法務委員会 第2号
- 発言数
- 302 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1981/11/10
会議録
○委員長(鈴木一弘君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に藤原房雄君を指名いたします。 —————————————
○委員長(鈴木一弘君) まず、供託法の一部を改正する法律案を議題といたします。 政府から趣旨説明を聴取いたします。奥野法務大臣。
○国務大臣(奥野誠亮君) 供託法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、国の財政の現状にかんがみ、国の歳出の縮減を図るため、供託法の一部を改正しようとするものでありまして、その改正点は、次のとおりであります。 供託法におきましては、供託された金銭について命令の定めるところにより利息を付することを要するとされていますが、この法律案では、いわゆる財政再建期間として予定されている昭和五十七年度から昭和五十九年度までこの利息を付さないこととしております。これにより、昭和五十七年度においては約七億円、昭和五十八年度においては約十四億円、昭和五十九年度においては約十八億円の歳出の縮減が見込まれております。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。 —————————————
○委員長(鈴木一弘君) 次に、外国人登録法の一部を改正する法律案を議題といたします。 政府から趣旨説明を聴取いたします。奥野法務大臣。
○国務大臣(奥野誠亮君) 外国人登録法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。 近年における国際交流の活発化に伴い、わが国に入国・在留する外国人の数は増加の一途をたどり、そのために市町村及び都道府県における外国人登録に関する事務量は、現行外国人登録法が制定された当時と比べますと、著しく増加しております。厳しい国家財政のもとにおいて、このような事態に対処し、外国人登録事務の適正な運用を期するためには、関係事務の簡素・合理化を図る必要があるものと思われます。 そこで、この際、市町村及び都道府県における外国人登録事務の簡素化及び合理化を図り、財政支出の効率化に資するため、外国人登録法の一部を改正しようとするものでありまして、その改正の要点は、次のとおりであります。 第一に、新規登録等の申請に際し、外国人から提出させる写真の数が三葉とされているのを二葉で足りることにすることといたしております。 第二は、市町村長が登録原票の写票を二葉作成し、一葉を法務大臣に、他の一葉を都道府県舟事に送付することとされているのを、一葉を作成してこれを法務大臣に送付すれば足りることとし、都道府県知事への写票の送付及び都道府県知事が行うこととなっている写票の分類整理事務を廃止することといたしております。 第三は、返納された登録証明書を市町村長から法務大臣に送付させる手続を廃止することといたした次第であります。 以上が、この法律案の趣旨であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますよう、お願い申し上げます。
○委員長(鈴木一弘君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。 —————————————
○委員長(鈴木一弘君) 供託法の一部を改正する法律案について質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○寺田熊雄君 きょう法務大臣、供託法、外国人登録法、この二法案を御提出になりました。 法務大臣の最近におけるいろいろな言動がいま問題になっておることは大臣よく御承知のとおりだと思いますが、その御発言というのは、十月の三十日の閣議後の記者会見の席上、検察の職務も社会一般から支持を受ける形で遂行されることが大切である、人の道をわきまえて努力するということだと述べられたというふうに伺っております。これは、榎本三恵子さんのロッキード事件の法廷における証言、非常にショッキングな証言でございましたけれども、その証言について法務大臣が御見解を問われた。その答えとしてお述べになったということなので、これは榎本三恵子さんを証人に申請した検察当局の態度を批判したものであるというふうに大きく報道されたのであります。 この問題は、すでに内閣委員会、行特委員会等で取り上げられまして、大臣も鈴木総理もある程度これについての御答弁があったわけであります。しかし、主管の委員会であります当法務委員会では、まだそのことについて法務大臣の御真意もその当時のいきさつも全く伺っておりません。 これは当委員会の審議をいたします上で最も基本的な事項と考えますので、どうして大臣がこういう御発言をなさったのか、その真意やいかんということを、詳しくまず冒頭にお述べいただきたいと思います。
○国務大臣(奥野誠亮君) いま御指摘のありました去る三十日の閣議後の記者会見におきまして、私から閣議の報告などをいたしました。その後で記者の方から、榎本前夫人の証人尋問についてどう考えているかというような御質問をいただいたわけでございまして、そこで私は、検察庁のやっていることを批判したくないなと、こう申し上げました。検察庁のやっていることを批判するわけじゃありませんよ、また事件に介入していく、それも避けたいと思いますよ、一般論で言えば検察庁のあり方はこう考えますよと、こう言って申し上げたわけでございます。 いま申し上げましたように、検察庁の批判はしたくない、また事件に介入する意思もない、一般論を言うのですよと、こういう前提で二つのことを申し上げたわけであります。その一つが、検察守は広く国民から支持されるものでなければならないということが一つであります。もう一つは、人の道に外れるようなことがないようにしなければならない、こういう二点でございました。 二つ申し上げまして、同時に、今度の事件がこれに当たるとか当たらないとか言っているわけじゃありませんよということも念を押したわけでございまして、私が問われて答えないというのも一つかもしれません。しかし、せっかくの記者会見の場でございますから、やはりお互いに理解を深め合う、そのためにはなるべくお答えをする方が私は社会の進展のためには役に立つのじゃないだろうかなと、常日ごろそう考えているわけであります。でありますから、いま申し上げますような前提を置いて、私なりの考え方を述べたわけでございます。 また私は、検察庁がどういう姿勢で対処しなければならないかということについては責任を持っている人間でございますから、私なりの考え方を持っているわけでございます。申し上げるまでもなく、検察庁は不正を追及する機関、違法をただしていく機関でございますから、その不正追及に抜かりがあったのでは国民から支持される存在にはなっていかないわけでございます。これは大事な職責だと思っております。でありますけれども、だからといって何をやってもいいというわけのものではない、やっぱり人の道を外さないようにしていかなければならないということで私は二つを挙げたわけでございまして、二つを挙げながらも、今度の事件がこれに当たるとか当たらないとか言っているわけじゃありませんよということも重ねて念を押して会見を終わったというのが、率直な経過でございました。
○寺田熊雄君 ただ、大臣お考えください。これはやはり榎本三恵子さんが田中角榮を初めとするロッキード事件被告を裁くその裁判で証人として証言をした、そのことに関して大臣は見解を問われたわけでしょう。それに対して大臣は、検察を批判するものではない、この事件に介入するものではない、一般論なんだよというお断りをなさったとしましても、その土台は、その舞台はやはりロッキード事件であり榎本証言である。そのことは、これは争うべくもないことでしょう。それはいかがですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私が、人の道を外れないようにするということだけを強調したのなら、あるいは私は寺田さんのお話わからぬわけでもありません。しかし同時に、不正を追及する機関としてその職責を果たして国民の支持を広く受ける存在でなければならないということを言っているわけでございますから、私は素直に受け取っていただけるのじゃないかなと、こう思うわけでございます。検察庁といたしましても、不正の追及をする機関として職責を果たさなきゃならない、人の道を外れたようなことをしてはならない、いろいろなことを私は総合的に考えた上でいろいろなことをやっているのだと、こう考えているわけでございます。でありますから、私は検察庁のやっていることを批判するつもりはない、今度のこともこれに当たるとか当たらないとか言っているわけじゃありませんよということを、わざわざ念を押しているわけでございます。 私は、検察庁は常日ごろこうあらねばならない、やはり不正の追及をする機関として抜かってはならない、でなければ国民は支持しない、同時にまた、何をやっても構わぬというわけじゃない、やはり道を外さぬようにしなければならないということだと思うわけでございます。 国会におきましても、ときには検察ファッショという言葉も出るわけでございます。あるいはまた、不正の追及にたるんでいるのじゃないかという批判もあるわけでございまして、そういうことについてはやはり法務大臣は責任を持っているわけでございますので、私なりに常日ごろ、検察庁というものはこういうふうでなければならないと考えているわけでございますし、お尋ねは検察庁のことについてでございますから、私の考えている二つを指摘したということでございます。 検察庁も、当然私はいろんなことを考えながら努力をしているものだと、こう考えているわけでございます。
○寺田熊雄君 そこが問題ですね。いま法務大臣は、この事件というのはロッキード事件のことでしょう。この事件について、検察ファッショだという批判もあるとおっしゃった。これはもうきわめて私は重大な問題だと思うんですね。ロッキード事件については、国会で徹底的に追及しろという国会決議もなされておるわけですね。ですから、そういう国会決議を尊重し、そして検察がロッキード事件を摘発した。それについて検察ファッショだというような批判があっても、大臣はそれを一笑に付してその批判を退けるべきであるわけです。そういうものがあるから、そういうものを考えて今回の発言になったということになりますと、これは何か非常に誤解を受ける発言のように思いますよ。 それから、先ほどの大臣の栄言葉の中に、検察庁は不正を追及することを職責とする、違法をただす任務がある、しかし何をやってもいいということにはならない、人の道に外れたことをしてはいけないというような御説明がありましたけれども、それでは大臣は、最初検察ファッショのことをおっしゃった、ロッキード事件を摘発した検察当局の態度は、検察ファッショなどという批判に値するものだと思われますか。これをひとつお答えください。 それからもう一つは、いままでに検察当局のやったことが行き過ぎである、人の道に外れたことがあると、そんなふうに思われたことがありますか。 その二つをまず明瞭にお答えください。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私が検察ファッショという言葉を使いましたのはロッキード事件に関してではございませんで、事件にはいろんな種類のものがございます。贈収賄事件もございますれば、公安事件もあれば、労働事件もあれば、選挙違反事件もあれば、いろんな事件がございます。いろんな事件の中では取り調べが過酷にわたり過ぎるというようなことで批判を浴びることもあるわけでございまして、あるいはまた、事件によって財政、経済事犯とかいろんな事件がございますけれども、少しなまぬるいじゃないかという批判を受けることもある、そういうものはみんな内閣の責任になってくるわけでございますので、そういう批判を浴びないように留意しなければならない役割りを担っているのが法務大臣だという意味合いでお答えをしたわけでございます。 事ロッキード事件に関しましては、私はできる限り検察庁が自由な活動ができるようにこれを守ってあげなければならない、そんな気持ちでおりますし、また、そういう気持ちも国会でお答えをしているわけでございます。私は、この事件について特段の介入をしたこともございませんし、また、自由な活動を守ってあけることが私のいまの姿勢でなければならない、そういう気持ちを持っておるわけでございます。榎本前夫人の証人喚問の問題につきましても、記者の方に問われてお答えをいたしましたけれども、検察庁に対しまして、検察庁のやったことがどうであるとかこうであるとか、あるいは今後こうしなければならないとか、いささか至言っていないわけでございます。今後ともできる限りその自由な姿勢を守ってあげたい、こう思っておるものでございます。
○寺田熊雄君 いや、いま私がお尋ねしたことに直截にお答えいただいておらぬのですよ。 そうすると大臣は、検察ファッショという批判もあるということをおっしゃったのは、先ほどの御答弁では、この事件についてはということをたしかおっしゃったと思うんですが、それでは、この事件ではなく他の事件だとおっしゃるわけですね。よろしいですか、これは。
○国務大臣(奥野誠亮君) この事件について申し上げるのじゃなくて。長い歴史の中では、検察庁がいろんな意味で国会の場で批判を受けたこともございますという意味で申し上げたわけでございます。
○寺田熊雄君 それでは、次の質問でお尋ねをした、そうすると大臣御自身としては検察当局のやったことがやり過ぎである、いかがかなと思われたことが過去にあったんですか、なかったんですか。あるいはそれは法務大臣として在任中ばかりではありません。一国会議員として、過去においてそういうことをお感じになったことがおありになったんでしょうか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 過去長い歴史の中で国会でも論ぜられたことはあるわけでございまして、そういう意味で申し上げているわけでございます。たとえば、選挙違反取り締まり事件なんかにつきましても、もっと徹底してやるべきだという立場で取り上げられたこともございますし、こういうことは少し行き過ぎているのじゃないかという意味で議論されたこともあると理解しているわけでございます。
○寺田熊雄君 あなたが、検察当局のやったことがやり過ぎである、いかがかなと思われたことがなければ、何も人の道に外れてはいけないというようなことを特におっしゃる私は必要もありませんし、動機もないと思うんですね。 それじゃいかがでしょうか、榎本三恵子を検察庁が証人申請をいたしました。そして榎本三恵子がああいう証言を、田中角榮という大実力者、政界の最大の実力者の前であえて不利になることを述べたその勇気、真実を追求するそういう気持ちなどというものは、私は大方の国民が支持をしておると思います。大新聞、あらゆる新聞に投書がありますけれども、その投書のほとんどは、そういうことに対して感嘆の叫びを上げているんだと思います。そういう正しいものを愛する国民感情といいますか、それを私は日本の国を支える最も大切な基礎になるものだと思います。それに大臣があえて抵抗なさるのか、それとも検察庁がやった榎本三恵子の証人申請は、検察当局としては妥当な措置であったとお考えになっておられるのか。その点、直截にひとつ大臣の本当の気持ちを述べていただけませんか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 検察庁は、私も先ほど申し上げましたように、いろんなことを考えて総合的に判断して結論を出して常に行動しているものだと、こう考えております。 また、私の見解ということになりますと、記者会見の際にも、検察庁のやっていることについて批判しているわけじゃない、批判したくないと申し上げましたのは、進行中の事件でございますので私はそういう態度をとるべきではない、こう考えて、批判したくないと、こう申し上げたわけでございまして、その点は今日においても変わりはないわけでございます。
○寺田熊雄君 いや、批判といっても、善悪を論じろというところまで私はあえて申し上げておるわけではないんですよ。大臣は、大臣として検察当局のやったああいう証人申請を妥当だとお考えになっていらっしゃるのか、いまちょっとお言葉に出ましたが、また大臣としては別の見解を持っているとおっしゃるのか、そこのところをはっきりしていただけませんか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 検察庁としては最善を尽くしていると思っております。私としては、それにとかくの批判をすることは私の立場上は避けておきたいと、ずっと一貫してそう申し上げているわけでございます。
○寺田熊雄君 検察庁としては最善を尽くしたものだと思っていらっしゃるということをお述べになりましたね。私は、やはり法務大臣としては、その態度を初めから貫いてもらいたかったんです。記者会見の席上でそういう意見を求められたときに、検察庁のやったことは正しいんだ、最善を尽くしたんだとなぜ言われなかったのでしょうか。そう言われれば、まさに正義を愛する大臣のお気持ちが全く適切に表現されたんじゃないでしょうか。私は、行特委員会でわが党の野田委員がこの問題について質問いたしました。それについて、鈴木総理と法務大臣お二方とも御答弁になりました。鈴木さんの方は、検察庁としては公判を維持するために大事な証人を出すというのはきわめてあたりまえのことだ、そういうことをとやかく論議するのはおかしいという答弁をしておられたようです。これは私、九時のテレビニュースで、たしかそうだと思いますが、テレビでそれを聞きまして、なかなか鈴木さんのおっしゃることは素人だけれども的を射ておると感じたわけですね。そうでしょう。 検察当局としては、田中角榮被告が榎本のアリバイ論で抵抗しておる。そのために、大臣経験者の政治家を続々と証人として繰り出しておる。私どもの見方では、八年前の日時なんということを記憶するというのはそもそもおかしいので、特段の事情がない限り、それが自分の一生の中で特に二度とあり得ない印象の深いことであったというようなことであればこれは記憶に残り得るけれども、そうでないあたりまえの日常に出会うことで正確に日時を記憶しておるなんというそんなことは、われわれの経験則上あり得ないことだ。それを得々として証言をする、それもあいまいなものだから、検察官の反対尋問に遭ってみごとに崩れ去ったという醜態をさらしておる。なぜそんなことをするのか。それは、明らかに政治力で裁判所を威圧するというか恫喝するというか、全く法治国家としてあってはならないことをしておる。それに対して検察官は、公判を維持するために適切な証人を繰り出すというのは、これは当然の措置ではないでしょうか。 ですから、鈴木総理はあたりまえのことですよとおっしゃったのは、素人ではあるけれども、きわめて適切な御答弁だと私は伺ったんです。法務大臣は、まして大学の法学部をお出になっておられるし、非常に法律の方でもお詳しくていらっしゃる。私ども玄人だと思っているけれども、玄人はだしでいらっしゃる。平素感心をしております。そういう方が、なぜ鈴木総理のような適切な御答弁ができなかったのか。 あなたは、先ほど検察庁のやったことは最善を尽くしたのだと思うとおっしゃった。なぜそれじゃ、検察庁は最善を尽くしているよ、よくやっているよというお言葉が出なかったんでしょうか、これは不思議でならない。御保釈明ください。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私が記者会見でお尋ねを受けましたのは、榎本前夫人を証人として呼んだ、そのことについての私の感想を求められたのです。でありますから、先ほど来、私が答えたことを報告しましたように申し上げたわけであります。 検察庁は常に最善を尽くして努力しています。そのことについて社会がそれをもっともだと考える場合も、また批判的に考える場合も、それは見る人によっていろんなふうに分かれてくることは、やむを得ないと思うのであります。その検察庁のやったことにつきまして私の感想を求められたのだ、こう理解したわけでございまして、したがいまして私は批判をする気持ちはありませんよ、しかしせっかく尋ねておられるものでございますから、検察庁のあるべき姿としての一般論でお答えをするという姿勢をとらせていただいたわけでございました。
○寺田熊雄君 ちょっと私、大臣の御答弁にどうしても納得しがたいものを感じますのは、その感想でもいいんですよ。榎本三恵子の証言についての感想を求められたときに、検察庁はよくやったなと、あるいは一歩下がって、検察庁としては公判維持のために最善を尽くしたと思うという先ほどの御答弁、それがなぜ感想として出なかったんだろうかというその疑問です。やはりああいう人の道発言が出た背後には、田中角榮被告が無罪であってほしい、そうして田中角榮を追及する検察庁の態度を苦々しく思う、榎本の証言はそういう意味からいうとどうもしゃくにさわるというような感情が大臣の胸の奥に、心の底にひそんでおったんじゃないでしょうか。そこでああいう御発言になったんでしょうか。それを私、率直にお答えいただきたいと思うんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほど来繰り返し申し上げているとおりでございまして検察庁は常にあらゆることを考えながら最善の努力を払っているものだ、こう理解いたしております。それらのことにつきまして、ときにいろんな批判もあることもこれは見る人によってやむを得ないことだ、こう考えるわけでございます。 私が検察庁のやっていますことにつきまして、進行中の事件についてあれこれ批判がましいことを言うことは避けておきたい、それは今日においてもそう思っているわけでございます。検察庁一般のあり方としてどうなければならないかということについては、積極的にお答えをしながら前進を図っていかなきゃならない、こう思うわけでございますけれども、進行中の事件についての私見というものはあとう限り避けるべきじゃないだろうかなと、こう思っているわけでございます。
○瀬谷英行君 関連。 寺田委員の発言に関連して御質問しますが、いま大臣の御答弁の中に、素直に受け取ってほしい、こういう御発言があったんですよ。しかし、寺田さんの質問は、榎本証人を立てた検察側のやり方がどうなのか、それに対して大臣自身が腹の中で、これは田中被告にとって不利だという感じを持って、そして間接的にこの榎本証人を呼んだことに対して批判をしているというふうに感じているんじゃないのか、こういうことなんですがね、問題は。私は、素直に受け取ってもらいたいと大臣が言われるならば、当然この人の道云々という発言は誤解を招くということに思いをいたすべきだと思うんですよ。榎本証人の立場、その発言というのがロッキード事件の被告に対して明らかに不利に作用したというのは、大方の認めているところなんですよ。 そうすると、そこでもって人の道云々という言葉が出てくることは、明らかにこれは検察のやり方に対する批判を一般論でもって煙幕を張っておる。法務大臣の言い方は、これは一般論だ、人の道というのは榎本夫人を立てたことに対する批判じゃないんだと一生懸命に煙幕を張って、そうしてこれは一般論だ、一般論だとおっしゃっている。しかし、だれが聞いてみても、よほど感じの鈍い人だって、この榎本証人の問題に関連をして法務大臣が意見を述べたときに人の道云々と言えば、こういう証人を立てることはけしからぬじゃないかと間接的に言っているというふうに理解をする方が、私は素直な受け取り方だと思うんです。 だから、そういう素直な受け取り方がやはりいろいろと論難をされているんですから。法務大臣とすれば、この人の道云々という発言が明らかに誤解を招いたというよりも、本当のことを言うと、検察側に対する牽制球であるということをやっぱり率直に認めなければならぬと思うんですね。そこのところは言葉の上でもってごまかしちゃいけないと思うんです。どう考えてみても、この人の道という言葉はごまかしようがないんですよ。素直に受け取った場合にはこれは法務大臣の牽制球である、間接的なロッキード事件被告に対する援護であるというふうに受け取らざるを得ないんですよ。それこそ素直に私は考えてもらいたいと思うんですよ。その点どうですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、ロッキード事件についてだれに有利になる、だれに不利になる、そういう心構えは一切持っておりません。また、この事件につきまして検察庁にとやかく言ったこともございません。私が人の道に外れるようなことをやっていると判断いたしますならば、私は言わなきゃならない責任を持っているのだと思うのです。検察庁がそれをどう受け取るかは別でございますけれども、私は検察庁のやっていることがよくないと考えるならば、私は言うべき使命を持っているのじゃないか、こう思うのであります。 また、言うたことについての批判はそれはいろいろあろうと思います。また、言うたからといって、検察庁がそのとおりわかりましたと、こう言うとは限りません。また、検察庁の意見をそれなりに私に返してくるでしょう。しかし私は、検察庁のロッキード事件についての運び方、これはもうできる限り任じていきたい、自由な活動を守っていきたい、そういう考え方でおるわけでございますし、国会でもそう申し上げてまいりました。 でありますから、今度の場合も、聞かれて黙っているのも一つだと思うのです。しかし、私は大体黙らない、黙っていませんで、できる限りお答えをする親切さを持ってまいりました。そのかわり、前提を置いたわけであります。くどいほど前提を置いたわけであります。言うたことは二つの問題だけでございまして、その二つのうちの人の道だけを強調されますと、いま御指摘のようなことになるかもしれません。しかし、あの当時をそのままに伝えてもらえれば、あれだけの批判を受けることでもないのじゃないかなど私には思えてならないのでございます。それらの事情をひとつ御理解いただきたいなと、こう思います。
○瀬谷英行君 黙っていられないというのは法務大臣の性分としてわかりますよ、いままでも黙っていられないことがたくさんあったんでね。だけれど、今回の場合でも、榎本証人が立っていろいろ証言をするという事柄の前であったならば、人の道云々という発言をされてもこれは一般論として受け取られるかもしれません。だけれど、そうじゃないんです。榎本証人の証言があった直後に感想を求められて人の道云々と言えば、こういう証人を立てることはどうもおもしろくないという本音を推察をされても仕方がないでしょう。そう思いませんか。一生懸命にいま法務大臣は一般論としてその弁解をしておられる。弁解の必要が私はあるということはやはり一般論としては通用しない、人の道という言葉自体が明らかに誤解を招いた、あるいは勘ぐられた、こういうふうにとっても仕方がないんじゃないですか。そうは思いませんか。
○国務大臣(奥野誠亮君) くどいようですけれども、お尋ねを受けましたときに私は検察庁の批判はいやだなと、こう言ったのです。そうして批判するつもりはありませんよということも言ったのです。そして、介入する意思はありませんよと、こうも申し上げたのです。そして二つ挙げたのです。私は、検察がやります場合は二つともよく考えた上で結論を出していくものだと、こう思いますから、先ほどのお尋ねに対しまして最善を検察庁としてはそれなりに果たしてやっていっているのだと思いますよと、こう申し上げているわけでございます。結果につきましては、人それぞれ見方がございますから、批判があってもやむを得ないのじゃないかと、こう思うわけでございます。 私は、ことさら意識してそういう方向に持っていこうとしたつもりはいささかもございません。その話の経過を受け取っていただきますと御理解いただけるのじゃないかなと、私なりに思っているところでございます。
