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95回国会参議院1981/11/19

商工委員会 第4号

発言数
102
登壇者
14
会派数
5
開催日
1981/11/19

会議録

降矢敬雄自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬雄君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、理事の補欠選任についてお諮りをいたします。  委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

降矢敬雄自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に市川正一君を指名いたします。     —————————————

降矢敬雄自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬雄君) 産業貿易及び経済計画などに関する調査を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。

高杉廸忠日本社会党

○高杉廸忠君 私は、通産、中小企業の当面する諸施策について、第一に大店法改正についてまた大型店問題について対処方針などをただし、第二に倒産下請問題、第三に中小企業における承継税制の問題、第四に中小企業向け官公需について、これら中小企業の今日的課題とその施策の充実について以下質問をいたしたいと存じます。今臨時国会における重要案件の行財政改革の間隙を縫っての本委員会であります。有効に活用するために、限られた時間でありますので十分な論議は次の機会に譲るとして、以下ただしたいと存じます。  まず、大店法改正について、また大型店問題についての対処方針などに関して通産大臣並びに中小企業庁長官に伺いたいと思うのです。  大型店の進出をめぐる紛争が全国に飛び火をして久しい。それに対して大店法が必ずしも有効に機能しない。むしろ事態を深刻化する傾向にある今日、まことに憂慮すべき現状であると言わざるを得ません。最近の報道によりますと、通産省は大店法が改正後わずか三カ年で二度目の改正に追い込まれたのでは行政府としてのメンツが立たないなどの事情があって、むしろ静観をする態度をとっていた。けれども、議員立法による改正の動きなどによりましてさすがの通産省も重い腰を上げ、去る十月の六日、大型店問題についての対処方針などを打ち出し、産業政策局長及び中小企業庁長官の私的諮問機関として大型店問題懇談会を設け、出店制度のあり方、その運用改善策及び中小小売業の振興策について検討を行い、その結論を年内にまとめる。その間、現在調整中の案件を含めて大型店の進出は凍結をする、こういうふうに報じております。  大店法改正について中小企業団体が許可制への方向も打ち出している今日であります。  まず通産大臣の所見を伺いたいと思います。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○政府委員(植田守昭君) ちょっと事務的な点もございますので、私からまずお答えさしていただきますが、大型店の届け出件数につきましては五十四年度をピークといたしまして件数としては減少しているわけでございますが、なお各地の商業環境は御指摘のように大変厳しい状況にございます。そういった状況を踏まえまして大型店出店の一層の適正化あるいは調整の円滑化等を図るために先般懇談会を設けまして、目下検討を行っているところでございます。この懇談会で目下検討中でございますけれども、この間をどうするかという問題がございまして、この間の対策といたしましては関係業界に対しまして届け出について一層慎重を期するように要請もし、また問題のあるような案件についての調整については一層慎重を期するということで関係業界に指導をしているというのが現在の状況でございます。目下鋭意検討が進められておりますので、この検討結果をまちまして次のスナップに適切な方策を打ち出していきたいというふうに現在考えているわけでございます。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中六助君) いま植田審議官が答えましたけれども、私ども御指摘のように大型店問題懇談会をいまつくっておりまして、鋭意検討を進めておるわけでございますが、許可制にする、しないは別といたしましても、そういう問題も含めて検討をお願いしているわけでございまして、その過程、その結論、そういうものは委員御指摘のような時期を目安にしてやっておる段階でございます。

高杉廸忠日本社会党

○高杉廸忠君 この大型店問題懇談会についてそれじゃ伺いますけれども、今日までの進行の状況について、何回開かれ、またどのような検討が行われているのか、また当初の目標どおりに年内に結論が出るのかどうか、この点をちょっと伺っておきたいと思います。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○政府委員(植田守昭君) この懇談会は十月十二日に発足いたしまして、三十名から成るメンバーでございますが、その後まず二回ほど全体会議を開きまして、そこでは各関係者からそれぞれ御意見をいただきました。三回目からは学識経験者から成ります小委員会に場を移しまして、現在まで五回ほど小委員会を開いております。この小委員会におきましては各関係の皆さんからさらに突っ込んだ御意見の交換をするということにいたしまして、四回にわたりまして関係者に来ていただきまして熱心な討議等を進めてきたわけでございます。これからこの小委員会で対策のあり方等の検討に入るわけでございますが、私どもといたしましては年内をめどに発足した懇談会でございまして、それを目途に現在検討を進めておるところでございます。そういった目途でございますので、非常にむずかしい問題であることは重々承知しておりますが、何とかぜひまとめていきたいというふうに考えております。

高杉廸忠日本社会党

○高杉廸忠君 十月二十日の日経新聞を見ますと、これは大型店出店で通産次官の藤原さんが見解を述べていられる報道があるんです。「許可制に否定的見解」こういう見解を述べられるということは、通産省の姿勢を示したのではないか、こう思うのですね。まず新聞報道にこういう否定的見解を述べられたという事実、これについて通産省の姿勢をただしたいと思うのです。  それから、いま御答弁がありましたように、現在懇談会で鋭意検討中なんですね。こうした見解の発表は懇談会に対しての一つの牽制とも言うべきような言動であって、私はやはり検討中のときにこういう見解を述べられるということは慎むべきであろう、こういうふうに思うのです。通産大臣どうですか。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中六助君) まあ私も実は新聞記者出身でございますが、私自身も週に二回懇談会をやるわけですが、大体この大型店舗問題が二回の懇談会のうち一回ぐらいは出るのです。それでいろいろ質問を受けるわけでございますが、藤原次官もやはり同じようなことを何度も経験しているわけでございまして、向こうが勝手に許可制か許可制じゃないかとか、あるいは届け出制を持続するのかどうかというようなことを聞くわけで、私どもはイエスもノーも言わないのですけれども、まあそれは多分委員ほかの新聞もあわして見るとおわかりと思いますけれども、許可制に否定というところもありますし、それからそれをさも含んだようなことを業界新聞の一部には書いているものもありますし、取りようによっていろいろあるわけでございまして、私どもは正直に申しましていま懇談会を牽制しようというような考えは実のところありませず、非常に言いにくいことでございますけれども、勝手にいろいろ報道機関が取り扱うことでございまして、私どもが一つの見解を持ってこれに対処しておるというようなことは現在ございません。

高杉廸忠日本社会党

○高杉廸忠君 大臣からのお答えでありますから了として、大店法の改正については懇談会の結論待ちで、今臨時国会における論議は望めないにしても、私はこの際申し上げるならば、通産省として法の改正に及ばない範囲での手直しぐらいで過ごそうとの姿勢であるように一部報じられているわけであります。私はそうであってはならないと考えるのです。大店法改正論議は来たるべき次期通常国会で十分論議をいたしたいと思いますけれども、大型店進出に伴う商業の調整というのは自治体が権限を持って当たり、かつ行政責任を持つことが望ましく、実際の調整は真に地域住民を代表して商業者の利害を正当に反映させる公的性格の機関が行うべきである、こういうふうに考えるのです。  ここで十分な論議ができませんので、この際大臣に以上申し上げました点についての所見を伺い、この問題については時間がありませんので次回に譲るとして、大臣からも所見を伺いたいと思います。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○政府委員(植田守昭君) ただいまの御質問におきましてはこの問題を取り扱う場をどうすべきかと、こういった御意見かと思います。この懇談会におきましても、たとえば現在調整の場と申しますか、この問題を取り扱っておりますいわゆる商調協、商工会議所なり商工会に置かれております商調協という場がございますが、これのあり方等をめぐって非常に大きな重要な問題として議論されることになっておりますが、その際に商調協と、あるいは地方公共団体の関係とか、あるいはいま大店法に基づきまして大店審というのもございますし、こういった地方公共団体との関係あるいは大店審との関係、そういったものを総合的に見て、どういうふうに位置づけていくかというふうなことも現在検討されているところでございまして、そういった懇談会の御検討を待ちまして、この問題については今後のあり方を考えていきたいというふうに私どもは思っているわけでございます。

高杉廸忠日本社会党

○高杉廸忠君 大臣からの所見はいいですか。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中六助君) 私からもお答えいたしますが、やはり懇談会の結論待ちでございまして、その内容について、あるいは二回の過去における会議についての結論も聞いておりますし、私どもは、それは先ほど申しましたように、新聞の一部にいろいう言われておるというようなこともあって、できるだけこれは自主的な判断ということは警戒していく考えでおりまして、その内容について、現在推測やあるいはまたこれをどういうふうに持っていって結論をどうするんだというようなことについては、私自身報告を待っておるわけでございまして、ただいま植田審議官がお答えいたしましたようなことを現実には考えておる段階でございます。

高杉廸忠日本社会党

○高杉廸忠君 重ねて要請いたしますけれども、こうした長い経過がございますし、現に紛争も起きているわけでありますから、積極的な通産省としての指導と取り組みをぜひお願いをするところであります。  次に、倒産下請問題について質問をいたしたいと思いますが、東京商工リサーチによる十月の企業倒産状況を見ますと、最近比較的落ちついていた企業倒産も中小企業を中心に再び増勢を強めて、危険ラインと言われる千五百件これを超えているわけです。千五百八十四件を記録いたしております。住宅不況の影響で関連企業の倒産が多いことが注目をされます。さらに、金融機関が利ざやの縮小から取り引き先の選別融資等を一層強める、この影響で零細企業の倒産の比率もふえているわけであります。  ところで、金融界が今月十一日に発表いたしました中小企業向けの年末融資対策によりますと、ことし十月から十二月の貸し出し増加目標額は、前年同期に比べますと八%増の五兆二千五百億円とする予定が立てられております。しかし、このような金融界の姿勢にもかかわらず、選別融資の強化によって金融支払いを打ち切られ、その結果倒産に至る企業が増加するのではないか、こう心配をしているわけであります。年末を控えまして、決算資金など資金需要がふくらむ季節に当たりまして、今後ますます倒産がふえることも予想されるのでありますが、通産大臣としてどのような効果的な対策を考えているのか、この際お示しをいただきたいと思います。

