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96回国会衆議院1982/03/19

外務委員会 第2号

発言数
156
登壇者
15
会派数
6
開催日
1982/03/19

会議録

中山正暉自由民主党

○中山委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  この際、外務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣櫻内義雄君。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 外務委員会の皆さんに大変御無理をお願いしておる次第でございますが、明日から二十五日までアメリカの方へ所用で参りますので、その間いろいろと勝手をいたし、御無理を申し上げることが多いと思いますが、お許しをいただきまして、また訪米に際しての皆様のこの上の御支援、御鞭撻をお願いしたいと思います。  ここに委員長初め委員の皆さんにくれぐれもよろしくお願いを申し上げ、ごあいさつといたします。     —————————————

中山正暉自由民主党

○中山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥田敬和君。

奥田敬和自由民主党

○奥田(敬)委員 大臣、あすからの御訪米どうも御苦労さまでございます。  私も久しぶりに質問に立つもので、勝手が違っておりますけれども、日米問題に視点をしぼって、私見を交えながら大臣の所信を伺うという形で進めたいと思います。  大体カラスの鳴かぬ日はあっても最近の貿易、防衛をめぐっての対日批判の報ぜられぬ日はないくらいの過熱ぶりでございます。国内報道ぶりは新聞、テレビ、週刊誌、月刊誌を問わずですけれども、こういった日米の経済摩擦あるいは対ソ脅威を中心にした国防問題、戦争前夜のような印象を国民は抱いておるわけでございますけれども、大臣、私はこれにはやはり功罪二面あると思うのです。マスコミの方は罪は何だと言って不愉快な顔をされるかもしれませんが、功の方は、何といっても認識の変化と申しますか、この国際社会における日本の果たすべき役割りといったような形の中で、国際化社会の中でのいき方というものに対する国民の認識の変化というものはやはりプラスの面として挙げられると思います。  ただ、マイナス面は、過度なおどし、アメリカの圧力という形に映ることで、このことがもう一部で反米感情をあおるような結果になっておりはせぬかということを憂えております。日米の基本姿勢あるいは日米の基本環境は揺らいでいないにもかかわらず、それがまるで根幹から崩れ落ちているような報道ぶりからの印象というのは私は遺憾だと実は思っておるわけでございます。とはいえ、最近のこの貿易摩擦、防衛問題の展開ぶりは確かに深刻な面があります。日米双方が対応を誤ると、この三十年間ようやく成熟の道をたどってきた形にも非常に大きな危険がひそんでいることも私も認めておるわけでございます。外交を担当せられる大臣の責任たるやここできわめて大きいわけでございますが、質疑に入る前に、時間制約がありますけれども、大臣、どうなんですか、向こうで大統領、国務長官等々とお会いになると思うのですけれども、どんな方にお会いになる御予定でしょうか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 奥田委員のおっしゃるように、大変厳しい日米間の状況の中に今回の訪米ということになりました。昨年の伊東外務大臣以降ちょうど一年、日本の外務大臣の訪米は行われておらないわけでございます。そういうことでありますので、米首脳とお会いをする、こういうことでレーガン大統領、ブッシュ副大統領、ヘイグ国務長官を初めといたしまして、そのほか経済閣僚の皆さん方とは食事をともにしながら懇談をする、こういうような計画でございますが、何といっても大統領、副大統領、私の相手になるヘイグ国務長官との会談が最も重要なもので、私としてはこの三つの会見を大きな目標として訪米をする考えでございます。

奥田敬和自由民主党

○奥田(敬)委員 大臣、上院、下院の外交委員長らとはお会いにならないのですか、お会いになるのですか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 上院、下院を訪問いたすことにしております。そして先方の御配慮で関心のある主たる議員の方々、これは大使館の方で適切な人選やお願いをいたしまして、そして簡単なお茶の会をしながら懇談をする予定にいたしております。

奥田敬和自由民主党

○奥田(敬)委員 大臣のお顔を見ておると余り深刻な悲壮感を持って行かれないようですから大変結構だと思います。あなたの御訪米に国民は熱い関心を持っていることは当然ですけれども、こういう時期ですし、おみやげは何かあるんだろうかという期待をする人もいませんし、いないといったらおかしいですけれども、また、こういう時期だからえらいたたかれてくるんじゃないかという心配をする人もいるでしょうし、また、まあいやな時期に行くなあと言ってやはり心配とあきらめを持っている、いろいろな声があると思うのですけれども、私は、そういった形は一切考えなくていいと思うのです。考えなくていいと言ったら生意気ですけれども、むしろ、この六月に開かれるパリの経済サミットを控えまして、初めて外務大臣として米国の首脳とパーソナルリレーションと言いますか、面識を深めてくる、そしてさらに、同盟関係にある、共通の土俵に立っている同盟国としての、そういった形の中で国際責任をどう果たすかという大きな見地から彼らと話し合ってくるという姿勢がとても大事だと私は思います。そういう意味で、当面する世界情勢、日米関係全般についてクールに、建設的な役割りを日本はどう果たすべきかという形を含めて、これらの首脳とお話し合いを進めていただきたいということを私はお願いします。  そこで、こういった最近の過熱ぶりと違って、日米の基本関係は揺らいでないと私は思うのです。一部に、安保を改正しろあるいは日本の経済と安全は米国の納税者の負担によって賄われているんだというようないろいろな意見、圧力めいた、おどしめいた意見もあるわけですけれども、それは決してアメリカの本当の流れではないのであって、日米関係の基本というのは揺らいでないんだ、そういった共通の土俵の場に立っておるんだという形で私は見ておりますが、大臣、どうですか。こういった形で、今度向こうへ行って、余り神経質にならないでそういった首脳との会談を進められるのか、基本的な日米間の関係は揺らいでないという私の視点も交えて、お考えをちょっと聞かせてください。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 現在、お話しのような、新聞をにぎわしておるさまざまな意見が出ておる、また、言わずもがなでありますが、日米間の大きな貿易上のインバランスがある、こういう際でありますから、したがって、やはりこの際、外務大臣が米当局最高責任者と腹蔵のない意見交換をする必要性は私はあると思うのであります。特に、日本は好むと好まざるとにかかわらず、戦後、日米安保体制を基軸としての外交を進めてきた、日本外交の中で最も重要な分野であるわけでございます。したがって、日米の間で意思統一が常に図られなければならない。従来とも日米間の対話はいろいろな形で繰り返し行われておるわけでございますが、昨年の伊東外務大臣以来のことを考えますときに、ちょうど一年ぶりに私が参りまして話し合うということも、今後の日本外交の上に、また、日米の国際的な現在の地位からいたしまして、国際関係にも寄与するところあるものと信じて先方へ参る考えでございます。

奥田敬和自由民主党

○奥田(敬)委員 大臣、私は、現在の貿易摩擦、防衛問題等々、すべてアメリカの圧力から起きているんだというような考え方がやはり大方の国民の中にあるのですよ。(「そのとおりなんだよ」と呼ぶ者あり)いや、それは間違いなんですよ。それは、アメリカの場合、日本と違って、自給体制がいつでも、エネルギー問題も含めて、幾らでもできる国ですし、孤立主義に走ろうと思えばいつでも走れるだけの基盤を持っておる、実力を持っておると言っていいと思うのですね。ソ連についても同じことが言えると思うのですよ。アメリカの場合は、これはアメリカに限らずそうだと思うのですが、国内経済がそういう実力の基盤を持っておりながら不調になってくる、そうすれば、一千万人以上の失業者を抱えるというような状態を招いておる中で保護主義に走るというのは大体想像できますね。そしてまた一方では、財政の赤字によってなかなかいままでのように思うようにいかないということになれば、他国防衛に払っている犠牲をできるだけ少なく負担してやろうという削減の動きが出てくることも当然わかるわけです。  ただ問題は、日本が自由貿易の利益というか恩恵を最大に享受していることが日本の国益である、日本はそれによって生きておるのだということであれば、やはり日本は相応の犠牲を払って市場開放にも努力していくのがあたりまえだと思うのです。そしてまた、国の安全というものを自分たちの国の国益として守る、それが緊要であるということになれば、そのために最低の防衛義務、努力を払うこともこれもまた当然なのです。ですから、今日の貿易問題、防衛問題をアメリカの圧力によってアメリカのためにやっているのだというようなことは間違いで、日本のそういった甘えは許されない時代なんだという現状認識から出発していくことが非常に大事だと思います。ですから、国際責任を果たしていくために、またそういった自由市場の利益を享受していくためにはやはり相当みずからの責任で痛いこともやっていかなければならぬ。そうでなければ、国際社会の中での日本の信頼、信用というのは大変なことになる、これも当然な帰結だと思うのです。アメリカでも、日本は圧力をかければ何でも動くのだ、圧力をかけないと動かない国なのだというような認識を持っている人は確かにいます。また、日本のこれまでのやり方を見ておると、言われると、それに対応して少しずつ小出しにしては譲歩していく、そういったパターンの繰り返しはやはりこれからはもう通用しなくなったのだ、そういう時代に入ってきたということを私は感ずるわけでございます。これについての御答弁は求めません。  時間ももう来ましたので、最後に結びにひとつちょっとお伺いしたいのですが、さきにソ連のブレジネフが中距離核兵器SS20の配備の凍結を発表しました。このブレジネフ提案と申しますか、これに関連してアメリカ側は最近核軍縮四原則を発表したようでございます。アメリカ側はSS20を撤廃しろ、凍結ではだめだ、凍結以上を目指す、はっきり言うと、この中距離核ミサイルは移動可能でございますから、そういったことも含めて、米国の配備を撤廃する条件としては、SS20を撤廃しろ、凍結ではだめだ、われわれはゼロ方式とかゼロオプションとかと聞いていますけれども、それは別として、こういった米国側の軍縮四原則、これに対するわが政府側の評価はいかがなんでしょうか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 レーガン政権の軍備管理に関する四原則は、双方の大幅な削減を目指す、これが一つでございます。それから公平でなければいけない、均衡ですね、それから検証可能であるべきである、それから米国及び同盟諸国の安全保障を高める取り決めを目指す。  これは私は、このような方針のもとに米ソ双方がお互いに特に核兵器の削減をして、でき得る限り低いレベルに持っていくということは、世界平和の上に非常に重要なことだと思うのですね。  いま、どちらかというと、デタントと言いながら、この十年非常な勢いでソ連が軍備の拡張に努めた。そこでレーガン大統領は、このままで一九八〇年の中葉に至るならば大変なことになるということから、強いアメリカ、こういうことで大きな犠牲のもとに、ソ連との均衡維持のために努力をしておる。しかしながら、その間に米ソ間においても、中距離核戦力の削減交渉をしよう、あるいはSTART交渉をやろうというようなことで、現に昨年の十一月以来、その交渉もされておる。われわれはその成果を期待しておるわけでありますが、なかなかそうはいっておらないわけであります。  今回、ブレジネフの提言も一見非常に傾聴に値するようでありますけれども、ヨーロッパ地域からSS20を凍結し、あるいは削減するといたしましても、SS20の能力からいたしますと、ウラル以東に配備されておっても、それはヨーロッパ全域に対しての大きな脅威になるのでありますから、これはヨーロッパとか極東とか言わず、全体を通じての削減ということになっていかなければならない。したがって、米ソの間でこれらのことをよく念頭に置いて真剣な削減交渉をやり、その成果の上がることを期待するわけであります。

奥田敬和自由民主党

○奥田(敬)委員 ちょうど時間超過しましたので、これで質問をやめますけれども、金利政策についてもリーガン財務長官やボルドリッジ商務長官と話し合ってきていただきたいと思います。  やはりアメリカの経済のメカニズムが最近狂ってきている。高金利というのは本当に、こんなこと言うとなんですけれども、黒字がたまれば、百八十億ドル、二百億ドルになれば円高になってくるのはあたりまえなんですし、輸出にブレーキがかかって自動調整していくという経済のメカニズムがいまアメリカの高金利政策で狂っているのですわ。ですから、何もかも日本のこういった、世界経済の不況の因というものを、こういう作動できないくらいのこのメカニズムがアメリカの高金利政策にもう偏ってきているということをやはり強く訴えてきていただきたいと思います。  終わります。

