの中身を調べてまいりますと、これも藤井商事と同じように、オレンジの割り当てと同じように、割り当て数というのですか、事業のシェアの均等ということについてははなはだ不均等だと思うのです。 一番の日本農林ヘリコプターが三六・八%近いシェアを持つ。二位の朝日ヘリコプターなり中日本に比べますと二三・四%の違いでありますから、これはこのフライトの時間で比べましても、私はいかにも格差がでか過ぎると思うのです。なぜ日本農林ヘリコプターがこのように強い力を持っておるのかということをお伺いしたいわけでありますが、それよりは、時間がございませんので、日本農林ヘリコプターの中にどのような重役の方がお見えになりますか、これは運輸省にお伺いをしますが、さっと名前を挙げてください。
○上坂説明員 日本農林ヘリコプターは航空機使用事業を営んでいる会社でございますが、役員の方を申し上げますと、若干読み違いがあるかもしれませんが、川鍋秋蔵氏、志村秀夫氏、丸谷一男氏、河野謙三氏、安藤楢六氏、山村秀幸氏、中村靖氏、峰島誠氏、小山行宏氏、川鍋達朗氏、川鍋二朗氏、川鍋湊氏、以上でございます。
○草川委員 これは常識的に農林行政は、ずっと以前の時代になりますが、河野さんが大臣をやっておみえになりましたときに、非常に大きな影響力を持っておるというのは私どもが子供のときからわかっておるわけであります。そういうものの影響で日本農林ヘリコプターができたことも事実であります。現在でもそのような方々、特に謙三さんなんかが入っておみえになりますから、私は、入っておるから日本農林ヘリコプターが三六・八、強いとは申しませんけれども、他に比べると明らかに不均衡であることは事実だと思うのです。一体これは単なる営業努力でこれだけの力を持ったのか、あるいは当初スタートが早かったからこのように持ったのか、これまた私はきわめて問題があると思います。 最後にもう一つの問題を提起いたしたいと思うのですが、このインペリアル航空でございます。これは先ほどから指摘をいたしておりますけれども、オレンジの割り当ての最大の業者であるところの藤井商事でございますが、このインペリアル航空の社長は藤井一雄さんであります。 私は、この会社の土地登記をそれなりにずっと探してまいりましたら、東京都港区白金台二丁目十四番十号というところがあるわけでございますけれども、ここに、インペリアル航空が、地番百八十四の二十二というところの地番の土地、この上には家も建っておったわけでございますけれども、ここへ、面積二百四十四平米の土地を昭和四十年の十一月に買っておるわけであります。 ところが、このインペリアル航空が買っておる土地というのは、共同で買った土地だという登記になっております。共有者は一体だれかというので調べてまいりましたら、実はこの土地は、地図を上げればおわかりかもわかりませんが、港区白金台二丁目十四番十号というのは、元農林大臣の松野頼三さんの敷地の中にあるわけであります。これは昭和四十年十一月でございまして、たまたま共同登記の名義人は、子供さんの御主人であるところの塚田徹さんという名前になっておるわけであります。 これは、農林大臣になられましたのが四十一年でございますからその前後のことでございますが、いかにもこれは唐突な感じがいたします。 私どもは、このインペリアル航空というのがどうして東京の一級のところに、しかも住宅地に、なぜこのような土地を持たなければいけないのか不思議に思ったわけでございますが、さらにそれをずっとフォローをいたしてまいりますと、その後四十二年に、持ち分移転というようなことで、この二百四十四平米は半分半分に分かれまして、地番百八十四の八十二というのが、新しい地番になりまして、塚田さんの持ち主に変わっております。しかしこの塚田さんのこの土地に対して、その後松野さんが、どういうことになったか知りませんけれども、松野さんの担保に担保権が設定をされている。 こういうことでございますし、当時はこの上に共同で住宅が、共同名義の住宅が建っておるわけでございますが、少なくともこのような歴史は、個人的なことを申し上げるわけではございませんけれども、このような、この会社、インペリアル航空がまだ設立間もない時代だ、しかも収益も余り上げていないのだけれども、一等地に、幾らで買ったかわかりませんけれども、とにかく膨大なお金で土地を買う。しかもそれが、たまたまその前後に農林行政にも非常に力を持っておみえになりました大臣の邸宅の、しかも敷地の中にそのような土地が購入をされて、いまなおその名義で百二十二平米というのがあるわけであります。 私、現実にただいま現在の登記簿をここに持っておりますけれども、これは私は、農林行政としても決していいことじゃないと思うのです。個人的なことだから関係ないと言えば関係ないかもわかりませんけれども、歴史的な経過の中を見ますと、どうやら農林行政の割り当て行政の裏には政治家がいるということにならざるを得ません。 過日、オレンジの輸入の三十二社の追加を私は外務委員会でも追及いたしましたが、せっかく三十二のオレンジ業者が認められても、それが七つに行政指導によって窓口が一本化される。私どもいろいろな業界の方々にお聞きしても、行政指導ですよと言うのですね。建設省の土建屋よりも農林省の行政指導の方が強いと言うのですよ。それは一体どういう構造になっていくのか。私は、政治家とそして行政と業界との間に構造的な問題がある、癒着があり過ぎるのではないか。私は、きょうは決算委員会だから申し上げますけれども、他の省庁も、臨調の時代を踏まえまして非常に厳しい業界の対応をいたしております。私はそういう意味では、農林省の行政は他省庁に比べますと補助金も多いしそれから事業も多い、そういうものに対する誘惑も多いと思うのですが、政治家としては姿勢をきちんとしていただきたい。 この点を含めまして、最後に大臣の見解を賜って私の質問を終わりたい、こう思います。
○田澤国務大臣 ただいま航空会社の問題あるいはまたIQのオレンジの問題等について御指摘をいただきました。 もちろんこの実態についてはまだ私たちも明らかでございませんので、ただいまの意見を十分聞きながら、今後、私たちも、この問題について国民の誤解のないような形にしてまいりたいと思います。また、農林水産行政を営む者として、そのような誤解を招かないように、今後も努力をしてまいりたいと考えております。
○草川委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○永田委員長 春田重昭君。
○春田委員 私は、行政改革の問題について、時間がございませんけれども、しぼって御質問申し上げたいと思います。 第二臨時行政調査会では、今月末の基本答申を目指して鋭意作業が続いているわけでございますけれども、すでに部会報告が発表されております。この部会報告につきましては、政府のあちこちですでに異論の声が出ているみたいでございまして、官僚はもちろんのこと、閣僚の中からも抵抗といいますか反対の声が出ているわけでございますけれども、農水省の基本的な態度をまずお聞かせいただきたいし、また、この部会報告に対する農水省の感触をお伺いしたいと思うのです。
○角道政府委員 お答えを申し上げます。 現在、臨時行政調査会におきましては、部会報告が五月いっぱいに大体出そろいまして、全体の調整と申しますか、調査会自体の意見を練っているということを承知いたしております。 私ども、第一部会におきましては、重要行政事項の中に農政が取り上げられておりますし、また第二部会におきましては行政組織、第三部会におきましては補助金問題あるいは権限委任、第四部会におきましても、国有林あるいは特殊法人、認可法人等の問題が指摘されておりまして、この内容につきましては、私ども現在検討いたしておりますが、内容としては非常に厳しいものと承知をいたしております。 ただ、現在、行財政改革が必要とされる時期でございますので、私どもといたしましては、これらの内容につきましても十分検討もいたし、理解もいたしながら、行財政改革の方向に沿って努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
○春田委員 大臣としての御所見をお伺いしたいと思います。
○田澤国務大臣 御承知のように、農林水産行政は、厳しい環境の中で、食糧の安全供給、雇用の場の提供、あるいは国土あるいは自然の環境保全を目標にしながら農業の振興を図ってまいらなければならぬわけでございます。そのためには、何としても生産性の向上を図るということは申し上げるまでもございませんが、経営規模の拡大あるいはまた農業技術の開発、さらには基盤整備、さらに農業資材の価格の安定等を図ってまいらなければならないわけでございまして、そういう目標を達成するために、私たちは農林水産業の一つの目標を立てております。私たちは、その線をできるだけ貫きたい。もちろん、第二臨調の考え方も私たちは十分尊重してまいらなければなりませんけれども、同時に、ただいま申し上げました線をその中でできるだけ生かしていきたいというのが私の考え方でございます。
○春田委員 行政改革というのは、農林省に限らず、従来の権益といいますか権限というものを侵すような答申が出れば、それに対して抵抗といいますか反対する声が出てくるのは官僚としては私は当然だと思うのです。しかし、田澤農林大臣は、大臣であるとしても、いわゆる国民の代表としての国会議員でございますし、その点、官僚と一線を画して、国民の側に立って行政改革を進めていかなければならない、私はこう思っているわけでございます。 私は基本的に尊重するけれども云々という話がございましたけれども、いわゆる大義名分としては賛成であるけれども、自分のところの権限が侵されるようなことがあればどうしても異論を唱える。いままでいろいろ報道されております総論賛成、各論反対、そういうことが国民の側からの批判の声になってきておるわけであります。 そういう点で、行政改革というのは、わが省だけは守るという縄張り根性は捨てて、国民的な立場に立った行政改革でなければ断行できない、私はこう思っているわけです。そういう点で、総理はこの行政改革に自分の政治生命をかけると言っておりますけれども、果たしてできるかどうか、国民の側から非常に疑惑の目で見られておりますし、もしできなかったならば、これは政治不信につながっていくわけでございますので、そういう意味におきまして、農水省としても今回臨調からかなりいろいろな問題点も指摘されるでありましょうけれども、少なくとも大臣としては、国民的立場に立った行政改革を進めていただきたい、私はこのことを強く要望していくわけでございます。 そこで、農林水産省というのは、行政改革に逆行する面といいますか、非常に厳しい言い方でございますけれども、会計検査院から指摘されている補助金の問題その他、また私がこれから指摘していきます特定土地改良事業の干拓事業の問題等、いろいろな形で何回も指摘がされているわけでございます。行政改革を非常に国民の期待を担ってやっていかなければならない今日におきまして、この干拓事業につきまして私は若干お尋ねしてまいりたいと思います。 まず、この干拓事業の目的、農水省としては、その目的どおり十分政策遂行が図られていると思っているかどうか、お伺いしたいと思うのです。
○森実政府委員 干拓事業の目的と申しますのは、基本的には、非常に生産性の高い農用地を確保していくという視点と、あわせて国土の拡大に資するという基本的な役割りを持っているものと思っております。 ただ、干拓事業自体については、事柄の性質からいって、工期がかなり長期を要するという実態がございます。その間に、高度成長を背景としました地域経済の発展による土地需要の増大等がございましたし、また土地利用の変化というものもあるわけでございます。特に干拓地区の多い山陽地区等についてはこういった事情が顕著にあったわけでございます。 もう一つは、干拓自体は汎用農地としての役割りを果たすものと思っておりますが、基本的には、水田の適地であるという実態があるわけでございます。米の過剰を背景といたしました稲作転換対策の実施がやはり干拓地における営農条件にいろいろ影響を与えているという点がございます。 さらに、漁業補償問題、一部は訴えの提起等もあるわけでございますが、こういったことが難航いたしましてなかなかはかどらない、そういう意味で休止の問題、それから転用の問題、さらに、すでに完了した地域の営農の問題等各般にわたって検査院の御指摘があり、またまことにお恥ずかしいことだと思っておりますが、年々この種の指摘が続いておることは、私どもまことに遺憾に思っているわけでございます。やはりなかなかむずかしい問題をそれぞれの地区が抱えておりますが、できるだけ現実的に指摘を受けとめて問題を解決していくことが私どもに課せられた仕事だろうと思います。 そういう意味では、今回の会計検査院の調査報告にも出ております未配分地区の取り扱い等につきましては、たとえば五地区の御指摘があったわけでございますが、二地区につきましてはすでに土地配分の手続をどうにかこうにか終了することができましたし、一地区についても今年度中にやりたいということで努力を続けているところでございます。 これは一つの具体的な例でございますが、既往の経験を生かしまして、現実的に問題の解決に全力を挙げて努力をいたしたいと思っておるわけでございます。
○春田委員 そこで会計検査院にお伺いいたしますけれども、五十五年度決算検査報告の中で指摘されております干拓事業の特記事項について、時間の関係で簡単に御説明いただきたいと思います。
○磯田会計検査院説明員 ただいま農林水産省の方から若干触れられましたので、簡単に申し上げます。 五十五年度の時点でございますが、全国で百八十三地区、面積にいたしまして五万二千五百二十八ヘクタール、事業費で二千五百八十七億余円というような干拓事業が実施されておりますが、今回これらの地区を対象にして検査した結果を申し上げます。 まず第一は、造成した干拓地を農家に配分する前に工場用地等に売り払ったもの、十八地区、二千六百八十九ヘクタール、事業費相当額七十六億余円。二番目に、配分された農地が全面的に農業以外の用途に転用されているもの、十四地区、七百八十五ヘクタール、事業費相当額十九億余円。三番、事業を途中で廃止しているもの、十一地区、廃止までに支出した事業費三十八億余円。四番目、工事は完了したが造成した干拓地の配分が済んでいないもの、五地区、千四十九ヘクタール、事業費百二十九億余円。五番目に、工事途中で事業を休止しているもの、二地区、五十五年度までの支出済み額十六億余円。合わせて五十地区、面積にして四千五百二十三ヘクタール、事業費相当額で二百八十一億余円に上るものが干拓事業の目的と離れ、または離れる危険性をはらんでいるものというふうに認めております。その事情、そして今後それについて対応する問題点等につきましては、先ほど農林水産省の方からお話があったとおりだと思います。
○春田委員 この干拓事業につきましては、五十五年の決算報告で指摘されているわけでございますけれども、過去何回くらい指摘されているのですか。
○磯田会計検査院説明員 ちょっと申し上げますと、古くは昭和三十五年、それから三十六年、三十七年、四十年、五十一年。五十一年にはもう一つ、二つ出ております。以上でございます。
○春田委員 ただいま御答弁がありましたように、三十五年から始まりまして三十六年度、三十七年度は農水省としての処置に対する回答ですからこれは入らないと思いますけれども、四十年、五十一年、そして今回の五十五年ということで都合五回指摘されている、私はこう思っておるわけでございます。これだけしつこくといいますか、何回も何回も同じ事項、いわゆる類似性のものが指摘されている、こういう例というのはめったにないのじやないか、珍しいのじゃないかと私は思うわけでございまして、これは、今回は特記事項になっておりますけれども、いわゆる不当事項に値するような問題じゃないかと私は思うわけでございます。この点、検査院としてはどうお考えですか。
○磯田会計検査院説明員 農業を取り巻く環境と申しますのは、その客観情勢の動きというものが大きいだけに非常に厳しいものがあろうかと思います。したがいまして、私ども一つ一つ解決をしていただくように御指摘申し上げた結果がこういうふうになったわけでございますが、これからは相当抜本的な対応というものをお考えいただいた方がよろしいのではないか、なかなか通常の努力では越せない状況があるのではないかというふうに考えております。
