環境委員会 第8号
- 発言数
- 92 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1982/04/23
会議録
○八田委員長 これより会議を開きます。 第九十四回国会、土井たか子君外二名提出の環境影響事前評価による開発事業の規制に関する法律案及び第九十四回国会、内閣提出の環境影響評価法案の両案を一括して議題といたします。 この際、お諮りいたします。 両案につきましては、第九十五回国会におきましてすでに趣旨説明を聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○八田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 環境影響事前評価による開発事業の規制に関する法律案 環境影響評価法案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○八田委員長 これより質疑に入ります。 なお、本日は土井たか子君外二名提出の環境影響事前評価による開発事業の規制に関する法律案について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。畑英次郎君。
○畑委員 アセス法案に対しましては、従来からいろいろ論議を呼び、なおまたその早急な立法の必要性が叫ばれながら、残念ながら政府部内の問題点の調整等々いささか時間がかかり過ぎたというように私どもは思っておるわけでありますが、そういう中にございまして、社会党におかれましては従来から御熱心なお取り組みをされまして、今回、いわゆる一つの社会党案というものを提案されたわけでございまして、従来のお取り組みの御熱意、そしてまた本問題に対する真摯なお取り組みに、まず深く敬意を表する次第でございます。 そういうような認識を私も持たせていただいておるわけでございますが、正直申し上げまして、今回の社会党案の全体の内容を拝見させていただきました場合におきましては、私は実は郷里の小さな市の市長を三期やらせていただいたわけでございますけれども、この内容、手続によりましては、いわゆる開発事業といいますものは、極端な言い方をしますとほとんど不可能になるのではなかろうかというような気持ちさえするわけでございまして、開発即悪であるというような前提に立てばそういうことになるかもしれませんけれども、実際問題として、現場の第一線におりました感覚、私なりの経験、そういうものを通して考えました場合には、非常に問題点が多過ぎるというように感ぜざるを得ないわけでございます。 そこで、第一点としてお伺いしたいわけでございますが、ただいま申し上げますような意味合いにおきまして、政府案におきましてはその「目的」の中に「適切かつ円滑に」云々というようなものが含まれておるわけでございまして、さような意味合いにおきまして、私は、この社会党案におかれましては、先ほど申し上げましたように、時間的に予測のしがたい、かなり長時間この委員会等における審議がかかるのではなかろうかというように心配をいたすわけでございますが、政府案の「適切かつ円滑」、この「円滑」という点につきまして、社会党のお立場におきましてはどのような御見解をお持ちになっていらっしゃるか、まず、この点をお伺いしたいと思うわけでございます。
○土井議員 ただいま社会党案の作成に当たりまして種々私どもが努力をいたしてまいりましたことに対します評価をいただきまして、この評価に対しましてまず感謝を申し上げたいと思います。 さて、政府案の方と申しますか、これは自民党案ということで出ているわけじゃございませんから、政府案と言わなきゃならないと私どもは認識をいたしておりますけれども、その中で「円滑」とおっしゃる中身については、なるほど種々なるべくスムーズにいろいろなアセスメントの作業が行われるように、そして開発事業がスムーズに実効性を上げるようにというふうな方向での御配慮があるやに私たちも見聞をいたしております。しかしながら、幾らスムーズにいろいろと事をお進めになろうといたしましても、過去のいろいろな実態を見てまいりますと、開発事業においていままで日本の山野が荒らされて、そしてそのことによって、諸外国に比べまして大気であるとか水であるとか国土であるという環境上の制約の中で、しかも汚染因子を発生しやすい産業が高い比率を占める経済構造の中で、無秩序に高度経済成長政策の遂行を急いだという過去の事実もございます。そこで、その中で御案内のとおりに環境に対する汚染、破壊というのはほかに類を見ないほど深刻になってまいった事実もございます。世界各国をして日本は公害の実験国であるとまで言わせ、私たちといたしましてはこのまま放置しておいてよい状況とはもはや言うことはできません。 そういうことを考えてまいりますと、現状のまま推移するならば国民の存亡の危機を招くということにもなるのではないか。日本の環境の汚染、破壊の状況をそのまま全地球に押し及ぼすならば地球は破滅するということまでも考えなければならないのではないか、そういう現実の問題に立脚してこの法案に対して取り組みを進めたわけでございます。 したがいまして、その中で大事に思うべきは、やはり自治体の自主的なあり方というのも大切でございます。憲法で保障されております自治の本旨に基づいて自治体に対しての自主性というものを損なわないように、このことを大切に考えながら、しかしなおかつ最も大事に考えるべきは住民の立場であり、住民の生活であり、住民の意見でございます。この住民の意見をどのように具体的に吸い上げるか、具体的に反映していくか、このことに対する手続を十二分になしていくことが今回のこの法案にとっては非常に大切な眼目だと考えておりますから、そういうことからすると、いま御指摘のとおり、私どもはスムーズに事を運ぶということも大切かもしれませんけれども、それよりも過ちのないように、禍根を残さないように、一たん失われてしまった環境、また取り返しのつかない汚染というものは、幾ら後で金額で補償しようといたしましてもあがない切れるものではございません。このことを考えまして、私どもは今回の法案にかかったわけでございます。 ついでながら、さらに申し上げておきますが、先ほど開発行為はすべて悪であるという立場に立っているのではないかという御発言もございましたけれども、私どもは決して開発事業すべてが悪であるという認識でこのことに処したことではないことを一言付言いたしまして、お答えにいたします。
○畑委員 大変情熱を込めたお答えをいただきまして恐縮に思うわけでございますが、私は、いまさような意味合いでそのお気持ちはそれなりに理解をできるわけでございますが、現実問題として開発行為は今後ほとんど進めることができないような実態になる、そういうことを先ほども私は申し上げたわけでございます。 たとえば公聴会、この社会党さんの案の中におかれましては、調査計画の段階におきまして二万人当たり一回以上、あるいは認可の申請の段階におきましては二万人当たり二回以上、そしてまた当初の説明会の段階におきましても一回以上というようなことがうたわれておるわけでございます。そうしますと、たとえば人口五十万程度の私どもの選挙区の大分市、そういったような中小都市におきましても、こういった事業を行おうとする場合には公聴会が三回以上、そしてまた二万人当たり一回ということになりますと七十五回というような形になろうかというように私は考えます。そういたしまして、その公聴会には必ずいわゆる審査会のメンバーの方々二十名以上でございましたか、出席をしなければならない。そういうことになりますと、現実問題、たとえば七十五回という公聴会をどの程度の期間にこなし得るんであろうかということにいささか大きな疑問を持つわけでございまして、さような意味合いにおきます実際のこの手続の処理期間といいますものが予測ができないんではなかろうかというように私は考えます。いわゆる政府案におきましては手続ごとに一つの期間を定めておりまして、私は、さような意味合いにおきましてはやはり一つの手続ごとにそれなりの一つの期間が設定し得る、そういうような内容でなくてはならぬというように考えるわけでございます。 原長官におかれましては、このいわゆる社会党案のただいま御指摘申し上げました点についての御感想といいますか、あるいはそれなりの一つの手続ごとに期間を決める必要性、この辺につきまして御見解を伺いたいと思うわけでございます。
○原国務大臣 環境影響評価は、やはりその環境の破壊を防ぐ、あるいはまた汚染を未然に防止するという重要な手続を決めておるわけでございますので、十分慎重に行われなければならないということは言うまでもないと思います。ただしかし、やはり一定の期間の中におきまして十分に慎重にやるということでなければ、これは何年たつか何十年たつかわからないということになりますので、やはり私は、法律としてこういう手続を決める以上は、そういう期間というものを設けることは必要ではないかというふうに考えておるところでございます。
○畑委員 私もさような見解、立場をとらせていただいているわけでございますが、時間が限られておりますので、具体的な問題につきまして一、二お尋ねをしたいと思います。 第二条第三項に「良好な環境」というような表現が使われておるわけでございますが、これが随所に見られるわけでございます。そうしました場合に、この良好な環境、これはやはり人それぞれその置かれております立場、あるいは個人差、こういうものが私は非常に大きいんではなかろうかというように考えるわけでございますが、この「良好な環境」というものに対する御見解を社会党のお立場からお伺いしたいというように考えますが、その辺につきましての御見解をまず伺いたいと思うわけでございます。
○土井議員 ただいま御質問になりました「良好な環境」というこの字句は、人によってはぜいたくだという批判もあるんですよ。ただしかし、これから申し上げることをよくお聞きいただきたいと思うのです。 中央公害対策審議会の中間報告、これは先生御案内のとおりだと思いますが、昭和四十七年の十二月十八日に出されておりますけれども、その中に、単に人の健康が損なわれなければ十分だというものではなく、WHOの言う健康とは、単に肉体的に病気でないというだけでなく、精神的、心理的、かつ社会的に健全な状態であることに準拠して、健康への悪影響のないこと、自然生態系についてもその動態的な均衡が破壊されないこと、さらに、景観の保持等住民の精神的安らぎや日常生活での快適さ等が満たされていなければ、人間が人間らしい生活を営む環境とは言えず云々とございます。 私どもはすでに別途環境保全基本法案というものを用意いたしておりまして、再三再四にわたり国会に提案をして今日に至っているわけでございますけれども、この法案の中の第三条に「現在及び将来の国民が健全な心身を保持し、安全かつ快適な生活を営むことができる環境」というふうに規定をいたしております。そのために具備すべきいろいろな諸条件を指して、いま先生がおっしゃいました「良好な環境」ということの内容を指すわけでございまして、この環境保全基本法案については、今回のこの法案の審議の状況を踏まえまして、各党の諸先生の賛同を得られるものとして私たちは確信をいたしておりますけれども、提出をいたしまして鋭意このことに対しても具体的実現を努力しているところでございます。 したがいまして、「良好な環境」の定義というのはその中で定められていくものでございますから、公害と自然環境にこだわらずに、広く国民の健康で文化的な生活に必要で十分なものを盛り込むということがここで問われているのではないかというふうに理解をいたしております。憲法二十五条にございます健康で文化的な生活を営む国民の権利もまさにこの内容を具体化したものであるということを申し上げたいと思うわけであります。
