石炭対策特別委員会 第2号
- 発言数
- 57 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1981/10/22
会議録
○森中委員長 これより会議を開きます。 石炭対策に関する件について調査を進めます。 本日は、北炭夕張炭鉱株式会社夕張新炭鉱ガス突出災害について調査を進めてまいりたいと存じます。 今回の災害により多数の殉職者が出ましたことは、まことに痛恨のきわみであります。心からお悔やみ申し上げます。 この際、殉職者の御冥福を祈り、一分間の黙祷をささげたいと存じます。 御起立をお願いいたします。——黙祷。 〔総員起立、黙祷〕
○森中委員長 黙祷を終わります。御着席願います。 ————◇—————
○森中委員長 この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。 北炭夕張炭鉱株式会社夕張新炭鉱ガス突出災害につきまして、本委員会から北海道の現地に委員を派遣し、その実情を調査するため、議長に対し、委員派遣の承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○森中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、派遣期間は、本日及び明日の二日間とし、派遣委員の人選等は、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○森中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○森中委員長 次に、夕張新炭鉱ガス突出災害について、政府から説明を聴取いたします。通商産業大臣田中六助君。
○田中(六)国務大臣 北炭夕張新炭鉱のガス突出事故の概要と、その後の状況について御説明申し上げます。 夕張新炭鉱のガス突出事故は、十月十六日の十二時四十分に、坑口より地下約三千メートルの地点において発生いたしました。発生と同時に万全を期す努力をしておりますが、現在までのところ、死者四十四名、行方不明四十九名という現状でございます。 政府は、直ちに、通産大臣である私を本部長といたしまして、通産省政務次官、国土庁政務次官、労働省政務次官を副本部長とする夕張新炭鉱ガス突出災害対策本部をつくりまして、各省庁との連絡をとる準備をすると同時に、万全の措置を指示したわけでございます。 本部長である私は、十七日午前、東京を出発いたしまして、現地に赴いたわけでございます。 現地では、札幌鉱山保安監督局長並びに会社側、労働組合側と接触いたしまして、詳細な報告をお聞きいたしました。 そこで、私は、直ちに入院中の人々を見舞うと同時に、罹災者の家族並びに遺家族、そういう人たちとの面接を始めると同時に、労使双方に対しまして、まず救済第一主義、生命第一主義を指示すると同時に、鈴木総理大臣からお預かりしておりました見舞い金を北海道知事にお渡しすると同時に、陛下のお言葉を伝達したわけでございます。 帰京後、夜から夜中にかけまして第一回の災害対策本部会議を開きまして、まず決めたことは、第一は、罹災者を何よりも早急に救済すること。それから、罹災者並びに残された遺家族の人々に対する対策に万全を期すると同時に、罹災者援護対策ということをも一点のすきまもない援助の努力をするということ。第三番目が、各関係機関の連絡を密にするために地方連絡協議会というものを設置するということ。第四番目に、まずこの災害の原因究明が第一であるけれども、その第一段階が済めば、直ちに専門家を中心とする技術調査団、これを結成して派遣するという四点を決めたわけでございます。 したがって、私どもいまこの四点を中心に皆様の御協力を求めたいわけでございますが、災害が発生いたしましてちょうど一週間日に当たる今日、その救済についてのいろいろな方法を考えた結果、現在のところ、会社側と労組側あるいは罹災者の遺家族、そういう人々との間でどういうふうにして処置をするかということで、結論といたしましては、注水作業による罹災者の救済ということを目下交渉中でございまして、私どもはいまそれを見守っておる段階でございます。 さらに、私どもは、まず保安ということにつきまして、会社側と労組の、労使双方がまず自助努力によって保安体制を確実にするということ、その後にまた、政府側の鉱山保安監督局による総点検をするという指示を全国の石炭鉱業会社に指示しておりますし、これらの問題が一応片づけば、またさらに保安体制の整備を固めるという方針を決めておる段階でございます。 以上、かいつまんで新夕張ガス突出事故の概要とその後の状況を御説明いたしましたが、何とぞ皆様の十分なる御審議をお願いしたいと思います。 —————————————
○森中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺省一君。
○渡辺(省)委員 大変痛々しい災害の中で当委員会は開かれるわけでございますが、きょうは、衆議院の石炭対策特別委員会としても、現地に赴いて、不幸にして亡くなられた方々には委員長を初めとしてお悔やみを申し上げ、そしてまた、行方不明の家族の救出を願う関係者の御努力にひとつ院としても労をねぎらう、こういう立場できょうは石炭委員会が現地に赴くわけでございますので、そういう調査の経過、お見舞いの経過を経て、改めていろいろと、基本的な対策や当面する問題等について衆議院としてはできるだけのことを配慮していかなければならない、そういう立場でございますし、十二時に出向くということで、時間が制約されておりますので、ひとつ端的に、この救出作業その他、北炭の再建なるものがスムーズにいくようにということをこいねがいつつ、質問するわけでございます。 そこで、私も現地に参りましたので、ひとつ端的にいろいろなことをお伺いをしておきたいと思うのでございますが、いま大臣からもお話がございましたように、災害発生後直ちに政府の調査団と申しますか、通産大臣を初めとして現地に赴いていただけた、こういうことに対しては、現地では政府に大きく期待を寄せておるというか、直ちに取り組んでくれたそういう姿勢、配慮については、現地でも非常に温かく、感謝の気持ちで迎えられているわけでございます。現地の住民の中に入って、そういうことを感じたわけでございます。その点は大臣、政府、関係機関に対してお礼を申し上げたいと思います。 ただ、今日までの経緯の中でひとつお伺いしておきたいのは、災害が十六日の十二時四十一分に発生をして、その翌日のたしか午前二時であると思ったわけでございますが、社長が、人命救済その他の措置をしながらも注水をしなければならないという決断をしたという報道がなされて、翌日その午前二時にそういうことが提起をされて、七時ごろであったと思いますけれども、人命救助の立場で、ぜひひとつそういうことで坑内にいる被災者の救出に当たりたい、こういうことが提起をされて、地元では、坑内の事情が一体どうなったかという疑問を率直に提起をしておったわけでございます。 最近、注水をするために労使双方、家族といろいろ協議をしておるということが新聞報道されているわけでございますが、どうも一般的によう理解ができないというふうな声として出ているのは、一体、注水をしようと決断をしたこの二回目の時期までに、保安上の問題やその他の問題を含めて、どういう具体的な変化があるのでそういう決断をしようとしているのか。それはある意味からいうと、お伺いをしたいのは、その具体的な変化がどういうふうにあったかということを保安当局でどう受けとめているかという問題と、それから、最後の断を下す場合に労使双方、家族の同意を得なければならぬということがあると思いますけれども、これは当局としては法制上どういう立場で対応するというか、そういう法制上の問題も含めて、手続も含めて、この際ひとつお伺いしておきたいと思うわけでございます。
