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96回国会衆議院1982/08/11

議院運営委員会 第36号

発言数
71
登壇者
12
会派数
6
開催日
1982/08/11

会議録

内海英男自由民主党

○内海委員長 これより会議を開きます。  広瀬秀吉君外五名提出の議員佐藤孝行君の議員辞職勧告に関する決議案を議題とし、審査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本決議案審査のため、本日、参考人として駒沢大学教授林修三君及び東京工業大学助教授慶谷淑夫君から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

内海英男自由民主党

○内海委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————

内海英男自由民主党

○内海委員長 この際、両参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  両参考人には、御多用中のところ当委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。  本日は、特に深い御見識をお持ちのお二人のそれぞれのお立場から、忌憚のない御意見を承り、もって当委員会の審査の参考にいたしたいと存じます。何とぞ、よろしくお願い申し上げます。  次に、議事の順序について申し上げますが、初めに、林参考人、慶谷参考人の順序で御意見をお一人十分程度に取りまとめてお聞かせいただき、次に、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。  それでは、まず林参考人からお願いいたします。

林修三駒沢大学教授

○林参考人 御指名によりまして、私から、まず議題になっております佐藤孝行議員に対する辞職勧告決議案の問題について、若干私なりに考えたところを申し上げてみたいと思います。  これは、決議案の内容は辞職勧告でございます。勧告ということは、もちろん言葉から言えば法的な拘束力はないものであろうと思います。したがって、勧告である以上は比較的自由にできるのじゃないか、そういうような考え方がまずあるだろうという気がいたします。  ただしかし、それはそう簡単に考えていいのかどうか、私自身は若干疑問を持つものでございます。と申しますのは、これは勧告でありましても、院議で決めるという性質を目的としておるわけでございます。衆議院で仮にこの決議案が議決になりました場合には、院議として佐藤議員に対する辞職勧告ということになるわけで、これは単に勧告であるから、その相手になられた議員は、単に聞き流してもいいものだというような性質のものでは恐らくなかろうと思います。また、この決議をされる場合にも、そういうようなことでおやりになるものではないだろうという気がいたします。事いやしくも議員の身分にかかわる問題でございますから、院として意思決定をされる以上は、それが法的な拘束力は仮にないにいたしましても、実際にはその決議どおりの実行がなされることを強く期待されて行われるものだろう、そういう気がいたすわけでございます。  と同時に、これはやはり院議で決めた以上は、いま申しましたように法律的な拘束力は仮になくても、政治的にあるいは社会的にあるいは事実的な圧力というのは相当強いものだろうと思うわけでございます。この相手になられた議員も、そう簡単に無視することはできないような性質のものであろう、また、そういう意図で行われるものだろうというような気がいたします。  そうなりますと、やはり議員の身分につきましては、憲法あるいは国会法あるいは公職選挙法等で——その議員の身分を奪う場合の要件とか手続というのは、憲法あるいは法律で厳格に決められておるわけでございます。同時に、憲法では、議員の国会における国政に関する審議権を保護するためのいろいろ特権も決められておるわけでございます。  そういうこととの見合いを考えますと、やはりいま申しましたように、法律的にはすぐ直ちに議員の身分を失わせるものではないにいたしましても、政治的、社会的あるいは事実上に相当強い圧力をもたらすようなものにつきましては、やはり憲法なり法律が議員の身分を失わせるについていろいろの規定を置いております。そういうものとの見合いと申しますか、そういうものと比較権衡いたしまして、やまり相当重大な理由があるということでなければ軽々にこういう決議案を議院で議決すべきものではないのじゃなかろうか、そういう気がいたすわけでございます。  特に今回の事件は、佐藤議員については裁判所において第一審の有罪判決があった、いわゆる収賄罪問題について有罪判決があったということが前提で、それを理由とするものであろうと考えるわけです。これが直ちに、そういういま申しました議員の身分について、社会的あるいは政治的に相当強い圧力を加えるような決議をする対象として、その場合に辞職勧告というのが果たして適切なものかどうかということについては、いろいろ考えなければならないのじゃないかという気がいたします。  一つには、いままで過去の例を私も調べてみたわけでございますが、いままで、ことに衆議院だけに例をとりましても、収賄事件等につきまして現職の議員が第一審において有罪判決を受けられた例は幾つかあるわけでございます。ところが、これに対しては、いまだかつて一回も辞職勧告決議案というものが出された例はないようでございます。参議院については、そういう決議案が出された例があるようでございますが、衆議院については、いままで一回もない。とすると、これについてはハウスとしては一体どう考えるべきかという問題があるだろうと思います。  議院においては、言うまでもなく先例が非常に重んぜられるところでございますし、しかも議員の身分にかかわりを持つものについて——犯罪事件の内容については私もいろいろ詳しいことは存じません、それぞれの場合。しかし、少なくとも収賄罪の事件について第一審で有罪判決があった、それについて、いままでは一遍も辞職勧告決議案が出されていない。今度それを出すということについては、どこが違うのかという問題が恐らくあるだろう。それは違いがあるという理由がやはりはっきりしないと、私はそこに問題があるのじゃなかろうかという気がいたします。  それからもう一つは、これはまだ確定していない判決でございますが、過去の例を見ますと、これは衆議院だけではございませんが、確定判決に対してもこういう辞職勧告決議案が出された例は、どうも余りないように承知いたします。これは公職選挙法から申しますと、一般の犯罪事件につきましては禁錮以上の刑が確定したときには議員の被選資格がなくなりますけれども、それに至らないような確定判決、それについても、これは確定判決であるにかかわらず、したがって比較的軽い判決ではございますが、それについても確定判決、有罪判決に対しても、そういう辞職勧告決議案が少なくとも決議されたという例は、私はどうも承知しておらないわけでございます。そういうこととの権衡から言いますと、もしもここで辞職勧告決議をされるとすれば、いままでとはどういう点が違うのか、何ゆえにここでそういうことを必要とするのか、その理由がやはり相当解明される必要が私はあるだろうという気がいたします。  それから二番目には、これはまだ確定しておらないということでございますね。一審判決は確かに執行猶予つきの有罪判決が出ておりますけれども、これに対しては御本人から控訴をされたわけであります。したがって、確定しておりません。第二審の判決がどう出るか、これはいまから予測することはできないわけであります。  過去の例を見ますと、一審で有罪判決が出て、二審で無罪判決が出された例はあるわけであります。これはたまたま一審の有罪判決に対して何にも措置がとられておりませんから、二審で無罪判決が出て、その場合には確定しております。検事控訴が行われないで確定した例がございますが、仮に二審判決が無罪になって、そういう形で確定しないで、検事控訴があって最高裁まで行った場合でも同じことでございますが、第二審で無罪判決が出た場合、仮に第一審の有罪判決に対して辞職勧告決議が院議として決定されたという場合に、二審で無罪判決が出た、その場合の措置をやはりあらかじめ考えておかなければいけないのじゃないかという気がいたします。これは一審について今度もしおやりになるとすれば、未確定の状態でおやりになるわけですから、二審においても仮に無罪判決が出た、これが確定するまで待とうということは理由になりません。未確定でも、二審判決それ自身についての措置がやはり要るのじゃないか、そういう気がいたします。  その場合に一体どういう措置がとれるか、これが非常に疑問でございます。一審で有罪判決が出て、それで辞職勧告決議が院議で決定された。これに対して、当の議員は、その院議を尊重して辞職されるというケースもございましょうし、あるいは勧告だからといって辞職されないケースもあるかもしれませんが、そのいずれにしても、二審で無罪判決が出た場合には、これは御本人の名誉をいかにして回復するかという問題があるわけでございます。その場合に、前の決議を取り消すのか、そういうことができるかどうか、私にはよくわかりませんが、あるいは名誉回復としてその他の措置をされるのか、これはなかなか困難な問題がそこに伴うだろうと思います。そういうことをやはり頭に置いてやらないと、事いやしくも先ほど申しましたように議員の身分にかかわる問題でございますし、これは強い影響力を持つものでございますから、二審で仮に無罪になったというようなことが出た場合の措置もあらかじめ十分考えておかないと、簡単にこういう決議を院議として決めることはやはり不適当じゃないかという気がいたします。  それからもう一つつけ加えますと、確かに、先ほど申しますように、院議で仮にこういう決議がされれば、それは政治的にも社会的にも事実上相当強い圧力があるものだと思いますけれども、仮に当の議員がそれに従われない場合、この場合に議院として一体打つ手があるのだろうかという問題が一つあるわけであります。せっかくハウスとして決議をされる、それが完全に無視された場合、それで一体済むのだろうかという問題があるわけであります。私はそこいらはよくわかりませんけれども、これは議院でお決めになることでとやかく申せませんが、どうも懲罰事犯には簡単にならないような気がいたします。  そういうようなことからいって、その後の手がどうもよく打てない。そういうこと全体を考えますと、こういう問題は、少なくとも判決が未確定の状況でこういう議員の身分に強い影響力を及ぼすようなものを決議されるということは、どうも余り適当なことじゃないのじゃないかという気がいたします。  以上、私の意見を申し上げた次第でございます。

