外務委員会 第9号
- 発言数
- 207 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1982/04/16
会議録
○中山委員長 これより会議を開きます。 千九百七十八年の船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約の締結について承認を求めるの件、千九百七十六年の海事債権についての責任の制限に関する条約の締結について承認を求めるの件及び千九百七十二年十一月十日及び千九百七十八年十月二十三日にジュネーヴで改正された千九百六十一年十二月二日の植物の新品種の保護に関する国際条約の締結について承認を求めるの件の三件を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、これを許します。土井たか子君。
○土井委員 先に千九百七十六年の海事債権についての責任の制限に関する条約から質問を始めたいと思います。 まず、お尋ねをしますが、この条約に言う「船舶所有者」というのは、公人でも私人でもともにこれは船舶所有者たり得ると理解してよろしいか。
○稲葉説明員 御説のとおりでございます。
○土井委員 そうすると、船舶自身は、公用の船舶であっても、当然この条約の対象になると考えていいわけですね。
○都甲政府委員 この条約におきましての船舶には公用船は含まれないというふうに理解しております。その理由は、特に明文の規定はないわけでございますけれども、公用船につきましては、従来とも船舶所有者の経済的な損失については保護をする必要が特にないということ。それから、公的主体についての損害賠償につきましては、別途の法体系が設けられているということが通常であり、わが国においても国家賠償法においてこれを処理しているということ。それから、スウェーデン等の国内法におきましても公的船舶は含まれないという規定をしていること等の理由から、本条約には公的船舶は含まれない、このように私どもとしては解釈している次第でございます。
○土井委員 先ほどの御答弁では、船舶所有者が公人であれ私人であれ、ともにこの中に含まれるという御発言だったのです。矛盾するじゃありませんか。
○都甲政府委員 先ほどの御質問は、法人であるか個人であるかというふうに聞こえたものでございますから、そのような答弁になったと私はいま聞きましたので、公的な船舶であれば、私がいま申し上げましたように、これには含まれないという解釈になっております。
○土井委員 含まれないという解釈になっておりますと言われるのですが、それはいまも御答弁の中で言われるとおりで、条約の条文のどこを見ても、それの根拠たり得る個所がないのですよ。そういう解釈というのは、日本独自の解釈なんですか、国際的に確立されている解釈なんですか。この条約を締結するに当たって、国際間で合意をされている中身なんですか。いずれですか。
○都甲政府委員 この条約について、公的船舶が含まれないということについては、特に各国において異論があるわけではございません。そういう意味で、各国とも了解している解釈でございます。
○土井委員 怪しげな答弁ですね。異論がないというのは、つまり確かめた上でその解釈を確立しているのですか。そうじゃないのでしょう。恐らくはこれを言っても反対がないであろうという推測じゃないですか。これが少なくとも解釈として確立されているならば、こういうふうなことでありますという客観的な、それがはっきりわかるような資料をひとつ提出してもらいたいですよ。ないと思いますよ。いかがです。
○都甲政府委員 先生御指摘のように、この条約には規定がございません。ですから、あとは運用の問題ということになるわけでございますけれども、その運用につきまして、各国の先例その他におきましても本件については問題がないということ、それから、先ほど申し上げましたように船舶の性質からいって、公的な船舶についてはその損害補償について、国際的にも、この条約で予想されているような損害賠償の制度を適用する実態的な理由がないということ、そのようなことからして、いまのような私どもが申し上げました解釈については国際的にも十分に支持され得るものであり、また各国の実行においても何ら問題のないものである、こういうふうに考えております。
○土井委員 問題がないように思うと言われるのですが、これは先例がないものであれ、たまたまそういうことで、この条約がまだ発効する以前の問題として、いままでいろんな事例があることに対してさほど認識を持たなかったのじゃないですか。この条約が発効してから、どう取り扱うかというのはこれからの問題なんですよ。そうすると、解釈として確立しているならばよろしい、その確立されているところの資料をいただきたいと私は言っている。それがないはずなんです。恐らく問題がないであろうという日本独特の推測じゃないですか。
○都甲政府委員 日本独特の推測というわけではございませんで、本件につきましては、この条約の採択の際にも特に議論にはならなかったということで、問題にならなかったわけでございます。それで、一九五七年の条約にも同じようにこの明文の規定がなかったわけでございますけれども、そのときにも日本政府としては公船はこれに含まれないというふうに解釈しておりました。 各国の考え方につきましては、スウェーデンについては特にそのような取り扱いをしているという例がございますけれども、その他で特に例になるようなことを具体的には承知しておりませんけれども、この公船の取り扱いについて問題になった事例がないということもまた一つの——一九五七年の条約というのは長い間の国家慣行のもとで運用されてきたわけでございますから、その間においても全く問題が生じていなかったということは一つの例証になるかと存じます。
○土井委員 一九五七年条約ということをしきりにいまおっしゃるのですが、今回のこの条約は、一九五七年条約では対応し切れなくなったということでこの条約を問題にしたのじゃないですか。したがいまして、一九五七年の条約そのものを踏襲して問題にするのだったら何もこの条約を改めてここで論議する必要がないのです。一九五七年当時のあの条約では対応し切れないというところが問題なんですね。その問題点にはいろいろ私はあるだろうと思いますよ。たとえば、金額責任主義を基礎として船舶所有者の賠償責任を軽減することという、船主の責任の制限制度というものがやはり問題にされざるを得なかったといういきさつもあるでしょうし、それから、インフレが各国において進行している、その中で責任限度額というものが現状に合わないということもやはり改定をしなきゃならない原因としてあったことは事実です。いろいろあるに違いないのですが、少なくとも一九五七年当時の条約を踏襲したままでよろしいのだったら、何もこの条約を問題にする必要はないということだけははっきりしているのです。引き合いに出されるいわれは私はないと思いますよ。
○都甲政府委員 先生御指摘のように、一九五七年条約においていろいろな問題があったということで今回の条約が採択されたわけでございますので、今回の条約におきましては確かに船の責任の限度額の引き上げとか、それから責任阻却事由の改定とか、いろいろな改良がなされておりますが、これはまさに海運の実態を見て、そのような時代の変遷につれて海運の実態に合わせた責任限度額の引き上げなり損害賠償の体制なりを整える必要があったということでございますけれども、この間におきまして、私が一番初めに御指摘申し上げました公用船の性格そのものについて特に問題が生じたということはないわけでございまして、また繰り返させていただきますと、海上企業の存続という見地から経済的にこれを救済するという見地が特に公用船については当てはまらないということ、それから公的な主体については損害賠償について各国の法体系においていわば別途の制度が設けられているということ、これらの事情は、五七年条約が採択されて以後今回の条約に至るまで変わっていないと思うわけでございますので、五七年条約におきまして、たとえばイギリス、フランス等が公的船舶はこれに該当しないというふうに取り扱った先例もございますし、スウェーデンも今回の条約について同様に考えておりますし、このような国家慣行というものはこの条約を解釈する上において重要な一つの根拠になり得るものであると思いますし、この条約に規定がないということをもって公用船も同じような扱いをすべきであるという認識はIMCOにおいて問題にならなかったということも一つの傍証かと思いますけれども、私は各国の問題意識の中にないのではないか、そういうふうに考えております。
○土井委員 それぞれの国のシステムが違いますから、各国の間に問題意識がなかったんじゃなかろうかと一蹴されるのは少しおかしいだろうと私は思うのです。そのことが論議にならなかったから日本が勝手に考えていいんだにはならないので、これは国際的に解釈としてこうなっておりますと言い切れないのでしょう。そうであろうという推測ですよ、先ほどからるるおっしゃっているのは、どこまでいったって。国際的にそういう解釈が確立いたしておりますと言い切れない問題ですね。だから、これは公用船にも準用されるということがないとは言えない。もし準用されても、確立されてないんだから条約違反じゃないのですよ。またそれに、やってはいけないという根拠になるような条文の規定はどこにもないんだもの。だから公用船にこの条約を当てはめて適用しても条約違反じゃありませんね、違った質問の仕方をしますが。
○都甲政府委員 先生の御質問のような観点からこの条約を見ますとお説のとおりだと思います。ですから、各国が公用船につきましてそのような解釈をとって、公用船について責任制限を実際に行うだろうかということはまた別の問題かと思います。
○土井委員 初めからそうおっしゃれば時間も短縮できて、さっといったのです。 それで、ちょっとそれにかかわりのあることをいまからお尋ねしますが、第三条の「責任の制限の対象から除外される債権」というのがあるのですね。この中に「原子力損害についての責任の制限を規律し又は禁止する国際条約又は国内法の適用を受ける債権」、(c)という条項です。(d)という条項が引き続き、「原子力船の船舶所有者に対する原子力損害についての債権」、これがすなわち「責任の制限の対象から除外される債権」となっておりますから、いわばその責任は青天井だと考えなければならぬでしょう、理屈から言うと。そのとおりなんですね。 そこでちょっとお尋ねしますが、日本に「むつ」という原子力船がありますね。この原子力船の所管の省はどこですか。
○小宅説明員 お答えいたします。 科学技術庁でございます。
○土井委員 科学技術庁だけですか。
○小宅説明員 いま御指摘の「むつ」は研究開発の段階にあると考えられますので、科学技術庁と私どもは了解しております。
○土井委員 研究開発、それは何ですか。現にこの「むつ」に対しては、立法された上で認められているのですよ。これに対しては特別の法律があるのです。御存じでしょうね。もう一度答えてください。所管する省はどこですか。
○小和田説明員 たまたま運輸省の者としておりますので、わかる限りでお答えいたしますけれども、「むつ」は原子力船事業団が持っておりまして、事業団につきましては科学技術庁と運輸省と共管で監督をしているのではないかと思いますが、正確なところは、担当のところは官房ないし船舶局かと思いますので、私は残念ながら確信を持ってお答えできません。
○土井委員 少なくともこれは心得ておいていただくべき問題だろうと思うのですが、日本原子力船研究開発事業団法によると、その三十八条、「この法律において主務大臣は、内閣総理大臣及び運輸大臣とする。」となっています。続いて三十九条というところを見ると、「この法律に規定する内閣総理大臣の権限は、科学技術庁長官に委任することができる。」となっています。ただ全権委任じゃないんですよ。科学技術庁長官に対して委任できない部分もあるのです。しかしいずれにしろ、運輸省と科学技術庁とのせめて共管とくらいは答えてほしかったですね。
○小宅説明員 私の知識が不十分でありましたのでお答えが不明確で失礼いたしましたが、原子力船研究開発事業団法は科技庁と運輸省の共管でございます。それで原子力船に載っております原子炉につきましては、科学技術庁、それから船体につきましては運輸省というふうに了解しております。
○土井委員 そうすると、これは試験船なんてよく言われるのですが、さっきも何だかそれとおぼしき御発言が答弁の中にあったんだけれども、これはやはり一般船舶としての取り扱いがなされているのですか、船体は運輸省所管になっているんだから。どうなんです。
○都甲政府委員 この原子力船が海外に出かけます場合には、損害賠償の見地からは、原子力損害賠償法七条の二の一項によって扱われるということになっておると承知しております。
○土井委員 法って国内法でしょう。日本の国内法でしょう、いまおっしゃったのは。外航についた場合、相手方が外国船である場合はどうするのです。日本の国内法で全部処理するのですか。そうはいかないと思いますよ。そしてお尋ねしますが、この船は国際登録がされているんですか。手続は済んでいるのですか、どうなんです。過去にも事故を起こした船ですよ、どうなんです。
○都甲政府委員 お答え申し上げます。 十分に知識がなくて申しわけないんでございますけれども、当然「むつ」についてはわが国の船舶として登録はされておりますけれども、国際登録ということが行われているかどうかについては承知いたしておりませんし、多分されてないだろうと思っております。
○土井委員 多分じゃこれはちょっと済まない問題になってきますよ。なぜかというと、日本の国内で起きる問題と違いまして、外航中に外国との間で起きた事故による損害に対しては、ここに言うところのc項、d項、先ほど読んだ問題がひっかかってくるんじゃないですか。そうすると、これについて日本は国際条約に加盟していますか、どうなんです。ここに「原子力損害についての責任の制限を規律し又は禁止する国際条約」と(c)に書いてありますけれども、これは加盟しているのですか、どうなんですか。
○都甲政府委員 加盟しておりません。
○土井委員 加盟してない、そうすると、どういうふうに責任を果たすというかっこうになるのです。加盟をせずして、それはまたむずかしい外交交渉に当たって何とか難を乗り越えようということをやるわけですか。なぜ条約に加盟しないのです。
