運輸委員会 第16号
- 発言数
- 157 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1982/05/14
会議録
○越智委員長 これより会議を開きます。 陸運、海運、航空及び日本国有鉄道の経営に関する件等について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林恒人君。
○小林(恒)委員 国鉄再建問題について、第二臨調第四部会を初めとしながら、運輸省の中でも、また一方国鉄部内でも、また政党の次元でも、それぞれにそれぞれの角度から議論が進められているわけですけれども、まず冒頭、鉄監局長おいでのようですから、一昨年取りまとめをいたしました国鉄再建法、ずいぶん多くの議論があって、さらに内容的にも、特にローカル線の問題だけをとってみても、今日なお当面する四十線区の取り扱いが大変難航しているという、こういう実情があるのかとお見受けをいたすわけであります。 もちろん、将来に向かって新しい方策をどう模索するのかということは重要かと思いますけれども、すでに確認をされている再建法の取り扱い方、こういったものの範囲で今日までの進捗状況について、運輸省側の見解をまず明らかにしていただきたいと思います。
○杉浦政府委員 お答え申します。 経営改善計画を昨年の六月につくりました。鋭意国鉄、運輸省等、これの完全実施を目指して努力をいたしております。 地方交通線につきましてその進捗状況でございますが、いまお話にございましたように、最初私ども考えておりましたよりも、何といいましても、地元の方々にとりまして長年の線路をやめるというような問題でございますので、なかなかお話がつかないというような状況でございます。一応、地方交通線の対応路線四十線ございますが、当面の会議開始希望日が到来いたしました三十八線のうちで、すでに十八線については会議が開催をされております。残る二十線につきましても、地元の方と各路線ごとに御要望なり、こちらからもまたお願いを申し上げまして、その路線の収支の状況なり輸送の実態あるいは経営改善計画の内容につきましていろいろと御相談申し上げております。逐次会議の開催日程を調整するというような形で、おくれがちではございますが、現在日程調整に入っておるものが残り二十線のうち八線ございます。それにいたしましても、最後に大どころの北海道、九州というようなところがなかなか問題が多くて、十二線につきましては現在のところまだめどが立っていないというような状況でございますが、何とかしてこれも地元の方の御理解を得まして、協議会を早く開催をしたいというふうに考えておるところでございます。 それから、そのほかの経営改善計画でございますが、人員に絡みます合理化問題につきましては、これは大体予定どおり進捗をしておると言っていいかと思います。五十五年のダイヤ改正によりまして、五十六年度一万一千人の要員を縮減いたしました。五十七年度におきましては、引き続き一万二千人要員の縮減につきまして、これもまた合理化についての話がすでに終わっております。ただ、残念なことに、五十五年度、五十六年度を通じまして輸送実態を見ますと、旅客の方は大体予想どおりでございますが、貨物輸送につきまして思ったよりも実は輸送の成績が悪うございます。五十五年度はトン数で対前年マイナス一一%、それから五十六年度はトン数でやはり前年よりも九%落ち込むというような大変な落ち込みを示しております。貨物の問題は、そこから生じます赤字が非常に大きいということで非常に重要な問題でございますが、こうした実情に対応いたしまして、国鉄の方でも経営改善計画を六十年度までに実行しようというのを繰り上げまして、ことしの十一月のダイヤ改正までに全部やってしまうというような合理化の深度化といいますか、前倒しといいますか、そういうようなものをやろうとして現在努力中でございます。この点がちょっと経営改善計画の実行上問題が生じてしまったということは事実でございます。
○小林(恒)委員 経営改善計画、いわゆる合理化について三十五万人体制を確立していく。こんなところから六十年度をめどにして進めたいという計画があったわけで、これを繰り上げをしていく。五十七年の十一月までの間に何とかという、こういうお話をいま伺ったのであります。 なるほど旅客、貨物の収入等について落ち込みがあることについては、数字の問題ですから明らかになる部分だと思いますけれども、経営改善計画の繰り上げといいますか、前倒しといいますか、こういうものと経営改善計画に伴う予算との関連からすると、一切問題は生じないものなのかなという疑問を持つのですが、この点はいかがですか。
○杉浦政府委員 金額にいたしまして、五十六年度の収入でございますが、これは旅客では五十六年の速報値で二兆三千四百四十億円ということで対前年七%の伸びを見込んだとおり確保できる予定になっております。貨物が金額では三千二百九十億円ということで対前年五%ダウンというようなことで、両方合わせまして前年に対して六%のプラスになるものというふうに、国鉄がいま予想を立てておるところでございます。 予算との関係はどうかということでございますが、予算上の数字に比べまして五十六年度の収入のダウンというものがありましたので、先般、そうした資金繰りのショートに対応いたしまして五十六年度の予算の補正は行っております。したがって、予算上の措置は、五十六年度に関してはすでに済んでおるということでございます。 五十七年度は、いま申し上げましたように旅客では何とかやっていけますが、やはり貨物が問題になるということでもございますし、その辺の減収に対応する節約努力の前倒しということによりまして、収支じりを何とか予算に合わせていきたいというふうに目下努力中でございます。これは、五十七年度まだ始まったばかりでございますので、予算との間でどの程度の食い違いが出てくるか、なかなかいまから予想はできません。何とか予算の想定の収支じりを目指しまして努力をするということ以外に、ちょっといまのところは申し上げられないところでございます。
○小林(恒)委員 何か、大臣が関係閣僚協に御出席のようですから、話がちょっと飛び飛びになるのでございますけれども、大臣に質問を先にしておきたいと思う部分が一、二点ございますので、御質問申し上げておきたいと思います。 これは、ほかでもございません。仲裁裁定の実施をめぐる問題だと思うのでございますけれども、いま断片的に鉄監局長からも御答弁がございましたように、いわゆる再建法に基づく施策といいますか、その後の進捗状況というのは、ある意味では順調どころか、前倒しをも含めて進んでいっておる、こういう受けとめをするわけです。ただ、ことしのいわゆる春闘の段階で数多くの議論があって、公労協のストライキそのものについての議論がある中で、公労委がそれぞれに英知を結集して議論された内容、仲裁裁定として提示されたものに対する運輸大臣の見解を、まず第一にお伺いしておきたいと思うのです。
○小坂国務大臣 仲裁裁定につきましては尊重いたしていきたいということはもちろんでありますが、国鉄につきましては、委員も十分御承知のとおり、非常に経営状態がよくないということも事実でございます。しかし、こうした給与の問題につきましては、他の公企体と同等に扱ってほしいということを累次、私も会議において主張しておるところでございます。今後もそうした方向で努力をいたしてまいりたいと思っております。
○小林(恒)委員 経営事情といいますか予算事情といいますか、大変厳しいことについてはよく承知をするのでありますけれども、ただ、従来のよって来る経緯をつぶさに検討してみた場合、たとえば五十年の十二月一日、いわゆるスト権ストが行われた際に、三公社五現業等の労働基本権問題等に関する政府の基本方針というのが閣議決定をされているわけです。この閣議決定について十分御承知だと思いますけれども、これらを踏まえて賃金紛争に対する結論を求めていくというお考えをお持ちでしょうか。御見解を賜っておきたいと思うのです。
○三坂説明員 五十年の十二月に、三公社等の職員が、基本的人権である争議権の抑制にかえて公労委の制度があるのであって、労組側が法を遵守すれば政府側もその公企体職員等の基本的人権、仲裁等について誠意を持って対処するというお取り決めがあったことは承知してございます。
○小林(恒)委員 そんなのは承知しただけはだめなんで、国鉄から答えを聞こうと思ってないんですよ。 大臣、政府として、この五十年十二月一日の閣議決定を踏まえて、ことしの仲裁裁定に対する取り扱いをしようと考えているのかどうなのかということなんですよ。最近国鉄の再建問題というのは、臨調などでも相当議論されていることは十分承知をいたしますけれども、ただ経営主体の問題だけが時の課題を処理するものではなくて、従来よって来る閣議の決定事項といったものというのは遵守をされなければいけないのではないかという認識を私はするのでありますけれども、ここら辺の御見解を大臣に伺いたいのです。
○杉浦政府委員 ただいま先生、閣議決定というふうにおっしゃったわけでございますが、私どもの記憶では、ちょっとその点の、閣議決定という形ではないんではないか、これはちょっと確認いたします。閣議での話があったやに聞いておりますけれども、閣議決定という形をとったかどうか、この辺はちょっといま確認をさせていただきたいと思います。
○小坂国務大臣 けさほども八時半から関係閣僚会議をいたしまして、そうした中においていろいろな議論がございました。また、きょう昼から引き続いての関係閣僚会議をいたしますが、われわれといたしましては別に、従来決めておった諸方針について、この際特段に別途な方向をとるということは考えておりません。
○小林(恒)委員 過去の閣議の決定とはいえ、それなりに紛争解決をしていかなくてはいけないという段階で議論を進めてきた事柄、これは五十年のスト権ストのさなかにあえて閣議を開き、どういう取り扱いをするかという議論を進めながら一定の方向を決めたものなわけであります。一つは、「法を守ることは、民主主義の国家の根幹をなすものであり、本問題の解決には、このことを確認することが必須の前提となる。」これは、いわゆる三公社五現業の労働基本権問題についてずいぶんきめ細かく議論をされた結果、五項目にわたる閣議決定がなされたわけです。 その中では、紛争というものに対する考え方が、政府側の見解が明示をされているわけです。さらに、この基本権問題を議論する過程でどういうことが議論をされてきたかといえば、たとえば五十年段階で国鉄はもうすでに赤字経営下にあったとしても、紛争解決、特に賃金問題等で紛争が発生をした場合の解決の方法というのは、公労委というものを通じて十二分にできるのだということが明示をされているわけですね。だとすれば、今日段階で大変膨大な経営赤字があることについては承知をしつつも、この問題の解決の仕方と経営上の問題点の解決の仕方と三公社五現業の法に基づいて提示をされた仲裁裁定の取り扱いの問題ということになると、そんなにむずかしく考える必要はないのではないだろうかという気がするのです。したがって、これから関係閣僚協が開かれるようですから、関係閣僚協に臨む大臣の考え方を明らかにしていただいて、ぜひ閣僚協に御出席をいただきたいと思っているんです。
○小坂国務大臣 先ほど申し上げましたように、国鉄がいかに経営的に赤字であっても、この問題については他の公企体と同様な扱いを主張しております。
○小林(恒)委員 先ほどの議論にもう一度戻りますが、再建法に基づいて経営改善計画というものが組み立てられ、五十六年度、五十七年度と経営改善計画が明示をされてまいりました。 そこで、もう一度この議論のぶり返しになるのかと思いますけれども、経営改善計画を国鉄が組み立てる段階で前倒しをしなければならないほど状況を見誤ったのかな、こんな気がしてならないのです。六十年度までかかって逐一経営改善計画を推し進めていきますといういわゆる三十五万人体制を、こんなにも早く推し進めなければならないという理由を、もう少し細かく国鉄の側からお示しをいただきたいと思うのです。
○竹内説明員 経営改善計画は、再建促進特別措置法に基づきまして、六十年度を見通しましていろいろの数値を予測いたしたわけでございます。先ほど鉄監局長からも答弁がありましたように、各種万般にわたりましての数値につきましては、ほぼ予定の計画に従ってこれまで達成をしてまいっております。ただ、貨物収入の問題だけが予定とかなり乖離をいたしてきております。しかし、この経営改善計画の目標としております大きな柱といたしましては、幹線部分におきます収支均衡を達成するということと、地方交通線等も含めましての一般営業損益におきましてできるだけ黒字を出したい、私どもはこれを大きな柱といたしておるわけでございます。 そういう観点からいたしますと、貨物収入の減少に対しましては幹線系収支での均衡を図るという観点からいたしますと、若干のローリングをかける必要があるというふうに考えなければならないと思います。そういうことによりまして、六十年時点の目標を達成したいということでございまして、六十年までには数年間の期間があるわけでございますし、国のいろいろな経済予想も必ずしも当初の予定どおり、すべてが計画どおりまいるとは限らないわけでありますし、したがって経営改善計画につきましても年々の見直しをやり、そのために必要な点につきましては、私どもが運輸大臣からいろいろ改善の命令等の指示を受けることになっておるわけでありますから、したがって、全く固定したものではなくて、必要があれば若干の部分につきましては修正を加えるなりあるいは深度化を図るということは、私どもとしては当然のことであるというふうに考えておるわけでございます。 基本的には、経営改善計画を着実に進めるということが何におきましても当面私どもの最大の使命であり、課題であるというふうに考えております。
○小林(恒)委員 国鉄側にちょっとお尋ねをしておきたいのですが、そういった見地から考えますると、国鉄労使の間には、従来から、機械化、近代化にかかわる事前協議に関する協定というのがございましたね。こういったものとのかかわり合いの中で、たとえば六十年度までの経営改善計画の前倒しという、こういった課題などについてはもうすでに労使間の議論はされておるのですか、ここら辺、ちょっとお聞きをしておきたいと思います。
○三坂説明員 経営改善計画の全容につきましては、関係労働組合に内容を説明いたしまして、個々の労働条件等についてはその都度、双方誠意をもって協議していこうということになっております。具体的には、それぞれの年次の合理化目標等につきましてはいまだ双方のすべての合意は達したわけではなく、それぞれの年度の合理化計画として御説明し、協議をいたしておるわけであります。したがいまして、今年度の五十七年十一月の貨物ダイヤの改善等につきましてはすでに協議を始めておりますし、また、何らかの前倒しがこれ以上必要となるごとに、その事案につきましては、近代化、合理化協約にのっとりまして組合側にそれぞれを説明し、協力を求めていくという従来の方針に変わりはございません。
○小林(恒)委員 いままで議論してきた中身とは若干うらはらの課題になるのでありますけれども、昭和五十年以降、国鉄が行ってきた設備投資の実態について、これはどのようになっているのか、お示しをいただきたいと思います。
○繩田説明員 お答えいたします。 先ほどからお話に出ております経営改善計画では、投資の規模を現状程度に抑制ということで来ておりまして、いま先生のお話の点は、重点的には東北新幹線の早期完成、それから安全確保のための投資、これらを集中的にいたしておりまして、金額で申しますと、ちょっと五十年度は手元に用意しなかったのでございますが、五十一年度で総額七千九百億円でございます。それから五十二年度で八千三百億円、それから五十三年度で九千五百億円、五十四年度で一兆六百億円、五十五年度で一兆六百億円、それから五十六年は一兆七百億円でございます。これは、御承知のとおり新幹線と在来線と両方にそれぞれ分けられるのでございますが、まとめて申し上げますと以上のようなことでございます。
○小林(恒)委員 この設備投資についてだけは、今日まで毎年のように少しずつ設備投資額が上昇してくる、こういう道筋をたどってきているわけですね。まあ、設備投資と経営主体とのかかわりというのはうらはらの問題ですから、国鉄経営を行っていくという上で収支均衡に近づけていくという上では、必ずしも設備投資が多かったからということだけが問題になるかどうかということは多くの議論のあるところだとは思います。ただ問題は、六十年度までの経営改善計画の前倒しをしようという考え方がある中で、今後の設備投資についてどのように考えられているのか、基本的な考え方をお示しいただきたいと思うのです。
○繩田説明員 ただいま申し上げました東北新幹線の大宮から盛岡までは大体工事のめどがついておりますので、あと二千数百億円、大宮から上野まで、さらに東京までで必要と思われますが、これを重点的に完成させていきたい。それから、あとは保安関係でございます。それから合理化のための投資、これらを中心に、六十年度までには最小限のものを、規模を維持していきたい、そういうふうに考えております。
○小林(恒)委員 これは非常にむずかしい課題ですから、また細かな数字をできれば、後ほどで結構ですから、ひとつお示しをいただきたいと思っているのです。五十年から今日までのそれぞれの分野にわたる設備投資の内容とそれから将来展望については、具体的に、後ほどで結構ですから、お示しをいただきたいと思っています。 それから、再建法にもう一度逆戻りをするのでありますけれども、いわゆる第三セクターで経営をするという、こういった項目があったわけです。再建法の二十四条二項で、いわゆるバス転換にする場合あるいは第三セクターで経営する場合の取り扱い方がそれなりに示されましたけれども、また、議論の中でも、キロ当たり三千万程度の交付金をという、こういうお話が出てきたのでありますけれども、キロ当たり三千万という考え方について、実は法の中でも、また政令の中でも、具体的に示されたものはないわけです。ここらについて運輸省としてどのように検討されてきたのか。 また一方、キロ当たり三千万だと仮定をすれば、こういった金額の使途については、特にひもつきになるのかならないのかという問題など、具体的に考え方があれば、この際明らかにしていただきたいと思うのです。
