外務委員会 第14号
- 発言数
- 246 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1982/05/13
会議録
○中山委員長 これより会議を開きます。 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とオーストラリア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野間友一君。
○野間委員 きのうに引き続きまして若干質問を続けさせていただきたいと思います。 きょうお聞きしたいのは、核兵器の全面禁止と、それから原子力の平和的利用との問題についてでありますが、御案内のとおりの核防条約、現状の核拡散の防止について考えてみますと、この条約のもとでアメリカとかソ連など、いわゆる核保有国自身が一方では核兵器の製造を無制限にいま進めておるわけですね。軍事用の再処理工場によってプルトニウムの生産は大規模にいま進めながら、他方では非核保有国が核兵器を持ってはならぬということから、非核保有国における原子力の平和的利用、このものにすら特別の制限を課そうということなので、これ自体が一つの矛盾ではなかろうかと私は思うわけであります。 そういう点から考えてみまして、この協定を見てみますと、前文でいま申し上げた意味での核兵器の保有国の保有を容認する核防条約、これが何らかの条件もうけずに全面的に入れられ支持されていることは私は問題だと考えますが、その点について政府の考え方を宮澤外務大臣代理にお伺いしたいと思います。
○宮澤国務大臣 この問題はNPT条約を御審議願いましたときにも当委員会においていろいろ御議論のあったところでございますが、結局、核保有国自身もいろいろな意味で自制をしなければならないということは当然でありまして、この条約がそれについて直接何かを定めておりませんでも、核保有国自身として核保有国の間において核兵器のいわば使用、製造、実験等について自粛をしていかなければならないという、そういう務めを持っておるというふうに私は考えておるわけであります。 ただ、それはまた道徳的な務めばかりではありませんで、すでに現在核兵器そのものがいわゆるオーバーキルの状態になっておるということはすべての人が知っておるわけでございますし、しかもそれらの国が財政的にもいろいろな意味で容易な状況でない、これ以上オーバーキルになるという、そのために膨大な財政支出をすることがいいかどうかということは、おのおのの国が自分で考えてみて確かに問題だと思っているに違いないわけでございますから、そういう状況から考えましても、核保有国の間で核兵器の縮減についての動きが出てくるべきものであると考えておりまして、また現実にそのような動きが米ソ間にもありますことは御承知のとおりであります。
○野間委員 宮津さんの願望というか願いはともかくとして、現実を見てみた場合も、いまの条約のもとで核軍縮どころか核拡散がうんと進んでおるというのが実態ではなかろうかと思うのですね。したがって、事原子力の平和的利用というこの条約の中に核防条約そのものを入れるということが果たして妥当かどうか。確かに核防条約は一方では不拡散、つまり、非核保有国に対する拡散をチェックしていくという側面は確かにあろうかと思います。ただ、同時に逆の意味におきまして、いま申し上げたように核の保有国の保有そのものを合理化するということになるわけで、そういうものをこの条約の中に入れることがどうなのかという点からのお尋ねをしておるわけでありますけれども、私はこれは入れることの必然性はないというふうに思うのですね。いままでの原子力協定の中で核防条約を入れたのは恐らくこれが初めてじゃなかろうかと思うわけでありますけれども、その点について再度御答弁いただきたいと思います。
○都甲政府委員 お答え申し上げます。 御承知のように、核不拡散条約は核不拡散という見地から最も基本的な条約でございまして、確かに先生御指摘のように、核保有国と非保有国との間の不均衡ということは問題になるわけでございますけれども、NPT条約自身が第六条におきまして各締約国の核軍縮のための交渉を行うことを義務づけておりますし、またその面での努力も行われているということは外務大臣代理より御指摘のあったとおりでございます。特に、この新たな日豪の原子力協定がインドの核爆発を契機とした核不拡散体制の強化という背景を反映した協定となっておりますので、そういう意味から、この核不拡散条約という核不拡散の見地からの最も基本的な条約をここに引用して、ここで言う核兵器その他の核爆発装置の利用を禁止するという目的を新たにこの日豪の原子力協定の中においても具現する、これを明確にするということはそれなりに意義のあることであると私は思いますので、そういう見地から、核不拡散の目的を明示するという意味でも前文にこれが取り入れられたという経緯があるわけでございます。
○野間委員 六条ですか、確かにありますけれども、これはまさに訓示規定、精神規定であって、これそのものが拘束力を持つわけではないのですね。そういう点の位置づけをやはりきちっとしなければならないというように思うわけです。 それでは実態はどうなのか、この条約が締結された後いまの軍縮あるいは軍拡についての実態はどうなのかということでありますけれども、御案内のとおり大変なエスカレートぶりでありまして、核軍縮が進むどころかむしろ逆に軍拡が進んでおる。いま具体的に、限定核戦争すらあり得るというようなことを昨年度レーガンが二回も公言するというところまで進んでおるわけですね。ですから、六条の問題をいま言われましたが、再度お尋ねしたいことはそれでは現状はどうなのかということでありますけれども、私がいま申し上げたように現状は核軍縮でなくて核軍拡が進んでおるというふうに見ざるを得ないと思うのですけれども、その点についての認識をお尋ねしたいと思います。
○宮澤国務大臣 六条が訓示規定であるという意味のことをおっしゃいました。それはあるいはそうであるかもしれません。しかし、この締約国が軍縮への努力を約束しているということもまた事実でございます。そうしますと、問題はそういう超大国同士の軍縮というものが果たしてできるのかできないのか。これは主権国に対して罰則を条約で加えるわけにもまいりませんから、そういうことになるかならないかということは結局客観情勢から見て、先ほど申しましたように、オーバーキルになっているものを大変な財政負担をしながらなお続けていくことがそれらの国にとって耐えられることであるのか、賢明なことであるのかということについての反省と申しますか検討が行われて、そしてその結果、曲がりなりにも米ソの間でああいう努力が行われている。ですから、条約で決めたからこうなるというようなことよりは、むしろそれ自身の持っている問題の中からそういう交渉が行われなければならないような状況に、簡単になるとは申しませんけれども、なる要因があると見ておるわけでございます。
○野間委員 私の質問に直接お答えがなかったわけですけれども、しかし大臣、実際は核軍縮どころか核軍拡が進んでおるのが実態なのですよ。だから、そういうものをわざわざこの原子力協定の中に入れる必然性はどこにあるのかという点から私は疑問を呈しておるわけです。実態から見てもそうであるし、逆に条約そのものが核保有国の核独占ということになっておるわけで、そういうものを平和的利用を目的としたこの協定の中に入れるのはちょっとおかしいのではないかというふうに私は思っておるわけであります。 そこでお聞きしたいのは、この原子力協定の中に核防条約を入れるべきだということを言い出したのはわが国なのか、あるいはオーストラリアなのかです。これは経緯としてどうなのでしょう。
○宇川政府委員 お答えいたします。 経緯的には豪州が最初に言い出しております。これは昨日から申し上げておりますように、豪州としてはNPTの加盟国との関係をつくりたい、要するに、非核保有国に対してはNPT加盟を条件として協力関係に立ちたいということでございまして、あわせまして、この前文に書いてあるような理想ないし政策目標の追求というのはわが国にとっても一つの政策目標であり、その意味で前文に記載した経緯がございます。
○野間委員 少なくとも平和的利用に関する協定でありますから、いろいろ問題のあるものを入れるよりも、平和的利用そのものの究極というのは核兵器の全面禁止ということですから、核兵器の全面禁止にお互いに努力しようということを入れるならともかくとしてというふうに思うのは当然だと思うのですね。そういう決意こそこの協定の中に必要ではなかったか。そうでなければ、これはまた繰り返しになりますけれども、核兵器の全面禁止よりも核保有国の核独占を肯定するようなことをこの中に入れ込むということにならざるを得ない、こう私は思うわけであります。その点について、私が申し上げておるようなことがなぜこの中に入れられないのか、特に、ただ一つの被爆国としての私たちは大変な経験を持っておるわけですから、核兵器の全面禁止に向けてということをなぜ入れられなかったのか、お伺いしたいと思 います。
○宇川政府委員 お答えいたします。 この条約は、原子力の平和利用の関係を日豪関係で築くという基本目的を持ったものでございまして、必ずしも核軍縮を目的とする条約ではないということがこの前文に反映されているというふうに理解いたしております。
○野間委員 どうも納得できませんが、時間がありませんので次に進みます。 軍縮については、軍縮委の中で政府としてどういう演説なり提起をされるのか、これはまた別の機会にお伺いするとして、私が先ほどから申し上げておるようなことを突き詰めていきますと、核兵器の全面禁止ということを世界の場に向かって本当に日本が強く働きかけるということが何よりも必要であり、そういうような姿勢がこの協定の中になぜ出なかったのかという点からの質問をしておるわけでありますけれども、少なくとも国際的なさまざまな機会を通じて、全面禁止のためにとりあえずは核保有国の核兵器使用禁止の協定の実現に向かって日本国は努力すべきであると思いますし、同時に非核兵器国への使用禁止協定、これも実現できるように日本は積極的に努力すべきであるというふうに私は考えておりますが、その点についていかがでしょうか。
○遠藤説明員 軍縮問題を担当しておりますので、私からお答え申し上げます。 いま先生御指摘の、核兵器の究極的な全面廃絶ということにつきましては、今後の軍縮委員会において、やはり日本の特殊事情にもかんがみまして、最優先事項として取り上げてまいりたいと思っております。 それから、非核兵器国に対するいわゆる安全保障につきましては、ジュネーブの軍縮委員会において目下検討しており、日本はそのような方向に向かって努力しているところでございます。
○野間委員 宮澤大臣、同じ質問に対してお答えください。
○宮澤国務大臣 ただいまお答えをしたとおりと思いますが、つまり、核兵器保有国自身の軍縮については先ほどからるる申し上げたとおり、私は現状の中に永久にその拡大が続いていくと考えなくてもいいような要因があるというふうに、簡単ではありませんけれども、そういうふうに考えておりますから、そういう意味で、米ソ等の交渉が行われようとしているんだという考え方をしております。 それから、持っていない国、非核保有国に対する安全につきましては、ジュネーブの会議等でいろいろな議論が行われておりますことは、ただいま御説明したとおりであります。
○野間委員 時間がありませんので別の機会にしますけれども、いまのお話を聞いてみますと、何か軍縮、そういう機会と申しますか、将来あり得るという期待を持っておられるようですけれども、それまでは何か軍拡を進めざるを得ないというふうに、反面的にいまの答弁の中から出てくるのじゃないかと私は思いましたけれども、それはまた別の機会にいたします。 最後に、この協定について、ですから軍事的な利用については核保有国の独占があり、また同時に、平和的利用におきましても、チェックされて、それすら核保有国の核独占、これがいまの現状の中で出ておるのじゃないか。この協定を見ましても、さまざまな形で日本の原子力政策、エネルギー政策そのものに対する規制がかけられまして、自立あるいは自主、そういう点からして、いろいろ問題を含んでおる協定だというふうに言わざるを得ないと私は思うのです。 その点について最後に申し上げて、時間が参りましたので私の質問を終わりたいと思います。
○中山委員長 土井たか子君。
○土井委員 まず、お尋ねを進めたいと思いますが、一九八一年の六月の七日にイラクの原子炉爆撃事件について第二十五回のIAEA総会におけるイスラエル非難決議に日本が棄権しているのですけれども、これは棄権した理由は那辺にあるのですか。
○宇川政府委員 お答えいたします。 この際の総会の決議の中核をなしましたのは、イスラエルが今後一年間に安保理事会決議で示唆されておったような特定の条件を実現しない場合には、ということは、IAEAのフルスコープの保障措置を受け入れるということでございますが、そういう事態に至る場合には、IAEAとしてはイスラエルの参加国としての地位を停止する、言いかえれば、追放することなども含めて審議するべきであるという決議でございました。 わが国が棄権いたしましたのは、IAEAというのは、技術的な性格を持った、かつ加盟国としては普遍性を持つべき機関であるという観点から、イスラエルの追放に直ちにつながるようなことが、今後のイスラエルの同種の行動をコントロールする上で一番いい手段なのかどうか、若干行き過ぎではないかということから棄権いたしております。ただし、この際日本としては、イスラエルのイラクの原子炉攻撃の事実というものは強く非難されるべきであるという立場を明らかにした上で棄権した次第でございます。
○土井委員 何だかわかったようなわからぬような御答弁なんですが、要するに、アメリカがどういう態度をとるかということを非常に気にしてそうしたのでしょう。これは、いまの御答弁からすると、誠実にIAEAという立場というものを日本としては考えたがごとくの御答弁でありますが、むしろ政治的配慮が先立つ取り扱いじゃなかったのですか。
○宇川政府委員 お答えいたします。 この点については、日本はその前にございました理事会の決議の際にも、こちらには賛成いたしておりますけれども、その際も、イスラエルの加盟国としての権利義務停止については問題があろうという投票理由を説明した上で賛成いたしております。したがいまして、終始そういう態度をとっておったということで、アメリカの注文とか顔色を考えて行動したわけではございません。 なお、この際、日本のみならず主要西欧諸国はすべて棄権をいたしております。
○土井委員 棄権をすることがあたかも名誉であるがごとき態度でいま御答弁なんですが、これはちょっと考えものだと思うのですよ。 いま五核保有国の中で、中国を除きまして、最初の核実験をすべてプルトニウム原爆で実施してきたという経過がありますね。一九七四年のインドの核爆発もプルトニウムの使用なんですね。核兵器開発の初期の段階では、原子炉の運転によって生産、再処理されるプルトニウムの軍事利用というものは容易であるということが意味されているわけなんですが、使用済みの核燃料から抽出するプルトニウムを核兵器に利用する場合に、プルトニウム239の含有率をさほど厳密に考慮する必要はないというふうに言われておりますが、これに対してどういうふうに考えていらっしゃいますか。
○宇川政府委員 お答えいたします。 私の理解では、御指摘のとおり、完全に純粋なプルトニウムである必要はないというふうに理解いたします。
○土井委員 そうすると、そこでこれからだんだん問題になってくるのは、将来開発途上国に対して日本が技術提供国となった場合、核拡散を規制することに対して、日本としてはどういう考え方を持ってこれに臨むのか、原子力開発協力のあり方について問われる問題が非常にこれから出てくると思うのですね。これに対していろいろ核拡散防止のための世界的に構築をされているシステムがあるはずでありますが、それについてどのように御理解なすっていらっしゃいますか。
○宇川政府委員 お答えいたします。 私どもとしては、仮に日本が輸出国の立場に立つ場合においては、相手国に提供いたします資材が平和目的のみに利用されることを確保してかかる必要があるというふうに考えております。したがいまして、現在そういう体制をとっておるわけでございますし、それから国際的にもロンドン・ガイドラインということが決められておりまして、私ども自身としてもこのガイドラインを尊重して、したがって、平和目的に限定されることを確認した上でその機材を輸出するというのが政策方向であるということをIAEAに対して通告いたしております。
○土井委員 いまおっしゃっているのは形式的な取り扱いの手続なんです。一つ一つ問題を取り上げていくと、現実の問題はもっと深刻じゃないですか。これは枚挙にいとまがないと思いますね。 一つの例だけを言うと、イラクの場合を挙げましょう。一九八〇年十一月に、IAEA機関によるオシラック核施設の査察をイランとの交戦中ということを理由に拒否していますね。二月には故障を理由に査察を回避していますね。そうなってくると、手続上は幾らちゃんとした手順を踏んでいますとか、日本としてはちゃんとそれを守っていますと言われても、現行の査察や監視体制というのは第三世界、開発途上国に対して核の接近というものを防止することのためには機能しなくなっているということをやはり考えなければならない側面がずんずん出てきていると言わざるを得ないのですよ。いまおっしゃいましたIAEAのガイドラインというのはどんなことを決めているのですか。内容はどんなことが問題になっているのですか。そしていま私が申し上げたことに対して機能しますか。どうです。
