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95回国会衆議院1981/10/08

行財政改革に関する特別委員会 第2号

発言数
358
登壇者
23
会派数
3
開催日
1981/10/08

会議録

金丸信自由民主党

○金丸委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事安井吉典君から、理事を辞任いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金丸信自由民主党

○金丸委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  引き続き、ただいま辞任された理事の補欠選任を行いたいと存じますが、これは先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金丸信自由民主党

○金丸委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  それでは、佐藤敬治君を理事に指名いたします。      ————◇—————

金丸信自由民主党

○金丸委員長 行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一環としての国の補助金等の縮減その他の臨時の特例措置に関する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨の説明を聴取いたします。中曽根行政管理庁長官。

中曽根康弘自由民主党行政管理庁長官

○中曽根国務大臣 ただいま議題となりました行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一環としての国の補助金等の縮減その他の臨時の特例措置に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を申し上げます。  先般、政府は、行政の合理化、効率化を推進するとともに、財政再建に関する緊急な課題に対処する等のため、去る七月十日に行われた臨時行政調査会の行政改革に関する第一次答申を最大限に尊重し、速やかに所要の施策を実施に移すとの基本方針を決定いたしました。この基本方針に基づき、今般、この法律案を取りまとめ提出した次第であります。  この法律案は、同答申の趣旨にのっとり、行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一環として、昭和五十七年度から昭和五十九年度までの間、すなわち特例適用期間における補助金、負担金等に係る国の歳出の縮減措置その他の特例措置を定めることを目的としております。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一に、特例適用期間における厚生年金保険の保険給付に係る国庫負担については、現行の規定による国庫負担顎の四分の三を基準として予算で定める額に減額して繰り入れるものとするとともに、この措置により厚生年金保険事業の財政の安定が損なわれることがないよう、特例適用期間経過後において、国の財政状況を勘案しつつ、減額分に相当する額の繰り入れその他の適切な措置を講ずるものとすることといたしております。  また、船員保険の年金たる保険給付等に係る国庫の負担、国家公務員共済組合及び地方公務員共済組合の長期給付に係る国または地方公共団体の負担並びに私立学校教職員共済組合の退職給付等及び農林漁業団体職員共済組合の給付に係る国の補助についてもこれと同様の措置を講ずることといたしております。  第二に、特例適用期間における地震再保険に係る事務費の一般会計からの繰り入れは、借入金のある年度を除き行わないことといたしております。  また、自動車損害賠償責任再保険事業、自動車損害賠償保障事業等の事務費の一般会計からの繰り入れについてもこれを行わないものといたしております。  第三に、昭和五十七年六月から昭和六十年五月までの月分の児童手当に係る所得制限額は、老齢福祉年金の受給者本人に係る所得制限額を基準として政令で定めるものとすることといたしております。  また、児童手当に係る所得制限により児童手当が支給されない被用者または公務員であって、政令で定める一定の所得未満のものに対し、第三子以降の児童一人につき月額五千円の特例給付を行うものとし、当該特例給付に要する費用のうち、被用者に係るものについては、一般事業主から徴収する拠出金をもって充てるものとすることといたしております。  なお、児童手当制度については、これらの特例措置との関連をも考慮しつつ、その全般に関して速やかに検討が加えられた上、この特例措置の適用期限を目途として必要な措置が講ぜられるべきものとすることといたしております。  第四に、特例適用期間に係る公立の小中学校の学級編制等の標準についての政令を定めるに当たっては、特に国の財政事情を考慮するものとすることといたしております。  第五に、特例適用期間において、後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律等十七法律に基づき都道府県または指定都市が行う事業等でこれらの事業のうち災害復旧その他災害による危険に緊急に対処する必要のあるものを除いたものに要する経費に対する国の食掛または補助であって、通常の国の負担または補助の割合を超えて行われるものについては、当該かさ上げに相当する額の六分の一を減ずるものとすることといたしております。  また、百都圏、近畿圏及び中部閥の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律等三法律に基づき都道府県が特例適用期間において発行を許可された地方債の国による利子補給については、当該補給金額の六分の一を減ずるものとすることといたしております。  なお、これらの措置の対象となる都道府県または指定都市に対し、その事業の執行及び財政運営に支障を生ずることのないよう財政金融上の措置を講ずるものとすることといたしております。  第六に、住宅金融公庫法及び農林漁業金融公庫法等に基づく貸付金の利率については、特例適用期間において、当該貸付金の貸し付けを行う政府関係金融機関に係る政府からの借入金の最高利率が年六・五%を超える場合には、政令で、当該超える部分の範囲内で、貸付金の区分または種類ごとに当該貸付金の利率に加算する利率を定め、またはこれを変更することができるものとすることといたしております。  この場合、居住環境の良好な住宅の建設等の促進または農林漁業の健全な発展のために当該貸付金の融通を円滑にすべき社会的経済的必要性と国の財政負担との調和が図られるよう考慮しなければならないものといたしております。  第七に、内閣総理大臣または国務大臣が、特例適用期間において、給与の一部に相当する額を国庫に返納する場合には、当該返納による国庫への寄付については、公職選挙法第百九十九条の二の規定は、適用しないものとすることといたしております。  以上のほか、これらの措置に伴う所要の規定の整備等を図るものといたしております。  なお、この法律は公布の日から施行することといたしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださるようお願いいたします。(拍手)

金丸信自由民主党

○金丸委員長 これにて趣旨の説明は終了いたしました。     —————————————

金丸信自由民主党

○金丸委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま説明を聴取いたしました本案の審査中、公団、事業団等いわゆる特殊法人から参考人の出席を求める必要が生じました場合、その人選等諸般の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金丸信自由民主党

○金丸委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————

金丸信自由民主党

○金丸委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出があります。順次これを許します。安井吉典君。

安井吉典日本社会党

○安井委員 ただいま中曽根行管長官から説明がございましたが、実に長い名前の法案であります。三十六の法律の改正だということでありますが、中身は、いま伺った限りでも補助金の削減というようなものにすぎないわけであります。しかし、補助金削減法案では行革特別委員会を設置する口実にならないから名前を変えろという自民党の要求に基づいて、五十二文字の寿限無寿限無のタイトルになったと聞いております。しかし、名前が変わっただけで中身は全く同じであります。行政改革というのは事務の簡素化だと思うのですが、もっと短い名前の法律をつくることの方が行革になるのじゃないかと私は思うのです。ですから、社会党の私たちは、長い名前ですから略称は補助金剤減法案、あるいは内容から福祉文教切り捨て法案と略称いたします。金丸委員長は大変お気の毒だと思います。一回ずつこの長い名前を読まなければいけないからであります。  ただ、聞くところによると、自民党は審議を急いでこの一括委員会で一瀉千里にやってしまう、後ろには内閣の改進が控えていて、それがタイムリミットで、そこまでに仕上げてしまうというような報道も流れています。しかし、私は、この法案の中身はもちろん大したことはないのですけれども、施政方針演説で鈴木首相が言われておりますように、鈴木行革の全貌をここに示して、国民と国会に問うのだという意味であるとすれば、私たちはそのように受けとめて、この国会はあくまでも慎重審議で、強行採決など急ぐべきではないと思うのであります。その点、金丸委員長から明確な御答弁をいただきます。

金丸信自由民主党

○金丸委員長 六日の日に皆様方の御推挙によりまして委員長に就任いたしたわけでありますが、私はあのごあいさつのとおり考えておりますが、ただ、十分な審議を尽くすということについては全く同感であります。  しかし、委員各位の御協力を得まして、十分な審議ができるという環境をつくりながら進めてもらいたい。寝たり座ったりということのないように、十分皆さん御了承いただいて……(「寝たりというのは取り消し」と呼び、その他発言する者あり)ただいまの寝たり起きたりという話は取り消します。取り消しますが、皆さんの御協力を得て審議が中断することのないように、金丸信が強行採決することのないような環境をつくっていただくことをまずお願いして、私はお答えといたします。

安井吉典日本社会党

○安井委員 だれも好んで寝たりとめたりなどというようなことになるわけじゃないんですよ。それは、あくまで政府側が誠意を尽くした答弁で、納得できる答弁をちゃんとやってもらうということが先決だと思います。そのことを委員長に特に要求しておきます。  それから鈴木総理にもお考えを伺っておきたいわけでありますが、八月二十七日の自民党の研修会で、一、二の政党が反対したからといったって、この課題の処理を怠るわけにはいかないと述べて、これはこの法案の強行採決を意味するものだというふうな報道になっています。和の政治と言いながらも、鈴木総理には一つ前科があるわけです。去る三月五日のこの同じ第一委員室の予算委員会において、五十六年度の予算を強行採決したその前科のある鈴木総理でありますだけに、私は、ひとつ強行採決だとか、そういうばかげたことと受けとめられるような言葉はぜひ慎んでいただきたいと思いますが、どうですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 私はまず最初に、この行革関連法案の審議に当たりまして、この特別委員会が各党各会派の御協力によりまして円満に設置をされ、また、委員長初め理事各位の御協議によって本日から日程も逐次決めていただいて審議が円滑に入るに至りましたこと、この点につきましてまずもって御礼を申し上げておきたい、こう思うわけでございます。  私は、議会政治はあくまで話し合いの政治であり、十分論議を尽くし、民意を吸収をして、そしてそこに国民が納得するような結論を出すということが議会制民主主義の本旨である、このように考えており、私は就任以来そのことに皆さんの御協力を得て努力をいたしておるところでございます。したがいまして、この行政改革、本当に当面重要な課題であるこの問題の御審議に当たりましても、ただいま委員長からもお話がございましたように、十分御審議を願いまして、そしてりっぱな結論を出していただきたい。論議を尽くした上、最終的には議会制民主主義のルールに従って国民の納得ができるような結論が出されるようにお願いを申し上げておく次第でございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 夢にも審議を急ぐというようなことがないようにお願いしておきます。  そこで、鈴木行革とは一体何なのかということについてお尋ねをしてまいりたいと思うのでありますが、先ほど申し上げましたように、今度の国会に提案されておりますこの法案というのは、きわめて内容の薄い補助金削減法案だということになるわけであります。ですから、これだけの中身の法案で行革国会を開くなどということは、実は私ども、それだけの値打ちのある法案とは思えないのであります。しかし、鈴木首相が行革に政治生命をかけるというその顔を立てるために、何とかかんとかでっち上げた三十六本の法律改正という経過がどうもあるような気がしてならないわけであります。この小さな法案を前にして、国家百年の大計などと総理は一人で力んでおられるわけでありますけれども、それだけに私どもは、どうも鈴木行革というものはよくわからぬわけです。この際、その全体像をお聞かせいただきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 私は、行政の組織並びにその運営を通じまして、行政攻革というのは、移り変わってまいります時代の推移、また、その新しい時代が要請をする問題につきまして、それに的確に対応できるような行政の体制をつくるということが必要であろう、こう思うわけでございます。そして私は、行政と財政、これは表裏一体のものである、このようにとらえておるところでございます。  いまわが国の行政を取り巻くところの環境というのは非常に厳しいものがございます。国内的には、御承知のように、安定経済成長の時代に移行をいたしました、そういう過程で、今年度末八十二兆円というような大きな国債発行残高が残っておるというような財政的な厳しい環境にも置かれております。また、急速に高齢化社会も進んできておりまして、それに対する対応も迫られております。国民の価値観も多様化しておる。これから新しいこのような情勢に、内政の面でも行政は的確にこたえていかなければならない、こう思うわけでございます。  また、対外的に見ましても、厳しい国際環境の中に日本は平和国家としてこれに対応していかなければなりませんし、また、国際的にもわが国に求められておる役割りというものも非常に大きい、こう思うわけでございます。  こういうような内外の情勢にこたえますために行政に何を求められておるかということは、まず第一に、高度経済成長時代に肥大化したところのわが国の行財政を思い切って見直しをし、縮減合理化を図って、そして新しい時代が新しい施策を求める場合に、これに機動的に対応できるような体制づくりをする必要がある。  それから第二の点は、先ほども触れましたけれども、安定成長時代に入りまして、財政収入とそれから行政の面からするいろいろの要請がございます。そういう行政需要と財政収入とのギャップがとかく大きくなってきております。この財政収入と行政需要のギャップを縮めるようにしなければいけない。また、その前提として、今日までの赤字財政、公債依存の体質、これも改善しなければならない。財政再建ということ、これが第二の課題であろうと思います。  それから、やはりこれらをやってまいります場合におきまして、私は行政の簡素合理化、それは国と地方との役割り分担、分野をはっきりこの際整理する必要がある、こういう中央地方の役割り分担もございます。それから官業と民業の役割りの分担の問題もございます。簡素合理化を図りまして、そして国民が納得できるような簡素な政府をつくらなければいけない、このように考えるものでございます。  それから第四点は、やはり行政というのは国民の信頼を得なければならないわけでございますから、常に綱紀の粛正も図る、倫理の確立も図る、そして国民の皆さんから信頼される政府、心の通った政府をつくる、こういうことが私が行財政改革に対して頭の中で考えておりますところの全体像であるわけでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 いまの御説明とこの一括法案とがどうもちぐはぐで、どうしてもつながらないのですよ、私の方は。まさに心が通ってないということになるのかもしれません。  社会党の私たちは、今度お出しになったあの三十六本の法律改正というその中身は、国会がずいぶん苦労してみずからの手でつくった衆法と呼ばれるものもあるわけですよ、十一本も。そういうものもひっくるめて、政府が勝手に改正ができるような、政令で中身を変えることができるような改正を一挙にやろうとしている、そういう中身もあります。本来、七つの常任委員会、三つの特別委員会に分割して審議すべきが当然だと私どもは初め主張したわけです。しかしそれを、強行することを前提としているのかどうかわかりませんけれども、とにかく一本にするというそういう方向をお進めになった。社会党の私たちは、だから一本化法案を撤回すべしという動議も出して闘いましたけれども、それも敗れまして、だんだん状況が進んできて、この特別委員会の段階までいま私どもは来たわけです。しかし、私たちの基本的な物の考え方は、初めも終わりも現在も全く変わっていないということをひとつまず申し上げておきたいと思います。  そこで、いま総理から鈴木行革は何ぞやということについてお話がございましたけれども、いまの手続論的な言い方には私どももわからないわけではないのですけれども、しかし今度のこの法案にもありますし、それからほかの場合にも出てくるわけですけれども、一体何をここで取り上げる行政、財政の中の優先順位にするのかという、その考え方が全く欠落しているわけです。いまのように、長い将来を考えての、特に老齢化社会への対応ということで真剣に考えていくと言われながら、年金に対する国庫負担を減らしたり、年金を、せっかく苦労しているお年寄りのベースアップを半年もおくらせてしまうという、そういうむちゃなことをなさっておられる。つまり、一体何が優先なんですか。防衛が第一で福祉は第二なんですか。福祉が第一で防衛は後なんですか。そういう政策的な優先順位をお持ちにならないで改革だ改革だということでは、私は理解できないと思うのであります。  とりわけ、問題を臨調にお預けになった。しかし、臨調は、自民党の内閣あるいは鈴木内閣に政策を教えてくれるところじゃないのでしょう。純粋な技術論をやるのが臨調の仕事だと思います。したがって、国家百年の大計はこうなんだという具体的なものをお示しにならないで、単なる技術論として預けるものですから、もうむちゃくちゃに手当たり次第に切っていくという、福祉、文教あるいは農業等がずたずたに切られるという、そういう無残な行革内容ができてきているのじゃないかと思うのですよ。本当の理念はどこにあるのかということを、あなたは国会並びに国民の前に明らかにすべきだと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 先ほど私は、鈴木行革の理念と目標につきまして、総括的に四点にわたりまして申し述べた次第でございます。  そして、一体その行革をやっていく目標は何なのかという問題、政策の優先順位、課題は何なのかというお尋ねでございますが、それは所信表明でも申し述べておりますように、活力ある福祉社会の建設ということ、それから国際社会におけるわが国の立場というものが非常に重くなってきておりますので、国際社会への一層の貢献をやってまいろう、世界の平和と安全を図り、その中にわが国の安全を確保し、豊かな国民生活が保持されるように図っていこう、内外にこういう大きな目標を設定いたしまして、それに沿うような行財政改革をやろうということを所信表明でも申し述べておるところでございます。  そこで、今回の御提案を申し上げておること、それから法律事項ではございませんけれども、私どもがこれから五十七年度予算編成を契機に取り組んでいこうとするいろいろな改革、改善、こういうことは逐次出てまいるわけでありますが、今回の三十六本の法律の改正を一括取りまとめた法案、これは臨調に対しまして、当面五十七年度予算の編成に向かって実現すべき緊急の課題、特に五十七年度は五十六年度に引き続いて特例公債の減額を図りながら、増税のない財政再建路線での予算の編成をしたい、こういうことでお願いをしたわけでありますが、第一次答申が出ました。政府は、自由民主党と協議をいたし、一体になりましてこれを最大限に尊重して、今回法律案として提案をすることにいたしたわけでございます。  いままで私はいろいろ過去の事例を見ておりますが、この二十数年閥にわたりまして、法律を改正してまで歳出の削減を図ったというようなことは、四本か五本の法律の改正しかなかったと言われております。それほど非常にむずかしい課題である、こう思っております。  私は、増税なき財政再建を図る、こういような課題に取り組みます場合におきまして、どうしても当面、緊急のこれらの問題につきましては、まずこの国会で御協力の上成立を図りたい、そして今後臨調にも逐次改革案の御提案を願っておりますから、そういう点を踏まえながらやってまいりたい。したがって、今回の措置は、今後の一連の行財政改革の第一歩である、第一着手である、こういうぐあいに御理解を賜りたい、こう思います。

安井吉典日本社会党

○安井委員 第一歩なら、これはもう少しわかりやすい提起をなさるべきであろうと私は思います。むずかしいことはよくわかりますよ。わかりますけれども、活力ある福祉社会と言いながら、お年寄りのわずかな老齢福祉年金を六カ月もおくらせてしまうということとどうしても結びつかないのですよ。その点が、あなたがおっしゃる言葉と、おやりになっているこの三十六本の法案なり、それから後でずっと触れてまいりますけれども、ゼロシーリングで準備されている予算案なり、そういうようなものが合わないのですよ。これはどうもくっつかないのですね。それだから私どもはわかりにくい、こういうことを言うわけであります。いまの御答弁でとてもこれは満足できるものではありませんが、さらにこれから後の質疑の中でただしてまいりたいと思います。  いま総理も言われましたけれども、低成長時代に入り、日本の産業構造や社会構造における大きな変化、そういう中で国民は、物価や税金は上がったりふえたりしていくが、賃金は目減りするばかり、生活の不安、高齢化社会を前にしての老後の不安、教育の荒廃、医療も荒れている、環境破壊、核戦争の恐怖、こういったさまざまな矛盾の中でその解決を求めているわけであります。あるいは住みよい地域社会の建設にも国民の期待があります。そしてまた、自民党の長期政治独占の中で、政官財癒着の腐敗や汚職が起き、税金のむだ遭いも数々あらわれてきている、こういうような行政や財政制度の改革を国民が願っていると思います。これらの諸要求にまずこたえていくのが、私は行財政改革の第一歩でなければならぬと思います。  そこで、社会党の私たちは、今日の自民党政府の行政や財政のあり方を総点検して、「国民のための行財政改革をめざして」という党の方針をつくりました。これは臨調よりも一月前であります。私どもはこれのサブタイトルを、「平和・福祉・分権の行財政システムの確立」ということにいたしました。つまりわれわれは行財政改革の三大目標として、まず何よりも平和を大切にすること、そして福祉に最優先順位を与えていくこと、行政でも財政でも、まず福祉こそ最優先と考えていくべきであること、そして第三には、国民の身近なところで行政が行われるようにし、監視や参加ができるような仕組みとして、集権から分権への道を進むこと、そして民主、公正、効率の三原則で改革を進めるという中身をここに決めました。  この内容をいま詳しく申し上げるゆとりはありませんけれども、現在ある政治に、それの手段である行政や財政への改革を私どもは私どもなりに追求しているわけであります。そしてこれを土光臨調会長を初め臨調委員の皆さんに二度も説明いたしました。しかし、七月十日の臨調第一次答申、それを受けての鈴木内閣の行革大綱というのは、われわれの主張とは余りにも違い過ぎるということになるわけであります。  われわれは、この中でも主張しておりますように、福祉をもっと推進、向上させようと言うんだけれども、いま出されている中身というのは、むしろ福祉や文教など、弱いものを切り捨てるということになっているわけです。力のある大企業にもっと負担をさせなさいと私どもは主張し、不公平税制の是正が大切だ、こう言うんですけれども、これには全く消極的。自治体と国民に負担を転嫁しているということももちろん重大な問題でありますし、ツケ回しをやっているわけですね。それだけで行政改革、財政改革をやろうとしていることはおかしい。また、平和こそ第一だというわれわれの主張に対して、防衛費を聖域化して軍備の拡大路線を走ろうとしているわけであります。もちろん部分的には、大型プロジェクトを見直せとか、医療費を適正化せよとか、不急不要補助金の廃止や統合、メニュー化、特殊法人の役員の削減等、一致している点もあります。しかし、大筋においてわが党の行革方針は国民要求をしっかりとらえたものであるのに対して、臨調や鈴木行革というのは、私は、口が悪いかもしれませんが、国民不在の行革だと言われても仕方がないのではないかと思います。  行政改革とさえ言えば、それに対して反対をするのは人間でないようなことを中曽根長官も言われているそうでありますけれども、行革とさえ言えば何でもいいというものではないと私は思うのです。たとえば、臨時行政調査会の委員、メンバーがもしも別な人にかわれば、別な答申が出るかもしれないわけですよ。行政改革というものは、私はそういうものだと思うわけであります。この点において、先ほど御説明があった総理の御答弁に私はどうしても理解ができないということを重ねて申し上げておきたいと思います。  そこで、ひとつ伺っておきたいのは、小さな政府論という、これに対して政府はどのようにお考えになっておられるわけですか。鈴木内閣が構想している政府とは一体いかなるものか、そのことを伺います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 私は、小さな政府ということにつきましてはいろいろの考え方があろうか、こう思います。しかし、一言にして端的に申し上げますと、むだのない、そして簡素で合理的なそういうような政府、能率的な政府、そういうもの、私はそう思うわけでございます。納税者である国民の皆さんからいたしますと、できるだけ負担は軽い方がよろしい。税金はできるだけ納めない方がいい。負担の軽減を求めております。と同時に、行政サービスにつきましては、やはり相当御要望がいろいろあろうかと思います。そういう一応二律背反のようなことでございますけれども、そこに調和を保ち、負担とそして行政水準、サービス、これが適正に行われるということが望ましいわけでございまして、それが確保できるようなもの、これが私は小さな政府という一つの目標でもあろうか、このように思うわけでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 小さな政府、大きな政府のめどに租税負担率を挙げるわけでありますが、日本の租税負担率について鈴木総理はどう構想するわけですか。——総理に聞いたんだ。もう一人総理ができたのか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 お答えいたします。(安井委員「あなた、総理じゃないじゃないか」と呼ぶ)委員長の御指名を受けまして一応お答えをいたします。  わが国における国民所得に対する租税の負担率は二四・二%でございまして、アメリカの二八、イギリスの三六、ドイツの三一、フランスの三〇、スウェーデンの五〇というものから比べればかなり低いものである、こう考えております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 ですから、どの負担率でとどめようとするのか、その考え方を伺っているわけです。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 どの程度の負担率がいいのかということは、どの程度の行政サービスまでするかということと裏表であろうか、かように考えております。いずれにいたしましても、スウェーデンのように租税と社会保障の負担率の合計が国民所得の七〇・八%、こういうような負担は恐らく日本人は好まないのじゃないか。結局社会保険料で取られても租税で取られても、払う方からすれば同じわけでございますから、国民所得の七割というような負担はとうてい日本人は好まないだろう。現在、日本では租税と社会保障の負掛率合計で三四・三%、アメリカが三七、ドイツが五〇、イギリスが四六というところでございますから、日本でも現在のような状態でも老齢化社会が進みますと、いやおうなしにこれはふえてまいります。どれくらいにふえるか、恐らく先進国並みに三四が四〇、四五くらいにふえるのを抑えることは不可能ではないか、こう私は思っておるわけでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 三四・二、三%の社会保障を入れての負担率が今日われわれの姿でありますけれども、ヨーロッパは十年に一〇%ずつくらいの勢いでどんどん上がってきて、スウェーデンは特別ですけれども、どこももう五〇%を超えているという状態であります。それは一つは福祉であるけれども、もう一つは軍備の拡大です。ですから、まだまだ上がりますよといういまの大蔵大臣のお話では、私は国民は不安になると思うのですよ。負担率はまだまだ上がりますよということは、これからもっと増税しますよ、それから社会保障の保険料をどんどん上げますよという予告ですよ、いまのお話は。そうでしょう。だから私は、いまの三四、五%のところで抑えていくというのが小さな政府構想でなければならぬと思います。  小さな政府だなどといま総理が言われましたけれども、それとあなたのお話はうらはらじゃないですか。どんどんこれからまだ上がりますよ。租税負担率というのは国民がGNPから、ふところから出すお金のことを言うのですよ。そうじゃないですか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 それは私は上げたいと思って言っているわけじゃございません。ございませんが、現実の姿として日本が世界一の長生き国になって、これがずっとつながるわけでございますから、いわゆる老齢化社会が進むということになれば当然年金はふえてまいりますし、もらう人もふえるわけですし、それから病気も老齢化が進めばどうしたってふえるということは世界各国の実例でございますから、これは国民の負担をふやさないで賄うといえば、結局単価を落としての話になってしまう。  そういう意味で、世界の例から見ても、どこでも、いま安井委員がおっしゃるように、西ドイツもフランスも五〇%を超えておる。したがって、日本が現在の三四のままでいられれば、GNPがどんどん大きくなって、できれば非常にいいことではございますが、そう日本だけがGNPがどんどんどんどん大きくなるということは、世界の歴史に比べても余り例のないことでございますから、ある程度やはり好むと好まざるとにかかわらず現在の社会保障を持続、充実していくということになれば、負担はどうしたってもう少しふえざるを得ない、こういうことを申し上げたわけで、ふやそうというわけではなくて、できるだけわれわれはGNPを大きくして、そして内容のあるものにしていきたいという努力は最優先的にやるわけでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 ですから、いまの渡辺大臣の答弁は、これはやはり聞いている国民は租税負担率がまだまだ上がりますよというふうに受けとめるわけですから、私は問題の多い答弁であろうと思います。  そこで、本当の総理の方に伺いますけれども、鈴木総理、いま小さな政府についてあなたは言われましたが、しかしそれは枠がはっきりしなければいかぬでしょう。その枠組みは、いまの渡辺大蔵大臣のようなら、同じ総理でもアイ・アム・ソーリーの方の総理になりますわね。本当の意味の小さな政府への道ということになれば、これはやはり枠組みをできるだけ小さく抑えていくということがまず一つと、それからその中における質の問題だと思いますよ。そういう中でヨーロッパは、防衛もどんどんふやす。もちろん福祉もふえました。そういうものが競争してふくれてきているわけですが、私どもは平和国家として軍備の増大を抑えて福祉をふやしていく、そういう質の問題としてこの小さな政府論を私はとらえていくべきだと思うのですが、どうですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 私は、先ほど申し上げましたように、時代の推移、その時代時代の要請に行政は的確にこたえていかなければいけない、このように申し上げました。  そこで、これからの新しい時代は、どういうような国民の側から見て行政サービスを求め、どのような行政水準の福祉社会を求めるか、こういう問題が一つございます。それを達成いたしますために、イージーに負担を増高するのでなしに、できるだけむだを省き、効率的にこれをやっていく、そして常にそのバランスを考えながらやっていくということが望ましい、こういうことを私は申し上げたわけでございます。  いまあなたは、問題は質である、こういうことをおっしゃいました。私どもも日本の平和国家としての立場ということをはっきりと踏まえております。憲法の精神、平和主義、民主主義、そして基本的な人権の尊重、そういう社会が日本の望ましい姿であるわけでありますから、その崇高な精神によってこれから日本は進んでいかなければなりませんが、その場合に、常に私どもは、防衛の問題につきましては、はっきりと自衛のための必要最小限度の防衛力しか持たない、「防衛計画の大綱」に従って、着実に国民のコンセンサスを得ながらこれをやっていくんだということも申し上げておりますから、ほかのNATOその他の国々と比較して先ほどお話がございましたけれども、そういうことはございません。必要最小限度の防衛力の整備、これが私どもの心がけておるところでございます。  しかし、日本としてはこれだけの経済力を持つ国になりました。世界の平和と安定に貢献しなければいけない、こういう面もございますので、対外経済協力というものは大いにやっていかなければいけない。また、日本民族が今後生き抜いていきますためには、資源エネルギーに対するはっきりした対策というものをこれから進めていかなければいけない。科学技術の振興も必要だ。こういうような総合的な安全保障というものを考えながら、日本のバランスのとれた国づくりというものを平和国家を目指してやっていかなければいけない。そういう基本的な考え方に立ってやることが、質もそれに伴ってやっていくということでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 よく御答弁がわからないのですけれども、ただ私は、先ほどの渡辺大蔵大臣の発言、いま三四、五%のものがこれからヨーロッパ並みの五〇%台へだんだん上がっていくのですよという予告を国民にされたのをここで安易に見逃すわけにはいきません。総理、どんどんどんどんこれから税金を上げていくのですよというような意味合いにとられるようなことは、ここではっきり取り消していただきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 大蔵大臣はそういうことを申しておるのではございません。これからの高齢化社会はこういうような行政需要が出てくるであろうということを申し上げておるわけでございます。私はできるだけ、先ほど来申し上げるようなそういうような時代の要請にこたえるためにも、一方においては行財政の簡素合理化、国民負担の問題、そういうものを常に十分配慮していく必要がある。現に五十七年度予算編成に当たりましても、財政再建をしながらこれを進めるということになりますと、大型増税によるか、あるいは行財政の思い切った削減合理化によるか、道は二つしかない。われわれは後者を選んだということは、あなたがおっしゃるように、できるだけ国民の負担をふやさないように、そして簡素な、行政サービスもできるだけ確保できるようなという方向で努力している証左でございます。これは具体的な努力の姿でございます。御理解を賜りたい。

安井吉典日本社会党

○安井委員 それはちょっと困るのですね。私は小さな政府論ということで、数字の問題でいま議論しているわけですよ。言葉だけでごまかしちゃ困りますよ。ヨーロッパ並みの五〇%台にいかざるを得ないんだということを言われて、ああそうですかと言うわけにいきませんよ。行政改革というのは小さくコンパクトにするということが目標なんでしょう、あなたがおやりになっているのは。しかし、それはもういずれだめなんで、だんだん上がりますよということを大蔵大臣がはっきり数字で言われたのでは、これは、これ以上困りますよ。はっきりしてください。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 国民の租税、それから社会保障負担率というものが現在は三四%でございます。ヨーロッパの各国は五〇%を超えておるし、それからスウェーデンに至っては七〇%になっています。日本においても極力GNPを伸ばしていけば、いろいろな財政需要以上にGNPが大きくなれば——比率の話ですから、それは三四%でもいまぐらいの水準は維持できるでしょう。しかしながら、GNPの伸び方よりも高齢化社会への進み方の方が早く来るのではないか。そういうような過程において、現在の社会保障等の、あるいはその他の国の行政サービス水準というものを持続していくためには、三四%で国民負担をそのままで置きたい。もっと低くしたい。したいけれども、そういう事情があれば、世界の例を見ても、もう少し負担はふえるようになることを抑えるのはむずかしいのじゃないかという見通しを申し上げたのです。  たとえば、御承知のとおり厚生年金保険にしても、現在は十一・一人の人が一人の老人を支えていると言われますが、昭和八十五年になれば三人の人が一人の老人を、受給者を支えなければならないということになれば、十一人で支えることよりも三人で一人支えることの方が負担が大きくなるのは当然のことでございまして、そういうようなことを全体的に言うと、やはり社会保障の水準というものを深めたり高めたりしていくためには、負担が大きくなるということを申し上げたわけでございます。  したがって、負担とサービスは裏と表でございますから、そういうような負担はしないということになれば、じゃ、この程度までの負担であればこの程度の水準しか維持できないということになってくるわけでございますから、そのときどきになっていずれをとるかは国民の選択の問題でございます。大蔵大臣がどうこうと、何年も先まで言えるものでも何でもないわけでございます。したがって、われわれといたしましては、極力まず現在の日本のすぐれた経済というものを持続していきたい。そのように努める。そしてGNPを拡大してくることは一番いいことなんですから、まずそれをやっていく。しかし、一方においては負担がうんとふえてくる。ふえてきてもいまのようなままでふえれば、かなり大きな、速いスピードで負担がふえますから、そのためにはもう一遍見直して、要するに洗い直しをする必要がある。これから負担はいやおうなしにふえるんだけれども、ふえるにしても、こういうふうな時代でありますから、もっと負担を少なくするためには、削るべきものは削るということをやろうじゃありませんかということを私は申し上げておるわけでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 大きな政府にするような、そこにいくようなことを黙って見逃すわけじゃないのでしょう、あなたは。あなたが増税論者だから、私はこうやってしつこく言うのですよ。もともとそうじゃないですか。この間の通常国会で、大型増税よりないということをここで繰り返し繰り返し言ったのは、あなた、大蔵大臣ですよ。その大蔵大臣がヨーロッパ型にいかざるを得ないようなことをいまおっしゃるから、私はここでしつこく言うわけですよ。そのようなことにならないように努力をするということは間違いないですね。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 ややもするとヨーロッパ型になってしまうから、そういうようにしないように、日本は日本型の福祉をやっていかなきゃならぬし、財政においても極力そういうふうにならないようにこれから努力をしようということで、目下行革法案を出しているのもその一環でございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 早くそう言えば、それでむだな時間はなかったわけですよ。やはりあなたの本音が出るような気がするものだから、私は、そこでやはりきちっと言っておかなきゃならぬと思ったわけであります。  そこで、さらに進んで、この財政危機の問題について触れていきたいと思いますが、これを危機という状態に思っていないのですかね、政府は。というのは、この間の本会議から予算委員会からいろいろな場合で、こういう状態をつくった責任を感じてないかという追及に対して、いや、ケインズ理論で特例債を発行して、じゃんじゃんやって失業者もなくしました、うまくやりましたよと、そういうことだけが、胸を張っている鈴木首相の姿だけが浮かんできて、そしてこの財政再建のためにみんな痛みを感じてください、こう言うんですからね。それじゃだれも納得しませんよ。やはりきちっと今日の財政危機を招いたその責任を明確にして、それからスタートしてくれない限り国民は納得しませんが、どうですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 この点は、本会議でもよくお話を申し上げましたように、第一次、第二次の石油ショックは世界経済に深刻な打撃を与えました。わが国は石油のほとんど九九%までを外国からの輸入に仰いでおる。それだけに打撃は非常に大きかったわけでございます。これを乗り越えるために、国民の皆さんの御理解、御協力を得ながら今日まで努力をしてきた、その結果が比較的——これはもう客観的事実でございますから、何も胸を張るわけではございません。日本の経済は今日比較的順調にいっておる。成長の面からいっても、あるいは雇用の面からいっても、あるいは物価の面からいっても、あるいは国際収支の面からいっても、比較的うまくいっておる。  しかし、いま日本で一番最大の悩みというのは、この財政の危機的状態であるということでございます。石油ショックに対応するためにいろいろの公共事業等を起こしました。それから、昭和四十八年ごろから、国民の皆さんの御要請にこたえて、福祉に相当予算を使ったわけでございます。  いまここに、私は表を持っておりますが、昭和四十六年から五十六年度までの間に社会保障関係費は六・六倍になっております。文教及び科学振興費は四一五倍に相なっております。防衛関係費は三・六倍になっておる。公共事業関係費は四倍になっておる。こういうようなことでございまして、私どもは社会福祉関係にも相当力を入れてきたということも明らかでございます。  そこで私は、今日の財政の状態というものは一日も放置できない、そこで、先ほど申し上げましたように、これを再建いたしますために、増税による道を選ばずに、行財政の思い切った縮減合理化によってこれに対応しよう、こういう決断をいたしまして、そういう方向でいま努力をしておる、こういうことでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 危機の責任は感じておるのでしょう。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 私は、やむを得ざることであり、その目的は達成をいたしましたが、結果としてこういう財政難というものが生まれましたから、これに対して今度は、私どもは国民の皆さんの理解、協力のもとにこの財政危機を乗り越えよう、こういうことで取り組んでおるということでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 どうも弁解に聞こえていかぬのですね。  そこで、いよいよ数字的に来年度の予算編成に向けて臨調答申がどんなような形であらわれてくるのか、鈴木行革がどのようなふうにあらわれてくるのかということを伺いたいと思います。  三十六本の法律ではよくわからないので、鈴木行革なるものの全貌があらわれるのは来年の予算ということではないかと思うのです。そういうような意味で、いまゼロシーリングの概算要求がほぼ輪郭が出てきたということではないかと思うわけでありますが、一体各省庁が、臨調の答申を受け、あるいはまた独自の立場から、どういうふうな削減を今度の概要要求の中でされているのか、その内容をひとつ各大臣から伺います。

