P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
96回国会衆議院1982/04/27

環境委員会 第9号

発言数
11
登壇者
3
会派数
2
開催日
1982/04/27

会議録

八田貞義自由民主党

○八田委員長 これより会議を開きます。  第九十四回国会、土井たか子君外二名提出の環境影響事前評価による開発事業の規制に関する法律案及び第九十四回国会、内閣提出の環境影響評価法案の両案を一括して議題といたします。  前回に引き続き、土井たか子君外二名提出の環境影響事前評価による開発事業の規制に関する法律案について質疑の申し出がありますので、これを許します。木間章君。

木間章日本社会党

○木間委員 いまほど議題になっております土井議員外二名提出、いわゆる社会党提出の環境影響事前評価による開発事業の規制に関する法律案について、その真意等について若干の質問をさせていただきたいと思うのです。  私は建設委員会に所属をしておりますが、いま再び開発の時代に入ろうとしておると理解をしておるわけです。それは、景気が思うようにいかない、何とかここで景気刺激策をと国民の皆さんも願っておりますし、また、政府におきましても鋭意努力中でありますが、私の所属しておる委員会におきましては、ぜひ公共事業の前倒し等で一つの突破口を開きたい、こういうことが話題になっておるところであります。先般の委員会でも、建設大臣等は、あるいは下半期の公共事業を前倒しにしてやってみたい、あるいはまた、そうなってまいりますと、下期には公共事業がなくなるわけでありますから、財政多端の折ではありますが、二兆円程度の建設公債を新たに発行していきたい等々が論議になっておるのであります。そうしてまいりますと、過去の経緯にもなるわけでありますが、住民の間には、不況脱出策というにしきの御旗を掲げてはいるものの、その開発が再び環境破壊を引き起こすのではないだろうかと大変いぶかる面も出てきておるところであります。  そこで、いま手を打たなければならないのは、いわゆる環境アセス対策を十分にしなければならない、そういった状況のもとに、土井議員以下の提案は全く時宜に合致をしておると思います。先般来からこの社会党案に対して各党の方から質疑等も行われておるのでありますが、私は、一読をいたしまして、さらにあらわれていない面、あるいはまたその手法について考えておいでになる面について四、五点質疑をさせていただきながら、この法律案の理解に少しでも役に立てば、こういう気持ちで幾つかいままでの関連、あるいはさらに深く質疑をさせていただきたいと思うのであります。  まず、アセスの事業を進める場合に最も必要なことは、その事業をだれがするのか、こういうことであろうと思います。現在の政府の考え方でありますと、志布志や本四橋の場合には、評価項目の設定も含めて事業者がやっております。言うまでもなく、事業者は開発をしたくてしたくてしようがない、こういう立場に立つわけでありますし、また、その評価項目、指針等につきましても予算が配置されておりますが、その予算もふんだんにあるわけではありません。そういった点からいきますと、もっとアセスをしっかりやってもらいたい、とは言いながらも、予算額におのずから枠の制限があるわけですから、そういった点では、住民の皆さんの納得のいくような調査もだんだんなおざりになるのではなかろうか、こう実は私は考えるわけであります。そこで、やはり第三者機関を設けてきっちりとやっていかなければならないと思いますが、この点について土井議員のお考えをただしておきたいと思います。