勝谷保中小企業庁長官

○政府委員(勝谷保君) 当面の経済運営につきましては、過日十月の二日に政府の経済運営と成長率の見直しが行われたわけでございますが、その際、中小企業関係では中小企業の金利問題と融資枠の確保、それから、いま先生の御指摘の下請の問題が指摘されました。さらにいま一つは、官公需の中小企業向けの枠の確保という、大きく申しますればその三つの柱で当面対応することにいたしたわけでございます。  さしあたりまして、年末の中小企業金融につきましては金融の繁忙期を迎えるわけでございます。先ほど先生お話しの市中の金融機関とは別に、政府系の中小企業金融三機関におきまして十—十二月の資金枠といたしまして三機関合計で一兆八千五十億円。これは対前年同期実績比で一四%の増でございますが、この資金の確保をいたすことにいたしております。これは年度の資金計画の全体の三五%に相当するわけでございまして、私どもの推定では、中小企業者の資金需要に十分こたえ得るものと考えるわけでございます。  御存じのように、この貸付金利につきましては、政府系中小企業金融機関の貸付金利は原則として民間の長期プライムレートと連動して決定されるわけでございますが、この特別の時期でございますので、中小公庫と国民公庫の基準金利は、十一月一日から長期プライムレートが八・三%から八・九%に引き上げられたにもかかわらず、中小企業を取り巻く厳しい経済情勢にかんがみまして、年内は八・三%に据え置くということにいたしたわけでございます。さらに、一月一日以降の引き上げ幅も長期プライムレートより圧縮いたしまして、その二分の一でございます〇・二%引き上げるということにいたしているわけでございます。なお、商工中金につきましても、設備資金を標準金利から〇・二%引き下げるという特別の措置を当分の間継続することといたしたわけでございます。  なお、先ほど御指摘の全国銀行、相互銀行、信用金庫の民間金融機関におきましても、中小企業向けに八%の増ということで資金の確保をするという宣言をいたしておりますが、さらに、不況業種とか倒産関連企業、業種転換を行う中小企業等に対しては資金供給について格段の配慮を行うということを自主的に決めているようでございまして、必ずしも十分とは申せませんが、年末対策としての金融措置は一応整備されたと考えるわけでございます。

高杉廸忠日本社会党

○高杉廸忠君 次に、倒産の原因の主因を見ると、販売不振によるいわゆる不況型倒産の比率が十月では五六・五%、二位が放漫経営で二〇・七%、三位が連鎖倒産で一〇・五%となっているのです。過去にさかのぼって見ても大体一割前後、多いときには一五%近くも連鎖倒産によるものが占めているのですね。また、資本金別倒産状況を見ますと、十月では一千万円までの資本金を持つ中小企業の倒産比率が千五百八十四件のうち千三百九十五作、すなわち八八%を占めているわけです。中小企業の比率が高いことを示しているわけなんですが、その中でも資本金が百万円未満及び零細個人企業の倒産件数が四百八十八件で三一%も占めているわけですね。いわゆる零細企業の比率が前月に比較しても高まっているのですね。そしてこれら零細企業はほとんどが下請企業であると予想されるのです。零細企業すなわち下請企業の連鎖倒産を防止するための対策、これが当然講じられなければならないと痛感をするところなんです。  通産省として、また中小企業庁として連鎖倒産、これを防止するためには下請企業の債権確保といいますか、特別の零細下請企業の人たちの先取り特権、こういうものを連鎖倒産を防止するために積極的に創設して、そしてできるだけ倒産しないような具体的な防止措置というものが私はとられるべきだろうと、こういうふうに考えますけれどもいかがですか。

勝谷保中小企業庁長官

○政府委員(勝谷保君) まず最初に、中小企業の倒産の現状分析でございますが、中小企業庁なりに分析をいたしてみました。最近の趨勢が地域に特化しておるという点が一つございます。特定の地域では非常に高い倒産率が上がっております。北海道、東北、九州、四国等々でございますが、この地域は企業の比率に比べまして倒産の比率は倍というくらいの比率でございまして、非常に高い比率を示しております。さらに先生も御指摘いただきましたが、公共事業に関連いたします建設業、これの倒産が非常に高うございます。さらに、住宅に関連いたしております住宅関連の木材の製品その他の関連が高くございます。さらに小売業が非常に高い比率を示しております。いずれも御存じのように、建設関係は非常に零細な企業が多いわけでございますし、小売業の大宗は中小小売業者でございます。したがいまして、最近の趨勢は倒産件数も昨年の同期に比べますればマイナスでございます。金額につきましても昨年に比べればマイナスでございますが、特に特徴的なのは小規模化しておるということではないかということの御指摘はごもっともでございます。ただ、関連倒産という倒産のなだれ現象は昨年の末からことしの初めにかけて起きたわけでございます。その後は中小零細が次々につぶれてはおりますけれども、倒産関連という事象は比較的落ちついているというのが実情でございます。まず、現状分析はそのように認識をいたしておるわけでございます。  さて、下請の連鎖倒産対策でございますが、これはことしの三月決めていただきました緊急対策以来実施しておりまして、具体策といたしましては、次のようなものを講じておるわけでございます。  第一が、金融措置といたしまして中小企業倒産対策貸付制度、さらに経営安定特別貸付制度を創設いたしましてこれを活用いたしております。第二の柱が、信用補完措置といたしまして倒産関連特例保証制度の活用をいたしております。第三が、共済措置といたしまして中小企業倒産防止共済制度の活用をいたしております。第四は、相談指導措置といたしまして倒産防止特別相談事業の実施をいたしております。これは駆け込み寺と言われているものでございまして、特にことしあたりの四—九月期を見ますと昨年同期の一・四倍ということでございまして、非常に小型の零細企業の方々にとりましては、まず駆け込みまして、そこで当面の対策をどうしたらいいかということをそこにおります指導員とか弁護士とか調停士にお尋ねをしまして、引き延ばすとか、新しい事業を確保するとかいたしておるわけでございます。このようなきめ細かい対策が特に最近は目立っておるわけでございます。  なお、最後に先生御指摘になりました零細下請企業の債権に先取り特権を認めることにつきましては、中小企業庁長官名をもちまして実は法務省、最高裁の事務局、大蔵省等にその善処方につきましてお願いをすでにいたしておりますが、この背景になりますのは、中小企業倒産対策委員会というものを設けまして、先生御指摘の点が重要であるという必要性についての認識を背景にいたしておるわけでございます。

高杉廸忠日本社会党

○高杉廸忠君 次に、零細企業の連鎖倒産、これを防止する観点から下請代金の支払い額に占める現金の割り高を高めてやることも一つの施策だと、こういうふうに思うのです。公正取引委員会がおいでになっていると思うのですけれども、その公正取引委員会の年次報告、これはまあ五十四年度によれば、最近の現金比率を見ると、五十二年、五十四年両年度はいずれも五〇%を超えていることを示しているのですね。ところが、東京商工会議所がことしの十月に行った下請中小企業の取引動向調査によりますと。下請企業の代金受取現金比率というものは平均で三三・九%、こうなっているのです。いま示したように、公取の調査とはかなりの差があるのです。五〇%を超えていますと。しかし、片方では三三・九、まあ三四%ぐらいですと、こうなっているのですね。  そこで伺うのですが、この格差というものは単なる統計的な誤差とは趣を異にしている、こういうふうに考えるのですけれども、どちらの数字が信憑性があるか、これも大変むずかしいと思いますけれども、この点はどういうふうにお考えになっておられますか。

相場照美公正取引委員会事務局取引部長

○政府委員(相場照美君) 先生御指摘のとおり、昨年度の年次報告に私どもの挙げておりますように、下請代金の総額のうち現金で支払われている部分が約五〇%程度占めております。この数字は実はここ数年大体横ばいの状況になっております。ところで、ただいま先生御指摘のとおり、先般東京商工会議所が調査され、その結果の数字が出ておるわけでございますが、この数字はただいま御指摘のとおり三三・九%であったかと思います。このような数字の差がどのような理由で出るかということにつきましてはいろいろあるわけでございましょうが、私どもなりに検討いたしました結果についてお話し申し上げたいと思っております。  まず第一点は、やはり調査の方法なりそれから調査対象の差があろうかと、この点についてはさらに詳しく申し上げたいと思いますが、まず私どもの方の調査の内容を申しますと、まあ年々約一万二千から一万三千程度の、これは資本金一千万円以上の下請法に言います「親事業者」に報告を求めておりまして、それを年二回に分けて求めているわけでございますから、一回の調査で約六千余りの親事業者、先ほどのように資本金一千万円超の親事業者からこの下請代金の支払い総額、それから支払い総額と同時に下請からの購入額、それから支払い額、その支払い額の中に占めます現金の額、それから手形の額の報告を求めているわけでございます。さらには個々の親事業所ごとにそこでの下請事業者個々に払っております同様な内容、こういったものを私どもとしては報告を求めているということでございます。この報告につきましては法律の規定に基づきましてやっているわけでございまして、虚偽の報告その他につきましては罰則の適用もあるわけでございますが、そういった形で六千余りの親事業所に対しましての調査の結果でございます。この数字は、先ほど申しましたようにここ数年五〇%台というところでございます。  ところで、東京商工会議所で前回もそうでございますが、今回おやりになっている状況から見ますと、まず調査地域、私どもの方はこれは全国でやっております。全国の親事業所を対象にやっておりますが、東京商工会議所でおやりになったところでお聞きいたしますと、東京都内を中心におやりになっているようでございます。この点が第一点。  それから、調査対象、先ほど申しましたように私どもとしては法律の規定に基づきまして親事業所に対しまして報告を求めているということでございますが、先ほどのように資本金一千万円超というのは下請法に言う「親事業者」でございますが、商工会議所でおやりになっておりますのは、いわば下請中小企業ということでございまして、これは資本金その他の制限はございませんので、したがいまして、資本金一千万円超が私どもの言う親事業者でございますが、資本金一千万円超でございましてもやはり下請業者という方々はいらっしゃるわけでございます。したがいまして、そういった意味で調査対象がいわば下請中小企業ということでおやりになっているためにそのあたりの差があるのじゃないかというのが次の点でございます。  それから調査業種でございます。これは私ども下請法の規制対象になっております全製造業を対象に行っております。東京商工会議所におかれましては、鉄鋼業、非鉄金属というような主として機械金属工業、こういったものを中心におやりになっているように聞いておるわけでございます。  それから調査の数は、都内を中心にいたしまして約九百ということでございます。そういった調査対象なり調査方法の差がそういう結果をもたらしているのではないかというふうに考えますが、御指摘のように、かなりの格差がございます。したがいまして、私どもとしては、さらに検討したいというふうに考えております。  以上でございます。

高杉廸忠日本社会党

○高杉廸忠君 そうしますと、下請企業ほど現金比率が低いんだと、こういうような解釈をしていいのかどうかですね。いま企業対象とか地域別とか、いろいろお話がありましたが、結論的に言いますと、下請企業の方が現金比率は低いんだと、こういうふうに理解していいのですね。

相場照美公正取引委員会事務局取引部長

○政府委員(相場照美君) 実は、そのように理解をいたしているわけではございません。  と申しますのは、私どもの方で親事業者に対しまして、それぞれの親事業者が下請事業者に支払った金額、この比率を出しているわけでございます。東京商工会議所の方では同様な立場でございますが、これを下請の方から見ておられるという差がございます。したがいまして、そういった調査方法なり対象の差から出てきているわけでございまして、先生御指摘のように、下請企業ほど悪いというようなことでは必ずしも結論づけられるものではないように思います。

高杉廸忠日本社会党

○高杉廸忠君 両方の数値が出ていて虚偽であるとかどうかということは触れていませんし、私はそうではないと思うのです。やっぱり違うと思うのです。対象も違うし、調査の方法も違うだろうという理解はしているんです。しかし、いまの御説明なり答弁をいただくと、下請企業ほど現金比率が低いんだというふうにどうも理解せざるを得ないのですね。どうでしょう、中小企業庁の方ではどういうふうにこれを見られますか。

