外務委員会 第22号
- 発言数
- 109 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1982/07/09
会議録
○中山委員長 これより会議を開きます。 日本国政府とスペイン政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件及び日本国政府とバングラデシュ人民共和国政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、これを許します。高沢寅男君。
○高沢委員 バングラデシュ及びスペインとの文化協定でございますが、私はこの機会にわが国の諸外国との文化交流のあり方ということを中心にしてひとつお尋ねをいたしたい、こう思うわけであります。 まず文化交流というものの位置づけと申しますか、その基本的な考え方ということで、特に最初に大臣の御所見をお願いをしたいと思うわけですが、大臣も御承知のとおり、第二次大戦後、フルブライト留学制度というものがアメリカでできまして、それでわが国からこの制度によってアメリカへ留学した人が非常にたくさんあるわけであります。これが三十年という時間を重ねて、最近、そのフルブライト氏が来日されたということがあります。このフルブライト氏はそのときにこういうふうなことを言っておられるわけですね。さまざまな国のお互いの違いを理解できる人物を育てること、それによって戦争を防止することができる、文化とか教育とかあるいは人物の国際交流こそが最善の安全保障である、こういうふうなことをこのフルブライト氏は語っておられるわけでありますが、私も全くそうであろうと思うわけであります。 この点についてはわが国でも、たとえば昭和四十八年、当時大平外務大臣であったわけですが、大平外務大臣も国会における外交演説の中で、わが国外交の四つの柱の中の一つに文化交流ということを打ち出されたということもあるわけでありまして、これまた非常に重要な過去のわが国外交の柱であったのじゃないのか、こう思うわけであります。いま櫻内外務大臣がわが国外交を担当されておりまして、当然大臣もこの御所見は大きく把握して外交に取り組んでおられると私は思うわけであります。 ここで、まず文化交流というものが世界の平和またわが国の平和と安全保障、こういうものに果たす大きな役割りと申しますか、これを大げさな言葉で言えば平和戦略というふうな言い方もできるかと思いますが、その中の文化交流というものの位置づけについて最初にまず大臣の御所見をお尋ねをいたしたいと思います。
○櫻内国務大臣 高沢委員がお触れになりましたフルブライト計画は、戦後の日米両国間の文化交流の上に一翼を担った大変有効適切なものであったと私も感じておる次第でございます。 そこで、この文化協力あるいは文化交流と申しましょうか、それについての、ただいま御所見を交えての御質問でございましたが、こういう文化交流は諸外国との関係を長期的により安定した基盤の上に置くためには非常に適切なことではないか、文化交流を通じて諸国民との間で相互理解を深め、友好親善を促進するということは、そのことがただいまお触れになりました世界の安全保障の面からも必要なことではないかということを私も信ずる次第でございます。 なお、大平元首相がかって外交政策の中で、非常に大事な一つである、四つの重点の一つとして文化外交の推進に一層の力をいたしたい、こういうことを申し上げたことがございますが、現政府におきましても、かっての大平外相当時の発言というものは尊重してまいりたいと思います。
○高沢委員 私はいまの大臣の御所見、大変前向きな御所見を述べられたことについて、全くこれを評価するわけであります。ただ、決して意地悪な言い方をするつもりはありませんが、そういういまの大臣の非常に積極的な御所見と、現実にわが国の文化交流関係、国際交流関係の予算というものはそれではどうなっているんだろうかというものをやはり対応して見なければならぬわけでありまして、いまの外務省の予算の中でこの種の国際文化交流というふうなことに関連する予算は金額としてどのくらいあるか、あるいはパーセントでどのくらいあるかというふうなことをまずお尋ねをいたしたいと思います。
○加藤説明員 お答え申し上げます。 外務省の広報文化関係の昭和五十七年度の予算額は、国際交流基金に対する補助金、この補助金が二十億ちょっとでございますが、その補助金を含めまして六十九億円でございます。これは外務省全予算の二・一%を占めております。
○高沢委員 それを踏まえまして、そういたしますと、アメリカあるいはイギリス、フランス、西ドイツ、いわゆる欧米の先進国では、そういう外交関係の予算の中で国際文化交流、この種の予算は一体どのくらいの金額、どのくらいのパーセントを持っているのか、これもひとつお尋ねしたいと思います。
○加藤説明員 お答え申し上げます。 ただいま各先進国の広報文化関係の予算及びそれの外務省予算に対する比率という御質問でございましたが、それぞれの国、非常にシステムが違っておりまして、特に比率ということになりますと、これは外務省の予算ではないことが多いものでございますから比較ができないのでございますが、予算額ということにつきまして内容は非常に違っておりますので、比較そのものはなかなか容易でないのでございますけれども、私どもの調査した数字をもとにいたしましてあえて比較いたしますと、日本を一、この一と申しますのは、先ほど申しました外務省予算だけではございませんで、国際交流基金自体の予算、これが含まっております。それを合計いたしまして、外務省の国際交流基金の予算を合わせまして百十億といたしますと、これをもととしてアメリカ、イギリス、フランス、ドイツと比較してみますと、アメリカが五百七十一億円で大体五倍になります。それからイギリスが三百六十七億円で三・五倍ということになります。フランスが七百四十五億円でありますので七倍ということでございますし、ドイツは五百九十億円でございますので、五・五倍というような比率になるかと思います。ただ、これはあくまでも非常にラフな試算という程度の数字でございます。
○高沢委員 大体傾向としてはわかりました。そういたしますと、最近よく言われる日本はもう世界における非常な経済大国になった、こういう面においていろいろな経済摩擦、貿易摩擦というふうなことも発生しておるという状況の中で、欧米諸国に比べて大体三分の一とかあるいは五分の一とか、あるいはフランスの場合には七分の一というような国際交流の予算のとり方であるということになると、これは率直に言って大変不十分である、こう言わざるを得ないと私は思うのであります。 そこで、これはまたそのことに関連してのお尋ねになるわけですが、本年の五月十七、十八日の両日、日本・EC議員会議が行われ、その会議で文化交流の問題が取り扱われた席上で東大教授の木村尚三郎氏が意見陳述をされた。その御意見の中で、日本の文化文流の費用はドイツのゲーテ・インスティチュートの費用に比べても三分の一でしかない、あるいは英国のブリティッシュカウンシルの費用に比べたら十分の一というふうないわば低い額にしかすぎない、少なくも三倍ぐらいにはすべきだ、こういうふうなことを木村教授は述べられたというふうにお聞きしているわけであります。これに関連いたしまして、まずゲーテ・インスティチュートというのはどういう性格のものでどういう機能を果たしておるのか、イギリスのブリティッシュカウンシルというのはどういう性格のものでどういう機能を果たしているのかということの御説明をお願いをして、その予算というのは一体どのぐらいになっておるのかという御説明をひとつ願いたいと思います。
○加藤説明員 お答え申し上げます。 まずドイツのゲーテ・インスティチュートでございますが、これはドイツの文化交流、特にドイツ語の普及とそれからドイツ文化の普及ということを目的とした機関でございまして、世界各地に支部を持っておりまして活発な活動をいたしております。ドイツの場合には、このゲーテ・インスティチュートという機関は幾つもある文化交流機関のうちの一つでございますが、ドイツ文化の普及あるいはドイツ語の普及という点について非常に顕著な活動をいたしておりまして、この予算が、ちょっと古くなりまして一九七七年の数字でございますが、日本円に換算いたしまして百二十五億円というふうに理解いたしております。 それからイギリスのブリティッシュカウンシルでございますが、これは御案内のようにゲーテ・インスティチュートよりもさらに広く、イギリスの文化交流について全面的な活動を行っておるところでございまして、もちろん英語、英国文化でございますか、それ以外の面につきましても非常に広範な活動をいたしております。この予算が、これも一九七七年の数字でございますが、三百四十一億円という数字を私ども持っております。
○高沢委員 大臣もいまの御説明をお聞きいただいたかと思うのでありますが、ドイツのゲーテ・インスティチュートの場合には、幾つかあるこういう機関のうちの一つということでいまのような働きをされていて、そしていまの金額ということであるわけですね。イギリスの場合は、これはまた非常に包括的な活動をしておる機関であるが、その予算は三百四十一億である。こういう姿と先ほど御説明のあったわが国の現在の文化交流の予算とを対比してみると、先ほども言いましたことの繰り返しになるが、まだまだ貧弱である、非常に不十分であるということを言わざるを得ないと私は思うのであります。 そこで、大臣にもう一度御見解をお尋ねしたいと思うのでありますが、いまわが国の財政危機ということが言われて、この財政危機を克服するために昨年、本年度の予算の編成に当たってはいわゆるゼロシーリングというふうなことが行われ、今度は来年度の予算編成ではマイナスシーリングでやるというふうなことが言われております。ただ、その中で特定の部門、たとえば防衛関係というようなものについては別枠で扱う、これを突出しておるというふうな言い方もあるわけでありますが、そういう現実の姿があります。しかしもし別枠で扱う、あるいは突出をさせるとすればこの種の文化交流の予算こそ別枠で、そして突出して扱う、こういう扱いになるべきではないか、このように私は思うわけであります。一番初めに申し上げましたように、平和戦略という言葉を使うとすればまさにこうした国際文化交流こそが世界の平和とわが国の安全保障の一番有力な手段、方法である、こう位置づけて、この予算こそ別枠にするというふうに大臣にぜひ取り組んでいただきたいと思うのです。五十八年度予算はいま盛んにシーリングが行われておりますが、この点についてひとつ思い切って突破するということについての大臣の御所見、あるいはまた橋本情文局長も御出席でありますが、この際、橋本局長のまさに手腕を発揮する時期じゃないかと思うのでありますけれども、いかがでしょうか、ひとつ御所見をお聞きしたいと思います。
○橋本(恕)政府委員 ただいま先生が御指摘になられましたようにわが国の海外広報、つまり、わが国の姿を正確に外国に理解していただくという仕事、それから文化交流の予算は、確かに諸外国に比べましても、またわが国としてあるべき姿から考えましても不足しております。したがいまして、私どもは、この海外広報予算あるいは文化交流予算につきましては、ふやしていただくように全力を挙げて今後とも引き続き努力を傾注したいと考えております。ただ、先生も御指摘になりましたように現在の厳しい財政事情もございますので、量の不足を質で補うと申しますか、与えられました予算額を最大限に活用すべく全力を挙げたい、こういうふうに私どもは考えております。