○瀬谷英行君 話の経過を追ってみればなおさらなんですよ。話の経過を追って、そして素直に受け取ってもらうというふうに言われているけれども、素直に受け取れば、これは法務大臣の裁判に対する、まあ介入という言葉がもしちょっと度が過ぎるというふうに言われるならば牽制球と、よく言っても牽制球ですよ。やわらかく言っても牽制球ですよ。どぎつく言えば介入ですよ。これは明らかに榎本証人を出したということは人の道に外れているんじゃないかということを、裏返して言っただけにすぎないというふうにとられてもしようがないと思いますよ、これ。だから、さっきも言ったように、よほど勘の鈍い人だって、この人の道という言葉はそういうふうに受け取ると言うんですよ。受け取らない方がむしろどうかしているんですよ。そうは思われませんか。 その点、これは何回言っても同じ言葉のすれ違いになるかもしれませんけれども、私はあえて指摘したいんです。この人の道という言葉は、この時期にこういう発言は明らかに牽制球と受け取られる、あるいは介入と受け取られるのだと言うんです。一般論として素直な解釈をすればそうなるということを、大臣自身もお認めにならなきゃいけません。その点、どうですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 質問が榎本前夫人証人尋問についてのことでございますから、榎本前夫人と無縁だとは私は申し上げておりません。しかし、検察は人の道だけで行動しているわけじゃない、不正を追及する大事な任務を負っているわけでございます。これに抜かることがあっては国民の支持を得られません。いろんなことを総合判断して、最善と思う結論を検察庁なりに出しているのだと、こう考えているわけでございます。私は、検察のあり方として不正の追及に抜かりがあっちゃいけない、しかし何をやってもいいわけじゃありませんよという意味で、加えて申し上げているわけでございます。 でございますから、おっしゃいますように、榎本前夫人の問題と無縁だと私は申し上げません。しかし、いろんなことを考えて、総合的に結論を出していくのは検察庁の姿勢でなければならない、こう思っているわけでございます。
○寺田熊雄君 先ほど瀬谷委員のお尋ねに対して法務大臣は、なかなか論理的なことをおっしゃったと思います。それは、私は検察庁のやったことが人の道に外れたと考えれば当然それを検察庁に言う立場にあると。それを言ったことはないんだから、検察庁のやったことが人の道に外れたと考えていないというようにとれる御発言をなさったんですよね。そうすると、あなたは法務大臣として、検察当局が人の道に外れたことをやったとお考えになれば、当然それを検察当局に検事総長を通してそのことをおっしゃる立場にある。それをしたことがないということは、検察庁のやったことが人の道に外れたとお考えになったことはかつてなかったというふうに伺ってよろしいでしょうか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 事ロッキード事件に対しましては私は介入すべきでない、そういう立場を守り続けてきているのだということを先ほど申し上げました。同時にまた、検察庁としては一つのことにつきましてもいろんな角度から物事を考えている、こう理解いたしております。人の道を外さないように心がけていると思うわけでございますし、不正の追及に抜かりがあってはならない、こう考えておりますし、総合的に考えてやっているわけでございましょうから、私はそれなりに検察庁に任せておきたい、こう思っているわけでございます。
○寺田熊雄君 わかりますよ、大臣のおっしゃることは。端的に言ってください。あなたが人の道ということをおっしゃったから、そこで議論がわいてきたんでしょう。だから端的におっしゃってください。検察庁のやったことが人の道に外れているとお感じになったことはかつてなかったというふうに伺ってよろしいか。
○国務大臣(奥野誠亮君) かつてなかったかどうか私は承知しておりませんけれども、やはり事件につきましては私は批判がましいことは避けさしてもらいたいなと、こう思っております。
○寺田熊雄君 それはおかしいでしょう。人の道に外れたことがあったかなかったか、私は知らないと。しかし、法務大臣、いまあなたが法務大臣の任期中のことを伺っているんです。法務大臣として御在任中に、検察庁のやったことが人の道に外れたことがあったとお感じになったことがおありなんでしょうか、それともそういうふうにお感じになったことはなかったんでしょうか。あったかなかったかわからないというようなことは、法務大臣、あなたは大臣なんですよ、許されませんよ。
○国務大臣(奥野誠亮君) たびたび申し上げますように、検察庁としては人の道に外れないように、また国民の支持を失わないように常に最善を尽くしている、こう信じております。
○寺田熊雄君 検察庁が最善を尽くしていると信じておるということは、結局、検察庁が人の道に外れたようなことをやったことがなかったと思っていらっしゃるというふうに受け取っていいんでしょう。いま大臣のお気持ちが問われているんだから、率直に答えてくださいよ。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私が先ほど来るるお答えしているとおりでございまして、私のお答えしていることも人によってはとりようがいろいろ分かれることも、これまたやむを得ないのじゃないかなと、こう思っております。
○寺田熊雄君 それはいけませんよ。お答えしているとおりという大臣のお言葉が誤解を生んで、こういうことになったんです。それは大臣、御存じでしょう。だから、率直におっしゃってくださいよ。いまいろいろこういうふうに各委員会で大臣のおっしゃることが問題になっておりますのは、はっきりしない面もあるんです、一般論だとか検察批判じゃないとか、いろんな条件がまつわっていますから。だから直截におっしゃってください。田中被告に遠慮することはないでしょう。検察のやったことが人の道に外れたとお考えになったことがあるのか、そういうものは全くなかったのか、率直におっしゃってくださいよ。いいでしょう。
○国務大臣(奥野誠亮君) たびたび申し上げますように、ロッキード事件に関しましてだれが有利、だれが不利、いささかもそういう考え方は持たないで私は職責を務めているつもりでございます。同時にまた、このことにつきまして検察庁に何らかの注意を与えなけりゃならない、そんな判断はいささかも持っておりません。常に最善を尽くしておるものだ、こう理解しております。 現在、裁判所で争われておる問題でございますから、事件が進行の過程にございますから、私から批判がましい発言は避けておきたい、こう思うわけでございます。先ほど新聞記者会見で聞かれたことについて、いろんな条件を置いて答えましても、あれだけいろいろにとられていくわけでございますだけに、私は批判がましいことは避けるべきじゃないかな、こう思っておるわけでございます。
○寺田熊雄君 いや、検察庁のやったことがよかったと法務大臣がおっしゃっても、いささかも裁判に影響することはないはずです。というのは、法務大臣は検察官を一般的にではありますけれども検事総長を通じて指揮なさる立場にいらっしゃいますからね。いわば上司なんですよ。だから、まあ卑俗な言葉で言えば、部下のやったことを正しいと言ったって、それは当然のことで、裁判所を拘束するものでも何でもない。だから、裁判批判にならぬのですよ。ですから、率直におっしゃっても差し支えないんですよ。検察庁が最善を尽くしていると考えているというお言葉は、かつて検察庁は人の道に反したことをやったと思われたことがない、そういうふうに理解してもよろしいのかと言って、私は大臣の直截な御答弁を求めておるわけです。大臣、あなたのお言葉がいろいろ誤解を受けるんですから、直截にお答えになったらいかがでしょう。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私が検察庁に注意しなければならないと判断した場合には、当然注意しなきゃならない立場にあるわけでございます。私は、何らこのことについて検察庁に言っていないわけでございます。検察庁は検察庁として最善を尽くしているものだ、こう考えておるわけでございます。
○寺田熊雄君 どうしてこだわるんでしょう、大臣。あなたが人の道に外れる云々ということをおっしゃったから、それがいま問われているんですよ。くどいようですけれども、大臣はそのことをおっしゃったんですから、そのおっしゃったことに責任を持ってくださらなきゃいけません。そうでしょう、自分がおっしゃったんだから、自分が。だから、大臣として、検察庁がかつて人の道に外れたことをしたことはないと思っていらっしゃるのかというふうに私が伺うのは、大臣のお言葉があったからそういう質問が出るんですよ。ですから大臣、御自分のおっしゃったことに責任をお持ちになって、直截にお答えになってもいいでしょう。
○国務大臣(奥野誠亮君) くどいようでありますが、私は注意しなければならない事態にあるとは考えていないわけでございます。
○寺田熊雄君 ちょっとそれは不満です。答えさしてください。それは大臣、この場では私、納得できませんよ。くどいようだけれども、あなたのお言葉だったんだもの。あなたが責任をお持ちになるべきお立場の御発言だもの。大臣が検察庁は最善を尽くしている、注意すべき必要があるとは思わなかったということは、裏を返せば人の道に外れたとお感じになったことはないということなんでしょう。だから、そう理解してよろしいかと言って伺っているのに、大臣、よろしいと言わないんだから。率直に言ってくださいよ。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、検察庁は一つの立場で常に物を進めているとは思わないのです。いろんなことを総合的に判断して結論を出しているのだ、こう考えているのです。それを、私は検察庁を信頼していますよ、検察庁としては最善を尽くす努力をしていると思っていますよ、私は検察庁のやっていることについて何らかの注意を与えるという考え方はありませんよと、こう申し上げているわけでございまして、それは少しも変わっていないわけでございます。
○寺田熊雄君 どうも率直な答弁をなさらない。そこが、大臣がいろいろ揣摩憶測をされてもしょうがないんですよ。なぜ率直に、おれはかってそういうことを感じたことがなかったとおっしゃらないんでしょうね。そこら、意地になっていらっしゃるのか、それともやっぱり腹の底に田中角榮を守ろうというお気持ちがあってそうおっしゃっているのか、どっちかに揣摩憶測されますよ。ですから、それは大臣として私、非常にふさわしくないと思いますよ。 あなたは非常に正しいことを愛する、学生時代からもうそういう正義漢だというわれわれ友人仲間で定評があるんですよ。だから、その正義感はやはり政治の腐敗を正すということに向けていただかないと、そういう理想を追求した純真な学生時代の気持ちを法務大臣としてお持ちになって政治の腐敗を正すんだ、偽証するような者は断じて許さないというような、そういう方面にあなたの正義感を発せしめていただかないと困るので、何か仲間だから、ロッキード事件の被告である同僚をかばうんだというような気持ち、そういうものを心の中に秘めて法務大臣をしていただいちゃ困るんです。いかがでしょう。
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほど来たびたび申し上げますように、検察庁は不正を追及していく機関でございまして、不正の追及に抜かりがあってはならない、こう思います。しかし、だからといって、合法であれば何をやっても構わないかということになりますと、これはやっぱり問題があるのだろうと思うのであります。いろんなことを総合的に判断をしながら検察庁は常に最善の道を歩んでいるのだ、こう私は理解をしているわけでございます。人それぞれ批判はあろうとも、検察庁としてはいろんなことを考えながらベストを尽くしているのだ、こう思っているわけであります。同時にまた、人いろいろ批判はありましょうけれども、私としてはいま検察庁に何らかの注文をしようという考え方はございませんということを申し上げているわけでございます。
○寺田熊雄君 それでは、一般論としてお伺いしましょう。 あなたは、刑事事件において、検察が離婚した妻を夫たる被告の証人として証拠申請をする、裁判所に喚問をしてもらうということは毫も差し支えないとお感じになりますか、これは一般論として。いかがですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 他に証人を求める道があるならば私は他に証人を求める道を探した方が好ましい、こう思います。
○寺田熊雄君 それでは、この場合、何かやっぱり批判が残っておるようですね、大臣のお言葉では。アリバイを——検察庁というようなものは中途半端な立証なんということはやってはいかぬのですよ。水に落ちた犬は打てというか、徹底的にやはり虚偽の証拠というものはたたかなきゃいかぬ。中途半端で、もういいかけんでやめておきましょうなんということは検察庁としてはとるべきじゃない。だから、検察庁が必要だと思って前夫人というものを証人として申請した、当然のことですよ。それは鈴木総理が、あたりまえのことだ、何にも言うことはないと言ったのと全く同様のことだ。それを法律家でいらっしゃる大臣がそこに何か含みを持たせて御答弁になるから、それでもうすべていろいろの揣摩憶測が生まれるんです。そうでしょう。 裁判の実務において毫も差し支えないでしょう。現在の妻でさえも差し支えありませんよ。まして、離婚していまは愛情の冷え切った者を証人として申請したって何にも差し支えない。それが、何か条件をつけたりなんかして批判をなさるから問題が起きるんですよ。裁判の実務では日常茶飯事のことです。何かそれを大臣、特にそれが人の道に反するとお感じになるようなことがあるんでしょうが。
○国務大臣(奥野誠亮君) 今度の事件、今度の場合にも、証人を申請する、裁判所が許可を与える、そして証人尋問を行われた、法律的には何ら問題はございません。
○寺田熊雄君 何ら問題はないと言われるのでしたら、それならばそれで結構です。それが本心と承っておきます。 ただ、瀬谷先生が先ほどおっしゃったように、大臣のお言葉は、かなり一般から、やっぱり大臣が腹に田中を助けたい、検察のやったことがどうもよくないというふうなお感じを持っておっしゃったと、少なくも検察に対する牽制だというふうにとられかねないんですよね。大臣のお立場があるから、上司だから。そういう意味で、やっぱり大臣、あなた率直に、おれの言ったことはまずかったという御反省が必要だと私は思いますよ。それは大臣が、過ちを改むること日月の食のごとしというような、そういうお気持ちの方が私いいと思いますよ。どうでしょう。やっぱりまずかったと思っていらっしゃるでしょう。
○国務大臣(奥野誠亮君) 御批判は御批判として受けとめてまいります。
○寺田熊雄君 それから、やっぱり大臣のおっしゃったことについて、私は検察庁も決して愉快な感じは持っていないと思いますよ。要らぬことを言ってくれた、おれたちが一生懸命やっているのに、上司として何を言うんだという不快感を持ったことは当然だと思います。それはもう私は検察が——決して検察をひいきにするわけじゃないけれども、政治の圧力に屈せずに一生懸命に公判維持のために努力しておる、見上げたものだと思いますね。自分たちがまじめな努力をしておるときに、大臣が水をかけるといいますか、そういうことがありますと、検察陣としてはこれは大変不快感を覚えるということは当然のことだと思いますよ。そういうことをやはり大臣はお考えにならなきゃいけないと思います、上司だから。お考えになったことがございますか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 元来、検察庁につきましては、なるべく独立した活動を守っていきたいということは法務省の伝統になっているわけでございますから、世間で何かちょっと言うと一般の行政官庁のように強くそれを刺激するということは私はないのじゃないかなと、こう思っておるわけでございます。もちろん、個々の事件につきまして、取り調べ、処分について検事総長を指揮することができる機能を与えられておりますけれども、常に私は、検察庁は法務大臣の指揮に唯々諾諾としてついていかなきゃならないというような考え方は持っていない。また、当然意見も言うわけでございましょうし、時と場合によっては両者の意見が公にされたという事態まであるわけでございます。そういう先例もあるわけでございますから、私は、検察庁というものはもっと強い存在になっているはずだと、こう思っております。また、その強い存在を守っていかなきゃならない、こうも思っているわけでございまして、私が一般論として述べたことが牽制になっているとかいうふうに寺田さんがおっしゃるのは、私にはそうはとても思えないわけでございます。
○寺田熊雄君 牽制になっておるかおらないか、これは大臣に多少の批判はあるんです。しかし、不快感を持ったことは間違いないですよ。大臣としてやっぱり言うべき言葉じゃないです、あれは。まあそこはここまでにとどめておきましょう。 それから、先ほど私、大臣に御注文申し上げたんですが、いかに田中角榮被告と個人として親しい間柄にあろうと、そういう個人的なお気持ちというものは法務大臣としてはやっぱり全然捨てていただかなければいけません、法務大臣として職責を行う立場にあっては。これは法務大臣、憲法第十五条の公務員は全体の奉仕者だというそういう規定からも、憲法九十九条の憲法を尊重し遵守する義務があるという点からも、これは間違いない結論だと思いますよ。だから、大臣としての職責を行う立場にあっては、どんなに田中角榮被告と個人的にお親しくしていらっしゃっても、その私情は捨てていただかなけりゃいけませんよ。いかがです。
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほど来申し上げておりますように、私は特定の人に有利になるようにというような考え方で行動した覚えはございません。
○寺田熊雄君 そうすると、そういう気持ちを持って法務大臣としてお仕事をなさるということは全くないと伺ってよろしいですね。いかがでしょう。
○国務大臣(奥野誠亮君) そのとおりであります。
○寺田熊雄君 何か最近、小佐野被告の事件で、懲役一年の実刑という、全く裁判所としてはよくぞやったといいますか、思い切ったなという、そういう印象をわれわれ持ちました。それで、新聞やテレビでわれわれが一般の国民の感情を知るわけですが、一般国民も大体そういう印象を持ったのではないかと思いますね。大臣、その判決の直後に新聞記者の方から意見を求められて、ノーコメント、ノーコメントと言ってお帰りになったのがテレビに出ましたね。どうですか、率直な御意見は。
○国務大臣(奥野誠亮君) 裁判所として公正な審理を尽くしてあの結論をお出しになったものだと、こう考えておるわけでございます。いろんな事件、また進行中でもございますだけに、私の立場上、これに批判を加えるということは当然避けなきゃならないことじゃないかなと、こう思っております。
○寺田熊雄君 最高裁事務総長がおいでになっていらっしゃいますのでちょっとお尋ねをしますが、いま小佐野被告の判決について法務大画にお尋ねをしたわけです。法務大臣は、裁判所は審理を尽くして最善を尽くしたものと思うというのを前半におっしゃった。私も、あの判決がある以前は、田中被告の政治力、それから小佐野被告の財力、そういうようなもので検察当局の努力というものが圧倒されてしまうんじゃないか。そういうもの、とりわけ田中被告の政治力というようなもの、それが無言の圧力になって、裁判所に心理的な影響を与えるのではないだろうかというような心配を抱いた一人なんです。 こういう心配を抱くのは決して私一人ではありません。事務総長もお読みになっていらっしゃると思うけれども、各新聞の社説などでもそういう意見が述べられますし、学者の中にもその意見に左袒する、同意するということを言っている人々もおるわけですね。しかし、私どもとしては、裁判所というものはそういう政治的な圧力に屈しては困るんだ、どこまでも不覊独立で理非曲直を明らかにしてもらいたい、これが民主主義の基礎だというふうに考えておりますね。 事務総長、裁判官としては、いま国民的輿望を担っておるそういう立場において、どういう心境で裁判をしておられるのだろうか、あなたの知る限りにおいて率直にお答えいただきたい。これは、国民全部に対してお答えになるようなそういうお気持ちで答えていただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) いまここで申し上げるのは釈迦に説法のようなものでございますが、憲法で裁判官は良心に従って独立して職務を行い憲法と法律にのみ拘束されると明確に規定されておりまして、これが裁判官の職責の全部でございます。この職責を果たすために、全裁判官、日夜懸命の努力をいたしておるわけでございます。 御承知のように、訴訟、これは民事訴訟でございましょうと刑事の訴訟でございましょうと、厳格な訴訟法の規定がございます。その訴訟法の規定に従って当事者が主張し立証活動をいたすわけでございまして、そういう法廷に適法にあらわれました証拠、主張によりましてのみ事実を認定し、その事実の認定の結果、判断をいたすわけでございまして、これが裁判官の職責の全部でございます。それ以外の力といったようなものによっておよそ裁判の進行が左右される、あるいは裁判の結果が左右されるというようなことは絶対にないように、裁判官はこれのみを心がけて日夜仕事をいたしておるわけでございますので、私ども司法行政を担当いたしておる者といたしましても、全国の裁判官が以上の心構えで仕事をしておるということについて確信を持っておりますので、国民の皆様方もこの点についてはどうぞ御安心をいただきたい、このように考えております。
○寺田熊雄君 大変力強いお言葉でありまして、そうあってほしいことでありますし、国民も、いまの総長の御答弁を伺って、不安を一掃というところまでいかなくても、恐らく不安をかき消す有力な資料となると考えます。 その問題はそれだけにとどめまして、先般、谷合判事補の裁判がございました。私もその一翼を担ったわけでありますが、これは私どもの過去の裁判所像から考えますと、著しい出来事、異例な出来事、個人的に言うと、あの方が異端児ということになりましょうか。しかし、それだけで片づけていいのかどうか。と申しますのは、どうも少なくも戦前の裁判所と戦後の裁判所とでは、裁判官の気風や心構えに多少違いがあるのじゃないかというような感じを持つんです。戦前は、本当にいやしくも当事者から物をもらうというようなことは想像もできなかったですね。ところが、現実に戦後にはそれがある。しかも、一度にとどまらないということを見ますと、やはり気風や空気というものに変遷があるんじゃないか、戦前のよき伝統が崩れつつあるのじゃないかという懸念を持つんですが、その点はどうでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) ただいま私が裁判官一般の心構えとして申し上げましたところ、それは全裁判官の心構えであると心から信じておるわけでございますが、御指摘の谷合判事補の問題が起こりましたということは、私きわめて例外的な問題だと信じておりますが、それにいたしましても、非常に残念なことでございます。長い裁判官の歴史の中で、少なくともあのような物をもらうというような行為というものはこれは許し得ないことでございます。谷合判事補がそのことによって何らか職務を曲げたというふうには考えておりませんが、職務そのものは忠実にこれを行ったと確信いたしておりますが、しかし、裁判官は忠実に公正に職務を行うというだけではなくて、何人からも忠実、公正に職務を行ったと見られる、らしさというものがどうしても必要なわけでございます。その点に欠けるものがあったということは非常に残念でございます。まことに申しわけないことだと存じております。 戦前の裁判官にそういう者はいなかったではないかという御指摘、これもわれわれの先輩の伝統というものが御指摘のとおりの伝統であったところに汚点を残したということはまことに申しわけなく存じておりますが、このようなことが二度とないよう、どうしてこういうふうになったのか、全力を挙げて原因と申しますか、いろいろの状況を追及いたしますとともに、今後二度とこういうことのないように最善の努力をいたしていきたい、これが偽らざる心境でございます。
○寺田熊雄君 総長は、もうそれでお帰りくださって結構です。 人事局長にちょっとお尋ねをするんですが、谷合判事補の裁判の一翼を担当してみまして感じたのは、つまり服部最高裁長官を初め最高裁の方々は、谷合判事補のやったことをとんでもないことだ、こんな裁判官は許さるべきではないということで、この三件の訴追事実のみを明らかにして訴追請求をなされましたね。ところが、合議の問題はこれは秘密でありますからして私ども明らかにすることはできませんけれども、まあ茶飲み話に出ることではありますけれども、この程度のことでどうして悪いんだろうか、罷免訴追請求というようなことは酷に失するんじゃないかというような御意見が茶飲み話の中には出ますね。それが、なかなかばかにできない意見として勢力を持たないでもない。そういうことを考えますと、やはり裁判官の金銭感覚と政治家の金銭感覚では明らかに差があるということを感ぜざるを得ない。 そうといたしますと、弾劾裁判所の事件として係属することを前提として訴追請求をなさる場合には、あなた方が考えてこれで十分だということで、それ以外のものを全部捨象して資料を訴追委員会に出されるという点は、ちょっと実情に合わない面もないではない。ですから、よくその事実を調査し、そして一切の情状その他の資料を完備して訴追委員会に送り、それが全裁判員の判断の資料となり得るように御努力になった方がいいと私は考えるんです。その点、人事局長としていかがですか。
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 今回の谷合判事補の問題につきましては、訴追委員会、弾劾裁判所におかれましても本当に御苦労をいただいたわけでございまして、そういう意味でもまことに申しわけないことだというふうに考えております。 最高裁判所の長官が谷合判事補について訴追の請求をいたしますにつきましては、ただいま寺田委員御指摘のように、ゴルフセント、それからキャディーバッグ、背広一着というものの供与を受けたという事実だけを訴追事由として請求したわけでございます。これも申し上げるまでもないことでございますが、かつて申し上げたことでございますが、三月の末にいわゆる招待ゴルフのような形で新聞報道がされまして以後、谷合判事補につきまして二回の事情聴取を行い、それから供与を受けたというものにつきまして実況見分と申しますか、というものを見まして、いわばそれだけの調査でかなりの短期間のうちに、四月の中旬には訴追委員会の方へ訴追請求をいたしたわけでございます。 確かに、谷合判事補がやりましたことの全貌について調べたわけではないという点とともに、情状の点についてももう少し調べた方がよくはなかったかという御指摘、ごもっともな点もあるわけでございますが、先ほど来寺田委員の御指摘にもございましたし、事務総長も申し上げておりますように、最高裁判所長官を含む最高裁判所といたしましては、あれだけのものを受け取るということ自体、言ってみればいわば言語道断と申しますか、裁判官弾劾法に規定しております弾劾事由にそれだけで十分に当たるものである、そういう評価をいたしたわけでございまして、寺田委員御指摘のように、そういう意味での評価が、裁判所とただいまの仰せのお話から伺いますと少し違った考え方をお持ちであったのかという感じがいたすわけでございます。そういう意味ではいわば口幅ったいことかもしれませんが、裁判所の方がそういう意味では弾劾事由というものを何と申しますか、あれだけで十分もう当たるのだというふうに厳しく考えている、そういう評価の違いがあったのではないかというふうに考えるわけでございます。 ただいま仰せになりましたように、裁判所の考えているところと違う考え方もあり得るのだということをよく今後も——今後こんなことがあってはいけないことではございますけれども、そういう点をも念頭に置きまして、できるだけの事情聴取をしたい、今後はそういうことにしなければいけないというふうに思いますが、これも時間との兼ね合い、余りいつまでもぐずぐずしておってということもございますし、そういう全体を兼ね合わせまして今後の問題に処したい、かように考える次第でございます。