○宇川政府委員 お答えいたします。 IAEAのガイドラインと言われましたが、ロンドン・ガイドラインに対する御質問だと思います。あるいはいまイラクについては査察の話をされましたので、どちらに対する御質問だったのか実はよく理解できなかったのですが、両方お答えいたします。 まず最初にIAEAの査察体制でございますが、これはIAEAとの、取り決めに基づきまして査察が行われることになっておる施設に対しては、査察を行うことによって関連の核物質等がその他の平和目的以外の目的に転用されないというための査察を行っているものでございます。 イラクの場合には特定の理由で査察を回避したのではないかという御指摘でございましたが、IAEA当局によればその時点においての査察は必ずしも必要でなかった。つまりその炉が必ずしも機能する状況にはなく、かついろいろ燃料等が、その場合に装てんあるいは操業の段階では必ずしもなかった。かつIAEAがその時点までにおいて行っておりました査察結果、それから輸出国から——この場合フランスでございますが、提供されておる材料の所在その他が確認できておったので、その時点においての査察は必ずしも必要がなかったということをIAEA当局自身は説明いたしております。 ロンドン・ガイドラインは核物質等を非核兵器国に平和目的のために輸出する際に適用すべきガイドラインを決めたものでございまして、輸出をする際に関係核物質等につきまして防護の処置がとられること、IAEAの査察があること、それから不用意に核拡散の危険があるような資材、技術を輸出することを行わないということを申し合わせたものでございます。
○土井委員 そういうことで、IAEAの方がイラクに対しては当時必ずしも査察をする必要がないという、それに対する説明を日本とすれば承認されているのですか。それはそのとおりだとお思いになっていらっしゃるわけですね。
○宇川政府委員 当時のイラクの査察につきましては、IAEAの当時の事務局長が、国連の場及びIAEAの理事会に対して、IAEAとしては現在の査察体制で十分であり、かつ軍用目的に資材等が転用されたという事態は認められないということを正式に報告いたしております。私どもとしてはその観点から、IAEAの査察体制のあり方から勘案しまして、この報告が正しいと考えております。
○土井委員 いま答弁の中に言われましたIAEAのガイドラインとロンドン・クラブのガイドラインを、ひとつこれを、文書を提出してください。よろしいですか。これは早期に出していただく必要があると思いますよ、できる限り早く、それはよろしいですね。
○宇川政府委員 提出の手はずを直ちにとります。
○土井委員 要は、この軍事利用についてそれができない方向でどれだけ具体的にチェックできるかという問題。核兵器の拡散に対して、つまり防止するという対策をどれだけ具体化できるかという問題が、今回のこの日豪原子力協定の中でも基本問題の一つとして問われているわけなんですけれども、そこでちょっとお尋ねを進めてみたいのです。 核兵器の使用またその使用による威嚇、これはもうしょっちゅう問題になるのですけれども、これは核軍縮が達成されるまでの間は禁止されるべきであるという一般的考え方にはもちろん賛成されると思いますが、この考え方はどうですか。
○遠藤説明員 お答え申し上げます。 そのとおりだと思います。
○土井委員 宮澤外務大臣代理も、それは当然にそのようにお考えになりますね。
○宮澤国務大臣 そのとおりと思います。
○土井委員 いままで国連の場で問題にされてきた中身を見ますと、核兵器の使用は国際連合憲章違反であるということを、日本もこれは当時その中身に対して賛意を表されているわけでありますけれども、核兵器使用というのはそれは国際連合憲章違反になるのですか。
○都甲政府委員 国際連合憲章上は武力の行使及び武力による威嚇はもちろん禁止されているわけでございますけれども、ただ自衛権の行使等の場合に例外が認められている構成になっております。 それから、特定の兵器がどのように禁止されているかということは、これはまたいろいろな条約その他によって規制がかけられているわけでございまして、今回国会で御審議いただく条約の中にも、特定の条約において特定の種類の兵器を禁止するということがその対象となっているわけでございます。そういう観点からいたしまして、実定法上核兵器そのものが禁止されているということは、現在の国際法上からは断定できかねるということではないかと考えております。
○土井委員 いまの御答弁はちょっとおもしろいなと私思って聞いたのです。というのは、これは一九六一年十一月二十四日の「核及び熱核兵器の使用の禁止に関する宣言」に日本は賛成したのですが、そのときの宣言の文章を見ますと「核及び熱核兵器の使用は、国際連合の精神、字義及び目的に反するものであり、したがって、国際連合憲章の直接の違反である。」と書いてあるのですよ。日本としては国際連合憲章の直接の違反だということをお認めになっているのですが。
○都甲政府委員 当時の経緯を必ずしも私つまびらかにいたしませんけれども、先ほど御説明申し上げましたように、実定法上核兵器が国際条約その他によって禁止されているかということにつきましては、実定法上これが禁止されているという断定を下すのは困難であろうということであろうと思います。道義上核兵器の使用が好ましくないということは、国連憲章の精神その他から出てくることは当然でございまして、私もこの場で当時の具体的なその決議につきましての日本政府のとった態度の理由の背景を申し上げること、資料を持ち合わせてないわけでございますけれども、一般的にはそのような道義的な態度を表明したものではないかと考えております。
○土井委員 しかし、これを素直に読めば、そういうふうには読めないのです。いまおっしゃったのは、それは外務省からのコメントであると私は受けとめますけれども、しかし、それはこの決議の中身を見れば、素直に読んだ場合にはそうならないのです。 それで再度お尋ねをしますけれども、国際連合憲章の直接の違反であるということに対しては、いま何やらもやもやとわけのわからぬ御答弁をされたのですが、つまり直接の違反というのはむずかしいような御答弁になっているのですね。明記の規定があるのかないのか、その辺がひっかかってくる問題であろうと思いますが、つまり国際連合憲章の明記の規定は、核及び熱核兵器の使用に対して禁止しているというわけではない、こういうふうにおっしゃるわけですか、どうなんです。それに関連する国連憲章の条文というのはあるんですか、ないんですか。
○都甲政府委員 先生の御指摘のように、核兵器、熱核兵器の使用を禁止するという明示的な条文が盛られているというふうには考えられないと思います。
○土井委員 そうすると、いま先ほど道義的な責任とかなんとかおっしゃったようですけれども、国連憲章からいうと、そうすると本来は核兵器というのは使用してよろしいという前提に立って国連憲章というのはあるというふうに読めるんですか、しかし道義的に考えてそれはちょっとやめておこう、こういうことになる、こういう関係なんですか。
○都甲政府委員 先ほども御説明したことの繰り返しになるかもしれませんけれども、国連憲章は、武力の行使及び武力による威嚇を禁止しているわけでございます。そういう観点から、他方憲章の五十一条におきまして自衛権の行使ということが認められているという一般的な構成になっておりまして、その武力の行使をいかなる手段をもって行うか、あるいはこれをいかなる態様によって行うかということについては、関係国間で種々の条約その他の取り決めによって、これを実定法化していくという努力が従来も行われておりますし、生物兵器、化学兵器等の分野あるいは特定通常兵器等の分野でこのような実定法化する試みが行われているわけでございますので、特定の兵器を禁止するというようなことにつきましては、各国のさまざまな利害が錯綜するということもございますし、その当時の戦略的な見地からの配慮も加えなければいけないということで、やはり各国の慎重な合意をもとにした実定法化の努力が重ねられているわけでございますので、これは別の分野での努力にまつべきものである、こういうふうに考えられるわけでございます。
○土井委員 それはさっき答弁なさったんですよね。 国連憲章の中で、そうすると関係するところは、いま御答弁を聞いておりますと五十一条のところで、自衛権の行使ということであるならば、核兵器の使用というのはある、こういう意味の御答弁だったのです。各国各様にそれに対する取り扱いというのは、その各国の見解に従って実定法化されるということがその問題についてはある、こういう趣旨の御答弁だと思うのですが、そのほかの条約とかほかの国内法の問題はいいですよ。この国連憲章からいうと、いま御答弁を聞いていたら、五十一条の条文からして、自衛権の行使ということでならば、核兵器を使ってはならないということにならない、そういうことなんでしょう。どうなんですか。
○都甲政府委員 憲章五十一条は、国際法上認められている自衛権の行使ということを確認しているわけでございまして、その態様あるいは手段等につきましては、特に言及していないということであろうと思います。
○中山委員長 土井委員に申し上げたいと思いますが、外務大臣臨時代理が議運の理事会御出席がございますので、もうぼつぼつ時間でございますので、その辺御了解いただきたいと思います。
○土井委員 わかりました。そうすると、あと五分ぐらい無理ですか。ちょっと宮澤外務大臣代理にお尋ね——無理ですか。
○中山委員長 御退席願う時間が来ておりますので、ひとつ御了解を……。
○土井委員 では、あとは政務次官にひとつ政治的な判断を含めての大事な部分の御答弁をお願いすることにいたします。 そうすると、国連憲章の五十一条からすると、いま自衛権の行使のためなら核兵器を使うということを禁止していないという前提が御答弁ではっきりしているわけですから、日本の立場からすると、これは日本国憲法でどういうふうにそれを決めているかという問題がどうしても関連として問題になってまいります。憲法第九条からいうと、自衛権の行使のためならば核兵器を使用するということもできるという関連になるのですか、どうなんですか。
○都甲政府委員 憲法九条は、武力の行使を禁止しておりますけれども、これは自衛権の場合には当然に武力の行使もあり得るという前提に立っておりまして、その自衛権の要件に該当する限りにおいて核兵器そのものの使用は禁止していない、憲法上からは禁止されていないというふうに考えられていると思います。
○土井委員 なるほど。憲法第九条についての認識はそういうふうに考えているわけですね。ところが日本としては、核兵器は使用しないということを決めているのじゃないですか。核兵器は持たないということを決めているのじゃないですか。何によってそれはそうなっているのですか。
○都甲政府委員 憲法の条文上、それが条文に照らしまして自衛権が認められているという見地に立ちますれば、自衛権の行使の必要上やむを得ない場合に核兵器の使用ということは憲法上は認められるということはあり得ると思うのでございますが、政府がわが国の特殊な背景及び憲法の立つ平和主義の観点から、政策として核兵器そのものをつくらない、持たない、持ち込ませないという政策をとることは、また別の見地からのものであろうと考えます。
○土井委員 なるほどね。そうすると、日本としては、憲法第九条の条文の上からいうと、自衛権行使のためならば核兵器の使用もできるということが解釈上言えるにもかかわらず、それを事実上は否定しているのは、いまおっしゃったとおり、政策としてあるところの非核三原則によるものである、こうなるわけなんですね。政務次官にちょっとお尋ねします。いままでそういうことなのか。
○辻政府委員 ただいま政府委員からお答えしたとおりでございます。
○土井委員 私お尋ねすると、事務官僚側からの答弁がまずあって、それに対して政務次官が、ただいまお答えしたとおりだということの繰り返しをおやりになるにすぎないようになってくるような感じがします、あと大事な問題についても。それじゃ何のために私質問しているか、わけがわからぬですよ。宮澤大臣代理がお帰りになるまで、私待たしていただきます。
○辻政府委員 私からお答えさせていただきます。 ただいま憲法の九条は、国際紛争の解決の手段としては武力の行使をしないということを決めておりまして、自衛の場合に必要な武力の行使はあり得るということだと理解をしております。その武力の行使の中にどういう兵器が入るのか、そういうことにつきましては、憲法自体は触れておらないということに理解をいたしておるわけでございます。 そしてまた、日本がなぜ非核三原則を持っておるかということは、基本的な政府の方針として長く堅持をしてまいりました問題でございまして、歴史的な経過からいいますと、日本が唯一の被爆経験国であるということを踏まえて、核兵器の将来における全世界における軍縮ないし廃絶を願って行動しておる、考えておるということを踏まえて非核三原則というものができておると理解をいたしております。
○土井委員 その解説はいいのです。憲法九条についての条文解釈、解説は結構、非核三原則に関する解説も結構です。それで政務次官の意気やよしとしなければならない。ところがその関係からして、結論は、したがって日本は核兵器を持ち得ないし、使わないということになっているのだといういきさつについての先ほどからのやりとりなんですよ。よろしゅうございますか。したがって第九条からすると、いま政務次官が言われるとおりに、自衛のための行使として核兵器の使用というものを憲法の第九条自身は禁じていないと政務次官はいまの御答弁からすると理解をされているのだけれども、政府の基本政策と政府側は言われるのだけれども、いまの御答弁からすると基本原則と言われた、それはいままでも守ってきたし、未来永劫にということもおっしゃったようでありますが、そういう立場があるために、これは核兵器の使用を自衛権の行使といえどもしないということに相なっているという関連性がありますねと、先ほどからそこまで確認したのです。それでこの確認をしたところまで来ているのに、また政務次官は憲法第九条、さらに非核三原則についてのそれぞれの説明からもう一度やり直しをいま御丁寧になさったわけであります。したがって結論から言うと、しょせん日本としてはそのために自衛権行使のためとはいえども核兵器の使用というものは禁止されている、また核兵器の使用をしないのだということに相なると理解してよろしいですね。どうですか。
○辻政府委員 先ほど申し上げましたように、政府は、核武装しない、核兵器を持たないという基本的な方針を確立いたしておりますので、自衛権の行使といえども核兵器の使用ということはあり得ないと考えております。
○土井委員 そうすると、日本の場合には非核三原則は国是なんですが、いまの御答弁からすると、これがあるがために使用できない、こういうかっこうになっているのですから、これは国連におきましても、核兵器不使用の協定というものを国連で認めれば使わないことになるという関係になると思いますが、どうですか。
○辻政府委員 国連でどういう協定をいたしますか、仮定の問題でお答えするわけにはいかぬと思いますけれども、論理的に言えば、国連全体がそういうことを法律的に決定をすればさような結果になると思います。
○土井委員 国連全体がというのも抽象的な物の言い方をなさるのですが、国連に加盟している国がそれに対して是認するという立場をとらないとそうならないでしょう。その国連に加盟しているわが国は、日本の場合は、先ほどおっしゃったとおりの関連で自衛権行使のためといえども核兵器は使用しない国なんですよ。それを国連の場に移せば、先ほど言われた国連憲章の五十一条では、自衛権の行使のためならば核兵器というものを使用することをあえて禁止していないということではあるけれども、これを禁止しようという国連の決議並びに協定をそこで認めれば、不使用協定に従って認めないという立場に国連はなりますねということを言っているのですが、いかがですか。もう一度言ってください、これは政務次官にお答えいただきます。
○辻政府委員 国連の決定というものが、国連の加盟国を拘束する形の決定が行われればそういう結果になります。
○土井委員 これは非常にやりづらいのですが、決定されればという、その決定するのは一体だれであるかといったら、国連に加盟している国がそういうことに対してどう考えるかという前提がなければそうならない、そうでしょう。だから先ほど来、憲法の条文ではこうだ、しかし日本としては国是としてこういうことを認めているがゆえに自衛権行使のためといえども核兵器の使用は日本としてはしないということを決めているのですよ。これを国連の場に移しましょうよ。そうすると、国連憲章自身は自衛権行使のために核兵器を使ってはならないとまで言い切ってないのです。それは外務省の見解ですよ。そう言い切ってない。条文から言ったら、五十一条の条文をきょうも引き合いに出されてそうおっしゃっているわけです。しかしそうである国連憲章を持っている国連の中で、核兵器は使用しないということを、つまり不使用協定というものを国連で認めるということを国連に加盟している国が提起をして問題にしてそれを具体化すれば、自衛権行使のためといえども核兵器を使用するということは国連の場において認められないというかっこうになりますねと言っているのです。そうでしょう。これはそのとおりだと思いますよ。
○辻政府委員 先生のおっしゃいます国連の決定といいますか、どういう形になりますかわかりませんが、一つの形として、国連憲章で先生のおっしゃったようなことが明記されれば、そういう結果になる、あるいは国連加盟国が条約をつくって条約を批准した場合には、その範囲においてそういう拘束力が出るものだと考えます。
