予算委員会 第1号
- 発言数
- 394 件
- 登壇者
- 37 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 1981/10/05
会議録
○委員長(植木光教君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 高いところから失礼でございますが、一言ごあいさつを申し上げます。 私、去る九月二十八日の本会議におきまして、予算委員長の重責を担うことになりました。まことに光栄でございます。この上は、厳正公平、公正無私を旨とし本委員会の運営に当たる所存でございます。 何とぞ皆様方の御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げましてごあいさつといたします。(拍手) —————————————
○委員長(植木光教君) それではまず、理事の辞任についてお諮りいたします。 古賀雷四郎君、宮田輝君、大川清幸君から、文書をもって、理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(植木光教君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。 現在、理事が六名欠員となっておりますので、その補欠選任を行います。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(植木光教君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に土屋義彦君、井上吉夫君、竹内潔君、松尾官平君、渋谷邦彦君、田渕哲也君を指名いたします。 —————————————
○委員長(植木光教君) 次に、調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。 本委員会は、今期国会におきましても、予算の執行状況に関する調査を行うこととし、この旨の調査承認要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(植木光教君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(植木光教君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(植木光教君) 予算の執行状況に関する調査を議題といたします。 まず、理事会における協議決定事項について御報告いたします。 質疑を行うのは、本日五日とすること、質疑時間総計は百四十分とし、各会派への割り当ては、自由民主党・自由国民会議三十九分、日本社会党四十一二分、公明党・国民会議二十四分、日本共産党十一分、民社党・国民連合十一分、新政クラブ六分、第二院クラブ六分とすること、質疑順位及び質疑者等についてはお手元の質疑通告表のとおりとすること、以上でございます。 右、理事会決定どおり取り運ぶことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(植木光教君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(植木光教君) それでは、これより順次質疑を行います。赤桐操君。
○赤桐操君 私は、まず鈴木総理の政治姿勢について、冒頭お尋ねを申し上げたいと思います。 総理は、前国会では、和の政治、話し合いの政治を掲げ、さらに和の政治は、平和主義と民主主義を基調に基本的人権を尊重する政治と、この席上で御答弁をされたはずであります。しかし、その後、レーガン大統領と日米同盟の共同声明発表後は、どうも平和主義というよりも、軍事力増強の方向に大きく傾斜をし始めておる、世間はこのように受けとめておるところでありますが、総理、いかがでございますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 赤桐さんから劈頭に、私の政治姿勢についてお尋ねがございました。 ただいまお話になりましたように、私は就任以来一貫して、誠意を持って和の政治を基調として国政に取り組んでおるところでございます。特に、日本国憲法の精神でありますところの平和主義、民主主義、基本的人権の尊重、この精神を具現をするということに努力を傾けておるところでございます。その中で、いま日米首脳会談以来、平和主義に対する考え方が変わってきておるのではないかと、こういう御指摘がございましたが、さようなことはございません。私は、日本国は平和が確保されて初めて日本の平和と安全と繁栄が期せられる、このように考えておりますので、全力を尽くして世界の平和安定のために今後とも努力をしてまいる所存でございます。
○赤桐操君 レーガン大統領が一昨三日に、戦略核戦力の強化を目指すレーガン戦略計画を明らかにいたしました。この戦略計画達成のための出費は、向こう四ないし八年間にわたりまして千八百三億ドル——四十一兆五千億円に上ると言われております。これに対しまして各紙の社説は、一斉に懸念を表明されておるところでありますが、これに対する総理のお考えはいかがでございますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 現在、国際情勢はきわめて厳しいものがあると私は見ておるわけでございます。ソ連の近年における引き続いての軍事力の強化、それを背景としてのアフガニスタン等に対する政治的な浸透、こういうようなことが一つの不安定要因にも相なっておると、このように思うのであります。 これに対して米国は、世界のこの厳しい現実に対応いたしますためにはどうしても東西の力の均衡が保持されなければいけない。これから平和への話し合いをするにしても、あるいは軍備管理なり、軍縮なり、そういうものを効果的に話し合いを進めていくためにも、このミリタリーバランスが確保された上でなければいけない、こういう認識を持っておるように私は見ておるわけでございます。 そういうような観点から、アメリカが対ソ戦力としての軍事力の整備に努力をしておる。また、西側の諸国に対しても同様に防衛力の整備を要請をしておる。こういうことも私はそこから来ておると、こう思うわけでございます。 しかし、こういうような米側の要請に対して日本はどのように対応するかということになりますと、これはわが国の憲法なり、あるいは基本的防衛政策の不動の方針がございます。私は世界の平和は、これは力を合わせて確保しなければなりませんが、わが国は憲法及びこの基本的防衛政策にのっとりまして、国力、国情にふさわしい立場から国際の平和に努力していくべきであると、このように考えておるところでございます。
○赤桐操君 レーガン政権の強い米国の政策に引きずられまするというと、いま総理のお話もございましたけれども、平和主義よりも力によるバランス、軍備拡大競争に手をかす、そういう危険が出てくるのではないか、国民は大変心配をいたしておるところであろうと思います。世界平和の創出に御努力をされるという御答弁でありますが、緊張緩和と軍縮を具体的にどのように実現をしていこうとしておられるか、総理の御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、世界の恒久的な平和を確保するためにはいたずらに軍拡競争の道を突き進んではいけない。先ほど申し上げましたように厳しい現実は力の均衡の上に保持されておるということを無視することはできませんが、その均衡を保持しながら、米ソを中心として話し合いによって軍備管理あるいは軍縮というものを効果的に進めていって、そして軍備をできるだけ低い水準にこれを保持していく、そういう状態に均衡を保持するということが私は大事だと、こう考えております。特に核軍縮、軍備の縮小、こういう点に努力をしなければなりません。 わが国は特にこういう観点からジュネーブの軍縮委員会におきましてもあるいは国際連合の場におきましても、常に包括的な核実験の禁止を先頭に立って強く主張もいたしております。先般の国連総会におきましても、この前の特別総会におきましても、わが国の園田外務大臣はこの核軍縮、軍備管理、そういう点について明確に日本の方針を提唱し、各国もこれに対する共同の努力を払ってまいるということを要請いたしておるところでございます。今後もそういう方向であらゆる機会に努力を続けてまいる考えであります。
○赤桐操君 どうも御答弁と大分違いがあるように思うのでありますが、五十七年度予算で、防衛費の先取りを初めといたしまして正面装備の充実強化、これをうたいまして、航空機、艦船等の大量購入、中期業務見積もりの繰り上げ等々の動きを見ますると、ただいまの総理の御答弁とは違う方向にわが国の状態は行っておるのではなかろうか、こういうように実は感ずるのであります。総理はまた、国会ではいまのような御答弁をなさっておられますが、そして防衛費等についても必ずしも聖域ではないという見解を表回されておるところでありますが、最近における内外情勢調査報告の年次大会、過日行われておりましたが、この席上でのごあいさつ等におきましては、これとは逆な大変厳しい姿勢を示しておられるようであります。総理のお考えは一体どちらなのでありますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私もいろんな会合等で所信を表明いたしておりますが、国会での御答弁も、そういう際におきましても、私の考え方は一貫をいたしておるわけでございます。 いま、防衛費の問題についてお触れになりまして御質問がございました。このわが国の防衛政策につきましては、しばしば申し上げておりますように、平和国家としての必要最小限度の防衛力を保持する、自分の国は自分で守るという立場に立って、専守防衛に徹して必要最小限度の防衛力を整備をする、近隣諸国に脅威を与えるような軍事力は持たない、こういうようなことを基本とし、また非核三原則、シビリアンコントロール、そういうことを旨として防衛力の整備をやっておるわけでございます。五十七年度の予算の編成、これから行われるわけでございますが、そのシーリングにおきまして七・五%というものが設定をされております。しかし、これは御承知のように条約とか協定とかに基づいて算定をされたところの特例でございますが、しかし、その査定等におきましては、むだがあってはいけない、浪費があってはいけない、また必要を超えたものであってはいけないという立場から、これは聖域としてではなしに査定をされることは当然のことであるわけでございます。
○赤桐操君 どうも、国際関係にいたしましても、ただいまの防衛費の問題にいたしましても、不明確な点がたくさんございますが、そこでしぼってお伺いいたしますが、防衛費GNP一%の枠についてはそれでは守り切っていくと、こういうお考えなのですか。この点はっきりひとつ御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど来御答弁を申し上げておりますように、防衛計画の大綱にのっとりましてこれを着実にこの水準に早く近づけるようにということで自主的な判断で努力を進めておるわけでありますが、わが国の経済成長、こういう厳しい国際経済の中ではございますけれども、五%程度のGNPを示しております。そういうようなことからいたしまして、私は当面一%の範囲内で十分防衛費は組まれることができると、このように考えております。
○赤桐操君 それでは、防衛費は聖域ではない、さらにまた一%の枠は厳守をする、これを超えることはないと、こういうように理解をさしていただきたいと思います。 次は、話し合いの政治についてでありますが、総理は最近行革国会を前にいたしまして、一つや二つの党が反対しても云々という大変強い言葉をもって表現をされております。この言葉の裏には、数を頼んだ問答無用と言わんばかりの態度が隠されておるのではないかと私は思います。国民意識の多様化、社会の複雑化に伴いましていろいろの意見が出てきておるのは当然でございまして、こうした多くの意見に耳を傾ける、これが本当の話し合いの政治であろうと思いますが、総理、この点はいかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、いま赤桐さんが御指摘になりましたように、この行財政改革の問題につきましても、国民の各界各層の中にはいろいろの多様な御意見が存在をする、そういうことも十分承知をいたしております。特に今回の行革に当たりましては、国民全体に御理解を願い、御協力をいただきながら進めなければならないと思います。そういう観点から、国会におきましても率直ないろいろの御意見が展開をされるであろうと私は思うわけでございます。そういうような御意見に十分耳を傾け、また国会の各党の皆さん方も十分な御論議を尽くされて民意を吸収し、そして民主的な議会制民主政治のルールに従って結論を出していただきたい、このように念願するものでございます。
○赤桐操君 わが党は、行革法案の撤回と再提出を求めておるわけであります。国家と国民のための行革を実行しようとするならば、反対意見に当然耳を傾けねばならぬと思うのであります。質疑の打ち切りとか強行採決、こういった暴挙は当然これはあり得ないと思いまするし、話し合いに徹するということをお約束いただけますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 今回の臨時国会、私はこれを行革国会というぐあいに位置づけておるわけでございます。 先般、臨時行政調査会から第一次答申として、当面、五十七年度予算編成の中にこれを実現すべき課題ということで御答申をいただいております。政府は、これを最大限に尊重して、当面急いで法制化をする、法律の改正等をしなければならないものを取り上げて国会の御審議をわずらわしておるわけでございます。したがいまして、この臨時国会中にぜひとも結論を出していただきたい、これが私の念願でございます。
○赤桐操君 続いて、経済、景気関係の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 五月の初めに経済企画庁は景気底離れの宣言をされております。その後の動きは一進一退を繰り返しておりまして、まさに低迷状態、こういう状態にあろうと思いますが、総理並びに経企庁長官は、この回復軌道に乗らない景気の動向についてどのように御判断をしておられるか、伺いたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 現在の経済の状態を簡単に申し上げますと、おおむね五%成長路線には乗っておると思います。ただしかし、その成長は外需が中心でございまして、内需による成長部分は非常に弱い、ここが特色だと思います。 そこで、こうなりますと国際収支も非常に大幅な黒字が想定をされますし、貿易摩擦も懸念されますので、これからは内需による成長をできるだけ拡大をしていく、それで内需と外需のバランスのとれた経済成長に持っていこう、こういうことを中心にいたしまして、去る十月二日に経済対策閣僚会議を開きまして一連の対策を決定をしたところでございます。
○赤桐操君 五十六年の政府の経済運営方針については、五十五年度の外需型成長から内需型成長に転換することになっておりまして、いま長官からお話がございましたが、しかし、上半期までの実情は全然逆の方向でございました。さきに発表されました五十六年度の四月から六月期におけるところの国民総生産の数字を年間換算をいたしまして、政府の当初見通しとの比較をいたしまするというと、個人消費支出が九・九%増の当初見込みが六・六%、民間設備投資が一〇・七%増の見込みのところが一・六%、輸出が一〇・七%の伸びが実に四八%という数字に換算されると思います。この計算は一つの換算でございまするから必ずしもこのとおりになるとは考えませんが、大体これに近い姿の経済運営に、このままで進んでいくならばなるであろう、こういうことについては間違いのない事実であったと思います。 これについて、鈴木内閣は外需型の経済政策を内需型に転換を図ろうといたしておるわけでありますが、具体的にこれからの政策を進めるに当たりまして、先般発表されました五十六年度の経済見通しの修正案、これについてお尋ねをいたしてみたいと思います。 これにつきましては、国際収支の面につきましても六十億ドルを黒字の七十億ドルに変える、また、消費者物価を五・五%上昇から五%程度に改める等々行われておりますが、全体を通じまして、結局外需型経済を内需型経済に転換させるだけの本当に具体的な迫力を持ったものであろうか、こういう点で見まするというと、残念ながらそういうことにはならないのではないだろうか。そして、当初の方針と上期の実態とを顧みながら下期経済運営を全般にわたっていろいろと検討をしてみるというと、そういうような状態には理解できないと思うのでありますが、この点はいかがですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 最近の貿易の動向から判断をいたしますと、このままいくと経常収支はあるいは三けたになる可能性もございますので、そこで一連の緊急輸入対策等を計画をいたしまして努力をいたしますと、ほぼ七十億見当におさまるのではなかろうかと、こう思っております。外需に対しましては、そういう考え方が一つ。 それから内需につきましては、個人消費が計画どおり伸びておりません。これには二つ理由があると思うのですが、一つは、所得が思うように伸びない、ここに大きな原因があろうかと思います。それからもう一つは、やはり内需が伸びないという一つの背景は、物離れ的な現象が少しあるのではないか、こういう感じも若干はいたします。しかし、一番大きな原因は所得が伸びないというところにあろうかと思いますが、といっていま所得を急速に伸ばすということは不可能でございますから、そこで、物価の安定をより一層図っていくと、こういうことを今度の政策の中心に考えております。物価をさらに低い水準に抑える、安定した方向に持っていく、こういうことによりまして内需の拡大を図っていくと、こういう考え方が一つでございます。 それから、内需の一つの大きな柱は民間の設備投資でございまして、GNPの大体二八%ぐらいを占めております。公共事業全体のざっと二倍と、こういうことでございますから、民間の設備投資の動向というものは非常に大きな影響があるのですが、大企業の方は計画以上に伸びておると思います。ただ、中小企業が二けたで減少しておると、こういう状態でございますので、投資全体から考えますと、むしろ中小企業の方が多いものですから、大企業が伸びましても中小企業が伸びないということになりますと、ここ数期ぶりに全体としての民間の設備投資がやや停滞ぎみである、ここに一つの大きな理由がございますので、中小企業の投資が伸びるような、そういう金融政策を今後いろいろ工夫しなければならぬと考えておりますが、これにつきましては通産省と大蔵省の間で相談をしていただくことになっております。 それからもう一つ内需の大きな柱は住宅投資でございますが、これがやはり政府計画を若干下回っております。そこで、先般住宅関係の閣僚会議を開きまして一連の対策を決定をいたしましたが、これは予算に関係することが多いものですから、十二月の予算編成までにこの基本路線を具体化をしていくと、こういうことを考えております。 なお、公共事業につきましては、できるだけ本年は予算を消化していくという考え方のほかに、不況地域に対しましては単独事業等を希望があればふやしていく、こういうことを考慮いたしておりますが、いずれにいたしましても幾つかの対策を積み重ねまして、いま御指摘がございましたように、外需による成長が大部分ということになっておりますので、これを年初の計画どおり持っていくということは大変むずかしいのでございますけれども、おおむね内需による成長を半分強、外需による成長を半分弱と、こういうことでバランスをとっていきたいと、このように考えておるところでございます。
○赤桐操君 大体の御説明いただいたのでありますが、どうも余り具体性がなくてよくわからないのであります。 それで、過去の当初見込み以来のいままでの状態を考えてみまするというと、率直に申し上げまして、個人消費というものが一番大きな影響力を持つと思いますが、これに対する施策はまず全然講じられなかったと思います。この個人消費の動向についていま調べてみまするというと、勤労者世帯の家計収支の消費支出の名目伸び率、五十五年一月から六月と、五十六年一月から六月の間の比較をいたしまするというと、ことしは非常に悪い。さらに百貨店の販売も、五十五年前半は、それぞれ各月一〇%以上の伸びが、五十六年の一月から六月の各月になりまするというと一けたの伸びに縮まっております。大型小売店それぞれの推移も同様でありまして、これでは内需型成長になるはずがない、こういうように私はこの資料に基づいて判断をせざるを得ないわけであります。 また、個人消費の低迷の原因については、いま所得の問題が出ておりまするけれども、私は同時に、非消費支出すなわち税金、社会保障、各種掛金、これが最近大変大きく負担となってきております。この非常に高まってきておる負担の状態、これが所得の伸びの二倍も実は増大をいたしてきておると思います。こういう状況の中で、しかも賃金の状態は物価を下回る、こういうような状況に置かれている。職場における状態は雇用関係もきわめて不安定な状態にある。こうなってまいりまするというと、消費する側から見れば安心して物を買っていくということができなくなってくる。こういうことになってきておるのが今日までの実態だったと思います。この状態はどうもいまの長官の御説明をもっていたしましても、なお続きそうな感じがいたします。 社会党は今日まで、したがって所得減税等が必要ではないのか、このことを繰り返し主張をしてきた理由でございます。この点いかがでございますか、長官。
○国務大臣(河本敏夫君) 個人消費がGNP全体の六割弱を占めておりますので、個人消費が伸びないということになりますと、経済成長全体に非常に大きな影響がございまして、その最大の背景について、それは所得が伸びないせいだという御説明がございましたが、私どもその点は意見は同じでございます。可処分所得が特に伸びない、自由に使える金が伸びない、こういうことでございまして、そこに一番大きな原因があろうかと思います。先般の総理府の生活意識調査なんかを見ましても、二五%の人が生活が苦しくなっておる、こういう報告をしておりますので、端的にその点を物語っておると、このように考えております。
○赤桐操君 まず、こういう状況でありますから、したがって、一歩進んで所得減税等については必要ないのかと、こういうお尋ねをしておるわけです。
○国務大臣(河本敏夫君) いまの状態から考えますと、客観的な条件が許せば所得減税は実際やりたい、こういう感じがいたしますが、したがって、お説は理解できるわけでございますけれども、何分にも財政、経済全体を展望いたしますと、いま行政改革を始めたばかりでございますし、財政の状態も不十分であります。しかし、いろいろ考えてみますと、やはり政治の目的というものは国民生活の安定、充実、向上にある、こういうことを考えますと現状は看過することができない、こういう感じがいたします。そこでやはり、いまはむずかしい状態でございますが、できるだけ早く所得減税が実行できるような、そういう幾つかの条件があろうと思いますが、その条件を力いっぱい整備をする、できるだけ早く整備をする、これが緊急の課題でなかろうかと考えております。
○赤桐操君 条件をつくって所得減税ができるような状態にしたいという御答弁でありますが、問題は、ただいま現在が問われているわけでありまして、過去上半期の状態で明らかになっておるような状態であるし、いまの修正された試算をもっていたしましても、あるいはまた修正案をもっていたしましても、これからの後、下半期を過ごしていくのには大変大きな難関ではないか。それを打ち抜いていく具体策がいま求められていると思うのでありますが、長官の御説明なさった範囲では無理であろうと。一歩進んで、所得減税が必要ではないのか、こういうことを私は申し上げておるわけでありまして、将来といっても、これは長い将来のことであっては話にならぬわけでありまして、ただいま現在、これに対して取り組む御用意はないかどうか、こういう点についてひとつ重ねてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 現時点では、やはり先ほど申し上げましたように、行政改革、財政改革を始めたばかりでございまして、まだその条件は整っていないと思います。しかしながら、御意見は十分理解できますので、できるだけ早くその条件が整備されるようなそういう努力が必要である、こういうことを申し上げたわけでございます。
○赤桐操君 続いて一つ伺いたいと思いますが、いま仲裁、人事院勧告、各それぞれの賃金問題をめぐりまして論議のさなかにございまするけれども、この論争は後に譲るといたしますが、とりあえず仲裁、人事院勧告が完全に実施されたといたしまするというと、これは相当大きな私は消費動向に影響を与え、力を持つものであろうと考えますが、長官いかがでございますか。
○国務大臣(河本敏夫君) これは完全実施されるかされないかによりまして、国民経済に相当大きな影響がございます。
○赤桐操君 総理府長官に伺いたいと思いますが、この仲裁、人勧の対象となる職員の総数はどのぐらいになるか、大体の数で結構ですが、お示しいただきたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 国家公務員、それから地方公務員、公社職員等、合わせますと約四百五十万近いものではなかろうかと考えております。
○赤桐操君 そのほか、これに準ずる公社関係、公団関係があるようでありまするので、合わせまして五百万を超えると私は判断をいたしておりますが、この方々とその家族を含めたその総数になりまするとかなりのものになってまいります。この人たちが安心して消費をすることができる状態になるということは、私はいま長官が言われたように、大きな力になると思います。このことについて、私は少なくともいまこの個人消費の動向について大きな問題となっているこの時期の中で、所得減税と仲裁、人勧の完全実施ということについては、まさに喫緊の課題であろう、こういうように考えるものでございます。この点について、ひとつ重ねて長官の御趣旨を速やかに実現することができるよう要望しておきたいと存じます。 続いて次の項に入ってまいりたいと思いますが、いま消費動向についての御質問を申し上げてまいりましたが、この中で大きな柱の一つとして内需型成長を支えるものとしては、長官の御説明にもありましたが、住宅の建設と、それから設備投資の問題があると思います。その中で、住宅建設については五十六年度の経済見通しの中では、対前年比八・五%増ということになっておりましたが、新設住宅の着工統計を見まするというと、五月を除いて毎月前年を大幅に下回っている状態にあろうと思います。建設大臣、経済企画庁長官の住宅建設についての見通し、これについて御説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。 先生御指摘のように、住宅環境は非常に悪化いたしておるのは御指摘のとおりでございます。五月をピークにその前後、特に昨今また非常に厳しい環境にあるわけでございます。先ほど企画庁長官からもお話がありましたように、それに対応するために関係閣僚会議を持って、これに対応をいませっかく図っておるところでございます。公的資金によるものにつきましては、一応低水準ながら目的を達しつつあることは御案内のとおりであります。いかにせん民需関係について非常に落ち込みが多いということ、しかもそのことが経済バックグラウンドとの関連もございまして、非常に頭を痛めているところでございますが、政府の大きな経済対策に対応しながら、住宅問題についてはなおせっかくいろんな隘路を詰めながら目的達成のために努力したいと、このように考えるところでございます。
○国務大臣(河本敏夫君) 住宅は、御案内のように昭和五十一年から五十四年までの四年間は大体百五十万戸見当で推移をしてまいりました。昨年になりまして大幅に落ち込んで百二十万戸と、こういうことでございますが、現在もほぼその前後で推移をいたしております。そこで、日本ではもう住宅需要が減ってしまったのではないかと、こういう議論もございますが、しかし、政府部内でいろいろ検討をいたしました結果、そうではないと、建てかえ需要も相当ありますし、特に木賃住宅等が三百数十万戸もございまして、これはとてもいま人が住めるような状態にはないと、こういうことでもございますので、そこで、去る三月二十七日に第四期住宅五カ年計画、五カ年間七百七十万戸の建設をしよう、一年間百五十万戸見当の需要は十分あるんだと、こういうことを背景に閣議決定をいたしたのでございます。 ところが、残念ながらいまその路線には乗っておりませんので、これを早急に政府の五カ年計画の路線に回復させるということが最大の課題でございますが、なぜ落ち込んでいるかといいますと、要するに昨年来所得の伸びが非常に低い、時にはマイナスである。しかし、一方で住宅の価格は非常に上がっておる。つまり、価格と所得の非常に大幅な乖離にある。ここで住宅の計画を持っておられた方々が、いまのような状態で家を建てても大変だから、数年間計画を延ばそうということで計画が予定どおり進まないというところに原因がございますので、それではしばらくこの間の所得と価格の乖離という問題に対してどうするかと、こういうことにつきまして、いまいろいろ政府部内で検討をしておるところでございます。 それから同時に、その値段の上がったという背景が土地価格の上昇というところにありますので、これに対してどう対応したらいいか、これもいま検討をしておる最中でございます。
○赤桐操君 大体日本の住宅政策というのは、公的住宅に重点を置くものではなくて、民間自力建設に重点が置かれて今日まで続けられてきております。いま両大臣の御答弁によりまするというと、ここのところ大分落ち込んでいるという話でありますが、民間自力建設の状態は昭和五十三年から落ちっ放しでありまして、五十四年が、また下がってきている、五十五年が下がってきている、こういう状況でございます。しかも、その大きな原因については所得と価格の乖離だと、こう言われておりますが、これはもう今日までずっと言われてきていることでありまして、実際問題としてそれを解決するための対策がほとんどなされてきていなかった。特に本年の経済政策の中でも、これについてはかなり期待が持たれておったのでありますが、残念ながら具体的な対策がとられておらなかった、こういうように私は判断をいたしております。 たとえば土地政策の問題についてもそうであります。あるいはまた、最近におけるところの公共負担分の著しい増大、あるいはまた金利の問題についても、フランスにおけるHLMやあるいは西ドイツにおけるノイエ・ハイマートが扱っておりまする金利政策、こうしたもの等々から考えまするならば、はるかに大きな差があるこの日本の住宅政策の現状、こうしたものが解決されない以上は、私は後半においてどんなにがんばられても同じような状態になるであろうと、こういうように判断をいたしておりますが、この点はいかがですか。建設大臣に伺いたいと思います。
○国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。 先生の御指摘の考え方も一つの考え方であろうかと思いますが、日本の住宅事情の過去のプロセスをお考えいただきますとおわかりのように、終戦後のあの絶対数が三百万、四百万不足だということから考えていきますと、いまの住宅需要というものが一つのニーズの折り返し点に来たようにも考えられます。もとよりいままでの政府の方針といたしましては、とにもかくにも住宅建設をして住宅なき方々に環境整備とともに需要に応ずるというような政策をとってきたことは事実でございます。したがいまして、過去は過去として、現在の量より質という問題、あるいは空き家等の現況を見るにつけまして、いままでの政策が必ずしも間違っていたとは私は思いません。これからそのニーズの変化、態様に応じてこれからの時点、視点で考えていくべき問題ではなかろうかと思います。ただ、世界的な経済環境の変化と、国内経済のバックグラウンドの激変等々によって、住宅を取得される方々、あるいは公的関係につきましても変化があったわけで、それにつきましては一応十分な考慮をし、今後の課題として対応してまいりたいと、このように考えておるものでございます。
○赤桐操君 次に移りたいと思いますが、政府は物価の安定を大変宣伝をしておられます。これも政府の政策努力というよりも、実は海外要因、特に油の値段の関係から大変安くなったということが大きな理由の一つであろうと思います。五十五年度の物価高騰に伴ったこの影響があることもまた同時に一つの理由であったと思います。私は、政府に考えていただかなきゃならぬと思いますることは、国内経済の不振が物価鎮静に相当役立っているということではないかと思うんです、大変皮肉でありますが。政府の当初の見通しは、個人消費や住宅建設、これを大きく伸ばしながらなおかつ物価を抑制していく、これが実は大きなねらいであったはずであります。しかし、実際にはそうではなくて、国内景気を非常に抑え、悪くした中で物価がようやく安定をしている、こういう状況ではないかと思います。内需不振のもとで物価が安定したといっても、これはそうりっぱなことではなくて、これではやはり本当の意味における政府の国民に対する公約ではなかったのではないか、こういうように考えるのでありますが、経企庁長官いかがなお考えでございますか。
○国務大臣(河本敏夫君) お説の点はそのとおりでございまして、内需が相当拡大する中において物価の安定を図っていくと、こういう考え方でございましたが、内需が落ち込んだから物価が下がったのではないかと、これは一つの原因ではあろうかと思いますが、やはり物価が下がったという背景はその一つだけではございませんで、いろいろあったと考えております。
○赤桐操君 次に、地方財政の関係について伺いたいと思います。 今度の下期の経済政策の中で、地方単独事業を機動的、積極的に追加をしていくと、こういうことが出ておりますが、自治大臣、めどは立っておられますか。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 現下の不況の状況は非常に地域的な差が顕著でございます。特に東北、北海道、これは凶作が続いておる。それから九州地方あるいは四国、そうしたところをどうしても、公共事業には一つの限度がありまするので、単独事業でもってカバーをしていかなくちゃならぬ、こういうふうに考えておるところでございまして、この点はこの間の決定に基づきまして、関係県に対しまして積極的にひとつ工夫をこらしてやるように、そしてまた財源につきましては起債になるわけでございますが、この起債につきましては十分に自治省としては配慮をする、こういう方針でもって今後単独事業の強化を進めていきたい、こう考えておるところでございます。
○赤桐操君 次に、金融政策について大蔵大臣に伺いたいと思います。 今度の下期の経済政策の中で、金融政策については機動的運用を図ると、こう述べております。これについては具体的にどういうようなことを指しておりますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) われわれは当面金融政策を特別変更するということは考えておりません。これからどういうような事態の変化が出るか、それを見きわめた上でそれぞれの事態に対応するように機動的にやるということを言っておるわけでございます。