金丸信自由民主党

○金丸委員長 各大臣、全部の大臣ですか。

安井吉典日本社会党

○安井委員 全部の大臣です。数字だけ言ってください。

中曽根康弘自由民主党行政管理庁長官

○中曽根国務大臣 大蔵省の中期財政展望によりますと、いままでどおりの水準でいろいろな経費を伸ばしていくと、約三兆七千七百億円のお金が足りなくなる、そういうことがまず基本でございました。それに対しまして、来年度は増税を行わない、しかも約二兆の国債を減額する、そういうことを国民の皆様や臨調の皆様にもお約束いたしまして、それを実行いたしました。  その二兆七千七百億円のお金を、ではどうしてふやさないで済ましたかと申しますと、公共事業費を大体横ばいにいたしまして、中期財政展望によれば約八千五百億円程度の増が予想されておったのが、それが要らなくなった。それから第二番目に、今回提案申し上げました諸般の補助金のカットやら、あるいはそのほか、各省が臨調の七月十日答申のアイテムに沿いましておのおの切った額がございます。それが約九千何百億円ぐらいでございます。残りの約一兆弱の金は、各省庁が自前で、自分たちのところを大体臨調答申の線に沿いまして自主的に、裁量的にいろいろ節減した分がございます。そういうもの全部合わせまして、中期財政展望で約二兆七千七百億円、それぐらいがふえるのを抑えたというのが概数でございまして、中身につきましては、御質問があれば各省庁からお答え申し上げます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 簡単に数字だけちょっと言ってください。

金丸信自由民主党

○金丸委員長 各省ですか。

安井吉典日本社会党

○安井委員 まとまっていれば一つでいいですよ。

金丸信自由民主党

○金丸委員長 だれかまとまっているところで、大臣代表でやってくれるところは……。——大蔵大臣。

安井吉典日本社会党

○安井委員 数字はまとまっていますか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 細かい数字はまとまっておりませんが、ただいま行管長官が申し上げたようなところであろうかと存じます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 では、各省大臣から言ってください。時間がないから、厚生大臣から順々に。

村山達雄自由民主党厚生大臣

○村山国務大臣 お答えいたします。  御案内のように、今度の概算要求は原則としてゼロシーリングでございます。厚生省としては、年金の平年度化二千百億がございますので、結果からいたしますと、今年度の予算が八兆七千六百億でございますので、その上に二千百億を加えまして八兆九千七百億、これで概算要求をいたしているわけでございます。(安井委員「削減額は」と呼ぶ)いろいろな措置で考えまして、いま出しておる二項目、そのほか今後支出するもの合わせまして約六千三百億でございます。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 四十人学級の分で五十六億円に相なります。文教施設の問題で、この建設の圧縮で四百二十七億に相なります。それから、私立学校の教職員共済補助金の問題で十六億。さらに、私学共済の年金に係りまする補助の問題で、四分の一を減額することといたしております。そのほか、大体におきまして、以上のような大きな問題の中では、目下御案内の私学の問題の補助金問題の方は、むしろ現状から大学におきましては五十億を、それから高等学校におきましては四十億をさらに追加要請をしなければならないというような過程にございます。それから、奨学資金の問題につきましては、これは目下いろいろ各般の問題がございますので検討中でございます。

亀岡高夫自由民主党農林水産大臣

○亀岡国務大臣 農林省関係で今回の提出法案に基づく削減は、農林年金の給付に係る国庫負担(安井委員「総額でいいです」と呼ぶ)これと、それから地域特例の分と合わせて八十五億円、さらに八月二十五日の閣議決定に基づくものとして、総額四千三百三十億円の一般補助金などを一割削減することに伴って四百三十四億円。以上のほか、事柄の性格上、具体的な削減額を示すことは困難でありますが、ゼロシーリングの原町のもとで一般行政経費、公共事業関係費などの抑制を図って概算要求を出したところでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 あとの大臣は、いまの大臣も含めて後で資料で御提出願います。  いまやっていただいた三人が実は削減の三羽がらすなんですよね。あとはずっとけた違いで、切られているのはこの三人の大臣なんですよ。そういうことで、三強というよりも三弱の方ですね、そういう内容を私どもは、理解しながら、こういう上に立って大蔵大臣に、いよいよ十二月の予算編成ではいまの概算要求のままでおさまるのか、それともそれに対してどういうふうな程度の切り込みをしていくのか、最終はどんなような姿を考えておられるのか、それを伺います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 最終のことはまだ断定的には申し上げられないのです。と申しますのは、来年度の予算の話でございますから。問題は経済見通しがどうなるのか、つまり非常に激動する世界経済でございまして、末輩に一年半も先まで残念ながらなかなか見通せない。そういうような状況であって、ぎりぎりいっぱいのところで十二月に入ってから経済見通しができますから、それによってそこから税収をまずはじいてこれの見通しを立てる。それで国債も所定の額をやはり減らしていかなければならぬ、その範囲の中に、歳出をおさめるということになります。  もう一つは給与問題、この問題が大きな問題でございまして、これをどういうふうにとるかによって数千億台の違いが出てくるわけでございますから、そういうものも全部決着しないと、来年の予算規模というものは、いま申し上げることは非常に困難でございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 社会保険事務費の国庫負担を保険料負担に改めなさいという臨調の指摘があります。それは各省のどれを見ましてもそういうふうな仕組みになっていないようでありますが、これはそのままでいいんですね、大蔵大臣。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 法案で出したのは、事務費は補助を廃止するということは出ております。その他の委細については事務当局から答弁させます。

西垣昭大蔵省主計局次長

○西垣政府委員 お答え申し上げます。  事務費の削減をやっておりますのは、この法案に盛り込まれております地震と自賠責だけでございまして、要求では出てきておりません。したがいまして、私どもといたしましては、年末に予算を調整いたしますまでの間に各省とも十分意見を交換して調整をしたい、結論を出したいというふうに考えております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 それでは、いま各省要求にはないけれども、浮かんでくる可能性があるんですか、ないんですか。ないと思っていいんですね。

西垣昭大蔵省主計局次長

○西垣政府委員 ただいま査定作業の真っ最中でございまして、まだ結論を出しておりません。

安井吉典日本社会党

○安井委員 これがもしも臨調どおりにやられるということになりますと、約二千四百億円ぐらいの金がそれぞれの公的保険の保険料にかぶってくるわけですから、保険料の全体的な値上げになっていきますから、これは絶対にやらない、そういうことで大臣やってもらわなければいかぬと思いますね。  それから、先ほども中期展望の問題についてお触れになりましたけれども、二兆七千七百億円の要調整額というその言葉自体がもう非常に不確かなもので、あの数字は大体において、一般歳出もふくらますだけふくらましてあるわけですね。五十六年度は四・三%の増でしかないものを一〇・四%の増ということにふくらませてあるわけですよ。あるいは投資的な経費の部分についても、五十六年度はたった〇・一%の増でしかないものを一〇%も上がるということであの中期展望ができているわけであります。そういうことで二兆七千七百億円が調整をしなければいけない、そういう打ち出しで臨調をおどしてきた、私はそういうふうに思うわけです。だから、臨調の会長に私がお会いしたときは、二兆七千億円をどうしても削減するんだ、こういうふうなお考えを言われておったわけであります。  しかし、いまになってみれば、先ほどの中曽根長官の話のように、公共事業は横ばいにしてみたら八千五百億円余ってきちゃったとか、そういうような言い方でいま問題をごまかしてしまおうとしているわけです。だから、いまの中期展望なるものはもうこれで任務が終わって、新しくつくり直さなければならぬと思うわけです。  あるいはまた、経済社会七カ年計画も、その公共事業が二百四十兆円から百九十兆円にダウンしたわけですけれども、しかし今度公共事業はアップ率がゼロになるのでしょう。そうなると、七カ年計画そのものの見直しが必要になってくるのではないかと思うわけであります。ですから、一切のアップはだめだということになれば、いままでの全部の公共事業に関する長期計画はやり直しをしなければいけないわけですね。その辺はどうお考えになっていますか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 七カ年計画は昭和五十四年の八月に正式に決定をいたしましたが、五十四年度から六十年度までの七カ年の経済展望を示したものでございます。  当初は、七年間に二百四十兆円の社会資本投資をする、こういうことを想定をしておりましたが、五十四年から五十六年まで三カ年間、公共事業の伸びを抑制をいたしましたので、ことしの一月に調整をいたしました。そして、いまお話のありました七年間に百九十兆という数字に修正したわけでございます。  しかし、これは七カ年間の展望でございまして、毎年フォローアップをすることにいたしております。毎年の経済情勢等を見きわめまして微調整をすることにいたしておりまして、この一月に修正したばかりでございますので、ただいまのところ、基本的な見直しをする、そういう計画はございません。ただ、毎年フォローアップをしながら微調整をしていく、そういう考え方に立っております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 中期展望はどうですか、大蔵大臣。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 中期展望は、これはいまのままというわけにはまいりません。五十七年度予算ができましたならば、五十七年度予算を土台にしてやはり見直すということにしなければならないわけでございます。たとえば、五十七年度に二兆七千億の要調整額、その次は四兆何千億、こう出ておるわけですが、この二兆数千億円が今度はゼロということになるわけですから、当然それは変わってくるわけです。

安井吉典日本社会党

○安井委員 いまのゼロシーリングという手法を五十八年度も五十九年度もお続けになりますか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 できるだけやりたいと思っておりますが、そのときになってみないとよくわからないというのが実情でございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 もう一つ、増税なき財政再建というこのやり方も、引き続いてずっとおやりになりますか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 これも先ほど私が申し上げましたように、われわれは五十七年度に増税なき財政再建をやる。極力税金はふえない方がいいに決まっておるわけでございます。したがって、できるだけわれわれは経費の切り詰めということで賄ってまいりますが、高福祉には圏負担という問題もございまして、将来の問題は、そのときどきになってどうするかを御相談申し上げたいと思っております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 鈴木総理、いま大蔵大臣からそういう答弁がありましたけれども、あなたも参議院の本会議で代表質問に答えて、五十八年度以降の財政再建のやり方は、毎年の予算編成の過程で幅広い角度から検討するという御答弁で、これは五十八年度からは増税の含みを持っているのではないか、こういう見方がされているわけです。増税というのは、五十七年度はわかりましたよ。五十八年度以降も一切やらないというのか、それとも五十八年度以降はやるかもしれないというのか、その点ひとつはっきりおっしゃってください。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 五十八年度以降につきましては、引き続き財政再建の努力を積み重ねてまいります。これははっきりそういう目標を設定いたしております。  そこで、そういう中で、五十七年度予算の編成にとった手法をそのまま五十八年以降もとるかどうかという問題につきましては、経済の動向、税収、また国民の方々の御要請、いろいろな不確定要素がたくさんございますので、その時点における諸般の情勢を総合的に判断をしてやっていかなければいけない、このように思っております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 これも国民の方から見れば、もうそこで、最後の語尾が明確でないことに対して、鈴木総理はやはり五十八年度からは増税するのかもしれないのだな、こういうふうな受けとめ方をされるおそれがあるわけですよ。その点はひとつ明確に言ってください。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 私は、増税をするのかなあとか、あのような表現だとしないのかなあとかいうような、いろいろな見方が国民の皆さんにあろうかと思いますが、冒頭に申し上げましたように、できろだけ国民の方々に御負担を強いるようなことでなしに、そうして何とか行政水準を下げないように努力をしていきたい、そういう基本的な考え方で取り組んでいく、こういうことを申し上げておるわけでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 今度の法案は三カ年の時限立法なんですね。そしてまた、政府は、三カ年の間に赤字国債の発行をなくそうという一つのいわゆる再建目標を持っているわけですね。だから、三カ年の間は国民は安心して、新しい——この間の通常国会で、大型間接税よりほかにありませんよというふうな方向へ大蔵大臣の発言もありましたけれども、それでは困ります。三カ年はということに、国民は一つの期待を託しているわけですよ。ですから総理は、少なくとも三カ年、私は未来永劫にとは言いませんよ。三カ年だけはいまの体制をやるのだということを明確におっしゃらない限り、今度の時限立法との整合性がなくなりますよ。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 いま御審議を願っております法案、この問題につきましては国会の最終的な御決定に従うわけでありますが、それは五十九年まで、この適用期間中はその御決定どおりで進むわけでございます。その他の法律によらない部分、またこれから法律の改正までお願いをしなければならない分野もあろうかと思いますが、いずれにしても、政府としては、五十九年までに、少なくとも特例公債に依存するような財政体質から脱却をしたい、この目標はあくまで貫いてまいるつもりでございます。その間において、財政の状態全般を総合的に判断をして、そこへ到達する面につきましては、その時点において国民の皆さんの御納得を得ながら、御理解を得ながら進めてまいる、こういうことでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 ですから、私が聞いているのは、三カ年を財政再建期間ということで鈴木内閣はお決めになっているわけですよ。それは間違いないでしょう。ですから、その後づけとして今度の法案も出したし、これからもまだたくさん出すでしょう、出さなければ削減できないですからね。しかし、財政再建のためには増税なきというその形容詞を初めにきちっとつけて、あなたは国民に全部公約されているわけですよ。財政再建というのは三年間でしょう。じゃ、三年間の中で増税なきという言葉だけは一年限りで取ってしまうのですか。それはおかしいでしょう。国民へのきちっとしたあなたの公約を果たしてもらわなければいかぬわけですよ。それをここではっきり言ってください。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 財政の問題でございますから、一応私からお答えを申し上げます。  増税なき財政再建を図るということを言ったのは事実でございます。われわれとしても、三年間ゼロシーリングができれば、私は増税なしでやれるだろうと思っております。問題は、それは皆さんの御協力を得なければできないわけでございますから、みんな法律を直したり、今回だってこの法案が通らなければ話にならぬので、国会の御了解がなければできないということなんでございますから、大蔵省だけが幾らじたばたしても、国民の代表である国会の御了解がなければできない。したがって、われわれは、来年度も増税なしでゼロシーリングをやりますが、その次も、できることならばやはりゼロシーリングでいきたい。そのときの経済事情、それから国民の要望、いろいろなものを勘案して決めなければならぬ。われわれは、第一義的には、何年間でもできるならゼロシーリングでいきたい。しかし、そう言っても、これは皆さんがどういうふうに言うか、われわれはそのときになって御相談を申し上げるということを申しておるのでございます。できることならば、増税なしで進みたいと思っております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 この問題は、大蔵大虚の話じゃないでしょう。鈴木内閣が増税なき財政再建というのを掲げたのじゃないですか。それでいま、行革をやろうということで臨調が作業を始めているのじゃないですか。国民はみんなそう思っていますよ。しかし、それはいまの御答弁から言えば、五十七年度はそのとおりです、五十八年度以降は増税なきというのはないんですよ、わかりませんよと、こう言いかえたのですか、きょうは。あなたの壇税なき財政再建というのは、きょうから変わるのですか。つまり、一年間だけは必ずやるということは、これはわかりました。わかりましたけれども、それから以後の財政再建は、まだ二カ年あります。それは頭の言葉はないのですか、あるのですか、その点をはっきり言ってください。(「総理だ、総理だ」と呼ぶ者あり)

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 一言申し上げますが、いずれにいたしましても、要するに、支出と歳入は裏表でございますから、歳入が思ったよりもよけい伸びるという状態ならば、もちろん増税は必要ないわけで、あるいは減税ができるかもわからない。それはそのときの歳入見通しというものが一番大事なことであって、いまわれわれは、願望としてはゼロシーリングをやりたいということでございますけれども……(安井委員「それに対する公約を聞いているのです」と呼ぶ)幾ら公約と申しましても、世界の経済情勢を織り込まなければ決まらぬわけですから、それを全部コンクリートでここで固めてしまうということはできない。したがって、われわれはできるだけ経済状態をよくして、増税なきように持っていきたい。しかし、一方では、毎年物価は上がる。賃金も上げろと言われる。物価スライドもしろと言われる。それを全部ゼロの中にいつまでもいつまでも抑え込むということが果たしてうまくできるかどうか、それはその情勢になってみないとわからないということを申し上げておるわけでございます。(安井委員「これは総理ですよ」と呼ぶ)

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 先ほど来、私は御答弁を申し上げておるつもりでございますが、五十七年度予算は、増税なくして財政再建の路線に乗った予算の編成をしたい、これは明確にお約束を申し上げておるわけでございます。五十八年以降の問題につきましては、できるだけ国民の皆さんに大きな御負担を強いないような形でこの財政再建を進めたいという基本的な方針、腹構え、これは先ほど来はっきり申し上げておるところでございます。大蔵大臣も言いますように、これからの国際経済、また国内の景気動向あるいは税収、いろいろな国民の御要請、いろいろの不確定のファクターがございますから、そういうものをその時点で総合的に判断をして、そして鋭意やってまいろう、こういうことを先ほど来明確に申し上げておるところであります。

安井吉典日本社会党

○安井委員 それじゃ、増税なき財政再建という三カ年の目標は、ここできようは消えました、いままでの言い方は間違いでした、インチキでした、こう受けとめていいですね。私どもはそれをはっきり言いますよ。それでなければ、われわれは三年間のこの時限立法をここで論議する意味はないですよ。こういう御答弁では、これ以上審議を進められませんよ。そういうような言葉の中で国民をごまかそうといったって、これはできませんよ。それじゃ、はっきり増税なき財政再建はもうきょう限り、五十七年度は約束しますけれども、それ以降については約束できません、そういうふうにはっきり言っていいですね。そうでなければ、われわれはこれ以上質問するのは全く意味がなくなってきますよ。どうですか。(「これは総理だ」と呼ぶ者あり)

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 これは先ほど来申し上げましたように、収入との関係でございますから、収入が……(「総理に言ってもらわなければだめだ」と呼ぶ者あり)

金丸信自由民主党

○金丸委員長 大蔵大臣、ひとつやってください。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 委員長の御指名をいただきましたので、発言をさせていただきます。  御承知のとおり、収入の見通しというのは、確実なことを申し上げるのには直前にならないと実際わからない。あとはもう決算でなければわからないというのが一番正確でしょう、見通しでございますから。正確な見通しをするためには、やはり十二月ごろにならなければ来年のこともよくわからぬということを申し上げておるわけであって、三年間の収入を確定的にここで言ってしまうということは非常に困難でございます。  われわれとしては、増税なしの財政再建が三年間続けられれば、それはぜひとも続けたい。そのためには、予定どおりの財政の展望のような収入があること、そして一方においてはゼロシーリングで、ベースアップも毎年やらない、それから社会保障費の給付もやらないというようなことができれば、それはいいことでございますが、そういうことも非常にむずかしい問題がございます。したがって、いまの段階で、三カ年間増税は一切ございませんということを断言することもできませんし、増税をやるということも申し上げません。それはそのときの経済情勢によって決まることでございます。国民がどちらを選ぶかということはその都度その都度決めていかなければなりませんということを申し上げておるわけでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 私は、増税なき財政再建ができるかできないかという中身のことを聞いているのじゃないですよ。鈴木内閣の政治スローガンですよ。政治スローガンとしての増税なき財政再建というのはきょうでやめます、こう言えばいいですよ。困りますけれどもね。いいという言葉は語弊がありますけれども、国民は困りますよ。しかし、それなら大蔵大臣が言うのと一致しますよ。はっきりしなさい。はっきりしてくれなければこれは困ります。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 私は、先ほど来、同じ御質問に対して二回にわたって私の真意を明確にお話を申し上げました。国民の皆さんには十分御理解がいただけるものと信じております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 政治スローガン、私はそれだけを言っているのですよ。中身ができる、できぬじゃないですよ。それはスローガンを下げますと言うなら、それでもいいですよ。そうでない限り、これは話が進まないでしょう。どうですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 スローガンを下げるとか上げるとか、そういう問題ではありません。五十七年度予算についてははっきりやってまいりますが、それから先につきましては、私が先ほどるる申し上げたとおり、また大蔵大臣からも申し上げたとおりでございまして、スローガンを上げるとか下げるとか、そういう問題ではない、こういうことをはっきり申し上げます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 それじゃ、もうあなたの御意見が変わらないということは、増税なき財政再建というのに三カ年の国民の期待をつながせたことは間違いであったということをこれは確認しましたね。私はその確認において前へ進みます。いいでしょう。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 先ほど来申し上げるように、五十八年度以降においてもできるだけ国民の皆さんに大きな御負担をかけないようにしてこれをやっていきたいというその方針、これは変わっておりません。

安井吉典日本社会党

○安井委員 問題は、そういう心構えはわかりますけれども、増税なき財政再建という言葉でさらに国民を欺くことはやめていただきたい、そのことをひとつ明確にしておきます。  ところで、そういうことがわかってきますと、なおさら問題になるわけでありますけれども、増税なき財政再建という言葉は、私はうそとごまかしが二つあると思います。  第一のうそというのは、増税なきと言うけれども、実は物価調整減税をやらないために自然増収という名の増税が行われているわけです。本来なら、昔は物価調整減税を毎年やりましたよ。それをやらないことで、税制改正に対して不作為の行為で増税をやっているわけです。これが実質増税ということになっているわけですから、増税なきという言葉はうそだということになると私は思います。  それからもう一つは、企業優遇税制に対して、臨調も政府もきわめて不熱心であります。特に財界の方は、企業優遇税制をやめると、これは企業にとっては増税になるわけですよ。それをも含めて、増税なき財政再建という言葉で言いくるめようとしているわけです。だから、ここにもごまかしがあると私は思う。この点についてはどうお考えですか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 自然増収が計上されておりますが、これは税率を改めたわけではございませんで、所得がふえれば当然その一部は税金になりますから、その部分だけ税収がふえるということで、これは増税とは考えておりません。     〔委員長退席、海部委員長代理着席〕

安井吉典日本社会党

○安井委員 もう一つ、企業優遇税制。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 企業の特別措置法の問題につきましては、これは年々整理合理化をいたしてきております。したがいまして、ほとんどその大部分は個人のためのマル優制度だとか、あるいは住宅取得だとか、保険料控除だとかいうもので、法人税関係は約二割程度であります。しかし、そのうち半分ぐらいのものは中小企業向けということでございます。確かに法人、大企業関係のものも一部残っておりますが、それは政策税制として残しておるわけでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 後半は、あなたは私の質問を取り違えているのです。それは後で触れますけれども、前半の物価調整減税はやはりやらなければおかしいということは、予算委員会でも本会議でも、もう繰り返し繰り返し言われているところであります。  例の国税庁の五十五年度の民間給与の実態調査によっても、年収は五・七%伸びで、物価上昇の八%にも及ばない去年の状況だったわけですが、所得税の方は十五万五千円から十七万四千円に一二・三%上がっている。五十二年から課税最低限度の改正をやっていないわけですね。ですから、五十二年度から比較してみますと、五十五年度までの間に年収は一四・四%上がっている。これに対して所得税は実に四八・七%も上がっているわけです。これはまさに異常だと言わなければなりません。大蔵大臣のいまのような答弁で納得できるような筋のものではないと思います。現在の租税負担率は過去十年の最高ですよ。  予算委員会で河本長官は、いますぐ実施は無理だけれども、減税を早くできる条件をつくるのが緊急課題だというふうな言い方をされたわけであります。それに対して渡辺大蔵大臣は、赤字国債脱却の見通しがつくことが減税の条件だということで、お二人の意見はかなり食い違っているわけであります。河本長官は減税の効果に比較的大きな評価を置き、大蔵大臣は、そんなものは評価できないという言い方になっているわけであります。ですから私は、この両大臣の意見の違いをそのままに過ごしていくというわけにはいかないと思います。  現在のように、貿易収支の黒字が増大している反面に内需が落ち込んでいること、これが当面の経済運営の重大なポイントであるわけですから、GNPの五割以上も占める個人消費を回復するためにも、所得税の減税を行うべきだと思います。両大臣のお考えを改めて伺います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 所得がふえて、納める税金の額がそれに伴ってふえておる、これは事実でございます。事実でございますが、実は所得階層によっても違うわけでございまして、たとえば、五十二年から五十六年の間に所得が三〇%増加をしたというような例で見ると、三百万円の方は五十六年は三百九十万円になるわけでございまして、その間の税額は確かに十三万三千円ふえるわけでございますが、この税引き後の所得もまたふえるわけであって、さらに物価でディスカウントいたしましても、実質的には三・三%の実質所得の増ということになっておるわけであります。  ところが、五百万円の方だと二%しか実質増にはならない。一千万円だと実はマイナスの一・九%、税率が高いものですから、一千万円以上の方は実質的に目減りしている、これも事実でございます。  しかしながら、五百万以下の方については、物価を差し引いても実は実質所得はまだ目減りはしていないというのが実態でございますし、一方、個人所得に占める所得税の割合というものは、アメリカは所得の一一%、イギリスは一二・六%、西ドイツは九・四%という中で日本は四・五%でございますから、諸外国との負担の比率というものを一方から見ても、また他方、国債の依存度というものが、日本は二六%、アメリカは六・一%、イギリスが九・八%というような点から見て、日本だけが税収で賄うべきものを借金で先取りして賄ってしまった、そのために国債依存度が非常に強いという点から考えても、これはまことに残念なことでございますが、特例国債脱却の明確な目安がつくまでは調整減税は非常に困難だというように考えておるわけでございます。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 私は、この問題を国民経済全体の立場からいろいろ申し上げておるわけでございますが、政府のいま決めております財政経済についての中期計画、いわゆる七カ年計画は、昭和六十年度までの財政経済運営の基本方針を決めたものでございますが、この目標は国民生活の安定のためにするのだということが第一、それからもう一つは、国際社会に貢献ができるような経済に持っていくためにやるのだ、こういう二つの目標が掲げられております。そういう立場から議論しておるわけでございますが、現在の経済情勢を見ますと、やはり個人消費が伸び悩んでおります。それはやはり所得との関係が大いにあるわけでございまして、可処分所得が伸びないというところに個人消費が伸びないという非常に大きな背景があろうか、こう思っております。  さらにまた、先般総理府の方で国民の意識調査をしておられましたが、それによりますと、国民の二五%が生活が苦しくなった、そういう調査も出ておりますので、そういうことをいろいろ判断をいたしますと、健全な日本経済の発展を図っていくということのためには、やはりある程度所得が伸びるということが一番肝心な点ではないかと思います。その点につきましては、GNPが大きくなる、経済成長がやや高目に進んでいくということが望ましいわけでございますが、これはやはり国際情勢等の変化によりまして大きく違ってまいります。  たとえば、昨年は第二次石油危機の悪い影響等がございましたので、成長率は三・八%しか達成できなかった。ことしは幾らか高目に推移しておりまして、政府目標に近づいておりますけれども、この成長率というものも、毎年情勢の推移を見て、その年々決めることになっております。だから、仮にわが国が潜在成長力をフルに発揮いたしまして、政府目標よりもある程度高目の成長ができるというような条件が熟したといたしますと、税の自然増収も政府の見込みよりもさらに大きく伸びる、こういうことも考えられるわけでございます。  そういうことをいろいろ総合的に判断いたしますと、高目の成長を持続する、政府目標を達成するということのためには、やはりある程度個人消費が伸びなければならぬ。そういたしますと、税の問題にも関係をいたしますので、いまは財政再建を始めたばかりでございますから所得減税をやれるような条件は全然熟しておりませんけれども、いま前段申し上げましたようなことを総合的に判断をいたしまして、実質所得が伸びるような、そういう政策が展開できるような条件を一刻も早くつくるということが当面大きな課題でなかろうか、そういう趣旨のことを先般予算委員会でも申し上げた、こういうことでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 いずれにしても、すぐにおやりになるお気持ちがないことはわかりましたけれども、筋の立て方から言えば、私は、大蔵大臣の弁解よりも、河本長官の言い方の方が聞いている国民の方は納得できるのではないかと思います。委員長、そうでしょう。  それはそれとして、私は、あくまでも直ちにおやりになるお気持ちがないということは問題だと思うのですよ。総理、いいですか。お二人のお話を聞いて、総理は一体どういうことを最終的にお考えになるのか、それを伺いたいわけですが、私たち社会党は、新聞にも出ておりますように、物価調整減税については、OECDの諸国ではもうすでに制度的にそれができるような仕組みをつくっている国がたくさんあるわけですよ。それをそのまま取り入れるわけではありませんけれども、それを一つの下敷きにしながら、党としての物価調整減税の法案をできれば今国会に提案したいと思っています。総理のお考えをひとつ伺います。     〔海部委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 先ほど来、河本経企庁長官と渡辺大蔵大臣が考え方を申し述べておるわけでございますが、いろいろの角度から議論が成り立つわけでございますけれども、当面所得減税を行うような環境条件にないということ、それから所得税の課税水準につきましても諸外国に比べて日本は決して高くないというようなこと、こういう点が政府の見解として総合的に御理解がいただけた、こう思うわけでございます。  私は、社会党さんが御提案になるという所得税の減税、物価調整減税という名目での減税のお話がございましたが、いずれにしても五十九年までに赤字公債からの脱却をしなければいけない。これをやります場合に、所得税減税を行いますと、一方においてそれにかわる財源を国民の皆さんに一般消費税その他の形で増税をお願いしなければならない、こういう二者択一になるわけでございます。私は、一体どちらがデフレ効果があるのか、またそれが個人消費に結びつくのか、そういう問題を総合的に判断しなければならないと思いますが、政府としては、いま大蔵大臣、経企庁長官から御答弁申し上げたような方針で進んでおるということを御理解願いたいと思います。