○畑委員 私は、ただいまのお答えは、いわゆる総論というお立場ではそれなりに理解をいたしますけれども、実際に一つの手続を済ませまして問題を処理する、そういう立場におきましては、やはり明確な一つの範囲、そういうものを明示すべきではなかろうかというように考えるわけでございまして、この環境保全の問題は、先ほど申し上げましたように、立場あるいは価値観の相違、そういうものが非常にある現実の姿の中におきましては、具体的な明確な一つの範囲、こういうものをはっきりしておく必要があるということを重ねて御指摘を申し上げたいわけでございます。 そしてまた、この社会党案を読ませていただきますと、環境保全委員会、そして環境影響審査会でございますか、こういうものが中央に、地方にできるわけでございますが、現在行われております環境庁のお立場あるいは県、市町村段階の環境問題に対する取り組み、そういうものに対しまして全く評価がされていない。あるいはまた、いろいろ申請書が出ました場合にはそういったものの写しの送付等が知事あるいは市町村長にはあるようでございまするけれども、全くこの問題のらち外に置かれてしまうような印象を私は受けるわけでございます。県あるいは市町村長という立場にございましては、とりわけ最近は環境保全の問題には真剣な、そしてまた熱心な取り組みが行われなければ住民の支持が得られない、そういう実態に照らしましても、この保全委員会あるいは審査会等の新たな設置の必要性ということにつきまして大きく疑問を持つところでございます。さような意味合いでは、私はどうも、社会党の委員長さんが市長の経験者でありますだけに、飛鳥田委員長さんはこの内容を余り御存じでないのではないかというような心配すら感ずるわけでございまして、八〇年代は地方の時代、そういうような見地からしましても、市町村長あるいはまた県知事のこの問題に対する積極的な関与あるいは責任を持った対応ができるような内容のものでなくてはならないというように考えるわけでございます。 そしてまた、この内容では環境庁そのものがほとんど役目を果たさない。大変失敬でございますけれども、環境庁の長官が意見を述べるようなチャンスもないんではないかと思うわけでございまして、この辺に対する環境庁のお立場あるいは県、市町村段階における首長の位置づけ、この辺につきましての長官のお考えを伺いたいと思うわけでございます。
○原国務大臣 いま御質問のいわゆる社会党案の環境保全委員会等につきましては別の法律にゆだねられておりまして、各省庁の組織との関係等法律の全体像が明らかでございませんので、実は明確なお答えをしがたいわけでございます。 ただ、環境庁は御承知のように環境庁設置法第三条に規定されておりますように、「公害の防止、自然環境の保護及び整備その他環境の保全を図り、国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するため、環境の保全に関する行政を総合的に推進することをその主たる任務」として設けられたものでございます。環境行政の重要な柱である環境影響評価制度におきましても、環境庁長官の位置づけをやはり明確にすべきものではないかと思うわけでございます。そういうふうな見地から、政府提出の法案では、環境庁長官が適正な関与を行うと、その位置づけが明確にされております。環境庁としては、これによって環境庁の使命を果たすことができると考えておるわけでございます。また、都道府県知事とか市町村長、これは地域の環境を熟知しております。また、地域の環境保全に責任を有する立場にございます。環境保全についてはきわめて大きな役割りを果たしておられるわけでございまして、私どもといたしましては、都道府県知事や市町村長の位置づけは明確にしなければならないというふうに考えておるところでございます。
○畑委員 ぜひそういうような姿の中で今後のアセス法の成立を急いでいただきたいというように私も期待を申し上げておるような次第でございます。 そしてまた、この社会党案におきましては、費用負担の点につきましても事業者ということを盛られておるようでございますが、具体的にお尋ねをしたいわけでございますが、費用負担の実際の範囲、たとえば説明会あるいはまた公聴会、いろいろあるわけでございますが、その辺につきましてはどの程度具体的なことを社会党案におかれましてはお持ちであるかどうか、お答えをお願い申し上げたいと思うわけでございます。
○土井議員 いま御質問の費用負担の件につきましては、別途法律を定めましてそれによって中身を盛るということに相なっておりますけれども、一切の費用負担はいまおっしゃいましたとおり事業者側にございます。政府案の中身を見ますと、公共事業と称して政府が補助を出す。この中身によってアセスメント自身もずいぶん不十分なものがなされる。そのために国の費用があがなわれるということは間違いだと私は考えております。したがいまして、これは事業者負担という原則でこの問題にわれわれの案は臨んでおります。
○畑委員 ただいまのお答えの中にございましたように、別の法律で云々というようなことが、先ほど長官のお答えの中にも委員会あるいは審査会等の問題につきましても言われたわけでございます。この社会党案につきましては、そういった別の法律で定めるというケースが多いわけでありまして、私は、こういったものも御一緒に審議をさせていただくということが必要ではないかというように考えますし、先ほど申し上げましたような良好な環境等につきましても、具体的な範囲、こういうものを明確にした上で私は問題を考えるべきではなかろうかという点を重ねて御指摘を申し上げておきたいわけでございます。 そうしまして、さらに、いわゆる委員会あるいは審査会等に対しまして訴訟が提起できるというようなことがうたわれておるわけでございます。この政府案におきましてはそういった新たな訴訟というような制度が盛り込まれていないわけでございますけれども、こういうような訴訟制度を新たに入れる。そういう場合におきまして、先ほどもお話がございましたように、住民参加、そういう姿の中で決定をした。それに対しましてまた訴訟があり得る、こういうことになりますと、私は、一般的にかなりスムーズに公聴会等が行われましても四、五年間一つの問題にかかるのではなかろうかというように考えますし、そしてまた関係市町村、あるいはいわゆる市町村におきましての関係住民の範囲が明確でない。そしてまた、関係住民といいますものにつきましては、環境保全団体あるいは意見を有する方、これは全国的にそういう訴訟なりあるいは意見を述べる、そういうようなチャンスがあるとしますと、実際のこういった一つの問題を処理しますのに下手しますと五年から十年というようなことが平均的な姿になってくるのではなかろうかというように思うわけでございまして、そういうようなことであった場合には、私は、いろいろ科学的な最近の技術革新等の時代の推移から見ましても大きく問題があるのではなかろうかというように考えるわけでございます。 ただいま申し上げました関係市町村、こういうものにつきましての範囲の決め方、これにも問題があるというように私は考えるわけでございますが、この辺に対する、そしてまたただいま申し上げました訴訟の問題に対して、具体的に社会党のお立場での御見解を伺いたいと思うわけであります。
○土井議員 いま、訴訟の問題についてのお尋ねでございますけれども、これは良好な環境、先ほどは抽象的であってもっと具体化する必要があるというふうな御指摘もございますが、実はその中身についてはすでに環境保全基本法案の中で、先生よくごらんいただきますと、その三条の二項の部分に具体的条件が満たされるということを意図いたしまして、九条から十二条について、具体的な判断基準と申しますか、具体化する素地を、十分とまで言わなくとも、はっきり明確に用意しているという関連がございます。その中で、快適で安全な生活を営むというのは、私どもは国民の基本的な権利であるというふうに承知いたしております。 こういう観点から、従来いろいろ行われてまいりました開発事業の中には、公共性の名において、また公共性の名のもとに、目先の繁栄と便利さを追う余りに、地域の住民の健康と生活環境を破壊してきたという経緯がございます。今後は、良好な環境を享受する国民の権利が十分に守られるようにすることのためにも、関係住民等に対しまして、この委員会または審査会を相手として訴えが提起できるということを用意したわけでございます。もちろん、裁判運営の円滑化、簡素化については、別途の問題として考えていかなければならない課題であろうということは、十二分に承知をいたしております。
○畑委員 私は、いま土井先生の御答弁の中にございました過去の開発に伴う問題点、これに対する国民各界各層、そしてまた、とりわけ企業といったようなお立場にありましては、公害問題を惹起いたしました場合における今日の社会的な責任、あるいはまたそれに対する金額的な面等につきましても、場合によってはその経営の母体の存立にも影響があり得る、そういうような社会的な一つの良識といいますものがかなり定着をしている今日の段階を迎えておるのではなかろうかというように考えるわけでございます。 そういう中にございまして、全く従来のような国民意識である、国民の公害問題に対する考え方である、また企業サイドにおきましても、あるいは公共事業等を推進する場合におきましても、かつての、はっきり申し上げれば、いささか残念なケースの認識しか今日でもそういった関係の皆さん方が持っていないというようなことを前提に立法を考えるということはいささかどうであろうかと考えますし、その辺につきましては、従来からいわゆる指針等に基づきまして、それぞれ関係の主務官庁が環境庁等とも十二分に打ち合わせをしながら、行政指導等の中におきます実績もかなり上がっている。そういう一つの前提の条件といいますか、あるいは国民の認識といいますか、そういうものにつきましても、それを今日この段階で踏まえて問題を見詰めることも一つのあるべき方向ではなかろうかということをあえて御指摘を申し上げておくような次第でございます。 さらにまた、この内容におきましては、いわゆる政府案と違いまして対象事業が非常に数多く相なっております。あるいはまた林道の開設といいますか、そういった問題も対象になっておるわけでございますが、これは先ほども申し上げましたように、公共事業等の推進の場合には、県段階におきましては県議会、あるいは市町村段階におきましても市町村段階の議会、そういうものが予算議決をする、それを踏まえまして、先ほど来申し上げたような意味合いで四年も五年もかかる、かような姿にあったのでは非常にぐあいが悪いというように私は考えるわけでございます。対象事業の範囲が、政府案と社会党案がかなり大幅に相違があることは御案内のとおりでございまして、ただいま申し上げました予算の議決との関連等から申しましての長官におかれましての御見解、この辺の問題点に対する御認識を伺って、時間が参ったようでございますから、私の質問を終わらせていただきます。
○原国務大臣 政府案は、いろいろな角度から検討をいたしまして、対象事業をしぼったわけでございます。対象事業が無制限に広がっておるということは、やはりいま畑委員御指摘のような地方公共団体の性格等から関連いたしましても、これは環境影響評価法案としてはなじまないのではないかというふうに考えているところでございます。
