安全保障特別委員会 第3号
- 発言数
- 404 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1982/04/12
会議録
○細田委員長 これより会議を開きます。 国の安全保障に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山崎拓君。
○山崎(拓)委員 まず、伊藤防衛庁長官にお伺いをいたしますが、防衛力整備の方向を考えていく上におきまして非常に大切な要件といたしまして、国際軍事情勢に対する認識があろうかと思います。そこで、先月末ワインバーガー国防長官が来日をされまして、日米防衛首脳協議の場が持たれたのでありますが、その際、国際軍事情勢認識について国防長官からどのような認識が述べられたか、承りたいのであります。 と申しますのは、私は昨年の一月に訪米をいたしまして、アメリカ国防省の考え方について私なりに受けとめてまいったのでありますが、それによりますと、第一に、このところ米ソの軍事バランスが一挙に接近をいたしまして、一九八〇年代の半ばには一時的に逆転するおそれがある、第二に、ソ連は一般的に軍事力を増強いたしますとともに、アフガニスタン侵攻等に見られるような軍事的な拡張政策をとり始めている、つまり、一九七〇年代のデタントの時代は終わりを告げて、新たな東西対立の様相の色濃い時代に突入している、そのような米国国防省の見解が重ね重ね開陳されまして、私どももそのとおりであると受けとめて帰ってまいったわけであります。その後、一年有余の時間が過ぎたのでありますが、このたびの日米首脳協議におきましてその点についてどういう考え方が示され、かつ伊藤長官からはどういう考えを申し述べられたのか、その点についてまずお伺いしたいと思います。
○伊藤国務大臣 大変広範な内容を持たれた御質問でございますので、そのままお答えにはならないと思いますけれども、御指摘の三月二十七日の日米定期協議におきましては、国際情勢につきまして特にアメリカ側から、ジュネーブにおけるアメリカとソ連との中距離核戦力規制交渉の状況の報告、また、最近のアメリカと中国との関係を中心に説明があり、これに関連をいたしまして当方から若干の質問を行ったわけでございますけれども、山崎先生御訪米等で得られております情報その他と比較いたしまして、新しい情報なり話があったというようなことはございません。 なお、ソ連の軍事力の増強及び米ソの軍事バランス等につきましても、御指摘の範囲を出ておりませんで、新しい段階でのお話はございませんでした。 ジュネーブにおける交渉は、これまた御案内のとおり、現在休みに入っておりまして、五月に再開される予定であるというようなことでございまして、この交渉においてアメリカはいわゆるゼロオプションを提案しているということ、また、台湾への米国の武器供与の問題について中国側と若干の意見の相違があるが、このことで米中関係に特別な変化はない、基本的にはうまくいっているというようなお話がありました。これまた御指摘がございましたけれども、ソ連と交渉する場合にはある程度力を持っていないと有効ではないというようなお話もありました。 このジュネーブの交渉のことにつきまして私の方から、ヨーロッパだけでなしに、極東地域も含めてグローバルな形で交渉を進めてもらいたい、ぜひそのことをお願いしたいということを申し述べましたら、ワインバーガーからは、ぜひそのとおりしたいというような、私の意見に対して同意をするような発言もあったのでございます。 もしまた答弁漏れ等がございましたならば、政府委員の方から補足をさせるようにお願いしたいと思います。
○山崎(拓)委員 最近、新聞報道等によりますと、米ソの軍事バランスを考える上におきまして非常に重要なポイントになっておりますいわゆる核戦力、なかんずく戦略核戦力のバランスについて米国内においてもいろいろ議論があって、これはICBMだけで比較するのはどうかというような議論のようでありますが、いずれにいたしましても、ICBMだけではなくて、SLBMあるいは戦略爆撃機の戦力等を含めまして、いわゆる米ソ間の軍事バランス、その基本をなします核戦力の軍事バランス、とりわけ戦略核戦力の軍事バランスについて、その後アメリカ国内ではそういう議論があるけれども、防衛庁としてどう考えているか、あるいはその点について今回の日米首脳協議で触れられた点があったか、防衛庁、ちょっとお聞かせいただきたい。
○新井政府委員 お答えいたします。 先般のワインバーガーと伊藤防衛庁長官との会談におきましては、戦略核兵力についてのバランス云々ということについて具体的な議論はございませんでした。ただ、先生もうすでに御承知のとおり、従来からソ連は量的にアメリカを圧倒していたわけでございます。具体的には、ICBMにつきましても、量的には一九六〇年代の終わりごろからその数においてソ連がアメリカを凌駕していた。それから、例のSLBMについても、一九七二、三年ごろから量的にアメリカを凌駕していた。ところが、それ以後十年の間に、これまた先生御承知のとおり、質の面においてソ連がドラスチックに性能を改善したということから、現在の核バランスについてはきわめて微妙な段階にあった。そこで、基本的に私ども、アメリカが特に本質的に平等、均衡であるという表現をとっておりますように、アメリカが現在の段階で核戦力についてソ連からかなりのおくれをとっておるというふうには見ておりませんけれども、ただ、このままの事態を許しておけば、一九八〇年代の半ばにはアメリカの核戦力における脆弱性が、彼らはいわゆる脆弱性の窓という表現を使っておりますけれども、これが確実に顕在化するということで脅威を感じておる、そういう状況であろうと思います。
○山崎(拓)委員 そこで、先ほど伊藤長官が御紹介されましたジュネーブ会議の問題なんですが、戦略核兵器におきましても参事官のお話のようにいろいろな問題点が出てきておる。特に、戦域核戦力については従来から米ソ間に相当の大きな隔たりというものができてしまっておる、こういうふうに私も認識をいたしております。アメリカはゼロオプションを提起しておるということでありますけれども、私がNATOに参りました際に、駐NATOの米国大使でありますベネット大使がこういうふうに申しておりました。カーター政権下でソ連のSS20核ミサイル、バックファイア爆撃機の配備により、欧州におけるこの分野のかつての優位から三対一以上の劣勢になった、この不均衡を回復するため、一九八〇年代の中期までに、パーシングIIミサイル百八基、巡航ミサイル四百六十四基を西独その他に配備することに決定しているが、一九八二年末に、つまり本年末でありますが、配備を開始したい、こういう話があったのであります。この点について、その後どうなっておるか。
○遠藤説明員 私からお答え申し上げます。 一九七九年十二月のNATOの外務大臣及び国防大臣会議におきましていわゆる二重決定がなされたわけでございますけれども、そのときに、アメリカ側は一九八三年の末までに中距離ミサイルを、つまりパーシング11及び巡航ミサイルをNATO諸国に配置する。そのとき決定いたしました数でございますけれども、配置する国は、ドイツ、ベルギー、イタリア、オランダ、それからイギリス、ここにパーシング11及び巡航ミサイルを配置する、こういう決定がなされたわけでございますが、その後、この決定につきましては変更ございません。
○山崎(拓)委員 そこで、ソ連側のSS20の方でありますが、昨年の米国国防省の発表によりますと、欧州サイドに百七十五基、それから極東サイドに七十五基、合わせて二百五十基がすでに配備が行われておる、しかるに、引き続いて五十基増強される見通しだということでありますが、その後の極東配備の状況はどうなっておるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
○新井政府委員 御承知のとおり、そのSS20についてのソ連の開発のスピードというのは、一週間に五基というふうに言われております。そこで、現在SS20がソ連全土にどのくらいあるかということにつきましては、私ども、約三百と推定しております。そのうち、極東には三分の一ないし四分の一が配備されている、そのように理解しております。
○山崎(拓)委員 そこで、先ほど、伊藤長官が首脳協議でこの問題はグローバルに判断すべき問題であると御発言をされたと承りましたが、全くそのとおりだと思うのでありまして、これは欧州戦域におきましてSS20あるいはNATO側の戦域ミサイルについていかにこれを制限交渉いたしましても、極東にこれが回ってくれば何にも意味がないということになろうかと思うのでありまして、ワインバーガー国防長官はこの点についてどういう考え方を示されたのか。
○伊藤国務大臣 先ほども若干お答えを申し上げましたけれども、そういう話がありましたときに、私の方から特に念を押して、いま山崎先生御指摘のように、ヨーロッパの方で減らしたものを極東に持ってこられたのでは大変なことになりますので、ぜひヨーロッパと同様に、それ以上に極東の問題も含めてグローバルな形で削減なり廃止の方向に持っていっていただく、ぜひそういうように願いたいということを強く申し上げたところ、ワインバーガー長官もそのとおりしたいと思っておりますというようなお答えがありました。
○山崎(拓)委員 次に、長官のお話の中で、米中関係については、台湾に対する武器供与の問題もあるけれども、米中間の意見の相違というものは決定的なものではないのだというお話があったのであります。そこで、これは外務大臣にお伺いしたいと思うのでありますが、米中関係あるいは中ソ関係というのは私どもが最も強く関心を持っておる国際関係であります。つまり、「防衛計画の大綱」の前提となる国際関係と申しますか、国際情勢でありますので、これに従来と違った様相が出てくるということになりますると、これはいわば大綱の根底が崩れるということにもなりかねない。そういうわけで、ワインバーガー国防長官はやや楽観的なお話をされたやに私は感じるのでありますけれども、外務省として今日の米中関係の動向についてどういう御認識を持っておられるか、承りたいと思います。
○櫻内国務大臣 先ほど伊藤防衛庁長官も触れられておったと思いますが、昭和五十年の防衛大綱の制定当時と比較いたしまして国際情勢の厳しさは増しているものの、大綱の中で、わが国周辺地域においては米ソ中三国間に一種の均衡が成立している、そういうふうに見ておるわけでありますが、それについて私どもの見解は、引き続きそういう均衡は存続していると判断をしておるわけであります。 また、米中間につきましては、台湾に対する武器売却問題をめぐっていろいろ摩擦が生じておることは認めざるを得ないのでありますが、米中間におきましてしんぼう強く粘り強く話し合いを進めて、友好的に解決される、そして、両国の関係が良好に保たれることを希望しておるわけでありますが、なかなかデリケートな問題でございます。 それに対しまして、最近タシケントのブレジネフ書記長の演説がございまして、中ソ間の修復の動きあるいは呼びかけがあるように見られます。しかし、中国側のスポークスマンの発表を見ますと、そういうブレジネフの演説に留意はしているが、その行動を見守っておるという状況でございます。 したがって、概括的に申し上げますと、昭和五十年当時の防衛大綱がつくられたときの情勢が特段に変化しておる、こういうふうには認めておらないわけでございます。
○山崎(拓)委員 ただいま外務大臣のお話のとおり、タシケントのブレジネフ演説があって、中ソ関係に修復の兆しが見える。一方では、米国の台湾武器供与の問題がある。そういうことではあるけれども、大綱に書いてあるような、わが国周辺地域において米ソ中三国間に一種の均衡が成立している状態というのは変わらない。さはさりながら、変わらないとはいっても、変わる兆しがあるとするならば、事きわめて重大な問題になる。 そこで、先日、日本の新聞協会代表団が中国に参りまして廖承志氏と会った際に、この代表団の団長は私の地元の西日本新聞の福田利光という社長でありますが、その際、廖承志氏から、台湾への武器売却問題で悪化した米中関係について、日本は中国、米国と深い関係にあり、政治的影響力を行使してアジア、世界の平和のために貢献することができるのではないか、日本として何らかの考えを表明すべき時期が来ているという趣旨の発言があったやに報道されておるところであります。中国側にそういう希望の表明があったとされておりますが、外務省はどのようにその点を受けとめ、かつ、どのように考えておるか、外務大臣、いかがでございますか。
○秋山説明員 お答えします。 ただいま御指摘のありましたとおりの報道は、私どもも承知しております。ただ、政府としましては、この発言についてどういう姿勢でどうするかということはまだ考えておる最中でございますけれども、私どもは、米国なりもしくは中国に対しまして、本件が話し合いの上で円満に解決されることを希望するというふうな趣旨のことは、すでに内々申し入れておる次第であります。
○山崎(拓)委員 世界で自由主義陣営と共産主義陣営とが緊張した場面を持っておると申しますか、それは欧州、極東並びに中東であります。 近年、特に私どもが心配をいたしておりますのは中東情勢なんでありますが、その中東情勢も、過去四次にわたる中東戦争がございましたイスラエルと周辺アラブ諸国との対立関係というものは、もちろん中東情勢の根底をなすものでありますけれども、それ以外に、最近ではイランの革命があり、今日もなお続いておりますイラン・イラク戦争がある。さらに、そのイランの隣国であるアフガニスタンに一九七九年の暮れにソ連が国際的にきわめて無法な侵攻を試みた、そういう中東情勢があるわけであります。ほかにも非常に複雑多岐にわたる軍事情勢がございますけれども、いずれにいたしましても、そういう情勢があるわけであります。 そこで、大変心配されますのは、アフガニスタンにソ連が、その周辺部を含めまして十万の大軍を配備いたしており、一方、その隣国のイランの政治情勢というのは非常に複雑で、予断を許さないところがあります。そこで、ここで新しい軍事的な衝突が発生しないかということを私ども最も憂慮をいたしておりますし、そのことから第七艦隊のインド洋に対するスイングも行われてきたというふうに受けとめているのであります。 そこで、ごく最近でございますが、イラン南東のシスタン・バルチスタン州のアフガニスタン人難民収容所をソ連機が越境攻撃したというような報道がなされたわけであります。そういう事件も発生をいたしまして、ソ連とイランとの関係がいろいろと取りざたされておる現況でありますが、そのような状況も踏まえまして、いま申し上げましたような中東情勢についてどういう御認識を持っておられるか、外務大臣にお伺いしたいと思います。
○櫻内国務大臣 山崎委員がただいまいろいろ御指摘されましたように、中東情勢が非常に複雑であり、しかも各地点で緊迫しておるということは、これを認めざるを得ないと思うのであります。日本は、こういう情勢下にございまして、この地域からエネルギー資源の相当量を確保しておる、こういう状況から、常に関心を払っておるところでございます。 最近におきましては、シナイ半島の返還を目前にいたしまして、イスラエルの動向というものが非常に緊迫しておると申しましょうか、一方において返還をする、そういう際に、イスラエルが、ゴラン高原の併合決議であるとか、あるいは西岸の市長の解任とかというようなきわどい行動を続けておるわけであります。そういうことから、イスラエルについて発言の強いアメリカに対しまして、先般日米会談の折に、イスラエルの行き過ぎのないように抑制措置を希望する旨、私からヘイグ長官に対して申し上げたこともあるわけでございますが、いずれにいたしましても、中東地域に対しての外部勢力の脅威から防衛をするということが対中東外交の大事な要素ではないか。この点につきまして、アメリカがレーガン政権以来そういう政策をとっておるわけでございまして、日本としては、その面ではこれを支持しながら、しかし、日本としての最大の方針といたしましては、これらの地域の包括的な恒久平和のためのあらゆる努力をする、こういうことで臨んでおる次第でございます。
○山崎(拓)委員 いま外務大臣のお話の中にございましたように、わが国は中東に石油の七割を依存しておる。欧州と申しますか、西側、EC諸国もほぼ五割依存しておる。アメリカも一割強依存しておる。そういうエネルギー供給のソースとして非常に重要な役割りを中東地域が果たしておる。そこの安全のために、レーガン政権は最大限の努力をするということは当然であろうかと思うのです。 私が先ほど御質問申し上げました点は、イスラエルとその周辺アラブ諸国との関係あるいはPLOとの関係等は、中東情勢の中で最も歴史的にも溝が深いプリンシプルな問題でありまするけれども、それと同じように、近年ではアフガニスタンにソ連が出てきたということ、そして、その隣のイランの政治情勢が非常に不安である、一寸先はわからぬという情勢にある。しかも、かつては世界第二位の石油輸出国であった、石油の宝庫であるということにかんがみまして、アメリカが今後その辺の問題についてどれだけコミットしてくれるのかという点に、私の質問のポイントがあるのであります。 そこで、一九八〇年の一月にカーター年頭一般教書なるものが出されまして、その中で、ペルシャ湾岸地域の支配を獲得しようとするいかなる外部勢力による企ても、米国の死活的な重要な利益に対する攻撃とみなす、そして、そうした攻撃に対しては、軍事力を含む必要ないかなる手段を行使してでも撃退するということが述べられているのであります。これをカーター・ドクトリンと言っておるようでありますが、このカーター・ドクトリンはレーガン政権になってもなお継承されているというように考えているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
○櫻内国務大臣 結論から申し上げますと、レーガン政権の政策は、ただいまお示しのカーター・ドクトリンのそういう政策あるいは中東外交の基本姿勢の延長線上にあるものと見ていいと思うのであります。たとえば昨年の暮れのエジプト、オーマン、スーダンとの合同軍事演習、あるいはサウジアラビアへの空中警戒管制システムの売却などを行っておって、レーガン政権がこれらの地域に対する外部勢力からの脅威につきまして防衛することに努力しておるということで、カーター・ドクトリンの方針を引き継いでおるとみなされると思います。
○山崎(拓)委員 さすれば、先ほど申し上げましたように、自由主義陣営と共産主義陣営の対立が見られる三つの正面と申しますか、その中で欧州フロントにつきましてはもうアメリカにとってバイタルな地域でございますから、これはアメリカは守り抜くであろうというように私は考えます。さらに、中東フロントと申しますか、ここはカーター・ドクトリンなるものが事実上継承されているという外務大臣のお話でもございます。 そういうことに相なりますれば、ニクソンがかつてベトナム戦争を収拾いたしまして、その際、従来の二カ二分の一戦略を改めて一カ二分の一戦略に修正を行った。レーガン政権になりましてどうもはっきりしないのでありますが、私がアメリカに参りました一年前は、そういう方向にいくだろうという推量の話は随所であったのでありますけれども、しかし、一カ二分の一戦略が改められるかどうかということについて、まだレーガン政権が誕生したまさにホットな時点でもございまして、そんなことはだれも確言した者はいなかったのであります。その後、アメリカの国際戦略というものは一体どういうことになっているのか、その点について、どなたか御見解を聞きたいと思います。
○新井政府委員 ただいまの御質問に答える前に、一言訂正いたします。 先ほどSS20につきまして、私は一週間に五基の割合で増加していると申し上げましたけれども、一カ月でございますので、慎んで訂正申し上げます。 そこで、ただいまの御質問でございます。確かに、ニクソン政権当時、一カ二分の一というようなことを彼らは公に述べておりました。そこで、レーガン政権になってどうかということでございますが、この点につきましては、すでに昨年のレーガン政権発足後のジョーンズ統合参謀本部議長の情勢報告にもその示唆が出ておりましたけれども、このたび発表になりました、これは二月でございますが、国防報告におきましては、要するに、アメリカの戦略と戦力は脅威に適合したものでなければならない、そういう前提がございまして、結論から言いますと、一カ二分の一戦略につきましては、単に相手方の戦力あるいは戦略その他、機器の数をきわめて安易に想定したということが反省されておりまして、そして、現在ソ連が多正面に攻勢をかけてくる能力を有してきた、こういう事実に対応して、一カ二分の一戦略を修正するという明らかな方針が打ち出されております。したがいまして、私どもは一カ二分の一戦略は修正されたというふうに理解しております。
○山崎(拓)委員 非常に重要な点なのでありますが、一カ二分の一戦略が修正されたということでございますと、たとえば第七艦隊がインド洋にシフトされまして、つまり、西太平洋の安全保障にとってかけがえのない戦力である第七艦隊の戦力が、従来はたとえば三隻の航空母艦のうち二隻は常時インド洋にスイングされておる、残された一隻も、ミッドウェーでありますけれども、しばしばインド洋に出かけていく、そのようなことから西太平洋におけるアメリカの戦力というものがストレッチ・アンド・シンになっている、薄く引き伸ばされているというような表現もアメリカで聞いたところでありますが、それは漸次回復されるものと考えていいかどうか、この点について御説明願いたい。
○新井政府委員 この点につきましては、基本的なレーガンの軍事戦略としてはこれを改善するという決意で想定している。したがいまして、例の国防費の大幅な増額要求、そういう具体的な資金の裏づけを求めるという姿勢にあらわれておると思います。 ただ、にもかかわらず、アメリカ側としては、おっしゃられるとおり、世界的な規模の脅威の拡大に応じて、NATO諸国あるいはアジア地域における同盟諸国に、やはり同様、応分の国防力の努力を行ってもらわなければ対抗し得ないというような認識も、他方においてございます。
○山崎(拓)委員 先ほど伊藤長官の日米防衛首脳協議についての御報告がございましたが、その中で北西太平洋の日米防衛分担の問題が公式に提案されたという新聞報道もあるのであります。先ほど長官のコメントの中にはございませんでしたが、その点についてはいかがですか。
○伊藤国務大臣 先ほど申し上げました私とワインバーガーとの会談におきまして、アメリカ側から、世界の平和と安定にとって東西間の軍事バランスの維持が必要不可欠であり、日米両国はさらに努力をする必要があるとの意見は出されましたが、御指摘のような北西太平洋の日米防衛分担が公式に提案されたという事実はございません。
○山崎(拓)委員 一千海里のシーレーンの防衛の問題ですが、この点についてはどういう話し合いが行われたのですか。
○伊藤国務大臣 御指摘の点につきましては、アメリカ側から、わが国が従来「防衛計画の大綱」の水準を達成するという方針のもとに進めております周辺数百海里、航路帯にあってはおおむね一千海里程度の周辺海域における海上交通保護のための防衛力整備に関して、一般的な整備についての期待表明がありました。そしてまた、そのことに関して、一般的なわが国の防衛力全体の問題に関しまして、防空能力、対潜能力及び陸上装備の改善が重要であるというような御指摘もありました。 しかし、いずれにいたしましても、具体的なわが国の防衛力につきましては、予定されております次の事務レベル協議において意見交換をしたいというような意見の表明がございました。
○山崎(拓)委員 外務大臣にお伺いしますが、千海里防衛は対米公約である、在日米軍司令官のドネリーさんが講演したというような報道もございますし、そういう指摘がアメリカ側からときどきなされるのでございますが、昨年の日米首脳会談で、確かに鈴木首相は両国での適切な役割り分担というものを公約しておる。その適切な役割り分担の中に一千海里のシーレーン防衛が入るというアメリカ側の主張について、どのように考えておられますか。
○櫻内国務大臣 わが国の周辺数百海里、航路帯を設ける場合はおおむね一千海里ということは、従来言われてきたことだと思うのです。それが日米首脳会談後のプレスクラブにおける総理の発言、こういうことで、これが公約であるかないかということが時折論議されますが、総理が従来からの方針をプレスクラブの席上で言われたということに重要性がある、こういうふうに思っております。 ただ、公約か公約でないかということになってまいりますと、これはそういう性質のものではないのではないか、重要な場所でそういう発言をされたというところにそれなりの重さがあるというふうに私は受けとめております。
○山崎(拓)委員 公約ではないけれども、プレスクラブで総理がそういうお話をされたということは、それなりの重みがあるということであろうかと思うのです。 そこで、確かに防衛庁は、海上交通の保護の対象といたしまして、航路帯を設ける場合はおおむね千海里程度の周辺海域を考えているということは事実であろうかと思うのです。考えてはいるけれども、では、果たして千海里のシーレーン防衛というものが具体的、現実的な問題として可能かということなのでありますが、最近の新聞などを見ておりましても、伊藤長官も「防衛計画の大綱」の水準に達してもなおそんなことはできないのだという見解を示されたことがあるやに拝見をいたしております。長官の真意を再度ここで確認しておきたいと思います。
○伊藤国務大臣 先生御案内のとおり、もともと「防衛計画の大綱」はいま御指摘のようなことを目指しながらつくり上げ、その大綱の水準にできるだけ早く到達していきたいということがいま私どもの努力目標でございまして、それが達成されたならば相当な力を発揮できるものということを念頭に置いて進めておりますけれども、それで全く完璧であるというふうには思われないというような意味で、先般来私が御答弁を申し上げたような経緯でございます。
○山崎(拓)委員 これは外務省にお伺いしますが、アメリカの下院の日本関係公聴会ですね、三月一日でありますが、ボルドリッジ国務次官補証言のテキストを私はいまここに持っておりますけれども、その中で、日本は周辺地域及び千海里のシーレーンの防衛には主要な責任を負うべし、こういう発言があります。この点についてどう受けとめておるのか。
○淺尾政府委員 いま山崎委員御指摘の公聴会における証言、これは三月一日にソラーズの委員会において、最初の証言においてアメリカの現職の国防次官補あるいは国務次官補という人が話をされたのを御引用されていることを指しておられるかと思います。そこで言っております主要な責任ということでございますけれども、やはり日本は日本の国を自分で守るということでございまして、先ほど来御論議のありました周辺数百海里あるいは航路帯を設ける場合千海里、それを目標にして防衛力の増強を図っている、そういう点についてボルドリッジが証言したかと思います。 なお、その後、アメリカ側の現職の人たちの発言を見ますと、そうは言っても、一定の水域を全部日本に持たせるという意味ではない、日本にはそういう力はない、やはりアメリカ側がそこはカバーするのだということを言っている次第でございます。
○山崎(拓)委員 これは全部の水域で主要な責任を負うのだということは不可能であることは当然でありますけれども、従来言われております二つのシーレーンと申しますか、南東、南西というのですか、この二つのシーレーンで主要な責任を負うことができるようなレベルに、それでは「防衛計画の大綱」の水準を達成すればなり得るのかという点について、防衛庁、いかがですか。
○塩田政府委員 いまの主要な責任を持つという言葉でございますが、具体的には、もう御承知のとおりでございますが、ガイドラインには「海上作戦」のところで「海上自衛隊は、日本の重要な港湾及び海峡の防備のための作戦並びに周辺海域における対潜作戦、船舶の保護のための作戦その他の作戦を主体となって実施する。」こうなっております。つまり、そういう面については海上自衛隊が主体となるということをガイドラインで言っております。そのことを受けて表現をされたことであろうと思います。 これに対しまして、「米海軍部隊は、海上自衛隊の行う作戦を支援し、及び機動打撃力を有する任務部隊の使用を伴うような作戦を含め、侵攻兵力を撃退するための作戦を実施する。」ということで、海上自衛隊の作戦を支援するのが米海軍の最初の任務として掲げられております。こういう形で、ガイドラインに基づく日米共同の海上作戦への対処の基本的な考え方が示されておるわけであります。 いま後段の方の御指摘の、それで日本の、ここで言いますところの「船舶の保護のための作戦」、これがいわゆる南東、南西両航路の面についての作戦を行うことができるのか、そういうことを受け持つ考えを示しておるのかということでございます。ここのガイドラインでは、一千マイルとかそういうことは言っておりません、数字は述べておりませんけれども、この趣旨は、あくまでもそういうわが国が従来から言っておりますことを日本側が主体となって行うという趣旨でございまして、それを実現するためのわれわれの防衛努力というものがその前提になっておるわけでございます。 それはもう一つさかのぼりまして、「防衛計画の大綱」で同じような趣旨のところが、海上自衛隊の任務として構想が掲げられておりますが、それを達成することによって、いまの南西航路あるいは南東航路等におきます日本の海上の般舶の保護のための作戦をみずから行うことができる力を持ちたいということで整備をいたしておる、それを受けてこのガイドラインもできておる、こういう関係にございます。 そこで、それができるのかということでございますが、これは先ほど防衛庁長官からもお答えいたしました。これは物の考え方にもよると思いますけれども、およそ海上の船舶の護衛を行うという場合に、わが国の船は一隻も沈むことなく、相手の潜水艦を全部やっつけることができるということでできるのかというお尋ねであれば、そういうことはまず現実の問題として不可能であろう。また一方、わが国の船が非常に多く被害を受けるし、相手の潜水艦に対しては一矢も報いることができないということも、これもないであろう。やはりわれわれは相当の防衛作戦を行うことができるというふうに考えます。現在でもそういうことが言えると思います。 ただ、現状においてどの程度できるか、それは「防衛計画の大綱」が達成された場合にどこまでアップされるか、こういう問題でございまして、私どもはそれを数字的に何%あるいは何点というふうにあらわすことはできませんけれども、「防衛計画の大綱」の線が達成されるならば、現状に比して相当に大幅に強化されるであろうというふうに考えておるところでございます。
○山崎(拓)委員 そこで、大事な点は、南西、南東両航路においていわゆる海上交通保護の作戦を行うに当たり、海上自衛隊が主体的な役割りを果たす、こういうことなんですね。それはいままでの質疑を通じまして大変明確になってきたところである。 さすれば、わが国は六億トンの資源を輸入いたしておる。これは全世界で取引される資源量のどのくらいに当たりますか、相当なウエートを占めておるわけで、それだけ日本は経済大国であるということを物語っているのであります。その六億トンの資源を輸入する日本が、では、南西航路、南東航路でどのくらいの部分を六億トンのうち輸入しているのかという問題がありましょう。さらに、相当な部分がこの両航路で入ってくるのでありますが、一朝有事の際にわが国に入ってくる資源の少なくとも三分の一はこれが安全に輸入せられるように担保措置が必要だという考え方、これは一般的な考え方ではないかと思うのです。そうなりますと、わが海上自衛隊が主体的な役割りを果たしましてそのことが可能なのかどうか。「防衛計面の大綱」の水準に達成された場合に、そのことが担保せられるのかどうか。その点についての見解はどうですか。
○塩田政府委員 御指摘のように、現在約六億トンの輸入物資がございます。これを、仮に有事ということになった場合にどれだけの輸入量を最低限確保する必要があるかということから問題を考えていかなければならないわけでございますが、その点につきましては実は政府としての見解はまだございませんけれども、防衛庁の海上幕僚監部におきまして試算したものがございまして、それは昭和五十年の作業でございますけれども、一応いまおっしゃいましたように、約三分の一、一億九千万トンないし二億トンというふうにわれわれの作業では見ておりますが、二億トン前後のものがどうしても有事の場合、日本として必要であるというふうに考えました場合に、海上自衛隊が一体海上交通の保護ができるのか、こういうことになろうかと思います。 これにつきましては、一つの全く数字的な試算としまして、一億九千万トンないし二億トンの物資が日本に入る必要があるとした場合には、これは貨物の種類とか、船の大きさ、あるいは船の速さ、いろんな要素がございますから、一概に言えませんけれども、大体いろんなことを捨象しまして計算をしますと、三百五十隻ないし四百隻ぐらい毎月日本の港に入ってくる必要があるというふうに言われております。 そうしますと、現在のところ、大体一個護衛隊群で船団を組む場合に、一番効率的な形としまして、一応約五十隻ぐらいの船団、それを一個護衛隊群八隻で護衛するのがいまのところ効率的であろうというふうに言われておりますので、仮に五十隻としますと八個グループということになります。八個グループが月に入ってくるということになりますと、一千海里程度で大体海上自衛隊が二往復できますので、四つの護衛隊群で二往復すれば、計算上は八個グループを護衛してこれるという形になります。しかし、それは全く計算上の話でございまして、実際問題は、海上の艦艇というものは御承知のようにいろんな補給でありますとか、修理でありますとか、あるいは教育訓練、休養、そういったことのローテーションがございまして、実際にいま持っておる艦艇すべてオンステーションというわけにはいかない、これはどこの海軍でも常識でございます。 そういう点を勘案しますと、現在四個護衛隊群で持っておりまして、「防衛計画の大綱」にも常に一個護衛隊群が高度に練度を維持しておるということを目標にしておりますが、そういった点から考えまして、先ほど申し上げましたような数字で事が運ぶというわけにはなかなかまいらないということは言えるかと思います。 ただ、その点は、いま私が申し上げましたのは直衛の船団を組んだ護衛方式ということを前提にしておりますから、実際問題としましては、現在は対潜航空機部隊の発達というようなこともございまして、必ずしも直衛方式ということが中心ではなくなりつつある。いわゆる間接護衛方式というようなことが中心になりつつあるということも考え合わせまして、航空機部隊の活用というようなことも考え合わせてできるだけの努力をしていく必要がある。それによりまして、先ほど申し上げましたように、「防衛計画の大綱」の線に到達させていただければかなりの能力アップになるでありましょうということをお答えしたわけであります。
○山崎(拓)委員 いまのお話の中で、四個護衛隊群があれば、これは「防衛計画の大綱」の水準でありますが、両航路の海上交通保護が理論上可能になる。しかし、素人が考えましても本当に理論上の話なんで、四個護衛隊群しかないものを、これが有時の際にこれに専念するということはあり得ないことであるし、また、補給等問題があるではないかということ、御指摘のとおりなんですね。加えて、これはあくまでも洋上の問題であって、洋上防空という面を捨象した論議である、こういうことになろうかと思います。 そういうことでありますのに、なお大綱の水準というのは一体いつ達成されるのかということになる。これは五六中業で仮に達成されるということに相なりましても、その辺の議論はこれからいたしますが、それとても発注ベースで六十二年度達成なんですね。ですから、それが本当の姿になりますのは、ざっとこれから十年である。十年たってもなお、要するにわが国が主体的な役割りを果たすべき二航路に限っての海上交通保護が果たしてその力を持ち得るかということになりますと、大変な疑問があるというのが今日のわが国の防衛力の実態であり、あるいは防衛力の目標であると言っても過言ではない。でありますから、いま議論しておりますことは、本当の識者と申しますか、安全保障問題を国策の最優先課題と考える識者の立場から考えると、これはいわば、語弊はありますけれども、やや現実離れをしたこっけいな議論が国会で行われているのじゃないかなということにもなろうかと思うのです。 先ほどお話がありました、防衛庁内において有事の際には六億トンのうち一億九千万トンか二億トンぐらいの資源の輸送は担保すべきであるという考え方、これは防衛庁限りの考え方にもなっていない。防衛庁内にある考え方にすぎない。これは非常に問題なんで、わが国の総合安全保障政策というものを考えました場合には、これはまさに基本線をなすものでありまするから、少なくとも総合安全保障会議でこの辺のところは真剣に議論して煮詰めて、防衛庁レベルの考え方ではなくて、政府レベルの考え方としてこれをオーソライズする必要があるのじゃないか、かように考えるのですが、防衛庁長官、いかがですか。
○伊藤国務大臣 防衛といいますか、国民なり国の平和と安全を守ることが国政の最重要課題であり、基本である、また基盤であるという御指摘なり御認識につきましては、全く同感でございます。 また、その結果として、資源の少ない日本が末長く生存を続けていくためには、いかなる場合にも相当な資源を海外から仰いでいかなければならないという基本的な日本の立場についての配慮を国政の問題として取り上げていかなければならぬということも、全く同感でございまして、そのことを今後とももっと広い立場で、高い次元の立場で検討し、また、そのための対策を決めていかなければならぬということについても、全く同感でございまして、防衛庁長官としてもそれなりの考え方をそれぞれの立場の方々に申し上げて、なおコンパクトなしっかりした総合安全保障政策をつくり上げてまいるための努力の一翼を担ってまいりたいと考えております。
○山崎(拓)委員 そこで、御要望申し上げておきますが、総合安全保障と申しますと、軍事的な安全保障のほかに、エネルギーの確保あるいは食糧の確保といったところが柱になっている。でありまするから、いま申し上げた点は、いわゆる資源の確保というのは食糧の確保であり、エネルギーの確保——その他もありますけれども——であるわけでありますから、そういうわけで、ひとつ総合安全保障会議にこの点を防衛庁からできるだけ近いうちに提議されるように、私から御要望申し上げておくわけでございます。 そこで、ただいま海上交通保護の問題について、わが国の持っております防衛力の欠陥と申しますか、問題点についていろいろと質疑をやったわけでございますが、私も一年数カ月防衛政務次官に在任をいたしまして、その間、痛切に感じてまいりましたことは、わが国の防衛力の実態には欠陥が多々あるということであります。いわゆる有事即応能力と申しますか、そういう点ではなはだしく問題点がある。あるいは継戦能力、抗堪性、C3I、指摘すれば問題点は大変多いわけでありますが、きょうはその点について少し質疑をしてまいりたいと思うわけでございます。これは陸海空それぞれ問題点を抱えておりますから、それぞれ質疑をやりたいと思うのであります。 まず、陸上自衛隊でありますが、陸上自衛隊が即応能力の点で非常に問題があるとされておりますのは、第一に人員充足率の問題でございます。その他、情報収集体制の問題でありますとか、あるいは指揮通信組織の整備の問題でありますとか、あるいは装備そのものの問題もあります。武器に年齢があるかどうかは別として、非常に古い、第二次世界大戦で使ったものをいまでも手入れよく使っておる。いわゆる北辺の守りは、わが国にとりましては最重要なフロントであります。北海道の四個師団の中でも、年齢が四十歳にもなるものをまだまだずいぶん使っておる、つまり、第二次世界大戦中に米軍が使ったものを使っておるということを、私どもは視察して見てきたわけです。 そういう装備の近代化の問題もある、あるいは教育訓練の充実の問題等々、さまざまな即応性向上の問題点が指摘されておるところでございますが、それらの諸点について、なかんずく人員充足率の問題につきまして、現状、それから五十七年度の予算で改善された点、それらの点についてお答えをいただきたいと思います。
