行財政改革に関する特別委員会 第3号
- 発言数
- 293 件
- 登壇者
- 28 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1981/11/04
会議録
○委員長(玉置和郎君) ただいまから行財政改革に関する特別委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、山田譲君が委員を辞任され、その補欠として鈴木和美君が選任されました。 —————————————
○委員長(玉置和郎君) 行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一環としての国の補助金等の縮減その他の臨時の特例措置に関する法律案を議題といたします。 本法律案は、前回の委員会においてすでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は御発言を願います。野田哲君。
○野田哲君 まず、総理に、政治を進め、行政改革を進めていく上での基本的な理念について伺いたいと思います。 総理は、総理官邸に入られてからもう一年半近くたつわけですが、知っておられるかどうか、総理官邸の屋根にはフクロウの飾りがつけられているそうであります。このフクロウはローマの神話に出てくる知の女神ミネルバの使いで、このフクロウの英知、これを象徴していると言われております、当時の設計者が、英知を結集して日本をいい国にしてもらいたい、こういう願いを込めて、森の奥深く住む、目立たぬ賢者と言われているフクロウの像を取りつけたと言われているのであります。残念ながら、その官邸の主になった人の中には、このフクロウに象徴される願いとは全く逆の方向に日本の政治をリードして、戦争犯罪人になった人、あるいは現に刑事被告人になった人が出たことは、まことに日本の政治の上では遺憾なことであります。最近ある会社の入社試験でメジロ押しという言葉を試験に出したところが、田中角榮元総理の推薦する大臣候補、こういう迷解答をした人がいるそうであります。こういう解答が出てくるほど刑事被告人の影響力が日本の政治の中に行使をされている、これは異常であります。フクロウの英知を受け継いだのではなくて、フクロウのやみで動く夜行性を受け継いだ政治と言わなければならないと思うのです。 そこで、私は、総理が政治生命を行政改革にかける、こういうふうに言われているわけでありますが、政治生命を行政改革にかけるこれだけの決意があるとするならば、政治の倫理を確立することにも政治生命をかけてもらいたい、こういうふうに考える。 具体的に伺いたいのは、十月三十日に奥野法務大臣が記者会見で述べている言葉であります。その前日のいゆわるロッキード裁判に出廷した榎本前夫人の証言に関しての記者団の質問に対して、「人の道をわきまえて」とか、あるいは「検察は社会の支持を受ける方法で」、こういう発言をされている。その後の新聞の社説あるいは新聞に寄せられている投書を見ると、挙げてこれは奥野法務大臣の発言に対しては厳しい批判を行っております。これは政治的な指揮権の発動に類する行為だ、こういう批判を浴びせているわけです。 鈴木総理にまず伺いたいわけですが、このような形で法務大臣が刑事被告人の裁判に関して発言をし、関与とも受け取れる発言が行われていることだ対して、総理はどういうふうに考えておられるのか。あの榎本前夫人の証言、これを行わせた、出延を求めた検察は人の道に反した行為をやったと考えておられるのか。あるいはまた、それを許したあの法廷は人の道に反した決定を行った、こういうふうに理解されているのか、まず総理の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) まず、私が総理として官邸に入りましてから一年半になろうといたしておりますが、私が常に心しておりますことは、官邸におりますと、どうしても耳ざわりのいい話しか入ってこない面が往々にしてあるように思います。それでは同政全般にわたりまして国民の皆さんのお考えや国民世論に十分沿うた政治ができなくなる危険がございます。私は常に心をいたしまして、国会並びに国民世論に耳を傾け、謙虚にそれらの御意見等をくみ上げまして国政に誠意を持って取り組んでまいりたい、またそういう心組みで当たっておるところでございます。 具体的な問題として、いま奥野法務大臣の先般の記者会見についてのお尋ねがございました。 私は、奥野法務大臣からよくその御本人の考えというものを聞いたわけでございますが、奥野法務大臣は、決して具体の問題について裁判に介入をしたり、あるいはこれに影響を与えたり、そういうような意図も考えも持っての発言ではない、そういうことをはっきりと申しておりますし、そういう前提の上に、立って記者会見にも臨んでおる、こういうお話でございました。私は奥野さんの考え方というものを、そのとおりであろうと、こう受けとめておるわけでございます。しかし、私は、そういう立場にある者、あるいは政治家たる者、その言動につきましては非常に誤解を受けやすい、また責任を伴うわけでございますから、慎重の上にも慎重にしなければいけない、このように思うわけでございまして、今後、私を含めまして、政府の閣僚たる諸君には十分言動に慎重を期するようにお願いをしたい、こう思っておるわけでございます。 なお、榎本前夫人の証人としての召致につきましては、これは公判の維持なりそういう必要上から裁判所の御承認をいただいて行ったことであろうと思うわけでございまして、私はそれがいろいろ問題になるようなことは決してないと、このように考えております。
○野田哲君 総理は、法務大臣の考えを聞いたけれども、具体の問題についての発言ではない、しかし誤解を受けやすい、こういうふうに言われているわけです。あのときの記者会見のいきさつについて、私も幾人かの報道関係者の人からいきさつを聞きました。それによると、前日、榎本三恵子前夫人が証言に立った、そのことが、あの裁判でかなりショッキングな発言であった、証言であった、そのことについて法務大臣としてどう考えるかというのが、あのときのインタビューの法務大臣発言の前提になっているわけであります。個個の具体的な問題についての発言ではないと総理は言われるけれども、あの記者会見のいきさつというのは、ずばりこれは榎本前夫人証言についての感想、これがインタビューのテーマになっているわけであります。したがって、あの発言というのは、やはり検察に対する介入、裁判に対する介入、こういう性格を持っているわけであります。 新聞を見てください、これ。各紙とも全部そういう立場に立ってとらえているわけです。「法相、検察に不満」「榎本前夫人の証人採用」「法相、検察を批判」「法相が検察批判」、こういうことですべて新聞は一貫をしているわけです。そして、あの報道を聞いた国民一般からの批判というものも、これはその後の新聞に対する投書になってあらわれています。一つばかり例外がありますが、すべてこれはやはり法相の言動に対して厳しい批判を行っているし、社説に至っては「奥野発言に政治の暗流をみる」と、こういう批判を社説で行っているわけです。あるいはまた「陳謝ですまぬ法相の発言」、こうなっているわけであります。 総理大臣は、これだけ社会的に反響を呼んだ世論の厳しい批判の前に立たされている法務大臣発言に対して、あなた法務大臣に対して具体的に何らの処置もとれない、ただ聞き流して弁護するだけでこれが済む問題だとお考えになっているわけですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私から事情を明確にさせていただきたいと思います。 三十日の朝の閣議後の記者会見で一応の私が話を終わりましたときに、記者の一人の方から、榎本前夫人証人尋問をどう思いますかというお尋ねがあったわけでございました。私は、検察の行っていることについて批判はする意思はない、同時にまた事件に介入する気持ちもない、一般論として言うならば検察はこうあるべきだと、日ごろ考えていることを申し上げたわけであります。そのとおりに私はいまも考えているわけでございまして、検察庁は広く国民に支えられるものでなければならない、これを一つ言いました。やはり違法を追及していく機関でございますから、違法追及に抜かりがあったのでは国民から支えられないことになってしまうと思うのであります。もう一つは、だからといって何をやってもいいものではない、やはり道に外れないようにしなければならない、この二つが大切だと思っているということを言うたわけでございました。そうしたら、この間の事件をどうこうという話がございましたから、私はそれがこれに当てはまるとか当てはまらないとかいうことを言っているわけじゃありませんよ、一般論を言っているんですよと念を押して記者会見を終わったわけでございました。 いま、事件に介入とかいろいろのことをおっしゃいますが、私は検察行政が国民の支持のもとに適正に行われるようにする責任を持っている者でございます。でありますから、検察官を一般に指揮監督することができる責任も与えられておりますし、また、個々の事案につきましては検事総長のみを指揮することができるという規定も設けられているわけでございます。私は検察官というものはそんな弱いものではないと思うのでございまして、社会正義実現に貢献したいという信念を持ってこの道についておられる方でございます。でありますから、私が一般論を言ったからといって、それに影響されるような弱い検察官であるはずはございません。また、検察官に対しまして私は批評する意思はないということを言っているわけでありますから、指揮する意思は毛頭ないわけであります。また、仮に指揮をいたしましても、検事総長は唯々諾々としてそれに盲従しなければならないことはないわけでございまして、違っていると考えますならば、それなりにその見解を明らかにすべきであります。 また、そういう例が、造船疑獄の際には法務大臣が言いましたことに対しまして検察官は違った考え方を持っているということを世間に公にしているわけでございます。究極的には検察行政も行政でございますからその指揮には従わなきゃなりませんけれども、正しくないと思っていることに唯々諾々として従う、そんな私は日本の検察ではないと考えるわけでございます。また、先例も、指揮することができるという規定がございますけれども、その場合でも検察の考えていることを堂堂と明らかにしているわけでございます。私は、あらゆる事件について道を外れないようにする、同時にまた、違法の追及に対しては社会の支持が得られるように徹底していく、この二つを私は大切だと考えているわけでございまして、この二つは常に私は検察官が心得ていなければならないことだと、こう思っているわけでございます。
○野田哲君 弱い検察ではないはずだと、こう言われましたが、私は、法務大臣の発言によって検察が影響を受けたりあるいは裁判が影響を受けたりするようなことがあれば、それこそ大変だと思っているんです。問題は、総理、この新聞の論調、投書にあらわれているように、国民は何を心配しているのか、政治に対する不信感があれによって大きく助長されている。そして、法務大臣やあるいはあの法務大臣の発言を放任している鈴木内閣がロッキード事件の被告人をかばおうとしていると受け取っているわけです。そこに私は政治に対する不信感の根源があると思うんです。そこを正すのがこれは総理の責任じゃないですか。全く黙認ということで済む問題ですか、どうですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) いま奥野法務大臣から詳細に記者会見の模様の御報告があったわけでございますが、そういう点は国民の皆さんには十分知悉されないで御心配なさっておられたことと思うわけでございます。しかし、私は、それはそれとして、先ほども申し上げましたように、政治家、特に閣僚たる責任ある立場にある者はいささかでも誤解を招くような言動があってはならない、慎重に発言をしなければいけない、このように思うわけでございまして、その点は十分私を含めまして反省もし、また今後十分注意をしてまいりたいと、こう考えております。
○野田哲君 奥野法務大臣は、これは初めてうっかり発言をしたというような性格のものではないんです。昨年来憲法発言を二回もやっているわけです。いまの憲法を改めるべきだ、こういう発言をやってその都度陳謝をする、あるいは総理が釈明をする、こういう繰り返しが続いているわけであります。明らかにいままでの経過を振り返ってみても、法務大臣の憲法発言、これも意図的なものだ、既成事実をつくり上げていく、そういう意図的なものと私どもは感じざるを得ないわけであります。今回の発言についても、そういう経過があるだけになおさら私どもはこれは不信感を消すことができない。総理大臣は、国民のこの各紙に取り上げられている疑惑を解消するためには法務大臣に対して辞任を求めるべきではないですか、いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま御答弁申し上げたとおりでございまして、私物め閣僚は今後とも言動に対しては十分慎重でなければならない、このように注意をいたしてまいる次第でございます。
○委員長(玉置和郎君) 関連を許します。小柳勇君。
○小柳勇君 いまの問題について関連質疑をいたします。 これは昨年の十月七日の官報の号外でございます。私が社会党代表で本会議で質問いたしましたときの演説がそのままこれに記録されています。奥野法務大臣はすでに大臣であったにかかわりませず再三にわたって憲法改正の発言をされた。したがいまして、私は演説の最後に総理大臣に対しましてこういう演説をいたしています。「憲法第九十九条には「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と明記されております。また、特定公務員である人事官は、最高裁判所長官の面前において憲法尊重擁護の宣誓書に署名してからでなければその職務を行ってはならないし、この公務員が本条所定の義務違反をした場合には裁判所において憲法違反の責任を追及されることになっております。特定公務員である人事官にこれだけ厳しい義務づけがしてあることを承知している法の番人である奥野法務大臣が、なぜ憲法九十九条を素直に解釈しないで、執拗に憲法改正の発言をされるのか。それは憲法の尊重擁護ではなく、憲法に封ずる軽べつと破壊の意思表示であると言わなければなりません。奥野発言が憲法違反であるかどうかの論争を一応ほかにおいたとしても、憲法への忠誠心を欠いた法務大臣は法の番人としては不適格であると思います。また、国務大臣として行政を担当することも容認できません。奥野法務大臣は直ちに国務大臣と国会議員」を辞職すべきであります。これが私の質問した内容であります。 現在問題になっておりますのは、さきの裁判の証人に対する発言でありますが、根本的に法の秩序を尊重しない、擁護しようとしない法務大臣は大臣として不適格であります。また、これは単に法務大臣だけではありません。わざわざ衆参両院で行政改革の特別委員会が開催されている、これだけの大臣及び官僚諸君がここに詰めかけています。国民としては行政がいかにあるか、これから日本の行政をいかにやってもらうかということをいま期待をしてこの委員会を見詰めている。その行財政委員会、衆参で委員会が開かれている最中に、法務大臣である奥野氏が刑事被告人の裁判に、その証人に介入する、もってのほかである。これは私は鈴木内閣の行政の姿勢として法務大臣をやめさしてもらいたい。でなければ、この委員会を開く意味がない。したがって、われわれは、総理大臣の確固たる決意、奥野法務大臣にやめてもらう、その意思決定までこの委員会は中止すべきであると思います。委員長、中止を提案いたします。
○委員長(玉置和郎君) 野田哲君、質疑…(発言する者あり)本問題については、理事会で後刻協議をいたしましてやっていきたいと思います。 質疑を続行いたします。
○野田哲君 今回の臨時行政調査会の第一次答申に基づく政府の行政改革大綱、そして今回の行革関連一括法案、これはいかに緊急の外科手術的なものとはいいながら、内容は行政改革という名前には値しない、私どもはそう受けとめているわけです。昭和五十七年度予算編成方針の法制化にすぎない、こう言ってもいいのではないでしょうか。しかも、この予算の削減の矛先が年金、医療、児童手当、教育、このような社会的な弱者やあるいは教育に真っ先に向けられている。このことは、今回の行政改革の方向がうかがわれて、反国民的な行革という指摘をせざるを得ないと思うわけです。行政改革と言う以上は、まず総理は、これからの日本の国家目的、すなわちどのような国づくりをしていこうとするのか、そのビジョンを国民に示して国民の合意を求める、このことが私はまず先決でなければならないと思うのです。 行政改革というのは、その国家目的、国づくりのビジョンを進めていく上での手段であって、それ自体が目的ではないはずであります。一体、鈴木総理、鈴木内閣がこれから進めていこうとしている行政改革は、八〇年代にどのような政治を進め、国家として国民に対して何を求め、そして国家として国民に何をもたらそうとしているのか、その理念についてまず総理の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、行政改革と財政再建は表裏一体のものである、このように認識をいたしておるわけでございます。納税者である国民の皆さんはできるだけ負担を重くしてもらっては困る、定められた適正な負担の上に立ってそれが効率的にむだのないように使われて、そして国民の福祉と行政水準の低下にならないように効率的に使ってほしい、これが納税者たる国民の方々の願いであろう、こう思うわけでございます。 私は、そういう意味で、五十七年度予算の編成に当たりまして、まず増税のない財政再建、これを果たしたい、そして五十九年までに特例公債依存の体質から脱却をしたい、こういうことで臨調に対しましても当面五十七年度予算編成に緊急に措置すべき事項について御答申を願いたい、こういうお願いを申し上げて、その第一次答申が出たわけでございます。それを最大限に政府としては尊重いたしまして、ただいま国会に御提案を申し上げておる、法案として御審議をお願い申し上げておる、こういうことでございます。 したがいまして、私は単なる五十七年度予算の編成を増税なくやるというだけでなしに、これは単なる第一着手である。今後予算の編成に具体的に取り組むに当たりまして、法律によらない分野、補助金等もございます。交付金もございます。またその時点までに煮詰まった場合に、必要な法律制度の改善、これもやらなければいけない、このように考えるものでございますし、引き続いて今後私は行財政改革につきましては、特定の分野を特別に扱うということでなしに、行財政全般にわたって思い切った見直しを行いまして、そして国民の皆さんが期待しておるようなわが国の行財政の簡素化、効率化と財政の健全性の確保、これをぜひ実現したい、このように考えておるものでございます。 それから、将来の一体ビジョンは何か、こういうことでございますが、端的に申し上げますならば、それは平和と民主主義と基本的人権の尊重、これが貫かれるような、日本国をますます確固たるものとしてこれを築いていく、これが私は国政の基本であり、ビジョンでなければならない、このように確信をいたしておるものでございます。これを中期的に見た場合には、厳しい内外の情勢下ではございますが、活力ある福祉社会の建設、あるいは国際社会に高まっておりますところのわが国に対する期待、そういうものにも十分こたえるようにしていきたい、このように考えるものでございます。
○野田哲君 将来へ向けての理念としては平和と民主主義、基本的人権、つまり日本国憲法に定めてある基本的な理念、これを進めていくのだ、こういう理解でいいわけですね。 そういたしますと、具体的に伺いたいと思うわけですが、行政改革が目指す方向として国際社会に対する貢献の増大、このことを一つの目標として臨時行政調査会が挙げています。そこで伺いたいのは、この国際社会に対する貢献の増大というのは、どういう手段、方法で国際社会に対する貢献の増大を図っていこうとされるのか、この点を伺いたいと思うわけです。 先般、南北サミットがございました。この南北サミットは、当初はアメリカと南の諸国との、つまり開発途上国との橋渡し役が日本なんだと、こういう気負いを持って園田外務大臣も臨まれていると新聞にも報道されているわけです。そして、この南北サミットには鈴木総理を先頭に河本経済企画庁長官、園田外務大臣と、まさに鈴木内閣の中心的な方々が出席をされているわけです。渡辺大蔵大臣も出席したかったようでありますし、田中通産大臣も出席を希望されていたようでありますが、これに中曽根長官が加わるとオールスターキャストということになったと思うんですけれども、鈴木総理、そして企画庁長官、外務大臣が出席をされたこの南北サミットの結果、これは北の先進国に対してあるいはアメリカに対する南の開発途上国の不信感、失望感だけが残ったのではないか。そして、あのグローバルネゴシエーションが実らなかった。 当初日本はかなり気負って、アメリカと南の国国との間の調整役を果たしていくんだ、こういうふうに言われていたわけですが、どうも実っていない。その原因は、アメリカのレーガン政権のエゴイズム、自分の国に役立たない援助には応じない、こういう態度が終始貫かれてああいう結果を見たというふうに私どもは受けとめているわけですが、日本の政府として、あの南北サミットに対してどう評価をし、これから一体ああいう結果になったことに対してどう対処されようとしているのか、まずこれを伺いたいと思います。
○国務大臣(園田直君) まず最初の社会的貢献とは、もとより平和的な貢献でありまして、これは開発途上国に対する経済協力、技術協力、あるいはその他の交流等によって世界の平和と経済の向上に資せんとするものであります。 南北サミットは、私非常に成果があったと思います。第一は、南と北が二十二カ国集まって率直に議論をした。いままでは単に首脳者が発言をしただけでありますが、激しくやったり返したり議論をするうちに、だんだんと両方が実態を認識してきた、こういうことであると考えております。 特に包括交渉については、御承知のとおり包括交渉の一つの問題点というのは、第三世界が唱えておりまする御承知の国際経済新秩序というものが一つの問題点になっておるわけであります。これについて西欧諸国は、南の国々の要求に応じて新しい秩序をひとつつくりたい。そこで南の方も、闘い取るというかっこうではなくて話し合って実現する。これを鈴木総理の言われた共存と連帯という精神で貫いたわけであります。しかしながら、なおその南の要求の中には非現実的な点もございまして、この点についてはなかなか、これはかえって北も困難だが南のためにもなりませんよという議論が数回繰り返されました。これは単にアメリカだけではなくて西欧諸国の国々からも繰り返され、そこで両方が納得をしてこれを国連交渉に持ち込んだわけでありますから、対立をして結論が出なかったということではなくて、南北サミットは一つの方向を見出すものでありますから、国連交渉に南と北が合意の上持ち込んだことは一つの成果であった。 したがって、今後日本は、何も仲介であるとかあるいはかけ橋であるとかという、そういう大げさなことではなくて、南の方と、ASEAN、中国、その他とわりに話しやすい立場にございます。かつまたアメリカ、西欧諸国とも話しやすい立場でありますから、国連の場でこの包括交渉がいよいよ始まりましたならば、国際金融機関を初め、その問題等について南の意見もある程度実現され、一つの社会への必然性もとるというように努力することが日本の責任だと考えております。 なおまた、この南北サミットで一番大きな点は、わが方の総理が軍縮問題についてこの南北問題を取り上げられたことであります。御承知のとおり、南の累積赤字は五千億ドル、毎年概算して八百億ドル以上の金がどんどんふえておりまして、これは焦げつきであります。一方、毎年各国が使う軍事費は五千億ドルであります。こう考えてみますると、この南の方の累積赤字の焦げつきというものは、まかり間違うと経済パニックを起こし、この連鎖反応によってここからもまた平和が乱れる一つの原因が出てくる。したがって、南北問題はお互いに助ける、助け合うということではなくて本当の平和を願うという共通の問題であろうと、こういう軍縮についての口火を切られたことはこれは非常に大きかった。この問題についても今後日本は、微々たる力ではありますが、鋭意努力をする必要があると考えております。
○野田哲君 田中通産大臣に伺いたいと思いますが、先般OPECの総会が開かれて、数年ぶりに石油価格についての統一価格が決定されたということでありますが、これは今後の国際経済、それから日本の産業、経済に対してどのような影響が出ると評価をされておられますか。
○国務大臣(田中六助君) 結論から申し上げますと、このOPECの臨時総会の決定は、日本経済並びに世界経済に対しまして大きな変革、変動はもたらされないというふうに確信しております。 その理由は、すでに御承知かと思いますけれども、今回のOPEC臨時総会におきましては、過去の総会で決まっております基本ラインの、サウジアラビアのアラビアン・ライトという基本原油の価格三十二ドル、それからみなし価格の三十六ドル、それからスポット四十一ドル、バレル当たりでございますけれども、そういう三つの段階がありましたのを、このたびはアラビアン・ライト、基本原油価格三十二ドルをプラス二ドルいたしまして三十四ドルとしたわけでございます。その間、油種間の価格差、それはそれぞれこの三十四ドルに合わせるということで、基本価格が三十四ドル、二ドル上がっておりますけれども、それ以上の三十六ドルあるいはスポットの四十一ドルというものをぐっと下げてまいりますので、アラビアン・ライト、つまり日本はサウジアラビアから三分の一は輸入しております。したがって、その価格が二ドル上がることはかなりの痛手になるであろうということが常識化されておりますけれども、反面、他の国から入ってきます原油、つまり三十六ドルとかスポット物四十一ドルがぐっと下がってまいりますので、ほとんど国内的にはとんとんだと思います。したがって、国内の産業あるいは私どもの国民生活に与える油の値段というものはほとんど変わらないだろう。それはひいては世界の油の値段にも言われるわけでございます。したがって、いまのところ、これが大きく国内の産業あるいは家庭、また国際的にもそれが大きく響いてくるというようなことは考えられない現状でございます。
○野田哲君 重ねて外務大臣と総理に伺っておきたいと思うのですが、具体的な問題なんですが、一つは、今晩スペースシャトルの打ち上げが行われます。世界がかなり注目をしております。そしてこれはかなり軍事的にも注目をされているわけですが、ある情報によりますと、この打ち上げは、回収をする際にアメリカが気象条件等のぐあいが悪いときには沖縄の嘉手納に回収するのだ、それは日本も合意をしているのだという情報がありますが、事実かどうか、どういう経緯になっているのか、これが一つ。 もう一つは、ここ二、三日話題を呼んでいるのは、アメリカの議会で日本に対して防衛費をもっとふやせという決議案、あるいは安保を改定する決議案等の動きがある。これに対して日本の外交評論家が関与しているのだという、それだけならば、よけいなことをする人だなと感じていたわけですが、加えて、自民党のNという国会議員が関与をしている、しかもその経過は外務省、ワシントンの大使館も承知をしていた、こうなってくると、これは単なる民間の評論家のやったこととして黙って見過ごすわけにいかないと思うし、どうも見ていると、自民党の中にもやはり安保改定論の動きがかなりあること、これは私も知っていますが、その動きと連動しているのではないか。日本でやるとアレルギーが強過ぎるから、まずアメリカに問題を輸出をして、アメリカから今度は逆流をさせて目指す方向に進めていく、そういう構想が陰で動いているのではないか、こういう懸念も私たちはあるわけでありますが、外務省、ワシントンの大使館が知りながらこういう状態を放置していたのはどういうことなのか、事のいきさつは一体どうなのか、明らかにしてもらいたいと思います。
○国務大臣(園田直君) お答えをいたします。 米国の議員が条約改定その他の決議案を出したということについて、外交評論家、それから自民党の議員などといううわさは聞いておりますが、その証拠や事実は聞いてはおりません。いずれにいたしましても、このようなことは国の運命に関する重大な問題で、こういうことを簡単にそういう陰でやられることは、まことに事実とすれば残念でありますけれども、政府としては、いかなることがありましょうとも憲法の規定がありますので、いまの条約を相互的な条約あるいは条約改定するなどという腹は断じてございません。 それから最初の、順番が狂いましたが、いまアメリカで打ち上げられておるものの回収の問題でありますが、これは飛行場の約束はしておりません。ただ宇宙条約第五条で一般的に協力するという条約がございますが、どこにどうだという具体的な約束はしてございません。
○野田哲君 総理に伺いますが、外務大臣はいま自民党の議員がアメリカの議会の人たちに工作をして安保改定の決議とかあるいは防衛費増高の決議をやらせようとしたということについて承知をしていないということですけれども、あのようなうわさ、Nという頭文字が挙がっているわけでして、新聞にはNとなっておりますけれども、私どもはフルネームもある程度承知しているのですよ。そういう動きが事実としたら、自民党総裁としても、日本の総理としても、これは好ましい動きであると考えられますか。それとも、苦々しいことだからたしなめる、こういうことになるわけですか。総理としてはいかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 自民党の議員がそれに何らか介在しておるとかいうようなことにつきましては、ワシントンの日本大使館におきましていろいろ調査をいたしました結果、そういう事実は全くないということを明確にいたしまして、外務省を通じまして報告を受けております。そういうことはあり得ないことでもあるし、あってはいけないことでございます。先ほども外務大臣から申し上げましたように、日米安全保障条約を改定するような考え方は政府は持っておりません。
○野田哲君 続いて、国際的な貢献に関連して、防衛の問題に入っていきたいと思います。 今度の行政改革、財政再建で一番国民に不信感を持たれているのは、すべての分野で厳しい抑制をしながら防衛費だけについては別枠を設けている、このことに対して国民が納得できない気持ちを抱いていることは否定できないと思うのです。このような財政上の措置をとられるということは、昨年五月の大平・カーター会談、本年五月の鈴木・レーガン会談と共同声則、ここからやはり尾を引いている問題だと私どもは指摘せざるを得ないわけでありますが、これだけ国民に厳しい抑制を求めながら、痛みを求めながら、防衛費については七・五%の別枠を認める。まさにこれは行革ではなくて軍拡だ、こういう性格を示していると思うのです。そして、今日の自衛隊の存在というのが、単なる自衛のためのものではなくて、アメリカの意図に沿ったきわめて危険な存在になってきている。 具体的に私はまず外務大臣の見解を伺いたいと思うのです。アメリカで発行されているUSニューズ・アンド・ワールド・レポート、こういう印刷物、情報があるわけでありますが、これによると、レーガン・ドクトリンの具体化、こういうレーガン大統領の講演の要旨、それからアメリカの太平洋軍司令官ロング提督のインタビューの記事がこれに載っています。これによると、反ソビエト連合をアジアで形成をしていくのだ、そのために友好諸国との間で緩やかな連合を形成する決意をした、アメリカ以外の国ではそれは、日本、中国、ASEAN——タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、及び韓国が含まれる、こういう形のソ連に対抗するための連合を形成する、こういうレーガン・ドクトリンの内容が発表をされています。さらにまた、このロング提督のインタビューの中では、日米双方による積極的な双務的な軍事計画、こういう意味の発言が紹介をされています。 一体、このような合意がいつどういう形でできているのか。まあ実態として私どもは確かにこういうふうに、たとえばリムパックに日本が参加をするとかいうようなことを通じてこのような実態ができつつある、非常に危険な動きだとは思っていますけれども、ずばりレーガンが言っているアジアにおける連合、あるいは双務的な軍事計画、こういうものがいつどこでどういう形で合意されているのか、外務大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(園田直君) USニューズ・アンド・ワールド・レポートに載せられた記事は私も拝見をいたしました。しかし、記事は拝見しましたが、ソ連に対抗するためのアジアの軍事同盟、連合等について何らの話も受けておりませんし、合意もありません。かつまた、ASEANの国々に対してアメリカからそういう話があったという話も聞いておりません。なおまた、いまのニューズのレーガン・ドクトリンの末尾に書いてある文章は、かかる政策の目的は、NATOに比肩し得るような新たな同盟、アライアンスをアジアにつくることではなくて、米国と、ソ連の脅威を感じているアジアの諸国との間の協力関係を発展させることである、こう書いてありますが、まあこういうことで考えておられるのかなという程度でありまして、具体的な話は全然ございません。
○野田哲君 アメリカの大統領なりあるいはユニホームのトップの人からこういう発言が出るということは、鈴木総理が行かれたこの五月の鈴木・レーガン会談、共同声明、これがやはりそういうふうに受けとめられて、だんだんエスカレートをしていく、そういう根源になっているのだ、こういうふうに指摘をしなければいけないんじゃないかと私は思うのです。 そこで、具体的に外務大臣と防衛庁長官に伺いたいと思うのですが、最近の情報によりますと、極東有事に対するアメリカとの共同対処、それからアメリカに対する軍事技術協力、これを具体化しようとする動きが昨日大きく報道をされております。これは外務省筋の意向、こういうことで発表されているわけですが、まず外務大臣に、きのうのこの極東有事に対する共同対処とアメリカへの軍事技術の協力に踏み切る、こういうふうに外務省は決意したということでありますけれども、これは事実ですか。
○政府委員(淺尾新一郎君) お答えいたします。 極東有事というのは、日米防衛共同計画といいますか、ガイドライン、これは五十三年に決まったものでございますが、それの三項を指しているというふうに私は理解しております。一項につきましては、すでにある設想を設けてある程度の研究が進んでいるというふうに私たちは承知しておりますが、第三項の極東有事の際は今後の課題でございます。本年になりましてからアメリカ側から、第一項の研究が終わった段階で第三項の極東有事の研究に入りたいという非公式な話はございました。すでにガイドライン等でこれは五十三年に決まっておりまして、閣議の了解を得ているわけでございますので、もちろん第三項の研究に着手することは、論理的にはいつでもそれは可能なわけでございます。ただ現在の段階で、いまいつから始めるかということにまで政府の中で意思の統一はできていないということが現状でございます。 それから武器技術の移転の問題、これにつきましても、本年の後半におきまして、夏ぐらいからアメリカ側から、武器技術の移転については従来一方的であった、これを双務的にしたいという一般的な意見の表明がございました。特定の技術について日本が出してくれという話はございません。したがって、政府として今後考えていかなければならない問題は、この一方的な通行を双務的な通行にしなくちゃならない、こういう問題でございます。ただ、この問題については、先生もよく御承知のとおり、武器禁輸三原則あるいは政府統一見解、国会の決議というのがございます。もちろん私たちはそれを尊重していくつもりでございますし、他方、アメリカとの間には日米間に安保条約あるいは相互防衛援助条約というものがございますので、それとの関係をどういうふうに解釈したらいいかということで、現在外務省の中でその条約の解釈について検討中でございまして、この検討が終われば、関係省庁の方とも協議をして政府の中での意見の統一というのを図っていくというのが現状じゃないかと思います。
○野田哲君 ガイドラインの第三項にあるからそれについてやっていくんだ、こういうことですが、大村長官、この極東有事の研究をやろうとする場合に、一体どういうシナリオによって、現在のアジア情勢の中でどこでどういう事態が起きるということを想定してやっていくわけですか。
○政府委員(塩田章君) ただいま外務省からもお答えがございましたように、第三項の極東有事の場合の日米協力のあり方につきましての研究をいまから今後始めようということで、いま下相談をしておるわけでございますが、御指摘のように、その際にどういうシナリオになるかというようなことは、そこまでまだ入っておりません。したがいまして、まだいまの段階はその以前の、いつからどういう手続で入ろうかということについての下相談をしておるという段階でございます。
○野田哲君 いまからの問題だ、こういうことでありますけれども、これは朝鮮半島を想定している、こういうことにずばり言えばなるのじゃないですか。どうですか、長官。
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。 ただいま政府委員がお答えを申し上げましたように、まだその点は検討されておらないわけでございます。