○土井議員 ただいま社会党案に対して御審議をいただいているわけでございますから、環境庁長官のただいまの御答弁を拝聴いたしておりまして、どうしても一言申し上げることをしなければならないという気持ちで、最後に一言申し上げさせていただきます。 先ほど、種々社会の情勢が進んで、そしていろいろな開発事業に対しまして、住民からこれに対して抵抗したり、拒否するという姿勢が最近はだんだん理解の方向に変わってきた、したがって、事がスムーズに動くような状況になった現状を踏まえての法案であってあたりまえではないかという意味の趣旨も含めてお尋ねがございましたけれども、先生御案内だと思いますが、公共事業と言われますものの中には、公益的性格を有する事業としてずいぶんその範囲が広うございます。政府案は、その中でも、特に国民生活にとって非常に重要な影響を与えております電気事業に関係のある事業所設置に関して、これを対象から外して考えるというのは、最も公益性、公共性の高いものを対象から外すということでございまして、私どもといたしましてはどうも納得ができないわけであります。対象を削って、対象を限定すればするほど、それから外されていく対象があることを忘れてはなりません。できる限り広く、できる限り環境に対しては周到なまでの配慮を行うのが環境アセスメントの原則中の原則でございまして、先生の御指摘になりました点は、私ども納得のできない点でございます。 そしてまた、現状はスムーズに事が動いているがごとくに御認識でおありになるようでありますが、住民の中には、いままでの行政不信と申しますか、企業の一連の悪質な行為に対する不信の念が強うございまして、そして行政処分をいたしましたことに対して、処分取り消し請求であるとか差しとめ請求などが後を絶たないことを現実の問題としてぜひとも直視されますように、このことを心から要望申し上げまして、一言この発言にかえさせていただきます。
○畑委員 せっかく公害問題には御熱心なお取り組みの土井先生の御親切なお答えをいただいたわけでございますが、私が先ほど申し上げましたのは、たとえば五年、十年前と今日を比較しました場合には、いわゆる各分野における公害問題に対する厳しい認識がかなり違ってきておる、そういうことを前提に物を考えるべきではなかろうかということを申し上げたわけでございまして、さような意味合いにおきましては、かつて常識でなかったものが今日におきましては常識になっておる、そういうようなケース、あるいはそういう国民認識をベースに公害問題も考えていくべきではなかろうかと思いますし、企業側におかれましてもそういうような厳しい受けとめ方がなされておるということも、まるっきりそれはないのだというような認識は、いささか問題があるのではなかろうかというように考えておるわけでございまして、この辺は基本的には余り変わらないのではないかというように考えるわけでございますが、重ねて従来の社会党のお立場、そしてまた土井、野口両先生の御熱意に敬意を表して、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○八田委員長 次に、木下敬之助君。
○木下委員 それでは、質問させていただきます。 まず最初に、この社会党提案のアセスメント法案の目的をお尋ねいたしたいと思います。
○土井議員 お尋ねの問題は、法案にかかわる基本的な事柄であるとわれわれは承知をいたしております。開発事業の実施に先立ちまして、この開発事業に伴う環境の汚染と破壊を未然に防止するということが大切でございます。そういう観点から、国民であるとか住民であるとかをできる限り参加をさせる、また、公開の場で論議をさせる、それも多角的、科学的に環境に対する影響を評価する手続を整備する中で取り上げていくということを用意いたしまして、その結果に基づいて開発事業の実施を規制し、現在及び将来の国民の生存と快適な生活を確保しようというところにその目的があることは言うまでもございません。ひとつ先生お手持ちでいらっしゃるわけでございますから、提案理由と本法案の一条がその部分に当たる部分かと存じます。
○木下委員 この一条が目的であろうと思いますが、手短に言うと、開発事業を規制すること、それによって良好な環境を確保しようとするのが目的である、こういうふうに受けとめております。この「良好な環境」は、法案の第二条第三項にありますように、環境保全基本法で定義することになっているようでございますが、この法案は現在提案されていませんので、前提なしに議論するようなことにはならないか、この点に疑問を感じるものであります。しかし、良好な環境がどのように定義されても、開発事業を悪として考え、厳しく規制しなければならない、こういう考えでやられておるのではないかという、先ほども畑先生からも質問がありました同じ点で、私どもには、やはり開発することは悪ととらえてやっているという、そういう極端な考えのように感じられる、こう申し上げておきたいと思います。 社会党案の第二条の「良好な環境」の内容は別法にゆだねられているわけでございますが、公共施設の整備は法案の「良好な環境」との関連でどう位置づけられておられるのでしょうか。
○土井議員 ただいま先生御指摘の、まず一つ先にお答えを申し上げたいと思うのですが、企業活動すべて悪、公共事業すべて悪という認識を私どもはいささかも持っておりません。しかしながら、企業活動については、憲法二十九条でその保障をしながらも、公共の福祉という限界を置いていることを忘れてはならないと思うわけであります。公共の福祉の中には、まさにここで言うところの、先ほど来先生も御指摘のよい環境というものを私どもは認識をいたしておりますので、そういうことからすると、おのずと企業活動に対してもそれなりの目安を持たなければならない、企業活動に対して一定のやはり憲法上の限界がある、そういう意味での限界があるということをやはり認識をしなければならない、こういう立場でございます。 さて、公共施設の整備を本法案との関連でどういうふうに考えているかというお尋ねでございますけれども、アセスメントを行うことによりまして公共施設の整備がそれだけおくれることになることは事実でございます。これはどうしても物理的にそうなるであろうと思いますが、環境の汚染、破壊は不可逆的でございますから、一たんこれがなされてしまいますと、もとの姿に戻せとかもとの状況に返せとか申しましても、そうはまいりません。したがいまして、そういう観点から、現在、将来の国民、住民のために良好な環境を確保するということは至上命題かと私どもは考えております。アセスメントを行うことは避けて通ることのできないものであるという関係で、このように公共施設の整備について法案と関連性を持たせて考えているわけであります。
○木下委員 良好な環境が至上の最高の目的のように言われて、その良好な環境の条件の一つとして、かつて社会党が提案したことのある環境保全基本法案によると、「国民の健康で文化的な生活を営むために必要でかつ充分な公共的な施設が整備されていること。」こういうふうにその条件にそれがあって、それをやっていると、法の手続が複雑で厳しいアセスメントをやっていると、逆に公共的な施設の整備を大幅に遅延させていくという、何かこう私どもには少し理解しがたいような状況があるのでございます。懸念して、念のためにお伺いをいたしたという次第でございます。 次の質問に移りたいと思います。 法案では環境保全委員会などを定めることとなっておりますが、環境アセスメントについて国の行政機関の組織はどういうものであるべきだとお考えになっておられるのかをお伺いいたします。
○土井議員 環境アセスメントと申しましても、中身は非常に多岐多面にわたっております。その多岐多面にわたるアセスメントを行わなければならないわけでございますから、現存する行政機構の中で各省庁がそれぞれの行政目的に従って環境アセスメントを行っていたのでは、有機的に統一的に総合判断を行うということができません。現実にいろいろ起こっております問題の中身を見てまいりましても、縦割り行政のためにずいぶんこの点が損なわれているということを私たちはいやというほど知らされるわけであります。したがいまして、環境保全の問題はあらゆる行政に優先して行われなければならないという認識に立つならば、各省庁がそれぞれの有する行政目的の実現のためにばらばらに環境アセスメントをするのではなくて、従来の縦割り行政の弊をなくして、科学的に、客観的に、そうして統一的に把握することができるような行政組織が必要視されていると私たちは考えております。しかも、それは政治的に左右されるようなものであってはなりません。したがいまして、政治的には独立した立場で、そうして政党政治からもこれはいろいろな支配を受けない、遮断されたような形で総合的な調整機能を有するという存在が期待されるわけであります。客観的な判断はそこで初めて求め得るのではなかろうかということを考えまして、行政委員会の制度の中でそういう問題が不可欠になってきていると私どもは考えます。このことを、一見非常に繁雑に見えるかもしれませんけれども、今回のこの法案の中では織り込んだというつもりでございます。
○木下委員 先生おっしゃることはわかるのですが、そういうすばらしいものがあって本当に神が下すのに近いような判断でやってくれれば、それにこしたことはありません。しかし、どんなものでも人間がやるのですから、そんなことはあり得ない。一歩でも近づくように、できるだけみんなの気持ちを酌みながら、独裁的にならないようにとか、そういうことを考えながらやっていくのが政治だろうと私どもは考えております。そういう意味で、環境保全委員会は非常に広範で重要な権限を持つ機関であり、位置づけが不明確になるのじゃないかというふうに懸念しておるわけです。 国家行政組織法二条には、「国家行政組織は、内閣の統括の下に、明確な範囲の所掌事務と権限を有する行政機関の全体によって、系統的に構成されなければならない。」こう規定されておりまして、これに基づき行政組織が系統的に構成されているのである、こう思います。そこに環境保全委員会という新たな組織を設け、広範な事業について許認可を担当させるわけですが、果たして各省庁が個別に持っている許認可権限との関係を明確にすることが法技術的に可能であるかどうか、この点を心配しております。また、現在三十二にわたる各省庁設置法をすべて改正することも必要になるのじゃないか、こう思いますが、こういったことをやるということは現実問題として不可能に近い、こう考えます。さらに、国家行政組織法第三条で委員会は府または省にその外局として置くべきものであるにもかかわらず、環境保全委員会はまるで各省庁の上に位置づけられているように思われる。これでは国家行政組織法の改正まで必要となるのではないかと思っているところであります。これらのむずかしい問題については、別に法律の定めるところにより設置するとして別法にゆだねてしまっておるようですが、そういう形で本当に大丈夫なのか、こういうふうに疑念を禁じ得ないわけであります。また、この委員会と環境庁との関係も明らかでなくて、環境アセスメント制度における環境庁の位置づけ等もどのように考えておるのか、懸念いたしておるところであります。 質問としては、次へ参りたいと思います。 法案で地方委員会を定めることとなっておりますが、地方自治の確立の立場から、環境アセスメント制度における地方行政の関与はどうあらねばならないとお考えになっているのでしょうか。 私の指摘点で御答弁をいただけるところがありましたら、どうぞ。
○土井議員 それでは、御指摘をいただきました点から一言申し述べさせていただきまして、そしてあと、本質問としてお尋ねをいただきました点に移りたいと思います。 御指摘をいただきました点は、なるほど別途法律をつくって、その法律の中でいろいろと具体的に組織構成というものを考えていくというかっこうになっておりますけれども、しかし、それに先立ってどうしてもここで一言申し上げねばならぬことがございます。 環境アセスメントというのは、開発事業の実施前に、自然的、社会的諸条件の分析や事業実施過程における環境への影響予測というものをするわけでございます。将来における環境への影響予測などを多角的、科学的に判断して開発を行うことによって、未然に良好な環境を確保していこうということにその目的があるわけでございます。だから、そういうことからすると、委員会なり審査会というものはおのずと現存する行政機構とは別に、これは、この環境アセスメントに関する審査のために、そうしてまた、それに対していいか悪いかを判別することのために必要な組織というふうにお考えいただくことがこの節肝要であるわけでございます。 それで、先ほどの環境庁長官の権限とか、環境庁との関係は一体どうなるのかというお尋ねもございますし、また、既存の縦割り行政の弊害というものを法律を別途用意することによって解決しようとしても、それは至難のわざではあるまいかというふうな御指摘でもございますけれども、社会党が出しております本法案も、そこのところを勘案をいたしまして、中央に置かれます委員会を任命するのは内閣総理大臣でございます。したがって、そのところは総括的に縦割り行政でそれぞれの各省庁が行うのではなくて、この各省庁の長のさらにその上の内閣の長である内閣総理大臣にこの全体の任命権というものをここで求めるというふうな機構を用意しているという点にもひとつ御留意をいただきたいと思います。 別途法律をつくるというのは、率直に申し上げてこれは大変な作業でございますけれども、しかし、この本法案と並行させまして、この別途の法案についても、なおかつ私どもは努力を積み重ねているところでございます。 さて、地方自治の確立の立場から地方行政はどうあらねばならないと考えるかという本質問に対しまして、このアセスメントを行うことは地方自治を侵害することとなるものではないということを私どもは考えております。むしろ地方自治を尊重する立場においてこそ、環境アセスメントも実施し、さらには実効性ある実現を期待することが可能であるというふうに考えております。説明会、公聴会、住民投票などの住民参加によって具体的にさらにアセスメントというものが充実したものになるということも、その地方自治の中身として考えていかなければならないという側面があることは先生もよく御承知でございますから、あえてそのことに対してはさらに追い打ちをかけたような発言は差し控えたいと思います。
