環境委員会 第4号
- 発言数
- 69 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1982/03/26
会議録
○八田委員長 これより会議を開きます。 公害の防止並びに自然環境の保護及び整備に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。五十嵐広三君。
○五十嵐委員 このごろ、世界的な規模でも湿地の保全ということが非常に強く言われるようになってきたわけでありますが、わが国の場合も、一九八〇年の十月ですか、ラムサー条約に加盟をしたわけであります。 あの折にわが国で国際的に長くしっかり保全をするぞということで約束をしたいわゆる指定の地域というのは、北海道の釧路湿原一カ所であったというふうに思うのであります。そこで、そのことについては、どうも一カ所だけというのはおかしいじゃないかというような声も非常に多くて、この間なんかは黒星批准だなんという指摘の声がちょっと出ておりましたけれども、しかし、いずれにしても加盟したことはいいことで、ぜひひとつ前向きに努力してほしいと思うのですが、さらにこの指定地域をふやしていくような方向での御検討はなされているかどうか、お伺いを申し上げます。
○正田政府委員 釧路湿原の場合は、御案内のように日本で最大の湿原ということで、国際的にも評価が高い、これは当然ということだと思いますが、あと、それに続くものとしては、先生御案内と思いますが、北海道の風蓮湖でございます。それから宮城県の伊豆沼でございますか、これを何とかしてやりたいと思っているのですが、なかなかいろいろ調整関係がむずかしゅうございまして進捗しておりませんが、釧路湿原を指定したということで国際的には一応満足していただいているとは思っておりますが、努力しなければいけない問題だと思っております。
○五十嵐委員 つまり、風蓮湖などさらに指定をしようという努力はしている、いろいろ調整上多くの問題があるが、そういう前向きの姿勢で、一カ所ということにとどまらず、さらに釧路湿原に次ぐものを指定をしていくという努力をしている、こういうぐあいにお聞きしてよろしゅうございますか。
○正田政府委員 二番手、三番手の問題については、地元の調整ができ次第指定したいということで努力しております。
○五十嵐委員 それほどのものでないにしてみても、わが国にはまだ非常にすぐれた湿原が各所にあるわけでございますが、こういうものの適切な保全のためにも、国内的に努力をしていく必要はもちろんあると思うのですが、しかし一方で、そういうものは埋め立てられたり干拓されたりして侵害を受けているという事実も非常に多いわけでありまして、こういう点について環境庁としてどういう努力あるいは対策をお立てになっておるか、あるいはこれからそういう面についてどういう努力をなさろうとしているか、お伺いしたいと思います。
○正田政府委員 湿原は全国にも無数にございまするし、ピンからキリまであるわけでございますが、ただいま申し上げたようなラムサール条約に基づく湿原、これはもう文字どおり超A級のものでございまして、普通の公園のような利用の目的と保護の目的と両方兼ね合わせたものでなくて、あくまで水鳥の保護のため一本の指定でございまして、最大級の湿原、こういうことに相なりますが、それ以外の湿原につきましては、景観等の観点から見て、あるいは生態系の観点から見て、国立公園とか国定公園とか都道府県立の自然公園とかいう体系の中に組み込んで保護及び利用、観賞を図る。さらに、物によりましては、原生自然環境保全地域という制度が別の法律でございまして、これは非常に規制のレベルの高い制度でございますが、そういうところで該当地域があれば取り入れるというようなことでございます。さらに、指定されている地域内の湿原については、特別な地域としてさらに指定をしまして重ねて保護をする、そういう基本的な仕組みで運用しておるわけでございます。
○五十嵐委員 そこで、そういう数多いすぐれた湿原の一つに、北海道のサロベツ原野があるのではないかと思うのです。昭和四十九年に、それまでの利尻礼文の国定公園がサロベツ原野を含めて国立公園に昇格指定をされたわけです。このとき、特にサロベツ原野を含めて国立公園にすべきだという、審議会あたりの意見もそうであったようですが、このサロベツ原野についての自然価値上の認識といいますか、そういう価値の評価といいますか、その点についてどうお考えになっておられるか、お聞き申し上げたいと思います。
○正田政府委員 まず、何と申しましても、この地域は日本海の海岸線に並行に発達しておりますところの例の風衝林でございますね。それからトドマツ、エゾイタヤ、そういった針葉樹、広葉樹の混交林というものが第一でございます。それから第二は、砂丘と砂丘の間に点在しております、先生おっしゃった湿地とのマッチ、湿地と沼地というものが第二のポイントだろうと思います。そういうところとサロベツ川の流域ということで形ができておりますところのわが国の代表的な泥炭地、いわゆるサロベツ原野、こういったものの植生に特色がありますので、植生上の特色を生かして、景観と植生という観点から指定した理由があると思います。したがいまして、湿原もその一つである、こういうふうにお考えいただきたいと思います。
○五十嵐委員 そこで、いまお話しになったようなことに立って、サロベツ原野を含めて国立公園に当時指定をした。指定をするいきさつの中で地元の調整等の問題もあって、全体を指定ということでなくてそのうちの一部について指定をして、他の地域についてはこれを残したという経過があるようでありますが、四十九年七月三十日の審議会の指定に関する答申というものの中でもこれについて触れて、いわば南側に拡張することを予定しているといいますか、そういうなお書きがついた答申書になっているわけでありますが、それを見てもわかるように、全体を指定をしたかったわけだが、しかし特定の地域で線引きをした。残された審議会で言う南側の地域についても、いまお話しの趣旨と同じような価値というものがあるというふうにお考えになっているのかどうか、お伺いしたいと思います。
○正田政府委員 あそこの地域は、海岸に近いところが牧草地でございます。砂丘の上がトドマツ、エゾイタヤの混交林、それから先ほど申し上げたヨシとかそういったものが主体となった湿原という部分でございます。そういった自然景観でありますが、すでに公園区域となっておりますサロベツの北部地域とほぼ同様、こういうふうにわれわれ認識しております。
○五十嵐委員 つまり、サロベツ原野の先ほど認められた自然の価値を認めてそれをしっかり保存していこうというふうにお考えになっている北側一部を指定をなされた。それで、南側についてはなおいろいろ調整する問題等があって後に譲ったといいますか、そういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