○塩田政府委員 即応態勢という観点から見た場合の陸上自衛隊の一番大きな問題点は、御指摘のように充足率の問題がございます。御承知のように、充足率につきましては従前から八六%ということで推移してまいりました。五十七年度に〇・三三、人員で約六百名でございますが、引き上げをお認めいただきまして、五十七年度では八六・三三になるという状況でございます。私どもは、五十七年度に〇・三三上げていただきましたものによりまして、北海道の旭川にあります第二師団につきまして、特科部隊と戦車部隊の充足を一〇〇%に上げたいというふうに考えております。 今後の充足率の問題をどう考えるかということでございますが、御承知のように、五三中業では五十九年度に八九%まで持っていきたいという計画を持っておりましたけれども、これを現在行っております五六中業の作業の中で、五十八年度以降、六十二年度までにどういうふうな充足率を考えるか、いま作業をやっておる段階でございまして、まだ結論を得ておりませんけれども、可能な限り充足率につきましても配慮してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○山崎(拓)委員 〇・三三%上げまして六百人ということでありますが、行財政改革の折から、この人員充足率の向上の問題は政治的にいろいろな障害があったと思いますけれども、それを克服して、六百人といえどもこれを向上せしめることになったということは、大変英断である、かように私は考えております。さりながら、定員は十八万人体制である。定員を定めた他の国家機関、公的な機関と比較いたしまして、定員を一四%も割っている状態なんですね。こういうことが一体ほかにあるのか、あるいは外国陸軍と比べてこれだけの欠員が生じているという実態を、私どもは一体どういうふうに受けとめていいのかということがある。 それから、いまお話がありましたように、道北の第二師団の特科及び戦車部隊については一〇〇%になったということでありますが、それではその他の北辺の守りと申しますか、北部方面隊全体の充足率というのは一体幾らに向上されておるか、この点についてどうですか。
○塩田政府委員 定員を決めます場合に、他官庁の実際と防衛庁の場合違うではないかという御指摘は、そのとおりでございまして、防衛庁の場合、定員を決めておりますが、実際の実員につきましては、必要な部分はもちろん重点的に配分すると同時に、他の部隊につきましては、平時においては教育訓練に支障のない限りある程度の充足でがまんをするというやり方を、従来からとってまいっております。それにしましても、いまの八六%では私ども少ないと思っておりまして、先ほども申し上げましたような努力を今後進めていきたいと考えております。 外国の例は、これは一概に言えないと思います。いろいろあると思います。たとえばソ連のように、初めからカテゴリー一、二、三というものを決めておりまして、カテゴリー一の師団はどれだけだ、二はどれだけだ、三はどれだけだというふうに決めてやっておる国もあります。そうしますと、カテゴリー三の場合は非常に充足率が低いという形になります。ただ、それは一概にそういった現象だけでなくて、そういう国におきましてはいざという場合に予備の充足が急速に可能である、あるいは人員が十分確保できるといったような背景があってのことだろうと思います。その点、わが国の場合は、予備自衛官の充実は図っておりますけれども、現状におきましてそういった低充足に抑えたような形で平時をやっていくということはいかがかと思いますが、一概に他国と比較をすることもできないし、また、他国にもいろいろな状況があろうかと思います。 それから、先ほどの〇・三三、約六百人を第二師団に充当することによりまして、北部方面隊の状況はどうなるのかということでございましたが、第七師団につきまして七七%から八四%になるという数字はいま私の手元に持っておりますけれども、これによりまして北部方面全体がどうなるかということは後ほどお答えをさせていただきたいと思います。
○山崎(拓)委員 そこで、継戦能力の問題と関連いたしますが、予備自衛官の制度、これは現行予算措置だけですけれども四万二千人になっている。これは防衛三法が通らぬことには四万二千にはならぬわけでありますけれども、十五万五千人の実員を持つ陸上自衛隊が四万二千人の予備自衛官、目標は四万五千人と聞いておりますが、その程度の予備自衛官で継戦能力というのは果たして十分なのかどうか、問題があるのではないかと私は考えますけれども、この点についてどうですか。
○塩田政府委員 先ほど数字を申し上げました場合に、第二師団のことを誤って第七師団と申し上げたかもしれませんが、第二師団が七七%から八四%になるということでございますので、もし第七師団と申し上げたとすればお断りさせていただきたいと思います。 それから、陸上自衛隊の継戦能力という場合に一番問題は、御指摘のように予備自衛官でございます。現在、いまお話がございましたように、五三中業の目標といたしまして四万五千人ということをめどに整備させていただいております。したがいまして、ここ数年、毎年千人ずつのペースでお願いいたしておりまして、それによりまして軽普通科連隊一個連隊を後方警備に充てることができますように考えておるということで、いま進めさせていただいております。 なお、これを今後の五六中業でどういうふうに考えていくかということも、現在作業をいたしております。やはり現状におきまして、私どもは、四万五千人という予備自衛官では不足するのではないかというふうに見ておりまして、その点をいまどこまで考えるか、あるいは一方で、予備自衛官の充足可能性の問題もございますので、そういったことをにらみ合わせながら目下作業をいたしておるところでございます。
○山崎(拓)委員 継戦能力の中で非常に重要な要素である弾ですね、私も防衛庁に行って初めて聞いたのでありますが、「たまに撃つ弾がないのが玉にきず」といって、弾薬の不足を現役自衛隊隊員が嘆いておる、そういう川柳もあるぐらいであります。最近四年連続いたしまして二五%弾薬の補充を向上させてきたということではありますけれども、では一体、継戦能力として現状の弾薬保有量でどの程度あるのかという点、これはあるいは申しにくいのかもわからぬが、ひとつ答えられるなら答えてもらいたい。
○塩田政府委員 御指摘のように、弾薬の備蓄につきましては、ここ数年、われわれとしましては非常に大きな努力を払っておるつもりでございまして、五十七年度も契約ベースでは二五%のアップをお願いいたしております。 現状でございますけれども、これは具体的に申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、陸海空を合わせて現在約七万六千トンばかりを保有いたしておりまして、これでは私どもは備蓄量としては非常に少ないというように考えております。ただ、これも、五六中業でどこまでを目標に整備をしていくべきかということを、現在鋭意作業中でございます。
○山崎(拓)委員 陸については、いろいろ指摘したい点はあるのですが、以上のとおりといたしまして、海上自衛隊につきましても先ほど海上交通法の問題で議論をいたしましたので、航空自衛隊につきまして少し問題点を議論しておきたいと思うのです。 私は防衛庁に参りまして、私の高校時代の同級生が二佐で第一線で働いておるのですが、彼が申しますには、おれたちは一たん緩急あるときに飛び立っていって、無為にして帰る可能性も大きい、しかも、帰ってきても着陸できるかどうかもわからぬのだ、こういう話を私が防衛庁に行っていたときに訪ねてきて話してくれたことがあるのですが、一体どういうことなんだということを申しましたら、要撃戦闘機で自分は飛び立っていくのだが、今日のファントムの装備からしまして、まともにソ連の作戦機と渡り合うことはできない、しかも、その後、仮にこれを迎撃して排除して帰ってきたといたしましても、滑走路がやられてしまっておって、滑走路を修復するマットもないくらいだから、大体着陸できるかどうかもわからぬ、第一、その前に飛び立つことが可能かどうかもわからぬだろう、それは掩体がないからわれわれの愛機はむき出しに置かれておって、たちまちにしてなくなってしまうかもわからぬ、そういう話をしたわけであります。 ことほどさように、第一線の航空自衛隊の幹部がそういう気持ちを持っておるということは、これは事重大な問題なんで、いま申し上げましたような掩体の問題、あるいは滑走路の保全の問題、あるいはレーダーの問題、あるいは要撃戦闘能力の問題等々について、航空自衛隊が持っているいまの欠陥というのは恐るべきものがあると私は思うのです。その点について、はばかることなく国民の前に明らかにしておかなければ、今日の防衛費の突出論議のように、いたずらに誤解を招いている点があるのではないか、かように考えるのであります。ですから、率直に忌憚のないところを申し述べていただきたいと思います。
○塩田政府委員 航空自衛隊の抗堪性という観点から見ました場合の問題点は、御指摘のように実はいろいろございまして、われわれもいまその整備に鋭意努力しておるところでございますが、具体的に申し上げてみますと、たとえば航空機用掩体につきましては、現在——現在と申しますのは五十六年度予算の発注ベースまでで、六個ございます。千歳に四個、三沢に二個ということでございます。これを五十七年度予算でさらに六個お願いいたしておりまして、お認めいただきまして千歳に四個、三沢に二個、したがいまして、五十七年度予算完成時に十二個になるということでございます。 それから、滑走路の被害復旧マットでございますが、航空自衛隊について申し上げますと、現在二十セットばかり持っておりますが、これを五十七年度予算でさらに十セットばかりお願いをいたしております。 それから、抗堪性という点から見ましてもう一つ重要な点は、基地におきますところの防空火器、対空火器の問題でございますが、これにつきましても、現在いわゆる八一式短SAMを航空自衛隊は二基持っておりますが、これを五十七年度で三基お認めいただきまして、合計五基ということになります。それから、いわゆる携SAM、携帯SAMでございますが、現在六基でございますけれども、五十七年度ではこれを三十基お認めいただいております。 それから、対空機関砲、これは二十ミリの対空機関砲でございますが、現在一門ございますけれども、これを五十七年度で八門お認めいただいた、こういうことで、基地防空火器につきましても逐次整備を図っていきたい。 それから、レーダーにつきましても、移動式の三次元レーダーを逐次整備いたしておりますが、現在、移動式三次元レーダーは、春日、那覇、高蔵寺と三基ございますが、これを北部の方に五十七年度でさらに一基お認めいただいております。 そのほか、航空自衛隊だけではございませんで共通の問題として、防衛マイクロ回線の整備ということも進めておるところでございます。
○山崎(拓)委員 いま一部について御説明があったわけでございますが、航空自衛隊の問題点を私から申し上げると、有事即応能力については、たとえば飛行訓練の不足による練度の低下の問題があるはずであります。訓練時間が非常に不十分である、訓練空域が遠隔で狭隘である、あるいは射爆場が不足している等々であります。また、バッジシステムが非常に旧式になっている。地対空誘導弾部隊の対処能力が低下している。電子戦能力が不足している。電子情報収集及び情報処理能力が不足している。あるいは弾薬庫、燃料貯蔵施設が大幅に不足している。空輸支援能力も、C130Hの装備に着手してはおりますけれども、不足している戸即応能力でも、枚挙にいとまがない。抗堪性も、いまお話があったとおりである。継戦能力につきましでも、弾薬については先ほどお話があったとおりである。あるいは予備自衛官の制度が航空自衛隊にはまだ設けられていない。海上自衛隊はたしか六百名でございましたか、予備自衛官がいたと思いますが、航空自衛隊にはまだ制度すら設けられていないという問題がある。もっと基本的には、有事における飛行場の不足も指摘されておる等々、これは航空自衛隊に限って申し上げたわけでございますが、枚挙にいとまがないほど現状に問題点があるわけですね。 そこで、現在検討されております五六中業で、ただいまそのごく一部について質疑を行いましたところの抗堪性あるいは継戦能力、即応能力あるいはC3I等の面におけるさまざまな欠陥について、どういうふうに是正していくことを検討しているのかということについて伺いたいと思います。量的な規模は別表にございますからわかっておりますけれども、問題は、質的な面でどういう点が向上、改善されるのか、この点についてできるだけ詳細にお伺いしたい、かように考えます。
○伊藤国務大臣 私から基本的な方針につきましてお答えを申し上げまして、なお補足することがございましたら、政府委員から答弁させていただきたいと思います。 御案内のとおり、目下五六中業は鋭意作業中でございまして、この時点においてはまだ事業内容も固まっておりませんけれども、御指摘にございましたいろいろの問題、装備の充実、近代化、継戦能力、抗堪性、有事即応能力の向上についても重視をしていく必要があると考えておりまして、五六中業の段階では、これらの能力は相当改善されるものと見込んでおります。 抗堪性の強化につきまして特にお話がございましたけれども、先ほど政府委員からも申し上げましたとおり、また、先生の御質疑等の中でも明らかになりましたように、この抗堪性の強化の事業はまだ緒についたばかりでございまして、また、土地取得の困難性等、施設的な制約もございますので、なかなか大変な事業でございますけれども、御指摘の趣旨に沿いまして十分努力をいたしまして、御指摘のことが解決できるような努力をさらに積み重ねてまいりたいと思っております。
○山崎(拓)委員 五六中業の考え方について、陸海空それぞれにポイントだけを聞いておきたいと思うのです。 まず、陸上自衛隊に関してでありますが、継戦能力の面で、弾薬の備蓄量の増加ということは当然考えられていると思うのですが、その点についてどうかということと、さらに、燃料の備蓄についてどう考えているのかという点をお伺いしておきたいと思うのです。 それから、抗堪性の問題に関しましては、これは海空基地の機能維持ということが抗堪性の一般的な解釈でありますが、しかし、陸上自衛隊においても抗堪性の問題はあると思うのです。それは野戦における部隊の生存性の問題なのでありますが、いまは十三個師団中十二個師団がいわゆる歩兵師団であります。機動性や防御性というものが著しく劣っている。でありますから、空からの、あるいは地上からでもそうでございますが、火力に対して損害を非常に受けるのではないか、ダメージを受けるのではないかということが懸念されておるわけでございますが、そういう見地から、普通科部隊の装甲化の問題や、特科部隊の自走砲化の問題や、あるいは対空火力の強化充実の問題等々についてどのように考えておるか。 それから、師団編成の問題でありますが、いま七千人師団と九千人師団がありますけれども、現行の師団を改編しないでいいのか、その点は五六中業の中で検討されているのかどうか。 そういう諸点について、まず、陸上自衛隊についてお伺いしたいと思います。
○塩田政府委員 まず、弾薬でございますが、先ほどもお答えいたしましたように、現在量では不足しているというふうに私どもは認識しておりますので、これを何とかさらに引き上げていきたいと考えておりますが、具体的なめどといいますか、目標量をまだ決めるに至っておりませんので、その点は差し控えさせていただきたいと思います。 それから、燃料でございますが、陸上自衛隊の燃料についてのお尋ねであったと思いますが、陸上自衛隊につきましては、特に燃料の点で現在備蓄を考えなければいけないという状況にあるとは考えておりません。 それから、抗堪性の問題で、陸上自衛隊にもやはり抗堪性の強化を図る必要がある、これは全く御指摘のとおりだと思います。そこで、御指摘のように、普通科の装甲化、特科の自走化、それから対空火力の充実ということは、いずれも私ども現在の作業の中におきまして配慮をいたしているところでございまして、具体的な数につきましては、まだ作業中でございますので、しばらく御容赦いただきたいと思います。 それから、師団の編成、改編について考える必要はないのかということでございますが、この点につきましては、私ども問題意識はかねてから持っております。五三中業におきましても、この点は作戦基本部隊の改編問題についてということで問題意識を持っておりましたが、今回も引き続きその点をさらに検討いたしておりますが、いまの時点で、五六中業の中でそれを改編という形で取り上げていくかどうかというところまでは、まだ結論を得ておりません。この点はさらに時間をかけて研究していきたいというふうに考えております。
○山崎(拓)委員 次に、海上自衛隊ですが、即応能力の向上の点で特に問題になりますのは、魚雷、機雷、ミサイル等の備蓄あるいは実装魚雷の艦艇搭載の問題でありますが、実装魚雷の方は五十五年度から五カ年計画で艦艇の二分の一定数を搭載するという方針だと伺っております。五六中業では一体どの辺まで考えているのかという点も聞きたいと思いますし、海上自衛隊の作戦用航空機の抗堪性の問題は、これは航空自衛隊とわけが違いますから、非常にむずかしいと思うのですが、この点についても五六中業で検討されておるのかどうか、そういう点についてお伺いしたいと思います。
○塩田政府委員 海上自衛隊の即応性ということで、御指摘のように機雷、魚雷の実装調整場、弾庫の整備ということを逐次実施いたしております。これは今後も引き続き整備してまいりたいと考えておりますが、具体的に五六中業で定数のどの程度まで整備するつもりかという点につきましては、現在作業中でございまして、まだ結論を得ておりませんので、その点は御容赦いただきたいと思います。 それから、海上自衛隊の航空機基地の抗堪性の問題でございますが、この点につきましては、航空自衛隊のような掩体を設けるかどうかというところまでまだ考えておりません。対空火器の充実というような方向で考えていきたいというふうに思っております。
○山崎(拓)委員 航空自衛隊の問題ですが、先ほど抗堪性の問題等についてはいろいろ議論いたしましたので、これはどの辺まで考えておるのかということをお伺いしたいと思いますが、さらに、私がNATOに参りましたときに、NATOで非常に重視しておりましたのは電子戦能力の問題なんです。航空自衛隊で電子戦能力の強化充実について五六中業で特に検討されておるかどうか、その点についてもお答え願いたいと思います。
○塩田政府委員 即応性の向上につきましては、先ほど申し上げましたような項目をさらに五六中業におきまして充実させたいということで、現在作業をいたしております。 それから、御指摘の電子戦能力の不足の問題、これは航空自衛隊に限りませんけれども、自衛隊共通の大きな問題でございまして、私ども非常に問題意識を持っておるところでございますが、特に航空自衛隊につきましては、そういった点を重視してまいりたいと思っております。これも現在そういう方向で作業をいたしておりますが、具体的にまだ結論を得ておりません。方向といたしましては、たとえばエリント機を整備するというようなことも考えていかなければいけないのではないかというふうに考えておりますが、具体的な整備目標等について、まだ申し上げられるところまでまいっておりません。
○山崎(拓)委員 そこで、いまわが国自衛隊が持っておりますさまざまな欠陥についてお話があったところでありますが、それをこの五六中業で相当な改善をしていかなければならぬということになるのですけれども、その検討をなさっておる。五六中業で基盤的防衛力の達成、つまり「防衛計画の大綱」の水準を達成するということを目途としていま作成が行われていると思いますが、長官、いかがですか、御方針どおり大綱の水準を達成するということをあくまでも五六中業では貫いていただけるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
○伊藤国務大臣 昨年四月の国防会議で了承いただきましたものに基づきまして、ただいま五六中業の作業を、大綱の線に達することを基本として鋭意防衛庁内で作業を行っております。 私も長官として、就任以来事務当局と相提携して、何としても五六中業の作業の中において大綱の線が達成されるように努力をいま続けている最中でございます。
○山崎(拓)委員 五六中業で「防衛計画の大綱」の水準を達成することを私どもは強く希望するわけでございますが、その際に問題になってくるのは、当然のことながら財政上の見地であります。 そこで、五十八年度、これは五六中業の初年度になるのでございますが、この予算がどうなるかということが、いわば五六中業の予算が確保し得るかどうかということの第一歩でございますから、これは非常に重要な予算になってくるわけです。しかし、時あたかも国家財政はきわめて厳しい情勢下にあるのであります。五十八年度の予算要求に当たりまして、ことしもまたシーリングが設けられると思うのでありますが、このシーリングはマイナスシーリングになるのではないかという話もある。その中でこの五十八年度の防衛予算に対する取り組みなのでありますが、これはもう非常に厳しいものになってくると思うのです。 そこで、ひとつ経理局長にまずお伺いをいたしますが、五十八年度のシーリングを考える上において一つのポイントになりますのは、すでに発生をいたしております後年度負担の問題がある。後年度負担は、私が手元に持っております数字では八千六百億円ぐらいが五十八年度にすでに発生しておる。そうしますと、五十七年度の後年度負担が約七千億円でございますから、それを差し引きますと、後年度負担だけで一千六百億円五十七年度予算よりも五十八年度予算の中で占める割合がふえておる。それは二兆五千八百六十一億円という五十七年度の予算から見ました場合、実に六・二%というウエートを占めることになる。ですから、それだけで六・二%は本年度予算よりも伸ばさなければどうにもならないところに来ておるわけですね。 そこで、五十七年度予算と比較してこの問題を検討をしてまいりますと、五十七年度におけるいわゆる後年度負担が伸びたことによる予算の伸び率に寄与した比率、これはちょっと正確にわかりませんが、まあ三%少々ではないかと思うのです。そういたしますと、防衛予算の伸び率は七・七五四%でありますから、その中から三%強を引きますと、七・七五四引く三・何%でありますから四・五%前後というものが後年度負担の伸び額以外に、これは人件費を含めてのことでありますけれども、伸びているわけです。実質的に伸びている、新しく伸びていると言ってもいいのでありますが、その伸び率をそのままスライドして、五十八年度でもこれを確保する必要があるのではないかと私は考えます。 と申しますのは、その中に人件費の伸び率が二・五%含まれておりますし、これは当然各年度入ってくるわけでございまして、残されたものは、わずかに実質の伸び額二%にすぎない。防衛突出と言われているけれども、二%にすぎない。ですから、これはここにいらっしゃる三原朝雄先生なんかも非常に御努力されたところでありますが、後方の予算を泣いて切りまして、主要装備の方に重点的に予算配分をしたわけです。しかも、この昭和五十八年度予算を考えますと、これは五三中業は五十九年度まででありますけれども、しかし、少なくとも主要装備に関しましては一年前倒しというのが、これこそ対米公約ではないかと私は思うのですけれども、これを果たしていかなければならない。装備費に相当金が要るはずのものであります。 そういうことをあれこれ考えてみますと、どうしても、六・二%の後年度負担による伸び率に対する寄与率プラス、どんなに低く考えたって四・五%はプラスしなければならない。これは最低ですね。最低の議論をするということは大変危険なことでありますけれども、あえていたしますと、四・五%は要るのだ。そうしますと、一〇・七%ですか、それはシーリングとして、シーリングとしてというよりは最終予算として確保しても、なおこれは最低ぎりぎりというか、果たして最低ぎりぎりとこんなところで言っていいのかどうか。先ほど来申し上げましたような今日の防衛力の実態からいたしましても、あるいは五六中業の規模、つまりここで「防衛計画の大綱」の水準を達成するということを前提とするならば、これはとてもそんな予算では足らないということになるのでありまして、シーリングからいたしまして、一〇%を大きく超えなければこれからの防衛力整備の所要にこたえていくことはできない、こういうことになるのでありますが、経理局長、いま私がいろいろ数字を申し上げましたが、間違っているかどうか、お答え願いたいと思います。
○矢崎政府委員 お答え申し上げます。 ただいま先生からいろいろ御指摘がございましたように、五十七年度予算におきます後年度負担というものがかなり相当な額に上っているわけでございまして、これが五十八年度に歳出化を伴っていくということでございまして、この歳出化分の増加だけをとってみましても、それは約千六百億円の増加要因を持っているということは、御指摘のとおりでございます。この千六百億円という金額は、五十七年度の予算額に対しまして約六%程度に当たるわけでございます。 そこで、五十八年度予算の全体の姿がどうなるかということにつきましては、これも先生御指摘のとおり、歳出化分だけではなくて、あと人件糧食費、それからもう一つは、新規の装備品等の調達その他のいわゆるその他経費というものが加わってくるわけでございます。そこで、そういったものを合わせました五十八年度の姿が最終的にどうなるかということは、これは今後の予算編成に係ることでございまして、現在の時点で確たることは申し上げられませんが、いずれにいたしましても、経済財政事情等を全体として勘案しながら、国の他の諸施策との調和を図りつつ決定されていかなければならないということかと思います。 ただ、防衛庁といたしましては、防衛力の整備ということを今後とも強力に推進をしていくという必要性を感じておりますので、「防衛計画の大綱」の水準をできる限り早く達成するということを基本の方針といたしまして、今後ともできるだけの努力を払っていくべき責務があるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、今後のシーリングの設定作業の中におきましても、そういった観点から、私どもといたしまして最善の努力を尽くしていきたいということを考えておるわけでございます。 ただ、具体的な数字につきましては、まだこの時点では明確に申し上げられる事情にないという点は、御理解いただきたいと思う次第でございます。
○山崎(拓)委員 臨調の第一部会におきましても、防衛に関しましてこう述べているのですね。「防衛力は、専守防衛という基本理念のもとに、わが国の安全をできる限り自らの手で守るという、明確な国民的な決意に立脚した有効な能力を備えたものであるべきだ」「日米安全保障体制の枠の中で、適切な範囲内で、わが国独自の防衛力体系の整備を進めるべきである」そして、「防衛計画の大綱の水準の早期実現に努める」 今日、行財政改革という内政上の最大の政治課題ということに取り組みながら、なおこの臨調は、独自の防衛力を築くことは、さらにそれと並んだ外政上の課題と申しますか、ということが言えるかどうかわかりませんが、非常にウエートを置いておるということでございますので、「防衛計画の大綱」水準、これはもう平和時における基盤的防衛力なんですから、今日持っておってしかるべき防衛力の水準なので、それがいつ達成されるかわからぬという話なのではお話にならないと思います。 そういうわけでございますから、長官にいま一度私は決意を聞きたいのですけれども、これは五六中業で何としても達成するということを大前提として、この作業は、もう時間的に切迫して、間もなくまとまるはずでございますから、その基本線だけは崩さないでいただきたいと思うのです。もちろん、GNP一%以内という一つの防衛政策の柱がある。しかし、この防衛政策はいろいろありますが、絶対に崩せない防衛政策というものもあろうかと思うのです。たとえば専守防衛政策というようなものは、これは憲法からきておるものでありますから、これを崩すということはあり得ない、憲法改正でもしない限りあり得ない。また、私はそういう方向でこの憲法改正をしようなどということは、私個人としても考えたことはありません。しかし、この防衛政策の中には、お互いにいずれか一方をとるべきというようなものも出てまいります。時代の進展とともに、あるいは防衛力整備の進展とともに、そういうものが当然出てくるはずですね。 そこで、やがて私どもが直面をいたします防衛政策上のいずれか一方をとるべき問題として、五六中業において「防衛計画の大綱」の水準を達成した場合にGNP一%の枠を超えることはあり得るという問題に直面してくるわけです。ですから、これはいずれか一方でありますから、いずれか一方ということになった場合ということにいたしましょう、仮定の話といたしましょう。それは「防衛計画の大綱」の水準を一日も早く達成する、少なくとも五六中業の間に達成するということをとるということを明言してしかるべきだと私は考えるのですが、これは長官、いかがでございますか。
○伊藤国務大臣 いろいろ御指摘もございましたし、まことに傾聴に値する御指摘でございましたけれども、ただいまのところは、昨年四月の国防会議の了承に基づきまして、五六中業の作業を大綱の線に達するということを基本として行っておるということ、その際、あわせまして、当面一%を超えないことをめどとするとの閣議決定に基づいて、防衛庁の内部で目下ぎりぎりの作業を続けておりますということ以上にお答えできないのでございまして、何とぞ御理解を賜りたいと思います。
○山崎(拓)委員 確かにこのGNP一%以内の問題は、鈴木内閣ではこれを維持していく、こういう話なのでありますが、五六中業の期間というのは五十八年度から六十二年度までの間でありまして、これは長官も鈴木内閣の一員でございますから、あるいはいまのような御発言になろうかと思うのです。しかし、いま申し上げましたように、「防衛計画の大綱」の水準は一日も早く達成すべきものであって、五六中業の期間で達成するということは、これから実質的に十年後という話なんだから、こんなことは非常におかしいことなんで、そういうことからいたしましても、プライオリティーは大綱の水準達成ということにあるのだということを、これは自民党の一員として私は強く訴えておきたい、あるいは要望しておきたいと思うのです。鈴木内閣の一員としてお答えになれないということは私も十分しんしゃくいたしますけれども、しかし、これは鈴木内閣を超えました次元の話であるということも申し上げておきたいと思うのです。 そこで、臨調第一部会が指摘しました中で、統幕会議三幕僚監部間の事務配分の見直し、内局の組織の改革ということがございます。この前、新聞を見ておりましたら、長官の御発言としてこの指摘に沿うような考え方が述べられたやに見たのですが、その点、どうなんですか、長官、そういうことをすでに検討を開始されておるのですか。
○伊藤国務大臣 ちょっと御指摘の点について私も正確に把握しておりませんので、お答えできませんけれども、まだそういうことを検討しているという段階ではございません。
○山崎(拓)委員 先ほど、自衛隊の持っておりますさまざまな欠陥、その中で有事即応態勢の問題についても主としてハードな面で御指摘をいたしまして、また、御答弁もありました。しかし、ソフトな面、つまり有事法制の問題もございます。昨年の四月二十二日に中間報告が出されたのでございますが、その後、この有事法制研究というのはどういうことになっておるか。第三分類までございましたが、その第一分類を優先的に検討することになっておったわけでございますが、その後どうなっておるか、伺いたいと思います。
○夏目政府委員 昨年の四月に、有事法制につきまして、第一分類から第三分類に分けまして、主として第一分類についての中間報告を申し上げたわけでございますが、現在、主として精力の大半を第二分類、すなわち他省庁、防衛庁以外の所管にかかわる法令についての検討に意を注いでおります。 御承知のように、自衛隊が有事に有効に機能し得るための法令というのは非常に複雑広範にわたっておりまして、現在私どもが問題点を洗い出している法律の数でも五十件ぐらいにわたるし、項目にいたしますれば百項目ぐらいにわたるのではないか、関係省庁も十数省庁にわたるというふうに思っております。これらのうちの二十四件の法律については、自衛隊の行動についての適用除外なり特例が設けられているということは御承知のとおりでございますが、ただ、この法律の中にも、たとえばいろいろな法律の中において非常災害であるとか非常事態という場合における適用除外、特例を設けられたものがございますが、その中に有事の自衛隊の行動が含まれるかどうかというようなその解釈の問題についての疑義、問題のわからない、不明確な点があるわけでございます。いまこういう問題について関係省庁に照会をしながら、改めての関係省庁との正式協議の前提となる作業をしているというのが状況でございまして、それを待ってそれぞれの省庁と正式の協議に入りたい。 それから、第一分類につきましては、主として自衛隊法第百三条の問題でございますが、これについても、損失補償の手続であるとか、公用令書の様式であるとか、相当煮詰まったものがございますが、これすら、たとえば従事命令の範囲、管理する施設の範囲その他について関係省庁が非常に多くなるわけでございまして、これらについても近いうちにそれぞれ協議を進めたいというふうな段階でございます。
○山崎(拓)委員 いま状況について御説明があったのですが、この中間報告によりますと、先ほど申しましたように「第一分類を優先的に検討することとし、第二分類については第一分類に引き続いて検討する」こういうことになっておりました。そこで、こういう行革の時期でもあって、ハードな面ではいろいろ制約があるが、しかし、とにもかくにもわが国の防衛力の整備については積極的に前進を続けていかなければいかぬという情勢下にあるわけですから、したがって、この有事法制の中でも特に国民にわかりやすい点は、たとえば百三条の政令が整備されてないというような点なんですね。これはとにかく政令でございますから、いろいろ各省庁にまたがる問題で、大変むずかしい作業になると思うのですけれども、これは積極的にぜひ進めてもらいたい、このように考えるのです。 私が防衛庁におりますときに、統合演習なんかがあったのですが、陸上自衛隊のように演習場で訓練をいたしておりますときにはわかりませんけれども、統合演習なんかやりますと、ここにいらっしゃる石崎参事官と一緒に同行して私も視察をいたしました。われわれが見ておりましても、これは有事法制を整備しなければいかぬなということが、あんなことをやっておりますと、ある程度わかってくるのです。せっかく演習場外でああいう演習をやっておるわけですから、たとえば空とか海とかの訓練とは違って、統合演習なんかで、有事法制の必要性についてこれは当然反省として出てきているはずだと思うのですが、その点、どうですか。
○塩田政府委員 その点につきましては、御承知と思いますが、その統合演習等の前に防衛研究をやりまして、防衛研究の中で有事法制の方に取り入れてもらいたいものということで、昨年の四月の中間発表には入れてもらうということで、たとえばいま御指摘の百三条の関係で言えば、陣地の構築でありますとかいうようなこともありましたし、また、予備自衛官の招集時期といったようなこともございましたし、そういうようなことは防衛研究の研究の中から有事法制の方に取り入れてもらいたいということで措置をいたしておるわけでございますが、いま御指摘の統合演習自体はあくまでも現行法令の中で演習をする、これは山崎委員よく御存じのとおりでございますが、そういうたてまえでございますから、そのこと自体はそういった有事法制の問題点を探り出すための演習ではございませんので、観点は違うわけでございます。 ただ、そうはいいましても、御指摘のような点はもちろん出てまいるわけでございますから、そういった点は今後とも、統合演習の反省といったような演習結果の反省は当然ございますが、そういうようなことを踏まえながら、取り入れるべき点は取り上げていきたいと思いますが、目的自体は一応別個のものであるということも御了承いただきたいと思います。
○山崎(拓)委員 今後統合演習等をおやりになるときには、もちろん演習そのものは現行法制でやることはわかっておりますけれども、しかし、前回のように対馬に向けてやるということになれは、当然問題が出てくる、問題点はわかってくるというように考えるのです。たとえば、防衛出動命令後に有事法制が発動するということでは困るので、防衛出動命令下令前に、待機命令下令後にはこの有事法制が発動するということが必要になってくるというようなことは、当然そういう演習をやればわかってくることだと思うのです。そういう点は、せっかくの演習でありますから、これを参考の資とされるということは必要なことであるので、今後とも十分に御留意を願っておきたいと思うのです。 時間が参りましたが、装備局長、せっかく御出席でありますので、日米防衛技術協力について現状はどうなっているか、特に、米側のこの問題に対する意見や要請というものがあると思いますが、これについての防衛庁の考え方いかんということでお聞きしたいと思います。
○和田(裕)政府委員 アメリカに対します防衛技術の提供問題につきましては、たびたび申し上げたことでございますが、目下関係省庁の間で検討中でございます。 米側からどういう要請があるかということでございますが、昨年の第三回の装備技術定期協議におきまして、アメリカとしては、日米間の安保条約等、ございますところの非常に特殊な関係というものにかんがみまして、一日も早く装備技術協力ができるようにしてほしい、こういう要望がございました。 それから、本年三月二十七日にワインバーガー長官が来られました際に、この問題についても、アメリカから非常に関心を持って見守っている、こういう発言があったわけでございます。これに関連して申し上げますと、昨年大村長官が行かれましたときに、アメリカは、日米間で防衛技術の相互交流の原則に基づきますところの拡大ということが必要なんだということを言いまして、これは日本に対しましてこれまでと同様に防衛技術を出す上からも大事だというお話がございましたけれども、その後、昨年十二月に至りまして、労働組合等の意向を反映したところの米議会におきます動きがございまして、それによりまして対日ライセンス技術の供与というものに対します一種の見直し機運が出てきているということでございまして、私どもは、こういったことが広がらないように国防総省に対して強くお願いしているところでございます。 国防総省におきましては、私どもの主張を基本的にはよくわかっていただいておりまして、日米間におきまして装備品の共用性の確保が非常に必要であるということも踏まえまして、基本的には日本に対して技術の提供をしたいというふうに言っておりますけれども、それについては日本側もしかるべき対応をしてもらう必要があるということも言っている、そういう状況でございます。