○杉浦政府委員 いま先生御指摘のように、転換交付金といたしましては、予算上一キロメートル当たり三千万円という金額をもとにいたしましてこれを交付するというふうにすでに決めておるところでございます。 これの中身でございますが、法律に書いてはございませんが、私どもの方の予算の折衝の過程におきまして、このように考えたいというおおむね了解をされたものがございます。 第一番目は、定期運賃の差額交付金。これは、バス転換いたしますとどうしてもバスの方が運賃が高くなるということで、通勤定期あるいは通学定期の金額がどうしても高くなります。そういう意味で、利用者への影響をやわらげるということで、通勤定期につきましては一年間、通学定期につきましては、その学校の卒業まで従来の定期運賃との差額を国鉄が交付する、それに対応するお金が定期運賃差額交付金でございます。 それから、第二番目は初期投資交付金でございまして、バスに転換をするにいたしましても、あるいは第三セクターによる鉄道をつくるにいたしましても、これらの事業をスタートさせるための、たとえばバス車両を購入する、あるいは鉄道の車両を購入するというような初期投資がかかる、この初期投資に対応するお金が初期投資交付金ということでございます。 それから三番目といたしましては、転換促進関連事業交付金ということになっておりまして、これは関係地方公共団体に対しまして交付するわけでございますが、転換に関連をいたすものといたしまして、たとえば取りつけの道路を若干整備するとかいうような関連の事業が出てまいります。そうしたことに必要なお金といたしまして、関連事業交付金というようなことを考慮いたしたわけでございます。 それらの使途について条件があるのかということでございますが、必ずしもまだ、こういうものでなければならないというふうな絶対的な条件はございません。いま申し上げましたような範囲内におきまして、大体それに充当をされるだろうということであれば、これは関係地方公共団体の適宜な御判断によりましてこれを使うことができるというふうに考えておるわけでございますが、余りかけ離れた、全く関係のないところにこれをお使いいただくということはこの交付金の趣旨に反しますので、余り関係のないところではちょっと御遠慮願いたいということでございますが、ただいま申し上げました関連ある三項目につきまして交付金をお使いいただくということであれば、問題はなかろうかと思います。
○小林(恒)委員 結局そうしますと、経営主体が国鉄を離れる段階で、第三セクターで経営する場合、あるいはバス転換になった場合、通勤通学定期等についての差額補助、それから初期投資、こういったものを差し引いた金額については、関係をいたします地方自治体に対して交付をするということになりましょうね。そういう考え方ですね。——だとすると、キロ三千万円というのは今日段階で確定した金額だと受けとめてよろしゅうございますか。
○杉浦政府委員 ただいまの三つの項目を合わせまして、その一キロ当たりの三千万円という限界はございますが、三千万円は予算上必ず交付するというふうに大蔵省との間で決めた数字でございます。
○小林(恒)委員 そこでもう一つ、第三セクターの問題ですが、目下のところ三陸縦貫鉄道、三陸における第三セクター経営、こういったことが議論されていますが、そのほかの地域でも第三セクターという課題が模索されているという実態が何カ所かであると思います。第三セクターで鉄道経営をするということについて、運輸大臣が承認をする基準を決めておりますか。
○杉浦政府委員 第三セクターは地方鉄道法に基づく地方鉄道ということになるわけでございまして、再建法の法律と地方鉄道法という両面からする判断基準がございます。ただ、国鉄のかわりの第三セクターによる鉄道営業という問題につきましては、地方鉄道法の従来どおりの免許基準をそのまま適用するということはしゃくし定規にはいたしておりません。かなり弾力的に解釈をいたしております。ただ、始まったはいいけれども経営上どうにも成り立っていかないというような見通しが余り明確でございますと、これは免許するというわけにもまいりません。したがいまして、その辺の見通しにつきましては、普通の場合の民鉄の免許の場合は、当該事業の採算性ということで、将来の輸送需要というものに非常に審査の重点が置かれるわけでございますが、この転換のための第三セクターにつきましては、将来の輸送需要はもちろん考えるわけでございますが、それを含めまして将来の収支について、これは当然ながら地方公共団体が出資をする第三セクターという性格を持っておりますので、この第三セクターを地元の地方公共団体が十分にりっぱなものにしていく、あるいは収支につきましても十分に責任を持って育てていくのだというような見通しがつきますれば、これは経営上将来性ありというふうに認定をいたしていきたいと考えておるわけでございます。必ずしも輸送需要がどのくらいなければならないというような、がっちりした基準を設けてやってはおりません。その路線に弾力的な対応をいたしまして、一般的な将来見通しというような判断をそこに持ちましてこれを認めていきたいと考えておるところでございます。
○小林(恒)委員 弾力的なということで、決定的にこうした第三セクターへの移行の基準というものがないということなのでありますけれども、これはそれぞれに認可という課題をクリアしなければいけないわけですから、その段階でやればよい、こういうことになるのかと思うのです。 ただ、再建法の中で、バス転換ないしは第三セクターということは明確になっているわけですね。国鉄本体そのものが公共事業として今日まで経営をされてきたという歴史的経過からすれば、地域にそういった定着度というのがあるわけです。そういったものがどの程度加味されるのかという問題については、いつまでも不明確なままで放置するというのは後に問題を残すのではないだろうか、こういう気がしてならないのです。ここら辺で特に考え方をお持ちなのかどうなのか。公共企業体日本国有鉄道というものが第三セクターに移行する、採算というものについては認可をする段階でもって確認をすればよいのだぞ、こういった実にしゃくし定規な考え方だけではなしに、検討されるべき必要な部分があるのだという考え方を持つのですけれども、ここら辺はいかがですか。
○杉浦政府委員 従来の国鉄としての鉄道に対する地元の方の非常な愛着心といいますか、これを存置してほしいというお気持ちがある、そういった路線をバスにするあるいは地方鉄道にするということでございますが、従来からの経緯というものにつきましては、特定地方交通線対策協議会という場におきまして十分に議論が展開をされるものと期待をしております。どれがその当該地方にとりまして最も望ましいと考える輸送機関であるかという判断は、協議会の場におきまして、関係の皆様方みんなそろっておる場でございますから、十分に検討が可能であると思うわけでございまして、この場合に、先ほど申し上げましたように、第三セクターでやる場合にこういうものでなければだめですよというような余り明確な、しゃくし定規な基準をつけますと、かえって対策協議会におきましてスムーズな議論ができないのではないかという別な問題もございます。そういった点、従来鉄道で、国鉄でやっておったものを別な形に変えるということにつきましては、十分に地元の方の御要望に沿った形で運用をしていきたい、またその御要望は対策協議会で十分に展開されるであろうというふうに私どもは期待をしておるところでございます。
○小林(恒)委員 第三セクターにかかわる具体的な質問になるのですけれども、ちょっと古くなりますが、四月十四日付の北海道新聞に「美幸線全面開通は第三セクターで」こういう非常に大きな見出しで、いわゆるAB線として工事が進められてきた過去の経緯を踏まえながら、全国有数の赤字ローカル線ではあるけれども、全通をさせてという、そのためには第三セクターで何とか経営主体を確立したい、こんな考え方のもとに、北海道知事の参画をも含めて関係市町村が検討会を設置したという経緯がございます。このことについて御承知なのかどうなのかということが一つ。 もう一つは、具体的に今日までの経営状態、地域の実態というものについては、運輸省はもうすでに再建法を進めるあるいは四十線区を選定するに当たって調査が完了されているわけですから、一定の将来展望というものはすでにつかまれているのだと思っているのです。だとすれば、この美幸線の第三セクターという課題が俎上に上ってきた場合の運輸省の側としての見解はどのような御判断をお持ちなのか、見解を求めたいと思うのです。
○杉浦政府委員 そういうような地元の御検討がなされておるということは承知をいたしております。先ほども申し上げましたように、輸送需要の限界はどうかというような基準を設けて対応しておるわけではございません。 〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕 美幸線は輸送需要がかなり少ないということは事実でございまして、そこを地元の方がどうしても鉄道として自分らでやっていきたいということでございますれば、私どもといたしまして、もちろん将来展望ということにつきまして十分地元の方の御意見を伺わなければいけませんけれども、できるだけそうした御要望に十分おこたえをするように私ども対応をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
○小林(恒)委員 地元の要望に十分こたえていかれるように対応したいという、これはちょっと抽象的なんでございますけれども、具体的に美幸線というものが明らかにされているわけですよ。だとすると、要望に十分対応していかれるような準備は、運輸省の側ではお持ちだと判断してよろしゅうございますか。
○杉浦政府委員 これは、具体的に当該路線を実行いたす場合におきましては、美幸線はすでにでき上がった路線と今後建設する路線というものと両方合わせました形での将来展望というものが一応はございますけれども、その段階でもう一回、将来展望を計算する必要がございます。あるいはまた、そうした輸送需要に対応いたしまして収支はどうか、経営はどうなっていくかということは、やはり考えていく必要がございます。 美幸線に関して言えば、収支はそのままの形では採算上は非常に悪いであろうというふうな予想がされる路線でございますけれども、そうした悪い路線であっても、地元の方がこれを何とか守っていきたい。たとえば端的に言いまして、そうした欠損についてお国が補助をいたすわけでございますが、その補助の足らざるところを地元が助成をする、そういったことも考えながら、あくまで第三セクターでやりたいんだというようなことが明瞭に私ども判断できる場合におきましては、これは将来ともに鉄道でやっていけるんだという確認ができるだろうと思います。ただ、いずれにいたしましても、これは具体的にそうした問題を取り上げて検討をし、また地元の方々の具体的な対応というものをお伺いいたしませんとなかなか、右か左かというふうにいま判断をすることはちょっとむずかしいと思います。具体的な御検討の後に私ども一緒になって検討さしていただきたい、このように考えておるところでございます。
○小林(恒)委員 次に、大臣がおられないのでありますけれども、国鉄の監督機関としての運輸省として、今日、臨調の第四部会でもって進められている国鉄問題の議論過程、こういったものについてどういう議論がなされ、どういう御見解をお持ちなのか、お示しをいただきたいと思うのです。
○杉浦政府委員 ただいま臨時行政調査会におきまして、国鉄のあり方につきまして各般の御議論をし、なお第四部会におきましてはいよいよ大詰めの部会としての結論になるやに聞いておるところでございます。私どもといたしましては、すでにつくりました経営改善計画、これを完全に実施するということで、現実の問題はもうそれに全力投球するということではございますが、一方、こうした臨調あるいは臨調でないよその場におきましても、いろんな意味で国鉄についての御意見、御批判、改善の方向というような、いろんな御議論がなされておるということも承知をいたしておるわけでございまして、そういう意味におきまして国鉄問題はきわめて重大な問題であるということは十分承知をいたしておりますし、また各方面におきまして御議論が展開されることも、これもまた非常にありがたいことである。私ども、今後のあり方として十分にそうした御意見に耳を傾ける必要があるというふうに考えておるわけでございます。 ただ、具体的に臨時行政調査会におきましていろんな議論がなされる過程におきまして、私どもは臨時行政調査会に、国鉄の現状なり将来展望なり改革案等につきましての参考資料、あるいは現状の認識の実態といいますか、そういったようなものにつきましては、十分にいままで御説明をしてきたつもりでございます。ただ、臨時行政調査会の結論、これは大分将来展望がなされてはきつつございますが、まだはっきりした結論が出ておりません。したがいまして、新聞等で報道されるそうした内容に対する意見というものは、そうした臨調の正式な答申を待ちまして、それに対して法律上尊重義務もございますが、十分に検討をし、御趣旨に沿って対応をしていきたいというふうに考えておるところでございます。 ただ、いずれにいたしましても、国鉄の問題を議論する場合に避けて通れない問題は幾つかございます。たとえば、いわゆる構造的な問題としての年金問題、あるいは累積されて非常に膨大な数になっております長期債務をどうしたらいいかというような問題、こうした問題は、どのような今後の改革意見の場合におきましても避けて通れない問題でございます。そうした点についての運輸省は運輸省なりの意見というものも検討をしつつ、また臨調の御検討の様子も拝見をしながらお答えをお待ちしているという状況でございます。
○小林(恒)委員 すでに新聞などが報道をするところによると、第二臨調が基本的に掲げた行政改革、財政再建、こういった名のもとに国鉄そのものの民営あるいは分割、こういった議論がいろんな角度から検討されていることだけは紛れもない事実なわけですね。単に、今日まで百余年にわたる国鉄の歴史があるから、そこにかじりついていればよいと私は思いません。しかしながら、二万二千キロにも及ぶ営業キロを持って今日まで営々と経営を進めてきたというこの定着度、それからもう一つは公共性という課題。運賃料金が高いとか安いとかいう議論そのものがそれぞれの地域でできるのは、やはり全国一律制の運賃制を持っている国鉄を基準にして、安い高いという議論ができるのだと私は考えておるのです。 だとすれば、民営・分割という問題などが仮に具体化をした場合、実際に全国の二万二千キロの営業線区をそれぞれに、どういう形になるのかわかりませんけれども、民営・分割の可能性があるとお考えなのか、もしできるとすればどういう形のものが想定をされるのか、検討されているものがあればお示しをいただきたいと思うのです。
○杉浦政府委員 まだ臨調の御結論が得られないうちから、伝えられるような民営論についての御意見を申し上げるということは差し控えたいと思います。 ただ、これは私自身の感じでございますが、地域を区分いたしまして経営をするという仮定に立った場合におきまして、地域によりましてはかなり赤字が残ってしまう、そうした赤字をどうしたらいいかという問題は、これは避けて通れません。単に分割をすればそれで済むんだということではなしに、もちろんまた所期の目標といたしまして、そうした分割の結果として経営上企業精神が発揮されるということを当然期待をするわけでございますが、そうした企業のいわば限界を超えるような場面もあるのではないか。その場合に、政府なり地方というものが、そうした企業を逆に育てていかなければならないというようなことも起こる可能性がございます。十分あると思います。そうした点も将来展望として、仮にそうした御答申をいただいた場合のわれわれの対応といたしましては、十分検討をし、対応をしていかなければならないというふうに思うわけでございます。
○小林(恒)委員 大変むずかしい課題が、民営・分割という問題を考えた場合出てくるかと思いますが、すでに第二臨調の議論と並行してそれぞれの政党、自由民主党も再建案を模索いたしておりますし、また私ども社会党としてもすでに再建のための中間答申をしているわけです。加えて、国鉄そのものがどう対応するのかということも模索をされたものが過般新聞に発表されております。運輸省案といいますか、小坂運輸大臣私案といいますか、そういったものも出てきているわけですけれども、こういったそれぞれの試案のトータルなものを一定の時期に取りまとめをしていく必要があるのだと考えるわけです。 当面政府として、再建というのはもちろん再建法にプラスアルファをして、再建のための施策を具体化するという意味で出されたのかと思いますけれども、運輸省試案の基本となるものについてはこれこれですぞというものがあるのかと思います。どうしても譲れない部分、問題点として、公共企業体として存続をさせていかなければならないものは何々だと考えているのか、明らかにしていただきたいと思う。
○杉浦政府委員 いま、抜本的な改革というような形で臨時行政調査会で鋭意検討中でございます。したがいまして、私どもは、そうした臨調のお仕事に十分御協力をしながら結論をお待ちしておるわけでございますので、その過程におきまして、こういう点はむずかしいんだというようなことを端的に申し上げることは差し控えなければならない、十分に臨調で御検討いただきたい、こう考えておるところでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、国鉄という従来の姿を企業的なサイドから見まして、何とか収支というものをよくするという基本線はだれしも一致できるところかと思いますが、依然としてやはり公共的な部分もかなりあるというふうにも思いますので、そうした点については、臨調の答申を得た後に、そうした部分をどのように対応していったらいいか、これは私ども十分に検討をしなければならないというふうに考えておるところでございます。
○小林(恒)委員 いずれにいたしましても、臨調待ちというような印象が非常に強いわけですけれども、単に臨調待ちだけではなしに、今日まで取り仕切ってきた責任というものも運輸省あるいは国鉄の側にはあるわけです。そういった意味では、公共企業体としての経営主体はどうあるべきかというものは、臨調が答申をする、しないにかかわらず、明確にする必要があるものだというぐあいに私は考えているのです。ここら辺が出てこないというのはきわめて不満でありますけれども、できるだけ早い時期に独自案といいますか、再建をしていく方向というものを示すべきではないのか、このように考えます。そういった見地からすると、それぞれの各政党やあるいは臨調の議論過程や、あるいは運輸省試案等を踏まえて国鉄の側ではどのように考えているのか、国鉄の側の見解も最後にひとつ承っておきたいと思います。
○竹内説明員 近く臨調の中間答申が出されるというふうに聞いておりますし、また新聞紙上等で、国鉄の経営形態を初めといたしましていろいろな御意見が寄せられているということにつきまして、これはやはりそれだけ国鉄問題というのは大変な国民的な一つの課題であるということと私ども受けとめておりますし、その意味で私どもも、国鉄としてはしっかりやっていかなければならないというふうに思っております。 臨調の中間答申もまだ出てございませんですけれども、私どもといたしましては、当面何をおきましてもやはりやるべきことというのは、経営改善計画の線に沿って国鉄としての自主努力を進めていくことであるというふうに確信をいたしております。これも、先般来当委員会におきまして御審議いただきました法律に基づいていたしておるわけでございまして、この線を崩すことは私ども考えてございません。いろいろな御意見というのはあるわけでございますけれども、私どもといたしましては、やはりいま申し上げました経営改善計画の線に沿いまして当面やらなければならないことが山積をいたしてございます。これらの緊急の課題を処理していくということが何よりも大切でありまして、いま私どもが経営形態の問題につきまして云々ということは、この時点ではむしろ触れるべきではないというふうに考えております。そういう基本線に沿ってまいりたいというふうに思っています。