○正田政府委員 私どもの公園の制度はアメリカや何かと違いまして所有権がございませんので、地域主義と言っておりまして、いわゆるゾーニングでございますね、私権の調整を図って指定する。大事なところを保護しますので、私権が規制されるという形の公園制度でございますので、あくまで地域、土地、地元の権利関係、将来の利用関係、そういったものを前提にしておりますので、そういった地元の意向を体して指定しておりますが、おっしゃったとおりの経過でございます。
○五十嵐委員 そこで、当時指定に当たって自然環境保全審議会はそのことを答申の中で明記したということだろうと思うのですね、そういう気持ちをといいますか。これに基づいて、いわばその条件を満たすために環境庁と北海道開発庁の間で覚書の交換がなされているわけでありますが、まず、七月三十日の自然環境保全審議会におけるなお書きといいますか、その条件といいますか、それはどういうぐあいに答申になっているか、ちょっと。
○正田政府委員 附帯意見といたしまして、隣接する南側地域を可及的速やかに公園区域に包含するようにという附帯意見でございます。
○五十嵐委員 それに基づいて北海道開発庁との間に覚書の交換を同日付で行って、つまりそのことがいまの審議会の答申の条件というものを満たした、したがって同時に指定ということになっていると思うのですが、その覚書の内容について、いまの問題に関連する点で結構なんでありますが、ちょっとお知らせいただきたいと思います。
○正田政府委員 「豊富、幌延両町の境界線の南側で、サロベツ川、天塩川及び海岸線に囲まれた区域については、サロベツ川の河川改修計画が決定され次第、当該区域のうち適当な地域を公園区域に編入することを前提に、その利用区分について協議する。」以上でございます。
○五十嵐委員 北海道開発庁もおいでいただいているわけでありますが、いまのような覚書を開発庁としてもお交わしになられておることに違いはございませんか。
○宇山説明員 御指摘のとおりでございます。
○五十嵐委員 このときに一体なぜそういう留保をしなければならぬ状況があったのかということなんでありますが、これは主として現地側の状況によるものだというふうに思うのでありますが、これについて、環境庁でも開発庁でも結構ですが、どういう状況であったのか、ちょっとお知らせをいただきたい。
○正田政府委員 この地域に、河川改修計画をもちまして河川改修を行って農地を造成していくという方向がありました。それに基づいて、河川改修計画ができるまでは少なくとも指定しない、こういうことでございました。
○五十嵐委員 湿原の場合、一定の地域を自然保護用地として指定をいたした場合、他の地域、保護区域外の地域でさまざま行われる行為、特に水路等についてこれが区域内に間接的に重大な影響をもたらす、保護区域内の環境の変化をもたらすということが常に言われるわけでありますが、この場合いかがなものか、お伺いを申し上げたいと思います。
○正田政府委員 先ほどの釧路湿原でございますとか、単一のスケールの大きい湿原ですとそういった問題があるというお話は専門家から聞いておりますが、この地域のようないわば全体の中に湿原なり沼地が点在しているという場合などでは、それほどのものは考えられないというのが専門家の意見でございます。指定地域外でございますから、現在、いろいろなことが将来予想されるわけですから、農用地の開発なんかも当然考えておったわけですから、そういうことを考えても影響があるなら、それはいま指定しているような地域についても指定をむしろするとかしないとか、あるいは保護対策をそのときに考えるとか、いろいろなことをやったと思われます。結論的に申し上げますと、技術的な見解としてはそういったものに対する影響は余りない、こういうことでございます。
○五十嵐委員 私ここに持っているのは、ちょうどその指定した四十九年の年、一九七四年の北海道の自然環境白書です。ここには、それに関してこう言っているのですね。「農業開発に関連する治水対策として立案されたサロベツ川放水路については、自然保護上の影響が大きく予想されるため、この地域はすべての実施計画を凍結した調整区域として留保し、放水路が海岸砂丘林ならびに湿原、あるいは日本海沿岸の水産資源等にどのような影響を与えるかについての事前調査を行った。サロベツ湿原の保護問題は現在、環境庁によって最終的な調整が行われているが、今後は放水路計画にともなう影響調査結果に対する判断が大きな課題の一つとなると考えられる。」こう述べているんですが、これは四十九年ですね。八年前ですか。もちろんいろいろ御検討、御調査になったのかとも思われますが、こういう自然保護上の重大な懸念等について、環境庁はどのような調査あるいは判断に今日立っているか、それをもう少し明確にしてください。
○正田政府委員 いまお読みになった件も十分私ども承知しておりますが、審議会が検討した段階では、あの附帯意見につきましては、もちろんそういったような発想で入れた方がベターだ、こういう考え方でございますが、湿原に限らず自然保護全般について、もちろん放水路をつくり、川の流れを変えていけば当然いろいろな影響があることは間違いありませんが、それによって一方に指定した地域が台なしになってしまうというほどのことではないという見解に基づいております。
○五十嵐委員 それはどうも余り納得のできるお話ではないように思いますし、もう少ししっかりお取り組みをいただきたいという感じがしてならないのでありますが、話を前に進めましょう。 昭和四十七年の八月、つまりこの国立公園に昇格指定をする二年ほど前、地元とのいろいろな問題の調整等があって、当時、小山環境庁長官がわざわざサロベツ原野まで出かけていった。そうして、向こうでこれらの問題の調整に当たったようでありますが、その折の経過についてお話しをいただきたいと思います。
○正田政府委員 そのときの経過というのはよくわからないのでございますが、残っている記録だけを見ますると、指定に先立ちまして元長官が御視察になりました。一つは、稚内と豊富町が指定に賛成、それから幌延町がパンケ沼の部分を除いて指定に反対、こういう意向が表明されたということだけしかわかっておりません。