土井たか子日本社会党

○土井議員 いま木間委員が御質問になりました点は、私は、実は非常に重要なポイントだと思うのです。むしろ環境影響評価の手続以前の問題として、この点は、私たちとしてはひとつしっかり認識を持っていないと、環境影響評価それ自身の意義が失われると申し上げてもいいくらいに重要なポイントだと思うのです。  環境影響評価をする場合にだれが評価を行うかということがまず問題でありますが、いま木間委員のおっしゃったとおりに、現在のやり方からいたしますと、志布志湾の開発問題であるとか、さらに本四架橋の問題であるとか、また大分で大変な問題を起こしました例の八号地の埋め立ての問題であるとか等々のアセスメントは、評価の項目のセットも含めて、これはすべて事業者がやっているわけなんですね。そして、アセスの技術的な手法というものを持っているのは実は事業者ではございませんで、アセス会社でございます。アセス会社はいろいろコンピューターを駆使いたしまして、いろいろな、項目をコンピューターに入れて、コンピューターをはじいて、それに対する評価の結果というものを出していくわけですが、事業者がこのアセス会社にそのアセスを委託する。しかも、この場合問題になるのは、評価項目や指針は一切その関係住民の目から閉ざされた形でコンピューターが駆使される、こういうかっこうになるわけなのです。シンクタンクを持っている側のアセス会社等々の方々に少し私も当たってみますと、大体予算が多いほど詳しくやれるし、予算が少ないときはそれなりの問題だというふうな声も聞こえてきたりいたしますから、この点は、住民からすると、とんでもない話だと言わざるを得ないような問題です。  たとえば先日もこの場所で、外国の例はどうなっているであろうかというふうな御質問もいただいたわけですが、アメリカあたりでは、先年、このアセスのやり方について、これをレギュレーションに高める、その中で評価主体や責任を明確にするというような方法になってまいりました。日本でのこれまでの経験から考えていきますと、だれが評価を行うかということを非常に重要視しなければいけないわけなのですが、しかしそれに先立って、ひとつここで問題を私は申し上げたいと思うのです。これはあくまで指針になるわけでありますけれども、現在の政府からお出しになっておられる案を見ました場合には、「主務大臣が環境庁長官に協議して対象事業の種類ごとに主務省令で定める指針に従って」云々とその五条一項でなっておりますから、大体評価は、基本的には事業者が主務省令、すなわち開発関係省庁の省令に従って実施するというかっこうになるわけなんですね。そうすると、いままでのように、道路問題になってくると建設省、港湾関係になってくると運輸省というぐあいで、むしろ開発を至上命題にして、開発を実行せんがための指針しかここには出てこないであろうということがもう予測にかたくないのです。  現実の問題を見てみますと、いろいろな技術指針の中で、現に建設省のお決めになっているもの、運輸省のお決めになっているものがございますけれども、たとえば道路騒音なんかを例にとってみますと、現状では高速道路にしか当てはまらないような指針になりおおせてしまっております。また、いろいろな大気の問題にいたしましても、拡散に対する予測が欠如いたしておりますし、上空にどれほど汚染が及ぶかということに対しては、この測定方法がいまだに確立されておりません。こういう問題も含めまして、業者がアセスメントのコンピューターの予測に入れる技術指針のマニュアルというものを確立しておくことは、いろいろな手続を開始する以前の大事な大事な問題であろうと私は思うのです。開発関係官庁の省令によって賄われる問題では断じてないだろうと思うのです。したがいまして、適正な環境アセスメントを実施しようとするならば、環境庁はその責任を十分に果たしていただきたい、環境行政のあるべき姿を示していただきたい。そういう意味からいたしましても、先ほど申し上げましたように、私の考え方ではございますけれども、中公審の中にアセスの技術指針を検討する委員会を設けて、ここで技術指針を用意するということがまず非常に大事ではないかと私は思うのです。これは、現在のようにばらばらで業者任せでいつまでも続けてはならない問題だと思いますし、そのことを続ける限りは環境保全を期すことはできないであろうと考えます。  先日、私が専門家の方に当たってみましたら、専門家の方の中にも、実は今回の環境影響評価のいろいろな手続、制度の問題は、大事な部分から言うと二割程度だ、技術指針の問題に対してどういうふうに考えるかというところの重要度がむしろ八割である、こういうふうに言われる方もあることをここで申し上げたいと思うのです。社会党の案の中でも、調査計画についての承認からいろいろな手続は始まりますけれども、その手続に当たりましても、事業者がまず調査方法と調査期間などの計画の作成をするところから始まるわけでございます。したがいまして、環境影響事前評価のための技術指針をどう考えるかという具体的内容をはっきりさせておく。それは開発各省庁のてんでんばらばらの技術指針に任せるべき問題ではないということをここではっきり申し上げたいと思います。  そのことのためにも、いまおっしゃった第三者機関というのは大変大切な問題でありまして、第三者機関によるところのチェックがそれに対してなされなければならないという問題がございますから、まず、この技術指針をはっきりしたものとしてつくるということと、さらに、それに対してだれが評価を行うかという点で第三者機関によるチェックが大変大事になってくる、こういう相互関係にあるということをここで指摘しておきたいと思うわけでございます。