○春田委員 もっと詰めた御質問をしたいわけでございますけれども、そう時間がございませんので、結論の方に入ってまいりたいと思います。 この干拓事業に限らず、特定土地改良工事にはそのほかに灌漑排水事業というのがありますし、農用地の開発事業というものもあります。これらの問題についても会計検査院としては過去指摘されているわけでございまして、たとえば灌漑排水事業につきましては五十二年の検査報告で、農用地開発事業につきましては五十四年の検査報告でそれぞれ指摘がされているわけでございます。 こうした事業というものは、先ほど農水省の局長もおっしゃったように非常に長期間にわたる。こういう観点から社会事情等の変化もありましょうし、いろいろな問題もふくらんだ中で大変だと思いますけれども、いわゆる自給力を向上するとか都市に安定的に農作物を供給するとか、こういう大きな目的から逸脱して、その目的外の他転用地区とかその他そうした問題が出てくるわけでございます。また国費の投資額も回収されないままに、非常にむだとは言いませんけれども、非効率、非能率な事業が非常に目立つわけですね。 先ほどもお話があったように、総ざらえした結果この干拓事業につきましては四千五百二十三ヘクタール、事業費相当額で二百八十一億円の額が指摘されているわけでございまして、これは民間会社であればもう責任問題になりまして、当然上に立つ人の進退問題があってしかるべき問題じゃなかろうかと私は思うのです。しかし、どうも農水省にしては甘いのではないか。事前計画にしても二、三年かけてやっているわけですね。途中で事情が変わったと言いますけれども、その計画の段階で二、三年もかかっているわけですから、その事業実施に当たりましていろいろな問題は当然その時点で解決すべき問題だと私は思うのですよ。そうした事前計画の甘さ、また実施してからも中間検査のそうした甘さがありますし、問題が指摘されてからも同じような問題が五十一年にも指摘されているわけです。それが解決されないまま五十五年度にまた掲記されている。ここに検査院にあれほど指摘されながらもそれに対応できない甘さというのがあるのじゃないか。こういうことで、いろいろな事情があるかもしれないけれども、これだけ過去五回も指摘されながらこうして出てくること自身が問題である。いろいろな事情があるかもしれませんけれども、その辺の農水省本省の各地方農政局に対する指導監督が非常に甘いのではないか、こう思うのです。そういう点で、いわゆる親方日の丸的な発想は転換して、いままでの延長でなくして、本格的に行政改革をやっていくのだという原点に返って見直しを図るべきである、私はこう思うわけでございます。 農林大臣、一回や二回の指摘だったら私もわからないことはないわけです。しかし五回も過去に指摘されているわけでございまして、この際思い切った抜本的な改革といいますか発想をしてこの問題に対処しない限り、また本当に地元のいろいろな、また各省との調整等があるかもしれませんけれども、農水省が先頭に立って、行政改革というのはこういうところからむだを排除しなかったならばできないですよ。ことさら新しいものをやっていくだけが行政ではないと思うのです。こうした問題をやってこそ初めて私は行政改革ができる、こう思うのです。一メートルも越えることができないでどうして十メートル越えることができますか。まず当面の課題から挑戦して解決しなかったら私はできないと思うのです。どうですか。
○田澤国務大臣 ただいま、いわゆる干拓事業あるいはまた灌漑排水事業あるいは農用地利用事業等について御指摘をいただいたわけでございますが、御承知のように、やはり長期の計画を実施するものでございますから、その間に社会経済情勢が大きく変わる。ことに生活様式が変わりまして米離れというのが非常に出てまいりました関係から、水田利用再編対策をしなければならない。そのために、いままで稲作をいわゆる作付しようとした干拓事業あるいは灌排事業等が、今度は他の転作作物をやはり作付しなければならないとか、いろいろな変化がこの十数年の間に起きているわけでございまして、その中で、やはりこの事業を進めているところに非常に大きい問題があるのです。 私たちも、この問題は何としても処理しなければならないということで、何回か計画の変更、あるいは新しい制度を進めなければならないということで、各市町村ともいろいろ連絡をとって今日まで来ているわけでございますが、なかなかそういう点が一つの隘路になっているわけでございます。しかし、このままでは、やはり御指摘のようにいけませんので、今後制度的な面、あるいは長期の展望に立って、私は、関係者と十分連絡をとりながら効率的な事業にしてまいらなければならいと考えておりますので、今後一層その点に努力を払いたい、かように考えます。
○春田委員 私は、干拓事業そのものを否定するわけじゃないのです。目的というか意義というのは私なりに理解しているわけでございますけれども、こう再三同じことが指摘されれば、農水省、何をやっているのかと、こう思わざるを得ないわけですね。指摘せざるを得ないわけですよ。だから私は、干拓事業というのは大義名分だけがひとり歩きして実体を伴わないようなそういうものが何カ所かある。こういう点で、やはり経済性を伴わない事業というのは、今日の財政困難な折から、これはもうどうしようもないんですよ。そういう点で私は、これから実施するもの、何か長崎の方でこれから計画に入っているみたいでございますけれども、まだ継続しているもの、真剣になって対処していただきたい、こう思うわけでございます。 この問題については深く突っ込んでいきたかったわけでございますけれども、時間がございませんのでこれで終わりたいと思いますが、最後に、零細補助金の問題で一点だけお聞かせいただきたいと思います。 すでに部会報告の中で、この零細補助金につきましては見直すべきである、こういうことが言われておるわけでございます。たとえば、いままで市町村段階では五十万だったのが百万に、都道府県段階では五百万を一千万ぐらいに引き上げるべきである、と。この零細補助金にはそれぞれの性格といいますか、意義、目的もあると思いますけれども、地方から陳情するコスト、時間またはこの手続等の非常な繁雑等を考えれば、やはり見直していく必要があるのではなかろうか、こういう考え方を私は持っておるわけでございますけれども、農水省の基本的な考え方をお示しいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
○角道政府委員 お答え申し上げます。 御指摘のとおり第三部会の報告の中に、現在の都道府県あるいは市町村に対します補助金の一件当たりの最低金額の引き上げというのが出ております。私ども、従来から補助金の整理合理化を通じまして、あるいは統合メニュー化を図るという形で、一件当たりの金額を大きくするということと同時に、また零細補助金につきましても、たとえば五十一年度におきましては、都道府県あたりでは二百万、あるいは市町村におきましては二十万というような金額だったわけでございますが、これをだんだん上げてまいりまして、先ほど御指摘のとおり、現行の都道府県五百万、あるいは市町村が五十万ということになったわけでございます。 なお、これから部会報告を受けまして、調査会の方でどういう答申になるかわかりませんけれども、私どもといたしましては、できる限り、やはり補助金の整理合理化ということには努力をしたいと思いますが、ただ御指摘の、現在でもなお都道府県の一千万以下の補助金には、水田利用再編とかいうようなもので相当重要な施策のものもございますので、これらの補助金の一件一件につきまして、臨調から報告が出ますれば、その答申の方向に従いまして検討してまいりたいと考えております。
○春田委員 終わります。
○永田委員長 神田厚君。
○神田委員 最初に、日朝の漁業民間協定の問題につきまして御質問を申し上げます。 北朝鮮二百海里水域内の日本漁船の操業を取り決めました日朝民間漁業協定が六月三十日で期限切れとなっておりますが、現在、この水域で操業していた漁業者はどこで操業しているのでありましょうか。
○松浦(昭)政府委員 北朝鮮の水域、これは民間暫定合意による操業水域でございますが、ここに出漁するわが国の漁船は、五月から翌年の二月までにかけまして操業いたしますイカ釣りの漁船、それから三月から六月にかけますところのマスの流し網漁業及びはえ縄漁業、さらに九月から翌年の六月にかけてのベニズワイガニ漁業、この三つがあるわけでございます。したがいまして、この中のマスの流し網とはえ縄、それからベニズワイガニのこの漁業は、この六月三十日の時点におきまして、この地域で操業をいたしておらなかったわけでございます。 そこで、今回、民間側の大変な御努力によりまして、日朝漁業関係がほぼ安定的に確保されておりましたのに対しまして、残念ながら今回、その御努力にかかわらず、合意が失効することになったわけでございますが、水産庁といたしましては、これらの漁船、イカ釣りの漁船でございますが、操業水域から退出するようにという指導をしていただきまして、現在整然とこの六十隻余りのイカ釣り船は退出いたしまして、目下操業しております地点は、現在、北朝鮮水域の東側に位置する大和堆水域及び北朝鮮水域の北東に位置する北大和堆睦水域、これはほとんどがソ連の水域でございます。それに壱岐の北方水域、津軽海峡西口等の漁場を利用して、目下のところ、大きな変化なく操業を続けているというふうに見込まれております。
○神田委員 この北朝鮮水域では、従来イカ釣り、サケ・マス漁業、ズワイガニ、こういう漁業が操業されているわけでありますが、無協定状況が続きますれば、減船など相当の影響が出ると思うのでありますが、それはどのようにお考えでありますか。
○松浦(昭)政府委員 ただいま申し上げましたように、民間側の関係者の大変な御努力にもかかわらず、残念ながら暫定合意が期限切れになりまして、一たんこの水域からイカ釣り漁船が退去せざるを得ないという状況になったわけでございますが、その後、イカ釣り船は、先ほど御答弁申し上げましたように、大きな変化なく、この水域の周辺の水域に漁場が形成されておりますので、そこで操業を続けておるわけでございます。しかしながら、とのまま放置をいたしておきますると、直ちにいますぐ問題が起こるという状態ではございませんが、やがてズワイガニの漁業も始まりますし、それからまた、マスの漁業も始まるわけでございまして、できるだけ早く、とにかくこの水域におきまして、零細な漁民の生活にかかわる重要漁場でございますから、この暫定合意を再び結ぶということが非常に必要であると考えておる次第でございます。私どもといたしましても、北朝鮮との間に国交がございませんので、政府として漁業交渉ができないということで隔靴掻痒の感があるわけでございますが、安定的操業が確保されるように関係者と連絡をとりながら、側面的にできる限り協力をいたしまして、早期に再び合意ができますように努力したいというふうに考えております。
○神田委員 この協定が三十日で期限切れになったという背景には、北朝鮮側の交渉団の入国を日本政府が断った、さらに、日本の方から、それでは北朝鮮の方に交渉に行きたいという者を北朝鮮の政府が入国を断った、こういうことであるわけでありまして、非常に政治的な背景があるというふうに考えられております。でありますから、民間の漁業交渉という形で民間協定という形はとっておりますけれども、北朝鮮と日本との国交がない現状から見ますれば、これはやはりひとつ政府がもっと積極的にこの行き詰まっている状況を打開するための努力をしなければいけないというふうに考えております。たとえば、北朝鮮側では、機具とか資材の供与とか技術協力とか、さらには水産物、スケトウダラ等の輸出の問題に非常に関心を持っているということもありますし、こういうものを考えまして、新たな合意ができる努力を政府としてはどのようにするのか、大臣からひとつお伺いしたい。
○田澤国務大臣 御承知のように、日朝暫定民間合意は、一九七七年九月に合意されまして、それから二回有効期間が延長されて今日に至っているわけでございますが、御指摘のように六月三十日で期限切れになりまして、イカ、サケ、マス、ズワイガニ等を業としている零細漁民にとっては大変な状況になっているわけでございまして、私も外務大臣にもこの重要性をよく訴えてこういう提案をお願いしてあるわけでございますが、いわゆる外交上の非常にむずかしい問題で、今日このような状況にございます。したがいまして、今後も漁業の実態を外務省等にもよく訴えまして、できるだけ早い機会に合意ができるように努力をいたしたいと私は考えております。
○神田委員 できるだけ早く合意ができるように努力をしたいということでありますが、それは決意として非常に結構なことであります。 それでは、手続といいますか具体的にどういうことをお考えになっておられるのか、その辺はどうでありますか。
○松浦(昭)政府委員 何分にも、ただいま大臣から御答弁がございましたように非常に高度な外交的な問題、政治的な問題を含んでおりますので、外務省の判断というものが非常に重要になってまいるわけでございますが、現在、民間の側が、特にこの協議を再開するためにいろいろな方途を考えまして、各方面に連絡をし、また陳情するといったようなことを計画いたしております。それを受けまして、一体どのような形で代表団を受けるかあるいは出すか、その際に手続等をどうするかというようなことにつきまして、外務省とも十分打ち合わせをいたしまして今後の方針を決めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○神田委員 新聞報道によりますと、この水域近辺で漁船の拿捕が行われて、しかもかなり高額な罰金刑も、初めてでありますが科されているというような現状であります。このことは、この漁業協定の無協定状況がもたらした一つの政治的な背景といいますか、そういうものでもあるというふうに考えられるわけでありますから、これらの問題も含めまして、こういう状況でありますと、協定を結ぶ際に、日本漁船が軍事境界線を侵犯して、どんどんと越境して不法操業をしているのじゃないかというようなことがたび重なりますれば、新たな漁業協定の締結にも非常に問題が多くなってくる、こういうふうに考えておりますが、この辺のところはどういうふうにお考えですか。
○松浦(昭)政府委員 先生御指摘の北朝鮮水域におきますところの日本漁船の違反の事犯は、実はイカ釣り船の操業している東側の水域ではなくて、西側の水域におきまして、ことしの春、四月、五月にかけまして以西底びき船が侵犯をいたしまして、そのために問題が起こったということでございます。イカ釣り船の方は、六月三十日を期しまして一斉に退出いたしまして、全くトラブルのない状態でございます。 この以西底びき船の違反につきましては、確かに先生御指摘のとおり、これが将来の合意を結ぶに当たって支障になるということが懸念されましたので、五月十五日に水産庁長官名をもちまして操業自粛につきますところの非常にきつい通達を出しましたし、また私自身も、以西底びき業界の代表者を呼びましてこの点につきましてきつく申し入れを行い、自粛するように指導いたしたところでございます。これを受けまして団体側も自粛措置を決めておりますので、この問題につきましてはわが方の体制につきまして問題がないように措置をいたしたつもりでございます。
○神田委員 現在二百海里以内から撤退しているイカ釣り漁業の経営というのは、つまり燃油価格の上昇など厳しい状況もありまして、加えて今回の事態となっているわけでありますが、水産庁といたしましては、当面、国際規制関連経営安定資金、五十七年度予算で百三十億円ありますけれども、これらを緊急対策として融資するようなお考えはお持ちでありましょうか。
○松浦(昭)政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、現在この暫定合意のございました水域外のところで漁船が漁労活動を継続しておりまして、目下のところは余り大きな変化がなく操業が継続されている状況でございます。しかしながら、これがこの漁期においてその結果どうなるかということは全漁期を見なければわからないという状況でございますので、暫定合意期限切れ後の影響がいかなる状況になるか、十分見きわめました上で対応してまいりたいというふうに考えております。
○神田委員 わが国の方の民間協定の窓口であります日朝漁業協議会あるいは日朝友好促進議員連盟、これが民間協定の締結に役割りを果たしておりますが、大臣の方にこの議員連盟なり協議会の方から漁業協定促進についての話し合いがあったのかどうか、あるいは大臣としましてはいつごろまでをめどに、新たな合意を取りつける漁業協定の締結について期限はどのぐらいのところでこれをやりたいというようなことをお考えでありますか。