内海英男自由民主党

○内海委員長 ありがとうございました。  次に、慶谷参考人にお願いいたします。

慶谷淑夫東京工業大学助教授

○慶谷参考人 東京工大の慶谷と申します。  本件の問題につきまして、参考人として意見を求められたわけでありますけれども、本件はきわめてすぐれて政治問題でありまして、余り純粋に法律問題として論ずるのが適当かどうか、そういう点につきましては、私は疑問に思っているわけでございますが、一応今回の問題につきまして、法律的に考えた場合どういう考え方があるであろうかという点につきまして、御参考までにお話を申し上げてみたいというふうに考えるわけであります。  今回の問題を考える場合におきまして、やはり基本的な問題は、国会議員の身分がどのように法律によって保障されているか。国会議員の身分と申しますのは、身分保障が厚いわけでございまして、議員が身分を失う場合と申しますのは、法律によってきわめて限定されている。これは御列席の諸先生の方におきまして重々御承知だと思いますけれども、たとえば法律上当然退職する場合としましては、これは当然のことですけれども、一つ、任期満了による場合がございますし、あるいは国会法の百九条に基づきまして議員が被選資格を失ったとき、このときは当然に退職することになります。それから、議員が他の議院の議員になったとき、これは国会法の百八条によって当然この身分を失います。そのほか、特別の行為によって退職する場合でございますけれども、たとえば国会法の百七条に定めている辞職の場合、議員本人の御意思によって辞職をされる場合、これは議員の身分を失います。それから、国会法の百二十二条に基づきまして、いわゆる懲罰事犯として除名を受けた場合、国会法の百十一条から百十三条にございます資格争訟の決定に基づく場合、公職選挙法の二百四条以下にございます選挙に関する争訟の判決があった場合、憲法の四十五条、五十四条に定められております議会の解散が行われた場合、そういうふうに国会議員というのは、これらの事由以外の行為によってはその身分を失うことがない。要するに、それ以外によりまして議会の議員の身分を失わせる規定は現行法上存在をしてないということが言えるのじゃないかと考えております。  今回問題となっております佐藤議員のいわゆる辞職勧告決議案というのは、強制的に佐藤議員の身分を失わせるというものじゃなくて、辞職をしてくださいと勧告をするわけです。先ほど林参考人も述べられましたように、これはあくまで事実行為であって、法律的な拘束力はないということが言えます。しかし、法律的にはともかく、社会的には、もしハウスにおきましてそういう決議がなされた場合におきましては、法律的拘束力はなくても、事実上の拘束力は非常にあるし、その決議に従わざるを得ないということになるかもしれないと考えております。したがって、辞職決議案を決めるということは、法律的には問題ないという意見もあるかもしれませんけれども、しかし事実上の拘束力はある、そういう場合におきましては、やはり憲法とかあるいは法律の趣旨から見まして、それが妥当であるかどうかは、そこに問題を生ずる余地があるように考えております。  もう一つ注目すべき点は、憲法の五十五条に、皆さんも御承知のように、資格争訟の裁判に関する規定がございます。ここにおきましては、議員の議席を奪うにつきましては、資格争訟裁判を経ること、それから特別多数、要するに出席議員の三分の二以上による議決という、非常に重い手続を経ることを決めておるわけです。今回の辞職勧告案と申しますのは、もちろん憲法五十五条の場合とは違います。しかし、実際に辞職を迫るという事実上の効果を持つとすれば、やはりこの憲法五十五条の規定との均衡というのは十分に考えらるべきではなかろうかという感じが法律的にはするわけでございます。  先ほども申しましたように、国会議員の身分は非常に保障されていますし、法律によってその資格争訟の事由が限定をされているわけでございますから、そういう場合におきまして、特定の議員の資格を失わせるような、たとえば退職を勧告するような決議をすること自体が直ちに憲法とか法律には違反しないといたしましても、憲法あるいは法律の趣旨から見まして、それが妥当かどうかという点につきましては、問題の余地を残すのではないかというふうに考えておるわけでございます。  さらに、さきに林参考人も述べられましたけれども、第一審の有罪の判決によって、議院が、ハウスとしまして議員の辞職勧告を決議した場合どうなるか。  御承知のように、現在裁判は一応三審制でございまして、一審、二審、それから上告審に行って判決が一応確定をするわけであります。この事件のみならず、従来の刑事事件の裁判におきましても、たとえば第一審有罪でも、第二審が無罪になるとか、あるいはそれを上告審が上告棄却するというケースもいろいろあるわけでして、当然国民としましては、三審制ですから三遍裁判を受ける権利が保障されている、要するに、上級裁判所に行かなければシロかクロか最終的にははっきりわからないということでございますから、第一審の判決だけでとやかく論ずるという点につきましても、やはり問題を残す余地があるのではないかというふうに考えておりまして、特に第二審で仮に無罪となった場合におきまして、本人がいろいろ受けた損害につきまして、たとえばどういう責任をハウスとしてとるかという問題は、これは林参考人も述べられましたように、やはり考慮をしておくべき問題ではなかろうかという感じがするわけであります。  ただ、この問題につきましては、学者の間におきまして法律論として十分議論されている問題でもございませんし、参考文献なんかも見ようと思っていろいろ探したのですけれども、余り適当な文献もございませんで、いまお話ししたことは、私が御相談を受けまして考えたことをいろいろ御披露申し上げたにすぎないわけでございます。  したがって、結論的には、この辞職勧告決議案と申すものにつきましては、やはりハウスとしまして、皆さんの方におきまして慎重審議されまして、どう処理されるか、それを決定していただくというふうにしていくのが最適ではないかというふうに存じているわけでございます。  それでは、これで私の意見を終わらせていただきます。

内海英男自由民主党

○内海委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの御意見の開陳は終わりました。     —————————————

内海英男自由民主党

○内海委員長 次に、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。  なお、本日は時間も限られておりますので、質疑時間につきましては、理事会での申し合わせのとおり御協力をお願いいたします。  松永光君。

松永光自由民主党

○松永委員 私は、自由民主党の松永でございます。  きょうは、両先生には大変貴重な御意見をお述べいただきまして、ありがとうございました。  私は両先生にお伺いしたいわけでございますが、林先生のおっしゃいました議員の身分を奪う場合の要件は、憲法その他で決められておるというお話でございました。その規定というのは、憲法第五十五条の議員の資格争訟に関する裁判に関連する規定及び憲法第五十八条第二項の院内の秩序を乱した議員を懲罰する場合の除名その他に関する規定だと思うのでございます。その中で私は、憲法第五十五条の議員の資格争訟に関する規定に関連いたしまして、両先生の御意見を承りたいわけであります。  この憲法の規定は、旧憲法時代には、これに類する規定はなかった。新憲法になってこの規定が設けられ、それを受けて、国会法あるいは衆議院規則が設けられて、いろいろな仕組みになっておる。すなわち、議員の資格を奪う決議の場合には、先ほど御指摘ありましたように、三分の二以上の多数でなければならぬ。特別決議が必要だ。資格争訟の提起を受けた議員——これを被告議員と言うようでありますが、この被告議員は弁護人を二人選任できる。それから被告議員に対しては弁明の機会が与えられる。弁護人として選任を受けた人は、被告議員のために弁論ができる。こういったいろいろな制度ができておるわけでございます。  結局、議員の地位、資格というものは、主権者たる国民から選挙によって直接与えられたものだ。したがって、議員の資格あるいは地位を奪うかどうか、あるいは継続して与えるべきかどうかは、すべて主権者たる国民が選挙によって直接決めるべきものだ、こういう考え方で新憲法で資格争訟に関する規定が設けられたのじゃないかというふうに思うのであります。したがって、任期中における議員の身分あるいは資格を強制的に奪うことは、慎重の上にも慎重にやれというのが、新憲法の、特に第五十五条の考え方ではなかろうかなというふうに思うのでありますが、この資格争訟に関連いたしまして、まず林先生から制度の話を承りたい。

林修三駒沢大学教授

○林参考人 憲法五十五条の規定は、いまの憲法になって入った規定であることは、いま松永先生おっしゃったとおりだと思います。これは、私の承知する限りでは、いままでまだ一回も運用された例はないわけでございます。  これは一つには、先ほど慶谷参考人も申しましたけれども、憲法は国会議員の地位というものを非常に重要視いたしまして、それをその意に反して強制的に奪うという場合については厳格に要件を決めておる。五十五条、五十八条の場合、これに基づいて国会法の規定がございますけれども、この場合だけということにしておるわけでございます。また、そういう議決をするについて、その院の出席議員の三分の二以上という議決の要件も決めておるわけでございます。これはそういうように国会議員の身分を強く保障するということの一つのあらわれであると同時に、議員の資格について争いがある場合には、これはいわゆる三権分立のたてまえから裁判所に持っていかないで、院において自律的に決定をする、そういう趣旨も含まれているのだろうという気がいたします。両方の意味を持ってこの規定があるのだと思います。  ただ、議員の資格問題につきましても、選挙の過程で、選挙の執行において違法なことがあった、そういう問題については、御承知のように、いま公職選挙法で当選無効訴訟の規定があるわけであります。当選無効の訴訟は通常の裁判所に行って判決をするわけでございますが、そういう点で、同じ議員の、これも資格に若干触れる点ではございますが、選挙の手続中において、公職選挙法の規定に違反して当選されたという議員の身分については、いわゆる当選訴訟ということで措置することになっておりまして、憲法五十五条の問題ではないというふうに私、承知しております。  もう一つは、これは国会法にも規定がございますが、公職選挙法で、一定の犯罪が確定したとか、犯罪に対する有罪判決が確定したという場合には、いわゆる被選資格を失うことになっております。この被選資格を失った者については、国会法で、国会議員の資格も失うことになっております。これ自身は法律にそう書いてあるわけでございまして、結局これは裁判でございますから、この裁判で判決が確定したということがまたこの資格争訟の問題になってくることは恐らくないのだろう。資格争訟で問題になりますのは、それ以外に、議員の資格に疑いがある。たとえば議員が本来ついてならない公職についたとか、あるいは他の議員を兼ねたとか、あるいは年齢的に制限と違うとか、そういう点について疑義がある場合の規定だろうと思うのでございますが、五十五条は、おっしゃるように、やはり議員の身分を強く保障する憲法の趣旨のあらわれで、それは議院が自律的に判断されるべきである、そういう趣旨で設けられた規定だと思います。

松永光自由民主党

○松永委員 慶谷先生の方からもひとつ。

慶谷淑夫東京工業大学助教授

○慶谷参考人 憲法五十五条の趣旨は、松永先生もおっしゃいましたように、選挙により得られました国民の代表者たる国会議員の特殊な地位と、その課された職責の重大さにかんがみて設けられた規定であると考えております。

松永光自由民主党

○松永委員 今回の決議案は、先ほど先生方も御指摘になりましたように、おやめになったらいかがですかという意味の勧告で、法的な拘束力はないが、政治的あるいは社会的な圧迫といいますか、力にはなるということでございます。私もそうだろうと思います。  ところで、そもそもこの決議案が出てきたのは、法的な資格は別として、政治的道義的に議員としての資格に問題がある。(「資格じゃない」と呼ぶ者あり)いや、そういうことを前提として提出された勧告決議案だ、道義的政治的なものという考え方を私どもとるわけでありますが、私どもは、資格について、法的には別として、政治的道義的に問題があるということで、おやめになったらという勧告が出されたものと理解しております。そうであるとすれば、結果的には資格についての議論になるのじゃなかろうかというふうに私は思うので、そういう観点から、資格争訟の関係について先生方の御意見を承ったわけです。  そこで、今度の決議案は、資格争訟やあるいは懲罰の場合のような三分の二の特別決議じゃなくして、単純過半数で成立する、そういう仕組みの決議案であります。また、弁明の機会とか、あるいは弁護人とか、そういうことのない決議案なんでありまして、そういう点との絡みにおいて憲法上資格争訟に関する規定がある以上は、議員の身分に関すること、資格について疑義のあるような問題につきましては、憲法第五十五条に基づくべきであるという考え方も、私は成り立ち得ると思う。あるいはまた、少なくとも憲法第五十五条の精神を酌んで、弁明の機会あるいは本人のために弁護する機会が与えられる、そういうことを前提にして審議なさるべきだ、こう思うのでありますが、そういう点についての両先生のお考え方を承りたいと思います。