○赤桐操君 五十六年度の後半と五十七年度の経済全体に対しまして、外需を内需に導くというためには個人消費の支出拡大、これを総力を挙げてやらなければ具体化していかないであろう、私はこういうように思うのであります。そのためには、適正な賃金の引き上げがまず必要になる、それから減税等による家計への非消費支出の圧力を緩和していくということが二つ目の問題でありましょう。そして、物価の安定等の対策が実施されていかなければならぬ、これが個人消費支出のための大きな対策でなければならぬと私は考えるのであります。 また、住宅建設についても、これまた地価の安定や公共投資の問題、金利の問題、こうしたものが具体的にとり行われていかない限り具体化していくことはできないであろう、こう思うのであります。 以上の二つの点について私は考えるのでありますが、企画庁長官にこの点についてお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 先ほど来御議論がございますように、内需拡大の柱は個人消費、それから民間の設備投資、それから貿易、住宅関係と公共事業、これらが大きな柱でございますが、それぞれに対しまして現実に即したきめの細かい有効な対策を考えていきたいと思います。
○赤桐操君 どうも、いま大臣の皆さん方の一連の御答弁を伺ったのでありますが、そういう内容が大体下期運用の内容であろうと私は理解をせざるを得ないのであります。したがって、それぞれの大臣の御答弁をもっていたしましては、内需停滞の景気を救済できる対策だとは考えられない。この対策も政府のいわばゼスチュアのようなものではないか、こういうように理解をせざるを得ないのであります。 内需拡大による経済成長というのは期待できない、個人消費を中心に据えた抜本対策をとる意思が政府にない限り、日本経済の海外競争力の強さから見て、外需依存を内需型に転換させるということはできないであろう、こういうように考えるのでありまして、この下期運用についても大体上一期と同じような轍を踏んでいくのではなかろうか、この点について指摘をいたしておきたいと思います。総理の御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど来赤桐さんと関係閣僚の間の御論議を拝聴しておったわけでありますが、内需振興のための所得減税でありますとが、あるいはそのために賃金の改定でありますとか、いろいろのお話がございました。私は、それらはいずれも正しい御主張であろうかと、こう思います。 ただ問題は、これをどういう環境、条件のもとに行うかということが現実の政治でございます。そういう観点からいたしますと、いまわが国は、世界の厳しい経済情勢の中で国民の皆さんの御理解、御協力のもとに比較的順調に推移しておることもこれも客観的な事実でございます。 ただ御承知のように、アメリカの高金利等の問題がありまして、金利を引き下げてそして設備投資を拡大をして、そして国内の景気を回復をするということも、これもなかなか困難な状況に置かれておることは御承知のところであろうかと思います。 それからまた、賃金その他の問題につきましても、このような財政再建という厳しい状況の中で、それをどういうぐあいに具体的に取り扱っていくかということにも大変なむずかしさもございます。政府は置かれておる客観的な条件、厳しい状況の中でこれらをいかにするかということをいろいろ工夫をこらしましたのが、下期に対する経済対策でございまして、われわれはこのような施策を着実に、きめ細かく実施することによって目標を達成していきたい、こう思っています。
○赤桐操君 次に、財政再建と五十七年度の予算問題について伺いたいと思います。 五十七年度は増税なき財政再建ということで、政府の財政中期展望の要調整額二兆八千億円を経費節減で賄うことになった場合、デフレ効果をどのように見ておられるのか、この点ひとつ伺いたいと思います。 それから、あわせて五十六年度の史上空前一兆四千億円に上るところの増税が行われておるわけでありますが、経済に与えたメリット、デメリット、これについての状況を伺いたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 五十六年度で増税をお願いをするということになったわけでございますが、このことは、御承知のとおり多少間接税の主として値上げでございますから、物価に多少影響が出たということは事実でございます。しかし、それらの収入によって政府の支出が反面できるわけでございますから、私は経済全体に対するデフレ効果というものはそう大きなものではもちろんないと、さように考えておるわけでございます。 五十七年度の予算編成に当たりましては、増税は引き続き二年間はなかなかできない。したがって、増税のない財政再建をやれという大多数の方の御注文でございます。これももっともな注文でございますから、われわれとしては極力臨調答申の方針のもとに、支出の削減あるいは一時繰り延べ、そういうようなことをやって、それで二兆七千億円程度の要調整額というものを解消していきたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。だから、デフレに一層なるんじゃないかと。こうおっしゃいましても、それではどうすればデフレにならないのか。それじゃさらに二兆七千億円の増税をもっとやってということになれば、これはこれでまた別なデフレ論が出てくるわけでございますから、それじゃ借入金を減らさないで国債を増発してやれということになれば、今度はインフレ問題という問題につながってまいりますし、いずれにいたしましても、そういうものを考えた中で、一番被害の少ないといいますか、一番いいのはやっぱり効果の多いというか、いろいろ考えてみたけれども、この際は歳出の節減、合理化によってやることが財政上からも国民経済全体から見ても一番いい方法じゃないかという結論に達して、それを実行しようということをいまやっておるわけでございます。
○赤桐操君 わが党の代表質問で、過日本会議でも質問を申し上げておりますが、二兆八千億程度の歳出節減をするということになると、これは専門家の計算によってしても経済成長率が半減するであろうと、こういうことが言われてきておることが明らかにされております。これが経済や税収に関係しない、影響がないということはあり得ないわけであります。 問題は、私は大事なことは、歳出削減の額を最初に不動のものとしてしまう、その前に最も好ましい経済成長率を確保することとの調整が実は必要であると思うのであります。この点について指摘をいたしたいと思うのでありますが、経企庁長官、お考えいかがでございますか。
○国務大臣(河本敏夫君) 財政の削減をいたしますとその分は当然デフレ効果になるわけでございますが、さてその場合の影響はどうかということだと思うのです。私は、経済全体の活力が非常に強いという場合には少々の財政削減をいたしましてもこれは経済にはこたえない、ただ、経済全体の力が弱いときには少しのことをやりましても悪い影響が相当大きく広がると、こういう感じがいたします。たとえば、第二次石油危機によるデフレ効果というものが非常に大きなものがございました。昭和五十三年に比べますと最近は七兆前後よけい油代金を支払っておりますので、それは大変大きなデフレ効果でございますが、しかし、五十三年の後半以降日本の経済がほぼ健康体になりまして相当力を回復した、そういうことでございますので、これは経済全体に吸収することができた、このように考えております。ことしのGNPは二百六十兆前後、来年はこれから作業中でございますが、三百兆弱になろうかと思いますが、それだけ大きな経済でございますから、その経済全体が力を持つということであれば二兆三兆のことをやりましても、財政削減をやりましてもそれはこたえない。しかし、経済に病的な現象、つまり経済全体が弱まる、こういうことになりますと非常に大きな影響が出ようかと思いますので、やはり何といたしましても財政削減を経済全体で吸収できるような、そういう活力を維持拡大をするということがその前提条件だと考えております。
○赤桐操君 大蔵大臣の御答弁をひとつ。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはもうすべて程度問題だと私は思うのです。したがいまして、大増税をやってその分だけばらまけば同じじゃないかという意見の人もあります。しかし、こういうことはなかなか国民に理解してもらえない、これも事実でございます。だからといって、歳出を切らなければ、増税ができない、歳出はどんどんふえるわけですから。それはもう国債をふやす以外にはない。国債をふやすということになっても、現実の問題としてすでに国債はもう売れない。引き受けてもらえなくてもう毎月ごたごたしていることは皆さん御承知のとおり。それで、もっと金利を上げろと。国債の金利を上げるということにどんどんしていけば一般の金利も上がるから、これはもう景気にブレーキをかけるということに当然なる。ということになれば、そのこともできないということになると、現在の段階では政府の歳出にまた緩みがあると、こう言われておるわけですし、われわれもその点は、国民の税金を使うのでありますから、十分に反省をして、謙虚に受けとめて、一生懸命それは点検をして、総洗い直しをやるということがやっぱり一番いい方法である。ですから、ともかく当面五十七年度に向かっては増税なき財政再建というものをやることしかない、それしかないというふうに思っておるわけです。
○赤桐操君 御答弁については、私どももいささか理解できないところもございますが、先へ移りたいと思います。 この国会最大の目玉法案と言われる、三十六本の法律を一括して行革法案という形でもって五十七年度の節減額が出てきております。これを見ますると、二千四百八十二億円となっている。総額二兆八千億円の節減に比較いたしますると、大体これは一〇%に至らないものであります。節減の大部分が行革法とは関係なしにできるわけであります。極言するならば、これは、二千四百八十二億円というのは、いろいろ今日までの予算の審議その他の関係から見ていって、この程度のものはこうい。形をとらなくても対策がとれるのではないのかというように感ずるのでありますが、この点はいかがでございますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 二千四百八十二億円についてお尋ねでございますが、しかし、国の財政窮乏の折から、一銭一厘といえども大事な貴重なときでございまして、特に今回はいわゆるゼロシーリングというやり方によりまして、二兆七千七百億円の大部分はそれによって各省庁に自粛させて、ふえべきものを縮減させたわけでございまして、その中で補助金分としてそれだけお願いしておるので、総計から見ますとかなりの痛みを各官庁とも受けておるわけでございまして、そういう点におきまして、やはり各官庁といたしましても、また、受ける国民の側といたしましても、やはりぎりぎりのきつい線ではないかと拝察しておる次第でございます。
○赤桐操君 仮に一応そういう御趣旨を子といたしましても、五十七年度の予算関連法案ということで、五十七年度予算審議の際でも私は間に合ったのではないだろうかと、こういうように思うんです。法律改正や法律制定をあらかじめ前提として予算編成を行い、予算関連法案として今日までやってきておるわけでありまして、節減予定の二兆八千億円の九%程度のものは節減策はいろいろあると思うのであります。少しこれは大騒ぎし過ぎておるのではなかろうか、こういう受けとめ方で見られておるわけでありますが、この点大蔵大臣いかがお考えでございますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これも見方でございまして、その程度のお金ならば何も法案までつくって大騒ぎしなくたって、ほかでできるのじゃないかという御意見だと思います。しかし、その反面は、その程度の軽微な話ならばひとつ法案に御賛成をいただいてもいいのじゃないかという意見も、そういう意見もあるわけです。 問題は、今度の歳出削減をするに当たっては、法律で決めていないものはこれは大蔵大臣が査定をすることができます。しかしながら、法律で決まっているものは大蔵大臣に権限がないわけですから、これは国会の御了解がなくては一円たりとも削減するわけにはいかない。義務的な経費のものは特にそういうことになる。したがって、この際は法律で関係のないものだけの節減といってもいろいろ問題があるので、法律で決められてあるものも薄く広くある程度みんなに御協力をいただくということがいいのではないか、こういうような点からあの法案というものをつくることになったわけでありまして、法律で決められているものもある程度節減の対象にすることができる。こういうようなことで、全体を挙げてひとつみんなで少しずつ薄く広く御協力願うべきものはそういう御協力も願うし、あるいはともかくもうぱさっと切ってしまうようなものはそういうような切り方もしよう、いろいろこう取りまぜてやろうということのために、行革法案第一弾というものを提出をしたということでございます。
○赤桐操君 一括法案について若干御質問をいたしたいと思います。 その一つは、暫定的なこの法案に対しまして児童手当の問題が挿入されてきております。なぜこの児童手当という恒久施策をこの中に盛り込まれなければならなかったのか。この点ひとつ伺いたいと思います。
○国務大臣(村山達雄君) お答えいたします。 児童手当につきましては、委員御承知のとおりに、種々の論議があるところでございます。法律では、その目的として、児童を持っている家庭の経済の安定あるいは児童福祉の推進ということをうたっておりますけれども、さらにそれを拡大すべきである、あるいは廃止すべきである、いろんな論議が行われているわけでございます。臨調では今度、福祉社会の実現を目指してすべての社会保障経費についても洗い直せと、その中で、児童福祉手当についてはやはり所得制限の方向で考えるべきであるという強い勧告が行われたわけでございます。したがいまして、今度暫定的な措置といたしまして所得限度をある程度下げるのでございますけれども、同時にまた、そのことによりまして、特に被用者の方に非常に影響がございますので、その暫定期間中の特例措置といたしまして、事業主の方の拠出金によって特例手当を出していただく。それによりまして、従来でございますと普通の自営者は大体対象児童数の九割、そして被用者について七割と、こういう支給率に、カバレージに下がったわけでございますが、特例手当を含めて同じ八割にしていくと、それによって支給の公平化を図ると同時に国庫負担、あるいは地方負担も半分ありますけれども、これによって今度の行革の趣旨に沿っていきたい、少なくともこの三年間ぐらいはこの暫定措置でいくということも一つの考え方ではないかと、こういうことで御提案申し上げているわけでございます。
○赤桐操君 どうも児童手当廃止の方向へます第一歩を踏み出したんではないか、第一ラウンドではないのかと、こういう実は懸念が大分いろいろ出されてきておる状態にございます。 次に、公的保険事務の事務費の国庫負担停止で地震再保険と自賠責の保険だけが取り上げられておるのでありますが、これは一体どういうことであるのか、伺いたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはある程度長い時間が経過をいたしまして、それで補助を打ち切っても事業に支障がないと、その期間ですね。したがいまして、これについてはそういう観点からとり上げたわけでございます。したがって、農業共済その他の問題については、現在の災害の状況等から見て、これは除外するという措置をとっておるわけでございます。
○赤桐操君 次の三つ目の問題としては、政府関係金融機関の法定金利の弾力化の問題でありますが、第二臨調の答申では、住宅金融公庫の金利の引き上げをねらったようでありますが、これはたな上げと事実上なりました。したがって、この法案は必要がないんじゃないかと、こう思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) この金利の問題というのはどういうように変化をするかわかりませんし、御承知のとおりアメリカなどではプライムレートが二〇%にもなった、住宅の貸付金利が一三、四%、そういうような事態にもなったことがございます。問題は、原資がどれくらいのコストになるかということが大問題でございまして、いまのところはまずまずというところかもあるいはわかりませんけれども、それにしてもかなりの財政負担になっておると。一方五・五に金縛りということになると、コストが幾ら高くなっても五・五から全然動かぬということでは、これは将来非常に困る問題も起きてくるということで、要するにコストが動くという場合には、それに対して動けるようにしておくということであります。
○赤桐操君 いろいろと御答弁がなされておりますが、要するにこの臨調答申を大変政府は尊重するんだと、こういったてまえで出ておられるようでありますが、結局これを盾にとって抑えているのは公務員の賃金の抑制なりあるいは福祉や教育の抑制、こういうことになってきているように思うのであります。要するに、これは国民生活に対して非常に大きくしわ寄せをしてきておる、こういうように私どもは受け取らざるを得ないわけでありまして、いずれこれは法案審査の中でやりたいと思います。 次に、五十七年度予算につきましては、ゼロシーリング等各省の自主査定という異例な方式がとられております。概算要求ではっきりいたしましたことは防衛費の別枠七・五%と、五十七年度予算に匹敵する二兆二千六百億円の後年度負担が象徴的にこれをあらわしておりますが、その軍事予算の先取りであります。そして福祉関係の六千三百億円の節約、文教関係においては危険な校舎建てかえの四百二十四億円の見送り、幼稚園関係については二十億円の教育費の圧縮、こういうことが出てきておるわけでございます。福祉と教育にしわ寄せをする性格、こういうことに一言にして言えると思うのでありますが、なぜ防衛費は大きく突出をせしめながら福祉と教育費はこういうように切り捨てなければならないのか、これ以外に五十七年度の予算編成方針はないのか、このことについて総理の見解を承りたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、この機会に私の考えを率直に申し上げておきたいのでありますが、国会は、そして政府は、納税者である国民の立場に立って、いかに効率的にその税金を使うか、むだがそこにないか、こういう立場で常に予算の編成、執行に当たらなければならない、こう思うわけでございます。近年におきましては、とかく、いかにその原資の配分をこういう面に多くやろうというような、そういう傾向がなきにしもあらずと、こういうことであったと思うのでございます。 私は、今日わが国の財政がこのような危機的状況に当面をいたしております際におきまして、これをいかにして打開をし、改善をするか。大型消費税のような大きな増税によってそれをやろうとするのか、あるいは行財政の思い切った削減、合理化によってこれをやろうとするのか。われわれはこれを行財政の改革によってやろうという基本的な方針を打ち出したわけでございます。そういう中におきまして五十七年度予算に私どもは取り組んでおります。防衛費につきまして七・五のシーリングの設定がされておるという経緯につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。また、そのほかにも資源、エネルギー対策費、これも他のゼロシーリングから見ますと二四%というぐあいに多くなっております。また対外経済協力費、これも御承知のように大きくなっておるのでございます。また、将来日本が国際社会の中で生き抜いていきますためにはどうしても科学技術の振興が必要であるというようなことで、こういう点にも配意をいたしておるわけでありますが、しかし、基本的にはこの財政再建のためにわれわれはできるだけ行財政の改革によってむだをなくし、そしてぜい肉を去り、新しい時代が要請する施策に機動的に対応できるような体制づくりをしよう、こういうことで取り組んでおると、そういう観点から赤桐さん御質問の点につきましては、基本的にそのように対処していこうというのが私の考えでございます。
○赤桐操君 それでは、防衛庁関係の予算に入りたいと思いますが、来年度の防衛庁の予算では、航空機が大変大量に発注されることになっております。百三十六機の航空機の各自衛隊別の内訳と、機種別の一機当たりの単価を御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(塩田章君) まず、陸上自衛隊から申し上げます。対戦車ヘリコプターAH1S二十二機、観測ヘリコプターOH6D六機、多用途ヘリコプターHU1七機、連絡偵察機LR一機、計三十六機。 海上自衛隊は、対潜哨戒機P3C十七機、初級操縦練習機KM2二機、計器飛行練習機TC9〇型三機、対潜ヘリコプターHSS2型十一機、救難ヘリコプターS61A型四機、初級操縦練習ヘリコプターOH6型二機、計三十九機。 航空自衛隊は、戦闘機F15四十三機、支援戦闘機F1三機、輸送機C13〇H四機、高等練習機T2型七機、救難捜索機MU2二機、救難ヘリコプターV1〇7バートル二機、計六十一機、合計百三十六機でございます。 単価につきましてはいま手元に資料を持っておりませんので、後ほど申し上げます。
○赤桐操君 単価の説明は後になるんですか。いまできませんか。
○政府委員(矢崎新二君) お答え申し上げます。 各装備品の個別の単価の問題につきましては、従来からこれはまた調達の際の商議の問題がございまして、そういった点に配慮する必要もございまして、答弁を差し控えさせていただいておりますので、御了承をいただきたいと思います。(「冗談じゃないよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者あり)
○赤桐操君 通常国会における予算委員会の際にも同種の問題が論議されたと思うんです。ここで、できる限り理解をしていただくような資料を提出するという約束が出ているわけでございまして、これが出なければ審議にならないと私は思うんです。議員がどういう観点に立ってこの予算は適切であるかどうかの判断の基準がない。これは前予算委員会における申し合わせに反すると私は思うし、政府答弁もそうあったと記憶しております。
○委員長(植木光教君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(植木光教君) 速記を起こしてください。
○政府委員(矢崎新二君) 補足して御説明を申し上げたいと思います。 航空機の機数が概算要求におきましては百三十六機ということに相なっておりますが、その国庫債務負担行為の要求の総額といたしましては七千七百四十六億円ということに相なっておるわけでございます。 それの内訳といたしまして、非常に数が多くなりますから主なものを申し上げますと、陸上自衛隊関係では対戦車ヘリコプター二十二機、これの総額が四百二十四億円、それから海上自衛隊関係では対潜哨戒機P3C十七機分、これが千八百八十三億円、それから航空自衛隊の関係では戦闘機F15四十三機分で四千五百七億円、こういう金額になっておるわけでございます。この点は、現在まだ防衛庁として概算要求を提出した段階でございまして、政府部内の調整が終わっておりませんので、政府としての数字を申し上げておるわけではございません。それからまた、こういった数字は機数がどう決まるかによっていろいろと変動のある要素がございますので、ここで単価というものを具体的にお示しし得る段階にないことは御了承をいただきたいと思います。
○赤桐操君 いまの御説明によりまするというと、大体対潜哨戒機十七機、一機百十億円、戦闘機四十三機、一機百五億円、こういうものを五十七年度という財政再建期間の開始の年に発注しなければならない、こういうわけであります。これは、いかにも私どもあるいはまた国民の立場から見ても、まず納得のできないことではないだろうか。後年度負担を考えてみましても、財政再建の圧迫材料であることはもう火を見るよりも明らかであります。世間で防衛費優先獲得のための行革であるとか、福祉予算へのしわ寄せとの批判を上げてくるのも当然でありまして、こうした批判に政府はどのようにおこたえになるのであろうか、御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 先ほども総理からお話がございました。それは、予算編成するに当たっては、どうしても増額をしなければならないものについては別枠は認めております。防衛費について七・五%要求の別枠は認めておりますが、たとえばエネルギー関係では二〇%からの別枠要求増ということもございますし、経済協力は五年間で倍にするということを公言を天下にしておるわけですから、十数%の別枠増ということにならざるを得ないというようなことや、恩給とかそういうようなものの平年度化分については、これは別枠要求ということになっておるわけであります。それと同じように、外国との条約に基づいていろいろと決まったものの平年度化で増額されるもの、歳出化で増額されるもの、そういうものについては、これはやむを得ないものと考えておるわけでございます。 防衛費のことだけを申されますが、御承知のとおり、どこの国でも独立国家では防衛にある程度の金はかけておるわけでございまして、日本はGNPの中で一%に満たない防衛予算であることも、これも知っていただかなければなりません。アメリカあたりは五%とか、イギリスでも五%、ドイツでも三・何%という中で、日本も国際社会に出ておって、日本はみずから防衛に対して努力をしない、そしておんぶにだっこじゃないか、もっと、ともかく人のところへ貿易で売りまくるばかりが能じゃないんじゃないか、日本でもみずから自分の国を守るだけの努力はすべきだということは、国際会議などでも、別にアメリカだけではなくて自由陣営の仲間——仲間と言っては語弊があるかしりませんが、自由陣営の親しい国々からも、ともかくそういう国の人たちからもいろいろな御批判を受けておるのも事実でございます。 したがって、われわれといたしましては、やはり最小限度の防衛予算ということについては、これは自由民主党内閣としては、党の党是にのっとって当然それは最小限度のものは、国際的に比較してみてもこれは要求をする必要がある、ある程度認める必要があるということでやっておるわけですから、それはもう立党の母体が違っておるので仕方のないところでございます。
○赤桐操君 先ほどの総理の御答弁の中でもこれはもう明らかにされておるわけでありまして、日本は平和主義に徹する、そしてこれからの防衛費の問題についても、少なくともGNP一%以内、さらにまた七・五%というこの予算の枠についても聖域とは考えないと、こういう答弁もされているわけでありますので、総理のこのお考えからするならば、少なくともいまの大蔵大臣の言葉の端端にあらわれておりましたところの考え方、そうしたものについては、私どもとしてはいただけないのでありますが、この点、総理、いかがでございますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 政府の基本的な方針は私が申し述べたとおりでございます。いま大蔵大臣からは、シーリングの中における防衛の概算要求限度枠七・五%についての見解を申し述べたと。しかし、これからわれわれは総合的に判断をいたしまして最終的な予算の編成に当たるわけでありますが、そういう際におきましては、防衛費だけを無審査と、聖域として取り扱うという考えはございません。
○赤桐操君 行政改革、財政再建、こうした問題については当然私どもも考えなければならぬと痛感をするものがあります。臨調の答申の中では、防衛費につきましては、「装備品使用、調達方法等の効率化、合理化に努め、極力抑制を図る。」と、こういうように言っておるようであります。 総理はこうした中で、少なくともこの臨調答申の中でもこういう指摘をしているわけでありますが、五十七年度の防衛予算については、概算要求額あるいは後年度負担、こうしたものを含めて抑制をするということについてこの場でお約束がいただけますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど来繰り返して申し上げておりますように、防衛予算といえどもいささかのそこにむだがあってはいけない、こういう観点から、やはり予算編成に当たってはこれを聖域とせずに厳しく審査をやってまいると、こういう方針には変わりございません。
○赤桐操君 政府の財政再建構想については、一般会計予算の全体との関連から見ますると、いささか一般会計予算に偏重し過ぎているのではないだろうか。一般会計予算は当然これは財政中心にするものでありまするけれども、国債の累積が五十六年度の末では八十三兆円、国債費が六兆六千五百億円、こういうところにまで達するわけでありまして、再建は確かに必要でありましょう。しかし、政府のやり方でありまするというと、五十七年度予算要求で、後年度にたとえば防衛費のように支払いを繰り延べる、あるいはまた特別会計へ逃げを打つ、あるいはまた財政投融資にツケを回す、さらにはまた地方自治体に押しつけていく、こういうことが随所に見られてきておるわけでありまして、俗にツケ回し、肩がわりでいうところのことをしようというような考えさえも私たちはうかがわざるを得ないわけであります。いわゆる財政再建の本格的な根本策というものは感ぜられないのであります。しかも三年の財政再建期間、これを過ぎたならまたもとに戻す、こういう条件になっておるというようなわけでありましてはなおでありまして、これで本当の財政再建ができるだろうか、このことについて総理の御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 今回御審議をお願いしようとしております行革関連特例法案、これは、当面五十七年度予算に緊急に織り込むべき問題につきまして御答申をいただいたものを最大限に尊重するという立場に立って取りまとめたものでございます。したがって、今後の行財政改革のこれはほんの一端である。今後は相当広範な臨調としても御検討が各分野にわたって行われるようでございます。それぞれの答申につきましては、政府としてはこれを最大限に尊重して実行に移してまいる考えでございます。 そういう中におきまして、これを財投だとかいろんなものにツケ回しをするというようなことは考えておりません。全体として増税のない予算の編成を行う、財政再建を行う、そういう基本的立場で進めてまいる考えでございます。
○赤桐操君 次は、仲裁裁定と人事院勧告の問題についてお伺いをしてまいりたいと思います。 三公社五現業職員と国家公務員の給与引き上げの問題、これが大変おくれております。実施のめどさえ政府は明確にいたしておらないわけでありまして、まことに遺憾であると私は存じます。憲法を初めいろいろの規定がございまして、こうした設けられた法律の精神にも反すると思います。総理のこの問題に対する基本的な処理のお考えをひとつ伺っておきたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) いま大きな関心事に相なっております問題が、この仲裁裁定の取り扱いをどうするかということ、さらに、さきに勧告がございました人事院勧告をどのように処理するか、こういう問題でございます。 仲裁裁定につきましては、本会議でも申し述べておりますように、これを前国会におきまして国会の御判断を求めるべく議決案件として提案をいたしました。その当時の状況と基本的に事情の大きな変更がございませんので、これは引き続きひとつ国会において御審議をいただき、御判断をお願いを申し上げたい、こう思っておるわけであります。 人勧につきましては、これは大変政府としても頭を悩ましておる一つの問題でございますが、良好な今日までの労使の関係を考え、また一方において財政再建に取り組んでおる厳しい財政事情、そういう中においてどのようにこれを処理するかということで、給与関係閣僚会議におきまして誠意を尽くしていま検討中でございます。今後もこの会議を重ねましてできるだけ早い機会に結論を出したい、これが政府の基本的な考えでございます。
○赤桐操君 一昨三日の日には、衆議院におきましてこの問題がかなりの時間をもって論議されてきております。各党からいずれも出されておるわけであります。 私どもは、仲裁裁定、人事院勧告というものが、少なくとも今日まで憲法で保障をされたところの労働基本権、この基本的な権利の上に立って、これらの公労法適用労働者、あるいはまた国家公務員、地方公務員、いわゆる公務員労働者、こうした労働者に対するところの抑制措置というものに対する代償の措置であるという理解の上に立って今日に至りました。そして、仲裁裁定が実施をされて今日まで積み上げられ、人事院勧告が実施をされて今日まで毎年続けられてきたわけでありますが、その理由は、まさに労働基本権の代償措置であるからであったと私は考えるのであります。 こういう意味合いからいたしまして、この代償措置の問題については、私はもはや論議の余地がないと考えておりましたが、まことにこの問題をもう一度ここで論議をしなきゃならぬということは遺憾であると私は考えます。一体、政府は代償措置の方途を設ければそれで事足りると考えているのか。代償措置というものは、機関が出した決定については、少なくとも政府といえども拘束をされるものだということについて、これは考えておるのかどうなのか。総理、労働大臣、それぞれのお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(藤尾正行君) お答えを申し上げます。 これは御指摘のとおり、衆議院でもいろいろと御論議がございまして、私ども、それに対しまして解決のつく方法があればということで一生懸命にいま私どもは遵守の方向でやりたい、こういうことを申し上げたわけでございますけれども、御案内のとおりこれはお金でございますから、そのお金の出どころがないと、こういうことになりますと、何かそこに考えられる方法があるかということを詰めていかなければならないわけでございまして、ただいま総理大臣が仰せられましたとおり、人事院勧告というような場合には、これは勧告でございますけれども、私どもは何とかこれを完全実施する道はないか、こういうことで関係閣僚会議で詰めておるわけでございます。 しかしながら、これも先ほど申し上げましたとおり、御案内のとおりの財政事情でございますから、そのお金は、御案内のとおり予算では一%しか用意いたしておりません。したがいまして、どうしても足らぬということになるわけでございますから、その足りないところをどのようにしてその財源を見つけられるだろうかということについて、大蔵大臣にお願いをして、こういう方法があるだろうか、ああいう方法はどうだろうかというようなことを一生懸命にお互いに出し合いましていま検討中でございますから、これは総理大臣の仰せられたとおり、その閣僚会議において、それではこれだけの財源ができたからこれによってどのようなことができるだろうか、あるいはどうしてもこれは出さなければならぬということになれば、そのお金のもとをどこから引き出してくるかということについての了解が完全につかないと、これはなかなか解決が困難である、かようなことでございまして、目下一生懸命に関係閣僚で詰めておるところでございます。