木間章日本社会党

○木間委員 土井議員のただいまの答弁に対して、心から賛意を表するものであります。  考えてみますと、私ども人類は自然の恵与と自然の活用によって今日の経済発展あるいは生活の充実をなし遂げてきたわけでありますが、地球は二つとないわけでありますから、開発その他にいたしましても、まず環境アセスを事前にしっかりとやっていかなければならないわけであります。ぜひそういった意味での徹底をお願い申し上げたいと思うのです。  続きまして、評価対象の事業項目についてお尋ねをしたいと思いますが、私も時たま日本列島を上空から眺める機会を持っております。鋭い刃物で切り裂いたように山野が荒らされておりますし、また、白砂青松のあのきれいな浜辺ではあったのでありますが、昨今の企業進出等によりましては、四角い埋立地がつくられたり、どんどん汚染の状況が手にとるように見受けられるわけであります。そこで、政府案では評価事業項目についてはかなり限定をしておられるようでありますが、一方、社会党案においてはかなり広範囲にその対象事業が広められております。私は、先ほどの土井議員の御答弁から考えましても、そのような開発行為全体についてやっていくのが至当だろう、このように考えておりますが、改めて土井議員のお考えをお尋ねしたいと思います。

土井たか子日本社会党

○土井議員 いまのお尋ねは対象事業についてのお尋ねであったわけでありますけれども、対象事業というのはやはり全事業を取り込むということを考えていかなければならないと思うのです。フランスあたりのアセス法でも、この対象事業のあり方については、できる限り広く全事業を取り込むということになっているわけです。ただし、環境に及ぼす影響が小さいというふうに認められる場合については限定的に除外するということになっているのですが、工場、事業場の立地の場合にアセスをどうするか、これは言うまでもないわけですけれども、それから進んで最近の日照権のあり方の問題とか、目に見えない音波で受けるいろいろな障害の問題とか、もう一つ進んで環境保全という立場からすると、よい環境のもとで生活を営むということを考える、そこまで範囲を非常に広げて私たちは考える必要があると思っているわけです。法案の中では、項目からいうと大変多い項目でございますけれども、二十八項目に及ぶ項目順位で書いてございます。しかし、それにこだわらないで、さらに環境保全委員会がこの対象とすべきであるという中身についても、これは対象とするという手続上の用意が法案の中にはございますから、範囲を限定しないで、できる限り広く考えていかなければならないというふうに思っております。  一方、政府案からいたしますと、この範囲については非常に狭く限定的にこれを解するということがもう具体化されておりまして、たとえば原子力発電所の問題などは、先日来安全性の問題が取り上げられまして、当国会でも科学技術委員会等々で大変に論議を呼んだ問題でございますけれども、その原子力発電所の建設を含め、電気事業法で言うところの発電所の建設が対象から除外されているというのは、これは全く何のためのアセスメントをやるのであるかと言うことができるくらいに欠落している問題であるというふうに私どもは言わなければならないと思っております。

木間章日本社会党

○木間委員 次に、住民参加の意義についてもう少し深く掘り下げて議論をしてみたいと思うのです。  政府案は、住民参加につきましては住民関与という表現になっておるのでありますから、私は、この住民参加の問題はきわめて重要であろうと思うわけです。いままでの中公審の経緯を見ておっても大変不思議に思うわけですが、たとえば説明会とか公聴会とか、そういったものが出たり入ったりしておるわけです。なぜこのように申し上げるかといいますと、住民の範囲を狭く限定しておるのではいけない。だから、環境庁は従来住民の参加は情報の提供者としてしか位置づけていなかったのではないだろうか。そういった点では、社会党案はもっと広く、調査をいたします場合でも第三者機関できっちりやるとか、あるいはまたその開発手法の手続中にも、中間的にも住民の側から意見を徴する機会を与える、あるいはまたそれが自然破壊につながる、環境保全という立場に立てばその事業を中止することもやぶさかでない、このように盛り込まれておると私は思いますが、この住民参加の意義などについて、改めてお尋ねをしたいと思うのです。

