外務委員会 第25号
- 発言数
- 214 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1982/08/20
会議録
○中山委員長 これより会議を開きます。 請願の審査に入ります。 今国会、本委員会に付託されました請願は三百一件であります。 本日の請願日程を一括して議題といたします。 まず、請願の審査方法についてお諮りいたします。 各請願の趣旨につきましては、請願文書表によりましてすでに御承知のことと存じます。また、先刻の理事会におきまして慎重に御検討いただきましたので、この際、各請願についての紹介議員よりの説明等は省略し、直ちに採否の決定をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 採決いたします。 本日の請願日程中、第一ないし第三、第一〇、第一二、第一五ないし第四七、第四九ないし第五二、第五四ないし第六〇、第六六、第八六、第一三六、第一三八、第一九一、第一九七、第二一二、第二一四及び第二一五の各請願は、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――――――――――――― 〔報告書は附録に掲載〕 ―――――――――――――
○中山委員長 御報告いたします。 今国会、本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付してありますとおり二十一件であります。 ――――◇―――――
○中山委員長 閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。 国際情勢に関する件について、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次に、閉会中の委員派遣に関する件についてお諮りいたします。 閉会中審査案件が付託になり、その調査のため委員を派遣する必要が生じました場合には、委員派遣を行うこととし、派遣委員の人選、派遣期間及び派遣地並びに議長に対する承認申請の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――――◇―――――
○中山委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河上民雄君。
○河上委員 ただいま、すでに外交問題にまで発展いたしております教科書問題につきまして、外務大臣の御所見を承りたいと思います。 今回の問題は、教科書の記述に関連して起きた問題であります。したがって、記述の訂正を抜きにした解決はあり得ない、私はそう考えておりますが、しかし、同時にこの問題は、教科書の記述に尽きるものではなくて、その背景で戦後日本の民主主義の原点が問われている、そういう性格の問題だ、このように私は考えておるのでございます。戦前の日本の歩みの否定の上に戦後日本民主主義の原点があった。それが忘れられているという、少なくともそうした強い疑いが持たれているところに今回の出来事の本質があるというふうに私は考えるのでありますけれども、大臣の御所見はいかがでございますか。戦前の日本の歩みの否定、そしてその上に戦後の日本の民主主義の出発があったということは、太平洋戦争は間違いであった、正義の戦いでなかったという認識から戦後の日本の出発があったということでもあろうと思います。外務大臣の御所見を承りたいと思います。
○櫻内国務大臣 ただいま河上委員のおっしゃったように、教科書問題については教科書の記述内容についての批判がいろいろあった、それから発端をしておることは、事実関係はそのとおりだと思うのであります。 ところで、外交上取り上げられておりますのは、その問題は、たとえば中国としては国交回復時の共同声明の前文、あるいは韓国におきましては日韓共同コミュニケから見て一体どうなのか、そういうところに問題が発展してきておると思うのであります。したがいまして、外務省としてはそういう関係国の世論動向、あるいはそれに基づいた申し入れ、これを国内関係方面に間違いなく伝えて、そしてそれに対しての対応をお願いしておるということでございます。また、この対応については、現在、当面問題を指摘しておる中国、韓国においても教科書の検定制度は国内問題であるということは理解されておるようでございまして、現在外務省あるいは文部省との間でこういう諸情勢に基づいての協議を鋭意行い、どのように対応していくかということでございます。
○河上委員 いま外務大臣から八月十二日の外務大臣発言、いわゆる外相所見に従って御答弁があったわけでございますが、私、去る六月、中国へごく短時日訪問する機会がございまして、まだ今日のような教科書問題が表面化していない段階でございましたが、そこで私が耳にいたしましてはっとすることが一つございました。それは、東北地方における残留日本人孤児の肉親捜しがわが国で非常な反響を呼んだということ自体、中国の当局者あるいは中国の民衆に複雑な印象を与えているということであります。そのいろいろな内容につきましてここで申し上げるのは、きょうの質問時間の制約から申しまして適当でないと思いますので省略させていただきますけれども、確かに東北地方における残留日本人孤児は三千名ぐらいではないかというふうに推定されているそうでありますが、そこで耳にいたしましたことは、日中戦争十五年間に、日本軍の侵略行為の過程で実にそれに数千倍する中国人の戦争孤児が生じているということにつきまして、日本人の反応の中にはほとんど登場していないということが中国の人たちにある種の感情をもたらしているということであります。あのテレビを通じまして私どもの多くが感動の涙を流し、戦後はいまだ終わっていないということを教えられたのでありますけれども、そこまで思いをいたした日本人が果たして何人いただろうかという反省も私は持ったのでございます。したがって外務大臣、この問題は単なる小手先で解決するものではないのでありまして、当初文部省が中国大使館の王暁雲公使に対してなされましたあのような説明、いわば小手先のような説明は厳に慎むべきだと私は思うのであります。あるいは釈迦に説法かもしれませんけれども、勝海舟が「氷川清話」の中で申しておりますが、外交の極意は誠心誠意にあるのだ、ごまかしなどやりかけるとかえって向こうからこちらの弱点を見抜かれるのだ、こういうふうに警告をいたしております。ひとつ日本側のいろいろな手続がどうのこうのということを越えて、戦後の日本の再出発の原点に立ち返ってこの問題を取り扱っていただきたいと私は思っております。 ここで外務大臣に一つお伺いをいたしますが、先般の外相所見の中で韓国につきまして、「韓国については、日韓共同コミュニケにある「過去の関係は遺憾であって、深く反省している」」とこれはかぎ括弧で引用されておりますが、「「深く反省している」との精神を常に念頭におき、」云々というふうになっておりますけれども、この日韓共同コミュニケというのは一体どこで結ばれたものでありますか。一九六五年六月二十四日の椎名・李両外相の正式調印時の共同声明にはこのような文言は一切入っていない。ただ、「日韓両国の歴史的関係に鑑み、今般の諸懸案の解決」は、「両国の関係において画期的な意義を有するものであることを強調し、また、これにより両国が新しい関係の樹立に向って第一歩をふみ出したことを認めた。」とあるだけでございまして、一体どの共同コミュニケから引用されたものでございますか。
○藤井(宏)政府委員 お答え申し上げます。 昭和四十年二月に当時の椎名外務大臣が訪韓なさいました際、二月二十日付で日韓共同コミュニケが発表されております。そのコミュニケの中に「李外務部長官は過去のある期間に両国民間に不幸な関係があったために生まれた、韓国民の対日感情について説明した。椎名外務大臣は李外務部長官の発言に留意し、このような過去の関係は遺憾であって、深く反省していると述べた。」云々というくだりがございます。
○河上委員 そういたしますと、これは正式調印時の共同声明ではないというわけでございますね。
○藤井(宏)政府委員 そのとおりでございます。
○河上委員 それでは、六五年二月二十日の共同コミュニケでまことに不十分ながらそのように言及したものが六月二十四日の共同声明できれいになくなってしまったのはどういうわけでございますか。
○木内政府委員 六月の調印時にありませんのは二月の共同コミュニケにおいて触れられているからでございます。しかしながら、六月のに触れられてないからといって、この反省という精神、気持ちというものは日本側としては一貫して抱いておる気持ちでございます。
○河上委員 外務大臣、この日韓基本条約の国会審議におきまして当時の佐藤総理は、日韓併合について大日本帝国と大韓帝国との間に結ばれた条約というのは、両者の完全な自由意思、対等の立場において締結されたということを繰り返し強調しておるのです。その立場というのは政府の公式見解と考えてよかったのですか。
○木内政府委員 当時の日本国とその当時の韓国とが法律的には対等の立場で調印されたというふうに解し得るかと思います。しかしながら、現実の事態につきまして、その評価につきましては、韓国側がそのように現在思っておるということはとうていあり得ないことだと思います。
○河上委員 いまの御答弁、これは大変重大なことでありまして、韓国側はそう思っていない。じゃ、日本側は一体どう思っているのですか。
○木内政府委員 法律的な立場を離れまして実際の評価としましては、私どももこれは平等の関係で推移した事態ではないというふうに考えられるのではないかと思います。
○河上委員 そうすると、やはり日韓併合はまことに遺憾なことであったという認識に立っておられるわけですね。
○木内政府委員 歴史の経過とのかね合いで申し上げますと、私としてはこれは不幸な出来事であったと考えております。
○河上委員 外務大臣、いまの局長の発言をお聞きになっておわかりかと思いますが、中国に対する全面的な侵略と相まって、朝鮮植民地支配というものも侵略としてわが国は反省しているという立場に日本政府は立っているのかどうか、韓国側あるいは朝鮮側はそういう立場に立っておることは明らかでありますけれども、日本側も同じような立場に立っているかどうかということがいま実は問われているわけでございます。加害者は痛みを忘れやすい。しかし、被害者は痛みを忘れることはないのであります。これからの教育は、相手の痛みを感ずるような日本国民というものをつくっていく、そうしたところに教育の基本がいま求められていると思うのでありまして、一たん謝ればそれで事が済むんだというのではなくて、これは忘れないようにしていく、それが私は指導者に課せられた任務であるし、また、教育の基本ではないかと思うのであります。 そういう意味で外務大臣、朝鮮の植民地支配に関しまして外務大臣としてどういうふうにお考えになっておりますか、御所見を承りたい。
○櫻内国務大臣 日本の韓国に対する三十六年の統治ということについては、大変遺憾なことに存じておるわけでございまして、したがいまして、日韓の間で基本関係に関する条約案にイニシアルされたときの、私どもが取り上げておるこの日韓共同コミュニケにおける「このような過去の関係は遺憾であって、深く反省している」ということは、これは日本政府として非常に大事な基本的な方針だ、そのように受けとめておるわけであります。
○河上委員 そういう点から見ますると、いま櫻内外務大臣中心に鈴木内閣としてこの教科書問題の解決に当たっておられると思うのでありますが、また、そのことをわれわれは期待をしているわけでありますけれども、そういう際に松野国土庁長官があのような発言をされたということは、閣僚の発言として大変まずいことだというふうに外務当局、担当者の外務大臣として思っておられるのじゃないかと思います。こういうことは、公職にある人の発言でありますだけに、ぜひその点の明確なる御見解が必要だと思いますが、外務大臣、 いかがでございますか。
○櫻内国務大臣 御承知のように、閣議の閣僚の一々の発言というのは、今回非常に遺憾なことではありますが、こういうことを松野長官が言ったという報道がされておりますが、閣議の性格上、これは表に出ないものであって、そういう閣議の性格の中で松野氏は松野氏の所見を言われたものだと思うのでありまして、したがって、いまこういう席上で松野長官の発言はどうか、こういうことになってまいりますと、閣議の性格上、それに対して私がコメントすることはいかがかと思うのであります。
○河上委員 それは閣議で言われたかどうか、そういうことは言えないということでありますが、その後の記者会見でもそれを繰り返し言っておられるわけでありまして、そのことはもうすでに外国でも問題として取り上げられておるわけでして、いまこの問題の解決の上に非常に大きな障害の要素になっているわけですから、私はいまのような御発言は大変ぐあい悪いのじゃないかと思うのであります。もっとあっちこっち中を見ながらということではなく、本当に戦後日本の民主主義の原点に立ち返ってこの問題を解決する、そういう御覚悟をひとつここでもう一度重ねて表明して いただきたいと思います。
○櫻内国務大臣 ただいま河上委員のお尋ねの最初の場合は、閣議の発言についてのお尋ねでありますから私が先ほど申したような御答弁を申し上げておるわけでありますが、その後、松野長官がインタビュー等で言われておることについて私の感想を求められるということでありますならば、それはこの日韓共同コミュニケなどから考えまして、松野長官の個人の御意見とはいいながらも、私としては非常に遺憾に思っておることであります。
○河上委員 それでは、今回の戦争の認識に関連してお伺いしたいのでありますが、A級戦犯、この方々は第二次世界大戦の指導者であったわけで、主観的にいろいろ言われることがあるかもしれませんけれども、やはり歴史的に客観的に見た場合、侵略戦争の遂行者であったということは明らかだと思いますが、外務大臣、その御認識において変わりはございませんか。
○櫻内国務大臣 河上委員に申し上げるまでもなく、日本の国内においても三権分立、こういうことで、司法関係について、これに対していろいろ批判をするということは私どもが常に控えておることでございます。この大きな戦争、そしてそれによって厳しい国際世論の中でこの戦争についての原因を究明しよう、こういう中からいわゆる戦争裁判が行われての、その際の判決、こういうことになってまいりますので、これはわれわれのような立場の者がとやかく批判をするのはいかがか。もちろん、法理論者であるとかあるいは政治評論家であるとか、いろいろの立場でのそれぞれの御見解はあるわけでございますが、戦争に敗北をし、またその戦争について反省をしておる日本の立場からいたしまして、いま政府の責任の衝にある者がこの裁判について云々するのはいかがかと思うので、差し控えさせていただきます。
○河上委員 櫻内外務大臣はいま政府の衝にある者として差し控えさせてほしい、こういうことでございましたが、どうも外務大臣、都合のいいときはそういうことで、また別なときには別な立場を表明されるような気がしてならないのです。 A級戦犯が靖国神社に合祀された、一九七八年十月でございますけれども、そのことはもう十分御承知だと思うのでありますが、櫻内外務大臣は先般靖国神社に参拝されましたお一人でございます。こういうことを政府の衝にある者として一体どういうふうに真剣に受けとめておられるのか、私は大変その辺の真意を疑うのであります。日中共同声明を読めば、A級戦犯の果たした役割りというようなものも、またその指導のもとに行われた日本の国家としての行為というものにつきましても当然反省がなければならないはずであります。個人としてどうされたというようなことを言われるかもしれませんけれども、今日あのような行動が、アジアの人々の目に日本は過去を反省していないのではないかという、そういう印象を与えるのではないか。もうすでにそういう批判が公式、非公式に行われているわけであります。そういう点、外務大臣どのようにお感じでいらっしゃいますか。
○櫻内国務大臣 いまここで私の経歴をくどくどしく申し上げるのもいかがかと思いますが、私ははっきり申し上げてこの戦争に従軍をしております。そして幸いにして本日生き長らえておるわけでございまして、私のすぐわきで戦死をした者、はっきり申し上げて何回かの戦争の中で三名おられます。また、私の中隊長が突撃のときにそこで敵弾に倒れたというような事実もございます。そういう事実からいたしますならば、私がこの八月十五日の機会に靖国神社にお参りするとか、あるいは春秋の大祭にお参りするとか、あるいは戦友諸君のお墓にお参りするとか、それはもう当然なことだと私は思うのであります。いまいろいろな問題があるときに、お参りをしたのはどうか、こう言われますが、私は過去においてそういう行為はずっととってきておるのでありますから、今回急にこういう状況の中で何かやったということではないのでありますから、そういう私の立場も了とせられて、これは一般的な普通の人間の行為として御理解がいただければ幸いであります。
