運輸委員会 第9号
- 発言数
- 76 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1982/04/02
会議録
○越智委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、船員法及び船舶職員法の一部を改正する法律案及び船員災害防止協会等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林恒人君。
○小林(恒)委員 先般の法案審議の過程でも私の方から一部御質問を申し上げていた件について重ねてお尋ねをし、当局側の正確な意味での内容説明を賜っておきたいというぐあいに考えているわけです。 法律の一部改正に伴って、免許が五年ごとに更新をされていくという形態をとることになるわけでありますけれども、更新事務を含めて、先日の御説明でございますと、小型一級から四級までで約百六十万件、さらに大型四十万件という大変膨大な海技免状の更新事務が今後行われていくことになろうかと思います。その意味では、一つは運輸省当局の中における事務体制、これは取り扱いますところの要員あるいは予算を含めて、今後どのような過程をたどりながら一部改正の実施日に向けて作業が進められていくのか、具体的に御説明を賜っておきたいと思うのです。
○鈴木(登)政府委員 お答えいたします。 ただいま先生の御指摘のとおりに、STCW条約の批准に伴いまして、現在発行しております約二百万件の海技免状につきましては、現在の免状を新しい免状に引きかえますための引きかえ業務と、それから五年目ごとの更新業務がございます。 引きかえ業務につきましては、私ども附則の方で、大型と小型一級から三級につきましては五年で引きかえ業務を完了し、小型の四級につきましては十年で引きかえ業務を完了するべく、現在業務体制を整えつつございます。そういたしますと、来年度から発生いたしますので、五十八年度から六十二年度は二十万件の引きかえ業務、それから六十三年度から六十七年度までが二十万件の引きかえ業務という、引きかえ業務につきましてはそういう事態で発生してまいります。それから、更新業務につきましては五年先、すなわち六十三年から発生いたしますので、六十三年から六十七年の五年間で二十万件、それから、これは引きかえ業務に対応いたしましてですけれども、六十七年以降は四十万件の更新業務が出てまいると思います。 したがいまして、そういう業務に対しまして、私ども従来からコンピューターの備えつけということを検討してまいりまして、すでにコンピューター関係につきましては、現在までのところ、過去五十一年から五十七年度までに二億一千八百万円程度の費用を計上いたしまして、コンピューター化してまいったわけでございます。ただ、それでも足らないおそれも出てまいりますので、今後ともコンピューターの増強と能力アップということを考えております。 それから、さらにもう一つは、現在それを担当しております私どもの職員、本省職員が二十七名、地方職員七十三名でもって職員関係の仕事に対処してございますけれども、やはりいま申しました引きかえ業務、それから更新業務がかなりふえてまいりますので、五十八年度以降そういう人員の増強、それからいま申し上げましたコンピューター関係の整備という点について積極的に努力してまいり、ユーザーであります船員の利便に支障がないようにいたしますとともに、職員につきましてもスムーズな業務処理ができるような手配をしてまいりたいと思います。
○小林(恒)委員 船舶の近代化に伴って、船員局長の私的諮問機関である近代化委員会の中では、相当きめの細かい議論がいままで積み上げられてきているわけですね。こういったことについては単なる私的諮問機関ではなしに、公的な機関にして十二分な審議を尽くすべきであるという主張を、私どもは前回の委員会の中でも指摘したわけですけれども、ある意味では、行政改革という大きな条件の前で十二分にそういったことが行い得るのかどうなのかという問題点はあるのだろうと思います。 しかしながら、法律の改正に伴ってどうしても必要であるという要員が運輸省内部に生じてきた場合、いまも御説明があったように、本省内部でもって担当職員二十七名、地方に七十三名配置をして、現実問題としては、労使間の業務体制そのものは必ずしも十分ではないということは、いままでの議論の中でも明確になってきただろうと思うのです。 そこで、五十八年度に向けてどうするかという大綱的なものについてはお示しをいただいたわけですけれども、ここは運輸省内部の労使間でも十二分な議論を尽くしていくということが重要なんだろうと考えているわけです。伺いますと、ここらはまるっきり中抜きにされて議論の対象になってこなかったという経緯があるようですから、細かくは申し上げませんけれども、十二分な議論を詰めていただくことを特に要望しておきたいと思います。 それから、予算の取り組み等についても万遺漏なきよう取り組みをしていただきますことを要望いたしまして、私の方の質問を終わります。
○越智委員長 関晴正君。
○関委員 時間がありませんから、急いで質問いたします。 まず第一点は、七百トン未満の船の基準定員についてです。 七百トン未満の船の基準定員というものは示されないとか示すことが困難だとかいろいろ言われてきていましたけれども、事故の多いということがこの船の傾向としてあるだけに、当然船の定員の基準というものは定めるべきものだ、少なくとも最低の基準は定めて、これは守らせるように。よりよいところは、それ以上幾らでもよくていいわけなんです。そういう点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
○鈴木(登)政府委員 お答えいたします。 御指摘の七百トン未満の小型船につきましては、実は部員の定員、特に甲板部員の定員は決めていないわけでございますけれども、それは就労実態が非常に多種多様でありまして、船の種類それから積み荷、航路等の就航事情が非常に複雑多岐にわたっておりまして、一律に決めかねるというような理由でございます。 ただ、私どもはそれでほうっておくかというとそうではございませんで、やはりそういう小型船の定員につきましても、船員法上労働実態あるいは労働時間の点を考えながら、船舶所有者側が乗組員との間で話し合って定員を決めて、それを就業規則にはっきり明示するように、その就業規則を明示することが法律上義務づけられておりますので、それに基づきまして、私どもは船員労務官を小型船に立ち入らせまして、その就業規則に決められたとおりの定員を乗船させておるかどうかということにつきまして十二分にチェックいたしておりますし、今後ともそういう点には遺漏ないようにいたしたいと存じております。
○関委員 七百トン未満ということでわざわざ六百九十九トンにしたり、あるいは五百トン未満ということでわざわざ四百九十九トンにしたりして、とにかく逃れよう逃れようという傾向があるだけに、就業規則云々でチェックするという点も、相手になる労働者がこれまたなかなか対応力を持たない、交渉力を持たない、そういうような実態が多いだけに、きちんとチェックしていただきたいし、そういう指導をしてもらうようこれは特に望んでおきたい、私はこう思います。 第二点は、近代化されていくと、その中に陸上支援体制の問題が出てくる。この陸上支援体制の問題も、船や会社によって体制が異なるということであっては、指導体制や行政のあり方として適当ではない、私はこう思う。そういう意味において、船種だとかあるいは航路ごとに基準をつくって誤りのないように、安全体制というものや就航体制というものについてきちんとさせなければならないものだと思うのですが、そういう意味で基準をつくる御意思はありますか。
