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95回国会衆議院1981/10/22

行財政改革に関する特別委員会公聴会 第1号

発言数
88
登壇者
19
会派数
6
開催日
1981/10/22

会議録

金丸信自由民主党

○金丸委員長 これより会議を開きます。  行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一環としての国の補助金等の縮減その他の臨時の特例措置に関する法律案について公聴会を行います。  この際、御出席の公述人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、大変御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、まことにありがとうございました。行革特例法案に対する御意見を拝聴し、本案審査の参考にいたしたいと存じますので、それぞれ忌憚のない御意見をお述べいただくようお願い申し上げます。  次に、御意見を承る順序といたしましては、まず最初に住本公述人、次に小玉公述人、次に小関公述人、藤田公述人の順序で、お一人約十五分程度ずつ一通り御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えをお願いいたしたいと存じます。  それでは、住本公述人にお願いいたします。

住本利男元毎日新聞社副社長元行政監理委員会委員

○住本公述人 公述人としての意見を申し述べたいと思います。  私は、行政改革が緊急の必要性があるということをいままで絶えず言うてまいった一人でございます。財政硬直が言われ出した時分にちょうど行監の委員をやっておりましたので、その席でも、高度成長によって肥大化した行政機構の機構、運営、人員すべてにわたっての全面的見直しが必要ではないかという意見を所持いたしておりました。したがって、今度の行政改革について、私は大変関心は持っておりました。  今度のこの行政改革第二臨調の答申を見ますと、これは純粋に一年あるいは二年かかって行政改革の案をまとめるということではなくて、むしろ実効性といいますか、そういうことに重点を置いて、しかも財政再建というような大きな問題を当面抱えております。それを行政改革としても五十七年度予算において協力をせざるを得なくなるというふうな政治情勢になった。この点で、臨調に与えられた課題は、本来省庁の統廃合を初め大きな問題があるわけでありますが、それが増税なき予算あるいは赤字国債を三年間でゼロにするというふうな大きな経済再建の命題を与えられて、臨調自身が、本来ならば臨調の持っております改革命題の中から改革命題本体に取り組むべきところが、歳出削減のためのすぐに役立つ即効的な数字の出るものを選んで、しかも時間が非常に切迫した中でこれを実行するために、あらかじめ各省庁と協議を重ねて、その実行し得る範囲内で部分的に答申をせざるを得なくなった。こういうことが、現在審議をされております法案について、ある意味では臨調に対して私は気の毒にも思いますし、またそれだけ、五十七年度予算を当初の目標どおりにやっていくためには、ある意味ではやむを得なかったかもしれないと思います。  本来ならば、本案に出ております年金その他の問題にいたしましても、本体からこの年金制度をどうするかというふうな取り組み方をいたしまして、全体の展望のもとに一つの案が出てきて、それが予算数字の上に反映していくというのが本来的なものでありましょうが、今度は一部だけが取り上げられて数字化せざるを得なかった、こういうことからして、たとえば新聞世論を初めとして、一般が、これが行政改革か、これは地方や国民にツケを回すだけのことではないかというふうな不満の声、批判が上がってきたわけです。こうした批判は一般的だと思います。  毎日新聞社がこの十月に入って発表した、行革案についての国民の意識を調査しましたが、この中にも、正直言っていま申したような国民の不満というものも強く出ているということがわかります。行革自体には賛成である。これは多数の数字を出しておりますが、満足していないという回答が実は六〇%を超えております。つまり、国民が行革自身に大きな期待を持って今度こそはこれだけぐらいはやってくれるであろうというふうなものが盛られていないということが、やはりこういう数字を出した一つの理由ではないかと思います。  その調査の中で、次の中から三つのもの、つまり行政改革の重要課題として三つのものを挙げてくださいという調査に対して、一番多かったのは不公平税制の是正であります。これがもうほとんど過半数に近い。それから人減らし、給与削減など公務員制度の見直しが四三%。運転免許証の延長その他許認可手続の簡素化が三一%。国鉄その他三公社五現業の民営移管が二三%。防衛費の効率・合理化、それからまた特殊法人の見直しというふうなこと、二つとも一八%という数字になっております。  第一次答申が発表されたときの世論の反応がこうした形で出ていることは、国民が求めている改革のテーマは、臨調が第二次答申として近く十一月あるいは来年に出そうとするものである。これはもう臨調自身がしばしば明言しているところでありますから、こういう批判が出てきてしまうということは、臨調にとっては大変心外なことだろうと思うのです。結局、緊急避難的な数字を求められて、そしてこういう形で出てまいりました。もちろん、人員削減計画を五年間で五%するというふうなことや、その他臨調本来の主張は盛られていますが、一般はそういうふうに受け取っているわけであります。  いずれにいたしましても、日本の経済危機というものは、将来展望の上でも、たとえば赤字公債が、アメリカその他先進五カ国の赤字公債発行高よりも大きいというふうな非常な危機の状態にありますし、これにこの特例計画期間中にも何とかして目鼻をつけたいというのが一応の国家目標だろうと思いますが、先ほど申しました年金制度やあるいは政府関係金融機関の法定貸し付けの利子の問題、こういうふうな国民生活に至大の関係を持っておるものは、全体像が本当は明らかにされるべきものですが、その全体像が明らかになっていないで、そしてそれぞれの四分の三とかなんとかいう削減率を決められていること、そのことに対する不満も多いと思います。ことに、金融機関の法定貸付金利の弾力化というふうな問題も、住宅確保がますます困難になっている今日、ことに大都市圏においてはほとんど絶望的な状態であります。そこに追い打ちをかけるというふうな感じ、そして国民負担、地方負担が加重されるというふうな印象が与えられております。  したがって、私自身は、この第一次答申だけで行政改革の全体を見るというのは大変気の毒だと思うし、公平ではないと思います。とにかく初年度に入って緊急避難的にこういう数字を出してきたのですが、第二次答申におきましては、これこそ行政改革の本題と取り組むものでありまして、私は、いままで第二臨調が考えておられるこの次の答申については非常に注目をいたしておりますが、この財政再建、行政改革という点につきましては、聖域というふうなものは設けるべきものではないことは当然でございます。国会もまた、この間の議長発言にございましたが、やはり行政改革といいますか、機構の見直しをやられると言っておりますし、また防衛庁その他につきましても、これを聖域にするべきではなくて、行政機構なり運営なり人員なり、そういうものもこれからは十分見直していかなければならないと思います。  したがって私は、第二次臨調のこれからの本体の行政改革に期待をしておるわけでありまして、今度のこの法案は、そのほんの第一歩にすぎないと考えています。私は、十分な行政改革案が出るならば、先ほどの世論調査でも無関心である者が四〇%もあるというふうな状態から脱却して、国民の支持、共感を得ることもできるだろうと思います。  いずれにいたしましても、私、戦前から歴代内閣が行政改革を叫ぶのを見ておりまして、一つとして実現されていない事実を知っております。ただ、今度ほど、この行政改革というもの、財政再建に絡んで、これほど切迫性を持って政治エネルギーが注入されているということはないと思うのです。ただ、私が期待しておる第二次答申以下の本格的な行政改革をやらないうちに政治エネルギーが萎縮してしまうような心配は多分にあると思うのです。これはもう国際環境は変化が激しいし、外圧からの行政需要などというものも相当多くなる。どうぞひとつ、これは政府も国会も、政治エネルギーを萎縮させることなく、今度の場合に投入された政治エネルギーを維持継続していただいて、この行政改革を全うし、財政再建に当たっていただきたいと私は念願しているものでございます。  そういうふうな状態で、この中に含まれている諸問題につきましては、国会でも論議され、修正意見も出ておりますが、とにかく、国民の負担が加重されるという点、地方の負担が同じような目に遭うということを十分に考えられまして、政府がこの法案の運営については十分に配慮することを考えながら、行政改革自体に賛成でございますから、本案に私は賛成をいたします。  以上で終わります。(拍手)

金丸信自由民主党

○金丸委員長 どうもありがとうございました。  次に、小玉公述人にお願いいたします。

小玉一郎全国高齢者退職者の会副会長

○小玉公述人 私は、地域の末端で高齢者退職者の組織をめんどうを見、年金相談、生活相談にあずかっている者として、高齢者退職者の立場で、今回の法案に対する意見を述べさせていただきます。  第二臨調の第一次答申案と、それを最大限に尊重していると言われる厚生省の五十七年度の予算概算要求及び今回私の手元に送られてきましたずいぶん長い名前の法律案、一口にはちょっと言い切れないような長い名前の法律案を一応一読させていただきますと、これは一口に言って、高齢者退職者にとってはまことに冷酷無残なものだと言わざるを得ない、私どもはそう感じるわけであります。  それはなぜか。第一次答申案と厚生省の概算要求、さらにいまここに出されております法律案、その中心を貫いているものは、高齢者、いわゆる老人にとって、日の当たるところを歩いてきた御老人は別としまして、名もなき一般の国民、五十年、七十年と生きてきた一般の国民にとってまことに非情なものであると言わざるを得ない、私はそう感じるわけであります。また、現に私の話し合った高齢者、六十歳以上、七十歳以上の高齢者はそのように感じているわけであります。  一応高齢者といいますと、六十歳ないしは七十歳以上、まあ六十歳以上を高齢者といいますか、六十五歳といいますか、その立て方は別としまして、いま高齢者と言われている人たちは、戦中から戦後にかけて政府の行為によって大きな被害をこうむった人たちです。しかも、その苦しみに耐えながら戦後の日本を再建した人たちでもあります。そういう年代の人たちです。その人たちに対して、いま第一次答申案以降の動きを私どもが感じていることは、おまえたちの役目は済んだんだ、もうそろそろ世の中おさらばしたらどうだとも言わんばかりの仕打ちではないかというふうに感じるわけであります。何か国家財政の赤字が、福祉のばらまきである、老人に対してめんどうを見過ぎていると言わんばかりの考え方が、第一次答申案以降、政府の方針、概算要求を貫いているんではないか。私は、いるんではないかというより、いると言わざるを得ない、そう思っているわけであります。  ところで、時間の関係もありますから、法律案について、特に私の関係しております厚生年金の問題について具体的に意見を述べさせていただきたいと思います。  まず、この法律案の第二章には、厚生年金等に係る国庫負担の繰り入れの減額が出されております。これを提案なさった厚生省の方々のお話を私も陳情に行って聞いてみますと、三年間たったら返すんだからいいじゃないか、言ってみれば借りておくようなものだというようなお話でありますが、一体世の中に、返済計画もなしに、返す約束もしないで借りることができるんでしょうか。そんなことで金が借りられるのだったら、私も借りたいと思います。  そもそも厚生年金法の第八十条の趣旨は何だということを、もう一度政府の方なり、答申案を作成した方なり、また方針を作成した方なりは考えていただきたいと思います。厚生年金法の第八十条の年金給付の二〇%を国庫が負担するということは、社会保障に対する国家の責任を明らかにしたというふうに私どもは考えておりまして、厚生年金の保険料は、私たち被保険者とそれを使用している企業とが五〇、五〇で支出しておりますが、それに対して国庫が、政府が、社会保障についての責任を分担するという立場で、私、二〇%が高いとは思いませんが、二〇%が厚生年金法八十条によって保証されているというふうに考えているわけでありまして、それを切り下げるということは、社会保障に対する政府の責任逃れというふうに言わざるを得ないと思いますし、一時借用というようなまやかしの考え方は、その時点において、年金水準そのものの切り下げにつながるというふうに私どもは考えておるわけであります。  現在の年金生活者は、厚生省がモデル計算をして十三万六千とか言っておりますが、あれは三十年勤続の、しかも大体賃金水準がある程度の高さを保持した人たちが三十年たったらそれだけ受給できるという、あくまでもモデルでありまして、現実に私どもの接触している年金受給者の受給額は、特に七十歳以上の人たちは、すでに十五年以上前に定年退職になり、定年退職後も社会保険のないような中小企業、零細企業に就職した人たちは、ぎりぎりのところで受給資格を持っておりますから、一カ月の厚生年金の額は十万円以下であります。大体八万円台、九万円台が、男でもかなり多い。さらには女性になってくると、六万円、七万円という数字があるわけでありまして、これは平均数字幾らになるか、厚生省が計算して数字を出しておりますからおわかりになると思いますが、かなり商い人もいる反面、そうした平均数字になってくると八万円台に落ちてしまうということは、それより以下の人がかなりいるということを現実に数字の上でも証明していると言わざるを得ないのであります。その水準が高いから下げるということの思想が、現在の答申案以降につながっているとすれば、私どもはそれに対して同齢者、いわゆる老人の総力を挙げてそれを阻止しなければならないというふうに考えているところであります。  特に、この法律案の背後にあります来年の物価スライドの延伸などということは、まことに高齢者の生活を、老人の生活を破壊するものでありまして、現実にいま言いましたように厚生年金にしてしかり、しかも国民年金はもっと下位にありますから、その人たちの生活を物価の値上げから救っているのは、四十八年に制定された物価スライド制であります。その物価スライド制を五カ月、厚生年金なら十一月に、法律案どおりにしてしまう。いままでの長い間積み重ねてきた特例の扱いをなくしてしまうという考え方が、いまこの法律案の背後に出されることが予想されます。厚生省の概算要求もそういうふうになっておるようでありますから、予想されますが、現在の法律案とそれらを含めた考え方からすれば、私どもはこれについて反対せざるを得ないというふうに考えているところであります。  年金の物価スライド制と老人医療の無料化とは、現在の高齢者の生活を支える二つの柱であります。その柱が二つともいま崩れようとしているこの時点において、私どもは全国高齢者退職者の会という組織を持っておりまして、沖繩県を除く全国都道府県にその組織が成立しておりますが、そのすべての力を挙げてこれを阻止せねばならない。阻止しなければ、先ほど言いましたように私どもの生活そのものが破壊されるというふうな切実な感じを持っているわけでありまして、もしこの高齢者の生活、いま言いました適切な年金制度と老人医療の無料化、この二つの柱を破壊しようとする考え方を政府が出されるとすれば、それに対する老人の恨みといいますか、怒りといいますか、それはいろいろな形で噴き上げてくるというふうに言わざるを得ないと思います。庶民の力は、一人一人は弱いですけれども、これがまとまればどんな力を発揮するか、それは皆さんがある意味でも御承知になるんじゃないかと思います。また、そうした老人の力を無視し得ない時代が必ず来る。また、高齢化社会の中で、そうした老人のいわゆる力を国の政策の上に反映しなければならない時代が必ず来るというふうに思っておりますし、また、そうしなければ、これからの高齢化社会を切り抜けていくことはできないというふうに考えているところであります。  国家財政の問題は非常に重要な問題ではありますが、国家財政の問題は全体的に物を考える中で処理すべき問題で、それを現在のいわゆる一方的に庶民にしわ寄せするような物の考え方、先ほど住本公述人も言われましたような、とりあえずの非常に安易な道をたどろうとしている行政改革の方向について私は反対するという立場で、公述を終わりたいと思います。(拍手)

金丸信自由民主党

○金丸委員長 ありがとうございました。  次に、小関公述人にお願いいたします。

小関紹夫日本文化大学教授・日本行政学会理事

○小関公述人 本行革関連特例法案の内容は、ほとんど国の補助金の縮減に関する措置でありますが、行政改革の一環としての財政再建に役立つことを目的とするものとされています。  これらの措置によりまして行政の現状に若干の変化が生ずるであろうということは予測できるところでありますが、法案の第一とされております国民生活に影響の及ぶ年金関係につきましては、特例適用期間、すなわち五十七年度から五十九年度までの三年間をしんぼうしてくれということの内容で、しかも事業主負担に相当する部分が除かれておりまするし、かつ、その後において減額分に対する補給措置が講ぜられるというような配慮が示されておりますので、財政再建という緊急課題に対応する措置としてはやむを得ないものと思われます。  ただ、望むらくは、これはこの委員会でも問題にされたようでありますが、補てん時期に関し明確にその時期等が示されてあれば、本法措置について一段と安心を与えるということは言えるのではないかと思う次第であります。  第二の地震再保険に係る事務費につきましては、借入金のある年度を除くという措置が講ぜられてもあるところでありまするし、第三の児童手当に係る所得制限につきましても、まず現状からいって妥当な線と申すことができるのではないかと考えております。  第四の公立小中学校の四十人学級編制につきましても、完全実施が一日も早いことが望ましいことは言うまでもないところでございますが、完成年度内でのスローダウンということを規定したもので、これもやむを得ないところと思われます。したがいまして、問題になっておりまする授業の効果というような、授業指導については一段と効果が上がるように、その方法等の改善に努めることが必要ではないかと考えておる次第であります。  第五の後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合に関するものにつきましては、災害復旧その他災害による危険、緊急に対処する事業が除かれてありますので、この際特例適用期間中の減額はやむを得ないということではないかと考えます。それに、地方債の国による利子補給の減額についても、事業執行及び財政運営に支障のないよう財政、金融上の措置が講ぜられておりますので、大きな困難は生ずることはないのではないかと思われるのであります。  第六の住宅金融公庫及び農林漁業金融公庫の貸付金の利率についても、円滑な施策の実施についての配慮が示されておるところでありますので、これらが国民生活上全く影響がないとは断言できないと思いますが、わずかの期間のしんぼうで、多少の不便は忍ぶべき重大時期にあるということを考えますれば、いずれもこれらは国家の財政安定のために必要な措置と言えるのではないかと考えられます。このような問題はひとりわが国だけではなく、世界的共通の課題であるということの理解を国民にしてもらう必要があるのではないかと考えられます。  第七の内閣総理大臣及び国務大臣の給与の一部返納に関する部分は、行政担当責任者としての熱意を示したものとしてきわめて適当な措置と思われます。  以上は本法案に対する私の所見でありますが、一言つけ加えておきたいことがございます。  本法案の首題として「行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一環として」という名称がつけられてありますが、これらの財政的措置とその他の行政改革との関連が明らかにされることが必要であろうかと考えられます。もとより本法案は、臨調答申「緊急に取り組むべき改革方策」中「支出削減等と財政再建の推進」に関する事項に基づくものでありまして、その結果すでに政府におきましては五十七年度予算編成においてゼロシーリングの措置が行われ、二兆円の国債減額を目標とする財政縮減方策の実施に努めておるところで、その目的遂行上法令の改正を必要とするものを一括して審議対象としたもので、本法案の効果は二千五百億に相当するとされておるところでありまするし、当然他に大幅な行政改革が予定されているところで、その意味におきましては、本格的行政改革の序の口と言っても差し支えがないのではないかと思うのであります。したがいまして、さらに進んで、八〇年代にふさわしい行政が打ち出されるべく本格的な行政改革が行われることを希望し、かつ期待したいと存ずる次第であります。  以上が私の本法案に関する公述の大要でありますが、行政改革の問題につきましては、さっき住本公述人がおっしゃいましたようないろいろな問題がこれから出てくるということで、本法案がこれから迎える行政改革の序の口だということが文字どおりそうあってほしい、こういうふうに考える次第であります。(拍手)

