公職選挙法改正に関する特別委員会 第3号
- 発言数
- 119 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1981/10/21
会議録
○委員長(安田隆明君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る十七日、後藤正夫君、関口恵造君、堀江正夫君、井上裕君及び森山眞弓君が委員を辞任され、その補欠として田中正巳君、名尾良孝君、秦野章君、鳩山威一郎君及び円山雅也君が選任されました。 また、昨日、野末陳平君が委員を辞任され、その補欠として前島英三郎君が選任されました。 また、本日、田中正巳君が委員を辞任され、その補欠として井上裕君が選任されました。 —————————————
○委員長(安田隆明君) 公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案の趣旨説明は前回聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○宮之原貞光君 わが党は、六年前、参議院選挙の全国区のあり方の問題について、現状のままでいいのかどうかという立場から、いろいろな角度から検討いたし、全国区という一つの特色を生かすとするならば、拘束名簿式比例代表制の選挙ということが一応妥当ではないだろうかという一つの党内の意見を取りまとめまして、世論に問うたことがあります。しかし、そのときは、その期いまだ熟せずということから、論議のないままに不問に終わったところの経過があります。それだけに、議題となっておりますところの本提案に対しましては、日ごろ私どもの党は反自民の旗幟を鮮明にして、自民党の皆さんとはことごとくいろいろな問題で対決をしてきた間柄ではありますが、その自民党の皆さんの提案だからということだけで頭からこの問題を反対だとか、あるいは審議に値をせぬところのゆえ本議案は撤回をしてもらいたいというわけには公党といたしましてまいりません。しかし、さらばといって、提出をされておりますところの本提案に対しましては、基本的な姿勢なり、あるいはその中におきまして多くの疑点なりまた問題点があるようでございます。それだけに、それらの問題について、また質疑の中でただして明確にしない以上は、先ほども申し上げたところの経緯の中から、賛否の態度も明確にできないという経緯があるわけであります。 特に私どもは、疑問点の中でも、憲法上の諸問題については、日ごろ護憲を党是として、そのことに自負と誇りを持って運動してまいりました党でありますだけに、この問題に対する疑義が解明をされぬ限り賛同するわけにはまいりません。私は、質問に当たりまして、いわゆる私ども日本社会党のこの法案に対するところの基本的な態度ということをまず明らかにして、これから質問に入りたいと思うのであります。 大臣が時間の関係上、全時間おられないようでございますから、まずぜひとも大臣にただしておかなければならない問題から質疑に入らせてもらいたいと思うのであります。 この法律案の趣旨説明によりますと、全国区のあり方の問題について改正をしたところの大きなポイントの一つは、参議院にふさわしい人をより得やすい制度にするところの必要性があるということと、多くの候補者にとって膨大なる経費を要するのでこれを解消するところの必要性がある云々と、説明書を見ます限り出ておるのであります。 そこで、まず大臣に聞きたいことは、全国区のいわゆる候補者の選挙に膨大な資金を要する云々という問題とかかわるところの問題でございます。確かに全国区の選挙に大きな資金がかかっておるということは、これは否定できません。いわゆるタレント候補と言われるような方々はこれは別でございますけれども、私どもを含めて一般の候補者から見れば、膨大な金がかかっておるということは、それぞれの多寡はありましょうけれども、これは否定できないところの事実だと思います、ただその資金が自分のふところから出てるかどうかは別にいたしまして。ただ、金がかかり過ぎるという、このことでございますが、先般の本会議の質問の中にもあったわけでありますが、金がかかり過ぎるのではなく金をかけ過ぎるのではないかと、こういう御主張がありましたが、全く私どももそのことは正しいと思うんでありますが、それならば、どうして金のかからない選挙をすればいいのか、そのためにどうすればいいかと、このことは、この制度だけじゃなくて、選挙制度全般にかかるところの問題だと思うのであります。 そこで、大臣に聞きたいわけでございますけれども、単に金のかからない、経費の節約云々ということは、この本法案だけでなくて、いまも申し上げましたように選挙制度全般にかかるところの問題でありますだけに、大臣はこのことについて、いわゆる公職選挙関係の担当大臣としてどうお考えになっているのか、その所感をまずお聞きいたしたいと思います。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 全国区の問題につきまして、特に非常に金がかかり過ぎるという、これは事実でございますが、それはかけ過ぎておるんじゃないか、自粛をすればいいじゃないか、こういうようなことでございますが、選挙でございますからなかなか現実にはそういうわけにもいかないわけであります。 そこで、制度の面でなるべくかけないようにするというためには、公営の分野を広げていくということが一つあるだろうと思うんです。これは逐次そういう方向には進んでおるわけでございます。それからまた、政治資金の規制の問題もあるわけでございますが、これもいろいろな経過はございまするが、そうした方向に進んでおると。そういうことと相まちまして、かからないようにしていくということについては皆共通の目標を持っておるものだろうと、こう思っております。
○宮之原貞光君 大臣自身、選挙公営とか政治資金規正法の問題をそういうような形できちんとしていくというお考えだとするならば、具体的にこの問題についてどういう努力を現在進められておるか。そこのところをお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 公営の問題についてはいろいろな問題がありますけれども、逐次ひとつ範囲を広げていくような努力をすべきであろう。それから政治資金規正法につきましても、経過はございまするが、いろいろな点において改正をしていかなくてはならぬ。目下いろいろと検討いたしておるところでございます。
○宮之原貞光君 そういう抽象的な答弁ではこれは困るんですよ。特にこの政治資金規正法の問題は、私はこの委員会で所管大臣が変わるたびに言っておるんですけれども、検討中でございます、検討中でございますと。これではやはり公営選挙をあずかるところの大臣の職務としてはいかがかと私は思うのであります。特にこの政治資金規正法の問題について私はお伺いをいたしたわけでございますけれども、御承知のように、あの改正案がいろいろな論議の中から可決、決定をしたところの経緯の中で、附則にも明らかにされているように、五年後は見直しをしますと明確に出ておるんですね。これが来年の一月ですね。もうあと二カ月しかないわけなんです。現在、この問題の見直しについてどういうような内部討議が進んでおるのか、その点をお聞かせいただきたい。
○国務大臣(安孫子藤吉君) この点もいろいろ検討いたしておりますが、あの思想の中にありますものは、大体企業献金というものはよくないんだと、それから個人献金に移すべきであるというような方向がにおっておるわけでありますが、この点については私どもは疑問を持っているわけでございます。企業献金というものは、いつも申し上げておりまするが、必ずしもそれは悪ではないんだ、個人献金だけが善であるというような割り切り方は適当じゃないと。まあその辺、また各党のよって立つ財政基盤というものもおのおの違うわけでございまするから、そうした問題も含めて考えるべきであろう。しかし、何にいたしましてもこの問題は、各党の問題というものが各党の消長にも関する問題であり、各党のよって立つ基盤の問題にも関係をいたしまするし、何にも増して各党間の合意というものが一番必要なんだろうと。そういうことについて十分ひとつ各党間においても論議を尽くしていただきたいと、こういう態度でおるわけでございます。
○宮之原貞光君 しかし、大臣、あなたは自民党政府の大臣でしょう、そうじゃないんですか。この改正法案を提起されたときの政府も自民党なんですよ。その同じ自民党の政府の中で、時の総理大臣や大臣がかわったからといって、方針がくりくり変わられたんじゃこれは困りますね、やはりそれぞれの政党には一つの継続性というものがなければならぬわけですから。しかも政権党ですからね。それが、いま大臣はぬけぬけと企業献金が悪いという方向については疑念があるなんと言ってね。ちょっとそれは聞こえない話ですね。少なくともあなたは法の番人をもって任じておるところの大臣だと思うんですよ。それだから、やはり忠実にあの法律に盛られておるところの精神に沿って努力をするという、そういう態度があってしかるべきじゃないでしょうか。その点はいかがですか。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 一面におきまして政府自身もその方向について検討すべきでありますが、同時にこの問題は、各党の問題が非常に重要な問題であることは私から言うまでもないと思うんです。そういう点について各党の合意を得なければこの問題の発展というものはあり得ないだろうと思います、結局は法律改正になるわけでございますから。したがいまして、立法府におきましてこれを構成する各党間においても十分な論議を尽くしていただくことが問題解決の一つの道筋であろう、こういうことで申し上げておるわけでございます。
○宮之原貞光君 余り各党合意合意って、それはあなたやぶへびじゃありませんか。それならば、いま議論をされておるところのこの問題にしても、これはやはりそれぞれの党の消長にかかわるところの問題ですよ。ただ、あえての違いを言うならば、あれは政府提案であり、これはいわゆる政党提案だという違いだけだけれども、根っこは同じなんでしょう、これは。余り各党合意云々とやぶへびみたいなことをあなた言いなさんな。おかしいですよ。これはだれからも笑われますよ、そんなことを言われると。問題は、政府のやはり所管の事項なんですから、政府がイニシアをとって各党に働きかけて合意を得るという努力があってしかるべきじゃないですか。その努力をしないでおって、ただおざなりに各党間の云々では、これはちょっと違いやしませんか。その点はどうですか。
○国務大臣(安孫子藤吉君) これはやはり各党の問題にも非常に密接な関係のある問題でございまするから、ひとり政府だけというわけにはいきませんので、しかもまた立法府の問題でもございまするから、これはどうしても各党間の合意あるいは各党間の理解というものが前提とならなければ、これはもう問題は解決しない性質のものだと私は思っております。
○宮之原貞光君 しかし、あれは政府が提案をしてできたところの法律でしょう。それならば、あなたの方で積極的に努力して、各党にそれぞれ呼びかけて、どうだということで、政治資金の問題について、もう法律に決められたところの五年間来ておるわけですから、あなた自身は積極的にこの問題について対応するという姿勢があってしかるべきじゃありませんか。その姿勢さえないんですか、あなたは。そういう用意があるかどうかということをいま私は聞いておるんです。いかがでしょうか。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 内部におきましてはいろいろと検討はいたしております。しかしこれはまだ発表する段階ではございません。
○宮之原貞光君 あなたが各党云々と言うならば、内部で検討したものがある程度成案を得たならばそれぞれの政党とも相談をしてまいりたい、こうおっしゃるならば筋道合っておるんですよ。そういう用意がおありですかどうですか。
○国務大臣(安孫子藤吉君) したがって、並行的に各党におきましても十分にこの問題についてはひとつ意見の統一を図るように御努力を願いたいということを申し上げておるわけです。
○宮之原貞光君 そういうような物の姿勢ではやはり今後の法案のいろいろな問題の審議に響きますよ。あなた方がイニシアを持ってやはり各党にそれぞれ相談を持ちかけるというのがこれは筋なんですよ。それだけをきつくあなたにも要請しておきますよ。あなたは、それは重要な問題ですから各党間の話ですと、そんな無責任なことないですよ。もともと三木内閣の提案としてできたんですから、あれは。だから、私はその姿勢をまず政府としてきちんと直しておいていただきたいということをまず申し上げておきます。 続いてもう一点お伺いをしておきますが、この比例代表制というものの原理について大臣はどうお考えですか、お聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 原理につきましては私よりも政府委員の方が適切だと思いますので政府委員から申し上げます。