○田中(六)国務大臣 お答えいたします。 会社側が二十四時間、一日もたたない前に、極端に言えば半日もたたない前に注水をするというようなことを一度提示したことにつきましては、私はむしろ怒りを覚えるような形で、現地へ赴きましても、端的に申しますと、会社の社長さんに、愛情が足らないのじゃないか、どうかしているのじゃないか、ということを強く申し上げまして、いずれにしても救助第一だ、人命尊重という観念を忘れておるのじゃないかという観点から、そういう指示をいたしました。まず罹災者の救済に専念しろ、こういうことを言い続けてまいったわけでございます。 事故が発生いたしまして、先ほど私は報告いたしましたけれども、それから一週間、七日たつわけでございまして、まだ行方不明者が四十九名おるわけでございます。したがって、私どもは、これらの人々をどういうふうにしていくか、死亡確認をしておる十名を含めますと五十九名の人があの地下におるわけでございまして、いろいろなことを勘案いたしますときに、まあいろいろなことと申しますと、具体的に申し上げますけれども、他の坑道にこれがつながっておる坑道がございまして、それは西部と北部の第三号地区でございますが、事故の起こったところは北部第五地区でございます。第三と西部の地区にこれが蔓延するおそれが徐々に出てきたこと、それから罹災者の、地底におるであろう人々の種々な条件を勘案いたしますときに、どうも、注水しなければならないのじゃないか。たとえばエアバッグによる密閉というようなことになりますと、それでは完全に密閉ができない。しかも危険性が伴う。それから本明け、つまりすべてが終わってそれをもとに戻すということになりますと、半年以上もかかる。それにつきましては、注水の方におきましてはまあ四日から七日ぐらい時間はかかりますけれども、バルブをあけるだけで済みますし、それも水のかげんによって、生存者がはっきりする場合はそこでまあ解決の方法、明るい方向があるというようなことで、注水作業、それが本明けになりますと三、四カ月で注水の場合は済むというようなこと、いろいろなことを考えまして、注水の方がいいんだろうという現地の判断でございます。 この判断は、あくまで会社と組合、それからまた罹災者の家族、そういう人たちの同意が必要ではないかというふうに思われます。したがって、その点を私どもは見守っておるわけでございまして、会社とそういう罹災者の家族の方々の同意ということがいずれにしても先決でございます。 また、政府がこれらについていろいろなことを申し上げたり、いろいろな指導をするというようなことは、法律的にもそういう規定はございませんし、法的な政府の介入ということは不可能でございますし、現在のところ、私どもは会社側とそういう罹災者の同意という点を見守っておる実情でございます。
○渡辺(省)委員 私の時間は十時までですから、かいつまんでひとつ申し上げたいと思うわけでございますが、ちょうど七次答申が行われて、それぞれ各社、石炭会社は新政策のもとにスタートしたやさきでございます。 そこで、今日までの経緯の中で、炭鉱は保安と生産、これは車の両輪である、こういうことが言われながら、ややもすると保安なおざりではないかという論議を時として耳にするわけでございますが、今日までの政府の指導その他経過の中で、そういう保安というものについていかに重点を置いてやってきたかという経緯等が明確になれば、ぜひひとつ、この災害を契機にしていろいろの議論が発生しておるという立場から、この新しい答申を受けたこの時点で、大臣としては、保安問題、生産問題で、特に新答申との絡みの中で政府として最善を尽くしておる、そういう実態があるならば、あるいはこれから具体的にどう指導していくかということも含めてそれをもしお伺いさしていただければ、伺いたいと思います。
○田中(六)国務大臣 現在のところは、まず罹災者の救済あるいはこの対策、これが第一でございますし、頭いっぱいのことでございますが、その次の段階といたしましては、やはりこの原因究明というものをあくまで各方面からやっていかなくちゃなりませんし、先ほどの御報告にも私は申し上げましたが、専門家による技術調査団というものを組みまして、これを派遣して調査をすると同時に、今度は、罹災者の問題につきましても司法的な対処もありますし、そういうことが済んだ段階でいろいろなことを考えなければいけませんけれども、私がいま考えておるのは、つい八月にありました第七次石炭審議会の答申による精神と申しますか、その答申そのものは、やはりこれに準拠し、これを参考にし、それを守っていくという方針は持っていこうという考えでございます。 しかし、いずれにしても、現在のところは原因究明ということを頭に置いていくという考えでございますが、渡辺委員御指摘の石炭政策全般についてどうかということにつきましては、端的に申しまして、第七次答申を遵守していくということが言えるというふうに考えます。
○渡辺(省)委員 いま大臣から御答弁がございましたが、当面の災害の中では、ひとつ人命尊重の精神を貫いて万全の体制を期するということで、政府も指導してやってきたという経緯はよくわかりました。ただ、当面注水をするかどうかの重大な決断を迫られているこの時期でございますので、いろいろと申し上げることはひとつ差し控えたいと思いますが、ただ、いまの時点で取り上げる問題ではないと思いますけれども、それは、大臣もいま申し上げましたように、指導しながら、対応しながら、見守りながら、技術調査団を派遣して原因の究明をするという経緯を経なければ、それは触れられない問題だとは思いますが、どうも最近聞いておりますと、当委員会は石炭対策特別委員会でございます、そういう立場からわれわれ耳にするのは、どうもこれだけの人命大災害を起こすのであるならば、外国から石炭を買う、そういう立場で石炭問題の見直しをしてはどうかとか、あるいは人命災害を伴わない原子力発電等に置きかえをするということをしてはどうかという、まあ一つの考え方かもしれませんけれども、日本のエネルギーの諸情勢を踏まえた計画があって、七次答申を受けて、そして、しかるべく関係の方々の意見を徴して一つの大方針を決めている段階の中で、そういう話がぽんぽんと出るようでは、これは石炭に対する、エネルギーに対する大変な不信の声にも逆に通じていくのではないか。ですから私は、そういう意味で、いま七次答申を尊重して大臣は行われますという話をしておりましたが、しかしそれは、石炭の立場から、今次の災害に関連してのそういう声に対して政府としてどう対応するか、基本方針並びにそういう声に対して大臣としての考えがあれば、この際ひとつ明確にしていただきたいと思います。
○田中(六)国務大臣 第七次答申に盛られておる精神をあくまで堅持していきたいということをさらに具体的に申し上げますと、私どもの日本の総合安全保障というような観点からも、エネルギー政策というものが第一でございます。油の九九・八%を外に依存し、しかもその代金は、金目にいたしまして実に五百四十億ドルから五百五十億ドル毎年支払うわけでございます。これは実に膨大な金額でございまして、安全保障とそれからそういう経済面から見ましても、私どもは第七次答申において二千万トン程度ということを掲げておりますけれども、それが達成できるできないということは別にいたしましても、少なくとも日本の唯一無二のはっきりしたエネルギー資源でございますので、この確保については万全を期すことが私は当然ではないかと思いますし、私が申し上げました石炭の第七次答申を尊重するということは、そういう意味合いを十分含めた上のことでございます。