○木下委員 話はあちこちになりますが、首相が任命する形の委員会だからいい、権限は別じゃない、そういう複雑な形をいろいろとされても、いまちゃんと国民の選挙等を通じて議員が出てきて、そういう中で議会で決めてやっている。それぞれの市町村長さんもみんなちゃんとそういった住民というか国民、市民、県民の信任を得てやっている。その組織と環境問題だけまた別の形にする。この環境問題というのは確かに大変であるし、これはもう真剣に取り組まなければならないことでございますけれども、一歩間違えると、やはり科学的なだけではない非科学的な面からいろいろなことも入ってくる。それから時間的な問題で、やはり人間の命というのは限りがありますから、無限なものなら無限な討論の中でもできるでしょうけれども、限りある命の限られた生活、まして毎日食べて生活していかなければならないものを、やはり時間的にどこかで結論を出して先へ進む行政のシステムにしていかなければならないと思います。 そういった意味で、環境面で最も最終判断の下せるような組織なり何か、それがどうしても最終的には一番上の位置で、そこの同意がなければどうにもならない。結局、同意がなければどうにもならないということは、最終的な強い権限を持っていく。私は、いまやっているこの議会制民主主義の姿とそういった形とはやはり一緒にならないのじゃないかという感じを持っておるわけです。 質問があちこち行ったりしまして複雑になりましたので、先生、これはまた別の機会がありましたらということにさしていただきたいと思います。 いまの地方自治との関係ですが、私の方はこういうふうに考えておりますし、法案を見ると地方委員会をあたかも自治体の上位に位置づけておるように思えます。これは憲法九十二条、地方自治法一条の地方自治の本旨にもとることになるのではないかと心配いたしております。これでは地方の行政権を地方委員会が奪うことになり、憲法の精神にそぐわないものと考えます。また、県、市町村の行う公共的な事業について、国、県に設置された委員会が一方的に認可することになるが、これでは地方議会の意向を無視し、市町村の自主性を奪うことになるかとも考えます。私は、こういう点で、やはり県、市町村といった地方行政を無視して制度を組み立てて地方委員会を置くことにはいろいろ問題があるのではないかと考えますし、また、手続の中で県知事、市町村長の意見もきっちり聞く仕組みになってないという点もいかがかなと思う次第であります。 話があちこちになるとあれですから、指摘した点はここでお答えいただくことにしましょうか。いまの県知事、市町村長の意見をきっちり聞く仕組みがないという、この点についてどういうふうにお考えですか。
○土井議員 最後に言われた御質問に対していま答えようといたしますが、いま先生御指摘になりました御質問というのは、しぼって申しますとどの点になりますか。いろいろ言われましたから。
○木下委員 いろいろ言いましたけれども、あれは私の考えを述べたので、質問じゃないのです。私の方としてはこういうふうに考えているということでございましたので、質問としましては、社会党案の中では県知事、市町村長の意見をどこでどういうふうにきちっと聞いていくという、そういうシステムになってないという点をどう考えるかということです。
○土井議員 今回の委員会なり審査会というシステムというのは、先生は地方自治体の中では上位に置くようなかっこうに委員会がなるのではないかというふうなことをおっしゃいましたが、上とか下とかという関係に実はこれはないのでございます。これは独立した機関でございます。だから、そういうことからすると、独立したこの機関において住民の意思を受け入れる、反映させるということがこの大変大切な眼目でございます。したがいまして、市長の意見はどこでどう反映させられるか、県知事の意見はどうどこで反映させられるかという問題とは全くこれは別個のシステムになっているということを御理解いただきたいと思うのです。
○木下委員 なかなか論議がすれ違いになってどうしようもないという感じも受けるのですが、続けて質問させていただきます。 調査、予測、評価をするときの指針というか、チェックポイントが明らかでないように思うのですが、環境に関する科学的知見についてどういうふうな考え方を持っておられるのか、お聞きいたしたい。
○土井議員 科学的知見についてお答えを申し上げまして、あと、いまの議論がすれ違ってどうにもならないというふうなことに対しても、一言、後で私は補足をさせていただきます。 現在の技術水準の熟度というものが事前規制にはなじまないという批判が世の中にございます。なぜなじまないかということを聞きますと、技術水準の熟度というのが低いとか、そのことに対してまだこれを十分に駆使する段階でないというふうなことをそこで言われるわけでありますけれども、環境問題を考えていきますと、その重要性にかんがみまして、それが熟度の低い段階であればあるほどその評価に当たってより十分な安全率を見込むなどの配慮が加えられなければなりません。このことは大変大切な問題だと私は思うのです。 中央公害対策審議会の中間報告を先生も御承知だと思いますけれども、その中では、疑わしきは許さずという原則を具体的に披瀝をされております。こういうことからすると、むしろ規制を強化しなければならないわけでございまして、科学的な知見というものをいろいろな各方面にわたりまして具体的に駆使するということがより要求されているのではないかというふうに私たちは認識をいたしております。 さて、先ほどすれ違いの意見の中に、地方自治体の議会の意見とか、それから住民参加という問題と自治体の自治の問題などについて、先生がお考えになっていらっしゃるところは私はわからぬでもありません。どういうお考えでいま御質問になっていらっしゃるかということは、私なりに理解ができているつもりでございます。しかし、地方公共団体の意思というのが、おおよその場合、いままで当委員会におきましても政府側が認識をし政府側が答弁をされてこられました中には、議会の意思すなわち地方公共団体の意思であるというふうな御認識とそういうふうな取り扱いというものが今日に至るまでございました。 しかし、議会の意思というのは、考えてみますと、別の表現をするならば、これは多数政党の意思なんですね。数で事を決めるというこの問題については、これは議会制民主主義のシステムのある欠陥を持っておりまして、当国会におきましても、与党である多数党は数だけに物を言わせて、私たちからいたしますと許すことのできない暴挙を行うという場合が間々ございますことは先生よく御承知のとおりでございます。こういう問題を考えますと、何と申しても、直接に住民の意思を具体的に尊重するということがこれくらい要求され、大切に考えられる問題は、環境アセスメントの中ではないんではないでしょうか。このことをお考えいただきますと、独立の委員会や審査会を設けたという意味を十二分に御理解いただけるものというふうに私たちは確信をいたしておる次第でございます。
○木下委員 先生おっしゃるとおりに、多数の横暴というものはときどき目に余ることもございますから、そのとおりでございます。しかし、議会制民主主義でやっていこうというのは、最終的に意見が合わなかったときは数でやろう、最大多数の最大幸福を目指して進むという姿勢、これはどうしようもない姿勢じゃないかというふうに思います。やはり国会内では、くやしかったら選挙で勝ってみろということになりますので、その点、地方での特にこういう環境問題等で確かに一番直接影響のある人の反対賛成の意見と、同じエリアの中でもほとんど影響を受けない人の一という数において、同じように比較して何か決めていくというのは矛盾があるかもしれませんけれども、そうはいってもそれなりにいろいろなことで数で決めていこうとするのですから、いまの議会制民主主義のこのやり方と全く違うものが入ってきて両立させながらいけるというのには、私は疑問を感じざるを得ません。 それから、先生、上とか下じゃない。これは組織としての上とか下とかいう関係じゃありませんけれども、この問題に結論を出すのにやはり上の位置にある、そういうふうにしか思えないのであります。この辺、本当に行ったり来たりしていたら切りがないので、そこそこに先に進ませていただきたいと思うわけです。 話があちこち飛びまして、せっかく科学的知見について先生にお話しいただいたんですが、私の方の考えを述べさせていただくことにいたしたいと思います。 社会党案では、環境影響の事前評価を行うための調査事項、調査方法等が調査計画の申請承認手続を通じて個別の事業ごとに決定されることとなるが、技術手法があらかじめ客観的、具体的に決まっていないため、調査計画についての手続の過程で科学的知見があるかないかなどをめぐって際限のない論争が起こるのではないか。その結果、調査計画がなかなかまとまらなかったり、科学的根拠のないものや既存の科学的知見では明らかになっていないものまで調査等の対象になる可能性があり、現実には動かなくなってしまう懸念がある、こういうふうに私どもは思っておる次第であります。 法案では、住民投票などきわめて慎重な住民参加を規定しておるようでございますが、住民参加と議会との関係はどうあるべきだと考えておられますか。私は、先ほどのような考えを申したつもりでございます。
○土井議員 住民参加と議会との関係についてのお尋ねでございますけれども、議会というところは、いま先生が再度御質問の中にも御発言がございましたとおりで、最後には多数決で問題を決定していくということでございます。環境問題というのは数で決めるべき問題じゃないと思うのです。アセスメントにつきましても、行政または政治の妥協の産物として考えられるべき問題ではないと思うのです。したがいまして、科学的な判断に基づき審査会が審査会の作業を行う、委員会がそれに対して独立した立場で判断をする、そしてその中に住民が直接に説明会、公聴会、意見を具申する等々の手段をもちまして参加をする、このことが非常に大切だというふうに私は考えるわけであります。 環境問題というのはいままでいろいろと行政または政治の妥協として考えられてきたところに大変な欠落がございましたし、また、汚点を残してきたという過去の反省に立ちますならば、ただいまのアセスメントについては数でいいか悪いかを決めるのではないということを私たちは徹底的に真摯な姿勢で考えることが要求されているのではないかと思うのです。こういうことを申し上げましてお答えになるであろうと思いますが、いかがでございますか。