○鈴木(登)政府委員 運航員あるいは運航士を適用していきます船の基準につきましては、船舶の設備基準と陸上支援体制の基準が中心になるかと思います。船舶の設備基準につきましては、非常に決めやすいわけでございます。ところが、陸上支援体制については、非常に決めにくい点がございます。 それは、大きな会社か小さな会社かによりまして、大きな会社の方はそういう点では非常に整備されておりますし、小さな会社はそういう点では整備が行き届いていないという点がございます。ただ、私どもも、非常に小さな会社につきましても、それを共同行為化させるとかそういうことによりまして、陸上支援体制のあり方をレベルアップしたい、そうすることによりまして適切な、できるだけ具体的な基準を決めまして、それを守らせるようにいたしたいと思っております。
○関委員 巨大船の乗組員について、今後近代化された船についてはいろいろ一つの方向がつくられていくのでありましょうが、巨大船乗組員というこの巨大船という意味は、特に海上交通安全法に定める巨大船ですね、この巨大船の運航についてはやはり部員の数というものを九名以上にすべきではないか。これが六名なんということになると、やはりいろいろと問題が出てくる。特に、共産党の四ツ谷さんも指摘しておったように、実験船においても狭水道なんかはきちんとやっておらなかったとか、あるいはまたこれからでございますとかと言われておったようでございますが、そういう意味で私は、海上交通安全法に定める巨大船の乗組員については少なくとも部員の数を九名以上は確保するように、そういうふうにすべきじゃないかと思いますので、その点が一つ。 あわせて、通信士の受験資格の年齢の問題でございますけれども、これについては三級士、二級士それぞれ十八歳とあるのだけれども、二級海技士の場合は、学校が終わる、さらに専門学校を終わる、こうなりますと当然二十歳というところになるのだから、これは二十歳にすることが適当ではないか、こう言われているわけです。まあ三級はともかくとして、二級の場合はそういうふうに考えるべきじゃないかと言われておるのですが、これはどうしても直さないつもりですか。その意向に沿う将来の考えがございますか。それが一つ。 それから、いろいろな問題があって、三十八条、三十九条によって雇い入れのことで仕事が運ばれる場合に、船員労務官に対して船員が、問題があると口頭で申し立てをする。こういう問題の処理を口頭で申し入れた場合に、船員労務官はこれを受け入れるように当然すべきものだと私は思うのだが、それはしなくてもいいし構わぬでもいいというお考えでおるか、それともやはり船員の口頭による問題提起についても受け入れる、当然でございますというふうにしているかどうか。 この三点、先に伺っておきます。
○鈴木(登)政府委員 第一番目の、巨大船の問題についてお答えいたします。 巨大船につきましても七百トン未満の小型船につきましても、定員、特に部員の定員につきましては実は同じ問題でございまして、かなりそれぞれ事情が違いますので、一応先ほど申し上げましたとおり労使間の話し合いにより、その話し合いの結果、それを就業規則に明示し、その就業規則をわれわれがチェックしていくというふうな体制をとっておる次第でございます。 特に巨大船につきましては、今回の近代化に絡む問題でありますけれども、実は十四隻の総合実験船のうち十二隻が二百メーター以上の巨大船でありまして、それに従いまして、今回の総合実験は、巨大船を中心に実験をしたと申し上げても差し支えないかと思います。特にその航行時の緊急事態の訓練とかいうものを中心に実は実験してまいりまして、部員六名を含めまして全員十八名でも大丈夫だという提言をちょうだいいたしまして、そのもとに今回の法律をつくった次第でございます。もっとも、先生の御指摘のとおり安全問題は一番重要でありますけれども、われわれ、今後ともこういう点に、実験の進展に伴いまして一番意を用いてやってまいりたいと思っております。 それから第二番目の点でありますけれども、二級海技士、いわゆる通信員、現在の乙種通信士の点につきまして、現在、法律上は二十歳以上になっておるのを十八歳に低めているのはどういう理由によるのか、それを高めることができないのかという御質問でありますけれども、実はこれは三十八年の法律改正のときに、電波法が年齢制限を全然設けていないというような事態、それから海技資格取得のために要求されます乗船履歴が非常に短い、六カ月でありますけれども、そういうこと、それから通信士の海上への就業を促進させるというようなこともありまして、実は三十八年の法改正の際に、附則で十八歳というふうに一応低くした次第でございます。その後すでに二十年近くたっておりまして、なお附則で「当分の間」というふうな書き方をしておるのは、当分の間といいますと少なくともやはり四、五年とか、そういう事態を前提にしておるにもかかわらず、すでに二十年間もそういう十八歳年齢を維持してきたということから、これはやはりそういう社会的な事情全体を考えてそういう事態になっておるのだということから、むしろその十八歳を正常化すべきだという考え方から、今回、十八歳を法律に格上げしたような次第でございます。法律というものは、社会自体の変化に応じて、それが一つの慣習的になりましたときにそれを実際に法律化することがやはり必要でございますので、そういうふうにした次第でございます。三十八年当時の通信士に関する事態と現在とは変わっておりませんので、そういうふうにした次第でございまして、御了承いただきたいと存じます。 それから最後の問題、実は船員法百十二条に船員の申告の規定がございまして、申告がありましたときには、私ども、現在までのところ、一〇〇%労務官を派遣いたしまして、その申告内容をチェックさせてございます。ただ、労務官というのは、船員の労働の保護を図ることを至上命題にしておりますので、もちろん、船員の申告がなくても、労務官が立入検査したときに労働保護に欠ける点があればそれをチェックするわけであります。 ただ、船員の申告があったときにだけ労務官が働けるようにせいということになりますと、これはちょっと船員の労働保護に欠ける場合も出てまいりますので、私どもはかなり積極的に船員労務官を船舶に立ち入らせて、労働保護を図っている次第でございます。船員の申告がありましたときにはもちろんそれを優先して、労働保護の業務に今後とも鋭意精励いたしたいと存じております。
○関委員 いまのおしまいのところ、船員の口頭による申し立てについても問題処理に当たるように労務官は積極的に任務として負うているもの、こう理解してよろしゅうございますか。
○鈴木(登)政府委員 そういうふうに御理解いただきたいと存じます。
○関委員 船員法の第六十九条による、言うなれば乗員の定員を定める基準、この一つの基準を政令でつくっておく必要があるのじゃないかと思うのだが、その考えはどうですか。
○鈴木(登)政府委員 実は六十九条には、船舶所有者は、労働時間の点を考えて定めました命令の規定を遵守するために必要な海員の定員を定めて、その員数の海員を乗り組ませなければならないというふうに書いておりまして、これを船舶所有者のかなり自由な判断に任してございます。 なぜそういうことになったかと申しますと、先ほども申し上げましたように、実は船の種類が非常に雑多あるいは航路が雑多あるいは貨物が雑多ということで、それぞれ法律で一律になかなか決めがたい事情がございますので、船舶所有者にその判断を任せた次第でございます。 ただ、船舶所有者に判断を任せましても、自由自在に、勝手に船舶所有者が決めるということではございませんで、場合によっては乗組員との団体交渉によってそれを決めまして、しかも、それを就業規則に明示し、その就業規則を船舶内にはっきりと掲示しておくというふうな義務を課してございます。したがいまして、先ほども申しましたように、私ども、船員労務官をできるだけ頻繁に立ち入らせて、適正な定員を乗せておるかどうかということを就業規則との関連でチェックしてございます。 ただ、法律上あるいは通達上何名かということを規定せいということにつきましては、先ほど申しましたとおり、非常に雑多な形態にございますので、一律に規定することは無理な次第でございます。