林修三駒沢大学教授

○林参考人 これ自身はいわゆる法的な資格の問題ではないわけで、要するに、一審で未確定ながら有罪判決を受けられた、こういうことについて御本人に辞職されたらどうかという圧力を加えようという趣旨のものだろうと思います。したがって、法的に強制的に資格を失わせるというようなものではございませんから、憲法五十五条の資格争訟の問題にすぐなじむ問題ではないだろうという気がいたします。ただ、いま松永先生がおっしゃいましたとおりに、慎重にこの御本人の立場についての配慮、あるいはこれは先ほどのお話の未確定であるということを前提として、後でその判決がひっくり返るということはあり得ないことではございませんから、そういう場合についての配慮は十分なさるべきであろう、そういう気がして先ほど申し上げた次第でございます。  またもう一つは、この勧告決議案については、さっきも申しましたように、事実上政治的圧力は相当強いものだと思いますが、それ自身法的な効力を持つものではございませんから、直ちにその決議について三分の二の多数が要るとか、そういう問題は憲法上はすぐには出てこないだろうと思います。憲法五十五条では、法的に身分を失わせるについて「三分の二以上」ということを言っておりますが、これは憲法に直接規定がない、あるいは国会法に規定がございませんから、そこについては普通の決議案と手続的には同じ扱いになるべきものだろうと思います。ただ、内容的に非常に慎重な配慮が必要だろう、そういう気がするわけでございます。

慶谷淑夫東京工業大学助教授

○慶谷参考人 松永先生が議論されております資格争訟の問題と今回の辞職勧告決議と申しますのは異質のものでございまして、全然関係はないと思いますけれども、ただ、趣旨としましては、国会議員の資格を失わせるというのでありますから、先ほど私が申しましたのは、資格争訟の場合におきまして特別多数を必要としますので、今回の場合におきまして法律の規定はございませんけれども、松永先生の方におきましてその点との関連におきましてどう配慮されるかということをお話ししたわけでありまして、その点はひとつ諸先生の方で御判断をいただきたいというわけでございます。

松永光自由民主党

○松永委員 先ほど法的な強制力はない、政治的道義的な強制力はあるということでございまして、その結果、議員をやめられた、その後控訴上告の関係で判決が覆った場合の名誉回復の措置ということについての言及がございました。私もいろいろ考えてみましても、なかなか回復の措置は考えにくいわけでありますが、万が一将来別の判決が出た場合の救済措置なり、あるいは名誉回復の措置なりが国会等でなし得る可能性があるのかどうか。なかなか見つけにくいと思いますし、私もないような感じがするのでありますが、その点について両先生、こういうことなら可能じゃないかということがありますれば、示唆願えればありがたいと思います。

林修三駒沢大学教授

○林参考人 先ほど私の申し上げましたとおり、なかなか簡単ではないような気がいたします。たとえば、こういう決議が仮にありまして、その後二審で無罪判決があったという場合に、前の決議を取り消すという決議ができるかどうか。ことに同じ国会の中ということも普通は考えられません。会期は恐らく違っている場合が多いだろうと思います。そういう場合に、相当前の会期でなされた決議を取り消すというようなことが果たしてできるのかどうか。いままでそういうことが行われた例は、私は余り聞いたことがございませんのでよくわかりませんけれども、非常に問題があるのだろうという気がいたします。  それで、それ以外の問題については、たとえば決議に基づいて辞職をされた場合に、その地位を回復する方法はちょっとございませんですね。それはないわけでございます。  それから、仮に辞職をされておらない場合には、これは無罪になれば一応はそこで影響はないわけでございますが、その場合でも、かつて院議によって辞職勧告をされたということによる政治的道義的圧力あるいは社会的な影響は、先ほど申しましたように相当強いものがある。それについて御本人が何らかのクレームをつけたいという意思を持たれることは当然だろうと思います。しかし、それが一体いかなる方法でつけられるか。これは議院を相手にして損害賠償請求ができるのか、あるいは名誉棄損に対する何らかの謝罪広告の請求ができるのか、非常に疑問でございまして、そういう問題がございますから、未確定のときにやるということについては、私は非常に問題があるという気がいたします。

慶谷淑夫東京工業大学助教授

○慶谷参考人 いまの御質問は非常にむずかしい問題ですけれども、辞職勧告決議案がもし通りまして、辞職と申しますのは本人の自由意思によってやめられるわけですから、特に法律的な問題はそれ以外には余りないのじゃないかというふうに考えております。ただ、後で無罪の判決が出た場合において、それに基づいて辞職をされたという場合においては、ハウスの決議はきわめて無責任だったということが後で問題になるかもしれませんけれども、特別に法律問題はないというふうに考えております。

松永光自由民主党

○松永委員 時間が来たようですから、私はこの程度でとりあえずやめておきます。

内海英男自由民主党

○内海委員長 広瀬秀吉君。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬委員 林先生、慶谷先生、本日は御苦労さまでございます。  そこで、先ほど佐藤孝行君の辞職勧告に関する決議について両参考人の御意見を伺いました。私どもがいま問題にしておりますのは、法的な強制力を持つ資格争訟を問題にしているものでもございませんし、さらに、懲罰として除名決議をしようなどといたしておるものでは全くないわけであります。これは全く関係ないわけであります。  そこで、七月六日に私ども野党全部がそろいまして決議案を提出いたしましたゆえんのものは、これはすぐれて政治的な問題だと思うわけであります。その政治的というのも、政治的な駆け引きの問題などという次元の低い問題ではなくして、政治道義の確立、政治的倫理の確立、こういうようなものを特に実現をしていきたいということが私どもの本旨でありまして、そういうような点で、本来ならば少なくとも第一審判決であろうとも——私どもは、今日三審制度がとられておって、確定裁判は最高裁の判決を得なければ確定しないということも十分承知をいたしておりますが、そういう段階でも、議員に与えられた任務というものは国民の厳粛な負託にこたえるだけのりっぱなものでなければならない。  先ほど両先生からもお話がありましたように、議員にはきわめて高い身分保障が設けられておる。また、それにふさわしい待遇も受けている。種々の特権、たとえば不逮捕特権であるとか免責特権であるとか、それらの特権も得ている。そういうものである以上、逆に言えば、まさに国民こぞっての常識であろうと思うわけであります。法律問題、道義問題を言う以前に、すでに道義上一般の通常の人たちよりも高い責任感、倫理感が要求されてしかるべきだと思うのです。  そういうような立場からするならば、第一審判決であろうとも有罪の判決、しかも検察側が立証した部分がほとんど証拠として採用されて判決にうたわれているということであるならば、当然にみずからを決する。議会制民主政治の根本にさかのぼってみますと、やはりそういう倫理感を持った、政治的道義感を持った議員によって議会は構成されて初めて健全な運営も行われるのだ、こういう立場である以上、昔から李下に冠を正さずということすらあるくらいであります。これは政治倫理の一番奥の深いところを説いた言葉であろうと思いますが、そういうものとして私どもは本人が辞任すべきであるということについて実は期待しておったけれども、それをしないばかりか、テレビインタビューの席上などでは、泥棒にも三分の理ということがあるじゃないですかというような開き直りまで見せておられたわけであります。これはテレビインタビューを私が見ておって聞いたわけでありますが、そういう状況であります。  そういうこともございますし、翌日の新聞によりますと、これは読売新聞でありますが、雲隠れ佐藤代議士、こういうようなことで所在をくらましている。先ほど御質問をされた松永さんも、所在をくらますというのは一体どういうわけなんだろうかと疑問を投げかけられたなどという記事も新聞報道で出ておるわけであります。  そういうようなことでございますから、私どもは、そういう観点からこの問題を見ていただきたい。法律上強制力のあるものとして扱っていることではないし、そういう観点からわれわれが扱っている。そしてまた、国会は自浄作用、自律作用、自律の権能というものを持っていると思うのです。もちろん国政調査権というような権能もありますし、さらに自律的権能を持っている。そういう中には、こういう問題について議院が発議をして、議員倫理を正そう、政治倫理を正していこう、そういうものを出しておるわけでありますから、これが憲法の趣旨に反するとまではおっしゃいませんが、どうも憲法や法律の趣旨になかなかなじまないというか、そういう表現だったと思うのですが、趣旨にいささか沿わないのではないかと言われると、私どもそれには全く納得できない、こういう感じを持つわけですが、いかがでございますか。