○田澤国務大臣 日朝漁業協議会の方からは何らの話し合いはございません。ただ、日朝友好促進議員連盟の代表でございます久野先生からこの問題についていろいろな話し合いがございました。久野会長さんも、会長としての一つの意向はお持ちのようでございますが、しかし何さま国交のない現状でございますのでいつまでという日程にはなっていないようでございます。私は極力、外務省にもお願い申し上げますと同時に、民間のいわゆる議員連盟あるいはまた日朝漁業協議会の方々の御努力によって一日も早く合意が成立するように期待をいたしているというのが現状でございます。
○神田委員 漁場の関係や季節の関係で早く協定を締結しないと、どんどんと北朝鮮の沿岸までイカを追っていってしまったり、魚を追っていくような状況になりますから、ひとつその点では早期に漁業協定の新しい合意ができるようにさらに御努力をお願いをしたいと思っております。 続きまして、捕鯨問題で御質問を申し上げたいと思うのでありますが、現在開かれております第三十四回国際捕鯨委員会、これについて御質問を申し上げます。 まず第一点は、六月二十六日から七月八日、あしたまでこの国際捕鯨委員会の科学委員会が開かれておりまして、科学委員会における資源の評価が本会議での捕獲枠の決定に大変大きな影響を及ぼすものでありますが、本日までの科学委員会の動向についてどういうふうになっておりますか、御報告をお願いします。
○松浦(昭)政府委員 IWCの科学委員会は、その分科会といたしまして設置されておりまして、鯨類の資源に関する科学的及び統計的資料を検討して、鯨類資源の状況を科学的見地から妥当な捕獲枠をIWCに勧告するという非常に重要な役割りを担っておるわけでございます。 ことしの科学委員会がただいま先生お話しのように開催されておるわけでございますが、目下、南氷洋のミンククジラ及びわが国沿岸のマッコウクジラ、それからニタリクジラ、ミンククジラ、これはみんなわが国の沿岸でございます。並びに各国の捕鯨国の関係資源につきまして逐次資源診断、及び捕獲枠の勧告等を主要議題に議論をいたしているところでございまして、まだ各国からいろいろな資料、論文の提供あるいはディスカッションという状態でございまして、その傾向、動向というものが察知されるところまで議論が進んでいないという状況でございます。 わが国としましては、もちろん科学的な根拠に基づきまして合理的に鯨資源を利用すべきであるという観点から資源調査のいろいろな資料を提供いたしまして、目下その科学的な評価につきまして議論をし、適正な捕獲枠が勧告されるように最大限の努力を科学小の段階でやっているという状況でございます。
○神田委員 この科学委員会における資源評価は本会議に十分反映をされるべきだというふうに考えますし、政府は本会議に臨む基本的な態度をどのようにお持ちでございますか。
○田澤国務大臣 このIWCの加盟国は三十五カ国あるわけでございますが、その中で捕鯨国は九カ国、他は非捕鯨国なんでございます。したがいまして、やはり捕鯨国に対してできるだけ日本の主張を理解していただくということと、もう一つは非捕鯨国に対してもできるだけ日本のいまとっておる立場というものを理解をしていただいて、いま現に捕鯨委員会では非科学的な力による感情的な面が非常に強うございますので、本来捕鯨委員会は御承知のように一つの科学的な根拠に基づいて必要最小限度の捕獲をいたしているわけでございますので、こういう点を極力理解していただいて、総会においては商業捕鯨全面禁止というこれを採択されないように努力をしたい。特に私は今回総理とともにペルーとブラジルへ参りました折にも、ペルーにもあるいはまたブラジルにも日本の考え方をお話しを申し上げ、そして強く要請をしてまいっておるのでございまして、そういう点は各国に対して極力日本の現状あるいはまた日本の考え方を説明をして理解をいただいて、全面禁止案が成立しないようにいたしたい、かように考えております。
○神田委員 新聞の報道によりますと、十九日から始まります総会におきまして政府は鯨資源の問題におきまして科学的な管理を提案をする、つまり感情的な鯨の保護論の拡大を食いとめるために資源の科学的管理をルール化する具体的な提案を行うということになっておるようでありますが、どのような内容でございましょうか。
○松浦(昭)政府委員 この資源の管理の問題につきましては、やはり基本的に科学的な根拠に基づいて資源管理をやっていかなければならぬということで、従来からもオーストラリア提案とかいろいろな形でもって資源管理の方法を確立しておったわけでございます。いわゆる最大資源の持続量というものを想定いたしまして、その何%かのところでもって鯨の捕獲をしていくという基本的な議論がございました。それをもとに現在の資源の管理の仕方が決まっておるわけでございます。私どもといたしましては、このような資源管理の原則が決まっているにもかかわらず、ただいま大臣からもお答え申しましたような全く感情的な、また科学的な根拠のない形で一方的に数の力で商業的な捕鯨を禁止する、いわゆるモラトリアムといったようなことを実行されるということを阻止するということがまず第一でございまして、その上で今度は捕鯨枠の問題あるいは資源の管理の問題ということに入っていきたいというふうに考えておるわけでございまして、新聞はいろいろな報道をしておるようでございますが、まずモラトリアムを阻止し、それから次に各非捕鯨国との間で話し合いを行っていくということがわが方の基本でございます。
○神田委員 昭和五十七年の三月二十四日に国際捕鯨委員会の第四回の特別会議が行われたわけでありますが、そこで国連食糧農業機構、FAOの代表が声明を出しまして、現在の鯨をめぐる資源問題その他の問題におきまして非常に偏狭な保存または保護の観点が優先をして反対の方向に行き過ぎる危険性が見られるということを指摘をしています。同時に、鯨の保護の問題で八百九十頭の捕獲の問題が出ておりますけれども、これらの八百九十頭が捕獲されようがされまいがほとんど資源的な影響はないのだということを言っておりますし、どうも日本の立場としましてはこの捕鯨の問題に対する対外的なアピールといいますか、そういうものが後手後手で非常におくれている、いわゆる反捕鯨団体に押しまくられているような状況であるというように考えますが、ひとつ外交的にも、それからこの捕鯨問題についてキャンペーンといいますか、こういうものをもう少し積極的にやったらいかがかと思うのでありますが、その点はどうでありますか。
○松浦(昭)政府委員 確かに先生おっしゃられましたようにFAOの代表がIWCの会議に参りまして、最もコンサバティブな意見でもマッコウクジラの北太平洋における資源が約二十万頭ある、したがって捕獲枠をゼロにするということはおかしいではないかということを言ってくれましたことはわれわれにとって非常な励みになった、また今後の交渉を続けていきます上において非常に有効だったということは事実でございます。 ただいま先生の御指摘のように、われわれの立場を十分に理解させるように捕鯨国及び非捕鯨国に対して働きかけるべきではないか、まさにそのとおりであると思います。過去一年通じましてこの日のためにわれわれとしては各般の対策を講じてまいったわけでございまして、先ほど農林水産大臣がお答えになりましたように、大臣及び総理みずからペルー及びブラジルの大統領にお会いになりまして、先方にわが方の立場を十分説明していただくというような活動もいたしております。また、そのほか各国の関係の大臣が来られる時点で、あるいは機会をとらえまして外務省とも緊密な連絡をとりまして、外務大臣あるいは農林水産大臣から書簡を各国の大臣に発出していただくといったようなこともやっておりますし、また米沢コミッショナーあるいは大場顧問らを派遣いたしまして、各国軒並みに実はわが方の立場を訴えるといったようなことをこの一年間やってまいりました。また、現在も在外公館等を通じまして非捕鯨国に対しましてもわが国の立場の理解と協調を求めることを実施しているところでございます。さらに、IWCの年次会議におきまして、最後の場でございますが、ここでわが方の代表団に最後の努力をしてもらいたいというふうに考えている次第でございます。 わが方の予算といたしましては、日本捕鯨協会に対しまして二千六百六十万ほどの補助金を組んでこの広報活動をやらせておりますが、これが呼び水になりまして、実は業界で九千万円の金を集めまして広報活動もやっておりまして、在外公館の広報費も合わせまして私どもとしてはかなりこの一年、一生懸命広報に努めてまいったというつもりでございます。
○神田委員 水産業界が日本の捕鯨を存続させるために大変力を合わせてがんばっている現状でありますし、ただいまお話がありましたように海外漁場確保緊急対策費補助金のうち二千五百万程度のお金が出ているわけでありますが、これも年々減ってきて二千五百万になっている、こういう状況であります。マイナスシーリングという非常に厳しい財政事情でありますが、この鯨の問題は現時点において日本が譲ることのできない非常に大事なところでありますから、ひとつ予算の面におきましても十分御配慮をいただきまして、これらの海外広報活動等について十二分に力が発揮できるようにやっていただきたい、こういうふうに思っております。 それで、このことについては関連業界がございまして、もしも捕獲が全面禁止というようなことになりますと非常に大きな影響を受けるわけでありますが、これらについても商業的な捕獲が禁止されるような事態にならないように、ひとつ全力を尽くしていただきたいと思うのであります。 三月の参議院の予算委員会で、わが党の伊藤郁男委員の質問に答えまして鈴木総理は、捕鯨業の保護育成については従来にも増して努力をすると言っておりますが、具体的には農林省として大臣はこの保護育成の問題についてどういうふうにこれをお進めになるおつもりでありましょうか。
○松浦(昭)政府委員 三月の予算委員会におきまして鈴木総理が、捕鯨業の保護育成について従来にも増して努力をしていくという旨をお述べになっていたことは事実でございます。私ども、わが国の捕鯨業は重要かつ伝統的な産業でございます。また、科学的な根拠のない感情的な反捕鯨国の主張に屈することなく、従来以上の努力を払って国際捕鯨委員会の適正な鯨資源の管理のもとで捕鯨業を続けていくために最善の努力を尽くせ、また尽くすという政府の方針をお述べになったものというふうに思うわけでございます。 さような観点から、総理も陣頭に立たれまして、各国を訪問の際あるいは各国の代表がおいでになった際に、機会をとらえて常にこの捕鯨の存続のためのわが方の立場を御説明なすっておられますし、また、大臣も先ほど御答弁がございましたように最大限の努力を払っておられるわけでございます。このような努力を払うということが、そしてまたその努力によって捕鯨を存続させるということが、この保護育成について従来以上に努力をするというお話であったというふうに私どもは理解をし努力をしているわけでございます。
○神田委員 さらに総理は参議院予算委員会で、国際捕鯨委員会のあり方そのもの、構成そのものにも問題があると思う、こういうふうに述べております。IWC条約そのものの改定問題についてどのように考えているのか。 さらに、本年五月の第三次海洋法会議で海洋法草案が採択されましたけれども、これに伴いいずれIWC条約も見直される時期が来ることも考えられ、反捕鯨国の意のままの条約とならないよう体制を整えなければならないと考えるわけでありますが、これらについてどういうふうにお考えであるかをお聞かせをいただきたいと思います。
○松浦(昭)政府委員 確かに先生御指摘のように最近におけるIWCの運営の現状を見ますると、捕鯨国の数に比べまして非捕鯨国の数が急増し圧倒的な多数になりまして、従来考えられなかったような商業捕鯨の無期限全面モラトリアムといったような、はなはだ実態を無視し、また条約の上からもおかしい提案を提案してくるといった状況になっているわけでございます。しかしながら、この提案は、鯨資源の適正な保存を図って捕鯨産業の秩序ある発展を可能にするということを基本的な目的としておりますところの国際捕鯨条約の目的から申しましても、精神から申しましても、私どもはとうていこの条約に合致したものではないというふうに考えているわけでございます。 確かにこのような条約の目的や規定に反した最近のIWCにおける反捕鯨国の動向につきましては、IWCの正常な運営からは余りにもかけ離れておりまして、かかる運営を許しているIWCの現状につきまして問題があるということは事実でございますし、その構成についても、海もないような国まで含めまして参加できるといったようなこともございまして、確かに総理もそのような点をお話しになったんだろうというふうに考えております。 しかし、このような状況を制度的に改善するためには、また捕鯨国の票がきわめて少ないという状況もございまして、実態的に申しますると、これを制度的に改善することはなかなかむずかしいというふうに思うわけでございます。したがいまして、このような現状から、大臣も御答弁になりましたように捕鯨国の結束を図り、また非捕鯨国に対しては条約の目的、精神等を十分に理解を求めましてIWCの正常化を図っていく、現行協定の枠の中で正常化を図っていくというのが目下のところ最良のやり方であるというふうに考えて努力をいたしているのが現状でございます。 なお、海洋法がいよいよ実現をいたしまして、各国がこれを批准し寄託をいたしてまいりますと、海洋法の中においてこの捕鯨の問題がその枠組みの中で議論されるという時代が来ると思うのでございます。しかしながら、目下のところはとにかく現在の捕鯨を存続させるということに全力を挙げることが当面の目標でございまして、さらにこの海洋法の問題も十分に頭に置きながら今後の捕鯨の存続に向かって努力をしてまいりたいというふうに考える次第でございます。
○神田委員 反捕鯨運動を行っている団体なり個人なりが非常に狂信的な振る舞いを行うことがあり、過日の総会等におきましても、出席する日本の代表委員に向かいまして、鯨の血だと言って赤インクを頭からかぶせたりあるいは日の丸の国旗を焼いたりするというような乱暴ろうぜきをしている状況でありまして、これが国際委員会という名のもとで行われる行為かということで私ども非常に憤慨をしているわけでありますが、そういう理不尽な反捕鯨団体なり運動なりのそういうものをどうぞひとつ積極的に乗り越えまして、日本の正しい主張をやはりここできちんと通しておかなければ、いろんな貿易摩擦等の問題においても、声が大きいところに押されて日本が引き下がってしまうというふうなことではいろんな交渉において問題が起こると思いますので、ひとつしっかりと今回の総会に際しましては水産庁が責任を持ちまして、一人二人の代表だけじゃなくて、もうちょっと代表団の編成をきちんとして対応したらいかがかと思うのでありますが、その点はどうですか。
○松浦(昭)政府委員 代表団を率いておりますのは外務省の方と、そのほかにわが方からは米沢コミッショナーでございまして、米沢コミッショナーは長年この捕鯨の関係に従事をしておりまして、あらゆる国、これは捕鯨国のみならず非捕鯨国の側からも、非常に知己もあり、また信頼もされているコミッショナーでございます。そのような意味で私ども現在の代表団の編成で十分にこの事態に対応できるというふうに考えておりますが、この代表団を送るに際しまして、その前にとにかく各国の首脳に十分根回しするということが必要であるということから、先ほどから申し上げましたように総理、大臣のお手も煩わしまして、各国の根回しをしたというのが実態でございます。
○神田委員 最後に大臣に、この捕鯨委員会に際しまして、日本国として先ほどもちょっと御意見いただきましたが、どういう決意でこの捕鯨委員会に臨むかをお答えをいただきたいと思います。