土井たか子日本社会党

○土井議員 この住民参加の問題というのが、実はこのアセスメントの手続の上では一番の眼目だろうと私は思っております。先日来そのことについてもお答えを続けてきたわけでございますが、ただいま提出をされております政府案から考えてまいりますと、参加が実質的に可能となることのためには、早い段階からまず住民に対して計画が公表されるということが何よりも必要なんですね。ところが、政府案の中ではそのことがどうも配慮の外になっているようです。環境影響評価の準備書ができて初めて住民は事業計画とその環境影響を知らされるということになるわけですから、これではどうも余りにも遅過ぎる、すでに事遅過ぎるということを言わざるを得ません。  考えてみますと、私どものこの法案の中ではどういう考え方でこの住民参加の問題に臨んできたかと申しますと、まず、いろいろな計画に対しての手続の順序がございますけれども、事業実施の前段、許認可の前段で、許認可を与えるかどうかの資料として評価書が出されるということになると事業の実施アセスとなるわけであって、若干の修正がその段階であっても許可されてしまうということに対して危惧の念を持ったわけです。従来から行われてまいりました環境アセスメントという事柄の実態は、たとえば住民の方々にも説明をいたしておりますとか、住民の方々にも事情に対して公告をいたしましたとかいうことが言われてまいりましたけれども、どうもその時期が許認可を与えるかどうかということの資料としてだけの問題として評価書が出される、その段階で住民が初めて事実を知ることができるというふうなかっこうになっているわけでありまして、そういうことを是正しなければ住民が参加をしたということにはならないということを法案の中ではっきりすべきだと認識をしたのです。事前の計画段階から種々の情報を収集する、そうして住民の意見を聞く、科学的に環境影響評価を行って計画自身を修正していくというところにアセスメント制度の命があるというふうに考えたのです。そうして、その結果その事業を実施するかいなかも含めて代替案がそこで考えられてよい、これをこの法案の中で生かしたわけであります。  いま、いろいろな実態をこの面に即して申し上げますと、たとえば道路建設を前提とした場合、代替案がもし出たといたしましょう。代替案の中身は、道路建設がすでに予定をされております場所よりもわずかばかり場所をずらしまして、海にずらして海上輸送に持っていくとか、また、山の側にずらしてトンネル方式にするとかいうことが討議をされる対象になる例がよくございます。そういう場合は、大抵の場合、費用がかかるからだめであるとか、能率を非常に欠くからこれは採用できないとかいうふうなことで、結局没になる場合が多いわけでありますね。つまり、いろいろこういう代替案を持っていざその許認可の前夜に討議をいたしましても、物流であるとか輸送路を建設しなければならないというまず前提があって、そして、その後はルートをいずれに決めるかという問題だけが討議の対象になるというかっこうになるわけです。そうすると、そこで問題になってきているのは、いま申し上げたとおりルートをどのように考えていくかだけの問題に終始するというかっこうになり、終わってしまうということですので、本来あるべきアセスの姿というのは、それ以前の何ゆえに道路であるとか物流体系であるとか、そういうものがこの場所でこういうふうに必要なのかというふうなことを、アセスの中での論議の対象として、事業実施段階でのアセスではなく、事業計画段階から実施段階までの節目節目でアセスをやり、修正をし、計画を固めていく、そうして実施アセスをやる。その実施アセスの結果、事業を実施するかあるいはやめるか、さらに実施しても最終的にはさらにまたチェックをする、そういう段階アセスを要求されているのではないかというふうに考えます。そういう意味で、最低限のものというと、計画アセスがまずあって、それからさらに実施アセスをして、事後的なアセスがさらに必要である、そういうアセスをわれわれは法案の中に盛り込みまして、大きな意味で言うと三段階アセスを条件として設定したいわれがそこにあるわけでございます。