○小林(恒)委員 議論が伯仲をしているから触れたくないという気持ちはわからないわけではありませんけれども、こういう時期だからこそ、国鉄も運輸省鉄監局も、むしろ積極的に提言をしていくというこういった姿勢を内外に明らかにしないと、利用している者は、一体国鉄の将来はどうなっていくのだろうかということがわかりやしないわけです。さらに、四十万を超える国鉄労働者そのものも、一体どうなっていくのだろうかという労働不安におびえていくという、こういう結果になるわけです。それぞれ責任ある分野の皆さん方が言を濁してしまって明らかにできないというところに、国鉄の再建問題というものを議論するむずかしさが非常に多く存在をするのではないかという、こういう気がしてなりません。改めて要望しておきますけれども、そういった意味では、可能な限り早い時期に、どういう形の国鉄というものを再建していくのかという考え方について十分コンクリートをさせて国民に知らしめていくという、こういった姿勢を持っていただきたいことを要望しておきたいと思っています。 次に、日航製の問題について幾つか質問をしておきたいと思うのですが、昭和五十六年十二月二十八日の閣議了解として、日航製の今後の取り扱い方について一定の方向が出されました。以降、当委員会の中でも議論がありましたし、また商工委員会の中でも、日航製の取り扱い、国際的に与える影響、こういったことなどを勘案した議論がなされてきているわけですけれども、最近における日航製の取り扱いにかかわる作業はどのように進められてきているのか、明らかにしてほしいと思います。
○坂本説明員 最近の経緯について申し上げますと、御指摘のように昨年末の閣議了解に基づきまして、五十七年度中に日航製の業務を民間に移管いたしましてその結果を見て解散を行うという基本方針に基づきまして、現在、一つは業務の引き継ぎの問題ということで、その技術的な性格あるいは御指摘のような内外のエアラインに対する信用の問題といった角度から、このYS11の設計と生産に携わりました航空機メーカー、特に三菱重工業を中心に、この業務を民間移管いたしました場合の実行体制について日航製と三社との間で話し合いを続けてきておりまして、大体においてその問題点は整理されたかという状況にございます。 もう一つは経理処理の問題でございまして、これにつきましては、設備、資産、債権債務、そういったものの確定とその評価ということで、日航製におきまして経理の専門家その他第三者にこれらについて評価をしてもらっておりまして、これも大体一つの見通しが得られつつございます。 第三の問題は日航製職員の再就職の問題でございまして、この点につきましては、かねて私どもといたしまして、日航製においてその再就職先の確保に最大限の努力をされ、われわれとしても審議会の答申にございますように、それに対して全面的な支援を行うということでやっておりまして、私ども、労働組合の皆さんからもその航空機に関する知識、経験、ノーハウを活用しろということを強く昨年、また今日まで通じて御指摘を受けておりまして、したがいまして、せっかくそこに蓄積された航空機に関する技術と知識は、できる限り今後ともわが国の航空機の発展のために生かしていただきたいということを前提にいたしまして、航空機機体メーカー三社にそのあっせんをすべく努力をしております。原則として、三社としてはこれを受け入れてくれるものというふうに通産省として期待をいたしております。 なお、しかしながら、職員の中には、もちろんいろいろ個々の希望がございますでしょうから、先ほど申し上げました、組合の方々から常々御指摘を受けております航空機に関する知識、経験、ノーハウを生かすというほかに、たとえば他の特殊法人への再就職の道はないものかどうか、あるいは財団法人その他も含めて再就職につき鋭意努力をいたしておるという状況にございます。
○小林(恒)委員 日航製そのものが、現在もそれぞれの国を含めて、国内はもとよりでありますが、百六十機以上が就航しているという実情の中で、当然製造責任というのが後に残っていくのだと思うのです。この製造責任について、航空三社に業務を移管するというお話ですけれども、どのような形でもって移管をされていこうとしているのか、考え方を聞きたいと思うのです。
○坂本説明員 移管に当たりまして基本的に重要な問題は、YS11の安全運航を今後とも確保する、少なくとも現在行われておりますプロダクトサポートの水準を下回ることのないように円滑に民間企業に移管するということでございます。 いわば製造者の責任という問題は、二つに分かれようかと思います。一つは、デーリーな仕事といたしまして、たとえば補用品の供給を円滑に行うとか、あるいは技術支援サービスと呼んでおりますが、ユーザーの方々の日々日常の運航に支障を来さないように技術的なサポートをするとかいったデーリーな業務が一つ。もう一つは、先生御指摘のことかと存じますが、製造業者責任、たとえばこのYS11を使用して大事故が発生した、かつ、その事故の原因が単なるエアラインの運航の問題を越えて、この航空機の設計及び製造上の瑕疵に基づくものであることが明らかになった場合、それに対する事故の補償の問題をどうするか、二つの性格に分かれます。 最初の問題につきましては、かねてこの問題を検討していただいておりました航空機・機械工業審議会の航空工業部会におきまして、運輸省の御当局から、移管に当たって安全運航の確保がきわめて重要であるということと、それにつき大きな柱としては四つほどの問題点を御指摘を受けておりまして、先ほど申し上げました日航製から民間企業に移管いたします場合にも、その体制をどう組み、かつ、エアラインに対してどういうサービスをするかということについて、もう少し中身がはっきりいたしましたところで運輸省御当局の御指摘あるいは御指導を仰いで安全運航に万全を期したい、かように考えております。 それから、第二の問題につきましては、仮に将来、仮定の問題として不幸にして大事故が発生した場合に、これに対してどう対処するかということでございますが、今後は、契約上の責任はこの業務を引き受けました民間会社に移ります。したがいまして、仮に訴訟その他の問題がございました場合には、これを引き受けました会社がこれに当たる必要があるということでございます。したがいまして、責任はこの会社に移ります。しかしながら、現在のいわゆるプロダクトライアビリティーと呼んでおります航空機事故に対する訴訟の問題では、単にプロダクトサポートの供給者のみならず、その設計ないし製造に参加した他の企業も被告適格になるというのが世界の実情のようでございますので、端的に申しますと、この製造に参画いたしました三菱重工業、川崎重工業、富士重工業というのが、それぞれの設計、製造の分担に応じて責任を有するものというふうに考えております。 なお、国といたしましても、これらの問題が発生いたしました場合に、形式的にはともかく、実質的にはこのYS11を製造するに当たって責任を有しておるわけでございますので、将来そういう問題が起きました場合にも、国としてもその問題に支援をする必要があるだろうと考えておりまして、そういうプロダクトライアビリティーに対するバックアップ体制を確実なものにすることによって内外のエアラインに対する信用を維持してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○小林(恒)委員 航空機そのものが世界でまだ百六十機も飛んでいるのに会社がなくなってしまったという例は、私の調べた範囲内では世界にその例を見ないわけですね。合併をしたという例はありますよ。 そこで、残された仕事等についてはいわゆる航空三社、三菱、富士、川崎にそれぞれ仕事を分担していただく、さらに政府としてはバックアップ体制を全面的につくり上げていきたい、こういうことなんですけれども、具体的に万一事故が発生をした場合、あるいはサポートを必要とすることが生じた場合に、どういった形でもってバックアップ体制を確立しようとしているのか、その手法について明らかにしてほしいと思うのです。
○坂本説明員 その方式につきましては、幾つかの考え方がまだございます。一つの考え方は、航空機に対する保険に入るというのが一つの考え方でございます。もう一つの考え方は、とりあえず保険に入ることなく、事故が現実に発生いたしました場合に関係者がそれに対する協議を行うことによりまして、現実の金銭的な面における処理を行うということがございます。 現実にどうするかということについては、通常は航空機の事故が発生いたしました場合には、第一次的には、先ほど申しましたように、オペレーターと申しますか運航者、航空会社の責任でございます。大部分の問題がそれによって処理をされる。その原因が第二次的にメーカーの設計、製造上の瑕疵ということになった場合の問題でございます。もちろん、そういうものに備えておく必要があるのでございますけれども、それは通常は訴訟の問題になりますので、引き受けました会社及びその分担をいたしました会社が訴訟に当たるということでございます。そうして最終的に結論が出ました場合に、それに対して、たとえば損害賠償を支払うケースが生ずるわけでございますけれども、それに対しては、まずこれに関係いたしました三社が当たるということでございます。その場合に、その金額の多寡、負担力、そういった点を考えて、国としてそれに対して補助をすべきかどうかというのは、その段階で考えるというふうに考えておりますので、第一次的にはメーカーの責任において訴訟及び損害賠償に当たるという形が現実的な方策として考え得るのではないか、かように考えております。
○小林(恒)委員 いま、保険に入るというお話がありましたけれども、航空三社、これはどういう形で保険に入るのですか。機体のそれぞれの個所の引き受け方というのは別々なわけでしょう。仮に事故が発生したということを想定した場合、どこが原因かということなども含めて、三社とも責任を均等に持たなくてはいけないものなのかどうなのか。あるいは、そうでないとすれば、保険の掛け方も変わってくるのではないかという気がするのですけれども、こういった問題について……。
○坂本説明員 保険というのは一つの考え方として申し上げたのでございますが、一つの理論的なケースとしてお考えいただきたいのですが、仮に保険を掛けます場合には、当然のことながら、今後内外のエアラインに対して責任を持ちますのは、この日航製の業務を引き継ぎました一社でございまして、この一社が責任を対外的に持つわけでございます。あとは、さっき申し上げましたのはそれの求償の問題でございます。たとえば、仮に一つのケースとして、三菱重工がこれを引き受けたといたしますが、これは、その行われますプロダクトサポートに対して、当然のことながらあらゆる問題について責任を持つということでございます。しかしながら、現実に三菱重工がそれをすべてしょい得るかどうかというのは、先ほど申しましたように、たとえば尾翼を富士重工がつくっておった、そしてその富士重工の設計、製造上の瑕疵に基づいて事故が起こったということになりますと、今度は三菱重工と富士重工の間で求償の問題が生じてくるわけでございます。それは、現在の日本航空機製造のプロダクトサポートの供給形態及び製造業者責任が発生いたしました場合の処理の形式と全く同様でございまして、対外的には、第一次的にプロダクトサポートを供給する会社が責任を持つということでございます。これは現在の形式と何ら変わりはない。ただし、先ほど申しましたように、原告が必ず三菱を、たとえばのケースで三菱重工を被告として訴訟してくるとは限らないケースがございます。その場合には、その訴えられた会社が訴訟において責任を持ち、あとはそれぞれの間に求償の問題が生ずるという第二次的な問題として処理が可能であるというふうに考えております。
○小林(恒)委員 ちょっと不明確ですからはっきりさせていただきたいのですけれども、窓口というお答えがありましたね。窓口というのは一体どういう意味を持つのですか。 それから、その後に、いわゆる責任の所在という問題が個々にもあると言う。それでは窓口というのは必要がないのではないか、こういう気もするのですけれども、一つは窓口を明確にしていただくことと、それから個々の責任の範疇というのはどこにあるのかということを明確にしてほしいと思います。
○坂本説明員 ちょっと私の説明が不明確であったのかもしれませんが、責任はプロダクトサポートの供給契約によってエアラインとの間で生ずるわけでございます。したがいまして、当然のことながら、契約の当事者が責任を持つということでございます。したがいまして、もし仮に内外のエアラインで事故が発生した場合に、それに対して責任を持つのは契約の当事者であるこの業務の引き受け会社でございまして、それが窓口というか、むしろ法形式的には責任者でございます。したがいまして、責任の所在はそこで明確にされる。ただし、あと金銭的な問題につきまして、第二次的にどこがどういう形で負担をするかという問題が、求償の問題として話し合われるであろう、こういうふうに申し上げたわけでございまして、対外的には、あらゆる問題について、現在、日本航空機製造が第一次的に負っておると同じような責任をこの業務の引き受け会社が負うということでございます。
○小林(恒)委員 どうもわからないんですね。たとえば主翼の設計ミスでYS11が落ちた場合、主翼を担当した川崎重工の責任なのか、あるいはプロサポを引き受けた会社になるのか、この日航製の計画図によって製造図をかいたので、日航製の責任だ、と。責任の所在はどこかに行ってしまったのではないのかな、こういう気がするんですよ。ここはどうなんですか。
○坂本説明員 仮に川崎重工が主翼を設計し、今後三菱重工がプロダクトサポートを引き受けたという場合には、当然のことながら、第一次的にユーザーに対して責任を負うのは三菱重工でございます。しかしながら、実際の訴訟能力あるいは実質的な責任の所在ということになりますと、それは川崎重工に最終的には帰着するものでございますから、最終的には、たとえばその事故によって十億円なら十億円の損害賠償を払うというのは、三菱重工が訴訟において被告になっております場合にはまず払って、ただし、その三菱重工が川崎重工に十億円を請求して、求償をして最終的に決着をつけるという形になる。仮に、現在の状況でも日本航空機製造が訴訟に当たりまして、たとえば、何億かの損害賠償金を払う。しかし、それが三菱重工ないし川崎重工の設計した瑕疵に基づくものである場合には、当然のことながら日本航空機製造が川崎重工に求償をするという形になるわけでございまして、その点は、現在も将来も形式的な法的責任の問題と実質的な損害賠償負担の問題とが、いまと同じような形で引き継がれるということになろうかと思います。
○小林(恒)委員 現在も将来もと言ったって、現在と将来は若干変わるんですよ、間違いなく。間違いなく変わるのだから、現在も将来も国際的には変わりはないなんというような言い方が果たして通用するのかどうなのかというのは、私は疑問ですよ。 国も協力をする、こういう言い方ですが、たとえば高額な賠償金請求という事柄などに備えて保険を掛けるという問題がありましたね。伝えられるところによると、この保険金だって年間一億五千万円とも言われているわけですよ。こういった高額な保険金などについて、特に政府として何か考えていることがあるのですか。これは会社が引き受けるのだから会社が掛ければいい、こういう考え方なのですか、ここははっきりさせてください。
○坂本説明員 先ほど来申し上げておりますように、保険を掛けるということに決定をしているわけではございませんが、金銭賠償のやり方につきましては、御指摘のように保険料は必ずしも安くないというところがございます。したがいまして、国全体として最も危険に備えながら、しかし低いコストで処理できる方法はないものかということが、現在の、三社と私どもが話をしておる状況でございますが、仮に保険を掛けます場合には、たとえばのケースとして三菱重工が引き受けました場合には、三菱重工が保険に入る。しかしながら、それぞれの分担に応じて三菱重工に、川崎なり富士なりがその責任の割合に応じて幾らか分担をする、また国としてもこれに対する実質的な責任を果たすために、もし必要があればそこに対して助成をするという形式が一つの形式として考え得るのではないかというふうに思います。しかし、それは現在、保険をとるかどうかという点については決めておりません。
○小林(恒)委員 日航製というのは国策会社で、YS11を生産してきたわけですね。日航製の今日やられている仕事が航空三社に移管をされていくというこういった事柄が出てきて、万一事故等が発生をした場合の基準が定められていない、こういうことになりますると、逆に国を相手取って訴訟が起こるということだってあり得るんじゃないですか。基準も決めないでそういった航空三社への対応というのは政府はやっていかれるのですか。どう御答弁を聞いても、ここら辺は明確なものがないと思うのですけれども、いかがですか。
○坂本説明員 基準と申されると、どういうことでございますか。賠償をする基準……
○小林(恒)委員 ちゃんと聞いてなければだめなんだよ。 民間に移管をします、こういうことは明確になっているのですね。民間に移管をし、民間そのものが窓口もつくり、必要によっては保険も掛けるかもしれない、それぞれ三社の中でもって対応していくのですよということを答えられているわけでしょう。一方では、民間に移管したものを政府が今度逆に支援体制をつくっていきたい、何も基準なしに何を支援するのですか、そういったことは全く不明確ではありませんかというのが一つ。 それからもう一つは、三社の間で何の基準もなしに、発生した事故との対応を余儀なくされるとすれば、問題が起こることは明々白々たるものがあるのですよ。基準はなぜ示されないのですかということを伺っているのです。
○坂本説明員 基準ということでございますけれども、現在の航空機のビジネスにおける技術支援体制というのは、それぞれのエアラインとの契約に基づいてすべて決まっております。 〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、基準とおっしゃる点につきまして、あるいは契約上の責任というふうに置きかえてもよろしいかと思うのでございますが、エアラインに対して、これこれこの範囲についてはメーカーとして責任を負いますということは、契約によって非常にはっきりしておるわけでございます。第一次的に負った契約上の責任を、これに関係いたしましたところが第二段階の問題としてどう分掌するかという問題であり、また、もしそれらが航空機メーカーの民間企業としての負担力その他から見てむずかしい、一社だけで負い切れない、あるいは三社合わせても負い切れないといったような場合には、国としてそれに対する支援をする、金銭的に助成をすることあるべしということを申し上げておるわけでございます。