○寺田熊雄君 それでよろしいですけれども、ただ誤解を受けるといかぬからちょっと敷衍をしておきますと、弾劾裁判所も最終的結論としては、いまあなたが言われた最高裁の長官の見方と一致したわけですから、その判断においては全く差異はないわけですね、最終的判断においては。ただ、プロセスにおいていろいろ茶飲み話に出て、そういうものもあながち無視できない面がありますから、今後の、あっちゃいかぬけれども、もしある場合には参考としてほしいということですからね。 それから、何かこういうことが二度とあり得ないようにというそういうことの努力、これをなさるわけですね。何かそういうことについて、あなた方の方針とか抱負とか、あるいは御計画というのがありますか。もしあったら、お述べいただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 今度の問題につきましては、いわば原因と申しますものはいろいろあろうかと存じますけれども、大きく分けまして、破産事件等を含みますいわゆる非訟事件の処理体制というところに問題がないかどうかということが一つ、それから裁判官の研修、修養と申しますか、そういうことについて問題がないかどうかということが一つ、大きく分けましてそこら辺のところが大きな原因をなしておるのではなかろうかというふうに考えておりまして、たとえば司法研修所におきます裁判官の研修でございますが、そういうものについても、できれば来年あたりから少し構想を変えまして、中堅の裁判官等につきましての研修というものももう少し充実強化をしていってはどうかというふうなことで、いま司法研修所にも来年の春の発足を期しまして、準備室といいますと少し大きくなるのですけれども、裁判官も一人入れまして来年の春から始められるような準備を整えようかということを始めたところでございますし、非訟事件の処理につきましては東京地裁で早速行われました合議事件でやるというようなことも含めまして、どういうことをやればいいかというようなことを民事局を中心にしていろいろといま考えを練っておるという状況でございます。 現在は以上のような状況にあるということを御報告申し上げます。
○寺田熊雄君 法務省の刑事局長にちょっとお尋ねをしたいと思うんですが、ロッキード事件の榎本アリバイについての検察当局としての反証といいますか、虚偽のアリバイ論というものを破砕するための、打ち砕くための立証というか、それはもう榎本三恵子夫人を頂点にして終わりを告げたというふうに大体われわれが理解してよろしいのでしょうか。
○政府委員(前田宏君) 現に公判係属中のことでございまして、まだ今後の推移いかんにもよるという問題があるわけでございますから確定的なことは申し上げられませんけれども、一応終わったといいますか、そういうふうに御理解いただいてよろしいのじゃないかと思います。
○寺田熊雄君 それで、裁判官が終局的には御判断になるから、われわれがとやかく論議するのは適当ではないかもしれませんが、しかし、日々報道される新聞やテレビなどの報道で判断する限りは、われわれはもうあのアリバイに関する限りは勝負あったというふうに判断をせざるを得ないわけですね。これは法律家としてもそう判断せざるを得ないのでありますけれども、検察当局としても、もうこれで立証が大体終わったと思われるのは、やはりそういう御判断がその根拠におありになるでしょうね。これはそういう自信の表明ということになるかもしれないけれども、そういうふうに伺ってよろしいでしょうかな。
○政府委員(前田宏君) お言葉のように、勝負があったということを言っていいかどうかわかりませんわけで、先ほど申しましたように、今後のまだ被告人弁護人側の反証もあるわけでございますから、その推移を見て適切に対処する、かように考えております。
○寺田熊雄君 しかし、局長、大体ああいうアリバイを粉砕する自信というものは検察当局が大いに持っておるというふうにわれわれは伺っていいんでしょう。その点は間違いないんでしょう。
○政府委員(前田宏君) 検察当局といたしましては、起訴をし、その立証をする責務を有しているわけでございますので、その立証をするについて最善のことをやっている、できるだけのことをやっているというふうに御理解いただきたいと思います。
○寺田熊雄君 非常に謙虚な御答弁だけれども、まあそれでいいということにしておきましょう。 それから、松岡克浩運転手、これは丸紅の、それから清水孝士運転手、これは公務員です。これを再取り調べをして、検察当局としては一層確信を強めたようであるけれども、この両運転手を偽証容疑で取り調べたということ、これは弁護人がいろいろ批判もしておるけれども、しかし、明らかに偽証だという確信を持ったら取り調べるのは当然であるし、取り調べないのほかえっておかしい、遠慮しているのは。だから、私も取り調べを支持するけれども、しかしそこまでいったのなら逮捕もあり得たのかなと思うと、逮捕はせずに釈放ということになったようですが、これは検察当局の御判断だからわれわれがとやかく言う必要はないけれども、そうすると、両運転手の逮捕は検察当局としては必要がないというふうに感じたというふうに受け取ってよろしいですね。 それからまた、なぜ必要がないというふうに検察当局が判断なさったのか、その点、もし御説明できればわかりやすく御説明願いたいと思います。
○政府委員(前田宏君) ただいまのお尋ねで松岡氏と清水氏とおっしゃいましたけれども、あの時点で取り調べをしましたのは松岡氏と斎藤という方であったと思いますが、その二人の方につきまして偽証の疑いがあるということで取り調べをしたことは事実でございます。 ただいま御指摘のように逮捕ということにはならなかったわけでございますが、それはそれなりの検察当局の判断があったであろうということでございまして、その内容につきましては、今後の公判にも関係することでございますから、この席では差し控えさせていただきたいわけでございます。
○寺田熊雄君 法務大臣も、先ほど検察当局は最善を尽くしていると思うということをおっしゃったわけで、いろいろはっきりしない面もないではなかったけれども、そういうお考えをお述べになった以上は、それなりにやはり受けとめてわれわれはいかざるを得ないわけですが、検察当局としては法務大臣の御発言によっていささかも影響を受けるというようなことはないでしょうね。この点、はっきりしていただきたいと思いますが。
○政府委員(前田宏君) この事件に限らず、一般的に検察当局といたしましては、その職責を尽くすにつきまして最善を尽くしているわけでございまして、この事件につきましても従来からできるだけの努力をしてきたところでございますし、今後とも従来同様に最善の努力をすると、かように考えております。
○寺田熊雄君 なるほど、刑事局長としては法務大臣は上司でいらっしゃるからちょっと言いにくい面はあると思うが、検察庁のことを伺っているわけで、法務大臣も検察庁が自分の言うことで影響を受けるような弱いものであるとは思わないということを言われておるわけです。だから、法務大臣の人の道発言によって検察庁がその士気に影響を受けるようなことはないとわれわれが考えてよろしいかと、そう言って伺っておるんです。
○政府委員(前田宏君) 大臣の御発言は、大臣が本日もいろいろとお述べになりましたとおりでございまして、いわば一般論ということでお述べになったということでございますから、事柄の性質上、具体的な事件の公判なり処理につきまして影響を与えるものではないと、かように考えております。
○寺田熊雄君 じゃ、刑事局長よろしいです。 供託法の一部を改正する法律案、これにつきましては、先ほど法務大臣から法律案の提案理由の御説明があったわけでありますが、ただ、この説明を読んでみますと、法案の内容は提案理由ではっきりわかるけれども、なぜこの法案を提出しなければならなかったかというその理由については語るところがない。その点、外国人登録法の方は、こういうわけで提案をいたしました、内容はこうですという提案理由ができておる。 そこで、民事局長にお尋ねするんだけれども、なぜこういう供託法の改正をしなければならなかったかという点について御説明をいただきたい。
○政府委員(中島一郎君) 供託法の利息につきましては、法務省の一般会計から支払われておるわけでありますけれども、これが年間十八億ないし十九億という数字になってまいりまして、法務省の予算を非常に圧迫するというような実情になっておったわけでございます。特に本年の六月の五日の閣議におきまして、昭和五十七年度予算要求の基本方針としていわゆるゼロシーリングということが決定をされました。そうなりますと、五十七年度予算の要求額は、人件費関係の義務的経費の増を除きまして五十六年度予算の範囲内にするということになるわけでございます。 要求そのものが五十七年度につきましては五十六年度の予算額と同額でございますから、その範囲内におさめなければならないということになります。ところが、法務局関係の五十七年度予算をいろいろと作業をいたしておったわけでありますが、事件の増による経費増それから単価アップによる経費増というようなものがございまして、これをどのように切り詰めましても約八億ぐらいは見なければならないというようなことになってまいりました。一方、ゼロシーリングでございますから総枠は決められておるということになりますので、どこかを削ってこなければこの事件の自然増を中心とする必要不可欠な経費、法務局の仕事をしてまいりますのに必要不可欠な経費を捻出することができないと、こういうことになったわけでございます。 こういった法務局の所掌事務を遂行するために必要不可欠な経費の増加措置をどのようにして賄うかということについて、いろいろ熟慮をいたしました結果、やむを得ない措置として昭和五十七年度から五十九年度までの間、供託金に利子を付さないことにして歳出の縮減を図るということにしたいと考えたわけでございます。
○寺田熊雄君 まことに何といいますか、悲しいことというか、何か情けないことというか、法務当局の御苦心のほどお察しするわけだけれども、どうもやむを得ないといえばやむを得ないけれども、一般の大衆に負担をかけてそうしてやりくりをするという、それはどうも何かみみっちいというか悲しいことで、これはしようがないから後でわれわれが判断することにして、あなた方のやるせない気持ちもわからないではない。 しかし、そこで、日弁連の方ではこの問題についていろいろな意見を出しておられる。この法律の適用を最も受ける関係者といえば弁護士であり、日弁連がそれを総括しておるわけです。そこで、この意見書もわれわれとしては一応重きを置いて考えなければいけません。それでお尋ねをするわけだけれども、日弁連の意見書によると、「国といえども預託を受けた金銭に利息を付することは経済上当然の理であり、政策上の理由によりこれを無利息とすることは国民の財産権を侵害するものである。」と、こういうふうに断じておられる。これについてはあなた方はどういうふうにお考えになりますか。
○政府委員(中島一郎君) 銀行預金でありますとか、あるいは郵便貯金などにつきましては、これは利殖を目的としてされるものであるというわけでございますけれども、供託の場合はこれと違いまして、利殖を目的とする制度ではないわけでございます。供託固有の法律上の利益を供託者が享受をするということに供託制度の目的があるわけでありまして、供託金の利息というものは供託制度上必然的につけなければならないものではないということを考えております。確かに、現在の供託法と供託規則によりますと年一・二%の利息をつけるということになっておるわけでありますけれども、これは供託制度を利用しやすくするための政策的な配慮によるものでありまして、現在の供託法と供託規則が効力を有する限りにおいて認められるにすぎないものであるというふうに理解をしておるわけでございます。 でありますから、法律を改正して供託金に利息をつけないことにする場合におきましては、すでに供託されている供託金について法律改正までに生じた利息金の支払いをする必要があることは、これはもう当然でありますけれども、将来に向かって利息をつけないことにいたしましても、これによって供託関係者の権利が侵害されるということにならないわけでございます。言葉を変えて申しましたならば、供託金の利息はいわゆる財産権というようなものには当たらないというふうに考えておりますので、これを停止いたしましても違法の問題は起こらない、こういう理解でございます。
○寺田熊雄君 金銭に対する所有権も、やはり財産権であることは間違いないでしょう。そこで、資本主義の原則からいいますと、お金というものは、ただ持っておれば利殖の道に役立つものじゃないけれども、どっかに預けるということになりますと、何らかのそれに対する給付があると、何か資本主義の一般原則のようなものがやっぱりわれわれの頭の中にありますからね。だから、国家に預ける場合は、それは全く何らの利殖も生まないというのはおかしいんじゃないかという、そういう素朴な考え方じゃないでしょうかね。 だから、いままではそういう見地に立ってつけておった、ところが今度はそれを取っちゃうんだ、こう言うから、財産権の侵害だという日弁連の批判が出てくるわけで、局長、これはやっぱり、財産権の侵害という考えもできないわけではないけれども、まあひとつ、こういう財政難のときだからこらえてくださいという、そういうおわびになるんじゃないでしょうかね。いや財産権の侵害じゃありませんよと言って、ぽんとはねることにはならないんじゃないだろうか。いかがです。
○政府委員(中島一郎君) 私が申し上げましたのは、いわゆる法律によって保護されております利益と申しましょうか、憲法によって侵害することができないというふうに言われております財産権でありますとか、そういうようなものと比較をいたしました場合に、供託金の利息というものはそれとは違うのじゃないかということを申し上げたわけでございまして・従来の取り扱いに比べましたならば国民の側に不利益の結果になるということは、これは否定できない事柄であろうかというふうに考えております。 しかし、法律改正によってもそれを変更することのできないようなそういう権利関係か、法律関係か、こういうふうな問題としてとらえましたならば、そうではないというふうに私どもは考えておりますということを申し上げたわけでありまして、結果において、先ほども申しましたように、従来の取り扱いに比べて、国民の側に流れておりました利息、全員が国の側にとどまるわけでありますから、そういう意味におきまして従来よりも国民の側に不利益になるということは、これは否定できないことであろうと思っておるわけでありまして、財政難から発したこととは言いながら、そういう結果になるということについては、私どもは申しわけなく考えておる次第でございます。
○寺田熊雄君 なお「供託金に付する利息は、供託金の運用利益に対する対価である。国の運用方法については供託者の関知しないところであり、供託金の保管により国に一定の利益を生じていることは明らかであるから、供託金に利息を支払わないのは右利益を不当に利得するものである。」こういうことを日弁連は言っておる。不当利得論というべきか。これについては、あなた方はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○政府委員(中島一郎君) ただいま申しましたように、国民が得ておりました利息、利益というものは、これは政策的な考慮から現在の法律によってつけられておった利益、利息ということでありますので、いわゆる損失と申しましょうか、これがなくなることによりまして不利益——利益がなくなるということはあろうかと思いますけれども、不当利得の要件として考えられます損失というようなことには当たらない、一方において損失がないわけでありますから、そういう意味で不当利得ということにはならないという理解でございます。
○寺田熊雄君 その金銭の受託を受けた、供託を受けた国家はそれを運用して利益を生む。その利益は本来供託者に還元せらるべきであるという思想が基本的にあるわけですね、これは日弁連の。そうすると、その本来還元さるべき利益を還元せずに、いわばネコババしておる、勝手に自分たちだけで使っておる、それは不当利得だと、こういう論理じゃないでしょうかね。だから、その運用利益というものは現実にどの程度あるものか、これは説明できますか。
○政府委員(中島一郎君) 供託金というものも国庫金ということになるわけでありまして、その国庫金の取り扱いということになりますと、私、直接の所管ではございませんけれども、今回の法案を提出するにつきましていろいろと調べましたところによりますと、これは日銀に預金として預けてあると、こういうことのようでございまして、運用を目的とする全員ではないわけであります。したがいまして、それが何らかの利益を生むということを本来の目的とするものではない。むしろ供託の目的は、先ほども申しましたように、それぞれの供託の制度ごとに特定の目的がありまして、それを供託者は享受しておるということになろうかと思います。 でありますから、供託金に利息をつけるという従来の取り扱いにいたしましても、それは供託金を運用して、その運用することによって生ずる利益を供託者に還元をするという考え方ではなくて、むしろ運用しないわけでありますから運用による利益はないわけでありますけれども、それとは別個に、供託制度を利用しやすくするように、供託制度の実を上げるためにということで始まった制度であるというふうに理解しているわけでございます。
○寺田熊雄君 そうすると、現実にはこの供託金というのは日銀に預けちゃって、国庫としてはいままでもう何らの運用利益は受け取っていなかったんだ、だからそれに対して利息を払っていたのは国庫の損失において供託者に利益を与えておったんだと、局長の御意見だとそういうふうになる。それでよろしいか。
○政府委員(中島一郎君) この収支の関係ということになりますと、非常に複雑な関係になってくるかと思うわけでありまして、確かに国庫に預けました、国庫が国庫金として日銀に預けました預金につきましては、これは利息はつかないという取り扱いになっておるようでございます。しかし、それが全く財産的な利益を国にもたらしていないかということになりますれば、国はそれをいろいろな国の支払いに充てることによって利用しておるということになりますので、全くないかと言えば、そうも言い切れない面がございます。しかし、また一方国といたしましては、供託制度を運用していく上におきましていろいろな経費を支出しておるということも事実でございます。 そういうものをいろいろプラス・マイナスを考えますと、どれだけプラスになるのか、マイナスになるのかというようなこともあるわけでありますけれども、私どもはそこはそのプラスとマイナスは決して対価関係に立っておるものではなくて、一方、国は供託制度を運用するためにかなりの経費を使っておる、また、一方において、供託金を保管しておることが結果的に何らかの利益をもたらしておる、しかし、それは決して対価関係に立っておるものではないという理解でございます。
○寺田熊雄君 いまの局長の御答弁で対価の問題が出てきたんだけれども、それからコストの問題も出てきた。対価関係にあるかないかということを理論的にわれわれが判定することは非常にむずかしいけれども、経済学的に見て、それはどうそのつり合いがとれるのかというようなことは、やっぱり一応、こう頭の中に入れておきたいので、弁護士会の言うように、そのコストの問題、これをちょっと御説明いただきたいんだけれども、一体、供託金は国が受け取り保管する、そして、それ音また返還をする、そういう事務を受け持つことにおいてどの程度のコストがかかっているのか。これはあなた方検討なさったことがありますか。もしあれば、ちょっと御説明いただきたいと思いますが。
○政府委員(中島一郎君) 供託制度を運営、運用するためのコストということでございますけれども、これは法務省関係とそれから日銀関係と両方が共同して経費を使っておるという関係になろうかと思うわけでありまして、そのうち法務省関係だけのものについて考えてみるわけでありますけれども、人件費もございますし、物件費もございますし、あるいは営繕費なども含まれてくることになるわけでございます。 人件費といたしましては、大体法務局関係の職員、約一万名余りおりますけれども、その五%か六%ぐらいの者がこの供託事務に従事しておるというようなことになるのではなかろうかというふうに考えますと、ごく大ざっぱに申しまして、人件費は約三十億ぐらいであろうかというような計算が一応できるわけでございますけれども、それ以外に、それじゃ物件費はどうか、営繕費はどうかというようなことになってまいりますと、法務局は、御承知のように登記でありますとか戸籍でありますとか、あるいは人権訟務でありますとかといろいろの仕事を一体としてやっておりますために、そのうち特に供託関係の物件費はどれくらいで営繕費はどれぐらいでということの計算が、まあ理屈としては何か方法があるのかもしれませんけれども、現実の問題としてはなかなか実体に近いような数字を出すことは困難であるというような実情でございまして、経費的にどのぐらいのものがかかっておるということを、自信を持って申し上げるほどの数字は出ておらないような実情でございます。
○寺田熊雄君 まあ、余りそういう経済学的な考慮というものは、法務省は得手じゃないかもしれぬね。余りその点をしつこくお尋ねすることはやめにして……。 供託の種類というのは、大体どの程度あるものでしょうかね。というのは、供託によって利益を受ける、そういう利益の度合いによって利息をつけるべきか、あるいはそういう供託によって利益を受けるものと利益を受けないものとを区別することが妥当かどうかというようなことを考える余地があるのかどうか、そういう点、いかがでしょうか。
○政府委員(中島一郎君) 供託の種類ということでございますが、どういう観点から分類するかによりましていろいろな分け方ができるかと思うわけでありまして、まず、よく言われます供託の分類といたしましては、その目的によって分けるというようなことが言われるようでございます。 目的によって供託を分類いたしますと、一つは弁済供託というものがございますし、それから保証供託ということで、裁判所の保証供託あるいは営業上の保証供託あるいは税法上の保証供託というようなものをひっくるめまして保証供託というような供託がございます。それから執行供託ということで差し押さえ、あるいは仮差し押さえの債権の供託などをいたすわけでございます。それから没取請求というものがございますが、これはいわゆる選挙供託などの供託でございます。それから保管供託というようなものもございまして、これは押収物換価代金の供託等がこれに当たるわけでございます。それからその目的物のいかんによりまして供託を分けますと、金銭供託と有価証券供託というようなこと、あるいはそれ以外の物品供託というようなものにも分ける方法もあろうかと思うわけでございます。 いま御質問がございましたその供託の種類によって利息の点についてもいろいろ取り扱いを区別するかどうか、考慮する必要がないかどうかということでございますけれども、確かに金銭供託と有価証券供託ということにつきましては、利息をつけるかつけないかというような問題につきましても、あるいは手数料を取るか取らないかというような問題につきましても検討の必要があろうかと思うわけでありまして、将来の検討課題にしたいというふうに考えております。 目的による供託によってそういう取り扱いについて区別を設けることにつきましては、従来余り考えておらなかったわけでございますけれども、いま御指摘ございましたので、今後検討してみたいと、こういうふうに考えております。
○寺田熊雄君 それじゃ、供託の種類とか目的とか内容とか根拠法令、供託金額とか、そういうものについて法務省の方では一応詳細な表をおつくりになっておられるようですから、これをこの法務委員会に資料として提出してください。よろしいですか。
○政府委員(中島一郎君) 承知いたしました。
○寺田熊雄君 次に、前国会で成立をいたしました改正商法に基づいて営業報告書の記載事項などを定める省令の検討を法務省が進めていらっしゃる。これはお仕事の関係上当然であると思うけれども、この省令の試案が一応新聞紙上に公表されておる。これは、できたら午後の委員会でお尋ねをすることにしたいと思います。
○委員長(鈴木一弘君) 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(鈴木一弘君) 速記を起こして。
○寺田熊雄君 じゃ、いまの問題は、また後にお尋ねをすることにします。 最近の新聞紙上に、訴訟円滑化のために民事訴訟法の改正を図るという記事が出てまいりました。これは何か一言で言えば、訴訟の審理促進を図るということがねらいのようであります。これを法制審の民訴法部会に語る、来春にも答申を得て国会に改正案を提出する意向だという記事があります。いま法務大臣が非常にお仕事に熱心でいらっしゃるので、刑法の改正案も何か次の国会にお出しになるというようなことが伝えられておりますし、国籍法の改正も非常に急がせておられるというようなこともあるようであります。すると、この民事訴訟法の改正というのも、やはりそういうふうな見地からお急ぎになっておられるのかどうか。その点、新聞紙に出ましたので、ちょっと御説明いただきたいと思います。
○政府委員(中島一郎君) 最近の実情といたしまして、核家族化が進んでまいりましたし、さらには夫婦共働きの家庭がふえてまいりましたために、昼間、住所あるいは居所に不在であるという家庭が多いわけでございまして、そうなりますと、裁判上の訴訟関係書類の送達が円滑に行われない、それがいろいろむだを生じておる、ひいては裁判の遅延の一因にもなっておるというような実情にございますために、この点について、従来は住所あるいは居所で送達をするという民訴の規定に対しまして何らかの手当てをすべきじゃないか、たとえば勤務地においても裁判上の書類の送達ができるようにすべきじゃないかというような御意見が出まして、もうかなり久しいものがあるわけでございます。 そういうことになりますと、それとあわせて、民事訴訟法の根幹には触れないけれども、裁判の簡素化と申しましょうか、合理化と申しましょうか、促進化と申しましょうか、そういうものに役立ついろいろな法改正が考えられないかということが議論になったことも事実でございます。たとえば、期日の変更事由を厳しくするとか、あるいは判決書の記載を簡易化する、証拠の摘示を省略するというような問題、あるいは事件が判決によらないで終了した場合の証人尋問調書あるいは検証調書の作成を省略するとか、そういったような事項についても検討すべきじゃないかというような意見もあるわけでございます。 もちろん、これらの改正を行いますためには法制審議会の審議を経る必要があるわけでありますが、法制審議会の民事訴訟法部会では、来る十二月十六日に開催される予定の部会におきまして、さしあたりただいま申しましたような諸点を取り上げて審議をされる予定であるというふうに承知いたしております。ただ、審議の結果、どういう答申になりますかというようなことは、これはもっぱらもう審議の結果いかんによるわけでありまして、私どもといたしましては、審議の結果による答申がございました場合には、それを見て対応を考えたいというふうに考えております。 答申がございますれば、その結果によりましては法案を作成するというようなことになるわけでありましょうけれども、決して私どもの方で一定の計画、スケジュールを持って事を進めておるというようなことではございません。
○寺田熊雄君 そうしますと、いつ民訴法部会にお諮りになるのかということになりますが、それは具体的な日程がもうできておるんでしょうか。