金丸信自由民主党

○金丸委員長 どうもありがとうございました。  次に、藤田公述人にお願いいたします。

藤田至孝亜細亜大学経済学部教授

○藤田公述人 条件つき賛成という立場から意見を申し述べさせていただきます。  まず、初めに総論的なことにつきまして触れまして、次に個別的な法案につきまして意見を申し上げさしていただきます。  第一次臨調の報告が初めて出ましたのは昭和三十九年でございまして、それ以来何度も答申が出ておるのでございますが、いままで結果的には単なる作文に終わりまして、無視をされてきたわけでございます。今回、第二次臨調の第一次答申が初めて取り上げられ、法制化され、政策化されるということは大変に価値のあることであり、そして国民も甘えを排しまして、効率のある政府、小さい政府の確立によりまして活力ある社会をつくる、そういう点で大変私は評価をいたしておるわけでございます。しかしながら、今回の法案は、基本的な点を討論することなく、緊急避難的な財政再建に終わり、そして、そのしわ寄せが一部の弱い人にされているという点は反省を必要とするということでございます。  まず、今回の財政再建を内容といたしまするこの緊急避難的な立法の背景を考えてみますと、言うまでもなくオイルショック以降の財政欠陥によるわけでございまして、公債依存度が五十四年におきまして三五・四%にも達している。今年度におきましてもなお二六・二%ある。公債発行残高は現在八十二兆円、GNPの三分の一にも達する、このような財政危機の状態にあるわけでございます。民間は、オイルショック以降ぜい肉を落としまして、減量経営を血の出る思いで進めてきたわけでありますけれども、今回、政府もおくればせながら減量経営に、ゼロ・サム・シーリングの予算の方針を立てて、その第一歩としてこの五十七年度のとりあえずの当面の課題に当たられているということでございます。  しかしながら、ここで私が特に注意を喚起したいのは、現在の財政欠陥は、オイルショック時のあのマイナス成長、その後数年のゼロ成長という中で、税の自然増収の伸びが非常に低いということがその主な原因であったわけでございます。そのようなことを考えますと、成長はいわば福祉の原資でございまして、今回のこれも、角をためて牛を殺すというふうなことがないように、成長を低めることがないような、そういう経済政策の立場を十分考慮する必要があるということが第一点でございます。  それから、基本的なもう一つのことは、なぜこのような緊急避難的な対応でもする必要があったかといいますと、これは高齢化が予想以上に加速度的に進行しておるということでございまして、ことしの九月現在の六十五歳以上の人口は御承知のように千九十三万人、総人口に占める比率が九・三というふうに、人口問題研究所、すなわち政府の予測をかなり上回っておるわけでございます。そして、その主たる要因は、高齢者の増加はほぼ予想どおりでありますけれども、異常に出生率が低下をしているということにあるわけでございます。このままでまいりますと、政府の予測いたしておりまする二十一世紀まで待てないで、日本は世界最高の高齢化率に達するのでございます。  そこで、現在のような社会のいろいろな仕組みあるいは行政の仕組みのままでまいりますと、あと二十年くらいで日本は世界最高の税率あるいは社会保険料率にならざるを得ない、そのような予測が立つわけでございまして、現在、国民所得に対する社会保障の比率あるいはGNPに対する予算の規模あるいは就業者総数に対する公務員の比率、このようなものは国際的にまだまだ日本は低い状態なのでありますけれども、そのような二十年後、二十五年後を見通しまして、いまのうちからこのような効率ある小さな政府を目指すということに気づきまして、その第一歩をここに始めたということは、大変意味のあることであるということでございます。  先ほど申し上げましたように、高齢化の原因が出生率の低下にある、いまの人々が子供を生まなくなった。戦前は一夫婦当たりの子供の数は五人であったわけでありますが、終戦直後三人になり、現在は一・七四人というふうになっておるわけでございます。したがいまして、この高齢化の責任は、外圧でありますとかほかの人の責任ではないのでありまして、すべての人の責任でありますので、それぞれ国民ができるだけ年をとっても働く、あるいは若い人はその扶養に責任を持つという、そういう国民の自覚というものが必要である。それにいたしましても、最近経済学で問題になっておりまするサプライサイドエコノミックスあるいはラッファー曲線というようなことからも、税金がだんだん高くなり社会保険料が高くなりますと、だんだんと活力を失い、経済成長も小さくなり、かえって税収は下がるという、そういう法則があるのでございまして、そういう点からも、何とか増税なき高齢化の乗り切りということをいまから始める必要がある。そういう意味で、今回がその第一歩であるということであれば、これは大変意味のあることであると思うのであります。  しかしながら、初めにも申し上げましたように、今回の緊急の立法にいたしましても、一部の圧力団体が動きましたところではたとえば補助率の引き下げが小さくとどまったとか、あるいは声なき声のそういう弱者層についてしわ寄せが集中しているというようなことにつきましては、これは社会的な公正からも許すわけにはいかないのでございます。  そこで、どのような視点から財政再建を進めるべきか、あるいは補助金の削減を進めるべきかということでございますが、まず一番目には、やはり現在存在しているのがおかしい、常識的にだれが考えてみても、そのような制度があるのがおかしい、そういう不公平な税制なりあるいは社会保障制度の八つの制度の格差から取り始めるのが当然ではないのかと考えるわけでございます。  たとえば医師の保険医の特別税制でありますとか、あるいは一昨年修正案が通って二十年で六十歳にするということにはなったわけでありますけれども、公務員や公企体の人が年金を五十五歳からもらう、しかも在職の年金は、厚生年金におきましては働いて十六万以上収入がありますと一銭ももらえない。ところが公務員あるいは公企体の職員の場合にはほとんど、幾らもらっても年金はもらえるという、そういう不公平もありまするし、あるいは民間の企業におきましては、支払い能力の点からどんどん退職金の支給率というのを減らしておるのでありますけれども、公務員の場合には高度成長時代に決めました支給率がそのまま適用されて、そして民間をはるかに上回る退職金が出ている。民間準拠ということでありますれば、これはそのような退職金につきましても民間準拠が当然ではないかと思うわけであります。あるいは高級官僚がいろいろな公団などに移る、そして二、三年勤めまして何千万かの退職金をもらうというようなことなど、いろいろあるわけでございまして、このようなことは本来あるべきものではないのでありまして、まずそのようなものから改めていくということに、緊急避難といたしましてもまず取りかかるべきではなかったのかというふうに私は考えるわけでございます。  それから、活力のある社会ということには生活の安定ということが必要でございまして、自助を強調しながらも、やはりナショナルミニマムを全部の国民に保障するということが必要でございまして、同じ一万円といいましても、百万円の所得のある人と一千万の人とでは、これは全く価値が違うのでございます。したがいまして、すべての人にナショナルミニマムを確保するという、むしろこちらの方を拡充するということが必要ではないのかということでございます。  それから、補助金にいたしましても、活力のためにはどうしても物価安定が必要でございます。補助金を考えてみますと、物価安定に役立っているそういう補助金と、むしろ物価を上げている補助金があるわけでございます。たとえば国鉄などは私鉄の二倍の運賃である。本来であれば、これはもう倒産しているはずなのでありますけれども、補助金で存在している、そのために非常に高い価格になっている。あるいは米などもそうでございまして、このような面からまず改める必要があるのではないのかということを感ずるわけでございます。  それからもう一つには、非常に重要なことでありますけれども、日本の生産性が高いということは海外からも大変注目をされて、日本がオイルショックを乗り切った大きな原因とされておるわけでありますけれども、公務員につきましては、そのような原価削減あるいは生産性向上というふうな意識が欠けておるのでございまして、民間では職場単位で五人、十人というふうにグループをつくりまして、そしてコストダウン、生産性向上、品質改善というようなことにつきましていろいろ知恵を出し合って、全員経常というのを展開いたしておるのでございまして、何とか私は、公務員にもこのような、民間でやっておりますような生産性向上運動を展開できないかと考えるわけでございます。  ですから、たとえば予算を翌年に回しますともう予算がつかないというようなことから、空残業でありますとか空出張でありますとか、あるいは三月になりますと道路が一斉に掘り返されるということで大変国民に迷惑をかけておるのでありまして、単年度予算ということはやはりいろいろな欠点があるのではないのか。そして、その生産性を上げて予算を残したというような場合には、たとえばそれを何らかの賞与というような形で、成果配分というようなものを導入いたしまして刺激をしてはどうかというようなことを総論として申し上げたいのであります。  そこで、時間もございませんので、各論につきまして申し上げたいのであります。  まず、厚生年金などの公的年金給付の国家負担率を現行の四分の三に引き下げるということは、これは先ほども公述人が言われましたように、いわば国の責任の回避という面があるのでございまして、そして、たとえそれを四分の三に引き下げましても、それは結果的には積立金の融資ということと同じでございますので、何カ年計画というふうに返済計画を立てまして、そして利子をつけて返済するのが当然ではないのかと考えるわけでございます。これが高齢者の間では、いずれは給付費の切り下げあるいは保険料率の引き上げにつながるのではないかという不安があるのでございまして、そのようなことのないように特にこの段階でお願いをいたしたいのでございます。  それから、児童手当でございますが、これは三百九十二万円という所得制限でございまして、これを被用者につきましても五百六十万まで上げて、そして支給率を八割にして非被用者と並べる、こういうことでございます。ただし、ここで問題でございますのは、よくクロヨンとかトーゴーサンとか言われますように、同じ所得といいましても所得の把握率が全く違いますので、このような単純な並べということは問題があるのではないかと思うのでございます。特にいまは、被用者の分につきまして財政的な余裕があるのでそのような特例として五百六十万、そこまで引き上げるということでありますが、その余裕がなくなったときにそれではどうなるのかということで、児童手当の存続については特に御配慮をいただきたい。このような弱い人につきましては特に配慮をいただきたい。  特に、これは厚生大臣も述べられておりますように、人口政策としての児童手当ではないのだということでございますけれども、やはり現在出生率が異常に低下をしている。それがすべてのこのような財政問題の、あるいは財政負担の問題になり、これからますますそれが大きくなっていくというところに問題があるのでございます。そのような点からやはり、これはたかだか五千円でありますから、子供を育てるということは非常に大変でありまして、これに比べれば本当に焼け石に水にもならないのでございますけれども、やはり子供を持つのは大変だから国が一部でも三人以上の子供については見よう、そういう精神的な支えにはなっておるのでございまして、何とか児童手当の存続ということについて配慮をいただきたいというふうに私は考えるわけでございます。  それから、公立小中学校の学級編制の特例期間中の四十人学級の延長ということでございます。文部省の「昭和五十五年度 わが国の教育水準」というあの報告書にもございますように、欧米に比べましてまだ教員一人当たりの生徒数の負担は高いのでございまして、大体欧米は十五人から十九人ぐらいの間にあるのでありますが、わが国は二十人になっておるわけでございます。現在の小中学生、特に中学生でありますが、体も大きく早熟でございまして、とても四十人などという大ぜいを把握できない。校内暴力なども起こっておるのはそのゆえでございまして、現場の先生は非常な苦労をしておるのでございます。何とかこの四十人学級というものを一日も早く実行をしていただきたいし、また、とても四十人では把握ができないのでございますので、何とかこれをもっと、三十人というふうにひとつ実現の努力をしていただきたい。要するに、必要なところに金を回すということでなければならないということでございます。  それから、特定地域のかさ上げ分につきましての六分の一の補助金の減額ということでありますが、これも現在の生活環境を考えますと、特に大都市圏において劣るのでございまして、このような地域につきましては特別な配慮が必要ではないかと思うわけでございます。  最後になりましたが、住宅金融公庫の現在の五・五%、これが逆ざやになっている、だから六・五%を財政投融資の利率が上回った場合には弾力的に引き上げるということでございますけれども、現在わが国のサラリーマンにとりまして、何といいましてもまだ一つ持てないものがあるのでございまして、それは言うまでもなく住宅でございます。そのために非常な苦労をしておるのでございます。それは言うまでもなく土地がばか高い。異常に、もう絶対的にも高いし、また賃金は七%ぐらいしか上がらないのに地価は年々一四%も上がっているということで、年々賃金が住宅に比べまして目減りをいたしておるのでございます。外国は大体二、三年分の月給で家が建つのでありますが、わが国は十年分もかかるということでございますので、何とかこの家が建てられるということについて研究をしていただきたい。そして、その五・五%というのがサラリーマンにとりましては非常な助けになっておるわけでございまして、何とか金融公庫ぐらいはこの五・五%を据え置けないか。その逆ざやの財源といたしましては、たとえば地価が上がった分に対するキャピタルゲインなどを引き上げましてそれを回すというふうな、いわば構造内の変更ということについて配慮をしていただきたいと考えるわけでございます。特に、現在サラリーマンが利用できまする政府の金融といたしましては、この住宅金融公庫資金、運用部資金を財源とするこのもの、そのほかあるのでありまして、ひとつそのような調整についてもお考えをいただきたいと思うのでございます。  以上でございます。(拍手)

金丸信自由民主党

○金丸委員長 どうもありがとうございました。     —————————————

金丸信自由民主党

○金丸委員長 これより公述人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橋本龍太郎君。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本委員 まず、四公述人に心からお礼を申し上げます。  それぞれのお立場から非常に示唆に富む御意見をお聞かせいただきまして、本当にありがとうございました。ことに最後に御意見をお述べいただきました藤田公述人の方から、出生率の低下と同時に平均寿命の伸長という事態をとらえて、それをポイントに置いての御意見を拝聴いたしましたことは、私どもとしても、非常にいい参考にさせていただきました。  ただ、いまの御意見の中で、ことに四十人学級等にお触れになりました点につきましては、われわれとしては、いささか考えを異にすることだけは申し述べておかなければなりません。私自身も、スポーツ少年団活動あるいはボーイスカウト活動等において、現在の青少年諸君との交流を持つ機会は多くございます。そして、肉体的な発育状況その他において教育環境が大きく変わってきたということも、決して否定するものではありません。しかし御指摘のように、それでは四十人学級を三十人に切り下げたから校内暴力がなくなるのか、あるいは青少年の非行化の傾向にブレーキがかかるかと言えば、私は、実はそういうものではないと思います。むしろそうした事態を防ぐために最も必要なものは、まず家庭教育、その充実であり、また同時に、学校教育の中における教員の方々の熱意と質的な努力と向上というものに相まつ部分が大半ではなかろうか。それなくして、数だけを三十人にしようと二十人にしようと校内暴力がなくなるとは私は考えておりません。  ただいまの四公述人の御意見の中で、私どもとしてお尋ねをいたしたい点は多くございますが、私どもに与えられた時間がきわめて僅少でありますので、一点についてのみお尋ねを申し上げたいと思います。  各公述人それぞれのお立場から、やむを得ない、あるいは反対である、工夫を要するという御指摘がございましたが、厚生年金等の国庫負担の削減の問題、また、その返還についての問題でございます。  この法律案が政府から提示をされました段階におきまして、私たち自身も、実はこの条文について、初めは大変理解に苦しんだものでありました。ただ、考えてみますと、厚生年金はまさに年金、いわば所得保障一つの法律であります。対比される国家公務員共済を代表とする共済、これは医療保障の部分と所得保障の部分の両方を含む性格のものであります。また条文上別に例示をいたしておりますけれども、船員保険、そのほかに雇用保険の性格を含む、いわば総合保険の形態であることも御承知のとおりであります。  そしてまた私は、各公述人の御指摘の中で、むしろこの点をもっと掘り下げていただける御意見が伺えればと考えておりましたが、この国庫負担の入れ方にも各制度それぞれの差異がございます。私ども従来から官民格差の最たるものとして政府に是正を要求しながら、力足らずいまだに結論を得ておらない部分でありますが、たとえば厚生年金に対する国庫負担は、御承知のように給付時負担であります。まさに、積み立てられております金額は、加入しておられる方々の保険料の積み上げられたもの、その金利運用のものに相違ありません。しかし、国家公務員共済等につきましては、拠出時においてすでに国庫負担が入れられておるわけでありますから、その積立金の中にはすでに国庫負担が入り、その国庫負担分を運用した利回りまでが入り、制度的にも大きな違いがあるわけであります。  そういう中でこれらの法律改正を一つの法律の条文の中にまとめていくとすれば、内閣法制局が条文の作成上の問題として、二つの相異なった性格を持つ、拠出時負担と給付時負担という性格の違い、また年金のみで成り立っておる厚生年金、医療保険部分を含む、短期給付部分を含む共済の年金部門における積立金の国庫負担の減、これらを取りまとめた場合に、現在お手元にお送りを申し上げたような条文になったという経緯は、私どもとしては了承をいたしました。  ところが、これについて、この国会に特別委員会が誕生いたしましてから今日までの間に、まさに各公述人からもそれぞれのお立場に相応して述べられましたように、一体これは元本のみが返済されるのか、また当然、その元本が運用された場合の積み上げられるべき利子までが返済の対象になるのか、いわば元利耳をそろえて返すのかどうか、また、それはどういった計画を持って返されるのか、こうした点にも各委員の質問が集中をいたしました。ただ、御質問の中にも、その辺の各制度ごとの違いを十分に踏まえた上での御質問が少なかったために、政府側の答弁としても各制度またがって答弁を組み立てましたために、その辺があるいはあいまいな感じを国民に与えたかもしれません。  しかし、今日までの審議の中において、少なくとも厚生年金保険を例にとりますならば、その取り崩された、いわば四分の一カットされました金額に見合う積立金、国庫負担、これは必ず返済される、またこの利回り運用にかかる運用益も必ず返済される、これは政府としてしばしば本委員会の席上において確認をされました。ただ、いま申し上げましたように、各種共済、厚生年金、また船員保険、それぞれの制度の違うものでありますだけに、当然、その返済計画等についても、また今後の国の財政状況を勘案いたしましても、いまにわかにその計画を立案しづらいという状況も、本委員会の審議中において明らかになったわけであります。  そこで、小玉公述人からお答えを願いたいと思うのでありますが、小玉公述人の御意見がこの点について一番手厳しい、また、この問題にある程度しぼった公述をいただきました。この法律案を補完する意味で、政府は、この委員会の席上において、総理以下関係閣僚すべてが元利耳をそろえてきちんと返すということはたびたび確認をし、その返済の時期等については、なお、この財政再建期間中における財政の均衡がどこまで回復し得るか、そうしたものによっても影響を受ける点であるので、確実に返済をするということを明確にし、それが年金加入者の給付にはね返ることはもちろん、その間における国庫負担の削減が保険料の増につながらない、つながらせませんということを繰り返し言い切ってきた状況をもう一度ここで私から申し上げ、なおかつ政府がこれだけ繰り返し言明をしてきたものについても、小玉公述人を代表とされるグループの方々としては了承しがたいということであるのかどうか。これは了承しがたいと言われればそれまでのことでありますけれども、政府がこれだけ繰り返して御説明をしてきても御納得がいただけないものであるかどうかについて、一点お答えをいただきたいと思います。

小玉一郎全国高齢者退職者の会副会長

○小玉公述人 いま橋本委員の方からそういった委員会の経過を踏まえて、御意見、御質問が出されました。私は先ほど申しましたように、いわば高齢者、老人の立場で、年代的にはいわゆる六十歳、七十歳代の庶民の立場でという感覚でお話しいたしましたように、一般庶民にはいわば深い恨みといいますか、為政者に対する恨みというものが存在している。というのは、いままで日本の庶民、特にそうした人たちが幾多政府のお話、お約束に裏切られてきたという経過、特に七十歳代ぐらいの人は一番持っているわけです。そういう立場で物を考えてみますと、「国の財政状況を勘案しつつ」というふうな文章がある場合、三年後には、そのとき国の財政状況が悪かったら仕方がないじゃないかということを裏返しに言っているのだというふうに受け取らざるを得ない、また、そうした心理状況にあると言わざるを得ないのです。  それと同時に、これは状況証拠みたいなものですけれども、何回か厚生年金の、われわれからすれば改正とはいえないようないろいろな案が出ては消え出ては消えしておるわけですから、三年後までの間に、厚生省側でそうした全体的な年金制度の見直しを言っている現在の状況の中で、三年後にどうなるものやら、その辺の約束を信用しがたいというのが現実の姿でございます。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本委員 別に論争いたすつもりはありませんが、少なくとも三年後まで自由民主党内閣は続く予定でありますので、少なくともこの席上において、政府が議場を通じ国民にお約束をした、元利をそろえて返済するという点については、私たちもまた共同に責任を負うものであるということだけを一点申し添えて、私は質問を終わります。ありがとうございました。

金丸信自由民主党

○金丸委員長 山口鶴男君。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 公述人の皆さん御苦労さまでございます。  国民各層の皆さんが、今回の行政改革は、住本公述人にいたしましても小関公述人にいたしましても、どうも本来の行革ではないのじゃないかということをおっしゃっておられました。私もそうではないかと思っておるわけです。  今回の行革は、いわば五十七年度予算編成を目指してゼロシーリングを大蔵省が打ち出した、このゼロシーリングにあわせて第二臨調が、いやいやながらと言っては恐縮ですが、一種の財政のつじつま合わせという形で答申をしたいわゆる第一次答申、それに基づく行革ですから、今回の鈴木行革というのは、本来の意味での行革ではない。その行革に対して国民の皆さん方がいろいろな意味で心配をいたしている、そういった国民各層の御心配を代表して、いろいろな角度からお話をいただいたことに対して、私、本当に敬意を表したいと思うのであります。  問題は、国民がどういう点で心配をしておるのか、私は三つあるのではないかと思っております。  それは、冒頭申し上げましたが、今回の鈴木行革は、財政のつじつま合わせであって、本来的な行革ではない、国民が求めている本当に公平なガラス張りの行政という期待にこたえていない、言いかえれば羊頭狗肉の行革だ、こういう御心配が一つあるのではないかと思います。  それからいま一つは、具体的に法律案でお触れになりました、今回二千五百億円をカットする、そのカットの方向というものが、大部分がお年寄りと子供に向けられている。厚生年金の国庫負担を五%カットする、あるいは児童手当の所得制限を強化する、さらには四十人学級を抑制する、さらには法定金利の弾力化という形で住宅金融公庫の金利が上がるかもしれない、そういう中で子供やお年寄り、あるいは住宅に夢を持っている勤労者の皆さん、こういう弱い立場の方々に対してしわ寄せがあるのじゃないかという御心配が二番目にあるのではないかと思います。  第三番目は、今度の法律は二千五百億円弱のカットですが、その背景にあるもっと大きな、弱い立場の方々に対するしわ寄せ二兆七千七百億円の要調整費、これを何とかしなければいけない。この二兆七千七百億円のうち九千億円は、臨調第一次答申に基づく答申によってカットをする、八千五百億円を公共事業の抑制でもってカットをする、さらに六千億円の節約を図るということを大蔵大臣しばしば言っておるわけでございますが、問題は、五十七年度予算編成に当たって、各省庁がゼロシーリングのもとで提出をしている概算要求、その中にさらに弱い立場の人たちを苦しめる問題があるのではないだろうかという御心配があるだろうと思うのです。  私は、この三つの国民の御心配の問題についてひとつお尋ねをいたしたいと思うのですが、その第一は、住本公述人と小関公述人にお尋ねをいたしたいと思うのです。  お二人とも今回の法律案には原則的には賛成だ、しかし、今回の行革は本来の行革ではないということをおっしゃっておられます。  よく井上準之助元大蔵大臣の話が出るわけですが、井上元蔵相が、いわば政治生命をかけて濱口首相とともに行政改革を断行しようとした。その際、井上元蔵相が最も力を入れたのは、当時膨張しつつある軍事予算、これに徹底的なメスを入れなければいけない、こういう使命感であの際行革に立ち向かったのだろうと私は思うのです。ところが、今回のものを見ますと、結局、明年度予算では、防衛予算は聖域だとは言っていませんが、現実には七・五%の増額を認める。住本公述人は防衛庁についても聖域化すべきではない、人員等についても見直すことが必要だ、こういうお話をされました。そういう意味で今回の鈴木行革がどうも本来の行革——防衛庁をやや聖域化しているという点に対して御批判があるのではないかと思いますが、その点をお尋ねいたしたいと思います。  それから、法定金利の弾力化の問題について、もし住宅金融公庫の利率が五・五%ではなくて、これが上がるようになれば、住宅難にさらに拍車をかける、住宅を求めているサラリーマンの夢を打ち砕く、そういう心配があるということをお話されました。そういう意味では法定金利の弾力化、わけても住宅金融公庫の金利等については修正をするなり、厳しい枠を設けるなりということが必要ではないかというお気持ちがあるのではないかと思いますが、その点をお尋ねいたしたいと思います。  それから、小関公述人にお尋ねしたいと思うのですが、小関公述人も、行政改革についてやや本来の行革ではないという疑問を呈されたわけでございますが、とりわけ、この厚生年金の五%カットの問題については、財政状況を勘案してというような法律ではどうも不十分だ、少なくとも返済計画は明示しなければいかぬのじゃないだろうか、こういう御疑問をお示しになりました。望むべくは、この返済時期を明確化すべきではないだろうか、こうおっしゃったわけでございますが、この点、厚生年金、それから各種共済年金についても、同じような四分の一カットがあるわけでございますけれども、こういったものの返済計画は少なくとも明示をする、あるいは法律を、もっと運用益を含めて返還すべきだということが国民にも明らかになるように修正すべきだというようなお気持ちもあるのではないかと思いますが、その点をお尋ねをいたしたいと思います。  次に、小玉公述人にお尋ねしたいと思うのですが、まさに小玉公述人の御心配は、今回の法律も心配だが、問題は、この五十七年度予算のゼロシーリングによって厚生年金の物価スライドによる引き上げの時期が五カ月も繰り下げられる、それから国民年金あるいは老齢福祉年金の物価スライド時期も五カ月ないし六カ月繰り下げられる、これでは物価スライドを楽しみにしているお年寄りをまさに犠牲にするものではないか、こういう御心配だったろうと思うのです。さらに、この年金財政全般についても、一体将来に行ったら年金がどうなるのだろうかというような御心配もあるいはあるだろうと思うのです。この高齢者の方々の実態をお話しいただきました。六万円ないし七万円というような年金の方もおられるというお話もいただいたわけでございますが、こういった年金でもって乏しい生活をしておられる高齢者の皆さん方の御心配、願いというものについて、より具体的なお話をいただければ幸いだと存じます。  最後に、藤田公述人が四十人学級の問題についてお触れになりました。  昭和六十六年までには、何といいますか、この四十人学級を実施するのだ、こうは言っているけれども、その間スローダウンすることはやはり問題ではないか、校内暴力その他いろいろ残念な事件が起きておるときに、少なくとも欧米並みの学級数にすることが必要ではないだろうかという御意見については私も全く同感でございます。  特に今回、これも五十七年度予算なんですが、生徒児童数の自然増に伴う教職員数まで抑制しようということを実は文部省は考えておられるわけです。これはまさに時代の逆行もはなはだしいわけでございまして、こういった子供たちの幸せを考えました場合に、四十人学級を抑制する、同時に、明年度は生徒児童数の自然増に伴う教員数まで抑えるというようなやり方を文部省が考えておるということに対してどのようなお考えを持っておられますか、お伺いをいたしたいと存じます。

