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95回国会衆議院1981/10/14

法務委員会 第1号

発言数
246
登壇者
15
会派数
3
開催日
1981/10/14

会議録

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政等の適正を期するため、本会期中  裁判所の司法行政に関する事項  法務行政及び検察行政に関する事項 並びに  国内治安及び人権擁護に関する事項 について、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、国政調査を行うため、議長に対し、承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 お諮りいたします。  本日、最高裁判所栗原家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として日本放送協会理事田中武志君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」、と呼ぶ者あり〕

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲葉誠一君。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 きょうは、大臣の都合で大臣が一時半からということなんで、そちらの方に十分な時間をいただきたいと思いますので、それに関係ないところの問題について最初お尋ねをしていきたいと思うのです。  一つは、これはだれに聞くのですか、日本にいわゆる国際私法という名前の法律がないわけですね、これはどういうわけなんでしょうか。

元木伸法務省民事局参事官

○元木説明員 先生御指摘のとおり、国際私法と名づける法律はないわけでございますけれども、法例と申す法律がございまして、これが実質的に国際私法の役をいたしております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 だから、ほかの国ではどんどん国際私法という法律をつくっていますね。法例というのはどういう意味なの。法の例という字を書くでしょう。例は例文の例でしょう。これはどういう意味なの。

元木伸法務省民事局参事官

○元木説明員 御指摘のとおり、法律はまさに法律でございますけれども、例と申しますのは決まり、ちょうど条例の例と同じでございまして、取り決めあるいは決まりでございます。したがいまして、法律を適用するについての取り決めあるいは決まりというふうな意味を持っているかと存じます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 だから、それをどうして国際私法という名前に直さないのですか。

元木伸法務省民事局参事官

○元木説明員 ただいま法制審議会の国際私法部会というのがございますけれども、そこで法例の全面的な見直しということを現在審議しているわけでございます。これは御承知のように、国際私法ということになりますと、その適用につきましては海外の法律等々も検討しなければいけませんので、そういうことでかなり時間がかかっているわけでございますけれども、いずれそういうものが全部終わりました暁には、国際私法という現在各国で呼びなれている名前に変えられるかと存じます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いま法制審議会の話が出ましたけれども、法制審議会ができたのは昭和三十二年じゃないか。そうでしょう。ことしは昭和五十六年か、一体何年かかって、何をやっているのですか。

元木伸法務省民事局参事官

○元木説明員 ただいま、先生御承知のように、ハーグの国際私法会議というのがございます。それにわが国も加盟しているわけでございますけれども、ここで次々にいろいろな国際私法関係の条約ができております。したがいまして、次々にできてまいります条約の批准の問題、あるいはさらに新しい問題をハーグの国際会議で取り上げまして、そしてそれを検討するということになりますと、これは国際私法部会直接の問題ではございませんけれども、いずれはそれが当然審議の対象になりますので、そこで相当検討するというようなことで、言ってみますと、次々新しい問題が出てくるものでございますから、それの方にかなりのエネルギーを費やされているわけでございます。  それから、婚姻と親子につきましては、昭和四十八年でございますけれども、すでにこれについての改正、要綱試案というものを出しましてその後も、ただいま申しましたハーグの国際私法会議の関係で一応とんざいたしておりましたけれども、最近またこれを再開いたしまして、さらに精力的に進めていこうということで審議を続けているわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、ハーグの国際私法会議を中心とした条約、いろいろな条約がありますね、ことに海事法が多いですね。船の問題やなんかが多いでしょう、必ずしもそうばかりではありませんけれども。そういう中で日本が批准しているものは一体どの程度あって、それから国内法をまだつくっていないものはどの程度あるか。これはいまでなくていいですよ、後で一覧表を出してください。これは法学全集に書いてあるが、あれはちょっと古いから、新しいのを出してください。  ところが、ハーグばかりでなく、ブラッセルでよく条約が締結されている問題がありますね。これはどういうわけなんですか。

元木伸法務省民事局参事官

○元木説明員 ただいま御指摘がございましたブラッセル関係の条約でございますけれども、これは船の海事法の関係でございます。したがいまして、国際私法ということになりますと、たとえば、婚姻の場合には夫の方の本国法を適用するかどうかということの問題でございまして、つまりどの法律を適用するかということでございます。それに対しまして、いわゆる国際の実体法と申しますか、国を超えて実体的な法律をつくりまして、ある一定の事項につきましてはそれを一律に適用していくということでございまして、ただいま国際私法関係におきましては、でございますからそのブラッセルの関係の条約というものは直接関係がないということになるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いままで三回改正していますね。率直に言うと、ただ子供の名前を、私生児という名前をなくして子にしたからそれに直したとか、いろいろありますね。最後のときは遺言でしょう。遺言の抵触に関する条約の問題ですね。そのときにすでにもう法例でなくて、国際私法という名前に当然改正できたのではないのでしょうか。そこはどうなんです。  それともう一つ聞きたいのは、親族関係とか身分法関係というのは、個々のその国の特色が非常に強いわけですね。だから、手形、小切手のような場合とか船の場合とか、ああいうのと違うわけですから、身分法関係というのはこういう国際私法の中で非常にむずかしいと思うのですけれども、遺言の場合には日本でもそれができたわけですね。その間の経過を説明願いたいのと、なぜ、そのときに国際私法という名前に変えなかったのですか。法例といったって、これは何だかさっぱりわからないですよ。

元木伸法務省民事局参事官

○元木説明員 これは先生御承知のように、現在の法例と申しますのは三十一条実はあるわけでございます。  それで、実は遺言の方式の準拠法に関する法律、これはもちろん、ただいま先生御指摘のように、ハーグの国際私法会議で成立した条約に基づきまして法律ができたわけでございますけれども、これは法例の中ではわずか一条に関係するだけでございます。また、これは一昨々年でございましたか、子の扶養義務に関する準拠法条約、これは国内法をつくりませんで、批准だけで条約をつくって国内にも適用できるということで批准されたわけでございますけれども、そういうものも、これは扶養に関します条文の中のほんの一部分ということでございます。したがいまして、次々と条約に基づきまして法律をつくる、あるいは条約を批准してそれを国内法としての効力を持たせるということにいたしましても、法例全体の中からいたしますと非常に小さい部分でございます。  でございますから、もちろん、法例を改正いたしますには、そのほかの部分についても一挙に全部現在の情勢に合わせて改正していくということが必要でございますので、これは条文が他の法律に比べて比較的少ないのでございますけれども、これは大作業ということになりますので、ただいま鋭意進めているということでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 大作業はよくわかるのです。ですが、これはドイツの法律関係を基本としてやっているということですね。ところが、この国際私法部会の部会長だったのは、いまは亡くなられましたけれども、山田三良先生でしょう。山田先生は仏法関係じゃなかったのですか。たしかそういうふうに私はお聞きしておりましたが、フランス法ですね。だから、ドイツのなにをどうしていま模範としてこの法例を改正しなければならないのか。いま英米法の時代——ことに英米法の場合でも、しかし、あれは判例法で、イギリスは条文がないわけですね。アメリカは条文があるのかな。ないのかちょっとわからない。どうしてドイツのものを模範としてやらなければならないのか、そこら辺がどうもはっきりしないのですね。     〔委員長退席、熊川委員長代理着席〕

元木伸法務省民事局参事官

○元木説明員 先生御指摘のとおり、確かに過去におきましてはドイツの国際私法というのが中心に非常に研究され、立法の参照にされたわけでございますけれども、現在では、英米法のみならず、世界各国の法律を参照しながら、しかも、世界各国の国際私法だけではございませんで、実体法の方も参照しながら、これは新しいものを決めていかなければいけないということになろうかと存じます。したがいまして、今回の改正作業の審議におきましても、私どもといたしましては、世界各国の法律を翻訳し、参考にしながら現在作業を進めておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それで、これはなかなかむずかしいですよ。特に一番むずかしいのは、日本と韓国との関係ですね。これは国籍法の関係にも関連してくる。日本と韓国との問題、非常にむずかしいいろいろな問題が出てくるわけですね。  そこで、反致の原則があるでしょう。反致の原則に対して日本としては肯定的な考え方を持っておるのか、否定的な考え方を持っておるのか、それは一体どっちなんですか。日本と韓国との場合に、具体的な例に当てはめてお答え願いたい。これは試験問題としていい試験問題なんだよ。

元木伸法務省民事局参事官

○元木説明員 急な御質問なので、必ずしも正確なことが申し上げられないかもしれませんけれども、御承知のように、韓国の国際私法によりまして日本に戻ってきた者、これは当然日本法を適用して裁判をするということになるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 反致の原則というのに対してどういう考え方を持っておるかということを聞いているのだけれども、それはいいですよ、また別の機会にしましょう。  韓国との間で一番困るのは、これは国籍法の関係でもあるのだけれども、韓国人の男と日本人の妻とが結婚するけれども、実は籍が入ってない場合があるでしょう。そうすると、子供が産まれますね。認知をすると、最初の段階では韓国籍へ入りました、それからは韓国籍へ入らないで、認知しても日本人の籍に入るようになったのでしょう。その間の関係はどういうふうになっていますか。それを韓国の法律で日本に関係なしに一方的にやられておって、同じきょうだいの中で一人は韓国人、一人は日本人という形になってしまっている場合が非常にふえてきております。これはどういうふうに改正したらいいのです。どこに問題があるの。

田中武志日本放送協会理事

○田中説明員 お答えいたします。  わが国の現在の国籍法の規定では、日本人女性が産みました非嫡の子、婚姻外の子供でございますが、これは産まれたときに日本籍になります。それに対しまして韓国の国籍法では、認知をしますと国籍を取れるたてまえになっております。そのために、たとえば韓国の方を父親とし日本人を母親として産まれた子供は、産まれたときには日本籍を取っております。その時点で韓国の父親から認知されますと、認知によって韓国の国籍を取ります。その時点では、私どもの方は日本国籍はなくなってないと処理しております。ですから、その認知された時点では二重国籍になっておりまして、二重国籍者の処遇をどうするかということが韓国の方でもやはりいろいろ問題になったのだと思います。  韓国では、一九六二年に、認知をしてから六カ月以内に、たとえばいま言った日本と韓国の二重国籍の場合には、日本の国籍を離脱してこなければ韓国国籍がなくなる、一たんは六カ月間は与えて、その間にいわば選択をさせて、そのときに日本の国籍の方を捨ててこなければ、韓国籍の方を奪うというたてまえをとったわけでございます。そのために、一九六二年の改正前に認知された者につきましては日本と韓国の二重国籍になっておりますが、その改正の後の者については、その六カ月間に離脱をするかしないかによって、離脱をすれば韓国籍になりますが、離脱をしなければ日本籍オンリーになります。そういう意味で子供の間に国籍の差が出る場合がございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 前の場合は二重国籍だというふうに私ども聞いていませんよ。私が実際扱った事件でも、韓国籍にされてしまって、しようがないからといって帰化するというので、いまやっているのがあるわけです。  それと、それは調べればわかることですけれども、国籍法全体の改正の問題、ことに父系主義を両系主義にするということでいろいろ問題があります。それはこの前あなた方は、何か五年ぐらいかかるようなことを言っておられました。それで大臣から言われて、三年以内にするということの話だったのです。大臣から言われて、来年は間に合わないけれども、再来年は大体国会に出すということになったわけです。国籍法の問題で両系主義になったときに一体どういう問題が起きるのか、これは具体的によく説明してもらいたいわけです。一番大きな問題になっているのは、東ドイツと西ドイツとの間の結婚関係、これがいまいろいろな問題が出でくるわけでしょう。そこら辺のところでわかっている範囲で説明願いたいのと、それからいつごろ国会に提出できるのか。これもなかなかむずかしい問題があると思います。急いでやってもらいたい、こういうふうに思っているわけですが、大臣は再来年の国会に出すと言ったのですから、事務当局でもそれをはっきり守ってもらいたいと思うのです。

田中武志日本放送協会理事

○田中説明員 御指摘のように、国籍法の改正につきましては、大臣から答弁がございましたように、私どもも大臣の趣旨に沿うように努力したいと思っております。そこで、この十月の三十日に法制審議会の総会で国籍法改正の諮問を出していただきまして、その上でその審議に入りたい。これまでいろいろ審議の際の資料集めをやっておりましたけれども、その審議の際には十分その資料を提出して御協議をお願いするつもりでございます。これから法制審議会の方で審議をお願いすることになりますので、果たしていつの時点で国籍法の改正を国会に出せるかどうかは、審議の経過を待たないと、私どもとしては何とも申し上げられません。  ただ、御指摘のように、たとえば父母両系主義に変えるというような点は、当然検討の対象になるだろうと思います。その場合に起きるべき問題としては、そういう父母両系主義に変わる場合には、当然、二重国籍者の問題はどうなるか、二重国籍になった場合には後始末をどうするか、その後始末の手当ていかんによってはそれのさらに後始末といいますか、そういう段階的ないろいろな点が当然検討の対象になると思っております。  そのためにはある程度の時間がどうしても審議の際には必要になるだろうということで、できるだけ早く大臣の意思に沿うように努力したいと思いますが、審議をある程度やっていただかないと、ちょっといまの段階では、必ず大臣の御指摘になった時点に出せるかどうか確約するのは、ちょっとむずかしゅうございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それはむずかしいのはわかっているのです。いまの東ドイツと西ドイツとの結婚の関係なんか、なかなかむずかしい問題はあるんですよ。これはわかっていますけれども、大臣が再来年の通常国会に出すと言ったのだから、意思に沿うように努力するんじゃなくて、出すようにしなければいかぬわけですよ。     〔熊川委員長代理退席、委員長着席〕 いま言った法例の改正、これはもう二十年以上もかかっているし、それからいまの国籍法の改正、これも相伴うような問題ですけれども、いろいろな問題はあるけれども、早く煮詰めてやってもらうようにしていただきたい、こういうふうにこれは要望しておきます。これは大臣が来てからまたお話ししますが、大臣はこの前出すと言ったのだから。どこまでわかって出すと言ったのか、ちょっとわからないな。  それからもう一つ、今度は少年法の問題に移りますが、これはぼくもよくわからないのですが、少年法の実際の扱いのときに、「事実の認定は、証拠による。」という条文が刑訴にありますね。これは私はちょっと記憶違いしていまして、三百三十六条と勘違いしていました。それは無罪の場合のあれで、三百十七条だったか何条でしたか、とにかく「事実の認定は、証拠による。」という条文ですね。これは法務省に答えてもらおうかな。これは憲法のどこと関連しているわけですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 ちょっと御趣旨がよくわかりませんけれども、事実の認定は証拠によるべきだということは、無実の者を出してはならないという精神から来ているものと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いや、質問の趣旨というのはわからないように質問をしているのだけれども、わかったんじゃ質問にならないもの。  憲法は非常に刑事訴訟法に関連して詳しい条文をいっぱい並べていますね。これは日本の特例ですね。だけれども、それの「事実の認定は、証拠による。」というのはどこから出てくるかということ、これは憲法の条文を読めば、どこに関連があるかということはすぐわかるのですが、それはそれとして、これが一体少年法に適用になるのかならないのかということ、これはどういうふうに理解したらいいのですか。

栗原平八郎最高裁判所事務総局家庭局長

○栗原最高裁判所長官代理者 お答えいたします。  いま委員御指摘のとおり、少年法には刑訴三百十七条のような規定はないわけでございますが、少年審判が、申し上げるまでもなく、その非行事実を確定して、それを契機として、場合によっては少年の自由を拘束し、あるいは保護者の監護権を奪うというような処分をも科するという、そういう手続でございますので、憲法三十一条の正当な手続の保障の要請は満たさなければならないものと理解されておるわけでございます。したがいまして、少年法自体に明文の定めはございませんけれども、刑訴三百十七条の規定は当然適用されるものと理解し、運用されておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 しかし、理解し、運用されているはずだというのですけれども、実際はそうじゃないのではないですか。少年法の場合には、事実を確定するのが中心ではないので、非行があるかないか——非行ということは犯罪とは関係ないわけでしょう。いいですか。非行を犯すおそれがあるということも、必ずしも犯罪とは直接結びつかない。裁判官によっては、証拠がない場合には、厳格な証拠を必要とするというので逆送する人もいますよね。そうではなくて、その場合に処分をしてしまうという考え方もあって、その点は徹底をしてないんじゃないですか。このごろ大分徹底してくるようになりましたけれども、そうすると、いま言った三百十七条「事実の認定は、証拠による。」というのは、少年法の場合にどうして書かなかったのですか。それが一つ。  それから、これは法務省に聞いた方がいいのかと思いますが、少年法はできた経緯がはっきりしないのです。これは法制審議会にかかってないでしょう。だから、戦争直後の占領政策の中でばたばたとつくられてしまったような印象も持つのですが、こういう点については、なぜ法制審議会にかけなかったのかという点は、これは法務省の方ですね、両方からお答え願いたいと思うのです。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 当時の実情につきましては、実はつまびらかにしておりませんけれども、私の理解しております限りでは、ばたばたという感も時期的にはあったかもしれませんが、少年法の改正自体は、旧少年法の時代からいろいろと問題があって、議論があったところだと思います。そういうものがちょうど戦後に、占領下という事情が加わりまして、改正の運びになったということであろうと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それはわかっているのです。だから今度改正するというのでしょう。その場合には、いまの刑訴の三百十七条の「事実の認定は、証拠による。」というのをはっきり改正法の中に入れるのですか、入れないのですか。あるいは準用するということを明文でやるのですか。どういうふうにしているのですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 御指摘の点は、この前の法制審議会の中間報告でも明示はされていないところでございますけれども、全般的にいわゆる適正な法定手続を取り入れるという精神があらわれていることは御案内のとおりでございます。したがいまして、どういう形でいまのような御趣旨のことを明らかにするかという技術的な問題もあるわけでございますけれども、現在検討中である、こういうことでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 おかしいな。現在検討中というが、少年法は大体六項目にまとまって、最高裁のサウンドも済んで、了解がついて立法過程に入っているのじゃないですか。これはあちこち非常に関係しますから、確かに立法技術はむずかしいということはわかるのですが、その中間答申の中になぜ  「事実の認定は、証拠による。」という大原則が少年法に入らないのかということです。これはどうもよくわからない。だからそのために、少年が非行があるとかないとかということが厳格な認定によらないで、ラフに認定されてしまう危険性があるのじゃないですか。私らはそういうふうな感じを持つのですよ。その点はどういうふうにしたらいいのですか。  それから、アメリカで二つの憲法違反の判例が出ましたね。これはちょっと古いかもわかりませんが、ケントとそれからゴールド・マッキーバーの事件、これは憲法違反だという説でしょう。デュー・プロセスによらなかったというか、アメリカの少年法の場合に、事実の認定は証拠によるという原則を踏まえなかったというので、憲法違反だというふうな判例が出たのじゃないですか。それはどういうふうになっているのですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 前段のお尋ねでございますけれども、少年法の改正作業は鋭意やってはおりますけれども、いま稲葉委員の仰せのように、それほど確定しているという状態にはまだ至っていないわけでございます。したがいまして、いろいろな問題につきまして私どもも研究しておりますし、また、最高裁の御意見を伺っているという状態でございますので、それをまず申し上げておきます。  それから、いま御指摘のいろいろなアメリカの判決があったわけでございますけれども、法制も違うわけでございますし、必ずしも事実の認定は証拠によるという趣旨だけでもないようでございます。たとえば弁護人の選任の問題であるとか、犯罪事実の告知の問題であるとか、そういう点の手続も欠けたという点がゴールド判決などでは指摘されているように思いますし、必ずしも稲葉委員の仰せのように、事実の認定は証拠によるというだけの問題でもないようにも思うわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それはもちろん、それに付随してというか、あるいはほかの問題が出てきていることは間違いないですね。だけれども、重要な点は、事実の認定は証拠によらないで少年法の場合に運用しているというのがアメリカにもあって、そうしてそれが憲法違反だ、デュー・プロセスの関係、いろいろな関係で憲法違反だという判例になってきているのですね。日本でも実際、家庭裁判所のときに、裁判官にもよるのですけれども、家庭裁判所というのは事実の認定をするところじゃない、非行があるかないか、非行のおそれがあるかないかを認定するところなんだ、だから犯罪事実の認定というのはここのやることじゃないのだというふうなことを言われる裁判官もあるのですよ。非常にこれはラフ——ラフという言葉は悪いかもわからないけれども、少年法の問題は非行ということでしょう。犯罪とは関係ないでしょう、非行というのは。だから、そこのところで問題がひっかかってきて、事実の認定は証拠によらない形で少年院や何かに送られてくる可能性が出てくるんじゃないですか。