○五十嵐委員 それでは、わかる資料を申し上げたいと思います。これはおたくの方で出しているものなんですが、昭和五十六年の環境庁で出している「自然保護行政のあゆみ」というのがありますね。あれの中で、この利尻礼文サロベツ国立公園の経過について少し触れている部分があります。ちょっと読みますと、「利尻礼文国定公園は、それ自体北方系の植物群落などすぐれた景観要素があり、これにサロベツ原野の相当部分が、十分保全される状態で加えられるのであれば、国立公園に指定替えすることについては自然公園審議会委員などには余り異存はなかった。しかし、この国立公園昇格には問題があった。第一は、サロベツ原野の開発を期待する幌延、豊富の二町がこの指定に積極的な賛成をしていなかったことであり、第二は、ここに洪水調節のための放水路の計画があることであった。この状態を打開して指定に持ち込むためには特別な手を打つ必要があった。そこで、昭和四七年八月、小山長規環境庁長官が特にサロベツ原野を視察し、「放水路問題については、これを凍結した形で指定するのも一つの方法である」と述べた。放水路を国立公園の指定区域から一応除外しておき、その代わり、よく調査をした上で結論が出るまで、その関係地域については、放水路工事はもちろん、景観を改変するような行為も一切やらないでおこうというものである。この提案によってようやく地元の了解がつき、不十分ながら線引きできたのは二年後の四九年夏のことであった。」このとおりに違いないと思うのですが、いかがですか。
○正田政府委員 いまお読みいただいた資料の記述はそのとおりでございます。ただ、私が先ほど申し上げた件は、長官の調整事項ということでお話がございましたので、調整の結論だけを申し上げたわけでございますが、長官の印象と申しますか、その部分を凍結して国立公園に指定するのも一つの方法だと思う、こういう印象というものは残っておるわけでございます。
○五十嵐委員 あなた、印象といいましても、審議会の四十九年の答申における附帯意見、その条件を満たすための環境庁と北海道開発庁の先ほどお話があった覚書の交換、これはこういう考えに基づいて、いまの小山長官のような発想経過に基づいて行われているわけでしょう。単なる印象でないでしょう。そういう行政上の結実を生んでいるわけでしょう。その上に立って今日まで来ているわけでしょう。違いますか。
○正田政府委員 私が人づてに伺いましたのは、長官がお戻りになって、そういうふうにした方がいいと思う、こういう印象をお述べになって、それを役所でこなし、審議会でいまおっしゃったようないろいろな議論があって、そしてその部分を除いて指定した、こういうふうに聞いております。
○五十嵐委員 それなら、単なる印象でございますなんというお答えはやはり適当でないですよ。 そこで、通産省おいでになっておられますか。いまの該当のこの地域に関連をして、低レベル放射性廃棄物の陸地貯蔵施設ということがいま盛んに論議を起こしているわけですね。そこで、この幌延地域ということは後にして、まず、いま通産省あるいは科学技術庁で考えておられる低レベル放射性廃棄物の貯蔵施設計画というものの概要、たとえば規模だとかどのぐらい保管するのだとか、こういうようなことについて御説明ください。
○田辺説明員 お答え申し上げます。 原子力発電所から発生いたします低レベル放射性廃棄物、これは、現在二百リッターのドラム缶に入れられまして、約二十八万本ぐらいサイト内に貯蔵されております。これは、原子力開発の進展に伴いまして、漸次、またかなり増大していくことになります。原子力委員会及び通産省の総合エネルギー調査会の報告に基づきまして、海洋処分及び陸上処分という二つの方向でその低レベル廃棄物の処理処分をしていきたいと考えております。 陸上に関しましては、いま申し上げました原子力委員会、エネルギー調査会の方向づけに基づきまして、私どもとしては、まず最も具体的、現実的な処分の一つのあり方として、施設による貯蔵によって原子力発電所のサイトの外に整然と秩序正しく移していく、そして貯蔵していく、そしてそれが結果的に処分につながるということを現在考えておりまして、政府といたしましては、その実施体制のあり方、それから来年度より安全性の実証試験等を行いまして、整備を図っていきたいと思っております。 また一方、関係業界、特に電力業界ともその方向で話し合いを行っておりますが、財団法人の原子力環境整備センターにおきまして、民間産業界の意向を受けまして、現在自主的にその方向で立地の調査をしている状況にあります。現在、この立地の調査はきわめて初期的な状況でございます。現在のところ、十数地点が一応図上調査なり目視調査なりという形で調査が行われているという状況にございます。 この施設貯蔵の規模なり具体的なイメージでございますが、これは、あるいは最終的には具体的な地点の確定ということと、もう少し政府部内あるいは産業界内での議論の煮詰まりで変わってまいりますけれども、一応私どもといたしましては、先ほど申し上げました二百リッターのドラム缶の量が増大し、二〇〇〇年には一つの想定で三百万本ぐらい、これは減容効果を入れますと、入れ方によって、また原子力開発規模の増大ぐあいによってかなり変わってまいりますが、二百万本という想定もございます。二百万本から三百万本ぐらいのうち百万本から百二十万本、これを陸上の施設貯蔵において行うという計画で考えて検討をしているという状況でございます。そういたしますと、仮に百二十万本程度にいたしますと、処分場の面積は管理区域も含めまして全体として数百万平米、施設の敷地面積といたしましては十六万平米なり二十万平米なりという試算をもって、一応のイメージを持って現在検討しているという状況でございます。
○五十嵐委員 いま、廃棄物の処理というのは原子力産業の上でも行政の上でも最大の問題になり、ネックになっていることだろうと思いますから、それだけに、いろいろなことを御工夫になっておられるのだろうとは思います。いま、原子炉は二十二ですか。そうですね。さらにこれからふやしていこうとお考えになっておられる。こういう原子炉から発生する、現在原子力発電所に貯蔵中のもの、またこれから発生するであろうもの、これはずっと輸送の専門の船で集めてあるわけですね。それを一カ所巨大な貯蔵施設をつくってそこに入れる。これはあなたもいまお話しのように、貯蔵そのものがいわば処分ですね。一時貯蔵して、それをどこかに持っていって処分するのではなくて、貯蔵そのものが処分。半減期の長いものあるいはいわゆる程度のきついものなんかは相当長期、あるいは減衰の早いものはまた入れかわって新たなものが入るわけでしょう。そうして一定の規模でそういうものを貯蔵し、長期にわたって貯蔵することが処分だという考え方をお持ちになっておられるのだろう、われわれはイメージの上ではそういうぐあいに思うのですが、そういうことですか。
○田辺説明員 ただいま先生おっしゃられましたように、貯蔵が長期にわたって行われますと、五十年あるいはそれ以上にわたって貯蔵されます。そういたしますと、現在の低レベル廃棄物に関しましてはかなりの程度減衰が進んで、処分と呼んでも差し支えないという状況になるかと思っています。 また、先ほど申し忘れましたけれども、陸上処分の形態として、地中に埋めるという形態が一つございますが、これは、現在、地下水への影響等々、地盤への影響等々、より安全実証が必要でございます。その辺は安全実証試験ということで別途検討を進めておりますけれども、それも一つの形態ではございます。その辺は、将来どういう技術開発の進展があるかによって変わってまいりますが、現在は、そういうことでまず現実的な方策として進めたいと私どもは考えております。