中山正暉自由民主党

○中山委員長 高沢寅男君。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 大臣、今度、アメリカを訪問される、その中からどういう結果が出てくるか、私たちは、実は大変危惧の念を抱いております。  昨年に鈴木総理が訪米された。その中から、日米の同盟関係が出てきたり、いろいろな問題が出てきて、伊東外務大臣の辞任にまで至ったというふうな結果があったわけですが、今回もまたそういう結果になっては大変だ、こういうふうな気持ちがございますので、また今回の大臣の訪米に当たって、政府としてはっきりとした対応を持って行かれるのかどうかという点についても、実は危惧の念を持たざるを得ない。こういう状態の中では、行くのはおやめになったらどうか、こういうふうに申し上げたいわけです。しかし、どうしてもあした行くのだということであるならば、私のこれから申し上げることをしっかり大臣、腹の中に持って、そしてレーガン大統領にぶつけるというふうな立場で、行かれるならば、お願いをしたい、こう考えるわけであります。  そこで、腹の中にしっかり持っていただく一番基本の問題は、いまのレーガン政権の戦略をわれわれとしてどう見るか、そしてそれにどう対応するか、こういうことになろうかと思うわけであります。レーガン政権の世界戦略、これはイコール対ソ連の戦略、こういうことだと思うのでありますが、その中には幾つかの柱がある、こう私は思います。  その第一の柱は、いま大変な勢いで軍備の強化、拡大をレーガン政権は進めているわけでありますが、それによってアメリカとソ連の軍事的な能力に非常に大きな差をつける、アメリカが圧倒的な軍事的な優位体制に立つ、そしてその上に立って、もしいざというときは実際にソ連に対して核戦争を発動する、こういうことがレーガン対ソ戦略の第一の柱である、こう私は実は思うのです。  その、実際に発動するという場合にはどうなるのだという場合に、いわゆる限定核戦争、これは可能である、限定核戦争はあり得る、こういうレーガン大統領の言葉であらわれていると思いますが、それは、では一体どこでやるのだといった場合には、当然第一にヨーロッパであるということになるのじゃないかと思います。  そこで、こうしたレーガン戦略の、いざというときは本当にやるぞ、やるときはヨーロッパだ、こういうふうな考え方、その場合の、ヨーロッパと考えた場合には、先ほど来話も出ていますソ連というものをとると、ウラルから西の方がソ連ではヨーロッパであります。これからずっとイベリア半島まで含めて、そういうヨーロッパ全体炉限定核戦争を本当にやれば、これは完全に壊滅するということになると思うのであります。しかし、アメリカから見れば、そういう限定核戦争をヨーロッパでやった場合には、大西洋の向こうにいるアメリカは無事である、安全であるというふうな立場になるわけであって、そういうレーガン戦略というものを一体われわれはどう見るべきか、それに対してどう対応すべきかということだと思いますが、すでにヨーロッパ諸国では、そんなばかなことは許せないということが、政府レベルでもまた民衆レベルでも、いまヨーロッパで起きている猛烈な反核運動というものはその前提に立っていると私は思いますが、大臣に、この点をいかに御認識かお伺いしたいと思います。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 日本が被爆国である、そういう悲惨な経験をなめておる、そういうことでありますから、軍縮、なかんずく核軍縮ということは常々強く主張をしてまいっておるところでございます。  そういう日本の苦い、とうとい経験からいたしますならば、ただいま高沢委員の御指摘のような限定核戦争、そしてさらには、それが本格的な核戦争にならないと断定することはできない、そういう状況にエスカレートする要素があると思うのですね。そのようなことを考えますときに、私は、言葉の上でときに限定核戦争をやるというようなことが、言われたようなことがございますけれども、しかし、そういうようなことを本気で考えておるというふうには私には思えないのであります。あくまでも世界の平和と安定の実現を期しておる、これがアメリカとしても当然の方針ではないか。しかし、不幸にいたしまして、現在の核兵器の配備の状況からいたしますと、米ソの間に相当大きな差が出てきておるということは客観的に見て認められるところではないか。先ほども申し上げたデタントという中に、着々と軍備の整備をしていった、一九八〇年中葉に至るとこれは大変だということで、レーガン政権が強いアメリカということをキャッチフレーズにして国防力の充実に努めておるということでありますが、これは私も、率直に非常に危険なことである。しかし一方において、アメリカといえどもソ連との対話を無視はしていない、対話はしなければならない、何とか低いレベルの均衡に持っていこう、そういうやりとりがいろいろな形で、ときにブレジネフの凍結だ、削減だ、ときにアメリカのゼロオプションだというようなことになってきておると思いますので、そういう米ソ間の対話が本当に行われて、そうして核軍縮を中心とするところの軍縮がうまく成果を上げてもらいたいということを日本としては心から祈るものであり、また訪米をして話をする際にはそういう見地の上で所見を申し述べる機会を持ちたいと思っておる次第でございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 いまの大臣の述べられた御認識の中に、ソ連の方が圧倒的に軍事的な優位体制に立っておる、だからアメリカもやらなければいかぬ、こういうふうな認識を述べられたわけですが、これは、確かにレーガン政権はそう言っております。ただしかし、その同じアメリカで、たとえばケネディ議員のように、そうではない、こういう認識の有力な意見がアメリカの中にもある。まして世界の、ヨーロッパ諸国とか、われわれから見ても、果たして本当にそうなのかということについては、これはまさに認識の大前提の問題だと思うのでありますが、しかしそれにしても、そのことがますます、ではおれは拡大する、そうすると、では相手も、おれも拡大するというような拡大競争につながることをやめさせるには、何はともあれ凍結、そして縮小という方向に向かわせるしか方法がないのじゃないか、私はこう思うわけであります。  したがいまして、大臣にレーガン大統領と会って特に伝えてもらいたいことは、そうしたいざというときにはやるんだぞというような戦略はぜひやめてもらいたいということを大臣から強く伝えてもらいたいということと、それから、何といってもアメリカとソ連がお互いに核兵器を減らしていくということがいま決定的に重要でず。そうであるとすれば、その立場に立って、あなたはレーガン大統領に、ひとつ日本の広島に来たらどうだ、こう言ってもらいたい。それから同時に、何らかの機会を得て、あなたはソ連のブレジネフ書記長にも、あなたもひとつ日本の広島へ来なさい、そしてこの広島で米ソの両巨頭が軍縮の話し合いをしなさい、核兵器を減らす話し合いをしなさい、こういうことを思い切って、私は大臣からぶつけてもらいたい、こう思いますが、いかがでしょうか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 ブレジネフ書記長、レーガン大統領のそういうトップ会談、そしてお話しのような、核兵器の削減あるいは核軍縮、核の絶滅を期するような会談をしていただくということは、理想としては本当にわれわれとしては求めてやまないものがございます。米ソの首脳会談ということもよく言われておりますが、それにはどうしても準備体制がすっかり整って——ただ会ってやり合うというだけではいけない、会う以上においては実りの多いものにしなければならない、それには準備体制が必要だ、これもやはり考えなければならないことだと思うのであります。そういう体制ができて、両首脳が会われて、世界平和の本当に実現のために腹蔵のない意見交換をし、具体的な行動をとってもらうということは、これはだれしも求めるところだと思うのであります。  また、前段で御質問の、アメリカが限定核戦争のようなことがあってはいけない、そういうようなことは絶対避けてもらわなければならないという御趣旨の御発言でした。これらの点については、米ソの軍事力がどうかということから考えてみますと、客観的にこれは判断のできることではないか。このごろのような、人工衛星も進歩しておるのですから、そういうものを前提にして、現にヨーロッパの西側の諸国でも、また日本でも、アメリカのこの方針についてはそれぞれ建設的な意見を言っておる。フランス、アメリカ、あるいはドイツ、アメリカ、それぞれ首脳の会談も行われておるのでありますから、私は、世界の良識というものが核戦争に持っていくようなそういう事態を必ず避け得るものである、このように見ておる次第でございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 私はさっき、レーガン政権の世界戦略の第一の柱で、いざというときにはやるぞという柱があるということを申し上げたわけですが、もちろん、レーガン政権といえども、戦争をやるというばかりではないと思います。したがって、戦略の第二の柱は、やはり軍縮なり軍備管理というものをソ連との間に話をつけよう、こういう考え方は私はあると思うのです。ただしその前提は、アメリカがソ連より圧倒的に優位に立ったそのバランス、優位のバランスをもって軍備管理、軍縮というふうな話し合いをつけようというのが、私は、レーガン政権の第二の戦略だ、こう思うわけなんです。  そこで、しかしそれが本当にできるかどうかとなりますと、今度はソ連の側に言わせれば、そういう優位は許さぬということをソ連も言っておるわけです。そうすると、これはこれでまた、ではわが方も拡大、こういうふうになりますから、それがつまりさっき言いました悪循環、軍備拡大の悪循環になるわけで、それをとめさせる。そこで、報道されているところでは、アメリカでも、さっきケネディ議員のそういうことを私申し上げましたが、下院のザブロッキ外交委員長、あるいはまた上院のパーシー外交委員長、これらが、軍備の凍結そして軍縮へ、したがってSTARTの会談を開始しろというようなことが、アメリカの国内の有力な外交政策の提起として出てきておるということなんです。そういうものを日本の政府としても大いにレーガン大統領に要求し、それをやりなさいということで、具体的な軍縮の交渉の前進を促進しながら、そこで一定の準備ができて、さあいよいよこれなら巨頭会談ができるという段階で巨頭会談になるでしょう。そのときに、先ほど言いました、いつもそういう場合はジュネーブになるわけですが、何もジュネーブだけが能じゃないんで、それこそそれは広島でやれということを大臣からひとつ強くレーガン大統領に、あるいはまた次の機会をとらえてブレジネフ書記長にぜひ強く要求してもらいたいと思いますが、この点は、大臣いかがですか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 日本も国際的には相当地位の高い国である、その自負心を持っていいと思うのです。したがいまして、仮に米ソ首脳会談を提起するという場合はやはり実現可能性を持たなければならない。私は高沢委員のおっしゃるような、そういうことの実現を図りたいと思いますけれども、それには責任ある言動をとるべきであります。ですから、従来首脳会談についてはいろいろ言われておるが、その前提としては準備体制が必要だ。私は、そういう準備体制が整って、そして広島で会談をすることはおっしゃるとおりに意義深いことでありますから、そういう状況の場合、どうぞ日本で、ひとつ広島でおやりください、こういうことを言うことはやぶさかではございません。しかしいまレーガンさんに、あるいはブレジネフさんに首脳会談をやりなさい、こう言ったときに、その準備体制の整ってないということを考えますと、これは慎重にやらなければならぬと思いますが、準備が整えば、それは高沢委員のおっしゃるようなことが一つのいい方法だと思います。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 そこで私は先ほどから、そういう準備体制が整うために、まさに平和憲法を持っておる日本政府が積極的な役割りを果たすべきだということを繰り返して申し上げておるわけです。  時間がありませんから次へ進みますが、そのアメリカのレーガン大統領の世界戦略の第三の柱というものは経済の関係だと私は思います。その経済の関係ではどういうことかといいますと、とにかく大変な軍事拡大を進めることはどの国にとっても経済に大きな負担であります。これは恐らくソ連にとっても物すごい大きな負担になっておる、こうわれわれは見るべきだと思います。そういう状態で軍備の拡大競争を進めていけば、もうソ連の経済というものは軍備の負担にたえ切れなくなるというふうな見通し、そこへ持ってきて最近のアフガン、ポーランド等々のことでどんどんソ連に対する経済制裁ということも行われております。そういうことでソ連を今度は経済から崩壊させるというような方向へ追い込んでいくという、これまた私はレーガン政権の世界戦略の第三の柱じゃないかと思うわけなんであります。  しかし、これもまた果たしてそういうふうになるのかどうかということで私たちは見るべきだし、そしてこれに対しては、じゃヨーロッパ諸国はどう対応しているか。例の西ドイツあるいはフランス、これはソ連との天然ガスのパイプラインの敷設の契約を結ぶというふうなことも現に進んでいるわけでありまして、なかなか世界的に、経済的にソ連を崩壊せしめるということでヨーロッパ諸国も全部足並みをそろえるというようなことにはとてもいきません。もちろん、日本としてもまたそんな戦略で経済政策はやるべきではないと思うわけでありますが、私はむしろ逆に、経済という面においては、それこそあらゆる国との間における経済交流がわれわれの利益になるし、同時に世界平和の道になる、こういう立場で経済戦略を進めるべきであって、そのことをしっかりと、行かれるならばレーガン大統領に、日本の立場としてひとつ言ってきてもらいたいと思いますが、いか炉でしょうか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 お話しの御所見はそれなりに一つの筋の立った御意見であると承ったわけであります。ただ現実に見た場合に、最近東西間の緊張を惹起しておる原因は何かということになりますと、遺憾ながら軍事バランスというか核戦力のバランスが崩れてきておって、それに伴ってソ連がアフガニスタンへの侵攻とかあるいはポーランドへの圧力というような行動をとってきておる。したがって、それらについては西側諸国が一様に憂慮の念を持って、結束をしてそういうような事態を何とかやめてもらいたい、こういうのが現実の動きであると思うのであります。  そういう関係からそれぞれの国、アフガニスタンであるとかポーランドであるとかソ連がそういう行動に出ておる、圧力を受けた国々に対してどうしたらいいかというようなことから、西側諸国がある程度の措置をしておる。その事態の緩和に伴ってときにまた緩和をするという場合も出てきましょうが、一応の措置をとりながらこのような事態が進行しないようにということでまいっておるわけでございますから、御指摘のような、フランスやドイツがパイプラインではソ連との経済関係があるじゃないか、これは既往の契約の遂行についてはお互いに理解を持とうということで来ておるわけでございますから、現実の姿を見た場合にどのような対応をしていくかということは、それなりに考えていかなければならないと思うのであります。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 ここで特に日本との関連が出てくるわけですが、ソ連に対するそういう経済的な制裁で封じ込める、あわよくばこれをつぶしてしまおうというアメリカのレーガン政権のやり方、それに対してヨーロッパ諸国は、そういう天然ガスのパイプラインで、自分の国の利益でやることはやるんだというふうに進んでいるわけですが、そうすると、日本の場合、例の北樺太の大陸棚で日ソ共同で石油と天然ガスを掘っておりますね。これはいよいよ出ることははっきりわかってきた、これから本格的な開発にかかるという段階で、このプロジェクトも、アメリカから日本に対して対ソ制裁のためにストップしろ、こういうふうなことが言われてきておるやに伝えられておりますが、もしそういうことをすれば、この損失はソ連に与えられる損失どころか、日本がまともにその損失を受けるという結果になることは、はっきりしているわけです。たとえばこういうことを大臣はどんなふうにお考えになり、また対処なさるのか、この機会に聞かせていただきたいと思います。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 サハリンの石油、天然ガスの開発プロジェクトにつきまして、これをもしこの際中絶するとかあるいは中止するという事態でありますならば、日本のようにエネルギー資源の乏しい国が相当の犠牲を払って開発をしようとしておるのでありますから、まさに日本として大きな損害を受けることは明らかでございます。  したがって、これらのことにつきましては、ちょうど独仏の天然ガスのパイプラインと同じように既往の契約のことであるので、これは対ソ措置としては了承できない、こういうことで、アフガニスタンのときにもアメリカもそれを理解をしたわけでございますので、今回の対ソ措置の中では、これは日本としては継続していきたいということを繰り返し意思表示をしておるところでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 その点はぜひ、いま大臣の言われた方向で実現していただきたいと思います。  そこで、レーガン政権の世界戦略の第四の柱に進みたいと思いますが、第四の柱は、いわゆる第三世界、発展途上国の中で、その国の独裁政権に対して民衆が非常な民主化を求める戦いあるいは民族の独立を求める戦い、各地において非常なそういう戦いが進んでおります。これはいずれもその国の国内に問題があってそういう戦いが起きてきているものと私は思います。ところが、レーガン政権から見ると、そういうものは全部ソ連がやらせておる、これはソ連の戦略だ、こういうふうな見方でそれに対応するという姿があるわけでありまして、最近問題になっております中米、カリブ海のニカラグアとかあるいはエルサルバドル、こういうところに対するレーガン政権の軍事を含めた介入の方向が非常に出てきております。これは皆、後ろはソ連だという認識でやっているわけでありますが、さらに今度はアフリカへ飛べば、何だ、今度また三月にリビアの沖合いのシドラ湾でアメリカの艦隊が演習をやる。そこにリビアの飛行機が出てきたら、待ってましたで落としてやるというふうなことをやっておりますが、これもリビアの後ろはソ連だというような認識がレーガン政権にあります。そういう認識で第三世界、発展途上国に対応するというようなことで一体いいのかどうか。日本の政府はそれに対して一体どう対応するのかというふうなことも、この際非常に重要な問題です。この点、今度行かれた場合にレーガン大統領とどういう話をされるつもりか、ひとつお聞きしたいと思います。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 ソ連が第三世界を自分の勢力範囲にしようという努力を続けておるということは、現実にいろいろ現象としてあらわれておるわけでございます。いまニカラグア、エルサルバドルあるいはリビアをお挙げになっておりましたが、そういう国々よりも、たとえば先ほど申し上げたアフガニスタンの場合、あるいは私どもが関心を持っておるベトナムの場合、あるいはエチオピアの場合、こういうことを考えるときに、ソ連が第三世界に巧妙にいろいろ手を打っておるということを私は憂慮をするものでございます。  そこで、日本としては、従来とも南北問題を非常に重視しておるわけでございます。経済協力をしよう、それも日本としてはできる限りの努力をする上に、従来の実績の倍増をこの五年ではしようというようなことを言っておりますゆえんのものも、経済的に、また社会的に不安定なところがある。そういうことが、どこから援助を得たいとか、ああいうところならばひとつこの際手を打っておこうとかいうような誘因になりますから、日本としては、軍事力でどうこうはできないが、国際的な安定のためにはひとつ大いに経済協力をしよう、こういうことで進んでおるわけございまして、ただいまの御質問は、第三世界に対してどうする、どういう姿勢でいくかということでございますから、日本として現在とっておるこういうようなことについて、必要があればレーガン大統領には大いに強調したい。特に、レーガン大統領は二国間援助ということは非常に考えておるようでありますが、どうも国際的な機関を通じての援助ということについてはちゅうちょをされておるというような点がございますから、その点はそういうことじゃないだろうというようなことは言ってみたいと思います。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 大臣、いまの問題はベトナムのケースを振り返ってもらえば非常にはっきりすると私は思うのです。ベトナムの場合には、もともと独立の戦いはフランスに対して第二次大戦後始まりたわけですよね。そして、フランスに対する独立の戦いがもういよいよ成功する、独立ができるという段階になって、フランスにかわってアメリカが乗り込んできた。そこで、今度はアメリカに対してベトナムの人たちの独立のための戦いが始まるという、ずっと長い経過があったのですよ。そういう経過を踏まえて、たしか一九六五年にアメリカの本格的な北爆が始まる、北ベトナムに対する本格的な攻撃が始まるというようになってきた段階で、初めてソ連のベトナムに対する援助が出てくる。当然、やられる側のベトナムもまた援助を求めるという形で発展していった経過があるわけです。今度の中米・カリブ海も、第二のベトナムになるのじゃないかと言われておりますが、レーガン政権のいまのような対応で軍事的な介入をどんどん進めていくというようなことになっていくと、もともとソ連の関係でなかったものも、結局ソ連に援助を求めるということに発展していく、こういうことにもなるのじゃないか。したがって、こういう第三世界で、それぞれの国の国内の独裁政権に対する民主化を求める、物すごい社会的な格差があるものを是正させようとする、そういう運動は、むしろこれは世界の民主化の方向としてこれを認識するというふうなことを、レーガン政権に対してはっきりと直言されるべきである、私はこんなふうに思いますが、もう一度その見解をお聞きします。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 ベトナムの関係について御所見がございました。高沢委員は終始この地域に対しては関心を持っておられまして、私も日ごろ敬意を表しておるわけでございます。  ただ、ベトナムの場合、現在その経緯はよくわかっておりますが、あそこにソ連が軍事基地を設けるような状態にまで行っておる。そしてインドシナ全体の安定ということを考えていくときに、これはなかなかむずかしい問題になってくるわけですね。私もそれなりにこの地域に対して関心を持っておるわけでございまして、これはまた高沢委員と大いにベトナム問題は語りたいと思います。  中米地域の問題につきましては、日本から見る場合、そういう紛争、混乱を起こすもとは、やはり経済的な不安定ではないか、社会的な安定感がないのではないか。そういうことについては、日本としては経済協力の基本の方針にのっとってやれることはやってみたい。しかし、現実にいろいろ紛争の起きておるものについては、少し離れておる日本からその原因等を探求すること、真相をつかむことはなかなかむずかしいかと思いますから、この辺のことは慎重にやらなければならないと思っております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 もう私は質問の時間が終わりました。後は土井委員に交代いたしますので、ここで私、レーガン政権の世界戦略の四つの柱に一応それぞれ触れてきたわけですが、その結びとも言うべき私なりの見解を申し上げて、大臣にもひとつそれをしっかり腹へおさめていただくことをお願いしながら、私は終わりたいと思います。  要するに、政府の日米関係は、日米の友好を基本にし、そして日米安保体制を堅持していくという基本があるわけであります。これは、たとえ話で言えば、アメリカと日本が二人三脚でやっていこうということだと思うのであります。ただ、その二人三脚を組もうという相手が、いま言ったような大変な世界戦略を持っている相手であって、その世界戦略から、いつ、何をするかわからぬ相手だということを、特に日本としてはしっかり考えるべきだ、こう思うのであります。そういたしますと、最近の動向を見ると、たとえばアメリカとヨーロッパ諸国を見てもこの間にもうすでに相当大きな戦略上のギャップが生まれております。これは経済の問題だけではありません。核兵器のそういう軍事の関係においてもアメリカとヨーロッパ諸国には非常に大きなギャップが生まれておる。アメリカの国内でも大きなギャップが生まれております。すでにアメリカの国内でメーン州とか多くの州単位、都市単位で核軍縮の決議をやろうという運動が怒濤のようにアメリカの国内で広がっておる。それを背景に例のケネディ議員とかそういうふうな人たちの、レーガン核戦略に対する野党の立場からの大きな批判の動きも出てきている。アメリカでもすでにそういうレーガン戦略の大きな分裂がいま生まれておるというこの状態の中で、何で日本がこのレーガン戦略に二人三脚で足をかたく結んでおつき合いをしなければいかぬのかということをここでしっかりと考えてもらいたいと私は思うのであります。したがいまして、この二人三脚の足を縛っておるこのひもは、直ちにそのひもを解いて捨ててしまえ、私はこう言いたいのですが、政府・与党はそのひもを結んでいくというのなら、なるべくひもを緩めておいて、何かのときにはさっと足を抜けるようにしておかなければいかぬ、私はこう思います。そして、そういう立場で、日本の世界外交に対応すべき立場はやはり平和憲法というものを基本にして、そして核軍縮といういまの最大の課題を真っ向から掲げて、そしていろいろな経済交流関係ではまさに全方位外交の立場に立って、そして日本が国際的に貢献するものは軍事ではなくて経済だ、その経済も発展途上国の文化水準や生活水準の向上という方向へ全力を尽くす、こういうことをもって日本の外交路線をしっかりと確立をしてもらいたい。今度のレーガン政権に対してもそのことをしっかりと日本の立場としてひとつ鮮明にしてきていただきたいということを、最後に私の意見と要望として申し上げて終わります。後は土井委員に交代をいたします。