勝谷保中小企業庁長官

○政府委員(勝谷保君) 私どもの方、公取でお調べになった数字と、商工会議所の数字と比較いたしまして分析したことはございませんが、いま公取の方から説明がございますように、調査地域が東商は東京に限って、しかも下請中小企業者からとったわけですが、この中には下請法上の親事業者も含まれておるわけでございまして、必ずしも明確に下請中小企業者ではっきり区分がされているかどうかも問題があるようでございますし、調査業種は限られております。それから調査件数のカバレージが東商は九百でございます。これに対しまして、公取は全国ベースで資本金が一千万超の親事業者からおとりになる、全製造業である、調査件数も九百に対して六千件であるというようなことでございまして、カバレージ、全国ベース等々からいいますと、全国のものとしては公取の数字を採用さしていただいて、特殊な状況として東京の数字をいただくというようなことになるのではないかと思いますが、ごく最近の数字を見ましても、東京商工会議所の数字でも、五十四年、五年の数字に比べて、五十六年は現金比率が高まっているような数字も出ております。これは、公取さんの数字も五十四、五十六で現金比率は高まっているような数字が出ておりますので、いずれも一ポイントぐらい高まっております。趨勢としては同じような趨勢がとられておりますので、私は、政策判断をするときに、それぞれに応じて使えばいいのではないかと思っておりますが、公正取引委員会と私どもは常に一体となって下請の問題をいたしておりますので、相互に数字は信頼し合いながら進めているのが実情でございます。

高杉廸忠日本社会党

○高杉廸忠君 質問の前提でも申し上げましたとおり、長官、下請代金の支払い額に占める現金の割合を高めてやる、これも一つの施策だと思うのです。  そこで、いま、どちらの数字がどうであるかという論議じゃなくて、現実にやはり東京商工会議所の調査結果を前提としても三三・九%ということでありますから、いうなら公取で五〇%以上と、こういうふうになるならば、ここで法制度をやはり講じてやる、こういうことも一つの私は方策だと考えるんですね。この点についてはいかがですか。

勝谷保中小企業庁長官

○政府委員(勝谷保君) 下請代金におきます現金比率の引き上げという、先生のいまの御指摘の問題でございますが、これは下請中小企業振興法に基づきまして振興基準というものを定めております。下請代金はこの基準の中でできる限り現金で支払うものといたしまして、少なくとも賃金相当部分につきましては全額現金で支払うものという基準が定められているわけでございます。中小企業庁におきましては、あらゆる機会をとらえまして、この振興基準の周知徹底を図ることによりまして、下請代金の現金比率の向上について強力に指導しているところでございます。  この十一月は下請月間でございまして、私ども、この問題も含めまして、下請の地位向上のための運動を続けているわけでございます。これは公取と一体となっていたしております。  また、現金比率につきまして、いまおっしゃいました、一律に五〇%以上にする話等々の議論もいたしてはおりますが、これは下請取引の態様がそれぞれ違うわけでございまして、業種の実態、さらには下請の取引等で原材料の有償支給を行ってるもの、無償支給を行ってるもの、等々の実態に応じて、一律に五〇%というようなことも決めかねております。こういうこともございまして、強制的に義務づけることは困難ではないかと思っておりますが、基本的な考えは先ほど申しましたように、下請代金はできる限り現金で支払うという方針は堅持いたしておりまして、じみではございますが粘り強くこの方向で努力を続けてまいりたいと思っておるわけでございます。

高杉廸忠日本社会党

○高杉廸忠君 高めていくためにもぜひ一段の御努力をお願いいたしたいと思います。  時間の関係がありますので次に進ましていただきまして、次に承継税制の問題について中小企業庁、それから大蔵省にもお聞きしたいと思うのです。  戦後三十五年余が経過する中で、中小企業は経営者の高齢化とあわせて、一般的な世代交代期を迎えようとしてる現状なんです。五十三年に中小企業庁が行った人的資源開発実態調査、これによりますと、中小企業経営者の約四分の一が六十歳以上である、遠からず世代交代を迎えようとしていることは明らかなのです。こうした状況の中で、経営の継続と後継者への円滑なその事業の承継を図るため、現行の相続税、贈与税制度について中小企業者の間から改善を求める声が高くなっているのです。これは御承知のとおりだと思うのです。  そこで中小企業庁は、こうした声を受けて来年度の予算編成に税制改正を含めてどのように取り組もうとされているのか。具体的にひとつわかっていることがあれば教えて示していただきたいと思います。

勝谷保中小企業庁長官

○政府委員(勝谷保君) 先生からいま御指摘がございましたように、創業者で六十歳を超えていらっしゃる方々の比率は三割に近いわけでございまして、二世に対します事業の承継をスムーズに行っていただくためにも、私どもはこの相続税については特段の配慮をする必要があるとかねがね考えておりまして、昨年大臣から特に勉強しろというお話がございまして、このための勉強会をいたしたわけでございます。この春、その結論が出まして、生前贈与制度の問題、第二は同族会社の株式の問題、第三が個人会社の主として事業用でございますが、土地の問題、この三つの改正について提案がなされました。事務当局として種々検討いたしました結果、現在における財政の現状等も踏まえまして、第二、第三の柱——一つは同族会社の株式の評価の仕方についての改善、第二は、営業用または個人用の二百平米の土地についての課税の対象として、従来は八〇%でございましたが、これを二五%を対象にするという問題。この二番目と三番目の問題をこのたびの税制改正として打ち出したわけでございます。私ども、相続税の問題については、特に中小企業の皆様の強い御要望がございますので、ことしの中小企業税制の最も重要な柱として打ち出さしていただいております。

高杉廸忠日本社会党

○高杉廸忠君 もう十分御承知だろうと思うのですけれども、この承継税制について、ここ数年、地価が高騰をした影響で、株式や土地を相続する中小企業の後継者が納める相続税が多額に上って、中には会社を解散せざるを得ない、こういうことも出始めているわけですね。  そこで、こうしたことによって会社を解散した例というのは、どのぐらいつかんでおられますか、この際、わかっていたら伺いたいと思います。

勝谷保中小企業庁長官

○政府委員(勝谷保君) 会社の解散の実態につきましては、すでに会社が存在していないわけでございますので、それをフォローするということは困難でございますし、そのような作業はいたしておりません。ただ、先ほど中小企業経営者を対象といたしまして、全国商工会連合会が実施いたしました相続税に関する意識調査ということをいたしたわけでございますが、その結果によりますと、個人事業者の場合で、相続税負担が過重なことによりまして税納付の際に予想される事態ということで、これはあくまで予想される事態として書いたわけでございますが、意識調査でございます。事業用財産を処分せざるを得ないとする者が全体の二二・八%、次いで事業の縮小、廃止をせざるを得ないとする者が六・三%ということになっておりますが、くどいようでございますが、これは中小企業者のサンプル調査で、しかも意識調査でございます。

高杉廸忠日本社会党

○高杉廸忠君 大蔵省の方に伺うのですけれども、いま中小企業庁からいろいろ来年の税制改正についての要望を入れる、そうして実際いま言ったような相続税や贈与税、こういうものを含めて改正した場合に、一体どのくらいの税減になりますか、この点計算されておりますかどうか。あわせて相続税の納税実態、こういうものについてどういうようにつかんでおられますか。この二点ちょっと伺っておきたいと思います。

真鍋光広大蔵省主税局税制第三課長

○説明員(真鍋光広君) 中小企業庁御要望の税制改正を行った場合にどの程度の税収減になるかという御質問でございますけれども、たとえば御要望のうちの一つの同族会社の株式の評価という点につきまして、中小企業庁御要請の、たとえば収益還元方式というものを導入したといたしましても、一体その還元率をどういった水準に決めるかとか、あるいはその収益自体が個々の企業により違いますので、なかなか評価自体はむずかしいという問題がございます。そういうことで、具体的にどの程度の減収になるかということは、いまの段階では算出困難というふうに考えておるわけでございます。  それから、相続税の課税の状況でございますけれども、私どもは、昭和五十年に大幅に基礎控除を引き上げまして以来、おおむね円滑に相続税の執行はできておるというふうに判断いたしておるわけでございます。現在のところ、死亡者百人に対しまして約三人ばかりが納税を行っておるということになっておるわけでございます。  先ほど、中小企業庁長官の方から経営者の意識調査についてのお話がございました。蛇足でございますが、そういった現在の課税の実態とのかかわりで、私なりに分析してみますれば、現在の評価の方式は時価の方式によっておるのでございますけれども、いろいろ工夫をし、評価についてはそれなりの安全を見込んだ評価をしておるということもございまして、それぞれ事業者が考えています時価、それよりも安全サイドで評価するというようなことはございますので、そのあたりに若干意識ギャップがあるのじゃないかというふうにも解釈できるところです。いずれにしましても、百人に三人程度が相続税を納付しておると、こういうことになっております。

高杉廸忠日本社会党

○高杉廸忠君 ちょっと大蔵省ね、わかりやすくここで例として挙げてみますと、現行の株式評価方式がいかに不合理であるかということなのですけれども、たとえば相続税について株式では物納することができるようになっているのですね。ところが、中小企業の株式は、課税評価上、市場性ある株式に比べてかなり高い評価額となる事例が多いのにかかわらず、これは物納の際には、ここにありますように、「売却できる見込みのない有価証券」、相続税法の基本通達として物納が認められていないのですね。こうした矛盾が現にあるわけなのですね。そうでしょう。その点はどういうふうにお考えなんですか。

大藪繁国税庁徴収部管理課長

○説明員(大藪繁君) お答えいたします。  先生いまおっしゃいましたように、相続税の物納は、納税者の申請がありまして、金銭で納付するということが困難な場合に、困難な金額の範囲内で認められておるわけでございまして、物納申請財産が、いまおっしゃいましたように、管理または処分をするのに不適当であると認められる場合、いまの財産の変更をお願いしておるわけでございます。しかしながら、実際の運用といたしましては、相続財産のほとんどが非上場の株式である、かつ金銭による納付が困難であるという方につきましては、これを収納いたします財務局と協議をいたしまして、原則としてその株式による物納を認めることにしております。