安井吉典日本社会党

○安井委員 それでは私は納得できません。国民の気持ちというのは、ここで物価調整減税をやってくれなければもう全くやりきれない状態だという気持ちだと思いますよ。それにこたえる対策を、社会党も提案しますけれども、政府もさらに考えていただきたい、そのことを申し上げておきたいと思います。  そして、財源があれば、こういま言われましたけれども、財源がありますよ。それを私はいまこれから申し上げたいと思います。  不公平税制の是正です。さっき私がそのことを申し上げたときに、大蔵大臣は租税特別措置法と取り違えた答弁をされました。租税特別措置法の内容については、あるいはさっきの御答弁に尽きるのかもしれませんけれども、私は企業優遇税制、こう言ったはずです。つまり、法人税法の中に企業優遇の措置が私どもの指摘では一兆円あります。これぐらいは企業の優遇措置を直すことが必要ではないかという指摘をこの百七十一ページでやっています。  それからもう一つ、地方税の中にも固定資産税、事業税、電気税で約七千億円の軽減措置があります。合わせて二兆七千億円を対象として私は先ほど来話をしているわけであります。  いままでのお話の中でも、借金は八十二兆円を超えたけれども、公共投資は拡大して、景気が維持されて、国民は失業しないで済みましたよと、繰り返し繰り返し私どもはお聞かせをいただいておるわけでありますが、その中で最も利益を得たのはやはり財界ではないかと思います。財界は不退転の決意で行革に臨むというわけでありますが、それは福祉切り捨てについてであって、不公平税制の是正についてはさっぱり発言がないわけであります。だから、財界行革と言われても私は仕方がないのではないかと思うわけであります。ですから、私が申し上げましたような不公平を是正するということによって財源も生まれてくるわけですね。一挙両得だと私たちは言っているわけであります。  租税特別措置法の問題については、さっき大蔵大臣がお触れになりましたけれども、かなりこれまでの段階に整理されてきていることは間違いありません。しかし、医師優遇税制もあるし、企業優遇のいろいろな措置がまだ残っています。さらに、法人税法の中では、準備金や引当金等の問題、それほど退職者や貸し倒れがないにもかかわらず大きな控除を認めているという問題もあるわけであります。さらに、法人税率は一律税率なものですから、景気がよくなっても、所得税ならものすごい累進制でぐんと上がるのですけれども、法人税は全く比例税率ですから、所得税の大きなカーブじゃなしに緩やかなカーブでしか税収がふえてこないのですよ。ですから、もっと緩やかな累進制、きつい累進制はいまの法人擬制説等からいってむずかしいかもしれませんけれども、緩やかな累進制をつくるということも決して間違いではないのではないかというような言い方もしているわけでありますけれども、これらの準備金や引当金の積み増しの停止等をちょっとやるだけでも、かなりの増収を図ることができる。  特に、いままで全く論議されないのは地方税についてであります。地方税についても、私どもはずいぶんこの中で分析しておりますけれども、大きな企業の事業税については、軽減措置は相変わらず残っていますし、それからまた、電気税のごときは、八十の品目に対して千三百九十六億円の非課税であります。この市町村税は総額で三千九百億円ですから、一般家庭の方は三千九百億円の税金を払っているのですけれども、八十の品目の産業だけが千三百九十六億円の非課税というようなことになっているわけであります。これは具体的に品目がみんな挙げられています。鋼材はどれだけ、アルミはどれだけ、セメントはどれだけ、各種金属工業、合成化学工業というふうに品目全部みんなありますよ。  後で自治大臣から言っていただいてもいいですけれども、そのことをみんなたな上げして、民間の活力だとか自立自助だなんという言葉が使われているわけです。これらは言葉では非課税措置とは覆うけれども、実は企業に対する補助金ですよ。そういうようなものを私どもは全部切れというような乱暴なことは申しません。申しませんけれども、しかし一割や二割ぐらいはこれを整理するという考え方があってもいいのではないかと思います。私どもの考え方で二制整理すれば、二割までしなくても物価調整減税の財源は出てきますよ。大蔵大臣並びに自治大臣から、この企業優遇税制の問題についてどのようなお取り組みをされるおつもりか、それを伺います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 法人のいわゆる各種の引当金、その中で退職給与引当金、貸し倒れ準備金等のお話が出たわけでございますが、この引当金は負債性のものという考え方に立っておるわけです。御承知のとおり、労働協約によって、退職する場合に幾ら退職金をくれるかというように決まっている企業について、青笹申告をやっているところがこの制度を認められているわけでございますが、それは労働組合と企業主との間でそういうふうな債務が発生した、その債務について全体の四割の人がやめた場合の退職金を積んでもいいという制度にいまなっておるわけです。しかし、現実には四割もやめるなんということはないのだから、積み過ぎではないかという御議論だろうと思います。  これらにつきましては、いま言ったように債務性のものだという主張が一方にあるものですから、どういうふうに理論的にこれを崩すかということでいろいろ苦心をしておるわけでございますが、現実とは少し違うじゃないかという点について、私もそのような見方もあると思っておりますから、引き続き検討をさせていただきたい、こう考えております。実態に合うように貸し倒れ準備金等についても直してきておるところでございますが、これは一層検討してまいりたいと思っております。  法人税の段階税率、これはなかなかむずかしい問題でございまして、十億円以上のものについてはある程度高税率を課せ、十億円未満は低税率にしろというような御主張がこの前もあったわけでございますが、しかしながら、仮に十億円もうけたとしても、百億円の会社が十億円もうけた場合と、十億円の会社が十億円もうけた場合とでは、まるきり違うと私は思うわけでございます。億円の会社が十億円ぐらいしかもうけないのでは、五%の配当もできないということでございますし、資本金二十億円の会社が十億円利益が出れば、五〇%もうけた計算になるわけでございますから、ただ金額だけで十億円以上のものは高税率、十億円米満のものは低税率ということにはなるまい、こう思っております。  終戦後、資本金に比例して、資本金の何割超過の所得を出したものについては高税率という法人税があったように記憶いたしております。戦時立法であったかどうかわかりませんが、終戦後ございました。しかし、これは実は資本金の小さな会社の方がもうける率が強いのが普通でございます。したがって、やはり小さな企業が高税率を受けるということになりかねないという矛盾も多少ございまして、一つの方法ではございますが、しかし所得以上にもうけているのだから、その超過所得分については余分な税金を払えという一つの御主張はあろうかと存じますが、十分に検討しないと、いま直ちに賛意を表するというわけにはまいりません。  地方税の問題については、自治大臣にお願いいたします。

安孫子藤吉自由民主党・自由国民会議自治大臣・国家公安委員会委員長

○安孫子国務大臣 地方税の関係についてお答えを申し上げます。  地方税におきまして、軽減あるいは非課税措置を講じておるものがあるわけでございますが、言うまでもございませんが、一種の政策目標というものと税負担の公平という問題との調整をどこでとるかということについて、いろいろ検討を要する問題でございます。ともいたしますと、非課税措置等というようなものは慢性化しがちでございます。それからまた、既得権化する傾向がございまするので、自治省といたしましては、常にその間の問題を認識いたしまして調整をとってきておるわけでございます。  そこで、電気税の問題については、従来この問題は、物価にはね返るという問題が主として政策的な課題として、この辺の調整をとって今日に至っておるわけでございまするが、現下の情勢といたしましては、やはり財政の関係から申しましても、租税負担の公平化という原則を相当重視すべき時期に来ているのではなかろうかとも考えておるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、影響するところも多々ございまするので、十分に検討してまいりたい、こう思っておるところでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 その検討いたしますという言葉を、十年というか二十年間、実は聞いているわけですよ。私は、一番最初国会に出て、二十二年前でしたかね、地方行政委員長が鈴木善幸さん、その鈴木委員長時代からこの地方税の問題について、私どももうぎりぎり論議をしているわけですよ。だから、何年たったって結論が出ないわけです。  あの地方税法の中に、電気税など品目がみんなはっきり書いてある。セメント、合成化学というように全部あるわけです。セメントは二十三社に九十一億円の軽減が磁気税で行われている。アルミニウムは対象は八社なのですけれども、百四十六億円の軽減が——これは補助金ですよ、アルミはいま大変な時期に来ていますけれども。とにかくそういうふうな品目がみんな出ているのですから。ほかの法人税とか租税特別措置法は具体的な名前が出ていないだけに、何か皆さん人ごとのように聞いているけれども、地方税法はぎりぎり出ているわけですよ。それだけに一つ改正するということになると大変な抵抗があるということは間違いありません。そういうような中でいままで来ているわけですよ。  ですから、お年寄りの年金を夏からもらえるなと思っているものを値上げ分はもう来年でなければもらえませんよと言われる。そんなむごいことをする前に不公平税制の是正をやるべきであり、そしてまた、物価調整減税ができない、財源がないです、こう言うのですが、あるじゃないですか。企業は自分の不公平税制是正という名前で税金が少し高くなるかもしれないけれども、その高くなった税金で自分の従業員の税金を調整して安くすることができる、それによって購買力もわいてくるということになれば、私は決して経済的にも大きな損になるというようなことにはならぬと思いますよ。きょうはもう具体的な話まではいきませんけれども、これはもう少し基本的な検討をすべき段階だと私は思うのですが、総理、どうですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 租税特別措置の見直し、さらに地方税におきまする非課税の取り扱い、こういう問題につきましては、引き続き前向きでその改善方について努力してまいりたいと思います。  また、引当金、準備金等も、特別措置ではございませんけれども、これも五十七年度予算編成の過程におきまして厳しく見直しをしてまいる考えでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 前を向いて足を出してください。前だけ向きっ放しじゃだめですから、足を出してください。そのことをひとつ申し上げておきます。(発言する者あり)前進をしなさいという意味です。足はもうすでに八十二兆円出しているそうですから……(発言する者あり)

金丸信自由民主党

○金丸委員長 静粛に願います。

安井吉典日本社会党

○安井委員 次に、社会保障の問題にちょっと触れておきたいと思います。  というのは、とにかく福祉切り捨てという内容であるだけに、私はこの問題に関心を持たざるを得ないわけですが、その中でも今度の三十六木の法律改正案のうち、厚生年金等に対する国庫負担の四分の一削減という問題であります。これについてもう繰り返し繰り返しいままでも議論をされているところでありますが、これによる削減額は千九百億円だそうですから、今度法律案で削減されるものの実に七七%ですよ。これがなかったら残りはたった五百八十二億円しかないわけです。しかし、この目玉商品が問題なわけで、社会保険審議会も社会保障制度審議会も、村山厚生大臣の諮問を受けて、どちらも厳しい姿勢を示して、これは困りますという意見を明確にしています。とにかく長期的な財政安定と制度に対する国民の信頼こそが不可欠なんだ、それが年金なんだということであります。どんどん積み立てていって、もらうのはずっと後なんですからね。そういう信頼を失うような今度の削減措置ということになるのではないかと私は思います。  そういう本質論があるのと同時に、削減に対する穴埋めはいたしますということを繰り返し繰り返し言われて、法律の中にも善き込まれているわけでありますが、これはまさに玉虫色の決着とでも言うべきであります。とにかくその内容をそれぞれが勝手に解釈してあの法案の中に乗っけたと言ってもいいようなやりようがあるような気がするわけであります。政府の法律ですから、国会が話し合いで玉虫色をやる、そんなまねをしてもらいたくはないわけであります。  そういう際に特に問題になるのは、「国の財政状況を勘案しつつ、」補てんをする、こういうわけでありますけれども、裏返しにすれば、財政状況が悪ければ補てんはしませんよと読んでいいのですか、そのことが一つであります。  それから、この法律は三年間の暫定法であり、三年間国の支出を減らすが、三年後利子つきで返すという、赤字国債の借りかえと同じような発想で行われている点、これも問題ではないかと思うわけであります。そして三年後、すなわち六十年度から財政が必ず確立できるのか、そういう心配が相変わらず伴うわけであります。さっきの増税なき財政再建の問答でおわかりのとおりであります。私どもの計算でも、三年後には元利合計七千七百億円くらいになるんじゃないですかね。そういうようなものの返還がきちっと行われるのかどうかということも心配であります。特に、私がいま言ったのは、「国の財政状況を勘案」ということを逃げ口にしているのではないかということですね。それから、この性格というのはどうも赤字国債の変形ではないのか、その点についてはどうですか、大蔵大臣。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 ちゃんとお返しをするということを法律でも、私は国会でも言っておるわけでございます。財政事情によって食い逃げするようなことはやらない。それでは、それなら赤字国債と同じじゃないかという御反論でございますが、これは繰り延べたものでございまして、国債と違う点は、国債は利率がはっきり書いてあって、償還期限がきちっと書いてあるということでありまして、財政事情も何もないのですね。その期限が来たら、その条件できちっと金は払わなければならぬ。ここは、財政事情を勘案をして、急いで払ってしまうということもございますし、多少御猶予願うということもございますという点が国債と違うわけであります。

村山達雄自由民主党厚生大臣

○村山国務大臣 この法案に書いてありますように、年金の財政の健全性を阻害しないようにということが書いてある意味でございますが、これは元本の繰り入ればもちろんでございまして、年金財政は運用収益をすべて給付の財源にいたしているわけでございますので、その点は当然含まれるわけでございます。したがいまして、それである限り、年金財政の健全性は阻害されないはずでございます。  問題は、あと「財政状況を勘案しつつ、」これはもちろんのことでございまして、そのためにやっているわけでございまして、繰り入れ期間をどうするかというのが恐らく中心問題でございましょうけれども、その辺は少々延ばしていただいても利子はますますつくわけでございまして、その辺がちょうど調整の要点になるわけでございます。  それから、国債と違う点はもとよりでございまして、第一、それだけ歳出規模が縮まるわけでございますし、また、いま大蔵大臣が言ったことのほかに、起債市場にも非常に好影響を与える。特に、三年間タイムリーにどういう財政政策をやるかということは非常に大事なことでございますので、時期に応じてやるということは、私は十分意味を持っておると思います。

安井吉典日本社会党

○安井委員 私は、今度の措置について、いま大蔵大臣がいみじくも言われましたように、起債なら、国債発行ならうるさい手続があるけれども、これはそう要らないのだという言い方は、ちょうど親が金に困って子供から借金をするようなものですよ。近ごろは子供は金持ちですからね。そして、ちょっと使わせてくれよ、利子もつけてやるからな、こう言っているだけのことである。しかし、これはそれが本来きちっとした手続で国債発行をすべきものを、そういうような形でごまかそうとしていることによく似ていると思います。したがって、本質はちっとも変わらないのだということの本質論が一つあります。  それから、「財政状況を勘案しつつ、」という言葉は、必ず返すのなら、こんなことを書く必要はないわけですよ。物を支出したり収入したりする場合に、財政事情を勘案しないでやるばかはありませんよ。いかなる大蔵大臣が出てきてもそうだと思いますよ。だから、こんな言葉はなくてもいいわけですよ。だから、その言葉をことさらに入れたということが、子供からの借金ですから、厳しいときはちょっとがまんしてくれよな、そういう思いが込められているような気がするものですから、年金受給者の皆さんにかわって私はその点を追及するわけです。  それでは、利子はどれぐらいをお考えになっていくのか、それから何年かかって返していかれるのか、それからまた特例期間後という言葉になっておりますが、いつからどのように補てん措置を講ぜられるのか、もう少し具体的なお答えをいただきたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 そこがコンクリートで固まっていない、だから国債と違うのでございますということを申し上げたわけでございまして、これについては何年ぐらいにするか、平均にするか、傾斜的にするか、年ごとに違えるか、こういうようなことは、年金財政に支障がないようにまずいたします。その後は、年金財政に支障がないわけですから、国の財政事情もその時点で御考慮いただいて、相談し合ってお返ししてまいりましょう。利率の問題等については、運用部でお預かりすれば幾ら幾らというようなことで、年によって違うこともあり得るわけでございまして、これなどもその実態に即して考えてまいりましょうということであります。

安井吉典日本社会党

○安井委員 細かな問題についてはまた同僚委員が後で詰めますけれども、私は、特にきょうお聞きしておきたいのは、どうも厚生省と大蔵省は年金財政の将来についてその悪化を非常に心配しておられる、そのことをさっきもあなたは言われましたし、常にそれを言われているだけに、今度国から入れる金を抑えておくということで、将来財政事情が苦しくなったというようなことになれば、まあ少しがまんしてくれよな、こういうようなことになって、その段階で保険料の値上げにはね返ってくる、あるいはまた給付内容をダウンすることになりはしないか。いままでも、もう支給開始年齢は六十五歳にしなければ後々大変ですよという大宣伝を厚生省もやられました。そのたびに国民や国会から抵抗を受けて思いとどまってきているという状況があるだけに、今回のこのことが、将来保険料の値上げや、あるいはまた保険給付内容を引き下げるということにつながらないということをこの際言明していただきたいと思います。

村山達雄自由民主党厚生大臣

○村山国務大臣 今度の特例期間中の臨時措置の問題、それからそれの善後措置についてはこの法案で書いておるわけでございます。しかし、根本的に年金財政がどうなるかという問題は、先日予算委員会におきましても各委員から総理に御質問があったわけでございまして、これはもう基本的な問題でございます。そういう意味では、これからの高齢化に向かいまして、年金の給付と保険料のあり方、長期安定のために一体どうなるのか、これはやはり真剣に考えていかなければなりませんし、それから各年金、共済年金なり、そういったものとのバランスの関係をどうするか、官民格差をどうするか、あるいは将来一元化が可能であるかどうか、そのときに、いろいろ出ております基礎年金というものはどういうふうに絡んでくるのか、これはもう大変な長期問題でございまして、われわれとしてはこれに真剣に将来取り組む時期が来るであろうということを考えておりますが、今度の措置とは無関係でございまして、このために保険料を上げるとか、あるいはそのために給付水準を下げるとか、それは全然考えておりません。  なお、ついでに申し上げますと、昨年御了承を得まして、男子の場合、年金の料率を九一から一〇六に上げておるわけでございます。それから、医療につきましても、八〇から八四までとりあえず上げさせていただいているわけでございます。これによります平年度の増収額は、実に大体一兆三千億になるわけでございまして、われわれといたしましては、受け持っております年金財政あるいは医療保険の健全のためには従来とも努力をいたしているわけでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 いま答弁をお聞きすれば、かえっていよいよ不安になってきました。いま本質的な不安を言われたのだと思うのですが、そういう不安な状況の中に、その上にさらにいまの削減がかぶさってくるわけですよ。だから、不安が二重になってきます。そういう意味で、この措置というものは、とても簡単に、この繰り入れをもっときちっとしますというふうな口約束だけ受けて、よろしゃうございますということにはならぬ問題だと思います。そういう本質論がはしなくも出てきたということを、これから後で同僚委員にまた質問に立っていただきますので、その場合に残しておきたいと思います。  文教関係の問題がありますけれども、これは後ほど湯山委員が質問をやってくれますので、ちょっと時間の関係もありますので私は深く触れませんが、とにかく四十人学級や教科書の無償供与や、公立文教施設の削減だとか、鈴木行革では福祉に次いで教育費の支出が減らされている、こういうことではないかと思います。  さっき福祉について私は一つしか挙げませんでしたけれども、とにかく軒並みにいろいろな年金とか給付とかいうのは削られています。今度の削減の一覧表ができればおわかりのように、削減の六割から七割、あるいはひょっとすれば八割が厚生省予算ですよ。そして続いて文教予算だ、このことを私どもは明確にしておかなければならないと思います。  したがって、これらの出ている対策については、四十人学級については、私どもは長い懸案が解決されて、しかも十二年間で実施をするという気の長い計画をここで踏みにじられては大変だということ、教科書の無償供与の問題についても、西欧諸国はみんなやっていることなんですから、先進国で日本だけがやっとやっているのを、これまたわずかの金を生み出すためにこれをやめてしまうというようなことは許されない、こういうような問題を明確にし、指摘しておきたいと思います。  もう一つ、行革削減三羽がらすの一つは農業であります。今度の臨調答申を見ましても、実にきめ細かく農業問題に触れて一つ一つの指摘をしています。ほかの通産省だとか何かのものはさっと逃げ切ってしまうわけですけれども、福祉、文教、農業については、実に一つ一つについて物を言っている、そういう感じを受けるわけであります。とりわけ農業については、財界が今日まで農業過保護論を唱えてきたのと全く同じその上に乗った発言である、こう言っても差し支えないのではないかと思います。  食骨制度を初めいろいろな指摘があるわけでありますが、きょうはもう時間がないし、後で関係委員にさらに詰めていただきたいと思いますけれども、国会の自給力向上の決議を尊重して、米だけではなしに、穀物全体を対象とする総合食糧管理制度を確立せよという私たちの主張が今日まであり、法案も出して継続審議中であります。そういう日本農業のビジョンや食糧確保についての長期展望なしに、ただあれを削れ、これを削減せよということでは納得できるものではないのではないかと思います。現在食糧の輸入はいつでもできるようなことを言われておりますけれども、きわめて不安定な国際情勢の中でいつまでもそうはいかぬのではないかと私は思います。かつてトイレットペーパーや洗剤までがなくなって大騒ぎをしたことがあったが、しかし食糧管理制度のために、食糧問題だけは起きなかったわけです。パニックが起きなかったわけです。しかし、これからの世界的な食糧危機の中で一体どうなるのか。いま石油資本のメジャーの人たちが食糧問題を手がけています。これからの問題は食糧だということで、メジャーはもちろん金もうけでしょう。そういう動きさえあるという現状を私たちは忘れてはならぬわけであります。  それに対して、先進国は穀物の自給率がアメリカで一七四%、これは例外ですけれども、フランスで一五二%、西ドイツが八〇%、英国でさえ六四%の自給率を持っているのに、日本の穀物自給率は三二%ぐらい、これを十年後三〇%にしようというのがいまの政府の計画であります。ですから、われわれが、後進国から飢え死にが出ているというようなそういう状況に対して、金に飽かせてアメリカ、カナダ等の食糧を買いあさっていく。これは本来はあの飢え死にをする子供たちに食わせる穀物であるかもしれません。それを横取りをして日本は家畜のえさにして乳や肉を食べているということであります。これこそまさに先進国の責任に反するやり方ではないかと思います。  そこで、鈴木総理に伺いたいわけでありますが、食糧の問題をおろそかにするというようなことでは極楽に行けないと思います。いざというときになって、それでどうなるか、そのときになって考えるというようなことじゃなしに、長期の食糧の戦略を考えておくことが必要だと思います。軍備、軍備と防衛予算ばかりふくらませていて、その反面農業予算を縮減しているわけでありますけれども、これは腹が減っては戦はできぬという昔からの言葉もありますけれども、いまのようなこういう政治を続けている限り、将来長期的に見てとんでもない事態に陥るおそれさえあると私は思います。鈴木総理が極楽に行くか地獄に行くかは別として、日本の国民は鈴木さんと一緒に地獄に行くことだけはお断りだと思います。食糧の長期的な確保や農業の基本的な政策についての総理のお考えをひとつ伺っておきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 食糧の自給力を高めるという問題は、わが国の食糧政策の上からいっても、農業政策の見地からいいましても非常に重要な問題でございます。日本はこういう狭い国土の中に多くの人口を抱えておるわけでございますが、それだけに国内だけで自給度を高めるということは、本質的に非常に困難な条件を抱えておるわけでございます。しかし、政府としては、国内で生産できるものは極力これを国内で生産し自給度を高めていく、こういう基本的な方針のもとに今日まで取り組んできておるところでございます。優良な農用地を確保するとか、あるいは農業基盤の整備を図るとか、あるいは農業技術の向上を図るとか、あるいは安定的な輸入の確保を図るとか、いろいろの角度からこの食糧の安定的な需給の確保ということにも努力をいたしておるところでございます。  社会党さんの農政についての提言も私承知をいたしておりますが、米麦以外の大豆でありますとか、他の飼料作物等についても食管の中でどういうふうに扱うべきかという御提言もございますけれども、これらの農産物につきましては、従来から価格支持政策が確立をしておりまして、再生産を確保できるようにいたしておるところでございます。先般の国会におきまして、食管制度の改善をお願いをいたしました。これは食糧の需給が緩和したときも厳しいときも、国民の皆さんに対しては、この食糧の問題については御心配をかけない、そういうような観点に立って食糧管理制度を改善をし、その運営をやってまいる、こういう方針でございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 もっときめの細かい話をするつもりだったんですけれども、時間が初めの方に少しとり過ぎて足りなくなりましたので、大急ぎの話になりましたけれども、あくまでも食糧の需給を国内で確保していくというその姿勢を忘れては、私は将来、国家百年の大計にならないのではないかと思いますので、その点の指摘にとどめておきます。  それからもう一つ、今度の鈴木行革の中で大きく問題を生じているのは地方自治体であります。  国と自治体との関係の見直しだとかいろんなことが言われております。そしてまた、地方の時代というきれいな言葉もあります。しかし、そういうものと全くうらはらに、当然国が負担すべきものまで自治体に負担を転嫁をするというようなものが幾多出ていて、特に国民健康保険の療養の給付費に対する国庫補助四〇%のうち五%を都道府県の負担にするとか、児童扶養手当、特別児童扶養手当の国庫負担の二〇%をこれまた都道府県に肩がわりさせるとか、これは前者は二千四百十億円、後者は三百二十億円という多額なものになるわけであり、全国の知事会を初め自治体の側は猛反対をしているわけであります。  地方制度調査会も七月三十一日に特別な意見を発表しているのも御承知のとおりです。公共事業の地域特例の廃止だとか補助金かさ上げの引き下げだとか、たくさんまだまだ問題もありますけれども、特にこの問題は、私は重大な問題ではないかと思います。厚生省は概算要求でこの削減要求をしているようでありますが、しかし自治省はまだ何かきちっと受けとめてないというようなことも聞いているわけであります。面相のお考えを伺います。

村山達雄自由民主党厚生大臣

○村山国務大臣 概算要求におきまして、臨調答申の趣旨に沿いましていまおっしゃるような点は減額しておることは事実でございます。  臨調で言っておりますのは、国民健康保険については、御承知のように社会保険ではありますけれども、同時にこれは地域保険でございます。そういった意味で、国民健康保険法でも、国民健康保険に要する費用については都道府県が補助することという規定があるのも、ほかの政管その他普通の社会保険とは違う点でございます。また、監督権限を持ち、指導権限を持っておる、あるいは費用が適正かどうかということにつきましても監査指導の権限を持っているわけでございます。これにつきまして、だから、そういった意味からいきまして、やはり役割り分担という意味で多少御協力願いたい、こういう意味で出ておるわけでございます。  それから、児童扶養手当、特別児童扶養手当、これは児童福祉法におきまして保護者とともに国と府県が責任を負うということになっておりまして、同様の福祉措置につきましては、すでに福祉手当その他措置権者が大体二割持っているのでございまして、この二つの手当につきましてはそういうことになっていない、そういった意味から言いまして、他の福祉措置とのバランスから申しましても、やはり一部持っていただくのがいかがであろうか、こういうことをわれわれも考えておりますし、また臨調もその趣旨のことを言っているわけでございます。  しかし、これはもとより国と地方の財政問題に非常に関連するわけでございますので、臨調答申それ自体が、この問題の決着はやはり財政状況を見て年末までに政府部内で煮詰めるべき問題である、こういうことを言っておりますので、私たちもこの問題をさらに論議を深めまして、また自治省とはもちろんでございますけれども、財政当局を含めて、今後これを煮詰めて結論を出してまいりたいというのが現在のわれわれの立場でございます。

安孫子藤吉自由民主党・自由国民会議自治大臣・国家公安委員会委員長

○安孫子国務大臣 国民健康保険の問題は、厚生当局とやや私どもは見解を異にしておるものでございまして、国民健康保険は、やはり一つの日本の社会保険の体制の中にあるわけでございまして、この社会保険制度というものは、国の負担と保険料をもって賄う、こういうのがたてまえになっているわけでございます。そこで、国民健康保険だけを府県の負担に持ち込むということは、制度全体として考えれば問題が非常に大きい、もう一度再検討して根本的な検討を加える必要があるだろう、こういうふうにいま考えておるわけであります。  あるいはまた、この問題が発生した原因といたしましては、医療費が非常に増高するという問題があるわけです。府県が監督権を持っておるから、ここへ負担をさせればそれを減らすことができるだろうというような思惑もあるようでございますけれども、これは全然別の問題でございまして、この点については、それなりの制度を拡充し強化をするということによって措置すべき問題で、府県が機関委任事務といたしまして指導監督権があるから直ちに負担もすべきだということは、非常に間違った方向ではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  それからまた、特別児童手当等の問題でございますが、これのうらはらになりまするのは、全部国で持っておるわけでございます。障害児あるいは生別、死別の関係で特別児童手当というものは出ておるわけでございますが、この対応すべき制度は全部国でやっておるわけでございます。特別児童手当の方だけを府県に負担させるということは政策の一貫性から申しましてもいかがなものであろうか、こういうことを考えておるわけであります。  それからまた、地方財政の状況から申しましても非常に問題があるわけでございます。そこで、臨調の中におきましても、この点は非常に論議があったところでございます。両論がありまして、そして結局この問題は財政の問題とも関連をする、来年度の予算編成上の問題にも関係をする、こういうことで年末までに政府において結論を出すようにというような答申になっているわけでございます。  したがいまして、以上申し上げたような点について厚生出局と相当基本的な問題についての見解の相違もございまするし、また一面、財政上の問題もございまするから、年末までに、財政当局も入れまして、この点を結論を出さなくちゃならぬ、こういう立場でおるものでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 もう一つ自治大臣についでですから伺いたいのは、老人医療費の無料化の問題で、老人保健法が通った段階では、その無料化はなくなっちゃう、その際に自治体がそれをさらに上乗せするような形でやっている分も廃止をすると臨調は善いているわけであります。しかし、これは地方公共団体の単独事業ですから、自主的な仕事まで、その自治体の政策選択を、中央政府がそれに干渉するというようなことは、私は間違いだと思うわけであります。この問題について、自治大臣のお考えをこの際あわせてお聞きをいたしたいと思います。

安孫子藤吉自由民主党・自由国民会議自治大臣・国家公安委員会委員長

○安孫子国務大臣 答申において廃止をすると言い切っておりますけれども、これはできるだけそうしてもらいたいものだというふうに私どもは受け取っておるわけでございます。  言うまでもございませんが、自治権の問題とも関係をいたします。したがいまして、中央政府でもってこれを制度的に打ち切るというようなわけにはなかなかいかぬ問題でございます。ただ、率直に考えますと、地方団体といたしましても、こうした単独事業でございまするから、この単独事業を選択するに当たりましては、事の順位あるいは後年度における財政上の負担でございますとか、そうした問題を十分に考慮して慎重な選択をすべきものだろう、この点についての注意を喚起しておるのが答申の趣旨であろう、こういうふうに理解をいたしております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 どうもいまのはちょっと歯切れが悪いんですけれども、これらもあわせて後で別な委員から質問があるはずでありますが、ただ、総理に伺いたいのは、ここでもう明らかに厚生大臣と自治大臣との意見の食い違い、閣内不一致ということはいまの段階では間違いありません。どうですか。これはどういうふうに御処理されますか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 この問題につきましては、自治大臣、厚生大臣、それに財務当局である大蔵大臣、この三大臣の間におきまして、五十七年度予算編成の過程におきまして調整をやりまして、国会に対し御報告をし、御承認をいただくようにするつもりでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 もう一つ伺いますが、これがもし実現するようなことになれば、国保法やあるいは地方財政法の改正が必要になると思うのですが、どうですか。

安孫子藤吉自由民主党・自由国民会議自治大臣・国家公安委員会委員長

○安孫子国務大臣 地方財政法について申し上げますれば、改正の必要がございます。

村山達雄自由民主党厚生大臣

○村山国務大臣 いまの答申を実現するということになりますれば、当然国保法の改正を必要といたします。

安井吉典日本社会党

○安井委員 この問題もさらに後に残しておきます。きわめて重大な問題であり、地方自治を憲法の九十九条の趣旨に従ってあくまで守るという立場から処理していただくことをお願いしておきます。  それから、もう一つ重大な問題は、行革と防衛の関係であります。  防衛庁は今度の臨調の答申のゼロシーリングに対してどう対応したかということをまず聞きたいわけでありますが、特に私は、これはむしろ大蔵大臣へのお尋ねになるかと思うのですけれども、七・五%のシーリングを大蔵省は防衛庁に与えたようでありますけれども、しかし人事院勧告によるベースアップが計算されますと九・九%になるということは間違いないと思います。防衛庁の方は九・九でやってくれと言うでしょうけれども、大蔵省としては一体シーリングをどこで最終的に抑えるおつもりなのか、それを一つ伺います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 これは、七・五は要求の限度枠でございますから、当然そのとおりにするというわけではございませんので、ほかの予算との並び、それから防衛費の中身の総点検、そういうことで切るべきものは切る、伸ばすべきものは伸ばす、そういうことの決着をつけたいと思っております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 そうすると、九・九でもないし七・五でもないし、七・五からさらにダウンすることもあり得る、そういうおつもりだということですか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 全体の中で決めてまいりますから、いま確たる数字は言いませんが、それより下になることもあり得ると思います。