林修三駒沢大学教授

○林参考人 いまおっしゃいましたとおり、辞職勧告決議でございますから、それは法的拘束力を持たないことは言うまでもないわけでございます。したがって、法的に言えば、勧告決議を受けられた佐藤議員は、辞職してもよし辞職しなくてもいいというようなことになるわけでございます。そこに一つ問題があるわけでございますが、一審判決といえども非常に重みがあるというのは確かに広瀬委員のおっしゃるとおりだと思います。それはしかし、御本人がそういうことについて政治的責任あるいは道義的責任を自覚されて、みずから態度を決められるというのはもちろん御自分の判断で、それは他から何ら言うべきことでもないわけです。それに対する世間の評価というものはおのずからあるだろうと思います。それからまた、どうしてもやめられないということについての世間的な評価ももちろんあるだろうと思います。これが果たして御本人にとって有利か不利かという問題も確かにあるだろうと思います。  しかし、そういうことはあるわけでございますが、院議をもって辞職を勧告するというところに問題があるわけでございます。院議をもって辞職を勧告するということは、それ自身は法的な拘束力はございませんけれども、しかしそれが持つ政治的、社会的あるいは事実上の強制力というものは相当強いものだろうと思います。相当強いものであるので、これが単に聞き流されるというような、それでもいいというような安易な——言葉は果たして適当かどうかわかりませんが、聞き流されてももともとだというようなお気持ちでまさかなさるわけじゃなかろうというような気がいたします。やはりそれが実行されることを強く期待されて院議で決められることだろうと思うのです。そういう意味を持たせるということについて、法的なものではなくても、議員の身分と非常に強いかかわりがあるのではないかということを私が申し上げたわけでございます。それだけの強い期待を持って行われるものであるだけに、それは仮に法的な拘束力がなくても、それとの見合いで議員の身分保障との見合いを考えるべきじゃないかということを申し上げたわけであります。  もう一つは、過去の事例において、これは時が違うとおっしゃられればそれまでのことでございますけれども、同じような収賄事件について、いままでは一遍も辞職勧告決議が出されたことはないわけでございます。有罪判決が確定した事案についても、それが出された例がないわけです。今後はそうじゃないのだとおっしゃるのか、そこらがちょっと私にはわかりません。これはそのときどきの政治的状況で取り扱いを区々にすべき問題ではないのではないかという気が私はいたします。先ほど申しましたように、議員の身分とも強くかかわりを持つものでございますから、やはりおやりになるなら一つの基準をはっきり立てておやりになるべきものだろうという気がするわけで、そこには慎重な配慮が必要じゃないかということを申したわけでございます。  もう一つは、これはあくまで未確定の判決で、将来どうなるかわかりません。わかりませんが、可能性としては無罪のことだってないとは言えない。一審と二審で正反対の判決が出た例は幾らでもあるわけでございまして、同じ事実ですから同じ判決が出そうなものでございますけれども、裁判所によって事実認定が違って、全く別な判決が出た例は幾らでもあります。ですから、二審でどうなるかということをいまから予測するわけにもいかない。二審で仮に無罪判決が出た、それも最高裁までいけばまた有罪になるかもわかりませんけれども、しかし一審で有罪判決が出たのですぐこういう措置をとろうとおっしゃるなら、二審で無罪判決が出たら、今度はすぐ何らかの措置をとらないと平仄が合わない。院としては、当然にそういうことを計算に入れておやりになる必要があるでしょうということを申し上げたわけでございます。  もう一つ、これは蛇足でございますが、佐藤議員の有罪判決を別に私は弁護するわけでも何でもございませんけれども、もちろん有期の懲役刑でございますが、執行猶予がついております。執行猶予がついておるのは、公職選挙法から申しますと、被選資格には、普通の犯罪だと一応影響がない、こういう問題もあるということ、これもつけ加えて申し上げておきたいと思います。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬委員 慶谷参考人には後からまた伺います。  いろいろ林参考人から見解を伺いましたが、いままでそういう例はなかったじゃないかという、私どももこれは全部調べてみました。一審で有罪判決を受けて後、二審以上で無罪になったり有罪になったり、いろいろな例はありますけれども、少なくとも一審判決も有罪、公選法違反もあったり、収賄の問題もあったり、いろいろな事例はありますが、そういうものについていままでやらなかったじゃないか、これはまことにそのとおりで、衆議院では今度が初めてなんであります。それには何か特別な理由があるのじゃないでしょうかという疑問を提起されました。それはもっともな疑問だと私どもも思っておるわけであります。  そこで、実は国会ではロッキード問題に関して、あの問題がアメリカの証券取引委員会なりチャーチ委員会なりというようなところから情報が入り、そこでの論議が国内に伝わって、これは当時、国の内外に向かって大変ショックな事件であった、こういう認識のもとに、第七十七国会において、特別に異例ともいうべき国会決議が行われております。そして、その一部分だけを読んでみましても、「国民感情に与えた影響は甚大であり、その真相の解明は徹底的かつ迅速になされなければならない。」云々ということで、「本院は、本問題に関するすべての疑惑を解明することが、真の日米友好にとっても重要である」というようなことで、そういう解明をしても日本の民主政治は耐えられるのだという意味の三木書簡が米大統領に行って、アメリカ側は、たとえば三木総理がかんでいるならば、三木総理の名前でもいいから公表してくれというまで三木さんはおっしゃられて、そういう書簡を出されて国会で解明に当たった、こういうような事実があります。そしてその間、与野党の対立で国会の審議が四十数日ストップするというような異常な状態になって、両院議長が各党党首と全部会談をして、そして議長裁定をこの問題について出されて事態をおさめて、その結果、ロッキード問題に関する調査特別委員会が設けられて、国会も国政調査権の発動として真相究明を行ったという、そういう背景というものがあり、当時の国民世論も、これは挙げて、この際、政治的道義的責任を明らかにしなければ、まさに日本の議会制民主政治の一つの危機でもあろう、こういうことが世論として沸き上がった、そういう趣旨も国会決議の中にも盛られておるわけであります。そして佐藤孝行君まで、本来ならば、もう少し国会にそういう特別委員会が存続したならば、彼も国会の中に呼ぶ、そして証人喚問をするというようなことまで当然あったわけでありますが、刑事事件に移行したという形で、国会の追及がしり切れトンボのようになって、灰色高官、そのうち橋本、佐藤両被告は裁判になったというような経過があるわけです。  こういうものであるだけに、やはりこの際、そういう形の中で刑事事件になった、そしてその裁判が進行中であろうとも、少なくともわれわれは起訴段階にすぐやるなんということはしなかったわけであります。そういう自制はちゃんとやっておる。そして、いままでの例でも十三件ばかり一審有罪であるものがありましたけれども、その場合にもこういうものを出してなかった、したがって衆議院には先例がない、参議院には三つばかりそういう決議案を出した例はありますけれども、そういう状況にあるわけであります。したがって、そういうことがやはりあるからこそ、この際、こういう決議はわれわれとしては国民の名において提出する理由があった、こういうように思うわけであります。  それで林参考人、実は私ここに六月八日の判決、六・八判決直後の翌日の各新聞社の論説、社説を全部持ってきているのですが、全紙がこぞって佐藤孝行議員は即時辞職すべきであるということを迫っております。そうして、そういう措置が彼自身としてとられないならば、国会が辞職勧告決議を出すのは当然であろうという全面的な支持をうたい上げておるわけです。  私どもは、やはり国会というのは、民主政治というのは、そういう——マスコミに操作されるとかなんとかという、そんなことじゃありません。やはりこういう論説、社説が出るということは、今日の民主主義社会において国民世論全体を代表している、こう見て差し支えない。そういう立場で、私どもは、いまこういうものを出してでも、本人がみずから辞職しない、かつて出して、少なくともいまの状況では、そういう意思表明をしていないのですから、その中で、こういうものでせめて、本当に恥を知る政治家としてみずから潔く辞任すべきことをいまでも認める、いまでも辞職されるならばわれわれはこの決議案を取り下げることだってできるわけであります。  そういう気持ちでいるわけでありますから、そういう国会での背景があったということと、全国民がそういう世論としてわれわれに求めた、民主政治は、やはりそういう世論の上に立って、そういうものを踏まえて正しくその民意を反映させるというのがわれわれの任務ではないだろうか、このように思うわけでありますが、そういう点でいかがでございますか。

林修三駒沢大学教授

○林参考人 余り法律的に私がお答えすべきような問題でないもので、余り適切なお答えはできないわけでございますが、ロッキード事件というのが特殊な雰囲気があったということは、私もそのとおりだろうと思います。  ただ、そうだからといって、その前のいろいろな事件も、私の記憶する限りでは、その当時においては、それぞれ非常な天下の大問題だったと思います。したがいまして、それとこれとをそう明確に区別できるかどうか、私は若干疑問を持ちます。そのときどきにおいては、やはり新聞なんかはどの問題も非常に大きく取り扱って、被告人となられた方でエキサイトになった方の政治的責任も追及しておったと私は記憶いたします。  そういう意味において、果たしてロッキード事件だけが、今後も通じて特殊な事件かどうかについては、私はやはりちょっと疑問を持つわけでございまして、これは刑法的に見れば皆収賄罪の事件でございます。  そこで、それについて取り扱いを院として特にされることが果たして適当かどうかについては、私は、先ほど申し上げたことを繰り返す以外にはございません。

慶谷淑夫東京工業大学助教授

○慶谷参考人 政治の倫理の点から申しますと、広瀬先生のおっしゃるとおりでございます。  ただ、この問題は、政治倫理の問題として取り上げることは当然だと思いますけれども、これをまた法律的に側面から考えますと、先ほど申しましたようにいろいろな制約がございまして、ちょっとそういう点が国民感情と法律の観点とそぐわないという点があるわけでございまして、そとがちょっと整合性がないというのが、広瀬先生も、どうも自分たちの考え方と法律的判断とそごがあるというふうにお考えだと思いますけれども、ここら辺は、法律の規定がある以上、日本も法治国でありますから、やむを得ないのではないかというふうに考えておるわけでございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬委員 それで、選挙によって選ばれてくる、これは非常に大事なことだと思うのです。これは憲法にもそういうように書いてありますし、そのことを通じていわゆる国民の厳粛なる負託を受けている、そういうものだと私ども、自分自身理解をし、また自己を戒めておるわけでありますが、もう一つ何か理由があるじゃなかろうか。林先生は、こういう決議を出して、これは社会的あるいは政治的な意味ではかなりの強制力にはなるであろうということもおっしゃいました。ある程度そういうものも効果として結果としてあるだろうということは、私どもも否定をいたしません。しかし事のつまりは、やはり本人の自発的な辞職意思表明というものを促す手だてになるという程度のものだと考えておるわけです。  そういうことなんですが、それで、実は昭和三十五年において、佐藤孝行君の場合には、これは個人の問題に触れて大変恐縮なんですが、公知の事実でありますからあえて申し上げますが、昭和三十五年十二月十五日に公職選挙法違反、特に買収容疑、それから不法な文書を大量に配ったというような容疑で逮捕をされて、一審判決有罪、二審判決有罪、第三審、最終裁判所である最高裁でも間もなく判決が出ようという直前にその上告を取り下げられた、そうして刑に服して、間もなく行われた明治百年記念の特別恩赦の閣議決定によって免訴の扱いを受けた、そういう扱いかどうか、専門家ではありませんからあれですが、いずれにしても、それで名誉回復はした、こういう、選挙の件についても一つの前科と申しましょうか、前科と言ったら言い過ぎかもしれません。恩赦になったわけですから言い過ぎかもしれませんけれども、しかし、こういう実績を持っておられる人であるということも私どもの腹の中にありました。これは提案趣旨説明の中にも申し上げませんでしたし、また、その理由書の中にも、提案の際にこのことをあえて挙げませんでした。しかし何かやはり、今度そういう決議案を出されたということでは、一般論としては先生のおっしゃることもわれわれにも理解はできるのですけれども、先ほど申し上げた点等、そういう問題もあったんだということについて、これはいかがでございましょうか、ちょっと簡単に……。