栗原平八郎最高裁判所事務総局家庭局長

○栗原最高裁判所長官代理者 いま委員御指摘の点でございますが、事実の認定は証拠によるというその考え方を否定するといいますか、それにのっとらないで少年審判をやっている裁判官は恐らくない、その点は断言申し上げて差し支えないのじゃないかと私は思います。  ただ、委員が御指摘になっておられますのは、少年審判の対象が要保護性であるのかあるいは非行事実であるのかというようなことがかつて論じられたことがございます。つまり、少年審判で問題になりますのは少年の人格そのものが問題ではあるまいかというような考え方が一時述べられたことがあるわけでございます。しかし、その時点におきましても、少年法自体が、少年法三条で、審判の前提といたしましては、いま委員御指摘のように、確かに少年では犯罪事実とは呼んでおりませんですけれども、犯罪少年あるいは虞犯少年というような形で、その審判の対象になるものは規定しております。その対象になる要件に該当する者につきまして要保護性があるかどうかということを判断いたしまして、その少年に適応する処遇を加えるというのがいまの仕組みになっておるわけでございます。  かつては、その場合に要保護性の方が保護処分を決める上においてウエートを占めるのではあるまいかという議論は確かにあったわけでございますが、現在におきましては、少年審判の対象は非行事実とそれから要保護性の二つであるということにつきましては、実務の裁判官におきましてもほとんど異論がないところでございまして、一つ一つの事件につきまして、当該少年が問題とされておるような非行事実を犯したかどうかということを証拠によってまず確かめ、それが認定されて初めて保護処分に付するという実務の扱いをしておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 しかし、証拠によって認定するといったって、証人調べをするわけじゃないでしょう。正式な証人調べじゃないでしょう。ちゃんと宣誓してやるわけでも何でもないでしょう。

栗原平八郎最高裁判所事務総局家庭局長

○栗原最高裁判所長官代理者 少年法のたしか十四条あるいは十五条に、刑事訴訟における証拠調べの規定が準用されておるわけでございます。ですから、少年自身が非行事実を争う場合には、当該証人を証拠調べ手続、つまり刑訴の手続に従いまして、いま委員御指摘の宣誓をさせた上証言を求め、その証言の内容を確かめた上で、非行事実があるかどうかということを確定しておるわけでございます。ただ、実務におきましては、そのような形で非行事実が全面的に争われるというケースが少ないがために、一般的には刑事裁判におけるがごとき証拠調べが行われていないようにあるいは理解されておるかもわかりませんが、現実におきまして少年の実務におきまして証拠調べをする、厳格な証拠手続に従いまして証人尋問をするということもあるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それは公開の法廷でやっているのですか。仮にやるとしても、密行主義じゃないのですか。

栗原平八郎最高裁判所事務総局家庭局長

○栗原最高裁判所長官代理者 少年手続は、いま委員御指摘のとおり、非公開の手続をとっておるわけでございます。これは、すぐれて少年自身の健全な育成を図るという趣旨から手続が非公開にされておるわけでございます。非公開の手続ではございますけれども、その審判手続におきまして、刑訴の証拠法の規定に従いまして証人手続が厳格に行われておるというわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 ちょっと私はその点は疑問を持つのです、またよく聞いてみますが。  それから、虞犯というのは、私は前から言っているのですけれども、これはどうも問題だと思うのですよ。認定が虞犯だというので少年院に送られたんじゃ、かなわないですね。それで、認定されて、抗告したって、抗告は書面だけだし、先に執行されてしまうわけでしょう。その日のうちか次の日に少年院に送られてしまうわけです。だから、どうもそこら辺のところは、虞犯というものは憲法との関連で問題があるというふうに私は思っておるのです。私は前々からそういうふうに思っているので、それが今度の少年法の中でどういうふうになるかということについては、また別にあれしたいと思うのですが、私は、どうもその点は疑問視しておるところで、問題点だと思っています。  虞犯と簡単に認定されたんじゃ、かなわないですよ。犯罪を犯すおそれがあるというので認定されて、そして非行のおそれがあるというので少年院へやられたんじゃ、かなわないですよ。しかも、それに対応する不服の申し立てというのは、抗告だけでしょう。抗告なんて通りっこないですよ。道交法違反で一件ぐらい通ったのがあるだけの話で、その間入れられてしまうのですから、執行停止なんか何もないわけですから。確定ということが考えられない。確定するまでは処分してはいけないのに、少年の場合には確定しなくたって——これは確定ということがないのですか。ないことはないのでしょう。決定だから、やはり確定があるわけですね。その間で刑の執行をしてしまうのでしょう。未確定の状態で刑の執行をするというのは、少年法だけの問題じゃないですか。一般の刑訴では、そんなことはあり得ないわけですからね。どうもこの辺は私には疑問に思えるのですが、これはまた別の機会にいたしましょう。きょうはちょっと……。  それで、少年法の改正というのは、そうすると結局、大体いつごろになるのですか。わからなければわからないでいいですよ。大体、目安はいつごろですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 先ほども申し上げましたように、法制審議会の中間答申がございまして、それ以来事務的にいろいろ詰めておるわけでございます。最高裁との問題もございまし、その他矯正、保護の関係もございます。したがいまして、現在のところ、引き続き作業を進めているということでございまして、いつという具体的なことは申し上げられない状態でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それで、後は、矯正局長、監獄法の問題ですが、実は私、今度は国会の法務委員会の視察団としてアメリカからメキシコ、それからアルゼンチン、ブラジル、ずっと行ってきたわけです。それで、少年院二カ所、ニューヨークの郊外にある少年院、それとブラジルのサンパウロにある少年院——ブラジルのはちょっと制度が違いますけれども、見てきていろいろ話を聞いたのですが、少年院だけでなくて、刑務所全体が各国非常に過剰拘禁なわけですね。それで、一緒に行った梅村氏は、過剰拘禁の問題ばかり聞いていたよ。  きょうの新聞を見たら、イタリアでも何か過剰拘禁で、刑を二年みんな減らすようにして早く出すようにしたとか、刑務所が足りなくなったとかなんとか出ていましたが、日本の場合には、いま一体刑務所全体がどういう状態になっているのですか。大体七、八割入っている程度ですか。過剰拘禁の状態まではいっていないわけですね。

豊島英次郎法務省矯正局長

○豊島(英)政府委員 全国平均的に見ますると、過剰拘禁にはなっておりません。八二、三%で、適正な収容率だというように考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そこで、刑務所の場合の収容人員と看守との人数の関係は、どの程度が適正だと考えられているわけですか。

豊島英次郎法務省矯正局長

○豊島(英)政府委員 保安的な面を担当いたしますいわゆる刑務官でございますが、これと収容者の対応関係が一番問題になろうかと思いますけれども、普通、五人前後の収容者を一人で抱えるというのが、国際的に見ましてもあるいは日本の実情から見ましても適正ではないかというふうに考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 私がこの前ある刑務所へ行っていろいろ聞いてみたら、やはり窃盗が七、八割なんですね。こんなに状態が変わってきた中で、窃盗が相変わらず多いのですね。ちょっとよくわからないのです。浜の真砂の話、石川五右衛門の話を聞いたのですが、やはり窃盗が多いですね。覚せい剤というのは大体一割か二割程度ですね、いまのところ聞いてみると。  そこで、いま監獄法の改正問題が起きていて、これは大体煮詰まったのじゃないかと思うのですが、監獄法の改正はどういう点がポイントで、いつごろ提出できるのか、来年の通常国会に出せるというような話もちょっと聞いたのですが、どうなんでしょうか。

豊島英次郎法務省矯正局長

○豊島(英)政府委員 昨年末に法制審議会の答申を受けまして、現在条文化の作業をいたしております。答申を受けましたのは、骨子となる要綱でございまして、条文ではございませんので、明確な条文にする。それから、答申されていない、つまり任されている部分も実はあるわけでございまして、それらの条文化をしなければいかぬということで、現在その作業をやっております。それから、関係省庁との詰めの問題も若干残っております。その後は法制局審査という問題を控えておりまして、予定といたしましては、格別の事情のない限り、次期通常国会に提出いたしたいというふうに考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 やはり法案が出ないと、何か国会議員の人たちもさびしい感じがするわけですね。本当はおかしいんだな。政府が法案を出すというのはおかしいんだよね。立法府はこっちなんだから、こっちが法案出すのが本当なんだよね。それを、政府に法案出さないかって質問するのもおかしな話なんだな、これは。おかしなことを聞いているわけだけれども、ちょっと変だね、これは。本当だよ、これ。立法府はちっとも立法しないんだもの、日本の場合には。おかしいよ、これは。議員立法出せば、議員立法に関連して総理大臣やなんか呼んで質問しているんだもの。そんなばかな話ないよ。議員立法なら議員立法の提案者に聞けばいいんだもの。政府に聞いたりなんかしているんだから。そんなのおかしいと思うけれども、よけいなことですから……。  そこで、もう一つの問題は、日本の一部の人たちが、スウェーデンの監獄——ぼく、ことしスウェーデンに行ってきましたけれども、監獄は見なかったですよ。スウェーデンのストックホルムへ行ってきたのですが、スウェーデンの監獄を模範のように言っているわけね。一部の人ですよ。これは一体どういうところに特徴があるの。

豊島英次郎法務省矯正局長

○豊島(英)政府委員 実は私もスウェーデンの監獄を見たわけではございませんので、委員以上に知識があるわけじゃないのでございますけれども、一般的に言いますと、施設内の生活がかなり自由だということと、それからできるだけ開放的に社会内処遇への方向をとっているという点が特徴であろうかというふうに思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そこで、あと保護局長がおいでなので聞くのですが、余り保護局というのはこの委員会に出てこないですね。余り出てこないですよ。あなたもさびしいでしょう。だからいろいろ聞かないとと思うのですが……。  私も保護司をやっているわけですが、保護観察官の仕事と保護司の仕事との分け方ね、これはA事件とかなんとか分けていますね。率直に言うと、だんだん事件の内容が複雑化してくるのと、それからいろんなのがふえてきますから、保護観察官をもう少しふやさないといけないんじゃないかと考えるわけですね。これをあなたの方としてはどういうふうに考えているわけですか。

谷川輝法務省保護局長

○谷川政府委員 いつも稲葉委員には保護司としてお世話になっております。来週も実は全国の保護司の先生方の大会が東京でございますが、そのときにも私、ごあいさつしてお願いをすることになるかと思います。  いま委員がおっしゃいましたように、従来日本の保護司制度、それから保護観察官、役人と民間篤志の方々との協働体制というのは長い歴史がございまして、その果たしてきております役割りというのは、諸外国のような、何と申しますか、きわめて合理的な考え方ではない、特殊日本的ないい面が、ずいぶんあった、このように思います。  しかし、最近の犯罪情勢、非行情勢を見ますと、御承知のとおり、覚せい剤、それから少年、それも非常に低年齢化した少年非行の問題、それから暴力、組織の人間というふうに、対象者として処遇しにくいものがずいぶんふえてまいっております。トータルで見ますと、日本の犯罪というものはそうふえておるわけではないと思いますけれども、質的に多様化というか悪化を示しておる。そんな場合に、保護司の先生方四万七千余りおられます。その方たちに直接な処遇をお願いし、観察官、これは管理職を除きますと全国の保護観察所で五百七十名余り、こういうことになるわけでございますが、その少数の保護観察官が一応、社会学とか教育学とか心理学とかいう専門分野を勉強いたしまして、その専門技術を持って、保護司の先生方にお願いしておる対象者の保護観察の仕方、処遇の仕方というのを、いわば御指導というと語弊がありますけれども、いろいろ御相談申し上げながらお願いしておるという状況にありますけれども、それではとうてい間に合わなくなってきたということが申せるかと思います。  たとえば、委員も御承知のように、保護司の方々わりと高齢化が進んでおりまして、いまの働き盛りの、この人こそ保護司になっていただいて、民間篤志家として私どもに協力していただきたいという壮年の方々、四十代とか三十代という方々は、いまのこの時代で自分のお仕事に精いっぱいである。もうけるためにとは申しませんけれども、自分のお仕事や生活に精いっぱいであるために、どうしても、人生をある程度終わられまして、これから余裕を持って、人柄もりっぱでという六十ぐらいからの方々が保護司になっていただいて、私どもに協力していただくという現実があるわけでございます。  そういう場合に、数少ない保護観察官が幾ら専門性があるといっても、たくさんの先生方をお願いして、たくさんの受理事件をお願いして、全部についてよく事件を見て協力しながら御指導申し上げるということはなかなかむずかしゅうございますので、最近では、たとえば覚せい剤、これはもう保護司の先生方には手に負えない状況が出てまいるわけで、そのような事件につきましては、私どもの方の観察官の直接処遇、直接担当というふうな形で、観察官に直接処遇をさして、主となって観察官がやって、その余の環境の調整とか、そういうことを保護司の先生方にお願いするように努力をいたしておりますし、そのほか、保護司の先生方に年間平均いたしますと五・五回ぐらい研修をやりまして、地方の委員会であるとかあるいは中央とかで、保護司の先生方に、こういう対象者の処遇、ことに困難な人間たちの処遇の仕方の勉強会をやっていただいておる、努力をしておるということになるわけでございます。  ただ、はっきり申し上げますと、いまのような保護観察官の人数では、絶対数としてはやはり私ども絶対不足しておるというふうに考えておりますので、年々保護観察官の増員につきましては、一生懸命に努力しておるというのが現状でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 これで質問を、きょうは午前中の分は終わりますが、二つばかり要望しておきたい。  いまの保護観察官、これが転勤が激しいんですよ。保護司の顔を全部覚えて親しくなると、もう転勤になるんですよ。課長か何かになるために、たとえば調査連絡課長とか何とか課長になるために転勤でしょう。だから、もう二年間ぐらいですね。顔を覚えて仲よくなると転勤になるんですよ。だから、ここら辺のところをもう少し、本人の希望もあるでしょうし、よく考えてもらわないと困りますね。  それから、矯正局は篤志面接委員があるでしょう。あれが汽車に乗って刑務所へ行って面会するわけでしょう。そうすると、汽車に乗って急行で行きますね。いま鈍行で行く人ないから、急行で行くでしょう。それだけの旅費が出ないのですよ。聞いてごらんなさい。だから、年末なんかには、ある程度包んでくるわけですがね。正直なんです。薄謝と書いてあるわけです。本当の薄謝。本当に薄いんだから薄謝なわけだよ。寸志と書いてない。寸までいかないんだから、薄謝と書いてあるんだけれどもね。これは旅費にも足らないですよ、篤志面接委員のあれが。それをよく研究して、もっとふやすようにとお骨折り願いたい、こういうふうに思いますね。  要望だけで、午前中は私はこれで終わります。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 東中光雄君。

東中光雄日本共産党

○東中委員 刑事局長にお伺いしたいのですが、去る九月十八日に、大阪地方医療労働組合協議会の本多正二郎さんが、姫路日赤病院の岡田院長、それから会計課長の吉井慎一さん、それから清水増三という人事問題研究所なる労務管理事務所を主宰する人を神戸地検に告発しておるわけでありますが、その後、補充書といいますか、追加の告発もあったようでありますけれども、どういうことで告発をされ、その後どうなっておるか、お伺いしたいと思います。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 ただいま御指摘のように、九月十九日だと私ども理解しておりますけれども、本多という方から岡田、吉井、清水の三人の方を相手方とする告発が出ております。  告発の内容は、被告発人の三名が、共謀の上、当該病院の資金を被告発人の一人の口座に送金して、合計千五百七十万円余りの損害を与えた、それが補充されて、金額が若干変わっているようでありますけれども、そういう背任という内容の告発だというように承知しております。

東中光雄日本共産党

○東中委員 告発事件についての捜査の実情はどうなっていますか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 現に捜査中でございますので、余り内容の詳しいことは申し上げかねるわけでございますけれども、それと、まだ告発を受けましてからそう日数もたっていないわけでございますので、具体的にどれほど進行しているかということになりますと、現に捜査を始めており、鋭意捜査を進めているということでございまして、まだどのような見通しになるかということを申し上げるような段階には至っておりません。

東中光雄日本共産党

○東中委員 問題は、日本赤十字社の赤十字病院という舞台であります。公的医療機関でもありますし、人事問題研究所なる労務管理事務所というものが介在しての問題でありますので、引き続いてこの問題が、同じ人によって大阪の社会福祉法人の暁明館病院にもいろいろな問題が発展していっているという状態でありまして、非常に社会的にも注目をされておりますので、厚生省から来ていただいているのですが、日赤病院に対して厚生省としてはどういう監督、指導助成ということをやられるのか、まずお伺いしたいと思います。

小沢壮六厚生省医務局指導助成課長

○小沢説明員 御説明申し上げます。  御承知のとおり、日赤は日赤法に基づきます法人でございます。その事業は万般広い範囲にわたっておるわけでございますが、一つは、日赤そのものが、日赤法の三条におきましてその自主性の尊重ということがうたわれておりまして、日赤の自主性を尊重するということが基本的なスタンスになっておるわけでございます。  日赤の事業は、福祉関係の事業と医療関係の事業と二つに分かれるわけでございますが、医療関係の事業につきましては、私どもは、いわゆる一般の公的医療機関、これは自治体病院でございますとか済生会でございますとか厚生連でございますとか、こういうものを公的医療機関というふうに言っておりますが、それと同じようなレベルで病院の経営の指導、あるいは医療監視といいましょうか、そういう形での指導を行っておるわけでございます。

東中光雄日本共産党

○東中委員 公的医療機関としての指導助成、同時に、日赤に対して厚生大臣は、たとえば財産あるいは業務についての報告を受ける、あるいは立ち入りもするということもできるようになっておると思うのであります。  それで、この姫路日赤病院の場合に、いま告発状でも問題になっていることでありますが、ことしの三月段階で厚生省、日赤本社を通じてわが党の浦井議員の方にいただいた資料によりますと、たとえば経営管理研究所というところに対して五十三年、五十四年、五十五年の三年にわたって二十四回の研修をやって、二百十五人を対象にした、そして八百十一万八千七百六十円を支払ったというふうに、この一覧表をトータルしますとそういうことになるわけですが、これは研修が実際にやられたのかどうか。それから、経営管理研究所というのはそもそも実在するものなのかどうか。それから、これに対して金が送り込まれたという報告がされているわけですけれども、その報告は事実であるのかどうか、その点まずお伺いしたい。