○小林(恒)委員 しっかり答弁してもらわなければ困るのだけれども……。いいですか、何を政府が支援するのですか、民間に移管したものを。
○坂本説明員 損害賠償が現実に発生した場合に、それの支払いに対する補助を行うことがあるということでございます。
○小林(恒)委員 大体、何のために、どのような形でもって、どれだけの支援をする体制をつくるのかという基準は何もないわけだね。ないと受けとめていいわけですね。
○坂本説明員 基準と先ほどからおっしゃるのでございますが、それぞれの損害賠償が発生してまいりますケースに応じて個々に判断をしてまいるということになろうかと思います。
○小林(恒)委員 移管後の安全性の問題ですけれども、安全性ということを基本にとらえていった場合の移管後の基準というものがあるのかどうなのか。たとえば日航製単独でプロジェクトを組んだ場合四十名程度必要だということは、以前の委員会の中でも明確にされていますね。移管後もそれだけの要員を必要とすると判断をされているのかどうなのかということについて明らかにしてほしいと思います。
○坂本説明員 現在、日本航空機製造におきましては、御指摘のように直接的にこの業務に携わっておる職員は約四十名でございます。あと総務、経理関係、そういう間接的な部門が約二十名という体制でやっております。仮にこの事業を民間会社に移管いたしました場合に直接的に必要とする人員は、受け入れ会社においてこれをどういうふうに評価するかということで、現在三菱重工その他で検討してもらっているところでございますけれども、恐らくは、最終的な数字は申し上げる段階ではございませんけれども、たとえば二十名から三十名は少なくとも必要とする、また四十名、現在携わっておられる方々に事業と同時に移管をしていただければ、よりスムーズにこれの移管を行うことができる、こういうふうに考えております。
○小林(恒)委員 これも余りはっきりしませんね。もうすでに三菱の側では組織案がある、こう言われているわけですよ。言う段階でないというお話ですし、言いたくないのなら別に聞かなくてもいいですけれども、移管後の安全性というものがどうなっていくのかというのは、きわめて重要な課題なんです。安全性を確保していくために、通産省としてはあるいは運輸省としてはどういう監督をこれからしていこうとしておるのか、ここも不明ですね。ここら辺、明らかになればしてほしいのです。 もう一つ、先ほどの質問ですよ。どの法律を基準にして、万一事故が起こった場合に政府は補助することがあるという言い方をされているのか、ここも明確にしてください。
○坂本説明員 安全性の確保につきましては、当初に申し上げましたが、現在三菱重工を中心に議論をしていただいております。その状態を、こういう形で引き受けるという案を早急につくりまして運輸省御当局の御審査を受けたい、またそのアドバイスも受けたいということでございます。 また、先ほどの補助の点でございますけれども、これは、もし行うとすれば予算補助ということになろうかと思います。
○小林(恒)委員 最後に、これだけはっきりしてほしいのですが、いつの時期に、どのような形でプロダクトサポートを移管していくか、示されるのだったら時期を含めてはっきりしてほしいし、暗中模索だというのであれば、おおよそいつぐらいまでに、どのような形でというものを示してほしいと思うのです。
○坂本説明員 タイムスケジュールにつきましては、現在の時点で、その引き受け業務の移行状況というものをなお最終的に確定した上で確定しなければならないとは考えておりますが、この問題と密接に関連をしております民間輸送機開発協会というのがございまして、そこに多数の日航製職員が出向しておるのでございますけれども、そこにおきます現在のYXの開発業務が七月末に終了いたします。そういたしますと、端的に申しますと、ここに出向しております日航製の職員は原会社に復帰をしてもらう必要があるという事態が発生をいたします。したがいまして、少なくともそのころを一つの目標として全体の問題を解決していく必要があるのではないか、かように考えております。 なお、形式的な手続といたしましては、航空機工業振興法に基づいて行われることになろうかと思います。一つは、業務の移管につきましては重要財産の譲渡ということになりますので、これは日航製と引受会社との契約が調いました場合に、それを通産大臣が申請を受けまして、適切であれば通産省として認可を行うという形でございます。 なお、解散につきましては、通常の商法上の手続に従いまして株主総会において解散の決議が行われますが、航空機工業振興法上、その決議は通産大臣の認可を受けなければ効力を発しないということになっておりますので、その解散の決議につき通産大臣として認可を行うということで手続を完了いたしたい、かように考えております。
○小林(恒)委員 終わります。
○越智委員長 小渕正義君。
○小渕(正)委員 まず、海上保安庁にお尋ねいたしますが、長崎県の特に対馬周辺、五島灘を中心にいたしまして、韓国漁船の侵犯問題が毎年発生しておるわけであります。特にここ二、三年来は、韓国漁船の大型化に伴いまして集団的に、定められた専管区域より領海の方に入ってきまして、侵犯しながら漁業を行っておるわけでありまして、そのために長崎県の沿岸漁民、特に零細沿岸漁民が非常に大きな被害を受けておるわけであります。したがいまして、被害を受けると同時に、漁場が底びきによって徹底的に荒らされていく、こういうふうな状況にあるわけでありますが、昨年から本年にかけて、特にここ二カ年間ぐらいのそういった大型化に伴っての韓国漁船の侵犯に対して、海上保安庁としてはどのような取り締まりを行い、現在までにどのような処置が行われてきたか、その状況をひとつお知らせいただきたい、かように思います。
○森説明員 お答えいたします。 日韓漁業協定に基づきまして、対馬周辺海域につきましてはわが国の漁業専管水域が設定されており、韓国漁船の操業は禁止されておるわけでございます。 韓国漁船の不法操業の状況でございますけれども、韓国から比較的地理的に近く、また大変に好漁場であるということで対馬周辺にかなり多い。また、九州の北側あるいは西側の海域についても、従来からかなりの規模で操業が行われておるわけでございます。また先生、先ほど御指摘のように、最近では、昨年から特にでございますが、長崎県の野母崎沖合い海域にまで及んできておるわけでございます。 そういったことから、私どもとしましては、虞犯海域に常時巡視船艇を配備し、また航空機を適宜哨戒させるといったことで、海空両面から違反防止に努めております。と同時に、領海内で操業しておるなど大変に悪質な漁船につきましては、検挙をする方針で臨んでおります。特に御指摘の昨年からは野母崎沖合いまで出てきておりますが、これにつきましては、長崎及び佐世保の二つの海上保安部に所属します巡視船を常時一隻その海域に配備し、また福岡に航空基地を持っておりますが、そこに所属いたします航空機を適宜哨戒させまして厳重な警戒に当たっております。また、韓国漁船の出漁状況によりましては、集団的に出漁するといった状況によりましては、他の海上保安部から高速の三十メートル三十ノットの巡視艇を増強配備して監視取り締まりを行っておるという状況でございます。 なお、わが国の底びき操業禁止区域内の操業につきましては、先生も御承知のように、日韓間の協定の合意議事録に基づきまして、注意喚起にとどまるわけでございますが、こういった沖合い底びき網操業禁止区域内での韓国漁船の操業につきましては注意喚起を繰り返し行いまして、即刻退去をさせるというような措置をとりますとともに、その実情につきまして、水産庁及び外務省を通じまして韓国側に通報しておるという状況でございます。 なお、これまでの昨年来の監視取り締まりの措置状況でございますが、領海内につきましては、昨年は確認いたしました延べ隻数が九十二隻でございますが、その中で検挙二十二隻でございます。それから、誓約書をとりまして退去させたもの一隻、警告退去という形をとりましたのが十九隻というふうになっております。また、五十七年につきましては、領海内におきましては百隻を認めまして、これに対して検挙二隻、警告退去が三隻という状況になっております。 また一方、漁業専管水域につきましては、昨年が四百二隻を確認いたしておりますが、これに対して検挙十二隻、それから誓約書をとって退去させたものが百九十一隻、警告退去を行ったものが百九十九隻。五十七年に入りまして——これは、先ほどの領海内もそうでございますが、一月から四月までの数字でございます。専管水域につきましては、二百九十隻を視認いたしております。これに対して十六隻を検挙、誓約書をとって退去させたものが百二十七隻、警告退去させたものが百四十七隻、このような状況になっております。 以上でございます。
○小渕(正)委員 ただいま数字的にそれぞれ明らかにされたわけでありますが、こういうふうに例年、それぞれ取り締まりにかかわらず、常態的にやってくるわけでありまして、そういう意味では、専管区域におきましても五十六年度で四百二隻、今年度でも四月までに二百九十隻、依然として、それぞれの数字的に見ましても繰り返されるわけでありますが、外交ルートを通じて外務省としてはどのようにこれらに対しての処置を行っておるのか。ひとつ外交ルート関係での外務省としてのこれに対する今日までの取り組み状況をお知らせいただきたいと思います。
○小倉説明員 御説明申し上げます。 この問題につきましては、海上保安庁、水産庁とも私ども、常日ごろよく連絡をとっておるつもりでございまして、同時に、日本政府の中のそうしたお話し合いを通じまして、その基礎の上に韓国側にも累次善処方を要請するなどの措置をとっております。 たとえば、昨年夏行われました日韓漁業共同委員会におきましても、こうした問題についての韓国側の善処を強く要望いたしました。また、最近の措置ないし私どもの行為といたしましては、三月十日に在京の韓国大使館に対しまして、特にいま先生御指摘の水域の問題にしぼりまして、五島灘の問題、そういった問題にしぼりまして、特に問題の重要性及び日韓漁業協定合意議事録の遵守につきまして強く申し入れました。また同時に、三月十三日にもソウルにおきまして、日本大使館から韓国水産庁の金水産局長に対しまして、合意議事録の八項の遵守と操業の領海侵犯に対する遺憾の意の表明ということにつきまして申し入れております。 また、水産庁ともよく御相談いたしまして、さらに四月の半ばには、水産庁の関係の方にソウルに行っていただきまして、この問題を中心に韓国側の水産庁当局と会議を持っていただいて、その中で韓国側に対しても要望をしております。もう少し具体的に申し上げますと、たとえば三月末に韓国側に対して、外務省としましても、ただ単に条約の遵守といった抽象的なことだけでございませんで、たとえば韓国の監視船の派遣といったようなことにつきましても具体的に要望しまして、広い意味での、条約の遵守といいました広い観点からの申し入れと同時に、やはり具体的な措置の要望といったこともあわせてやっております。 以上でございます。
○小渕(正)委員 いまのお話でありますが、最近のそういった取り組みは理解いたしますが、どうでございますか、韓国側に強くその取り締まりその他いろいろ申し入れられるわけでありますが、結果的にはそういうものが本当に生かされた、わが方の申し入れが尊重されているような状況にあるのかどうか。そういった面についての感触は、外務省としてはどのようにおとりになっておられますか。幾ら申し入れても、結果的にはのれんに腕押しみたいな形になっては困りますので、そこらあたりについての見解がありますならばお知らせいただければと思います。
○小倉説明員 率直に申し上げますと、先生御指摘のとおり、壱岐、対馬両域を中心にしまして、私どものたびたびの申し入れ及び水産庁、海上保安庁の御努力にもかかわらず、違反と申しますか、領海侵犯も含めまして、私どもとしまして遺憾と思う操業が続いておるのは事実でございます。これは、私どもとしても大変遺憾に思っておりまして、その点は率直に私は先生の御指摘を、認めると申しては僭越でございますが、御指摘どおりだと思います。 じゃ、私どもの申し入れが全く効果を上げていないかと申しますと、たとえば野母崎沖あるいは五島灘付近の問題につきましては、私ども初め水産庁の方々のたび重なる要望によりましての効果もあったと思いますが、現実に四月はかなり事態が改善されておるというふうに私どもとしては理解しておりますので、粘り強い話し合い、要請といったようなものが必要なんじゃないかというふうに考えております。
○小渕(正)委員 いま一度海上保安庁の方にお尋ねいたしますが、先ほど示された数字でいきましても、それぞれ専管水域その他一般のところ、結果的には検挙という数字と、それから警告によって退去させる、こういうことの数字とが、侵犯の実情からいきますならば、検挙という数字がきわめて少ないわけです。そういう点ではもうちょっと、こういうふうに警告でかなりの人を退去させておるように数字が出ておりますが、外交ルートを通じてやってもどうしてもそういうのが、依然として繰り返されるようでは、もっと思い切った取り締まりで検挙をどんどんやるというようなことについて何かいろいろと配慮しなければならぬようなものがあるのかどうか。漁民の皆さん方にとりましては爆発寸前まできておるわけでありまして、そういう点で取り締まりをもっとびしびし強化してほしいという強い期待があるわけでありますが、その点いかがでしょうか。
○森説明員 ただいま先生、確認延べ隻数が多いわりに検挙数が少ないという御指摘でございます。実はちょっとお断りしておきたいと思いますが、私どもが船艇、航空機で確認いたしましたのは、領海内に所在する、専管水域内に所在するということでございまして、その内容としましては、必ずしも操業していたとばかりは言えないわけでございます。単純な航行、無害航行でございますが、そういうものも含めた数でございます。 それから、なお、先生御指摘のように、私どもとしては、領海内で不法操業を行う者あるいはまた専管水域内で悪質な操業を行う者、これは基本的には厳しい姿勢で検挙をたてまえといたしましてやっておるわけでございます。特に対馬周辺につきましては、三十メートル型の巡視艇七隻を配備いたしておりまして、当初に比べますと検挙率もかなり上がっておるわけでございます。 なおまた、野母崎周辺につきまして、あるいはまた沖ノ島周辺につきましては、地元の皆さんの強い要望もございまして、私どもは特別警戒を現在行っておるわけでございますが、これは特に常時巡視船を配備し、また航空機も計画的に飛ばせるというような形をとっております。特に野母崎周辺につきましても、先ほど申し上げましたような三十メートル三十ノットの性能の高い巡視艇を計画的に配備し、また航空機も計画的に飛ばすといったことで、特別な体制をとっておるような状況でございます。
○小渕(正)委員 水産庁の方、お見えですか。 先ほども申しますように、沿岸漁民の人たちが、漁場が荒らされるというばかりでなしに、いろいろな漁具その他に大きな被害をたくさん受けておるわけです。そういう意味では、累積するとかなり大きな金額になるわけです。日韓漁業協定の中では、そういった被害については漁業委員会の中で処理されるようなシステムにはなっておりますが、実際問題として、あの中で示されたようなやり方で被害を請求して話し合うということは非常に困難な実態があるわけですね。したがって、こういった被害を受けた漁民の人たちの漁具といいますか、そういったものについて何らかの救済的な措置が考えられないのかどうか。これはもう非常に緊急なそういった沿岸漁民の人たちの大きな願いでありますが、何かただ、そういう漁業委員会で被害を受けたものは出していけばいいということでは、実態的にはほとんど不可能に近いような実態がありますから、ひとつ水産庁としても、そういった沿岸漁民の受けた漁具その他の被害に対して何らかの救済といいますか、やはり長期的な資金等でも貸し付けて何とかそういった救済ができるような、そういう制度というものは考えられないのかどうか。実はこれは非常に強い漁民の声でありますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○野田説明員 お答えいたします。 先生おっしゃるとおり、韓国漁船によりまして、長崎県等西日本周辺で漁具被害が生じているのは事実でございまして、関係漁民の方からいろいろ要望も上がってきているわけでございますけれども、先生も御存じのとおり、漁具被害、これは民事問題でございまして、本来当事者間で解決すべき問題ということになっておりまして、その解決の便を図るため、日韓間では民間の漁業委員会を設けてそれで処理しておるわけでございますが、何分にも具体的に加害者がわからないということで、実際に被害請求といった事態になっていない状態でございます。 水産庁といたしましては、やはり漁具被害そのものを発生させないことが肝要である、こう考えておりまして、先ほど来御答弁がありましたけれども、海上保安庁あるいは外務省ともよく御連絡いたしまして、指導、取り締まり、あるいは再発防止のための韓国政府への申し入れ、こういうことで、被害を発生させないということで最善の努力をしていきたい、こう考えております。
○小渕(正)委員 被害を発生させないような状態をいかにつくるかということが一番根本的な問題でありますけれども、現実の実態的な上に立って御相談を申し上げておるわけであります。 それで、特にわが国が底びき禁止ラインを決めていますね、特に野母崎の五島灘のところでは。そういうところでは、取り締まりを強化するといっても、漁業協定の中の第八項ですか、双方がそれぞれ尊重するということは確認されておりますけれども、それは目の前で行われておっても、わが方としてはそういったラインのところでそれを何ら取り締まることができない。そういう点で非常にもどかしさを感じているわけでありますから、そういった点で、韓国の取り締まり警備艇をそういうところまで派遣してもらうように、外交ルートその他を通じてやられて、そういうような状況にある場合には非常にいいわけでありますが、常時そういった形で韓国の警備艇が必ずしもそこまで来てくれない。そうすると、わが方としては注意喚起程度であって、あとは何ら処置なし、こういう状況になるわけでありますので、これはどうでしょうかね、それぞれお互いが第八項で決められておることは十分尊重し合うということに、なっておりますが、そこをもう一歩踏み込んで、双方お互いが尊重し合うと同時に、お互いがそれについても取り締まることができるような条項まで条文の改正ができないのかどうか。これは外務省の方にお尋ねいたしますし、それから水産庁の方には、漁民の人たちの御意見では、そういった底びきで荒らされないために、沈船魚礁といいますか、船を沈めていただいて、そういった魚礁をどんどんつくっていただくことによって、結果的にそこに荒らしに来てやろうとしてもできないようになる、そういう対策が一つ考えられておるわけでありますが、そういうものをもっともっと真剣に取り組んでいただけないか、実はこういうお願いがあるわけですが、この二点についてそれぞれ御見解を承りたいと思います。