○政府委員(中島一郎君) これは昭和二十六年だったかと思いますけれども、法制審議会に対しまして、民事訴訟法を改正する必要があると思われるがその要綱を示されたいという諮問がすでに出ておるわけでございます。その諮問を受けて法制審議会では民事訴訟法部会において審議をされまして、必要なものを逐次答申をいただいておるわけでありまして、その中にはすでに立法されたものもあるわけでありまして、その基本的な諮問に基づいて今回法制審議会の民事訴訟法部会においてこの問題を取り上げられるということになるわけでございます。
○寺田熊雄君 そうすると、昭和二十六年の諮問に対する応答みたいなことになるので、とりたててあなた方がこういうことについて審議してくれという具体的な条項を示して、そしてその反応を見るということじゃないわけですか。向こうが自発的にやること、そういうふうに承ってよろしいか。
○政府委員(中島一郎君) 法律的にはそのとおりでございますけれども、やはりこの問題を取り上げていただくにつきましては、私どもの方から若干の働きかけをしたというようなことはあろうかと考えております。
○寺田熊雄君 そうすると、その働きかけはもうすでになされたんでしょうか、まだこれからなんですか。
○政府委員(中島一郎君) 次回の民訴法部会は、先ほど申し上げましたように十二月の十六日ということでございますが、その際に、現在欠員になっております部会長を選任して民訴法部会を軌道に乗せていく、そして今後の進め方等についてフリートーキングと申しましょうか、そういうことをまずやっていただくというような予定になっておるようでございます。その際に、当面裁判所あるいは法務省側で考えておる問題としては、先ほど申し上げましたような送達制度に関する手当ての問題その他というようなものがあるということを申し上げまして、御検討をいただくということになるわけでございます。
○寺田熊雄君 そうすると、日弁連との協議というのは法制審民訴法部会の答申というか、あるいは答申らしきものが出た後になりますか。
○政府委員(中島一郎君) 答申後におきまして、そういった所要の手続をとることが必要なものにつきましては手続をとるということになろうかと考えております。
○委員長(鈴木一弘君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。 午後零時二十五分休憩 —————・————— 午後一時二十七分開会
○委員長(鈴木一弘君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、供託法の一部を改正する法律案を議題とし質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○寺田熊雄君 先国会で成立いたしました改正商法に基づきまして、営業報告書の記載事項について省令でこれを決めることになっております。この作業は現に進んでおるんでしょうか。また、いつごろを目指して作業をしておられるのか、この点をお答え願いたいと思います。
○政府委員(中島一郎君) お尋ねの省令につきましては、国会における附帯決議におきましても法制審議会の意見を尊重して作業を進めるべきであるという決議もあったところでございまして、私どもといたしましてはまず法制審議会において御審議をいただくという手続をとったわけでございます。 その第一段階における審議を終わりましたところで、先月の十月九日であったかと思いますが、法務省民事局の参事官室の名前で省令制定に関する問題点というものを公にいたしまして、現在各界の御意見を伺っておるような段階でございます。 見通してございますけれども、法律の施行が来年の十月の一日ということになっておりますので、それに必要な省令ということになりますれば、来年の春ごろには省令を制定するという運びにいたしたいということを考えております。
○寺田熊雄君 この記載事項につきましては、財界の方はなるべくこれを薄めようとしておる。ところが、正しきを求める学者の方では、やはり改正商法の所期した、いやしくも株式会社制度と政治的な腐敗とが結びつくようなおそれがないように、できるだけ正しい理想を追っていけという、そういう理想をどこまでも追求してほしいという意見がある。法務当局としましては、そういう自己の利益のみを追求する財界の意見に屈しては困る。できるだけ理想を追求して、商法所期の目的を達していただきたいと私どもは考えておる。 そこで、具体的なことをお尋ねするというのはまだその段階ではないようでありますが、民事局長としましてはどういう御抱負を持ってこの作業に臨んでおられるのか、そこのところをちょっと御説明いただきたい。
○政府委員(中島一郎君) ただいま申し上げましたように、現在各界の意見をいただいておるところでございますけれども、この御意見をいただきました上で法制審議会の審議をもう一度お願いするという予定にいたしております。 法務省令の目的としておりますディスクロージャーの充実に関しましては、それぞれの立場からいろいろの御意見があるわけでありまして、私どもといたしましてはそれぞれの立場からの忌憚のない御意見を伺いまして、とるべきものはとる。そして、できるだけ商法の理想とするところを実現することができるような、そういうものを作成するように努力したいと考えております。現実と余りに離れたものを作成するということも問題でございますが、他方また、いたずらに実務界の要求に流されてしまうこともないように、妥当な結論を求めてまいりたいと考えております。
○近藤忠孝君 最初に、この法案を出しました法務省の責任者として、大臣にお伺いしたいと思います。 午前中も寺田委員から、いわゆる人の道発言に対しましていろいろ質問がありました。大臣は一貫して、一般論としてふだん考えていることを述べたまでだと、こう言うのですが、私はそれでは理由にならないと思うんです。 その関係で、まず大臣にお伺いしますが、大臣は衆議院議員に当選された回数は何回で、在職年数は何年でしょうか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 当選回数七回、約十八年でございます。
○近藤忠孝君 そして、文部大臣、法務大臣をずっと担当されておりました。途中、間はあいておりますけれども、いわば私は政治家としては熟達した政治家であると、こう思うんですね。そうであれば、発言というのは時と場所によって大変重大な意味を持っている、こういうことは当然わきまえて発言をする、これは当然だと思うんですが、その点どうでしょうか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 大事なことだと思います。同時に、発言した人と聞いておった人、聞いておった人がどういう報道をするか、それも大事なことだと思います。
○近藤忠孝君 報道の問題はさておきまして、一般に大臣の発言は報道されることが多いわけですね、重要な問題については。となれば、その発言がどういう影響を持つのか、私はそれをわきまえて発言する。それをわきまえずに発言するとなれば、私は大臣失格であると思いますし、特にいろいろ法の解釈とか司法に関する問題では大変影響の大きい法務大臣としては、そのことがきわめて大事だと思うんですね。そういう点からいまお考えになって、今回の発言について、そういう大変経歴の深い政治家、そして大臣を何回も経験されたそういう者としては大変不適切な発言だったと、こういう反省はございませんか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 記者会見という大事な場所での発言でございますから、私なりに検察庁のやっていることを批判したくありません、批判するつもりもありません、また事件に介入する意思もありません、お尋ねですから一般論として答えます、こういう二点が大切だと思っています、しかし、いま行われていることがこれに当たるとか当たらないとか言っているわけじゃありませんよと申し上げたわけであります。
○近藤忠孝君 そのことは繰り返し答弁されているんですが、私がいま大臣の当選回数まで引き出して指摘したのは、そういう前提の問題、どう前に説明しようと、話の中身そのものが大きな影響を持つのだ、そのことをわきまえて発言すべきだということを私は指摘をしたわけです。検察に対する批判でないと前置きをしたと言うんですが、私はそれは口実にならぬと思うんですね。たとえば、私はあなたをなぐるつもりはないと言ってなぐったら、前置きしておったからいいんだと。なぐるのは行き過ぎにしたって、相手の心にぐさっと刺さるような発言をすれば、いかに前にあなたを批判するつもりはありませんよと言っても、批判する結果になる。これは世間、常識じゃないでしょうか。そういう常識は、大臣お持ちじゃないんでしょうか。
○国務大臣(奥野誠亮君) いま伺っていますと、質問を受けたときに答えるなという御趣旨だと思うのです。私は従来から、そういう姿勢はよくない、できる限り率直に答えながら意見を交換する。それでなければ社会は前進していかない。大事な記者会見の席でございますから、やはり社会前進への話し合いの場所に私は対応していかなければならない、こう思っているわけであります。 同時に、いまお示しになりました例と私の場合とは若干違うのじゃないかなと、こう思っているわけでございます。
○近藤忠孝君 私は、発言するなどとは一つも申しておりません。やっぱり経験豊かな大臣として、その場にふさわしい発言があったのだろうと思うんですね。 私が引用した例と大臣の場合とは違う、こうおっしゃいますけれども、検察を批判する気はないと言って検察を批判した発言一いや、内心はこれは別ですよ。しかし、客観的にそうとられる発言を大臣のような立場にある人がすることは、それはやっぱりまずかったんだろうと。だからこそ、これだけ大きな問題になって、各界からの批判も出ているわけですね。いままでの大臣の答弁を見ていますと、その面の、自分が置かれているそういう重要な立場からの発言という、そういう反省は全然ないんです。私はこれから若干質問しますけれども、ひとつそういう立場から、これからの私の指摘を聞いていただきたいと思うんです。 問題は、大臣がこの発言を問われたときに、一体何が問題だったのか。その点、大臣どう理解しておりましたか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 榎本前夫人を証人として尋問したことについての考え、感想といったようなものを問われたわけでございました。検察庁のとった行為について私に意見を求めてきたのだと、こう思ったわけであります。そこで私は、検察庁は元来こういう二つをわきまえて、その総合的な判断の上に立って行動すべきものだと考えているものでございますので、そういう意味合いで申し上げたわけであります。
○近藤忠孝君 榎本前夫人が証人に出たというのは、これは一つの事実で、日常、夫人が証人に出るということはあることですからね。問題は、その結果、世間から大変注目を浴びて、大臣にまで質問をしたのは、その証言によって何が問題になっておったのか、そのことを私はお聞きしているんです。
○国務大臣(奥野誠亮君) いろいろ話題になっておりましたから、それについて榎本前夫人を呼んだことについて感想を求められたのだと、こう理解したわけであります。要するに、検察庁のとるべき姿勢についての私なりの感想を求められたのだと、こう理解して二つを申し上げたわけであります。
○近藤忠孝君 では、私の方から指摘いたしましょう。このときは榎本前夫人によって、榎本亭主の方ですね、そのアリバイが根底から崩壊をして、丸紅から田中角榮への金銭授受の、その否認の田中側の主張が致命的打撃を受けた。これはまさに一つの問題です。それから、その際に田中弁護団側は反対尋問しませんでした。これは私、弁護士から見まして反対尋問をしない方がよかったと思うんですね、弁護団の立場に立ては。こういう証人に対して反対尋問をすれば、よけい固まっちゃって、むしろこれは弁護団側にとってはマイナスになりますから、そういう意味では反対尋問できなかった。そして、その腹いせかどうか知りませんけれども、弁護団側は、検察の行為は親子、夫婦間の人情に反する暴挙だ、そして、こうまでしなければ立証できないのかと検察の姿勢に暗然とするというこういう検察非難をしていた、こういう時期です。だからこそ注目されたんですね。 大臣は、これを聞かれたときに、いま私が指摘をした二点、榎本前夫人の謹言の持つ重大な意味、特に田中角榮に対する重大な影響、もう一つはそれに対する弁護団のこの発言、その事実があったということを御承知の上、先ほど来問題になっている発言をしたんでしょうか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 当時の報道は読んでおります。また、アリバイをどう判断するかということにつきましては、これは裁判所が両者の意見を聞いて公正に判断されることだと、こう思っております。また、弁護団がどう言われたかということについて、私がとやかくの批判をすべきものでもないと、こう思っております。
○近藤忠孝君 そうしますと、弁護団側が、親子、夫婦間の人情に反する暴挙、これは言葉をかえて言えば人の道に反すると、こういうことと同義語ですね。すると、大臣は、この弁護団側の発言があったことを御承知で、まあ一般論という前提はっきましたけれども、その上であの発言をなさったと、こう聞いてよろしいんでしょうか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 率直に申し上げますと、田中弁護団の批判はそのときは承知しておりませんでした。なぜ私の話がああいうふうにとらえられるのだろうかなということを関係者に聞いてみましたときに、弁護団の批判があったからそういうふうに批判を招いたのじゃないでしょうかと言う人がありましたので、改めて弁護団がどういうことを言っているかということを伺いましたら、人情に反するというような式のお言葉がありました。私は私なりに、またいろんな考え方を持っておるわけであります。しかし、また批判にわたりますので、それはこの際は避けさしておいていただいた方がいいだろうと、こう思っております。
○近藤忠孝君 私は、いまの答弁は大変大事な発言だったと思いますね。まさに私、いまの発言自身から大臣として不適格だと、こういうことをよけい痛感するわけです。なぜならば、大臣は弁護団側の発言を知らずして全く弁護団側と同じ発言をしたんですよ。そこで、病は大変重いんじゃ次いでしょうか。ということは、弁護団側が考えたこと、奥さんを、前夫人を呼んだことに対して、これは人の道に反する趣旨の発言をした。全くそれは知らなかったけれども、奥野法務大臣も同じ発言をした。そうじゃありませんか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、人情に反するということよりも、もっと違った角度の考え方を持っております。しかし、ここで申し上げますことはまた批判にわたってきますので、そういうことは避けておきたい。 同時に、私は人の道に外れてはいけないということを言っただけじゃないのです。不正の追及を徹底してやらなければ広く国民から支えられる存在にはならない、広く国民に支えられる存在であってほしい、こう言っているのです。加えて、人の道に外れるようなこともしてはならない。いろいろなことを検察としては総合的に判断して最善の道を歩んでいるものだと、こう考えているわけであります。
○近藤忠孝君 大臣の言う人の道が何であるか、これからお伺いしたいと思うんですけれども、しかし大臣は、後でこの弁護側の発言を知った。で、なるほどと思ったというんでしょう。そうですね。なるほど自分が批判されるのはあたりまえだと、そうじゃないですか。後でわかっても、自分の言った、たしか二つのことを言われた。その一つが、大臣に言わせれば恐らくひとり歩きしたと思うんでしょう。しかし、それにしたって、客観的に全く符合すること、だからこそ検事総長も、検察は人の道に反することはしない、こうきっぱり言い切ったし、世間も、まさにそれだからこそ奥野さんに批判の目を向けたんですよ。そうであれば、自分の述べた発言、しかも大臣を何回も経験されている経験豊かな人が、経験豊かだからこそ大臣に私はなっていると思うんですけれども、そういう立場の人間がしゃべったことが客観的に見れば適切じゃない。当然私は反省として出てきてしかるべきだし、そういう面の、まずかった、こういう発言があって私はしかるべきだと思うんですが、いまだにそういうお考えはありませんか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私が記者の皆さん方と話したこと一部始終、全部仮に速記録でもとられておって、そのとおり公になっておったら、私はああまでの批判は受けなかったのじゃないだろうかなといまでも思っております。 同時にまた、どうしてそういう批判につながったのだろうかなと、ここにいます前田刑事局長に尋ねたのです。そのときに前田刑事局長が、弁護団がこういうことを言っていますよ、それと同じようにとられたのじゃないでしょうかなということがありまして、そこで、新聞記事にどう書かれているかということをひとつ調べて持ってきてくれということを秘書官に頼んだのです。そうして見たら、人情ということがあったわけです。 私はまた、いろいろな考え方を持っているのです。しかしここで申し上げることは避けたい、こう言っているわけであります。
○近藤忠孝君 しかしそのとき、なるほどここでつながっておったのか、これはしまったことをした、やっぱり発言は慎まなきゃいかぬと、私はそう思うのが午前中米言われている率直な態度だと思うんですが、ここまで指摘されても、大臣まだそういうお考えはお持ちにならないですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私なりに注意をしながらお答えをしたわけでございました。ですから、もし大きな批判を受けるのなら黙っておれということに相当するのじゃないかと思うのです。しかし、先ほど寺田さんも言われましたように、批判があるじゃないかとおっしゃいましたから、それは批判があることは承知していますし、批判は謙虚に受けとめてまいりますと、こうお答えをしたわけであります。
○近藤忠孝君 大臣の今回の発言だけでなくて、何回も同種の批判を受ける問題が重ねられているから私は申し上げます。これは昨年の八月五日、閣議後の記者会見で、このときはDC1〇の問題が大きな問題になりました。このことについて、時効になっているものを掘り下げてどうなるのか、犯罪にはならないんだからと、こう語ったとか、あるいは、これに関係して、ロッキード事件以来一連の航空機疑獄事件について、これは大臣の発言ですが、アメリカに振り回されている、どうも日本人の言うことよりアメリカ人の言うことを信用する空気になっている、もうこの問題はいいかけんにしてもらいたいと語ったと。これで当時も大問題になりましたですね。 となりますと、先ほどの発言は、全然事前に知らなかったけれども、全く田中弁護団と同じ趣旨の発言が自然に出てくる、まあもう一つ言ったにしましてもね。となりますと、大臣が相談もしない、事前に何も知らなくてもおのずとこういう考えが出てくるんじゃないか。むしろそのことが問題じゃないか。となれば、いかに前置きをしようとしまいと、そんなことよりも、そういうお考えをお持ちの大臣が大臣としてふさわしくない、そういう批判を受けるのだという、そのことに大臣は思い当たらないんでしょうか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 近藤さんは、けんかしている相手の一方を証人に立てることはいいじゃないかと、こうおっしゃっているわけですけれども、それについてはまだ違った考え方もある。私はいろんな考え方があってもいいと思うのですけれども、近藤さんのお考えを一方的に私に押しつけられているような感じがするわけであります。しかし私は、弁護団の考え方のとおりに考えているわけじゃありません、こういうことを申し上げておるわけでございまして、また、検察庁は検察庁として人の道も考えていれば不正の追及も考えている、総合的な判断をして結論を出していると思うのですと、こうも答えているわけでございます。
○近藤忠孝君 私の言ってもいないことをとらえて大臣、反論されても困ると思うんです。私は、一方の証人云々なんということは全然言っておりませんよ。私が言っておるのは、大臣がどういう意図であったか、あるいはどういう表現をしたかどうかは別として、客観的にそういう評価を受ける、そのことに対して経験豊かな人が、それはやっぱりまずかったという、気をつけようという、それがあってしかるべきじゃないかということを指摘したんですが、それにはお答えにならないで、依然としてそういうことをお答えになっている。私は、その問題はもうそれ以上指摘しません。大臣はそういう点では全く、より一層大臣としては不適格だということを指摘をしたいと思うんです。 それでは大臣、先ほど言われた人の道、大臣がそのとき頭に浮かべた人の道というのはどういうことでしょうか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私はあのときに、人の道という言葉を使ったのと、人倫という言葉を使ったような気がするのです。人の道というのは、人の守るべき道と言葉を加えて言えばより正確になるのじゃないかなと思います。人倫という言葉を使ったわけでございますけれども、道義という言葉を使っても同じような気持ちで申し上げているというつもりでございます。
○近藤忠孝君 そういう点でお聞きしますと、賄賂罪についての大臣のお考えを聞きたいと思うんです。これは一般論でいいです。これはやっぱり職務の公正に対する国民の信頼を裏切るものということで、わけてもやっぱり破廉恥な人の道に反する、そういう性格の犯罪であろうと思いますが、大臣の御認識はいかがですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 贈収賄罪、あってはならないことでございますし、社会秩序にもとる行為だと思っております。
○近藤忠孝君 そういう収賄罪に総理大臣の地位を利用して犯罪を犯したということは、人の道という面からいけば最も悪質な犯罪であろう、こういう御認識はお持ちだと思いますが、どうですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) いま裁判で争われていることでございますから、具体の事実についてどうこうと言うことは、私は避けておいた方がいいと思います。しかし、だれであろうと、贈収賄罪というのは私は社会秩序を乱す重要な犯罪だと、こう思っております。
○近藤忠孝君 私は何も特定の事件を指しているんじゃなくて一般論として聞いたつもりですけれども、これはお答えにならないようですね。 そうだとしますと、今度は賄賂罪の中身でちょっと刑事局長にお聞きしますが、いままで起訴された賄賂罪のうち十万円以上五十万円以下が何%か、また五十万円以下というのは全体の何%ぐらいを占めておるのか、この点についてお答えいただきたいと思います。
○政府委員(前田宏君) 刑事局におきまして、特に賄賂罪についての賄賂金額別の統計はとっていないわけでございますけれども、一つの研究といたしまして昭和五十一年じゅうに全国の地方検察庁において起訴され、あるいは起訴猶予になった事件があるわけでございますが、その三百九件につきまして調査した結果が公表されております。それによりますと、やや細かくなりますけれども、五万円未満が二三・九、十万円未満が一五・二、五十万円未満が三三・三、こういうパーセント。になっております。
○近藤忠孝君 そうしますと、ほとんどが大体五十万以下なんですね。それに比べまして五億円というのは、これは五十万の何倍になりましょうか、大変な額になりますよね。要するに、こういう低い金額でも、やっぱりそれは人の道に反するということで検察が厳しく取り締まっておるんです。となりますと、それをさらに指導する法務大臣として、やっぱり五億円という収賄がこれはどの程度悪質なものか、これについて私は感想があってしかるべきだと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 贈収賄罪の嫌疑については、徹底的に追及していくべき性格のものだと思います。
○近藤忠孝君 先ほどから質問と答弁が全然食い違っておるんですね。私は、五十万円の一千倍にも相当する大疑獄ですね、五億の収賄というのは。それのいわば人の道という面から見て、大臣の御感想を聞いたんです。どうでしょうか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 近藤さんは特定の事件に結びつけようというような質問の仕方をされるものだから、私はあえて一般的なお答えの仕方として、贈収賄罪は徹底的に追及すべきものだと心得ておりますと、こう申し上げておるわけであります。
○近藤忠孝君 それだったら、特定の事件だから答えられないと言うのが、あるべき答弁だと思うんですね。 それでは、お答えにならないのでさらにお聞きしますが、この事件で榎本前夫人が証人に立つについては経過があったと思うんです相。その経過の一つは、やはり榎本アリバイ問題、私はこのアリバイを主張された当時から、これはとても物になるようなものではないという認識を持っておりましたが、実際これは検察の方の努力で次々に崩れて、そして最終的に榎本前夫人の証言でとどめを刺されたというのが全般的なだれもが見るものだと思うんです。 ただ、私は、この過程で問題になっておりますのは、榎本前夫人が語っております、田中の周辺が権力をかさに司法当局にまで圧力をかけていることを無視できなかった。圧力とは何か、こういう質問に対しまして、圧力とは検察で九回にわたって取り調べを受ける中で感じた、たとえば供述の裏づけに対して謹言をちゅうちょする人、あるいは証言を拒む人がおった、こういうことを言っております。 そこで、これは刑事局長にお伺いしますが、一体こういう事実があったのか、またこういう感じを榎本前夫人に感じさせること自身、私は検察の権威にかかわることだと、こう思うんですが、刑事局長の御答弁をいただきたいと思います。
○政府委員(前田宏君) 榎本前夫人がどういうことからそういうような感想といいますか、印象を持たれたかはよくわからないことでございまして、したがいまして、検察当局としてそれを放置したといいますか、そのことについて責任を問われても、ちょっとお答えできないような問題ではなかろうかと思います。
○近藤忠孝君 政治権力の司法、わけても検察への圧力ということはしばしば言われておることです。その一端として、私は榎本前夫人のこの発言が出てきたのだと思うんです。 もう一つの面から言いますと、田中弁護団、メンバーを見てみますと検察OB、しかも大変重要な地位におった検察OBがおりますが、この辺はどう把握しておられますか。
○政府委員(前田宏君) いわゆる田中弁護団と言われる弁護人といたしましては、現在八人の方が活動しておられるというふうに承知しております。その中で、御指摘のように。検察官の経験を持っておる者が含まれておることは事実でございます。
○近藤忠孝君 検察官の経験を持つ中でも、たとえば高検検事長あるいは地検検事正等々、いわば検察の最高首脳に属するそういった人々が相当数占めていますが、何人ぐらいおりましょうか。
○政府委員(前田宏君) 検事長の経験を持たれた方が二人おられますし、検事正の経験を持たれた方が一人おられますが、そのうちの検事長の経験を持たれた方はその後裁判官にもなられておる、こういうようなことでございます。
○近藤忠孝君 政治の検察への圧力ということが世間で言われておるのは、こういう実態も一つの要素になっておると思うんですね。 そこで、これは大臣にお伺いしたいんですが、検察OBが、しかも大変主要な地位を占めた人々が特にこういう政治的な色彩を持った事件の中心的弁護人を担当する、こういうことについては大臣、御感想はお持ちじゃないですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 検察OBとして活動しているということじゃなしに、検事をされている方は弁護士も行えるわけでございますので弁護士を営んでおられる、弁護士として活動しておられるもの、こう思っております。 同時にまた、現役の皆さん方、法を適正に執行していく、そういうことについては信念を持ってやっておられるわけでございますから、仮にそれを曲げるようなことをOBが言いましても、それに耳を傾けるような私は存在でない、また存在であってはならない、こう思っておるわけであります。あくまでも弁護士と検察との関係において話が持たれる、こう理解しております。