○土井委員 それは当然のことなんですけれども、そうすると、いま、国連憲章がそうなればということをおっしゃったのですが、日本としては国連憲章をそういう方向で変えるという努力をしようと政務次官はおっしゃるのですか。
○辻政府委員 将来において日本の立場として核兵器が廃絶されるようにしたい、少なくとも当面においては核軍縮を最優先として国際社会で努力をしていきたいということを申し上げているわけでございます。それをどの時点において憲章の改正という形で取り扱うことがいいのかということは、世界各国のいろいろな情勢がありますので、言うだけ言えばいいというわけにもいきませんし、諸般の情勢を考えて、そういう機が熟する段階になれば、先生のおっしゃるような行動をすることもあり得ることだと考えます。
○土井委員 それはいつも将来、将来と言っていれば済むような話では実はないのですね。将来に向かって現在ただいま何をどれだけ努力しているかということを言わないと、将来の問題を言う資格は本来ないと私は思っているのです。そういうことからすると、日本としては非核三原則ということがあって、それを国是としているという国情があって、核兵器というものをいかなる理由がありといえども使用しないという国の立場に立っているわけです。したがって、先ほど来、法理的に言うならば国連憲章に向かってどういうふうな認識を持つかという現実の問題がございますけれども、しかしより現実的に言うならば、国連の場で核兵器を使用しないということを提唱する側に立たなければならない、これが法理だと思うのです。これは政務次官どうですか。
○辻政府委員 国連の場においてという場合に、たとえば近く開催されます国連の軍縮総会におきまして、これは政府といたしまして核の軍縮について強い主張をするということを私どもは考えておりますが、具体的にどういう形でありますかにつきましては、目下検討中でございます。
○土井委員 軍縮の方向に向かって——だから先ほど私は最初に質問したのです。核軍縮が達成されるまでの間、核兵器の使用は禁止されるべきであると思うがどうかと言ったら、そのとおりでございますという答弁なんですよ。だから最初にそれを聞いたのです。それでいまは、核軍縮に向けて日本が大変強力な意欲を持って国連でこれを発言したい、訴えたい、努力したい、こうおっしゃるのですね。しかしそれは考慮中だとおっしゃるのです。だけれども、先ほどすでに、考慮中じゃないのですよ、現実にここで御答弁をなすったのです。核軍縮が達成されるまでの間は核兵器の使用は禁止されるべきだというのは、もう当然のことだと思うがどうかと言ったら、そのとおりだと言われたのですよ。どうなんですか。核兵器の使用に対しては禁止するという立場に立つべきでしょう、いまおっしゃったような意欲をもって臨まれるのならば。どうですか。
○辻政府委員 先ほど御答弁申し上げましたのは、基本的な方向として、将来核の廃絶が望ましい、その間においてできるだけ具体的な行動としては、核軍縮を各核保有国が強化することが望ましいということを申し上げたのでございまして、当面の軍縮総会におきまして、そういう方向を踏まえながら具体的にどういう発言をするかということは、当面まだ政府の中で検討中でございますということを申し上げたわけでございます。
○土井委員 政務次官、いま何を聞いていらしたのですかね。作為的にごまかし答弁でも何でもいい、何とか答えさえすればいいということじゃ本当に困りますよ。そうならば、私は宮澤大臣代理がここに出席されるまで待たしてもらいますから。これは時間のむだなんだもの。 もう一度言いますよ。核軍縮が達成されるまでの間、核兵器の使用は禁止さるべきだということは、さっきそのとおりだとおっしゃったのですよ。いまは核軍縮ばかりを政務次官は答弁として問題にされているのだけれども、核軍縮、大いに結構、やらなければいかぬのです。日本は率先してやらなければいかぬ。今度の軍縮総会でもそのことに意欲的に取り組むとおっしゃっているのですが、私は軍縮総会にどうなさるのですかなんて一言半句も聞いていないのです。よろしいですか、軍縮に向けてそれだけやるという意欲がおありになるのなら、最初、核軍縮が達成されるまでの間、核兵器の使用は禁止さるべきだということに日本は賛成すると言われたのだから、核兵器の使用に対しては禁止するという立場で臨むのが理の当然だと思うがどうか、こう言っているのです。よろしゅうございますか。後ろからの声ばかり聞かぬと、こっちの質問を聞いておいて答えてくださいね。わかりましたか。
○辻政府委員 考え方としましては、核兵器の使用が禁止されるべきであるかということに対しましては、私も基本的にそういう考え方でございますということは申し上げましたけれども、現実の国際情勢の中で、しかもそれは各国との理解と協調、コンセンサスを得ながらやらなければできないことでございますので、そういう意味で、具体的に言えばどういうふうな発言をしていくか。これは軍縮総会にも限りませんで、具体的にどういうふうに行動するかということは、目下いろいろ考えながら、適当な時期に適当な方法でやっておりますけれども、当面の軍縮総会における態度につきまして非常な御関心も国民全体にありますので、そのことについては政府部内で検討中でございますということを申し上げたつもりでおります。
○土井委員 当面の国連総会でどういうふうにこれを取り上げるかは、別の機会に十分に論議をするということが、当外務委員会においてございます。よろしゅうございますか。そのときにそれは問題にいたしますが、いま基本姿勢と法理の上から私はお尋ねを進めていったんです。いたずらに、ある目的的な御答弁をなさらぬようにお願いします。私が、ある目的的な質問をしているがごとくに邪推をされたのじゃなかろうかと、私はさっきから思っているのですよ。後ろからごそごそ言う声はそれに違いない。そっちの方にばかり気をとられて、質問している方の声をお聞きになるのがお留守になって、そして相変わらず軍縮、軍縮と言っていれば済むだろうというふうな御答弁のごとくに私はお見受けをいたしまして、まことに残念至極でありますが、要は、そうすると政務次官とされては、核軍縮が達成されるまでの間、核兵器の使用は禁止さるべきであるということに対して、当然のことながら賛意を表されて、そういう基本姿勢をとりつつ、日本としては非核三原則があって、自衛権の行使といえども核兵器は使用できないという立場にある、したがって国連憲章の中で、自衛権の行使のためならば核兵器が使用されることを禁止していない、五十一条という国連憲章の条文があっても、国連の場において核不使用ということを認めれば、それはそのとおりになる、そういうふうに理解してよろしいね。その前提に立って、日本としては非核三原則ということで、自衛権のためといえども核を使用しない、持たない、持ち込ませないという国なんですから、世界に率先して核を使用しないということに向けて国連で提唱すべき、全世界の中の第一人者だと私自身は思うのです。これに対しても、先ほどの大変な御熱意を持っての核軍縮に対する取り組みをお考えになっていらっしゃる政務次官でいらっしゃいますから、御異論のあろうはずはないと思いますが、どうですか。
○辻政府委員 たびたび申し上げますように、国連の場で具体的にどういう発言をするかということにつきましては、そのときの必要に応じまして、政府で協議をしながら決めていくことだと考えております。
○土井委員 必要性とか、現実に対する認識とか、そんなことを私は全然言ってないのですよ。法理としてそうなりますねと尋ねているのに、それは何という答弁ですか。 委員長、もう本当に私は、大臣代理が来られるまで、しばらく待たせていただきます。
○中山委員長 この際、暫時休憩いたします。 午前十一時十六分休憩 ————◇————— 午前十一時三十七分開議
○中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。土井たか子君。
○土井委員 いまの核兵器不使用の問題は、政務次官の御答弁を幾らいただこうといたしましても、私の質問に対して素直にお答えいただくということにはいままで残念ながら相なっておりませんので、少しこの点は留保いたしまして、政務次官にはまことに申しわけないかっこうになるのですけれども、外務大臣代理が御出席されたら、後その点は続行することにいたしておきます。 さて、これは核兵器についての不使用ということでいま少し問題にしてみたのですね。そこで、もう一回もとに戻るのです。さっき私が質問いたしました中身として、日本が開発途上国に対して技術提供国となる場合に、核拡散を規制するということに対してどういう考え方をもって臨むのかということを質問したのですが、それに対する御答弁をいただいてなかったのですね。そのときに、IAEAの保障措置と文書では書いてあったりガイドラインと書いてあったりするのですが、これに対しての取り扱い方がどういうことになっているのかということを、私は再度質問をさせていただきたいと思うのです。もう一回そこのところを説明してください。
○宇川政府委員 お答えいたします。 日本が開発途上国に対して原子力の平和利用の面で協力をするという場合には、概念的に分けて二つの形態が直ちに考えられると思います。 一つは、原子力の平和利用であって核の拡散につながらないような面での協力、言ってみればアイソトープ、それから放射線を利用したような形での農業、食品の照射あるいは医学上の利用といったような形での技術援助の供与ということがございます。この点につきましては、核の拡散につながるというリスクはございませんので、これは方針として進めてまいる。 それから次に出てまいりますのは、必ずしも現在本格化しておるわけではございませんが、原子力発電あるいは原子力の諸施設であって、平和利用につながる一面、用途いかんによっては拡散のリスクを伴うような事態、概念的に申し上げれば、たとえば原子炉を今後日本が輸出をするような場合あるいはそれに関する濃縮とか再処理の技術等を提供するといったような場合が考えられます。 現在、日本は主として部品、資材等を後進国あるいはその他の国に輸出する形になっておりますが、それにつきましては、まずロンドン・ガイドラインにのっとりまして、リスクがあるような資材の輸出については十二分に注意してこれを行っておるということでございますし、将来も日本から出されるものが平和目的に使われるということをはっきり確かめながら政策も運営していくというのが私どもの基本的な考え方でございます。 この場合に先ほど言及いたしましたIAEAの保障措置がかかっているということは一つの大きな支えになり得ると考えます。なぜかといえば、IAEAの保障措置というのは、国際機関であるIAEAとIAEAの保障措置を受け入れます国との約束によりまして特定の原子力関連施設についてIAEAの査察を受け入れる。したがって、その査察が行われている施設につきましては、平和目的以外に転用が行われる場合にはIAEAはこれを報告する義務を負う、かつ、それがはっきりわかるように警鐘を乱打するという立場に立ちます。したがいまして、そういう体制にある国については平和目的以外への転用がはなはだ困難な体制にあるということが言えますので、そういうような措置の存在があるかないか、その他の点も含めまして具体的に考えてまいる。その国の事情その他をかなり精密に検討しながら、日本から提供する資材等が日本が意図いたします平和目的以外に転用あるいは利用されないように配慮をしながらそれらの諸国とおつき合いをしていくというのが私どもの基本的な考え方でございます。
○土井委員 そうなってくると、日本と当事国との間でそういう中身の取り決めをしなければならないのじゃないですか。場合によっては協定でしょう。そういうことの取り決めの中身としてIAEAの方で、これは保障措置と言ったりガイドラインと言ったりいろいろしますけれども、こういうものであってほしいという、モデルとも言うべき何かひな形のようなものがありはしませんか。用意されているでしょう。
○宇川政府委員 お答えいたします。 理念的には、場合によっては協定あるいは取り決めが必要になる場合があると思います。あるいは単に確認行為で足りる場合もあるかと思います。それから、IAEAといたしましてはそういったようなモデル保障協定といったものもつくりまして準備が行われております。それから、多くの国についてはすでにIAEAの保障措置がそのような協定に基づいて実施されているというのが現状でございます。
○土井委員 多くの国においてはということをおっしゃいますけれども、それから外れている国もあるのですか。その保障措置ということを受け入れない、IAEAが言うところのガイドラインの中身について私の方はそれを受けませんというふうな国も現実の問題としてはあるのですか。どうなんです。
○宇川政府委員 お答えいたします。 大半の国はIAEAの保障措置を受けていますが、限られた国については特定の施設にだけIAEAの査察を受けるといったような取り決めが行われている場合もございます。現在、一部の施設だけにIAEAの査察が受け入れられている国は四カ国でございます。インド、パキスタン、イスラエル、南アフリカでございます。もちろんIAEAに加入しておる、あるいはNPTに加入していない、そのほかIAEAの査察が外れておるという国もございますが、IAEAの活動に参画しておる国の中では、いま挙げました四カ国が一部の施設だけについて査察を受け入れているという状況でございます。
○土井委員 そうすると、いま私は開発途上国ということを問題にして質問をしているわけなのですけれども、IAEAに入っていない国、NPTに加盟していない国、そういう国の中で一部査察についてこれを限定して考える、あるいは極端に言うとやっていただきたくないというふうな立場をとる国もないとは言えない。現にいま言われたインド、パキスタンを初めとしたそれぞれの国というのはしょっちゅう問題になっている国なのですよね。ちょっと困ったという意味でわれわれが注目している国なのですよ。したがいまして、そういう国を相手にして日本としていろいろと技術提供をするということに対しては問題がございます。 日本は技術提供をするときに、どういうふうに心得を持っていらっしゃいますか。
○宇川政府委員 御指摘のとおりでございまして、原子力の分野について申し上げれば、これらの国に対して技術を提供する、あるいは資材を輸出する場合には、核の拡散につながらないように、そういう資材については必ずしも輸出しない、あるいはたとえばこの機械を売りましても拡散のリスクはないということを確認しながら行動しているというのが現状でございます。 〔委員長退席、愛知委員長代理着席〕
○土井委員 そこははっきりしていただかぬと困るのですね。「必ずしも」、これもまた変な日本語なのですよ。何かわかったようなわからないような非常にあいまいなものです。何かいま御答弁の御要求があるようですから……。
○田辺説明員 通産省でございます。 先ほど宇川審議官から御説明があった基本的な方針のもとで、私どもが外為法の輸出管理令に基づいて、後進国、先進国含めまして核不拡散の観点からの厳重なチェックをしているわけでございます。 御説明申し上げますと、まずその基本要件としては、昭和三十七年の原子力委員会の決定がございます。そこにおきまして、原子力資材の輸出に関しても平和利用に限るという国内的な決定がございます。まず、それが基本でございますが、国際的には、まずNPTのメンバーであることということで、わが国は、NPTにおきましてはその輸出される資材がIAEAのセーフガードのもとに置かれること、これが前提になっております。 それからロンドン・ガイドラインのメンバーでございます。ロンドン・ガイドラインにおいては三つの要件がございます。 第一は、平和的核爆発を含めたあらゆる核爆発性装置の開発につながる用途を除くとの政府レベルの確約。第二はIAEAのセーフガードのもとに置かれていること。それから第三は適切なフィジカルプロテクション、核物質防護措置のもとに置かれることというこの三つの要件がございます。 私どもとしましては、このロンドン・ガイドラインは具体的に数十品目、トリガー品目という品目を列記しておりまして、これを規制すべしと言っております。 わが国の輸出貿管令におきまして全品目その規制下に置いておりまして、実際にその申請がある際には、以上の要件、特にロンドン・ガイドラインの三つの要件を確実にチェックした後で問題のない場合に輸出し得る、許可をするという体制をとっております。 それから、先ほど来出ておりました部分的な施設にIAEAのセーフガードがかかっている国、これにつきましては、その資材がどこに使われるかということを、IAEAのもとの取り決めにおいてセーフガードがかかっているかどうかということを確実にチェックして、かつロンドン・ガイドラインの対象品目であれば政府の保証をとって、確証をとって許可をする、そういう状況になっております。 〔愛知委員長代理退席、委員長着席〕
○土井委員 手続から言うとよほど先ほどの宇川さんよりもはっきりしてきたのです。「必ずしも」なんてあいまいなことを言わぬでくださいよ。 いまのはNPT加盟国でなければまずだめ。そうでしょう。それからIAEAに参加しておる国でないとだめ、こういうことですね、原則的に言うと。
○田辺説明員 一つだけ御訂正申し上げますが、わが国がNPT加盟国であることということでありますので、NPTのもとでの条件を輸出管理令の審査の際に適用しているということです。それはIAEAのセーフガード下に対象国が置かれていることという意味でございます。現在のところ、NPT加盟国以外への輸出申請はございません。したがいまして、やっておりませんけれども、非NPT加盟国への資材の輸出が実際に起こり得る場合、これは私どもとしては同じような精神で厳重にチェックしつつ慎重に対処していきたいと思っております。