高杉廸忠日本社会党

○高杉廸忠君 大臣の御都合もあるようでありますから、十分な質問にならないかと思いますが、先に進ましていただいて、大体終わりになると思いますけれども、いままで指摘をしましたし、提起もいたしました。そこで、そのうちの一つとして、中小企業庁長官からもお話がありました官公需の増大の問題についてお尋ねをして、大臣の御都合もあるようですから、終わりたいと思うのです。  中小企業者に官公需の受注機会をできるだけ多く与える、こういうようなことで昭和四十一年に官公需法が制定されて以来、官公需の総額というのは、昭和四十二年度の二兆千九百二十五億円からふえ続けて今日いるわけなんです。五十五年度には九兆四千九百三十億円に達しているわけなのです。官公需の総実績額に占める中小企業向け契約額の割合も徐々に高まってはおりますが、昨年度には三六・三%です。  そこで伺うのですけれども、中小企業向け発注比率が高まってきた背景というものは、何がその背景になっているのか。それから比率の高まりを可能にしたというものは何であったのか。三番目に、さらに将来この比率をどこまで高めていく、こういうような方向が出ているのかどうか。やはり中小企業の保護という立場に向けて私はこの際明らかにしていただきたいと、こういうふうに思っているわけなのです。  御都合がありましょうから、大臣から所見も伺い、今後お取り組みになる方向性についてのお話がいただければありがたいと思います。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中六助君) 御指摘の官公需の発注でございますが、私ども中小企業向けの官公需の発注については御指摘のように毎年鋭意努力しておるところでございまして、将来とも確実な事業でございますので、この比率は高めていこうというふうに思っております。  ついせんだっての、私どもの官公需の発注の会議におきましては三六・八%と、これはまあ新記録でございます。まだまだ十分ではないとは思いますけれども、非常に高目の率をやっておりまして、私どもとしてはこれからも協同組合というものを結成さして、できるだけ中小企業者にこれを向ける方向に持っていくと同時に、分割発注というようなことも考えて、中小企業向けがたくさんできるような割り振りの配慮をしていきたいと思います。大体大まかな線はこういうことでございますが、長官もおられますので、細部にわたっての答弁は長官からしたいというふうに考えます。

勝谷保中小企業庁長官

○政府委員(勝谷保君) 先生御質問の、どこまでどのように持っていく考えかということでございますが、これは中小企業者の受注の確保に関する法律がございますから、この法律に基づきまして、毎年中小企業者に関する国等の契約の方針を閣議決定いたすわけでございます。したがいまして、限りなくその努力は進められるわけでございますが、いま大臣も申し上げましたように、事業協同組合等の活用、分割発注の推進等々、各種の施策を講じますことによりまして、中小企業者の受注機会の増大に努めるわけでございますが、特に五十六年度におきましては、三月十七日の経済対策閣僚会議の決定を踏まえまして、同法施行令の一部改正というようなこともいたしまして、官公需発注機関の大幅な拡充を行いました。さらに、中小企業向け比率を、過去最高の三六・八%という高い目標にさしていただいたわけでございます。  今般、十月二日に決定されました経済対策におきましても、先ほど申し上げましたように、その確実な達成に努めるということになったわけでございます。中小企業向けの発注比率は、官公需の内容、中小企業者の受注能力等にも深くかかわりのあるものでございます。直ちに大幅に引き上げるということは困難でございますが、今後とも中小企業者の受注機会の増大に努めてまいるつもりでございます。

高杉廸忠日本社会党

○高杉廸忠君 最後に要望を申し上げて終わりたいと思いますけれども、先ほど来私は、大型店の問題、大店法の改正の問題、下請倒産問題、あるいは官公需の需要の拡大の問題等々、きわめて深刻な今日の情勢の中で、中小企業の振興育成、施策の充実、こういうことについて申し上げてきたところであります。  年末を控えまして、大変な時期でありますから、大臣におかれましても、十分この施策の充実に向けて取り組んでいただきたい、このことをお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 最初に通産大臣にお尋ねいたしますが、去る十一月の十七日、経済対策閣僚会議が行われまして、関係閣僚から出された意見の調整がつかなかったという意味の報道がされておりますが、会談の内容についてかいつまんで御報告をお願いしたいと思います。  また、報道によりますと、貿易問題は現内閣で処理すべきという財界の要望もありますが、関係各省の対立する利害の調整もありまして、具体的には内閣改造後という話もありますが、現在の厳しい経済状況の中におきまして、通産大臣として一刻も早く解決を見出すべきだと思いますが、その決意をお尋ねしたいと思います。  それと同時に、ただいま内閣改造が云々されておりますが、こういう時期に通産省という大事な省庁のポストにおる通産大臣といたしましては、内閣改造に絡むこともありますが、私は留任してこういう問題は対処すべきであると、これは私の個人的意見でありますが、このことに対しましてもあわして通産大臣としての御所見をお聞かせいただきたいと思います。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中六助君) 去る十七日の経済対策閣僚会議におきましては、新聞に載っておる部分もございますが、私といたしましては、世界の現状、その中にある日本の立場ということを考えまして、当面ぜひともある程度の短期的な対策と長期的な対策を分けて考えるべきであるけれども、東京ラウンドによりまして関税率の引き下げについてはちゃんと定まって、何らとやかく言われる必要はないのだが、日本も世界のGNPの一〇%、約一割を背負うようなリーディングカントリーになっておるわけで、横綱相撲をとらなければいけない立場になっておる。  そういう観点からと、もう一つは世界を保護主義貿易に陥らせることは日本のためにはならない、日本はあくまで自由主義貿易、貿易の拡大均衡という線を堅持しなければならない、そういうためにも自動車の一つの規制をみずからやったような、いろいろ毀誉褒貶があっても、より一層自由主義貿易を拡大する手段としてそういう一時的なこともやらなくちゃいかぬという見解を述べると同時に、具体的にはイギリスのクッキー、チョコレート、ウィスキーなどについて、東京ラウンドで決まったよりももう少し関税率を下げることができるならば、ある程度象徴的にとやかく言われておるのだから、何とかエキスキューズができるんじゃあるまいかというふうなことを述べると同時に、短期的なそのほかの問題としては、いま言いました関税率の引き下げもあるでしょうし、輸入手続の緩和、輸入枠の拡大、そういうようなことをすると同時に、去る稲山ミッション、大デリゲーションをEC諸国に派遣し、現在メキシコにまたもう一つの輸入ミッションというものを出しておりますが、そういうことをすると同時に、シンポジウムを、ついせんだってECからダビニヨン副委員長が参りましたが、そういうシンポジウムあるいはフェア、つまり展示会と申しますか、そういうものをして、私どもは去る七月に製品輸入の宣言をやったわけでございますが、そういう具体的なことを詰めていこうと。  それから、長期的にはより一層もう少しPRをしたらどうか、日本が悪いのじゃない、日本は安くて、よくて、むしろ各国の大衆というか、消費者が好んで買ってくれているわけでございまして、悪いことをしておるわけではない。そういう点、向こうのむしろ輸出努力というものの足りなさがあるのじゃないかということなども、それと同時に、国内で御承知のように輸出も経常収支が黒字になっていることが非常に問題でございますから、それには輸入をどうしたらいいかということでございますが、輸入が非常に減って四・三%ぐらい、四−六と七−九を比べますと、その程度減っているんです。したがって、輸入の努力、それには内需の刺激という国内の景気との対称もございますし、そういう施策をあわせて、対外的な施策だけじゃなくて、国内の景気刺激策をもう少しとったらどうかということを申し述べまして、一部の閣僚と対立した点もございますけれども、私としてはそういうことを主張したわけでございます。  それからまあ、通産大臣として留任したらどうかということでございますが、これは総理大臣の決めることでございますし、私どもは政策の持続性と申しますか、そういうことはどなたがどういうふうになろうが私ども一生懸命政策に取り組んでやることが使命でございますし、またそれは閣僚がかわったからといってそれが断ち切られるものでもございませんし、そういう点は十分私ども考えてやっていきたいというふうに思っております。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 けさの新聞の報道によりますと、中国訪問中のリーガン米財務長官がきょう午後わが国を訪れる予定になっておりまして、その際大蔵大臣との会談が予定されておりますが、当然、電算機等の二十九品目の関税撤廃の要求が明らかになったばかりでもありまして、焦点は貿易不均衡の問題になってくるのじゃないかと思うわけなんですが、これは大蔵大臣が対談するわけでございますが、通産大臣といたしましてこの会談に対して何か注文をおつけになりましたか。もし注文をつけていらっしゃらなかったら注文を私はつけるべきだと思いますが、どうでしょうか。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中六助君) せんだって商務長官のボールドリッジさんが参りましたときに、やはり非常にアメリカの態度はシビアだと、その理由は、明らかに日本の経常収支は非常に黒字で、このままいくと三けた以上になるというようなことが指摘されたわけでございます。今回もまた財務長官が参りまして同じようなことを言うでしょうし、ついおとといも向こうから大使館を通じて関税率の引き下げに対する品目についてのリストアップが来ております。しかしこれは私どもがガット違反をしておるわけではございませんし、一応東京ラウンドというものが決まって、それを忠実に実行しておるわけでございますし、また新たな問題もありますけれども、いずれにしても私に言わせれば何もかにも一緒にしたようなリストアップのやり方でございまして、言いたいほうだいを言っているというような気もするわけで、私どもは言いたいほうだいを言うわけではございませんけれども、主義主張あるいは正しいことは言ってやらなければなりませんし、今度の財務長官がおいでになって言うことも、大体事前の私どもに提示された案件の中の枠は出ることはないでしょうし、もう十分そういうクレームをつけでおるわけでございますし、したがって、私どもも言うべきことは言い、できないことはできない、あるいはいつも総理が言います、できることとできないことの仕分けはきちんとしていこうと。  それから、いろんなことがございますけれども、輸出を抑制する課徴金とかあるいは調整金というような問題につきましてもそういうことを言う一部の政府の見解もございますけれども、そういうことにつきましても日本は輸出立国と申しますか、技術というものをみがいて、みんなが一生懸命汗をたらし、のどを渇かせてやっておる努力でございます。それを日本がみずから阻害するようなことは私としてはできませんし、そういうことも含めまして、十分私どもが考えておること、主張すべきことは主張するという立場で臨みたいというふうに思います。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 いま二問質問しましたが、約十分かかりまして、きょうは大臣が一日いらっしゃればゆっくり質問できますが、午前中だけだということで、理事会で時間の制限を受けております。いまからまだずいぶん質問を用意しておりますが、簡潔にひとつ、いま御丁寧に御答弁いただきましたけれども、お願いしたいと思います。  現在のわが国の貿易の構造についての概略の説明を第一にお願いしたいこと。第二は、わが国の貿易のあり方について世界各国からどのような声が起きているか、これを通産省としてどう認識しているかという点。第三点、貿易摩擦を引き起こしている貿易の不均衡の原因は何であるか。三点について簡潔にお願いいたします。