住本利男元毎日新聞社副社長元行政監理委員会委員

○住本公述人 お答えを申し上げます。  防衛庁ももちろん聖域にすべきではない。私自身は、やはり行政全般がそれぞれの立場から、みずからの機構なり運営なりあるいは政策などについても行政改革の目的に沿うように見直しをすべきである、おれのところだけは別だというふうな考えがあってはならないという意見でございます。  そこで先ほど、防衛庁も聖域ではないと申し上げたのですが、これは総理自身もそういう点にも触れておられるようでありまして、防衛庁当局も単に増額増額と言うだけではなくて、本来の行政機構の見直しというふうな問題についてもやっぱり真剣に取り組むべきであろう、こう考えております。  それから、住宅金融公庫の金利の問題の御質問がございましたが、理由は先ほど申したとおりでございます。ことに大都市圏内ではもう住宅を確保する、手に入れるということは容易ならざる状態であります。これは大都市圏内に仕事を持っておられる人たちは非常に深刻に考えておられるだろうと思います。したがって、この利子の問題についても、私はできるだけ現状維持を続けていくべきだという考え方には立っております。  終わります。

小関紹夫日本文化大学教授・日本行政学会理事

○小関公述人 私に対しての御質問は二つあったと思います。  第一点の行政改革の問題でございますが、私、行政問題を専攻する立場から申し上げますと、せっかく第二次臨調ができたのですから、臨調が徹底的に行政の現状分析をして、効率化と合理化を求めた結果がこの財政緊縮ということになって出てくるのが、これが当然のあり方だと思うのでございます。ただ、現状からいきまして、二兆円の国債減額という緊急課題ということのために、臨調が第一次答申を緊急に迫られていたというところに、財政支出の問題を重点的に取り上げざるを得なかったということが出てきたのじゃないかと思われますので、それは現状からいってやむを得ないし、また、このまま過ごしていきますると、財政不安定という状況になってきますので、緊急課題としての第一次答申はやむを得なかったものだ、こういうふうに考えておる次第であります。  しかし、行政改革の問題を考えてないというのじゃなくて、たとえば、特殊法人の問題とかあるいは公務員制度の問題とかというような点も取り上げられているということで、そういうような点からする減額というような点も政府としては考えているようでございますので、そういう意味合いでは、本法案だけを見ますと、それに関連をしての法律改正を必要とする部分だけが取り上げられたのだということに限定をしてみますれば、今次の政府の言う行政改革という点とはやはり一環をなしているということは言える。ただし、これが第一の突破口として、本格的な行政改革が行われることをぜひ希望したい、かように思う次第でございます。  ですから、緊急的なものとしての行政改革の一部であるということは認めてもいいのじゃないかと思いますが、行政改革としてならば、もっとやはり徹底的に——基本的な課題が出されておりまするし、そういう点では緊急課題としてのやむを得ないものがあるのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。  それから第二点の、返還時期の明確化という点では、これは国民の間に、年金の問題についてはどうやっていいかという点がやはり行政の課題として出てきている時期に、いわばそういう問題が出てきたものですから大きな問題となっているところだろうと思うのでございます。それは福祉国家という点からすれば、もっともっと充実していく方向に向くのが当然でございますが、すでに御承知のとおり、福祉国家の代表国でありまするイギリス等においても、年金制度の問題についての見直しという点が出てきている現状でございますので、この問題についても実は根本的に見直してしかるべきではないかと思うのでございますが、とりあえず、そこからの問題として合理化という点でいけば、所得の制限をどこの点に置くのが妥当かという問題が出てくると思うのでございます。  幸いに、減額分を後でめんどう見てやるというようなことでありますれば、行政改革からすれば、これは本当の意味においては問題の解決にはならないわけなんでありますが、これも現状の予算措置としてはやむを得ない。ただ、そういう意味で大きな国民的な課題となっておりますから、これは返してやるんだと、さっき橋本先生もおっしゃられましたように、政府としてははっきりそういう点を約束したというようなことを、何らかの意味でやはり国会としてくぎを刺されておいた方が、国民には理解しやすいのじゃないかというふうに感ずる次第であります。ですから、修正かあるいは附帯決議か、あるいは政府がそういう通過に当たっての言明というようなことでもいいんじゃないかと思います。

小玉一郎全国高齢者退職者の会副会長

○小玉公述人 ただいま山口委員の方から御質問をいただきましたが、まさに私どもの心配しているのも、山口委員の指摘されましたような、いまここに出されている法律案の影響だけで終わるものではなくて、体系的に次から次へと用意されている全体的な対策も含めた上で、またそれを頭の中に入れた上で、われわれの生活が今後どうなるんだろうかという心配がいま切実なものとなっているわけでありまして、そういう意味ではまさに御指摘のとおりだと思います。  その意味で、若干時間をいただきまして、現在の一庶民の、特に年金生活しかない——ただいまほかの公述人の方が、年寄りでもできるだけ働くという方向でいけということですが、現実の問題として、六十五、七十、七十五になって果たしていまどんな仕事が保障されているかということになりますと、働きたくても仕事がない。また、どうしても戦争中をくぐり抜けた年寄りはどこかに体の欠陥もあるし、若い人と同じような働きはできないし、年寄りとしての適当な仕事がなかなか保障されていないという現実の中で、生活は年金に頼らざるを得ないというのが現実の姿であります。  しかも、私の接触している年寄りは、私の仕事の性質上、厚生年金受給者でありますが、厚生年金受給者はまだ幾らか救われている、水準が先ほど言いましたように少し上ですから救われているところもありますが、国民年金、福祉年金の受給者の生活はもっと低位にある。話を聞くくらいで、実際に私が直接タッチいたしませんが、非常に低位であるということを、現に厚生年金受給者から、私よりもっとひどい人がいるのだよというようなことを切実に言われているところです。  それと、厚生年金の問題についても、お役人さんはみんなそうなんですけれども、とかく平均数字にとらわれ過ぎるんじゃないか。政治というのは、平均数字で物事をやるのが本当の政治ではないというふうに思います。その平均数字の陰に隠れた、もっと平均よりも低位にある人をどうするかというのが、やはり政治の本来のあり方であろうと思います。厚生年金が平均九万円だから、ああ九万円なのかと思うと大間違いでして、やはり十五万円、十六万円ぐらいの方もおりますから、そこで平均が九万円になるということは、九万円よりもはるかに低い人たちの階層がいるということを示しているので、その低い方に光を当てる政治こそがやはり本来の政治のあり方であるというふうに考えるわけです。  現に私どもの接触している七十歳以上の女性については、先ほども申しましたように非常に低い数字、六万円台、かなり長く働いた人でも七万円台という、給料が安かったですから、現に報酬比例部分が低いですから、非常に低位の生活をしておりまして、しかも、戦争中のいろいろな影響で結婚のできなかった人もいるし、また結婚しても、いろいろな意味で夫を失っている。離婚をしたり、または結婚できなかったりという人たちの階層が、六十五から七十、七十五にかけて非常に多いというふうに私どもは見ているわけでして、その原因については、いま言ったようないろいろな原因があるというふうに考えられるところであります。  そうして、そういった戦争の被害をまともに受けた階層について、いま言われましたような状況の中で、今度の行政改革についても何か福祉のばらまきだというふうに言われている。ばらまきというほどばらまいてはいないと思います。まずばらまいてみて、それが本当にばらまきかどうかやってみればいいと思います。まきもしないでばらまきだばらまきだと言うのは、私は全然福祉に対しての責任を政府として回避しているというふうに言わざるを得ない、そういうふうに思います。  まあ、時間があればもっと具体的な話をしたいと思います。

藤田至孝亜細亜大学経済学部教授

○藤田公述人 四十人学級についてのお尋ねでございます。  確かに橋本委員が申されたような、そういう点があると思います。先生方にもっと工夫をしていただきまして、熱意を持って勉強をしていただいて、そうして教育に力を入れていただきたいということはございます。ですけれども、やはり四十人の把握となりますと、これはたとえば大学のゼミというのは十人くらいでございますけれども、この十人の把握でも、一人一人に手が届くというのはむずかしいのでございます。この委員会も四十人くらいかと思いますけれども……(「四十人だ」と呼ぶ者あり)ああそうですか、委員長の座長さんはいろいろ掌握に御苦労されておられるのではないかと思うのでございまして、それが、まだ騒ぎ盛りの子供を四十人とらえるということは、これはもう本当に行儀の悪い子供もおりますし、大変なことでございます。ですから、やはり私は四十人では多いのではないのかということを、これはどなたもお認めいただけるのではないかと思います。  たとえば、スウェーデンでありますとかヨーロッパなどでは補助員というのがおります。担任の先生のほかにその先生を助ける補助員というのがございまして、担任が行き届かないところをいろいろ補助しておるわけでございます。そうなりますと、二人で一クラスを持つというふうになって、もちろんそれはフルタイムではないのでありますけれども、そうすると相互に、何といいますか、刺激し合うというようなこともございますので、橋本委員の御意にもかなうのではないかと私は考えまして、何とか四十人学級を一日も早く実現されるように、この点に金を惜しまないようにお願いをいたしたいと思います。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 当委員会は四十名委員会ということでありまして、実は私ども、五十名委員会を強く主張したわけです。これは学校と違いまして、審議を尽くす場でありますから、大ぜいの人たちが質疑に立ちまして、できる限り問題を掘り下げる。今回の法律は三十六本の法律を一つの東にいたしまして提出をした。従来の国会の審議のあり方でいけば、当然厚生年金、児童手当等の問題は社会労働委員会で徹底的な審議をする、あるいは住宅金融公庫の問題については建設委員会でさらに掘り下げた議論をする、あるいは地域特例かさ上げカットの問題についてはそれぞれの委員会で掘り下げた議論をする、そういうことを本来すべきであるのを、無理やり三十六本を一つの法律にいたしまして、そしてそれを審議するための特別委員会ということでありますから、これは小学校、中学校の教室と違いまして、できるだけ大ぜいの委員の人たちが出席をいたしまして、掘り下げた議論をすることが私は適当だと思うのです。  ですから、この問題をどうするかという議論を議院運営委員会の理事会でいたしたときも、自由民主党の人はおかしいじゃないか、政府もおかしいじゃないか、四十人学級を抑制するという法律を出しておいて、そして委員会は四十人でなければならないというのはまさに論理の矛盾ではないだろうかということを申し上げたわけでありまして、その点は皆さん方も御理解いただけるだろうと思うのです。  さてそこで、住本公述人にお尋ねしたいと思うのです。  毎日新聞の世論調査を引用されまして、国民が行革に何を望むかという点を調査された結果をお述べになりました。一番の関心は、不公平税制を是正せよという問題であった。以下、公務員制度の見直しでありますとか、許認可手続を簡略化せよとか、公社の経営形態あるいは特殊法人の問題、防衛費をもっと合理化すべきではないかというような順序であったというお話でございました。     〔委員長退席、海部委員長代理着席〕  問題は、今回増税なき財政再建ということを政府は言っておられるわけですが、当委員会の席で詰めますと、いや五十七年はこれは増税なき財政再建なのだが、五十八年、五十九年へ行った場合は増税する場合もあり得るというような趣旨の答弁が大蔵大臣からも出されたわけであります。まさにこの三カ年間財政再建を行う、特例公債を解消する、そして増税なき財政再建をやるといううたい文句が、どうも五十八年以降はまやかしではないだろうかという心配を国民に与えたことは、私は非常に大きな問題ではないだろうかと思うのであります。  私たちは、単に増税といいましても、税の問題はやはり不公平税制を徹底的に洗い直すということを国民は求めているのではないだろうか、こう思うのです。しかも、当委員会でもすいぶん議論になったわけでありますが、今日まで所得税減税がございませんでしたために、実質的な増税が非常にひどいものになっているということも、数字を挙げて実は議論を展開いたした次第です。片や不公平税制が手がつけられないということになりますと、国民の不満というものはさらに大きくなるのではないかと思います。  そこで、佳木公述人にお伺いしたいわけでありますが、国民の第一の関心はそこにある。大企業、大法人等に対する特例措置、法律による特別措置ばかりでなくて、法人税法の中にあるところのいわば運用によるところの減免措置というものをやはり徹底的に洗い直すということが必要だ。片や、所得税減税がなくて今日まで推移したわけでございますから、勤労者に対する税負担というのは非常に重たいものになっている。また、医師の不公平税制等の問題もずいぶん国会で議論されながらまだ完全なものとは言えない、こういったものがあるだろうと私たちは思うのです。  したがいまして、国民の期待にこたえる行政改革をやるためにはまず不公平税制の是正が必要だ、どういう点に手をつけたら国民の期待にこたえられるであろうか、私たちの考え方を一応申し上げたわけでございますが、住本公述人として具体的な考え方、こうすべきではないかという御提言等ございましたら、率直にお述べをいただきたいと思う次第であります。  さらに、この問題に限らず、この世論調査によって出た国民の意向というものを踏まえて、これらの点にこそメスを入れるべきだという御提言があれば、この際お述べをいただければ幸いに存じます。  次に、小関公述人にお尋ねをいたしたいと思います。  今回の行政改革、議論すればいろいろあるけれども、第二臨調の第一次答申を踏まえて、とりあえず法律改正をする必要のあるものを今回提案されたのであるから、本格的な行政改革とは言えない面もあるけれども、一応それに向かっての突破口になるのではないだろうかというお話をいただいたのであります。  そこでお尋ねをしたいと思うのですが、より国民の期待にこたえる行政改革ということになれば、私どもは平和、福祉それから分権の行政改革でなければならない、こう考えておるわけであります。たとえて言えば、いま地方自治体は機関委任事務、団体委任事務で本当に縛りつけられているわけです。本来国のやるべき仕事を、自治体に機関委任、団体委任でずいぶんやらしている。しかも、補助金をもらうための手続あるいは団体委任事務、機関委任事務を運用するための事務手続は非常に煩瑣なものがあるわけです。こういうことを省いて、思い切って中央の権限を自治体に移譲していく、まさに分権を確立していくということが国民のニーズに沿った必要な行政改革ではないだろうか、私たちはかように考えております。  第一臨調が、ある程度国のブロック機関を整理すべきではないか、中央地方の権限を再配分すべきではないかという答申を出したのですが、それが実行されないまま今日に至ったことは、よく御存じのとおりだと思います。第一臨調が出したいわば分権の思想というもの、しかもそれを政府が実行することをサボってきた。まさにこれを実行することが行政改革、何よりも重要ではないだろうかと私は思っておりますが、その点に対するお考え方をお聞かせいただきたいと思います。  それから、次に小玉公述人にお尋ねしたいと思うのです。  年金と老人医療の無料化、この二つがお年寄りに対する一番の福祉の柱ではないだろうか、こういうお話でございました。まさにそうだろうと思います。老人保健法、いま国会に法案が提出されまして社会労働委員会で審議が進められているわけでございますが、この問題について若干お尋ねしたい。  問題は、これは五十七年予算のゼロシーリングの中で出てくる問題であり、これまたお年寄りの人たちの非常な御関心の的だろうと思うのです。よく言う人は、とにかく一日三百円の入院料くらいはいいじゃないかとか、これも四カ月なんだから、それを超えればもう払わなくてもいいんだから心配ないではないかとか、あるいは診察の際は一回五百円じゃないか、五百円くらいは払えるだろうというようなことを言う人もいるわけです。しかし、診察面について、たとえば外科へ行って五百円払う、今度は内科のお医者さんにかかるときはまた五百円払わなければならぬ、科別にそれぞれ払わなければならぬわけです。三十日に診察を受けて払えば、翌月へ行けばまた払わなければいかぬ、こういうようなこともあるわけでございまして、決して年金で暮らしておられる高齢者の皆さん方にとって負担が軽いということではないと私は思うのですね。まさに無料化から有料化へ切りかえられるということについて、高齢者の皆さん方は非常な御心配があるのだろうと思います。  さらに、自治体によりまして六十五歳から無料化しているというところもございます。六十七歳、六十八歳から無料化している自治体もございます。いわば自治体がその独自の仕事として地域のお年寄りを大切にするという意味で政策決定をやって、国の水準以上の福祉をやっている。私は、これは地方自治体として地方自治の本旨、当然なやり方ではないかと思っているのですが、これに対しても今度はやめろという強い行政指導があるということに対して、やはりお年寄りの皆さん方は非常な御心配をしておられるだろうと思うのです。  こういった老人保健法、小玉公述人が挙げられたいま一つのお年寄りの福祉の柱が揺らいでいくという問題についてどういう具体的な御心配をしておられますか、お聞かせいただければ幸いだと思います。

住本利男元毎日新聞社副社長元行政監理委員会委員

○住本公述人 お答えいたします。  来年以降の三年間のうち、本年度だけは増税をしない、来年、再来年はどうかという問題と、不公平税制の改革というふうな問題のことでございます。  どうも財政当局も、五十八年、五十九年の財政見通しについては、余りはっきりとしておりません。増税をするかもしれないというふうな余地も残しているようでありますが、そもそも、増税しないで思い切った行政改革によって穴埋めをする、これに代置して増税はしないというのが言い分でありますから。私は、五十八年、五十九年、財政事情は、先ほど申しましたように、変転する国際情勢の中でいろいろな新しい行政需要というものが出てくるだろうと思う。そういう見通しもなかなか立てにくい、財政当局としても言いにくい面もあるだろうと思いますが、趣旨からすれば、さらに第二次答申、中間的にも答申があるようでありますけれども、そういったものでできるだけ、たとえば不公平税制の見直しというふうなものも当然、臨調自身もこのことを一応取り上げるような姿勢であるようでありますが、こういうふうな不公平税制の洗い直しというものもひとつ十分にやり——不公平税制というのは部分的な優遇であります。あるいは援助でもある。こういった性格のものが相当ありますから、これなどについても全面的に洗い直す必要がある、そして国民の要望に沿うべきだと私は考えております。  もう一つは何でしたかな……。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 毎日新聞の世論調査を何点かお挙げになりまして、不公平税制以外に強調されたい点があったらお伺いをしたいと思います。

住本利男元毎日新聞社副社長元行政監理委員会委員

○住本公述人 先ほどの中で読み落としていましたが、省庁の統廃合それから地方の出先機関の整理、こういうものが二五%ありました。これを落としておりますので、追加いたします。

小関紹夫日本文化大学教授・日本行政学会理事

○小関公述人 山口委員のおっしゃいましたように、政治、行政の目標といたしましては、平和、福祉、分権というのは、これはもう原則だと思います。ただ、いまの行政の問題となりまして、これはイギリスでもそうでありますが、中央統制と分権の関係をどう調整したらよいかというのが、行政上の重大な一つの課題となっているわけなんです。それを日本の現実の場合にどの程度に当てはめて調整をしていくかというのが、行政上の一つの大きな課題であり、現実的な要請にどのように対応をしていくか、これが望むらくは第二臨調の一つの大きな課題としていただきたい。  第一次臨調では機関委任事務ということが整理できなかったわけなんですが、この問題をどう整理をしていくかということと、それから行政に対する中央政府の責任関係をどう維持していくかという、現実の自治行政に対する実質、実態を踏まえてでないとこの問題は出てこないんじゃないか。たとえば、自治体に監査委員とかいうのがありますけれども、まだ住民監査がそう徹底をした状態にはないわけなんで、そういう意味で、オンブズマン制度の地方行政に対する強化を図っていくことと分権との兼ね合いが出てくるのではないかという意見を私は述べたことがございます。  そういう意味合いで、いまの行政上の本来の問題は、中央の自治体政府の信用度、あるいは協力体制、あるいは行政能力の水準という問題が行政上の大きな一つの課題とされて、その問題とあわせて分権の程度という問題が考えられないと、いたずらに分権ということで自治体に全部任したからといって、やれる自治体とやれない自治体が出てきたのでは、これは行政責任としての、中央政府としてのあるいは内閣としての問題も出てくるのじゃないか。その点の整理をどう図っていくかということとあわせてでないとこの分権問題は考えられない。その意味で、第一臨調ではたとえば地方庁構想というものが出てきましたし、また最近では道州制のような問題も出てきておりますが、こういうようなものが果たして分権的な地方自治体としての行政効果を上げるかどうかというような問題が検討されてから、分権問題に対するいわば終結的措置というのはいまの時点ではできないと思いますけれども、分権の実施に向かっての段階的な方法、措置というものが、第二次臨調あたりで当然出てきてほしいというふうに私は考える次第でございます。