○土井委員 先ほどの御答弁の中で、これは用語の問題ですからいいですけれども、後進国とおっしゃったのは、これは後進国と最近使いませんで開発途上国と言っておりますから……。 それで、いまの答弁で少しはっきりしてきました。そうすると、日本としてはその点をきちっとさせた上でそれは提携をするということですから、それに合わないのはチェックをして、必ずそれは拒否するという姿勢で臨むということだけははっきり言えますね。
○田辺説明員 そのとおりでございます。
○土井委員 それだけ強い姿勢を持っていらっしゃるのですが、さて、日本の国内の原子力発電所の立地審査指針というのの見直しが進んでいるわけでありますが、これは原子炉安全基準専門部会というところでやっていらっしゃるはずなんですが、現状はどういうふうになっておりますか。そして中身で何が問題なんですか。
○佐竹説明員 お答えいたします。 現在、原子炉の設置に先立ちましては、立地の適否を判断する基準といたしましては、昭和三十九年に昔の原子力委員会が定めました立地審査指針によっております。この立地審査指針を適用する際に、立地条件、安全防護設備との関連などを調べて、原子力発電所と周辺住民とが離れておるかどうかといったようなことを確認しております。 しかしながら、わが国におきましては原子力安全委員会が三年ほど前に設立されましたが、それ以降、最新の科学的知見等を参考として、これまで定められました指針類、立地審査指針も含めまして、必要ならば見直そうということで調査、審議を進めておるところでございます。 〔委員長退席、愛知委員長代理着席〕 どんなことについて審議を進めておるかという御質問でしたけれども、いまの立地審査指針では、たとえば考えます事故を重大事故ですとか仮想事故ですとかというふうに二本立てになっておりますけれども、二本立てで適当かどうかといったようなこと、あるいはこれまでの立地審査指針に新たにつけ加えるべき要項があるかどうか、こういったことについて幅広い検討を行っているのが現状でございます。
○土井委員 それは幅広い御検討も結構なんですけれども、とかく原子力発電所も含めまして発電所というのは常に住民との間で問題になるのですね。いまもいろいろ周辺住民との間の問題ということについてもお触れになったわけですけれども、いま環境庁の方で問題にされている環境アセスメント、この中からも原子力発電所は言うまでもなく発電所についてはアセスの対象から外されているのです、発電所の立地について。本来含めて考えていたものをなぜ外されたかというのは、これもいろいろいきさつがございまして、理屈の問題じゃないのです。理屈からいえば当然これを対象にしてあたりまえなんですが、先ほどの国連憲章の問題じゃないのですけれども、何があったか、業界からの圧力と通産省からの大変な圧力があって、環境庁の方は初め入れていたのを外すというかっこうになっていったわけですよ。幾らこの立地審査についての指針の見直しをなすっていただいても、公開性の原則とか住民に対してやはり了承を得る、同意を得るという基本的なABCとも言うべき出発点というものがどこかに外されちゃって幾ら見直しをやられたって、こんなものは無意味だというふうに私自身は考えているのです。よろしゅうございますか。これは環境アセスから対象を外されていいことだと思っていらっしゃいますか、どうです。
○佐竹説明員 いまの御質問に対するお答えは、安全委員会の事務局としては能力がございません。
○土井委員 それではどなたが答えてくれますか。——これは日豪原子力協定の主管というのはどこなんですか。外務省じゃないですか。そうならば外務省にお答え願いましょう。
○戸倉説明員 通産省でございます。 ただいま先生御質問の環境アセスメントでございますが、原子力発電所の環境アセスメントにつきましていまどういう状況になっているかと申し上げますと、原子力発電所を立地する場合にまず電気事業者が事前に調査をいたします。これは地質の調査とかあるいは海象調査あるいは気象調査等をいたしまして、環境調査報告書というものを作成をいたしまして、地元の都道府県あるいは通産省に提出をいたします。通産省におきましてはそれを審査をいたしまして、環境庁初め関係各省の意見を取りまとめまして、電源開発調整審議会において最終的には決定をする、こういう仕組みになっているわけでございます。 それからなお、御質問のございました地元住民との関係でございますけれども、これにつきましては昭和五十一年の原子力行政懇談会の答申がございまして、地元住民の方々を初めいろいろな方方の意見を十分聞くという趣旨で公開ヒヤリングの制度というのが設けられております。これは第一次公開ヒヤリングと第二次公開ヒヤリングと二つございまして、第一次公開ヒヤリングは電調審に付議する前に地元において開催する、開催の主催者は通産省でございます。立地の市町村の住民の方々あるいは隣接の市町村の方々を含めて御意見を伺いまして、伺いました結果につきましては電力会社から答えさせると同時に、報告書を作成いたしまして関係の行政機関の参考にしていただく、こういうことになっているわけでございます。それから第二次公開ヒヤリングは、電調審決定後安全審査をいたしますが、安全審査の過程におきまして原子力安全委員会がダブルチェックを行うために地元住民の方々から意見を伺う仕組みになっているわけでございます。
○土井委員 公開ヒヤリングの話をいままた持ち出してここで御答弁をされて、さもそれで十分であるがごとくにいろいろと言われるわけでありますが、きのうも小林委員の方からこれについての御質問がありまして、現在やっている公開ヒヤリングはなってないということに対する批判というのが実に説得力ある質問として展開されたのです。イギリスの場合の公開ヒヤリング制度との相違も挙げながら日本としてはまことにお粗末だというふうなことに対しての指摘がはっきりきのうもなされたやさきなんですよ。 お尋ねをしますけれども、地元住民の方々が反対をなすっているのを押し切って工事に着工されたために、いま訴訟を起こされているというのが全国にございましょう。行政訴訟は一体何件くらいありますか。異議申し立ては一体何件くらいありますか。現在係争中であるという事件は何件ぐらいあると御認識になっていらっしゃいますか。 そしてさらに申し上げますけれども、高速増殖炉のあの「もんじゅ」の問題についても、ひとつそれも含めて、そういう意味でここで考えを披瀝しておいていただきたいと思います。
○戸倉説明員 行政訴訟が全国でどれくらい起こっているかということでございますが、私直接の担当ではございませんので、ただいま正確な資料を持ち合わせておりませんが、後ほど資料を提出させていただきます。(「だめだ、休憩」と呼ぶ者あり)
○土井委員 これは一件、二件ではございません。いま休憩という声も横からかかっておりますから、ひとつその点も見てきていただくということも含めて、休憩にさせていただきます。
○愛知委員長代理 この際、暫時休憩いたします。 午後零時一分休憩 ————◇————— 午後三時一分開議
○中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。土井たか子君。
○土井委員 大変質疑時間を長引かせるようなかっこうになりまして、恐縮に思います。 さて、休憩時間前に、地元の住民の方々が反対をなさっている中で工事着工が進められて行政訴訟になっている案件、異議申し立てが出されている案件、どのくらいの件数があって、現在係争中という事件がどれくらいあるかということについてお尋ねをしておいたわけですが、それ、お調べをいただけたでしょうか。いかがでございますか。
○末広説明員 お答えいたします。 原子力発電所にかかわります行政訴訟といたしましては現在五基の発電炉について係争中でございます。 具体的には、四国電力伊方一号機、日本原子力発電東海第二発電所、東京電力福島第二、一号機、四国電力伊方二号機、東京電力柏崎・刈羽一号機、以上五基の原子炉でございます。 そのほか、異議申し立ての出されておりますのは四件ございます。以上でございます。
○土井委員 これは、住民の方々が反対なさる中身を私たちもいろいろ見聞きいたしておりますと、反対のための反対ということでなくて、やはり真剣に事に対して安全性を考えたり事実に対して知ろうとするお立場から、いまのままで見切り発車の形はいけませんよとおっしゃっている意味が十二分に事情としてあるのですね。私は、先ほど公開ヒヤリングのあり方について種々御説明を賜ったわけですけれども、昨日の小林議員の質問の中でもこれが取り上げられた意味は十二分にあるわけでありまして、やはりいまのままの状況でいいとは断じて言えないと私、思うのです。公開性の原則というのは原子力基本法からしても基本になっている問題ですから、これをどれほど保証するかという問題が実は住民の方々に問いかけていく、住民の方々に対して協力を呼びかけていくということの中身としても問われている問題ではないかと思うのです。 そういうことを含めてちょっとお聞かせをいただきたいのですが、現に核燃料の輸送に対してどういう取り扱いがなされているかということが大変気にかかるのです。端的に、いま日豪についての原子力協定をわれわれ審議しておるわけでございますから、オーストラリアから持ってこられる核燃料の輸送路というのは順序としてどういう形で原子力発電所に持ち込まれるというかっこうになりますか。
○田辺説明員 御説明いたします。 オーストラリア産ウラン、これはイエローケーーキの形でオーストラリアの港を出ることになります。その後転換ないしは濃縮という工程を経るわけでございますが、わが国の場合、国内にそういう工場がありませんので、アメリカのエネルギー省の工場、さらにはフランスのユーロディフ社の工場において濃縮されることになります。したがいましてアメリカないしフランスに移送されることになります。その後濃縮されたウランがわが国に再び返ってまいります。それはフランスの港あるいはアメリカの港から日本の港に入ってくるということでございます。それからわが国の加工工場に入っていく。燃料の加工工場でございますが、加工工場を経て発電所に輸送されるという形になっております。
○土井委員 いまは新燃料の輸送についてのあらましのお話なのですね。それでは新燃料についてのお尋ねをまずいたしましょう。 日本の港に海上輸送で船積みされた新燃料が到着をしてから、どういうふうな手段でもって、どういう段取りで各原子力発電所に運ばれることになるわけですか。
○川崎説明員 お答え申し上げます。 ただいまの先生の御質問は、港から当該加工工場あるいは発電所へ運ばれるという国内の輸送、陸送についての御質問だと思いますが、現在のところ、原子炉等規制法によりまして、かかる国内における陸上輸送につきましては、港から加工工場、加工工場から発電所、場所のいかんを問わず、国家公安委員会あるいは地方公安委員会の方にその輸送にかかわる諸事項について所定の書式にのっとりました届け出をいたすことになっております。
○土井委員 いま、どこに届け出するかということを先に一言言われたわけですが、さて、新燃料と同時に、やはりマッチの役割りを果たす中性子源についても考えておかなければならないと思うのですね。 中性子源は、どういうふうな段取りで日本に運ばれてそしてさらに国内ではこれが使われる場所に輸送されるわけですか。
○川崎説明員 お答え申し上げます。 核物質につきましては、いま申し上げましたとおり、中性子源であろうといかんを問わず原子炉等規制法の定めに従いまして輸送の経路等について所定の書式にのっとって届け出をいたした上で現実に輸送が行われているわけでございますので、特に差はないと存じております。
○土井委員 いまの輸送の問題について、昭和五十三年以前と以後とでは取り扱いが少し違ってきているように私は思うのです。 五十三年以前の輸送ルートに対する届け出、さらにそれに対する取り扱いと五十三年の総理府令の施行後の取り扱いということでは違ってきているように思うのですが、そこでどのように違いが出てきたかというのをちょっと教えてくださいませんか。
○中島説明員 核燃料物質の輸送につきまして、五十三年に総理府令をつくりまして、届け出の様式など決めております。 内容につきましては、それ以前に業界が自主的に届け出してきたものを法制化したわけでございまして、届け出が法制化されたということ以外に特に制度的に変わった点はないとわれわれは聞いております。
○土井委員 変わった点はないとおっしゃるのですが、これは実際問題見てまいりますと、不明な点が多いと同時に、しかしわかっている点では変わった点があるようですよ。 いまおっしゃったように、五十三年の総理府令の施行以前というのは輸送実施者が届けを自主的にするということですから、したがって、法上の規制がございませんために、いわば野放しみたいに一応は考えられていたのです。しかし、五十三年の総理府令が施行されて以後、今度はどうなんですか、お尋ねをしますが、消防などに事前連絡というのを入れておりますか、どうですか。それ以前は消防の方にも事前連絡を入れておられた。その実態があったんだけれども、五十三年の総理府令の施行後は今度は公安委員会ということになっておりますから、これは消防の方に連絡が行っていないというかっこうに実態はなっておりますが、これはいま申し上げた五十三年の総理府令以前と以後とでは大変な違いなんですよ、実際問題見てまいりますと。いかがです。
○中島説明員 五十三年以前に消防の方に連絡していたかどうか私は確認しておりませんが、現在のところ公安委員会は、通過する各都道府県に届け出を受けたことを連絡いたしまして、通路の安全その他について確認した上で運搬をさしております。消防についての通報ということはいたしておりません。
○土井委員 これは二週間前に出発地点の都道府県の公安委員会に届け出するということになっているはずなんですが、それはどうでしょうか。
○中島説明員 制度としましては、同一府県内の場合は一週間前、数府県にわたる場合は二週間ということにいたしております。
○土井委員 その二週間前に、また一週間前に届け出する相手方は出発地点の都道府県の公安委員会ということなんですね。その辺はどうですか。
○中島説明員 先生がおっしゃるとおりでございます。
○土井委員 実態を私たちが調べてまいりました限りで申し上げますと、原子力発電所が設置されている県や市町村には電力会社と安全協定が結ばれております場合には事前に連絡があるようであります。しかし、その輸送ルートに当たるところの通過市町村には連絡はほとんどないようであります。地元で新聞などが報道いたしております中身もたいていは到着当日がほとんどでございまして、通過市町村の新聞では一切そういうことが載らないのがどうも一般的のようでありますから、近辺に住まわれる住民の方には何にもそういうことに対しては知らされていないと申し上げても過言じゃないのです。よろしゅうございますか。実際問題、輸送のときの心得としてどういうことが義務づけられておりますか。それをちょっとお聞かせくださいませんか。
○中島説明員 核燃料の輸送につきまして、警察に届け出が出るまでに、容器の安全性あるいは積載の方法等について、科学技術庁なり運輸省の確認を受けてから参ります。したがって、私どもはこれは運搬について安全性が十分あるという前提で運搬の届け出を受理いたしておりまして、途中の交通事故の問題ですとか盗難の防止の問題ですとか、そういう点につきまして必要な指示をしますし、また通過県に対しましてそういった点で問題があるかないか、そういったことを詳細調査した上で、必要な経路の指示その他をいたした上で運搬届け出を受理しておるわけでございます。 それで、運搬するに当たりましては、運搬業者につきまして事故に備えて専門的な知識のある者を同伴させるとか、事故があった場合の連絡先、連絡方法その他を十分承知さした上で運搬に当たらせる、そういうことで運搬をいたさせておるわけでございます。
○土井委員 その容器の安全基準は後で申します。果たして安全基準たり得るかどうか大変問題が多い。これは後で申し上げます。 いま、事故があったときには即刻それに対して対応できるような措置を講じた上でとおっしゃるのは、それは措置ができているのですか。どういう措置を講じられますか、それを聞かせてください。
○中島説明員 私どもが届け出を受理するにつきまして一応安全ということを前提にいたしておりますから、これが爆発するとかそういうことを前提とした対策を考えるわけじゃございません。そういう危険性があれば運搬はできないわけでございますし、通過周辺の住民を避難させるというようなことを前提とした運搬はできないわけでございまして、放射線の漏れとかそういった場合の立入禁止区域の設定ですとか通報先の確認、そういったことを十分心得さしてやっておるという実態でございます。
○土井委員 さあ、いまのそういう御答弁じゃ心もとないのですね。そのもの自身が危険物であってそれ自身が爆発する可能性があるなんて、そんなふざけたことは私言っているわけじゃないのですよ。よろしゅうございますか。これが走る場所を考えてみてください。高速道路も走るのです。車が過密状態である国道も走るのです。横にタンクローリーが並んで走っている場合もあるのです。時速をこの車だけ落とすわけにはいかないのです。いつ何どきどういう不祥事件が起きるかわからない。交通事故も頻々と起こっている昨今でございますよ。そういうことを考えて、それじゃ具体的に聞かせてください。まず首都圏での輸送はどういうふうに考えておられるのですか。