安井吉典日本社会党

○安井委員 防衛予算について特に重大な問題は、後年度負担がきわめて大きくなるという点であります。概算要求でも、装備の新規契約が五十六年度は七千五百二十六億円、五十七年度はこれがもう二二二%になって一兆六千七百二十一億円であります。恐ろしい伸びです。ところが、初年度の歳出への計上額は五十六年度と余り変わらないのですね。五百二十四億円しか計上してないわけであります。つまり、五百二十四億円の頭金だけ払って、何と一兆六千七百二十一億円の買い物をする、こういう仕組みになっているわけで、したがって、ツケは全部後年度にいくわけであります。二兆二千六百億円、昨年に比べても六八・九%という異常な増加になっていくわけで、これによって五十三年の中期業務見積もりの前倒しは可能になるかもしらぬが、しかし既往の後年度負担とこれが合算されれば、恐ろしい額になっていくということが一つあります。  それからもう一つは、装備の増加に伴って自衛官も当然必要になってくるでしょう。軍艦がふえ、飛行機がふえてくれば、その乗員が必要になってくるのではないかと思います。去年、千人の増を防衛庁はお出しになって、ことしは二千人の増ですよ。これは、こんな膨大な買い物をした後、さらに人間をふやすというツケが来るのではないか。そして、人件糧食費がそれによってふえてきます。大体、防衛庁の予算の半分は人件糧食費ですからね。それがさらに後年度の負担としてあらわれてくるということになるのではないかと思います。それらの点について、防衛庁から話していただいてもいいですが、大蔵大臣の方がこれから詰めるお立場であると思いますので、ひとつその辺の事情について伺います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 概算要求については、御指摘のような問題点がございます。したがいまして、それをそのまま認めるというわけにはなかなかいかない。いずれにいたしましても、財政再建の妨げになるようなことは困るという点から、後年度負担についても財政再建の妨げにならないように処置をしてまいりたい、そう考えております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 どういう措置をこれからおとりになるのかわかりませんけれども、いま出ている概算要求をかなり削減しても、私は、後年度負担というものは、いまの正面装備費の問題について、それから人件糧食費について、これは大きな額として予想されるわけであります。人件糧食費の増加の問題は、いままでだれも余り触れていないのですけれども、私は、これはかなり大きな額になりはしないかと思います。そこへ持ってきて、さっき論議いたしました厚生年金等に対する国庫負担の削減が——六十年以降においてこれは返していくわけでしょう。それも大きな後年度負担であります。  だから今度の行革というのは、今度のこの中で解決するというものは余りなくて、ツケを後に回すばかりですよ。大きな問題は、みんな後へツケを回すというかっこうで五十七年度の帳じりだけを合わせようという、そういう仕組みだとしか私どもは受けとめられないわけであります。したがって、三年間の財政再建というのは、三年間のうちにはもう鈴木内閣も続かないだろうから、当面だけ、表だけつじつまを合わせておけば行革だ、こういうことになっていくきわめて無責任体制だという感じを受けざるを得ないわけであります。  総理、これはどうなんですか、後に何でもかんでもツケを回していくというのは。防衛がそうでしょう。いまの年金がそうでしょう。そういうようなことで、これで行革だなどというしろものではないんじゃないですか。どうですか。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○大村国務大臣 総理がお答えになります前に、ちょっと所管大臣としてお尋ねの点について御説明させていただきます。  まず後年度負担の問題でございますが、五十七年度概算要求における後年度負担額は約二兆二千六百億円でございまして、そのうちの新規の後年度負担は約一兆六千二百億円、既定の後年度負担は約六千四百億円でございます。この新規の後年度負担約一兆六千二百億円のうち、主なものだけ申し上げますと、航空機購入約七千六百億円、艦船建造約二千五百億円、装備品等整備約一千六百億円、武器購入約一千三百億円、弾薬購入約一千三百億円、一千億円以上の項目を拾いますと、以上のとおりでございます。  これの支払いの仕方でございますが、いずれも調達から納入まで数年度かかるものでございますので、初年度におきましては、御指摘のように一部を歳出予算に計上するわけでございますが、全体といたしましては、債務負担行為あるいは継続費として予算において計上して御審議を願う。また、それに従いまして後年度歳出予算に計上される。言うなれば、ダム等を発注する場合と同じでございまして、出来高に応じて現金支出を必要とする年度に計上するという仕組みでございまして、別にツケを後に回すという性格のものではないということを御認識願いたいと思っております。  それから、人件費の点につきましてお尋ねがございました。私ども今回の概算要求につきまして人員の増を若干要求いたしておりますが、これは艦艇、航空機のこれまでに注文したものが五十七年度中に就役するものにつきまして、一機につき、一艦につき何人要るか、一方除籍に伴う減員が何人あるか、差し引き計算をきめ細かくいたしまして、純増のみを計上いたしているわけでございます。また、人件費のウエートにつきましても、できるだけ抑制を図りまして、予算中に占めるウエートを先生御指摘のようにこれまでは五〇%以上であったわけでございますが、逐次縮減を図るように努力しているわけでございます。  また、防衛関係費全体につきまして合理化、効率化に努めて努力いたしまして、時間がございませんので一々は申し上げませんが、防衛庁全体におきまして約三十九億円、施設庁関係におきまして約十四億円、合計しまして五十数億円を節減することにいたしているわけでございますが、またそのほかに艦艇、航空機の耐用年数の来ましたものを安全度を確かめた上で延命を図る。そういったことによりまして、たとえば艦艇につきましては一隻当たり約三十五億円、航空機につきましては約二十七億円、これは単年度に効果が出るわけでございませんが、長期によって経費効率化の効果の上がるような措置もあわせて講じておることを申し上げておきます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 ちょっと防衛庁長官にお願いしておきますけれども、これから後の人件糧食費だとか正面装備費の年度ごとのふえ方、人の数、金額等について資料をまとめていただきたいと思います。いま五十七年度は、ということですが、そうじゃなしに、艦艇でも五十八年に入ってくる、でき上がるものもあるわけでしょう。だんだんふえてくれば、それによる定員増というのが出てきやしないか。それによって人件費、糧食費がどうなってくるか、それがわかるような資料をひとつお出しをいただきたいと思います。

大村襄治自由民主党防衛庁長官

○大村国務大臣 五十八年度以降につきましては、未確定の要素も多いので正確な資料をつくることはきわめて困難であると思いますが、ただいま御指摘のように、これまでに決まっておりますものが、入ってくるものにつきましてどのような見通しになるか、そういった点、できるだけ勉強しまして資料として提出させていただきたいと思います。

安井吉典日本社会党

○安井委員 総理、いま防衛予算の問題について、若干大蔵大臣並びに防衛庁長官とのやりとりがあったわけでありますが、行政改革という中でいまの膨大な概算要求、それをそのまま認めるわけにはいかぬという大蔵大臣の意向、こういうようなものに対して総理としてどうお考えなのか。私どもは、あくまでも今日の段階において鈴木内閣に要求するということでは、平和と安全というさっきのお話もありましたけれども、少なくもいまより新しい装備をふやさないというところ、それぐらいまでは鈴木内閣に要求しても差し支えなかろう、そう思うわけであります。とりわけ、さっき申し上げましたような大砲かバターかという選択がいま重大になってくる。そういうときだけにバターにこそ優先順位を与えるべきだという考え方を申し上げて、御答弁を願いたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 防衛関係の予算の概算要求に関連しまして、七・五%のシーリングに触れながら、これから一体査定でどうなるのかというようなことがお尋ねにあり、大蔵大臣、防衛庁長官からお答えをいたしたとおりでございます。  私は、防衛費につきましては、かねてから予算委員会あるいは本会議等々を通じまして常に申し上げておるのでありますが、わが国は憲法及び基本的な防衛政策にのっとりまして必要最小限度の防衛力を整備していく、着実にこれをやってまいるということを申し上げておるのでありまして、特別にこれを突出をさせたり、そういうような考え方は持っておりません。今回の概算要求の上限を決めておりますシーリングにつきましても、従来の経過、防衛力の着実な整備、こういうようなことからなされておるものでございます。  それから、優先度の問題についてのお話がございました。国の平和と安全を図る、また国際的な役割りを果たしていく、そういうような観点から、たとえばエネルギーに対する対策費でありますとか、対外経済協力費でありますとか、科学技術の振興費でありますとか、そういうものは防衛費よりも高いシーリングを示しているものもございます。いずれもわが国の将来の発展、生存のために必要な、総合安全保障の観点からも必要なものでございます。私は、そういう点を総合的に勘案をして、この財政再建の中で必要な政策は進めていくという考えでおります。

安井吉典日本社会党

○安井委員 公務員の定数や給与の問題についても触れるつもりだったのですが、これは後に残しますが、最後に、私はいままでいろいろ注文をつけてまいりましたけれども、私どもは、単に注文をつけてできないことをやりなさいと言っているだけじゃありません。社会党の政策審議会において、五十七年度の予算を政府にかわって構想してみればどういうものかということで作業をやっています。  そういう中でも、さっき私は不公平税制の是正の問題を申し上げましたけれども、そういうような措置で十分物価調整減税ができるということ、そして税制についても若干の会社臨時利得税の問題だとか、そういうものも含まれますけれども、法人税の問題だって、私どもはいますぐにいまの法人税率を上げろと言うんじゃないですよ。相対的に一五%くらいの軽減措置をやれば十分に不公平税制の是正はできる、そう考えるわけであります。そして、その他の方法もあるし、とりわけいまギャンブルの納付金をもっと真剣に、これは行啓庁長官考えていただきたいと思うのですけれども、そういうようなことの中で私たちは、十分にいわゆるゼロシーリングができるというふうに考えています。  もちろん、一般会計の予算の中で削るべきもの、それから伸ばすもの、とりわけ福祉や文教などはもとどおりにすっかり直して、政府がやろうとしている削減をもとどおりに直すことを含めて、造船利子の補給はやめろとか、整備新幹線への財政措置は停止するとか、企業に対する、ちょっと細かな話はできませんけれども、いずれにいたしましてもそういう優遇措置をやめるという、スクラップ・アンド・ビルドを中でやればきっちり組めますよ、これは。三兆七千七百億なんというようなことはないですよ。  きょうは、ほんのわずかな問題しか触れられませんでしたけれども、具体的なそういう試算の上に立って、今日の鈴木行革なるものはやはりここできちんと見直してもらわなければ、われわれは賛成するわけにはいかぬということになるわけであります。  したがって、この行革の後にはいろんな公共料金の値上げもついてくるわけですね。国鉄料金の値上げも来る、国立大学や私立大学の授業料の値上げも来る、消費者米麦価の値上げも来る、そういったようなものも全部来て、それらのツケが国民にみんな回されてしまう。そしてこれでどうにもこうにもならなくなったら奥の手の増税ですよ。そういうものが次にちらちらしているというその構図全体に対して、私どもはきわめて不信感を持つわけであります。  福祉や文教などは、これは痛みを感じておりますよ。みんな痛みを感じなければいかぬと皆さん言われるのは、これはわかりますよ。しかし、それじゃ、金融や銀行はどれだけ今度の行革の痛みを感じているんですか。商事会社はどれだけ痛みを感じておりますか。重化学工業はどれだけ痛みを感じておりますか。七十歳以上のお年寄りは、年金やあるいは医療費が削られるという中で、これはもうきっちり病みを感ずるわけですよ。だから、私たちは、その本質がやはり弱者切り捨て、そういうものだと言わざるを得ないわけであります。  財界は、不退転の決意で臨むと言われるのですが、恐らく自分のところは余り切られないからそう言うんじゃないでしょうかね。そういうことを国民は——国民国民というので、国と地方と国民と三方一両損だ、こう言われますけれども、国民の中の階層があるわけですよ。その国民の中の一番弱いところにしわ寄せをする形で改革を進めようということ、そのことに私たちはきわめて不満だということを表明しておきたいと思います。総理、どうですか。これで終わります。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 締めくくりの、質問というよりも御所感を伺ったわけでございますが、よく拝聴をいたしました。  しかし、ただ一言申し上げておきますが、私は、今回の行財政改革におきまして福祉の切り捨てなどというきめつけは了承いたしかねる。特に、弱い立場にある方々に対しては私は十分な配慮をいたしまして、決して福祉の切り捨てにならないようにということをはっきりと申し上げておきます。

金丸信自由民主党

○金丸委員長 これにて安井君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十一分休憩      ————◇—————     午後一時開議

金丸信自由民主党

○金丸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。橋本龍太郎君。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本委員 この特別委員会における審議に際しまして、私は、実は第九十一国会における予算委員会の行政改革の集中審議の際、党を代表して質問をいたした立場として、その当時の私自身の認識の甘さというものにつき少々反省をしながらこの場に立たせていただきました。  私は、九十一国会において私自身が指摘した内容がほとんど間違っておったとは決して思っておりません。ただ、その時点において、私は、行政改革というものと財政再建を連動させなければならないという考え方については、その点の認識は非常に不十分でありました。それだけに私は、最初に総理のこの問題についての取り組みの姿勢に対しては敬意を表したいと思います。また同時に、本日までの臨時行政調査会の関係者全体の方々の努力に対しても敬意を表したいと思います。  そこで、まず私は、政府にこの行政改革、また財政再建というものについての理念、また、その哲学について改めてお尋ねを申し上げたい。同時に、行政改革と財政再建の関連についても、そこを明らかにしていただきたい。そしてその上で、その全体図の中に立って、われわれがいま審議をいたしておりますこの法律案がどのような位置づけになるのか、この点について明らかにしていただきたいと思います。  私は、かつての第一次臨時行政調査会の答申というものは、当時、行政改革のバイブルと言われたくらいすぐれたものであったと思います。時間の制約のために、地方制度にほとんど触れることができなかった点に悔いを残すということを当時の関係者は言っておられました。しかし私は、あの時点における第一次臨時行政調査会の答申というものは、それなりにきわめて的確な問題指摘をしておられたと思っております。しかし、その後において日本を取り巻く内外の状況というものはきわめて大きく変化をいたしました。  第一次臨調の当時は、まだ将来の課題でありました高齢化社会というものが、いま私たちの前に現実の問題としてのしかかっております。平均寿命が大幅に延びたことは大変めでたいことであります。しかし、これが出生率の低下と相まって、われわれは、いまどこの国も経験をしたことのない超高齢化社会というものに向かって、きわめて速いテンポで進みつつあるわけであります。しかも、その出生率の低下と逆に商学歴化の傾向はますます進んでいるわけでありますから、当然生産開始年齢はおくれる一方であります。これは雇用政策の面ばかりではなくて、わが国の産業構造にも必然的に質的な変化をもたらすことになります。  さらに、第一次臨調の時代にわれわれはほとんどそれを制約と考えていなかった資源エネルギー、環境の制約といった問題も、今日はわれわれは考えなければなりません。しかも、その後の日本の国力の伸展に伴い、国際社会におけるわが国の果たすべき役割りの増大というものは、われわれにはきわめて厳しい課題となりました。こうした厳しいきわめて大きな条件の中で、状況の変化に敏速かつ弾力的に政策対応を迫られる場面、また、その必要性というものは今後ますます増大するでありましょう。  まさに総理の所信表明にもありましたように、高度成長時代に生じた行財政のぜい肉をそぎ落とす、そして行財政の機敏な対応力を回復することは、いわば人生五十年の時代の行政の仕組みから、人生七十年、八十年の時代に即応した行政のあり方というものを確立しなければならないという、二十一世紀を展望する国家の大計であります。避けて通れない国民的課題であります。  ところが、先般来私どもは、今回の行政改革というものが財政の収支合わせにしかすぎないという御主張をしばしば耳にいたしました。しかし、決してそのようなものでないことは皆さんも御承知のとおりであります。現行の定員削減計画を改定、強化して、新たに明年度から五年間五%の国家公務員の定員削減を行うこと、あるいは特殊法人の役員定数、給与その他についてもなおメスを入れるという方針をすでに閣議において決定せられているはずであります。  しかし同時に、現状においては行政改革と財政再建は一体不可分のものであります。現在のように財政収支が均衡を失している、財政の健全化が失われている状態においては、財政を再建して、その対応力を回復しておくことが、本格的な行政改革のための前提であります。行政改革なしに一方では財政再建ができないということも自明の理であります。  こうした中における本法律案の位置づけというものは、まさに今後の行財政改革の第一歩であります。その第一歩さえ踏み出せないようでは、今後のより本格的な行政改革はもちろんのこと、昭和五十七年度予算において増税に頼らない財政再建すら非常に困難になるでありましょう。  本法案について、福祉とか文教のねらい撃ちであるというような御意見もあります。しかし、私自身厚生大臣経験者として、行政改革に聖域なしという基本姿勢の中において、真の弱者に対する福祉は、八月末まとめられた概算要求の中においてもごらんのとおり、決して後退はしていない、また、後退をさせるべきものではないと私自身も思います。政府の姿勢もそのとおりであります。  私は、こうした観点から、以上の三つの点につき、まず冒頭総理の御所見を承っておきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 行政は、時代の移り変わり、また時代の求めるところによって、常にそれに対応するように改めていかなければならない、このように私は思うわけでございます。私どもは、常に行政につきまして、どのような形で国民の期待にこたえるか、こういうことを絶えず見直していく必要があろうかと思います。そういう意味で、行財政改革は、いつの場合でも私は今日的な問題である、こう思っておるわけでございます。これでもう行政改革は終わったという性質のものではない、このように思います。  いまわが国の内外の諸情勢はきわめて厳しいものがあるわけでございます。御指摘のように、国内的には安定成長の時代に入ってきておりまして、財政収入と、そして行政に対する需要との間に往々にして大きなギャップを生じがちである。そういうような過程におきまして、今年度末八十二兆円というような大きな公債発行残高も生じておる、このように思うわけでございます。また、急速に高齢化時代が到来いたしております。高齢化時代に対処して、行政はいかにあるべきか、いかに機能していかなければならないか、こういう問題もございます。また、国民の価値観、これもいろいろ多様に分かれておるわけでございまして、こういうような時代の変遷、変化に対応して行政が常に機動的にこれに対処していかなければならないわけであります。さらに、対外的には東西間の厳しい対立状態もございます。また資源エネルギー、御指摘のようにそういう制約もございます。環境に対する厳しい状態も生まれてきております。さらにまた、世界経済がこのように停滞をしております関係から、貿易、通商の面でも摩擦を生じてきておる。また南北問題、これも大変深刻な問題に相なっておると思います。  こういう面に対して自由陣営における世界第二の経済大国になった日本がどのように対応し、国際的な責任と役割りを果たしていくか、こういう問題も行政に強く求められておると思うわけでございます。私は、そういう厳しい中で一体われわれはどういうことを目標にして進んでいかなければならないか、こう考えました場合に、一つは、何といっても活力のある福祉社会を建設するということ、また国際的には日本に対する役割りの増大、これを要請されておるわけでありますが、それに対してこたえていかなければならない、こういうことであろうかと思います。  そういうことにこたえるために日本の行政というものがどのように改革をされていかなければならないかという問題につきましては、午前中にも私申し上げました。機勅的な対応ができるようにする必要がある、また、簡素で効率的な体制にしなければならないということも申し上げたところでございます。さらに、行政は国民の信頼の上に立つものでございますから、常に自粛自戒をして国民の信頼をかち得るようなものでなければならない、こう思います。  それから、橋本さんから行政と財政は一体不可分のものである、自由民主党行財政調査会においては、そういう認識の上に立ってこれに取り組んできたというお話でございました。まさにそのとおりだと思います。  先ほど私も申し上げましたように、とかく行政というのは惰性に流れるきらいがございます。何かそこに突破口といいますか、一つの衝撃がないと行政の改革になかなか入っていけない。今日、日本の財政が非常に危機的状況にある、財政再建のためにはどうしても行政と財政の思い切った見直しをこの際しなければならないということを国民各層各方面に御理解いただいて、そしてこれを取り上げていこうということに国民的なコンセンサスが生まれてきておる、このように考えるわけでございます。  そういう意味合いにおきまして、私は、五十六年度の予算編成におきまして二兆円の特例公債の減額を内容とする予算案を編成し、国会の御承認をいただいたところでございます。しかし、この際、行政水準を急速に落とせないということもございまして、現行税制の枠内ではございましたけれども、一方において一兆四千億の増税をお願いした、こういう経過でございます。  五十七年度におきましても、私は、引き続き特例公債の発行等を思い切って減額をする必要があると思いますが、その際に私は、重ねて五十七年度も増税を国民の皆さんにお願いをするというわけにはいかない、そこで行財政の思い切った縮減合理化によってこれを達成しようという考え方でいまそれに取り組んでおるところでございます。私は、まさに行政と財政は表裏一体のものである、この際、五十七年度はぜひ増税のない財政再建へ向かっての予算編成をしたいということで取り組んでおります。  さて、臨調から第一次の答申をちょうだいいたしました。これは、臨調は二カ年の時限で御調査を願うわけでございましたが、五十七年度予算をそういうことで編成をしなければならないという考え方から、臨調に対しまして、当面緊急を要する課題について、特に五十七年度予算の中に生かすべき問題点について中間答申をちょうだいをしたい、こういうことを要請いたしました。第一次の答申をちょうだいしたわけでございますが、それを最大限に尊重し、これを実現しようというのが今回の国会に御提案を申し上げております行革に関する臨時特例の一括法案であるわけでございます。  したがいまして、これにつきましては、なまぬるいとか、非常に小さい改革にすぎないとか、こういうことの御批判もあるようでございますけれども、これはこれから行います行財政改革の出発点であり、第一着手である、これをなし遂げることによって、国民の皆さんに行革に対する政府の姿勢、国会のこれに対する御熱意、こういうものもはっきりするわけでございますので、ぜひこの国会で成立を図るように御協力をいただきたい、こう思っております。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本委員 私は、いま総理の御答弁を承りました中で、どうしてもこの際ちょっと一言申し上げたいことがございます。  先般来、本院における御論議の中で、今回の行財政改革というものについて理念がないという御指摘をしばしば耳にいたしました。しかし、実はわずか一年前、臨時国会で行われました鈴木総理の所信表明演説の中で第二次臨時行政調査会の設置を明らかにされたとき、また、臨時行政調査会設置法が提案をされましたときの質疑では、総論だけではいかぬ、理念だけではいかぬ、実行の具体策はどうだという御指摘がもっぱら問題とされたのであります。  「いわゆる臨時行政調査会から提出される意見、答申を真摯に受けとめ、速やかにこれを実行に移すための具体的な方策をどのように考えておられるのか、総理並びに行管長官にその決意をお尋ねいたします。」とか「この答申の実施が財政再建にどう貢献をすると期待をされておるのか」とか「総理は、第二臨調に対し、五十七年度予算編成に役立つようその第一次答申をまず求め、即刻実行に移すべきであると考えるのでありますが、総理の御見解を承りたいと思います。」とか、これらは実は皆その当時の国会の御論議の各党の大変厳しい御質問の中から抜粋をした幾つかの例にしかすぎません。そしてそういった御論議を踏まえ、各党の御意見を踏まえた上で提出をされました答申の具体化を図ろうとすると、今度は総論が欠けているとか理念が欠けているとかという御指摘が政府に浴びせられております。これは、どうも私は、余りに首尾一貫しなさ過ぎるという気がして仕方がないのです。しかし、もとより行財政改革を進める上で聖域を設けないということは当然です。真の弱者を除いては、各分野で痛みをお互いに分かち合うことも必要であります。しかし同時に、痛みを分かち合う以上は、それだけの効果を国民が期待されるのも当然であります。  いま総理の御答弁の中で、私は一つ気になりましたので渡辺大蔵大臣にお尋ねをいたしますが、今回の行政改革による財政効果というものをお示しいただきたい。実は総理も、今回の法律案のみを御答弁の中で強調されました。しかし、この法律案は、臨時行政調査会の第一次答申の中で、当面法律改正を要する事項のみを取りまとめたものでありますから、今回の改革の財政効果はこれがすべてではないはずであります。「財政の中期展望」によれば、五十七年度予算における要調整額は二兆七千七百億円でありますけれども、一体この法案と、この要調整額の関係は、それではどうなるのか。同時に、この法律案を含めて、臨調答申に基づく合理化、さらに中期経済展望に算定をされました公共事業費と本答申を受けてからの公共事業費の差額があるはずであります。また同時に、ゼロシーリングによる縮減効果もあるはずであります。これらが一体となって今度の行政改革における財政効果なのでありますから、この法律案によって出てくる二千四百八十二億だけが行政改革による財政効果では決してありません。ですから、これらの分野は一体それぞれどうなっておるのか、これらを合わせたものの総額と要調整額との差額についてはどう対応されるおつもりか、これを大蔵大臣から御答弁をいただきたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 今回の行革に当たりましては、これだけの三十六本の法律を一本の法律にまとめて、大蔵省だけでは手の届かない経費の節減という問題についても、法律をつくって節減できるようにしようというようなことでございまして、これは昭和二十九年の補助金等の臨時特例等に関する法律というのが一回ございましたが、それ以来例のない、まことに画期的なことだと思います。それによって政府の行政改革、財政再建に対する意気込みというものが察知していただけるだろう、かように考えております。しかも、いま橋本委員から御指摘がありましたように、この法律案だけで行革が済んだのではなくして、これは当面やらなければならない行革第一弾だ、本質的な問題は二弾、三弾と次から出てくるんだというお話がございました。それだけに、政府の行革に対する意気込みというものは非常なものであるということをお知りおきいただきたいわけであります。  そこで、いま、さきに政府が示した「財政の中期展望」というようなものと、今度のゼロシーリングあるいはこの関連法の予算との関係は一体どうなっておるのかというお話でございます。  御承知のとおり「財政の中期展望」は、従来の発想で、改革をしないで、いままでと同じような手段、方法、政策をとって、惰性でいけばどうなるかということを一応歳出として書き出してみたわけでございます。一方、歳入の万は、ある一定の条件のもとにGNPが名目で一一%程度毎年ずっと伸びていく、そして租税の弾性値が一・二というようなことで、税収が約一四%ぐらいずつ毎年ふえるということで書いてみても、その収入と支出の差で差が出てくる。つまり要調整額と言っておるわけでございますが、それだけの歳出を仮に支出するとすれば、五十七年度では二兆七千七百億円ぐらい歳入不足になる。これを歳入不足にしてやるのか、それとも歳出を切るのか。だから、どっちにするか決めてないから要調整額と、こう言ってきたわけでございます。  ところが、今回は、総理の方針もありまして、五十七年度予算に向けては増税をやらないんだ、増税をやらないでこの要調整額をなくせという御方針でございます。そういうことになりますと、結局予算の伸び率ゼロということにしなければならない。伸び率をゼロにするということは、口では簡単でございますが、大変なことでございます。そこで、その一環として臨調のまず当面なすべき答申が出されまして、その答申に基づいて法律が出された。その法律で削減されたものは二千五百億円弱じゃないか、二兆七千億にはとても及ばぬというわけでございます。それじゃ伸び率ゼロはどこでやれるんだという疑問が出るのは当然でございまして、それの中身を調べてみました結果は大体こういうことになるわけです。  公共事業費につきましても、中期展望では伸びることになっておるわけでございますから、これはもう伸ばさないというようなことでゼロということになりますと、約九千億円ぐらいのものがそこで浮くということになります。八千五百億円が浮くということになります。それから臨調答申の指摘事項にかかわる節減合理化、これを全部はじいてみまするとざっと九千億円、合計して一兆七千五百億円が概算要求段階において臨調答申事項を織り込むことによって節減することができるであろう——まだできたわけじゃありませんからね、できるであろうと試算をされておるのでございます。  御指摘の、法律による二千五百億円はどこへ行ったんだ、それはいま私が言った九千億円の中に入り込んじゃっているわけでございます。そうすると、残る一兆円というのはどういうふうなことになるのか。これは各省庁がゼロシーリングの中で工夫をこらし、各省庁がそれぞれみんな減額して伸ばすべきものを伸ばさない、あるいは削減した。伸びているものもあるのですよ、伸びているものもあるんだけれども、それ以上にへこましたものもあるわけですから、結局は伸びないということになったわけで、その減額した額が約六千億円と思われます。概算要求には織り込まれていない本年度の要するに公務員給与改善費というものがあるわけでございまして、したがって、表面的には計数を見る限り、要調整額二兆七千七百億円が全部概算要求の段階で削減されたように見えるけれども、公務員給与の問題等もまた別に実はあるわけでございますということを申し上げます。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本委員 要するに、公共事業分で約八千五百億、臨調答申に基づく合理化の減で約九千億、ゼロシーリング効果が六千億前後と、大体そういう数字ですね。これだけがいわゆる今度の行政改革によって出てくる歳出の削減分である、そう理解をさせていただきます。  そこで、それだけの歳出削減をすることについて、大蔵大臣からいま御答弁があったわけでありますが、関連して経済企画庁長官にひとつお尋ねを申し上げたいと思うのです。  これは国民経済計算上は政府支出の削減につながる性格のものでありますから、経済にマイナスの影響を及ぼすという心配があります。今後の経済運営に当たってその影響を最小限度にとどめるとすれば、いかなる点に注意を払っていくべきであるとお考えか、お述べを願いたいと思います。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 私は問題が二つあると思うのです。一つは、いま議論になっております大蔵省の財政試算を拝見しておりましたが、これによりますと、来年は税の自然増収が約五兆弱と計算されております。再来年は五兆強、それから五十九年は約六兆と、これだけの税の自然増収が前提になっておりまして、五十二年度の税収三十二兆が五十九年度には四十八兆になる、こういう前提条件があって、そして同時に、若干の経費の削減をすることによって財政のバランスが回復する、そういうことになっておりますので、いまのお尋ねを二つに分けて申し上げますと、一つは、毎年五兆から六兆という税の自然増収が確保できるような経済運営が必要である、このように思います。それは幸いに第二次石油危機からの影響もほとんど解消いたしまして、五十五年度からほぼ五兆見当の税の自然増収が出るようになっております。ただ、これを継続するということは、過去の税収の推移等から見ましてよほど活力のある経済社会というものを維持しなければなりませんので、幾つかの工夫が必要だ、こう思っております。  それから、二兆七千億という財政削減による影響でございますが、これは計算上は当然それだけのデフレ効果が出てくるわけでございますが、要するにこの問題は、経済全体にそのデフレ効果を吸収することができるかどうかという問題であると思うのです。昭和五十三年の後半以降日本経済は、第一次石油危機による影響をほとんど解消いたしまして、まず健康状態になったと私どもは考えております。健康状態の経済になりましたので、第二次石油危機によるデフレ効果、石油代金が七兆円から八兆円毎年ふえておりますが、これが国外に持ち出しになっております。このデフレ効果を十分吸収いたしまして、そしてなお五兆前後の税収が生めるような、そういう経済の姿に回復しておる、こういうことでございますから、わが国経済が健康体で経済の活力が持続できるということであれば、二兆、三兆の財政によるデフレ効果を十分吸収することは可能である、このように考えております。  ただ、念のために申し上げますが、経済がもし健康状態でない、力が弱いというような場合には、わずかのことでも悪い影響が出てまいりますので、全体としての経済の活力を維持することがその前提条件である、このように判断いたします。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本委員 次に、国家公務員の給与改定についてお尋ねを申し上げます。  五十六年度一般会計予算における人件費の総額は、全予算額の一四・三%、約六兆七千億円と承知いたしております。ところで、去る八月七日人事院から本年度の国家公務員の給与改定について勧告が出されました。この人事院勧告をめぐりまして、今国会が召集されて以来すでに何回か論議が交わされております。政府においても給与関係閣僚会議が何回か開かれたと聞いておりますが、その結論はまだ出されておりません。  私どもの党の中においても、この人事院勧告をめぐって二つの考え方があることは事実です。すなわち、行政改革を推進するに当たって、国民各層に協力を願い、いろいろがまんをしていただかなければならない。行財政全般にわたって徹底した合理化、効率化が求められているこのときに、人件費といえども聖域ではない。定員の削減ばかりでなく、給与の合理化が図られなければ、その財源を租税という形で負担している国民の理解を得ることには困難があるだろう。しかも、現実の厳しい財政状況の中で臨調答申どおり何らかの抑制を図るべきだ、この考え方が一つであります。  一方においては、人事院勧告という制度は憲法上保障された労働基本権の制約に対する代償措置の重要なポイントであり、長年続いている良好な労使関係の維持のためにも、この勧告は完全実施すべきであるという考え方があります。  そこで、この問題に対する考え方を整理する上で幾つかお尋ねをしたいと思うのですが、まず、本年度の人事院勧告による給与改定のための所要額は幾らでしょうか。所要額だけ大蔵大臣からお答え願います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 本年度の人事院勧告五・二三%を実施するとした場合の所要額は、一般会計で約三千四百十億円と推定されます。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本委員 本年度の財政事情を見ておりますと、財源面において従来補正財源の大部分を賄ってきた税の自然増収、また公債の追加発行という手段によることはきわめてむずかしいように私には思えます。他方、先般来の台風などによる大規模な被害の復旧を初め、追加財政需要については、給与改定以外にもかなり多額に上ると思われるのですが、本年度の歳入歳出予算の執行状況が現在どのような状況にあるかを御説明いただきたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 計数の点については事務当局から説明させます。

西垣昭大蔵省主計局次長

○西垣政府委員 現在の状況を簡単に申し上げますと、財源の問題につきましては、税収の動向は決してよくありませんので、自然増収を期待できるような状況にはございません。  それから、前年度の剰余金につきましては、四百八十四億円の剰余金が出ましたが、これは国会の御判断にゆだねるということで期待できません。  それから、公債につきましては、現在の起債市場の状況からいいましても、それから公債を減額するという政府の方針からいきましても、これは軽々に増発するというわけにはまいりませんので、財源がこれからふえるというめどは立っておりません。  それから、歳出の方でございますが、今年度の追加財政需要につきましては、いまの段階ではまだはっきりいたしておりませんが、ことしは災害が非常に大きかったということがございまして、災害復旧のために約二千億程度は用意しておかなければならないという状況にございます。  それから、義務的経費として毎年追加が必要になってまいりますが、過去五年間の平均が約七百億でございます。  それから、そのほかにも毎年のように約四千億の追加財政需要が必要となってまいりまして、今年度におきましても、少なくとも二千億ということで約五千億のものが、足しますと四千七百億でございますが、約五千億程度の追加財政需要を確保しておく必要があろうかと思います。  他方、財源につきましては、先ほど申し上げましたような事情でございまして、既定予算の中から生み出すよりしようがない。予備費三千五百億ございますが、その中で五百億程度のものは不時の備えとしてどうしても残しておかなければなりませんので、三千億程度のものを期待する。  それから、例年節約で幾らか財源を生み出しておりますが、ことしは当初予算から非常に厳しい予算を組んでおりますので、せいぜい五百億程度ではないか。そうしますと、財源として使えるものは三千五百億円程度ではないかというふうに考えられますので、そこで千億以上のものが不足しているというのが現在の状況でございます。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本委員 現時点において財源として約千億円程度が不足。いまの御説明の段階では、これは確定したことは確かに言えない時期ではありますけれども、本年度の給与改定の財源的なめどはなかなか容易に立つ状況にはないということは明らかになりました。  私自身は、みずからの国会生活の大半を社会労働委員会に所属して今日までまいりました。そうして、人事院勧告が公務員に対する憲法上保障された労働基本権の制約に対してその代償措置の重要なポイントであることだけは十分承知をしておるつもりであります。政府は、人事院勧告を実施するべく最善の努力をすべき責任があります。円満な労使関係を維持するためにも、可能な限り完全実施に向けて努力をすべきであります。しかし同時に、人事院勧告を勧告どおり完全に実施しないと憲法違反になるという御意見がありますが、(「それはそうだ」と呼ぶ者あり)私はこの意見には同調できません。(「憲法違反にはならない」と呼ぶ者あり)全農林警職法事件において、昭和四十八年四月二十五日最高裁大法廷が行った判決が私がこう信ずる根拠であります。代償措置に関する最高裁判例として世間に知られておりますこの判決文の中のどこを読んでみましても、人事院勧告を完全実施しなければ憲法違反とは一言も書いてありません。一言半句ないのであります。むしろ多数意見の追加補足意見が「当局側が誠実に法律上および事実上可能なかぎりのことをつくしたと認められるときは、要求されたところのものをそのままうけ容れなかったとしても、この制度が本来の機能をはたしていないと速断すべきでないことはいうまでもない。」と述べておることをこの際私は明らかにしておきたいと思うのです。(「たった二名だ、それは」と呼ぶ者あり)  法制局長官、いろいろなやじがありましたけれども、この解釈には間違いありませんね。