小沢壮六厚生省医務局指導助成課長

○小沢説明員 御説明申し上げます。  経営管理研究所におきまして姫路日赤が職員の研修を行ったということで、先生お挙げいただいたような数字で、五十三年度からと申されましたが、まあ五十二年度から五十五年度の累計でございます。研修費といたしまして八百十一万九千円か八千円か、ちょっと端数の関係はございますが、八百十一万九千円ほどの支出を研修費として支出しているということでございます。  現に研修が行われたかどうかということにつきましては、私ども、日赤の本社を通じまして病院から事情聴取をいたしておるわけでございますが、それの報告によりますと、研修の報告もそれぞれの参加した職員からの報告もすべて整っており、現に研修が行われておるというふうな報告をいただいております。

東中光雄日本共産党

○東中委員 ところが実際には、経営管理研究所というのは、その主宰者は小林金次郎税理士ということになっておるわけですけれども、その所在地には看板もなければ何もない。電話もない。個人の住所地であって、経営管理研究所という存在自体が非常に疑われるという状態になっております。しかも、この経営管理研究所という名の代表者小林金次郎という人の神戸市灘区桜口町一の二というところあてに日赤姫路から送金をされた額は、いま課長が言われたような日赤本社からの報告の数とは全く違う、非常に多額の金が送り込まれておるという事実があるわけですが、その点についてはどうですか。

小沢壮六厚生省医務局指導助成課長

○小沢説明員 姫路日赤から経営管理研究所に対します支出でございますが、先ほど来申し上げましたのが、経営管理研究所が主催いたします研修会の経費といたしまして、五十二年度から五十五年度にかけまして八百十一万の支出が行われているということでございまして、これは間違いなく研修の実績等もございますので、事実として行われているということでございます。  それから、御指摘のように、経営管理研究所には、この研修の費用だけではなしに、その他の費用としても現に支出がされております。五十二年度から五十五年度までの全体の経営管理研究所に対する支出でございますが、これが二千五百三十三万でございます。そのうちに先ほど申し上げました八百十一万九千円も含まれているということでございます。  そこで、その研修費以外の費用の内容でございますが、これはいわゆる姫路日赤のお金の支出のもとが研究研修費という名前の科目から出しておるわけでございますけれども、研修費以外に、いわば研究費といたしまして、たとえば労働三法の研究でございますとか、あるいは院内諸規程の整備についての研究でございますとか、あるいは人事管理のあり方の研究でございますとか、労務管理のあり方についての研究でございますとか、そういうような研究をやっていただいたというような費用といたしまして、先ほど申し上げました、差額で申し上げますと千七百二十一万一千円でございますが、それだけの金を支出いたしております。

東中光雄日本共産党

○東中委員 税理士さんがやっておる経営管理研究所なるものが労働三法の研究なんかをやって、そして何千万というような金をもらうということが、厚生省としてはあたりまえだと思っておるとすれば、これはもう全く何の報告かと言いたくなるわけであります。  たとえば、五十二年の五月二日に新規に千円入れて振り込み口座をつくった、それから五月三十一日には百万円、七月三十日には三十万円、八月二十日には五十万円、九月十六日には五十万円、十月十三日には五十万円、同じ三十一日には五十万円、十一月三十日に五十万、十二月二十八日に五十万、これだけ入っているのですね。いま言われたような研究をやってもらうために、看板もない税理士さんの個人の住所にこれだけの金を姫路日赤が送っておる。これは銀行の方で、問い合わして明らかになった事実であります。日赤本社からさきに浦井議員に報告があったものには一切触れてない問題であります。  五十三年の二月二十五日に研修費二十八万というように日赤本社の報告では書いているけれども、五十三年の一月三十一日に五十万円入り、三月六日に六十万円入った。四月三日−五日の労務実務者養成講座二十万と書いていますが、これが三月十六日に二十万入っておる。そして同じ月の三十一日に三十万、また三十一日に百十六万、べらぼうな数字ですね。六月までは研修はない。  労働三法の研究やらそういう研究をやっているということでこういうものを出しておって、それで公的医療機関として適正にやっておるというふうにお考えになっておるのか。一片の口実だけで済ましてしまうというようなことでは、私はいろいろ問題を残していくと思うのですが、そういう内容については検討をされておるのかどうか、まずお伺いしたいと思います。

小沢壮六厚生省医務局指導助成課長

○小沢説明員 私ども、先生いま例示としてお挙げになりました経営管理研究所に対します月々の入金の状況につきましては、正確に把握しておるわけではございませんが、先ほど申し上げましたように、いわゆる研修費以外の支出につきましては、内容は先ほど申し上げましたようなことでございますが、それぞれその研究の結果としての報告書なり何なりというものがまとまっているものもございますし、それから個別に研究の結果を指導という形で生かされているというものもあるということで、それぞれ皆その研究につきましての成果というものが病院側に報告をされているというふうに私ども報告を受けておりますので、その限りにおいては適正な支出であったのではないだろうかというように考えております。

東中光雄日本共産党

○東中委員 これは日本赤十字社法に基づく特別の法人であり、そうしてそこが経営する公的医療機関でしょう。労務対策ですかにしても、月五十万、月によっては百万、五十三年の三月に至っては百六十六万、こういう金が支出されておって、そしてそれに対する報告があるかないか、これが大体異常だとは思わないのだったら、厚生省はよっぽどどうかしていると思うのですけれども、報告が出ておればそれでいい、一片のそういう返事があればそれでいいという姿勢をとっておられるのですか。

小沢壮六厚生省医務局指導助成課長

○小沢説明員 いろいろなそういう研究委託の事業を行うかどうか、その内容等につきまして、これはその病院によって、その必要性とかそういうものは非常に事情がばらばらだと思います。研修も同じだと思いますが、非常にその研修を多くやらなければいけない病院とそれからそうでない病院、そういうように病院によっていろいろ特質があるというふうに私ども考えておるわけでございます。  先生御承知のとおり、この姫路日赤病院というのは、四十年代のおしまいから五十年代初めぐらいにかけまして、非常に院内が、労使紛争と申しましょうか、全体として非常に正常な運営を欠くような状態というものが継続しておったわけでございます。そういう意味合いで、その職員につきましてはそれぞれ研修を実施する、それからまた、病院の管理運営をしていくためにはどういうようなやり方がいいのだろうかというようなことを管理運営の責任の立場にある者はそれぞれ研究をするというような形で、非常に額としては多いと思いますけれども、そういうような背景がございまして、それぞれの病院の必要性に基づきましてそういうような研修なり研究なりが行われてきたものだろうというふうに私ども理解しておるわけでございます。

東中光雄日本共産党

○東中委員 日赤病院でその争議対策的な意味で、それから後研修に入った。その主催した人は清水増三さんではないのですか。

小沢壮六厚生省医務局指導助成課長

○小沢説明員 私ども、日赤から報告を受けておりますのは、研修につきましては二つの形態があるわけでございまして、外部でその研修会が行われまして、それに職員が参加するという形と、病院内部で研修会を開いて、講師を招いてそこで研修をするというような二つの形態があるわけでございますが、私ども報告を受けておりますのは、外部で行われた研修におきましては、それぞれその研修の主催者は、日赤が支出をいたしております経営管理研究所なりそれから近畿カウンセリングセンターなりというところで主催されていることが明示されていたというふうに報告を受けております。  ただ、なお先生おっしゃいましたように、その人事問題研究所とこの二つの組織は、確かに非常に密接な関係があるというふうな認識はいたしております。

東中光雄日本共産党

○東中委員 この三年間の研修を終えてということで姫路赤十字病院看護部婦長会が発行しておる「気づきへの道のり」というのを見ますと、これは「婦長研修を終えて」、最初に巻頭の所見を書いているのが人間開発研究所所長清水増三、一番最後に書いてあるのは「教育について考えること」病院長岡田康男、そのほかに人間開発研究所の太田朝武、こういう人たちが「研修を顧みて」と書いておる。これは肩書きは全部人間開発研究所なのですね。それで、経営管理研究所なんというのは全くない。それから近畿カウンセリングセンターというのも全く出てこない。そういうものは看板も出していなければ、社会的には存在していないということが今日では明らかになっているわけですね。  この告発をされたときに、大阪の朝日放送、ABCテレビが経営管理研究所の代表の人にインタビューをしたのが画面に出ました。そこでどういう問答がされたかといいますと、これはずっとあの地域一帯に放映されておるわけですが、「どんな会社ですか。」という質問に対して、「会社ではないんです、それは。」経営管理研究所について「どういう組織ですか。」「それはあの、いわゆるあの職員の研修を、あの行うということで、あの……そいで私がそれのあのいろんな講師の方がおってなんですけど、私が一番年長であるというんで代表者になってるわけなんです。」そして、「姫路の日赤からですね、あなたの口座に研修費として振込まれてるんですけれども。」という質問に対して、「それは振込まれてますね。事実、その内容等について私は、私の部下に、私自体がそれ自体を、実務的に管理してません。」質問は、「病院の研修を主催したね、清水増三さんて方は御存知ですか。」「知っております。」「人事問題研究所ありますね。」「大阪にありますね。それは清水氏が経営、やっておるんでしょう。」「その機関、そのそれ法人組織なんですけれどね、その人事問題研究所と、ここはどういう関係になってるんですか。」「どれですか。」と答えるのですね。そして質問者が、「この経営管理研究所と人事問題研究所の関係は。」というふうに聞いたら、「そこはどうなってるんか。それは清水氏にきいた方がよい。人事問題研究所のことは私は知りませんからね。でも経営管理研究所のことは、私は代理者であることに間違いないと思います。」自分が代表者だと言うて出てきておって、自分は代表者であることに間違いないと思います。これはそうじゃない、形だけはそうなっておるのだということを自白しているようなものです。「じゃあ、人事問題研究所とは全く関係がないわけですね、ここは。」と言うたら、「全く関係がないと申し上げるべきかな、それはまああの関係がないと違いますか。それは、はあ、」こうなっておるのですね。これが広く社会に公にされているのです。  そういう経営管理研究所というこの住所地へ行ったら何にもない、みんなだれも知らないというふうなところへ、いま月五十万あるいは月によっては百六十万を超すようなそういう金がずっと送られている。トータルすれば二千五百万を超す、こういうことになっておって、それは適正にやられているんだと思うと言われる。  もう一つあります。近畿カウンセリングセンター関係ですが、これは日赤からの報告によれば一番多いことになっていますね。四十九回、九百五十四万円というふうになっているわけですが、実際に近畿カウンセリングセンターに送られた金はこれだけではないと思うのですが、どれだけあるのですか。

小沢壮六厚生省医務局指導助成課長

○小沢説明員 お答え申し上げます。  近畿カウンセリングセンターにつきましても、先ほどの経営管理研究所と同じような形で、研修費とそれから研究費という形での支出が行われております。それで総額は五十二年度から五十五年度までで千四百六十四万円でございます。そのうち研修費が、これは大変申しわけないのでございますが、前回三月に社会労働委員会の際に申し上げました九百五十四万というのが、その後の調べで約三十万弱減っておりますが、研修費といたしまして九百三十万三千円、総額全体といたしまして千四百六十四万円の支払いが行われております。

東中光雄日本共産党

○東中委員 近畿カウンセリングセンターは株式会社人事問題研究所と同じところにある。しかも、責任者は清水増三という人ではないのですか。

小沢壮六厚生省医務局指導助成課長

○小沢説明員 近畿カウンセリングセンターは、住所は御指摘のとおり人事問題研究所と同じ場所でございます。それから、私ども承知しております代表者の名前は、その清水増三とは違った名前で承知いたしております。

東中光雄日本共産党

○東中委員 それは違いますね。しかし、清水増三さんと関係のある人ですね。小野友弘さんじゃないのですか。

小沢壮六厚生省医務局指導助成課長

○小沢説明員 そのように承知しております。

東中光雄日本共産党

○東中委員 約五百万近くの研修費以外の金というのは、これは何ですか。

小沢壮六厚生省医務局指導助成課長

○小沢説明員 経営管理研究所に対しますものと同様の性格のいろいろな研究の費用でございます。  先ほどちょっと、経営管理研究所のところで総括的にいわゆる研究費というものの内容を申し上げたのでございますが、先ほど申し上げました研究費の内容というのは、この経営管理研究所とそれから近畿カウンセリングセンターとそれぞれ共通の項目、共通といいましょうか、全体として例示として挙げればこういう項目でございますということでございます。

東中光雄日本共産党

○東中委員 その研究というのは、何の研究ですか。

小沢壮六厚生省医務局指導助成課長

○小沢説明員 ただいま私ども持っておりますのは、近畿カウンセリングセンターと経営管理研究所ごとの支出項目ではなしに、両方合わせました研修費以外の研究費といたしまして、労働三法の研究でございますとか、院内諸規程の整備とか、先ほど申し上げましたような内容のものが両者に研究費として支払われているということでございます。

東中光雄日本共産党

○東中委員 労働三法の研究、院内諸規程の整備等の研究のために三年間引き続いて、一方では合計五百万、一方では、ずいぶんふえていますね、千七百万。こんなものを、看板もかけてない、何かわからぬ、どういう人がおるのかもわからないというところへ支出をしておって、そして院内で出しておるこういう文集では、それと全く違う名前の人間開発研究所ということになっておる。これで何とも思いませんか。あなた方は、言うてくればそれで、社会的にどれくらいおかしいと言われておっても、知らぬ顔しておるわけですか。

小沢壮六厚生省医務局指導助成課長

○小沢説明員 この研究あるいは研修につきましては、なぜこういう経営管理研究所なり近畿カウンセリングセンターというところにやっているかということでございますが、私ども報告を受けておりますのは、確かにこういった機関が独立というよりも、先ほど来お話にございます人事問題研究所の方等の紹介で、こういう機関でこういう研修があるからやってはどうかというような形でのいわば紹介を受けた形で、そういう研修があるのならということで参加をしているというふうに聞いておるわけでございます。  先ほど申し上げましたように、研修会は研修会でそれぞれ皆、現に研修に行き、そしてそれの報告等も行われておるわけでございます。現に研修自体は適正に行われてきておりますし、それから研究等につきましても、これは形になるものとならないものとあろうかと思いますけれども、報告書等で形になっているものもかなりあるというふうな報告を受けておりますので、確かに、その支出先の経営管理研究所なりあるいは近畿カウンセリングセンターというものが、どういうような組織で、どこにあって、どれくらいの陣容を持っているのかというようなことの調べを十分しなかったという点では、ちょっと事務的に問題があろうかと思いますが、現にそういう研修なり研究なりが行われてきているという実績があるということで、その支出そのものについては適正なものであったのじゃないだろうかというふうに考えておるわけでございます。

東中光雄日本共産党

○東中委員 近畿カウンセリングセンターなりあるいはいま言われた経営管理研究所なり、それはどういう構成でどういう事業をやっている——これは法人でも何でもないわけですが、そういう点についてよく調べてなかったのは事務的にはまずい点もあったといま言われましたけれども、その後調べたのでしょうが、どういうふうになっているのですか、その実態は。

小沢壮六厚生省医務局指導助成課長

○小沢説明員 三月の段階で日赤を通じましていろいろ調べましてわかりましたことは、そこの住所、それから代表者名というようなことでございます。

東中光雄日本共産党

○東中委員 代表者名と住所がわかって、そこには看板もかけてない、電話もない、電話もあるかどうかわかりませんという答弁をしていますね。そういう状態で、そして今日に至ってなおそれが適正に出されたんだということになったら、厚生省はこういう特別法人の浪費、いま行革がやかましく言われているわけですけれども、そういうものを全くカバーしている、温存していると言わざるを得ないのです。  あなたがいま研修は適正に行われていると言われたんですが、それならば、いつ——研修に参加をしたと言われましたね。だから、どこかでやっている研修に、日赤病院からも参加したというふうに聞こえる発言だったのですけれども、そういうものじゃないわけですが、そういうふうに言われたんだから、いつ、どこで、どういう研修をやったのか。適正だという結論をいまここで言われているわけですから、その内容をひとつはっきりしてほしい。社会的な常識から言えば、そんなものはありませんよと言うているわけですよ。  特に近畿カウンセリングセンターの代表者というのは、姫路の三輪貨物という運送会社にいま勤めている人ですね。前は、姫路日赤の労務課長心得の堀内さんの義兄弟になる、どこかの会社の労務課長をやっておったというふうな人ですよ。そういう人が代表者になっている近畿カウンセリングセンター、まあ言えば、いわゆる労務屋さんと普通社会的には言うわけです。  そういう労務屋さんのところへ、日赤ともあろうものが千四百六十四万円、三年間にわたって金を渡している。それは適正にやられているんだ、しかしその構造はどうなっているのかも知らないんだ、それでは世間は通りませんよ。それでもいいんだ、そういうずさんなことでいいんだ。公的医療機関というのは、日赤関係については財産、業務について報告を求める、場合によっては、厚生大臣はその職員をして立入検査することができるということまでなっているわけでしょう。その内容を明らかにしてもらえますか。

小沢壮六厚生省医務局指導助成課長

○小沢説明員 いつ、どういう研修が行われたかということにつきましては、ことしの三月に御提出申し上げました資料の個別の表といたしまして、それぞれ年月日と研修の主催者、研修の内容ということで差し上げてある内容でございます。ただ、これが先ほど申し上げました外部で行われた研修であるか、院内、内部で行われた研修であるかというような区分けをとっておりませんので、これはもう一度調査いたしませんと、その区分けは御報告申し上げられないような事情でございます。

東中光雄日本共産党

○東中委員 あなた、何を言っているのですか。これは「部外研修会参加状況」ですよ。部外研修会への参加状況でしょう。内部でやったんだったら「部外研修会参加状況」にならぬでしょう。そして私が言っているのは、五名とか十四名とか十一名とかいう形でやっているのですね。だから、これはどこかの研修会に参加をしているように見えるのです。だから、それはどこでやって、たとえばここに書いてある日本経営協会が行った「EBP会計研修会」、一名参加、その費用は一万七千円、こういうのはよくわかるのですよ。ところが、ここはそうじゃなくて、近畿カウンセリングセンターの場合も経営管理研究所の場合も、「労務実務者養成講座」あるいは「自立訓練の実際」、十四名参加、二十万、こういう書き方になっているのです。これじゃ何もわからないですよ。  適正にとあなたはおっしゃったんですから、内容を点検して適正にと言うんだったら、それもいいでしょう。しかし、一運送会社の労務課長をしておった、そしていま一運送会社に勤めているという人が近畿カウンセリングセンターの責任者でございます、日赤から毎月膨大な金が入ってくる。税理士さんが労働三法の研究をやる、そのために研究費を月五十万も百数十万ももらう、そんなばかなことが通用しますか。その内容について、何を研究し、どういう報告をしてということ、適正だということをここで言われる以上は、そういうことについての点検があってのことだと思うのです。だから、その内容を明らかにしてほしい。

小沢壮六厚生省医務局指導助成課長

○小沢説明員 私どもも表現に若干不適切な面があったかと思いますが、たとえば研修でございますと、それぞれ所要の人員が参加して、その報告がそれぞれ病院側になされているというような報告を私ども受けておりますので、そういう意味では、病院側としてもその研修は適正に行われたというふうに判断しているということでございます。  いつ、どこでというのは、先ほど申し上げましたように、これは再度調査いたしませんと出せないわけでございますが、私ども申し上げておりますのは、委託といいましょうか、こういったお金の支出先の組織そのものは、確かに御指摘のように実体のないというようなところにやってはいかぬということはそのとおりだと思うわけでございますが、私どもいままで判断の基準にいたしておりましたのは、要するに、そういった研修なり研究というものが現に成果が上がっているかどうか、実質的な内容を伴うものであるかどうかということが一番問題であるというふうな考え方を持っておるわけでございます。  研修につきましては、先ほど申し上げましたように、それぞれ報告が行われているということでございますし、それから、いわゆる研究費の面につきましても、研究報告というものが出されておるというようなものもあるという報告を受けておりますので、そういう報告をもとにいたしまして、私どもとしてはそういった支出は適切であろうというふうに考えておるということでございます。