○奥井説明員 お答えいたします。 核燃料の先生御指摘の新燃料の輸送についてでございますけれども、陸上輸送に当たりましては、原子炉規制法によりまして輸送容器そのものにつきまして、先生御案内かと思いますけれども、IAEAの輸送の基準がございまして、わが国におきましてもそれをもとに基準が定められておりまして、御指摘の新燃料につきましても所要の落下試験ですとか、それからその前に容器そのものが臨界対策上十分できているかどうか、それからいわゆる閉じ込め機能を十分持っているかどうか、遮閉機能を十分持っているかどうかという観点から所要の安全審査を実施してきております。それで輸送に当たりましても、輸送に着目いたしまして、落下において十分所要の強度を持っているかどうか、それから耐火性も十分あるかどうかというような点について審査いたしてきておるところでございます。
○土井委員 いまの御答弁を承っておりますと、主に核燃料を輸送する際の容器の安全性に頼っておられるということがいまの御答弁の御趣旨としてうかがえるわけですが、その容器の安全性について、輸送容器の試験条件というのはどういうことが考えられているのですか。これはやはりそれに対しては条件が整っていなければならないですよ。要件はどういうことを考えておられますか。
○奥井説明員 輸送を着目いたしましての安全性につきましては、事故時の条件といたしまして落下試験、これは具体的に申しますと自由落下ということで、九メートルの高さから落としたというようなことを想定いたしまして試験をいたしております。 それから耐火試験につきましては、八百度C三十分というような条件に耐えられるかどうかというような点、こういったような点につきまして検討をいたしております。
○土井委員 まずそれじゃ、九メーターの高さからの落下テストということについてちょっとお尋ねしましょうね。九メーターというのはどうなんですかね、そういう高さから落下したという衝撃は、自動車の衝突でいうと時速何キロぐらいで走っているのに相当するというふうに考えられますか。
○奥井説明員 御指摘の点につきましては、私ども調査いたしておりますところでは、双方時速五十キロの速度で走ってきました自動車が正面衝突いたしましたときと仮定いたしましたくらいの衝撃力というふうに概略考えられます。それで、実際の新燃料の輸送物につきまして衝撃の評価をいたしますと、実際には十メートル落下試験の衝撃力の十分の一程度の衝撃力になるということでございます。また、先生おっしゃられました高速道路を想定しますと、五十キロということではございませんけれども、高速道路を普通走ります八十キロという場合を想定いたしましても、その衝撃力というのは当該試験の五分の一程度という結果が得られております。
○土井委員 それは実際問題としてテストをされているわけですか。そうじゃないはずなんですね、いままでのテストケースというのは。いまだかつて実際問題に当たってみてそういうテストをなさったという例を恐らくお持ちになっていらっしゃらないはずと思うのですが、いかがですか。
○奥井説明員 ただいま申し上げましたデータにつきましては、実際に新燃料に着目いたしまして、実際の自動車によりまして試験をいたしまして解析した結果でございます。
○土井委員 ただ、いまおっしゃったような御答弁からすると、やはりその点を気にかけていらっしゃるわけでありまして、これは正確に言うと時速五十キロじゃなくて四十八キロくらいに当たるのですね、高度九メーターというところからの落下というのは。それで、高速道路の制限時速にはこれはどこまで行っても合いませんよ。そうすると、一たび衝突事故があったということを仮定して——こんなことがあったら困るのですけれども、最悪の条件というのを仮定して試験というのは行われないと、テストの本来の意味はないんじゃないかと私は思いますから、そういうことからすると、これは輸送容器が耐えられるかどうかきわめて疑わしいという結果が出ているのですが、核燃料の酸化ウランというのは粉末でしょう。容器が破壊されますとこれは飛び散りますよ。
○奥井説明員 お答えいたします。 ただいま申し上げました衝撃力と申しますのは、所定の試験条件におきましても、自動車の走行中に衝突によって起こります衝撃力の五分の一程度というふうに評価されておりますので、十分その強度は有しているものと考えております。
○土井委員 えらい自信ありげにおっしゃるのだけれども、これはずいぶんいろいろな条件によって違ってきますね。壁のように動かないものにぶつかる場合と、お互いがフルスピードで走っている場合に車同士でぶつかるというのとでは衝撃度が大分違うので、一律に大丈夫、大丈夫とおっしゃることに対してもそうですかと引き下がってしまうわけにはいかない問題が中にはありますね。 それから、先ほどの火災の問題なんですけれども、火災事故が起こった場合、八百度に三十分間耐えるということを考えていらっしゃるようですね。これは先ほどおっしゃったとおりです。消防庁に来ていただいているはずですが、御出席ですか。——これも私はやはり最悪の条件をできる限り考えていくということが大切ではないかなと思ったりするのですが、火災事故に遭いますとウランが微粉末になって飛び散る可能性があるということを念頭に置きまして、例の、いま思いましてもぞっとする一九七九年七月十一日の東名日本坂トンネルの火災事故、トンネル内の温度というのはどれくらいになりましたか。あれは私たちが聞き知っている限りでは三千度から四千度に上った、そして燃え続けた時間を日に換算してみると大体二日くらいというふうに考えてよかろうと言われたりしておりますが、これは当たっておりますか、当たっておりませんか。いかがですか。
○長谷川説明員 ただいま御指摘の火災の温度などにつきまして手元に資料の用意がございませんので、申しわけありませんが、いまお答えできません。
○土井委員 しかし、私が言っていることはそうそうひどく当たっていないというわけじゃないと思うのですよ。いろいろな資料に私も当たってみたのです。大体そういうふうに考えてもあのときの事故について当たらずとも遠からずでしょう。
○長谷川説明員 ただいま申し上げましたように、私、手元に資料がございませんし、先生お調べの上、そういう御指摘なので、あるいはさようかと存じますけれども、調べた上で御返事申し上げたいと存じます。
○奥井説明員 ただいまトンネル事故という特定されたところにおきます核燃料輸送ということ、重ねてその場合に事故が起こった場合どういうことになるか、とりわけ火災による温度という観点からどうなるかという御指摘だと思いますが、日本坂トンネルにおきます温度条件などにつきまして、現在私ども、先ほどもお答えがありましたように調査中であるというふうに伺っております。現在の安全審査におきます条件は、先ほど申しましたように耐火試験の条件は、簡単に申し上げますれば八百度C三十分ということになっておりますが、これはIAEAの国際の輸送容器に関します基準に基づくものでございまして、また実際には、私どもこのような燃料を輸送いたします場合には単独に自動車を走らせるというようなことをいたしませんで、先導車をつけるというようなこと、それからトンネルに入りますにつきましては事前にその先導車を入れまして、それで無線連絡によりまして輸送状況におきますコンディションを、いろいろな面から十分であるかどうかということを見つつ運転していくというようなことを措置していただくようにお願いしておるところでございます。念のため、当庁におきましても八百度C以上の火災時の挙動につきましては現在研究を進めているところでございます。
○土井委員 研究は、それはやっていただかないと困りますが、先ほどからIAEAの基準に従いということをおっしゃるんだけれども、これはIAEA自身が日本のように過密状況で、それから道路のすぐ横に過密状況で住宅があり、そして高速道路もタンクローリーやその他長距離輸送トラックなどがぶんぶん走る中にまじって走るということを想定しての基準値ではないと私は思うのですよ。だから最悪の条件というものをやはり日本のこの状況に合った中で考えていくとなると、IAEAの基準を満たしていればそれでよろしいということではなかろうと私は思うのです。いまもこれは研究中とおっしゃるから、どういう研究結果がいつごろ出るかということを大変私は待たれる話になるだろうと思うのですが、タンクローリーの火災では二千度に達することもまれではないと言われていますね。そうすると輸送容器が常に耐え切れるとは言い切れない。火災や衝突の衝撃で壊れて燃料集合体が炎にさらされるということになると、燃料棒のジルカロイのさやは溶けるか、もしくは酸化してぼろぼろになるというのは考えられなければならない話でもあります。それから中身のウランペレットがむき出しになる、事故の衝撃で一気に燃料棒が破壊される、ペレットが裸になる場合もこれは想定をしておかなければならない話にもなってきますね。二酸化ウランのペレットは固型ですけれども、空気中で高温にさらされるとさらに酸化して、昇華して空中に飛び散っていくということを考えておかなければならない。いろいろな問題が、これは素人判断からしてもどうも恐ろしい気がしてならないのですよね。いまの容器の基準というのは大体IAEAの基準によって考えておりますからとおっしゃるのだけれども、果たして日本の事情からしたら、そのことで言い切ってしまわれて、大丈夫だ、大丈夫だということで済むかどうかというのは、私は大変問題が多いと思いますよ。
○奥井説明員 お答えいたします。 まず第一の御指摘の、IAEAの基準をそのまま日本に適用していかがなものかという御趣旨についてでございますが、私どもIAEAの基準の検討につきましては、そのIAEAの検討の場に出席いたしまして諸種議論に加わってきておりますし、その過程におきます議論の中の配慮事項といたしましても、たとえばヨーロッパ等につきましてもやはり日本と同じような道路状況にあるということも承知いたしております。したがいまして、IAEAの基準というものはやはり国際的にも十分その辺のところを評価され、合意が得られているものと了知しております。 二番目の、衝突などによりまして火災より前にその輸送物の内蔵物が飛び出すというようなことが起こるのではないかというような趣旨の御質問と承りましたが、その点につきましても、安全審査の段階でもって十分所要の耐力を有しているということを確認いたしております。
○土井委員 そういうことがやはり住民の方々からすると一つ一つ問題点が多いというふうなことで、いままでどういうことになっているのだろうという疑問がしきりに投げかけられてきているのですが、総理府の世論調査を御存じだと思うのでありますが、この一月三十一日に発表された総理府からの世論調査の結果を見ますと、原子力発電所に対して不安だという数が六割という数字が出ているのです。これは決して不安解消のための努力を十分になすっている中身とは言えないですよ。だからそういうことからいたしますと、研究はそれはやっていただかなければなりませんが、ひとついまから言うことに対して、具体的にここでお答えがむずかしいということでございますれば、時間のかげんもありますから、あと一つ一つはっきりこちらが理解できるような中身を聞かせていただきたいと私は思うのです。 一つは、先ほど来繰り返し言っているのですが、首都圏での輸送ということに対しては、いまのその容器の安全性ということだけを考えておられるかどうか。ほかに首都圏での輸送に対して、新燃料輸送の段階で、こういうことに対して大変気を使っておりますということがあるならばひとつお知らせいただきたい。 それから二つ目は、燃料集合体として加工されるまでの状態の物、六弗化ウランや酸化ウランの粉末、そういう物質の輸送というのはどういうことになっているかというのは、これはまた聞かせていただきたい。 それからまた、全く別に研究者や医療機関などで使われるという放射性物質がありますね。これ自身はどういうふうな取り扱いになっているかということと、同時にこれはだれでも考えるところですけれども、危険性の大きいのはプルトニウムの燃料であります。この輸送というのが具体的にどういうふうに取り扱われているか。 以上、そういうあたりをちょっと説明してくださいよ。
○奥井説明員 お答えいたします。 まず第一は、輸送容器だけの安全性を見ているのではないかという御指摘かと思いますが、私ども、核燃料の輸送に当たりましては、輸送容器はただいま申し上げましたようなことでございますし、それに加えまして具体的にその輸送容器を運搬する、たとえば陸上輸送の場合でありますとトラックでございますが、トラックで輸送するにつきましての積みつけにつきましても、運輸省の方で、その手当てが十分なされているかというような点について、その検討をしてチェックをされているように承知いたしております。 第二番目の御指摘の、UF6炉とかUO2の粉末とかというようなものについてはどういうふうになっているのかという御指摘でございますが、その点につきましても、新燃料同様にそれぞれの物理的、化学的性状を十分加味した上で、もちろん濃縮という観点からの臨界防止対策が十分であるかどうかとかいうようなことについて十分配慮されているかどうかを審査いたしております。 それから三番目の放射性物質、RIの御指摘でございますが、これは私は直接の所掌ではございませんが、基本的には、輸送に関しては、ただいま私どもの方で申し上げましたような燃料と同様に、厳しい規制基準に基づきまして取り締まられていると承知しております。 それから四番目の、プルトニウム燃料の輸送に関してどういうものかという点でございますが、このプルトニウムにつきましても、強い放射性を有しているという観点を十分配慮し、さらに臨界の対策を十分なされているかというような点を考慮いたしまして、当該物質を輸送する容器についての規制基準を厳しくいたしております。当然輸送につきましても、他の物とまさるとも劣らない十分な対策をとっているというふうに承知いたしております。
○土井委員 いろいろ宣伝めいた御答弁が相次ぐわけでありますけれども、ちょっとここで、それならば防災ということに対してお尋ねをしたいことがあるのです、そういうふうにおっしゃられることを聞けば聞くほど。 中央防災会議というのが五十四年の七月十二日に「原子力発電所等に係る防災対策上の当面とるべき措置について」というのをおまとめになっていらっしゃいますね。この中には、消防庁の地域防災課長と科学技術庁の原子力安全局の原子力安全課防災環境対策室長名で、道府県の防災主管部長あてに「地域防災計画作成マニュアルについて」というのが出されているようであります。この中に核燃料等の輸送について取り決めがありますか。私は探してみたのですけれども、これはないのです。どうです。
○笹谷説明員 お答えいたします。 中央防災会議で当面とるべき措置というものを決定したわけでございますが、それについて消防庁並びに科学技術庁から関係府県に対して通知をしてございます。その中に輸送の件で記載されているかという点について、ただいま私、資料を持ち合わせておりませんので、お答えいたしかねます。
○土井委員 お尋ねしても全部資料を持ち合わせがないことばかりですね。非常にこれは大事な基本的なことじゃありませんか、どうですか。防災について、各地域防災計画作成マニュアルというのは、それぞれの核燃料等の輸送経路に当たっている自治体や住民からしたら具体的な、現実的な問題ですよ。いかにそれに対して受け答えを責任を持っておやりになるかということは、この中でどういうふうにお考えになっていらっしゃるかということにも浮かび出ていなければ困るのですよ。それぐらいは、いまここでわからないというような答弁ではなくて、ABCですから、少なくともそこの衝にある方は心得ておいていただかなければならぬと思いますがね。もういいです。それは本当にない。 それで見ていくと、自治体の中には対策班をつくったというところがあるのです。これは別に法制度上の決めはないけれども、やむにやまれずつくられたというところもあるのです。しかし、いろいろ対策班をつくって、そして防護服を備えて防災対策に当たるということを考えられてはいるけれども、汚染防護服というのは出動した人々の身の汚染を防ぐだけでございまして、実際問題になると外部被曝すら防げないということが実態としてあるのじゃないですか。放射性物質の火災に対処する方法が一体確立されているのですかどうですか、消防の方が御出席だから聞きます。
○長谷川説明員 ただいまの御指摘の、RI火災時の消防隊員の防護体制でございますが、御指摘のように、全国の消防機関が十分にその体制をとっているかと申しますと、率直に申し上げてそういう状況にはございません。それでわれわれといたしましては、昨年度RI事業所などの事故の際の消防活動に関します手引き、マニュアルを示しまして、どういうことに留意して消防対策を講ずべきか、この中心はやはり足らざる点は事業所に備えられている防災資機材もこれを積極的に活用する、当座そういうことも活用しながら対応していくべきであるという方針を示しておるところが現状でございます。
○土井委員 これは非常に心もとないのですね。輸送ルートというのは本当に全国網の目のようにあるのです。消防の方はこれに手をつけようとしたら大変なことだと思うのですよ。しかし、これはやらないと、防災計画に対しては十分にやっているということにはならない。十分どころか少しもやってないということなんです、現状のままで認めていくということに相なれば。 そういうことからまず一つ申し上げたいのは、「原子力発電所等に係る防災対策上の当面とるべき措置について」というのをせっかくおまとめになっている中の地域防災計画作成マニュアルの中で防災計画に対する組み入れをはっきりやっていただけませんか。これはいまないのです。これをやっていただくこと、これは非常に大事な問題だと思う。全くすっぽ抜けですよ。そして消防署には連絡、通知がないのだもの、公安委員会に届け出だけで済むようになってから。そうでしょう。聞いていらっしゃらないというのが先ほどの実態なんですから、これは御答弁としてもう聞いておりますから、そういうことだと思うのです。これは消防庁を抜きにして、地域自治体の消防活動に従事する人たちの役割りというものを抜きにして防災体制というのはどういうふうに考えられるのか、私にはよくわかりませんが、やはりこの防災計画の中の組み入れを具体的にやっていただくということは急を要する問題じゃないかと私は思いますよ。どうでしょう。