○渡辺(省)委員 大臣から明確なお答えがありまして、ぜひわれわれもそういう方向で行ってもらいたいということをお願いしているわけでございます。 そこで、七次答申を受けてスタートした石炭各社がそれぞれいま努力をしているわけでございますが、たまたま不幸にして今回の北炭の災害が起きたわけでございます。エネルギー政策の七次答申を受けて、尊重してやっていくという大臣の姿勢について、昨年北炭に災害が起きたときに一つの問題が地元なりに提起されておりました。詳細にここで申し上げる必要はございませんが、商工会議所のメンバーはみずからの貯金をおろして、これを約二億程度拠出をして、資金不足分というものについて自分らみずから参画をしてひとつ立ち上がりたい、市の方も五億程度、北海道庁も七億程度の資金を拠出して、そしてあの苦しい情勢の中でスタートしたわけでございます。そういうことが背景にあるからかどうかわかりませんが、今次の災害の大きさ、それから起こった時期等を踏まえながら、少しく、石炭政策の変更というような大きな観点ではないにせよ、実はこの北炭の存亡、夕張新鉱の存亡の問題まで、市民の間には非常に不安と焦慮の中でこの問題がささやかれているわけでございます。 御存じのとおり、北海道から出る石炭の半数近くは、北炭系列の真谷地炭鉱、三笠市の幌内炭鉱、それから歌志内市の空知炭礦から出るというふうに、この北炭夕張新鉱の帰趨が、北海道から産出される石炭の約半分を生産する北炭の帰趨を握っておる、こういう大変重要な立場にあるので、この答申を尊重するということと今次の災害とが絡み合って、地元の悲願も含めてこれらは尊重された形の中で行ってもらえるのだとわれわれも確信しておるわけでございますが、話の中には、東京発の汽車は北海道に行くのか九州に行くのか、どうも行き先不明であるかのごとき論議すら出ているわけでございまして、こういう面は、いま技術調査団を派遣する、救出をする、それらの経過を経なければとは思いますが、その方向なるものは大臣としてはどういうふうに受けとめておられるか。これはひとつ最後の質問にしたいと思っておりますが、お伺いしたいと思います。
○田中(六)国務大臣 先ほど申し上げましたように、まず罹災者の救済あるいはその家族に対するいろいろな援護対策というようなこと、それから原因究明というようなことが先決でございますけれども、その後の問題といたしまして、私どもはやはり会社と労働組合、つまり労使の自助努力、そういうもの、それからもちろん日本の国のエネルギー政策、それから地元民、地域住民のお考え、それから債権者の一つの考えもあるでしょう、そういうものを総合的に判断いたしまして処置をしたいと思いますけれども、私どもは、地元民のこともエネルギー政策のことも十分考えた上で結論を出さなければならない、こういう意向を無視した態度というものはとれないというふうに考えております。
○森中委員長 岡田利春君。
○岡田(利)委員 今次の災害は、私自身としては、一言で言えば残念至極であり、断腸の思いだ、こういう気持ちでいっぱいであります。大臣が、災害が起きた翌日現地を視察されたということについて、私は敬意を表したいと思います。 ただ、ここで、当時この地域には百六十人、直轄が九十四人、請負が六十六人配番になっていたわけです。だが、災害直後この地域の入坑者、配番人員の確認が非常に不明確で、しかも最終確認が手間取ったという点が実は明らかになっておるわけです。 第二点は、いまも質問がございましたけれども、十七日の未明、坑内の火災発生後直ちに、社長は坑内に注水の決断をして遺族に呼びかけた。しかし、その直前には十五名の生存者が誘導無線で確認をされておった、こういう事実が明らかに存在をいたしておるわけです。 したがって、私は、大臣が現地に行かれて、これらについて特にいまも述べられておりますけれども、現地における大臣の率直な感想といいますか、また、これらの問題についての御意見をこの機会に承っておきたいと思うのです。
○田中(六)国務大臣 第一点の配番についてのいろいろな混乱、これは私も痛感をいたしましたが、だんだん聞いておりますと、非常に広範囲にわたっておった関係上それがうまくつかめなかったということ、それからもう一つは、直属の炭鉱労務者の方々と一般的に言われている組夫、そういう人々との混乱があったということを聞いております。 いずれにしても、そういう非常に広範囲で、しかも、いろいろ組夫の人たちと直轄の人々との組み合わせがあったというようなことは、私に言わせれば言いわけにすぎなくて、やはり働いておる人々の現状把握というものが、どんな言いわけをしようが、はっきりできないという事態は見逃せないことだというふうに私は現地でも思いましたし、いまも思っております。 それから二番目の、早目に十二時間もたたないうちに、しかも岡田議員御指摘のように、十五名の人たちが反応して、生きておるという事態がはっきりわかっておって注水をするというようなことは、常識では考えられないし、私もつい社長さんに向かって、あんたは愛情がない、愛情のかけらもないじゃないか、ということを口走ってしまったのですけれども、やはりそういうようなところが、ガス突出というのはなかなかどうにもならない点もあるけれども、何かが欠けて人災につながっておるのではないかという心残りが強くありまして、こういうことになったわけでございますけれども、私は今後とも、北炭新夕張その他の炭鉱もありますから、そういう点は労使の協調といいますか、そういう大事なところについてはもう基本ベースでございますので、でき得るならば、その点のことについては何一つ欠けるところのないようにということを希望すると同時に、そういうふうに持っていきたいと心から思っております。
○岡田(利)委員 この場所は業者の岩盤掘進現場もございますから、いわば社外の鉱員が六十六人も配番されておった、こういうことになるだろうと思うわけです。しかも、今次罹災された関係から申し上げますと、その四〇%に当たる三十五人の人が実は社外の人であるわけです。したがって、遺族への補償措置というのは、労働組合が存在をしておりますから直轄鉱員についてはそれぞれ労使で話し合いが行われるわけでありますけれども、組夫の関係については、これは雇用形態が違いますし、いわば下請会社と会社の関係ということで、過去においてもともすれば軽んじられる、こういう欠陥があったことは事実であります。したがって、特に今次の災害の内容を見ますと社外の三十五人の鉱員が災害を受けている現状から見れば、当然これについては万遺漏のないよう、政府としてもこの補償措置については平等に指導しなければならぬではないか。私はこの点を特に過去のそういう経験にかんがみて心配をいたしておるわけですけれども、この点についての大臣の見解を承っておきたいと思います。
○田中(六)国務大臣 岡田委員の御心配は非常によくわかりますし、私も実は、直轄夫の人たちのことももちろん心配になりますけれども、組夫の人たちがどういうことになっておるのだろうか。まあ有力な、有名な会社の関係の組夫の人は、これもはっきりはわかりませんけれども、やはり労使の間柄でそういう取り決めがあると思います。しかしまた違った部分の人たちで、その取り決めのない人たちはどうするかということを岡田委員、御指摘だと思います。 私どもは、その取り決めのある部分についてももちろん政府なりの指導はせなければなりませんが、ない人たちについても私どもは万全の措置をもってそごのないように、罹災者の家族の人たちが困らないような措置は人道上でもとらなければならないというふうに思っております。