○関委員 あなたは無理だと言うけれども、基準を決めないから無理が起こり、危険な結果が起こっていると思うのです。それは船舶所有者に任せられて、船舶所有者が、船主がとにかく就業規則に基づいてきちんとやると言っても、そういう就業規則の相手である船員がきちんとした交渉を持っておればいいですよ。交渉の権限はあるかもしれないけれども、交渉能力においては、なかなかむずかしい環境にあるわけです。それで、やはり六十九条による定員を定めるのに、船主だけに任せるということであってはならぬじゃないか。任せているからこそいろいろな事態が発生しておるし、してはならぬことまで起こっておる。 こういう意味で、私は大臣に特にお答えをいただきたいと思うのですが、この六十九条による定員についての基準をやはり船主の方にも示しておく。そうすると、乗組員においても基準というものがあって、基準が守られぬようじゃ困るというお話にもなるでしょう。いろいろ雑多な状態にあるから法律では出せないと言うなら政令でもいいですよ、やっかいななんと言わないで。これは重大なことであると私は思っております。そういう六十九条というものの意義のある、効果のあるような法律を生かす意味において、当然指導基準たるべきものがあってしかるべきだし、なければならぬものだ、そういう意味で、ひとつ大臣のこれに対するお答えをいただきたいと思うのです。
○小坂国務大臣 関委員からのいろいろの御提案でございますけれども、非常にばらばらであるのでなかなか一括してこれを決めていくということは困難な実態にあるようでございます。 しかし、われわれといたしましては、ただいま委員の仰せられた諸点は、やはり船員諸君に対しましても大変大事な点であると思いますので、十分その点について配慮をしながら行政の運営をしてまいりたいと思います。
○関委員 船員労務官の職務権能と申しましょうか、実際に三十七条、三十八条によって雇い入れの公認をする場合に、この公認の方法——審査をして、それで判こを押して返還するというだけのようでありますけれども、私はこの船員労務官の仕事というものは非常に重大だと思う。船員労務官の配慮で事を運んだり、あるいはこれは問題だなと思いながらもきちんとしなかったならば、大変な結果を招くわけです。そういう意味では、船員労務官の地位とか責任というようなものの重大性にかんがみて、これがだれにも支配されることなく、だれにも左右されることなく、諸法律、諸法令の適正な運用なり雇い入れが行われるようチェックする機能をちゃんと持たせなければならぬじゃないだろうか。そうでないといいかげんな、と言うと言葉が悪いけれども、船員労務官がその日暮らしのようなチェックをしておったのでは、これはかなわぬと思う。そういう点についてもっと重きを置いて、労務官というものの存在を重視するようにして、地位の向上と言えば言葉が適切であるかどうかわからぬけれども、もっと独立したようなかっこうでこれを位置づけることが必要ではないだろうか、こう思うのですが、どうでしょう。
○鈴木(登)政府委員 お答えいたします。 先生御指摘のとおり、船員労務官というのは、船員の労働条件の改善のために必要不可欠な職務でありますので、私どもの方も、昭和三十九年に船員労務官もかなり充実いたしまして、従来事務官と兼任しておりましたのを専任制にいたしまして、いままで質の向上と同時に人員の増強をかなり図ってきたわけでございます。現在百二十六名を全国主要港に配置してございますが、それでもまだ足りませんので、幸い来年度予算案では二名増員を認めていただきまして、現在御審議をいただいているような事態でございます。 ただ、増員するだけではやはりだめですので、その質の向上というものを非常に図らなければいけないということで、毎年数回にわたり船員労務官の研修を実施しておりますし、特に今後、英語の能力をもっとふやす必要があるだろうということから、これも予算的な措置をしておりますけれども、来年度以降は、労務官の英語能力の向上を図りまして、かなり努力するつもりでございます。今後とも労務官の数の増強、それから質の向上というものにつきまして鋭意努力してまいるつもりでございます。
○関委員 労務官の、三十七条、三十八条に基づく一つの扱い方、もとは、雇い入れる人と船員手帳と書類と諸賃金等についても記載されたものと一緒になってチェックして運ばれた。最近は、船員が行くのじゃなくて、書類だけでやって、しかもその書類の中には賃金もきちんと書いていない。こんなことを聞くのですが、そんなことでいいのですか。
○鈴木(登)政府委員 地方では、雇い入れ雇いどめのことは、実は船員労務官ではございませんで、労働基準課という課自体でやっております。それで、昔はその労働基準課の職員が、そういう雇い入れ雇いどめの仕事もやりあるいは船員労務官の仕事もやりという形でやっておったのですけれども、それじゃなかなか労働保護の達成はできないというようなことから、それを分けまして、船員労務官はもっぱらとにかく船舶に立ち入ったり事業所に立ち入ったりして、労働条件がうまく守られておるかどうかをチェックする仕事をし、それから労働基準課の職員は雇い入れ雇いどめの仕事をする。もちろん先生御指摘のとおりに、雇い入れ雇いどめのときにも、法律あるいは通達に基づいた適正なものであるかどうかをチェックさせてございますけれども、できるだけそういうふうな専任労務官を認めまして、労務官にはその職場自体に立入検査させるというふうな制度をとった次第でございます。 私どもは、そういう御指摘のような事態があるとすれば、いろいろとこれから反省いたしまして、労働基準課の窓口職員、いわゆる雇い入れ雇いどめ職員にもそういう点を十二分に自覚させるとともに、労務官につきましてもさらに一層の精励を通達いたしたい、かように考えます。
○関委員 労務官じゃなくて、労働基準官と言いましたか、どっちにしても、雇い入れに当たって労働者の大事な賃金、この賃金なんかもきちんと記入の上でチェックすべきものだと思うのですが、その点どうですか。
○鈴木(登)政府委員 御指摘のとおりでございます。十分注意いたします。
○関委員 今後、その点について指導しますか。
○鈴木(登)政府委員 指導いたします。
○関委員 今度の法律でわれわれが最も歓迎するものは、配乗国主義から旗国主義に方針を変えたということであると思います。私は、おくればせながら、わが国の海運界もこういういいかげんな方向から、わが国の国際的な地位を高めるための方向に進んだものだ、こう思いますので、この旗国主義をとったということについては歓迎します。 そこで、せっかく旗国主義をとっても、これが運営に当たってその趣旨が生きなければ何の意味もないわけなんです。そういう意味では、この旗国主義をとることによってマルシップやあるいは便宜置籍船というものについての取り締まりも相当厳重に当たらなければならないものだと思うのですが、その構えについて、これは大臣から聞きたいと思います。その構えをきちんと持って当たるという御意思を大臣はお持ちかどうか。
○小坂国務大臣 旗国主義をとるということは、御承知のように、やはり日本の商船隊と申しますか、日本の動脈ともなるべき輸送力をわれわれの手で確実に維持していきたいということでございまして、しかしまた一方においては、多少の経済性というものも考えざるを得ない点もございます。基本的には、やはりこうした旗国主義を中心にする運営を在来よりもさらに徹底して運営してまいりたいというふうに考えております。