○近藤忠孝君 検察OB、あとは弁護士として自由だというお考えのようですけれども、私は必ずしもそうじゃないんじゃないか。検察の国民に対する信頼を確保するという面で、その点についての配慮があってしかるべきじゃないか。現に私は、奥野発言が起きたこの前後に、これは別の検察OBですが、ああいう弁護団のあり方自身についての反省も出ておるようですね。ということは、それで初めて検察の権威が保たれる、公正が保たれると、こう思うんですね。現にこれは別の高級官僚、大蔵省なり別の官庁の高級公務員が退職後第二の道を進みますね。それについても、いわゆる天下りということでいろいろ問題になりました。これは政治的にも法律的にも問題になっている。となれば、私は検察のOBの問題についても同じようなことが言われてしかるべきじゃないか、また、大臣としてその辺についての所見があってしかるべきじゃないかと、こう思いますが、いかがですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 人によっていろんな見方があるのだろうと思うのですけれども、検察官をやった人たちがさらに弁護士業界に進むという道を閉ざすというほどの私は気持ちは持てない。仕事の関係においてお互いに道はわきまえていかなきゃならない、それはよく理解いたしますけれども、職業を閉ざすということについては、そこまでの気持ちをいまの私にはなかなか持てないというところでございます。
○近藤忠孝君 そうしますと、政治権力なり金があれば、いわば検察OBのそうそうたるところを確保してどんな弁護体制もできると、そのことに対する不信、それが私は今回も榎本前夫人のあの先ほど申し上げた発言になっておりますし、それからその際に奥野法務大臣の発言が出てきたからこれほどの大きな問題になっていると、こう思うんです。 ちょっと真っ正面な答弁がないので、また次の角度からお聞きしたいと思うんですが、これは警察の方にお伺いしたいんですが、ロッキード関係あるいは航空機疑獄関係をめぐって変死、自殺も含めてですが、大分あるやに伺っておりますが、その状況はどうでしょうか。
○説明員(仁平圀雄君) 幾つかの自殺の事例ございますが、私どもが承知いたしておりますのは昭和五十一年八月二日、笠原運転手の自殺があるということがございます。 事案の概要を申し上げますと、当日午前十時ごろ埼玉県比企郡都幾川村の通称大野林道というところにおきまして林道の改修工事をやっております作業員が、普通乗用車内でエンジンをかけたまま後部の排気口からビニールホースで排気ガスを引き込んで死亡している男を発見いたしまして、所轄警察署に届けられたという事案があります。
○近藤忠孝君 ちょっと済みません、時間の関係で中身は結構だから。項目だけで結構です。
○説明員(仁平圀雄君) ロッキード事件の関係で自殺者が何人出たかということは、私ども把握しておりません。もし必要ならば、これは調査すればすぐ出ることでございます。現時点では承知しておりません。
○近藤忠孝君 これはさらに調査をお願いしたいと思うのですが、こういう航空機ないしは政治汚職絡みでは、いままで山口空将補の自殺、それからいまの笠原運転手、さらに日商岩井の島田三敬氏等々相次いでおりますね。なぜこういうのを引き合いに出したかといいますと、今回の榎本前夫人の証言に野して、この女性の身辺を心配する向きがずいぶんあるのです。そういうことについて、これは警察並びに法務省としてそういう御心配は全然していないのかどうか、これについて答弁いただきたいと思います。
○説明員(仁平圀雄君) 当然、前捜査というものは、関係者の人権を尊重しつつ事案の真相を究明するというものでございますから、過去こういった事件で幾つか自殺のケースがあったということからいたしまして、関係者の事情聴取等につきましては、時間、場所、その方法等につきましては十分に配意してきたつもりでございますし、これからも一層注意してまいりたいと考えておるわけでございます。
○近藤忠孝君 法務省どうでしょう。
○政府委員(前田宏君) ただいま警察からもお答えございましたように、関係者について取り調べをする、あるいはその前後のことにつきましてそれなりの配慮をすることは当然でございますし、現にやっていると思います。ただいま御指摘のような身辺警護というようなことになりますと、これは警察の問題ではないかというふうに思っております。
○近藤忠孝君 時間の関係で、また後ほどやります。
○藤原房雄君 供託法と外国人登録法案が付託されておるわけでありますが、その前に、いま問題になっております大臣の発言問題についても、これほどいろいろな論議を醸しておるわけでございまして、しかし、国会におきましても内閣委員会や、また行財政改革特別委員会等におきましても、また本日先輩議員からもいろいろ御指摘がございました。大臣の率直な御意見、そしてまた、ちょっとどうかといういろんな問題点につきましては、私なりにある程度理解もし、また問題点も整理されてまいりましたが、このことに多くの時間をとるわけにもいかぬ法案を抱えておりますのであれですが、また重複する点もございますので、いろいろ考えておりましたことを一、二点にしぼってお伺いをしたいものだと思うのであります。 一つは、去年から——去年というより大臣就任以来、大臣の御発言というのはそのときそのときに非常に大きな問題を醸したといいますか、大臣の言い方からすると、私は真っ当なことを言ったのだけれども取り方がいろいろあるのだという言い方になるのかもしれませんが、国会におきましてもいろいろな物議を醸し、委員会でも問題になったことは、もうくどくどと申し述べることはないだろうと思うのであります。そういうことで、また内閣の中でも去年の改憲論議のときにおきましても、国会におきまして鈴木総理大臣からもいろんな釈明があったり、今後のことについてもいろいろお話があったわけであります。そういう経緯がこれありの中での今回の大臣の御発言、それなりに大臣も慎重さというか、先ほど午前中の審議の中にも慎重に前置きをしてお話をしたんだということです。それはいままでのことから、当然大臣もそういう心構えであったのだと思います。それだけに先ほどお話を聞いておりますと、私の言うことが十分理解されていないというか、いろいろな考え方があるんだなというふうに受け取ったというような御発言等先ほどからございました。 いずれにしましても、慎重さというか、いままでの経緯これあり、そういう中での大臣の発言ですから、前提を置いたとは言いながらやっぱりこういう時期ですから慎重に話ししなければ、慎重な取り組みでなければまたいろんなふうにとられる、または問題を醸し出す、こういうことの危惧というのはやっぱり大臣の心の中にはあったんだろうと思うのですけれども、その辺はどうでしょう。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、常日ごろ人それぞれ考え方にはいろんなものがある。十人十色と言われますように、物の見方、物の考え方にはいろんなものがある。自分の考え方と違っているからといって相手を誹謗するのではなしに、相手の考え方は相手の考えとして尊重しながら耳を傾けて、さらに意見を交換し合いながら進むところに社会の発展があるのだと、こう考えておる人間でございます。そういう考え方でございますので、聞かれればなるたけ自分なりの考え方を述べる。もちろん相手がそれに反対であればそれなりの批判はするだろう、そういう関係を大切にした方がいいのじゃないかなと、こう思っておるわけでございます。 したがいまして、私はすぐ結論的に罷免というような言葉が出てくる政界でないようにした方がいいのじゃないかなというのが率直な私の希望でございます。私の言っていることが常に一〇〇%正しいのだと、そううぬぼれた考え方は持っておりません。しかし、一〇〇%正しいように努力していかなきゃならない、そういう気持ちもあわせ持ってはおるわけでございます。したがいまして、いろいろ御批判いただく、これは私はありがたいことだと思っているのでありまして、決して忌避しているつもりではございません。御批判は御批判として受けとめてまいりますということは寺田さんにも申し上げましたし、これからもそういうつもりでおります。 しかし、あのときに、私としては誤まられないようにそれなりの注意をして答えたつもりでございましたけれども、結果はいろいろな御批判を受けてしまったわけでございます。幸いにして国会でこうしてお尋ねいただくわけでございますので、そのことを通じまして私の当時の考え方も御理解いただける面も多くなるのじゃないだろうかなと、こう思ったりもしているわけでございます。批判を心配していますと、あのときに答えないでおけばよかったじゃないかと、こうなるわけであります。やっぱり私は、お互いに意見を交換し合いながら前進を図っていった方がいいのじゃないだろうかなと、いまもそう思っておるわけでございます。
○藤原房雄君 大臣のお考えを率直にお聞きしつつ、また意見を言い合う、こういうことはこれは言論の府ですから当然のことでありますし、私どもそういうことに対してどうこう言っているわけでは決してございません。しかし、去年のあの改憲問題がいろいろ問題になりましたとき、同僚委員からもいろいろ指摘されましたし、私どもも申し上げ、確かに大臣は率直に物をおっしゃる方だという、こういう人物像が浮かび上がったような——それはそれでいいんですが、ただここで問題なのは、しかし、現在法務大臣という非常に重要な地位にある、しかも検察陣が総力を挙げて取り組んでおる重大な問題が顔前にあり、そして国民注視の中に裁判が行われておるというこういう中で、大臣の思うことを率直に申し述べることは性格としてまことに結構なことだと思うんですけれども、大臣という公的な立場に立ちますと、意見の交換とか何かということじゃなくて、やっぱり影響の大きい問題についてはそれぞれそれなりに取捨選択、こういうことは当然考えなきゃならないことではないんでしょうか。 大臣がどういうことをどういう立場から言いましても、どんな話をしても批判はあるんだという、これは一般論としていろんな問題については確かにそれなりの意味はわかるんですけれども、現在こういう時点におきまして、こういう問題の渦中にあって、そういう立場にある大臣の御発言ということになりますと、そういうことは当然慎重さのその言葉の中に入っておるのかもしれませんけれども、先ほど来いろんなお話がございまして、私も聞かしていただいておりましたが、法的に言って大臣が第何条のどこに抵触してどうだとか、そういう法務委員会としてもっと法的な問題については論議しなければならないのかもしれませんが、そういう問題については確かに指摘するようなことはないのかもしれませんけれども、こういうときであるということや、また大臣の立場ということや、そういうことから考えますと非常に誤解を生む、またそうとられやすい発言であったということは、これはもう大臣も率直に意見を交換する交換しない、率直に言う言わない、そういうことではなくして、今回のこの問題を率直に考えますと、そういう私どもはやっぱりこのときにこの発言はふさわしくないことではなかったのか。何でも口をつぐんで、知らぬ存ぜぬ、こういうことをすれば問題が起きないから何も言うなということかという、こういうふうに言われるとこれは困るんですが、現在の大臣の立場として、公的な立場の発言、記者会見という公的な場でありますから、それなりにやっぱり大臣の判断というものがあるのじゃないかと思うんですけれども、そういう点ももちろんお考えの上でのことなのかもしれませんが、しかし、今回こういうふうにいろんな立場で論議になったこと等考え合わせますと、大臣としてもやはりこれは慎重さを欠いたということは言えるんじゃないかと思いますが、どうですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 藤原さんのお話を、御好意のある御批判と受けとめさせていただきます。
○藤原房雄君 それから、大臣一般論ということでお話——そのいきさつや何か、いろいろございます。その点については先ほど来お話ございましたので、私は重複を避けるわけでありますが、やっぱり一般論として検察に対しての意見を言うということも、常日ごろ自分が具体的なことで気のついたこと、そういう事象、現象、そういうものを抽象化して一般論というような形でお話になることは、これは当然のことだと思いますね。いままで検察当局に対して大臣がいろいろ感じていたことを発表する場というのはどういうところであったのか私はよくわかりませんけれども、今回お話になった国民の支持を得られるものでなきゃならぬということや、人の道云々なんというこういうことについては、常日ごろやっぱり幹部の方とか、何かそういう機会があったときにはいつも言われていることだったんでしょうか。そうでなくて、最近特にこういうことを痛感するというか、強く感じておられたことなんでしょうか。どうなんでしょう。
○国務大臣(奥野誠亮君) 検察官の会同のありますたびに、法務大臣としての訓示をいたしておるわけでございます。 たまたま、この間の記者会見のときには、検察庁がとった行動についての感想を求められたわけでございますから、基本的なことは二つだと、これは常日ごろ考えているわけであります。それはあくまでも不正の追及に敢然と立ち向かっていかなきゃならない、これは大事なことだと思います。それでなければ広く国民の支持は得られません。そうかといって、何をやってもいいというわけのものではない。合法なら何でも許されるのだというわけじゃなしに、やっぱり道を外れないようにしていかなきゃならない。私は簡単に言えば二つじゃないだろうかなといまも思っておるわけでございまして、平素思っておるものですから、すっとそのまま口をついて出ておるわけでございます。しかし、誤解を与えちゃいけませんから、いまの事態がこれにはまるとかはまらないとか言っているわけじゃありませんよということを念を押して、お別れしたわけでございました。
○藤原房雄君 検察庁のいままでのいろんな会合の中でお話しておったことも、要約するとこの二つというか、こういうことになるということで、今回の記者会見で特にいままでとは違った観点から話をしたことじゃないという、こういうことですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) そのとおりであります。
○藤原房雄君 大臣就任以来、何度か国会でもいろんなお話ございまして、また同僚委員からもいろんな質問がありまして、何も言わなきゃいいんだろうみたいな、そういう開き直ったというか、そうとも受けとれるみたいなお話もなかったわけじゃないんですけれども、そういうことをわれわれが口にするわけ、またそんなことを大臣に押しつけるわけはございませんで、やはり新聞論調でも、またいろんな四囲の方々の声も、法務大臣という法を守るべき立場の人の発言ということについての、時とその立場ということが一つの大きな関心事であったと私は思うんですね。私ども、このたびのことについては、先ほど大臣からも慎重さを欠いたというか、そういうお話ございましたけれども、やっぱりこれは見過ごすわけにはいかないことだろうと思いますし、きょうも何点か質問さしていただいたわけでありますけれども、このことについてはまた私どもそれなりの立場でこれは検討しなければならないことかもしれませんが、大臣としまして、今回これだけいろいろなことが言われている中で、やっぱり今後心がけるべきこと、または今後についてまだ大臣としての御所見、こんなことがやっぱりおありになるんだろうと思うわけでありますが、それらのことを総括して、一言御所見をお述べいただきたいと思いますが、どうでしょう。
○国務大臣(奥野誠亮君) いろいろの御批判は御批判として謙虚に受けとめてまいりますし、また、言動は今後とも一層慎重にしていかなければならないと思っております。
○藤原房雄君 今後また、当委員会におきましては法案も抱えているわけでございまして、委員会、今週も、また次もずっと行われることになるだろうと思いますので、今後いろいろなお話の中の、問題のありました点についてはまたお聞きすることとしまして、当面する供託法のことについて話を進めていきたいと思います。 そのことの前に、きょう同僚委員からもちょっとお話ありましたが、私も弾劾裁判のこととか、また議院謹言法のこととか、こういうこと等についてもそれなりに意見を述べたり、またはお考えをお聞きしたいと思ったんでありますが、その中で弾劾裁判の今回の谷合さんのことで、この問題は最高裁のことですから最高裁の責任ある方がいらっしゃらないと答弁にはならないのかもしれませんが、その中で、この前、司法試験の発表がございました。これは去年、この板垣判事、谷合判事補、これらの方々の問題が起きたときも、いろいろ詰め込み主義といいますか、技術者としての勉強に専念しても人間性というものは一体どうなんだということがいろいろ議論になりましたですね。それで、司法修習のときのあり方とか、その後、今度は中堅幹部になってからどうかとか、こういうことがずいぶんいろいろ問題になったわけでありますが、このたびの司法試験の結果、これはそういう途中の教育ということも大事ですけれども、その前の司法試験ということもこれは実は非常に大事なことだろうと思いますので、このことについてちょっと二、三点お伺いしておきたいと思うんであります。 今回の試験の結果は、去年から見ますと、合格の平均年齢がいささかなりとも低くなったということのようですけれども、これはどうですか。
○説明員(根來泰周君) 本年度の司法試験第二次試験の合格者の平均年齢は二十七・九四歳でございまして、昨年度は二十八・〇七歳でございまして、仰せのように若干平均年齢が低くなっております。
○藤原房雄君 それから、この試験のことにつきましてもいろいろ部内でも検討しておりまして、もっと現役の合格率を高めるようにしようとか、何かいろいろ御検討なさっているようです。現在抱えている問題等については、いろいろ部内での検討機関がなんかでやっておられるのだと思うんですけれども、これはどういうふうになっていますか。ちょっと御説明ください。
○説明員(根來泰周君) 私ども法務省人事課では司法試験管理委員会の庶務を担当しているわけでございますが、そういう立場上いろいろ検討しているところでございます。すでに新聞等で発表されておりますように、本年度から論文式試験の受験者、不合格者に対しまして試験の結果を通知いたしまして、本人に試験の結果によって今後の進路を選択していただくというような意味から、試験の結果を通知するような運営をいたしておるわけでございます。そのほか各大学の先生とか、あるいは裁判所、その他法曹界の方々と意見を交換しまして、制度的にどういうふうな改革をしたらいいか、あるいはまた、司法試験の運営上どういうふうな改革をしたらいいかという点を種々検討しておるわけでございます。その成績の本人への公表と通知というのも、そういう結果の一つの方法だったわけでございます。
○藤原房雄君 それから、ことしの女性の合格率はどうでしょうか。今度新聞なんか見ますと、全盲の方が合格したということで、これはなかなか思い切った、思い切ったといいますか、いままでおかたい法務省にとりましてはなかなかでき得なかったことだったのだろうと思うんですが、国際障害者年とかいろんなことで各方面に注目をされておる中で、法務省としてはなかなか思い切ったことをやったなというようなこんな感じを受けるわけであります。今日までこういう司法試験につきましては、いろいろ論議されてきておった中での一つの明るいニュースだと思いますね。ただ国際婦人年、こういうこと等も言われであらゆる職場でということでありますが、これは試験ですから、採用云々ということとは別かもしれませんけれども、それは試験の中の、さっきお話ありましたようにいろんな検討科目の中で、やっぱり女性にも法曹界で大いにひとつ活躍していただく。天を支える半分は女性だということで、それぞれの職場等におきましても意を注いでいるわけですけれども、そういういろんな検討の中には、女性の方々の立場も十分考慮する、こういうことが配慮されているのかどうか、それらのこともあわせてひとつ御答弁いただきたいと思います。
○説明員(根來泰周君) まず、女性の合格者でございますけれども、本年度の出願者は二万七千八百十六人、そのうちの女性の出願者が千七百八十五人でございまして、構成率といたしまして六・四二でございます。これに対しまして全体の合格者が四百四十六人でございまして、そのうち三十三人、構成率で七・四%の方が合格されておるわけでございます。 お説のように、女性をどういうふうに合格者をふやしていくかということも一つの問題でございましょうけれども、特にそれを取り上げて検討しておるわけでございません。仰せのように司法試験は資格試験でございますので、女性であろうと男性であろうと、実力のある方が通っていくということになろうかと思います。
○藤原房雄君 それは試験は試験なんだから当然のことでしょうけれども、しかし、試験の出し方といいますか、試験の内容いかんによりましては、いわゆる女性の不利な形といいますか、そんなこともこれはないわけじゃございませんですからね。だから、特に具体的に何がどうだということじゃございませんけれども、そういう点も十分配慮の上で今後の司法試験改革、こういう問題についても取り組んでいただきたいと、こういうことで私は申し上げているんです。 この制度改革については、いままで問題になっておったのは受験年齢や回数制限とか、一般教養科目や外国語を必修試験科目とするとか、一定の年齢以下の合格者数の枠を設けるとか、五百人前後の合格者枠を大幅に拡大するとか、こういう何点か問題があったようですね。従来もいろいろ問題があったことだと思いますけれども、そういうこととあわせてやっぱりどうしても大学在学中から司法試験合格だけを目指して勉強する結果、視野の広いバランスのとれた人材よりも、一般教養に欠けた、偏った知識の受験者が多く合格しかねないという、こういうことも言われておりますね。 今回のこういう板垣判事、谷合判事補の問題なんかを見ますと、やっぱり人間性というか、これは中での教育ということも、もちろんいろいろなカリキュラムやなんかで考えていかなければならないことですけれども、試験制度そのものについてのやっぱりこういう問題が投げかけられておるわけでありますから、こういうことも十分に考えた上で今後の取り組みといいますか、こういうものも検討していくのが当然だろうと思いますし、それはもちろん考えていらっしゃることだと思うんですけれども、こういう問題等もあわせて、これは知識偏重ということじゃなくて、やっぱり一般教養といいますか、バランスのとれた人材、人間性ということも重視するような形のこういう問題、まあ十分に検討の課題として考えていくべきことだという、こういうことでお考えになって今後のことについても検討していらっしゃるんじゃないかと思いますが、どうですか。
○説明員(根來泰周君) 御指摘のお話、仰せのお話はごもっともでございまして、私どももそういう見地からいろいろ検討いたしておりますし、また、司法試験管理委員会あるいは考査委員会議に対してもそういう意見を申し述べております。仰せを外しまして、今後とも検討いたしたいと思っております。
○藤原房雄君 それから、これは試験の問題は以上でございますが、この試験、それからその後の司法修習のとき、また中堅、これはもう去年もいろいろ議論になったことでありますけれども、午前中も最高裁事務総長まことに遺憾だというお話ございましたが、今後のいろんな対策、対処、こういうことによってこういうことが二度と起きないようにひとつ十分に御配慮いただきたいということを申し述べて、この問題については終わりたいと思います。 次に、この供託法も、今回ゼロシーリングというか、財政的なことが根本になって今回のこういうことが出てきたわけですね。財政事情もわかるんですが、何も私は法務委員だから法務行政全般の肩を持って言うわけじゃありませんけれど、あちこち視察——ことしの七月ですか、沖縄に行かさしていただきました。また、過日は八王子の方へ行かさしていただきました。去年は青森とか北海道とか各地を視察さしていただきまして、いろいろな施設を見さしていただきましたが、国全体の財政が大変だということで、これは国民も行政も痛みを分から合うんだという、その中でまた省庁もですね。 しかし、これは大臣がこれ以上はできぬぞということで総理におっしゃったようなことも新聞に出ておりましたけれど、人員削減は非常に困難だということでおっしゃったということも新聞に出ておりましたが、科学技術とか防衛庁だけじゃなくて、法務行政もこれは大変なピンチで、私どもこの中に首を突っ込んで見れば見るほど、これは本当に大変なことだと思うわけですが、ほかの省庁のように切り詰められるところのあるところと、そういうしわ寄せといいますか、幅の余りないところとでは、同じ論議はできないだろうと私は思うんです。しかも、法の支配という大変な役割りを担っているわけですからね。 そういう中でこの予算、きょうは法案が付託されておりますから長い話をするつもりもないんですけれども、私は一点だけ、来年の予算を見ますと、来年度の概算要求、この中で確かにこの大蔵省の姿勢、方針どおり非常に切り詰めてございまして、大丈夫かななんと思うところが何点があるんですけれど、その中で一番最後の施設の整備というところですね。これが要求費が前年対比で八八%ですか、すごい落ち込みになっていますね。 その中で、法務局、出張所等の整備というのが、これが大分、金額的には五千二百億なのかもしれませんけれども、これは実はもう私どもは沖縄とか八王子、去年青森、北海道、各地を回らしていただきましたが、非常に小さい庁舎を持っておりまして、そういうものの不備、それから狭隘、ほかの省庁から見ますと確かに数が多いという点もあるかもしれませんけれども、整備が非常にもうおくれているということを痛感いたしますね。 この前沖縄へ参りましたが、あそこの名護のところなんかは本当に書類の置き場もない、そしてまた、もう窓口も本当に狭隘化しておりまして、特に沖縄は台風にやられるものですから雨漏りがするとか、それからいろんな仕事上不便を来しておる。不便ということよりも、パンク寸前じゃない、もうパンクしているんですけれども、しようがないからそのままでやっておるわけです。こういうのを見ますと、合同庁舎で何をどうする、それもまた大事なことなんですけれども、こういう出先の小さいところで整備の足りてないところはもう本当に悲劇ですね。 こういうのを目の当たりに見まして、ほかの省庁が庁舎の整備計画というのに比較的早く取り組んだのだろうと思うんですけれども、恐らくこれは法務省というのはもうかたいところですから、いろんなことを計算したり、いろんなことを計画したりして、いざ取りかかろうというときには高度成長がすでに終わって、余りこういうことのできないような時代になってから計画ができ上がったのじゃないかと思うんです。 しかし、経緯はどうあろうとも、大事な国民の固有の権利、人権、こういうものを守るそういう立場が、そこの働く人たちの人権が守られてないみたいな狭隘化、こういうことを見ますと、こういうことたから今度の供託法をひとつ上げろということになるのかもしれませんが、それとは別にしまして、予算全体の中でいろんな問題ありますけれども、この法務局の出張所等の整備、こういうところにしわ寄せするなんというのは、非常にもうここしかないのかという感じがするんですが、ずっと私ども何回も何回も見ましても、やっぱりどれ一つとりましても大事なことでありますし、ほかの省庁なんかたくさんあるなんというこんなことじゃないんですけれども、これはもう本当にいかがかなという、特に沖縄とか積雪寒冷なところ、こういうところについては、本当にこれは配慮しなきゃならぬ。 これはもう大臣もこの問題については予算編成の段階で、概算要求の段階でいろいろ御検討いただき、またそれなりに御見識もお持ちなんだろうと思いますけれども、どうも私はこういう予算でいいのかという、これはひとつ大臣にも大蔵省に踏ん張っていただいて、やはり必要欠くべからざるものについては、これは予算がないからこういうふうにしたということであって、ぜひしなければならないこととしてということになると、こんな予算ではどうしても、前年対比で八八というこんなことでは恐らく済まされないのだと私は思うんですけれどもね。 概算要求の段階ですから、今後まだ残されているわけですけれども、しかし、ほかの省庁でもいろんなことが言われていますから、今度も給与アップ分についてはもっと締めつけろなんという、こんな話も出ているようでございまして、大臣としては痛いところかもしれませんけれども、私どももそれはそれぞれ党派を超えてこういう現状については訴えていきたいと思いますし、大臣にもぜひこれは一はだも二はだも脱いでいただいて、やっぱりこの現状改革のためにがんばっていただきたいと、こう思うんですが、どうでしょうか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 法務省の予算に大変御理解のあるお話を伺って、うれしく思っているところでございます。私も実は法務省へ参りまして、同じような気持ちを持ったのです。こんなにたくさんに施設を抱えておって、そんな改築を要するもの、一体何をしているのだという感じを持ったものでございました。少し遠慮が過ぎているのじゃないかなとまで思ったものでございました。 今度の五十七年度予算要求を組むに当たりましては、いわゆるゼロシーリングの問題がございまして、やはりある程度歳出を縮減しなければ要求すべき予算を要求できない。そこでやむを得ず供託法の改正だ、外国人登録法の改正だということをやりまして、なお足りないものですから、最後に営繕費に手がついているわけであります。私がふやさなきゃならぬと考えているものを減らしているわけであります。それは事務当局の話を伺いますと、たとえば刑務所が市街地に取り囲まれている。町としては移転してもらいたい。その土地を引き取るから別なところに土地を買って建物を建てる、こういう建築交換方式というのが特別会計でございまして、それを合わせると五十六年度よりも事業分量は多くなるのですと、こういう説明を受けましたので、それじゃ形の上では営繕費にしわ寄せした形であってもやむを得ないかなということで、そういう予算要求になったわけであります。 したがいまして、いずれにしましても要求した予算は全部確保しなきゃいけないなと、こう思っておるわけでございまして、大変御理解あるお話を伺いましたから率直な話をさせていただいたわけでございます。