中山正暉自由民主党

○中山委員長 土井たか子君。

土井たか子日本社会党

○土井委員 いよいよ外務大臣はあすアメリカに出発をされるということなのでありますが、私は先ほど来の質問、御答弁を承っておりましてもどうもよくわからない。大臣、一体何を訪米目的としていらっしゃるわけでありますか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 大変大づかみに御質問で、どうお答えしていいか恐縮に思うのでありますが、現在、新聞紙上等あるいはテレビ等を見ての日本国民の感じは、日米間で経済がうまくいっておらない、日本の市場の開放が十分でない、だから日米間で百八十億ドルからの大きな不均衡である、これがもっと広がるのではないか、だからアメリカがいろいろ文句を言っておるのじゃないか、これが一般的だと思うのです。その一般的なものを頭に置きますならば、訪米、何で行くんだ、そういう問題について日本側の意見も言い、アメリカ側の意見も聞き、このような事態をどうやって速やかに解消するか、これも訪米の一つの目的だと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 いま外務大臣のおっしゃったことは必ずしも国民感情を反映している御発言とは思えません。アメリカの方の公聴会を初めいま議会の中でもそうでありますし、国務省の中でもそうであります。理不尽な発言が続いている、けしからぬという気持ちはわれわれの間にもありますし、国民からしても大いにそういう気持ちはあるだろうと思うのです。そういう中でアメリカにいらっしゃって、いまおっしゃったとおりで、アメリカ側からのかなり深刻なと申しますか、手痛いと申しますか、そういう要求が出てくることは言うまでもない話だと思いますが、何か外務大臣とされては、いまの御発言を承っておりましてももう一つはっきりしないんですが、それに対して対応していくべき何物かを持っていらっしゃるんですか、どういうことなんですか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 何か対応をする、こういうことは、それはいろいろ意見を言うのでありますから、それが、何か持っていくのかとおっしゃれば持っていくものになるわけですね。  それじゃどういうことを言うのかというと、交渉事で相手がどう出るかわからないうちにいろいろ手のうちを見せるのもこれはちょっとどういうものかと思うのでありますが、しかしせっかくのお尋ねでございますから一つの例を挙げて申し上げてみると、いまではどうも日米間の不均衡というのが貿易だけの面からきてしまっておるのですね。しかし、私どもの方から見れば一体貿易外収支はどうか。日本の過去の状況、なるほど貿易は大いにやったけれども経常収支は一九八〇年までは赤字、八一年も赤字だと思いますが、赤字になっておるのですから、この全体の勘定、もう一つ総合収支ということを言ってもいいのですけれども、全体の勘定としては日本は決してインバランスでどうだこうだというものではないと思うのです。だから、仮に貿易上の問題が起きていろいろ言われれば、ちょっと待ってください、この辺はどうかというようなことを言いながら日本のためにどうやるか、こういうことだと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 どうもそれは手のうちを見せるから言いづらいとおっしゃりながらわかったようなわからぬような御答弁が続いたわけですが、それじゃ具体的に尋ねてみましょう。  大臣は農林水産大臣の御経験もございますから、こういう問題については見識がおありになると私は思うわけでありますが、具体的に牛肉の自由化をアメリカから言われたらどうお答えになりますか。オレンジの自由化をアメリカから言われたらどうお答えになります。いかがでありますか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 先般江崎ミッションがアメリカに行ったのを御承知であろうと思うのであります。その際、農林関係の皆さん方も行かれまして、そして具体的に数字を挙げていろいろ御所見を言われております。きょう、大変残念ですが、農林大臣をしてから大分時もたっておるし、その当時の数字でお答えをしても余り価値がないと思うのでありますが、先般の江崎ミッションが言われたことは、牛肉を取り上げるならばこれはアメリカとしては日本に高級な肉を売りたい、こういうことだと思うのですね。しかし、肉は、日本はアメリカや豪州やあるいはアルゼンチンなどから買っておるのでありますから、アメリカだけとの間でどうこうということでは済まされないと思うのですね。アメリカをふやしてほかを削るということになれば、削られる方は文句を言うわけであります。現在この牛肉の問題は御承知の東京ラウンドで話ができておって、そして年度ごとに少しずつふやしていくという約束になっておりますね。その約束については八二年の後半にひとつ次の牛肉の量、いまの約束の取り決めの後のことについては相談しようというような、これは国際的に話し合っておるのですから、それをこの間うちの貿易小委員会でそれでは十月には話し合いましょうと言っておるのですから、そういう話し合いを通じて先方の意見も聞き、あるいは他の国のことも考え、また日本の実情も考えながらそこで話を進めていく。だから、表に出ておるさあ牛肉を買えの牛肉の自由化をしろのということでなく、大体そういうふうに話のコースに乗っておりますからこれはこれでいける、話し合いをして問題を解決していけると私は思うのです。  それから柑橘類のことについては、これも江崎ミッションが行ったときに、君の方で買え買えと言うが、では日本のミカンはどうしてくれるのだ、日本のミカンを各州でずいぶん締め出しているじゃないか、そういう話もしてきたようでございます。それから、私の当時からアメリカがオレンジを買えと言うので、それではミカンだけではジュースはちょっと味が落ちるからオレンジとまぜて、ジュース工場をつくって少しでもあなた方の言うように買ってあげましょうということで、これが協力ですね、協力してきておるのに今度はもっと買ってくれ、こういうことでございますが、現実にもっと入れられ得るものかどうか、またアメリカが自由化だあるいは規制を緩和と言っても、よその国だって日本に売りたいのですし、そうしたら一概にアメリカのものだけが入るものでもありませんから、これも十分話し合いの余地のあるもの、こう思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 日本側としては残存輸入制限品目の撤廃問題の中で、いま申し上げたのは牛肉とオレンジなのですが、それぞれを自由化に対してこたえるということはどうも無理であるというふうな状況の説明をなさりながら話し合いの余地があるとおっしゃっている。私はそれ自身が大変問題じゃないかと思うのですね。だめなことはだめとはっきり言うことが大切なのですよ。いたずらに話し合いを続けましょうと言うのは相手に対して気を持たせることになります。このことがいままでいろいろ混乱のもとになってきたのではないか。現にこの問題については農林水産大臣の方から、農産物については別問題であるというふうな話が出ているじゃないですか。オレンジや牛肉などの撤廃問題、残存輸入制限品目の撤廃問題というのは、日本にとっては農業の基幹をなす作物に限られたものばかりが中に入っているのだから自由化は困難で、自由化には応じないということをおっしゃっているやさきの問題でありますから、こういうことからすると、大臣がいらっしゃって気を持たせるような話し合いをなさるということ自身が今後の成り行きに対して要らぬ摩擦をさらに広げることになるのではないか。これはアメリカに対してもいかぬですよ。そういうことが考えられると思いますが、きっぱりだめなことはだめとおっしゃる姿勢を私は望みたいと思いますが、大臣どうですか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 お話は、土井委員が肉とオレンジをお取り上げになったから肉とオレンジの経緯について、これは私の言っているとおりなのですよ、十月から話し合いをしましょう、それが従来からずっと取り決めたものをどのようにしていくかということなので、これはこれとして、おっしゃっておる残存制限品目についてどうするか、こういうことでございます。これは、日本の農業の実情からいたしますと自由化することはできない、そのとおりに言うつもりです。

土井たか子日本社会党

○土井委員 これは具体的なことをさらに聞く必要があろうかと思いますが、少し先に進みます。  ホールドリッジ国務次官補が三月一日のアメリカ下院の日本関係の公聴会で証言をしておられまして、その中身にも出てまいりますが、ちょっとお伺いしたいのです。日本は千海里のシーレーンに対して防衛するというアメリカとの間の公約を持っているのですか、これはアメリカとの間の公約でございますか、どうなのですか。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾政府委員 いまお尋ねの件は土井委員もよく御承知のとおり、昨年鈴木総理が訪米されまして、その後でナショナル・プレス・クラブで記者の質問に応じて、日本としては憲法の範囲内で、周辺数百海里、航路帯にする場合は約千海里を防衛の範囲として努力していくということでございまして、公約ではございません。

土井たか子日本社会党

○土井委員 公約ではないと言うけれども、この証言の中でも、千海里のシーレーンの防衛には主要な責任を負うべしということをはっきり言い切っている。われわれもこの文書を外務省から手渡されておりますが、この問題などについても、約束でない以上はできないということを日本としてははっきりさせるべきだと思うのですよ。これは現実できないのでしょう。いま公約していないとおっしゃるのだから、責任をおっかぶせられて、できていないじゃないか、責任を果たしていないじゃないかと向こうからせっつかれる問題ではない。こういうことも態度をはっきりしていただかなければならない問題だと思います、一つ一つがアメリカにいらしたときの交渉内容に絡んでいくのですから。この点、外務大臣いかがでございますか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 防衛の問題については日本としては基本的な立場がございまして、これはアメリカに繰り返し明白に申し上げておるところでございます。それは憲法上の制約がある、あるいは日本の基本方針、すなわち防衛大綱にのっとって考えていくのである、そしてその取り進め方はあくまでも日本が自主的に判断をしていくものである。したがいまして、日本周辺数百海里あるいは航路帯を設けるならば千海里をどうするか、これらのことについては日本が自主的に判断をして日本の船舶の安全を期する、こういうことでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 いまの御答弁を承っておりましても何か玉虫色みたいな発言でありまして、きっぱりしたところがもう一つうかがい切れないのですが、アメリカに参りまして、あれを言えば気に入るだろう、これを言ったらちょっと気持ちをやわらげてもらえるのではないか、こういう配慮がいろいろ目立ち過ぎるようにわれわれには思われてなりません。  そこで、新東京ラウンドに対してこれを推進したいという表明をすでに大臣自身がテレビの画面を通じて国民に向かっておっしゃったわけでありますが、これを今回アメリカに行かれる際に持っていらっしゃるのですか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 テレビではアメリカのみやげに言ったというようなことにはなってないと思うのですね。ただ野党の方からも御質問がございましたので、自由民主党でも幹事長、政調会長も言っておることで、これはよく検討したいということを申し上げておる。それでこれはどういうことかと申しますと、ガットの場のような多国間協議でこれをやるべきではないかと思うのですね。最近サービスについても市場開放というようなことが言われておりまして、いずれこの十一月だと思うのですが、ガット閣僚会議がございますから、ガット閣僚会議がこれを取り上げるかどうかは別として、それまでに日本としてはそういうようなことも検討をしておく必要がある、そういうことで申し上げておることでございます。今度アメリカへ行ってこの問題が取り上げられるということは、これはございません。