○関委員 こういう法律をつくる際、やはり官公労使の間の話し合いが十分なされた上で今回の法案が提案されてきているわけなんですが、先ほど私の方の小林君からも御質問があったように、労働者の代表と言う場合に、関係労働者、最も関係する労働者の意見というものも聞いた上で臨まなければならないものだ、私はこう思うのです。特に今度の近代化ということによって波をもろにかぶるのは、船舶部員ということになろうかと思います。そういう船舶部員の方々の組織している団体があるわけなんで、そういう船舶部員の協会の意見というものも当然伺って事を進めるようにしなければ、単に大きな組合の代表だけで話をしておれば事が済むような官僚的なことであってはならぬじゃないか、私はこう思うのです。そういう意味では、今後船舶部員協会の方々の、波をもろにかぶる、そういう影響を受ける諸君たちの意見というものも伺って当たることが私は必要だろうと思うのですが、この点についてのお考えはいかがです。
○鈴木(登)政府委員 近代化の問題につきましては特にそうでありますけれども、一般的に船員関係の法令の改正といいますのは、私ども従来から、労使の御意見を十二分に拝聴しながらでなければやれないような一つのシステムに法律上はっきりもうなってございます。したがいまして、私どもこういう法律の改正につきましては、労働側の御意見をいままでも十二分に聞いておりますし、今後ともそういう方々の御意見を十二分に尊重してまいる所存でございます。
○関委員 今度の場合、海員組合だって何も一から十までよくて賛成しているわけじゃない。海員組合の中にもまたいろいろな意見があって、まあしかし集約すればやむを得ないだろうというところで出されてきている。その出されているのをいいことにして、関係労働者と申しましょうか、船舶部員の方々に意見を伺うということを、おまえたちは反対になるであろうから、あるいはまたおまえたちは反対なのだからということを理由にして、全然受け付けなかったり拒否したりするようなことはあってはならぬことだ。反対であればあるほどよけいに話をして納得をさせる、納得をするということが大事だと思うのです。そういう点については、これからのあり方において私はぜひそうすべきだと思うので、御見解を聞いておきたいと思います。
○鈴木(登)政府委員 お答えいたします。 もちろん、船員の皆さん方の御意見を伺いますときには、私どもいろいろ反対意見のあることも承知の上で、その意見をできるだけ取り入れるべく努力してございます。ただ、やはり物によりましては多数決で決められるというような場合もございますので、そういう点でいろいろと少数意見が無視される場合がございますけれども、いま先生御指摘のとおり、多数意見で決められましても、そういう少数の方々の御意見というのは十二分に尊重してまいるつもりでございます。
○関委員 これは大臣からも——海員組合の代表だけでは不十分だあるいは適当でないとかということじゃなくて、事を運ぶのに、最も局部的にその影響を受けるようなところを抜きにして事を進めるなんということは、非民主的なことなんです。そういう意味においても、この点については大臣からひとつお答えをいただきたいと思います。
○小坂国務大臣 私は、話し合いというものは、原則的にいま委員の仰せられたとおりのことだと思っております。
○関委員 それでは、いまとにかくこの近代化の法律ができ上がる。これはでき上がったからといって直ちに合理化になるわけじゃないし、さらにいろいろ綿密な実験が加えられ、そして了解が得られ、納得の上で事は運ばれていくでありましょう。 しかし、この法律がまだできておらないのに、現実にもうひどい定員の状態で船が運営されているという実態がここにあります。これは、会社の取締役社長の名前は田窪小二郎という方です。この方の持っている会社で田窪商業株式会社というのがあります。この田窪商業株式会社が持っている将島丸、これは一万四千五十九トン、それから能島丸、これは一万四千百七十八トン、それから、会社は違いますけれども社長は同じですね、媛島海運株式会社の媛島丸八千七百トン、これらの船の乗組員はわずかに十六名になっております。この船はマルシップでしょう。十六名しか乗務員がおらないなんということをどうして認めておるのでしょうか。これは海運局が了承していることでしょうか。船員労務官がまた了承したことでございましょうか。それとも先ほどで言えば労働基準官ですか。十六名で船をどんなふうにして操っているのでしょうか。その実態はどういうものですか。こういう事実に対して、あなた方はどんな指導をし、どんな行政措置をとるつもりですか、お答えいただきます。
○鈴木(登)政府委員 ただいま先生御指摘の田窪商業の点につきましては、将島丸、それから能島丸、いずれもマルシップでございます。それから、そのほかの船につきましては一応日本船になってございます。ただ、この船につきまして、先生御指摘のとおり十六名ないし十七名あるいは十八名というふうな、いわば、ほかの船に比べましては乗り組み定員が少ないという実態がございます。ただ、法律的に申し上げますと、先ほども申し上げましたとおり、船舶職員法で必要最小限度の定員を決められておりまして、それから船員法につきましても甲板部員の最小定員を決めております。それを合わせたのが、大体こういう船につきましては十五名ということになりまして、将島丸あるいは能島丸、その辺は一名プラスアルファしか乗ってないじゃないか。一名プラスアルファだけでやれるのかという御質問だろうと思います。 この点につきましては、先ほども申し上げましたとおり、船の航路あるいは貨物の種類、いろいろによりまして、乗組員と船舶所有者との間の話し合いに実は任せておるような事態でございまして、それが具体的にその人数で法律違反じゃございませんので、それで船舶が運航できるのかどうか、危険じゃないのかどうかということにつきましては、実はなかなかその判断がわれわれの労務官、われわれの方におきましても非常にむずかしいものでございます。そういうものがありますので、法律自体も船舶所有者の判断に六十九条によって任せておるわけでございます。 ただ、具体的に事故が起こるとか、そういうことがございますと、われわれそれをよく原因を調べて、その労働時間の点でかなり過重労働があったのかどうかという点をチェックして、それについて行政指導するつもりではありますけれども、ただ、一般的にそういうものを取り上げて定員をふやさせるとかいう点につきましては、非常に困難というふうな事態にございます。
○関委員 冗談じゃないですよ、あなた。じゃ、十六名がどんな配置についてやっているのです。具体的に答えてください。六名が甲板員、あとの十名が機関部員と船長と……。御飯つくる人はどこにいくんです。事務部員はどこにいくんです。どんな状態でやっているんです。 そこで、こんなものをあなたは、いまの法律ではチェックできないから云々ということでは問題じゃないですか。取り締まりの最も厳格であるべきあなたが手がつけられないなんというんじゃ、船主はどんなことでもしますよ。何を基準としてあなたは船員局長として物を見ているのですか。もうけ主義に立っているのですか、安全主義に立っているのですか。それから、船のあり方において何が大事なんですか。こんなものをチェックもできないような船員局なり運輸省ならば、ない方がよっぽどましじゃないの。わずか十六名ですよ。普通二十二、三名でしょう。それで、近代化に近代化を重ね、装備に装備を重ねていま十八名にしようということについてもわれわれは意見を言っているのです。そういうとき十六名、何のチェックもしない、これじゃ法があってなきがごときものじゃないですか。ある法が何らの有効性を示し得ない、効力を持ち得ない法になっているんじゃないですか。