○野田哲君 そんなことでいいのですか。八月の上旬にアメリカの国防総省のアジア担当のジョーンズという少将が、極東の有事は朝鮮半島を想定して共同対処の研究をやっていくんだ、そして日本が受け持つ課題は韓国に対する財政的な援助、それから日本から出撃をする米軍への支援、そして三番目には米軍が朝鮮半島へ出払った後の穴埋めを日本の自衛隊が行うのだ、こういうことを発表しているわけですが、あなたの方はまだそういうシナリオを具体的に検討する段階に至っていないと、ここでしゃあしゃあと白けているけれども、そういうことしか考えられないし、アメリカはもう堂々と発表しているじゃないですか。どうですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。 御指摘のような点については防衛庁としてはまだ検討しておりません。
○野田哲君 総理、ここは国会なんですよ。国会でこれからの財政をどうしようか、行政をどうしようか、こういう審議をやっているその場で、しかも全体の情勢を公表している防衛白書の中でも、アジアにおいては唯一朝鮮半島が軍事的な緊張の個所だ、こういうことを指摘しているじゃないですか。そこで共同対処の研究としては、朝鮮半島ということをシナリオに置いて研究していくのじゃないですかと聞くと、そんなことはいま何ら考えていない、これでは国会審議ができないじゃないですか。もっと正直に、シナリオなしに共同対処の検討、研究ができるはずはないでしょう、もっと明らかにすべきじゃないですか、どうですか。
○政府委員(塩田章君) いまジョーンズ少将の言葉を引用されまして、経済援助問題、それから米軍の支援の問題、それからその後の穴埋めの問題、三点を御指摘されたわけでございますが、私どもはハワイ会談等を通じまして、第三項に入りたいというアメリカ側の希望は承知しております。したがいまして、私どももいずれこの次は第三項に入りたいということを受けまして、先ほど申し上げましたような下相談をしておる、こういう段階でございます。 なお、第三項でございますから、朝鮮半島に限りませんで、極東の有事の事態に米軍が出動する場合の日本政府の行う支援でございますから、第一点の経済問題、第三点の穴埋めの問題ではなくて、第二点の米軍が極東有事の際に出動する場合の日本政府の支援のあり方についての協議でございまして、その場所、シナリオ等は先ほど来申し上げましているようにいまからの課題でございまして、現在のところ、アメリカ側から第三項について協議に入りたいという希望の表明があって、そのための下相談をしておる、こういう段階でございます。
○野田哲君 だから、下相談をしている。そして防衛局長はいまぽろっと言われたじゃないですか、朝鮮半島へ出動したときの日本の役割りと。だからはっきり朝鮮半島ということを想定しているわけでしょう。大村防衛庁長官は、そういう想定さえもあなたの耳には入っていないのですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。 ただいま政府委員が答弁したとおりでございまして、ガイドラインの第三項で予定しております事項は、安保条約第六条に基づく施設の提供の場合でございます。 また、政府といたしましては、朝鮮半島の平和と安全が維持されることは日本にとって重要な問題であるというふうに考えておりますが、現在のところ、朝鮮半島の北半分の方の軍事力の増強という点がわが国にとって直ちに潜在的脅威になるかという点につきましては、そういった認識をすることは国益に沿わないということを昨年の秋以来御答弁申し上げている次第でございます。したがいまして、先生の御指摘のようなシナリオを想定して検討をしているという事実はございません。
○野田哲君 あなた方が北を日本の軍事的脅威と見ているかどうかを聞いているのではないんですよ。私が聞いているのは、アメリカが極東有事で動く、その場合に日本に何を求めるのか、日本は何をやろうとするのか、こういう立場に立ってのガイドラインの第三項についてシナリオはもう来ているのじゃないか、こういうふうに伺っているわけです。 だから、おおよそ朝鮮半島だということのようでありますが、このジョーンズ少将の求めてこようとしている対韓援助、それから日本から出撃する米軍への支援、米軍が出払った後の米軍の穴埋めの役割りを日本が果たしていく、そのための自衛隊の増強、こういうことを求めようとしているということが報道されているわけですが、こういう問題について共同対処の研究をやろうとすれば、これまで政府がとってきた軍事的な性格を持った援助はやらない、こういう基本方針、それから日本から出撃をする米軍への支援、米軍にかわる日本での自衛隊の増強、こういうことを求められるとすればこれは防衛庁の設置法、それから自衛隊法、自衛隊の権限や自衛隊の定員、こういうものを変えなければできないと思うんですが、この点はいかがですか。
○政府委員(塩田章君) 先ほどお答えいたしましたけれども、今度の第三項を勉強したいという話は、自衛隊の増強でありますとか、韓国に対する経済援助でありますとか、そういうことではございません。三項にありますように、米軍が出動した場合の米軍に対する便宜供与についての研究でございまして、御指摘のようにそのテーマが自衛隊の増強を取り上げるわけでもございません。 それからなお、先ほど私が朝鮮というふうにぽろっと言ったじゃないかというふうにおっしゃいましたが、私はそう言ったのではなくて、極東地域における米軍の出動ということを申し上げたわけであります。
○野田哲君 いずれにしても、近くこの第三項についての研究を始めていく。そしてこれに対しては、アメリカは日本に相当な役割りを求めてくる。予想されることとしては、先ほど来申し上げているように、国防総省のアジア担当のジョーンズ少将が発表しているように、韓国に対する金の上での援助、それから日本から朝鮮半島に米軍が出撃をする、そのための基地としての日本での米軍に対する支援、つまり補給とかあるいは兵器の整備とか基地の使用、こういう問題についての日本が支援をする、それから米軍が出払った後の穴埋めを自衛隊の増強を求めてやってもらうんだと、こういうふうに言っているわけでありますから、こういう共同研究のテーマが示されたときには日本は法改正なしにはできないですねと、あるいは対韓経済援助、軍事的な性格を持ったものはやらないと言っている日本のいままでの基本方針を変えなければできないことじゃないですかと、このことを私は伺っているんです。
○国務大臣(園田直君) お話の中の対韓国の財政援助の問題だけ申し上げますが、これは一貫して申し上げているとおり、単なる国内法その他の手続を改正するだけではなくて、憲法に関する問題でありますから、いかような約束もしてございませんし、今後どういう要求がありましても軍事的な対韓財政援助は絶対にできません。この点は明確にしておきます。 いま起きております経済協力についても、これは内々連絡をしておりますが、二国間の経済問題にくちばしを入れるつもりはないというのがアメリカの方針であって、この点はきちんとしてございます。
○政府委員(塩田章君) 第二点の、法改正が要るのではないかという点でございますが、先生御承知のように、ガイドラインができましたときに、このガイドラインに基づく研究は、二項の研究にせよ三項の研究にせよ、両国政府の予算上、法律上いかなる意味でも制約するものではないということを前提にして作業に入るということをうたってあります。したがいまして、今回の三項の研究におきましても、現行それぞれの憲法、それぞれの法律のもとにおいて実施できることを研究するわけでございまして、その研究の結果が予算的にも法律的にも両国を拘束するものではない、この点は従来と変わっておりません。
○野田哲君 だから、結局、たとえば役務の提供とかあるいは米軍が出払った後の役割りを果たそうとするための自衛隊の定員の増加、こういうことは予定してないんですか、できないですねと、こう言っているんですよ。せっかく長官手を挙げているんだから長官から。
○国務大臣(大村襄治君) 政府委員から御答弁申し上げたとおりでございますが、第三項におきましては、わざわざ「便宜供与のあり方は、日米安保条約、その関連取極、その他の日米間の関係取極及び日本の関係法令によって規律される。」、その「枠組みの範囲内」でやるんだ、また、その研究の中には「米軍による自衛隊の基地の共同使用その他の便宜供与のあり方に関する研究が含まれる。」と明記されておりますので、この範囲内で行うものでございます。したがいまして、先生お尋ねのような点はまず起こり得ないというふうに考えておるわけでございます。
○野田哲君 軍事技術の提供について伺いたいと思うんですが、防衛庁はことしの九月に装備局長を派遣しておりますが、アメリカは日本に対してどのような軍事技術を要求してきているんですか。
○政府委員(和田裕君) お答え申し上げます。 先ほど外務省の北米局長からも申し上げましたとおり、アメリカは日本に対しまして、これまでアメリカから日本に対しまして技術の提供が一方的であったので、これを両面交通といいますか、相互交流に直したい、こういうことは言っておりますが、具体的にどの技術を出してくれとか、そういったことは一切言っておりません。 以上でございます。
○野田哲君 新聞にはいっぱい発表されている事実を私が伺おうとすると、あなた方はそれを何にも答えない。こんなことでは国会審議、行政改革もだめですよ。電子技術など求めてきているということを報道されているじゃないですか。 そこで、これは外務大臣、積極的にやっていこうということなんですか、軍事技術の提供について、どうなんですか。
○国務大臣(園田直君) 関係各省の意見を調整中でございますから、私が一人で意見を申し上げるわけにはまいりませんけれども、この規定はやらなきゃならぬという義務規定ではないと考えております。しかしながら、日米の特殊関係から、いままで日本は米国の方からいろいろな技術の提供を受けておりますから、この点を考慮しながらどうやっていくか、これが今後の検討問題、特に具体的に何を求めてくるのか、大体見当はついておりますが、そういうことが今後検討しなければならぬ問題だと考えております。
○野田哲君 通産大臣はこの点はどういうふうに考えておられるのですか。
○国務大臣(田中六助君) ただいま外務大臣がお答えいたしましたように、アメリカは一方的に日本に武器技術の輸出を行っているわけでございまして、それを片務的じゃなくて相互に交流したいという御意向は伝え聞いております。しかし私ども、国会の武器輸出禁止三原則あるいは統一見解並びに国会の決議などもございますし、そういう点を十分配慮しなければならないというふうに考えておりますが、日米条約との関係もございまして、ただいま外相がお答えいたしましたように、私ども関係各省の結論を待って対処したいというふうに考えております。
○野田哲君 いや、通産大臣は関係各省の結論を待って対処すると人ごとのように言われたけれども、大体いま求めている技術というのは民間の企業が開発し、持っているものでしょう。だから、これは通産大臣としても当然一つの方針を持って対処しなければできないことだと思うんです。 そこで、武器輸出の問題につきましては、昭和四十二年四月の佐藤総理が表明をされた武器輸出についての三原則、それから昭和五十一年二月、衆議院の予算委員会で、これは三木総理であったと思うんですが、三原則対象地域外の地域についても、憲法、外国為替及び外国貿易管理法の精神にのっとり、武器の輸出を慎む。そして本年の衆議院の予算委員会で田中通産大臣、あなた自身が軍事技術の輸出も武器の輸出という観点に立って、準じて扱っていく、こういう趣旨の答弁をされているわけでありますが、これから関係各省の合意のもとでこの問題に対処しようということは、つまりこの三回にわたる政府見解というものを放棄をする、新たな観点に立つ、こういうことになるのではないかと思うんですが、どうですか。
○国務大臣(田中六助君) 御指摘の三つのいろんな厳重な諸条件がございますし、私としてはそれは十分頭にあります。ただ、日米条約という安保条約を中心にした諸条約がございまして、片務的な武器技術の輸出ということだけではなく、アメリカでは双務的な考えを提起しているわけでございます。したがって、具体的に個々のこれをどうしろ、こうしろということはいまのところないようでございますけれども、日米関係の諸条約がどういうふうにこれらに優先するのかというようなことを外務省を中心に検討しておるようでございますので、私は各省間のということよりも、そういう条約関係でどういうふうになっていくかということの結論を検討中であるということを実は申し上げたかったわけでございますけれども、そういう結論を待った上で、さらに具体的な案件が出ればそれに対処するということも必要ではないかということも思っております。ただし、何度も申し上げますけれども、私どもは三原則並びに慎重論、つまり統一見解と国会の議決ということは十分考えた上で対処しなければならない。基本方針には変わりはございません。
○野田哲君 これは片務的とかなんとか言われましたけれども、アメリカの武器が日本に入ってきているのは、向こうから買え、買えと言って押しつけられているのですよ、F15にしてもP3Cにしても。 そこで、具体的に防衛関係についての五十七年度あるいはそれ以降の予算措置について伺ってまいりたいと思います。やはり一番明確にしなければいけないと思うのは、諸事万端厳しい抑制、こういう方針をとっていきながら、なぜ防衛費だけはどんどんふやしていくのか、こういう点であります。 それで、具体的に大村長官に伺いたいと思うんですが、昭和五十七年度の防衛庁の概算要求二兆五千八百億、これは前年度比七・五%の増、こういうことになっているわけです。そこで、衆議院の行政改革の特別委員会でも、また私も参議院の内閣委員会で長官に見解をただしたわけでありますが、八月十日の人事院勧告による公務員の給与の引き上げ五・二三%、これに準じて自衛官の給与の引き上げが行われることになるわけでありますけれども、 〔委員長退席、理事嶋崎均君着席〕 これは昭和五十六年度、まだ決まってないのだから幾らになるかわからないということを言われるわけですけれども、昭和五十六年度でどういう形で実施されようとも、率を切り下げない限りは、昭和五十七年度はこの八月十日の人事院勧告のアップ率はそっくりそのまま上乗せをされるわけであります。このトータルが五百七十億、こういうふうに説明をされているわけでありますけれども、これを加えると二兆六千三百八十億、こういう数字になるわけで、伸び率としては九・九%、こういうことになるわけですが、この取り扱いの見解が大村防衛庁長官、渡辺大蔵大臣、鈴木総理、それぞれまちまちのように私は受けとめるのです。 去る十月十五日ですか、参議院の内閣委員会で私が伺ったときには、大村長官は、この給与の引き上げのための五百七十億というのは七・五%とは別なんだと、こういうふうに答えている。渡辺大蔵大臣は、これを含めて七・五%以下にするんだと、こういうふうに言っておられる。総理もそういう意味のことを発言されているように思うわけです。ここで三人同席されているのですから、統一的にひとつ五百七十億来年自衛官の人件費がふくらむ部分は七・五%の外なんですか、内なんですか、これをはっきり答えていただきたいと思うのです。
○国務大臣(大村襄治君) まず、防衛庁からお答えさせていただきます。 人事院勧告によるベースアップ分の扱いでございますが、これは参議院の内閣委員会で先生お尋ねのとおり、五十七年度概算要求の中には含まれておりません。また、その金額につきましては、まだ扱いが決定しておりませんので正確なことは申し上げにくいけれども、いまの五・二三%という平均の率で算定をすれば五百七、八十億円の金額が算定されるということは、政府委員から御答弁したとおりでございます。 〔理事嶋崎均君退席、委員長着席〕 私どもといたしましては、この人事院勧告のベースアップ分の取り扱いにつきましては、政府全体として慎重な検討が加えられるところであり、現段階でのコメントは差し控えたいと考えておりますが、いずれにいたしましても、私どもが提出しております五十七年度の概算要求の金額につきましては、財政再建が現在の緊急課題であることに留意いたしまして、できるだけ経費の効率化に努めるとともに、最近の厳しい国際情勢に顧み、防衛力の整備充実を図っていく必要等を総合的に勘案しまして、質の高い防衛力を整備するために必要最小限の経費を盛り込んでございますので、防衛庁としましては、今後におきましてもこの要求が認められるよう最大限の努力を払っていく考えでございます。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 防衛庁長官の言うことと私の言うことは余り違ってないんです。ただ、確かにニュアンスが多少違います。概算要求の中では五十七年のペースアップは含んでいない、これは事実そのとおりでございます。しかし、結果はどうするかということはまだ決まっていない、これも事実なんです。 これは防衛庁だけの問題ではございませんで、各省庁ともベースアップを幾ら認めるかということ自体がまだ決まってないわけですから、人事院勧告では五・二三という数字の勧告を受けておりますが、これをゼロシーリングの中でやる、私はやりたいんですよ。ということになれば、いまの概算要求の中身の入れかえを少ししてもらわなくちゃならぬ。いま要求しているやつはそれだけ、五・二三というと約四千億円ですね、それを表へ出してもらって、それで人件費と詰めかえをする、これができれば一番いいんです。問題は、ですから事業をやめるとか、ほかの買うものを取りやめるとか、そういうことで入れかえをするかどうか。これは非常に高度の政治判断を要する問題でございます。 と同時に、五十七年の歳入見通し等が、経済見通しがまだ決まっておりませんから、予算の規模が実際はまだ決まらないわけです。そこでどういうふうにするか、これは予算の査定を終えて編成段階で最終的には決めたい。私の方はなるべく少なくしたいのですが、向こうはふやしてもらいたいと、そこに少しニュアンスの違いがありますが、最終的には閣議決定されるわけですから、どこかで一つになることは間違いない、そういうことであります。
○野田哲君 大蔵大臣、あなたは私を五十六年度のベースアップ自体がまだ決まってないのだから五十七年度は不確定要素なんだということでごまかそうと思っておられるかもしれませんが、私も公務員の給与の扱いのことは詳しいのですから、そう簡単にいまのことで了解するわけにいかないんです。 それは五十六年度がどうあろうとも、仮にあなたがどこかで言われたってわれわれは納得しませんが、一月実施に五十六年度が仮になったとしても、五十七年度については五・二三%分は上積みになるんですよ。一年分そっくり上積みになるんです。五・二三%の率にかんなをかけて、これを四%にするとか三%にするとかいう方法をとらない限りは、五・二三%ということについてはこれは五十七年度はそっくり上積みになるんですよ。だからこれは五十六年度でどういうふうに削り込みを仮にやったとしても、五十七年度については五百七十億ないし五百八十億はこれは下げられないでしょう。そうすると、それを七・五%の内輪にするのですか、外にするのですか。これは予算編成方針としては大変大きな問題なんですから、明快にしなければできないでしょう、そうでしょう。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 全くそのとおりでございます。これは五・二三%を本当にそのとおり認めれば、何月からやろうと来年度は四月一日から満杯で組まなきゃならぬ。幾らにするか、そのとおり認めるかどうか、これはまだ決まってないわけです。仮に認めるとすると四千億円という金が公務員全体で出てくるわけですから、それを外枠に全部するのだとも言い切れないんですよ。概算要求は全部認めますというのならば外枠以外はありませんが、概算要求が出ておっても、こんなのはもう今回はやめてもらってもいいじゃないかという事業もあるかもしらない、購入物件もあるかもしらない。ですからそういうものを整理をして、それてどうしても切れないということになって幾らかはみ出すということになれば、シーリングの枠が幾らか大きくなるという問題もあります。 しかし、そこらのところは財源の問題との絡みでございますから、財源の問題は税収との絡みですから、それは経済見通しとの絡みですから、五十七年の経済見通しということについては、どうしても十二月の半ばごろにならないと経済企画庁も立てられない。したがって、最終的な予算規模の問題とこれは絡んでくるわけです。 ですから、まだ決まってないというのはそういうことでございまして、人事院勧告を仮に一月から認めるというような、仮にの仮ですよ、仮々の話にすれば、それは野田委員のおっしゃるとおりで、それは内にするのか、外にするのか。しかしそれは概算要求をみんな認めるとすれば表よりほかないわけですが、私は概算要求はみんな認めるとは思ってないのですから、要求は要求であって、出したものを全部認めるのは要求じゃないわけですから、そのため査定があるわけですからね。査定の過程においていろいろ工夫はしなけりゃならぬ。しかし、人件費というものはなかなかこれを少なくするというのはむずかしいのはむずかしいんです、実際は。だから非常にこれから苦心が要るわけで、予算はこれから始まるということであります。
○野田哲君 結局削り込めば、私はアメリカとの関係等も出てきて、恐らくこれは先々の心配なんですけれども、また後年度負担の方向へ問題が残っていくのではないかな、こういう心配がしてならないんです。 そこで、防衛予算の後年度負担額二兆二千六百億、この年度別の内訳をちょっと示してもらいたいと思うんです。
○政府委員(矢崎新二君) お答え申し上げます。 五十七年度の防衛庁の概算要求におきます後年度負担額約二兆二千六百億円でございますが、これの後年度の年度割りにつきましては確定的なことは申し上げがたいわけでございますが、現在時点での試算を申し上げますと、五十八年度が約一兆七百億円、五十九年度が約五千九百億円、六十年度が約三千八百億円、六十一年度が約二千二百億円で、合計いたしまして約二兆二千六百億円ということに相なっております。
○野田哲君 五十七年度の要求で人件糧食費は幾らありますか。
○政府委員(矢崎新二君) 五十七年度の概算要求の中に入っております人件糧食費の金額は、一兆一千五百六十一億円ということになっております。
○野田哲君 大村長官、いまの説明によると五十七年度の要求の中での人件糧食費が一兆一千五百六十一億ですね。それからベースアップ分、これが五百七十億ないし五百八十億ということですから、これを加えると五十七年度は一兆二千百三十一億という数字になりますね、五百七十億として。そうすると、いまの経理局長の説明どおりに五十八年度については一兆七百億の後年度負担分、これを予算に上げなければいけない。こういうふうになってきますと、五十八年度予想される数字というのは、人件糧食費の一兆二千百三十一億と、それから五十八年度の後年度負担分が浮かび上がってくる。これを加えると、人件糧食費と後年度負担分だけで二兆二千億を超えることになるわけですね。これは五十五年度の防衛予算額と同じぐらいのものが今度は人件糧食費と後年度負担分の払いだけでいっぱいになってしまう、こういう仕組みになってきていると思うんですが、大体そうですね。
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。 先生の御意見は特定の項目だけ拾い出しまして上乗せしての御計算のようでございますが、そういう計算をすればそういう見方もできるのではないかと思いますが、ほかの要素で増減がございますので、これは実際やってみないと、五十八年度予算を編成してみないと私としては正確なことをいまの時点で申し上げることはむずかしいのではないかと考えております。
○野田哲君 私は、わかっている数字だけ、特定のものだけをとらえて指摘されるとあなたは言われるけれども、わかっているものだけで、義務的にどうしても避けられない人件糧食費とそれから後年度負担分の五十八年の一兆七千億、それだけでも昭和五十五年度の防衛費全体と同じくらいになるじゃないですか、一体こういうことでほかはどうなるんですか、これは大変な財政に対する圧迫になるんじゃないですかと、こういう指摘をしているんですよ。間違いのないように受けとめていただきたいと思います。 あなたは増減と言うが、これは減らすところがありますか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。 私どもは、財政再建が最も重要でございますので、防衛関係費につきましても絶えず見直して、合理化縮減できるものがあれば縮減に今後とも努力していきたいと考えております。
○野田哲君 財政再建のために絶えず見直しを行っているといって、どこを見直しを行っているんですか。 それじゃ、五百七十億ないし五百八十億の人件費、これによって、いまの五十七年度で概算要求している二兆五千八百億、この中にはアメリカの強い要請によってF15、P3Cの前倒し発注というものが含まれているわけですが、せめてこのぐらいのものは先延ばしをするというような考え方に立てませんか。
○国務大臣(大村襄治君) 五十七年度の概算要求をつくるに当たりましては、部隊の編成とか組織のあり方等につきましても詳しい検討を加えまして、かなり合理化も盛り込んでおるわけでございます。また、艦艇等のFRAM化による長期にわたる歳出の増加をかなり抑制しているつもりでございます。一方におきましては、現在の防衛力の足りない点、すなわち即応性あるいは継戦能力、抗堪性、そういったものの増強を図るとともに、防空能力、対潜能力の向上を現在の中期業務見積もりの範囲内で重点を置いているところでございます。したがいまして、先生御指摘の点の、概算要求しているものをさらに縮減するということは現在考えておりません。
○委員長(玉置和郎君) 安恒君から関連質疑の申し出があります。これを許します。安恒君。
○安恒良一君 私は、いまの野田さんの質問に関連しまして総理と防衛庁長官にお聞きしたいのでありますが、防衛庁長官は減らすものは減らすんだ、だからわからないんだとこう言われますが、いま野田委員の指摘のとおりに、防衛費はふくれ上がる一方じゃないですか。だから、減らすものは減らすと言いながら、どこを減らせるのか。 そこで、私はそのことについてまず総理と防衛庁長官にお聞きしたいのでありますが、「観艦式、八年ぶり復活」こういう見出しで各紙が一斉に報道しています。その中で燃料費一億二千万円、こういうことが出ているわけであります。 私は、今回の行財政改革に当たって総理が、国民の各層とも痛みを分けたい、お互いにがまんをし合ってほしい、こういうことも言っておられますし、また今回の行政改革をやるためには国民の信頼を得なければならぬ、そして綱紀の粛正と倫理の確立、国民の皆さんに信頼される政府、心の通った政府、これが総理の行政改革の理念の中の重要な一つだということを述べられていますが、そういう観点から考えてまいりますと、たとえばきのうの観艦式に総理は久しぶりの海上デモンストレーションだということで目を細められて、そして全体に対する訓示をされた、こういうふうに書いてあるわけですが、私はこのときに、今回の行革法案がいま国会で議論されている中で、たとえば総理は弱い者にはしわ寄せをしない、こう言われていますが、お年寄りのわずかな老齢福祉年金のスライド実施の時期を六カ月おくらせようとされています。また、ことしは国際障害者年になりますが、国際障害者年に障害者の福祉年金、これは障害者の所得保障で非常に重要なものでありますが、これも六カ月おくらせる。また母子福祉年金、これも六カ月おくらせたい、こういう案であります。そこから浮いてまいります金、実施時期の変更の財政効果は百七十億なんてあります。 総理から言わせると百七十億も大変だとこうおっしゃるかもわかりませんけれども、そういうところを節減をするのに、エネルギーショック以来八年間おやめになっておったところの観艦式をやられる。それで当日と予行演習を含めて燃料費だけで一億二千万円飛んでしまった。こういうふうに考えてまいりますと、いまこの防衛費問題についていま少しきちっとした考え方をやはり国民に示す必要があるのじゃないか。 特に、総理が言われていることときのうやられましたことについて、非常に私は矛盾を感じます。恐らくあのテレビを見ておった国民は非常にそのことに——たとえばエネルギー問題一つをとらえましても、わが国のエネルギー節約が言われているときに、どうしてこういうことを八年ぶりに復活され、しかも総理は目を細められて喜ばれたそうでありますが、そういう点について、いま申し上げたいわゆる国民各層との痛みを分かつとか国民に信頼される行政改革、こういう問題と、きのうの観艦式の問題について、総理と防衛庁長官のお考えをお聞かせください。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、自衛隊は陸海空ともに士気が高揚していかなければいけない、質的にも精強な自衛隊でなければならない、せっかくの国費を使っておるわけでございますから、私は常に自衛隊にそのことを求めておるわけでございます。これは、国の安全保障、平和と安全、これを考える場合に私は必要であると、こう考えております。その基本認識が社会党さんと政府・自民党とは根本的に違うということが前提にあるようでございます。私は、行財政改革につきましては、先ほど来申し上げておりますように国政全般にわたりまして見直しをしてまいる、しかし経済的、社会的に恵まれない方々に対しては十分な配慮をしていこうと、こういうことを考えております。
○国務大臣(大村襄治君) 昨日行われました観艦式について行政改革との関係はどうかというお尋ねでございますが、防衛庁といたしましては、各地域に分散しております海上自衛隊の練度を向上するためにも、何年かに一遍観艦式を挙行することは必要なことであると考えておるわけでございます。また、最近の油事情からいたしましてこの時期に行うことはそれほど支障を来さない、また現行予算の範囲内で実施いたしますので特別の追加負担をお願いすることでもないという点を総合判断しまして実施をいたしたものでございまして、行政改革の趣旨に反する点はないと考えております。
○安恒良一君 いや、私は現行予算の範囲とか範囲内と言っているわけではなくて、総理に重ねて一問だけお聞きしたいと思いますが、士気を高揚したいと、こういうことですね。そういたしますと、たとえば公務員に対しても、総理としては行政改革をやる以上士気を高揚し、公務員として一生懸命働いていただきたい、こういうお気持ちをお持ちだと思うんですね。そうしますと、それではなぜ人事院が勧告をしている——民間は四月から賃金が上がっています。人事院はそれを調査して勧告をしているわけです。それについてはいまもって慎重審議と、こういうことになるんですか。どうも総理がおっしゃっているところとつじつまが合わないんです。一方においては士気を高揚する、一方においては公務員に働く気持ちを持たせるためには当然上げるべきものを上げる、こういうことがあってそのときあなたの言われる士気高揚というのは両方に通ずると思いますが、自衛隊だけは士気高揚するために観艦式が必要だと。一方、弱い者は十分に配慮すると言いながら、私が言ったことについてお答えがありませんでした。障害者年であるのにどうして障害者福祉年金を六カ月もずらさなければならないのか、そこから浮いてくる金と行政改革を考えて問題があるじゃないかということを言っているのですから、総理、いまそこのところだけ簡潔にお答えください。
○国務大臣(鈴木善幸君) 自衛隊が練度を高め士気を高揚する、常にそうでなければいけない、このことを私申し上げました。公務員諸君の給与の改定の問題は、自衛隊員も含めてまだ政府としては決めておりません。誠意を持ってこの問題に取り組んでおるところでございます。したがって、自衛隊の方の隊員の給与はもう先刻上げておいて、そして士気を高揚させて、一般の公務員は云云と、そういう意味はございません。その点は御理解を賜りたい、こう思うわけでございます。それからなお、弱い立場にある方々に対しては行財政改革の中においても十分配慮していきたい、こういう気持ちには変わりはございません。
○野田哲君 引き続いて防衛費の問題について伺いたいと思うのですが、五十七年度の概算要求を見ると、対潜哨戒機P3C、これは十七機で千八百八十二億九千四百万、F15戦闘機が四十三機四千五百六億五千万、こういうふうに計上されているわけでありますが、そういたしますと、これはP3C一機百十億七千六百万、F15一機百四億八千万、こういう単価で計算をされているということですか。そういうことでいいですね。
○政府委員(和田裕君) お答え申し上げます。 確かに、総額を機数で割りますと先生がおっしゃったような数字になるかと思いますが、若干共通部品的なものとか地上支援機材とかそういったものがございますので、私どもが計算いたします単価、これは今後大蔵省との間でいろいろ査定等の関係がございますので単なる一時点におきますところの数字ということでございますが、それをちょっと申し上げますと次のとおりになるかと思います。いま先生がおっしゃいました数字に見合います数字といたしましては、P3Cが百十一億円、それからF15が百五億円ということに相なります。
○野田哲君 五十二年度の調達価格、これはFMSで五十二億、ライセンス生産の国産単価で七十九億、FAC六十九億、P3CについてはFMS五十九億、ライセンス国産単価八十四億、FAC七十一億、こういう数字であったと思うのですが、間違いありませんか。
○政府委員(和田裕君) 先生のおっしゃったとおりでございます。
○野田哲君 五十三年にF15、国内のライセンス生産の場合で七十九億であったものが今度は百五億、P3Cについては八十四億であったものが百十一億、三十億近くも上がる、二十数億も四年の間に上がるというのは、これは一体どういう理由によるのですか。
○政府委員(和田裕君) お答え申し上げます。 価格差の主な理由でございますが、一番大きいのは取得年度の違いによりますところの部品等の材料費の値上がりでございます。御存じのとおり、部品等につきましてはアメリカから入れておりますが、米国におきましては、毎年十数%のインフレというような状況でございまして、特にF15の場合におきましては、部品の中に非常に大きな割合を占めておりますチタンの値上がりというものが非常に大きゅうございます。最近の二年間をとりましても、チタンにつきましてはアメリカの労働省の価格及び価格指数という統計がございますが、それによりますと、七〇%上がっているというような状況でございます。全体といたしまして輸入部品につきましては五〇%ぐらい上がっております。国内の原材料等とあわせますと、平均して四割程度上がっている、こんなような状況になっております。そのほかに加工費等も上昇しておりますし、あとは国産化の拡大によりまして、どうしても国産化の場合には機械等の償却の費用がアメリカのように生産機数が多くないという事情からいたしまして高くなるわけでございまして、そういったような要素による増大等もございます。以上のようなことを総合いたしますと先生がおっしゃいましたような値上がりになると、こういうことでございます。
○野田哲君 いまの説明は全く私は納得できないですね。四年間で、F15は五十三年から五十七年の間で二十六億の上昇、P3Cについては二十七億の上昇。大村長官、いいですか、いま装備局長は、なぜこんなに上がるのかという私の質問に対して、アメリカは物価の上昇が激しい、そのために部品等のコストが上がるんだ、これがこういうアップになっているんだと、こういう意味のことを言われましたけれども、アメリカの八二年度の予算の資料が防衛庁、外務省にはあると思うんです。アメリカの八二年度の予算の中で、F15、P3Cがどういう形で、どういう金額で調達をされているかわかっているでしょう。その点をちょっと説明していただきたいと思うのです。
○政府委員(和田裕君) お答え申し上げます。 一九八二年度の米国防報告によりますと、F15の調達経費は三十機分で九億四百八十万ドルというようにされておりまして、これを単純に平均いたしますと、一機当たり三千二十万ドルということに相なると思います。これは円に換算いたしますときに幾らに換算するかという問題がございますが、ちょっと古い数字で恐縮でございますが、仮に一ドル当たり二百十円というようなことにいたしますと約六十三億円、ただいまでは二百三十円見当だと思いますので、それより約一割ぐらい上がるということで六十九億円ぐらいになるかと存じます。
○野田哲君 P3C。
○政府委員(和田裕君) どうも失礼いたしました。 これは一九八二年ではございませんで、一九八一年三月の米議会の報告、これが私どもが持っております一番新しい数字でございますが、これからいたしまして一九八二年度のP3Cの調達価格というものを推定いたしますと、十二機分で四億六千四百五十万ドルということに相なります。これを先ほど申しましたと同様に単純に平均いたしますと一機当たり三千八百七十万ドル、同様に二百十円で計算いたしますと八十一億円、二百三十円にしますと、それより一割アップということで約九十億円ということに相なろうかと思います。
○野田哲君 いま説明がありましたように、長官、アメリカのインフレで部品が上がったから上がるという説明は私は当たらないと思うんですよ。F15については、換算の仕方によりますけれども、六十二、三億ぐらいなんですよ、八二年度の資料では。P3Cについても八十億前後です。日本の方がアメリカに比べて物価の上昇率はうんと低いわけですよ。インフレ率も低いわけですよ。そういう状態の中で、アメリカは最初は五十二億程度のものが六十億、P3Cにしても今日まで大体二〇%前後しか上がっていないんですよ、アメリカでは。日本の場合には三二、三%ぐらいの上昇になっているわけです。だから、アメリカでコストが上がったからということには当たらないと思うし、特にいまライセンス生産でやっているわけですから、アメリカのコストが、それに部品だけでこんなに影響するとはどうしても考えられないわけですが、なぜこれが日本の場合こんなに高いんですか。この価格を審査する措置というのは防衛庁は持っていないのですか。