東中光雄日本共産党

○東中委員 社会的には幽霊研究所、口座だけを架空でつくっておるというふうに思われるような、そういう実体のないものに、しかも、それも一度限り聞いたというならまた別だけれども、労働三法や社内規則をつくるための研究費を運送会社の労務課長をやっていたことがあるという人あるいは税理士に金を出して、ずっと長い間数百万あるいは千数百万の金を使っておる。  実体はない、しかし適正にやられておったのです、報告が出されておるのもある、こうおっしゃったですね。出されてないのもあるということを当然言われているわけですが、こういうことでは臭い物にふたをするというふうな姿勢としか思えぬじゃないですか。これは社会的な糾弾を受けますよ。だから、そこまで言うんだったら、その内容をはっきり、近畿カウンセリングセンターというものはいつつくられて、どういう構成であって、どういう事業をやっておって、代表者だけじゃなくて——看板もなければ電話もないのです。そこまではわかっておるのです。それは正当なものである、実績が上がればいいんだというふうなことを言うんだったら、その内容を明らかにしてほしい。  それから、経営管理研究所、この実態も明らかにし、どういう事業をやってきたか、そして研修はどういうことをやったか、研究はどういうことをやったか。何かわからぬけれども、とにかく毎月五十万出しておる、そういうことで済ますような問題ではないんでないか。労働争議が起こったからといって、労働組合を抑えつけるためにわけのわからぬ労務屋にどんどん金を出しておるというふうなことが病院で行われておっていいのか。日赤病院ともあろうところがそういうことでいいのかどうかということがいま社会的に問われているわけですから、それは検察庁の方でも告発があったから捜査を進められると思うのですけれども、あなた方の方はその財産関係については検査する権限も持っているし、いまここで適正だというようなことを言われている以上は、どう適正なのかということをはっきり出してもらわなければ困る。わからないと言うんだったらまだいいですよ。そのデータを出してください。どうですか。

小沢壮六厚生省医務局指導助成課長

○小沢説明員 直接のお答えになるかどうかあれでございますが、先ほど来申し上げておりますのは、それぞれ研修なり研究につきまして、病院側からの報告ではこのようになっておりますと、その報告を判断する限りこれは適切であると私ども判断いたしますということを申し上げておるわけでございます。  ただ、先生御指摘のように、実態的にと申しましょうか、現にその研修等はまさに委託した団体の名前で行われているというふうに私どもは理解しておるのですが、その会社そのもの、会社といいましょうか、この組織そのものが、御指摘のとおり、どうも余りはっきりしない面がございます。私ども調べても、先ほど申し上げましたようなこと以上のことはわからないわけでございますので、これらの団体に研修なり研究を委託したのは、人事問題研究所の紹介等もあってこういう団体にいろいろお願いをしているということでございますので、本年七月から姫路日赤では、そういうことであるならば、こういった団体ではなしに、人事問題研究所に支出先を一本にするような取り扱いにしたいということで、一元化しているというふうに聞いております。

東中光雄日本共産党

○東中委員 人事問題研究所というのは法人でしょう。(小沢説明員「株式会社でございます」と呼ぶ)株式会社でしょう。そこの紹介で何かわからぬ名目でやった。今度は株式会社人事問題研究所にしぼるんだ。それであなた、社会的な公的医療機関として、あるいは厚生省として通用すると思っているのですか。  だから、それを調べてごらんなさい。あなた方、調べたけれどもわからない。わからないんだったら、一人の人が代表者ということで出ておるだけで実体のないものに、千数百万あるいは二千万という金が送られておった、それで結構だ、適正である、そんなこと言えませんね。だから、これはひとつ調べて内容を明らかにしてください。場所。それから、参加者一人について四万も六万も金がかかるというような研修はどこにもないのですよ。どこの日赤病院だってないし、ここだけが集中してある。しかも、相手方は実体がどうも認められないということは、あなた自身もいま言うていましたね。代表者の名前がわかるだけだった、それ以外わからなかったと言うているわけですから、そういうことをそのままにしておくということは問題を後へ残すと私は思いますので、それをはっきり調べて報告してほしいと思うのですが、どうですか。

小沢壮六厚生省医務局指導助成課長

○小沢説明員 研修会の開催がどこで行われたかにつきましては、調査いたしまして御報告するようにいたしたいと思います。  研究の報告につきましては、研究の報告のそれぞれのある分につきまして、どういうものがあるということを調査いたしたいと思います。

東中光雄日本共産党

○東中委員 労働三法の研究とか規則の研究とかいうのを法律事務所に頼んだというなら、まだわかるのです。ところが、税理士さんの事務所やら、一民間の労務課長をやっていたという人が主宰者だと言われているところへ頼んだというのでは、もう全く信用ができないということになるので、そういう実態を明らかにしてほしいということであります。  同時に、このほかに、告発の中にも入っておりますが、催眠心理研究会というのも、住所地には石井服装という商店があって、代表者と言われている坂口起造というお医者さんは日赤姫路には何の関係もない人だったということが明らかになっているのです。ここに対してやはり千百四十四万九千百円という金が昭和五十一年の十月三十日から五十六年七月二十四日までの間に振り込まれておるという、これも全く奇々怪々な状態になっておる。  ここで、この坂口起造というお医者さん、診療も何にもしないで、催眠心理研究会という、これも名前だけがあって実体のないところへ姫路日赤がこういう金を出しているということとあわせまして、ここに関係している人たちが、たとえば紹介の中心になったのは、いま、今後はそこが直接責任を持つようにするという人事問題研究所の責任者清水増三さん、この人を中心にして、いま言ったところは全部関連のある人ばかりであります。税理士の経営管理研究所の小林金次郎という人は、これはいま社会福祉法人の暁明館病院の理事になっています。そして、催眠心理研究会の坂口起造さんは、清水増三さんが常務理事になった済生会病院に一年間勤務をしている。そして、近畿カウンセリングセンターの小野友弘という人は、やはり清水さんと運送会社の労務関係で一緒にいわゆる労務屋としての仕事をやった経験のある人であります。  こういう人たちが、いま暁明館病院のいわゆる常務理事やあるいはその関係の理事に入って、もとの院長、これは中西義章院長及び理事を決議によって解任をしたということで、御承知のように、その中西院長の病院の管理運営権、それから医療法上の管理者としての医療業務を統括する地位及び意思決定機関である理事会の一員として病院の運営に参画する理事の地位というものを一方的に決議で剥奪したということで、大阪地裁はそういうのは違法だということで断行の仮処分で地位の保全をやった、これはもう厚生省御承知のとおりであります。  しかし、日赤病院でそういう問題を起こしてきた、わけのわからぬ金の支出がずいぶんされたという人たちがまたそろってこちらへ入ってきて、同じような労務費支出がやられておる。私、日赤病院のこの支出が、決算書を見ると予備金で雑費ということでどんどん出ているわけですが、暁明館の場合を見ても、この雑費の支出というのは非常にふえていますね。この人たちが入ってきてからの暁明館の状態というのは、たとえば五十四年度と五十五年度を比較しますと、全体としての支出は、合計は減っているのに、使途目的のはっきりしない経費が非常にふえている。  たとえば、旅費交通費が前年に比べて三百七十二万円ふえている。建物の修繕費が四百二十九万円ふえている。それから検査委託費が四百九十二万円。さっきのは四百二十九万ですね。それから警備委託費というのが三百三十万ふえた。保守委託費が八百五十六万ふえている。交際費も六十五万ふえている。雑費に至っては千七百六十六万ふえている。前年度と比べますと、実に六倍になっているのですね。それから研究雑費というのが、また例の研究ですが、百五十五万ふえている。それから医療外費用雑費が七百七十三万ふえている。こういうふうに、全体の支出が減っているのに、こういう雑費とか本来なかった項目がずっとふえてくるという実情になっているのですね。そして、この伝統のある社会福祉法人としての暁明館はいまや破産状態になり、和議に入っているという状態ですね。  日赤姫路でやられたいまの支出は、社会的にはだれも承認できぬような、だって税理士がやっている研究所に労働三法や管理規則の作成の研究費を何百万も出す、こういうことをやっておったと同じことがここでまたやられている。また、公的な医療機関、特に社会福祉法人としての暁明館病院、これはこの地域では貧困者あるいは行き倒れの人たち、そういうのに対して非常に献身的に、貧者に対しても平等の医療をということでやってきた。そういう伝統のある病院がこういう形でずっと破壊されるような状態になっておるということを含めて、公的な医療機関に対する労務屋の介入によって、それが経理面でも非常に不正常な状態になり、そして本来の使命が果たせないようになっていくということは、私は絶対にこのまま放置しておいたのではいかぬというふうに思うのでありますが、暁明館病院についてのいまの状況を厚生省はどういうふうに考えておるのか。

小沢壮六厚生省医務局指導助成課長

○小沢説明員 暁明館病院につきましては、先生御指摘のとおり、歴史の長い病院でございますし、それから果たす役割り等も非常に社会的に評価の高かった病院だというふうに承知しておるわけでございます。  この暁明館病院につきましては、お話しのとおり現在和議の申請が行われている状態でございます。いわば裁判所の手で現在作業が進められているということでございますので、従来から私どもそれとは別に、まずこの法人の再建といいましょうか、病院を今後どうしていくかということについて、やはり法人が全体一丸となって一つの意思にまとまるような形でやらなければどうにもならないだろうというようなことで、文書等をもちまして再三にわたり指導を行ってきておるところでございますが、いずれにいたしましても、この和議の状況の推移を見ながら、私ども大阪府と連携を密にいたしまして、できるだけの指導、助力を行っていきたい、このように考えております。

東中光雄日本共産党

○東中委員 社会福祉法人のような病院がいわゆる労務屋さんによって、そしていまちょっと一例を挙げましたような雑費というのが千数百万もふえてくる。何とか雑費、何とか雑費、それから委託費というような形で非常にふえてくる。それがいよいよ悪化をさせていく。この前の日赤病院での支出の不当性、これは社会的にはだれも納得できないと思うのですけれども、それと同じようなことが、また形の上だけで有権者といいますか、理事長なり理事会なりという中へ入ることによって、一切内容は見せないで、雑費という形で支出がやられていく。そしてお医者さんも看護婦さんもどんどん減らしていく。それから、医師を減らし過ぎた、不足しているじゃないかということで、知事も勧告していますね。  そういうやり方に対して、人事面について任命権があると私は言っているわけではないけれども、社会福祉事業法のあの目的からいって適正にやっていくという、あるいは社会福祉事業に熱意を持ってやっていくということでなければ、これは労務管理、労務屋さんという形でこういうものをやっていったら、全部つぶしていく、地域の広範な住民の信頼を裏切ることになるというように思いますので、そういう問題について厳しい態度といいますか、毅然とした態度といいますか、正すべきものは正してやっていくというふうにぜひやってもらいたいと思うのですが、どうでしょう。

小沢壮六厚生省医務局指導助成課長

○小沢説明員 今後の暁明館の再建といいましょうか、これに向かっての一番大切なことは、先ほども申し上げましたように、理事会もそうでございますし、それから法人全体として一つの目的意識に向かって一致団結して協力していくというような姿勢が一番必要なことだというふうに考えておるわけでございます。そういった意味合いで、そういう方向になるように今後とも全体の法人の指導というものを働きかけをしていきたいと思うわけでございます。  なお、社会福祉事業法に理事の要件とかそういうものが書いてあるわけでございますが、その理事の要件に不適格な者というものは、現在のところあの法人には含まれていないというように考えております。

東中光雄日本共産党

○東中委員 時間ですから質問を終わりますが、木を見て森を見ずということになっては厚生行政も何にもならぬ。一つ一つの言いわけをそのまま伝達しておるのじゃお話にならないわけですから、ひとつぜひ正すべきものは正して、そして報告をしていただきたい。  それから、こういう背景を持っております事件でありますので、検察庁の方で厳正に、かつまた迅速に真実を明らかにして、正すべきものは正してもらいたい、こう思うのでありますが、刑事局長の御見解を聞いて、質問を終わりたいと思います。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、告発がございまして捜査を開始した段階でございますので、いまのところ具体的なことを申し上げる内容はないわけでございますけれども、先ほど来いろいろと伺っておりまして、問題もあるように思いますし、またそれなりの事情もあるのかもしれないという気もいたしますので、いずれにいたしましても、きょうの御議論等も現地の検察当局に伝えまして、厳正な態度で対処するようにというふうに考えております。

東中光雄日本共産党

○東中委員 終わります。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 午後一時三十分再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時三分休憩      ————◇—————     午後一時三十一分開議