○山崎(拓)委員 時間が参りましたので、これで私の質問を終わりますが、最後に、防衛庁長官に御要望申し上げておきます。 わが国の防衛力というのはハリネズミになるのだという議論がございます。ハリネズミになるということは、詰まるところ、きちんとした侵略抑止力を持つのだ、トラやオオカミやライオンにはならないのだけれども、しかし侵略抑止力はきちんと持つのだ、こういう意味合いだと思うのです。ところが、いまのハリネズミの針というのは非常に脆弱な針であって、仮に北極のクマからかみつかれるとぼろぼろ折れるような針では困るのでありまして、当面、日米安保体制によってこの針が強靱性を発揮しているので、侵略抑止力というものが有効に働いている、こういう現況にあろうと思います。 しかし、一九八〇年代の国際軍事情勢というものを考えてまいりますと、一九八〇年代半ば危機説に代表されますように、これは、米ソの軍事バランス、あるいはもっと広く、自由主義陣営と共産主義陣営の軍事バランスと申しますか、そういうものに従来と違った力関係というものが生じてくる可能性があるのであります。米軍の相対的な力の低下ということもありましょうし、先ほど来外務省からもいろいろお話がございました中東情勢に対する第七艦隊のスイングの問題等々もございまして、これは、みずからの国はみずからの手で守るという方向でそういう力を今後漸次きちんとつけていく、わが国の役割り分担をきちっとやっていくということがまさにそのことなのでありますが、そういうことで、日米安保体制とわが国の自衛力を含めて、きちんとした侵略抑止力というものを常にわれわれは形成して持っておかなければならぬということを念頭に置いていただきまして、ひとつ一段と防衛力整備の御努力をいただきたいということを最後にお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
○細田委員長 午後一時十五分より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時十九分休憩 ————◇————— 午後一時十五分開議
○細田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。岩垂寿喜男君。
○岩垂委員 最初に、外務省にお尋ねをいたしたいと思いますが、その前に、いま世界じゅうで核軍縮あるいは核兵器全廃を要求する大衆的な運動が燃え広がっています。まさに燃え広がっているという言葉にふさわしい運動の状況がございます。日本でも三月二十一日の広島集会の成功ということを踏まえて、日本の場合は核軍縮、核の廃絶、とりわけ非核三原則の厳守を要求する三千万署名が職場や地域や学園でも繰り広げられています。そうした大衆的な世論を背景にして、地方自治体でも、これはビキニ事件を上回るというふうに言われておりますが、九百に上る地方自治体が反核あるいは核軍縮の要求決議を積み重ねておることは御承知のとおりであろうと思います。 こうした運動の中で、私どもが非常に大きな懸念を持たざるを得ないのは、レーガン大統領の核戦略強化計画、昨年の十月でしたか、示されたその計画に関連をいたしまして、攻撃型原子力潜水艦と主要な艦船に巡航ミサイル・トマホークを配備するという方針でございます。先般、ワトキンズ米海軍太平洋艦隊司令官が上院軍事委員会で、一九八四年から通常の攻撃型原子力潜水艦及び主要艦船にトマホークを数百基配備するということを証言をいたしておりますが、北米局長で結構ですから、ぜひその詳細をお示しいただきたいと思います。
○淺尾政府委員 ワトキンズさんの証言はアメリカの核の近代化につきましていろいろと述べておりますが、その中で、いま岩垂委員が御質問になりました攻撃型の潜水艦に一九八四年以降に核武装したトマホーク、いわゆる巡航ミサイルを搭載する、そして、その搭載した艦艇については、具体的な展開先は引用しておりませんけれども、太平洋艦隊にも配属されるであろう、こういうことを述べているわけでございます。
○岩垂委員 外務省は、その証言に対して何か照会などの手続をおとりになりましたか。
○淺尾政府委員 ワトキンズさんの証言の前だと私は正確に記憶しておりますけれども、アメリカ側が艦隊に巡航ミサイルを積むという報道が行われた後に私たちが照会いたしまして、その際に、アメリカ側の回答も、一九八四年以降、核搭載の巡航ミサイルを攻撃型潜水艦に積むであろう、水上艦艇についても同じようになるであろう、こういうことでございます。前提として、非核、通常型のトマホークについては本年中からも搭載することがあり得る、こういう回答でございます。
○岩垂委員 積載の潜水艦に対してどのくらいとか、通常艦艇に対してどのくらいとか、そういうことについては外務省は承知しておりませんか。
○淺尾政府委員 その照会の中ではございませんけれども、議会の証言等を通じてわれわれが知っているところでは、攻撃型潜水艦については、たとえばロサンゼルス級の潜水艦等に積む、あるいは水上艦艇についても巡洋艦等に積むという程度のことは照会しておりますが、具体的に、どの艦隊にどの程度積むというところまではまだ承知しておりませんし、恐らくアメリカ側もそこまではまだ決定していないのじゃないかと思います。
○岩垂委員 三月五日のアメリカの上院軍事委員会戦略・戦域核戦力小委員会で、アメリカの海軍作戦部戦略潜水艦課長のケルソー少将が証言をいたしております。この記録を私、土曜日に外務省からいただきましたけれども、改めて北米局長から御披露をいただきたいと思います。
○淺尾政府委員 ケルソー・アメリカ海軍作戦部戦略潜水艦課長が、昭和五十三年三月五日、上院の軍事委戦略・戦域核戦力小委員会というところで証言をしております。その中で幾つかポイントがございますが、一つは、核装備した……
○岩垂委員 済みませんが、私、いただいている資料がございますので、読んでいただければ……。
○淺尾政府委員 昨年十月大統領が発表した戦略戦力近代化計画の一部として、我々は、いくつかの攻撃型潜水艦に核装備の巡航ミサイルを配備する計画に乗り出した。この目的のために我々が開発中の巡航ミサイルの変型、即ち核対地攻撃型トマホークミサイルの初度作戦能力は、一九八四年六月に始まる。これらの攻撃型潜水艦の打撃能力を更に高めるため垂直発射システムがSSN688級の潜水艦に装備されつつある。垂直発射システムの最初の装備は、一九八五年十二月に完了されるであろう。我々は、一九八四年から少数の核装備巡航ミサイルを攻撃型原子力潜水艦(SSN)に配備する計画である。各攻撃型原子力潜水艦に配備する正確な数は決定されていない。即ち、核弾頭対地攻撃トマホーク、通常弾頭対地攻撃トマホーク及び通常弾頭対艦攻撃トマホークを各攻撃型原子力潜水艦に具体的にいかなる組み合せで配備するかは作戦地域及び計画任務等の要素に応じて艦隊司令官によって決められる。 これら巡航ミサイルのいずれもSIOP(単一統合作戦計画、即ち、全面核戦争時における米戦略兵力の統合使用を図る統合戦略計画)に組み込まれることはないであろう。核装備海上(中)発射巡航ミサイルは、戦略予備戦力の一部分であり、必要に応じ、SIOPが発動・実施された後の段階における一態勢の一再構築及び(攻撃)目標設定のために使用されることとなろう。高度の生存性をもつ攻撃型原子力潜水艦に対地攻撃型核巡航ミサイルを配備することは、抑止態勢を向上するため、米国戦略予備戦力の増強部分として大いに価値あるものとなろう。 こういうことでございます。
○岩垂委員 私が指摘したいのは、核弾頭対地攻撃トマホーク、通常弾頭対地攻撃トマホーク及び通常弾頭対艦トマホークを各攻撃型原子力潜水艦に具体的にいかなる組み合わせで配備するかは、作戦地域及び計画任務等の要素に応じて、艦隊司令官によって決められるということについてでございます。 この証言によれば、核、非核巡航ミサイルの積載は、艦隊司令官の裁量に任されているということであります。 つまり、アメリカの戦略兵力の統合使用を図る統合戦略計画には、これは組み込まれていない。つまり、アメリカ全体のスケジュールの中からは外れて、艦隊司令官に任されるということの意味は、アメリカ政府の最高責任者は搭載の問題を一々チェックはしない。艦隊司令官が、言葉は大変よくございませんけれども、見つくろって、状況に応じて積んでいくのだということを、外務省からいただいた資料で物語っていると私は思うのであります。 核兵器の持ち込みの事前協議というのは、政府対政府の関係で行われるものであることは言うまでもありません。核積載の裁量というものを下部に委任してしまった。そして、一々チェックしない、あるいは知る由もないという状況になりますと、これは正直なところ、事前協議したくてもしようがないという実態がこの点で明らかになってくるのではないでしょうか。私は、外務省はそれなりの答弁をなさると思いますけれども、トマホークは外見上、核なのか、通常弾頭なのか、全くわかりません。区別ができないというものであります。ですから、政府が、八四年というスケジュールが決まっているわけでありますけれども、それまでの間に、核弾頭のついたトマホークの寄港に当たっては、必ず事前協議をするということを押さえなければなりませんし、核弾頭がなくても、非常に疑わしい核兵器の持ち込みの危険性があると思いますので、事前協議をしてほしいものだ、もう一遍、チェックする気持ちはございませんか、お尋ねしたいと思うのです。
○淺尾政府委員 いまお尋ねの、それでは艦隊司令官に任せられるから、アメリカ政府としてチェックのしようがないじゃないか、そうすると、事前協議は形骸化する、そこでもう一度、事前協議についてアメリカ側に念を押したらどうかという御質問でございますけれども、この点につきましては、従来、国会で官房長官その他も答弁されておりますけれども、日米間には事前協議の制度というものがございます。その土台はやはり日米間の信頼関係ということでございまして、当然、核装備をしていれば、これはアメリカ政府が日本側に事前協議をしてくるものでございます。そういう義務を負っていることでございます。 したがって、いま御引用になりました件も、いわゆる一つの、言葉は悪いのですけれども、応用問題というふうに考えられるのではないかと思いまして、日米間にその信頼関係があって、アメリカが誠実に事前協議を守ると、これは歴代の大統領が何回も声明しておるということであれば、今回あるいは一九八四年の事態になって、アメリカ側が事前協議を形骸化するということはわれわれとしては考えておりませんし、現在の段階でそのために新しい取り決め、あるいは念を押すということは必要がないというふうに考えているわけでございます。
○岩垂委員 同じように、ドネリー在日米軍司令官が八日に記者会見をされました。現在、現役復帰のための修理をやっている戦艦ニュージャージー、これも太平洋艦隊に配備される計画だということを言われました。ニュージャージーも核、非核の巡航ミサイル・トマホーク三十二基を装備しているということは、一九八三年会計年度軍事情勢報告の中でも指摘をしているわけですが、ニュージャージーが日本に寄港する可能性というものは非常に強いと私は思いますけれども、政府は、ニュージャージーが日本に寄港することをいままでのように黙認なさるおつもりですか。
○淺尾政府委員 まず、事実関係から申し上げますと、岩垂先生よく御承知のとおり、アイオワ級の戦艦四隻というのがございまして、ニュージャージーはその一隻なわけでございます。それをアメリカは今後再就役させるということで、大体八三年の四月一日に就役するという予定でございます。その再就役計画はいろいろな段階に分かれております。その詳細についてはここで申し上げる必要もないかと思いますけれども、まず、ドネリーさんの発言、それからもう一つは、ワインバーガー国防長官が訪韓した際に、ニュージャージーを極東に配備するというようなことをいろいろと言ったという報道はございます。しかし、いずれもそれは今後の計画について述べたという新聞情報以上のものをわれわれは持ち合わせていないわけでございまして、これらの戦艦が現役に復帰する年度、あるいはそれに核弾頭の巡航ミサイルが積まれる年度というものは、先ほど申し上げたようなわけでございます。 いまの御質問にお答えするとすれば、ニュージャージーに核が搭載されているということであればこれは当然やはり事前協議の対象になる、日本側としては、非核三原則をもって対処するというか、核の持ち込みについてはすべて拒否するという従来の立場というものを貫いていく、こういうことになるかと思います。
○岩垂委員 いままでの答弁を繰り返しておられるわけです。ただ、ちょっといままでの原潜なりあるいは通常艦艇とは状況が変わってきている。八四年ですからまだ若干の時間がございますけれども、そういう状況がある。しかも、トマホークの核と非核を区別することができない、そういう状況の中でいままでと同じように対応するということに、私は大きな疑問を感じざるを得ないのであります。 なぜなら、先ほど申し上げましたように、レーガン計画というのは、八四年から通常の攻撃型原子力潜水艦並びに主要な艦艇に数百基の巡航ミサイルを配備するということになっています。これが太平洋艦隊に配備されることは確実であります。日本政府は、このような新しい事態でも、通常型原子力潜水艦及び主要艦船の日本寄港に当たって、これまでどおり対応していくということをもう一遍おっしゃるわけですか。
○淺尾政府委員 基本的には従来の対応でございます。ただ、いま御引用になりました核の搭載が始まるということであれば、これはアメリカ側が事前協議の対象として日本に対して了解を求めてくるものでございまして、それに対して日本側の態度というものは、従来と同じようにすべて核の持ち込みは拒否する、この態度を貫いていく。したがって、先ほど私が応用問題と申し上げましたのは、日米間に信頼関係がある限り、新しい情勢になっても事前協議の制度というものは守られていくということをわれわれは信じている、こういうことでございます。
○岩垂委員 私が言いたいのは、要するに艦隊司令官の裁量に任されている、つまり、作戦や地域において状況に応じて対応する、いまの判断からすれば、SIOPとの関係を見ても、それとは除外された位置づけで戦域核、ときに戦略という形に使われる可能性もあるわけですけれども、そういうふうにされている状況のもとで、事前協議というシステムが本当に機能するだろうか、そこのところを私は強調しているのです。 日米間に信頼のある限りそんなことはないはずだ、それはあなたがおっしゃるのもそれなりの理屈はわかります。しかし、私たち国民の側から見ると、もう圧倒的多数の、というところまではまだいきませんけれども、非常に多くの原子力潜水艦、たとえば横須賀にもう原潜がたしか百三十回ぐらい入っています。この間のごときは、一度に三隻入っています。どうしてこんなに入ってくるのだろうかと思うくらいです。しかも、それは恐らくトマホークが積載される可能性のある、いや、そのことを示しているスタージョンあるいはロサンゼルス、この船ですね。本当に私たちは積んでないと思いたい。思いたいが、いまのような形。これはまさに外務省、あなたの方で初めて出してくれた資料です。議会の証言です。それでも、艦隊司令官に任されているということになっているわけですから、私は信用しようがない。 私は選挙区が横須賀だから言うわけではございませんけれども、このような限りなく灰色の米艦艇の日本寄港を黙認することは、非核三原則の形骸化がサブロックに引き続いて一層はっきりするということを私は強調せざるを得ないのであります。これでは事実上非核二・五原則ということになってしまいます。政府はこのような核積載の疑わしい艦艇の寄港というものを明確に拒否するということを私はしていただきたいと思うのですが、外務大臣、その辺はどうですか。
○櫻内国務大臣 御質問の御疑念の点は、核弾頭対地攻撃型のトマホークあるいは通常弾頭対艦攻撃型トマホーク、こういうものをいかなる組み合わせで配備するか、これは、きょう引用されたケルソー米海軍作戦部戦略課長ですか、この証言によると、艦隊司令官に任される、そういうことから事前協議のことについての御疑念を持たれる。 ところで、どうでしょうか。安保条約上、いかなる核兵器の持ち込みも事前協議の対象である、それからまた、事前協議に関する約束の履行は米国にとって条約上の義務である、そういう義務を全然認識せずに艦隊司令官が行動をする、そういうことはやはり考えられないのじゃないか。これだけ日本は非核三原則を持っておる、そして、幾たびか論議されて、アメリカが最高首脳レベルにおいて一貫して、かかる約束を忠実に履行してきたし、今後においても履行する、こう言っておるときに、これは任されたのだからもうそんなことはほっておいていい、私は、そうはいかないものじゃないか、こう思う次第でございます。
○岩垂委員 私もそう思いたいのですけれども、どうも仕掛けが、一々たとえばペンタゴンであるとかあるいはホワイトハウスに相談をしているという状態でない。事実上潜水艦は動いてしまっている。作戦任務についてしまっている。そういう状態のもとで、入ってしまってから後、さてどうするかというふうな議論だってあり得ないことじゃないと私は思うのです。その意味で、その疑わしい状況のもとで、あるいは疑わしさがますます、いまのレーガン計画によればわりあいに積載をする船が多くなっていくという状況のもとで、いままでどおり、核を持ち込むときは事前協議があるはずでございます、事前協議があればノーでございます、事前協議がない限りは持ち込んでいないと信じます、そして、その船はもし日本に入ったときにはどこかに核を置いてくるものと確信をいたしますという、これまで何回も私も伺ってきている政府の答弁で、信用できないのです。どこかに置いてくるものと確信をいたします、ここが実は最後のとどめになっているわけですけれども。にもかかわらず、そういう状態でも従来の方針を貫くといまおっしゃいました。 私はこれ以上議論をいたしませんが、事前協議制度の虚構性というものがもはやつくろうべくもない状態というものになってきている。その意味では、日本政府はあくまでも非核三原則を守り抜くということを公約していらっしゃるのですから、その公約に対するいささかの疑惑に対しても、その潔白を証明なさるように御努力を願いたい。限りなく灰色のそうした積載可能艦船だけでなしに、積載をしているであろうそういうものに対するチェックをしっかりしていただきたい、このことをまず要望をしておきたいと思います。 トマホーク問題はそのくらいにしまして、次に、これは二、三日前に会館に配られた日本外交協会の牛場信彦さんの関経連における講演の全文ですが、「最近の国際情勢と日本の安全保障」というのを読ませていただきました。 その中で、二十四ページですが、アメリカが日本にさまざまなことを要請をしているというかなり詳細な指摘がございまして、その中にはシーレーンもございますし、それから防衛力の増強もございますし、さまざまなことがあるのですが、四つ目ぐらいのところに、「それから最後に、アメリカの中東における軍事基地建設に対する費用の分担問題があります。費用の分担と言っても、そういう軍事基地をつくるに際しては、たくさんの商船を使わなきゃならない。これの整備を結局、日本でやらなきゃならないのだから、そういうことについて負担をしてくれ、あるいは食糧とか水、ああいう熱いところですから長くは持たない。恐らく三カ月ごとぐらいにかえなきゃならない。その積みかえの作業なんかも日本へ持ってきてやるのが一番いいから、そういう点で協力してくれというような話。これは現に少しずつはやっておるわけですけれども、そういうようなところが具体的に日本に要求されているところだろうと私は思っております。」という文章があるわけです。 この文章の意味はどういう意味でしょうか、ちょっと教えていただけませんか。
○淺尾政府委員 実は私もこの文章を読みまして、非常に難解でございまして、どういうことを牛場顧問が意図をして言っておられるのかわからないわけでございます。 ただ、従来の経緯を申し上げますと、アメリカ側は中東に機動部隊を展開している。それについていろいろな費用がかかります。しかし、その費用を日本に分担してくれとは言わない。むしろ、在日米軍経費なんかを負担してほしい、それの方がアメリカとしては必要なのであるということが第一点でございます。 それから、その間の議論の中で、ホルムズ海峡に米軍が展開され、あるいはアメリカ、フランスの艦隊も展開されて、いわゆる共同艦隊、共同パトロールという話がございまして、その際に費用を負担するというような話が新聞等で報道されまして、当委員会においても、その費用の負担それ自身についてやはり具体的なケースを判断して考えなければわからないけれども、一般的に申し上げて、集団的自衛権というのは国家による実力の行使なんで、費用負担それのみでは集団的自衛権の行使には当たらないだろうという御答弁を申し上げたことを記憶しております。しかし、その共同パトロールというものも立ち消えになっておりますし、現実に、アメリカ側から中東に軍事基地をつくる費用を持てとか、あるいは商船その他軍艦については、ジョージ・ボールが日本が航空母艦をつくってアメリカに貸与しろとか、いろいろな話がございましたけれども、全部それはそういう話があったということが伝えられただけであって、政府対政府の間では、そういう話は一切ないわけでございます。
○岩垂委員 アメリカの中東戦略に、日本がたとえば食糧とか水とか、あるいはそれを積みかえるための作業などということをやる、あるいは商船の整備などのことを日本がやる、こういうことは、地位協定などを考えてみてもあり得ないことだというふうに考えてよろしゅうございますか。
○淺尾政府委員 非常に一般的なことでございますので、具体的なケースに即して考えないといけないわけでございますが、たとえば中東等に展開しているアメリカの軍艦が、ミッドウェーなんかが日本に帰ってまいります、その際に水を補給する、これは地位協定上許されているところでございます。
○岩垂委員 アメリカが中東で作戦をするためのそういうものについては、地位協定で許されていますか。
○淺尾政府委員 まず第一に、戦闘作戦行動、それは一昨年の予算委員会その他でも再三御議論がございました。これは、現実の問題として、戦闘作戦行動が日本の基地から行われることはないであろうというふうにお答えしているわけでございます。 それから、それでは中東等にアメリカの艦隊が日本の港から動いていく、それはどうか。これは、地位協定上、アメリカの軍隊が日本の港から中東等に動いていくということは一向構わない、地位協定の禁止しているところではない、こういうことでございます。
○岩垂委員 恐らく地位協定の十二条になるわけですね。そうですね。そうしますと、中東というのは極東の範囲に入るのですか。
○栗山政府委員 極東の範囲につきましては、従来から政府の統一見解で申し上げているとおりでございまして、中東が極東の範囲に入るというようなことは毛頭ございません。 それから、先ほど先生の御質問がありました、日本の施設、区域を利用する米軍が日本の施設、区域内で修理その他の目的のために資材、役務を調達する根拠は何かということであれば、それ自体は確かに地位協定の十二条でございます。
○岩垂委員 牛場さんがおっしゃった、中東における軍事基地建設に対する費用を分担してくれなどということが向こうからある、これは現に少しずつやっておるわけだけれども、そういうようなところが具体的に日本に要求されているところだろうと思っているというのは勘違いである、あの大変聡明な牛場さんがそういう勘違いをなさっていらっしゃるというふうに考えてよろしゅうございますか。
○淺尾政府委員 その牛場顧問がそこで述べられていることは、実は非常に把握しにくいわけでございますが、少なくともその軍事基地の建設その他に日本が協力してないのは明らかでございます。 それでは、水の補給をしている、あるいはその他のことをしているかというお尋ねであれば、先ほど申し上げましたような水の補給をしたり、あるいはミッドウェーが中東に展開していて日本の港へ帰ってきた場合に、部品あるいは補修ということがあれば、それはやっていくというふうに考えられるのじゃないかと思います。
○岩垂委員 北米局長、忙しいようですから、結構です。 外務大臣、対韓経済協力の問題について二、三お尋ねをしたいと思うのですが、連休中に訪韓なさるということをお決めになりましたか。
○櫻内国務大臣 いまのところ、全然見当もつけておりません。
○岩垂委員 経済援助についての政府の方針がまとまったかどうか。そしてまた、まとまってないとすれば、どんなお気持ちでまとめようとなさっていらっしゃるか。
○櫻内国務大臣 御承知のように、いま前田大使が日本に帰られまして、韓国の方の模様を関係当局の方に順次お話しをいただいておるわけでありますが、日本が示しました中間的な方針に対しての韓国の意向というものは、その方針とは相当な隔たりがある、こういうことでございまして、このことはなかなか経済協力の見通しが立たないということになるわけであります。
○岩垂委員 たとえば、円借款十五億ドルとか、日本輸出入銀行融資二十五億ドル、計四十億ドルというような話は、そんな水準になるとは考えないというふうに私は思ってよろしゅうございますか。
○櫻内国務大臣 これは日本側から、向こうの示しました十一のプロジェクトにつきまして、これは政府借款として考えられる、これは収益性があるので輸銀として考えられる、そういうことを中間的に韓国の方へ申したのでありまして、いま伝えられておる数字は、恐らくその仕分けをしたプロジェクトについて、これこれを合計すると大体こんなところかというようなことでいろいろ報道されておるのだと思います。幾らになるというようなことは、私のところにはまだ報告は来ておらないのであります。
○岩垂委員 これも何回か言われていることですけれども、たとえば途上国向けの円借款を韓国に供与するとか、あるいは日本輸出入銀行の金利を引き下げるとかというようなことまでなさるおつもりなのか、あるいはなさろうとすればどうしてそんなことができるのかという理由をはっきり示していただきたいと思うのであります。 〔委員長退席、有馬委員長代理着席〕
○櫻内国務大臣 ちょっとお尋ねのことがわかりにくいのですが、私が申し上げたとおりに、日本の経済協力の方針の上から、五年倍増という一つの方針がございます。また、積み上げ方式がございます。そういうことで、向こうから要望しておるプロジェクトを、およそ政府借款では考えられるのはこの範囲、収益性のあるものはこう、こう言っておるのでありまして、そのことは従来の経済協力の方針の中での考え方を示しておるわけであります。
○岩垂委員 それでは、もう政治的な決着というのはない、つまり、積み上げ方式で、きちんといままでの国際的な援助のルールというものをそのとおり守っていくのだというふうに理解してよろしゅうございますね。
○櫻内国務大臣 政治決着というのがどういう意味合いを示すのか、私にはよくその意味がわかりません。しかし、実務者会議を行い、中間的な考え方を示し、それに対していろいろ考えを示してくる。そして、最終的に詰めを外相会議でやる。事務レベルですべて物が済む、こういうものではないのでありますから、外相会議でやる、そういう手順になっております。
○岩垂委員 国際収支が悪化した途上国向けの円借款というようなものが韓国のような国に適用されること自身は、ノーマルではないと私は思うのです。あるいは輸出入銀行の金利を引き下げるというようなことも、私はノーマルではないと思うのです。そんなことをやったら、世界じゅうから、そういう条件でわが方も頼むというふうに言われますよ。また断り切れないですよ。あるいは断ることに大変苦労なさいますよ。だから、いままでの国際協力と言われるものの枠内でとおっしゃったので、私はその言葉を信じたいと思うのですが、それから少し乗り越えたようなそういうやりとりというものを政治的に結末をつけていくということはなさらないというふうに私は信じたいし、そうしてほしくない。そうでないと、結果的には安保絡みということになってしまう。 その点は、これ以上外務大臣に申し上げても、これからのことですからというようなことになってしまうでしょうから、私はもう聞きませんけれども、何としても不自然な、国民の側から見ても納得のできないそういう対韓経済協力というようなものは、まあアメリカ絡みの話もあるようで、さまざまな事情があるようですけれども、日本政府としては毅然とした態度をとってほしい、このことを要望しておきたいと私は思います。 飛び飛びになって恐縮ですが、毎日、新聞に出ておることでございますから、私もそれなりに心配でございまして、フォークランド諸島の紛争の問題がございます。ヘイグ国務長官が調停工作を進めているようですけれども、私どもは何よりも紛争の平和的な解決というものを要求したいと思います。 その意味で、国連憲章の原則を尊重しながら、国連などの場所で平和的解決を図っていくことが望ましいという立場に立つわけですが、日本政府はこれまで、それらのためにどんな御努力をなさっていらっしゃるのか、あるいはこの領土問題、領有関係に対する日本の見解はどういう立場をとるのか。それから、イギリスのサッチャー首相から親書が寄せられていて、経済制裁などということを求められているやにも承っておりますが、それらの書簡などに対する対応を含めて、外務大臣からまとめてフォークランド諸島に対する日本政府の対応というものについて御答弁を煩わしたいと思います。
○櫻内国務大臣 一番基礎になりますフォークランドの領土領有権の問題につきましては、これは英国及びアルゼンチンとの間で長い間の双方の主張が食い違っておることでございまして、これについて日本側が、どちらに領有権がある、そういうようなことをコメントすることのできないことは御了承願えると思うのであります。 それから、今回の紛争に際しまして、日本は安保理事会の理事国でございますので、その安保理事会におきましてこの問題が取り上げられ、英国からの決議が提案されたわけでありますが、武力行使ということについては日本としては認められない、平和的に解決をすべきである、決議の趣旨につき賛成をいたした、こういうことでございます。 現段階におきましては、御承知のように、ヘイグ・アメリカ国務長官が英国へ飛び、またアルゼンチンに行き、また英国へ行かれておると、非常なあっせんの労をとられておるのでございまして、イギリスに対しても、アルゼンチンに対しましても、このあっせんによって解決されることを日本としては期待をするということを表明いたしております。 サッチャー首相からの鈴木総理に対する親書が参りましたが、その親書につきましては現在内容を検討中でございまして、まだそれについての政府の意向を固めておりません。しかし、ただいま申し上げたようなヘイグ長官のあっせんについて、これがぜひ成功して、話し合いのうちに問題が解決されることを日本として期待をしておることは表明をいたしております。
○岩垂委員 外務大臣、お忙しいでしょうからどうぞ、いいです。あと、防衛庁中心に質問をしていきたいと思っております。 最初に、シーレーン問題に関連をして質問をいたしたいと思います。 シーレーンは、これまでの周辺海域という自衛隊の範囲を超えて、防衛と言われる範囲を超えて、昨年の日米共同声明の後、鈴木総理が一千海里という具体的な数字を示された。これが実は既成事実となって、アメリカ側から海空防衛力の増強を迫られておるというのが今日の状況だと思うのですが、国会の中でいろんな議論を部分的にやっています。 たとえば航路帯。それに対して、片方は機能分担、地域分担、片方は空なんかできない、片方は空もやってほしい、あるいはどのくらいの体制が必要だ、これじゃ足らないのじゃないか、いろんな議論がございます。塩田さん、この際ですから、アメリカの方の期待あるいは要求と防衛庁の考え方というものをコンパクトにしていただいて、国民の目にわかるように、どこがどう違うのだと、われわれがなし得ることと、あなた方がおっしゃっている、つまり総理が言った憲法の範囲内で云々という言葉があるわけですが、恐らく、対米公約じゃないと言っているのですから、自分で言い出したのですからそれなりの構想を日本の側も持っているのだろうと思うけれども、それはそれとして、ちょっと違いをはっきり示していただけませんか。
○塩田政府委員 日本側が考えておりますこととアメリカ側の言っていることの違いはどこかというお尋ねでございますが、まず最初に、いまのお尋ねの際に先生から、従来言っていた区域を超えて、総理が具体的に一千海里ということを言われたという御発言がございましたが、そうではございませんで、従来からわれわれは、わが国周辺数百海里、航路帯を設ける場合にあっては約一千海里程度ということを言っておりまして、それを総理が昨年のナショナル・プレス・クラブでの演説に御発言になった、こういうことでございますという点を、まずお断りをしておきたいと思います。 お尋ねのアメリカとわれわれとの違いという点でございますが、われわれは従来から、いま申し上げているように、わが国の周辺数百海里、航路帯を設ける場合にあっては約一千海里程度をみずからの手で守れるような防衛力を整備したいということを一貫して申しております。これに対しましてアメリカ側は、そのこと自体を理解をしておるわけであります。そのこと自体をアメリカがもっと違った形で、あるいはもっと違った区域でやるべきだというようなことを言っているわけではございません。日本側がそういうことを言っているのに対してアメリカは理解を示しておりまして、言うなればそのとおりやってもらいたいということを言っておるだけでございます。 強いてどこが違うかと言えば、われわれは、われわれが言っていることについて現在では力不足であるから、「防衛計画の大綱」の線に早く到達して、少しでも能力アップを図っていきたいということを言っているのに対しまして、アメリカ側は、同じく日本側が言っている区域を防衛するのにそれで大丈夫ですか、それではまだ足らないのじゃないですかということを言っておるという意味においては違います。違いますが、異なった区域を、あるいは異なった形でやってくれ、やるべきではないかということを言っているわけではないという意味においては、アメリカ側とわれわれとの間に食い違いはないというふうに私どもは理解をいたしております。
○岩垂委員 食い違いがなければそんなに議論することはないと思うのだけれども、ハワイ協議でやりましょうというようなことを含めて、いろいろな見解が示されて新聞に出ている。空の問題なんかはどうなんですか。アメリカは言っているのでしょう。それに対して、わが方はやるとかやらないとかと言っているのでしょう。あるいはアメリカの方はやはり海域、空域を言っているでしょう。それは第七艦隊のスイングに対して、空白になるその地域を日本の海上自衛隊、航空自衛隊に埋めてくれと言っているでしょう。それはやはり局地制海権ですよ。それだけ違うじゃないですか。それはアメリカは言ってないのですか。新聞が間違いなんですか。そこのところ、はっきり示してください。
○塩田政府委員 いまも申しましたように、周辺数百海里、航路帯を設ける場合にあっては約一千海里といいます場合に、それをどういう形で守るかということにつきまして食い違いがあるのではないか、特に空の防衛の関係で食い違いがあるのではないかということでございますが、いままでアメリカ側が言っておりますことは、そういういま日本が言っておること、その海域を海上防護したいということを言っておるのに対しまして、具体的にそれをどうすべきである、特にたとえば空なんかはどうすべきであるというふうなことを言ってきておるわけではございませんで、去年のハワイ会談等におきまして、ハワイ会談でございますからフリーディスカッションではございますけれども、アメリカはいろいろなことを言っておりましたが、その際にも、具体的にシーレーンの上の空の防衛についてどうすべきであるということを言っておったわけではございません。この間の三月二十七日のワインバーガー会談におきましても、そういったことを具体的に言っておるわけではございません。 ただ、三月にアメリカで行われております公聴会の中で、政府側証言の中に空の問題を取り上げた証言がございます。ここら辺は、私ども今度のハワイ会談等を通じまして向こう側の言っていることは聞いてみたいと思っておりますが、いずれにしましても、具体的にシーレーン上空の空の防衛をどうすべきであるとかというようなことを、少なくともいままでは言っていないわけでございます。そういう意味で、私どもが従来、日本の防衛の計画として言っておること、それを具体的に言いますと「防衛計画の大綱」の線に早く到達したいということを、ずっと繰り返してアメリカ側にも言っておるわけでございますが、そういう線を従来どおり堅持してきてまいったし、今後におきましてもそういう態度でいきたいと考えております。 そういう意味で、先生いま最後におっしゃった、アメリカは第七艦隊の空白を埋めてくれという趣旨のことを言っておるのではないかということでございますが、そのことに関しましていろいろ新聞報道等ございますけれども、アメリカの言っておりますのは、少なくとも肩がわりをしてくれとは言っていないのです。これは明白にわれわれにもそう言っております。ですから、その点は、もちろん第七艦隊とわが方の海上自衛隊とは全く機能が違いますから、肩がわりできようもないわけですが、肩がわりをしてくれと言っている意味ではございませんので、そういう意味においては食い違いはございませんし、具体的な作戦計画というようなものにつきましては、ガイドラインに基づく研究等を通じまして、両者の意思疎通を図ってやっておるということでございます。
○岩垂委員 シーレーン以遠、つまりインド洋など、あるいは太平洋のほかの地域、その地域はアメリカは日本のすべての船舶を守るということを約束しているのですか。
○塩田政府委員 これは約束ということではございません。先ほどちょっと申し上げましたガイドラインに基づく研究等におきましても、一千海里までの防衛について自衛隊が主体となって行うという線に基づいて研究をしておりますけれども、それ以外のところは、一般的にアメリカの防衛に期待するということにとどまっておるわけでございます。
○岩垂委員 アメリカの防衛に期待すると言ったって、この間のアメリカの下院外交委員会の公聴会でゲイラー元太平洋軍司令官が、シーレーンの問題について質問を受けて、米国はまだ具体的に何もやってないと答えていますね。これも私、ちょっと聞いてみましたが、確かにそのとおりです。アメリカがやってないものを期待したって、らちが明くことではないのです。しかも、アメリカの海軍部長は、もうずっと前、千九百七十何年か覚えていませんけれども、アメリカだってシーレーンはアラスカからハワイ、そして太平洋沿岸のアメリカぐらいしか守れるものではない、こう言っていますよ。だから、アメリカに期待していると言ったって、日本がシーレーンを一生懸命やっても、そこから先は、後は野となれ山となれというのがシーレーンの実態なんですよ。こんなことを大まじめに何でやるのですかと私は言いたいのです。 それはそれとして、午前中に塩田さん、船団防衛のことをおっしゃっておられたですね。コンボイ方式というのですか、これは船をまとめなければいけませんね。この船は何時にどこへ集まれ、それからこれは喜入に行け、これは東京湾に行け、そういうふうに全部船舶統制をしなければいけませんね。シーレーンが、海上有事立法とでもいいましょうか、有事法制というものと関係なしにやれるというふうにお考えでございますか。これは船舶並びに乗組員を含めて指摘しなければならぬことですが、いかがですか。
○塩田政府委員 現在、防衛庁の立場で言えますことは、具体的にはシーレーンの防衛でございます。船団の場合、コンボイ方式の場合は、船団が集まって目的港に達するまでの防衛を担当するということでございますが、御指摘のように、それでは、いつ、だれがその船を集めて、それはどこに向かっていくようにだれが指示し、というふうなことになりますと、これは防衛庁の任務を超えるといいますか、それがなければわれわれが動きようがないきわめて大事な問題でありますけれども、防衛庁の問題を超える問題ではないかというふうに思うわけであります。 だからといって、傍観をしておっていいのかということになりますと、私どもも大変重大な問題だという意識は持っております。持っておりますが、具体的にいま、どういうことを、どういうふうにすべきであるというふうなことを提言しているわけでもございませんし、また、そのことの具体的な研究までも私たちやっておるわけではございませんで、われわれとしましては、当面具体的には、海上自衛隊に防衛の任務を託されたときに、それをどうやって実施するかということに全力を挙げておるわけでございますけれども、御指摘のような問題点があることは事実です。 ただ、それを先生のいまおっしゃいましたように法律でやらなければいかぬかどうかということにつきましては、これは個々の内容によりまして、あるいは法律でない事項でもできることがあるかもしれませんし、あるいは法律を要する事項があるかもしれません。その辺は、私、いまちょっと何とも申し上げかねますが、大事な問題ではあろうと思います。