○長谷川説明員 原発災害に対します地域防災計画への組み入れという御指摘でございますが、先ほどの私ども消防庁と科学技術庁でまとめましたマニュアル、これも実のところ地域防災計画の中に織り込むべきモデルというのはすでに出してあります。これは特に原発編、原発などの災害を想定しました地域防災計画の特別な編をつくるように全国指導しておりまして、関係都道府県におきましてはすでにその作成を終わり、市町村も相当その作業が進んでおります。 それからもう一点の核燃料物質の輸送に関します消防機関への通報の点でございますが、これはもう先ほど来いろいろ輸送中の安全について関係省庁からのお話もございましたが、われわれとしては十分な体制はとられているものの、万一事故が起きたら、これは私どもは考えなければならない立場でございます。先生御指摘のように万一事故が起きた場合にどうかと申しますと、核燃料物質の輸送に関します規則におきまして緊急時の措置として、核燃料物質が火災を起こしたり、あるいは延焼危険にさらされますと、直ちにそれを消防吏員に通報すべきことが義務づけられております。したがいまして、消防機関といたしましては、そういう緊急事態には直ちに出動し、警戒区域を設定したり消防活動に入るという体制を一応整えておるというふうに考えております。
○中山委員長 土井委員にちょっと申し上げます。が、宮澤外務大臣代理が記者会見でございますので……。
○土井委員 わかっています。だから先に一問だけ、そうすると途中で順不同になって大変おかしなかっこうになりますけれども、宮津大臣代理にお尋ねをさせていただいて、御退席をひとつお願いしたいと思うのです。 午前中、大臣代理が中座をなさいます前に、私は核軍縮が達成されるまでの間、核兵器の使用については禁止されるべきだということについてどうお考えになりますかと言ったら、そのとおりだというのが外務省の事務当局からの御答弁として出たわけであります。その中座をされてから後の論議としていたしましたことは、ただその国連憲章の中の核兵器使用不使用の問題について条文に即応して論議をしていくならば、五十一条から考えて、自衛権行使のために核兵器を使用してはならないということは言えない。日本の場合を翻って考えると、憲法第九条からして、これは私の見解じゃありませんよ、政府の統一見解として、ただいままでは自衛権行使のために核兵器を使用するということは禁止されていないというふうな見解を、また再度お述べになったわけです。しかし、それにもかかわらず、日本としては核の使用ができない、持てない、持ち込ますこともできないということはどういうかっこうに相なるかと言ったら、非核三原則というのが国是としてあるからという事情を言われたわけです。これはもう理の当然なんです。これは一つの法理と申し上げていいと思うのですよ。こういうことからいたしますと、国連憲章では五十一条という条文があるにもかかわらず、核兵器を使用すべきではないということを決議なり憲章の中でなり明記されるというかっこうになってくると、たとえ国連憲章五十一条がどのようにこれを定めていようとも、核兵器については不使用ということが国連における意思となることになりますねとお尋ねしたのです。そして、むしろそのことに対して日本はいまの憲法第九条と非核三原則ということとの兼ね合いからして、国是である非核三原則の立場から、憲法上は自衛権の行使として考えられてよい核兵器の使用をしないということを決めている国なんですから、これを持って出て国連の場所でもそういうことを法理として展開することはできますねということを申し上げたのですが、これに対しては、適当なときに適当に考えるという御答弁を政務次官から賜ったので、いや、私はあくまで法理ということを前提に置いて理屈としてお尋ねをしているのですから、理屈としてひとつお答えをいただきますということを申し上げて、ひたすら大臣代理の御出席をお待ちしたわけであります。それに対して、一言宮澤大臣代理から御答弁をいただきまして、御退席をお願いしたいと思います。
○宮澤国務大臣 午前中に土井委員がお進めになりました論旨については、先ほど休憩時間中に私も承りました。 そこで、国連憲章はいわゆる戦争を禁じているということはまず第一段階の問題で、それはいかなる武器によるとを問わず、戦争というものについては否定的である。しかし、同時に今度は自衛権というものは五十一条で認めておるわけでございますから、それも同じ論理で、いかなる武器によるとを問わず自衛権というものは認める、こういう構成になっていると私は思います。ですから、その国連憲章のいまのたてまえから言えば、武器の態様ということについて考えているのではないというふうに一応理解をいたします。 それに対して、わが国はわが国独自の立場、考え方に立って非核三原則をとっておるわけでございますが、その非核三原則というような政策を、国の政策とするかしないかということは、おのおのの国の主権によって私は決せられるべきところであろう、及びそのおのおのの国が置かれておるいろいろ状況によっても異なるであろうと思われます。わが国の場合、非核三原則はやはり安保条約といったようなものと無関係にあるわけではない。でございますから、おのおのの国々がその主権及び置かれた状況によって非核三原則を持つあるいは持たないということであろうと思いますので、そこでわが国がその同様の非核三原則を国連憲章の中で定めるべきであると仮に主張いたしました場合に、多くの国がわが国と異なった主権の考え方、異なった環境のもとにおるとしますと、賛成を得るかどうかということは、これは全く未知数である。むしろわが国自身の持っております憲法、わが国自身の国民の考え方から言えば、これは世界の中では初めての、いわゆる経済力を持っておる国としては人類始まって以来の道を歩んでいるわけでございますから、きわめて少数派であるということはやはり事実であろうと思います。でございますから、そのようなことで国連憲章の改正が行われ得るかどうかということは未知数でもありますが、恐らく現状の世界から見ますと、非常にむずかしいのではないかというふうに考えます。
○土井委員 現実論の問題としてむずかしいかむずかしくないかという問題はあるだろうと思うのです。ただ理屈の上でそれはむずかしいかむずかしくないかという、現実の問題とは別に、これを日本としたらどういうふうに考えるかという点をきょうはお尋ねを進めているわけでありまして、いま先ほど、それは大臣代理がおっしゃいましたけれども、国連憲章を改正するというのも一つの方法であるかもしれません、そういう方向で。しかしそこまでいかなくても、国連憲章は現行憲章のままであって、不使用協定というようなものを国連でつくろうという努力も、片やこれはしようとしたらできないことではないと思うのです。理屈の上でですよ。だから、そういうことを考えていきますと、世界でも先ほどお答えになったとおり類のない日本としては日本の行き方をしているんですね。平和憲法があって、そして非核三原則は安保条約があるということを兼ね合いとして考えなければならないとおっしゃいましたが、非核三原則が誕生したのは、やはり平和憲法という素地があるところからこれは出てきているという点こそ忘れられてはならぬというのが日本の特徴だと私は言いたいのです。だから、そういうことからすれば、日本の立場からして、むしろ全世界に先駆けて国連において核不使用の協定、あるいは国連憲章がその点に対してあいまいな点がありとするならば、さらに一層進めて明確な核兵器不使用という方向で努力をしていくということが、理屈の上では日本としては日本の立場にかなっているということが言えると思うのですが、これはいかがでございますか。
○宮澤国務大臣 非核三原則を、昭和四十三年だそうでございますけれども佐藤総理が国会で述べられましたときに、これはいわゆる四つの核政策の一つとして述べられた経緯がございます。それは一つは非核三原則であり、第二には核兵器の廃棄、絶滅を目指して日本は実行可能な核軍縮を唱える、第三には安保条約の堅持、そのもとでの核の脅威に対する対処、第四は核エネルギーの積極的な開発、推進、これについては昭和五十年に、記録によりますと当時私外務大臣でございますが、この意味は今日的にも十分肯定できるということをお答えしております。そういう意味から申しますと、非核三原則というのはわが国の置かれた態様、ことに平和憲法から出ていると言われましたことはもとより相違ありません。それに間違いございませんが、同時に安保条約との関連もあるというふうに考えるべきだと思います、現実の政策といたしまして。 そこで、そういうわが国の置かれた状況の中で、国連憲章の改定あるいは国連決議によって核不使用ということを唱えるといたしますと、その場合には、不使用という意味は、論理的には核兵器による抑止力というものはなくなるという論理でなければなりませんから、その抑止力というものがなくなってしまうということで、わが国の安全は保てるかという現実の問題にやはり返らざるを得ないのではないかと思います。
○中山委員長 土井議員、に申し上げますが、大変恐縮ですが、外務大臣臨時代理の時間が参りましたので、御退席願いたいと思います。御了解いただきたいと思います。
○土井委員 いま時間のかげんで大臣代理は御退席をなさいましたけれども、おっしゃいました御発言の中身、御答弁の中身については、これは改めまして後取り上げる機会が当外務委員会にはございますから、そういう機会にさらに詰めを十分にさせていただくということにしていきたいと思っております。 それで、またもとに戻りますが、先ほど消防庁の方から御答弁をいただいた点ですけれども、防災計画への組み入れというのは、これは実はいろいろ見てまいりまして、核燃料輸送の段階での事故災害から住民を守るという意味での防災対策というのは非常にお粗末ですよ。現に先ほどもおっしゃいましたけれども、全国の消防体制というのがそういうことに相なっているかというと、まだそういうことではないというふうなことを率直におっしゃったとおりなんです。したがいまして、いまここで取り上げているのは、核燃料輸送について、その輸送の途次に起こる事故災害に対しての対策ということをひとつ具体的に組み入れて、マニュアルの中で防災計画として明記してもらいたいということを私は申し上げているわけでありまして、これはそれぞれの中身を見ましたけれども、マニュアルの中身も見ました、それから「防災対策上の当面とるべき措置について」というのが五十四年の七月十二日に出されている中身を見ましたけれども、核燃料等の輸送については何ら明記がないのです。これ本当。したがいまして、核燃料輸送についての輸送ルートにおける防災体制というものを、ひとつはっきりこの中に計画として組み入れていただく努力というものをお願いします。これはできることだと思います。よろしゅうございますか。
○長谷川説明員 先ほどの「当面とるべき措置」、原子力安全委員会のもとでまとめられました報告を中心にしまして地域防災計画、これは原発所在市町村を中心におおむね八キロから十キロメートルの範囲内についての原発災害対策としての地域防災計画をつくり上げるということでありまして、そのマニュアルを示し、また現実その充実を図ってまいってきているわけでございます。 それから先生御指摘の核燃料物質に限らず、われわれといたしましては、放射性物質を含めまして輸送途上における災害時の消防対策ということも考えなければならないということで、今年度すでに予算措置をしておりまして、委員会を設けてその対策の研究を進めることとしておりますので、その充実をさらに進めていきたい、かように考えております。
○土井委員 そうすると、それが組み入れられるのはいつごろになりますかね。ことしじゅうそれについては研究をお進めになるのでしょうから、計画としてちゃんと具体化されるということになると、今年度中というわけにはちょっといきませんわね。ただいまの調査研究でございますか、それはいつごろを目安にして取り組んでいらっしゃる。
○長谷川説明員 この研究結果のまとまり、これはこの一年できるだけ早くまとめをしたいと思っておりますが、そのまとめた結果が先生おっしゃる地域防災計画の中に直ちに織り込めるかどうかというのは非常に即断しかねることでございまして、それは地域防災計画というところに直ちにつながらなくとも、われわれといたしましては、とにかく当面放射性物質の輸送途上における消防対策の充実ということにまず力点を置いてみたい。ですから、それがいま御質問のように地域防災計画にというところに直ちにつながるかどうかは、今後の検討事項になろうかと思っております。
○土井委員 どうもいまの御答弁じゃ心もとなくてよくわからないのです。地域の住民の方からしますと、自分の住んでいる近辺の高速道路並びに国道そして自分の住んでいる家のすぐ横を通っている道にいつごろ核物質を積んだ、核燃料を積んだ輸送車が走っているかというのはさっぱりわからない状況なんですね。事故が突然起こったとしたらうろたえるばかりですよ。何がどうなるのかさっぱりわからない。こういう現状であるということも一つはしっかり念頭に置いといていただかなければならないんじゃないかと思います。そういうことを言うと、いや大丈夫でございますよ、必ずそれに対して警備は万全ですという答弁が返ってくると思うのです。 そこでちょっとお尋ねをいたします。 警官がこの原子力発電所の警備要員としてずいぶん増強されているはずですが、いま何人ぐらいですか。そしてここ二、三年増員されていると思いますが、この二、三年の人数もちょっと言ってみてください。
○岡村説明員 お答え申し上げます。 核物質防護の重要性にかんがみまして核施設管理者などの自主防護体制の強化が図られているところでございますが、警察といたしましても、昭和五十四年、五十五年、二カ年にわたりまして核施設周辺地域に対しまして外勤警察官の増強配置というものを行っております。その数でございますが、茨城、福井等々原発施設をたくさん持っておられる県を中心にいたしまして約四百名の増強を行っております。
○土井委員 その核防護隊といいますか、このいまおっしゃったとおり茨城県それから福井県なんかではそういう組織が具体的に組織化されていると思われますが、これは実態はどういうふうな役割りをふだんなすっているのですか。そして何が主務なんですか。
○岡村説明員 増強されました警察官でございますが、先生おっしゃいます防護隊というようなものではございませんで、外勤警察官を増強配置して警備に当たっている。通常は地域住民のためのサービス、駐在業務その他をやっておりまして、その傍ら核についての教養を受ける、あるいは訓練を受ける、あるいは核装備についての取り扱いを学ぶ、そういったようなことで一朝有事の際の核防護の中核的な要員になるという性質のものでございます。
○土井委員 つまり増員をされていっているのは、要は核を防護するための要員なんでしょう。地域の住民の人たちに対してのサービスじゃないんだ。むしろ核に対して、核を守らんがための要員なんでしょう。そこのところはどうですか。
○岡村説明員 核そのものの防護というものは確かに一つの重要な任務でありますが、何らかの事故が発生いたしました場合に住民を守るということも、当然その職責の一つに入っておるかと思います。
○土井委員 どっちに重点があるのですか。これはむしろ実際問題として核物質防護の方に重点を置かれているんじゃないかと私は思いますよ。というのは、五十五年六月に原子力委員会核物質防護専門部会、これにはもちろん外務省からも入っていらっしゃいますね。電気事業連合会の方ももちろん出ておられます。海上保安庁、科学技術庁、通産省、警察、運輸省等々からメンバーが出てこの専門部会を運営されて、そして結果、核物質防護専門部会報告書というものが出ているのです。 これの中身を見ましても、はっきりここに「治安当局の原子力施設周辺又は輸送における警戒活動、緊急時における出動等の迅速かつ総合的な対応措置を可能とするための体制の整備が必要である。」と書いてあるのですね。その目的は何か。「核物質防護制度の目的は、」とちゃんと書いてあるのです。核物質を防護することのために整備が必要だと書いてあります。これはどういうことになるのですか。今回の日豪原子力協定の中でも、核物質防護の問題がやはり昨日も取り上げられて論議をされてきているわけですけれども、この核物質防護の条約の趣旨とするところはどういうところにあるのですか、ちょっと聞かせていただきたいと思います。
○宇川政府委員 お答えいたします。 この条約では、四条に基づきまして適切な防護が行われるということをうたっておるわけでございます。したがいまして、盗難その他不測の事態によって平和目的以外に関連核物質が転用されることを防ぐという趣旨でございます。
○土井委員 つまり核ジャックを防止するということなんでしょう。これは核物質を盗難から防護するということを最重視した中身なんですね。この条約、PP条約と申し上げていいと思うのですが、このPP条約について日本はどういう姿勢をいま持っていらっしゃるのですか。きのうも少しそういう御質問がありましたけれども、私は改めて聞きたいのです。