角田禮次郎内閣法制局長官

○角田(禮)政府委員 御指摘の最高裁判決では、公務員の労働基本権を制約する場合の代償措置の一つとして人事院の給与勧告の制度を挙げておりますので、この制度が実効を上げるように国会及び内閣が最大限の努力をしなければならない、そういうことは当然のことだと解されます。  ところで、御質問はさらに進んでのお尋ねだと思いますので、それにお答えをいたします。  人事院の給与勧告を完全実施しないことが直ちに違憲になるかということについては、同判決におきましては直接言及してはおりませんけれども、判決理由全体を総合して考えてみますと、そこまでは断定していないと思われますし、また、橋本委員の御指摘はそのとおりであると存じます。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本委員 もとより私は公務員にのみ給与の抑制を求めるものではありません。人事院勧告の今後の成り行きのいかんにかかわらず——閣僚だけじゃないのです。立法府のわれわれは国民に先んじて財政再建に協力する責任があります。われわれは歳費の引き上げを自粛すべきであります。自由民主党は、党としてすでに議員歳費の引き上げの凍結を議院運営委員会に申し入れ、去る八月十一日議院運営委員会の庶務小委員会において、わが党の委員からこれを正式に提案をいたしております。しかし、人事院勧告の取り扱いは、これはまさに五十七年度予算にそのままはね返ることでありますから、政府としては十分慎重な対応をぜひ要望をいたしておきます。  そこで、五十七年度予算編成についてお尋ねをいたしたいと思います。  わが党は、五十七年度においては、当面の財政再建の目標である昭和五十九年度特例公債脱却を目指して増税なき財政再建を達成すべく、行財政改革と歳出削減の推進に全力を挙げようといたしております。しかし、これは容易なことではありません。  世上、原則的に伸び率ゼロの概算要求がまとまったのであるから、すでに五十七年度予算編成の峠は越えたかのような御議論があります。しかし、これはとんでもない誤りです。仮に本年度の人事院勧告どおり五・二三%アップを行うとすれば、明年度には四千億円を超える金額が公務員給与分として、現在すでに行われております概算要求にそのまま上乗せして必要になるわけであります。ということは、一般歳出のいわば実質的な要求額は五十六年度予算に対して約一兆円の増加になるわけであります。大蔵省の試算どおりであるとすれば、明年度一般歳出増加可能額は五千七百億円ということでありますから、この数字からいけば約五千億円に近い金額の査定をこれから行わなければなりません。しかし、この概算要求そのものがゼロシーリングのもとできわめて厳しかったことを考えてみますと、これだけの金額を査定するというのは大変なことです。加えて税収の動向というものも、先ほどの主計局次長の答弁からすれば、これはわれわれは頭に置いておかなければなりません。国民すべてに何がしかの痛みを牛じかねない苦しい査定でありますけれども、私たち自由民主党は、責任政党として国民に勇気を持ってこの状況を訴えると同時に、御協力を求めながらこれをなし遂げなければならないわけであります。  そこで、まず総理に、五十七年度予算編成に当たっての基本的な考え方、同時に五十九年度特例公債脱却を図るという既定の方針について、今後これを堅持するのであるという御決意を再度御表明をいただきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 いま橋本さんがおっしゃったように、五十六年度の予算編成に当たりましても、私どもは五十九年度特例公債からの脱却を目指しまして二兆円の発行減額を行いました。私は五十七年度の予算編成に当たりましても、この五十九年度特例公債脱却の路線上におきまして、増税をしないで財政再建のための予算を編成をしたい、こう決意をいたしまして、党にもお諮りをし、かつてないことでございますが、ゼロシーリングという手法を用いました。いまゼロシーリングのもとにおきまして概算要求が各省庁から出されまして、これから今回の臨時特例法の成立等と見合いながら予算編成に向かうわけでございますが、五十九年度にはぜひ特例公債から脱却をしたいということからいたしまして、五十七年度予算もそういうことをぜひ達成をしたい。党の御協力を得、また国会の御理解、御協力もいただいて、これをぜひ実現したいもの、このように考えております。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本委員 そこで、五十七年度予算の具体的な姿について、ちょっと一、二お尋ねをしたいと思うのです。  まず前提となる税収についての見通しは、先ほどの事務当局の答弁ではなかなか立ちにくいかと思いますが、できるだけこの税収についての見通しをお聞かせいただきたい。それと同時に、いま総理のお言葉にもありましたが、増税に頼らずという言葉の意味するところについて御説明をいただきたいと思うのです。  行政改革を進める上に当たって、その痛みを等しく分かち合うという点において、負担の公平というものは欠くことのできない前提要件であります。ことに税負担の公正確保というものはきわめて重要な課題でありますが、現実に制度及び執行の状況に対してはさまざまな批判があるところであります。臨調の第一次答申の中にもこの点触れられておりますけれども、税負担の公正確保については、私は本当に国民の大多数が強く要望しておられると思う。ことに、租税特別措置等についてその負担の見直しを求める声というものは非常に強いと私は感じております。ところが、この見直しを行う場合に、結果的に部分的な増税となる場合には政府はこういう見直しもしないということでしょうか。それとも、税負担の公正確保という視点からの見直しを行う場合において部分的な増税はあり得る、そういうことでありましょうか。ここをひとつはっきりさせていただきたい。  同時に、五十七年度における公債発行額をどの程度縮減される予定か、これも明らかにしていただきたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 一つは税収の動向でございますが、実は五十七年度の税収の動向は、何と申しましても経済見通しがまだできておりませんから、いまのところでは確定的なことを申し上げることはできません。何とかこの中期展望に盛られたぐらいのものは実現するように、先ほど企画庁長官もおっしゃいましたが、経済の運営を着実に進めてまいりたい、そういうようなことでございます。  今年度の税収につきましては、八月までの徴収の進捗割合がわかったわけでございますけれども、八月分の税収は前年に比べまして、進捗割合では二・六ポイント実は下回っておるというようなことでございまして、どこからそういう狂いが出てきたのか頭を痛めておるわけでございます。五十五年度の補正予算等で税収の追加見積もりをやったわけでございますけれども、五十五年度の決算をいたしてみると、税収は予算で計上したよりも結果的には二千八百億円下回った、見込み違いが少しあったわけであります。しかし、そういうふうに下回らぬだろうと思って五十六年度の予算を組んでございますので、それが響いているのかなとも考えてみたりいろいろしておりますが、しかしながら四、五、六、七、まだ四カ月でございますから、半年も過ぎない状態では一年分の見通しを確定的に申し上げられない。八月などビールも売れたというから、その統計が出てくるのは十一月ごろになるわけです。したがって、あと三カ月ぐらい過ぎてみないと、物品税も十月から一部上がるというものもございますので、そこらを見なければならぬ。やはり十一月末にならぬとことしの税収についても実は確たることが言えないというのが実情でございます。  それからもう一つは、租税負担の公平確保ということは非常に重要だ、ついては、いろいろと見直すべきものも暮れのころになればあるんじゃないか。国会であれだけ、いろいろな不公平だとかもっと是正せよとかいう議論がずいぶんある部分もあるようだから、そういう部分の手直しをすれば税収がもっと上がる。これは増税になるのか、増税なきと言うんだから、そういうこともやらぬのかということでございますが、それは新しい税目をこしらえて取るということでもないし、税率を上げるということでもないし、まあでこぼこ是正という程度のことは増税には当たらないのではないか、私はそう考えておるわけでございます。  それから、五十七年度における国債の発行についてのことでございますが、実は国債も非常にだぶついていて、政府の出す借用証書なんですから一番信用がなくてはならぬわけでございまして、民間が出すものは、会社がつぶれるかもしらぬし……(橋本委員「金額だけ言ってくれればいいです」と呼ぶ)したがって、これは私としては利率も安く喜んで引き受けてもらえるんじゃないかと思ったところが、それがそういうようなわけにはいかない。したがって、国債の発行は非常に苦労しておりますということであります。しかしながら、予算に決めた程度のことは何とか消化をさせたい、こう考えております。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本委員 五十七年度の縮減はどれくらいを考えておられるかと聞いているんです。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 わかりました。  五十七年度は、中期展望では一兆八千三百億円というようなことが書かれておりますが、これも先ほど言ったように、五十七年度の税収が一体どれぐらい見積もれるのか、それによって予算規模は何ぼにできるのかというような問題との絡みもございますから、確たることは申し上げられませんが、いまのところ中期展望に掲げてあるぐらいのものはぜひとも削減をしたいという強い意思を持っております。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本委員 渡辺大臣の御答弁を聞いておりますとだんだんわからなくなります。しかし、いま少なくとも……(「同じ党内でわからなくちゃしようがないじゃないか」と呼ぶ者あり)いや、わからぬものはわからぬよ、どこの党だって。しかし、少なくともいまの論議からいく限り、われわれは五十七年度予算編成に関する限り徹底した歳出削減によって財政再建を進めなければならぬということだけは明らかになりました。そして、その必要性はむしろ五十八年度以降にもますます大きなものに恐らくなるでありましょう。  しかし同時に、一方では、本当に弱い立場の方々、真の弱者に対する配慮というものは、われわれは忘れることができないわけでありますし、また、対外的な見地からも増加せざるを得ない経費というものも、これは否定できるものではありません。一方では、いかに公務員の定数を削減し、いかに節減を求め、いかに不要不急の経費を削減することに努めたとしても、こうした避けることのできない経費増を賄い切れないときというのは必ずいつかやってくるわけであります。負担増が困るからといって何でもかんでも歳出削減で無制限に対応すればいいというのも、責任政党としていつまでもわれわれがとるべき態度ではありません。現時点において判断できない要素が非常にたくさんある将来の問題ではありますけれども、来年の憂ごろには臨時行政調査会の基本答申も出される、そうした予定が進んでおると伺っております。これに対する現時点での総理御自身のお気持ちとあわせて、現段階において、いま考えておりますようなこうした問題点について総理はどのように認識しておられるのか、この機会に伺っておきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 先ほども申し上げましたように、五十九年度少なくとも特例公債脱却を目指して、五十七年度、五十八年度におきましても特例公債の発行を減額していきたい、こう思っております。  しかし、新しい時代に、また内外の情勢がきわめて厳しい中でこれを行うわけでございますから、非常な困難が御指摘のようにあろうか、こう思います。しかし、政府といたしましては、納税者の立場に立ちまして、できるだけ国民の皆さんに大きな負担をかけないで、できるだけ行財政の縮減合理化に全力を挙げまして、そのときそのときの情勢を踏まえて、そして財政再建の目標を達成しながら予算編成をしていきたい、このように考えています。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本委員 そうした御決意、私もそのとおりであろうと思うのです。  この行政改革関連特例法案を成立をさせ、より本格的な行財政改革に向けて一歩を踏み出すということは、今国会において何としても私たちがなし遂げなければならないことであります。しかし同時に、本法律案の成立というものは、それ自体が目的ではありません。むしろこれは行財政改革の本当に第一歩を踏み出したということになるわけであります。  これから先の行政改革というものを考えていけば、中央省庁の再編成だけを考えたところで、これは大変なことです。国と地方自治の関係に手を入れ始めれば、これも膨大な問題点が出てくるでしょう。さらに地方支分部局あるいは特殊法人、こうして広げていけば本当に実は頭の痛くなるぐらいの難問が山積をしております。立法府としても改革への努力を惜しまないということは当然でありますけれども、私は、政府も臨調の答申をただ漫然と待つばかりではなく、政府みずからの意思として行政コストの節減、減量化というものに努力をお示しにならない限りにおいては、この行財政改革に当たって前途に横たわる難問を処理していく上で一番われわれが必要とする国民の理解と御協力というものは得られるものではないと思うのです。政府自身が、臨調の答申、指摘を待つばかりではなく、みずからが努力をしなければなりません。  私はもう人事院勧告についてこれ以上議論をするつもりはありませんけれども、地方を含めた公務員の定員あるいは機構の簡素化などについて、政府自身は一体どのような努力をしておられるのか、同時に、これからのより本格的な行政改革というものにどのように取り組まれる御決意であるのか、行管長官、ぜひその御決意をお聞かせいただきたいと思います。

中曽根康弘自由民主党行政管理庁長官

○中曽根国務大臣 行革を人様にいろいろお願いする前に政府がみずからやらなければならぬという御趣旨はまことに同感でございます。政府におきましても、いままでのいろいろな行革をやっておりますが、その中でも五十五年度行革として特に力を入れておりまするのは、許認可の整理を思い切ってやろう、そういうことで積極的に二年間に一万件ある許認可のうち一千件を整理しよう、これでいま各省と折衝して進行させておるところであります。  臨時行政調査会におきましても、許認可に関する分科会をつくりまして、さらにそれを上回る改革を政府にやらせようというお気持ちで取りかかっておられるようでありますが、われわれも臨時行政調査会の方に積極的に資料を提出する等の協力をいたしまして、相ともに力を合わせて、この許認可の整理という一番むずかしい、また大事な眼目にいま取りかかっているところでございます。  そのほか、各省庁の経費節減等につきましては、大蔵省から何回かにわたりまして各省庁に協力の要請がございまして、この点についてもいろいろ努力をしておるところでございます。ことしは災害そのほかで五千億円前後の追加支出を必要とするやに承っておりますし、しかも財源はゼロという情勢を承っておりまして、この緊要な事態に対してどういうふうに対処すべきか、まずやはり努力をすべきは政府側でなければならぬ、そういうように考えまして、それらの金額の確定等々がありましたら、これは内閣を挙げてそれに対処する方策を検討しなければならないと思っております。  それから、臨時行政調査会の側からは多少指摘もございましたが、今度の法案にも最終のところへお願いしてありまする国務大臣が歳費を寄付して、そして自粛を示すということでございます。この点につきましてもすでに法案化いたしましてお願いをいたしておるところでございます。  これは政府とは関係ございませんが、自由民主党といたしましても、橋本委員が先ほど御質問の中にお述べになりました国会議員がみずからその範を示そうというお考えには、私は全く議員の一人として同感でございます。山口鶴男委員と私、群馬県で同じ場所に生まれたわけでございますが、わが群馬県におきましては、自由民主党の県会議員の皆さんがすでに党議をもって歳費の抑制をやろう、多分、当分の間と言っておりますが、幹事長の話では五十八年の三月の地方選挙まで凍結をする、そういうことを決めまして野党の皆さんにも御同調を求めており、群馬県の社会党は非常に好意的に同調するやに承っておりまして非常に感激しておるところでございます。そういう意味で、政治家がみずから率先してやるということはやはり大事ではないかと思う次第でございます。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本委員 群馬県だけのコマーシャルは困るのでありまして、私はいま政府の御決意を伺ったわけであります。しかし、その決意を承った上で、私は一言行管長官に申し上げたいことがあります。  明年度から国家公務員の定員削減を強化し、現行の削減計画を強化改定をされて、新たに明年度を初年度として五年間五%の定員削減を実施される。私は、この方針を政府がとられたことは、この時期において当然だと思います。  しかし同時に、これを実施するに当たって悪平等だけは絶対に避けていただきたい。各省庁一律だとか、どこも軒並みだとか、そういう考え方だけは私は絶対に困るのであります。この点については行管長官、ぜひ悪平等は避けるという御確認をいただきたいと思うのです。一部には不心得な人もあるかもしれませんが、総じて日本の国家公務員というものはきわめて熱心にその職務を遂行していると思います。  臨調が発足した当時、民間から出られた臨調の委員の中には、臨時行政調査会の事務局の諸君に対して必ずしも全幅の信頼をおく方ばかりではなかった。しかし、七月答申をまとめるまでの過程の間に、臨調事務局の職員の熱意というものを全員がそのとおりに受けとめられ、公務員に対する認識を改められたということは行管長官はよく御承知のとおりであります。  私は、厚生大臣在任のわずか十一カ月の間に、厚生省の職員三人の葬式に参列しなければならなかったという大変つらい記憶を持っております。三人とも過労による突然の死でありました。さらに、私自身がスモンの患者さんたちとの和解交渉を進める上でその中心になってくれました局長は、間もなく病気に倒れて退官をいたしております。現実には私は、国家公務員の大半というものは本当にぎりぎりの能力を発揮して努力をしてくれていると思います。それを承知の上で、なおかつ国民的な要請にこたえて簡素で効率的な政府を実現するためには、この上もなお定員の削減をしなければならない、それに協力してもらわなければならないというのが現実でありましょう。  ことに今回の計画の中では、従来は聖域とされ定員削減の対象とされておりませんでした国立大学の教官、さらにその国立大学医学部の付属病院に比して四〇%しか定員を配置されていない国立病院や療養所等の医師、看護婦までを定員削減の対象に加えたわけであります。これがいけないとは私は言うつもりはありません。その中にも見直さなければならないところは恐らくあると思います。  しかし同時に、国の行政の中には、むしろ積極的に国民の要請にこたえるためには今後なお増員を必要とする部分も当然あるわけでありますから、そういうものを無視した悪平等な定員削減というものは行政管理庁としてなすべきではない、より不要不急の分野がそれだけ削減の対象になるということは当然でありますけれども、悪平等は絶対に避けるということだけは行管長官に御確認を願いたいと思うのです。  私は、第九十一国会の予算委員会における行政改革の集中審議の際に同じことを政府に申し上げました。私は、業務量をそのままにしておいて定員だけを削減するというやり方は、もう、一つの限界に近づきつつあると思います。むしろ積極的に、いま行管長官がお述べになりましたように、たとえば許認可その他をいま進めておられるということでありますが、事務事業の量を減らすこと、事務事業の整理合理化をまず考えながら機構、定員の削減合理化を行うべきであるという考え方を今日もなお持っております。  そのためには、すでに目的を達成したような法律は積極的に廃止をする、許認可、検査、検定、登録といった業務についても、いま長官は許認可だけを触れられましたが、極力洗い直しをする、その中から廃止できるものは積極的に廃止をする、緩和のできるものはできるだけ緩和する、そして業務量そのものを縮減することによってより合理的な定員の削減を行うべきであると考えておりますが、政府のお考え方をこの機会にぜひ述べていただきたいと思います。

中曽根康弘自由民主党行政管理庁長官

○中曽根国務大臣 お示しのとおり、悪平等は絶対避けたいと思います。それから、やはり仕事を減らしていくことが人員を減らす基本でなければならぬ、そのように思います。  お示しのように日本の公務員は、外国の公務員に比べますれば非常に勤勉で優秀であると思います。全般的な職員の定数等を国際的に比較してみましても、これは概数でございますが、人口千人について国家公務員、地方公務員、それから自衛官、軍隊を合わせた数で比べてみますと、(「軍隊というのはおかしいじゃないか」と呼ぶ者あり)外国の話です。外国の例もあわせて申し上げますと、英国が千人の中で百五人くらいの公務員を使っていますが、日本は四十五人であります。アメリカ、フランス、ドイツあたりが約七十人台でございます。そういう数字を見ますと、日本の国家並びに地方公務員の数は国際比価においてはわりあいに少ない、スモールガバメントであると言われておるのであります。  しかし、これを国内比価で見ますと、国内の企業そのほかと見比べると生産性は非常に低い。そういう意味で、税金を納めておるのは企業であり国民の皆様でございますから、特に企業や国民の皆様は石油危機において血の出るような努力をして減量をやり、苦労していま生き残っておるわけでございますから、政府も当然それと同等以上の努力をしなければならぬので、そういう意味でも人員の縮減ということを心がけておるわけでありますが、悪平等は避くべきである、そのように思っております。  そのために五年間に五%の削減をいま心がけて進めておりますけれども、一番多い役所等で約八%程度にいくでしょう。少ないところ、たとえば厚生省とかそのほか重要な福祉関係にわたるところは三%程度になります。平均して五%という形で進めておりまして、やはりいま行政需要の多い外交官関係あるいは国税庁関係あるいは大学、病院、福祉関係でありますが、そのほか航空管制要員、登記所あるいは海上保安庁、こういうような部面につきましては、今後ともわれわれはいろいろ心がけてあげなければならぬ点であると思っております。  御趣旨に沿って実行いたしたいと思っております。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本委員 そこで自治大臣にちょっとお尋ねをいたします。  行政管理庁の資料によりますと、昭和四十二年度以降五十六年度末までに国家公務員の総定員は約九千人純減をいたしております。ところが、その同じ期間内に地方公務員の総数は約八十万人程度ふえていると言われております。もとよりその半数程度が学校、消防、警察といった国民生活に密接不可分な分野の増員でありますし、その他の大きな部分も福祉関係、病院あるいは水道等の部門で増員がなされておって、その多くの分野においては国が職員配置の基準を定めているために、地方自治体として自由がきかない状況にあるということも十分承知をいたしております。しかし同時に、昨年後藤田自治大臣の答弁の中で、一般行政部門だけで八万八千人ふえておるということを認めておられました。この八万八千という数字は、五十五年当初数字に直せば九万四千八百九十四人であります。  私は、国が法律を減らし、許認可、検査、検定、登録といった業務の見直しを行っていけば、当然それに連動する部分の地方公務員についてもその分野における定員の削減はできるはずだと思うのですが、実は地方公務員の実態がどうもよくわかりません。法令の改廃あるいは予算の編成の際にも、地方自治体の増員に結びつかざるようということで十分われわれはよく気をつけておるつもりでありますけれども、この辺の実態がもう一つつかめないために、結果的に地方自治体にあるいは迷惑をかけていたかもしれない、私どもそういう感じがしないでもないのです。  そこで、自治大臣にお願いを申し上げたいのでありますが、地方公務員の中で国の仕事に連動してふえていっているものは一体どの程度あるのか、それはどんな分野なのか、仮にどういう行政を国の方で直していくことになればどれだけの削減が地方ではできるのか、これは大変むずかしい資料ではありますけれども、この辺を明らかにできるような資料をできるだけ早期に本委員会に御提出を願いたいと思うのです。  同時に、地方公共団体の標準定員のモデルをいま作成しておられるということでありますが、実はそういう解析資料がないとそのモデル自体もきっちり把握できません。ですから、この資料はぜひいただきたいと思うのです。同時に、地方公共団体における標準定数のモデル作成のめどをいつごろに置いておられるのか。  この辺まとめて自治大臣からお答え願いたいと思います。

安孫子藤吉自由民主党・自由国民会議自治大臣・国家公安委員会委員長

○安孫子国務大臣 地方公務員の定数の状況は、橋本先生十分御承知のことだと存じまするが、私から一応お答え申し上げます。  地方公務員数は昭和五十五年四月一日現在で三百十六万七千人でございます。昭和四十二年四月一日から昭和五十五年四月一日までの十三年間に八十万七千人増加しております。増加率は三四・七%でございます。この増加状況を見ますと、昭和四十二年から昭和四十九年までは増加率が年々上昇してまいりましたが、昭和五十年以降は鈍化をしております。  この増加状況を見ますと、国の法令等の基準により定員が定められておりますところの教育、警察及び消防のいわゆる特別行政部門の体制整備によるものが最も多いのでございまして、増加数が約四十一万一千人、全体の増加数の五一%になっております。住民福祉と密接な関連を持っておりまする保育所、公害、清掃等のいわゆる福祉部門でございますが、この面におきましては二十三万一千人、率にいたしまして二八・六%の増でございます。さらに、住民の日常生活に欠かせない病院及び下水道事業等の企業会計等における増員数が約七万人、八・七%でございます。これらの部門は総計いたしまして全体の八八・三%を占めることに相なっております。  ところで、御指摘のようなその他の一般行政部門の増は九万五千人でございまして、増加数構成比は一一・七%となっておりますけれども、これを団体別に見ますと、都道府県におきましては……(橋本委員「都道府県で減っていて市町村でふえていることは存じております」と呼ぶ)国と同様の企画的な事務を行っておる面もございまして、約九千人の減になっております。市町村におきましては、地域住民の日常生活に密着した事務事業を担当しております関係上、行政水準の高度多様化、人口の都市集中化に対応するための増員を余儀なくされておりまして、四十九年までに九万一千人増加をいたしましたが、それ以降は市町村におきましても増員抑制の努力がなされておりまして、約一万二千人の増に相なっておるのが現状でございます。  この定員の問題はきわめて重要な問題でございます。そこで、この定員の適正化ということについては自治省としても……(橋本委員「私の持ち時間は半までですから簡潔に願います、まだほかの質問をやりたいから」と呼ぶ)それでは、ただいま御要望のありました点にについては、統計上の問題、これは遅くとも年度内を目途といたしましてその成果を得たいと考えて、いま急いでおるところでございます。  なお、公務員増加の実態分析資料の点もございましたが、これは若干時日を要すると存じます。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本委員 若干時日は要しても出していただけますね。

安孫子藤吉自由民主党・自由国民会議自治大臣・国家公安委員会委員長

○安孫子国務大臣 この委員会中はなかなかむずかしいのではなかろうかと思っております。しかし、なるべく急ぐようにいたします。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本委員 同時に、地方公務員の給与についても自治大臣にちょっとお尋ねをしておきたいと思います。  よく前に、年金について官民格差という議論がありました。この問題も決して消えていません。ところが今日は、こうした議論の焦点は、実は地方公務員の給与と国家公務員の給与の格差というものにまさに集中してきました。私はもう時間がありませんから議論をする気はありません。しかし、一番実態を御承知の自治省として、給与水準が異常に高い地方公共団体に対して今後一体どう指導されるおつもりでしょうか。簡潔にお答えをいただきたいと思います。

安孫子藤吉自由民主党・自由国民会議自治大臣・国家公安委員会委員長

○安孫子国務大臣 給与の問題につきましては相当高い給与の団体があるわけです。これは真剣に是正を図らなければいかぬ。そこで個別指導をしなくちゃいかぬと私は思っております。そこでまた、個別指導をするにいたしましても、なおそういう状況が続くという場合には、財政的措置も考えざるを得ないだろう、こういうふうに思っております。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本委員 少なくともいま異常に高いものに対しては個別指導をし、それがきちんと守られない場合には、これは自治大臣として財政的な措置まで考えなければならないというお答えをいただいたわけでありますから、私はこれ以上これについて議論をしようとは思いません。いまの御答弁のとおりに実施されることを心から願います。  そこで、私は最後に政府に対して一つ提案を申し上げたいと思います。  臨時行政調査会の作業が始まりましてから今日までの間に、臨時行政調査会に対していろいろな批判が世間から浴びせられました。そしてその中で、集約すれば、結局各界のトップばかりが集まられて一般国民の声がなかなか反映しないじゃないかということがその中心だったように私は思います。そこで私は、広く国民一般の理解と協力を得るための手法の一つとして、同時に全国民的な視野からの行財政改革を進めるための一つの手法として、現在英国が行っておりますようなグリーンペーパー方式というものを採用されてはいかがだろうかということを政府に提案したいと思います。  御承知のとおりグリーンペーパーは、幾つか行われております英国政府の世論調査の方式の一つでありますが、そのやり方の特色としては、まず調査しようとするテーマについて客観的なデータを示す、その客観点なデータに基づいて政府はその事態にどう対応していろかという政策を示す、その上で政府が選択しようとしているその政策に対しての可否を国民に問うという点にあります。  これはふくそうする議論を視点を一つにそろえるという意味でも一つの効果があるわけでありますし、さらに本当に国民一般の考え方というものを行政改革の上に生かしていく一つの大きなポイントでもあると思いますだけに、ぜひ私は政府でこれを御検討願いたい。行管長官、最後にいかがでしょう。

中曽根康弘自由民主党行政管理庁長官

○中曽根国務大臣 行政改革は国民の御理解と御協力なくしてできるものではございません。われわれもその点は心がけておるつもりでありますが、まだ手は届いているとは思いません。臨調でも公聴会を開き、あるいは各地へ出向いていろいろな御議論を拝聴していますが、まだまだ不十分であり、全国民の各地域のすみずみの黙っている人の声を聞くことは非常に重要であると御示唆に富んだお話で感じた次第です。  これは新しいやり方でございますから、やり方はいろいろ研究しなければならぬと思います。まず問題をよく知っていただくということと、それから選択肢を幾つか設けて、そして念の入った質問なり御回答をしていただかないと一般の世論調査みたいになると思います。そういう意味におきまして、やり方をひとつ検討しまして、総理府の総務長官とも相談をいたしまして、これはぜひ実行いたしたいと思います。またいろいろこの点について御示唆をいただければありがたいと思います。

橋本龍太郎自由民主党

○橋本委員 終わります。ありがとうございました。

金丸信自由民主党

○金丸委員長 次に、湯山明君。  この際、湯山君の質問する前に、政府側の大臣各位にお願いいたしたいと思いますが、簡潔な答弁に終わるようにお願いをいたしたいと思います。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 本来、このことは土光会長に質問申し上げようと思っておりましたが、先ほど安井委員に対する総理の御答弁、安井委員が最後に申し上げたことについて、総理がそれは質問じゃなくて所感だということを申して、福祉の切り捨てとか、そういうことは絶対ないということを力強くおっしゃいました。ただいままた橋本委員の質問の中に、弱者に対する配慮という御指摘がありましたが、これについては、総理は明確なお答えがなかったように思います。     〔委員長退席、海部委員長代理君席〕  そこで私は、ただ福祉の切り捨て、文教の切り捨て、あるいは言葉をかえて言えば、福祉、文教等にしわ寄せをしているということを私どもが申しているのは、ただ単に感覚的に申し上げているのではなくて、そう考えなければならない、ある意味で必然的な要素があるからでございます。と申しますのは、この第一次答申を見てみますと、今日の財政窮迫の原因として、石油ショック以後における「社会保障、文教関係費が大きな支出拡大要因」となっている。社会保障と文教を高度成長時代に制度的に整備して、そのことが支出拡大要因になっているとはっきり指摘してあります。なお、それ以後、景気対策として公共事業を大幅に進めていった、これがまた赤字の重要な要素になっている、こういうことを指摘をして、しかもその後に、「高度成長期に拡大した行政の範囲が見直されないまま惰性的な支出拡大が続けられている面も蹴落とせない。」こう指摘した上でこの答申がなされている。したがって、これは感じの上で福祉、文教にしわ寄せというのじゃなくて、ちゃんと意図的になされている、こう見なければならないし、先ほど御指摘がありましたように、削減額の上でも実際に福祉関係、文教関係、安井委員は農林を御指摘になりましたが、そういうところへ行っておることは事実なんです。ただ、総理がそういうことはないと言われただけではこれは片づかない問題なんで、そういうことに対してどう対処されるか、そういうことを意識していらっしゃるかどうか、これは土光会長に聞きたかったのですけれども、総理からああいう御発言がありましたので、この際、承っておきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 これは湯山さん、私は客観的に事実を事実として申し上げておきたいと思いますので、御理解を賜りたいと思うのでありますが、先ほども申し上げましたように、昭和四十六年から五十六年まで、ちょうどこの十年の間にわが国の経済は石油ショックの影響を受けまして、大きく変動した時期でございます。  また、ちょうど四十八年は福祉元年と言われた時代でございまして、わが国が欧米先進国並みの高い水準に社会福祉関係を改善をするというようなことで、努力を集中的にした年でございますが、そういう経過を経まして、社会保障関係の費用は六・六倍にこの十年間で伸びております。文教関係及び科学技術関係の振興費、これが四・五倍になっております。公共事業費は、伸びた年もございますし、また横並びの年もございまして、これは十年間にちょうど四倍になっておる、こういう経過に相なっておりますので、決してわが国の社会保障、文教関係というものを国政の中で抑えておるとか、そういうことはございません。むしろ重視してきておるということだけは、これは客観的な事実でございますから、御理解を賜りたい、こう思います。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 私が申し上げたことを総理は半分だけ御理解になっておるようです。というのは、総理のおっしゃったとおりなんです。伸びてきたんです。その伸びてきたことが財政圧迫要因になっているとこれは指摘している、このことを申し上げている。したがって、その分をこれで抑えていこうということがちゃんとこれに響いてある。総理のおっしゃったことは事実、そのことに対して批判的に善いてある。このことを御理解になっているかどうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 いまのように、十年間で予算の伸び率がそれぞれの分野で違っておりますが、今回の行財政改革、臨調の御検討は、これを同じような水準に平準化そうと、こういうことではないと思います。そういう中で、いま財政再建が強く求められておる際であるから、聖域や認めないで、これに対して思い切った縮減合理化をやろう、こういうことでございまして、したがって、文教あるいは社会保障関係といえども聖域として別扱いはしてない、それだけの素地は、基盤はできておるんだ、こういう考え方でございます。  ただ、社会福祉関係の中におきましても、非常に経済的、社会的に弱い分野がございますから、そういう分野につきましては私どもは十分な配慮を払ってまいる、こういうことでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 この問題はいずれ土光会長にも聞きたいと思います。  ただ、総理の御答弁の中で、行政改革の中でそういう弱い部分が出てくる、そういう人たちには痛みを感じさせないように配慮する、こういうふうに御答弁として受け取りたいと思います。よろしゅうございますか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 そのとおりでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 この際、いまのようなことがありまして、土光会長に、参考人ですか、来ていただくように理事の方を通じてお願いしておったんですが、きょう御出席ございません。いまの点等、質問する機会をひとつ御配慮願いたいと思います。