○小倉説明員 お答え申し上げます。 先生の御指摘になりました第一点の、漁業協定ないしそれに附属しておりまする合意議事録、特に先生が御指摘になりました合意議事録の第八項、いわゆる日韓両国が国内法によって規定しておりますところの漁業禁止水域の相互尊重につきましての規定を、いわばもっと非常に強い形にして、日本がたとえば韓国船を取り締まるようなことでもできるようにしたらどうか、こういう御指摘の点でございますが、御趣旨は私どもとしましてもわからないわけではないのでございますが、二点ちょっと申し上げておきたいと思うことがございます。 第一点は、この合意議事録の第八項と申しますのは、必ずしも日韓漁業協定上の義務そのものではないわけでございまして、すなわち、お互いがその資源確保ないし資源保存のために漁業の禁止を行っておるということ自体は協定が決めたことではございませんで、各国の国内法が決めておることでございますので、そこでの操業そのものの禁止というのは、協定上の義務ではなく、ただ間接的にお互いがそれを守り合うという、相互尊重という形をとっているだけでございます。本来国内法で決まっておることであるということでございますので、たとえば共同水域における規制とかそういうこととはちょっと性格的に違うというところは、先生御承知のことだと思いますが、念のために指摘させていただきたいというふうに思うわけでございます。 第二点は、これらの問題も含めまして、日韓漁業共同委員会という場所がございまして、いろんな意味で議論しておりますので、確かに御指摘のように、なかなかいきなり有効な措置につながらないという点は私どもとしても反省しなくちゃならない点があろうかと思っておりますが、そういう場があるというこの二点でございます。 そこで、具体的に改正なり改定なりしてはどうかという点でございますが、いま申し上げましたように、これはあくまで国内法によって決まっている措置でございますので、実効性を保つということは、協定上の文言をいじって義務を強化するといったこととは必ずしも同じことではないというふうに考えられますし、協定ないし議事録の改定ということになりますと、日韓漁業関係全般に影響を及ぼしまして、ほかのところも改定するというようなことになりまして、また、全体の枠組みというものが変わってくるということもあろうかと思いますので、私どもとしましては、先生の御趣旨を踏まえながら、たとえば日韓漁業共同委員会あるいは外交ルートあるいは先ほど申し上げましたような実務者会談、そういったものを頻繁に開催しまして、実効性のあることを韓国側に要請して、同時に、それを監視していくという体制をつくることが一番重要なことではないかというふうに思っております。たとえば、具体的に申し上げますと、先般も韓国の指導船の派遣あるいは違反漁船についての厳重な処分あるいは船名の隠蔽などが行われた場合の厳重な措置といったような具体的な点についても二国間で議論する段階にまで来ておりますので、そういったことを通じまして有効的なことができるように努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
○野田説明員 お答えいたします。 先生のお話にございましたように、水産庁といたしましても、韓国の監視船と水産庁の監視船と共同して指導、取り締まりに当たるというようなこともやっておりますし、また、先般私どもがソウルに参りまして、両国水産庁間で漁業関係実務者会議を開きました節も、韓国側監視船の随時派遣というようなことも話し合って、先方も問題の多い時期、問題海域には派遣する、こういう約束があったわけでございます。そういうことで違反がないようにするということに努めているわけでございます。それから、バリケードとして船を沈めてはどうか、こういうお話でございますが、これにつきましては、水産庁で水産資源、沿岸の漁業資源の増殖のために沿岸漁場整備開発事業というものを行っております。それで、これは魚礁をつくりましてそこで魚をふやす、こういう趣旨の事業でございますけれども、その事業の中で、その材料として古船を沈めるということもことしから認めることにした次第でございます。それで、この事業が活用し得るかということになるわけでございますけれども、この本来の目的が魚礁としてつくるということでございますので、単にバリケードとしてというだけの意味ではむずかしかろうかと思いますけれども、魚礁としての効果もある、その場所がたとえばそういうことと一致するということであれば、できる道も開かれておるわけでございます。 それで、この事業につきましては、すでに五十七年度につきましてはすべて実施地区等決まっておりますけれども、今後県の方からお話でもあれば、また来年度以降お話として検討させていただきたいと考えております。
○小渕(正)委員 わかりました。 あと一つだけお尋ねしますが、水産庁の監視船を長崎港を定係港にして、常置体制に置くことができないかどうかということが一つ。それから、先ほどもお話がありましたが、海上保安庁の方に三十メーター高速艇を特に重点配備していただきたいということで、特に大挙して出てくるのは、五島灘の場合には十二月から三月ごろまでが韓国漁船が底びきで来るわけでありますが、こういう時期を特に重点的にとらえていただいて、韓国警備艇の重点的な配置ということもひとつぜひこれからの対策としてお願いできないかという点でございます。 以上三つについて御見解をお伺いしたいと思います。
○野田説明員 水産庁の取り締まり船の定係港のお話でございますけれども、水産庁では福岡に九州漁業調整事務所というのを設けまして、そこで玄界、日本海あるいは東シナ海方面の漁業指導、取り締まりを行っております。 監視船は、定係港と申しますか、事務所が福岡にございますもので、そこを基地としておりますけれども、監視計画に応じて福岡を出港して長崎に回るとか、あるいはほかの港に入るとかということもしておりますし、福岡が起点でございますので、問題が起こればすぐ行ける体制になっておりますので、定係港というようなことにしなくても、問題のある時期には必要な隻数を配置するということにしていきたいと考えております。
○森説明員 お答えいたします 先ほども申し上げましたが、今後とも引き続いて、五島灘周辺における韓国漁船の操業状況を見ながら計画的に、他の保安部署から三十メートル三十ノットの高速艇を増援配備しまして取り締まりを続けてまいりたい、かように思っておりますと同時に、これらの海域における韓国漁船の操業の実態から見て、高速性能を有する巡視船艇による対応がぜひ必要であるということを私どもも痛感しておりますので、今後は長崎県下の海上保安部に対しまして、三十メートル型の巡視艇を整備する方向で検討を進めてまいりたいと思っております。
○小渕(正)委員 漁業関係はこれで結構です。 次は、運輸省の方にお尋ねします。 過日、京都のタクシー関係の協会が公取委から、不当なといいますか、不当という言葉はちょっと別ですが、圧力をかけた疑いがあるということでの勧告を受けたようなことが新聞記事に出ておりましたが、要するにタクシー業界において陸運局としては、同一地域は同一運賃という原則の中で今日まで運賃制度を運用され、運賃の値上げ等についてもそれなりに処理されてきておるわけであります。いまのシステムでいきますならば、値上げの場合、それぞれの関係業者から全部申請があって初めて陸運局としてはこの問題に取り組むようになっておるわけでありますが、そういう場合に、一社でも二社でもそういう地域において値上げ申請をしなかった場合には何らかの圧力みたいなものがあって、全部足並みをそろえさせるために何らかのそういうものをしたのではないかというのが、たしかこの前の京都の業界に対する公取委の勧告だったと思います。 そこらあたり、陸運局として、そういう運賃値上げの際の考え方というものが従来どおりで果たしていいのかどうか。そういう業界の一種のカルテルみたいな話し合いの中で、足並みそろえて申請してくることについて、足並みが乱れた場合に対する何らかの談合的なものがあってはいかぬということでの公取委のあれだと私は思うのです。そういう意味では、運賃値上げの場合における陸運局としての行政指導のあり方も、ある一つの転機に来ておるのではないか、何らか考え方を変えざるを得ないような状況にあるんではないかという気もするのですが、その問題に対しましてはどのようにお考えなのか、その点まずお尋ねいたします。
○大久保説明員 お答えいたします。 先生御指摘のように、京都市内の二番目のシェアを誇る大手の会社が現在運賃の値下げの申請をしておりまして、所定の法律手続に従いまして聴聞等の審査を大阪陸運局においてやっておるところでございます。 それはさておきまして、同一地域同一運賃と申しますのは、運輸省が昔からずっととってきております行政方針でございまして、利用者の混乱をなくす安定的な利用ができますとともに事業者の経営の安定にも資するということで、私どもこれが一番いい方法だということで従来からとっておりますし、今後もこの方針を堅持していきたいと考えております。 それから、そろそろ同一地域同一運賃の原則が転機に立っているんではないかという先生のお話でございますが、私どもは必ずしもそのようには思いません。と申しますのは、タクシーの原価を構成いたします内容を分析してみますと、大体経常費用の七三%が人件費でございますし、一〇%が燃料費でございます。したがいまして、ある地域におきまして賃金水準ないし燃料、プロパンガスの価格というものは多少の差はございましょうけれども、大体一定をしておるということになりますと、A業者が人件費と燃料費の高騰で運賃を申請しなければならぬというような状態が起きましたときは、BもCもXの業者もすべてそういう状態になるということでございまして、それに対して、運賃というものは申請主義でございまして、利用者の利益のために規制をしておるわけでございますので、値上げをしない業者がありましても、運輸省といたしましてはその値上げを慫慂するようなことはしておりません。 以上でございます。
○小渕(正)委員 いや、私が聞いているのは、要するに全部出そろわぬと運賃値上げの最終的な可否の判断はしないわけでしょう。だから、そういう意味でちょっとお尋ねしたわけです。 あわせて、たとえばこの前新聞をにぎわしているような、ああいった形の運賃値下げが逆に出てきておるわけですが、たとえ同一地域同一運賃の原則に立って、そこの業者全部が足並みそろわなくても、今後少なくとも業界の七割か、八割なら八割、九割なら九割を代表する業界がすべて申請すれば、それによって物事を判断していくというふうになるのか、やはり全部申請が出そろわないことには、そういった値上げ問題については判断をしないのか、そこらあたりの考え方はどうなのかということを再度お尋ねいたします。
○大久保説明員 その辺の判断につきましては程度問題だと思います。全部一〇〇%出そろわなければ運賃改定の作業をしないかというお尋ねでございますが、程度問題でございまして、主として車両数でどのくらいのシェアを占めるかということになるかと思いますが、その車両数のシェアが少なければ大きな混乱は起きませんので、過去にもそういう例はございます。たとえば福岡市におきましては、ちょっと細かい資料を持ち合わせておりませんが、一%か二%のシェアを有する業者が出しませんでしたけれども、それ以外の業者について運賃改定をいたしました。ちなみに、その出さなかった業者も半年おくれで申請をいたしまして、いまはそろっております。
○小渕(正)委員 もう時間がございませんから二点だけ質問いたしますので、よろしくお願いします。 このタクシー関係の状況の中では、実際に実車率が年々非常に低下する、そういった傾向からいって少し過剰じゃないのかという見方もあります。したがって、申請されておるタクシー事業の新規免許、俗に言う増車、そういったものの判断は、大体陸運局としてはどういうところに基準を置いてそういう可否をされておるのかどうか。端的で結構です。二時から本会議ですから、ちょっとその前にやめなければいけませんので、その点ひとつお尋ねいたします。 それから、国鉄の吉井さんですか、同じタクシー関係の中で、国鉄の駅のロータリーというか構内といいますか、国鉄駅にタクシーの乗り入れをもう自由に、オープンに、どの社と指定なしにやっているところもあるし、まだ特定の業者だけを指定してやらせている、やらせているという言葉は悪いですが、やっているところもあるわけですね。全体的に、少なくとも大きな都市ではそういった傾向は、国鉄の実際の問題としてどうなのか、実態はどうなのか。それから、そういうふうな特定の業者のみにしか指定しないようなあり方というのは、国鉄としてどのような考えに立ってそういうことをしているのか。時間が余りございませんので、この二点だけお尋ねいたします。
○大久保説明員 タクシーの新免、増車関係についてお答えいたしますが、基本的には、各地域の需給状況に応じまして処理をいたしております。しかしながら、一般的に申し上げますれば、現在のタクシー需要というものは、景気の動向を反映いたしまして低調に推移してまいっておりますので、各陸運局におきましても新免、増車の申請につきましては、それぞれの地域の実情に応じまして、需給バランスを勘案しながら適切な処理を行っております。
○吉井説明員 駅構内の乗り入れタクシーにつきましては、利用される側から言えば、多々ますます弁ずる、こういう側面はあろうと思うのでありますけれども、ただその駅前の広さでありますとかあるいは駅前から一般の道路に至る流れ方ということから言いますと、やはりおのずと適正規模というものはあるわけでございまして、それを超えて余り多くの車が駐車をするということになりますと、かえって駅前が混乱して、お客さんのためにも便利でない。この二点を実は駅乗り入れの承認の場合の基準にいたしております。 したがいまして、ただいま先生御質問の中で、単数もしくは複数の営業者に対して駐車の場所を指定して乗り入れを認めておる、こういうものが現在のところ、駅の数にいたしますと全体の約八五%、大半がそれでございます。また国鉄の駅前というのは、大体沿革的にはそういうものが主体でございます。ただ、そういう形ではお客さんの流れに応じまして十分な両数がなかなか確保できない、また駅の設備も駅前もかなり広いし、また道路との流れも順調でありまして、承認の業者の中で駐車場を共有いたしましてどんどんと流していくことが可能な場所につきましては、そのような承認の形態をとるということで、四十年以降そのような形は主としてタクシー利用の多い市部を中心にふやしてきておりまして、現在その数が駅数にしたら約百七十くらいでございます。現実に個々の駅につきましては、私、ただいま申し上げました駅前広場の面積あるいは道路の流れ方、あるいはまたお客さんの利用の状況というふうなことを勘案して個々に決めておるわけでございます。 それから、なお御質問の中で、どのような業者でもとおっしゃいましたけれども、これは乗り入れ承認をしておる人たちが共通で駐車場所を利用できる、こういう意味合いであろうと思います。私ども駅に乗り入れるものにつきましては、営業車はすべて承認という形をとっておりまして、全く承認のない人が駅でお客さんを拾うということは認めておらないわけでございます。
○小渕(正)委員 時間がございませんので、この問題はまた別途機会があれば改めていろいろお聞きしたいと思います。ただ、先ほどの自動車局の需給のバランスという、その需給のバランスというのは何をもって考えておるのか。確かに言葉としては需給のバランスを考えながら増車の許可をするわけですけれども、その需給のバランスというのは目安は何ですか。そこだけで結構です。
○大久保説明員 私ども、主な都市につきまして、陸運局におきまして毎月事業者から営業の実績をとっております。いろいろなファクターがございますけれども、たとえば実車率というものがやはり一番大きなめどになるのじゃないかと思います、あるいは実働率とかその他の指標もございますけれども。
○小渕(正)委員 それでは、これで終わります。
○越智委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後一時四十八分休憩 ————◇————— 午後三時十分開議
○越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。四ツ谷光子君。
○四ツ谷委員 初めに、五月十日の毎日新聞の夕刊に載りました問題について御質問をしたいと思います。 実は、この問題は大臣に御質問をしたいところですけれども、いらっしゃいませんので、残念ながら観光部長にお答えをいただかなければならないのですが、「釜山に“観光トバク”まで」ということで、八八年のソウルのオリンピックを目当てにいたしまして、「観光企業「ワールド・サファリ」が、釜山市海上に大型客船を浮かべ、トバクを目玉にホテル、キーセンホール、プールなど娯楽の殿堂を十月にオープンすることが明らかになった。」こういうふうな記事が載っているわけです。そして、「両国ともトバクは禁じられているが、同社側は、すでに韓国政府の特別許可を受けたといい、いわば治外法権下での公認開帳。“トバク輸出”として、日韓両国で論議を呼びそうだ。」というふうに載っておりまして、そこに「日本企業の韓国進出」、そして「日本人をターゲット」にという見出しで、観光賭博、さらにはキーセンホールがつくられるというふうなことが載っているわけです。 しかも、この十月にはこれが始まりそうだというふうなことですけれども、この間の旅行業法で、あのときには観光買春の問題が問題になったわけですが、いわば国際的な感覚から言いまして、オリンピックを目当てにして、韓国に対して観光賭博を輸出する、しかも日本も韓国も賭博は禁止されているにもかかわらず、日本企業がこういうふうな形で観光賭博を輸出する、こういうことは、まるで業法が合法的になるまでの短期間をねらって駆け込み的に、国際的にも問題になりそうなことをやろうとしている、非常にけしからぬことではないかと思います。 私は、この間売春問題を問題にしましたけれども、賭博の行為だって、国際的に見れば非常に大きな問題になるのではないかと思います。運輸省としては、こういうふうな国際的に見て必ず問題になるであろうというふうに思われることを、これは新聞の記事だけで全部を予想するわけにはいきませんけれども、こういうふうな観光業者に対して一体どういう態度で行政指導されるのか。この間は、観光買春はこの辺でやめるようにしたいというふうな大変前向きのお話がありましたけれども、国際的な問題からいいまして、観光買春とともに非常に大きな問題になるのではないかと思いますので、その点明確にお答えを願いたいと思います。