土井たか子日本社会党

○土井委員 アメリカへ持っていって取り上げるということはございませんと言われるのは、実は取り上げたいと内々思っていらしたことが鈴木総理が大変消極的で、これをアメリカに持っていくことに対してはどうも時宜を得ていないし、中身としても問題があるということでお取り下げになったというふうに理解してよろしゅうございますか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 総理の言われておることは、やはり私が申し上げておるように、これはガットの場の多国間の協議の議題あるいは議題になる前の一つの懸案事項ということだと思うのです。決して私がアメリカに東京ラウンドを言うんだとかいうようなことからこれは始まっておるのではないので、サービスの関係というものは現在ただ単に二国間で話をするということよりも多数国間で話し合うべきものではないかと思うのです。これらの市場開放問題ということは従来具体的に取り上げられておらないのでありますから、銀行、証券等の面についても、あるいは弁護士業についても、いろいろなそういうサービスの点についても市場開放の必要があるのじゃないか。これは各国がそれぞれ利害関係のある問題でございますから、したがってガットの場などでよく協議をする、そのためには準備をしておく、こういうことであるわけです。

土井たか子日本社会党

○土井委員 先ほども高沢議員の方からの御質問の中にあったのですが、中米・カリブ海に対しての、アメリカの同地域に対する援助問題、これについてアメリカ側から日本側に対して協力方を要請するということが公式に話としてございましたか。

枝村純郎外務省中南米局長

○枝村政府委員 中米・カリブ開発構想の経緯でございますけれども、これは中米・カリブの現在の政治的、社会的な不安、そういうものの根本原因について、やはり経済開発のおくれがある、あるいは社会的な不公正がある、こういった問題に……

土井たか子日本社会党

○土井委員 そんなことを聞いておりません。アメリカ側から日本に対して正式の協力要請がございましたかと承っているのです。

枝村純郎外務省中南米局長

○枝村政府委員 では簡単に申し上げますが、そういうことでございまして、アメリカがカナダ、メキシコ、ベネズエラとともに昨年の七月十一日ナッソーで集まってこういう構想を打ち出したわけでございまして、日本に対して正式の協力の要請という形ではございませんけれども、七月の末にはライアンというその担当の大使が参りまして私とも会っておりまして、こういう動きについて理解を求めたいということはございました。協力の要請ということで具体的に何をしてくれということではございませんが、説明は受けており、かつ説明しておる趣旨というのは、日本もこういう国際的な協力に理解を示して参加してくれないか、こういうふうに私は理解いたしております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 正式の要請がない問題について、これに対してわが方は協力する用意があるなんというふうなことを、まさか外務大臣が持ってアメリカに行ってお話の中にはお入れにならないだろうと思いますが、いかがでございますか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 先ほどもるる申し上げたように、発展途上国については日本としての一つの考え方、方針を持っておるわけです。これは日本としては世界の平和と安定あるいはもう少し詳しく言えばそれぞれの国の経済、社会の安定に寄与をしよう、そのためには経済協力をする、今度は五年倍増でやりますよ、こう言っておるわけでございまして、この中米・カリブ海諸国につきましても、そういう角度から安定に寄与できるならばひとつ協力をしたい。現に従来これらの地域にも若干の実績を持っておると思うのであります。

土井たか子日本社会党

○土井委員 若干の実績を持っていると最後に言われている問題と、今回は私は違うと思っているのです。もうすでに報道されている観点から申し上げましても、二十四日のレーガン大統領の演説の中身には、同地域からのソ連勢力の排除のために今回の経済援助の意味があることは明確に打ち出されておりますし、軍事介入の可能性さえも否定していないという中身であります。これは幾ら外務大臣おっしゃっても、いまの時代にワシントンがこの地域の政治、経済を自分の好みどおりに動かそうと考えて対策を講ずるということになってまいりますと、ソビエトがアフガンに対してどうしたか、ポーランドに対してどうしたかということに対して種々批判する資格を私は持たない、持つことを失うというふうに言わざるを得ないと思うのです。現に中米地域からソ連勢力を排除することにアメリカと同じような焦りと考え方を持っている国というのは、一部軍事政権を樹立している国を除けば、ほとんどないのではありませんか。こういうことから考えていくと、軍事援助から軍事介入にまで進むということも大いに考えられるこの問題に対しては、日本としては慎重を要する。紛争周辺国に対する援助ではなくて、紛争のおそれのある援助となる、紛争を助長する援助となるという可能性が十二分にあると思うのです。  外務大臣よく御承知だと思いますが、申し上げておきたいのは、当委員会で決議をいたしました対外経済協力に関する件の決議内容でございます。その中でははっきり「軍事的用途に充てられる或いは国際紛争を助長する如き対外経済協力は行わないよう万全の措置を講ずること。」これは全会一致で対外経済協力に関する件として決議をいたしております。大臣、こういうことに対して矛盾するような、違反するような援助に対しての協力は一切なさいませんね。もちろんのことでありますが、この点ははっきりさせておいていただきたいと思います。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 中米・カリブ地域の現状というもの、これは先ほど包括的に申し上げましたが、やはりそれらの地域に内在する経済、社会的困難にあるということに着目しなければならないと思うのです。そこで日本としては、先ほど多少の実績を持っておるということを申し上げましたが、これらの地域への援助については世銀のカリブ援助国会議にも参画しておるわけでございまして、そういう立場から関心を持っており、また具体的な協力ぶりにつきましては今後検討していく、そういう方針でおるわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 私の質問申し上げましたことに対しての御答弁にそれはなっていないと思うのです。従来の実績はあることについては私も存じております。ただ、今回の問題はそれとは別でしょう。米州開発銀行の中に中米援助国会議を新設しようということに従って考えていこうという構想でありますから、それは全然いままでの実績が云々とおっしゃることは当たらない。特に申し上げたいのは、日本もそうであります。緊張要因を少しでも減らしていかなければならないということがお互いの経済援助の中身として考えられなければならない立場からすると、中米におけるモンロードクトリン対ソ版というものがここでつくられるのじゃないか。このことに対してヨーロッパ勢が賛成するはずがないですよ。日本としてはそういうことに対してひとつしっかりした姿勢で臨まなければならぬ問題だと思いますが、先ほど来の外務大臣の御答弁を承っておりますと心もとない。この点はしっかりはっきりさせていただきたいと思います。アメリカに行ってぐちゃぐちゃそういうことをお話しになるのであったら、私たちが全会一致で決議いたしました外務委員会のこの決議にも反するような向きが必ず出てくる、このことを申し上げさせていただいて、外務大臣の再度の御答弁をお願いします。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 土井委員の大変御忠言でございまして、よく私、頭に置いておきますが、ただ、こんなことはよけいなことで相済まないのですけれども、中米といってもたくさん国がありますね。だから、たとえばパナマはどうかということになると、これはやはりいろいろ考えなきゃならないこともあるんじゃないかと思うのです。いずれにいたしましても、この地域への援助について、世銀のカリブ援助国会議に参加して、そしていろいろ協議で妥当なものを、そういうようなものを検討し、またどうやるかというようなことは、私はそういけないことじゃないと思うのです。

土井たか子日本社会党

○土井委員 ただ、バイラテラルな援助よりも多国間援助の方を、先ほどもアメリカに対して推進することを望みたいというような御発言もございましたけれども、アメリカが主導して、アメリカの好みによってやる援助に対して他国が寄って協力しようということ自身が大問題なんですよ。バイラテラルよりも、もう一つ問題が違った悪い方向に増長されるということもあり得るということをひとつ心して考えておいていただきたいと思います。そういう意味を含めて、当外務委員会で決議した中身に違反しないようなやり方、これはもう当然のことでありますけれども、ひとつ守っていただけますね。これはいかがですか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 先ほど経済協力に対しての基本的な考え方を申し上げました。それは当然、土井委員のおっしゃる国会の決議を十分に念頭に置いておることでございまして、わが国の経済協力はあくまでも民生安定、経済、社会開発のためにやる、これが原則でございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 さて、経済借款の問題で、もう一つ私がお尋ねしたいのは、日韓経済借款の問題なんです。  これは当委員会で昨年のあの外相会議、閣僚会議、その都度前外務大臣の園田外務大臣に対しまして質問をいたしまして、そして安保絡みの経済援助はしようといったってできない、私個人の考えじゃない、日本としてできないのであるということを明確に幾たびもお答えをいただいているわけでありますが、ただいまの経済援助に対しての外務省の取り組み自身が民生安定のための経済協力であるということを外務大臣、いつ、だれにお確かめになっているのですか、お尋ねいたします。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 ちょっといま御質問の趣旨がとりにくかったのですが、韓国に対する経済協力については、私が就任後しばしば申し上げておりますが、昨年の下半期ごろから前年の韓国の経済成長などの数字がずっと出まして、非常に韓国が困っておる。大きくマイナスの成長率、経済的に不況である。これは国際的にもそうであるのでありますが、韓国もまたそういう状況にある、こういうことから、私の就任後に、民生の安定を欠くようなそういう状況というものがあらわれており、その間に経済協力の話というものが再び進められてきておった、こういうことから、よく韓国は中進国だからどうだということも言われてまいりましたが、しかしこの隣国である歴史的に特殊な経緯のあるこの国が非常に困っておるというのであれば、これはやはり考えなければならないんじゃないか。そういうことから、今度の経済援助というもの、経済協力というものが話が行われておるのでございますから、過去においていろいろ言われたこととは、これは継続的な面もあるかもしれませんが、少なくとも私の就任後に扱っておるその基本になる考えというものは、おのずから違っておるのであります。

土井たか子日本社会党

○土井委員 それはいつ違っているのですか。これは最近ですね。韓国側からも代表の方が来られて、いろいろ討議の中でも、相変わらず安保絡みの経済援助が必要であるという発言をなすっていますよ。いつ違ってきておるんです。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 不勉強で、残念ながら最近、前に取り上げられたときのような安保絡みがどうだということは、私は遺憾ながら承っておらないのです。

土井たか子日本社会党

○土井委員 前に取り上げられたようなことを承っていないとおっしゃるのは、その辺は消極的な発言ですよ。安保絡みでないということを積極的にあかしとしてはっきりさせなければいけないのじゃないですか。そうでない以上は、対韓援助というのは認められないはずであります。これは口をきわめて園田外務大臣はおっしゃっている。「韓国の防衛または軍事費のために経済協力をすることは、どのような事態になりましても不可能で、できないことでございます。これは粘り強く御理解を願う以外にございません。」こうなっているのです。御理解願えたんですか。そしてそのことがはっきり客観的にわれわれが知り得るような証拠なるものが出てきたんでありますかどうなんですか。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内政府委員 韓国に対しまして、安保絡みの協力ができないということは、園田大臣当時からもはっきりいたしておるわけでございます。韓国側はその点十分理解いたしておりまして、先般二月中旬に実務者の協議を行いましたときには、五カ年計画に即した協力要請を行ってきておりまして、この五カ年計画の部分で日本にかかわる諸プロジェクトはすべて民生安定ないしは経済開発のためのものであることははっきりいたしております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 いまの答弁ではよくわかりませんですね。これは私たちにはっきりわかるものを国会に出してください。安保絡みじゃない、万事民生安定のための援助というものを韓国側はこのように具体的に持ってきたというものを出してくださいよ。日本側もこれで満足し得たんだというものを出してください。そうでないと、国民に向かってこれ説明のしようがない。まことに疑惑をまだ持っていますよ。  木内さん、あなたにちょっと私は申し上げたい。あなた自身は二月八日の予算委員会で「昨年九月に行われました定期閣僚会議の際に行われました園田大臣と盧信永長官の会談におきましても、安保絡みではないということは明確に先方は言っております。」こう答えられておる。あなた、うそをつきましたね。日韓閣僚会議後の当外務委員会での審議の中でどういうことが問題になったかといったら、このことに対して韓国側と日本側とが歩み寄りができなかった。意見の相違がやはり基本的にあったから、共同声明も出すことができなかったということを受けて、そのことを私はずっと質問したわけです。園田外務大臣も、それは「いかなる場合でありましょうとも軍事、防衛の肩がわりはできない。これはできないのです、」ということが今回も大きな問題であったということを答えられております。そしてあなた自身が、「先般の日韓定期閣僚会議で、経済協力問題については御承知のとおり歩み寄りが図れなかったわけでございます。」ということをそれに従って述べておられる。にもかかわらず、その閣僚会議で実はこういうことがあったなんということを予算委員会の席でお答えになるというのは当委員会での審議をばかにしたありさまじゃないですか。よくこういうふうなことが平気な顔をして言えたものだ。あなたは一体どっちが本当なんですか。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内政府委員 園田大臣と盧信永外務部長官との会談には私も立ち会っておりまして、その会談の過程におきまして、盧長官から、日本側の立場もわかる、安保絡みということではないということは言われておるわけでございます。  ただ、御承知のとおり、日韓閣僚会議におきまして通例、コミュニケが出るわけでございますが、その発出に至らずに共同新聞発表ということで事態をおさめた経緯の最大の原因は金額の問題でございます。この金額につきましては大変な懸隔があるわけでございまして、この点に双方納得のいくような状況になかったということから共同コミュニケ発出に至らなかったわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 そういうふうに当時の外務委員会の答弁はなっておりません。外務大臣答弁は、日韓閣僚会議以後相談がまだ何にもないという状況なんだ、だから相談についてはできない状況なんだということを言われておりますよ。しかも金額の問題じゃないのです。話し合いの中身についての認識の相違だということをおっしゃっている。「日本の経済協力は、いかなる場合でありましょうとも軍事、防衛の肩がわりはできない。これはできないのです、私がやろうと思っても。」これはできない、それが問題だとちゃんと言っておられますよ。違うのじゃありませんか、あなたの答弁は。よしんばそういう事実があなたが臨席されてあったとしましても、当時の外務委員会に対する答えと大分ニュアンスが違ってきている、答え方の様子が違ってきている。そこが私は問題だと思っているのですよ。おかしいと思っているのです。いまのままでどんどん進められることに対しては、国民は疑惑を増大することがあっても、了承することは私は恐らくないだろうと思いますよ。  そこで、外務大臣にちょっとお尋ねをいたしますが、商品借款についてこれをお認めになるのですか、どうなんですか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 先方の希望としては、商品借款二十五億ドルを要請してきておることは事実でございます。これは慎重に検討中であります。