○岩垂委員 防衛庁の範囲を超える問題なんですよ。だから、船をどうするかというようなことは、これからのことです。しかし、防衛庁としては、船団方式、それだけでなしに航路帯の間接護衛方式ということもあるようですが、いま考えているのは、皆さんの議論を聞いていると船団護衛方式が主流です。これは船をどうやって集めるかということを考えないで、守ることだけを考えているのですよ。そして、私が大事だと思うのは、それが詰まっていきますと、結局海上の有事法制というところにつながるのです。ここに集めなさい、何時何分に集めなさい、何隻集まりなさい、それぞれの会社に対して指示をして、しかもそれに乗ることが嫌だという乗組員との関係、途中でおりると言われるような乗組員の関係などなど含めて言えば、つまり、ある種の船舶統制なんですから、国際法規に重大な問題を起こす危険性があるということを強調しておきたいし、いま塩田さんからいみじくも、立法という段取りが必要かもしれない、否定することはできない、こういう御答弁をいただきました。重大な問題をそのほかにはらんでいるということを指摘しておきたいと思います。 新聞の報道なんですが、ワインバーガー国防長官が、シーレーンについての防衛費だけで毎年一二%云々というような数字を示されたということが言われています。公式に言われたかどうかは別として、そういう具体的なアメリカ側の試算というものは示されたのですか。示されたとすれば、その中身を教えてください。
○伊藤国務大臣 わが国の防衛力の整備について、一般的な期待の表明はございましたけれども、そういうような具体的な数字を挙げての期待表明はございませんでした。
○岩垂委員 シーレーンの問題は、議論すれば山ほどこれからも問題がございます。私は正直なところ、それで守れるのか、本当に国民が安心できるのかと言えば、恐らくそれは無理でしょうと答えるに決まっていると思うのです。世界的にもそんな経験はない。たとえば第二次世界大戦のときでも、船舶トン数の半分ぐらいが沈められて、その半分が潜水艦でやられている。あの当時の船がいまはでっかいタンカーで、しかも潜水艦の性能が上がってしまっている。こういう状態のもとで、そういう努力をすることがむだなことではないだろうかということをあえて言いたいのです。 ちなみに、さっき披露いたしましたけれども、下院外交委員会の公聴会でゲイラー元太平洋軍司令官は、シーレーンの防衛とは一体何を何から守るのかということ、そして、この概念は時代おくれじゃないかという質問に対して、ソ連の潜水艦の攻撃から艦船を守ることだが、アメリカもまだ具体的にやっていないと答弁をしている。 ここで、ちょっと長くなりますが紹介をしておきますと、アメリカの海軍大学の研究グループが、「一九八五年に向って」というテーマ、サブタイトルとして「太平洋における米国政策と海軍力との関係」という論文をまとめている。これは防衛庁の海上幕僚監部発行の「調査月報」に載っている資料でございますが、その論文の中からあえて読み上げてみますと、「ソ連太平洋艦隊の任務を優先順位にしたがってあげれば次の通りである。すなわち戦略的攻撃、本土の防衛、陸上部隊の支援及び示威である。ソ連太平洋艦隊は大量の攻撃型潜水艦を保有し、米国及びその同盟国の船舶運航を妨害する上で大きな能力をもつが、少なくとも米国とソ連をふくむ紛争の初期の段階においてそのような任務が考えられているという証拠はほとんどない。ソ連海軍の攻撃目標が「日本への海上交通路」に重点が置かれている様子は全く見受けられない。……このあまり可能性のない問題に対する米国としての解決策は……太平洋での海軍力に「日本に対する海上交通路」の確保の任務を付与することの戦略的意味について再検討し、それは実行不能であることを宣言すべきである。」というふうに書いています。 これは、言ってしまえば、海軍大学の一つの研究グループの見解でしかないというふうにおっしゃるかもしれない。しかし、海上自衛隊の「調査月報」の中にきちんとこれが載っかっている。アメリカもやっていないこと、そして専門家グループが実行不可能と言っているシーレーンを自衛隊にやれと言うのは、一体どういうことなんでしょうか。私は、ここでぜひ防衛庁長官の御答弁をいただきたいと思うのです。
○伊藤国務大臣 先ほど来、政府委員からもお答えを申し上げ、また、午前中の審議でも出ましたけれども、私どもは「防衛計画の大綱」の水準、それも再三申し上げておりますとおり、周辺数百海里、あるいはまた、航路帯を設けるとするならば一千海里、そういう程度の海上防護もやれるような、そういう「防衛計画の大綱」をぜひ達成したいということでやらせていただいておるわけでございます。 〔有馬委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、これもお答えを申し上げておりますけれども、これが達成されても、相当な力は発揮できるものの、そう完璧なものではないというような考え方ではおるわけでございます。
○岩垂委員 私の言いたいのは、シーレーンというものに大変なお金をかける、そして、たくさんの装備を持つ、言ってしまえば国民の血税です。そして、いまアメリカの海軍の責任者が言っているように、アメリカもやってない。そして、そんなことはいまのソ連の海軍力から見ても必要のないことだという意味のことまで書いてある。そういうものに対して大変なお金を使うということは一体どういうことだということを聞きたかったのですが、不十分でもしようがないからやるのだというお答えでございますから、大変どうも困ったことだと思います。 それでは伺いますけれども、ソ連の潜水艦というのは、太平洋にどのくらいいますか。
○新井政府委員 ソ連の太平洋における潜水艦の数は約百三十五隻、うち原子力潜水艦は六十五隻というふうに理解しております。
○岩垂委員 ちょっと待ってください。SLBMとSSGNなどを分けてくれませんか。
○新井政府委員 御承知のとおり、全部で六つあります。SSBN及びSSB、これは言うまでもなく大陸弾道ミサイル発射用の潜水艦で、これは対地攻撃でございます。それから……(岩垂委員「何隻ですか」と呼ぶ)この後でお答えします。SSGN及びSSG、これは巡航ミサイルで対艦攻撃、それから最後にSSN及びSS、これは魚雷を搭載した潜水艦でございます。 そこで、最後のお答えでございますけれども、大変申しわけございませんが、それ以上中身をブレークダウンしてお答えすることは差し控えさせていただきます。
○岩垂委員 だって、あなた、ソ連の潜水艦に対してシーレーンがあるわけでしょう。そうじゃないのですか。シーレーンというものが必要だという説得力を国民に持つためには、あなた方がかねてから言っているソ連の脅威というものがどういうものであるかということをきちんと国民の前に明らかにさせたって、ちっともおかしくないじゃないですか。
○新井政府委員 もちろん私どもなりの想定はございますけれども、これを公にすることは差し控えさせていただきたい、そういう意味でございます。 それから、もう一点、先ほどの先生がおっしゃった海軍大学の研究グループ云々というようなことで、ソ連の海軍が海上力の阻止ということを考えていないという、そういう種類の御披露がございましたけれども、私どもがソ連のたとえばゴルシコフ等、文献等を検討いたしました結果、そのように断定をすることは大変間違っておるというふうに考えます。
○岩垂委員 中身を教えてもらえないので、その潜水艦の持っている機能というもの、それとシーレーンとの関係を議論することが実はできないのです。たとえばいまおっしゃったように、SLBMにしても、これは攻撃目標は陸上ですね、恐らくアメリカ本土でしょう。片方は、やはり戦略原子力潜水艦とのやりとりもあるSSGNでしょう。たとえばディーゼルというのですか、そういう数を言わないのですけれども、言ったら、実はその船はいつごろできた船かと聞こうと思ったのですが、私どもがいろいろな本で見るところによっても、十五年以上たっているのが非常に多い。海上自衛隊だって、潜水艦は十五年以上たってはもう交代ですよ。そういうものまで全部ひっくるめて、そして百三十五隻、こういうふうにおっしゃっている。 それが本当に日本の船舶だとかなんとかいうものを攻撃目標にしているのかと言えば、さっき申し上げたように、それはわれわれは間違っているとおっしゃっても、私の言ったのは、ソ連海軍の任務というものが戦略的攻撃、本土の防衛、そして陸上部隊の支援、そして示威、そうなっている、それは戦略任務というものは事実ですよ、だから、そういう状況のもとで日本の船舶をねらう可能性というものは、多くはないと言って言葉が悪ければ、それだけが目標になっているわけでもないわけですから、それならそれの実態というものを国民に示した上で、だからこういうふうに守らなければいけないのだという議論がなければ、国民の理解は得られませんよ。 私、よくわからぬのは、どうもアメリカが、これは後で御質問申し上げるつもりですが、去年あたり、それよりもうちょっと前までは三海峡封鎖、三海峡封鎖というようなことを言ってきた。最近は、今度はシーレーンが優先順位だと言うのですね。これは新聞の報道ですから、私はどの辺まで確かかわかりませんけれども、私の判断を申し上げれば、P3CオライオンとF15をどうやって売り込むか。F15三百五十機、そしてP3C百二十五機。アメリカの軍需産業は盛んになるでしょう。その使い方を何となく国民に理解をさせなければいかぬので、そう言っているのではないだろうかというふうに思います。 同時に、フィリピン以北、グアム以西一千海里、これは若干の専門家も指摘をしているところですけれども、結局、アメリカの戦略原子力潜水艦というものの作戦待機海域がその地域である。そういう地域の防衛というのを日本がやるために、結局そういう装備を持たされている、そういうエリアを受け持たされている、こういう理屈というのは私どもにもわかりやすいのです。 だって、シーレーンで船を守るのだ。守れっこないと言っている。そんなことは、あのだだっ広い太平洋の中でやり切れるものじゃない。それで理屈を合わせて船団護衛だ、こう言った。だけれども、それもなかなかむずかしい。そして、言ってしまえば局地制海権というふうな形で考え方を最近は変えようとしている。つまり、間接防衛方式だ。そんなものに本当に真剣に国民の理解を求めようといったって無理だということを、私はあえて言いたいのです。そんなことはおやめになったらいかがですか。 防衛庁長官にお願いをしますが、やはりハワイ協議ということになるかもしれません。いつハワイ協議、そして、いつ訪米というようなことの日程をちょっと教えていただきたいのですが、ハワイ協議できちんとその辺のところを踏まえた上で議論をしていただきたいと私は思うのです。 日本の船舶を守るためじゃなしに、SS20やあるいはソ連の原子力潜水艦に対抗する、片一方でアメリカのそういった戦略型の原子力潜水艦の護衛をする、監視をし、追跡をし、そして事が起こったときにそれを妨害する、そういう任務のために、日本があのだだっ広い太平洋の防衛分担というものを引き受けさせられたのじゃたまったものじゃない。ここのところは国家国民のために、それこそ腹を据えて、そんなことを言ったってアメリカさん無理ですよなら無理ですよということをなぜ言えないのか。大綱があるから、それをやらなければいけない、論理は逆立ちしているのです。その辺について、アメリカへいつごろ行くおつもりか、ハワイ協議がどのくらいのどんな日程になるのか、こんなことを含めて御答弁を煩わしたいと思います。
○伊藤国務大臣 ハワイの事務レベルの会議の問題、また、私自身の訪米の問題は、一切検討中でございまして、まだ申し上げる段階ではございません。 ただ、協議につきましても、私自身の訪米の段階につきましても、これまた再三申し上げておりますとおり、アメリカ側の一般的な期待があることは、日米安保条約を結んでいる相手の国としては、これは自然のことでございまして、そのことを頭から拒否するわけにもまいりません。しかし、われわれはあくまでも自分の国は自分自身の力でできるだけ守りたいというこの基本理念に立って、また、われわれがいろいろの段階で決められておりますそういうものにのっとって、また、専守防衛という基本的な防衛政策にのっとって自主的にやらねばならぬし、また、今後とも自主的にやってまいるわけでございまして、そのことは先般の私とワインバーガーの会談でも、私からきっちりと申し上げたことでもございます。
○塩田政府委員 先ほどの御質問に関連して、いまの大臣の答弁を補足させていただきたいと思います。 先生は、いまの対潜作戦というものが無理だ、成り立たないのではないかという御前提に立っておられるようでございますが、私どもは必ずしもそうは思っておりません。もちろん、原子力潜水艦の能力がアップしまして、水中のスピードでありますとか、あるいはもぐる深さでありますとか、攻撃兵器にしましても、いろいろな面で発達していることは否定いたしません。それは事実でございますが、同時にまた、対潜兵器の方もいろいろと発達いたしておりまして、必ずしも対潜作戦が成り立たないというものではない。 たとえば、P3Cにしましても、先生、広大な太平洋にとおっしゃいましたが、非常に広い捜索能力も持っております。そういったP3Cの広範な捜索能力といったものを考えまして、また今度は、実際に個々の海面におきまして、御承知と思いますが、潜水艦の音の伝わる状況につきましても、非常に伝わりやすいところ、あるいは伝わりにくいところ、それも時期によってどう違うか、いろいろなことがございます。そういうことを十分調べまして、そして必要な機数を配備するということを考えていきます場合に、われわれはわれわれなりの計算を持っておりまして、必ずしもそんなに不可能ではない。 先生はいま、アメリカがP3Cを百二十五機と言ったとおっしゃいましたけれども、それが当たっているかどうかは別にしまして、アメリカが数を言っているからわれわれもそれが要るのだと思っているわけでもありません。われわれはわれわれのいろいろなORに基づきまして、どれだけのものが必要かということを考えておるわけでございます。先生御指摘のとおり、まさにハワイにおけるディスカッション等を通じまして、われわれはわれわれの考えていることを言っておるわけであります。決して向こうの言っているとおりに受けているわけではないということを、ぜひ御理解いただきたいと思います。 もちろん、最初の前提としまして、先生の御指摘になった、ソ連の潜水艦の数からそれをどういうふうに任務分けを見るかというようなこと、これはお答えしておきます。いまここでソ連を名前を挙げて敵性視するとかいう意味ではなしに申し上げますが、百三十五隻の潜水艦があります場合に、ソ連の基地自体の防護用の潜水艦も当然あり得る、それから、対地攻撃用の潜水艦も当然あり得る、それを護衛する潜水艦、あるいはアメリカの艦隊を直接に対象とするだろうと思われる任務を持つ潜水艦、当然いろいろあり得るわけでございます。そういったものは私どもも当然計算をいたしまして、計算といいましても実際にどうなるかは別でございますが、一応計算をいたしました上で脅威の判定をする必要がある、これは当然のことでございまして、そういうようなことはやっております。 ただ、先ほど新井参事官もお答えいたしましたように、その結果、いま具体的に、どういう種類の潜水艦が、どういう数、わが方の交通路破壊に向かってくるであろうかというようなことを公表いたしますことは、事柄の性質上、差し控えさせていただきたいと思いますが、そういったことを十分考え、また、先ほど言いました海象、気象、いろいろな条件も考えて、わが方の所要力を考えまして整備を図っておるということでございます。 そもそも基本的に、その前提に立つ日本という国は、海外からの物資の輸入によって成り立っている国でございますから、できるかできないかの前に、まずわれわれは努力をすべきであると考えますし、そういう考え方に立ちました場合に、この海上護衛ということは、われわれとしては何としても日本にとって必要なことであると考えて、いま申し上げたような整備を図っていきたいと考えておるわけでございます。
○岩垂委員 たとえば、シーレーン以遠はアメリカが守ってくれるものと思いますという言葉、結局そこのところは期待だけなんですよね。そこはきわめて不安定。そこからこっちだけ守ろうというのでしょう。そこからこっちだけ守ろうということが全体を守ることになるかと言えば、こんなものはそうはいかぬことは事実なんですよ。さっき私がアメリカの方はどうなっているかと言ったら、アメリカはまだやっていないと言っているわけでしょう。それだけでも、そのシーレーンなるものの有効性というものが一体どの程度のものかということはわかりますわな。 それから、護衛のやり方についても、コンポイ方式か、あるいはどういう方式かということは別にして、まとまってないわけですよ。それも有効的な手段というものがまだないわけですよ。だから、あなたがこうやれば何とかなると思いますと言われても、そういう御努力をなさることよりも、やはりもうちょっと世界に向かって日本が平和な地位を占めていく、そして、海洋国家なんですから、国際的な信頼を得ていくという方向に努力をすることの方が有効な手だてではないだろうか、私はそれを言いたいのです。 だから、たとえば航路帯と、こうおっしゃる。つまり、面じゃなくて線だと、こうおっしゃった。それならば、線というのは、幅にしてどのくらいの線なんですか、お考えになっていらっしゃるのは。
○塩田政府委員 前段の、有効な方法がないのだから、まず平和な地位を占めることに努力すべきである、この平和な地位を占めるよう努力すべきであることにつきましては、全く賛成でございまして、私は異議ございませんけれども、私からお答えすべき立場ではございませんから、その点は略して申し上げますと、先ほど来申し上げたような努力は、われわれはすべきであると考えておるわけであります。 航路帯の帯が、帯という字でございますから、線ではないにしても、何かそのようなものが海の中にずっとあるようにとられがちなのですけれども、実際のことを考えてみますと、われわれは、地図の上で東経何度、北緯何度というようなことを言って、ここが航路帯ですよ、ここを通りなさいというようなことを示すことはあり得ないと思います。やはりそのときの潜水艦に関する情報、あるいは相手方航空機の出現の情報等を考えまして、各船舶に対して、こういう方向を通る方が危険が少ないというようなことを当然情報として流す必要があると思いますが、そういう場合に、俗に南東航路、南西航路と言われる線を、狭い意味の線ではございませんけれども、そこをなるべく通ってもらうような形にして、そこをわれわれが重点的に防衛するといった形になるという意味の航路帯でございまして、決して線なり帯なりのようなものがあるわけではない。そのときそのときの判断によりまして、船の安全運航ということを考えながらリードしていくといいますか、防衛する側でリードしていく必要があるだろう、それが比較的南東、南西に集中的にいくということのように御理解をいただきたいと思うのです。 したがいまして、何か告示をしまして航路帯を設けるとかいうようなことももちろんございませんし、ましてや、その幅がどのくらいな幅であるというようなことを申し上げられるような性質のものではないと考えております。
○岩垂委員 では、日本がシーレーンをかなりの効果を上げる形でやっていく場合の、航空機であるとか水上艦艇であるとか、そういうものの数量と、現在価格でどのくらい金がかかるものかということを検討なさったことがありますか。
○塩田政府委員 具体的な作業としましては、結局「防衛計画の大綱」の線に到達することを基本として作業をしておる現在の五六中業というものの作業しかやっておりません。したがって、それ以外の数値を持っておりませんが、その五六中業の作業につきましても現在鋭意努力しておる最中でございまして、具体的に「防衛計画の大綱」の線に達する海上自衛隊の防衛力を整備するのにどのくらいの金がかかるかというところの答えを出すまでには、まだ至っておりません。
○岩垂委員 シーレーンということで取り組んで、どのくらい銭がかかるかは見当がつかぬけれどもやってみる、やれるところからやってみる、私は、これじゃちょっと国民に対して無責任じゃないだろうか、こういうふうに言わざるを得ません。 だから、去年のハワイ協議で、アメリカがどういうことをどういう内容でということを、これは新聞には出ているのですが、防衛庁はまだ一遍も認めたこともありませんけれども、アメリカはハワイ協議で、シーレーンだけでないのですが、特にシーレーンを中心にして、どんなことをおっしゃったのか、その点を教えてください。
○塩田政府委員 去年のハワイ協議は三日間ありましたわけですが、そのうちの第一日は、もっぱら国際軍事情勢の意見交換でございまして、別段、防衛力整備関係の話が出たわけではありません。第二日目にいまのような日本の防衛力整備に関する議論が出たわけでございますが、その際に、具体的にたとえば飛行機の数でありますとか、船の数でありますとか、そういうようなことについてどういうふうな意見があったかということは、これはフリーディスカッションというたてまえ上、また、相手方もあるたてまえ上、申し上げることは控えさせていただいておりますが、その際にそういう議論があったことは事実であります。 そのほかの議論としましては、日本の駐留米軍に対する負担軽減の問題、あるいは議論というほどではございませんでしたけれども、その後問題になりました防衛技術交流の問題について、今後そういう話をしていきたいというような提議といったような程度のことはございました。 それから、いまの防衛力の整備に関連しまして、アメリカ側が日本に、ずっとシーレーンの話ばかりをしたわけじゃございませんで、全体的なことを言っておるわけでございますが、日本の防衛力の現在のアメリカ側から見た欠陥といいますか、その整備すべきところという意味で、四つの点を指摘して議論をいたしておりました。それは、第一番目は即応性の向上、それから指揮通信能力でございますC3Iの向上、それから継戦能力、四番目に装備の近代化、こういうことを非常に強調しておりまして、その四番目の装備の近代化のところで、陸上自衛隊につきましては特に旧式化した装備の近代化ということを言っておりましたが、海上及び航空自衛隊につきましては、現在持っておる装備の近代化と同時に、もっと量をふやすべきではないかという意味のことを言っておりました。 概要を申し上げますと、以上のような内容であったわけであります。
○岩垂委員 その中で、P3Cが幾らとかF15が幾らとかというような数字は出ていないのですね。出ているのですか、出ていて言えないのですか、どちらですか。新聞に書いてあって、あなたからそんなことはないと言われたのじゃ、どっちが正しいのかわけがわからぬのですよ。
○塩田政府委員 装備に関しましていろいろ数字が出たことは事実でございます。ディスカッションでございますから、いろいろな数字を言っておりましたことは事実でございます。
○岩垂委員 それじゃ、それは言えない、こういうわけですね。そういうわけですか。
○塩田政府委員 どういう数字だったかということは、控えさせていただいております。
○岩垂委員 もうマスコミの方がちゃんと書いているわけですから、そういうことを何となくこの場所では言えないというようなやりとりをしているたてまえ論のところに、防衛に対する国民の協力をというようなことを言っても、無理な状況が生まれてくると私は思うのです。まあ、それは時間がありませんので、そのくらいにしておきましょう。 極東有事研究についてお尋ねをいたします。 研究のテーマを明らかにしていただきたいと思いますが、御答弁いただけますでしょうか。
○塩田政府委員 この問題は、外務省からお答えすべきであろうかと思います。主管官庁が外務省でございますので、外務省からお答えすべきだと思いますが、ガイドラインの第三項にございますように、「日本以外の極東における事態で日本の安全に重要な影響を与える場合に日本が米軍に対して行う便宜供与のあり方について」云々と書いてございまして、この「日本が米軍に対して行う便宜供与のあり方」というのが研究のテーマでございます。
○岩垂委員 もうちょっと細かく教えてほしいのですが、それはそれとして、極東有事というのですが、この極東というのは、安保条約の言うところの極東という意味ですか。
○塩田政府委員 私どもそのように理解しております。
○岩垂委員 その極東というのは、かねて六〇年安保のときに議論になったフィリピン以北というあの範囲なのか、その後、たとえばアメリカのベトナム戦争の中で、椎名外務大臣によってかなり広げられた地域などを含めて、つまり周辺区域と言われるものも全部入るのですか。
○栗山政府委員 ガイドラインの三項で「日本以外の極東における事態で日本の安全に重要な影響を与える場合」と申しますのは、基本的には安保条約で申しております極東の範囲内の事態ということであろうと思います。しかしながら、他方「日本の安全に重要な影響を与える場合」というのが、必ず極東の範囲内で起こる事態に限定されるかということになりますると、それは必ずしもそういうふうには限定されないであろう。従来から、日本の施設、区域を使って対応する米軍の行動の範囲というものは極東の区域内には限定されないということを申し上げておりますので、三項のこの場合も、もっぱら極東の範囲内における事態というものが想定されておりましょうけれども、その範囲内の事態には限定はされないということであろうと思います。
○岩垂委員 具体的に伺いますが、緊急展開部隊などという形で、たとえば沖繩の海兵隊が出かけることがありますが、それらのことを含めて言うと、中東諸国というのは、この極東というあなたが言った周辺区域を含めて、そういう中に入るのですか。研究の対象になるのですか。
○栗山政府委員 これはガイドラインの表題にも明瞭に書いてございますように、「日本以外の極東における事態で日本の安全に重要な影響を与える場合」ということでございますので、従来から中東と極東の範囲との関係についてはたびたび御答弁申し上げておりますように、中東における事態というものが、直接安保条約で言っているような極東の平和、安全に関係のある事態、そういう関連づけで、中東というものがいわゆる極東の周辺というものに含まれるというようなことは、実際問題としては考えられないということを繰り返し申し上げておりますが、この場合も同様でございます。
○岩垂委員 たとえば朝鮮半島というのはどういうことなんですか。
○栗山政府委員 韓国というものが安保条約で申しております極東の範囲というものに含まれるものであるということは、従来から常に申し上げておることでございます。したがいまして、これは仮定の問題でございますが、韓国というものがそういう武力紛争に巻き込まれるような、韓国を当事者とするような武力紛争というものが発生いたしまして、それが日本の安全に重要な影響を与える場合ということであれば、このガイドラインで言う事態の中には含まれるだろうと思います。ただ、ガイドラインといたしましては、従来から申し上げておりますように、これも別に朝鮮半島ということに事態をあらかじめ想定して研究するというものではないということも、これまた従来から御答弁申し上げておるとおりでございます。
○岩垂委員 何回かやっている過程で、社会主義国、たとえば中国だとかベトナムだとかというのは、ベトナムの状況はちょっと変化がありましたけれども、極東の範囲に入るか入らないかという議論があって、それは入らない、こういうふうに言ってきましたが、それはそのとおりですか。
○栗山政府委員 安保条約というものが念頭に置いておる対象のいわゆる極東、六条で申します極東というものが、日米両国がその地域の平和と安全を守るということとの関連で共通の関心を有しておる地域ということでございますので、そのような意味で、いわゆる社会主義国というものが安保条約の極東の範囲内には入らないということも、これまた従来から申し上げておるとおりでございます。
○岩垂委員 わかりました。それじゃ、ちょっと細かく聞いて悪いのですが、有事という事態はどういう事態かということを聞きたいのです。つまり「日本以外の極東における事態で日本の安全に重要な影響を与える場合の」というこの場合ですね、それは、有事立法で議論をされているのは防衛出動下令以前ですか、待機命令ですか、そういう状況の区別というのはどういうふうにつけるのですか。
○塩田政府委員 前段の方を私からお答えいたしますが、御指摘のように、われわれが有事と言います場合は、自衛隊法七十六条によりまして防衛出動下令をされるような状態以降を有事というふうに言っております。
○岩垂委員 この極東有事の研究のところの「日本以外の極東における事態で日本の安全に重要な影響を与える場合の」という場合の日米協力なんですから、場合の境目というのは、要するに七十六条の防衛出動というふうなことが必要だと判断するところなんですか。
○塩田政府委員 三項の「極東における」云々というのは、われわれから申します有事とは直接関係はないわけでございまして、あくまでもわれわれの言っておりますのは日本が攻撃を受ける場合、あるいは受けるおそれがある場合でございますから、いまの第三項の極東云々の場合とは関係がないと、私はそのように理解しております。
○岩垂委員 だから、私の言っているのは、防衛出動というところがあるわけだ、これは国内法のところでしょう。問題は、「日本以外の極東における事態で日本の安全に重要な影響を」という、その判断のめどがつかない。たとえば便宜供与をするにしても、どの時点で便宜供与を始めるのか、あるいは便宜供与の始まりは、そのおそれがあるときというようなときでも始まってしまうのか、そういうことを聞いているのです。だから、そういう意味で、その境目といったような言葉が悪いのかもしれませんが、きっかけというのはどこなんですか。
○塩田政府委員 「日本以外の極東における事態で」そこまではわかるわけでございますが、お尋ねは、その次の「日本の安全に重要な影響を与える場合」というのをいつの時点で判断するのかと、こういうお尋ねだろうと思います。これはちょっと、こういう表現だけでございますと、具体的にこれ以上どういう場合だというふうに、ちょっと私もお答えをいたしかねます。 先ほど言いましたように、日本が日本自体の有事の判断をするような場合は、これはもう当然日本にとって有事の判断をする事態でございますから重要な影響がある場合には違いないと思いますけれども、それ以外の、日本で言う有事ではない、しかし日本の安全に重要な影響を与える場合というのは一体どういうのかということになりますと、いま、どういう線だ、どういうきっかけだというお尋ねでございましたが、どういうきっかけで判断するのかということにつきましては、私は、ちょっといまここで具体的なお答えはいたしかねます。
○栗山政府委員 ただいま防衛局長から御答弁申し上げた点に関連して、ちょっと補足して御説明申し上げますが、ここで申します「日本以外の極東における事態で日本の安全に重要な影響を与える場合」というのは、自衛隊法との関連で非常に厳密な線が引けるという問題ではないと思います。 安保条約との関連で申し上げますと、これは当然のことながら主体は米軍でございまして、米軍としては、ここでも言っておるような事態というのは、武力攻撃というものが発生いたしましてそれに米軍が対応をする必要がある、要するに、米軍が日本の施設、区域を使って行動する必要がある場合、そういう事態で日本の安全に重要な影響を与える場合、その日本の安全に重要な影響があるかどうかということについては、当然のことながら、先生も御承知のように、安保条約の四条の随時協議というものを通じまして、アメリカと日本との間で話をして、その判断はその時点時点で行う、こういうことになろうかと思います。
○岩垂委員 そういうふうに言うと、そのとおりなんですよ。だけれども、たとえば日本の自衛隊法がある。それから、有事法制というようなものも議論されている。そして、そういう事態と違って、アメリカの方が日本以外で起こっている事態に対する判断をして、そして日本に協議を求めて、さて、こういう事態だから基地を提供してくれとか、サルベージをやってくれとか、まあこれ以上言いませんけれども、いろいろ極東有事のテーマを詰めていく、あるいは詰めていくだけでなしにやっていくということになるわけでしょう。だから、私は、日本の有事立法というか、日本の有事立法の出発点というよりももうちょっと前の状況が、そういうさまざまなことが機能し始めるときになってくるのではないだろうかと思うのです。これは全然触れられてないのですけれども、どうせ研究テーマなんですから、大枠なんですから、この辺のところは、防衛出動よりも、つまり、そういう日本で言っている有事よりももっと早い段階ということが想定されて、それに対してさまざまな手だてというものが、シナリオがつくられている、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
○塩田政府委員 先ほど申し上げましたように、本来は別な事柄でございますから、どちらが早いとかいうことではないのではないかと思うのです。ただ、そういうような場面も考えられる。といいますのは、日本の有事の場合というのは、安保で言えば五条でございますから、その五条の事態が先に起こって、六条の事態が後から起こるということだって、それはないわけではないのですから、そういう意味で本来は一応別のことであるということで、先生のお尋ねになっているのは、極東のどこかで有事の事態が発生して、それが日本に及んでくるという場合のことを考えておられるとすれば、それは日本の有事よりも前の段階ではないかということもあるのかもしれませんが、事柄の性質から言えば、一応別な問題として考えるべきではないでしょうか、私はそのような感じを持っております。
○岩垂委員 私の言うのは、要するに、日本の防衛出動よりもかなり前の事態でアメリカのそういう具体的な準備が進んでしまった、それで基地の提供やら何やらということがあった、結局、結果的に実態としてそこへ巻き込まれていってしまうわけです。そこを言いたいので、実はどこがモメントですかということを聞きたかったのですが、どうもはっきりしません。しませんが、大まかにこれはちょっと重大な研究だなということを私なりに受けとめておきます。もうそれ以上言ってもやりとりになりませんから、やめます。 防衛協力小委員会の報告の中には、日本が米軍に対して行う便宜供与のあり方は、日本の関係法令によって規律されるというふうになっているけれども、ここがまたみそでございまして、関係法令というのは既存のもの、つまりいまのものだというふうには規定されていないわけですけれども、米軍の要請に応じて、現行法令の改正が必要であれば立法措置をおとりになるのかどうか。長官、いま有馬さんもお立ちになったけれども、私とNHKの討論でやったときに、そういうことがある、立法すべきだというふうにおっしゃったけれども、その考え方はその後ちょっと後退したような感じもするし、また、元へ戻ったような感じもするし、その辺はどうなんですか。
○伊藤国務大臣 この問題は、国内法の改正その他とは別の問題で、その改正問題を研究するということではないし、日本の関係法令の法的枠組みの範囲内において米軍に対して行う便宜供与のあり方についての研究でございまして、ただ私がそういうようなことで触れたと御指摘を受けましたことは、研究を進めていく過程で、米軍に対する便宜供与の具体的実施が現行法令の枠内では困難なことが指摘されることを排除することはできないとは思われる。しかし、今後の具体的研究の過程で現行法上困難であることが指摘されたとしても、日本側としてはこれを実施するよう拘束されているわけでもなく、その取り扱いについてどうするかということは、この研究とは別個の問題として日本が自主的に判断する事柄であるというようなことを踏まえまして私が申し上げたものであるということを、御理解をいただきたいと思います。
○岩垂委員 排除するものではない、したがって、アメリカはこうしていなければできないじゃないか、それはそれだ、要するに、その法律改正というものは別問題だ。別じゃないのです、これは。NHKでやったときに、岡村さんが、米軍の相模原から出てきたタンクを横浜市が道路運送法によってとめた、ああいう事態があっては困るからああいう法律を直すということなのですねと言ったら、そういうことはあり得るという意味のことをおっしゃったのです。つまり、その種のことが検討されるのです。排除されるものではないのですから、そういう議論があるわけでしょう。 そうすると、直すということは、結果的には現行法というものが変えられていく、つまり、関係法令というのに既存のものと規定されていない以上は、変えられる。それはやはり有事法制あるいは極東有事研究から出てくるのではないかということを申し上げるわけでありまして、もうちょっとすっきり——私も頭が余りよくないものですからわかりませんので、研究の結果というふうに言わなくても、そういうやりとりの中で日本政府がこれは変えた方がいいという判断をするなら改正することもあるわけで、極東有事研究の中から改正というものが生まれてくる、こういうことはあり得るということですね。
○伊藤国務大臣 この研究はまだ始まったばかりでございまして、ただいま米側からいろいろの御意見を聞いておる段階でございまして、その結果どうなるかということにつきましては、まだ申し上げる段階ではございません。
○岩垂委員 いままでは事前協議条項の三項目の中で、日本から戦闘作戦行動に出るときには事前協議がされる、こうなっていましたね。しかし、過去に一遍も戦闘作戦行動にかかわって事前協議はございませんでした。なぜなかったかと言えば、たとえばベトナムの事態を考えれば、日本の基地からベトナムに直接行っているのに、どこかで中継してベトナムに向かうのだから直接の戦闘作戦行動ではない、こうおっしゃってこられたわけです。実は直接行っているケースがさんざんあるのに、何となく、たとえばスビックに寄るとか、フィリピンに寄るとか、だから直接じゃない、間接だというふうにおっしゃってこられた。だけれども、朝鮮で事が起こったら、どこかへ寄っていくものと確信いたしますと言うわけにはいきません。そのときにはきちんと事前協議があるのですね。これは極東有事研究とは別に議論することもできないので、この枠で御質問申し上げるのですが、どうですか。
○栗山政府委員 ガイドラインの方では事前協議の問題に触れないということは、先生御承知のとおりでございます。したがって、事前協議制度そのものがガイドラインの研究によって手を触れられて修正されるというようなことは、毛頭考えておらないというふうに御理解いただいてよろしいと思います。 それから、先生の後段の御質問について御答弁申し上げれば、全く仮定の問題でございますが、いわゆる朝鮮有事というような事態で交換公文に述べられておりますような戦闘作戦行動というものが日本の施設、区域から行われるということが仮にございますれば、それは当然アメリカの方は事前協議をする義務がある、こういうことでございます。
○岩垂委員 これも仮定のことでちょっと恐縮ですが、ある雑誌に海原さんがちょっと書いていることがございまして、それを私なりに疑問に思うのでお聞きするのですが、朝鮮半島での米軍機の行動について、韓国のレーダーが使えなくなった場合に、日本のレーダーサイトから誘導するということはあり得ますか。そういう問題というのは極東有事研究の中で議論になりますか。
○塩田政府委員 具体的に米軍からどういう便宜供与をしてほしいという内容を聞いてからでないとわからないわけでございますが、わが方のレーダーは日本の防衛のためのレーダーでございますから、日本の防衛のための活動といいますか、警戒のための活動はいたしますけれども、それ以外の目的で使われるということにつきましては、ないというふうに考えます。ただ、御指摘のような便宜供与の依頼が、まだいまの研究の中で出てきたわけではございませんから、その点はどういうものが出てくるかわかりませんけれども、考え方として、日本のためのレーダーでありますから、日本のために必要な行動をするということでございます。