○西村政府委員 先般旅行業法が成立いたしまして、旅行業法によりまして今後は旅行地における法令違反の行為について、日本の旅行業者が関与するということを一切なくそうという体制が整ったわけでございますが、いまお話しのような問題につきましては、正直のところ、韓国が賭博というものについてどのような態度でやるか、これは必ずしもつまびらかにしていないので、韓国における賭博行為というものは、限られた地域においてやることがあるいは適法にされるというような事態が起こるかもしれません。 ただし、私どもは、正直申しまして、日本の国内で禁止されている行為、それは旅行地の法令に違反しなくても、あえてそれでつって旅行者を集めるというような行為、たとえば旅行業者がそのような行為に関与すること、あるいはそういったこととの関連で旅行業者外の者が資本参加をして海外で積極的に、限られた土地ではあるいは認められている行為であっても、日本国の風俗から見て決して好ましくないものに参加するということにつきましては、観光行政としても決して好ましいことであると思っていないわけでございます。 したがいまして、私ども、このような資本参加につきましては、直ちにどうこうする手だては持っておりませんが、少なくとも旅行業者がそのようなツアーに募集したり、あるいはこれに積極的に関与するような行為については、厳に慎んでもらいたいと考えておりますので、今後の情勢を見ながら、そのような事態が出てさましたら、個別にあるいは必要があれば業界全般に対して指導していくという考え方でおります。
○四ツ谷委員 ぜひそのように厳重に対処していただきまして、後からまた国際問題になったなどというふうなことが起こらないようにしていただきたいことを心からお願いをしておきます。 それでは、次に国鉄問題に移らせていただきます。 まず初めは、国鉄の運賃の問題でございます。 この間の大型連休におきましても、五年連続の運賃値上げということで、国鉄の利用者が人数あるいは金額ともに前年度に比べて減少しているということはよく知られているところですけれども、今回の値上げの中で、大都市圏におきまして、私鉄と競合しているところに限り、特定割引運賃設定区間をわずかに設けられたということがありますけれども、これがいかにこそくなものであるかということを実例を示して、今後こういうふうな問題に対して、国鉄は客離れをこのまま放置しておかれるのかどうか、これをただしてみたいと思います。 今度の特定割引運賃区間というのは、私鉄と競合していないところでは取り入れられておりません。たとえば片町線などというのは京阪と競合しているはずなんだけれども、取り入れられていないわけです。たとえば片町線の長尾から京橋まで三百八十円、所要時間が三十九分です。ところが一方、長尾から枚方まで京阪バスに乗り、枚方から京橋まで京阪に乗りまして合計しても三百二十円、所要時間が二十三分。しかも夜遅くまであるというので、少々不便でも乗りかえをしてこれを使っているというのが現状です。 さらに、私、おかしいなと思いましたのは、たとえば総武線です。東京から船橋三百十円、距離が二十三−二キロです。東京から市川二百四十円、距離が十五・四キロ、ここはいわゆる特定割引区間に入っていないのです。ところが、東京から西船橋間、距離が二十・六キロ、正規並みになりますと、ここの運賃は三百十円ですけれども、特定割引区間として二百四十円になっているわけなんです。だから、東京から西船橋までお乗りになる方は、この割引が適用されている。ところが、東京から船橋、東京から市川、距離にしても余り変わりませんのに、ここはそういうものが用いられていないということで、きわめて矛盾に満ちているし、利用する者にとりましたら、不合理な、ただ単に私鉄と競合しているところだけ割引をしているというふうな、きわめてこそくな手段をとっているのではないかというふうに思います。 そこで、前々から国鉄の赤字の中で非常に大きな割合を占めていると言われております特定人件費、これはとても運賃で賄えるものでないことはかねがね総裁もおっしゃっているし、国鉄もずっとおっしゃっているわけですけれども、たとえば都市圏の九線区、これ旅客のみ計算をしてみますと、収入合計が六千二百九十一億八千三百万、こういうふうになっています。ところが原価の方は五千三十九億六千三百万、そして利益が千二百五十二億二千百万、こういうふうになっているわけです。ところが、この特定人件費が線区別経営成績の幹線経費に占める割合は、監査報告で計算をいたしますと八・二%になっておりますので、この経費から特定人件費の割合を計算をいたしますと、非常に余裕が出てくるわけでございます。 このグラフをちょっと示させていただきますと、これは九線区の緑のところが経費、それからオレンジに塗っていますのが特定人件費、白い部分が利益、こういうふうに示されるわけでございます。そういたしますと、この経費の中から特定人件費を引きますと営業係数が非常に変わってくる。もし特定人件費の経費を引かなかったら営業係数は八〇%、ところが特定人件費を差し引きますと、利益が千六百六十五億となり、営業係数が七三・五%、こういうふうに首都圏の九線区の営業係数がよくなってくる。まだいろいろな手段を講じるならば、利用者のために運賃を安くする手だてがあるのではないかというふうに計算ができるわけでございます。 先ほど幾つか例を挙げましたように、私鉄と競合していないところは特定割引制度が導入されていない、あるいはされておってもきわめてこそくな手段になっている。こういうふうなことを考えますと、大都市圏における割り高運賃を是正するために、もっと全面的な割引制度を実施すべきではないか、そういうふうに考えるのですけれども、国鉄はどのようにお考えでしょうか。
○高木説明員 私どもにとりましても、いま運賃の立て方をどういうふうにしたらいいか、従来の考え方はどうも少しぐあいが悪いということを痛感をいたしておるわけでございます。しかしながら、ずっと以前から、運賃は賃率掛ける距離を原則とする、もちろん遠距離逓減というようなことはございますけれども、賃率掛ける距離が具体的には運賃だという基本思想がございました。この基本思想は国鉄運賃法でも明快に示されておるわけでございます。 そういう意味から言いますと、全国の運賃水準がいかにあるべきかという問題はございますけれども、都市においても特別運賃をつくるということについては非常に憶病にならざるを得ない。ただいま先生はこそくとおっしゃいましたが、まさにこそくと言おうか憶病と言おうか、そうならざるを得ないわけでございまして、したがいまして本年の四月二十日の改定までは、都市における特別運賃制度は大阪地区だけに限っておったわけでございます。大阪は余りにも私鉄網が整備されておるところでございますので、正確には忘れましたが、かなり前からそういうやり方をしてまいりました。それに対して、東京地区もはなはだおかしいじゃないか。よく例に引かれますように、八王子と新宿の間とか小田原と新宿の間、あるいは京浜線と私どもの京浜東北線の関係といったことについて、しばしば御指摘がありまして、まさに御指摘のように、きわめてこそくと言われればこそくでございますし、憶病と言われれば憶病な程度において、今回一つの試みとして営業割引ということで、ごくわずかの割引をしたわけでございます。 しかし、これは率直に言って非常にこそくなものでございまして、またそうならざるを得ないのは、いままでの考え方を基礎とした国鉄運賃法というものが厳としてございますので、営業割引をそう拡大もできないということで今回のような措置をとったわけでございまして、今後の運賃システムがいかにあるべきか、地域ごと、線区ごとに違ってもいいのかどうかというようなことについては、今後とも私どもも勉強いたしますし、国会での御指導をいただきながら、少しずつ変化を求めでいくべきではないかというふうに考えるわけでございます。 それから、ただいま東京の周辺においては大変黒字を出しているではないかということでございますが、それはもうまさにそのとおりでございまして、その黒字で長年北海道や九州の赤字を埋めてきまして、それによって企業体全体としては収支が償うという状態が昭和四十年まで続いたわけでございますが、最近赤字だということになってきました一つの大きな理由は、現象的には九州、北海道といったようなところで赤字が大変多いと言われますけれども、実はもともと九州、北海道は赤字があったわけでございまして、ただその赤字がありましても、首都圏、関西圏といったようなところでいささか利益を上げさせていただいておりましたので赤字が表面化しなかったわけでございますが、次第次第にいまきわめて露骨に私鉄と国鉄との運賃差が出てまいりましたものですから、割引等を含めていささかながら首都園あるいは関西圏の運賃水準を低目にする多少ともの努力といいますか、誠意をお示しすべきではないかということが前提となって今回のような案になっておりますけれども、しかし、いずれにしましても、やはりこれまた国鉄経営の大基本前提といたしましては、九州、北海道を含めていわゆる採算性ということを求められておるわけでございまして、この辺は最近におきます分割論といったようなものとも非常に関連してまいる話でございまして、国鉄のあり方、国鉄における営業のあり方、国鉄における運賃のあり方といったような問題、そしてそれに対する政府からどの程度赤字のところについて助成していただけるかという問題に全部絡んでおるわけでございます。だんだんと都市における運賃体系の矛盾というものが露呈化をしてまいっておることがいよいよ国鉄問題、特に国鉄運賃問題のむずかしさを物語っておるわけでございまして、私どももこれでいいとは思っておりませんけれども、さりとてどうしたらいいのかということについては、なかなかいい知恵がないということでございます。 しかし、今後私どもは何をいたすべきやということにつきましては、国鉄は都市間の輸送と大都市圏における通勤輸送、それと特別な貨物輸送ということの三つを使命として考えてまいるのだということを宣言をいたしておるわけでございますから、都市におきます運賃問題というのは、なかなかむずかしいにもせよ、今後とも研究を重ねてまいらなければならぬ問題だと認識をいたしております。
○四ツ谷委員 ただいまの総裁の御答弁で、とにかく現行、大都市圏ではこそくな手段にしろ割引制度を取り入れているわけですから、やはり利用者の立場に立って矛盾が起こらないように、大都市圏の輸送というのは国鉄としては、民営・分割論の中でもうかっているところだけを残そうというふうなことが露骨に出てきているわけですからね。確かにそこのところはお客さんが嫌でも乗るわけですから、乗るところにはやはりサービスをして、たくさん乗っていただけるようなことを考えていただかないとますます客離れが起こってくる、こういうことですし、また、いま総裁は、九州や北海道ではローカル線の赤字が出るということでしたけれども、その赤字の原因が果たしてローカル線だけなのかということは何度も論議をしていることですけれども、そのことに関連しまして、国鉄の長期債務の発生の問題について簡単にお聞きをしたい、このように思っています。 昭和四十五年度までは、とにかく国鉄は償却前黒字を出しておりました。二兆六千億の長期債務残高はすべて設備投資費であった、こういうふうに言うことができると思うのですけれども、昭和四十六年度から償却前赤字になったために実際資金繰りで赤字になった、こういうふうなことが言えると思うのです。 私は先ごろお願いをいたしまして、その四十六年から、五十六年度は予定になるわけですけれども、年度別の長期債務の増加額、これは残高で出していただきましたが、増加額、それから工事費、支払利息、これを一覧にして見せていただきたいということでお願いをいたしましたところ、ざっと見せていただきますと、長期債務残高、五十六年で十六兆四千二百七十四億、こういうふうになっております。これは二兆六千億の長期債務残高、これを加えて十六兆四千二百七十四億になる。それから工事費の合計をさせていただきますと八兆五千六百六十六億、こうなります。支払い利息の方は、監査報告の中から昭和五十一年から特別勘定の支払い利息を除いたものを私の方でいただきました資料から計算をいたしまして、それを除いたものの合計を計算いたしますと四兆八千五百十六億、こういうふうになるわけでございます。長期債務残高十六兆四千二百七十四億から二兆六千億を引きますと約十四兆の長期債務があるわけですけれども、ところがこの工事費と支払い利息と合計をいたしますと、ざっと十三兆三千何億、約十四兆に迫る数字になっておる、こういうふうに計算ができるわけでございます。 そういたしますと、この長期債務の増加原因は、借金による工事費と、借金の支払い利息、さらに借りかえによる利払いもこれにプラスをしている、この利息の中には。そういうふうに考えますと、長債の増加原因は、借金による工事費と借金の支払い利息に相当するのではないか、こういうふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。 〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕
○高木説明員 お尋ねの趣旨、ちょっと私、のみ込めませんが、要するに借入金は、一つは工事費、工事は現在ほとんど一般会計負担で道路とか港湾とかいろいろやられておりますけれども、私の方は一切自己負担ということになっておりますから、それの工事費のための借り入れと、それから四十五年以降はいまおっしゃいますように収支赤字がございますので、それのための借り入れ、そしてまた金利支払いのための借り入れということになっていることは事実でございまして、それがどの部分がどういうふうな金額になるかということのいまの先生の御計算は、ちょっともう一遍いろいろ計算してみないと、そのとおりかどうかはわかりませんけれども、主としてその三種から構成されるものであるということだけは御指摘のとおりでございます。
○四ツ谷委員 言いかえますと、仮にこの八兆五千六百六十六億円の借金による工事費がもしなかったとしますと、約四兆円から五兆円に上るような支払い利息は存在しなかった、こういうことが言えるのではないかと思うわけです。ですから、私が言いたいのは、結局この十六兆にも上るという大変な国鉄の長期債務というものは、借金による借金、それで工事をやってきた、そういうふうなことがいまの国鉄の赤字の最大の原因をつくっている、ここのところに制度的に非常に大きな問題があったというふうに私は指摘ができると思うのです。 今度は運輸省にお聞きしたいのですけれども、私が言いますように、この膨大な赤字の原因をつくってきたのは、借金によってこういうふうな工事をどんどんとやってきた、そしてもう五兆円に上るような利払いもせざるを得ないような状況になってきた、こういうふうなことをいままで放置をしてこられた運輸省としては、いま国鉄再建のために民営・分割だとかいろいろなことが言われておりますけれども、原因を取り除かないで、しかも監督官庁の運輸省がその辺の問題について、なぜこういうふうなことを放置してこられたのか、その辺について御答弁を願いたいと思います。
○高木説明員 基本的に、工事をさせていただきます場合に二つの考え方があるわけでございまして、一つは、一般会計から支出していただいてそして金利がかからないようにする、それが本来望ましいわけでございます。過去においてはそういう趣旨で、全額ではありませんけれども相当部分は無利子の金でつくらせようということで、いま正確に年次及び金額を手元に持っておりませんが、政府から出資をしていただいて、それと借入金とを抱き合わせて工事をやっていた時期もございます。しかし、だんだん国鉄経営がぐあい悪くなってまいりますにつれて、一般会計から私どもに御援助をいただくについても、出資ということになりますと金額が張ってきますので、そこで利子負担を軽減するということで、時代によって少し変遷がございますけれども、非常に多くの時期及び現在は工事費の負担金利を三分五厘でとどまるようにということで利子補給をしていただいて工事をやるということで、ここ数年進行しておるわけでございます。おりますけれども、ただいま御要求いただきました資料に基づいて計算いたしましたものは、利子補給の金額を差し引く前の金額でございますので、お示しのように、非常に大きな金利負担をしながら建設をしているような御印象をお持ちだろうかと思いますけれども、全部が全部そうではなくて、この金利のうちの、たとえば八分なり八分五厘で借りましてもその国鉄の金利負担は三分五厘で済むようにということで、ただし、これは十年間でございますけれども、三分五厘で済むようにということで別途補助金はいただいておるわけでございます。したがいまして、いまお示しのような金額そのものが国鉄の経理全体にとっての負担になっているわけではなくて、十年間に関する限りは三分五厘以上にならないようにということでいただきました補助金を差し引いたものが負担となり、国鉄経営を圧迫することになっておるわけでございます。あるいは資料の出し方が適当でなかったかもしれませんけれども、お示しのとおりに資料を作成しましたので、その利子補給の部分が抜けておりますものですから、実際の建設による私どもの負担以上にこの表では大きく数字が出ていることをお含み願いたいと思います。 ただ問題は、その程度で、利子補給程度でいいのかということになると、鉄道というのは、建設をいたしましてからそれが収入につながりますまでかなり時間がかかるものでございますので、私どもとしては、三分五厘におさまるようにという程度の利子補給だけでは必ずしも十分でないという気持ちはいつも持っているわけで、監督官庁たる運輸省にもそのことをお願いはいたしておりますが、何としても国全体として金がないのだから、とりあえずそういうことで泳いでいけというようなことでずっと来ております。 それじゃ、金を借りないということになりますと、今度は工事をやめるかというようなことになりますと、東北新幹線その他につきましてもそうでございますし、この周辺の通勤対策のための線増その他の工事等につきましても、やはりどうしてもやらざるを得ないということで、実は率直に申しまして、経理、経営に対する圧迫は十分承知の上でやむなく最小限度のものはやってきた。もっとも、中には時代の変化とともに十分成果を上げていない投資もございます。この点、申しわけないと思っております。そういうものもあります。しかし、大部分のものは何とか、通勤対策等をやらなければならない、あるいはまた単線のところを複線にするということをやらなければならない、しかし無利子の金を提供していただけないということで、若干そのときその日の情勢に追われて、借金をしてでもやりますということでやってきたわけでございまして、これが現在の圧迫要因になっておることは御指摘のとおりでございます。