○政府委員(大林勝臣君) 私どもの方から比例代表の原理について申し上げるよりも先生方の方がもうお詳しいと存じますけれども、従来比例代表制の原理と申しますと、各政党の得票数に比例をいたしまして議席を配分する。そのためには一定の当選点というものを決めまして、つまり議員一人が当選するための必要な当選点というものを決めまして、その当選点を基準として各党に配分をする。その当選点をオーバーした者は順次他の同じ政党の候補者に移譲をする。つまり一般の選挙制度で申しますと、つまり相対多数の選挙で申しますと、いわゆる取り過ぎであるとか、いわゆる死票と申しますか、そういうものが相当あるわけでありますが、できるだけそういった死票をなくすることによって国民の意思をできるだけ正確に反映する、そういう技術のために当選点を決める、あるいは移譲という方法によります手段によって得票数の比例配分をするというのが比例代表の原理だと理解しております。
○宮之原貞光君 私は比例代表制というのはそういう選挙技術上の問題ではないと見ておるんです。そこは担当大臣あたりはそういうふうに技術的な問題だというふうにお考えですか。これは後ほど提案者にも聞かなければならぬのですけれども、そういうようなふうに私は理解してないんですよ。 それと、冒頭に申し上げたように、わが党でかつてこの比例代表制の方向性というものを検討し、いいのではないかと意思統一をしかかったときがあった。そのときの原理はそんな技術的な問題でこの問題をとらえたんじゃないんですよ。私は比例代表制というのは小選挙区制とかあるいは定員二名、三名という中選挙区制みたいに多数党に都合のいいようにつくられるところのものとは違うと思っておるんですよ。言うならば、少数の民意も反映させるところの一つの方法としてこの比例代表制というものがそもそも派生しておるところのものがある。言うならば、言われておるところの小選挙区制やあるいは極端な中選挙区制とは原理の面では全く違ったところの立場に立っておると見ておるんですよ、これは。だからこそヨーロッパ諸国において、この比例代表制の制度というものは少数党から提出されて、それぞれの国で実施をされつつあるんじゃないですか。それだけに、本当にこの比例代表制というのはあなた方技術上の問題だとお考えなんですか、どうなんですか。そこのところをぼくは大臣に聞きたいんだ。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 要するに選挙というものは、国民の総意をどういうふうにして判定をするかということについてのいろいろな角度からの検討をしていろいろな選挙制度ができるものだと、こう思っておるわけです。要は国民の総意というものをどういうふうにして表現をするか、結論を出すかというのがいろいろな選挙制度の基本だろうと思うんです。 そこで、いろいろな選挙制度につきましてはそれぞれ長所短所があるわけでございます。そうすると、その一つといたしまして、比例代表制というものが国民の総意を反映するのにふさわしい制度であるという形において比例代表制というものが一つ方式としてあるわけでございます。これは比較検討の問題でもあると思います。
○宮之原貞光君 ちょっと私は所管大臣としての答弁としてはきわめて情けなく思うんですね。その論法で言えば、あの小選挙区制云々というのはこれは同じ次元のものですか。私は提案者にお聞きしたい。その原理はどうお考えですか。それでは改めて提案者に聞きましょうか。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 比例代表制は、できるだけ死票がないように各党ごとに入れました得票数に応じまして国会の議席が配分されるようにという意味では、できるだけ民意が正確に国政に反映いたしますようにというのが比例代表制の理念ではなかろうか。そういう点においては宮之原先生と私は全く同じ見解だと、かように思っております。
○宮之原貞光君 これは選挙方法いろいろありますけれども、少なくとも方式方法というのは、代表分布をそれぞれの民意を反映して可能な限りやはり公平にしようという基本的な原理と申しますか、理念があるという、ここではまさに私は小選挙区制とは百八十度違うと見ておるんです。ですから、違うものですか、違わないですか、同じものですか、どうですか、大臣。その大臣の答え方によって私どもも重大な判断をしなければならぬと思いますが。
○国務大臣(安孫子藤吉君) やはり各選挙制度というものはそれぞれの理屈に基づきまして制度ができておるわけでございまして、それなりに長所短所があるわけでございます。そこで、小選挙区制度につきましてもそれなりの理屈はあるだろうと思います。要するにその各制度の長所短所というものがあるわけでございまして、いま提案者から言いましたように、議席の関係から申しますと比例代表制の方がより好ましいものであろうという見解の表明もあったわけでございまするが、その点も確かにあるだろうと思います。小選挙区制との比較におきましてどうこうということはいま直ちに論断をすべき問題ではないと思っております。
○宮之原貞光君 そうしますと、政府としては小選挙区制というものをやはり考えておるんだと、同じような立場から。こういうふうに理解しておいてよろしゅうございますか。
○国務大臣(安孫子藤吉君) その点は全然誤解でございまして、そういうことを考えておるわけではございません。制度論として申し上げておるわけであります。
○宮之原貞光君 これはいまも申し上げましたように原理的には全く逆なんですよ。そこのところはぼくははっきりしておいてもらわなければ困るんですよ。小選挙区というのは、それはもう多数党が絶対多数を取るためのやはり一つの手段ですよ。少数意見というのはみんな抹殺されるわけですから、それぞれの選挙区で。けれども、比例代表制というのは、少なくとも死票をなくしよう、少なくしょう、それをできるだけ生かしたいというところの問題ですから。小選挙区制というのは逆に死票がたくさんできるわけですよ。一票違いでもだめなものはだめになるわけなんです。これは逆な問題なんですよ。それを選挙技術の問題だと考えたり、あるいはこの問題についてはどうだと、こういう政府のお考えですか。私は、政府がいまあなたのところの与党から出されたところのこの比例代表制というものを支持する立場にあるとするならば、頭のどこにも小選挙区制というものはあってはならないと思うんです。おかしいと思う、もしあるとするならば。その点どうですか。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 重ねて申し上げますけれども、いろいろな選挙制度というものはそれなりの理屈がありましてその選挙制度ができておるわけでございます。 そこで、比例代表制についてはそれなりの議席を公平に持つという点において非常にすぐれておる、そういう立場からこれを参議院の全国区に適用しようというのが提案者の意見でありますが、そうだからと申しまして、全部比例代表制にし得るかどうかという問題だってあるわけでございます。この点は十分検討を要する問題でございますが、重ねて申し上げますけれども、政府でいま小選挙区制というものを実施をするというような考え方はないということだけは明瞭に申し上げておきます。
○宮之原貞光君 私は何もどこにも比例代表制を実施しなさいと言っておるんじゃないんですよ。原理問題を、基本理念問題をあなたに聞いておるんですよ、基本的な問題を。少なくとも言われておるところの比例代表制というのは、私はそう思うし、提案者もそうだと思う。そういう理念と小選挙区制という理念とは全く相入れない問題なんですよ。おわかりでしょう、それは。死票の問題から見たってそうはっきり言えるでしょう。私は政府がこの全国区の比例代表制というものを是認をするところの立場に立たれるとするならば、小選挙区というものは頭にないと考えるべきが一番至当だと思うんです。それだからそれはどうですかとあなたに聞いておるんです。じゃ、その小選挙区制は検討に値しない問題だと考えておると、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 小選挙区制度は小選挙区制度なりのいろいろな理論はあるだろうと思うんです。したがいまして、制度自体としてはいろいろ長所短所がありますから、これはそれなりに論議をしていいものだろうと思うんであります。比例代表制を是認するからほかのものは一切いかぬのだというわけにもいかぬだろうと。この点については十分検討を要する問題でもあるし、また政府といたしまして衆議院において小選挙区制度をとるなどという考えはいまは全然持っておりませんということを申し上げております。
○宮之原貞光君 私は制度の問題というよりも自民党、時の政府はどう考えていますかと聞いておるんですよ。一般論で聞いておるんじゃないよ、理念の問題と関連するのは。だから、よく言われているところの——本会議でも質問があったでしょう、いわゆるこれは小選挙区制を実施をするための地ならしだという意見さえもあるのですよ。お聞き及びでしょう。私から考えるならば、比例代表制の理念というものと小選挙区制の理念というものは全く相反するだけに、どうしてその地ならしになるんだろうかという疑問を持たざるを得ない。しかしながら、それとは別個に、政府としてはそのことについてはまた今後の問題だと言うなら、相矛盾するものでも政府は自分の都合がよければやろうという考えかと勘ぐりたくなるんです。それだからしつこく聞いている。相入れないものを政府としては本当に考えておるんですか。どうですか、なければないとはっきりおっしゃってくださいよ。
○国務大臣(安孫子藤吉君) そういうことは考えておりません。
○宮之原貞光君 それならそれで初めからきちんと言いなさいよ、よけいな時間とらさないで。あなたは予防線だけ張っているからだめなんですよ。こういう問題、重要な問題だから虚心坦懐にノー、イエスを私は言ってもらいたいと思うんです。わからぬようなわかったことを言うのが大臣答弁だと思っていたら、ばかの一つ覚えと言われても仕方ありません。
○国務大臣(安孫子藤吉君) その点は質問の点も理念の問題から発足いたしましたからお答え申し上げたわけでありまして、質問の要旨が小選挙区制をとるつもりかとるつもりでないのかという質問であればはっきりお答えいたしました。
○宮之原貞光君 もう一つお聞きいたしますが、政党法の制定という問題をそれならばどうお考えになられていますか。確かにこの比例代表制の政党本位の選挙というならば、これは参議院も政党化するという論理が成り立つんです。だとするならば、今後はいわゆる国政レベルは政党法というものをきちんとつくって、それはどうだという論理にこれは発展しかねないところの要素があるんです。ただしかしながら、私どもは今日の日本の政治風土を見た場合に、だからといって政党法というものを前向きで検討しようというところの段階でないと思うんですが、政府はこの点どうお考えになっていますか。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 政党法の問題は、きわめて重要なまた検討を十分にしなければならぬ問題でございますので、結論は出ておりません。これにはいろいろな問題点があるだろうと思っております。全国区制をとるにつきまして政党的なものをはっきりさせる必要があるだろうと、前提といたしまして。その点については最少限度の規定をこの法案に盛り込んでおると、これで当面の問題は私は措置できるものだろうと思っております。政党法の問題は十分に今後検討する必要があるだろうと思っております。
○宮之原貞光君 それは検討に値するから今後検討しますということでございますか。 私は少なくとも、先ほどは小選挙区の問題で言いましたけれども、とてもいまの日本の政治風土の中で検討に値するから検討しますという次元の問題ではないと、こう見ているんですね。逆ですか、あなたのお考えは。ちょっとそこを聞かしてもらいたい。
○国務大臣(安孫子藤吉君) これは逆でも何でもありませんで、政党法の問題はいままでもいろいろと議論はされておるわけでございまして、この問題には大変むずかしい問題もあることは私も承知いたしております。この検討については今後も続けなければならぬと思いますけれども、当面この問題を措置するにつきましては、必要最小限度のことをこの提案する法案において措置をしておりまするので、この点については問題はないだろうと、こういうことを申し上げているわけです。