○小宅説明員 お答えいたします。 原子力船運航者の責任の制限に関する条約というのが一九六二年にブラッセルで採択をされております。しかし、この条約は依然として発効しておりません。現在のところ六カ国で、この条約が発効するためには少なくとも一カ国の原子力船保有国の参加をまたなければならないわけですが、現在のところまだその条件を満たしておりませんので発効しておりません。 これとわが国との関係でございますが、この条約に規定しております運航者の責任制限額というのがございますが、これは原子力事故当たり十五億フランというふうに決められております。これは大体本条約採択当時の金の価格で算定いたしますと約二百七十五億円というふうに言われております。 他方、わが国には別途国内法といたしまして原子力損害賠償法、原賠法がございます。これは最低限度額が三百六十億円ということで上は青天井になっております。そういうことですので、この条約に加入をするためには原賠法の責任制限額をむしろ下げなければならないというおかしなことになりますので、わが国としては国内法的にも加入ができない、そういう状態になっております。
○土井委員 そうすると、この条約を締結することはこれから先も見合わせて、ひとつ国内法で、つまりより多額の賠償をする、多額の責任をとるという方向で日本としては進む、こういうかっこうになるんですか。
○小宅説明員 政府といたしましては現行の原賠法で対処してまいりますので、ただいま御質問にありましたとおりだと思います。
○土井委員 ところでこの条文を見ると、あたかも条約がすでに発効しているがごとき書き方なんですよ。「原子力損害についての責任の制限を規律し又は禁止する国際条約」とちゃんと書いてある。日本は加盟していない、条約自身はまだ発効していない、その条約を条文の中で明記するというのはいかがかと思われますよ。そして日本としては、こういう条約がたとえ発効してもこれに加盟をすれば、現在日本の国内で決めている額よりも額が少なくなるので、青空天井のままで多額の賠償をする、責任をとるという姿勢で臨みたいとおっしゃるんだったら、このc項にあるところのまだ発効してない条約をここに明記されるというのは私は非常に不思議でならない、これは一体どういう話なんですか。
○小宅説明員 この条約の三条。項におきましては、原子力損害についての責任の制限に関しまして国際条約及び国内法を併記してあります。ですから、この条約の考え方といたしましては、この責任制度の枠外に原子力損害に関するものは置くけれども、これは国際条約あるいは国内法でカバーする、こういう趣旨と解されます。
○土井委員 それは条文解釈は何ぼでも字句が書いてあったらできるのですが、なぜそういう字句がここにあるかということを私は聞いている。解釈以前の問題です。ありもしない条約をここで明記されていることは、これは条約としての体裁をなしていないとも言えるのです。なぜこういうありもしない、まだ発効していない条約がここに掲げられているのですか。それを答えてくださいよ。私は解釈をしてくださいと言っていないのです。
○都甲政府委員 原子力損害につきましては、その特殊性に従い、国際的にもさまざまな規制を図ろうというための立法努力が行われているわけでございますが、現に、先ほど言及がございました原子力船運航者の責任に関する条約等がすでに作成されておるわけでございます。その他原子力に関する条約は、たとえば原子力損害の民事責任に関するウィーン条約等、幾つかございます。その中には発効しておるものもございます。 ですから、原子力損害そのものにつきましては、この条約の決める枠組みによらずに解決しようというのは実態的には当然のことであろうと思いますし、そのことが規定されることは、その実態的な解決をほかの国際的な法的な枠組みにゆだねるということ自体は、不思議なことではないと思います。その条約の中に引用される条約が、特定の国が加盟するときに発効している場合もありましょうし、発効していない場合というのも当然あり得ると思いますので、その点につきましては、加盟するときにその条約に規定されている他の法的な枠組みが完全に発効していなければその条約に入らないという一般論は成り立たないのではないかと私は思っております。
○土井委員 その条約に入る、入らないの問題をいま言っているのじゃないのです。この条約自身が発効していない条約を持ってきて、その条約による、よらないといううことを規定していること自身が間違っていやせぬかと言っているのです。私の言っている意味がわかりますか。はぐらかしたような答弁はなさらないでいただきたい。
○小宅説明員 お答えいたします。 原子力の分野におきましては、先ほど申し上げました原子力船運航者の責任に関する条約のほかに、原子力分野における第三者責任に関する条約、パリ条約と言っておりますが、そういう条約とか、核物質海上輸送における民間責任に関する条約というのがございます。この二つとも発効をしております。しかし、いずれもわが国は加盟しておりません。ですから、そういうことですので、ここに書かれている三条c項に関連して発効している条約が全くないかというと、現実にあるわけでございます。
○土井委員 現実にあると言ったって、この条約と直接関係があるのは、何といっても原子力船運航者の責任に関する条約じゃないですか。この条約自身はまだ発効していないのですね。そして日本は、原子力関係においてすでに発効しているいずれの条約に対しても加盟をしていないわけですね。
○小宅説明員 ただいま発効している二つの条約のことを申し上げましたが、そのうちのウィーン条約、原子力損害の民事責任に関するものですが、この条約の中身といたしましては、原子力施設の事業者に対する責任制限制というものを置いております。 それで、こういうものに基づきまして、先ほど申し上げましたもう一つの条約、パリ条約があるわけですが、いずれも、先ほど来御説明申し上げましたとおり、わが国の原子力損害賠償法とたてまえが違っておりまして、国内法的な整合性に問題がある、問題があるだけではなく、この責任制限を設けるということになりますとかえってメリットがないということですので、これまで政府はこの二条約に入っていない、こういうことでございます。
○土井委員 そうすると、これからもその条約は日本としては締結しない、万事この問題は日本の国内法でいく、こういうことなんですか。国際的にいろいろ事故を起こした場合も、日本としては日本の国内法を適用してそれに対する処理をしていく、こういうかっこうになるのですか。そしてそれは、相手国はそのことを承認してくれますか、相手国はそれに応じてくれますか。そうはならないと思いますよ。
○小宅説明員 先ほど来御説明申し上げているとおり、この条約の内容が変わらない限り、わが国としてはこれに入るメリットがありませんので、国内法によって原子力事故に対する損害賠償を行っていくということになると思います。
○土井委員 条約を一たん締結したら、その国内法化というのは必要なんです。国の義務になっているのです、憲法九十八条を見ますと。 国内法を国際的に適用してやるという例は、私はいまだかつて聞いたことがない。こんなむちゃくちゃなやり方ができるのですか。一国の国内法を国際的に当てはめて、国際間に起こるいろいろなトラブルはそれで解決しようというのですか。そんなばかな話がありますか。私はもうこれ以上する気がなくなりましたよ。これは質問したってだめだ。
○都甲政府委員 この条約の仕組みから申し上げますと、通常の船舶の損害責任についてはこの条約の定める仕組みによるけれども、原子力損害についてはこの条約の適用がないというふうに定めているわけでございまして、原子力損害について、必ずこの条約に定めている条約に従えとは書いてないわけでございますので、当然にこの条約から除かれているわけでございますけれども、その仕組みにつきましては、当然この条約に規定されている他の条約の法的枠組みを予想はしておりますけれども、各国が、たとえばわが国が、その条約より厚い保護を与える現在の原子力賠償法によってその損害を処理するということは、法的にこの条約の決めているところから乖離するということはないと考えます。
○井上(普)委員 議事運営について発言させていただきます。 ただいま聞いておりますと、しどろもどろで、はっきりした御意見も外務省当局はお持ちにならない、こういうことは、事条約に関しますので、この問題については、しばらく休憩して御勉強になって、確固とした御答弁をしていただかなければならないと私は考えます。したがいまして、少し休憩させていただいて理事間における協議をやらせていただければ、こう思うのでございます。
○中山委員長 ちょっと時間をいただきまして、理事間で協議いたしたいと思います。 それでは、二十分休憩をいたしたいと思います。二十分後に再開いたします。 午前十時四十分休憩 ————◇————— 午前十一時開議
○中山委員長 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。 質疑を続行いたします。土井たか子君。
○土井委員 それでは、質問をこの第三条の「責任の制限の対象から除外される債権」について続行をいたしますが、この条文では原子力損害については適用しないというふうに考えていいわけですか。ただし、ここに書いてあるのは、「原子力損害についての責任の制限を規律し又は禁止する国際条約」とはっきり明記してありますし、「又は国内法の適用を受ける債権」ということが明記されておりますから、国内法を持っている国あるいは条約に加盟している国は、それぞれの立場においてこの条約や国内法によって考えるというかっこうになるのだろうと思いますが、それはそのとおりなんですね。
○都甲政府委員 御指摘のとおりでございます。
○土井委員 そうすると、日本では青空天井の額でこれに対処しようという国内法がある。ところが特定の外国船との間で事故が起こった、相手国は国際条約に加盟している国である、そういう場合に、相手側が加害者である場合と相手側が被害者である場合とでは、ずいぶんこれは事情が違ってくるのです。なぜかと言うと、日本は被害を受けながら非常に低い額の損害賠償しか受けられない。日本が加害者になった場合には、日本の国内法によって対処するのですから、非常に高額の損害賠償をする、こういう立場に日本は相なると思いますが、このとおりでしょうね。
○都甲政府委員 条約に加盟している国と加盟してない国との相互の間では、そのような事態が起こることは当然予想されるし、そのようになると思います。
○土井委員 そういうことは、単純に考えてみると、日本の場合非常に不利だと言うことができると思うのです。なぜこの国際条約に日本は加盟しようとしないのか。また、外国も加盟をする国がない。したがって、発効していないということを先ほど来おっしゃっているのですが、なぜ加盟しようとしないのですか。いかがですか。
○都甲政府委員 先ほどの一九六二年のブラッセルの船主、運航者の責任に関する条約につきましては、先ほど来御説明しておりますように、国内法上の問題があるというほかに、原子力船を保有している国が一つも参加していないという実態がございます。その実態を突き詰めてみますと、これは当時軍艦にも適用されるという前提でつくられておりますので、そういうこともございまして、原子力船を保有している国が、かかる観点も考慮の上だと思いますけれども、参加してないという事情がございます。
○土井委員 そうすると、この条約自身は軍事優先という立場に立ってこの点を規律していると言わざるを得ないと私は思うのです。日本は少なくともこの原子力の軍用船というのを持たない国ですから、外国に対して迷惑をかけるはずはない。そういう点からすると、外国の原子力軍用船によって、また軍用艦によって日本は被害を受けるという可能性を持っている国であります。その点からすると、これに対しての手当てというものは日本としては大変必要視されるわけでありますが、どういう手当てを日本として考えられているのですか。外務省としてはいかがですか。
○都甲政府委員 御指摘のような事態につきましては、当面の間はそれを規律する国際条約が存在しないという前提に立ちますと、相手国の国内においてそのような原子力損害を扱う国内法に準拠して解決されるという以外に道がないと思いますけれども、究極的にはやはり国際的にそのような原子力損害の場合を想定して、より合理的な法的な枠組みをつくる努力がなされるということが必要であろうと考えます。
○土井委員 これは国際会議の場所でも、言わず語らずのうちに軍事優先の姿勢でおのおのの国が臨んで、軍用の用に供せられる原子力船は外して考えようという姿勢が非常に強くあったのではなかろうかと私には思われますが、それはそのとおりに考えていいでしょうね。どうです。 やはりこの条約自身は、軍事的な原子力船は外すという当初からの思惑というものは各国の間にあったに違いないと私は思うのです。だから、いまおっしゃった御答弁ではなかなかこれは対処し切れないのですよ。そのことに対しての手当てというのは、日本としては相当強い立場で臨まないとできるはずはないと私は思っておりますが、その点、どうでしょう。やはりこれは軍事優先の条約でしょう。どうです。
○都甲政府委員 先ほど申し上げましたように、公船につきましては、そういう意味では各国とも特別の損害賠償の法的な枠組みを持っているということが前提にはあるのだろうと思いますので、そういう意味で、公的な、あるいは軍艦等については、たとえば主権免除等の原則もございますし、これに対する扱いというのは民間の船と一緒にするというわけにはなかなかまいらないという事情もあるのではないかと思うわけでございます。
○土井委員 民間と一緒にするわけにはいかないとおっしゃいますが、だから最初に聞いたのです、公的な船舶にもこの条約を適用して考えるということが可能だと思われるがどうかと言ったち、それはそのとおりだと言われたのですから、したがって、そういう点からすると、軍用の用に供せられている原子力船に対しては別途考えるということをこの条約自身が言っている限り、そのことに対しての手当てを十分にするという努力がまた問われている条約でもあるのです。そうでしょう。 だから、日本としてはそのことに対して、先ほど来の御答弁ではどうも不十分ですよ、もっとさらなる努力はどういうふうになさいますかということを、私はお尋ねした。外務大臣、これは政治問題でもあるのですよ。非常に大事なポイントなんで、ひとつ外務大臣、これに対しての外務大臣御自身の姿勢なり御所信なりをお聞かせいただきたいのですが、いかがでございますか。
○小宅説明員 お答えいたします。 先ほど来御説明申し上げておりますとおり、この条約は内容的に不十分といいますか、不備なものがあると考えられます。したがって、わが国としてはこれにすぐに入るということは考えていないわけでありますけれども、先ほど来先生が指摘しておられますとおり、この原子力船にかかわる責任制限の問題というのは非常に重要な問題でありますので、これが現在国際的に存在する唯一の国際条約であるということもありますので、私どもといたしましては、この内容の改善ということができれば、そういう方向に向かって努力をしていきたいと考えております。