土井たか子日本社会党

○土井委員 慎重に検討中というのはどっちの方向でですか。やるという方向で検討なすっていらっしゃるのですか。これはどうもやることはできないという方向で検討を重ねていらっしゃるのですか、どっちの方向なんですか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 これはやるともやらぬとも、いずれも含んだ検討をしておることでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 そういう玉虫色みたいな物の言い方はいつまでも通用いたしません。これは外務大臣、伝え聞くところによると、きょう前田駐韓大使は、中間結果を韓国側に伝達をなさるという中身が報じられております。その中で商品借款に対しては日本としては応じられないということを韓国側に伝達をしたいということも報じられておりますが、この報道はうそなんですか、どうなんです。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内政府委員 その報道につきましては、大体そういう方向で考えております。本日、韓国側に伝えるかどうかは未定でございますが、いずれにしましても、先般の実務者協議の結果、私どもの方で関係省庁いろいろ協議をいたしまして、大まかな感じというもの、さらにはこれにつきましていろいろお問い合わせもしたい条項も多々あるわけでございまして、その辺の相談をしなければならないという状況に立ち至っておるのが土井委員御指摘の報道かと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 外務大臣、五月の連休に訪韓をなさるというふうな日程は事実上決められているのですか、どうなんですか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 いまの日韓の交渉の状況、御承知のような実務者会議を一月と二月にやって、その後外交ルートでいろいろやっておるわけでございます。そこに私の訪米ということになり、その後、国会の御審議があるわけでございます。そうすると、ゴールデンウィークは外務大臣はどうするんだというようなことから、そのころがどうも外相会議かということがニュースになっておる背景かと思うのでありますが、現在まだ外相会議を開くような、そういうふうに交渉が固まってきておるとは私は見ておりません。いずれにしても、訪米後にその後の経緯をよく聞きまして、私が判断すべきことがあれば判断したいと思っております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 まだいまのところ決まっていないという御返答でありますけれども、漏れ聞くところによると、政治判断でこの問題に対して大臣自身が出かけていって決着をつけようとなさる姿勢というのがちらちら見えてくるわけでありますが、先日の二月十六日の記者会見の席でも、総枠が決まらなければ、五カ年計画に対する協力の結論にならないというふうなことをおっしゃりながら、事務レベルで積み上げていったものがすなわちイコール結論というわけにはいかない、国会とか日本の官僚の関係からいえば積み上げでなければ処理できないと先方には言ってあると言って、あと残るところの政治的な判断というものでこの問題に対しての決着をつけようというふうな趣旨の御発言が見えているわけでありますが、外務大臣、すでに園田前外務大臣は、この日韓経済協力の問題に対して、「日本の経済協力というのは、御承知のとおりに総枠で決めるべきものではありません。」こういうことをはっきり断言されているわけであります。日本は、私が勝手にやるわけじゃなくて国民の税金を使わしてもらうわけだから、年度ごとに閣議の決定と国会の承認が要る。それはしかも積み上げでなければならないということを明確に言われているのです。それからすると、大臣の御発言は少し枠をはみ出て、園田外務大臣とは違った政治的な配慮に基づく経済援助というものをお考えになっているような向きが見えるわけでありますが、これは園田外務大臣のおっしゃったとおりのことをきちっと踏襲して外務大臣としてはなさいますか、どうですか。いかがです。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 いま交渉しておるのは、大体商品借款のほかは十一のプロジェクトをどうするか、こういうことでございます。それで、それについては採算がとれるものであれば輸銀をお使いになったらどうですかというようなこともございます。しかし、いずれにしても提出されたプロジェクトが合計でどれぐらいになる、これはおのずから数字が出てきて、それが枠といえば枠なんですね。お尋ねは、何かポケットからぽんと出すという——そういうことをやらない、それは当然なことでして、やはりちゃんとした、こういうことで所要のものが要りますということでなければ、それはポケットから金を出すわけにいかないと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 それは大臣が独断でお考えになった御答弁をいまなさっておるので、私はそんなことをお尋ねしておるわけでは毛頭ないのです。当外務委員会でも再三再四、この問題に対しては日韓間の事務レベルではっきり詰められている民間ベースでという問題がございますから、この基本姿勢というものをゆがめちゃならないということが確認されて今日に来ているのです。したがいまして、そういうことを受けて園田外務大臣の答弁というものはあったということをひとつ御理解の上、いまの御発言というのは少し常軌を逸した御発言として、私は承ることができないわけでありますから、もう一度その点についての確認をさせていただきたいと同時に、あと一問だけ、もう時間が経過しておりますから、これは目下大事な問題でありますので、御所信を承って終わりにします。  六年前に朝鮮民主主義人民共和国と日本の間で御案内のとおり民間漁業協定を結ぶことに相なりましたが、これは片務協定でありまして、金日成主席が日本の零細漁民に対してよかれということが内容になってつくられた合意書でございましたが、六月三十日に期限切れとなります。今回はむしろ日本側から頼むべき中身なんですね。ところが、相手方が代表団を日本に送り込むに際して、その団長が気に入らないからといって日本側は団長に対しての選別をして入国を見合わせるというふうな形をいま現にとっているわけでありますから、この問題は恐らく期限切れになって、そしてさらに日本の零細漁民からすると、そうして国民からすると成り行きが非常に憂慮される方向に動かないとは限らない。大臣としてはこれに対処する御所信をどのようにお持ちになっていらっしゃいますか。

木内昭胤外務省アジア局長

○木内政府委員 本件につきましては、関係の国会議員の方々とも慎重に相談いたしておる最中でございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 大臣いかがです。事務レベルの慎重に検討なんというのは耳にたこができておりますが、大臣、これこそ政治的な決断が大切なのですよ、いかがです。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 土井委員はそうおっしゃいますが、これはなかなか経緯があって、そしてその経緯を聞くと、それは困ったな、こういうことになるのですね。ですから、いま木内局長の言われるように慎重に検討中、こういうことなんです。

土井たか子日本社会党

○土井委員 これで終わりますが、最後に委員長にもお願いを申し上げます。  先ほどの韓国側から民生安定のための経済協力方を日本に要請をしているという中身について、はっきりとひとつ国民が納得できるような客観的な証拠等を委員会に対して提示していただきたいと思います。よろしゅうございますか、これ。そういうことの申し合わせがこういうかっこうでなされたとか、お互いが取り交わした文書があるとかいろいろあるだろうと思いますが、ぜひこのことは委員長、お願いしたいと思います。

中山正暉自由民主党

○中山委員長 また、理事会でひとつ検討させていただきたいと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 そんな理事会で検討するなんて必要ないですよ。

中山正暉自由民主党

○中山委員長 突然の御提案でございますので、理事会で検討さしていただきます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 外務省としては出せますね。いかがですか。

中山正暉自由民主党

○中山委員長 これは理事会でやりますから。  時間が相当超過しておりますので質問の順位をひとつ……。

土井たか子日本社会党

○土井委員 終わります。

中山正暉自由民主党

○中山委員長 玉城栄一君。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 外務大臣、あすからの御訪米、大変御苦労さまでございます。  最初に基本的な点について一点お伺いをしておきたいわけでございますが、最近のわが国の外交姿勢を見ますと、先ほどからも御質問があったわけでございますけれども、常に対米配慮というものが優先をされまして、何かしら米側の圧力に屈してのいわゆる対米追随外交ではないか、このように国民の側から見ると映るわけでございます。たとえば例の防衛費突出の問題にしましても、これはやはりアメリカの圧力に屈したのではないか。あるいはまた、最近問題になっております、わが国は世界で唯一の被爆国でございますけれども、国連における核不使用決議に反対をされたり、あるいはまた、これも昨年だったでしょうか、例のゴラン高原併合問題についても櫻内大臣御自身が、これは国際法あるいは安保理決議違反であり遺憾であるともおっしゃっておられながら、その後の総会決議に反対というような、何かちぐはぐな態度をとっておられることに対して、国民の側から見ると非常にわかりにくいし、一体わが国外交はどうなっているんだ、このように先ほどからの御指摘もあったわけでございますけれども、そのように見えるわけでございますが、私、いまこそわが国は毅然として言うべきことは言い、主張すべきことは主張し、説得すべきことは説得する。いわゆるできることとできないことを明確にしていくという強い外交姿勢というものが必要ではないか、私、このように感ずるわけでございます。特に最近日米関係は非常に深刻な事態にどんどん流れていっているわけでございますけれども、このままの事態でいったならば本当に憂慮すべき事態が来るのではないか、このように思うわけでございます。「偽り親しむは彼があだなり」という言葉がございますけれども、あすからいよいよ大臣、御訪米されるわけでございますから、ひとつ御所信をお伺いいたしておきたいと思います。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 御注意をいただいて大変ありがとうございました。私は、一年ぶりに日本の外務大臣として訪米するのでありますから、その間の諸情勢を踏まえながらあくまでも日本の立場をはっきりさせて物を言いたいと思っております。  最近よくアメリカ側の圧力が云々と言われておりますが、それは米側が幾つかの問題について非常に関心を持ち、強い主張をされるということからそういう見方がされておると思うのでありますが、だからといって日本がはいはいと追従しておるわけでない、追従してないから摩擦が起きておる、こういうことだと思うのであります。私は摩擦の起きておることがいいとは申しません。しかし、日米が世界のGNPのもうすでに三五%ぐらいを占めておる。この日米の関係がうまくいく、いかないが世界経済全体にも影響するのではないか、あるいは東西の関係に影響するのではないか、そういうようなことも十分配慮しながら言うべきことは言ってまいりたいと思います。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 日米間の経済摩擦、通商摩擦あるいは貿易摩擦、大変難問を抱えての御訪米になるわけでございますが、端的にお伺いしまして、アメリカのわが国に対してドラスチックな、いわゆる劇的な措置をとれという要求、これはアメリカ自身も言っていることですが、非常に感情的な面もある、こういうことなんですね。大臣御自身は、行かれまして、あるいはヘイグ長官とかあるいは米国首脳に対して、このドラスチックな措置をとれという要求に対してどう受けとめ、どう言うか。そして米側に対するわが国の要求というものを、ドラスチックにあなた方自身が解決すべき点が多々あるのではないかということを外務大臣御自身がむしろおっしゃられてはいかがでしょうか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 ドラスチックという表現なのか、ドラマチックというような言葉も使っておるのですね。いずれにしてもこれは思い切った措置をということだと思います。日本は自由貿易体制を維持していこう、そのために市場開放に努力する。アメリカは自分の方の非常に競争力のあるものがなかなか参入できないことは何か日本の体制に問題があるんだというようなことを言っておるのですけれども、しかしこれは日米両国が物事を話し合う、こういう場合に、思い切った措置を日本がとることも結構でありますが、これは両国の話し合いということになれば、むしろアメリカもどうぞドラマチックな措置をおとりください、私はこれは言いたいと思うのですね。アメリカとしても、大いにとり得る措置があると思うのです。貿易が不均衡だ、こういうのであれば、かねがね言われておるように、アラスカの石油はどうですか、西部炭はどうですか、こういうものをお考えくだされば半分は減るじゃないですか、こういうこともありますから、私はいろいろ言われておるが余り気にしておらないのです。どっちにしてもこれは向こうに乗り込むのですから、向こうは大人数でこっちは一人、こういう場面ですけれども、十分日本の立場から物は言ってくるつもりです。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 御要望ですが、いま大臣おっしゃいました多数にお一人ということで、飛んで火に入る夏の虫というような——夏でもありませんけれども、それ以上に過熱ぎみなんですが、そういうことになったらえらいことになると思うので、先ほど申し上げましたとおり、どうか毅然としておっしゃる、主張する、あるいは説得すべきは説得するという強い態度で御訪米されていただきたい、その御要望をしておきたいわけであります。  次は、この問題も今回お行きになって話題になるのかどうかお伺いしておきたいわけでありますが、例の国連の国連海洋法会議ですね、第十一会期、去る八日からニューヨークで開かておるわけですが、これは予想されていたとおり、米側がその条約草案大幅修正、もうすでに修正案を提出しているわけですね。それに対して途上国七十七カ国グループは、それはもう討議できない、拒否という態度を示しているということでございますが、わが国としてどのように対応し、どういう努力をされているのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。

栗山尚一外務省条約局長

○栗山政府委員 お答え申し上げます。  わが国といたしましては、海洋国家でございますので当然のことでございますが、海の法秩序というものがきちんとできる、これは国際社会のすべての国、途上国、先進国であることを問わず国際社会のすべての国が受け入れられるような包括的な海洋法というものが新しくできる、これが何よりも日本の国益に即するところでありますし、国際社会のためにも重要である、こういう基本的な立場で従来から対処をしてまいってきておりますし、今回のニューヨークにおける会期におきましても、基本的にいまも私が申し上げましたような態度で臨むということにしております。  御質問がありましたアメリカの修正提案の問題でございますが、基本的に申し上げまして、懸案になっております深海底開発の関係の条項につきましては、従来からわが国といたしましても、まだ改善すべき点があるのじゃないかということで主張してまいりました経緯もございますので、基本的にはアメリカの修正提案を支持していくということを考えておりますが、他方におきまして、これは長年の交渉の経緯がございまして、すべて先進国側に都合のいいように直せるというものでもございませんので、そこら辺は交渉の限界と申しますか可能性と申しますか、そういうものも十分見きわめながら、先ほど申し上げました国際社会として全体が受け入れられるような条約をつくっていく、そのために全力を挙げていく、アメリカもそういう態度であくまでも努力をしてほしい、こういうのがわが国の態度でございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 この会議自体がいま重大な局面にあるわけですね。問題は、過去のいろいろな経緯がございますけれども、アメリカ側が大幅修正を出している。いまおっしゃいました支持をしながら、途上国に対してもいろいろ説得とか交渉をしていくということでございますが、そういうことでこの会議、見通しとしてどのように考えておられますか。