それを十分知っているならば、今度の法律改正に当たって、こんなものこそきちんと定員の定めもしておいて、基準も出しておいてわれわれに示すべきじゃなかったですか。提案すべき法律も提案しないで……。 そういう点からいくと、私は、少し間が抜けているように思う。十分これは反省して、法が不備だからそれでいいんだなどということじゃなく、これはあなたたち、直したらいいでしょう。それで直せないんなら「アホウ」というものですよ、同じ「ホウ」でも。「アホウ」じゃ困るんです、ちゃんとやってくれなければ。 それから、そういうことについてまで外的、政治家の圧力があってあなた方が動きがとれなくなっているとするならば、圧力排除に社会党は手伝いしましょう。危険な運営をするようになっているものはだめなんです。また、そんなものに味方をする自民党の政治家だって、あるわけはないと私は思っているんだ、あっちゃならないことなんだから。そういう意味で、この十六名の船がある。しかも、私はここで三隻指摘したけれども、三隻にとどまらない。大体四国の西側の方は大方そうだろうと言われているんです。委員長の地域なものだから遠慮している向きもあるかもしれぬが、何にも遠慮するところはない。(「おい、言葉を慎め」と呼ぶ者あり)言葉の問題じゃないんだ。私は、とにかくこういう問題について、こういうようなものをのうのうとして生かしておくようなことであっちゃならぬのだから、厳重にひとつ当たっていただきたい。そういう点について、大臣からもお答えをいただきたいと思います。
○鈴木(登)政府委員 先ほど申しましたとおり、船員法及び船舶職員法に基づきまして安全上必要最小限度の定員というものを決めておりまして、いま御指摘の船は、その船舶職員法、船員法上の必要最小限度の安全基準を、定員上は守ってございます。ただ、それ以上どれだけを乗せるかは、これは乗組員の資質とか性格とか、そういうものを全部判断いたしまして実は船舶所有者が決め、その判断したものをさらにその乗組員一同に聞いた上で定員を決め、定員を守らしているような次第でございますので、その辺につきまして余りわれわれの方が、事故を起こした場合は別でありますけれども、適正に船舶が安全に運航されている限り、私どもがやたらとそれに干渉するということにつきましては、いろいろと民間の創意工夫というものについてかなり支障を発生させる場合もございまして、官権力の行使というものは慎まなければいかぬというような事態もございます。その辺がこういう法律の運用につきましては非常にむずかしい点でございまして、ひとつよろしくその辺のことを御理解いただきたいと思う次第でございます。
○関委員 局長、いまのところ何の事故もないから何も言わないんだという。事故があれば言うんだと。冗談じゃない。事故があっちゃ困るから、こういうようなことについて安全運航ができるようにきちんと取り締まりをするものなんです。起きればやる、本末転倒ですよ、この考えは。 そこで、私は、今度の法律が生まれることによって、こういうようなものについては当然チェックをされてきちんとなされるんだと、いままでは法律がなかなか弱かったものだからできないんだ、今後はこのものについてもきちんとした取り締まりをして安全な運航ができるように指導ができるんだと、こう理解してよろしゅうございますか。
○鈴木(登)政府委員 たびたび申し上げておりますとおり、実は定員は労使間の話し合いによって決めておりますし、私どもは法律に基づいた必要最小限度の、安全上から判断して必要最小限度の定員を乗っけておるかどうかについてのチェックということで、ある程度そういう一つの取り締まり体制の枠をはめてございますので、その点よろしく御理解いただきたいと思います。
○関委員 大臣、いまお話を聞いたと思うのだが、これは十六名で一万五千トンの船があたりまえに運航できるということにはならないはずです。いましていて事故がないからいいなんということは論にならない。こんな局長の姿勢じゃ、取り締まりできませんよ。ひとつ大臣は大臣の判断で十分これは考えてもらいたいと思うし、そうして、そのことについて適切な処置を講ずるようにしてもらいたいと思うのですが、大臣の決意を伺いたいと思います。
○小坂国務大臣 ただいま局長からの御答弁は、委員には大変お気に召さなかったと思うのでありますが、私、率直に申し上げますと、この船の実態を全くまだ存じておりません。しかし、十五名がいいのか十六名がいいのか、あるいは二十名がいいのか三十名がいいのかということは、やはりそれぞれの船の構造とか、あるいはその船主とか荷主とか、直接的に申すならば、先ほど来申し上げておる運航に当たる者たちの判断でいいのではないかと思うのでございます。 しかしまた、一万トン以上の船で十五名というのはいかにも少ないではないかという御指摘につきましては、ただいま初めて伺ったわけでございますので、そうしたことで運営が安全であるかどうかということはよく聞いてみる必要があるというふうに、ただいまの御議論を伺いながら感じておるところでございます。
○関委員 この問題については、また後日論議したいと思います。だが、くれぐれも言うておきたいことは、船員局長も、わが国の海運行政、またそこに働いている労働者の状態、そして安全第一主義に立って労働が適正に行われているという見地をお忘れになることなく対処して、ひとつ船をこいでいただきたい。そうでないと、船はアカデミー・スター号のように座礁してしまいますよ。あなたも座礁してしまいますよ。十分気をつけてください。 次に、アカデミー・スター号についてお尋ねをします。 アカデミー・スター号が座礁した原因は何と見ているか。また、このアカデミー・スター号の船の責任者はだれになっているか。また、NKの検査を受けたと言っているけれども、その検査はいつ、どのような形で受けられておったものか。さらに、この船のもたらした損害、特に千葉県の漁民の皆さん方に与えた損害、これはどこで補償することになるのでしょうか。さらに、この船体をいつ、どう片づけるつもりですか。相手が片づけなければ、だれが片づけるのですか。そこまでひとつお答えいただきます。
○勝目政府委員 事故の概要につきましては、先般の委員会の際、御質問にお答えしたとおりでございます。 事故原因について、現在私どもが把握している状況について申し上げたいと思います。 当時、本船は、航行中に荒天のため船体に亀裂を生じ、緩やかな速度で航行しておったわけでございますが、低気圧が近づいて乗組員の危険が予想されましたので、船主側と申しますか船主代理店からの要請に基づきまして、乗組員を救助したということでございます。 その後、船主が契約をいたしました日本サルヴヱージ会社の曳船が参ったわけでございますが、非常にしけておりまして、曳航作業を実施しようとしたわけでございますが、そのような状況下では非常に困難であり、そのうち次第に陸岸に接近をして座礁をしたというように承知いたしております。 船体、積み荷のその後の状況でございます。船体につきましてもまた積み荷につきましても、早急に撤去を図るよう、現場におきまして強く指導しているわけでございまして、積み荷につきましては昨日から瀬取り作業を始めておりまして、積み荷の処理が終わった後、船体撤去等の運びになるものというように考えております。
○関委員 まだ答弁残っておる。
○永井政府委員 アカデミー・スター号の所有関係について申し上げますと、このアカデミー・スター号はリベリア法人であるアカデミー・スター・シッピング株式会社の所有でございます。船籍はパナマにございますが、この船をジャパンラインが五年間の契約で定期用船しているものでございます。なお、ジャパンラインからの話によりますと、このスター号の実質的な所有者は、香港法人でございますリージェント・シッピング会社ということでございます。
○関委員 答弁、答弁。早く答えてくれよ。