○田澤国務大臣 先ほど申し上げましたように、私はペルーあるいはブラジルへ総理とともに参りまして、捕鯨問題を両国の大統領にお話をしましたところ、やはり非常に日本の主張を理解していただいて非常に協力的な態度でございます。また、私はアメリカに対しても商務長官のボルドリッジに対して書簡を送ったのでございますが、これもやはり話し合いには応じましょうというような態度でございます。あるいはまた、アルゼンチンから出ておりますいまのIWCの議長さんともお会いいたしましたが、この方も非常に日本の立場というものを理解していただいているわけでございます。また、西ドイツの農林大臣がこっちへ見えた折にも、私は捕鯨問題を取り上げてお願いをいたしました。また、過日中国の大使にもこの点をお話し申し上げましたら、やはり日本のいまとっておる国際捕鯨取締条約にのっとって今後進めていく態度に対しては、各国とも非常に理解を示していただいているわけでございますので、私はただいま神田委員御指摘のように、できるだけ多くの国に日本の考え方を主張し、説明をし、理解を得ることが第一だと、かように考えますので、今後とも、もちろん外交ルートを通じてもいろいろお願いを申し上げなければなりませんけれども、同時に、農林水産省としてもできるだけ幅広く、捕鯨国あるいは非捕鯨国に対して接触してわが国の考え方を理解していただくということに努めてまいらなければならない、かように考えております。
○神田委員 カナダはこの捕鯨委員会から脱退をした。その脱退をした理由の一つには、この捕鯨委員会に入っておりますと自縄自縛になってしまう、つまり沿岸捕鯨の問題がこれから出てきますと、どうしてもこの捕鯨委員会において、反捕鯨の強いこの委員会に束縛をされるということになると自国沿岸での捕鯨の問題が出てくるというようなことでこれを脱退したというように聞いております。 同じように南米におきましてもそういう事情が出てくるのでありましょうし、世界各国におきましてそういうふうな事情が出てくるわけでありますから、ひとつここは、日本は堂々とわが国の主張を通して、そして商業捕鯨の適正なあり方について具体的に正しい提案をしていかれますようにお願いをしたいと思っております。 続きまして、時間が余りなくなりましたが、農業問題につきまして二、三御質問を申し上げます。 最初に、補助金整理等の問題につきまして御質問を申し上げたいと思います。 先ほど委員の方からも御質問がありましたが、零細補助金について補助効果とコストとの比較から整理する方向が適切だということが臨調で論議されているというふうに聞いております。農林省には県段階で一千万円以下、市町村段階で百万円以下の補助金が大体どのぐらいあるのか、そして零細補助金の基準額を引き上げた場合、農林省としてこれをどのように対処し、統合メニュー化をどういうふうに促進をするのかお聞かせいただきたいと思います。
○角道政府委員 お答えを申し上げます。 臨調の第三部会からそのような報告が出ておりまして、現在調査会におきまして審議中でございます。 該当をいたしますものを私どもも補助件数からチェックをしたわけでございますが、都道府県で現在一千万円以下の補助金といいますものは大体十二件、金額にいたしまして二十五億三千七百万でございます。それから市町村におきまして一件当たり百万円以下の補助金は二件、二十二億五千百万という金額に上っております。 従来、私どもも特に補助金につきましては統合メニュー化、あるいは零細補助金といわれるものの補助金の単価の引き上げ等を行ってまいりまして、現在、市町村につきましては大体五十万、都道府県につきましては五百万というものを原則にしているわけでございますが、これを臨調の部会報告のように、市町村百万、都道府県一千万というふうになりました場合には、いま申し上げました十二件あるいは二件の補助金につきましてこれをどうするかという大きな問題が出てまいります。この中には水田利用再編対策の指導費であるとか、あるいは農業協同組合の指導費あるいは農業信用基金出資補助金等相当重要なものが入っておりますので、この辺につきましては、私ども臨調の調査報告を見ながら、七月末には調査会そのものの報告が出てまいりますので、これらの報告を受けた上で一件一件ごとに十分慎重に検討してまいりたいと考えております。 それから補助金の統合メニュー化につきましては、御承知のように臨時行政調査会の第一次答申におきまして、農林水産省関係の補助金につきましても統合メニュー化を進めろという御指摘がございまして、私ども五十七年度におきまして従来の約千二百件の補助金を半分の約六百件というものに大幅に統合メニュー化したわけでございます。したがいまして、今後の補助金につきまして引き続き私ども合理化は進めてまいりますけれども、本年度におきますような大幅な統合メニュー化というのはこれからはなかなか困難ではないかというふうに考えております。
○神田委員 災害復旧補助金の問題につきましてお伺いしますが、一件当たり被害額がきわめて低いものについて最低額の見直しによりまして整理する方向がこれまた臨調で論議されている、こういうふうに聞いております。農地災害で十万から五十万のものが六割を占めるというふうに私ども聞いておりますが、農林関係の災害復旧補助金で五十万円以下のものはどのぐらいあるのか、そしてまた最低額の引き上げには農林省としてはどういうふうに対処するおつもりでありますか。
○森実政府委員 農地、農業用施設の災害復旧事業におきます御指摘の十万円以上五十万円未満のものは、件数では四五%ございます。金額では約一二%でございます。これは過去五カ年の平均の数字でございます。 これについては、私、臨調等を中心にいろいろな議論が行われていることは知っておりますが、なお十分調査し、判断しなければならないと思っております。 と申しますのは、一方においては、現在決められております一カ所十万以上という採択基準は、昭和二十七年に決められたという事情も一つ頭に置かなければならぬだろうと思います。しかし、他方、農地、農業用施設災害の実態を見ますと、個々の被害金額は小さくても全体としてはかなり大きな被害額となっている場合がある。あるいは非常に大きな施設災害と小災害とが一緒になって起こってきている場合がある。 それからもう一つは、現在の災害復旧事業の負担率というのは、御案内のように、トータルとしての復旧事業費と、被害農家と戸数の関係で負担能力を検証して定める仕組みが高率補助の適用についてはとられているわけでございますが、果たして補助率にどういう影響を与えるかということを農家の負担能力との関係で検討する必要があるだろうと思います。そういう意味においては、現在さらに細かく実態を調査中でございまして、この調査の上に立って関係各方面の意見も聞いて処理しなければならないと思います。仮に打ち切られるということになれば、小災害の復旧といういわゆる起債の特例措置の取り扱いになることになるだろうと思いますが、それとの利害得失もあわせて検討していく必要があるのではないだろうかと思っております。まだ結論は出しておりません。
○神田委員 要するに臨調はこの第一次答申等で補助金から融資へ移行させるのだということを強調しておりますが、現在までの日本の農業といいますか、行われた行政から考えますと、補助金から融資への移行というのはなかなか大変で、非常に大きな問題も含んでいると思うのでありますが、農林省としては、これらにどういうふうに対処しようとお考えでありますか。
○角道政府委員 御指摘のとおり、農林水産行政におきましては補助金は非常に重要な政策手段でございまして、現にこの補助金によりまして各個別また小規模の農家が共同していろいろな事業ができるということも、補助金の大きな効果だと考えております。特に農業の場合、水の利用であるとか、あるいはいろいろな作業場におきましても各農家が協同して作業するということがございますと、それのインセンティブとしてこういう補助金は非常に強力な力を持つわけでございますので、私どもとしては、補助金を全面的に融資に切りかえることはなかなかできないと考えております。 ただ、従来、個人的な経営になじみやすいものにつきましては、私どももできるだけ補助金ということでなしに融資という手段を講じてきておるわけでございますし、現在でも農舎あるいは機械等につきましても、たとえば汎用トラクターというものにつきましてはできるだけ融資に切りかえる、また農舎につきましても、温室、畜舎、サイロ等で個別経営になじむ一般的な施設につきましては融資に切りかえるということである程度の努力はいたしておるわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、全面的な融資への切りかえにはなかなか問題があるというふうに考えております。
○神田委員 さらに人件費補助の一般財源化の問題が指摘をされております。改良普及員や生活改良普及員、農業委員、これらの人件費補助の一般財源化は、農政の展開に当たりましてどういう問題点があるというふうに農林省はとらえているのか。 さらには、改良普及事業の見直しが言われておりますけれども、農民の間にもこの改良普及事業の改善を求める声はあるようであります。普及事業については、生産性の向上のための事業という意味で期待をされている面も非常に大きいわけでありますから、この辺は非常にむずかしいと思うのでありますが、農林省としてはこれについてどういうふうに考えておられますか。
○小島政府委員 協同農業普及事業は、国と県とのいわば協同の事業として、生産性の高い、かつ健全な農業経営を育成していく、そのために新しい技術の普及定着でありますとか、地域農業の組織化でございますとか、活力ある農村社会の形成といったことを普及指導いたしておるわけでございまして、農政推進の手段といたしましては、基盤整備でありますとかあるいは農産物の価格支持というものと並ぶ重要な政策手段だと考えております。 〔委員長退席、近藤(元)委員長代理着席〕 これは日本だけではございませんで、諸外国を眺めてみましても、何らかの形で国家財政が技術の指導について金を出している、こういう事例が多いわけでございます。 今後、日本の農業の展開を考えていきますと、水田利用再編を初め、生産性の高い農業をつくっていくという課題が普及事業に寄せられているわけでございまして、その意味では、いままでにも増して全国的に、統一性のある普及事業を推進する、あわせて都道府県間で均衡ある技術レベルを確保していく必要があろうと思います。そういう観点からいたしますと、この問題については、都道府県の一般財源に入れまして、県の自主性にお任せするというよりは、ただいまの国と県が費用を分担し合う形というものの方がより適切ではないかと考えているわけでございます。 それから、事業の内容につきましては、御指摘がございましたように、農業内部及び外部から農業の情勢が非常に変わっておる際でありますから、普及事業の進め方についてももっと見直したらいいのではないかという御指摘がございます。臨調にもそういう御意見があるようでございます。そういうこともございまして、実は、私ども昨年の九月以降、農林省の内部の検討機関といたしまして、普及事業の検討会を設けて鋭意検討いたしておりまして、今後の農政に寄せられておりますいろいろな課題に、普及事業がより重点的かつ効率的に立ち向かっていく、そのための普及職員の配置の問題あるいは資質の向上問題、試験研究機関との連携の強化問題などにつきまして、よりよい知恵を出してまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、研究会といたしましても、近々に結論を出すという運びになっておりますので、それを受けまして、今後の普及事業の進め方を考えてまいりたいと考えております。
○神田委員 最後に、農業基盤整備事業に関する行政監察について御質問を申し上げます。 行政管理庁の行政監察局が、農業基盤整備事業に関して行政監察を行いました。その結果報告書が出ております。ことしの四月にまとめたこの報告書によりますと、第一番に、予算がここ数年横ばいであるにもかかわらず、実施地区の新規採択が増加しているため、全体的に工期が長期化している。五十四年度から五十六年度の間に七千七百件が新規採択をされている、こういう指摘をされております。二番目に、米やミカンの生産抑制措置により、事業への参加を辞退する農家がふえている。熊本県のある地区では、当初計画戸数の八〇%の農家が事業から手を引いた事例がある、こういう指摘がされております。三番目に、造成農地の中に遊休、荒廃地化しているものがたくさんある。四十二地区調査のうち、七地区では全体の二〇%も遊休、荒廃地化が発生している。四番目に、干拓事業による造成農地が工業用地などに転用されているケースがある。全体の一五%も見られ、事業目的の見直しが迫られている。 以上、こういうふうなことが指摘をされまして、行政管理庁としましては、農林水産省に対し、新規事業の抑制、効果が期待できない事業の計画変更による打ち切り、さらには事業参加農家の同意確認や、営農計画作成の指導の徹底化、これらを講じるように求めているというふうに聞いておりますが、農林省としましては、この監察結果を受けまして、どういうふうにこれに対処し、また来年度等の予算要求等について、どのようにこれらの問題を考えておられますか。御答弁を願いたいと思います。
○森実政府委員 行政管理庁からの勧告につきましては、私どもも真剣にこれを受けとめまして、検討を続けているところでございます。 具体的に多少問題の内容に即してお答え申し上げますと、新規事業の抑制という問題は、実は五十七年度の予算におきましても、新規の採択の総事業費を前年度の実質の三分の二程度に抑制するという形で、いろいろ抵抗もあったわけでございますが、抑制いたしまして、継続事業の進展を図っているわけでございます。やはり私ども今後とも、今日の財政事情等を頭に置くならば、継続事業の早期完成に力点を置いて、この五十七年度に取り上げました新規の抑制という方針を息を長く持続させることが必要ではないかと思っております。来年の予算編成に当たっても頭に置いてまいりたいと思っております 二番目は、継続事業の適正化という問題でございます。特に工事中断地区の問題でございます。五十七年度中に極力計画変更を完了させるようにいま指導を進めておりますが、これが困難な地区につきましては、総合的に別途対策を考えるよう個別指導を努めてまいりたいと思っております。 三番目は、特に農用地開発事業に関する問題でございます。 参加農家が農業を取り巻く情勢あるいは地域の経済情勢の変化で相当大きく動いてきている地区があることは事実でございます。私どもはやはり着工に当たってあるいは事業の途上において実施地区なり実施団地というものを厳格に洗い直すという姿勢が必要であろうと思っております。特に事業を採択いたします際に土地改良法には三分の二の同意という基本的なたてまえがあるわけでございますが、私どもそういった灌排事業等についても現在は九割以上の同意がなければ採択しないという方針をとっております。こういった扱いが重要ではなかろうかと思っております。 遊休地の問題はなかなか頭の痛い問題でございます。特に畜産を中心にした農用地開発では、家畜の飼養の問題と飼料作物の生産の問題がなかなか有効に結びついていかないという点が多くの場合問題になっていると思いますので、この具体的な地域に即した営農指導ということについては十全を期してまいりたいと思っております。 いろいろその他各般にわたる勧告がございますので、十分これに対応できるよう、かつ持続的にその努力を続けていきたいと思っているわけでございます。
○神田委員 終わります。
○近藤(元)委員長代理 次に、三浦久君。
○三浦(久)委員 私はまず最初に、米価問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 大臣、報道によりますと、今度の米価問題では、大蔵省は米価の引き下げ、農水省は据え置き、そういう態度を決定した、こういうふうに報道されているわけであります。しかし、昭和五十三年度から四年間この生産者米価というのは実質上据え置きですね。この四年間の据え置きというのは私は大変なことだというふうに思います。そのために多くの農家が生産費を償えない、農業所得がどんどん低下をしている。これはもう統計上明らかになっております。そしてまたそのことが農村の地域経済に深刻な打撃を与えているということも事実であります。そういう状況の中で、農業団体の方が四・三七%の米価のアップの要求をいたしておるわけですね。私はこれは本当に最低限度の要求だというふうに思うのです。どうしてもこれは政府がこの要求を実現をさしてやらなければならない問題じゃないかというふうに考えておるのです。特にことしの春闘、主要民間単産の企業の賃上げを見ましても七%以上になっておりますし、どうしてもこれは実現をさしてやりたいというふうに思っているのですけれども、大臣の御所見を伺いたいと思います。