○岡田(利)委員 災害が起きてちょうど一週間日を迎えたわけですが、ガス突出、その後救護隊が入って、この救護隊の救助の体系についてもこれから調査をしなければなりませんけれども、その間坑内火災が発生して十名が二次災害に遭う。その後十八日の夜には坑内で小爆発が感知をされて、そこでエアバッグで一応仮密閉遮断を行ったという経過があるわけです。 そういう経過をたどって、今日の状況は観測器で坑内状況を観測されておると思いますが、いまの状態で火は鎮火する状況にあるのか、そうでないとすれば、確実な方法で鎮火をしなければ救出ができないわけでありますから、そうしますと常識的に完全密閉をするか、あるいはまた注水方式で一応火を消すか、このいずれかを決断しなければならないということは確かだと思うわけであります。しかし、完全密閉する場合も、仮密閉のいわばエアバッグの遮断点は突破をして、しかるべき地点を設定をして、相当時間をかけて完全密閉せざるを得ないというのが、作業順序のきわめて常識であろうと思うわけです。 これは注水方式を労使で決めておりますけれども、その安全方法あるいはまた言われておる時間的な問題については、現地で労使が遺族に説明しておる内容では一応消火ができる、こう理解していいのかどうか、この機会に承っておきたいと思います。
○安藤説明員 お答えいたします。 まず現在の坑内状況でございますが、各所にガスの観測地点を設けておりまして、精密にガスクロマトグラフにかけまして連続的に測定を行っておるところでございます。 その状況について申し上げますと、メタンガスあるいは一酸化炭素は密閉後の状態もほとんど変化がないと言う方がむしろ正しいかと思います。若干の変動はございますが、大勢的に申しますとむしろ変化がないと言う方が正しいかと思いますが、最近に至りましてメタンガスが少し上がりつつある、むしろ爆発限界内に入っているということで、非常に懸念をいたしておるわけでございます。また、一酸化炭素の方はまだ相当検出されておりまして、これから見ましても、中の状態は全く、入って見ておるわけじゃございませんが、鎮火しているというような決断は絶対下せない状況にございまして、こういう状況でございますからそばにも近寄れない、遠くの方から見守っている、観測を続けているという状態でございます。 そういう状態でございますから、二次爆発あるいはこの火災の類焼といったことが十分懸念されるわけでございまして、この防止手段としましては、いま先生からお話がございましたように、もう本格的に密閉して徹底的にこの部内を酸欠状態に追い込むか、または注水によりまして火源と思われるところを徹底的に消火に追い込む、この二つの方法しかないと言っても過言じゃないと思います。 いわば密閉方法でございますが、本格的密閉ということになりますと、約五カ所前後の個所にフライアッシュによる完全密閉が必要かと思います。そのときには、一カ所おおよそ二日程度の期間を要するかと思います。もちろん、五カ所程度と申しましても、一つ一つやるわけじゃございません。ある程度同時にやれるところもございますから、密閉がそのトータル量としての期間を要するということはございませんが、かなりの時間を要しつつ、かつ、問題はやはり、いまの部内が危険状態にあるということから果たして安全作業が可能かどうか、こういうところに尽きるわけでございます。 また、密閉してその後の効果を見ながら取り明けということになるのですが、過去のこういった密閉による取り明けの事例を申し上げますと、やはり半年、長いところではもう少し、まあ一年近くかかるという結果もありまして、要するにかなりの長期間をこの方法では要するのじゃないか、こういうふうに考えております。 次に、注水方法でございますが、この方法によりますと、いま火源が一番下の八百十レベルにあるのじゃないかというふうに予想されておりますが、なお十八日のいわば爆発と思われる現象から火源がかなり上の方に来ているおそれもございますので、これは何とも申し上げかねますが、仮に下の方に火源があってそこに注水すればいいということになれば、これは斜坑でございますので上から流し込めばいいということでございますから、わりあい早く消火活動ができていくのじゃないか。これは板に上の方まで火源が及んでいたとしても、五日前後で注水が可能かというふうに考えております。 なお、この後の揚水関係でございますが、これはもうあくまでも注水量とめ関係になりますから何とも申し上げかねます。これはガス観測をしながら、要するにどこで効果が発揮されたかというところでストップさせるわけでございますから、結果的に見ないとわかりませんが、仮に相当量入れたとしましても、二十日前後で揚水が可能かと思います。その後一部修復いたしまして、揚水あるいは取り明けの準備をいたしまして、取り明け坑に入っていくということになろうかと思います。これにつきましては、全く注水量との関係でございますので、先ほど大臣は三、四カ月と申し上げましたけれども、これは過去の例で、かなり量を入れたというときあるいはかなり坑道が傷んでいるというときの状態を想定した数字でございまして、あくまでもこれは注水量の結果との関係で出ると思います。 したがいまして、総体的に申し上げますと、この注水方式あるいは密閉方式という方法をとるにせよ、いずれにしても、やはり確実に収容できる、かつ安全に、かつ早く、この三つの点が基本方針じゃないかと思います。
○岡田(利)委員 今次災害は、二次災害犠牲者が十名出ておるわけです。したがって第三次の犠牲者は絶対に出してはならない、このことをやはり念頭に置いて、これからの救出活動、救出作業については指導しなければならない、この点だけはぴちっとした態度をとらなければならないと思うのですが、いかがですか。
○田中(六)国務大臣 この災害が起こった北部五号地区ですか、この地区と関連した地区、西部と北三号地区というのがございますので、いまのところわれわれが懸念しておりますのは、災害があった地区だけじゃなくて、そちらの方に坑道がつながっておりますから、そちらの方に波及する可能性がそろそろ出てきたという報告も聞いておりますので、それでは大変だということも考えまして、そういうようなことも十分頭に入れて対処していかなければなりません。したがって、第二次、第三次災害の勃発ということと結びつけ合わせましてこの問題の処置をやっていかなければならないというふうには十分考えております。
○岡田(利)委員 ここには保安監督署がありますけれども、今次災害発生前の保安監督官の巡回密度、それから特に保安監督官の勧告事項として、災害直前の日数の中で一体どういう勧告が行われていたのか、この点をひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
○安藤説明員 お答えいたします。 当炭鉱は再建途上であるということから、また大変ガスが多く、盤圧が強くかつ温度が高いということから、端的に申しまして、九北も含めてですが、やはり一番問題の山じゃないかと思います。そういったことから、当方といたしましては、この炭鉱を重点炭鉱として取り上げまして、夕張監督署のみならず本局の職員も動員いたしまして、従前からプロジェクトチームを編成しておりまして、そのプロジェクトチームによりまして、大体月平均三回、他の炭鉱は大体一回でございますので、頻度的には三倍と申し上げて差し支えないかと思います。それほど頻度を高めてきめ細かく指導し、かつまた、その指示した結果によりまして、場合によっては保安確保補助金を交付いたしましてその改善を促進するとか、そういったやり方をとってきたわけでございます。 いま御指摘のありました、監督に当たってどんな点を指摘したかということでございますが、主に、こういった山でございますから、やはりガス関係の問題だとか、あるいは坑道維持の関係の問題だとか、多岐にわたって指示をしていたことは事実でございます。