林修三駒沢大学教授

○林参考人 いままで佐藤議員に対するあの判決が出た後のマスコミの動きとか、こういうことはもう佐藤議員も十分御承知だろうと思うのでございます。それで、これは自発的に進退を決せられれば問題はなくなるわけでございますが、そういうことについて御本人がどうしたら自分のためとしてもいいか悪いかということは当然御判断になっていることだろうと思うのでございます。だから、本当はそれに任せるべきことではないかというような気がいたします。もしおやりにならなければ、やらないだけの不利は御本人がかぶっておられるわけだろうと思います。それをあえておやりにならないことは、御本人がそれだけ不利をかぶっておられることだろう、私は私なりにそう思います。  そういうことについて院議で決めること、これは院議で御決議になれば、それ自身が憲法違反とかなんとかいう問題はないことは、これは先ほど申したとおりでございますが、ただ、それを院議で決めることについては、事柄の性質上、いままでの先例とかあるいは未確定の問題であるということにおいて、しかも事実上の強い強制力を持っているということについて若干の疑問を持つ、そういうことでございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬委員 時間があれですが、最後にしますから、ちょっと……。  それで、先ほど、まだ第一審なんだから第二審で無罪になった場合には、その名誉回復を一体どうなされますか、この点が何とも方法がないじゃないですかというお話もございました。私は、やはりこういうような政治倫理の問題、議員としての倫理の問題、道義的責任の問題というようなものは、第一審判決の中においても、やはり本人がみずからを戒めて潔く辞職をされるということをやられることこそが名誉回復の最大の問題だろう、政治家というのはそういうものだろう、こういうように思うのですが、その点を両参考人に簡潔に伺いたいと思います。そういう私の考えというものは誤りでしょうか。

林修三駒沢大学教授

○林参考人 いまおっしゃいましたとおり、御本人が自発的に政治的責任をお考えになって辞職なされば、御本人が政治責任をとられたわけでございますから、それはまた社会的評価をある意味では受けることになるだろうとも思います。  ただ、問題は、先ほど申したのは、院議でこの辞職勧告を決議した場合に——ところがそれは第一審で有罪判決ということを前提としてやっておられるわけですね。とすると、それが無罪判決が二審で出た場合に一体どう措置するか、その問題は非常にむずかしい問題ではございませんでしょうかということを申し上げたわけでございます。

慶谷淑夫東京工業大学助教授

○慶谷参考人 私が申し上げたいのは、院議で決議した場合におきまして一番問題なのは、佐藤議員がそれに従われるかどうかの問題ですね。もし従わなかった場合どうするか、そこで従わなければ、決議をしましてもハウスの権威が失墜するおそれがあるわけでございます。そこをどういうふうにお考えになっているか、これは私たちよくわかりませんので、そういう点をお話ししたのであります。

内海英男自由民主党

○内海委員長 山田太郎君。

山田太郎公明党・国民会議

○山田(太)委員 公明党の山田太郎でございます。  両先生には、きょうはお忙しいところを大変に御苦労さまでございます。  そこで、まず申し上げておきたい前提がございます。そういいますのは、御承知のように、このたびは国会が大幅の暴挙延長の状況になっております。私どもといたしましては、ことに政治倫理確立を、またその実行を、全力を挙げてと言ってもいいほど延長国会にかけておるわけでございます。したがって、ただいま議題になっております佐藤孝行議員辞職勧告決議案あるいは証言法の改正あるいは証人喚問、これは関連しておりますが、これが実行されないということになるならば、やはり信託を受けた国民に対して、いわゆる負託にこたえるためにも、真の正常な政治を行っていくためにも、この際、政治倫理の確立が大事だろうと思っております。  そういう意味で、きょうは佐藤孝行議員辞職勧告決議案の議題のもとに両先生においでいただいたわけでございます。したがって、先ほど法的な立場から、資格争訟とかあるいは懲罰事犯とか、そういう点についての理論をお申し述べになった点も多々あったと存じておりますが、私どもは法的問題で言うているわけではございません。その点は、きょうは法律的見解をお伺いするのが目的で来ていただいたとは私は決して思ってないのでございます。先ほど同僚委員の広瀬さんから相当微に入る御質問もあったわけでございますが、大半においては、私どももその意図の御質問をやりたい内容が多々あったわけでございますが、重複を避けまして、その点にはできるだけ触れないでおきたいと思いますが、同じ質問をやるところであったということだけは申し上げておきたいと思います。  ただ申し上げたいのは、まず参考人にお伺いいたしますが、先ほどの林先生とそれから慶谷先生の御発言は少々ニュアンスが違いますが、大体において似た面も多かったと思います。  そこで、時間の制約の中で申し上げますが、この辞職勧告決議案が当委員会に上程されました日に、また提案理由の説明の日に、「自由民主党として意見を表明しておきたいと存じます。」ということで佐野委員から御発言がございました。この点は両先生も御存じの上だと思うのでございますが、ここにこういうりっぱな発言がございます。「清潔かつ公正な政治は、国民の信頼を得る原点であります。国政に携わるわれわれは、政治倫理の確立に努め、常に自戒の念を持って事に当たらなければならないことは申すまでもありません。いやしくも議員たる者は、いささかも国民の疑惑を招くようなことがあってはならないのであります。議員佐藤孝行君が去る六月八日、ロッキード事件全日空ルートの東京地裁において、受託収賄罪として有罪判決を受けるに至ったことは、この意味におきましてまことに遺憾であると申さねばなりません。」こう冒頭に政治倫理確立にとって非常に大事な言葉が述べてあるわけでございます。  この後がいけないのです。後に全く違うことを言いまして、国会議員はしっかり国会法や憲法に守られておるとか、あるいは選挙を二度やって洗礼を受けておるようなことを言うたり、これは後がいけないのです。前と後が全く滅裂な論旨になっておる。佐野委員を前にしてまことに恐縮でございますが、そういうふうなことでございますので、まずさっきお読み申し上げた点についての両先生の御感想をひとつお伺いいたします。法的な問題を聞いているのではないのです。

林修三駒沢大学教授

○林参考人 政治倫理の確立ということが必要であることはもう申すまでもございませんし、国会議員であられる方は、その身辺が清潔で、出処進退において国民の負託にこたえるようなことをなさるべきことは当然のことだろうと思います。したがいまして、さっきお読みになりました点につきましては、それ自身は、私はそのとおりだと思います。ただ、これは御質問にはございませんが、それと国会として決議をされることが必ずしも直接つながらない点があることだけ申し上げます。

慶谷淑夫東京工業大学助教授

○慶谷参考人 山田先生の読まれた前段の部分につきましては、まことに結構なことで異存もございません。国会議員というのは、先ほども申しましたように、法律によって非常に身分は保障されている。また、国民の負託にこたえて行動しなくちゃならぬという高度な政治的責任を負っておりますから、やはり国会議員というのは、出処進退は自分の意思に基づきまして自律的に律すべきじゃないかというふうに考えておる次第でございます。

山田太郎公明党・国民会議

○山田(太)委員 両先生からお答えいただいてまことに恐縮でございますが、国会議員というものは国民に対して重大な責任を持っておる、出処進退は適切でなければならないということはまことにお答えのとおりだと私も思っております。  そこで、御承知のように六・八判決と私どもは呼んでおりますが、このロッキード全日空ルートの判決では、これまでも有罪判決は相当数ありましたが、国会議員に対しての有罪判決はこのたびが初めてでございます。しかも、この延長国会の真っ最中に出てきた問題でございますし、先ほど広瀬委員から申し上げましたように、その前に、五十一年二月に、ちゃんとこの問題について国会で決議をしております。これも御承知だと思いますが、その四月には衆議院、参議院両院議長の名のもとに裁定が出ております。そして真相の究明あるいは調査というものががちっと出されておるのは御承知のことだと思います。そういう問題でありますがゆえに国会決議までやっておる。両院議長の裁定も出ておる。しかも、政治的道義的責任の調査、追及もきちっとそこに言われておるわけであります。したがって、参議院は二、三回あります。衆議院では初めてではございますが、そういう前提があればこそ、この佐藤孝行議員辞職勧告決議案の全野党の提出になっておることも御存じと思います。  私どもは、約十日間ばかり自発的な本人の辞職を待っておった。そうして十日間待ったけれども、全くふらちな発言といいますか、記者会見にいたしましても、あるいはテレビ会見等におきましても、みずから反省するところのない発言が多々あったということが、国民に対して議会政治不信の土壌をより一層大きくしつつあるこの現況において、国会としては、先ほどのお話もありましたが、自浄作用、みずからがみずからを清めていく、この作用がなければならぬ。そのために法的なこと、資格争訟があることも知っておりますし、懲罰事犯のことも知っております。また同時に、二審にあっては無罪になった過去もある。戦後だってたしか十七件あったと思いますが、その中で数件は無罪になった例もございます。三審まであることも知っております。知っておりながら、その法的見解をお聞きしたのではなくて、政治的道義的な政治倫理の確立のためにきょうは参考人の方々においでいただいたわけでございますから、その点をよくお考えいただいて、日本の議会政治の政治倫理確立の上に大切なきょうの委員会であることを御承知のことと思いますが、もう一遍申し上げておきたいと思います。  そこで、具体的な問題についてお伺いしていきますが、その前提であるということはどうかよろしくお願い申し上げたいと思います。  そこで、まず二点か三点お伺いいたします。  議院における懲罰事犯については懲罰規定がはっきりしておりますが、院外での違法的行為といいますか、その違法的行為を責任原因とする院内処分については、法的にははっきりしておりません。したがって、議員としての責任のとり方が必ずしも明確でないと思われますが、この点についてはひとつ両先生、簡単に御意見を承りたいと思います。  またもう一点、時間の関係でついでにお伺いしておきたいと思いますが、主権在民の議会制民主政治のもとで国民の信託を受けて国政の任に当たる政治家は、一般国民に倍する道義感と責任の重さが要求されるのは当然であると思います。にもかかわらず、現在の自民党多数の国会においては、ただいま議題となっております本案は、先ほどもお話があったかと思いますが、否決される可能性もあります。また、仮に成立いたしましても、先ほどのお話のように、本人が居座れば何ら法的な強制力がない関係から好ましくない事態も予想されております。また、有罪判決を受けながらいささかも恥じることなく居座りを続けようとする姿勢は、私自身本院に籍を置く者として看過しがたいのでありますが、この点、政治的道義的責任のとらせ方について、首をひねっておる人が前におりますが、制度上の完全性を期するためにも、また国民が納得する国会並びに政治とするためにも、御意見なり御提案なりというものがあったらお伺いいたしたいと思います。