○政府委員(和田裕君) 大臣が申し上げます前にちょっと事実関係をひとつ申し上げたいと思います。 先生はいまアメリカの国防省が調達されますF15、P3Cの価格について御質問がございました。アメリカの政府が買います場合には、先生も御存じかと思いますが、諸外国に対する場合と違いまして開発分担金、要するにアメリカ自体がF15なりP3Cを開発するに要しました経費は当然のことながら価格に入れておりません。何となれば、それはアメリカ政府自体がいわば受け取る金額でございますから、それをまた予算に計上した上で取り上げるというそういったことはしないわけでございます。同様のものといたしまして、官有設備というのがございます。アメリカの場合には航空機等をつくる場合の機械設備を持っておりまして、それを民間の業者に貸し出しておりますけれども、その官有設備の使用料等も取っておるというようなことがございます。そういったようなことで、アメリカが調達いたします場合と日本が買います場合には、どうも直接に比較するのが適当でない項目が幾つか入ってまいるということがございます。 それからいま先生がおっしゃいましたうちで、日本の場合には国産ではないかとおっしゃいますけれども、そのとおりでございますが、ただ、日本の場合にはライセンス生産でございますので、特に立ち上がりの場合には相当な部分を輸入しておるということでございまして、いわゆる国産化率というのは当初の場合には低い、そういうことがございます。したがって、輸入品の価格、特にチタン等の値上がりというのはそのまま直接に反映されてしまう、そういう状況がございます。
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。 ただいま政府委員から米軍調達価格との比較につきましては理由を申し上げましたが、私もそのとおりじゃないかと考えております。これまでも防衛庁といたしましては、あらゆるデータに基づいて精密な検討の結果概算要求をいたしているわけでございます。今後もますますその点は入念に進めてまいりたいと考えております。また、大蔵当局におきましても厳重な査定を加えているところでございますので、国民の血税でございますから、先生御指摘のとおり一円といえどもおろそかにせず精密な検討を今後とも続けていきたいと、さように考えておるわけであります。
○野田哲君 いま装備局長は、日本でライセンス生産をする場合に、アメリカの調達価格と違って立ち上がりには金がかかるものだし、開発費というものがアメリカの場合には調達価格に含まれていないんだと、こういう説明をしたわけですが、開発費は初めにライセンス生産をするときに含まれているわけです、立ち上がりの費用。その一番最初のライセンス生産の価格の単価七十九億、F15の場合、これがなぜ百五億にもなるのか。五十三年のライセンス生産の価格でP3Cの場合、八十四億であったものがなぜ百十一億にもなるのか、このことを私は聞いているのです。初めから、開発費は一番最初のライセンス生産のときから含まれているはずでしょう、そして予定される機数の中に含まれるわけでしょう。それがなぜ今回——開発費がアメリカとの比較では月本はかかっているから高いのだという説明には私はならないと思うのです。どうでしょうか。
○政府委員(和田裕君) 先生おっしゃったとおりでございまして、五十三年度のライセンス生産あるいは五十五年度のライセンス生産と五十七年度、いまお願いしております価格、これは若干変わる余地があるわけでございますが、これには同様に開発費は含まれております。
○野田哲君 だから長官、どうしてこんなに高くなるのですかと。
○政府委員(和田裕君) 先ほどから申し上げましたように、物価上昇分と、それから国産化の拡大によりますところの値上がり分、これが非常に大きな要素でございます。 物価上昇というのは内外ともに非常にあるわけでございます。特にアメリカから入れております部品費というのは非常に高騰しておる、さっきから申し上げたとおりでございまして、約五〇%の値上がりというようなことでございます。特に、F15等の場合にはチタン等非鉄金属を使っておりますけれども、これの値上がりというのは特に最近著しいと、こういう状況でございます。 それから国産化拡大。われわれとしてはなるべく国内のメーカー、中小企業を含めますところのメーカーの方につくっていただきまして、それによりましてわれわれも技術を習得したい、それからそれによって整備補給の能力も獲得したいということで、アメリカ国防総省と交渉いたしまして逐年国産化率をふやすように努力しておりますが、残念ながら、国産化率がふえてまいるに従いまして、どうしても日本の場合には生産機数が少のうございますので、機械、治工具等の償却費の割合、償却費の割り掛けというものがふえてまいるといった関係で、その分だけ価格上昇の要因になる、こういう状況がございます。
○野田哲君 大村長官、あなたは厳正な審査をやっているのだと、価格については。こう言われましたけれども、具体的にアメリカに比較して物すごい値上がりですよ、これは。アメリカは二二、三%ぐらいしか上がっていないんですよ。一〇%も日本の方がアップ率が高いんですよ。どういう方法で価格の審査をやっているのか、結局は言い値で買ってくる、そういうことなんでしょう。審査の方法を具体的にそれじゃ教えてくださいよ。大臣、あなたはメモなしでも結構答えるようになったといって新聞に書いてあったから、あなたが答えてください。
○政府委員(和田裕君) 事実関係をちょっと申し上げます。 先生、米国におきましても大変米軍の調達価格が上がっておりまして、P3Cでいいますと、七八年価格が約四十四億円でございましたものが、さっき申し上げました推算によりますと八十一億円。それからF15におきましては三十六億円だったものが六十三億円ということで大変値上がりしている、こういう事実がございます。 以下、厳密な審査の点につきましては大臣にお願いいたします。
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。 政府委員から申し上げたとおりでございまして、毎年度精細なデータの検討をして概算要求をいたしているわけでございまして、今後とも一層その点には留意してまいりたいと思っております。 なお、数字の問題ですからちょっとメモを見て申し上げますが、国産価格とFMS価格、御承知のとおり国産の場合と、それから米軍から提供さしてFMSで調達した場合の資料がございますので、これは初度部品を除いた比較でございますが、P3Cは五十三年度約七十一億円でございましたが、その場合におけるFMSの価格は約四十九億円で、金額は約二十億円ぐらいですから、率からいうと四割近く隔たりがあったわけでございます。今回の概算要求の初度部品を除くP3Cの金額は九十三億円でございますので、その差は大分縮まってきているのじゃないか。 F15につきましても、FMS価格の五十三年度の価格は約四十六億円でございました。五十七年度はそれが約七十五億円になる。それと比較した場合には格差が四割近かったものが二割程度に縮まってくるということで、だんだん国産の方のメリットも上がってきているのではないか。スタート当時の格差は大分縮まってきているのじゃないか。 しかし、いずれにいたしましても材料費等の値上がりもございますし、インフレ率等もございますし、いろいろな点がございますので、そういった点を周到に検討して、今後とも適正な価格で調達できるように引き続き努力してまいりたい、さように考えておるわけでございます。
○野田哲君 私が問題にしているのは、日本におけるライセンス生産価格がこの三年、四年の間でどうしてこんなに二十数億も上がるのか、三十何%も上がるのか、これをいま問題にしているのです。 それで、どういう価格の審査をやっているのかという私の質問に対して、政府委員の答えたとおり厳重にやっておりますと、政府委員は何にも答えてないのですよ、審査の方法については。どういう方法で価格が適正であるかどうかの審査をやっているのですか。
○委員長(玉置和郎君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(玉置和郎君) 速記を起こして。
○政府委員(和田裕君) お答えを申し上げます。 P3C、F15に限りませず、一般的に装備品の価格につきましては原価計算を非常に適正にやっておりまして、たとえば調達実施本部というところがございますが、それからアメリカに、原価の把握、それからアメリカにおきますところのいろいろな原材料等の値上がり状況につきまして、この資料に資するために人を派遣しておりまして、そういったような方法等をも利用いたしまして、原価の把握につきましては非常に留意しているところでございます。 また、私どもが概算要求いたしましたものにつきまして、大蔵省に参りますと大蔵省の方でもそれにつきまして非常に綿密に審査をしていただきまして、その結果が査定になってあらわれると、こういう仕組みになっております。 また、さらには、予算が決まりました後におきましても、衝の際におきまして、できるだけ安い価格でできるようにわれわれとしては最大の努力をしている、こういうことでございます。
○野田哲君 これは独占ですね、ライセンス生産、生産者三菱重工の。まずそこに私は問題がある、こういうふうに考えます。それから国民に対しては、財政再建ということで諸事万端厳しい抑制を求めている、痛みを求めている中で、これだけF15、P3Cの価格が上昇することは黙って私どもは見過ごすことはできないと思うのですよ。 これは委員長、お願いしたいのですが、五十二年、そして今日の調達価格がなぜこんなに上がるのか、上がる具体的な理由、資料を提出をしてもらいたい。このことをお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○委員長(玉置和郎君) 委員長としては、野田君要求の資料につきましては、後刻その取り扱いを理事会で協議いたしまして処理いたしたいと思います。
○野田哲君 これは長官、出せますね。
○政府委員(和田裕君) 五十七年度の価格につきましては、さっきも申し上げましたとおり、いわば防衛庁限りの要求の数字でございまして、これから大蔵省との間でいろいろ御相談申し上げる過程におきまして最終的な政府としての要求ということになるわけでございますので、途中の段階での数字等につきましては一切出すことを差し控えさせていただいておりますので、そのように御了承をお願いしたいと思います。
○野田哲君 これは長官、明確にしてもらいたいと思うのです。私はいまの装備局長の答弁は納得することはできない。それは、防衛庁としては、大蔵省に出している価格がこうなんで、大蔵省が査定で削ればそれによるのだと、こういう意味のことを言われた。それなら初めからなぜぎりぎり削ったものを出さないのですか、そうじゃないですか、どうですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。 防衛庁といたしましては、八月末の概算要求を取りまとめるときに最善の努力をいたしまして提出しましたものが先ほど御説明しましたように平均の価格でございます。したがいまして、その基礎につきましては、概算要求の段階でございますので、いわばアイ・エヌ・ジーの段階でございますので、そういった状況であるということも御理解の上、できる限りの努力をさせていただきたいと考えておる次第であります。
○野田哲君 長官、大蔵省の査定の仕方によっては単価が変わるというニュアンスの発言だから、私はこれは聞き捨てならぬじゃないか。そんなに変動があるものですか。査定の結果によって私は機数が変わるということはあり得ると思うのです。しかし、単価が大蔵省の査定で変わる、そんなことは。一体どういうことなんですか。
○政府委員(和田裕君) 単価につきましてでございますが、為替レートがこれからいかに相なるかというようなことが一つございます。 それから先ほどから申し上げました数字でございますが、先生が最初に言われた数字というものは総額を機数で割った数字というのでございますが、そこら辺につきましては補用部品あるいは地上支援機械とか、そういったようないわば共通的なものにつきましては、これは場合によっては若干御相談の上来年度に繰り回すとか、そういうことが全くあり得ないものではございませんので、そういったような問題であるとか、いろいろやはり変動の要素がございますので、そういったような意味もございます。 それからなお、先生にどうしても御理解いただきたいことでございますが、P3CやF15の単価につきまして、これは先ほど大臣が申し上げましたように、なるべく値上がりの要因等がわかるようにしたいと思いますが、ただ、機体が幾ら、エンジンが幾ら、搭載部品が幾らという数字は、これはどうしても衝に差し支えるわけでございます。まさに先生がおっしゃいましたように、相手が一社でありますがゆえに、その一社がわれわれの数字というのがわかりますと、その数字以下では衝に応じないという非常に国として望ましくない状態が生じますので、そういった数字については申し上げられませんけれども、私どもとしましては、せっかくの先生の御指摘でございますので、せいぜい値上がり等の要因がわかるような資料は作成するように努力したいと、そういうふうに考えております。
○委員長(玉置和郎君) 大村防衛庁長官から発言を求められています。大村防衛庁長官。
○国務大臣(大村襄治君) お答え申し上げます。 資料についての御要求がございましたので、できる限り努力して提出いたします。
○野田哲君 十分理解ができませんが、次へ進みます。 総理は、先ほど来私が問題にしている後年度負担につきまして、大村長官に対して後年度負担はできるだけ均等化するような指示をされたということを報道で見たわけですが、これは大村長官、後年度負担を均等化するということは一体どういうことになるのですか。私の理解では、後年度負担というのは、これは納入する業者との間で契約をしてやるものが各年度の後年度負担額となって出ているはずなんだから、これを平均にしろということは、調達を先延ばしをするか、それとも契約を変えるか、その二つの方法しかないと思うのですが、どういう意味なんですか、この平均にしろというのは。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。 五十七年度概算要求における後年度負担につきましては、先ほど政府委員から見通しを申し上げたわけでございますが、この見通しの計算は、先生御指摘のとおり、これまでの経緯、慣行及び契約相手方との関係等からいたしまして、これまでのデータから試算をしたものが見通してございます。中には五年で払うものもありますれば二年で払うものもある。それを計算しますと、五十七年度の概算要求の後年度負担は五十八年度がピークで、五十九以下はだんだん下がってくると、こういう試算があるわけでございます。ところが、五十八年度が財政再建期間中ですから、これをできるだけ平準化した方がいいのじゃないか、こういうふうな点もございますので、そういった点につきまして今後とも十分検討してまいりたいと私ども考えている次第でございます。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、野田さん御指摘のように、防衛庁に対して検討方を指示してございます。それは、先ほども防衛庁当局から御説明を申し上げましたように、五十八年、五十九年、六十年、六十一年、これは発注いたしました正面装備の支払いの関係もございまして、ピークがございまして、あとはずうっと下がってまいります。いま財政再建下でもございますので、その支払い関係をなだらかにできるように工夫をこらしてもらいたい、それは繰り延べの問題もございましょうし、契約の問題もございましょうし、いろいろな角度からなだらかにいくようにしてほしい、そういう点を検討してほしいということを指示しておりますことは事実でございます。そういう方向でやってもらいたいと、こう思っております。
○野田哲君 別の問題で伺いたいと思うのですが、防衛庁の方針によると、昭和五十七年度でバッジシステムの換装のための調査研究を行う、こういう方針が出ております。五十七年度で恐らくバッジシステムの機種を決定するのじゃないかと思うのですが、大体そういうことになっているのかどうなのか。そして、このバッジシステムというのは二千億あるいは三千億という大変な額が必要になってくると思うのです。これがまた財政再建期間中の大変な負担になってくると思うのですが、このバッジシステムについてはどういう段取りを考えておられるわけですか。
○政府委員(塩田章君) バッジにつきましては、御指摘のように五十七年度に機種の選定を終わりたいと思っております。したがいまして、できれば五十八年度から建設といいますか事業段階に入っていきたいというふうに考えておりますが、いまその作業をやっておりますが、いまの時点で御指摘のように二千億だとか三千億だとかおっしゃいましたが、まだそういった金額が推定できて申し上げるような段階ではございません。いまからの検討課題ということで、まだいまの時点で金額まで申し上げるような段階でございません。
○野田哲君 結局、総理、このバッジシステムというのを五十八年から手に入れようとするわけですが、価格のことは防衛局長はいま何にも言わなかったけれども、私程度の常識の者がちょっと資料で勉強しても大体三千億ぐらいだと言われるわけですからね。せっかく総理が、五十七年度は防衛費の後年度負担が一兆円を超しているからそれはなだらかにひとつ平均になるように考えてみたらどうかと言われても、やっぱりそこからまた今度はバッジシステムやその他の装備の新規の調達の後年度負担がかぶさってくるわけですから、結局総理の努力もそう総理の願うようなことにはいかない。むしろ逆に今度は五十八、九の方がふくらんでくるというような懸念も出てくるのじゃないかと思うのです。結局、私どもが懸念をするのは、一体先ほどのP3CやF15の相場が三割以上も四年の間に上がっている、バッジシステムのことも予定をされている、こういうように相場がどんどん上がっていくと、五三中業の当初の見積もりはその当時の価格で二兆八千億だと言われていたわけですが、一体これが終わるまでにどのぐらい総体でかかるのか。いままで達成できた金額がどれだけで、これからさらに五三中業を達成をしていくまでに残った金額がどれだけあるのか、この点をひとつ示してもらいたいと思うのです。
○政府委員(塩田章君) まず最初に、五三中業で二兆七千ないし二兆八千億と申し上げておったのが、結局結果的にどの程度の金額になるかということでございますが、これは五十九年の終わりまでのことでございますから正確な推定はできませんけれども、五十七年度価格でいろいろな前提を置いて推定しますと、大体三兆一千億ないし三兆二千億ぐらいのところになるのではなかろうかと思います。そのうち、現在達成しておるのはどれだけかということでございますが、五十五年度で、これは五十五年度価格でございますが、三千八百九十八億円、五十六年度で、これまた五十六年度価格でございますが、四千五百八十六億円が達成をしておるわけでございます。ちょっといま足した数字を持っておりませんけれども、達成状況はそういう状況でございます。
○野田哲君 大村長官、そういたしますと、二兆四、五千億が五三中業では残っているわけですね、五十九年度までの間で。これを達成するということなんですが、GNPの一%以内でこれはできるのですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。 五三中業は五十五年度から始まりまして、五十六年度、現在二年度でございまして、実現したのがいま申し上げたような四千億台であると、こういうことでございまして、残る分が今後の課題でございます。そういったものを今後の五十七年度以降の予算でお願いをしなければならないと考えておるわけでございます。その場合、その他の経費はどうなるか、そういったものとの兼ね合いもございますので、一%の関係はどうなるか、GNPの動きとも関係ございますので、はっきりしたことを現在申し上げることは非常に困難であろうかと思うわけでございますが、私ども、現在のところ一%を変える考えは持っておらないわけでございます。
○野田哲君 あなたのつもりはそうであっても、大体二兆四千億残っているわけですね。これを五十九年までの期間で達成しようとしていく場合に、実際問題として、私、数字で伺っているのですが、あなたはGNPの一%内でおさまると考えられるのであれば、各年度ごとにどういうことになるのか、示してもらいたいと思います。
○政府委員(塩田章君) 先ほど五十五年、五十六年を申し上げましたが、現在五十七年度概算要求として要求を出しておりますものが、これは五七価格でございますが、五千二百十七億ございます。したがいまして、残りがいま約二兆三、四千億と言われましたが、いまの五千幾らを引きますと一兆七、八千億ということになりますが、これを五十八、五十九でお願いする。いま先生年度割りをとおっしゃいましたが、かねてから申し上げておりますように、年度割りをつくっておりませんので、残りをこの二年間にお願いしたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
○野田哲君 これが残っていて、そしてこれ以外にも相当の所要経費が見込まれると思うので、GNPの一%以内でおさめるというのは私はこれは数字の魔術だろうと思うので、また別の機会に議論をしたいと思うのです。 時間が迫ってまいりましたので別の問題に入りたいと思いますが、今度の行政改革について国民の理解協力を求めるためにはやはり国民の十分な理解がなければいけないと思うのです。臨調の答申では、「増税なき財政再建」のために国民は二時的ではあれ、「痛みを受けることは不可避である」、こういうふうに述べ、政府声明においても「産業や国民生活の各分野において痛みを伴う事柄のあることも承知して」いる、こういうふうに述べているわけであります。 これは中曽根長官に伺いたいと思うのですが、国民みんなにも、そうして企業にも痛みを分け合ってくれ、こういうふうに言いながら、今度出た三十六本の法律の中では企業に対して痛みを求めている法案は一本もないわけですね、これはどういうわけですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今回の法案は、七月十日の答申を受けまして八月二十五日に閣議決定をいたしました総括的な方針の一環として、政府関係の主として補助金、負担金等の整理、あるいは国務大臣の給料の凍結を目指した内容を持ったものでございますから、そういう関係でございます。一方におきまして、租税特別措置の見直し等につきましては臨調の答申にも載っておりまして、総理からもそういう御指示が大蔵当局についてもあるところでございまして、そちらの方も鋭意努力しておるところでございます。
○野田哲君 企業に対して予算措置による補助、それから法律による補助が相当出ていますね。五十七年度で各省庁それぞれ予算補助については一割を削るのだ、こういうことで大蔵大臣は、その何を削るかという点は各省に任せてあるのだと、こういうふうに答弁されているわけですが、法律で出している補助を削る措置については今回なぜ一本も出てこないのですか、そこがおかしいのです。
○国務大臣(中曽根康弘君) これらにつきましては、来年度予算の編成との関連におきまして大蔵省と各省庁で折衝することになるだろうと思います。その中で、たとえばコンピューターに関する問題とか、あるいは造船利子補給に対する問題であるとか、そういう点の御指摘がありましたが、それらにつきましてはまた関係当局のそれぞれの御主張がございました。 たとえば、コンピューターにつきましては日本の先端産業でございまして、これからの主としてアメリカとの世界的な競争の先端を競っておる問題でございますので、これらについては国策としても非常に重要視しておると。それが単に企業の利潤にのみつながるというような考え方は排除いたしまして、国策としてこれを進めていると、そういう性格のものでございます。
○野田哲君 それでは、たまたま中曽根長官から船に対する問題が出ましたので、塩川運輸大臣に伺いたいと思うのです。 外航船舶建造の融資の利子補給。五十五年度で五十九億四千百万円、五十六年度で六十六億三千百万円。これは五十六年度でこの法律は期限切れになるはずなんだけれども、それをさらに予算には概算要求で出しておられる。そして、あなたは船主協会へ行って存続を約束したというようなことが報道されているのですが、これは一体どういうことになっているのですか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 御承知のように、昭和四十八年の石油ショック以降、固有の日本船の建造が非常に少なくなってまいりまして、それがためにわが国の船舶保有量は低下いたし、用船に頼ることになってきておりました。そのことと同時に、また船舶建造が少なかったものでございますので、造船界にあるいはその関連産業に大変な不況が出てまいりまして、構造的不況と言われたゆえんでございます。 そこで、昭和五十四年から四年、五年、六年の三カ年にわたりまして計画造船を発足さしたのでございますが、その当時の趣旨といたしましては、自国船の保有を厚くするということと、それから造船産業の景気振興を図るということ、この二つをもって実施いたしました。これが五十六年で期限が到来することは当然でございます。 五十七年度以降におきましては、それじゃなぜやるのかということでございますが、現在わが国の自国船を見ました場合に、LNG船であるとか石炭専用船であるとか、そういう代替エネルギーを運搬する船舶の保有が非常に少なくなってきておりまして、これが依然として用船に頼らざるを得ない状況。そういたしますと、国の安全保障上から見ましてもこれはゆゆしきことであると考えましたので、引き続きLNG船であるとかあるいは石炭専用船であるとか、そういうエネルギー運搬船に限ってのみこれの対象として考えていきたいということをわれわれはいま計画しておるところでございます。
○野田哲君 いま、運輸大臣のような説明をしておれば、私は補助は一切切れないと思うのですよ。補助があるということはそれなりにみんなそれぞれ理由があるから補助が出ているわけでしょう。だから、それをいまの運輸大臣のような説明をやっておれば一つも補助は切れないですよ。結局、切れるのは何かというと、政治的なパワーの弱いところを切っていくということにしかならないのじゃないですか。 私は、いまの問題で総理と中曽根長官に聞いてもらいたいと思うのですが、あるいはもう衆議院で聞かれておると思うのですが、日本郵船が十三億三千八百万、五十五年度でこの利子補給を受けているわけですね。川崎汽船が六億一千万、そういう金額を補給を受けているわけです。これらの企業がどういう利益を上げているかということです。日本郵船が六十七億、これは税金を納めた後の税引き後の損益なんですよ。税金を納めた後の利益が日本郵船が六十七億です。川崎汽船が二十億なんです。税金を納めた後でもこれだけの純益を上げている企業に対して、日本郵船に対しては十三億、川崎汽船に対しては六億の利子補給をやっている。これを聞いて国民はささやかな補助を切られることを納得しますか、どうですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) いま野田さんから御指摘になりました問題、これは衆議院の特別委員会におきましてもいろいろ御意見が出ました。私どもは今度の行財政改革は非常に税収その他の面から見ましても厳しい。もうゼロシーリングが大体できておる、法案もおかけで国会の御承認がいただける、もう来年度は予算はできるのではないかというようなそういう甘い考え方は持っておりません。大変厳しいと考えております。したがいまして、各省には政策展開の上からいろいろな要求があると思いますけれども、政府全体として優先度を考え、高い立場から行財政の趣旨にも沿うように来年度予算の編成に当たりましてその点は筋を通してきちっとやっていきたい、こう思っております。
○野田哲君 もう一つ問題なのは、いま申し上げたこれらの企業がこれだけの利益を上げておきながら国からは利子補給を受けている。もう一つは大変多額の政治献金を行っているということなんです。船主協会の政治献金は国民協会に対する政治献金の中のベストテンの中に入っております。つまり、利子補給という形で、巨大な利益を上げる企業が理屈をつけて補給金をもらって、その中から今度は自民党に一定のものをお返しする形で政治献金をする、こういう構造こそが今日のこの財政規模の肥大化の一つの大きな私は要因になっていると思うんですよ。総理はいま一般的精神論を述べられましたけれども、こういう具体的な事実に対してどういうふうにお感じになりますか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 先にちょっと失礼でございますがお答えいたしたいのですが、利子補給は何か経営補助のような感覚で見ておられるようでございますが、これはそうではございませんで、企業に対する経営補助ではなくして施設補助でございます。でございますから、造船にかかりますときにそれをオペレートするところ、そして荷物をその荷主——その間に船賃がきちっと決まってまいりまして、造船コストというもの、それに伴うところの運賃コストというものも全部運輸省の方で掌握した上でセットされておるものでございますから、これだけによって特別に利益を得るというようなシステムにはなっておらない、その点はひとつ御理解いただきたいと思うのでございます。 それからなお、船主協会が政治献金をしておるということ、けしからぬということでございますが、これは企業の団体でございまして、その団体の意思に基づくものでございまして、私からとやかく言うべきものではございませんが、しかしいまお聞きしておりますと、船主協会全部がやっておりますのは、その中に入っております利子補給対象となっておりますのは一割があるかないかという会社でございまして、全員の意思というものとそれから個別の意思というものとがそこで大いに違うということもひとつ御勘案いただきたいと思う次第です。
○野田哲君 あなたのような説明をやっておれば、これは企業に対する補助は切れませんよ。いまの補助の問題にしても、一つの目的のためにやっていることは私はこれはわかりますよ。わかるけれども、企業にとってはそれは収入であることは間違いないんですよ。そうでしょう。政治献金の問題はこれはうまくできているんですよ。国から金をもらっていない企業は個別に名前が挙がっているんですよ。利子補給を受けている企業だけは、これは個別の企業としては名前を挙げてないんですよ。そして、船主協会として出しておれば、結局はこれは見返り、こう見られてもしようがないでしょう。 通産大臣に伺いますが、あなたのところが企業に対する補助の王様ですが、私の調べたところでは、通産関係では七十三件で千三百六十一億、こういう補助が五十六年度でありますが、五十七年度では大体どのくらい削減をされるつもりなんですか。
○国務大臣(田中六助君) 来年度予算、つまり五十七年度予算では約五十六億円程度で、第五次世代産業で五億円程度だというふうに思っております。
○野田哲君 委託費と合わせると通産関係が九十七件、千七百九十四億、こうなっているわけです。それから運輸省、農水省、この辺が企業に対する補助の一番大どころですけれども、それぞれどういう五十七年度で補助の削減について措置をとろうとされているのか。これはやはり具体的な中身、補助項目がわかるような形で資料を提出していただきたい。このことを委員長にお願いしたいと思います。
○委員長(玉置和郎君) 資料につきましては、理事会に諮って善処します。
○野田哲君 時間が参りましたので、最後に総理大臣に税の問題について伺っておきたいと思います。 十月初めにさる大新聞が行政改革に対する調査を行った結果が発表されております。やはり不公平税制の是正、これが四六%ですか、トップに挙がっています。税に対する不満、これは一つはやはりトーゴーサンピンとかクロヨンとか言われている捕捉率の問題、これがあると思うのです。もう一つは、総理は減税なき財政再建、これを強調されておりますけれども…(「増税だ」と呼ぶ者あり)増税なき財政再建。勤労者にとってはこれは実質的には大変な増税が続いているわけです。だから、やはり総理が言われる増税なき財政再建、こう言われる限りはやはり勤労者に対する、あるいは勤労者だけではない、所得税に対する物価調整減税、これを考えてもらわなければ本当の意味の増税なき財政再建という意味にならないのじゃないか。 それからもう一つは、増税なきということについて、衆議院での審議の経過を見ましても、本院における本会議の結果を見ましても、五十七年度については明快に言われているけれども、五十八年度以降この財政再建期間中本当に増税をしないのか、こういう点がやはり懸念として残っています。明確でございません。それについて大蔵大臣と総理大臣からそれぞれ所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 一つは不公正税制の問題でございますが、これは制度面それから執行面、二つが言われるわけです。私は制度面においてはそう不公正税制というのは世間で言われるほど大きなものはないと思っております。年々歳々措置法の見直しというものはやってまいりまして、措置法の中でも約二千億円が企業に対する減税になっております。しかし、そのうち八百億は中小企業向け、あとの千二百億は公害関係とかそういうようなものが多いわけであります。しかしながら今回は、少ないとはいえども補助金の整理合理化も一般にやるわけでありますから、そういう中で一種の特別措置法は補助金みたいなものでございますので、層一層厳しく見直してまいるつもりでございます。 それから、しばらくの間課税最低限を動かさないというようなことから、確かに勤労者が、毎年ベースアップが行われ、超過累進税という形になっておるので、税金がふえておる、これも事実でございます。しかしながら、現在の日本の所得に対する租税負担率は四・五%、アメリカの一一、イギリスの一二、ドイツの九・六というような所得に対する負担割合というものから見て、国際的にうんと高いのだということではないわけであります。しかし、重税感が高まっておるのも事実でございます。われわれといたしましては、でき得ることならばそういうようなものも直したいという考えがもちろんないわけではございませんけれども、問題は財源との裏表の問題でございまして、現段階において減税をするという余裕がない。まず歳出カットが幾らできるのか。問題は、歳出カットが本当に理想的に行われて、しかも歳入がこれも理想的に入ってくるというようなことになれば、これは私としては十分に考えなければならない問題である。そのためには、まず歳出カットを最重点で行ってみたい、こう思っておるわけでございます。 なお、五十八年度以降の増税問題はどうなのかということでございますけれども、この問題は、いま私が言った中で尽きると思いますが、これも歳入が一体順調にこれからも入ってくるのかどうか、一方においては社会保障費を初め確実に経費が増大するというものもあって、とうてい切り切れない、抑え込み切れないというものもございます。しかしながら、それも行政改革その他の点を通して本当に歳出が切れればその中で吸収できる問題でございます。したがって、まずは五十七年度予算をつくってみて、その上で将来の展望が開ける、こう考えております。
○国務大臣(鈴木善幸君) 不公平税制の問題につきましては、一番納税者たる国民の皆さんが関心を持って注視されておる点であろうかと、こう思うわけでありまして、この臨時国会における所信表明の中でも特に私はその点に触れました。税制面並びに執行面につきましてそういう不公平感がないようにしたいということで、財政当局にも指示をいたしまして最善を尽くしてまいる考えでございます。 それから物価調整減税あるいは所得税の減税の問題につきましては、いま大蔵大臣から御答弁を申し上げましたように、政府としてはあらゆる努力をいたしまして、そして五十九年までに特例公債依存の体質を改善をしたい、これから脱却をしたい。そのめどが立つまでは、野田さんがさっき減税なき財政再建とおっしゃいましたけれども、それは間違っておりません。はっきりしためどが立たない限り、そう簡単にはまいらないということを申し上げておく次第でございます。 それから増税の問題につきましては、私はしばしば申し上げておりますが、五十八年度以降におきましても行財政の縮減合理化、これをまず第一に置き、全力を尽くす所存でございます。大きな負担をかける増税などは念頭にいまございません。
○委員長(玉置和郎君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。 午後零時五分休憩 —————・————— 午後一時一分開会
○委員長(玉置和郎君) ただいまから行財政改革に関する特別委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。嶋崎均君。