○宇川政府委員 御質問の条約につきましては、起草会議に私どもとしては積極的に参加してまいりました。すでに御答弁いたしましたように、外務省としてはできる限り早期にこの条約に加盟すべきだと思っております。この趣旨で関係省庁に対しましては国内の体制、特に国内法の面において、この条約に加入するに足りる形で、あるいは現在の体制のままで加入が可能であるのか否かの点も含めまして早急に御検討をお願いしているという状況でございます。
○土井委員 これは取り上げようによると、住民の人たちの安全を考える立場というものと核物質を防護することを重視する立場というものは全く逆の対策が出てくるという側面も無視できないと私は思っているのです。現に、いまちょっと申し上げましたけれども、この核燃料についての輸送ルートや輸送に対する時間帯も全く住民に知らされていないという実態がどんどん出てきているのですね。その輸送ルートの途次にあるところの自治体も知らないまま輸送されているという実態もあるのです。防災対策ということになって聞いてみると、どうもそれぞれ私から言わせると心もとない話ですよ。いままで起こっていないからいいようなものの、一たん考えられない悲惨な事故が起こったときにはどうなるかといったら、さあそれからじゃ遅いですね。そういうことを考え合わせてみると、私はこの問題は非常に問題が大きいと思うのです。PP条約は安易に考えられるべき問題じゃないと思っているのです。そうして日本にあるところの国内法で忘れられてならないのは、原子力基本法ですよ。原子力基本法でどういうことを言っているのですか。公開性の原則を明記しているのじゃないですか。住民に対してこういうことの公開も不十分なままで置いておいて、核物質を防護することのためにきゅうきゅうとするというのは、少し逆立ちしたありさまだということを私は言わざるを得ないのです。まず大切なのは公開性の原則を徹底させることですよ。どうお思いになりますか。
○高岡政府委員 御指摘の点が幾つかあろうかと思いますが、第一の核物質の防護と、住民といいますか国民一般の安全確保の問題でございますけれども、先ほど御指摘ございました専門部会といいますのは、すでにお述べになりましたように、核物質の防護について専門的に研究した結果でございます。でございますから、住民の安全についての対策その他について言及しておらないことは当然でございます。先ほど核燃料規制課長その他が御答弁申し上げておりますように、住民の、国民一般の安全の確保の問題につきましては、これは考え方といたしまして、考えられるあらゆる事態が起こっても一般の公衆には危害を及ぼさないという考え方で安全対策が講じられておるわけでございます。 それから、第二番目の公開問題でございますが、この点につきましては御指摘のとおり、原子力基本法で、平和利用に限って日本の原子力の開発利用を進める、それを担保するための手段の一つといたしまして公開の原則をうたっております。ただ、先生御専門でございますから十分御案内と思いますが、公開というのは日本の研究開発の成果の公開でございます。でございますから、そういう対象が研究開発の成果であるということが一つございます。 それから、私どもの考えといたしましては、公開について、企業機密、国際条約に基づく守秘義務、そういうものに抵触する場合はこの限りでないという解釈をとっております。 そういう考えでございますけれども、御指摘のように、一般の公衆に原子力の開発利用の成果その他をできるだけ公開して、国民の合意を得て原子力の開発を進めるというのが政府の政策でございますから、最大限にそういった立場で情報の公開をいたしておるところでございます。
○土井委員 この輸送ルートについて公開しては悪いということは何らないと思うのですね。むしろ知らされなければ知らされないだけ不信がつのりますよ。そして研究成果についても、これは守るべきものだ、知らしてはならないものだとだれが決めるのです。一方的に決めて、住民には知らせない、関係者には知らせないと、それ自身が、何のために公開性の原則をお互いが確認し合ったかという問題にもなっていくのですね。これは御再考をお願いしますよ。 それと、PP条約についてもう一点だけ申し上げて、さらにその使用済みの核燃料輸送について少しお尋ねを進めたいと思いますが、PP条約は軍事利用目的の核物質が適用外とされていると思いますが、いかがですか。
○宇川政府委員 適用外となっております。
○土井委員 これはどうにもなりませんね。この条約について安易に考えて、それは批准を急ぐということばかりが能じゃないということを一言申し上げたいと思うのです。よろしいですか。 それから、先ほどの警備状況については、増員がされていっているというかっこうですが、燃料輸送の際の警備について費用がどれくらい用意されているかというのを、ちょっとあわせて聞かせておいてくださいませんか。
○岡村説明員 核燃料の輸送につきましては、警察といたしまして、核物質の重要性にかんがみまして、そのときどきの情勢あるいは核物質の内容、数量等々を勘案いたしまして、それなりの警備を行っているところでございます。場合によりましてはパトカーの先導を行う、あるいは沿道の拠点に警察官を配置する、あるいは場合によっては機動隊を遊撃的に配置するというようなことを行っております。 ただ、費用の問題につきましては、警察の各部門ごとの区別も明確にできませんし、また、日常業務との関連もございまして区分することがなかなかむずかしゅうございまして、算出することは不可能な状態でございます。
○土井委員 大体概算はできると思うのですね。少し努力してみてください、不可能とおっしゃっているけれども。したがって、それをひとつ考えてみていただいて、これくらいだろうと思われるところを後でよろしいから知らせていただきたいと思います。よろしいですね。それは一応努力してくださいよ。
○岡村説明員 費用につきまして、ただいま申し上げましたように、平常業務との区別ということもなかなかできませんので、概算についても、ちょっと算出しかねる状況でございます。
○土井委員 核燃料輸送回数が地域的に見るとどれくらいかというのは、これはわかっているはずなんですね。それに対して、どれくらい警備に対して必要経費が充てられているかということはわかるはずなんですよ。これは計算できるはずです。
○岡村説明員 お答えいたします。 回数等は出てまいりますし、また警戒の警察官数も出てまいりますが、ただパトカーを配置するといったような場合、パトカーは配置されてない場合はまた別の任務に服しているわけでございます。そういうことでございまして……
○土井委員 そのパトカーがあるなしという細かい問題はよろしい。私は概算と言っているのです、そこのところ。先ほど不可能とおっしゃるから、不可能というような答弁ではこれはだめですよ。やはり、そこのところ努力した上で、これしかできませんとおっしゃるんだったら、私は認めます。初めから不可能と突っぱねる姿勢というのは、まことに気に入らない。どうですか。
○岡村説明員 できるだけ努力いたしますけれども、なかなかむずかしい状況でございます。
○土井委員 むずかしいからこそ、努力が必要なんです。努力して、そのむずかしいことをやってください。よろしいですか。お願いします。
○岡村説明員 努力いたすことにいたします。
○土井委員 それでは、それは後でその内容を、概算で結構だと私は言っているのですから、ひとつ提示していただきたいと思います。 さて、先ほど言っていた、原発で使い古された核燃料は再処理工場に送られるはずなんですが、これは放射能が強いのですね、衝撃にも弱いはずなんです。調べていくと、大体海上輸送が行われているということであるわけですが、それは事実に間違いありませんね。
○戸田説明員 お答えいたします。 原子力発電所、幾つかございますが、そのうちのごく一部で、ごく短距離の陸上輸送が行われている以外は、すべて海上輸送になっております。
○土井委員 この海上輸送の場合、これを取り締まるといいますか、いろいろと対策として規制をしております法制度ということになると、どういう法律によってこれは賄われておりますか。
○石井説明員 御説明いたします。 使用済み核燃料の海上輸送における安全基準は、船舶安全法に基づきます危険物船舶運送及び貯蔵規則に定められております。この基準は、IAEAの基準を取り入れたものでございます。容器の基準等につきましては、核燃料規制課長が説明しましたようなものでございます。 具体的な規制の内容といたしましては、船積みの前に、使用済み核燃料が容器に収納される、そういう状態で基準に適合しているかどうかという検査をいたします。それから、次に輸送計画書というのを出していただきまして、それに記載された輸送の方法が、これも基準に適合しているかどうかという審査をいたします。それからさらに船積みの際に、規定のとおり船積みされているかどうかという積みつけ検査を実施することにいたしております。こういうことによりまして、使用済み核燃料輸送につきましての安全について万全を期しております。
○土井委員 懇切丁寧にその規制法に対しての御説明を賜ったのですが、その法律で、この運び出す地点から船積みをする場所に至るまでの桟橋なんかも規制できますか、どうですか。
○石井説明員 船舶安全法では桟橋までは規制しておりません。
○土井委員 桟橋の部分というのは実は盲点なんじゃないですか。これを規制している法律があるならば明示してください。
○末広説明員 船積みする場所が発電所構内にあります場合でございますが、その場合につきましては発電所内の規制ということで、原子炉等規制法に基づきます規則でいろいろな要件が定められております。
○土井委員 それによって桟橋等々に対しても点検を現実の問題として十二分になさっていますか。いかがですか。
○末広説明員 現在のところ、電気事業者の自主保安体制の中で実施しております。
○土井委員 これも種々問題があるのですね。海上においても、豊後水道なんというのを通るときには、あそこは大型タンカーが行き交っていますし、船も過密状況でございまして、しょっちゅう海難事故が起こっております。私は、果たしていまの体制のままでいいかどうかというのは本当に大変な問題だと思っていますよ。海洋汚染は一回行われますと、これは原状に復させようとしたらなかなか大変なことなんです。もとの姿にして戻せと言われたって、むずかしいですよ。これはできない話だと私は言いたいと思いますね。だから、これなどは本当に深刻な問題なんです。 さて、日本の使用済み燃料というのは毎年どれぐらい発生しているのですか。トン数で言ってみてくださいませんか。きのうは何だか、低レベルの問題について、ドラム缶何万本というのをおっしゃいましたけれども、あれも何リットル入りのドラム缶かさっぱりわからないので、いいかげんな答弁だなと思って私は聞いていたのですが、何トンぐらい出ていますか。
○田辺説明員 現在わが国の発電所、約千七百万キロワットが運転中でございますが、一九七九年度の使用済み燃料の発生量、年間二百十五トンでございました。累積で七百六十一トンということでございます。
○土井委員 動燃再処理工場では、年間どれぐらいの能力でこれを処理していますか。
○坂内説明員 お答えいたします。 動力炉・核燃料開発事業団の東海再処理工場の能力は、公称年間二百十トンでございます。
○土井委員 日本では、したがってこれに対しての能力というのは、遠く使用済み燃料を処理することに及ばない。これに対してイギリスとフランスとに再処理を委託するというかっこうになっていることは現実の問題としてあるのですが、契約はどういうぐあいになっているのですか。一九八二年から九年間に千六百トンずつ引き渡す、そして両者は一九八五年から十年間に再処理するということになっているということだと思いますが、若干これが事実はおくれているということも私は聞き知っているのですが、そのとおりですか。どうですか。
○田辺説明員 海外の再処理委託契約につきましては、古い契約と新しい契約の二つございます。先生いま御指摘の契約につきましては、昭和五十三年以降に十電力会社が、イギリスのBNFLそれからフランスのCOGEMAと結びました契約でございまして、御指摘のとおり千六百トンずつ移送することになっております。使用済み燃料の移送につきましては、その後の新契約につきましてはこれから始まるということになっておりまして、使用済み燃料の移送に関しまして少しおくれつつあるということは先生御指摘のとおりでございます。
○土井委員 そうして、これは再処理後どういうかっこうになるかといったら、廃棄物を依頼先の電力会社に送り返すことになっているんですね。そうでしょう。
○田辺説明員 ただいま申し上げました新しい契約、十電力会社の契約におきましてはそのようになっております。
○土井委員 そうすると、単純計算しまして、大体一九九〇年以降そういう実際の問題が出てくるというふうに考えなければならないんじゃないでしょうかね。しかし、もし廃棄物について合意が成立するということになるならば事情が違ってくるかもしれませんけれども、その合意が成立しない場合は、あくまで一九九五年までに使用済みの燃料というのは持ち帰らなければならないという状況に相なると思いますが、いかがですか、予定から言えば。
○田辺説明員 海外委託に伴って発生します廃棄物、高レベル廃棄物でございますが、これはガラス固化されまして日本へ持ち帰るということになりますが、そのガラス固化のスペック、仕様につきまして、これから英仏から提示がありまして、その検討結果を踏まえてわが国政府及び電力業界が合意をいたしましたならば、その形で、そのスペックでつくられたガラス固化体、これを一九九〇年前後以降わが国に引き取るということになろうかと思います。
○中山委員長 土井議員に申し上げます。 外務大臣臨時代理がお戻りになりました。五時まで時間があるそうでございます。もしよろしければ……。
○土井委員 先ほどの続きですね。ちょっと先にこれをやらせてください。 それで、そのガラス固化の問題ですけれども、ガラスは六百五十度以下では再結晶しないということが一応考えられるのじゃないですか。そして日本ではそのことでの実証実験というものがどういうかっこうに相なっておりますか。
○坂内説明員 突然のお尋ねでちょっと私手元にデータがございませんが、四百度とか六百度とか何か、それに近い数字だったように記憶しております。
○土井委員 もしイギリスやフランスが提示する返還廃棄物の始末に日本が満足しない場合、向こうは再処理はしない。単に再処理工場に貯蔵して、再びそのままの形で日本に送り返されるということに相なるかと思うのですが、この点はそのとおりでしょうか。どうでしょうか。
○坂内説明員 契約上、先生の御指摘のようになっておったと思います。ただ、手元にちょっと資料がございませんので明確じゃございませんが、契約上は多分そのようになっておったと記憶しております。
○土井委員 そうだと思う。そうすると、一九九五年までにはすべての廃棄物、未処理燃料というものを引き取らなければならないということを前提にして、どのような形のものをどのようにして運ぶか。持ち帰った後どのように貯蔵して監視するか。これは大変大事な問題として決めなければならない。いま決まっていますか。何も決まっていないと思いますよ。いかがですか。
○田辺説明員 御説明いたします。 先ほど御指摘の仕様が両国において合意しない場合でございますが、これにつきましては、契約上、先方に使用済み燃料の形で貯蔵するという形になっています。その間は貯蔵するという形になっています。 それからその後仕様が合意されまして、わが国に返還されるということになる場合でございますが、そのわが国の貯蔵につきましては、当面再処理工場において一時的に貯蔵するという形で政府ベースでは考えておりまして、またその貯蔵の仕方、輸送等々につきましては鋭意関係機関、関係省庁等で検討中でございます。
○土井委員 後処理の問題というのは大事だと思うのです。けさの新聞にも原子力の新長期計画案というものが大体できた、措置が整備された、こういう記事が大見出しで出ているのですが、見るといま私が申し上げているようなことはさっぱり考えられていないのです。やはり長期計画と言うときにこの問題を取り上げてどうするかということを抜きにしてどういう長期計画をお考えになっていらっしゃるのか。次から次から原子力発電所をふやす、次から次から使うことばかり考えて後大事な処理をどうするかということがすっぽ抜けている長期計画はあったものではないと思うのです。住民の立場からすれば賛成をしない方が普通だと思うのです、こういうやり方をやられたら。どうでしょう。
○高岡政府委員 きょうの朝日新聞の朝刊に紹介されておりますように、原子力委員会では去年の四月から四年前に定めました原子力の研究開発利用の長期計画の改定を進めております。内容といたしましては、まだ審議中でございまして、六月末までには遅くともまとめたいという原子力委員会の方針で作業が進められておる途中の段階でございますので、大体こういった方向だということでお聞き取り願いたいと思いますが、原子力発電の推進ということはもちろん大前提でございますけれども、それに関連いたしましてのいま御指摘のありました廃棄物処理の問題でありますとか、あるいは使命を終わりました発電炉の後始末、われわれは廃炉と称しておりますが、廃炉の問題でありますとかそういった対策、たとえばいま御指摘がありました高レベルの放射性廃棄物の後始末につきましては、現在国内で再処理をいたしております量がそれほど多くないものですから、現在の時点で大体百三十立方メートル程度だと思っております。ですから、大した量ではございませんので安全にタンク内に貯蔵できるという状況でございます。でございますけれども、行く先々非常に大量になってまいりますのでガラス固化の技術開発でありますとか、そのほか地中に処理、処分をするための研究開発というのを長期的観点から着実に進める必要があるという観点で計画が検討されておるわけでございます。これは一例でございますけれども、そういう状況でございます。