小玉一郎全国高齢者退職者の会副会長

○小玉公述人 ただいま御指摘のように、私も先ほどの公述の中で、老人の生活を保障し底辺で支えているものは、適切な年金制度と医療の無料化であるというふうに申し上げましたし、そういう意味では、ほかの委員会でこの老人医療について審議されておる現段階で、まあ私としても時間がありませんでそれに簡単にしか触れられなかったのですけれども、時間を与えられましたので、それについての考えを申し述べたいと思います。  老人医療については、無料化無料化と普通言われておりますが、実態は無料化と本当に言えるのかどうかと私なんかは考えておりますし、また現に国民健康保険に入っている人たちは保険料をちゃんと払っているわけですから無料ではないわけです。健康保険の扶養家族の人は別として、現に国民健康保険はそれなりの保険料を払っているわけでありまして、自己負担分が軽減されているにすぎない。だから本当の意味で無料——これは政府が意図的に宣伝しているんじゃないかと思うくらい盛んに無料化無料化と叫んでおりますが、決して無料ではない、完全な無料ではないというふうに思っております。  そういう意味で、今度のこの無料という言葉の意味ですが、私どもとしてはそういった……(「美濃部さんが言ったんだ」と呼ぶ者あり)静かに聞いてくださいよ。そうした意味で、いままではそうした自己負担はしないという原則であったのが、今度は原則的に金を取る、五百円なり三百円なり。先ほど言われましたように、わずかな金じゃないかという言い方も地域なんかではされているようであります。自民党の議員の方々なんかも地域でそういうふうなことを言われているようでありますが、いま言いましたように、原則的にそうなることに問題があるのです。私どもとしては、有料が原則であるということになって、生活に困窮している者は何とか見ようということでは、本当の意味のいわば老人保健法案ではないというふうに考えるわけでありまして、やはり老人医療の無料化という原則を守りつつ、財政そのものについてはまた先ほど言いましたように全体的な中で判断すべきであって、それのしわ寄せを老人に持ってくるべきものではないというふうに考えているところでありまして、老人医療の無料化についてはぜひ堅持していただきたいというのが、現在地域で生活している庶民、年寄りの願いであります。  以上、簡単ですけれども報告しておきます。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 ちょうど時間だから終わりましょう。

海部俊樹自由民主党

○海部委員長代理 次に、鈴切康雄君。

鈴切康雄公明党・国民会議

○鈴切委員 四人の公述人の皆様方には、それぞれの立場に立って御意見を述べられまして、本当に本日は御苦労さまでございます。私は公明党・国民会議の鈴切康雄でございます。  限られた時間でございますので、私は住木公述人と藤田公述人のお二人に御意見をお聞きしたいと思います。  私がまず住本公述人にお伺いしたいことは、それは元行政監理委員会の委員でおられたということでございます。  先ほど公述されました内容の中に、確かに第一臨調は昭和三十九年に答申を出しまして、そのときには実施を実効あらしめるために勧告権とかあるいは調査権等を含めての、言うならば行政委員会的なものをつくろうという話が初めあったわけでありますけれども、それが後退いたしまして行政監理委員会ということになり、それが審議会的な立場から指摘をする、そういう立場に立ってしまいまして、恐らく住本公述人は行政監理委員会の委員として大変にくやしいような思いで、実際にその答申が実行されていない、政府に対してその思いでおられたんじゃないかと私は実は思うわけであります。  実際にこの三十九年の答申を見まして、総定員法あるいはまた一省一局削減、この二つぐらいが目新しいものであって、本来答申に盛られたものはほとんど見送られてしまった、こういういきさつがございますので、これから第二臨調の答申というものについては、私は必ず実行してもらわなければ困ると実は思うわけであります。総理の方も最大限に尊重する、こういうふうに言っているわけでございますが、いま非常に国民的な世論の盛り上がりの中にあってその言葉がこれからどうなりますか、私も実は心配しているわけでございます。  そこで、行政改革についてはこれからの臨調の答申も短、中、長期的な立場からいろいろと取り組まなければならない問題だろうと私は思うわけでありますので、そういう意味からいいまして行政監理委員会のような指摘事項だけにとどまるような、そういうものを後で置いたのでは、これは悔いを残すのじゃないだろうか、こう思いますので、元行政監理委員会をやられた住本さんに率直にその点をぜひお伺いしておきたい。五十八年の三月に答申が出てからどういうふうにこれを実効あらしめるかということについての機関をどう考えたらいいのかということについてお伺いしたいと思います。それは住本公述人に対してでございます。  それでは第二番目に藤田公述人にお伺いをいたします。  藤田公述人が言われました。今回の行政改革といっても、実際には五十七年の予算の増税なき財政再建が命題であって、全体像が明らかになっていない、それだけに社会保障とかあるいは地方肩がわりの問題等が取り上げられて、それが大変に国民には痛みを感じさせている問題だけであるというふうに述べられたわけでありますが、私もそのとおりだと実は思うわけであります。藤田公述人が言われた中に、活力ある福祉社会というのは何としてもナショナルミニマムを保障することなんだ、これは私は非常に傾聴に値する言葉だと思っております。  それではナショナルミニマムを保障するということはどういうことなんだろうかということになりますと、現在やられております児童手当制度あるいはまた義務教育費の無償制度というものは、私は少なくともナショナルミニマムの最低限を保障するものであろう、このように実は思っております。なかんずく、先ほどお話がありましたように高齢化社会というものは加速度的に増大し、六十五歳以上がもう千九十三万人、いわゆる九・三%だ、ところが出生率が非常に低下をしてきまして、現在は、当初二・一ぐらいあったのがもう一・七を割ってしまったということになりますと、日本の将来、これはゆゆしい問題が出てくるのじゃないだろうか。高齢化社会を支える若い世代の方々に将来非常に大きな負担がかかってくるということになりますと、人口問題とかそういう立場から考えましても、児童手当制度というものはいわゆる窮民対策というふうなとらえ方でなくして、これはやはり日本の将来やっていかなければならない問題じゃないだろうかと私は実は思うわけであります。しかし、臨調答申では児童手当制度の全般的な見直しとかあるいは義務教育費制度の全般的な見直し、こういうふうなことを言っておりますが、いずれにしても所得制限を導入し、だんだんと福祉を縮めていくような感じがしてならぬわけであります。  義務教育費の無償の問題につきましても、いま現在、塾に通うとかあるいは副教材等を買うとかいうことでかなりの金を使っているのに、義務教育のわずかの金をというようなことの論議がなされておりますけれども、私はやはり義務教育費の無償制度というものはナショナルミニマムを保障する意味においても大切な問題ではないか、このように思いますので、その点について御意見をいただきたいと思います。  それから第二番目の問題でございますが、増税なき財政再建ということで、五十七年度はそういう形になったわけでありますが、しかしそれは大蔵大臣が言うように歳入に見合う歳出カットであるということになりますと、これはかなり痛みをおのおのが覚えてくるわけであります。それで、五十八年度以降これについては増税はしませんと、政府の方は明快にそのようなことは実は言っていないわけであります。  となりますと、間接税とかそういうことに方向が行ってしまうということになりますと、これはせっかく行政改革を手始めたにもかかわらず、まさしく傷をつけただけで、肉を切って骨に達するまでの行政改革は不可能になってしまう。もう明らかに先が見えてならぬわけであります。すなわち、必死な思いで政府みずからが中央省庁を初めとする機構にメスを入れて、そしてかなりの反発はあるでしょうけれども、しかし、それをやり抜くということが必要であり、増税にもし転換をするとするならば、行政改革はその時点から方向は変わってしまうと私は実は思うわけでございます。少なくとも、五十八年度以降も行政改革をやるならばぜひ増税はしないように、そして減税ができるようなそういう小さな政府にしていく努力をすべきであると私は思うんですけれども、その点についての御意見を賜りたいと思うわけでございます。  御意見をお二人に聞かしていただきまして、私の後、同僚議員の正木さんからも関連質問がございますので、ひとつよろしくお願いいたします。

住本利男元毎日新聞社副社長元行政監理委員会委員

○住本公述人 お答えいたします。  第四期行政監理委員というのを私いたしまして、たとえば、行政のまことにささいな部分的なものも、これはもう廃止してもいいんじゃないかと言っても、そのことが情報が流れますとやはり物すごい反対運動が出てまいります。びっくりいたしました。そういう経験もいたしておりますから、機構一つを削るということも、これは圧力団体その他業界、それからもちろん官僚群も当然でございますけれども、その壁の厚さというものを感じました。  今度の第二臨調、これが終わった後何を措置をしたらいいか。つまりフォロースルー、追跡調査をしてそしてそのとおり実行されておるか、あるいはまたその改革の効果がどの程度上がっておるのか、あるいは足らざるところがあればそれを是正するとか、そういう機関は私は当然つくられるべきだと思いますし、かつまた、中曽根氏もそういう機関をつくるというふうなことも言っているようでありますが、当然、臨調が解散しましてその後ほったらかしというふうなことはあり得ないと思います。私は、いま申したような追跡機関というものを十分持って、そして実行の後をフォローすることが大変重大なことだと思います。  せっかく国費その他膨大な人間を使って一つの案をまとめながら、実行においてちっとも変わることがない、大した進展もしない——第一次臨調は、私は日本における行政改革のまことに模範的な改革案だと思いますが、この実行ということにつきまして、政治力あるいはその当時の政治環境、そういうようなもので黙殺されるケースが非常にあったと思います。もちろんその後長い時間をかけて、あの第一次臨調の出しました改革案が部分的には、時間がかかりましたけれども、一部達成されております。その意味で今度はもっとしっかりした、実力を持った機関を必要とするだろう、でなければ効果が半減するだろうというふうに私は考えております。

藤田至孝亜細亜大学経済学部教授

○藤田公述人 私も鈴切委員と全く同じ考えでございます。自助を基礎とする活力ある福祉社会の建設というのが今回の臨調の目的でございますけれども、やはりそのためにはすべての国民にナショナルミニマムを保障する、その上で自助でありまして、そこに活力ある社会が生まれるというふうに考えるわけでございます。  そういたしますと、ただいま御指摘のように、たとえばいま日本におきまして何が生活を圧迫しておるかといいますと、やはり子供を育てるということに非常に金がかかるわけでございます。たとえば戦前でありますと、義務教育を終えますと大体すぐ職につかせて、そして家計の補助をさせるというふうな、子供を持つということが所得をふやすいわば一つの投資であったわけでございますけれども、いまは非常な負債になっておるわけでございまして、子供が一人いるというために非常に生活を圧迫されているというのが実情でございます。  そこでただいま御指摘のように、児童手当あるいは義務教育費の公的負担ということはやはりナショナルミニマムの基礎をなすものであるというふうに考えます。ただ国際的に見ますというと、たとえば欧米には家族手当がないわけですが、日本では企業が家族手当、使用者が家族手当を払っているというような点はございますけれども、中小企業などでは払っていない点があるわけでございまして、何とかこれを国の制度として確保する必要があるのではないかと思います。国際的な社会保障の条約におきましても児童手当が一環をなしておるわけでありまして、国際的な公正な競争をするという点からもやはり対外的な面もございますので、何とか児童手当は残す必要があると思います。  また、フランスでは二人目からでございますけれども、ほかの国では大体一人目から払っておるわけでございまして、だんだんと一夫婦当たりの子供の数が少なくなってまいりますので、三人目からということになりますとだんだん少なくなっていくわけでございますので、そういう財源も浮いてくるわけだと思いますので、私はできれば二人目くらいからということを考えるべきではないのかということを思います。  それから二番目に、増税の点でございますけれども、五十八年度以降はわからないということでございまして、われわれがなぜ現在の行革に賛成をしようとしているかといいますと、やはり増税がないということのゆえに賛成しているわけでございます。現在すでに四年でありますか、税控除あるいは税率の負担減がないわけでございまして、サラリーマンにとりましては税の実質的な増になっているわけでございますので、そのあたりも考えていただいて、何とかこの増税なき財政再建ということをやるために、ひとつ行政改革の方に本格的に、徹底的にメスを入れていただきたいと思います。  以上でございます。

鈴切康雄公明党・国民会議

○鈴切委員 時間になりましたので、正木さんの関連は取りやめます。お二人のことで大体わかりましたので、大変にありがとうございました。

海部俊樹自由民主党

○海部委員長代理 次に正森成二君。

正森成二日本共産党

○正森委員 住本公述人に最初に伺いたいと思います。  公述人は、今度の臨調の第一次答申というのは五十七年度予算に向けたもので緊急避難的なものだから、本来の行政機関の統廃合といいますか、そういうことが行われていないで、言ってみれば気の毒な感じもする、年金についても、展望を含めて将来のことを反映すべきものだけれども、一部だけしか取り上げられていないという意味のことをたしかお述べになりました。  しかし臨調の答申を見ておりますと、年金につきましても、たとえば将来、年金支給年齢の引き上げとか、あるいは給付の内容とか、あるいは保険料の増額とか、抜本的な見直しが必要だという意味の文言がたしかあると思うのですね。そうしますと、やはり臨調としては保険財政から、公述人のお方は融資を受けるという表現をお使いになりましたが、形を変えた国債の発行にも似たお金の借り入れ、将来の返済ということだけでなしに将来の展望もある程度出しているのじゃないか。しかもその展望というのは、もし三年間の借り入れ期間が過ぎましていざ返すということになりましたら、当委員会でも論議されましたが、仮に三年間で返済しようと思うと昭和六十年度は一年間に約六千億円以上の負担増になるということで、その財源がどこから出てくるであろうかということが心配されましたが、結局は給付の切り下げとか保険料の引き上げとか、そういう形になってはね返ってくるというようなおそれがないであろうかというのが国民の気持ちであります。この点についての佳木公述人の将来の展望も含めての御意見を承りたいと思います。

住本利男元毎日新聞社副社長元行政監理委員会委員

○住本公述人 お答えします。  私の述べましたことは、臨調の第二次答申というものが本当の本体だと思います。そこで、いま福祉関係の問題について将来の展望をというふうなことでございますが、今度の文言を見ておりますと、この三年間、その後で当然年金問題についての全面見直しというものが出てくると私は思います。これがまたどうなるものであるかということは予想はできませんが、私たちの知っていることによっては、要するに老人の激増という問題を背景にしまして——これは予想外のことだと思います。当初は、恐らくこの年金制度を立てるときには考えも及ばなかったようなスピードでふえてまいりまして、それで給付金が増額をしてまいります。七十五年になるとこのアンバランスが著しいものになる。すでに国鉄の共済組合なども赤字になっておるようでありまして、この現実は放置しておくことはできないと私は思います。これこそ財政的に大きな負担を国に与えると思いますから、その際には、そういう展望が将来的にある以上はこの見直しをやるということは必然的な問題だろうと思うのですが、その場合にそれではどういう方法でやるかということになりますと、私は専門家ではございません。  ただ、現行の年金制度を見ておりまして、大事なことはやはり物価スライド制ですね。物価スライド制は年金の中から外すことはできないと思います。これはインフレというものが進行いたしますし、それがなければ年金の価値が激減してしまいますから、このスライド制は維持していくべきであろう。問題は、いわゆる若い人たちが負担をしておる負担金の増額ということと、それから給付額を現状の制度から変えるということはこれはまたむずかしい。さりとて、その負担額だけを増額すれば、これはまたその世代に非常な加重をすることになります。この辺で私自身も非常に困っておる。自分自身の結論はございませんが、しかしこの見直しは当然やらざるを得なくなっているのではないかという感じがいたします。もう少し年金を勉強すればいいのですけれども、細かいことがよくわかりませんので、その辺でお許しを……。

正森成二日本共産党

○正森委員 ありがとうございました。国会でもいろいろ勉強してまいりたいと思います。  次に、小玉一郎公述人に伺います。  先ほどの住本さんの御意見に関連してでございますが、公述人が、年金問題について、年金法の八十条を何と考えておるのか、二〇%の国庫負担というのは年金制度についての国家の責任を明らかにしたものではないか、こういう意味のことをおっしゃいましたが、非常に感銘深く伺った次第です。憲法の二十五条を見ますと、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を国民に保障しておりまして、同条の二項では社会福祉、社会保障、公衆衛生についての国の責任というのを明記しているわけです。私どもは、年金にしましてもあるいは児童手当にしましても、国の負担というのはこの条文に憲法上は由来しているのじゃないかというように思っておりましたので、特に公述人のこの部分の御意見に感銘を受けたわけですが、公述人のこの点についての御意見を再度承りたいと思います。

小玉一郎全国高齢者退職者の会副会長

○小玉公述人 厚生年金法の八十条は、それぞれの年金制度に対してもいろいろ補助金が出ておりますが、特に厚生年金については直接給付について、保険料は被保険者と雇用者の五、五で出されておりまして、これは明らかにそれぞれの被保険者ないし雇用者の負担になっているわけでありますから、これについて社会保障という観点から国がどのような責任を持つかという形については、この八十条で規定されている二〇%というのが私は必ずしも高いと思っておりません。しかし、現行の二〇%というのが最低私どもとしては国の責任を明らかにしたものじゃないかというのは先ほど申し上げたとおりでありまして、これを取り崩すということについてはやはり責任を回避するものであると言わざるを得ないということでありまして、先ほど何回も申しましたように、返すというのを信用できないのかという話もございました。私としては、「国の財政状況を勘案しつつ」というような文章がある限り、どうもその辺は国の責任が、本当に国がそのまま負担し得るのかどうか。正森委員の言われましたように、六十年度に大きな負担が当然かかってくるわけですから、三年まとめておいてそれをどんなふうに返すのか。その辺が具体的に明らかにならない限り、どうもこの辺については賛成できないというのが私の意見であります。

正森成二日本共産党

○正森委員 それでは、あと一問だけ伺います。  住本公述人にもう一度伺いますが、公述人は防衛費も聖域ではない、見直しをすべきだという意味のことをおっしゃいまして、第二次臨調に期待しているということもお述べになりました。  ただ、私どもが今度の臨調の答申を見ておりますと、「国際的責任を果たすための経費の増加は必至である」とこう書いてありまして、それでは国際的責任とは何かと言えば、それは防衛費と対外経済協力の二つである。そして防衛費について見ますと、「極力抑制」の対象に、当初の案にございました「計画、運用」という二つがすっぽり抜けておるのですね。ですから「防衛計画の大綱」を見直して軍備を増強するとか、あるいは日米合同訓練をさらにふやしていくとか、そういうものは「極力抑制」の対象にはならないということに臨調ではしているわけですね。これでは、防衛費が聖域でないと言われても、やはり聖域という感じを国民が持つのは無理からぬ点があるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

住本利男元毎日新聞社副社長元行政監理委員会委員

○住本公述人 お答えします。  防衛費でなく、私は防衛庁もと申し上げたので、おれのところだけは別だというふうな態度ではなしに、やはり政府機関として全面的に機構、組織、運用、こういうふうなものをともに行政改革の対象にすべきだと私は考えるのです。  防衛費の問題になりますとこれは政治情勢によって、ことに私がいつも考えておりますのは外圧による需要負担、行政需要の増大ということがこれから一番大きな項目になってくるだろうと思うのです。それだけにこれから先の問題についても疑問も持ち、果たしてうまくいくかどうかという懸念もいたしておりますが、防衛費は聖域ではないと言えるかもしれません。たとえば繰り延べその他の問題を大蔵大臣は考えているようですし、財政運用の上からして必要な措置は講ぜざるを得ないでしょう。とにかく私は過去の日本の政治情勢を見てきて、一カ所だけを聖域扱いにすることは非常に危険である、その意味でやはり議論もし、是正すべきは是正すべく要求することが必要だ、こう思います。  この程度でお許しを願います。