○嶋崎均君 私は、ただいま議題となっております行革関連特例法案及び行財政の改革のあり方につきまして、総括的な見地から、自由民主党及び自由国民会議を代表して質問を行いたいと思う次第でございます。 すでにこの行革関連の特例法案につきましては、衆議院の中で十二分な論議が行われてまいりまして、この法案の概要につきましてはほぼわれわれも十分承知をするような状態になっておることは、皆さん方も御承知のとおりでございます。厚生年金等の事業に係る国庫負担金の削減の問題、あるいは保険関係の繰入金を落としていくような問題、あるいは児童手当の所得制限問題、四十人学級問題等々につきましては、その内容から考えますと、与党の中でも十分な論議を尽くしておりますし、そういう過程を経まして妥当な結論を得ているものだと私たちは考えておるわけでございます。 しかし、私いままでいろいろ衆議院の論議を聞いてまいりまして、どうもこの行革問題についての考え方、もう一つ突っ込み方が十分ではないのではないかというふうに思う点が多いのでございます。後からだんだんに話を進めていきますけれども、ことしの昭和五十六年の予算の運営、あるいは五十七年度の予算の作成の問題、あるいはそれ以後の問題というようなことを考えていきますと、行政改革によって削減をしていまの赤字を縮めていこうというような試みは、いまだかつてそういうことが成功した例が少ないだけに、大変な問題を抱えておるというふうに私たちは思っておるわけでございます。 そこで本日は、抱えておるいまの財政の非常に厳しい状態、行政改革を進めていかなければならない実情ということについて、まず第一段階に認識をしていただく。そして、そういう事態が起きてきたのは、過去どういう経緯をたどってそういう姿になってきたのかということを見直していただく。そして将来を考えてみまして、日本の財政がどういう問題を抱えておって、いかに行政改革を真剣に進めていっても付加的に予算を増加しなければならない、そういう事態というものが控えておるんだというような感じがしますので、この現在と過去とそして将来というものを見通した中で、行政改革問題がどういう姿で考えられなければならないかというようなことについて御質問を申し上げていきたいというふうに思っておるわけでございます。 ところで、皆さん方も御承知のように、日本の経済は、二度の石油ショックあるいは円のフロートというようなことを控えまして非常に苦しい十年間を経過してまいりました。しかし、その内容を見ますと、ある新聞の記事にもありますけれども、こういうことが書いてあるわけでございます。 石油危機以後、世界の経済がスタグフレーションに悩み、大多数の先進工業国が活路を探しあぐんでいるなかで、日本は、ともかくも、インフレを抑制している。失業率も低い。国全体としてみると犯罪もわずかではあるが減少傾向にある。日本のこれらの明の面をみて、諸外国にも日本への期待を語る声がある。称賛さえもある。しかし、公債の発行残高は八十兆円を超えている。国鉄も、食管も、健保も活路を見いだしてはいない。確実なエネルギー源を確保しているわけでもない。国際的緊張のなかで性急に軍備の強化を急ぐ声もある。風俗には性の退廃の色があり、こどもの非行は増加している。云々 というような言葉があるわけであります。 私出身が大蔵省なものですから、私がここでかたい話をすると、非常に何かそのお先棒を担いでいるような印象を受ける、そういうことも心配をしまして新聞を引用したわけでございますけれども、そういうように日本の現在の民間の経済状態というのは、二度の石油ショック後も非常に落ちついた状況にあるのではないかというふうに思っておるわけでございます。 その点は、たとえば物価の面をとってみましても、日本の消費者物価は四%を割り込むというような状況になっておる。にもかかわりませず、諸外国では、ドイツでも六・五%というような数字を示しておりますし、よその国では、先進国大体一〇%を超えるような状態になっております。失業率も日本の場合には二・二五%というような程度の数字でございますけれども、よその国では七%を超えるというような状態になっているということは御承知のとおりでございます。そういうぐあいに、南隣収支もあるいは金利の水準から考えてみましても、あるいは生産性の向上というような面から考えてみましても、私たちは民間の経済というのはわりあい落ちついた姿にあるように思うのでございます。しかし、この文章にもありますように、いま非常に厳しい財政の状況になってきておるわけでございます。これを乗り越えないと日本の将来というものは考えられないというような、そういう事態になっておるというふうに私は思うのでございます。 そこで、まず最初に総理にお聞きしたいのでございますけれども、こういう事態を迎えて、どうしてこの行財政再建という道を選ばれたのか。財政が赤字であるということが前提でありますけれども、その中には、収入が低いから赤字であるというような論理もあるかもしれません。しかし、歳出が多過ぎてそうだというような議論もあるかもしれません。しかし、そういう中で特に行財政の改革を選ばれたその理由につきまして、まず総括的にお答えを願いたいと思う次第でございます。
○国務大臣(鈴木善幸君) 嶋崎さん御指摘のように、第一次、第二次の石油ショックを乗り越えて今日に至ったわけでありますが、日本の経済が、西欧諸国あるいは第三世界が非常に深刻な現在経済困難な状況下に置かれておる際に、比較的順調に推移してきておる。成長の面においても、あるいは雇用の面においても、物価の面においても、国際収支の面においても、非常に順調に推移をしてきておるということはそのとおりでございます。 しかし、一方におきまして、そのような今日の経済を立て直すために、いろいろ政府は公共投資を広げたり、あるいはおくれておった福祉関係もこれを推進する、昭和四十八年当時から福祉元年と言って福祉の面にも力を入れてまいりました。いろいろの努力をやりまして今日に至ったわけでありますが、その結果といたしまして、御指摘のように、今年度末には国債の発行残高が八十二兆円程度にもなろうというような大変な財政が危機的状況にあるわけでございます。 私は、ただこの国債残高を解消するとか、特に特例公債依存の体質を脱却するということであれば、一時的増税というようなことによって財源を求めて、それでこの急場を乗り切るというようなこともあるわけでありますけれども、今日のわが国の行財政というのは、高度経済成長下において膨張してきた、拡大してきた、肥大化してきたこの状態をこのまま今後も続けていくというようなことでは厳しい今後の内外の情勢に対応できない。特に、資源エネルギーの制約、あるいは環境問題の厳しい条件、あるいは高齢化社会の到来、いろいろの厳しい条件があるわけでございます。それに対応するような新しい時代が求める新しい政策を展開するためには、どうしても財政の健全性、行政の簡素効率化、こういうことをいまにしてやっておかなければできない、こういうことを考えまして、私は増税の道を選ぶのではなしに、この際思い切った行財政の縮減合理化、これによって財政の再建を進めようということを決意いたしたような次第でございます。
○嶋崎均君 もう皆さん方御承知のとおりに、臨調の第一次答申というのが、非常にりっぱな姿で答申が行われておるわけでございます。それは実はこの紙でお示ししますように、新聞紙にするとちょうど一ページぐらいに入る大変な量になっておるわけでございます。これを初めから終わりまで全部通して読んで、しかもポイントがどこであるかというのはなかなか理解しにくいことでないだろうかと私は思うのでございます。そういう意味で、きょうはこの文章は文章としまして、なぜ行政改革が行われなければならないかということをもう少し実態的に説明をするということが必要なのではないかと私は思うのでございます。 そこで、大蔵大臣にお伺いをいたしたいのでございますけれども、昭和五十六年度の予算、その姿につきましてはいろいろな評釈があったわけでございますけれども、その予算の内容あるいは公債の残高がどういうような状況になっているか、そしてこの公債費はどういう姿になって償還をしなければならないような条件になっておるか、そういうような点について、五十六年度の予算を中心にしてこの危機に陥っている財政の姿というものについて御説明を願いたいと思う次第でございます。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはもう私から嶋崎委員に説明をするまでのことはないと思います。御承知のとおり、公債の発行残高というものはもう五十六年度末で八十二兆円というような多額にわたりますし、二兆円の国債の減額を行ったといたしましても、国債依存度というのは二六%という世界の先進国には例を見ないような非常に高い数値を出しております。そして、現実の問題として国債の元利払いというものが一層財政をこれから硬直化するというような状態にあります。 五十六年度の国債費は六兆六千億円でございますが、そのうち五兆六千億円は完全な純然たる利払い金でございます。したがって、公共事業費六兆六千億円と五十六年の国債費六兆六千億円は同じ額である。明年度五十七年度を考えましても、すでにことし十二兆円余分に借財をいたしておりますから、その利息が上積みされる。したがって、明年度の国債費はすでに七兆八千億円というようなことで、まさに社会保障費に追いつこうというような勢いであります。防衛費もいろいろずいぶんふえるではないかというような御批判を世間から受けるわけでございますが、実は、国債費の方がことしですでに防衛庁の予算の二倍以上になる。来年は防衛費の三倍というようなことでございますので、いかに大きな財政的な圧迫要因になっているかということは御承知のとおりであります。 一方、老齢化社会を迎えますと、どうしても老人の数がふえる。あたりまえのこと、そういう政策をとってきたわけですから。世界一の長寿国の政策をとった結果そうなるわけであります。しかし、老人がふえれば年金がふえる、老人がふえれば病気がふえる、その病気がふえれば医療費がふえるというようなことで、これなども必然的に増大をするということはこれはもう言うをまたないわけでございます。 日本は、先ほど総理からおっしゃいましたように、いろんな諸経済的な指標においては世界のいずれの先進国にも負けない状態にありますが、財政だけがこのような非常に耐えられない状態になってきた。これを評しまして、こういうことを言う人もあります。それは出費が多過ぎるんだと言う人もありますが、国民の負担率が非常に少ない、少なくて支出が多いのだから、それは赤字になるのはあたりまえじゃないのかと言う人もございます。私はそのいずれも当たっておるのじゃないか、そう思うわけでございます。 しかしながら、国民に容易に負担を求めるということは非常に慎重の上にも慎重でなければならないし、そのことがむしろ財政の肥大化を招くというのも現実の姿でございますから、ことしは一兆四千億円に及ぶ増税をいたしましたが、明年度以降は極力増税を避けて、ことに五十七年度においては増税なき財政再建を図ろうではないかという総理の御指示もあり、われわれといたしましては、ともかく現在の水ぶくれになった行財政の体質に根本的なメスを一遍入れて、そうしてどこまで切れるか。こういうような御時世でございますから、高度経済成長のときのような惰性で流れていくわけにはまいらない。したがって、新しい安定成長の時代を迎えて、もう一遍徹底的に洗い直してみようというようなことを考えておるわけであります。
○嶋崎均君 ただいまの大蔵大臣の説明にありましたように、公債費が六兆六千億を超えるような金額になっておる。そして、そういう中で他の費用とのバランスというようなことを考えてみましても、防衛費の二兆四千億はもちろんのことでございますが、来年には利払い費が公共事業費に支出される金額を超えようとしておる、さらにはその先には、社会福祉関係に使われている費用を超えようとしている、そういう危機的な状態にあるということが明らかになったわけでございます。そして、いまその額を計算してみますと、国民一人当たりが背負っておる国債の額というのは七十万円になるわけでございます。また、一日に支払う国債の償還関係の費用、これは何と百五十億ずつ払わなければならないというような数字になっておるわけでございます。一日に百五十億ずつの金が公債の利子として支払われていく。それだけのものがあったらずいぶん財政的にも変わった展開というのができるはずだというふうに通常思うのでございます。 そういうことを考えてみますと、どうも日本の財政は大変な事態になっておるということがわかるわけでございます。しかし一般の人々は、四十六兆何がしてあるとか、租税の収入が三十二兆何がしであると言ってもなかなか理解しにくい、また数字が大き過ぎて余りぱっとしない受け取り方が多いのではないかというふうに思うんです。大臣は、ときどき一人当たりというようなことで説明をされるわけでございますけれども、ちょうどいまの予算の姿というものを、一千万分の一というのですか、あるいは二千万分の一ぐらいのところが適当なんだろうと思うのですが、そういう形にブレークダウンして家計ベースに置き直して見るとどういうことになるのだろうか。 これは私、手元にある数字でやってみたわけでございます。収入は一千万分の一としますと、租税の収入がちょうど三百二十万ぐらいの収入になるわけでございます。それから税外収入が二十五万ぐらいの収入になりまして、大体家計として計算しますと三百四十五万円ぐらいの収入が立つわけでございます。そういう中から国債費として払わなければならない金独、これは先ほどの数字で六兆六千億を一千万分の一としますと六十五万ぐらいの数字になると思います。それから地方税というのは、これは御承知のように地方交付税として三二%先取りをしていくわけでございますから、これがちょうど八兆円ありますから、八十万円ということになる。それを合計しますと百四十五万ぐらいになる。収入は、この三百四十五万から百四十五万先取りされる経費が計算されるわけでございますから、差し引きは二百万というような数字になるわけでございます。 ところが、やっておる仕事はどういうことになるかといいますと、歳出だけで、国債費と地方交付税を除いたところで三百二十万相当の金を使うということになる。そうすると、二百万で三百二十万の生活をするのですから、それはとてもたまったことじゃない。百二十万相当の借入金をしなければならない、こういう計算になる。しかも厄介なことには、その借入金の中身は公共債、四条債のほかに特例公債、いまのものは使ってしまって将来にツケだけ残すという金が残っていく、こういう算入になるわけでございます。 お聞きになった方、御理解していただけるかどうかよくわかりませんけれども、三百四十五万の収入があって、そのうち百四十五万がもう先取りの借金の費用その他で持っていかれてしまう。残った金で生活をする。そうすると、二百万の生活をしなければならぬのに実際の生活は三百二十万の生活をしている。その差額は公債という借入金になっておる。しかもそれが、ことし使ってしまうというような金の計算になり、相当の額を占める。ともかく五兆五千億その金額があるわけでございますから、引き算しましても五十五万円の金はもう本当にいまのものは使ってしまってあとにツケだけを残していくという、非常にかたがった家計というような姿に相なるわけでございます。 そういうことを考えてみますと、これは本当に厳しい経済状態であるというふうに私たちは思うわけでございます。そういうことに対して、一体全体今後どういう方策でもってその対策を講じていくかということは重要な問題だというふうに思っておるわけでございます。その点につきまして、先ほどの議論にもありましたように、今後は増税というようなことを余り考えなくてもっぱら財政再建の道を選ぶ、どこまでも行財政の整理でもって進むんだ、こういう姿が臨調答申の中に書かれておるわけでございます。 そこで、お話としてお聞きしたいのですが、こういう臨調答申、非常にそれを一生懸命に受けて皆さん方御努力をされておられるわけでございますが、この臨調答申は、その中身として行政の制度及び運営のあり方について答申をされておるわけでございます。しかし、政府の中にも御承知のように地方制度調査会であるとか、あるいは税制調査会であるとか、社会保障制度審議会であるとか、総理の諮問機関として考えられているものだけでも相当たくさんの諮問機関があるわけでございます。こういうものとのバランス、その運営の仕方、いま臨調については本当に真剣に問題が取り上げられておるんですが、これらの審議会についてどういうようなお考えを持っておられるのか、まず最初に総理にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 御指摘のように、臨時行政調査会のほかに既存の審議会がたくさんございます。総理大臣の諮問機関だけでも相当ございます。政府といたしましては、臨調の答申を受けました際におきましてはこれらの既存の調査会、審議会等に、やはりその臨調の答申を受けて政府でそれを最大限に尊重をして制度及び法律の改正をこうしたいという案をまとめた場合におきましては既存のそれぞれの専門の調査会、審議会にお諮りをする、こういうことにいたしたいと考えております。これは今回の臨時特例法の場合におきましても、社会保障制度審議会あるいは社会保険審議会でありますとか、そういう関係の審議会にお諮りをして、そして御意見を答申として求めたわけでございます。臨調は高い立場から、非常に広い観点から改革案を政府に対して答申をするわけでありますが、それを踏まえて政府はそれを実行に移そうとする場合には、これを既存の調査会、審議会にお諮りをして、そして専門的立場からさらに論議を深めていただいて、その答申を得た上でこれを政府として国会に法律案あるいは制度の改正、あるいは予算措置等で対処していきたいと、このように思っております。
○嶋崎均君 いま総理から審議会の運営のあり方について御説明をいただいたわけでございますが、これからのこの臨調答申の今後の段取りにつきまして行政管理庁長官にお伺いをいたしたいと思うのでございます。 今度の法案の性格は、三十六法を整理しまして、補助金等の削減あるいは今後の運用というようなことについて整理をされておるわけでございます。臨調答申にあって当面必要なことについて整理をされたわけでございましょうけれども、今後、五十七年度の予算編成あるいは来年基本的な考え方についての中間的な答申が行われて、その先どういうような展開をお考えなのか。今後のこの臨時行政調査会の運用のあり方とその他の委員会との絡み、その推進役をどういうぐあいに臨調に背負っていただくかというような点について御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 臨時行政調査会の仕事はおよそ三段階に考えております。 第一段階は、七月十日に提出されました第一次答申でございまして、これは主として緊急の問題について対処する方策をお答えいただいたわけであります。 それから、現在は来年の初夏を目途に第二次答申の作業に入っておりまして、四部会でそれぞれもうすでに検討を開始しておるところでございます。大体十一月ぐらいまでに各省庁、関係団体のヒヤリングを行いまして、十二月ぐらいからポイントを決めて、そして来春に向けていろいろ論議を重ねていくということになると思います。その間におきましても随時答申を必要に応じてお願いをしておりますが、現在のところは許認可を中心に検討を加えられておりまして、その許認可の中でも国民生活に密着している、早目にやった方がいいというものにつきましてはなるたけ早目にお出しいただければ、われわれはそれを実行に移す用意を持ってやっております。来年の初夏の答申はいわゆる基本答申とも称すべきものでございまして、行政制度、公務員制度あるいは特殊法人あるいは地方関係等々の根幹に触れる部分について答申が出るものと期待しております。 それから五十八年の三月に臨時行政調査会は使命を終わって終結する予定でございますが、そのときに事後の処理についてどういう御見解をお持ちであるか、何かのお考えも出していただくのではないかと思っております。そういう段取りで進めております。
○嶋崎均君 先ほど私、自分の考えているやり方で、もっと国民の皆さん方にわかりやすい方式というつもりで何か説明の仕方がないかということで、自分の案みたいなことをお話し申し上げたのですが、大蔵大臣、何かそういうことについて非常にわかりやすい説明というのですか、行政改革がなぜ必要かということのわかりやすい説明の仕方は別におありになるかどうか、おありになったらひとつ教えていただきたいと思うんです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 行革のやり方についてわかりやすくというお話でございますが、私は主として財政を担当する者といたしまして、ここでこの財政再連の必要性ということを国民に訴えて理解をしていただくためには、なぜそのような借財ができたのか、何に使われたのか、これ以上借財をふやせば自分たちの生活がよくなるのか悪くなるのか、この三つがわかっていただければ、私は財政再はできるのじゃないかと、そういうことを言っておるわけでございます。 具体的に申し上げますと、昭和四十八年から現在までの間、税収は去年五十五年度で二倍、ことしは大増税をしたと言われても、二・四倍でございます。しかしながら、その一方、公共事業徴は二・六倍、防衛費は二・五倍、社会保障費は四倍、文教費は二・九倍ということになっておるわけであります。その中で、具体的に言えば、たとえば老齢福祉年金は月五千円だったのが、この八年間に二万四千円で約四・八倍、厚生年金は月額二万二千円が十万七千円ですから五倍弱、四・九倍、これの二割補助ということですから、伸びないものがあっても社会保障費は四倍になっておるということは間違いがないわけでございます。税収がなくて、それで支出がそういうようにふえれば、その差額は借金となることはあたりまえのことでありまして、本来税収で賄うべきものを、借財をして暫時賄っだということが一番の原因ではないだろうか。 しかしながら、決して私はそのこと自体を悪いことだとは思っておりません。つまり税収がないときに、失業者がふえるということで昭和四十九年、五十年の不景気のときに政府は公共事業を図るために借財をして、道路をつくり、橋をかけ、学校をつくったわけですから、それによって失業救済にもなり、落ち込んだ景気を起き上がらせる起爆剤にもなった、これも事実でございます。しかもそれは将来にわたって財産として残っておる。だから、この約四十数兆円の借財は、借財であると同時に財産でもあるわけでありますから、六十年間にわたって返済をしていこうじゃないかということでございますし、他の社会保障の問題も、日本がおくれておるということのために非常に速いスピードで始まったわけでございますが、途中で石油ショックでこれが一とんざ。とんざはさせまい、せっかく始まったやつだから充実しようじゃないかということで、乏しい税収では足りない分を借財をして、あるいは福祉年金や医療費や学校やというところに力を入れて、それによって長寿国ができて、それによって子供の血となり肉となっておるとすれば、これもそれ自体は決して悪かったと私は申し上げられない。 しかしながら、現在以上に、借財をふやしていくことはもう支払いが不可能、利払いが不可能になるということで、まかり間違えばこれは財政インフレになりかねないというところまで来てしまったので、この辺で急ブレーキをかけていくことが日本のいろんな両から見て必要だというように考えて、財政の再建ということを言っておるわけでございます。
○嶋崎均君 そこで、いまお話がありましたけれども、そういう日本の過去におけるところの大変な努力の結果、日本の財政施策というものがずいぶん充実をしてきたということを前提にお話があったわけでございます。 そこでひとつお聞きいたしたいのは、そういう状態になってきているのに、租税の面につきましてはなかなか厄介な問題がある。特に、御承知のように五十六年度の予算の編成は、公債は六兆円に確かに減額をいたしました。しかし一方で約一兆四千億に上るところの増税をお願いをしたというようなことで、ある意味では大蔵省あるいは行政管理庁、中央省庁が中心になりまして予算を編成をするというようなこともある程度可能であったような感じがするわけでございます。しかし、これからの状態を考えますと、とうていそういう事態になっていかないような気持ちがするわけでございます。 そこで、そういう議論を展開する前に、まず最初に、いま出てきました租税負担率、これが諸外国と比べてどういうような状態になってきておるのか、また、国民総生産の中に占める財政の割合、それはいま日本はどういう状態になっておって、外国と比べてどういう水準にあるのかというようなことを一遍整理しておく必要があるのではないかというふうに私は思うのでございます。そして、そういうことが整理された上で、そういう中でなおかつ行財政の改革を選択されたゆえんについて総理にお聞きいたしたいと思う次第でございます。 そこで、前段の租税負担率、あるいは社会保険の負担率も含めて現在どういう状態になって、諸外国とどういう関係にあるか、どういうバランスにあるか、それから総生産の中に占めるところの中央、地方の財政のウエート、それがどのようになっており、それが諸外国と比べてどういうような姿になっておるかということについて御説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) わが国の租税負担率を諸外国に比べますと、かなり低い負担率になっております。五十六年度の当初で租税の負担率は、日本は二四・二%でございます。アメリカは二七・七、イギリスが三九・三、西ドイツが三一・七、フランスが三〇・八、スウェーデンが五〇・二、こういうことになっておるわけです。したがってスウェーデンの半分というところであります。西ドイツあるいはイギリス、フランスから見ましても七、八%あるいはそれ以上少ない。 しかしながら、いまおっしゃったように、租税負担率が少なくても各種の保険料等が非常に高ければ同じじゃないか、全くそのとおりでございます。そこで、それを織り込んだもので租税の負担と社会保険料の負担、医療費の負担とか年金の負担とかそういうような社会保険の負担、その合計したものを五十六年度で比べてみますと、日本が三四・三、アメリカが三七・七、イギリスが四六・二、西ドイツが五一・六、フランスが五三・九、スウェーデンが七〇・八で日本の約倍と、こういうようなことでございますから、こういうような点から考えましても、決して私といたしましては日本の負担が高いと思いません。アメリカよりも三%これは少ないし、イギリスよりも一二%少ないし、ドイツよりも一六%ぐらい少ない、フランスよりもやはり二〇%近く少ないということでございます。 なお、国民総生産に対する政府最終支出の割合というものは、日本が一九七八年で九・九、約一〇%、フランスが一四・七、西ドイツが一九・八、イギリスが二〇、アメリカが一八ということでございますから、これを見ましても国民総生産の中に占める政府の最終消費支出というようなものは、ほかの国よりも五割あるいは半分程度というようなことであります。取るものを取っていないのだから出る方も少ないということになるわけであります。
○嶋崎均君 ただいまの最後の数字についてはどうも私の持っている数字と違うようでございますけれども、考え方としましては、日本がよその国と比べて非常に低い数字になっていることは事実であるわけだと思います。その数字については後からもう一遍御検討を願いたいと思う次第でございます。 しかし、いずれにしましても、そういうぐあいに租税負担率なりあるいは保険を含めての負担率というのは諸外国より低い。それから国民総生産に占める財政のウエートというようなものもそう高くない。にもかかわらず、なお行財政改革の道の方を選択をされた理由というのを総理から承りたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) いま嶋崎さんの御質問に答えて大蔵大臣から諸外国との比較について御説明を申し上げました。大蔵大臣の説明のとおり、租税負担率にいたしましても、あるいは各種社会保険の保険料の負担でありますとかいろいろの分野を見てまいりましても、確かに日本は相対的に負担は低いということが言えると思うわけでございます。そこで一部の方には、そういう租税負担率等が低いのだから、もう少し国民の皆さんに御負担を願ったらどうかという御意見があることも私、耳にいたしておるところでございます。しかし、五十六年度予算編成に当たりましては、五十九年までに特例公債からの脱却を図ろうという基本方針を立てまして、二兆円の特例公債の減額を行いました。その際に、四・三%という昭和三十一年以来の低い伸び率に抑えた、これは超緊縮予算でございます。しかし、それでもなおかつ法人税、酒税その他一兆四千億の増税をお願いをいたしましてこれを行ったわけでございます。 さて、五十七年度をどうするかという問題につきましては、私は、毎年増税などということを国民の皆さんにお願いするわけにはいかない、五十七年度はこれは増税のない財政再建をひとつやろう、そういう立場で予算編成もやろうということで、ゼロシーリングというかつてない手法を採用することにいたしたわけでございます。と同時に、臨調に対しましても、五十八年度予算編成に向けて緊急に措置すべき事項について中間的に御答申をいただきたいということをお願いをいたしまして、第一次答申がなされたわけでございます。私どもはそれを最大限に尊重いたしまして、現在御審議を願っております臨時特例法一括法案を御審議をいただいておる、こういう次第でございます。 私は、増税によって財源もふやしていくということが、とかくまた放漫財政と申しますか、行財政の肥大化を誘発するような懸念も一方においてございます。むしろこの際は、過去における高度経済成長時代に拡大してきた、肥大してきた、あるいはそれが惰性的にいま運営をされておる行財政、これを思い切った見直しをやる。そして簡素で効率的な、そしてむだのない行財政をここで打ち立てよう、再建しよう、再構築しよう、こういうことを私どもは将来のために必要である、こう考えまして現在行っておるような次第でございます。 行政改革、財政の再建、私はこれは表裏一体のものである、このように認識をいたしておりまして、将来のために財政再建だけでなしに行政についてもむだを省いていく、効率化を図っていくということが必要である。これは納税者である国民の皆さんの立場に立ては当然そういうことをすることが政府の責任であると、このように考えるものでございます。
○嶋崎均君 いまお話がありましたように、いま申し上げたような資料から見ますと、日本の国民の負担をしておる租税負担率なりあるいは財政の重さというものは、諸外国より低いわけでございます。しかし、そういう中で、過去十年間に財政施策の充実というものは非常に高度に進んで、重い負担になってきているということは現実だろうというふうに思っております。私たちも政治家として、税金はできるだけ安い方がいいという点についてはもう何の異論もないわけでございますけれども、そういうことを前提にしながらなおかつ行政改革を進めていく、行財政の改革を進めていくということになりますと、中身は実はなかなか予算の編成あるいは財政の運用、これからの政府の中身に総論はともかく各論はというようなところに非常に問題が大きく生じてくるのではないかということを心配をしておるわけでございます。 そこで、まず大蔵大臣に対して、今後の五十六年度の予算の運用を考えてみましても、ことしは災害が非常に多かったとか、あるいは毎年毎年追加的な補正要因というのがあることも、私も現実よく承知をしておるわけでございます。また、人事院勧告その他の扱いというような問題もあるわけでございます。そういうことになると、なかなかこの運用も大変だなあという感じを持つわけでございます。五十七年度はそれらの延長線上でいまどうやらゼロシーリングもできた、そして予算要求も落ちついておるというふうに一般的には受け取られておるようでございますけれども、しかし考えてみますと、当然人事院勧告の後の問題が出てくるということに尽きないで、そのほかでも国際的な負担の増加その他のいろんな増加要因があるというふうに思うのでございます。 そこで、五十六年度の予算運用及び五十七年度の予算の編成、その問題、非常に深刻だと思うのでございます。とりわけことしは増税なしでやるわけでございますから、これはもう行政管理庁、大蔵省を中心に努力するだけでとても答えが出る性格のものじゃない。ここにおいての各大臣の本当に総力を挙げての努力がなければ、私は予算編成というのはできないのじゃないかというふうに思うんです。そういう観点から、五十六年度の予算運営及び五十七年度の予算編成についてのお考えを承りたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) まことにごもっともな話でございます。 一つは五十六年度の問題でございますが、悩みがございまして、それは税収の問題でございます。どうも税収の伸びが思わしくない。八月末、九月末というようなものの進捗率をとってみても、二・八とか二・九とか予定よりもマイナスになる。このような調子でもし進むとすれば、あるいは税収で数千億円の見込み違いが出てくるのじゃないかという心配も一方にございます。しかしながら、まだ何といっても九月決算という法人の決算が出ておりませんから、そこに望みを私はかけておるわけでございまして、これがどうなるか。ここらの見通し、半年分の見通しがわかるのは十二月の半ばということになるでしょう。ですから、そういう点で決して楽観を許さない。そこへもってきて、ことしは台風が大変多かった年でございまして、被害総額が一兆円ぐらいになるのじゃないか。当然、そのうちのかなりの部分について国は災害復旧等の費用を負担しなければならない。これは何をさておいてもやらなければならない問題であると、こう考えております。 よく、いまお話があったように、ゼロシーリング予算の要求があって、各省庁とも予算要求はもう前年並みで思いとどまったんだ、だからもうこれができれば予算は終わったのじゃないか、もう一つは、ゼロシーリングをつくって、それをやりやすくするために今度三十数本の法案を一括して国会に出して、これが承認されれば法律事項である補助率の削減、法律で決まっている補助金についても削減がある程度できる、したがって行革国会が終わってゼロシーリングが終われば、来年度の予算編成はもう半分以上、七割ぐらい終わったと同じじゃないかと言う人がございます。これは大きな見当違いじゃないかと私は考えるわけでございます。 なぜならば、一つは、いま人事院の勧告問題というのが出ておりますが、これは先ほどの御質問にもあったように、どう処理するかということは税収の問題等と絡んで五十六年度においても決められておりません。しかし、五十七年度についても影響のないように人事院勧告はゼロだと、こういうことは不可能に近い話でございまして、かなりの影響力がある。仮に一月実施というようなことをしたとしても、これは五十七年度ではまるまるはね返るわけですから、四千億円からの財源をどうするんだ。概算要求の中にはその財源はありません。また、台風の関係がございます。二千数百億円は五十七年にどうしても見なければならぬ。これも概算要求にはのっておりません。あるいはこの概算要求を出す段階では、たとえば厚生省と自治省、あるいは大蔵省と他の省庁との間で話のついていないものがございまして、話がついていないのだが、話がつくことを前提にして概算要求ができておりますから、そうすると、そこでやっぱり数千億円という開きが出てくる。つけなければその金をどこかで何とかしなければならぬ。一体どうするのか。ゼロシーリングの中にはめ込むとすれば、現在の概算要求のどこかの事業や何かをやめてしまって、そこへ入れて差し込むということが一つ。 もう一つは、来年の税収の見通してございます。来年の税収の見通しが、ことしの土台がどうなるのか、五十六年度が思ったよりも低いということになれば、その低い土台の上で伸ばすわけですから、中期展望の税収とは違いが出てくる危険性があるというようなこと等もございますので、とても楽観は許さない。一方、増税はやらない、一兆八千億円程度のものはぜひ国債発行を減額したいということになりますと、さらにこれから年末の予算編成にかけては激しいやりとりと。また、そのような財政事情を各省庁の方々及び国民には御理解いただかないと、なかなか五十七年度予算が組めないというような状態になりかねない。 大変私は心配しておるところであって、何が何でも、ここでともかく時世が変わったわけですから、いままでと同じような考えのもとに補助金をいただくというようなことではとうていこれはやっていけないことでございますので、われわれとしては極力財政の実態を国民の前に明らかにすると同時に、やはり負担が多くない以上は、限られた財源の中で効率的に予算というものは組ましていただくんだということの深い御理解を国民にいただかなければならぬと、かように考えております。
○嶋崎均君 ただいまの説明にありましたように、私は、いままでいろいろの人の行財政問題について考えておられるものよりも、もっともっと深刻な事態が実は予算編成を迎えて来るのだろうというふうに思います。今度の法案の改正で浮いてくる金というのは二千五百億程度でありましょうけれども、今後予算の編成の中で、ゼロシーリングを基準にして相当の努力はされておりますけれども、さらにそれ以上の苦労が要る時期というものが来るような気持ちがするわけでございます。五十七年度のその先もということを考えれば、まあ心配に限りはないわけでございますが、本日は時間の関係もありまして、それらのことについては、いよいよ大変な時期を迎えますので、臨時行政調査会を初め政府が一体になってこの危機をどうして切り抜けるのかということについて真剣な御検討、御努力を期待をしまして、次の問題に移りたいと思うのでございます。 こういう議論をしますと、地方行政につきましては、公債費なり地方行政への三二%の交付税というようなものについては、当然先取りをされていくというような感覚で受け取られるわけでございます。しかし、御承知のように、所得税、法人税及び税率改定等が行われている酒税というようなものを背景にしていまの日本の租税体系を考えますと、国が予定しているような一一・七%といったような、何というか、中期計画の予想ほど伸びないかもしれませんけれども、しかし相当額の増収がそれらの部面について出てくるということは、どうもほぼ確実ではないかというふうに私たちは思うのでございます。 中央、地方の財政というのは、どちらかというと財政運営の車の両輪であるわけでございまして、その中で中央の財政は非常に厳しい姿の運用を行おうとしておるわけでございます。ところが、地方からいろいろ上がってきている文書等を見ますと、いろいろ権限がどちらかというと中央に集中しておる現状を改めて、地方分権の線に沿って行政を拡充しなければならぬというようなことがいろいろ書いてあって、そういうことが十分検討されなければならぬ、ついては、そういうことを検討するについては地方の財源をもっとよくめんどう見てくれというような文章がついた陳情書を、私たちはしょっちゅう見せていただくわけでございます。やはりそういう状態では非常に問題がある。また、現に第一次答申の中でも地方行政について非常に厳しい評釈があるわけでございます。また御注文があるわけでございます。 私たちも地方財政の状況を見ますと、いろいろな問題点があることはもうずいぶん議論をされておりますから、余り長い論議はいたしません。しかし、どうも税収が相当伸びそうだ。従来の公債を多く発行したところのしりの整理というようなものが特会の中で必要でありましょうけれども、これから重要な地方の施策の推進ということには気を配っていかなければならないと思いますが、中央がそういう財政状態にあるということ、そういうことを考えてみますと、五十年以前はほとんど年度間調整その他によって国と地方との財政バランスというものが保たれてきたわけでございます。また、五十四年をピークにしまして、当時は四兆円ぐらい財政対策が必要であったわけですが、それが一年経過するごとに二兆円になり一兆円になって今日まで来ておる。そういう事態を考えますと、地方行政のあり方というようなことについて十分検討をして行財政改革を進めていかなければならないというふうに私は思うのでございます。この点について自治大臣の御見解をお受けしたいと思います。