○赤桐操君 労働大臣は大変真剣にお取り組みいただいておるわけでありまして、その誠意は私どもはよくわかるわけでありますが、仲裁裁定についてまず私は申し上げたいと思うのでありますが、これには大変長い歴史が今日までございます。この歴史をいまここで長々と申し上げる時間がありませんので、要約して顧みたいと思うのでありますが、この公労法の問題は、昭和三十一年以前はいわばこれは旧法の時代でございまして、いろいろの問題がたくさん発生をした時代でありました。そこで、当時の状況を見まするというと、仲裁裁定、賃金関係の裁定の中で公労委から——これは政府関係の資料で言うわけでありますが、労働団体の側ではもっとありますけれども、政府関係の資料で申し上げましただけでも、十五件の中で完全に実施されたものはわずかに三件しかなかった、こういうことが明らかにされております。 その後、日本の労働界は、ILO結社の自由委員会にこうした事実を提訴をいたし、政府もこのILOの結社の自由委員会には参画をする中でいろいろの検討が加えられまして、結局、立法機関への予算権の留保の問題とか、あるいはまた仲裁裁定というものは最終的にはこれは労使の合意によるものであって、少なくともこの裁定には政府も従わなきゃならぬ、こういう実は結論が出されたはずであります。これは全逓、国労、こうした各労働組合がそれぞれ結社の自由委員会に具体的な申し立てをした中で出された結論であったはずであります。 こうしたいろいろの背景がもとになりまして、三十一年には三十五条の条文改正を行いまして、当時なかったこの条文が入れられ、政府は当該裁定に対しては全力を挙げてあらゆる努力をしてこれは果たす、こういう趣旨が盛られるに至ったはずであります。三十二年には、春闘の中で岸総理と社会党の鈴木委員長の間で会談が行われ、裁定尊重についてのがっちりとした態度が確認をされる、そういう中で、自来今日まで仲裁裁定は完全に実施されてきたわけでございます。 そういう状況の中でいろいろと過ぎてきたわけでありますが、その後、国内におけるところのいろんな論議を見てみまするというと、全農林の警職法の事件とか東京都教組の事件であるとかいろいろございまして、こうした中でいわゆる現業、非現業、各労働組合のスト権の問題が大きく問題になってきた時代がありました。政府は、この裁判の中でいろいろと主張してきた根本は、少なくとも仲裁裁定あるいはまた人事院の勧告、こうしたものを受ける公労法適用者等々については、代償措置としての仲裁制度があるわけであるので、少なくともこのスト行為については禁止すべきだということを主張してきたはずであります。当時の最高裁は、これを受け入れてあの確定をいたしたはずであります。そうだとするならば、政府は仲裁裁定は代償措置としてきたのでありまするから、当然これに対して問題はないはずであります。これが今日までの経過であったと思います。 さらにまた、私はILOの場におけるところの政府代表の発言についてここでひとつ御紹介をしておきたいと思うのでありますが、これはILO公務専門総会というこの機関に、一九七五年の四月、報告をされた片山日本政府代表——当時の総理府人事局次長の話した内容でありますが、この中で「もとより、争議権の否認については、適当な代償措置が講ぜられる必要がある。」、内容を全部読む時間がありませんので途中を省略いたしますが、政府から独立した中立的性格を有する行政機関である人事院が、情勢適応の原則により、適宜、勧告または報告を国会にしている。したがって、十分な代償措置が形式上も実質上も十分整備されているところである。一九七〇年以来完全に実施されておるということを言い切っております。 また、郵政事業等のいわゆる公労法適用の職員に対しましては、「すべての勤務条件について団体協約締結権を含む団体交渉権が認められており、強制仲裁制度を含む紛争解決手続が確立されている。」、こういうように出ているわけであります。 したがって、政府代表はこういうようにILOの場においては明言をしているわけでありまして、この問題については、代償措置としての仲裁裁定、これが出た以上は労使間の問題については一件落着、すべてはこれは解決をされる。予算上、資金上等の問題がやがて議会の、立法機関にこれが出されて、いろいろまた遷延されるということはあり得ない、こういうことが確認をされていると思うのでありますが、この点について藤尾労働大臣、御見解はいかがでありますか。
○国務大臣(藤尾正行君) お答えをいたします。 お説のとおり、ILOにおきまして、私どもの公共企業体にお働きになっておられる方々の争議権、こういったものにかわるこういった仲裁機関といいまするものの決定を尊重をしていくということは、はっきりILOにおいても言っておりますし、また公労法三十五条でもこれはきちっと決めているわけでございます。したがいまして私どもは、この公労法三十五条の精神といいまするものを踏まえて、この仲裁裁定につきましても完全に実施をするということをやらなければならぬということでいろいろ考えていくわけでございますけれども、この三十五条の精神で一体これでいけるだろうかということを一つ一つの企業体、それにすり合わせて見ていかなければならぬ。こういうことをやってまいります際に、御案内のとおりの公務員のベースアップというような枠が、やはりこの際は公共企業体等におきましても一応これはついておるわけでございますから、たとえば、お金に余裕があるのではないかと私どもが思っております専売公社というようなところにおきましても、現実に九十億の金があれば完全実施ができるということになっておりますけれども、給与引き当ての予算は十九億しか計上していない、こういうことになるわけでございます。 したがいまして、その一つ一つにとりまして、じゃ、その段差になっておるところをどのようにして出すか、また出せるかということを具体的にこれ詰めていかなければならぬわけでございまして、そういった作業をしてまいります際に、ことしの場合は非常に残念でございまするけれども、特に経営状態の悪い国鉄とか、あるいは非常に残念でございますけれども、初めてそういう結果が出てまいりましたが、林野でありますとかというようなところでは、これは一般会計からでも何とか御補助をさしていただかないとこの解決はできないのじゃないかというのが現状でございますから、それでは政府といたしまして、やれるところはやり、やれないところはやらないというようなわけにはちょっと私は労働大臣としてはまいらぬ。どのような方々におかれましても、そのお働きになっておられます労働の価値、また仲裁裁定の重みというものは全部これを生かしていかなければならぬということで、私どもができますことは、これは国会にお願いをして、そうして御判断を願う、御議決を願うということが一番大事だということで、さきの国会におきましてお願いをいたした、こういう次第になっておるわけでございます。
○寺田熊雄君 関連。
○委員長(植木光教君) 関連質疑を許します。寺田熊雄君。
○寺田熊雄君 いま赤桐委員からも質問で触れられましたけれども、この仲裁制度それから人事院勧告制度は、憲法二十八条の勤労者の労働三権を奪うことの代償として設けられた制度であることは、累次にわたりまして最高裁判決、いまの非常に反動的な最高裁でもこれははっきりとうたっておるのですが、総理、あなたは憲法九十九条で憲法を守る義務がありますね、これは御存じでしょう。憲法二十八条からくる要請としてのこういうスト権禁止の代償措置としての仲裁制度、人事院勧告制度、これをお認めになるのですか。逃げないでひとつ答弁してください。
○国務大臣(鈴木善幸君) 法律的な問題、ILOとの従来からの問題、こういう点につきましては私も承知をいたしておるのでございます。ただ問題は、そういう中において、今回この仲裁裁定あるいは人事院勧告、これをどのように処理すべきかということにつきまして大変苦慮もし、また努力も積み重ねておるところでございます。 仲裁裁定につきましては、ただいま藤尾労働大臣からも申し上げましたように、三公社五現業各企業体の財務内容というのはそれぞれ違いがございます。そういう中で、できるところだけをそれではやるか、全体としてどうしなければいけないか、また、その厳しい財務の状況の中におきましてどのようなやりべりをしたならばそれが可能になるか、こういう問題について、せっかく政府としても関係当局で努力をいたしておるところでございまして、結論を得るまでにはまだ少し時間を必要とするのが、これが偽らざる状況でございます。国会において仲裁裁定に対して御判断を求めておりますが、それに対して政府側の見解を求められて、それに明確にお答えをする、これはこうするということを申し上げるにはもう少し時間を要すると、こういう段階でございます。 また、人事院勧告につきましては、先ほども私申し上げましたように、いま給与関係閣僚会議におきまして、いまの厳しい財政事情、また、いまるるお話がございましたような人事院の使命、あり方、その権威ある勧告、これを踏まえてどうするかということについて給与閣僚会議においてせっかく誠意を持って努力を続けておる段階であります。
○寺田熊雄君 誠意を持って処理なさろうとしておられることはわかりました。 私がお尋ねしたのは、この仲裁制度それから人事院勧告制度が憲法二十八条の争議権、これを奪ったことの代償措置として設けられておるという制度の趣旨を総理は御存じかどうか、認識をしていらっしゃるかということを伺っているのです。
○国務大臣(鈴木善幸君) その点は、ただいまも御答弁申し上げたように、その趣旨は承知いたしております。
○寺田熊雄君 大蔵大臣、いかがでしょう。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 制度の趣旨はよく理解いたしております。
○寺田熊雄君 その制度の趣旨を御理解になっておられるとしますと、私どもから言いますと、大変タカ派の判決であるというこの全農林事件判決でさえも、ことに多数説の中の裁判官、岸盛一、天野武一、このお二人の方々でさえも、わが国では非常にこの代償措置が軽く扱われておる、ともすればないがしろにせられておるということをうたっております。これがもし迅速公平にその本来の機能を果たさず、実際上画餅に等しいと見られる事態が生じたときは、公務員がこの制度の正常な運用を要求して相当と認められる範囲を逸脱しないで争議行為に出たとしても、それは憲法上保障せられる争議行為である、つまりストもサボもできるんだということを言っておるわけです。 それで、これは宮澤官房長官ですか——これはしかし、すべての当事者の真摯な努力にかかっているのであるから、法律上及び事実上可能な限りの手段を尽くしても、なおかつ財政支出が認められなければしょうがないけれどもということを言って、それに逃げ込んでおるわけですね。しかしこれは、もしもそれがだめならば、公務員はサボもできる、それからストライキもできるんだというところまで最高裁判決でさえも踏み込んでおることをどうお考えですか、これはあなた方の措置いかんによってはそういうことになりかねないでしょう。 それから、大蔵大臣はとかく財政上のことをおっしゃる。それは恐らく歳入欠陥を生ずるということを恐れていらっしゃるんだと思うけれども、これは過去において歳入欠陥を生じたことは幾らでもありましたよ。五十年度のときは四兆円の歳入欠陥を生じた。そのときいろいろな政府は手だてを講じました。それは特例公債だけ工やありません、いろんな手だてを講じた。手だてを講じ得るじゃありませんか。 また、考えてごらんなさい。五十五年度の予算においても交際費の課税強化をやったり、あるいは退職積立金制度、準備金制度、そういうものをいじってひねり出したじゃありませんか。 あなたは、いまそういう可能な限りの法律上、事実上あらゆる手段を講じておるということをわれわれに断言できますか。三千億程度のものが、この四十何兆の予算の、今日の財政状態の中でひねり出せないということはあり得ないでしょう。結局、代償措置をいかに重んずるか、憲法上の要請をいかに重んずるかという認識が、大蔵大臣、あなたにははなはだ失礼ながら欠けているんですよ。この点をわれわれはあなた方に強く要求しておるわけです。 まだまだたくさん申し上げたいことがありますけれども、時間がございませんので、大蔵大臣、そういう点の認識とあなたの決意、あらん限りの事実上、法律上の手段を講ずるという決意、それがあれば三千億程度のものはひねり出せるということ、それをひとつ、あなたのお考えを伺いたいと思うのです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 財政当局といたしましては、極力財源の捻出に目下努力しておるところでございます。 しかしながら、税収の動向等はもう少し時がたたなければわからないというのも事実でございますので、目下結論を出すという段階ではないと、それだけのことでございます。
○寺田熊雄君 いや、大蔵大臣、あなたの慎重なお気持ちはわかりますよ。歳入欠陥を生じちゃ困るという、それは大蔵大臣としてはわかりますけれども、しかし、この最高裁判決に言う、事実上及び法律上あらん限りの手段を講じてという、そこのところをいまあなたはやっていらっしゃるかどうか、また将来やるというお約束ができるかどうか、それをお伺いしている。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 判決は実施努力義務だと私は思っておりますので、その努力は極力しなければならない。したがって、そういう努力を目下している最中でございます。
○寺田熊雄君 それから総理、あなたにお伺いしますが、あなたは、仲裁制度でも国会にお任せをするとか、人事院勧告でも給与担当閣僚会議で検討中だとおっしゃいますね。それはそのとおりでしょう。しかし、あなたは多数党の総裁でいらっしゃるわけでしょう。また、各大臣に対する強力な指揮権もお持ちなんですね。あなたが本当に代償措置についての認識をお持ちならば、そういう指導力とか指揮権の発動もできるわけです。ことに党に対する主導権、指導力はお持ちになって当然だと思いますよ。そういう指導力を発揮なさることを私は期待したいのです。あなたが誠意を持って検討するということを衆議院でおっしゃった。それは一歩進めたものだとして私どもは理解しました。しかし、それは勧告なり仲裁裁定の実施に向かって誠意を持ってやるのだという、そこまで踏み込んでいただくべきだと私は思います。ただ誠意と言ったって、何のための誠意なのかはっきりしません。そういう実現に向かっての誠意といいますか、指導力といいますか、それをわれわれが求めても決しておかしくないでしょう。総理いかがでしょう。
○国務大臣(鈴木善幸君) 仲裁裁定につきましては、議決案件として国会の御審議をお願いをし御判断を求めておるわけでございます。そういう中におきまして、私も自由民主党の総裁でございます。国会の論議を十分煮詰めていただきまして、その推移を見た上で最終的には私も決断をしたい、こう思っております。 なお、人勧の問題につきましても、これは給与閣僚会議で、いま大蔵大臣も申し上げましたが、あらゆる苦心をこの財源の捻出等のためにやっておる段階であります。そういう点を十分見きわめまして、最終的には私が内閣の責任者として判断を下す考えでございます。
○寺田熊雄君 終わります。(拍手)
○委員長(植木光教君) 以上で赤桐君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(植木光教君) 次に、古賀君の質疑を行います。古賀雷四郎君。
○古賀雷四郎君 まずもって質問に先立ちまして、過般の台風あるいは台風の影響によりまして大きな被害をこうむられた方々並びに不幸にしてとうとい人命を亡くされた方々に対しまして心からお見舞いを申し上げたいと存じますし、また、亡くなられた方々の御冥福をお祈りいたしたいと存じます。災害対策の問題については、後で御質疑を申し上げたいと思いますので、よろしくお願いします。 さて、非常に難局を構えたわが国の内外の諸情勢でございますが、まずもって総理の政局担当の御決意をぜひお伺いしたいと存じております。 わが国は、現在世界で百六十三カ国を承認しております。さらに、世界人口の二・七%、一億一千七百万人におきまして世界のGNPの一割を占める経済大国となっておることは御了承のとおりでございます。しかも、所得水準は世界の平均値の三倍、所得分配も比較的に平等であります。さらに、国民の皆さん方に御負担を願っている租税あるいは社会保障負担率は先進国で最も最低の水準にあることは、十分御承知のことでございます。まさに、私は国際的にいい面、誇り得る面だと考えております。これも今日までのわが自由民主党政府施策がよきを得てさような結果を生じたものと、心から敬服をする次第でございます。 しかしながら、実はこれらの発展の中で、新聞等でごらんになるとおり、環境の破壊とか、あるいは精神面の、たとえば学校暴力等のいろんな諸問題も含めまして、大変な精神的な問題を生じておることは御承知のとおりでございます。また、諸外国に対しましても幾多の摩擦が生じておることも御理解できるところだと思います。 さらに、今日議題になっている問題として、五十六年度末の八十二兆円という国債発行残高は世界一という余り誇りにならないゆゆしき事態であると、私は非常に心配をいたしております。総理がこの問題につきまして政治生命をかけて行財政改革に取り組もうとするその姿勢、肥大化した行政のぜい肉を落として健全な財政に立て直そうとするこの勇断は、私は大変高く評価いたしております。総理の本当に忍者のような自己呪縛をかけてやっておられるこの姿につきまして、私は敬意と感服をいたすものでございます。言うはやすく行うほかたしということわざは、まさに行財政改革に適言でございまして、総論賛成、各論反対、いままでの常でございました。この総論賛成、各論反対のきずなを切って本当に合理的な行政改革が、あるいは財政改革ができることを心から望んでおる次第でございます。今日まで歴代内閣でも行政改革にはそれなりの努力をし、あるいは改善の跡も見受けられるのでありますが、鈴木内閣誕生一年三カ月にしてかような成果が得られてきましたことにつきまして、本当に私はその努力の成果だ、鈴木総理の決断のたまものであるというぐあいに深く敬意を表します。 鈴木総理は、さらに就任以後、国内では北方領土、沖縄へ現職総理として初めて視察に行かれました。外国へはASEAN訪問、レーガン大統領との会談、欧州歴訪、オタワ・サミットと、休む間もなく世界を舞台に首脳外交を展開されてきました。各国首脳とひざを交えて友好親善を図られてきたのであります。 今日、内外厳しいこの時期に、昨年、故大平総理の後を受けて政権を担当されましたが、これまでの総理の行動あるいは政治活動を通じて、あなたの心中に去来するものが何であるか、また、今後どう考えていこうとされているのか、胸の内をひとつお示し願えれば幸いと存じます。
○国務大臣(鈴木善幸君) 古賀先生からお話がございましたように、わが国をめぐる内外の情勢はきわめて厳しいものがございます。外におきましては、いま戦争か平和がというような人類が大きな関頭に立たされておるときでもある、そういうような時期に際会をしておるのでありますが、私は、世界の平和と安定のために日本が積極的な貢献をする、そういうことを通じて日本の平和と安定も確保できるのだ、そして国民の豊かな今日の生活を今後も持続することができる、これらをわれわれは今後においても真剣に取り組んでいかなければならないと、このように考えておるわけでございます。 特に、今日わが国はGNPにおきましても、自由陣営における世界第二の経済大国にも相なっております。その科学技術、持てる力も、これも先進国の中でも評価されるような立場にございます。私どもはこういうような日本への持っておる力、これを世界の平和と安定のために十二分に生かしていかなければならない、貢献していかなければならないと、このように考えるものでございます。私は、日本の国力、国情にふさわしい貢献を今後も国民の皆さんと一緒になって続けていきたい、こう思っております。 また、国内的にはむずかしい第一次、第二次の石油危機を乗り越えまして比較的経済も安定をいたしておるわけでございます。私はここで繰り返して申し上げませんけれども、欧米先進国等に比べましても、経済成長の面でも、あるいは物価の面でも、あるいは雇用の面でも、あるいは国際収支の面でも、比較的うまくいっておると思うわけでございます。 しかし、一面におきまして、御指摘がありましたようにいろいろな青少年の非行の問題等、いろいろ私どもも深刻に反省もし、これに取り組んでいかなければならない問題もあるわけでございます。 いまお触れになりましたように、経済はこのように比較的順調ではありますけれども、わが国の財政というものは大変危機的状況にございます。私は、八〇年代、そして二十一世紀の展望に立った場合におきましては、どうしても新しい時代が要請する新しい施策を機動的に実行していく、財政の対応力を高めていくためには、この際、歯を食いしばっても財政の思い切った再建を図らなければいけない、このように考えるものでございます。 この仕事は、私は、国民の皆さんにもそれぞれ痛みを分から合う問題であります。犠牲をお願いをしなければならない問題もあるわけでございまして、決して楽な仕事ではございませんが、幸いにして国民の皆さんも、また各党各会派の皆さんも、財政再建はこの際やらなければならないと、こういうことでは基本的に一致をしていただいておるわけでございますから、総論賛成、各論反対ということでなしに、大局的な立場に立って御協力をいただきたい。私も微力でありますけれども、その先頭に立ちまして全力を尽くす決意でございます。
○古賀雷四郎君 ただいま大変りっぱな決意のほどを示されました。 昨年の衆参同時選挙の審判におきまして、内外とも激動する、あるいは混迷を続ける八〇年代の政治をわが自由民主党に国民は託しました。このことははっきり銘記すべき問題でございます。その意味で、鈴木内閣の使命と責任は重かつ大であると私は存じます。与党及び内閣のリーダーとして今後の政局をどう担当するか、また、特に今度の国会は重要法案が山積みをいたしております。これらの問題は、今日の日本にとって非常に大事な案件でございます。これらの問題に対していかが考えておられるか所見を伺いたいと存じます。
○国務大臣(鈴木善幸君) いま御指摘がございましたように、去る衆参両院同時選挙で私どもが国民の皆さんから安定多数をお与えをいただいたわけでございます。政局はおかげで安定を続けておるわけでありますが、こういう際こそ私は、今日まで延び延びになり、また解決を迫られておる諸案件を処理するということがわが党並びに私に与えられた使命であると、このように受けとめておるわけでございます。その際、私は常に自戒をし自省をしておるわけでありますが、衆参両院で確かに過半数の安定多数を与えていただきましたけれども、これにおごってはいけない。やはり国会は特に話し合いの場であるということから、論議を十分尽くして、そして国民の方々のお考え、民意を十分吸収し、これが反映できるような国会の審議、運営がなされなければならない、第一党の総裁としてもそういう責任を感じておるものでございます。 しかし、今回の臨時国会におきましては、行財政改革という非常にむずかしい問題を処理しなければなりません。それだけに私どもは、国会に寄せられておる国民の負託というものを十分考えながら、いま申し上げたような考え方で十分論議を尽くしながら、最終的には議会制民主主義のルールに従ってこれを処理していくという、それについて私どもはひるむところがあってはいけない、あくまで民主政治のルールに従って進めていくのだ、こういう決意で臨みたい、こう思います。
○古賀雷四郎君 鈴木総理から、今後の政局に臨む決意を披瀝していただきました。大いに期待している次第でございます。 私は、時間の都合もございますが、これだけはどうしても質問をしたいということで、とりあえず参議院選挙制度、特に全国区制度問題につきまして総理にお伺いしたいと存じております。 総理は、昨年就任直後、この全国区制の改正が必要であると主張されました。この問題は、いわば総理・総裁としての公約の第一声であると私らは受けとめております。 いま参議院は委員会制度、いわゆる参議院改革に取り組んでいるところでございますが、これとあわせてとかく批判のある全国区選挙制度の改革に取り組むことが国民の大きな声となっております。自民党が率先して、この問題を取り上げていく考えを持たなければならないと思うわけでございます。 御承知のように、現行の全国区は国全体を一つの選挙区としてとらえ、個人選挙でありまして、これは世界のどの国にもこういう選挙制度はございません。特に八千万の有権者の皆さん方にとっては、百人前後の立候補者のうちから五十人を選ぶという、まことに私は選択のむずかしい選挙である。これは選挙法自体が持つ大きな、重大な問題だと思うわけでございます。多くの方々にはほとんど面識がなく、触れ合いもございません。そういう中で、八千万の有権者が百人のうちから五十人を選ぶという選挙制度であるということは、これはもう十分反省を要する問題でございます。また、立候補する側にとっても幾多の困難を伴うことは御承知のとおりでございます。 元来、参議院は、職能代表や各界の専門家など広く人材を集めようとした趣旨で設置されたものでありますが、数回の選挙を経ますと、かつての緑風会がなくなりましたように、政党化がだんだんと強くなっております。また、有力な組織団体あるいは全国的な知名度の高い人でなければ当選できないというような状態になっておりまして、求める人、有能な新人が出にくくなっていることは、皆さん方も御理解のとおりだと思います。 総理は、今日の全国区制の弊害、問題点についてどう受けとめているか、御所見を伺いたいと存じます。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、就任をいたしましてから、政界の改革のために金のかからない選挙制度というものをぜひ実現しなければならないということを申し上げました。自来、今日まで、いろいろ各党にも御検討をいただいておるわけでありますが、さきには騒音公害であるとか、あるいは紙の爆弾であるとかいうような面についての選挙制度の改革案をやっていただきました。東京都議選でこれが実際に行われまして、大変好評であったと、こう私は思っております。 もう一つの、当時からの懸案になっておりますところの参議院の全国区制度の問題でございます。これは、ただいま古賀さんが御指摘になりましたように、とにかく全国を一選挙区とするということで、しかもそれが個人的な選挙であるというようなことから、選挙民の方々がその候補者を選ぶのにも大変苦労しておる、不十分な選択を迫られておる、制度的にそこに欠陥があると思います。 それから、これは大変なお金がかかる。一回百万人に自分の政見等を知っていただくために書類を出すという場合におきましても、六千万円もかかるということでございます。恐らく三回や四回出すということになれば、大変なこれは膨大なお金がかかる。これはとうてい常識では考えられない調達というようなことにもなりかねないわけでございます。また、全国を候補者が全部回ってできるだけ多くの人と接触をする、所見を訴えるということは、肉体的にもこれもまたほとんど超人的な無理を強いることに相なるわけでございます。 こういうようなこと等を考えただけでも、この制度というものはやはり根本的に考え直さなければならないのではないかと、こう思います。 自由民主党におきましてもそういうような観点から一年以上熱心な御検討をいただいて、自由民主党としての一つの成案を得て先国会に御提案になった。廃案になりましたが、今国会にもぜひ出したい。また、各党においてもそれぞれ御検討が進んでおることだと思います。私は、どうかひとつ各党がそういう改革案というものを持ち寄って、そして論議を尽くして、この参議院の全国区制の改革というものをぜひこの国会で合意、成立ができるように期待をいたしておるところでございます。
○古賀雷四郎君 ただいま総理の力強い御所見をいただきましてありがとうございました。提案者の一人として心から御礼を申し上げたいと存じます。 次に、法制局長官にお伺いをいたしたいと思います。 わが党では、昨年夏以来、この全国区制の検討のためにプロジェクトチームを設置しました。鋭意検討の結果、幾多の経過を経まして拘束名簿式比例代表制で改正案をまとめ、前国会に提案をいたしたものであります。この案に対して、直接選挙された議員となるのかどうか、法のもとで平等立候補の自由に反するのではないかというような憲法上の疑義があるやに聞いております。われわれとしてはこの問題は完全にクリアしたものと考えて提案の運びにしたいというふうに考えておりますが、改めて御意見をお伺いしたいと存じます。
○政府委員(角田禮次郎君) 前国会に議員提案で御提案になりました法律案につきましては、私ども内閣法制局として意見を申し上げる立場にないことを御了承願いたいと思います。 ただ、御指摘の憲法との関係の問題でございますが、憲法の関係条文としては恐らく十四条、十五条それから四十三条、四十四条あたりが当然問題になると思いますが、それらの点につきましては、議院に設けられております法制当局における十分な検討を経て、そして合憲という判断を得られて御提案になったものというふうに私どもは存じております。
○古賀雷四郎君 ただいま法制局長官からお話がありましたが、実は、この法案は今国会におきまして提案を予定いたしております。しかし、重要案件が非常に山積みされているこの国会で、今後その成立を懸念する向きが非常に多うございます。改めて本件に対しまして、総理・総裁の決意をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) この参議院全国区制の改正の問題につきましての私の認識は、先ほど申し述べたとおりでございます。このようないわばわが国の政治のあるべき基本に触れる問題、各党のいわば消長にかかわるような問題でもございます。したがいまして、十分各党各会派と御論議を尽くして、そしてこのような欠陥のある制度の改革については、大局に立って、歩み寄って、そしてここに政府の改革が実現をされるというようなことを私は期待をいたしておるわけでありまして、自由民主党総裁としてもそういう熱意を持ってこれに取り組んでまいりたい、こう思っております。
○古賀雷四郎君 ありがとうございました。選挙制度の問題はもっといろいろと突っ込んだ話をしたいとは思いましたけれど、時間の関係もございますのでこれで終わらせていただきます。 次に、外交問題について簡単に御質疑をしたいと思います。 今月の二十二、二十三の両日、メキシコで南北サミットが開かれるということになりました。南北間の相互依存の深まりを背景に、双方の間で対話の重要性が広く指摘されているときだけに、きわめて有意義なことだと私は敬意を表しております。従来からこの問題につきましては各種協議の場があったわけでございますが、とかく開発途上国側のせっかちな要求が突きつけられ、また、先進国はこの対応に防戦一手に回るというのが通例であったと聞いております。ときには、完全に不毛の会議になったという会議もあったように私は聞いております。さきのIMFの、世銀の総会におきましても、南北の対立は例外ではなかったというふうに理解をいたしております。 南北サミットは、このような対立を回避し、去る八月、準備会によってこの会議の性格づけが行われるようになったと聞いておりますが、南北サミットができるだけ忌憚ない意見の交換が行われる場となり、また、建設的な方向が打ち出されることが私は一番大事なことだと思います。これらの問題に関しては、一にかかって参加する南北二十二カ国の首脳の態度によると思います。総理はこの会議にいかなる所信を持って臨まれようとしておりますか、お伺いしたいと存じます。
○国務大臣(鈴木善幸君) 国際的に相互依存関係が高まっております際でございまして、この南北問題に対してどう対処するかということは非常に重要になってきておるわけでございます。 私は、この南北問題につきまして、二つの観点からその重要性というものを考えておるのでございます。一つは、世界の平和と安定という観点からでございます。第三世界におきまして、特に非産油国におきましては大変経済は停滞をしております。インフレも高進しております。また、失業者もふえておる。国際収支に至っては、私は本当に大変な事態にあろうかと思います。ある地域におきましては、食糧難あるいは疾病が起こりましての医療の問題等々、いろいろな深刻な社会問題も存在をしております。そういうようなことは、一日もこれを放置できない状況であろうと思います。そこから内乱が起こったり、あるいは紛争が起こったり、それに対してまた第三勢力が介入をする。これが世界の不安定要因に相なっておるということは、これは事実であります。これを解消するためにも、私どもはこの第三世界の国々に対してできるだけの経済協力、援助をやっていくということが必要であろう。また、これを今度はグローバルな国際経済の改善、発展という面からいたしましても、やはり第三世界というものをこのような経済的な困難な状況に放置しておきましては世界経済全体が明るくならない、回復することができない、こう思います。そういうような観点から、資源の面からいっても、あるいは通商貿易の拡大の面からいっても、私はこの南北問題の解決、積極的な取り組みということが必要であろう、こう思います。 私は、今回、メキシコのカンクンにおいて初めて南北問題を主題としたところの首脳会議が開催をされるわけでありますから、ぜひ私もこれに出席をいたしまして、わが国政府の基本的な方針、南北問題に対してできるだけ開発途上国等に対して経済的、社会的な開発、発展に貢献をし、そしてそれを通じて民生の安定とまた福祉の向上に寄与すると、そういうような日本の不動の経済援助の方針、経済協力の方針を踏まえましてこの会議に臨みたい。 それからまたもう一つは、特に私は農業、農村の建設、人づくり、そういうような問題を通じまして開発途上国の開発、振興に寄与したい、これも日本の方針を率直に訴えまして国際的な協力の促進をいたしたい、こう思っております。
○古賀雷四郎君 八月の準備会議におきまして、これに参加された外務大臣の御活躍によって、南北サミットの性格づけに関しわが国の主要な役割りを果たしたと伝えられております。これにつきまして、簡単で結構でございますから、ひとつどういうことであったのか、お伺いしたいと存じます。
○国務大臣(園田直君) お答えをいたします。 第一は、総理がサミットで提唱されました共存、相互連帯、これが準備会議の全会一致の本会議へ臨む基本姿勢となったわけであります。 二番目には、準備された議題で会議を開くと官僚化をして形式化するおそれがあるから、今度の本会議では首脳の自由討議による討議をやろう、したがってその討議の結果、南北問題に対する南北双方の理解、それから一つの方向が出てくればよい、こういう考え方でありまして、しかし、ただそれをやっておっては会議がうまくいかぬというので、日本側から主張した重点通報方式ということで、何をしゃべりたいかということは前もって連絡をする、そういうことから今度の会議が始められると思いますが、何にいたしましても相互依存と連帯、対決を避ける、それ以外には南北問題の解決はないということで、南北両方に対するわが方の鈴木総理の責任はなかなか大きいと考えております。
○古賀雷四郎君 いま外務大臣のお話を聞きますと、この南北サミットが自由な討議が行われるような段階のようでございます。忌憚ない意見が交換できるものと思いますが、実際には私は、世界のGNPの一割を占め、世界経済に重きをなすわが国の具体的な貢献に寄せられる期待が非常に大きいというふうに理解をされるのであります。 総理は先日の所信表明演説で、具体策として食糧、農業開発が開発途上国の国づくりの基本として重要であることを訴えられました。この分野でわが国がどういう協力をされるのか、具体的にお示しいただければお願いしたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 政府援助並びに民間その他もありますが、政府援助については、御発言のとおり、今後インフラ、国民の生活向上に直接関係のあるもの、あるいは農業開発、農村開発という方に逐次重点が移っていくべきであろうと考えております。 なおまた、非常につらい財政事情ではありますが、明年度の予算では、過去三カ年間に政府援助は倍増してきましたが、将来五カ年間においてはさらにこの倍増をお願いをする所存でございます。 しかし、それにしてもなお世界の平均よりもまだまだ少しはおくれておるわけでありますから、この平均に達するようできるだけの努力をする所存でございます。