中澤忠義通商産業省貿易局長

○政府委員(中澤忠義君) 第一点の貿易の構造問題でございますが、経常収支は上半期で申しますと四十三億ドルの黒字でございます。構造を簡単に申しますと、輸出が総じて堅調でございます。ただ、最近伸び率が鈍化しておりまして、ごく最近の十月の状況では一二%前後の対前年度伸び率でございます。ただ、それに比較しまして輸入が非常に落ち込んでおるというのが第二の特色でございまして、国内の景気を反映しまして、石油、木材、鉄鉱、原燃料が落ち込んでおる。十月の速報で申しますと、通関でマイナス七%ぐらいになっております。その結果、貿易の収支で黒字になっておるというのが貿易構造でございます。  第二点の海外からの対日批判でございますけれども、まず一つは、そのような貿易の、あるいは経常収支の黒字が日本の内需停滞に負っておる、逆に申しますと日本の成長が輸出によって支えられておる外需中心の経済運営ではないかという点が一つございます。それから第二に、やはり輸入市場が封鎖的である。たとえば一部の食糧、工業製品等々につきまして市場が封鎖的であって、手続が非常に煩瑣であるというような点が対日批判として出ております。  第三点は、構造問題でございますので、以上でございます。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 いやいや、不均衡の原因。

中澤忠義通商産業省貿易局長

○政府委員(中澤忠義君) 不均衡の原因は、冒頭に述べました貿易構造との関係がございますけれども、輸入が非常に落ち込んでおるということが貿易構造の不均衡の原因でございます。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 簡潔にと言いましたら、余りにも簡潔になってあれなんでございますが……。  御承知のとおりに、わが国が自由貿易主義を堅持することは、貿易立国のわが国として当然のことでございますが、したがって相手国の主張を十分に聞くべきところは聞かなくてはならないと私は思いますし、また相手の誤解があるならば納得のいく説明をしていかなくてはならないと思うわけでございます。そういうところから欧米からの、いま日本は外需重点の政策をとっているとか御説明がございましたけれども、そういう声に対してどのように対処しようとして考えているのか、貿易摩擦回避のために対策をお考えになっていらっしゃいますけれども、これは要点を御説明いただきたいと思います。

中澤忠義通商産業省貿易局長

○政府委員(中澤忠義君) 一昨日、十一月十七日に対外摩擦に対する対策を経済対策閣僚会議で検討したわけでございますが、そのうちで、直ちにと申しますか対策として決定した事項といたしまして、市場開放関係では輸入検査手続の改善につきまして検討を促進するという点。それから輸出につきましては、特定品目にかかわる集中豪雨的な輸出が仮にあるとすれば、これを従来どおり回避するように適切な措置を講ずるという点。それから産業協力として、先進諸国との間でも活発な投資交流、技術交流を進めるという点。それから第四点といたしまして、これも従来からやっておりますけれども、輸入促進ミッションでございますとか、フェアでございますとか、輸入の振興にかかわる措置をとるという点につきまして、一昨日の閣僚会議ではさらにそれを促進するという決定を見ております。これが政府としての貿易摩擦にかかわる決定事項というふうに承知しております。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 いまの四点だけではこれは解決できないのじゃないですか。内需の喚起という点に対してはどうでしょう、大臣。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中六助君) もちろん私ども内需を喚起して輸入を促進するということ、すでに先ほども申しましたように、七月に製品輸入ということの宣言を全世界にやっておりますし、そういうことで経常収支の黒字幅をある程度少なくする。それで、世界がいまわんわん言って大騒ぎになっておる点を緩和できるわけでございまして、したがって内需の振興ということにウエートを置いて、個人消費とか、あるいは住宅建設などにつきましても十分な配慮をしなければならない。したがって私ども十月二日の経済閣僚会議におきましても物価の安定を第一項目に置きましたけれども、内需の振興ということを大きな四つの柱の基本方針としておりますし、これからもその点については鋭意検討すると同時に、実現方に努力していきたいというふうに思ってます。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 では、経企庁から、内需の現状をどのように認識していらっしゃるかお尋ねいたします。

井川博経済企画庁調整局長

○政府委員(井川博君) 通産大臣からのお話もございましたように、十月二日の経済対策の主眼というのは、現在のGNPが主として外需によって支えられている、外需中心の成長になっている、このままではいけないということで内需中心に逐次移していくということが主眼でございまして、一方においてばらつき等があります内需に、均衡ある内需の回復を図り、他方において輸入の促進をしていく、これが主眼になっているわけでございます。  で、もたついている内需という中身でございますけれども、御案内のように、消費につきましては物価がきわめて安定をいたしておりますものの、消費の回復というのは、回復の基調にはあるとは言うものの、きわめてもたもたしておるというふうなことでございまして、どうも予定したような回復基調を示さない。それから、もう一つ、住宅はむしろ低迷ぎみでございまして、一昨年、百五十万戸ベースの新設着工が、現在百二十万戸に達しないのではないかと言われるような非常に低い水準でございます。  設備投資、大企業はこれは活況でございますけれども、中小企業につきましては、やはり全体的な不安というものがございまして、その動意はありますものの、中小企業の設備投資がまだマイナス基調であるというふうなこと、そういうこと全体を含めまして、やはり内需としては、全般的にこれ以上落ち込まないという情勢ではございますものの、回復の基調が弱いというのが現在の段階でございます。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 ただいまも御答弁いただきました十月二日の経済対策閣僚会議が、外需中心の成長ではいけないという、こういう発表がされたという、そういうことでございますが、そのとき発表された「当面の経済運営と経済見通し暫定試算」の参考資料によりますと、五十六年度当初見通しではGNPの実質成長率が五・三%のうち、内需による成長寄与度四・〇%が、暫定試算では二・五%に引き下げられている。外需による成長寄与度、当初一・三%は二・二%に引き上げられまして、内需、外需の寄与度がほぼ均衡するように改定されたようでございます。御承知のとおりでございますが、五十五年度実績、内需〇・六%、外需三・三%、これを考え合わせるならば、この数字は政府の作為が感じられてならないのでございますが、成長率四・七%を達成しつつ、いまも問題になっております貿易摩擦を回避するためには、当然この内需二・五%は確保しなければならないと思いますが、見通しはいかがですか。