○国務大臣(安孫子藤吉君) お尋ねのとおり、国の行政と地方行政というものは車の両輪でございまして、両々相携えて、そうして国全体の発展を図っていかなければならぬ大切で重要な問題だと、こう思っております。 それで、地方におきましても、やはりどうしてもここは本当に締まってやっていかなければならぬという気分は相当出ております。そしてまた、これを現実に実行しておる団体も数多くございます。そういう気分になっておりますが、いまお尋ねの一つの点は、どうも陳情書を見ると、仕事は渡せ、金もつけろというのじゃちょっとおかしいじゃないか、こういう一つのお尋ねでございましたが、この点は、やはり地方住民の身近な問題というものはある程度包括的に地方に任せた方がいいじゃないか。しかし、それも手ぶらでやれということはできない相談でございまして、相当財源の再配分ということも考えなければいかぬのじゃないか。これは両々相まちまして、そうした地方行政というものの充実、活発な運用ができるものだろうと、こう思っておるわけでございます。 そこで、ついででございますが、地方財政の状況につきましては嶋崎さんも御理解をいただいておるわけでございまするけれども、現在四十兆円の借入金を持っているのは御承知のとおりでございます。これの償還期が迫っております。この償還は、建設公債と違いまして十年ないし二十年の償還でございますから、公債費が非常に激増する傾向にございます。現在、私どもは地方財政におきまして一般財源に対するところの公債費の比率一五%というものが警戒ラインだと、こう考えておりますが、それを突破している団体が大体二〇%ぐらいになっております。これはだんだんとふえていくだろうと思います。そういう点におきまして、地方財政におきましても大変問題はある。 それから、ついででございまするが、交付税の問題につきましても、来年は交付税が相当伸びるからという比較論をされておるわけでございまするが、ことしの交付税は八兆八百億円でございます。実際、私ども比較いたします場合に、ことしはどういう措置を講じたかと申しますと、八兆八百億円ではどうしてもこれは需要に応じ切れないということでございまして、借入金その他をいたしまして八兆七千億でもって交付税の配分をいたしておるわけでございます。したがって、来年の税収に関する三二%比較する場合におきましては、八兆八百億円に対する比較じゃなくて、八兆七千億に対する比較というものもひとつ十分に考慮に入れてもらうべきじゃなかろうかという考えもいたしておるわけでございます。とにかく、地方団体におきましても真剣になって行財政に関する最大の努力をするように私どもは鞭撻をいたすつもりでございます。 ただ、一点申し上げますることは、国の機関はどちらかと申しますと企画的要素が多いわけでございます。地方団体の場合には、言うまでもございませんが、現場的色彩が非常に強い。それは教職員の問題、警察の問題、消防の問題、それから福祉施設の問題あるいは救急業務、清掃業務、そうした現場的な関係が非常に多うございまするので、人件費の割合はどうしても国の場合と同様にはいかない、こういうような点についても地方行政に対するところの御理解をいただかなければならぬだろう、こう考えておるところでございます。一生懸命、地方団体につきましても私は督励をしていきたいと思っております。
○嶋崎均君 時間が切迫をしてきましたので少しはしょりながら申し上げたいと思うんですが、私も過去の経験から見まして、予算がうまく動くか動かないかというのは、地方行政のベースで話がうまくセットされるかどうかということによってスタートが切られるというのが従来の例であったように思うのでございます。最近の経済情勢の変化、特に地方の収入のバランス、国との権衡というようなことを考えられまして、十二分にひとつ財政対策を考えていただくとともに、地方の施策の充実のために一層の御努力をお願い申し上げたいと思う次第でございます。 そこで、そういうことを総覧してみますと、いま本当に日本の財政というのは大変な状況であった。そして、この十年間ぐらいの間に中央の財政というものは非常にすばらしい成長を遂げてきたというような感じがするわけでございます。例で申し上げましても、もう本当に社会保障の状態というようなものは、私最初に政治家に転向した昭和四十六年で老齢福祉年金が二千三百円だったと思うんです。それがもう二万四千円になったというようなことでも、また年金の改定等もどんどん行われてきているという現実もあります。また、文教問題についてもきょうは少し資料を準備したわけでございますけれども、本当に私学に対する振興あるいは学級の整備というようなものがどんどん進んできているという現実があるわけでございます。科学技術とかエネルギー対策というようなものについても、新しい税目もつくって本当に拡充をした姿になっておるということは、たとえば石油ショック前の数字と今日までの数字を比較してごらんになれば一目瞭然であるわけでございます。 また、公共事業につきましても、御承知のように民間経済の落ち込みを埋めるために大変な努力をしてきた。そして、固定資産に割かれる割合というのはGNPに対して六・三%、世界のどこの国に比べても、四%を超える国はないという状態の中でそういう姿を守ってきておるわけでございます。環境その他の対策も進められておる。そういうことで、非常に過去の財政施策というものはこの十年間本当に飛躍的に増大をしてきている。そのことが反面、租税の負担率は五・四%ぐらいしか上がってない。しかし、その間に財政支出につきましては重さが一二・二%上がっておるというようなことからも見られますように、その不均衝が赤字になっておるんだというふうに思うんです。 そこで、お聞きしたいのは、そういう状態になってきてみますと、十年前の、たとえば一九七〇年、四十五年の租税負担率が現在どういうぐあいになってきているか、また保険料を含めてどういうぐあいになってきているか、さらにまた財政のウエートというのはGNPの中にどれだけの大きさを占めるようになってきたかというようなことは、ぜひ検討をしなければならない事柄でないかというふうに思うんです。時間もありませんから、この点につきまして大蔵省の方からお答えを願いたいと思います。
○政府委員(福田幸弘君) お答えいたします。 四十五年度と五十六年度を比較しますと、租税及び社会保障の負担率、これは対国民所得比でありますが、四十五年度租税負担率一八・九、これが五十六年度二四・二ということで五・三ポイント上がっています。社会保障負担率は五・四が一〇・一ということで四・七、合わせまして二四・三が三四・三ということで一〇・〇ポイント上昇しております。一方、GNPに占めます財政、これは政府の総支出でございますが、その比率は四十五年度の一九・五が五十四年度、これは一番近い実績の計数でございますが、これが三一・七ということで、一二・二ポイント増加しておるという状況であります。
○嶋崎均君 いまお話をお聞きになっておわかりになりますように、租税負担率は、昭和四十五年のときには一八・九%であったのが二四・二%、五・三%高まっておる。それから社会保険料の保険料を含めたところで見ますと、先ほどお話がありましたように二四・三%というのが三四・三%という数字に相なっておるわけでございます。これは諸外国と比べても私は相当低い水準であるということは、先ほどの説明からも皆さん方も御理解いただけておるというところだろうと思うのでございます。しかし一方、国民総生産に占める財政のウエートというのも非常に高く上がって、一二・二%も伸びておるというような状況になっておるんです。 いま現在の水準を考えまして、過去十年間伸びた部分がもし将来に同じように伸びるというようなことを考えますと、実はその数字というのは大変なことになるのではないかというふうに思うのでございます。たとえば保険料を含めたところでは一〇%上がっておりまして、現在の水準が三四・三%でありますから、従来と同じ傾向で伸びたとすれば何と四四・三%というのが将来十年の数字になるわけでございます。そんなことはないと思いますけれども、そういうことになるわけでございます。また、財政のウエートにしましても、一二・二%ふえて、いま昭和五十四年で三一・七%でありますから、それをそのままはね返して考えますと四三・九%というような驚くべき数字が出るわけでございます。そうなりますと、西欧先進国のいまの負担の状況とほぼ近いもの、あるいはそれをわずかに下回るというような姿に相なるわけでございます。 そこまで考えてみますと、この十年間本当に財政施策というものは十分に行き届いてきておるように私は思うんです。そして、いま本当に財政は大変な危機的な状態を迎えておるというのが現実の姿だろうと思うんです。ここでやはり行財政再建というものはどうしてもやらなければならぬというような事態に立ち至っているということが十分認識されるわけでございます。しかし将来この財政の増加を来すような要因が余りないというのなら私はそう問題はないと思うんですが、一体そういう状況であるかどうかということについて、私は非常に問題が多いところであるというふうに思っておるわけでございます。 御承知のように、日本の国というのは面積の大きさから言うと世界の〇・二五%の面積しかないんです。その面積の上に二・五%の人間が住まいしているわけでございます。しかも日本は七割は山地である、耕地面積になるのは面積の一五%であると言われておるわけでございます。そういう状況の国であります。しかも、その日本が全世界の総生産の一割を生産をしておるという国柄になっておるわけでございます。 非常に象徴的に数字を並べ立てて恐縮でございますが、そういうような状態に、なってきたときに、本当に将来この日本、財政の支出を求められるような要因がないかどうかということを考えてみますと、私は相当あるのではないかと思わざるを得ないのでございます。すなわち、いまのような状態にあるときに、アメリカの核のかさの中で日本の防衛費は一%で結構ですと、いつまでも長期的にそういう姿が貫けるのか、そういうことが本当に言い切れるのだろうか、私は非常に多くの問題をそこに抱えておるのではないかと思うのでございます。また仮に、日本の国柄としまして自衛隊の方は防衛だけでございますから、どんどん外国に出兵することがありませんから、それは諸外国にあるように三%なり六%というような負担はあるいはないかもしれません。 しかし、そうなると、全世界の一割の国民総生産を持っている国が、海外の援助であるとかあるいは国際的ないろんな活動について責任を持つというようなことを避けて通ることができるだろうか。いまの経済援助についてもある程度の要望が出ているということは事実でありますし、日本も倍増をしようというようなことを言っておるというような状況になっておるわけでございます。この自由な経済体制を維持しなければ、日本は外国からどんどん物を輸入してくるわけでございます。そして、それを加工して輸出をするわけでございます。そういうなりわいを立てていこうというならば、当然世界が自由主義の経済体制の中におらなければならないと思うのでございます。 私は石川県の生まれでございますけれども、石川県、裏日本を開発しなければならぬと、言葉は適当であるかどうか、そういう努力を従来してきておりますけれども、相手側は全部閉鎖的な経済をやっておられる国柄でございます。伸びる経済も伸びられない、そういうのが私は実態だと思います。そういうことを考えますと、やっぱり自由な経済体制を守り抜いていく必要がどうしてもあるというふうに思うのでございます。 そういうことを考えますと、今後わが国の安全保障あるいは外交上のいろんな諸施策、あるいは経済協力の拡大、そういうようなことを考えて、どうしてもある程度の経費増というものは避けられないのではないだろうかと私は思うのでございます。仮に、わが国がもしそういうことを怠るというようなことになれば、日本は島国でございますからそういうことにそうぎすぎすした感じを一般の人は持たれないかもしれませんけれども、外国の人から大変な批判というものが出てくるのではないかと私は思うのでございます。そういう点について外務大臣、どういうようにお考えですか、お答えを願いたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 日本の置かれた環境及び諸外国との関係から考えればまさに御指摘のとおりでありまして、日本の平和と繁栄は、他国の、世界各国の各地域の平和と繁栄の中に初めてある、こういうことでございます。したがいまして、憲法その他によって軍事的援助はある限定があります。そのために、日本はできるだけの経済的貢献をすると総理はしばしば言っておられますが、経済貢献、技術経済協力、こういう面でさらに飛躍的な努力をしなければならぬと考えております。 御承知のとおり、今日まで日本は、財政上つらい中ではありますが、経済協力だけは逐次増加をしておりまして、七〇年から八〇年まで、この十年間には四億五千八百万ドルから三十三億四百万ドルと大幅に伸びております。ただ、額は伸びておりますが、GNPの比率になると世界の平均の〇・七%にはまだまだ追いつかぬところでありますが、こういう点もうんと思い切って努力をしなければ、いまおっしゃったような懸念を他国から持たれる、この点は十分注意しなけばれならぬと考えておるところでございます。
○嶋崎均君 また、先ほど総理からもお話がありましたけれども、日本は大変長寿国になってきておるわけでございます。いま日本は若者が非常に多い社会でございます。仮に最近の数字を見ましても、六十五歳以上の人の比率というものを諸外国と比べてみましても、日本は八・七%でありますのに、西欧の先進国の場合には大体一四%、一五%というような状態になっているというのが現実であるわけでございます。そういう中で、私は大変長生きになったということは非常に結構なことでありますけれども、しかし長生きすればするほどある程度病気にかかるということは避けられないことであるというふうに思います。また、ある程度老後の安定のための社会保険の充実というようなことがどうしても期待をされるというようなことに相なっていくのだろうというふうに思っております。 そういうことを考えますと、今後社会保障制度の充実ということは避けて通れない現実になり、そしてまた、制度を変えなくても相当の負担が急速化した老齢化の進展に伴いまして必要になってくるのではないかというふうに思います。この点について厚生大臣の御意見を聞かしていただきたいと思います。
○国務大臣(村山達雄君) いま嶋崎委員が御指摘になりました老齢化の社会をこれから迎えるわけでございます。老齢指標で言いますと、五十六年の推計でございますが、六十五歳以上の人口比九・三%でございますが、七十五年にはこれが一四・三%になってまいります。そうなりますと、当然のことながら、現在社会保障費の中で占めております医療費の問題、それから年金の問題、それからその他一般の福祉の問題、これがどうなるかということが非常に大きな関心事になるわけでございます。私たちは何よりも長生きするということは結構なことでございますが、健康で長生きしてもらいたい、そのことがやはり老人の幸せであり、また家庭の幸せに通じ、ひいてはやはり医療費の長期的に見て節減につながると思っておるのでございます。今国会で御審議願っております老人保健法、実はその点に眼目を置いてやっておるわけでございまして、これによりまして長期的に見て医療費の節減を図ってまいりたいと思っております。 年金の問題でございますが、おっしゃるように、これだけになりますと恐らく各年金の成熟度でございますが、五十四年度では一三・四でございますが、公的年金の成熟度は七十五年では二八・三ぐらいになると思います。そうなりますと、この年金財政を一体長期的にいかに安定させていくか、これが大きな問題になるわけでございまして、臨調でもその点に触れまして、長期的な観点から年齢の引き上げあるいは保険料の引き上げ、国庫負担はどうなるか、こういった問題を真剣に検討するように、こういう指摘がなされておるのでございまして、私たちもこれをひとつ長期的の問題として真剣に取り組みたいと思っておるのでございます。 そうしてまた、その他の福祉の問題は、どちらかと申しますと、いままで施設福祉に重点が置かれておりました。大体見ておりますと、これから在宅福祉と施設福祉の連携の問題、特に在宅福祉をいかに推進していくか、そのことはやはりまた福祉費にかかる費用の節減にもつながってまいりましょうし、また老人の幸せにもつながってくる。いずれにいたしましても、これから一番の、世界一の長寿国になるに当たりまして、われわれは日本国民の幸せと、それから費用の効率的使用、この問題に真剣に取り組んでまいりたい、かように思っておるところでございます。
○嶋崎均君 そのほかにもいろいろとお聞きしたいことが多いわけでございます。特に、御承知のように非常に最近石油が余裕が出てきたというようなことを言われておりますけれども、長期に日本のエネルギーの対策をどういうぐあいに確保していくか。また今日まで、戦後そうでありましたように、新しい技術をどんどん導入をして、それに加工をして、それを売り出すということで、こういう小さな島国に多くの人間がある程度高い所得水準を得ながら生活ができておるというわけでございます。そういうことになりますと、そういう今後の技術の開発あるいはエネルギー、代替エネルギーの確保、そういうことについては、どうしても避けて通れない財政負担というものが必要になってくるのではないだろうかというふうに思うのでございます。この点について科学技術庁長官の御意見を伺いたい。
○国務大臣(中川一郎君) 戦後、廃墟と化した日本が今日の世界にうらやまれるほどの繁栄を見たというのには幾つかの理由があろうかと思いますが、私から見るならば、技術革新というものが世界に冠たるものであったということを忘れてはならないと思います。これからの時代を考えますと、いよいよ資源有限時代でございまして、科学技術の一層の発展が必要である。こういうことから、ことしから科学技術立国元年として科学技術振興調整費の創設あるいは創造科学の推進、あるいは国費の投入、一般歳出が四・三%であるのに対してことしは九%国費も伸ばしていただきました。中でも代替エネルギーの開発ということは非常に大事なことでございまして、石油が有限である、あるいはオイルショックその他から見ても、当面からも大変であり、将来考えるならば避けて通れない。こういうことから、昭和五十三年に決めましたエネルギー研究開発基本計画に基づいて鋭意進めてまいりますが、中でも代替エネルギーとしての原子力発電というものは、経済性から言ってもあるいは量から言っても避けて通れない大事な問題でありまして、いささかの反論もありますけれども、政府としては責任を持ってこの問題に対処していきたい、こう思って取り組んでおるところでございます。
○嶋崎均君 いままでいろいろお聞きしましたけれども、私はそれに加えて、日本の中である資源というのはやっぱり人間だと思うんです。非常に勤勉で、そして仕事に本当にまじめに取り組む人間の開発というものを通して、日本がこういう社会を維持していけるかどうかというものが確保されるのだというふうに思います。しかし、時間的に追い詰められておりますので、整理をしてみますと、いまの財政の状態というのは本当に厳しい状態にある。そういう中でこれから今年度の財政運営、来年度の予算編成、さらにそれから後への行財政対策というものが進められていく。しかも非常に相対的に低い租税負担率等の中でそれが進められていくというのが現実であろうと思うんです。 いままでの十年間を振り返ってみまして、その間非常に財政の施策もよくなってきました。しかし、いまそういう施策というものを十分に踏み締めて、そういう中でいま御指摘にありましたように将来の日本に要望されるというようないろんな経済協力を、あるいは老齢化社会を迎えての問題、あるいはエネルギー技術対策、そういうような問題を評価をして、しかも国がなりわいを立てていけるような、そういう行政改革を進めなければいけないというのが私の受けた感じでございます。 そこでいま諸外国の例を見ますと、もうかなりアメリカとかイギリス等の問題については触れられておりますけれども、西ドイツの最近の情報なんかを入手してみますと、予算についても非常に思い切った削減策をやっております。それから赤字を縮減するために大変な苦労をしております。失業手当あるいは失業保険料といったようなものについて値上げもしくは延期等の措置を講じております。児童手当についても同じような対策を考えておるようでございます。公務員関連の諸経費につきましても、できるかどうかはよくわかりませんが、俸給一%カットとか、公務員の一%削減というようなことまで議論をされております。間接税の増税もうたわれております。極端な話は、青年家庭保健省だとかあるいは社会保険省などの予算についてはマイナスを立てておるというような厳しい状態でスタグフレーションに立ち向かおうというような状態を迎えておるわけでございます。そういうことを考えてみますと、いまこそ長期に向かって日本が行財政推進の道を歩まなければならない、そういう時期を迎えておるというふうに思うのでございます。 もう時間が切迫をしておりますので、行政管理庁長官にこれからの行財政の推進をどういうような形で進めていくかというようなことについて、御決意を承りたいと思う次第でございます。
○国務大臣(中曽根康弘君) ちょうど一年前でございますが、昨年の臨時国会でいまの臨時行政調査会法案の御審議をお願いいたしました。そのときには、財政問題というものはそれほど浮上はしておらなかったのであります。臨時行政調査会法案を御審議願いましたときには、もちろん財政もありましたけれども、やはり長期的観点から日本の行政制度をどうするかということが基本で御審議もいただいたのでございます。それにはそれの理由がございまして、過去三十年間の日本の行政機構の肥大化、あるいは国民の待望しているあり得べき行政の姿等々に対する改革のメスを入れようという気迫で実はあの法案を通していただいたわけです。 しかるところ、年末になりまして財政再建ということが急務として浮上してまいりまして、そういう観点からも七月に緊急答申をいただこうという方に移ってまいりました。それから国債問題がそのころから非常に叫ばれてまいりました。私は、日本の経済政策というものは外国から非常に成功したと言われておりますが、日本人自体としては、それはまだかりそめの成功であって、喜ぶ、人からまねられるというような程度のものには至っていない。勝負はこれからにある。石油危機に際しまして外国は大体増税でこれを切り抜けたわけですが、英米あるいはヨーロッパの国はそうですが、増税でやった国は失業とか高金利とか、あるいはスタグフレーションに悩んでおります。しかし、日本は国民性等々から見ましても貯蓄率がよくて、公債政策に走ったわけでありますが、ここでかなりうまくいってきた。 そこで外国から見てきているわけですが、八十二兆というこの膨大な公債というものについては、まだ外国は余り注目はしていないのではないかと思います。この八十二兆の膨大な公債のおかげで実は失業もそれほど出ず、また不景気もそれほど深化せず、ようやくこういうふうに切り抜けてきつつあるわけであります。この八十二兆の公債の処理をうまくやったときに日本の財政政策や経済政策は成功したと言われるので、まさにこれからかなえの軽重が問われる段階に来ておる。そういう意味で、行政改革について財政改革という問題がここに浮上してまいってきているわけであります。われわれは両々相まってこの問題を片づけなければならぬというところでございますが、やはりこの公債のおかげでわれわれは今日のある程度の繁栄を享受しておる。しかし、この公債の始末をするというところに現代のわれわれの最大の責任があって、それが日本の経済政策の功罪を分かつ大事な指標にいまなってきているということも、国民の皆様や外国に対しても知っていただく必要がある、そう思うのです。 そういう意味から、この行政改革あるいは行財政改革というものの財政面が非常に重大化してきておるのでありまして、来年度予算の編成あるいはその以後の問題につきましても、われわれはこれからまさに乾坤一てきの勝負を行政改革を通じてやらなければなりませんし、また引き締めて財政改革に取り組んでいかなければならぬ関頭にいま立っておる、そういう考えであります。そういうような背景をもちまして、この行政改革というものも、財政改革の基本になる大事なベースといたしましてもぜひとも断行していかなければなりません。それには国民の皆様方の御協力、御支援がなければ絶対これはできないのでございまして、そういう点に対する国民の皆さんに対する啓蒙あるいはコンセンサスをつくるという点について、さらにわれわれは努力していかなければならぬ、そのように考えております。
○嶋崎均君 総理からも最後の御決意を承りたいと思いましたけれども、私の持ち時間が御答弁中切れましたので、大いに今後の行財政改革、本当に身命を賭して御努力の総理の御健闘をお祈りして、終わりにいたしたいと思います。
○委員長(玉置和郎君) 中野明君。
○中野明君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま提案になっております行革特例法案並びに行政改革全般について御質問をいたしたいと思います。 けさほど来総理は断片的にこの行政改革の全貌といいますか、総理のお考え方を述べておられましたが、この問題につきましては、衆議院、参議院予算委員会初め種々論議されてきておりますが、全体像としてまだ国民の皆さん方にはっきりとこういう形で行政改革をされるのだということが認識が薄いのじゃないかと、そう思います。私どもは行政改革はぜひやらなければいかぬ、このような立場に立ってこの特例法案も審議をいたしております。その点につきまして、まず最初に総理の行政改革に対する決意と、そして全体像といいますか、こことこことをやらなければ行政改革にならないのだということをはっきり述べていただきたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、行財政改革をこれから国民的課題として推進してまいりますに当たりまして、まず納税者である国民の立場に立ちまして、国民の皆さんはどのようなことをこの行財政改革に期待をしておられるのかと、そういうことを常に念頭に置いていろいろ自分の考えをまとめておるわけでございます。国民の皆さんは恐らく負担はこれ以上重くしてもらっては困る、そしてせっかく納めた財源というものは、税の場合でもそうでございますし、あるいは保険料等の場合もそうでございましょうが、これをむだのないように効率的に、そして真に国民の幸せにつながるように。使ってほしい、こういうことをお考えになっていらっしゃるだろう。そういう国民の願い、それにこたえるのが私はこれからの行財政改革の基本であり出発点であると、このように考えておるわけでございます。 いろいろこれをやりますためには、今日まで高度経済成長下において拡大をし、あるいは極端に言うと肥大化してまいりましたところの行財政の分野に全般にわたりまして思い切った縮減合理化を図っていく、そして効率的な行政をここに確立をするということ。財政につきましても、先ほど来政府からも答弁申し上げておるように、八十二兆円というような大きな公債残高をしょっておるわけでございます。これを早く縮減いたしまして、そして新しい時代に対応できるような政策を展開できるそういう財政の健全性を回復する、対応力を持つということが必要であろうと、こう思うわけでございます。そういう意味で、行政の改革と財政の再建はまさに表裏一体のものと私はとらえまして行財政改革に最善を尽くしていこうと、このように考えておるところでございます。 しからば、それを達成して一体どういう将来の日本というものを構想しておるのかということがしばしば御質問がございます。私は、究極において、それは日本憲法の精神である平和主義、民主主義、基本的人権の尊重、これができたところの日本国というものを建設をする、これが目標でなければならないと、このように考えるものでございます。
○中野明君 総理もただいま述べられましたように、この行政改革というものはいま、時に当たって非常に重要な問題になってまいりましたが、過去からこの行政改革というのはかけ声があってもなかなか実現しなかった、そういう事例もあるわけであります。ところが、今回のこの法案を私見せていただきましても、どうも政府がこの行政改革に対して臨調待ちといいますか、そういう御答弁が非常に多く感じられます。 一体、行政改革というのはだれがやるのかと。私は、行政改革ですから行政府が責任を持ってやる、これは当然のことだろうと思います。そうである以上は、この臨調の答申もさることながら、政府みずからの発想といいますか、それてどうしても行政改革はこうやるのだというものが来年の予算の編成に当たっても出てくるべきじゃないだろうか、このように思うわけです。 非常に及び腰じゃないだろうかという感じがいたしまして、この法案を見ましても、御承知のように、中曽根長官あれをされましたが、第一条の目的の中にわざわざ「臨時行政調査会の答申の趣旨にのっとり」、このように明記されております。私は法律をずいぶん調べてみました。だけれども見当たりません、こういう法律は。内閣が責任を持って出されている法律の中にわざわざ臨調の答申の趣旨にのっとりと、こういうことを法文の中に書き入れられるということは、これは臨調が言うたのですよと、私たちはそれを尊重してやっているんですからというそういう逃げ口上に使うのじゃないだろうかという心配がどうしてものきません。 そういうことを考えて答弁を聞いていると、肝心のところへきたら臨調の答申をお待ちしましてそれからと、こういう言い方が多いわけです。この点、何の理由でいままで法律形態の中にない——大事な法律というのは必ず諮問したりなんかして出てくるわけですけれども、こういうことは書いておりません。なぜここへ臨調の答申ということをわざわざ入れられたのか、お答えいただきたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) それは、臨調というものを非常に重視しておると同時に、臨調の答申については政府は全面的に尊重してこれを断行するというそういう決意がそこにあらわれているものとお考えいただいて結構であると思っております。この臨調の委員につきましては国会の御承認もいただいておりますし、法律におきましてもその答申は尊重すると明記しております。その上に今日の国民的課題として国民が行革を待望する声は非常に熾烈であります。 したがいまして、この行革につきましては、情勢によっては公務員制度であるとか、あるいは中央省庁の統廃合であるとか、あるいは地方出先機関の整理であるとか、公務員制度の大改革であるとか、ともかくいままでではなかなか手をつけられなかったような重大問題まで今回は手をつけようということにしてきているわけです。 その際に、労使問題とか、あるいは中央省庁の問題とか、官僚制度、公務員制度というような問題につきましては、一党一派に偏しない国民的観点からの御判断を仰ぎたいと、そしてその御判断を得て政府はこれを勇猛果敢に断行したいと。先に先入観を与えたり、あるいは先に条件をつけたりするようなことをしないで、できるだけ臨調の皆さんのフリーハンドを期待して、それをずばりと実行したい、そういう考えに立ちまして、臨調と一体になってやるという決意を強く今回は出しておるわけであります。そこで今回の法案の中にも臨調の趣旨云々という言葉が入ったのでございまして、珍しいことであります。珍しいことという意味は、政府はそれだけの決意を秘めているということをぜひ御了知願いたいと思うのであります。
○中野明君 初めてのように私は気がいたします。いま長官がおっしゃったような趣旨ならば趣旨説明の中でおっしゃればいいことであって、法律というのは残ります、後世に。そのときに、国会がだらしないじゃないかと、臨調に言われたから行革はやったのかというようなことでは非常に悔いを残すことになります、提案者として。ですから、これはやっぱり取られるべきじゃないかなと、こういう文言は目的の中へ入れるべきことじゃないのじゃないかと。他の重要な法案だって大抵のことは審議会に諮問して出しておられます。けれども、一言も「答申の趣旨にのっとり」というようなことは書いていません。そういう点、何か行革に対して政府は臨調を隠れみのにするのじゃないかというそういう説もずいぶんあちらこちらからありますが、そういうことに私ども勘くって読めるような目的になっておりますので、そういう点を履き違えのないように私はお願いしたいと思います。法形態として私は非常におかしいなと、こう思っております。 それで、総理として行革をやっていくのにこの臨調の答申、これも非常に尊重しなければなりません。しかし、臨調が行革をやるのではなくして内閣がやるのですから、この点だけは確認いたしておきます。
○国務大臣(鈴木善幸君) これは、申し上げるまでもないことでございまして、政府の責任においてこれを法律あるいは制度の改革案として国会にお諮りをして、そして国会の御承認を得て実行に移してまいると、こういうことでございまして、臨調に責任を転嫁したり、さようなことは一切いたしません。すべて政府の責任においてやってまいると、こういうことをはっきり申し上げておきます。
○中野明君 それならば、これは削除しておいた方が後世のためにもよろしいのじゃないかと私は思っております。 それで、もう一つ申し上げますが、いま総理の答弁にもありましたように、これは国民の協力がなかったら行革はできぬ、国会も全面的にバックアップしなければできぬ、そのとおりであります。そこで、私どもも行革を何とか総理が先ほど述べられましたように、国民の期待に沿うような、国民の側に立った行革をしたいために一生懸命審議をしておるわけでありますが、その審議の参考にしたいということで、臨調にお出しになった説明資料、これを私どもの方にも出してもらいたいと各省にお願いしました。そうしたら、大蔵省です、特に大蔵大臣、聞いておいてください。大蔵省はよくないと思うんです。どういうんですか、非公開になっております、出さぬ。三遍要求しました。非公開になっていますから出せません、それで各省とも話ができております、横の連絡ができておりますから各省とも出さないでしょうと、こう言う。それで、各省に出してくれと言ったら全部来ました、ほかの省は。大蔵省だけ来ぬのです。それで、資料を独占して、正確な資料を私どもに与えないで、そして行政改革を審議してくれと言われても困るわけですね。ですから、これは大臣そんな指示をなさっているのですか、どうでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) どんな資料なのか私はよく知りませんが、非公開の会議の資料は出さないことになっているからということで、そういう申し合わせで大蔵省が一番まじめにやったのかもしれませんが、事務当局から説明をさせます。
○中野明君 行管庁長官、臨調は、自分たちに説明した資料を外へ出してくれちゃ困ると、こういうようにおっしゃっているんですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) そういうことはないと思います。
○中野明君 それじゃ、大蔵大臣出してくれますか、臨調に説明をされた資料。余り数が多いと、膨大だとおっしゃるならリストだけでもよろしい、私はそう言うたのです、リストだけでも出してくれと。その中から私どもの必要なものを要求するからと言うたら、リストを出したらどういう説明をしたかわかるからあきませんと、こう言うんです。もういよいよ国会に対する資料の提出の仕方がまことに不親切、これは大蔵省が一番よくないと私は思います。厳重にひとつおっしゃっていただいて、ぜひ提出をお願いしたいと思います。委員長、よろしくお取り計らいを。
○政府委員(西垣昭君) 私もいま初めて伺った話でございますので、事実関係をよく調べまして御報告申し上げたいと思います。
○中野明君 三遍要求したんですよ。いま初めて聞いたなんて、そんなばかなことを答弁しているようじゃ困りますよ。三回要求して、非公開になっていますからできませんと、こう言ったんですよ。
○国務大臣(渡辺美智雄君) どなたに御要求になったかわかりませんが、いずれにいたしましても、できる限り資料の提供に協力するように命じておきます。