○古賀雷四郎君 次に、北方領土問題につきまして質疑をしたいと思います。 去る九月十日、鈴木総理が現職の総理大臣として初めて北方領土の視察をされましたことは、北方領土返還要求が決して一部勢力の不法の要求といったものでなくて、私は全国民挙げての悲願であることを示されたものとして深く敬意を表しております。当参議院におきましても、北方領土返還につきましては四島一括返還の決議をいたしておるところでございます。また、総理が現地でこういうことをおっしゃいました。領土よりも魚というのは大変な問題であると言われました。いわば二島返還論にははっきりとくぎを刺されたと私は理解をいたしておりますが、国論の統一という面につきましても必要な、また勇気ある発言だと私は思います。しかし、このような領土返還の要求を掲げて国民の先頭に立って歩まれている総理でございますが、ソ連のプラウダ等はこの視察を非難し、また、視察当日はソ連の警備艇等が四隻も集まりまして中間ラインすれすれに走り回ったというようなこともございますし、わが方も海上保安庁の巡視艇が出動したというような状況であることも聞いております。情勢はきわめて厳しいと申さなければならないと存じます。 総理は、かねがね昭和四十八年の田中・ブレジネフの共同声明による第二次大戦のときからの未解決の諸問題を解決して平和条約を締結するという線までぜひさかのぼらなければならない。未解決の諸問題というのは、領土を含んでいることは当然でございます。両首脳間の了解もできていると言われております。先般、ニューヨークで行われました園田外務大臣とグロムイコ外務大臣との会談で、園田外務大臣がこの主張をお述べになっておるのに対し、グロムイコ外務大臣は、領土問題では日本は幻想を持ってはならないと、返還交渉に応ずるつもりはないことを明確にしております。しかし、同時にこの会談で日ソ間の事務レベル協議の再開が合意され、また去る八月、貝殻島のコンブ採取協定が五年ぶりに成立する。日ソ関係を打開しようとする動きも、これは十分理解して進まなきゃいかぬ問題だと思います。 こうした情勢を背景に今後北方領土問題に対してどう取り組もうとされるのか、まず外務大臣から、グロムイコ外務大臣との会談の内容をお話をいただきたいと思います。そして総理から、北方領土に取り組む決意をお願いしたいと存じます。
○国務大臣(園田直君) グロムイコ外務大臣との会談は、予定を超過しまして二倍近くの時間で会談をやったわけでありますが、終始良好な雰囲気で会談を終わりました。 第一は、私は各地に紛争があるけれども、それに対する懸念よりも世界各国、わが国も含めて一番懸念している問題は米ソの軍備競争からくる不測の事態である、したがって、米国にも強く要請をしたが、ソ連の方にも軍縮、制限並びに米ソの対話を強く要請するということが第一であります。これについては同意、米国の方からちゃんと話を受ける用意があるか——用意がある、こういう話でありましたから、さらに念を押して、日本が米国とソ連の間に立ってこの話がスムーズにいくようにやってもよろしいか——よろしいということでございましたから、この中に立ったわけであります。 次に、領土に関する問題から申し上げますと、ちょっと今度の場合は違うわけでありまして、いままでは幻想とかなんとかを使っておったのでありますが、今度の場合は、第一は北方領土の問題は解決済みである、こういうことを例のごとく主張したわけであります。次には、北方四島の問題は、米国や中国から後ろから肩をたたかれて日本軍国主義の足場として言っていると、こういう二つの話。これは、これに似たような談話を一般演説でやったわけでありますから、これについて私は説明をして、領土の問題は米国、中国とは関係ないで日ソの二国間の純粋の問題である。二国間で解決をしたい。そこで私は、いまおっしゃいました田中・ブレジネフ会談から説き出しまして、いやしくも厳粛なるべき国際信義を一方的に解釈をして解決済みと言うことは納得できない。これは日本国民の総意であり、かつ国会においては自由民主党から共産党に至るまで一貫した主張であるから不変のあれである、したがってこの問題は話を進めたいということで、主張は平行線でありましたけれども、しかし、現実に相対立していることは事実じゃないか、この違った意見も含めてひとつお互いに話し合いを始めようじゃないか、こういうことになったわけでありまして、その話し合いはなかなか簡単ではありませんので、それぞれ両方が打診をしながら、外交チャンネルを詰めながら事務協議あるいは外相会談と詰めていきたいと考えておりますが、これは総理から強く御指示を受けましたように、まず含めて話し合いをやる糸口をつくれと、その次には粘り強くひとつ各国に向かってもその世論を訴えながらこれを貫徹しようと、こういうことで努力をしているところでございます。
○国務大臣(鈴木善幸君) 北方四島の返還の問題は、これは日本国民の長年の悲願でございます。ぜひこれを実現をしなければいけない。そのためには国内の世論、また体制というものをしっかりと固めなければならないと、こう思っております。そのために私は就任以来、根室を中心とする地域の開発と安定の施策を強化するということ、それから「北方領土の日」というものを設定をしてこの問題に全国民とともに取り組んでいくということ、それから先般は地元の御要請もございまして、現職の総理として初めて北方四島を空から視察をいたしたわけでございます。私は、これは日本国民の悲願であると同時に、ソ連は日本にとりまして重要な隣国でございます。日ソの友好関係を回復するということは、これは両国の利益のみならず、アジアの平和、世界の平和を実現するためにも重要なことだと、こう思います。そのためには、何といってもこの北方領土の問題を解決をして、真に国民が腹の底から日ソの友好協力関係をこれでいいのだというところまで持っていかなければ、本当の日ソ関係の改善ということにならない、こういう私は信念を持っております。今後、ソ連側は領土問題は解決したとかいろいろ言っておりますけれども、私どもはあくまで粘り強くこれに取り組んでまいる考えでございます。
○委員長(植木光教君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。 午後一時から委員会を再開し古賀君の質疑を続けます。 これにて休憩をいたします。 午前十一時五十九分休憩 —————・————— 午後一時開会
○委員長(植木光教君) 予算委員会を再開いたします。 予算の執行状況に関する調査を議題とし、古賀君の質疑を続行いたします。古賀雷四郎君。
○古賀雷四郎君 外交問題の最後は、日韓関係であります。 さきに一九八八年のオリンピック開催都市に立候補した名古屋がソウルに一敗地にまみれたことは大変残念ではありますが、総理はこの結果をどう受けとめておられるかお伺いいたしたいと存じます。そして、結果が決まった以上は総理の、オリンピックの成功につきまして協力をいただくように強く要請する次第でございます。
○国務大臣(鈴木善幸君) 名古屋オリンピックの実現に向かって関係者か努力をされましたが、それが実を結ばなかったことは残念でございます。しかし、隣国の韓国のソウルに開催地が決まりましたことはアジアに位する日本として大変結構だと、こう思っておりますので、東京オリンピックの経験等を生かしまして、今後その成功に御協力を申し上げたい、こう思っています。
○古賀雷四郎君 さて、懸案になっておりました日韓交渉でありますが、これは金額の問題もこれあり、これらが打開されない限り、日韓首脳会談の見通しはなかなか立ちにくいという現状であろうと存じます。政府の言うように、誠意を持ってこの問題の解決を図り、首脳会談の早期実現を通じて、隣国韓国との密接な関係の発展を心から期さなければならないと思いますが、総理の御所信をお伺いしたいと思います。外務大臣の御所信もあわせて伺います。
○国務大臣(園田直君) 隣国の友邦たる韓国がいろいろな困難に直面しつつ、産業五カ年計画をつくって新しい国づくりをやっているというこの努力にかんがみまして、わが日本は経済協力の基本方針のもとに、できる範囲の協力をすべきであると考えております。しかしながら、いまのところ基本的な考え方、額等の問題で相当な開きがございます。したがって、これを無理やりにやることは今後の日韓関係にもよろしくございませんので、双方が理解し、納得し、できればお互いに感謝し合うような解決をやるべきだと考えておりまするので、それぞれ理解、説得等を詰めておるところでございます。
○古賀雷四郎君 総理は和を大事にされておりますが、私は、隣国との和を保っていくということは、隣国の各国に通ずる問題であろうかと存じます。どうかそういう意味で今後とも、当面の日韓交渉を通じて、一番隣国である韓国との協調関係をひとつ十分保っていただきますように強く要請しておきます。 次に、防衛問題に入らせていただきます。 五十一年十一月五日の閣議決定により、防衛力の整備については国民総生産の一%以内とすることになっております。私は、防衛力の整備は、その置かれている国際軍事情勢、脅威を的確に分析して、自国の平和と存立を維持するに足る防衛力の整備を図るものであると思います。あらかじめこれ以内と決めておくのではなくて、だからといって際限なくふやせるものではないと思いますが、その当時の国力、国情に応じた防衛力整備を行うべきだと思いますが、この一%の問題につきまして政府は現在どういうぐあいにお考えになっているか、最近の脅威の増大がいろいろと流布されている現段階でございますが、その点につきましてお考えをいただきたいと思います。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。 防衛庁といたしましては、最近の国際情勢が厳しいことにかんがみまして、防衛力の整備に取り組んでいる次第でございます。 すなわち、憲法並びに防衛に関する諸原則に従いながら、そしてまた防衛計画大綱の示すところに従いまして、防衛力の不備を速やかに補うべく努力を重ねているところでございます。その場合の対GNPの比率の問題でございますが、これは先生御承知のとおり、昭和五十一年の十一月の閣議決定でもって決められているものでございます。当面防衛関係費を、その年度の国民所得の一%に相当する率を超えない範囲内で防衛関係予算を決める、こういう方針でございます。現在、なおその閣議決定が生きておりますので、私ども今後の予算編成に当たりましても、この点を念頭に置いてあとう限りの防衛努力を図ってまいりたい、さように考えている次第でございます。
○古賀雷四郎君 防衛力は、私は世界の情勢に応じて非常に流動的に考えていかなければいかぬ問題だと考えるわけでございます。 脅威に対して今後日本の国をどう守っていくかという重要な基本的な問題でございますので、どうかこの一%問題ということはよくひとつ、閣議で決定されておりますけれども、御検討を心から私はお願いする必要があるというふうに理解してこの質問をいたしたわけでございます。 それから、本年四月防衛庁は、有事法制について中間報告を行いました。発表されたものは、有事の際の物資の収用、土地の使用等について規定した自衛隊法第百三条を中心とした防衛庁所管法令の検討だけでありまして、他省庁に関係する事項、たとえば陸海空における部隊の移動、資材の輸送あるいは通信連絡、火薬、土地の使用、施設の構築等に関連する法令については一切検討が行われておりません。問題を将来に残しているものと思います。これらの問題は御承知のとおり関連する法令や事項が多いだけに、一防衛庁における研究を待つには余りにも時間を要します。また関係省庁との調整が必要でございます。私らはさきに、安保防衛の研究プロジェクトチームをつくりまして総理に進言をいたしました。この際、有事法制の検討を統一的に行うチームを内閣に設置し、早急に作業を行うべきだと考えるのであります。いかがでありましょうか。このことが逆に、有事における国民の主権制限の歯どめにもなると私は存ずる次第でございます。また、この有事法制を決めることによりまして、有事の場合の行動ができ得る立場に立てる自衛隊も当然のことでございまして、これらに関しまして総理の御所見をお伺いしたいと存じます。
○国務大臣(鈴木善幸君) 有事法制の問題につきまして、自衛隊法百三条の検討を防衛庁が中心になりまして進めてまいっておったのでありますが、四月に中間答申がお話のように出たわけでございます。防衛庁は引き続きこの問題につきまして掘り下げた検討をやっておるわけでございまして、その推移を見ながら内閣全体としてこの問題を統一的に検討してまいりたい、こう思っております。
○古賀雷四郎君 内閣にさような統一の作業をやるチームをつくられるお考えがあるかどうか、それをお伺いしたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) この後における防衛庁の検討の推移を見まして、その問題を含めて検討いたします。
○古賀雷四郎君 次に、行政改革についてお伺いいたします。 さて、臨調では、今回の第一次答申に引き続き、今後の本格的な審議により、来年初夏、さらには再来年三月には最終答申が出される予定となっております。今回は当面財政対策が中心でありましたが、今後は基本施策、制度そのものへ大きくメスが入ることになると思うのでありますが、これらを答申を願う問題にどういうテーマがあるか、この答申をいつごろ求めるのか、まず行管長官より御説明をお願いしたいと存じます。
○国務大臣(中曽根康弘君) 基本的には、今後八〇年代、九〇年代の大きな課題にこたえ得る政府のあり方はいかにあるべきかという基本の理念と体系、包括的な問題が一つございます。それに基づきまして、中央省庁の統廃合問題、あるいは行政の統合力の問題あるいは調整力の問題、それから地方出先機関の整理統合の問題、つまり中央と地方とのあり方の問題にも関係してまいります。それから官と民のあり方の限界点、よく言われておりますが、官業のあり方についてどういうふうにこれを調整していくかという問題がございます。それから特殊法人、三公社五現業の問題、それから公務員制度全般をどういうふうに改革していくかという問題、あるいはさらに基本的には許認可行政のあり方、許認可を思い切って整理することによって、人間も要らなくなりますし役所も要らなくなりますし、いわゆる監督官庁的性格を持っている役所が政策官庁に衣がえしてまいります。そういう基本的部面に当たる許認可の問題、あるいは情報化時代に備えまして、情報公開やあるいはプライバシーの保護の問題、あるいは野党の皆さんから御提唱いただいておるオンブズマン制度の問題、こういうような新しい課題にも取り組んでいく、こういうことでございます。
○古賀雷四郎君 いま行管長官の御説明も大変なボリュームの今後の作業が要ることと、私は非常に今後の臨調あるいは行管当局の御苦労が大変だろうと存じ上げる次第でございますが、行政改革につきまして本格的な取り組みに入るということと私は理解しております。いま以上に私は各論反対の問題が一層出てくるというぐあいに理解されますが、改めてこれに取り組む決意につきまして行管長官並びに総理からお願いしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今回行政改革をやることになりましたのは、一つには、戦後三十数年間に及ぶ政治の反省から、肥大化したものやあるいは沈でん物として残っているものを思い切ってここでオーバーホールをして、それと同時に来るべき八〇年代、九〇年代に行政が果断に機動力を備えて新しい施策に挑戦する力を蓄えようと、こういう野心的な部面もございます。そういう意味におきまして、今日行政改革をやりますということは千載一過の機会でございまして、この機をおいてはないと私たちも確信しておりますし、その点につきましては日本国民に非常に重大な責任感を持っておる次第でございます。そういう歴史的使命感を持ちまして、皆様方の御協力を得て断行する考え方でございます。
○国務大臣(鈴木善幸君) 午前中にもお答えをいたしましたが、新しい時代に対応いたしまして活力ある福祉社会の建設、また国際社会に対して一層の貢献をする、そのために行財政ともに簡素合理化、効率のある政府をつくってこの時代的使命、役割りを果たしていくようにいたしたい、大変各分野にわたりまして困難な問題がございますけれども、民族の将来のために私は皆さんとともにこれに努力をしてまいりたい、こう思っております。
○古賀雷四郎君 行管長官、総理の決意を承りまして、私も地域の各地区に行きまして、この行革に対する国民の声というのは非常に強い、また期待しているということをひしひしと感ずるわけでございます。どうかひとつ決意の実行のために御検討を心から私はお願いしたいというふうに考えます。 さて、最近の新聞等での報道によりますと、日本学術会議はその本来の機能を発揮していないと言われております。私は、日本学術会議はわが国最高の学者、科学者の方々が集まっておられる政府機関であると聞いております。しかし、聞くところによりますと、機能が十分発揮できないのは、競争率が非常に低いとか、あるいは組織がないと出られないなど、りっぱな学者が選ばれにくい状況で会員が選挙されているということに問題があると存じております。学術会議の会員は地方区、全国区とありまして、地方区四十九、全国区九十でございますが、九〇%が無投票でございます。二十二万の有権者から成りますが、きわめて異常な選挙と考えざるを得ないというのがこの学術会議の選挙でございます。来年五十七年度は次期選挙の有権者調査を法律によって行わなければならないと聞いておりますが、このような状態で選挙を行うのはいかがなものか、有権者の実態と選挙について及び諸外国の評価につきまして所管大臣としての総務長官より御答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 古賀委員にお答えを申し上げます。 日本学術会議は、御案内のように、連合軍の占領下であった昭和二十三年に法律によって設置をされた学術団体、その法文に示すところでは、いま先生御指摘のように、日本の科学者を内外に代表する機関というふうに法律に明記されているわけであります。ちょうど今期で十二期目を迎えておるわけでございますが、御指摘のように会員数は二百十名、そうして第一部から第七部までございます。そして、有権者が十二期の選挙では約二十二万、こういうことでございますが、全国区と地方区に分かれておりまして、全国区は専門別で七十五、専門にかかわらないものが八十六議席、地方区が四十九議席ございまして、総計二百十議席、こういうことに相なっております。地方区は東北、北海道とか、全国区を七ブロックに分けまして七部会で選挙をやるわけでございますから、ちょうど四十九選挙が行われるわけでございますが、十二期の選挙ではそれが九〇%、四十九選挙区のうち四十二選挙区が実は無投票、つまり候補者が一人しかいないというふうな事態が起こっておりまして、二十二万の有権者の中で九割が候補者がそれぞれ一人しか立たないということはきわめて異常な事態だと私どもはこれに注目をしておるところでございます。有権者が果たして二十二万で全部日本の学者を網羅しているかというところにも問題がございます。 この法律の規定で、学術会議でこの選挙制度というものが自主的につくられておりますけれども、これは公職選挙法の規定は一切適用されません。全額国費で運営される学術会議の選挙は、公職選挙法の規定を受けない。そして、選挙運動は学術会議の選挙管理委員会が決めた公報と立候補者のはがきだけで、ほかの選挙運動は電話による勧誘といえども厳重に禁止をされているというのが学術会議の選挙の仕組みになっております。 そこで、この学術会議の一部から七部までの有権者がどうであるかというと、各部が定員が三十名ずつでございますけれども、第一部が一万三千人、これは文学とか、哲学とか、史学の分野であります。第二部が法学、民事法、刑事法、政治というところはわずか二千五百人。第三部の経済、商学・経営というのは四千百名。第四部の数学、天文学、物理学、化学、地学というところは一万六千名。第五部の工学が八万一千名。第六部の農学、林学、畜産、農業経済というものは一万九千名。第七部の医学、歯学、薬学、公衆衛生というものが、有権者が九万一千名になっておりまして、それぞれの各部の会員数は三十名で均一でございますけれども、有権者数は一番の最低が二千五百から一番多いのは九万一千と、実に大きなばらつきが出ておるわけでございます。 この有権者の資格は、実は非常に特殊なものでございまして、まず日本国籍を有している者。それから旧制の大学を出て二年たった者、あるいは新しい大学令で卒業後二年の者。それから専門学校あるいはいろんな旧制専門学校、新しい短期大学というようなものを卒業して四年たった人、あるいは研究職を五年やった人。こういう背景の中で専門分野での研究で専門誌に論文が掲載された者。こういうふうな一つの、それと似通ったような仕組みにつくられております。 だから、実際に有権者たる資格者が日本全体に何十万いるかということは実態の把握ができないわけでございまして、選挙の前の年になりますと官報に掲示をする、あるいは大学、研究機関、あるいはいろんな、たとえば日本地理学会とか物理学会とかというようなところにお願いをして、どうかひとつ有権者の登録をしてもらいたいと、こういうことで登録をした人がいわゆる二十二万名出ておるということでございます。これを創設期の昭和二十三年の有権者は何人だったかというと四万人でございます。現在が二十二万人、ところが立候補者の方はどうかというと、昭和二十三年は九百四十四名立候補されておられます。最終の昭和五十五年に実施された選挙では、定員二百十名に対して二百四十二名、こういうふうないわゆる立候補者が出ておりますけれども、非常に立候補する人の数が減ってきた。 その背景には、一体どういうことがあるんだろうかということをいろいろ調査をいたしますと、推薦母体が強力で大組織の応援がないと当選できない。だから組織のない学者はいかに優秀であっても当選ができないという仕組みになって、結論として出ておる。また第一線で研究に没頭しておる学者は、この選挙に出ようという関心は余り持っていない、こういうことでいろんな優秀な学者の先生方に意見を聞いてみましても、評価はきわめて低いわけでございます。 そういうことで、選挙の仕組みというものが全額国費で運営される一つの組織でありながら、これで果たして日本の科学者を、外国に対しても国内に対しても代表する機関として実際にその価値というものが存在するんだろうか。こういうことからいいますと、最近の研究機関等の学者の意見ではきわめて低い評価しかいたしておりません。また、先般六月に、ノーベル賞の候補者を選考したりするスウェーデンの王立アカデミーを訪ねていろいろ意見を聞きましたが、世界のノーベル賞を贈るロイアルアカデミーが日本学術会議の存在を知らない。また、イギリスのロンドン王立協会、これは一六〇〇年代にできた世界で一番古いと言われるアカデミーでございますけれども、ここも日本学術会議は知らない。 こういうのが実は学術会議の実態でございますけれども、これに対して実はその原因が一体どこにあるのかと、こういうことで、帰国後にこの実態調査をいたしましたが、日本学術会議が海外の国際会議に派遣している学者、そういうものは会員が二〇%、有権者から五〇%選んで外国へ派遣をしておると有権者は、御案内のように、学術会議から派遣をされたことでございますけれども、それはあくまでも臨時の委員的な存在でございまして、帰国後は日本学術会議と関係ない、こういうふうな現実が実は存在しているわけでございます。国費を使い、大変な税の問題で苦しんでいる国民の血税を使う以上は、やはり政府としては内外ともにりっぱな学術団体として評価されるような仕組みに思い切った改革をすることが必要ではなかろうかと、そのように考えております。
○古賀雷四郎君 実は、私も学術会議の選挙権を持っておりますけれども、そういう意味ではいま総務長官の言われたことはよく理解できる次第でございます。日本の最高機関としての学術会議と言われておりますが、今後わが国が発展していくためには、学術の振興、科学技術の振興は非常に大事なことでございますので、これに対してメスを入れることは当然の問題だと思います。 そこで、戦後二十年代から今日まで学術関係の諸行政組織は、そのときどきの必要に応じて新設されてきました。今日では日本学術会議、学術審議会、科学技術会議等多数の組織が併立しております。当然社会情勢の変化に即応してその権限、任務等につきまして全般的な見直しを行い、新しい時代にふさわしいものに再編、整備を行うということが大事だと思いますが、またその運営につきましても改革を行っていくということは大事であろうと思いますが、行政管理庁長官は、行政改革の一環としてこれらの問題をどう考えておられるか、所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 第二次の臨時行政調査会におきましては、行政関係のあらゆる部門を洗うということで、聖域はございません。したがいまして、日本学術会議も当然第二次臨調のいろいろな審議の対象になると、そのように心得ております。
○古賀雷四郎君 十分御調査の上にひとつ御審議をお願いしたいと思います。 ここで、同僚議員の岩上二郎君の関連質疑がありますので……。
○委員長(植木光教君) 関連質疑を許します。岩上二郎君。
○岩上二郎君 すでに御案内のとおり、情報公開という問題が非常に論議されつつある昨今であります。すでに第二次臨調においてもこの問題を取り上げ、さらに行管においても来年度新規事業として情報公開問題対策費というものを計上しつつあるようでございますが、しかし、この情報公開の前提になるべき公文書等の資料問題については、遺憾ながらフランス、西ドイツ、イギリス、イタリー、さらにはアメリカ、そしてインドよりもはるかに低位にある、きわめて文化国家としてはふさわしくないような現状であります。 さらに、さきに発足を見ました国立公文書館、そして各省別のそれぞれの資料整備体制もまちまちでございまして統一的な原則もない。そのほかに、各地方団体においても歴史館なりあるいは文書館なり、さらには資料室等々全部数えてみても十指に満たないような状態であるほかに、すでに重要な資料が散逸しつつあるような現状でございます。したがいまして、この際国民のニーズに的確にこたえるために、ただ単にいたずらにこの情報公開を便宜的に安易に取り扱う態度は改めるべきではないだろうか、このように考えざるを得ないのであります。 むしろ、先ほど学術会議の問題が出ておりますが、学術会議において昨年行政資料問題について政府に勧告をされております。その勧告の内容を見ると、やはり図書館あるいは博物館法と並んだすばらしい文化行政を行うためにも、いわゆる文書館法を制定すべきであると強く要請をされている状態でございます。私は、この提言こそまさしく行政改革を行う際に大事な問題の一つであると、このように考えざるを得ないのであります。国民の共通の文化遺産である資料の収集、保存、調査研究、そして公開という一連の立法措置をこの際強く政府は考えるべきではないかと思いますが、行政管理庁長官、さらに総理のこれに対する御認識とその取り扱いに対する態度についてお伺いをしておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 公文書の保管管理という問題は、情報公開との関連におきましても非常に重大な問題であると思います。国には国立公文書館というのがございますが、まだ完全なものではございません。各府県等はまたばらばらに知事さんのお考えに従っておやりになっておるようでありますが、とれまた非常にばらばらであります。茨城県においては、岩上知事のもとで非常にこれが整備されておるということもお聞きしておりますが、そういう基準がないようでございます。 そういう面からいたしましても、これらの資料、明治時代以前の古いものもございますし、いまのものもありますし、これから将来のものもございます。それらの保存方法につきましても、古文書の保存という関係もありますし、あるいはコンピューター化、機械化という問題もございます。また、それを保存する方法につきましても、やはりよほど研究して統一的にやる必要がございますし、さらに情報公開との絡みで、それをどういうふうな程度に国民に情報公開するかという問題もございます。それら全体を含めまして、これはまさに検討すべき問題であると考えておりまして、行政管理庁としても、また第二次臨調におきましても検討していただくようにお願いいたしたいと思っております。
○国務大臣(鈴木善幸君) 公文書の整理並びに保存の問題は、情報公開制度の機能を十分に発揮する観点からも非常に大事な問題だと、こう思っております。政府におきましても、今後この問題に十分研究し取り組んでいきたいと、こう思っております。
○岩上二郎君 埋蔵文化財さらには絵画、彫刻、建築物等の重要文化財を保存することも大切なことでありますけれども、それぞれの時代を生き、また生かしてきたこの文書の資料収集もきわめて大事なことであり、文化国家としてもきわめてふさわしい行政であると、このように私は強く感じている一人でございますが、今後ともこの文書行政の問題についてしっかりとお取り組みいただくことをお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
○古賀雷四郎君 経済財政問題について若干御質疑をいたしたいと思います。 先般「当面の経済運営と経済見通し暫定試算」というのが発表されました。内容はなかなかいろんな諸般にわたって御配慮をいただいておりまして結構だと思いますが、それにつきまして若干御質問をさしていただきたい。 五十六年度の公共事業は十四兆二千九百億からなりますが、上期契約が七〇%を目標に推進しておられます。その結果、年度後半の契約が大幅に落ち込むという問題がございまして、今後の景気の盛り上がりに私は非常に心配をいたしております。そのための対策としてどういうことを考えておられるか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 現在の経済情勢を簡単に申し上げますと、ことしの政府の成長目標は約五%でございますが、おおむねその線を進んでおると思います。ただ、内需が弱いということで今回若干の対策を立てるようにしたわけでございますが、今回決めました対策を中心にいたしまして、後半内需をやや半分強と、外需をやや半分弱と、こういうところまで調整をいたしまして政府目標を達成したいと、このように考えておりますが、一番気をつけなければならぬのは、いま内需が弱いわけでございますから、内需の力が強くなるまでの間、やはり外需が一遍に弱くなるとこれは困りますから、そこを十分配慮しながらやっていきたいと、このように考えております。
○古賀雷四郎君 また、地方によっては非常に景気の悪いところがございます。特に公共事業に非常に依存している地域がありまして、その地域によっては重要な産業になっています。これらのところに対する対策としましてどういうぐあいにお考えか、建設大臣にお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。 基本的にはいま河本長官からのお話のとおりでございます。御案内のように、確かに東北、北海道、四国、九州のように公共事業に頼らない限り地域の経済が頼り得るものがないというところにつきましては、経済閣僚会議の決定した方針に従って早速次官通達をいたしまして、地方の公共事業の発注の機会の確保、あるいは下請の関係、あるいは計画した事業については完全執行するように、なお改めて通達をしたところでございます。 なお、公共事業は、御案内のように、いずれも継続的な要素が非常に多うございますので、その点につきましても十分配慮をもって、有効効率的にやるような配慮と、それから、なおかつその上に地方の単独事業について経済の動向を見ながら、地域は地域なりに機動的に積極的に事業を進めるような形で、せっかく指導いたしたところでございまして、前半八月で六〇・八%でございましたか、七〇%以上という閣議決定の線につきましては十分達成し得るものと思いますし、なお御懸念につきましては、十分な配慮をもって積極的に対処してまいる所存でございます。
○古賀雷四郎君 十分ひとつ御配意を願いたいと思います。 ただいまの発言で単独事業についてお話がありましたが、これについて自治大臣からこれらに対してどういうぐあいにされようとされておるのか、御説明をお願いしたいと思います。
○国務大臣(安孫子藤吉君) ただいま建設大臣からも申されたとおりに、今回のこの事態というものは地域的な差が非常に多いわけでございます。特に、御指摘のありました公共事業に主として依存する地域というものは大きな打撃を受けておるのが現状でございます。したがいまして、これに対し公共事業をフルに活用すると何時に、その地方においては単独事業というものを活発にやってもらわにゃいかぬ、こういうふうに考えております。この点については、当該県知事等に対して強く要請をしているところでございます。財源の問題につきましては、地方地方において工夫をして出してきたならば起債措置によってこれを処置していきたい、こういうふうに思っているところでございます。
○古賀雷四郎君 ぜひそういうぐあいにお願いしたいと思います。 その次に中小企業対策でございますが、官公需の中小企業向けの発注比率をより高めるべきではないかと私は考えます。現在の三六・八%でございますが、少しでもこれを増強していただくように谷中小企業の強い御要請があることを念のために申し添えます。通産大臣から御返事をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(田中六助君) 官公需の発注につきましては、過去私ども十分配慮をしてきているつもりでございまして、五十五年度は三六・三%、五十六年度はいま御指摘のように三六・八%と過去の最高水準に達しておりますし、官公需法によって国の配分ということを考えておりますし、協同組合あるいはまた分割発注、そういうきめの細かいことを今後ともやっていって、将来とも中小企業が官公需発注に困らないように十分配慮しておるつもりでございますし、ただ問題は、中小企業がキャパシティー、その受け入れる体制が多少ちぐはぐなところもございますし、また官公需の仕事の内容なども加味しなければなりません。しかし、そういう点を十分考えてこれからもやっていきたいというふうに考えます。
○古賀雷四郎君 次は、大蔵大臣にお伺いしたいと思いますが、税収の問題がとやかく言われております。そこで、ことしの税収の見通しがどういう見通しなのか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 結論から先に申しますと、まだ半年も過ぎないという状態ですから確たることは申し上げられない。ただ、七月までの税の入りぐあいは、進捗率から見ても、去年の決算どことしの予算との割合から見ても余り芳しくないということでございます。七月の進捗割合は前年に対して一・四%程度落ち込んでいるということでございます。