林修三駒沢大学教授

○林参考人 ただいまの御質問は二点でございます。  一点は懲罰事犯で、院外の議員の行為について懲罰事犯の対象になるかというようなお話だと思いますけれども、御承知のとおりに憲法五十一条では、議員については、議院内の発言とか表決等については院外で責任は問われないということがございます。それから一方では、しかし院外の行為については、国会議員といえども免責特権とか治外法権はないわけでございます。院外の行為については、それが犯罪行為であれば当然犯罪事件になるわけであります。ただ、逮捕する場合には五十条の不逮捕特権の規定はございますけれども、これはあくまでも不逮捕特権だけであって免責特権ではございません。それで、この議院の中の懲罰問題は、いまのような院の内外を分けたこの問題に対応するものと私は一応了解しております。したがいまして、議院の中で議員を懲罰事犯として取り上げるということは、院内の行為あるいは院内の行為と密接に関連する行為、そういうもの以外は懲罰事犯の問題にはならないのではないか。院外の行為は、おのずから一般の刑事法なら刑事法あるいは民事法の適用ということではないか、私はそう了解いたしております。  それから第二の御質問でございますが、これは非常にむずかしい問題でございまして、たとえば御本人がどうしても自分の責任をとられないという場合に、政治的道義的責任を問うて御本人を辞職させる方法があるかとおっしゃれば、これはどうも法律的にはございませんですね。この決議が仮に院の決議になっても御本人は辞職されないかもわかりません。その場合には、どうにも法的には手の打ちようがないわけであります。それを何らか御本人に政治的責任をとらせる方法があるかという趣旨の御質問かと思いますが、これは結局、御本人がそれによって政治的ないろいろな不利益を負われることだと思います。そういうことをよく御判断になって御本人が処置される以外に、他から強制する方法はない。他から強制する方法は、憲法か国会法に決められている以外の法的なものは処分以外にはないわけでありますから、こういう問題については、御本人が自発的にみずからの進退を決せられる以外に方法はないと私は考えております。

山田太郎公明党・国民会議

○山田(太)委員 慶谷先生にはまた後からお伺いいたします。  そこで、欧米等においては、御承知のことと思いますが、アメリカなどはよく例が出ておりますが、一審有罪で辞職する例あるいはアメリカには除名になっておる例さえあると思いますが、日本語に訳すと政治倫理小委員会といいますか、まず委員会を設置して、そして構成あるいは綱領あるいは運営等々後から決めた、そういうふうな例さえありますが、アメリカにおいては日本よりもわりとそういう点はきちっとしているやに私は思っております。一審有罪で、二審、三審とありますけれども、ちゃんと辞職しております。ほとんどがそうです。そういう点について、国柄が違うと言えばそれまでかもしれませんが、議会制民主政治の先進国としてそういうものはきちっとしております。先ほどの質問と関連したことを申し上げているわけでございますので、慶谷先生、ひとつお答えをいただきたいと思います。

慶谷淑夫東京工業大学助教授

○慶谷参考人 この問題につきましては、山田先生のおっしゃるとおりでありまして、欧米の政治家と日本の政治家と責任のとり方といいますか、日本の場合は議会制民主主義が未成熟と申しますか、そういう点におきましては、少しまだ格差があるのではないかと考えておる次第でございます。  先ほどお話のありました懲罰事犯の点につきましては、院内の非行についてのみ懲罰事犯の対象になると私は考えております。ただ、院外の行為であっても、その行為が院内の秩序を乱したというような場合は、その限りにおいて懲罰事犯の対象になるかもしれないと考えております。  それから議員に責任をとらせる問題としては、結局現行法上は選挙しかないのではないか。国民がこの議員は悪いと思えば投票しないでしょうし、結局落選をすると思いますけれども、選挙によって国民の審判を受ける、それによって判断をしていくほかないのではないかというように考えております。

山田太郎公明党・国民会議

○山田(太)委員 もう時間がございませんので、もう一点お伺いしたいことがありましたが、きょうは割愛をさせていただきます。

内海英男自由民主党

○内海委員長 西田八郎君。

西田八郎民社党・国民連合

○西田委員 民社党の西田八郎でございます。  本日は、両先生御苦労さまでございます。林先生は大変時間がないようでありますから、簡潔にお伺いをいたしたいと思います。  ロッキード事件というのは国民が非常に注視した問題でありまして、特に政治家の倫理上の問題というものが強く求められた事件であったと思います。したがって、国会におきましては、先ほど広瀬、山田両委員からお話のありましたとおり特別決議をし、また特別委員会を設けて調査を進めてきたところでございます。  しかし、その後まだ事件の真相が十分に究明されないままに、二年前の国会から、この調査をする委員会は、政府・与党自民党の強い反対で、航空機輸入に関する調査特別委員会は設置されないままになってまいりました。その理由は、いま事件の真相が司直の究明するところであるから、その司直の究明を待って判断をしたいというのが理由でございました。  その司直の究明というのが六月八日、橋本被告並びにいま問題になっております佐藤被告の有罪判決ということになったわけであります。有罪が出るということは、本人の弁明がどうあろうと、司直の裁きというものは、たとえ第一審判決といえ、この事件に関して明らかに金銭の授受があったことを認められた上での判決であるというふうに考えますと、国民の信頼を取り戻して、本当に国民とともに歩む政治にするためには、政治家の倫理感をもっと高め、りっぱなものにしていかなければならぬと私どもは思うわけであります。したがいまして、私どもは佐藤議員のいわゆる良心にまちまして、みずから辞職されるのを十日間待たしていただきました。  ところが、どういうふうにおとりになったのか、佐藤議員は、先ほど広瀬委員の言われましたような状態で開き直っておられまして、おれは辞職する意思はないということを鮮明にされたわけであります。ということは、国民にとってみれば、何だ、裁判に守られて悪いことをしてもいいのかというような政治に対する不信感が一層高まってまいりました。  私は、裁判が上告制度がとられておるのは、裁きに誤りがあってはいけないからということで、それを補完する意味で二審、三審というものがあるのだろうと判断をいたします。しかし、少なくとも立法府に身を置いて、国民の輿望を担って政治に携わる政治家、特に現職国会議員が、そういう法律の定めであるから、いわゆるその保護のもとで、そして自分のやった行為に何ら反省を示さないということに対しては憤りを感ぜざるを得ないのであります。  したがいまして、先ほど両先生からは、法的根拠はないとおっしゃられた。そのとおりであります。この辞職勧告案は、仮に決議されたとしても、本人がやめないと言えばそれまででありましょう。しかし、すべての政治倫理を確立し、国民の信頼を得る政治を打ち立てていくためには、何といったって国会議員はその出処進退を明らかにするのが私は筋道であろうと思います。したがいまして、私どもはそういう意味から、法律の定めだからといって、そういうことに甘んじていいのかどうか。  国会議員が憲法上特別に高い身分を保障されておるのも、国会議員にそうしたモラルが要請されており、また国会議員がそういう道義的政治的責任を常に感じて行動しておるという前提に立っての保護であろう、身分保障であろうと私は思うのです。したがって、少なくとも国民のひんしゅくを買い、国民の皆さんの一体国会議員は何をしておるのだというような政治に対する不信を高める行為は、この際許すべきでないと思うのです。したがって私どもは、本人の自発的辞職を待ちましたけれども、辞職されないということを言明されましたので、ここで院議をもって勧告を申し上げよう、こういうことになった次第であります。  したがいまして、法律論的に問題がある、ないは別として、法の定めであるから、法の定めに基づいて、その保護のもとで何をしてもいいのかということではないと思うのです。そこが私は道義だと思うのです。それらの点について、あるいは法律論的に御説明をいただこうという参考人のお二人には多少私の質問は過酷な質問かもわかりませんが、ひとつ学者として、また一般の社会人として、それらの問題についてどうお考えになっておるかお聞かせいただいて、私の質問はこれで終わります。

林修三駒沢大学教授

○林参考人 なかなかむずかしい問題でございますが、議員の身分につきましては、法的な保護が非常に手厚いということは申しました。これはやはり国会審議に参画される議員の地位を保障しよう、その議員の身分が政治的に危うくされるようなことをなしにしようという趣旨で、歴史的に議員の身分は非常に手厚く保護されているのだと思います。したがって、法律的に申せば、議員の資格を失うべき事由に当たらない限りは、辞職しなくても、法的にはどうということにはならないわけですね。ただ、そとに政治的なあるいは倫理的な問題が加わるわけで、これはどうも私は、やはりあくまで御本人がいろいろ考えて決めらるべき問題だという気がしてならないわけです。  もう一つは、仮に院議によって辞職勧告という決議をされましても、これは先ほど来申しますとおりに、それ自身法的拘束力はございませんが、それだから、そういうことを前提としておやりになるという趣旨なのかどうか、そこいらは一つ問題だと思いますし、これがたとえば確定判決であったとすれば、私はやはりこの辞職勧告決議というのは、それだけの重みはあるだろうと思います。これは相手になっておられる議員についても、少なくとも確定判決ということについては、内心ではいろいろ異論はございましょうけれども、余りまともには異論は言えない。  しかし、まだ未確定であるだけに、日本の法律制度からいえば、控訴しあるいは上告する道はあるわけで、裁判が確定するまでは、刑事事件については無罪の推定を受けるという格言もあるような状況でございますから、御本人が、いや、私はまだ上訴して争っているのだから、私としてはいますぐ決める必要はないと言われることも、一つの理屈にはなるわけですね。しかし、どっちがいいかという政治的批判は、おのずから一般の人が批判し、それが次の選挙に影響することだろう、私はそういうふうに思います。

慶谷淑夫東京工業大学助教授

○慶谷参考人 先生のおっしゃるとおりでございまして、結局議員として身分保障されていますから、非常に強い政治的道義的責任を感じて行動するかというのは御本人の問題でして、どうも法律的に強制する道はなかなかございませんし、身分保障されているから、その保障の陰に隠れて悪いことをするといったって、現行法のもとではどうにもしようがないので、御本人の自覚にまつよりほかないというように考えております。