○木下委員 土井先生、いま数じゃないと言う。しかし、何かを決定していかなければならないとき、それでは、先生、数でなくて何でそれは決めるのですか。科学的なものであったりいろいろするでしょうけれども、その科学的なものが正しい正しくないというのは最終的に何でお決めになるわけですか。
○土井議員 一言で言えば、本法案に盛り込まれております審査会の合議でございます。
○木下委員 その合議は、最終的にどうするんですか。数ではなくて何なんですか。
○土井議員 内容は科学的な知見、可能な限り科学的な知見ということになってまいりますが、しかし、その中にやはり合議による、それは住民の意見というものも十分に反映させた合議によるということになるのだろうと思いますよ。
○木下委員 私は、先生の考えていることが理解できないわけじゃないのです。ただ、そういった形で理想的に片づいてくれればあらゆるものは問題ないのですけれども、やはり科学的知見ということもありますが、科学的にもいろいろな考えもあるでしょうし、特に科学者で同じことに対する考えの違う人もたくさんおれば、いろいろする中で、最終的に何か結論を出して前に進まなければならない、何か結論を出して先に進まなければならないというのが私たち政治の存在じゃないかと思います。だから、政治的に何かをするというのは、必ずしもその政治の悪い面とか政治的な話し合いとかいうふうにとらずに、政治的に結論を出すというのは、時間の制約のもとで人間としてこの段階でできるだけ最大のことをした、これが神から見てどうであるかというのはわからないけれども、自分たちは最大限のことをやったという、時間的制限のもとで先へ進んでいく、こういうシステムでなければならないと私は考えております。住民参加と議会との関係もそういったことでございますから、質問としてはあともう一点。土井先生、それじゃ、その住民参加のところでもう一点だけ聞かしてください。 住民の代表者というのは具体的にどんなふうにどう選定するのか、そこの住民でその部分だけなのか、市の問題であっても県なのか、全国からいいのか、いまだと海外からイルカのことで押しかけたり鯨で押しかけたりするぐらいですから、どういうふうにその住民というのを考えておられるのか、お聞きいたしたいと思います。
○土井議員 関係住民の範囲ということについてのお尋ねというふうに理解をいたしますが、関係住民というのは、そこに住所を有している人は言うまでもございません。しかし、それのみならず、広く専門家、また科学者、さらに環境問題に対して関心を旺盛に持っている人たちについても、その範囲をできる限り広く考えて差し支えないと私は思っております。たとえば九州の問題に北海道から来るということも出てくるのではないかというふうな御疑念もおありになるかもしれませんけれども、それでどうして悪いのでしょう。これはやはり環境保全という点からいたしますと、最初に、私は、本アセスメント法案の立法趣旨に対しまして、全地球の自然環境を保全するというこの問題に対して私たちが認識を怠ったときには、私たちの足元に対してもその影響は必ず直接間接あるということを忘れちゃならないという点から、この関係住民ということに対しては幅広く考える必要があるというふうに思っておりますが、ただ、具体的には、本法案では二十二条で審査会が許可をするということになっておりますので、審査会がそれに対してどのように具体的に関係住民を考えるかということにも相なってまいります。この中身は、さらに規則で定めていくという手続の順序になろうかと存じます。
○木下委員 先ほどからいろいろと話してきまして、きわめて慎重な住民参加を定めておるようでございまして、直接民主制的色合いが感じられるわけですが、直接民主制と間接民主制について社会党としてどういう御認識をお持ちなのかをお尋ねいたしたいと思います。
○土井議員 先生御案内のとおりに、日本国憲法では一人一人の個々の国民に対して第三章で基本的人権を保障しているわけでございます。国民が選挙権を有しまして代表者を選ぶという権利があるわけでございますけれども、この代表者は、一方では地方公共団体の意思形成ということで議会の意思を形成してまいります。しかし、必ずしもこの議会の意思は住民の意思そのものを反映しているとは限りません。別の表現をするならば、先ほど御答弁でも申し上げましたとおり、多数政党の意思すなわち議会の意思ということが具体化されたときに、住民の意思が必ずしも議会の意思と同一であるというわけにはいかない場合が出てまいります。住民参加は、生活者としての肌身に感ずる住民の意見であるとか、そこに住む生活者として肌身に感ずる情報などがより尊重されるべき方途として考えられていかなければならない。まさに環境保全というのは人の健康に直接かかわる問題を抱えておりますために、そこに住む住民の方々の肌身に感ずる意見や情報というものは最大限に尊重するという方途が考えられていなければならない、このように考えております。
○木下委員 土井先生、そういう考えは全く私も同感なんです。また、環境問題も当然そうあらなければならないと思います。けれども、それにこだわって、そこだけに集中して、そこで時間がとまってしまうような形じゃ全体が動かなくなる、そういった意味で、いまの議会で全体を見回しながら、そこはそこでそうなんだけれども、全体とのつり合いの中で判断して先へ進めていく、この議会の役目というのは、私はこれはこれで間違いなく住民の代表の意見であるというふうに思っております。 この社会党のアセスメント法案では、住民に意見、質問、物件の提出、条件についての投票などの機会を与えてはいますけれども、別の意味で住民代表である議会及び各省大臣、知事、市町村長の意見が反映されない、私はそういう仕組みだと思いますが、このことは、わが国の政治、行政の現行の体系を無視した形ではないか、こういうふうに思います。 それでは、国の法律と条例とはどういう関係にあるべきだとお考えになっておるかをお尋ねいたしたいと思います。
○土井議員 いまのお尋ねの件からいたしますと、関係する法令といたしましては、まず日本国憲法に照らし合わせて言うならばその九十四条だろうと思います。地方自治法で言うならばその十四条であろうと思いますが、地方自治体の制定する条例は国の法令の範囲内で定めることというのが原則でございます。しかし、地域社会における具体的な必要性から国の法令でカバーされていない事項がある場合、また、当然国の法令で予定をしておらなければならない問題が欠缺している場合、このことについては積極的に地方自治体が条例を制定してその地域社会の具体的必要性にこたえていかなければならないということを忘れてはならないと思うのです。したがいまして、地方自治体の中にある具体的な必要性に対しまして、一方的に国が法令でその必要性を抑えたりあるいはその必要性を規制するということは許されるものではないというふうに考えております。
○木下委員 そういう考えのもとに両方がやる、法律と条例が重複して環境影響評価の手続を定められるとすると、事業者にとって同様の手続を二度することになって大変な負担であろうと思いますし、また、条例によるアセスの結果と法律による委員会のアセスの結果が違った場合どうなるのかというような問題もあると思います。また、もし一方で条例で何も定めることができないとすると、地方自治との関係で問題も生じるのではないかと考えます。このアセスメントにおいての国の法律と条例とはどのような関係にあるべきか、この点について政府の考えをお聞きいたしたいと思います。
○原国務大臣 政府の方で提出しております法案におきましては、その四十二条で、法律の対象事業以外の事業について条例を設けることを妨げるものではないとして、法律と条例との分担関係を明らかにしております。 なお、法案の第三十八条では、こうした条例など地方公共団体の環境影響評価についての施策については、この法律と整合性のとれたものとなるよう要請しているわけでございまして、やはり法案で足りないそれぞれの地域の実情があるわけでございますから、そういう問題については条例で規制をすることを妨げるものではございません。しかし、やはり法があるのですから、いま言ったように条例と法律が対立するようなことになっては結局進まないことになりますので、その整合性は要請しているところでございます。
○土井議員 ただいま私に対する御質問ではございませんけれども、環境庁長官から御答弁がございましたので、それに関連いたしまして、社会党提案の提案者といたしまして、大事な問題でありますから一言特に発言をさせていただくことをお許し願いたいと思います。 アセスメントについて、条例と法律とが両方でこの手続について取り扱いを進めるということになったら、二度にわたる手続が要求されるのではないかという御質問でございましたが、同一部分については一つの手続が両者に該当するというかっこうになりますので、その御懸念は当たらないと思います。ただ、ただいまの環境庁長官の御答弁を拝聴いたしておりまして、法律と条例との関係で、一つ、大変私は政府案にひっかかるところがあるわけであります。 先生御案内のとおり、環境関連の現行法の中で、大気汚染防止法、水質保全に関する法律等々については条例での上乗せを認めているわけであります。ところが、今回の政府提案のアセスメント法案について見ますならば、その大切な部分が何がゆえに削り取られているのか、さっぱり理解に苦しむところであります。横出しについては認めますけれども、アセスメント法から考えられる条例の上乗せは認めないという趣旨に立って条例に対する取り扱いをお進めになるのは、私は本来自治の本旨に反するのではないかという立場で一言申し上げさせていただきました。
○木下委員 もう時間も来ましたので、最後に、社会党案に対しての質問といたしましては、アセスメント法案は、その目的、評価機関の位置づけ、費用負担、許認可権の調整、委員の構成など、いろいろな重要事項がすべて別の法律で定めることとなっておりますが、この別の法律は、いつ、また幾つぐらいこれらの関係法律を整備されていくつもりか、お伺いいたしたいと思います。
○土井議員 別の法律にゆだねられている事項というのが大体四つございます。 〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 一つは、良好な環境について。これは、すでに環境保全基本法案というものを用意いたしておりますから、私どもは、このことによって具体的に内容は適用していくという立場でございます。二つ目は委員会、審査会の組織、三つ目は事業者による費用負担、そしてさらにそれに対して附則の中で関係法律の整備というものを本法案の中では用意をいたしております。 いつごろになるかというふうなお尋ねでございますが、これは大変むずかしい御質問なのですけれども、各党の先生方の御助力や御支援をいただかないとなかなか具体的に事は運びません。社会党の本アセスメント法案も、提案をいたしましてかなりの年月がたちます。やっとのことで本日ここに審議に対しまして初めての機会をお与えいただいたというかっこうでございますから、関係法律についてもなかなか、いつごろとおっしゃいますが、こちらの作業は急ぎます。可及的速やかにいたしますけれども、それを国会に提案してから先が難問題でございますことをひとつ御理解いただきたいと思います。
○木下委員 それでは、最後に、長官の方から、この社会党案に対する御感想なりお考えなりをお伺いいたしたいと思います。
○原国務大臣 私どもは、環境影響評価というものは非常に重要であるし、それによって公害の未然防止あるいは環境破壊を防いでいかなければならないということでいろいろな角度から検討いたしまして、政府案が現実的で、そして、これによって環境影響評価、公害の未然防止なりあるいは環境破壊の防止が相当に進むものであるというふうに確信をいたしておるところでございます。
○木下委員 私は、社会党案に対しましては、法案審議に当たっての重要事項がすべて別の法律で定めることになっており、しかも、それ以外の事項だけでも、いままでいろいろお尋ねし、指摘いたしましたように、問題点が多い、実現が困難な法案ではないかと申し上げ、民社党を代表しての質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○山崎(平)委員長代理 藤田スミ君。