○岡田(利)委員 私はかつて夕張新鉱の西部地域には入ったことがあるのですが、今日の北部には坑内に入ったことがないわけであります。ただ、伝えられるところによると、この地質、炭層条件は、西部の上層、下層が一体となって、いわば上下層合わせて七メーターの炭層に賦存している。地質条件は上下盤が非常にかたくてよろしい。それだけに今次の突出ガスという問題についてもいろいろ思いめぐらされるところがあるわけでありますけれども、そう聞いておるわけです。この点については間違いがないかどうか、この機会に確かめておきたいと思います。
○福川政府委員 御指摘の北第五部内は、従来未採掘であった新区域でございますが、現在までの坑道掘進あるいはボーリング等のデータによりますと、この夕張層の中に傾斜が約二十度で四枚の炭層が把握されております。上からまいりますと、一般炭の平安八尺層その下に六尺、八尺、十尺という四つの層がございまして、現在採掘を計画いたしておりましたのは、原料炭層の炭丈六メートルあるいは七メートルという十尺層でございまして、これは上下二段にわたって採掘し得るものというふうに報告されております。 今後の稼行炭層十尺層の上下盤の岩石は、従来からの主力のフィールドでございます西部内よりはかなり強固なものである、含水率は低いということが報告されております。また、断層等の賦存状況は今後のまだ坑道展開を待たなければならないという点はございますが、いまの炭層等の条件は、いま申し上げましたような状況でございます。
○岡田(利)委員 最後の質問ですけれども、私は、ある程度の余裕と安定性のない生産というものは災害につながる、こう申し上げざるを得ないと思うわけです。したがって、北炭の場合には、まず経営を一定の維持をしていくというところにあり、通産省も、何回もこのための小委員会を開いて、それぞれ経理審査等も行ってまいったわけです。いずれにしても、この山をどうするかということは、ある程度の余裕性とそして安定性を求めなければまた災害につながる。だから石炭問題というのは、こういう保安面からいっても私企業ベースでは無理がある。特に日本の現状はこれが深部化するわけですから、石炭問題の意識というものは体制問題の意識が常に働いていなければならないということを、過去一貫してわれわれは主張してきたわけです。今回の災害についてもそう感ぜざるを得ないわけであります。そういう意味で、同じ地域である三菱大夕張の状況は、採掘方式も違うし、もちろん切羽設備も違っておりますし、あるいはまた、発破採炭ではなくしてエアプラスターを使うとか、隣接の炭鉱でも掘進の方法や採炭の方式が違って、それでも南大夕張も災害がございましたけれども、一応安定的な、ある程度余裕を持った生産をしている。これが三菱大夕張の実態であるわけです。 こう考えてまいりますと、そういう意味でこれからこの山をどうするかということは、ぎりぎりぎっちょん、あす倒れるかどうかわからないような状態で、そして一方では生産を維持し、一方では安全確保を図っていくということは、離れわざだと言わざるを得ないと思うのです。そういう点を念頭に入れて、この技術調査団が入った後どうするか。やはりわれわれは、国家の資源である、またエネルギー政策の中における資源であり、最も新しい山であるという点を念頭に入れて、その対策を考えなければならない、こう思うわけであります。 特に、夕張地域というのはこの炭鉱と三菱大夕張でありますから、夕張のそういう点を考えて、一方では余裕を持ってある程度安定的に生産をしているわけでありますから、そういう方向を考えながら、技術調査団等の最終結論も待って、従来の次元にこだわらないでこの山をどうするかということを考えるべきである、私はこういう意見を持っているのでありますけれども、最後に大臣の御答弁をいただいて終わりたいと思います。
○田中(六)国務大臣 私どもは、罹災者の問題をまず第一に十分な措置で考えなければいけませんが、その次にはやはり原因究明というものが出てくると思います。したがって、専門家による技術調査団などの派遣、あらゆる角度からこれを調査、究明していかなければいけませんけれども、炭鉱ということにつきましては、余裕性と安全性が御指摘のとおり第一だと思います。 したがって、私ども、実はこの新鉱開発についてのスタートのときからそういう観点で対処してきたつもりでございますし、何かと指導し、先ほども事務当局から申し上げましたように、わざわざプロジェクトチームまでつくって、この炭鉱の指導には万全を期したようなつもりでございます。 と申しますのは、これも指摘されておりますように炭が非常にいい。本当にりっぱな石炭でありますし、やりようによっては北炭の再建にもまっしぐらにつながるというようなことであるわけでございまして、昨年の八月の火災から年末の再開についても、そういう余裕性と安全性についてはくれぐれも配慮したつもりでございますけれども、こういう結果になりました。 しかし、これからどうするかということにつきましては、岡田委員御指摘のように、私ども政府のでき得る限りの観点から、あるいはそういう指導という面がありますので、余裕性あるいは安全性というものに内部深くメスを入れて、検討して、対処していくということが言えると思います。
○岡田(利)委員 終わります。
○森中委員長 斎藤実君。
○斎藤(実)委員 まず田中通産大臣にお尋ねいたしますが、今回の十月十六日昼過ぎに起きた北炭新鉱のガス突出事故につきましては、戦後三番目という行方不明あるいは死者九十三人を数えておりまして、きわめて国民に大きなショックを与えた事件であります。 そこで、私も、十七日の未明に現地に入りまして、いろいろ会社側あるいは従業員の方々、各方面の方々と懇談をいたしまして、実は感ずることがございます。それは、今回の夕張新鉱のガス突出がどうして発生したのか。それから、なぜこういうような多くの犠牲者を出したのか。 大臣御承知のように、五十年の営業開始後、たしか十月だと思いますが、同じくガス突出事故で五人が亡くなり十四人が負傷した、昨年の八月には火災を起こして四十五日間休業した、そして今回の大事故、六年間に三回の事故ですね。これは常識で考えられないことでございまして、なぜこういうガス突出が発生したのか、多くの犠牲者を出したのかということにつきまして、大臣から率直な御意見をいただきたいと思います。
○田中(六)国務大臣 人災か天災かということもいつも私も頭の中に考えるわけでありますが、これはたとえば、北炭の新夕張という炭鉱は非常にいい炭が出るということは言えるのですけれども、他の炭鉱に比べて地盤が非常に脆弱である。それから、日本全体の炭鉱そのものが非常に深部というか、露天掘りなどは全然できない、深く掘らなければならない。そうしますとどうしてもガスというようなことが頭に浮かぶわけですし、現実にそうなんです。また、この炭鉱そのものがいろいろなそういう自然の悪条件にプラス・ガス山なんです。御承知のように、ガス突出とかいうガスの関係は、数分前に点検しておっても、その後数分たってまた起こる。この炭鉱でも、今回でも直前にガス抜きあるいはいろいろな措置をとっておったにもかかわらず、こういう大事故を起こしておるわけであります。 それならば天災であるか、自然の条件でそうなったのかということだけにしぼれるかと申しますと、会社の人も労務者の方々にも何か緩みといいますか、なれといいますか、そういうものがあったんじゃあるまいかということは考えられますし、もちろん監督する私どもの反省も十分しなければならないというふうに考えますし、これらの点につきましては、いままでも保安第一主義で、人命は尊重しなければならないという考えでやってまいりましたけれども、これから先もそういうことを第一に考えつつ、保安には万全を期しつつやっていかなければならないという気持ちでございます。