○高沢委員 先ほど私言いましたフルブライト氏はこういうことを言っておられるのですね。「ばく大な軍事予算にくらべて留学制度のために使われた金額はごく少ない。しかし、この人物交流計画が三十年間にもたらした成果は、相手の国を知っただけでなく、日米以外の国からの留学生との交流を含めて、各国間の理解の向上という意味で、はかりしれないものがある。ビジネスにたとえれば、少ない投資で極めて大きな果実を生み出した効率のよい投資だ」こういうふうに言っておられるわけです。いま橋本局長は、量の点もさることながらまた質の点も含めてとおっしゃったのですが、フルブライト氏も非常に効率のよい投資である、こう言っておられます。けれども、まず一定の量があって、その量が今度は質の役割りをするということになるわけで、その一定の量という点で先ほど来わが国のこの国際交流の予算は余りに少ないということを私は申し上げているわけであって、いま五十八年度の予算編成、外務省は大蔵省に対して要求を出されるこの段階に相当思い切った野心的な要求を出しておられるのですか、初めから無理だろうというようなことで自己規制してしまって、まあ昨年このくらいだから今度はこのくらいというふうな少ない要求をして、その中で量よりは質だというふうな自己を慰めるような言い方をされているのじゃないのか、それではちょっと情けない、私はこういう感じがするわけですが、いまどういう要求をされておるか、これからどういう要求をされるかというふうなことも含めて、少しここで思い切った要求をすべきだ、こういう立場でお答えをいただきたいと思います。
○加藤説明員 ただいま局長からお答え申し上げましたように、非常にむずかしい状況の中でございますが、私どもとして何とかこれまでの実績の上に立ちながら文化交流の質的改善、さらに必要な部門につきましてはその拡大をも含めまして何とか予算の措置をいただこうということで現在鋭意作業をしておるところでございます。
○高沢委員 私はそのお答えでは不満ですね。さっき審議官から御説明のあった昭和五十七年度、今年度は国際交流基金に対する二十億の助成も含めて全体で六十九億、外務省予算の二・一%、これが交流関係の予算である、こういうお話がありました。では今年度のこの金額を来年度は倍にするとか何かそういう具体的な要求の態度があるべきだし、またあっていい、こう私は思うのですが、そういう点、いま要求段階だからここで金額まで言えない、こうおっしゃるのかどうか、それは私もわかりませんが、もう一度その辺の要求の姿勢というものを御説明願いたい。いまの御説明では大変消極的だ、こう私は言わざるを得ないと思うのですよ。
○加藤説明員 現在まだ検討中でございますので、全体として、たとえばある一定の項目についてどれだけの予算要求をするかというようなことについてはさらに今後検討し、決めていくということになると思いますが、たとえば日本語関係の予算というようなことにつきまして昨年来非常に各方面からの御要望も強く、かつ、特にアジア地域等を中心にしてできるだけ多くの日本語普及のための協力を欲しいというような要請も来ておりますので、そういうものにつきましては、現在のむずかしい状況の中でございますけれども、できる限りの拡充をいたしたい、こういう考え方に基づきまして作業をいたしておるところでございます。
○櫻内国務大臣 きょう多分すでに報道されておると思うのでありますが、本日の閣議で予算の概算要求についての了解がございます。これにつきましては大蔵大臣から、経常的経費についてはマイナス五%の限度枠、あるいは補助金については一割カットでいきたい、そして特別枠といたしましてはODA予算であるとか国際上の約束のものについては別途考えるというようなことを内容とする閣議了解があるわけでございます。 ただ私は、外務省の機能を発揮する上におきましては、一般各官庁と同じように経常経費を削減される、こういうことになりますと、現在国会におきましても、また与党である自由民主党、さらには臨調、各方面で現在の外交体制でいいのかどうか、外交体制の強化を図れ、あるいは刷新を図れというような意見の非常に多い中にございますから、そういうことが反映されて外交機能が発揮できる、強化されるように持っていかなければならない、このように考えておる次第でございまして、ただいまは文化交流について各国との相互理解を深める上における最も効率的な予算ではないかという御指摘でございますが、今後の大蔵省との折衝に際しましてはそういう御意見も踏まえながら話し合いをいたしたい。ただ、ただいま申し上げたような全般的な方針からいたしますと、五十八年度予算については財政上非常に厳しい、その厳しい中でどのように対応していくかということがこれからの問題であるということを申し上げておきたいと思います。
○高沢委員 いまの予算編成に関連する政府・与党のお立場というのは私もわかっているつもりでありますが、ただ、国民の立場で見ますと、これから概算要求が出される、大蔵省が査定をする、いろいろな過程を経て結局年末になって大蔵省の内示案ができる、それに対して今度は各省が復活折衝をやるというようないろいろな過程を経て決まっていくわけですが、そういうぎりぎりの段階で、たとえば防衛費のような項目はそれこそ防衛庁長官と大蔵大臣のひざ詰め談判が行われる、ときにはそこに与党の幹事長も入る、むずかしくなれば最後は総理の決断、裁断ということにもなっていくという、非常にこれは重要なことだからということでの、そういう予算の動きというものが国民の目の前に展開されるわけです。私は、文化交流の予算がそこまで持ち込まれて、そこまで大きな課題として扱われていくというふうになってしかるべきだ、こう思うわけでありまして、そういう点についてはぜひ外務大臣にも鉢巻きをしてがんばっていただくということをこの場合には御要望を申し上げておいてまた次の点へ進みたいと思いますが、ひとつよろしくお願いします。 さて、そこでそうしたわが国の対外文化交流ということをいかにして効果を発揮するようにするか、あるいは正しい政策路線を立てるかということで、お聞きするところによりますと、今度外務省は賢人チームというものを編成されて、そしてそれをアメリカやあるいは西ヨーロッパあるいは東南アジア、そういうところへ派遣されて、そこでいろいろな見聞を収集されて、その賢人チームが今度は外務省に対し、政府に対して中期的な、長期的な政策提起をする、こういうふうなことを計画されているというふうにお聞きをいたしました。これは、私はそれなりに非常な画期的な措置じゃないかと思いますが、この計画の概要、またこの賢人チームにどういうふうな行動を外務省として期待されているのか、その目的、こういうことについて御説明いただきたいと思います。
○橋本(恕)政府委員 先生御案内のとおりに、普通お役所が仕事をします場合、よく前例主義ということを申しまして、いままでどうであったか、あるいは前の課長がどういう仕事をしたかということで仕事が行われることが多いのでございますけれども、役所の仕事の中では前例に基づいてやっていくというものも確かにございますが、現在、御指摘のような、わが国の真実の姿をできるだけ正確に外国に理解していただく、あるいはわが国の文化と外国の文化の交流を進めていく、こういうふうな仕事の面におきましては、前がこうだったから、去年こうやったからことしもこうだというやり方で、特に、現在わが国の置かれた立場から考えてみますと、先進国、発展途上国ともにわが国に対する期待と要望が日増しに高まっている、こういう御時世におきまして、この際、いままでの外務省の情報文化に関する仕事を一応横に置いて、虚心にして在野の——今度、アメリカ、ヨーロッパ、それから東南アジア三地域に、約二週間にわたりまして、東大を初めとする学者、実業家、学識経験者、評論家、こういった人に、三人を一組で先ほど申し上げました三地域を歩いていただきまして、そこでアメリカ、ヨーロッパ、東南アジア各地の指導者あるいはグラスルーツと申しますか、一般の民衆とも接触していただいて、わが国の政治、経済、文化、社会生活をいかに相手方に正確に理解していただけるかということについて忌憚のない御意見を拝聴して、今後私どもが進めていきます文化、広報活動について大いに御参考にしたい、こういう構想でお願いをしました。第一陣のヨーロッパ向けはすでに出発いたしましたし、東南アジア、アメリカ向けは今週から来週にかけて出発する、こういうことでございます。
○高沢委員 御説明でわかりましたが、お差し支えなければ、どんな人たちがそのチームのメンバーになっておられるかということもお聞きしたいと思います。
○加藤説明員 お答え申し上げます。 アメリカ班は、京極純一東大教授、日本開発銀行吉瀬総裁、住友化学長谷川会長というメンバーでございます。 それからヨーロッパ班は、鈴木治雄昭和電工会長、高階秀爾東大文学部教授、磯辺律男日本損害保険協会副会長というメンバーでございます。 東南アジア班につきましては、公文俊平東大教養学部教授、牛尾治朗ウシオ電機会長、中村桂子三菱化成生命科学研究所部長というメンバーでございます。
○高沢委員 いろいろバラエティーに富んだ人選をされている、こうは思うわけですが、恐らくそれらのチームは、行ってくると、外務省、政府に対して相当野心的な提案をされるのじゃないかと私は思いますよ、こういうことはやるべきだ、あるいはこういう機関を設置すべきだというふうなこと。しかし、先ほど言いましたように、それには裏づけの予算というものも当然必要になってくるわけです。ですから私は、せっかくそうやって賢人チームを派遣された、帰ってきたチームからいろいろな提言が出た、だけれどもできなかった、これではそれこそ恥を内外にさらすことになるわけであって、そういうことをされて、提言が出た場合にはちゃんと受けとめて、それが実現するという方向へ行かなければ全く無意味であり、かつその場合にはかえって有害であるということになると思いますが、この点については、よほどの決意を持って、提言というものは必ずこれを実らせていくということについての御決意を、局長あるいは大臣にひとつお聞きしたいと思います。
○橋本(恕)政府委員 先ほどの三チームが帰りましたら、先生が先ほど御指摘のとおりに、報告書、それから勧告書が提出されます。 その際に、私ども、出発前に行かれる方々にはっきり申し上げたのですが、外務省の立場とかそういうことはおかまいなしに、あなた方の御自分で見られた腹いっぱいのことをどうぞ御遠慮なく言ってくれということをお願いしてございますので、先生も御指摘のとおり、恐らく相当野心的なものが出るかと思います。 私どもは、これをもとにいたしまして、私どもの仕事のやり方の質的改善を図ると同時に、予算の面においても、来年度予算に目がけて全力を尽くすと同時に、万一来年度予算がわが国の厳しい財政事情のもとで非常に困難という結果になりました場合は、文化あるいは広報の仕事の息の長さ、息長く努力すべき性質のものであるという観点から、来年、再来年、その次と、それこそ執念深く実現に向けて努力したい、こういうふうに考えております。
○高沢委員 こういうものは一年ですべてやってしまうというふうな性格のものじゃありませんから、当然継続性を持ってますます末広がりに発展していくというふうな方向でぜひやるべきだと思いますが、しかしそのためには、最初のスタートは小さくていいんだということではなくて、事柄の性格上、初めから大きくスタートして、ますます大きくしていくぞということでひとつやっていただきたい、こう思うわけです。 さて、外務省の所管の特殊法人として、国際交流基金はことしで十年になるわけであります。この十年間の国際交流基金がいろいろ活動されてきた成果、実績というものについてどういうふうに評価されているか、まずその評価をお尋ねをしたいと思います。