○藤田(ス)委員 日ごろなれないお立場で大変お疲れだと思いますが、にもかかわらず、大変誠実で、情熱的な御答弁に感激をしております。 アセスメント法というのはもろ刃の剣だとよく言われますけれども、本当にその中身次第によっては開発の免罪符だ、環境破壊に手をかすものになるということにもなりますし、逆に環境の保全と公害の防止にとって本当に大きな武器になるということにもなるわけであります。 それでは、アセスメント法案が環境の破壊となるか、それとも保全となるかのこの分かれ目は、共産党は早くからこの点では七点を指摘しているわけなのです。その七点が保障されるかどうかが分かれ目になるというふうに考えております。 簡単に七点を申し上げますが、本制度の対象事業は、一定規模以上のすべての事業を対象とすること。環境影響評価の範囲は、典型七公害及び自然環境に限ることなく、広く地域の環境にかかわるものとすること。地方自治の原則を侵す、条例の上乗せ禁止の措置は絶対に行わないこと。単なる手続法とするのでなく、公害や環境破壊のおそれのある開発は変更や中止の措置がとられる、実効ある規制法とすること。住民参加は政府自身が制度の重要な柱と述べているところであり、公聴会制度を初めとして、十分これを保障すること。環境影響評価の資料と手続は、公開を原則とすること。環境影響評価の審査は、民主的な構成による第三者機関で行うこと。これがその制度の中に保障されるかどうかが分かれ目になるというふうに考えております。 本法案ではこの七点はどのようになっているのか、お伺いをいたします。
○土井議員 いま御指摘になりました七点、いずれも私たちは全く同感でございまして、この一つ 一つのポイントは、アセスメント法案を作成する場合に忘れてはならない不可欠の要件のそれぞれであるというふうに認識をいたしております。 条文に即応いたしまして、いま御指摘をいただきました七点、それぞれの生かされている個所を申し上げさせていただいておきますと、対象事業は一定規模以上のすべての事業を対象とするというのは、案では二条の点なんでございます。開発による環境への悪影響は、量より質の問題でございます。規模の大小によらず、環境に悪影響を及ぼす事業をすべて対象とするということを問題にいたしております。 また、二つ目にお挙げになりました、環境影響評価の範囲は典型七公害及び自然環境に限ることなく、広く地域の環境にかかわるものとすること。これは、従来共産党さんの方で言われ続けてまいりました原則の中身を、自然的な景観、文化的資産も含めて良好な環境を確保するということとして、認可基準、六条の中にもこれを生かしてきて いるわけであります。 地方自治の原則を侵す、条例の上乗せ禁止の措置は絶対に行わないという三つ目の問題ですが、この法案では、環境に悪影響を及ぼす事業はすべて対象にしているわけでございまして、地域の特性に応ずる条例制定を禁止をいたしておりません。 ここで、私はついでながら申し上げさせていただきたいと思うわけでありますけれども、政府案からいたしますと、既存の条例、北海道や川崎の条例も、改めて中身をさらに低めたり、さらに狭めたりする方向で改悪が求められるかっこうにもなるわけでありますから、この点は非常に大事なポイントであるというふうに私たちは認識をしているわけでございます。 さて、四つ目の、単なる手続法とするのでなく、公害や環境破壊のおそれのある開発は変更や中止の措置がとられる、実効ある規制法とすること。これは、良好な環境を確保するということが至上命題でございますから、開発事業実施後でも、実施の停止であるとか計画の変更であるとか認可取り消しまでも考える必要があるという認識で、四十条という条文が予定されているわけでございます。 それから、五つ目になりますか、住民参加の問題に対して、公聴会制度を初めとして十分これを保障するという問題でありますが、公聴会は十二条から二十四条の問題。それからさらに、住民参加によって意見を反映することがアセスメントの柱であるとわれわれは認識をいたしておりますので、繰り返し公聴会を開いて、意見の申し出を拒まない、拒んではならない、時間も不当に制約できないというところまで配慮しているわけであります。まだ、認可の条件についての住民投票を取り入れているわけですが、これは、条文で言うと三十二条の二項、さらに三十四条から三十六条までの関係に相なります。 六つ目の、環境影響評価の資料と手続は公開制を原則、これはもう当然のことでございまして、二十条でそのことを保障いたしております。 また、環境影響評価の審査は、民主的な構成による第三者機関で行うこと。これは、まさに先ほど来御答弁で申し上げてまいりましたとおりで、政治的にも独立した行政委員会制度をとるということ、三条がこれについての基本的な条文に相なるわけですが、先日、と申しましても、土屋長官時代に、私たちその申し入れを環境庁にいたしました八項目の問題がございますが、この八項目の中身は、いまここでお示しになりました七項目とそれぞれオーバーラップするというふうなことが中身としてございます。この申し入れをいたしまして、これに沿ったアセスメント法案の作成をするようにということを政府に申したわけでございますけれども、残念ながら、ただいままでのところ、政府案として示されている中身はいまこのそれぞれの項目の中身にこたえているものではないということを付言申し上げて、答弁にいたします。
○藤田(ス)委員 それでは、大臣にお伺いをいたします。 ただいま土井先生から本法案の骨格が述べられたわけですけれども、大臣は、この点についてどういう御感想をお持ちですか。
○原国務大臣 昭和五十五年の共産党の御提言、いま藤田委員からおっしゃいましたが、これは、環境影響評価制度に関する一つの御意見として私どもも承っておるところでございます。ただ、私どもは、政府案は広く各方面の意見を踏まえ、また、現行の法制度体系との関係やあるいはこれまでのアセスメントの実績等にも配慮して成案を得たものでございまして、現実的で権威と信頼のある環境影響評価の法制度と確信をいたしておるところでございます。
○藤田(ス)委員 現実的で権威と信頼の置けるものだということでありますけれども、きょうはこのことについて議論はいたしませんが、そういう中身ではおよそない、名前は一緒でも、中身は全然逆の方向を向いていると言わざるを得ないと思うのです。 ところで、提案されております本法案は先ほどからも実現性がないということがしばしば言われていたわけですが、諸外国の例など含めて、この点ではどういうふうな御見解をお持ちでしょうか。
○土井議員 いま、諸外国の例ということをおっしゃいましたけれども、諸外国にもいろいろございまして、これに対して知見をするというふうな機会に私たちも十分に遭遇をいたしておりませんために、十分なる御答弁を申し上げることがあるいはできないと存じますが、ただ、アメリカの場合などは、すでに一九七〇年に国家環境政策法というものが制定されております。環境に著しい影響を及ぼす連邦の主要な行為というものを対象行為といたしておりまして、そして、行政庁の審査などにつきましても、関係機関の意見聴取、そうしてまた、環境保護庁が意見を述べる権限というものを認めたりいたしておりますけれども、ただ、私たちはアメリカと日本の場合とを比較いたします場合に忘れてはならないのは、この問題だけを取り上げていい悪いという、お互いが単純な比較をすることは、これはなかなかむずかしゅうございます。御案内のとおり、先生もよく御承知だと私も存じますけれども、アメリカの場合にはデュー・プロセス・オブ・ローというシステムが備わっておりますことのために、これを取り上げて、どのようにこれを行政に反映していくか、具体的にこれを生かしていくかという方途は大分日本と違うようでございます。したがいまして、この単独法だけを取り上げて比較していくのはなかなかむずかしいのですが、しかし、もうすでに国連におきましても、オンリー・ワン・アース、かけがえのない地球の表題のもとに国連人間環境会議というものが開催されて、その中で、各国ともやはりこの環境影響評価の問題も含めて環境保全の問題に取り組むという姿勢を持っておりますことのために、西ドイツであるとか、フランスであるとか、スウェーデンであるとか、オーストラリアでございますとか、イギリス等々におきましても、環境保護法という問題、この影響評価の問題も含めて、総合的にこれをひとつしっかり取り組んでいこうという姿勢を持っているようでございます。
○藤田(ス)委員 私が聞きたかったのは、この法案は実現性がないと言われているけれども、この点に対して、そうじゃないのだという説得力ある御意見を聞きたいわけです。私は、実現性はないということはないというふうに思っておりますけれども、提案者ではございませんのでね。
○土井議員 これは、恐らくは同じように考えていただけるものと私は確信をするのですけれども、環境問題というのは、環境を守ることのために慎重に慎重を期して過ぎたことではないと私は思うのです。どれほどこのことのために努力を払っても払い過ぎではないと私は思うのです。いままでの日本の行政の犯してきたいろいろな環境破壊という実態にかんがみまして、私は、やはりこの問題はぜひとも国民の支持する法案であるに違いないというふうに確信をいたしておりますし、政府案は、これは現実性に合ったとおっしゃいますけれども、いま企業者側から聞こえてくる声であるとか、開発事業を急ぐ声であるとか、そういうものに協力をしようという一部の人たちの声を現実性ある声とするならば、それはそういう御発言であるというふうに私たちは受けとめておりますけれども、私たちは、そういう企業の立場やまた開発事業の立場に立って考えるということよりも、環境保全というものを徹底して行おうという立場でこの法案を考えておりますので、ここの場所が環境委員会である限りは、この法案の実現を期して具体的に努力に努力を重ねるのが当然であるというふうに確信をいたしております。
○藤田(ス)委員 よくわかりました。 それでは、条文に即して尋ねていきたいと思います。 開発事業の認可権限を持つ中央及び地方の環境保全委員会、そしてそれのもとでアセスメントの審査を行う環境影響審査会、これらの構成については、本法案では、別に法律で定めるところにより内閣総理大臣や知事が任命をすることになっているわけなんですが、なぜ「別に法律で定めるところにより、」としたのか。また、提案者としては、この別の法律の中身についてはどういうふうに考えていらっしゃるのか。
○土井議員 この問題は、「別に法律で定める」というのは非常に繁雑な手続がさらに別途用意されなければならないということで、ずいぶんむずかしいではないかというふうな御批判もあるようでありますけれども、しかし、これはひとつ整理して私どもは考えていったわけであります。この法案は、アセスメント制度についてあるべきものをまず打ち出そう、アセスメント制度についてこうしていこうというものをここで具体的に決めまして、これに伴う、必要となってくる諸制度については、その整備をさらに別途するという意味でございます。その別途するというのが「別に法律で定める」というかっこうになるわけでありますけれども、その中身については、委員の任期であるとか職権の行使であるとか身分の保障であるとか、あるいは規則の制定権であるとか事務局等々の中身についてこれを考えるというかっこうになってまいります。
○藤田(ス)委員 認可権という非常に重大な権限を持つわけですから、私は、そういう意味では非常に大事な位置づけをしているということのあかしだというふうに考えるわけです。 第二十四条で、公聴会について、審査会は関係住民等の意見を聞くという形で、「人口二万人の区域ごとに、二回以上開かなければならない。」というふうになっているわけですが、公聴会については、大阪市立大学の宮本憲一教授は、審査会など第三者機関が裁判官役になって、そして住民側と企業側が意見を闘わせる、そういう民事法廷形式で公聴会をやったらどうかという提案をされているわけですが、こういう提案に対してどういうふうに考えられるか。法案の中にたとえばそういう提案を具体化できるのかどうかです。