○古賀雷四郎君 まあ税収が入ってこないとしますと歳入欠陥になって、予算編成もなかなかむずかしくなる。来年度予算に関しても同様のことが言われるだろうと私は思います。 そこでその前に、今回の行革におきまして人事院勧告がなされましてその取り扱い問題が非常に問題になっている。そこで、私はこの人事院勧告のことについてお伺いしたいんですが、その前に諸外国における公務員の給与の取り扱いというものはどういうぐあいになっているのか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。よろしくお願いします。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは国によっていろいろ制度が違いますから、そのまま日本に当てはまるというようなわけにはまいりません。ただ、日本と比較的よく似ているのはアメリカでございまして、アメリカの公務員はスト権がございません。そこで、アメリカでは、連邦公務員の給与決定については、給与代理人という制度があって、それは政府の高官が主としてそれに当たっておるわけでございます。その中には職員代表五名というようなものも入っておるようですが、それから勧告が連邦給与諮問委員会に、出されます。で、その連邦給与諮問委員会は、これは連邦政府以外の給与の専門家三名で構成をされておる。それが検討して、手直し、あるいはそのまま大統領に勧告をするという制度になっております。大統領は、それを認める場合はそのままでございますが、それに修正を加える場合は修正を加えて、議会に諮って決定をする、こういう仕組みになっております。だから、最終的には議会で認めるか認めぬかということでございます。 そういうようなことで、過去、ニクソン時代までは大体、勧告、決定というのはそう幅がなかったわけでございますが、それ以降、いわゆる低成長になってから、フォードの後半、カーター、レーガンと、こう続いていずれも勧告よりも低く決定をされております。たとえば、一九七八年、カーターのときでも、八・四の勧告で五・五とか、あるいはその次の年は一〇・四で七・〇とか、八〇年では一二・七の給与代理人勧告が諮問委員会で九・五にされて、さらに大統領がそれを九・一に削った。今回は、八一年の、ことしの十月から実施の予算につきましては、連邦公務員一五%の勧告でありましたが、大統領が四・八の案を議会に提出して、それが承認をされたということでございます。 ドイツなどでも、やはりドイツは物価の状態はアメリカやイギリスと違って比較的いいわけでございますが、アメリカ、イギリスは七月はいずれも一〇%、二けた、ドイツは五・三%というような状態でございますが、これについても四・三%に決定をされた。ドイツは、公務員のうち、一般の人は、労働者はスト権がございますが、官吏と称するホワイトカラー、これはスト権はありません。 イギリスは、一五%の要求が出されておったわけでありますが、これはスト権がございます。で、賃金指数は五月に一三・二%、物価は一〇・九というような状態の中でございましたが、七月三十日、サッチャー政権では、これを半分にして七・五%にした。 こういうようなことが、大体、独、英、米というような最近の動きでございます。
○古賀雷四郎君 いろいろ貴重な御説明をいただきましてありがとうございました。苦しいときはお互いに苦しみを分から合うというのはわれわれとしては当然のことだと思いますので、それらの問題と関連してひとつ問題の処理をお願いしたいと思うわけでございます。 次に、地方財政問題に関連して、私、国民健康保険問題についてお伺いしたいと存じます。 厚生省では、来年度の概算要求で、地元負担二千四百十億円の導入を前提で予算要求いたしておりますが、従来の国庫負担していたものを今回地方に移譲しようとしております。これはどういう理由からこの考え方が出てきたのか、厚生大臣、自治大臣にお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(村山達雄君) お答えいたします。 国民健康保険は、御承知のように、被用者保険と違いまして政府管掌保険ではございませんで、地域保険の性質を持っているわけでございます。そしてまた、国民健康保険上、都道府県はやはり国と同じように責任がありまして、その健全な運営について都道府県が、知事が責任を持っております。また、出されました診療費が適正であるかどうかという監査権限は一にかかって都道府県が持っているわけでございます。そういうことから申しますと、やはり地域保険でございまして、前にはどうも財政状況が非常に違うのに、それを市町村単位で地域保険に掛けるのは非常にアンバランスになるのじゃないか、むしろ広域保険の方がよろしいのじゃないかというような意見もございまして、現行の規定から言いまして、やはりある程度の御負担をお願いしてはどうかと、こういうことで提案いたしているわけでございますが、何分にもこの問題は、筋としてどうかという問題と、それから現実問題として国、地方を通ずる財源はどうなるんだと、こういう話があるものでございますから、臨調でも指摘しておりますように、やがて予質編成時期になれば財政状況が明らかになってくるから、そのときまで関係省庁で煮詰めて、そして妥当な答えを出したらどうかと、こういう勧告をいただいているわけでございますので、私たちもそれまで問題を煮詰めてまいりたいと、こう思っているわけでございます。
○国務大臣(安孫子藤吉君) この問題につきましては、厚生省とやや私どもの見解が違う点がありますが、これは年度末にかけまして相当調整を要する問題だということを前提にして、意見だけ、考え方だけ申し述べておきます。 大体、国民健康保険というものは社会保険でございまして、これは地域保険という性格のものじゃない、そしてこの社会保険というものは国とそれから保険料によって賄われる、これが大筋として動かない原則であって、日本の社会保険制度というものはその根底に立って体系が組み立てられておると、こう考えておるわけであります。ところが、今回国民健康保険だけについて府県負担というふうなことは、保険制度の体系から申しましてもより根本的に議論をしてみる必要があるのではなかろうか。どうも従来、この点については厚生省もそういう見解を持っておったと思います。率直に申しますと、ゼロシーリングの関係というものがございまして、それでやむを得ずと申すと語弊がございまするけれども、どうしてもそうしないとゼロシーリングができないという事情もあったろうと思います。そういうことで、厚生省としてはいまのような提出案件にしておるわけでございますが、この点は臨調におきましても非常に論議のあったところでございまして、答申におきましては、やはり年末の予算編成の際までに政府としては統一的に結論を出すようにという答申になっておるのでございまするから、ペンディングの事項だと私どもは理解をいたしております。 なおまた、一つの問題といたしまして、医療費というものが非常に増高していく、これをどこかでチェックせにゃいかぬという問題が一つあるわけでございます。チェックする方法として、論者は府県に負担をかけることによってチェック機能が充実されるのじゃないかという議論もあると思いますが、これは全然別の問題でございまして、チェック機能というものは、レセプトの審査のこととか、あるいは審査制度をもっと確立するとか、そういうことによって問題を解決すべきであろう、府県に負担を転嫁することによってその機能を発揮させるというふうなことはちょっと筋の通らないことじゃなかろうかと、こんなふうにも考えておるのでございまして、これはいろいろ論議のあるところでございます。これから年末にかけまして、財政当局も入れまして相当論議をして結論を出さなければならぬ問題だと、こう思っております。 以上、申し上げておきます。
○古賀雷四郎君 どうかひとつ、地方の負担が増加する問題でございますので、いろいろと御意見の相違があろうかと思いますが、善処してもらって円滑に解決していただきますように私は強く要請しておきます。 また、地方における行政改革も当然やられなくちゃいかぬと私は信じておりますが、地方は自治省の問題でございますが、国でも公務員の定年、定員の問題とかあるいは機構の問題とか給与、いろんな問題が論議されてただいま対象になっております。地方の自治体におきまして、今後どういうぐあいに地方の行政改革を指導監督なされるのか、自治大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 行政改革の問題はひとり国だけではございませんで、地方といたしましても真剣に取り組むべき問題である、これが第一前提でございます。この点についてとかく議論がありまするのは、定員の問題、給与の問題がございます。定員の問題に相なりますと、実は地方団体といたしまして最大の努力をいたすべきことは当然でありまするし、私といたしましてもこの点について、相当各自治体が真剣に取り組むようにということで通達をいたしておりますが、一つの問題点は、国の関係において定員増をやむなくせられるという面があるわけでございます。 御承知のとおりに教員、警察官、消防あるいはまた社会福祉施設、こういうような問題は大体中央官庁におきまして指示をいたしまして、これを地方団体が組むという形になっておりまするので、どうもこの点は、国の方でも地方団体に定員を付加するような措置を相当チェックしてもらわなければ、地方団体だけで解決しない面が一つあるわけでございます。なお、福祉その他教育関係等におきましては、いろいろな施設をつくりました場合に、それを直営にすべきである、人はこれだけ配置をすべきであるという点まで指示をいたしておるわけでございまして、そうした措置が講ぜられなければ補助金も付加されないというような事情もございます。したがって、制度的な問題と同時に、そうした行政上の運営の問題につきましても、この点を相当中央庁におきましてチェックをしていただきませんとならぬわけでございますが、この点は強く自治省といたしましては各省にお願いをしておるところでございます。そのほかに、地方自治体自身の問題があるわけでございます。 そこで、中央官庁のそうした問題をたな上げして、それに藉口して定員の問題というものを議論されることは私は困ると思っておるのです。中央官庁には最大の努力をしてもらうと同時に、地方自治体自体が真剣にこの定員の抑制の問題について考えてもらわにゃいかぬということで、各個別にもあるいはいろんな会合におきましても、あるいは文書をもってしましてその点の反省を促しておるところでございます。そのためには、今度地方の事務事業量を整理統合するとか、不要不急のことをセレクトして廃止するとか、いろいろな行政事務自体の問題にも関係をしてくるわけでございまするが、これは各府県、市町村それぞれの事情がございまするので、この点を尊重しながらも基本的には、やはりできるだけ定員を抑制していくという地方自治体自身の問題としても真剣に考えてもらわにゃいかぬと、こういうことを申し述べておるところでございます。また、そういう方針でいきたいと思っております。 次に給与の問題でございますけれども、これも自治権というものが一つあるわけでございまして、それが首長選挙——公選された首長とそれから議会というものがおのおのあるわけでございまして、そこの間に結論を出してやっておるわけでございまするが、いかにも国家公務員との比較からいたしますというと、相当高い給与水準あるいは退職金が相当多いという地方団体もないわけではないわけでございます。こういう問題が、常に地方自治体というものが少しゆるふんじゃないかというような批判の的になる問題でございます。この点、私もきわめて重要だと考えておりまするので、そうした団体につきましては個別的なやっぱり指導というものも必要だろうと、こういうことでいろいろ措置を講じているところでございます。そういう団体によって、全体のまじめにやっておると申しますか、健全にやっておるそうした地方団体にまで迷惑をかけることもないわけじゃないわけなのです、実際問題といたしまして。この点はひとつぜひ、そうした団体について今後とも指導を強化していきたいと、こう思っているわけでございます。 その際に、私といたしましては、いろいろと方法もあろうかと存じまするが、一面におきまして自治権の独立性と申しますか、地方自治の本来の問題というものもないわけではないのです、プリンシプルといたしましては。したがって、この地方自治というものを尊重しながらも、なおかつそうした問題に取り組まざるを得ない、これが現状でございまするが、その点は実際問題といたしましていろいろな方法を講じまして、そしてそうした団体の責任者の良識をひとつ促しまして、そしてそれが結局地方自治の健全な発展の基礎になるわけでございまするから、その点も理解をしてもらって、今後その是正について最大の努力をしてもらいたいと、こう考えておるところでございます。私自身もその点については努力をしてまいるつもりでございます。
○古賀雷四郎君 行政改革、国、地方も待ったなしであろうと私は思います。総理の決意によると、国はできる可能性が非常に強くなっている。国ができて地方ができなければ、これまた私は車の両輪が片ちんばになる。したがいまして、総理にお伺いしたいのですが、地方の行政改革についてどういう態度でお臨みになるか、御決意をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま御指摘のように、国民の立場に立ちますと、国だけできましても地方ができないということでございますと、これは真の行財政改革にはならないわけでございます。ただいま自治大臣からもその所信を述べられたところでございますが、政府全体としてもそのような考え方で取り組んでまいりたいと思います。
○古賀雷四郎君 教科書の問題について御質問を申し上げたいと思います。 先般の通常国会におきまして、教科書問題につきましてわが党は五項目にわたる改革案を政府に提出いたしました。そしてその検討を申し入れしているわけでございますが、その検討の経過につきまして、これからどうなるか御説明をひとつお願いしたい、また、方針をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。 教科書の問題は非常に重要な問題であると同時に、また大変に各党におかれましても真剣にお考えをいただいておるところでございまして、先般、自由民主党を中心といたしました御提言も賜っておりますし、またその他の方面からもいろいろな御提言がございます。 本件につきましては、私どもこの問題の重要性にかんがみまして、なお一層りっぱな教科書をつくって、そうして教育の根幹やありまする教科書の完成に当たりましては、さらに努力をいたしてまいる所存でございますが、また同時に、本件につきましてはいろいろな御提言も踏まえまして、さらに今後審議会等いろいろな各方面の御意見を十分に徴して進んでまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○古賀雷四郎君 なるべく早くそういう結論を出していただいて、教科書問題につきまして御検討をぜひお願いしたいと要望をいたしておきます。 次に、災害の問題に移りますが、ことしの甚大な被害につきましては冒頭申し上げたとおりでございます。それらの対策につきまして、国土庁長官、農林水産大臣から御答弁をお願いしたいと存じます。
○国務大臣(原健三郎君) お答え申し上げます。 ことしの災害は、主なものだけでも二回、その他小さいのもたくさんございましたが、まず、八月の三日から六日までの間の豪雨及び暴風雨についての激甚災害の指定でございますが、これはすでに九月二十二日、政令第二百八十五号をもって行ったところでございます。 第二の台風十五号による激甚災害の指定については、できるだけ早く行うべく、目下いろいろ資料を収集いたしておるところでございまして、鋭意その作業を進めて、できるだけ早く結論を出したいと、第十五号台風についてはそう考えております。
○国務大臣(亀岡高夫君) 八月三日からの北海道の石狩川を中心にした豪雨による災害、これに対しましてはいま国土庁長官からお話しのとおり、九月の二十二日に政令を公布いたしまして、天災融資法の発動をいたしてございます。 まあ、そのほか共済資金の早期支払い、さらには、ああいうふうにもう広範に冠水いたしますといい種がとれません。したがいまして、来年の種子等の入手にも困るということで、そういう種子対策等についても、農家の再生産に困らないようにということで手配を終了いたしております。 その他、施設災害の復旧につきましてもできるだけ査定を早めまして、積雪前に工事にかかれるものは工事にかかって直しておくと、そういう手はずもいたさせております。 その他、各種予約金の延納でありますとか、いろいろ災害対策に関する十数項目の手配がありますが、これらについてはとにかく早くということで、一日でも去年よりも早く災害農家の手に資金の渡るように指導をいたしております。 さらに台風十五号につきましては、大体いまのところ今月の中旬に政令公布いたしまして、そしてもろもろの災害対策事項を完全に十分を期して実施できるようにあらゆる手配を進めておるところでございます。
○古賀雷四郎君 災害と関連しまして、北海道の石狩川等の河川の状況を見ていますと、まことに重大な被害でございまして、私らは、今日の治水計画がどうなっているか非常に心配をいたしております。もちろん、技術的な改修計画の練り直し等も現状と合わして考えていかなきゃいかぬ問題だと思いますが、当面、来年度治水五カ年計画が建設省のお手元で出されるように伺っておりますが、それでは私は不十分だと思います。この点につきまして、ひとつ建設大臣から御説明をお願いしたいと思います。また、決意をお願いしたいと思います。
○国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。 古賀先生には日ごろ治水事業、公共関係につきまして御指導賜っておりますことを心から厚くお礼を申し上げる次第であります。 五十七年度を初年度として第六次の治水五カ年計画が始まるわけでございますけれども、御案内のとおり三十五年に第一次五カ年計画が始まりまして、今度第六次に参るわけでありますが、第五次までの間、投資額にして十二兆七千億ほど治水事業には打ち込んでおります。第六次五カ年計画には十二兆一千億お願いをいたしておるわけであります。 ちなみに、過去第一次から第五次まで治水にこれだけ積極的にやってまいっても、まだ日本は御案内のように急傾斜地あるいは河川が多うございまして、なかなか行き届かないのを非常に残念に思うわけであります。ちなみに、中小河川の整備率は一八%、大きな河川がようやく五八%ということでございます。したがいまして、なお積極的に治水関係につきましては配慮を持って整備計画を実行していかなければならないと思います。 特に、日本の場合は河川流域に人口の半分以上、財産にして七〇%が河川流域におりますので、こうした人命、財産を守る上からも至急治水事業の完成は図らなければなりません。先ごろ、石狩川のはんらんにつきましても、北海道へ行って視察してまいりましたけれども、何と八月の水害を中心の災害が北海道だけで公共土木関係で一千億を超すということなんです。これをもし事前に堤防強化あるいは河川改良等をやっておるならば、こうした災害は起きないわけであります。したがって、財政が厳しい折でありますけれども、第六次五カ年計画につきましては十二兆一千億という、数字的には大きいかもしれませんけれども、将来、日本の人命、財産そして国土保全の面からもぜひ達成したいと、このように考え、なお各関係者、関係省庁にもお願いして万全を期してまいりたいと、このように考えているものでございます。
○古賀雷四郎君 どうかひとつ御健闘を祈ります。 そこで、最後になりましたけれども、中小水力の発電の問題につきましてお伺いしたいと思います。 ローカルエネルギーであるし、またクリーンエネルギーであるし循環エネルギーであるという点で、この開発の可能性をできるだけ進めていくことは、今後のエネルギー対策上もわずかではありますが、非常に重要なことであろうと存じます。これらに対して通産大臣はいかが推進されようとされているのかお伺いしたいと思います。
○国務大臣(田中六助君) お答え申し上げます。 水力発電所、これは御指摘のようにローカルエネルギーあるいは代替エネルギーの中枢として、私どもは電気事業関係の中で考えておらなければならない問題でございますし、私ども総合エネルギー体制の中にこの水力を大きく入れているわけでございまして、現在千九百万キロワットを予定しているのを十年後には二千六百万キロワットに持っていこうという計画でございます。 具体的にそれならば対策をどうしていくんだということでございますが、これにつきましては既成の水力発電所、つまりもう十五年以上たった発電所に対しましては、私どもその発電量に応じて最低三百万円、それから最高三千万円という交付金を出すこと、それから新規の電源立地、もちろん水力発電でございますが、そういうところに対しても交付金を市町村に配賦しようということでございます。 大きな水力発電所はもう限界にきておりますので、私どもは中小の水力発電所を設けようと、そういう意味で包蔵水力がどの程度日本にあるか、分布されておるかということをいま目下鋭意調査中でございまして、その調査結果の大体を申しますと、中小はまだまだ十分これから開発の余地があるということでございますので、この分につきましてはこれからも十分対処していくというふうに考えております。
○委員長(植木光教君) 以上で古賀君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(植木光教君) 次に、馬場君の質疑を行います。馬場富君。
○馬場富君 私は、まず最初に今国会の争点である行政改革について質問いたします。 行政改革は歴代内閣が必ず取り上げ、実施を公約してきた政治課題の一つであります。ところが、過去の例を見るときに、実行されずに国民の期待を裏切ったのも行政改革でありました。そのために、私は今年三月の予算委員会のこの席で、政府にやる気がなかったならば行革は砂上の楼閣であると、行革こそは実行であると中曽根長官を初め各大臣一人一人に行革に対する決意をお尋ねいたしたわけでございますが、その後、鈴木内閣は第二次臨調等を設置されまして、本格的に行政改革に取り組む姿勢を見せたことは一応評価はするものでありますが、今回の行革の第一次答申といい、また今国会に提出された特例法案といい、その内容は、私ども公明党が主張している国民に奉仕する国民本位の行政改革とはほど遠いものであります。また、その展望すら示されてはおりません。ここで、総理が言われる本来の鈴木行革というものについてしっかりとひとつ御答弁をいただきたい。それより見て今回の第一次答申、そして今回提出の特例法案はいかなる位置にあるかをお尋ねいたします。
○国務大臣(鈴木善幸君) 馬場さんにお答えをいたします。 行財政の改革は常にこれを怠ることなく、いかなる時代においてもこれをやっていかなければならないものであると、このように考えます。 今回は、御承知のように、わが国の財政が危機的状況にございます。私は、この財政の再建ということを突破口として、行財政に真剣に国民の皆さんとともに取り組んでいきたい。臨調を設置いたしました際に、これは時間をかせぐ一つの隠れみのに使うのではないかというような一部に御批判がございましたが、さようでございませんで、私はとりあえず五十七年度予算の編成に当たりまして増税のない予算の編成をしたいと、こういうことから臨調に対しまして当面緊急に実現をすべき問題について中間答申をお願いしたわけであります。その第一次の答申を受けまして、政府はこれを最大限に尊重して実行に移すということで、今回御提出を申し上げた関係の一括法案、これがその内容のものでございます。したがいまして、これは行革に対する一つの第一着手でございまして、これから臨調におきまして引き続き御検討願い、答申を願ったものにつきましては政府はこれを最大限に尊重して、国並びに地方全般にわたりまして国民の理解、協力を得ながらこれを推進してまいりたい、このように思っております。
○馬場富君 また総理は、この国会でしばしば行政改革と財政再建は表裏一体であると、このように言われておりますが、私は一体のように深い関係はあるが表裏の違いがあると、こう思うわけでございます。行革は明治以来の行政のひずみを改革しなきゃなりませんから時間がかかる、また財政再建は、特に赤字減らしは急がねばならない。これを同時に行うときに無理を生ずるということも考えられるわけであります。 本来、行革とは仕事減らしであり、人減らしであり、金減らしである、このようにやはり順序的に進められるべきものであります。ところが、今回は金減らしが先行して、金減らしを急ぐ余りに財政の帳じり合わせのような歳出削減が多くなっております。そのために、社会的に弱い立場の人人にしわ寄せが強く、政治的に圧力の強いものについては甘いと見られる向きが多分にあります。痛みをともに分から合う総理の姿勢から見てこの点は大変不公平ではないかと、こう思うわけですが、今後行革を進めるときに、この不公平をどのように解消されるかお尋ねいたします。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、御指摘がございましたように行財政の改革は表裏一体のものであると、このように申し上げました。納税者である国民の側から見ますと簡素で効率的な行政の仕組み、そしてむだのないこれまた効率のいい政府をつくる、これが納税者である国民の立場であろうかと思います。 また、国民を代表する国会議員等もそういう立場でこの行財政の仕組みというものを検討すべきである、こう思うわけでございます。私は、そういう意味で、当面緊急を迫られておりますところの危機的状態にある財政の百姓を増税によって行うか、または行財政の改革によってこれを行うか、こういう選択に迫られまして、後者によってこれを行おうということを決意いたした次第でございます。したがいまして、行財政全般について一方に偏ることなしに、全体を再検討しこれを見直しをしてまいる、こういう考えでございますが、ただ弱い階層といいますか、経済的社会的に弱い立場にあります階層につきましては、そういう状況の中におきましても、これはあくまで行政の水準を維持してまいる、これだけは明確に申し上げておく次第でございます。
○馬場富君 では次に、各項目について質問してまいりたいと思います。 最初に補助金の整理合理化についてでございますが、今回の政府の行財政に関する当面の基本方針の中の、補助金の整理合理化について説明をしていただきたいと思います。
○政府委員(松下康雄君) 八月の二十五日の閣議決定によります当面の行財政改革の基本方針の定めております補助金整理は、現在の補助金全体の中から、さきに臨調の答申におかれまして個別に改善の方向、内容を指示されたものはそれぞれその方針に従って整理を進めてまいる。その他の補助金の中で、生活保護等の一部緊要な補助金を除きまして、その他の補助金につきましては各省一律にこれを一割削減を図るというのが基本の方針でございます。 概算要求におきましては、ただいまの一割削減の点につきまして、各省全部この方向の中で要求をしていただいておりますので、これによりまして約千六百億円の補助金の減額に相なると考えております。
○馬場富君 いまの説明によりますと、補助金については、答申に出された以外は各省で一割削減というのが目標で、お任せするから勝手におやりなさいと、こういうように実は聞こえるわけでございます。実に積極的に、また具体的に取り組む姿勢がいまの答弁の中からは出てこない。この点についてどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、一番実情のわかっている各省庁において、どれは切ることができない、これはなくしてもいい、これは一割伸ばさなきゃならないというようなことは、大蔵省が一つ一つの補助金について指図をするよりも、実際にそれを取り扱っている各省庁においてそういう差をつけてそれでカットをする、その結果として一割減るということの方が実態に合うんじゃないか、こういうような点からそれをお願いをしたわけであって、これは私は、全部の補助金にして一割だということよりもめり張りがきいてかえってよろしい、そう考えておるわけでございます。
○馬場富君 その削減の基準もやはり国民生活を守るということを中心に、公平に行われなければならないということは私は当然であると思うわけです。だから、そういう点について私は具体的な例を引いてこれから質問してまいりたいと思うわけです。 五十七年度の予算の概算の中に、大企業向け補助金の中で増額されているものがあります。この点について質問いたします。 この点は、運輸省の関係で、外航船舶建造利子補給金についてでございますが、この制度は昭和二十八年一月に発足しておりますが、いかなる目的で設定されたか、お尋ねいたします。
○国務大臣(塩川正十郎君) お尋ねの外航船舶の補助制度でございますけれども、五十六年度もその補助制度を適用いたしております。五十七年度以降におきましてもLNG船とかあるいは石炭専用船とかいうふうなわが国のエネルギーの安全輸送をするために、どうしても自国船で運用しなければならない船舶数を確保するために、これを積極的に造船せしめる一つのインセンティブとして制度を維持し、そして五十七年度予算要求をしておるという次第でございます。
○馬場富君 この件については、昭和四十年代後半には日本の海運業再建が完成されました。そのために五十年以降はこの制度は打ち切りになっております。ところが、五十四年より三年間の限定で再開されました。この理由とこの三年間の予算額の内訳と契約額について説明していただきたいと思います。
○政府委員(永井浩君) お答え申し上げます。 五十年度から中断しておりました利子補給制度が五十四年度に三カ年計画で再開いたしました理由でございますが、最近におきまして、日本の船舶の国際競争力が著しく低下して、日本船が減少する傾向にあったわけでございます。このようなことでありますと、日本の国民生活に必要な物資あるいは産業活動に必要な物資を安定的に運ぶことができない、こういうことでございまして、日本船の減少をとめ、さらに維持建造していく必要があるということでこのような制度が復活したわけでございます。 予算額でございますけれども、五十四年度は利子補給の国庫債務負担行為で二百二十八億、それから五十五年度が三百三十五億でございます。それから五十六年度はまだ契約しておりませんが、予算上は三百三十三億が計上されております。 以上でございます。
○馬場富君 この制度も三年間の特例でありますから今年で打ち切りになるわけでございます。ところが五十七年度の概算要求の中に七十八億五百万円が計上されております。この理由と予算の内訳と契約予定額、あわせて、前の五十四年、五十五年、五十六年三年間の契約予定額の合計は幾らになるかを説明していただきたいと思います。
○政府委員(永井浩君) 五十七年度の概算要求で利子補給の継続を要求いたしました理由につきましては、先ほど運輸大臣からお答え申し上げたとおりでございます。 五十七年度の要求でございますけれども、国庫債務負担行為三百二十五億円、歳出が七十八億円でございます。さらに、五十四年度以降、先ほども申し上げました国庫債務負担行為に、来年度の、仮に概算要求の国庫債務負担行為の三百二十五億円を促しますと、四カ年で千二百二十一億円となります。
○馬場富君 続いて質問を続けます。 海運業界、特に中核会社の名前と、五十四年、五十五年の決算の各社の利益合計をここで説明していただきたいと思います。
○政府委員(永井浩君) いわゆる中核六社と申しますのは、日本郵船、大阪商船三井船舶、川崎汽船、ジャパンライン、山下新日本汽船、昭和海運の六社でございます。これらの会社の経常損益は、五十四年度三百九十九億、五十五年度四百七十三億円でございます。
○馬場富君 五十六年度の決算については出ていませんが、私どもの調査では、五十六年も海運業界は全般に輸出貨物の急増と為替差益等で好況が一昨年来続いていると言われておりますが、この点については、やはり経済見通しの職にいらっしゃる経企庁長官に海運業界の景気をお尋ねいたします。
○国務大臣(河本敏夫君) 経済の状態につきましては、大勢といたしましては政府見通しは五%成長でございますが、大体その方向に行っておると思います。
○国務大臣(塩川正十郎君) 海運界の景気ということでございますので、私からその見通しを説明いたしたいと思うんでございますが、確かに、昨年から本年にかけまして農産物の輸送が世界的に増加いたしましたこと、あるいは石灰の運送量がふえたこと、それから自動車の輸送がふえた、そういうことから非常に海運界はいわば調子がよかったということは事実でございます。 そしてまた、これは皮肉なことでございますが、円安が実はこの決算に影響してきておるということも事実でございます。しかし私たちは、要するに船舶の建造並びに海運の業務というのは長い視点に立って絶えず自国船の必要数を確保していくという目標がございます。でございますから、一時的な好不況ということのみでこの制度を検討すべきではない、最終的に、わが国がいま求めておりますエネルギー船の確保をどの程度図っていくべきかということを見定めまして、それに必要な程度の補助制度を維持していきたい、こういう考えで臨んでおる次第であります。
○馬場富君 運輸大臣、議論の方は後からしっかりいたしますので、先に質問の方だけ続けます。 この利子補給を受けた会社が利益を上げた場合は、返還を義務づける制度があるわけでございますが、これを説明していただきたいと思います。
○政府委員(永井浩君) 利子補給の対象となります海運会社が、税引き後利益が資本金の一〇%を超えた場合には一定の比率でもって国庫に納付する、こういう制度でございます。
○馬場富君 これについて、政府は五十五年十二月にこの返還義務に関する施行令を改正して船舶建造積立金を創設したわけですが、この理由と内容について。あわせて、届け出の会社名を説明していただきたいと思います。
○政府委員(永井浩君) 五十六年度予算におきまして、従来の利子補給の制度を変えまして国家助成の依存率を低下させました。これは利子補給の対象となります融資比率を一〇%下げたわけでございます。そのために自己資本を充実するという必要がございまして、これらの海運会社が利益を計上した場合には国庫に納付するという先ほどの返還規定と関連いたしまして、資本金の一〇%を限度として建造積立金を積み立てた場合には、返還金の計算から控除する、こういう制度でございます。ただ、この新船建造積立金につきましては、積み立て後三年以内に新しい船の建造に充当しない場合には、さかのぼって再計算いたしまして国に返還する、こういう制度でございます。 なお、五十五年度決算におきましてこの制度を利用いたしましたのは九社でございまして、総額で約四十八億でございます。
○馬場富君 いま一連の質問をずっと聞きまして、海運業界の不況を支えるために五十四年から三年間の限定で再開されたわけです。そして本年で終わろうとしております。また来年度の予算の中にこれが増額となって頭を持ち出してきております。この制度は五十四年六月に再開されましたが、このときの五十四年度の中核会社の決算では大きな黒字に転換しております。以来今日まで好況を続けておるのであります。五十四年以来三年間の契約総額は何と八百九十六億円となっております。その上に、笑いがとまらないというほどの好況の業界の中で、またも来年度の予算の概算要求に七十八億円が計上されております。しかも、この中に新規分として一億一千百万円が計上をされておりますが、これは五十七年度に新規分として支払う額でありまして、まさに氷山の一角と言うべきもので、この水面下に、先ほど説明されました後年度の負担総額、何と三百二十五億円という巨額が下に隠されておるのであります。この制度を仮に五十七年度から三年間続けたとすれば、新規分の総額は契約額で一千一百余億円になるわけでございます。五十四年度からの分を含めれば約二千億円という高額になってくる計画のものでございます。これほど行革を叫び補助金の節約を言いながら、このような補助金は理解できないわけであります。過去三年間のものは別としても、今年の概算要求を大蔵省は認める気持ちがあるのかないのか、大蔵大臣、しかと御答弁願いたい。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 概算要求が出されたからといって全部認めるわけじゃございません。私どもは、概算要求があっても、ゼロシーリングであっても、その中身の査定に当たっては臨調答申の精神を踏まえて査定をするという考えでございます。委細詳しいことはまだ運輸当局から説明を聞いておりませんので、先生のお話だけでこの補助金を認めないとか認めるとかということを、私はここで決めてしまうわけにもいきません。しかし、ただいまの御発言は非常に貴重な参考になると思っておりますので、私は厳正に、厳しい態度で臨みたいと思っております。