○田澤国務大臣 米価についての結論はまだ得ておりません。御承知のように五日に前広米審、事前審査のための米価審議会を開きまして、米をめぐる諸情勢についていろいろ意見を承ったのでございまして、これを踏まえていろいろこれから検討してまいろうという状況でございます。したがいまして、私たちとしては、食管制度の規定にのっとって農産物の需給関係をよく見きわめながら、あるいはまた再生産を旨として、米価審議会の意見を聞きながら適正な米価を決めたい、かように考えております。 〔近藤(元)委員長代理退席、委員長着席〕 もちろん、農家の現状はかなり厳しいということもよう理解しておりますが、同時に、米の過剰を含めて農産物の需要の停滞、さらに内外の農産物の自由化だとか農業保護に対する見直しだとかという要請が非常に強い状況にございますので、私たちはそれらの点をも考えながら今後この米価の決定に努力をしたい、かように考えておるのでございます。 ただいま、農業団体からいま御指摘のような要請が出ております。確かにただいま申し上げました米をめぐる情勢をよく理解した一つの考え方だと思いますので、私たちは十分尊重はいたしますものの、四・三七%でございますか、これについては私たちとしては今後十分先ほど申し上げましたいろいろな情勢を踏まえながら検討してまいりたいと思います。
○三浦(久)委員 米をめぐる内外情勢は大変厳しい、また食管制度をやめろとか過保護だから保護をやめろとか、そういうようないろいろな要求も出てきているのだ、そういう中で食管制度を守っていくのだからやはりそれなりに配慮しなければならぬ、こういうお話だろうと思うのですけれども、しかし私は遠慮することないと思うのです。たとえば財界が食管制度をやめろというような要求を臨調の部会報告でやっていますけれども、こういうものをもし実現したらどうなるのかということですよ。米というものが投機の対象になってしまって一兆円や二兆円の損害では国民はもう追っつかない、もっともっと大きな損害を受けると私は思いますね。ですから、そういう財界の米を投機の対象にしてぼろもうけをしようというようなそういうよこしまな考え方、こういうものに遠慮することない、堂々と胸を張ってそういうものとは闘っていく必要が私はあると思うのです。 いま大臣が言われましたように、再生産を旨として決めなければならない。ですからやはり生産費を補償するということが一番大事なことだと思うのです。ところが、米価が据え置かれてから年々農業所得というのは減っているわけでしょう。そしてこの農業所得が減るということがその地域経済に与える影響というのは大変大きいのですね。私もちょっと調べてみました。大臣の出身地である青森を含む東北ですけれども、ここでは個人消費に占める農家の割合というのは三六・二%ある。三割以上ですからこれは大変大きなウエートを占めているわけです。山陰地方でも四四・六%です。南九州で三七・二%です。ですから、こういう大きなウエートを持っている農家の個人消費、これが落ち込む。実質これは落ち込んでいますね。そうすると、これが地域経済に与える影響というのは大変大きいものがあると思うのです。そういうことがまた、いまいわゆる税収不足で大変困っておりますけれども、そういう税収不足の一環にもなっているわけでありますから、やはりいろいろな事情があろうけれども、しかし本当に食管法で書かれているように、生産費を補償する、そして再生産ができるようにするという観点、そこを離さないで米価を決めていくことが私は必要だと思いますね。それじゃないと、われわれは米を安定して供給してもらえなくなるわけですから。もしか農家が米をつくる意欲をなくしてしまえば、われわれはまさにカリフォルニア米なんというものを食わせられなければならぬ。いつかもっと天候が不順でもって生産が落ち込んだ場合に、自分の国の国民が食わなくても米を送ってくれるなんというようなところはないわけですから、そういう意味では、米の安定供給を確保するというそういう観点からも農家の要求というものは実現させてやらなければならぬというふうに私は思うのです。再度大臣の答弁をお願いいたしたい。
○田澤国務大臣 先ほど申し上げましたように、米をめぐる情勢が非常に厳しい。加えて財政の面もこれまた大変な厳しい状況でございますので、そういう中で米価を決定するというのはなかなかむずかしい問題でございまして、もちろん三浦委員御指摘のように、現在の農業の置かれている現状というのは非常に厳しい、所得等においても厳しい。ただ、いま農家の実態をちょっと調べてみますと、二種兼業が非常に大きいということ、それから老齢化しているということ、このことを私は非常に心配しているわけです。意欲的な農業を進めるというためには何としても新しいエネルギーをその産業に与えるという、注入するということが一番必要だと思うのでございます。したがいまして、私は、中核農家の経営規模を拡大するとか、あるいは兼業農家の人にも高能率の生産集団を育成するとかいうようなことを進めていかなければならない。また、技術革新だとか経営規模拡大だとかいうようなことも進めてまいらなければならないわけでございまして、いま一番問題なのは、いかに停滞している農業を活力ある農業にするかということじゃないだろうか。 食糧の安全供給というものを考える場合でも、米が過剰だというこの現象を排除していかなければならない。では他の転作作物を何に求めるかというためには、水田利用再編対策を緊急避難的なものじゃなく、定着化あるいは集団化していかなければならないというような、農政全体をずっと大きく変えていかなければならない。それが先ほど申し上げました内外の客観情勢が厳しい中で私たちは新しい農業をつくろうということでございますので、この点にも大きな力を入れていかなければならない。ですから、価格問題ももちろん重要でございますが、同時に、その新しい農業政策を進める、しかもゼロシーリングという厳しい中でそれを進めるということになりますと、価格の面においても私たちはそういう面と合わせて考えていかなければならないという現状をも御理解願いたいと思うのでございます。
○三浦(久)委員 それはいろいろな手段を講じて生産コストを下げていくということですね。私はこれは非常に大事なことだと思いますね。これは、ただ米は高ければいいというものじゃないと思います、高ければ高いほど税金で逆ざやを補っていかなければならないわけですから。ですから、そういう意味でいろいろな手段を講じてコストを下げていく。特に私たちは、肥料とか農薬とか農機具とか、そういうような独占価格を規制をして生産費を下げていく、また経営規模を拡大していくとか、そういうことには大賛成です。しかし、それがまだ現実に行われていないわけですね。現実にはまだまだ遅々として進んでいないという状況の中で、結局価格だけはぐっと抑制していくというようなことでは、農家の経営は成り立たないと私は思う。 実際に現在、農水省の方は、生産者価格は補償しているんだ、こう言われますけれども、しかし調べてみると、果たしてそういうことが大きな声で言えるのだろうかというふうに私は疑問を持つのですね。たとえばこの四年間に、生産者米価は据え置かれましたけれども、ではその間に物財費はどのぐらい上がったのか。私は農水省の出した米価に関する資料、これは五十七年の七月に出されたものですけれども、これに基づいてひょっと計算しましても、物財費だけでも一八・八%も上がっているのですね。これは間違いないでしょうか。
○中山政府委員 先生御指摘のように、最近におきまして米の生産に要する物財費が上昇しておるということは事実でございます。しかしながら、現在までとっております米の算定方式でございます生産費及び所得補償方式で米価を決めております場合に、従来生産費の中で農家が支払われる分、たとえば種苗費でございますとかあるいは肥料でございますとか、農薬でございますとかそういうようなものにつきましては、実際に支払われたものをその後の物価の変動に応じまして物価スライドをいたしまして、現実に農家が支払われました部分についてはこれを米価の中で適正に織り込んで算定をしておるわけでございます。
○三浦(久)委員 物財費がどんどん上がっているということは認められましたね。恐らく一八・八%もお認めになったんだろうと思うのですけれども、その結果、生産費を償えない状態に置かれている稲作農家の数はどのくらいになっているんでしょうか。
○中山政府委員 五十五年の生産費がただいま出ておるわけでございますけれども、五十五年の生産費、特に第二次生産費と申しまして第一次生産費に資本利子と地代を加えたものでございますが、この第二次生産費が五十五年産の米価を上回っている農家の数はおおむね七七%程度になるのではないか、米販売農家の中で七七%になるのではないかというふうに推計されるところでございます。
○三浦(久)委員 私たちが計算しますと、一・五ヘクタール以下の三百五十四万七千戸、これがもう生産費を償えないというような状況になっている。それから売り渡し農家数でいうと八九・三%、約九〇%、これだけの農家は生産費を補償されていないという状況になってしまう。これは四年間の米価の据え置きによってですよ。 そうしますと、九〇%の農家の人々が生産費の補償を受けてないというような状況で果たして米の再生産を旨として決めている米価と言えるのか、また生産費は全体として補償されているんだというふうに言えるのか、私は実際ちょっと疑問に思っているのです。そういう意味ではいままでずっと二十何年間とり続けてきたいわゆる生産費所得補償方式というんですか、こういうものは実質的に崩れ去っているのじゃないかという疑問すら持っているわけですね。この点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
○中山政府委員 ただいま先生御指摘のように最近におきまして、特に五十五年産の生産費を見ますと、先生が御指摘になりましたような一・五ヘクタール以上の層が米価で生産費を賄っておるわけでございまして、それ以下の層が米価では生産費を賄い切れないというような実態が出ていることは私どもも否定はいたしません。ただ、五十五年産米につきましては非常な災害であったというような点もあるかと思っております。 ただ、実態といたしまして生産費を償えない農家があるということは事実でございますが、私ども米価を決めますときに、食管法三条の買い入れ価格の規定におきましては、生産費及び物価その他の経済事情を参酌し、米の再生産を確保することを旨として定めるというふうに規定をしております。この場合に、私ども、米の再生産の確保というものが直ちに米の価格が生産費を償ってなければならないというふうには考えていないわけでございます。現在のような米の価格、四年来据え置きということでございましたけれども、そのような現実の米価水準のもとで農家は実際稲作を継続しておるわけでございますし、一億国民の必要な米の再生産に支障がないというような実態でございまして、いままでの米価の決定が食管法三条に基づきます政府買い入れ価格の決め方の規定に違反しているというふうには私ども考えておりません。
○三浦(久)委員 確かにどんな経営規模の稲作農家に対しても生産費を補償しなければならないということにはならないと思うのですよ。しかし、いま私が指摘したように、九〇%近い農家の生産費が補償されていないというこの現実。いやしかし米はつくられているからいいじゃないか、こうおっしゃるけれども、それは他人のふんどしで相撲をとっているような話じゃないですか。稲作では生産費は償えないけれども、いろいろな兼業農家が多い、そっちで収入を得ているから米の値段は安くても何とかやっていけるという話なんだと思うのですね。これは人のふんどしで相撲をとっているとしか言いようがないのじゃないかと私は思うのです。 しかし、次に話を進めます。ことしの米価の算定方式ですけれども、いままでと同じように生産費所得補償方式、いわゆる生所方式をおやりになるのかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
○中山政府委員 本年の米価の算定につきましては、先ほど農林水産大臣から御答弁申し上げましたように、まだ何も決めていないわけでございます。また米価の算定方式自身につきましても、まだ現在検討を進めておる段階でございまして、具体的にこういう方式をとるというようなことはまだ決めておりません。 ただ、昭和三十五年以来継続してとってまいりました生産費及び所得補償方式につきましては、昨年の米価審議会におきましてもいろいろ御議論がありますし、またその他各方面から現在の生産費及び所得補償方式についてはいろいろな議論があるところでございます。たとえば米の需給事情というようなものをもっと的確に反映させるようにすべきではないかというような御議論の方もございます。それからまた中核農家を対象にしてこういう方式をとったらどうだ。たとえばこれから先稲作を担っていけるようなすぐれた技術なりすぐれた経営能力を持つ、そういう農家が高い生産性と農業所得を実現できるような、そういう米の中核農家、稲作の中核農家と言われるようなもののコストをとったらどうかとか、いろいろ御議論があるわけでございます。私どもといたしましては、生産費所得補償方式によりながらも、いろいろな工夫を加えてまいりますれば、こういう需給事情とかいうようなものも反映しながら適正な米価算定ができるのではないかということでございまして、生産費及び所得補償方式についてはいろいろ工夫を加えていく余地があるものというふうに考えておるところでございます。 いずれにいたしましても、本年産米の米価の算定方式につきましては、いろいろな論点を整理しながら幅広く検討いたしておるところでございまして、まだ結論を得ているわけではございません。
○三浦(久)委員 大臣にちょっとお尋ねしますけれども、十三日に諮問するのでしょう。算定方式もまだ決まってないのですか。そんなことはないのじゃないですか。もしかいままで二十二年間も続けてきたこの生所方式を変更するというのであれば、それはきわめて重大な政策変更じゃありませんか。そういう問題についてまだ何も決めてない、ただ検討しておるのですと言われても、もうあと一週間もないのでしょう。これは私はちょっと合点がいかないのです。たとえばいまあなたが言われた中核農家のコストを参考にするという意見もある。では農林省、そういう考え方をとるのですか。あなた、そんな考え方をとったら大変でしょう。九五%以上の農民が現在の時点だったら生産費を補償されないことになってしまう。そんなことを一体とれるのですか。 いろいろな議論があっだとしても、また需給関係を正しく反映させるようななんと言ったって、こんなものは漠然としてどういうものか具体的にはわかりませんよ。そうすると、大臣、いま算定方式が全然白紙でございますということはないと私は思う。昨年は五月の食管法の改正のときに、当時の亀岡農林大臣は答弁していますね。いや三条は変えてないんだ、変えてないんだからことしはちゃんと生所方式でやるんです、間違いありません、こういうようにはっきり言われているのです。そうすると、二十二年間ずっとやってきた生所方式というものをいまとると言えないということは、これを変更するんだ、いまそういう考え方なんだというふうに承ってよろしいのでしょうか。
○中山政府委員 私が申し上げたかったのは、現在では生産費及び所得補償方式についていろいろな議論があるということをまず申し上げて、その上で、現在の生産費及び所得補償方式というのは、これによりながらいろいろ工夫を加えていく余地があるというふうに考えておりますということを申し上げたわけでございます。ただ、本年産米の米価について、生産費及び所得補償方式を変えるとか変えないとかいうようなことを申し上げたつもりではございません。
○三浦(久)委員 いままで生所方式をとっていながら、家族労働費の問題とか資本利子の問題とか地代の問題とかいろいろいじくっていますね。しかし、それはあなたたちとしてはやはり生所方式の枠の中でやっているということなんでしょう。ですから、いまいろいろ苦労して、家族労働費をどうやって安くするかとか考えているのかもしれませんけれども、それはしかし生所方式の枠の中なのだから、あくまでもそういう生所方式の枠の中でいろいろファクターをいじくる、そういうことを考えているのか、それとも全然別の方式を考えているのか、そのくらいのことはここで言うべきじゃないですか。だって、それは重要な政策変更ですもの。そしてもしかいままでの方式をやめるとすれば、その理由もやはり明らかにすべきですよ。それは当然なことです。どうでしょうか、大臣。