栗山尚一外務省条約局長

○栗山政府委員 現在のところは、アメリカが修正案を提示したところでございまして、先ほど先生もおっしゃいましたように、途上国の方はやはりこれに対しましてかなり強い反発をしておるというのが現状でございます。ただ、アメリカの方も、自分たちの修正要求に対してはあくまでも柔軟な姿勢で応ずる、別に一〇〇%要求を通さなければいかぬのだということは言っておらないわけでございますし、途上国側も、一応強い反発を示しましたけれども、他方におきまして交渉の扉は閉ざさないということも言っております。これから、わが国ももちろん参加していろいろ話し合いが行われるということでございまして、いまの段階では、これからどうなるかということにつきましてはっきりしたことを申し上げられる状況ではございません。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 大臣にお伺いしておきたいわけでございますが、いまの問題でございます。この海洋法会議、九年になんなんとしましてやっと最終段階、非常に重大な局面にあるわけです。問題は、米国がレーガン政権になりましてから、八項目の要求だとかあるいは六項目の要求だとか、あるいは四カ国協定だとか、あるいは今回の条約草案の大幅修正とか、そういうどちらかといいますとこの会議に大きなブレーキあるいは混乱ぎみを与えておるのは明らかに米国である、これははっきりしているわけです。いまの御答弁のように見通しがつかないということでございますが、これが決裂した場合、これは非常に重大な問題になると思うわけでございます。外務大臣とされまして、今回の御訪米に当たりまして、この点について米側に何か物を申されるのか、その辺いかがですか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 長い間協議をして大体煮詰ったところで、レーガン政権は新たな提案をしておる。そういうことで、局長の方から言われたように、どういう見通しになるかちょっといま見当がつきかねるのでありますが、ただアメリカの見直し政策絡みの深海底開発問題関係事項とか、条約の発効に備えての準備委員会の設立問題とか、先行投資保護問題とか、条約参加資格問題等について、現在審議が行われております。  そこで、わが国といたしましては、国際社会に広く受け入れられる包括的な海洋法条約がコンセンサスで採択されることが、わが国の長期的、総合的国益の見地から緊要であるとの立場をとっておるわけでございまして、今後ともこの会議が妥結されるようにせいぜい努力をしてまいりたい、こう思います。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 時間がございませんので次に移りたいのですが、ACMI、戦闘機の戦技訓練評価装置というのですか、このことについて具体的にどういうものか、ちょっと御説明いただきたいと思いますと同時に、このACMIについて米側からわが国にその設置要求がなされているやに聞いているわけですが、それはいつの時点で、どういうルートで、どこの方になされ、わが国としてどういうふうな対応をしておられるのか、その辺を御説明いただきたいのです。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾政府委員 まずACMI、航空機戦技訓練評価装置、これは内容としては、最近エレクトロニクスあるいはコンピューターというものが非常に発達してまいりまして、そういう最新の技術を使って飛行機の位置あるいは姿勢などを把握することによって、効率的にかつ安全に航空機搭乗員の戦技向上を図ることを目的としたものでございます。そしてその訓練は実弾は一切使用いたしません。一定の空域内において航空機対航空機の訓練を、昼間非常に高高度において実施することを可能とする訓練装置あるいは訓練というふうにわれわれは了承しております。  アメリカ側が日本側に言ってまいりました一番最初は昨年であろうと思いますが、外務省が承知したのは実は昨年の夏でございまして、この点については目下運輸省、施設庁、外務省との間で調整中でございます。調整中と申し上げるのは、玉城委員もよく御承知のとおり、沖縄の北方の空域というものは訓練空域も多いし、かつ民間航空機の交通路でございます。したがって、まずその民間航空機の航行の安全とこのACMIというものとの調整、それから島に若干ブイを浮かべるということでございまして、漁業等の関係もございます。したがって、いま三省庁で調整して何らかの結論を出すように努力している、こういうことでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 このACMIはやはりF15だと思うわけでございますが、これは米側にとって必要度の非常に高いものであるのかどうか、わが国としてこれは困るということで断わることができるかどうか、その辺はいかがですか。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾政府委員 これはいま御指摘のとおりF15の訓練上どうしても不可欠なものであるということで、アメリカ側は相当高いレベルで申し入れてきているものでございます。したがって、わが方としては、先ほど申し上げましたようないろいろな要素も考えながら、他方において安保条約の達成ということを考えながらこの問題について結論を出していかなければならないというふうに考えております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そこで、先ほどお答えもございましたとおり運輸省の方としましては、民間航空路の安全確保という立場から、米側の要求しているその空域というものは航空路の交差点でもあり、管制上重大な影響があるということで、一月の二十七日の日米合同委員会民間航空分科委員会でも認めがたいということを言っておるわけですね。運輸省として民間航空機の安全という立場でそういうことを米側に言っているということからしますと、外務省とされても当然その線に沿って米側との交渉をされると私たちは理解するのですが、いかがですか。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾政府委員 冒頭で私が申し上げましたとおり、外務省としてもやはり民間航空の安全性を重要な要素として考えていかなければならないということでございまして、目下運輸省、施設庁と外務省との間で鋭意協議中でございます。もう少し平たい言葉で言えば、主として運輸省と米側とが話をしているわけでございますが、われわれもいろいろな場で側面的にその話し合いに応じている、こういうことでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 この問題で要望をしておきたいのですが、この空域は、特に沖縄の場合、那覇空港における民間航空機の約三分の一はこの空域を通るということも指摘されているわけですね。安全性に非常に問題がある。同時にこの空域は、香港だとか台湾あるいはフィリピン、インドネシア等の航空路にもひっかかってくるわけですから、そういう空域においてこの戦闘機の戦闘訓練が昼とはいえ行われることは、非常に危険性があるということは当然なことであります。したがいまして、特に沖縄の場合観光というものが大きな柱になっておりますから、こういうところに空域設定することは非常に困る。運輸省側も沖縄近空における新たな空域の設定は非常に望ましくない、危険性があると言っているわけでございますから、運輸省のそういう考えに従って外務省とされても米側と交渉されることをぜひ要望しておきたいと思うのです。大臣、いまお聞きになったとおりでございますが、最後にその点についてお答えいただいて質問を終わりたいと思います。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 ACMIの問題については私十分な知識がなかったわけでございますが、玉城委員のただいまの一問一答を通じまして、現に予定されておる沖縄の地域について種々問題もあるということがわかりました。しかし、また一方におきまして優先度のきわめて高いものであるということも無視することができないのでありますが、外務省として、安保条約上の必要性、地元住民への影響等に配慮しながら日米間双方で慎重に検討をいたしたいと思います。

中山正暉自由民主党

○中山委員長 林保夫君。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 大臣、大事な役割りを担われての訪米、御苦労さまでございます。時間の制約もありますので、ポイントをしぼりまして御質問申し上げたいと思うのでございます。  まず最初に、今九十六国会における櫻内外務大臣の外交演説を手元に持っておりますけれども、その中で、まあ前提条件があるのでございますが、「このような意味において、日米安保体制を基軸とする日米友好協力関係は、わが国外交の中心に位置するものであり、両国間の相互信頼に裏づけられた同盟関係がいまやいささかも揺るぎのないものとなっていることは、サンフランシスコ平和条約発効以来三十年を経た今日、まことに心強くかつ感慨深いものであります。」こういうことでございます。  振り返ってみますと、最近の出来事として、日米関係では昨年五月鈴木総理が行かれました際の日米共同声明、これがやはりいま一番の基本になっている、このように私どもは理解しておりますが、その共同声明をめぐって伊東外務大臣がおやめになり、またいろいろな発言がございましたですね、あり得ないような発言までありました。共同声明に拘束されないというのも新聞記事に出ておりました。それらを踏まえられて、大臣は昨年五月の共同声明に対してどのような評価と御認識と、そしてこれからの外交の上にそれをどう生かそうとされるかをまず率直にお答えいただきたいと思うのです。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 鈴木内閣発足後初めて行われた日米両国間の首脳会議であった、こういうことで、日本外交史上緊要度のきわめて高い会議であったというふうに認識しております。また十六項目、いや十五項目にわたる共同声明というものが日米間のその時点から今後に対して非常に重要な意義を持ついわば一つのガイドライン的なものであった、このように受けとめておるわけでございます。特にこの共同声明で同盟ということがまず問題になりましたが、私はその当時幹事長をしておりまして、これはこの共同声明どおりに受けとめておく方がいいのではないか。すなわち、民主主義及び自由という両国が共有する価値の上に築かれているというのがこの日米の関係、日米の同盟というものをそういうことで認識し、裏づけたものだと思うのです。そして両国間の連帯、友好及び相互信頼を再確認した。     〔委員長退席、愛知委員長代理着席〕 この両国間の連帯という中には、これは安保条約等で結ばれておるそういうもの、あるいは友好、相互信頼関係を再確認した、こういうことで、こういう共同声明の最大の前提になるこの日米同盟についてのこういう表現が非常に大事であって、そこで先般の外交方針の中でも私が日本外交はこの安保体制の上に築かれる日米外交というものが基軸をなすものであるということを申し上げたような次第でございます。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 大臣いまおっしゃられましたように、やはり共同声明、同盟という言葉を使いましたのは昨年でなくて一昨年大平さんが使われたわけですが、その後同盟論議がいろいろございました。私も予算委員会でかなり突っ込んだ質問をさせていただきました。大臣おっしゃるように安保問題を含む同盟ということであれば、大臣は同盟関係をはっきりと軍事的な意味を持つ、このように御理解をなさっておるかどうか、この一点、簡単で結構でございます。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 先ほど最初十六と言って、また十五と言いましたが、十六項目でございます。共同声明は十六項目でございます。  それからいまの軍事の点ですね。私は当時にも言ったのですけれども、本来言うと日本としては防衛は含んでおるということだと一番感じが出ておったのですけれども、軍事、軍事ということで、それ軍事同盟だ、こういうようなことでございますが、日本は自衛隊を持ち、そして普通の意味における軍事行動というようなものを考えていない。専守防衛に徹しており、軍事大国にはならぬ、こう言っておるので、このお尋ねの意味は、防衛は含んでおる、一般的にそれはまた軍事だと言われればそれはそれまででございますが、防衛は含んでおる、私はこういうふうに考えております。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 それはちょっとおかしいのです。昨年の二月の予算委員会の議事録を見ていただきたいと思います。鈴木総理は私の質問に対してはっきりと「そのとおりでございます。」と言われた。その後から変なことになったものですから、大臣が更迭されるような事態になった。ますますおかしくなった。この辺の不信感がはっきりと、軍事だけの問題ではございませんけれども、日米間の今日の大きなトラブルになっており、政府は一体何を考えているのだ、日本はどうしているのだ、こういうことになっていると思います。後で詰めますが、きょうは時間がございませんので、それではまあよろしゅうございます。  十六項目について大臣は今度行かれるに当たりましてレビューされたと思いますが、何項目ぐらい今日達成でき、あと幾らぐらい残っておるようにお考えでございましょうか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 十六項目の項目の一つ一つがどうかということではなくて、私もいまとっさにどの程度ということが言いかねますが、十六項目について私は先ほどその時点から今後のいわば指針である、こう申し上げたわけでございまして、この十六項目の共同声明は日米間を結ぶ上に非常に重要な共同声明であった。これに基づいていろいろのことを取り計らっていく。この段階で項目のうち何項目あるいは何%いったということはちょっとお答えしにくいと思います。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 私なりにデータを持っておりますけれども、これは次の機会に譲ります。  そこで、当面問題になっております大臣が御訪米になって貿易問題が焦点だろうということで、国民的な関心も非常に高うございます。大臣はこれについて解決できるという確信を持ってお行きになるのでございましょうか。それとも高級事務レベル会談、そのほかベルサイユ・サミットに至るまでの日程がいろいろだだいまも議論されておりました。どういうお考えでお行きになるのか。訪米の意義。先ほどは総括的にはむずかしいとおっしゃいましたけれども、まずそれをお伺いしたいと思います。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 本来日本の貿易をどのように評価するかということは、この二国間だけ取り上げて論議するのは本当は無理だと思うのです。それから私は先ほども申し上げましたように、経常収支がどうなっておる、総合収支はどうなっておるということも勘案しなければならない。特に日本のような国柄といたしましては、貿易はある程度黒字でも、その他の面でこの黒字を消してしまうという要素は持っておるのですから、そういう点は米側が理解をしてもらわなければならない問題でありますが、最近言われておることは、日本が大きな黒字を持っておる、輸出をどんどんアメリカにしておる、そのことによってアメリカの産業が影響を受けて、そして失業者も出ておるのだ、そういう論法で批判をしておる、その最もいい例が自動車である、こういうことなんです。そうなってくると、失業を輸出しているのじゃないかと言われれば、なるほどと、こういうことにもなります。現に出ておる百八十億ドルのインバランス。また本年はさらにその不均衡が拡大するのではないか、そういう点をおもんばかりまして、どのように改善をしていくのか。それからまたアメリカ側では日本の市場開放が十分でない、競争力のあるものも、日本に入らないのだ、そういう点は速やかに考えてくれ。これは日本としては十分考慮しなければならないところでございまして、そうして当面の問題としては関税の引き下げ、あるいは非関税障壁をどうする。これらは逐次手を打ってきておるわけでありますけれども、なお米側においては満足をしておらない、こういうことでありますから、今度の会談の折に二国間の問題でこれらのことに触れられるとするならば、それは謙虚に向こうのおっしゃることを聞いてまいりたい、こう思います。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 経済局長、ひとつお答えいただきたいのでございますが、私も過般来日されましたマクドナルドさんにお目にかかりまして、ちょっと意外に思ったのは、万事を相互主義、あるいは制限主義あるいは保護主義に持っていくのじゃなくて、大変、世界経済の活性化、それに基づく新しい何かこう貿易経済秩序をつくりたいという、これはうまいことを言っておられるのかもしれません。交渉の場とは別かもしれませんけれども、そういうようなニュアンスで私は話を聞いたわけでございますが、会議の空気でそれをどのように、局長は実際に出られまして御認識になっておられるか。  それから、いろいろ資料を私も見さしていただいておりますけれども、オンブズマン制度というのがございますね。これはどういうことなのか。日本がやる意思があるかどうか、この二点について、時間がございませんので、お答えいただきたいと思います。

深田宏外務省経済局長

○深田政府委員 ただいまの林先生の御質問でございますが、先ほど外務大臣からもお答えがございましたように、アメリカの一番基本といたしておりますのは、日本の市場開放というところに重点を置いております。これはやはり世界の貿易を拡大していこう、そのために二国間、多数国間で協力していこう、こういう意図が非常にはっきりいたしております。こういう基本的な点につきましては、日本としても同じような立場に立っておるというところにこれからの明るい展望を持ちたいという気持ちを私ども持っております。懸案はたくさんございますので、これからも話し合いを続けていくことになるわけでございますが、先般の小委員会におきましても、そのような精神のもとで協議を進めたわけでございます。  また、OTO、オンブズマンの制度でございますが、これは厳密な定義がある言葉ではございませんけれども、このほど日本でつくりました仕組みは、基本的には政府の担当部局を中心にするものでございます。オンブズマンという場合には、政府から離れた諮問委員会のごときものを考えようじゃないかという意見もあり得ると存じますけれども、さしあたりまして、実務的にアメリカからあるいはヨーロッパ等から来るいろいろ実質的な苦情と申しますか、案件の処理に当たるということでございまして、一方におきまして五十七会計年度におきましては、このOTOの作業は行政監察の対象にしていただくということで、経済企画庁担当局を中心に私どもお手伝いをいたしまして、これから実効のあるものにぜひいたしたい、このように考えております。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 局長、もう一つ、いつごろから実効が出ますでしょうか。     〔愛知委員長代理退席、委員長着席〕