○藤原房雄君 これは私だけが理解あるというより、一緒に視察に行った仲間が、同僚委員異口同音に、特に私、あちこち委員会を回って各省庁なんか見ておりますと、特にそんなことを痛感いたしておりますし、どの方からもやっぱりこれはみんなで何とか改善方をしなきゃならぬと、こういうことでございます。大臣もそれなりの御認識をしておって、また心を砕いておるところだということのようでありますから、これはぜひひとつ、こういう厳しい中にありまして、また今後の推移もなかなか厳しいことが山積いたしているようでありますけれども、現場で働く方々の立場に立ちますと、これは予算がないからと一蹴のもとに捨てられることではないだろうという、こんな感じをいたしております。 特に沖縄のようなところとか、台風の常襲地帯、積雪寒冷の地域、こういうところでは、もう木造の土台が傾いているなんというこういうところにおきましては、これは何としても対処しなけりゃならないところだろう。今日までがんばってきた第一線で働くこういう方々のためにこそ心を砕かなきゃならぬなということを、みんなで話し合ったものですから申し上げたわけです。このことだけを申し上げるつもりはないんですが、これは窓口とか供託所、こういうものにも関連するということで、ぜひひとつことしの予算等におきまして、また今後ひとつせっかく御努力をいただきたいものだと、こう思うわけであります。 それから、せっかく窓口といいますか、こういうことについて法務省、法務局、出張所、こういうことについてちょっとお話ししたものですからお話し申し上げるわけでありますが、行政管理庁の行政監察局、五十六年六月、ことしの六月ですね、「行政サービス評価調査結果報告書」というのがございまして、この中に法務省のことを、法務省も一生懸命がんばっておるのかもしれませんが、余り評価がよくないようでございまして、何点か問題点が挙げられておりますが、その中で、「支局・出張所においては、庁舎標示や待合室等の窓口環境整備に不十分な点がみられたほか、職員の意識高揚を図るためのポスター類を掲出しているところは少なく、名札の着用率も他機関及び上部機関である法務局・地方法務局に比べると低いものとなっている。なお、窓口利用者に対する面接調査結果では、窓口環境整備を望む声や庁舎内で収入印紙の売りさばきを行ってほしいとする要望が出されている。」、こういうことで、「重点機関評価結果表」とかというようなことで、法務省に対してのいろいろなことがある。これはこの法案に直接は関係ないのかもしれませんが、庁舎が非常に老朽化しておるとかいろいろなことで、さっきも予算のことで直接的に申し上げたのであれですけれども、こういう中に、法務省の建物そのものについてのいろいろなあれがあるんですが、老朽庁舎における照明の改善とか、こういうことが法務省に対してあります。これはどこのやつでどうなのか、はっきりいたしませんけれどもね。 それから、法務局の駐車場の整備、確保、これを望む声が非常に多いということは、結局敷地が非常に狭くて、非常に大事なお仕事で時間の合間を見てここへ参りますけれども、駐車場が十分になかったと、こういうことで法務局に駐車場の整備、確保、こういうことを望む声が非常に多いわけです。 それから、待合室とか便所等の整備、清掃の励行とか、これはやっぱり狭いところなものですから、狭隘化しており、また老朽化しておる、そういうことの中から出てくることなのだろうと思うんですけれども、こういう各省庁のいろいろな問題が出ておりまして、ここらで法務省のことだけ言うと法務省が一番何か悪いみたいに聞こえるんですけれども、確かに私どもが実際に見て歩いて気づいたことと、それからそこにいらっしゃる方方、窓口利用者の要望、こういうものもそう違いはないなという感じがいたしますね。 こういうことで、建物が新しくなればいいということでは決してないんですけれども、大事な国民の基本的な権利を守るという、こういう大事なお仕事をしているだけに、ほかの省庁とは違ってやっぱりこういう問題については特に意を注いでいってもらいたい、こういうこと等もあわせて、先ほどのお話に通ずるわけですけれどもね。 行政監察の結果等については、これは法務省としても当然受け取っていらっしゃって、それなりに御検討なさっていらっしゃる——これは六月ですから、まだそこまで入っていないのかどうか知りませんが、これは十分御存じのはずだと思います。これは官房長かどなたかいらっしゃいますか。——いらっしゃらないかな。じゃ結構です。 こういうことが各省庁と比較した中で、それぞれの省庁にはそれぞれの問題点があるわけですけれども、私どもがやっぱり視察した中でお互いに話し合ったことと共通するこういう要望が出されているということです。特に、沖縄等におきましては、まあ沖縄だけでなく、駐車場というのはどこでも要望があるようですね。これは土地をすぐ広げるなんということはでき得ないことかもしれませんけれどもね。それから、沖縄においては借地が非常に多いようですね。 いままでこういうことについてはそれなりに検討して改善を進めてきたのだろうと思うんですけれども、何せ小さいこういう庁舎が非常に多い。また、職員の寄宿舎、こういうことについても私どももいろいろ御説明をいただいておりますが、先ほど大臣からいろいろお話ございましたが、こういうことについてぜひひとつ、建物のことばかり申し上げるわけではございませんが、行政改革のしわ寄せがこういうところに来るということが忍びず申し上げておる次第ですけれども、ひとつ大いに今後取り組んでいただきたいものだと思うんです。
○政府委員(中島一郎君) 法務省全体についてのお話でございましたけれども、法務局の問題が中心になっておったように伺いましたので、便宜私から申し上げさしていただきますが、行政管理庁からもいろいろ御指摘をいただきまして、私ども検討をいたしております。中には、実情を十分私どもの方で御説明しなかったがための御指摘もあるわけでありますけれども、中には、十分私どもとしては受けとめて検討しなければならない事項も含まれておるわけでありまして、そういった点については従来とも一層整備に努力をしてきたつもりでございますけれども、今後とも一層この努力を続けてまいりたいと、このように考えております。
○藤原房雄君 それじゃ法案の中身に入らしていただきますが、これは衆議院でも相当時間をかけてやっておりますからあれですが、できるだけ重複を避けてと、こういうことでありますが、一つの話の流れとしまして、前提条件としていろいろなことをお聞きしなきゃならぬだろうと思います。また、当委員会としましても、そういう問題についてはやっぱりきちっとお聞きすることはしなきゃならないだろうと思いますので、これはダブる点があるかもしれません。 まず最初にお聞きいたしたいのは、この法案が行政改革の行革関連一括法案の中になぜ含まれなかったのかということでありますが、これはいろいろ新聞等でも言われておりますけれども、法務省でもこの一括法案の中に入れるかどうかということで、法制局等といろんなお話し合いをしたんだろうと思いますが、そこらのひとつ経緯を御説明いただきたいと思います。
○政府委員(中島一郎君) ただいま御質問にもございましたように、法制局との協議の過程におきまして、この供託法の改正法案は、事柄自身が臨調の答申にそのものとしては取り上げられていないというような点もございましたし、あるいはまた、特定の政策等を推進するための補助金等を縮減するというものとも若干違うというような点もございましたために、一括法案にするよりも単独法案として出すべきであるというような結論になったわけでございます。
○藤原房雄君 それから、私ども単純に考えますと、法務省の中で予算のやりくりをしているわけじゃありませんからこんなことを言えないのかもしれませんけれども、これだけ行政改革——これだけといっても金額的にはそんな何十億、何百億、何千億ということじゃないのかもしれませんけれども、予算面では矯正施設収容者の処遇改善、こういうこととの絡みの中で、法務省としてもこれだけの努力をするんだから、この処遇改善の経費についてはやっぱり少しは改善するんだろうというふうな、するのかどうかという、こういう素朴な考え方も出てくるんですけれども、これは別のことであって、そういうこととは関係ありませんと言えばそれまでなんですけれども、これはこの行政改革の一環として法務省として取り組む。供託法の一部を改正するということは、法務省としても相当検討した上でのことでしょう。 午前中のいろいろ質疑ございましたが、利息をいままでつけておりましたものを行政改革の三年間だけはつけないということですから、これもまた後からいろいろ御質問を申し上げますが、そういうことに努力をするということであれば、矯正施設の収容者につきましては当然それなりの働きをしておるわけでありますし、また人権ということから申し上げましても処遇改善、こういうことについてもそれなりの配慮、このことをしたからそうなるんだろうということじゃないかもしれませんけれども、そのことについても十分配慮する、そういう予算を考えてしかるべきだろうと、こう思うんですが、この点についてはどうでしょう。
○政府委員(中島一郎君) 歳出の縮減ということになりますれば、これは政府全般にわたっての問題であろうかと思いますけれども、今回の六月五日の閣議決定の趣旨といたしましては、各省庁ごとにその要求額を五十六年度予算額と同額にするということが前提になっておるようであります。また、そうなりますと、法務省全体でのゼロシーリングということになるわけでありますけれども、まず私ども第一段階に考えるべきことは、各局ごとにと申しましょうか、私どもの守備範囲についてのゼロシーリングということをまず検討すべきではないかということでやっておるわけでございます。 その結果、私どもの守備範囲であります法務局の必要予算ということから申しますと、けさほども申しましたように、事件増その他の経費の増、それだけでも八億近い金が必要になるわけでありまして、この供託金の利子を停止するというようなことによって捻出いたします金額もこれはよそへ回す余裕はない。金額的にだけ申しましたならばよそへ回す余裕はないわけでありまして、法務局の仕事を何とかかんとか、どうにかこうにか遂行していくためにぜひ必要な金額ということになるわけでございます。
○藤原房雄君 法務省としても苦肉の策といいますか、ここに思い当たるということは大変な御努力の末のような御発言のようですね。 そもそもこの供託法という法律ができたのは明治ですか、明治の昔にさかのぼることなんでしょうが、私どもこの一つ一つについて、供託法に、根拠法といいますか、これにかかわる法律が百三十か四十か、相当な法律にかかわるようでございますが、供託金に利息をつけるというこういう考え方ですね、当時この法律が制定になるときにはそれなりにいろんな論議があったのだろうと思いますし、また現在も、苦しくなったからちょっとこれはやめようじゃないかという、そんな軽やかなものではないはずだと思いますけれども、この法律ができるには、それなりのいろんな論議があって法が制定され、途中ちょっと経過あったようでございますが、しかし、そのまま戦前戦後、今日までこの法律がずうっと続いておる、こういうことですね。 供託金に利息をつけるという、こういう法の精神というのは一体どういうことなのかという、当時のこれは何かフランスかどっかにまねたとかと言われているようですけれども、そこらあたりのこととの関連性、それから諸外国の制度との比較、こういう中でのこの制度の精神といいますか、こういう問題をちょっと御説明いただきたいと思います。
○説明員(筧康生君) まず、供託金に利息を付するということにいたしました経過について、私どもが承知いたしますところを若干説明させていただきます。 この供託金というものは明治三十二年に制定されたものでございまして、この明治三十二年に制定されました供託法によって、「供託金ニハ命令ノ定ムル所ニ体リ利息ヲ付スルコトヲ要ス」と、こう規定されたわけでございます。しかし、この供託法が成立いたします以前に、これは明治二十三年でございますけれども、すでに供託規則による供託制度というものが存在したわけでございます。そして、最初に供託制度ができました明治二十三年でございますけれども、このときにすでに供託金には通常預金の利息を付するというような規定になっておったようでございます。 しかし、この規定は、明治二十六年からただいま申しました供託法が成立いたしました明治三十二年までの六年間は利息を付さないというような時代もあったようでございます。そして、明治二十三年の初めに、いかなる理由によって供託金に利息を付したかということに関しまする文献というのは現在残っておらない。あるいは私どもが見つけられないのかもわかりませんけれども、それを明らかにする文献というのは残っておらないわけでございます。 明治三十二年の供託法のできましたとき、このときも非常に複雑な経過がございまして、当初供託法として提案されました案には、実は利息を付するという規定がない。したがって、利息は付さないということになっておったようでございまして、この案は貴族院はそのままに通過いたしまして、衆議院に回った段階で、これはほかの法案との関係で衆議院が解散になり、そのためにその当初の案が廃案になるという経過をたどったようでございます。そして、次の国会にさらに供託法を提出するわけでございますけれども、今度再提出いたしました供託法には、他の規定はすべてそれ以前に提出いたしましたものと同じでございましたけれども、たった一つ違っておりますのが現在の供託法の三条、すなわち供託金に「利息ヲ付スルコトヲ要ス」という規定を新しく入れたということになっておるようでございます。 このときに、どういう理由によって供託金に利息を付することにしたのか、何分古いことでございますので必ずしもその理由というのをつまびらかにするということはできないわけでございますけれども、当時の国会の審議録等において政府委員等が説明いたしますところを見、それから推測いたしまするところによるわけでございますけれども、それによりますと、その政府関係者というのは、この供託法というものをいよいよ本格的に動かす、あるいは新しく民法とか商法というものが施行されるという事態の中で、供託制度というものを大いに活用するという事態になりましたけれども、果たしてこの供託制度というものが国民の間に十分利用されるかどうかということについて懸念を持ったという節が見られるわけでございまして、その意味で、国民に対して供託制度というものをより利用しやすくするということ、供託制度の信用を確立する、あるいは供託に実を与える、こういうようなことを申しまして、供託制度を国民に利用しやすくする一つの方策として「利息ヲ付スル」ということを行ったというように推測されるわけでございます。 それからもう一点、先生の方からお尋ねになりましたわが国の供託の制度というものがどの制度を見習ったのかというお尋ねでございますけれども、この点は外国の供託制度というものをつまびらかにいたしませんと必ずしも判明しないところがございまして、私どももそのすべてについてよく承知しているわけでございませんが、私どもが承知いたしますところの範囲で申し上げますと、ヨーロッパの供託制度の中で、ドイツの制度それからフランスの制度というのは、やや異なったところがあるというように承知しております。 どういうところが異なっているかと申しますと、フランスの制度というのは、供託所というものをいわば大蔵省の一部局として置くという仕組みが基本的な仕組みになっておるのでございます。これに対しましてドイツの供託制度というのは、裁判所の制度の中に供託制度を組み込んでいくという仕組みになっておるようでございます。 こういうかね合いの中でわが国の供託制度を見てまいりますと、当初、明治二十三年に発足いたしましたときの供託制度というものは、これは大蔵省の預金局に供託を取り扱わせるという仕組みになっておったわけでございまして、いわばフランス型の制度であったということが言えるわけでございます。明治三十二年にできました供託法におきましては、この点がやや折衷的な仕組みになっておりまして、金銭供託については大蔵省の一つの部局であります金庫をして扱わしめる、しかしそのほかの物品供託については司法大臣に扱わせる、こういう基本的な仕組みになっておったわけでございます。さらにその後、これは大正十年になりますけれども、制度の改革が行われまして、供託制度というのは基本的に司法省の管轄の中におさめられるという仕組みになり、戦後司法省が裁判所と法務省に分かれるに伴って、法務省の中に組み込まれるという仕組みになっておるわけでございます。 そういう観点からいたしますと、わが国の現在の供託制度というのは、いわば裁判所型、司法型というものになっておる。そういう意味で、先ほどの分類から申しますと、いわばドイツの制度に最も近い制度として成り立っておると、こういうふうに承知しておるわけでございます。
○藤原房雄君 この法律の淵源から諸外国に至るまで非常に広範にわたります御説明を、ずいぶん時間をたっぷりかけて御説明いただきました。先ほどのお話からしますと、もう八十年たっているわけですから、供託という制度に対しての懸念とか利用しやすくとか、こういうことは本当になくなりましたですね。これだけ国民に知られるような状況の中では、法律の制定当時とは違って、利息ということにつきましても、これはそれなりに現時点で考えなきゃならないことの一つではないでしょうか。 つけなくてもいいという結論をすぐ導き出すのは単純過ぎる、短絡的過ぎるかもしれませんが、いまのお話を聞いておりますと、当初供託というものになれ親しまない、いろんな懸念を持つ人がおったり、また利用ということに対して足踏みを懸念する方々もいたかもしれません。そういう当時としては必要であったのかもしれませんが、こういうことからしまして三年間、今回の法律からいたしますと財政再建の三年が経過いたしますとまたもとに戻るといいますか、利息を付すことになるのだろうと思うんですけれども、私どもこの法律が出て初めてこういうことを勉強さしていただいたようなもので、こういう法のもとからいたしますと、淵源からいたしますと、これはやっぱり利息云々のものについてはそれなりにこれは検討しなきゃならない課題の一つじゃないかという気がするんですね。 特に、金銭の供託については利息を付すが、また有価証券等については付さないでもいいということもございますし、証券によって供託する場合もあるわけでありますから、こういうことを考えますと、利息というのは、ただ単にこの行政改革の上で三年間ということだけではなくして、今後これをどう考えるかというものも法務省として検討に値する大事な課題の一つじゃないかと、こう思いますが、こういう点については法務省としてはいままでもいろいろ御検討なさったり、また今後のことについてもお考えいろいろあろうかと思うんですけれども、どうでしょうか。
○政府委員(中島一郎君) 供託法は、ただいまも御説明いたしましたように明治三十二年の法律でありまして、その後実質的な改正もなく今日に至っておりますので、根本的な改正、根本的な検討ということから言えば、いろいろと問題点もあろうかと思うわけでありまして、将来の問題といたしましては、私どもそういった根本問題についての検討をしなければならないというふうに考えております。けれども、今回の供託法の改正というのは、もっぱら財政再建に関係をいたしまして、ゼロシーリングとの関係で三年間利息を停止するということを提案しておるわけでありまして、法律の体裁も、ただいま御指摘ございましたように三年間に限るという体裁になって乗るわけでございます。
○藤原房雄君 当然付されるべき利息が付されないということですから、これはそういう観点からいきますと、午前中も寺田委員からお話ございましたように、得られるべき利息が得られないということですから、それは個人の権利としてどう考えるかという、こういうことも出てくるんだろうと思いますが、これは午前中お話ありましたからあえてお聞きいたしませんが、ところで利息ですね、今日まで何度か利息を変更といいますか、下げたというか、こういう経緯があるわけですね。現在一・二%ということなんですけれども、利息を下げるとか利息を変動するときの基準とか、それからまた、利息を現在一・二%にしたという根拠といいますかね、こういうものはどういうところからどういうファクターによってこれが定められるのかという、ここらあたりのことはどうでしょう。
○政府委員(中島一郎君) 明治三十二年に供託法が施行になりまして利息を付することを要することになりたわけでありますが、利率その他につきましては「命令ノ定ムル所ニ依リ」ということになったわけでございます。最初は明治三十二年の大蔵省告示九号というものによりまして年三分六厘ということになっておりまして、それが昭和七年の十月一日から、大正十一年司法省令三号というものを改正いたしまして、年二分四厘ということになりました。さらに、昭和五十三年三月一日から供託規則三十三条の利率の定めを改正いたしまして、年一・二%ということになったわけでございます。 この利率を定める要素、ファクターでございますけれども、やはり国の財政状態というものがその要因の一つであろうというふうに考えております。それから、その時期におきます市中金利というようなものも、一般的な金利の動向というようなものも考慮すべき一因ではあろうかというふうに考えております。
○藤原房雄君 「命令ノ定ムル所ニ依リ」、これはどこが定めるんですか。
○政府委員(中島一郎君) 現在は供託規則ということになっておりまして、法務省令でございます。
○藤原房雄君 単純に私どもは考えますと、供託したこのお金は一体どういう、まあ利息を付すということですからそれなりの運用利益が出るから利息が出せるんだという、こういうことを単純に考えるわけですけれども、いま局長のお話にもありましたように、この利息というのは国の財政とか市中銀行の金利とかいろんなこと、こういうものによって定められることは、それは当然のことだと思うし、よくわかるわけでありますが、少なくとも現在この供託、総計額にして二千億、国家財政の中、国の財政の中で二千億というのは微々たる金額かもしれませんが、二千億といったらこれは大変な金額で、この利息というものも相当な金額になるわけです。これは大蔵の部門に入ることになるのかもしれませんけれども、要するにこの二千億の供託金の保管、運用ということは、これは微に入り細にわたっていろいろお聞きするということになると大蔵かもしれませんが、法務当局として答弁のできる範囲内で、この運用方法というのはどういうことになっているのか。そういうことの中で、今回この法律を提出するに当たりましては、財政上云云ということは絶えずまくら言葉に出てくるわけですけれども、その運用というもので利息を生むような現状にあるのかないのか、単純なところ、私どもはそこらあたり本当にどうなっているのかという気持ちがするわけでありますけれども、供託金の保管、運用、こういう問題について、ひとつ少しく御説明いただきたいと思います。
○説明員(筧康生君) 供託金というのは、これは現在の法制度のもとでは日銀に国庫金として振り込まれるという形になっております。この管理といいますか、それは大蔵省の所管に属すべき事柄でございまして、私どもの所管事項でないわけでございますが、大蔵省等から聞いておりますことをもとにして申し上げたいと思います。この日銀に払い込まれました供託金というのは、国庫金というものの一部を構成しておるということでございます。この国庫金の中には、供託金ばかりでなく、者種の保証金あるいは租税収入等、一切合財が一緒になって一つの国庫金という枠を構成しておる。これは日本銀行へ払い込まれた後は、国の当座預金として管理されておるという状況になっております。そして、この当座預金勘定の中から、国庫がまた必要といたします歳出をそこの中から出していくという仕組みになっておるそうでございます。 現在のこの国庫金の状況というのは、この国庫金の全体の日々どうしても必要な留保額といいますか、そういうものさえも十分賄い切れないという状況になっておるそうでございまして、そのために政府の短期証券というものを常時発行しなければならないという状況になっておる。若干余裕ができてまいりますとこの短期証券の償還に充てると、こういう状況になっておるそうでございまして、この国庫金全体について余裕がないという状況のもとでは、これが運用に回されるというような事態というのはないというように承知しております。
○藤原房雄君 現在はそういう支払い準備金ですか、そういう中に運用されて、この国庫余裕金なんというのはないような非常に厳しい財政事情にあることは私どもも十分にわかりますから、いまのお話の中ではまあそうだろうということはわかりますけれども、いずれにしましても二千億ということですから、これはほかの会計なんかと比べて特別会計というような扱いにしたらどうなのかというこんな考え方もすぐ出てくるんです。それがいいとか悪いとかということじゃなくて、やっぱり今回この利息をつけないということのためには皆さん方、法務省としてもいろんなことを考えたのだろうと思うんですけれども、いまのこの窮迫した財政事情の中で、そんな利息を払えないような現状では、少しでも法務省として金をかせぐために特別会計にした方がいいんじゃないかなんという、こんな軽薄な考えはないのかもしれませんが、しかし、いずれにしても、供託でお預かりするお金が二千億からあるということになりますと、一つの課題としてこれは特別会計のような形にしますと、そのかわり一般会計から出されておりました金利というのは、利息はもらえないことになって自分のところでやりくりすることになるのかもしれません。 供託というのは、最近は件数が減って金額がだんだん伸びておるようですね。こういういろんな推移の中からいたしまして、この供託法、供託のお金で利息を上げるという、こんなことは邪道かもしれませんけれども、これは国庫金と切り離して特別会計という形にしたらどうなるかという。こんなこともやっぱり皆さん方のいろんなこの法案をつくる段階での一つの課題というか、検討課題ではあったのではないかと思うんですが、全然そんなことは考えておりませんというのか、考えた結果、いろんな問題点があったのか、その辺はどうでしょうか。