内海英男自由民主党

○内海委員長 東中光雄君。

東中光雄日本共産党

○東中委員 両先生、御苦労さまでございます。  御意見を承りますと、両先生とも、法律上強制的に資格なり身分なりを剥奪するという性質のものではない、法律的に辞職勧告決議案を出すこと、あるいは議決することは憲法上許されないというふうなことは言われていないわけであります。林先生は、適切かどうかという点について考えれば、いろいろこういう疑問がありますということを言われた。慶谷先生は、すぐれて政治的な問題であって、法律的な問題として論ずべきものではないが、法律的に見ればということで、法律的問題はないけれども、妥当であるかどうかという点について考えればということで、いろいろな意見を言われたわけであります。違法でないが妥当でない、違法でないが適切でないということを言われておるだけだと私は理解をしたわけであります。  そこでお伺いしたいのですけれども、妥当か適切かというのはハウス自身が決めるべきことではないかというふうに思うのが第一点であります。それで、本件については、いままで刑事事件がいろいろあったけれども、こういう辞職勧告決議を出されたことはないと言われておるわけでありますが、私たちがこの決議を出している趣旨は、刑事責任が追及されておるからということではないのであります。辞職勧告決議の理由をお読みいただいておると思うのですけれども、政治腐敗に対する国民の政治不信を一層増大させた、本院の権威を著しく傷つけたということが、今度は議員の政治責任、道義責任として辞職するに値するものだ、こういう観点でわれわれはやっておるわけであります。  このロッキード事件といいますのは、院の決議にもございますように、院の決議の重みというのは非常に重大だということを先ほど言われておるわけでありますが、昭和五十一年の二月二十三日の衆議院本会議決議によりますと、「ロッキード問題が、わが国の国民感情に与えた影響は甚大であり、その真相の解明は徹底的かつ迅速になされなければならない。」このために「疑惑を解明することが、真の日米友好にとっても重要であり、国民の要望にこたえる道であると確信する。」これが院の決議なんです。  この立場から見ますと、さらに捜査権を持っておる警察、検察庁が捜査をやり、確信を持ち、そして裁判所まで出し、裁判所で一審の判決が出た。そのことによって国民に与えておる政治不信への影響は甚大である。そういう立場から、われわれ院として、こういうことはあってはならないことなんだ、こういう不信を与えておることをなくしていくために、決議をすることが必要なんだ、私たちはそう考えておるわけであります。  これは資格剥奪の問題ではなく、除名の問題でも懲罰の問題でもなくて、政治責任、道義責任を国会議員として果たすゆえんは、辞職をすることが最もいいんだということを院として決議をして勧告をしようということであります。そうでなければ、このままでいいんだということを院自身が認めているようなことになってしまったのでは、自浄作用はどこへ行ったんだという国民の非難を受ける。こういう関係にあるので、われわれは真剣に考えて——何でも起こったからやっているというのじゃない。もし立場の違いがあるからということでこういうことをどんどんやり出したら、これは大変なことであります。そうじゃなくて、院の決議にあり、そして、かつてないようなこういう疑獄が起こり、これがいま現に問題になっておる、国民に不信を与えておる、これを除去しようということであります。  これについて、それが法律上あるいは憲法上、国会法上許されないというふうにお考えになるのか、妥当か適切かということでなくて、そういうことは許されないというふうにお考えになっているのかどうか、お二人の先生にお伺いしたい。

林修三駒沢大学教授

○林参考人 先ほども申し上げましたとおりに、あるいは可決か、否決か、どちらかわかりませんが、仮に決議が行われても、それが憲法に直接違反するとかなんとかということは、私は申しておりません。それは要するに法的な拘束力を持たないものですから、そういうことで言っておるわけでございます。  ただ、院の決議である以上は、単に言いっ放しという問題ではなかろう。やはり決議をされる場合には、それが政治的あるいは社会的に、事実上の相当な強制力があるべきだということを前提として行われるだろうと思うわけであります。そうである以上は、それがどういう場合に行われるべきかということが問題になるだろうということを申し上げたわけでございます。  それで、先ほど、これは一審判決とは直接関係がないということをおっしゃいましたけれども、今度の決議案が出たのは、やはり一審判決が出たからだと思うのです。一審判決で佐藤議員が有罪という判定があったことが前提となっておるのだろうと思います。そういうことを申しちゃどうかと思いますが、仮に無罪判決だったら、こういう決議案は出てこないのだろうと思います。したがいまして、一審判決が有罪判決であることを前提として出てきたものだろうと私は了解いたします。それが契機であったことは間違いない。とすると、この一審判決は、東中先生には釈迦に説法でございますが、これだけでは確定しておらない。また、御本人は上訴しておられる。とすれば、そういうことはやはり考慮に入れるべきじゃないか。  それから、いままで同じような刑事事件——事件が違うとおっしゃれば違うかもわかりませんが、刑法的には同じ種類の事件である。これらについていままで前例がなかった。これをどういう基準で今後おやりになるかをはっきりお決めになる必要があるだろうということを申し上げたわけでございます。

慶谷淑夫東京工業大学助教授

○慶谷参考人 おっしゃるように、今回の決議案が憲法とか法律に違反するという点はないと考えております。  結局、この問題につきましては、この決議案をたとえば採択した後におきましてどういう影響があるか、その後始末をどうするか、そういう問題につきましての不当、妥当の問題があると思いますけれども、諸先生は国民の利益のために活動されている方々ですから、そこのところは、大局に立ちまして妥当かどうかということは先生御自身で決めていただくよりほかないのではないかと考えております。

東中光雄日本共産党

○東中委員 私たちは刑事責任の追及をやっているのではないのです。一審判決があったというのは厳然たる事実なんです。そのことによって国民に与えておる大きな政治不信、これに対してどう政治的責任、道義的責任をとるかということを私たちは言っているのであって、先にどうなったって、一審の判決があったことによって、すでに与えておる政治不信というのは物すごいものなんです。そのことについての決議をわれわれは言うておるのだということが第一点です。  それから、もう一つ申し上げたいのは、刑事責任と、それから政治責任とか、要するに公務員、とりわけ国民から負託を受けて多くの特権を持っておる、身分の保障をされておる国会議員のとるべき道義責任というのは、別の問題として考えなければいけないのではないか。先ほど公明党の方からの質問もありましたけれども、アメリカで、たとえばニクソン大統領は、大統領を棒に振りましたけれども、結局刑事責任は何にも追及されておりません。それからアレン大統領補佐官、この間やめましたけれども、司法上はシロだという結論が出たけれども、道義的責任で辞職をしているわけです。それから最近、ハリソン・ウイリアムズ上院議員は、収賄で一審判決が出たということで、二審がどうだ、三審がどうだというようなことは言わないで、決議が出されそうになってやめた。慶谷先生は、先ほど欧米の方が進んでおるのだ、日本と格差があるのだとおっしゃったけれども、まさに道義責任、政治責任をただしていく、だから、そういう方向に向かっていま決議を出しておるのでありますから、そういう点についての先生の御意見を承って、質問を終わりたいと思います。

林修三駒沢大学教授

○林参考人 私は、先ほどここで、この決議がどうなるかは皆さん方の良識でお決めになることで、それ自身はわれわれのとやかく言うべきことではございません、ただ、参考意見を言うようにということで参考意見を申し上げておるわけでございまして、これを何らかの参考にしていただければ幸いだと思っているわけでございます。  ただ、私の意見を言わしていただければ、先ほど申したことに尽きるわけでございまして、アメリカあたりではそういうものの政治責任のとり方が非常に早急に行われているということは、それはあるのだろうと思います。しかし、これは自発的にとるというような社会的風潮もあるのではないかと思います。  それから、これも東中先生には釈迦に説法でございますが、アメリカは、刑事事件は、原則は陪審事件で、事実認定は大体一審で確定するわけでございまして、あとは法律問題でございます。したがいまして、一審で事実認定がされれば、後で事実認定がひっくり返るということはちょっと考えられないわけでございます。そういうこともあるのではないかと私は思っております。

慶谷淑夫東京工業大学助教授

○慶谷参考人 いまお話しの点につきましては、先生のおっしゃったとおりでございまして、やはり欧米と日本の場合とは、いろいろ政治家の行動様式も違いますし、あるいは国民の政治意識にも相当差があるのではないかというふうに思っておりますし、権利義務に対する考え方も基本的に違っておりますし、そういう点から、やはり日本の場合におきましては違った形におきましてあらわれてきているのではないかと考えております。

内海英男自由民主党

○内海委員長 田島衞君。

田島衞新自由クラブ・民主連合

○田島委員 参考人の方に御質問をするためにも、多少その前提を明らかにしておきたいと思います。  政治が国民の信頼を失ったらこれは重大問題でありますので、したがって政治倫理の問題が非常に重要だとわれわれとしては感ずるがゆえに、今回の決議に加わっておるわけであります。しかし、その加わるについても、私ども新自由クラブ・民主連合としては、本来、政治倫理の立場からすれば、御本人が一番の裁判決であろうと何であろうと、それだけの責任を感じてみずから善処されるべきだ、こういうことを非常に強い期待を持ってできるだけ期間を持ったわけでありますけれども、それが期待どおりいかなかったということで、他の野党と一緒に共同提案の一つの会派になったわけです。  そこで、いま今日でも、共同提案者になっただけに大変重大な関心を持っておることがあるわけであります。それは何かというと、この長い衆議院の先例の中に全然そういうような決議案がない、これについては大変重大な関心を持っておるわけであります。  そんな立場から、きょうお二人の参考人が見えられるということで、なぜ先例がなかったのかについてお伺いできればまことに勉強になるなと思っておったのですけれども、一審が有罪である、要するに二審になってどうなるかわからないということやら、法的拘束力、強制力がない、いろいろなことが言われたわけでありますけれども、それはそれなりに理解できます。  そとで端的にお伺いしますが、憲法の規定の中では、「國會は、國権の最高機関であって、國の唯一の立法機關である。」この立法機関である国会として取り上げる問題としての是非が論議され、考えられたがゆえに先例がないのですか。それから国会法百七条に、「各議院は、その議員の辞職を許可することができる。」とある。だけれども、その議員の辞職の勧告その他については、もちろん何らの規定はない。規定がないからやっていいというのか、規定がないからやっていけないということになるのかわかりませんけれども、国会法ではそれだけしか議員の資格に関するものは、選挙その他の問題を別にしてはない。それから衆議院規則の中には、二十八条の二と二十八条の三に、正副議長、それから常任委員長の不信任決議、さらには内閣の不信任決議についての規定はあるけれども、議員個人についての規定はない。こういうような憲法、国会法、衆議院規則等の中から、大変むずかしい問題としていままで先例がなかったのか、それ以外に理由があるのか、もしお教えをいただければお教えいただきたい。  それだけお伺いをいたします。

林修三駒沢大学教授

○林参考人 いままで先例がなかったことの本当のいきさつは、私はよく承知いたしません。私は長い間役人をしておりまして、ずっと横で国会のあれを見ておりましたけれども、どうも余りいままで問題にならなかったようなのでございますが、これは一つには、一審判決だけではまだ確定でないから問題として取り上げるのは必ずしも適当でないという御配慮があったのじゃないかという気がいたします。  それから院で決議されることは、これも的確にそうかどうかわかりませんけれども、先ほど私が申し上げましたとおりに、それ自身は事実上の強制力は非常にあるわけでございます。また、それを持たせなければ院として決議をするという意味がない。しかし、実際はやってもそれが空振りに終わる可能性もあるし、逆に言うと、それだけ事実上の強制力があるものなら、やはり議員の身分を奪うに足りるだけの十分な理由がなくちゃいけないのじゃないか、そういうような御配慮があったのじゃないかという気がいたします。  その議員の身分を奪うに足りる十分な理由というのは、一つは、刑事事件以外の問題ではございませんから、刑事事件でございますから、一審だけでは事実が確定していない。日本の裁判所では、法律問題だけではなくて事実問題も二審まで争いますから、いままでのほかの裁判例を見ましても、事実認定が一審と二審では全く逆になった例もあるわけでございまして、そういうことがやはり御配慮になられた一つの理由ではなかろうかと私なりに考えております。