○土井委員 それはしていただかないとだめだと思うのです。この条約を締結する以上は、やはりその辺の努力がいままでより以上に強く問われるということも認識してもらわないといけないと思いますよ。それは、外務省よろしいですね。宿題ですよ、この条約の宿題ですよ。よろしいね。
○小宅説明員 ただいまおっしゃられたことを貴重な御意見と体しまして、今後検討させていただきます。
○土井委員 それでは、さらにもう一点、この条約について大事なポイントをお尋ねしたいのですが、第四条のところを見ますと、「責任の制限を妨げる行為」というのがある。船舶所有者などについて責任制限阻却事由というのがありますね、現行の条約でもあるのですが。そこを見ていきましても、現行の条約では、過失があった場合についても責任制限を主張できないことになっているのです。にもかかわらず、今回のこの条約を見てまいりますと、過失があった場合についても責任制限は主張できませんよという根拠になる条文はどこにもないのです。むしろ損害が故意から生じた場合に限られるというふうにしか読めないのですが、これはどういう理由でこういうふうに変わったのですか。いかがでございますか。
○都甲政府委員 御指摘のとおり、一九五七年の条約におきましては船主につきまして過失のあった場合には責任過失の制限を援用できないということはございましたけれども、今回の条約では第四条に書いてございますように「損失を生じさせる意図をもつて又は無謀にかつ損失の生ずるおそれのあることを認識して行つた自己の作為又は不作為により当該損失の生じたことが証明された場合」ということで、過失の場合は除かれております。 これにつきましては、条約採択の際にいろいろと経緯がございまして、特に海難事故が生じた場合に船主について過失があるかどうかということを法廷で判断することが非常に困難というか、各国において必ずしも単一の基準がなくてその援用が統一基準によって行われなかったという不備があったということが認識されたわけでございます。他方船主側におきましてこの責任を引き受けるための能力の限度を考えますと、今回の場合これが一・五倍ないし六倍に引き上げられているわけでございます。その船主の負担能力ということをも考えまして、双方のバランスをとる。被害者保護の見地から、一方においてはいま申し上げましたように責任限度額を上げるということとの見合いにおいて責任制限の阻却事由をややしぼった、過失を除き非難可能性が非常に高い場合に限ったという交渉経緯がございます。そういう意味で被害者保護の見地と船主の保護の見地とのバランスをとるということが交渉過程において必要であったという事情がございまして、いまのような規定に落ちついているわけでございます。 ちなみに、この規定は前例がございまして、航空運送に関するワルソー条約を改正する一九五五年のヘーグ議定書の中に同様の事由による責任制限の阻却事由としているわけでございますのでその先例にのっとった、こういうことでございます。
○土井委員 いまの御答弁に対して私自身の考え方は後で言うことにして、IMCO主催の条約採択会議でわが国はこういう点についてどういう態度をとってきたのですか。無条件でよろしいと言ったのですか。それとも異議を唱えたのですか。いずれでございますか。
○小宅説明員 お答えいたします。 条約採択会議におきまして、わが国は重過失も含めるべきであるということを主張いたしまして、この点が必ずしも十分に反映されなかった、そういうテキストが最終的に採択されましたので、その時点におきましてはわが方代表団はこの点については棄権をしております。
○土井委員 それは当然だと思うのです。海上における航行活動の結果第三者に損害を与えた場合、損害を受けた側、被害者からするとその原因が故意であれ過失であれそんなこと関係なしに現に損害を受けておるという立場が厳然として存するという状況になるわけですから、その生じた損害の責任をとるというのは法のたてまえであり、通説だということは言うまでもない話です。この条約を国内で認めていこうとするときには、日本では、現行法体系からしたら船舶所有者などについては過失があった場合にも責任制限を主張できないということになっているのじゃないですか。これはそういうことからしたらどうなるのですか。国内で過失の場合は責任をとらなくてよろしいとするのですか。そこまで日本の国内法を後退させるのですか。いままでの国内法体系をひっくり返すのですか。どうなのですか。
○稲葉説明員 この条約の承認案件と同時に国内法の改正法案を出しておりまして、条約の趣旨にのっとった改正をするということになっております。
○土井委員 いまの答弁ではどういうことかさっぱりわからないのです。
○稲葉説明員 この第四条にのっとりまして、損害を生じさせる意図をもって、つまり故意あるいは損害の生ずるおそれのあることを認識して行った無謀な行為による場合には責任制限をすることができない、それ以外の場合には責任制限をすることができる、こういう形になっております。
○土井委員 要するに、過失の場合には責任をとらなくてよろしいということになるのでしょう、いまのをつづめて言うと。
○稲葉説明員 軽過失の場合には責任制限をすることができるということになるわけでございます。故意、過失いずれの場合においても当然責任は生ずるわけでございます。責任が生じない場合に責任制限ということはおよそ問題にならないわけです。責任が生じなければゼロでございますから、ゼロを責任制限するというような話はあり得ないわけで、一〇〇なら一〇〇の責任が生じた場合にこれを五〇に制限するかどうかという問題になるわけです。その一〇〇の損害が単に軽過失で生じた場合にはこれは責任制限をすることができる、しかしそれが故意によって生じた場合には責任制限はすることができない、また故意にひとしいような重過失と認められます、ここで申します無謀な行為によって生じた場合にも責任制限をすることができない、つまり一〇〇の責任をそのまま負わなければならない、こういう形になるわけでございます。
○土井委員 非常にわかりにくいむずかしいお話なのですが、これは争いになった場合には挙証責任の転換ということが具体的になされるのでしょうね。つまり、被害者側が挙証しないとそうならないという問題じゃないのでしょうね。被害者側の言うことに対して反証が挙げられなかったら加害者側は全部責に任ずるというかっこうになるのでしょうね。当然のことだと思いますが、それはそのように考えていいのでしょう。
○稲葉説明員 これまでの伝統的な考え方によりますと、これは被害者側が故意または過失があったということを立証しなければ責任制限を破ることはできないという解釈になっております。ただ、法律上はそういうふうになっておりますけれども、実際問題としてこれについての故意、過失の立証というのは非常にむずかしいわけでございます。これは一般の公害等におきましてもそういう問題がございまして、工場の中でどんな過失が起こって事故が起こったのかということはなかなかむずかしい。一般的なわが国の司法理論から申しますと、不法行為の場合には必ず被害者の方で過失を立証しなければならないというのが原則でございます。しかしながら、現代の裁判所等の考え方におきますと、そういう場合にはむしろ加害者でございます工場なり何なりが自分の過失ではなかったのだということを立証しないとなかなかその関係の免責を認めないという傾向がございますので、それと同じような形で処理がされることになるであろう、かように考えております。
○土井委員 いろいろな場合に、故意だなんということを言うことはなかなかありませんね。それはいろいろな事故に当たってみればみるほど、みずからこれは故意でやりましたなどと言うことは万々ない、異例であります。そういうことからすると、勢い過失に対しての認定が非常にむずかしいなりに大事な問題になってくるわけでありまして、いまそういう意味でお尋ねを進めているわけで、この辺は被害者にとって不利な状況が展開されるということであってはならないということから今回の条約の趣旨はその方に力点を置いて、以前よりも前進したという意味はそこにあると私たちは受けとめておりますので、この点は大事なポイントではなかろうかと思うのです。だから、国内法に移される場合に、過失の場合においても十分に責任を果たさなければならないということが損なわれないように外務省としては、いま法務省の方ではすでにその法案について審議を進められ、その採決をされる直前であるようでありますが、連絡をとりつつ今後の国内的な対処についても努力をされる責務がこれによって生ずると私は思うのです。これはよろしいですね、外務省。
○小宅説明員 ただいま先生がおっしゃられたとおりでございます。
○土井委員 さらにもう一点だけ聞きます。 責任限度額の算定の基礎となるトン数の問題なんですね。条約から言うと六条関係が関係してくると思うのですが、その五項で見ますと、千九百六十九年の船舶のトン数の測度に関する国際条約附属書Iに定めるトン数の測度の方向に従い計算される総トン数、こういうことになっているわけですが、ところで千九百六十九年の船舶のトン数の測度に関する国際条約というのは現在発効しているのですか、どうなんです。
○小宅説明員 お答えいたします。 この条約は発効要件を満たしておりますが、発効はことしの七月となっております。 〔委員長退席、奥田(敬)委員長代理着席〕
○土井委員 まだ現在は発効していないのですね。このまだ現在発効していない一九六九年の船舶トン数の測度条約が仮に発効したとしても、この一九六九年の条約の二十条というところを見ますと、地域適用のための宣言、必要な措置をとるということになっているのです。それは御承知のとおりなんです。その条約上の必要な条件を満たすことなく、この今回の一九七六年の海事債権条約を発効するということは運用上非常に混乱を来すし、前後ひっくり返っているんじゃないかと私は言いたいのでありますが、これはどういうことですか。
○稲葉説明員 この点につきましては、先生御指摘のとおり、このいままでのトン数のはかり方とは違う基準ではかったトン数によって責任限度額を算定しなければならないということになるわけでございまして、既存船につきましては新しい規則によるトン数を新たに計算し直さなければならないという問題があるわけでございます。このために条約採択会議におきましては、わが国はこの点について問題があるということを指摘したわけでございますけれども、国際的には大きな支持を得ることができなかったという経緯がございます。したがいまして、私ども国内法をつくる場合におきましては、この点を考慮いたしまして、これは要するに方法だけをこの条約で定めておる方法によって算定しろということになっておるわけでございまして、まあそれは必ずしも実測による必要はないのではないか、図面測定でも構わないというふうに考えておりますので、その図面測定等によってその通知を出して、そしてそれにのっとって責任限度額を算定するということにしてまいりたいというふうに考えております。 〔奥田(敬)委員長代理退席、委員長着席〕
○土井委員 大変苦しい措置ですね。これは正直に苦しいだろうと私は思うのです。いわば便宜的措置ですよ。だからそういうやはり欠陥といいますか、弱さというか、そういうところがこの条約の中にもあるわけですが、さてわが国はこの千九百六十九年の船舶のトン数の測度に関する国際条約に加入したときに、船舶のトン数の測度に関する法律というのを国内的には制定したはずなんです。 ところが、この法律を可決するに当たって附帯決議が付されたはずです。政府としては船舶設備規程の整備など所要の対策をすべきであるという中身になっていますが、これは現におやりになったんですか、どうですか。この附帯決議を遵守されましたか、どうですか。どうです。自信を持って大丈夫やりましたと言えますか。
○小宅説明員 ただいま先生おっしゃられました附帯決議は、運輸委員会で採択された決議と承知しておりますので、至急関係省とも連絡の上、調査の上お答えいたします。
○土井委員 それはそうしてください。そういうことがどういうことになっているかということが確認をされないでおいて、今回はこの条約の第六条に引用されてくるというかっこうになるならば、どうも問題が次々残されていくかっこうになるということも実は言わざるを得ないんですよ。だからそういうことからすると、この条約の適用に当たりまして締約国としてとるべき措置というものがきちんと定められているわけですから、その定められている措置というのは、船舶のこのトン数の測度に関する国際条約、それは言うまでもなく先ほど来申し上げている一九六九年のあの条約に即応する形でまず措置を十分にとっておいた上でなければ、この六条についてそれを運用していくというかっこうにはならないわけです。日本は国内的にそれは十分大丈夫だろうかという点は、外務省としては少なくともこれは条約審議に当たる前に運輸省と連絡を密にして、その点をきちっと押さえておいていただくのが物事の順序というものだろうと私は思うのです。そうでないと、第六条の審議はできないわ。それはお認めになりますね。まだこれから連絡だということにいま相なったんですが、それは認めてくださいますね。どうもそれは準備不十分ですよ。
○小宅説明員 本件につきましては、ただいま先生が御指摘なさいましたとおりでございます。
○土井委員 これでほかにも問題点がありますが、私は、千九百七十六年の海事債権についての責任の制限に関する条約についての質疑をひとまず終えたいと思います。 それであとは、この船員の資格、訓練の方に、午後質問を移したいと思います。ありがとうございました。
○中山委員長 午後四時十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時二十八分休憩 ————◇————— 午後四時三十三分開議
○中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。