○中野明君 ぜひお願いいたします。 それでは、こういうことでやりとりをしておっても前へ進みませんので、次は増税なき財政再建、増税なき行政改革ということです。先ほど総理にもお尋ねをいたしましたように、総理は、政府の責任、内閣の責任で行革はやるのだと明快にお答えをいただきました。当然あるべきことだろうと思います。 それで、財政再建をして行政改革をやろうとしたら、少なくとも財政再建期間中は増税はやりませんと、一般消費税のようなそういう大衆大型消費税の増税はこの財政再建期間中はやりませんと、このことはまずはっきりなさらないと行政改革は前へ進まぬのじゃないか、私はこう思うのです。そこのところの一点が緩むと、せっかくみんながその気になって、国民も協力をしよう、国会も協力をしよう、役人の方もそういう体制でいこうとしているときに、ひょっとしたら、どうもならなかったら増税があるかもしれぬと、こういう考え方になったら、そこですぱっと行革に対する姿勢はとまります。この際国民の前に、五十九年までは大型税の導入はしませんと、そして苦しゅうても財政再建と行政改革をやり切るんですと、このことをやっぱり言っていただかないと総理の決意が言葉だけに終わってしまう、私はそう思うのです。みんなやる気になろうとしているときに、これだけははっきりしておいてもらわないと、そこが抜けたらもう行政改革じゃないと私は心配をしております。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は中野さんの冒頭の御質問に答えまして、その点ははっきり私の基本的な姿勢、それは申し上げたつもりでございます。つまり、われわれはこの行財政改革に取り組むに当たって、納税者である国民の皆さんの立場に立ってこの問題と取り組まなければならない、これが私の基本的な姿勢でございますと。国民の皆さんは、できるだけこれ以上負担をふやしてもらっては困ると、また、納めたところの説あるいは社会保険料その他、これが最も有効に効率的にむだのないように使われて国民の福祉の向上に役立つようにしてほしい、これが納税者たる国民の皆さんの願いであろう、そういうことを踏まえて今後行財政改革に真剣に取り組んでまいります、こういうことを申し上げた次第でございます。
○中野明君 ですから、一応五十九年を財政再建期間と定められたのですから、この間は大型消費税に類するようなそういう増税は私は考えておりませんと、これをきちっとされてこそ役所の行政改革も進むのです。来年の概算要求、後に私、これは一つ一つやりたいと思っているのですが、来年の概算要求を見たって、これはもう行政改革というようなものじゃありません。ただ、臨調の方へ顔を向けて、そして臨調の目の色をうかがってつじつまを合わしているだけなんです。だから、行政改革もまだ入り口にも入っていないんです。そこで、五十八年以降、五十九年はどうかわからぬというようなことをおっしゃっていると、これはもう本腰が入らぬと、私はそれを心配して申し上げているのです。ですから、そういう点をはっきりしていただかないと、このせっかくの行革がまた竜頭蛇尾に終わってしまったら大変でありますので、その辺を重ねて申し上げているわけです。もう一度御決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私のこの考え方というのは十分御理解をいただいておると、こう思います。したがって、一般消費税のようなああいう大衆課税、ああいうものは念頭にございません。
○中野明君 じゃ、総理のそのお言葉をお聞きして次に進みます。 次に、私たちはこの行政改革をきちんとすれば増税どころか減税も可能になってくるのじゃないかと期待をしているわけです。これはやってみなければわかりませんが、期待をしているわけです。そこで、いま国民の大多数の人がやはり一番望んでおることと言えば、実質所得が減っております。物価の値上がりに対して給料はそれほど上がってこぬということで実質の収入が低下しておるので、やはりこれが内需の面にもあらわれてきているということはたびたび議論が出ているわけですが、河本経企庁長官は、財政再建期間中の所得税の減税というものは可能じゃないだろうかというようなそういう意味の答弁をしておられたように私記憶しますが、一体、河本長官はどういう条件が出てくれば可能だと、こういうふうに思っておられるのですか、御答弁を願います。
○国務大臣(河本敏夫君) 政府のこの財政再建は二つの柱から成っておりまして、一つは、行財政の改革によりまして冗費の節約をするということが一つ、それからもう一つは、経済の活力を維持拡大いたしまして、年間五兆ないし六兆という税の自然増収を期待する、この二つが両々相まって財政再建ができると、こういう内容になっております。 したがいまして、減税をする場合にはそれ以上の国の歳入というものがなければなりませんが、そのためには経済の活力をより以上拡大していく、日本の経済には相当大きな潜在成長力もございますから、これらの工夫と努力によっては可能でなかろうかと、こういう感じもいたします。それからさらに、行財政改革によりまして冗費の節約が大規模に進む、こういうことも一つの条件でなかろうかと思います。したがいまして、この二つの面から当初想定しております金額以上のことが達成されるということになりますと、財政再建期間中といえども減税は可能になる、こういうことになりますが、そのためにはよほどの工夫と努力が必要であろうと、このように思います。
○中野明君 経企庁長官は、この新経済社会七カ年計画、これを手直ししながらやっていく、こういうことをおっしゃっているわけなんですが、この国民所得に対する租税の負担率、これを七カ年計画で示しておられますね、六十年に二六・五%ですか。これが六十年を待たずして達成するという見通しが立ったとき、所得税減税をするべき条件の一つとお考えになっていますか。
○国務大臣(河本敏夫君) 昭和六十年の租税負担率は二六・五%といま想定をしております。現在の時点は二四%台であろうと思うのです。しかし、最近の負担率のふえ方は相当速いスピードで進んでおりますから、もしこのスピードが持続できれば六十年度を待たずして二六・五%と、こういうことになろうと思うのです。ただしかし、経済は激動期でございまして、国際情勢も変化をいたしますから、将来の展望はなかなかむずかしいと思いますけれども、ただいままでのところは順調に税の負担率は政府目標に向かって、七カ年計画の目標に向かって進んでおると、こういうことは言えると思います。
○中野明君 私は早くなると思うわけです、いまも御答弁がちょっとありましたが。国民所得に対する租税の負担率、この二六・五というのは六十年にそうなればということですから、それよりも早く達成できたときにはその時点が所得税減税の一つの時点だと、こう理解してよろしいですか、長官に、まず七カ年計画ですから。
○国務大臣(河本敏夫君) このことが直ちに所得税減税に結びつくと、こういうことにはならぬと思うのです。それはなぜかといいますと、財政全体のいろいろな指標がございますが、その一つの指標を示しておる、こういうことでございますから、やはり二六・五%の水準に達したら直ちにこれは減税だ、こういうことではございませんで、全体の財政状態を勘案してそして判断をする、こういうことでなかろうかと思います。
○中野明君 ちょっとその答弁いただけないのですが、国民の租税負担率というもの、これは閣議で決定をされて、六十年にはそうですよと言っているのですから、それよりも早く達成するということになると、六十年にはもっと租税の負担率が多くなるということですよ。この計画に基づいてすべてやっているのでしょう。だから、それは私は一つの条件だろうと思うのです、所得税減税の。大蔵大臣には後からお尋ねしますが、長官、それじゃ経済七カ年計画を変更しなさいよ、改定を。そうしないと納得できません。国民所得に対する租税の負担率は二六・五%と、こうおっしゃっているのですから、それが達成できたときには所得税減税を考える一つの時点じゃないかと、私こう言っているわけなんですが、どうでしょう。
○国務大臣(河本敏夫君) 新経済七カ年計画がスタートいたしましたのは昭和五十四年の八月でありますから、ちょうど二年前であります。その時点からずいぶん大きな変化がいろいろな分野で出てきております。その一つは石油価格が急上昇したということ、これも大変大きな変化でございます。それからさらに、財政事情が非常に苦しい状態になったということも、これも一つの変化だと思います。したがって、当初予定しておりました二百四十兆という公共投資、社会資本投資を、七年間でこれを終わる予定が、ただいまのところ八年半ぐらいかかると、こういうことにもなっております。そういうことで幾つかの大きな変化がございまして、やはりそういう全体の動きを総合的に判断をいたしませんと、その幾つかの重大な指標の中で一つだけの指標を見て全体の政策を決める、こういうわけにもまいりませんので、やはり財政全体の事情を見ながらそれを判断すると、そういうことになろうかと思います。
○中野明君 だから、私の言っているのは、そういうふうに大きな狂いが出てきたんだから基本的に改定をされる必要があるでしょうというのです。改定もしない、そしてこの基準を達成しても知らぬと、これじゃ困るわけです。ですから、そういう点についてもう一度はっきりしておいていただきたいのです。せっかくこれが出されて、そして改定しなさいといっていろいろ意見を言うたら、いやその部分部分の手直しでよろしい、これであくまで行くんですと。そして租税の負担率のことを申し上げれば、いやほかのことがどうとかこうとか、それじゃ困るわけでして、一番大事な基本でしょう、これ、新経済七カ年計画という。だから、これをやはり変えられる必要があるのじゃないかと申し上げているわけです。 それで、大蔵大臣、いまの減税の問題に絡んでですが、大蔵大臣は、グリーンカード制が実施される際に所得の最高税率、これを引き下げたいという見解をお示しになったのですが、いまでも変わりませんか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 五十九年からグリーンカードを実施するわけでございますが、グリーンカード実施に当たりましては、諸外国においても不公正是正という観点から合算課税——総合課税であります、だからそういうふうにすべきだという論拠。日本は分離課税をとっておりますから、確かにその面においては高額所得者が三五で済んだという点がございましょう。しかし、その反面、外国で例を見ないほど強い超過累進税で、八千万以上七五、地方税一八、合計九三%、こういう税率をとる国はない、総合課税でも。だから、そういう点を勘案して諸外国並みにするというのであれば、当然実施をされるようなときにはその税率について何らかの調整が必要ではないかということを申し上げました。いまでも変わりありません。
○中野明君 事情はわかっているわけですのであれなんですが、最高税率が適用される人というのは、いまおっしゃったように年収八千万とかいうような人たちは、これはもう特殊の大資産家ですね。いまもう国民が実質所得が減って、減税をしてほしい、内需も喚起できないというような状況のときですから、あえて私申し上げているわけです。このグリーンカードができ上がったとき、この法律ができ上がったときの時点といまの時点では、国民の感情もまた、財政改革をやるというこの時期、そのときにまだなおそういうお考えを持っておられるということになると、私は国民感情として納得できないと思うのです。 だから、そういう考えもあるけれども、ここはしんぼうしてもらわなければいかぬと。それよりも所得の低い人を減税してあげる方が先だと、そういうお考えになるのが本当じゃないだろうか。これは苦しいといったって苦しいようが違うでしょう。その点、最高税率を課されているような人たちは、それはもうほかでも幾らでも優遇措置があるわけですし、会社の交際費だって十分使えるような立場の人、そういう人は、確かに税率が高ければ検討もしなければならぬでしょう。だけれど、こういうときにまだお考えが変わらないということは私は非常にさみしいのです。あのときはそうでしたけれども、こういうときになりましたので、ちょっと一考を要するというような答弁が本当じゃないだろうかと思うのですが、どうでしょう。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 税は公正であることが必要であります。アメリカでも御承知のとおりレーガン大統領は最高税率を資産所得者については五〇%まで下げようということを提案いたしております。どこでも最高税率が七五とか九三とかそういう国はございません。したがって、そういうようなものについて、やはり高額所得者だからほとんど全部取り上げてしまうのがいいのだという考えには私はならないわけなんです。それは、その金は投資に回されるわけですから、やはり投資意欲が全く損なわれるというようなことは、これは回り回ってくれば、それに雇用される人たちやいろいろな関連する業種やなんかにも影響があるわけです。したがって、それらは総合的に考え直す必要があると私は思います。したがって、私は五十九年から直ちに最高税率を下げると言ったわけではありませんが、検討をすべきものと、こう考えております。 行革は行革で同じことでありまして、たとえば減税問題にいたしましても、税金を納めない人はこれは減税の効果はないわけですからね。税金を納めない階層というのもたくさんあることもこれも事実。したがって、その辺の兼ね合いをどういうふうにするか。これは整合性を持って考える必要があると、かように思っております。
○中野明君 私は、大臣、勘違いされたら困るんですが、それをやっちゃいかぬと言っているんじゃないのです。いまこういうときに上の方だけやらなければいかぬというような発言は国民感情としていただけませんよと。上の方もやるんなら下の方も一緒にそのときに考えますとか、そう言うのなら何ぼかわかるんですよ。あなたのおっしゃっているのは、上の方だけやると言って、下の方は全然おっしゃっていないから私はあえて申し上げているのです。上をいらうときには下の方もいらわなきゃならぬじゃないかと、こういうことを言っているわけでして、何か上を下げたらいかぬというふうにあなたはとっておられたら——やるときにはちゃんとしてもらいたいと、こういうことなんです。 それで、いずれにしても、大蔵大臣は現在の給与所得者、この実情をごらんになって、総理にもお尋ねしますが、やるやらぬはこれは状況の判断でしょうけれども、実質所得が目減りしている、可処分所得が少なくなって購買力がなくなっている、この実情をごらんになって、所得減税というものは必要だと、このようにお考えになっているかどうか。やるやらぬは、これは後からの議論になります。その点、大蔵大臣と総理大臣。
○国務大臣(渡辺美智雄君) しばらく、数年間課税最低限を動かしておりませんから、所得が仮に上がらないとしても物価はその間上がっておりますから、そういう場合は目減りしているということは事実でございます。特に去年は物価の値上がりが激しかったというようなことがありまして、多少の目減りがあったことは事実でございます。
○国務大臣(鈴木善幸君) 一般論として、所得水準が上がりました際には税の面でもその点については配慮をするということが一般論として言えるわけでありますが、それをやるかやらぬかの問題につきましては、中野さんおっしゃるように、財政の百姓その他総合的に判断をした上で決めたいと、こう思っております。
○中野明君 だから、いま私がお尋ねしているのは、給与所得者を中心にした実質所得が減っているわけですから、そのために購買力もない、そして政府の経済見通しも変更しなければならぬと。それがすべてじゃないですよ、大きな要因になっていることは間違いありませんから、そういう現状で国民の気持ちを考えたときに、減税をするような条件は整っていると、このように——実際にやるやらぬは別ですよ、だけども現状の所得の状態、給料目減りしているそういう状況から、やはり減税の必要性は認めておられるのかどうかということです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは、私もできることなればそれは減税をすることがいいと、できることなれば。しかし、これは全体とのバランスの問題で、あるいは諸外国との関係とかいろいろなことを見て、減税をすれば財源が減るわけですから、その分は。減れば何を今度は支出を減らすかという問題も一緒に考えなければならぬ問題ですから、そういう整合性の問題で考えるから当面減税はできないと言っているだけであって、それは財源に余裕があれば私は減税をして差し上げることが一番いいと、そう思っております。
○中野明君 それで、ひとつ大蔵大臣に申し上げておきますが、減税をしたら一切それはもう返ってこぬのだというそういうお考えは捨てていただきたいと思います。減税をすることによってそれが購買力の増大になって、それがまた税金として戻ってくる、だから減税を四千億なら四千億したら一切もうその四千億は戻ってこぬのだ、そういう考え方に立ってもらったら困ると、そういうことですので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。 それからもう一点はグリーンカードです。あした、政令ですか。グリーンカードは、これ不公平税制を是正するためにつくられたんですが、どうも政府のPRが足りなかったのか非常に国民の間に不安と混乱が起こって、銀行はこれを預金獲得の道具に使う。本屋へ行ってみれば二十種類から、グリーンカードに備えてとかいって、てんでに勝手なことを書いた本が蔓延している。こういうことから、それに便乗したんでしょうか、自民党さんからいろいろ緩和策というものが出てきて——私は非常に心配しているのは、このグリーンカードというのは不公平税制を直そうとして、そして国民の税金をかけてコンピューターを入れたりなんかして、かなり準備をして、そして元を入れ、資本を入れてやっているんですね。そのやっている途中で、まだ実施もしていないときにはや緩和するという考え方はどうなんだろうかと。総理もそれから大蔵大臣も、いままでの御答弁を聞いている限りでは、一遍やってみて——そうでしたね、一遍やってみて、不都合なことがあればそのとき手直しするのが正しいというお考えを示しておられたんですが、やらぬうちから手直ししたみたいな感じになっているんですが、あしたの政令でやらぬうちから手直しして出すのですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) グリーンカードの問題につきましては、当初、問題は非課税預金の問題、非課税で、郵便局とか銀行とかで課税されない預金は一人三百万と決まっているわけです。ところが、現実には六百万積んでいるものやら、中にはもう郵便局で一億何千万というのも国税でつかまえている実例がございますから、そういうようなことで非常にそのままでは不公平になると。したがって、少なくとも非課税であるんだから、補助金をくれると同じなんだから、それはグリーンカードできちっとして、そういうことないようにしましょうと。 ところが、その非課税のほかに課税預金があるわけです。つまり、二〇%源泉分に取りましても、それが、所得の申告のときにサラリーマンの方も事業者の方も全部それは課税として総合課税にしましょうと。それはそういう預金があるわけです。この預金についてもグリーンカード番号を持っていって貯金の出しおろしをしなさいと、通帳をつくりなさいというのが最初の原案だったわけです。しかし、それではいかにも貯金するのに指名手配みたいな話になってしまって、全部証拠物件をそろえてきちんと番号というのではひどいじゃないか。自分の貯金をするぐらいはもっと安直であってもいいんじゃないかと、非課税なんじゃないのだから、課税されるのだから、非課税なら別だと。しかし、課税されて普通に税金を払うんだから、それならそんなに厳格でなくてもいいじゃないかという声がかなりありました、これは。 したがいまして、これについてはそうグリーンカード番号でなくともよろしいと。もうはっきり銀行でわかっている人ならば、その人のことを、住所確認と名前とわかっているんですから、それは年金証書とかそれから住民票でも、あるいはその他何か免許証だとかそういうようなものでもいいというふうに直したわけでありますから、それによって架空名義の貯金がなくなる。架空名義の貯金がなくなれば、いつかわかることですから、そこでいいんじゃないかと。ストレートに全部管理するというふうにとらえることの方がむしろ弊害があるのじゃないかという御意見もありまして、まあそれもそうだなと、こう思って、実は少しそこのところを原案よりも変えだということは事実でございます。
○中野明君 結局、グリーンカードで騒いでいる人というのは、相当金を持っている人でしょう。普通は郵便局で三百万ですか、そして銀行のマル優三百万、それから国債が三百万、九百万ですね。財形ですね、勤労者財形で五百万。そうすると一人で千四百万でしょう。それ以上は税金がかるということですから、そんなに大騒ぎ——国民の貯金のこの間あれが出ていましたね、三百六十万ですか、一世帯で。ですから、このグリーンカードで騒がなきゃならぬという人はごく一握りの人だろうというふうに私どもも思っておったわけですけれども、それがこういう騒ぎになってきて、そしてやりもしないうちから緩和策と。 名寄せというのはできるのでしょうかね、その点だけ気になりますから。グリーンカードと運転免許証でよろしいんでしょう、このリンクは大丈夫なんでしょうね。その辺がしり抜けになって何にも調べられないことになったら、これはいまと余り変わらぬのじゃないかと心配するのですが、その辺大丈夫ですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) いまと一番変わっているのは、非課税の人はインチキはできないと、これはもう一番変わっていますね。いまはもういっぱい積んであって心配ない人がかなりあったわけですから、わからなかった人が。それが一番変わっている。 その次が、やはり架空名義ができない、今度は。いまは架空名義御自由ですね、これ。銀行へ行ったって何のだれべえと書いて出せば受け取らないなんという銀行は恐らくないんじゃないですか。今度はちゃんと身分証明書ですよ、一種の。それはグリーンカードでなくとも運転免許証とか、それからそういうふうな住民票とか年金をもらっている証書とか通帳ですね。ですから、架空名義が非常にやりづらいということは事実だと思います、架空名義が。したがって、本人の通帳はいっぱいできるかもしらぬが、架空名義の通帳はうんと減る、その点が私はいまとは非常に変わってくるのじゃないかと、そう思っております。
○中野明君 一歩前進は認めますけれども、本人確認で、これがうまくいかなかったら大分骨抜きになったんじゃないかと心配をするわけです。 そして、もう一つは、どうですか、全部がグリーンカードを持ってとにかくやらなければならぬということじゃなしに、グリーンカードを別に持たなくても、税金をとられてもかまわんという人は一切関係ないんですから。だから、そういう点もはっきりPRしてもらわないと、何だがもう全部の人がすべてグリーンカードを持たなければいかぬということになると、これは大騒ぎになりますが、これはどうですか、その辺。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 要するに、非課税貯金をする人はグリーンカードを使わなければなりません。これは非課税で、補助金をもらうのと同じですから、それだけのことなんです。あとは全部グリーンカードにすると、いまあなたのおっしゃったように、何でもグリーンカードで税務署でわかっちゃうのかという騒ぎといいますか、よけいな心配ですね、それがあって不要の摩擦を起こすということで、架空名義の貯金通帳を防止するということでグリーンカードでなくてもいいということにしたわけであります。それ以上もっと詳しいことの説明をもし御要求の場合は、事務当局から説明をさせます。
○中野明君 これは、いずれこの委員会もまだ続いておりますので、次の機会にゆっくりやりたいと思います。非常にこれは総理並びに大蔵大臣が答弁しておられたのと変わってきたものですから、やってみてからというお話だったのが、やらぬうちからもうこそこそ変えるというようなことでは私ども政府の答弁が信用できないということになりますので、その辺でこれからもうちょっとやります。 次は、総理が最初に申されましたように、行革の一つのねらいというのは、高度成長時代に肥大化したこの行財政の思い切った見直しということなんですが、大蔵大臣、財政投融資ですが、これは私が申し上げるまでもなく、郵便貯金など国民の零細な資金が元になって財投があるわけです。これが高度成長経済のときにはそれなりの私は役目を果たしてきたと思います。産業基盤の整備の原動力として大きな役割りを果たしてきたと思いますが、先ほど大蔵大臣もお話しになったように、もう時代が変わったのだということで、高度成長時代に役目を果たしたそういう特殊法人なんかを整理統合して財投の見直しをやらなければいかぬじゃないかということであります。特に、地方公共団体等は財投の資金を非常に渇望しておりますが、しかし現在はなかなか回ってこない。市中銀行も国債の引き受けに四苦八苦というような状態であります。それだけに財投計画を見直して特殊法人を整理統合して、融資枠というものを圧縮する必要があると、このように思います。 そこで、具体的に申し上げますが、大蔵省では、先日の決算委員会で、この高度経済成長の時代の役割りを終えた財投機関はできるだけ縮小廃止したいとして、具体的に環境衛生金融公庫と医療金融公庫、これを国民金融公庫へ統合したい、こういう答弁を国会の公式の場所でなさっているのですが、この点どうされるつもりですか。
○政府委員(吉本宏君) 御指摘のとおり、財政投融資計画は時代の要請に従いましてその機能を変えております。昭和二十八年度に財政投融資計画が初めて策定されたころは、いわゆる基幹産業に対する投資、経済の百姓ということで、これらを中心に投融資が行われたわけであります。その後昭和三十年度以降高度成長経済に移行するに従いまして、財政投融資計画の内容も輸出の振興とか水資源の開発、有料道路の整備あるいは住宅、中小企業等に対する投融資というものが中心になってきたわけであります。その後さらに最近に至りまして、この財政投融資の中心的な機能は住宅とか中小企業とか、いま御指摘の地方団体に対する投融資、地方債に対する投融資、エネルギー問題あるいは海外経済協力、こういったことに中心が移行してきているわけであります。ただいま御指摘のたとえば環境衛生金融公庫とかあるいはその他の機関について歴史的な機能が終わったのではないかというような御指摘もあるやに聞いておりますが、これらの点につきましては、今後臨調等におきましても十分御検討いただくわけでございますし、私どもとしてはいまここに具体的にどの機関がどうだということを申し上げる段階ではない、かように考えております。
○中野明君 私が最初に申し上げたように、またあんなこと言っているんです、臨調の答申を待って。それじゃないでしょう。御本人が決算委員会で答えているんですよ。本人がそうおっしゃっているんですよ。それをここでは臨調の答申を待って。だから私は最初に申し上げているわけです。臨調の答申があろうとなかろうと、臨調が言わなければ役目は終わらぬのですか。もう医療金融公庫というのは私は国民金融公庫に統合したって差し支えないと思いますよ。高額所得者、ほとんどお医者さんでしょうし、そういうところに財投の安いお金を融通しなくても普通の市中銀行からでも借りれる人たちでしょう。だから、あなたは国会でちゃんとそういう答弁しておいて、ここでは臨調や言って、それでは隠れみのになるでしょう。どうなんですか、はっきりしてくださいよ。
○政府委員(吉本宏君) さきごろ参議院の決算委員会で峯山議員からこの点について御質問いただきまして私が答弁したことがございますが、特に個別の機関についてその統廃合について言及したことはございません。
○中野明君 じゃ、新聞の書き間違いですか。新聞にはちゃんとそういうふうに出ていましたよ。そういうことで、この臨調にすべて肩がわりするような、結局臨調が答申しなければ何にも前に進まぬというのじゃ、最初に私が申し上げたように内閣の責任で…。とにかく私どもが財投の不用額が多いじゃないかといって指摘をすると、今度は不用額を出しちゃいかぬというのでホテルへ金を貸してみたり、不用額を出さぬために拡大解釈をしてとんでもないところへ金を貸したりしているんです。大蔵大臣はよう御存じなんですから。だから、そういうのは役目が終わったのだから全然金を貸さぬというんじゃないのでしょう。こういう財投のお金はもっと必要な、地方公共団体なんかいま困っているんですから、そういうところへ回すように整理縮小したらどうですか、こう言っているんです。大蔵大臣どうでしょう。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 実は、財投も中野委員のおっしゃるように昔からみるともう非常に変わりまして、たとえば生活環境というのは昭和三十年ごろは四五%ぐらいしか貸してなかったけれども、現在は約七二%貸しているとかというようなことで、いろいろな基幹産業は大体三割ぐらい貸しておったものが、いまでは三%しか貸してないというようなことで、財投の中身も変わっておるのです。 この医療金融公庫の問題につきましては、これは医療の公共性というものも考えまして、それは委員のおっしゃるように、みんな金持ちなんだからということもありますが、新しく開業した人などは必ずしも金ばかり持っているわけでもないし、勤めておって開業医に移るとか、そういうときに金を借りる人もございますから一概には言えませんが、できる人は公庫でなくてもいいのじゃないかという議論も参考にさしていただきます。
○委員長(玉置和郎君) 峯山昭範君から関連質疑の申し出がございます。これを許します。峯山君。
○峯山昭範君 私は、ただいまの中野先生の質問に関連をいたしまして、特に特殊法人の問題について質問をさしていただきたいと思っております。 初めに、先ほどから行政改革の基本的な問題について議論がございました。この問題について、初めに総理のお考えをもう一回、重ねてではございますが、ただしておきたいと思います。 これは、行政改革、戦後三十六年たちまして、現在ほど行政改革についての国民の支持といいましょうか、何といいましょうか、国民の声が高まった時代はもうないんじゃないか、そういうふうに考えております。したがいまして、昭和三十七、八年ごろ、第一臨調ができた当時、ある程度高まったことはあるのですけれども、現在の行革をやれという国民の声はあのとき以上のものではないか、こういうふうに私は考えております。もし政府が今回のこの時期を逸してしまったならば、これはもう当分行革というのはできないんじゃないか、そういうふうにも思っておりますし、ある識者は、二十一世紀までもうできないぞというような声も聞くわけであります。しかし、そういうふうな中で、私たちいろいろな面を配慮しながらこれは行革を進めていかなければならないわけであります。そういうような意味では、やっぱり何といいましても、政府みずからが行革を実践するという意識がまず第一点どうしても必要であります。 そこで、われわれとしましても、この行革を総論賛成、各論反対というわけにはいきません。そういうふうなわけでございますので、行革を一つは政府自身がどうしても実践する、そしてこの際臨調に対しましても、先ほどから行政管理庁長官の方からは御答弁ございましたが、今回の第一次答申につきましては、御存じのとおり増税なき財政再建ということで五十七年度の予算編成に向けての答申でありましたのでこういうふうな答申になっておりますけれども、来年の初夏とおっしゃっておりますが、に向けての答申につきましては、これは少なくとも臨調に対して枠をはめたり、あるいはそういうふうな答申ではなくて、行革の本来のあるべき姿をやはり答申していただいて、そしてその答申に基づいて、先ほどの大臣のお言葉をかりますと、その答申を最大限に尊重すると、こういうことになるわけでありますが、この点を含めまして、この行革に対する総理の所信を初めにちょっと聞いておきたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 峯山さんのおっしゃるように、行財政改革に対する国民的な御理解と申しますか、御支持と申しますか、また強い期待と申しますか、それがこんなに盛り上がった時期は私も戦後二十二年から国会へ出ておりますが、初めてのことである、このように思っております。それだけに、この国民的な強力な御支援をいただきながら、この行財政改革が中途半端になる、しりすぼみになるというようなことがあってはいけない、このように考えております。 そういう意味合いからいたしまして、私は第一次臨調の答申がなされましたその後の経過等をずっとトレースしてみまして、やはり臨調からは一遍にまとめて御答申をいただくことも一つの方法かもしれませんけれども、第一次、第二次、あるいは中間答申等をいただいて、それを直ちに政府が最大限に尊重して実行に移していく。こういうこの行革に対する国民の理解と御支持というもの、熱意というものを火を消さないで、これをずっと継続的に続けていくことが必要であろう。私はそういう考え方に立ちまして進めていきたい、こう思っております。
○峯山昭範君 総理、おっしゃることはよくわかるんですけれども、臨調から答申をいただかなければ行政改革はできないということは、これは行政府としてはやっぱりちょっとだらしないと私は思うんですね。この点はやっぱり先ほどから指摘されているとおりじゃないかと私は思います。 そこで、それはそれとさておきまして、中曽根長官から臨調の答申に対するいわゆる実践、実行する決意というのが先ほどありました。今回の答申と違いまして、来年の初夏にあるでありましょう答申は、中央省庁の統廃合を初め相当行革の中核に触れた答申ではないか、そういうふうな話がございました。これは私は非常に大事な問題であろうと思いますし、行革の本筋はやっぱりそこにあると思います。 そこで、きょうはそういうふうな問題を踏まえながら総理にもちょっとお伺いしたいのでございますが、第一次臨調ですね、これは昭和三十九年の九月に答申がされているわけでございますが、これは総理、第一臨調のときには総理は先ほどどかっと一遍に答申があったからなかなか実践ができなかったという意味合いの話もありましたけれども、そうではなくて、やっぱり第一臨調が二年数ヵ月の時間をかけてつくられたものでありまして、実際問題としては中身は非常に濃いものになっている、そういうふうに私は考えているわけでございますが、総理並びに中曽根長官から第一臨調に対する評価を初めにお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 第一次臨調も国民各層を代表するりっぱな方々によって構成されまして、三年にわたりまして御審議を願いました結果、非常にりっぱなものができたと思っております。世にこれを行革のバイブルと評されておりましたのもむべなるかなと思います。ただし、当時は高度経済成長の入り口でございまして、現在とは非常に趣も変わってきておりまして、現在から見れば必ずしもそぐわないものもあったように思います。しかし、第一次臨調のねらいとするところは行政の民主化、合理化、能率化というような点が中心に置かれておったと思います。 そういう意味におきまして、その後政府はこれを実践するために歴代内閣これを継続してやってまいりまして、大体七〇%程度は実行したと思います。その中で大きなものは、たとえば一省庁一局削減であるとか、あるいは総定員法の制定であるとか、あるいは外国為替管理関係の簡素化であるとか、そういう点はかなり思い切ってやった点であります。しかし、やらない点はどこにあるかと言えば、たとえば地方事務官制度というようなものは典型的に怠っておった部面であると思いまして、これらは速やかに実行しなければならぬと思っております。
○国務大臣(鈴木善幸君) 第一次臨調の評価につきましては、いま行管長官から申し上げたとおりでございます。 問題は、その後における実行の問題でございます。環境その他の問題等がいろいろ変わってきておりまして、私はその実行に当たって万全であったというぐあいには見ておりません。 また、私は、今回は、二年間かけて一遍に御答申をいただいて、しかる後に、二年後に政府がこれを取り上げて行革に取り組むというような手法ではなしに、逐次、この第二臨調が存続しておる間におきましても、中間答申、第二次、第三次の答申を受けた場合におきましては、できるだけ早い機会にこれを政府として国会に御提案を申し上げて、そして国民的支援と支持のもとにこれを実行に移していく、こういう姿勢で進めてまいりたいと、このように考えておるわけでございます。
○峯山昭範君 これが主題ではございませんのであれしますが、中曽根長官、先ほどもおっしゃっておりましたが、実際に実践した中身といいまして、パーセントで言えば七〇%とおっしゃっておりますけれども、先ほど実践した中身でおっしゃった一省庁一局削減の問題にしましても、あるいは総定員法の問題にしましても、重大な問題でありますけれども、行革のこの第一次答申の中からいいますと、私は、肝心のところはできていないんじゃないか、そういうふうに思っております。 そこで、きょう具体的に幾つか指摘をしたいと思います。 まず、先ほどの特殊法人と絡みまして運輸大臣にお伺いをいたします。国鉄の現状についてお伺いをいたします。 これは決算の関係で説明していただいて結構でございますが、五十五年度決算はまだ国会に提出されておりませんので、五十四年度決算についてお伺いをいたしますが、国鉄の決算の状況がどういうふうになっているか御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(塩川正十郎君) お尋ねの昭和五十四年度国鉄の決算でございますが、損益勘定の中の収支決算の結果を申し上げますと、収入済み額が三兆五千百八十五億円余でございまして、支出済み額が三兆四千三百一三十一億円余でございまして、差し引き、収入が支出を八百五十三億円上回っておると、こういうことでございます。これは予算区分に従いましていま申し上げたのでございますが、この中には資本勘定も入っておりますので御承知いただきたい。 一方、損益計算上の純損失はどうなっておるか、これがお尋ねの趣旨だろうと思うのでございますが、これは現金収入の伴わないそういう減価償却あるいは除却費等の費用も入れなければ、計算しなければならぬのでございますが、これを入れましたいわゆる財務決算によるものでございまして、それによりますと、総収益は二兆九千二百五十九億円でございまして、総損失金は三兆七千四百七十七億円と相なりまして、差し引き八千二百十八億円の損失、損益計算上から申し上げましたらそのように相なっている次第であります。