○政府委員(中島一郎君) 諸外国の制度を見てみますと特別会計的な運営をしておるものもあるようでありますので、確かに特別会計的な運営というものも将来における検討事項の一つであろうとは考えております。ただ、そういうことになりますと、現在の二千億前後の供託金というものが将来にわたっても確保できるものであろうかどうか、あるいは供託制度を運用してまいりますために支出しております経費その他は正確にどれだけのものを要するのかというような、いろいろともっと詰めなければならない問題もあるわけでありまして、将来における検討の課題にさしていただきたいと、こういうふうに考えております。
○藤原房雄君 いまもちょっと局長のお話の中にもありましたが、供託は手数料を取っていないわけですね。ですから、現実的にこういうことを特別会計なんかでやるということになるとどれだけの経費がかかってどうかという、そこらあたりのことも計算し直さにゃならない一つの課題も出てくるわけですね。 そこで、この供託手数料ということですが、この手数料を取らないという理由といいますか、どういうところに供託については手数料を取らないということになったのか。 それから、この供託と受益者負担の原則という、こういうこととの関連、こういうものについてはどのようにお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
○政府委員(中島一郎君) 先ほども申し上げたことでありますけれども、当初供託制度が発足をいたします際には、供託制度を国民の皆さんに十分に利用していただくようにと、供託制度の実を上げたいという気持ちが強かったものと思われるわけでありまして、そのためにはまず手数料を取らないということが一番であったのではないかと考えるわけであります。手数料を取らない、しかも、それに加えて利息を付するということであったかと思うわけであります。 ただ、その後の運用を見てまいりますと、現在でもそれでいいのかということは、ただいま御指摘のように、確かに問題であろうかというふうに思うわけでありまして、現金供託の場合と有価証券供託の場合といろいろあるわけでありますから、そのいずれの場合にどういう考え方をするのかというようなことも問題になってこようと思うわけでありまして、そういった問題も含めて将来の検討課題にさしていただきたいと考えております。
○藤原房雄君 供託の受益者負担……。
○政府委員(中島一郎君) 受益者負担の制度ということになりますれば、それと手数料が結びつくというようなことになるのかもわかりませんけれども、いろいろの選択があるわけでありまして、現金供託の場合の受益の程度と、それから有価証券供託の場合の受益の程度と、それからそれに要する手数の程度というようなこともございますので、いろんな選択があろうかと思います。そういった点を含めて検討さしていただきたいという趣旨でございます。
○藤原房雄君 時間も迫りましたのでこれで終わりますが、これも明治三十二年という八十何年前のことで、それ以来手がつけられていないということですからね。現状の中で、こんな時代の大きな変遷の中で手つかずにそのまま持ってきた法律、当然これは手数料を取るとか取らないとかということとは別に、今日までこういう問題についてはやっぱりいろいろ議論があったのだろうと思うんですけれども、議論がありながらそれなりのその時代その時代のいろんな経緯があり、そしてまた、それなりの説明があり、納得されて今日まで来たのならいいんですけれども、お聞きしますと、確かに明治二十三年とか三十二年とかというこういう時点のことですから、こういう制度を普及するためにはやっぱりそれなりの便益といいますか、そういうものは払わなければならなかったでしょうし、効果を上げる、実を上げるためには手数料を取らないということや、利息を付すとか、こういうことも恐らく考えなければならなかったことなんだろうと思います。 それが今日、八十何年の間手つかずで来ているということは、それは大きな矛盾といいますか、時代のこういう大きな変遷の中で、それはそれなりの意味があるということなのか、それとも、これはいつも問題にはなっているけれども、今日までずっとやってきたことだからそれはそのままでやっても別に大きな支障はないんだということで今日まで来たのか。今後の課題であるというお話は局長のお話の中にもございましたけれども、今日までこの問題についても、やっぱり何らかの折には問題となっていろいろ議論になってきたことだろうと思うんですね。 特に、金銭供託とそれから有価証券供託、これは利息がつく、つかないということになりますと、非常にアンバランスといいますか、問題が出てくるわけです。問題といいますか、それぞれ供託する立場にとりましては差が出てくるわけで、今回こういう個々の改正、こういうことで私どもも改めて見さしていただいたわけですけれども、今日までやっぱり手数料のこととか、それから利息を付すということとか、こういうことについてはそのときそのときいろいろな論議があり、そういうものを踏まえつつ今日までそれが当然ということで来たのか。そのときそのとき、やっぱりいろいろ問題になり、将来の課題ということで今日まで来たのか。その辺の経緯を、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(中島一郎君) 先ほども申し上げましたように、昭和七年と昭和五十三年に司法省、法務省が所管するようになりましてからでも、二度命令の改正を行いまして利率を下げだというような事実がございます。そういった時期には、当然この利息のあり方あるいは手数料というようなものが問題になったであろうというふうに私ども考えておるわけでありますが、詳細な検討の結果というものは承知しておらないわけでございます。 それとは別に、この供託制度を利用するもろもろの制度がございますが、そういう制度が改正されます場合には、供託制度が常に検討の対象になったということも考えられるわけでございまして、昭和五十三年に民事執行法というものが制定になっておりますけれども、その際に民事執行関係の供託の面でかなりの検討が行われた。その結果、最高裁判所規則によって、供託にかわる制度の新設というようなものも行われたというふうな経過になっております。
○中山千夏君 供託法の一部を改正する法律案についてお伺いする前に、どうしてもその前に法務大臣にお伺いを少ししたいと思います。 最初に申し上げておきたいんですけれども、意見が異なるからといってすぐに罷免を要求するというようなやり方は私もよくないんじゃないかというふうに常々考えています。今度の法相の御意見については、ましてや私自身としては、一般論といって新聞にも載りましたし、先ほどから法相が述べていらっしゃる内容については異論がないんです。それは、二つのこれが基本ではないかというふうにおっしゃっている。検察は不正を追及するべきである。ただし、何をやってもいいというわけじゃないんだ、人道に外れるようなことをしてはいけないんだと。私、法律には詳しくありませんけれども、常識から考えまして、これは法相がおっしゃるとおりなんだろうと思います。ただ問題は、そのときの記者会見の発言、行動が法務大臣としてふさわしい言動であったのか、法相としての認識に支えられたものであったのかどうかというところなのだと思うんですね。その点についてほかの委員会でのやりとり、それからきょう寺田さんや皆さんの質問に対して法相がお答えになっていることなんかをずっと伺いながら考えてきたんですけれども、大体ちょっと否定的な方に気持ちは傾いてはいるんです。だけれども、まだはっきりしない。私自身も、ここら辺は本当は法相はどうなんだろうかということが、いままでのお話の中でもはっきりしないところがありますので、少し伺いたいと思います。 まず、一番発端になった新聞の記者会見のときなんですけれども、これは検察が現在やっているある具体的な件について法相としての意見を求められて、そしてお答えになったということですね。
○国務大臣(奥野誠亮君) そのとおりであります。
○中山千夏君 そのときに検察のやり方は批判したくない、それから事件介入の意思はない、そういう断りをまず強調しておっしゃったわけですよね。そうすると、それはこの件についてのみの法相の態度なのか、それとも普遍的に、こういうことを具体的な例について尋ねられた場合に、こういう姿勢を持ってたとえばマスコミに対されるのか、それを伺いたいと思います。
○国務大臣(奥野誠亮君) 進行中の事件についてでございましたので、それについては批判は差し控えたいと言ったわけであります。
○中山千夏君 それはこの件のみについてですか。それともほかに、そういう質問がほかの事件について同じような状況でなされたときも、大臣はそういうふうに、そういう姿勢でマスコミに対されるんですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 進行中の事件については、なるたけ批判を避けた方がいいと思います。
○中山千夏君 そうすると、この件に限らず、ほかに進行中の件でこういう質問を受けたときには同じような態度で臨まれるということになるんでしょうね。そこらあたりがちょっとはっきりしないんですけれども、どうですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 御質問の趣旨がちょっとわかりかねますが、問題は、検察庁が榎本前夫人を証人として呼んだそのことについて感想を求められたわけでございまして、したがって、私は具体の事件については申し上げませんで、検察庁が証人を呼んだりいろんな活動をします場合には二つの事柄が大切だと思いますよという形で、一般論をお答えしたわけであります。
○中山千夏君 余り時間がないのであせるんですけれども、もう一度だけ趣旨がわからないとおっしゃるので御説明しますけれども、榎本前夫人を証人に呼んだ件でなくても、これは仮定ですけれども、似たような進行中の裁判について法相としての意見を求められるということが別の場合にあるかもしれないわけですね、今後。そのときにもこういうさっきおっしゃった批判は避けたい、それから事件に介入する気はないという姿勢で臨まれるのかどうかと伺っているんです。
○国務大臣(奥野誠亮君) 一般的には、進行中の事件についてどちらかに加担するような姿勢はなるべく避けた方がいい、検察庁の自由な活動を支えていきたい、こう思います。
○中山千夏君 法相としての感想を求められて、具体的なある進行中の裁判について批判をしたくない、事件介入意思はないというふうに前置きをなすって、そして一般論をもって答えとなすったわけですね、そのインタビューの。その一般論というのは、先ほどから何度もおっしゃっているように、不正を追及すべきだけれども、ただし人道に外れるようなことをしてはならないということでしたね。この進行中の事件について批判をしたくない、そして事件介入は避けたいという場合に、必ず一般論をつけ加えられるんですか。それとも、一般論を言わないこともあるし、ほかの一般論をお出しになることもあるんですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 一般論というのは、できる限りお互いに理解を深め合う場合には大切なことじゃないかなと思います。
○中山千夏君 そうすると、検察がやっていることについて進行中の裁判について意見を求められた場合には、批判とか事件に介入するような言動は避けてそうして一般論をお述べになる。その一般論というのは、もう基本はこれしかないと思うというふうに先ほど法相がおっしゃったんですけれども、先ほどから言っていらっしゃる二つの点、その点になると思うんですね。そうすると、今後法相が進行中の事件についてだれかから、新聞記者からインタビューを求められた場合に必ずこのとおりにお答えになるんだったら、余り問題にはならないと思うんですよ。だから、今後このとおりにお答えになるのか。進行中の裁判について検察どう思うのかというふうに新聞記者が言った場合に、法相がこのとおり、批判は差し控えたい、事件の介入意思はない、ただし一般論としてはこうこうであるというふうにお答えになるのなら、なるほどと私も思うんです。だけれども、そこはどうなんでしょうね、今後。
○国務大臣(奥野誠亮君) 訴訟活動で簡単に何か言うとすると、私はその二つを言うのは一番的確に言える言葉じゃないだろうかなという感じがいたします。
○中山千夏君 わかりました。 それからもう一つ、先ほど来のお話を聞いていて私によく理解できない部分がありまして、ちょっと矛盾しているんじゃないかなと思えるところがありましたので伺いたいんですけれども、検察が人道に外れていると思えば立場上検察に注意しなければならないということを一つおっしゃいましたね。それから、現在注意すべき状態と考えていないということもおっしゃいましたね。これはそのとおりですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 検察庁が活動するについては、いろんな角度から考えて最終結論を出していると思うのです。常に最善の道を選ぶ努力をしていると思うのです。ですから、私はそれにとやかくいま注意しなきゃならない事態とは考えていないのですと、こう申し上げているわけであります。
○中山千夏君 その注意すべき状態であるかないかということですね、その判断はやはり大変重要なことだろうと思いますし、お立場上、そのことは事件の動きなり、それから検察のやり方なりを一生懸命見ていらしてそして判断を下していらっしゃるわけでしょうね。
○国務大臣(奥野誠亮君) 国会でいろいろ御意見を伺いまして、なるほど検察としてはそういう御意見に沿うように努力をしなきゃならないなというようなことがありました場合には、検察の方へ伝えるというようなこともいたしております。
○中山千夏君 わりと人ごとみたいな感じなんですけれども、たとえば国会の中でのほかの人の意見だけじゃなくて、法相御自身が事態の成り行きを見ていらして御自分がこうじゃないかとお思いになったこと、それから議会の中でのいろいろな意見、そういうものをもちろん両方とも考えてなさるのでしょう。それとも、法相のお考えはまるでなしで、積極的にはなくて、議会の人たちの意見だけを聞いて、それが自分の考えに合っていると思ったら注意をするという、そういう感じなんですか。それとも、やっぱり積極的にみんなの意見を聞こう、自分もこのことについて検察が正しいかどうか考えてみようというふうに積極的にそのことを考えていらっしゃるのか。いかがなんでしょうか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 検察にもりっぱな方々がおられるわけでございますから、任しておいて私は皆さん方に御安心いただけると思うのです。しかし、時と場合においては私からも検察に、こういう意見があります、留意しなさいよと言うことはそれはあります。国会でまた御意見がありましても、すべて仰せごもっともですとお答えしているわけじゃございませんで、私なりの意見もその機会には申し上げさしていただいたりいたしているわけであります。
○中山千夏君 それをちょっと伺いたかったのは、検察庁の動きに対する判断をおっしゃるときに、ごく手短に片づけてしまえば、この件に関して、ロッキード事件の裁判に関して検察庁としては最善を尽くしているというふうに思うとおっしゃるんですけれども、前後よく聞いていますと、検察庁としては検察庁なりに最善を尽くしているとか、人それぞれ批判はあろうけれども検察庁としては最善を尽くしていると信じているとか、何がすごくあいまいな、大臣自身がすっきり最善を尽くしていますというふうに自信を持っていらっしゃるんじゃなくて、何かすごく自信のなさそうなはっきりしない感じがあるんです。 そんな判断でもって、人の道に外れていると思えば立場上検察に注意しなければならない人が、そんな自信なげな判断でどうするんだろうか。もしかしたら、人の道に外れているだろうかという気がするんですね、聞いていると。そこのところ、少しはっきり言っていただきたいと思うんですけれども。
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほどもたびたび申し上げましたように、一つの視点だけで物を考えるのじゃなくて、不正の追及に抜かりがあってはならない、人の道に外れることがあってはならない、その他つけ加えようとすればいろんなことがあると思うのであります。そういうようなことを踏まえながら、最終的にどうしようという結論を検察庁は出しているわけでありますから、その努力は私はそれなりに最善を尽くしておると考えていますと、こう申し上げているわけであります。 同時にまた、最高検察庁はいろんな活動をしております。それを私はああだ、こうだという批判は避けておきたいと、こう申し上げているわけであります。
○中山千夏君 どうしてもそれなりにというような言葉が入りましたり、それから法相御自身の検察庁に対する評価というのは、もちろん法相御自身がいろいろな角度から検察庁の活動をごらんになって総合的に。判断なさるものだと思うんですね。で、総合的に判断した結果としては、なかなか最善を尽くしているとか、それからこの点はちょっといいけれども、まあ五〇%ぐらいは最善を尽くしているんじゃなかろうかとか、ちまたではそういうふうに判断を下してある程度はっきりするんですけれども、法相御自身のお答えを聞いていると、何かひとつ奥歯に物がはさまったような感じがどうしてもぬぐえないんですね。だけれど、それはそれで次に移ります。 ほかの証人を探す道があればほかに探すべきだと、これはさっき寺田さんが妻を証人に立たせるという場合に一般論としてどう考えるかということを質問なすったときに、大臣はそうお答えになりましたよね。これはなぜなんでしょうか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 一般論として寺田さんが言われたのは、けんか別れをした妻が夫のことについて証人に立つことをどう思うかとおっしゃったから、他に適当な証人があれば他に証人を求めた方が望ましいと思いますと答えたわけであります。感情の起伏の激しい人を証人に立てることがいいか悪いか、それよりもやっぱり違った方がいらっしゃるならその人を求めた方がいいじゃないかと、こういう刑事訴訟法上の証人を立てる場合の基本原則を私なりに踏まえているものでございますから、寺田さんにそう答えたわけでございます。
○中山千夏君 ちょっと前後の勘違いがあられるのじゃないかなというふうに思うんです。これは後で議事録を見ていただけばわかると思いますけれども、先ほどのやりとりだと、寺田さんが一般論として妻を証人に立てるというのはどうかというふうに聞かれたんです。そうしたら法相が、他の証人を探す道があればほかに探すべきだとお答えになったんです。そうしたら寺田さんがもう一度、妻を法廷に立てるのは法律的に見て当然である、ましてや、けんか別れをして間が冷たくなっている妻を立てることには法律的に何ら問題はないんではないですかと念を押されましたら、そうしたら法相が、法的にはそのとおりだというふうにお答えになったと思うんですが、いかがでしょう、その辺。
○国務大臣(奥野誠亮君) ちょっと正確には覚えておりませんけれども、いま申し上げたような意味合いで私は判断して答えたわけでございます。 今度の事件は、先ほども申し上げましたように、証人申請して裁判所が許可を与えているわけでございますから、法的には何ら問題はないわけであります。同時に、その裁判に当たりましても刑事訴訟法上証人は証言を拒否することもできるのですよ、拒絶することもできるのですよと、こうまで言ってやっておられるわけでございまして、私は訴訟進行上も何ら問題はないと思います。ただ、刑事訴訟法上にそういうことを書いておるのは、妻が夫の罪をあばき立てるようなことは情義上好ましくないというような判断もあって刑事訴訟法上にそういう規定を置いているのだろうと、こう思っておるわけでございますし、一般に妻が夫の罪をあばき立てるとか、子供が親の罪をあばき立てるとかいうことが好ましい社会情勢でないことは、これは私は普通のことだと思うのであります。 しかし、訴訟を進行さしていきますためには、いろんなことを総合的に判断しながら決めていくことでございますので、それで私は一つ一つのことを拾い上げて批判をすることは避けていきたいなと、こう思っておるわけであります。
○中山千夏君 後でまた、委員の中にも法律家がたくさんいらっしゃるので、私も少し勉強させていただきたいと思いますけれども、私の理解では、妻が法廷に立つことが余り歓迎されないのは、たとえば夫に罪がある場合に、夫の罪を覆い隠すような証言をしてしまうから好ましくないんだというふうにされているといままで思っておりましたけれども、後ほど皆さんに伺ってみたいと思います。 それからもう一つ、この法相の発言があってから非常にいろいろな反論が巻き起こったわけですね。それについて大臣は、人それぞれ意見がいろいろあるものだというふうにおっしゃったんですけれども、ちょっとこの状態を見ますと、意見がいろいろあるものだという程度のことではなくて、私がちょっと見ました新聞なんかにしましても、やっぱり「法相の検察批判」というふうに見出しをはっきりつけているところもありますし、それから「検察ぶ然」なんという見出しで、検察と関係があるということをはっきりうたっている。それからもう一つも「検察を批判」というふうになっているんですね。 新聞の論調というのはほとんどそうで、それから国会内でも一人や二人の議員が騒いだわけではなくて、やっぱりたくさんの人たちがおかしいと言い、そして委員会なんかもあちこちで法相の扱いをめぐっていろいろがたがたがたがたしちゃっているわけですよね。 そうすると、大体全体的に見て、一部の人々がいろいろ受け取り方が違うというようなことではなくて、全体的に見て、やっぱりある程度いまの世論を法相の発言は揺るがせたと思うわけなんです。もちろん、多くの人たちが非常に批判的な発言を行ったから少数意見の方はだめなんだというふうに私は言うつもりは全然ないんです。だけれど、騒ぎになったことはなったわけですよね。そうすると、法相は記者にああいう発言、お答えになるときに、こういう騒ぎになるだろうと思っていらしたのか、それとも騒ぎが起こってみて非常に意外だったのか、どちらなんだろうなと思うんですよね。それはいかがでしょう。
○国務大臣(奥野誠亮君) こんな騒ぎになるなら、ああいう言い方であってもしない方がよかったと思います。私は、騒ぎにならないように注意して、先ほどるる申し上げているような形でお答えをしたつもりでございます。
○中山千夏君 そうすると、あれだけ前置きをして、そうして一般論を述べたにもかかわらずこういう騒ぎになったということは、法相からごらんにたると、逆に非常に不思議というか、不満というか、おかしな世の中だなという感じもちょっと……。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私が質問に対してお答えをする、それを何人かで聞いてくださっている、そしてそれがまた皆さんに伝えられる、それを受け取った方々がまたいろいろな受け取り方がある。結果的にはああいう混乱になっているのじゃないかなと、こう思っております。
○中山千夏君 そうすると、先ほどもちょっと触れておられましたけれども、ああいう発言をしたことで国会の中ですぐに罷免というような声が上がるのは、ちょっとこう、国会がそうじゃない国会じゃなければおかしいのじゃないかというふうにお感じになっていらっしゃるんでしょうね。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、できるだけ自由な意見を国会で交換し合うべきだ、すぐ物を言えなくするような、罷免要求などということは軽々にしない方が望ましいのじゃないかなと思っております。訴訟でも、裁判でいろいろやり合うわけでございますけれども、お互いの議論が終わってから起訴しました側が求刑をするのです。最初から死刑判決と、こういうような求刑はしないのです。でございますから、私は国会も、何かみんなで知恵をしぼり合いながらいい慣習がもっと成熟するようにあってほしいなという願いは持っております。
○中山千夏君 先ほど谷合判事補の件について、やはり寺田さんが御質問なさったときに、私は全くそのとおりだと思うお答えを事務総長がしていらしたんです。それは、谷合判事補が職務を曲げたとは思わないけれども、何人からも公正に見られるという、らしさが裁判官には必要だ、そのことが欠けただけでも弾劾裁判に値するし、そのことが欠けたということだけでもこれは許され得ないことだというふうにおっしゃっていたんです。その事務総長の言葉については、どういう感想をお持ちになりますか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 事務総長は事務総長らしいお答えをしていらっしゃるなと思っておりました。
○中山千夏君 その意見に反対ですか、賛成ですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 事務総長らしいと、こう申し上げているわけであります。
○中山千夏君 その意見の内容について、反対か賛成がということを言いたくないんですか。——いまちょっとここででもいいですから考えて、この内容について、なるほどもっともだとか、ちょっとおかしいなとか、ちょっと考えて言っていただきたいんです。
○国務大臣(奥野誠亮君) これは法務省の問題じゃございませんし、弾劾裁判で罷免になっているのです。重大な事案でございまして、それについて事務総長が恐らく胸を痛めながらお答えされているのだと思うのです。それにあえて、私は司法でございませんのに、おまえはあれが賛成とか反対とか言えというようなことは、私は残酷な質問だなという感じがいたします。
○中山千夏君 しかし、胸を痛めてそういうふうにおっしゃったときに、本当に事務総長のおっしゃるとおりだと言えば、事務総長は別にそれ以上胸が痛まれることはないわけですね。そうすると、そのとおりじゃないというお答えをしようとなさっていたのかなという気がしますけれども、どうでしょう。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、裁判官・谷合判事補のことも頭に置きながら、いまお答えをしているわけであります。
○中山千夏君 この席で一つちょっとびっくりしたことは、公然と田中被告と大臣がお親しいというような発言が委員の方からありまして、そのことについて何ら否定もなされないでどんどん審議が進んでいるということについて、多分普通の人ならちょっとびっくりするのじゃないかなと思うんですが、本当にお親しいんですか。そして、大変友情を感じていらっしゃるのですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、田中内閣のときの文部大臣を務めたわけでございますし、また、田中幹事長のときに総務局長も務めたわけでございまして、自由民主党の中でいろんなかかわり合いをお互いに持っているわけでございます。