○五十嵐委員 そこで、お話のように十数カ所にその候補地をしぼってきている、さらにそれをしぼり上げる努力をいまなさっておられるのだろうと思うのでありますが、従前われわれが聞いているのでは、そうのんびりした話じゃなくて、できれば今年中ぐらいに候補地をしぼって、来年あたりは用地買収に入りたいというようなことなんかも御説明を受けたこともあったのですが、格別そのことをどうこうとは言いませんが、しかし、何にしても事柄上お急ぎになっているのでしょう。 そこで、北海道の幌延町が、その候補地として町長さんがその誘致に御努力なさっておられるということなようであります。それは、いわば過疎地域で、非常な悩みの中でそんな思いになったであろうことも、何といいますか、痛いような思いで僕はわかるわけでありますが、まず、幌延町がそういう施設の誘致をしている、それでまた、十数カ所の原子力環境整備センターの選考作業における候補地の一つだということであるかどうか。
○田辺説明員 お答えいたします。 私どものその構想が予算折衝のプロセスで公表されました過程で、幌延町から、低レベル廃棄物の施設貯蔵を含む原子力施設に関し、地域振興の一環として誘致をしたいという意向を私どもといたしても承っております。かつ、私が先ほど申し上げました十数地点の中には、幌延町地域というものも含まれていると承っております。
○五十嵐委員 この幌延町地域というものが、先ほどから話に出ている、昭和四十九年に国立公園として指定をいたしましたときに南部地域を残したといいますか、留保をした、まさにこの地域に該当するわけですね。私も図面を見せていただきましたが、環境庁と北海道開発庁が覚書で示している地域は、この幌延町の海岸線のすべてということになるようであります。ですから、もしこの地域に低レベル放射性廃棄物陸地貯蔵施設を置くということになると、先ほどからいろいろ論議になっている小山長官の配慮あるいは審議会における答申の趣旨、そしてまた覚書の趣旨、そういうもの全体から考えると、僕は非常に問題があるというふうに思わざるを得ない。 長官にお伺いいたしますが、この留保地域についてかかる施設が建設されるというようなことは一体適当とお思いになられるかどうか、御判断をお聞きしたいと思う。
○原国務大臣 まだ具体的な話は承知しておりません。したがいまして、具体的なお答えはできないのでございますけれども、現在の公園区域に隣接する、いま委員がおっしゃった南の地域ですね、この地域は、自然環境保全審議会から国立公園に包含するようにという要請もある地域でございます。したがいまして、これと相入れないような大規模な自然改変を伴う施設は好ましくないというふうに考えておるところでございます。
○五十嵐委員 いまの長官のお答えのように、ぜひ慎重な御配慮を環境庁としてはおとりをいただきたい、こういうぐあいに思います。 そこで、いまの長官のお答えを聞きながら、資源エネルギー庁にお伺いをするが、そういうような状況の中で、一体幌延については貯蔵施設の候補地として適当だと思うか。重大なる瑕疵というのはおかしい言い方かもしれぬが、これはやはり候補地としては非常に問題があるのではないかというふうに思うが、いかがですか。
○田辺説明員 私どもといたしましては、現在原子力環境整備センターが進めております調査、その進展に伴いまして、自然的条件、社会的条件、それから地域のニーズといいますか、地域振興への貢献等、もろもろの条件を考慮して慎重に決めていきたいと思っています。また、民間ベースでそういう形でしぼりつつ、しぼり上げができ上がります段階におきまして、国としても立地環境調査を行いまして、最終的にまたさまざまな要件を考慮して定めていきたいと思っております。
○五十嵐委員 でも、こういう事実がはっきりしてきているわけでしょう。それを黙っていて、原子力環境整備センターの作業はどんどん民間レベルで進めさせて、それはいずれ結論が出るだろう、出たときに、おたくの方は、いや公園との関係があるぞとかなんだとかいうことをその時点で言うというのはちょっとおかしいんじゃないですか。やはり適切な指導があっていいでしょう。おたくが委託しているわけだからね、言ってみれば。どうも当初のあれをただ読んでいるような感じで、もうちょっと生きた答弁にならないですか。
○田辺説明員 お答えいたします。 現在環境整備センターが進めています調査は自主的調査ということで、国の方向あるいは産業界の関係者の意向を受けてセンターがやっております。私どもとしては、その調査の結果を、もう少し進展を見て判断をしたいと思っております。 それから、先ほど来御議論になっております自然公園との関係につきましては、当然に私どもとしては、しかるべき時期に環境庁なりあるいは自然環境保全審議会等の関係に関して、もしそういう方向に進むならば、そういう仮定に立ちますと、慎重に調整をする、検討をするということになるかと思います。
○五十嵐委員 どうもおかしいね。しかるべき時期にというのはどういうことですか。つまり、センターはセンターで作業を進めさせて、仮に幌延、こうなったときには、それは適当でないよ、こういう問題があるよということになるだろうということなんですか。いま聞いているとそういうぐあいに感じますね。しかし、そんなことよりは、作業がそこまで行っちゃってからまた後戻りして、それじゃその後どうするだとかこうするだとかいうことよりは、明らかな問題のあるところについては、やはりしかるべくきちんとしておいた方が作業はいいのではないですか。しかも、急ぐわけでしょう、おたくの方は。どうですか。
○田辺説明員 施設処分場で貯蔵を開始する時期といたしましては、六十年代、なるべく早い時期に整然と貯蔵を開始したいと思っておりますが、それに見合った形で作業は進めていきたいと思っております。 先ほど来の御指摘の点につきましては、現状は、環境整備センターのそういう自主的な調査を十分に進められた後、私どもは慎重に検討するということでございますが、もちろん御指摘の点について、政府としても検討を進めつつ、しかるべき時期に自然条件、社会条件の一環としてしぼり込む段階で考慮に入れていくということになるかと思います。