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。稲葉誠一君。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 大臣にお尋ねをするわけですが、実は、ことしの八月十五日、靖国神社の参拝のときに、私もテレビで見ておったんですが、大臣が、テレビの人ですか新聞社の人ですかにマイクをあれされたときに、これは占領政策のミスリードだというふうなお話をされたわけですね。テレビに出ていました。公式参拝かどうかというようなことについていろいろなことを聞いたときに、占領政策のミスリードだということを大臣が言われたんですよ。私ははっきり覚えているんですがね。これは真意はどういうところにあるんでしょうか、それをお尋ねさせていただきたいと思います。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 いまお尋ねをいただきながらそのときのことを思い起こしているのですけれども、私が靖国神社にお参りをいたしましたら、大ぜいのマスコミの方々が一遍に寄ってこられて、何で靖国神社にお参りするんですかという質問が最初に出たんです。それで私は、占領軍のミスリードの話をしたと思います。  もう御承知のように、敗戦いたしましたときに、占領軍の基本的な日本管理政策は、日本が再びアメリカの脅威となる存在になってはならない、こういうことであったわけでございました。そういうことでいろいろな改革が求められたわけでございまして、その改革の中では、特に極端な国家思想を排除していくということも当然あったわけでございますし、また、軍備を撤廃させる、将来とも持たせないという考え方もあっただろうと思うのでございます。そしてまた、日本の過去がすべて悪かったような指導の仕方もされましたし、また、マッカーサー自身が日本国民に対しまして、十二歳の少年だという意味のことも言ったように記憶いたしておるわけでございます。  当時、何か国を忘れるような国民になってきたきらいがあったように思うのでございまして、私としては、国家社会のために命を投げ出した方々に対しましてそれなりに感謝の気持ちを持っていきたい、そういう気持ちがありますだけに、何でお参りしたんですか、最初の質問がこういうことでございますので、やはり占領軍に指導されてきたそのミスリードみたいなものがいまだに残っているんじゃありませんか、こう私は申し上げたように記憶いたしているわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そのミスリードという意味が、聞いている私にもよくわからないわけなんですね。いまいろいろな御説明がありましたけれども、占領軍のミスリードという意味がどういう意味なのか。大臣のお考えは、憲法二十条でしたか、これなども一つのミスリードの結果だというふうなお考えなんでしょうか。靖国神社というのは軍国主義とかには全然関係ないんだ、それを関係あるようにリードしたのがミスだったという意味なのか、そこら辺のところがどうもよくわからないのですがね。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 当時、神道指令が出まして、公務員は公務員の資格で神社に参拝してはならないということでございました。しかし、神社が他の宗教と同じような立場に置かれた場合には、他の宗教が受けると同じ保護を国から受けて何も差し支えないんだ、こういうことも書かれておったように思うわけでございます。  私は、神社にお参りすることが軍国主義になるというふうにはいささかも思っていないわけでございまして、占領軍の意図がどこにあったかは別にいたしまして、特に封建的な社会を排除するんだというような事情で、いろいろなことに対しましてそれなりに感謝をする、そういう気持ちが何か封建的な思想のあらわれだというような式の当時の指導の仕方もあったように私は記憶いたしておるわけでございます。  そういうことをいろいろ考えてまいりまして、占領軍の当時の指導というものが、今日振り返ってみて、あれでよかったんだと占領軍の人たちが考えるかどうかということになりますと、私は若干疑問は持ちます。ようやく勝利を得た占領軍がそのときに考えました施策と、その後東西対立が厳しくなってきて、朝鮮戦争が起こったというような事態以後の国際社会を考えました場合には、私は、占領当時の占領軍の管理政策が、そのまま今日振り返ってみてもよかったと思っているかどうかは疑問ではなかろうかなという感じはぬぐえません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、結論として、靖国神社の公式参拝というのは、それを禁じたことが占領軍のミスリードなんだ、だから、靖国神社の公式参拝ということは、いまになっては、もう当然日本人としては許されてしかるべきものだ——大臣としての公式参拝ですよ。そういうふうなことが結論になるというふうに承ってよろしいでしょうか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 それとこれとは別だ、こう思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 だけれども、そのミスリードだというと、靖国神社の場合はいずれにしても普通の神社とは違う性格を持っているんだ、だからそこに公式参拝しても、それは憲法違反の問題は起きないんだというのが大臣のお考えではないのですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 私の個人的な見解を求められれば、今日、ゆえあって公式に参拝することは、どの宗教団体についても禁じられているものではないという判断に立っているものでございまして、これはいつか応答をしているわけでございますので、そのときの考え方と変わっていないわけであります。ただ、政府が公式参拝は疑義があるという姿勢をとっておりますので、私は、政府の考え方に反した行動をとる意思はないということは言い続けておるわけでございます。  靖国神社で応答がありましたのは、先ほども申し上げましたように、何でお参りしたんですかというこの新聞記者の方の質問が私にはのみ込めないで、占領軍のミスリードがいまだ続いているんじゃありませんかという意味合いでお答えをしたように記憶いたしております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 私もあのとき聞いていましたけれども、まさかおまえとは言わなかったでしょう。おまえと言ったんですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 何でお参りしたんですかと……。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 何でおまえ来た、ちょっとそれは非常識ですね。私はそこまでは——皆さんが寄ってきたのは出ていましたけれども、おまえとは言わないんじゃないですか、大臣と言われたと思いますがね。まあそれは別として……。  そうすると、そのほかにも占領政策のミスリードというのはあるというふうにお考えでしょうか。たとえば内務省の解体の問題、これなんかも、何も解体する必要はなかったんじゃないでしょうか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 ミスリードという言葉が当てはまるのかどうか知りませんが、占領軍は占領軍なりの意図を持って日本管理に当たったと私は思うのであります。日本国民の立場から考えて、それが日本の将来にとっていいことばかりであったかといいますと、私にはそうは考えられない、こういう気持ちを持っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、その具体的な例を大臣から、いろいろおありだと思うので、御説明を願いたいというふうに思うわけです。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 基本的に、日の丸を掲揚する、国歌を斉唱する、そのことさえできなかったわけでございますから、国を忘れる国民になっていくことがいいのか悪いのか。私は、世界じゅう探して、自分の国旗や国歌に敬意を払わないような国はないと思うのであります。しかし、そういうことがいつの間にやら今日において、公式の行事において国旗を掲げ、日の丸を掲げることさえも軍国主義だとかいうような式の争いが続いているわけでございまして、私は、こういう混乱はやはり占領政策から始まっているんだなという気持ちをいまも持っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、たとえば教育の場合で、大臣も文部大臣をやられたのですが、六・三制というものがしかれましたよね。これは人によると、六・三制というものをしいて教育費を増大させて、そして軍備に割く費用を少なくさせていくのが一つの目的であったんだということで、六・三制というものも一つの見直しの段階に入ってくるべきではないかとか、これもミスリードの一つのモデルではないかというようなことを言う人もあるのですが、それは大臣としてはどんな御見解でしょうか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 私は、戦前のわが国の教育制度は、余りにも複雑な複線型であったと思います。占領軍による改革は、余りにも端的な単線型であったと思います。やはり両方合わせていい道を考えるべきだ。だんだん単線型が幾らか変わってきているわけでございます。国立高専の制度ができましたり、また、高専からさらに技術科学大学へ進める道ができましたり、あるいはまた小中一緒の運営が行われたり、あるいは中高一緒の運営が行われたり、いろいろな工夫がなされている、いいことだと思うのであります。  私は、占領軍の意図は知りませんけれども、民主化ということが強調されました。教育の民主化もその一つであります。余りにも複雑に過ぎる教育の複線型、これはやはり民主化の線に反しているのではないか、だれでもその能力に応じて最初から行きたいところまで教育を受けていけるようにするのには、六・三制というものは非常に効果があった、こう考えておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いま言われた占領政策の本質の問題について、これは勝った国が負けた国に対して行う占領政策ですから、いまのおっしゃることは、その当初としては日本弱体化政策だったというふうにお聞きしてよろしいのでしょうか。端的に言えばそうは言えないということなんでしょうか。そこのところはどうなんでしょうか。ということは、占領政策というものが日本弱体化政策だったということをはっきりおっしゃっておる自民党の幹部の方がおられるのですよ。私、書類持っておりますけれども、きょうはここではやりません。ですから、ちょっとそれをお聞きするわけです。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 占領政策を一つの言葉で定義づけようとしますと、いろんな誤解ができると私は思うのです。私は、弱体化政策ということは言ったことがございません。しかし、占領軍が、日本が再びアメリカの脅威となるような存在になってはならない、これが基本のものであったことはぬぐうべくもない事実だ、こう考えております。  したがいまして、たとえば飛行機の問題につきましても、大学の工学部の航空学科がなくなったわけであります。採用も許されなかったわけであります。あるいは駒場にありました東大の航空研究所が閉鎖になったわけであります。独立いたしましてから、また航空研究することも自由になりましたけれども、航空研究でありますとか原子力研究でありますとかいうものが禁止されたわけでございまして、こういうことが、日本が再びアメリカの脅威となるような存在になってはならない、してはならない、こういうことからやはり来ているんじゃないかなと私は思います。船舶の建造につきましても厳しい制限が加えられておったわけでございまして、いろいろなところの制約がございました。  私は、くどいようでありますが、アメリカの脅威となるような存在に再び日本がなってはならない、これが基本にあったということは、そのようにいまも考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、いま大臣の言われたように、日本がアメリカの脅威に再びなってはならないということから日本の憲法は生まれてきた、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 軍備を持たせない、将来とも持たせないということは、軍備を前提にした憲法と矛盾するわけでありますから、憲法改正を求めてきた、それもやはりアメリカの管理政策と無縁のものではないと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いま憲法改正と言われましたが、憲法改正という理論もあるし、新しい憲法の制定という理論もある。どちらでもよろしいのですが、そこら辺は、いまいろいろ短いやりとりでは誤解を招くところですから、これはまた別の機会に、総理大臣のいるところでゆっくりやりたいのです。総理と大臣の考え方が違うところや何かを、私は明らかにしていきたいと思うのです。  そうすると、いまの靖国神社の公式参拝の問題でも、大臣と鈴大内閣とは考え方としては違うのだ。違うけれども、鈴木内閣の間は自分としてはそれを守っていく、結局こういうことですね。本質的には違うのだ、個人的には違うのだ、違うけれども、鈴木内閣の一員である以上は守っていく、こういうことですね。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 鈴木内閣も、公式参拝が違憲だとは言っていないのです。違憲の疑いがある、だから慎重な態度をとろう、こう言っておられるわけであります。内閣としてそういう姿勢をとられる。私も内閣の一員としてはそれに従っていく。しかし、私は、違憲の疑いがないではありませんかという理由を、たびたびこの委員会でお尋ねに応じてお答えをしてきたわけでございます。いろいろな考え方をいろいろな人が持っている、それはそれでいいんじゃないだろうかな、こう思っているわけであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いまの点は非常にいろいろな問題を含んでいるところなんで、ひとつゆっくり時間をいただいて、別の機会にまたさせていただきたいと思うのです。  そこで、実はこういうことをお尋ねするのですが、いまロッキードの事件が進行しているわけですから、進行している中での尋ねなんで、私もちょっとあれがありますが、これは刑事局長の方だと思うのですが、この前、偽証か何かよくわかりませんが、容疑というのですか、ホテルの従業員と運転手を調べた。この調べたときに、まるで逮捕と同じような形でそれを検事側と事務官とで行って引っ張ってきた。形の上では任意同行か知らぬけれども、まるで逮捕と同じような扱いだったじゃないかというようなことが言われていますね。この間の事情は一体どういうことだったのですか。それを刑事局長からお尋ねをいたしたいと思います。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 いま御指摘の二人の方に対する取り調べでございますが、それ自体捜査と言えば捜査でございますから、その内容について深く触れることは適当でないと思いますし、また反面、先ほどもおっしゃいましたように公判係属中の事件にもかかわることでございますので、内容的なことはできるだけ差し控えさせていただきたいわけでございますけれども、大ざっぱに申しまして、いわゆるアリバイ立証というのが弁護人側からされてきたということがございます。その間にいろいろと、いまのお二人のみならずいろいろな証言がなされたわけでございますけれども、それとその他のいろいろな証拠、また検察官側がいろいろと把握している事実、そういうことと対比いたしますと、二人の方について偽証の疑いがあるということで、取り調べをするということに相なったわけでございます。  ただ、その取り調べの仕方についていろいろな御批判もあるようでございますけれども、検察当局の話によりますと、やはり取り調べの必要性ということで、その日に合わせて来ていただくということが必要であったというようなことから、職員がそれぞれの方の自宅に赴きまして、それぞれの方の同意といいますか承諾を得て検察庁に来ていただいた、こういうことであるというふうに聞いております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 普通なら、検察庁へ電話なり何なりで呼び出しをして来てもらうのが普通ですね。それをしないで、朝早く行って、車か何か持っていって、そこへ乗っかってくれと言って乗っけて連れてきたんでしょう。これは逮捕と同じじゃないでしょうか。そうじゃないんですか。そういう非難が大分あるのではないですか。ということは、もう一面考えると、そうまでしなければ証拠隠滅が逆に広がっていくことが考えられたからこそ、普通の呼び出しではなくて、そういうやり方をしたということにも考えられますね、常識的に。その点どうなんでしょうか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 先ほどもお断りしましたように、その内容にかかわりますといろいろと問題であろうかと思いますので、先ほどもやや抽象的に申し上げたところでございますけれども、いま稲葉委員の仰せのように、一人の方を取り調べる必要があるということであれば、通常の場合としては呼び出しといいますか、連絡をして来ていただくということであろうと思いますけれども、事柄の性質上、二人の方について同時に、できるだけ同じ時期に事情を聴取したいという必要が実態としてあったわけでございましょう。そういうことで、その間のずれがないようにという観点から、いわば技術的なものといいますか、そういうことであのような方法がとられたもの、かように理解しております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、両方を別々に呼べば、その間に両者あるいはその他の者が集まって、通謀して協議をしていく可能性もあるから、別々に朝早く行って、両方を別個に来ていただいたということですね。これは捜査のあり方として普通のあり方ですね。これ以上私は聞きません、もう常識でわかることですから。  そこで、変な質問ですが、これはなぜ逮捕しなかったわけですか。みんな逮捕するものだと思っていたら逮捕しなかったが、どこかの圧力があってだとか、何とかかんとか言っていますから。ちょっとおかしな質問だな、質問としては。なぜ逮捕しなかったのです。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 これも同じようなお答えになって恐縮でございますが、やはり捜査の内容にわたることでございますから申し上げるのは適当でないように思いますけれども、抽象的に申し上げれば、朝からおいでいただいていろいろと事情を伺って、それで事は足りたということであろうと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 だから、事は足りたとかいうことを言われましたけれども、そこまであなた答えちゃうとあれだな、逮捕する必要がなかったから逮捕しなかったんですよということでいいんだよ、答えは。そうでしょう。そうすると、なぜ逮捕しなかったのかということになれば、証拠隠滅のおそれはなくなったから、こういうことでしょう。だから事が足りたということになる。そこへ話が行くわけですよ。ちょっとあなたの方の答えが先走ったな、いまの答えは。端的に聞くとそういうことになるんだよ。だから、事が足りたということは、もう偽証の容疑ということについて認めたということでしょう。だけれども、そのことについては申し上げるのは勘弁してください、それはしようがないな。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 私が事が足りたと申しましたのも、お尋ねが、逮捕しなかったかというお尋ねでございましたので、逮捕する必要はなかったということと同じ意味で申し上げたつもりでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 なかなかわかったようなわからないような答えをしておりますね。質問も、わかったようなわからないような質問をしているからそういうふうにならざるを得ないけれども、それはわかりましたよ。  そうすると、私がこれ以上聞くのは裁判の進行に影響しますから聞きませんけれども、調書はもちろんとったわけですね。調書をとって釈放したんでしょうね。その調書が一体法律的にどの条項、たとえば三百二十八条でいくのか、あるいはどこでいくのか、ここら辺のところでどうなってくるのかということは問題になると思うけれども、そのことは私はわきまえていますから、ここでは聞きません。これは裁判の進行の問題ですから、そんなことを聞いてはこっちが笑われちゃうから、それは聞きません。  それは聞かないのですが、その後で、また在廷証人を七人ですか用意しましたね、あそこの奥さんたち。あれは私はテレビでちょっと見ていたのですが、あれは在廷証人を、たしか七人だと思ったな、手配して法廷に置いていたというのは、どういうことなんですか。どういうためにそういうことをしたのですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 特に深い事情があってというふうには聞いておりませんけれども、そういうことはこの場合に限らずあり得ることだと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それは、捜査一般論としてはあり得るけれども、普通は、在廷証人として、アリバイの事実を崩すためにその証人を出廷させた。これはあたりまえの話。これはだれが見たってそうなんです。そこで、考えられるのは、一般論として、裁判の進行に影響を与えるから、私は裁判とは切り離して聞くわけですけれども、どうも印象としては、偽証の疑いがあるというようなことを一般の人は感じますね、この事件。もしそういうふうな疑いがあると感ずるならば、これはどんな場合でも、一般論ですよ、一般論として、だれがどうであろうと、地位のある人であろうとなかろうと、そういうことについては全然区別をしないということは、はっきり言えることなんでしょうか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 どういうお含みでお尋ねになっているかよくわかりませんけれども、必要があれば必要な方を取り調べることは当然でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 これはいろいろ考え方があるわけですね。そうすると、いまこれは進行しているわけですね。ほかの裁判は大体終わりに近づいて、求刑を待っているのがありますね。  そうすると、田中角榮氏の——私はこう思うのですよ。日本の刑事訴訟法なり民主主義の場合は、第一審の有罪の判決があるまでは無罪の推定を受けているわけでしょう。それを、起訴されたからといって、元の総理大臣を呼び捨てにしたり何かするという行き方は、私は民主主義に反すると思うのですよ。これはいけないですよ。日本の悪い癖ですね。これは直さなくちゃいかぬですよ。私はそのとおり思うのです。  田中角榮氏の裁判は、そうすると、いまどういう進行で、大体いつごろどういうふうになると見ておるわけですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 私から申し上げるまでもないくらいじゃないかと思いますけれども、いわゆるアリバイ立証というものが弁護人側からされまして、それについていま先ほど来お尋ねのようなことも行われ、検事側がまた犯罪の立証と申しますかをやっているわけでございますね。そういうことでこれがまだしばらくかかるんじゃないかと思います。その後のことは、弁護人側、被告人側の方針と申しますか、立証方針というものがよくわからないわけでございますので、それによっていろいろなことが行われるだろう、それによってまた検察側も対応することが場合によってはあるだろうということでございますので、そういう意味できわめて流動的であろうと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 進行中の事件ですから、余りしつこい聞き方をするのも私もあれで、本当はもう少しいろいろなことを聞くといいかもわかりませんけれどもね。  もう一つ聞くのは、ちょっと別なことになるかもわかりませんけれども、たとえば贈収賄の場合は、現金じゃなくてももちろんいいわけですね。利益の供与でもいいわけでしょう。それは判例によると非常に広いですね。非常に広く考えられておるということですね。そうすると、どうなんですか、ゴルフ場のたとえば会員権というものであっても、いわゆる通常人に対しての金額が、たまたま特定の人に利便というかそういうふうなものか何かをあれとして安く売られたということになってくると、その差額というものは贈収賄の対象になるということが考えられる場合もあるんじゃないですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 お尋ねのように、そういう場合もあり得るということであればあり得るんだろうと思いますけれども、御質問自体が非常に限定されておりませんので、お答えとしてもはっきりしたことは申し上げられないわけでございます。いまのお言葉の中でも、通常人に対する価格と特定の人に対する価格とに差がある場合、こういうふうに端的に言えばそうだと思いますけれども、それなりにまたその差がある理由がある場合もございましょうから、それだけで直ちには言えないんじゃないかと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いまの差がある理由ということ、たとえば文部次官の諸澤という人が、通常の相場として六百万円と考えられている会員権を、前提としてそれが事実かどうか調べなければいけませんよ、それを三百五十万円で買ったということになれば、この二百五十万円は利益の供与として考えられるということ、それが教科書会社の関連者から文部次官が買ったというふうなことになれば、教科書に対する採択なり何なりの職務権限があるというふうに通常文部次官に考えられるとすれば、当然それは贈収賄の対象、ことに収賄になるという可能性、教科書会社のあれから特別に安くしてもらったということになれば贈収賄の対象になって浮かび上がってくるのじゃないですか。当然考えられるじゃないですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 具体的な事案に関しましてお答えしますと、また誤解を受けるおそれもあろうかと思いますが、先ほど一般論のときに申し上げましたように、物の対価といいますか、それは当事者間の話し合いというか、合意によって決まることでございます。特にゴルフの会員権ということで私なりの理解で申しますと、ゴルフ場の会員権というのは、一般募集であるとか縁故募集であるとか特別募集であるとか、いろいろなことがあるようでございまして、それによって価格も相当違う場合があるようでございますから、そういうことによる差という場合もあるだろうと思いますから、一概に言えないのじゃないかということを申したわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 だから、六百万円の会員権の価格というものが三百五十万円で売買されたという事実を前提とすれば、そこで二百五十万円の差があるわけでしょう。二百五十万円の差がどうして生じたのか。それが文部次官と文部省と教科書会社との関係に関連してくるということを、これは調べてみなければわからないのじゃないですか。ただ、私も一般論で言っているかもわからない、あなたも一般論で答えているかもしらぬけれども、こういうふうな密接な関係が出てくる、職務権限があるという形になってくると、なぜ三百五十万円で売買されたのか、その理由を調べなければ、そこでどういう発展をするかということはわからないでしょう。それはそうでしょう。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 私が申し上げているのは、その理由が稲葉委員の仰せのような意味での理由じゃなくて、もっと売買価格そのものについて、そういう職務権限とかそういうことの以前の問題といたしまして、そういう特段の事情もあり得るのじゃないかということを申したわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 だから、一般の人が六百万円だということの場合に、三百五十万円で買ったということが事実ならば、二百五十万円の差があるのだから、なぜ二百五十万円の差が出てきたのかということを調べてみれば、そこから教科書会社と文部省とのいろんな関係というものが発展してくる可能性もあるのじゃないですか。ないとは言えないでしょう。あることはあるでしょう。あるならば、それを法務省が東京地検なら東京地検に指示してその間の事情を調べさせる、あっちこっち議論になっているところなんですから、それを調べさせるというのが当然のことなんじゃないですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 検察当局が調べます場合には、やはり犯罪の嫌疑があるという前提でのことでございます。いまのお尋ねの段階では、まだそれだけで犯罪の嫌疑があるということにはまいらないのじゃないかというふうに思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 犯罪の嫌疑があるというときに調べるのじゃないですよ。犯罪の嫌疑があるという前の段階から調べていかなければ、あなた、犯罪というものは成立しないじゃないですか。そんなことはあたりまえの話で、犯罪の嫌疑があるというときには、非常に濃くなっているときなんだから、だれが調べたってはっきりするわけですよ。いまのあなたの場合では、いますぐそれをどうこう言えないかもわからぬけれども、この点は十分留意しておいてください。後でいろいろなことになってくると、またあなたの方のあれになる場合も出てきますから、こういう質問があったということをよく考えておいてほしいと私は思うのです。  そこで、大臣、ちょっと一つ保安処分の問題でお聞きしたいのですが、保安処分という名前がいいか悪いか別ですよ、大臣は別の名前を言っていますが。いま財政再建で三年間供託金の利子も凍結するとか、財政再建の問題いろいろ言っていますね。そういうときに保安処分をやることについて、物的設備やなんか要るのでしょう。人的設備も要ると思うのですよ。一体幾らぐらい金がかかるというふうにお考えなんですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 私は、一番いい方法は、個人的に専門家でない私がそう思っているだけのことでありますけれども、刑事治療処分というものが生まれた場合に、その相手を国立の精神病院が預かって治療してくれれば一番円滑にいくんじゃないかな、こう思っているわけでございます。そういう場合には特段よけい金がかかるということにはならないんじゃないかな、こう思います。  また、それが不可能な場合に、理想的なことを言えば、法務省所管のそういう病院を持つということでございましょうけれども、すぐにはできないということになりますと、医療刑務所に若干手直しを加えて、そこに収容する、そして治療に当たるということになるんじゃないかなと思います。その場合にもそれほど莫大な金がかかるというふうには思わないわけでございます。  いずれにいたしましても、どういう方向で解決できるかわかりませんので、いまおっしゃったような数字をはじくというところまでは至っておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いまの保安処分というのは、保安処分を唱えている人も反対している人も、よく物事の本質というか事実関係というか、つかまないで議論している傾向が相当あると私は思うのですね。大臣もどの程度わかっていらっしゃるか、どうもよくわからないけれども、もう少し事実関係を——日本人の悪い癖ですね。言葉でわあわあ言う癖がありますからね。事実を確めなければいかぬと思いますね。これはまたいずれ刑法改正の問題で起きてくる、こういうふうに思います。  私は、もう一つ聞きたいのは、こういうことなんですね。結局、ロッキード事件に関連をして法務省が政府報告書として国会へ提出しましたよね。これはでたらめな報告をしたわけですか。どうなんです、刑事局長は。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 まず、報告書の形で提出したという言い方でのお尋ねでございましたけれども、正確には、当時のロッキード特別委員会のいわゆる秘密会で、当時の刑事局長が国会での御判断の資料という意味で、口頭で御説明をしたということであろうと思います。ですから、その内容につきましては、そんな無責任なことではなかったはずでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、その内容については十分な証拠があったと確信があって、当時安原さんが述べたということは間違いないですね。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 また、その証拠があってということの言葉もややむずかしい問題があろうかと思いますけれども、捜査当局からの報告によってこういう事実が一応認められるという趣旨の報告であったと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 一応認められるという報告、言葉じりにあれしますが、一応認められる。それはその当事者の弁明を聞いて、そして口頭で報告したのですか、あるいは聞かないで、ほかの証拠を集めてきてそういうふうに考えられるというので報告したのですか、どっちなんです。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 一応という言葉で誤解を受けてはいけませんので申し上げますのは、証拠ということをおっしゃいましたので、裁判で確定されるような意味でのはっきりした権威のあるものとしてではないという趣旨を言いたかったわけでございます。  それから、そういう報告をするに至った過程でどういう捜査が行われたかということになりますと、これは捜査内容のことでございますし、まだ現に公判が係属中の事件にかかわることでございますから、差し控えさせていただきたいわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 現に捜査のことが公判係属中といったって、公判に関係ないことを聞いているのですよ。たとえば二階堂さんの問題について、二階堂さんはここで、当委員会で五十二年五月二十四日、いろいろ質問しているわけですね。るる質問されましたよ。質問というか何というか、弁明というか演説というかよくわかりませんが、とにかくやられて、私も聞いておったのですがね。  その前にあなた方は、いわゆる口頭報告か知らぬけれども、二階堂さんが伊藤宏から五百万円をもらったということを国会に報告しているわけでしょう。それは証拠——証拠というのは裁判によって確定した証拠かどうかは別として、とにかく国会に報告する以上は権威のあるものでなければなりませんわね。  法務大臣、どうですか、いいかげんなことを報告したのでしょうか。これはどうなんです、法務大臣——いやいや、これは法務大臣に聞くんだよ。いやいや、大臣、係属しているのだから、法務大臣というのは法務省の代表として言っているのだから、それはあなた、大臣として答えてもらわないと困りますよ。いいかげんなことを言ったんならいいかげんなことを言ったで、それは構わないんだから……。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 ちょっと聞き漏らした点がありますので、大変恐縮ですけれども、刑事局長から先に答えていただきます。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 先ほど申し上げましたように、無責任なことを国会で御報告するはずはないわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いま刑事局長が言ったのと同じでよろしいですか、大臣。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 秘密会で出された話の問題でございましょうか。(稲葉委員「だから刑事局長から報告しているんでしょう」と叫ぶ)それも一方的で、さらに相手からそれなりの調書を調べたりしてやったことじゃなしに、その当時不起訴処分にした経過の報告だったのじゃないかと思うのですけれども、そのように受け取っていただければよろしいのじゃないかなと私は思うのです。権威のあるものとか権威のないものとか、そういうことじゃなしに、経過をそのとおりに受け取っていただいた方が実態に合うのじゃないかな、こう思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 いまのは刑事局長の言うのとは違いますよ。刑事局長は、私の質問に対しては、その御当人の弁明を聞いたか聞かないかと聞いているのに、そのことには答えないのですよ。答えないのに、大臣は本人の弁明を聞かないで認定したのだからというようなことを言っておられるのだけれども、どうなんですか。それは少し違うよ。大臣、慎重になり過ぎているよ。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 さっきまで伺っていながらも、ちょっと過去のことに疎いものでございますので、正確に把握していなかったわけでございました。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そうすると、いまの刑事局長の言うのは、大臣の言うのとはどうなの。大臣は、本人の弁明を聞かないで報告しちゃったというようなことをいま言っていますね。そのとおりですか、どうなんです。本人の弁明を聞いたのですか、聞かないのですか、ここがよくわからないのですよ。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 ですから、先ほどそのことは関係がないというような御指摘でございましたけれども、実は、一連の金の流れという意味で現在公判中の事件に関係があるわけでございますので、そういう意味で、どういう調べがあったかということは適当でないということを申したわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 一連の金の流れというと、五百万円が伊藤宏から二階堂進さんに渡ったということは、一連の金の流れの中に入るのですか。そういう報告でしょう。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 そういう形で理解しておることは、検察官の論告でも述べられておるところでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 ところが、二階堂さんは、五十二年五月二十四日でもそうですし、それからことしの八月四日の議院運営委員会に上申書というものを出しておられるのですね。これは大臣も御存じだと思いますが、二階堂さんの上申書は、昭和五十六年七月十四日付ですが、「何人からも、政府報告にいうような金銭を受け取った事実は全くありません。」こう言っている。これはどうなんです。法務省の報告と違うのですか、違わないのですか、どうなんですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 どうなんですと聞かれても、何ともお答えのしようがないわけでございますが、要するに、先ほど来御指摘のような報告を当時の法務省の刑事局長が申し上げ、また、その当時直後から、二階堂議員におかれましてはその事実を否定する発言をいろいろな場でおっしゃっておられる、そのことの続きと申しますか、同じことであろう、こういうことでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 すると、法務大臣としては、法務省の刑事局長が国会に報告したことと、二階堂さんが言っていることと、どっちを正しいというふうに思われるのですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 だから争いになってきておると思うのです。二階堂さんの問題は不起訴処分になっているわけですから、そうじゃないわけですけれども、検察庁の調べたことと公訴を受けた側との間で、この問題に限らず、ロッキード関係、いろいろなものについて対立があって、いま裁判で係属中でございますから、裁判において公正な判断をしていただく以外にはないじゃないか、こう思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 それは違うのですよ。二階堂さんの方は起訴になっていないのですよ。二階堂さんは五百万円もらったけれども、職務権限がないというので不起訴になっているのですよ。そうでしょう、刑事局長、どうなんです。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 大臣もそういう御趣旨でお答えになったと私は聞いておりました。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そういうふうには聞こえなかったんじゃないですか。公判になっているとか、なっていないとか——公判にはなっていないのですよ。  そこで、二階堂さんが言うのは、私はもっともだと思うんですよ。御本人はもらってないと言っているのですからね。もらってないと言っているのですから、「事実を公表する以上は、その議員に、資料の検討、反論、反対立証の機会を十分保障し、国会の責任において事実の確認の手続をとる必要があると思います。」こう言っているのですよ。この点どうですか、大臣。あたりまえだと思いませんか、二階堂さんの言っていること。自分はもらってないと言う、政府はもらったと言っているというんだな。もらったと言っている、ところが、自分はもらってない、政府報告に言うような金銭を受け取った事実はないと言っているのですからね。ないと言って、そして、「事実を公表する以上は、その議員に、資料の検討、反論、反対立証の機会を十分保障し、国会の責任において事実の確認の手続をとる必要があると思います。」二階堂さん、上申書でこう言っている。これは私、もっともだと思いますよ、二階堂さんの立場とすれば。大臣、どう思われますか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 検察庁として公にすべきでないと考えて、求めに応じて秘密会でお話ししたことが公になってしまったところに、私は混乱の原因があるように思っておるわけでございます。  検察庁が調査したものが常に客観的に絶対に正しければ、裁判は要らないわけでございまして、やはり過ちもあるわけですから、被告の側にもそれなりの弁明を認めて、裁判で争うという仕組みをとっているわけでございます。したがいまして、私は、どちらがどうだというようなことを言えるものではない。争いになります場合には、当然起訴処分が行われ、裁判所で争われるわけでございますけれども、そうでない、不起訴にしておったものがいつまでも尾を引くような結果になったことは、私は残念な出来事であったなと、いまも当時のことを聞くたびに、そういう思いを繰り返しているわけであります。やはり一人一人の人権が大切でございますから、人権がやみの中で非常に損傷を受けるということは慎まなければならないなという感じを深くしているものでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 私の聞いておりますのは、公判の中でそれを解明される、これはあたりまえの話ですよね。それは弁明の機会も十分あるのだけれども、そうでなくて、あなた、政府の報告に言うような金銭を受け取った事実はないのだ、こう二階堂さんは言っているのです。そのあかしを国会でとってくれと言っているのですよ。そうでしょう、事実法務省が公表したんだから。「資料の検討、反論、反対立証の機会を十分保障し、国会の責任において事実の確認の手続をとる必要があると思います。」と言っているのですよ。そうでしょう、これはあたりまえの話ですよね、二階堂さんの立場からすれば。反論はできましたよ、二階堂さん出しているのだから。反対立証の機会というのは全然与えられていないわけですね。そうでしょう。  だからあなたは、二階堂さんの名誉を回復するためにも、いま大臣が言われた個人の人権というか、そうしたものを保障する意味においても、二階堂さんと伊藤宏さんとをここに呼んできて、事実確認の手続をとる以外にないじゃないですか、国会として。二階堂さん、ここでそういうふうに言っているのですもの。「国会の責任において事実の確認の手続をとる必要があると思います。」と言っている。二階堂さんはこういうふうに言っているのですよ。「国会の責任において」と言っている。「国会の責任において」と言っているのだから、ここで大臣の見解を聞くのは、国会においても当然二階堂さんなり伊藤さんなりが出てきて、ここで二階堂さんと両方、法務省が発表したことが事実かどうか確認をする手続をとってもらいたいというのが、大臣としてのフェアな態度じゃないですか。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 まず第一点として、検察庁が公表すべからざるものを公表した結果になってしまった、これは非常に残念なことだと思います。その結果、二階堂さんは、自分はもらったことはないと考えておられる。その方に、もらったような印象を与えた。これはもう、本人に対しては大変な人権侵害。本人がそれを何とかして晴らしたいという気持ちを持たれている、これもよくわかるわけでございます。  しかし、そういう場合に、不起訴にしたものを、さらにまた検察庁が、いや、そうじゃなかったんだ、こうじゃなかったんだということでやってまいりますこと、これが果たしてどれだけの効果があるのか。また、そういう問題は、基本的には裁判で争われるべき性格のものじゃないだろうかなと、こう考えるわけでございまして、国会の中でどうこれをお取り扱いになるかということにつきまして、法務省としてとやかく言う気持ちはありませんけれども、私個人としては、検察官がまた出ていって、いや、あれが事実だ、あれはうそだというようなことをやり合うことが、どれだけ検察庁の将来にとってプラスになるかということを考えますと、一たび過って公表された、それをぬぐうためにまたどうこうということは避けた方がいいな、こんな感じがいたします。しかし、国会の問題でございますから、国会でどう処理されるかについてとやかくの異議を申し立てるつもりはありません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 裁判で明らかにしたらいいと言われたでしょう。民事裁判を起こしたのですよ。一千万円の訴訟を起こした。起こしたけれども、何にもしないのですよ。五、六回やったけれども、全然何にもしないで、休止というのは両方出てこないことですよ。それで休止になっちゃって、結局取り下げちゃったのですよ、二階堂さんの方では。だから、自分からこういうことを言っていながら、自分から裁判の中で明らかにする手段を放棄しちゃったのですよ。これはこの前も説明しましたけれども、放棄しちゃったのですね。ただ新聞記事だけ証拠に出して何にもしないで、片っ方は、伊藤宏の方はそんな事実はないと言っている。それで裁判を取り下げちゃったのですよ。だから裁判の中で争う機会はなくなっちゃった。  二階堂さんは、ここにも言っているように、国会の責任においてやってくれと言っているのですよ。国会の責任においてやってくれとはっきり言っているんだもの、二階堂さんは七月十四日に。これは無理もないですよ。だから、法務省の言うことが正しいのか、二階堂さんの言うことが正しいのか、これはやはり国会としては明らかにする責任があると私は考える。大臣もそうお考えになるのじゃないでしょうか。それでなくちゃだめなんじゃないですかな。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 国会としてどういう運び方をされようと、法務省として異議を唱えるべき性格のものではないと思います。  ただ、私が法務省を預かっている立場で、不起訴処分にしたものについて、いつまでも検察庁が引き合いに出されてあれやこれややっていきますことは、検察庁にとっては一つもプラスにならない、こう思っているということを率直に申し上げたわけであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 検察庁は引き合いに出されないですよ。検察庁は関係ないのですよ。二階堂さんと伊藤宏さんを呼んで、ここで両方を聞いて、あるいは場合によれば対決するかどうか知りませんけれども、そうすれば、それで二階堂さんの国会の責任において事実を解明してくれということは済んじゃうのですよ。検察庁の方は引き合いも何にも出ないですよ。出っこないですよ、そんなもの。二階堂さんは検察庁のことをかれこれ言っているわけじゃないんだから。発表された以上、そういう自分のあれを晴らしてくれと言っているんですからね。明らかにするのは国会の任務である、あたりまえの話。それに対して法務省の方は、そういうことを発表したからこういう問題になったんだということならば、責任があるから、むしろ喜んで国会の方で明らかにしてほしい、こういうふうに希望するのが当然じゃないでしょうかね。それでなければ筋は通らないんじゃないでしょうかね、大臣。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 先ほども申し上げましたように、検察庁が明らかにしたものではございません。検察庁としては、当時、そういうことを秘密会であっても申し上げること、非常にちゅうちょしたと伺っております。しかし、秘密会だからということで、それを信じて発表したところが、すぐにその場で公になってしまった。大変遺憾に検察庁全体は感じているようでございます。私もそのことはよくわかる感じがいたします。それが今日まで尾を引いているわけでございまして、これはぜひ国会の方でお考えを決めていただいて御処理いただきたいものだ、法務省を引き合いに出さぬようにしていただきたいなという希望を申し上げておきます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 法務省を引き合いに出さないようにというのですけれども、法務省が発表したのですからね。いま証拠に基づいて発表したのだと言うから。厳格な証拠かどうか別として、それで間違いないと言うのだから、いままでも。だからこれは明らかにする必要があると私は思う。  そこで、委員長にお願いをいたしますが、二階堂さんがこういう上申書を昭和五十六年七月十四日にちゃんと出しているのですよ。これは議運の会議録の閉会中審査で昭和五十六年八月四日。そして二階堂さんはこの委員会で弁明しているのですから。五十二年の五月二十四日、ここでやっているのですからね。だから、当然この委員会でお二人を、証人ないし参考人でもいいですから呼んで、事実関係を明らかにしていただきたい。それが二階堂さんの希望なのですよ。  だって二階堂さんは、反論はしているけれども、反対立証の機会を与えてくれと言うのですから。反対立証の機会というのは、伊藤宏とか一緒にして、どっちを言うかお互いにあれしてみるということでなきゃ、反対立証の機会はあらわれないでしょうが。保障してくれと言っておる。「国会の責任において事実の確認の手続をとる必要があると思います。」こう言っておるのですから。とにかく事実関係は、こういうふうに言っている以上、一国会議員の人権、ただそれだけの問題ではなくて、非常に大きな問題だとぼくは思うので、これは当委員会でお二人を証人ないし参考人としてぜひ喚問を願いたい。これは本当に事実関係を明らかにするために——裁判所はだめなのですから、裁判をやっていたものを取り下げちゃったのですから。検察庁は、もう出しちゃったからおれの方は関係しないと言っておるのでしょう。これは刑事裁判は関係ないでしょう、金の流れは理解されるかもわからぬけれども。反対立証の機会というのは、伊藤宏と二階堂さんとの対決以外にないんですから、二人を証人ないし参考人としてぜひこの委員会に喚問を願いたい。喚問というのか招致というのか知りませんが、願いたい。委員長のお諮りを願いたいと思います。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 ただいまの稲葉委員の御要望でございますが、先ほどの二階堂さんの上申書は、まず第一に議運に出されて、議運で取り上げられ、かつ、議事録の付録というような形でしょうか、掲載することになったものでありますから、当委員会で直ちにこれを議題にするのはどのようなものかなと思いますが、後刻理事会でまたよく御相談をいたしたいと存じます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 そこで、これはこれとして、もう一つ別の問題といいますか、午前中大臣おられなかったので、私が質問した中で、例の国籍法の問題で質問したのです。父母両系主義、あれは第二条でしたか、この問題を質問しましたら、大臣は再来年の国会に出すと言われましたよね。ところが、民事の五課長は、それはむずかしいようなことを言っておるのですよ。とても間に合わないような答弁をここでしているのですね、ちょうど大臣おられなかったのですけれども。どうですか。これは確かにいろいろな問題を含んでいます。いろいろな問題を含んではいますけれども、大臣が再来年の国会に出すと言ったのだから、そのことで部下というか、督励して必ず出せるようにしていただきたい、こう思うのですが、決意のほどを最後に承って、終わります。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 国籍法の改正につきまして、近く法制審議会に諮問することにしておるわけでございます。事務当局は、その法制審議会の中での検討の過程でいろいろむずかしい問題が出てくると、再来年の国会に出そうと思っておっても、あるいはそれがむずかしくなるかもしれないという用心をしてお答えしたのじゃないだろうかなと私は思います。いまも、事務当局も再来年の国会に出せるように努力している気持ちには変わりはない、私はこう思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 だから、あなたとしては、大臣としては、部下を督励して必ず再来年の国会に出せるように十分努力するということの決意を述べていただければ結構です。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 事務当局も私にそう答えてくれております。ぜひ再来年の国会には出せるように努力したいと思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉委員 終わります。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 林百郎君。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 私は、最近われわれの社会生活の中で非常にホットな問題になっております暴力団と覚せい剤との関係について、警察庁も非常に熱心にいろいろ研究されているようでありますから、この委員会に、ひとつわれわれ議員に対してもその研究の成果を報告していただきたいと思うのです。  まず問題になりますのは、この十月二十五日に、山口組の組長の田岡一雄氏の葬儀を、稲川組の組長稲川角二氏が委員長になって、神戸の山口会館で行うというのです。いろいろの週刊誌などを見ますと、すでにもう五千部の案内状を一千万ぐらいかけて出しておるというわけでありますが、そうすると、五千人のそれぞれの暴力団の組長が供を連れてくるとか、あるいはその下の組織の責任者も連れてくるというと、約一万人近くの者が、黒服を着たような人たちが外車に乗って神戸市に十月二十五日に押しかけるということになりますと、これは神戸の市民としても非常な不安にかられると思いますし、しかも、その日はたまたまこの神戸の市長選の投票日にも当たりますので、警察としてもこれをそのまま放置しておくわけにいかないと思いますが、どういうような情勢が想像されまして、どういうような対策を講ずるつもりですか。これは事前に余り手の内を知らせちゃって、かえって暴力団の方に裏をかかれてもいけませんが、この国会の委員会で公表できる点をできるだけひとつ説明を願いたい、まずこの点をお聞きしたいと思います。