○峯山昭範君 この問題、これは中曽根長官に聞いておいてもらいたいんですけれども、いま運輸大臣から説明がございました。要するに、国鉄は、いま三K赤字と言われておりますように国鉄は大変重要な問題であります。これは大蔵大臣もそういうように御認識だと思います。実際問題として、現在の会計の方式、経営体制の中では、先ほどもお話ございましたように、私の手元にあります決算書によりましてもそうですが、八百五十三億の黒字ですと、こういう決算書になっているわけです。そしてそのあとただし書きで、「なお、本年度における損益計算上の総収益は」ということで、たとえば五十四年度は八千二百十八億の赤字、五十五年度は一兆円をオーバーする赤字と、こうなるわけであります。何でこういうことになるかといいますと、これは会計の現在のシステムがこういうふうになっているわけであります。 先般、参議院の決算委員会におきましても、国鉄の総裁に出席をいただいて、この問題、議論をいたしましたときにも、国鉄総裁は、この問題は国鉄だけではなくて、その他のいわゆる政府関係機関も私たちと同じようにやっておる、だから改めるとすれば全部改めなければならないと、こういうような意味の御答弁ございました。 たとえば、私の手元にあります五十四年度決算で申し上げますと、日本専売公社、これは要するに五十四年度決算では百七十億の赤字であります。しかしながら、実際は先ほどの損益計算上で計算いたしますと七百七十億の黒字になると、こういうふうになっております。 このシステム、いわゆる官庁会計と言われるものであります。少なくともこういう政府関係機関は企業会計としてやっぱりその処理をちゃんとしなければいけないのではないかと、こういうふうに私は考えているわけでありますが、この点について、これは行管庁長官と大蔵大臣の御所信をお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 一つは、複式簿記でやらないからそういう面も一つあると思いますが、官庁会計というものは民間の会計と著しく違っている点も御指摘のとおりでございます。この点は臨調でも議論の対象になっておりまして、これを国民が一目瞭然で損益、営業損益等がすぐわかるように直す必要があるのではないかという点もございます。それは大いに検討していただきたいと思っております。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 政府関係の機関あるいは特殊法人等におきましても、収益事業をやっておるというようなものの会計処理については、私はやはり複式簿記でやるのが正しいと、そうでなければ実態がつかめない。実際は経費が発生していても計上してこなければ、そのまま現金主義なら表に出てこないというようなことで、赤字が金を払ってないんだからわからないというようなことになってしまうわけでございまして、そういうようなことでは実際困りますから、その会計処理については私はやはり極力会計原則に従って経理をする必要がある。現在でもそれはやれとは言ってはいるんですよ。言っているんですが、そういうのをもっと励行させるということが大切だと、そう考えております。
○峯山昭範君 大蔵大臣はやれと言っているということでありますが、これは実は総理、中曽根長官は先ほど臨調で検討していただくというふうなお話でございました。ところが大臣、第二臨調でいま検討しておる問題は議題が違う、時期が違うとおっしゃっておりますけれども、その大部分は第一臨調で全部検討されているわけです。 たとえば、ただいまの問題につきましては、これは第一臨調の答申でありますけれども、との第一臨調の答申では「政府関係機関の機能の明確化」ということで、こういうふうにもうきちっと答申が出ているわけです。それは問題点の指摘として、「予算については、国の会計と同様に、収入支出についての拘束予算(収入支出予算)の形式がとられているが、この予算形式は、事業体としての経営成果の判定に役立つ予算形式とはいい難い」と。要するに、現在の国鉄並びにこういうふうな関係の機関の会計の形式というのは、いま大蔵大臣が言うように、企業会計の形態でなければいかぬと、こう言ってるわけです。 そして、その「勧告」としてもうすでに出ているわけです。「政府関係機関については、収入支出予算の形式を改めて、資本の維持ならびに事業の適正な執行のために適当とみられる事業計画等による企業的な予算制度を採用することとし、従前の歳出科目ごとの予算の拘束は撤廃することとする」と。もう明確に、国鉄の会計並びに専売公社も含めてすべてそうですが、要するにいままでの収入支出予算の形式のいわゆる官庁会計の方式は全部やめて、そして新たに事業計画等による企業的な予算制度を採用しなさいという勧告がもうすでに出ているわけですよね。 要するに、中曽根長官は先ほど七割実践したと言いましたけれども、肝心なこの大変な赤字を抱えた国鉄にいたしましても、大蔵大臣はやってもいいと言っているわけです。また、国鉄の方もそういうふうに切りかえたいと、こう言っているわけです。ところが実際は、大蔵大臣はああいうふうにおっしゃっていますけれども、大蔵省の反対でできない。ですから、総理、現実の問題として、これは決して無理を言うわけじゃありませんが、明確に第一臨調でもどこに問題があるかということを指摘し、そしてこういうふうに変えたらいいよということを言っているわけです。そして、しかもいま大蔵大臣からも答弁ございましたように、当然そういうふうに企業会計的な方式で、複式簿記でちゃんとやるべきだと、こういうようなお考えなんです。そうしてまいりますと、中曽根長官、一々当然臨調の答申を得てこれは実践しなくちゃならないということじゃないわけですから、行革は臨調に先んじてというわけには今度はいきませんね、もう第一協調ですでに答申が行われているわけですから。 そういうふうな意味では、やはり政府としてこの問題に、詳しく言えばもっと細かい問題がいっぱいあるわけですけれども、総理、これはもう本気でこの問題に取り組めば——たった一つの問題をきょう私指摘しているわけでございますが、こういうふうな問題は臨調の答申もあり、大蔵大臣もああいうふうにおっしゃっています。改めてこれは第二臨調で答申するまでもなく、できるものから率直にどんどん進めるというのが政府の姿勢でなければならないと私は思うんですけれども、どうでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) その点は、いま第二臨調でも非常に三公社五現業の再検討の中で議論されておりまして、それ以上にたとえば減価償却という概念が非常に薄過ぎるとかないとか、あるいは利子という概念がない、あるいは非常に微弱である、あるいはほかの会社ではみんな税金を納めておる、しかし納税という思想もない。これはもっとも公社という形態からそういうものがくるのでしょうけれども、しかし営業という考え方からすれば民間と競ってやっているところもあるわけでありますから、そういう意味において営業収益というものを民間並みにはっきりさせる必要がある。そういう議論が非常に有力になってきておりまして、恐らく来年の初夏の答申には出ると思っております。私たちは、恐らく、いま峯山さんがおっしゃったことは正論であると思っておりまして、やりたいと実は思っておったところなのであります。したがいまして、せっかくやっておるところでございますから、答申はいただいて断行したいと思っております。
○峯山昭範君 もうこれで関連を終わりますが、総理、そういうことですから、第一臨調は相当細かい点まで具体的に指摘をしているわけです。そういうふうな意味では、私はもう第二臨調に諮るまでもなく、これは企業会計というふうな面で、たとえば税金を納めていないとかそういうことはありますけれども、であればあるほどできるわけです、逆に言えば。ですから、これはもう総理の決断一つにかかっておりますので、その点総理の御所信をお伺いして私のきょうの関連は終わりたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 行管長官を中心にしまして、政府関係部門で十分検討いたしまして、できるだけ早くこれを実現するように努力いたします。
○中野明君 それじゃ補助金の問題に入りたいと思います。 補助金行政について非常に批判があるのは、補助金が既得権化している、あるいは惰性に流れている、数が多くてわからぬ、あんまり数が多過ぎるじゃないか、こういうことが批判の中心だろうと私も思いますが、まず補助金に対して意識の革命といいますか、なぜ国民の税金を使って補助金が出ているのか、ここにいつも出発点を置かないと、補助金を出す方も受ける方も既得権化してしまって、補助金をもらったとか、もらわな損だとか、そういうことになっての批判が私は中心だろうと思うのです。そこで、今回は行政改革ということで一つ一つ補助金を見直していく、そして要・不要あるいは急・不急、これを見直していくわけなんですが、まず行政の方から改革をして経費が減るということがこれは一番大事なことだろうと、こう思います。 そこで、五十七年度の概算要求で補助金の一割カットということで、一割カットというのは私はあんまりよろしくないと思っております。というのは、補助金を出している対象が、けさほど来議論がありますように、ずいぶん利益の上がっている会社もあれば、本当に零細な困った人たちも成るわけでして、役所によってずいぶん中身に違いがあります。ですから、これを一律一割というのは問題があるかと思いますが、とりあえず五十七年度は所管別に削減額がここに出ております。筆頭は一番多く出てきたのが厚生省ですか、四百八十二億、次は農林水産省四百三十四億、文部省四百二十九億、こういうふうになって、法務省の一億が一番低いようですが、全部で一千六百三十六億円が補助金カットできた、こういうことになっておるわけなんです、形の上では。 ところが、まず農林水産大臣にお尋ねをいたしますが、農水省の補助金が千百二十六件、これを一挙に半分の六百件に整理しましたね。そして、この中身をいいますと、廃止が六十七件で、新しく二十件、統合したのが四百七十九件で、差し引き千百二十六が六百になったと、こうなっておるのです。さて、その結果、補助金を受ける方ですね、県とか市町村とか、並びに団体、農家などあるでしょう。千百二十六件が六百件になって補助金を受ける側はどういう利点があるのですか。
○国務大臣(亀岡高夫君) 御指摘のように、農林水産省は補助金の数が非常に多い。私自身もとの補助金、どの名前の補助金がどういう性格のものであり、どうなるか理解するだけでも、二十年間も農林水産関係の党におって仕事をしておりましてもなかなか理解しにくいというほど多いわけであります。したがいまして、今回ゼロシーリングのときにもうすでに、これは容易ならない閣議決定をした、いままでのような調子でやっておったのじゃこれはもう大変なことになるということで、補助金を思い切って切ろう、統合しよう、メニュー化しよう、そしてまず事務手続を簡素化しよう。それから総合的な地域農政を進展していかなければならないこれからの農林水産省の考え方を生かしていくためにも、その地域において必要な補助金をメニューの上から拾っていく、そしてそれをその地域発展の計画として申請してくれば、各局の者が今度は本省に集まってそれを査定していく。そういうことにすることによって相手方の事務、業務も簡素化ができる、そういうことでこのような措置をとらした次第でございます。 何としても地域農政というものが中野先生御了承のとおり今後非常に大事になってきます。そこで、こっちがいままでは土地条件の整備というだけでそれの仕事が進んでいく、そうすると、そこに総合的ないろいろなものを持ち合わしてきても構造改善局関係の仕事だけと。それにやはり畜産局の考え方も、あるいは林野庁の考え方も、いろいろな各局庁別の考え方がそこに集約されてその補助金が総合的に生かされていく、そういう考えでいまのようにまとめた次第でございます。
○中野明君 大臣の指示されたのと中身は大分違うように私は思いますが、半分に減らしたのですから、補助金の交付事務というものは軽減されなければなりませんが、どうなんですか、あるいは人員がどれだけ削減できたのか。補助金を、普通の常識で考えれば、半分にしたんですから、事務量も半分、人員も半分とは言いませんけれども、幾らか減った、これで初めて整理したことになるんですが、その辺どうでしょう。
○国務大臣(亀岡高夫君) その件につきましては、具体的に予算編成に当たりまして大蔵省と折衝をして、事務体制を補助金の体制に即応せしめていくというふうにしたいと、こう思っております。
○中野明君 私が見たところでは、補助金は減っておらぬのです。ただ、数の勘定の仕方を変えただけなんです。大臣、よろしいですか。数の勘定の仕方を変えただけで、補助金は減っておらぬのです。ですから、統合が四百何ぼあるというのは、それは補助金を減らさないで、五つなら五つあるのを一つにしただけのことで、中身は同じなんです。ですから、私の心配するのは、かえってこういうことをすることによって補助金の事務が複雑になるのじゃないか。メニュー化するのですから、どこかでコントロールせにゃいかぬのです。そうしたら新しくメニュー課というのですか、課を一つつくらないとコントロールできぬのじゃないですか、どうですか。
○国務大臣(亀岡高夫君) 実は、一例を申し上げますと、新地域農業生産総合振興対策事業という項目にまとめてございます。そしてこれが一つの計画する事業の一例でございまして、これに畑作総合振興対策事業でありますとか、あるいは畑作の中でも養蚕をやりたいというところ、さらには果樹、花卉生産を選びたいというところ、あるいは野菜生産地総合整備対策をやっていきたいというところ、さらには転作促進特別対策事業でこの新地域の農業を、自分たちの特色ある農業生産地帯をつくっていこうと、こういう計画を立てまして、計画書をつくり、申請してきました場合に、それをいままではどちらかというと県なり市町村長さん方があっちの局に行き、こっちの局に行き、そして最後に林野庁に行っていろいろ了承を得て仕事を進めておる向きが少なくないわけでありますが、今度は本省が一カ所に集まって、そしてそこでその地域のその補助申請の内容が適正であるかどうかといったようなことを検討する、そういうことをだんだんとやっていかにゃなるまいということで、このような対策を実はやろうということにいたした次第でございます。
○中野明君 どうもかえって時間がかかりますよ。いままでなら直接その課へ行って話をつければよかったのですけれども、今度はもう一つ上に、メニューにしたのですからメニューを取り扱う課ですか、メニュー課というものをつくらないとうまくいかぬのじゃないですか。そうするとかえって事務が繁雑になるというか、手続がおくれるというんですか、非常にそういうやり方は。ですから、数だけ見ておったら千百を六百にした、これは大したものだと、こう思うんですけれども、行管庁長官、半分になったのですけれども、ひとつも変わってないですよ。数の勘定の仕方を変えただけなんです。そして臨調には言うたとおり半分にしましたよと言ったら、臨調の先生は知らぬから、ああよかったと言うかもしれません。けれども、それじゃ行革になっておらぬ。事務の簡素化にもならない。人員も減らない。 ですから、こういうところを考えていったときに、ゼロシーリングで来年こうやったと言うけれども、絶対にまだそこまで切り込まれてないわけですから、最初申し上げたようにゼロシーリングを緩めちゃいかぬと思います。そして、本当に行政自身がみずからの意思で行政改革をしていくようなところまで詰めていかなければ、行政改革にならぬと思います。これは農林省だけではないと思います。だけれども、数が余り多いので、農林大臣がおっしゃったように、恐らく予算を扱っている人も千百何は全部覚えているかといったらわかりません。とてもじゃないが、そんな覚え切れるものじゃありません。そういうことで、今度のように数をまとめたというが、中身は変わらずに数だけ合わせだということです。それでは困るわけです。 そういう点、行管庁長官もよく聞いておいていただいて、そこで私、補助金の問題で、次は厚生省の所管で低所得者あるいは身体障害者の方々に向けて生活の更生資金貸付制度というのがあります。これは御承知のとおり、地域の民生委員を通じて社会福祉協議会で貸し付けが受けられることになって、限度額は百六十万円、貸し付けは金利年三%で、修学資金は無利子という、低所得者に、この対象人口は一千万人とも言われておりますが、非常にこれは重要な役割りを果たしておるわけなんですが、これが苦しい世相を反映して五十四年度は三万四百件、五十五年度は三万六千八百と、こう希望がふえております。特にことしは東北から北海道にかけましては二年続きの災害、もうすでに厳しい農作業を終わって出かせぎに出ているというような現状でありますが、そういう地域で原資が不足して受け付けられない、こういうふうに訴えが出ているわけです。 そこでお尋ねするわけなんですが、本年の予算で未配分枠は、国の関係で三億、県の関係で一・五億、それから損失の補てん金で六億で、十億五千万円がまだ未配分で残っているんですが、八月ごろからその不足している地域は何とかしてくれと言っているらしいのですが、厚生省の方がまあまあもうちょっと全体を見てとか言って、なかなか一日を争うのにやってくれぬということなんですが、これは予算があるわけですから緊急に手を打っていただきたいのですが、いまたちまち年内に間に合うように残りの十億五千万というものを配分してもらいたいということなんです。すぐ手を打っていただきたいということが一つと、こういうものは本当に生活保護に転落を防ぐためにこういう貸付制度があるわけですので、こういうのはもう枠を減らさぬように、ふやしてもらいたい。この二点、厚生大臣。
○国務大臣(村山達雄君) 世帯更生資金については、委員御指摘のとおりにきわめて非常に効率的に運用されているわけでございまして、非常に喜ばれているところでございます。今年度資金不足という、何か新聞紙上にも出ておりました。早速いまどれくらいあるか調べまして適切な処置をしたいと、かように思っているわけでございます。 それから来年度の話でございますけれども、御承知のように、今度の予算の一律削減というのは、個別の補助金を一律にやるということではございません。したがいまして、われわれはこういう補助金につきましては削減の対象から外してまいりたいと、そのように考えているところでございます。
○中野明君 そこで、厚生大臣は大蔵大臣も経験をなさっておりますので、この貸付金、これは結局補助金で予算は整理されているわけです。私が心配をするのは、補助金ということで整理をされると、一割カットの対象の中へ一応入って、そしてわざわざそこからこれは別だと言ってのけなきゃならぬというめんどうな手続も要るし、補助金が多いという計算になってくるわけです。これは貸し付けですから補助金じゃないわけです。どうして補助金で整理をされているんですか、私理解ができないのですが。
○国務大臣(村山達雄君) これは、補助金というのは国から見た場合の話でございます。これは御承知のように、原資は三分の二は国が持ち、都道府県が三分の一のいわば渡し切りの補助金なのでございます。それを受けまして社会福祉協議会が、これが民生委員と一緒になりまして本当に困った人たちに低利で貸す、あるいは無利子で貸すという制度なのでございます。それだけに私たちは、この資金についてはやっぱり弾力性を持ってやっていかなくちゃならぬというのが第一点でございます。 第二点としましては、やはり渡し切りにしろ補助金には違いございません。そこで、前回の一括補助の対象にはなっておりますけれども、先ほども申しましたように、その金額は四百八十何億と言っておりましたけれども、委員御指摘のとおり。ただし、これは個別的な補助金との重複勘定がございまして、実際には重複を除きますと大体百十五億になるわけでございます。そこで、その百十五億はカットしなければなりませんけれども、御指摘のようにこういう大事な補助金でございますので、先ほど申しましたように、われわれはほかの方でかぶってもらって、この方はカットするつもりはないということを申し上げております。
○中野明君 どうも補助金とおっしゃる。私非常に疑問に思うわけですが、同じ厚生省の予算で母子福祉貸付金というのがあります。これは同じ貸付金なんですが、補助金ではありません、出資金というんですか、貸付金で整理されておるわけです。だから、予算のコード番号でいえば二三になっております。ところが、こちらは三分の二国が出して、県が三分の一出すのでしょう、出資金でしょう、貸し付けの原資を出しているわけです。それがどうして補助金なんですか。そうすると、このお金は最終的に帰属はどこになるんですか。
○国務大臣(村山達雄君) 貸付金の方は、御承知のように国自身が貸し付け事業をやっているわけでございます。したがいまして、その返還金あるいは利子は当然歳入に入ってまいります。また、それに継ぎ足してやりますと、その後また貸付金になるわけでございます。 一方、これは渡し切りの補助金でございまして、いわばその返還金は社会福祉協議会には入ってまいりますけれども、返還を求めないのでございます。ですから、年々で言いますと、たとえば国が三十億出す、それからその二分の一を県が出しますと、それは社会福祉協議会の中でずっとふくれていくのでございます。現在ではたしか三百九十五億円ぐらいになっておると思います。返還金がございますから、全体の貸し付け規模で言うと千五百億ぐらいになっておる。こういうことで十分機能いたしておるのでございます。返還を求めないのでございますので、いわば渡し切りの補助金になっている、こういうかっこうでございます。
○中野明君 ちょっとおかしいことないですか。貸付金でしょう。だから最終的には、そうするともしこの事業がストップしたら、現在いま三百何億と言われましたが、六百億ですよ、毎年三十億ないし四十億出しているわけですから。六百億の原資というもの、これが国のものにならぬのですか。国民の税金ですからね。だから補助金なら補助金でわかりますよ。だけど貸付金だから、とまったら一体だれの財産というのか、これははっきりしてもらわないと困るんです。
○国務大臣(村山達雄君) 数字はいまおっしゃるとおり五百九十二億でございます。これはストップするということを考えていないのでございます。ストップいたしますれば、そのときどうするかという問題があるいは別途出てくるだろうと思います。ですから、この問題はだんだん拡大していく資金であろうと思うのでございまして、需要が非常に多うございますので、そして特に目的から申しまして身体障害者、それから低所得者の更生資金でございます。ですから、そういうことを考えていない。そういう補助金でございます。
○中野明君 いまのは元大蔵大臣をなさっておった答弁とは思えません。少なくとも国民の税金を使って、原資に出して貸しているんですよ。それがどこへ行くのかわからぬ、まだ決めておらぬ、そのようなお金の使い方って、あっていいのでしょうか。そんなばかなことあるわけないです。 ですから、私が申し上げているのは、厚生大臣、そんなとぼけたこと言ってくれては困る。補助金ならば、それは戻ってこぬでもよろしい。貸付金ですよ。そして六百億からの原資になっている。このお金はこの事業がもしやまったときに、どこにいくかそれから考えますというような、そういう税金の中途半端なやり方が妥当かどうか。そんなことはありゃせぬ。ないんです。あなたの答弁、間違っているんですよ。だから私が言いたいのは、補助金で整理しちゃいけません。法律でも変えて、そして出資金なら出資金、貸付金なら貸付金ということで整理すべきじゃないですか。こんな六百億ものお金をあいまいにしておくとか、補助金の対象にならぬのを補助金だと言ってほうっておくのはよろしくないと、こう言っているわけです。
○国務大臣(村山達雄君) これは補助条件がございまして、事業をやめたときには当然国に返還してもらうということは補助条件になっているそうでございます。しかし、それまでの間はやはり渡し切りの補助金でございます。それで運用は、まさに社会福祉協議会で貸し付け原資に充てまして、そして三%なら三%の普通でございますと金利をいただく、あるいは修学資金でございますと無利子、こういうことになっているわけでございます。したがいまして、実際の運用は貸し付けで運用されておる。しかし、国としてはそれは渡し切り補助金ということで出しておる。いよいよ事業をやめるということ、これは恐らくないと思いますが、そのときは補助条件で国に返還していただく、こういうことになっております。
○中野明君 この財政処理の仕方が、ちょっと補助金として処理するのはどうかと私思うのですが、大蔵大臣、こういうのをコードナンバー一六で処理している。実際は補助金じゃない。そういうのは分類を、あれは別に法律で分類しているわけじゃないでしょうから、二三なら二三で分類した方が正しいと私は思うんです。なぜこんなことを言うかというと、補助金の中に入っていると一割カットの対象になってくるわけです。一割カットというようなこと言われる。そうすると、それを外すとほかがまたよけいこたえ込んでくるということもあるわけです。特に厚生省の予算だから私言うのです。弱い人たちの予算に、補助金でないものを補助金だという考え方はよろしくない、こういうことなんです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 先ほど村山厚生大臣の話もありましたように、たとえば補助金であっても、それは一割カットを全部の項目をしてくださいとは言ってないんです。その省庁で伸ばすものは伸ばしてもいいですよ、そのかわりもう過去のもの、目的を果たしたもの、そういうのはどんと減らしなさい、その結果が、プラスマイナスした結果が一割減るようにしてください、こういうことを言っているわけです。 それから、いま補助金という名前がいいか、出資金がいいか、私詳しくわかりませんので、よく検討して善処をしたいと存じます。
○中野明君 よろしく検討をお願いしたいと思います。 それから、同じ性質のものなんですが、これは明らかに補助金とは書いておりません。小企業等経営改善資金融資制度、これがあります。これは通産省だと思います。——では帰られるまでに、もう一度農林省にいきます。 農林省はお米の消費拡大事業というものをやっております。いま米が余って、国民にとにかく食べてもらおうということで一生懸命努力しておられます。私も賛成でございますが、このお米の消費拡大総合対策というのに十二億円を交付しているわけです。ところが、どう考えてもこの交付の仕方が本気で米の拡大をしようと思っているのかどうか疑わしい。この辺に私は、どう言うのですか、補助金ではない、交付金ですけれども、ばらまきの癖があるんじゃないかと、こう思うわけです。大体市町村に、小さな市あるいは町村には二十万から三十万。もらった方は困っているのです。それで何の事業をするか。それでもまじめにやっているところはやっています。地域の人の協力を求めて二十万で何とか間に合うようにしているわけですが、ところによったら、どうしようもないので運動会があるから握り飯でも出しておくかと言って終わり。それでは何のためにこのお金が来ているのかという趣旨の徹底、全然ありません。それで、どう言うんですか、むだな、効果を出していないわけですね。もっと効果のある方法をやってほしいわけです。 お米を消費するといえば、やっぱり人間がたくさんおるところ、大都市、大都会でPRせにゃいかぬわけです。ところが、大都会でどれだけやっているのかというと、人口一万のところでもいま三十万行っているんですが、札幌は百万を超えていますね、百五十万。それで何ぼ交付金が行っているかと言うたら五十万。町村が人口一万のところで三十万、札幌は百五十万のところで五十万。広島が五十万、それから名古屋が六十万。こういう割り振りの仕方です。それで、お互いに地方財政は苦しいですから、国から五十万や六十万交付が来たから言ってそれほど一生懸命やってくれません、これ全額交付金になっているんですから。 ですから、そういうことを考えたときに、もっと斑点的にやるべきだと思いますね。ほかにもテレビなんかもやっているようですけれども、そんなのはちょっとしかやっていない。テレビの方がよっぽど効果がある。ここで米の消費拡大をあなたと議論するよりよっぽど効果がある。十二億円も使って余り効果があらわれていない。こういう使い方を変えてもらいたい。そして、もっと県なら県で一千万でもかけて大々的にPRしてもらうとか、そういうやり方の方が効果的だと思うんですが、大臣、お考えを。
○国務大臣(亀岡高夫君) 米の消費拡大は農林水産大臣の一番頭の痛い問題でございまして、これの消費拡大を図るためにあらゆる努力をいたしておるわけでございます。厳しい食管財政の中からも貴重な国費を支出をして、消費拡大の方途を講じておるわけでございます。しかるところ、いま御指摘のような事態がありとすれば、これは大変な問題でございますので十分検討をいたしていきたいと、こう思っております。 市町村によっては非常に熱心に進めてくれておるところが比較的多いわけでございまして、本省としても、この十二億以外の学校給食でありますとかその他のPRのやり方でありますとか、いろいろ苦心をいたして、実は少ない経費で米消費の拡大を図ろうということでやっておるわけでございますが、残念ながらいま御指摘のような問題、効果のないという御指摘を受けた例はこれは厳しく調査をいたしまして、なぜそのようなぐあいになっていったのかということをきちっといたしたい、こう思っております。
○中野明君 私は、この米の消費拡大は絶対にやらなきゃならぬと思っておるわけです。だけれども、やりようがお役所主義で、机の上で割り振ってそれで事成れりという考え方だから困ると言っているわけです。その発想を変えてもらわないともったいないです。 町村なんかはかわいそうなんですよ。地域の協力をしてもらわなければ、予算が足りませんから事業もできません。そういう中をまじめにやっているところがずいぶん、いま大臣おっしゃったようにあるんです。そうかと思ったら、こんなの来たってしようがない、だから運動会でもあったらそれで握り飯でもたれか持っていっておけといって終わり、そういうところもあるというんです。それで、一番大事なことは、人が集まっている大都会でもっとPRしてもらわにゃいかぬのに、そこへは交付金が少ない。これではやってくれません。いま、それでなくても地方自治体は財政難で困っているわけですから、そういう点をよく考えていただいて有効に使っていただきたい。それが私の言いたいところです。 それじゃ、通産大臣が戻られましたので…。 小企業等の経営改善資金融資制度というのがございます。これをいわゆる俗にマル経資金、こう言っている。これは従業員五人以下を主体にして従業員二十人までの零細企業向けの資金で、非常にこれは消化率のいい、利用者が多くて、年末にかけて皆助かっているわけです。こういうところにどんどん資金を回してやってもらいたいのですが、何かきのうの新聞を見ますと、これの金利をまた上げようか、こういうようなことが新聞に出ているんですが、これはかわいそうですよ。 それで、同じ通産省で、ずいぶん利益の上がっている企業の補助金がけさほども問題になっておりましたが、そういうことを扱う通産省として、ここはひとつ、弱い者にしわ寄せをするもう典型じゃないかと思います。ですから、大企業に対する補助金は一切むだだ、だめだというようなことを言っているのじゃありませんけれども、国の財政がこんな苦しい生きは痛みを分から合うと総理もおっしゃっているわけですが、収益の上がっている企業こそ少し痛みを分担してもらいたい、辛抱してもらいたい、こういうことなんです。このマル経資金に頼っている人たちは、従業員二人とか三人とかの零細企業です。年末、これで息しているんですよ。もうすでに痛みということで言えばだれよりも痛みを感じて、生き抜くために真剣になって努力している階層なんです。これの利子をまた上げようか、こういうようなことでは話になりません。それよりも、こういう利子は据え置いて、融資の枠でも拡大して、早く立ち上がって社会の活力になってくださいというのが本当だろう、総理の言う心の通った政治だろうと思うんですが、通産大臣、そういう話があるんですか、利子を上げるという。
○国務大臣(田中六助君) 御指摘のように、マル経資金は零細中小企業者にとっては非常に大きな資金源でございますし、目下のところこれの金利を上げようというような考えはございませんし、むしろ御指摘のように何とか枠を拡大したいというような気持ちでございます。
○中野明君 通産大臣、しっかりがんばっていただきたいと思います。 とにかく行政改革のねらいというのは結局活力ある福祉社会の実現なんですから、活力がなくなったら困るわけです。総理もその点はお考えになっていると思いますよ。行政改革というと、何か減らすことばかりとか後ろ向きのような行政改革じゃないんです。行政改革ができたら減税もできるかもしれませんというような、明るい、前向きの行政改革でなければ国民の支持も得られぬと思います。 ところが、いま出てくる話というのは、大きいところはそのままにしておいて、福祉とか文教とか、あるいはそういうところへ全部しわ寄せが来ているというふうにとれるような、そういうやり方を国民の側から見たときに、これはかなわぬということになると活力がなくなる。こういう行政改革では困るのでありまして、だから表裏一体と総理はおっしゃっているのですが、行政改革をすることによって財政再建がおのずと実現してくる。財政再建が表しゃないんです。ここをお間違えにならないように。表裏一体で、どっちが表か裏か、どっちでも一緒だというのじゃなしに、行政改革は根本、そして当然これが進めば財政再建はついてくる、こういう考え方で事に当たっていただきたいと思うのでございます。 それでは、時間の関係で、ほかにも言いたいことがありますが、次の機会に譲りまして、農業問題に入ります。 昨年に続きまして十二号、十五号、台風が東北、北海道を襲いました。また、冷害もありました。農家は大変な被害を受けて、その結果、本年はお米が三十万トンも不足するという最悪の事態でございますが、まず、この被害の状況と対策について取りまとめて報告してください。
○国務大臣(亀岡高夫君) 八月上旬の北海道における豪雨と台風第十二号及び八月の下旬に起こりました台風第十五号により、北海道、東北地方を中心といたしまして水陸稲、麦類、果樹などの農作物に大きな被害が発生をいたしました。 〔委員長退席、理事嶋崎均君着席〕 その被害額は、台風第十二号等については、農作物関係が四百二十二億円、施設災害等を含めまして、農作物も全部含めまして千六十億。台風第十五号につきましては、農作物関係が千六十九億円。これは水稲等、果樹地帯の落果が特に大きな被害を受けております。施設災害等も含めまして千九百三十五億円に上っております。 したがいまして、被害状況が明らかになりますと直ちに天災融資法、激甚災の指定等を行いまして、被害対策の万全を期しておるところでございます。特に、昨年も被害を受けた農家がまたことしも被害を受ける、連続パンチということでございますので、いままで貸し付けた貸付金の償還猶予の問題、さらには償還条件の緩和の問題、さらに共済金をできるだけ早く支払えという手続をとらしております。天災融資法及び激甚災害法の発動は先ほど申し上げましたとおり。自作農維持資金の融資枠の確保と貸付限度の緩和を講じております等各般の措置を講じて、昨年行いました対策に匹敵する対策をやるように指導しております。 特に、今回第十五号台風が通り過ぎていった後の気温が非常に異常でございまして、低温が続いておるということで、見たところは豊作のような稲も刈ってみると、私も行ってみましたが、青森、宮城、北海道も実っていないものが多いということと、米の粒が非常に小さいのでございます。一キロ六万粒くらいあるやつがことしは八万粒ということでございまして、非常に十五号台風後の被害が深刻じゃないかなということで、いま統計情報部を通じまして調査をいたさせております。この調査の結果が出次第に対策をどうしたらいいかということをきわめていきたいと、こう考えております。
○中野明君 それで、大臣、二年続きで東北、北海道、特に青森なんかはひどいものらしいのですが、そういう方面は生産調整は一考を要すると思うんですが、お考えはどうですか。
○国務大臣(亀岡高夫君) 先生御指摘のその問題も、最近、知事会あるいは市町村長会、農業団体、あるいは青森、宮城等に行ってまいりました際に、現地の関係者の方々から口をそろえてやはり生産調整の緩和措置をという声が出ておりますこと、十分承知しております。しかし、昨年すでに三年間の割り当てを終わっておりますので、臨調に対しましてもこの生産調整だけはかたく農家の諸君と約束をして始めたことなんだからということで説明をいたしてきておりますので、いまここで、スタートして一年ということで計画を直ちに変更するかどうかというようなことで苦慮いたしておりますが、しかし現実は、私も行って見てきました。非常にひどうございますし、しかも十五号台風後の本当に低温でじわっと来たこの被害が、刈ってみてみんなびっくりというようなことを農家の諸君が言っておりますので、これらの事態が判明して、その状態を見てどうするかを決めていきたいと、こう思っております。慎重に検討をいたしておる最中でございます。