井川博経済企画庁調整局長

○政府委員(井川博君) 実は、現在GNP統計で出ておりますのが、第一四半期、四−六期だけでございますが、四−六期の姿は、先ほども申し上げましたように、五十五年度と同じように外需中心で進んでおります。それじゃ、七−九月期、この統計は十二月の初旬にならないと出ないわけでございますが、どうもわれわれそのにおいをかいでみますと、四−六期、第一四半期と同じように第二四半期も内需は非常に低い、やはり外需、輸出中心の成長になっておるということでございます。  実は、先般の十月二日の暫定試算もそこらを前提にして、今後下期においてやはり逐次内需中心になっていくということを頭に置いて考えたわけでございまして、われわれといたしましては、十月二日に立てました各般の努力と相まって、先ほど先生おっしゃいました四・七のうち二・五の内需ということの実現に向けて努力をしてまいりたいということを考えておるわけでございますが、他面、それは内需振興の努力と同時に貿易の拡大均衡、すなわち輸入の拡大努力もやっていかなくちゃならぬ、その裏打ちがなくちゃならない。しかも、その輸出入の関係につきましては、当初六十億ドルの赤字と見ておりましたのを、現在は黒字定着基調でございますので、プラス七十億ドル、経常収支は黒字七十億ドルというふうに訂正をしたわけでございますが、いまの勢いからは、先ほど貿易局長の話もございましたように、上期だけで四十数億ドルの黒字でございますので、七十億ドルに抑えるためにも輸入促進等の努力が必要であるというふうに考えておるわけでございます。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 いまもいろいろお話がございましたが、外需を内需に振り向けるように政策運営を図らなければ、貿易不均衡の是正は、これは単なる輸出入の帳じり合わせになりまして、ひいては縮小均衡になるおそれがある、これは御承知のとおりだと思います。  そこで、鈴木総理も、貿易立国のわが国は拡大均衡を通じて世界経済の活性化を図らなければならない、このように述べていらっしゃいますけれども、具体的には非関税障壁の是正や製品の輸入の拡大、貿易自由化の促進など輸入に力点を置くことを明言されておるわけなのですが、また、通産大臣も外需を内需に振り向ける努力を主張されておりますけれども、その具体策が示されてない。内需に重点を置くと言われましても、しかし国内の状況を見ますと、公共事業の拡大あるいは公定歩合引き上げについては、これはまだ着手されておりません。また、頼みの個人消費も可処分所得の伸び悩みなどから停滞をしている現状でございますし、素材産業を中心とした構造不況業種は回復の兆しすらないのが現状でございます。中小企業、ただいまも同僚委員から質問がございました中小企業の設備投資はやや回復の兆しが見られるものの、業種間での跛行性が見られる。御承知のとおりに、機械や電気は好調でありますし、木材や木製品はこれは不調でございます。そして、倒産件数は五十六年十月で千五百八十四件と危機ラインの千五百件を突破している。こういうことから外需を内需に振り向けるべき具体策は浮かび上がりそうにもないのですけれども、通産大臣として何かお考えはございますか、お尋ねいたします。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中六助君) 中小企業の倒産件数も十月は千五百八十四件、確かに前年同期よりちょっと減っておりますけれども、まあ非常に高い。こういうことなども比べまして、御承知のように、いままあ各政府委員から指摘されましたように、物価の方は消費者物価あるいは卸売物価指数とも非常に低くなって、物価は一応安定しておるというふうに見られておりますけれども、これも実は、私は非常に心配しておるのは、その物価の下がった内容、質的なものが、売れ行き不振というようなことで下がっている部門もあるのじゃあるまいか。現実に素材産業あたり、アルミを初め紙パルプ、その他非常にいま大変な現状でございますし、それならば対策はどうかということでございますが、金融、財政あるいは税制、そういう面の三つの柱を考えてみまするときに、財政は財政再建というようなこともありまして、財政上にいろんなことを私どもできる限りのことはやっておりますし、これはなかなか困難で、公共事業の前倒し初めいろんなことはやっておりますけれども、まあある程度制約がある。税制の面におきましても、これまたやはり行財政改革の問題等の兼ね合いもございますし、そううまくはいかない。残るものは金融で、どうするかということでございますが、たびたび政府側から説明しておりますように、政府三機関の関係の金利につきましては、現実に二つの公庫は八・三%、それを据え置いて、次に、来年から上げる場合は八・五にすると、〇・二上げるというようなことを措置しているわけでございます。それからまた金融の枠というものを、三機関は一兆八千五十億ですか、そういうようなことも考えておりますが、問題は金利をどうするかというようなことになろうかと思います。しかし、これは御承知のように私どもが云々すべき立場にはございませんし、一応頭の中にはありましても、それぞれ日銀担当の重大な金利の問題でございますので、私どもの希望あるいはそこはかとない望みというものもございますけれども、そういう点である程度配慮してもらったらなあという気持ちは持っておる段階でございます。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 十月二日に経済対策閣僚会議でまとめられました「当面の経済運営と経済見通し暫定試算」について、まあ、これは景気対策と呼ぶには不十分な内容である、こういう見方がされております。現に、総合経済対策でなくしてこれは個別経済対策であると言われておるわけでございますが、この策定の段階では財界筋からは総合経済対策不要論が唱えられておりますし、九月の十八日、日商の総会に鈴木総理も出席されておりますけれども、そういうような機会を通じまして、鈴木総理もこれに呼応しておられるような面が見受けられるわけなんです。しかし、そういう状況の中にありまして総合対策に最も積極的だったのは通産省であったと私は理解をしておるわけでございますけれども、輸出関連で収益も上がり設備投資も堅調の大企業と、低迷する内需に依存して売り上げ不振や倒産に苦しむ中小企業を同一視する大企業の論理と思われてなりませんけれども、通産大臣、御所見を伺いたいと思います。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中六助君) まあ私どもといたしましては、現在の経済をどういうふうにするかということについての具体策というものを一応あらゆる点で、先ほど申しました金融、財政、税制というような面から大まかな線で考えておるわけでございますが、具体的に財界筋で大したこともないじゃないかと、そういうことでそんな対策は要らないという御批判もあるという御指摘でございますけれども、私どもは私どもなりにあらゆる制約の中でいろんなことをやってきておりまして、たとえば産業構造審議会でそれぞれ不況産業の部門、アルミ部門、何々部門というものがありまして、それに十分審議をお頼みしているわけでございまして、当面やるべき問題はやっておりますし、これから長期的な、あるいは中長期的な問題につきましてはいち早く審議会の答申を待っておるわけでございまして、たとえばアルミ部門につきましては関税率の引き下げ、こういうものにTQの問題がございまして、これも大蔵省との折衝で問題になっておりますけれども、私どもはぜひアルミ産業の不振を救助するためにもTQ制度の適用ということを考えております、その他不況産業につきまして一つ一つ丁寧に、多少の時間はかかりましょうが、施策というものはそう簡単に右から左に快刀乱麻を断つようなことはできませず、現実に物価というものは下がりつつありますし、景気の面でどうするということにつきましても、これからも、先ほど可処分所得の低迷というようなこともありますが、私どももそういう点も配慮して対策を練ってまいりたいというふうに考えております。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 いまの景気浮揚のための総合経済対策は不要とした理由としては、言われていることは、現在の財政事情から公共事業の拡充は無理であるという、こういう事情もございますし、また米国などの国際的高金利が挙げられておりますけれども、しかし最近になりまして、御承知のとおりに高金利政策の是正が見られております。十一月二日にアメリカの公定歩合は一四%から一三%と一%下げられておりますし、上乗せ金利の撤廃あるいは西独においても第二弾の利下げが検討されておる。このように世界的に金利低下傾向の状況にあるわけでございます。  また、報道によりますと、通産省の首脳の談話といたしまして、内需振興のための公定歩合引き下げが必要であるという、こういうような報道がされております。理由は、御承知のとおりに中小企業の倒産件数の増加、ただいまも大臣申されましたとおり、大企業の設備投資のかげりや輸出の拡大による成長が批判を浴びている、こういう中で公定歩合を下げていくべきであるということではないかと思いますし、ただいま大臣が、三つの柱があるけれどもその中で金融の立場からということで、何とかこれを打開する道を考えるならばという意味のお話がございましたし、昨日、参議院の行革特別委員会におきまして河本経企庁長官も、アメリカの金利がどの辺まで下がるのか、これは公定歩合の引き下げでこちらも考えなくちゃならない、そういう意味も申されまして、これは大蔵省、日銀が判断すべきことであると。しかし、いまの日本の経済情勢から判断すると、金利を引き下げて経済に活力を与えることが望ましいと、こういう意味の答弁をされていらっしゃいますけれども、この公定歩合引き下げ等に対しまして、もちろん日銀、大蔵省で判断すべきことでございますけれども、再度通産大臣としての御所見をお聞かせいただきたいと思います。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中六助君) 先ほどから申し上げておりますように、金融面、つまり金利で救われるものならば、これは私どもが考えておる以上に大企業ももちろんでございますが、中小企業者にとっても、一応政府三機関の金利の据え置きということもありますけれども、やはり別途相互銀行初め中小企業金融というものが他の一般市中銀行からも十分借りておるわけでございまして、そういう点で中心金利、つまりバンクレートが、ある程度現状よりも低くなるようなことがありますならば非常に助かりますし、現在の景気の不振、御指摘のように大企業はまあまあといたしましても、中小企業は本当に低迷のさなかにありますので、私は、もしもかなりの効果があって、しかもそれが早く処置できるのだったらそういうことが望ましいという強い気持ちを持っております。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 ただいま大臣が、現状より下がるようなことがあれば中小企業にとっても助かるという、そういう言うなれば引き下げは賛成のようであると私は受けとめております。これとても現在は御承知のとおりに卸売物価、消費者物価も幸い安定してきておりますし、金利をめぐる国際環境も好転しております。内需不振、輸出依存の傾向が続いていることなどから、こういう公定歩合を含めた金利水準の引き下げや所得税減税、もちろんこれは物価調整減税などの財政金融政策を伴った総合景気対策を早急に私は講ずべきではないかと思うわけなのですが、再度この問題に対して大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中六助君) 御指摘のように財政、金融、税制も含めまして私どもはこういう財政再建という課題のもとで取り組んでおるさなかでございますし、行財政改革というものもございますけれども、その間を縫ってでき得ることを御指摘のようにやらなければならない経済の現状ではあるまいかというふうに思います。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 そこでお尋ねをいたしますが、現在大蔵省において金融緩和策が検討されているようでありますけれども、一方、政府系中小企業金融三機関の基準金利は、五十七年一月から〇・二%引き上げることが十月二十三日政府で決定をされております。しかし、もし現在検討中の長期金利の引き下げが決まったならば当然これは見送るべきだと思いますけれども、大臣はどうでしょうか。ただいまも申されましたとおりに、金利がちょっとでも安くなるだけでどれだけ助かるかわからないというふうに言われたこともありますし、現在の中小企業の状況からも一層引き下げるようさらに努力するのが適切な措置ではないかと思いますが、あわせてお尋ねをしたいと思います。

勝谷保中小企業庁長官

○政府委員(勝谷保君) 先ほどから大臣がお答えいたしておりますように、ことしの三月にさかのぼりまして長期プライムより〇・二%低い水準でやってまいりました。十一月一日になりまして全体としては〇・四%引き上げたときそのまま据え置いたわけでございますから、長期プライムに対しまして従来の〇・二の差を〇・六の差で推移するということにいたしておるわけでございます。来年の一月からはこれを〇・四の半分の〇・二を上げるということでございますので、差は依然として〇・四ということでございます。したがいまして、本年の三月に比べまして一月一日以降は〇・四の差ということで進めるわけでございますから、中小企業に対する特別の金利政策は堅持するということでございます。  ただ、先生先ほどからおっしゃいますような仮定の議論がございます。これはさっきから申しておりますように内需拡大対策というものを一方で進めておるわけでございます。したがいまして、内需拡大策が進行いたしますならば、私どもは一月一日以降はこの水準で中小企業の皆さんにがんばっていただきたいと考えてまいっております。しかし、天下の大勢どのようになるかわかりませんが、そのときになりますれば財投の貸出金利に当然影響があるのではないかと考えるわけでございまして、その場合には慎重に検討するということでございますが、本件はきわめて仮定の数字でございまして、現状は先ほどから申しました特別の対策で進めさせていただくということでございます。

田代富士男公明党・国民会議

○田代富士男君 もう終わりますから、大臣からいまの……。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中六助君) 長期プライムレートに大体連動して金利は操作するわけでございますが、ただいまのように長期プライムレート、中心金利がもしも下がるようなことがございましたら、もちろん私どももそれを十分考慮して金利の操作には対処していかなければならないというふうに思っております。

市川正一日本共産党

○市川正一君 本日は、時間も限られておりますので、私は政策論ではなしに実態論に基づいて幾つかお伺いしたいのでありますが、大臣のお時間もございますので、大臣がいらっしゃる間にぜひじかにお聞き取りを願いたい問題から入っていきたいと思います。  去年の十一月十一日の本委員会で私は新聞の過当な拡販競争の実態について取り上げました。そして、販売店及び販売店労働者が過酷な経営条件また労働条件に置かれているということを、大臣の前にディジタル時計などいわゆる拡材の現物をお見せもいたしまして指摘いたしました。きょうは、そうしたもとで、もう一つの問題、新聞奨学生の問題について伺いたいのであります。この奨学生というのは、奨学金のあの奨学でありますが、これは新聞配達の主力部隊となっている、全国で約二十万人いると言われておりますが、向学心に燃えて、そういう青年、学生ががんばっておるわけでありますが、もとより働きながら学ぶというこの制度を私どももいささかも否定するものではありませんし、大いにこれを発展さすべきだ。しかし問題は、学ぶことが時間的にもまた経済的にも肉体的にも保障されないようなそういう人権無視が横行しているわけであります。  文部省にお伺いしたいのでありますが、文部省として、新聞奨学生のこの奨学制度ということについて実態を把握していらっしゃるかどうか、まず伺いたいと思います。

十文字孝夫文部省大学局高等教育計画課長

○説明員(十文字孝夫君) 私どももそういう話があるということはかねてから聞き及んでおりまして、新聞奨学生いわゆる新聞配達員奨学事業といったものの実態につきましては、事業主体としてあるいは新聞社あるいは新聞販売店の連合体といったようなものがいろいろな形で奨学と称する制度を行っているということにつきましては、それぞれの実施主体に電話で照会をいたしたり、あるいはパンフレットなどにおきましてその実情を、まあ十分とは言えませんけれども、ある程度把握しているつもりでございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 文部省は、九月七日のことでありますけれども、文化庁の牛尾文化普及課長補佐らが直接奨学生から事情を聞かれて、文部省とも相談して実態調査を約束されているのです。これは確かめていただきたいのですが。  私はここに何社かの奨学制度についてのいわばパンフレット、案内を持ってまいりました。朝日もあります。読売もあります。サンケイもあります。毎日もあります。大体中身は一緒です。これを見ますと、事業内容について、これは一例でありますが、「朝・夕刊の配達、チラシ広告の折り込み作業、そのほか簡単な事務など。集金・セールスはありません」こううたっているのですね。そして、これはまたあるところのものでありますが、「仕事の内容」「配達だけ」ゴシックでしかも囲みを入れてこう言って青年、学生をいわば勧誘しているわけです。また、労働時間についても一日五時間ぐらいだというふうに明記しております。そのほか福利厚生面、週休制度、給料、結構なことがずっと並んでいるのですね。ごらんになっていると思います。ところが実際はどうか。全くこれとはかけ離れております。まず仕事の中身と拘束時間でありますが、配達だけどころか、集金はもとよりセールスもやっておるわけであります。そして、新聞の拡張の責任を持たされている。いわば聞いて極楽、見て地獄が実態なんです。  研究用のテキストというのもあります。ここに各社のを持ってまいりました。このテキストを見ますと、たとえば、セールスは重要、部数がふえれば君の待遇が安定する、攻撃こそ最大の防御、新聞読者獲得のコツ、まさにこの拡張の要員を養成するためのテキストになっています。また別のある社のを見ますと、セールスはあらゆる業種にわたって最も必要な部門です。自分の受け持ち区域は自分の責任区域であるとの自覚のもとに、全戸読者化を目標に励んでください——これは一般の従業員なら別ですが、学生を、先ほどお示ししましたようなパンフレットでいわば勧誘して、そして義務づけていくんですね。私は、これは非常に問題だと思うのでありますが、さらに業務時間も結局五時間どころか、私、直接に何人かの学生から聞きましたけれども、十時間を超えるということもしょっちゅうあるというのです。これはとても勉学と両立することはできぬというのが率直な奨学生の声です。  そこで、文部省に重ねてお伺いしますが、教育的見地から見てもこういう新聞奨学制度の案内とそして実態、いわば隔たり、これは私、重大だと思うのですが、文部省の見解を重ねて承りたい。