○中山千夏君 ということは、政界の中で言うと、お親しいということになるんでしょうね。それは言っていただかなくても大体察するということも少しはしなきゃいけないのかとも思いますし、巷間ではお親しいというふうにみんなが言っておりますし、それからこちらでも公然と伺ったので、なるほどそうかなと思います。 賛成、反対を谷合判事補のことを考えて言わなかったというふうにおっしゃいましたけれども、私は、事務総長のお言葉というのは、単に裁判官にだけかかわる問題じゃなくて、公的な仕事をしている人間がみんな心がけなければならないことなんだろうと思うのです。何人からも公正に見られるということをやっぱり努力して心がけなければいけないので、そういう意味から言っても、いま奥野さんがついていらっしゃる法相という職ですね、ただの議員であったらいいのだけれども、その職についている方が、あの時期にああした発言をなさったと。そのことについて、むしろ騒ぐ方がどちらかといえば不思議なんじゃないかと思っていらっしゃるというようなところを伺いますと、ちょっとわれわれの法務大臣は、法務大臣としての認識にはかなり欠けていて、そういう大臣をいただくことはみんなの不幸だというふうに、いま思います。 最後に、供託法の改正案について一つお尋ねします。 このような形で改正することで必要不可欠な経費を捻出するためだというふうにさっきお伺いしたんですけれども、これは非常に正常な方法、大変いい方法だというふうに考えていらっしゃるのでしょうか。それとも、しようがないというふうに考えていらっしゃるのでしょうか、いまこの時期であれば。
○政府委員(中島一郎君) 私どもは、先ほども申し上げましたように、供託金には必然的に利息を生ずべき性質のものではないと考えておりますけれども、八十年にわたって利息をつけてきたというような歴史的な事実なども考えてみますと、国の財政状態が許すならば利息をつけることの方が望ましいということを思っております。 しかし、先ほども申し上げておりますように、ゼロシーリングということで、何か既定の経費を削らなければ法務局の本来の業務をどうにかこうにか遂行していくことすら困難になってくるというような事態でありますので、財政再建期間中に限ってやむを得ない措置として利息の停止をお願いしたいと、こういう心境でございます。
○中山千夏君 どうもありがとうございました。 以上です。
○近藤忠孝君 先ほどに引き続いて、あと三十分ばかり質問いたします。 いまの続きになりますが、中山委員の質問に対して、感情の起伏の激しい人を証人にするのは妥当でない、こう発言をされたのですね。これは榎本前夫人のことを指しているのでしょうか。もしそうだとしますと、どうして榎本前夫人が感情の起伏の激しい人だという理解をされたのか。いかがですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 榎本前夫人に絡む問題については一切批判は避けたいと、こう申し上げてきたわけでございます。いま中山さんから、せっかく寺田さんが一般論としてお尋ねになったことについて私の答えたことを引き合いにお出しになりましたから、あえてそういうことに関連して、証人はこうあるべきだという意味合いで一般に言われていることを申し上げたわけでございます。
○近藤忠孝君 一般論としても大変大事なことですね。そうしますと、妻は大体感情の起伏が激しくて証人としてふさわしくない。これは、大臣の一般意識の問題になりはしませんかね。
○国務大臣(奥野誠亮君) 時と場合によることだろうと思いますし、そういう意味で私は刑事訴訟法に書いてある規定を申し上げたわけでございました。「証言を拒むことができる。」とわざわざ刑事訴訟法に書いてあることは、一般的には好ましい場合ばかりでないものだから証言を拒めますよと、わざとそういう規定を置いているのだと、こう理解しているわけであります。
○近藤忠孝君 お答えになっていませんけれども、刑事局長にお伺いしますが、KDD事件の板野の場合、この妻を証人として喚問したんじゃないのでしょうか。この場合には、感情の起伏が激しい証言をなすったでしょうか。
○政府委員(前田宏君) 御指摘のKDD事件では、その事件の立証上必要だということで、板野氏の夫人を証人として申請し尋問が行われております。
○近藤忠孝君 私はほかにもあると思いますし、決して妻の地位にある人が、大臣が言うような一般論としても、感情の起伏が激しいということで証人としては後に回すべきだと、こういうふうに私は民事もそうですが刑事でもとっていない、こう思いますが、どうですか。
○政府委員(前田宏君) すべてケース・バイ・ケースと申しますか、事案の内容と立証の必要といってとによって結論が違ってくると思いますので、一概には申せないと思います。
○近藤忠孝君 一概に言えないことを大臣が一般論としておっしゃることは、大臣の考えの中に私はこういう思想があると思うのですよ。妻が夫の不利益なことに関して証言することはこれは人倫に反する、人の道に反すると、そういうお考えがあるのと違いますか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 夫婦は仲よくしていかなきゃならないわけでございますから、けんかになるようなことは避けた方がいいと思います。
○近藤忠孝君 そうしますと、人の道発言というものは、私は大臣のお考えの中にそういうお考えがあるとしますと、やはり田中弁護団のあの検察非難の言葉を知らずにああいう発言をしたんですから、私は基本的に田中弁護団の考えと共通するものがあるんじゃないか、だからこそこれだけの大騒ぎになっている、私はそう指摘せざるを得ないんです。いまの大臣のお答えとあわせて、そういう点ではこの際率直に反省すべきじゃないか。 先ほど来、罷免要求は発言を封ずるなんと言っていますけれども、私はまず、また他の委員も罷免要求の前に言っていることは、やっぱりこれだけ経験を持った方が、発言については客観的なことを考えながら発言すべきなのに、こういう結果をもたらしている、まず反省すべきじゃないか。それから、反省しなけりゃ大臣としてふさわしくないから辞任を求めると、こういう順序だったんですね。まず反省することが先だと思うんですが、どうですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 繰り返し繰り返し申し上げているのですけれども、私は道に外れたらいかぬというだけのことを言ってないのです。前提として、検察は不正の追及、これを徹底していかなければ国民から支持されません、それが検察庁の基本的な任務です、しかし、だからといって何をやってもいいかと、こう言われると、やっぱり道に外れないようにしなけりゃなりませんよと、こう申し上げているわけでございますので、どうも近藤さんは後者ばかり言ってこられるわけであります。 同時にまた、寺田さんのお話も、一般論として私は承ったわけでございまして、その際に私は、誤解したのかしりませんけれども、別れた妻が夫の罪に関して証人に立つと、こういうふうに理解しちゃったのですけれども、それはあるいは違っておったのかもしれません。そういうことも、他に適当な証人があれば他に証人を求めた方が好ましいと思いますと答えたわけです。他に証人がなくて、それをいかぬとかいいとかいうことを言っているわけじゃないのです。やはり不正の追及ということと証人の選定ということと、いろんなものがみんな絡んでくると思うのです。 私は、検察庁は道に外れてもいいというようなことは一つも考えていないと思います。また、自分のやっていることは道に外れているとは思ってないと思います。道に外れていると思えばやらないと思います。すべて私は、総合的に判断をして検察庁は最善を尽くしているのだと、こう思うと、こう繰り返し答えているわけであります。私は、しかし、検察庁のやっていることを、いま裁判の進行中なものでございますから、あれこれ批判がましいことは言わないでおきたいのだと、こうもお答えさしていただいているわけでございます。
○近藤忠孝君 そういうお答えであれば、もう一つだけ聞かなきゃいけません。となりますと、榎本前夫人の証言に関して大臣、発言を求められたんですから、このときに弁護団がどういう発言をしたかについては先ほど聞きましたけれども、検察の方がなぜ榎本前夫人を証人にする必要があったのか、先ほど来から必要の問題を言っていますから、大臣、その点についてはどういう御理解をしておったんですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私の発言がマスコミでいろんな批判を受けました。それで、前田刑事局長に来てもらいまして、どうして私が記者会見で言うたことであんな批判を受けなきゃならないのだろうかなと、こう聞いたわけであります。そうしましたら、刑事局長が考えて、弁護団がいろんなことを言っている、それと大臣が言ったこととが同じように受け取られたのじゃないでしょうかと、こういう意見があったのです。それで私が、一体弁護団がどう言っているか、新聞を調べて持ってきてもらいたいということを秘書官に言ったのです。そういう過程で私は知りましたと、こう申し上げているわけでございます。
○近藤忠孝君 余り聞きたくありませんが、いま聞いたことは、検察が榎本前夫人の立証、要するに証人喚問を必要とした理由についてどう理解しておったかということですね。
○国務大臣(奥野誠亮君) それは、不正の追及のために必要やむを得ないことだと考えたのだろうと私なりに推測いたしております。
○近藤忠孝君 榎本前夫人喚問については必要だったということですな。 それでは、いよいよ供託の問題に入りますが、利息をつけないこと、しかし実際これはもう衆議院以来ずっと議論されておりますことは、要するに大蔵省と日銀の関係なんですね。 〔委員長退席、理事藤原房雄君着席〕 日銀はこの金を運用しますが、ただ大蔵省のお金については、赤字なんかあったりしてそこにはやっぱり利息がつかない、だからもともとつかないものだったと、こういうのがこれはずっといままでの説明です。 そこで、これは大蔵省にお伺いするんですが、たしか大蔵省から見るとそのとおりだと思うんですよ。ところが、国民の方から見ますと、大蔵省も日銀も大体同じようなものなんです。同じものが二つに分かれているぐらいにしか感じないんですね。そうなりますと、日銀のところではこのお金を運用して、そこではそれなりの利息が出ているのに、なぜいままでのような衆議院以来一貫した答弁をしているのかと、こういう疑問が出てくるんですが、どうですか。
○説明員(福井博夫君) 国庫の状況につきまして御説明をする必要があろうかと思いますけれども、問題が実は御指摘のとおり二つあるわけでございまして、一つは、国庫金の中で一体通常どういう姿になるかという問題と、その結果として出てまいります政府当座預金が日本銀行に預金されている問題、この二つあるわけでございます。 前者の方の問題につきまして御説明を申し上げますと……
○近藤忠孝君 衆議院でやっているから簡単でいいですよ。
○説明員(福井博夫君) 現在は、通常一般会計の関係では税収のおくれということがございますので、国庫金の実質政府預金と私ども申しておるわけでございますけれども、これは通常赤字になっておるという状況でございます。実質政府預金というのはどういうものかともう一遍さらに御説明いたしますと、一般会計のそういった税収のおくれによる赤字、それからさらに供託金によるプラス、それからまた他の特別会計の余裕金によるプラス、こういったマイナス要因とブラス要因と総合いたしました結果が政府実質預金と私ども称しているわけでございまして、これが実は通常は赤字になっておるという状況でございます。 したがいまして、これでは国庫が回りませんので、通常必要と考えられます五百億円ぐらいの政府預金をつくるために、政府短期証券を発行いたしまして五百億円の預金をつくっておる、こういう状態になっておるわけでございます。したがいまして、この段階でまず供託金といいますのは、恐らく政府短期証券の増発を食いとめるといいますか、そういう作用をいたしておるというのが第一段階の状況でございます。 その次に、それじゃ五百億円が日本銀行に預けられた場合にどうなるのかということを検討いたします場合に、この五百億円の中に供託金というものは一体どれだけ含まれておるかということを考えませんと、この先の議論が進まないわけでございますけれども、通常の国庫の状況でございますと、いま申しましたように、政府短期証券によってようやく五百億円支えておるというふうな状況になるわけでございますので、この五百億円の中にそのまま供託金が含まれているというような状態は通常はないのじゃないかという気がいたします。しかしながら一般的に申せば、政府短期証券が発行されないような状況も考えられるわけでございますので、そういうような特定の状況の場合におきましては、確かに政府短期証券の中にも一部供託金が含まれているというような状況があろうかというふうに考えるわけでございます。 そうなりましたときに、日本銀行にそれが運用されておるということになるわけでございまして、そういう意味では供託金の一部が日本銀行に運用されておるわけでございますけれども、その比率といいますか、寄与度といいますか、そういったものは全体として考えますと非常に限られたごく一部のものが日本銀行の方に預託されるという姿になっているものと了解いたしておるわけでございます。 ただ、日本銀行と国庫との関係は同一でございますので、いずれ納付金という形で日本銀行へ還付されますので、この五百億円が非常に限られた局面におきまして資金の運用された結果として、そのごく一部が国庫の方にはね返ってくるというようなことも確かに否定はできないということは言えると思います。
○近藤忠孝君 その説明は衆議院以来ずっと繰り返してきまして大分よく理解しましたけれども、それ自身としてはそのとおりであるとしましても、やはり国民の側から見れば、実は日銀まで含めて考えている。そういう点では、私はそこで運用しているんですから、やはり利息をつけるのはこれは当然だろうということを、これは意見として申し上げます。 一方、今度利息をつけない結果、国民への影響が大変出てくると思うんです。そこで、衆議院での、国民にどういう影響をもたらすのかという質問に対して、法務省の方はほとんどないと、こういうことだったんですが、果たしてそうでしょうか。
○政府委員(中島一郎君) 供託は、これも先ほど申し上げましたように、郵便貯金でありますとか銀行預金と違いまして利殖を目的とするものではございません。それぞれの供託の制度によって違いますけれども、固有の目的による一定の法律上の利益を供託者が享受をする、それが本来の目的になっております。でありますから、供託金に利息を付さないことにいたしましても供託自体の法律上の効果に影響が及ぶことはないということは、これはもう申すまでもないことであります。 しかし、利息を停止することによって供託利用者にある程度の不利益を与えるのじゃないかということにつきましては、それは従来の取り扱いに比べますればある程度の不利益を与えるということは、これはそのとおりであると言わざるを得ないかと思うわけでありますが、その点は現在の財政状態のもとでありますから、国民に若干の負担をしてもらうこともやむを得ないことであるというふうに考えておるわけでございます。 〔理事藤原房雄君退席、委員長着席〕 なお、保証供託や選挙供託などにつきましては有価証券供託が認められるわけでありますから、その有価証券供託をすることによって利息の停止をすることによる影響を解消することができるということをいろいろ考えてみますと、国民に対する影響というものはさして大きなものではないというふうに理解しておるわけでございます。
○近藤忠孝君 供託制度が利益を生むためのものでないというこの説明をずうっとやってきておるんですが、私はこの供託制度というのは法務省の説明とは若干違った考えを持っておるんです。というのは、これは行政の側のサービス、そういう面がありますけれども、単なるサービスでなくて、法治国家として国民を法のもとに統治している、そういう関係の中で出てきたもの、やっぱり民法なりいろんな裁判制度などがだんだんだんだん固まってくる近代社会への発展の中で出てきたものですね。となりますと、私はこれは国の国民に対する義務だと思うんですよ。だからこそ、供託したことによって利益を上げるものではないにしましても、私は利息をつけるのが好ましいとされたし、またつけてきたのではないかと、こう思うんです。そういうお考えはないですか。
○政府委員(中島一郎君) 供託制度を単純なる行政サービスであるというふうに申し上げているつもりはないわけでありまして、これはあくまで司法秩序を推持するという目的のために国が運営をしている制度であるということは、これはもう御指摘のとおりであります。そういったことが原因になりまして利息をつけることが望ましいというような一面もあるということも、そのとおりであろうかというふうに思っておりますけれども、法律的な性格として、必然的に利息を生む制度ではないということを申し上げているわけでございます。
○近藤忠孝君 そこで、じゃ具体的にどのような不利益になるのか。若干の不利益が利息を出さないことによって起きることは民事局長認めたので、具体的にお聞きしますと、われわれ弁護士をやっていましてなかなかむずかしい事件でも、この利息がつくことにしって和解可能なことがあるんですよ。特に賃貸借関係なんかで長くやると、利率は低いけれどもかなりの利息になりますよね。そうしますと、じゃもうそいつでひとつむずかしいところは勘弁してくれとかいうようなことで、和解のために使ったことも何度もあります。そういう機会が奪われてしまう。 そうすると、私は単なる利息がつかないことによる不利益だけじゃなくて、やっぱり和解による紛争解決という、これもやっぱり司法の面からいいますと大変大事なことですね、民事紛争の解決としては。むしろ裁判官とすれば最も和解による解決を求める、判決による解決よりは和解の方が妥当だという、そういう方向からいいますと、私はそれに逆行するのじゃないかと思うんですが、そういう面はどうですか。
○政府委員(中島一郎君) 供託金を使って紛争の解決を図ろうという段階になりまして、利息がついている場合とついていない場合とどちらが紛争の解決によいかということになりますれば、これはついてないよりはついている方がいいということはそのとおりであろうかというふうに考えております。ただ、利息がついておるからどの程度紛争の解決が容易になるかといいますと、これは個個具体的な事件によることでありますし、そういった点を含めまして若干の不利益はこの際国民の側に負担をしてもらいたいと、こういうことでございます。
○近藤忠孝君 これは若干の不利益ではないんですね。弁済供託などはいま申し上げたことが大きな問題ですが、もう一つ仮差し押さえとか仮処分なんかの保証金ですね。これはやむを得ず保全処分しなければいかぬという場合に、だれしも金があるわけじゃありませんから、友人から金を借りてくる。その場合に、やっぱり利息のつく金を借りてくるわけですね。そうしますと、時がだんだん進んでいく。そうすると、もちろんいま法律でついている利息ではとてもこれは貯えないけれども、しかし、若干でも一定の期間があった場合に利息がつくことが——金を借りてやむを得ず保全処分しなければいかぬと。これは権利救済のためにやむを得ない措置ですね。そういう場合に、かなりこれは後が大変なんです。それこそ若干どころじゃないんじゃないか。その辺までこれは考えて、今回利息をやめるのはそこまで思いをめぐらした上のことですか。
○政府委員(中島一郎君) ただいまの御質問は仮差し押さえの場合のようでございますが、その場合につきましては有価証券供託という方法もございます。さらには、先ほども申し上げましたように、最高裁判所規則によって設けられました支払い委託契約というような制度もございますので、現実に現金を供託しないで保証供託をし、あるいは供託にかわる働きをするというようなこともございますので、ケース、ケースによりますけれども、そういった方法も活用いただいて、この不利益をなるべく少なくしていただくというようなこともお願いしたいと思っております。
○近藤忠孝君 有価証券供託が出てきましたけれども、やっぱりこれはお役人的考えですね。有価証券といえば国債ですけれども、大体庶民が国債を持っていますか。局長、国債を持っているかどうか知りませんけれども、私は国債なんか買う余裕はありませんよね。だから、国債を持っているのは一定の人ですよ。一定程度の人で、初めて国債を持ち得るんですね。いま私問題にしたのは、当座の金さえないから借りてきて、それで仕方なしにいまの制度のもとじゃ保証金を積まなきゃ仮差しも仮処分も出ないから、泣く泣く借りてきてやったような人、そういった人々からわずかばかりの利息さえ取ってしまうのは大変酷である。いまの答弁を見てみますと、国債、要するに有価証券供託があるのだからいいんじゃないかというのは、その辺に全然思いをめぐらしていないと、こう指摘せざるを得ませんので、ひとつこれは今後の問題として十分配慮してほしいと思います。 それから、いま指摘をした仮差し、仮処分の保証金ですが、これはいま供託所で受け付けていますね。元来、裁判所でまず一応の決定をし、保証金が決まり、それから供託所へ行って積んで、その納付書を持ってまた裁判所へ行くと、こういう点では大変手間になるわけですね。これは供託所の方で受け付けなきゃならない根拠はなんでしょうか。
○説明員(筧康生君) これは、衆議院のときに保釈金のことをお尋ねになりましたときにお答えしたことでございますけれども、裁判上の供託につきましても、論理必然的といいますか、必ず供託制度を利用しなければならないということはないと考えております。それはやはり裁判上の保証制度というものをつくりますところの一つの政策上の選択の問題として供託制度を利用するか、あるいは裁判所がみずから——みずからといっても最終的には国庫の保管金となるわけでございますけれども、裁判所の保管金として取り扱うということも政策判断としては可能である、こういうものであろうと思っております。
○近藤忠孝君 そうしますと、制度に伴う論理必然的なものでない。だから、政策的な配慮によって裁判所が扱うことも可能であるという答弁でありますと、私はこれは今後の方向として、裁判所が扱うように求めたいと思うんです。 というのは、これは衆議院の段階でも刑事の保釈保証金については緊急性を要する、だから裁判所で扱うのがふさわしいということであれば、緊急性は私は刑事以上に民事の仮差し、仮処分の方が大きいと思うんですね。刑事の保証金の保場合は、持っていくのがおくれればそれだけ出るのがおくれるだけですよ。早く出たいという意味はあるけれどもね。しかし、出るのがおくれるだけです。ところが、民事の場合には、もしその日に間に合いませんと仮差しが外れてしまうんです。権利救済が全然できない。これはもう取り返しのつかないことになります。私自身もわずか半日おくれたために、やっぱり何千万かのお金を逃したことがあります。まさにそれは一刻を争うものですよ。となれば、これは政策的にむしろわざわざ供託所まで行く論理必然性がなければ、裁判所で扱ったらどうでしょうか。裁判所で扱うことについて何かまずい点があるんですか。
○説明員(筧康生君) 仮処分ないしは仮差し押さえにおきますところの保証金が供託制度というものを利用いたしたところの立法趣旨というのは、文献等を見ましても必ずしもはっきりしておらないわけでございますけれども、私どもが推測いたしますところでは、裁判上の供託というのはこれは損害担保のためでございますが、刑事保証金が、もしも被告人の逃亡等が行われた場合には裁判所の決定をもって没取するというようなところ士は若干異にするところがございまして、保証金をめぐるところの取り戻し、あるいは還付というような事態が生じてくる、あるいは還付請求権を他の者が差し押さえるというような事態が生じてくるということが間々あるわけでございます。 そういう事態というのが、従前供託所が取り扱いなれておりますところの各種の営業保証供託の権利関係と非常に似通ったところがある、そういう意味で、こういう制度というものを扱いなれておりまする供託所にあわせて扱わせるという一つのメリットというものが、先生御指摘の緊急性あるいは裁判所の近くにあった方がいいというようなこととの対比を上回っておるということが考慮されているのではないかと推測しているものであります。
○近藤忠孝君 要するに、金の扱いは裁判所よりも法務省の方がうまい、なれているということだけですね。しかし、実際、刑事の保証金なんというのは、田中角榮の場合は何億でしたか、どっさり来るんですよね。最近、大変保釈保証金が高くなっているというので、弁護士も相当これは苦慮している。そういう面もあって、私は裁判所も決して金扱いは下手ではないと思いますし、ちゃんと金扱い専門がいますからね。特に私、地方の小さい法務局なんかで何でもやっている人に比べりゃ、地裁段階あるいは支部でも一定の大きな支部に行きますと専門で扱っていますから、私は金扱いはむしろ心配ないのじゃないか、こう思うんです。 それで、もう時間もありませんから、あと若干それに関連して申しますと、東京や京都の弁護士あるいは事務局の人に聞いてみますと、裁判所で扱ってくれることを大変望んでおるんです。現に東京の場合ですと、まず法務局へ——あれはどこでしたか、大手町ですか、離れておりますね。そしてまた帰ってくる。そうしますと、やっぱり普通でも最低三十分ロスが出るわけです。それから月末で弁済供託のときは込んじゃって、大体一時間から二時間どうしてもロスが出る。ちょっと時間によってはとても間に合わない。そして、その日に決定がおりるのを失ってしまうという、そういう例があるというんですね。このロスをなくすこと、これは必要であろうと思うんです。そういう点では、京都でも弁護士また事務局が、実際この場合には大して離れていませんけれども、しかしそれでもそういう不便を感ずる。だから、裁判所内で全部できれば本当にこれは好ましいし、その面はまさに行政改革じゃありませんけれども、本当にそれはそうしてほしいという、こういう希望があるんです。 となりますと、あと問題は金の扱い方の問題だけですから、この部分だけ裁判所へ移行しても私は差し支えないと思うのですが、将来の方向としてそういうことは考えていませんか。
○政府委員(中島一郎君) ただいま四課長からお答え申し上げましたように、保釈の保証金とは若干性質が違うのじゃないかというふうに考えますけれども、何分裁判所の意向もあることでありますから、機会をとらえて御意見のあったことを伝えてみたいと思っております。
○近藤忠孝君 それじゃ、きょう裁判所を呼んでおけばよかったですね。私もきのう打ち合わせのときに裁判所を呼ぶかと言ったけれども、まあ差し支えがあってもいかぬというので呼ばなかったんですが、裁判所の方でそれは引き受けますと言うのであれば、法務省の方は異存はないと、こう聞いてよろしいでしょうか。というのは、私は実際これは局長にしても課長にしても実務をやっていませんから、いかにそのことが大変なのか。弁護士でも初めての土地へ行った場合に、どこに法務局があって、どこに日銀があってどうやってくるのか、これは苦労しちゃうわけですよ。それこそ、むだなまる一日を過ごしてしまうということもあるわけですね。弁護士でもそうなんです。大都会で相当なれた事務局の場合には、すいすいやっていますけれども、それでもさっき言ったとおり何時間もだってしまう。 となりますと、全く新しいところへ行った場合そうですし、東京その他の大都会でも、私は素人の人がこれをやろうとした場合には、これはとてもできないと思うのですね。必然的に弁護士を頼まざるを得ないということで、また金もかかるというそういうことにつながっていくんじゃないかということですので、ひとつそういう方向を打ち出してほしいと、こう思いますが、いかがですか。
○政府委員(中島一郎君) 裁判所の意向も聞きながらいろいろ協議をし問題点を洗い出して、果たしてそういうことでいいのかどうか検討をしたいとは思いますけれども、何分事柄がかなり大きな問題でありますので、ここでこれ以上はちょっと申し上げられないような実情でございます。
○委員長(鈴木一弘君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。 次回は、十二日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十八分散会 —————・—————