○岩垂委員 いろいろ飛んで申しわけないのですが、もう時間がありませんから少しはしょって御質問しますが、次に、三海峡封鎖の問題で、その目的、それから事態の想定、その対応をお教えいただきたいのです。というのは、参議院の予算委員会で、たとえば五六中業で機雷の敷設などのことを含めて考えているというふうに塩田さんはお答えになっていらっしゃいます。だから、それを考える以上は、そこの基礎的なバックグラウンドがなければならないわけでございますから、その答弁をいただきたいと思います。
○塩田政府委員 目的は、抽象的に申せば、わが国に対して侵略をしておる国があります場合に、当該国の艦船の通航を拒否することはあり得るという言い方をいたしておりますが、それがまさに封鎖するとすれば封鎖の目的はそこにあるということになろうかと思います。 それから、態様とかいうことになりますと、まさにいまここでどういう事態でどういうふうな態様で行うというようなことを具体的に申し上げることは、全く困難であるというよりも、不可能であろうと思います。ただ、言えますことは、海峡の封鎖というのは、何も機雷で封鎖するばかりでございませんで、艦艇による封鎖もございます、航空機による封鎖もございますし、あるいは機雷による封鎖もございますということで、いろんな態様が考えられます。そういうことはそのときの状況判断によりまして、その時点でどういう目的でどの程度の封鎖をするか、あるいはどういう方法で封鎖をするかということによって、その態様はおのずから異なってくるであろうと思われますので、いまここで一概にどういう態様をとるというふうなことは申し上げかねると思います。
○岩垂委員 それは安保条約五条の事態だけというふうに考えていいのですか。
○塩田政府委員 日本が日本のいまの防衛のために、先ほど申し上げましたような封鎖をすることもあり得るということを申し上げたわけでございまして、日本が自衛権を行使する場合、つまり、七十六条によって自衛隊が防衛出動を命ぜられたというような場合に封鎖をすることもあり得る、状況によってはあり得るということを申し上げたわけです。安保で言いますと、五条によりまして日米が共同対処するというような事態も当然考えられるわけでございますが、いずれにしましても、日本が封鎖をするのは、日本の防衛上、いま申し上げたような日本を侵略する国の艦艇の通峡を阻止する必要があるという判断をした場合ということでございます。
○岩垂委員 仮定のことで恐縮ですが、対馬海峡封鎖というのは、韓国との関係なしに可能ですか。
○塩田政府委員 対馬の西の水道のことだと思いますが、日本は日本の領海及び公海部分については、日本の考え方で、日本の判断でできると思います。
○岩垂委員 日本の判断でやれる、半分だけできる、半分はあいている、そういうふうなことが封鎖という言葉に当たるかどうかということをあえて常識的に言えば、そこで日本と韓国との共同作戦なり、アメリカのかかわりというものを考えないわけにはいかないと思うのですが、日本のところだけはそういうことだということでございますから……。 宗谷海峡の半分だけを封鎖して、これもまたソ連との関係が出てきます。こういう事態、こういう直接的なトラブルが起こる事態というものを前提にして、三海峡封鎖などということをおっしゃっていらっしゃるのですか。その点はどうですか。
○塩田政府委員 先ほど来、封鎖と言っておりますが、言葉としては三海峡通峡阻止と言った方が広い意味でとられる、広い意味というのは、機雷ばかりでないという意味でとられると思いますので、通峡阻止という言葉の方がいいと思いますが、いずれにしましても、通峡阻止を考えます場合に、いま御指摘のような三海峡についてそれぞれの事情がございます。事情がございますので、そのときの情勢に応じた適切な判断が要るだろうということは当然のことであろうと思います。
○岩垂委員 三海峡封鎖について日米共同作戦を前提としているのか、あるいはいま考えているのは自衛隊が中心になって考えているのか、その辺はいかがですか、つまり、前提かどうかということです。
○塩田政府委員 日米共同対処か、日本自衛隊独自とどちらかということでございますが、ガイドラインの考え方から申し上げますと、「海上自衛隊は、日本の重要な港湾及び海峡の防備のための作戦並びに周辺海域における対潜作戦、船舶の保護のための作戦その他の作戦を主体となって実施する。」となっておりまして、その中に、いま読みましたように、海峡の防備のための作戦が入っております。したがいまして、日本の海上自衛隊が主体となって行うというふうに考えておるわけであります。
○岩垂委員 去年あるいはそれ前までは、どうも三海峡封鎖はかなり優先順位を持っていたのですが、何かここで、この間ワインバーガー国防長官がシーレーンの方が重要なのだというふうにおっしゃったということで、それも新聞で拝見をしたのですが、その辺のところの変化の動機というか、経過というのは何か、どういうわけかということについてつかんでおられますか。
○塩田政府委員 私が承知する限りでは、今度ワインバーガー長官が来られての話の中で、三海峡通峡阻止よりもシーレーンの方が重要だという意味の発言をされたという覚えはございません。
○岩垂委員 いずれにせよ、三海峡、公海、国際海峡の航行の自由を制限する措置であることは言うまでもありません。私は、たとえば日本のタンカーがマラッカ海峡を通るにしても、あるいはロンボク海峡を通るにしても、国際的な海峡としての航行の自由と言われるものを前提にして、日本のタンカーの航行の自由もあるのだろうと思うのです。つまり、国際的な協力、国際的な理解、そういうものがあるときに、こっちの方は、日本は自衛隊単独でも封鎖しますよなどということは、国際的に与える影響というものが非常に小さくない、私はこんなふうにも思います。 それから、もう一つは、そうやって封鎖をしたときに、公海航行の自由と言われるものを盾にとって、ソ連からの攻撃をむしろ招き入れる可能性というものもないとは言えない。こういう点では、三海峡封鎖などという作戦が非常に安易に語られ、安易に議論をされてはならない、このことだけは少し押さえておきたいと思うのですが、その点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○塩田政府委員 まず前段の、国際海峡の航行の自由という観点から、軽々に通峡の阻止を行うべきでない、これはもう全く同感であります。 それからまた、この三海峡通峡阻止を行うことによって相手側からの攻撃をむしろ招く、通峡阻止することがかえって攻撃を招くというおそれがあるではないかという御指摘も、そのとおりだと思います。そういうおそれは十分にあります。したがいまして、この三海峡の通峡阻止という問題はきわめて慎重を要すべき問題であるということは、御指摘のとおりでございまして、われわれもその点は十分に認識いたしておるつもりでございます。
○岩垂委員 三海峡封鎖はその辺にしまして、リムパックについて、演習の規模については発表されているわけですが、演習の状況は実は全く知らされていません。これはもう始まってずっと時間がたっているわけです。演習の内容をぜひ御報告をいただきたいと思います。
○石崎政府委員 訓練の内容は、主なるものは洋上訓練でありまして、その中身は、通常打撃戦訓練、それから対潜捜索攻撃訓練、防空戦訓練、電子戦訓練、通信連絡訓練、洋上補給訓練等であります。それから、米国のサンジエゴ軍港などの陸上施設を利用した、これはシミュレーターなどを使って各種の訓練をやるわけでありますが、それが洋上訓練のほかにございます。それから、最後に、これは前回も行った訓練でありますが、ハワイにあります誘導武器評価施設を使いまして魚雷、ミサイル等の発射訓練を行う、以上が訓練の内容であります。
○岩垂委員 訓練の内容も言われたわけですが、たとえばどういうコースをとって、どうやってやっているというようなことは、国民には発表できないのですか。もうかなり時間がたっていますよ。恐らく報告も受けておられると思うのですよ。それはいかがですか。
○石崎政府委員 リムパック82は現在進行中でありますので、部隊が帰ってきたら詳細な報告を受ける予定でありますが、前回の例で申し上げますと、これは完全に済んでしまったものでありますから、私自身、指揮官から詳細に部隊の行動などについて報告を受けました。ここでわかったところによりますと、艦艇の部隊も航空機の部隊も、基地といいますか、行動の拠点に集結しまして、それから海上に展開して、先ほど申し上げましたような各種の訓練を行う、そして、それが終わりまして、また最後はハワイへ集結しまして、ミサイル、魚雷等の発射訓練を行うということであります。 海上へどういうふうに展開して、何隻ぐらいがどう組んで何をやったか、これは五カ国で合意が得られない限りは、行動の詳細については公表しないということになっております。
○岩垂委員 発表の文書は、この前もずっとそうなんですけれども、第三艦隊の司令官の全般的な調整のもとに実施される。これは、諸外国の海軍は調整などという言葉はないというふうに思っているのじゃないかと思うのですよ。 〔委員長退席、有馬委員長代理着席〕 つまり、統裁官が明確にある。そのもとで全体の演習が行われる。そうでなくて、あらかじめ申し合わせて、それでばらばらにそのコースに従ってやっていくなどということが、有事即応と言われる演習になるだろうかどうだろうかということなんです。だけれども、統裁官と言ってしまうと集団安保と、こう言われるものだから、調整のもとに実施されるという、コーディネートというのですか、そういう言葉で置きかえて対応しているように思われてならないのですが、本当に統裁官というのはないのですか。
○石崎政府委員 これも前回のリムパック80が完全に終了しておりますから、これについて申し上げると理解が容易だと思います。コーディネーションということでやりまして、実際に事前に詳細な打ち合わせをやって、いわば剣道や柔道の型のようなものを非常に事細かく決めまして、実際の訓練に入って、終始それで訓練をやったのでございます。帰ってきた指揮官等から詳細な報告を受けましたけれども、そういう事前の詳細な打ち合わせによる調整、これで訓練は円滑に行えて何ら支障はなかった、訓練効果は大いに上がった、こういうことでございます。
○岩垂委員 言うまでもないのですけれども、カナダはアメリカとともにNATO構成国であり、オーストラリア、ニュージーランドはANZUSの構成国である。しかも、それは集団的な安保という機能を持っている。それらの四つの国の海軍と日本が参加をすることについて、集団安保の可能性というものについて何回か指摘をされてきた。そうしたら今度は、いや、それは日本はアメリカとだけやるのであって、オーストラリアやカナダやニュージーランドの海軍とは別なんだ、こういうふうに答えられたことがございます。そういうことなのか。そして、同時に、そうは言いながら、打ち合わせ、協議などというのは全体一緒にやるのでしょう。それから、洋上の行動というものがそんなにきれいにようかんを包丁で切ったように、アメリカとだけやるのでありまして、カナダやオーストラリアやニュージーランドとは違いますというふうに区切ることができるのだろうか、この辺についての御答弁はいかがですか。
○石崎政府委員 海上自衛隊が米海軍とのみともに行動するということは、前回もそうでございましたし、今回もそのようにやっております。五カ国参加している訓練で、海上自衛隊はアメリカとのみともに行動して、他と無関係であるというのはおかしいではないかということをおっしゃる方もありますが、広い洋上に展開して、あちこちでいろいろな種類の訓練が同時並行的に行われておりますので、全く無関係ということは言えないと思いますけれども、再々国会で御説明申し上げましたとおり、海上自衛隊が行動をともにして訓練をするのは、アメリカのみが相手でございます。
○岩垂委員 アメリカのみが相手というのですが、今度はハワイから海兵隊が初めて演習に参加しました。御存じのとおりに、これは緊急展開部隊でございます。RDFの演習といったら上陸作戦くらいしかないと思うのですが、その上陸作戦を日本の海上自衛隊が援護するとか、あるいは支援するとか、そういうことになってはいないのでしょうか、それをお答えください。海上自衛隊はどういう演習をしているのでしょうか。
○石崎政府委員 今回のリムパック82でアメリカの海兵隊が六千名ほど参加しているということは、アメリカも公表しているとおりでございます。海上自衛隊はリムパックに、いわば簡単に申し上げれば全種目参加ではなくて、大部分の種目に参加しているわけでございます。そこでアメリカの両用部隊の海兵隊というものがどういう訓練をやるのかは私どもは知りませんが、多分上陸作戦のような訓練をやるのであろうと思います。しかしながら、海上自衛隊はこれには参加いたしておりませんので、どういう訓練が行われるかはわれわれは関知しないところであります。
○岩垂委員 石崎さん、ちょっと違うのだよ。さっきは、まだ演習の最中で報告を受けてないから、帰ってきてしっかり報告の経過を説明をしたい。いまは、海上自衛隊は参加しているけれども上陸作戦はやっていない。上陸作戦の方はやるのだろうけれども、海上自衛隊はその支援をやっていない。わかっていてもおっしゃれない。そうなると、私ども、本当にやってないのかなというふうに、にわかに信ずるわけにはいかぬ、この点を申し上げておきたいと思います。リムパックというのは、環太平洋合同艦隊と言われる構想があったわけですが、それへ一歩一歩近づいていく一つのステップではないか。そこのところの危険性だけを私は強調しておきたいと思います。 もう時間が参りましたから、最後に一問だけ。 実は地元の読売新聞の神奈川版に出ていまして、ちょっと私、披露して、それに対する答弁をいただきたいのです。 「日米軍事マル秘格差」というテーマなんです。実はアメリカのミサイルフリゲート艦、ワッドワースという船が日本に入ってまいりまして、そして日本の新聞記者がそれを取材に行った。一時間ぐらい公開をした。作戦司令室以外は写真撮影はすべてオーケー。ところが、同じころ、海上自衛隊の新建造潜水艦「せとしお」というのが、基地内の日米共用の五号岸壁に入港いたしました。ワッドワースの接岸した岸壁からわずか二百メートル。「ところが、自衛隊では、写真取材は「厳禁」と、旧海軍時代に戻ったような対応。禁止の理由は、艦橋に三ケタの船籍番と艦尾に「せとしお」の艦名が書かれているからというもの。約三か月間、艦を慣らす訓練を行ったあと、艦籍番号と艦名を消す「部内規定」があるので、撮影は「ダメ」という命令。しかし、自衛隊関係の機関紙や雑誌、隊のPR誌には艦籍番号も艦の写真も紹介されており、しかも同型艦の三番艦とあっては、全く形式的な部内規定でしかない。建造には五百億円近い国防費が使われ、対艦ミサイルも搭載される新鋭艦だが、“閉ざされた海上自衛隊”の姿に、同基地内で働く日本人従業員も基地内に勤務する米海軍兵員も「形式的過ぎる」とあきれていた。」という記事があります。 アメリカと比べてみてと言うつもりはありませんが、とにかく非常に形式的に、船に対する国民が近寄れないという状況をつくっているということは事実であります。それは部内の規定ということに閉ざされているわけであります。 私は選挙区は横須賀でございますけれども、横須賀の港は、戦争中は港が外から見えないように高塀をめぐらして、そしてその高塀の上からのぞこうとすると、それこそ取り締まられるというふうな状況があった。また横須賀にそういう状況が生まれているのではないかと危倶する人たちがいたとしても、それは歴史の証言のあるところ、杞憂ではない、こんなふうに思うわけでありまして、その点について少し防衛庁は、別にアメリカのとおりにしろ、まねてやれというようなことを言うつもりはございませんが、こういうマスコミの扱いなどについても謙虚に対応していく姿勢が必要ではないだろうか、こう思いますが、その点についての御答弁を煩わして、終わりたいと思います。
○塩田政府委員 一般的に、防衛庁におきましても、国民に広報していくということの重要性は十分認識しておるつもりでございまして、艦艇につきましても、たとえば進水式の場合、あるいは引き渡し式、あるいは広報活動のための一般公開、体験航海等、いろんな機会をつかまえまして公開をして、写真も特別の部分を除きまして自由に撮影をしていただいておりますが、ただ、潜水艦の場合には若干の特色があるということも、ひとつ御理解をいただきたいと思うわけであります。というのは、艦内の特殊な構造、あるいは性能、あるいは就役後の行動といったような観点から、一般の艦艇よりは公開になじまない点がございまして、たとえば艦内への立ち入りというようなことは一般にはお断りするということをいたしております。 ただ、御指摘の今回のケースの場合、外に大きく艦番号が出ております。そういうようなものが問題になったわけでございますが、もちろん「せとしお」という船が何番の船であるというようなことは秘密事項でもございませんし、それは実は秘匿する必要もなかったわけでございますが、ただ、現地の部隊で御遠慮願いたいと申し上げましたのは、これは潜水艦の場合、やがて慣熟行動が終わりまして本当の部隊に編入になった場合には、艦番号等は消すことにしております。これは秘密ではございませんことはいま申し上げたとおりですが、要するに、後でこの潜水艦の特定といいますか、たとえばよその国から見て音紋をとったりとか、いろいろなことをされるおそれが十分考えられます。そういうような場合に、その艦名と艦型とが一致しておるものがはっきりしておれば特定化されやすいという観点は確かにあるわけでございまして、現地の部隊はそういうようなことを心配をしまして、できたら御遠慮願いたいというようなことは言ったというふうに申しております。 しかし、いずれにしても秘密ではございませんので、適当な措置があったらよかったのじゃないかなといま私ども思っておりますが、そういった事情があるという点はぜひ御理解をいただきたいと思います。
○岩垂委員 どうもありがとうございました。
○有馬委員長代理 次に、渡部一郎君。
○渡部(一)委員 私は、ここのところ問題になっている幾つかのポイントの基本的問題についてお尋ねをいたしたいと存じます。 まず、ここに座っておられる有馬委員の御案内で、先日NATOの諸国を歴訪いたしまして、ノース・アトランティック・アセンブリーの会合を視察させていただいたわけでございますが、その際に、一九七九年十二月の二重決定、つまり、一方では軍縮を非常に大きく強化して、核軍縮及び一般軍縮を求めてがんばっていくとともに、一方では核兵器の配備あるいは軍備増強を行うというふうに、NATOの諸国の交渉態度は全く二つの盾とやりを使い分けながら交渉をしているという様子に、まず目を奪われたわけであります。これほどまでにと思うぐらい、この態度は明瞭でありまして、その立場から、翻って日本の交渉その他を見ておりますと、ソビエト側が、日本の軍備の増強というのは非常に恐ろしい、アメリカとちょっと交渉してきたかと思うと、次の瞬間、どかんと何かをふやしてくる、われわれに交渉は余りせぬと言われた言葉の意味が、別の意味で振り返って感じたわけであります。 われわれに言わせれば、自衛隊の軍備増強の程度などというものは、きわめて単純、かつレベルの低い水準に推移しているのであって、とうていソビエトが日本を指して脅威などという言葉で呼べるようなしろものでないというふうに文学的に解釈していたのに対しまして、ソビエトが何でそう言うかという一つの背景は、ダブルデシジョン、二重決定を持たない、ダブルトラックを持たない日本というものが、やたらと軍備拡張をこちらでどんどんやっていく、ソビエト側とは何ら交渉しないでどんどん進めていくという、そういう態度にある。私は、その批判は一部当たっているのではないか、そういうふうに感じたわけであります。 したがって、きょうは私は、質問の中身として、まず、日本は核軍縮の先頭に立って、あるいは一般軍縮の先頭に立って交渉するとともに、日本の自衛隊の整備も行うという、これは小さな意味ではやはり二重決定の小さな一つのレールだと思いますが、これについてやはり交渉しながらやっていくというやり方が一方では必要なのではないか。ソビエトも交渉しながらやっていく。そうでないと、何も交渉しないで抜き打ちに軍備増強路線に突っ込んできたと批判されたとき、これは余りにもかけ離れたものになるのではないか。 日ソ交渉は、御承知のごとく、北方四島問題を初め、懸案の諸事項が一向に片づいていない段階であり、これらの交渉が片づかない間は、こうした問題について議論してもだめだという議論も成立し得るのかもしれないけれども、現実問題として、隣国の強大な軍事力を常に計算しなければならない日本国家としては、こうした問題に対して交渉し、計算し、調査をし、一検討しつつ、また、あるときは抗議をし、あるときは威嚇をしつつ、こうした問題の軍事レベルというものをさわる場合には考えなければいけないのではないかと思うわけでありますが、その辺をどうお考えになっておられるか。これは事の次第からいきますと外務大臣のお答えでございましょうが、まず、防衛庁長官から伺いまして、外務大臣にお答えをいただきたいと思います。
○伊藤国務大臣 核兵器の軍縮あるいは軍備管理を進めるということについては、私どもも同意をするわけでございますけれども、一方、それを具体的に進めていくためには、力の均衡が平和と安定を支えているという現実をも認めなければなりません。その均衡の維持に努めますとともに、その水準をできるだけ低くする努力を続けてまいることが肝要であるというふうに考えております。
○櫻内国務大臣 ただいま伊藤防衛庁長官から原則論を言われました。私からは、具体的に、しからば御懸念を持たれたソ連との間はどうか。これは、昨年の軍縮総会の折に、時の園田外務大臣がグロムイコ外相と話し合いをされまして、事務レベルの協議を持とうではないか、また、できれば外相会議もやりたい、こういうことを言われたことは御記憶にあられると思うのであります。 そして、その後、機が熟しまして、本年一月に高級実務者レベルの会談をモスコーで持ったわけでございます。そして、渡部委員のおっしゃるように、日本として言うべきことをこの機会に相当はっきり言っております。たとえば極東におけるソ連のSS20の配備などについて、これが撤回を求めることも言っております。また、当然のことながら領土問題についても話し合いをしておるわけであります。しかし、ソ連の方は、従来の主張を全く変えてない状況にございます。当時この協議に参加いたしました柳谷審議官から聞いてみますと、両方の主張は大変かけ離れておるけれども、それなりの価値はあったということでございます。 したがって、ただいま渡部委員のおっしゃるように、一方におきましては言うべきことを言い、また、でき得るならば軍縮の問題、特に核軍縮については、相手方が理解をするくらいな迫力をもって臨んでいかなければならない。しかし、また一方におきまして、日本が東西の力の均衡の中で、先ほど伊藤長官の言われるような日本としての一応の備えを持っていく、こういうことではないかと思うのであります。
○渡部(一)委員 私の述べている意味は、いまお話しいただいた意味を、さらに高級事務レベルを緊密化し、あるいは外相同士のレベルをもう少し上げ、内閣の首脳による交流というものを、日ソ共同宣言に基づいて、田中・ブレジネフ会談の申し合わせに基づいて、より緊密にした方がいいのではないかと思うわけであります。 というのは、字面の上で日本の防衛費が毎年毎年増強していくということに対して、ソビエト政府の歴史的な過剰なとも言うべき安全保障マインドからしますならば、日本は極東の有力な軍事国家としてますますその防衛努力を続けているというふうに感じられるわけでありましょうし、しかも、総額において世界の八位というような強大な防衛費を有する日本の方針というものが、ソビエトの極東に対して重要なインパクトを与えていると彼らが判断する可能性はきわめて高いからであります。 私は、ソビエトの外交官と円卓会議の際に会ったときに驚愕したのでありますが、インド洋になぜソビエトの艦艇が出てくるのかと聞いたときに、ソビエト側が、ソビエトの南の国境を守るためにやむを得ない措置である。インド洋まで出かけていって南の国境を守るというような過剰な防衛マインドのある国家というものは、一番先に気をつけなければならないのは、キツネのごとく疑い深くという言葉がありますけれども、この疑い深い精神を取り除くことから始めなければ、少々の軍事予算の増強では全くこれをカバーできないほどの打撃、マイナスをわが国がかぶるゆえに申しているわけであります。 したがって、私は、事務レベルの交渉が単発的にときどき行われるのではなく、相当レベルをもって行われると同時に、おまえの方が北方四島に一万人置くのは何かというような小さなレベルに至るまで、あるいは日本の国家予算の中の防衛費の増強についても、おまえの方の国家予算がこのように防衛費を増大させている以上はやむを得ないのだということもあわせて常時コンタクトをとりつつ、主張性を失わずかけ合っていくということが必要なのではないか。協定文や共同文書をつくるのが外交ではなく、こうした常時の接触の中から、なるほどあちらの言うことに一分の理があるというニュアンスが通る、または、少なくとも日本側は自分の言い分の中で道理が通っておるということを向こうに知らしめるということが、日本の防衛、外交としては非常に重大な意味を持つのではないか、こう思いまして、このコンタクトをもう少しレベルを上げられることが好ましいのではないかと申し上げるわけでありますが、いかがでございましょうか。
○櫻内国務大臣 ただいまの御所見は、私も十分理解ができるところでございます。元来、昨年以来、外相会議も持ちたいということが園田外相当時に打ち出され、また、一月の事務レベル協議でも外相会議を要望しておる。外交慣習からいたしまして、今度は日本にグロムイコさんにおいでを願ってやるべきそういう順番に当たっておるようでございます。そのことも積極的に事務レベル協議の際にも申し上げておる。 こういうことで、でき得るならば、そういうレベルの協議、また、基本的にはただいまは、わが国の首脳とソ連の首脳、いわば一九七三年の田中・ブレジネフ会談のようなものを持ったらばという御意見でもございました。それも、そういう機会があれば好もしいことでございますが、従来、東西間におきましてはやはり対話を考える必要があるということで、米ソ間におきましても、昨年の十一月三十日以降、中距離核戦力削減交渉も持たれておる、さらには米ソの首脳会談はどうか。これについては、つい最近におきましても、米側が、ニューヨークにおける第二回特別軍縮総会にブレジネフ書記長が来られないか、その際、会談を持とうではないかというようなことも言われておるのでありますが、いま一番大事なことは、そういう会談を持つ場合に、ただ行き当たりばったりではなく、ある程度の諸準備ができてそういう会談が持たれることが好もしい。 また、同時に、日本とソ連の間の首脳会談におきましても、まず外相会議を持ち、そして両首脳が会われることによって、ある種の成果が得られる。これは特に目に見えた成果ということよりも、やはり大局的な核軍縮の話し合いでもできるというような雰囲気があれば、それも一つの行き方だと私は思いますが、渡部委員のおっしゃるように、もっと高いレベルの会談も持つようにせよということについては、私も努力をいたす考えでございます。
○渡部(一)委員 非常に御丁寧に言っていただいて恐縮なんですが、これはソビエトの方から見ると、たとえば大口径管の輸出について、日本はアメリカの言うとおりぱっと打ち切ってしまった。それから、油田、石炭の開発についても、すぱっと打ち切った。ヨーロッパのように、ときどき穴をあけて取引したり、あるいはその輸出入を受け取ったりすることはしない。お金を向こうに対して融資する際にも、アメリカの提案のように、非常に低金利で向こうと取引することは一発で停止する。何か向こうから見るとアメリカの子会社のようで、そして、独自な外交路線を開発したり、少なくともソ連の言い分を聞いてくれる余地のない硬化した政策をとり続けるにつくきゃっという感じが込み上げてくるだろうと私は思うわけであります。私は、もちろん譲れと言っているわけではなくて、こうした問題も含めて常時コンタクトする必要性をこの国とは感じなければいけないのではないか、それがわが国のような劣弱な、とあえて申しますが、単独防衛力を持つ国家としては非常に重要なことではないかと思いますので、二度も三度も申し上げたわけであります。この件の御答弁は、先ほどからのお話で不要であります。 次に申し上げますが、今度はシーレーンのことについて余りにもよくわかりませんので、恐れ入りますが、聞かしていただけるとありがたいと存じます。 まず第一に、シーレーンの防衛などという奇怪、かつ時代おくれのアイデアをもってアメリカ政府まである意味ではだまかしたというのは、これは日本外交のきわめてユニークなお立場だろうと、私はひやかし半分に申し上げておるわけでありますが、どうしてこのシーレーンなどという——これは何も私が言っているのではなく、日本に対するシーレーン防衛に関する決議をアメリカ国内で提出されたフィンドレーという下院議員さんでございますが、この人でさえも、米国自体がシーレーンの防衛なんということはやっていないのであって、そして米国自体としてもこんなことはできるとは思ってないのだというようなことを堂々と演説されているわけであります。 そういうシーレーンの防衛などというものについて、何で日米交渉の際に総理大臣の御発言の中で堂々と述べられたのか。優秀な官僚を擁されている日本の外務省と防衛庁の腹づもりというものは、明らかに別にあった。これでシーレーンが防衛されるというわけではなく、アメリカ側から日本の防衛努力を要求される前に、日本独自としてシーレーンの防衛を図るという言質をあえて与えることによって、日本の防衛努力に対する自由度をまず確保するというのが第一のねらいであった。 第二番目は、その自由度の中において日本型の防衛努力をするという言い方で交渉し、交渉し抜くことによって、アメリカ型の、特に選挙を目前にした猛烈な貿易摩擦その他を回避することに一つの重要な意義があった。 もう一つは、あえて申しますけれども、このシーレーンというきわめて奇妙な、航路帯を防衛するなどという、現代の戦術的な考え方の中からはまるで百年も昔の考え方のようなものが突然躍り出してきた理由というものは、こうしたシーレーンを誇示することによって、アメリカの軍事専門家たちに対し、アメリカ国内における説明、アメリカ上下院議員に対する常識的な説明の口実を与えることに一つの意味があったのではないかと私は思っているわけであります。 さあ、私の意見は申しましたから、まず、そちらからお答えをいただきたいと存じます。どういう意味があって、シーレーンの防衛などということをあの日米の交渉のときに総理は述べられたのか。したがって、まず実施局である防衛庁長官は、シーレーンの防衛というものに対してどう考えておられるのか。大体シーレーンとは何なのか。グアムの西、フィリピンの北などというのは北緯何度、東経何度、西経何度の範囲内にあるのか。もっと茫漠たるものなのか。いまの御時世に、ミサイルまである時代に、航路帯の防衛などというものは象徴的には考えられているけれども、具体的、個々的にはあり得ないということを黙認なさっておられるのかおられないのか。さて、その辺を伺いたいと思います。 余り聞いてはいけないとおっしゃるなら、聞くのをやめますよ。そんなことをぎりぎり聞いてもらうと困るとおっしゃるなら、またそれで一つの御答弁ですから。
○淺尾政府委員 まず、経緯がございますので、私から答弁させていただきます。(渡部(一)委員「短く」と呼ぶ)渡部委員非常に御承知のとおりでございますので、短くさせていただきます。 要するに、共同声明の中では、日本は憲法を踏まえ、基本的防衛施策に従って防衛をしていく、その中で海、空の防衛あるいは在日米軍の経費負担ということを言っておるわけでございます。したがって、首脳会談の中で、いま御引用になった点について、たとえば一千海里とか数百海里ということは出ていないわけでございます。 もう一つ、いわゆるシーレーンというものは、総理がナショナル・プレス・クラブで記者の質問に答えて、日本は輸入に非常に頼っているでしょう、では、そのシーレーンというか、海上輸送路をどういうふうに防衛するのですかということに対して、わが国としては、この庭先である数百海里あるいは一千海里程度、これについては自分で守るということを目標にして防衛能力を高めている、その前提としてもちろん憲法を踏まえながら、こういうことでございました。したがって、新聞で言われているいわゆるシーレーン、シーレーンということは、対米の話の中で公約として出てきたということでなくて、その数百海里、一千海里というのは、ナショナル・プレス・クラブの総理の答弁の中で初めて出てきたということでございます。
○渡部(一)委員 淺尾さん、そういうふうに説明されるのはいいけれども、自後の記者会見が、共同声明なりあるいは打ち合わせの補完がされた外交文書ときわめて密接な関係を持つものであるということは、もう日中のときにもわかったし、日米の交渉でもわかっているのだから、改めて記者会見のときに言ったもので公約でないなどというふうにおっしゃらない方がよろしいのじゃないかと思う。そういう用語を使うだけでも、今度は対米関係を刺激して、そして、公約でないなどと言うとは何事だというような反発だけを招く。淺尾さんは優秀な官僚ですから、あなたをやっつける余地はないので、ちょっとたしなめておきます。そんなことを余り言われない方がよろしいのではないか。 僕は公約問題では大笑いしておるのですけれども、日本国民も相当レベルが上がっておるのですから、公約であるかないかなどという次元でなく、明らかに総理がそういうものを公表されて、そして一定の政治的影響をアメリカに与えつつ帰ってこられたことは事実であり、一国の総理が述べられた以上、一つの明瞭なる日本政府の方針の意思表示であり、そして、それはまさに私の言ったように、的確にアメリカの在日司令官の口からでも言われておる。これはちょっと、余りそんなことをごちゃごちゃ言われない方がよろしかろうと私は存じます。答弁は要りませんよ、これ以上言われるとあなたがみっともないだけですから。あなたはけがをしない方がいいと思う。 次の答弁者、お願いします。
○塩田政府委員 シーレーンの防衛につきまして、なぜそういうことを言うのかということについて三点ばかりお挙げになりまして、そういうことを考えて言っておるのではないかという趣旨のお尋ねでございました。したがいまして、結論として、非常に茫漠としたものを象徴的に言っているだけではないかということでございますが、先ほど来、午前からのお答えにも申し上げましたように、私どもはそういった茫漠とした象徴的なものとして考えておるわけではなくて、もっと具体的な、現実性のあるわれわれの任務としてシーレーンの防衛ということを考えておるわけであります。 日本の置かれた地理的な位置あるいは国際的な位置から、日本の国そのものが通商ということによって生存をしておるということは、もう言うまでもないことでございますが、そういうものをいざという場合に守るということが、われわれとしては非常に重要な任務ではないかというふうに考えておりますし、かつ、それを実行するに当たりまして、私たちは、けさからの質疑応答でお答え申し上げましたように、全く現実離れした不可能な話とは考えておりませんで、われわれの努力によって相当のことがなし得るという前提に立って私どもは考えておるところでございます。
○渡部(一)委員 けさの御答弁を聞いていなかった私はちょっと言いにくいのですけれども、これまた相当すごい答弁でありまして、日本は通商によって成り立つ国であると言うなら、日本のシーレーンは東にも西にも南にも北にも、そこらじゅうにあるわけですね。そして、インド洋にもあれば、大西洋にもあれば、地中海にもあれば、むしろその辺は非常に重要ですよ。戦後、日本の自衛隊が何にもしないのに、そういうシーレーンは守られた。海賊船一隻、まともに日本を攻撃した国はないという状況にあったのは何なのか。それは戦争に巻き込まれなかったからであり、結論的には、非常にあっさりした言い方で恐縮ですが、皆さんの御努力もあったし、東西緊張もあったし、均衡があったし、あるときは不均衡があったし、それはもうたくさんの人の努力は認めるとしても、結局戦争がなかったからであるとしか言いようがない。 だから、通商が大事であるから、戦争しながら通商を確保するためにシーレーン防衛が必要だというような議論は、これまた百年前の戦争を考えておる議論とほぼ等しいのだ。そして、百年前の戦争を考えるのだったら、実際、本格的にわれわれが一番恐れなければならないのは何の戦争なのかというと、手近なところで、後進国から日本が戦争をふっかけられたって、日本の膨大な経済力を考え、国力を考えたときに、戦争のでき得る国というのはほとんどないわけですから、こういうのはもう来ない。われわれが最も恐れなければならないのは、目の前にある大国、ソビエト、あるいはいまは仲よくなっているけれども中国というような近接大国がかかってきた場合こそ恐れなければならぬ。だけれども、そういう近接大国が本当に戦闘を開始した場合には、ミサイルも持っていれば、核兵器も持っていれば、航空母艦も持っているという国がやったときに、シーレーンは防衛できるか。それは明らかにごまかしだと私は思う。 だから、日本の通商を防衛するためにシーレーンがあるのではない。それをいみじくも言っている人がある。それは、ワインバーガーという人が、これで自衛隊ががんばってくれれば、米国は南西アジアとかインド洋とかに軍隊を実質的に転用することができる、だからありがたいのだと明瞭に言うておるじゃありませんか。日本としては戦争に巻き込まれない方が得なんだ、戦争がないことが得なんだ、そのための平和外交をうんと前に出すのがシーレーン防衛の第一の中の第一の作業である。だから、この問題は、シーレーンの言葉でまず考えなければならぬのは、世界の戦争に巻き込まれないように、日米が協力して一定の安全保障能力を発揮しなければならない場合に、どういうふうに両者の間で協力し合いながら態勢をつくるかという話の中から出てくることであって、シーレーン防衛のためにやっていることじゃ全くないじゃありませんか。 だから、私に言わせれば、シーレーン防衛なんというのはうそなんだ。それは全くごまかしの用語である。そんないいかげんなせりふだから、日本がたくさんあるシーレーンのごく一部だけを特別に取り出して防衛するような奇妙な議論になってくる。シーレーンを防衛するなら、世界のシーレーンを防衛したらいいじゃないですか。何でフィリピンの横っちょあたりだけしか防衛しないのですか。東の海面はどうなっているのです。北側はどうなっているのです。南はどうなっているのです。地球の反対側はどうなっているのですか。だから、私はわからないと言う。こういう用語で説明し、日本国民をごまかそうとするのはわからないと述べているのです。そうでしょう。そういうことが防衛問題をわかりにくく、煩わしくさせる最大の理由だ。 そして、いまアメリカは一これだけじゃ答弁しにくいだろうから、もう少し答弁しいいことを一緒にまぜて言うから、ちょっと待っていらっしゃい。いまアメリカにとって必要なのは何か。いまアメリカは予算が足らなくて、予算が大赤字です。見せかけは膨大な軍事予算を組んでいる。だけれども、執行できてないじゃないですか。アメリカは単年度主義の予算を組んでいるのですよ。去年、おととしの予算は、執行されてないじゃないですか。防衛予算が大事だ、大変だからというので、福祉関係予算を削って防衛予算に回した。しかも、実際には執行していない。その予算をカットしてしまったじゃないですか。要するに、いまの時期、アメリカは予算を緊縮させるために世界の緊張を大声で言う必要がある。そして、その予算は実際には発効していない。アメリカの軍需産業の大どころはいずれも、下請になる軍需産業家たちが倒産したため、特殊なロケットとか、特殊な核兵器の一部等を除いては発注不能ではないですか。だから、予算的に肩がわりさせられておるのじゃないですか、簡単に言えば。 だから、向こうがそういう予算の肩がわりの方式でくるなら、こちらも膨大な軍事予算を組みながら発効させない、執行しないというやり方で応戦するしかないじゃないですか。それを口車に乗って、シーレーンという言葉に乗っかって、そして日本国民をおどかして予算を次から次へと大型に組もうとするのは、それは口車に乗り過ぎではないでしょうか、違いますか。私の言っていることは、私は防衛庁の職員の諸君とも、外務省の職員の諸君ともいろいろな話をしているから、私の意見がここで単に述べたのでないことは、皆さんよくおわかりでしょう。こういうことを私が知っているということは、外務省の中にも防衛庁の中にもこういう意見の持ち主がたくさんいることを示していますよ。そんなお粗末な議論で、このシーレーンの問題をさもあるかのごとく議論するというこのナンセンスさ、もうあきれ返って私は物が言えない。さあ、御答弁いただきたい。どういうふうに私をごまかすか、やってもらいたい。