深田宏外務省経済局長

○深田政府委員 現在のところ、約二十件ほどの案件が集まっておりまして、これらについて鋭意検討を進めておるわけでございますが、実効はもういますぐにも出るということでございます。ただ、九十九事例のうちの六十七事例という、一月三十日の決定ということを受けております直後でございますので、非常に多数の案件がいま殺到しているという形にはなっておりません。この制度ができましたことについては、在外公館等を通じまして外国にも啓発をいたしております。そういうことから、いま御指摘の実効という意味におきましては、なお若干の時日はあるいはかかるかもしれませんが、いますぐにもという気構えで担当者の方は作業をいたしておるわけでございます。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 これは大臣にお聞きしたいのでございますが、大臣もお会いになられたと思いますが、三月二日に私もレオ・チンデマンス——ベルギーの外相、前の総理をやっておられました方が、ECの閣僚会議の議長としておいでになりました。そのときにいろいろECとアメリカとの摩擦の問題を聞きましたのでございますが、やはり相互主義法案に対する反対ですね。それから高金利政策あるいはまた失業問題そのほかで、かなり日本よりも強硬だと思われる節もございました。日本との一体的な要請をやりたいものだというふうに御意思の表明もございまして、日欧間のフォーラムを組みましたり、あるいはまた何といいますか、通貨制度についても、大臣、国会でも答弁なさっておられましたけれども、円を基軸通貨の一つに上げるというような問題まで実はあったわけでございますが、簡単で結構でございます、ECとはそういうような手を組んでの一体的な立場でアメリカと交渉される御用意があるのかどうか、すでにそれをやられておりましたら、そのお話を承りたいと思います。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 この結論から申し上げますが、いま日欧間で何か連携をとりまして、当面の諸問題に対処する、こういうようなことにはなっておりません。ただ、日欧間におきましても貿易が不均衡でございまして、先般来とりました諸施策について十分理解をしてもらおう、こういうことで、お見えになった方々、このチンデマンス外相ももとよりでございますが、日本のとった措置をるる説明しております。  同時に、いま御承知のように江崎ミッションが行っておるわけでございまして、あるいはこの江崎調査団が行っておる間にEC側のいろいろなお考えがあるかもしれませんが、それはそれといたしまして、現在までの経緯からいたしますと、日欧が手を組んで何かに対処する、こういうことは考えておりません。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 私はプライベートミッションでなくて、やはり公式な立場でおやりになる、それからまた議員は議員ベースでやる、あるいは産業関係の皆さんはそれなりにやるというようなものがあっていいと思います。それは何もアメリカを敵とするのではなくて、そういうグローバルな交渉あるいは意見の交換、認識を持たなければならぬような情勢になっておりますので、ぜひそれは、また追ってお聞きいたしますけれども、しっかりやっていただきたい。むしろそういうふうにお願いしたいと思います。  時間がございません。最後になりましたので、これもひとつ詰めてお聞きしたいのでございますが、大臣は、五十七年一月、日本国際問題研究所が出しました「ソ連の総合国力評価」というのを当然ごらんになったと思います。これは実は新聞報道によりますと、鈴木総理の指示を受けて外務省と国際問題研究所で検討した、こういうことでございますので、委員長、この資料をひとつ後で結構でございますから要求さしていただきたいと思います。私、見てなかったものですから、これは新聞報道だけはかなり前からあったのでございますが。大臣はこの結論についてどのような評価をなさり、そしてまたこれをどのように使っていこうとしておられるのか承りたいと思います。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 国際問題研究所にお願いをして、ソ連の総合戦力というものにつきまして御研究をいただき、またそのパンフレットのできたことを承知しております。そのパンフレットは、正直言って精読はしておりません。言葉はべっ見というのがふさわしいかと思うのですが、ぱらぱらと見ました。私は、これはそれぞれの専門家の方によるところの判断、診断であるので、それはそれなりに価値あるものとして参考にしてまいりたい、こう思っております。

中山正暉自由民主党

○中山委員長 御要求の資料のことでございますが、これも理事会で検討させていただきたいと思います。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 そんなに大きいものじゃございませんけれども、これだけございますので、なかなか表現いろいろ書いてございまして結論を出しにくいのですが、新聞報道になりますと、「ソ連の総合国力 日本に早急な脅威なし」、これは毎日新聞さんが書かれているわけですが、「自衛力増強は必要 対話の努力も提唱」「「85年危機説」を肯定」こういうふうに実は出ております。私も八五年危機説がどこに出ているのだろうかなと思って見ましたら、これから政治情勢が国内的に変わるから軍の発言が大きくなってくる、それで危ないというような表現になっていると思います。大臣、日本の認識はこのような見当でよろしいのでしょうか、その点を承りたいのでございます。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 指摘されておる八五年ということは、期せずして米側が言っておる一九八〇年代中葉というのと一致するわけでございますから、国際的な一つの客観的な見方としてそのころがソ連の軍事力のピークになるのではないか、こういうふうに受けとめてよろしいかと思うのです。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 ところが、これまた外務省の資料でございますが、海外政経情報の一月号ナンバー四百八十一、これは何も外務省というだけが問題じゃございませんで、この中に海外の皆さん方、特にアメリカのレーガン政権の要路の皆さんがどういうふうに考えているかという問題がございまして、たとえばロング米太平洋軍総司令官のUSニューズ・アンド・ワールド・レポートに書かれた記事によりますと、「我々は脅威は極めて現実的なものであり、残された時間はあまりない」というような表現をしておりますね。そういたしますと、この文書と両方読み比べてみて余りにも大きなギャップがあるように考えられてなりませんが、この点大臣、私ども国民はどのように理解し、考えたらよろしいのか、承りたいと思います。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 軍の専門家としてそういう所見を持たれたものだと思うのでありますが、日本はソ連を潜在的脅威としては注意深く見守っておるわけでございますが、ロング将軍は恐らく、このままでおれば脅威である、それは時間が限られておる、こう言ったものではないか。また、レーガン大統領が御就任後とられておる政治姿勢も同じような感覚で、軍事力について就任後予算の修正をしてまでもその強化をされておるということは、米側の要路の人々にはそういう見方があるのではないか、こういうふうに見ておる次第です。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 さきの日米共同声明による十六項目の問題もすべて認識の問題から来ておろうかと思います。いろいろとお聞きしたい点もいっぱいありますが、なお外交本舞台へ出られる大臣を前にいたしまして国益にも反しますので、この辺で質問を終わりたいと思います。御苦労ですがよろしく。ありがとうございました。

中山正暉自由民主党

○中山委員長 野間友一君。

野間友一日本共産党

○野間委員 先ほども少し話が出ておりましたが、私がまずお尋ねしたいことは、いわゆる昨年の五月八日のプレス・クラブにおきます、総理の述べられた日本の庭先数百海里ないしは航路帯一千海里の防衛論、これに関連してお尋ねをしたいと思います。  これが共同声明直後の当委員会におきましても大変な問題になりまして、御案内のとおり、防衛の分担を約束してきたとか、あるいは自衛の範囲を定めたとかいうことで私どもは追及したわけでありますが、政府は、そうではないのだということをここで終始一貫して言っておりました。ところが、その後のたとえばアメリカの国務省あるいは国防総省、このあたりの高官の中からさまざまな形で、これがわれわれが非常に懸念しておったいわゆる庭先一千海里、これらの防衛分担、こういうことを意味するということがあちこちで言われておりますし、公式の発言の中でこれが出ております。私たちは大変憂慮しておるわけでありますけれども、プレス・クラブにおきます質疑の中での総理の答弁を素直に読めば、いま申し上げたような読み方しかできない、前にも申し上げことがありますけれども、私はこう思っておるわけであります。  こういう状況を踏まえまして外務大臣は訪米されるわけですが、特にこの中でカールッチ国防長官代行との懇談が二十二日に入っておりますね。かなり時間をかけて、しかも今度の訪米の中でもかなり大きな重要な会談であるように私は聞いておるわけですけれども、こういう国防総省や国務省の総理の発言に対する理解、これはもし誤解とするならば大変なことになります。この点についてどう対応されるのか、まずお聞かせいただきたいと思います。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 私の日程の中に国防次官、ワインバーガー長官は留守中でありますから長官代理という表現になっております。ここを訪問することにはなっておりますが、ワインバーガー長官はわざわざ日本に来られるのでありまして、伊藤防衛庁長官や私が日本でお会いする予定にしておりますので、今回の国防総省訪問は、私の気持ちからいたしますと表敬訪問、こういうことでございまして、特に防衛問題について協議をしようという考えはございません。もとより、せっかく行くのでありますから、向こうの御意見等が出れば、それは承る考えでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 外務省の方から正式にもらった文書の中でも、レーガン大統領については表敬、あるいはブッシュ副大統領表敬、こういう記載がありますけれども、カールッチ等については会談ということが正式に書かれておるわけです。そこでいまお聞きしたこと、これは大臣、いま申し上げたように、国務省や国防総省では私が申し上げたような受け取り方をアメリカ側が実際にやっておる。これはこのとおりでいいのかどうか、その点についてのお尋ねなんです。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 このプレス・クラブの総理の発言は発言で、これが何か米政府に対して約束をしたとかどうとかいうことが盛んに言われますが、これらの点については、繰り返しそうでないということは申し上げておるわけであります。日本はあくまでも日本の防衛につきまして憲法の枠があり、また基本方針というものを明らかにしておる。防衛大綱のもとに現在は五三中業を進めておるわけでございまして、これは自主的にやることでございまして、総理は、日本周辺数百海里、航路帯を設ければ一千海里の範囲について自主的に防衛をする、こういうことを申しておるわけでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 実質的に、あるいは公約したのかということは一つの問題であります。と同時に、私がいまお聞きしておるのは中身の問題なんですね、大臣。いままでの政府の見解は、昨年の十月三日の予算委員会の中でも、榊委員の質問に対する総理大臣と防衛庁の塩田さんの答弁の中身が食い違ったまま来たのは、すでに御案内のとおりですね。  私がお聞きしておるのは、このプレス・クラブにおける発言がいままでの政府のとってきた見解からさらに超えて、一千海里まで日本のいわゆる自衛の範囲あるいはオペレーションエリアを伸ばしたということかどうか。鈴木さんはあのプレス・クラブの発言でそう言ったんじゃないかと言っているわけです。ですから、自主的に云々あるいは約束したかどうか、これは別の問題でありますけれども、アメリカでは私が言ったようなふうにとっておりますから、その中身について、鈴木さんが言われたこと、それはどうなのか、アメリカ側は誤解しておるのかどうか、その点なんです。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾政府委員 まず第一に、ナショナル・プレス・クラブでの総理の発言については、野間委員も御承知のとおり、総理は、周辺数百海里、それからシーレーンについては約千海里につき、憲法を踏まえつつ、自衛の範囲内で防衛力を強化するということを言っておられるわけです。それで、アメリカ側の受け取りでございますが、先ほどから何か、いままで日本が防衛力整備大綱の範囲を超えてやるというふうにとっているんじゃないかということでございますが、この総理の発言というものは、総理自身が今国会で再三答弁されておりますように、すでに五十一年の防衛力整備大綱の前から防衛庁が考えていることを述べたもので、何ら新しいものではないということが第一点。  第二点は、ウェスト国防次官補が三月一日のアメリカの下院公聴会においても述べているのは、総理大臣はプレス・クラブにおいて、さっき私が申し上げたようなことを述べたということでございまして、アメリカ側としてこれを公約というふうにはとっていないということでございます。  繰り返しますれば、従来から防衛庁がとってきた「防衛計画の大綱」に沿って防衛力を整備していくんだ、それ以上のものでは何でもないということでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 だとしますと、たとえばいまプレス・クラブにおける発言が、七艦がペルシャ湾やインド洋へ行く。留守になる。その留守に、日本の庭先であるこれこれのものについては日本が防衛の範囲内でこれを守っていくんだ、強化するんだということですね。こういう表現をされております。それから十月三日の予算委員会の中でも「わが国としては、周辺海域数百海里、航路帯として一千海里、そういうものを防衛していく、防衛の範囲内と考えておる、」こう言っておるわけですね。これに対して、塩田政府委員がそれを盛んに修正して違った答弁をしておるわけですけれども。ですから、プレス・クラブの発言とかあるいは鈴木総理大臣のこの予算委員会での発言、これを素直に読めば、いままでの政府の見解を大きく転回しておる、大きく発展させておるというふうにとるのが当然だと思うのです。しかし、その後総理は国会答弁の中で軌道をずいぶんと修正されております。  それは後で触れますけれども、淺尾さん、もし政府が従前のそういう見解を超えていない、逸脱していない、こういう態度をとるならば、私は、いろんなアメリカ側の発言によると、これはまさに誤解だと言わざるを得ないと思うのです。国防報告の中にもこれは引用されておりますし、ドネリー在日米軍司令官もそれに関連していろいろ言っておられます。それからホールドリッジ次官補、先ほども若干引用がありましたけれども、これは昨年の十月二十八日の日米協会の会合での演説ですが、「日本は一千カイリの距離まで出て日本本土を防衛する責務を負う用意がある、」こういうふうに総理が述べたということは、これはアメリカの大使館で発行した資料の中にもはっきり出ておるわけですね。つまり「一千カイリの距離まで出て日本本土を防衛する責務を負う用意がある、」こういうことが正式なアメリカの大使館の書き物の中に日本語として翻訳されておりますし、原文にも当たりましたけれども、そういう趣旨のことが書いてある。これはホールドリッジですが、その他、ウェスト、これは国防次官補、これも三月一日の対日防衛に関する国会での特別会議ですか、この特別会議の中でも同様の趣旨のことを言っておるわけであります。これは知らないはずがないわけですけれども、こういう一連の発言は一体どういうふうに理解しておるのかどうか。日本政府としてどうなんでしょうか。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾政府委員 再三同じような御答弁になって恐縮でございますが、ウェストも明らかにその証言の中では、総理は、日本が憲法の制約の枠内でみずからの領土、周辺海空域及び千海里までのシーレーンを防衛できる旨述べた。総理はまた、在日米軍の云々ということはございますけれども、そこでは「防衛計画の大綱」に沿って防衛庁が今後防衛力を発展していくわけでございます。その結果として、日本が攻撃された場合に、日本の自衛隊、あるいはこの場合は海空と言った方がいいかもしれませんけれども、そういう能力を持つように発展していくということでございまして、あくまでも整備の目標ということでございまして、この点については、アメリカから来日する軍の当局者あるいは国務省の当局者とも、防衛庁あるいはわれわれとの問で何回も意見を交換しておりまして、日本とアメリカとの間に意見の相違はないというふうに私は考えております。