○四ツ谷委員 実は、運輸省にお聞きしたいのですけれども、後、辻議員に質問がございますので、運輸省鉄監局長、辻議員の質問が終わったときに、もし時間がありましたらお答え願いたいと思うのです。 いまの高木総裁のお話によりますと、借金で基礎的な工事部分というのをやるような政策をとってきた、基礎的な部分は国が当然責任を持って出資をすべきであったところを借金でやらせるような政策をとってきた、ここのところに根本的な大きな誤りがあったというふうに言わざるを得ないと思いますが、これで私の質問は終わりたいと思います。
○宮崎委員長代理 辻君。
○辻(第)委員 四月二十四日に小坂運輸大臣は閣議後の記者会見で、国鉄問題について運輸省が独自にまとめた改革案、いわゆる国鉄再建方策というものを発表されたわけでありますが、これはあたかも抜本的な改革案のように見せながら、膨大な赤字や債務をつくり出してきた原因であります借金による設備投資、この政策は全く改めようとしていない。結局、赤字がたまれば一部を棚上げするだけで、あとは五割前後の値上げを見込んだ運賃収入に借料と名前を変えた利子負担を押しつける、長期債務の償還は債券発行で先へ延ばす、一層利子負担を増大させるというようなものではないか、とても責任ある再建策と言えるものではないと私ども考えるところであります。 そこで、設備投資について伺いたいわけでありますが、いわゆるこの再建方策では二〇%圧縮をするということになっているわけでありますが、整備新幹線についてはどのように位置づけられているのか、お答えをいただきたい。
○杉浦政府委員 整備新幹線につきましてはいろんな制約条件がございまして、現在のところ、まだスタートをいたしておりません。したがいまして、いわゆる小坂試案の中におきまする整備新幹線の工事費については計上をしておりません。従来の一兆円の予算、これを二割削減するということの概略の計算ということでございます。
○辻(第)委員 質問を先へ進めるわけでありますが、整備五線については、五十六年度で国鉄、鉄建公団それぞれに四十億の建設費がつけられております。その執行はどのようになりましたか。
○杉浦政府委員 整備新幹線の調査費でございますが、これは五十四年度、五十五年度ともに、国鉄、鉄建公団二十五億円ずつ、それから五十六年度予算では二十億円ずつという調査費がついております。それぞれの、国鉄、鉄建公団におきまして、環境影響評価を初めといたします……(辻(第)委員「五十六年度の建設費執行がどうなったかと聞いているのですよ」と呼ぶ)五十六年度におきましては、二十億円ずつの予算で調査を行っておりますが、この調査費によりまして、先般整備新幹線の中で特に、五十六年度のお金で北陸新幹線及び東北新幹線の両線につきまして、環境影響評価を完了するというような方向にいたしておりまして、先般、三月三十日に、環境影響評価の前提でございます路線と駅の概要を一般に公表し、以後、それに沿いまして騒音、振動調査、それからテレビジョンの電波障害調査、これを実施いたしておるところでございます。 この二線につきましては、本年度の二十億円ずつによりましておおむね完了する、こういう予定でございます。五十六年度でございます。
○辻(第)委員 私が尋ねているのは、五十六年度の国鉄、鉄建公団それぞれに四十億円の建設費がつけられた、その執行はどうなったか、執行されたのか、されていないのか、その点を聞いているのです。簡単に答えていただきたいと思います。
○杉浦政府委員 どうも失礼いたしました。 四十億円ずつの工事費につきましては、これは全く実行いたしておりません。
○辻(第)委員 それは、予算編成の際の覚書の条件が整わなかったから繰り越されたというふうに理解しているのですが、そのとおりですか。
○杉浦政府委員 条件がつけられておりまして、その条件が達成できない限りこの予算は実行できないということになっておりまして、その条件がまだ満たされておりません。したがって実行がなされておらないというところでございます。
○辻(第)委員 それでは、留保条件の整備について五十六年度中にどのような前進があったのか、お尋ねをします。
○杉浦政府委員 この留保条件の非常に大きな問題といたしましては、建設費の公的助成のあり方、それから地域負担の制度という、この二つが条件となっておるわけでございます。これにつきまして、特に地域負担の制度につきましては、御案内のように、地方公共団体が国鉄に対しまして寄附その他の助成をすることが法律上はできないことになっておりまして、そのできない制度を、五十六年の六月、全国新幹線鉄道整備法の改正によりまして、地方公共団体が新幹線の建設に関しまして財政上の措置を講ずることができるというような法改正が行われまして、制度的には、地方公共団体がお金を出してもいいというふうな仕組みになっております。 ただ、制度はそうなりましても、具体的にそれではどの程度地方が負担をするのかというような仕組みはまだできておらない状態でございます。したがいまして、全体のこの条例はまだ満足されておらないという状況でございます。
○辻(第)委員 新幹線整備法ですか、これの法改正は去年の六月ですね。それ以後、政府は地域負担についてどのような検討をし、どのような努力をされたのか、関係自治体の意見を聴取されたのかどうか、あるいは負担できるという自治体があるのかどうか、その辺のところについて簡単にお答えをいただきたいと思います。
○杉浦政府委員 政府自体としまして、地方公共団体に公式にそのような内容につきまして相談をし、検討をいたしたことはございません。ただ、鉄建公団あるいは国鉄あるいはまた自由民主党がこの問題の処理に当たりまして、関係の地方公共団体の知事さんにいろいろとお話しの際に、この程度の負担ならば何とかやれるのではないかというような話は出ておるわけでございますが、政府といたしまして関係の知事さんに、どの程度負担をしなさいよというような話はまだいたしておりません。この負担のやり方は今後の検討課題ということでございまして、いままでは公式には何もないということでございます。
○辻(第)委員 現実は、公式にはまだない、検討課題だということですね。 それから、地域負担以外のいわゆる公的助成の方法については、五十六年度中政府としてどのような検討をされてきたのか、また政府は整備新幹線財源問題打合会での検討はしておられるのかどうか、この二点でお尋ねをいたします。
○杉浦政府委員 公的助成の中の地方の助成以外、これは国の助成になるわけでございますが、現在は一般的な工事費の助成、先ほど総裁が申し上げましたように、三・五%の利子負担で済むような助成がなされておるわけでございます。現時点では、国の助成はそれを上回るような仕組みというものをまだ考えておりません。 それから財源の問題でございますが、過去いろいろと財源そのものについて検討が行われたことはあるのでございますが、なかなかその財源が見つかりがたくて、現時点におきまして、どの方法によりましてその財源を調達するかということについてはまだ結論がないという状況でございます。
○辻(第)委員 そのいわゆる打合会というのは、一番しまいはいつ開かれたのですか。
○杉浦政府委員 去年の一月に最後の打ち合わせが行われまして、それ以後は行われておりません。
○辻(第)委員 結局めどが立たぬというのが現状ですね。五十六年度中、いまおっしゃいましたように一月に打合会をやられて、それ以後やられていないというような状態ですし、先ほど申しました八十億円を五十七年度に繰り越しておきながら、何の進展もないまま、ほとんど同じ留保条件をつけて新たに百億円の建設費を計上する、これは私は大変不当なことだと思うのですが、いかがですか。
○杉浦政府委員 予算上の処理といたしまして、整備新幹線の性質上、国鉄の財政に影響がないようにということが大きな課題となっておるわけでございます。したがいまして、当該地方の方々の非常に強い要望ではございますけれども、先ほど申しましたような前提条件が満足されませんと前進ができないという仕組みに予算上はいたしておるわけでございまして、国の財政状況及び国鉄の財政状況というものを十二分に勘案しながらこれは進めていかなければならない。したがいまして、そうしたものが条件が満たされない限りやむを得ない、予算が消化できないということも真にやむを得ないものであるというふうに考える次第でございます。
○辻(第)委員 結局、めどの立たないものを立つような形で予算を立てる、繰り越す、こういうことは許せない問題だというふうに私は思うのです。整備新幹線は建設費の全面的な助成がなければ黒字は見込めない、大変なことになる。その助成についても、一年以上も検討の会議さえ開かれない状態のままで建設費の計上を行い、繰り越しを繰り返しながら、その間何十億もの調査費をずるずると使っておられるというわけであります。一方では設備投資を二〇%削減し、国の助成を六十年以後は三分の一に減らすといういわゆる再建方策を運輸大臣が発表されているわけであります。また、この再建方策では整備新幹線建設は考えられない、建設するとなれば再建方策が吹っ飛んでしまうというのが現実であろうと思います。 このような、まことに矛盾に満ちた無責任な行政こそ、国鉄の危機をきわめて深刻なところまで追い込んできた根源であろうというふうに考えるわけであります。これで国鉄再建などできるのか、政府の姿勢を根本的に改めるよう強く主張をして、私の質問を終わりたいと思いますが、最後に御見解を伺いたいと思います。
○杉浦政府委員 国鉄財政、きわめて危機に面した状況でございます。しかしながら、いろいろな形で建設を極端に縮小するということもまたむずかしい状況でございます。国鉄の財政上支障のないように合理的、効率的な投資を今後ともやっていく必要があるというふうに考える次第でございます。
○辻(第)委員 では、私はこれで終わります。
○宮崎委員長代理 四ツ谷君。
○四ツ谷委員 それじゃ運輸省に、先ほどの私の質問に対する御答弁を最後にお願いしたいと思います。
○杉浦政府委員 建設の問題につきましていまお話し申し上げましたように、過去におきまして長い間の建設費の積み重ねというようなことが行われました。普通の企業でありますと必要な建設費、その中には安全投資その他も当然入っておりますが、そういうものは資本コストといたしまして運賃で回収できる、私鉄などはみんなそういうことでやっておるわけでございます。国鉄も昭和三十九年度まではそうした経営状況の中で必要な投資を行ってきたというのが実情でございます。残念ながら、その後国鉄経営はきわめて悪化をしてまいったわけでございまして、建設投資のあり方につきましても、その間の国の助成制度というものを加味いたしまして、一般的な利子負担の軽減というような仕組みを少しずつ増大させてきておったわけでございますが、なかなか国の財政も思うようにまいりません。思い切った助成ということがそれに伴わない形のまま、必要な建設工事は借入金で行われてきたところに、積もり積もりまして相当な債務の累積が行われ、また膨大な利子負担というものが経営の大きな圧迫原因となってきたということも事実でございます。 今後の国鉄のあり方といたしまして、先ほどちょっと申し上げましたように、第一番目は建設費そのものにつきまして、これを真に必要なところに重点化する、効率的なものに限って投資を行う、いわば全体の投資の削減ということを考える必要があるのではないか。 それからもう一つは、積もり積もりました長期債務の処理でございますが、過去に二回ほど債務の棚上げを実施いたしております。これは御承知のように、赤字に相当する金額の債務の棚上げということでございまして、できますればそれをさらに本当に必要な部分の建設投資の債務にまで及ぼすことができるならば、助成制度と合わせましてかなり利子の負担軽減になると思うのでございますが、また一方では、国の財政事情も非常に苦しくなってきております。したがいまして、これを一気に解決することがきわめて困難であろうというふうな状況でございます。 あれやこれやいろいろと情勢が悪い材料ばかりでございますけれども、最初に申し上げましたように、この長期債務が利子を生み、利子が経営の圧迫要因となっているということは事実でございますので、今後国鉄の対策の中に長期債務の処理をどうするかということを考えませんと、国鉄の再建というものはなかなかむずかしい。これが避けて通れない問題であると考えておるところでございます。
○宮崎委員長代理 田島衞君。
○田島委員 私は、きょう時間をいただいて、日本航空の事故の根本的な原因というのは一体どこにあるのかということと、今後の安全対策について、本来ならば日航側に来ていただいて、日航側に十分聞いてみたいところでありますけれども、きょうはそれが許されませんので、監督官庁である運輸省の関係当局の皆さんから考え方を聞き出してみたいと思うわけです。 今回の羽田における日本航空の事故というもののその後の調査その他公表されたところを私どもが読み、かつ考えてみると、確かに事故を起こした当事者は片桐という機長ではありますが、操縦桿を握った機長の責任もさることながら、まことに理解できないような精神状態にある機長をして、多数の人命を預かる飛行機の操縦をさせた背後関係にむしろ重大な責任があるのじゃないか、こういうことを考えるし、とするならば、機長本人の責任である場合と違って、ただ一人の機長をどうすれば事は済む、今後の安全は大丈夫だということにならない。むしろ、もし私が考えるようなことが事実であるとするならば、日本航空の事故はあしたまた同じような、もっと重大な事故を起こしたとしても不思議ではないような結論になるのじゃないか。だとするならば大変なことでありますので、そういう意味できょうの時間をいただいたわけであります。 そこで、まず航空局長さんにお伺いしたいと思いますけれども、今回の事故の原因というものについて、片桐という機長だけの問題なのか、日本航空の社内体制そのものに重大な欠陥があるのではないかということについてどの程度御認識か、要点だけ簡単に聞かせてもらいたいと思います。
○松井(和)政府委員 このたびの日航機の事故によりまして二十四名のとうとい生命が失われましたことは、まことに痛恨のきわみでございます。 私ども、事の重大性にかんがみまして、直ちに日航に対する立入検査を行い、その結果に基づいて日本航空に勧告をいたしたことはすでに御承知のとおりでございます。 その勧告の内容についてくどくど述べるつもりは毛頭ございませんが、その中で私ども、大きく分けて七項目にわたっての指摘を行ったわけでございますが、ただいま先生の御質問ございますような私どもの監査の結果におきましても、最後の七項目目に、日本航空の安全確保のための社内体制について一層の充実強化が望ましいという旨の、やや異例とも言える勧告を行ったわけでございまして、その勧告に対しまして、日本航空からは四月九日に報告がございました。さらにまた最近に至りまして、その実施状況の追加報告がございましたが、私ども勧告の出しつ放しに終わらないように、今後日本航空がこの勧告の趣旨をどう生かしていくか、どう血の通ったものにしていくかということにつきまして、引き続いて監督を行っていきたい、かように考えておる次第でございます。
○田島委員 そのお出しになった七項目目を、具体的に言うとどういうことを求めたのか、そしてその勧告に対する日航側の現在までとられた措置は十分だと考えられるのか、それともどのような評価をされるのか、できるだけ手短に要点だけお願いします。
○松井(和)政府委員 七項目目の社内体制についての勧告でございますが、私ども、日本航空の組織等を調べますと、形式的にはまことによく整備をされておるというふうに評価できるわけであります。その運用の面について、果たして本当にその組織が、先ほど申しましたような血の通った運用が行われているかという点について見ますと、たとえば組織と組織との間の連携が必ずしもうまくいっていないとか、あるいは相互の意思疎通に欠ける面がありますとか、あるいは内部監査の面で不備な点があるということが認められて、このような勧告になったわけでございます。 この勧告を受けまして日本航空では、十分な社内体制の再点検を行いました。内部監査機構の強化その他、改善すべき点についての改善を行った旨の報告がございましたが、先ほど申しましたように、こういう体制と申しますのは、組織をつくったからそれで解決するというものではございません。それならばいままででもある程度組織は整備されているわけでございます。今後本当にその機構がどう生かされていくのかということは、これから実際にどう行われていくかにかかってくるわけでございますので、私どもといたしましては、先ほど申しましたように、むしろ今後の監督指導に重点を置かなければいかぬ、かように考えておる次第でございます。
○田島委員 形も必要だけれども形だけではだめなんで、どんなにりっぱな組織、機構というものを整えても、それを動かすもの、その実を上げるものは人間ですから、そしてまた、その人間の物の考え方、責任感というか熱意というか、そういうものだと思うだけに、その点ではおっしゃることに私も同感なんですけれども、そこで、日本航空における航空の安全確保のために一番重要な立場にある部門、部署はどこだと考えられますか。
○松井(和)政府委員 先生御案内のように、航空機の安全と申しますのは一つのセクションだけではなくて、あらゆるセクションが共同してその安全を確保するということでございますが、やはりその中心をなすものは、航空機機体そのものの整備をつかさどる部門と、その飛行機を飛ばす運航の面をつかさどる部門、この両部門がいわば安全の両輪をなす部門であるというふうに考えております。
○田島委員 私もそのように考えます。 そこで、そのどちらが重く、どちらが軽いかということはなかなかむずかしい問題でしょうけれども、いずれにしても重要な責任を持つ二つの部門のうちの一つ、運航本部というものについて少し突っ込んで意見を交換してみたいと思うのです。 その運航本部の本部長さんも、果たして適任であるか否かについて首をかしげるような問題なしとしない。けれども、いまそのことはちょっとおくことにいたしまして、その運航本部に部長さんが十一人いる。その十一人の部長の中の八人が機長兼務。まず、この運航本部における部長というのは機長兼務であることがいいのか悪いのかという問題が一つありますけれども、特に機長兼務の八人の部長のうちの五人が、何らかのアクシデントかインシデントをやっておる、言うならば前歴者。これは重要な問題だと思うのですよ。大ぜいの機長の中で、言うならばそういうアクシデントに至らないまでも、もしそれアクシデントになったら大変な事故を起こすことになったであろうと、慄然とするようなインシデントを起こしておるところの機長を、何がゆえに兼務の上で部長にしなければならぬか。そのことは大変重大な意味を持っておると思いますけれども、そのことについてお調べになったことがあるか、すでに御承知かどうか。