海部俊樹自由民主党

○海部委員長代理 後刻、理事会で協議させていただきます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 続いて、総理は御就任になられた後の国会で、その国会におきましては憲法の問題が非常に論議されました。憲法につきまして総理がいろいろおっしゃいましたが、かなり具体的におっしゃったのは参議院の予算委員会、これは五十五年の十月の十三日、和田静夫議員の質問に答えられて、憲法第九十九条の「憲法を尊重し擁護する義務」についてお答えになっています。「「擁護」というのは、憲法の諸規定、それに基づく法令、そういうものを守っていく、それに反しようとする者からこれを守っていくというのが「擁護」である、このよりに私は理解をしております。」とお答えになっております。これは今日もそのとおりでございますか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 そのとおりでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 そこで、聖域はないということをおっしゃいましたけれども、いまそのとおりだとおっしゃったように、憲法の諸規定、それに基づく法令というようなものは、むしろそれが阻害されよう、反していくということであれば、総理は断固としてこれは守るというふうに理解してよろしゅうございますか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 そのとおりでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 非常に明瞭でございました。  そこで、先ほど安井委員から指摘しておりました教科書無償の問題です。  これは、法律が提案されたときに、昭和三十七年でございましたが、「義務教育諸学校の教科書は無償とするとの方針を確立し、これを宣明することによって、日本国憲法第二十六条に掲げる義務教育無償の理想に向かって具体的に一歩を進めようとするものであります。」こう提案の説明がございました。文教関係の法律の中で憲法という条文を使っているのは教育基本法です。これはもう明らかに使ってございます。それからあとは、義務教育費国庫負担法で、憲法という条文は使ってありませんけれども、その第一条に「義務教育無償の原則に則り、」こうありまして、義務教育無償の原則というのは明らかに憲法第二十六条を指しています。こうなりますと、他には教育関係の法律、ずいぶんありますけれども、委員会でも聞いてみましたが、こういう提案説明もしくは条文の中で憲法——先ほど憲法擁護と言われた憲法の諸規定、これに基づく法令、これに直接結びついている法律というのは余りたくさんはありません。したがって、いま申し上げたような法律はあくまでもこれは擁護するという立場を総理はおとりにならなければならないと思うんですが、いかがでしょうか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 湯山さんの主としてお尋ねになっておられる点は教育基本法等の問題であろうかと思いますが、私は、教育基本法は、これはあくまで守らるべきものである、このように考えております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 私は、義務教育費国庫負担法、このこともいま申し上げましたし、それから教科書無償の法律、このこともいま憲法の諸規定、それに基づく法律、こういう範疇に入るんじゃないかということを申し上げたのですが、それはどうですか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 お答えいたします。  ただいま御質問のございました憲法二十六条に基づく義務教育の無償の精神であります。  第一点は、教科書無償法の問題でございますが、この教科書無償の問題とともに、ただいま御指摘になりました国庫負担法、義務教育の関係におきましては、この二つにつきましてわれわれはあくまでも憲法を遵守する、こういう態度のもとにこの臨調に当たりましてもこれを堅持してまいりたい、かように考えております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 大変りっぱな文部大臣の御答弁でした。(発言する者あり)いや、本当です。本当にりっぱでした。  総理、いま文部大臣が答えたとおりです。そこで、総理大臣は教育基本法は堅持していく、これははっきり総理大臣のお口でおっしゃいました。その教育基本法の第十条に、教育行政について、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し面接に責任を負って行われるべきものである。」こうございます。その「不当な支配」というのはいろいろありますけれども、その中で最も注意しなければならない、排除しなければならないものは、私は、政党による支配である、これが最大の不当な支配、こう考えてもおりますし、また政府もそう答えておりました。と申しますのは、政党のイデオロギーが教育を支配するということがあってはならない、こういう趣旨に基づくものです。現にこのことを明確に法律で規定したのは地方教育行政の組織及び運営に関する法律です。  ここでは教育委員、三名ないし五名です。その教育委員の数を規定しておりますが、同一政党から半数以上、五名の場合であれば二名までは許されるけれども、三名以上になってはいけない。三名の教育委員のときには一名、二名になってはいけない、こういう規定があります。これはそのとおりだと思いますが、文部大臣……。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 ただいま御質問のございました「不当な支配」という教育基本法第十条の問題でございます。これは教育がもっぱら教育本来の目的に従って行われることを阻害するような行為、これを称して不当な支配、かように理解をいたしております。  学校教育の充実向上を期します上から申しまして、意見を提起するということは私は不当な支配には当たらないものであって、同時に、このことは、たとえそれが政党が行うものでありましても同様であろうと存ずるのでございます。  なお、いまの自後の問題につきまして、戦後におきまするいろいろな経過等にかんがみまして御質問にお答えをいたしたいと存じます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 文部大臣、今度はだめなんです、そのお答えは。いいですか。教育委員の数は同一政党から出た者が半数を超えてはならないという規定があるでしょうというのを聞いておるのですから、そうならそう、そうじゃないとおっしゃればいいんです。それだけでいい。あと要りません。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 地方教育行政の組織及び運営に関する法律第四条第三項におきまして、委員の申されましたように、教育委員の任命については、五人の委員のうち三人以上、委員の数を三人とする町村にありましては二人以上が同一の政党に所属することとなってはならないという旨を規定しております。これは、教育委員会制度の歴史の教訓に瓶づきまして、教育の現場をつかさどる教育委員会はいわば政治的な確執が持ち込まれないようにすべきである、こういう趣旨に立っております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 若干説明だけ余分ですけれども……。これは教育委員になる人はりっぱな人で、三名であろうが五名であろうがいいじゃないか、いい人ならばそれはそういう差別をつけるべきでないという意見もありました。しかし、五名の中で三名同一政党から出るという体制自体が不当な支配につながる。いいですか。三名の場合、二名ということになれば、非常にいいことをやったにしても、やることの内容じゃないんです。体制がそういう支配につながるという懸念を持ってこれを排除するというのが当時の趣旨でした。そこで、いまのように法律ですでにこれは禁じられているわけですから、どんないいことをやってもだめなんです。三名以上になったら一人はやめなければならない。  そこで、このことは私は国政においても同様だと思います。ここから向こうのことを大臣はさっきお答えになったのですが、国の文教政策の場合でも、やっぱり個々にあるいはまたグループとして研究して、そして教育政策についていろいろ意見を述べる、これは私は当然許されることだ、こう考えます。しかし、まあ安定多数というんですか、安定多数を持っている政党が党の機関で協議をして決定して、党の意思として政府にこれを要求するということは、いまの教育委員会の制度の趣旨から見て、それは違法ではありません。違法とは申しませんけれども、そのことはやはり教育基本法十条の精神から言えば慎まなければならない、留意しなければならない問題だ、こう考えるのが至当であると考えますが、総理、いかがですか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 先ほどお答えいたしました政党の問題でございますが、御案内のとおりに、文教政策といたしましてはできる限りりっぱな行政を行わなければならない。しかも中正であらねばならない。そういうふうなことから申しまして、政党の多数いかんにかかわりませず、御意見に対しましては憲法上堂々とおっしゃっていただき、同時にわれわれも心から御意見に対しましてはよく検討いたしまして、中正な立場を堅持してまいらなければならない、これが私は文教政策の基本であろう、かように存じます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 稲垣教科書協会の会長を文教委員会に呼びまして質問したときのことを文部大臣御記憶だと思います。稲垣会長があのいろいろな問題のときに、多数を持った責任政党が言うことだから大騒ぎになると答えたこと、これは御記憶でしょう、文部大臣。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 稲垣会長が申しましたその発言は、それは稲垣さんの個人的な発言でございまして、私どもはそういうことは一切考えておりません。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 稲垣さんが言ったことはお認めになったわけですから、それで結構です。  そこで、稲垣さんが言ったように、その証拠に、自民党から批判が出れば、中学の社会科の教科書は本来三年後には部分改訂であるのが自発的に全面改訂というのを発表するし、それからまた自民党の出版物に「かさこ地ぞう」が……(「それは自民党だけじゃない」と呼ぶ者あり)そのとおりです。しかし、稲垣さんは、「かさこ地ぞう」まで書きかえぬといかぬということで申し出ています。「かさこ地ぞう」は、三塚さんはあれはいいじゃないかというので、これは良心的でいいと思います。しかし、教科書出版会社はこれをのけようとした。いいですか。とにかく多数を持った責任政党の意見というのは、ここまで教育内容に干渉する力を持っている。だから文部省がこのたびいろいろな圧力というのですか、それに揺らぎそうであったのを踏みこたえて、それではというので中教審に云々というのは圧力を避けるための一つの賢明な道だと思うのですけれども、このことは賢明な皆さんよくおわかりのとおりで、それは直接多数を持った政党が教育にいろいろな干渉をするということ、その事実を避けようとする道として私もある意味で肯定できないことはありません。ただ、人選が非常に大事です、だれを選ぶかというのが。これから選ぶのだと思いますが、文部大臣、いまの厳正中立を守る、そういう立場からりっぱな人を選ぶという御意図がおありになるかどうか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 お答えをいたします。  私どもがまだ必ずしも決めておりませんことに対しましても、いろいろと賢明な御推理のもとに御質問があるわけでございますが、もちろんりっぱな人を選ぶ、これはもう本当に当然過ぎるほど当然でありまして、その点はひとつ皆様方も党を挙げて、関係各党御協力を願いたいと存じます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 いまの御答弁はこれからの問題ですから、そういう結果をひとつ示していただきたいと思います。  さて、問題はこれから後なんです。初中局長にお尋ねしますが、教科書出版会社が非常に今度無償廃止という問題であわてたのはどこにあるか……(「行革に関係ないよ」と呼ぶ者あり)大ありです。わからぬの。教科書代です。これはいつ、どれだけ、どういう方法で渡されているか。つまり前渡しという制度があるのはどれだけ渡すのですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 お答え申し上げます。  小学校及び中学校の教科書の前期用につきましては、十月に契約の締結をいたしまして、概算払いといたしまして一回目十月に四〇%、二回目に十二月に三〇%、三回目は翌年の三月に二〇%を概算払いとしていたすわけでございます。それから、後期用は四月に契約を締結いたしまして、五月に四〇%、六月に三〇%、八月に二〇%ということになっております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 いま申されましたように、合計してみますと、教科書の前渡し金というのは、時期は違いますけれども、九〇%前渡しなんです。だから、稲垣会長も私どもの質問に答えて、これは非常にありがたいことだ、これがなかったならば資金繰りに非常に困る、だから私たちはぜひひとつ無償を続けてもらいたいのだ、こう申しておりました。これは企業サイドですから、利害が絡んでの無償継続の要望です。  いま教科書の原価といいますか、教科書代を計算するもとになるものを見てみますと、金利負担が大体積算の〇・二%なんです。企業で金利負担が〇・二%。まあ二%でも軽いように思うのですけれども、通産大臣いらっしゃいますか。通産大臣、企業で金利負担がわずか〇・二%、そういうのがありますか。あるのはあるのですが、一般的じゃないと思うのですが、どうでしょうか。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 〇・二%のオープンの金利というのはほとんどないと私は思います。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 そういう恩典があるわけです。そこで、企業としては当然この有利な条件を失いたくないから、どうしてもこれを維持するためにいろいろ運動します。  そこで、問題になるのは政治献金です。これは自治省からいただいた資料です。昨年の七月、教科書の問題がまだ余り問題に出ていないとき、五口で三百九十万の献金があったと自治省の報告にあります。ところが、予算が問題になって、教科書有償というような意見が出て、大蔵大臣も大分御苦労なさった、その十二月には、口数が十七口、金額は約三倍の、四倍近いですか、一千二百万円に暴騰しております。これは無関係ではないと思うのですが、自治大臣、いまの点はお認めになりますか。

大林勝臣自治省行政局選挙部長

○大林政府委員 政治資金規正法を所管いたします自治省といたしましては、政治団体から毎年一回収支報告を受けまして、これを形式的に審査いたしまして、形式上の要件が具備しておればそれをそのまま報告いたします。法律上、その事実関係についてあるいはその背景について調査をする立場にはございません。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 金額はこのとおりか。月、金額。

大林勝臣自治省行政局選挙部長

○大林政府委員 昨年及びことし収支報告をいたしました金額についてはそのとおりでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 本年のは資料をいただいていないのです。本年七月の八日付でやはり十七口、千二百万円の、これも国民政治協会への献金があったということですが、これは自治省は掌握しておられますか。

大林勝臣自治省行政局選挙部長

○大林政府委員 五十五年の政治献金につきましては、ことしの八月公表したわけでありますけれども、その中で、新聞報道でございましたような十七社の教科書会社から国民政治協会に対する政治献金といたしましては、新聞報道どおりの金額が記載をされております。  それから、ことしの政治献金の問題につきましては来年の収支報告の公表という段取りになります。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 そこで、問題はその後です。  いまのように、教科書が危ないときに献金がばっとふくれた。しかも、それらの金というのは、新聞等の報道によれば、国民協会では空領収書をもらって、個々の議員の人に配られたというようなことも伝えられております。それからまた、それを稲垣会長が議員個々に配ったという報道もありますし、教科書協会の日下という事務局長が配ったという報道もございます。  また報道によれば、蓬庵会という政治団体に五十一年から五十五年の夏ごろまでに一億以上の献金があった。これに関して、蓬庵会の会計責任者佐藤という人が、先ほど申し上げました日下正衛という教科書協会の事務局長に頼まれて、やはり空領収書を書いた。金は稲垣会長が配ったとも言われておるし、あるいはまたこの事務局長が配ったともいろいろ伝えられておりまして、まちまちですが、もしこれを政治団体へ寄付したことにして空領収書をとって、それでもって別なところへ配ったとすれば、これは何か事件になりますか。警察庁長官か、公安委員長か。

中平和水警察庁刑事局長

○中平政府委員 お答えします。  具体的な事実関係を確定しない限り、直ちに犯罪になるかどうかということは回答いたしかねる次第でございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 いや、具体的に言っておるんですよ。いいですか、一般論として、政治団体へ金を持っていったということにして、その政治団体から空領収書をもらって、実際には金を納めないでその金を他へ配ったという場合にどうですか。それなら答えられるでしょう。

中平和水警察庁刑事局長

○中平政府委員 これはきわめて抽象的なお話でございまして、私どもの立場から言えば、もう少し事実関係がはっきりしないと明確な答えはできない次第でございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 これは私文書偽造とかなんとかになりませんか。

中平和水警察庁刑事局長

○中平政府委員 新聞報道をもとにした——しかし個々具体的な問題でございますので、こういう席で明確な答弁を申し上げることは差し控えたいと存じます。  ただ、ただいま申し上げましたように、法律論で申し上げますれば、空の領収書を切ったことが私文書偽造になるではないか、こういうことになっておりますが、御案内のように、私文書偽造につきましては、私文書偽造は無形偽造が処罰対象になるわけでございます。したがいまして、当該人物が果たして領収書を切る権限があったかどうか、そういう問題等にも絡まってくる問題でございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 これは非常に不明朗な点がたくさんあります。  ただ、私どもがこれをただ新聞報道だとして看過できない問題は、稲垣会長は八月六日に、政治献金は一切やめるということを発表しています。これが一つの問題。それから八月三十一日には稲垣会長は辞任しています。  それからもう一つ、やはりはっきりしないのは、この協会の事務局長であった日下正衛という人が八月十一日の朝稲垣房男会長宅で自殺を図った。これは大崎署が調査をしていて自殺未遂として処理をしたということですけれども、新聞等では、そうじゃないんだ、転んでけがをしたんだというような当事者の発表等もありまして、一体どうなのか、はなはだはっきりしないのですが、公安委員長、事実はどうなんですか。

中平和水警察庁刑事局長

○中平政府委員 私どもの把握している事実関係を簡単に申し上げます。     〔海部委員長代理退席、委員長着席〕  事柄は、八月十一日の午前八時二十分ごろに起こりました。稲垣会長の奥さんから大崎警察署の長者丸という駐在所の佐野という巡査部長のところに電話がかかってまいりまして、けが人ができました、近くに病院はありませんか、こういうお尋ねがございまして、たまたま駐在所から約五十メートルの距離でございますので、すぐ私の方で参りましょう、こういうことで臨場いたしましたところ、稲垣さんのお宅の応接の間で、稲垣会長さんがお座りになって、その横に日下事務局長でございますか、この人が腹ばいになっておりまして、稲垣会長がタオルを頭に乗せて止血をしておった状況のようでございます。したがって、この人はどうしたのですか、こう尋ねますと、この人はかなり前から報道機関等の対応等に追われて若干ノイローゼぎみになっておりまして、つい自分でやってしまった、物音に気がついて参りましたら、うつ伏せになっておりましたから、止血をいたしております、こういう話でございまして、頭の傷は、何か長さ五センチないし二センチくらいの傷が三つ、四つあったようでございますが、大した傷ではない。原因は何だということで聞きますと、会長の方は、現場を目撃していないのでわかりませんが、そこの花ばちで自分の頭を打ったと思います、こういう話がありまして、なるほど見ますと、そこに血のついた陶器の花ばちが転がっておりましたので、なるほどこういうことだな、こういうことで、本人にさらに確かめましたが、本人は何ら応答しない、そういうことで、一応これはノイローゼによる発作的な自傷事故である、このように判断をいたしまして、したがって、会長の方からどこかの病院をお世話してくださいということで、警察官の方で一一九番に連絡をいたしまして一応の処置をとった、こういう次第でございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 そこで、私は、教科書の問題でそういういろいろな不明朗な点があるということはよくないと思うのです。たとえば、いまのような政治献金が、それは法的に問題があるなしにかかわらず、教科書代というのは国が払っている。それが政治献金として政治家に還元されるというようなことは、これは法的に問題がないにしても、やはり政治倫理の上からはきわめて重大な問題ではないか。そしてまた、それをめぐって責任者がやめるとかあるいは自殺未遂、とにかくノイローゼになって自傷、つまり自殺未遂というようなことがあるということ等も、これもほうっておけない問題なので、私は、むしろこういう問題については、はっきりした方が国民もすっきりするし、今後の教育行政もすっきりしていいと思うのです。  そこで、ひとつ委員長にお願いしたいのは、やはり稲垣会長に、文教委員会では参考人でしたけれども、当委員会では証人として御出席を願って、いまのような不明朗な点をはっきりしたいと思うのですが、証人喚問についてお諮りいただきたいと思います。

金丸信自由民主党

○金丸委員長 その問題につきましては、理事会に諮りまして決定をいたしたいと思います。それまで御猶予願いたいと思います。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 では、お願いします。  そこで、いま言われておるのは、ここでこれと関連を持ってくるのですけれども、なお第一次答申の中に、教科書は無償の廃止を含めて検討するということになっております。文部大臣はこれに対応して、委員会をつくりたい、諮問機関をつくりたいというようなことを述べておられます。これになければこういう質問をしないのですけれども、無償を廃止するということを含めて検討するということですが、これが続く限りやはり業者はそれじゃ困る、いまの〇・二%の金利負担がそれは二%になるか一〇%になるか、その利害関係が絡んでやはり運動してくる。運動すれば政治献金ということに当然なるし、どこに向くかというのもこれはおわかりのとおりです。だからこの答申というものはそういう危険を持っている。そのことをひとつ指摘申し上げたい。そういうことについては総理はどうお考えなんですか。いまのような問題です。教科書を有償にすることを検討すると答申にあるのです。検討を始めている。なったら大変だという出版業者の動きが、いまのように不明朗なものをつくっている。自殺未遂まで出る。こういうことがあっていいとお考えですか、総理。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 ただいまお話しのような問題はまことに遺憾な点があったと存じますが、しかしながら文教の問題につきましても、特に主たる教材であります教科書の問題につきましては、あくまでも中正に、あくまでも公明なものでなければなりません。りっぱな教科書をつくるという上から申しましても、ただいまお話がございましたように、でき得る限り制度的にも審議会その他のようなところでしっかりとした検討をいたしたい、かように考えております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 今度は文部大臣にお尋ねします。  文部大臣は、先ほど教科書無償については憲法との関連がある問題で、あくまでも無償は堅持したいという御決意を述べられました。いま検討中ですけれども、いまのような不明朗な動きをなくしていくために、担当の文部大臣としては、あくまでも無償は堅持する決意でいるということをはっきりここでお述べいただきたいと思う。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 当然でございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 非常にはっきりしました。  総理、今度は総理です。いまのように、これには無償をやめることを含めて検討せいとあるが、文部大臣は、あくまでも無償を堅持する。しかも、それは憲法の規定に従ってできた法律です。そうなると、総理としてもこの問題については、無償を堅持するとまではおっしゃれないかもしれませんが、無償を堅持する方向で努力する、それぐらいな御答弁がないとさっきの御答弁と違うのですが……。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 臨調からあのような答申が出ております。文部大臣は、非常に重要な問題でございますから審議会等に諮ってさらによく検討していきたい、文部大臣としては、自分としてはこのように考えるということをいま述べられたのでありますが、しかしこれは関係閣僚ともよく諮って、内閣全体としてもこれをさらに慎重に扱う必要があると思っております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 総理、憲法の条章に関係のある法律については、これは守るとおっしゃいましたね。文部大臣はそうだということをお認めになって、いまの答弁は、慎重に検討するというのは私が言ったのです。諮問機関をつくるなどということを言っておられるというのは私が言ったので、文部大臣の決意としては、堅持するという決意を示された。総理はちょっと御答弁が違うのです。もう一遍願います。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 お答えいたします。  総理の御答弁と何ら食い違いはございません。私は、御案内のとおりに、教科書の無償の問題を今日まで主張してまいりました。それからまた、五十六年度予算におきましてもその方針でまいっております。臨調におきまして、無償などを含めて検討するという答申が出ました今日の段階におきましては、先ほど申しましたような何らかの権威ある審議会をつくりまして、この問題を国民的な、国家的な立場に立って慎重に審議してもらう、これは私結構なことだ、かように考えております。私の立場は、教科書は無償ということを貫きたい、これは文部大臣としての念願でございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 総理、いまのようなことです。文部大臣としては堅持していきたい、これはもういまおっしゃったとおりです。総理もひとつ文部大臣のいま言った答弁は尊重すると……。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 経過はもうよく御存じのことでございます。臨調はそういう事情も全部踏まえて、国の財政事情その他を慎重に考慮した上であのような答申をした。これは非常に重要な答申だ、こう思っております。そういうことを踏まえて、文部大臣は審議会のようなものを設置をして、そしてなお掘り下げた検討をしてみたい、こうおっしゃっております。田中さんとしては、自分はこう考えるけれども、しかし審議会をつくって検討するんだ、こうおっしゃっている。私は、それが大変妥当なことである。慎重な措置である、このように思っております。関係閣僚ともよく相談をして結論を出さなければならない。  そこで問題は、もしいままでの方針を変える場合は、法律を変えなければいけません。これは国会の御承認を得なければならぬわけでございまして、法律を変えてやれば、これは私は憲法違反とは思わない、こう思っております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 おっしゃることはわかりますし、文部大臣の言われたとおりということですから、文部大臣の意のあるところ、それも総理も御存じと思いますので、余りこの問題は臨調にこだわらないでやらないと派生する問題がたくさんあって、何かマッチポンプ、無償はやめるぞと言っておいて、一方でやってというように批判している人もあるのです。だから、それは非常にこわいと思う。  教科書についてもう一つあるのです。いま採択区域を県単位に拡大するというような、これも同じような問題があります。かつて、明治三十六年ですか、教科書が国定になった。そのときの採択単位は県単位でした。大仕掛けな買収が行われて、とにかく知事、代議士、師範学校長、それから視学官二百名が挙げられて、動いた金は、明治三十五年ごろの百万です。いまの金で幾らかわかりません。当時のことは、金港堂という書店がかみ、萬朝報というのが詳しく報道している。同じようなことが、県単位になったら出版会社は大変ですから、数が大きいですから、指定を失う、失わないというような死活の問題ですから、これもやはりいまのような危険を持っている。これをひとつ十分御注意を申し上げておきます。  それから次に、文部省はさきにやはり不当なやり方で正誤訂正、しかも参考意見というようなことで、中学社会科の公民的分野の教科書の中で、総合商社に関する一ページを全部のけて新しく入れかえました。やり方も間違っていた。なぜそれをのけたかというと、そこには総合商社のいろいろな活動の中に、「金融だけですべてが解決できないばあいがある。そこで登場するのがコネであり、リベートであり、交際費であり、そして政治献金である。」これはけしからぬというのでのけたのです。教科書からはなくなりました。ところが奇妙なことに、教科書からはのいたけれども、その事実が今度具体的に出てきたのです。  それは何かというと、教科書に関係のある役所、それと教科書出版会社、それから政治家もあります。とにかく一緒にゴルフをしたというようなこと。これは明らかにここで削除したコネです。それからリベートはどんなのか後で申します。それから交際費、これは二・二%の営業費か何かあります。それからさっき申し上げた政治献金。  そこで、リベートはどれがリベートに当たるかなと思って見ますと、これもちょっと似たようなのがありまして、五十七年度の教科書の概算要求、これは御存じのように、昨年文部省の概算要求は一一・一二%引き上げてほしいという要求でした。しかし、大蔵省の査定によって七・九%に抑えられた。ところが、五十七年度の概算要求で三・六%、金額にしてどれだけになりますか、約五億六千八百万円増額の概算要求をしています。奇妙なことに、昨年概算要求して大蔵省で査定されてダウンした三・二二%、まさにそれを補うような概算要求が出ておるのです。去年大蔵省が査定して切った分は今年度でまた埋めてやろう。とれないことはない。これだけ厳しい財政の中で、その憲法に関係のある無償も切ろうとしている。その中で文部省は概算要求で、昨年大蔵査定で切られた分、その分に当たる分を今度増額要求しています。何しろ自分で働いて返さなければならぬ育英資金さえ、また利子を取ろうかというような検討をするということを言っておるし、それから農林大臣、子供の給食の牛乳の五円二十銭補助の二十銭を今度切ろうというのでしょう。それでもって六億ばかりの金を浮かそうとしているのですが、これは大事な問題ですから、農林大臣お答えください、そのとおりとか違うとか。

亀岡高夫自由民主党農林水産大臣

○亀岡国務大臣 そのように要求しております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 いまのように本当に子供の牛乳代、その二十銭を削って財政再建をやらなければいかぬというときに、これだけ政治献金もできる、そういうものに対してなおかつ三・六%、それだけ今度高く税金を払ってやろう、こういうことです。大蔵大臣、これは認められますか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 私は、一々概算要求の細かい内容をまだ見ておりませんので、何とも申し上げられません。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 私は、いま事実を申し上げたのです。いまのように、昨年査定された。これは率も額も申し上げました。その切り下げた分を大体本年埋めるようになっている。これは事実です。それは見なくても、申し上げたので、賢明な大蔵大臣はおわかりでしょう。これは簡単に認めるわけにはいかぬと言われるのか。これだけ厳しい中でそれをほっておいていいのですか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 御質問にお答えいたします。  湯山さんの御質問、いろいろな点がございました。ちょっとその点を筋を立てて分解したいと存じます。  最初の御質問の広域採択の問題、これはやはり検定制度と並びました問題でございまして、今後もどのようにするかということは慎重に考えていかなければならない問題でございます。  その次に、教科書会社とのいろいろの接触、リベート等のお話がございましたが、私はそれは関知いたしておりませんけれども、しかしながらこれは企業体と別個の団体あるいはまた方々との個人的な問題でございまして、私どもの関知するところではございません。  その次の教科書のコストの問題等、これは御承知のとおりに、教科書経費の問題におきましても、諸掛かりその他の経営分析並びに大蔵省に対しまする要求をいたしましたにつきましては、これは担当の局長から分析をしてお答えをいたします。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 お答えいたします。  昨年度の教科書の定価の値上げの問題でございますが、昨年度の値上げにつきましては、御承知のように、用紙代が昨年は非常に高騰いたしまして、二〇%値上がりがあった、そういうことが反映しているわけでございますが、今年度の概算要求につきましては、用紙の状況はむしろ〇・四%値段が下がってきているというようなことがございまして、昨年のような大幅な定価改定の要求にはなっておりませんけれども、しかし印刷製本費あるいは人件費等、その他の教科書を構成いたします価格の要素につきまして上昇がありますので、それらを、従来もやっております教科書の定価の算定の、いわば方程式とも申すべきような一つの基準、ルールに従いまして積算をいたしまして要求したわけでございまして、委員がただいまおっしゃいましたように、昨年度の概算要求と、それから査定の幅はたしか三・二%だったと思いますが、それを埋め合わせをするために三・六%の要求をしたということではございませんで、昨年度は昨年度のこと、来年度に関しては来年度のことという仕事をしておるわけでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 結構です。それはいまのように、たまたま数字がそういうふうに偶然合ったと言われるのでしょうけれども、しかし李下に冠を正さずということ——これは事務次官も言っておられますけれども、いまのように、接触したゴルフ場は真名というカントリークラブで、その発起人、常務理事は教科書協会の稲垣会長です。そこでそういうことがあって、しかも去年の削られた分に見合うような率を要求しているということになれば、いまのようなそういううわさが立つということを申し上げたいので、こういったことはやはり私は十分戒心しなければならない問題だと思います。  この教科書無償の問題に絡んでいまのような問題が起こっている、そのことを指摘しておるので、そういう誤解がある——誤解なら誤解でもいいです。そういう誤解を生んでおるという事実を申し上げておるので、行政改革もいろいろなところへ飛び火するのです。神の声でも天の声でもなくて、神様がそんなことを言うはずもないだろうし、天がそういうことをやれと言うこともないけれども、影響するところきわめて大きいので、そういったようなことについては厳しくやっていくことがこの行政改革を進める要諦であると思いますが、いかがですか、総理。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 文部省の幹部が、文部省関係者の中で懇親のためにゴルフ場に行った、そこで懇親の会をやった、たまたまそのゴルフ場の理事の一人が教科書会社の方であった、こういうことを御指摘のようでございますが、私は、そういうところで教科書会社のその方と教科書の問題についていろいろ話し合いをしたとか、そういうような事実がないことを信じておりまして、そういうことは、私は問題はないのではないか。しかし、誤解を受けないように、お互いにやはりその点は慎重にすべきだということは、一般論として湯山さん御指摘のとおりであろう、こう思います。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 いまの総理の答弁で一応了承いたします。  こういう問題が、これだけじゃなくてずいぶん他にも出てくると思います、行政改革を進めていく中では。これらのことについては、特にひとつ厳重にえりを正してやっていただくということを申し上げたいと思います。  次に、第五次学級編制及び教職員定数改善計画等の引き下げ、これは法律も出ておりますから、ここでどうしてもやらなければならぬ問題なのです。これも総理が五十五年十月六日の本会議で長谷川正三議員の質問に答えて、十二年というのは長過ぎる、もっと短くしなければいかぬじゃないかという質問に対して、総理は、厳しい財政事情のもとでずいぶん無理をして四十人学級というのを踏み切った、ところが、「御承知のとおり、おおむね三年後に、各般の状況を勘案して、その後の計画につき検討する旨の衆参文教委員会の附帯決議もありますので、その時点で適切に対処してまいりたいと存じます。」とお答えになったのは、ちょうど一年前です、昨年の十月六日ですから。  そこで、今度出ておる法律を見ますと、標準法の附則第二項に政令事項があります。その政令をつくるに当たっては「児童又は生徒の数の推移及び学校施設の整備の状況を考慮し、」とあるのに、法律の附則で政令をつくる注意として、児童生徒数それから学校施設を考慮しというのに「特に国の財政事情を考慮する」というのを加えるだけの改正です。  こんな改正で——総理の答弁も、明らかに財政の厳しい中ですが、あえて踏み切ったと財政事情を述べておられる。あえてこれを政令をつくるときの附則——政令をつくることになれば大蔵大臣もお出になりますね。だから、財政事情を考えないでいま夜でやっておったのならともかくですけれども、いままで当然財政事情を考慮しながらやってきたものに、あえてこれをする理由というのはどこにあるのでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 六十六年までの計画は変更することは考えていないのです。ただ、五十七、八、九という特例公債から脱却するという非常に厳しい財政の中においては、これは少し財政事情を考えてもらわなければならぬ。そこで、その期間は改善の規模を抑制していきたいということであります。しかし、あとの残りの期間の間では完成するということを言っておるわけです。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 実態はわかりました。  しかし、予算査定もあるし、政令をつくるとなれば閣議もあるし、大蔵大臣の御意見はずいぶん述べる機会があるわけです。総理も、財政事情を考えてとにかく十二年でがまんせいということを言われた。十分考慮しておるわけです。それをあえてここへ入れなければならないほど大蔵大臣は無力なんでしょうか。それがないといまのようなのができないかどうか、私はそんなに思わない。  その上、文部省はわれわれに「学級編制の改善に伴う教職員足数の増及び増設の必要な教室」それから今度は「自然増による学級編制の改善の教員定数」という資料を出しています。その資料にはいずれも「上記の年次別の教員定数増は一定のめどを示したものであり、具体的には今後の経済情勢、財政状況等を勘案し弾力的に決定する。」と、ちゃんともう文部省は今度改正になるとおり言っておるのです。その上になお財政事情を考えというのを入れなければなりませんか、入れなくてもやっておるのに。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 お答えいたします。  御承知のとおりに、この学級編制なり定数改善の問題でございますが、これは当面いたしました非常な財政緊迫の事態を受けまして、文部省といたしましてもこれに対応する新たな事態が生じてまいったわけでございますから、このようなことから特例適用期間中においてはその改善規模の抑制を図ることとして、行革関連特例法案では「特に国の財政事情を考慮するものとする。」ということを明記して、これを義務づけるという特段の処置をとったわけでございます。  しかしながら、六十六年までに至ります既定計画は完全に実施するということは、すでに大蔵大臣等も委員会、本会議でお答えになったところでございます。ただ、五十四年から養護教育といったようなものが義務制になりまして、こういうふうな特例の問題とかあるいは急増の問題とか、そういうふうな若干の調整はこの間においても行うことができる、ただし、この問題は義務づけて臨調に対応した法律とする、こういうことでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 中曽根長官にお尋ねします。  行政改革というのは、いろいろ答申にもありますが、国のいまの教員定数というふうなものをやるときには大蔵大臣が査定するし、それに必要な政令をつくるときにはりっぱな大蔵大臣がおられる。それから、すでに文部省は計画を出すときには、常に経済事情、財政事情を勘案し弾力的に決定すると出しておるのです。計画には皆ついています。そういう、もう書かなくてもいいことをあえて書くようなことをなくしていくのも行政改革の重要なポイントじゃないですか。こんなのはなくたってちっとも差し支えない。やれることです。やれないということはないでしょう、大蔵大臣。やれないのならやれないというふうに言っていただければいいのですが、もうすでにやっておるし、総理も答弁でちゃんと財政事情厳しい折からということを頭に入れて、政令の要綱にないからではなくて、そう、大蔵大臣もそう、文部大臣もそう、みんなやっているのだ。それをどうしてこんなところを改正しなければならないか、そういうつまらぬことをやめさせるのが行政改革じゃないでしょうか、長官。