十文字孝夫文部省大学局高等教育計画課長

○説明員(十文字孝夫君) ただいま先生御指摘の、いわゆる新聞奨学生の労働条件の実態につきましては、私ども、先生がお示しになりましたパンフレットも拝見いたしましたが、そこでは一応配達の時間あるいはチラシの折り込みといったようなことで、標準的には五時間ないし六時間というふうに示されておりますが、そのほかに集金とかあるいは販売拡張の仕事とか、そういうことが臨時的に重ねられるというようなことがあるようでございますが、そういうパンフレットで知る限りのことでございまして、その本当の実態につきましては、それぞれ個々の新聞販売店におきます労働上の問題でございますので、私どもとして詳細には承知いたしておりません。しかし、一般論といたしまして、私どもとしましてはかねてから働きながら学ぶ勤労学生に対しましてはそれぞれの職場におきまして十分勉学の時間を確保していただくように、たとえば通信教育の学生の場合には夏休み期間中にスターリングへ出かけるというようなことがございますが、そういった面について十分配慮をするように局長から各大学を通じまして事業主に対してお願いをするというようなこともしているわけでございます。ぜひ私どもとしましては勤労学生についてその向上心に基づいて十分勉学が継続できますように御配慮いただきたいと考えている次第でございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 先ほども言いましたように、九月の七日の日にこの問題について直接にじかに言っているのですよ。牛尾文化普及課長補佐がこの問題について実態調査をやるということを約束されているんですね。ですから、そういう点からいま初めて聞いたようなお話ではこれは通らぬのですよ。だから、実態調査をちゃんとなさるということ、この点確約いただけますか。

十文字孝夫文部省大学局高等教育計画課長

○説明員(十文字孝夫君) 繰り返しになりまして恐縮でございますが、先ほども申し上げましたように、要するに個々の販売所におきます労働条件の実態の問題でございますので、これは文部省というよりもむしろ労働省が監督される問題ではないか、労働省のやはり権限の範囲内においていろいろ調査なさるということが一番いいのではないか、適切ではないかというふうに考えております。

市川正一日本共産党

○市川正一君 労働省には労働省にちゃんと聞きますよ。私が言っているのは、教育上の見地から見て、大部分が学生ですよ、こういうことが好ましいのかどうかということを踏まえてあなた方はそんなもの知らぬとほっとくのですか、それを聞いているのですよ。そんなものは労働省に任せておいたらいい、わしゃ知らぬと言うのですか。

十文字孝夫文部省大学局高等教育計画課長

○説明員(十文字孝夫君) 私ども決して、そういう実態がありとすれば、望ましいことであると考えておりません。したがいまして、先ほど申し上げましたように、筋としましてはやはり労働省の問題でございますので、私どもとしても十分労働省の方にそういう調査をし指導していただくということで、お願いを申していきたいと思っております。

市川正一日本共産党

○市川正一君 そうすると、望ましいことでないということが一点、そしてこの問題については重大な関心を持って、労働省ともよく協議して実態調査、しかるべき措置に取り組むと、こういう理解でよろしゅうございますね。

十文字孝夫文部省大学局高等教育計画課長

○説明員(十文字孝夫君) はい、そのとおりでございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 はい、わかりました。  それじゃ労働省に伺いたいのでありますが、私どもが調査しましたところでは、これだけではなしに、週休あるいは有給休暇、これがないというのが半分あります。また、健康診断は一〇〇%がありません。また、就業規則も九〇%がありません。また、健康保険、厚生年金も六〇%以上ありません。そういう状態であります。労働省はこういう実情について当事者から要請を受けておられるはずでありますが、実態調査もなさって、こういう奨学生制度をつくっている発行本社に対して改善の指導をなさるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

岡部晃三労働省労働基準局監督課長

○説明員(岡部晃三君) 新聞販売労働者の問題につきましては、従来からいろいろ労働基準法上の問題があるということで、一つの重点として労働基準法の施行に当たっておるところでございます。まあこの問題につきましては、各都道府県労働基準局におきましてそれぞれいろいろな手法で是正を図っているところでございますが、最近におきましてもこの三年間この問題を重点としてあえて取り上げておるところが全国で二十局あるわけございます。そのうち本省に取りまとめが報告されましたものにつきましては、昨年の先生の御質問にありましたような状況をお届けしたわけでございますが、その内容を見ましても、やはり就業規則の不備の問題、あるいは年少者の問題、休日労働の問題等々、いろいろ挙がっているところでございます。今回私どもといたしましてさらに新聞労働者の問題、特に奨学労働者の問題につきまして、日本新聞協会に対しまして十分な注意を促したという、ごく最近の経緯もあるところでございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 重ねて聞きますが、給料支払いについて切り取りというのがあるのです。これは労働省御存じだと思いますが、どういうことかというと、自分の担当している部分の集金ができない場合には残証と呼ばれている未収金分を給料からいわば天引きされる、そのかわりに請求書を渡されるという制度であります。これは明らかに労働基準法の二十四条違反でありますが、こういうことが公然と行われている。ある新聞社の場合、ひどい場合には、これは私ここに現物も持ってまいりましたが「差引証券分」と書かれて未収金を給料から差っ引かれているというのがあります。そして、手取り五円しかなかったという実例も実際にあるのです。私はこういう点で労働省として発行本社に対して切り取りをやらせないという厳重な指導がいまや求められていると思いますが、この点いかがでしょうか。

岡部晃三労働省労働基準局監督課長

○説明員(岡部晃三君) この問題は特に東京地区におきまして、東京の各新聞販売店に働く労働者の方から東京労働基準局に対して、過般申し出がなされたところでございます。労働基準法二十四条におきましては賃金の全額払いの原則を定めているわけでございまして、法定の除外事由がなくて賃金の一部を控除するというふうなことは、もとより同条に違反するところでございます。したがいまして、いま御指摘の切り取りというふうなことがもしございますれば、それは違反の疑いがきわめて強いということになるわけでございます。  そこで、そういう申し入れがございましたので、東京労働基準局におきましては、各新聞社を通じましてその系列ごとに、東京の全新聞販売店千三百十店に対しまして、過般、十月十四日から十一月六日にかけましてこのような違反を生ぜしめることがないように強力に指導したところでございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 大臣にお伺いいたしたいのでございますが、私もきょうは時間がございませんのでもう触れませんが、たとえば、新聞が不配達いたしますと一件について二千円の罰金制度をつくって給料から天引きしていくというふうな例もございます。こういう、余りにもひどいので配達員をやめようと思っても、借りている奨学金を一度に返さぬことにはやめさしてくれぬのです。足抜くことができぬのです。そこで苦しくてもそのまま続けるか、それとも学校の方をやめるか、結局そういうことに追い込まれていくんです。私、統計をとってみますと、そういう中で結局体がもたぬということ、勉強もできぬということで、年間約七割の学生がやめていくのです。そうすると、その後をまたこういう甘いうたい文句をえさにして次々と奨学生を募集していきます。こういうことのいわば繰り返しでやっているわけですね。ある奨学生は次のように訴えています。  四年間やり抜いたという満足感や喜びなど微塵もありません。四年間、まるでタコ部屋か女郎部屋、金がないから縛られていただけです。きれいな謳い文句にのせられて、自分も大学へ行けると夢をふくらませて新聞奨学生になり、だが、そのあまりの苛酷さに打ちひしがれて、悄然と田舎へ帰っていった仲間が、どれほど僕の周りにいたかこう言っているのです。  大臣、以上じかに大臣のお耳から聞いていただきましたが、これは新聞にもかかわることでありますので、なかなか実態としてはマスコミにも載りにくいんです。先ほど大臣御自身も新聞界の出身だと、こうおっしゃいましたけれども、社会の木鐸と言われる新聞、その発行本社が設立したこういう奨学生の現状というのは、私は放置できないと思うのです。ましてや学びたいという、そういう夢をふくらました、向学心に燃えた青少年の純真な気持ちをいわば踏みにじっているという点で、私は奨学制度のいわば一番中心である発行本社自身がこういう改善に積極的に当たるべきじゃないか、そして通産省としてもそういう方向でぜひ強力な指導をしていただく必要があるんじゃないか、こう思うのでありますが、強くそういう要望を込めて大臣の御所見を最後に承りたいと思います。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○政府委員(植田守昭君) 過去からの事実関係の経緯もございますので、私からちょっとお答えさしていただきますが、私ども、いまお聞きしておりますと、いろいろと文部省なり労働省なり直接の所管の問題があろうかと思いますが、私どもにつきましてもかねてから御要望もございますので、この問題……

市川正一日本共産党

○市川正一君 審議官、済みませんが、大臣のお時間がありますので、ぼくもそれを心得て進めているつもりですから。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○政府委員(植田守昭君) はい。新聞本社との話し合いの問題になるわけでございますが、率直に申しまして、残念ながら現時点におきまして私どもと新聞本社との間で全般的に話し合いを行い得るという状況は必ずしも十分醸成されておりません。しかしながら、販売店の問題につきましては、発行本社の団体でございます日本新聞協会とは本年の九月でございましたか、話し合いを行いまして、今後連絡はとり合っていくというふうなことで話した経緯がございまして、販売店の実情調査等につきましてもいろいろと困難な問題もございますが、そういったところとの連絡は絶やさないでやっていきたいというふうに考えております。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(田中六助君) いま植田審議官がお答えしたとおりでございますが、私は、根本的には商業新聞の過当競争にあるのじゃないかというふうに思いますし、学生が非常に苦労しておるというようなこと自体、これはやはり大きな社会問題でございますし、新聞協会にただいま審議官の方から申し上げましたように、一応相談をしておりますけれども、私は、さらにこれを、抗議というようなことではなく、まあそういう意味を含めて十分話し合っていって、こういうことがなくなるように対処しなければならない、政治家としてもやはり一つの責任のあることではあるまいかというふうに思っております。