○五十嵐委員 いまお聞きのような経過でございますので、環境庁といたしましても、この件につきましてはぜひひとつ重大な関心をお持ちいただきまして御留意いただきますように、お願い申し上げたいというふうに思います。 海岸線の保全であるとか、湖沼だとか、あるいは湿地、干潟、こういうこと等の保全につきましては、高度成長期にずいぶん侵害をされて、海岸線のごときは、おたくの方の調査でも、大体自然状態のまま残っているのは半分を割るというようなことのようでありますから、こういうものの保存というものは世界的に非常な高まりを見せている折だけに、わが国の場合もぜひひとつ力を入れてほしい、こういうぐあいに思うのです。この間来、志布志湾の条件つきゴーサインというようなことをめぐって、環境保全のために努力している多くの国民からかなり批判があるようでもございますし、これらについての一層の御努力を願いたい。環境庁長官は、いわばそのための守護神というぐらいな決意でやっていかなくては、多くの外部からの要因に抗していけるものではありませんから、そういう御決意を特にお願い申し上げたいと思うのです。 この際、最後に長官から一言ございましたら……。
○原国務大臣 全く同じような気持ちでおるわけでございまして、自然海浜が五〇%を割ってしまったというような、まことに残念な現状でございます。したがいまして、自然海浜はもちろんでございますが、残された自然を何とか保全をしていきたいということに全力を尽くしたいと思っております。
○五十嵐委員 どうもありがとうございました。
○八田委員長 野口幸一君。
○野口委員 まず大臣に、予定外でございますが、初めてのことでございますので、一言環境行政に対する御所見を承りたいと思います。 過般、大臣の所信表明の際にも述べられておることではございますけれども、環境行政が始まってといいますか、環境庁が設立されて十年になります。先日も、同僚議員が発言をいたしておる際にも述べられておりましたが、従来は、起こった環境の破壊に対して後追い的な対策に追われていたのが十年であったのではないか、これから先は、少なくともそれを未然に防止をしていく立場に立って環境行政というものが行われなくてはならないのだ、こういう旨の指摘をいたしましたところ、大臣も、全くそのとおりだ、これからはそういった立場に立って環境行政というものを行わなければならないのだ、こういう御答弁があったと記憶をいたしておるところでございます。 実は、いまも五十嵐議員の質問を聞いておりましてつくづく感じておるわけでありますけれども、環境庁というところは他の省庁とは違いまして、できたのが十年ばかり前でありまして、お越しになっていらっしゃる官僚の皆さんもそれぞれの省庁から横滑りといいまするか、転入なさって構成されているというような配置になっているわけでございます。やはりどうしても自分の出てきた省庁にごひいきをなさるというような、私は、ひが目で見ているわけではないのですが、そんなような気がしてならないわけでありますけれども、少なくともやはり環境庁として行政を行うに当たっては、すべてそういったことを離れて当たっていただかなくてはならぬと考えておりますし、また、そうでなくてはならないはずのものでございます。 また、私どもといたしましても、環境問題というのは、ある意味では、もうイデオロギー等は超越をいたしまして、人間という立場に立って、それぞれの分野からも言われておりまする、ある意味では地球的規模に立ってという議論さえ今日盛んに行われております時代でございますから、いまさら私がるる述べる必要はないと思いますけれども、どうも先日、実は私は、建設委員会で琵琶湖総合開発特別措置法に関する質問をいたしましたに当たりましても、環境庁の方を呼びまして、環境庁の立場からの御意見を聞いたのでありますが、その発言の内容を聞いておりますると、確かに法令を解釈するということにおいてはそのとおりであるかもわかりませんけれども、自然環境を守るという立場の役所の人の発言とは思えない、また、そういう温かみのある発言ではなかったように私は感じて、残念でならなかったのであります。 私事になって恐縮ですが、実は先日私の娘が共立女子大を卒業いたしましたときに、卒業のメッセージで「河の清きを俟てば人寿幾何ぞ」という言葉を引用されましてごあいさつがございました。中国の言葉でございますが、黄河がきれいになるのを待っていたら人間幾つになってもできるものではないということでありまして、なすべきことはすべからく早いことやらなければ意味がないんだということを示唆された言葉でございます。たまたま私もそれを聞いておりまして、全くそのとおりだ、早いこと手を打たなければどうにもならない問題がたくさんあるではないか、こういうことを感じたわけでございます。 長官も、先日の御答弁の際に、地球的規模の自然環境保全の問題については御卓見をお持ちのようでございますが、今後のいわゆる自然環境保全に関する行政のあり方として、もう一度所信を定かに御説明いただきたいと思うのでございます。
○原国務大臣 野口委員の仰せのとおりでございまして、私どもも、公害の発生あるいは自然の破壊というものは未然に防止していかなければならない。環境庁発足あるいはそれより少し前から日本の公害というのは非常にひどくなりまして、いまおっしゃったようにそれが余りにも急速でありましたために、後追い行政といいますか、その対応に全力を傾けなければならなかった、これはやむを得なかったと思います。その結果、一時のような非力な状況は脱しましたけれども、公害の問題にしても、大気の場合の窒素酸化物であるとかあるいは水の場合の湖沼であるとか、改善されないばかりでなくてさらに悪化の方向をたどっておるところもございますし、自然の破壊という問題につきましても、これはよほど一生懸命にやらないと、破壊されてからはもとに戻せないということで、未然防止ということに全力を挙げる。さらにまた進んで、快適な環境を創造するというようなことにつきましても、われわれの使命として全力を尽くしたいと思っておるわけでございます。 法律的ないろいろな関連もあるわけでございますけれども、基本的にはわれわれとしましては自然を守る、公害を防止するということ、しかも、それを未然にやっていこうという強い意欲を持ってやっていきたいと思っております。 なお、環境庁の職員構成につきましてもいま御指摘がございましたが、環境庁発足以来十年を越したわけでございまして、各省から出向しているという職員もいるわけでございますけれども、とにかく環境庁の使命、環境庁の大事な大事な役目というものにつきまして、みんな一体となってやっていこうという気持ちでやっているのが現状でございます。これからもその努力を全面的に続け、またさらに全力を尽くしていきたいと思っている次第でございます。