○河上委員 第二次世界大戦の二百万の戦死者あるいは空襲その他による命を失われた方々に対しまして、われわれは心から哀悼の意を表し、二度とこのような過った戦争をすべきでないという決意を新たにすることは当然でございます。しかし、この戦争の評価というものについては、いささかも過ってはならない、私はそう考えるのでありまして、いまのお考えがその一番大事なところを避けておられる。そしてそのことが実はいま教科書問題で一番問われているのだと思うのであります。私はもう質問の時間が参りました。終わりが近づいておりますのでこれ以上申し上げませんけれども、政府の衝にある方だけにそうした点は万々間違いないようにしていただきたい、このことをお願いをしてこの問題は終わらせていただきたいと思います。 ただ、非常に重要なときでございますので、あと一問だけお尋ねしたいのでありますけれども、最近の中東情勢の中でいま改めてPLOの存在、PLOに対してそれぞれの国、それぞれの人間がどうするかということがいま問われていると思うのでありますが、PLOについて過去国連で決議が数多くなされております。そしてその中には二四二号決議あるいは三二一〇決議などわが政府も賛成したものが多々あるわけでございます。これらに対する政府の態度は少しも変わっていないかどうか。また、東京にはPLOの東京事務所もあるわけでございますけれども、これらにつきまして、政府の態度は変わっていないということだけ一言確認をさせていただきたいと思います。
○櫻内国務大臣 政府は一貫して中東における包括的な和平達成を望んでおるわけでございまして、その間におけるパレスチナ人の民族自決権、またイスラエルの生存権、これは並列されるべきものである。 またPLOについては、これは政府というような見地には立っておりませんが、パレスチナを代表する有力な一つの機関である、こういうことで対応してまいっておるわけでございます。また中東和平の場合、このPLOがそれに参加する必要があるということも申し上げてきておるわけであります。
○河上委員 これでやめますが、東京事務所についてだけ一言。
○英説明員 御案内のように、従来から政府といたしましてはPLOの地位にかんがみ、これに外交特権等を供与することはできないという立場をとっておりまして、今回の出来事に関係なく従来の方針は維持されるわけでございます。
○河上委員 この問題についてはまた別な機会に御質問させていただきますが、きょうはこれで終わらせていただきます。
○中山委員長 林保夫君。
○林(保)委員 櫻内大臣、御苦労さまでございます。大変内外ともに厳しい情勢の中で、本国会もこれで終わりでございますが、短時間の中で、いろいろ懸案の問題、承りたい点があるのでございますが、しぼりまして三、四点率直にお伺いさせていただきたいと思います。 言うまでもなく国際化の時代で、日本ひとりよしとしておれる時代でなくなったことは、お互い、国民みんなも承知しているわけでございますが、最近というよりもかねてより貿易、経済についての大きな摩擦、いまもございます。防衛問題についても圧力が外からかかってきておる。さらに加えて教科書にまで、教育にまで圧力が加わった、こういう実感を持っている国民かなり多うございます。ほとんどと言ってもいいかと思います。そういった中で実は私は、外務省の果たす役割りが大変大きい、人によれば、まさにこれは外交上の責任だ、こういうことを言う人すらもおると思います。 大臣にお聞きする前に局長にお伺いします。 今度中国、韓国、いろいろけしからぬという問題が出てきておりますが、歴史的な事実については当事国や当事者まだみんな生きておるわけですから、これはいろいろな意見があり、歴史的事実については千差万別の判断を国民の数ほどみんなするのは当然だと言い切っていいと思います。そういった中でやはり検定をする以上は、私は当然、史実の中で外国との関係のある問題といたしましては、先ほど申し上げました外務省の大きな役割りということからいたしましても、文部省は当然外務省といろいろ外交上の配慮、判断、こういうものも加えてやっていたんじゃないかと思うのですけれども、どうも過般来の新聞報道を見ますと、両省の意見が全く違うという報道がござい ますように、大変疑わしいと思うのでございます。教科書の問題について外務省は文部省から相談を受け、またそれに乗っておった事実があるかどうか、事実で結構でございますが、イエス、ノーでお答えいただきたいと思います。
○木内政府委員 教科書の問題につきまして文部省から御相談を受けたことはございません。
○林(保)委員 大臣、こういう実態では、それはもう問題の解決は一向これからもでき得ないと私は思います。最後に結論として御提言申し上げたいこともございますけれども、アジア局長、一度も文部省から教科書の記述については相談がなかったというのは事実ですか。それではこういう問題が起こるのはあたりまえだと私は思います。大きな声をして申しわけありませんけれども、お答えいただきたいと思います。
○木内政府委員 過去におきまして韓国から教科書の記述につきましていろいろな御意見の表明がございまして、その時点で文部省と御協議申し上げたことはございます。しかし中国との関連におきましては、そういう事態はいままではなかったわけでございます。一般的に申しまして、教科書作成の過程におきまして文部省から私ども御協議をいただいたことはないわけでございます。現在はこの問題が起きまして大変なむずかしい事態に立ち至っておるわけでございますけれども、目下文部省御当局と鋭意協議をして、事態を何とかいい方向へ持っていくべく緊密な連絡をとっておる状況でございます。
○林(保)委員 大臣、お聞きのとおりでございます。これは、政治問題といいますか、内閣の責任としても私は大変重大な間違いであったと思うのでございますが、これらを大臣これからどのように是正されていかれる御方針なのか。これからも、検定制度要らぬと言う人もおれば、やはりこれはむしろ強めなければならぬのだ、むしろしっかりした記述を出すためにも制度は強化しなければならぬという意見も強うございます。私も個人的にはむしろそのような方向だろうと判断いたしておりますが、どういう協議あるいはまた文部省との対応を内閣としておやりになるのか、この点を承りたいと思います。
○櫻内国務大臣 かねて当委員会においても申し上げておりますように、今回のように、中国、韓国等において日本の教科書について厳しい批判が出る、そういう批判について外務省が的確に文部省に連絡をとって、そして文部省は文部省の責任において教科書の検定制度の中でどうそういうことを踏まえていくか、こういうことになっていくかと思うのであります。いずれにしても、諸外国での国民感情あるいは世論動向、それらを私としてはすべて正しく伝えていく、そういう責任がある、こう思っております。ただ、教科書の問題外に及ぶような、そういう関係国の御意見について、これについての外務大臣としてのそこに考えがあるならば、それは当然付言して申し上げる、これは関係省庁に対してそういうことを忠実にやるということは私の責任だと思っております。
○林(保)委員 ぜひそのようにお願いいたしたいと思います。 外に対しては、日本に対する記述が間違っておるとかということでかなり、外交ルートを通じてか、あるいはプライベートなルートか知りませんけれども注文をつけておる、しかし内については何もつけていないということであれば、やはり外務省の機能を十分果たしていなかった、こういう問題にもなろうかと思います。ぜひひとつ御配慮をお願いしておきたいと思います。 さて、この解決策でございますが、けさの新聞では、昨日文部大臣が参議院の文教委員会で教科書問題の打開策について「両省の接点を求めて、必ず円満に解決できる具体案を遠からず」ということで、見出しは「近く」、もうきょうあすにもできるというような報道がされ、そういう情報も飛んでおります。大臣はどのように現在御判断になっておられますでしょうか。
○櫻内国務大臣 御承知のとおりに、中国へ橋本、大崎両局長が行かれて中国側との接触の模様について、これを外務、文部両省の関係者に報告をするとともに、両省間で鋭意協議をしておるところでございますし、また韓国の関係につきましては、こういう重要な段階でありますので、後藤公使を招致いたしまして韓国の諸情勢を間違いなく把握するように努め、また、今回の教科書問題について参考になるべき点はそれぞれの関係省にお伝えをする。こういうことで今度の問題の解決について総理からも早期解決をするように、また私自身もそのように認識しておりますので、現在鋭意努力をしておるところでございますが、文部大臣の御答弁は御答弁といたしまして、私には、現在その協議が、ここまで相談をしたが、しかしこの点は外務大臣はどう考えるかというような取り運びはございません。鋭意協議が行われておる、こういうことであり、また、私は、この協議をされておる諸君あるいはその他の諸君に、これは速やかに結論に到達するがいいよという抽象的なアドバイスをしておるという範囲でございます。
○林(保)委員 そうすると、まだ打開のめどはつかないということでございましょうかね。 アジア局長にお伺いしたいのでございますが、外交ルートを通じまして小川文部大臣の訪中は、これははっきりと新聞報道のとおり断られたのでございますね。そしてまた、鈴木総理が九月下旬の訪問になっておりますが、これは公式ルートで、公式にどうぞおいでくださいという表敬訪問のようでございますけれども、そういうことに事務的になっているかどうか、この点を承りたいと思います。
○木内政府委員 文部大臣の訪中につきましては、現在こういう状況であるので若干延ばすということに相なっておるわけでございます。したがいまして、訪中はいずれ実現するものと思います。 それから、鈴木総理の訪中につきましては、趙紫陽総理が来日しましたときに、ぜひこの秋には訪中してほしいという正式の招待があるわけでございます。
○林(保)委員 一国の代表の総理でございますので、向こうから招請状が来ているというだけでは済まぬ問題だと思いますが、こちらから行くという意思表示をし、向こうがアクセプトをすでにしているものだと私どもは一応理解しておりますが、いかがでしょうか。
○木内政府委員 まさに御指摘のとおりでございます。しかし、実際問題としましては、現在紛糾しておりますこの問題にけりをつけましておいでいただくことが望ましいというのは私どもの考えであり、中国側もそのように考えておるものと推察するわけでございます。
○林(保)委員 この問題についてはいろいろ承りたいのでございますが、解決の方法として、新聞報道そのほか私どももお役所と接触いたしまして、たとえば中国の場合は日中共同声明をもう一遍出し直しするんだ、こういうような話も聞きましたし、また、総理大臣の声明そのほかでぴちっとやるんだ。いずれにしても、教科書改訂の時期から言いましてちょっと間に合わないこともまた事実だろうと思います。その辺をしっかり詰めたいのでございますが、外交上機微にわたりますのでこれは差し控えたいと思います。しかし、なお櫻内大臣には、この問題について国民も本当に心配しておりますので、先ほど来のこれからの成り行き次第ということではなくて、少なくとも総理が行かれるまでには何とか解決するんだという御決意の表明をひとつここでちょうだいしておきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○櫻内国務大臣 これだけの重大問題でございまして、私が誠心誠意努力をし、そして国内における意見統一ができて、この問題について国民の皆さんに御迷惑や御不安のないように、また中国、韓国等関係国の御理解を十分得るような結果を得たいと、誠意を持って努力しておるところでございます。
○林(保)委員 ぜひ御期待申し上げたいと思いますし、また先ほど申し上げました日本国内の問題について外務省がつんぼ桟敷に置かれて検定が進められるというようなことのないように強く御要望申し上げておきたいと思います。 次に移ります。言うまでもなく日本にとってアジアは大変大事でございます。近隣諸国との平和友好関係が戦後三十七年の大変厳しい風雪の中からようやくできつつあるかな、みんながそう思っておるときにこんな問題が出まして、過般来いろいろと問題が出ておりますように外交問題にまで発展したことは非常に遺憾でございます。やはりそれなりの対応を新しい時代に向けてわれわれがやっていかなければならぬ、そういう場合の政治の責任というのは、私はきわめて大きいと思います。そういった意味で、今日いろいろな批判が日本に出てきておる、それらを踏まえて、なお日本は逆に言いますと大国として責任を果たしつつ外へ経済援助その他の形で金を出していく。そういった場合にそれをしっかりならし、効果のあるようにしていくためには、外交上、外務省の責任というのは非常に大きいと私は思います。 そういった意味で大臣の外交日程を承りたいのでございますが、過般ASEAN拡大外相会議に御出席なされ、今度は豪州とインドでございますかお行きになられる、こういうことでございますが、私がいま申し上げました諸点を踏まえられまして、どういう目的でもって外遊をなされるのか、ひとつ承っておきたいと思います。
○櫻内国務大臣 今回、第一には非同盟国の大きな柱でございますインドへ参りまして、目印外相会議を行う予定にいたしております。また同時に、インドにおきましては新たに大統領が選出されておりますので、日本として初の表敬を行う、こういうことでございます。 インドを訪問するについて、現在南西アジア諸国の中でインド、パキスタンの関係というものが新たな関係に展開しておる、そういう認識を持っておりますし、パキスタンが非常に紛争国であるアフガニスタンなどとの関係の深いところでもありますので、パキスタンの訪問をこの機会にいたしたい。 さらに足を伸ばしまして、英国との間におきましては日英定期外相会議が予定されておるわけでございます。サッチャー首相の訪日を控えておりますので、その機会に外相会議を持ちたい、こういう考えを持っておりましたが、英国においては外相の随行はない、こういうことから、私としてはサッチャー首相をお迎えするに先立っての日英外相会議は非常に重要である、こういうことで英国を訪問することにいたしております。 それらが中心で、そのほかオランダ、デンマーク――デンマークは御承知のEC議長国でもございますのでぜひ足を伸ばしてみたい、こういうことがこの二十七日からの外遊の内容でございまして、これはすでに閣議でも御了承を得た決定でございますが、そのほかのことについてもいろいろございますが、また機会がありますれば御報告をいたしたいと思います。
○林(保)委員 非常に大事な時期でございますので、外への対応をしっかりしていただきたいと思いますし、また国内での問題もそれなりに対応していただきませんと、たとえば靖国神社の参拝の問題、公人か私人かというようなこういう報道が実は出ております。国論が定まっていない。そういう段階で、いろいろな問題が疑惑を生むような状況にもなっております。政府としてそこらあたりもしっかりした立場を踏まえられまして――これなんかでも私は総理が言ったらいいと思いますね。公人なら公人と言っていいと思いますし、私人なら私人だと言い切っていいと思いますのに、何かわけのわからぬことで――大臣の写真もこの真ん中でよく出ております。それらが外地へ報道されまして、これは外交努力を幾らしたって疑惑を持つ人は持ちましょうし、これがいいことだと言う人はまた逆に反対の立場で言うだろうと思います。その辺もひとつこれからの政治的な外への対応ということで国内をしっかりやっていただかなければ、日本の信用、せっかく築き上げたものが壊れてしまうような状況にある。私はこのことを大変憂えるものでありますことを一つつけ加えておきたいと思います。 続きまして、北米局長にお答えいただきたいのでございますが、先日、例の米国の上下両院協議会において、責任を果たさない同盟国に対しまして、防衛誓約を果たさなければ駐留米軍も撤退する、こういうことを決めまして、十六日に正式にこれを決めた、こういう報道が出ておりました。まだこれは議会だけの問題でございますので、レーガン政権が、政府がどういう対応をとるかということは、まだこれからの問題だと思いますが、これらをどのように受けとめられておられるのか、この報道を確認されたかどうか、日本への影響を含めて、簡単で結構ですからお答えいただきたいと思います。
○淺尾政府委員 林委員お尋ねの件は、十七日の日本の新聞の夕刊に報道された件を指しておられて、アメリカの上院及び下院、両院の協議会におきまして、一九八三年度の国防省の支出権限法の中に盛り込む項の一つとして、アメリカとしては同盟国に対して負担の公平を求めるべきである。アメリカ側がそういう負担の公平を求めている結果を議会に報告しろという個所がございまして、その中でもしそのアメリカ側がとろうという措置の中に、たとえばNATOであるとか日本にいるアメリカの軍隊の再配置の件等を含んでいないという場合であれば、その理由について詳細な説明を国防長官が議会に提出することを求めているという趣旨でございまして、その点について私たちとしては、そういう両院の協議会の決議があったということは確認をしております。 しかし、私たちとしては、これは議会の決議でございますし、またその中で言っておりますように、議会の方からの案として、同盟国に対して負担の公平を求める際に、十分に防衛負担をしていない国に対しては、そこにいる米軍の再配置を求めなければならないのでございますけれども、そういうことをその国に求めない場合は、その特別な理由を報告しろということでございます。 総括いたしまして、日米間の関係について申し上げれば、アメリカ側が日本に対して防衛の一層の努力というものを期待しているのは、林委員御承知のとおりでございます。ただ、この両院の決議案が出たからといって、アメリカ側が日本にいる米軍を引き揚げるというようなことは、アメリカの行政府も議会の大部分も考えていない。なぜならば、日本に米軍を置いているということは、アメリカの利益でもあり、日本の利益でもあるということでございます。