○加藤説明員 お答え申し上げます。 国際交流基金は昭和四十七年十月の発足でございますので、ことしの十月で十周年ということになるわけでございます。 当初の事業費規模というのは大体年間十億円程度のことでやってまいりましたが、年々出資金がふえ、事業予算、事業内容も拡充、充実してまいりまして、五十七年度におきましては、事業費予算も四十億円を超えるという規模になりました。これとともに事業内容も、当初の日本文化の紹介ということから、それ以外の相互交流というような事業に至るまで、多様化及び充実が図られてきたわけでございます。 これまで国際交流基金がやってまいりました事業といたしましては、たとえば人物交流事業というようなものを例といたしますと、五十五年度末までの累計で、千百八十一名が諸外国に派遣されまして、四千五百三十三名が日本に招聘されている、このような結果も出ておりますし、あるいは海外におきまして日本の展覧会を開く展示事業というようなことがございますが、そういうものについての累計をとってみますと百七十一件というようなものがございますし、あるいは日本の舞台芸術の海外における公演や日本における公演などというようなことでございますと、二百二十八件という実績が上がっております。これは、国際交流基金が主催したものと、何らかの助成を行ったものとを合わせての累計でございます。 このように多くの事業をやっておりますけれども、一つだけ、国際交流基金が近年非常に力を入れて実施いたしました例を申し上げますと、昨年の十月からことしの二月まで、イギリスのロンドンのロイアル・アカデミー・オブ・アーツにおきまして江戸大美術展という展覧会をいたしまして、この展覧会につきましては、江戸時代の美術を総体的に展示し理解をしてもらうということとともに、江戸時代から現代につながるそのつながりを理解をしてもらい、ひいては現代日本の理解にも役立たせるという目的のためにこの展覧会を開きまして、大変な成功をおさめたわけでございます。この美術展を開いた際に、その周辺の事業といたしまして、たとえばいろいろなセミナーをいたしましたり、その他の事業も並行して行いまして、全体としてジャパン・イン・グレートブリテンというような大規模な事業を開催いたしまして、イギリスにおける日本の理解というのはこれを機に非常に高まったというふうに考えてよいかと思います。このような事業が最近実施されたわけでございますが、こういう事業を行うことができるまでに国際交流基金の体制というのができてきたという一つの例として御紹介申し上げました。
○高沢委員 いままでのこの国際交流基金の事業、成果、いまずっと御説明がありましたが、それは大いにやってもらいたいと思います。 ただ、私の理解では一千億円基金というふうな話もありまして、この国際交流基金というのは一千億の基金のフルーツをもってこうした交流活動をやるのだということであるはずですが、現在この国際交流基金が持っている基金、これはいずれも政府から出資されたものになるわけですが、総額としてどのくらいになっておるのか、一千億という線に到達するのは一体いつごろになるのか、こういう基金の一番基本である財政状態というものをちょっとお尋ねしたいと思います。
○加藤説明員 お答え申し上げます。 現在の国際交流基金の基金の合計は四百八十四億五千四百十万円でございます。このうち政府出資金の累計額が四百八十四億四千八百万円、これに民間の出資金が六百十万円ございまして、合計でいま申し上げた数字になるわけでございます。 確かに先生御指摘のように、昭和四十七年の国会で国際交流基金法が審議された際、当時の福田外務大臣がこの基金の資本金を数年のうちに一千億円くらいの規模にしたいというお考えを述べられた経緯がございます。そのような線で四十七年度五十億円、四十八年度百億円、四十九年度百億円、五十年度五十億円というぺースで出資金の増額が図られてきたわけでございますが、近年に至りまして出資金の増額ということがなかなかむずかしい財政状況になりまして、五十五年度には二十五億円という出資がなされましたものが、五十六年度には十億円、五十七年度におきましては非常にむずかしい状況のために出資金そのものはゼロということになりました。したがいまして、現在のところ出資金の総額が先ほど申し上げた数字になっておるということでございます。
○高沢委員 この国際交流基金という、名前が基金でしょう。ですから基金という名前は、そういう一つのファウンデーションをちゃんと持って、ファウンデーションから生まれる運用利益、この果実をもっていろいろな事業を行うというのが基本的な性格ですからね。そのファウンデーションの基金が一千億ということでもってスタートした。当時の福田外務大臣は、たしかアメリカでもジャパン・ファウンデーションをつくりますと大みえを切られて、一千億つくる、こう言われたように記憶しておりますが、いまのお話ではまだ半分に達していない。しかも大臣、五十七年度はゼロですよ。この国際交流基金に対する政府出資の基金としての出し分が本年度はゼロということをいま御説明があったわけですが、一番冒頭でこの国際交流の予算について私、大臣に鉢巻き締めてがんばってくれ、こう言ったことにつながるわけですが、私は一刻も早く、少なくも一千億というかけ声に実際が到達するというようなところまでこれはやるべきじゃないのか、こう思うわけです。いまのような経済事情では、年々諸物価が上がる。交流基金がいろいろな事業をされるにも、結局その事業の単価が上がっていくわけですから、その基金が横ばいでいったのでは、実質上仕事のできる枠というものは狭まっていくというおそれもあるわけでありまして、そういう点においてこの一千億基金というものが一刻も早く達成されるようにがんばってもらいたい、こう思うわけですが、その辺の見通し、これは局長いかがでしょうか。
○橋本(恕)政府委員 先生御指摘のとおりに、これはあくまでも基金でございまして、事業団その他とは性格を異にいたします。つまり、基金をもとにしてその運用益で、必ずしも単年度予算に縛られずに、息の長い文化事業を進めていくというのが本来の趣旨であったと存じます。 この考え方は一貫して引き継がれておりまして、私どもも正直に言いまして今会計年度、つまり昭和五十七年度は政府の出資金は厳しい財政事情のもとゼロになりましたが、このことは決していいことだとは思っておりません。ただ、五十七年度、今年度につきましては、出資金はゼロになりましたかわりに、事業に対する援助の予算はかなりたっぷりつけていただいたということを念のために申し上げますが、いずれにしましても、本来のあり方はあくまでも基金でございますので、一千億の目標に到達すべく、それこそ現在の苦しい財政事情がございますが、何年か後には何とか達成したい、こういうことをひたすら願っております。
○高沢委員 先ほどの審議官の御説明で、いまの国際交流基金に対する民間からの出資金が六百万円程度という御説明がありましたが、これは民間にも、こういう国際交流にひとつお金を寄附しましょう、私は当然個人、法人の関係で篤志家があるし、またあってしかるべきだと思いますが、そういう点においてこれは非常に少ないという感じがしますが、外務省当局としてはそういう面を促進する特別な対策はとっておられるのか、あるいはまたそれに関連して、民間の個人や法人からそういう寄附がなされるときのそれに対する租税の非課税措置、そういう対策がどういうふうな状況になっているのか、その辺をひとつお聞きしたいと思います。
○加藤説明員 お答え申し上げます。 ただいま民間出資金につきましては六百十万円ということを申し上げましたが、民間から国際交流基金に対する拠出がなされている形というのは、出資金はごく小部分でございまして、大部分は一般寄附金あるいは特定寄附金というような形の拠出がなされております。この累計は国際交流基金発足以来五十五年度までのもので七十四億二千百万円でございまして、相当の民間資金の拠出というのが行われているということでございます。 それから税法上の問題でございますが、国際交流基金は所得税法及び法人税法上、いわゆる試験研究法人等に指定されておりますので、国際交流基金に対する寄附金は損金に算入されるというような形で税制上の優遇措置が認められております。したがいまして、民間からの拠出というものにつきましても、これまでもかなり御協力をいただいておりますし、今後ともさらに御協力を呼びかけていきたいというふうに考えております。
○高沢委員 審議官、いまの御説明ですが、出資金の分が非常に少ないですね。私の調べたところでは、出資金に出す分は租税の優遇措置がない、こういうふうに私は見ているのですが、そういうことですか。そこはやはり、そういう場合には是正すべきじゃないですか。
○加藤説明員 先ほどちょっとそのことも申し上げようと思いまして、失礼をいたしました。 確かに、先生御指摘のように、出資金につきましてはいまの税制上の優遇措置が認められておりません。このために、出資金は非常に少ない額にならざるを得ないという状況にございます。 ただし、この点につきましては、寄附金という場合、拠出金という場合でございますと、民間企業から国際交流基金に移って国際交流事業のために使われるわけでございますが、出資金という形の場合には、あくまでも民間企業が出資したという形のまま残りますものでございますから、そういう点で租税当局とも何回も折衝をいたしましたけれども、この点についての税制上の優遇措置はむずかしいということでございまして、むしろ私どもといたしましては、優遇措置のとられる寄附金、一般寄附金、特定寄附金という形で民間からの御協力をお願いするという方向で考えていきたいと思っております。
○高沢委員 それから今度は、海外交流のわが国の相手でありますが、いままでは、どうしても欧米諸国との交流が非常に重点であった。いわゆる発展途上国あるいはまたアジア関係というふうなところとの交流というものは、比較的低い位置づけできたんじゃないのか。私は、それであってはならぬ、こう思うわけですが、聞くところによりますと、ことし十月、国際交流基金が十周年を迎える、それに記念の国際文化交流推進月間、こういう行事が行われる。その行事の中で、東南アジア諸国の映画を日本の国民に公開する、そういうふうな企画がされておるというふうにお聞きします。私は、これは非常にいいことだ、こう思うわけですが、その辺の、ことしだけのことではなくて、そういうことをやられるとすれば、将来に向かって継続的により拡大してというお考えが必要だと思いますが、いかがでしょう。
○加藤説明員 お答え申し上げます。 全く先生御指摘のとおり、一般的に開発途上国、特にASEAN諸国との文化交流ということは、日本の文化交流の中で非常に重要な位置を占めておると思います。 特に、国際交流基金の事業に即して申し上げますと、ほかの国、特に対先進国につきましては、日本の文化、日本語というようなものを海外に出すという事業に重点が置かれているわけでございますが、開発途上国、特にASEANとの関係につきましては、単に日本から先方に文化を紹介するということだけではございませんで、ASEAN諸国あるいは開発途上国の文化を日本に持ってくる、相互交流ということに重点を置いて事業をいたしておるということになっております。 ただいま御指摘ございました南アジア映画祭、これは国際交流基金の創立十周年を記念いたしまして、インド、インドネシア、スリランカ、タイ、フィリピンの五カ国から近年につくられました秀作映画を輸入いたしまして、これを東京、京都を初めとする全国十数カ所でことしの十月から十一月にかけて上映するという計画でございまして、これも東南アジアの国々の文化を日本に紹介する、こういう計画の一環として計画されたものでございます。 これだけではございませんで、昨年でございますと、インドとかネパールの舞踊の日本における紹介でございますとか、あるいは本年の計画では、ハリ島の踊りを日本に招聘するというような形で、東南アジア諸国の文化の日本への紹介事業ということにも非常に力を入れているということでございます。