○野口委員 それに関連をいたしまして、二、三御質問を申し上げたいと存じます。 環境庁ができたのが十年前でございますから、関連する法案も、それ以前にあったものももちろんでございますけれども、環境関係の法律というのは他の法律よりもいわばおくれて整備された嫌いがございますし、今日でもまだ湖沼法ができていないのを考えましても、万全ではないという状況でございます。そういたしますと、先にできました法律の権限といいまするか、効力といいまするか、それの方が先んじまして、後から気がついてこういうことをしなければならぬのじゃないかというときには実はそれが及ばない、既設のものについてはもうだめなんだよ、こういうようなことになっていては、せっかく気づいてこれから守ろうという形を考えてみても、既設の法律があるためにどうしてもそれが打ち破れない、こういうことでは実際効用がないわけでございます。そのことにぶち当たったのが、実は数日前の琵琶湖総合開発特別措置法に関する質問の際だったわけでございます。 そこで、これは大臣もう結構であります、専門家があそこにこわい顔をして座っていますから、あの人に聞こうと思いますが、自然環境保全法の中で、特に第四章第一節「指定等」の中でございますが、二十二条二項に「自然公園法第二条第一号に規定する自然公園の区域は、自然環境保全地域の区域に含まれないものとする。」とありますが、この法から除外をした経過はいかがなものでございますか。なぜこういうことになったのですか。
○正田政府委員 この規定は理論的にはそういう深い意味があるわけじゃありませんで、ゾーニングを二つダブってやるということを避けるということで、こちらの方で公園の地域になっていれば、この中には指定後いろいろな規制のレベルは段階がありますけれども、一応自然公園法で規制するという地域に決めてありますので、そこで大事なものは保護しよう、したがってそれは除こう、こういう理論的な産物だと思います。
○野口委員 それで片づけられたとすると、私は全く不親切だと思うのです。というのは、これが除かれておりますがゆえに、保全の項目に至りましても、自然公園法の場合は都道府県知事の認可あるいはまた許可行為というのが非常に幅が広いわけですけれども、自然環境保全法の場合は環境庁長官ということになっておりまして、国の力をよけい加えることができる、こういう立場のものなんです。この間気がついたのですけれども、自然公園法の段階では知事にずいぶんたくさん許認可事項がございます。このごろはやりの行政改革じゃございませんが、たくさんあります。いい部分と悪い部分があるわけなんですけれども、これが抜けていますと及んでいかない。だから、国の力は都道府県知事がオーケーだと言えばもうどうしようもないのだというような感覚で見られる場合が間々あるということですね。そういうことでありまするがゆえに、実はこの間も建設省の河川局長ですか、河川法を盾にしておれのところの法の問題が優位なんだということを言うのだろうと思うのです。 いずれにしましても、自然環境保全地域というものの中で自然公園法の第二条第一号の規定する国立公園、国定公園、県立自然公園ですか、これらのものが一括してすべて抜かれてしまうということは非常に問題があると思うのです。もちろん重なる部分については何も別に規定しなければならないことはないと思うのですけれども、保全の問題あるいはその他の問題について全部が抜けてしまうということについては、いま気がついたわけでございまして、これは法改正の問題にひっかかるわけなんですけれども、見解を伺いたいと思うのです。
○正田政府委員 現在の法律を並べてみますると、全く問題がないというものじゃないと思います。したがって、立法論としては、いま先生がおっしゃったものは大事な御見解だと思います。と申しますのは、一つは、自然環境保全法というのは非常に保護の、規制の水準の高い法律ですから、そういう意味においてほとんどが環境庁長官が直接コントロールするということになっております。それから、規制のレベルが低いところのものは県が指定することになっておりますので、それは県がやることになっております。大事な点は、自然環境保全法で保護しようとする場所と自然公園法で保護しようとする場所の水準が違いますので、全く片方を除いてしまっているというところは、公園の方では特別保護地域の中の最重点地域に指定しない限りは、確かに理論的には整合性が保てない部分もあろうと思います。
○野口委員 自然環境保全法に基づくところが大事であって、自然公園法に基づく地域は大事じゃない、こういう分け方はしておられないはずでございますし、いずれも重要な地域でございますが、しかし、そうは言ってみても、地域全体をそのような規制で縛るということについては、経済活動その他に支障があるということについても、わからないわけではございません。したがって、特定の地域を指定しなければならぬという兼ね合いは、いろいろな意味から必要であると思うのです。ただ、全部抜かれているのです。もうとにかく公園法に基づくものは全部ここはだめなんだというふうに抜かれてしまうと、すべてが、先ほどの話に戻りますが、知事権限でやられるということになるわけでございます。 その場合にも、知事の権限が強く作用できればいいのですけれども、実はこの間の委員会で、同じことを申し上げますが、琵琶湖総合開発特別措置法に関する議論の中で、自然公園法の十七条の第三項の四号というのが「河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること。」このことは、実は知事の認可事項である。一応ただし書きとかそういうのは抜きにしまして、概念はこうだ。ところが、「ただし、」というのがその三項の中にありまして、「当該特別地域が指定され、若しくはその区域が拡張された際既に着手していた行為(第四号の二に掲げる行為を除く。)若しくは第四号の二に規定する湖沼若しくは湿原が指定された際既に着手していた同号に掲げる行為又は非常災害のために必要な応急措置として行う行為は、この限りでない。」こういうただし書きがついています。 ここで問題になるのは、瀬田川の洗いぜきの問題なんですね。瀬田川の洗いぜきができましたのはたしか明治二十九年ですから、もう八十五、六年ですか、前になると思いますが、そのときにとてつもない大水害が起こって、プラス三メートル以上琵琶湖が増水いたしまして、三カ月ないしひどいところでは四カ月間そのまま水につかっていたという記録があるわけなんです。それが一つのきっかけになりまして瀬田川をしゅんせついたしまして、岩を砕いて流れをよくする、流れをよくすると水が欲しいときに困るので、今度はせきをこしらえようということで洗いぜきができているということになりますから、これはもう明治年間にすでにこの洗いぜきの問題は着手されているわけであります。そういったことを考えますと、後からできた法律というのは、水の増減にかかわる工事ということを広義に解釈すれば、これはもうずっと前にあらゆるものに先立ってでき上がっておるものですから、一切かかわりないのだという解釈も成り立つわけですね。既設の、いわゆる「既に着手していた行為」というのはどういうことまでを言われるのだろうか、この解釈はいかがでしょう。「既に着手していた行為」というのはどういうことですか。