○井上(普)委員 議事運営について。 議事運営について発言をさせていただきますが、一昨日私は質問いたしました。経済協力について私は質問いたしたのでありますが、その際キューバの一人当たりの国民所得は二千五百ドルだ、それでは韓国はどれだけだ、こう申しますと、千五百ドルだ、こう申しました。したがってキューバに対する経済援助はできないんだ、こう申されたのであります。しかしここに私が持っておるが、外務省の情報文化局の編集による「世界の国一覧表」というのを見てみますとキューバの国民所得は八百十ドル、こういうことをはっきりと、外務省の編集で書いてある。こういうような数字を違え、論拠の基礎が違うようなことでは、正当なる質問はできない。これは議事運営上と申しますよりは、むしろ国会に対する何と申しますか、虚偽の答弁をしてその場を逃れればいいという態度で、審議ができるものじゃないと私は思います。したがって、委員長におかれましては、この際、このような答弁をされる外務省当局に対していかなる処置をなされるおつもりであるか、この点をお伺いしたいのです。
○中山委員長 事前に櫻内外務大臣から御答弁がございますので……。櫻内外務大臣。
○櫻内国務大臣 私もその席で承っておったわけでございまして、外務省からの答弁はたしか国連の統計に基づいてお答えをしているんだ、こういうことでございました。しかし、ただいま他の書面に違う数字が出ておると、こういうことはまことに恐縮な次第でございまして、これは早速調べましてその事実を明らかにし、もし先般の答弁が当を得てないという場合におきましては、私からまたしかるべく責任あるごあいさつを申し上げたい、こう思います。
○井上(普)委員 特に申し上げておきますが、これは外務省の情報文化局の編集に係る本です、パンフレットなんです。国民の間にこれを出しておるのです。しかし議論が、この場での答弁がその時点において事実と違うことをしゃべられる、それに基づいて審議が行われるということになりましたならばゆゆしき大事であります。外務省当局はお調べになって処置するとおっしゃいましたが、外務省の態度というものは実によらしむべしという態度、すべて秘密にしよう、議員に言われたら何とかその場を逃れればいいという態度が見え見えになっておる。外務大臣のいまの御答弁でございますが、委員長におかれましては十分なる御処置をとられんことを強く要求いたしておきたいと思います。
○中山委員長 御指摘の点ごもっともだと思いますので、この委員長席に理事の皆さんにちょっとお集まりをいただいて、どういうふうに取り扱うか協議をいたしたいと思いますが、恐縮ですが、委員長席までお集まりいただきたいと思います。——理事の諸先生の御協議の結果、適当に委員長におきまして調査をいたしまして、報告を外務省等から受け、次回の水曜日に行われます理事会において協議をし、処置についてお諮りをいたしたいと思いますので、御一任くださればまことにありがたいと思います。よろしゅうございますか。 それでは、土井たか子君。
○土井委員 前回、先週の金曜日の当委員会におきましてすでに千九百七十八年の船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約についての質問を私はいたしましたが、きょうは時間が限られておりますが、残余の部分についてさらに質問を続行させていただいて、そして議了にいたしたいと思います。 この条約の中の附属書を見ますと、その規則の中に甲板部とか機関部とかの当直に当たり遵守すべき基本原則が列記されているのですが、これは読んでみますと大変繁雑でございまして、素人にはわかりにくうございます。ひとつ条文にとらわれないで、趣旨としてどういうことを言っているかということをわかりやすく説明をお願いしたいと思います。
○都甲政府委員 できるだけ簡単に御説明申し上げたいと思います。 御承知のように、この条約は船舶の安全の基準、安全の見地から船舶に乗り組む船員の資格をしっかりするようにということと、その証明の手続、それから当直の基準について定める条約でございますけれども、この条約の本体におきましてその一般的な基準といいますか総則を定めておりまして、この附属書におきまして、いわば各細則を定めているということでございます。 そこで、附属書の第一章におきましては、「一般規定」としていろいろ「定義」であるとか「監督手続」であるとか、本文にかかわるいろいろな細則を定めております。 第二章におきまして、具体的にトン数を挙げまして、どのようなトン数の船舶の船長及び一等航海士にはどのような資格を要求しなければならないかという、きわめて細かな細則を定めております。 第三章におきましては、機関部におきまして当直の勤務をする職員につきまして、その資格要件をこれまた非常に細かく、どのような資格を持っている者にどのような証明を出さなければならないかということを定めております。 第四章におきましては、無線部におきましての職員の資格について定めておりまして、さらに石油タンカーあるいは化学薬品タンカーそれから液化ガスタンカー、救命いかだ等の取り扱い等、特殊な船舶についての乗組員、船長、部員等について、加重的にさらにどのような資格要件を備えなければならないかということを規定している。そういう意味で、条約本体に掲げられております総則を遵守するために、細則をここできわめて詳細にわたって規定しているという役割りを果たしているということでございます。
○土井委員 何かそれもわかりにくい説明だったですね。 要するに、これはそれぞれの職務内容について細則を設けて列記をしてあるわけでありますが、甲板部というのと機関部というのはおのずとそれぞれの役柄が違うという区分けが明確にここにございます。したがいまして、これは甲板部は甲板部であり機関部は機関部であって、両者を混同して考えるわけにはいかないということが条約上のこの規定で考えられると思いますが、この点はそのとおりでございますね、どうです。
○都甲政府委員 先生御指摘のように、それぞれの船舶の部分に従いまして機能が違うということに着目いたしまして、それぞれに勤務する要員につきましての資格を別個に定めておるという観点から、先生御指摘のとおりだろうと思います。
○土井委員 さて五十五年四月二十三日、当外務委員会におきまして、私は海運造船合理化審議会の問題をいろいろと質問をいたしているのですが、五十五年三月二十五日にこの海運造船合理化審議会から運輸大臣あてに長期的な外航海運政策についての答申が出たことに関して、運輸省からの御答弁の中に「わが国外航海運における日本船というものが、特に船員費の高騰等によりまして国際競争力を喪失しつつあり、日本船のシェアというものが年々低下しつつございます。」という、こういう答弁の前提で「昨年度から」というのは昭和五十四年度から「われわれ運輸省としまして外航船舶緊急整備計画を実施しておりまして、利子補給制度の復活を中心とする計画造船制度の充実強化によって、金利負担の軽減をいたしております。また一方、このような利子補給を受けます海運企業におきましては、船員費の合理化を中心とする国際競争力改善計画を実施することとし、一方で大きなコストとなっております船員費の合理化を推進する、」云々という答弁があるのです。このことが、最近実験船という名でいろいろと乗組員に対しての人員が合理化されまして、在来型のタンカー三十名でやってきたところが実験船では十八名、コンテナ船だったら二十六名の乗組員であったところが十八名というかっこうに、これは大変な合理化が進められる実験船が現に実験をされ、そして先日運輸委員会の審議の中でもこれが具体化されているわけであります。ここの中では、従来甲板員や機関員が区別をされてそれぞれ四名、五名という割り振りで考えられてきたところが、全部二つが一つになりまして、運航員という名前でこれを取り扱うようなかっこうになっているのです。これは、条約から考えますとどういうかっこうになりますか。当直制度についても、甲板部の当直、機関部の当直と区分けがあるのですよ。今回のこの実験船からすると、その辺が全くなくなってしまうのですが、これはどういうかっこうに相なりますか。
○都甲政府委員 実態につきましてはまた運輸省の方から御答弁いただくことにして、私は、条約の中でその問題がどう取り扱われているかということだけを簡単に触れてみたいと思います。 条約では第九条に条文がございまして、技術進歩に応じた特殊な形態の船の場合には、この条約に定める資格証明以外の資格証明あるいは船員の配置等が認められるということが書いてございまして、しかしその際には、この条約で定める要件とほぼ同等の条件が満たされる場合でなければならないということが規定してございまして、さらに手続的にも、そのような特殊な条件を定めた場合にはこれをIMCOの事務局長に報告をして、各国に周知徹底することができるようにしなければならない、こういう規定がございますので、この規定によって対処さるべき事項であろうと思います。
○土井委員 いまの御答弁でもよくわからないのですが、甲板部員で雇い入れて機関部の仕事もさせるという形は、本来は望ましいことじゃないはずなんですね。現にこの条約からすると、そういう取り扱いを条約自身はしていないのです。特定の要件を備えた船でなければ、そういう甲板部員で雇い入れて機関部の仕事もさせるというやり方はできないだろうと思うのですが、これについては何らかの歯どめなり何らかの必要条件というものがきちっと定められていますか、どうなんですか。その辺、運輸省にお尋ねしましょう。
○亀甲説明員 お答えいたします。 いわゆる昔からある在来型の船舶について、甲板部と機関部の両方の仕事を一人の人がやるというのは不適切な点があるということは、先生御指摘のとおりでございます。しかしながら、最近できてまいりましたいわゆる超近代化船におきましては非常に機器の進歩等ございますので、いわば一人の人間が甲板部の仕事も機関部の仕事もしてもいいように技術的になってまいりました。かつ、そういう仕事を一人でやらしても大丈夫かどうかということを、先ほど御指摘ございました実験船を使いまして過去ずっと実験をして、大丈夫だという結果を受けまして実は今国会にそういうことを可能にするような船員法の改正案を提出いたしておる次第でございます。したがいまして、その船舶の指定に当たりましてはやはり船員法の中に規定を置きまして、まず船舶そのものの技術基準、それからそれに乗り組む人のいわば人的な資格要件、それから陸上側からのいろいろな支援体制、こういうものについて運輸省令で基準を定めまして、その基準に合致したものについて申請に基づいて運輸大臣が指定をいたしまして、その指定した新船舶に限ってそういうことをしてよろしいということになっておりますので、そういう意味では安全上特に問題はないと理解しております。 それから、先ほど御指摘の条約との関係につきましては、そういう一人で両方の仕事をするいわゆる運航員につきましては、これは条約との関係で言いますと甲板部員としての資格要件とそれから機関部員としての資格要件、両方要求されるわけでございまして、先ほど申し上げました省令の基準では当然両方の要件を満たす人でなければいけないという基準を置きまして、その人の持っております船員手帳に条約で要求しております証明をするということで、これもそれをすることによって諸外国に行っても通用するのではないかというふうに考えている次第でございます。
○土井委員 諸外国に行っても通用するように考えているという御答弁がいまあったのですが、この条約を見ますと監督の規定というのは相当厳格に定められているのです。よその国では条約の規定というものをいろいろ足がかりにいたしまして日本の船員に対しても当直体制ではいろいろ、機関部員が乗っているということで監督をするというふうな場合もあるだろうと思うのです。機関部員がゼロということに今回、いまおっしゃった合理化が進みまして実験船の中ではなってまいりますと、外国の港に行ったときに全くトラブルが生じないかというと、その可能性はなきにしもあらずなんですね。その辺は外務省、どうなんですか。大丈夫なんですか。外国との間のこういう問題に対しての連絡と申しますか、お互いの合意と申しますか、そういうことはどうなっているのですか。
○都甲政府委員 また私の方から条約に即して御答弁申し上げたいと思います。 条約の第九条におきましては、そのような場合にこの条約に定めると同等の要件がなければならないということを決めております。そのような同等の要件があるということでありますと、そのような制度についてこれを事務局長に報告をし、事務局長がこの細目をすべての締約国に対して回章で回付することによって周知徹底せしめるという仕組みになっておりますので、そのように周知徹底された要件に基づきまして監督が行われるということになると思いますので、条約上の仕組みとしてはそのことを予想しているというふうに考えます。 なお、監督手続につきましては先ほどの附属書の「監督手続」で特定の要件についてのみ監督をし得るということで、監督の乱用を防ぐための規定が置かれておりますので、その双方を援用いたしますと条約上の仕組みとしては円滑に運ぶのではないかと思っております。
○土井委員 この実験船の段階ではこういう状況に遭遇することはいまだかつてなかったであろうと思うのですが、一九七九年一月開催のIMCOのSTW小委員会に提案されました「航洋船のための強制的定員要件」という国際自由労連の覚書がございます。これを見てまいりますと「作動不良の自動化遠隔制御装置の修理中、手動で制御装置の機能が依然として利用できることを保証するのに必要な定数」と一つはなっているのです。また、ひっかかる部分を見ておりますと、「船舶定員が、船内緊急事態に対応しうることを保証するのに十分な人員配備」となっております。また「遭難中の他船を救助できることを船舶に保証する十分な定員」となっているのです。こういう点は大丈夫なんですか。これから出てくるかもしれぬ。いま実験船の段階ではこういう場面に遭遇されたことがなかろうと思うのです。大丈夫ですか。
○小和田説明員 お答えいたします。 ただいまの先生御指摘の国際自由労連のメモにつきましてはちょっと私詳細を存じませんけれども、この条約をつくりました国連の組織であるIMCOでは、それと同じような観点から、海員の原則についての勧告というものを取りまとめておりまして、昨年の秋の総会で正式な決議として採択されたわけでございますけれども、その中にも先生がいまおっしゃったのと同じような、いろいろな範囲を決めるに当たっての原則というものが決められております。 ただ、その原則はいまのところは勧告であって強制力はないということとともに、その原則を決めるに当たりまして、私どもとしては日本の国内において進められておりますいろいろな船員制度の改革といったようなことについて問題があるのかないのかということを慎重に検討しながらその会議にも臨んできたわけでございますけれども、船内全体の職員あるいは部員を合わせまして、船内全体の能力あるいは知識、そういう総体として先生がいま御指摘になりましたようないろいろな非常事態的なケースにつきましても十分対応できるものと考えております。 いままでの実験船の実験におきましてはもちろんそのようなケースはございませんでしたが、もちろん、実験船がいつそういう事態に遭遇するかもしれないということにつきましては、実験を進めております関係者の間でも十分想定しながら実験をやっていることでございまして、実験を進めるに当たりましては、船主側だけではなくて労働組合関係の方あるいは海技の専門の方を含めまして関係者の間で十分議論をいたしまして、そういう点について安全第一ということを実験の最大眼目として進めておりますので、私どもとしてはそのような心配はないと考えております。