森広英一警察庁刑事局捜査第二課長

○森広説明員 お答えいたします。  いまお尋ねの山口組の田岡の組葬というものにつきましては、お尋ねのように十月二十五日に開催されるという情報をとっております。五千人の参会者があるというような話もございますが、実際のところ、神戸市内の自宅の空き地のようなところで開催をするということで、一千五百人程度しか入れないような場所でもあるというふうに認識しております。  葬儀自体、違法行為というわけにはいきませんけれども、近隣の住民等に与える不安感というようなことを考えまして、警察としてはこういったものは中止にするように警告はいたしておりますが、警告を無視して強行するような気配でございます。  こういったことが行われるという場合におきましては、警察といたしましては、現場はもとよりでございますが、関係の空港とか駅とかいうところにおきまして、全国から集まってくる暴力団の関係者に対しまして厳しい検問をいたしまして、いろいろな違反行為等があれば即座に検挙する、こういうような構えで警戒を実施いたす、こういうつもりでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 私が言うまでもなく、山口組と言えば、関西の神戸を中心として西に主勢力を持つ広域暴力団です。稲川組は、これは東京から関東に根拠を持つ東の方の広域暴力団ですが、この西の最大の広域暴力団の葬儀を東の最大の広域暴力団の組長が司会をするということになると、これは全国の暴力団の首脳部がその日は集まるということが想像されるわけなんです。  それに対していろいろの処置をなさるというのですが、警告を発せられたそうですが、これはもう二回ほど葬儀を行っているわけですね。田岡家の葬儀とそれから山口組が主として事業として行っている甲陽運輸会社の葬儀と、もう二度行われているわけなんですね。だから、常識で考えれば、一家の葬儀とそして会社の葬儀が行われれば、その上葬儀を、こんな東西の広域暴力団が一緒になってやるということは考えられないので、考えられるとすれば、それによって広域暴力団の一つのデモンストレーションをして、そして市民権を獲得するということと、それから、義理の金銭のやりとり、義理かけによって何億という金が動くということになりますので、これは警告したけれども、やると言うからやらしておくということだけでは済まないし、先ほど、違反があれば厳重に違反を取り締まるとおっしゃっていますが、違反というのはどういうことが考えられますか。私の方もいろいろ取り締まりの手段を考えて、後で申し上げますけれども、警察庁の方では、違反があれば取り締まるというのは、どういうことなんでしょう。