○林(保)委員 いろいろと見解が分かれるところでございますけれども、やはりその基礎となっておりますのが昨年五月の日米共同声明であることは言うまでもありません。その中に防衛力の増強とそれからまたシーレーンの安全確保の問題、これがあろうかと思いますが、それらについて、局長さん、一年有余にわたって大変長いこと御努力された。国会もきょうで終わるわけでございますので、率直に承りたいのですが、何%ぐらい日本は共同声明の履行義務を果たすような体制をしたのか、またアメリカ側はそれに対してどの程度実行したのか、その辺の感覚をひとつずばりお聞かせいただきたいと思います。
○淺尾政府委員 数量的に共同声明の八項で書かれているより一層の防衛努力について日本側がどの程度努力したかということを申し上げることは、非常にむずかしい問題でございます。しかし、御承知のとおり本年度あるいは来年度の防衛予算において、防衛費については特別枠を設けまして、自衛力の整備に努めている。さらに五六中業を「防衛計画の大綱」の水準達成を目途として、やっていくんだ、こういうことでございます。その限りにおいて、五六中業ができた段階においては、日本の自衛力というものは質的に非常に向上するということは言えるかと思います。 ただ、アメリカ側から見れば、まだまだそれでは足りないのだというのがアメリカ側の批判であろうかと思います。
○林(保)委員 もう毎回繰り返すように、先ほども申し上げましたけれども、経済摩擦、防衛摩擦あるいは圧力というものがかかってきたのでは、本当にたまったものではない、こういうことでもございます。しっかりした対応をそれなりにすべきところはあるというのが日本の国際責務であろうと思いますが、ひとつ時間ございませんので、次へ移ります。 今回の日米合同演習、日本海で行われておりますが、これにつきまして漁業者そのほか関係者から、こうしてくれとかああしてくれとかあるいは補償をどうするのだという陳情が大変水産庁に集まっておるやに聞いております。どういう要望があったのか、現在まで心配ないのかどうか、水産庁の方からひとつ……。
○尾島政府委員 お答え申し上げます。 実はいろいろ団体からの陳情、要請等がございましたが、いずれも防衛庁に伝えてほしいということでございました。 内容を申し上げますと、北海道の方からは、米国の艦艇の訓練海域の入るコースについてできる限り通知してほしいということ。それから北海道周辺の操業状況を、実は北海道の漁業者が操業しておるわけでございますが、日米の参加部隊に十分周知徹底されるようにしてほしいということがございました。また青森県等からは、一般的に安全操業というものを十分確保されるように措置をしておいてほしい。また全国の漁業団体であります全国漁業協同組合連合会というのがございますが、ここからは、可能な限り日数とか訓練の区域を縮小してほしいという要望あるいは安全操業のために防衛庁が行う措置の実行を十分やってほしいということ。それから万一事故が発生した際には、国の責任において迅速かつ正当な補償措置を講じてもらいたいというような要望等がございます。いずれも防衛庁の方に十分配慮してほしいということについては伝えてございます。
○林(保)委員 もう一つ、日本海の問題でございますが、昨年の日ソ、ソ日漁業協定で北海道沖にソ連の漁場ができたということは、皆さん御承知のとおりでございますが、そこは七月から十二月までソ連船が、当時の議事録を繰り返して見ますと、二十五隻ばかり、一千トンクラスの大きなのもある、それらが出てくるだろうと言われておったわけでございますが、きょう現在、ソ連船がそこへ入ってきておりますかどうか、それから、日本が監視船を出してそれなりの対応はするというお約束でございましたが、現在、何という船を何隻出しておられますか、その二点をずばりお答えいただきます。
○尾島政府委員 現在までのところ日本海のわが国の水域において、日本の取り締まり船が現在出ておりますが、ソ連漁船の入域は確認いたしておりません。 それから、ソ連側から若干の報告が来ておりますが、これによりますと、七月の下旬にまき網漁船が一隻、二日間入域した、しかし漁獲はなかったというような報告を受けております。 それから、現在時点であの水域に、いろいろと日本海の水域には取り締まり船を派遣いたしておりますが、興南丸という船とかその他の船で、要するにかなり頻度激しく交代をしながら十分取り締まりをいたしております。
○林(保)委員 ここの地域は今度の合同演習の対象にはなってないと聞いておりましたけれども、事実そうでございますか。
○尾島政府委員 対象外でございます。
○林(保)委員 時間が来ましたので、これで終わりたいと思いますが、大臣、以上お聞きのように、私どもから見ますと、外務省のあるいは外交上の役割りは非常に大きいように思います。一言で申しますと、国際化の時代で、言うまでもなく内外船を一体化していかなければならぬ。大臣に御就任になられましてから鋭意いろんな問題の解決に御努力されたことを評価しながら、なおこれから新しい対応をやっていただきたい、このように強く念願しているところでございます。どうか大臣もひとつそういった視点で、先ほどの教科書みたいに、ほっておいたら一挙に火がついた、こういうことがあって、しかも外務省が批判される、こういうことのないようにひとつぜひ最大限やっていただきたいと私は思います。 これらの決意を込められまして、これからの櫻内外交の展開について御方針を承らしていただきたいと思います。
○櫻内国務大臣 内外いろんな問題の山積しておる折からでありますから、それなりに私も責任を痛感し、ただいま林委員のおっしゃるように、誠意を持ってこれらの懸案に努力をし、解決をしていきたい、こう思います。
○林(保)委員 ありがとうございました。終わります。
○中山委員長 午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時五十四分休憩 ――――◇――――― 午後二時三十分開議
○中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。井上泉君。
○井上(泉)委員 まず最初に、私は、日朝の漁業協定の問題について、水産庁の方は、これが今日まだ協定も結ばれずにたくさんの漁民が出漁もできずに非常に困窮をしておる、こういう実態をどう打開するお考えであるのか、その点お聞きしたいと思います。
○尾島政府委員 北朝鮮水域に出漁しております日本の漁船は、従来ですと五月から翌年の二月まではイカ釣りが大体中心になっておりまして、三月から六月になりますとマスの流し網及びマスのはえ縄漁業が入ります。それから、九月になりますと、翌年の六月にかけてベニズワイのかご漁業がございまして、こういう漁業がなされているわけでございますが、これらの漁業のうちマスの流し網あるいはマスはえ縄漁業は六月中に漁期が終了いたしておりまして、ベニズワイガニのかご漁業につきましても、七月並びに八月は休漁期となっておるわけでございます。六月三十日の民間協定が暫定合意の期限が切れたことに伴いまして、北朝鮮の水域で操業していた日本のイカ釣り漁船約六十隻は整然と退去をいたしたわけでございます。 現在イカ釣り漁船の漁場は、おおむね沿海州のピョートル大帝の沖合い、これはソ連水域でございます。それから、大和堆、北大和堆、それから北海道の方から津軽海峡の西口にかけての沿岸域、並びに山陰沖の沿岸漁場を利用いたしておりまして、いまのところ比較的に安定をした漁獲を続けておると私たち考えておるわけでございます。
○井上(泉)委員 そういうことは、朝鮮水域に出漁していた漁業者についてはいまのところ別に困った事情にはない、こういう解釈ですか。
○尾島政府委員 現在のところイカ釣り漁業につきましては安定的に操業しておりまして、漁場も先ほど申しましたような方に分散いたしておりますので、いまのところそれほど大きな問題がなく、比較的に安定をして漁獲がなされておると考えております。
○井上(泉)委員 朝鮮民主主義人民共和国の関係の中の水域では操業はしてないでしょう。そのことは、現在、いまのところはと言っておるのですが、将来にわたってこういう状態が続くということはどうですか。
○尾島政府委員 日朝漁業問題が民間レベルで十分話し合いが行われまして安定的にいままで推移してきたわけでございますが、今般暫定合意が期限切れになりまして関係漁船が一たん区域外に退去したことにつきましては、われわれといたしましては非常に残念に存じているところでございます。 水産庁といたしましては、本件のこの水域は零細漁民の生活にかかわる重要な漁場でありますし、目下のところはイカ釣り漁船のみが操業いたしているところでありますが、今後はベニズワイの操業を開始することでもありますので、一日も早く協議が開始されまして再び北朝鮮との間に合意を取りつけて安定した操業ができるように強く希望しているところでございます。
○井上(泉)委員 そうするにはどうすれば一番よいと水産庁はお考えになっておるのですか。
○尾島政府委員 政府といたしましても、国交のない国との関係でもございますし、直接に外交交渉を行なうことができないことでございますので、従来とも民間の漁業者等の関係の方々にお願いをして民間協定の暫定交渉が行われているわけでございますので、今後とも安定的に操業が確保できますように関係者と連絡をとりつつ、交渉再開の緒がつかめるように側面的にできる限り協力してまいりたいと思います。
○井上(泉)委員 民間協定でやっておるということはもちろんそのとおりであるが、それだから政府としてはどうこうできないということではなしに、政府のおかげで、これは外務大臣に責任があるわけですが、外務大臣が団長の入国を拒否した、そのことから協定ができなくなったわけですから、外務大臣が責任を持って入国を認めるような姿勢を示さなければなかなか民間協定の話し合いができぬと思うのですが、外務大臣どうですか。
○櫻内国務大臣 井上委員が詳細御承知のところだと思いますが、代表団を受け入れる受け入れないということも問題点の一つかと思いますけれども、従来の交渉の経緯を見ますときに、平壌において民間協定の取り決めが行われておるわけでございます。今回の場合、六月末の期限ぎりぎりでその手はずをいろいろ交渉しておったが、残念ながら平壌における交渉はできずじまいに終わった。それから、代表団の受け入れにつきましては、期限の切迫に伴いまして民間の交渉をする上に代表団を受け入れる必要がある、こういうことが一方にございまして、それについては代表団の訪日の日程であるとか構成、それらのことがはっきり決まったところで日本政府がビザを出す出さないというようなことについて御相談を申し上げたい、こういうことでありましたが、そこまで具体的にならずに本日まで推移しておる。この交渉そのものは民間のことでございますから、また国交のないことでありますから、政府としても何か御協力申し上げたいといってもそこには限界があるわけでございまして、いますでにそういう最悪の事態を迎えてしまったのでありますから、今後どうするかということについては、もし代表団の話があれば、それは具体的に内容がはっきりすればそれに応じていろいろ御相談は申し上げよう、いまこういう姿勢でおるわけであります。
○井上(泉)委員 外務大臣のその姿勢はそれで結構だと私は思うわけでありますが、相手の代表団の団長がだれであろうが、それは朝鮮民主主義人民共和国が団長として出してきたのですから、その団長が気に入らぬ、これはだめだ、これこそ内政干渉ですから、そういうことのないように大臣としても十分留意してこの問題に対処し、一日も早く安心した操業ができるような条件づくりに外務省としても協力していただきたい、このことを強く要望して次の問題に移りたいと思うわけです。 外務委員長も非常にはきはき物を言う人でありますが、この間の自民党の論議の中で「教科書に「侵略」と書くことはいい。日本の侵略の結果、中華人民共和国ができたところも書いてほしい。」こう書いてある。歴史は確かにそのとおりで、日本の侵略戦争、そうしてその結果今日中華人民共和国が生まれてきたわけですが、それが何か日本の恩恵のような形で発言をしておるのじゃないかと思って、私非常に奇異に感じたわけですが、日本が侵略したことが、おらんくのおかげでおまえんくは人民共和国が生まれたぞ、こういうことを言う意味で言われたものであるのかどうか、これはひとつ委員長の見解を承っておかないと、これからの委員会の審議での委員長の政治理念というふうなものについて確かめておきたいと思って、委員長にお伺いします。
○中山委員長 それじゃ私から、私の党内での発言に対しての私の見解を申し上げたいと思います。 御承知のように、一九四五年八月十五日に日本は戦争に負けております。そのときには中華人民共和国はこの世の中に存在をいたしておりませんでした。建国をいたしましたのは、一九四九年の十月一日に国慶節をして、毛沢東が天安門で国家の存立が始まることを宣言をいたしております。 日中条約批准に際し、条約に反対をして、外務委員会では私ただ一人、本会議では三人のうちの一人として出席をいたしまして中華人民共和国との条約に反対をいたしました。それは中華民国との永久条約を結んでおりましたのを、外務委員会の審議にもかけずに、突然記者会見でその永久条約を停止すること、効力は終わったということを言ったのは、私は、日本国憲法九十八条、国際条約遵守規定に対する憲法違反であると思っております。 私が党内で発言をいたしましたのは、なぜ日本が戦争に負けたときに存在しなかった国家に対して侵略の責任をとらなければならないのか。中華民国は現在も存在しております。その国は日本も認めておりません。アメリカも認めておりません。国連からも除籍されましたけれども、厳然と存在をいたしております。日本との交戦国であった中華民国という国が日本の侵略に対して異議を申し立てるならば私は理解ができるのでございます。そしてまた、毛沢東ははっきりと、戦争中の演説で、七割の力は休ませておけ、二割の力で蒋介石と一戦を交えろ、一割の力で日本軍の邪魔をしろと言っております。そういう蒋介石との関係で、いろいろ日中戦争には仕掛けがあったと思われるのです。これは中華人民共和国の小学校四年生の教科書にはっきりと書いてあるわけでございますが、精華大学の細胞にいた当時の共産党名を胡服と申します後の劉少奇将軍が……(井上(泉)委員「簡単に言うてください」と呼ぶ)いや、これは説明をさせていただかないと、私の政治的立場をはっきりせよという御命令でございますのであえて言いたいのでございますが、日本の清水中隊と宋哲元の二十九軍が盧溝橋で対峙をしているときに、その真ん中で爆竹を鳴らして日中戦争を誘発することに成功したという暗号電報を千葉の陸軍電信所で傍受しております。これは東京裁判でウェッブ裁判長に証拠として提出をされているのですが、ウェッブ裁判長はなぜか暗号電報を証拠に採用することを拒絶しております。そんなことから見ますと、日本が中国で蒋介石と戦ったおかげで中華人民共和国というものが成立したのだということは毛沢東がはっきりと自分の所信の中で言っておりますので、私は、日本の歴史書に正確な著述をするならば、日本が中国に進出していった、侵略していったことによって、そのおかげで中華民国というものは滅びて、その後に中華人民共和国というものがこの世の中に存在をすることが始まったということをはっきり書いていただくのが、後の日本国民に対して、国家としての誇りを失わず、そして正しい歴史教育というものをする最大の根底になるのではないかと思ったからでございます。この考え方は現在も、この席におりましても全く変わりはありません。同じでございます。
○井上(泉)委員 ここで委員長と論戦をしてもこれは時間を費やすので、委員長もなかなかそのようなことについては頑固ななにを持っておるから……
○中山委員長 頑固じゃございません。事実でございます。頑固と言われては、井上先生、お言葉を返すようでございますが、困りますので、事実関係は私と先生がきょう何時までかかりましてもいいですから、先生と議論をするのならばいつでもお受けします。
○井上(泉)委員 またそれはしましょう。 そこで、この間櫻内外務大臣も靖国神社へお参りをしたわけです。これは午前中わが党の先生からもお話があったわけですけれども、あのときに、そのときの心境を話をされたが、なるほど日本の戦死者、あなたのそばにおった人もたくさん死んだ。そしてそれにお参りをした。そのときにあなたは、日本兵よりも何倍もの中国人民に対する殺戮行為をやった、そのことについて思いをしたのでしょうか、それとも中国兵に殺されたな、こう思ったのか、どうであったのですか。
○櫻内国務大臣 私は中国大陸で負傷して帰って一年の陸軍病院生活後、兵役が免除になったわけでございます。そういうことで、戦争の惨禍を身にしみて感じておる一人でございまして、中国に対して大きな損害を与えたということについては、これはもう日中国交回復の共同コミュニケをまつまでもなく、十分な認識を持っておる一人でございます。
○井上(泉)委員 そういう気持ちで靖国神社へお参りをした。公人とか私人とかいうことでなくお参りをした。しかし、それと同時に、十五年戦争で中国に対する大きな損害を与えたわけですが、そこで大臣は病気をして、入院もされた、しかし隣で同胞が死んだ、同僚の兵隊が死んだことを見た、こういうわけですが、大臣、身近な中国兵を――これは上官の命令でやるのですけれども、大臣自身は中国兵に鉄砲を向けてやったことはないのですか。