○正田政府委員 前の法律と後の法律という関係とはちょっと違いまして、それとは別の問題として、すでに着手していた行為は届け出ればいいよという法律だと思いますが、「既に着手していた行為」というのがたとえば協議しなければならない行為と全く同じであるという場合は、いろいろな法律で物を決める場合にすでにあるものはいいという経過措置はいっぱいございまして、それと同じような意味で整理してある条文ということだと思いますが、全く同じ行為であるかどうか、あるいはすでに着手していた行為であるかどうか、これはよく考えないとわからないわけであります。また、考え方の基本としては、新しい行為、すでに着手していた行為でない行為として解釈しなければならない行為、それは多々ございます。
○野口委員 確かに、法律を書いてあるとおりに読みますと、すでにその行為は、川のせきをとめて水の調節をするという行為が行われていたというように解釈をすれば、これはもう全く何にもできなくなってしまうわけであります。しかし、その当時の琵琶湖に対する物の考え方あるいはまた自然環境に対する物の考え方というものはずいぶん今日的に差がある。社会的に開発されてまいりまして、自然環境もこれ以上破壊されたら困るという時代になって、こういう法律ができてきたわけですから、いままでの行為はすべてだめなんだ、やっていたことはだめなんだよということになってしまうと、何のためにこの法律をつくって自然環境を守ろうという気持ちになったのか、意味がなくなってしまうわけでありまして、その意味では、この課題は非常に重要な課題だと思うのです。 ましてや今度の開発法によれば、いわゆる異常渇水期に、そうでなくても水がないときに、たとえば下流地域において水需要を必要とするときは、マイナス一・五メートルないしは二メートルにも及ぶ場合もあるということを想定して開発事業が始まった。そういう時期になりますと、過般の、これは皆さんにお示しすればいいのですけれども、異常渇水期というのはそんなにたくさんあるわけではありません。しかし、一番ひどいのは、昭和十四年に始まりまして、十五、十六の三年間にわたって異常渇水期がございまして、マイナス五十センチがおよそ六百日以上になっています。仮にこれから先にもそういう年があると想定しますと、過去にあったわけですから、未来のことはわからないと言いましても、過去にあったという経験に照らしてそういう時期が仮にあるとして、そこでさらに一・五メートル減らすということになりますと、平常水位に戻る期間というのは物すごく延びるわけです。一・五メートル下げて、あしたもとへ戻すというものじゃありませんからね。これは一定期間水を流さなければ下流は困るわけですから、水需要の問題とかそういうようなことはここの委員会ですから別におきまして、それを認めたということでございますし、それはいいと仮にすると、そういう行為がありますと自然の国定公園の様相というのは大きく変わってくるのです。どうでしょうか。それは未来永久に変わるわけではないのですね。そう変わってしまえば国定公園の値打ちはないわけですから、これは指定の解除をしなければならぬということになるでしょう。 これは私どもの想定なんですけれども、この間の委員会でもその話をしたのですが、マイナス五十センチというのが六百日以上ある年で、さらにそれを一・五メートル下げた際におよそ何日になるだろうかということを考えますと、そのときは、昭和十四年の四、五月ごろから渇水期になりまして、十五年はまるまるそのままで、十六年の梅雨を過ぎ夏を過ぎて、ようやく十一月ごろに復水をしておるわけですけれども、そういうようなことがあったところへさらに加えて一・五メートル下げる、毎秒四十トンを確保するということになってきますと、その期間がさらに延びる。そうすると、なぎさはもちろん、ひどいところになりますと五百メートルぐらいまで沖に水面が下がってしまうということになります。そうすると、なるほど水が三年なら三年たってもとへ戻ることはあり得るとしましても、その間にそこにおけるところの生物等は全く死滅をしてしまう。三年間も日干しですからね。十日や二十日の日干しじゃないですから。そういう非常に危険な可能性がある場合を想定いたしますと、これはいわゆる水需要というだけで洗いぜきの操作というものがされていいものかどうなのかということを、一方で私どもの方からしますと心配するわけですね。そうすると、一日でも早くもとへ戻したいという気持ちは、恐らく県民もそうだし、国の立場で見ても、国定公園を守ろうという気持ちから考えても、当然あるべき姿だと思うのですね。 ところが、この間の質問によると、河川法のあれによって琵琶湖というのは淀川だと言うのです。それは淀川でしょう。私もあえて反論はしませんでしたけれども、淀川ということで解釈していらっしゃる。それの管理者は建設省だから、建設省がすべてそのかぎを握っている、こうおっしゃるわけです。そうなりますと、この自然公園法によるところの知事の認可行為といいますか、許可行為というのは全くゼロだということになるわけですが、この辺の考え方はどうなんでしょうか。
○正田政府委員 琵琶湖が国定公園に指定されてない、つまり自然公園法がかぶさっていない場合は、いま先生が御指摘になったような河川法だけで動くと思いますが、現在国定公園になって自然公園法が適用されていますから、自然公園法が働いて、都道府県知事の行政処分が基本的には当然働くわけです。ですから、既着手行為かどうかというような問題は別として、まず都道府県知事の許可権、この場合は国ですから、協議の行為が大前提として働くということでございます。