野間友一日本共産党

○野間委員 憲法の制約とか、憲法がよく頭に出てきますけれども、これは一つの慣用句として使われているのが形骸化しているというのが常態なんですね。私は、ですからそれはそれとしても、彼らの発言の中身、これはまさに有時あるいは平時を問わず、この一千海里の区域においては日本がこの範囲で常時防衛していくというふうにとっているとしか考えようがない。これはプレス・クラブの発言でも、有時、平時というような、そういう前提なり限定もせずに言っておられるわけですね。その点について非常に心配しておるわけです。もし政府が、そうでなくて、いままでの見解をいささかも伸ばすものではないと言うのなら、その誤解を解くのが当然ではなかろうか。いま淺尾さんは、憲法の制約とかいうことで意思の不統一はないというふうに言われましたけれども、しかしさまざまな人がさまざまな形で発言しておる。私は、もし意思の不統一がないならそれにこしたことはないと思うのです。しかし少なくとも書き物で見る限り、アメリカ側は、日本の立場からすれば誤解しておるとしかとりようがないと思うのです。その点について、せっかく国防長官代行カールッチ氏とお会いになるわけですから、櫻内大臣、きちっとその点を踏まえて、そういう点については公約をしていないというふうに言われるのが筋じゃないでしょうか。あなたは二月二十三日の衆議院の予算委員会の中でも、鈴木総理の言われたことを引用して「総理は、少なくとも日本の庭先である周辺の海域を自分で守るのは当然のことである、こういうふうにおっしゃっておる」ということを肯定的に言われております。こういう表現一つとってみても、誤解を与えることは当然だと思うのですね。したがって、その点の誤解がないようにきちっとしなければならない、こう思うのです。しかもウェスト国防次官補でしたか、あと八年以内にこういうものの約束を守ってもらうんだということまで議会の中で言っておるわけですね。いかがでしょう、大臣。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 御質問の御趣旨は、鈴木総理が日本周辺数百海里、航路帯を設ければおよそ千海里、それは日本が防衛するということを米側に日本は公約したんじゃないか、そういうことをおっしゃっておるのではないかと思うのですが、それについては、そういう公約とかどうとかじゃありません。日本には日本の防衛の基本方針があります。現状では防衛大綱でありますが、しかもその防衛大綱ができる前からシーレーンはおよそ千海里ということを言っておるので、そのことを総理は口にされておる。日本のいわば防衛目標を言われておるんだ。そのところが野間委員とギャップがあるのじゃないかと思うのですが、しかし、日本としてはいつも憲法と言うがと言うが、憲法を守り、そして日本の基本方針である防衛大綱にのっとって自主的にやっていきますということが、これが日本の方針でございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 先ほども若干触れましたけれども、もしいま言われるようなことが事実であるとするならば、総理の発言は舌足らずと申しますか、誤解を招く、言ってみれば非常に悪い表現というふうに思ったわけです。ところが、これがいろいろ国会で問題になりまして、二月十六日の参議院では、鈴木総理がかなり修正をされております。  ちょっと引用しますと、「わが国の防衛力整備の目標としてこの周辺数百海里、航路帯で言えば一千海里の航路帯を守るような海上自衛隊なりあるいは航空機の防衛力を持ちたい、それを目標にやっているのだ」というようなことが言われております。これは非常に修正されたと思うのですね。したがって、櫻内大臣の見解、いま私が引用した二月十六日付の鈴木総理の、こういうプレス・クラブでの発言の真意と申しますか中身、これについては全く異論がないわけですね。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 私も、ただいまそのような趣旨で申し上げたのでありまして、日本は、日本の防衛について自主的に判断をし、航路帯で言えば一千海里を目標にしておる。総理の言われたとおりでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 この問題についてはこのぐらいにしますけれども、アメリカの要人の発言、もしいま私が言うような懸念と申しますか、読み方が間違っておれば、それはいいわけですが、私は決してそうじゃないと思うのです。この点については、後でまた別の機会を設けまして、さらにただしたいというふうに思います。  最後に一つお聞きしたいのは、これも先ほど出ましたけれども、貿易摩擦に関連して、柑橘あるいは牛肉の輸入の自由化、あるいは枠の拡大の問題です。一昨日も全国の農民、農協が中心になりまして集まりまして、自由化あるいは輸入枠の拡大阻止の大きな運動をやりました。これはやはり農家の実態をリアルに——いま農家あるいは農業の実態、経営は一体どういうものかということを素直に検討すれば、自由化なり枠の拡大が許されないということは当然だと思うのです。この点について、枠の拡大あるいは自由化を許さないという意思を日本の外務大臣として毅然とした態度できちっと伝えてほしい、こういう要求でありますけれども、この点について答弁を求めて、質問を終わりたいと思います。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 柑橘類、牛肉については、すでにこれらの問題は一九八二年の後半に相談をするというのが十月から相談をしよう、こういうことになっておるのでございますから、その場で十分日本側の意向を表明したらばいい、協議したらばいいと思っております。  それから、制限品目についての自由化につきましては、自由化がむずかしいということはもちろん私は言う考えでございますが、この方も、実際は工業製品の関係も含めて、五月ぐらいからは作業部会でよく検討しよう、こういうことになっておりますから、私が今回行った場合に、ストレートにこれらの問題が首脳会議の議題になるとは思っておりませんし、なったときには、実情あるいは困難な状況をよく申し上げる考えでございます。

野間友一日本共産党

○野間委員 終わります。

中山正暉自由民主党

○中山委員長 伊藤公介君。

伊藤公介新自由クラブ・民主連合

○伊藤(公)委員 さまざまな重要な課題を掲げた外相の訪米、ぜひ所期目的を達成して、お帰りをいただきたいと思います。  いろいろな御議論がございました。具体的な問題を一、二点だけ伺いたいと思います。  その前に、毎日書き立てられている、あるいはアメリカ公聴会のテレビの放映を見られまして、日米の通商摩擦のアメリカ側の認識に対して、日本国民の率直な感情は、どうもまだわれわれの立っている立場を十分理解してもらっていないという声が非常に強いように思います。私の地元にも、日野自動車であるとか、あるいは日産工場等ございまして、現場の皆さんの声、あるいは管理職の皆さんが、アメリカの自動車工場であるとか、そうしたところの勉強会を終えた報告の中でも、やはり日本の企業努力あるいは労使間の努力というものがどうも評価をされていないという声も非常に強いように思います。  そうした中で訪米をされる外務大臣、具体的な問題を一、二点尋ねる前に、積極的に取り組むという話だけでなしに、今度の訪米でアメリカ側に何を理解してもらいたいと考えて出発されるのか、まずその点を伺いたいと思います。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 昨年の伊東外務大臣以降一年経過をしておるわけでございますので、レーガン大統領、ブッシュ副大統領、ヘイグ国務長官との間では、主として最近における国際情勢について、米側がどういう考えを持っておるか、日本側がどういう考えを持っておるか、そういう点の意見交換をいたしたい。  これは言うまでもないことでありますが、日本外交の中で日米外交は基軸をなすものである、そういう立場で日米両国が意思統一をしておくことが、国際関係に対しても非常にいいのではないか。ですから、そういう面が主たる課題になるわけでございますが、二国間の問題も、もとより当然話題になるであろう。  その場合に、御質問の経済問題が中心になることは言うまでもないと思うのでありますが、この経済問題につきましては、すでに安倍通産大臣も行かれたことであり、また続いて、自由民主党の派遣とは申しましても、政府・与党としての江崎ミッションが行っておりますので、日本側の考えというものはいろいろな角度で米側に伝わっておると思うのであります。したがって、もし米側からいろいろな問題提起がありますれば、先ほど来御答弁を申し上げておるように、その問題ごとについて日本側の立場を明らかにしていきたい、こう思っておる次第でございます。

伊藤公介新自由クラブ・民主連合

○伊藤(公)委員 アメリカのマンスフィールド大使が十八日に自民党の三役と会談をされて、日本側が六月のサミットまでに、この表現で言えば劇的な措置をとるように、期限つきの対応を迫っているわけであります。これについては、政府としてはサミットまでにどういう結論を出すのか。また、訪米に当たって日米の高級事務レベルの会議を開くという提案をされると伺っておりますが、提案をされるのかどうか。さらに、先ほども牛肉とオレンジのお話がございましたけれども、その他の輸入制限品目の制限緩和の問題あるいは輸入たばこの小売店の数の拡大の問題であるとか、あるいは関税の引き下げ、サービスや金融の市場開放の条件、こうしたことが具体的な問題に上がってきているわけでございます。このスケジュールを、交渉を前にしているようでございますけれども、お話ができる範囲内でお答えをいただきたいと思います。

深田宏外務省経済局長

○深田政府委員 アメリカ側が申しておりますことは、ここ二、三カ月の間がいろいろな意味で非常に大事であるので、日本側において目に見える、よくわかるような措置をぜひとってほしいということであろうかと存じております。高級事務レベル協議につきましては、まだ具体的なことは何も決まっておりません。日米間で協議をする場としまして私どもも非常に有用な場だと考えておりますが、次回をどうするかということは全くこれからの問題でございます。また、それぞれの案件について今後どういうふうに進めていくかということにつきましては、先ほど来外務大臣からも御答弁がありましたように、牛肉、柑橘あるいは残存輸入制限品目中の農産物、水産物等についての作業のスケジュールが決まっておりますほか、案件ごとにしかるべきチャンネルを通じましてアメリカ側との意見交換を進めてまいりたい、このように考えております。

伊藤公介新自由クラブ・民主連合

○伊藤(公)委員 大臣にもう一点だけ伺いたいと思いますが、一月の中旬にアメリカの国務省が行った台湾への武器輸出が非常にいま中国に強い反発をされて米中関係が憂慮されているわけでありますが、この点については訪米に当たって何らかのサゼスチョンをされるおつもりがあるのかどうか。  きょうはこんなに限られた時間だと思っておりませんで、本会議が迫っておりますから、警察庁をお呼びしておりますので続けて違う問題をもう一点だけ伺いたいと思いますが、最近外国で働いているあるいは旅行している日本の人たちが非常に事故に遭われて、特に通り魔事件、そういうものの巻き添えを食うという事故が頻繁に起こっているわけでありますが、最近も世田谷の三浦和義さんという方が、たまたまアメリカで奥さんが事故に遭われて植物人間になって帰ってくるという大変な事故があったわけでありますが、私たちのこの国の中でも昨年の一月一日からこうした通り魔事件に対する補償の制度がスタートいたしました。すでにスウェーデンとかフランスでは、国籍を持っている人たちが外国でこうした事件の巻き添えを食っても補償するという制度になっておりますが、こうしたことについて今後国内の補償制度を適用していくべきだと私は思いますけれども、いかがでしょうか。

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 先ほど申し上げましたように、国際情勢一般の話の中でアジアの問題に触れることはもとよりでございますが、中国の問題につきましては日本側として知り得ておる差し支えない範囲の諸情勢を申し上げ、米中関係が政治、経済の面で円滑にいくことがアジアの安定の上にまた国際政治、経済の上に非常に重要である。だから、いろいろ問題があるようでございますが、その辺は米側の賢明な善処をお願いするというような、主として日本側から諸情勢を申し上げ、具体的な問題についてはせっかくアメリカ側としても細心の注意を払って御努力になっておることでございますから、特に武器問題などを取り出して論議をするというよりも、一般的なアジア問題、中国関係の問題の中で協議をしてみたいと思います。

福永英男警察庁警務局給与厚生課長

○福永説明員 御指摘の三浦さんを初めといたしまして、確かに気の毒なことだと存じておりますが、御承知のとおりこの法律の適用範囲は日本国内での犯罪、広げましても日本の船舶、航空機の中で起きた犯罪ということに現在限られておるわけでございます。したがいまして、現在のところは適用の余地がございませんが、仰せのとおり将来の問題といたしましては、国際的な動向等を踏まえてこれら外国におけるものについても適用を考え、あるいは相互主義にもとらないように国際的な動向をにらんで検討してまいる、こういうことが必要かと存じます。

伊藤公介新自由クラブ・民主連合

○伊藤(公)委員 以上で終わります。      ————◇—————

中山正暉自由民主党

○中山委員長 次に、日本国とドイツ民主共和国との問の通商及び航海に関する条約の締結について承認を求めるの件及び千九百七十一年の国際小麦協定を構成する一の文書である千九百七十一年の小麦貿易規約の有効期間の第六次延長及び同協定を構成する他の文書である千九百八十年の食糧援助規約の有効期間の第一次延長に関する千九百八十一年の議定書の締結について承認を求めるの件並びに国際科学技術博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案を議題といたします。  政府より順次提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣櫻内義雄君。     —————————————  日本国とドイツ民主共和国との間の通商及び航海に関する条約の締結について承認を求めるの件  千九百七十一年の国際小麦協定を構成する一の文書である千九百七十一年の小麦貿易規約の有効期間の第六次延長及び同協定を構成する他の文書である千九百八十年の食糧援助規約の有効期間の第一次延長に関する千九百八十一年の議定書の締結について承認を求めるの件  国際科学技術博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————

櫻内義雄自由民主党外務大臣

○櫻内国務大臣 ただいま議題となりました日本国とドイツ民主共和国との間の通商及び航海に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この条約につきましては、昭和五十四年にドイツ民主共和国側より締結したい旨の申し入れがありましたのでその後昭和五十五年十月より両国政府間で交渉を行いました結果、昭和五十六年五月二十八日に東京において、両国政府の代表者の間で、この条約の署名が行われた次第であります。  この条約の主な内容としまして、関税、租税、事業活動等に関する事項についての最恵国待遇、輸出入制限についての無差別待遇、身体及び財産の保護、出訴権についての内国民待遇及び最恵国待遇、領事官との通信等の権利、商船の出入港等についての内国民待遇及び最恵国待遇等を定めております。  この条約の締結により、わが国とドイツ民主共和国との間の経済交流が安定的な基盤の上に一層促進されるものと期待されます。  よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。  何とぞ御審議の上、本件につき速やかに御承認あらんことを希望いたします。  次に、千九百七十一年の国際小麦協定を構成する一の文書である千九百七十一年の小麦貿易規約の有効期間の第六次延長及び同協定を構成する他の文書である千九百八十年の食糧援助規約の有効期間の第一次延長に関する千九百八十一年の議定書の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  昭和四十六年に作成されました千九百七十一年の国際小麦協定は、小麦の市況に関する情報交換等について定める小麦貿易規約と開発途上国に対する食糧援助について定める食糧援助規約から成っておりますが、両規約が昭和五十六年六月三十日に失効することとなっていましたので、同年三月ロンドンで開催された政府間会議において、その有効期間を二年間延長することとしました。これらの議定書は、このような延長について定めたものです。  なお、これらの議定書は、昨年七月一日に発効し、わが国は、現在暫定的に適用しております。  これらの議定書を締結することは、小麦貿易に関する国際協力の促進が期待されること、開発途上国の食糧問題の解決に貢献することとなること等の見地から、わが国にとり有益であると考えられます。  よって、ここに、これらの議定書の締結について御承認を求める次第であります。  何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。  最後に、国際科学技術博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  昭和六十年に筑波研究学園都市で開催される予定の国際科学技術博覧会につきましては、国際博覧会に関する条約第十二条の規定により、開催国は、政府を代表する国際博覧会政府代表を任命することとなっておりますので、日本万国博覧会及び沖縄海洋博覧会の際における先例と同様国際科学技術博覧会政府代表を臨時措置法により設置し、その任務、給与等について所要の事項を定める必要があります。したがいまして、今回提案の法律案のごとく、外務省に、特別職の国家公務員たる国際科学技術博覧会政府代表一人を置き、条約及び条約第二十七条の規定に基づき、博覧会国際事務局が制定した国際科学技術博覧会一般規則の定めるところにより、国際科学技術博覧会に関するすべての事項について日本政府を代表することを任務とする政府代表の職を設けることとした次第であります。また、この政府代表がその任務を円滑に遂行することができるよう、それぞれの関係各省庁の長が、必要な国内的措置をとることが適当でありますので、法案中にその旨を規定することとしました。  さらに、本法案においては、政府代表の俸給月額、代表の任免手続等について定めているほか、本法律案中には附則として、博覧会が終了した後、一年の期間を経過しますと失効する旨の規定を設けております。  以上が、この法案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

中山正暉自由民主党

○中山委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  各案件に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は、来る二十四日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時一分散会      ————◇—————

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