○櫻内国務大臣 私は、当時漢口攻略戦、徐州戦を戦ったのでありますから、日本将兵としての責任を果たすため戦争行為をしたということは紛れもない事実であります。
○井上(泉)委員 そうした行為について、これは戦争さえなかりせば、ああいうふうに鉄砲提げて中国兵を殺戮するようなことはせぬでも日本と中国との関係はもっとうまくいったのじゃないかというようなことをお考えになったのじゃないか、こういうふうに思うわけですけれども、そういう中国兵に対して戦争に参加したことによる宿命的な任務としてあえて犯した殺人行為というもの、これについてはやはり今日は反省をしておるでしょうか。
○櫻内国務大臣 先ほども申し上げましたとおりに、すでに国としてはっきりと大きな損害をかけ、その責任を感じ、反省をするということを申しておって、私は中国とのそういう戦争にかかわった一人として、政府の言っておるその中の一員としての立場はあるわけであります。私は、言うまでもなく当時徴兵令状によって補充兵として行ったのでありますから、そして一兵卒で終始したのでありますから、その立場というものはおのずから井上委員はおわかりであろうと思います。
○井上(泉)委員 そこで、いま中国だけではなしに、韓国あるいは朝鮮民主主義人民共和国、アジア地域、それから全部日本の文部省の教科書改訂についてごうごうたる非難の論がまき起こっておるわけで、それに対して、日本政府もそのことは謙虚に耳を傾ける、そしてその対応に苦慮しておるということは、その批判が決して的を外れたものではない、当然のことだ、こういう理解の上に立っての今日までの大臣のとってきた言動ではなかろうかと私は思うわけですが、そのことについては間違いないのでしょうか。
○櫻内国務大臣 国として、中国との間には共同声明の中でその責任、反省を申し上げておるのでありますし、韓国との間におきましても、国交回復時の共同コミュニケの中でその反省を、また責任を申し上げておるわけでございますから、その立場で私は終始をしておる。この国と国との間ではっきりさせたことは、外務の責任者としてそのことが徹底をする必要がある。また、そのことについての、中国、韓国においてそういう国民世論が起きておる、あるいは申し入れがある、それは忠実に、謙虚に聞く必要があるということは言うまでもありません。
○井上(泉)委員 そこで私は、文部省の教科書検定課長がおいでになっておるようですからお尋ねするわけですが、こういうふうな教科書の検定のやり方をしたことに対して、これはえらいことをしでかした、これは外交問題にも発展し、日本国の外交的地位というものが非常に各国から好戦国視されて、大変なことだ、こういうような事態に対して、検定課長は反省をしておりますか。
○藤村説明員 歴史教科書の記述は、公正で客観的な記述になりますように私ども努力をいたして意見を付しているところでございます。したがいまして、その内容はできる限り客観的で事実に基づきました記述になるように努めてきたところでございますが、このたびの両国を初め他の諸国からの意見などにつきましては謙虚に耳を傾けて聞かなければならない、かように考えております。
○井上(泉)委員 もちろん今日そういうふうな見解をしておるわけですが、謙虚に耳を傾けるだけではいかぬですよ、実行せねば。これは橋本局長も、きちっとした原則を向こうに理解していただけばこの問題の解決もつきはしないか、こういうような談話を出しておるのを新聞記事で見たわけですけれども、その原則をきちっと守るということと、同時にその原則を実行するということとが両方いかないと、口ではどうも遺憾である、「侵略」というような文字を消してしまって、こんなことにしたことはいかなかった、反省をしておる、謙虚に耳を傾ける、こう言っても、これを改めなければ、具体的に改めなければ何にもならぬということですから、そのことについて文部省の方はどう考えておるのかということです。
○藤村説明員 文部省といたしましては、中国、韓国などからの申し入れにつきましては、当初よりこれに謙虚に耳を傾けるとともに、わが国の検定制度につきましての両国の理解を求めるべく努めてきたところでございます。これまでのこの問題についてのいきさつにつきましては、真剣に受けとめまして、いかなる対応策が可能であるかどうか、現在真剣にその対応策につきましてさまざまな角度から検討しているところでございます。
○井上(泉)委員 中国の言葉で、これは日本でも使われるけれども、良薬は口に苦し、忠言は耳に痛い、こういうことがあるわけですが、これはやはり文部省がやったことでも日本政府にとって、日本国民にとっては大変迷惑千万な話です。日本の一億一千万の国民がみんな軍国主義の手先になってしまうような、そうしてまたさらに後を引き継ぐ子供に軍国主義教育をして、そして中日戦争をゆがめてこれをやっていく、こういうやり方をするということは子々孫々に至る日中友好の道を閉ざしていくものである。 そこで私は、外務大臣に、検定の内容について教科書に対する見解をまとめるとかいろいろ言われておるわけですけれども、しかしここではっきりしておかねばならないことは、この中国に対する日本の侵略行為あるいは韓国に対する行為、これらについては正確に事実を率直に認めて、それを一日も早く明らかにするということが、これが日本政府としての当然とるべき道であって、一文部省の検定課長が公正にして客観的と言う、その公正というのはどこを相手にの公正を言っておるのか、客観的というのはどこを言って客観的と言っておるのか。客観的ということは全く自分の主観的な意図あるいは一部の人たちの意図を体したやり方であって、そこには何も客観的なものはないでしょう。中国にしても韓国にしてもあるいは朝鮮民主主義人民共和国にしてもその他のアジア諸国にしても、これが一つも客観的な事実を踏まえた記述と考えてないから、だから日本に対する抗議が出ておる。それで公正と言うけれども、一体どこに公正というものがあるか。そんなことを、私が指摘したことを考えた場合に、いまこそ外務大臣が日本の、日本国民の利益を考え、それで日本国民のこれからの、将来の日中の友好関係を深めていくその立場から一日も早く明確にこの過ちを正すということでないと、これは五十八年がだめだから五十九年にする、あるいは六十年にする、そういうことで一年先、二年先に追い送って今日の検定に合格した教科書をそのまま放置をするということは、これは言動不一致の最たるものになるわけですが、このことについて大臣の見解を承りたい。
○櫻内国務大臣 この問題が起きまして以来の経過をごらんいただきますならば、私は、井上委員の御懸念も恐らく次第に解消されるものと思うのでございます。 教科書の検定制度については、中国、韓国ともにそれは国内問題であるということの認識を明らかにしておるわけでございまして、そういたしますと、その主管する文部省において、先般来中国、韓国の申し入れとかあるいは国民世論動向、また記述の変更を求めるいろんな動き、そういうものを踏まえて、一体この教科書検定制度の中でどう扱っていけるか、こういうようなこともやはり文部省としては、いま御批判がございましたけれども、どのように公正に処理していくかということもこれは文部省としての当然の考えではないかと思うのであります。 ただ、私としては、現在のこの両国の状況というものが本当に掌握されて、それにこたえる必要があるということは、外交の面から見ましてこのような状況というものをそのままに推移していくようなそういうことではいけない、こういうことで、私どもの立場からすることはいろいろの角度から申し上げておるのでありまして、そしてそれらのことが現に外務省、文部省の間で協議も重ねられておりますし、また総理も早期解決を望んで、総理の意を体して官房長官が動かれる、また私や文部大臣がいろいろ苦慮しながら折衝をする、こういう状況にございますので、決してこれを遷延させるというような考えは毛頭ございません。私も速やかに両国が了承できるような形で解決をすべく全力を傾注しているところでございます。
○井上(泉)委員 後が来ておりますので私はこれで質問を終わるわけですけれども、私も二十三日から中国へ行くわけです。そしていろいろと中国と話し合いをする機会もあろうかと思うわけなのですが、そういう中で、外務大臣がいま言われた両国間に――両国間といっても、中国側が納得する、韓国側が納得することでなければ、日本はいいつもりで侵略を侵攻だとか進出だと書きかえたのですから、虐殺を、虐殺はしていない、向こうが抵抗したからやったんだと手前勝手な形で書きかえておるんだから、これを直さなければ問題の解決はしないわけですから、直すことを三年先に送るとかということでなしに、今日政府が決めようとする政府見解の中に直すということが入れば、それはいつから実施するか、それまでの過程はどういうふうな措置をするか、やはりそういう道筋というものを明らかにしないと、これはただ言葉だけでやりますと言っても中国側は納得することはできない、私はこう思うわけです。そういう点については日本の外務省も自信はあろうと思うのですけれども、いま一度外務大臣のこの問題に対する決意を聞きまして、私の訪中への一つの心の支えにしたいと思いますので御答弁願いたいと思います。
○櫻内国務大臣 私は、中国からごらんいただいても韓国からごらんいただきましても、誠意を持って努力をしておる。また、この問題を等閑視できない、早期解決の必要がある、そういうことでいま現に全力を注いでおる、こういうことで御了承いただきたいと思います。
○井上(泉)委員 終わります。
○中山委員長 井上普方君。
○井上(普)委員 私は教科書問題につきましては後ほど質問いたしたいと思いますが、まず第一番に、私は国会議員になって十五年になるが、どうもどこへ行っても、だめ外務省であるとか外務省はもう少ししっかりしろというような言葉を至るところで聞くのであります。しかし私自身は、日本の国は再三申しますようにこういうような国でございますので、外交ほど重要なものはない、こういう考え方で対処いたしてまいったし、今後もそのようなつもりで臨みたいと存ずるのであります。 そこで私は、年来疑問に思っておりますことを一つお伺いしてみたいと思う。というのは、昭和十六年の十二月八日にわれわれは日米開戦をした、宣戦布告をした。日本では午前何時ですか。しかし、あのときに日本のワシントンの大使館におきましては、ちょうど日曜日であったがために日本から送った文書が翻訳されずに、ついに向こうの国務省に提出する時間が一時間半ないし二時間おくれたということで、最後通告も出さずに戦争に突入した。日本は卑劣な国である、こういうことを言われておるのであります。先日来もテレビで「マリコ」というのが放映せられて、その間の事情がいろいろと国民の間に知らされた。しかし私は、あの際に日本の大使館は、日曜日であるから、土曜日であるからというので館員が出てきていなかった、ために翻訳がおくれたということを言いわけとして聞いておる。この間の事情は一体どうであったのか。少なくとも日本の国が、民族が瀬戸際に追い詰められておるときに、ワシントン大使館がもし日曜日であるがために、土曜日であるがためにということで館員が出向できなかったということでありましたならば、これはゆゆしき大事である、国を思わざること、最たるものであると言わなければならぬ。むしろ国賊と言っても差し支えないと私は思う。しかし、このことについては、外務省としては当然あの間のいきさつというものをお調べになっておって、それをどのように御反省になっておられるのか、教訓として持たれておるのか、その点をお伺いしたい。
○伊達政府委員 お答え申し上げます。 昭和十六年の開戦のときに、わが国の電報の解読並びにアメリカ国務省に対する通告文の作成に時間がかかったために通告がおくれたということは史実であると承知いたしております。当時の事情はつまびらかにはしておりませんが、非常に極秘の文書であったがために現地のタイピストを使うことができずに書記官がタイプをしていたのでございますけれども、そのタイプが何せ素人のやることでどうしても時間がかかったということも一つのおくれた原因であるというふうに承知いたしておりますけれども、非常に残念なことでありまして、当初の意図に反して、おっしゃるように宣戦布告が真珠湾攻撃よりおくれたということになったわけでございます。 私どもといたしましては、現在、当然のことながら日曜日といいましても当番は必ず大使館もしくは自宅に待機という体制でございますので、そのようなことは今後は起こり得ないことであると思っておりますけれども、いずれにいたしましても、昭和十六年十二月八日というのは忘れがたい悔恨として残ったものであって、われわれとしても大いに反省しなければならないと考えております。
○井上(普)委員 しかし、いま官房長からお話がありましたが、その間の事情をつまびらかにしてない、こうおっしゃられた。少なくとも国としましては、最後通告を出さないうちに戦争に突入した、これは国の恥です。しかし、それがタイプを打つのがおくれたとかいうような理由では理由にならないと私は思う。少なくともその日は日本の在ワシントン大使館は全員出動しておったのかどうか、その点をお伺いします。
○伊達政府委員 申しわけございませんが、私自身、全員出ていたのか、何人出ていたのかという事実は突きとめておりません。
○井上(普)委員 そこで、このような恥をやったのは外務省当局。にもかかわらず、それに対して検討を加えた機会がなかったのでしょう。少なくとも官房長、あなたは、過去四十年になるけれども、責任者である官房長がその間どのくらい出席しておったかということを知らないということは、この事件に対する検討を加え、反省を加えていない証拠じゃないかと思うのです。外務省当局の話を聞いてみると、だめ外務省であるとかなんとか言われる。果たしてそういうように真剣に考えているんだろうか。国の将来を真剣に考えているんだろうか。疑わしいようなことがたくさんある。 そこで、たまたま思い出したんだが、あの事件は一体どういうような反省を外務省はし、これをどういうように教訓にしておるんだろうか。少なくとも外務省に採用した人間を教育するには、外務省というのはこれほど国の重要な場面を受け持っておるんだ、日本は、外務省はこういうような失敗をしたんだということを教育の材料にすらしていないのが現状じゃありませんか。私はこの点を――その後終戦になりまして占領軍になり、外務省は無気力になったでしょう。外務省の役人どもが無気力になったこと、これもわかる。しかし、独立した以上は、日本の外務省、外交を確立するという意味からしましたならば、これは端然この点に対する反省なり、あるいは当時の事情をつまびらかにし、処分すべき者は処分するという態度があったんではなかろうかと思うのでございますが、遺憾ながらいままでのお話を聞きますと、やっていない。ここに日本の外交の失敗の、いま無気力だと言われる原因があるんじゃなかろうかと私は思う。再出発するなら再出発すべく、そのことを十分に調べる。それをやっていないこの外務省の態度こそ無責任きわまりないものと私は言わざるを得ないと思う。これは外務省何とかいう問題じゃない。櫻内大臣、御瞑想になっておられるようだが、ひとつこういう重大なるときに、外務省のあの事件に対する批判も反省も検討もされていない事実については、あなたは一人の政治家として、日本を背負う政治家としていかにお考えになりますか、お伺いしたい。
○櫻内国務大臣 ただいま開戦当時の在米大使館のあり方をお取り上げになって、厳しい御批判をちょうだいしたわけでございますが、外務省の機能強化ということがいろいろの角度から言われております。外務省が二十四時間体制で世界各国のあらゆる問題に細心の配慮を払い、的確な情報を収集し、またそれを国内の必要な面に通達する、またそれに基づく判断をする、こういうようなことは当然外務省の持つところの機能でなければならないと思うのであります。 したがって、ただいまの御批判につきましては、これはそのとおり承りまして、かりそめにも今後そのような欠陥が露呈されるような、そういうことがあってはならないと私自身も戒めて、外務省の機能というものが十分国民の負託にこたえる、また皆さんから信頼のできるようなそういう体制でなければならないと痛感いたします。
○井上(普)委員 機能を強化する、結構です。私もしなければいかぬと思う。しかしそこは心がけの問題です。精神の問題なんです。いま聞いてみますと、このときの事情については外務省当局もつまびらかにしていない。これはどう考えます。外務省の大きな汚点じゃありませんか。その汚点について十分な反省もなされていない。それで、そういうことでございますから、恐らく新しい若い外交官を養成する教材の一つにもこれはしていないはずだ。だから、外務省当局の外務官僚諸君が、あるいは人に言わすれば、あれは本当に国を憂えておるんだろうかという批判も出てくる教育をしておるのじゃなかろうかと私は憂えるのです。過去の失敗は過去の失敗として、しかもあれだけの汚点なんです。大失態なんです。もしワシントン大使館の館員が全部出てきていないとするならば、当時の民族の興亡をかけた戦争を行う、この戦争がいいか悪いかは別の問題として、少なくとも公務員として、官吏として、外交官として、全力を挙げて、日曜日はおろか、返上して、徹夜ででも作業するのが当然の義務であり、外交官の使命であると私は思う。それができていない。そして、それに対する反省も何ら行われていない。この実態がだめ外務省と言われる無気力さを生んでおるのではなかろうかと私は思うのであります。どうです。いまからでもこの問題について検討を加え、事情を十分に調べ、そして、何と申しますか、事情をつまびらかにし、反省すべき点は反省するという必要があると思うのですが、御検討される御用意ありや否や、この点お伺いしたい。