○斎藤(実)委員 私も現地へ行きまして、いろいろな各方面の方々と懇談をして受けた感触は、今後の原因の究明については、これからまた調査団も派遣されるでしょうから、その結果にまたなければなりませんけれども、会社側は、今回のガス突出を予測できなかったという説明をしているわけです。しかし私は、これは全く天災ではない、人災だというふうに判断をしているわけです。 と申しますのは、来年の三月の出炭開始予定を一月に繰り上げ、とにかく採炭作業も優先させたということ。そのためにガス抜きが十分ではなかったということ。それから、安全避難施設が十分ではなかったということ。それから、事故発生から三十分後に会社側が避難命令を解除した、これが犠牲者をふやしたのではないかということ。結論を申しますと、会社側の保安体制のずさんさ、ガス抜き対策の甘さというものが、今回の大惨事になったのではないかというふうに私は見ておるわけです。 鉱山の保安規則では、坑内ではメタンガス濃度が一・五%に達するとブザーが警告をして、二%になれば作業中止を義務づけているわけですが、坑内の作業員の証言によりますと、とにかく増産を達成するためにはブザーを無視して作業させている、こういうことを私はいろいろな方々から証言を得ているわけでございます。 大臣、こういう大惨事が六年で三回も起きたということ、これは、北炭に対しては昨年の事故以来再建させるために政府も一千億の融資をしているわけです。これは国民の税金ですね。したがって、私は、この炭鉱の今回の事故については政府の責任も免れないと見ておるわけでございますが、全国にあります炭鉱の安全対策について今後どういう対策をとられるのか、大臣から伺いたい。
○田中(六)国務大臣 従来もこの保安対策については、保安に対する政府資金もかなり出しておりますし、万全を期すことは指示しております。しかし、いろいろなところで事故が起こることは非常に残念に思うと同時に、責任も感ずるわけでございます。 これから先どうするかということでございますが、今回の事故後直ちに、私どもは、全国の石炭鉱業会社に対しまして、まず第一は、労使挙げて保安対策に万全を期するように、自分たちの力でまず点検しなさい、それから、もちろんそれに伴って、私ども鉱山保安監督局あるいはそういう関係の人々が総点検をするということを指示しております。 また、今回の夕張新炭鉱のガス突出事故の原因究明を急がなければなりませんが、その結果によって、また再び全国に、どういうことがどうなったということを詳細に告示いたしまして、保安の安全を期する指示をするために、内々いろいろな準備はしておる段階でございます。
○斎藤(実)委員 大臣が現地を訪問されまして、石炭政策の見直しについての発言が報道されておりますが、こういう事故が起きて二千万トン体制ということが崩れてくると私は思うのですが、今後の石炭政策につきまして大臣から一言伺っておきたいと思います。
○田中(六)国務大臣 第七次答申には二千万トン程度というようなことを一応書いております。しかし、すでに御承知のように、数年前から現実には千八百万トン程度が出ておりますし、千七百万トンまで下がった年もございます。 しかし、私どもは、そういう第七次答申に書かれております、あるいはそれを一つの目安としていく体制というものは十分尊重しなければならないと思っておりますし、日本の総合エネルギー対策といたしましては、そこに石炭というものが基本として、たとえばもし二千万トンとれなくても、それが一千八百万トンというようなことになりましても、それがあるとないとでは、私はエネルギー政策全体にとってはずいぶん違うと思うのです。 したがって、私どもは、あくまで答申の趣旨にのっとっていきたいと思いますし、といってそれをがむしゃらにやって、保安もへったくれもないというようなことは考えていませず、十分保安体制をとりつつそういう目安が達成できるという、まあ欲の深い考えでございますけれども、一つのバックボーンとしてのそういう第七次答申は尊重していかなければならないというふうに考えております。
○斎藤(実)委員 最後に御要望を申し上げて質問を終わりたいと思うのですが、被害を受けた遺族の補償につきましては、ひとつ十分満足のいく補償を配慮されるように心から希望いたしまして、私の質問を終わります。
○森中委員長 小沢和秋君。
○小沢(和)委員 私は、今回のこの大災害の犠牲者の方々に対して、心から弔意とお見舞いの意をまず表しておきたいと思うのです。 私自身、今回のこの大災害の報に接しまして、もう非常に残念な思いを感じました。なぜかというと、私は去る八月七日、ちょうどこの石特委の前回の審議のときにこの北炭夕張新鉱の問題を取り上げまして、それまでも再三にわたって死亡事故が起こっている、また災害の発生率も異常に高いというので、私自身が調査した結果に基づいて、非常に危険だ、このままではまた大災害が起こるということを、そのとき強く警告をしておったわけであります。それが、残念ながら現実になってしまったからであります。 私は、その質問のために、七月に現地に参りまして、新鉱の坑内、北部の今度の災害の発生したごく近くまで入って、坑内を調査してまいりました。この調査のときにずっと私につき合ってくれたのが、今度やはり犠牲者になりました田口市会議員でありました。田口さんは坑枠を抱えたような状態のままで亡くなっておられたということを聞きましたけれども、この保安のためにずっと闘ってこられた田口さんがこういう形で亡くなられた、御本人も若かったし、本当にどれほど無念であったろうかと、私自身も胸が張り裂けるような思いでいるわけであります。 こういう田口さんの訴え、また私自身がああいう警告したようなことが生かされておったならば、こういう事故はなくて済んだのではなかろうか。私はそういう意味では、これは明確に人災ではなかろうかというふうに考えておるわけでありますが、このことについては詳しくは、近い機会にまた当委員会が持たれるということでありますから、私はそのときにぜひまたこのことは論じたいと思うのです。 そこで、大臣にこの機会にお尋ねをしておきたいと思いますのは、先ほどからの答弁を伺っておりますと、会社のこれまでのやり方については、大臣からは、愛情がないとかあるいは人災につながっておったのではないかというような、なかなか厳しい御指摘があるわけですが、政府自身の責任ということについては大臣はどうお考えになっているのか、ひとつ端的にお伺いしたいと思うのです。
○田中(六)国務大臣 政府の責任はどう考えておるかということでございますが、私どもはやはり行政指導というようなことから考えますと、私どもが全く責任がないというようなことは考えていませず、政府がやはり監督あるいはそういうような一つの問題を持っておりますので、私どもがここで責任を免れたいとかあるいはそういうものが全くないというような腹構えはありませんし、そういうことで言い逃れようというような気持ちは私自身さらさらございません。