○宮之原貞光君 しつこいようですが、この法案に盛られておるところの内容について私はお聞きしておるのじゃないんですよ。西ドイツやヨーロッパ各国で実施されておる、あるいは検討されておるところのいわゆる政党法について政府はどうお考えですかと、そのことをお聞きしておるんですよ。
○国務大臣(安孫子藤吉君) それは検討をする必要はあるだろうということでいろいろ研究はしておると、こういうことです。
○宮之原貞光君 じゃ、これは検討段階だということですか。その真意も、前進的にそれを考えられておるのか、あるいはまだちょっと早いぞとお考えになっているのか、そこらあたりまで聞かなければよう私は即断できませんけれども、どうも煮え切らぬあれですね。 それで、もう一つ時間の関係もありますからお聞きしますが、全国区のいわゆるかわるところの比例代表選挙区という話は一応この提案の中で議論されますが、地方区の定数是正という問題は一体担当大臣としてはどうお考えでしょうかね。これはもういまさら私から申し上げるまでもなく、何でこの問題を置き去りにしておるんだろうかという批判もやはりあるんですよ、率直に申し上げて。非常な矛盾がある。一票の重みというものに非常な違いがある。と同時に、もうすでに地域によってはいわゆる逆転現象というのが起きておりますね。いつまでもこれは放置するところの問題じゃない。これこそ前向きの検討を急がなければならぬところの問題だと思っておるんです。 このことについて大臣いかがですか。これまた各党間の合意が得られなければできませんと、こうおっしゃるんですか。所管大臣としてどうですか。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 地方区の定数の問題もいろいろ問題を抱えておることは十分承知いたしております。特に逆転現象のところにつきましては問題が重要だろうと思っております。この定数の是正の問題も検討しなくてはならぬ問題の一つだと考えております。ただ今回の全国区の問題は、その緊急度から申しますというと特にこれを早く是正をする必要があるだろうということで提案者が提案をしているわけでございます。地方区の定数の問題についても今後の検討課題であると考えております。
○宮之原貞光君 いずれが先かどうかというのはそれぞれ議論のあるところですけれども、前向き検討中だというふうに理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 検討中であるということを申し上げておきます。
○宮之原貞光君 いいですわ大臣、これから提案者にお尋ねしてまいりたいと思いますから。 いまこの制度の基本的な性格の問題を中心にして政府にいろいろ所見をお伺いをしたんですが、そこで提案者にお聞きいたしたいところの第一は、この提案説明を見ますと、参議院にふさわしい人をより得やすい制度としてこのことを考えたと、こう出ておるわけでありますが、一体参議院にふさわしい人というのは提案者の側はどういう人間像というか、人物像を描いておられるんですか。まずお聞かせをいただきたいと思います。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 上院の制度は各国によっていろいろでございます。だから、上院の制度だから一概にどういうことは言えないように私は考えておりますが、わが国の現在の衆議院、参議院のあり方から考えますというと、やはり衆議院はどちらかと申しますと情と力と申しましょうか、参議院の方は理性の府である方が望ましいのではなかろうか。そういう点から申しまして、やはり識見でございますとか人柄でございますとか、冷静に国政のあるいは国の行く末を見ながら、法案の審議でございますとか政策の論議でございますとか、そういうことをなさるのに適当な方が参議院の議員としてはふさわしい、あるいは望ましい方ではなかろうかと、かように考えております。
○宮之原貞光君 私がお聞きしたいのは、提案者の側のふさわしい人はどうかということでお聞きしておるわけですけれども、まあ冷静な理性のあるなんというと、私どもみたいに血の気の多いのはまず欠格かなと、こう思うんですけれども、それはともあれ、そのことがこの法案の実施によって可能性が非常にあるという、いわゆるより得やすいという、このことはどういうことを意味するんですかね。これはどういうことだから得やすくなるんだというふうにお考えなんですか。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 現在の制度は、参議院議員になりたい、あるいはバックの団体もございましてぜひこの方を参議院に送りたいと、いわば個々の考えと申しましょうか、あるいは特定のグループの支持によって出てこられるわけでございます。今度考えております政党が名簿をつくるという方式にいたしますというと、それぞれの政党におかれまして適材を広い視野からお選びになると。私どもはその選考に当たる者ではございませんけれども、この制度をつくる者といたしましては、各政党とも先ほど申し上げましたような参議院の使命あるいは機能からいたしまして広い視野で適材を選ばれることに努力をなさるであろう。そういう面からいたしますと、むしろ従来よりもより適材を得やすくなるのではなかろうかと、このように考えておるわけでございます。
○宮之原貞光君 そうなりますと、各党が提出をする名簿登録者のあり方という問題が一番ポイントになってまいりますね。あなたがおっしゃたような望ましい人がより得やすいようなことだということだと、各党この法案によると、この名簿登録者、これをどういう人を選ぶかということが基準になるというかっこうになるんですが、ただこの法案は、そういう点についてはこの提案に対しまして具体的にこの名簿登録者の場合の条件というものは何にもない。ただそこは決めるところ、機関名をはっきりしてくださいということにとどまっておるんです。ここらあたりが、たとえば参議院のどの党かわかりませんでしたが本会議の質問で、何か統一的な規定というものがあってしかるべきではないかという意見さえもあったわけなんです。ただ、あなたのおっしゃったところの望ましい、どうだと、この中身は別ですよ、それぞれの党が判断するわけですから。ということになりますと、そこの点はもう各党任せでもそれは必ず望ましいよりよい人が得やすいというふうに提案者はお考えになっておられるんですか。そこらあたりはどうです。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 先ほど政党法の問題についてお尋ねがございまして、自治大臣からもお答えがございました。私どもも日本の政党の実情からいたしまして画一的な法律をつくるのは必ずしもまだ適当ではなかろう、時期が熟していないと、かように思います。また政党もつくられたりしておる実情でございます。しかし、それぞれの政党はそれぞれの政党の政策、信条に基づいて活動をしておいででございます。したがいまして、拘束式の名簿による比例代表制を考えます場合、日本の実際に政治を動かしておるものは政党でございますから、その政党が真剣に自分たちの政策の実現を考え、あるいは政治活動をお考えになる場合、私どもは政党がやはり一番ふさわしいと思う方をお選びになるであろう。したがいまして、法律でいろいろな基準を書きますことは、革新の考え方もあれば私どものような保守の考えの者もございますので、基準というものは法定すべきではむしろない、政党でそれぞれお考えになることが最も適切であろうと、このように考えますので、いわば枠組みだけを法定をいたしまして、選考の基準等は当然各政党で真剣にお考えになっていただくものと、かように期待をいたしておるわけでございます。
○宮之原貞光君 そのことについてはまた後ほどの機会にいろいろ意見を申し上げたいと思いますが、なお参議院にふさわしい人というからには当然やはり参議院のあり方はいかにあるべきかと、このことも大事だと思います。したがって、参議院にふさわしい人というからには参議院のあり方というのはどうあるべきだと、いまのままでいいとお考えになっておるのか、そのことに対するところの提案者のお考えはいかがですか。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 参議院のあり方につきましては各党でもいろいろと真剣にお考えになっておいでのとおりでございます。参議院のことを考えます場合、あるいは参議院のあり方を考えます場合、やはり一つは選挙制度の問題があり、一方におきましては参議院の構成あるいは組織それから運営の問題があろうと思います。私どもは、いま申し上げましたような理由でこのような選挙の制度をとりますことが参議院のあり方によりふさわしい人を得やすくなるのではなかろうかと選挙制度の面からは考えたわけでございますけれども、また年来御承知のように、参議院の制度の改革の協議会が設けられ、各党御一緒になられて御勉強になり、ほぼ結論に近いものが得られつつあるように私どもも承知いたしております。その中身のことを私からくどくど申し上げる必要はございませんが、委員会の組織を改め、できるだけ長期の視野で政策の論議をしようというようなことの方向に向いているやに私どもも承知いたしております。 したがいまして、参議院のあり方の問題は参議院の委員会が中心でございますけれども、せっかく設けられております参議院の改革協議会等を中心にせられまして各党で十分練っていただいて、そして将来にわたる参議院の正しいあり方の結論を出していただくことを私どもも衷心から期待をいたしておる次第でございます。
○宮之原貞光君 世の中に参議院無用論というのが言われておるのがありますね。私は、参議院の無用論の出てくるところのゆえんのものは、衆議院でやられたものをそのままオウム返しに、一つのリコピーみたいな役割りしか果たしておらないじゃないか、参議院はと。ここのところがやはり無用論の出てくるところの一つの大きな要因だと思うんですよ。もし言われておるように、参議院の機能というのが衆議院の行き過ぎをチェックをするとか、あるいはまた衆議院にできなかったことをみんなの議論の中で与党も含めて法案を修正するというか補完する、こういうやはり機能があってこそ初めて参議院の存在価値はあると思うんです。 そういうような意味合いから申しますと、いま説明ありましたところの改革協議会の小委員長がたたき台として出されておるものなども、私はやはりそういうことの立場からこれは具体的な提起がなされておるんじゃないだろうかと、あの小委員長報告の全文を見る限りはそう思えるんですね。それだけに、それはいま御答弁いただきましたように、そういう機能が発揮できるようにお互い努力するということは非常に重要なことだと思うのですが、ただ、この法案が出されて従来以上に参議院が政党化するという——政党本位の選挙ですから。ということになるとするならば、せっかくそういう機能を発揮させようということが非常に阻害をされるんじゃないだろうかという危惧があるんですね。そのことについてどうお考えになりますか。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私どもはこの制度をとりますことによりまして従来よりも非常に参議院が政党化するとは考えません。これは選考の問題でも一つはあろうと思います。 それから参議院のチェックの機能でございますとかあるいは修正をいたしますとかいうようなことは従来言われておるところでございます。私は参議院の議院改革協議会におきます論議もそういうことを踏まえていろいろと検討されておるところであると、かように考えますので、できるだけ運営面から参議院の真の機能が発揮できるような結論が出ることを期待をいたしておる次第でございます。