森広英一警察庁刑事局捜査第二課長

○森広説明員 完全に予測はできませんけれども、そういった大ぜいの暴力団の首領級の者が集まってまいりますと、たとえば護衛がついてきて武器等を所持しておるというようなことも予想されますし、また、大ぜいのそういった不法者が集まりますと、いろんなトラブルということも予想されますが、そういった銃器の所持とかあるいはトラブルに伴う暴力事件とか、こういうものにつきましては厳重に取り締まりをする、こういう意味で申し上げたのでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると、そういう検査をなさるわけですか、参加者に対して。そうですね。——私たちが考えてみたところでは、暴力団のことですから、大きな外車などに乗ってきて、信号無視でいろいろの交通取り締まりに違反するようなことがあると思いますので、こういうのは厳重に取り締まらなければなりませんし、それから、暴力団あるいは覚せい剤事犯の被疑者として考えられる者が、逮捕されない者がたまたまそこに来ている、そういう者をそこで逮捕するとか、あるいは保釈の条件つきの者が勝手にそういうところへ出てきて公然と参列するとか、あるいは未逮捕の者で逮捕できないでいる者がたまたまそういうものに出てきている、そういう機会をとらえて逮捕するとか、あるいは前科者で、足を洗うということを警察に言っている者が依然としてそういう暴力団に足を入れているということがわかれば、そういう者に対して注意や警告を与えることができる、こんなようなことが考えられますけれども、こういうようなことも考えているのでしょうか。

森広英一警察庁刑事局捜査第二課長

○森広説明員 先ほどは二つほど例を挙げて申し上げましたけれども、いま御指摘のこと、一々ごもっともでございます。交通に危険を与えるような行為があれば無論取り締まりをいたしますし、そのほか潜在的な違反についても視察、内偵をする。また、いま御指摘のような、たまたまそこで指名手配の被疑者等が来ていないかどうかということにつきましても十分視察をしまして、検挙のチャンスがあれば活用して検挙をしていく、このような気持ちでおります。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そこで、覚せい剤と暴力団との関係に入りたいと思うのですが、深川でことしの六月に起きました通り魔事件、行きずりの通行人を四人も殺傷した事件等、覚せい剤が原因となって、非常に悲惨な事件がますます多くなっております。  そこでお聞きしますが、覚せい剤の幻覚犯に対する処分については、これはまあ法務省と弁護士の間にも、措置入院をさせることがまず大事じゃないかとか、あるいは保安処分が必要ではないかと、いろいろの意見のあることは私知っていますけれども、それをここで言い出すとまた大変な問題になりますので、それはさておいて、何としても覚せい剤の後ろには暴力団がいる。暴力団を取り締まりし、壊滅させることができれば、覚せい剤犯罪というのはぐっと事案は少なくなると思うのですけれども、この覚せい剤と暴力団との関係はどういうようなことになっているのでしょうか。どのくらいの人員が関係し、どのくらいの金が動いているか、わかっていたら説明願いたいと思います。

森広英一警察庁刑事局捜査第二課長

○森広説明員 暴力団犯罪は、昨年の例では一年間に五万二千人余りが検挙されておりますが、そのうちに覚せい剤の事件で検挙されたという者は一万人少々でございます。暴力団犯罪のうちの一九%、これぐらいが覚せい剤取締法違反でございます。それから、覚せい剤の違反全体といいますのは一万九千件余りございますので、覚せい剤取締法違反事件の半数強のものが暴力団によって行われておる、こういう状態でございます。  それから、覚せい剤の密売買等によって暴力団がいかほどの収入を得ておるか、こういうようなお尋ねでございますが、これは科学警察研究所等と協力いたしまして推計したところによりますと、暗数を含めまして年間に四千六百億円ぐらいの収入を上げておるのではあるまいかというふうな推計をいたしております。これは暴力団の合法、非合法を含めての収入全体一兆三百億ぐらいの四四%程度に当たるのではないか、かように考えております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 昭和五十二年、それからその後のいろいろの数字がありますが、いまのは一番最近の数字とお聞きしておいていいのでしょうか。五十二年の時事画報によりますと、暴力団の資金源三百三億で、そのうちの六三・〇%が覚せい剤になっている。しかし、これは表に出ているものだけであって、約一万人近くの暴力団が覚せい剤によって一人当たりの資金源として五百万から一千万出るとすれば、約一兆円になるという数字が、これは五十二年度で出ていますが、いまおっしゃったのは最も最近のものと見ていいでしょうか。

森広英一警察庁刑事局捜査第二課長

○森広説明員 ただいま御指摘の五十二年の調査というものは、現実に検挙をいたしました事例から警察庁が独自に推計をいたしまして、全体で三百億、そのうち覚せい剤が六三%ということを発表したことがございます。しかし、先ほど私が御答弁申し上げましたものは、昭和五十三年に科学警察研究所と協力いたしまして、暗数を含めて独自の推計をいたしまして、全体の収入が一兆三百億余り、そのうちの四四%程度が覚せい剤の収入、こういうふうな調査でございます。そういう違いでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 それから、念のために聞いておきますが、山口組の組織暴力団数と組員、それから稲川組の組織に参与している暴力団の団数とこれの組員数、これはどのくらいになっていますか。

森広英一警察庁刑事局捜査第二課長

○森広説明員 五十五年末現在の数字でございますが、山口組は全国で五百五十九団体、一万一千八百七十八人の構成員、こういうことでございます。もう一つ、稲川会につきましては百四団体、四千百四十八人、このような統計がございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 田岡一雄の葬儀の委員長に稲川角二氏がなるという。この山口組と稲川組との関係はどういう関係になるのですか。それと、その二つの広域暴力団は、日本の国の広域暴力団としては最大のものですか。どういう位置に位するわけですか。山口組は最大と思いますが、あと稲川組はどうなるのですか。

森広英一警察庁刑事局捜査第二課長

○森広説明員 山口組は御指摘のように最大の団体でございます。稲川会につきましては、団体数からいいますと第三位、構成員数からいいましても三位、その程度の団体でございます。  それから、稲川会と山口組の関係はどうかという点につきましては、それぞれ先代の組長同士が兄弟分であった、いわゆるやくざ社会で言うところの兄弟分であった、こういう関係で、いわゆる友誼的な関係にある暴力団同士である、かように認定しております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 日本で一位から三位までのそういう暴力団が神戸で十月二十五日に一緒になるというわけですが、そこで義理かけも行われるでしょうし、上納金のやりとりもあるいは行われるかもしれませんが、そういう暴力団に一兆円を超すような莫大な所得をもたらす覚せい剤なんですが、これはどういうルートを通じて暴力団に入るのでしょうか。  ある新聞によりますと、韓国に山口組が工場まで持って、そこへ発注をして、そこから密輸入しているという記事もありますし、また、ある記事によりますと、韓国の取り締まりが厳重になったので、最近は台湾から入ってくるという話もあるわけなんですが、どこからそういう莫大な覚せい剤が入ってくるのでしょうか。そしてそれは大体どのくらいの量が入ってくるのですか。

内田文夫警察庁刑事局保安部保安課長

○内田説明員 お答えいたします。  現在わが国で扱われております覚せい剤は、そのほとんどが外国から密輸入されている、こう言ってよろしいかと思います。その総量というのは正確にはつかめないわけでございますが、昨年五十五年に押収した覚せい剤の量は約百五十四キロでございまして、その中から生産地まで確認できたといいますか、密輸先、それが昨年の場合は七十一・九キロでございますけれども、その仕出し地を見てみますと、韓国からというのが七八・七%、それから台湾からというのが二一・一%、あとその他の香港等が〇・二%、こういうことになっております。一昨年もやはりその仕出し地まで突きとめたのが七十一・九キロでございますが、その場合も大体韓国が八〇・九%。ただ、一昨年は台湾が少なくて〇・八%で、逆に香港が多くて一八・三%と、こういう数字になっております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 どういう方法で入ってくるのですか、そんな何十キロというようなものが。公然と日本の、公然ではないのですが、秘密裏に日本の国に入ってくるのですか。それは警察庁ではわからないのでしょうかね。

内田文夫警察庁刑事局保安部保安課長

○内田説明員 密輸の方法というのが大変巧妙化しておるわけでございますが、大きく分けて、これは件数から言えば一番多いわけでございますけれども、ことに韓国の場合、韓国への旅行者といいますか、これは暴力団が行く場合もありますし、その関係者が行く場合もございます。それと関係ない者もございますけれども、そういう者が行って自分の身につけて帰ってくる、あるいは自分の荷物の中に入れて帰ってくる。これは大体一キロ前後くらいのオーダーのものでございます。それからもう一つの方法としては、韓国等から入ります漁船といいますか船でございますが、その船の船員が持ってくるというケースがございます。これは大体数キロ、四、五キロとかそういう単位のものを持ってくる場合がございます。  数から言えばそういうのが多いわけでございますけれども、量からいきますと、たとえばことしの、あれは七月でございましたが、警視庁で検挙いたしました約二十五キロ、これは台湾から入ったものでございますけれども、これは一般の貿易という形をとって、その貿易の荷物の中の一部に隠して持ってきた。そういう場合にはかなりのオーダーのものが入ってまいります。それから、これは昨年でございましたか、韓国から、やはり二十キロくらいございましたけれども、これは家具を送ってくる、その中をくりぬきまして、その中に隠して入れてきたというものもございます。  いずれにしましても、われわれも努力しておりますが、密輸の仕方というのは大変巧妙になってきているというのが現状でございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 その入り口作戦ですか、そういうところで厳重に国内へ入ることをチェックすることが非常に重要だと思いますが、そういう入ってきたのは、価格の点では段階段階で異なってくると思いますが、韓国から入ってくる原価がどれくらいで、それが中間を経て末端の使用者のところまで行くとどれくらいになりますのか、これは一グラム当たりの数字が出ていると思いますが、それはどれくらいになるのですか。

内田文夫警察庁刑事局保安部保安課長

○内田説明員 これは国外から入ってきまして、ケースによっていろいろ違いますけれども、大まかにいくと、その輸入元から末端の使用人まで流れるのに六段階くらい、五つか六つくらいの段階を経て流れているというのが実情でございますが、まず海外で、韓国等で売られているといいますか、そこで買う価格というのが、これもある程度ばらつきがありますけれども、大体一キログラム当たり三百万から五百万というような、したがって一グラムが三千円から五千円ということになりましょうか、そういう価格であります。それがそういう運び屋とかいうものを経まして国内の卸元といいましょうか、総卸元へ入ってくる段階では、一グラムが五千円から一万円近いくらいの価格になってくるということでございまして、それがだんだん先ほど申しました五つ、六つの手を経まして末端へ渡る価格というのが、グラム当たり五万から三十万まで、大体いま平均十五万か二十万くらいではなかろうかと思っておりますが、これもかなりばらつきがございますけれども……。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そうすると、もとは一グラム五、六千円のものが、末端へいくと十五万から二十五万になる。そういう高価なものが、一、二回服用なり注射なりされれば、それがもう病みつきになって、何ともそれを身に入れなければがまんできないという、そういう常習者になると思いますが、暴力団がそういう一グラム十五、六万から二十五、六万もするようなものを一般の市民に売りつける手段は、どういう手段が典型的に見られますか。まあこれはいろいろな方法がありますから、全部言えといったって無理でしょうが、典型的なものはどういう方法で売りつけていくわけですか。

森広英一警察庁刑事局捜査第二課長

○森広説明員 その売りつける方法についての正確な統計というものはございませんが、いろんな事例から考えますと、暴力団の構成員が卸元になりまして、交友関係のある暴力団周辺にいる夜の営業の関係の人たち、こんな人たちに売りつけるというような例も多うございますし、また、やはり交友関係を通じまして、いろんな運転者等の層まで売っておるということでございます。そのほか、いわゆるヒモといいまして、特定の職業の女性等にこれを注射して、そうして金を巻き上げる、あるいはそういう女たちを支配をして女の収入も巻き上げる、こういうようないろんな手段が現実には行われております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 これは大臣、内閣にこれに対する対策の委員会ができまして、法務省もこれに加わっていますね。御存じですか。それはどういう対策をお考えになっているんでしょうか。  この内閣の審議室の主査の報告を見ますと、件数はもうふえる一方で、四十六年に四千七百七十七件、覚せい剤事犯の年次別ですね、四十六年に四千七百七十七件が五十五年には二万二千件にふえておりますですね。それから、うち暴力団の関係者を見ますと、これも五十一年には六千二百六十八人であったのが五十五年には一万七人と、これもふえております。ふえる一方なんで、暴力団の事犯の数自体はいろいろ上下がありますけれども、覚せい剤に関する限りは上向線を、事件数でもそれから暴力団の検挙人員でもふえる一方なんです。  それで内閣も、この六月の例の深川の残虐事犯以来その対策の委員会をつくって、そして内閣としてもこれに取り組むということになって、閣議の了承を得ているはずです。それで、それには法務省も加わっているはずですが、これはどういう方針をお立てになっているんでしょう。もし大臣がおわかりにならなかったらだれでもいいです。大臣、どうぞ。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 閣議で覚せい剤問題、健全な青少年の育成の問題にも絡みまして非常に重要な問題じゃないかということから、特別の機関を設けてこの問題の解決に当たろうじゃないか、こういうことになったわけでございます。その結果、従来から薬物乱用対策推進本部というものがあるのが見つかったわけでございまして、ここでこの問題をひとつ取り上げようということになりまして、とりあえずの決定が七月二十八日に行われております。閣議報告されておるわけでございます。  大変広範にわたっているものでございまして……(林(百)委員「要約でいいです」と呼ぶ)  第一は「国民に対する啓発活動の強化」、これにもいろんな方法が考えられております。  それから第二が「取締まりの強化、厳正な処分」、これにもいろんなことがあるわけでございまして、「覚せい剤関係諸事犯に対する取締まりの強化と厳正な処分」の中には、一つは「密輸の取締まり」でございます。この中にもいろんな問題を抱えております。それから二つには「密売等の取締まり」でございます。三つは「国際協力」の問題でございます。四つは「厳正な処分」をしていく。五つ目は「シンナー等の乱用防止」、これも覚せい剤に発展していくものでございますから。  第三が「覚せい剤乱用者等に対する徹底した措置等」でございまして、その一つは「関係機関相互の連絡の緊密化、不審者の発見の励行等による乱用者等に関しての実態のは握の徹底」、二番目は「矯正施設収容中の覚せい剤中毒者等に対する処遇方策の充実強化」であります。三は「保護観察中の覚せい剤中毒者等に対する保護観察の充実強化」、四つが「覚せい剤中毒者等に対する医療保護の充実」、五つが「相談体制の強化」、六つが「保安処分(刑事治療処分)の新設」でございます。  それから、第四が「薬物乱用対策推進本部の拡充強化等」でございまして、一つ、「薬物乱用対策推進本部の拡充強化を図る。」二つが「覚せい剤等取締関係情報の交換、対策の協議等薬物乱用取締機関相互間の緊密な連携を図る……」(林(百)委員「簡単でいいです、私も持っておりますから」と呼ぶ)あ、そうですか、それじゃもうそれでおいておきます。おわかりいただいているようですから。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 それで大臣、これは国際的な関係もあって、いまも言ったように韓国から八〇%前後入ってくる、それから台湾から二〇%前後入ってくるというと、これは国際的な関係もいきませんと、こういうところからどんどんどんどん日本の国へ入れられては困るので、これは国際警察関係もありますが、国際的な問題として、韓国なりにそういうことを厳重に取り締まりをするようにという申し入れをする御意思はありませんか。そんなものがどんどんどんどん入ってきて、二十五キログラムですか、何か一挙に入ってこられてはこれは困るんで……。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 先ほど申し上げました中に国際協力ということもあるわけでございまして、関係国と意見を交換し、協力要請を行う、それぞれの部局がそれぞれにおいて行うということになっていると思います。さらに、覚せい剤事犯につきましては、国際刑事警察機構及び国際捜査共助の積極的な活用を図る等を通じまして努力を続けていきたいし、いっているつもりであります。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 大臣、それはわかっていますので……。それが具体的にこういう刑事事犯に関係しますから、大臣は積極的に韓国とそういう交渉をなされたのですか、そういう方針が閣議で決まったというだけなのですか。あるいはあなたなり警察庁の指示でもいいのですけれども、具体的にそういう交渉が始まっているのか。まず大臣からお聞きして、後、警察庁からお聞きしますが、そうしないと、閣議で方針は決まったけれどもちっとも実行されないんじゃ実効が出てきませんので、それはどうなっているのでしょう。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 それぞれの担当のところで努力しているわけでございまして、法務省がそれぞれの担当のところへお願いする立場であって、それぞれの外国に法務省が直接申し上げるという関係ではないのではないか、こう思っております。

内田文夫警察庁刑事局保安部保安課長

○内田説明員 これは警察庁といたしましても、たとえば韓国に係官を派遣したりとか、いろいろな連絡をとっております。それから、ICPOという国際的な警察の組織がございますから、そういうものを通じて、韓国、台湾、香港、全部そういうものとの事件の連絡は緊密にとっているつもりでございます。  そういうことから、たとえば、ことしの七月でしたか、正確には忘れましたけれども、実は韓国の船員が四キログラムのものを密輸して逃げてしまったという事件があるのですが、これは韓国に手配いたしまして、韓国で、日本へ対して輸出した罪ということでこれは検挙されておりますし、また、これも五月ごろでしたか、台湾におきましても、日本人も関係しましてあそこで密造をやる直前のグループが検挙される、そういうような事例がたくさん出ているわけでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そういう関係と絡んで、これは背後の暴力団が主役をしておりますので、どうしても暴力団を壊滅する作戦をとらなければならない。これは警察庁もある程度努力しているのはわかりますが、これは警察庁も統計をお持ちだと思いますけれども、昭和三十三年に一つのピークがあって、それが四十年ごろ下降をたどった。ところが、昭和四十四年にまた一つのピークがあって、それがまた下がってきまして、それで昭和五十年にまた一つのピークがあって、いまそれがまた下がっておるというような状態です。  いま言ったのは暴力団の対立抗争事件の発生件数のグラフなんですけれども、こういう対立抗争が、こんなにピークが出たり引っ込んだりして結局根絶やしにならないのは、どういうわけなんでしょう。そうしてまた、こういうものを根絶やしにするためにどういう作戦、いわゆる頂上作戦とかいろいろおやりになっているようですが、どういう作戦をおとりになっているのか。それでもこう抗争事件のピークと谷が出てきて、谷が出てと思うとまたピークが出てくる、これはどういうことなんでしょう。