○永井政府委員 この漁業被害その他の補償関係でございますが、これは法務省の所管で、私ども責任持って御答弁をする立場ではございませんが、私どもの知り得る範囲内でお答え申し上げますと、このような事故によります漁業被害については、通常PI保険、船主相互保険というものがございまして、このアカデミー・スター号につきましては、ノルウェーのガードクラブというPI保険に入っております。 なお、この保険の内容でございますが、当該ガードクラブの保険約款を見ておりませんが、一般的に日本のPI保険の場合を考えますと、漁業被害や積み荷の損害についてはこの保険でカバーする、それから船体引き揚げ費用についてはこの保険の範囲外、このようになっております。 なお、このような海難によります第三者に及ぼす被害につきましては、船舶の所有者等の責任の制限に関する法律というものがございまして、限度額が設定されております。
○関委員 NKの検査の答え。
○勝目政府委員 船体検査の状況につきましては、承知をいたしておりません。
○関委員 まことに大事件が惹起していながら、この船が何を原因として亀裂が生じたのか、また、NKの船級検査を受けていると言われているのだが、いつ、どのような船級の検査が行われたのか、そういうようなことについても知らないなんというのは、何というのろいことなんです。亀裂の原因はどこにあるかということを調査する場合、この船の検査がいつ行われたかということを知らなければならないでしょう。 私は、NKに問い合わせましたよ。問い合わせましたら、船主の了解を得なければあなたに答えられないと言うのですよ。じゃ船主はどこにいるのと言ったら、船主はリージェント・シッピングだと言う。そこへ電話したら外人が出ましたよ。初めは日本の女の方が出て、後で外人が出たものだから、外人との話では、私はいいんですからそちらに聞きなさいと言った。こっちの方はもう時間がないから、こっちへ来ました。便宜置籍船というのはだれの便宜を図るものかわからぬけれども、こんなことが起こるというと不便きわまりない。何が便宜置籍船ですか。不便宜置籍船でしょう。こういう点についても、わが国の海運行政というものはもっともっとしっかりしなきゃならない、こう思います。この問題についても次回にさらに深めて、またお尋ねをいたします。 急いでおりますので、最後のところ、日本郵船の脱税問題です。 もうけ過ぎてもうけを不足にして、そうして利子補給金の返還を免れようとする、そういうような考えがあったかどうかは別ですよ。あったかどうかは別として、経過を見るというと、もうけるたびごとに資本金をふやしていく方針をとっているということは、明らかにそういう意図でしょう。日本の国民の税金なんです。大部分の税金をここに注ぎ込んで船をつくることを助けてやっているわけです。利子補給もしてやっているわけです。しかるに、百億も隠しておって、次年度に払うべきものを払っておいてあったというのでしょう、五十六年の三月決算期。五十六年度に払うべきものを五十五年度において払っておったという事件でしょう。こういう問題が発生して一年間も長々とやっておったんでしょう。何をやっておったのか知らない。しかしながら、こういうようなものについても資本金の一〇%までは利益の場合にはめんどう見ると言ったものを、いつの間にか二〇%にしておる。これじゃ何のためにお金を貸し付けたりあるいは利子補給するときの条件というものがあるのかわからない。国際競争力をつけなきゃならないとかなんとか言っているけれども、何のために莫大なもうけをしておったのかということも、これは聞きたくもなります。 いずれにしても、日本郵船というのは大手の中の大手です。相撲で言えば横綱クラスでしょう。クラスじゃない、横綱でしょう。横綱が、もうけたからといってこんなみみっちいことをしてごまかそうとするなんということは許されないじゃないか。しかも一年間、大臣が知ってか知らずか知らぬけれども、そして国税庁、東京の方から指摘をされてこういうことになったというのだが、これは一体外航船舶利子補給制度に当たって、これを利子補給をしている側と利子補給を受けている側との間にどういうチェックが行われているのです。ひとり日本郵船のみならず、他の船についてもこうしたことが間々あることなんでございましょうか。理解できないわけです。 この問題についての経過と、この問題についてのあるべき姿というものについてきちんとしたお答えをいただきたいと思います。
○永井政府委員 今回の国税庁の決定につきまして、私どもが責任あるお答えをする立場にはございませんが、当事者でございます日本郵船から事情聴取いたしたところによりますと、五十五年度の決算におきまして費用の一部、主として借船料でございますが、借船料の計上時期について従来の会計処理の方法と異なった処理方法を採用した。これは公認会計士の了承を得、また一般に公開を義務づけられております有価証券報告書にもちゃんとその旨を記載した上でこの決算処理をしたわけでございます。 これは、一般に会計処理につきましてはいろんな方法が考えられまして、いずれが妥当、合理性があるかという問題については複数の処理方法もあるわけでございまして、郵船はこの方法が妥当であろうという判断のもとに考えた方法と聞いております。これに対して、国税庁の見解と異なりまして国税庁に否認されたということでございまして、いわゆる所得を隠蔽したとかあるいは虚偽の申告をしたという悪質な脱税という問題とは異なるものと考えております。 税金問題は以上のとおりでございますが、運輸省としては、御指摘のとおり、利子補給法に基づきまして会社の経理を監督しておるわけでございまして、本件については、五十五年度の決算で私どもわかりましたので、こういった会計処理が公正妥当なものであるかどうかについて、昨年の四月に、専門家としての日本公認会計士協会に意見を文書で照会いたしまして、本年三月、先月の五日に回答が来ております。 この回答は、きわめて基本的な考え方でございますが、一つは、こういった郵船の会計処理も合理的なものと考えられる、ただし、こういった会計処理の方法について変更する場合はある程度継続性を持ってしなければならない、一つの方法から次の方法に変更する場合継続性を尊重しなければならない、こういう回答が参っております。 私どもとしては、この基本的な考え方に基づきまして今後の監査方針を定めて、郵船の決算について監査をしたい、このように考えております。(「委員長、時間が過ぎておるじゃないか」と呼ぶ者あり)
○越智委員長 大蔵省藤井主計官。簡単に願います。
○藤井説明員 日本郵船の処理につきましては、いま運輸省で御検討中ということでございまして、その結果をもちまして厳正に対処いたしたいと考えております。
○関委員 まだまだあるけれども、時間ですから、きょうはこれで終わります。
○越智委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○越智委員長 これより両案を一括して討論に入ります。 討論の申し出がありますので、順次これを許します。楢橋進君。