○塩田政府委員 いまいろいろおっしゃられたわけですが、その中で、平和が第一であるということ、そのために外交が全面的に出ていくべきだという趣旨のお話がございました。これはもう全くそのとおりであると思います。その点については異議がございません。 ただ、われわれは防衛を担当する者といたしまして、そういう平和外交を国家として進めていくのと並行して、同時にまた、いざという場合の用意もしておかなくちゃいけないということにおきましてわれわれは防衛について考えておるわけでございますので、私たちが言っておることは、平和外交を第一義とすることについての異議ではございません。その点については異議ございません。 それから、いろいろおっしゃいましたけれども、要するに、不可能である、あるいはまた、シーレーンの防衛というようなことはうそであるという趣旨のことを言っておられるわけでございますが、私ども、シーレーンの防衛が困難である、容易でないということは、これはそのとおりだと思いますけれども、しからば、日本として、国家としてこういったことを放置していいのだろうかということをまたわれわれとしては考えるわけでございまして、日本の置かれた立場、置かれた地位を考えた場合に、シーレーンの防衛、海上交通の保護ということにベストを尽くすべきであるということも、われわれは同時に考えるべきではないかと思います。その点は、あるいは先生とお考えが異なるかもしれません。そういう意味で、私たちは、シーレーン防衛論はうそであるというふうには全然考えておりません。 いま先生が最後の方でおっしゃった、こういうことは結局アメリカの予算の執行もできないという現状から肩がわりをさせられておるのではないかという趣旨の御発言でございますけれども、これは、われわれはあくまで日本の問題であって、日本の防衛をどうするか、それに当たって日本のシーレーンの防衛をどうするかという日本の問題として受けとめております。したがいまして、このことを、われわれがいまやっております努力がアメリカの肩がわりであるとか、アメリカから肩がわりさせられているとか、そういうふうに考えるものではないというのが私たちの立場でございます。
○渡部(一)委員 まあ、いまのような御答弁でしょうがないのでしょうな。私は、そういう御答弁でも、もうきょうはいいと思います。仕方がないでしょう。アメリカの肩がわりじゃないのだ、自分の意思でやっておるのだ、実質的に肩がわりに見えるかもしらぬけれども、そうではないのだという論理でおやりになるというのは、ここで通用するのかもしれません、しないのかもしれませんが、国外から見れば、肩がわりしたという一言で片づけられるでしょう。だから、日本はアメリカとの関係でそういう立場に追い詰められているということも認識しなければならない。そういう言葉遣いをしなければならぬ国であるということもわからなければいけない。だからこそ、アメリカの要求を聞いて何かをする場合に気をつけてやる必要があると私は思うのです。それはアメリカのためにもならないかもしれない。 というのは、日本がアメリカの言うなりになってシーレーン防衛などと叫び立てれば、ソビエトはまたあの過剰な反応を示して、こちらの方に航空母艦をもう一隻持ってこようかなんてすぐ判断しかねない。日本のわれわれの細かいニュアンスの報告というのはソビエトには入ってなくて、非常に薄い、糸のように細い情報ルートしか持っていないソビエトとしては、たちまち、日本の自衛隊がこれだけ来るのだったら、今度は航空母艦を三隻回せなんて言いかねない。そのこと自体が日米の極東における安全保障のマイナス点をかぶる可能性がある。だから、私は気をつけて口をきいてもらいたいなと思うのです。 いよいよというときのことを考慮して、自衛隊あるいは防衛を担当される方が、われわれは万一のときのためにがんばっておるのだとさっき言われた。それは貴重であり、とうといことであると私は思います。その御努力に敬意を表します。使わないために膨大な防衛予算というものを計上していく努力に対して、私は敬意を表したい。私はそれをけなす立場ではない。だけれども、日本のシーレーンを本当に守ろうと思うなら、そのためによほどの平和外交を進めるのがむしろ先であり、そして、外交と防衛とを一緒にくっつけてもっともっと協議を密接にするのが本当であろうと、私は重ねて思うわけであります。 ワインバーガーさんが、このシーレーンの問題について、最近、日本が周辺海域防衛からシーレーン防衛に乗り出したのを評価した上、昨年六月、ハワイにおいて、日本の防衛大綱が護衛艦六十隻の整備を言っているのに七十隻、対潜哨戒機については百機を想定しているのが百二十五機、F15等の迎撃戦闘機群については、こちらの防衛大綱が十個中隊を考えているのに十四個中隊というふうにレベルを上げて、シーレーン防衛のために必要だと言っておられる。じろじろ眺めますと、何を言っているのか。要するに、海上艦隊と航空群のワンセットをシーレーンと称して、少しレベル高くつくり上げることを要請しているにすぎない。 私は、ワインバーガーさんが何かかんか言うのは、日本型の論理でいけば、それはワインバーガーさんの勝手だと思う。しかし、日本側がそれに対して何かかんか言うのはこっちの勝手だと思う。そこで、こうした言い方についてどう評価するか、私はいま質問の形で申し上げますから、これに対して批評していただきたい。ワインバーガーさんの提案は可なりや否なりや、どう思われておるか。現状については、まだじっとこらえて黙って時の来るのを待つのか、あるいは堂々と、それは必要だとか必要でないとか、多過ぎるとか少な過ぎるとか言われるのか、防衛大綱で十分なのか十分でないのか、おっしゃっていただきたいと思うのです。
○塩田政府委員 昨年のハワイ会談等におきまして、アメリカが日本の防衛についていろいろ言っておりますことは、先ほども申し上げたところでございますが、その中で先生のおっしゃいました具体的な数字については、いまここで私、コメント申し上げる立場にございませんけれども、ともかくアメリカ側がいろいろ具体的な数字も挙げて議論をしておることは事実でございます。 それに対しましてどう評価するかというのがお尋ねでございますが、これに対します私どもの立場は、ハワイ会談のときにおきましても、あるいは今度の伊藤・ワインバーガー会談におきましても同様でございますけれども、われわれは現在、防衛計画大綱というものを持っておりまして、現状はまだそこに到達しておらない、したがいまして、なるべく速やかに防衛計画大綱の線に到達することが急務であるということがわれわれの立場であるとして、アメリカ側にも説明をしてまいったところでございます。
○渡部(一)委員 そうすると、シーレーンの防衛は防衛大綱を達成しただけでは不十分であるなどと参議院の予算委員会で防衛庁長官がおっしゃったのは、明らかによけいな話というべきだと私は思いますが、いかがですか。これは越権というべきか、口がすべったというべきか、失言というべきか。
○伊藤国務大臣 それには前段がありまして、相当な力は発揮できるものと思いますけれども、完璧なものではないというような意味のことを申し上げたのでございまして、いま防衛局長が申し上げましたとおり、シーレーンといいますか、われわれの周辺海域をできるだけわれわれの力で守るための努力は、仮に完璧でなくともやらねばならない、防衛責任者としての当然の努力目標であるという考え方でございます。
○渡部(一)委員 そうすると、大臣、このシーレーンの防衛というのは国防会議にかけて決められたのか、国防会議にかけないで、独走してそういうことを言っておられるのか、ここも踏まえてちょっと教えていただきたい。
○塩田政府委員 「防衛計画の大綱」は、国防会議にかけて決められております。その中で日本の海上自衛隊の防衛構想というものが書いてございますが、その中で具体的に一千海里というような数字は入っておりません。入っておりませんが、考え方といたしまして、いま議論になっておりますような任務を海上自衛隊が行うということを含んだ構想として「防衛計画の大綱」はできておるわけでございます。
○渡部(一)委員 防衛大綱の中にシーレーンを防衛することが含まれているとおっしゃるのですか。そんなことを言うと、あしたの新聞の大見出しになりますよ。塩田さん、大丈夫ですか。大変ですよ、いまの発言、取り消さないと。ちょっとよく考えて。あなた、そんなことを言って。シーレーンの防衛については、国防会議にかかってないでしょう。国防会議にかかってないことを現職大臣がぽかぽか発言するとか、それについて評価をどうこうするというのは、批評ならいい、批評なら。だけれども、シーレーンの問題についてそう軽々にやってもらったら困る。国防会議決定以前に内閣の一人がよけいなことを言うなんということは、もってのほかですよ。だから、その問題については十分な配慮をしなければいけないでしょう。 ところが、あなたはいま、もっとひどいことを言ったのだ。防衛大綱という決められたものの中にシーレーンの防衛は入っておるというように言ってしまったのだ。これは、あしたもう大問題だ。国会をひっくり返すほどの騒ぎですよ。予算委員会ならきれいにとまるところだな、これは。あなたはとんでもないことを言ったよ。それでいいですか。いまのはちょっと取り消しておいた方がいいのじゃないかと思うがな。そんなばかなことを言って。そんなすごいことを言うなんて、私はちょっと想像もできないけれどもね。
○塩田政府委員 先ほども言いましたように、「防衛計画の大綱」の中に、確かに一千海里というような言葉は、数字は入っておりません。それは入っておりませんが、海上自衛隊の防衛の態勢を四つ挙げておりますけれども、一つは「海上における侵略等の事態に対応し得るよう機動的に運用する艦艇部隊として、常時少なくとも一個護衛隊群を即応の態勢で維持し得る一個護衛艦隊を有していること。」それから三番目に「必要とする場合に、重要港湾、主要海峡等の警戒、防備及び掃海を実施し得るよう、潜水艦部隊、回転翼対潜機部隊及び掃海部隊を有していること。」四番目に「周辺海域の監視哨戒及び海上護衛等の任務に当たり得る固定翼対潜機部隊を有していること。」こういうような表現がございます。 これは従来からもしばしばお答えいたしておりますが、この「防衛計画の大綱」ができましたのが五十一年でございますが、その前から日本の海上防衛のあり方についてずいぶん議論もございまして、そういったいま問題になっておりますようなわが国周辺数百海里、航路帯を設ける場合にあっては約一千海里というような議論はずいぶんございまして、そういうことを踏まえましてこの「防衛計画の大綱」はできておりまして、いま申し上げたことを踏まえまして別表で所要整備量を書いておるということでございます。 言葉といたしましては、いま申し上げました四項の「海上護衛等の任務」という言葉があるだけでございますけれども、全体的な構想、思想、考え方はこの中に入っておるということでございます。
○渡部(一)委員 海上防衛という任務を、千海里とは入ってないけれども、それまで含むのだと言うのなら、数字の入ってないその規定は、地球上のすべてのところに自衛隊の艦隊を送り出して防衛戦闘をやることをそれは意味するよ。それならどうして千海里と千一海里との間に線を引くのだ。それならどうして地中海の防衛とフィリピンの北のところとに差があるのですか。あなた、そんな拡張解釈をすることは許されないですよ。日本の自衛隊というのは憲法第九条の枠の中にある。領土、領海、領空ならともかくとして、その外側のことを議論するときにはよほど気をつけなければならないわけだ。あなたは、そんなものをやったら、千海里どころじゃなくて、地球の裏側まで全部行ってしまうじゃないですか。そんなのでいいのですか。違うでしょう、それは。長官、助けてあげなさいよ、その件については十分検討するとかなんとか。
○塩田政府委員 いま読みました海上自衛隊の防衛態勢の中にも周辺海域という言葉は入っておりまして、先生の御指摘のような、無限にどこまでも行くというようなことを考えておるものではないということは明瞭でございます。
○渡部(一)委員 君、周辺海域という言葉とシーレーンという言葉は別枠で使い分けられているではないか。いままでは周辺海域だった。シーレーンという言葉になってから、周辺海域の外側として想定され、本委員会を初め予算委員会等で議論されているじゃないか。今度は周辺海域の中にシーレーンを入れてしまうのか。それは違うよ、本当に。何を考えているか。言い逃れもいいかげんにしたまえ。
○塩田政府委員 結局「防衛計画の大綱」のときに周辺海域という言葉でもって何をあらわすかということ、あるいは同じ言葉がガイドラインの中でも使われておりますが、その場合も、別に一千海里という数字は入っておりません。その場合に何を考えるかということにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、わが国の周辺数百海里、航路帯を設ける場合にあっては約一千海里程度ということを、「防衛計画の大綱」のできるずっと以前から、三次防、四次防のころから議論がなされておりまして、そういうことを踏まえて表現されたものでございまして、言葉としては入っておりませんけれども、考え方としてはそういうものを含んだ表現であるというふうに先ほど来お答えしておるところでございます。
○渡部(一)委員 申しわけありませんが、これは答弁にならない、こんなうそばかり言っているのは。もう彼はいま、自分の答弁を自分で取り消す能力すらなくなっておる。まるで玉砕する兵隊さんみたいだ。私は優秀な官僚をこういう形で苦しめたくないので、委員長、おとりなしを願いたい。この問題についての防衛庁の答弁は、明らかに、よく考えられていない。整理されていない。周辺海域と千海里という問題すら明瞭ではない。千海里防衛の根拠をこんな妙な防衛大綱の中に含もうとしたこと自体に問題がある。千海里の問題について、今度は国防会議にかかっていないこと自体に問題がある。僕の質問要旨に対する答えなんか見たって出ていないよ、そんなもの。余りおかしいことを聞くから、次々に出てきただけの質問なんだから。これらの収拾のつかない状況をこれ以上展開すれば、後々の処理がきわめて困難になると思われますので、委員長から長官に御指示をいただいて、しかるべくまとまった御回答をいただいて次に進みたいと思いますが、いかがでしょうか。
○伊藤国務大臣 先ほど来私なり防衛局長が申し上げております、わが国の海上交通保護について、周辺数百海里、また、航路帯を設ける場合にはおおむね一千海里程度の海域において海上交通の保護を行い得るということを目標に海上防衛力の整備を進めているということは、政府の従来からの考え方でございまして、この従来からの考え方に基づいてわれわれはこの問題を処理し、また、対処をしていこうということでございます。
○渡部(一)委員 これは答弁にならない。こんな不勉強なのがあるか、本当に。
○塩田政府委員 先ほど来私がお答えいたしましたことも、それから防衛庁長官からお答えいたしましたことも、従来から政府がお答えを申し上げておることでございまして、何ら変更されたものではございません。「防衛計画の大綱」の中でも、それからガイドラインの中でも、同じような考え方で来ておるわけでございます。
○渡部(一)委員 千海里の防衛という問題については、国防会議にかかったことがあるのかないのか。
○塩田政府委員 一千海里という言葉でもって国防会議にかけたことはございません。
○渡部(一)委員 そうすると、二千海里でも、三千海里でも、四千海里でも同じでしょう。
○伊藤国務大臣 航路帯を設ける場合にはおおむね一千海里程度というのが、私どもの海上交通防衛のための努力目標でございまして、二千海里、三千海里とは全然違います。
○渡部(一)委員 それは常識論だけれども、千海里というのは国防会議にかかってないじゃないですか。かかってないでしょう。それなら、いつかけたのですか。
○伊藤国務大臣 そういう従来からの考え方は、当然国防会議の中の考え方になっておるわけでございます。
○渡部(一)委員 それは僕の方から言わせれば、そういう考え方だとあなたが錯覚しているにすぎない。千海里防衛という考え方は、国防会議にかかってない。もしそうでなければ、先ほどのような拡張解釈でいくならば、二千海里でも、三千海里でも、四千海里でも同じになってしまうじゃないですか。アメリカから、今度インド洋に来いよとか、地中海に来いよとか、大西洋に来いと言われたときに、何と言って断るのですか。そんないいかげんな答弁をすれば、次の日米交渉のときに、外務省の方が答弁のしようがないじゃないですか。大西洋に来いよ、一艦隊持ってこいよと言われたら、どうするのだ。
○塩田政府委員 繰り返すようでございますけれども、「防衛計画の大綱」は国防会議にかけております。その大綱の中での考え方、周辺海域については、先ほど私が読み上げました考え方、これは同様の言葉がガイドラインにも使われておりますが、その内容といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、周辺数百海里、航路帯を設ける場合においては一千海里ということで、従来から政府が一貫して申し上げておることでございまして、そのことを「防衛計画の大綱」でもうたい、それを国防会議にもかけ、同じことがガイドラインでも使われておる、こういうことでございます。
○渡部(一)委員 このばかげた討論はこの辺で打ち切りたいと私も思うけれども、このばかげた答弁でよくまあがんばる。こんなのを自衛隊の隊員たちが聞いたら、戦闘意欲を喪失するでしょうな。これほど不勉強で、ごまかしで、これで切り抜けられようと思っておられるのですか。 委員長、申しわけないけれども、これについて統一見解を明瞭に出されるよう要望します。いかがでございますか。
○有馬委員長代理 理事会にお諮りして、その結論に従ってお答え申し上げます。
○渡部(一)委員 せっかくの委員長のお話でありますから、私もそうさせていただきまして、この件に関する質問は留保させていただきたいと思います。次回、別枠で時間を与えられるように請願いたします。 そして、こういう問題について、防衛庁はもう少し外務省とよく打ち合わせをしなければいけない、こんないいかげんなことばかり言っていて。こんないいかげんなことのあげくの果てに交渉させられる方の身になってやらなければいけない。私はもうあきれて、きょうは物が言えなかった。 時間がございませんから、最後に、外務大臣に全然別のお尋ねをいたします。 大臣、ただいま米ソ両国を主力とする核軍拡の傾向に反対いたしまして、全国で三十一の府県議会、八百二の市町村議会で反核、軍縮の決議、意見書が採択されつつございまして、まだふえる予定でございますが、この決議を拝見いたしますと、いずれも反米的な決議というものはほとんどございません。自民党の議員も含まりまして決議が進行しているようでございますが、自民党本部が、反核というものについては反米のニュアンスがあるので反対するようなニュアンスの指示をされた模様でございまして、にわかに決議がとんざしており、自由民主党は核軍縮に反対だというようなニュアンスが全国的に流布をいたしているわけであります。私が従来知っている自民党の立場から見ますと、そんなおかしな指示を出す党ではない。少なくとも非核三原則を堅持されている党として、これはきわめて奇妙なニュアンスの指示ではなかろうかと考えるわけであります。 櫻内外相は、前幹事長として党の指導にも手腕をふるわれた方でもございますし、これらの反核決議がもうすでにお手元に多数届いていると思いますが、どう考えておられるか。また、自民党としてのこのような指示というものについてどういうふうに考えておられるか。その辺のところを、恐縮でございますが、御所信を伺いたいと存じます。
○櫻内国務大臣 第一回の軍縮特別総会の最終文書の第十五項は、「政府のみならず、世界の人々が危険な現状を認識し、理解し、国際的良心が強まり、世界の世論が積極的な影響力となるよう、国連は、加盟国と十分協力して、軍備競争及び軍縮に関する情報の普及を高めるべきである。」こういうふうになっておりますね。このことは、軍縮の促進の上に非常に重要な要素だと思います。 第二回の軍縮特別総会を六月に控えまして、わが国におきましても各種国民運動が盛り上がっておることは、国民の間に軍縮に対する関心が高まっておる証左ではないかと、真摯に受けとめておるところでございます。 そこで、自由民主党のことにお触れになりましたが、私なりの解釈を申し上げて、答弁にかえさせていただきたいと思うのでありますが、いま日本は非核三原則ということを国会の決議で明らかにしております。そこで、党といたしましては、個々の市町村あるいは県で決議をされるということよりも、こういうふうに、もう基本的に国是ともいうべき非核三原則があり、国会の決議がある、個々の決議ということになると決議をしないところも出ますし、もう根本がはっきりしておるのだから、そういうようなことは御遠慮をしていただいていいのではないか、そういう趣旨のことを言っておるのではないか、これは私なりの解釈でございます。
○渡部(一)委員 では、時間が参りましたようですから、私はこれで終わります。
○有馬委員長代理 次に、神田厚君。
○神田委員 まず最初に、外務大臣にお伺いをいたしますが、現在進行中のイギリスとアルゼンチンのフォークランド紛争につきまして、日本外務省としてはどういうふうにお考えでございますか。
○櫻内国務大臣 フォークランドの紛争でございますが、長い間の歴史的経緯、そして紛争を続けておるわけでございますので、英国側からも、またアルゼンチン国側からもそれぞれの主張があって紛争しておるものと思うのであります。それに対して日本がこうだということを言うことは、これはいかがかと思うのでありまして、事態の推移を見ておるわけでございます。 しかしながら、アルゼンチンが武力行使に至りまして、これが安保理事会の問題となりました。英国が出した決議ではございますが、武力行使をやめること、それから、話し合いで解決をしよう、こういう安保理事会での提案でありますので、他の理事国とともにこれに対して賛成をした。たしかパナマが反対をして、大多数でこの決議が採択されたと思うのであります。そして、現在におきましては、英国に対し、あるいはアルゼンチンに対して最も関係の深い米国のヘイグ国務長官がそのあっせんに努めておられますので、日本政府としては、アルゼンチンに対しても、英国に対しましても、このあっせんに真剣に協議に乗ってもらいたい、そういう意向を表明しておるところでございます。
○神田委員 イギリスなりあるいはアルゼンチンなりから、日本国政府に対しまして、それぞれの要望あるいは事情の説明がなされているというふうに思われますが、その辺のところで、外務省としてそれらをどういうふうに受けとめて、どういう対処をしようとしておられますか。
○櫻内国務大臣 ただいま私がお答え申し上げたようなそういう趣旨を、安保理事会で西堀大使が表明をしておるわけでございます。したがって、お尋ねのような在日の英国大使あるいはアルゼンチン大使が事情説明に外務省の方に見えました折には、ただいま御答弁申し上げたような趣旨に沿って、すなわち、武力行使の好ましくないこと、速やかにこの紛争を話し合いで解決をするように、そういう基本に立ちまして、これは武力行使をいたしましたのがアルゼンチンでありますから、特にアルゼンチンにはそのことを申しております。 また、英国につきましては、英国の提案の決議に賛成いたしまして、その立場を明らかにした次第でありますが、英国からは、その後サッチャー首相が鈴木総理のもとに親書をお出しになりまして、その中に、その他の具体的な措置、アルゼンチンに対してたとえばアルゼンチンからの輸入をしないようにというような二、三の具体的事項が盛られた親書が参っておりますが、それらについてはこれを検討をしておるところでございます。
○神田委員 いずれにしましても、紛争の平和解決に日本国としてできるだけの努力をするという立場をお持ちのようでありますから、現情勢において静観されている事態ではありますけれども、平和解決に向かいまして努力をしていただきたい、こういうふうに要望しておきたいと思います。 続きまして、きょうずっと審議の中で千海里の問題が出てまいりましたが、私も、この千海里防衛問題につきまして最初に御質問を申し上げたいと思っています。 ワインバーガー米国防長官が先月末に来日されました折に、各所におかれまして、この千海里防衛の問題について米国側の考え方を表明をしてまいりました。 その中で、一つは、鈴木総理がアメリカに行った折に記者クラブで講演をした中で、明確に千海里防衛をするということを強調したということを対米公約として重視をしているということが指摘をされたわけであります。いろんな問題からこの辺のあたりの食い違いがあるようでありますが、まず、ワインバーガー国防長官と伊藤防衛庁長官との間で行われました会談において、この千海里シーレーン防衛の問題については具体的にそれぞれどういうふうな主張がなされたのか、お聞かせをいただきたいと思います。つまり、アメリカのワインバーガー国防長官は千海里防衛について具体的に日本にどういう提案をしたか、防衛庁長官はそれに対しましてどういうふうな日本側の見解を表明されたか、その点をお聞かせいただきます。
○伊藤国務大臣 先般のワインバーガーとの会談におきまして、アメリカ側から、わが国周辺海域における海上交通保護のための防衛力整備に関し一般的な期待表明があり、また、日本の防衛力について、防空能力、対潜能力及び陸上装備の改善が重要であるとの指摘があったことは事実でございますけれども、シーレーン一千海里の洋上防空能力の整備について具体的な期待表明というものはございませんでした。いずれにしても、具体的なわが国の防衛力については次の事務レベル協議において意見交換を行いたいとの意見が出されました。
○神田委員 そうしますと、正式会談においてはこの千海里防衛の問題について一切触れられない、海上防衛の問題については触れられなかったということでありますか。
○伊藤国務大臣 先ほども冒頭に申し上げましたとおり、海上交通保護のための防衛力整備に関し、一般的な期待表明はございました。
○神田委員 ワインバーガー国防長官は日本記者クラブの講演の中で、このわが国周辺空海域と千海里の海上輸送路の防衛問題について明確にアメリカの希望を述べられ、さらに、そのことは日本の軍事防衛支出の増額が必要だということにまで言及をしているわけでありますが、その点に関しまして防衛庁長官はどういうふうにこれを考えておられますか。
○伊藤国務大臣 これもしばしば申し上げておりますけれども、安保条約の相手国でございます、しかも防衛の最高責任者ともいうべきワインバーガー国防長官がいろいろ日本の防衛力整備について関心を持ってこういう機会に発言をしたということは、それなりの意味があるものと考えております。
○神田委員 つまり、日本は鈴木総理を初め防衛庁当局でも検討されておりますが、いわゆるハリネズミ防衛論と、それから、それだけではなくて、北西太平洋の防衛も含めて、もっと違う洋上防空も含めた形での防衛戦略をとるべきだというアメリカの国防総省の考え方との違いが、ここに出てきていると思うのでありますが、その点はどういうふうにお考えでありますか。
○塩田政府委員 総理がおっしゃったハリネズミ防衛論と洋上防衛、シーレーンの防衛との違いというふうに御指摘でございますが、私どもこれは別に違いとかということでなくて、従来からわが国の防衛につきまして、どういうふうに防衛をするか、四面海に囲まれている日本として、日本本土の防衛という観点から考えた場合にどういう防衛がいいのか、これが総理の御指示になったハリネズミ防衛論であろうと思いますが、同時に、シーレーンの防衛ということも当然わが国としては必要、かつ重要な問題でございまして、両者が食い違うとかなんとかいうふうな次元で考えるべきことではなくて、私どもは両方とも日本の防衛という観点から重要なテーマではないかと考えているわけでございます。
○神田委員 どうもうまくかみ合わないようでありますが、つまり、千海里防衛は、アメリカの方では明確に洋上防衛も含めて考えなければならないということを指摘しているわけでありまして、シーレーン防衛の見解が明らかにアメリカと日本で違っているということであろうと思うのでありますが、防衛庁としては、どういう点がアメリカと防衛庁の言っていることと違うのか、どういうふうに考えておりますか。アメリカはどういうふうにこのシーレーン防衛を要求しているのか、防衛庁としては日本のシーレーン防衛についてどういう見解を持っているのか、明らかに違うはずでありますから、それを整理して御答弁をいただきたいと思います。
○塩田政府委員 この点につきましては、先ほどの岩垂委員のときに御議論になった点でございますけれども、私がそのときにお答えいたしましたように、日本のシーレーンの防衛といいます場合に、われわれが考えておる日本の周辺数百海里、航路帯を設ける場合にあっては一千海里程度防衛するような目標で整備しておりますというその範囲については、アメリカ側も理解を示しておりまして、食い違いはないと考えております。 ただ、その中身といいますか、一体どういう防衛力を整備してやる必要があるのか、現在の自衛隊、あるいは「防衛計画の大綱」で言う整備目標で一体それができるのかということについて、アメリカ側はアメリカ側なりにいろいろな見解を持っておるということは事実であります。その際に、洋上防空、シーレーンの上空の防衛についてアメリカ側がどう考えておるのかということにつきましては、いま先生はアメリカがそういうことを要望している、期待を表明しているとおっしゃいましたが、今度のワインバーガー会談を通じては、そういう話が具体的にあったわけではございません。ございませんが、公聴会における政府側証人の発言等の中に、洋上における防空の必要性を訴えた点がございまして、アメリカ側はあるいはそういうことを考えておるのではないかと考えられますが、具体的にどういうことを考えているか、私どもにはまだよくわかりません。 そういった点は、今後さらにいろいろな日米対話の中で議論をしていきたいと考えておりますが、いずれにしましても、わが国周辺数百海里、航路帯を設ける場合にあっては一千海里という防衛の範囲としての目標については、日米に相違はないと考えております。
○神田委員 範囲について合意をしているということでありますから、それはそれでよろしいかと思うのでありますが、問題は装備です。どういうふうにしてそれを守っていくかという装備の問題が出てくるわけでありますが、この辺については、アメリカ側の考えていることと日本の考えていることとは明らかに違うのではないでしょうか。
○塩田政府委員 その点は、アメリカ側は確かにアメリカなりのいろいろな考え方を持っておるようでございます。今回のワインバーガー・伊藤会談におきましては、そこの点はアメリカは具体的に話をしませんで、いずれハワイにおける事務レベル協議等でディスカッションしたいという趣旨のことを言っておりましたけれども、今回は、具体的にこういうことを考えておるというような話があったわけではございません。 ただ、去年のハワイ会談におきましても、アメリカ側はそういった点につきましては、いろいろな意見を具体的な数字を挙げて述べておりました。そういう点を通じて見ますと、日本の考え方とアメリカの考え方とに食い違いがあることは事実でございます。というのは、日本の場合は、先ほど来再三申し上げておりますように、現在「防衛計画の大綱」の線にまだ達していないという状況におきまして、一日も早く「防衛計画の大綱」の線に到達するのが急務だと考えてそのための努力をしておるというのが、われわれの基本的なスタンスでございまして、それに対してアメリカ側は、全然別の角度からこれこれのものが必要ではないかというような意見を持っておるようでございまして、そういう点では、確かに先生御指摘のように、見解の食い違いがあるということは言えるかと思います。
○神田委員 この会議を踏まえて、ハワイの実務者会談で事務レベルの具体的な交渉に入っていくわけでありますが、それに先立ちまして、これだけ見解が違ったままで真っすぐハワイ会談に双方が突っ込んでいくということではないだろうと思うのであります。新聞報道によりますと、アメリカ側は、自分たちなりに積算をしたり資料としてつくったものを近日中に日本政府に手渡して、それの内容検討を踏まえてハワイ会談に臨んでほしいというような気持ちを持っておると報道されておりますが、その点は事実でありましょうか。
○塩田政府委員 しばしばお答えいたしておりますように、ハワイ会談というのは事務レベルの協議でございまして、いわゆるフリーディスカッションが本来のねらいでございますから、そこで何か特定の事柄を日米で相談して決めてくるという性質のものでないということは、まず御理解いただきたいと思います。だから、いま御指摘のように、事前にアメリカ側から、どういうことを考えておるということをわが方に言ってくるということをアメリカが考えておるとかいうことはございませんし、少なくとも私は、現在までそういう話は聞いておりません。
○神田委員 ワインバーガー・伊藤会談で、アメリカ側が、自分たちが主張した裏づけとなる資料を防衛庁なり防衛庁長官に提出をするというような言明はありましたか。
○伊藤国務大臣 先ほど防衛局長がお話しのようなことで、アメリカなりのいろいろの試算を持っておるというような話はしておりましたけれども、私どもに手渡したというようなことはございません。
○神田委員 会談中には手渡さなかったのだけれども、自分たちがつくったものについてこれから手渡したいという言明はありましたか。
○伊藤国務大臣 ハワイでの事務協議のフリーディスカッションのときにそういうものを披露してみたいというような意味の話はありました。
○神田委員 そうすると、ハワイの実務者会談において、アメリカ側が、この前、長官と話し合われたいろいろな要求の細目の資料、根拠について出すということでありますか。実務者会談の行われる事前にそれが手渡されるということでありますか。
○塩田政府委員 どういう形になるかわかりませんけれども、前段のようなことになるのではないか、つまり、ハワイ会談のフリーディスカッションの中で、アメリカ側がそういったようなアメリカなりのいろいろな資料を踏まえて発言をするのではなかろうかと、これは想像でございますけれども、そういうふうに考えております。
○神田委員 そうしますと、私、これはあるいは五六中業の作業の問題と非常に関連が出てくる問題ではないかと思うのでありますが、つまり、ハワイの実務者会談で、いわゆる千海里防衛の装備の問題その他で、具体的に日本とアメリカが大筋の合意を得てくる、そうすれば、当然その正面装備の問題になってくるわけでありますから、五六中業にそれが反映をしていくような形になるのか、それとも、五六中業の問題は五六中業で、すでにハワイの実務者会談までに日本の独自の計画というものをつくってしまわれるのか、この辺のところも非常に微妙な関係になってくると思うのです。 ですから、ちょっと中業問題に移らしてもらいますが、現在、五六中業の作業経過というものはどういうふうになっておりますか。
○伊藤国務大臣 これは先生御存じのとおり、昨年の国防会議で了承されたとおり、おおむね一カ年の作業期間というものを予定して、ただいま防衛庁において鋭意作業を進めておりまして、防衛庁としては、五十八年度の予算概算要求に間に合うように、五六中業の作成に全力を挙げているところでございます。
○神田委員 そうしますと、現在、五十八年度のマイナスシーリングその他できわめて厳しい財政の状況が改めて強調されている、こういう中で、アメリカのいわゆる千海里の要求、さらには経団連を初めとする人たちの正面装備充実等の問題が出ている中で、五十八年度の概算要求までに果たして五六中業を決定をすることができるのかどうか、その辺はいかがでありますか。
○伊藤国務大臣 目下鋭意作業中でございまして、われわれとしては、夏ごろまでに国防会議の審議を終了していただければというような考えております。しかし、関係省庁との調整も必要なことでもございますし、まだいまこの段階で明確に申し上げる状況にはございませんが、五六中業の作業というのは、シーリングとか、いま御指摘のハワイ協議などと特にリンクするものであるとは考えておりません。
○神田委員 どうも私どもの考えでは、アメリカとしてはかなり長期の防衛計画を日本に提示しそうな状況でもありますし、そういうことでありますれば、五六中業に対しましても国防長官はかなり注文をつけているような状況でもありますから、私は、ハワイの実務者会談において話し合われる装備の問題というのは、五六中業にかなり関係を持つというふうに考えているのです。その辺は防衛庁長官は、全然そういうことは無関係だ、こういうふうにお答えになりますか、それでよろしいのでありますか。
○伊藤国務大臣 少なくともハワイでの安保事務レベルの協議というものは、これは防衛局長その他からもお話しのとおり、フリートーキング、フリーディスカッションでございまして、何らかの結論を出すというようなものでもございませんので、これにわれわれの計画がどうこうということはございませんけれども、ただ、そういうような期待というものは念頭に置いて、わが国の自主的な判断に基づいて、憲法あるいは基本的な防衛政策に従って「防衛計画の大綱」をできるだけ早く達成したいという目標をめどとして、五六中業の作業を進めてまいる所存でございます。 〔有馬委員長代理退席、委員長着席〕
○神田委員 もし千海里防衛の日米の役割り分担と五六中業が無関係だとするならば、五六中業は千海里航路帯防衛においてどういうことをしようとするのか、この辺はどうなりますか。
○塩田政府委員 五六中業の作成に当たっての基本的な考え方は、先ほど大臣からもお答えいたしましたが、昨年の四月二十八日の国防会議の決定に沿って行うわけでございますから、「防衛計画の大綱」の線に到達することを基本として作業をする、こういうことでございます。したがいまして、「防衛計画の大綱」にございます別表に掲げておりますような整備目標を掲げて、それに従いまして計画作業を策定しておる、こういうことでございます。それによりまして、いま御指摘のシーレーンの防衛につきましても、現状に比して相当の能力のアップを図ってまいりたいということを考えておるわけでございます。
○神田委員 ですから、五六中業の問題がハワイ会談と無関係だというふうなことであれば、五六中業の作業というのはもっと速く進むわけですね。つまり、いわゆる千海里航路帯の防衛の装備の問題なんかは、アメリカのいろいろなことよりも日本の方針で貫くのだということであれば、いわゆる五六中業の作業というのは、約束どおり五十八年度の概算要求の前にきちんとできるというふうに考えてよろしゅうございますか。
○伊藤国務大臣 その方針で目下努力中でございます。