正森成二日本共産党

○正森委員 ありがとうございました。

海部俊樹自由民主党

○海部委員長代理 小杉隆君。

小杉隆新自由クラブ・民主連合

○小杉委員 私は、住本公述人には国会改革と議員特権の見直しという点をお尋ねし、また、藤田公述人には人事院勧告のあり方について御意見を伺いたいと思います。  まず住本公述人に伺いますが、先ほど来、省庁の統廃合などをやるときは官僚とか組合の抵抗がある、あるいは補助金整理などの場合にも圧力団体などの反対があってなかなかできないということで、一口に言って従来の行政改革というのは、総論賛成、各論反対でなかなか進まなかったというのがいままで繰り返されてきたパターンだと思うのです。こういういままでのパターンを打破するためには、やはり議員みずからがその姿勢を正すことが必要だということで、たとえば議員定数の削減、四百七十一名ぐらいでずっとやってきたいままでの歴史的経過があるわけですから、一割程度削る。しかも、それとあわせて格差、定数のアンバランスを是正していくべきだという主張を私どもはしておりますし、また、いまの議員年金には大体半分くらい国庫負担が繰り入れられているわけですけれども、これは民間の厚生年金や国民年金と比較しても非常に優遇された措置であるということから、こうした国庫負担も減額すべきではないか。あるいはまた国鉄の無料パス、これは私どもの調査によると実に六十万枚発行されている。鳥取県の人口ぐらいの枚数が出されている。そこで、先日も報道されたところによると、たとえば国鉄職員の家族用のパスとか、あるいはレジャー用という特に緊急でないものを削っただけで年間四百五十億円もの節約ができるということから考えますと、こういう国鉄の無料パスをなくすためには、議員が公務以外の使用を自粛するということもやはり必要じゃないか。さらに、海外出張の自粛とか議員宿舎の家賃の是正など数々の具体例を挙げて私どもは主張しておりますが、こういった点に関しての御感想をお聞かせいただきたいと思います。  それから、二番目に藤田公述人にお伺いしますが、先ほどのお話で、いまの制度そのものの中にいろいろ見直すべきものがある、特に官民格差というようなことを具体的に指摘をされました。それから、生産性向上という要素も加味すべきだという御意見がありました。いまの人事院勧告、仲裁裁定が今国会の行革法案との取引材料の一つに使われているような傾向があるわけですけれども、当面の問題はちょっと除きまして、私は払うべきものは払うべきだという議論を持っておりますけれども、しかし、本質的にいまの人事院勧告のあり方というものに釈然としないものを感じているわけです。それは、毎年毎年民間との比較において人事院勧告が出されるわけですけれども、民間が血の出るような企業努力をして生産性を改善してきているのに官庁の方は必ずしもそうではない。やはり人事院勧告の中で、民間とお役所の中の生産性という問題にもっと着目すべきじゃないかということを私は考えております。  それからもう一つの問題は、いま、たとえば給与は人事院で勧告を出しますし、退職金とか年金とかあるいは定年制という問題は総理府とか大蔵省とか、あるいは労働省も関係するかもしれませんが、各省庁がそれぞればらばらに取り扱っているわけです。ところがこれに対して民間では、給与水準を決める場合にも退職金とか年金とか、そういったいろいろな要素を全部総合的に考えて賃金が決まっていると思うのですね。ところがお役所の場合には、そういった点は各省庁が所管のところだけをばらばらにやっているものですから、そこに単純に給与だけで比較できない要素ができてくると私は思うので、これからの人事院勧告というものはそういう退職金とか年金とかも含めた総合的な検討が必要ではないかというふうに考えますが、ひとつ先生の御見解を伺っておきたいと思います。

住本利男元毎日新聞社副社長元行政監理委員会委員

○住本公述人 お答えを申し上げます。  御質問の議員のことについては、これは冒頭に私申し上げました。やはり国会も率先してこれをやられる、もうすでに議長がそのことを明言されておるし、いろいろ御検討もあることと思います。議員が率先してこの行政改革といいますか、現在のいろいろな方策、いろいろな制度あるいは慣習、こういうふうなものをもう一遍みずから見直して改革をしていただく、改正をしていただくということは、国会の地位向上のためにも国民から大いに喝采を得るだろうと思うし、またこれは当然やっていただかなければならないことだろうと思います。  いま鉄道パスの問題がありましたが、やはり民間では、国鉄の再建をめぐりまして非常にきつい意見が国鉄に向けられておるわけです。もちろんその鉄道無料パスの問題もございますし、再建といってもちっとも痛いところをやってないのじゃないかという議論が国民各層に出ております。  こういう面で、議会が率先して、ある意味での特権といいますか、そういうふうなものをみずから改革していくということがこの際非常に大事なことではないか。議会がいつまでもそのままでいる、ちっとも自分のことは手をつけないじゃないかというふうな批判が出てきますから、議長の発言にもありますように、これはぜひとも実行していただきたい。これが国会の尊敬を得る道だろう、また、議員諸公の尊敬もこれに伴ってふえてくるということだと私は思います。これは、冒頭申しましたことを敷衍いたします。

海部俊樹自由民主党

○海部委員長代理 申し合わせの時間が過ぎておりますので、恐縮ですが、なるべく簡潔にお願いいたします。

藤田至孝亜細亜大学経済学部教授

○藤田公述人 私も小杉委員の御意見と同じでございまして、政府や国会が労働者に法律を守ることを要請すると同じように、政府や国会も法律を守るべきである。そういう点におきまして、人事院勧告あるいは公労委仲裁裁定を完全実施するということは当然のことであるというふうに考えます。  また、人事院勧告にいたしましても公労委仲裁にいたしましても、これは民間準拠あるいは生計費を勘案してというふうに法律上なっておるわけでございますが、その際の民間におきましては、御指摘のように、生産性基準原理ということで、生産性を上げて、そしてその分で賃金を上げるというふうになっておるわけでございまして、当然これは公務員や公企体におきましても、生産性を上げて賃金を上げる、そのための生産性の向上についていろいろ研究、努力をすべきでありまして、人事院の勧告にもそのような面が必要であろうと思います。  それから、民間準拠といいましても、賃金だけの準拠ということでは、現在、総額人件費の中に占める賃金といいますのは大体七五%ぐらいにしかならないのでございまして、そのほかに年金の負担でありますとかあるいは定年制でありますとか退職金でありますとかいろいろあるわけでございまして、やはりそのようなものも総合的に勘案して民間準拠ということでなければならない。いわゆる生涯賃金の官民較差が問題とされておりますけれども、御指摘のように、総合的なそのような労働条件全部を比較する必要があると思います。  以上です。

小杉隆新自由クラブ・民主連合

○小杉委員 終わります。

海部俊樹自由民主党

○海部委員長代理 これにて午前中の公述人に対する質疑は終了いたしました。  公述人の皆様には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  午後一時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十四分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議

金丸信自由民主党

○金丸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、御出席の公述人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、大変御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。行革特例法案に対する御意見を拝聴し、本案審査の参考にいたしたいと存じますので、それぞれ忌憚のない御意見をお述べいただくようお願いを申し上げます。  次に、御意見を承る順序といたしましては、まず最初に稲葉公述人、次に小島公述人、宮脇公述人、宮田公述人の順序でお一人十五分程度で一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答えを願いたいと存じます。  それでは、稲葉公述人にお願いをいたします。

稲葉秀三財団法人産業研究所理事長・前行政監理委員会委員

○稲葉公述人 ただいま御紹介を賜りました稲葉でございます。  まず私は、本法律案に対する私の基本的な見方、考え方を申し上げ、そしてこれと関連をいたしまして、法案に対しまする賛否につきまして意見を述べたいと思います。  私は、ことしの三月まで約三年間、国の行政監理委員として御協力をしてまいった次第でございますが、国と地方を通じましていまこそ日本は行政のあり方を根本的に再検討しなければならない、またいまの時期をおいてはそのようなことは望めない、こういうことを強く感じさせられました。そして、最後の段階で私たち委員が共同をして新しい提言を申し上げた次第でございますが、その後、本格的に第二臨調が設けられましたことを本当に心からうれしく思っております。しかもきわめて短い期間に精力的に討議が行われ、七月十日に第一次答申が出たことを高く評価をする次第でございます。  この第一次答申はこれから進められるべき行政改革の全部ではございません。私はこれを、主要な前提が設けられたものだ、このように考えておるのでございます。  実は私は、一昨年から昨年にかけまして、東京都の知事さんの御委嘱を受けまして、東京都の財政再建に一年間、また東京都の公営企業の財政再建に一年間、委員長として働かせていただきました。委員の皆様方の御協力を得まして、あわや破産をしそうでございました東京都の財政再建が軌道に乗り出してきたことは、まことに喜ぶべきことと思っております。しかし私は、これからの東京都の行政や都民のための東京都を二十一世紀に向かってつくっていくためには、このような過程をどうしても経過をしなければならない、このような気持ちで御協力をさせていただいた次第でございます。しかるところ、先ごろまた私は、東京都の知事さんの御委嘱を受けまして、二十一世紀に向かって東京都をどう新しく構成をしていくのかという長期計画懇談会の座長に就任することを求められました。  このような経験もございまして、私といたしましては、今後の行政改革を本格的に進めるに当たりまして、まず財政の再建を推進をする第一歩といたしまして、第一次答申で言われておりまするようないままでの支出の相当思い切った検討ということが必要ではなかろうかと思っております。もっとも、今回この法案として提出をされました七項目の法改正が行われることになったということは、後で申し上げまするように、全部の財政の再建ではございませんが、このことは、法を改正しないでは事態が改善されない、このようなことに基づくものだと理解をする次第でございます。  さて、私の個人的な解釈ということになるのかもしれませんけれども、ここに新しく国と地方を通じての行政改革、またこれと関連をして政府並びに地方団体の行っている公営企業、さらには特殊法人、また許認可事項、さらに補助金の整理、それにつけ加えまして、直ちにではございませんが、中期、長期にわたっての人員の配置や給与のあり方などを、これからの日本の社会の変化に応じて思い切って大改革を行う必要があるということを考えますと、既存の歳出につきましてやはり思い切った再編成は不可避である、こう考え、そしてそのため、五十七年度については、大きな増税をしない、特例公債については前年度に対し二兆円弱の減額を行う、その結果、自然増収を国税で前年度に比べて四兆七千億円ふえることにいたしましても、歳出におきまする公債費が一兆二千億円以上増大をしていくとか、地方交付税が一兆三千億円ぐらいはふやしていかねばならないとか、こういったような経費支出の増加のために、一般歳出が余り増大できない、こういうことにならざるを得ないと思います。  そして、一部の歳出増と義務的経費の増加を除きますると、いわゆるゼロシーリングといったような状態にならないとどうしてもつじつまが合わない、こういうことにならざるを得ないし、五十七年度につきましては、そのような結果として、それなかりせば計上できるであろうという一般歳出を約二兆七千億円程度減らしていかざるを得ない、そのうち今回の法律改正によりまして二千五百億円の支出を削るということになりました、そしてその残余の方は一般予算の節減によって削るということになったのだ、このように私は考える次第でございます。  第一に、私の個人的なこれに対する見解を申し上げますると、後で委員の皆さんの中から御異議が出るかもしれませんけれども、今回の措置は、初めに述べました、日本としては終戦後の事態というものをもう一遍振り返って、二十一世紀を考えながら行政の各面につきまして思い切った再編をしなければならない、こういうことを考えますると、私は、まだ内容的には不十分である、このように思います。真の行政改革を今後の日本のためにやろうというのであれば、もっと広い角度からの配慮と、もっと徹底をした歳出の節減策が行われるべきであった、このように考えます。後述しまするように、非常に重要なときにわが日本は際会をしているのであります。今後も引き続いてもっと努力をしていただきたいのであります。  歳出をふやそうと思えば、ふやすことは公債さえ発行すれば、あるいは増税をすれば可能なことでありますけれども、しかし、ここでは一度思い切って節減できるものを節減をしていく、こういうことが必要なときではなかろうかという意識を私は現実の動きから強く感じる次第でございます。したがって、このように考えまして、私は本法律案を今後さらに努力をして、私が述べたような方向に積み重ねていただくということを前提にいたしまして、賛成すると申し上げたい次第でございます。  次に、付加して申し上げたいことがございます。今回のような法改正すらできないといたしますると、私はこれからの日本の行政改革は、それこそ有名無実になるのではなかろうか、このように考えます。この点につきまして皆様方の御検討を煩わしたい次第でございます。  さて次に、私は初めに返りまして、今回の法律案による歳出削減は二千五百億円、現在の歳出歳入規模の一%以下という小さなものでございまするし、また上述いたしました特例公債を減らしていくための五十七年度分約二兆七千億円ということを考えますと、今回減らしていかねばならぬ規模の一〇%以下、こういう低いものであるけれども、こういう形の歳出節減の法律案は、昭和二十九年の補助金等臨時特例法案以来二十数年間ほとんど行われていない。このような意味におきまして、これがはずみになりまして今後財政支出についてもっと皆様方の徹底した検討が行われ、合理化が進んでいく、こういうことになれば、さらに地方財政にもこれが波及していくということになれば、私は大きな意味を持つのではなかろうか、このように評価をする次第でございます。  次に、国政の行方を決定されまする国会、特に衆議院の先生方にお願いを申し上げたいのは、いままでの日本は高度成長の惰性の上に動いていたきらいがあった。いまでも日本の経済の調子は他の先進国に比べまして比較的よいのでございます。しかし、その原因の一つといたしましては、昭和五十年度から公債が大幅に発行されまして、そういう支えもございまして約五%ぐらいの経済成長が達成されて現在に至っている。しかし、今後そのようなことを継続することができない。さらにまた、租税の弾性値というものが、どうも私どもが考えますと、ここで計上されているよりもやはり小さくなっていくのではないかと思います。高度成長期のときには、名目一〇%の成長に対しまして自然増収というものは一五%ございました。しかしその当時は、名目成長はおおむね一年に一七、八%でございまするから、はっきり申せば、減税をしながら歳出増大をしていくということが可能であった、しかし、今後はそれが望めないばかりか、たとえばいま所得税にあらわれているように、あるいは法人税のもとになる企業収益というものもこれからそう高くなっていかない。その中においてどのように日本を再編していくかという課題と取り組んでいくには、私はやはり思い切った財政の再建、行政のあり方を再検討していただくことが望ましいと思う次第でございます。  実は地方の問題について意見を申し上げたかったのでございますが、すでに私に与えられました十五分が参りましたので、次の機会に申し上げるといたしまして、以上をもって私の公述といたします。どうもありがとうございました。(拍手)

金丸信自由民主党

○金丸委員長 どうもありがとうございました。  次に、小島公述人にお願いをいたします。

小島昭法政大学教授

○小島公述人 小島でございます。  私にこのような機会を与えていただいたこと、大変に光栄に思っております。  時間もございませんので、早速意見公述に入らせていただきますが、私の立場を申し上げます。私は、行政改革に賛成であります。むしろ大賛成であります。ただし、このような形で進めることについては多々疑問に感じていることがございます。それは後で申し上げますけれども、そういう次第で、私はむしろこの法案に対しては必ずしも賛成いたしかねるということが結論でございます。  なぜかと申しますと、私、申し上げたいことは二点ございます。  まず第一点は、法案の性格の問題でございます。それから第二点は、この法案がつくられる、形成される過程、プロセスに関していろいろ疑問に感じていることがございます。その二点でございます。  まず最初に法案の性格でございますけれども、この法案を私がここに出てまいります前に何度も内容を読ましていただいたわけでございますが、どう読んでみても、これがどうして行政改革につながるのかということがよく理解できないのです。なぜかといいますと、内容のほとんどは歳出の削減に関する問題でございます。歳出の削減をすることによって行政改革にそれをつなぐのだ、こういう考え方でございます。臨時行政調査会の答申の中にも、これを切り口として行政改革に進むんだ、これは緊急の外科手術である、かように申されております。その点についても私は、いろいろな条件を考えなければ歳出の削減が直ちにそのまま行政改革につながるという保証はないと思うのであります。  これは理由を申し上げます。私は、この法案の性格に関して、これは行政改革の法案なのかあるいは財政再建の、歳出削減の法案なのかということがいまだに判然としない。法案の名称でありますところの「行政改革を推進するため当面」云々とあるこの一句がなければ、法案の内容だけ拝見したのでは、これは全く歳出削減、財政整理の法案であります。財政整理法というふうに名づけてもよいような内容のものでございます。その意味で私は、法案の名称をお直しになった方がいいんじゃないか。私が考えましたのは、国の財政再建に資するため当面講ずべき措置並びに昭和五十七年度予算の編成を新税の創設によらずに促進するために講ずべき臨時特例措置に関する法律案、大変長い名称がお好きなようでございますので、もうちょっと長くさしていただいたわけでございます。  このような名称になりました経緯について、私も新聞等でこの委員会を設置するための御都合等があったやに聞いておりますけれども、こういうところは国民にとって一番わかりにくいところなんです。国民にとっては、行政改革を推進するためとあるから、行政改革のことが書かれてあるのだろうと思って法案を読んでみると、どこに行政改革があるのかわからない、こういう問題点がございます。専門的に言いますと、もっと法案の性格としてもいろいろ議論をする余地の多い法案だと思います。これは、おつくりになったお立場、たとえば行政管理庁でありますとか内閣法制局あるいは大蔵省等の法案の作成に関係なさった皆さん方は、実はこういうような法案をおつくりになるのは大変御苦労の多いことだったろうと思います。そういう意味で、こういう御批判を申し上げるのは大変申しわけないのですけれども、まあそういうふうに思うわけでございます。  そこで、先ほど申し上げた点でございますけれども、この法案は、財政再建といいますか、歳出削減を切り口にして行政改革に進むんだという御趣旨ででき上がっているように私は理解しているわけですが、財政主導型といいますか、金減らし優先の行政改革については、私の研究によりますと、メリットとデメリット両方ございます。  メリットはどういう点かといいますと、これはショック療法ですね、ショック療法としての効用があります。それからいま一つは、改革を一斉にやれる、各省を横並びにして一斉に改革がやれる、こういうメリットがあることは私も認めます。ただし、デメリットがございます。どういうことかといいますと、先ほどのショック療法と裏表の関係になるわけでございますが、ショック療法ということは、ショックを与えたときの一時的な効果にとどまるということです。のど元過ぎれば熱さを忘れると言いますけれども、それが過ぎてしまえばもとのもくあみ、頭を下げてじっとしていれば風が通り過ぎてくれる、このように感じていらっしゃる方も多々あるのじゃないかというふうに思います。  それから第二点目は、無差別主義ですね。行政改革というのは、社会経済の変化に対応して、これから伸ばすべき分野を伸ばす。それから、すでに使命を終えた組織なり許認可事務等々あるいは定員等を削減するなりあるいは他に配置転換するなり、こういうことが行政改革であります。それには、社会経済の進展に対して、果たして現状において行政がそれに対応しているか、こういうことを評価をしつつやらなければならないのでありますけれども、金減らし優先になりますと、そこが無差別になる。一番典型的なのは補助金の一律削減。この法案がそうですね、一律削減、これは無差別主義であります。そういうふうになりやすいということでございます。  それから三番目、これはこの法案をつくる過程もそうだったでしょうけれども、いろいろな利害調整をやらなければならないわけです。大変御苦労が多かったと思いますけれども、そういう利害調整に行き詰まったときには、今度は収入の増加、たとえば公債発行ということは、特例公債を減額すると言っているさなかでございますので、それには訴えることはできないと思いますけれども、ただ、増税をやる、こういうことになりやすいのです。利害調整に行き詰まると、苦しいからついそちらの方に出口を求めるということになりやすい。  以上の三点が財政主導あるいは金減らし優先の行政改革のメリットとデメリット。このデメリットの面がかなり強く出てきているのではないか、かように思うわけでございます。  それから次のプロセスといいますか、法案形成の過程に関することでございますが、この法案が形成されるプロセスを私なりにいろいろ考えてみますと、行政改革に関して国民の理解を求める、あるいは深めていく、あるいは国民のコンセンサスをじっくり下から積み上げていくというよりも、どうしたら反対意見を封じ込められるか、抑え込めるか、どうもこういう工夫の方にいろいろ御苦労をされてこられたのではないかと私は想像するわけでございます。  たとえば、今年の六月五日の閣議了解、昭和五十七年度の概算要求についての閣議了解がございます。これは野党の先生方がよく御指摘になっているように、防衛費あるいは国際協力費などについてのシーリングの別枠を決めた閣議了解でございますが、この閣議了解が、例年ですと七月末あるいは八月の初めごろにシーリングが行われるのでありますけれども、二カ月繰り上げて行われたということが第一点でございます。これは、臨時行政調査会がその審議をなさるに当たって、どうもその問題には触れてもらいたくない、ゼロシーリングに関する部分について、どうしたらそれでやれるかということを臨時行政調査会に諮ったのではないか、臨時行政調査会の内部において、そういう内閣がお決めになったその別枠シーリングについて余り触れたくない、触れてもらっては困るような雰囲気がそこでもってできてしまったということがどうも言えるようでございます。  それから二番目は、八月二十五日の、行財政改革に関する当面の方針に関する閣議決定でございますが、これと、行財政に関する現在問題になっております法案でございます、この作成のプロセスでは、臨調の答申に盛られた重要な事項が大分積み残しにされておりまして、歳出削減に関する部分だけつまみ上げて法案に盛り込まれたということでございます。この二つの時点をとらえてみても、国の政策の優先順位についての重要な選択をこの二つの時点でやっているわけです。この時点においてそういう政策について国民のコンセンサスを求めるという努力が果たしてどのくらいあったのだろうかというふうに思うわけでございます。  それから、あえてもう一つ申し上げれば、一括法案のつくり方あるいは当委員会の設置の経過にもそういう点が見られるように思います。  そのように、何とかして反対意見を抑え込もうという、これはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、そういう点がございます。この間に国民にとって不平等感をあおり立てるような選択が行われるというようなことで、総理は痛みは公平にと言っておられますけれども、どうもその痛みが不公平に、不満足が不公平に配分されてきているのではないかというような気がします。  コンセンサスを積み上げる努力が回避されているのではないかということと相まって、国民の行政改革の進め方に対する不満というのが大変高くなってまいりまして、この五月、六月時点で行政管理庁が行ったアンケート調査では、行政改革賛成である、臨調も賛成である、それに反対する意見はないという結果が出ているのですが、九月下旬に毎日新聞で行った世論調査によりますと、いま政府が進めている行政改革に反対が一八%、関心がないが四二%、合わせて六〇%。それから、総理の取り組み方に余り満足していない、これが四一%、満足していないが二四%、合わせて六五%。それから、ついでに申し上げますと、内閣支持率が今年の六月現在で三三%であったものが、九月末、先月末の時点では二六%に急に下がってきております。  これは、私がただいま申し上げたように、行政改革の進め方についての国民のコンセンサスを積み上げるということよりも金減らしを優先、どんどん進めるということで、どうもその辺手抜きがあった結果がこういう世論調査になってあらわれてきているのではないか、そういう気がします。ここのところで、先ほど財政優先の行革のデメリットの三番目、つまり利害調整がむずかしくなってきているからどうしてもこれは増税をやらざるを得ぬということになってまいりますと、そのデメリットが最も大きな形であらわれることになるのではないか。行政改革に対する国民のコンセンサスがそこで一挙にがらがらっと崩れるということだってあり得ると思うのですね。  以上二点で、私は、行政改革を本法案のような形で進めるということに対しては大変消極的であります。必ずしも賛成ではございません。そういうことでございます。  以上でございます。(拍手)