森広英一警察庁刑事局捜査第二課長

○森広説明員 暴力団の対立抗争事件というのは、やはり暴力団の本質に根差すものでございまして、暴力団は暴力団相互間においていわゆるなわ張り争いというのをしょっちゅうやっておるわけでございまして、いわば対立抗争事件は暴力団がなくならない限りはなくならぬであろう、対立抗争をなくする方法というのは、やはり暴力団を壊滅させるということと一緒ではないかというふうに思います。  なお、対立抗争事件が多くなったり少なかったりしている現象についての説明をせよということでございますが、一概には申せませんが、たとえば、今回のような山口組で言いますと、いわゆるあの社会でいう大物の親分なんかが死んだときには、それ以外の団体がそういうなわ張りを奪取するチャンスと見て、その団体のなわ張りを侵略をしていく、そういうことからトラブルが起こるというような例もございますが、そういうふうに暴力団の勢力関係が変化をするときにはやはり対立抗争事件が多く起こる、このように見ております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そういう警察庁の努力にもかかわらず、なかなか根絶やしにならないというのですが、そういう意味で、山口組の四代目の組長ですね、これは田岡が亡くなったのですが、警察庁としてはだれがなると見ているのですか。大体これはもう周知の事実なんですが、と目される男はいまどうなっているのですか。

森広英一警察庁刑事局捜査第二課長

○森広説明員 週刊誌等も含めまして大変詳しい報道がなされておりまして、先生もよく御承知のようでありますけれども、跡継ぎをするのは、普通暴力団におきましては、若頭といいまして暴力団の中の番頭格の者が継ぐのが常識のようでございますが、山口組の場合には、その男は現在服役をしておりまして、来年の八月じゅうにいわゆる出所の予定であるというふうなことを伺っておりますので、そこら辺の動向を注目しておるところでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 これは山本健一のことを言っていると思うのですが、この何代目の襲名とかなんとかという、そういうのを警察の方で禁止する——禁止するというか、そういうことをやらせない。そんなに何代も何代も続いていったら、ちっとも根絶やしになりませんからね。しかも、週刊誌などによると、山本健一は大阪の刑務所の中からいろいろの指示をしているということも出ております。そういう跡目相続とかいうようなことをやめさせるということはできないのですか。そういう者が跡目相続していけば、いつまでたったって根絶やしにならないわけですね。これはどうでしょうか。

森広英一警察庁刑事局捜査第二課長

○森広説明員 いわゆる跡目相続という行為自体を禁止とかいうような手段は持っておりません。しかしながら、山口組の場合で言えば、その跡目を相続することが予想されております者はもちろん、そのほかの主要な幹部を中心とした普通の犯罪、こういうものを警察がたくさん摘発をいたしまして、組織に打撃を与えることによって跡目相続を含めました組織の再編成、立ち直り、こういうものを抑制をしてまいる、こういう方針で犯罪の捜査、取り締まりを進めてまいりたいと存じます。     〔委員長退席、熊川委員長代理着席〕

林百郎日本共産党

○林(百)委員 山本健一については、警察の方も服役中の刑務所と連絡をとりながら、その言動については十分の警戒といいますか、監視の目は持っておられるわけでしょうか。そのまま、どうせ刑務所へ入っているのだからそれは刑務所任せだということになっているのでしょうか。たとえば妻を通じて連絡をするとか、面会が月に一回はできますから、そういうようなことについて刑務所との相互の連絡はされているのでしょうか。

森広英一警察庁刑事局捜査第二課長

○森広説明員 関心を持って注目をいたしておりますが、いかなる手段、方法においてそういった動静について掌握をしているかという点につきましては、答弁を控えさせていただきたいと思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 そういう十分の監視をしているということは、ここで答弁されたわけですね。  そこでお聞きしますが、西の方の、西といいましても山口組はいまや東の方へもずっと伸びているのですが、山口組と稲川組、これは下部組織あるいは組織団体の上納問題でいま内部的な抗争もある程度あるのじゃないか。まあそれだけに頼ってそういう組織が弱体化するとか、ましてや壊滅するということは見られませんけれども、いま内部事情は、警察庁がつかんでいるのではどんな状態になっているのでしょうか。

森広英一警察庁刑事局捜査第二課長

○森広説明員 両団体とも、それぞれ上部の方の幹部におきましては、多くございます下部組織からいわゆる上納金というのを取りまして、自分自身が手を汚さないで、すなわち自分自身が犯罪の実行行為をしないで収入を得る状態にあるということは推察をいたしております。  紛争があるかということにつきましては、上納金を納めるのがきついというような愚痴めいたものの情報はございますが、上納金の上納に伴う紛争というのは、現在までのところはございません。  次に、この山口組等が相当いわゆる内部混乱状態に陥っているかどうかという点でございますけれども、あの社会の常識であります親分が死んだらばすぐ跡目を継がせるということさえ現在できないわけでございまして、そういう意味では、団体の維持、組織の維持という点については相当な苦労をしておるだろうと思います。そういうような意味で、取り締まり側からすれば一つのチャンスでございますので、この際相当な力を入れてこれが壊滅に努力を傾けていきたいと思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 ぜひそういうようにして、警察庁も努力をしていただきたいと思うわけなんですが、検察庁の方、警察の方でこういう覚せい剤等に絡んで暴力事犯を送検した場合、検察当局としてはどういう態度で臨む方針なんですか。せっかく警察が送っても、手をついて謝ったり、改俊の情だとか何だとかいって涙でも出されれば、人のいい検事はそれでは起訴猶予にしてやろうかというようなことになると、せっかく警察が送っても、送っただけの効果は出ないことになりますが、暴力団あるいは覚せい剤、暴力団が背後のそういうものが警察から送られた場合、検察庁としてはどういう態度をおとりになるお考えですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 暴力団員によります犯罪あるいは覚せい剤事犯、それぞれ検察といたしましては従来から力を入れておるところでございます。もちろん、その犯人の改善更生という面も考慮しなければなりませんので、その点の配慮も必要でございますけれども、いま仰せになりましたように、こういう事件につきましては、警察もまた検察庁も力を合わせて対処しなければならない立場にございますので、従来からそういう態度で臨んでおりますし、そのあらわれといたしまして起訴率、つまり起訴する率でございますけれども、それも一般の事件よりは高くなっているということでございます。また、起訴した後に裁判所の厳正な科刑が実現しませんと意味がないわけでございますので、公判活動にも力を入れて、裁判所の適正な判断が、科刑がなされるように努力しているところでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 念のために、暴力事犯あるいは覚せい剤に絡んでもいいのですが、その起訴率、だんだん高くなっているというのはどんな数字ですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 たとえば、暴力団の犯罪について申しますと、一般の起訴率は大体五七%前後でございますけれども、暴力団の関係の事件につきましては、八五%くらいという数字になっております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 改俊させることが最終的な目的ですから。しかし、厳重な毅然とした刑を求刑されて判決を得て、そういう中から漸次改俊させるということも重要だと思いますので、ぜひそういう態度を続けていっていただきたいと思います。  なお、あと、来ていただいているNHKの参考人の方、いま私が質問したことから、暴力団それから覚せい剤に絡んでの全く平和な社会生活を暴力をもって破壊しているということの一端が、全容は一時間の範囲ではなかなか出ませんけれども、おわかりだと思うのです。  さて、そういう暴力団と関係があるということが公然と週刊誌や新聞に出ておる芸能人が、公然とNHKあるいは民間の放送局へ出ておるわけなんですが、これはそういうことを知っておる者から見れば非常に不愉快な思いですし、また、そういうことは、芸能人を勢力範囲におさめて芸能のなわ張りだとか芸能人のヒモになるとか、そして暴力団が不当な利益を得たりあるいは芸能界へ不当な干渉をする事犯がいろいろあるわけなんですが、そういうことがわかっているような、たとえば私、ここにある週刊誌を持っているのですが、山口組の田岡組長と公然とハワイで親子で写真を撮っておるような、こういう写真が週刊誌に出ておるような歌手もいて、そういうのが公然とNHKの舞台へ出てくる。  こういうのは、やはり放送や放映の倫理性からいっても慎むべきじゃないかと思いますが、そういうことについては、どういう方針をお持ちなんでしょうか。これは民間放映もありますが、NHKが最も公共性を持っておりますから、それでNHKさんをお呼びして聞いているわけなんですが、どうでしょうか。

田中武志日本放送協会理事

○田中参考人 お答え申し上げます。  先生御存じのように、NHKでは放送法に基づきまして国内番組基準というような規定を設けまして、いろいろ番組の制作、編集ということに当たっておりますけれども、この規定の中には、暴力行為はどんな場合にも是認しないとか、あるいは公安、公益に反するような放送はしないというようなことが入っております。われわれ、こういったような規定に基づきまして、暴力団とか先ほどから話の出ております覚せい剤、麻薬の問題などにつきましての扱いについては、常に厳しい態度でやっておるわけでございます。  それで、いま御質問のような点につきましては、これまでも、たとえば覚せい剤とか麻薬を持っておってつかまったというような場合には、こういった社会的に非難されるような場合には、違法行為のあった場合には、私ども出演を取り消したり、そういったような事例はございます。  ただ、ただいま先生の方からお話がありましたように、本人自身が暴力行為を行ったりあるいは直接法に触れるというような行為をしていない場合、あるいは一応社会的な儀礼の範囲内でやったという行為のような場合につきましては、やはりこれだけを理由に出演を解除したりあるいは拒否をしたりということは無理ではないかと考えておりますけれども、しかし、何といいましても、われわれの方で今後出演者の選定などに当たる場合には、御指摘のような社会的な関心あるいは社会的な倫理性あるいは国民感情といったようなものを十分配慮しながら、慎重な編集的な判断のもとで、私ども今後対処していきたいというふうに思っております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 映画に暴力団の事件を専門に主役として出てくる芸能人などもいますし、それから、山口組の組長の田岡氏の葬儀に行って弔辞を読んでおられる芸能人もいて、その後もNHKにときどき顔を出すような人がいるというのは、それはどういう関係なんでしょう。そういうことは慎むようにとか、あるいはどうしてそういうようなことをなさったかというようなことを確かめられたか、あるいはそういう関係がなぜ出てくるか、NHKではおわかりでしょうか。警察とは違いますから、強制権で捜査するわけにはいきませんが、そういうことを耳にしていますか。

田中武志日本放送協会理事

○田中参考人 私たちも、週刊誌その他ではやはり一応読んだり聞いたりということはしておりますけれども、何分個人的なプライバシーの問題でもございますし、また、徹底的に個々に調べたりというふうなことはしておりませんので、私どもとしては、先ほど申し上げましたような国内放送基準に反しない範囲内のところで、今後も十分配慮しながらやっていくということでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 それでは、マスコミでそういうことが言われておる場合は、NHKとしては、NHKの純潔性を保つためにも、そういう事実があったかどうか、あったとしたらどういう関係で、それはお互いにプライバシーもありますが、そういうことをお確かめになるべきじゃないでしょうか、マスコミに書かれて名前が出ている以上は。そういうことはなさったんですか、なさらないんですか、あなたも週刊誌の中に出ていることを聞いておりますとかなんとか言っていますけれども。一応確かめられるべきじゃないでしょうか。  そういう人たちが平穏な市民生活をしている家庭の中へテレビを通じてどんどん送り込まれるということは、それは反面では暴力団の存在性を合法化する一つの道に通ずることにもなると思うのですね、市民権を得るための。そしてまた、そういう平穏な市民生活をしている人にとっては不愉快だと思うのですよ。いかに芸能的にすぐれた人であったにしても、そういう半面を持っている人が茶の間へどんどん持ち込まれるということは不愉快だと思うし、また、放送の倫理性からいっても、当然厳重に避けなければならない事案だと思いますが、事実の有無を聞きただされたり、あるいは仮に事実があったとしても、プライバシー関係で、これはもう人間と人間との義理でそういうことをせざるを得なかったというような説明を受けたことがあるのですか、ないのですか。具体的な名前を言うことがはばかるんなら、そういう事実があってこういう説明を受けたこともありますというようなことをここで言っていただきたいと思うのです。

田中武志日本放送協会理事

○田中参考人 特に個々に過去におきましてそういった事実を私どもの方で徹底的に調べたり、事実をただしたりというようなこともなかなかできにくい面もございますけれども、先ほどもちょっと触れましたように、私ども、やはり社会的な関心なり国民感情というものを、出演者の選定なりあるいは番組の制作の際に編集判断として十分その中に入れながら、その辺は十分考慮しながらやっていくということでございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 ことにNHKは公共性を持っているわけですから、どうかそういう点をひとつ厳格にこれから御注意していただいて、善良な市民にいやしくも放映を通じて悪い影響を及ぼすようなことについては注意をしていただきたいと思うのです。  それから、国税庁がお見えになっておりますね。暴力団の資金源はいろいろあります。合法的なスナックをやるとかあるいは上納金を納めさせるとか、いろいろありますね。あるいは暴力事犯あるいは覚せい剤等によっての収入等もありますが、これにはいろいろ説もあるようですけれども、しかし、経済的にはそういう恩恵を受けていますし、それから不法原因給付にもなって返還の請求もできないという場合は当然利得になりますので、これは課税してしかるべきだと思いますが、こういう暴力団等に対する課税の政策はどういうようにおとりになっているのですか。

入江敏行国税庁直税部所得税課長

○入江説明員 いま先生御指摘のとおり、暴力団がその収入の相当部分を不法行為といいますか、あるいは非合法な手段で得ていることは事実でございます。ただ、税務といいますか、税法におきましての所得という概念は、決して合法であるか非合法であるかは問わない。要するに、経済的な実質といいますか、経済的な実益、利益がその本人に帰属していれば、それは所得とみなして課税するというのが基本的な考え方でございます。したがいまして、いま御指摘のありました麻薬の売買あるいは賭博、その他非合法な手段で得た所得でありましても、われわれがそれをつかんでいる限りは、それを課税するというのが原則でございます。そのとおり扱っているはずだと思います。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 私の持っている所得税課の課長補佐さんの論文にも、刑法上での利得というのと、それから税務上の所得、これは純経済的に見る必要があるんで、純経済的にそれだけの利得を得ていれば、それが仮にいま犯罪に触れようと触れまいと、たとえば窃盗だとかなんとかという、返さなければいけなければ、これは所得になりませんね。返さなくてもいいというような不法原因給付に基づく経済的な所得となれば、これは当然税金をかけるべきだという論文を私も読んでおりますので、そういう点、いままでやっているのでしょうか。そういう面からも暴力団の財源をやはり締め上げていく必要があると思うのです。  まあ、徴収やいろいろ行った場合に、くりから紋々でも出てきて、何しに来たなんてやられると、これは税務署の徴収係も命がけになってしまうので、大変困難な側面もあるようです、論文を読んでみますとね。しかし、それを思い切ってやられませんと、不法な利得で、たとえば物すごい暴利でもって得ておる利得、あるいは先ほどの、お聞きのようですが、覚せい剤だけでも五、六千億から一兆円の年間の所得があるというようなことが言われております。それから上納金もありますね。これを断ち切っていきませんと、暴力団を財源の面から締め上げていくことができないと思うのですよ。  国税庁は市民に対しては厳しく税金の上取り立てをなさっているようで、いい悪いは別として、しかし暴力団には非常に寛大だなんてことになりますと、これはまた暴力団に市民権を与えることになります。     〔熊川委員長代理退席、委員長着席〕 ちょっと皮肉まじりで言いましたけれども、そういううわさも聞いておりますから、そういう点は厳重になさって、徴税の面から締め上げていくということをおやりになるお考えがあるか、あるいはそういう例がありましたら、暴力団関係からの徴税をどういうふうにされていたか、数字があったらここで示していただきたいと思います。

入江敏行国税庁直税部所得税課長

○入江説明員 先ほども申し上げましたように、私どもといたしましては、所得がある限りあるいはそれを認められる限り、それがどんな原因で生じたものであろうと課税するという原則にのっとってやっております。  いま御指摘のありました窃盗とかそういう問題については、返さなければならないから課税しないというお話がございました。以前そういう取り扱いを国税庁としてしてきた時代がございますけれども、昭和四十五年以降は、所有権が移ろうと移るまいと、暴力団であろうと何であろうと、利益が本人に帰属していれば課税をするという考え方に立っておりますので、窃盗その他のものも課税をするという原則で進んでおります。  まあ、余分なことかもしれませんが、裁判等で刑罰が決まり、その経済的利益が没収されるというような事態が生じました場合には、さかのぼって減額するという取り扱いをいたしております。  それから、そういう原則でわれわれ税務をやっておりますので、一般の納税者の方々以上に厳しくやっているつもりでございますけれども、ただ、先生いまもお話がありましたように、暴力団の課税というのはなかなかむずかしい面がございます。当然のことでございますけれども、取引そのものが正常じゃございませんので、端緒をつかむということが非常にむずかしい。あるいは、税というのは、反面調査その他で他の方々から情報を得るという手段があるわけでございますが、その関係者が暴力団である場合がありましたり、あるいは一般の方々であっても、お礼参りがこわくてその情報を提供していただけないというような状況がありまして、なかなか協力を得られないというような面もございます。それから、いま御同情いただきましたように、税務職員自身が自分の身に危険を感じなきゃならないというような事情もございまして、なかなかむずかしい面があることは事実でございますけれども、できる限り自分自身で情報収集に努めて課税を行っております。その場合にもやはり限界がございますので、警察当局ともよく連携を保ちまして、いろいろ貴重な情報をいただきまして、それに従った課税をやっているというのが現状でございます。  どんな例があるかというお話でございますが、個別事案につきましては、これは私ども守秘義務の観点がございますので、なかなかお答えしにくいのでございますが、たとえば、いま申し上げました警察からいろいろ情報をいただいて課税にこぎつけたという案件といたしましては、昭和五十五年の五月からことしの四月までの間に百件以上、そういう警察から情報をいただいて活用した結果課税にこぎつけることができたようなものがございます。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 それじゃ最後ですから。  国税徴収法でも、いろいろ税務署員が調べられるのは犯罪の捜査のためでないということがありますから、これは一定の限界があると思うのです。そういう意味で、さっきあなたの答弁にありましたように、警察は強制権を持って捜査していますし、調書もつくりますから、やはり警察とも密接な連絡をとりながら、所得に対する厳正な課税をぜひしていただきたいと思います。  最後に、法務大臣にお聞きしますが、私の質問は一時間で、非常に時間が制限されておるもので、暴力団や覚せい剤についての関係等について全面的な質問はできませんでしたけれども、その一端でおわかりだと思いますが、非常に重大な問題になっておりますし、ことに、最初は暴力団から強制的に覚せい剤を打たれた連中の幻覚犯が、全く非道な、子供を連れて歩いている母親について、母親と子供をその場で殺してしまうというような六月の深川の事件等もありますので、こういう事犯については法の総取り締まりをしておる法務大臣としても、暴力団の壊滅、覚せい剤の取り締まりの厳重な措置、それから国際的な関係が必要な場合には法務大臣としても厳重に国際的な申し入れをする、こういうような強力な行政手段をとっていただきたいと思いますが、最後に一言法務大臣の決意を聞いて、私の質問を終わります。

奥野誠亮自由民主党法務大臣

○奥野国務大臣 覚せい剤と暴力団、密接に絡み合っておるものでございますから、両方にらんで対処していく必要が非常に重要だと思っております。また同時に、この問題につきましては、覚せい剤の恐ろしさ、そういうことにつきましても社会一般の一層の自覚が必要になってくるんじゃないかな、こう思います。多角的に対処していかなきゃならないことでございますので、今後もあらゆる機会を通じまして、総合的な対策がより充実して進められるように努力していきたいと思っております。

林百郎日本共産党

○林(百)委員 終わります。

高鳥修自由民主党

○高鳥委員長 次回は、明後十六日金曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十六分散会

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