○宮之原貞光君 ただ、この方法が取り入れられると政党の比重が従来よりも増すということは否定できないですよ、これはどう抗弁されようと。ただ問題は、そのことといわゆる参議院の機能を発揮させるということが不離一体なものなのかどうなのか。あるいはそれはそういう傾向はあるけれども、やはり参議院のあり方の中では積極的に改革を行って、その問題点を、阻害点を、あるいは危険性あるところを排除していくということがなければ私はこれは一貫性がないと思うんです。 ただその点で私は申し上げさしていただくならば、参議院というのは政党次元と異なるところの考え方、発想を持つ無所属の議員が中心になるべきだという考え方は残念ながらこれはいただきかねるんです。無所属の方もいらっしゃいますけれどもそれはいただきかねる、やはり日本の現代政治の中で政党というものが大きな役割りをしておるわけですから。それだけに政党というものの存在は私は参議院の中で否定するわけにはいかないと思う。しかしながら、言われておるのは、政党というものの比重が重くなればなるほどいわゆるチェック機能と申しますか補完機能の参議院のあり方というものが損なわれはしないかと。損なわれるというふうにストレートにお考え、意見を持つ人と、私はやはりそういう危険性があるだけに、それを今度参議院のあり方の中でどうこの問題を除去していくかという、ここのところがなければ、これはやはり説得力を持つわけないと思うんです。そこで私は、やはりこの参議院改革という問題については、提案者の側の積極的な意欲というものがない限りこの問題は言われておるような危険性に陥ってくるところの要素は多分にあると思うんですが、その点どうお考えになります。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 御質問の御趣旨はよくわかりました。今後の参議院の政党化の問題につきましては、私どもはその点はできるだけ従来と同じようなふうに努力をいたしてまいるべきであろうと思いますが、参議院の現実が政党政治であり、会派によって運営が行われておる事実もおっしゃるとおりでございます。私どももこの点は否めない現実であると思います。しかし、同じ政党的な運営でございましても、衆議院と参議院とはやはり立場も違っておるわけでございますから、参議院の運営の改革の協議会でせっかく案が練られつつあるわけでございます。各党それぞれ案をお考えのように、自民党は自民党といたしまして、参議院にふさわしい機能が発揮できるような改革を行いたい、こういうような考えで鋭意検討をいたしておるところでございますので、各党できますならばこぞって一致して、そういうような改革案を得られて、参議院のチェックとかあるいは修正とか、独自の機能が発揮できるような組織、運営が実現ができますように、私も衷心から希望しておるところでございます。
○宮之原貞光君 きょうの新聞でしたか、何か小委員長の出した参議院改革の問題について、与党の皆さんには大変な異議が出て、何かまたプロジェクトチームをつくってやるということに相なったというふうに新聞に出ておるんですが、その真偽のほどはわかりませんが、どうもあれ読むと、また与党の皆さんはあれではちょっと野党寄りだからぐあいが悪いということでそういうことになったんじゃないだろうか、こうつい勘ぐりたくなるんです。私はそういう姿勢では困ると思うんです。少なくとも皆さんがやはりこの制度を導入しようというなら、一番危険性のある衆議院のリコピーのかっこうになりがちなこの問題を、運営の中で指摘されるところの面がないようにするんだという積極的な姿勢というものがやはり提案者の与党の中にきちんと打ち出されてまいりませんと、きれいごと言いながら、やはり自分の都合のいいことだけじゃないか、こうなっちゃいますよ、これは。だから、ぼくは提案者がおっしゃったように、提案するからにはもっと積極的に、その側面はこういうことをやっていますという、やはり私どもをも世論をも納得させるところのものがなければならない。このことは十分留意をしてこの問題について取り組んでもらいたいということだけはこの機会にも申し上げておきたいと思うんです。 なお、引き続きますが、先ほど私は比例代表制の理念の問題について所管大臣にもいろいろお聞きしたんですが、先ほど申し上げたような、特に国民の意識が非常に多様化する、ニーズが多様化しておるという今日の日本の政治の現実の中では、いわゆる死票をつくらないところの方法というものの基本的なあり方ということは相当やはり私ども積極的に考えなければならぬ問題だと思っておるんです。 ただ、これがそうは表面は言いながらも、何か魂胆があるんじゃないかと、こう言われておるところのゆえんのものは、たとえば具体的な中身の中で、一体ドント方式というのが本当にいわゆる一番少数の民意ということも十二分に反映できるところの一つの方式なんだろうかどうだろうかという一つの問題点もここにある。あるいはまた、選挙運動の問題についても、公営選挙一本、しかもそれはラジオとテレビだけなんだと、今度の比例代表制に登録されるところの人が。そうなっちゃうと、このことによっていわゆる選挙の自由ということは、これは事この問題については著しく制限されてしまうんじゃないだろうか。一体こういう著しい制限というものがどうなんだと。あるいはもう名簿提出のこの資格の厳しさ、これは西欧諸国のいろいろな名簿提出の資格が非常に厳しいですね。そういう点等を見ますと、これはそう言いながら与党に都合のいいようなやはり具体的な中身じゃないだろうかという一つの問題点さえあるんです。 もしこの比例代表制というのが、私が先ほど来指摘をしておるように、死票をつくらないで本当に少数の民意も反映させるところの方向として虚心坦懐に皆さんが提起されておるとするならば、いま申し上げたところの諸点の問題についても、本委員会の討議の中では必ずしも原案に固執しないで弾力的に対応をしていくという考え方があるのかないのか、そこらあたりもちょっとお伺いさせていただきたいと思います。
○委員以外の議員(金丸三郎君) この法律案を作成しました考えあるいは中身等につきましては、先般の本会議でもお答えを申し上げたとおりでございます。比例代表の趣旨は、死票をなくして有権者、投票した方の政治的な意思をできるだけ正確に国政に反映させようと、こういう趣旨にほかなりません。これは宮之原委員と全く考えは同じと思います。私どもも、比例代表制をとるということは、いわば少数派にも国政に参加なさる機会を与えるようにしたいということでございまして、選挙運動にせよ政党の規定にせよ、私どもは私どもの考えでこのような案を取りまとめたわけでございますが、やはりこれらの問題について委員の皆様方に御意見がございますれば私どもは虚心坦懐にお伺いをして、原案に固執しようとは考えておりません。どうぞ十分に御審議をいただいていい御意見を積極的にお出しをいただければありがたいと、かように思っております。
○宮之原貞光君 参議院のこの問題の基本的な問題は一応この程度にいたしまして、次の機会に譲らしていただきまして、いま一つ私は非常な重要なかかわりを持つ憲法との関連の問題についてこれからいろいろお聞きをしていきたいと思うのです。 本会議におきましての提案者の答弁のように、確かにこの憲法四十七条は選挙事項の法律主義を明確にしておるものでございますから、その限りにおいては、これは本提案がなされたところの理由は理解できる。しかし、といっても、あくまでもそれは憲法に適合するところのもの、合理性を持つものでなければこれまた意味がないんですね、いかに四十七条を盾にとられても。したがって、私はやはりそういう立場からいろいろお聞きしたいんです。 その一つは、憲法四十三条との関係です。御承知のように、ここは両議院の組織条項が書いてあるわけでありますが、いわゆる「全国民を代表する選挙された議員でこれを」云々と、ここのところですね。これは、この本案のように政党その他の政治団体の名簿にある人を投票するという選挙方法ですから、これが果たして四十三条に言う「全国民を代表する」云々ということに適合しておるのかどうなのか、ここのところをまずお聞きしておきたい。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 結論的に申し上げますというと、地方区も一票でございます。比例代表の方も社会党でございますとかそれぞれの政党の名称を書いて投票をいたすわけでございますが、選挙の期日の公示あるいは告示がございましたら、直ちにそれらの政党から候補者名簿が選挙管理委員会に届け出られることになっております。これには候補者の名前が全部書いてあるわけでございます。したがいまして、有権者は候補者名を十分に承知しつつ政党名を書いて投票するわけでございますが、投票者は政党名を書くことを通じてどのような人が議員となってこられるのかということは、私どもは十分に承知できる制度になっておると思います。したがいまして、有権者が政党名でございますけれども投票用紙に書いて投票するわけでございますから直接選挙だと思っております。だから選挙された議員である、かように考えておるわけでございます。国民を代表するという意味は、これは私からくどくど申し上げる必要もないと思いますが、委任ではないと、国全体の利益を代表すると、こういう意味で「全国民を代表する」という字句が使われており、お尋ねの要点は「選挙された議員」と言うことができるかということであろうかと思いますが、この点はただいま申し上げましたように、直接選挙の一種であると私どもは考えておりますので、四十三条に適合した制度であると、こういうふうに結論を持ったわけでございます。
○宮之原貞光君 次は、憲法五十一条との関連です。ここには議員の発言、表決が院外で責任を問われない、言うならば議員個々人の免責特権と申しますか、このことが明記をされておるわけであります。この趣旨から申しますと、国会の場合には政党もあってよろしい、個人もあってよろしい、こう二つのやはり前提のもとにこれが書かれておると私は理解するのが至当だと思う。その場合に、この条項と、提案をされておるところの政党あるいは政治団体云々というような、いわゆる個人立候補は認めないというこのことは、これとの関連において抵触しないかどうかという一つのまた問題点があるのですが、そこはどういう見方ですか。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私は、憲法五十一条は、個人としてと申しましょうか、議員個々が院内における発言によりまして、議会制度の昔を考えますというと、国王を批判することによって逮捕されますとかそういうことがないように、個々の議員の政治的な活動を保障しようということからできてきた制度で、これは以前のわが国の憲法にもこのような制度があったことは御承知のとおりでございます。個々の議員の政治的な活動を自由にできるように、それがむしろ国益に合うという趣旨からの制度であると思います。 お尋ねの趣旨は、政党についてもないのはどうなんだということでございますが、政党を通じて個人を国会議員として送るという制度を私どもは考えておるわけでございます。政党も一つ団体としてあるわけでございますけれども、国会における具体的な活動は個々の議員の皆様方でございますから、個々の議員の皆様方の免責が五十一条によって保障されればいい。これが個人の立候補の関係とは五十一条は無関係である。これは選挙であろうと任命であろうと国会議員になった人については免責をするという趣旨の規定でございますので、選挙自体とは関係がない制度だ、私どもはそのように理解をいたしております。
○宮之原貞光君 文章は、条項は確かにそれは国会におけるところの発言ですから、これは関係ないのは御答弁のとおりなんです。 ただ問題は、これを明記しておるということは、個人として国会議員が国政の中でやるという、政党を離れてですよ、そういう立場のこともやはり考慮に入れながらこの条項というものはあるんだというふうに理解するのが常識的じゃないでしょうか。そういう立場に立つとするならば、これと今度の法案との関係はどうなるんだろうか、こう考えざるを得ないのです。ただ、あなたのおっしゃったように、確かに条項それだけではこれは選挙法とは関係ないですよ。けれども、盛られておるところの精神というものから考えると、関連があると考えるのは考え過ぎでしょうか、どうでしょうか。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私は、この制度ができてきました沿革を考えましても、また現実の国会の運営を考えましても選挙とは関係のない、いずれの方法であれ、国会議員として適法に身分を取得した方の政治的な言動、それを保障することによって国益を守ろうと申しましょうか、そういう趣旨の規定であると、私はこのように考えます。
○宮之原貞光君 次は、法のもとの平等等を規定してありますところの憲法第十四条第一項との関連でございますけれども、これから見ますと、一体個人の立候補を認めないということはこれに抵触しないかという疑問が出てくるのです。そこのところはどうお考えですか。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 立候補が平等と論議すべきなのか、あるいは十五条に申しますような立候補の自由という考えでいくべきなのか、そこは議論のあるところであろうかと思います。 しかし、憲法の十四条に定めます平等の原則でございますが、御承知のように最高裁判所の判例におきましても、国民に絶対的な平等をこの十四条は保障したものではないという判決がございます。私は、人間が一緒に共同生活をしております以上は絶対的な自由もなければ絶対的な平等もあり得ないのだ、一緒に生活をしていきます上にはやはり全体のために自由が制限をされましたり平等が制約を受けたりすることはやむを得ないのだと、これが憲法十三条の精神であろうと思います。最高裁判所の判例には、平等の問題とか個人の自由の問題とかチャタレー裁判とか、御承知のようにすでにいろいろな判決がございます。一貫して裁判所は、十三条の公共の福祉による制約は免れないんだ、こういう論旨でございます。私どもも十四条につきましてはやはり十三条によります公共の福祉の制約を受けることはやむを得ない、このような考え方でこのような立案をいたしたのでございます。