○小沢(和)委員 いま大臣が責任そのものについて否定するわけではないというふうに言われたのは、私は当然だと思うのです。私はむしろ政府にも非常に大きな責任があるというふうに言い切れると思のです。 実際、北炭のいままでの経過というのは、私がいろいろ申し上げるまでもなく、ことしの三月の段階でも、一方では人減らし、他方では大変な増産の計画を、今後の援助をしていく上での前提として労使にその達成を要求しましたし、特に九月二十五日には未達成だということでしりをたたきまして、その直後には、来年の三月からということに予定をされた北部の方が一月からということで繰り上げられて、そのために掘進の速度などが引き上げられた。途端にこういうような事故が起こっているわけであります。 私なども常識的に考えてみると、掘進の速度を上げればガス抜きなどにどうしたって無理が出てくるということになるんじゃないでしょうか。そうすれば、政府がこういう形でしりをたたいたということは、私は災害の背景として非常に大きな要因、責任を感じなければならないことじゃなかろうか、この点に限って言っても私はその責任は大きいというふうに考えるのですが、大臣はどうお考えでしょう。
○田中(六)国務大臣 日本は御承知のように、こういう炭鉱自体につきましても自主的な会社でございますし、政府の責任、責任というふうにおっしゃいますけれども、やはりプライベートな企業でございますし、労使双方の合意というものがあくまで先行すると私どもは思います。政府はそういうものに対する環境づくり、これこそ私ども自由民主党の抱いておる政策でございますし、そういう観点から、私どもは、自助努力と申しますか、労使の自助努力というものをいつも尊重しておるわけでございます。 したがって、事故云々につきましても、あるいは今回の作業を政府が繰り上げたじゃないかというような表現は、私はこれは全く当たってないと思います。やはり経営者と関係の労務者、そういう人たちがこの計画につきましても自主的にやったことでございまして、御承知のように、石炭審議会という一つの私どもの諮問機関がございまして、そこでその決定をしたわけで、それが無理ならば、それを押しつけられたあるいは押しつけたというようなことではなくて、十分労使間でその調整はできるはずでございますし、私どももそれを、三月を一月に繰り上げてこうしろ、ああしろと言ったようなつもりはございませんし、それがもしも無理ならばそれなりの対処はできたはずでございますし、そういう観点から、私どもがこの問題を強制して事故を起こしたというような短絡的な結びつけ方は、あなたの質問ではございますけれども、私どもはそれを、ああ、そうだというようなことは言えないと思います。
○小沢(和)委員 もちろん、いまの社会の仕組みで言えば、第一義的には労使が責任を持って生産もやり、保安も確保していくというのは当然だと私は思うのです。しかし、いまの北炭の労使にそういうような意味での完全な自主性が保障されておったかというなら、私はそういうことは言えないと思うのですね。何しろ政府が手を引いたらつぶれてしまうというような関係にある山、そして、これが最後のチャンスだぞということで政府の方がいま援助の手を差し伸べている。だから、政府の意向は絶対だということが言えるような関係のところじゃないかと私は思うのですね。だから今度の場合、九月二十五日に未達成だといって警告を受けた、その後、それを受けて三月にやるものを一月にやろうというような事態になってきた、これが今日の事態と無関係だなどというようなことは決して言えないと私は思うのです。 この点についてはまた詳しく議論をしたいと思いますが、時間もありませんから、最後にもう一点お尋ねをしたいと思いますのは、補償の問題であります。 わが党の三谷議員が行革特別委員会でこの問題を取り上げました席上、補償については政府としても万全の措置をとっていきたいというような御趣旨の答弁がありました。労災の補償についてはこれはすでに金の用意もなされたというような記事を私も見受けておりますけれども、炭鉱の労働者の場合、労使の間でこの労災の補償を上積みするというような協定がなされておるというようなことを私は聞いておるわけですが、現在のこの北炭の経営の状態などから考えると、退職金なども分割払いというような状況の中では、恐らく、こういうような合意があっても、労使で自主的にやりなさいと言っている限り、ほとんど払えないのじゃないか。私は、こういうようなことも含めて、同じ炭鉱労働者が全体としてそういう合意を結んでおるということについても十分配慮して、政府としても援助の手をこの面でも差し伸べてしかるべきではないかということを一つは考えております。 それから下請の労働者についても、先ほど、本鉱員の方々と補償の点で差別がないようにしていかなくちゃならないということが言われました。これも同感でありますけれども、いま申し上げたような点についてまで、ぜひそういう組夫と言われるような人たちについてもひとつ配慮をしていただきたい、この点についてどうかということをお尋ねをして、私の質問を終わりたいと思います。
○田中(六)国務大臣 ただいまの御意見は、私どもも十分それを実行するように指導してまいりたいというふうに考えます。
○小沢(和)委員 終わります。
○森中委員長 伊藤公介君。
○伊藤(公)委員 私どもがこうして委員会で質疑をしている間も、御遺族の皆さんや、被災者の皆さんの悲しみはいま絶頂にあるというふうに思います。同僚議員の皆様方と同様に、心からお見舞いを申し上げたいと思います。 しかし、今度のこの惨事に対し、私どもは、せめてもの償いで、二度とこうした悲しい事故が起きないよう、今後にこうした貴重な体験を生かすためには、何といってもその原因を明らかにしなければならないと思います。 事故から一週間経過をいたしました。私どもは新聞やテレビを通していろいろな生々しい報道を見、聞かしていただきながら、ここ一、二日の新聞論調は、日本のエネルギー政策の中で二千万トン体制というものが間接的には引き起こした人災ではないか、こういう新聞論調が非常に強くなっているように思います。特に通産大臣はマスコミ御出身でもあります。こうした国民の声、新聞論調に苦悩されていることは百も承知で、率直な大臣の御意見を伺いたいと思います。
○田中(六)国務大臣 日本のエネルギー政策という観点からの関連の御質問でございます。 私どもも、十年後に一億六千三百五十万トンという石炭の対策を持って、あとその中で二千万トンをずっと毎年維持していきたいという願望が、そのエネルギーの長期計画の中に盛り込まれております。しかし、現実にそれほど掘れないという事態がありますならば、それはあくまで目標あるいは目安でございまして、それを無理から無理に達成をしていくということは、保安ということ、あるいは人命尊重というような関連からも、そう何でもかんでもということにいかない場合もあると思います。 と申しますのは、一億六千三百五十万トン、それから二千万トン引いた実に一億四千三百五十万トンというのは海外に依存するわけでございますので、そういう観点から、それなら二百万トンあるいは五百万トンだけ引いて、千八百万トンとか千五百万トンで国内生産はいいんじゃないかということも、単純計算上からもそういう意見も十分あろうと思います。 それから、現実に海外の石炭価格の方が安い場合もございますし、これは現実に安いのです。それで、国内炭を受け入れるには、ユーザー側との折衝があったり、政府のいろいろな示唆があったり、またこういう事故ということも考えあわせますと、一つの考え方として当然国民の中から、こういう大事故が起こりますと起こってくるのは当然でしょう。まあそういう考え方自身、私どももその考え方が頭の中にどうしても浮かぶこともあります。 しかし、一応そういう安全性といいますか、事故などの絡みというものを除いた場合に、エネルギーの総合安全保障ということを考えて、日本にある確実なエネルギー資源としての石炭、こういうものの位置づけはしておかなければ、一つのバックボーンとしてのエネルギー政策が成り立たないわけでございます。 したがって、そういうことで第七次答申にも盛られておりますし、私どもはいまのところ、できるならばこれを尊重していくという方針に変わりがございませんし、といって安全対策というものをそごにしてはいけないし、これからも、原因究明ができますならば、その後これらについて、十分安全についても、あるいは先ほども他の委員にも質問を受けましたように、一つの石炭を掘るというのには余裕性と安全性というものが本当になければどうにもなりませんし、そういう点も勘案して、十分対処していきたいというふうに考えます。