○高沢委員 それから東南アジアの関係で言いますと、ASEAN文化基金というのがあるというふうにお聞きするわけですが、これはどういう性格のものであり、どういう活動をしているか。それから、わが国はこれにどういうふうに関与しているか、その御説明をお願いします。
○加藤説明員 お答え申し上げます。 ASEAN文化基金につきましては、昭和五十二年の福田総理のASEAN訪問の際に、文化面での交流による人と人との触れ合いを重視するための具体的な措置といたしまして、福田総理からASEAN域内の文化交流の促進に協力するという意図表明がされて、それによって発足いたしたものでございます。 その結果、昭和五十三年にASEAN側と協議をいたしまして具体化したわけでございますが、五十三年の十二月にまず二十億円の拠出が行われまして、五十四年の八月にはさらに三十億円の拠出が行われまして、全体で五十億円の基金が設立されたわけでございます。この五十億円の基金を原資といたしまして、その運用益、これは大体年間約二百万ドル程度の運用益になるかと存じますが、この運用益によって事業を行っているということでございます。 事業内容につきましては、人物交流とか催し物の主催とか、こういうものに重点を置いておりますが、たとえば幾つかの例を挙げさせていただきますと、人物交流でございますと、ASEAN諸国の中の比較研究のための人の往来でございますとか、あるいは東南アジアの研究、たとえば伝統美術とか建築の比較研究でございますとか、あるいはASEAN芸能フェスティバル、ASEAN歌謡フェスティバルというような事業、このようなものを主体といたしまして、五十四年度には六件、五十五年度には約二十件の事業を行っておりまして、この五十億円の基金をもとにいたしまして事業が本格化した段階であるということでございます。
○高沢委員 かつて田中総理が東南アジアを訪問されたときに、一種の反日暴動的なことが起きたりした、そういう過去の経過もありますが、いまわが国とASEAN諸国との間は、非常にそういう交流が一方では進みつつ、他方では、日本の向こうに対する経済進出というものが、向こうの人から見ると、日本は来てみんな持っていってしまうというようなたぐいの非常な対日不満も一方ではあるとお聞きしております。そういうふうな点を、これから日本と東南アジアの関係を順調に進めるには、いま御説明の、こういうASEAN文化基金というふうなものも非常に重要だ、こう思いますので、大いにこれからまた拡大をさせ、また事業の効果を上げるようにひとつお願いをしたいと思います。 それで、これもお聞きしたあれですが、国際交流基金が最近、日本の紹介の文化映画を無料で貸し出す、アメリカにおける全米ネットワークというものをつくられたというふうなことをお聞きするわけですが、私は、こういう基金の活動との関連で、これはこれで大いにやるべきだ、こう思いますが、同時に、外務省自体の在外公館、いわば世界のすべての国に存在するわけです。したがって、そういう在外公館にこうした日本の経済や文化や芸術や、そういうものを紹介する映画とかビデオとか、いろいろな資料というものをちゃんと十分に備えておいて、そして積極的にそういうものを相手の国の人に見てもらう、向こうの要望があればどんどん無料で貸し出すというような体制をとられるべきだと思いますが、この点については御所見はいかがですか。
○加藤説明員 お答え申し上げます。 全く御指摘のとおりでございまして、現在大使館、まあ大使館の中でも広報センターというものが設けられておる大使館とそうでない大使館がございますが、それから総領事館その他の在外公館におきまし、予算的な限度はございますが、その限度内でできる限りの数の映画を配付いたしまして、向こう側からの要望に応じまして貸し出したり、あるいは大使館あるいは広報センターが、日本の紹介のための会合を設け主催するというような形で、できる限り日本の全般的紹介を映画あるいはビデオというようなものを通じて行うように努めておるところでございます。
○高沢委員 私はその中へぜひこういうものを入れてもらいたいと思うのです。いまちょうどいわゆる反核運動ですね。原水爆はやめてもらいたいということがいまやもう世界的な流れになっておるし、国連のそのための特別の軍縮総会も行われているわけでありますが、わが国が世界のただ一つの被爆の体験を持つ国として、たとえば広島あるいは長崎というふうなところの原爆を受けたときの状況はどうだったか。いろいろなフィルムがあります。こういうものは、口で説明するのと、実際にそのフィルムを目で見て、そしてその見た人が原爆は絶対いかぬ、戦争を起こしてはいかぬと感ずる、これはもう段違いです。そういう点においては、わが国こそそうしたフィルムを十分に用意して、各在外公館にそういうフィルムを配置して、そしてその国の人々に見てもらう、こういう体制はいまもうわが国でなければできないということだと思いますが、この点はいかがでしょう。ぜひやってもらいたい、こう思いますが。
○橋本(恕)政府委員 先生御指摘のとおりに、世界人類の中で原爆の被害を実際身をもって体験したのはわが日本民族だけでございますので、現に外務省が、人物交流の一環として諸外国の各界の指導者が日本に来られましたときに、少しでも御希望があれば広島にお連れして実際の核の惨禍というものをお見せしていることもございますし、いま御指摘の在外公館に備えつけの、フィルムライブラリーと申しますが、この中に先生の御提案をいかに生かすべきかについて真剣に検討してみたい、こういうふうに考えております。
○高沢委員 いま原爆反対の運動をやっているいろいろな市民の組織がありますが、そういう市民の組織が、広島、長崎の戦争の終わった直後の被害の実態をアメリカがずっと皆写真に撮ったフィルム、それがアメリカの国立公文書館にずっと保存されていて、最初はこれはアメリカとしては極秘の資料の扱いだったが、いまや三十数年がたってそういう秘密資料の扱いでなくなった。そのフィルムを今度は買ってきて、そして日本の市民団体でそれを編集して、いわゆる10フィート運動ということで、「にんげんをかえせ」という映画であるとか「予言」という映画であるとか、いろいろなそういう映画ができております。それから広島市や長崎市もまた被爆した立場でそういう映画をたくさんつくっておられます。そういうものを外務省として積極的に買い上げて、そしてそういう在外公館に配置する、これはもうぜひやってもらいたい。いま局長から真剣に検討したいというお答えがありましたが、私はこれはぜひ実現をしてもらいたい、こういう御要望を申し上げる次第ですが、ひとつもう一度御決意を聞きたいと思います。
○橋本(恕)政府委員 ヒューマニズムという観点から、これは真剣に研究いたします。
○高沢委員 私最初にきょうの御質問はフルブライト交流計画のことから入ったわけですが、もう一度この問題に返りまして、アメリカではフルブライトの教育交流計画というものは国務省の教育文化局が所管されている、やっておられる、こう聞くわけです。そうして、いままではこれはもう全くアメリカ側のお金でアメリカ側の機構で、アメリカ側の事業にわれわれの方が乗る形でこうした交流計画が行われてきたというふうに進んできたわけですが、もうこれも三十年をたった段階で、また日本も大いに経済力ができた、こういう段階において、いまや今度は日本の側に、これは外務省所管になるのか、文部省所管になるのか、あるいは文部省かと思いますが、日本の側にこうしたフルブライト交流計画のようなそういうことをやる機構、そのための資金の裏づけを持ったものを設置して、積極的に今度は外国の留学生を日本に招く、こういうふうなやり方を、いまやすべき段階ではないか、こう思うわけですが、文部省お見えになっておりますか。その点についてひとつ文部省のお考えをお聞きしたいと思います。
○山本説明員 お答え申し上げます。 御趣旨につきましては、非常に私どもも同感するところでございます。 フルブライト計画そのものにつきましては、先生も御承知のとおり、昭和五十四年から日米で経費折半の方式によって交流計画を行っております。文部省といたしましては、昭和五十七年度には二億二千九百万円予算を計上いたしております。 それ以外に、一般的にさらに広い留学生を招致してはどうかというお話に関しましては、文部省といたしましては昭和二十九年から国費外国人留学生制度を実施しておりまして、国費により旅費、奨学金を支給して諸外国の留学生をわが国の大学等に受け入れておりまして、その待遇は、諸外国の制度と比べましても、決して遜色のないものとなっております。留学生の受け入れ数につきましては毎年拡大を図ってきておりまして、昭和五十七年度におきましては、新規でございますが、ついに年間一千百人の留学生を受け入れるというふうに年々ふやしてきておりまして、私どもとしては、この留学生制度を通じまして今後とも諸外国の留学生の受け入れの拡大に努めてまいりたいと存じております。
○高沢委員 いま実施されている実情の御説明がありましたが、それを拡大していくというととも私は結構だと思いますが、ただ、たとえばこのフルブライト交流計画という一つの個性的な名前がついて行われるということは、それ自体で一つの意味があると思うのです。同じ留学して勉強してくるその中身に変わりはないが、その留学はフルブライト留学で行ってきたというような名前のつき方。いま文部省はそういうふうにやっておられるとすれば、その国費外国の留学生の制度というふうなものに何々留学、こういうふうな名前をつけてやられるということは、ある意味において対外的なイメージにおいてもより一層の効果があるのじゃないか、私はこう思うわけですが、そういう点についてひとつ工夫をされたらいかがでしょうか。いかがでしょう。
○山本説明員 確かにフルブライト計画という名前がついた計画は、それ自体非常に歴史を持ちまして、非常にアピールがあるということは私も同感でございますが、私どもの留学生につきましては、通称文部省スカラシップということで文部省の名をつけまして行っておりまして、そういうような名称に関しましても、あるいはだんだん定着してくるのではないかというふうに考えております。
○高沢委員 私は、もし櫻内大臣が鉢巻きして、そして五十八年度予算の中でこの文化交流予算を突出させるというような実績が上がってきたら、これは櫻内交流計画という名前がついてもいいんじゃないのか、こう思いますが、ひとつこれは文部省、外務省の間で前向きに御検討いただきたいと思います。 それで、もう一つ文部省にお尋ねしたいことは、こうやって日本の学生が外国へ留学してくる、今度は外国の学生が日本へ留学に来るということが非常に進んでいますが、残念ながら、その留学した先で何々大学何学部を卒業した、その先で何々博士という学位を取った、けれども、それは自分の国へ帰ると通用しない、認められない、こういうふうな現状、矛盾があるやにお聞きしております。そういうことは、私も訴えられる立場にあるわけですから、これはせっかくの留学というものの値打ちを非常に下げてしまう、効果を減殺してしまうということになろうかと思います。そういう点においては、私は文部省にお願いしたいことは、わが国が多国間の協議として、あるいはまた相手の国との二国間の協議としてお互いに、日本で学んで帰った、取得して帰ったその資格はその国で通用するように、相手の国で学んできた資格は日本で通用するようにというような相互のいわゆる学位、資格というものの同等性ということについて積極的に国際的な取り決めをひとつ進められるべきじゃないのか、こう思いますが、いかがでしょうか。