○宮之原貞光君 いまも答弁者からありましたように、確かに最高裁の大法廷の中でいろいろな判決があります。よく言われておるところの三十九年五月二十七日の最高裁大法廷における富山県立山町待命処分無効確認判定取り消し請求事件についての判決が適法だと引用されているわけでありますが、確かにその判決の判旨も、国民に絶対的な平等を保障したものではない云々ということが判断として示されておることは事実ですが、ただ、やはりこの条文を見ますと、その前提におきながらも、差別すべき合理的な理由なくして差別することを禁止しておるのがこの条項だと述べてもおるんです。それならば結局、絶対平等云々というものがないという判断にしても、適法だというのも物事次第だ、事柄次第だというふうにもこれは受け取れるのです、率直に申し上げて。 それならば、御答弁のように、この問題を十三条の公共の福祉論だけでいやこれは適法だ、こう片づけていいのかどうか。言うならば、やはり被選挙権ですか、あるいは選挙の立候補の自由というきわめて大事なことでございますだけに、一体いま御答弁いただいたことが合理的な理由で制限されているというふうに理解されるかどうかということについては、ちょっとやはり疑問を抱かざるを得ないのですが、この点どうお考えですか。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 大変ごもっともな御質問でございます。無条件に判決が、十三条の公共の福祉によって平等の原則が制約を受けるというふうには私どもも考えておりません。やはりそこには合理的な理由がなければならないと考えております。私どもが今回このような制度をつくりましたのは、日本の参議院の全国区の制度は何と申しましても全国が一つの選挙区でございます。そして八千万を超す有権者がおりまして、五十名の人を百名前後の候補者の中から選ぶという、有権者のサイドから見ました場合非常にわかりにくい。本会議でも申し上げましたが、選ぶ人と選ばれる人の間のつながりの非常に薄い制度だ、これが一つの理由でございますが、同時にまた、選挙運動に多額の経費を要する、これも否めない現実でございます。肉体的にもあるいは金銭的にも非常な苦痛を伴う選挙区でございます。 したがいまして、それらの点を改めながらどのような制度が考えられるかということから、私どもはこのような多数の有権者を相手にし、広大なる選挙区において選挙運動しなければならないといたしますならば、日本の現在の政治を動かしておるのは政党でございます。これが国民の意思を形成する最も重要な媒体でございます。したがいまして、地方区は現状のままにしておきながら、全国区については政党を中心にして名簿を作成して、それに有権者は投票するということによりましても国民は十分な選択ができ得る、そしていろいろな弊害を除き得るとするならば、私どもはこれが合理的な選挙制度と言ってよろしいのではなかろうか。したがいまして、十三条の公共の福祉を最高裁の判決をかりて申しますならば、合理的な理由によって、合理的な理由を持った選挙制度をつくることであれば平等の原則が制約されてもやむを得ない、拘束式の比例代表制度をとりますならばその当然の帰結として個人の立候補は認められないと、こういうことになるわけでございます。 私どもはその点を、以上るると申し上げましたが、合理的な理由があるので個人の立候補が制限されてもやむを得ない、かように考えておるわけでございます。
○宮之原貞光君 次は、憲法二十一条第一項に言う結社の自由との関連でお聞きしておきたいと思うのです。 まず聞きたいことは、この条項は一般的には積極的に結社するところの自由を保障するということはこれは間違いないんですが、同時にこれは結社しない自由、結社から脱退するところの自由もこれはやはり同じような意味において含まれていると解釈すべきだと思うのですが、その点はどうですか。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 結社の自由についての基本的なお考えは御指摘のとおりに私どもも考えております。 私どもの案におきましては、名簿の届け出のできる政党を規定をいたしましたので、そのようないわば結社をしない方は立候補が個人としておできにならない、そういう制約になってまいります。 しかしこの二十一条の規定も、ただいまるる御説明を申し上げましたと同じ理由で、十三条の公共の福祉というのは、私どもは合理的な理由を持った選挙制度であれば平等の原則の制約ができますと同じように、結社の自由につきましてもやはり制約を受けざるを得ないんだと、一面から申しますと制約をすることができると、したがいまして憲法上、容認されるんだと、かように考えております。
○宮之原貞光君 何でもかんでもこれは十三条の公共の福祉論に大分根拠を置いておるようでございますが、この問題はおいおいまたお聞きいたしますが、いま一つは、憲法四十四条に言ういわゆる議員及び選挙人の資格にかかわる「信条」という問題との関連ですね、これは本条に言っておるところのこの信条というのはどういうふうに理解をされておりますか。まずそのことからお聞きしておきたいと思うのです。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 信条につきましては、意見が大まかに申しますと二つに分かれております。一つは、基本的な政治的な信念とか宗教的な考え方とか、そういうものを信条と言うのであると。私も念のために憲法の英文を見てみますとクリードという文句が使ってございます。この字句から言ってそういうふうに解すべきだという意見が一方にございますけれども、また一方におきましては、たとえば自分は政党に属さないで無所属で立候補したい、政党に属さないで活動したい、そういう考えの方も一つの信条と考えていいのではないかと、こういう考え方がございます。二通りございます。
○宮之原貞光君 いや、それで、いまお答えになったところのいわゆる自分は政治信条として既存の政党に入りたくない、政治団体にも入りたくない、これもやはり一つの信条ですね。特に国政選挙に打って出ようとする人は、少なくともそういう政治理念、政治信条から出てきておると思うし、だからいま言われたように、それをこれはまた否定するということにならないかどうかというやはり一つの問題点が出てくるわけですね。否定することになりませんかね。これもやはり公共の福祉ですか。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 結論的に申しますと同じように考えております。やはり合理的な選挙制度をつくるのであれば、私どもはいまの信条の点につきましてもやむを得ないんだ、こういう考えでございます。
○宮之原貞光君 それでお聞きしますが、実は憲法の四十四条にあるのは、いわゆるこれは被選挙権であって、立候補の自由に関する規定ではないからこれには抵触をしないのだと主張する人がおるのですが、どうも私はそのことは腑に落ちないのですが、それはどうお考えですか。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 四十四条の規定は、議員の資格、これは選挙で申しますならば被選挙の資格でございます。それから選挙人の資格、これは有権者、選挙権でございます。いずれも人間が固有しておるものではございません。選挙権で申しますと、昔は税によって制限がございました。終戦までは婦人は参政権がございませんでした。同じように被選挙の資格も私どもは四十七条の法律に全部任されてあるという解釈をとっております。 ただ、四十四条のただし書きで、人種、信条、性別の差別をしてはならないとなっておりますから、婦人参政権がこのただし書きで保障されておる、財産、収入によって差別をしてはならないという保障がここにとられておる。これに抵触しない限り選挙に関する事項は四十七条によってすべて法律主義を憲法はとっておるのだと、かように考えております。
○宮之原貞光君 だとしますとあれですか、この四十四条に言うのはいわゆる被選挙権であって、立候補の自由に関するところの規定ではないのだと、こういう解釈だというふうに理解しておっていいんですか。
○委員以外の議員(金丸三郎君) そのとおりでございます。
○宮之原貞光君 これは私は問題があるんじゃないかと思いますが、たとえば四十三年の十二月四日の最高裁において北海道の三井美唄労組の公職選挙法違反被告事件の判決がありますね。その判決要旨の第二項を見ますと、こういうふうに出ておるんですね。立候補の自由は選挙権の自由な行使とうらはらの関係にあり、自由かつ公正な選挙を維持する上できわめて重要である。このような見地から言えば、憲法十五条第一項には被選挙権者、特に立候補の自由について直接に規定はしていないが、これも同条同項の保障する重要な基本的人権の一つと解すべきである。さればこそ公選法に選挙人に対すると同様、公職の候補者または候補者になろうとする者に対する選挙に関する自由を妨害する行為を処罰することとなっておる云々、こういうような記述がありますね。そういたしますと、いわゆる被選挙権ということも立候補の自由というのも、なるほど法文上はこれは被選挙権かもしれぬけれども、立候補の自由という問題とうらはらの問題だという判断を示しておるんですが、私はやはりそういう論拠に立つとするならば、これはお答えいただいたようにこれは別でございますと言えるのかどうかという疑問を持つんですが、その点はいかがでしょう。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私どもは立候補の自由はやはり憲法第十五条の第一項が根拠であると解すべきだと、かように考えております。四十四条の規定につきましては先ほどるるお答えを申し上げたとおりでございます。
○宮之原貞光君 それは法律ではそうですけれども、十五条の第一項には被選挙権ということと選挙の立候補の自由というのは同じですよと、こう出ているんだから、解釈判断を示しているんだから、少なくとも一体のものとして理解すべきものだと私は思うんですが、そうじゃないですか。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 十五条の第一項は立候補の自由だと私どもは考えております、被選挙権の規定ではないと。立候補するわけでございますから選挙されることにはなりますけれども、立候補の自由と、被選挙権、いわば当選するための資格とは別でございます。それは四十四条で私どもは考えるべきである、こういうような実は意見をとっておるわけでございます。
○宮之原貞光君 これはいずれ参考人のそれぞれの意見も聞かなければなりませんが、少なくとも先ほど私が読んだところの最高裁の判断は、いま申し上げましたように憲法第十五条第一項には被選挙権者、特にその立候補の自由については直接には規定をしてないけれども、本質的には両者一体のものだと理解すべきだという一つの判断を示しておるんです。この判断に立つとするならばこれはやはり実質的に不離一体のものだと理解すべきじゃないでしょうかね。それ違いますか。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 立候補と被選挙権が非常に分けにくいという点では裁判所の判決も私もわからないではございませんけれども、法律論として、私どもの結論は立候補の自由の規定が十五条の第一項であり、うらはらのようでございますけれども、被選挙の資格、議員となる資格は四十四条の規定であり、それは四十七条によって法律に任されておる、こういうふうな考えをとっておるわけでございます。繰り返すようで申しわけございませんけれども、私どもはその解釈でよろしいのではなかろうか、かように考えております。