○土井委員 そこで、船の上の労働安全法、船員に対する安全法というのはどうも陸上の労安法に比べて不十分だということをしきりに聞かされるのです。それからまた技能資格などについてもさらに検討していく必要があるのではないか。そういう意味も全部含めまして、今後船員労安則を抜本的に見直して安全基準などを整備する必要があるのではないかということが言われたりいたしておりますが、日本はまだ批准をいたしておりませんけれども、ILO関係の批准に向けての御努力というものが一体どういうかっこうになっているか、それからそれと、いま私が申し上げたこととの関連で御説明賜る点があるならばひとつ聞かしておいていただきたいと思います。いかがですか。
○亀甲説明員 お答え申し上げます。 条約関係は外務省の方から御答弁があろうかと思いますが、まず国内法制の方で御説明いたしますと、現在、船員の労働安全につきましては、船員法及びそれに基づきます船員労働安全衛生規則という省令でまず一つ災害防止を図っておりまして、また、別途、船員災害防止協会等に関する法律という法律に基づきまして災害防止計画等を立てて対処しているところでございます。 従来から陸上の法制と比べていろいろ問題があるという御指摘を受けまして、今回船員法の改正等を行うに当たりまして見直しを行いまして、従来陸と比べて欠けていた点を追加する法律改正を船員災害防止協会等に関する法律の一部を改正する法律案という形にまとめまして今国会に提出しておりまして、すでに衆議院の方では御可決いただいておるところでございまして、その法律が通りまして施行されますれば、労働安全衛生の点につきましては、少なくとも陸上との間でほぼ同レベルの対策は確保できるというふうに考えておる次第でございます。 それから技能資格の点につきましては、安全衛生上要求する必要があるいろいろな資格要件、経験等につきましては、先ほど申し上げました船員法に基づく省令で必要に応じて要求することができることになっております。現在一部のものについては要求しておりますので、今後もし必要があればその省令改正によって対処いたしたい。 それから労働側から別途、陸上との技術の相互互換性の問題の御指摘もあるわけでございますが、これについては、現在いろいろ陸上の関係各省と調整を進めており、できるだけ前向きに対処していきたいというふうに考えている次第でございます。
○土井委員 これは船舶業界の国際競争力という問題も無視はできません。しかし、この条約は、船舶の航行の安全を確保するための船員の技能に関する国際基準の必要性が痛感されて締結が必要視されている条約なのです。だからそういう点からしますと、やはり船員に対して安全性の確保であるとか船員の技能を向上させることであるとかいうふうなことが無視されてはならないし、後回しにされてはならない、軽く考えられてはならない。だからそういうことからするといままでで十分とはとても思えませんから、今後その方向での努力が非常に強く要求されていると私は思われるのです。外務省としてその点に対する決意といいますか、ILOに臨む心構えといいますか、それを聞かしておいていただいて先の問題にさらに進みたいと思います。
○小宅説明員 お答えいたします。 一般論として、ILOの未批准条約につきましては国会の決議もありますので、できるだけ早くそういう未批准条約に加入できるよう目下関係省庁との努力を続けているところでございます。 現在御審議いただいている条約に関連いたしましてはILOにおきまして百四十七号条約というのがございます。この条約には私どもとしてできるだけ速やかに、できれば次期通常国会にでも承認をお願いできるよう目下関係省庁と作業を進めているところでございます。
○土井委員 それは実現を期すために努力をさらに積み重ねていただくことが必要だと思います。 さて、もう一つあとに残された大きな問題を申し上げて私は質問を終えたいと思うのですが、この条約がつくられますいきさつの中には、昭和四十二年三月の英仏海峡において船長の不適切な判断が原因となってタンカー、トリー・キャニオン号の座礁事件が発生したということから事が始まったというのが外務省から出されております説明書の「背景」の中に書かれております。 いま私がここに持ってまいりましたのは人間環境問題研究会が編集をいたしました「海洋汚染の現代的諸問題」という特集の中で、環境庁の自然保護局の方が講演をされている中身が掲載されているのです。その中でこういうことが述べられているのです。 便宜置籍船の問題があります。これは海洋汚染だけの問題ではないのですが、海洋汚染の観点からも非常に大きな問題だと思うのです。 去年の十一月にというのは七四年、これが出されましたのは一九七五年のことですが、 去年の一一月に東京湾でタンカーの衝突事故がありましたが、第十雄洋丸という日本船と衝突したパシフィックアレス号、これはリベリアの船籍ですが、実際には日本の船で、便宜置籍船です。 ことしのというのは、これがまさに一九七五年ですね。 今年の四月にもマラッカ海峡で、日本の土佐丸とカクタスクイーンというリベリア船籍の船が衝突しましたが、これも日本の便宜置籍船でした。便宜置籍船の事故が最近非常にふえているようです。一九七四年の日本の近海の事故の中でリベリア船籍の船が二六隻、パナマ船籍の船が二九隻にのぼっています。便宜置籍船は従来はアメリカやヨーロッパの国が多く利用し、日本はあまり便宜置籍をやっていなかったのですが、数年前の船員スト以来、非常に多くの日本の船会社が便宜置籍をするようになったようです。日本船の籍を変えてリベリアとかパナマにして、その船舶を形式上所有するペーパーカンパニーと用船契約を結んで用船するのが普通のやり方のようです。その場合のメリットは、船員として韓国人とか台湾人とか、資格のない非常に賃金の安い船員を乗せられることです。そういう船員は訓練も受けていませんし、事故を起こしやすくなるわけです。海洋汚染を防止するためにも、便宜置籍船をなんとかしてなくしていかなければならないと思うのです。 というところがきちっと書いてあるのです。 ここにまた、私は先週来持ち運んでまいりました海上保安庁の五十六年八月の「海上保安の現況」というのを見ましても、最近六年間の油による海洋汚染発生確認件数を国籍別に見ると、パナマが最も多い、次いでリベリア、韓国、ギリシャという順になっておりまして、この四カ国で全体の六一%を占めていると言われます。ちゃんと数字が出ているのです。この条約を今回日本が批准いたしましたら、便宜置籍船を具体的にどうなさろうというのですか。そうして、やはり事の発端は何といっても油の流出事故によるところの海洋汚染の問題が非常に憂慮されて始まった問題でもございますから、海洋汚染防止条約を一日も早く締結をする。願わくば、本条約審議と同時にこの海洋汚染防止条約を審議するのが私は当然のやり方ではなかったかと思うわけでありますが、このことに対して、私は二点大きな問題を聞いておるのですよ。外務省としてのお答えをいただきたいと思うのです。いかがです。
○小宅説明員 お答えいたします。 便宜置籍船の問題につきましては後で運輸省の方からお答えいただくとして、二番目の問題にお答えいたします。 一九七八年の議定書に関します海洋汚染防止条約、これにつきましては、その締結をするに当たりましてわが国の関係国内法令を含め広範にわたる国内的実施体制の整備を図るという必要がありますので、目下関係省庁の間におきまして、その早期締結に向かって所要の準備検討作業を行っております。 具体的な時期につきましては、外務省として必ずしも確たることは申し上げられませんけれども、できれば次期通常国会に上程できるよう、これを目途として今後関係省庁と連絡をとりつつ作業を進めていきたいと考えております。
○山本説明員 運輸省からお答えいたします。 まず便宜置籍船の問題でございますが、まず一般論といたしまして、私ども便宜置籍船に過度に頼るということは日本の経済、安全保障上適当でないというふうに思っております。いま先生御指摘の安全の問題でございますけれども、これは昔そういうことがあったということは確かに聞いておりますが、最近国際条約あるいはリベリア等の国内法の整備等によりまして、相当改善されつつあります。 それで、いま先生のおっしゃった「海上保安の現況」という白書でございますけれども、確かに日本船に比べまして外国船の事故率は三倍でございます。ただこれは、ここにありますように「台湾、中国、パナマ、韓国、ギリシャ等」ということで、それが便宜置籍船だからというよりも、要するに日本近海に必ずしも十分なれていない等々いろんな理由がありますけれども、そういう状況によって起こったということも同時に指摘されておりまして、私ども必ずしも便宜置籍船だからというふうには考えていない次第でございます。これは確かにそういう点があったということはわかりますけれども、徐々に改善されつつあると思っております。
○土井委員 私いまの御答弁では釈然としないのですね。先週来この便宜置籍船やマルシップの問題を取り上げて、船員についての資質の問題、特に低賃金で船員を確保できるという船会社の方の、また雇い主の方のうまみというのが実は正面切ってあるわけですね。それは紛れもない事実なんです。だから、そういうことからしますと、わが国の場合は便宜置籍船についてどれくらいの件数を持っておるか、どういう立場に立っているかというのを先週お伺いすると、何と国外航路の約四五%が日本の船会社による便宜置籍船だというのですね、数字が出ておるわけですから。これは他人事ではないのです。だから、そういうことからすれば、この条約を締結してから後、いままで起こってきたいろいろな、その問題に関係があった整備をすべき課題についてどう取り組んでいくかというあたりは少し意のあるところを聞かせておいていただかないと、どうも私はこのままで、ああわかりましたと言って引っ込むわけにはいかないのです。それは、これについて新たに何か法制度を立法化することが必要なのか、現行法で取り締まることができるのか、どうなんです。
○山本説明員 お答えいたします。 便宜置籍船について取り締まる云々という法制度の問題については、現在考えておりません。ただ、いまおっしゃいましたように、海難等につきまして、特に海上保安庁を中心といたしまして具体的にいろんなインフォメーション提供によりまして、海難が少しでも減るように英文パンフレットその他の、細かいことでございますけれども、そういう努力をいたしております。
○土井委員 さて、これはわかりませんね。外務省、最後に聞きますよ。先週も言いましたけれども、これは南北問題が絡んでいることでもあるのですね、国際会議の場所では。開発途上国から、やはり便宜置籍船について一日も早くこれの廃止をと言われている意味が非常にあるのです。いつまでもこれに頼るような日本の海運業界のあり方というのは私は続かないだろうと思う。こういうことに頼ることがすなわちはね返ってくるときに、やはり日本人船員に対しての職域を狭めるというかっこうにもなってくるという関係がいままであったわけですから、そういうことから考えていくと、外務省とされては、いろいろな国際機関また国際会議の場所で便宜置籍船の問題が取り上げられて論議をされる節、いままでどおりの姿勢でそのまま臨んでいくということは私はいつまでも続かないだろうと思うのですが、それについての心構えを最後に聞かしていただいて終わりにします。
○小宅説明員 お答えいたします。 先生御承知のとおり、この技術的な観点からはすでにILO、IMCO等々での検討が進められていることは御承知のとおりであります。このほかにこの便宜置籍船という問題を国連のUNCTADで南北問題のいわば一環として取り上げております。わが国といたしましては、この問題に対しては便宜置籍船が現在世界海運の中においてやはり何らかの役割りを果たしでいる、果たしている役割りは無視し得ないものがあります。また他方、海運先進国がいずれもこの便宜置籍船の廃止をするという考え方に強く抵抗をしております。したがって、私どもといたしましては、そういう開発途上国の考え方も一方で頭に置きながら、できるだけ現実的にUNCTADにおける討議に臨んでいきたい。そういう観点から、ただいまジュネーブで行われておりますUNCTADの船舶の登録要件に関する政府間の予備会合には参加をしておるわけでございまして、こういう会合における議論、今後の議論の進み方を十分参考にしながらこの便宜置籍船問題をどういうふうに南北問題の中で位置づけていこうかと考えていきたいと考えております。
○土井委員 何だかすっきりしたような答弁じゃありませんが、時間の方が許してくれませんからこれで議了にします。ありがとうございました。
○中山委員長 これにて各件に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○中山委員長 これより各件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。 まず、千九百七十八年の船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中山委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。 次に、千九百七十六年の海事債権についての責任の制限に関する条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中山委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。 次に、千九百七十二年十一月十日及び千九百七十八年十月二十三日にジュネーブで改正された千九百六十一年十二月二日の植物の新品種の保護に関する国際条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中山委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○中山委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。 この際、海事関係条約の批准促進等に関する件について決議をいたしたいと存じます。 本件に関しましては、各会派の理事等の間におきまして協議を願っておりましたが、その協議が調い、案文がまとまりました。 便宜、委員長から案文を朗読いたし、その趣旨の説明にかえたいと存じます。 海事関係条約の批准促進等に関する件 海上における人命及び財産の安全、船舶事故による損害の妥当な救済、海洋環境の保護並びに我が国海運業の安定的な発展を図る見地から政府は、左記事項に留意すべきである。 記 一 商船及び船員に関するILO条約、油濁及び定期船同盟関係条約等の海事条約の批准促進に努めること。 一 便宜置籍船問題に関する国際的な検討に当つては、国際協調の精神に則り対処すること。 一 船舶所有者等の責任制限制度については、被害者保護と海運業の安定的発展に配慮しつつ、関係条約の改善に努めること。 一 開発途上国に対し、船員の訓練等の技術協力の促進に努力すること。 右決議する。 以上でございます。 お諮りいたします。 ただいま読み上げました案文を本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中山委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とすることに決しました。 この際、外務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣櫻内義雄君。