中曽根康弘自由民主党行政管理庁長官

○中曽根国務大臣 その後いろいろ事情が変化いたしまして、財政的に事態がさらに重要な段階に入ってきた、そういう自覚に基づいて法律的にそれを義務づける、さらにこれを強調して担保する、そういう意味で特に載せられたのだろうと思います。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 私がお尋ねしているのは、もうすでにやられているし、それから、これがないと大蔵大臣、できませんか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 法律で義務づけた方がやりやすいということであります。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 いまのとおりです。ただやりやすいというだけで、みんな頭にあるし、厳しいということを言われればちゃんとやっておるのです。現に私学助成なんかこそ、法律でもやらぬともっとやりにくいのではないかと思うほどです。ところが、そんなのはほっておいて、こんな、ただ幾らかやりやすいというだけで、ここまでこの法律の中へ巻き込んでいかなければならないかどうか、そういうことをあえてしなければならないか、それを排除するのが行革の役目ではないかということを申し上げておるのです。

中曽根康弘自由民主党行政管理庁長官

○中曽根国務大臣 財政再建という面がこの法律にはあるわけでございますけれども、五十七年度の予算を作成するという面から見まして、やはりそちらの学級の問題でも御協力をいただく。私たちが報告を受けている範囲では、二千八百人ばかり先生がふえるのを七百人でがまんしていただく、それだけで相当な経費の減が出てくる、そういうことを実行していく上にも、法律で明記した方がそれが確実にやりやすい、そういう面で特にお願いしたのではないかと思っております。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 少し言葉が足りなかったかもしれませんが、仮にこれを法律に書かないで予算のときだけ大蔵大臣がカットするといっても、実は非常に抵抗がございます。そればかりでなくて、ちゃんと計画が決まっているのだからやるべきだという意見の方がむしろ強いかもわからぬ。法律で決まっていることを勝手にそこの期間だけやめたとか圧縮したのはけしからぬという議論も出るものですから、これはやっぱり法律に書いて、そういう議論の余地をなくした方がいいということでやったわけでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 まず私は、これだけ実力者である大蔵大臣が、そのくらいなことができないとは思いません。まして文部省の出している計画は全部、財政状況等を勘案し弾力的に決定しとあるのです。文部省もしっかり自覚しています。ですから、これは私はひょっとすると、こういうのもやるのだということを、四十人学級というと聞こえがいいものですから、中曽根長官が一つその宣伝に使ったんじゃないかというような気もせぬでもないのですけれども、それはとにかく、こういうことをなくするのも行政改革の重要な課題だということを申し上げておきたいと思います。  さて、いま大蔵大臣言われたように、六十六年という最後は変化がなくて初めの三年だけ、この期間中だけは増員を抑えていく。では計画全体はどうなるのですか。資料はできておりますか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 六十六年度までの十二年間の全体の計画は、五十五年に現在の標準法を御提案したときに御説明したとおりの計画でございまして、それを六十六年度までには達成をしたい、そういう考えでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 局長、これにはほぼ各年の計画があるのです。自然増減の定数とか改善増の定数とか、年次別のがありましたね。九年の場合はどうというのも一緒にそろえてあります。今度、各年次別のこういう計算ができておるのですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 全体計画は先ほど申し上げましたとおりでございますが、それの年次の割り振りにつきましては、ただいま御提案しておる法律に基づきまして、財政再建期間中の三年間につきましてはこれを大幅に抑制するということでございまして、明年度についての概算要求はすでに大蔵省に出しているわけでございますが、明後年さらに翌年度につきましては、その都度検討してまいりたい。そして財政再建期間終了後は、その後の財政状況にかんがみまして六十六年度までに達成をしたい、そういうことで、四十人学級の実施につきましては、小学校につきましては、五十八年、五十九年は、初年度の五十五年と今年度の二年間に手をつけて増加学級をいたしました学校につきましては、これはすでに手がついておるものでございますから、これを継続したい。そしてできますれば六十年以降について一般の全市町村の実施について計画を立ててやってまいりたい。それから中学校につきましては、当初の計画のとおりできればやっていく、そういうようなことが一応予想はされるわけでございますが、その割り振りにつきましては、五十八年以降児童生徒並びに、したがいまして当然教職員についての自然減が出てまいりますので、その自然減の状況を見合わせながらやってまいりたいということでございます。  改善計画の総数につきましては、六十六年度までの終期が書いてございませんから、総数は当初お示ししたとおりの総数で改善増あるいは自然減ということになりまして、自然増減と改善増の差し引き数五万一千人というのは当初の計画のとおりでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 私が尋ねておるのは、この法律を審議するときには、十二年間見通して、もちろんいまのように財政事情それから経済事情によって変化があると言いながらも、各年の数が一応試算として示されました。これをやらないと、さっき大蔵大臣はやると言ったけれども、どこでどうなるのかわからないでしょう。これがなければ審議できないじゃないですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 この十二年計画全体につきましては決めてあるわけでございますが、それの進め方の問題で、これは別に決めてあるわけの話ではございません。ただ私ども、事務的には一応の仮定のもとでの計算はいたしております。あえてそれをここで申し上げるとすれば、先ほど申し上げましたような前提条件で、小学校は一般市町村につきまして六十年から、中学校は当初の計画どおりにいたした、こういうぐあいにした場合には、学級改善のために必要な総数四万三千百四十人の手当てにつきまして、五十七、五十八、五十九の三年間は、先ほど申し上げましたように、すでに実施をしておる学校について継続するということで、毎年約三百人ずつぐらいでございますが、六十年以降は、教職員の自然減ともかみ合わせまして、大体四千五百人から八千七百人ぐらいの間で各年度の割り振りができる、こういうぐあいの試算はいたしておる次第でございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 そんな大ざっぱなものじゃなくて、法律審議のときには、いまのようにまだ生まれてない子供も考えなければならないので、ずいぶん危ない数字でしたけれども、とにかく出ておって、そして「十二年計画における自然増減教職員定数および学級編制基準の改善による改善増教員定数」というふうなものを五十五年から六十六年まで、増減も含めて各年別に示してあるでしょう。これがどう変わるか、それがなければできないのじゃないですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 ちょっと手間取ると思いまして先ほどはしょって申し上げましたが、計画について改めて申し上げますと、明年度につきまして四十人学級のための学級改善分の概算要求人数が三百二十二人でございます。そして、五十八年が三百。一応私どもの見積もりでございますが、五十九年が三百、六十年が四千四百、六十一年が五千、六十二年が五千二百、六十三年が五千五百、六十四年が八千七百、六十五年が八千三百、それから最終年度の六十六年が四千四十七ということでございまして、全体の合計が、五十五年にすでに五百六人、五十六年にすでに五百六十七人措置しておりますので、それも含めまして十二年分が四万三千百四十二名で、これは当初、昨年の法案審議のときと同じ人数でございます。その間自然増減の差し引きが三万人、こういうことも前回に提起した数字のとおりでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 それを資料として出してください。いずれまた一般質問のときにお尋ねします。かなり違っている部分もありますからね。  それから次に、明年度の概算要求につきまして、二千八百ぐらい要るのを七百で抑えたとおっしゃっていましたが、明年の概算要求はどれだけ削減しているのか、それをまずお示し願いたい。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 明年度におきましては、四十人学級の分として三百二十二人、それから配置率の改善として四百人、七百二十二人を要求いたしてございます。当初の私どものプランとしては、四十人学級六百人余り、配置率の改善二千二百五十人というものを考えておりましたので、それの合計が二千八百六十名程度になりますが、それに対しまして七百人余りというふうに抑制した要求を提出しておる、こういうことでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 前の計画では自然増が九千百二十名となっておりましたね。これは確保できておるのですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 自然増につきましての所要数は、今年度及び昨年度と同じ手法で計算をいたしますと九千百二十名でございます。(湯山委員「確保できているのですか」と呼ぶ)九千百二十人は、それはそのまま要求をいたしますが、第二次臨調の答申におきまして、この自然増につきましても弾力的に対処することにより大幅に縮減する、そういう御答申をいただいておりますので、私どもとしては、自然増は明年が最終年次でございまして、先ほど申し上げましたように、明後年からは逆に今度は自然減になりますので、そういった状況も勘案いたしまして、五百人の縮減を行うという形での概算要求をいたしておる次第でございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 ですから、いまお話しのように、二千百四十名いまのこの関係で削った。その上に五百人削っておるのですね。自然増というのは生徒児童数がふえた分に対応して配置する教員ですから、自然増を削ったという例を私はいままで聞かないのです。自然増というのは、これは無条件です。これだけ子供がふえるのだからしようがない。この自然増五百人調整するというのはどういうことですか。どんなにするのですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 これは先ほど申し上げましたように……(「幼稚園に戻すようなことができるのか」と呼ぶ者あり)臨時行政調査会の方から弾力的に対処することによって大幅に縮減するという旨の答申があるわけでございます。私どもは内閣の方針に基づきましてこの趣旨を尊重しまして、先ほど御説明いたしましたように、自然増定数九千百二十人の約五%に相当する五百人の縮減を行うこととしておるわけでございまして、そして、なお翌年度の五十八年度からは児童生徒は減少していくということになっておるわけでございます。  縮減をどうしてやるかということでございますが、これは各都道府県の実情等をいろいろ聞きました上で、予算編成の時期までに決めることにいたしてございますが、教諭等の任用、配置その他につきまして、各都道府県において各種の工夫を行ってもらいまして、何しろこういう意味の行政改革でございますので、各都道府県にもしかるべき協力をしてもらう、こういうふうに考えておる次第でございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 そのあたりがわからぬのですよ。そんなむちゃなことができるのですか。もう一遍、局長。四十人学級で三百二十二人ふやす、これはいいです。それからその次、改善増で四百人。この四百人が全部現場へつくのですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 四百人は特殊教育諸学校におきます養護訓練担当教員でございますとか、あるいは教育困難地域におきます学校への教員加配の定数等でございますので、これは皆現場につくわけでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 ちょっと。兵庫大学なんかのは、これはないのですか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 これは内訳としてそういう要素も入れまして、現職教員の研修定数も……(湯山委員「何人」と呼ぶ)百名かと思いましたが、入っております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 ですから結局ふえるのは、いまのように四十人学級でふえる、それから改善増でふえると言うけれども、その中の百人というのは現場へつかないのですよ、いまの説明では。大学に入る。それをこの中に見ておるのです。そうすると残りは、七百人必要だと言うけれども、六百人が現場へつくわけです。ところが、六百人現場へふやしたように見えるけれども、五百人は自然増から取りますから、百人ぐらいしかふえない。それでいいんですか。大蔵大臣、そう理解しておられますか。

西垣昭大蔵省主計局次長

○西垣政府委員 臨調の答申によりますと、学級編制の計画と高校の定数改善計画につきましては、実施を停止するというふうに言われておりますが、現在御審議いただいております法案では、停止するのではなくて、ふやし方につきまして財政事情を考慮するということで、少しずつふやしていくという方針になっております。  それから、児童生徒の増加に伴う増員措置は、弾力的に対処することによって大幅に縮減する、こういう答申が出ておりますので、いま文部省の方から御説明を申し上げましたとおりの要求でございますので、われわれといたしましては文部省ともよく相談をしながら、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、来年度の財政事情がきわめて厳しいので、その中に入るか入らないか、その辺もよく考慮しながら検討してまいりたい、こういうふうに考えております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 自然増というのは、どちらかと言えばこれは問答無益なんです。ふえるので学級がこれだけ要るから、どうしたってそれは配置せざるを得ない。いまだかつてこれを削ったとかいうようなことはないのです。しかし今度のでは、それを削ったら受け持ちの先生のない子供ができますよ、いままでどおりいけば。いいですか。自然増ですからね。子供のふえたのに対応するんだから。しかも、いまのように四十人学級へ本当に三百名向ける、残りの四百から百ピンはねしておいて三百送るとしても、それじゃ現在の学校教育の形態というのはダウンせざるを得ない。余ったのを抱えていれば別ですけれども、ないのです。自然増を削った例がいままでにありますか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 これまで自然増につきましてはそれなりに措置をしてまいっております。ただ、明年につきましては、これは先ほど来御議論がございますように、財政再建のための行政改革の一環としての措置でございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 自然増というのは、いま言われたように幼稚園へ戻すわけにはいかぬでしょう。たまたまめぐり合わせが悪くて、来年学校へ入る子供だけが自然増に対する教員を見てもらえない、教育条件が悪くなるのです。そんなばかなことはないでしょう。そんなばかな話はあってはならない。いまだかつて自然増を削った例はありませんよ、総理。そんなのをほっておいていいですか。これは断じて承服できません。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 先ほども申し上げたのでございますけれども、これはやはりそれぞれ各都道府県の実態に応じて、都道府県でいろいろと工夫をし、協力してもらうということでございますが、自然増の子供たちを教育するための学級編制なり、あるいは教員配置というものは、これはきちんとやることができるというふうに考えております。ただいま湯山委員御指摘のように、担任の先生がいない学級ができる、そういうことはないわけでございます。これはそれぞれの都道府県の全体の教員配置の中で、配置でございますとか、あるいは教諭等の担当授業時数の調整でございますとか、あるいは音楽、図工、体育等、専科教員等がおりますが、これらについての勤務体制の工夫でございますとか、あるいは長期派遣研修の人員の調整など、いろいろな工夫によりまして、一つの非常事態でございますので、この縮減措置に対して各都道府県の協力を求めていく、こういうことでございまして、個々の具体的な方法はそれぞれの都道府県の教育委員会の判断にゆだねることになるというふうに考えておる次第でございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 とんでもないことです。そんなことをしたら教育力は低下しますよ。あなたは、専科の教員、音楽の先生に足りない面を埋めさす、やりくりして。音楽専科は今度はそれと別なことをやらぬといかぬ。教頭も、専任の教頭がクラスを持ってやれ、穴埋めせい。そんなことをやれば教育力ががたっと低下する。これは理屈じゃない、減るんだから。減るでしょう。(「そんなことない」と呼ぶ者あり)ないことないです。  それでは、どういう方法でどうやって五百人出すか、資料をきちっと出してください、具体的にこういう方法でこうというのを。そんな工夫と言ったって、新しく入った子供ですよ。いまだかつてこれに手をつけたことはありません。無条件で自然増を認めてきたんだ。今度幾ら行管がやかましく言おうが何だろうが、自然増を五百減らすなんということはないです。絶対これはあってはならない。いいですか。出ないことには、何とか工夫してもらうと言ったって、それはだめだよ。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 具体的な各県の対応につきましては、先ほど申し上げましたように、予算編成の時期までに各県でもいろいろと工夫検討をしていただきまして詰めてまいりたい、こういうことでございます。全体として五百人ということでございます。まあ一県当たり十名についての調整の問題でございまして、これはそれぞれの県の中にたくさん先生方がおられるわけでございますから、その中で平均して十名何がしというものについての調整を明年度に限りひとつやっていただこう、こういうことでございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 やはりだめです。無理するだけ教育現場の負担が重くなるか、教育力が低下するか、もうそうならざるを得ぬのです。ですから、これはきらんと、どれだけ——大体ふやす数がせいぜい六百ぐらいでしょう、七百と言われたけれども、百名は抜かれて学校へ入ってしまいますから。それでもどうにかそれだけでも残るかなと思ったら、なにごっそりそれに近いものを抜いてしまうのです。そんなことでごまかしちゃいけません。これは明らかにごまかしです。文部大臣、いまのはおわかりですか。それじゃ困るでしょう。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 お答えいたします。  ただいま局長からお話しいたしましたように、一県当たり十名足らずの教員数でございますが、これを現場で、県教育委員会の段階以下におきまして何とか調整はできないものだろうか、そういうことが問題の、痛み分けと申しますか、臨調というものの苦しい一つの姿でございまして、われわれもそれに対しましてはできるだけ支障がないように……(発言する者多し)

金丸信自由民主党

○金丸委員長 静粛に願います。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 万全を期したい。これは今後なおいろいろと御相談をしてもらわなければならない問題でございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 もうこれはやめます。(「具体的な計画を出しなさい」「事後に資料で」と呼び、その他発言する者あり)

金丸信自由民主党

○金丸委員長 湯山さん、ただいまの問題は明快な答弁がないようでありますから、一応資料によって、出していただくことにして、なお、その資料がいろいろ問題がありましたら、また御質問をしていただくということにして、この問題は一応たな上げにして前へ進んでいただきたいと思います。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 委員長の御結論もわかりますが、資料が出せるかどうか、委員長、資料を出すかどうかちょっと確かめてください。

金丸信自由民主党

○金丸委員長 局長、一応資料を出していただいて……。明快な資料を出してください、素人にわかるようなものを。時間がかかると言うけれども、委員会の中で、委員会の開会中に。  速記をとめて。     〔速記中止〕

金丸信自由民主党

○金丸委員長 速記を始めて。  それでは話を進めてください。湯山君。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 この問題は、大臣も行管長官も総理も、いまだかつて、私が何年国会でお世話になったかわかりませんが、自然増へ手をつけたという例はありません。自然増というのは無条件で認められてきた数です。それを幾ら臨調といえども、ほかのはやむを得ない面もあります。それは改善ですから、足踏みさしてくれというのはありますけれども、自然増へ手をつけるという例はないし、それはその年生まれた子供は不幸だということにしかならないのです。このことをひとつしっかりお含みの上で、余り皆さんの方が強過ぎて、あっちが弱過ぎてそういうことになったのかもしれませんけれども、これはひとつ考え直してもらいたいと思います。  そこで、それほどお金がかかるのならお金を出す方法を申し上げたいのですが、たとえば主任手当なんかというのがあるでしょう。これは教職員の質の向上を図るために、人材確保のためにいろいろお金を出していただいた。これも高度成長時代です。そのついでに何か主任というのをつくって、これへまた手当を出す。ずいぶんごたごたして、いまでもそんなのは要らぬというので返上してプールしておいて、それでたとえばいい音楽家を招いて大きなコンサートをやって子供に聞かしておるといったのをやっておるのです。そんなのがあるし、図書館の本にして、主任手当は私はもらわないと言ってやっておる人もあるし、ずいぶんそういうのがあるのですが、学校の中でも余りおもしろくないので、たとえば非行の問題でも熱心な人がやられるということをよく言います。校内暴力でやられるのは、その人は主任手当をもらって生徒指導主任になって、一人やかましく役目を買って出てやっておるものだから対象になる、そういう例もあるのです。こう見てくると、主任手当なんというものは、もうこれだけ希望者もたくさんある今日の段階においては削ったらどうでしょうか。四十五、六億が出てくるのですが……。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 ただいまの主任手当の問題でございますが、いまの文教制度の上から申しまして、学校の管理、秩序のある体制、校長を中心といたしました一つの体制というものが非常に問題になっておるところでございます。この主任手当の関係は、ただいま御発言の御要望につきましては、残念ながら私どもといたしましては了承いたすことはできない次第でございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 じゃ、文部省にお尋ねいたします。  主任手当を直接本人が受け取らないでプールしておったり、あるいはほかへ直ちに寄付したり、そういうのが幾らぐらいありますか。

三角哲生文部省初等中等教育局長

○三角政府委員 主任手当につきましては、五十三年から五十六年三月まで、支給総額として二百八十六億円支給しておる実績がございます。その間におきまして、いまお尋ねの拠出状況でございますけれども、これは私ども正規の手続でチェックする手だてもございませんし、そういう筋合いのことにもなっていないんで、これはまあ湯山先生の方が御存じだと思いますが……(発言する者あり)日教組の発表を私ども教わっておりますので、それをあえてこちらから申し上げますと五十七億七千九百万円、こういうふうに聞いております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 ああいう失礼なことはひとつ注意していただくことにして、中曽根長官は、さっき政治家がどうこうで、群馬県の県会議員さんは率先して給与を返上したですか、ベースアップを控えた。お互い率先してやらなければならぬというときに、ちゃんとやっておるのですから、いいのじゃないですか、そういうことは。明らかに財政再建に協力できる、主任手当やめたらですね。そうしたらいいかどうかというのです。そうすべきじゃないですか。大蔵大臣、どうお考えですか、財政の見地から。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 主任手当の問題についてはいろいろと大論争があったところであって、自由民主党の政策として、これはどうしても教育の正常化のために必要であるというようなことで、そのためにそういう要求があって決定をされたものだと心得ております。したがって、わが政府は自由民主党の政府でございますから、その党との相談もなくしてこれをやめるということはできません。(発言する者あり)

金丸信自由民主党

○金丸委員長 静粛に願います。湯山さん、お願いします。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 申し上げたいのは、自然増まで抑える、そういうことをしながら、一方において完全に受け取ってもいないようなものを出すということを言っておるので、中身のことをとやかく言っておるつもりはないのです。財政の見地だけから言っておるのです。いずれにしても、それとこれとを比べたら、私はやはり自然増を完全充足するということでなければならないということだけ申し上げておきます。  さて次は、私学助成についてお聞きしたがったのですが、私学助成を大体この臨調答申では本年度並みということにしてありますが、あえて大学においては五十億、それから高校以下においては四十億増額の概算要求をしている。それはよくわかります。しかし、高校の場合はこれだけで増額になるというものじゃなくて、あと交付税による地方負担が大きいですから、これで増額になったとは言えないわけです。大学について申し上げれば、本来私学助成というのは五〇%以内という法律の条文があります。以内だからいいと言えばいいようなものですが、あれができるときには五年くらいで五〇%にするという説明がございました。いま何%でしょう。

柳川覺治文部省管理局長

○柳川(覺)政府委員 先生御指摘のとおり、私立大学に対します国の補助は二分の一以内となっておりますが、できるだけ速やかに二分の一にするよう努めるという附帯決議もございました経緯等もございまして、逐年その増額措置を図ってきたところでございまして、現在私立大学等の推定経常費の総額につきまして約三〇%を実現しておりますし、また具体に専任教職員の給与費あるいは教員の経費あるいは学生経費等、いわゆる経常費の根幹をなすものにつきましては、すでに標準経費の二分の一補助を達成しているというように考えております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 全体について言えば三〇%、しかし、この三〇%は年度当初は三〇%ですけれども、その年度途中の物価上昇、給与の引き上げ等がありますから、年度末になってくると二八、九%に落ちておるわけです。またそれを次の年上げて、また落ちて、三〇%を上下して、もう何年にもなります。だから、いまいらっしゃる方、海部大臣のときにも、そんなに言ったから、何年かかるのですかと言ったら、笑って頭をかいておられたぐらい、一向ふえません。  そこで、これはいまわずかに五十億ふえたのでは結局率から言えばダウンです。三〇%を切ってきます。すると、その分は結局父兄負担あるいは学生の負担ということにならざるを得ない。そこで、せめて現在の率が維持できる、現在三〇%ならば三〇%が維持できる、額を据え置くんじゃなくて、率を据え置けばそれほど負担増にはならない。この辺の配慮は一体なされる余地があるのかないのか。  それから私は、こんなことをしておったら、まだ十年かかっても二分の一にはならないと思います。当初五年と言ったのが、いまから十年たってもまだ五〇%までいかないと思います。やはりこれは四十人学級と同じように、年次計画を立ててその増額を図っていかなければならない。この三年は仕方ないですけれども、三年過ぎた後では、年次計画を立てて五〇%にするということがぜひ必要だと思います。これは文部大臣、お考えはいかがですか。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 お答えいたします。  私学の重要性というものは、いま先生が御指摘のとおりでありまして、非常に困難な財政事情のもとにありましても、われわれといたしましては、いま仰せられましたようなことも含めまして、大学につきましては五〇%、以下につきましては四〇%の増をあえてお願いをいたしておるような次第でございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 まだありますけれども、きょうはいろいろ委員長のお計らいもありましたし、それから後へ残った問題等もありますから、ひとつこれで終わりたいと思います。  それで総理大臣、レーガン大統領が九月二十四日にアメリカのエネルギー省と教育省を廃止するということを決定したのは御存じですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 新聞報道で承知しております。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 それについての御感想はいかがですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 それぞれの国にはそれぞれの事情と方針があろうかと思いますので、御批判は避けます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 いろいろ申し上げましたが、たとえば教科書の問題をめぐっていろいろな問題が起こったり、それから自然増まで削るなどということは、教科書の無償が崩れたり、自然増の教員配置もできないというようなことになると、私は、文部省は何のためにあるんだろうかという感じを持たざるを得ません。そうならないように、総理も御尽力を願いますし、文部大臣、大蔵大臣も含めて、皆さんひとつ御尽力願いたいということを強く要望して、質問を終わりたいと思います。

田中龍夫自由民主党文部大臣

○田中(龍)国務大臣 ただいまお答えいたしました中で、私が五十億と申すべきところを五〇%と申したそうでありまして、四〇%も同様にパーセントではございませんで四十億でございます。

湯山勇日本社会党

○湯山委員 終わります。

金丸信自由民主党

○金丸委員長 御苦労さま。  この際、関連質疑の申し出がありますので、これを許します。横山利秋君。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私は、先ほど安井委員、橋本委員、またいま湯山委員から質問がありました諸問題をじっと聞いておりまして、短い時間ではございますが、まず行革に取り組む総理の政治姿勢について伺いたいと思います。  その第一は、はしなくもいま大蔵大臣が暴言を吐かれました。自民党の政府だから仕方がないではないか、これは一体どう考えたらいいんでありましょうか。政党政治だから、自民党から選出されたことは、それは言うまでもない。しかし、いま国会である。国会で行政改革について与野党そろって審議をしておる。自民党の政府だから自民党の言ったことはやるんだ、おまえらに言われたって仕方がねえや、こうでも言われんばかりであります。政府は、かねがねあなたが言っていらっしゃるように、国民の声を聞いて国民のための政府だと私は考えている。自民党の政府だというあの発言に総理大臣はどうお考えですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 鈴木内閣は自民党を基盤にした内閣でございます。したがいまして、自由民主党の政策、これを尊重して、内閣が公約しております問題を着実に進めてまいりたい、こう思っております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 それなら言葉を正しく伝えております。自民党の政府だ、自民党が言われたことだから仕方がない、あなた方が主任手当をいろいろなことを言ったって仕方がない、こういう発言ですよ。暴言だと思いませんか。国会を軽視しておると思いませんか。野党に対して失礼だとはあなたは思いませんか。総理としてあなたの感想を伺っておる。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 大変言葉足らずで申しわけありません。(横山委員「だめです。撤回しなさい」と呼ぶ)自由民主党政権の政府でございます。それを自由民主党政府ということは、ちょっと俗語を使って申しまして大変恐縮でございますから、それは訂正をいたしておきます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 わかった。率直に訂正されたのは結構であります。私は、このいまの発言が実は底流として流れ、大蔵大臣を初め、もし総理の頭の中に常にそれが潜在的にあるとしたらゆゆしい問題だと思っております。御注意を申し上げます。  次に、いろいろと審議を尽くしておるわけでありますけれども、私が承知する限りにおいては、総理は、この臨時国会が終わったら内閣を改造するかのごとく伝えられております。一体、いまの時期に内閣改造をするというのはどういう意味でありましょうか。鈴木内閣は、派閥抗争の極致に達した後、大平さんが亡くなって、突如として誕生した、そういう内閣であります。しかし、わりあいに円満に行われておると私は思います。ところが、いまそれでなおかつ内閣改造をするということは、あなたの体制が完璧でないということなのか、あるいは行政改革の中で閣僚間に意見の相違があることはたくさんあるわけで、全部重要な問題は引き延ばしになっておるわけでありますが、自分の思っておることにどうも従わないらしいというのを排除しようというのであるか。気に食わない閣僚はこの際やめさせるということであるか。私どもはこの行政改革について各大臣と何回も何回も個別に、あるいはここでやり合っておるわけですが、あと一カ月か二カ月でやめるかもしれないという顔を見ると、これはまじめに議論ができないですよ。  何か聞くところによれば、田中派が八月に内閣改造をしたらどうだということを言い出したことがあるそうなんです。私はなかなかいい意見だと思うのですよ。この臨時国会から通常国会、この行政改革をロングランで責任を持ってやるとするならば、いま入口へ入って、玄関に入ってこんにちは、さあ何をやりましょう、あれをやりましょうと言って一段落済んだら、今度はおまえは首だ、そんなことはおかしいと思うのですね。改造するかせぬかという問題が政府に及ぼす影響が多い。あなたが政治生命をかけると言っている行政改革の上からいっても一体どういう意味が内閣改造にあるのか、やるのかやらぬのか、総理としてお答えを願いたい。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 横山さんは内閣改造をするかしないかというようなことを言っておりますが、全然私はいま考えておりません。私の頭にありますのは、この国民的課題である行財政改革、これを進める、国会並びに国民の御理解、御協力を得て実現をしたい、これでいっぱいでございます。内閣改造など、いま考えておりません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 あなたはそうおっしゃるけれども、この夏以来、マスコミを見ても、自民党の各派閥の皆さんに会ってみても、もうとにかく内閣改造は臨時国会後だとみんな言っているのですよ。そんなこと白々しいじゃありませんか。あなた本当に考えておらないということはやらないということですか、臨時国会後に内閣改造をしないということですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 私は、いま横山さんにそういう問題でお答えをする必要はない、このように考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 それは私どもが真剣に行政改革国会と称せられるここで議論をしておって、各閣僚の答弁を聞いて、長期にわたってどういう構想かと聞いておるわけですよ、あなたを含めて。そのときに、これはもう一カ月か二カ月たったらあの閣僚は飛んでしまう、この閣僚はかわるというようなことを考えつつ本当の議論ができるか、そういうことを私どもは思うわけですね。国会は、与党の人も質問するけれども、野党が主力になって結局は議論を尽くす。そういう居並ぶ閣僚、あの人はやめるのだな、あの人はどうだろう、鈴木総理に覚えが悪いらしいな、あれはかわるんだろうか、こういうことを考えるのですから、やらないならやらないとあなたがおっしゃれば、それですぐ次へ移ります。どうですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 考えておりませんということを先ほどから申し上げておるわけでございます。自由民霊堂という政党は、閣僚になろうとなるまいと、こういう国民の要請する重要な課題につきましては、党員挙げてそういう問題に真剣に取り組んでおりますから……。

横山利秋日本社会党

○横山委員 そうおっしゃって、内閣改造した後の私の質問を期待をしてください。  次に、総理ほか閣僚が給与の一部を返上するとおっしゃる。国民の中からはわりあいに好感を持って見られるとあなた方はお考えでしょうが、一体返上ということはどういうことなんでしょうか。返上なら、給料を下げればいいんですね。もらってから返上せずに、給料を法律で下げればいい。内閣改造をやって、次の新しい閣僚もまた返上ということになるんですか。これは総理及び閣僚の返上論というものが——金額の問題じゃないと私は思いますよ。金額の問題じゃないと思いますが、何か手前みそみたいな気がしてならぬのです。三年間は総理及び閣僚が皆返上。返上といったって、結局は寄付。税金のことをどうお考えになっているか知らぬけれども、とにかくもらってから返す。これは寄付の形をとる。三年たったら、今度はまた旧に復するんですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 行政改革を国民の皆さんにも御理解を願い、またお互いに痛みを分かち合ってこれを達成をしたい、こういうときでございますから、内閣の姿勢としてこれを実行したいというのが私の念願でございまして、三年間を適用期間としてこれを行おうとするものでございます。(横山委員「三年たったら」と呼ぶ)当然三年経過いたしますれば、きょうの時点に復するということに相なるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 これは自由意思ですか。総理は幾ら、閣僚は幾らというふうに決めてあるわけじゃないんですね。各人勝手に、一円でもいい、一万円でもいい、十万円でもいい、こういうことですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 それは改定分、給与が増高する、その分を寄付をしよう、こういうことでございまして、個々にやる問題ではございません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 そうですか。私は、現給料の中から一部を出すと思ったら、今度公務員のベースアップが行われるときに、総理や閣僚もふえるから、そのアップ分だけ返上する、こういう意味ですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 現状に抑えよう、上がる場合は、その分については寄付を申し上げる、こういうことです。