○楢橋委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、両法案に対し賛成の討論を行うものであります。 わが国の船員及び船員制度を取り巻く諸情勢は、ここ近年、国際的にも国内的にも大きな変化を見せており、このような事態に対処し、わが国の船員が今後ともそのすぐれた能力を活用していくことができるよう措置することは、目下の緊急の課題でありますが、このような観点から、今回の両法案の内容は、きわめて妥当なものであり、両法案に対し賛意を表明するものであります。 まず第一は、船員制度の近代化の円滑な推進であります。 わが国の外航海運は、最近外国用船への依存傾向を強めてきており、日本人船員の雇用の場がますます縮小していく傾向にあります。これに対処するため、船員法及び船舶職員法の一部改正法案では、従来の船員制度を再検討し、技術革新に対応した新しい職務体制の確立を図っており、これにより日本人船員の社会的地位の向上を図りつつ、その職域が確保されることが期待されるものであります。 第二は、STCW条約の国内実施であります。 本条約は、船員の技能に関する国際基準を設定することにより、人的な面から海上における安全の確保を図ろうとする画期的な条約であり、その発効が間近に迫っているところであります。したがいまして、主要海運国としてのわが国がこの条約を締結し、その内容を国内で実施することは、きわめて有意義であると考えるものであります。 なお、この際、船舶職員の乗り組み基準、いわゆる配乗表を政令で定めることとしておりますが、乗り組み基準はきわめて技術的、専門的事項であり、近年の船舶の技術革新の進展、船舶の多様化等状況の変化に適時適切に対応し、安全を確保していくためには、政令への委任はきわめて妥当なものであると考えます。 第三に、船員災害防止対策の総合的かつ計画的な推進であります。 乗組員の少数精鋭化等、船員を取り巻く労働環境は質的に変化してきており、その変化に適切に対処し、快適な船内環境を形成するための諸施策を樹立することが急務であると考えるものであります。このため、船員災害防止協会等に関する法律の一部改正法案においては、船舶所有者に総括安全衛生担当者の選任、安全衛生委員会の設置等を行わせることにより安全衛生管理体制の確立を図ることとしており、現下の情勢にかんがみれば、まことに時宜を得たものと考えるものであります。 最後に、以上のような内容の両法案は、政府において、関係公労使より構成する審議会等における慎重な審議を経たものであり、特に船員制度の近代化については、官公労使が一体となり、船舶の安全運航、船員の快適な労働の確保を最重点に慎重な実験を進めてきた結果を受けたものでありまして、関係者の御努力を高く評価する次第であります。 今後とも、政府は、わが国船員の職域確保に配慮するとともに、船員災害防止のための諸施策をより一層推進することに努めるよう強く要望いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
○越智委員長 辻第一君。
○辻(第)委員 私は、日本共産党を代表し、船員法及び船舶職員法の一部を改正する法律案に対する反対の討論を行います。 第一に、船舶の航行の安全を図ることを目的にして、現在、法律で定めている船舶職員の配乗表を、改正案では政令に全面的に委任しようとしていることであります。 近年、船舶の大型化が著しく進み、しかも、これらの巨大タンカーを初めとする大型船が、狭水道や船舶のふくそうする海域を頻繁に航行しております。何十万トンという巨大タンカーが一たび事故を起こすならば、船員はもちろん、多くの国民の生命と財産に甚大な被害をもたらし、海洋の環境の保全という点でも取り返しのつかない事態を引き起こすことは火を見るより明らかであります。 船舶職員法の目的に照らすならば、船舶の航行の安全を確保する上で最低限必要な乗り組み定員を国会で慎重に審議し、決定するという現行法の定めは、余りにも当然のことであります。 現に、いま進めているいわゆる船員制度近代化のための実験についても、ほんの第一段階が済んだところであります。とりわけタンカーについては、肝心なところがすべて今後の検討結果にゆだねられています。狭水道を航行する際の船橋当直体制など、今後引き続き慎重の上にも慎重を重ねた実験を進めてみて初めて本当に安全かどうか確認できるものであります。 ところが、本改正案は、船舶職員の配乗別表を政令に落とし、船舶の航行の安全を確保する最低の基準まで政府に白紙委任せよというもので、断じて容認できるものではありません。 第二に、日本船の国際競争力回復の名のもとに、乗り組み定員の削減を進めようとしていることについてであります。 政府は、甲板、機関両用部員制度の導入や運航士制度によって、乗り組み定員当面十八名体制の実現を図ろうとしています。しかし、日本人船員の職場を奪っている元凶とも言える仕組み船などの便宜置籍船の利用を野放しにしたままでは、船員の職域拡大が実現する保証は全くありません。むしろ、定員削減による職域の一層の縮小、人減らし合理化による労働条件の切り下げだけが押しつけられることになりかねません。「後に続く若い世代が絶えることのない船員制度であり職場であってほしい。」という船員労働者の痛切な願いに本法案はこたえておりません。 そもそも、STCW条約の批准に伴う国内法の改正と、これとは目的も内容も全く異にする船員制度近代化のための法改正とは、それぞれ別個の法案として提出され、慎重に審議されるべきものであります。条約関連の改正は、船舶の安全を確保する上で一定の改善が図られており、賛成できるものでありますが、二つの法改正が一本化されている本法案は、全体としては政令への白紙委任など大変な改悪となっていることを指摘して、反対の討論を終わります。(拍手)
○越智委員長 これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○越智委員長 これより順次採決に入ります。 まず、内閣提出、船員法及び船舶職員法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○越智委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 次に、内閣提出、船員災害防止協会等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○越智委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○越智委員長 この際、船員法及び船舶職員法の一部を改正する法律案に対し、宮崎茂一君外四名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、新自由クラブ・民主連合の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議及び船員災害防止協会等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、宮崎茂一君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党、新自由クラブ・民主連合の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議がそれぞれ提出されております。 まず、提出者から順次趣旨の説明を求めます。宮崎茂一君。