○中野明君 そこで、総理にお尋ねをいたします。 総理は、過日、メキシコのカンクンというところで開かれた南北サミットヘお行きになりました。その席上で、開発途上国に対しては農業開発、食糧増産の援助を積極的に推進する、こう発言をしておられます。特にその中で、私も原稿を見せていただきましたが、総理はこういうようにおっしゃっていますね。「農業を魅力ある職業とし、農民にやる気を起こさせることは、当該国の政府が行わずして、誰も行い得ない」、こうおっしゃっております。そのとおりだと思います。それから、わが国の農業というものは非常に総理はうまくいっているんだというふうにいろいろ述べておられますが、私がお尋ねをしたいのは、行革は聖域がありません、防衛も全部切り込んでいかれるでしょう、もちろん農業も聖域じゃない、こうなってくると思います。 ところが、この行政改革をきちっとする上は、ここで総理もはっきりおっしゃっているように「農業は、国造りの基本」だ、「農業を魅力ある職業とし、農民にやる気を起こさせること」、これはその国の政府の責任だ、まことに私同感でございます。ですから、まずこの総理のお考えをもとにして、一体鈴木総理は日本の農業をどうしようとしておる、どこへ持っていこうとしているんです。位置づけを明確にしてそうして行革に協力をしろと、これなら話はわかります。だけど、行き当たりばったりで、農業をどうするか目標も定めないで行革に協力をしろと言ったら、農民の協力は得られないでしょう。私は現在、この総理のおっしゃった言葉の、日本の国の中では農業が魅力ある職業になっているとはちょっと受け取りにくい面もあるわけです。その面を含めて総理の日本の農業に対する位置づけをこの際明確にしていただきたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 先般の南北サミットにおける私の冒頭発言に関連して、農政についてのお尋ねがございました。 南北サミットにおきましては、御承知のように世界の食糧事情というものはきわめて深刻な状況にございます。飢餓に瀕しておるような人口、四億にも達すあというようなことも伝えられておるわけでございます。そこで、私は、まず第三世界においては経済の安定、それから社会の向上を図りますためには、何といっても、工業化ということも大事ではございますけれども、まず地についた農業、農村の建設、特に食糧問題というのが重要な時期に相なっておりますので、農業及び農村建設に力を入れてほしい、わが国も先進国として農業技術の面なりあるいはその他の基盤整備なり、そういう面についてできるだけの御協力も申し上げましょう、こういうことを申し上げたわけでございます。 と同時に、私は、日本の農業が、こういう狭い国土で耕地面積も非常に少ないけれども、これを非常に最高度に経営をしておる。多角経営もやったりいろんな工夫をわが国の農民諸君はやっておるんだ。でありますから、アメリカのような広大な耕地を擁しておるところとは違いますけれども、集約的にやっておる。日本のような国さえやっておるのだから、開発途上国等においては大いにおやりになってください、こういう意味合いで申し上げたわけでございます。 私は、わが国の農政に対する基本的な姿勢といたしましては、農業の振興ということを国政の基本政策の中に位置づけておるわけでございます。そして、国内で生産できるところの主要食糧、これはできるだけ自給度を高めるように諸施策を総合的に推進をしたいと、このように考えておるわけでございます。 そして、いま行政改革との関連でございますが、いままでのように何でも補助金というようなぐあいにはなかなかまいらない面もございますから、この限られた資源、原資というものを効率的に使うことによってこの目的を達成するように、今後さらに一層政府としても指導してまいりたいし、努力していきたいと、このように考えております。
○中野明君 概念はわかるんですが、具体的にやはり農民にやる気を起こさせる、これには日本の農業のいわゆるまず主食なら主食、しかも飼料穀物とか小麦というのはもう大変なもので、いま日本は世界一の農産物の輸入国になっているんです。これはもう御承知のとおりです。ですからこれでは余りいばれぬわけでして、だから、この自給率をどこまで上げるのか。ところが、ことしの予算委員会でも私議論しましたように、現在三三%の自給率を六十五年、もう十年ありませんね、十年計画でしたから。六十五年には三〇%に下げる、下がるだろうと、こういう長期見通しなんです。これが問題だと思うんですね。 結局、現在三三%あるのが六十五年、十年たったらそれよりもまだ自給率が下がるんですよと、こういうところに目標を決めて、農民にやる気を起こせ言って、これはちょっと理屈に合わぬのです。ですから、要するに補助金もずいぶん使っていますけれども、コストを下げるとかこういう方向になかなか向かぬわけです、どうしても。確かに厳しいことはわかりますよ。厳しいことはわかりますけれども、三三をただの一でも二でも自給率を上げる、ここへ目標を置いて初めて役所も農家も、よしそれならということで努力が始まると思うのです。ところが、幾ら努力をしましても、十年たったら自給率は三三から三〇に下がるんですよという、この辺が私は農政に一本筋金が入らぬ基本じゃないだろうか。国民の側から見ても心配です。 ですから、先日も農林省は、非常の場合には食糧の状況はこういうことになりますと、私から言わしたら少し控え目に出しております。要するに食糧の安全保障ということ。ですから食糧の安全保障を言う限り、自給率を下げるという目標では安全保障にならぬと思います。ですから、一でも二でも上げて、そこへ目標を置いてみんなでそれに向かって努力をする。コストの問題も出てくるでしょう。農地の、土地の改良の問題も出てくるでしょう。これがないところに私は日本農業の展望は開けぬと思うんですが、この辺どうですか。 〔理事嶋崎均君退席、委員長着席〕
○国務大臣(鈴木善幸君) 具体的な施策につきましては農林大臣から申し上げますが、いまの食糧自給率の問題、十年後を展望してもむしろ下がるではないかということ、それでは農民にやる気を起こさせることにはならない、魅力あるものにならない、こういう御指摘でございます。 主食であるお米であるとか、あるいは最近におきましては、さらに戦略作物としての麦であるとか大豆であるとかにも力を入れておりますが、一番現在日本の農業において脆弱な面は御承知のように飼料作物でございます。そこで、今後食生活等も向上をしてまいりまして、畜産の振興、そういう方向に日本の農業も進んでいくだろう。そうすると、大量のえさを、飼料作物を海外から輸入をするということから言って、計算上そこにその自給率が低まってくる、こういうことになるわけでございますが、この飼料作物等につきましても、たとえば稲作に当たってえさ用の稲作を考えるとか、いろんなことをいま品種改良等も工夫をしておるようでございます。こういう点に配慮しながら自給率というものを下げないようにやってまいりたいと、こう思っております。
○中野明君 世界の食糧事情なんですが、これはアメリカの政府が世界の需給の見通しを出しておりますが、恐らく二十年以内、二〇〇〇年ですね、二〇〇〇年には、天候の異変とかそういうことを一切考慮に入れないで、世界の食糧というのはとんとんか、あるいは絶対量が不足してくるのじゃないかというふうに心配をしておると書いております。それから値段も、現在の最高二倍になる推定もアメリカ政府から出しております。 こういう状況の中で、いまでも食糧が偏在しているために、総理も演説の中でおっしゃっているように、地球の上に飢餓人口四億、一説には八億という説もあるわけです。もうその日のパンに事欠く人たちが四億も八億もおる、こう推定されているわけです。そういう状況の中で、日本の国が世界一の農産物の輸入国になって、そして安閑としておるわけにいかぬ。だから、いまのえさにしても国内でつくっていかなきゃならぬ。そういうことで食糧の安全保障というのはこれは非常に重要でありまして、オイルショックも、大体来るだろう来るだろうと言われながら、まだ先だろうと言っているうちにばっと来て、大騒ぎになって、そしてもうパニック状態で、これはお互い記憶に新しいところです。食糧もそろそろと言われているんです。食糧ショックといいますか、食糧というものがそういう時代、特に天候異変なんかに左右されますね。ですから、日本の国がとにかく世界一の食糧の輸入国になっているということは、それだけ天候の問題、あるいはその国の労働条件でストが起こったとか、いろいろの諸般の条件で絶えず日本の国に重圧がかかって、外交にもあるいは防衛政策にも、国内の政治にでも、何か事があったときには影響を受ける可能性が非常に高いわけです、世界一輸入しているんですから。 それだけに、やはりこの行革を契機にして日本の国内の食糧安全保障というものを本質的に考え直して、そして農産物をふやしていく。それにはいま総理がおっしゃったようにえさ米、これが私は一番大事だと思うんです。両方解決しますから、そして水田をつぶさないで済むわけですから。 日本の水田というものが果たしている役割りというのは、これはもうとても大変な役割りを持っておりまして、何千年お米をつくっても土壌はそのままです。ところが、いまアメリカではすでに環境問題が起こっているでしょう。小麦をつくる、雨が降る、表土が流れる。ですから、もう環境問題から食糧の輸出も考えるというような意見、運動が起こっているというんです。これはどんどん表土が流されますから、小麦を輸出するということは表土を輸出しているんだと、こういう議論が環境問題から起こってきている。アメリカ政府のその「二〇〇〇年の地球」というのを読んでみますと、やはりどんどん砂漠化していっている、こういうことを言っているわけです。ですから私は、農林省も研究はしているでしょうけれども、日本のたんぼの果たしている役割り、これはもう非常に重要な役割りを持っています。水もたたえますし、土壌も変わらない。もうあらゆる面で——アメリカ人までこの日本の農業の水田というものを高く評価している。外国人が評価している。 こういうことですから、できるだけ水田をつぶさずに自給力を上げようとしたら、えさ米に焦点を当てる以外にない、こう思うわけです。農林省にそのことをしょっちゅう言っているんですけれども、いま研究中ですとか、なかなからちが明かぬわけですが、どうしてもえさ米に国の総力を挙げてやっていかないと、水田と畑と両用にするといったらまた構造改善に物すごい金がかかります。水田のままで自給力を上げようとしたら、えさ米しかないだろう。そうしたら、いまおっしゃっているようにえさはほとんど輸入ですから、解決するんじゃないかと、このように思っておりますので、まず農林大臣、えさ米について本気でやってください、これをお願いします。
○国務大臣(亀岡高夫君) 中野委員の、水田文明は永遠であり畑作文明は三千年と、私は常に主張しておるわけでありますが、私も常にそのことを思い、日本の水田は、これはもうどうしても水田のままで子々孫々に伝えていくことが永遠の発展の基本である、こう思っております。しかるところ、えさ米の問題でありますが、これもやはり一夜づけですぐに多収穫の米ができるわけでもないことは御承知のとおり。多収穫のえさ米を外国から持ってきましても、脱粒性が非常に強いという問題がございます。 それから品種改良をして脱粒性を除くための努力を、国といたしましてもここ三年ほど全力を挙げております。と同時に、ことしから新規に研究費を計上いたしまして、全国の農業試験場で農業団体、農家の協力を得て試験をして、早く新品種を造成しようという努力をさせております。来年はこういう厳しい予算の中ではありますけれども、今年の約六倍の予算を計上いたしまして、できるだけ早くその新品種を造成をしていこうと、こういうことであります。 一方、やはり日本の水稲にはもっと冷害に強い品種でありますとか、もっと多収穫の品種でありますとか、そういうものを国際的に、世界的に研究する必要もあるということで、雲南省が米の原産地と言われております。そこで、私も去年の十二月に北京に参りましたときに、向こうの技術者と話しまして、ことしの八月雲南に行ってまいりました。そして雲南省の関係者とも、日本と中国で協力してそういう改良品種をつくろう。雲南でも冷害に苦しんでおるのだそうですね、ああいう暖かいところでも。それで、やはり冷害に強い品種を日中共同でつくっていきたい、こういうことも言っておりまするし、それと同時に、多収穫米に必要なあるいは冷害に強い遺伝子を持った品種もたくさんあるというふうに聞いてきておりますので、それらを、来年の二月に技術者の会議も開かせまして、速急に優良なる品種を、えさ米としての品種をつくり上げていく。そして多収穫にいたしますと、これでアルコールをつくり、そのかすで家畜を飼っていくというような研究もさせておるわけでありますので、御協力を願いたいと思います。
○中野明君 これは非常に大事な問題でして、いま町では世界じゅうの食べ物が行ったら何でもあるものですから、意外に心配ないというふうに思う人たちが多いわけですけれども、戦中戦後から食糧の非常に飢餓状態を体験したお互いにとりましては、日本の国の農産物の輸入がこんな状態でほうっておいていいかという不安は絶えずつきまとっているわけです。ですから、これは国の責任において食糧の安全保障ということはやらなければなりません。 それだけに、総理がおっしゃった創意工夫して狭い土地で集約的に成果を上げたというのは、これは米作、お米は確かにそうなりました。だけど、あとはみんな安楽死ですよ、小麦にしてもえさにしても。えさなんか税金もかけてないでしょう。だからもうストレートで入ってきております。EC諸国へ行ったら、えさはちゃんとやはり関税をかけて国内のあれを保護しているわけです。どこでも農業を保護していない国なんてないのです。ですから、私はいまさらこれはえさに関税をかけると言ったって、ガットの関係で無理な話でしょう。そうなっているから、だから日本は小麦にしたって、もう麦類は安楽死してしまったんですよね。これは国の政策でそうなったのだと思うのです。だけども、これは国民の食糧ですから、いざといったときには四面を海に囲まれているのですからどうにもなりません。それだけに食糧の問題については真剣にひとつお考えをいただいて、総理は総合安全保障とおっしゃっているわけですから、防衛に力を入れることも結構ですが、防衛よりこっちが先だと思います。昔から腹が減っては戦ができぬということがありますので、よろしくひとつそういう考え方で農業に取り組んでいただきたいと思います。 では次に、時間も制限がございますので、沖縄の問題にいきたいと思います。 総理は、去る九月十四日に、北方領土視察に次いで沖縄へ本土復帰後現職の総理としては初めて行かれました。そして空から沖縄の状況もつぶさにごらんになったようでございますが、本土復帰十年を迎えた沖縄へ行かれた総理の感想をまずお聞きしたいです。
○国務大臣(鈴木善幸君) 沖縄県が本土復帰後十年になるわけでありますが、この十年の間における沖縄の復興ぶり、歩みというものをこの目でつぶさに見たい、また沖縄の県民の方々、各界の方方からこれからの沖縄の振興開発についての御意見も聞きたい、こういう考え方で沖縄を訪問いたしたわけでございます。 全土ほとんど上空から見てまいりましたが、各地で開発が進められ、またあるいはダムの建設が行われ、港の修築、築港も行われておるということで、相当この十年間、沖縄の開発発展というものは私は確かにあった、前進が見られたと、このように思うわけでございます。しかし、まだ本土との間における格差というものは依然として残っておるというのも、これも否めない事実でございます。私は沖縄県民の皆さんの、現在ありますところの開発振興法、これをぜひ延長してほしい、こういう強い御要請につきましても十分認識を深めてまいったような次第でございます。 五十七年度予算編成のときがちょうど開発振興特例法の期限満了に当たるときでありますが、その時点で十分関係各省で検討させます。また、地元の御意見、御要望も踏まえて適切な対処をしてまいりたいと、こう思っております。
○中野明君 いま総理がお答えになりましたように、沖縄は基地の問題もまだ抱えて大問題を残しております。それから水の不足、これは断水がことしはまた大変だった。水が不足で一日置きに断水ということで、もう本当に気の毒な状態。電力料金は本土より高い。こういう状況で重要問題がいっぱい残っているわけですが、決して本土並みとは言えません。私も措置法の延長と第二次振興開発計画ばぜひ必要だと、そう思っております。 そこで、お尋ねをするわけですが、沖縄は本土復帰十年、こういう一つの節目を来年の五月十四日に迎えるわけです。この際、私は、非常に沖縄の人たちが戦後、辛苦、屈辱の時代を越えて、本土復帰して十年という一つの節目が来たのですが、政府として記念行事か何かをやるお考えがあるかどうか、その辺ちょっと。
○国務大臣(中山太郎君) お尋ねの、沖縄本土復帰十年を機にして政府主催の記念行事をやるかどうかというお尋ねでございます。 御案内のように、この沖縄の本土復帰に際しましては、沖縄県民もこぞって本土復帰を願望され、また各会派も国会での御決議もいただき、政府の必死の努力で、歴史の上でかつて見ない、戦火を交えずに領土が返ってきたわけでございます。こういうことを踏まえまして、政府といたしましては来年の五月十五日、政府主催で、また地方公共団体、民間の方々にも御相談を申し上げて、この記念すべき行事をぜひ行いたい、このように考えております。
○中野明君 ぜひそうしていただきたいと思います。やはりこれは一つの節目であり、意義の深いことだと私も思っておりますので、ぜひ実行に移していただきたいと思います。 また、もう一点は、これは非常に重要な問題なんですが、関係者がいろいろ苦心はしているようですが、なかなか実現を見ておりません。総理、米軍統治下における沖縄の民政府時代の資料というものがいまありません。アメリカが持って帰っているようです。それで、戦後の日本史をつづる、沖縄の歴史をつづるに当たってまことに重要な部分が欠落しております。民政府時代というものはどういうやり方をされておったのか、そういうことを含めまして大事なところが欠落しているので、ぜひこの復帰十年、こういう一つの機会に政府として米国の政府に資料をこちらへ戻せという要求を担当大臣ぜひなさっていただきたいと思うんですが、その辺どうでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) われわれ日本民族の歴史の中で、米軍占領下のこの数十年に及ぶ行政の記録といいますか、そういうものは米国の国立公文書館に保存をされておりまして、米国の国内法でいわゆる公開されたものは次第に入手されておりますけれども、大半の部分はまだ米国の公文書館に内蔵されておる、こういうことでございまして、ぜひひとつ明年迎える十周年記念として、米国政府に外務省を通じてこういうふうな貴重な資料を日本のために提供していただくように交渉を近く始めたいと考えております。
○中野明君 外務大臣、どうでしょう。
○国務大臣(園田直君) 総務長官から言われたとおりに、きわめて大事な問題でありますから、全力を挙げてやりたいと考えております。
○中野明君 総理、ぜひそれは実行、要求していただきたいと思います。 それでは、沖縄の問題はおきまして、福祉と医療関係に移りたいと思います。 まず福祉の第一点は、児童手当の問題であります。 これは総理が衆議院の行革特別委員会で、この制度はあくまで存続する、このように明言をいたされました。私ども非常に評価をいたしておりますが、そのときにも議論になっておりましたが、現在子供を産む率が非常に下がってきております。これは心配なことでございまして、昭和二十五年には三人以上が四四・八%であったのが、五十四年には一六・六%と激減をしておるわけであります。出生率も二・一人で大体静止人口と言われていますが、現在一・七七、このままでいきますと年寄りが非常に多くなって、若い人の率がだんだん減ってくる。民族の活力が問題になってくると私も心配をしております。総理も臨調も行革の理念とされる活力ある福祉社会の実現という目標から考えて、これはちょっと心配なことなんです。 そこで、総理はこの制度を残す、こうおっしゃっておりますが、現在は第三子からということになっております。そうなりますと、だんだん子供さんが減ってきて、三人を産む人がだんだん減ってくるということになりますと、制度は残っても対象者がなくなってくるのじゃないかと心配をしておるわけであります。それで、この児童手当法の精神に照らしてみても、お出しになっている法律の十二条で、児童手当を総合的に検討する、こういうことになっているわけです。私はこの際、児童手当制度は存続させたいとの総理の御趣旨は、かねがね児童福祉審議会が答申をしました第二子以上、さらには第一子と対象児童を拡大することも含めて検討される、このように受けとめてよろしいかどうか、これをお答えいただきたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 御答申のございますこともよく承知をいたしております。また、行財政改革というような当面の問題もございます。いろいろな点を総合的に勘案をして、この制度をいかにどういう内容で存続するか、維持するかということを検討してまいりたい、こう思っております。 なお、出生率の低下につきましては、私も非常に心配をいたしておるわけでございますが、これはただに児童手当の問題だけでこの問題を解決できるとは考えておりません。いろいろな問題を総合的にいろんな角度から検討しなければいけないのではないか、そういうような腹構えで取り組んでまいりたい、こう思っております。
○中野明君 それは私もよくわかっております。ただ、この児童手当法の精神から言って、児童手当を第三子から対象としている国というのは、実施している国じゃ非常に少ないわけですね。総理御承知のとおりで、わが国を入れて三つか四つしかないんです。ですから、いきなり一子からというのは無理かもしれませんが、対象者がだんだん減ってくるわけですから、第二子、さらには第一子、このように、この制度を残すという総理の精神はそういうことを含めて検討をするというふうに私たちは受け取っているわけですが、それでよろしいですかということです。
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど申し上げましたように、審議会の答申、私もよく内容も承知をいたしておりますし、いろいろな諸条件を総合勘案してこの制度を生かしていきたい、こう思っております。
○中野明君 それでは、医療費の適正化についてお尋ねをいたします。 臨調も指摘をしているんですが、臨調の指摘を待つまでもなく、国民の医療費の増大というのがこれは著しいのでありまして、五十五年度推計で十二兆円に迫る、こういうことであります。これは国民総生産の四・九%にも当たりまして、五年前の四十九年度を一〇〇としたときには倍になっておるわけです。この背景には、いろいろ言われておりますように。乱診乱療とか薬づけ医療とか、深刻な政治問題が抱えられているわけですが、この現状に対しまして、厚生省は五十八年度は国民の総医療費は大体どれぐらいになると推定していますか。
○国務大臣(村山達雄君) 五十六年度のこれは推計でございますけれども、十二兆九千億円でございます。 最近の状況を見ておりますと、やはり人口の老齢化、それから医療の高度化、それから疾病構造の変化、この三つが一番大きい要因だと思っております。五十三年度までは大体一六、七%の伸びを示しておりましたが、最近では大体九%ぐらいで落ちついているわけでございます。ことしの六月一日、医療費の改定を行いました。特に薬価基準につきましては一八・六%下げまして、医療費ベースで六・一を下げたのは御承知のとおりでございます。この医療費の合理化によりまして今後一体どういう推移を示すか、その辺によりますけれども、大体八%から九%ぐらいの増でとどまるのじゃないだろうかと、大体そのような考えを持っておるわけでございます。
○中野明君 いま御答弁がありましたように、年年国民一人当たりの医療費というのは増大をたどっておるわけでありますが、国民の負担能力から考えて、医療費というのは一体どの程度が適当というふうに考えておられるのか。やっぱり国民に負担能力はあるでしょう。その辺は厚生大臣、どうお考えになっていますか。
○国務大臣(村山達雄君) 現在、国民所得に対する医療費の比率は大体六%ぐらい、五十六年度予算ベースでそれくらいだと思っております。八%から九%といいますと、大体名目GNP、したがってまた名目国民所得の伸びもその程度であると思いますので、大体同じ比率ぐらいになるのじゃないかと、このように考えているわけでございます。
○中野明君 臨調も医療費の適正化対策ということを発表しておられますが、これは、私これを見せていただいて、余り国会でいろいろ議論されたことと新鮮味はないように思いますが、これを受けて、来年の概算要求で医療費を厚生省は節減するということで、約一千百七十億円の財源を適正化対策で節減しようと、こういうことですね。十二兆余りの中で約一千百七十億円の医療費を適正化対策で節減しようと、こう考えておられるようですが、私はもっともっとやるべきだと思うんですが、まず厚生省がここまで一千百七十億という数字を出しておられるのですから、具体的にどこをどう削ろうとお考えになっているのですか。
○国務大臣(村山達雄君) 医療費の増加傾向は先ほど述べたとおりでございます。私はやはり一番大事なことは、われわれの知っておるお医者さん、非常にまじめな方をたくさん知っているわけでございますが、残念なことに、一部の中には不当請求あるいは濃厚診療等も言われておりますし、また一部は事実であろうと思っているのでございます。それを直すために、何よりもやはり医療機関の自覚、それから医療機関と患者の間の信頼、これを確立する以外には私はないと思っているのでございます。したがいまして、いまいろんな病院会であるとか、あるいは各地の医師会で医の倫理に関する問題が非常に大きく取り上げられまして、すでに診療所にそれを掲げているようなところもたくさんあるわけでございまして、こういう自発的な風潮が伸びるということは私は一番望ましいと思っております。いかに取り締まりをやってみましても、人員をふやすだけでございまして、これはやはり何といっても自覚にまつのが一番大事でございます。 しかし、自覚をただ自然にまつということではなくて、その反面、やはり監査体制あるいは指導体制、こういうものを強化していく必要がございましょうし、また支払い基金の審査方法、これも科学的にしていく。いまコンピューターの導入等も考えているわけでございます。それから医療費の通知運動、これは保険者がやることになっておりますけれども、これをやはり励行していただく。漸次これがいま励行されつつございまして、その効果は私は顕著なものがあると思っているのでございます。そしてまた臨調が言っておりますように、高額医療機械の共同使用であるとか、あるいはまた濃厚診療があるかないか等について、やはり検査というものの科学的な分析、これも必要であろうと思うわけでございまして、国立衛生試験所等でその点も科学的にはっきりさせていくということでございます。 いずれにいたしましても、信頼関係を基礎にいたします反面、それだけにもし国民の期待を裏切るようなことがあったものについては厳正に処理してまいりたい。また、それがはっきりするような制度的な体制も整えてまいりたい、かように考えておるところでございます。
○中野明君 ただ、厚生大臣ね、一千百七十億円というふうに概算要求で適正化対策を出しておられるわけです。どこでどういうふうに減らそうと計算されているのですかということです。
○国務大臣(村山達雄君) ただいま審査、監査、指導、通知等々挙げましたが、その一つ一つの項目で幾らという積算はしておりません。ただ三%の節約というのを考えてみますと、私は前に税を扱っておったのでありますけれども、私でもってあれだけの五万の陣容が調査をいたしまして、そして本人の申告を是正する、更正決定をやる場合もありますし、修正申告をやる場合もございます。これが大体法人税あるいは所得税で私の記憶では四%か五%だと思っているのでございます。したがいまして、あれだけの強力の権限を持ち、あれだけの陣容を持っておるところで四、五%というところでございますので、どの項目で幾らとは言いませんけれども、三%という数字は相当われわれもしっかりやろうという気持ちをそこに出しておるわけでございまして、何とかそれを達成したいと思っているところでございます。
○中野明君 私どもはもっと切り込んでもらいたいと思いますが、やはりこれは厚生省が出されたこの一千百七十億、とにかくまずこれから始めてもらいたい、こういうことを要望しておきます。 それから次に、新薬の価格の決定についてお尋ねをいたしますが、新しい薬を決定されるに当たりまして、どういう決め方をされているのかということに非常に議論があるようです。不透明なことが多い、こういうことなんですが、どういう決め方をなさっているんですか。
○国務大臣(村山達雄君) 新薬につきましては、すでに収載されております薬、これの薬価基準が決まっているわけでございます。これは市場の実勢価格で決まっているのでございまして、それは市場の価格でございます。それをもとにいたしまして、それで薬理作用なりあるいは効能効果、これが類似するものを選び出しまして、それとの比較対照をいたしまして、そしてもし全く同じであれば同じ値段をつける。仮に、用量で、半分で同じ効果であれば、それは二倍の値段をつける、こういうやり方をいたしているのでございます。
○中野明君 いま最後におっしゃった、用量で、二倍であれば二倍の値段をつけるというその辺に私問題があると思うのです。これが問題だと思うんですよ。 ちょっと具体的に例を挙げてみますと、昨年の十二月二十五日、抗生物質のセフォチャムというのが、商品名で言いますとパンスポリンとかハロスポア、これはいま保険に適用しておりますが、これは何と一体比較されたのかということ。そして、それは比較はいろいろ差し支えがあって言えなきゃいいですけれども、これが四千七百六十五円にパンスポリンを決められたというのに非常に私たち疑問に思います。どういうものと比較をされたのかということが一つと、そして四千七百六十五円に決まったということ、ここに非常に問題点があるように思えてなりませんので、ぜひ御答弁をお願いします。
○国務大臣(村山達雄君) 一般論として、先ほど申し上げたとおりでございまして、その既存の収載の市場価格、それに薬理作用なり効果あるいは副作用というものを勘案いたしまして、総合的に類似薬効比較方式という方法で決めておるわけでございます。 具体的の薬のお話が出ましたが、これは国によりましていま同じものについて世界でどんな値段がついているかというのをずっと見てみますと、高いものもありますし安いものもございます。したがいまして、その各国における市場価格、これが皆それぞれ違っているわけでございます。われわれはその実勢価格を正確に求めて決めているわけでございます。 なお、具体的な薬について、どの薬を基準にしたかということになりますと、企業秘密に触れる点もありますので、またあれがございましたら、この場ではひとつ御容赦をお願いいたしたいと思います。しかし、そういう方法でやっておりますので、われわれはただこの現在のやり方、まあ総合勘案してやるわけでございますが、科学的にいま言ったようなものをもう少し細かくできないであろうか、こういうことを懇談会でいま検討している最中でございます。すでに薬価基準を引き下げましてから四回やっておりますけれども、この具体的な新薬のもう少しきめの細かい方式、これをいま検討中であるということだけ御報告申し上げておきます。
○中野明君 大臣、先ほど申されたように、効果が、効き目が倍だったら値段を倍にするというところ辺が問題があるのでして、結局それでは新薬の意味もないでしょうしね。 御存じでしょう、八木沢行正先生が日本抗生物質学術協議会におられますが、この人が抗生物質の抗菌スペクトル表というのをつくっておられますね。これはお医者さんならだれでも知っているようですが、ここにもちゃんと書いてあるように、一日の標準投与量が一ないし二と、こういうふうにパンスポリンはなっておるわけです。ですから、一でも二でもよろしいということになる。それで、前と比べて、前は二グラムで効くのを今度一グラムで効くんだからといって値段を倍にして、そして二グラム使われたら倍になっちゃったということになるんです。これが薬の値段をウナギ登りに大きくしている原因の一つだと、こういうふうに言われておりましてね、いいですか、効果が倍だから値段を倍にした、これは理屈ではわかるかもしれませんけれども、今度使うときに倍使ったら結局薬代は倍になったということなんです。これが国民医療に大変な影響を与えて、健保財政にも影響を与えているわけです。 この辺を明確にしていただかないと薬は幾らでもウナギ登りになって、今度新しくできたこのパンスポリンというこれの価格が基準になってまた決められるのですから、どこかで歯どめをしないと、もう幾らでも雪だるま式にふくれるわけです。ですから、もうこの点はいま審議会に答申をお願いしている、こうおっしゃるのですが、厚生大省、この辺どうお考えになるのですか。あなたもお医者さんですかね、ですからおわかりだと思うのです。違いますか。
○国務大臣(村山達雄君) いや、私は医者ではございません。全く素人でございます。ただいま委員のおっしゃいましたのは、最初に新薬の値段を決めるとき、これはもうやむを得ないものでございますので類似薬効比較方式というのを使っておるわけでございます。しかし、一遍収載されましても、御承知のように薬価基準は毎年調べるのでございまして、収載されたからといってそれがいつまでももつわけではございません。次の薬価改定のときには、つけましてもそれが市場で幾らで売れておるかという市場主義によって全部直してしまうのでございます。したがって、言いかえますならば、最初つけるときだけそうなりますけれども、やがてはやはり需給で決まってまいりますので、初め仮に間違って高くつけたとしてもそれは一回限りでございまして、次の薬価調査が行われるまでの間、しかも実際の取引はまた市場価格で決めているわけでございます。 おっしゃる点が濃厚診療になるかどうか、薬をよけいに出すか出さぬか、ここが非常にむずかしいところでございまして、医療につきましてはもとよりお医者さんの本当に医者としての良心に従わなければならぬわけでございます。そうかといって、それはもうちょっと少ない薬でいいんじゃないかと素人が果たして言えるかどうか、ここはやはり医療の本質の問題でございます。そういう意味で、私は、どうしても期本的な問題は医者の良心にまたざるを得ない。そういう意味で、不正の請求であるとか、あるいはまた本当にだれが見てもおかしいじゃないかというようなものにつきましては、仮にそれが濃厚診療でありましても、だれが考えてもおかしいというようなものについては、さっき申しましたようないろいろな制度を通じてそういうことがないように厳正にやっていく、これがやはり医者の自覚を高め、医者と患者の信頼関係を高め、ひいては医療資源を節減する、まあ遠いようであって最も早道ではないであろうか、そのように考えておるわけでございます。
○中野明君 とにかく、新薬決定にまつわるいろいろの疑惑というものはなかなか後を絶ちません。そういう点で今度審議会に検討してもらっているとおっしゃるのですから、そういう疑惑の起こらぬような、もっと何と比べたのだと明確に言えるようなそういう薬の決め方をされた方がよろしいのじゃないか、私はこのように意見を申し述べておきます。 最後になりましたが、自治大臣にお願いをしたいと思います。 この法案でも地方に非常に肩がわりが行われて、特にそれは過疎地といいますか後進地域といいますか、東北とか四国とか九州とか北海道とかのそういう地域、おくれているところに負担がかかる、これはもう大変なことなんです。同時に、この法案じゃなしに、予算編成でいま折衝になっていますね。これは地方に何でもかんでもしわ寄せする、肩がわりしてもらうということは行政改革じゃないでしょう。そんなことが行政改革だったら、これは行政改革という言葉自体を改めなければならぬと私は思うのです。その点について、地方自治を担当しておられる自治大臣として、予算折衝に当たってどういう決意で折衝に臨まれようとするのか。もうすぐ始まるわけですから、それを述べていただきたいと思います。これは肩がわりだけで済まされたのではたまらぬと思いますので、ぜひ。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 地方と中央の関係は先ほど申し述べたとおりでございまして、相協力し合って国勢の発展を図らなければならぬ、これは基本的な問題でございます。 特に、最近におきましては地方の問題というもの、これが地方の時代とも言われておりまして、地方が最も活力を持って活動し得るような体制をつくることがきわめて重要だと思います。そしてまた、現在地方財政も先ほど申し述べましたように非常に苦しい状況にございます。そこのところにあって、行政改革という名のもとに中央の負担を単に地方に転嫁するということは全く逆行する考え方だと私は思っております。予算編成に際しましては、この点に十分留意をいたしまして、関係方面の御理解を得て、地方にしわ寄せのないような、そしてまた活力を呼び起こすようなそういう予算編成ができるように努力をしなければならぬと考えております。
○中野明君 総理、いま自治大臣はああ言っているのですが、総理の御所見を最後に。
○国務大臣(鈴木善幸君) 御指摘のように、ただ中央から地方へのつけかえ、それを行革とは私は考えておりません。
○中野明君 以上でございます。
○委員長(玉置和郎君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。 午後五時三十三分散会 —————・—————