○宮之原貞光君 これは少しまだ論議しなければならぬ一つの課題だと思っているんですが、ただきょうの段階はこれにおきまして次に進めてまいります。 もう一つ憲法の問題で聞きたいのは、先ほど来提案者の最大の防壁にいたしておりますところの憲法十三条の公共福祉論の問題ですが、私はどうしても公共の福祉論というのはそれほどオールマイティーの力を持っておるのかどうかということについては、やはり問題点を感じておるんですよ。たとえば昭和三十五年七月二十日の東京都公安条例事件の最高裁の大法廷の判例がありますね。これを見ますと、そのときの判断は、公共の安寧を維持する上で直接危険を及ぼすと明らかに認める場合は云々、いわゆるその場合には公共の福祉云々と、いろいろな論からいろいろな基本的な権利が制約されてもやむを得ないという判断を示しておりますね。あるいは先ほどちょっと提案者も言われたところの三十一年三月十三日のいわゆるチャタレー事件の最高裁の判決ですね、これもこう見ますと、この種表現の自由はきわめて重要ではあるが、性的秩序を守り、最小限度の性道徳を維持するためにはやむを得ないと、こういうやはり前提を置いている。言うならば、公共の福祉論でいろいろな基本的な権利を制約をする場合には、やむを得ないぎりぎりの場合においては仕方がないんですよという判断を示しておるとこれは解釈するのが私は常道だと思うんです、この二つの判例から見ましても。 そういう立場に立ってみますと、たとえば結社の自由は絶対不可侵であるという論は、私はそこほどまでは申しませんけれども、基本的なやはり権利であることは間違いない。だとするならば、そういうぎりぎりの場合の条件で公共の福祉論というものに判断を示しておるのに、先ほど来いろいろな基本的な問題についてお尋ねいたしますとすべてをやはり十三条のところに持ってこられる、この論拠に立っておられるわけですね。一体これでいいんだろうか、ちょっとこれは無理があり過ぎるんじゃないだろうかという感じがしてならぬのですが、そこの点はどうお考えですか。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 御質問の御趣旨は私どももよくわかります。ぎりぎりのところで自由を制限すべきであるか、また裁判所も言っておりますように、合理的な理由があるならば個人のいろいろな権利も制約をされることはやむを得ないという判例もあるわけでございます。私どもは、このような政治的な制度をつくりますことはやはり一種の公共の福祉という立場からの議論でございます。やはり国の制度としてこれが合理的であるというのでございますならば公共の福祉という考え方、これが合理的な理由ということを申してよろしいのではなかろうか。恐らくは議論の存するところでございましょうけれども、私どもは合理的な理由があるならばいろいろな制限が出てまいりましてもやむを得ないのじゃなかろうか、それが国全体の政治のためによくなるのであればやむを得ないのではなかろうかと、こういうふうに考えておる次第でございます。
○宮之原貞光君 そうなりますと、やはりあなた方の立論に立てば、提案されたものが一体合理的な理由の範疇に入るかどうかというのがまた焦点になりますね。これはまたひとつ今後の議論の一つの問題点にしておきますが、関連してやはり申し上げたいのは、この提案者の、一定の制限における政党本位の選挙制度を目的とする本法案が国民全体の共同の利益に適合する云々と、こういうことも述べておられますね、提案の趣旨説明か何かに。この問題がまた一つ合理的な理由とも関陣するけれども、あるんです。いわゆる御主張のように、国民の政治的意識を国政に反映させるための媒体としての政党の役割り、これは私も理解できるんです。 ただ問題は、それほどにわが日本においては政党本位の政治形態というのが国民の中に本当に根をおろしておるかどうか、ここのところがまた一つの問題点だろうと思うんです。たとえばアメリカの政党のように共和党と民主党しかない、しかもそれも子供たちまである一定の年齢になると旗幟をはっきりさせるというように、この二つの政党というものが非常に定着をしておるというこのことと、日本の現在の政治実態との中には相当なやはり私は違いがあるんじゃないだろうかと思うんです。それだからこそ、本会議でも指摘をされておりましたけれども、いわゆる国民の三〇%前後の政党離れ、こういうものが出ておるわけですから、この現実ということから見て、果たして提案者の指摘されるところの国民共同の利益に摘合するんだ、この政党本位の選挙は、そういうふうに判断を示していいのかどうか、どうもこれも若干の無理があるんじゃないだろうかと思いますが、その点はどういうふうにお考えですか。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 政党とか政党員、政党に所属する国民の数でございますとか、アメリカでもノンパーティザンがふえつつあるとかいうようなことも言われておるわけでございます。政党の実情は、私もイギリスとかアメリカとかと日本とをつまびらかに比較することはできませんけれども、現在の日本の政治を見ておりますと、国政の段階の選挙は政党的に行われておることはやはりもう否めない現実であろうと思います。政党に所属をしていない人でございましても、選挙に際してはやはり政党を考えて投票なさる。まあ異党派投票ということもございます。ございますけれども、私は異党派投票は数から申しますというとそう多い比率ではなかろうと、こういうふうに考えております。 繰り返し申し上げておりますように、参議院の全国区の制度を改正すべきであるということはここ数年来一致した意見ではなかろうか。したがいまして、社会党でもお考えをおまとめになり、公明党や民社党でもそれぞれいろいろとお考えになっていらっしゃるところであろうと思います。その改革の一つの案として私どもはこの案を提案したわけでございます。 参議院の全国区についての一番の問題点は、たびたび申し上げましたように、広大な選挙、膨大なる選挙人団、非常に有権者と候補者とのつながりが薄い、かつ大変な経費や労力を要するという点から、私どもは政党による拘束式の比例代表の制度をとりますことがこれらの問題点を除きつつ解決する——私の立場から手前みそを申し上げますというと、これ以外にはなかろう、現状におきましては少なくともこれがベストではないかもしれませんがベターなのではなかろうかと、こういうふうに考えまして、それで、現状におきましてはやはり国全体から見ましても私どもは適合するということを申しておるわけでございます。御議論はおありだろうと思いますけれども、現状を踏まえていろいろと案が出ておりますけれども、いずれも長短があるわけでございます。私どもの案がベストと申すほどうぬぼれてはおりませんが、やはり現状におきましてはこの案でまいりますことが一番適切ではなかろうかと、そういうふうに考えておる次第でございます。
○宮之原貞光君 以上、憲法問題についていろいろの角度からお尋ねをしたわけですから、私は、どっちかというときょうは聞き役に回ったわけですから、またいずれ中身を十分検討さしていただいて、さらに問題をきちんとさせてもらいたいと、こう思います。 ただ最後に、その問題ではございませんけれどもお聞きしておきたいことがあるんですが、これは十五日の毎日新聞でしたか、ここにおられるところの青島さんや中山さんなどが本法案に対して反対表明をされておるところの記事と同時に、もし強行されるならば、無所属の皆さんの有志だけで選挙のときだけ政治団体をつくって、無党派党のようなものをつくって十人以上を立候補させるんだ云々と、こういう記事があったんですが、これは御当人たちから聞かなければわからぬのですけれども、この中身はね。ただ、この記述が事実だとすれば、これはこの法案の中身の筋から言えばノーとも言えないわけです、これはこれでもいいということになるわけですから。けれども、無党派党の党派ということもいいということになれば、ああ何人か集まればできるんだなと、そうするとまた個人の立候補云々ということをそんなにやかましく言わぬでもいいのかな、権利を停止されると言わぬでもいいのかなと、こう思ったりしたくなるんですが、これ、一体どういうふうな感想をお持ちですか、提案者は。ちょっとそれだけ最後に感想をお聞きしておきたいと思うのです。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 大変むずかしい御質問でございますが、私は実はその新聞の記事も読んでおりません。したがいまして、そのようなことがあったと仮定しての感想でございますが、私どもが政党を規定を考えます上には、日本の実情から申しまして、そう多人数でない政党もいらっしゃいます。また、政治資金規正法には国会議員五人があれば、政党と申しましょうか、扱うということがございますので、私どもは余り制限した政党的な規定は設けない方がいいのではなかろうかと、こういう考えがございまして、そして公職選挙法の確認団体の規定が候補者十名ということになっておりますので、この規定を名簿提出できる政党として考えたわけでございます。それをどのように利用と申しましょうか、活用なさると申しましょうか、これは生きた政治の世界の問題でございますので、それはやはり私どもはそれが利用されるのであれば合法的なことであって、それはやむを得ないのではなかろうか、現在そのような感想でございます。
○宮之原貞光君 いや、私があえてお聞きしたのは、この政党またはその他の政治団体という規定ですから、政治団体というのは、少なくとも団体をつくられる以上は一定のやはり政治的な物の考え方が一致するから政治団体をつくるものだと、こう思っておったわけです。けれども、どの党にも入りたくない、無党派でいこうという一つの政治思想が集まったというふうに解釈されないでもないんですけれども、しかしその場合でも、無党派の皆さんが集まってつくってもそれはいい、それは政治団体の範疇だというふうに提案者はお考えになっておるわけなんですね。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私どもの提案をいたしました法案がもし成立するといたしますれば、候補者を十人以上持っておいでになれば政党と認めることになろうかと思います。ただ、国民の今度は審判という立場から申しますと、宮之原委員がおっしゃいますように、どのような主義主張がおありになるのか、どういう政策をお掲げになるのか、それは有権者なり、国民の審判の問題ではなかろうかと、このように思います。
○宮之原貞光君 きょうはこの程度にします。
○委員長(安田隆明君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十分休憩 —————・————— 午後一時十七分開会
○委員長(安田隆明君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を再開いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、秦野章君、増岡康治君、長谷川信君及び小澤太郎君が委員を辞任され、その補欠として福田宏一君、塚田十一郎君、玉置和郎君及び成相善十君が選任されました。 —————————————
○委員長(安田隆明君) 休憩前に引き続き、公職選挙法の一部を改正する法律案を議題とし質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○村上正邦君 質問に入ります前に、この改正案に対し私の所感の一端を申し述べさせていただきますことをお許し願いたいと存じます。 本来参議院は、衆議院とは違った視点で政治に取り組まなければなりません。すなわち参議院こそ良識の府でなければなりません。それだけに深い理性と高い道義の政治理念に立って、私心を捨てて国家百年の大計のもとに堂々と政策を論じ、院としての高い見識を示すことによって国民の政治に対する安信感と信頼を得なければならないと私は考えます。しかし、それとはほど遠い現実に直面し、私は内心じくじたる思いを持つと同時に、その解決策を模索してきた一人であります。 しかし、御承知のとおり参議院の実態については、残念ながらミニ衆議院あるいは衆議院のコピーなどとの批判の声を耳にすることはまことに遺憾なことであります。私は、こうした現状を脱却するためには、参議院の選挙制度、とりわけ全国区選挙制度に根本的なメスを入れるときがきたのではないかと痛感するものであります。私自身全国区選挙を闘ってきた者の一人でありますだけに、その思いはひとしお深いものがあります。 現行の全国区選挙は、国全体が一つの選挙区であり、八千万人を超える有権者に対して選挙運動をやらなければならないという世界でも最も類例のない制度でありますだけに、資金の面においても候補者の精神的、肉体的消耕度においても想像を絶するものがあります。残酷区とも言われます現行選挙制度の陰で、われわれは多くのりっぱな先輩が病に倒れるのをかいま見、また失ってもまいりました。これはまさに国家的な損失にほかなりません。さきの選挙においては民社党の向井長年議員が当選の報を待たずに開票半ばにして息を引き取られた悲しい出来事は、私の記憶に新しいところであり、同じ選挙を闘った者の一人としていまも私の胸に熱いものが込み上げてまいるのでございます。このような犠牲を再び繰り返してはなりません。 