○田澤国務大臣 先ほど申し上げましたように、五日の日に米価審議会を開きまして、委員の忌憚ない意見を聞いたばかりなんですよ。それから委員会があったり、大変ここのところは日程が立て込んでいまして、まだ米価に入る余裕も持っていません。実際米価に対する結論は得ていませんので、御理解いただきたいと思います。
○三浦(久)委員 いや、私は米価について言えと言っているんじゃないですよ。たとえば米価を何%上げるか、何・何%上げるかとか、そういうようなことは確かにぎりぎりまでいろいろな折衝があると私は思いますよ。諮問するぎりぎりまであると思う。それは理解できますけれども、しかし算定の方式ですよ。これがまだ決まってないというのは私はどうしても合点がいかないですね。確かにいろいろな五十六年の統計というのはまた二、三日後に出てくるとか、そういう要素はありますよ。だから私は額を幾らにするとか何%上げろとか、そういうことを言っているわけじゃないですからね。要するに二十二年間とってきたこの生所方式、まあ中のファクターをどういじるかは別としても、これをそのまま踏襲されるのかどうかを聞いているわけであって、そこで踏襲しないのならしない理由も明らかにする、するのならするとここはやはりはっきり言うべきじゃないんでしょうか。何か押し問答しているみたいですけれども、これははっきりしていると思うのです。どうでしょう。
○中山政府委員 ただいま大臣からもお答えいただきましたように、私どもまだ現在本年産米の米価の算定方式につきましては検討を進めている段階にございまして、具体的にまだ決めておりませんので、御了解いただきたいと思います。
○三浦(久)委員 了解はしませんけれども、もう答えがありませんから次へ進まざるを得ないですね。 農協が昨年政府がやった方式と全く同じ方式でもってことしの米価を算定している。そうすると八%くらい上昇になる、こういう結果を発表しているのです。私も大体そんなものじゃないかと思うのですけれども、政府はどういうふうにお考えですか。
○中山政府委員 ちょっと御質問の趣旨が私よく理解できなかったわけでございますけれども、昨年政府がとりました米価の算定方式と全く同様に米価を算定したら本年産米はどれくらいのアップになるか、こういうふうに理解いたしてよろしゅうございますか。実は先ほどもちょっと先生からお話しございましたように、本年産米の米価決定の重要な算定の要素になります五十六年産米の生産費調査の結果がまだ出ておりませんので、私ども遺憾ながら昨年の方式と全く同様の方式で計算をしたら幾らになるかというお尋ねに対しまして、答えようがないということでございます。
○三浦(久)委員 まあ、厳密に言えばそうかもしれませんけれども、いわゆる米価の算式、あなた方でつくっている算式がありますね、これによると、六十キロ当たりの求める価格、イコール、分母が十アール当たり平均収量でしょう、そして分子が十アール当たり平均評価がえ生産費でしょう、掛ける六十ですね。そうすると、これを見てみますと、常識的に見ても十アール当たりの平均収量というのは絶対にふえることはないですね。これは過去の三年間分とるというのですから、これはふえることは絶対ありませんね。そうすると、十アール当たり平均評価がえ生産費、これも、五十六年度の生産費の統計が出てきても、あなたの方で実際に支払ったいろんな額というのですから、そういうものについてはちょっと下がったという要素はまずないと思う。全体として物財費が下がったという要素はないのですよ。そうすると、あとはいろいろいじくれる、たとえば家族労働費であるとか資本利子であるとか地代であるとか、そういうものしかいじりようがないですよ。そうすると、それをいじらないとすれば、昨年と同じにすれば、分子はまずふえるということになる。分母が減るんだからね、答えは大きくなるんですよ。ですから、どうしても、私たちがいろんな統計の資料を見ても分子がふえざるを得ない、家族労働費とかそういういままでいじったものをいじらなければ、昨年と同じにやれば、分子は大きくなる、分母は小さくなる、こういうふうにしかならないと思うのですが、それはいかがですか。
○中山政府委員 先生御指摘のように、最近の物価の動向あるいは賃金の動向それから単収の動向、経営費の動向等から見まして、先生御指摘のような計算のやり方もあろうかと存じまするけれども、私どもといたしましては、こういうときの御答弁といたしますと、正確に生産費調査が判明をし、賃金の動向が判明してからお答え申し上げなければならないというふうに思っております。
○三浦(久)委員 大臣、まあこういうところでの答弁ですから、確かに、いや、そうですとなかなか言えないでしょう。しかし、実際はアップするということは間違いないのですよ、昨年の方式でやれば。ですから、そういうことも頭の中に入れて、農民の生活を守る、また再生産を確保するという観点でひとつ米価の諮問をやってほしい、そのことを私は強く要望しておきたいと思います。 次に、臨調の部会報告についてお尋ねをいたしたいと思いますけれども、臨調の第一部会報告は、生産者米価の水準の設定については「中核農家のコストと所得を基準とする方向で改善を図る。」こういうことを言っているわけですね。こうなると、私もさっき申し上げましたけれども、中核農家というのは売り渡し農家の五%ぐらいにしか当たらないと思うのですね。そういたしますと、九五%がいわゆる生産費補償から除外されるという結果になってしまうわけであります。したがって、こういう部会報告に対して農水省としてはどういうふうにお考えなのか、お尋ねいたしたいというふうに思います。
○中山政府委員 臨調の第一部会の報告の中で、中核農家を基準とした米価の算定をしたらどうかというふうな御指摘がございます。この中核農家という概念が非常にいろいろでございまして、私どもといたしますと、何をもって中核農家とするかというのがわかりませんと話が進まないわけでございますが、いずれにいたしましても、これからの農業の担い手でございます中核農家が都市勤労者並みの所得を確保しながら経営を発展させるような米価水準をつくっていくんだというふうな物の考え方でございますれば、これは一つの考え方ではないかというふうに思うわけでございます。先生御指摘の、中核的な農家が全水稲作付農家の中に占める割合の五彩にすぎないというようなお話がございましたけれども、この点は、基幹的な男子農業専従者のいる稲作単一経営というものが現在五%程度の戸数を占めておるということでございまして、これは稲作中核農家として一体どのようなものをとるかということによりましてこの数字というのは変わってくるのではないかというふうに思っております。
○三浦(久)委員 そうすると、中核農家というのを農水省はどういうふうにお考えなんですか。
○中山政府委員 米価算定と申しますか、米価を決定する場合の基準としてどういう中核農家をとるかという点につきましては、臨調の部会報告が出ておりますけれども、私どもとしては、まだこの米価算定の中でどの程度のものを中核農家として米価算定の基準にするかという点について十分検討いたしておるわけではございません。
○三浦(久)委員 しかし、部会報告が中核農家という言葉を使っているわけだから、既存の概念として使っているはずなんですね。そうじゃないかしら。やはり農水省の方で中核農家という概念を使っているのでしょう。まあ、最近は余り使わないようにしているという話だけれども。それはどういう農家を言うのですか。さっきあなたが言われましたね、何か、専従の男子がいて、一年間で百五十日ですか、それを一応言ってみてください。
○中山政府委員 従来、これは稲作の中核農家ということでございませんで、広く農家全般につきましての定義といたしまして、基幹的な男子農業専従者がおりましてこれがいる農家という趣旨で、この基幹男子農業専従者と申しますのは、年間の農業従事日数が百五十日以上ある十六歳から六十歳未満の男子がいる、そういう農家ということで言っておるわけでございます。
○三浦(久)委員 そうすれば、臨調の報告もやはりそういうふうに使っているというふうに見なければいかぬでしょう。これは確かに米価の問題だけれども、しかし、それ以外に中核農家という概念はないわけなんだからね。そうでしょう。稲作の中核農家の概念というのはまた別にあるのですか。
○中山政府委員 臨調の報告でございまするが、これは中核農家を基準とした米価算定ということで、あくまでも米価の算定に当たってそういうものをとったらどうかという御指摘だろうというふうに思っております。そういたしますと、米価の算定に使うということになりますれば、稲作をやっている中核農家というものを想定しなければならないというふうに私ども考えておるわけでございまして、そういうことになりますと、具体的な米価算定に当たりまして一体どのような中核農家を基準として米価を決定するかというのは、これは重要な、米価政策上の基本的な問題になろうかと思います。したがいまして、私どもここでいま直ちにこの中核農家を基準とした米価算定で、おまえ一体どういうものを考えておるのかという御指摘でございますが、この段階で申し上げるようなことになっておらないということを申し上げておる次第でございます。
○三浦(久)委員 私はこういう考え方に批判的だから、あなたにいろいろ反論してもしようがないのだけれども、じゃ、米価算定に当たっての中核農家という概念はだれが決めるのでしょうかね。それは適当に農水省が決めていいんだと言えば、こういう部会報告とか、仮にこれと同じ答申が出れば、答申というのは全く意味がないということになりますわね。それはそうでしょう。中核農家の概念は農林省が勝手に決めてください、こうなるわけだから。だから、私はやはり既存の概念を使っていると思うのですよ。そんなあいまいなものじゃないと思うですよ。そうすれば、先ほど私が言ったように五%の人々しか生産費の補償を受けられないという結果になるわけです。 じゃ、仮にこの五%の稲作農家しか生産費の補償を受けられない、そういう事態というのは妥当だと思いますか。どうですか。
○中山政府委員 米価を算定する場合の中核農家として何をとるのがよろしいのかという点につきまして臨調からこういう部会報告がございましたけれども、臨調の御報告というのは、それを受けとめた責任ある各省でやはりその中核農家というものについて私どもとして適当であるかないかを判断した上でやらなければならないというふうに思っておるわけでございます。ただいま御指摘のように、中核農家がもし仮に五%しかいないというようなことになりまして、それを基準にして米価を算定したらどういうことになるか、その場合に起きるいろいろな現象を、私どもとしては、これは慎重に検討した上でなければ、そういう中核農家を基準とした米価算定のとり方というのも一つの考え方でございまするけれども、いろいろな影響を考えた上で、とれるかとれないか判断すべきものというふうに思っておるわけでございます。
○三浦(久)委員 次に移りますが、また部会報告は、現行の全量管理方式を見直せ、こう言っておりますけれども、これについてはどういうお考えですか。
○中山政府委員 臨調の部会報告におきましては、中長期的に見て、現在の食糧管理を、全量管理を見直せ、こういう御指摘でございます。私どもといたしましては、昨年、食糧管理法の改正法を通させていただきまして、それに基づきまして、この一月から実態と制度の乖離のありましたものを直しまして、新しい食糧管理制度を運用いたしておるわけでございます。したがいまして、中長期的という遠い将来のことは別といたしまして、私どもとすれば、この米の全量管理、米につきまして政府が責任を持って一億国民、消費者のために管理をしていくという制度というのは今後とも必要であろうというふうに考えておる次第でございます。
○三浦(久)委員 これは先ほどの同僚の委員の質問もありましたけれども、第三部会報告、農業普及改良員、これの人件費の補助の打ち切りを提案しているわけですけれども、こうなりますと、やはりいろいろ各県で技術指導のアンバランスが出てきて、農業の全体の発展という意味からいって、私は非常に大きな問題だと思うのですが、この点についての御意見をお聞かせください。
○小島政府委員 ただいま、臨調の基本答申と申しますか、まだ出ていないわけで、部会の報告段階でございますが、普及員に限らず、補助職員につきましては、原則的に一般財源に移す、そういう趣旨の原案ができておるようでございます。普及職員につきましては、先ほども申し上げましたように、今日の農業の置かれております大変むずかしい事態、水田利用再編対策でございますとか、生産物のコストを下げていく、こういう努力を鋭意進めている際でもございますし、また、各都道府県を通じまして均一な技術レベルを確保していく、こういう必要も非常に強いわけでございますので、ただいまの国と県との共同事業という性格を維持するのが適当ではないか、私どもはさように考えております。
○三浦(久)委員 私は、この臨調の部会報告、第一部会、第三部会を通じて流れている考え方というのは、日本の農業というのは過保護過ぎるんだ、過保護だ、こういう観点に立っているだろうと思うんですね。それで、結局よく見ても、食糧の自給率の向上というようなことは一言も言っていないんですね、これは。特にこれは財界の意を受けて臨調がやっているのだというふうに私は考えております。というのは、財界は、経団連の行革意見書というのがありますけれども、ここで「農業の年間産出額はおよそ十兆五千億円であるが、これに対する国の農業関連予算は三兆円にのぼり、」これは水産関係も入れちゃっているみたいですけれども、「農業関連予算は三兆円にのぼり、地方予算と合わせると厖大な額の国民の税金が農業保護に向けられている。しかも、農業に対する補助金行政は、農業者の自主性発揮を阻害している。」こういうふうに述べているんですね。しかし私は、やはり農業を保護、育成していくというのは各国共通の政策じゃないかと思うんですよ。日本だけが世界の各国に比べて特に過保護になっているのかどうか。その点、各国の例等々をお知らせいただきながら、この過保護だという意見に対する大臣の見解をお尋ねいたしたいというふうに思います。
○角道政府委員 いま御指摘の問題につきまして、まず事実関係について、私ども事務局の方から御説明させていただきます。 いまお話しのように、農業につきましては、各国とも予算あるいは国境保護措置、価格政策等、種々の助成をとっておりますが、農業は工業と違いまして、生産自体が自然条件に非常に左右されるわけでございますし、特に日本の場合には、経営規模が小さいとか、あるいは地価が高いとか、あるいは他の産業に転じます場合でも、余り安定した雇用機会がないとか種々の条件がございまして、やはり農業については、まず工業と違うということが第一の問題でございます。また同時に、農業自体は、やはり国民の生活に日常必要な食糧を供給するという基本的に重要な使命を持っておりますし、また農地を通じまして国土の保全という意味でも非常に大きな力を持っております。また同時に、農村社会の産業基盤、生活基盤ということにおきまして、地域社会の大きな柱になっているという意味で、私ども、農業は非常に重要だと考えているわけでございます。 そういう意味で、各国とも同じような施策をとっておりまして、先ほどお話のございました、たとえば予算をとりますと、具体的な例では、日本をとりますと、一九八〇年度農業関係の予算が二兆九千億でございますが、これに対します農業産出額、これは御指摘のとおり十兆でございますが、この比率は二八・七になっております。ただし、ほかの国に例をとってみますと、イギリスの場合には、これは若干年度は古うございますが、一九七七年度で農業予算額が一兆円、農業産出額が三兆一千五百億、この比率は三一・七%となっております。また、フランスにつきましては、この比率が二九・六、アメリカの場合には一五・五というように、アメリカは農業につきましては非常に有利であるということはあろうかと思います。 また、農産物価格政策につきましても、たとえばEC諸国、ここにおきましては、域内におきまして介入措置をとりまして、生産者価格の保証をやっております。また、外国からの輸入農産物に対しましては、課徴金制度によりまして、国内の保護水準まで課徴金をかけるというようなことをやっておりますし、また、外国に輸出する場合には輸出補助金を出すというようなことで、国内の価格保護水準とリンクをした価格措置、国境保護措置をとっているわけでございます。また、この予算額が、一九七九年度におきまして百四十三億ドルというような多額に上っているわけでございます。また、アメリカにおきましても、目標価格制度におきます不足払い、あるいはCCC、商品金融公社でございますが、ここで融資制度をとったり、あるいは農家の保有備蓄制度をとるというようなことによりまして、小麦であるとか主要穀物等を保護しておりまして、この額が一九七九年度で三十五億七千万ドルに上るというような状況でございます。 それからもう一つ、お尋ねの臨調報告につきまして、財界の、過保護農政云々ということが背景にあるのではないかということでございますが、部会報告を読んでおります限り、御指摘のような見方もあろうかと思いますけれども、私ども、決して過保護とはとっておりませんで、またあの部会報告につきましても、私どもとしては、必ずしも農業過保護という立場から書かれたものではないというように理解をしております。部会報告は、現在臨時行政調査会の中で委員のレベルで討議をされておりますが、今後、これにつきましての基本答申を受けました段階で、またこの内容については十分検討したいと考えておるところでございます。