○伊達政府委員 お答え申し上げます。 御指摘のありました点につきましては、外務省としても大いに反省しているところであるということは、先ほどの御答弁にも申し上げたところでございまして、現在在外勤務というものは土曜、日曜を問わず二十四時間勤務なんだぞということの訓練、教育、その覚悟をしみ込ませるということは、外務省としてもやっているところでございます。しかし、井上先生のお話もございますし、この問題をさらに振り返ってみてわれわれの覚悟を新たにすることに努めたいと思っております。
○井上(普)委員 ぜひともやって、ひとつ外交官の教育材料の一つにしていただきたい。先輩各位のとかく役人の巣窟になって、隠し立てをしたがるのが役人の常だけれども、ここらあたりはやはりはっきりと事実を事実として調べ上げて、教育の材料にしていただきたいことを私は強く要望すると同時に、いままでそういうことをやっていなかった外務当局に対して猛省を促したいと存ずるのであります。 そこで続いて、私はたくさん言いたいのですが、きょうは文部省の局長やってこい、出てきてくれ、こういうことを申し上げました。来ない。何と説明員がやってきてごまかそうとしておる。必ず出てこいと私は言いました。そうすると、文部大臣とだれだれとがマレーシアの何とか大臣の表敬を受けるから出てこれませんといって出てこない。委員長、私はこの点は強く要求いたしておるのであります。この文部省の、特に橋本局長と一緒に中国へ行ってなにした人に来てくれ、こう申し入れている。要求しておる。ところが、政府の説明員のごとき検定課長がここに来ておるらしい。少なくとも国会において政府委員が答弁する、あたりまえの話です。それが足らざるときに説明員がこれを説明するというのが当然です。説明員というのは答弁する資格がないんですよ。ところがこれを要求したにもかかわらず出てこない。 そこで私は、これはもう文部省の悪口になるけれども、言いっ放しになるが、ひとつお聞き願いたい。私は辞書を引いてみた。辞書広辞林というのを引いてみた。そうすると「侵略」という言葉はある。ところが「進攻」という言葉は広辞林には言っていないんです。いいですか、進み攻めるというのは言っていない。あるいはまた、辞書広辞林に言っていないんだから、おかしなことを教科書に載せているんだな、言葉を新しく解釈をつくってまでやっている。ようやく「進出」という言葉はある。辞書広辞苑の、これは何ページですか、調べてみますと「進出」とは「すすみでること。一定の地からさらに前進すること。」こういうのが辞書広辞苑の解釈です。いま教科書の問題で出されております「進出」、これもまた文部省は不都合なんですよ。こういうようにかえておりますのでというので現在のを持ってきた。それじゃ前のも持ってこいと言ったら、現在の日本史の資料を持ってきた。原本を持ってこいと言いましたら、何と世界史の本を持ってくるのです。昨夜のことです。これほどまでに人をばかにしたようなことを文部省はやっている。文部省の役人というのは、本当に御殿女中のようにその場を過ごせばいいやというような、おべんちゃらばかり言うような役人が巣食っていると申しても私ははばからぬのであります。文句あるなら言うてきてくれ。いつでも文部省の連中とやってみたいと思う。外務大臣、あなたは一応御決意をなされておるようにいまも承った。辞書広辞林にさえ出ていない。「進出」という言葉を使って「侵略」と置きかえておる事実。私はこのことだけを外務大臣に御指摘しておきたいと思う。何ならお渡ししてよろしゅうございますよ。辞書広辞苑には先ほども申しましたように「侵略」にかわるような言葉と全然違う、新しく「進出」という言葉を解釈を別にして、新しい言葉をつくっていると申しても過言ではございません。そして教科書の検定をやられておるのです。日本語には、少なくとも私が見ましたこの辞書というのは昭和三十七年の辞書なんです。そういうことを御指摘しておきたいと思います。 次に、先日、パリにおきましてサミットが行われました。三つ、四つの合意ができたうちで一番しっかりした合意というものは先端技術というものをひとつ全世界が一緒になってやろうじゃないか、こういうことじゃなかったんですか。技術開発促進のための国際協力をやろうじゃないか、これが世界経済再活性を目指すものであって、サミットにおきましては金利の問題とこの問題でしょうと言われて、麗々しく書かれたのがこの技術開発促進のための国際協力であった。しかも、それは日本、フランスを中心に産業部門の指針をつくっておる。ところが、アメリカ政府から協力の対象は基礎技術だけにとどめて先端応用技術は除外したいと提案してきておるということを承るのでございますが、本当でございますか、御答弁願いたい。
○妹尾(正)政府委員 お答えいたします。 提案と申しますか、各国いろいろな考えがあるわけでございまして、アメリカ全体を代表するものかどうかは存じませんが、アメリカにそういう、少なくともアメリカの一部にそういう考えがあるということは聞いております。
○井上(普)委員 そうすると、外務省に対しましてはそういうことは全然言ってきていないのですか、どうですか。
○妹尾(正)政府委員 お答え申し上げます。 私どもそういうことを聞いております。
○井上(普)委員 でありましたならば幸せ。いまアメリカにおきましては先端技術は基礎技術のみにとどめようではないかということを言っておるということが新聞報道で伝えられておる。そうするなら、パリ・サミットで、ベルサイユ宮殿で七カ国首脳が喜んだ集まりの意味はもう何にもなくなってしまう。アメリカの金利を下げるようにしろと言いましてもこれもできなかった。やりますと言っておりながらできなかった。こういうようなことを見ますと、唯一の合意事項である先端技術というものに対してもアメリカではそういうことを言い始めておる。一体首脳外交というのは何なんだ。忙しい各国の首脳が集まってそして決めたこともすぐにほごにするようなアメリカ外交というものはまさに国際信義を無視したものであると言わなければならないと思うし、また今後このようなことがありましたならばサミットは必要ない、こう言わざるを得ないと存ずるのであります。この点につきまして、もしそういうようなことを言ってきたならば日本は断然拒否するという態度に出るのでございましょうな。この点、ひとつお伺いしたいのです。
○妹尾(正)政府委員 お答え申し上げます。 まず、サミットの合意と申しますか、サミットをどう評価するかということについてでございますが、サミットの結果といたしましては確かに科学技術及び雇用、文化の問題というのは非常に重要な成果の一つとして報じられているということは事実でございますし、私どももそれは重要な点の一つであるというふうに考えております。ただ、サミットの成果という意味では、それ以外にもいろいろな分野におきましていろいろな重要な合意があったわけでございますので、科学技術だけが唯一のサミットの成果であったということではないと思っております。 次に、その科学技術においての問題でございますが、確かに先端技術という問題は今後の科学技術ということを考えれば非常に重要な分野であると私ども考えております。ただ、サミットで論じられましたあるいはサミットで今後の検討を期待されている科学技術は、別に先端技術に限定してそれだけをやれということではないわけでございますし、それから科学技術の話というのは科学技術とそれからその雇用に及ぼす影響、文化に及ぼす影響、この三本柱で検討すべきであるということにもなっているわけでございます。いずれにしましても、日本は日本の立場からこの三つの問題を取り上げるグループにおいて建設的に貢献していきたいと考えていることには変わりございません。
○井上(普)委員 当時、新聞紙上におきましては、先端技術の協力を日本とフランスの間で強力に進めたということは事実なんです。新聞紙上伝えられておるところなんです。いまさらになってそれだけじゃない、ほかにもあった。あったけれども、全部実現してないじゃないですか、四項目のうちのあとの三項目は。その一つの合意でさえも基礎技術に限定するというようなことになれば、もはや何のためのサミットなんだ、何のための合意なんだということを言わざるを得ないのであります。 時間がございませんから、次の問題にまいります。 今月の十六日にアメリカの上下両院協議会において、日本が同盟国としての防衛コミットメントを果たさないときには駐留するアメリカ軍の撤退の検討を行うことを義務づける条項を決定したと伝えられております。これは事実でございますか、どうでございます。この点、お伺いいたします。
○栗山政府委員 事実関係について御答弁申し上げます。 私どもの方で確認いたしましたところでは、今般アメリカの上下両院の協議会におきまして国防省の支出権限法案、これに対しまして、日本及びNATO諸国の防衛努力の不均衡是正等のために米国のとる努力が成功しない場合に大統領がとろうとする追加措置についての説明、それから、かかる追加措置が米軍部隊の再配置の検討を含んでいない場合にはその理由についての詳細な説明を国防長官が議会に提出することを求める、そういう趣旨の規定が入ったというふうに承知しております。
○井上(普)委員 そうすると、ワシントンから十六日に古森特派員が伝えてきたのは間違いであるということになる。そのことにつきまして、条約局長、私のところにあなた方に入っている情報を持ってきていただきたい。といいますのは、このようなことをやられるならば日米安保条約に反します。私の新聞の報道が本当とするならば、これは何といいますか、アメリカの軍拡政策をそのまま日本に押しつけてくることになる。日本が聞かざるを得ないような、自民党の政策をそのまま進めるならばやらざるを得ないことになる。日本の独自性というものはなくなってくる。独立国というよりは隷属国になってしまう。私はそのように感ずるのであります。 さらにもう一点お伺いしたいのだが、これも新聞報道によりますと、最近外務省は日本の対ソ政策の基本文書をまとめている、こう伝えられているのでございます。外務省のその文書によりますと、決めたことによると、日米欧が結束して効果的な対ソ政策を遂行するには、各国の対ソ認識を一致させることが先決だとされておるのであります。一致する対ソ認識とはどのような認識でなければならないのか。もしつくっておるとするならば、お伺いいたしたい。
○伊達政府委員 お答え申し上げます。 新聞にそのような報道がなされたようでございますけれども、私の承知しております限り外務省がそういう文書を作成しているということはございません。
○井上(普)委員 まあ、極秘文書と銘打って、それが抜かれているんだ。だから公式にはそう言わなければならない、この点はわかる。しかし、これまた情を通じて出てくる文書があるかもしらぬ。そのときには大恥をかく。 本当にこういうことを検討したことはございませんか、どうなんですか。
○伊達政府委員 議論の段階といいますものは、私どもいろいろ外交政策を論議する間にいろいろな議論が行われているわけでございまして、そのことは先生もよく御理解いただけると思うのでございますけれども、ただ、そのような文書がつくられているということはないわけでございます。
○井上(普)委員 まあ、これは外交の機微に関することだから、私はこれ以上は申しますまい。しかし新聞では、これはもうすでに外務省が極秘文書をつくって対ソ政策についてアメリカに自制を促すということで麗々しく載っている。ここには櫻内さん、あなたの顔も載っている。しかし私は、対ソ認識というのはアメリカの認識と同じであってはならぬと思う。もうすでにEC、西欧におきましてもアメリカの認識とは違ってきておる。 せんだって私はその件について櫻内外務大臣にお伺いした。ところが、西欧諸国、NATO諸国とアメリカとの間の認識の相違はただパイプラインのことであって、あれはやがて解決しますと簡単におっしゃっておった。しかしそうじゃないでしょう。やはり西ドイツは西ドイツとしていかにしてわれわれの国を戦場にすまいか、西欧各国は、各国全部がこういう観点に立ってアメリカとの対ソ認識を変えてきている。ただサッチャーだけはどうも一緒のようでありますけれども、ソ連に隣接する各国においては全部認識がアメリカとは違ってきておる。わが国もいままではアメリカ追随外交をずっとやって、アメリカの認識と同じようなことを公式に表明してきた。変える時期が来ておるのじゃございませんか。戦場になったならば民族は全滅するんだという認識のもとに日本独自の外交認識を持たなきゃならないと私は思う。そして特にレーガン外交の行き過ぎに対しては厳しくチェックしながら日本の主張をやらなければ民族の将来に大きな悔いを残すと思いますので私はあえて申し上げるのであります。日本独自の外交を展開していただきますよう強く要求するものでございますが、もう時間が参りましたので外務大臣の御所見を承りたいのであります。
○櫻内国務大臣 外交を遂行する上で硬直した姿勢ではいけない。ただいま井上委員の貴重な御意見がございました。あるときには日米欧が一致した行動をとるということでまたそれなりの成果がある場合もあろうと思います。しかしまた、おっしゃるようにアメリカと日本とが常にすべて意見の一致を見る、場合によればそれが追従的である、これはやはり私としても考えなければならないことだと思いますので、井上委員の御意見は私はよく尊重したいと思います。
○井上(普)委員 時間が参りましたので、この程度にいたします。 ありがとうございました。
○中山委員長 玉城栄一君。
○玉城委員 私はいま大きな問題になっております教科書の問題についてお伺いしたいわけです。 文部省の教科書検定制度、教科書検定問題に端を発して深刻な外交問題に発展し、外務大臣を初め外務省当局も大変苦労しておられるわけです。対外的にもあるいは政府内部でも与党内でもそのように報道され、御様子では大変御苦労しておられるというふうに感じておるわけであります。いずれにしましてもこれは大変重要な問題でございまして、最後までがんばっていただきたいと思います。同時にまた、申し上げるまでもなく、わが国の無資源、貿易立国、島国という条件を考えますときに、やはりすべての国と友好を保つということはわが国存立の一つの条件だと言っても過言ではないと私は思います。その分野を担当される外務大臣、さらにがんばっていただきたいと私は思うのです。 それで、報道でしかわかりませんが、いよいよ最終的な政府見解をまとめる時期に来ているやに感じているわけですが、その政府見解なるもののまとまる時期あるいはまとまって発表する時期とか発表の仕方とか、それはどのように外務大臣としては見通しておられるのか、ちょっと御説明していただきたいと思います。
○櫻内国務大臣 先般外務省橋本局長、文部省大崎局長が中国から帰りまして、総理のもとで両大臣、次官等を初め、そろってその状況についての報告を受けたわけでございます。こういう形で教科書問題に対応しておるわけでありますから、総理を中心としてこの問題にどう対応するか、非常に重大視しておるということはおわかりであろうと思います。したがって、この問題を最終的に処理をしていく上におきましては、新聞等が報道をしておるように、政府見解とかあるいは総理の御所見を場合によってはちょうだいするとか、いろいろそのやり方があろうかと思いますが、少なくとも外務省、文部省の各省が個々にどう対応する、こういうことでなく、もう一つ高度の判断に伴う見解が必要ではないかと思います。
○玉城委員 これは一日おくれればおくれるほどわが国の立場というのは非常に不利になるわけですが、お伺いしていますのは、おっしゃる総理の見解と申しますか政府の見解というのはまとまる――きょうじゅうにまとまるという報道もありますし、その発表はまた外務大臣が行かれる前にとかいろいろ報道があるのですが、その辺を伺いたいわけですが。
○櫻内国務大臣 総理からこの問題に速やかに対処するようにという御意向をちょうだいしておるわけで、また文部省においても外務省におきましても中国、韓国等の諸状況にかんがみてどのような措置をとるべきか、そのための鋭意協議を続けておるわけでございまして、率直に申し上げてこういう重要な問題でありますから、いつということじゃなく、協議が整いますならばできるだけ早くその結論を得る必要がある、こう思います。
○玉城委員 そこで、韓国の方にはまだ政府の方から公式、非公式行っておられないし、向こうの方は閣僚級じゃなくちゃいかぬというような条件がついているようですが、これも報道でしかわかりませんが、何か日韓議員連盟の方が行くという、そういう報道があるのですが、それはそういうことになるのか、それが一点。もし行かれるとすれば、その方はどういう資格と申しますか立場と申しますか、あるいは特使という立場なのか、その二点、お伺いしたいのですが。
○櫻内国務大臣 従来、この日韓議連に対しましては韓国側で韓日議連がつくられておりまして、そして非常に密接な連絡があるということは明らかだと思うのであります。特に、こういう問題で両方の議連が非常に心配しておられるということを承知しております。私はそういう相互の議連の中の意思疎通である、このように受けとめておるのでありまして、しかしそういう熱心にやっておられる両国の議連のことでございますから、その議連を通じて言われることは、私はこれを尊重していいんではないか、このように思っておるのでございまして、先般も日韓議連の見解表明が行われましたが、その見解表明の部分については、私どもは高く評価をした面もあるわけでございます。しかし、これは政府がどう、外務省がどう、こういう関係ではないのでありまして、ただいま申し上げたようなこの両国の非常に大事な議連のことでありますので、私どもの立場からすれば、その間の動きとか御見解とか、そういうものは尊重し参考にしてまいりたいと思っております。