○馬場富君 よく調べてとおっしゃいますが、これだけの高額で長年続いてきておりますこの利子補給を、大蔵大臣が御存じないということ自体がおかしいんではないか。だからやはりここで、この点についてどういう方向性をとるか、大蔵大臣の、予算を審議する立場で結構ですからお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 五十六年度までは期限があって、それで去年の予算編成でいろいろあったんですがね。だけれども、五十六年までですよということで認めた経緯がございます。新しい要請については私どもは知りませんので、要求があったというお話でございますが、その内容の査定、吟味はこれからするわけでございますから、とても非常に厳しい財政の中で、後年度負担が増して非常に増額していくというようなものは極力これはやめていかなければならぬと、一般論としてはそういうことでございます。
○馬場富君 いま担当者が、大蔵大臣説明になったように、概算要求の中には、新規分として一億一千万円含まれておるとちゃんと言われております。それで、後年度負担というのは、それは三百倍の三百二十五億ということもいまそこで発表されました。こういうものが現状下で児童手当とか、国民生活に密着した血の出るような予算を削りつつある中で、果たして大臣は、これはお調べになるのも結構ですが、私はいま答弁を聞いたわけですから、こういうものがあるとしたらどうお考えですか、それだけでもいいからきちっと御答弁願いたい。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは委細にわたって運輸当局の意見も聞かなければならぬ。その上で予算の時期に決着をつける問題でございますが、一般論として私が申し上げますならば、あなたの御発言のように、こういうものについては厳しく抑制の方向で対処をするということであります。
○馬場富君 時間がありませんので次に進みますが、この問題については、前の五十四年、五十五年、五十六年の三年分もそうですが、もちろん今回のものはなおさらですが、当時五十四年には大平内閣の五十五年行革が成立して、補助金は厳しく監督するという、そういう状況下にありました。そういう中にもこのような問題がこのようにされてきておるということで、行革は実行だとおっしゃっていますけれども、行管庁長官と運輸大臣はこの点についていかにお考えか、御答弁願いたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 大蔵大臣と同じ考えてあります。
○国務大臣(塩川正十郎君) 仰せのように、五十四年度この制度を復活いたしました当時は、いわば産業界全体の不況の、特に造船、海運が不況でございましたので、これに活力を入れようという制度で発足したことは事実でございます。しかし、おかげで造船界も相当堅実な経営を続けるようになってまいりました。そこで、現在われわれ五十七年度要求いたしておりますのは、そういう趣旨とは全く違いまして、御承知のように日本はLNG船が不足しております。また、石炭需要が急増いたしましたことに対する輸送船舶が、現在白国船は足らぬのであります。でございますから、これらを充実していきたいということでございまして、五十四年度この制度復活いたしました当時、コンテナ船等も含めておりましたけれども、今回の五十七年度要求の中には、そういう一切の一般船は全部対象から外しておるのであります。もっぱらエネルギー代替輸送船に限っておる。これが一つであります。 それからもう一つ。自国船の確保を必要といたしますのは船員対策でございまして、今日、日本の船員の非常に多くの部分が現在船員としての仕事につけない状況でございまして、これをやはり必要な船員の確保というものをしておくためにも、白国船の運用というものは絶対的な政策となってまいっております。しからば、それらはできるだけ日本が必要とするエネルギー関係の船舶において活用していくのが当然ではないかという、そういう政策と相マッチいたしまして、五十七年度要求に踏み切ったわけでございます。
○馬場富君 またこの上に、先ほど説明の中にありましたように、この利子補給を受けた会社は、利益が資本金の一〇%を超えると国に返すことになっておるわけです。ところが、五十五年に返還義務の施行令を改正して、船舶建造積立金制度というのをつくって、資本金の二〇%までの利益は返還金に含まないことを決定してしまった。その結果、資本金の二〇%までの利益は返還しなくてもよいと、こういうことになるわけですが、これは国が業界の利益隠しに協力したというようなことになるわけです。まことに考えられないことだと私は思うわけでございます。いろいろな理由があるが、いま海運業界は好況であります。国は八十一兆の借金を抱えて大変だと言っておるわけです。われわれも寝ずにいま国会で論議しておるわけです。しかも、政府はそのために、その痛みを児童手当や年金や教育や地域特例のカットに向けて国民の生活予算を削っておるわけです。政府はこのようにしてまでも、なぜ業界のみを守らなければならないのか、これが行革か、これが財政再建か、これが鈴木総理のおっしゃる実行の行政改革か。命をかけるとおっしゃいましたが、総理の本心を聞かせていただきたい。よろしくお願いします。
○国務大臣(鈴木善幸君) 行財政改革につきましては、国の行財政全般について厳しくこれを縮減、合理化を図っていくということは繰り返し述べたところでございます。ただいま馬場さんが提起しております問題につきましては、先ほど大蔵大臣が言っておりますように、これから行われます査定の段階におきまして、いま申し上げた基本的な行財政に取り組む姿勢の上に立ってやっていきたいと、こう思っております。
○馬場富君 いまの総理の言葉は、はなはだ私は不服であります。命をかけるとまで鈴木総理は国民に誓って、この行革は進めるわけです。われわれも命がけで取り組んでいかなければならぬ問題だと、そう考えておるわけですけれども、それについては、いささか私は気抜けのした答弁だ。もう少ししっかりと御答弁願いたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 全然気が抜けておりません。これは厳しくやってまいります。
○馬場富君 先ほど大蔵大臣は、この利子補給についてはじっくり検討すると、こうおっしゃっていますが、私は、この五十七年度の概算要求をずっと洗ってみましたが、これ以外にも増額されたりなんかしておるものがたくさんあります。そういう意味で、私は、そういうものをひとつ大蔵大臣は、五十七年度の概算要求を、今回行政改革をやるという頭でもう一回洗い直して見直してほしいと、こう思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 要求は要求、各省庁が出しておるわけでございますから、その要求するに当たっても、臨調の答申を踏まえて、そういう精神で出してくださいよと、そうでないと、幾らゼロシーリングだといっても、それは大幅にカットされることがございますということを言ってあるわけですから。しかし、そういう考えで各省庁とも出しておると思いますが、中身についてはこれから精細にそれは吟味をするわけですから、その結果、私は恐らく業界の今後の景気の動向とか実態とか、いろいろそういうことを見た上で、私はやはりあなたの主張されていることは非常に有意義な、重要な判断の基準になることだろうと、そう思っておりますので、本日の質問は、私は大変有意義な結果をもたらすであろうと考えております。
○馬場富君 では、次の項に進みます。 次は特殊法人の問題についてでございますが、常に国会でも行政改革論議のたびに問題となったわけでございます。私もこの席で、何点かごの点について指摘してまいりました。空出張、やみ給与、渡り鳥人事等が指摘されて、その腐敗に対する国民の批判が今度の行革への国民の強い関心となってあらわれておると言っても過言ではないと思います。それについて五十五年大平行革で取り上げられた問題についていまだ解決しておりませんが、今回の行革でも、焦点に改革案が出なければならないのに、一部人事削減のみで具体策は指示されておりません。これについて、いつどのような形で進められるのか、総理と行管庁長官にお願いいたします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 特殊法人の整理統合をいわゆる大平行革の時代にやりました。やりましたが、しかし、新しく臨時行政調査会ができまして、新しい観点からさらにメスを入れる、こういう考えでおります。 たとえば、この間統合が行われました住宅公団と宅地開発公団におきましても、あの例を見ますと、総裁は一人ですが、副総裁は二人になっておる。両方から一人ずつ、合わせて依然として二人であるわけです。これが一つに統合されたという以上は、副総裁は一人でたくさんなはずである。あるいは理事その他にいたしましても、普通の会社の合併の場合ならば、少なくとも半分近くになるべきものです。それが、二十四人、二十五人ぐらいのものが四人か五人減ったぐらいですね。そういうようなことを見ると、これは国民の常識から見れば、まだまだこれはやり足りないものだと、そう思われるでしょう。それから糖価安定の問題にしてもやっぱり同じような様相がございます。そういう意味で、いままでの行革のやり方で満足しておるものではありません。この非常時の厳しい財政状況にかんがみて、特殊法人全般について新しい観点からさらにメスを入れる、こういう考えでおります。
○馬場富君 いま説明のように、五十五年行革の一つである三特殊法人が十月一日に統合いたしましたが、これはいま長官が御説明になったようないろいろな批判があります。きょう私はその中で、蚕糸砂糖類価格安定事業団にしぼって質問していきます。 この事業団は、今回の統合はどのような目的で、いかなる計画で、またいかなるようにこの統合がなされたか説明していただきたいと思います。
○国務大臣(亀岡高夫君) 御承知のように、大平行革の際に特殊法人の整理ということで、農林省もひとつやれという結論が出たわけであります。それに従いましていろいろ検討いたしました結果、結局、糖価安定事業団も農作物を中心として、これの価格決定の制度を取り扱い、また砂糖の輸入等も、いわゆる輸入農作物の関係もこれある。蚕糸の方におきましても、養蚕農家を相手にして、農作物を中心にした業種であるということで、また輸入生糸の面も非常に問題になっておる、大体仕事の内容が似ておると、こういうことで一緒にしようということで、御承知のように蚕糸砂糖類価格安定事業団というものを十月一日からスタートさせたわけでございます。 以上でございます。
○馬場富君 この組織の合併の人員等、役職員等の内容について説明していただきたいと思います。
○国務大臣(亀岡高夫君) 理事長が二人が一人になりましたし、さらに役員は十二人ありましたものを九人にいたしたわけであります。さらに、非常勤役員も五人であったものを三人に削減をしたということで、事業団としてはぎりぎりの最低の線ということでこういうようにいたしたわけでございます。 私は、むしろやはり一つの特殊法人が削減されたというところに大きな意義があろうかと思います。ただいまも行管長官から指摘されたように、このような姿で実務を行ってみまして、さらにもっと合理化された体制の中でも仕事がやっていけるという見通しがつきますれば、これにさらに合理化を図っていくということが私は次の段階になすべきことであろうと、こう思っております。
○馬場富君 役員の多い少ない等については後にしまして、私がこの問題をずっと調べておるときに、蚕糸事業団の経営内容について実はびっくりしたような実態が多かったわけです。それで、果たしてこの合併、統合しても大丈夫かと、一つはこういう問題に突き当たったわけです。 そこで、ここでずっとお尋ねしていきますが、蚕糸事業団が現在抱えている在庫量はどれくらいか、またその在庫を金額に換算すると幾らかを説明していただきたいと思います。
○政府委員(小島和義君) お答えいたします。 抱えております生糸は合計いたしまして十六万俵でございます。借り入れをいたしております金額は千四百億円になっております。
○馬場富君 五十三年度の借り入れは三百四十億です。五十四年は六百七十億、さらに五十五年は一千四百億と二倍ずつふくれ上がっておるわけですが、さらに農林省農蚕局の資料では「貸付額が大、在庫軽減の見通しは不明という状況。」がはっきり書かれておりますが、将来の借り入れ等についての見通しはどのように考えてみえますか。
○政府委員(小島和義君) 事業団の借り入れは在庫投資という形をとっておりますので、在庫独がふえれば借り入れもふえると、こういう関係にあるわけでございます。その意味で、事業団といたしましてもこれ以上借り入れをふやしていきますことは、財務の健全性の点からいっても問題でございますので、在庫の大部分を占めております輸入糸につきましては、主な輸出国であります中国、韓国等とこれ以上日本としては在庫をふやせないと、こういう事情一をよく説明をいたしまして、輸入糸の方をとめておるわけでございます。また、在庫が減ってまいりませんと借金の額も減りませんので、官民挙げまして生糸の需要拡大のためにキャンペーンを実施しているところでございます。
○馬場富君 ここで大蔵大臣にお尋ねいたしますが、この貸し出しは農林中金から出ておりますが、このような特殊法人に毎年毎年倍々ゲームのように貸し出しをふやしておる実態を大蔵大臣は御存じですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 報告を受けております。
○馬場富君 このような異常在庫を抱えたままさらに五十六年八月より事業団の国産糸買い入れ枠を十月一日以降ふやすと発表しておりますが、この点はどうですか。
○政府委員(小島和義君) 蚕糸事業団時代に国産糸の中間買い入れ数量は三万俵が限度であったわけでございます。もちろんこのうちの一部は統合以前において買い入れをいたしております。十月一日発足と同時にこの枠をいかようにするかということが当然問題になったわけでございますが、新しい事業団でございますので法律のたてまえである三万俵というものを改めて承継発足すると、こういうことにいたしたものでございます。
○馬場富君 そういう買い入れをふやすという枠を発表しておるということは需要が拡大する方向にあるのかどうか、どうですか。
○政府委員(小島和義君) 国産糸の買い入れ数量は需要が供給よりも少ないという場合にそれを支えるための買い入れでございます。もちろん需給均衡が望ましいわけでありますから極力需給均衡に努力いたしまして、それでもなお国産糸が過剰で値が下がるという場合のあくまで伝家の宝刀として用意をいたしておるものでございます。三万俵必ず買うための枠というものでは決してございません。
○馬場富君 私どもの調べでは需要は完全に先細りだ。在庫はどんどんと史上最高の在庫状況になってきておる。在庫処分はできずに困り果てておる。処分すれば大欠損だ。政府はこれに対していかなる対策を考えてみえますか。
○国務大臣(亀岡高夫君) 十六万俵の在庫があり、局長から答弁したような事情で、新事業団発足の際の三万俵の枠決定に当たりましてもこれが需要につながるのではないか、生糸相場に相当積極的な影響を与えるのではないかというようなことも考慮して決定をしたわけでございます。 〔委員長退席、理事土屋義彦君着席〕 まあぼちぼちこの相場の方も上向いてきておるわけでございます。先生御承知のように、かってこの制度を始めて以来一時政府が二十万俵近い手持ちを持ってどうにもこうにもしようがないという時代もあったわけでございますが、景気が回復いたしまして生糸の需要が一度出まするとはけてきたというのが過去の例にもあるわけでございますので、私どもといたしましては、極力二国間協定において外国等の了解のもとに中国、韓国から入ってくる量をできるだけ少なくする努力をし、かつ養蚕団体は生産調整もやりまして、そうしてしかもコストダウンの措置も講ずる、基準糸価も下げる、いままで農産物の価格の中でとにかく一キロ当たり七百円も下げたというようなことはないと、そういう努力をみんなでしながらまあとにかく市況の回復を待とう。ただ待っていたんではしようがないということで、養蚕団体も製糸も織物屋さんも全員協力をいたしまして、政府も一緒になりまして生糸の需要増進に全力を挙げておるというのが現況でございます。
○馬場富君 私どものこの実態を調べたときに、やはり一番の被害者は消費者ではないか、こういうように見るわけです。年々生糸の価格のつり上げで結局製品化できずに糸だけが在庫として膨張しておる。結果、製品は高くついて消費者の手に届かない、こういうような状況が国の機関が中心となってつくり出しておっていいかどうか。これはやはり国民のために真剣に考えなければならぬ問題じゃないかという点で大臣の所見を聞かしていただきたいと思います。
○国務大臣(亀岡高夫君) 最大の努力をいたしますとともに、特にやはり御指摘のように価格が消費者の手の届かないところにあるということが消費が伸びない一つの大きな理由でもあろうと、こういうことが言われておるわけでございます。 〔理事土屋義彦君退席、委員長着席〕 したがいまして、やはり数多く物を出してまいりますためには、生産費のコストダウンも図る養蚕業の経営をしていかなければならないということで、そういう面の努力も指導も強力にいたしておるところでございます。 したがいまして、あらゆる努力をいたしまして、この制度がやはり何といっても生産者にとっていい制度であるということで立法されておりますゆえんもよく考えまして指導をしてまいりたいと、こう思っております。
○馬場富君 次にここで問題なのは、一つは先ほども話に出ましたが、輸入糸の問題でございますが、中国、韓国との生糸貿易は約束の輸入額で一つは取引されておるわけでございますが、いま異常事態に陥って、二国間協定の内容と約束不履行の実態がさらに拡大されておる。そうした事態になったようなこの状況というのを、またこれどういうように対処されるか説明してほしいと思います。
○国務大臣(亀岡高夫君) 中国の件につきましては、昨年十二月、定期閣僚会議の際に私も北京に参りまして中国側によく日本の実情を説明をいたしまして、とにもかくにも当時十三万俵以上の在庫を抱えておりまして、なかなか需要が伸びてこないということで、とにかくお約束はしているけれどもこれが実行できない理由をよく説明をいたして納得をしてもらったと、こう思っております。 韓国に対しましても、日本のこの実情をよく話しまして、昨年は生糸はほとんど入れておらないと、こういう事情でございます。 したがいまして、ことしも黙っておったんでは失礼に当たると、こう思いまして、八月、北京に参りまして、この問題もいろいろとやはり市況の改善がされてないこと、日本の絹需要が伸びていないこと、そういう実情をよく中国の担当者の方方にお話をし、まあいずれ十月ごろにでもなれば幾らか糸は動いてくるかもしらぬからそのころもう一度相談さしていただきましょう。こういうことで今月中に中国と話し合いをするという段取りをつけさせておるところでございます。 また、韓国につきましては、先般閣僚会議の際に韓国に参りまして、韓国としてもできるだけ早く約束した糸を引き取ってほしいと、こういう要請が強かったわけでありますけれども、いま引き取れば引き取るほど日本の実情が困難になるということを話をいたしまして、十月末から始める実務者会談でよくひとつ相談をいたしましょうということで帰ってまいったわけでございます。 いずれにいたしましても、絹というものに対する魅力と申しますか、絹に対する愛着と申しますか、伝統産業として残したいという生産者側の意向、その意向が、なかなか価格の問題等からいたしまして多くの消費者に渡らない。ところが、物すごく高価なものははけているんですね。この辺に非常にむずかしいところがあるのではないかと、こう思うわけです。高価なものははけるけれども、数が多く出ない。したがって糸は余る、こういうふうになってきておりますので、もうしばらく時間をかしていただいて、どの方策が一番いいか、やがては結論を出さなければいかぬ時期が来るのではないかという感じを持っておる次第でございます。
○馬場富君 いずれは結論を出さなきゃいかぬとおっしゃいましたが、中国、韓国にもまだ契約分で引き取ってない分が向こうからあるというような状況でございますし、輸入再開の状況といたしましても、やはり事業団の在庫の見通しは全くいま不明の状況にあると、再開されてこれが入ってくれば、また一段と在庫がふえ続けるということになってしまうわけです。じゃあ、いま当局の出されたこの「最近の蚕糸業をめぐる情勢」というのが園芸局から出されておるわけです、これを見ても、事業団は、中金に貸し出しを求めることはこれ以上できないと、こう言ってこれに記載されておるわけでございますが、このような現状まで追いやられておって、ここをどう切り抜けていくかということ、どうするんだと、しかと御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(亀岡高夫君) その対策の一つとして、養蚕団体、生産者団体の自主的な生産調整というものをいたしておるわけでございます。これも今年の晩秋蚕あたりから始めたわけでございますので、来年度を期してそういう体制がやがては糸価に反映をして、糸価の持ち直しという事態をつくり上げる努力を私どもは続けてまいりたいと、これがこれからのやはりなさねばならない、なすべきことであると、こう考えております。
○馬場富君 大臣は、これ以上この事業団に対して農林中金で融資を受けないお気持ちでございますか。
○国務大臣(亀岡高夫君) こういう事情になることを恐れて、実は私は今年度の基準糸価決定の際に七百円の引き下げを行ったわけでございまして、できることならばこれ以上は中金からの借り入れはしなくて処理できるように努力をしていきたいと、こう考えております。
○馬場富君 まだたくさんの質問があって、もう時間がありませんので、私の方から要点だけ述べてこの質問をひとつ進めていきたいと、こう思いますが、いずれにしても、やはり簡単に申しますと、基準の糸価が上がりっ放しと、生糸に対して別枠で安い糸を提供するために措置をどうすることもできない、こういうような実は私どもの調べた中では現状でございますし、途中に、その上また海外から繭で輸入されて、これが日本のやはり工場で系とされて、これが国産品としてまた在庫の中に入ってくる、こういうような状況です。極端な言い方をすれば、日本の養蚕農家が少なくなっても輸入で賄えるというようなシステムができ上がりつつあると、こういうような危険性もありますし、また内部的に見ましても、神戸や横浜にある取引所は相場に立つ生糸が少なくて経営破綻というような状況でございますし、生糸問屋の経営がどんどんとやっぱり圧迫されておりますし、機屋等も必要量をやはり満足に手当てができないと、こんなような状況がずっと重なってきておるわけでございます。こういうような状況からして、やはり行政改革の中で私たちがこれほどまでにやかましく論じられながら、こういう団体が果たして今後もやはり存続価値があるのか、またこれをどうするのだ、こういうことを私たちは非常に疑問に思うわけですが、この点いま農林水産大臣の所見はよく聞きましたので、総理と行管庁長官に、ひとつこの点についての御答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど申し上げましたように、特殊法人の実態につきましては、さらに精査を加え、いままでの既往の経過にとらわれずに、新しい観点に立って改革を進めていきたいと考えております。
○国務大臣(鈴木善幸君) この問題は国内産糖あるいは国内の蚕糸業者、そういう日本の農林業が抱えております宿命的な問題が根本にありますことはよく御存じのことだと思います。私は単に団体とか機構とかいう問題でなしに、そういう日本農業の合理化、あるいは今後どうしてやっていくかと、また一方におきましては、国際通商貿易の面でもこの点がもっと自由化をすべきだということを迫られておる問題でございます。そういう広範な立場から、この問題は行財政の改革とともに、この機会に十分掘り下げた検討と対策を進めてまいりたいと、こう思っております。
○馬場富君 ここで蚕糸事業団と糖価安定事業団の両者が一体になったわけでございますが、御存じのように、糖価安定事業団はもう従来から一般会計、予備費からも繰り入れが行われております。そこへ持ってきていまお聞きのような蚕糸事業団が一緒になったわけです。苦しいものが二つ一緒になると必ずよくなると、こんな原理はないと私は思うんです。ますます悪くなるのではないかと心配されるわけです。そういう点でやはりこれが合併したときに果たして、このやはり一般会計や予備費からの支出の糖価安定事業団とこの蚕糸事業団との合併の中で経理面において一体となっていくわけです、こういうときにこういうやはり一般会計やら政府のいわば予算というものがまさかここで合併のどさくさに利用されるようなことはないかどうか、一遍行管庁長官にそのことをしかとお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど申し上げましたように、既往の経過にとらわれずに、新しい観点に立って最も合理的な方法に改革を進めていきたいと考えております。
○馬場富君 最後に、私は自民党が今国会に提出されました参議院全国区制度改革案について言及したいと思いますが、この法案は民主主義の精神に反し、参議院の自主性をなくし、しかも憲法違反の疑いが非常に強いものでありますので、私はこのように問題の多い法案を、しかも政党の消長にかかわる大きな問題を抱えている法案をこの短い臨時国会に提案されることを断念されるよう、自民党総裁である総理に強く要望いたしまして質問を終わります。(拍手)
○委員長(植木光教君) 以上で馬場君の質疑は終了いたしました。
○委員長(植木光教君) 次に、立木君の質疑を行います。立木洋君。
○立木洋君 鈴木総理にお尋ねいたします。 本当の行政改革というのはむだをなくすということだと思うのですね。だけれども、やはりむだの最たるものは軍備の拡張、またスパイ事件だとかそれから盗聴器事件、こういうような人権や民主主義をじゅうりんするような事態、そのような政党に対して秘密の調査を行うようなやり方というのは、これは何としてもこういうところに金を使うべきではないというのが私たちの主張であります。総理も御承知のように、アメリカのウォーターゲート事件で、大統領の政治生命にまでかかわるようなこれが根本問題であるということは総理も十分御存じのことだと思うのですが、まず盗聴事件に関する総理の政治認識を最初にお尋ねいたしたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 立木さんが御指摘になりました盗聴事件につきましては、さきの臨時国会におきましても私は捜査を厳正に進めていくということをお約束を申し上げました。そしてまた、そういうことが今後繰り返されないように十分注意をし、それを徹底をしていくということも申し上げたところでございます。捜査当局におきましては、共産党幹部宅に対する盗聴事件、これを鋭意その後においても調査を取り進めておるところでございます。その結果につきましては後ほど法務大臣等から御報告をいたさせますが、このようなことがおってはいけない、人権にかかわる問題でございますので、今後も厳正にやってまいる所存でございます。
○委員長(植木光教君) 関連質疑を許します。沓脱タケ子君。
○沓脱タケ子君 わが党に対するこの盗聴事件というのは、二度にわたる宮本委員長宅に対する電話盗聴事件、それから日本共産党の第十回党大会で会場に盗聴器が設置された事件、北海道、奈良、愛媛、愛知、群馬、島根、山口等の各県委員会に対する盗聴事件、それから中央の党幹部宅の電話盗聴事件、その他会場、それから一般党員宅に対する盗聴など、発見したものだけでも枚挙にいとまがないくらいでございます。このような、合法政党である日本共産党に対する一連の盗聴事件、これはまさに市民的自由に対する重大な侵害であるばかりでなく、民主主義の根幹を揺るがすゆゆしい問題だと思うわけでございます。 そこで、まず法務大臣にお伺いをしたいと思うのですが、昨年の六月の二十九日の日本共産党高原晋一常任幹部会委員宅に対する電話の盗聴事件、同じく六月の三十日戎谷春松副委員長宅に対する電話盗聴事件について犯人を検挙されたのかどうか、捜査状況がどうなっているか、この件についてまず最初にお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(奥野誠亮君) 電話盗聴事件は人権にかかわる問題でもございますだけに、特に私たち鋭意そういう問題が起こらないように検挙をすべき性格のものだと、こう考えておるわけでございます。先般、本会議でもお尋ねをいただいたわけでございますけれども、昨年の事件につきましてはいまだ検挙をするに至っていないわけでございまして、東京地検において鋭意捜査を続けているところでございます。
○沓脱タケ子君 総理、お聞きのとおりなんです。これまでもたび重なる盗聴事件についてわが党がその都度厳正な捜査の申し入れを行ってきたのでございます。また、国会でもたびたび取り上げて追及をしたにもかかわらず、いつもいまのように鋭意捜査中であるとか、犯人を検挙するに至っていないとか、あるいは時効になってしまったとか答えるだけで、いまだかつて犯人を逮捕したり、あるいは事件の全容が解明されたということがただの一度もないわけでございます。これは民主主義の根幹にかかわる重大問題でございますので、こういう事態というのはきわめて重大だと思うわけでございます。 昨年の十月十四日に本委係員会におきまして、私の質問に対して総理は、厳正な捜査を行いますという御答弁をなさっておられるわけでございますけれども、いま申し上げた一連の状態のことをお聞きをいただいて、総理はどのような御所見をお持ちになるか、まずそのことをお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 昨年の臨時国会であなたから御指摘がございまして、早速法務大臣と協議をいたし、関係当局で捜査を鋭意進めるように指示もされておるところでございます。いまだ結論が出ておりませんことは残念でございますが、今後ともそのような姿勢でこのような人権にかかわる問題でございますから、厳正にやってまいる考えでございます。
○立木洋君 いまお聞きのように、これはただ単に盗聴事件というのは一件、二件じゃないのです。相当な件数起こっているのにただ一回も犯人が検挙されてない。しかも、一方では政党に対して、団体に対して機密の調査を行うというような機関に金が使われる、こういうようなことは私はやっぱり最大のむだだと、そういうことはやめるべきだということを主張しておきたいと思うのです。 さて、それで今日重要な問題は、やはり平和を守る問題、何としても被爆者を再び出してはならないという国民にどうこたえるかという問題があるかと思うのです。ですから、そういう意味では核軍備、この拡張競争をやめさして再び核兵器が使えない、使うような状態にならないようにやらなければならないことだと思うのです。そういう点で、先般私は外務大臣にお尋ねをしました。極東における核の配備、第七艦隊に巡航ミサイルが配備されるだとか、中性子爆弾が極東に持ってこられたとか、いろいろな問題についてお尋ねをしたときに、外務大臣は、極東に核が配備されることについては私は歓迎いたしませんと、そのような事態になれば、そのような緊張を激化させるようなことについては慎むように私は意見を申し述べますというふうにおっしゃいましたが、これは間違いございませんか。
○国務大臣(園田直君) 極東の核配備については、情報ではそれぞれ研究調査をしているというニュースがありますが、具体的な申し入れは何ら受けておりません。したがって、現時点について御指摘のことについてとかく云々することはありませんけれども、しかし、わが国は従前から言っておりまするとおり非核三原則と、こういうものがありまして、そのような場合にはあくまでこれは事前協議の対象になる、事前協議があった場合にはいかなる場合もノーと、こういうことに変更はありません。
○立木洋君 外務大臣、先般では核兵器の極東における配備は歓迎いたしませんと明確に述べられましたね。
○国務大臣(園田直君) わが国のいままでの核に対する方針から言って、わが国は核の軍縮を唱えております。これを歓迎するはずはありません。
○立木洋君 もしかそういう事態になるならば、そういうことは慎しむべきであると、意見を申し述べるとおっしゃいましたね。
○国務大臣(園田直君) 具体的に申し入れはないわけでありますから、とかく云々はいたしませんが、その場合には非核三原則がありますから事前協議の対象になると、こういうことであります。
○立木洋君 極東における核の配備について外務大臣は歓迎されないと、先般の外務委員会ではそういう事態が起これば慎重に、慎しむべきであるということを外務大臣が言われたんですが、総理ののお考えいかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 極東に対する核の配備というようなことにつきましては、私は何も報告も受けておりませんし、承知をいたしておりません。そういうようなことがどこかの国で検討されておるというようなことにつきましても、外務当局等から報告を受けておりませんし、承知をいたしておりません。 いずれにいたしましても、外務大臣も申し上げましたように、わが国は非核三原則を国是としておるわけでございます。したがいまして、わが国に対してそういうものを配備するなどという仮に要請がありましても、これは事前協議の対象でございますが、わが国としてはこれはノーと、拒否する立場にございます。
○立木洋君 もちろん日本に対してはノーと言われる。日本を除く極東の配備についてはいかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど申し上げましたように、現実にそういうことは私聞いておりません。また、どういう形でそれをなそうとするのか、そういう内容もわかりません。いまあるかないかわからぬことを、仮定の上に立って御答弁申し上げるわけにはまいらない。
○立木洋君 仮定のことは申し上げられないというので、私は具体的な事実についてお尋ねしたいと思うのです。 沖縄の辺野古に核弾薬小隊というのが駐留しているということは明確に認められているわけであります、日本の政府も。この核弾薬小隊というのは核専門部隊であるのかどうなのか、その点いかがでしょうか。
○国務大臣(園田直君) 岩国と沖縄の基地に核兵器を処理する能力のある部隊が一部おることはしばしば質問されたとおりであって、これに対して私もしばしば同じ答弁をいたしております。これは核兵器の処理をする能力を持った部隊でありまして、米国では今日の近代戦のもとにおいてはそれぞれ核兵器に対する処理能力を持つことが大事であって、海兵隊等には特にその点は要望されているとおりでありまして、処理する部隊があることと核兵器があることは別個の問題、このように終始答弁してきております。
○立木洋君 米軍が出している海兵教範の中にも明確に指摘されてあるのですが、米軍の中では核兵器を扱う部隊と、それから核兵器でないものを扱ういわゆる核、非核両用部隊があるということはこれは述べられているわけです。しかし、核のみしか扱わない部隊は少数であるけれども存在しておるということも、これは明確に述べられているわけです。その核兵器のみを扱う専門の部隊であるかどうかということをお尋ねしておる。いかがでしょうか。