金丸信自由民主党

○金丸委員長 ありがとうございました。  次に、宮脇公述人にお願いをいたします。

宮脇長定社団法人日本経済調査協議会専務理事

○宮脇公述人 宮脇でございます。私は、今回の行政改革につきまして、時間もございませんので、三つだけ基本事項について申し上げたいと存じます。  まず第一に、行政改革の必然性でございます。そして第二に、その改革のタイミングの問題です。第三に、改革の方向が日本社会が生き生きとして活力に富む社会であり続けるような改革であることが望ましいということでございます。  第一の改革の必然性でございますが、行政改革の必要性につきましては、無関心の人々や一部反対の人々を除き、国民の多くの人々が認識しており、歴代内閣も重要政策の一つの柱として掲げてまいりました。しかし、いずれも腰砕けに終わってしまったことは皆様御承知のとおりでございます。ところが、鈴木総理はこの改革に政治生命をかけると明言しておられ、ようやく本気でこの問題に取り組む体制が整ったものと思われ、私ども多大の期待を持って見守っている次第でございます。  顧みますと、戦後三十六年を経過いたしまして、世の中の激変ぶりは大変なものでございます。戦後の貧困と混乱の社会からかくも豊かな社会に変わりました。また、私どもの研究所は発足して以来今年で二十年目でございます。その当時、ヨーロッパではECが発足し、ヨーロッパの繁栄が目を見張る勢いを示したときでございました。一方、わが国はようやく高度経済成長が軌道に乗り、OECDにも加盟が許され、貿易、為替、資本の自由化が必然的な課題となり、いわゆる開放経済体制下に入ったときでございました。  当時の日本の経済界では、開放経済体制下で、果たして欧米の巨大企業と相伍して対等に国際競争ができるのかどうかということについて、大変な危惧の念を抱く者が少なくありませんでした。下手をすると多くの日本企業が欧米企業に乗っ取られてしまうのではないかという心配があり、第二の黒船騒ぎまで引き起こした次第でございました。ところが、どうでしょうか、二十年経過した今日では、攻守所を変えて日本企業の国際競争力が強くなり過ぎて、欧米企業が逆に守りの姿勢にきゅうきゅうとしており、各地で経済摩擦現象が発生しております。  これはほんの一例にすぎませんが、事態はかくのごとく時代の推移とともに大きく変転しています。ところが、人間のつくった制度や法律、組織というものは、概して社会の変化への対応がおくれがちでございます。戦前の法令やポツダム政令、さらには古くは太政官布告までがいまなおそのままの姿で残っている例もあるようで、すでに存在意義を失っているにもかかわらず温存されているものが少なくありません。  そして、予算制度もまた経済社会の変化に伴う行政目的に即応して重点配分されるべきであるにもかかわらず、実際は古いものは既得権益化され、新しい重要な行政目的には配分が少ないというのが現状のようでございます。このように制度面の硬直化が改善されないと経済社会の活力の維持が阻害される危険が大きいと言えましょう。  こうした障害を克服するためには行政改革の必要は常に存在するわけであります。余り朝令暮改でも困りますが、今回の改革にとどまらず、五年ないし十年ごとに抜本的に社会制度、システムの見直しが必要であり、そして、それはまさに国会の諸先生方の重大な任務の一つではないかと存じます。  次に第二の改革のタイミングの問題でございますが、これも一つの具体例を申し上げます。  いまから二十年前、すなわち昭和三十六年に河野一郎氏が農林大臣のとき、日本の米の生産がふえ、米の需給が著しく緩和した段階で、戦時中の米不足状態下につくられた食糧管理法はその意義を失い、新たな事態に即応するため食管法改正が必要になってきました。しかし、だれ一人としてこの問題に正面から取り組もうという大臣はいませんでした。ところが、さすが政治家河野氏はこの問題を真っ正面から取り上げ、食管法改正の必要性を説いて全国を遊説して回りました。ところが、当時河野大臣のこのような努力にもかかわらず、財界も労働組合も消費者団体もだれ一人としてこれを支援しようという動きは見られず、さすがの河野農林大臣も挫折せざるを得ませんでした。それから二十年を経過し、最近になってようやく世論に抗し切れず、先般食管法はミニ改正を見たわけでございます。  この一例でもわかりますとおり、物事の改革のタイミングが狂うとますます改革がむずかしくなり、ずるずると現状維持を続けざるを得なくなり、そのために大きな負担を背負わなければならなくなります。  以上のような点からも、今回の行政改革は、今日これだけの国民的盛り上がりを見せているときだけに、政府はこの時期を逸しないで初志を貫徹していただきたいと存じます。  第三の日本の経済社会の活力の維持のための改革ということでございますが、これが最も大切な点であり、今回の改革もこうした方向を志向しているものと思われます。行政改革に関する第一次答申を拝見してもその趣旨はうたわれています。私自身も日ごろの研究活動を通じて特にこの点を重視しています。最近、先進国病という言葉がしばしば用いられ、イギリス病とかアメリカ病、フランス病、ドイツ病そして日本病などと称する書物も出版されています。後ほど時間があれば、お配りした資料についてこの間の事情を御説明申し上げます。要するに日本も欧米諸国のように先進国病にかかって沈滞した社会になるかどうかということです。  私ども、日ごろ経済の勉強をしている人間にとっては、統計数字で経済の動きを判断するのに慣れてきています。特にエコノメトリックなどはもっぱら数式ですべてを判断するわけです。しかし、数字だけですべての社会現象を果たしてどれだけ完全に説明できるでしょうか。問題は、数字であらわすことのできる量の面とあわせて、数字では表現できない質の面も注目すべきだと思います。特に福祉の問題を論ずる場合にはこの点が大切です。  今回の第一次臨調答申で福祉や教育の予算の問題に触れると、直ちに福祉、教育の切り捨てなどという声が聞かれます。量の面ばかりを重視した意見です。国民の九〇%近くが中流階級以上という意識を持っているにもかかわらず、今回の一括法案の対象になっている児童手当の所得制限などがなぜ福祉切り捨てになるのでしょうか。一体児童手当というものの存在意義をどのように理解したらよいのでしょうか。福祉政策と見るのか人口政策と見るのか、そこらの点を明確にして対応すべきです。  また、教育の分野でも、四十人学級などというものは、現在の人口構成から判断すれば数年後にはほっておいても四十人学級になり、あるいはそれを割り込むかもしれません。現に私設幼稚園が園児を集めるために大変な競争状態を現出しています。また、大学の増設や募集人員をふやし続けてまいりましたが、ここでも将来学生募集に支障を生ずるようになると思われます。総じて量をふやすばかりに専念しますと質の面が落ちます。大学教授や大学生の質の面が問題です。また、全国にたくさん医科大学をつくりましたが、遠からず医者の過剰問題が必至と思われます。新たな社会問題になるのではないでしょうか。  以上例示しましたように、福祉行政や文教行政は、いまや量の問題とあわせて質の問題を重視すべきで、その意味でも、今回の行政改革はこのような点に配慮して改革を断行すべきでございましょう。衣食足って礼節を知るという面と対照的に金持ちのどら息子という言葉もあり、質と量が矛盾する例でございます。  さらにもう一つ大切なことは、福祉政策は経済、財政政策と切り離せないということでございます。高度経済成長時代に独自の高福祉政策を進めた地方自治体が、七〇年以降低成長時代に入り、たちまち財政破綻を来した例は私どもの記憶に新しいところでございます。高福祉は結構ですが、そのツケは一体だれが負担するのでしょうか。現在のわれわれ自身が負担するのか、あるいはツケを子孫に回して、子孫の負担の重加を強いることにするのかという二つの選択しかありません。この意味で、これから高齢化社会が急速に進行することが予想される中で、やはり今回の一括法案の中の一つである厚生年金制度は、いまこそ財源に余裕がありますが、このままでは年金財政がパンクするのは目に見えています。子孫に過大なツケを回すことはやめ、早急に対策を講ずべきだと存じます。  現在、福祉国家のモデルのように言われていた北欧や西欧の国々では、低成長と過大な財政負担に苦しんでいます。揺りかごから墓場までの福祉政策は明らかに破綻を来しています。  わが国は、こうした前車の轍を踏まないように活力ある社会の維持が必要でございます。そのためには、与えられる福祉ばかりに頼らないで自助努力が必要です。老人ホームやベビーホテルをたくさんつくるよりも住宅政策をしっかりやって、三世帯同居の一家団らんの家庭を築く方に重点を志向すべきでしょう。また、国の支給する年金を厚くすることだけに期待しないで、老人にふさわしい職場づくりをする雇用政策をしっかりやって、健康な老人が生きがいを持って余生を送るような社会が望ましいのではないでしょうか。一方、病気その他で不幸な人々には厚く遇するような福祉政策を採用すべきだと考えます。  今回の一括法案の財政メリットはたかだか二千四百八十二億円という試算のようで、余り大した財政節約効果はないようです。しかし、この程度の改正すらできないようでは根本的な改革は不可能だと存じます。どうかしっかりおやりください。  そして、当局にお願いしたいことは、次第に各方面の抵抗が強まり、結局来年度の財政のつじつま合わせに終わるのではないかというようなことが流布されています。どうかそうした小手先だけの改革に終わらないで、あくまでも行財政改革の初志を貫いていただきたいと存じます。  また、不公平税制についてぜひ抜本的なメスを入れていただきたいと存じます。わが国は所得のフローの点では世界でもまれに見る平準化した社会ですが、ストックの面では不動産を持つか持たないかで大変な格差を生じています。しがないサラリーマンの給料が一〇〇%把握されて課税されるのに反して、農民や自営業者、医者等に対する税金は確かに問題です。乏しきを憂えず等しからざるを憂えるという考え方に立って改革を進めていただきたいと存じます。  まだ時間があるようでございますので、お手元にお配りいたしました漫画の説明を駆け足でいたします。  このアノミー指標と申しますのは、これは私がちょっとしたアイデアでつくったものでございますが、私が先進国問題という問題を十数年以前から関心を持ちましてやっておることでございまして、一ページ目の表は、左方の「犯罪」「交通事故」云々という指標と、それからずっと右に並んでおります国別の十一カ国の比較をしたわけであります。これはグラフが小さいので見にくいと思いますので、次の二枚目の日本の図をごらんいただきたいと思います。  これで見ますと、日本の犯罪とか自殺率とか、こういうふうな動きがずっと見られるわけでありますが、五〇年ごろから六〇年ごろ、これは日本が戦後の混乱時代、生活が非常に苦しかった時代でございまして、このときはこういうアノミー指標というものは上昇傾向を示しております。そして、六〇年から七〇年にかけての高度成長になりますとずっと下がっております。いわゆる衣食足って礼節を知る時代でございます。ところが、二番目の「自殺率」というところでごらんいただきますと、七〇年から上がり始めております。物質的に豊かになりながらこういうふうな上昇傾向を示しております。したがって、物的な職かさというものとアノミー指標というものとが逆相関関係に転じております。欧米諸国では、日本より十年早く六〇年ごろからアノミー指標はずっと上がる傾向を示しております。  時間がございませんので、次の三ページを説明いたします。  三ページは、これは統計が制約されておりますので、一九六〇年から六九年ごろまでの比較でございますが、1と書いてあるのは一番悪いのでございまして、11と書いてあるのが十一カ国の中で一番いいということでございます。いいといっても本当にいいのじゃなくて、順序が十一番目だということでございます。一九六〇年から六〇、六一、六二の三カ年の平均と、それから一九六九年、六八年、六七年の三カ年の平均、その数字で見ますと、日本は殺人につきましては三番目に悪いわけでございます。しかし、六九年になりますと六番目になっておりまして、最近になりますとずっとよくなっておるはずでございます。  それから、最後の10というのはトレンドでございまして、日本は傾向としては各国と比較しましていい傾向を示しておるということでございます。しかしながら、先ほどの表で見ましたように、決して楽観を許せないわけで、上野傾向にあるということ自体は考えておく必要があると思います。  それから、最後の表でございますが、これはこういったマトリックスをつくってみまして「完全雇用」から「工業化」「高学歴化」「社会保障」「高所得」というような先進国の条件としての指標と、それからアノミー指標とぶつけてみますと、この解釈は人によっていろいろ違いまして結構なんです。これは私どもの個人的な考え方でございます。ここで書いてあることはどちらでもいいわけですが、要するに申し上げたいことは、結局、工業化も行き過ぎると公害が起こり、高学歴化ということ自体も、量の面をふやし過ぎるということが必ずしもいいとは限らない、社会保障も同じでございます。そういうことを意味する意味でこういうマトリックスをつくってみたわけでございます。  時間がございませんので意を尽くしませんが、これで私の公述を終わります。(拍手)

金丸信自由民主党

○金丸委員長 どうもありがとうございました。  次に、宮田公述人にお願いをいたします。

宮田義二行政改革推進国民運動会議代表

○宮田公述人 御紹介をいただきました宮田でございます。  まず最初に、第二臨時調査会における第一次の答申の中身についてでありますが、私どもとしては、この一次答申に賛成をし、かつ支持をしたいというのが私どもの率直な態度でございます。     〔委員長退席、三塚委員長代理着席〕  特に私は、この臨調の中での一次答申に盛り込まれています理念の問題ということに大変な関心を持っておるわけであります。御案内のとおりに、変化への対応、簡素化、効率化の問題、信頼性の確保という三つの行革の理念というものを明らかにしています。このことは、私は、行革特別委員会において念頭に置いて対応されてしかるべきではないかということをまず基本的に主張しておきたいというふうに思います。  ところで、この一次答申を受けまして、この国会で主として、最初の取りかかりでしょうけれども、五十七年度の予算編成を目的にいま議論が行われているというように私は承知をしているつもりであります。そこで、いま問われている行革特例法案の内容について、幾つか私どもで意見を述べておきたいと思うのであります。  その第一は、厚生年金などを中心にいたしまして、国庫負担金の繰り入れ減額補てん、そういった問題などが一応議論をされるというふうに法案の中に盛り込まれていることを承知をしております。しかし、この問題はもっと補てんのための保証のようなものをはっきりさせていただきたい。どうもこのままでいきますと、あるとき払いの催促なしのような感じがないとは言えないと思いますので、どこかでひとつ保証をしていただきたい。これはぜひ私どもとしてはお願いをしたいと思うのです。  これには面接関係がありませんけれども、この機会に一言申し上げておきたいことは、厚生年金の基金運用にかかわる問題であります。厚生年金の基金に関する限りは、労働組合と経営者といいますか、これがある意味ではかなり大きな負担当事者であります。にもかかわらず、基金運用には、負担をしています労働組合や経営者の代表からは何らの意見の反映ができない仕組みになっているのであります。この辺は、厚生年金基金運用に関してもう少し御検討をいただきたいということもお願いをしておきたいと思うのであります。  次に、住宅金融公庫貸付金利については、特例適用期間中にも現行金利でもって存続をしていただくように、特にこれはお願いをしたいというふうに思います。同じような意味で、住宅金融公庫貸し付けに関する制度も、存続が可能であるならば何とぞそういう方向で取りまとめをいただければということもお願いをしておきたいというふうに思います。  さらに、特定地域におきます補助金の財政金融措置などは、私ども素人目ではもう少しはっきりしません。したがって、もっと具体的にわかりやすい形で実行体制というものをとっていただきたいと思うのであります。なぜなら、この補助金などの肩がわりというのは、当然それらの特定地域における新たな財源をどう見つけるかという問題にかかわってくるわけでありますから、そういった問題などがどういう方向になるのかなど、私ども大変関心があります。そういった意味で、もう少しその辺をきっちりしてもらっておくわけにいかないだろうかということも申し上げておきたいと思います。  特に、一般論でありますけれども、いわゆる弱者へのしわ寄せ、こういった問題がこの行革特別委員会における審議過程の中で生まれないように、ひとつ十分な配慮という問題などをこの機会にお願いをしておきたいと思います。  次に、行革法案、今回の特例法案と直接関係はしませんけれども、行革特別委員会でありますから、ごく一般的な問題も含めて若干この機会に幾つかの意見を述べておきたいというふうに思います。いわゆる増税なき再建というのがうたい文句になっています。しかし、それはいまのところ私どもは、また一般の国民は、五十七年度の増税なき再建というふうにしか、どうも少しシビアかもしれませんけれども、受け取り方がそういう受け取り方になります。しかし、臨調における第一次答申の基本的な考え方というのは五十七年度に限っていないと私は思うのであります。ある意味では、将来ともに増税という問題は考えないで行政改革をやれというのが理念ではないのか。そういった意味では、何となく非常に危なっかしい。この辺はひとつ明確に、増税という取り組みはしないということを将来ともにかなりの期間保証していただきたい。  同時に、現在の税制の問題は、先ほども公述人の方から御指摘がありましたから余り詳しくは申し上げませんけれども、特に私どもの立場からいたしますと、勤労所得税の納入者という立場に立ちますと、これは何といいましても明らかに実際に増税になっているんです。しかし、これをもう少し敷衍して御理解いただきたい、御計算もいただきたいと思いますけれども、実は免税点の据え置きがもたらす勤労所得税の累進による増税と、さらに法定内福利費、これは厚生年金あるいは社会保険一般の問題等でありますが、これらの料金なども、多少の名目賃金が引き上がりますと当然上昇してくるわけであります。計算をしてまいりますと、実は、増税なきと言われますけれども、インフレ、要するに物価上界のインフレ率よりも、法定内の福利費用、要するに可処分所得として残る前に持っていかれる部分の率は二けたを超えるのであります。これはもうインフレに追いつかないのであります。こういう問題はもう少し適正に、いわゆる税の不公正をなくすというための対応策の取っかかりとしてもここから出発をしていただきたい。特にクロヨンなどと言われている捕捉率の問題なども次の課題かもしれませんけれども、余りにも負担が大き過ぎるのではないでしょうか。ですから、増税なき再建と言われていることが必ずしも私どもには増税なき再建というふうに映らないのであります。大変な負担があるということ、しかも大変な不公正があるということを少し御指摘をいただきたいと思います。  また次の問題で、表現が適切でないかもしれませんけれども、私はしばしば政治コストという言葉を使うのであります。これがいいかどうかはわかりません。言うならば、日本の政治コストはちょっと高過ぎるのじゃないかという感じがするのであります。そういう意味では、もう少しこのコストを切り下げるための努力というものが払われるべきではないか。  第一次答申では、行政府だけではなくて立法府、司法府なども含めて自発的に合理化、効率化の努力を強く要望すると答申をしています。司法府のことはいまここで触れるという問題にはいかないかもしれませんが、立法府の皆さんでありますから、ひとつ立法府自身が、政治の効率的な運営を図っていくためになすべき方向を、初めに当たってぜひ国民の前に明示をしていただきたいと私は思うのであります。そのことによって、少なくとも国民が、行政改革に範をたれるような立法府の姿勢があれば、もっといろいろな意味での協力体制というものが生まれるのではないかというふうに私は考えています。  いま一つの問題は、目下五十七年度予算編成の過程で議論になっているでしょう人事院勧告並びに仲裁裁定の実施の問題についてであります。  私どもは、労働基本権とのかかわり合いから、いわゆる国家公務員法やあるいは公企体等の労働関係法などが生まれて、そして人事院なりあるいは公労委の委員会などという問題がつくられている過程を考えますと、やはりこの制度を重視してもらって、出てきた結論は実施をしてほしい。もし問題があるならば、それは人事院の勧告の前に人事院の中で議論すべきであり、公労委の中で仲裁の結論を出す前に議論があってしかるべきだと思います。出てきた結論は、この制度上の問題から実施をしない方がおかしい。もし仮に、これを実施しないという現在のような局面は、私は民間の労働組合の立場でもありますから、多少異論がありますけれども、ある意味では労使関係の正常化という問題に決していい方向には働かないということは言えると思うのであります。そういった意味で、その面に対する行革特別委員会における積極的な対応を私はお願いをしたいというふうに思うわけであります。  いずれにいたしましても、せっかくの行革特別委員会であります。これから何年かかけて日本の行政改革をなし遂げなくてはならない。ことわざにもありますように、初めは脱兎のごとく終わりは処女のごとしでも困ります。私はいまの取り組みはまさに脱兎の勢いだと思います。非常にいいと思います。しかし、それが最後まで続けられて、国民が期待している行政改革をぜひともなし遂げていただきたいということを一言申し添えまして、私の公述を終わります。(拍手)

三塚博自由民主党

○三塚委員長代理 どうもありがとうございました。ことについては大変残念だ、こういう気持ちがあったのではないだろうか。したがいまして、そういう気持ちを具体的にあらわすものがこの二カ月早めたいわゆるゼロシーリング、概算要求の閣議決定であったというふうに私たちは見ております。だからこそ、結局、第二臨調にこのゼロシーリングに合わせた緊急的な方策をひとつ考えていただきたいという形で大蔵省当局はいろんな意味での根回しをしたと聞いているわけでございますし、また各政府官庁も同じような立場で臨調の委員に働きかけたりいろんな行動をされたというふうに私ども漏れ承っているわけであります。したがいまして、考えてみれば、土光さん以下臨調の     —————————————