○玉城委員 これは大変御苦労なことは承知の上で私は申し上げておるわけですが、先回の委員会でも申し上げたわけですが、大臣御自身がぱっと行かれる方がむしろ誠意を示すことになりやしないか。いろんな形で考慮することは大事ですけれども、その点は時間がございませんので、やはりそのつもりはないということに理解してよろしゅうございますか。
○櫻内国務大臣 大体の韓国の方の情勢からいたしますと、何か考えを持ってくるならばそれは承りましょうというのが、言葉を簡単にして言えばそういう状況にあるわけでございます。したがって、現在までの段階では日本側の結論というものを得ておらないのでありますから、なかなかその機会が得られない。ただ、韓国の場合は、非常に大事な問題でありますので、こちらからは役人を向けませんでしたけれども、逆に向こうから後藤公使を呼んで、そしてわれわれとして万全を尽くす、諸情勢を十分把握する、そういうような措置をとったような次第であります。
○玉城委員 あとは政府見解の中身の問題なんですけれども、先ほど韓国の問題で、これは議連はどういう資格かということもはっきりしないわけですし、大臣御自身もそういうことをはっきりおっしゃらないわけですが、中身のことはいま政府は協議中だということです。それで、きのうの参議院外務委員会で中国に行かれた橋本さんは、感触として政府見解の中に教科書の記述修正の方向を明示すれば中国側の理解は得られるのではないかという感触、そういう意味の答弁をしていらっしゃるわけですが、大臣はそんなふうに御報告を受けていらっしゃるわけでしょうか、確認したいのです。
○櫻内国務大臣 橋本局長の答弁の詳細は承知しておりませんが、局長自身が中国に参りまして得た感触でございますから、その御答弁は信頼のできるものではないかと思います。
○玉城委員 文部省の藤村さん、政府見解をいま協議していらっしゃることはわかるわけですが、改訂に二つの方法がある。そのうちの一つだと思うのですが、そういうことも含めていま検討していらっしゃるというふうに承ってよろしいわけですか。
○藤村説明員 さまざまな角度からどのような対応策が可能かどうか、鋭意検討しているところでございます。
○玉城委員 対応策が可能かどうか真剣に検討というのは、これ以上は藤村さんはおっしゃらないと思います。 それで、私はちょっと大臣に、きょうは国会の最後の委員会でお伺いしておきたいわけですが、この教科書の問題は実は対外的な問題だけでもないのです。大臣御不在のときも、委員会で私ちょっと伺ったのですが、去る太平洋戦争末期の沖繩戦において旧日本軍が住民を殺害したということを、教科書から検定の段階で全面削除されたということで、これが明らかになりましていま沖繩の方では大問題になっていまして、いわゆる抗議の渦あるいは署名運動とか、だんだんエスカレートしていくことを私は大変憂慮しております。 そこで大臣にお伺いしたいのは、御存じのとおり日米安保条約に基づいて五三%の米軍基地が沖繩にあり、米軍が激しい演習を日常的に行っているわけです。さらに自衛隊がいる。そういう悲惨な地上戦の体験ということから、いわゆる軍隊というものに対する県民の感情というものは非常にシビアなものがあるわけですね。こういう問題が出まして、さらに反米、反米軍基地とか反自衛隊感情が増幅されるということになりますと、これは政府にとっても非常に好ましくはないと思うのです。ましてや、安保条約の円滑な運用ということを何回もおっしゃっておられる大臣の立場からしますと、こういうことは決して好ましいとは私は思いませんが、大臣はいかがでしょうか。
○櫻内国務大臣 教科書問題について国民が非常な関心を持っておるということ、これは言うまでもないことだと思います。特に沖繩の特殊な事情からいたしまして、この教科書問題の論議については一層の関心が寄せられておるということは私も十分理解のできるところでございまして、仮にもただいま玉城委員の言われるような、今後、反米とか反自衛隊だとかそういうようなことが助長されるような動きがあってはならない。いま日本は専守防衛に徹しておるわけでございますし、また、戦後、平和憲法のもと、戦争を放棄しておるのでありますから、これらのことは日本の不動の姿勢としてよく国民の理解を、また沖繩の皆さんの御理解を得たいと思っております。
○玉城委員 大臣のお考えはそのとおりだと思います。 後でまた大臣の御所見を承りたいのですが、文部省の藤村さん、この間もこの委員会で伺ったのですけれども、やはり今回の検定の段階で住民殺害という部分が全面削除された、その理由として、数字の裏づけになる根拠が不明確であるあるいは表現の仕方にいろいろ問題があるというような理由をちょっとおっしゃっておられたわけです。そこで、数字の裏づけがはっきりしない、表現の仕方に問題がある、いわゆる書き方に問題があるということですが、それをもう少し説明していただきたいのです。ではどういう表現であればいいのか、どういう表現にすれば検定はパスするのか、その辺ですね。
○藤村説明員 御指摘の教科書の検定の個所は日本軍による住民の殺害ということを書いた部分でございます。 これに付しました意見は、八百人という住民が戦闘の邪魔になるなどの理由で殺害されたというふうに書いてあったかと思うのですけれども、これに対しまして、八百人という数字が果たして確かなものであるかどうか、それに、戦闘の邪魔になるなどの理由でと書いてございましたので、戦闘の邪魔になるということで一斉に八百人もの多くの人間を殺したという印象を与えるおそれもある、そこで、根拠となる資料があればそれを提示してくださいということを著者側に求めたわけですけれども、最終的には、著者の方でその数字の裏づけになるような資料を出してまいりませんで、見本本にございますような記述に変更をしてきたということでございます。 資料を引用して書くという方法もいろいろな手法がございますが、沖繩戦に関しましてはこれまで中学校の教科書などで幾つか記述されている例がございます。その記述の仕方を見てみますと、たとえば、沖繩県史の中に登場してくるだれだれさんの回顧談によれば次のようなことが述べられているという形で一ページあるいはもっと小さく半ページ程度を割いて書いているとか、これが、こういうものからとって、その中にこういうことが書いてある、すなわちその資料批判ができるような形で提示されているものであれば、そういった記述というものはこれまでも認めてきているということでございます。 繰り返しになりますが、この個所につきましてはいろいろな記述の方法があるわけでございまして、特にこれは重大な問題でございますので、確実な資料に基づきまして記述をするよう、特に資料につきましては確実なものに基づいて書くということが原則でございますから、そういう観点から意見を付しましたところ、あのような表現になったわけでございます。 もちろん、私ども、沖繩県史のような資料を否定するものではございませんし、あの中に盛られているいろいろな記録というのは非常に貴重な記録であろうと思います。 それから、事実として日本の国内の沖繩におきまして決戦という形で激しい戦闘が行われたということも事実でございますし、こういった痛ましい事実が今日なお沖繩の人々の心の中に生き続けているということも事実であるというふうに考えております。
○玉城委員 そうしますと、沖繩戦の全貌が、おっしゃるように客観的に公正に表現されておれば当然皆さんの検定の趣旨から言って通るわけですね。たとえば住民殺害というのにはいろいろ要因があると思うのです。今回は戦闘の邪魔になるという一つのことだけ。しかし、住民が殺害されたというのは、それだけでなくてほかにもいろいろ理由があったであろうということは当然考えられますね。そういう表現の仕方は皆さんの考え方としてどうなんですか。
○藤村説明員 戦争に関する記述につきましては、その事実関係を確実な資料に基づきましてできるだけ客観的に書くということがまず第一に求められているわけでございます。そして、その一部分だけを取り上げて書くということもまた誤解を招くおそれもありますので、やはりその全体がわかるように、それから短い文章であれば、それだけを読んで子供が理解できるような表現になっているということが必要でございまして、私ども、常にそういった観点から意見を付しているところでございます。
○玉城委員 いまの点ですが、この前も委員会で申しましたが、小さな島で日米両軍入り乱れて住民を巻き添えにしての地上戦ですから、いろいろなケースがあったと思うのです。ですから、住民がそういう犠牲を受けた、殺害されたということ、これはたとえば米軍の火炎放射機とかあるいは住民みずから集団自決をするとか、そういういろいろなケースもあるわけですね。そういう全貌として客観的な事実というものが書かれれば、おっしゃるような住民殺害ということだけ突出してというようなことでなくて、それも含めてということであれば検定は別に問題はないわけでしょう。
○藤村説明員 おっしゃるように、その戦争全体がわかりまして、その中に、おっしゃいましたような事実が書かれているということであればそれらをうちの方で否定するつもりはございません。
○玉城委員 そこで、私は文部省の方に確認しておきたいわけです。 いま最初にお伺いしました政府見解、いま文部省と外務省が協議中ですが、その見解、いわゆる考え方、これは当然対外的だけに限らず、内外を問わずでしょう。そう理解するのが当然でしょう。対外的なものだけはどうのこうの、それはあなた方の言う主権に関していわゆる外圧によって屈服ということになりますからね。どうですか。
○藤村説明員 そのように伺っております。
○玉城委員 その点、確認しておきますが、いまこれは報道でしか――可能なあらゆる方法をいま検討中とおっしゃいますのでなんですが、いまの私の質問した意味をあなた理解した上でそのように伺っておりますということは、私の申し上げているのは、たとえばそういう結論かどうかわかりませんが、報道によりますと、来月九月に一年繰り上げていわゆる改訂検定を告示することも含めて検討されていると思うのですが、そういう考え方というものは、中国、韓国いろんな対外的な問題に限らず、国内で起こったそういう問題にも当然その考え方が及ぶのでしょうという意味ですよ。それは及ばないとは言えないでしょう。
○藤村説明員 質問の趣旨を取り違えていたようでございますが、それらの点につきましては、このたびのものは外国からの批判というものにどうこたえるかという観点から、いろんな角度からいま検討しているということでございまして、国内の問題についてはまたおのずから別の問題ではないかというふうに考えております。
○玉城委員 それは、そういうことになりますといよいよ教育というものが、あなた方のおっしゃるようにまさにいわゆる高度な内政問題です。それを外国から批判が出ているからそれにどうこたえるかということ、これはちょっと問題になりますよ。戦争というものにかかわる問題については、検定において客観的かつ公正なことにしようということでしょう。
○藤村説明員 教科書の記述に当たって、特に戦争についての記述についての考え方は共通でございます。
○玉城委員 その点を何かはっきりしないと重大問題になりますよ。 それで、私、外務大臣に最後に御所見を伺いたかったのは、先ほど安保条約の絡みとの問題を申し上げましたけれども、文部省の立場に立てば、検定制度について自主的な判断に基づいてそれは検定されるということは当然ですから、その一環として、国内の戦争に関する記述については客観的かつ公正でなければならないということは国の内外問わずと私は思うのですが、大臣もそのようにお考えになりませんでしょうか。
○櫻内国務大臣 考えとしては、玉城委員のおっしゃるような私も考えでありますけれども、今度の見解表明にどう織り込んでいくかということについては、いまの玉城委員のことも踏まえてやるかどうかというようなことについては現在協議中のことで、いまここでちょっとお答えしにくいと申し上げておきます。
○玉城委員 ですから、それは一つのルールをつくろうというわけですから、その考え方というのは国の内外を問わないということ、検定を実際にやるのは文部省ですから、ぜひそれはそのようにやっていただきたいと思います。 時間がありませんので、質問の内容が変わるのですが、もう一つ、昭和二十年の四月一日米軍が沖繩に上陸して、六月の二十三日ですか日本軍の組織的な抵抗が終わった、占領されて、それからサンフランシスコ条約三条によって施政権が米国にゆだねられた、そして去る昭和四十七年の五月十五日、日本に返還された、その間の米側の占領あるいは施政権下を含めて貴重な、これは軍事面も含めて記録があったと思うのですが、外務省はそういう資料についてどのように認識をしておられるのか。
○淺尾政府委員 私が正確に認識しておりますれば、昨年の参議院の行政改革特別委員会において同様な質問がございました。その際に、政府の方としては、アメリカの持っている資料というものは非常に貴重である、したがって政府としてもアメリカ側からそういう資料を入手するために全力を尽くすということでございます。 そこで、現在沖繩開発庁においてすでに入手しております目録の翻訳の分類作業を行っております。その結果、このものについてアメリカ側から資料を入手してほしいということであれば、その要請を受けて外務省としても最大限の努力を尽くしていくということでございます。
○玉城委員 実際にその作業を担当していらっしゃる沖繩開発庁に資料の収集進捗状況を御報告していただきたいのです。
○勝又説明員 アメリカ民政府の資料の大部分はアメリカ国立公文書館に保管されておるようでございまして、数百万ページにわたる大部のもののようでございますが、その保管状態は未整理のままというふうに聞いておるわけでございます。現在、これらの資料の内容を把握するためにリストの翻訳に努めておるところでございまして、その資料の内容等がある程度判明した段階で資料の収集方法あるいはその費用をどうするか、収集後の資料の保管、利用のあり方等について検討を行う必要があるものと考えておりまして、収集に踏み切るに際しましては、外務省を初め関係方面に御相談申し上げたい、かように考えております。
○玉城委員 いまの問題ですが、分量にしますと何か五百万ページとか、そのリストというのは五百ページぐらいで翻訳中というのですが、その翻訳をいつ終わるのかですね。
○勝又説明員 アメリカの国立公文書館に保管しております資料は約四百五十万ページ程度と聞いておりますが、リストのページはおおむね五百ページでございまして、鋭意いま翻訳を進めているところでございます。 なお、翻訳だけで済みませんで、その後、その資料の事項別の整理あるいは年代的な整理等も必要かと思いますが、とりあえず翻訳は年内には完了させたいというように考えております。
○玉城委員 最後になりますが、その資料の内容をどういう資料であるか私たちも大変知りたいわけですね。というのは、戦後処理の問題でまだ未解決の問題がたくさんありまして、その解決の糸口がつかめるのじゃないかという貴重な資料が含まれていると私は思うのですね。ですから、資料が大体どんなものか翻訳しないとわからないというのですが、それは一応なにしまして取り寄せて開発庁に保管するのですか、沖繩県に保管するのですか、その辺は大体どういう考えを持っていらっしゃいますか。
○勝又説明員 非常に貴重な資料でございますので、それの保管、利用につきましては今後慎重に考えていきたいと思いますし、その際には十分県などとも意見の調整を図る必要があろうか、かように考えております。
○中山委員長 野間友一君。
○野間委員 引き続いて教科書問題について、主として外務大臣にお尋ねをしたいと思います。 最初にお聞きをしたいのは、きのうの参議院の文教委員会で文部大臣が、両省の接点、これは外務省との関係ですが、これを求めて必ず円満に解決できる具体案を遠からず公表できると考えておる、こういう答弁をいたしておりますが、事はそこまで協議の中で具体的にもう進んでおるということなのかどうか、外務大臣にお尋ねしたいと思います。
○櫻内国務大臣 文部大臣の御答弁の詳細を承知しておりません。新聞紙上で拝見いたしましたが、私は野間委員十分おわかりだろうと思うのですが、外務省として外務大臣の責任でやっておること、これは中国、韓国等のいろいろな教科書問題に関する動きあるいは申し入れ、また厳しい批判あるいはそのほかの国民動向、そういうものを関係省庁の方へお伝え申し上げておるわけで、それじゃ教科書の検定の問題ということになればこれは文部省の責任でやられるわけですから、文部大臣はそれらのことについての御報告を受けておられてそういう御答弁をなされたのかその辺がはっきりわかりませんが、恐らく責任を持っておられる範囲については遠からず見解が表明できるというようにお受けになったとすれば、それはそれで文部大臣のおっしゃっておることを私も承る、こういうことですね。