○松井(和)政府委員 まず第一点の、運航本部におきます管理職にパイロットの経験者が非常に多いという御指摘でございますが、パイロットを統率する部門、その管理職といたしましてパイロットの経験を持つ人間が含まれるということは、むしろ望ましいことであるというふうに私どもは考えております。 ただ、ただいま先生御指摘の、管理職になっておるその八人のパイロット経験者のうち五人が、何らかの形でアクシデントもしくはインシデントの経験者であるという点につきましては、ただいま先生から御指摘を受けるまで、実は私ども全く知っておりませんでした。
○田島委員 当局がそのようなことを知らなかったとすると、監督官庁である運輸省航空局としてもなかなか責任は重いというか、監督に少し怠慢な点があるのではないかと言わざるを得ないと思うのですが、本当に知りませんか。日本航空から何の報告も受けておりませんか。
○松井(和)政府委員 ただいま御指摘いただきました点につきましては、残念ながら私ども把握しておりませんでした。
○田島委員 局長さんも新聞ぐらい読んでいらっしゃると思うのですけれども、昭和五十七年、ことしの四月十三日火曜日のサンケイ新聞、「日航の安全対策責任者 “着陸ミス”報告せず 「単なる不注意」」で済ましている。「五十五年秋マレーシアで貸物便機長 根深いズサン体質」として、これだけ大きい記事が出ているのですよ。航空局長さんだったら目をとめるにそれほど小さくはないと思うのです。 ここには名前が書かれていない。ローマ字を使っていて名前は書いてありませんけれども、私がここに立った以上は、お互いの認識を新たにして、二度と再びあのような事故の起こらないようにすることが、国民に対し、日航を利用するお客さんに対する重大な責任だと考えるがゆえに、あえてはっきり申し上げますけれども、大形貢というのがその機長で、しかもいま何をやっておるか。運航本部の運航安全推進部長。これをどう考えますか。
○松井(和)政府委員 ただいま御指摘の四月十三日サンケイ新聞の記事につきましては、私ども承知いたしております。また、その当時の機長が、現在、御指摘のような職にあるということも承知はいたしております。ただ、先ほど私が申し上げましたのは、五名の人が何らかの経験者であるという事実については承知していないということを申し上げたわけでございます。 このマレーシアにおきます問題につきまして、私どもはその当時は報告を受けておりませんでしたので、今回この記事が出まして、私どもは日本航空から事情を聴取いたしました。その事情は、ここに書いてあります記事とは若干異なっておるようでございますけれども、いずれにしましても、このような事実が日航の路線室長までは報告が上がったそうでございますけれども、そこでそれより上にまで報告が上がらなかったという点につきましては、私ども遺憾の意を表明し、今後かかることのないよう強く指導をいたした点でございます。
○田島委員 日航の運航安全推進部長といったら、運航安全を図り推進するための責任者でしょう。その責任者がみずから事故を起こして、しかもそれを報告しないで、半年もたってその事故を起こした国の方から、どうしたのだという催促が来て——私がいまここで言う事故というのは、アクシデントということではありませんよ。そうして、改めてその問題について取り上げたけれども、これについては何ら処分なし。しかも、その人が安全推進部長をやっているのですよ。それで監督官庁として適切だと思いますか。それは人間のことですから、過ちというものがあることはだれも防げない。だけれども、少なくともみずから犯した過ちを正直に、率直に、直ちに本社に報告をするなり何なりして、みずからの過失を反省するような人でない人が、何で日航全体の運航の安全推進ができるでしょうか。どう思いますか。
○長澤説明員 先生ただいま御指摘の五十五年九月にございましたクアラルンプールでの大形部長の件でございますけれども、先ほど局長が御答弁申し上げましたように、私どもはこの件を後で知りまして、直ちに実情の調査をいたしました。 実情の調査をいたしましたところ、若干この新聞の記事とは違った面があったようでございまして、私どもが承知しておりますところでは、このDC8の貨物機は、クアラルンプールの空港にILS、計器着陸装置を使う方式で進入をしておる途中、当時非常に天候がよかったということでございますが、地上の管制塔からのVORを使う方式へ変更したらどうかというアドバイスがございまして、それに従ってVORに方式を変更をして空港への進入を続けておりますときに、そのVORから空港へ向かって入る方位が若干ずれてしまったということでございます。そして、飛行場に着陸するには若干高度が高過ぎるということから、管制塔の許可を得ましてサークリングという方式に変えまして着陸をいたしております。 当該大形機長は、本件につきまして直ちに着陸後管制塔にその状況について報告をするとともに、会社の中で担当の室長にも報告をいたし、また引き継ぎ簿にもそのことを記録をいたしております。その報告が一たん室長のところでとまっておったわけでございますけれども、その後これを日航の社内の安全委員会で再度審議をいたしましたところ、その内容につきましては、当時の天候状態あるいは管制指示の状態その他から見て、日航の社内としては特段問題はなかったのではないかというふうな結論でありました。そういうことで、本人はもちろん、そのような事態に至ったということは十分反省をしておるということでございますけれども、特段問題はないということでそのまま機長の職を続けておるということでございます。 こういったような場合に、通常でございますと、もしそのことの性質が悪質であれば、この場合でございますとマレーシア航空当局から、こういうことがあったよというようなことの連絡があるのが通常でございますけれども、本件につきましては私ども、そのような連絡は受けておりません。私どもとしましては、当該機長に対して、こういうことのないように十分注意するように指示をしたところでございます。
○田島委員 いまお答えになったのは技術部長さんですか。技術部長さんのお答えを聞いていると、何だ、日航側から派遣された人かなという感じがするのですね。これをけしからぬと思うならともかく、日航本社としては大した問題じゃないんじゃないかということで云々と、何も日航にかわって釈明してくれということを聞いているんじゃない。 それから、このことについては、さっきも言ったとおり、何の音さたもないものだから、半年後にマレーシアの運輸当局から日航のアジア地区の総括拠点である香港支店へ、問題のケースどうしたかという問い合わせが来ておるわけです。 それから、私もこの事故の実情を聞く以上、多少調べたのですけれども、クアラルプールで着陸の際に山に向かって一生懸命飛んだんだよね。そのまま飛ばしたら山にぶつかってしまう、重大事故が発生するということで管制塔から注意されて、やっと気がついて方向を直した。だから、管制塔が注意しなかったら山へぶつかっておる。そんな、大したことはないという問題じゃないと思うのですよ。いま部長が言うように、この日は天気がよかった。天気がよかったからまだよかった。もしこれが天候が悪かったら大変な事故が起きただろうと考えられる。これは日航の社内だってそう思っている者がたくさんいるのです。何であれがあのままになったんだろう、しかも、何でそういう人が事もあろうに安全推進部長をやっているんだろうというのは、日航内でも大変首をかしげられるような問題になっている。まじめな善良な機長たちは、みんな不思議に思っておるのですよ。それを何で監督官庁の運輸省の技術部長さんが、日航本社では大したことはないと言っていますからと、それじゃおかしいじゃないですか。局長、どうですか。
○松井(和)政府委員 私どもも、ただいま技術部長がお答えいたしましたような報告を受けたわけでございます。ただ、先生御指摘のような、このマレーシアにおけるケースが私ども、そう大したことではないんだという認識を持っているわけではもちろんございません。しかしながら、その方が現在安全推進部長の職にあることのよしあしというところまで、私どもとして会社に指示をするというわけにはなかなかまいらぬと思いますけれども、ただいま先生の御指摘の点につきましては、今後日本航空に対して、同種の問題という意味ではございませんけれども、あらゆる問題について甘える体質と申しますか、もしそういうものがあるとすればそれを厳しく反省いたしまして、やはり信賞必罰という態度で臨むのが適切であるという形での指導をしてまいりたいと考えております。
○田島委員 こういうことをやった人を、しかもマレーシア当局からどうしたんだと問い合わせがあるまで、口をぬぐって知らぬふりして隠蔽しておったような人が安全推進部長をやっておって安全が推進されるかどうかぐらい、だれが考えたってわかるでしょう。 しかも、それだけじゃないのです。たとえば現在、運航乗員企画部長というのをやっている人がいる。この人は片桐機長の所属するDC8の運航乗員部の部長を昭和五十六年九月二十日までやっていたわけです。そして、当の片桐機長に対する管理責任のある人ですね。五十五年の五月ごろから片桐機長は体の異常、精神の異常をいろいろ訴えたり、また、はたからも認識されたりしておった。その直属の部長、その人も依然として運航乗員企画部長なるものをやっている。ああいう片桐さんみたいな人を平然と使う人が企画部長をやっている。 それから、査察運航乗員部長という人がいる。あえて名前は言いません。この人も四十七年の十一月、アンカレジで着陸のときに前車輪が出ていないのに着陸してしまった。そして機体の前部下面を損傷した。ところが、これも処分なし。何の処分も受けていない。 それから、747運航乗員部長、名前は言いません。この人も着陸時に滑走路を飛び出しちゃって、前車輪を折っている。これも処分なし。 それから、部長じゃなくて副部長ですけれども、やはり機長兼務のある人。香港から沖縄へ飛ぶ途中、速度計が動かなくなって飛行速度がわからなくなったという事故があった。この人は飛行前に速度計のヒーターのスイッチを入れ忘れた。それで、飛行しながら速度計が動かないといって、お互いに飛んでいる飛行機の機長同士で話したら、スイッチ入れていないのじゃないかと言われて、スイッチを入れたら動き出したというのです。まことに間抜けた話。これもほとんど処分らしい処分はされていない。 そうかと思うと、同じこの人がダッカに着陸するときに、ダッカの管制塔には、これからダッカへ着陸するよと言って連絡しておきながら、ダッカじゃない隣の空港へ一生懸命飛んだ。それで着陸しようとしたけれども、そこの空港はまだ建設中で、下に建設機械、トラクターや何かあったので引き返して、改めてダッカへ着陸したんだけれども、そのときも本人いわく、大変きれいな空港だったから記念に写真を撮ってきたと言って、悠然とダッカへ着陸したそうなんだ。これも単に室長から口頭注意を受けただけ。 DC10の運航乗員部長。この人は、よその飛行機の着陸許可を自分の飛行機の離陸許可と間違えて離陸しちゃった。で、その離陸後管制塔との交信でやっとその事実を知ったということなんですけれども、これがもしほかの飛行機とでも接触するようなことがあったら大変な事故になっていたであろうと考えられておるわけですけれども、これも口頭注意だけ。言葉の上で、これから気をつけなさいと言われただけ。 DC8の運航乗員部長。これは、四発のエンジンのうちの一発が不作動の形での離陸訓練中に大変まずい操作をして、訓練生を三人死亡させ、二人を重傷させた。これでも戒告。 まあ、そんなのを一々挙げていると時間がなくなると思いますけれども、冒頭申し上げたように、十一人の運航本部の中にいる部長のうち八人が機長兼務、その八人の機長兼務のうち五人が何らかのアクシデントかインシデントを起こしている。しかも、その一つ一つをそれとなく調べてみると、まことに慄然とするような間抜けた、しかもそのことによってもし事故が起きたら大変な事故が起きるだろうという内容。そうかと思うと、ある飛行機はあるところで、濃霧の中で自分の位置をコンパスで確認することを忘れて動き出しちゃった。で、タクシーウエー、要するに誘導の滑走路といいますか、それを通って右だ左だ、うろうろしているうちに出たところが着陸滑走路へ飛び出した。それを見たその空港におったほかの飛行機の機長がびっくりして、管制塔へ急報した。管制塔はすでに着陸態勢に入っていたほかの飛行機に、急遽上昇して旋回して待つようにという着陸ストップの指令を出した。もしその指令が間に合わなかったら六百人くらいの死亡事故が起きただろうと言われるようなこともある。恐らくそのことなども航空局は何にも報告を受けてないだろうと思うのです。 私があえて名前を言わなかったのは、個人を責めようとは思っていない。しかし、何がゆえにそのような前歴者の機長を運航本部の部長に据えておかなければならぬのか。それからまた、十一人の部長のうち八人も機長兼務がいたら一体その結果は、局長が言うようなメリットもあるでしょうけれども、もっと大きなデメリットがあるはず。現実にそれが実在する。ほとんど報告らしい報告は出さない。出してもどうせ握りつぶされるであろう。それからまた、多少の事故を起こした者もその部長連中をおどかす。人のこと言えた義理じゃないじゃないか、おまえだってこういうことやっておるじゃないか、そう言われるから、その前歴者の部長連中はほとんどはみんなもみ消してしまう。これじゃ事故が起きるのあたりまえ、起きなかったら不思議なくらい。起きなかったら不思議なくらい、起きるのがあたりまえのような体制に置いておくことが、果たして航空の安全確保のためになるんですかね。局長、どう思いますか。
○松井(和)政府委員 航空にとりまして最も大切なものが安全であることは、これはもう申し上げるまでもございません。その航空の安全を守るために私どもも十分会社を指導してまいったつもりでございます。ただいま先生御指摘のように至らぬ点もまだあったと反省をいたしております。 先ほど先生お尋ねの幾つかの御指摘がございました。私どもも、先ほども申し上げましたように、本来、今回の勧告の中にも入れてございますけれども、やはり信賞必罰の体制ということは、これは特に人命を預かる仕事をやっている以上、多少つらい面があるかもしれないけれども、必ずやらなければいかぬということで考えておりますし、なお、そういう面の指導を強めてまいりたいと思っております。 それから、まさしく管理職にあって部下を掌握し指導する立場にある者は、これは技量だけではなくて、すべての面において模範になるべき人が当たるということが大切であるという御指摘も、まことにそのとおりであると思っております。 ただいま種々の御指摘の点につきまして、私どもも率直に反省すべき点を反省してまいりたいと考えております。
○田島委員 昭和四十七年からせんだってのあの羽田沖事故までの十年間で、日本航空は計五回の事故を起こしているんですよね。ニューデリー、モスクワ、アンカレジ、クアラルンプール、そして今度の羽田沖と。その日航の飛行時間を考えてみると、ちょうど四十五万時間に一回の割合で事故を起こしている。これは世界的に有名だそうですな。日本航空の事故が多いということは世界一だそうです。そういう世界一というのは余り自慢にならない。自慢にならないどころか、まさにはだえにアワを生ずるような実情だと思う。 私がこのことを調べておる間に、日航の乗務員の人の中にも、あるいは事務関係の人の中にも、先生、できれば当分の間日航の飛行機には乗らない方がいいです。なぜと聞いたら、あした同じようなというか、それ以上の事故が起きてもまことに不思議でないような状態がいまの日航の状態だ、乱れ切っている。日航に勤める者がそう言うんですよ。 そういう日本航空に対して全日空はどうだろうなと思って調べたところ、四十一年の羽田沖と松山沖ですか、この事故以来事故なし、二百万時間無事故。それから東亜国内航空が四十六年のばんだい号以来事故なし、百五十万時間無事故。何で日本航空だけそういうように成績が悪いかと考えてみると、先ほど来応答しているような運航本部の内部の実態というものを考えると、まことにさもあらんと思うのですよ。私らがそう思うんだから、やはり監督官庁である運輸省航空局あるいは技術部ですか、もう少し真剣に取り組んでもらいたいですね。これは大変なことだと、こう人ごとのように言っている者はいいけれども、事故の当事者になった被害者は大変でしょう。万全の対策をとっていてでもそれは事故は起きる。これは人の運命でやむを得ないかもしれませんけれども、それを調べたら当然起こるような体制にあったということが事実とすれば、そんな体制をそのまま許した日航本社、その監督をゆるがせにした運輸当局、その責任は軽くないと思いますけれども、局長どうでしょうか。
○松井(和)政府委員 先生御指摘のように、日本航空が他の国内二社と比較いたしまして、最近十年間で旅客死亡事故を多発しておるということは事実でございます。日本航空も、クアラルンプールの事故以来、百万時間の無事故を続けてまいったわけでございますけれども、しかし今回の大事故を引き起こし、御指摘のように過去と通算いたしますと他に例のない回数の事故を起こしたということは事実でございまして、私どもといたしましても、これは個人個人の責任ということよりは、やはり会社全体の問題であるというふうに認識をいたしております。 先ほども申しましたように、今回、従来の例から見ましてもなかり長期間の立入検査を行った上で厳重な勧告をいたしたわけでございますが、先ほども申し上げたことの繰り返しになりますが、勧告のしつ放しに終わらないように、今回私どもといたしまして、ある一定の期間を置いて、その実施状況がどうなっているのかということについて、十分調査をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
○田島委員 私は別にだれを責め、どこを責めようというつもりじゃなくて、もし事故が起こり得るような体制がそのまま温存されていて事故が起こったら、一体その事故による被害者にだれが責任をとるのかということを考えると、ゆるがせにできない問題だと思うのです。 そこで、監督官庁として、改めて日本航空の運航本部その他を中心としたところの現在のあり方とその中身、それから部長や何かやっている連中はどんな過去の経歴があって、どういう性格の人間であるか、もう一回みっちりと調べ直して、監督官庁らしい対処をしてもらいたいと思うのです。今後何らそれらしい動きがなくて、もし日航の社員が私に語って言うように、また再び同じようなというか、もっと大きな事故が起きたとするならば、しかも、そのとき、きょう私が指摘したようなことについて、日航本社も運輸当局も、何ら反省も、努力も、措置もとられていないとするならば、その責任は重大だということを申し上げて、私の質問を終わります。
○宮崎委員長代理 次回は、来る十八日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時四十三分散会