三塚博自由民主党

○三塚委員長代理 これより各公述人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口鶴男君。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 公述人の皆さん御苦労さまでございます。お忙しいところ国会に参りまして貴重な御意見を承りましたことに対しまして心から感謝をいたしたいと思います。  そこで、お尋ねをいたしたいと思うのですが、第二臨時行政調査会が七月十日に第一次答申をお出しになったわけでございます。公述人の皆さんからもお話がございましたが、今回の第一次答申というものは、時間的にも制約があったと思いますし、またいろいろな意味での障害といいますか、制約というものがあったのではないだろうか、こう思われてなりません。いろいろお話を伺いますと、当初第二臨調が第一次答申をお出しになるときに、この答申の中にございます「行政改革の理念と課題」、これは必要ないのじゃないか、これに対しては御議論が余りなかった。そうしてもっぱら議論が集中いたしましたのは「緊急に取り組むべき改革方策」、この問題に集中をしたと承っておるのであります。そこに私は、今回の第二臨調の一次答申の不幸な出発があったような気がしてなりません。  公述人もお触れになりましたが、六月、ふだんよりは二カ月早めて概算要求に対する閣議決定が行われた。大蔵省は予算編成権というものを手放したくない。第二臨調というようなもので、大蔵省以外のところで予算の方向を決められるという皆さん方はお気の毒な立場にあったのじゃないだろうか。  本来、「理念」の中にも触れられておりますけれども、行政改革は「変化への対応」が必要である、それから「簡素化、効率化」でなければならない、同時に政府の「信頼性の確保」ということが重要だということを触れているわけですが、どうもそちらの方の立場に立った行政改革はどうあるべきかということがほとんど議論がなくて、そうして緊急とるべき方策について論議が集中した。しかも、大蔵省が四十六兆の予算のうち補助金が十四兆あります、十四兆のうち八兆円は文部省と厚生省の補助金でありますというような形の中で、この文教の補助金を削るには一体どうしたらいいのか、厚生省の補助金を削るには一体どうしたらいいのかというところに議論が集中し、結局このような答申になった。だから私たちは、今回の答申を見て、弱い立場にある人たちに対するしわ寄せばかりではないのか、弱者に対する容赦のない切り捨て政策ではないのか。そうして、そういう方面で経費を節約することによって軍事予算については七・五%というような聖域を設けている。いわば鈴木行革というのは、行革ではなくて軍拡ではないのだろうかというような疑問も実は持たざるを得ない、そういうところに問題があったのではないかと私は思っております。  そこで、稲葉公述人にお尋ねいたしたいと思うのですが、稲葉先生は政府の審議会等各種の委員を歴任され、また、お話にございましたように、東京都の財政再建のために、この審議会の座長あるいは議長として御努力をいただいております。そういう意味では、戦後のわが国の財政運営というものについては非常にお詳しい方だと承知をいたしております。  問題は、先ほど私が申し上げたように、大蔵省がみずからの予算編成権限というものを手放したくない、余り臨調にいろいろなところまで触れてもらいたくない、だから二カ月早く概算要求の閣議決定をやって、この大蔵省の方針で、聖域は幾つかあるわけですが、ゼロシーリング、それに合わせた答申をつくってもらいたいというような方向にまさに動いて、この第一次答申ができたのではないだろうかという私の推測が当たっておりますかどうか、ひとつ御意見を承りたいと思う次第であります。  同じ質問は、小島公述人にもお聞きいたしたいと思っているわけです。  小島公述人は、ただいま私が申し上げましたような危惧をお持ちであるようなお話でございました。本来行政改革は、明治以来できました各省のなわ張り——日本の政府には幾つかの政府が分かれて存立しているのではないだろうかという気さえ私はするわけです。大蔵省あるいは外務省、内務省というのはその後分割されましたが、それぞれの各省が一つの独立した政府、なわ張りというようなものが非常に強固だ。まさに国民のニーズにこたえて行政改革をやるためには、そういった各省のなわ張りというものにメスを入れていく。国民のニーズに合った形で行政はどうあるべきかということをまず考える。  そうして、補助金について言えば、大変細かい零細な補助金というのがたくさんある。これをもらうために、自治体が省庁に出向かなければならない、書類を出さなければならない、あるいは許認可の事項その他で一々中央に足を運ばなければならない。そればかりではなくて、いま各ブロック機関というのがございまして、中二階がございまして、ブロック機関にも行かなければならぬ、霞が関にも行かなければならぬというような煩瑣な手数が非常にある。  こういった問題にメスを入れて、そして中央地方の行政のあるべきけじめというものをきちっとする、それに合わせて税源も財源も配分をしていくということが考えられてしかるべきじゃないだろうか、そういったところにメスを入れていく中で本当の行政改革というものがあるのではないかと私は思うわけでありますが、今回の鈴木行革、今回出ました法律案、そのもとになっております一次答申あるいは八月二十五日の閣議決定というものは、どうも逆立ちしているのではないだろうかという感じがいたすわけでございまして、この点、小島公述人に御意見を承りたいことと、それから稲葉公述人につきましては、東京都の財政その他で、地方財政、国の機関委任事務あるいは団体委任事務を処理するためにいかに煩瑣なことが多過ぎるかということについても十分御存じだと思いますので、稲葉公述人にその点に対する御意見を承れれば幸いだと思う次第でございます。  とりあえず、お二人にお尋ねをいたしまして、また次にお尋ねをいたしたいと思います。

小島昭法政大学教授

○小島公述人 お答え申し上げます。  第一点の臨時行政調査会の第一次答申がつくられます過程についてのお尋ねでございますが、私も先ほども申し上げたように、六月五日の閣議了解というものは、内容的に見て、閣議了解の文面それ自体を見てみますと、どこにも防衛費をどうするとかそれから国際協力はどうするというような新聞に書かれてあるようなことはないわけです。むしろわからないです。国際条約に基づく国庫債務負担行為については、この金額の限度を超えて増額する場合もあり得るというような、非常に抽象的に書かれておりますので、これだけ見たのでははっきりわからぬわけですね。  しかし、このシーリングというのは、昭和三十六年以降続けてまいっている制度でございますし、また慣行であるわけですが、これまでのシーリングの制度の運用のプロセスを見てまいりますと、大体各省横並びで、今年度は一二・五%であるとか、さらに来年度は一一・何%だとか横並びで来て、その中で昭和四十年代の後半のころから、社会福祉等の経費について若干別枠扱いをするというような、政策によって別枠を設けるというような慣行ができつつあったように思います。  しかし、今回のように、国政にとってきわめて重要な政策に関して、しかもそれが五本か六本になるようでございますが、それに関してシーリングを別枠にするということは、これは客観的に申しまして、国の重要な政策の優先順位を決めていることになるわけです。こういうような内容のことは、恐らく私の知る限りでは、今回、従来と格段に異なった扱いになっていると言わざるを得ないのです。  こういうような内容でありますと、諸外国の予算編成に照らしてみても、こういうのはまさに国政の優先順位を決定するという重要な政策でございますし、したがいまして、こういうような問題をシーリングという形で事務的にやるというよりも、むしろ予算編成方針として明確に打ち出して、そして国会の審議にかけるというような手続をお考えになったらいかがであろうか、私はそう思っているわけです。  まして、第一次臨時行政調査会の答申の中にも、従来の予算編成方針というのは実質的な役に立っておらぬ、もっと早期に予算編成方針を策定すべきであるというのがあるわけです。しかし、ずっとこれが実施されずに来て、ここへ来て急に予算編成方針という形ではございませんけれども、実質的に予算編成方針として打ち出さるべき内容のことが、急にこの段階で二カ月繰り上げるという形で出されたということに、私はやはり疑問を感ぜざるを得ない。  一部には、今回の経過に関連して、これは予算編成というものを民主化したのだ、あるいは国民主導の予算編成になった、あるいは党主導の予算編成になったのだということで大変評価をする御意見もございますけれども、これは私は評価は当たらないのじゃないか。むしろこういう形でおやりになるよりも、これだけ重要な政策の優先順位をお決めになるというような内容のことでございますから、これはやはり予算編成方針というような形で、場合によって二段階に分けてもよろしいんじゃないか。大蔵省は御賛成にならないかもしれませんけれども、二段階に分けておやりになるということも考えられるんじゃないか。そういうことも含めて、今回の経過を見まして、予算編成の方式そのものがまさに行政改革の対象である、課題であるという感をつくづく深めた次第でございます。  それから、二点日でございますが、国、地方を通じた行政のけじめをつけるべきでないか。これも私は同感でございまして、どうも国、地方の間の事務配分というものが従来再三にわたって各方面から指摘されておるにもかかわらず、それについては十分手がつけられていない。そして補助金、負担金の一律削減ということになりますと、これはどうしても地方公共団体の財政負担になってはね返らざるを得ないわけです。  その点に関連して申し上げますと、昭和五十二年の十二月に財政制度審議会の答申がございます。その答申の中に、国庫補助金の一律削減という措置は、結果的に地方自治体に負担の増加を招くという御指摘が出ておるわけでございます。そういう点からいいましても、財政制度審議会のお考えに比べても、一律削減というのはいかがなものか、かように思うわけです。そういう点から申しまして、先生がおっしゃったように、国、地方の間の事務、仕事のけじめをまずつけるということが、やはり行政改革の第一前提ではなかろうか、かように思います。

稲葉秀三財団法人産業研究所理事長・前行政監理委員会委員

○稲葉公述人 私、次の二点についてお答えを申し上げたいと思います。  今回の第二臨調の第一次答申に伴うその後の措置として、大蔵省の予算編成権からの介入があったかどうか、それについて私がどのように評価をするか、この点が一点。それから第二点は、地方財政とそれから地方財政をこれから行政改革と関連をして立て直していく場合においてどういう問題があるか、こういう二点についてお答えを申し上げたいと思いますが、それでよろしゅうございますか。(山口(鶴)委員「結構です」と呼ぶ)  まず、第一点について申し上げます。実は、私はことしの三月で行政監理委員をやめましたので、第二臨調におきまする審議の経過は、仄聞はいたしておりますけれども、いま先生に、このとおり大蔵省と臨調の間にいろいろ取引があったとかどうとか、こういうことにつきまして正確にお答えを申し上げることができないということを、まず第一に御報告申し上げたいと思います。  ただ、私の了解いたしまする限りにおきましては、第一次答申をまとめるに当たりましては、むしろ次のような前提で七月十日までに案をつくるということが、今度の第二臨調の委員並びに専門部会で決定をして、その線で事が進んだと考えております。とりあえず、つまり財政をひとつ洗い直すという観点に立って、昭和五十七年度については大幅な増税をしない、また公債発行は、赤字公債については二兆円見当減らす、そしてしかも地方交付税とそれから国債費の増大というものを厳重に規制をする、こういったようなことはしない、そうした場合において一体どういうことになるかということを前提に、その次の行政の問題につながるような形で審議が行われた、こういうふうに了解をいたしております。  また、私自身も、実は、東京都の経験もございまして、財政と行政改革を切り離してやるというのは効果のないやり方ではないかということを、戦後政府の仕事をお手伝いをいたしまして、非常に感じているのでございまして、その点は小島公述人と、私のいままでの経験から申しますと非常に違った立場にある、こういうことも率直に申し上げておきたいと思います。  そのような形で答申が行われ、そしてそれに即応して、やはりいまのところ予算編成権というのが大蔵省にあるわけでございまするから、事が進んできたし、それからもう一つ、大蔵省関係については、もう先生も御存じのように、財政制度審議会というのがもう数年前からございまして、どうするかといったようなこともございました。そのようなことで、それぞれ立場は違いまするけれども、意識的に大蔵省が今回は別のルートをとってその臨調の答申をおくらしたというふうには私は実は解釈をしていない、こういうことを良心的に申し上げたいと思います。  ただ、それでは大蔵省が予算編成権を未来永劫とるのがよいのかどうかという問題は、実はこれとは別個の問題である。したがいまして、この問題につきましては、第二臨調の議論の場で、その最終までにそれをひとつ御検討になってしかるべきではなかろうか、こう思っております。  ただ、戦後の事例から申し上げますと、実は昭和二十二年に一遍大蔵省と私ども経済安定本部がやり合いをいたしまして、それでは私たちは、予算編成権は私の方にもらうか内閣に持っていく、それでどうじゃ、こういったようなことで、増税をするかしないかということをやり合ったごとがございます。そのときは、私は大蔵省から予算を取り上げよと御論議いたしたのでございますけれども、不幸にしてそれは実現をしませんでした。  しかし、今度は、仮に私が申し上げますことが正しいとするならば、もう一遍ひとつ白紙に返して、いままでのことを勘案し、二十一世紀に向かって日本が一体どうなるかという観点に立って、では予算の編成はどこがしていく、あるいは私がよく個人的に主張しておるわけでございまするけれども、たとえば人事院だとか行政管理庁とか会計検査院も一緒にして、本当に予算がうまく実行をされるのかされないのかということを一元的にやっていくといったようなことを、先ほど申したように、いままでが前提で、来年の七月までがいよいよ本番でございますから、その場でひとつやっていただくということと、もう一つ、私がお願い申し上げたいのは、ここには各政党の方がおいでになりますから、この問題は、臨調と並行いたしまして、各党におかれましても、いまから真剣に、予算編成権だけではなくて、中央の組織をどうするとかあるいは地方の団体をどうするとか、あるいは三Kの赤字を一体どうしていくんだとか、そういうことをそれぞれの党の立場でここはやはり意見としてお出しになる。そうしないと、結局進んでいかない。出てきたものだけけちをつけるということだけでは、どうも進んでいかないのではなかろうか、こういう感じを、はなはだ失礼な言い分でありますけれども、申し上げておきたいと思います。  次に、地方財政でございます。実は、ことしの三月末までの段階におきまして、私どもも地方財政及び地方行政の問題についていろいろ論じ合いました。しかし、不幸にしてなかなか結論に到達するということができませんでした。ただ、これからのあり方として、第二臨調並びに先生方にもひとつお伺いをいたしたいのは、私たちは、地方自治というのを推進をしていくのがこれからのたてまえだと思っております。しかしその際、地方自治とは何であるかということにつきまして、実は各党を通じて明確な考え方というのを何とかひとつ、おまとめをしていただくことができないのかということでございます。  たとえば、明治以来ずっとございました府県の区分というものを、これだけ交通やいろいろな通信が発達をした今日におきましても、四十八ですか七ですか、つくって、日本はずっと持っていかねばならないのか。あるいは道州制の方へ、十年後なら十年後に移っていくのか。あるいは、それとは別に、道州制といまの段階の真ん中ぐらいのあり方といったようなところへ持っていくのか。  あるいは、もう一つは地方自治の本体というのは一体市町村なのか、府県なのかということにつきましても、これは非常にむずかしい問題ですけれども、できるならば、ひとつ考えていただきたい。  それから、いま一つ私どもが検討をいたしまして、問題として個人的に私が出している問題は、地方団体全部ではございませんけれども、少なくとも半分弱の地方団体では、国家公務員の給与ベースというものをはるかに上回るような形で給与の支払いが行われておる。これは実は非常にデリケートな問題でございまして、はっきり申しますと、たとえば府県の場合、知事さんとそれから労働組合との団体交渉では決まり得ないものである。つまり第三者機関である人事委員会がお決めになる、こういうことでございます。私が東京都で問題にいたしましたのは……

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 そっちのことは聞いておりませんから、まあ適当に……。

三塚博自由民主党

○三塚委員長代理 時間が限られておりますから、ひとつ簡明にお願いいたします。

稲葉秀三財団法人産業研究所理事長・前行政監理委員会委員

○稲葉公述人 そういうことにつきまして考えるのと、もう一つは、はっきり申しますと交付税の税率と配分の仕方を変えるのかどうか、こういう問題があるということを指摘をさしていただきたいと思います。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 いろいろお尋ねした以外のことまでお話しいただいたわけですが、私は、いま小島公述人からお話がありました国民のための予算編成を一体どうするかという問題は、大変重要な問題ではないかと思っております。第一臨調の答申もございますが、現在の予算編成というのは、大蔵省を中心にしていわば国民の目に触れないところで密室の中で行われている。これは問題ではないのだろうか。したがって、九月ないし十月に政府が予算編成方針を出す。そして臨時国会で集中的に、明年度予算はどうあるべきか、政策の順位はどうあるべきかという議論を大いにやって、その結論を踏まえて政府が予算編成をやっていくということが正しいのではないかということを、前々から実は提言をしてまいったのであります。     〔三塚委員長代理退席、藤波委員長代理     着席〕  今回のこの行政改革関連法、三十六本の法律を一本にして出した出し方が問題である、あるいは特別委員会で議論をすることが各委員会の審議権を無視するもので問題であるということを私たちは問題にしてきましたが、この臨時国会の論議で一つの収穫があったとすれば、結局二千五百億円にとどまらず、昭和五十七年のいわば概算要求それこそが、むしろ福祉と教育を犠牲にする一番の中心でしたから、これらの問題をめぐって論議を集中した。いわば明年度予算編成に関して国会が相当な議論を積み重ねたという点は、私は今度の臨時国会の一つの成果であったのではないだろうかというふうに思っております。  そういう意味では、今後、小島公述人がおっしゃられたような、あるいは第一臨調が示したような、政府が予算編成の方針を出し、国会がそれを国民の立場に立って徹底的に議論して、その上で明年度の予算編成をするという仕組みをつくっていくことができるとすれば、私は大変いいのではないだろうかという感じを持っております。その点、稲葉、小島両公述人の御感想があれば承っておきたいと思います。  それから次に、「増税なき財政再建」をやる、これこそが重要だとはしがきにも書いてあるわけであります。ところが、これが大分まやかしであるという感じを私たち持たざるを得なかったわけであります。五十七年においては、まさに「増税なき財政再建」をやるが、しかし五十八年、五十九年と、またゼロシーリング、さらに、それを切り込んでいくということになれば、これは国民の皆さんがどう判断するか、そこでどうするかは考えなければならないという形で、渡辺大蔵大臣は増税もあり得るということをある程度示唆される答弁を行ったのであります。そういう意味では鈴木行革、三年の財政再建期間中は「増税なき財政再建」だといううたい文句が、まさにきわめて不明確なものでしかないという点が明らかになったことを、私ども非常に遺憾だと思っている次第であります。  問題は、政策優先、どこに優先順位を置くかということなしに一律削減ということをやっていけばどうしてもそうならざるを得ない。そうして、どうも大変だ大変だということになれば、それでは増税もやむを得ません。国会決議で一般消費税はいけませんよということが決まっております。ですから、一般消費税という名前は使えないと思いますけれども、その場合、財政当局が考えるのはいわば大型間接税であり、あるいは大型物品税だ。一般消費税の名前を変えた悪税が国民にのしかかってくるのではないだろうか、こういう危惧が払拭できないことを私どもは非常に遺憾に思っております。  そこで、宮田公述人にお伺いしたいのですが、まさに、いま免税点がそのまま据え置かれているために、サラリーマンの税金というのは重たくなっています。そして可処分所得というものが非常に目減りしている。インフレに追いついていない。大変な事態だということは、私たち、まさにそのとおりだろうと思うのです。したがいまして、この鈴木行革の一つの欠点は、「増税なき財政再建」というのがどうもはっきりしない。依然として増税の可能性というものを秘めている。そういう中で、特にサラリーマン層に対する犠牲がますます高まっていくのではないだろうか。むしろ「増税なき」というのは不公平税制を是正して、サラリーマンには減税をやっていくというのが本当の「増税なき財政再建」だと私は思うのですが、その点に対する宮田公述人のお答えをいただきたい。  最後に、この法案には触れていないのですが、国民健康保険の負担を四〇%国がしているのですが、そのうち五%を都道府県に負担させるということが明年度のゼロシーリングで問題になっています。私は、いまの地方財政を考え、しかも国民健康保険制度、国が責任を持つといういまの法律のたてまえから言えば、まさにこれは邪道である、かように考えております。この点に対しても小島公述人の御意見を承れれば幸いです。

小島昭法政大学教授

○小島公述人 まず第一点は、今回の臨時国会におきまして、事実上、明年度予算編成に関連する審議が行われている、そういう意味ではプラスであるのじゃないかという趣旨の御質問でございますが、私も実質的にはそうだと思います。その意味では意義がある国会である……(山口(鶴)委員「わずかにそれが意義がある、こういう意味ですね」と呼ぶ)そういうことでございます。  ただし結果的には、明年度予算についてこのようになし崩しに小刻みに審議をしていくということでございますから、今年末に経済見通しが出る、それから税収の見通しが出る、そして最終的に予算編成方針が固まる、こういうことでございますが、一説によりますと、ことしはもう八割方予算編成は済んでしまった、万歳だというようなことをちょっと漏れ承ったことがあるわけです。こういうプロセスは必ずしもフェアではないのじゃないか。やはりその辺はなし崩しにやるのではなくて、予算の編成システムの問題として、制度としてきちんとして、そうして先ほど申し上げたような国政の重要な優先順位に関する決定を含む内容でございますから、そういう問題については予算編成方針として、きちんと国会の審議を経るべきではないか、こういうことでございます。要するに、制度化が必要ではないかということです。  それから、その次の「増税なき財政再建」に関連しての御質問でございますが、先ほど私も申し上げたように、金減らし、財政再建優先という形で、それが先行いたしますと、どうしてもデメリットの面が強く出てまいります。先ほど稲葉公述人のお話の中で、財政再建と行政改革を切り離すのは、不賛成だという御発言がありましたけれども、私は、必ずしもこれは全く分離して行えと申し上げているのではなくてデメリットがある。しかも現在の状況を見ておりますと、どうもデメリットの面が強く出過ぎているのじゃないか。そういう意味で、財政再建主導といいますか、金減らし主導の行政改革を進めていく場合には、政策のアセスメントが必要だというふうに思っております。  特に金減らし優先の行政改革の場合には、その結果が行政改革にとってどういう意味があり、あるいはどういう効果があるのか、そういう政策のアセスメント——最近、私どもの専門の方では政策のアセスメントということが外国で研究されるようになってきまして、ある政策が、果たして期待した効果を生んでいるのか。あるいは主観的には期待していても効果が裏目に出るということは幾らでもございますので、そういう点から見ますと、慎重な政策アセスメントをしながらやっていくべきである。金減らし優先には、それなりのメリットがあるということは、私、先ほども申し上げたとおりでございます。メリットを認めていないのではございませんので、稲葉公述人と同じでございます。  それから最後の国保の負担の問題でございますが、私も今回の法案に関して大分疑問があると先ほど申し上げたことの一つでございまして、これが今後の国民健康保険の制度の展開にとって果たしてどういう意味があるのだろうかという点で、行政改革という点から見た意味というものが、私はどうもよく理解できないということでございます。  よく言われますように、右のポケットから左のポケットにお金を移しかえるだけではないかという批評がございますけれども、どうもそういう感じもしないではない。そういう意味で、行政改革にとって意味があるのかないのかという点を、やはり検討をしながら行政改革を進めていきませんと、外科手術の結果の要するに予後が非常に悪くなるという心配がございますので、その点やはり考慮しながら進めていくべきではないか、かように思います。