○野間委員 教科書問題の中身については文部省の所管であるとしても、事は外交問題としていま大きくなっておるわけです。文部省がどういう方向で検討しこれを改善していくかということについては、外務省を無視することはできないのは当然であります。 そこで、けさの新聞等を見ますと、先ほどの質問にもありましたけれども、一年早め改訂検定の受け付けをやる、来月に告示するとか、当面教師用の授業指導書の内容を両国が納得する形で手直しをする、こういうことが報道されております。しかも、いずれもいま問題になっております教科書の中身については修正しない、そのまま使うということが新聞報道でも大きく取り上げられております。事こういうふうになりますとこれは大問題だと思います。私は、中国にしても韓国にしても国際的に大きな抗議や怒りが充満しておる中で、こういう小手先の細工で事を収拾することについては外務大臣は断固として文部省に物を言われるということがあってしかるべきだと思うのです。今日までの戦争が侵略戦争であったという前提に立って真剣に反省する、と同時にその上に立って記述を直ちに訂正するという方向こそ、外務省の所管の中でも、文部省や政府の中でもリードしてそういう線で事の解決に当たることが外務大臣としての当然の責務ではないかと私は考えますが、いかがでしょうか。
○櫻内国務大臣 私としてのお答えしにくい面があります。いま野間委員が新聞報道に基づいて私にお尋ねでありますが、先ほども申し上げたようにそういうことは文部省の所管の中で恐らくいろいろ御検討されておることではないか、そういうものがどういうことであるかニュースになっておるのじゃないか。外務省としてはそういうようなことについての協議はあずかっておらないのでありますから、これは大変お答えしにくい。また報道に基づいてそれについて私が所見を述べるというのもどうか、私はこう思うのであります。私が終始一貫申し上げておることは、今回の問題では日中共同声明、日韓共同コミュニケに基づいて、そのことがよく国内においても理解され、それに基づいてすべてのことが行われておるかどうかというところが大事だということを常に御指摘申し上げておるところであります。
○野間委員 そういう御答弁は何度も私は聞いておるわけです。この教科書問題についてどう位置づけるのかということについてでありますが、私は、歴代の自民党政府がいわゆる太平洋戦争の肯定論を教育の中で国民に押しつけるという重大な性格を持っておると思うのです。そういう意味では教育分野の部分的な問題ではない。したがって、第二次の世界大戦が日独伊の侵略戦争であったという認識、その侵略戦争への批判は、日本においても世界においても戦後政治の原点であるべきだ。このことは、戦後の出発に当たるいわゆる新しい憲法の前文あるいは国連憲章、これにもそれぞれの形で表現がされております。したがって、この問題についてあいまいな態度をとるということは日本が国際社会で活動をする前提を失うことになる、私はそう思うわけであります。 ところが、いままでこの太平洋戦争についての国会での政府の答弁等を見てみましても、戦後のごく一時期はともかくとしても、その後、いわゆるこの十五年戦争に対する侵略戦争としての認識あるいは反省、これが全くなされていない、こう言わざるを得ないと思う。歴代の総理に対してわが党は常にこの太平洋戦争への認識と反省を繰り返しただしてきたわけでありますけれども、これを侵略戦争だと認められた総理はただの一人もいないわけですね。外務大臣は先日の参議院の安保特ですか、あそこで上田耕一郎議員の侵略戦争かどうかについての質問に対しまして、侵略戦争だということを認めないのが歴代内閣の一貫した方針と態度だというふうに取れるような答弁をされておるわけであります。そこで外務大臣に再度お聞きしたいのは、この十五年戦争、太平洋戦争が侵略戦争であったということをいまの時点でお認めになるのか、あるいはお認めにならないのか。侵略戦争でないと思っておられるのか、いまのコミュニケとか共同声明の答弁については何度も聞いておりますけれども、私はその点について外務大臣にお尋ねをしておるわけであります。
○櫻内国務大臣 この前の当委員会で、この問題は初めから最後まで各委員からの御質問でお答えをしておるわけで、政府としては一貫してこの問題に対しては明らかな姿勢をとっておるわけであります。 戦前のわが国の行為に対しまして、侵略ではないかという国際的に厳しい批判がある。そういう批判の事実というものは、これはそのように受けとめておるわけでありまして、政府としてもそれを十分認識しておるということを申し上げておるわけであります。
○野間委員 その認識の中身についてですけれども、中国や韓国がどのように考えておるのか、つまり侵略戦争であるという評価をし、それについて日本政府に対して遺憾だということを言っておる。そういう事実の認識、これは中国や韓国の他国の考え方であります。問題は、みずからがどのように考えておるのか、こういうことであります。 私は再度お聞きしたいわけですけれども、侵略戦争である、そういうことを外務大臣はこの席で言えないのかどうか。言えないということは侵略戦争でないというふうに思っていらっしゃるのかどうかですね。私は、侵略戦争であり間違った戦争だということは、客観的に明らかな事実であり評価である、こう言わざるを得ないと思うのですけれども、この点についての答弁を再度お願いしたいと思います。
○櫻内国務大臣 くどいように御答弁を申し上げておるわけですね。国際的にそういうふうな批判を受けておる、それは政府は十分認識しておる、それ以上のことはないわけであります。 それから、特に私は申し上げておるのでありますが、戦後日本は平和憲法のもとで戦争というものを否定しておるのでありますから、いろいろお尋ねよりももっと超越した姿勢をとっておるということを明白にしておきます。
○野間委員 それなら何で侵略戦争であるということが言えないのでしょうか。歴代の総理は、後の史家が判断するとか評価するとか歴史が証明するとか、さまざまなことで逃げております。何で侵略戦争であるということが言えないのでしょうか。間違った戦争だという認識を、日本国の立場としてはそういう評価をするのが当然だと私は思いますけれども、重ねてその点についてお伺いしたいと思います。
○櫻内国務大臣 私は、そこがお尋ねする野間委員と私の分かれ目なんですね。これは日本の行為がそういうふうに批判されたということの方が私は厳しい、それからまた、それを認識するということが大事だ、こう思っておる次第です。
○野間委員 やはり侵略戦争であり、間違った戦争だということのみずからの主体的な認識がどうも具体にならない、ここがいまの日本政府あるいは外務省、文部省がとっておる態度の限界と申しますか、小手先の細工にしかすぎない、そういうふうに私は思えてしようがないわけであります。 質問を進めますけれども、学習指導要領、こういうものを見てみますと、昭和二十六年、このときの社会科の編を見ますと、「進出」という方針を文部省はとるということがこの要領の中に書いてあります。それから昭和三十年からの指導要領によりますと、このときから「侵略」という文言が一掃されている。そして、これを受けて昭和五十三年の高校の教科書は、世界史の検定でありますけれども、「日本の中国侵略」、この表現は「まずい。」という修正意見が付されまして、「「進出」あるいは「侵入」」にせよ、こういう意見が出されました。五十四年になりますと、これは中学教科書の検定でありますが、「「侵略」は「侵攻」か「侵入」であり、歴史では禁句である。」そういう修正意見が付されまして、記述が変えられたわけです。 今回の問題になりました高校の教科書、これは改善意見となっておりますけれども、問題は、五十三年以降のこの一連の経過からいたしまして、どうもこのあたりに、いままでの歴史が戦争の評価を判断するというようなことよりも、あの戦争は侵略でない、こういう認識評価に転換したのではなかろうか、そういうふうに私は思うわけであります。 そこで、外務大臣にお聞きしますけれども、それではかつての戦争は侵略でなかった、そういう御認識をお持ちかどうか、この点についてのお尋ねをしたいと思います。
○櫻内国務大臣 これは重ね重ね申し上げますように、国際的にそういう批判を受けて、それを政府は十分認識しておるということであります。
○野間委員 どうもすっきりした答えがないようです。 ドイツの教科書について、これはあちこちでも論議されました。週刊朝日の八月十三日号で、東京大学の西川教授が東西ドイツの教科書について書いておられますけれども、これによりますと、西ドイツについても東ドイツについても、いずれも戦争については侵略ということをきちっと書いておる。しかも、その重点が何かといいますと、そういう攻撃、襲撃あるいは侵略、征服というようなナチスの行為に対する抵抗、これに紙幅が割かれ、残酷な写真も付されておる。しかも、西ドイツでは一九四七年から毎年のように歴史教科書国際会議が開かれて、そこで用語などの検討が行われている。日本とは全然違うと思うのです。しかもドイツでは、国連憲章のいわゆる旧敵国条項、これらの削除の要求はしておりません、私の知った範囲では。ところが、こういうドイツに比べまして日本の場合にはそうではない。いまだに外務大臣はこの国会答弁として、侵略戦争かどうかという質問をしても、これには答えられない。大きな違いがあると思う。私は、もし今回のこの事件、この不幸を幸にするためには、率直にこのドイツのような対応、立場、これを教科書の中にもとるべきだ、こういうふうに考えますけれども、外務大臣としての所見をいただきたいと思います。
○櫻内国務大臣 これは検定制度としてこの審議会があり、そこで御論議をいただいておる、その御論議をわれわれとしては価値あるものとして見ていかなければならない。私はそういう検定制度の内容に立ち至るようなことを言うということは、私の責任の立場からいたしましていかがかと思います。
○野間委員 いや、外務大臣としての所見を私は聞いておるわけです。事は教科書の中に逃げるのでなくて、外交政策という観点から、かつての戦争を正確に評価する、その反省の上に立って内外の政策を遂行していくというのが当然の任務じゃないでしょうか。そういう意味から事教科書というようなことに矮小化されるのでなくて、外交政策としてもそういう方向で進めるのがベターではなかろうか、こういう点で外務大臣に私は所見をお伺いしておるわけであります。
○櫻内国務大臣 野間委員はもう十分御理解だと思うのです。外務大臣としては国際的に非常に厳しい批判を受けておる。侵略ではないか、こういう批判を受けておることは事実なんですから、それについては政府は十分認識をする。私はその認識の上に立って、しかも今回の問題については、中国や韓国について、これは国交回復時に、ときに共同声明、ときに共同コミュニケとして政府の姿勢を明白にしておるのでありますから、それが正しく教科書の上にも反映する必要がある、こう申し上げておるのであります。
○野間委員 質問を変えます。 いわゆる国連憲章の旧敵国条項五十二条の一項の問題であります。これについては七月三十日の当外務委員会で、栗山局長は寺前議員の質問に対していろいろと答えられております。そしてこの五十三条の一項の中身の、かつての戦争についての評価については「「侵略政策」云々という規定上の表現は一つの歴史的な評価についての事実で」「連合国がそのようにわが国の戦争中の政策というものを評価しておった、これは今日も歴史的な事実として残っておる」一こういうこと。さらに「わが国が国連に加盟するに際しましてもそのような国際的な評価というものは厳然として存在するというふうに認識しておったであろう」、これも「認識しておったであろう」と。これはまさにいままでの政府の答弁そのままを言われているのです。つまり、このことは侵略政策をとっておった、侵略政策だということの評価、これは連合国もやったということの事実です。これを確認されている。同時に、そういう評価があったということをわが国は認識しておったというようなことがこの答弁の要旨であります。しかし、私は一歩進めまして、国連に日本が加盟した、国連憲章を承認したということの中で、国連憲章はそれに書かれておる目的あるいは原則、中身、これがわが国の政策として、方針として当然受けとめられる、こういうことになろうかと思いますが、その点についての答弁はいかがですか。
○栗山政府委員 御引用になりました七月三十日の私の答弁の繰り返しになりますけれども、私が申し上げましたことは、憲章五十三条において「敵国における侵略政策の再現」云々という規定ぶりにつきましては、それは憲章を起草した時点における連合国の敵国、すなわちわが国を含みます旧敵国の政策に対する厳しい評価である。その評価に対して日本政府は、国連憲章を受諾するに当たりまして別に留保も行っておりませんし、これに対して積極的な異議を唱えたということもない。しかしながら、実体規定といたしまして、それじゃこの五十三条の規定が今日もわが国に対して適用があるかという御質問がございましたので、その点についてはそういう解釈はとっておらないということを申し上げたわけでございます。
○野間委員 すぐそこで問題をすりかえるからいけないわけですね。国連に加盟するということによって、いまも申しておりますように連合国が評価しておる侵略政策、この連合国がしておる評価、これを日本政府は認識をするということだけでなくて、日本政府もかつてのこの戦争は侵略戦争であった、とった行為は侵略政策であったということを積極的に認めたということを意味するのではなかろうか。つまり、国際連合に加盟することによって、国連の事業に参加する、国連の目的や原則、これをみずからの行動の指針とする。さまざまな規定があります。これについて行動の指針とするということになったのではなかろうか、こういうふうに聞いておるわけです。
○栗山政府委員 先生御指摘のとおり、わが国が国連に加盟するに際しましては、あるいは現実の問題としてはもっとその前になりますが、平和条約を受諾する、平和条約を受諾するに際しましても同じようなことでございますが、国連憲章の原則というものは受諾するということが大前提でございまして、国連に加盟するに際しましては、まさに先生のおっしゃいましたような、国連憲章の二条に書いてございますような原則というものは受諾する、そして平和愛好国として国連に受け入れてもらう、こういうことで当然あったであろうというふうに考えます。
○野間委員 全くずるいね。これはまた後で聞きますけれども、それじゃ質問を変えますが、侵略の定義について国連で採択されたのがありますね。これは一九七四年ですね。この三条の(a)では「国家の軍隊による他の国家の領土に対する侵入もしくは攻撃、一時的なものであってもかかる侵入もしくは攻撃の結果として生じた軍事占領または武力の行使による他の国家の領土の全部もしくは一部の併合」、それから(b)では「国家の軍隊による他の国家の領土に対する砲爆撃または国家による他の国家の領土に対する兵器の使用」、これが侵略行為という規定がありますね。これは御存じのとおりです。 私がお聞きしたいのは、この三条の(a)ないしは(b)、国連の侵略の定義、これからしてかつての十五年戦争は当然侵略戦争、この規定に当てはめれば、侵略の定義からすれば当然侵略戦争である、こういうふうに考えるのが当然だと私は思いますが、この点についての確認と同時に、もう一つ戻りますけれども、国連に加盟するということは、単に連合国がこの戦争の評価をしたということだけでなくて、その評価が規定になったわけですね。侵略政策というものが条文の中に入って、これが客観的な評価として条文化され、規定化された。それを日本政府が加盟によって認めたわけでありますから、ここでいずれにしてもこの戦争についての日本政府の態度、これは侵略政策だった、侵略戦争であったということを明らかに認めたということ以外には私は考えようがないと思うのです。論理的にはそうなると思うのですね。その点について、二点お尋ねしたいと思います。
○栗山政府委員 憲章五十三条の規定につきましては、先ほど私が御答弁申し上げたとおりでございます。 侵略の定義に関する御質問でございますが、先生よく御承知のとおりに、この侵略の定義の決議は、憲章第三十九条、安保理事会の一般的な権能として定められております侵略行為の存在を決定、その関連で採択されたものでございますが、これも先生よく御承知のとおり、この侵略行為という言葉自体を定義するということは、憲章の起草時点から非常に論議がございまして、侵略の憲章の言葉としての定義というものが結局はなされないまま今日に至っておるわけでございます。 それで、先生御指摘の侵略の定義に関します決議も、これは長い間の国連での討議を経て採択されたものでございますけれども、これも、安保理事会がその権能を果たしていく上におきまして、ある特定の事態が三十九条に言うところの侵略行為の存在であるかどうかということを判定するための指針であるということが明瞭に規定されておりますし、それから特定の事態が侵略であるかどうかを判断する場合には、先ほど先生が御引用になりました三条の種々の例を表見的に判断するだけではなくて、その他あらゆる関連する状況というものも考慮に入れなければならないということも決議に書いてあるということを申し上げたいと思います。