○宮崎委員 ただいま議題となりました船員法及び船舶職員法の一部を改正する法律案に対し附帯決議を付すべしとの動議につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新自由クラブ・民主連合の五常を代表し、また、船員災害防止協会等に関する法律の一部を改正する法律案に対し附帯決議を付すべしとの動議につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合の六党を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。 両附帯決議の案文はお手元に配付してありますので、その朗読は省略させていただきます。 まず、船員法及び船舶職員法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨について申し上げます。 本附帯決議案の趣旨は、今回、わが国の船員制度における全く新しい試みとして船員制度の近代化が実施されることにかんがみ、 第一に、船員制度の近代化の推進に当たっては、日本人船員の知識と技能を生かし、その職域の確保に配慮すべきであるとの趣旨であります。 第二に、船員制度の近代化に当たっては、今後とも、関係公労使の参加する体制、すなわち従来の船員制度近代化委員会におけるような体制が不可欠であると思われますので、政府は、関係機関の意見を十分尊重してその推進を図るべきであるとの趣旨であります。 第三に、STCW条約の国内実施及び船員制度の近代化を円滑に推進し得るよう、政府において、すでに船員である者及び新たに船員になろうとする者に対する教育の充実を早急に図るべきであるとの趣旨であります。 次に、船員災害防止協会等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨について申し上げます。 本附帯決議案の趣旨は、 第一に、今回の改正によりまして、船員の安全衛生に関する法令は一応整備されたことになったのでありますが、このときに当たり、政府は心を新たにして、さらに船員災害を絶滅するため、今後とも船員の災害防止対策のより一層の充実を図るべきであるとの趣旨であります。 第二に、船員が陸上の各種資格を容易に取得できるよう、その技能の充実を図るための措置を講じるべきであるとの趣旨であります。 第三に、船員制度の近代化の進展などに対応して、今後は、特に船員の職場環境の改善を目指して災害防止対策の促進を図るよう考慮すべきであるとの趣旨であります。 以上をもって両動議の趣旨の説明を終わります。 何とぞ以上の両動議に御賛成賜りますようお願い申し上げます。 ————————————— 船員法及び船舶職員法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法の施行に際し、次の事項に努めるべきである。 一 船員制度の近代化の推進に当たつては、日本人船員の知識と技能をいかし、その職域の確保に配慮すること。 二 船員制度の近代化に当たつては、今後とも、関係機関の意見を尊重してその推進を図ること。 三 「千九百七十八年の船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約」いわゆるSTCW条約の国内実施及び船員制度の近代化を円滑に推進し得るよう既成船員及び新規船員に対する教育の充実を図ること。 右決議する。 ………………………………… 船員災害防止協会等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法の施行に際し、次の事項に努めるべきである。 一 船員災害の実態等を勘案し、今後とも船員の災害防止対策のより一層の充実を図ること。 二 資格の海陸互換性等船員の技能の充実を図ること。 三 船員の災害防止の促進に当たつては、船員の職場環境の改善を図るよう考慮すること。 右決議する。 —————————————
○越智委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 船員法及び船舶職員法の一部を改正する法律案に対し、動議のごとく附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○越智委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。 次に、船員災害防止協会等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、動議のごとく附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○越智委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。 この際、小坂運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小坂運輸大臣。
○小坂国務大臣 ただいまは、船員法及び船舶職員法の一部を改正する法律案及び船員災害防止協会等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、慎重御審議の結果、御可決をいただきまして、まことにありがとうございました。 また、附帯決議につきましては、政府といたしまして、その趣旨を十分に尊重して努力してまいる所存であります。 —————————————
○越智委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました両法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○越智委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○越智委員長 内閣提出、道路運送車両法の一部を改正する法律案を議題といたします。 趣旨の説明を聴取いたします。小坂運輸大臣。 ————————————— 道路運送車両法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○小坂国務大臣 ただいま議題となりました道路運送車両法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。 今日、自動車は国民各層に普及し、国民生活に欠くことのできないものとなっておりますが、最近における自動車技術の進歩、使用形態の変化等に伴い、自動車の安全と公害の問題をめぐり少なからぬ状況の変化が生じており、他方、自動車整備の適正化に対する社会的な要請も高まっております。 このような状況に対応して、昨年十月と本年一月に新しい時代に即応した検査、整備制度のあり方等について運輸技術審議会から答申が提出されるとともに、本年二月臨時行政調査会からも同趣旨の答申が提出されるに至っております。 本法律案は、これらの答申の趣旨を踏まえ、検査、整備制度の改善及び自動車分解整備事業者による整備の適正な実施を図るため、これを提出することとした次第であります。 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。 第一に、自家用乗用自動車について、初めて自動車検査証の交付を受ける場合の当該検査証の有効期間を現行の二年から三年に延長することとしております。 第二に、自家用乗用自動車であって、初めて自動車検査証の交付等を受けた後継続して使用されているものについては、最初に行うべき定期点検を行うことを要しないこととしております。 第三に、定期点検の励行を確保するため、運輸大臣が自動車の点検及び整備に関する手引きを作成公表するとともに、定期点検を行っていない自動車について、陸運局長が点検を指示することができることとする等所要の規定を整備することとしております。 第四に、自動車分解整備事業者が遵守すべき事項に関する規定等自動車整備事業の業務運営の適正化を図るための規定を整備することとしております。 以上がこの法律案を提案する理由であります。 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
○越智委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○越智委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○越智委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時五十四分散会 ————◇—————