○櫻内国務大臣 ただいま採択されました御決議につきましては、政府としてその御趣旨を十分尊重し、今後一層の努力を重ねてまいる所存であります。
○中山委員長 お諮りいたします。 ただいまの決議について、議長に対する報告及び関係当局への参考送付につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○中山委員長 次に、投資の促進及び保護に関する日本国とスリ・ランカ民主社会主義共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とインドネシア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件並びに南極地域の動物相及び植物相の保存に関する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林保夫君。
○林(保)委員 ただいま議題となりました三案件につき、若干の質問をいたします。 法律から先にいたしまして、南極地域の動物相及び植物相の保存に関する法律案でございますが、法律案の提出のもととなっております南極動物相及び植物相の保存のための合意された措置というのは、これは確か昭和三十九年に採択されたと存じます。にもかかわりませず、なぜこれほどまでにわが国の承認がおくれたのか、お伺いします。
○宇川政府委員 お答えいたします。 ただいま御指摘がございましたように、この勧告案の成立は大分前でございます。各国とも国内体制の整備には若干手間取りまして、主要国がこの勧告につきまして本格的に動き出しましたのは三十九年よりは後でございます。 私どもといたしましても、この勧告の趣旨にはぜひ沿いたいと考えましていろいろ努力してまいった次第でございますが、南極地域という特定の地域を対象とすることもあり、また国内的にも関係する省庁その他多数ございましていろいろ難渋しました結果、ようやく今国会で法律案として御審議いただき、その立法に基づきまして、日本としても所要の体制を整えましてこの勧告を受け入れるという方向で考えたいということでございます。非常に時間がかかりましたことにつきましては、私どもとしてもはなはだ遺憾に存じております。
○林(保)委員 難渋の理由は後で聞くといたしまして、まず、この法律案の中に余り聞きなれない動物相とか植物相というのがあります。これは学術用語としては一応辞書にもきっちり載っておりますし、問題ないと思うのでございますが、どういうことを意味しているか、一般国民の皆さんが見られてわかりやすいようにちょっと御説明願います。
○宇川政府委員 お答えいたします。 御指摘のように確かに若干見なれない表現でございますが、動物及び植物を集体として把握いたしまして、非常にむずかしい言葉を使わせていただきましたが、内容的には、南極に特有に生存する動物の複数総合体、総合体というふうにお考えいただければよろしいかと思います。植物についても同様でございます。ですから、南極に生息する、あるいは南極を主たる生息地域といたします動植物の保全を図るというのが趣旨でございます。
○林(保)委員 広辞苑を引きますと植物相は「フローラ」とあって、これを研究社の英和辞典で引きますと「フローレ」ですか。特定の地域なのでしょうか、「一地域または一時代に特有な植物群、植物相」と出ております。それから動物相につきましては「フォーネ」というのでしょうか。これまた「一地域または一時代の動物群、動物相」と出ております。確かに私どもまだ想像の世界でしかない南極でございますが、なお行かれた方もおられます。したがいまして、この植物相、動物相が南極においていかに特異になっておるか、動物相ではどういうものがあるのだ、植物相ではどういうものがあるのだという具体的な固有名詞でお答えいただきたいと思います。
○遠藤説明員 例示的にお答え申し上げます。 たとえば南極の哺乳類でございますけれども、カニクイアザラシ、ミナミゾウアザラシ、ヒョウアザラシ、ロスアザラシ等々でございます。 それから南極の鳥類につきましては、コウテイペンギン、ジェンツーペンギン、ヒゲペンギン等々の二十二種類がございます。 それから植物につきましては、顕花植物ではナンキョクミドリナデシコ、ナンキョクコメススキ。コケ類ではギンゴケ、ナンキョクマゴケ、ムラサキヤネゴケ等々ございます。それから藻の類につきましては、ナンキョクカワノリ、イシクラゲ属、クラミド・モナス等々でございます。
○林(保)委員 等々でなくて、わかっているところだけ分類別に全部そこで読み上げてください、時間がかかっても結構ですから。
○遠藤説明員 それでは、まず植物につきましては、顕花植物は、ナンキョクミドリナデシコ、ナンキョクコメススキ、以上二種類でございます。 それから蘚苔類につきましては、ギンゴケ、ナンキョクマゴケ、ムラサキヤネゴケ等約八十余種類でございます。(林(保)委員「その種類はわかりませんか」と呼ぶ)これは後ほど調べましてお答え申し上げます。 第三番目の真菌類につきましては、レンドリフィェラ・サリナ、ガレリーナ・アンタークティカ、オンファリナ・アンタークティカ等、これは約数百種類ございます。 それから第四カテゴリーの地衣類につきましては、コフキシロムカデゴケ、ナンキョクイワタケ、ネナシイワタケ、クロヒゲゴケ等、これも約四百余種類ございます。 それから藻類でございますけれども、先ほど御答弁申し上げましたナンキョクカワノリ、イシクラゲ属、クラミド・モナス等、これも数百種類ございます。
○林(保)委員 こういう便宜ができるのかどうかわかりませんけれども、それを議事録にきっちりと入れたいのでございますが、資料要求いたしますとともに、そのことを委員長にお願い申し上げます。
○中山委員長 了解いたしました。
○林(保)委員 ありがとうございました。 続きまして、この法律案の第二条第二項及び第三項で南極哺乳類と南極鳥類は「外務省令で定める」、こういうふうになっておりますが、具体的にどのような種というのでございますか、種類があるのか、御説明いただきます。
○遠藤説明員 この法律を御承認いただきました暁には、外務省令でもって、哺乳類につきましては先ほど先生に御答弁申し上げました七種類を列挙するつもりでございます。
○林(保)委員 読み上げてください。
○遠藤説明員 哺乳類につきましては、カニクイアザラシ、ミナミゾウアザラシ、ヒョウアザラシ、ロスアザラシ、ウエッデルアザラシ、ナンキョクオットセイ及びアナンキョクオットセイ、以上の七種類でございます。 それから、南極鳥類につきましては合計二十二種類を列挙する予定でございます。コウテイペンギン、ジェンツーペンギン、アデリーペンギン、ヒゲペンギン、マカロニペンギン、オオフルマカモメ、ギンフルマカモメ、ナンキョクフルマカモメ、マダラフルマカモメ、ユキドリ、アオミズナギドリ、ナンキョククジラドリ、アシナガウミツバメ、シロハラアシナガウミツバメ、スジハラアシナガウミツバメ、スグロムナジロヒメウ、キバシオナガガモ、サヤハシチドリ、カッショクオオトウゾクカモメ、ナンキョクオオトウゾクカモメ、ミナミオオセグロカモメ及びナンキョクアジサシ、以上の二十二種類でございます。 それから植物類につきましては、これは植物類ということで特定の固有名詞は列挙しない予定でございます。
○林(保)委員 ありがとうございました。前項同様、もし説明が足りないところはひとつ資料要求で出させていただきます。 それから、第三条において「国民は、次に掲げる行為をしてはならない。」ということで、南極哺乳類または南極鳥類を捕獲したり、殺し、あるいは傷つけたりすることを禁じております。卵も含めてございますが、その後いろいろございまして、第四条では「次に掲げる行為については、適用しない。」ということで、「国が南極地域において実施する科学的調査に従事する者が、当該科学的調査のために行う行為」とかあるいは監視員がどうとか「その他学術研究、博物館資料の収集等」こういうことになっております。私ども、南極観測隊が大ぜい行くけれども一体動物を捕獲しているのだろうかどうだろうか、こういうことをいつもテレビを見ながら、新聞を見ながら思うのでございますが、捕獲をやっておるのでございましょうか、やっておるとすればどの程度の規模でこれを認めておるのでしょうか。
○遠藤説明員 これまで南極に派遣されました観測隊員は若干の捕獲をやっております。たとえば第一次隊、これは昭和三十二年でございますけれども、それから第二十二次隊、これは昭和五十六年でございますけれども、全捕獲総数七十九頭のウエッデルアザラシを捕獲しております。それからコウテイペンギン、これは今後省令で規制する予定の鳥類でございますけれども、これは第一次隊昭和三十二年、第三次隊昭和三十四年、合計捕獲総数三羽でございます。それからアデリーペンギン、これはいままでの観測隊の南極におきます捕獲総数四十二羽及び卵六個でございます。
○林(保)委員 南極の植物、動物は学術的に非常に重要ということになっておりますが、学術的にどのような価値があるのか、一言で結構ですから、外務省あるいは文部省かもしれませんが、ずばりとひとつお答えいただきたいと思います。
○遠藤説明員 先生御承知のとおり、南極はまだ人類がほとんど手をつけていないところでございまして、いわゆるこういった人類が手をつけてない、汚染もされていない地域の植物、動物をできればいまのまま保存させたい、そういうことが第一点でございます。 それから第二点は、南極の動物あるいは植物につきましても非常に免疫性が弱い動植物でございまして、たとえば植物でございますと、一たんなくなりますと数センチ伸びていくのに一説によりますと数百年かかるというような、非常に脆弱性の強い植物でございますから、こういったものを人類の将来のためにそのまま残しておきたい、こういうこと。かつ、それから学術的にも、こういったような生態系を研究することによりまして地球の汚染度をはかるとか、そういうように学術的にも価値があるものと承知しております。
○林(保)委員 そのとおりだと思いますが、最近言うまでもなく南極への観光客が大変増加しております。これは一体、どのくらい行っているのでございましょうか。そしてまた、行っているにもかかわらず過般の勧告措置がまだ発効していなかったということは、どういうことなんでございましょうか。あるいはまた、国としてどういう規制を観光客に対して行い、かつ指導しておるか、御説明願います。
○遠藤説明員 南極への渡航の実態は大体つかんでいるつもりでございます。と申しますのは、まず観光客につきましては、現在南極への観光船と申しますか、観光船を運用しております会社がアメリカに二社ございまして、その二社が二隻の砕氷装置をつけました船を持っておるわけでございます。その船が一年間に四、五回ぐらい回転されておりますので、一年間に合計、これはマキシマムでございますけれども、約千人ぐらいはあるいは行っているのではないか、そのうち日本人は一年間に約二十人ぐらいというふうに私ども承知しております。 これらの観光客につきまして、南極の環境保全につきましてどういうふうな措置をとっているのかという点でございますけれども、これは幾つかの措置をすでにこの勧告措置発効前にとっておりまして、すでに勧告自身はもうあるわけでございますから、勧告の中身を日本の旅行エージェント、これは実は、南極旅行を扱っております日本の旅行エージェントは一社なんでございますけれども、そこには運輸省を通じましてその中身を周知させる、それから都道府県が旅券の窓口になっておるわけでございますが、その旅券の窓口に対しましてもこの勧告措置の中身というものをすでに周知徹底するように努力しているわけでございます。
○林(保)委員 参考までに、どういうルートでいま南極へ入れるのでございましょうか。
○遠藤説明員 まず、船につきましては、先ほど申し上げましたようにアメリカの会社が二隻就航しているのでございますが、それはアメリカを出まして南極半島の一部分に着きまして、それでもって二カ所くらい寄りまして、行きましても実は何もないところでございますから、主として観測基地のあるところを一、二カ所寄って帰ってくる、こういうふうにいま就航しているようでございます。それからもう一つは、かつて飛行機が、いわゆる南極飛行機旅行というのがあったのでございますけれども、これはたしか昭和五十四年にニュージーランドが一回事故を起こしまして、それから以降は飛行機によります南極観光は中止されておるというふうに承知しております。
○林(保)委員 これからふえる見込みはありますか。国民みんなの行きたいという期待はどの程度のものでございましょうか。
○遠藤説明員 これは私の全くの推測でございますけれども、恐らくふえるのではないかというふうに、これは予想でございますが、予想しております。
○林(保)委員 そうすると法律を早く通さなければいかぬ、こういうことなんでございましょうが、ちょっと関連いたしまして、昨年の常会でオキアミを中心とする南極の生物資源の保存を目的とした南極の海洋生物資源の保存に関する条約が承認されておりますが、この条約は発効しておるとすればいつごろ発効したのか、また、この条約が設けられたことで期待しておりますオキアミ資源でございますが、日本は大変たくさんとっているように思いますけれども、よそと比べてどういう状況になっているか、簡単で結構ですが、御説明願いたい。