○野間委員 全く避けるわけですね。せっかく日本政府が承認した侵略の定義、これに十五年戦争が当てはまるかどうかということを聞いているのに、全く避ける。わけのわからぬことばかり言うわけですね。外務大臣と同じなんですね。 念のため、国連加盟の問題ですけれども、昭和三十一年十二月十八日、これは重光外務大臣が演説をされております。国連の第十一回総会。御案内のとおりだと思いますね。 これによりますと、演説の中でこう言っておるのですね。「日本は、一九五二年六月国際連合に提出した加盟申請において「日本国民は国際連合の事業に参加し且つ憲章の目的及び原則をみずからの行動の指針とする」ことを述べ、更にその際に提出した宣言において、「日本国が国際連合憲章に掲げられた義務を受諾し、且つ日本国が国際連合の加盟国となる日から、その有するすべての手段をもつてこの義務を遂行することを約束するものである」」このことを声明したのであります。「日本は、この厳粛なる誓約を、加盟国の一員となった今日、再び確認するものであります。」はっきりこのことを言っているわけですね。 ですから、憲章の中身については、単に連合国がどういう評価をしているかということだけではなくて、日本政府もこういう立場において行動の指針とするということでありますから、当然これは侵略戦争だということをみずから認めたものでありますが、その後は全くいまのような態度に終始をされております。 時間がありませんので、最後に私はお聞きしたいわけでありますけれども、戦争反省について言いまして、小手先の手段だけではこれは一時逃れにしかすぎない、やはり憲法や国連憲章、この精神と民主主義、この道理にかなった問題の根本的解決、これを私は外務大臣に強く要求したいと思うのです。 そうして、冒頭にも申し上げましたけれども、日本の軍隊が隣国諸国に対する軍事行動を侵略戦争と明確に認めて、そしてその反省のもとに今後の内外施策を行うことを内外に公式に明らかにすること、と同時に、教科書の記述についても、侵略戦争の歴史的事実が正確に反映するように、そして、検定の名による不当な介入、この取り消しや記述の正確な訂正を初め、必要な責任ある措置を直ちにとるべきである。私は、これが今回のこの問題の抜本的な解決であり、これ以外に解決の方法はない、こう思うわけであります。この点についての外務大臣の所見をお伺いして質問を終わりたいと思います。
○櫻内国務大臣 この問題が起きまして私が一貫して申し上げておるように、国際的な日本の戦前の行為に対しての厳しい批判、侵略じゃないかということも事実であります。そういう批判を政府は十分認識しておるということを言っておるので、私は、これでもう尽きておると思うのであります。 今度の中国、韓国等で取り上げられた教科書に関する問願については、両国との間の共同声明、共同コミュニケに基づいて、われわれとして反省すべきことは反省するし、責任を持つことは責任を持つ、そういうことで、このことがすべての上に解釈されなければならない、こういうことを終始申し上げておるわけであります。
○野間委員 不満ですが、時間がありませんので終わります。
○中山委員長 伊藤公介君。
○伊藤(公)委員 長期延長国会の恐らく最後の御質問になると思います。長い国会、大臣を初め日本の外交、またきょうは当面の教科書問題で神経をすり減らしていられる文部省の皆さんにも私は率直に敬意を表しつつ、しかし、問題はいま非常に大事なところに差しかかっておりますので、限られた時間の中で、どういう方向を目指して最後のまとめに取り組んでいるかという教科書問題に対する姿勢をお伺いをしてまいりたいと思っております。 現場の教師は、今度のこうした一連の問題でいままで以上に強く特にこの問題に関心を寄せられて、恐らく学習の場では、日本の戦後がどういう戦争を契機にしてスタートしたかというような教育が行われると思いますし、またそういう結果になってほしいと思っているわけでございます。 しかし、今度の一連の問題は、一方では国内の教科書の検定問題であり、他方は外交の非常に重要な問題になっているというむずかしさを抱えているわけであります。教科書の検定制度は、いまさら言うまでもありませんけれども、国定教科書による教育統制への反省に立ったものでありまして、政治ができるだけ介入をしない、そういう立場で検定制度を私どもは支持してきたわけでございます。 しかし、一方では、今度の問題が生まれてきたという現実もあるわけでございまして、教科書の調査官あるいは検定審議会の委員の任用制の密室性等いろいろ指摘をされているわけでありますが、今度のこうした問題を招いてきた文部省の検定制度のやり方に問題があったのではないか。検定制度そのものは私ども支持しているわけでございます。しかし、その方法論にやはり考えるべき問題点があったのではないかと思いますが、率直に御意見を伺いたいと思います。
○藤村説明員 歴史教科書の記述につきましては、事実に基づきまして公正かつ客観的な立場から記述されるよう意見を付してきたところでございまして、私どもの調査官、それから審議会の委員の先生方がこのために最善の努力を払ってきたというふうに考えております。
○伊藤(公)委員 余談になりますけれども、外務大臣に御意見として伺いたいのでありますが、非常に素朴な疑問として、今度の一連のこの問題が起こってから、最近でありますけれども、社会科の教科書を執筆された学者の人たちが集まって、この問題について、手直しをすべきだ、そういう申請をするという動きが新聞紙上で伝えられております。これだけ重要な問題であれば、そしてその道の権威であれば、かつては、厳しいさまざまな社会状況のもとで投獄をされてもみずからの主張を曲げなかった、そういう学者もいたわけであります。櫻内外務大臣は当該の文部大臣じゃありませんけれども、いま抱えている重要な問題でございますので、なぜ権威ある学者がそのときに自分の主張を通し得なかったのであろうかと私は非常に素朴な疑問を持っているわけでありますが、大臣として率直な御意見を伺わせていただきたいと思います。
○櫻内国務大臣 私が一議員の立場でいまの御質問について考えてみますと、私も十分な知識は持っておりませんけれども、たとえば侵略の記述について検定審議会においてどういうことが言われたか、これは改善意見として言われておると思うのであります。そしてこの委員会でも御説明がありましたが、日本史あるいは世界史の十冊を検定している。そしてその中で改善意見というものを何点か指摘した。その改善意見に伴って、それでは発行者なり執筆者がどういうふうに考えたか。結果的には、たしか日本史の方で一点、世界史の方で三点かと思うのでありますが、これは検定課長もおりますから、必要があれば詳細お聞き願いたいと思いますが、そういう改善意見に伴う修正ということが行われたと思うのです。これについては、この執筆のままであられた方もある。改善意見というものは必ず直さなければならないというものでなかったのでありますから、そういう処理が行われておるという事実から考えて、またこの執筆者の方が、改善意見があったがそのままのものもある、だから自分もまたこう考えるとか、いろいろ改善意見に伴う結果に伴って何か意見が出るというようなこともこれは考えられると思うのであります。しかし、少なくとも権威ある検定審議会の改善意見に伴ってとられた措置がぐるぐる動くというようなことでは、私は芳しくないと思って見ておるところであります。
○伊藤(公)委員 しかし、いずれにしても、この問題にできるだけ早く終止符を打たなければならないわけであります。 そこで、いま解決に向けていろいろな話し合いが進められているように伺いますが、当面は検定制度の枠内で指導書の手直しで対応する、こういう考え方が示されておりますけれども、まず文部省に伺いたいのですけれども、こういう先生方の学習指導書の手直しというような形ですぐに改訂をしなくても対応ができるというふうに現在お考えになっているのかどうか、伺いたいと思います。
○藤村説明員 指導書の手直しという記事が一部の新聞に出たようでございますが、所管が違うこともございまして、私は承知いたしておりません。
○伊藤(公)委員 それじゃ、御感想として伺いたいのですが、指導書の手直しというようなことは考えられますか、どうですか。
○藤村説明員 どういう対応策をとるかということにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、いろいろな角度から鋭意検討しているところでございます。
○伊藤(公)委員 言いにくそうですけれども、外務大臣に、現在の段階で言えることと言えないことがあると思いますけれども、すでに中国には局長さんがおいでになられたわけでありますが、いまの対応としていま申し上げたような、すぐに改訂をしなくても次の段階で改訂をするということだけの約束ができて、あるいは指導書の手直しというようなことで中国や韓国に対して当面対応ができるというふうに外務大臣としてはお考えなんでしょうか。
○櫻内国務大臣 これは伊藤委員がどういう点からいまの問題を取り上げておられるのか、まあ、新聞報道等に基づかれておるということではないかと思うのですよ。しかし、私が外務大臣としてそれに対してどうこう言うのは妥当ではないと私は思いますね。少なくとも私が申し上げておるとおりに、中国、韓国から見て、本当に日本が国交回復時に言っておるような責任を感じ、反省をしておるのか、そういうことが反映していくことを見詰めておると私は思うのです。
○伊藤(公)委員 先ほどの問題にちょっと関連するのですけれども、文部省に伺っておきたいと思いますが、教科書の執筆者が、手直しを文部省に要請する、もしそれが認められない場合には、正誤訂正の方法で復活を申請をするということを決定したという記事が載っておるわけであります。これは当然出版社とも打ち合わせをした上だということでありますが、もし正式に申請があったら、文部省としてはどう対応されるのでしょうか。
○藤村説明員 教科書の検定前の記述に戻すような正誤訂正の申請がありました場合には、これは検定制度の趣旨から申しまして認められませんので、不承認ということに相なるわけでございます。
○伊藤(公)委員 確認をしておきたいと思うのですけれども、この正誤訂正という方法には、かつて原子力発電所だとかあるいは公害企業者の名前の問題とか、そういうケースも過去にあったわけでありますが、この「現行教科書制度の概要」の「正誤訂正」の中に、「その他学習を進める上に支障となる記載で緊急に訂正を要するものがあることを発見したときには、発行者は、文部大臣の承認を受け、必要な訂正を行うこととなっている。」こういう規定があるわけでありますが、この項にもなじまないというふうな御判断でしょうか。
○藤村説明員 検定前の教科書に修正意見なり改善意見を付しまして、その意見の趣旨に従って修正されました文章をその前のもとの形に戻そうという申請であれば、これは検定制度の趣旨から見まして認められないということでございます。
○伊藤(公)委員 じゃ、今度のこの問題は、いわゆる正誤訂正にいたしましても、そういう形では執筆者、出版社の申請が改めてあっても、いまのこの問題については一切文部省としてはそういう対応はしない、こういうことですね。
○藤村説明員 検定後の教科書の記述を検定前の教科書の記述に戻すという内容であれば、それは正誤訂正になじまないものであるというふうに考えております。
○伊藤(公)委員 それでは、外務大臣に伺いたいのですけれども、中国の副首相が解決策として、日本側が中国側に歴史の事実を正しく書き直すということを提起してもらえばいいんだ、つまり、記述の修正を日本政府が約束をするということで問題の解決ができるだろう、こういう発表をしているわけでありますけれども、これはその修正の時期、手法、そういうことはありましょうけれども、結果として修正をするということが解決の道だ、こういうように大臣はいまお考えになっているのかどうか、外務大臣として御見解を伺いたいと思います。
○藤井(宏)政府委員 お答えいたします。 一昨日、万里副総理が文楽の公演団に会見いたしまして、佐伯団長に対しまして種々述べていらっしゃるわけでございます。その述べていらっしゃることはどういう意味かということでございますが、その点につきましては、できるだけこの問題を日中間の関係を悪化させずに解決したいという希望の表明というふうにわれわれは受け取っております。 さらにつけ加えますれば、万里副総理の御発言は、わが国に対する本件教科書問題に関しての強い期待を表明していらしゃいますけれども、それが本件問題についての中国の非常に強い態度にいささかも変更はないというふうに存じております。 さらに、今後わが国としてどう本件に対処するかという御質問でございますけれども、その点については、先ほど来大臣から重ね重ね御説明がありますように、本件について日中国交正常化の際の共同声明、それから日韓共同コミュニケに従いまして、これが反映されるよう、さらに各国の国民感情を十分配慮して、これを謙虚に受けとめてまいりますよう、鋭意いま検討中ということでございます。
○伊藤(公)委員 大臣に、改訂の方法が明示をされれば、即改訂をしなくても問題の収拾に当たれる、そういう認識で大臣はいま文部省とのそういうお話し合いをされているのか、やはり直ちに改正しないとなかなか対応ができないんじゃないか、こういう認識に立たれているのか、大臣の御見解を伺いたいと思います。
○櫻内国務大臣 非常に高い立場におられる方のお話をもとに、いろいろお尋ねでございますが、私は、そのことについては心からなる敬意を表し、また傾聴もしてまいらなければならないと思いますが、しかし、政府としては、日中の共同声明で申し上げておるような、中国に大きな損害をかけたその責任を感じ、そしてその反省の上に立って物事を考えていくという、その基本の姿勢は、これは貫いていかなければならないと思っております。
○伊藤(公)委員 外務大臣の重ねての、日中共同声明や日韓の共同コミュニケの精神を貫く、そういうようなかたい意思は、私どももよく理解をしているつもりでございますし、また、今度のこうした問題を契機にして、日本の圧倒的多くの国民もそういう認識でいるということをぜひ隣国にも深く理解をしてもらいたい、私どもはそう思っておるわけであります。 最後に、中国には外務、文部の両局長さんを派遣されていろいろな説明をされてこられたわけでありますが、先ほども大臣のお話がございましたが、韓国はこれを拒否をした、こういう経過がございます。しかし、韓国も世代が変われば日本に対してはかなり厳しい立場にあるわけでございますし、私どもが訪韓をするたびに感ずることは、われわれと日本語が通じる世代は別にいたしましても、かなり理解があっても、次の世代、われわれからもっと若い世代の指導者の人たちは、むしろ日本を通してアメリカやヨーロッパを見ない。新しい世代として、むしろ日本を通して物事を、世界を見るなどということに対しては、非常に韓国の中では強い反発がある。そういう指導者層に対して韓国の中にはわれわれが想像する以上に非常にそういうものを持っているわけでありますので、特に、中国同様に、韓国に対しては、われわれやあるいは日本の国民の多くの皆さんが考えていることをやはりよく理解をしてもらう必要があると私は思いますが、問題の解決を早急に図って、そうして国内の意見を統一されて、できるだけ、時期の問題も若干新聞紙上に伝えられているところでございますけれども、一日も早く対応されて、そしてしかるべき後に、韓国は閣僚クラスと、こう言っているわけでありますが、しかるべき方法で日本は韓国に対してこの一連のいきさつをきちっと説明をし、そして理解をさらに深めていく必要があると私は思っておりますが、大臣としては日本の意見をまとめた上韓国に対してはどう対応されようとお考えになっているかを伺いたいと思います。
○櫻内国務大臣 日本の姿勢が明らかになって、そしてその際韓国に使いを出す、これは一つの考え方だと思います。言うまでもなく、現状では、いま日本が鋭意今回の問題にどう方針を立てるか、最善の努力を払っておる段階でございますから、いまどうと、こう言うわけにはまいりません。そこで、韓国における国民感情、また申し入れのあった事実、そういうことを踏まえまして、ひとまず外務大臣として現在この問題に対処しておるその所見を明らかにした、こういうことで、韓国が御了解いただいたかどうかは別として、日本として誠意を示した、こういうことでございます。
○伊藤(公)委員 時間が参りましたので終わりたいと思いますけれども、韓国側は非公式に特使派遣について打診があったと、こういうことでありますから、外務大臣がおいでになられるのか、あるいは事務次官クラスの方が行かれるのか、いずれにしても閣僚クラスの方が、私は、むしろこういう問題を契機にして、さらにわれわれの立場を理解してもらう絶好のチャンスだと思うのです。ですから私は、中国にも韓国にも同様に問題の解決を、国内の意見を統一して、早くわれわれの考え方を理解してもらう、あるいは検定制度の国内における重要性ということも理解してもらう必要があると思っているわけであります。だれが行けとかだれが行くべきということを申し上げるつもりはありませんが、韓国にできるだけ速やかに特使を派遣をする必要があると私は思いますが、もう一度大臣の御見解を伺って、質問を終わります。
○櫻内国務大臣 この重大な問題を踏まえての、御心配の上で御意見をちょうだいしたわけでございます。私は、またその御意見を尊重して、よく配慮いたしたいと思います。
○中山委員長 長期間にわたりまして、九十六国会におけるこの外務委員会、法律案三件、条約二十件、その他その間重要な国際問題の御討議、特に軍縮決議等熱心に御討議を賜りまして、請願、そして陳情の審査、きょうは最終の本会議が終わりました後にもこうして御熱心に国家の直面いたします重要問題に対しまして御審議をいただきました各委員に、委員長として心から敬意を表し、大変つたない委員長でございますが、いろいろと御協力をいただきましたことに、この国会を閉ずるに当たり感謝の念をささげまして、本日は、これにて散会いたします。 午後五時八分散会