加えて、一般有権者にとりましても、現行制度は候補者をよく知りその政見を十分に聞くこともできないまま百人を超える候補者の中から一人を選択しなければならないという、まことにわかりにくい選挙となっておりますことも大きな問題点であります。 こうした実情にかんがみ、わが自由民主党にあっては、昭和三十七年以来参議院選挙制度の改革について検討する正式機関を設けてこの問題に取り組んでまいりました。今回その努力が拘束名簿式比例代表制を採用する改正案としてまとまったことは御案内のとおりであり、私は諸先輩の御努力に深く敬意を表するものであります。同時に、私はこの改正案の実現こそ参議院改革の大きな第 一歩となるものと確信いたすものであります。 なお、私自身現在の制度によって選ばれた立場でありますだけに、現行制度の改革案についての質疑は、謙虚の上にも謙虚な姿勢で臨まなければならないということを肝に銘じて質問に入らせていただく次第であります。 そこで、質問の第一点でありますが、改正案は金のかからない選挙の実現を大きな目的の一つにしておりますが、その点についてお尋ねしたいと思います。 事実、現行制度のもとでは、私は与野党を問わず莫大な資金を要することは必然であると思います。たとえば、単純に計算しても、百万票を目標にしたとき、その地盤培養行為としての後援会名簿は常識的に三百万以上を集めなければなりません。そのためのパンフレットの製作費用、さらに三百万名の名簿を対象にして一回はがきを出すと郵送料だけでも一枚四十円で一億二千万円を要します。これだけではありません。事前の告知ポスターの製作費、私の経験からいきましても候補者が全国各地を一通りあいさつするのには約二年間の月日を要します、これにかかるところの交通費さらに全国的に設けられます後援会事務所設置に要する費用等々、後援会活動だけでも数億の資金が必要となってくるのが通例であります。手弁当、カンパ、ポスターを張る人件費が奉仕にいたしましても金がかかることには違いがないものと思います。 こうした実態に対して、金がかかるのではなく、金をかける方が悪いのだという意見もありますが、私はこれは逆だと思います。このはがき代一つの例をとりましてもわかりますように、これは全国が一つの選挙区で、しかも八千万に上る有権者を相手にしなければならないという現行制度そのものに起因する問題であると思いますが、提案者は金のかかる実態をどのようにとらえ、またその原因をどう考えておられますか、お答えをいただきたいと存じます。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 御指摘のとおりでございます。参議院の全国区の制度の改正につきまして、年来改革の意見が非常に強く、ほとんど結論としては全国区を何とかしなければならないということは大方の一致した意見ではなかろうかとすら私どもは思っております。 理由はいろいろとございましょうが、その一つは、ただいま御指摘のように、全国区の選挙には金がかかり過ぎるということでございます。中にはほとんど選挙運動の費用をお使いにならないで当選をなさっていらっしゃる方もございます。しかし、これはいわば希有の例、非常に少ない例であって、それをもって全国区の制度が適当だということは私は言えないと思います。何と申しましても北海道から沖繩までが一つの選挙区でございます。飛行機で歩かなければとうてい選挙運動は不可能でございます。しかも、けさほど御質問にもございましたが有権者が八千万人を超えております。これが大統領選挙のような選挙ならばいざ知らず、五十名の定数で百名前後の候補者を選ぶというような選挙区の制度は、これは世界にも例がない。地域が広大でかつ有権者が非常に多うございますので、買収とか何とかでございませんで、ポスターを張りますとか、あるいは後援会とか、お話を聞くような会をいたしますとか、はがきをお出しになりますとか、そういう普通の金だけでも莫大な経費を要するということは、これはもう周知と申しましょうか、でございます。 それで、個人でおやりになる方もあれば、またいろいろな組織の支援を受けておやりになる方もございます。個人のふところからは仮に出ないとしましても、その組織団体が全国的にお使いになる金は、これはもう大変に莫大な金でございまして、私どもは、有権者の立場から百名近い候補者を選ぶという、非常に有権者と選ばれる人の間のつながりが少ないということが一番選挙制度としては難点だと思っておりますけれども、選挙運動の費用がこのように要するから何らか是正をしなければならないということが各方面に論議され、また政府の選挙制度調査会におきましても、約十年以上前からこの問題が論議されてまいりましたことも、選挙運動の経費が莫大に過ぎるということが一つの大きな理由になっていたものと、かように考えております。
○村上正邦君 そうすると、やはり制度そのものに金がかかるというふうに提案者はお考えであると、こう解釈してよろしゅうございますか、制度そのものに金がかかると。
○委員以外の議員(金丸三郎君) そのとおりでございます。
○村上正邦君 では、次の質問に移ります。 次の質問は、この改正案の憲法解釈であります。午前中宮之原先生から例を挙げて憲法の各条項について提案者との質疑が行われました。私は与えられた時間の関係から各条項についての具体的な質疑を行う時間がありませんけれども、この十四日本会議においての質疑で、内閣法制局長官、法務大臣、自治大臣の答弁で違憲でないことが明らかにされました。そこで、午前中は提案者との質疑が行われましたので、私は短い時間でございますので、ダブリを避けまして参議院法制局長に次の六項目についてお尋ねしたい。 その議論の要点は、憲法第十三条の「公共の福祉」とこの法案との関係を詳細にかつ明確に説明していただきたい。これは午前中の討議の中にも十三条の提案者の大きな位置づけが出ておると思いますので、私はこの点について十分なる局長のお考えを聞かしていただきたい。 その次に、憲法第四十三条の「選挙された議員」、そしてまた憲法第十五条第一項が保障する立候補の自由、そして次には憲法第十四条第一項の平等の原則、そしてまた憲法第二十一条第一項の結社の自由、そして第四十四条の議員の差別禁止の各規定にこの法案が抵触するかどうか御説明をいただきたい。 以上、お願いをいたします。
○法制局長(浅野一郎君) まず第一点の公共の福祉の問題からお答えいたしたいと存じます。 一般に基本的人権というものが公共の福祉によって制約されるものであるということは、最高裁の判例でも繰り返し繰り返し述べられているところであるということは、先生方御承知のとおりだと思います。そこで問題は、この法案と公共の福祉とがどういう関係にあるだろうかということかと存じます。 そこで考えてみますのに、まず一番問題になりますのは立候補の制限の問題でなかろうかと思います。それで立候補の自由と申しますのは、これも最高裁判例が述べておりますように、これは一つの基本的人権だと、こう最高裁が述べておるわけでございます。そういうわけでございますので、まずこの法案で問題になってくるのはその基本的人権の制約という問題でございますから、そこで当然その制約原理として公共の福祉という問題が出てくると、こういうふうに考えられると思います。 ただ、そこで問題になりますのは、ただ抽象的に公共の福祉といっても中身が非常に不明確でございますので、何が公共の福祉かということが問題であろうと思います。それはこれまで繰り返し繰り返し発案者の先生がお述べになっておりますように、要するに現行の参議院全国区の制度というものが、国全体という広大な地域を選挙区といたしまして八千万人の有権者を対象とする個人本位の選挙となっておりますために、有権者にとっては候補者の選択が非常に困難になっておる。それからまた多くの候補者にとりましては膨大な経費を要するというような事実が生じておるという実態認識に立たされまして、それからまた他方、現在政党というものが議会制民主主義において重要な地位を占め、かつまた国民の政治的意思を国会へ反映するための媒体としては重要な機能を果たしておるんだと、こういう事実を踏まえられましてこのたびの拘束名簿式比例代表制を導入されたわけでございますので、要するにこの拘束名簿式比例代表制が達成しようとする利益こそ国民全体の利益でございまして、それが公共の福祉だ、こういうふうに提案者の方でお考えになっているのではなかろうかと、こういうふうに思うわけでございます。 それから、第二番目の憲法四十三条の「選挙された議員」というところの規定に反するのではないかという問題でございますけれども、この選挙では確かに名簿に投票するわけでございますけれども、名簿には個人の候補者の氏名が載っております。それからさらに、その当選人となるべき順位をつけまして載っておるわけでございますから、結局において有権者がその議員を選ばれたと、こういうことになるわけでございますので、別にここで選ばれた議員は選挙された議員でないというわけにはいかないと、こういうふうに思うわけでございます。 それから、あとの三点、四点、それから最後の六点の問題は、要するに立候補の制約の問題でなかろうかと思います。それでこの立候補の制約も、要するにこのたびの拘束名簿式比例代表制度の導入というものが、要するに憲法が国会の立法裁量の範囲内として許容する合理的なものであると考えられますから、その拘束名簿式比例代表制度に伴います当然の制約である限りは、これは憲法が許容しておるものではなかろうかと、こういうふうに考えるわけでございます。 それからもう一つは、結社の自由の制約になるのではなかろうかという問題だと思いますが、要するに結社の自由の中には当然結社しない自由が含まれると思います。それでこの法案は結社しない自由を制約するのではないかというお考えだと存じますけれども、結社しない者に立候補を認めないからといいましても、それが直ちに結社することを強制することになるかどうかは非常に疑問に思っております。ですから、直ちに結社の自由の制約になるものではないと思いますけれども、仮にこれが結社の自由の制約だと考えましても、これも繰り返し発案者の先生が述べておられますように、拘束名簿式比例代表制度の導入というものが憲法が国会の立法裁量の範囲内のものとして許容する合理的なものであると考える限りは、これはそれに伴う合理的な制約でございまして、これも憲法が許容するものではなかろうかと、こういうふうに考えるわけでございます。 以上でございます。
○村上正邦君 そうしたら、午前中の提案者のこれは憲法に抵触しないという解釈であると、こうとってよろしゅうございますね。
○法制局長(浅野一郎君) そのとおりでございます。
○村上正邦君 では、次に移ります。ただでさえむずかしいと言われているこの行革国会に、この重大な改正案をなぜ上程したかという点であります。 イギリスの著名な政治学者で政治家でもありましたジェームズ・プライスは、民主政治とは弾丸にかえるに投票用紙をもってする戦いであるとの名言を残しております。プライスの言った弾丸にかわる投票用紙をもってする戦いのルールの根本をなすものが申すまでもなく選挙制度であり、その改正は政党の盛衰を左右し、議員の死活にかかわるものであります。それだけに選挙法の大改革は、戦争に負けたとき、革命があったときなどいわゆる政治制度そのものに大きな変革があったときに行われてきたのが世界の通例であったと承知いたしております。しかるに、今日のこの平時にあって、いま何ゆえ大改革を行おうとするのでありましょうか。これが一点。 さらに、その改革案は、いかなる理由から明治二十三年の国会開設以来わが国では初めてという比例代表制を導入し、しかも拘束名簿式という従来の個人を選ぶ選挙から政党を選ぶ選挙にかわるという内容となったのでありましょうか。 以上二点について提案者の見解をお伺いしたいと存じます。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 先ほどもお答え申し上げましたように、現行の参議院の全国区の制度につきましてはいろいろと改められるべき点が多い、こういうことで、政府の選挙制度調査会におきましても四十六年、四十七年以来数次にわたって改革の論議が行われてまいったことは御承知のとおりでございます。また最近も、社会党におかれましても、また新聞等で私どもが承知いたしておりますところでは、公明党でも民社党でもそれぞれの改革案を御検討のようでございます。私は、これはやはり全国区の制度は何らか改革をしなければならないということがいろいろ関係者の間に一致してまいったと、結論は違いましても改革を要するという点では私はもうほとんど一致してきておると、このように考えるわけでございます。 このようないわば時代的な背景のもとに、私どもの自民党におきましてもこの数年来検討いたしてまいりましたが、あと二年いたしますとまた参議院の通常選挙がございます。私どもとしては通常国会に提案をいたしたわけでございますけれども、審議いただく時間がございませんで未了に終わってしまいました。しかし次の選挙も控えております。したがいまして、やはり次の選挙には間に合うように全国区の制度を改正いたしますことがこの際やはりある意味の世論にこたえるといいましょうか、私どもはそういう改革の時期が熟してきつつあるのではないか、かように考えまして、結論も得ましたので提案をいたしたわけでございます。 次に、比例代表制度を採用いたすことによりまして、個人本位の選挙の制度から御指摘のように政党主体の選挙の制度に変わります。これは確かに大変な変革でございます。その理由は、先ほど来繰り返し申し上げておりますように、広大な選挙区であるということ、膨大な選挙人団があるということ、選挙に精神的あるいは肉体的物質的に非常な苦痛が伴いますので、これらを改善しますのには、全国区について政党本位の拘束式名簿制度によりますことが最も妥当であると、かような結論に達したからでございます。