○土井議員 この法案の中の十二条、二十四条関係を先生御指摘で、公聴会についてお取り上げになったのだろうと思いますが、この法案に言う公聴会は、ただいまおっしゃいましたような民事法廷形式はとっていないわけでございます。通常の公聴会というふうにお考えいただいてよかろうと思うわけです。しかし、いろいろ審査会の審査手続の段階で住民と代表者が出席をいたしまして意見を陳述する。また、ある場合は質問をする。そしてまた、その他物件を提出することもできるわけでございますね。そして、審査会は、住民など代表者の申し立てを受けまして物件の提出を求めたり、さらに参考人や鑑定人の出席を求めて意見を陳述させる、鑑定させることができるというふうな仕組みになっていることにもある一面では御留意いただきまして、単なる従来どおりの型どおりの公聴会に済ましてしまっているということでは断じてございません。中身については、どういうふうにこれを持っていくことが必要かという配慮もそれなりに苦労いたしましたところでございます。
○藤田(ス)委員 第三十四条では、住民参加の一つの方式として住民投票というのを採用しておりますけれども、認可をする場合、認可処分の「条件の案」ということになっておりまして、認可そのものではないわけですね。それはなぜなんでしょうか。
○土井議員 認可そのものは、法案でも明示されておりますとおり、委員会の権限というかっこうになりますね。この委員会の認可処分というのは、審査会の科学的な判断に基づいて行われるものということでございますね。そこで、当該認可処分そのものを住民投票によって左右するということはどうも適切でないのではないかというふうに私どもは考えたわけでございます。しかし、認可に伴う条件の案について、どうでしょうというふうな住民の意見をいろいろ配慮するということは必要である、これは必要最小限度なさなければならない行為というふうに認識いたしまして、このように決めました。
○藤田(ス)委員 それでは、さらに続けてまいりますけれども、第三十九条で開発事業の実施中の監督の問題について出ております。認可の条件に違反した者に対して認可を取り消すことができる、これは当然のことだと思うのですが、良好な環境の確保のためだけで認可を取り消すことができるということになっているわけなんです。これはなぜなのか。 それから、こういう場合、事業者の方は一たん認可をおろしておいていまさらやめろというのは何事かということで、これまでやった分も損害賠償せいというような求めが出てくることは当然考えられるわけですが、こめ点についてはどういうふうに考えていらっしゃるわけですか。
○土井議員 いま先生御指摘のとおりで、良好な環境というのを至上命題に考えている観点でそのような取り扱いになっているわけでございます。良好な環境というのは一体どう考えるかというのは、先ほど来御答弁の中でも申し上げましたけれども、自然環境保全法の中で具体的にそのことを決めている意味は、したがって非常に重くなってくるのです。この良好な環境の確保を至上命題にするならば、それにそぐわないものは認めないという立場で臨むことこそ環境保全に対しての第一歩ではあるまいか、このように考えまして、認可をした時点の後においてその確保に支障が生じてくる場合、これはそうざらにある場合とは思えませんけれども、生じてきた場合について、また、生ずるおそれがあるというふうに認められるような場合についてまでも考えまして、その認可を取り消すという手続をとることができるように用意をしたわけでございます。 そういたしますと、先生御指摘のとおりに、その次にどうも損害賠償を求めるというかっこうにもなっていくような事例が起きてきはしないかという危惧がさらに出るのですが、一度認可したものを取り消されるということは事業者にとっては手痛いことだとは思いますけれども、事業者がなぜアセスメントを受けなければならないかという基本的問題に立ち返って考えてまいりますと、良好な環境を確保するという、環境保全というものを十全ならしめなければならないというところにこの問題の出発点があったわけでございますから、それにそぐわないものについては受忍限度内のものだということを考えていかなければならないというふうに私たちは考えています。だから、その損失補償については、事業者の方でもし受けられないという気持ちがあるならば司法機関の判断にまつというかっこうにもその道を開いているわけでございます。したがいまして、繰り返しになるかもしれませんが、これはあくまで良好な環境の確保、環境保全という観点でこういう措置を行っていることに対しての御理解をぜひいただきたいと思うわけでございます。 〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
○藤田(ス)委員 ここまで厳しいものが制度化されていくと、実際の段階ではこういうことがむしろ生かされないような条件が生まれてくるだろう、私もそういうふうに考えるわけです。だから、ここだけを取り上げて実現性がないとかなんとかというようなことは——むしろそういう必要さえなくなるようないい環境条件、開発に対する考え方が生じてくるだろう、私もそのように考えます。 次に、不服申し立てのことなんです。四十三条に参りますけれども、行政不服審査法による不服申し立てというものを制限した趣旨は何なのか。そして、これは住民の不利益につながることはないのかという点について、まずお伺いいたします。
○土井議員 この法案で予定されております委員会とか審査会は、それぞれ合議制によるものでございます。そうして、その合議制の中では慎重な判断に基づく処分が求められているわけであります。ですから、原則として行政不服審査法による不服申し立てばできないというふうに考えました。御承知のとおり、公正取引委員会とか公共企業体等労働委員会というのも同様に行政不服審査法による不服申し立てができないということでございますけれども、システムから言うとちょっと違いはございますが、この委員会も行政機関の附属機関というようなかっこうで考えていくということがそういう点では大切ではないかというふうに思っています。
○藤田(ス)委員 条文に即してもう一、二お伺いをしたいところがあるのですが、時間の関係もありますので、またもう少しもとへ戻してお伺いしたいわけです。 「関係住民等」の問題なんですが、政府の考え方は、その地域に住んでいる人に限ってというふうになっているわけです。この法案では、環境の保全についての意見を有する者を関係住民等に取り込んでいくということになるかと思いますが、私、 この前スウェーデンに参りましたとき、隣の国の住民の意見もアセスメントのときには聞くのだと聞いて、びっくりする方のこちらの感覚のそこまで後退していることにさらにまた改めてびっくりしたわけです。北海道で開発されるときに九州の人も来るということがどうして悪いのでしょうかということは先ほど土井先生の御発言の中にもありましたけれども、もう一度、提案者としてその意図するところをお伺いをしたいわけです。
○土井議員 先生御案内のとおりで、いままで全国各地に起こっております環境破壊なり公害の実態を見てまいりますと、もらい公害という状況で引き起こされているような被害がかなり多くございます。したがいまして、行政区画にとらわれまして一行政区画内の住民だけをこの住民として対象に考えるということは余りにも実態にそぐわない考え方ではないかということが一つ言えるわけでございますね。また、環境保全の立場から良好な環境を確保するにとどまらず、より良好な環境をと求めれば求めるほど、単に地域住民にかかわる問題ではございませんで、国民全体にかかわる問題であるとの認識こそ私は大切であるという立場でございますから、この法案に言うところの「関係住民等」についての問題は、いま申し上げましたとおり、地域を指定してそこに限定をするという考え方が余りにもアセスメントに背を向けた考え方ではなかろうかということも、ついでながら私は申し上げておきたいと思うのであります。
○藤田(ス)委員 五十年の環境影響評価制度専門委員会は、「各種の計画・事業が複合した大規模な地域開発が行われる場合等にあっては、これを構成する個別の計画・事業の決定・実施についての環境影響評価の実施に先立って、その全体について一体として環境影響評価を行うことが望ましい。」こういうふうに述べております。私もそのとおりだと思いますが、この点については、土井先生はいかがお考えでしょうか。
○土井議員 要するに、一体としての事業については一括したアセスメントが必要ではないかというふうな御趣旨でお尋ねをいただいておるのではないかと思っておりますけれども、それはそのとおりでございまして、やはり総量規制などがいろいろな大気汚染や水質の汚濁に対しても求められておる時代でございます。そういうことからすると、やはり全体を総合的にきちっとアセスをするということが非常に大切でございますから、先生のおっしゃる趣旨を考えなければならない、また、それを生かす法案を用意しなければならない、ぜひ法律に実現させなければならない、そのように考えております。
○藤田(ス)委員 実例との関係でお伺いをしていきたいと思うのですが、これは、政府の方にも御見解をお伺いしたいわけです。 まず最初は、私の地元の関西新空港の問題です。この新空港問題はいろいろと問題が多いのですが、特に環境面から見て、現在の運輸省のアセスメントは大変都合のよいアセスメントをしていると思うのです。たとえば大阪府は、空港が来るからということで前島計画というのを持っていますが、このアセスメントは、運輸省のアセスメントでは全然取り上げられていないわけです。つまり、欠落しているわけです。それから、土取りですね。埋め立てるわけですから、当然大変な土が要するわけです。この土取りについても、これまた運輸省のアセスメントの中では一切行われていないわけです。こういうような状況のもとで、大変残念なのですが、大阪府の知事は、運輸省のアセスメントについて、事実上このアセスを是認していくという中間報告を出し、さらに、発言者を制限した上で、傍聴者もわずか百名というような公聴会をさえ強行していこうという形で新空港計画を促進していこうという動きが非常に強まっているわけなのです。 こういうやり方について、まず政府の御見解をお伺いしたいのと、社会党としてはどのような評価をしていらっしゃるのか。私は、この提案されている本法案の精神に反するというふうにさえ考えるわけですが、御見解をお伺いしたいと思います。
○清水政府委員 ただいまお尋ねの関西新空港の問題につきましては、私ども環境庁の立場として全体問題に対しまして公式にお答え申し上げるというのにはやや立場上問題があろうかと思いますので、その点につきましてはひとつその事情は御理解をいただきたいと思いますが、私が運輸省との接触等で承知しておりますところで申し上げますと、たとえば大阪府はまだ運輸省に対して正式な意見というようなものはお出しになっていらっしゃらないのじゃないか。あるいは目下準備中かもしれませんけれども、そこはそういうふうな程度にしか、私、承知しておりません。 その前段の方のアセスの問題ですけれども、前島計画と言われるものが大阪府の計画としておありになるだろうということは伺っているわけでございます。ただ、これは、もちろん運輸省の三点セットの中には入っていないわけですが、話を聞きますと、これは大阪府自身の計画であり、かつ、大阪府自身は当然大規模な埋め立てを予定しておる計画のようでございますので、大阪府自身がアセスをしないことには、いまの公有水面埋立法その他の関係からいいましてももう話にならないわけでございますから、この点のアセスの問題は、そういう意味では手続論としては確実に行われることは間違いないだろうと思います。それをどう考えるかということは、これはまた後ほどの問題になろうかと思います。 土取りにつきましては、しばしば問題が指摘されますけれども、これは運輸省のおつくりになりました三点セットの中にも、たしか私の記憶ではございます。土取りについても、事業者が決まった上のことという前提での表現だとは思いますけれども、しかるべき責任のある事業者がアセスを適正に行う必要があろうというような意味の見解は、たしか三点セットの中でも表明しておられたように思います。むしろ、これは、それを具体的にどうやって担保するかということの方が実は私どもとしては気になっているところでございまして、そういう点については、事実上、運輸省にも、将来のタイミングとの関係も含めてそういうところに手抜かりのないようにお願いをしたいというような希望は申し述べているところでございます。