稲葉秀三財団法人産業研究所理事長・前行政監理委員会委員

○稲葉公述人 簡単にお答え申し上げたいと思います。  まず私は、日本としてなるべく福祉を尊重していくということに反対するものではございません。しかし、過去いままでの社会福祉の経過と、これからのあり方というものをずっと考えてまいりますと、別に特別のプラスをつけなくても、それだけでも一九九〇年以降あるいは二〇〇〇年以降、どうも実は租税負担というものが三十数%になっていかざるを得ない傾向で進んでいる。問題は、そういったことをアメリカやヨーロッパの例を考えながら、どの程度に日本的に是正をすべきか、こういう問題があると思います。  もう一つ心配になりまするのは、実は政府事業、特に三Kの赤字でございます。そして、ややそういうようなことに偏りました結果、財政的な見地と行政的なあり方との結びつきというのを考えないでは、どうも円滑に、現実的に事は処理できないのではないかという見方、考え方に、私の経験と環境から、なりましたので、そのことだけ、ひとつ先生に申し上げます。

宮田義二行政改革推進国民運動会議代表

○宮田公述人 いま山口先生お話がありましたように、私、先ほど公述した内容と全く同じでありまして、増税なき再建というのは、将来ともに増税のない保証と同町に、税の不公正感をなくす。それはある意味では特に勤労者の勤労所得税の重圧というものを回避するための減税という措置を含めて、財源措置などが講じられるような御検討を私はぜひお願いしたいと思います。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 時間のようですから。  先ほど稲葉公述人が自治体のラスパイレスのお話をされたのですけれども、実は当委員会でも問題になったのですが、ギャンブル、公営競技をやっております団体で、ギャンブルについての金の使い方が大変ずさんな点が多いわけです。また、そういう自治体が、率直に言って比較的公務員の給与が高いという現実があることは私も事実だと思います。したがいまして、私どもとしては、公営競技のあり方自体をやはり見面していく。現在のあのような制度でよろしいかという点は、やはりきちっとしていくことが、稲葉公述人の御心配された点も解消していく道ではないだろうかという気持ちを持っていることを申し上げ、お答えは結構でありますが、以上で終わります。(拍手)

藤波孝生自由民主党労働大臣

○藤波委員長代理 岡田正勝君。

岡田正勝民社党・国民連合

○岡田(正)委員 まず、全公述人の方から一言ずつ伺いたいのでありますが、いままで、この特別委員会をやっておりまして大変気になっておりましたことは、この行革をやることによって増税はやらないのだ。もう一遍ひっくり返しますと、増税なしの再建をやるのだと言っておりましたのに、大臣答弁を聞いておりますと、五十七年度は保証つきであるけれども、五十八年度からはわからぬよと言わんばかりのにおいがぶんぷんとしておったのであります。  ところが、総理が二十日に成田から飛び立ちましたら大分雲行きが変わってまいりまして、大蔵大臣の答弁も大分ニュアンスが変わりましたし、中曽根さんに至りましては、まことに明確な答弁をされたのです。行政改革を考えるに当たって増税を考えるなどということはもう邪道ですよ、そんなことを考えておったら行政改革はできません。実に明確ですね。臨時首相代理になると、ああも違うのかと実はびっくりしたのでありますが、わが意を得たりという気がしたのであります。  増税をするべきでない、行政再建に当たって増税を考えるのは邪道であると中曽根さんが言ったことに対して、四人の先生方から一言ずつ、全くそうか、いや違うかということをお答え願いたいと思います。

稲葉秀三財団法人産業研究所理事長・前行政監理委員会委員

○稲葉公述人 では簡単にお答えいたします。  私は増税をなるべくしないで今後ずっと事態を推移していくということが一審望ましいと思っております。しかし、やはり時と事情というものがございまするから、二年後、つまり五十九年度から、場合によってはある程度いじるということに政府が御決意になるということもあり得るのではないか。決して望ましいとは思っておりませんが、そういうふうに個人的に想像しております。

小島昭法政大学教授

○小島公述人 私は、行政改革を推進するという意味では、中曽根管理庁長官の言われるように増税をしないという方が望ましい方向だと思います。といいますのは、増税をして国の財布にゆとりができますと、やはり気が緩んでまいる、これは自然の成り行きでありまして、とにかく金は渡さないというのが節約をするきっかけになるわけでございます。そういう意味では、私は先ほど財政主導というのはメリットとデメリットがあると言った、そのメリットの方がこれに相当すると思います。増税しないということによって行政改革の推進にもたらすところの効果ということを考えますと、これは増税をしない方が好ましいという考えでございます。

宮脇長定社団法人日本経済調査協議会専務理事

○宮脇公述人 私も先生がおっしゃいますように、この際、行財政改革の過程で増税を考えるということは邪道だと思います。しかしながら、その行政目的というもの、それから行政に対するいろいろな国際的あるいは国内的な社会変化に対応していかなければいけないわけでございますから、行政改革と同じように、そのときそのときの状況に応じて判断をすべきであって、現在、行財政改革としてこれだけ集中しておる段階で増税を考えるということは確かに邪道でございますが、しかし、これを硬直的に、将来長期にわたって増税すべきでないというふうな判断もまたとるべきじゃないと思います。したがって少なくともここ数年の間は増税ということを課題にしないで、行財政改革ということに抜本的な対策を講ずるということが、行財政改革の正道ではなかろうかというふうに判断いたします。

宮田義二行政改革推進国民運動会議代表

○宮田公述人 増税をやらないことは私どもはあたりまえだと思います。むしろ行政改革は減税をやる中でこそ実現するくらいの気魄を持って、取り組んでいただきたいと思います。

岡田正勝民社党・国民連合

○岡田(正)委員 大変ありがとうございました。  それでは宮田先生にちょっとお尋ねをいたしますが、私は、理念のない行政改革などというものは、まさにハンドルのきかない車、あるいはブレーキのぶっ壊れた車と同じだと思うのであります。どういうことになるかわかりません。やはり理念がまず第一だろうと思いますが、きょう四人の公述人の方の中で、理念につきまして宮田先生がお述べになりましたので、大変恐縮でありますが、大事なことでありますので、もう一度お述べ願いたいと思うのであります。

宮田義二行政改革推進国民運動会議代表

○宮田公述人 先ほども若干述べておきましたように、第二臨調における第一次答申案の中には、行革の理念という形で、「変化への対応」と「簡素化、効率化」そして「信頼性の確保」ということが非常に明瞭に出されています。この理念に従って第一次答申が出されたわけですし、以下第二次、第三次と相次いで、この理念を達成するための行政改革の答申がなされると思うのであります。その意味で、行革特別委員会が、ぜひともこの理念を生かす方向で行政改革に対する取り組みをお願いしたい、これが私の主張でございます。

岡田正勝民社党・国民連合

○岡田(正)委員 ありがとうございました。  さらに宮田先生に重ねてちょっとお尋ねをいたしますが、先ほどの御意見の中で一般的な問題点を四つ述べられました。増税なき再建、不公平税制、それから政治コスト、人勧、仲裁の問題をお述べになったのでありますが、その中で、政治コストが余りにもいまはかかり過ぎるではありませんか、そういう中で、行政のみではなく立法府においても司法府においても考えるべきではないか、まず何といっても立法府は隗より始めよだという、大変貴重な御教訓をいただきまして肝に銘じておる次第でありますが、さて私も特別委員会の中で、行革をするに当たりまして、ただ金を減らすだけ、あるいは人を減らすだけ、それが行財政の改革ではない、もっと忘れておることがありはしないだろうか、民間の苦労を考えたら、行政の面においても生産性の向上、そして合理化、近代化ということは忘れてはならぬ大事な問題ではないのでしょうかと総理にもお尋ねをいたしました。総理も、まさにそのとおりだとお答えをいただいたのでありますが、幸いにいたしまして宮田さんは民間におきまして大変苦労をなめてこられた方でございます。そういう方の目から見られた現在の国のあるいは行政の合理化、生産性の向上、近代化について、何か一言御意見を承れればありがたいと思うのであります。

宮田義二行政改革推進国民運動会議代表

○宮田公述人 大変恐縮でありますが、政治の問題については全くの素人で、素人の発言だということでお聞き流しをいただく方がいいのではないかと思いますけれども、若干御質問に対してお答えをしておきたいというふうに思います。  やはり一つは、日本の国会の会期というのはよその国に比べますとかなり長いと思います。これが短縮できないかどうかという問題も一つの検討課題でしょう。  二つ目の問題は、国会とそれから国会運営の中における行政との関係の問題、特に官僚との関係の問題でございます。国会開会中はほとんど行政の同級官僚はくぎづけにされてしまいます。それだけ恐らく行政の分野はかなりおくれていく部分、そういうのが出てきているのではないでしょうか。しかもかなり大幅な残業なども官僚の中には国会会期中は相当に多うございます。これらの問題も、たとえば質問などについての原稿が一日か二日前に早く手に渡ることができるならば、あるいはそういうことも節約できるんではないでしょうか。いずれにしても、行政の関係と国会の運営との関係の中で、もう少しスムーズに運営できる方法というのは講じられない問題ではないだろうという感じが率直に言ってしています。  同時にまた、現在の国会の運営の中では、私どもにはよくわかりませんけれども、大変どうもむずかしい、大変な時間のかかる問題も多うございますが、もう少しうまい運営方法という問題などがあればというのが、率直に言って、素人の立場から言えばそんな感じがあるということはぜひひとつ御検討いただきたいというふうに思います。

岡田正勝民社党・国民連合

○岡田(正)委員 それでは稲葉先生と宮田先生のお二方にお伺いをしたいと思いますが、第一次臨調の後の経緯を見ましても、どうも臨調の答申というのが、うん、生かされておるなというような嘆声が出るようなものじゃないですね。あれはどこへ行ったかなというのが実際の実感ではないかと思うのであります。いま土光さんを中心といたしまして大変な人数とそして金と期間をかけてやっておるわけでありますが、この臨調答申が出た後、第一次臨調の経緯にかんがみて、この臨調答申の実施が一体どうなっておるのかということについて追跡調査あるいはお目付役とでも申しましょうか、そういうような形のものが存在しないと、せっかくのものが仏つくって眼を入れずということになりはしないかという危惧を私は持っておるのでありますが、その点につきましてお二方から御意見を伺いたいと思います。

稲葉秀三財団法人産業研究所理事長・前行政監理委員会委員

○稲葉公述人 簡単に御報告申し上げます。  第二臨調の前に第一臨調というのが昭和三十七年から九年、二年間ございまして非常にりっぱな答申をまとめられましたが、実はこれは、当時は高度成長のこともございましてほとんど実行に移されませんでした。そして今回の第二臨調は、先ほど申しましたように、これからの本格的な行革を進める前提として、増税をしないで赤字公債を減らして、そしてやっていこうという軌道を答申をされましたのが今度の第二臨調の第一次案だと私は考えます。その意味におきまして、鈴木総理がおっしゃっておりますように、私は一〇〇%とは申しませんけれども九〇%近くその趣旨はここで生かされ、また実行されようとしている。ただ遺憾なのは、時間の関係もございまして、本当に財政再建をしようとするならば、本来は三Kの問題ということについてもっとはっきりした結論を出していただきたかった、この点だけでございます。

宮田義二行政改革推進国民運動会議代表

○宮田公述人 いま岡田先生の御指摘の内容はいま少し私どもとしても検討を要する点があるだろうと思いますが、方向としては私は残念ながらいま岡田先生が言われたような方法でも講じないと、せっかくの臨調での検討なり答申の内容というのが実現できなくなるおそれがあります。それが実際に機関としてどういうものがいいのかというのは私もよくわかりませんけれども、できれば私は御検討をいただくならその御意見について賛成であります。

岡田正勝民社党・国民連合

○岡田(正)委員 ありがとうございました。

藤波孝生自由民主党労働大臣

○藤波委員長代理 寺前巖君。

寺前巖日本共産党

○寺前委員 長時間にわたって御苦労さんでございます。  時間も限られていることでございますので、皆さんにお話を聞かしていただいたらありがたいんですが、そうもいきませんのでお許しをいただきまして、まず私は第一点として、臨調のメンバーが大企業の幹部の皆さんが中心に座って運営をされている。そこから出されてきた結果が答申となって出てくるし、今度の国会の法案になってくる。むだを省くという点から言うならば、大企業の分野に対するむだというのを省く活動というのはこの中にあったんだろうかという疑問が出てくるわけです。  先ほど毎日新聞の調査を言われました。あの調査を見ますと、不公平税制が過半数の人、第一位でぜひやってほしかったことなんだということが提起されてます。だから、本来的に言うならば、そこにメスが入れられる答申があってしかるべきではなかっただろうか。  たとえばこういうことがあります。旭化成の宮崎さんが臨調の委員です。この旭化成で濃縮ウランの実験プラントとして総事業費百二十億円のうち三分の二が国の補助金として出るわけです。このように、大企業に対するところの補助金というのが現実に出てきている。零細な方の諸君たちあるいは国民がいま次々といろんな分野で切られようとしているというときに、この分野は果たしてどうなっているんだろうか。  コンピューターの開発補助金というのがこの二十年間の間に千二百億円も出ていく。そこでそれらの会社はそれを中心にして、主として六社ですが、大きなもうけをやっている。たとえば電子計算機等補助事業というのが一九七二年から五年間の間に六百八十六億円出ている。ところが、これが成功払いということになっていて、返してきたのはたったの二億円で、あとなしだということになってくると、こういう大企業向けの補助金の取り扱いはこれでいいんだろうかということになってくるわけです。  この種の問題というのがいろいろあります。株式の時価発行によるところのもうけの問題とかあるいは外航船舶の建造利子補給金というのは造船汚職の後ずっと問題になってきたものですけれども、昨年までで千七百五十二億円ここに入れておる。これは期限が切れて、またさらにことし六十億であったものが七十八億にふやしていく。一体、全体としてこういう分野に対してメスを入れなくていいんだろうか。私は、不公平税制で医師の話は先ほどから出ましたけれども、本当にこの分野に対してメスを入れる必要があるというお考えに立つのかどうかというのを第一点お聞きをしたいと思うのです。  第二点、今度の法律が出されてきているのを見ますと、年金の話、物価スライド五カ月おくらすとかあるいは児童手当の問題について、これは所得制限でその対象者が減ってしまうということとか、あるいは住宅金融の問題とか、国民生活にかかわる分野がずらっと出ている。一方、社会労働委員会には老人保健の問題が有料制を原則とする方向に変わってくるという法律が出てくる。これは全部国民にかかわる問題です。いまこの委員会にかかっている三十六本の一括法案だけでも削減は二千四百億ほどになるという。大企業の補助金の側は、昨年臨調にお出しになった資料を見ると二千三百億ほどの補助金が出ているというのですから、大体対々になるのだけれども、片っ方は、切られていく方向は国民向けになっている。  そこで、社会保障の問題について言うと、本当にいま抑えることが必要なんだろうか。たとえば年金について言いますと、私の理解では、二万円台の年金所得者が八割を占めていると思う。これが果たして適正な水準なんだろうか、もっと高めるべきではないだろうか。さらに、財政分野において、これから高齢者社会になってくるんだから、したがって財政問題を考え、もう少しがまんしてもらわなければならない方向にしなければならないんじゃないかという意見もあるようですけれども、高齢者社会を迎えるんだったら一層安心してくださいという形でメスを入れていく必要があるんじゃないか。とすると、国際的に見ても、社会保障費の中に占める企業の負担割合は、たとえばフランスの場合だったら七〇・二%、イタリーだったら六二・八%、西ドイツだったら四二・九%、日本の場合は二九・五%だ。本当に考えるならば、そういう先進諸国の水準に日本の企業も持ってもらわなければならぬという提起をやるべきではないんだろうか。  児童手当について言うならば、第三子からの人の中で、いままででさえももらっているのは一五%ぐらいの人々だ。ところが、あの所得制限を厳しくしていくために一〇%ぐらいになってくるんじゃないだろうか。第一子から入れたならばほんのわずかの人しか対象になってきていない。これが果たして本当に救貧対策でない児童手当の対策だと言えるんだろうか。この二点について御見解を聞きたいわけですが、皆さんにやってもらうと時間がありませんので、小島さんと宮脇さんと宮田さんでおやりいただきますか、先生一番話長いようでしたから。     〔藤波委員長代理退席、海部委員長代理     着席〕

小島昭法政大学教授

○小島公述人 お答え申し上げます。  まず第一点の、今回の臨時行政調査会の答申は、不公平税制の問題、それから企業助成の問題等について切り込みが甘いといいますか、浅いじゃないか、それは財界主導の行革ということのあらわれではないかという御趣旨の御発言だと思いますが、私、先ほど申し上げたように、どうしても今回の行革の推進の仕方が国民の納得といいますか、行革に対するコンセンサスを下からじっくり積み上げていく、それで国民の理解を求めながら推進していくという点に欠けるところがある。行政改革に対する国民の期待は今年の最初のころは非常に高かったと思うのです。恐らく行政改革は反対だという国民はいなかったろうと思うのですね。それが先ほどの世論調査にあらわれているようにどんどん国民の期待が薄らいで、俗に言う白けた状態になってくるというのは、国民のコンセンサスを積み上げるという努力の点で欠けていたからだんだんそういう結果になってきたんじゃないか。寺前先生のおっしゃったこともそういう問題の一環であるというふうに私は考えております。そういう意味で、行政改革の推進に当たってはこれまでの過程で積み残した点をもっとはっきりと国民の前に出して、いつその問題、たとえば不公平税制の問題をいつ、どういう計画で是正しようとするのか、あるいは企業助成の問題に関してもどういう計画があるのか、そういうことを訴えて、このためにこうするんだという計画が必要である。また、その計画に基づいて国民のコンセンサスを求めるということでなければ行政改革はとうてい成功しないというふうに思っております。

宮脇長定社団法人日本経済調査協議会専務理事

○宮脇公述人 この不公平税制の問題につきましては私もぜひ検討していただきたいということを申し上げておいたわけでございまして、その点については異論はございません。  しかしながら、先ほどの大企業に対する補助金云々という問題でございますが、この問題に関しましては、おっしゃられるように、そういった不公平というものをなくするような努力はすべきでございますが、今回の臨時行政調査会というもの自体は主として行財政の改革という点を重視しておるわけでございまして、それを民間の分野にまで拡大していくということになりますと、結論というものはなかなか出しにくいんじゃないかというふうに存じます。そしてまた、わが国が厳しい国際競争の中で生き延びていくためにはやはり技術革新というものが大事でございまして、そういった意味で、大きなプロジェクトにつきまして国が技術革新のために補助金を出すということ自体は、単に大企業だけを保護するという意味ではなくて、これに関連する中小企業、そしてそこで働く勤労者、そういったものにも恩恵が及ぶわけでございますので、対立概念として大企業とか中小企業とか、こういう問題を持ち込んできたのでは行政改革というのはなかなかむずかしいんではないかというふうに存じます。  それから、先ほど国際比較の問題につきましておっしゃいましたが、私が先ほども申し上げましたように、欧米の福祉政策というもの自体が決してわれわれの模範にすべきものではなくて、現在欧米先進諸国で現実に財政の点からいっても、それから経済の沈滞という点からいっても破綻を来しておるじゃありませんか。そういった点から言ったならば、私は欧米との比較において、その並びでもって考えるということ自体は少し古い考え方じゃなかろうかというふうにすら存ずるわけでございまして、日本としては日本の生き方としてもう少ししっかりとした日本的な生き方を考えるべきじゃなかろうかというふうに存ずる次第でございます。

宮田義二行政改革推進国民運動会議代表

○宮田公述人 寺前先生の方からの最初の問題でありますが、臨調の構成がどうであるかという構成メンバーについてですけれども、これは私どもとしてはいまの現況の中では、多少の意見もあったんですけれども、大体妥当なところではないか。最善とは言わぬまでも次善じゃないかというような感じで受けています。問題は、運営の中で先生御指摘のような問題を出さないための配慮という問題は、私どもも十分、われわれの方からも多少そういった意味ではかかわり合いのある先生方も出席しておりますので、その辺は十分に私どもとしては配慮していきたい、こういう感じを持っているということを率直に申し上げておきます。  それから、二つ目の問題、特に弱者にしわが来るような、むしろ対応策というのが一般的な印象ではないかというふうに言われております。この点、私も先ほど申し上げましたように、やはり弱者は救済をするというたてまえを失ってもらっては困る、これは私が先ほど公述したとおりでございます。だからといって、いろいろなたくさんの事例がございましたけれども、これらの問題はむしろ専門的な皆さん方の立場での御判断であって、われわれ公述人の側で、あの補助金がいいとか悪いとかというような判断を下すのは、ただ私どもとしては十分にそれらの検討をしておりませんので、この席でそれに対するコメントをつけるということは、私としてはできかねます。

寺前巖日本共産党

○寺前委員 時間が来ましたので、これで終わります。

海部俊樹自由民主党

○海部委員長代理 これにて公述人に対する質疑は終了いたしました。  公述人各位には、貴重な御意見を述べていただきまして、ありがとうございました。心からお礼申し上げます。  これにて公聴会は終了いたしました。  本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十二分散会

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