○土井委員 これはなかなか難問題です。一例を挙げられても聞いていてなるほどと言う気もしないわけでありまして、大きな目で見た場合にはそれは大変大きな問題だと私は思うのです。 あと三問ばかりお尋ねしてこの質問を終えたいと私は思います。 原子力発電所の事故の報告はどの程度なら必要になるのか、どうもその基準がよくわからないのです。実は例の敦賀の発電所の一号機でこの八日に放射能を含んだ蒸気が漏れる事故があったということが新聞紙上に出ておるのですが、この事故発生後、福井県に報告してから後県が再度調べたところによりますと、同じ一号機は四日にも別の個所で蒸気漏れ事故が発生していたのに報告していないのです。この一号機というのは、言うまでもありませんけれども、昨年の四月一連の放射能漏れ事故と事故隠しが発覚して問題となったという有名な場所でありますけれども、県との安全協定がその後改定されておりますが、原電側は、今回の蒸気漏れは緊急を要するものではないので県への報告事項には当たらないというふうなこともおっしゃっておるようなのであります。したがって、どの程度だったら報告が必要になるのかその基準がさっぱりわかりません。これは当事者にそれの判断が全部預けられたかっこうになっているのか、いかがなのですか。
○末広説明員 お答えいたします。 原子力発電所におきます事故、故障でございますが、いろいろなレベルのものがあるわけでございますが、重要なものにつきましては法令に基づきまして報告するということで、原子炉等規制法の規則で項目が挙げられております。ただ、私ども、単に法令に基づきます報告のみではなくて、その他の軽微な故障につきましても前広に国及び県の方に報告するようにという指導をしておりまして、特に通産省といたしましては、TMIの事故以降運転管理専門官制度というのを発足させまして、各発電所の所在地に運転管理専門官を常駐させております。運転管理専門官を通じて通常発電所で発生いたします事象につきまして状況を把握できるような体制をとっております。したがいまして、一応法令でそういった報告義務というのが課せられておりますが、その他の事象についても把握できるような体制になっております。
○土井委員 それじゃ、いまの御答弁からすると、原電側が蒸気漏れは緊急を要するものではないという判断を持たれて報告されなかったということは適当な措置とは言えなかったというふうにも考えておいていいわけですか。
○末広説明員 去る五月四日にありました件でございますが、これは通常のメンテナンスの部類と私ども呼んでいるわけでございますが、発電所には多数の機器、バルブがございまして、常時パトロールしておりまして、ちょっと異常な個所を見つけますとその場でボルトを増し締めするとかいった作業もあるわけでございます。この前の五月四日の件につきましては、そういった通常の発電所のメンテナンス作業における事象だと承知しております。
○土井委員 そうすると、そういうのは報告が不必要だというかっこうになるのですか。
○末広説明員 お答えいたします。 五月四日にありましたような事象につきましては、各発電所におきまして前日の作業の内容ということで事後報告が来るような形になっております。
○土井委員 ちょっとごめんなさい、よく聞いていなかったのですが、事後報告という形になっているとおっしゃったわけですか。
○末広説明員 お答えいたします。 各発電所で毎日メンテナンスのために作業を実施しておるわけでございますが、そういったたぐいの事象につきましては翌日、休日がございますと翌々日になりますが、私どもの運転管理専門官が現地で前々日の作業状況ということでヒヤリングしております。
○土井委員 そのヒヤリングをなさっている現場でそういう実情を聴取なさるということで十分だという御認識なのですね、要はそういうことなのですね。
○末広説明員 メンテナンスのたぐいにつきましてはそういった実態で十分であると私ども考えております。
○土井委員 技術的な細かい点になると私たちにはよくわからないのですけれども、もう一度言ってください。報告すべきであるということについての基準は何によって定められておりますか。
○末広説明員 原子炉等規制法に基づきまして原子炉の運転等に関する規則というのがございますが、これは通産省令で定められております。
○土井委員 日本で許容線量は何によって定められていますか。一般人の場合と放射線作業従業者の場合と違うと思うのですが、これは何によって定められていますか。
○川崎説明員 お答え申し上げますが、原子炉等規制法に基づきまして許容線量を定める省令あるいは府令等によって定めているケースもありますし、そのほか労働安全関係の規則等、各種規則等によってそれぞれ定められております。
○土井委員 わが国では一般人が年間五百ミリレムですね、それから放射線作業従業者の場合は五千ミリレム、これが国の方で定められている許容量というふうに考えてよかろうと思いますが、どうなのですか。
○川崎説明員 御指摘の点についてはそのとおりだと存じます。
○土井委員 これは国際放射線防護委員会、ICRPの基準によるということはわかっているのですが、どういうわけでこういう数値が定められたのかという根拠が私にはよくわからないのです。何を根拠にこれははじき出された数値ですか。
○川崎説明員 私の直接の担当でございませんのでつまびらかにはわかっておりませんが、ICRPの数値と申しますのは、国際的なかかる許容線量等について医学的あるいは放射線障害等の見地からの種々の考察を十分にこなし得る専門家の集まりで検討された数値だというふうに承知しております。
○土井委員 こういう質問をすると、どこの委員会でもよくそういう答弁が出るのです。国際的な基準値となっていて、それは専門家が寄り集まって決めた数値であるから信用に値するとか、信憑性が高いとかいうふうなことがよく言われるのですよ。ところが、それは専門家はわかるかもしらぬですが、素人にわかる根拠でなければこういう問題は困るのです。よろしゅうございますか。どういう根拠に基づいてその偉い先生方がお決めになったのですか、いまの答弁じゃよくわからぬですよ。何なんです。
○高岡政府委員 私、担当外でございますが、大体考え方はこうだということで恐らく間違いないと思いますからお答え申し上げます。 ICRPというのは世界の放射線防護についての権威者が集まって審議をしておるわけでございますが、放射能というのは天然にも存在するわけでございます。たとえばそういう天然に存在いたします放射能レベルというのがございますけれども、それと同じくらいの量を付加する、つまり人為的な放射能が天然のレベルと同じぐらい、倍ぐらいになるという程度のふえ方であるならば、原子力の開発のメリットとのバランスにおいて問題はないのではないか。これは純科学技術的に言いますと、遺伝的な影響でありますとか、あるいは単一の個体といいますか、われわれ一代の間の晩発障害というようなものを考慮して、絶対に障害が起こらないということが必ずしも一〇〇%証明されておるというわけではありませんけれども、科学的な知見を持った権威者の判断としてそういうことは起こり得ないことである、起こり得たとしても、たとえば確率にいたしまして一億分の一でありますとか何十億分の一でありますとかいう低い確率の問題であるという判断からそういう基準が設けられていると理解しております。
○土井委員 これは数字がいろいろ出ているのですけれども、ただ私の言いたいことをここで簡単に申し上げます。 ICRPで計算をいろいろされていることからして、アメリカの場合はそれに基づいて調査をされているのですが、ハンフォード原子力センターの労働者三万五千人を三十三年間にわたって調べられた結果というのが出ているのです。そうすると、その結果を見た場合の被曝の発がんの危険というのは、先ほどICRPの計算というのはそれぞれ専門家が寄ってお考えになった結果であるからと言われたあの計算の十倍から二十倍に上るということが明らかになったわけですよ。つまり、これでは許容量ということからすると不適正である、実情に合わないということを考えて、アメリカの場合には環境保護庁がわが国に比べると二十分の一に許容量を引き下げて実情に合わしているという実態があるのでありますが、これを御存じでしょうね。
○笹谷説明員 ただいま先生から御質問のあった件については、私ども現在まだ承知いたしておりません。
○土井委員 どうもその辺は勉強してもらわぬと、本当に困りますね。調べてみてください。つまびらかにしてないとか、手持ち資料がないとか、そればかりじゃないですか。結局のところ、私がいま言いたいことは、許容量というのは原子力を利用する上でがまんすることを義務づけられた限界被曝量というふうなことになるのじゃないか。全く現実の問題としたら安全とは関係のない量になる。しかもわが国で決めている許容量というのは、ICRPが決めたことだからよろしいということで諸外国に比べて高い中身になっているという実態が現実の問題としてございます。ひとつこの点も実情に即応して、安全と関係をした、人体の健康を保持するという点で適正な中身を考えるという調査研究というのは大変大切だと思いますが、これをやっていらっしゃるのですか。やっていらっしゃらなければやっていただかなければならぬと思いますよ。
○高岡政府委員 大変大事な問題でございますので誤解があると問題でございますが、外国に比べて日本の安全許容限度というのが高い、不適正であるということはないと確信をいたしております。 それから、非常に低いレベルの放射能の障害ということにつきましては、遺伝的な影響でありますとかあるいは晩発障害というようなことにつきまして、天然の放射能に比べての量というようなことで、影響が非常に科学的につかみにくいという性質でございますし、研究に非常に長期間を要するという性格を持っております。具体的には科学技術庁の傘下にあります放射線医学総合研究所というところで環境放射能についての非常にじみちな長期の研究を続行をしておるわけでございます。
○土井委員 何だかいまのままで十分みたいなことを突っぱねたようなかっこうでおっしゃっていますけれども、こういうのは常に研究していただかないとならない。これで十分だということはないと思うのです。諸外国と比べても、私はいろいろな観点から問題視して検討を重ねるということを常にやっておいていただかないとならないと思いますね。それはよろしゅうございますね。それは大事な話だと思います。 それで、最後にこれは「むつ」の問題も私は聞きたいと思ったのですが、きょうは実は科学技術委員会の方でこの問題についての質問、答弁がおありになるようですから、私はあえて、時間の方も気になりますからそれは割愛をいたします。 それで、最後にせっかく宮澤大臣代理がもう一度戻ってきてくださいましたから、低レベルの核廃棄物の処理の問題で、昨日もちょっとこれはドラム缶に詰めてたくさん貯蔵されているという話を質疑の中で出されたいきさつもあるのですが、実は先日新聞の「論壇」にも載ったんですが、グアム島の学校の先生の投書がございまして、太平洋の中の一国でも反対があったら海洋投棄はしないということを、サイパンからサイパンの知事、グアムからグアムの副知事などが中心になって十人ほど日本に請願に来られたときに、中川長官が約束されたと言われるくだりがその記述の中にあるのです。これはやはり一国でもここに廃棄してもらうことは困りますというふうな声があるならば、それはしないという約束をされたということをグアムの方の学校の先生が新聞に投書されるように、そのように理解して、この問題については注目をされているわけでありますから、事はなかなか大変な問題だと私は思うのですね。それで、これは技術的にいかに安全であるといいましても、なかなかそれでも困りますと言われるのですよ、実態の問題は。それは安全の問題についても、私はきょうの御答弁をずっと承っていて納得できるような御答弁ではなかったですよ。住民の方からすると、私は一層そういうことについては十分なる、このことに対して納得してもらおうという努力での説明というのがなされていないと思うのです。そういうことも含めて考えますと、私は南太平洋の方々が日本の低レベルの核廃棄物に対して投棄することを反対なさるというのは至極当然だと思うのですけれども、そういうことも含めまして、これをどういうふうにお考えになっていらっしゃるかということを大臣代理からちょっと承りたいのですが、いかがですか。
○笹谷説明員 海洋処分問題についてお答え申し上げます。 昨年の五月だと思いますが、北マリアナのカマチョ知事が訪日いたしまして、日本の廃棄物の海洋処分問題について大臣と会見いたしております。朝日新聞の「論壇」にその際の発言が引用されているという御発言ですが、私どもその際大臣がカマチョ知事にお答えしている発言内容としましては、太平洋諸国等の皆様の理解を得た上で海洋処分を実施しますというお答えをしていると承知いたしております。——理解を得て海洋処分を実施するという答えをしたと承知いたしております。 なお、海洋処分については、御承知のとおり国内法の諸手続あるいは安全評価等を終えまして、内外の理解を得るということにいま努力いたしておるわけでございますが、今後ともあらゆる機会をとらえまして、これら南の諸国等の理解を得る努力をする方針でございます。
○土井委員 どういうふうな理解を得る御努力をなさるのか私にはよくわかりませんけれども、宮澤大臣代理、当外務委員会におきまして例のロンドン条約を審議しました節、たしか外務大臣は園田外務大臣でいらしたわけですが、御答弁で、やはり南太平洋の国々から一国なりとも低レベルの核廃棄物に対して投棄をすることに反対がある場合は、日本としては慎むべきである、それはできないことであるというふうな御答弁があったわけでありますが、宮澤大臣代理はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○宮澤国務大臣 私いま留守を預かっている立場でございますので、事情を聞いてみますと、国際協調のもとで関係諸国の十分な理解を得た上で実施すべきものであって、今後ともかかる努力を最大限に継続する必要がある。それで理解を仮に得られなかったときにどうするかというお尋ねであるといたしますならば、あくまで理解を得た上で行いたい、こういうふうに考えておるそうでございます。
○土井委員 そうすると、それは端的に言うと、理解がない限りはそれは投棄はできない、したがって、ましてやいやですよと積極的に意思表示をされている分には、これはとうていできることではない、こういうことになると思いますが、そのとおりでよろしゅうございますね。
○宮澤国務大臣 忍耐強く説得を続けて何とか理解を得た上でやりたい、こういうことのようでございます。
○土井委員 最後になりますけれども、この日豪原子力協定について、中心はやはり平和利用に徹するということがどこまでも貫かれなければ、この協定がずいぶん苦労された趣旨というのが生きてこないと思うのですがね。そういうことを具体的に努力をするという立場から申しましても、やはり国民、住民、市民の生活に対して責任ある原子力開発をしなければならないはずだと思うのです。そうすると、私はきょう、したがってその点を質問の中でも申し上げさせていただきたいという気持ちを込めて質問をさせていただいたんですが、公開性の原則というのはできる限りこれをはっきり保証するということでなければならないはずなんですね。これについての努力というものは、私はまだまだ日本の場合は足りない。むしろ隠そう隠そうとする。そしてこの実態を知ろうとする人たち、さらにはいまのような状況のままで原子力発電所の建設に対して着工するということは許すことができないという立場の人たちに対しては排除するような姿勢すら、やはり核防護という立場で目に余るような状況がないとは言えないのです。そういうことからすると、やはりその基本的な姿勢というのが、この協定を日本が批准するに当たって問いただされているのではないかということを私自身もこの条文を読みながらいま一たび考えたんですがね。宮澤大臣代理はこの問題についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるかということをお尋ねいたしまして、私は質問を終えたいと思います。
○宮澤国務大臣 それはあくまでやはり最大の安全ということを確保する立場で考えていかなければならないものだと考えておりますが、そのぎりぎりの、しかし最大限の努力をいたしました上で、やはり問題は費用と効果との対比において決定せられなければならない場合もあるのではないだろうか。昨日来いろいろ絶対の安全ということについて御議論がございました。それは絶えざる努力がそのために必要であるとは存じますけれども、そのときそのときで最大限の努力をいたしました上であれば、やはり費用対効果ということについて世論に聞いて決めるということになるのではないかというふうに思っております。
○土井委員 もう一つはっきりしませんけれども、そうするとやはり住民に対して十分なる説明や事情を知らせるという努力を、公開性の原則に立脚して努力をどこまでもするということが問われているということもいまの御発言の中では受けとめてよろしゅうございますね。
○宮澤国務大臣 それはそのとおりであると存じます。
○土井委員 長時間ありがとうございました。まだまだ聞きたいことはありますけれども、時間の方が気にかかります。御協力を感謝して終えたいと思います。
○中山委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。 次回は、明十四日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時一分散会