横山利秋日本社会党

○横山委員 ああそうですか。そうすると、総理及び閣僚は上がることが前提である、したがって、給与法が出ることを前提にしての話なんですな。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 これは今後三年間でございます。各年度についてどうするということはまだ決めておりません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 次に、このあなたが政治生命をかけると言う行政改革国会の途中に南北サミットへお出かけになる。私は、南北サミットの意義についてここでちょうちょうとは申し上げません。しかし、この国会の重要なときに数日間おあけになる。大変御苦労さんなことだと思います。私は、絶対に行くなとか、けちをつけるつもりはありません。ただ、いまサダト大統領が不慮の死に遭われたという突発的な問題が起こりました。そしてまた、レーガン大統領はいま開発途上国から余りよく思われていないと私は見ているわけであります。それは、たとえば第二世銀の増資について余り積極的でない。あるいはまた先般も、開発途上国への融資について敵と味方を分けろ、選別融資をやれ、何もアメリカのことを考えてくれぬ国に経済援助をする必要はないじゃないかという立場をとっている。それからまた、武器の輸出についてどんどんやっている。そういう意味合いにおいては、開発途上国がいまのレーガン政策についていい顔をしておるとは私は思わないのであります。  あなたは南北サミットへ行かれてレーガン大統領とお話し合いをなさると思うのですが、サダト大統領の死によって今後影響する諸問題、それから開発途上国の一般的ないま例示いたしました諸問題について、どういう立場でお話し合いをなさるおつもりですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 南北サミットは、御承知のように、北側の先進諸国と南側の発展途上国の有力な首脳が一堂に会して今後の南北間の経済協力の問題、また相互依存関係にあるわけでございますから、そういう連帯と協調の精神で今後の南北問題を建設的に進めていこう、こういうことを自由な立場で意見の交換をし、将来の展望をお互いに切り開いていこう、こういうことでございます。  わが国は、軍事的に、自分の国を守る以外のことはできません。経済力あるいは技術力をもちまして開発途上の国々に対してできるだけの協力をやってまいりたい、これが世界の平和と安定に寄与するゆえんである、このように考えておるわけでございます。私はASEANに参りました際にも提案をし、それが非常にASEANの五カ国でも好感を持って迎えられ、現に円滑に進められておるのでありますが、農業の振興あるいは農村の建設、人づくりの問題、そういうようなことを私は特に具体的な提案として強調いたしたい、このように考えておるのでございます。  レーガンさんはどのような見解を南北サミットで表明をされますか、これはまだわかりません。しかし、オタワのサミットにおきましてレーガンさんが表明したこと、また、その後南北サミットの準備会議でアメリカのヘイグ国務長官が述べられたこと、園田外務大臣との話し合いの際におきましても、アメリカも南北問題に対しては誠意を持って積極的な協力をやっていこう、こういうことを表明をいたしておるわけでございます。したがいまして、アメリカはこうじゃないだろうか、ああじゃないだろうかということを予断を持っていまからどうこうということを申し上げる段階ではない、こう御了承いただきたい。

横山利秋日本社会党

○横山委員 この問題、もう一言だけ申し上げておきます。  アメリカがどう考えるだろうかということは予断を持つことはできないとおっしゃるけれども、実際問題として、サダト大統領の突然の死によってアメリカの強硬路線はますます強くなるだろうと思いますよ。それから、対ソ穀物禁輸の解除はいいとしても、中国への軍事援助や南への選別融資や第二世銀の問題等々から考えてみまして、あなたがレーガン大統領と会われて、そうだそうだなんて言っておったら、開発途上国の信頼を失いますよ。  私があなたにぜひこういう点は強調してほしいと思いますのは、一つには、東西対立を発展途上国へ輸出するなということです。二つには、開発途上国へ武器を大国がどんどん輸出するようなことはやめろということです。開発途上国への一般援助をふやせということです。そうして、あなたがバンコクあるいはオタワでおっしゃったように、相互依存と連帯で南北の平和的共存、協力を進めるという立場で、レーガン大統領とお会いになったなら少し次元の違う日本の立場というものを明らかになさいませんと発展途上国の信頼を失うと思いますが、どうですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 南北問題に臨むわが国の政府の基本的な姿勢につきましては、先ほど明確に申し上げたとおりでございます。したがいまして、もし日本のこの基本的な考え方と違う意見がいずれかの国の代表から申し述べられました場合におきましては、日本の主張が十分理解がいけるように積極的にこれに働きかける、こういうつもりでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 多少のニュアンスの問題が残りますけれども、私どもとしては、ぜひレーガン大統領とお会いになったときの態度、ありよう、発表に十分注意をしていただきたいと希望します。  さて、先ほど安井委員、橋本委員の質問を聞きまして、私は、重複をしないように問題を整理して少し質問をしたいと思います。要するに、二人の質問に答えて政府側が答弁をされたことを整理していきます。問題は、そこで煮詰まらなかったことは、私が感じますことは、財政再建のこの法案の持つ目標並びにそこへ至る道筋、それが質疑応答の中でわかったようなわからぬようなことだと思うのです。  私が整理をしますから、それに違うなら違うと言ってください。  まず第一に、三カ年を設定された。この三カ年は財政再建期間だと考える、よろしいか。

中曽根康弘自由民主党行政管理庁長官

○中曽根国務大臣 財政再建を主に考えてこういう措置をとりました。

横山利秋日本社会党

○横山委員 次に、この財政再建は増税のない財政再建として出発した、それが将来増税をするかせぬかについてはまだちょっと先ほどの論議は残っておるが、少なくとも増税のない財政再建を目指した、こういうことでよろしいか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 五十七年度予算の編成に当たっては増税を考えていない。それから先のことについては、私どものはっきり言えるのは五十九年度までに赤字国債から、特例国債から脱却するということですね。これははっきり言える。私は約束をしておるわけです。  問題は、来年度ゼロシーリングでうまくいった、仮にできた、それじゃ五十八年度もゼロシーリングでことしと全く同じ予算だ、その次も全く同じ予算だというようなことは非常にむずかしいんじゃないか。したがって、ゼロシーリングというのは何年間続くか。しかし、どうしても膨張する経費がありますから、それは自然増収の中で全部吸収できるかどうかという問題がございますので、これは負担と政府のサービスとの問題でございますから、そのときどきにならなければ、いまからどうするこうするということは確約するのは非常に困難であろう、そう出しておるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 財政再建の終局点、いまでは昭和五十九年末ですね、その財政再建ができたということはどういうことなのか。いまあなたのお話によれば、特例公債は六十年以降は発行しないというのが一つの目標である、六十年以降はいままで出した特例公債は償還する、この二つが目標なんですか。そのほかにありますか。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 国債には、御承知のとおり二通りございまして、十年ものが大部分でございますが、建設国債と特例国債と、それで建設国債はすでにもう期限が来て、ぼつぼつ返済しているものもございます。しかし、大量に返済が始まるというのはやはり六十年以降ということであって、ことに昭和五十年には赤字国債を大量に発行したといういきさつもございますから、それの償還をしていかなければならない。十年ものは初めて赤字国債の償還が大量に来るわけですね。したがって、その償還をしていかなければならない年にぶつかる。建設国債については借りかえという問題が起きます。それと同時に、今後の問題ですからいまはっきりしたことは申せませんが、あるいは建設国債は続けて多少発行しなければならないという事態も考えられる、こう思っております。先のことはもっと先になってみなければはっきりしたことはわかりません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 重ねて確認しますが、特例公債は五十九年度で終わり、六十年度から返済にかかる、それが財政再建の目標である、こういうことですね。ほかにありますか、財政再建について。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 それと、やはり政府の支出を支えるものは歳入でございますが、歳入の八割程度はやはり租税負担にすることがいいだろうと、税調答申等でも言われておるわけでございます。その方が健全財政になる。  それからもう一つは、やはりいままでは高度経済成長時代にいろいろな機構や制度をつくりましたけれども、しかしながら非常に財政が欠乏してきているという場合においては——減税をしてもまた自然増収ができるという時代がございました。そういうようなときと現在は違いますから、もう一遍安定成長下には安定成長下時代の財政の仕組みというものを考え出していく必要がある、こう考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 大蔵大臣としての意見はわかりました。財政再建とはこういうことだ、わかりました。しかし、行政改革をやる中曽根さんはそういう論理ですか。財政再建というものは、簡単に言えば特例公債に限定される……。

中曽根康弘自由民主党行政管理庁長官

○中曽根国務大臣 一番簡単に言えばそういうことだと思いますが、しかしそのときの財政、金融状況全般をよく考えてみて、国の財政政策に機動性、弾力性が回復し得るかどうか、余り硬直して動きがとれないようになっているかどうか、そういうような点も付帯的に考えるべき問題だろうと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 それで少しペンディングの点が、ゼロシーリングの問題と増税しないという問題、それから総理大臣が先ほどおっしゃった福祉の切り捨てはしない、弱者の保護を断固としてやる、この問題が残っております。ゼロシーリングが五十八、五十九も続くかどうかわからないとおっしゃる。増税をしないとは約束できないともおっしゃる。けれども、政府の政策目標として、これを実現するためには三年間はゼロシーリングでありたい、増税しないでありたい、福祉の切り捨てはしないでありたいという政策目標であるということは言えますか。総理大臣、どうですか。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 まず、大蔵大臣が先ほど申し上げたように、五十七年度予算は増税をしないでゼロシーリングの枠組みの中で、しかも五十九年度において特例公債依存の体質から脱却しよう、こういうことで五十七年度予算の編成には取り組む、これがはっきりお約束を申し上げておる点でございます。  それから、五十八年、五十九年にわたるわけでありますが、五十九年の時点においては特例公債依存から脱却するわけでございますから、六十年度からは特例公債は発行しない、このように考えております。  それから、五十八年、五十九年も大型増税によらないで、そして予算の編成を五十七年と同じようにゼロシーリングのベースで組むかどうか、こういうお尋ねでございますが、これは先ほど大蔵大臣も申し上げましたように、できるだけ国民の皆さんに大きな御負担をかけないようにという基本的な方針、これにのっとってまいりますけれども、それをいまの時点で、ゼロシーリングで五十八年度も五十九年度も予算を組むのだというようなことをいま申し上げるような段階ではない。景気の動向もございましょうし、税収の問題もございましょうし、あるいは行政需要の問題もございましょう。いろいろの不確定な要素がございますから、それをここで明言をし、お約束をするわけにはまいりませんが、国民の皆さんにできるだけ御負担をかけないようにして、財政再建の道を行財政の改革を中心にして進めていきたい、こういうことを申し上げておるのでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 要するに、なるべく増税しないでおきたいということでございますね。それはしかと承っておきます。  経済企画庁長官に伺います。ここに新経済社会七カ年計画を持っております。これによれば「我が国経済を新しい安定的な成長軌道に乗せ、質的に充実した国民生活を実現するとともに国際経済社会の発展に積極的に貢献していかなければならない。」このために、五十四年度から六十年度を最終年度とする新経済計画を作成する。「その実現を目指して中長期にわたって政府が行うべき経済運営の基本方向を定めるとともに、重点となる政策目標と政策手段の体系」を明らかにした。「この計画で描く経済社会の変化方向や国民生活の充実の方向については、計画の想定する内外の諸条件に大幅な変更が生じない限り、政府として、その実現に努めるべきものであることはいうまでもない。」これは先ほどお答えになりましたように、本年一月のフォローアップで多少修正がされましたけれども、物の考え方は一緒ですね。この経済七カ年計画が実現するのが昭和六十年度ですね。財政再建が終わるのが六十年度ですね。これは両方ともかち合っている年度なんです。  河本さんに伺いますが、あなたが先ほどおっしゃったことを非常に注意深く聞いておりました。あなたは、仮にわが国がそこで経済成長率が高められれば税収の伸びもある、そして成長率の達成に努めたい、早く所得の伸びのできる条件をつくりたい、こういうことを先ほどおっしゃっていました。それはこの基本計画に沿った言葉だと思うのです。私が考えてみますに、いまの財政再建計画とこの七カ年計画とに言い方はいろいろあるけれども、明らかに性格が違うではないかということを私は考えるわけです。この当時でも、ことしのフォローアップでも、財政再建には触れていますよ。触れていますけれども、物の考え方として、成長率を高めなければ税収も出てこないよ、自然増収も出てこないよ、国民の活力も出てこないよということが、この七カ年計画に脈々として波打っておると私は思うのです。そういう点ではいまの状況、いまわれわれが審議をし、総理あるいは閣僚から御答弁がある状況からいいますと、成長率の向上は、これからこのような財政再建の状況の中で果たして望めるだろうか。それから個人消費の伸びが落ちているといいますか横ばいですね。そして賃金などについても、政府の態度はまだわかりませんけれども非常に消極的ですね。春闘でもそうです。そういうことから考えますと、経済七カ年計画の達成というものはいまでも一年半ぐらい延びておるという話がありますが、達成が困難ではありませんか。あなたはどう考えますか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 いまのお話の中で、財政再建と七カ年計画の目標年次は同じである、こういうお話がございましたけれども、財政再建の目標年次は五十七年度から三カ年ということで五十九年度、こういうことでございます。七カ年計画は五十四年から六十年度まででございますから、一年違っておる、こういうことでございます。  いまのお話を簡単に申し上げますと、財政再建というのは、三カ年に赤字公債をなくすることである、三カ年に赤字公債をなくする努力をするならば七カ年計画の速成はむずかしくなるのではないか、こういうお話であったと思うのです。  それから、七カ年計画は一年半ばかりずれておるではないか、こういうお話もございましたが、私は、七カ年計画は実はことしの初めまで一年半ばかりずれておりましたので、それで関係各省で調整をいたしまして、二百四十兆という社会資本投資を五十兆減額をいたしまして、七カ年間の社会資本投資総額を百九十兆に修正したわけです。そこで、そのずれは一応解消いたしました。     〔委員長退席、海部委員長代理着席〕  それから、第二点の赤字公債を三カ年でなくする努力をしながらこの目標は達成できるかということでございますが、私は達成できる、このように思っております。と申しますのは、わが国の経済の規模はことしは二百六十兆でございますけれども、来年は、目下作業中でございますが、、三百兆近い経済の規模になるのではないか、こう思っております。そして、この一月に修正いたしました七カ年計画の最終年次の規模は四百十三兆、このように想定をしております。それだけ大きな経済の規模でございますから、一年に二兆や三兆の財政削減をいたしましても、経済全体の活力を維持することが可能であるならばそのデフレ効果は十分吸収できる、このように考えております。現に過去三年ないし四年の間、公共事業は金額的にも伸びておりません。したがって、これは実際の仕事の量は減っておるわけです。しかもまた、対外的には油の値段の三倍上昇というデフレ効果も出ております。したがって、七兆から八兆という油代をよけい払っておる、こういうデフレ効果も出ております。しかしながら、それらはいずれも吸収をいたしまして、大体五%前後の成長が続いております。また、年間約五兆という税の自然増収を生み出す力もいま持っております。そういうことでございますから、財政は経済全体の一部でありますから、わが国の経済全体が活力を維持するという、つまり景気を悪くしない、こういう政策を総合的に進めますならば、七カ年計画と財政再建ということは両立し得る課題である、このように考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 言いたいことを全部おっしゃっておるのかどうかわかりませんが、少し楽観に過ぎやしないかと私は思います。  ついこの間、当面の経済運営に関するあれが出ましたね。その中で、特筆すべきことは、外需の増強に比べて内需が少ない、内需をふやさなければならぬ、こういうことが一つの柱になっておったと思います。この間、通産大臣、九月の四日にやはりあなたもこれを指摘して、個人消費の拡大をしなければならぬ、そしてまた住宅建設の促進などの検討を行うということが新聞に出ておりました。間違いありませんね。それから安倍政調会長は、内需の柱は住宅対策だ、こういうことを閣僚会議でおっしゃったということを記憶しておるわけです。これは言うのはやすいけれども、実際問題として、その効果がいまの概算要求なり、あるいはいまのこの政府の施策の中で一体出てくるだろうかということを私は心配するわけです。  建設大臣いらっしゃるのですけれども、私も建設委員をやっておるのですが、つい通常国会で政府は公営住宅の建設戸数を減らしました。そしてまた、いまここで住宅金融公庫の金利を三年間上げるの上げないのと言っている。いまだって住宅金融公庫へ金を貸してくれと言うのが少なくなった。金利が上がれば住宅金融公庫へ金を貸してくれと言う人は少ないですね。それから、減税効果というものが景気回復の一つの個人消費増大の議論になるわけですけれども、減税もおやりにならぬというマイナス要因といいますか不況要因といいますか、そうして総体的にこの行革デフレというものが議論がされていますが、行革デフレはない、いやある、いろいろ意見の分かれるところではありますが、景気の回復要因でないことは間違いないと私は思います。そうなりますと、河本さん、あなたは大丈夫だとおっしゃっておるのですけれども、本当にこれでいいのでしょうか。この七カ年計画の達成に重大な支障を与えると思いませんか。私が例示したことについてどうお考えですか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 現在の経済の状態を申し上げますと、二年前に第二次石油危機が起こりまして、世界じゅうの経済は大混乱に陥っております。各国ともインフレと失業という非常にむずかしい問題に苦しんでおります。  そこで、先般もOECDからいろいろな発表がございましたが、ことしの後半から来年の前半にかけて世界経済は一番悪い、来年の後半以降再来年にかけてだんだんと回復に向かっていく、こういう報告がされておりますが、やはり私もそういうことでなかろうかと思っております。と申しますのは、第二次石油危機が起こりましてから若干時間もたっておりますので、その混乱をだんだんと吸収する方向にいっておる、こう判断をいたしております。そういう背景に日本経済がございますから、日本経済全体としてもいま大変やりにくい時期だ、こう思っておるのです。     〔海部委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、今月の初め、若干の政策の修正をいたしました。しかしながら、経済全体といたしましては、ほぼ五%弱の実質経済成長が続いておると思うのです。そういうことを考えますと、何しろ日本経済は、先ほども申し上げましたように非常に大きな規模になっておりますから、ごく少額の二兆、三兆という財政の縮減がございましても、他の民間の経済の大きな柱である幾つかの問題がうまく軌道に乗っていく、こういうことでありますと、まずまず所期の成長目標は達成できる、こう思っております。  ただ、繰り返して申し上げますけれども、経済全体の活力を維持するためには、ほっておいたのではなかなかうまくまいりませんから、やはり常に細心の機敏な対応が必要である、このように考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 ほっておいてはだめだから何とかしなければならぬとおっしゃるのですが、先ほどあなたがおっしゃった中で、成長率が伸びれば自然増収もあるだろうからそれを期待するという先ほどの発言でございます。一方、大蔵省は、ことしも自然増収は予定できないと断言をいたしました。来年どういうことになるかといいますと、来年だっていまの財政再建の方途からいくならば、自然増収がたくさんできるというふうには考えられないではありませんか。来年度予算の自然増収でいろいろな数字が出ておりますけれども、当初の数字よりも二千億くらい自然増収の見積もりが減るのじゃないかということを言われていますね、大蔵大臣。そういうことから考えますと、自然増収に多くを期待することができない。  要するに、結論的に私が申し上げますことは、とにかく長年かかって新経済社会七カ年計画というものが閣議で策定をされた。それによって各省とも軌道に乗せた。建設省では五つか六つの五カ年計画が策定された。ほかの省もみんなそうだと思うのであります。この七カ年計画に準拠して各省の長期計画が作成されておるけれども、これが軒並みに財政再建のあおりを食って、延伸ないしは低下の一途をたどる、こういうことがいまや歴然としておると私は思うわけです。この七カ年計画は何も経済企画庁がつくったわけじゃない。閣議で了承されておるものですね。  私が言いたいのは、この七カ年計画ができました当時は、大平総理大臣、経済企画庁長官は小坂徳三郎さん、長年かかってできた政府の決定である長期計画と、いまわれわれが直面しておる財政再建とは非常に物の考え方からずれが生じておる。あなたは調整できると言うけれども、調整をしていくに従ってだんだんとこの七カ年計画というものの土台が失われていく。フォローアップしてまた延ばす、また落とすということになっているうちに、何のための七カ年計画であったかということになると思うのです。  ですから私は、総理大臣に伺いたいと思いますのは、これは五十四年ですかに作成されたものですね。今度の財政再建も内閣が決めたもの。同じ自民党政府で決めた二つの国家計画、国家の中心となります長期計画に二つある。その二つのどちらが一体究極的に優先するものであるか、どちらが一体日本経済にとって長期的なきちんとしたものであるか、こういう点について私は疑問を生ずるわけです。それで総理大臣としてどういうふうにその点お考えになっておるか、伺いたいと思います。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 横山さんのお考えはどの点にあるか、私はっきり承知いたしませんが、経済七カ年計画、これは企画庁長官も申し上げましたように、その基本を変える考えは政府としては持っておりません。フォローアップをしながらこれを実行に移していく、こういう考えでございます。  さらに、財政再建は五十九年度までに達成をするという目標を設定をいたしておりまして、この二つの計画目標によりましてわが国の経済を安定の軌道に乗せ、かつ、一方において財政の再建を達成しよう、こういう考えでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 総理大臣、失礼ですが、経済七カ年計画の作成にたしかタッチをしていらっしゃらなかったのではないか、そしてこの内容及び精神というものを十分把握していらっしゃらないのじゃないかと私は思います。  それで私は、いま御両所の話を聞きましてますます心配を強くするものです。一つの政府が新経済社会七カ年計画と財政再建三カ年計画、それはしかし三カ年で完全に終わるのじゃなくて、言うならば長期に続くのですから、この両者の調整——両者の基本的な精神が違うと私は思うのですけれども、その違いをどういうふうに考えるべきかについて、総理大臣のいまのお話では納得できません。経済企画庁長官のお話も納得できません。少しニュアンスがまた違うのですから。  それで委員長にお願いをしたいのですが、私、時間がございませんので次に移らざるを得ません。新経済社会七カ年計画と財政再建計画とのつながり、その調整、それについて政府としてはどう考えるかという統一見解をひとつ提出を願いたいと思いますが、お取り計らい願えませんか。

河本敏夫自由民主党経済企画庁長官

○河本国務大臣 ちょっと簡単に補足して説明をきせていただきますと、五十四年にこの計画ができたわけです。しかしながら、その後第二次石油危機が起こりましたので、ずっと社会資本投資、つまり公共事業は据え置きが続いておりました。  そこで、当初考えておりました二百四十兆円という投資は七カ年でむずかしいということで、ことしの一月に総額百九十兆という投資に変更いたしました。それでも実質成長は五・五%をそのまま据え置く、こういうことを決めたわけでありますが、それはなぜできるかといいますと、その間、日本経済が非常に大きくなりまして、民間の経済の力が相当強くなってまいりました。そういうことから、公共事業が少々減っても成長率は十分達成できる、こういう確信のもとに以上申し上げましたような結論を出したわけであります。また、事実そのとおりほぼ進んでおると考えておるのです。  そこで、先ほども申し上げましたように、七カ年計画を進めながら、その間において財政再建、先ほど申し上げましたような目標は十分達成できるし、これは両立し得る課題である、私どもはこのように確信をしてこれまで政策を進めてきたわけでございまして、なおそれで御理解をしていただけないということであれば、後刻文書にいたしまして提出をいたします。

金丸信自由民主党

○金丸委員長 いまの統一見解は、それでいいですか。

横山利秋日本社会党

○横山委員 そのようにお手配を願えるそうでございますから……。  次に、行政改革が中小企業に与える影響について伺いたいと思うのです。私は端的に言いまして、いまの経済は堅調だと一般論として言われておりますが、大企業は堅調だけれども、中小企業においては、私も選挙区が名古屋で各業界ずっと回ったのですけれども、どこもかしこも景気が悪い。繊維も悪いし、プライウッドも悪いし、それから金属関係も悪いし、どこへ回りましても不況である。百貨店の売り上げも悪いし、取引店もそれで痛められておる。中小企業デフレだと私は思うのです。  今回行革が行われるについて一体中小企業にどんな影響があるかという点については、まだ行革の具体的な展開が十分できておりませんからなんでございますけれども、ここに例を一つ挙げましょう。たとえば、臨調の答申の中にあります車検の問題であります。運輸大臣にお伺いいたしますが、自動車の定期点検整備の検査について臨調の答申の中に例示が出ております。  仮に伝えられるように、二年を三年にするといたしましょうか。いま約七、八万の自動車修理工場があるでしょう。労働者が三十万はおるでしょう。また、それに伴う産業が工具屋さんなどいろいろあるでしょう。家族を含めますならば約百万以上になるでしょう。これは二年が三年になれば三分の一仕事を失うわけですね。それから、あれは点検整備の金をもらうときに税金を立てかえて出しておるわけですね。それが二年分もらっているものを今度三年分もらうということになりかねないわけですね。そういうことが消費者、お客さんとして、三年分の税金、こういうふうにすぐなる。そう考えますと、中小企業に与える行革のうわさされておる問題で、中小企業も得する、国民も得する、役所も人が減る、三方みんないいのはいいですよ。けれども、それによって業界に大混乱が起こる、それによって大変な騒ぎが起こるというようなことが想定される。  たとえば、大蔵大臣、酒とたばこの小売屋さんの問題を例に引いてみましょうか。酒とたばこの小売屋は免許制度ですね。しかし、たばこにしたって酒にしたって、酒は庫出し課税ですから、メーカーから取るわけですから、何も酒屋さんから税金をもらっているわけじゃないですね。何で免許制度になっておるかという議論がある。これは免許制度を取っ払うといったら税務署は困るか困らぬか議論があるところでありますけれども、これならば、議論として言うならば、そんなものならそうむずかしくなることはないさと言うのだが、中小企業に与える中で、これならばということと、いまの車検の問題を例に引きまして、閣議の中でも閣僚の中でも、えらい意見が違う人があるそうでありますけれども、その及ぼす影響というのは実に甚大なものがある。許認可を全部取っ払えという話はありませんけれども、少なくとも中小企業はいまおれらに関係ないと思っている人が多いけれども、さて、そういうところまで話が進んでいきますと、業界の混乱は過当競争を生んで、そして収拾しがたいことにもなる。いろいろな例示がありますけれども、運輸大臣、どうお考えですか。

塩川正十郎自由民主党運輸大臣

○塩川国務大臣 仰せのように、現在整備工場は全国で約七万八千ございまして、そのうちの七万一千がいわば零細企業という分野に属するものであります。そこで、車検のことに関しまして臨調から答申がございましたし、その以前に、昨年の十二月閣議決定いたしまして、いわば許可認可の整理合理化の一環として車検制度の見直しをするということをやっております。現在運輸技術審議会におきましてこれを鋭意検討しておる最中でございます。  当然おっしゃるように整備工場の仕事は減るという面は確かに出てまいりますが、一方におきまして、自動車の利用者がいま三千四、五百万人おられますが、これらの方々のいわばユーザーの利便と申しましょうか、これをどう図るかということもまたわれわれ一つの課題だと思うております。  ただ単純に何年後どう改正しろということは、いまわれわれの素人の段階では言えない段階でございまして、これが公害とかあるいは安全の問題等もございます。したがいまして、先ほど申しました運輸技術審議会におきまして答申が出まして、それを受けまして善処いたしたいと思うております。それによって受けてまいります中小企業の影響というものにつきましては、その時点でわれわれといたしましてもやはり十分な対応策を考えなければいかぬと思うております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 本件については中曽根さんがまた物を言いたそうな顔をしていらっしゃるように思うのですけれども、聞かぬでもいいですわ。そういうことも考えておいてくださいよと言うだけ言っておきます。  それから、役所というものは自分で仕事をつくっておいて、こういうときになるとその仕事をやめろというようなことを言い出すところなんです。役所が仕事をつくっているのです。たとえば例を聞きますが、通産大臣、あなたは自転車組立整備士なる職があることを知っていますか。知らなければ知らぬでいいです。

田中六助自由民主党通商産業大臣

○田中(六)国務大臣 知りません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 ごもっともだと思います。自転車組立整備士、これが通産省所管です。自転車安全整備士、これが警察庁の所管です。これは法律じゃないのです。政令でもないのです。これは何と訓令か告示か——告示でできておるわけですね。  自転車屋というのは従業員二人か三人ですよ。二人か三人のところで一人がおまえは組立整備士だ、おまえは安全整備士、試験を受けてこい。私、笑っちゃったのであります。何でそんなことをやるのだと言ったら、警察庁と通産省とのけんかで、両方とも仕事が欲しい。それなら両方とも名前分けたろまいか、試験は一緒にやろまいか、たわけらしいことだ。これは告示でできているのですよ。役人がやることはみんなこんなことなんです。やっておいて、そしてその整備士なり組立士の仕事をやるために協会ができる、天下りをしてくる、補助金が出る、その補助金のほかに自転車屋さんから金を取る、こういう仕掛けになっておるのですね。  このように中小企業関係についてはいろいろありますから——中曽根さん、もういいですよ。あなたの顔だけ見ているのだけれども、いろいろありますから、やるべきことと、まあこれはどうかと思うことと、区別をしてくださいよ。いいですね。  それから時間がございませんが、予算委員会及び本委員会で、いつも問題になりますのが継続費及び後年度負担の債務負担行為の問題であります。総理大臣、あなたが、この間何か新聞に載っておりましたけれども、後年度負担について平準化を考えるというような趣旨のことを言われたということを私は記憶しておりますが、間違っていたらごめんください。少なくとも後年度負担というものがこれほど議論の焦点になったことは、私は毎年やっているけれども、今度の防衛庁を中心にして——防衛庁ばかりじゃないですよ。後年度負担は各省みんなありますから、最高裁判所の建物からみんなありますから、これほどある。しかも大蔵大臣、どういうやり方でこれを査定していらっしゃるか知らぬけれども、一つのことが明年、明後年、五年にわたってこれは要るということは考えるけれども、それを横並びに何年に後年度負担がこのくらいになる、何年にこのくらいになるということは余りやっていらっしゃらないと思うのです。そこで、ある年に後年度負担ががたんとこういうふうになってくる。だから、言われたか言わぬか知らぬけれども、総理大臣が平準化を考えるとおっしゃったとするならば、これは当然の論理だと私は思います。  私は後年度負担について次のことを提起をいたしたいと思うのです。  まず第一に、たとえば軍艦を一つ買う。初年度と後年度負担と両方に予算書で出てきますね。百億のものだというと初年度十億、後年度負担百億でしょう。十億はラップするわけですよ。議会が二重に採決していることになるのです。予算と予算総則で二重に採決している。この問題を一つ考えなければなりません。  それから安井委員が指摘をいたしましたが、後年度負担の直接経費だけは計上されるけれども、間接経費、付随経費は計上されていないという問題がありますね。  それから三つ目には、一体予算とは何だ。財政法によれば、予算というものは単年度の予算。後年度負担というものは厳密な意味における単年度予算ではないわけですね。これが予算総則や付属明細書にごちゃごちゃ書いてあって、常に議会の——議会にも来るからいいようなものだけれども、十分な審議がされていない。後年度負担に対するチェックをもう少し厳重にいたしますためには、予算は予算、後年度に対する債務負担行為なり継続費というものについては別途の議案として国会に提案をすべきではないか。  それからその次に、継続費と債務負担行為というものの区別はわかってはおりますけれども、結局これは同じことになるのではないか、継続費と債務負担行為との一本化を検討をすべきではないか等々、こういう後年度負担がこれほど政治的に問題になったのを機会に、いま財政再建を考えるわけですから、将来にわたって後年度負担のあり方について再検討すべきではないか。  以上、具体案を添えて意見を聞きたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党大蔵大臣

○渡辺国務大臣 御意見として十分に検討させていただきます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 えらい簡単過ぎるじゃないか。そんなことではだめですよ。せっかく私が十分に調べて言ったものを、総理大臣も発言したものを、私が言った二重採決の問題についても何の答えもない、間接費の問題についても答えがない。別個の議案として国会へ提出したらどうだという答えもない。一本化を図ったらどうかという答えもない。それは人の一生懸命勉強しておるのを余りに踏みつけにした答弁じゃないか。あなたはしゃべるときにはようしゃべるけれども、大事なときにはちっともしゃべらぬじゃないか。

西垣昭大蔵省主計局次長

○西垣政府委員 技術的な問題でございますので、私から簡単にお答えさせていただきますが、後年度を考えながら来年度予算を検討するという姿勢は当然でございます。  それから、現在の制度は議会制民主主義、財政民主主義という原則のもとで私どもは最高の制度ではないか。それで、いまおっしゃいましたが、予算の中には、予算総則のほかに甲号が歳出歳入予算でございまして、継続費それから国庫債務負担行為、これはいずれも丙号、丁号、乙号というそういった予算書の中に入れてございまして、来年度の歳出歳入予算と同時に、来年度以降のいわゆる後年度負担も一緒に検討できる、そういう仕組みになっておりまして、私どもは最高の制度ではないかというふうに思いますが、しかし制度というのは常に検討をしなければならないという意味におきましては、私どもも検討してみたい、かように考えます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 もうこれで終わりです。時間が参りましたから、たくさんの問題を控えておりましたけれども、最後はひとつ総理大臣に希望だけ申し上げておきます。  先ほどから仲裁ないし人事院勧告について野党の質疑がございました。橋本委員の公務員に対する理解、中曽根長官の答弁の中における理解に関連をいたしまして、ともすれば公務員は遊んでおるとか、公務員はけしからぬという中で、正しい理解をされておったことは、私は傾聴に値すると思うのです。  ただ、憲法論が展開をされました。私は、仲裁裁定や人事院の問題は憲法以前の問題である、政治的決断の問題である、よき労使慣行の問題である、公務員労働者なり公共企業労働者が政府に対する信頼感をつなぎとめるかどうかの問題である、そういうふうに理解しておりますが、総理大臣、そう理解してよろしゅうございますか。あなたの処置についてのお考えを伺って終わりといたします。

鈴木善幸自由民主党内閣総理大臣

○鈴木内閣総理大臣 私は、この公務員の給与の問題、人勧の問題等につきまして、憲法論議だけを追求しておるものではございません。いまお話がございましたように、良好な労使の関係、これは大事にしていかなければならないと思います。と同時に、いま厳しい財政事情下にもございます。財政再建の際でございます。そういう点を総合勘案をしまして、誠意を持ってこの問題には取り組んでいきたい、こう考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 終わります。

金丸信自由民主党

○金丸委員長 これにて湯山君、横山君の質疑は終了いたしました。  次回は、明九日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十四分散会      ————◇—————

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