○遠藤説明員 お答え申し上げます。 いま先生御質問の第一点でございますけれども、このオキアミ条約といいますか、海洋生物資源の保存に関します条約はことしの四月七日から発効いたしております。 それから、次の二番目の御質問のオキアミの漁獲量でございますけれども、昭和五十六年、五十七年の漁期では捕獲数量三万五千トンでございます。これは世界の各国別の漁獲量の中では圧倒的に多いのがソ連でございます。ソ連に続きまして日本が、約一割くらいでございますけれども、二番目、それから三番目はほとんど申し上げるに足らないような数量になっております。
○林(保)委員 最初にお答えになりました宇川審議官にお願いしたいのでございますが、先ほど国内関係省庁の調整で難渋したということでございます。どういう点で難渋したのでございましょうか。
○宇川政府委員 お答えいたします。 簡単に申し上げますとこういうことになるかと思います。南極につきましてはいろいろな意味で関係する省庁がまずかなりの数に上ります。例示的に申し上げさせていただければ、たとえば南極観測の関係では文部省、それから先ほど話題になりました哺乳類、アザラシの関係では農林水産省、環境保全では環境庁、それから、当然のことでございますが違反行為の取り締まりにつきましては法務省ということでございます。各省ともその意味では部分的に関係が深いということが一つございます。 それから第二に、南極というわが国が主権を及ぼしていない地域における行為にかかわることでございます。これを立法技術的にどういうふうに扱い、かつ立法した結果をどうやってうまく担保するかということでいろいろむずかしい問題がございました。これは各省庁とも十分お打ち合わせ、御相談の上、現在法律案にまとめて御審議をいただいているということでございます。
○林(保)委員 そういう事情があったとも私も聞いておりますが、そうすると、結果的になぜ外務省がこの法律を主管するようになったのか、こういう事情でございますが、これから各省庁にお聞きしたいと思います。 まず、水産庁としてはなぜこれを外務省に押しつけたというのでしょうか、どういうのでございましょうか、そういう理由、そしてまた、この法律が施行になりましてから水産庁はどういう対応をされるか、その二点についてお聞きします。
○守矢説明員 お答え申し上げます。 まず初めの点でございますが、この法律案の趣旨は南緯六十度以南の陸域における原生哺乳動物、それから原生鳥類、これらの保存にありまして、海上で行われております漁業には直接関係がないというのが理由でございます。 それから、第二点につきましては、農林水産関係者であって南極地域に赴くもの、これは当分の間、捕鯨船を中心とした漁船及び漁業調査船、これに乗り組みする者に限られております。これらの南極地域に赴く捕鯨船等は、耐氷構造になっておりませんので、陸地まで接近することが不可能でございます。漁船員が上陸して、この法案で言います動植物を採捕するというようなことはあり得ないと考えておりますが、当省といたしましても、これらの関係者に対しましては、この法案で言うところの規制内容を周知徹底させるということに努めてまいりたいと思います。
○林(保)委員 農水産省は接岸だけはするのですが、外務省は上へ上がるわけでもないと私は思います。 それはそれといたしまして、文部省は同じ質問に対してどのようにお答えになりますか。
○遠山説明員 文部省につきましては、申し上げるまでもなく、教育、学術、文化を振興するという責務を負っております。その学術の振興という立場から、南極地域におきます科学観測を長年にわたって実施してまいったわけでございます。 この勧告の趣旨は、先生御承知のとおりに、南極地域における過酷な自然環境の中での動植物を保全するという角度でございまして、科学研究の推進もさることながら、環境の全体の保全ということを目的としております。 文部省といたしましては、科学研究のための観測隊を派遣し、そこにおける研究を推進するということは責務を負うわけでございますけれども、一般の国民が南極地域に参りまして、そこにおきまして展開する行為について規制をするということにつきましては、むしろ外務省にお願いした方がよいのではないかということでお願いしている次第でございます。
○林(保)委員 次いで環境庁に承りたいのですが、全体の環境保全ということになるともっぱら環境庁ということになるのでございますが、同じ質問でお答えいただきます。
○高峯説明員 環境庁の関係でございますが、この法律が南極条約という条約を実施するための措置でございますので、その点で外務省が所管されるのが適当ではないかということが一つ。 それから、この内容でございますが、南極大陸におきます動物相、植物相の保存を図るために、南極大陸におきますところの行為規制を定めるものでございます。こういった内容から考えますと環境庁の所管にはなじまない、こういうようなことから、外務省が所管をされるのが適当だと考えたわけでございます。 それから、この法律の施行に伴います環境庁の姿勢でございますが、環境庁といたしましては、広く地球的規模の環境問題というものに、日本国民のみならず全世界が関心を持ってもらいたいということでいろいろ検討いたしております。そういった姿勢からいたしましても、この法律が南極におきます貴重な動植物あるいは環境の保存に非常に重要な役割りを果たすものでございますので、この施行につきましては積極的に協力をいたしたい、こう考えております。
○林(保)委員 法務省は、先ほど、違反があったら法務省も関係があるという宇川審議官でしたかの御答弁でございましたが、これは法治権が及ぶのでございましょうか。どういう場合の違反があるのでしょうか。法務省、ひとつその辺について、先ほどと同じ質問でお答えいただきます。
○井嶋説明員 お答え申し上げます。 法務省は、先生御案内のとおり、刑事に関する法案を作成し、かつその運用をしていく省庁でございまして、本件のような南極地域における動植物相の保存というような、一種の行政目的を達成するためのその整備を図るという種類の法律というものにつきましては、さしあたり法務省が直接の所管でないということは明白であることは御理解いただけると思います。 ところで、そういう各種の行政措置でこの法律の目的を達成する上におきまして、罰則を担保にしてより有効にその行政目的を達成することができるようにという観点から行政罰則がつくわけでございますが、私どもの方は、その罰則の審査という関係におきまして本法律の作成に御協力を申し上げたというわけでございます。 次にお尋ねの点でございますが、南極大陸は現在どこの主権にも属さないところであるというふうに理解をいたしております。もちろんわが国の主権が及ぶものではないというふうに理解をいたしております。 しかし、日本国民が海外におきまして犯罪を犯しまして、日本の主権に戻ってまいりました場合に処罰し得るという法制度はすでに刑法の中にございまして、いわゆる国民の国外犯という規定によりまして、主権の及ばないところにおける日本国民の犯罪行為に関しましても、刑法その他法律で決められておる種類の犯罪につきましては、日本の主権の及ぶところに帰ってまいりました場合に処罰をするという体制になっております。
○林(保)委員 そういたしますと、南極観測隊を出したり船を出したりしていくということになりますと、文部省か運輸省かということになるのですが、運輸省はどういう御見解でございますか。同じ質問です。
○石出説明員 お答えします。 私ども運輸省観光部でございますが、御承知のように私どもの方におきましては、運輸に関連する観光行政を担当いたしまして、この一環としまして旅行業に関する事務を担当いたしております。こういうことで、旅行業者が南極観光ツアーというようなものを実施する場合があるわけでございますけれども、日本国民がこれに参加し南極に渡航する、そういうケースが出てくるわけでございます。 本法律の南極への渡航者に対します周知につきましては、まず外務省の方で渡航事務に関連しまして行われることと考えておりますけれども、私ども運輸省といたしましても、旅行業者を指導いたしまして、本法律の内容につきましての旅行者に対する周知について努力してまいる所存でございます。
○林(保)委員 氷の上に上がるか上がらぬかということになってまいりますと、堂々めぐりをしていまのようなことになると思います。それからまた、表題からいきますと、植物相、動物相でございますから、やはり今度は農水産省に返ってまいりますね、もう二度と聞きませんけれども。 なお、こういう状況で、外務省さんはきっちりとこれを法律どおりやれる自信がおありなのかどうか。まあなくて提案されるわけはございませんけれども、その辺のところを御説明願います。
○櫻内国務大臣 先ほどから事務当局より種々御説明を申し上げておるとおりでございますが、この法律案が外務省主管のものでありますので、国会の御承認を得て成立いたしました場合には、関係各省の協力を得つつ、外務省が責任を持ってこの法律の適正な執行を図りたいと思っております。
○林(保)委員 大変外務省さんは御苦労だと言わざるを得ないと思うのでございますが、私がこういう質問をいたしましたのも、ほかでもございません、過般の国際情勢審査のときにも申し上げましたように、たとえば海洋海底開発というような問題になってきますと、もう所管庁がなくて困ってしまうのですね。 これは大臣に御要請申し上げたいと思うのでございますが、こういう問題がいろいろこれから新しい時代には出てまいろうかと思いますので、これは要望だけにとめておきますけれども、大臣、いかがでございますか、自民党の幹事長までやられて大事なお役割りを担っておられますが、そういう問題をこれからぜひ内閣の中、政府の中でやってくださる、こういうお約束ができないでございましょうか。
○櫻内国務大臣 ただいま御答弁を申し上げた次第でございますが、重ねての御要請で、なるほどそういう場合が今後いろいろあるだろう、そういう場合に、外務省として責任をとるべきことにつきましては、これを忠実に行ってまいりたいと思います。
○林(保)委員 とりあえずそれを御期待申し上げたいと思いますが、政治課題としてはやはりそういう問題がいま日本に残っている、私はいまなおこういう思いを禁じ得ないのであります。このことを申し上げておきます。 続きまして、投資の促進及び保護に関する日本国とスリ・ランカ民主社会主義共和国との間の協定でございますが、言うまでもありません、スリランカはわが国にとって、特にお互い海洋国ということ、それから地理的な関係からいって大変深い関係があろうかと思いますが、いままでこのスリランカと同じような投資保護協定をどこと結んでいられるのか。また、この投資保護協定の特殊性につきまして御説明いただきたいと思います。 各省庁、ありがとうございました。御苦労でした。
○都甲政府委員 今回のスリランカとの投資保護協定は、わが国が締結しておりますこの種の協定といたしましては二番目のものでございます。第一番目のものはエジプトと締結したものがございます。 投資保護協定は、特に直接投資が盛んになった最近の情勢を反映し、特に今後直接投資を盛んにすることによってその国との経済交流の発展を図るという見地から、相手国からもその締結を非常に強く希望されておるものでございます。そういう見地からいたしまして、投資保護の見地から事業活動についての内国民待遇であるとか最恵国待遇等、それから特に収用等の場合の適正な補償、それから利潤等の送金の保証等を主として定めておるものでございまして、これを締結することにより、投資をした場合に安心してその果実を享受できるということで、投資をする側においても非常に一つのインセンティブが与えられるということを目的とした条約でございます。
○林(保)委員 現在のジャヤワルデネ政権は、大変経済建設計画を急ぐようなことで、日本に対する期待が大きいというふうに聞いておりますが、いま進められておりますマハベリ川開発計画、これについて七十七億円の円借款を供与することになっておるようでありますが、現状はどうであるか。それから、大コロンボ都市開発計画で、国会議事堂の建設を日本の企業が受注したというふうに聞いておりますが、どういうふうになっておるか。また、この建設費用が巨額で、日本に借款を打診したと言われておるが、どういうふうになっておるか。それから、コロンボ港の拡充計画のため七十六億円の円借款を一昨年供与しているけれども、この進捗状況はどうか。簡単で結構ですから、三点についてポイントを御説明願います。
○中村(順)説明員 御説明申し上げます。 マハベリ川の開発計画につきましては、スリランカ政府より大変強い希望が寄せられまして、わが国といたしまして、八一年度の円借款ということで経済協力の供与を表明いたしてございます。これは国連との共同の開発計画でございまして、スリランカ政府の強い要請はもちろんのこと、国連の方でも非常に関心を持って積極的に推進している計画と承知しております。
○林(保)委員 時間がないので、ではひとつこの資料をまた改めて御説明いただきたいと思います。追ってお願い申し上げます。 それから一つだけ。スリランカの紅茶は日本にもかなり来ておるのでございますが、あれはイギリス経由になっているものが非常に多いと思いますが、あれは日本人の好みで、イギリスの英国王室御用達といったようなレッテルを張らぬと日本人の嗜好に合わぬとかどうとかいう感じもいたしますが、この経緯はどうなっておりますか。簡単にひとつ御説明願います。——これは投資協定の問題でございますので、やはりそういう状況は御説明いただかないと質疑にはならぬと思います。この件はひとつ保留にいたしまして……
○妹尾(正)政府委員 私の知識も限られておりますが、御説明させていただきます。 私の承知している限りでは、紅茶の貿易というのは、昔スリランカがイギリスの植民地時代であったころから発達しておりまして、それはほかのインドの紅茶なんかについても似たようなことがあったわけでございますが、それは結局イギリスに集積されて、イギリスのブランドネームで売られている。そういう状態がスリランカが独立した後も続いておりまして、スリランカとかインドとか、そういうところでは、自分のところで直接自分の名前で売りたいということで、そういう努力もしております。ただ、これはコマーシャルなものでございますから、結局有名な名前のものが売れる、それで結局イギリスで有名になったブランドが売れるという状態が続いているということであろうかと思います。