○齋藤説明員 先生御指摘の点につきましては、実は文部省の大学設置基準に大学の先生の資格があるわけでございますけれども、この設置基準の場合に博士の学位というのが一つの基準になっているのでございますが、その際に、外国において授与されたこれに相当する学位というものが日本の大学で出す学位と同じように扱われる、こういう基準には一応なっているわけでございます。ところが実態は、先生のおっしゃるように、どうしても国内の学位が優先されているという実態でございます。 それからなお、企業で博士号等を持っている者を十分活用仕切っていないという、そもそも外国の博士だけではなしに日本の博士も企業とか一般社会で必ずしも十分活用していないという日本社会の独特の風潮があるわけでございますけれども、私どもといたしましては、できるだけそういう世界的な実態がお互いに外国の相互のものを認めるという実態が積み重なるのを待って、さらに開放されたものにしたい、こう考えている次第でございます。 なお、そこまでに至る前に単位の互換制度というのがあるのでございますけれども、これは昭和四十七年度から、外国で、大学で学んできたものを日本の国内の大学の単位と認めてもいいという制度を設けたわけでございます。いま相当数が、約七百人ぐらいが外国の単位をとってきて日本の大学で認められているわけでございますけれども、まだ大学によっては十分そういう措置がなされていない。特に、御指摘のように、発展途上国との間では単位の交流というものが非常に少ない状況でございます。こういう実績等も積み上げながら、御指摘の点についてはさらに検討を進めてまいりたい、こう思っている次第でございます。
○高沢委員 いま、現状において相当程度にそういう面はやっておるという御説明であったわけですが、さらにやってもらいたいということと同時に、できればやはりそれを国と国との間の一種の協議の上に立った申し合わせにして、そういう取り扱いというものについてそれだけの裏づけをはっきりと与えるというようなやり方が留学する学生の立場から見れば非常に安心できるということになろうかと私は思うのですが、そういう点は今度は国と国との一つの国際間の協議の問題として大いに積極的に進めていただきたい、こういうふうに要望いたします。特にいわゆるいま言われた発展途上国の関係は、これは実態面として相当差があるということは現状ではやむを得ないわけですが、しかしそれは、相手の発展途上国はいま水準を高めていく過程にあるわけですから、そういう過程を一層促進するためにもそうしたお互いの国家間で資格や学位を認め合うということを、話し合いを外交ルートの問題としても進めてもらいたいと思いますが、この点は外務省、いかがでしょうか。
○橋本(恕)政府委員 文部省と協議しながらできるだけ前向きに努力してまいりたいと考えております。
○高沢委員 ひとつお願いをしたいと思います。 それから、これも報道で承知しているわけですが、最近日米青年交流計画というものがあって、それでアメリカから高校生の人たちがわが国へ招請されてきておるとお聞きいたしますが、この事業の内容をひとつ御説明願いたいと思います。
○加藤説明員 お答え申し上げます。 アメリカの民間の青年交流団体の一つでございますが、YFU、ユース・フォー・アンダースタンディングという団体がございます。この団体と、それから日本の側におけるその対応団体、日本協会というのがございますが、この両者の協力のもとにアメリカの各州から二名ずつの高校生を選抜いたしまして、この選抜に際しましては、アメリカの五十州から選出された上院議員の二人の上院議員がそれぞれの州からの高校生二名を選抜の上推薦されまして、全体で百名の高校生を夏の間二カ月間日本に派遣いたしまして、日本の家庭での滞在を通じて相互交流を図るということでございます。この計画は、アメリカの各州、地域的にアメリカ全土から選ばれた高校生が日本に対する理解を深めるということで米国全体の対日関心を高める上で非常に有意義な事業であるということでございます。日本政府といたしましても、ことしの夏にすでに高校生は来日しており、それぞれの家庭に現在配属されているわけでございますが、この事業の意義を認めまして、事業費の一部として二十五万ドルの資金援助を行った次第でございます。
○高沢委員 いろいろ文化交流関係でお尋ねをしてまいりましたが、ここで若干今度は条約論の関係に入ります。 わが国が諸外国とこういう文化交流協定を結んでやってきている。いまわれわれの審議しているバングラデシュ、スペインもまたそれであるわけですが、そういうものと、それからそれとは別に文化交流の取り決めとかというような形で、国会の承認を受ける協定でなくて、行政的な処置でやる取り決めというふうな形でやっておるケースも非常にたくさんある、こういうふうに承知しておりますが、これはどういう違いでそういう扱いの違いが出るのか、内容上の違いか、形式上の違いか、ひとつお聞きしたいと思います。
○都甲政府委員 先生御指摘のように、わが国が締結しております文化関係の取り決めのうち、文化協定として国会で御承認をいただいて取り決めておりますものが二十ございまして、それにさらに二十一日に批准が予定されておりますギリシャとの文化協定を含めますと二十一、それに今回御審議をいただいております二本の文化協定を加えますと、二十三カ国との間で文化協定を締結するということになるわけでございます。 それからさらに、文化取り決めとして行政府限りで処理させていただいておるものとしては、ソ連、ハンガリー、モンゴル等、主として社会主義国との取り決めで行っておるものがございます。 御承知のように、いま文化協定というものは、締約当事国たる両国間の文化交流を政府、民間双方のあらゆるレベルを通じて促進するということで、それによって両国間の相互関係を増進するということを直接の目的としておりますが、究極的にはこのような交流を通じて、相互理解を通じて両国間の友好関係を増進するという目的を持っておるものでございまして、そういう意味では、広範にわたる両国の基本的な関係を法的に規定する意味を持っておりますので、いわば友好条約的な性格を持っておるものというふうに言えるものだろうと思います。そういう意味で、両国間の友好関係を象徴するものとして、政治的に非常に重要な意義を持つものということで、従来ともこのような協定には批准条項を置いて国会の御承認をいただくことにしているということは、従来から政府が答弁で申し上げているとおりであります。 したがいまして、そのような包括的な関係を規律するものが文化協定でございますが、他方、先ほど申し上げましたような行政取り決めとして取り扱っております文化取り決めは、両国の政府間の特定の分野における交流を法律あるいは予算の範囲内でこれを実行するということで、いわば限られた目的のための取り決めを政府間限りで交わすことにしているわけでございます。それで、特に社会主義国との間でこのような行政取り決め的なものが多いわけでございますけれども、これは主として社会主義国におきましては文化の分野におきましても政府がそれを主として主管する部面が多いわけでございますので、このような政府間の取り決めで特定の分野において交流を進めれば大体の目的を達し得るということはございますので、そのような取り決めで従来処理してきているということでございます。そういう意味で、文化協定とするか、行政取り決めとして限定的な目的のための取り決めで処理するかということは、両国間の関係を十分に考慮し、あるいは文化交流実績等を考慮して判断した上でそのような実績となってきているというふうに申し上げられると思います。 なお、このようなものを離れましても、たとえば韓国との間には大韓民国との間の文化財及び文化協力に関する協定というようなものがございますし、日米間では日米教育交流計画協定というようなものがございます。これはいずれも国会の御承認をいただいたものでございます。 それからさらに、行政取り決めとしては、米国との間には、公の刊行物の交換に関する取り決めであるとか、文化教育協力合同委員会設立取り決めであるとかというようなものがございますし、ベルギー、フランスとの間にも公の刊行物の交換に関する取り決め等を行政取り決めとして処理しているということがございますので、そのような限られた範囲のものにつきましては行政府限りでやる場合もございますし、それから特定の目的のものについても、その内容によって国会の御承認をいただく必要があるというものについては、文化協定という広範なものでなくても国会の御承認をいただいて取り決めているというような例もございます。
○高沢委員 いまの御説明では国家間の友好条約的性格を持つ、こういうふうなことで文化協定は国会の承認の扱い、そうでないものは行政取り決めとしてやっておる、こういう御説明ですが、大体文化協定になってない方が——いま社会主義国は国家のあれでもって、その国の政府のあれで事が済むからという御説明でありますが、ほかに発展途上国というようなものもずっと取り決めになっているものが多いのですね。今度のこのバングラデシュなんかは協定になってきているわけですが、そういう友好条約的な性格を持つということなら、なおさら社会主義国との間でも、発展途上国との間でも文化協定というふうなものにしていった方がいいんじゃないかというふうに私は思います。 そこで具体論として、アメリカとソ連とは文化協定がわが国はまだないのですね。そこで、ここに昭和五十三年の本外務委員会の議事録があります。その当時の外務委員であったわが党の井上一成氏がこの問題で、アメリカとソ連になぜ文化協定がないのかということをずっと質問されていまして、それに対して当時の外務省の平岡さんが答えられた答弁の中にこういうことを述べておられるのです。「ソ連はかねてからもっと広範な分野の文化交流について取り決める包括的な文化協定というものの締結を希望しておるわけでございまして、昭和五十一年グロムイコ外務大臣が参りました際も、こういう協定の締結に関する交渉を開始するということを共同コミュニケにうたったわけでございます。これに基づきまして、わが方はいまソ連から提示されました協定案を検討し、またわが方の対案を提示し、両方の案がありまして、これらをめぐって交渉が現に行われておる、こういう段階でございます。」当時平岡さんは参事官でしたか、そういうふうに説明されている。これが昭和五十三年の段階ですね、ちょうどいまから四年前。これによりますと、ソビエト側からも文化協定の案が出た、わが方も案を出した、その両方を突き合わせていま交渉していますというのが、その後四年たって現在どうなっておるのかという御説明をひとつお聞きしたいと思います。
○加藤(吉)政府委員 事実関係は、ただいま先生が言及されました平岡参事官の説明どおりでございます。わが方の対案に対してソ連側からまだ回答が来ていないというのが現状でございます。しかしもう一つ背景となりますのは、やはり昭和五十五年夏以来の国際情勢の変化、特にアフガンに対するソ連の侵攻とかこういう状況を背景として、現段階においてソ連との間にこういう友好条約的な協定をつくる基盤はない、かように判断しているわけでございます。ただし、日ソの文化関係自体につきましては、先ほど御説明申し上げた文化取り決めがソ連との間にもございます。そうしてその取り決めに基づく実務的な文化交流、特に学者の交流というような点につきましては、相互理解の促進という観点から私どもはこれを大いに推進してまいりましたし、今後もそれを続けていく所存でございます。
○高沢委員 いまのお答えで、私重ねて二点お尋ねしたいのですが、一つは、向こうから案が出た、わが方は対案を出した、まだそれに対して向こうの答えがない、いまこう言われましたね。ではその答えが向こうから来たら事は済むのかどうかということが一つ。 もう一つは、その後アフガン情勢等の国際情勢の変化があって、いまこういうものをやる情勢ではない、こういうお答えがありましたが、アフガン問題は確かにアフガン問題でありますが、しかしそれによってすべての問題を前へ進めないというようなことは、私はむしろ逆に、そういう情勢の中にあるならば、こういう文化協定というふうなものから前に進めるべきではないのか、漁業の関係等もそういう前へ進める重要な一つの問題としてあるわけですが、そういうふうに考えるわけですが、この点はいかがか。この二点をもう一度お答えいただきたいと思います。