○村上正邦君 よくわかりました。 そこで、この改正案を通すことによって参議院の政党化への問題が出てまいります。この改正案は、参議院の政党化をより進めるものであり、参議院本来のあり方からして逆行であるとの批判が出てまいっております。しかしながら、現在においても政党化しているのが現実であり、無所属で当選した議員も院内会派をつくって行動をしておられるのであります。したがって、改正案が通っても政党化という点においては実際上はそう大きな変化は予想されないと私は考えるものでありますが、いかがでしょうか。 また、現代社会が抱える複雑多岐にわたる諸問題に政治がこたえていくためには、政治家個人個人が別々に行動するのではなく、グループをつくり知恵を出し合い分担し合ってこそ国民の期待にこたえていけるものであり、政党化すなわち悪ときめつけるのは全く当たらないと思いますが、どうでしょうか。 午前中の議論の中で、改正案が成立後において政党化へとはいかないのではないかとお答えになりましたが、私は政党化が進むのは必至であると思います。そこで、政党法と拘束名簿式比例代表制は車の両輪であると思います。この政党法の制定についてどのような議論がなされたのかお尋ねをしたい。そして、私はいずれ政党法を考えなければならないのではないだろうか、こういう見解を持っておりますが、いかがでございましょうか。
○委員以外の議員(金丸三郎君) この法案が成立いたしてこの法案に基づきまして選挙が行われましても、私どもは参議院の政党化の実情がさして変わるとは考えておりません。また、運営につきましては、けさほど宮之原委員の御質問にお答え申し上げましたように、運営面の改善を各党こぞって協力一致しで参議院の独立の機能が発揮できるようにいたしたいものだと考えております。 なお、政党法の問題でございますが、私どもは必要最小限度の政党的な規定をこの選挙法の改正案の中に入れております。包括的な政党法をつくりますことはわが国の政党の現状からいたしましてなお慎重に検討を要するものと、かように考えております。
○村上正邦君 時間がありませんが、議論をすることは避けますが、運用面においてとおっしゃられましたけれども、運用と制度そのもの、これは私は別問題だと思うのです。勢いこれは政党化へいくことは、これはだれが考えたってそういうことはわかり切っていることだと私は言わざるを得ません。 そこで、この政党化という問題に関連いたしましてさらにお尋ねしたいと存じます。 参議院制度創設当初、その大きな目的の一つが学識経験者等の有為の人材を立法府に迎えるということでありました。しかしながら、現行制度においては、もはやテレビ等にのべつ幕なしに出演し、国民大衆に名の知られた有名人でなければ、有為の人材といえども当選することはほとんど不可能にすらなっている現状であります。この点、全国区制度創設当初は今日のようなテレビの普及は全く予期しなかったことであり、状況は全くさま変わりしているのであります。こうしたことから考えましても、政党が責任を持って候補者名簿を作成するという今回の改正案の方が、たびたび提案者も申しておられますように、いわゆる出たい人よりも出したい人をという本来の趣旨にかなった制度であると私は考えますが、いかがでしょうか。 さらにお尋ねいたしますが、名簿のつくり方でございます。これは候補者にとってもまた支援団体あるいは一般有権者にとりましても最も関心が強いものと思われます。この点について、だれがどこで何を根拠に順位をつけるのか、提案者はこのことを提案なさったんですから、責任ある御回答をお伺いしたいと思います。派閥次元、金の動き等を排除し、公正な名簿が作成される保証がどこにあるのか。提案者は自民党でございますから、よその党はいざ知らず、自民党のことを頭に入れながらでも結構でございますので、これはむずかしい問題かとは思いますが、提案者の立場で、これはもう提案なさったんですから、どうかひとつおれがするとするならばどういう形でこれをつくっていくんだということを率直にお聞かせいただければありがたいと思います。 私は、政党が責任を持って拘束名簿をつくり、これを国民に提示し、その審判が政党に対して下されるということになれば、政党は候補者の選定に厳しい姿勢で臨まなければならず、またそのことが候補者あるいは議員が自己の行動にこれまで以上に厳しい責任を持たなければならないという効果を生み、政党と候補者双方にいわゆる自浄作用が働くという利点があると考えます。と同時に、衆議院の各政党の心質、体質を変える力にもなるのではないかと私は考えます。 提案者のこれらの見解をお伺いしたいと思います。
○委員以外の議員(金丸三郎君) お尋ねの第一点のこの名簿式を採用することによりまして出たい人よりも出したい、より適切な人選ができるのではないか、当選ができるのではないかというお尋ねでございますが、私どももそのように考えております。 第二点の名簿の作成の基準でございますけれども、私どもといたしましてもいろいろ検討はいたしておるつもりでございます。しかし、わが国の現在の政党を見ましても、国会議員を多数擁する政党もございますれば、数名しかおいでにならない政党もございます。いわば大小いろいろでございますので、法律の中でその組織でございますとか基準などを示すこともなかなか無理がございますし、政党はどちらかと言えば法律をつくるような政治の推進力でございますから、むしろ余り法律で規制しない方がいいんだと、そういうような意見すら実は以前はあったわけでございますので、実情に即して政党がさらに自主的な運営をなさっていくことをもっと見守った方がよろしいのではないかと、かように思います。基準につきましては、したがいまして各政党それぞれのお考えがあり、人選のいかんは有権者、国民の批判を受けるわけでございますので、私どもは真剣な検討が必ずや行われるようになると、かように思います。 また、今後の一回、二回の選挙は、過去に実際に選挙を行って当選なさった方々が次の名簿の選考にお入りでございましょうから、それらの基準とそれ以後とはまた基準も変わってき得るのではなかろうかと、さように考えております。 それから、名簿の作成のいかんが今後は国民の批判の的になってまいりますので、そういう面から御指摘のような政党の自浄作用と申すのでございましょうか、そういう点に真剣に各政党が取り組まれるようになることを期待することの方が自然ではなかろうかと、さように考えます。
○村上正邦君 よくわかりました。 この改正案の制度では、選挙そのものに活力が失われ、有権者の関心が薄れるのではないかという心配があります。それは、現行制度でまいりますと、全国区の候補者はもちろんのこと支援団体の人々も必死になるのは、当落のみならず、投票結果で支持団体の集票能力が問われるからであります。これが政党名だけの投票になりましたとき、みずからの命運をかけて選挙に取り組んできた各支援団体の人々からはもちろんのこと、一般有権者の関心も急速に低下していくのではないかという危険性があります。この対応についていかがお考えかお聞かせいただきたい。 また、名簿候補者にとってはこの新制度は選挙なき選挙となることから、ホットスプリングスリーピングと言われまして、温泉で寝ていても当選するようなものだとのやゆも聞かれるほどであります。こうした点について提案者はどのようにお考えかお伺いしたいと存じます。
○委員以外の議員(金丸三郎君) お尋ねの第一点のような御心配は、いろいろなお方から私どもも立案の過程でお聞きしたのでございます。そういう心配が私どもも決して杞憂ではないと思いますけれども、今後名簿を作成して政党本位の選挙運動をやるというようにいたしました場合、これは各政党の今後の新しい選挙運動の方法になってまいるわけでございますが、いずれも従来の支持団体にフルにやはり活躍してもらうような方法を講じ、名簿を作成いたします過程でほぼ予定の人でございますならば、同時に地方区の選挙あるわけでございますから、やはりそちらの方に応援に行ってもらいますとか、いよいよ選挙の期間に入りました場合には、政党ごとのいろいろな演説会もございましょう、テレビ、ラジオ等に出られることもございましょうし、私はフルにそれらの人々も運動しなければならないように恐らく各政党とも新しい選挙運動の方法をお考えになることになるであろう、これは当然ではなかろうかと、そういうふうに考えております。したがいまして、温泉で寝ておるというようなことはもう絶対に私は考えられない、そんなことでもわかりましたら、次回から絶対に名簿には載せてもらえるようなことにはなりませんので、私どもはそういう心配は全然ないと思っております。
○村上正邦君 二時にやめろということでございます。始まる時間が遅かったんだから与党の責任においてということでございますので、大急ぎ質問をいたします。 自民党が昨年の衆参両院同時選挙で絶対多数をとったから提案してきたものであり、自民党の永久政権確保をねらいとする党利党略から考え出したものであるとの批判があります。また、比例代表選挙の議席の配分方法としてドント式を採用したのは大政党のみ有利であるとの意見もあります。さらに、比例代表制採用の次には、午前中も質疑がありましたが、衆議院選挙において小選挙区制を導入しようとする布石であるとの危惧の念を漏らす人さえおります。果たして両制度そのものにそのような関連性があるとお考えでしょうかどうでしょうか。午前中の自治大臣の御答弁、何かぐずぐずぐずぐず言葉多くして非常に要領の悪いお答えでございましたが、私はこの三点について明確に提案者としてお答えいただきたい。
○委員以外の議員(金丸三郎君) 提案の過程、理由につきましては先ほど来御説明を申し上げましたとおりで、現行の全国区の欠陥を是正しようという意図以外には何もございません。 小選挙区制につきましては、私がどうということではございませんが、自民党の選挙制度調査会におきましても、ただいまのところそのような検討は全然いたしておりません。
○村上正邦君 そこで、最後にお尋ねいたしますが、先ほどもちょっと提案者が触れられました、ある時期新聞等で公民両党がブロック制案をつくっておられると報道されたことがあります。自民党においてもブロック制を検討の対象にされたと聞きますが、どんな結論であったのか。また、伝えられる公民両党の案についての提案者のお考えをお聞かせいただきたい。 そして、いろいろ野党の諸先生からも、本当にお聞きしておりますと非常に傾聴すべき意見が多々あると存じます。これらの意見を取り入れられまして修正する御意思があるかどうか。たとえば選挙の運動量の修正、それから供託金の修正、それから政党の要件の修正、そしてまた、ドント式ではなく修正サンラグ方式をとるといった修正案が考えられますが、そのような修正案が出た場合い提案者はこれにはどのような姿勢で臨まれるか、最後にその基本的なお考えをお聞かせいただきまして質問を終わりにいたします。
○委員以外の議員(金丸三郎君) ブロック制の案が私どもの間にもございました。また、公明党、民社党でもそのような案を御検討であるということは、私どもも新聞等で承知いたしております。ブロック制を私どもが採用いたしませんでした理由の一つは、ブロックというもののつくり方が日本の政治あるいは社会生活、行政の面から定着していないということ、それから選挙運動の費用はさして変わらないと、そういうようなことからやはり比例代表制の方がよろしいという結論になったわけでございます。 次に、修正についてのお尋ねでございますけれども、けさほど宮之原委員の御質問にもお答えいたしましたように、これは私どももベストとうぬぼれておるわけでは決してございません。いろいろ御意見がございますならばむしろ出していただきまして、私どもの案よりよいベターな案ができますれば、われわれもそれが結構だと、かように考えております。
○村上正邦君 ありがとうございました。
○委員長(安田隆明君) 暫時休憩いたします。 午後二時零分休憩 〔休憩後開会に至らなかった〕