○国務大臣(園田直君) 岩国、沖縄ともに核兵器を処理する能力を持った部隊であります。
○立木洋君 沖縄に駐留している核弾薬小隊について、去年の十月公表された米軍の軍事委員会の国会での会議録、この中でのコマー証言が何と述べられておるかお答えいただきたい。
○説明員(松田慶文君) いわゆるコマー証言におきましては、MWWUという先生御指摘の部隊が……
○立木洋君 MWWUじゃない、NOPです。コマー証言です。
○説明員(松田慶文君) いわゆる核兵器小隊NOPは三隊あって、地上戦術核の取り扱いに従事するそういった能力を有する部隊であると証言されております。
○立木洋君 ここに私は持ってきているのです。これは米国の国会での軍事委員会での議事録です。 ここの千二百八十二ページ。ここには、もっぱら核兵器を扱う部隊と書いてあるのですよ。ソーレリーと書いてあるのです。もっぱらなんです。これを訳するならば、明確にこれらのNOPは唯一の陸戦用戦術核専門部隊である。いかがですか、ちょっとこれを見てもらいますからね。(資料を示す)
○説明員(松田慶文君) たびたび大臣から御答弁がございましたように、この部隊はもっぱら地上戦術核の取り扱い、整備等に従事する能力を持っているということを言っておりますが、この部隊は海兵隊に所属でございまして、単にその土地にいて常にそこにいるというわけではなく、御案内のとおり有事即応体制の一環として他の地域に移動することがございますので、いかなる事態にも対処し得るように能力を常に保存しておくという訓練目的で置かれている部隊でございます。そのように御理解願いたいと存じます。
○立木洋君 この千二百八十二ページのところには、「ザ オンリー ソーレリー」と書いてあるんですね。そして、「グラウンド タクティカル ニュークリア ユニッツ」。はっきりこういうふうに書いてある。訳してください、これを。(「訳したのをいま答弁したんでしょう」と呼ぶ者あり)あれはうそなんだよ、承認できない。明確にこの文章を訳してください。
○説明員(松田慶文君) 証言録千二百八十二ページの上から七行目あたりを訳して述べよというお尋ねでございますが、もうすでに訳して用意しておりますので読み上げさしていただきますが、おのおの六名の士官と五十四名の下士官兵からなる核兵器小隊(NOP)が三隊あり、もっぱら地上戦術核の取り扱いに従事する部隊はこれらの小隊しかない。先ほども申し上げたとおりでございます。
○立木洋君 これは後で明確に見てもらえばわかりますけれども、松田さんは、この訳のところをごまかして訳しているのです。「ニュークリア ユニッツ」というのは明確にこれは核部隊なんですから、核部隊ということを一言も言われない、なぜそのところを訳してないんですか、あなたは。
○国務大臣(園田直君) いまの英語の翻訳は事務当局が言ったとおりでありますが、その訳された日本語の問題であります。この委員会の中には戦前軍隊におられた方もたくさんおありだと存じますが、日本の各師団にはガス係将校、ガス部隊というのがありました。これはガス防御、ガス資材、その他一切を受け持っておりましたが、ガスは持っておらないし、ガス使用をする部隊ではありませんでした。もっぱらガスを処理する部隊でございました。
○立木洋君 いまいみじくも外務大臣が言われました、もっぱらそれを処理する部隊であると。ですから、つまり核専門部隊というのはもっぱら核兵器のみを扱う部隊なんです。これは明確にコマー証言でも専門部隊であるという言葉が使われている。そういう点で言いますが、私はこのようなもっぱら核兵器のみを扱う部隊が日本に駐留しているということをお認めになるのかどうなのか、大臣いかがでしょう。
○国務大臣(園田直君) 先ほど御説明申し上げましたとおり、ガス係将校、ガス部隊があったのはガスを使用された場合の処理するためにあったわけでありますから、処理する能力のある部隊があるということが、兵器があるということとは違いますので、これがあることについてとかく異議を申し立てるつもりはございません。
○立木洋君 それではっきりしてきたんですが、そうすると核を専門に扱う部隊がおっても結構だという意味ですね。そういうことになるならば、いままで核部隊に対して日本の歴代政府はどういうふうな対応をしてきたのでしょうか。
○説明員(松田慶文君) お答えいたします。 ただいまの御質問は非常に漠たる広範囲な内容でございまして、たとえば沖縄国会以来等々数回かなりにわたりまして御質問のようなことがあり、答弁しております。したがいまして、その一一についてはただいまこの限られた時間に申し上げるわけにまいりませんので、御要望があれば後刻資料にして出させていただきたいと思います。しかし、要点はいつも一つのことを申し上げております。そういった能力を有するということと核兵器を所持しているということは全く関係がない、そういう点はいつも申し上げているところでございます。
○立木洋君 それじゃ松田さんそういうふうに言われましたが、総理よくお聞きいただきたいのですが、佐藤内閣総理大臣が昭和四十七年の三月二日に言われているんです。これはつまり核兵器と核部隊と私は全然別に考えておりますということを明確に述べられた上で、私は核を専門に扱うような部隊というのはわが国にはいないと。それはどうしてか。「私は、先ほど来申し上げておるように、持ち込まさない、かように申しておりますので、核、それを専門的に使うような核部隊というものはわが国にいない、かような前提でございます。」ということは総理が述べられているわけですね。ということは、つまり核部隊を置かないのは非核三原則を遵守する日本政府としてはあたりまえのことなんだということを佐藤総理言われたんですが、総理、この見解にいかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 佐藤総理の時代にそういう部隊がいなかったということは、それは私は厳然たる事実であったろう、こう思います。しかし、いま松田審議官から申し上げたように、そういう処理する部隊がおるということと核兵器が持ち込まれておるということは、これは全然別個の問題であるということは明快に申し上げておきます。
○立木洋君 いや、佐藤総理は核を持ち込まさないという非核三原則があるんだから核部隊を置かないというのが前提なんだ、そういうものはいないんですと、この点はいかがですか、あなた。
○国務大臣(鈴木善幸君) 佐藤総理が全体としてどういう御答弁をされたのか、前後の事情、そういうものも十分詳細に検討しなければならないわけでございます。ただ、その時代にはそういう部隊はいなかったということは事実でございましょう。私は、核兵器は非核三原則によってわが国には持ち込まれていない、事前協議の対象であるからでございまして、これはそういう事前協議がありましても、わが国としては、ノーとこれを拒否するという立場にございます。
○立木洋君 そうすると、結局鈴木総理の言われるのには、あの佐藤総理がこの問題を問題にしたときも、核部隊と核兵器とは別だということを明確に述べられて、その上で核を専門に扱うような部隊は日本にはいないのだと、どうしてかと言えば、核を持ち込まさないのだから、そういう部隊がいるはずがありませんと、核部隊がいるのではないかという質問に対してそういう答弁をされた。あのときは国民の中に核部隊が存在しているということがはっきりしていなかったから、佐藤総理はそう言って逃げられた。いまやNOPがあって、核専門部隊が日本にあるのだということがはっきりしてきて国民の前にごまかすことができないから、あなたは開き直って、核部隊がおるのと核兵器があるのとは別だという御答弁なさるのですか。そういう意味に解釈していいですか、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は別に開き直ったわけでもございませんし、開き直る必要もない、別個の問題であるということを申し上げておきます。
○立木洋君 そうしますと、総理、戦車部隊というのは戦車があるのはこれはつきものなんですよ。飛行機部隊というのは飛行機があるのはつきものなんですよ。いいですか。核兵器を専門に扱う部隊があるというところに核兵器があるというのは、これは常識なんです。そうしますと、核専門部隊、核兵器のみを扱う部隊が日本に駐留することの存在意義は一体どこにあるんでしょうか。
○国務大臣(園田直君) 御意見少しわからぬところがあるわけでありますが、先ほどの英文の翻訳は、核兵器を処理する能力をもっぱら持っている部隊、こうなっているんで、使う部隊とはなっていないわけでありますから、私はそれは違うんだと思います。
○立木洋君 そのように言われますけれども、じゃあ、防衛庁長官にちょっとお尋ねしたいんですが、日本に核兵器を専門に扱う部隊があるという場合には、核兵器があるかないかというのは、国際的な常識としてはどのように見られるでしょうか。
○政府委員(塩田章君) 従来から外務省でお答えになっているとおり、別個のことであると私どもは考えております。
○立木洋君 国際的常識、ほかがどう見るか、ほかが。あなたがじゃないんです。
○政府委員(塩田章君) 国際的常識からいってもそうだと思います。
○立木洋君 塩田局長、そうすると、ミサイルの発射装置、IRBMあるいはMRBM、こういう発射装置があるというふうな場合に、そこに核弾頭があるというのは軍事的に見て常識でしょうか、常識でないでしょうか。
○政府委員(塩田章君) ちょっとたとえが違うかもしれませんが、たとえば自衛隊でも化学兵器なんかの攻撃を受けた場合の処理する部隊はおります。研究しておる関係者もおります。だからといって化学兵器を持っているわけではありません。そういうことはどこの国の軍隊だってあり得ることだと私は思う。そういう意味で申し上げておるわけであります。
○立木洋君 そうしたら、塩田局長、このことしの防衛白書の中に明確に、いま私が述べた、IRBMやMRBM、ソ連のですね、これが配置されていると、欧州に、核弾頭が増加しているとはっきり書かれておるのは、あなたは行って核弾頭ごらんになってきたんですか。核弾頭見てきたんですか、核弾頭があるということを。あなたはミサイル発射装置があるということはまさにそこに核弾頭があるということが常識だと判断してこういう防衛白書を書かれたんじゃないですか。どうですか。
○政府委員(塩田章君) 私は核弾頭を見たことはございません。
○立木洋君 この問題はきわめて重大なんです。いまの答弁では全部すれ違いでお逃げになった。核を専門に扱う部隊なんです。これは明確にこの議事録——どなたでも翻訳していただいて結構です。私は誤訳しているわけじゃない。 そして、私はここにアメリカの米海兵隊の教範を持ってきている。これは時間がないから本当に言うことができないんです。ここには全部書いてあるのです。この教範の中に明確に述べられているように、いまや核戦争、もしか戦争が起こった場合、第一の攻撃目標にされるのは何なのか。それは核補給ルートである核専門部隊がおるところだとか、核兵器があるところだとか、これが優先度の最も高い攻撃目標にされるというのですよ。そういうような攻撃目標にされるような部隊が日本にあるというのですよ。これは大変なことなんですよ。総理、いかがお考えですか。
○説明員(松田慶文君) 重ねてのお答えになるわけでございますが、海兵隊というものは御案内のとおり……
○立木洋君 これは政治的な見解を聞いているんだから、松田さんではないんです。
○説明員(松田慶文君) 現に沖縄の海兵隊についてのお尋ねでございますので、海兵隊というものが、有事即応体制の一環として比較的短期間にどこへでも移動していくという部隊の性格上、あらゆる事態に対処した能力を常時整備していくというのは使命と課せられております。そういう一環で、沖縄にあるがゆえに沖縄で何かするということ以外の目的をも使命として具備するという点を御理解願いたいと存じます。
○立木洋君 最後に、これは何としてもやっぱり総理にお尋ねしておかなければならないんですが、ことしの八月六日に広島で、戦争と核の脅威から人類を解放するために、これからどのような前途に困難があろうとも努力をしていかれると総理は述べられましたね。いまや日本には——ですから、そういう見地からごらんになって、核兵器を専門に扱う部隊を日本に駐留をお認めになるのかならないのか。いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、広島であの悲惨な被爆の実態に触れまして、核の廃絶、核軍縮、これを、日本が国際場裏において先頭に立ってこの点を提唱すべきだと、こういうことを申し上げたのでございます。したがって、わが国は非核三原則を堅持しておりますし、核兵器をわが国に対して持ち込ませるというようなことは断じていたしません。このことだけは明確に申し上げております。
○立木洋君 核兵器は断じて持ち込ませないと。しかし核兵器を専門に扱う部隊はいかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) その点は、松田審議官が申し上げましたように、米軍部隊というのは常に有事即応で移動もするという性格の一面も持っております。問題は、わが国に核兵器が持ち込まれておるかどうか、そういう存在しておるかどうかという問題を私どもは一番注意をいたしておる点でございます。
○立木洋君 結局、総理大臣は——短い十一分ですから十分にお尋ねし尽くすことができませんでしたけれども、しかしずっと結局お逃げになった。あなたは核専門部隊を日本に置かせるのか置かせないのか。 この中には米軍の現在の部隊についてどのように書いてあるか。米軍の部隊の中には核兵器を全然使わない通常の部隊が一つあるんです。いまや核の時代ですから、核兵器を使いあるいは核兵器を使わない場合もある。核・非核両用の部隊、これが大多数の部隊です。もう一つは、核兵器のみを専門に扱う部隊、これはきわめて少数。このような三つの部隊から構成が成り立っているんです。その核兵器を専門に扱う部隊が日本にあるということは、これは大変なことなんですよ。このことは、きょうの短い時間では、あなたは結局最後までお逃げになって、そういう部隊が日本に駐留することをお認めにならなかったけれども、このことは引き続いて重大な問題としてお尋ねをしていきたいと思うので、最後この点についてもう一遍、核兵器を専門に扱う部隊を日本に駐留を認めるか認めないかということをお答えいただいて私の質問を終わります。
○国務大臣(鈴木善幸君) 非核三原則の観点から言うと本質的な問題でございません。
○委員長(植木光教君) 以上で立木君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(植木光教君) 次に、井上君の質疑を行います。井上計君。
○井上計君 おとついの衆議院の予算委員会におきましても、またけさからの当委員会におきましても、行財政改革に対しましていろいろと質問が出ております。また、それにつきまして総理は、再三にわたって行財政改革に政治生命をかける、このような決意をお示しをいただきました。十二分に総理の御決意はわかったわけでありますけれども、ただ総理が幾ら決意をされ、中曽根行政管理庁長官がどのように政治生命をまた総理同様におかけになりましょうとも、やはり国民の理解とそうして支援がなければ行財政改革の推進断行は不可能であろうと、このように考えます。 そこで、まず国民の理解と信頼を受けるためには私はいま一番必要なことは、国民が政府に対するあるいは政治家に対する政治の信頼をいかに回復するか、このようなことであろうと思いますが、それにつきまして総理はどのような御努力をされるおつもりであるのかどうか。 同時にまた、反対をする人も多いと思いますけれども、それらの反対者に対してどのような説得をなされるのか。 それから同時にもう一つ、しかし、総理のお考えでありましょうとも、あるいはまた決定でありましょうとも、総理も神様ではないわけでありますから、あるいはお間違えも、また途中でお考え直しもあるかと思いますが、そのようなことが起きた場合には、勇気を持って修正をされる御用意がありますかどうか。 以上まずお伺いをいたします。
○国務大臣(鈴木善幸君) 行財政改革につきましては、これは国民のために、また国家の将来のためにやる問題でございます。したがいまして、国民の皆さんから政治と行政に対して信頼がなければこれは成し遂げることはできない、このように考えます。そういう意味合いからいたしまして、公務員の綱紀を粛正をし、倫理を高める、行政に対する国民の信頼を常に確保するということが第一点でございます。 それから国民の皆さんから税金をいただいてこれを行政の面で生かしていくわけでございます。行政サービスをやるわけでございますから、そこにむだがあってはいけない。また、それが効率的に使われなければいけない。いろいろ特殊法人等で問題が起こりました。ああいうことになりますと、行政改革を叫んでも国民の方々がついてこない、こういう点がございます。私は、いま御指摘になりました点を十分考慮しながら、今後国民の皆さんとともにこの行財政改革を推進してまいりたい、こう思っております。 また、私がこれを進めるに当たりまして、間違いがあったり試行錯誤がございましたならば、どうかひとつ御叱正を賜りたい。謙虚に受けとめまして、正しく実行してまいりたいものと、こう思っております。
○井上計君 よくわかりました。 そこで、総理は、この行財政改革の出口をいつごろとお考えになっておられるのか、その出口における状態といいますか、すなわち財政の健全化、正常化はどのようなものであるとお考えになっておるのかお伺いいたします。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、行財政改革というのは、常にこれは行われなければならない課題だ、これでもう終わったというものではない。時代の変化または国民の求めに応じまして行政に対するところの取り組み方というものも違ってくるからであると思います。ただ、今回は漠然としてそれを進めておるわけではございませんで、行財政改革を一体としてとらえまして、そして昭和五十九年までに一応のめどをつけたいという問題も頭に置きながら進めてまいりますが、基本的にはそれでもって行財政改革は終わるものではない、絶えず、引き続いて行財政の膨張なり不合理な点等が生まれないようにフォローアップもしていかなければならないし、努力していかなければならない、こう思っております。
○井上計君 中曽根長官にお伺いをいたしますけれども、もちろん長官もいまの総理のお答えと全く同様であろう、このように理解をいたしております。 そこで、長官に、なおありますれば御所見を伺いたいと思いますけれども、省庁間の配置転換につきまして、実態と今後の計画等につきましてひとつお示しをいただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 行革の一つの大事なポイントは省庁間の配置転換にございます。過左におきまして、いわゆる大平行革時代におきましても相当数の省庁間の配転を志しました。目標は約二百数十名、各省から緊急な各省へ向けてもらうようにやったのでございますが、実績はそれほど上がりません。たしか八十九人ぐらいであったと記憶しております。しかし、今回行革を推進するに当たりまして、本年度もさらに各省庁間の配転を心がけておりましてやっております。大体いままでの例から見ますと、農林省の系統それから外務省とかあるいは法務省の登記所とか、そのほか必要な部面に配置転換を願い、あるいは通産省の原子炉の監視要員の方にもお越しを願った例もございます。いままでの例を見ますと研修の不足が目立ちまして、やはり十分研修期間を置いて、住み心地のいい待遇なり場所を与えて配置転換を促進するということが必要であると反省しております。
○井上計君 中曽根長官、いま伺いまして、ほとんど配転の効果、余り上がっていないと長官もお認になりましたが、私もそうであろうと、こう考えるんですが、配転の実績、効果が上がらない最大のネックは何とお考えですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり、いままで自分が世話になった気持のいい場所にいたい、見知らぬ世界へということは精神的にもなかなか圧力を受けますし、そのほか、場合によっては住宅の問題もありますし、子供の学校の問題もでございます。しかし、一番大きな問題は、やはりほかの省へ移って見知りない水になじまない、そういう点があるのでありまして、その点はわれわれ大いに改革しなければならないと思っている点です。
○井上計君 いまおっしゃった理由については私も同様よく理解はできます。だからといってこのままで放置しておりますとなかなか配置転換、全く進まぬであろう、こう考えますので、今後の問題としては特にまた御検討いただくように要望しておきます。 次に、大蔵大臣にお伺いいたしますけれども、先ほど総理もお話ありましたけれども、いま行革の目標達成値、達成年、もちろんずっと今後ともおやりになることでありますけれども、五十七年度の予算編成の中での国債の減額幅、どのようにお考えになりますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 五十七年度の国債の減額幅と言われましても、いま幾らということはなかなか言えないのです。ただ、三カ年間の間——七、八、九の間に残りの特例国債の発行をやめますということはもうはっきり言っているわけですが、財政中期展望では平均すると一兆八千三百億円程度ということは一応の目安になっておるわけです。しかし、いま非常に経済情勢が変動が激しいので、いま五十七年度は幾ら現実に予算で減額を組むかと言われましても、中期展望以上のことは申し上げることはできません。
○井上計君 大蔵大臣、来年税収が芳しくない、先ほどもお話がありました。いまもお話がありましたが、そういう中で来年の国債の減額幅については一応一兆八千何がしというものを考えたいけれども、なかなかいま見通しがはっきりしない、言えない。こういうことでありますが、来年がむずかしいけれども、再来年五十八年、五十九年は確実に赤字国債——特例国債の発行を減額してゼロに持っていけるという見通しはおありなんですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 政府の経済見通し、こういうようなことで中期見通しをしておるわけでございまして、その線に沿って中期財政展望をこしらえておるわけでございますから、その経済の見通しのように経済運営を図っていけばできると、そう思っております。
○井上計君 中期経済見通しのように運営を行っていけばできるけれども行えない場合がある、あるいは違う場合がある、狂う場合があると、こういうふうなこともあり得ると、このようにいまからお考えですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは世界の経済と日本の経済は絡まっておりますからどういう出来事がどこでどうできるかわからない。したがって、確実にそのように経済なんというものは定規ではかったようにきちんとなりますということはどなたも断言することはできない。ただ、われわれとしてはいままでの過去の経験から見て、中期的に見れば日本の経済の足取りは、あのような経済の見通し程度のものは持っていけるだろう、そう考えております。
○井上計君 私はしつこくこのことを聞きましたのは、過去においてこのような見通しが大幅に狂ってきておるから現在のような状態が実は出ておるわけなんですね。ですから、もちろん不測の事態いろいろあるにはありましょうし、特に不透明な年代でありますから、いろいろな面から考えて、いま大蔵大臣おっしゃったように予想できないことは当然だと思いますが、しかし、その中からやはり国民にはっきりとした指針を与えていただくようなそういう明確な責任ある態度をおとりいただく、これは要望しておきます。後でまたお伺いすることがあります。 そこで、河本経企庁長官にお伺いいたしますけれども、今回の行財政改革は、ひとつ進めていく中での懸念も実は当然あると思うのです。すでにこの問題も質問が出ておりますけれども、率直に言いまして、行革デフレの懸念があるのではないか、このようなことがすでにもう言われております。財政支出も削減の方法いかんによりましては、経済全体のバランスを崩してわが国の経済社会の安全を損なうことにならないのかという心配、これらについて経企庁長官すでにお答えになっておられますけれども、いま一度お答えいただきとうございます。
○国務大臣(河本敏夫君) 日本経済は過去数年の間おおむね五%から六%ぐらいの成長を続けてまいりました。これからの政府の経済運営の基本的な考え方は、新七カ年計画に沿いまして昭和六十年まで平均五・五%の成長を続けていこうと、こういうことでございます。年によりましては平均以下のときもございますし、年によりましては平均以上のときもあると、年々の国際情勢等を見きわめながら判断をしていくと、こういうことになっておりますが、過去の実績から申しますとその程度の成長は十分可能であると、このように考えておりますが、いまのお尋ねは、行革をやった場合にデフレ効果が出てくるではないかと、その点の影響はどうかと、こういうことでございますけれども、私は、ことしの日本経済の規模は二百六十兆前後でございますし、来年は、目下作業中でございますけれども、三百兆近い経済規模になるわけでございますから、規模としてもずいぶん大きくなっております。第二次石油危機によるデフレ効果も非常に大きかったのでございますけれども、これも過去二年間の間十分吸収いたしまして、そしておおむね所期の成長を続けております。したがいまして、経済全体の活力を維持する、景気を悪くしない、この基本的な路線さえ貫けば、少々の行政改革による財政削減等は十分吸収できると、このように思いますが、ただ、景気が悪くなりますと、これは人間の体と一緒でございまして、ちょっとしたことでも非常に大きく響いてまいりまして、かぜをひくとか病気になるとか、こういうことがございますので、やはり経済の活力全体を維持、拡大をしていくということが行革を成功させる背景であろうと、このように考えております。
○井上計君 実はこの問題につきましては、きょうはまことに残念でありますが時間がありませんから、この問題を深く大蔵大臣や経企庁長官あるいは通産大臣にお尋ねをし、また御答弁をいただくことがまいりませんが、いま経企庁長官お話しになりましたけれども、活力が維持できる、景気がこれ以上悪くならなければその心配はないと、こういうふうに私は理解をいたしましたけれども、現在の景気の状況、特に素材産業等につきましては非常に不況であります。さらに不況の度合いがひどくなりつつありますが、そういう中で果たして民間産業の活力が今後とも維持できるかどうか、大変私は疑問に思っております。時間がありませんから、これ以上この問題を深く掘り下げてお尋ねをいたしませんけれども、これらの問題等につきまして経企庁長官どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(河本敏夫君) いまの経済の現状を簡単に申し上げますと、成長そのものはおおむね政府の目標である五%成長路線に乗りまして進んでおると思うのです。ただ、内需の回復力が弱いと、こういうことがございまして、それでばらつきが目立っております。いま御指摘の点は、基礎産業など一部の産業で構造不況業種的な傾向が出ておると、心配だと、こういうお話でございますが、なおそのほかにも中小企業などにも問題が出ておりますし、地方によりましてはやはり景気の回復がおくれておると、こういう地域によるばらつき等も目立っております。いま政府の考えておりますことは、ばらつき対策をこの際きめ細かくやっていこうと、こういうことが一つと、それからもう一つは、貿易が非常に伸びまして大幅な国際収支の黒字が考えられますので、これでは国際摩擦にもつながりますから、何とか工夫、努力をいたしまして貿易の拡大均衡を図っていくと、そういうことをいま考えておるところでございますが、大勢としては景気が全体として悪くなっておると、そういうことではございませんで、部分部分に問題がある、その部分部分の問題を解決をしながら全体としての成長を進めていく、こういう考え方に立っております。
○井上計君 いま河本長官お話しになりました部分部分において問題がある、こういうお話でありました。特に素材産業につきましては幾つかというお話でありますが、私の承知している限りではかなりの素材産業部門に大きな落ち込みがある。また、このままでまいりますと、中にはアルミ業界のようにもう壊滅必至である、このような業界もあるわけであります。私は、特にこれらの点を心していただかないと、せっかく行財政改革はある程度目標どおりに進んだ、しかし、その結果においては民間産業が全く疲弊し、活力を失って、俗に言うところの元も子もなくなる、こういうおそれも出てくるんではなかろうかと、こういうふうな危惧からお尋ねしたわけでありますので、十二分にひとつ今後とも御検討いただきたいと、こう思います。 そこで、通産大臣にちょっとお伺いいたしますけれども、素材産業の問題等につきましては先般来私ども民社党から特に申し入れをし、また私が去る三月、四月の商工委員会でも通産大臣にこの素材産業不況対策についての要望をいたしておきましたが、特に通産省いろいろと御配慮いただいておるようでありますけれども、どういうふうな御検討をいただいておりますか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(田中六助君) 御指摘のように、基礎素材産業が非常に不況をもろにかぶっておるということは御指摘のとおりでございます。 その前にちょっと一言私なりのいまの経済の現状について簡単に申し上げたいのですけれども、いろいろ素材産業が非常に悪いとか、あるいは中小企業の倒産件数が多いとかいう悪い面は非常に多うございます。しかし、経済全体から見ますと、雇用の状態が世界の中で一番安定して、二・数%、あるいは物価が、もういろいろ外からの油の値上がりとかいろんな外的条件がありながら世界で一番安定しておると、そういうようなことを考えますときに、いい面は世界もびっくりするような経済政策がとれているわけでございます。悪い面はいま言ったような点がございます。しかし、民主主義は選択の時代でございまして、何から選択するかといった場合、私どもは行革というものが至上命題であるということから推進しておるわけでございまして、行革によってこれが多少デフレ傾向を持ったとしても、政策の優先性ということをいま選択しているわけでございます。 そういうことを前提にいたしまして、いまの素材産業の対策でございますが、特にアルミ製錬あるいは石油化学、その他紙パルプ、そういうもの、基礎素材産業が非常に悪うございます。したがって、私どもこの対策をどうするかということにつきましては、去る二日に私ども新しい対策をやったわけでございますが、これにつきましては、具体的には、まずアルミ製錬ということにつきましては、TQ、つまり関税割り当て制度、そういうものにつきましてひとつ具体的に大蔵省にもお願いしてこの活用をしたいというふうに考えております。その他、下請支払い遅延防止その他いろいろ具体的には対策を練っておるわけでございまして、先ほどの午前中の質問にもございました官公需の分割発注の制度を上げるとか、あるいは公共事業を年度内には必ず全部消化するとか、いろんな対策をとっておりますし、また不況業種対策につきましても、いま産業構造審議会に各個別に業種ごとに対策をお願いしておりまして、近く一つ一つの各部門についての答申が出てまいりますので、それに乗っかって具体策を検討したいと思っております。
○井上計君 私も行財政改革が最優先政策であり、また絶対至上命令であるということについては同感でありますから、ただ、そのような中で幾つかの懸念等につきましては、やはり事前にその予防政策をお立ていただく必要がある、特に素材産業については非常にもう壊滅寸前と言われるような状態の業種もあるわけでありますから、これらについての対策を特にお願いをしておきます。 そこで通産大臣、この素材産業の現在の不況あるいは国際競争力をほとんど失いつつありますけれども、それらの共通した問題はやはりわが国の電力エネルギーコストの非常に高いことだと、こう思います。カナダの約六倍ぐらい、アメリカの約三倍ぐらいというのがわが国の電力コストでありますが、それらの電力コストを下げるためには、あえて率直に申し上げますけれども、原子力発電を、さらにこの計画を促進する以外、少なくともこの十年から二十年ぐらい、ほかに方法はないと思いますが、どうお考えですか。
○国務大臣(田中六助君) 確かに電力料金が、たとえばアメリカがキロワット四円としますと、私ども十四、五円、あるいはそれ以上する、その他の国に比べましても三倍以上するというようなことで、それが電力多消費の基礎産業に大きく影響していることは事実でございます。したがって、一日も早く電力料金を安くするような方策はあるまいかと考えるのは当然でございまして、私ども代替エネルギーというようなこと、油ばかりに俵存しておっては大変だということで原子力発電所に焦点を合わせております。現在二十二基稼働しておりまして、十年後には五千百万から五千三百万キロワットにすべく——ちょうどそうなりますと三十五基から三十八基ぐらいが必要でございます。したがって、これも午前中にちょっと一部答えたわけでございますけれども、電源立地あるいはその周辺の整備、そういうものに対しまして新しく五十六年度予算にそれぞれ相当な額を計上しておりますし、たとえば簡単に申しますと、いままでは公共物に対する予算の計上をしておりましたけれども、これからメンテナンス、そういうものを維持する電源開発関係の周辺の整備については、そういうことをやるなどして何とか原子力発電所を抵抗なく設けていきたい。そのためには安全性の確保ということがどうしても必要でございますし、これに対するPRにつきましてもパンフレットとかその他映画をつくるとか、中央でそういうことをすると同時に地方でも周辺整備の同じようなことについてPRをするとか、いずれにしても科学的にも安全性ということを第一に持っていきたいというふうに考えております。
○井上計君 中川長官はこの問題どうお考えでしょうか。
○国務大臣(中川一郎君) 日本がこれだけの経済成長を遂げた背景は、エネルギーを含めて資源が豊富であったこと、それから科学技術がしっかりしておったこと、これが非常に大きく効果を上げてきた。ところが、資源有限時代である。特にエネルギーが有限時代になってまいりますと、代替エネルギーということになってくる。もうすでに石油によるエネルギーが非常にコスト高だ、これをまともに受けていま日本は非常に厳しくなってきております。アルミ産業なんていうものは六十数%電気代だと言われておりますから、安全性についてもこれは議論はしなければならないけれども、ただこれだけで反対だ反対だでこれからの日本というものはやっていけないんじゃないか。私は科学技術どこの代替エネルギーについては、党派を超えて国家的事業として国民の理解、協力を得てやっていかなければ先々の暮らし、経済は守れないと、非常に重大に受けとめておるところでございます。
○井上計君 中川長官から明確にお答えをいただきまして私も大いに意を強くいたしました。全く同感でありますので、ぜひ中川長官または通産大臣も、今後とも促進のために最大限の努力をひとつお願いをいたします。 そこで、運輸大臣にちょっとお伺いいたしますが、先ほど馬場委員と運輸大臣の質疑を聞いておりまして感じたことでありますけれども、先ほどの外航海運利子補給について、この利子補給は日本船舶の国際競争力の回復によって日本船を維持していく。したがって、わが国の経済安全の確保とともに船員の職域を確保する、造船業の需要の回復をする上に非常に効果があったというふうに考えておりますが、本年度においても一応期限は来ておりますけれども、しかし、今後さらに急増するでありましょう石油代替エネルギーの輸送その他の輸送力を確保するためには、何らかの措置が今後とも必要であろうと思いますが、いかがお考えでしょうか。