○林(保)委員 十分とは言えませんけれども、そういうことで結構なんです。簡単に言ってくださいと私は言っているわけでございますので、遠慮なくひとつ知っておることを話していただけば結構なのでございます。ここは外交交渉の場とは違うのでございますので、ぜひそういう姿勢で対応していただきたいと思います。 あと二分でございますが、続きまして、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とインドネシア共和国との間の協定、これは大蔵省おられますか。——まず外務省から見られまして、他の国との間のものと特別に変わったことがあれば御指摘いただきたいし、これができることによってどういう効果があるか、一音でお答えいただきます。
○都甲政府委員 わが国はすでに三十二カ国と同様の協定を結んでおりまして、この協定がそれらの協定と変わったところというのは特段ございません。そういう意味では類似の協定でございます。 私どもの考えといたしましては、これによりましてお互いの二重課税の防止ということが図られ、そういう意味では経済交流の発展に役立つというふうに認識しております。
○林(保)委員 大蔵省の立場で専門的にごらんになって、今回の協定が何か支障があるとか、あるいはインドネシア、東南アジアはいろいろと条件があろうかと思いますが、なお特殊なところだということも私自身体験で承知いたしておりますので、その辺について。
○河原説明員 お答え申し上げます。 三十二カ国の中には、ASEANの四カ国がすでに締結しておりまして、フィリピン、シンガポール、タイ、マレーシア、それでインドネシアだけが欠けているという状態にあったわけです。しかも、交渉を始めてからもう十年ぐらいたっておりまして、大蔵省としましては、経済関係の深いインドネシアとぜひ早く締結したいということを考えていたところでございます。 そして、中身的にいいましても、大体OECDのモデル条約にのっとりましてできておりまして、大蔵省としても満足しておるところでございまして、インドネシア側も投資促進の見地が特に強いわけでございますが、そういった面から満足しているものと了解しております。
○林(保)委員 もう一点だけ。国会で日本が批准いたしますと、インドネシアはこれですぐ発効する状態になるのでございましょうか、どうでしょうか。交渉に十年かかったのですから、発効までに五年かかるとか二年かかるとかいうことではないのだろうと思いますが、その点一点だけ。
○都甲政府委員 御指摘のように、交渉には十年かかったわけでございますけれども、インドネシア側におきましては、議会の承認等の手続が必要ないようでございまして、国会の御承認をいただいて、私どもの方で手続が完了いたしますれば、早急に発効するというふうに承知しております。
○林(保)委員 終わります。ありがとうございました。
○中山委員長 次に、東中光雄君。
○東中委員 非常に時間がありませんので、日本・インドネシア租税協定について若干だけ伺っておきたいと思うのですが、先般、外務省からいただきました日本・インドネシア関係の関連資料によりますと、わが国からの対インドネシア進出企業は八〇年現在で二百四十一社、他に主要商社等が駐在員事務所を設置しているというふうになっていますが、この進出企業の業種、規模それから事業内容などについて概略だけでも明らかにしていただきたい。
○藤井(宏)政府委員 お答えいたします。 ただいま御指摘ございましたように、進出企業、まず日系の合弁企業でございますが、これが二百五社でございます。そのほかに、これは合弁を要しませんで一〇〇%日本でございますが、石油開発探査の会社が十二社でございます。 それから、この合弁企業の内訳でございますけれども、業種でございますが、農林水産業が四十五、製造業が百八、建設業二十三、運輸業八、サービス業六、その他十五でございます。それに、ただいま申しました十二社が加わるということでございます。
○東中委員 累計の対投資額ですね、四十四億二千四百万ドル、約一兆円と聞いているのですが、そういうことですか。
○河原説明員 お答え申し上げます。 対インドネシア直接投資届け出ベースでございますが、先生御指摘のとおり四十四億二千四百万ドルとなっております。中身は証券投資、債券投資、不動産取得、支店設置という項目に分かれております。
○東中委員 それでは、これだけの投資がありますと、この進出企業の、この協定で言っておる事業所得それから配当、利子、使用料、この額は相当なものになると思うのですが、昭和四十九年五月十日の当委員会での当時の大蔵大臣の答弁でこういうのがあるわけですね。 わが国の企業活動ももういまや国際的になり、 そうしていわゆる多国籍企業的な色彩を持つ企 業もわが国系統のものとしてふえつつある、そ ういう状態でありますので、在外のそういうわ が国の企業の支店でありますとか、出張所であ りますとか、あるいはわが国の企業の出資する 別会社でありますとか、そういうものに対する 税の捕捉、そういうものにつきましては実行上 の問題として私はもっと力を入れる必要があるこういうふうに言っているわけですが、それからもう数年を経ております。事業所得とかそれから配当、利子、使用料、こういうものについてどのように捕捉をしておられるか。これは大蔵省にお聞きした方がいいと思うのですが……。
○河原説明員 お答え申し上げます。 わが国企業が海外でどれだけの所得を得ているかという点につきましては、企業の決算上、すべての所得というものを総合して経理している関係で、なかなか統計上はつかみにくい。しかもその所得項目別ということになりますと非常にむずかしいというふうに思われます。 ただ、利子配当所得につきましては、日銀が発表しております国際収支統計というものがございまして、わが国が受け取る投資収益の総額というものが把握できるわけでございますが、これが、若干の国を除きまして、地域別推計を主体としておりますので、特にインドネシアの場合には、その他諸国というところに分類されております。したがって、これについてはなかなか捕捉しがたい。ただ利子、配当につきましては、先ほど先生が御指摘になりました財政金融統計の直接投資累計額からある程度の推計が可能ではないかと私たちは考えております。 そこで、その推計の方法につきましてはいろいろあるわけでございますが、経験的に配当率とか利子率とか使いまして考えますと、大体インドネシアから利子、配当として送られてくるものは二億五千万ドル程度ではないかというラフな計算は持っております。 そして、その投資所得につきましての脱税とか租税回避の問題につきましては、各国との情報交換それから協議条項、こういうものを使ってやる以外に捕捉の方法がなかなかないというのが現状でございます。したがって、租税条約ができました暁には、この条項を利用してできるだけ各国当局との情報交換を深めていきたい、かように考えておる次第でございます。
○東中委員 そうすると、日本に本社があって支店とか出張所とかがある場合は、日本としてその所得、これはつかめるはずですね。統計とか何かというのじゃなしに、個別につかめるはずですね。それから子会社の場合だって、別会社だとはいえ、あくまでも子会社ですから、これもつかめるはずですね。 そういうものについて個別につかむということはされていないということですか、いまのお話を聞くと。当時の大蔵大臣は、「税の捕捉、そういうものにつきましては実行上の問題として私はもっと力を入れる必要がある段階に」来ている、こう言っているわけですね。その点はどうなんでしょう。
○河原説明員 お答えいたします。 現在すでに租税条約を持っている諸国につきましては、各個別ケースについての情報交換はございます。先方から、たとえば現地法人がある国からは、本社の経理はどうなっておるのだという情報を提供してくれというようなこともございますし、こちらから子会社分についての情報を提供してほしいということもございます。これが、租税条約のない場合にはそういったルートがございませんで、なかなか個別ケースの税務資料というものは交換できないというのが実態でございます。したがって、他のASEAN諸国、すでに持っておりますところにつきましては情報交換を深めていきたいというふうに考えておりますし、現在もある程度の情報交換を行っておる次第でございます。
○東中委員 それは私の言っていることと全然すれ違いの答弁になっておるのですが、租税協定の有無にかかわらず、日本の本社なりあるいは親会社なりを調べることによって捕捉はできるはずだ。その捕捉程度はどの程度のものかということを聞いているわけですから、そのことは何もせぬで協定ができておれば向こうから情報交換ができるという、それはもう答えにならぬわけです。福田さんが大蔵大臣のときに、その捕捉をするようにせにゃいかぬ段階へ来ていると言うてからもうすでに六、七年ですからね。どうですか、これは時間がなくなって困ります。
○河原説明員 お答えいたします。 いま申し上げたのはこちらの調査についてのいわばその反面的な感じで向こうの情報をもらうということでございまして、こちらの調査は本社をやることによって現地法人とか支店とかの経理は調べることはできるわけです。したがって、国税庁の方といたしましても、それ以降国際担当の企画官を設けるとか、国際関係の人員をふやすとか、それから国際関係の人員養成に力を入れるとかいうことで現在まで努力しておるところでございます。
○東中委員 だから、配当、利子の場合はいろいろ日銀の資料とかで推計をして二億五千万ドルと言っているのですが、そのほかのものを含めて個別のことにどの企業が幾らということを聞けばそれは守秘義務ということになるでしょうけれども、全体として対インドネシアとの関係でいえば事業所得はどのくらいあるのかということもわかっていないという。力を入れておるのだと言うだけで、どれだけ捕捉しているのですかと聞いているのに対して、わかっていない。力を入れる段階に来ておると言うてから六年も七年もたってなおそういう状態だ。これは進出企業に対して課税措置が非常に放任されているといいますか、税回避を放任しているというふうに言わざるを得ぬわけです。 時間がありませんが、もう一つ、協定二十三条のいわゆるみなし課税についてです。先ほども言われておりましたように三十三番目のようですけれども、このみなし課税が適用される協定は、いままでの三十二本ではどれくらいあるのですか。
○都甲政府委員 現在まで三十二カ国と締結済みでございますけれども、その中でみなし外国税控除額を定めた条約というのは十二カ国との条約がございます。その名前を申し上げますと、パキスタン、インド、タイ、ブラジル、スリランカ、マレーシア、ザンビア、韓国、シンガポール、アイルランド、スペイン、フィリピン、これらの国と締結した協定の中にそのような条項が入っております。
○東中委員 これはみなし外国税額の控除額ですね。これは総額でどれくらいになっておりますか。これも昭和四十九年五月十日の当委員会での質疑の中で当時の大蔵大臣は、これはやはり資料を整えたいと思っております、重要な点でありますので早急に調査をしますというふうなことを当時のわが党の松本委員に答えておられるのですが、いまどの程度のものになっておりますか。
○河原説明員 お答え申し上げます。 みなし外国税額控除を含む税額控除全体の額というのは、申告書の中の一項目を占めておりますから、集計は非常に簡単でございます。ただ、みなし税額控除ということになりますと、各申告書の原資料を一枚一枚繰ってそれを集計するという手作業でやらざるを得ないということで、五十三年にその手作業を国税庁の方に依頼して結論を出したものがございますので、その辺の事情を国税庁の方からお答えさせていただきたいと思います。
○西崎説明員 お答え申し上げます。 ただいまの五十三事務年度分のみなし外国税額控除でございますが、これはさらに詳しく申し上げますと、五十三年の二月から五十四年の一月に事業年度が終了した分、こういうことでございますが、これはさらに加えますと、資本金百億円以上の会社について集計したものでございます。これの総額が約七十七億円ということになっております。
○東中委員 外務大臣どうぞ。 もう時間が来ておりますから、この問題の締めくくりだけしておきたいのですが、みなし外国税額の控除額。いま総額で七十七億と言われたのですが、相手の国別ですね。それから大口企業で一企業でどれくらいのものがあるのかということをちょっと明らかにしてほしいのですが。
○河原説明員 先ほど国税庁の方から御説明いたしましたように、百億円以上の法人についてだけ調べたものでございます。といいますのは、小さな法人になりますと非常に作業の手間がかかって、たとえば二、三年とかでできるかどうかといった問題がありますので、百億円以上で調べたものでございます。 それから国別には、数字は一応手作業で出ておりますが、みなし税額控除につきましては、各国とも相手国がどれぐらいのみなし税額控除を受けておるのかということで非常に興味を持って見ている関係があります。これは、みなし税額控除自体がその国にとって投資促進のためにどれぐらい役に立っておるか、また日本が与えておるみなし税額控除がその相手国にとって少な過ぎるのではないかというような意味でいろいろな思惑がありまして、知りたがっている関係がありまして、国別の数字はちょっと差し控えさせていただきたいのですが、大体経済交流の盛んなところ、先ほど外務省の方から報告がありました条約の中で盛んなところ、韓国、ブラジル、シンガポールといったところが大宗を占めておるということでございます。
○東中委員 このインドネシアの場合ですが、このみなし課税についてインドネシア政府はどういう方針を持っているか。協定締結に当たっていろいろ話があったと思うのですが、その内容を明らかにしておいていただきたい。
○藤井(宏)政府委員 インドネシア政府は一九六七年の外資法によりまして、さまざまな投資奨励の見地から税制につきまして特典を与えております。今回の取り決めの協定の交渉におきましても、この点についてインドネシア側から、ぜひこのみなし外国税額控除制度を認めるようにという要請がございまして、今回の規定が挿入されたわけでございます。
○東中委員 時間ですから、どっちにしましても、外国進出企業についての所得の捕捉が非常によく進まない。それから、みなし課税の控除で、結局進出大企業に特別の利益を与えるというふうなやり方については、私たちは非常に反対だという立場におるということを申し上げておきたいと思います。 きょうは時間の都合で終わります。
○中山委員長 次回は、来る二十一日水曜日午前十時三十分理事会、午前十一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時二十分散会