○土井議員 いまの御発言の点は、当法案からいたしますと、第二条の十号の中に「飛行場又はその施設の設置又は変更」というのが中央委員会の管轄にかかわる問題として設定をされております。また、開発事業の区域の面積が五十ヘクタールを超えるもの、これについても中央委員会が所管をするというかっこうになっておりまして、この両者ともそれぞれ環境アセスメントを行わなければならないというふうに当法案は予定をいたしておりますので、この法案の趣旨からいたしますと、なされるべきものがなされていないということに相なります。
○藤田(ス)委員 それでは、もう一点、志布志の問題についてお伺いをしたいわけです。これは、土井先生、この間のときはほかの委員会でお忙しくていらっしゃいませんでしたので、私の言うことをよくわかっていただけるかどうか、ちょっと聞いてほしいのですが、環境庁の方にお伺いをしたいわけです。 環境庁の方針によりますと、「環境影響評価に係る技術的事項について」という方針を出しておられるわけです。この方針の中で、景観を評価する場合の主要展望地点とはということで定義をしているわけです。「不特定多数の人々により風景を観賞する展望地点として位置づけられている公共的な場所」というふうになっているわけです。 それで、三年前に鹿児島県が港湾改修のアセスメントをやったのです。そのときには、環境庁の方針に従って県は忠実に五カ所主要な展望地点として採用した。この中に問題の権現山というのが入っているわけです。これを採用してアセスメントしたのですね。環境庁はそれをちゃんと審査をしておるわけです。ところが、問題は、今度の石油備蓄基地につながる問題なのです。 この間も大分論議しましたけれども、きょう私が聞きたいのは一点だけなのです。無数に展望地点があるというようなことを言われましたけれども、私が聞きたいのは無数にある展望地点ではないわけです。志布志の権現山は主要な展望地点に変わりはないのかどうかということをお伺いしたいわけです。
○正田政府委員 アセスメントの技術的事項に、御指摘のように主要展望地点といたしまして「不特定多数の人々により風景を観賞する展望地点として位置づけられている公共的な場所」というのがアセスメントの指導の中身にございます。いま御指摘の権現山は、県が策定いたしました公園の利用計画では権現山には園地展望所ということが計画されておりますので、御質問の意味では主要展望地点に当たると考えられております。
○藤田(ス)委員 主要展望地点であるというふうに認められましたので、私は、これ以上ここで聞かないことにいたします。しかし、そうなりますと、ずいぶん勝手なアセスメントだな、こんなものを一々アセスメントという形容詞をつけられていったのでは、まさに開発促進型と言わざるを得ないというふうに考えるわけなんですが、その点で提案者の御意見をお聞きしたいわけです。
○土井議員 私どもの提案をいたしておりますこのアセスメント法案の中には、環境ということを認識する中に自然環境、自然景観というのも認識しながら考えていることは、先ほど来御答弁を繰り返し申し上げてきたところでございます。 ところで、具体的に権現山を観測地点として認めることがアセスのやり方として大事だということをきょうは環境庁の方も認められているわけでありますから、その地点から観測をなさないでおいてこれでアセスはできておりますということはまさかお言いにならないであろうというふうに私は認識いたしまして、今後の環境庁のこの問題に対する対処の仕方をひとつ十二分に監視をし、そのことに対して間違いがあるならば非を正す方向で努力をしなければならないという気持ちをいままさにもう、一度新たにしたわけであります。
○藤田(ス)委員 もう一つ、今回のこの志布志の問題で、私、理解に苦しむのが区域変更、解除の問題なんですね。「国立公園計画の再検討について」ということで、これも環境庁は方針を出していらっしゃいます。非常にすばらしい方針だ、私はそう思っているのです。この方針を見ますと、これからも国立公園だとか国定公園は開発を目的とする区域の変更は原則としては行わないということを言っているわけです。これは参議院でも自然公園法に絡んでこういうふうな附帯決議がなされた後であったと思いますが、非常に大事なことを指摘しております。こういうふうな環境庁の方針があるから、志布志の区域変更あるいは解除ができないんです。みずからその方針を持っていますから、自殺行為みたいになるわけですね。だから、解除しないまま高さ二十メートルの築堤をつくって、海岸から見たらその中は何があるやら見えないようにするんだ、こういうわけです。そういうことで備蓄基地を認めようというわけです。したがって、解除しないということですから、審議会にもかけなくていいわけです。 そういうようなことなんですけれども、私は重大な矛盾があるということを指摘しているわけです。それは、解除をしないと、築堤に囲まれて完成します。しかし、その中には国定公園の普通区域が七十ヘクタール取り込まれるわけです。だから、二十万坪に及ぶ地域が相変わらず自然公園法の言う普通区域として残るわけです。そうすると、自然公園法では風景の保護を目的とした届け出の義務がついてくるわけです。だから、タンクに表示をするときでもそれは届け出をしなければならないという義務がつく。だけれども、私がわからないのは、風景を保護するために届け出をしなさい、こうでしまう。ここの遮断した中のタンクや何かに風景を保護するために届け出をしなさいという、そのことに何の意味があるのか、一体どういう意味を持つのかということをお伺いしたいわけです。
○正田政府委員 御指摘の点についてお答え申し上げます。 まず第一点といたしまして、自然公園法第二十条がございます。これは、国立、国定公園の普通地域内におきまして、風景を保護する観点から種々の行為について届け出を義務づけております。そして、必要な場合におきましては、同法に基づきましてあくまで風景を保護するために必要な命令でございますとか、そういった規制をできるように定めているものでございます。次いで、公園区域から除外いたしました場合には、このような自然公園法上の規制は全く行うことができなくなるのは当然でございまして、風景を保護するために必要な措置はとれなくなるわけであります。 そこで、志布志湾の御指摘の基地計画に関して申し上げるならば、おおむね次のような観点から本普通地域内の届け出義務を課す意味は十分にあると考えております。 まず、築堤をつくるということそのもの、あるいは植栽、そういった風景を保護する上で必要な措置をいろいろ考えておりますが、それが十分行われるかどうかをチェックいたさなければなりませんので、これは普通地域内の行為としてチェックいたします。さらに、たとえば基地建設の後でいろいろな事情で鉄塔など、あるいは巨大工作物の建設というのがもし計画されるという場合にも、こういうことはないと思いますが、風景を保護する観点から、やはり普通地域内に指定しておいて、そして必要な規制を行うというのが、先般も申し上げたと思いますが、公園法の解釈、それから実施について基本的に考えている次第でございます。
○藤田(ス)委員 大変苦しい御答弁だと私は思うのです。土井先生、私の主張するところをわかっていただいたでしょうか。百歩譲って、二十メートルの築堤をつくらせるということは、その区域の変更をしないということにはあるいは形式的な意味を持つかもしれません。しかし、もともと環境庁は二十メートルの築堤をこしらえて、中の二十二メートルのタンクさえ見えぬようにする、こういう理屈を言っているわけです。だから、その築堤の中の、つまり備蓄基地の中のその自然公園法に基づく普通区域ということですね、その自然公園法に基づく普通区域、その普通区域に課せられている届け出の義務というのは一体どういう意味を持つのかということ。見えないようにするためにつくるのだ、それで風景を害せぬようにするのだと言いながら、区域の変更をしないわけですから。できないわけでしょう、環境庁としては。
○正田政府委員 繰り返すようになりますが、先般検討に値すると申しまして、一つの考え方を検討に値することにいたしたわけでありますが、その中身といたしまして、たとえば築堤をつくってその上に植栽を施すとか、そういうようないろいろな問題があるわけですが、今後アセスメントの後に自然公園法上のいろいろな手続が行われると思いますが、その手続の段階でただいま先生が御指摘になったような行為をいたすわけでございまして、もしも普通地域でなくなったといたしますれば自然公園法上の手続が行われないわけでございますから、やはり自然公園法上の普通地域といたしまして法律上の手続の規制をかぶせるというのが基本的な考え方でございます。
○藤田(ス)委員 土井先生、二人の議論はまだ十分尽くしておりませんのであれかと思いますが、最後に御意見をお伺いしておきたいわけです。 私は、もう実態としては解除してしまっているじゃないかと思う。にもかかわらず、環境庁は、開発を目的とした区域の変更は行わないというみずからの方針があるから、だから解除できないわけなんですよ。したがって、審議会にかけるにもかけられないような、言ってみたらみずから胸を刺すわけにはいかないから、そこで非常にこそくな手段、二十メートルの築堤を築いて外から見えないようにするんだ、こう言うわけですが、そしたらその中の七十ヘクタールの自然公園区域として相変わらず生きているところは一々何かするたびに届け出制の義務というものがつきまとうじゃないか、怠れば犯罪になるわけですから、そんなことに何の意味があるのかということを私はさっきから何遍も聞いているわけなんです。だから、要するに地域の開発を目的とする区域の解除を行わないというその方針を環境庁が維持する限り、今回のような備蓄基地は認めることはできないはずだし、また、認めようとすればいま言ったような大きなどうしようもない矛盾を抱えていかざるを得ないというふうに考えるわけです。私は、これはアセスメントを非常に冒涜するものだと思わざるを得ないわけですが、最後に土井先生の御意見をお伺いして、終わりたいと思います。
○土井議員 先ほど来の御質問、そして御答弁の主題になっております志布志の例の石油備蓄基地に対する計画の問題、これは、前回の当委員会でも私は自然公園法並びに自然環境保全法の法条を指摘をして、そしてそれに対する解釈論を展開をして、環境庁からのそれに対する見解を問いただすという機会を持ったのです。これは、自然公園法についての理解も大分環境庁の理解が違っているように私自身は思いますけれども、しかし、いまここで問題にしておりますのはアセス法でございまして、今回のアセスメント法案ならきちっとこのことに対して規制ができるのです。自然公園法の十一条並びに二十条にひっかかるかひっかからないか、違反であるか違反でないかという問題も片やございますけれども、きちっともっと本来の問題として大切な環境保全の観点からアセス法案でこの問題に対処しようという姿勢も私たちは持って今回臨みましたので、この法案の中身で規制できる点をひとつ御賢察いただいて、御協力方をお願い申し上げたいと思います。
○藤田(ス)委員 どうも大変御熱心な御答弁、ありがとうございました。
○八田委員長 次回は、来る二十七日火曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時五十四分散会