○伊藤(公)委員 答申を尊重されるという大臣の御答弁が繰り返しあったわけでございますが、どうも過去のいろいろなデータを見ましても、五年間に炭鉱で亡くなられた方々、あるいは重軽傷を負われたという方々の統計を見ますと、いずれにいたしましても毎年千五、六百人の方たちが、たとえば具体的に申し上げれば、五十二年には亡くなられた方が五十六名、負傷者、死者を含めますと二千十四名、五十三年には死者二十五名、重軽傷者、死者を含めて千七百七十九名、五十四年にはトータルをいたしますと一千四百六十七名、五十五年には一千二百四十四名ということであります。毎年非常に貴重な犠牲を払っている。 いま大臣の御答弁にもありましたけれども、日本はなぜ外国の石炭の二倍もする国内炭を掘り続けなければならないのか。非常に深部で、しかも条件がよくない、そういうところで、現状でも一千八百十万トンと言われているのにさらに二千万トン、答申を尊重するということはよくわかりますけれども、しかしその答申といえども、一方はいろいろな圧力があり要求があり、もちろん職場を失いたくないという切実な労働者の要求もあったでありましょう。しかし、さまざまなそうした要求や状況を考えましても、いまの日本のエネルギー全体の中でもわずか三・二%の国内炭を考えれば、やはり二千万トン体制というものはもう無理な状況に来ているのではないか。 私どもは当初から、エネルギー政策の中で、日本の国内炭は下方修正することも考えながら二千万トン体制というものを考えなければいかぬということを言い続けてまいりました。私は、今度のこの貴重なそしてきわめて残念な事故を契機にして、やはりエネルギー政策全体の中における国内炭というものを考え直す必要があるのではないか。 のみならず、日本は技術がどんどん進んでいるわけでありますし、非常に高い水準にあります。石炭を掘る方法にいたしましても、液化方法であるとか、いまのような非常に危険の中で採掘しなくても、将来にはもっと事故のない、安全体制の中で国内炭を掘っていくという状況も当然予測をされるわけでありますから、当面は技術の前進に全力を挙げて、そして、当分の間はむしろ半額の海外炭を買っていくという方向の方が私は正しい選択ではないかと思うのです。もう一度大臣のお考えを伺いたいと思います。 この二千万トン体制には今度の事故を契機にいたしましてもいささかも影響がないのか、あるいは原因等々を究明した上で二千万トン体制というものを若干考え直していく必要があるとお考えになっているのか、単純な大臣のお考えを私はぜひ伺いたいと思います。
○田中(六)国務大臣 今回の夕張新鉱の原因究明というものをやらなければならない、それには、私ども、政府に設けておる本部での対策の第一回の会合で決めました第四項目目の、専門家による技術調査団を組んでこれを派遣する、そしていろいろな角度から調査するということを決めておりますけれども、私どもはまずこの原因究明ということを一生懸命やっていかなければいけないと思っておりますが、それと二千万トン体制とは結びつかないというお考えもあるかもしれませんけれども、私はこの原因究明とこれは結びつくと思っておりますし、また、二千万トン体制というような言葉が成り立つかどうか、私は率直に言って、そういう体制はわれわれが言葉で言うだけであって、実態はそういうことではないと思うのです。と申しますのは、御指摘のように実際に掘る炭というのはそれを下回っておるし、二千万トンということをいつまでも言い続け得るような可能性につきましても問題があるわけでございます。 したがって、それならばこれをどういうふうに持っていくかということになるわけでございますけれども、私どもは一つのエネルギー長期見通しというものを持っておりますし、いろいろな代替エネルギー、石炭はその代替エネルギーの中に入っておりますけれども、石油の依存率を、幸いに五十五年度は十一年ぶりに六六%という七〇%を切りましたし、十年後はあくまで五〇%台に石油の依存率を持っていくと同時に、原子力発電所とかその他の稼働率を上げていくというような代替エネルギー、省エネルギーということで対処していくことを勘案いたしますと、御指摘のように、石炭を答申どおりの数字、これは目標じゃない、「程度」ということにしておりますことでおわかりのように、その意味内容は非常に深重であると私は思っております。 したがって、それを下回る線で行く場合につきましても、私はそれをどうしても二千万トンに持っていって無理やりにというようなことではないと思いますし、あくまで安全性とか一つの余裕性を持って判断すべきことでございまして、私どもも、これからの石炭政策につきましても、御指摘のような点を十分勘案して対処していきたいというふうに考えます。
○伊藤(公)委員 時間が参りましたので質問を終わりますが、一つだけ最後に、原因究明のところで、実は原因を究明していく上で一番大事な決め手に恐らくなるのではないかと私自身思っているわけですが、交信録、無線機を持っておられた方々と外との交信録、これが記録として恐らく残っているだろうと思うのです。これはすでに政府は調査をされてごらんになっているのか。そして、これは資料として出していただけるかどうか。これは今度の原因究明の最大の決め手になると私は思っておりますので、わかっていれば教えていただきたい。 最後に、きょうは労働省の方にも来ていただいて恐縮ですが、一言だけ、今度の補償について、非常に危険なところに働いている方々に対する労災を少し拡大して特例を考えるというようなことはどうかと思いますが、お聞きをいたしたいと思います。
○安藤説明員 お答えいたします。 坑内との連絡は誘導無線が主力でございまして、そのほか電話等もございますが、この事故発生後の主力の交信関係は誘導無線によって行われておりました。この誘導無線は、全部集中監視室に坑内からの伝達はなされているわけでございますが、ボイスレコーダーみたいに一部始終記録されるような装置にはなっておりませんで、聞くところによりますと、そういった伝達された情報が、対策本部の方に主に口頭伝達みたいな形でどんどんと送られて判断を仰ぐ、こういった混乱状態の中で行われていたと聞いておりまして、まだ捜査段階に入っておりませんものですから、どういった交信録があるかどうかということについては明確に言える段階にはございません。 また、その資料の御提出につきましては、これは検事の指揮下に捜査が近いうちに活動されると思いますが、あくまでもそういった面との関係もございますので、いま即座に御返答するわけにはいきません。
○倉橋説明員 労災補償制度におきまして、個別の事故に特例を設けることはむずかしいと思います。ただ、事故の態様によりまして、非常に重篤な事故、たとえば死亡事故のような場合におきまして、遺族補償につきましてより厚く行うということは、今後とも政府として努力してまいりたいと思います。さきの国会におきましても、遺族年金の水準につきましても相当大幅に引き上げたわけでございますが、今後ともその引き上げの努力をいたしてまいりたいと思っております。
○森中委員長 次回の委員会は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時五分散会