○加藤(吉)政府委員 先方から対案が来たらどうかという点につきましては、これは一種の仮定の議論でございます。ただ、先方から対案が参りましたとしても、やはり背景となる国際情勢というものに対しては慎重な考慮を払わなければいけない。したがって、対案が来たからすぐ自動的に交渉を始めるというようなことはちょっといたしかねるというふうに私どもは考えております。 第二点につきましては、こういう文化交流を進めることこそ必要でないかという御意見、そういう御意見があることは私もよく承知してはおります。ただ、先ほどの御説明の繰り返しになりますが、日ソ間には行政取り決めとしての文化取り決めがございますし、日ソ間のそういう文化交流は実務的なものという範囲ではございますけれども、順調に進んでおる。むしろこういうものを育てていくということの方が必要であって、いまことさらに大きな文化協定というようなものをつくる必要はないのではないか、かように考えている次第でございます。
○高沢委員 いま重ねてのお答えでありますが、私としてはいまのような国際情勢の中では、逆にできるところからむしろ扉を開くということでわが国の外交努力はあるべきだ、こう思いますが、これは私の見解として申し上げておきます。 それで、バングラデシュ、スペインの関係になりますが、バングラデシュ、率直に言って非常にクーデターとか政変というものがたびたび起こる、こういうふうなことがここ数年来の経過で起きているわけですが、この文化協定というものを結ぶ相手として、そういう政治的な安定度というふうな点についての問題はないのかどうか、この点はひとついかがでしょうか。
○藤井(宏)政府委員 先生御指摘のとおり、バングラデシュにおきましては、近年クーデターが起こっております。ことしにおきましても、エルシャド司令官のクーデターがあったわけでございますが、現在エルシャド司令官の政権はすでに安定しておりまして、閣僚、大統領等も整いまして、政治的にすでに安定した道に入っているというふうに判断しております。
○高沢委員 バングラデシュとわが国の間に航空協定ができているわけですが、私の承知する限りでは飛行機は飛んでいないわけです。この辺は今後どういうふうにされることになるのか、またその見通しはどうなのか、お聞きしたいと思います。
○藤井(宏)政府委員 バングラデシュとの間では航空協定は結んだわけでございます。それで、現にバングラデシュからの飛行機が飛んでおったわけなんでございますけれども、バングラデシュの方の事情によりましてこの飛行機の運航が中止されております。支店は現にまだ東京にあるわけでございますけれども、ずっとその都度通報がございまして、運航を停止しているということでございます。これはバングラデシュの方にとりまして、経営の悪化ということに由来するものでございますので、これがどのように今後改善されていくのか、何分にも経営状態の問題でございますので、将来を予測しかねるわけでございますけれども、われわれとしてはできるだけ早く状況が許せばまた再開していただきたいとは思っております。
○高沢委員 この五月にわが国から経済調査団がバングラデシュに行かれた、こうお聞きしておりますが、その調査団の結果はどうだったか。あるいは国家間の関係として文化協定、航空協定もできている、そのうちに貿易協定とかいうふうなことにもなろうかと思いますが、そういう貿易協定というふうなことまで発展していくお考えがあるのかどうか、その辺はいかがですか。
○藤田説明員 ただいまの御質問のうち、経済協力調査団の件についてだけとりあえず御説明申し上げます。 バングラデシュとの間には、他のわが国と経済協力関係が密接でございますASEAN、ビルマ等々とともに並びまして経済協力に関する年次協議というのを行っておりまして、毎年事務レベルで先方に参りまして過去一年間の両国の経済協力関係をレビューし、改善策を討議し、かつ、その次の一年間に先方から協力を要請してくる予定のプロジェクトについての説明を受けるという会合を持っているわけでございます。先生御質問の五月から六月初めにかけましてバングラデシュに参りました調査団は、そういう意味での事務レベルの年次協議ということを第一の目的にいたしておりまして、昨年及び本年の経済協力関係についての討議を行い、改善策等について話し合ったというのが第一の目的でございました。 それから第二の目的としては、累次にわたりまして当委員会でも御指摘がなされております援助のフォローアップと申しますか、効果的な援助の実施のためには、すでになされました援助案件を評価して、一体どの程度当初の目的を達成し、かつバングラデシュの民生安定に貢献しているかということを見る、こういう目的もあわせ持ちまして、三つのプロジェクトの評価作業ということを実施してまいりました。 それで、現在報告書の作成中でございますが、おおむね評価の結果は良好であった。もちろん技術的には種々問題点等々ございまして、その改善策を先方に要望したということもございますけれども、おおむね良好に進んでいる。それから年次協議につきましても、御承知のようにわが国にとりまして第二番目の援助受け取り国でございますし、バングラデシュにとりましてはトップの援助供与国であるということから、バングラデシュ側も非常に熱意を持ってこの年次協議に備え、かつ、きわめて活発な討議が行われたというのがこの経済協力調査団につきましての御報告でございます。
○高沢委員 貿易協定の見通しはいかがですか。
○藤井(宏)政府委員 バングラデシュ政府の方から貿易協定を結びたいという意向が表明されまして、その後貿易協定の案文が届いております。これにつきましてわが方で検討しておるという段階でございまして、今後の見通しでございますが、早急にこれを締結するという必ずしも実務的な必要をバングラデシュもわが方もそれほど感じていないというのが事実でございますので、これを非常に急いで締結するという意欲は両方とも余りないわけでございますけれども、できるだけ実務的にこれを処理していきたいと思っております。
○高沢委員 時間が過ぎました。もう一問スペインについてお聞きして終わります。 文化協定の相手のスペインですが、何か最近のニュースによりますと、スペインの国防省がわれわれは核兵器を製造する自由があるのだというふうなことを言われているということですが、どういう動きなのか。また、そういう実際の可能性があるのかというふうなことを一つお尋ねいたしたいと思います。
○加藤(吉)政府委員 ただいま先生の言及されたニュース自体については詳細は承知しておりません。 ただ、スペインはラ米の若干の国と同様、核防条約には参加しておりません。その理由は、核の平和利用を推進するのにこの条約が障害になるということのようでございますけれども、核防条約に入っていないという観点から、あるいはそのような議論を一部の軍部がやっているのかもしれない、かように推測しております。
○高沢委員 以上で私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
○中山委員長 これにて両件に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○中山委員長 この際、ただいま議題となっております日本国政府とスペイン政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件及び日本国政府とバングラデシュ人民共和国政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件の両件とともに、去る七日質疑を終了いたしております千九百八十年の国際ココア協定の締結について承認を求めるの件及び千九百八十一年九月二十五日に国際コーヒー理事会決議によって承認された千九百七十六年の国際コーヒー協定の有効期間の延長の受諾について承認を求めるの件の両件を同時に議題といたします。 国際コーヒー協定の有効期間の延長について理事会において申し合わせを行いましたので、この際、委員長から御報告申し上げます。 外務委員会理事会申合せ事項 一九八二年九月三十日に失効する一九七六年の国際コーヒー協定の有効期間の延長は、国際コーヒー理事会の決議により、同協定の修正に関し、同理事会が本年六月三十日までに決定を行うことが条件であった。 しかるに、同理事会では六月三十日までに決定するに至らず、引き続き七月二日まで検討した結果、決議第三一九号によってこの決定を先に延ばすこととなった。 本件は、二月二十六日参議院に提出され、参議院外務委員会は四月八日、本会議は四月九日本件を承認し、同日本院に送付されたものであるが、以上の経緯にかんがみ、衆議院外務委員会理事会は本件の取り扱いについて次のとおり申し合わせる。 記 一 六月三十日の期限までに国際コーヒー理事会での決定が行われ得ないことを外務省として察知し得なかったことは遺憾であり、この点に注意を喚起する。 二 今回の国際コーヒー理事会の決議第一三九号により決定期日を延長したことを緊急措置として取り扱う。 なお、外務省としても今後この種の取り扱いについて慎重を期するよう要望する。 以上であります。 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣櫻内義雄君。
○櫻内国務大臣 外務省といたしましては、委員長の御発言を体しまして、今後ともかかる場合の対応について一層慎重を期することといたしたいと思います。 本件については、コーヒー理事会における今後の事態の進展について適当な時期に当委員会に対し報告を申し上げます。 —————————————
○中山委員長 これより各件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 まず、千九百八十年の国際ココア協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中山委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。 次に、千九百八十一年九月二十五日に国際コーヒー理事会決議によって承認された千九百七十六年の国際コーヒー協定の有効期間の延長の受諾について承認を求めるの件について採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中山委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。 次に、日本国政府とスペイン政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中山委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。 次に、日本国政府とバングラデシュ人民共和国政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中山委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○中山委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時十四分休憩 ————◇————— 午後一時三分開議
○中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浜田卓二郎君。