○田澤国務大臣 いま官房長からお答えさせたような状況でございまして、したがいまして、私たちも、農業は決して過保護じゃないという考えを持っております。しかしながら、やはり常に生産性の向上を図らなければいけない。しかも、それがわが国で生産できるものは、できるだけわが国で賄うという基本、それから、国民の需要の動向をよく見ながら、農業の再編成を図るということが非常に重要でございますので、そういう保護をしつつも、新しい農業をつくるという意欲は常に捨ててはならないと私は考えておるのでございます。
○三浦(久)委員 時間がありませんので、あと二点ほどちょっと簡単に御質問いたします。 いま福岡県は干ばつで大変苦しんでいます。いろいろな被害が出ておりますが、この状況を農水省の方でどういうふうに把握し、どういう対策をおとりになっているのか、お尋ねをいたしたいと思います。
○小島政府委員 お答えいたします。 本年は御承知のように空梅雨でございまして、特に北九州、福岡、佐賀、長崎などを中心にいたしまして水不足の傾向が出ておりまして、一部の地域では田植えがまだできない、こういう影響が出てきております。水不足は大体天水田あるいはため池がかりのたんぼ、中小河川がかりのたんぼで出ておるわけでございますが、九州農政局の取りまとめによりますと、これは七月五日現在でございますけれども、このまま雨が降らなければ田植えができないところが千三百ヘクタールぐらいは出るのではないかというふうに見ております。これは九州の水稲作付面積の約〇・五%ぐらいに当たるものでございます。 こういう水不足に対処いたしまして、農政局を中心にいたしまして各県連絡をとりながら、地方農政局や県が持っておりますポンプの手配などによりまして用水を確保する、さらには、限られた水を有効に使って順次田植えを行うための水利の調整でございますとか、現在生育中の苗の老化防止の措置などをとっておるわけでございます。今後とも情勢を的確に把握しながら適切な指導をとってまいりたいと思っておりますが、昨日の夜から九州全域に雨が降っておりまして、水不足の解消が期待できるのではないかというふうに思っておりましたが、先ほど現在の報告では、福岡のうち大牟田周辺はともかく福岡周辺は四ミリ程度ということで、余り期待できるほどの降雨量ではなかった、こういう報告を得ております。
○三浦(久)委員 私も雨が降ることを望んで、きょうの質問に当たってちょっと電話をしてみたのですけれども、四ミリしか降ってないというのですね。ですから、これはかなり深刻な状況だと思います。今度の空梅雨、局地的だという面はありますけれども、かなり深刻だと思うのです。ですから、これから、いろいろ県も対策を考えてやっておると思いますけれども、県からいろいろな要望が出たら十分相談に乗ってやって適切な処置をするようにお願い申し上げたいと思うのです。 それからもう一点は、明糖、北九州市戸畑区に明治製糖という製糖会社があります。これが大体工場閉鎖、そして従業員も二百名近くを解雇するという状況になっております。解雇といっても希望退職をいま募っておるという状況なんですね。地域では大変な反対運動が起きているわけですけれども、御承知のとおりに今年の糖価安定法の改正のときに決議ができまして、今日あることはもう当然予想できたわけです。「雇用の安定、労働条件の改善等についての業界段階における労使の話合いが円滑に行われるよう指導すること。」こういう附帯決議がつけられております。そういう意味で、政府自身がこの明治製糖の工場閉鎖に関係してどういうような措置をおとりになっておるのか、どのような指導をなされているのか、それをお尋ねいたしたいと思います。
○渡邊(文)政府委員 明治製糖株式会社がその経営の再建を図るという意味で、六月に入りましてから労働組合に対しましていわゆる合理化計画を提示したという話は私どもも承知いたしておるわけでございます。 私どもが承知しております中身は、先生ただいま御指摘のように戸畑工場を閉鎖し、そのかわりといいますか生産の方はすぐそばにあります西日本製糖の方に委託をする、それから三百名余の希望退職を募るわけでありますが、そのうちの百五十名余りにつきましては関連の会社に転籍をするということでございます。残る百七十名余りにつきまして再就職のあっせん本部を設けて再雇用に努めたい、それから、関連の子会社が幾つかあるわけでありますが、これを分離独立させて別会社にして、会社の再建に寄与するというようなことが骨子になっているというふうに私ども承知しておるわけでございます。 こういった会社の再建計画は、御案内のように最近の砂糖情勢の変化、特にリファイナリーの操業度の激減、砂糖の需要の減少というのがベースにあるわけでありまして、それを踏まえて会社がその再建を図るために提示されたものだと思うわけでございますが、私どもといたしましては、本件につきましては個別企業の問題でもございますし、労使間で十分協議されまして最善の策がとられるように努力されることが基本的には重要なことだろうと思います。御指摘のように附帯決議もございますので、今後の推移にもよりますが、必要があればよく労使間で話し合うように指導することはやぶさかではございません。
○三浦(久)委員 終わります。
○永田委員長 楢崎弥之助君。
○楢崎委員 私はいわゆる除草剤と猛毒性のあるダイオキシンとの関係を中心にして、具体的には三井東圧が開発生産をいたしております商品名MO、主成分はCNPでありますが、この除草剤を中心にして政府の見解と措置を求めたいと思います。 まず私は、私がこれを取り上げる背景になった点について若干説明をし、以下質問をいたしたいと思います。 いま福岡県久留米市荒木町にあります三井東圧系の農薬製剤工場で、これは三西化学というのですが、PCPあるいはBHCあるいは問題の二・四・五T、そういう有機塩素系の農薬、そのほかにこれもまた問題の有機燐系、カーバメート系など多くの農薬を製造してきておるわけでありますけれども、発足当時は三光化学と言っておりましたが、昭和三十五年三西化学操業開始当時から非常な被害が周辺住民に出ている。そのために昭和四十八年の十二月二十一日に被害住民が福岡地裁に損害賠償と操業停止を求める民事訴訟を起こして現在公判が進行中であります。 このCNPというのは御承知のとおり主成分は二・四・六トリクロロフェノール―四二トロフェニルエーテル、これはこれまた製造中止になりましたPCPにかわる急性毒性の低い除草剤としてNIPやX52などとともに登場していったものでありまして、六五年に登録されて、現在、七九年の統計ですが、除草剤全体の二三%、約三万四千トン、CNPの原体は三千八百トン、これが生産されて、いまや除草剤の主役になっておる。したがって、このMOを私は取り上げておるわけであります。 このMOの中のCNPの含有率は、粒状で九%、乳剤で二〇%。これの登録業者はいま、三井東圧化学、サンケイ化学、北海三共、三共、八洲化学、昭和電工、三笠化学などそういった八社が登録業者になっております。現物はこれです。これは三キログラム入りのもので、七百円ぐらいです。 それから、いま消費者運動が起こっておる。市民運動も起こっております。このMOの追放の運動が起こっております。多分ここに来られておる関係官庁あるいはそれぞれの自治体、企業、メーカー、それから、それらの労働組合等々にその追放の働きかけが行われておる。それが現在の状態であります。 このいわゆる除草剤とダイオキシンの関係でありますけれども、ダイオキシンといっても化学式のC、つまり塩素の位置によりましていろいろ種類がある。大体七十五種類ぐらいあって、そのうち致死毒性があると言われておるのは約十種類ぐらいであります。一番猛毒性のあるのは、例のベトナム戦争で使われた二・三・七・八TCDDです。 まず、これが史上問題になり出したのは、一九五七年の秋にアメリカの東部と中西部で数百万羽の若鶏が変死をした。よく調べてみると、これが六塩化ジベンゾダイオキシン、HCDDであった。先ほど言った二・三・七・八TCDDはもっと毒性がひどいわけでありますけれども、このHCDDでも、そのまま人間に当てはめてみますと計算上は一グラムで二万人を殺せる計算になる。後で私は青酸カリとの比較をしてわかりやすく説明してみたいと思いますけれどもね。サリドマイドの数百倍という強力な催奇形性作用を持っておる。次にこのダイオキシンが問題になったのが、先ほど申し上げたベトナム戦争における例の枯れ葉剤、二・四Dあるいは二・四・五Tです。このベトナム戦争で、これは人体実験されたことになっている。大変な人体の被害が現在も続いておる。もちろん、植物に対する被害もそうです。 いま、ベトナム戦争に参加したアメリカの兵士が、死亡したりあるいは奇形児が生まれたりしてアメリカで裁判を起こしております。この訴訟とは別にアメリカの環境保護庁、EPAが、一九七九年三月から、この二・四・五Tの緊急禁止を通告いたしております。このメーカーでありますダウケミカルがこの規制解除を求める裁判を起こしたけれども、結局、一九七九年四月に下った裁判の判断では、EPAの見解が支持された。また、米軍の方で、例の有名な石井部隊の資料を引き継いだのがアメリカの生物化学兵器研究所のフォートデトリック、ここで六八年一月に初めて枯れ葉剤の二・四・五Tの中に強い催奇性があらわれて、問題の最猛毒の二・三・七・八TCDDが検出をされた。そのために米軍も、一九七〇年一月にこの枯れ葉剤の使用を一時中止し、最終的には七一年六月に中止をすることになった。 三番目の報告としましては、例の有名な、一九七六年七月十日正午に起こりました北イタリー、ミラノに近いセベソのイクサメ農薬工場の爆発事故であります。これも二・四・五Tをつくっておった工場でありますが、爆発事故を起こした。このイクサメの爆発事故は広島と同じだ。それほどの被害を与えている。 第四番目の報告は、東京都立衛生研究所の検出したダイオキシンであります。これは、いま言いましたCNP、NIPあるいはX52を素材にして都衛研が分析をやったわけでありますけれども、これをやったのは都立衛生研究所の生活科学部の副参事であります山岸達典博士を中心とする七人であります。そして実際にこの分析に当たっては、何が出てくるかわからない、もし最猛毒の二・三・七・八が出てきたら一この二・三・七・八TCDDというのは、実験のワークでは放射能を扱うのと同じ取り扱いをするのですね。生命の危険に対して責任が負えないということで、二人の研究員を特別に特攻隊のように募って研究された。そこで、幸いなことには、いまのところ二・三・七・八はMOからは出てこなかったけれども、一・三・六・八TCDDが出てきた。この山岸博士は、七七年にマハゼの肝臓に九一・四PPmのCNPが蓄積していることを突きとめられたわけです。そして七九年秋に、この山岸チームが、いま言った農薬、CNP、NIPあるいはX52の三種の農薬から二年間の歳月を要してPCDD、ポリ塩化ジベンゾダイオキシンあるいはPCDF、ポリ塩化ジベンゾフランを検出したわけですね。特にCNPは約二〇OPPmのPCDD等を含んでおった。一・三・六・八TCDD、検出されたこのダイオキシンは、最高約一五〇PPm、次いで五塩化の約三〇PPm、これが検出をされております。 続いて八〇年六月に、栃木県小山市の思川、利根川上流ですが、ここでオイカワ、私どものくにではハヤと言っております淡水魚を採取しました。そのすり身二百四十グラムから、米の残留農薬基準、これは〇・〇一PPmですけれども、これの百二十倍に当たる一・二PPmのCNP、それから〇・二PPbの一・三・六・八TCDDを検出しております。それから東京湾のスズキ、アサリ、こういった魚介類もすでに〇・一PPmのCNPが蓄積されておる。環境庁の告示はさっき言ったとおりでありますが、非常に高い濃度が蓄積されておる。特に問題なのは水系に対する汚染が非常にひどい。これは結局は飲料水の汚染につながる。 一九七九年の都衛研の年報によりますと、七七年三月から九月にかけての調査ではすでに東京都の浄水場の水道原水それから水道水それから都衛研の研究所の蛇口水から最高〇・〇六PPbのCNPが検出されております。 山岸博士は、理由はわかっておるけれども日本では発表できなかった。それでわざわざイギリスの化学専門誌である「ケモスフェアー」の去年の十月号に「市販ジフェニル・エーテル系製剤及び散布地域で採取した淡水魚中のポリ塩化ジベンゾ―パラ―ダイオキシンとジベンゾフランについて」こういう題で発表をして、それが逆に日本の方にわかってきたから問題になった。こういう背景を基礎にして質問に入りたいと思うわけであります。 きょうは関係審議会の明日山会長さんに参考人として来ていただいております。大変御苦労さまであります。まず明日山参考人にお伺いをしますけれども、除草剤というのはハービサイドの訳だと思いますが、これをなぜ除草剤と訳するのでしょうか。
○明日山参考人 参考人の明日山でございます。 お答えいたします。 除草剤というのはハービサイドの訳ではないと思います。昔から除草剤という言葉は日本で使っておりまして、たまたま外国の方のハービサイドと性質が合うからあれを英名としてとっただけだと思います。
○楢崎委員 日本で除草剤と言っておるのは正確には外国ではハービサイドなんですね。これはもう一つ訳がついておりますね。どういう訳ですか。
○明日山参考人 お答えいたします。 英語の方でもウイードキラーとかいうような言葉がございまして、それを日本語に訳しますならば殺草剤とかあるいは枯草剤とか申します。農薬の中で病気のもとになるカビを殺す、これは防除に使うものですけれども、それは殺菌剤と申しております。それから害虫を駆除する薬、これも殺虫剤と申しておりまして、みんな殺すという字を使っておるものですから、草を殺すという意味で殺草剤という訳語をとる人もあります。 以上です。
○楢崎委員 大変正確な御答弁であります。大蔵省が出しております分類によれば、いわゆる日本で言う除草剤、これはハービサイドというあれで、括弧してウイードキラーになっておりますね。つまり除草剤という訳そのものがけしからぬわけであって、殺草剤なんです、これは殺植物剤なんですよ。そうすると非常にわかりやすくなる。 そこで明日山参考人にさらにお伺いしますが、この殺草剤というのはいわゆる生態系を破壊する、環境を破壊する、そういうものに非常に通ずる、そう思いますが、どうでしょうか。
○明日山参考人 お答えいたします。 殺草剤あるいは除草剤は使い道によると思いますけれども、普通の農業の耕地、水田とか野菜畑、その他ではこれは人為的なつくり方をしているものですから、その栽培の目的の植物に害がなくて、いわゆる雑草の方を殺すことができるような除草剤を選んで適当な時期に使っていると思います。それでこの場合の生態系の破壊ということは、これは言うのはちょっとむずかしいかと思いますけれども、いま楢崎先生の御質問のは恐らく山林その他の自然生態系のことに関連してじゃないかと思います。山林の方ではこれはいろいろな作業その他から考えて、下草、そんなものを刈るかわりにいまの除草剤を使う、それが今度の自然生態系にはある影響を及ぼすと思いますけれども、造林という立場から見ればまたそれも必要な作業かもしれないと思います。 以上でございます。