木間章日本社会党

○木間委員 いま一点お尋ねをしておきたいと思います。つまり、住民参加の意義はわかったわけですが、今度は自治体の役割りと申しましょうか、条例の独自性についても、この機会にお尋ねをしておきたいと思うのです。  この自然保護問題を振り返ってみますと、昭和三十年代後半から四十年代前半にかけて、いわゆる高度経済成長政策下で企業活動が頻繁に展開されたわけでありますが、一方、生活への影響あるいは人体そのものへの影響もこれまた頻発をしてまいりました。私の地域でも、たとえばイタイイタイ病なども大きな問題になりましたし、また、水俣病もしかりであります。住民の目は、その時期には環境問題即公害問題としての対策がどんどん求められてまいりました。この行政の手続といたしましては、四十年代中ごろから後半にかけまして、いわゆる住民の直接請求等によって、まず一番身近な市町村で公害防止条例の制定化が進んだわけであります。やがては国会にもその手法が求められまして、いわゆる公害国会が開催をされました。そして、公害基本法を初め十三、四にわたる法律の新たなる制定や、あるいは必要性から改正等がなされてきたわけです。  公害防止についての運動がどんどん発展をいたしまして、振り返ってみますと自然破壊が進んでおることに気づいた住民は、今度は環境保全にウエートを置いてきたのも、これまた当然であろうと思います。したがいまして、いま国の方でも公害基本法を初め個別に幾つかの法律が設けられておりますが、地方の条例と比較いたしますと、必ずしも国の法律は的確にとらえていない面がある、私はこう指摘せざるを得ないのであります。したがいまして、土井議員の提案されております社会党案の自治体の役割りあるいは条例の独自性について、たとえば政府案と比較いたしますと、政府案の場合は事業対象は七公害に限られておる、横出しは認めていない、こういうことが言えるだろうと思いますし、また、その中身についても上乗せを認めていないようにも見受けられるわけであります。このような地方から考えられてきた住民要求等々からいいますと、当然条例の独自性があってしかるべきだろう、私はこう考えながら社会党案を一読いたしますと、時宜にかなった中身になっておる、こう評価を申し上げたいのでありますが、この機会に土井議員のお考えをお尋ねしておきたいと思います。