○神田委員 一部には、アメリカやその他とのいろいろな関係で、五十八年度の概算要求までには五六中業のまとめがむずかしい、それは一つには、防衛庁当局の中にも、制服組を中心としてかなり多く、中業の計画金額について食い違いがあるというふうなことも含めまして、五六中業は五十八年度の概算要求までに間に合わないで、五十八年度は五三中業の継続という形でこれを行って、五十九年度から実質的な五六中業をやらざるを得ないような状況になるのじゃないか、こういうふうに言われているところがありますが、その点は明確に御否定なされますか。
○伊藤国務大臣 先ほどもお答えを申し上げましたとおり、われわれとしてはいま、五十八年度の予算概算要求に間に合うように、その方針で鋭意作業を継続中でございます。
○神田委員 そうしますと、普通ならば、これはこの前の約束でもありますから、ことしじゅうにちゃんとつくらなければいけないわけでありまして、当然五十八年度の予算に五六中業が反映されなければならない。これはあたりまえのことでありますが、そういうふうにきちんとできますね。もしできないとするならば、どういうことでそれができないのですか。
○伊藤国務大臣 五十八年度が五六中業の第一年度になるように、その方針で目下進めております。
○神田委員 これ以上言ってもどうせ同じような答弁でありましょうけれども、私どもが心配しておりますのは、たとえば、それでは六月のハワイの実務者会談というのは一体どういうことを話し合うのか。つまり、中業とは無関係だというような先ほどの御答弁でありますが、本当に中業と無関係でこの実務者会談をやるのですか。
○伊藤国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、特にリンクするものとは考えておりません。ハワイ協議というのは、安保条約を結んでおります両国の間で防衛の問題についてあらゆる機会をつかまえて間断のない対話を持つことは、安保条約の信頼性の維持向上にきわめて有意義なものでありまして、その一環としてハワイ協議が持たれるものでございます。
○神田委員 しかし、過日のワインバーガー国防長官との会談では、この千海里防衛を初めとして、アメリカ側が提案した問題についてはハワイの実務者会談でやろうというふうな話になっているのでしょう。そうすれば、当然これは五六中業と関係してくるのじゃないですか。
○塩田政府委員 確かに、具体的な話についてはいずれ事務レベルの協議ででも話し合いをしましょうという趣旨のことを言っておりました。言っておりましたが、いま大臣からもお答えいたしましたように、私どもは、そのことと五六中業の作業とをリンクさせるべきではない、あるいはそういうものではないというふうに考えておりまして、五六中業の作業は、先ほど来の方針に基づきまして作業として進めていく、一方、アメリカとの間には常にいろいろな場で対話を続けていくことに意味があるということでございまして、その点を直接リンクさせてお考えになる必要はないのではないかというふうに私どもは考えております。
○神田委員 そうしますと、つまり、五六中業は五十八年度の概算要求の前までにつくるのだということでありますが、アメリカと日本で千海里防衛の装備の面でこれだけ食い違っているのに、そのまま、それを調整しないでやるというわけにいかないでありましょうし、いろいろな場で話し合いをしていくということでありますから、この中業決定までに、そういう意味での米国との話し合いなり交渉なりというのはやられるお気持ちがあるわけですか。
○塩田政府委員 いまのお尋ねは、ハワイ会談のほかに何か日程を持っているのかというお尋ねでございますれば、いま別段そういう具体的な日程を考えておるわけではございません。
○神田委員 そうしますと、どうも性格は別だけれども、ハワイ会議をやって、その中で大体の方向を出しておいて、それから防衛庁長官が訪米するというふうなスケジュールになるような感じでありますが、ともかくこの五六中業の初年度からつまずくというような形ではまずいわけでありますから、五十八年度予算からきちんとそれが反映できるように最大限の努力をして、それは当然やっていただかなければならないと思いますが、再度長官の……。
○伊藤国務大臣 その方針に従って、今後とも鋭意努力をしてまいります。
○神田委員 それでは、次に、防衛庁の内局の機構改革その他について、特に防衛庁長官が大変熱心にこれを進めているというふうなことがございますが、防衛庁の機構改革についての構想をお持ちでありますか。
○伊藤国務大臣 一般的に申し上げまして、行政官庁の組織がどうあるべきかということにつきましては、行政機関として当然常日ごろから検討すべきものであると私は考えております。その意味におきまして、防衛庁の内局の機構のあり方についての検討も、常時怠ってはならないものと考えております。 防衛庁の内局の機構は、先生御承知のとおり、昭和二十九年の防衛庁発足以来、ほぼ同様の骨組みで今日に至っていることから、防衛行政をより円滑、適切に行う上で機構上問題はないかについて検討する必要があるものと考えておりますけれども、現在、特に具体的な構想を持っているわけではございません。
○神田委員 一部新聞で、機構改革に対しまして大変熱心にこれと取り組んでいる、そして、そのもとになっておりますのが五十二年に内局が作成しました内部組織改善構想だというふうに言われておりますが、こういう内部組織改善構想というものを基礎として改革しようということがあるのかどうか、この当時検討されました内部組織改善構想というのはどういう構想なのか、お話しいただきたい。
○伊藤国務大臣 先生御指摘のように、五十二年に事務レベルで内局の機構改革について検討されたという事実はございますけれども、成案が得られたというわけではないと承知をしております。したがって、当時の検討の内容については、あくまでも部内の検討段階のものでございますので、公表は差し控えさせていただきたいと思いますが、先ほども申し上げましたとおり、不断にこういう機構について検討することは、行政官庁としては当然のことと考えております。
○神田委員 関連しまして、臨調が総合安全保障の第一部会の報告の中で機構問題にも触れまして、「防衛庁長官を補佐する組織、機構としての内局、統合幕僚会議および三幕僚監部間の事務配分について見直すとともに、内局については政策の企画立案を中心として真に長官を補佐するにふさわしいものとするよう組織体制を改める。」というような提言も出ているようでありますが、この点につきましてはどういうふうにお考えになりますか。
○伊藤国務大臣 臨時行政調査会の第一部会において防衛問題について審議されておりますことは承知をしておりますけれども、具体的な審議内容についてはまだ通報を受けておりませんので、現段階で意見を申し述べることは差し控えさせていただきたいと思います。
○神田委員 もう一つ、経団連が、装備の国産化あるいは研究開発費の増額、それから正面装備の充実というようなことで、防衛生産委員会がこのたび防衛庁長官を初めとして関係者にその考え方を示したようであります。この中で、中業の問題を初めとしまして、この中業は閣議決定として政府としての責任体制を明確にする、それから、防衛費総額に占める資本支出、研究開発費の比率を高め、それぞれ三〇%、二%に引き上げる、装備の国産化を推進する、こういうふうなことが出されておりますが、この点について防衛庁長官はどういうふうにお考えになりますか。
○和田(裕)政府委員 いま御質問の文書は、五十七年四月九日付で出された文書かと思います。五六中業は御存じのとおりいま防衛庁内部で鋭意作業中でございますので、詳しいコメントは差し控えるべきではないかと考えておりますが、一般的に言いまして、いま御質問のありました第一点の装備の国産化についての考え方を申し上げますと、基本的には、自衛隊の装備品の調達に当たりましては、国産をするという方法と輸入によるという方法がございます。また、国産の中にも、外国から提供されました技術に基づきましてライセンス生産をするというのも入ってくるわけでございます。 これらの方法は、それぞれ長所もありますし、短所もございます。いずれにいたしましても、防衛庁はそういった長所、短所を踏まえつつ、具体的なケースごとに即しまして、最も防衛の所要の目的に達するものを効率的に、かつ経済的に調達するということが基本ではないかというふうに考えておりますけれども、また同時に、わが国の自衛隊の装備品につきましては、国土、国情に即しましたものをみずから調えるということが非常に大事ではないかというふうに考えております。それがまた同時に、装備面から見ましたところの防衛力の基盤を養成することにもなり、わが国に防衛技術、それから防衛生産の基盤というものを維持育成していくゆえんになるのではないかというふうに考えておるわけでございます。 それから、中期業務見積もりのあり方とか資本支出の充実でございますが、これにつきましては冒頭申し上げたようなことでございますけれども、幸いにいたしまして、資本支出の充実につきましては、人件費がこのところ逐年下がりつつあるというようなこともございまして、毎年少しずつ資本費が増大をしております。また、研究開発の充実につきましても、おかげさまをもちまして最近この五年間につきまして逐年上昇しておりまして、五十七年度の予算におきましては一・三八%になったというような状況でございます。まだまだ非常に少ないという御意見はあろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、そういう方向で鋭意努力しているところでございます。
○神田委員 防衛庁長官は、この経団連の防衛生産委員会の提出しましたいろいろな問題について、どういうふうにお考えになりますか。
○伊藤国務大臣 いま装備局長から申し上げたことでございますけれども、私自身、まことに残念ながらまだその要望文書を拝見しておりませんので、いまの装備局長のお答え以外のことはいまのところ申し上げられません。
○神田委員 それでは、次に、極東有事の問題についてお尋ねを申し上げます。 極東有事研究が発足をして研究開始ということになったわけでありますが、この構成メンバーというのはどういうふうになっておりますか。
○淺尾政府委員 極東有事の出席者、構成メンバーは、まず日本側でございますが、外務省から松田審議官、それから、防衛庁からは池田防衛審議官及び統幕の事務局長、アメリカ側は、ムーア在日米軍参謀長、それから、在京米大使館のイマーマン参事官、その他、日米双方ともその下のスタッフがそれぞれ出席しております。
○神田委員 そうして、この研究メンバーは、主にどういう問題について研究をされておりますか。
○淺尾政府委員 一月二十一日に初会合を開いたばかりでございます。審議官レベルの会合については、他の委員会でも御報告しておりますけれども、国会その他の都合がございまして、実はまだ第二回の審議が開かれておりません。その間に担当者レベルでいろいろな折衝が行われておりますが、いまのところ、まだ具体的な進展が見られてないというような状況でございます。
○神田委員 極東有事の研究対象については、日米ガイドラインで想定されているものは極東における事態であって、日本の安全に重要な影響を与えるということでありますが、この場合、研究対象について地域限定はあるのでありましょうか。
○淺尾政府委員 いわゆる第三項あるいは極東有事と言われております研究、その場合の地域については特定しておりません。しかし、安保条約第六条に基づく研究でございますので、ここで言っております極東というのは、安保条約のもとの極東と同じように考えていただいていいと思います。
○神田委員 そうしますと、有事対象ということがその基本にあるわけでありますが、これはその具体的な想定なしには有事対象というのは行われるものではないわけでありまして、特定な地域を想定したものではないという答弁でありますが、安保六条の問題からいいますと朝鮮半島の有事を想定した、こういうふうに考えられると思うのでありますが、どうでありますか。
○淺尾政府委員 極東の事態でございますので、朝鮮半島というのは排除するわけではございませんが、その地域だけに限定されるものではございません。
○神田委員 中東有事はこの研究に入りますか。
○淺尾政府委員 これは含まれません。
○神田委員 そうしますと、中東有事が発生した、その関連事項については、当然研究対象になっておりますね。
○淺尾政府委員 いま、ちょっと御質問の趣旨が私よく理解できないわけでございますが、極東で、ある事態が起きた場合、その点についてはすでに日米安保条約、地位協定の枠内でやるということでございまして、いわゆるガイドラインに基づいて研究協議を行うということではないというふうにわれわれは理解しております。
○神田委員 ドネリー在日米司令官の記者会見等が前にありましたが、そこで、朝鮮戦争のときに受けたような便宜供与を受けたいと明確に言われております。それは、いわゆる民間空港を初めとするさまざまな問題がありますが、それらを全部統括するのか、そしてさらに、これらが現行法で可能なのかどうかという問題は、いかがですか。
○淺尾政府委員 ドネリー在日米軍司令官が記者会見において、朝鮮戦争のケースを引用しております。しかし、朝鮮戦争が行われた事態、その大部分というのは日本がまだ占領下にあったわけでございまして、その事態が今度の研究そのままに当てはまると言うことはできないのではないかということでございます。したがって、今度の極東有事の際には、その極東有事の中に書いてございますように、あくまでも安保条約あるいは地位協定、その他関連取り決め及び関係法令の枠内で考えていくということでございまして、これからアメリカ側が出してくるものについて日本側として研究をしていく、こういうことになると思います。
○神田委員 安保六条関係になるわけでありますが、この極東有事研究の六条関係の場合は、五条関係のガイドラインよりもさらに他省庁にかかわる部分が多い、そういう意味で、防衛、外務だけではなくて、政府全体でこれに取り組む姿勢をつくるべきではないかという意見がありますが、その点はどうでありますか。
○淺尾政府委員 この点につきましては、安保協議委員会をことしの初めに開く前に、閣議において、安保協議委員会において極東有事の研究を開始しますという報告を外務大臣からされ、その際に、いずれ各省庁に協力をお願いすることもあるということを述べられております。しかし、現在の段階では、まず外務、防衛というものが構成メンバーになって話をしているということでございます。
○神田委員 これらの問題は、つまり、総合安全保障関係閣僚会議あるいは国防会議で当然取り上げられるような問題を含んでくるわけでありますから、この研究が進展していく段階で、これらの関係機関においてそれらを取り扱うような考え方はございますか。
○淺尾政府委員 この極東有事の研究というものは非常に息の長い研究でございまして、いまのところ、いつ終わるかということの予想を立てることはできないわけでございます。したがって、そこで出てきた研究の結果についてどういうふうにどこの機関に対して報告するかということも、まだ決定しないわけでございます。一つ言えることは、このガイドラインをつくりました際に、極東有事の研究もある程度の成案を得た場合には安保協議委員会に報告するということでございまして、その際には、あわせて当然閣議にも報告する、こういうことでございます。
○神田委員 いま、どのぐらいの期間でこれをやるかわからないと言っておりますが、最初は二年程度をめどにという話もあったのですが、期間の問題、これはどうなんですか。どういう状況でこれを進められるのですか。
○淺尾政府委員 私の承知している限りでは、二年という数字がどこで出てきたかわからないわけでございまして、何もだらだらとやるわけでございませんけれども、別に、期限を切ってと、こういうことではございません。
○神田委員 次に、極東ソ連軍の問題について二、三お伺いいたしたいと思います。 五十六年度の防衛白書によりましても、「最近ソ連軍が、極東、ザバイカル、シベリアの三軍管区及びモンゴル所在の部隊を統轄する統合司令部を設置したと言われることは、ソ連が極東に大きな軍事的関心を示しているものであり、単に中国のみならず、太平洋方面も念頭にあるともみられ注目される。ソ連がこの地域に統合司令部を設置したのは初めてのことであり、従来各軍管区ごとに配備されてきた東アジアの兵力を統一的に指揮運用することにより、即応能力及び兵力運用の柔軟性を高めるという目的もあるとみられる。」こういうふうに分析しておりますが、このことは、いわゆる日本との関係においてどういうふうに考えてよろしいのでありましょうか。
○伊藤国務大臣 先生が明らかにされましたように、統合司令部を設置した目的というのが、従来各軍管区ごとに配備されてきた東アジアの兵力を統一的に指揮運用することによりまして、これまた先生御指摘のように、即応能力なり兵力運用の柔軟性を高める目的を持ったものであるというふうに防衛庁としては考えております。
○神田委員 一説によりますと、こういう形でソ連が軍管区を統合するというのは、有事態勢に近いいわゆる軍管区の編成だ、こういうふうに言われておりますが、その辺のところの分析はどういうふうになされておりますか。
○伊藤国務大臣 先生御指摘の有事態勢ということがどういう意味があるのか、若干むずかしい問題でございまして、そのままにお答えはいたしかねますけれども、先ほど申し述べましたように、東アジアの兵力が統一的に指揮運用されることによりまして、即応能力なり兵力運用の柔軟性が高まるという目的を持ったものであるというふうに防衛庁は理解をしております。
○神田委員 理解をしていて、それでどういうふうに考えているか、ちょっとあれなんですがね。
○新井政府委員 ただいまの防衛庁長官の御説明を若干補足いたします。 先生の御質問で、まさにそのような統合司令部ができたということが日本にとってどういう意味を持つか、あるいは有事態勢、そういうような事態と想定していいのかどうかということでございますが、この点につきましては、いままで繰り返し申し上げておりますように、最近のソ連の極東における質、量両面にわたる増強、たとえば師団数の増加であるとか、太平洋軍艦隊の増強、あるいは北方領土における師団単位の兵力の再配備等々、そういう一連の関連でとらえた場合に、全体としてわが国に対する潜在的な脅威の増大である、その一つ一つの事象であるというふうに受けとめてよいかと思います。
○神田委員 最後に、北方領土の返還運動をわれわれ一生懸命やっているのですけれども、依然として、北方領土においてはソ連の軍備配備が継続されておりますが、特にと申しますか、北方領土における軍備配備のその後の状況、ソ連軍による戦力増強やそれらについてどういうふうになっておりますか、御説明をいただきたいと思います。
○新井政府委員 北方領土におけるソ連軍の動向でございますが、いま私が若干触れましたけれども、地上兵力につきましてはほぼ師団単位、師団規模である。これは島嶼であるという特性を利用いたしまして特別に編成された師団でございますけれども、そういうふうに考えております。さらに、このほか国境警備隊約三千人がいるであろう。 さらに、具体的に装備について申し上げますと、戦車、火砲、それから対空ミサイル、さらにはミル24といいます攻撃ヘリコプター、そのほか警備艇十数隻、さらにヘリコプター、それから輸送機五機等がいるというふうに考えております。 それで、最近、これらの兵力規模、数については、特段の変化があったというふうには見ておりません。
○神田委員 終わります。
○細田委員長 次に、金子満広君。
○金子(満)委員 自衛隊の例のP3Cが得た情報、そしてまた、その情報の米側との交換問題、このことから、いわゆる日米間の情報交換という問題が今度の国会、特に予算委員会を中心に議論されてまいりましたが、現在の到達点というか、政府の見解で言えば、二月十日の予算委員会で塩田局長が答弁された次の点であろうと思うのです。「平時であると有事であるとを問わず、いろんな情報収集をやっておりますし、また、収集した情報につきまして、いろんな国、たとえば日本の場合、安保体制の相手方であるアメリカとの間に情報交換をしておるということはそのとおりでございますが、その場合に、どういう情報について収集し、そのうちどういう情報は交換しておるというようなことを一々公表することは差し控えさせていただきたいというのが私の答弁の趣旨でございます。」こういうふうに言われているわけですね。 つまり、平時、有事にかかわらず、日米間で情報の交換はある、しかし、内容については公表できないものもあるので、その点は了解してくれ、こういう内容だと思うのです。この点について、伊藤長官、現在の段階ではこれでよろしいのですね。
○伊藤国務大臣 お読みいただいたことで変わりありません。
○金子(満)委員 そこで、情報交換でありますから、一方的にこちらからだけ流れるのじゃなくて、向こう側からも来るのだと思うのですね。もちろん日米間は、そういう点ではあらゆる場合に交換をするということですから、それは対等であり、平等であろうと、私も筋道からいってそう思うのです。したがって、米側からの情報というのが平時あるいは有事の際にも自衛隊に提供される、こういうことだと思いますが、それはいいのですか、それで。
○伊藤国務大臣 日米安保体制下におきまして、日米が平素から相互に必要な情報交換を行うことは当然必要なことであり、現在必要な範囲内において情報交換を行っております。
○金子(満)委員 つまり、必要な範囲という中で私が聞いているのは、交換ですから、こちらからも行くし、向こうからも来る、それはもうお認めになったわけですね。そうしますと、公表しないものもあるというのは日本政府の側の立場でもあるわけですから、アメリカの側から提供された情報も公表されないものもある、こういうことですか。
○塩田政府委員 最初に先生お読みになった私の答弁からもお察しいただけると思いますが、むしろ公表しない、軍事情報の交換でございますから、事柄の性質上、公表しないというのが原則であります。
○金子(満)委員 そうしますと、核兵器を積んでいるとか積んでいないとか、あるいは核兵器がどこにあるとかないとかいう点については、情報として提供されるのか、されないのか、この点について伺いたいと思います。
○塩田政府委員 最初にお読み上げになった私の答弁の中にありますように、どういう情報は交換するとかしないとかと言わないということが原則だということでございますが、いまのお尋ねは一番基本的な問題でございますからお答えいたしますけれども、核の所在については、アメリカ側はわが方に対して情報提供をいたしません。
○金子(満)委員 自衛隊の側からは、ほとんどみんな情報は提供されるのですか。特に極東有事の際、大事なことだと思うので、念を押して聞いておきたいと思うのです。
○塩田政府委員 ほとんど皆というお尋ねでございますが、量の問題じゃなくて、有事の場合は日米共同対処ということになりますから、共同対処上必要な情報は相互に交換する、こういうことになると思います。
○金子(満)委員 自衛隊の側は、得た情報は、日本平時、極東有事の場合でも常に交換する、発表はしないことがある、こういうことですから、そこで言いますと、アメリカの側からは絶対知らせないというものがあるわけですね。 これは去年の五月二十二日、赤坂のプリンスホテルで矢田統幕議長が講演され、そしてまた質問を受け答弁された内容が「新政経フォーラム」という、一九八一年の二十五号に出ておりますが、次のように言っているのですね。「今、日米双方で秘事項にわたることの情報交換はある程度やっておりますが、その中でも潜水艦の行動だけは交換はありません。制服同士でもありません。従いまして、SSBNというのは、お互いに最高の秘密にしておりますから、それは御承知の通り、ICBMの核でやり合った後、残るのは何かと言ったらSLBMだという考え方であります。ソビエトもそうですが、アメリカもそうです。SSBNの行動に至っては最高の機密にしております。従って私は艦長」——艦長というのは、あの原潜当て逃げ事件のジョージ・ワシントン号でありますが、その「艦長の立場もわかるんですが、かわいそうにと思いますけれども、彼は悪いことしたと思って、いろんなことをやりたいと思っても、自分の存在がわかったら申し訳ないということが手伝っているんじゃないでしょうか。」ですから、米側は、日本側に絶対知らせないというのが初めからあるわけですね。こういう中での情報交換というのですから、これはえらいことになるだろう。 つまり、核の問題について、あるいはアメリカの潜水艦の所在については日本側に知らせません、こういうようになっているのですが、これはそのとおりですね。
○塩田政府委員 核の所在については、日本側には知らせてまいりません。
○金子(満)委員 ですから、そういう仕組みの中での情報交換ということになるわけですね。しかも、日本が平時であって、極東は有事であって、日本は戦争していない、アメリカが第三国と戦争しておるというときに、私はここで大事な問題が起こると思うのですね。だとすると、具体的な場合を考えてみるのです。極東有事の際、つまり、日本は平時だが極東有事の際、アメリカの交戦相手国のたとえば原子力潜水艦、これを自衛隊のP3Cがまず捕捉をいたします。それを米軍に提供します。米軍は、オーケー、ありがとう、こういうことで、その情報に基づいて核兵器で相手国の原子力潜水艦に攻撃を行うということは、あり得るのではなくて、これが本筋だと思うのです。そして、P3Cの機能については、これまで、きょうの政府側の答弁でも非常に性能がいいということを言われているのですから、相当の情報が入るわけですね。 そこで、これは判断の問題ですから防衛庁長官にお聞きしたいのです、局長の方はちょっと後で聞きますから。というのは、自衛隊が得た情報を米軍の核攻撃に提供する、言いかえれば、アメリカの核攻撃の手引きをする、手をかすということに私はなると思いますが、この点はどうですか。
○塩田政府委員 まずお断りをしておきたいのは、いまの仮定のお尋ねでございますが、日本がまだ平時であって極東が有事である場合、アメリカが極東のどこかで何らかの行動をしているという場合のお尋ねでございます。日本が平時であります場合、日本の対潜哨戒機は、日本が現在普通に平時として行っております監視活動は行います。しかし、日本が平時でございますから別にそれ以上のことをする必要はございませんので、日本の対潜哨戒機が相手側の原子力潜水艦の所在を積極的に捜すということをするわけではございません。その点は、先生のお尋ねが、何か日本のP3Cが相手方の原子力潜水艦の所在を捜してそれをアメリカに通報するというような仮定のお尋ねでございましたが、そういうことをわれわれ考えておるわけではございません。
○金子(満)委員 これは考えるとか考えないじゃないのです。だって、P3Cというのは潜水艦を目的にしたものでしょう、ほかのことではないわけです。普通監視活動をやっている空域というのは、日本の領空だけじゃないのです、幾らか外へ出るでしょう。どこまで出るかというのは、さっきも一千海里だとかなんとかと、たくさん言われていますね。だって、仕事が潜水艦を見つけるわけです。日本の潜水艦とかアメリカの潜水艦を見つけたってしようがないじゃないですか。有事のときに見つける潜水艦というのは、アメリカの交戦相手国だということになるわけです。そのときに、これは黙っているのか、あるいはいまの局長の言葉で言えば、意識的に捜すとか捜さないじゃなくて、飛行機そのものの任務が、海の中にいるかいないかという潜水艦を捜すのが商売でしょう、そして、得た情報は交換すると言うのだから。それはいまのように仮定の問題じゃなくて、そのために八十機もこれは買い込むわけでしょう。では、これは何も情報をやらないで、ただ空の上を飛んでいてということじゃないでしょう、そこのところをはっきり答えていただきたいのです。これは大変な問題だと私は思うのですよ。
○塩田政府委員 前提が、日本にとってはまだ平時の時代でございますから、日本としては平時の監視活動を行うというだけのことでございます。だから、日本が特別に原子力潜水艦を捜すということは……(金子(満)委員「監視活動で得た情報なんです。どうするのですか」と呼ぶ)日本としては平素の監視活動を行うということだけでございます。その得た情報をどうするか、どういうふうに交換するかしないかということにつきましては、先ほど来お答えいたしておりますように、どういう情報を交換するということを申し上げることはできないということでございます。
○金子(満)委員 だから、私は聞くのです。塩田さん、あなたも、その情報は交換するし、提供すると言っているのですよ。公表するかしないかは答弁を差し控えたいと言うのだから、普通の状態で得た資料は出すことになっておると思うのです。そうでなかったら、あなたの二月十日の答弁は違うわけです。一切を黙っていると言うならまた別ですよ。それから、かつての答弁は、極東有事で日本が平時の場合には、自衛隊は情報は提供しませんと言っていたのだから。それをだんだんぼかしてきて、答弁は差し控えたい、これがわが党の不破書記局長に対する答弁だった。今度はその先へいくと、楢崎委員に対しての答弁では、いま私が読み上げたところまで来たわけです。きょうはまた、そこでちょっとひねくるわけですね。情報活動と言っても、普通やっていることが情報をつかむのでしょう、まさかそこへP3Cが突っ込んでいくわけじゃないのだから。それはアメリカと交換をしているのだから、何か言った内容は言えないということでしょう。このくらいはっきりしたことはない。あなたの答弁を見ればちゃんとそういうようになっているのです。それであるならそれでいいのです。だからどうかというのは次の問題になりますが、そういう点で恐らく同じ答えをするだろうから、私はここのところを次の点まで含めて申し上げておきたいと思うのです。 つまり、核兵器はつくらない、持たない、持ち込ませないという非核三原則、これは日本の国是だと言ったのですね。なぜ国是になっているのか、これは、日本が核戦争に巻き込まれないためのものだと思うのです。ところが、日本が平時で極東が有事のときに、自衛隊が米軍の核攻撃をするための手引きをする、手をかす、そのことについてはしないということを言わないのです。 塩田局長、では、情報は絶対提供しないということがここで言えますか。言えれば言ってもらっていいのです。提供はするけれども内容は言えないと言うなら、またそれも答弁の一つですから、私は別にどうというわけじゃないのです。その点をもう一度伺っておきたいと思うのです。
○塩田政府委員 何度も申し上げておりますように、日本がまだ平時という前提でございますから、日本は平時における普通の監視行動をしているだけだということでございます。その普通の監視行動をしておる情報は、先ほど来申し上げておるとおり、交換する場合がありますけれども、どういう内容であるかは言えないということでございます。
○金子(満)委員 だから、やるということなのですよ。これはもうはっきりしているのです。そうでなくて通るはずがないし、いまの答弁では、やるということは明確で、内容は言えない。そうしますと、これはこういうことになると思うのです。非核三原則という国是がある。その国是は、日本が核戦争に巻き込まれないためのものだ。これが大前提であり、基盤であると思うのです。ところが、平時で集めた情報、これは交換はするけれども、内容は言えないということですから、そうすると、得たアメリカの側は、この情報に基づいて一つの行為をするわけです。これが核攻撃になることは、あり得るのじゃなくて、そういうものなのだ。そうしますと、日本は相手側にとっては米側に対する共犯者になるのです。また、そういうことを行えば報復核攻撃を受けるという問題にまで発展しかねない、こういうことになると思うのです。 したがって、いまの局長の答弁の点から言えば、二月十日の楢崎委員に対する答弁、そして、その確認の上に立って、平時でも得た情報は提供します、交換はします、しかし内容は言えないということで、これは核問題にもなってくるということになると思うのです。もしそうでないとしたら、核の所在は言えない、それから潜水艦の所在は言えないということだけで押し通したら、事前協議そのものが成立しないのじゃないですか。だから、事前協議があったって発表しないことがあると、いままで言ったこともあるでしょう。その点はどうなんですか。
○塩田政府委員 私、重ねて念を押しておきたいと思うのですけれども、日本にとっては平時ですから、平時に行っている監視活動しかしない。それは潜水艦を捜すためのことをやっておるわけじゃありませんから、その点は念を押しておきたいと思います。 それから、情報は平時でも交換すると言いました。それは確かに言いましたが、同時にまた、お断りしておきたいのは、全部交換するとは言っておりません。必要に応じて交換するということを言っております。その内容を申し上げるわけにはいかない。(金子(満)委員「交換した内容によって言えないものもあるということでしょう」と呼ぶ)そういうことでございます。
○金子(満)委員 だから、私の解釈が少しも間違っていないのですよ。そして、第三国の潜水艦を見つけた場合、平時であっても見つかるのですから、極東は有事になっているのですから、そのとき情報は交換する、いまの答弁もそうなんですね。ただ、二月十日の答弁があるために、局長はそこのところからなるべく出ないように出ないようにしようとしているけれども、平時に得たものは交換することはある、出さないものもあるけれども交換するものはあります。その内容は、ちゃんと二月十日でも公表することは差し控えさせていただきますと言うから、公表できないものもある、区分けをちゃんとしているのだ、だから、秘密事項とそうでないものがあります、しかし交換はします、こういうことになるわけですね。だから、そういう点で、この情報交換という問題はさらに大きな問題になりかねない。 いままで一定のところから階段を上り、一定の解釈で既成事実をつくっておいて、また次の階段へ上っていく、そうして世間も国会も余りびっくりしないうちに少しずつ路線転換をやる、そしてエスカレートさせてきたというのが、この情報交換の経過だと思うのですね。いまの局長の答弁、これは長官に聞いても同じことを答えるだろうと思いますけれども、この点は非常に大事な問題で、交換はする、平時でもやる、こういう点は大事だということを指摘して、次に進みたいと思うのです。 次は、六月に開かれる第二回の国連軍縮総会についての問題ですが、これはいろいろいまヨーロッパでも、アメリカ自身でも、アメリカの議会人の中でも核問題というのは重大な問題になって、大きな運動と世論が巻き起こっている。もちろん日本も例外ではないと思うのです。その中心は核兵器の完全な廃絶であり、核軍縮を一刻も早くということだと思うのです。ところが、日本の政府は、鈴木総理大臣の言葉をかりれば、軍事力の均衡が核の抑止力になる、こういう意見で来ているわけですね。だから均衡が破れてはだめだ、均衡することが核戦争の抑止力になるのだ、こういうことを言われているわけですが、それはそれとしておいて、さらにもう一つの意見というのは、西側の軍事力が優位にならなければ軍事的な抑止力にならない。つまり、均衡しておいてだんだん下げるという理論が、現実的でないにしてもあるわけです。ところが、西側が優位に立たなければ核軍縮の交渉には役立たないのだ、こういう考え方もありますが、その優位に立つという見地は、外務省の方、どうですか。西側が軍事力の優位に立たなければ軍縮の交渉は成功しない、こういう見解がいろいろ見えるのですけれども、そういう立場でやっているわけですか。
○門田(省)政府委員 お答え申し上げます。 現在、ヨーロッパにおきますところのいわゆる中距離核兵器の削減交渉、これが問題になっておるわけでございます。実はこの交渉の背景には、七〇年代の後半において、ソ連側によるところの中距離核兵器の増強が著しく行われたのでございます。つまり、SS20の開発、生産、配備でございます。このような状況下におきまして、NATO側といたしましては、このようなソ連側による核兵器の配備を削減してほしい、核軍縮してほしいという要望を伝えたのでございますが、それに対しましては期待するような回答が参らなかったということで、それで二重決定をいたしまして、一応の交渉への足場固めをした上で軍縮を推進していく、このような態度に出ているわけでございます。これをどのように評価するかは別といたしまして、交渉に際してはやはり十分な足場固めがないと目的は達成されない、これが西側の考え方である、かように理解しております。
○金子(満)委員 足場固めというのは、相手側より優位になるということですか。そういうこともあり得る、優位でなければ交渉がうまく進まないということですか。
○門田(省)政府委員 この優位であるかどうか、これはすぐれて判断の問題でございまして、判断の当事者は、本件の場合にはNATOであり、ワルソー側である、かように考えます。したがいまして、何が優位であり、しからざるか、この点につきましては、この場で申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
○金子(満)委員 衆議院の本会議あるいは委員会で総理がしばしば答えているのは、この軍事力のバランス論なんです。ですから、足場というのは、実際は別として、いま差があるからこれを埋めていくことが軍縮に役立つのです、一度は上げて下がるのですという解釈をしているわけです。ところが、追い越さなければ軍縮交渉で下げられない、そういう話し合いの力にならないのだ、こういう解釈があるかどうかということなんです。それは外務省なり防衛庁の中に、政府の中にあるかどうか、そういう議論の問題を聞いているのです。
○門田(省)政府委員 そのような解釈はアメリカ、NATO諸国の間にある、かように了解いたしております。
○金子(満)委員 日本の政府の側にはないのですか。
○門田(省)政府委員 実効性のある軍縮を推進していく上におきまして、そのような見解は理由のあるもの、かように思われます。
○金子(満)委員 理由のあるものということですか、いまちょっと聞き漏らしたのですが。
○門田(省)政府委員 そのように申し上げました。
○金子(満)委員 これは大変なことだと思うのです。つまり、軍事力のバランス論というのは、優位に立つ競争論なんですね。 それは、実は総理の言葉の中にあるわけです。ワインバーガー国防長官来日のときに、総理は、西側が軍事力の面で優位に立つことは軍事的抑止力となり、軍縮交渉に役立つと理解している、それには西側の結束が大切であり、米国は西側のリーダーとして、西側の結束が緩まないよう十分配慮してほしい。これは別に取り消しも何もないわけですから、そのまま見れば、まず、西側の一員として日本は、とにかくいま米ソ間でやっている競争でソ連中心のもう一つの軍事ブロックの上に立つ、均衡じゃなくて上に立つ、そのために、おかしな話で日本はいつリーダーを見つけたか知らぬけれどもアメリカをリーダーにしてしまって、大いにがんばってくれということをやっているのです。この点は非常に大事なことで、決して対等でもなければ平等でもない、明確な従属性ということをここに出したことだと思うのです。 そこで、そのことも含めますが、それはひとつおいて、今度は外務大臣にちょっとお伺いしたいのですが、これは政治理念、考え方の問題ですから答えていただきたいと思うのです。午前中の政府側の答弁の中で、伊藤防衛庁長官はワインバーガー国防長官との会談の内容に触れて、ソ連と交渉する場合ある程度力を持っていなければならないという話が出た、こういうことですが、こういう力を持たなければならないということで日本外交をこれからするのかしないのかという問題ですよ。つまり、これは外交の基本にかかわることなんですね。力とは軍事力のことなんです。その軍事力を背景にしたものでなければうまくいかないのだということを言っているのですが、これは平和に徹するとか、そしてお互いに言いたいことを言い合ってやるとかいう日本の外交の基本姿勢とも変わる、つまり、軍事力を背中に持っていながら、さあどうだ、こういう交渉になると思うのですが、これはいままでしばしば外務省の言ってきている外交の基本に照らしてどうなんですか、ここのところだけ伺っておきたいと思うのです。