慶谷淑夫東京工業大学助教授

○慶谷参考人 私は、いままで先例がなかったと申しますのは、今回のロッキード事件を機会としまして、政治倫理の確立ということにつきましての世論が高まってきた、国民の政治的な意識がそれだけ高揚したというところに根本的な理由があるのではないか、いままで国民の政治意識がそれほど高まってなかったということが先例のなかった一つの理由じゃないかというふうに考えております。

内海英男自由民主党

○内海委員長 これにて両参考人に対する質疑は終了いたしました。  両参考人には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。どうぞ御退席いただいて結構でございます。

内海英男自由民主党

○内海委員長 引き続き、政府に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、これを許します。広瀬秀吉君。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬委員 簡潔に御質問申し上げますが、東京地検は、六月八日の東京地裁の佐藤、橋本両被告の判決に対して、六月二十二日でございますか、「量刑不当を理由に東京高裁に控訴した。」これはいま新聞記事を引用しております。「両被告の受託収賄事件について、検察側が主張した犯罪事実はすべて判決で認定されたが、それにもかかわらず執行猶予を不満として控訴したのは、口事件における政治家の犯罪に対する検察側の厳しい姿勢を示すものである。」こういう記事がありまして、その控訴の趣旨として大体四つのことが報道されておるのです。  そのことをちょっとお伺いしたいのですが、控訴趣旨というか、常識的に控訴理由と言ってもいいと思うのですが、「1両被告は、公判で現金収受を真っ向から否定して、いささかの反省もない 2二人は判決後も代議士にとどまったり、再立候補の意向を示しており、再犯の恐れもある 3汚職で執行猶予が付いた過去の裁判例をみると、被告側が反省を示したり、職を退いたりする事例にほとんど限られており、二人のようなケースで執行猶予がついたことはない 4両被告は利権がらみで航空行政を全日空寄りに動かしており、判決が言うように「ことさら不当な職務行為ではない」と言い難い——などの結論に達し、」所定の控訴の手続をとられた、こういう報道がなされておるわけであります。  そこで前田刑事局長にお伺いするわけでありますが、これの起訴事実なりあるいは両名の罪状についてそれぞれ検察側の立証を行ったと思うのでありますけれども、橋本、佐藤両被告に対する六・八判決で、それらについて大部分は取り入れられた、裁判所の認定するところになった、このように理解するわけでありますが、こういう点は裁判所に理解してもらえなかった、あるいは採用してもらえなかったというような点があるかどうかということを伺いたい。  それから、余り長い時間がございませんので二つ目の質問をいたします。それとの関係もございましょうが、先ほど新聞記事を引用して、こういうものが検察の控訴の趣旨であるようだと申したのでありますが、検察側が控訴した理由についてお述べをいただければ一言お聞きしたい、このように思います。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 二点のお尋ねでございますが、まず第一点は、佐藤議員に対する判決におきまして検察側の主張がどの程度認められたか。逆に言えば認められなかった点があるか、こういう点でございます。内容は相当複雑でございますから、細かく申し上げるといろいろな点がございますけれども、一言で申しますと、少なくとも事実関係に関します限り大半といいますか、おおむねといいますか、その点は検察官側の主張が認められたというふうに御理解をいただいて差し支えないと思います。  それで、第二の御質問にも関係するわけでございますが、検察官側の主張が若干認められなかったというのはむしろいわば情状の面でございまして、それが検察側からも控訴をした理由にもつながるわけでございます。  いま広瀬委員から御指摘のように、検察側といたしましては控訴をいたしております。これは御案内と思いますが、控訴は控訴の申し立てをするということがまずございますが、その理由は後日、いわば控訴趣意書という形で理由を述べるということになっておりまして、いままで公式にといいますか、外に出ておりますものは、控訴を申し立てるという手続が済んだだけでありまして、控訴理由そのものはまだこれからの問題でございます。したがいまして、この段階で検察官が今後の控訴趣意書の中でどういうことを述べるかということを申し上げるのは、そういう状況でございますから必ずしも適当でないというふうに申し上げざるを得ないわけでございます。したがいまして、先ほど新聞報道で四点報道されているという御指摘を受けたわけでございますけれども、そういうことを具体的に述べるかどうかというのはむしろこれからの問題でございます。一言で申しますと、いま申しましたようにいわば情状の点で、つまり執行猶予が付された点で検察官としては若干異論があるといいますか、納得できない点がある、こういうことでございます。それをいわば理由として控訴を申し立てているというのが実情でございまして、高等裁判所の裁判で具体的にどういうことを申し立てるかということはこれからの問題でございます。

広瀬秀吉日本社会党

○広瀬委員 きょうの段階ではこの程度で結構でございます。  ありがとうございました。

内海英男自由民主党

○内海委員長 山田太郎君。

山田太郎公明党・国民会議

○山田(太)委員 一点だけお伺いしておきたいと思います。  といいますのは、前置きは簡単に申し上げますが、鈴木総理から、佐藤孝行議員の問題について、これは本人の自覚の問題であるとか、あるいは選挙の洗礼を受ければクリーンになるという意味の答弁があったやに聞いております。また、ある長官は、中曽根長官ですが、二審、三審でシロになる可能性がある、これは当然のことではございますが、こういうことを言うております。  そこでお聞きしたいのは、今回の判決は、国会議員佐藤孝行君としてのみでなく、元運輸政務次官として、当時の行政官としての行為についての判決と私は私なりに理解しておりますが、これは一般の国家公務員以上にみずから厳しく律しなければならない公務員の立場でありますがゆえに、この点については、このままで過ぎていくならば、綱紀粛正も空文になるおそれがあると私は思うわけでございます。  そこで、政務次官という立場から、官吏服務紀律といいますか、これは現在は罰則が消えておるようでございますが、私の考え違いかもしれませんが、これは大分古い法律がそのまま生きておるはずであります。そういう点について、これは政務次官の立場として違反になるのではないか、こう思うわけでございますが、いかがでございますか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 ただいま御指摘の官吏服務紀律という大分古い規則がございますが、そのことにつきましては私どもの所管でございませんで、お答えを間違ってもいけませんので、むしろお答えを差し控えたいわけでございますが、私の理解しておりますととろでは、いわゆる国家公務員法ができまして、一般の公務員については公務員法の適用がある。しかし、公務員法の適用がない特別職等につきましてはどういうことになるかという問題が前々からございまして、いまおっしゃいました服務紀律というものがその限度では適用があるのではないかという考え方があるようでございます。しかしながら、一〇〇%適用があるのか、あるいはその限度がどこまでかということについてはいろいろ考え方があるようでございまして、そういう点で、私もいま冒頭にお断りしましたように明確なお答えができないわけでございまして、むしろ総理府の人事局等にお尋ねをいただければ幸いだと思います。

山田太郎公明党・国民会議

○山田(太)委員 終わります。

内海英男自由民主党

○内海委員長 東中光雄君。

東中光雄日本共産党

○東中委員 ロッキード事件の特徴的な問題についてちょっと聞いておきたいのです。  五十一年の予算委員会、その後ロッキード特別委員会等の審議を経まして、その中で国会で言われたのは、金の流れがどうなるかということを追及するという答弁が当時の刑事局長から何回もなされておるわけです。現に起訴されて先般の六月八日の判決があったわけでありますが、田中角榮被告の収賄事件、いわゆる丸紅事件も含めまして、金の出所、贈る側の方は全部証拠がある。ところが受け取った側、要するに政治家の側ですが、佐藤孝行被告も含めて否認をしている。これは非常に珍しい事件じゃないかと私は思っておるわけであります。全面的に金を、しかも相当多額の金を贈ったと言い、ところが受けた方は受け取ってないという政治家側の全面否認というのは、いかにもこの事件が普通の贈収賄事件と違った異例な状態にあると私は思うのですが、検察庁として、そういう点について、一般の贈収賄事件と比較して顕著な一つの特徴じゃないかと思うのですが、どうお考えになっておるか。  そしてまた、検察官が量刑不当で控訴するというのも非常に希有のことだと思うのですけれども、その点も統計的にわかっておれば、検察官の控訴がどれくらいの率で、そして有罪判決があって、量刑不当で控訴するというようなことはどれくらいあるか、めったにないと思うのですが、その二点をお伺いしておきたいと思います。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 東中委員のお尋ねの金の流れの中で、出る方がはっきりしておるのに、入った方がはっきりしないというのは大変珍しい事件ではないかというような御指摘のように承ったわけでございますけれども、贈収賄事件とか、適当かどうかわりませんが選挙違反事件とか、いろいろ金が流れる種類の事件がございます。それがすべて解明されていればまたそれ自体珍しいわけでございまして、なかなか出入りがはっきりしないというのがよくあるわけでございます。したがいまして、すべてケース・バイ・ケースといえばケース・バイ・ケースでございますから何とも申し上げられませんけれども、他の場合がすべて解明されておって、この場合が解明できてないというふうにも申し上げられないのではないかと思うわけでございます。  第二点の量刑不当の控訴の問題でございますが、ただいま手元に数字等を持っておりません。しかし、こういう事件に限らずいろいろな事件、一般の刑事事件もございます。そういう場合に量刑不当の控訴ということは決して珍しいことではございません。

内海英男自由民主党

○内海委員長 それでは、本日はこの程度にとどめ、本案につきましては……

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 委員長にちょっとお尋ねしたいのですが、質疑はもうないわけですね。——そうしましたら、討論そして採決というのが、衆議院規則五十条の手続から言っても当然だと思うのですが、委員長のお考えはいかがですか。

内海英男自由民主党

○内海委員長 本日はこの程度にとどめ……(「答えがなければおかしい」と呼ぶ者あり)

瓦力自由民主党

○瓦委員 参考人に対します質疑は、松永委員から……(「松永君はいないじゃないか、けしからぬ」と呼ぶ者あり)なお、わが党といたしましては、参考人の御意見を本日は伺い、さらに決議についての問題につきまして後刻理事会を持って協議し質疑をいたしたいと思います。(「異議なし」「委員長に質問しているんだ」と呼び、その他発言する者あり)

内海英男自由民主党

○内海委員長 それではお答えしますけれども、先ほどの理事懇におきまして、参考人その他政府当局に対する質疑を終わった時点で、後刻理事会を開いて協議をすることになっておるはずでございます。  本日はこの程度にとどめ、本案につきましては、今後さらに協議してまいりたいと存じます。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時十八分散会

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