市川正一日本共産党

○市川正一君 通産大臣の確固とした指導を重ねて要望いたします。  残された時間、若干次の問題に移りたいと思いますが、先ほど同僚委員も取り上げられましたが、最近大きな社会問題になっております大型小売店、スーパの出店問題でありますが、通産省は十月に大型店問題についての対処方針をお決めになっている。その中で、当面の対策として、出店の届け出自粛指導をすることとされております。これは、現行大店法のもとで反社会的行為をも伴った大型店の出店ラッシュが続いて、各地で、地元の小売業者はもとより、消費者あるいは教育関係者との間で紛争が続いておりますが、このまま放置しますと環境破壊あるいは教育環境の悪化あるいは地元中小企業への打撃はますます大きな社会問題になっていくと、そういうことからこの措置がとられたというふうに私は理解しておりますが、いかがでございましょう。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○政府委員(植田守昭君) 大型店の問題につきましては、いろいろトラブル等も起きておりまして、商業環境は大変厳しいというふうに私どもも受けとめております。そういう状況を踏まえまして、早急にこの対応のあり方というものを検討する必要があるというふうに考えまして、先般大型店問題懇談会を発足させたわけでございます。めどといたしましては、年内をめどにとりまとめたいということで発足し、現在やっているわけでございますが、そういたしますと、その間をどうするかという問題が当然出てくるわけでございまして、これにつきまして、いろいろ現在の厳しい状況を踏まえた上で、先般のいわゆる自粛通達と申しますか、通達を出しまして、出店者側につきましては、できるだけ問題のあるものについては自粛をしてもらう。それからまた調整する側といたしましては、特にそういった点に十分配慮しながら慎重に取り扱うというふうな指導通達を出したわけでございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 そうしますと、この検討の対象として、許可制の導入や、あるいは都市計画、環境との関係、あるいはまた商調協のあり方などを含め全体的に検討されるというふうに理解してよろしゅうございますね。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○政府委員(植田守昭君) そういった問題を含めて検討する予定でございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 確認いたしました。  そうしますと、その際に、たとえば大スーパーが行っている買収、供応まがいの反社会的な、言うならば社会道徳にも反するような出店工作についても検討されましょうか。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○政府委員(植田守昭君) 今回の、大型店調整のあり方の適正化を図るという観点からやるわけでございまして、先ほど申しましたように、商調協のあり方とか、あるいはいわゆる都市計画等のあり方、そういったことを検討していくつもりでございます。お尋ねのようないわゆる反社会的行為と申しますか、そういった問題につきましては、直接その問題を取り上げて行うという余裕は今回は十分ないかと思います。しかしながら、いわゆる紛争の原因はどうかとかいうふうなことは当然問題になりますので、そういった観点から議論されるということは当然予想されるものと考えております。

市川正一日本共産党

○市川正一君 お答えの意味するところはわかりますが、私はもう一歩突っ込んで、当面の自粛通達においても、そういう点で厳重なやっぱり注意を促す必要があると思いますし、かつ懇談会においてもそういう問題が当然議論の対象になるべきだとこう思うんです。  というのは、一例を挙げますが、これは私自身が住んでおります大阪の高槻市というのがありますが、そこで沢良木町の松原小学校の横にニチイが出店計画をしています。ニチイ南高槻ショッピングデパートというのでありますが、まさに手段を選ばぬ悪質な出店工作が行われております。ここではニチイの社員が、出店に反対している地元商店主などの協議会がありますが、北本さんという会長を密談に誘う文書を手渡して、ここにその文書がありますが、反対運動を切り崩す、こういう工作までいたしております。これは地元で大問題になって、私ここに朝日新聞のコピーを持ってまいりましたけれども、朝日新聞はこう言っております。「ニチイが切り崩し文書 進出反対リーダーに 市議会委で審議のさ中」、というふうにうたっております。私、時間の関係上詳細をここで申し述べる余裕がありませんが、とにかく極秘裏に会って、会長個人の商人としての将来的ご発展がどのように約束されるのか等を考えて話をしたい。そして後で、会長と個人的に話し合った内容が他に洩れることはございませんという形で切り崩しをやろうとしている。これだけではないのです。さらに反対運動を切り崩すために、文字どおりの買収が行われている。これは出店阻止協議会に加盟しております高槻の南市場事業協同組合でありますが、これがニチイの出店を認めるならばということで三千万円を支払うという協定をひそかに交わしている、こういう事実があるのが判明いたしました。その当該の組合は、これは現役員の前任者が勝手に結んだ契約であって、そしてまたきわめて不明朗なものだどいうことで、この破棄を決定しております。協定の結び方は、これはニチイが組合と協定する際に、当時の理事長と理事六人が立ち会いましたが、そのときの金額は一千万円、ところが、その役員の改選後、どうも何か疑いがあるというので追及したところ、別に一千五百万円を支払うという念書が出てまいりました。ここに念書も持ってまいりました。さらに追及すると、今度は理事長の肩書きを使って、個人名義で五百万円払うという念書も出てまいりました。こういう点で地元のやはり大問題になって、一般新聞も大きく取り上げております。これも私、コピーを持ってまいりましたが、「出店認めれば三千万円 ニチイ高槻の市場と協定書」ということで、これもまた大きな社会問題になっております。  こういうふうなことが堂々と行われておるのでありますが、この点で地元の運動を進めておる人たちが大阪の通産局へこういうやり方についていろいろ指導の要請に参りました。ところが、担当官がおっしゃるのは、たびたび指導をしているがニチイは意に介せず、金を出しても出店に必要なことは何でもやると言って開き直っている、こういわば嘆いていらっしゃるのです。これでは、私、通産省の行政監督官庁としての権威もまた指導性もいわば失墜と言わざるを得ぬと思います。私は、担当官の善意は信頼しております。しかし、幾ら通達を出しても馬耳東風、幾ら指導しても聞き入れない、開き直っている。こういう点はやはり私、通産省として、本省の方から断固として厳しく実情もつかみ、そして改善指導を行っていただきたいと思うのでありますが、この点いかがでありましょうか。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○政府委員(植田守昭君) そういったいまの件につきましては、私どもも通産局から事情も聴取しておりまして、おおむねそこは理解しているつもりでございますが、こういった問題が起こるということは大変遺憾なことでございます。  この大型店問題、いろいろ各地で紛争が起きているわけでございますが、個々の事例によって、もちろん一律には申し上げられませんが、自分の商店街がこの大型店でいろいろ影響を受けるという心配もございましょうし、それからまたリーダーの中にはその商店街を何とか合理化するなり対応策を考えていきたいというふうなこともございまして、そういった、何と言いますか一般によく言われます振興資金と申しますか、商店街のために何とかならないかというふうな、ある意味では地元の商店街を強化していきたいというふうなこととの絡みでそういう問題が起こる。しかし、それがまたいま御指摘のような不明朗な形で起こるということになりますと、これまた行き過ぎていろいろ問題になる、そういった問題ではなかろうかと思います。  もちろんこういった疑惑を招くようなことにつきましては私ども十分今後とも指導し、なくす方向で持っていかなければならないのでございますが、もう一歩考えますと、この出店調整のメカニズムが現在商調協という場が事実上かなり重要な場となっておりまして、その商調協の機能のあり方というものとこういった問題とがそのベースのところで関係があり得るかもしれない、そういうようなことも含めまして、商調協のあり方というものが一つ問われてくるのではないかというふうに思うわけでございます。  したがいまして、いま懇談会におきましても商調協のあり方、あるいは具体的には商調協と地方公共団体との連携のあり方とか、そういった出店問題をめぐる公的な諸機関のあり方等も含めまして検討いたしまして、この調整機能がもっと十分に作動するような形を考えられないか、そういうことがうまくいけば自然にこういった不明朗なこともそれだけなくなる方向に行くわけでございまして、御指摘の点も含めましてこの出店調整問題を検討していきたい、こういうふうに考えるわけでございます。

市川正一日本共産党

○市川正一君 将来のそのあり方は、これは私も、提言もございます。ただ、現実に起こっている、いま審議官も不明朗とおっしゃった、まさに反社会的な、いわば指弾を受けるような、こういうものについてはこれとしてきちっとしないとやはりぼくはいかぬと思うのです。  だから、この点ではぜひ、私高槻の具体的実例を申し上げましたので、この点の指導をひとつやっていただきたいというふうにお願いいたしたいのですが、時間が参りましたのでもう——。よろしゅうございますか、頼みますよ。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○政府委員(植田守昭君) 疑惑を招くような行為は厳に慎むようにして指導してまいりたいと思います。

市川正一日本共産党

○市川正一君 厳しく指導を本当に頼みますよ。  それで、読売新聞がこういうふうに言っています。十一月十四日付ですが、全国的にこういう札束次第の大型出店調整ということで、大型店の進出は大きな利権となっているということを指摘しております。私は、そこにこそやはり重大な問題があると思うのでありますが、もう一つの問題としては、スーパー商法としていろいろ悪名高い、いわばみずからのバイングパワー、取引上優位な企業の購買力、これを使っての仕入れ商品の買いたたき、あるいは十七日の新聞が報道いたしましたが、「牛乳安売りを初摘発 公取委 松戸のスーパー 原価割り不公正 目玉商法厳しい見解」私見出しだけでもう省略いたしますが、こういうやはり一連の不当廉売問題があると思うのです。私は、そういう点で大型店問題を考える場合に、こういうスーパーの悪徳行為、あるいは悪徳商法についてもきちんと解明をしていく、そして出店問題を検討する上で重要な要素にしていくというのは当然だと思うのでありますが、この点御見解を承りたいと思います。

植田守昭通商産業大臣官房審議官

○政府委員(植田守昭君) 現在行っております懇談会におきまして、先ほどのような点を中心に行っているわけでございますので、そういう問題をプロパーとして取り上げることになるかどうか、これは時間的余裕もございまして、そういった制約はあろうかと思います。しかし、この大型店問題は今後長く続く問題でございますから、そういった問題も一つの問題といたしまして、今後ともそのあり方等については十分考えていきたいというふうに思っております。

市川正一日本共産党

○市川正一君 じゃ最後に、もう時間がありませんので、質問というよりもいままでの議論を総括いたしまして、通産省は従来から許可制導入について、先ほど同僚委員も触れられましたけれども、それは原則禁止だと、だから問題があるというような見解を述べられておりましたが、実際はそうではないというのが私どもの改めての結論であり、提起であります。むしろ本当に調和のとれた大型店の進出、あるいは中小企業や小売商業の振興を図ろうと思えばもう許可制以外にはなくなってきているわけであります。ですから届け出制では、調整どころか、この年末がもしそのまま終われば出店ラッシュががっと出てくるのはもう火を見るよりも明らかであります。したがって、これまでの現行制のもとでの実態をやはりここで冷静に見て、そしていまこそ許可制導入について通産省として真剣に検討されるべきであるということを私は重ねて力説をいたしまして質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

降矢敬雄自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬雄君) 他に御発言もなければ、本日の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————

降矢敬雄自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬雄君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  産業貿易及び経済計画等に関する調査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

降矢敬雄自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬雄君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

降矢敬雄自由民主党・自由国民会議

○委員長(降矢敬雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十四分散会      —————・—————

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