○野口委員 もう一つおかしいのは、実は十年前にこの法律ができたが、この法律は十年のさらに再延長という形で提案されているわけなんですけれども、その前にできましたときには、洗いぜきに関する申し合わせ事項にもございますが、いわゆる異常渇水時には滋賀県知事及び関係都道府県の知事と相談してこの操作についてはやるという項目がありまして、それ以外の場所では相談しないということになっているのですよ。それを裏返して言うならば、異常渇水時においては相談する、こうなっておるわけなんです。それ以外のときには相談しない。それを突っ込みましたら、実は洗いぜきの操作規定というものはいまできておりません。したがって、早くしろということで、十年前に附帯決議がついているのですけれども、十年間できなかった。なぜできなかったかというのは、知事の権限を少しく入れようとしますと建設省が拒むわけです。拒むものですから、十年間できなくて、そのまま来ているわけです。いまできているのは規定案というもので、操作規定案でもってやっているわけなんです。まだ規定ができない。そのできないのは一体何かというと、知事権限を織り込む。つまり、知事がノーと言うことのできる部分について非常に弱いものですから、滋賀県側はいままでかたくなにその成立を拒んできているわけなんで、そうしますと、いつまでたっても水門の本当の操作権というものは結局建設省側に握られたままと言うとおかしいですけれども、握ったままで操作されていくということになりまして、自然公園を保護しようという立場は全く無視されてしまっている状況にある。 こうした場合、私は、先ほど大臣にその意味でお尋ねをしたわけなんですけれども、公園を守ろう、自然を守ろうという立場から言うならば、もっと強い働きかけを建設省なりにして、これだけは少なくとも、法律の解釈もさることながら、既設物件だからどうのこうのというのじゃなくて、河川法の方が後からできたわけなんです。自然公園法の方が先にできているわけですから、法律の順序から言うなら自然公園法の方が先にできているんだけれども、仮にそういうことを抜きにいたしまして議論した場合においても、もう少し建設省の側は、私どもが言うところの自然公園保護という立場に立ってのいわば行政指導といいますか、連絡と申しますか、そういうものを強めてもらいたいということを強く感ずるわけですが、正田局長、いかがでしょうか。
○正田政府委員 いまの御意見を承っておりますと、建設省の方で協議をしない、いわば既着手の行為であるという前提で事柄を運んでいるというふうに私ども受け取れるわけなんでございますが、それは既着手の行為ならば当然届け出がなければならなかったはずでございますし、それから既着手行為であるという証明が、いろいろな行為の要素がございますからそれがきちんと証明されていなければなりませんし、それから先生が御指摘になった操作規則、マイナス一・五メートルの許容範囲を前提とした規則がきちんとできていなければ、既着手行為として過去の行為が認められないと私は思っております。したがいまして、自然公園法の運用の精神はもちろんでございますけれども、条文上も、今後、先の話になりましょうけれども、自然公園法上の協議の規定、本則の方の規定で参るのが当然だろうと私は思っております。
○野口委員 河川法ができましたのは昭和三十九年の七月十日でございます。自然公園法ができましたのは昭和三十二年の六月一日でございますから、自然公園法の方が先に制定をされた。いわば公園の保護法というものが先にできて、後で河川法ができて、そして河川法で言うところの河川の管理ということで、ダム、せき、水門その他の操作に関するものは政令で定める云々ということで河川管理者がやるのだ、こういうことを後から決めたわけです。そうしますと、法律上は自然公園法の方が先にあったわけなんですから、許可権というものがもっと強く働いていいと思う。そういう意味ではいいと思うのですが、これを、法が早くできたとか後からできたとかということで法の強弱というものはないものだと思いますが、それはいかがですか。
○正田政府委員 御意見のとおりと思います。
○野口委員 そうしますと、少なくとも後からできたから強いのだという意見ではないと私は思いますし、先にできたから強いものでないとすると、これは法の解釈から考えて、先ほど正田局長のお答えになったように、少なくとも環境庁自身も建設省に対して早く水門の操作規定をつくれ、しかも、その際には自然公園法で言うところの知事の許可権というものを十分に織り込んで、公園を守るという立場から、知事もその協議体の中で強く発言ができるようにさせろということを進言といいますか、協議をしていただきたいと思いますが、その辺はいかがでしょう。
○正田政府委員 今後の取り運びといたしましては、いま申し上げた考え方に基づくわけでございますけれども、一応事実関係というものを役所でございますからきちんとつかまないと、いろいろ問題もあろうかと思いますので、県の方にきちんと指示をして事実関係をきちんと説明を私どもは受けたい、まず一点、そう思っております。 それから、操作規則は、この琵琶湖の洗いぜきの問題だけではございませんから、いろいろなところもあろうかと思いますので、きちんとつくってもらうように建設省の方に話してみたい、こう思っております。
○野口委員 私は、先ほど一番初めにも申し上げましたように、いろいろな法律や規則や規定というものが、いわば行政を行うに当たってそれが必要であって、立法府でそれをつくったものがあるにせよ、人間が住んでいく過程の中でどうもこのままじゃぐあいが悪い、自然環境がつぶされてしまうのじゃないかということを発見をした。ここで規制をしなければ、国家百年の大計ということがよく言われますが、百年どころの騒ぎじゃなくて、もう地球そのものが死滅してしまうのじゃないか。大気汚染の関係あるいはまた水全体の問題もさることながら、全体にいまこそ人間が本当に謙虚にその問題を考えなければならない時代だ。 そうすれば、後から気がついてできたいわゆる規制に対する法律というものはもう少し強くなければ、いままでの既成のものに対してはこの限りでないというような形で許されるということになりますと、せっかく後からできた法律の意味がなくなってしまうということになりまして、せっかく自然公園法あるいはまた環境保全法というような形で、いままでの状況というのにさかのぼってでもとめていこうじゃないか、人間社会というものをもう少し自然に戻していこうじゃないかという気持ちが、ややもすれば実効が伴わないというようなことが間々生じているということを、つぶさにおとといまた私は感じたわけでございます。 そういった意味で、長官、最後になりますけれども、ひとつそういうものを乗り越えて、少なくともそういう形にならないように各省庁を指揮監督をして、環境庁というのは少なくとも多少あちらこちらからにらまれるかもわからないけれども、先立って行政を行うようなことを考えていただきたい。たとえばこの十年の琵琶湖総合開発特別措置法が審議されるに当たって、環境庁はひとつ談話を発表して、少なくとも琵琶湖の水質保全という問題も十分考えてもらいたいということでもあるし、それからこれ以上環境が侵害されないようなことを前提としてお願いしたいものだというようなことなどを発表される等、前向きの行政というものをぜひとも実行していただきたいと思うのでありますが、いかがなものでございましょうか。
○原国務大臣 私も法律がすべてであるとは考えておりません。したがいまして、やはり自然を保護するという大きな目的に向かいまして、前向きにいろいろな点につきまして考えていきたいと思っております。
○野口委員 終わります。
○八田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時三十三分散会