○浜田委員 二、三の事項につきまして御質問申し上げたいと思います。 最初に、外交機能の強化という点から御質問申し上げたいと思います。 わが国の外交機能あるいは外交体制を強化せよという意見はいままで数限りなくありましたし、また外務省当局もいろいろと御苦心をしてこられたことだと思うわけであります。しかし、現実は、必要なそういう体制の整備がなかなか進んでいないと私どもは考えざるを得ないわけでありまして、よく言われる数字でありますけれども、たとえば日本の外交官の数は戦前の水準からほとんど増加をしていない。そして、たとえばアメリカの外交官数のわずか四分の一であるとかインドよりも外交官の数は少ないとかいうようなことも言われておりますし、通商国家であるわが国にとっての外交の重要性を考えるときに、外交戦略というような総合的な外交政策の立案の面でもあるいはその遂行の面でもいろいろ縦割りの行政に阻まれてむずかしい実情があるとか、問題が多々指摘されてきて現在に及んでいるわけであります。最近わが党の外交調査会並びに外交強化委員会におきまして「外交体制の強化に関する提言」というものも出されているわけでありまして、その中にも多くの、いま申し上げましたような諸点についての提言を列記してございます。さらには現在作業の進んでいる臨時行政調査会におきましても、こういう問題意識に基づいて外交体制の整備、改革に対する検討も進んでいるやに聞いているわけであります。 そういう背景で二、三伺いたいわけでありますけれども、外務省としては、こういう多くの議論あるいは問題点の指摘に対しまして外交機能を機構、組織面から強化すべきというお考えを持っているのか、あるいはその現状で十分である、対応できるというふうに考えておられるのか、その点についてのお考えを聞かせていただきたいと思います。
○櫻内国務大臣 ただいま浜田委員のいろいろおっしゃいました点はつとに外務省として承っておるところで、また外務省自身としても考えなければならないところでございます。今回は、自由民主党の方でただいまお話しのような外交体制強化の提言をしていただきました。また臨調におきましても、外交政策の総合的な企画、立案及び情報の収集、分析等の面で機構の見直しをするようにという指摘もされておることでございまして、外務省自身も、そういう線に沿って外務省の機構、組織について考えるとか、あるいは概算要求に始まる明年度の予算編成に際しまして、こういう御提言やあるいは御指摘にどう答えるかという立場で予算の折衝に入りたい。要は、現在の外務省の状況というものが、戦前に比較して定員も非常に少ないとか、あるいは戦後における国際状況で独立国の数も百五十七を数えておる、あるいは日本の国際的地位の上昇に伴ってあらゆる面で国際関係が複雑多岐にわたっておる折からでございますから、何としても外交機能の強化については、この際、御提言にのっとったような、そういう線で真剣にわれわれ自身が努力をしなければならないということを痛感いたしております。
○浜田委員 一般論としては、私も、大臣の言われるとおりであるし、また当局も努力をしておられるということは認めるわけであります。しかし、現実には、外交官の定員一つとりましても一向に改善を見ていないという現状にあると思います。現在三千六百三十二人の定員でございますか、これに対して一体どのくらいの定員が確保できればいいというような——それは数はなかなかむずかしいのでありましょうけれども、当局としてはどう考えておられるか、ちょっと具体的にお伺いしたいのです。
○伊達政府委員 お答えを申し上げます。 どれくらいの数があればよろしいかということでございますが、これは御指摘のようになかなかむずかしい問題でございます。ドイツ並みとかイギリス並みということになりますれば、六、七千名から一万人という体制を持っておる国もあるわけでございますので、私どもは多ければ多いほどいいということを考えているわけでございます。ただ、御承知のように、現実の問題といたしましては、そういうふうに一気に望みましても高望みに過ぎることでございますので、五十五年度から五千人達成計画というものを持っておりまして、当時たしか三千四百名程度でございましたものを六十年度までには五千人にしたいという計画を持っておりまして、五十五年以来その実現に努めているわけでございます。 ただ、遺憾ながら、この計画によりますれば毎年大体二百六、七十名くらいずつふえないとその目的が達成できないわけでございますが、この五十七年、本年度まで、実は八十名、八十名、七十二名というような増加ぶりでございまして、所期の目標達成にはほど遠い状況にございます。これは行財政改革ということもございまして、環境が非常に厳しいものがあるということではございましょうが、私どもとしては、六十年度に五千名の目的を達成することは若干無理であるにはしても、やはり五千名ぐらいはできる限り早く、状況の許す限り定員を獲得いたしたいと考えている次第でございます。
○浜田委員 行政改革ということもありまして、大変状況が厳しいのは承知をしております。その中で外交の成果とかいうものはなかなか形や数字ではあらわせないという面があるわけでありまして、私も役人時代には定員査定もやったことがございますけれども、どうしてもはっきりした形、数字にその成果というものを表現できないといううらみがあると思うのです。しかしそれだけに、外交努力というものがどんなに必要なものか、これは外務省当局が強い信念を持って、その信念に基づいた要求を強くしていかなければならない。私はそれが基本だと思うわけであります。 それともう一つは、行政改革というのは、不要不急の部門から必要な部門に定員も移していくことが基本理念であるはずでありまして、こういう時世であっても、一律でやむを得ないという考えをとるのではなくて、どうしても外交機能強化が必要だ、そういう信念に基づいて目標に向けての努力をしていただきますことを、大臣初め事務当局の皆様に強く要望申し上げたいと思います。 もう一点、外交に当たる人材養成という点から、先ほど申し上げました外交強化委員会の提言の中にも出てくるわけでありますが、外交官試験による任用、そういうものを中心とした人材養成ではどうも不十分ではないかというような意見もあるようであります。この点につきましては外務省当局はどのようにお考えでありましょうか。
○伊達政府委員 外務省試験だけでは外交に当たる人材を養成するためには不十分ではないかということの御指摘でございますが、確かに、私ども外務省におきましてはほとんどよりどころとするところは人材でございまして、この質の優劣がまさに日本外交の優劣を決定的にするものだと思っているわけでございます。したがいまして、外交に当たるすぐれた人材を確保することがまず第一番目でございまして、第二番目には、その採用した人間に十分な訓練と研修を施すということによって人材育成を図るということが必要なのではないかと思います。 外交官試験の制度につきましては、ただいま御指摘を仰ぐまでもなく、すでに臨調等の場におきまして外交官試験制度に対する批判と申しますかあるいは見直し論というものが行われているわけでございますが、外交官試験の制度と申しますものは、外交官という任務の特殊性にかんがみまして、明治二十七年以来続けているものでございまして、私どもといたしましては、基本的にこの伝統的な制度というものが外交に従事いたします人材の確保という本来の目的は果たしているものではないかと思うわけでございます。 ただ、わが国外交に対します内外の期待というものが高まってくる一方でございまして、外務省の試験制度だとかあるいは人事管理の問題についていろいろな意見が表明されますのも、日本外交というものに対する期待の高まりのゆえではないかと受けとめているわけでございます。 先ほど申しましたが、明治以来の制度ではございますけれども、外務省は決して、全く便々としてそれに改良を加えていないわけではございませんで、もとより完全無欠なものだとは思っておりません。したがって、試験制度の運用の改善ということは従来にもやってきているところでございますし、それから現在御批判を賜っているような点についてはさらに改善すべき余地があるかどうか、この点についてはわれわれとして検討するにやぶさかではなく、また現に検討中でございます。 また、人材の登用というのも人材の発掘面から非常に必要なことでございまして、これは外務省の非常に独特の、他省には例を見ない登用制度というものがございまして、初級から中級への登用、成績優秀な者の登用、それから中級から上級への登用というようなことも現に実施しておりますし、かつまた試験が終わった後に、外務省研修所というところがございまして、そこで四カ月なり半年なりの研修をさせるとか、あるいは本省に一年勤務した、若い採用した者を二年ないし三年在外研修させる、あるいはまた中間研修といたしまして在外の外交問題の研究所等において研修をさせるというようなところに力を入れて改善と工夫をこらしているところでございます。
○浜田委員 先ほど高沢委員の方から、文化交流に関してでありますが、余りにも自己規制が過ぎて野心的な要求を出しておらないのじゃないかというような御指摘もありました。大変重要な外交機能でありますから、ひとつ野心的にこの改善に取り組んでいただきたいということを申し上げておきます。 次に、サミットに関連してお伺いをしたいのですが、今回のサミットで各国間の意見の相違が大分あったというような指摘もありますけれども、しかし幾つかの点については貴重な意見の一致を見ているわけであります。その意見の一致を見たところについてこれから一番大事なことは、私はしっかりしたフォローアップが行われることであろうと思うわけであります。特に通貨の不安定な状況に対して通貨当局の協力とか、あるいは自由貿易体制を維持推進するためのガット閣僚会議あるいは南北問題の包括交渉あるいは経済再活性化のための技術協力に関する作業部会の設置、こういう点については合意を見られたと伝えられているわけでありますが、このような諸点を中心にして今回のサミットの成果について具体的にどのような作業を行っていくか、その点について聞かせていただきたいと思います。
○櫻内国務大臣 サミットの最終段階で宣言が採択されておるわけでございまして、その内容の主要点については、ただいま浜田委員がおっしゃった諸点が大事であったと思います。 そこで、フォローアップの御質問でございますが、通貨問題につきましては、各国通貨当局間の協力によりまして、国際通貨制度の建設的な秩序ある発展に努めることについて合意を得ておりますから、今後かかる合意を受けて通貨当局間で一層緊密な協力を進めていくこととしたいと思います。 また、参加首脳は、自由貿易体制堅持のためガット閣僚会議が重要であって、同会議へ向け積極的に取り組むべきことを確認しておりますので、現在同会議の成功のため、セーフガード、サービスを初め種々の問題につき準備作業が鋭意進められておるところでございます。 それから、国連包括交渉については、サミットにおいてわが国を初めとしたアメリカへの働きかけが効果を奏しまして、きわめて前向きな宣言が採択されました。その後、GN発足に関する国連決議のサミット七カ国案が合意されておるわけでございまして、このような成果を踏まえて現在国連等において協議をしておるところでございます。 また、経済再活性化に資するべく、科学技術と雇用に関する作業部会の設置が、これは特に鈴木首相の主張のもとに決定された次第でございまして、同作業部会が今後検討すべき課題としては、先端技術の国際的な共同研究とその成果の交流、開発途上国への技術移転、技術革新と雇用あるいは文化との関係等、多々あると考えられておりますが、具体的な作業は近々開始される見込みでございますし、本年末をめどにしておるような次第でございます。 以上のように、主要点について現在、現実にそれが具体化のために各国の行動がとられておるということを申し上げ、またわが国としてもかかるフォローアップについて積極的に参加して、わが国の国際社会における地位にふさわしい貢献を行ってまいりたいと思います。