○国務大臣(塩川正十郎君) その件につきましては先ほど馬場さんの質問にお答えしたのでございますが、要するに五十四年度から再開いたしましたときは造船が不況であり、海運は不振であった、それを何とか挽回し、そして経済安保上の必要から自国船を確保する、そういう政策で進めてまいりました。そもそも日本は海国日本と言われるがごとく、海との関係というものは非常に深い。それでございますので、絶えず経済安全保障上から海運の政策というものを考えていかなきゃならぬ。その一番根本は何かと言いましたら、自国船を十分にやっぱり持っておるということでございます。最近におきましては自国船とそれからいわば用船というものが半々になってきておりますが、この比率はあくまでも守っていきたい。そのためにはやはり必要な船の建造というものを積極的にやっていかなきゃなりませんし、同時に、現在優秀な船員がおりますのを、これを活用していくためにも新しい船の建造が必要でございまして、このことにつきましては馬場委員にもお答えしたとおりなのでございます。 ところで、この五十七年度の予算要求をいたすに当たりまして、先ほどの五十四年度と違った観点から、すなわちエネルギーを確保するために必要なLNG船であるとか石炭専用船であるというものをこれを確保したい、この観点、そしてこれをオペレートするところの船員というものをやはりわが国で必要数は確保しておきたい。これは国にとりましての経済安全保障上の大きい問題でございます。 そこでいろいろ問題がございまして、要するに海運の合理化とあわせてやっぱりやっていかなきゃなりませんし、古い代替船との交代ということも積極的に進めていかなきゃならぬ。同時に、この一つの政策を推進することによりまして造船界あるいは機械産業、そういうものに対する波及効果というものが非常に大きいと私たちは思っております。それがために、一つの政策をただ単にそのことだけで判断されるのではなく、これが国の大きい経済政策なり、あるいはひいては安全保障政策上どういう観点があるかという点からひとつわれわれは判断し、予算請求をしたという次第でございます。
○井上計君 よくわかりました。 それで総理、お尋ねをいたしますけれども、総理は、この行財政改革は国民がひとしく痛みを分から合う気持ちが必要だと、こう言われました。同感でありますけれども、そこで、痛みを分から合うために立法府の合理化あるいは改革をやるべきだと考えますが、総理、勇気おありですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 行財政改革を進めるに当たりまして国民の皆さんに御協力を求めておるわけでございます。それには政府がまず率先をしてやる必要がある。それには政府の各省庁が、予算等につきましてもゼロシーリングにあらわれておりますように、相当きついこの行政費あるいは政策費、これでもってこれから対応していかなければならない。と同時に国会におきましても、国民の代表である国会の皆さんに特に率先垂範ということで御協力をいただきたい。しかし、これは国会みずからがいろいろ御検討の上お決めいただくことでございますから、私どもはそのことを強く要請をいたしておきたい、こう思っております。
○井上計君 総理、私はただ単に国会の合理化、それらのものを国会に云々と言ってもなかなか進まぬであろう、こう思うのです。だから、自由民主党の総裁としてまず一つ大号令をかけていただきたい、国民が大変期待をしております。あるいはいろいろと御批判があるかもしれませんけれども、議員の定数減であるとか、あるいは国会の歳出の大幅な削減であるとか、そのようなものにもっとメスを入れることが、先ほど申し上げましたし、またお答えがありましたが、やはり国民から信を問われる、また信頼を得るというためには絶対必要であろう、このように考えますがどうですか、いかがお感じでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 全く同感でございます。私は自由民主党の総裁としまして、自由民主党が率先して各党各会派の方々と御相談をするように、また適切な、国民が納得するような改革が行われるように、私も総裁としてできるだけのことをいたしたい、こう思っております。
○井上計君 総理、大いにひとつ期待をしております。 時間がなくなりました。そこで、国鉄総裁にお伺いいたします。 国鉄総裁、国鉄再建法を確実に実施できる、実行できる成算おありですか、どうですか。
○説明員(高木文雄君) 昨年通していただきました法律に基づきまして御存じのように再建計画を立てました。運輸大臣の御承認を得てまだ余り時間がたっておらない段階でございます。どうしてもこれを実現をいたしませんことには、現在の国鉄を続けていくことができないということで、不退転の決意で取り組んでまいりたいと思っております。 いろいろむずかしい条件もございますし、基本となるべき労使間の取り組みといったことについても、残念ながらまだ満点というわけにはいかないわけでございますけれども、何はともあれ、これを計画だけでなくてそのとおり実施をいたすということが、まあ私どもがいわば生き残る道であろうかと思いまして、全力をもってこれと取り組んでまいりたいと思っております。
○井上計君 時間がなくなりましたので大変残念です。実は高木総裁にいろんな面で提言をし、あるいは高木総裁を激励をいたしたいと、かように考えておったわけでありますが、時間がなくなりましたので簡潔に申し上げますけれども、総裁、いま、努力をしておる、しかし満点とは言えぬというお話がありましたが、われわれから見ますと、満点と言えぬどころじゃなくて、もうゼロだと、こう考えるんですね。三十五万人体制ができても、なおかつすでに臨調の第四部会では、国鉄の再建は不可能だとさえ言われておるでしょう。その三十五万人体制さえ、実はいまでは実施できるかどうかまことに危ういと、こういう状態ですね。 総裁、ことしの七月二十七日から三十一日まで釧路の市民会館で行われた第四十三回の国労の運動方針、この中にどういうことが盛られておるか、恐らく御存じだと思いますけれども、これらをお考えになって、三十五万人体制ができますか。国鉄の再建は、労使が一丸となってやらなくちゃ、もう絶対不可能なんです。鉄道労働組合は労使一体となって、火の玉になって国鉄を再建しようと、こういう悲壮な決意を持っておりますのに、国労や勤労は依然として三十五万人体制は反対である。そうして、ずうっとこの運動方針を見ますと、これではまるで何のための国鉄の従業員であるかということが全く疑わしいですよね。もし、国鉄が本当に労使一体になって再建をし遂げると、私は財政再建はもっと楽になると思いますよ。国鉄が一般会計に依存しておる五十六年度七千何百億円、これがもし要らなければ……
○委員長(植木光教君) 井上君、時間です。
○井上計君 所得税減税も、あるいは中小企業の減税も、あるいは素材産業に対する助成も全部できますよね。どうお考えですか。
○説明員(高木文雄君) ただいまお示しのように、七月の段階でいろいろと国労の大会できわめて活発な論議があったことは事実でございますし、また、その結果として、いまお話しのように、私どもから見て必ずしも好ましくないと申しますか、方向が出たことも事実でございますけれども、しかし、その後、私どもも組合の幹部の諸君ともいろいろ話をいたしました。御存じのとおり新聞で報道されておりますように、先月の二十一日、二十二日に私どもと話し合いをいたしまして、この三十五万人問題と取り組んでいこうということで合意ができたわけでございまして、まあ今後紆余曲折はあろうかと思いますが、それを乗り越えて、そこに到達すべくがんばってまいりたいと思っております。
○井上計君 終わります。(拍手)
○委員長(植木光教君) 以上で井上君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(植木光教君) 次に、前島君の質疑を行います。前島英三郎君。
○前島英三郎君 まず、総理に伺いたいと思います。 行政改革と国際障害者年との関連につきまして伺っておきたいわけですが、総理は、行革に伴う痛みを国民すべてが分から合うと、こうおっしゃっております。しかし、長い間取り残され、踏みつけにされ、大きな痛みを背負ってきた障害者は、国際障害者年を機会に、その痛みを少しでもやわらげてほしい、やわらげてくれるはずだと、こう期待していたのでございますが、いま行革の中で揺れ動く福祉の一つの流れの中にあって、総理は、まさかそういう人々にさらに痛みを分から合えとは言わぬであろう、こういう声が大変強うございます。この点を含め、総理がことしの年頭、そしてまた通常国会でお示しになりました国際障害者年に取り組む姿勢は変わりがないのかどうか、まず伺っておきたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 今年は国際障害者年でございます。障害者の平等と完全参加、これを目指しまして国際間の協力また福祉の充実に向かって努力をしておる年でございます。また一方におきまして、わが国は行財政改革に国の重要な政策課題として取り組んでおるわけでございますが、私はこれを進めるに当たりまして、広く国民の皆さんの御協力をいただきたいということを申し上げております。ただし、その際におきまして、本当に社会的また経済的さらに身体的に恵まれないお立場にある方々に対しましては、私はむしろ福祉については十分配慮すべきものであるということも申し上げておるところでございます。この障害者年に当たりまして、年頭に当たって私が所信表明で申し上げた気持ちで今後も取り組んでまいりたいと、こう思っております。
○前島英三郎君 昭和五十五年三月二十五日に国際障害者年の推進体制というものが閣議決定されました。そして関係する十四省庁、総理大臣が推進本部長、総務長官と厚生大臣が副本部長。九カ月たちました。しかし、まだ九年三カ月この国際障害者年は残っております。そこで、一つの流れの中で、関係省庁全部伺うわけにはまいりません、総理府総務長官、厚生大臣、大蔵大臣、文部大臣、そして運輸大臣、労働大臣、建設大臣、われわれの社会参加の中で最も直接かかわり合いを持つ八大臣に、いままでの流れの中でわが国における障害者福祉というものの現状をどうとらえておるのか、この行政改革との流れの中で、どう今後十年に取り組むお気持ちなのか、御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 前島議員にお答え申し上げます。 わが国の障害者福祉行政というものは、確かにいままでの流れの中で谷間にあったということは率直に認めなければならないと思います。しかし、先生が身体障害者になられて、国会に議席を得られてから、やはり障害者問題というものは大変国会の場でも活発になり、行政府のみならず、国会でも心身障害者の傍聴等についてはあらゆる努力が払われたわけであります。今年、国際障害者年に当たりまして、国民挙げて「完全参加と平等」というこのテーマの中で、これからの障害者福祉のあり方については全力を挙げて理解と協力をしていきたいと私は考えております。 なお、この国際障害者年に当たって特別委員会が設置をされまして、これからの長期行動計画について、それぞれ身体障害者の方も交えて御論議をいただいている中でございます。その御論議の結論を踏まえて、政府といたしましては、障害者の福祉行政のさらに一層の充実のために努力をいたさなければならないと、このように考えております。
○国務大臣(村山達雄君) お答え申し上げます。 心身障害者は、いま全国で約三百五十万人程度おられるわけでございます。これに対しましては、やはりいま総務長官が言われたとおり、行財政の対応の仕方あるいは社会一般の理解がまだおくれがちではないであろうかというふうに認識しております。しかし、幸いことしが国際障害者年の年でございまして、わが国もことしは活発な運動を展開したわけでございますので、今後十分この施策を充実してまいりたいと思います。 なお、念のために申し上げておきますと、厚生省の予算はいわゆるゼロシーリングでございます。ゼロシーリングでやりますと、厚生省予算は、来年度は今年度の予算に比べまして大体一・八という伸びになるわけでございますが、このゼロシーリングの中にありまして障害者全体の伸びを見てみますと、約一兆円でございまして、七・五%の伸びということで、いま概算要求のお願いをしているところでございます。 さらに、長期行動計画につきましては、先ほどの特別委員会でこの十二月に意見具申が出てまいるわけでございます。ここにおいて、やはり積極的な意見具申が出ることを切に期待しておるわけでございます。
○国務大臣(藤尾正行君) お答えをいたします。 私の方の対策といいまするものは、これは雇用でございますから、私ども御趣旨に従いまして、一生懸命にこれを進めております。ことしの六月の調査がまだまとまっておりませんので、昨年度の一・一二という雇用率がどれぐらい上がっておるかということを、私はここで明確に申し上げるわけにもいきませんので、非常に残念でございますけれども、確かに金融機関その他におきます雇用は、かなり前進をしておるということを私は申し上げられると思います。したがいまして、まずもって私どもが決めておりました一・五という雇用率の達成のために全力を挙げて、とりあえず当面は進んでいきたいと、かように考えております。
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。 先生御案内のとおり、昭和五十四年以来、特殊教育の義務制の施行に当たりましても、その後、さらに教育面におきまする推進、ことに本部との緊密な連絡を持って、中央、地方を通じまして、特殊教育の連絡会議を開催いたしますとか、あるいはまた国際会議をいたしますとか、そのほか、御案内のとおりに、特に文部省におきましては特殊教育の研究所を持っておりまして、その特殊教育の中における心身障害の方々に対しましての科学的な研究、工学的な研究、最近におきましては非常に真剣に取り組んでおる次第でございます。
○国務大臣(塩川正十郎君) 財政再建によって福祉施設、特に身体障害者対策がおくれることはないかという御心配でございますが、運輸省関係は幸いにいたしまして一般財源と関係が比較的薄いものでございます。したがいまして、たとえば鉄道にとりましては、国鉄あるいは私鉄、それには昨年、さらには本年三月、それぞれに合理化計画を、設備投資の中に必ず障害者対策としての施設を入れるということを強く指示してございまして、特に私鉄におきましては、本年の春運賃値上げいたしましたときに、これを必須条件として報告せしめるようにいたしておりまして、まず改札と駅のトイレ、昇降という関係について、私鉄の方では設備投資を積極的にやっていくであろうと思っております。国鉄につきましては、駅の改札とトイレ等に重点を置いて、目下鋭意整備さしておるのでございまして、これは国鉄の再建とあわせて設備投資の中に入れさしております。 ただ、バスにつきましては、乗り合いバスそのものの昇降施設に、いま研究をさしておるのでございますが技術的に非常にむずかしい点がございますので、これについては思わしく進んでおりませんが、バスの駅施設等につきましては、点減をするとか、あるいは点字のびょうを打つとか、そういうことをやっていきたいと思っておりますし、空港につきましても、昨年の秋に運輸省から指令いたしました障害者対策の施設につきまして、おくればせでございますけれども徐々に前進をしておりまして、行政改革、財政再建のためにそういう運輸関係が後退するのではないかということはないと思っております。
○国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。 いつも前島委員から障害者に対する配慮について御質問があって、その都度お答えをいたしておるわけであります。さきにも申し上げましたように、私自身も十一、二年前、いわゆる心身障害者対策基本法橋本私案と称するものの起草委員の一人でございました。戦争犠牲者、あるいは交通事故、あるいは職場の事故、何らかの病気等が原因で障害を受けられた方々に対する、障害のなき社会人として、政治家として配慮するのは当然のことと考えております。 したがいまして、いま建設相の重責をいただいておりまして、この点につきましてはなお腕より始め、いわゆる環境庁等と公共施設の障害者に対する配慮の施設の整備、あるいは道路の問題、あるいは住宅等について、障害者世帯の方々に入っていただく住宅、あるいは公団住宅に優先していただくとか、あるいは本年、遅いといってしかられるかもしれませんけれども、民間方々、たとえば公共性のあるホテルとかデパート方々にも積極的にこうした配慮をしていただくということで本年予算をいただきましたので、標準設計というものを策定いたしまして普及に努め、民間方々にもなお積極的に障害者の方々が生活環境の中で自立するとか、あるいは安定した生活ができるような環境づくりを積極的にやるというようなことで、せっかく努力をいたしておるところでございます。 これからも十分先生の意図を外しまして、障害者に対する配慮をもって行政を進めてまいる覚悟でございます。 以上でございます。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 障害者の福祉につきましては、われわれとしては厳しい予算の中でございますが、濃淡をつけたやはり方法がとられるのが一番いいと、そう思っておるわけでございます。御承知のとおり、五十六年度の予算でも、一般の歳出は四・三しかついておりませんけれども、社会保障費は七・六になったとか、あるいはそのうちでも国際障害者年の関係の経費は九・八%増というようなことに、厳しい中でも配慮は十分しておるわけでございます。したがって、厚生省の予算が一・八ぐらいしか伸びないと、こう言っても、その中で今後ともやはりめり張りのついたものをつくっていく必要がある。 まあ、社会保障費で、もうけ過ぎみたいなものはちょっとぐあいが悪いわけでしてね、そういうのは少しこれはもう遠慮をしてもらう、カットさしていただくということは当然あってしかるべきじゃないかと。先般、医療費を六・一%か改定をしたところが、収入が二〇%も減っちゃったと文句を言っている医療機関があるのも事実でございます。それはやはり検査料とか薬価基準を引き下げたから、そういうことでうんと余分に取っていた人は減ったけれども、そういうことをやらない人は上がったわけですから、それと同じことでございまして、要するに全体としての伸び率は低くとも、その中でいろいろ工夫をすれば、真に困った人に重点的に見ていくという方法がとられなければなるまいと、そう考えております。
○前島英三郎君 どうもありがとうございました。 まあ、八大臣それぞれ国際障害者年に当たってのお考えを伺ったわけでありますが、こうなりますと、この行革の中でも障害者福祉というものがいかにも重要な政策の中で展開しているかに見えるわけですけれども、現実では非常にあらゆる分野で取り残されているのが障害者福祉だろうと思います。老人福祉と、また児童福祉と障害者福祉というものは根本的に違うだろうというふうに私は思います。 そこで、今後行政改革をする中でやはり重要なことは、長期行動計画の目標をしっかりと立てて障害者の一つの参加の中でその知恵を出していく。どうもいままでたとえば車いすなら車いすにさわったこともない、乗ったことがない人が車いすの問題を考えるところにやはりむだがあったと思うのです。そういうむだのない行政改革の中での障害者福祉というものを位置づけるためにも、この長期行動計画をしっかりと打ち立てていただいて、そして障害者自身もその企画の中に参加していく、その知恵を財源として出していく、こういう方向が望ましいと思うのですけれども、さてその長期行動計画ですが、どうも何となくいつごろ一体出てくるのだろうか、ひょっとしたら出ないのではなかろうか、不安な部分が大変強いわけであります。 そこで、政府として長期行動計画を策定するかどうか、改めましてこれは国際障害者年推進本部長であります総理大臣に伺いたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 国内の長期行動計画につきましては、現在、御承知のように、国際障害者年特別委員会におきまして鋭意検討を進めております。今年末には何とかその結論を出していただきまして、政府としてはそれを尊重いたしまして、できるだけ御要望が達成できるように施策を進めてまいりたいと、このように考えております。
○前島英三郎君 障害者の自立は長期的かつ総合的に見れば福祉施策に要する財政負担を軽減する道があると思うのですね。施策の総合化、体系化というのは行政の効率化、簡素化への道でもあると思うのです。そして、障害者自身の参加は、施策を有効適切なものにさせるばかりか、誤解に基づくむだを省くことができると思うのです。すなわち障害者のニードにこたえてしっかりした長期行動計画をつくっていただきたい。行革に政治生命を総理はかけるとおっしゃるならば、ひとつ推進本部長としてこの長期計画にも政治生命をかけてもらいたい、こう思うのですが、重ねて伺います。いかがでございますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 障害者の方々の社会への完全参加、そして平等、それを実現していくためには障害者の方々の自立ができるようにしなければいけない。これが前島さんのかねてからの持論であり見識であるわけでありますが、私は今回の行革に当たりましても、この障害者の方々の自立によって社会に完全にみんなと一緒に楽しく参加もし、生活ができるようにしたい、そういう内容の長期行動計画というものをつくりたい。また、そのことが、自立をするようになりますれば、これは行財政の改革にもつながる問題でございますから、私も同様の考えに基づきましてこれに努力をしてまいりたいと、こう思っております。
○前島英三郎君 いままでは健康な人を標準にして社会というものはつくられました。いまノーマライゼーションという言葉も大変ポピュラーな言葉になってまいりました。厚生大臣は国際障害者年の半ばで交代して就任されたわけですけれども、園田前厚生大臣は、障害者を社会に合わせるのではなく、障害者が完全参加をできるように社会を変えていくことが人間社会としてごく自然な姿でなければならない。こういう点を一貫して強調されておりました。そのためには現在の縦割り行政の弊害をなくす、あるいは各省庁間、そしてまた厚生省内の各部局間、そういうものの連携を密にする必要性を再三にわたって述べてこられました。さらに、重度障害者の所得保障対策の重要性につきましても強調されてまいりました。当然これらの点は受け継がれていると思うのですけれども、国際障害者年に対するこれからの長期行動計画への一つの問題点にもなってまいりますので、伺いたいと思います。
○国務大臣(村山達雄君) 障害者の対策につきましての基本的な考え方は、いま前島委員が言われたところと全く同じ考えを持っておりまして、やはり一九七五年に国連で言われたいわゆる権利憲章、あの考え方に基づきまして、やはり完全に社会の方が合わしていく、同時にまた障害者の方が本当に完全に社会に、地域、家庭その他において普通の健康人と同じようにやはり平等に参加していく、そしてその人たちの意見を十分間きながら、平等化を図っていく、これがやはり基本だと思っているわけでございまして、その点については前園田大臣と全く同じ考えを持っているところでございます。
○前島英三郎君 厚生省の来年度予算に対する概算要求、先ほど障害者福祉に対してはというお言葉があったんですが、まさに正直言って惨たんたる内容だと言わざるを得ないと思います。たとえば、春の通常国会で総理も厚生大臣も障害者の生活の下支えにする年金等の所得保障対策を重要な課題として取り組むと答弁しておられました。 ところが、概算要求では重視するどころか、引き上げ額がごくわずかであるばかりか、引き上げの時期を例年よりも半年近くもおくらせようとしている現状があります。これは細々とそこにすがっている人たちにとって、まさに何とも言えない私は心のないものだというふうに思うわけであります。 そこで、最後に、こういう問題を含めまして長期行動計画を立てていくわけでありますから、障害者施策の一貫した総合的な推進のために、いままで継続しております総理府内に設置されている担当室を、形はともあれ、実質的に存続させるべきだと私は思います。そしてやはり関係省庁、十四省庁がともに長期行動計画を策定しながら、どのような形で障害者のニーズにこたえていけば行政改革と絡めて障害者施策というものが生きてくるのか、ここはじっくりと取り組むためにも私はこの担当室の存続を心からお願いをする次第でございます。この問題は特に私と大平内閣時代の田中官房長官でございましたが、そのときの一つの約束事でもありますから、ぜひとも総理府内に設置されたこの担当室を新たなスタートの窓口として、障害者の今後の自立に向けての温かい施策を心からお願いをいたしまして、その御決断に対する総理並びに総務長官のお言葉をいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) お答えを申し上げます。 先国会におきまして前島議員からいわゆる心身障害者のための総合的な行政の窓口というものをつくるべきだ、そういうことでこの国際障害者年の担当室を恒常的に残せという御意見がございました。 私は、六月十二日、村山厚生大臣と協議をいたしまして、その協議の結果は、ただいま御審議をいただいている特別委員会の結論を踏まえて政府といたしましては前向きに取り組んでいこう、こういう協議をいたしておりますので、その点御理解をいただきたいと思います。
○前島英三郎君 どうもありがとうございました。 総理も一言。
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま総務長官からお答えをしたとおりでございまして、この答申を待ちまして、政府として前向きで対処いたします。
○委員長(植木光教君) 以上で前島君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(植木光教君) 次に、山田君の質疑を行います。山田勇君。
○山田勇君 さきの国会に提出され、廃案になりました参議院全国区制度を改正する法律案が今国会にも自民党から提出される模様でありますが、これには鈴木総理も大変積極的にその成立を望んでいるということを、きょうの午前中の委員会でも表明をされておりましたが、この案につきまして、参議院の政党化を一層決定づける何物でもないと私は信じておりますが、私たち第二院クラブは絶対に反対の立場をとるものでありますが、ここに一冊の本があります。総理、これ読まれたことございますですか。(資料を示す)これは「参議院に望む」という題で感想文を募集したものであります。広く国民各胴から集まった三百二十二編の中から十二編を選んで掲載をされているものであります。その内容は、参議院改革についての貴重な意見がございます。御提言がございます。その中で特に目につくのは、論文の中にも、参議院本来の姿であるチェック・アンド・バランス、すなわち衆議院の行き過ぎを制し、足らざるを補う機能が低下した原因として、昭和三十年代後半、次第に参議院の政党化が進んだことを指摘している点であります。参議院がミニ衆議院とか、第二衆議院とか呼ばれ、その存在意義が薄れ、無用論さえ起きている今日、参議院が本来の機能を回復するために、全国区制を拘束名簿式比例代表制にする選挙法の改正が有効な方法と総理はお考えになっておられますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 参議院の全国区制度、これは幾多の問題点を含んでおりまして、改革を求められておりますことは、これは国民のひとしく認めておるところであろうと思います。問題は、それをどういう方向に改善をするかということでございますが、ただいま山田さんから参議院の政党化が進むのではないか、こういう御指摘がございました。私は、この公選制というものが存在をしておる限りにおきましては、どうしてもやはり政党化ということは、これは避けられないものではないかと、こう思います。私は参議院が、私も二十二年から国会におりますけれども、緑風会時代も私ども経験をいたしました。しかし、今日といえども参議院の存在意義といいますか、機能といいますか、これはりっぱに私は果たしておると、このように思っておるわけでございます。要は、構成する議員の方々がどういう方々で構成されるかというところにも、大きな私は参議院のあり方が決まってくるのではないか。それは、この拘束比例代表制では、各階各層から有能な方々もこれを名簿の中で取り入れることもできるというようなことも、一つの特色として考えられる点であろうかと、こう思います。したがって、公選制をとる限りにおいては、政党的な色彩、これは私は避けることができない。今日参議院の政党化が進んだと、チェック・アンド・バランスがそれによって崩れておる、阻害されておるというようなことを言うのでありますけれども、私は今日参議院はりっぱにその点は二院制としての機能を発揮しておる、こういうぐあいに見ておるということを申し上げておきます。
○山田勇君 総理は、午前中の委員にもお答えになっておりましたとおり、お金はかかる、労力、物理的に二十何日間で全国の有権者に対して親しく政策等々は述べられない。ですから、その制度の内容的なものをもう少しいまのテレビの時代に、ブロックに分けて各候補者が集まって、そこでワンテーマ、経済なら経済、行政、そういうような形の中で、ワンテーマで質疑応答しながらディスカッションしていく、それをテレビ中継する、そうして有権者に判断を仰ぐ。あああの人の思いは私の思いに似ているとか、考えは一緒だとかいうふうな、もっとそういうメカに徹した中で、国が金を出して、もっと、公選公選と言うなら、そういう形の中で何か全国区制度というものを改革していかれることを私は切に望んでおります。金がかかるというより、かけ過ぎるという方が私はあるのではないかと思いますが、選挙法の改正はいろいろ言われておりますが、総理の決意というのは変わらないと判断してよろしゅうございますでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、午前中に申し上げたとおり、金のかからない選挙制度、そういうものをぜひ実現をしなければいけない、また、全国の選挙民の方々から、候補者の選択について、十分それが確保できるような仕組みが必要である、また、体力的にも限られた短い期間に、全国を遊説するというような問題もございます。いろいろの点で改善をされるべき問題がございます。 いま山田さんから御所見がございました。これも一つの御案であろうかと思います。そういう点を自由民主党は自由民主党なりに研究をして、一つの成案を得て御提案をしようとしておる。あなた方はあなた方としての御案をひとつ出していただく。各党各会派がその案を出し合って、十分議論を闘わして、そうして最大公約数としての結論を出していただきたいものだと、それを期待いたします。
○山田勇君 参議院改革協議会は、参議院が衆議院とは違った独自の機構、運営、審議などについて考慮することが肝要であるとして、小委員会の報告書をまとめ、鋭意検討中でありますが、この全国区制改正案は、参議院改革に私は逆行するものと言うほかはありません。この問題、またどこかの次の委員会でも十分と私は論議をしたいと思います。 次に、老人福祉の問題についてお尋ねいたします。 総理府統計局は、九月十四日の発表によりますと、わが国の老年人口は、六十五歳以上が千九十三万人、総人口の九・三%になります。昨年より〇・三%ふえ、昭和八十年には二千万人となります。その人口比は一五%を超えると言われております。いわゆる高齢化社会に急速に向かっているわけですが、この行革国会におきまして、老人福祉の見直し、切り捨てといった声が聞かれますが、わずか四年前「福祉元年」と言った政府が、行革の名をかりて福祉の後退を策するようでは、国民の信頼はもてません。老人に対する福祉の問題は、一層きめ細かい対策がこれからの高齢化社会では必要であります。戦中戦後の苦しい時代を生き抜いてきたお年寄りにとって、病気、生活苦などの問題は今後とも重要な問題でありますが、一面、健康なお年寄りにとって、年に一、二回の旅行だとかお寺参りだとか、そういうふうなレジャーの楽しみということは大変必要でございます。お年寄りにアンケートをとりますと、お寺参り、それから旅行、それから観劇というふうになっております。欧米の先進文明国家では鉄道の運賃などが旅行のときには三割ないし五割ぐらいが割引をされるということでございます。 先日、私、大阪の梅田というところで老人の方の運賃割引制度実施、入場料の割引制度の実施の署名運動を三人の老人と一緒にやっております。その中で、飛行機のスカイメイトという制度が航空機関にありますが、やっぱりオールドメイトがあってもいいと思うんです。だから、国鉄が、やはり十二時に出る「ひかり」なら三十分前に何号車は何度あくとか、そういうことになりますとわかりますから、それをすぐ割引をして老人に切符を売るという形で、これは国鉄の増収にも私はつながると思います。ですから、ひとつぜひ、この運賃の割引制度について運輸大臣並びに中山総務長官にお尋ねをいたします。
○国務大臣(塩川正十郎君) 御質問の趣旨は、老人のいわばレクリエーション対策として運賃の割引をしたらどうかというお話でございました。私も実はいろいろと考えておりますことの一つとして、現在国鉄は新しく、先生とか私らのいわゆる熟年者、これの割引率を、おもしろいやつを出しました。この成果を見ていきたいと思っております。 と同時に、老人の割引につきまして、これが社会政策上あるいは福祉政策として実施しろということであれば私はなかなか現在の段階ではむずかしいと思うのですけれども、国鉄営業政策上、つまり新しい乗客開発という意味において……
○山田勇君 シーズンオフね、特に。
○国務大臣(塩川正十郎君) シーズンオフなんかね。そういうことで私たちは一度検討に値すると思っておりまして、かねてから勉強いたしておりますが、せっかくの御質問でございますので、早急に勉強し結論を出すようにいたしたいと思っております。
○国務大臣(中山太郎君) お答え申し上げます。 総理府の老人対策室では、鉄道の運賃割引という具体的な問題はこれは運輸省の所管でございますので、運輸大臣から御検討いただくというお話でございますので運輸省の御検討にまちたい。総理府といたしましては、全般的な高齢化社会のための老人政策はいかにあるべきか、こういうことで医療、年金、あるいはまた住宅、あるいは老人と一緒に暮らす次世代のいわゆる所得の控除、税に対するですね、そういう問題を含め、やはり老人たちのためのボランタリー活動というものも進展させるということで、鈴木内閣といたしましては、この春から老人のために奉仕をする人たちに藍綬褒章の制度を新設をいたしております。鋭意、来るべき高齢化社会に備えて内閣としては全面的に取り組んでおることを御理解をいただきたいと思います。
○委員長(植木光教君) 以上で山田君の質疑は終了いたしました。(拍手) これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。 —————————————
○委員長(植木光教君) 次に、派遣委員の報告に関する件についてお諮りいたします。 前国会閉会中、当委員会が行いました委員派遣につきましては、各班からそれぞれ報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(植木光教君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時十五分散会 —————・—————