土井たか子日本社会党

○土井議員 この問題点も実は先日御質問をいただいた点なのですが、いま木間委員がおっしゃいました政府案は横出しを認めていないというのは、実は条文を見ますと、一応いわゆる横出し条例は認めているかっこうにはなっているのです。これは、法案の中身を見ますと、四十二条のところで「この法律の規定は、事業者が行う対象事業以外の土地の形状の変更又は工作物の新設若しくは増改築の事業について、地方公共団体が条例で環境影響評価に係る必要な規定を定めることを妨げるものではない。」こうございますから、したがいまして、一応は横出し条例を認めているということになるわけなのですが、しかし、このようにわざわざ横出しを認めたというのは、逆説的に言うと上乗せを禁止するためというふうに解されるとも私は思っているわけです。  自治体が上乗せを認められるか否かというのは、実は憲法の地方自治の本旨、これは憲法九十二条で定めているところでございますが、さらに九十二条と九十四条の条文から考えられる点でございまして、地方自治の本旨に基づかない一片の法律によって左右されるものでは全くないと私は思っております。したがいまして、法律によって憲法を変改するということは許されない、憲法から考えて法律のあり方というものを考えていくのが法体系からすると当然のことでございまして、いま環境影響評価法という法によって憲法の定める地方自治の本旨をひっくり返すというのはもってのほかだという考えを私自身は持っております。したがいまして、今回の政府案について申し上げますならば、対象事業の範囲は具体的には政令によって定まるということにさらになるわけですから、それは法案の四十二条のような定め方をいたしておりまして、一応横出しが認められるような自治体の条例制定権ではございますけれども、しかし、この上乗せについて言っても、さらには対象事業の範囲について言っても、これは政令によって定めることになるわけであって、政令によって制限されるということは自治権に対する不当な侵害と言わざるを得ないわけであります。法律によってこの問題を規定することは許されない、ましてや政令によってこのことに対して制限するということになってまいりますと、これはもう不当な侵害と言わずして何と言おうかという問題であることを、私ははっきり申し上げておきたいと思うわけであります。  さらに、これは自治体との関係から、一言、先ほどの住民参加の問題にも関係をいたしますので、少し申し上げておきたいと思います。  関係都道府県知事が「意見を述べようとする場合において、特に必要があると認めるときは、関係住民の意見を聴くための公聴会を開催することができる。」と政府案は十二条の三項で定めております。この公聴会というのは、まさしく先ほど木間委員のおっしゃったとおり、住民が情報の提供者としてしか位置づけられておらないということの中身だと私たちは理解をいたしておりますけれども、実際問題、ここに言うところの公聴会を開くか開かないか、さらに関係住民ということの範囲をどう考えるかということを、自治体が条例で法律が予期しているより以上に考えたといたしましょう。たとえばこの住民の範囲というものを、学識経験者をこれに参加できるように考えるとか、また、テクノクラートをここに参加できるように考える、これは至って当然なことだと私は思うのです。何と申しても相手方は大変なテクノクラートでございますし、数値を十分に駆使して、素人の住民からするとわかりづらい、理解できないような問題を住民に対していろいろと展開する場面がそこに出てまいりますから、やはり住民側も、学識経験者であるとかテクノクラートが一種の代理人としてその場所に臨んで住民の立場を十分に相手方に対して披瀝をする、住民の立場が理解できるようにそこで討議の場に臨むということが大切だと思います。住民はやはり生活感覚でその場所に臨みます。相手は数値といろいろな問題に対しての科学的知見を持って臨みます。論理はかみ合いません。したがいまして、スムーズにこの公聴会が実りあるものとして行えることのためには、この住民参加の住民をどのように考えるかというのは、自治体にとっては大変頭の痛い、しかし大事な問題であることは周知の事実でございます。  そういうことを考えてまいりますと、自治体によりましては住民参加の問題に対して重点を置いて、どのようにこの点を考えるかということをすでに一連の条例でもって考えている場所があることも木間委員は御承知のとおりでございます。ところが、これに対しましても、恐らくは環境庁からいたしますと、行政指導によって、法律の趣旨から考えると認めることができないということを行うに違いないと思われる節がございます。それは、政府案の三十八条の条文を見ますと、「当該地域の環境に影響を及ぼす土地の形状の変更又は工作物の新設若しくは増改築の事業について環境影響評価に関し必要な施策を講ずる場合においては、この法律の趣旨を尊重して行うものとする。」とございますから、自治体のアセスメント条例の内容を法律並みにしようとする環境庁のただいまの案の中身からいたしますと、「趣旨を尊重」という規定が実はいろいろな形で事実上強力な行政指導という形で出てまいりまして、自治体に対して迫っていくということが十分に考えられます。  この意味におきましても、条例の制定をまず抑えて憲法の趣旨に反したような取り扱いを進めていると同時に、さらに追い打ちをかけるような形で行政指導の点で自治体の自主性を抑えていくという方策も考えられているという向きを私は政府案に見るわけでありまして、この点は、どうしても自治の尊重であるとか住民の立場というものを考えれば考えるほど認めるわけにはいかない中身であるということを申し上げたいと思います。

木間章日本社会党

○木間委員 以上で私のただしたいことを終わったわけでありますが、先ほど来申し上げておりますとおり、いままでの開発は経済効果の追求のみに走っていた嫌いがある。その一つの例には、湖沼法を何とか早く制定をしてもらいたい、あるいは琵琶湖総合開発法の一部改正のときにも私は建設委員会で申し上げたのでありますが、やはり自然はかけがえのないただ一つのものだ、私どもの財産なんだ、人類の財産なんだ、こういう考え方に立っていかなきゃならないわけです。しかし、湖沼法等に見られるように通産の了解が得られない、商工委員会でも大変議論になるところでありますが、政府の腰がいま一つすっきりしないわけであります。  なお、残余の問題につきましては、これから政府案の論議に入るわけでありますから、その対比の中でさらに深く掘り下げて意見交換をしながら、少しでも住民の立場に立つようなりっぱな法案を仕立てていきたいと思っておるわけであります。いろいろ御教示ありがとうございました。  以上で終わります。

八田貞義自由民主党

○八田委員長 次回は、来る五月十四日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時十二分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