○浜田委員 その点につきまして重ねて伺いたいのですが、特にいま大臣言われましたように、この技術協力に関する作業部会の設置は鈴木総理が大変力説をして入ったというようにも聞いております。問題は、これを国内においてどういう体制でやっていくかということもあるわけでありまして、こういう問題につきましては、いままでの例ではよく各省の権限争いが始まって、結局どこも焦点をしぼり切れないままなかなか成果が上がらないというような場合も多いわけでありまして、私は、特に今回の経緯にも照らして、外務省が国内的にもしっかりとしたイニシアチブをとって問題をまとめて、効果的にこの作業部会に対応していくことを、私から特に要望をしておきたいと思います。 大変時間が限られておりますので、もう一点伺いたいと思いますが、最近、新聞紙上を大きく騒がせている問題で、いわゆるIBM産業スパイ事件というのがございます。これは私、大変むずかしい問題だと思うわけでありますが、しかも、その処理を誤りますと日米間での大きな政治問題にもなりかねない、そういう可能性をはらんでいると私は思うわけであります。事実の解明はもちろん司法当局による調査にまたなければならないわけでありますけれども、日米の経済関係がこれだけ密接に絡み合ってまいりますと、事のよしあしは別にいたしまして、こういう事態というものは私はこれからも発生する危険性が絶えずあると思うわけであります。したがって、特に今回の処理は双方が感情的な反発をし合うというような形で大きな政治問題化しないように、冷静な対応が必要だと私は思うわけでありますが、外務省としては、本件に対してはどのような対処方針で臨んでおられるのか、お考えを聞かせていただきたいと思います。
○淺尾政府委員 お答えいたします。 いま浜田委員が言われたとおり、われわれとしても、この事件は刑事事件としてあくまでもその法手続に従って処理さるべき事件である、したがって、これを政治問題化して日米関係全般に影響を与えないように冷静に対処していきたいというふうに考えておりますし、アメリカ側も同じような考えであるというふうに承知しております。
○浜田委員 今後の進展については、どのような見通しのもとに臨んでおられるのでしょうか。
○淺尾政府委員 これも、相手側の裁判が始まりました段階でございますので、まだ、どういうふうな進展をするかわかりません。実際上、八月になりますと、サンホセにおいて日立関係の裁判が始まるということでございます。それ以上については、われわれとしてもちろん日々の進展について重大な関心を持っておりますけれども、具体的にどのような方向にどういうふうに行くかということ、これは一義的に相手側の裁判所の決定ということが一番大きな要素でないかと思います。
○浜田委員 当事者同士にゆだねるということでなくて、ひとつ先ほど申し上げましたような観点で外務省の十分な指導、対処というものを特にお願いをしておきたいと思います。 最後にもう一点伺いますが、日韓関係で対韓経済協力がどういうふうになるかということで最近大きな動きがあるわけですが、私、まずこの日韓経済協力の問題が余りまとまらないで長期化していくということは、日韓関係全体から見まして大変望ましいものではない、できるだけ早期に解決をしていただきたいと思うわけでありますが、ただ、どうも最近の議論とかやりとりの推移を見ておりますと、日韓関係のすべてがこの経済協力関係に集約されてしまっているような感を持たざるを得ないわけであります。もちろん、この経済協力関係というのは、いま申し上げましたように慎重に、かつ早急に処理をしていただきたいと思うわけでありますが、日韓の関係を考えていく場合に、それ以外の分野にも重要なことはたくさんあるはずであります。したがって、私は、この経済協力関係だけがすべてだということでなくて、日韓関係全体について外交努力というものは絶えず行われていなければならないはずだと思うわけでありますが、外務省、こういう点につきまして具体的にどういうような進め方をしているのか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
○木内政府委員 浜田委員御指摘のとおり、経済協力問題が難航いたしておりますために、文化交流でありますとか人的な面での交流等々がきわめて消極的になっておるのが現状でございます。 しかしながら、先般李範錫外務部長官が訪日いたしましたとき、櫻内外務大臣ともまさに御指摘の経済協力だけにとらわれて日韓関係が停滞するということでは遺憾であるということでは意見の一致を見られておるわけでございまして、幅広く進めなければならないという認識におきましては共通したものがあるわけでございます。したがいまして、できるだけ早く経協問題を決着いたしまして、浜田委員御指摘の広範なベースによる協力関係を進めたいというふうに考えておるわけでございます。
○浜田委員 李範錫外相が七日までおられたわけでありますけれども、この間にいまいろいろ議論をしたということでありますが、具体的な話し合いの中身、具体的にどういうことを話し合われているのか。それともう一つ、経済協力問題について、外相の訪日中の話によってどの程度の見通しがついたのか、そのことを最後にお聞かせいただきたいと思います。
○木内政府委員 経済協力問題につきましては、四月の末に柳谷外務審議官が韓国側に提示しました日本側の考え方に基づきまして意見を交換いたしたわけでございます。 これに対しまして韓国側は、御承知のとおりODAの部分がもっと伸びないか、すなわち、その結果条件がより有利なものにならないかということと、もう一つは、商品借款を強く希望する旨、今回も言われたわけでございます。 この両点につきましては非常にむずかしいということを外務大臣から先方に伝えたわけでございます。したがいまして、こういった基本的なわが方の対応を変えることなく微調整で双方の妥協が見出されるかどうかということが今後の焦点に相なるのではないかと思っております。 このほか、先ほど触れましたとおり経済協力以外の分野での協力関係を進めること、ほかの分野での実務者同士の意見交換を進めるというようなことが論議された次第でございます。
○浜田委員 どうもありがとうございました。これで、私の時間は来たようでありますから、終わります。
○中山委員長 土井たか子君。
○土井委員 前々回の当外務委員会で、軍縮に対する具体的な取り決めを国際的にするということがわが国に問われている大変重要な課題であるということを申し上げまして、外務大臣もそのとおりであるというお答えをいただいたわけです。 わが党は、党の立場といたしましては残念ながら政府・自民党と違いまして、安全性の点から申しましてもわが国に原子力発電所の建設をすることについて賛成はいたしかねるのですが、ただ現在、日本についてもそうでありますが、全世界見てまいりますと、原子力発電所が設置されております数が相当数に上るわけであります。日本の場合は、一九八〇年末現在で稼働いたしております運転中の発電所が二十三基、そして建設中が十一基ということでございますし、全世界を見てまいりますと、アメリカを初めといたしましてフランス、ソビエト、西ドイツ、イギリス、スウェーデン、カナダ等々、数の多いところも含めて運転中が二百六十六基、そして建設中が二百四十三基という数に上るわけです。 そういうことを考えてまいりますと、具体的な提案として、わが党はいかなる場合でも原子力発電所並びに関連施設を通常兵器による攻撃目標——もちろん核兵器による攻撃目標というのは当然のことながら認められないわけでありますが、通常兵器による攻撃目標対象にしてはならないという取り決めをすべきだということを提起いたしました。外務省はそれに対して、そのとおりに外務省もお考えになるという御答弁をいただいているのですが、もう一度確かめさせていただきますが、それはそのとおりに考えておいていいわけですね。いかがですか。
○門田(省)政府委員 お答え申し上げます。 第二回軍縮特総におきます鈴木総理の演説の中でも、平和目的のための原子力施設の安全保障を行う必要がある、このことを強調されまして、このための国際協力を求め、さらに日本としてもこの方向で協力をするということを述べておるのでございます。 ただいま土井委員から仰せがございました原子力発電所あるいはその関連施設、加工工場とか再処理工場、このような施設に対する攻撃があってはならないという点は総理の演説の中にも含まれていることでございまして、前回この場で御説明申し上げましたように、私どもといたしましてもこのような国際協力が具体的な形で行われるように、特にジュネーブの軍縮委員会のような場において具体的な措置が進められるように努力してまいりたいということを申し上げましたが、その考え方には変わりはございません。
○土井委員 考え方には変わりはないということと、具体的な措置をそれに対して講ずる努力をしたいという意味を含めての御答弁をいまいただいたのですが、具体的な努力とおっしゃるのは、ジュネーブにおいて、また国連の場において日本としたらどういう方向でお進めになるのですか、どういうことを具体的方策としてお考えになっておるのですか。
○門田(省)政府委員 平和的目的のための原子力施設に対しては攻撃を加えてはならないという国際的な合意をつくり上げるということでございます。
○土井委員 国際的合意というのにもいろいろあって、条約の形にするとか、それから協定でそれを具体的に決める協定をつくるとかという方策がございますね。その辺はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
○門田(省)政府委員 ただいま土井委員が仰せられましたような取り決めあるいは条約ということを目指して努力してまいるということでございます。
○土井委員 そうすると、これは具体的に言うと、原子力発電所並びに関連施設を攻撃目標対象にしないということの中身を持った条約というものをはっきりした形でつくるべく日本としては努力していく、こういうかっこうになるのですね。
○門田(省)政府委員 いま仰せられたとおりでございまして、ジュネーブの場におきまして日本と同じような考えを持っている国と協力してそういう国際的な合意、つまり取り決めあるいは条約づくりということに努力してまいる、こういうことでございます。
○土井委員 条約、結構です。これは軍縮がまず大切であって、戦争になってしまえば何をしてもそれはもう取り返しがつかないということになりますけれども、しかし、紛争やそれから武力行使というのが予想される世界の情勢の中では、この原子力発電所並びに関連施設に対してこれを攻撃目標対象にしてはならない、いかなる場合でもしてはならないということを具体的に取り決める条約の存在意義というのは非常に大きいと私たちは思います。そのことを外務省として努力なさることに対して、側面からわが党も、そういう意味をもちまして、協力、支援を惜しまないということを申し上げたいと思います。(発言する者あり) さて、次に——よろしゅうございますか。
○中山委員長 質問者に申し上げたいと思います。 三党からいま、休憩して理事会を開いてほしいという要求が参っておりますが——速記をとめてください。 〔速記中止〕
○中山委員長 それでは速記を起こしてください。 暫時休憩いたします。 午後一時四十二分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