○楢崎委員 これはすでに太平洋戦争の末期日米双方とも生物化学兵器として使う寸前にあったことは御承知のとおりでしょう。そしてベトナム戦争でも現に枯れ葉剤として使われておるわけですね。使い方によればこれは生態系を破壊する、これははっきりしている事実じゃないでしょうか。これは余りはっきりし過ぎておりますから再質問はいたしません。私がこれを聞くのは、実はこれは内閣委員会の防衛二法のときに生物化学兵器の関係、それから六月一日に本院を通過しました軍縮関係三条約のうちの環境変化をもたらす兵器の禁止条約、これと非常に関係があるからちょっとお伺いしているだけです。 それで三井東圧、それから農水省もそうですが、消費者団体の抗議に対して、このMOというのは不純物を含むCNPの原体で毒性試験をしたかち大丈夫と言われたそうですね。 私は参考人に聞きたいのですけれども、企業が出したデータ、これをどのようにして安全性を確かめられるのか。いわゆる中立機関ということになると思いますけれども、そういうことですか。
○明日山参考人 お答えいたします。 ただいま御発言になりましたとおりでございまして、中立機関にいまの毒性学の面で考えられるいろいろな項目、たとえば急性毒性のほかに慢性毒性、それから次代への影響、催奇形性あるいは発がん性などにつきまして試験をやってもらって、そしてその結果が登録の前に審議会の方に出てまいりますと、毒性学専門の委員から成る小意員会で入念に検討をいたしまして、その上で、農業資材審議会の中の農薬を担当いたしております農薬部会で、広い立場からそれを審議してもらいまして、そして安全性を確かめるという手続をとっておるわけでございます。 以上でございます。
○楢崎委員 その中立機関、公的機関ですね、これは残留農薬研究所ですか、それをおっしゃっているんじゃないですか。
○明日山参考人 お答えいたします。 ただいまのCNPの場合には残留農薬研究所でございます。
○楢崎委員 私どもはどうも首をひねる点がある。この中立機関と称するあるいは公的機関と称する残留農薬研究所、これは昭和四十五年にできたのでしょうが、出資関係は国から一億、そして農薬をつくっている関連会社、それと団体、農協等だと思いますけれども、これらが三億一千五百万出しているんですね。メーカーが出している研究所なんですよ。果たしてそこで徹底した分析試験が行われるかどうか、これについて若干の危惧を私は持つわけであります。 次に、三井東圧は、MOに含まれているダイオキシンは一・三・六・八TCDDで、米国の研究者やFDA、こういったところでも毒性についての報告文献はない、ダイオキシンの中には猛毒性を有する二・三・七・八TCDDがあるからといって混同されるのは非科学的で迷惑な話だ、こう言っておるそうであります。これは本当に一・三・六・八TCDDの毒性についてのデータありませんか。
○明日山参考人 お答えいたします。 私も化学の方の専門でもございませんので、知っている範囲では、先ほど楢崎先生が引用なさいましたアメリカのEPAの方でダイオキシン、まとめたものがございます。あの中で、先ほどからお話のございます二・三・七・八のLD50、これはたしか〇・〇四PPmくらいだったと思います。それに比べて一・三・六・八の方は一〇〇PPm以上ということだったと思います。この半数致死率と申しますか、LD50から見ますと二千五百分の一くらいの毒性ということが言えるのじゃないかと思います。ただ、私ども注目いたしましたのは、特殊毒性と申しますか、繁殖能の阻害だとかあるいは皮膚炎あるいは奇形性、そんなものは二・三・七・八の方はプラスが三つくらいたしか書いてありましたけれども、一・三・六・八の方はゼロになっておりまして、そのことくらいを私は存じているだけでございます。以上でございます。
○楢崎委員 いまお話のありましたとおり、一九七八年の米国環境保護庁(EPA)レポートの百八十九ページ、私ここに持っておりますが、ここに、ラットのLD50比較によると、二・三・七・八TCDDは〇・〇四ミリグラム・パー・キログラムですね。一・三・六・八TCDDはキログラム当たり百ミリグラム以上、したがって、一・三・六・八TCDDの毒性は二・三・七・八に比べて二千五百分の一以上低いと思われる。これはちょっと置きますよ。 もう一つデータがありますね。それもここへ私は持ってきておる。これは一九七六年八月二十五日発行の米国の化学誌「ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー」、これに掲載されておるわけですけれども、米国ロジェスター医科歯科大学のアラン・ポーランド教授、それからエドワード教授及びアンドロ・S・ケンレ教授、これはロチェスター大学の先生ですが、その共同論文が出ている。それによりますと、鶏の胚における酵素の活性比較、いわゆるED50の方ですね。これによりますと、二・三・七・八TCDDを一〇〇とすると一・三・六・八TCDDは百億分の九・四、だから約十億分の一、これだけの毒性があるということは大体はっきりしている。だから、三井東圧か農林省か知らぬけれども、この一・三・六・八は二・三・七・八と違うから、二・三・七・八は猛毒があるけれどもこれは大したことないんだ。全然これは違うですね。違うのですよ。これはこの前テレビ朝日がテレビで特集しましたね、ベトナム戦争の。これを取材した轡田さんは、二・三・七・八TCDD、これがいわゆるベトナムで使われた枯れ葉剤の成分である、これの十億分の一ないし三十億分の一でも人体に害があると指摘してますよ。そうすると、このデータによれば十億分の一ですから、三十億分の一でも害があると言っているのですから、これはもう確実に害がある。害がありますよ。 そこで、私ども、大体どのくらいの毒性があるかということをはっきりさせるために、今度は青酸カリと比較してみましょうか。どのくらい毒性があるか、庶民次元ではこういった方がわかりやすい。それで、青酸カリのラットの経口LD50はキログラム当たり百ミリグラムですね。これは毒物劇物取締法の事項別の例規集でこうなっておりますね。そこでこれと対比して一一三・六・八TCDDの毒性は青酸カリに比べて十分の一ないしそれより低い、こういうことになります。ところがこの毒物劇物取締規則ではキログラム当たり三十ミリグラムから三百ミリグラムまでが劇毒物指定されておるわけですね。そうすると、この一・三・六・八TCDD、これ自体の指定はできないけれども、比較していったならば、これは劇物毒物指定になり得るものです。これはそれくらいの毒性がある。数字からそうなるのですよ。だから私は、この一・三・六・八TCDDは毒性がないなどと断定することは絶対できないと思う。なぜならば、一・三・六・八TCDDの分析をやりましたか、先生。
○明日山参考人 お答えいたします。 私自身あるいは農業資材審議会の方で分析はやっておりません。
○楢崎委員 やってないのです。日本でやってないのです。日本では恐らく山岸博士がやったのが初めてじゃないですか。ところが、三井東圧は一・三・六・八TCDDがあったことは知っていた、山岸博士の分析とは関係なく。知っておったならば、この資料をおたくに出したときにこの一・三・六・八TCDDがMOに、MOの主成分であるCNPですね、毒性についてはわからぬでも、これに一・三・六・八TCDDが含まれておる、そういう報告をしていますか。あのデータの中に入っていますか。三井東圧は入れてありますか。
○小島政府委員 このCNP剤の登録に当たりましては、先ほど御指摘ありました二・三・七・八ダイオキシンが含まれていないかどうかということについては、農薬検査所で分析いたしまして、これは含まれていないことを確認いたしております。本体の農薬につきましては、その製造過程上きわめて若干ながら農薬の主成分以外の不純物が製造されるわけでございまして、お話のございました一・三・六・八ダイオキシンにつきましては、その当時は確認いたしておりませんけれども、そういうものが含まれておるということを今日では知っておるわけでございます。ただ、登録に当たりまして行いました急性毒性あるいは慢性毒性、次世代に与える影響の調査等はいずれもそういう不純物を含みました農薬原体を動物に投与するなどいたしまして判定いたしたものでございますから、原体の中に含まれているあらゆる成分につきまして、もちろん濃度はきわめて低いものでありますが、そういうものとしての毒性テストは、その原体の中に含まれているものとして検査をしておる、こういうことでございます。
○楢崎委員 いま審議会はしていないとおっしゃっていますよ、一・三・六・八の分析は。
○小島政府委員 ちょっと言葉足らずでございましたが、一・三・六・八だけを取り出しましてその毒性テストをしておるのかというお話でございますれば、それはいたしておりません。
○楢崎委員 じゃ、いつやったのです。CNPに一・三・六・八TCDDが不純物として含まれておるというのは、いつやったのですか。
○小島政府委員 これは検査そのものは、そういう不純物が含まれておる農薬原体をそのまま使いまして検査をいたしておるわけでございます。御承知のように、この種の化合物は、製造過程におきましてその農薬の主成分以外の若干の副産物が不可避的に製造されてくるわけでございます。先ほども御指摘ございましたように、その含有率はきわめて小さなものでございますけれども、一・三・六・八以外にも多少の不純物がどうしても入ってくるわけでございます。ただ、実際にその農薬を使います場合には、そういう不純物が含まれておる農薬として使用されるわけでございますから、その農薬としての安全性評価をしておるわけでございまして、一・三・六・八だけを取り出してテストをしたということはございません。
○楢崎委員 もう時間が来ましたから結論に入りますけれども、残念ながらこれは初めの方だけなんです。 いまはっきりしたことは一・三・六・八TCDDの毒性検査をしていない、これだけはっきりしましたね。 そこで、通産省、来ていますか。化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律がありますね。この中の二条の二項、特定化学物質とは「自然的作用による化学的変化を生じにくいものであり、かつ、生物の体内に蓄積されやすいものであること。」この中に実はCNPは入る。しかし、後の条文で農取法の関係のものを除くとなっていますから、それは知っていますよ。これは分析するのが大変こわいのでしょう、どうですか。
○山浦説明員 お答えいたします。 分析のサンプル入手が不可能でございまして、分析はいたしておりません。
○楢崎委員 結局山岸さんだけなんではないですか、日本では。そこで、農林水産省は山岸さんからこの分析に基づいて何か警告を受けやしませんでしたか、連絡があって。
○小島政府委員 ちょっと事実関係だけ申し上げますと、山岸さんの分析されましたものは、魚の中でありますとかあるいは水の中でございますとか、CNP剤がこれだけ含有しておるという御報告だったと記憶いたしておりまして、一・三・六・八TCDD……。
○楢崎委員 違いますよ。そんなうその報告で時間をとられては困る。そんなことはないよ。調べてみなさいよ。CNPが含まれておって、CNPの中に一・三・六・八TCDDが検出された、こうなっておる。そんなうその報告で時間をとられては困りますよ、あなた。
○小島政府委員 勘違いいたしましたけれども、おっしゃるとおりでございます。ただ、……(楢崎委員「ただも要りませんよ、時間がないから」と呼ぶ)ただ、御本人から特段の申し入れはございませんでした。
○楢崎委員 あなたが聞いておらぬだけじゃないですか。警告しているはずだ。そしてMOの使用規制について農協に対して指導してある。それで、その後東京湾は、この使用が規制されたから非常にきれいになった、こういう報告を私は受けておりますがね。だれも聞いてないの、農林省は。
○小島政府委員 御本人の意図はよくわかりませんが、お話ございましたように、外国の文献で紹介をしたということでございまして、私どもに直接その結果を持ってきてやめろとの警告をするということはなかったわけでございます。
○楢崎委員 私は御本人から聞いているんだ。だから調べなさいよ、農水省全体を。この分析の結果を農水省に全部連絡をしてMOの使用規制をお願いした。なぜ山岸さんが日本で発表しなかったかというのはその意味があるんだ。山岸さんとしてはこれをセンセーショナルに取り上げたくなかった。しかし、実際は余り動揺させない姿でこの規制をしたかった。それが日本で論文を発表しなかった理由ですよ。そのとおり博士はしたんだ。 時間がありませんから、最後、もう一問だけにしますよ。とにかく先ほど申し上げたとおり、これはまだたくさん問題点がありますよ。いままでの過去の経過を見てごらんなさい。何でも一応登録を許可してそして問題が出てきていわゆる中止をしたり規制をしたりするのでしょう、いままでの例が。そうじゃないですか。PCPがそうだったでしょう。BHCがそうじゃなかったんですか。それで私が言いたいのは、人体に被害が出てきてあわててやっているのだ、過去の例が。そうでしょうが。水銀農薬だってPCBだってそうでしょう。これほど毒性が心配されておる、しかも分析してない、だからこれの毒性がはっきりするまでは生産を中止するあるいは販売を中止する、使用を中止する、そういう指導がなければいままでの例からいって大変なことになる。責任を負えるか、あなた。
○小島政府委員 御指摘ございましたようにかつての農薬登録は、農薬としての効果があるかどうか、それから人畜に対しまして直接的な被害があるかどうかというその二点が主な審査事項でございました。昭和四十六年取締法改正以降は、先ほど来申し上げておりますように、急性毒性のほかに慢性毒性でありますとか次世代に与える影響等をその農薬の原体に即しまして安全評価を行っておるわけでございます。したがいまして、今日の科学的知見をもっていたしますれば、ただいまやっております検査方法というのはいわば最善なものと私どもは考えておりますので、その評価に基づいて安全性が確認されたもの、それの販売を認めておる、こういう状況でございます。
○楢崎委員 これで最後にします。大体二年間でしょう、慢性毒性、先生うなずいていらっしゃる。ところが人間の平均寿命は七十五歳前後です。二年間どうもなかったからといって三年目からどうなるかわからない。もし慢性毒性があるとしたら人間の体の中に四十五年間近く蓄積されることになる。だから私はもう一遍要求します。これは分析してください、一・三・六・八の毒性について。それがはっきりするまでは生産を中止し、使用禁止。 それからもう一つは、農林大臣でも参考人でもよろしゅうございますが、三井東圧が出したMOに関するデータ、安全性に関するデータ、これを出してください。データを見せないで安全だ安全だと言ったってだれが信用しますか。どういう説得力がありますか。これはぜひ出してください。ぜひ。どうでしょうか、大臣。
○小島政府委員 まずデータの問題からお答え申し上げますけれども、農薬の開発に当たりましては新しい物質をつくり出す、そのこと自体が相当経費のかかる問題でございますけれども、それに加えましてそれの毒性評価をする、そのことが大変な資金と期間を要しまして、その物質自体の発明、発見とあわせて安全性を確認する、そこまでで初めて農薬の開発が終わる、かように考えるわけでございます。したがいまして、メーカーにしてみますと、その物質の製法みたいなものももちろんでございますけれども、安全性データというのは巨額の金を要してつくり上げた企業の財産、こういうことになるわけでございます。したがいまして、これを世の中に対しまして発表するかどうかということについては企業自体の判断すべき問題でございまして、私ども審査のためにちょうだいはいたしておりますけれども、私の側からそれを発表するという立場にはないわけでございます。
○楢崎委員 大臣、こういうことはどうでしょうかね。いわゆる命令権はないと思うのです。しかしこれほど人間の生存に関係があるのだから、出せるものなら出して明らかに公開してくれというような指導はできないのでしょうか。大臣、最後にそれだけ承っておきます。そうしないと、先ほどから言いますとおり、何も安全性に関するデータは示さないで安全だ、安全だと言ったってだれが信用しますか。現実に被害が出ておるのですから、企業の責任としてこれくらいはやるべきじゃないでしょうか。それだけお願いします。
○田澤国務大臣 いまこの点について局長から企業としての立場というものを御説明があったわけでございますが、そういう中で農林水産省がその企業にお願いするのは、できるだけ公開できるものは出してくれないかということで話を進めてみるということで御了解いただきたいと思いますが。
○楢崎委員 じゃあそれを期待して終わります。
○永田委員長 次回は、来る十三日火曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時十六分散会