○櫻内国務大臣 現実をごらんいただくと、一番適切だと思うのですね。たとえば、いま仮説が、力があって、力でどうこうするというところへお話を進めつつあるように私は受けとめたのでありますが、しからばいまの米ソの間の中距離核戦力の削減交渉はどうか。私はそういう一つの仮説もあり得るかと思いますが、現実には東西の間で鋭意削減交渉をしておるという事実があるわけですね。それからまた、西側のオタワ・サミットにおける協議は、できるだけ低いレベルで均衡を保とう、そして常に対話を忘れないようにしよう、こういうことで、私はそういう線に沿った外交努力をしておるわけであります。
○金子(満)委員 対話で、そしてお互いに軍縮でという、それは外務大臣の言うこれまでのことと同じだと私は思うのですね。ただ、力がなければできないからという形でワインバーガー国防長官が来たとき話が出たということで、日本の側も、そうだ、力の背景がなければできないのだから、そこまでは力をつけよう、いま櫻内さんのお話でいきますと低い水準でということ、これは大臣のいままでずっと言ってこられた言葉だと思うのですね。ところが、さきの答弁は、優位にならなければだめだからそこまでふやしていこう、こういうことになるわけですね。 具体的な問題ですが、レーガン大統領は、向こう五年ないし八年間に約一万七千個の核弾頭を増産する、こういう計画案に署名を済ませたということが、三月二十四日、マスコミの報道で伝えられているわけですが、そういうように、アメリカが新しく核弾頭を一万七千個もつくるというその計画は、いま軍縮という言葉が出ておる中ですから、日本の政府としては、外務省、防衛庁、こういう点は賛成なんですか、反対なんですか、それともやむを得ないからということなんですか、どうですか。
○櫻内国務大臣 これはレーガン大統領がどういうふうに意図しておるかわかりませんけれども、しかし、現実の米ソ間の核軍縮といいますか、核戦力の削減交渉の中では、たとえばソ連が、欧州地域におけるものを凍結しよう、こう言うときに、アメリカ側は、いわゆるゼロオプションでいこう、こういうことを言っていますがね。日本はそういう場合にどういう見解を述べておるかというと、欧州地域だけのたとえばSS20の削減では実際上どうか、極東も含めての削減でなければ効果はないだろう、こういう見解をとっておるわけでございまして、レーガン大統領がアメリカの軍備の計画についていろいろ御意見を持っておられるということについて、私、いまここでとやかく言うあれはないと思うのです。
○金子(満)委員 そうすると、大臣、アメリカのやることだからいいとも悪いとも言いませんということですか。
○櫻内国務大臣 これはアメリカの判断に基づく軍備をされる、あるいはまた軍縮を言われる、それを日本が一つ一つについて見解を述べたり意見を言う、私はその必要はないと思うのです。
○金子(満)委員 私は、アメリカの核という点で言えば、私どもは核の傘で守ってもらっているとは思いませんけれども、政府自身の言葉で言えば、核の傘に守ってもらっているのだということを事あるごとに言われるわけですが、その核の傘がまた一万七千発ふえるわけですね。そういうことについて、アメリカがやることだから論評はしないということのようでありますが、そこで、さらに次の問題と関連をして、これは外務大臣の御意見を伺いたいと思うのです。 第二回の国連軍縮総会について、四月三日の、これはまたマスコミによれば、アメリカが事前に西側で調整する必要があるのじゃないか、こういう意味のことを言っておるということが報道されているわけですが、日米間でどういうレベルになるか、首脳会談になるか、あるいは外相がやるのか、そこのところは定かでありませんけれども、第二回国連軍縮特別総会に向けて日米間で、うまり西側で協議することがあるかないか、これはもう何回か言われていることですが、改めて聞いておきたいと思うのです。
○門田(省)政府委員 第二回軍縮特総を控えまして、ジュネーブの四十カ国軍縮委員会、さらには来るべき第四回特総準備委員会あるいは国連軍縮委員会、そういった場におきまして、加盟国間での意見調整、意思の疎通を図るということを当然行うことになるわけでございますが、その場合に、西側諸国との間の意見の調整、意思の疎通、これはあり得ることと思います。
○金子(満)委員 具体的には、どういうところであり得るわけですか。こちらから申し入れますか。向こうからですか。場所はどこになりますか。
○門田(省)政府委員 ジュネーブにおきましては、西側諸国の打ち合わせグループ会議というのもございますし、また、グループ間の話し合い、つまり、西側グループと非同盟グループあるいは東側グループの間でも話し合いはあり得るわけでございます。
○金子(満)委員 軍縮総会までに、総理または外務大臣が、アメリカの対応する首脳との会談、これはありますか。
○櫻内国務大臣 軍縮総会がだんだん近づいてきて、そして意見を述べ合うという機会は、これはアメリカの場合でも、また今度ミッテランさんがお見えになりますが、そういう場合でもあり得ると思うのです。ただ、特に日米間の場合、私がヘイグさんとの間で軍縮総会に臨むに当たってお互いの意見交換をするというふうなことを言ったことがございます。しかし、これを特に、いつアメリカと協議をして出ましょう、そういうことにはなっておりませんが、サミットの折に自然に話し合うというようなことはあり得ると私は思いますね。
○金子(満)委員 わかりました。会う機会、また話す機会がそこであるだろうと私も思います。 国連局長、これは次の質問なんですが、軍縮交渉委員会でいま作業がなかなか進んでいないのは御存じのとおりなんですが、四月、日本は議長国になっておるわけです。春の会期というのは今月いっぱいでしょう。いま議長国という責任あるポストに座っている。これは世界から注目されているだけでなくて、第二回軍縮総会を前にして、全くいいチャンスだと思うのです。たとえば、核軍備競争の停止と核軍縮のための作業部会というのができないのですね。つまり、今度の軍縮総会はこういうものが柱に据わらなければならぬというのは、国際的にも衆目の一致するところだし、世界で最初であり唯一の被爆国である日本の声を代表する政府が、ここで何をするかといったときに、議長国であるという点でのせっかくのチャンス、イニシアチブですね。 もちろん、あそこは全会一致にならなければだめだというのはありますよ。ありますけれども、被爆国の政府の代表として、これを議題にすべきであるという提議はできるわけですよ。反対があろうが、賛成があろうが、それは議論させればいいので、初めからどこでコンセンサスがという形で右を見たり左を見たりするのではなくて、そういう点では、核兵器は完全に廃絶する、そして使用禁止をしなければならぬ、核戦争をやらないということであれば、使用を禁止すれば核戦争はできないわけですから、こういう点も議題としてやれるように、CDに政府が指示して積極的にやらせるべきだ、私はこういうふうに思うのですが、どうですか。
○門田(省)政府委員 ただいま金子委員から御指摘のございましたとおりに、この四月には、わが在ジュネーブ軍縮代表部の大川大使が議長になっております。この四月は軍縮特総へ向けての最後の月でございまして、報告の取りまとめというきわめて重要な任務を負っているわけでございます。お話のございましたような議題案も含めまして、非常に重要な議題案がたくさん出ております。 他方、これがまとまるためには、コンセンサス方式がございますので、参加国の合意を見出すということが必要でございますが、それぞれいろいろな問題を内包している重要な問題であるだけに、コンセンサスの取りつけもこれまたむずかしい問題でございます。しかしながら、何とかしてできるだけりっぱな報告をまとめたいということで、全力を尽くして努力いたしております。 ただ、議長国であるということで、どれだけみずから問題を提起して会議をリードしていけるか、これにもおのずと限度がございますが、最大限の努力、役割りを演ずるということで最後までがんばりたい、かように考えております。
○金子(満)委員 その最大限の努力の方向ですが、先ほどからいろいろお話を伺ったわけですが、西側の結束とか、西側の事前協議とか、西側が軍事的に優位にならなければ何々とかいうことではなくて、確かに、いま、米ソ両軍事ブロック間の核軍拡競争の激しさというのは、世界の人々をびっくりさせて、怒りを呼び起こしているのですから、こういうときに、西側、東側、そして非同盟中立諸国、いろいろありますけれども、とにかく原爆で被害を受けたのは日本しかないわけですよ。 だから、あえて言うならば、広島、長崎側に立って、被爆国でなければ、その政府でなければ言えない提案を、おどおど、びくびくしないで堂々と出すべきだ。私は、出先の大川さんに適当に考えろなんと言うのは全く残酷無比だと思うのですよ。そういうときにこそ、外務省なり政府が、唯一の被爆国として世界に向かって言わなければならぬ。広島や長崎で亡くなった人は何も言えないのだから、生きて政治の衝にある人が一番責任があるのだから、核兵器は完全に廃絶してくれ、使用しないでくれ、そして、その国際協定が結べるように第二回の国連軍縮総会は努力すべきである、そういう方向で最善の努力をするようにという点でひとつお願いをしたいと思うのです。 それから、あと五十日で始まるわけですが、総理の出席は、総理自身がしばしば言っておられますから、出るということはわかります。どういう内容の演説をするか、私はわかりませんけれども、きのうの新聞によりますと、宮澤官房長官は十日の広島での記者会見で、二、三日中に草稿をつくり始めたいということを言っていますね。二、三日中というときょうかあしたということになりますが、政府の代表ですからどういう形になるかわかりませんけれども、その点はどんな作業をいまやっておるのですか。 それから、総理がいつ国連総会で演説するか、日程も決まっておると思いますが、その点もあわせてお知らせ願いたいと思うのです。
○門田(省)政府委員 総理の演説につきましては、まだ具体的に取りかかっておりません。 総理の演説日につきましては、ただいまのところ、六月九日ということで事務局側に申し入れてございます。
○金子(満)委員 時間がだんだんなくなりますから、私は、世界が注目し、また、被爆者を初め日本の国民が注目しているこの第二回の国連軍縮総会に当たって、日本の政府が次のことを全力を尽くしてやるように強く求めていきたい、そういう意味で申し上げるのです。 第一は、広島、長崎の被爆の実相を世界に知らせる、そして、核兵器の使用というのは人道に反する犯罪行為であるということを大いに主張する、そして、核兵器はもちろん、中性子爆弾についてもその使用を禁止するための協定の成立のために努力する、これが第一の内容の一つです。同時に、核兵器の製造、実験、貯蔵、配備をすべて禁止をする、核兵器全面禁止協定の実現のために努力する、これは国際的には多数の人々の意見ですよ。いろいろ理屈をつければありますけれども、こういう方向で四年前は国会の決議にもなっているのですから、そういう点で努力する。 第二は、核兵器を持っていない国に対して核兵器を保有している国が、核岳器の配備をしない、させない、この協定を結ばせる、こういう点で努力をしてもらいたいし、また、核実験の包括的な禁止条約の実現、これはもう言われていることですが、これを進める。同時に、核軍拡競争の停止、そして、核軍縮に効果的に役立つ措置。また、生物化学兵器の禁止を期限を決めてやらないと、究極的にはというだらだらした話では困るので、期限を決めてやるということも含めて、ジュネーブの軍縮交渉委員会は必要な作業部会をつくって努力するようにしてもらう、これが第二です。 第三は、非核三原則を国是と言っておるわけですから、先ほどからいろいろ情報交換の問題のときにも申し上げたのですが、事前協議といってもいろいろある。したがって、そのためには、われわれ日本の側の態度を国際的に明確にしておく必要がある。というのは、非核三原則というのは核兵器の運搬手段も含むのだ、一切の核兵器について、名目のいかんにかかわらず、第一は保有、使用しないこと、第二は一切の実験及び製造をしないこと、第三は領海、領空への通過、寄港、一時陸揚げを初め、その対応のいかんにかかわらず一切核の持ち込みを禁止すること、これを世界に宣言をして通告をする必要があると思うのです。国会の答弁で言ったから相手もわかっているはずだという姿勢ではなくて、もっと明確にやっていく必要があるだろう。特に核保有国については、非核三原則を遵守するように外交的な努力を進めるべきだ。 第四は、非核武装地帯の設置の問題であり、アジアにおいてはアジア太平洋地域における非核武装地帯の設置のために大いに努力する。 第五は、民族の死滅にかかわる限定核戦争、これはもちろん反対をして、アジアを核戦場としないために、お話に出ておりますアメリカの巡航ミサイルの配備、ソ連のSS20を含めてアジアにおけるすべての核兵器の配備をやめさせる、そして、日本の核基地、核部隊を撤去させるという方向を打ち出す。 最後は、軍縮軍縮と言っていながら軍事費をふやすのでは、おまえさん何を言っていると向こうに行って言われるに決まっているのですね。こういう点で、軍事費の削減ということを実行する。 以上の点を要望したいと思いますが、一言、外務大臣、いまの点についてお答えを願いたいと思います。
○櫻内国務大臣 かねて来、鈴木総理は、出席するに際してその具体的内容については国民各層及び各党の御意見にも謙虚に耳を傾けると言っておられるわけでございます。傾けつつ内容を検討しよう、こういうことで、ただいま幾つか御意見を述べられたのでありますが、ただ、私は一言つけ加えておきたいことは、この段階で実現可能な具体的措置の促進を訴えるという必要があるのではないか。この軍縮総会でみんなの意見をまとめて、少しでも実現可能な道を探る、これが大事ではないか、そのように私は考える次第でございます。
○細田委員長 金子君、時間です。
○金子(満)委員 これで終わりますから。 最後に、委員長、きょうは時間もなんですし、国連総会までまだ時間もありますので、この委員会で軍縮総会に向けて集中審議ができるように、理事会に取り計らっていただきたいと思います。
○細田委員長 理事会において相談いたします。 次に、中馬弘毅君。
○中馬委員 まず、外務大臣にお尋ねしたいと思います。 日本の安全保障にかかわる最近の国際情勢についての政府の姿勢を少しお聞きしたいと思うのですが、国際的な経済停滞で、各国とも多くの困難な国内問題を抱えております。不況、失業、また国際収支の赤字といったこと、これは先進国あるいは開発途上国を問わず非常に大きな問題になっております。と同時に、そういうことを原因として局地的な紛争が多発いたしております。この局地的な紛争に対して、わが国の対応と申しますか、これを誤ると、日本の将来にも一つの禍根を残すことになりましょうし、国家安全保障の上からも非常にまずいことも起こってくることが十分予想されます。 従来は、アメリカへの外交追随とあえて言いますけれども、そういった場合でも、諸外国は日本の置かれた立場からして、戦後こうして立ち上がってきたものとして、そういう態度を容認ないしは看過していたと思うのですね。しかし、アメリカの国際社会における相対的な地位が低下し、逆にわが国の国際経済に占めるウエートが増大してまいりますと、わが国独自の判断が求められるようになってきております。こういう観点から、今度のアルゼンチンの問題を含めまして、政府の姿勢を少しお聞きしたいと思うのです。 わが国は、どうも一つの方針が一貫してなかった、ややもするならば、アメリカの方針に大体従ってきておったがために、他国から見るならば、これは人道的な立場で対応したのか、あるいは武力を行使していることがけしからぬということで対応しているのか、あるいは何か日本の資源の確保のために対応しているのか、そのことがどうも不明確であったのじゃないかと思うのです。やはりそろそろ日本としては、どういう立場でこういう態度を決めたのだということが、国民にももちろん、国際社会においてもはっきりとするような形にしていかなければいけないのじゃないか、そうしないと多くの誤解を受けるという気がするのです。 そういう観点から、今度の国連安保理事会におきますイギリスの提案、決議にわが国が同調したこと、これの是非を問うているのじゃありません、これに一つの同意を示したということの日本としての意図あるいは理由といったことを、まず外務大臣にお願いしたいと思います。
○櫻内国務大臣 わが国が局地紛争に対応してまいりました基本的な考え方は、国連憲章にのっとって国連中心主義でいこう、一言で言うとそういう方針をとってまいったと思うのであります。また、国連安保理事会で決議に賛成するか反対するかというときに、一番大事なウエートは、武力行使は認めない、こういう立場でまいっておる次第でございます。 そこで、今回のフォークランドの紛争につきましても、遺憾ながら武力行使ということがございますから、それを否定し、話し合いをすべしと、こういうことでありますので、進んで決議に賛成をしておる、こういう次第でございます。
○中馬委員 この姿勢をひとつ今後とも、各地のいろいろな紛争におきましても日本の態度として筋を通していただきたいことを申し添えておきます。 と同時に、一方でアルゼンチンと日本は相当な貿易関係もございます。小麦や牛肉の輸入の問題もございましょうし、また、アルゼンチンにも相当な資産もございます。また、日本人もアルゼンチンにはかなり在住しております。こういったことに対する影響を外務省としてはどのように御判断なさっておるか、御見解をお願いいたします。
○枝村政府委員 ただいま大臣からも申し上げましたとおり、わが国の安保理事会における態度というものは、わが国の外交の基本方針にのっとってとった態度でございます。したがいまして、アルゼンチン側にもそれなりの説明の努力はいたしておりますが、その点は理解をしておるようでございます。かつ、現地におきましても、一時は若干の、電話などによってどうしてああいう態度をとったのだというふうな照会もあったようでございますけれども、それには懇切に応答するということでございまして、現在のところ、そういう安保理事会においてわが方のとった態度に対しての格別の思わしくない反響というものはない状況でございます。 今後とも、わが国といたしましては、国連憲章はもとより、関係の国際法規にのっとって正しい態度をとっていくことによって、そういう望ましくない反応があることは避け得るものと私どもは信じております。
○中馬委員 今度のフォークランド島に対する侵攻ですが、事実関係はともかくとして、軍部の独走という見方もあるというような新聞記事があったわけですが、これを見てちょっと私も感じたのです。 〔委員長退席、椎名委員長代理着席〕 と申しますのは、その諸島自体がもともとアルゼンチンと同時にスペインから独立すべき、そして同時にアルゼンチンの領であるべきところがイギリスに占領されたというのがアルゼンチンの言い分だと思うのですが、そういうことから言えば、日本の北方領土なり竹島の問題とも共通点は持っているわけでございまして、そういったところに対して軍部が独走して上陸する可能性ということは、これは日本でも皆無の話ではないと思うのです、関東軍が日本の政府の意図を離れて当地で動いたといったような、過去にそういう事例もあるわけでございますから。そうして、現在の自衛隊法を見てみますと、かかる事態を阻止する法的措置があるのかどうか、ここのところ、若干疑問に思うのですけれども、その点はいかがでございましょうか。
○伊藤国務大臣 法律関係につきましては、私、詳しく存じませんけれども、もともと自衛隊は内閣総理大臣を最高の指揮官とし、文民でございます防衛庁長官の指揮監督を受けておるわけでございまして、また、自衛隊創立以来、シビリアンコントロールというものを確立することが自衛隊の存立の本当の基盤でございますので、御心配のようなことは絶対にないものと確信もし、あってはならないものと思います。 もし法律関係のことについての話でございましたら、政府委員から御説明さしていただきたいと思います。
○中馬委員 その法律関係のことを少しお聞きするのですけれども、この自衛隊法七十六条によりますと、総理大臣の指示がなければこれは動けないわけでございます。と同時に、国会の承認も必要なのですけれども、しかし、他国に出ていくわけじゃなくて、たとえば北方四島あるいは竹島という場合は、これは日本の立場から見れば日本の固有の領土ですね、そこに軍隊が動くだけでございますから、他国に侵略でも何でもないわけですね。そして、現地の一個師団なり何なりが何らかのことでそこにただ移動するというような形をとって行くかもしれない。そうするならば、あえて総理から出動命令がなくても、動いた、これに違反したというような形にはならないかもしれないですね。 そうしますと、この自衛隊法の百十九条で罰則がございますけれども、これは上官の命令なしにただ部隊を動かしたりすると三年の懲役または禁錮でしたか、非常に軽い罰則が規定されているだけなんですね。最近の非常に微妙な問題になってきましたし、日本の軍がかなり、これは本来の愛国じゃないのですけれども、愛国的な情に燃えたとしてそういうような行動を起こした場合に、それをどうやって阻止するのか、法的なことがちゃんと整備されているのかどうか、また、それだけの罰則でいいのかどうか、この辺はいかがお考えでございましょうか。 〔椎名委員長代理退席、委員長着席〕
○塩田政府委員 竹島あるいは北方四島等への自衛隊の行動のお尋ねでございますが、これらの島が日本の固有の領土であるということは当然のことでございます。ただ、現在、御承知のようにわが国は実効支配をいたしておりません。そういう意味から、逆にいいますと現在不法に占拠されているという状況でございますが、そういう状況に対しまして、現在自衛隊が御指摘のような要するに武力の行使の目的をもって行くということになりますと、これはもちろん自衛隊の行動について、指揮官の命令なしに、最高指揮官はもちろん総理大臣でございますけれども、命令なしに動くということはできません。 と同時に、その前に前提としまして、現在、そういった竹島あるいは北方四島等につきまして、自衛権の行使における具体的な三要件に当たるような状況がない限り、つまり、急迫不正の侵害、あるいは他に手段がない、あるいは防衛力の行使の範囲、こういったようなことにつきましての三要件に該当するような事態がないのに自衛隊が出ていくというようなことは、これはもう許されません。許されませんし、また、実際上命令も出ないわけでございますから、命令なしに先生の御指摘のような部隊が行って、それがまた法律では軽い罰則しかないではないかというお尋ねでございますけれども、そういうことは毛頭あり得ないというふうに私ども考えております。
○中馬委員 あり得ないのじゃなくて、非常に可能性がある。過去にもそういうことが往々にして、軍部というのは大体そういう行動を起こす可能性が世界の各地でもあるわけですからね。そういうことのシビリアンコントロールが貫徹される意味におきましても、法的な不備があるのであれば、それをするのが当然じゃないかと思っております。そこの御研究をお願いしておきます。 次に、国際紛争ではございませんが、もう一つの最近の問題として、レーガン政権による台湾への武器援助の問題がございます。中国の反発を買っていることは御承知のとおりでございまして、逆にソ連が対中関係修復の呼びかけを始めたりもいたしております。 アメリカの側からいたしまして、中国に対する対応の仕方というのは、いろんな見方があろうかと思うのです。従来は、中国とアメリカが結ぶことによってソ連との手を切らして、逆に一つのバランスの上から極東の平和と安全という立場でしたでしょうけれども、まだそれだけじゃない見方がいろいろあるようでございます。中国の軍事力を非常に強化することによって、ソ連の反発を強くしてしまって緊張を激化させるのではないかという見方があったり、あるいは中国の軍事力を強化させる、経済その他政治的なものも強化させることによって、親ソ近隣国ベトナム等への中国の軍事行動の可能性を増大させるのではないかといったような見方もあるようでございます。 こういったことがアメリカの議会筋でも少し問題になっておりますけれども、わが国の外交としては、今後いかなる方針に基づいて対中国の政策を進めるか。と同時に、アメリカに対して、今回の台湾への武器援助をどのようなことでアメリカに申し入れるか、あるいは判断を示すか、そのところをひとつ外務大臣にお願いいたします。
○櫻内国務大臣 アジアの情勢、ひいては国際情勢全般に関係が出ますが、日本としては米中関係が円滑にいっておるということが好もしいということは言うまでもないと思うのであります。しかるところ、今回、台湾に対する武器供与の問題で米中間に摩擦が起きてまいっておるわけでありますが、われわれは、この米中関係につきまして、恐らく両国ともに相互の関係が円滑にいっていることがアジア情勢に好もしいという判断にあるのではないか、そういう判断があるといたしますれば、この両国が腹蔵なく話し合って問題を解決できないことはないのではないか、こういう判断に立っておるわけでございまして、そういう意見はアメリカ並びに中国に対して申し上げておるところであります。 日本は、中国につきましては特殊の関係がございます。また、中国、台湾ともに一つの中国と主張をし続けておるわけでございますので、そういう現況からいたしまして、アメリカと中国が何としても話し合ってもらいたい、そして、その友好関係を保ってもらいたいということを期待をしておるわけでございます。
○中馬委員 防衛庁としては、特に防衛的な意味から、あるいは台湾が置かれたいまのこの極東における一つの軍事的な意味も含めて、今回のレーガン政権による台湾への武器援助、これと極東の軍事バランスあるいは平和状況といったものをどのように御判断なさっておりますか。
○伊藤国務大臣 ただいま外務大臣からお話しになりましたことで尽きるわけでございますけれども、たまたま先般の私とワインバーガーとの会談でも、先生がお触れになりましたことがワインバーガーの方から話がございまして、それによりますと、レーガン政権による台湾への武器供与問題をめぐって、アメリカと中国との間に若干の不協和音というようなものが生じているようなことに触れまして、しかし、両国とも話し合いにより解決をしたいという意向も持っておるというようなことのお話もございました。 お話のとおり、アジアの平和と安全にとって米中関係の安定はきわめて重大な要素でございまして、また、わが国の安全保障にとってもかかわるところがきわめて大きいものでありますので、そういうことからも、米中間のこのような不協和音というものが友好的に解消されることが大切であるというふうに認識をし、今後この推移には防衛庁としても注目していきたいと考えております。
○中馬委員 近く外務大臣は韓国を訪問されるようでございます。日本の隣国であります朝鮮半島は、韓国と北朝鮮に分かれて、非常に不幸な状態にあるわけです。ソ連の脅威ということも言われますけれども、韓国あるいは北朝鮮、この全体のことで申すわけでございますが、韓国はいろいろな意味においても日本との関係で非常に多くの問題をはらんでいると思うのです。韓国側にしましても、向こうの世論調査で、一番きらいな国が北朝鮮に次いで日本だというようなことにもなっておりますし、逆にいい意味におきましても、日本が韓国の国民にとって最大のライバルだといったような世論もあるようでございます。ここにいかに問題なく両国が永遠に友好関係を保っていくかということは、非常に大事なことだと思うのです。 一方、北朝鮮の方なんですけれども、北朝鮮も過去にはソ連の一つの衛星国的な動きをしておりましたが、最近ではソ連離れになってきております。金日成がこの間、宇都宮さんと話した対談の中にもかなりはっきり言っておりますけれども、超大国からの自立、そして第三世界志向といったようなことでもございますし、コメコンに参加していない共産圏としては、北朝鮮と中国とユーゴの三国だけでございます。ということから、同じ分断国家ではありますけれども、東ドイツとは少し違うのじゃなかろうか。それだけに、南北の平和的な統一の可能性というものが十分に考えられるわけでございますし、同時に、日本の果たし得る役割りというものも非常に重大になってこようかと思うのですが、日本は北朝鮮を承認いたしておりません。パスポートにもありますように、唯一の承認を与えていない外国ということが言えるかもしれませんね。 今度の訪韓に際しまして、外務大臣は、韓国の理解を求めずにそれをやることは危険でございますけれども、韓国の理解を求めてでも、北朝鮮との国交を樹立する意図はおありでございましょうか。
○櫻内国務大臣 朝鮮半島における現状につきましては、恐らく日本人はひとしく重大な関心を持っておると思います。また、朝鮮半島が統一され、平和が維持されるということは、日本として好もしい姿だと思うのであります。本年になりましてからも、韓国側の全斗煥大統領、また、北朝鮮側におきましても北朝鮮平和統一委員会、それぞれ南北統一の提案が行われておりますが、遺憾ながら大きく食い違っておるわけでございます。現在、日本が韓国と国交を持って、戦後特別な関係の中に本日に至っておるわけでございまして、また、北朝鮮につきましては、国交はございませんけれども、経済、文化、また人的交流を積み重ねていこうということで本日に至っておるわけでございまして、現に統一の動きのある両国の関係でございますから、いま日本としてこの動きを見守る、あるいはこの動きが成果あるように努める、こういうことで朝鮮半島の統一、平和を期したいと思うわけであります。 先般もこの点について具体的に申し上げたのでありますが、国連の事務総長のあっせんによるとか、そういうような手段もあるのではないかと思いますが、今後とも朝鮮半島の統一、平和を目標として日本としての協力を惜しまない考えでございます。
○中馬委員 その国交樹立の問題なんですけれども、大臣は、御答弁にございませんでしたが、これをやるとやはり不都合だというお考えですか。それとも、何らかの一つの方法が見つかれば、北朝鮮との国交樹立をした上で南北統一の努力を日本が果たすということでございましょうか。
○櫻内国務大臣 これは、戦後の経緯、また国際的な枠組み、さらには、中馬委員からは最近の情勢の変化というようなことが言われたのでありますが、そういう一つの経緯、過程から現状が生まれておるわけでございますので、いま特にここで私が、あるいは韓国へ訪問するのではないか、それに先立っていろいろ意見を申し上げることは、これは控えた方がいいという認識を持っております。
○中馬委員 その方向でひとつ御努力あらんことをお願いしておきます。 少し国内問題に移りますけれども、最近非常に景気の状況が悪くなってきておりまして、五十六年度もGNPはかなり落ち込むようでございます。五十七年度の防衛費につきましてもこの予算が決まったわけでございますが、その中には、いわゆる人件費増、アップ分が入っておりません。今後決まってくることでございます。そうしますと、GNPの分母が下がってきて、分子の方の防衛費は人件費なども含めて上がるわけでございます。GNP一%の枠内ということでございますけれども、五十七年度の防衛費は当初ではGNPの〇・九三でしたか、そういうことでございますが、これがどの程度一%に近づくか、数字をお持ちでございますか。
○矢崎政府委員 御質問は、五十七年度のGNPが実績で一体どうなるであろうかという点を踏まえての御質問かと思いますが、現在の時点では、政府見通しの数字以上のものは私ども持ち合わせておりませんので、先生のおっしゃいました当初予算ベースの〇・九三%という率以外には、現在申し上げる材料はございません。
○中馬委員 そういうことだろうと思って、こちらで試算をいたしましたけれども、大体いま言われておりますGNP五・二はとうてい実質で行かない、四%弱ぐらいだろうというようなことでございます。これを少し多目に見積もったとしても、そうして例の人件費の補正予算を三百億ぐらい、前年並みと見ましても、これが〇・九七に上がってまいります。五十八年度は多くの後年度負担を抱えておりますし、人件費はもちろん当然上げなければならないわけでございます。そうしますと、普通の経常経費から言えば一%を超えるのじゃないかと思うのです。その上に、五六中業での新規のものがオンされるというような事態になりますと、当然一%を超えてしまうわけで、そういうことにさせてはならないというのが私たちの立場ではございますけれども、このことの質問は、さきの委員がやりましたので、あえていたしません。 ただ、ここで、そういういままでの防衛のあり方だけでいいのだろうか、そうした量を追いかける防衛のあり方だけでいいのだろうかということの疑問をあえて提示したいと思います。 それと関連するのですけれども、自衛隊員の充足率が、あちこち高校を回ってもなかなか充足できないというのが先ほどの御答弁の中にもありました。防衛大学においても、どうも同じような状況が起こっているようでもございます。防衛大学をことし卒業した入学者は実際どれだけであったのだろうか、それが途中で中退したのが何人ぐらいか、そして、卒業しながら自衛隊に任官しなかったのがどの程度いるのか、数字を少しお伺いいたします。
○石崎政府委員 ことし防大を卒業したクラス、二十六期でございますが、それについて申し上げますと、入学した人が六百十九名おりました。中退百四名、卒業者が五百四名、そして、卒業はしたけれども自衛官に任官しなかった人が三十一名、こういう数字になっております。
○中馬委員 去年までの数字をここにずっといただいているのですが、二十期ぐらいのところでは、入学したときの九〇%が任官しているのですね。それがだんだん減ってきまして、二十五期で七六%、そして、いま御報告にありました二十六期が七六・四%、ほぼ同じですね。このようにずっと減ってきているわけでございます。このことの是非を申しません。けしからぬともけしかるとも申しませんが、これが現実なんですね。防衛大学というものに一つのはっきりした意識を持って入ったはずなのに、自衛隊員になるのはそのうちの四分の三にしかすぎないというのが現実なんです。もちろん一般の自衛隊員の募集がままならないことは御承知のとおり。 そうしますと、防衛大綱あるいは五六中業といろいろ議論が出ておりますけれども、従来の延長線上での量をひとつ確保して、これが一つの国防のあかしだといったような考え方でいいのかどうか。もう少し技術集約的なものに結局は変えていかなければいけないのじゃなかろうかという気がいたすわけです。民間の企業におきましても、労働者を減らしてロボットに変えていっている時代じゃございませんか。 たとえば艦艇にしましても、いま時間がございませんから詳しい数字はあえてお尋ねもしませんが、たとえば護衛艦に何十人乗っているのか知りませんが、それをもう少し少ない人間で同じ効果が出せるのじゃなかろうか。一般の日本の商船でも、MO船といって、機関部にはもう人を置かずに全部計器で運転するような形になっております。それがもう日本の商船隊の三分の一ぐらいを占めておってこれがまた別に海員の方で問題になっているわけですけれども、そのようにいろいろ対応を始めているのです。しかし、防衛庁だけが、自衛隊だけが旧来の形で、もちろん努力はされているでしょうけれども、もっともっと根本的にそのことを考え直さなければいけない時代が来たのではなかろうか。また、現実にそういったような国民の意識になってきているのではないだろうか。 本当に国を守ろうという気概の本当のテクノクラートが、わずかな人間で効率よく日本の国防を考えていく時代が来たのではなかろうか。先ほど言いました一%を超える国防費の議論がございますが、人件費がやはり半分近くを占めてしまうのですね。このような状況がいいのかどうか。五六中業にはその辺のところまでも反映させて、防衛大綱はあのときにつくったその数字をただ並べるのではなくて、同じ効果たらしめる方法が考えられないかどうか、防衛庁長官の御見解をお願いいたします。
○伊藤国務大臣 先生御指摘のように、業務の省力化や合理化によって人員の節減に努めることは、自衛隊においても必要なことでございますので、毎年真剣に検討し、努力も積み重ねてきているところでございまして、今後とも積極的にこの方針で推進していきたいと考えております。そして、そういうことによって防衛関係費の中に占める人件糧食費の割合が少なくなるようにして、そのお金で正面装備を中心とする質の高い防衛力の整備や、また必要な研究開発が実施できるようにしてまいりたいと考えております。 ただ、自衛隊の定員は、これまた先生御案内のとおり、もともとわが国の防衛上どうしても必要なものとして積み上げられてまいっておるために、省力化や合理化によって捻出できる定員にはおのずから限度があるというふうにも申し上げなければなりません。したがって、自衛隊がわが国の防衛の任務を全うするために必要最小限の定員はぜひとも確保しなければならないものと考えております。しかし、御指摘のように、防衛力の効率化、合理化にはなお一層の努力を払う必要があるものと考えております。
○中馬委員 この質の問題と同時に、たとえば先ほどから問題になっておりますシーレーンの問題にしましたところで、P3Cをあれだけ買ってやるのが日本の防衛なのかどうかというのは、国民の多くが非常に疑問に思っております。きょうのこの委員会の席での議論を聞いておりましたところで、本当にむなしいものを感じたような次第でございます。本音の議論がなくて、ただ、いかに従来の延長線上で、そして何かぼろが出ないような御答弁が続いておりますし、その辺のことが非常に残念に思うのですね。 多くの国民の思っているようなこと、ここに一つ本音のことが書いてございますので、ちょっと読ましていただきます。 軍事支出拡大を求めるアメリカの圧力は、い いかえればアメリカ製兵器の輸入拡大を求める 圧力に他ならない。この圧力に屈することは自 他を不幸な結末に導くものでしかない。日本は アメリカにとってすでに第一級の武器輸出市場 である。日本がさらに大きな武器輸入国となる ことは、アメリカの軍需産業をはじめ産軍複合 体勢力にとっては、たしかに喜ぶべきことかも しれない。しかし、果してそれがアメリカの民 需部門の活性化、輸出競争力の強化に真に資す る道であろうか。むしろ逆であろう。これは私どももそう実感するわけでございますし、もう少し日本の試験研究、開発研究といったもので、他国の武器をそのまま買うのではなくて、日本で日本独自の防衛のあり方を、先ほど申しました技術集約的な形でできるのではなかろうか。 いまのこの議論、これは野党の方でも、評論家の議論でもございません。自民党の中の議員の皆さんがお配りになっているパンフレットの中の言葉なんですね。そして、先ほどの議論もありましたが、個々の議員さんと話してみると、これが本音だとおっしゃる方も多いですし、あるいは自衛隊の中にも、また外務省の中にも、個人的に話すと、このようなことがはっきりと、日本の防衛のあり方をもっと真剣に考えなければいけないといった議論が出てくるわけでございます。しかし、それがこの国会の場になりますと、一部のこういった議論だけの形式的な話だけになってしまうことを、非常に残念に思っております。 委員長にもお願いいたしますけれども、もう少しこの安全保障特別委員会というものが、本当に日本の国防のことを考えて本音で話し合えるような形というものを何か考えていただきたいということをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。
○細田委員長 ただいまの最後の話につきましては、私としましてもそういう感じを非常に強く持っておりますので、今後とも、各党の理事並びに委員の皆さん方の御協力をいただきたいと存じております。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後七時十二分散会