予算委員会第二分科会 第4号
- 発言数
- 171 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1981/04/01
会議録
○主査(和田静夫君) ただいまから予算委員会第二分科会を開会いたします。 分科担当委員の異動について御報告いたします。 昨三十一日、山崎昇君、和泉照雄君及び栗林卓司君が分科担当委員を辞任され、その補欠として村沢牧君、中野明君及び井上計君が選任されました。 また、本日、松前達郎君が分科担当委員を辞任され、その補欠として安恒良一君が選任されました。 —————————————
○主査(和田静夫君) 昭和五十六年度総予算中、大蔵省所管を議題といたします。 それでは、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○村沢牧君 最初に、第二臨調と財政再建問題について若干伺います。 第二臨調は今年の七月に中間答申を行い、政府は五十七年度予算にできるだけこれを織り込む方針であるというふうに伝えられているわけでありますが、財政当局はどのように対処していかれますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 第二臨調の中身がわからないので、まだ何とも申し上げられませんが、恐らく臨調ではとりあえずのもの、それから中長期のものというようなことで答申をされるのではないだろうか。したがって、行政改革は鈴木内閣の最大の課題の一つでございますから、当然第二臨調の中間答申で出てきたものについてはそれを極力予算に生かすようにしていくと、こういう考えであります。
○村沢牧君 五十六年度の予算もまだ成立しておらない段階で五十七年度予算についての方針を論議をするのもいかがかと思われますけれども、一点お聞きしたいわけでありますけれども、総理は、赤字国債の減額を予定どおりに五十七年も進める、財源補強のための増税は行わない、以上を実施するために補助金を中心とした歳出の削減を行う、こうした方向を打ち出しており、予算委員会でもそのような発言があるわけでありますけれども、大蔵大臣としてはこれをどのように受けとめておりますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは私も鈴木内閣の閣僚でございますから、鈴木内閣の方針に従って予算を編成していかなきゃならぬ、ただ、私は実務者でございますので、実務的な立場から申し上げますと、やはり五十七年度の大型間接税は考えないで、それでとりあえずともかくまず歳出カットをやる、しかし御承知のとおり財政の中期展望で示しておるように、二兆円前後の要調整額が出てくるわけですから、これはこのままのむとすれば何らかの増収措置を図らなければならぬ。大型な増収措置は考えないということになりますと、いやおうなしに放置しておいたのではふえるような法律制度その他についてもそれを洗い直しをして切り込んでいくと、こういう措置をとる必要がある。特に高度経済成長下においてつくられたもろもろの制度の中には、このような厳しい財政事情というものを考慮せず、いつでもどんどんどんどんともかく自然増収がふえて、減税してもまた自然増収と、そういうような時代につくられたものがたくさんございますので、それはやっぱりある程度見直しをする必要があるのじゃないかと、そう思っております。
○村沢牧君 第二臨調の答申がどのような形に出てくるかは定かではありませんけれども、いままで新聞の報道するところなんかを見ても、この第二臨調でも財政再建の論議が補助金の削減に重点を置いておる、このように見受けられるわけであります。補助金の改善合理化については私もその必要性を十分認めるものであります。しかし一部に言われておりますように、補助金の一律カット、このようなものをすべきではないというふうに思うわけであります。こうした一律カットのような一括整理が行き過ぎますと、社会保障だとか文教等国民に密着した分野あるいは中小企業や農林水産業といった経済的弱者の分野への影響が非常に大きいと思うわけであります。こうした弱い部分にしわ寄せをするのでなくて、財政当局としてもこの際まず大企業関連の補助金、出資金等の助成措置について徹底的な見直しをすべきではないか、また、大企業を中心とした企業税制は、減税相当額のこれは助成措置であり、形を変えた補助金とも言えるわけでありますが、こうした面についても、やはりこれまた洗い直すべきだというふうに思われますが、第二臨調に関係あるなしにかかわらず、大蔵大臣としてはどのように考えますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 第二臨調がどういう答申を出すかわかりませんが、要するに機構改革とあるいは人員整理というようなものでは当面大きな経費が出ないということはもう明らかでございます。したがって、経費の削減ということになりますと、いろいろ人件費もそうでございますが、物件費やら補助金、そういうようなものも全部見直しをしなきゃならない。国の一般歳出の三分の一にも及ぼうとしておる補助金はやはり大きな問題点、十四兆五千億円もあるわけですから。しかし、その補助金の中で、結局文教とか社会保障とか、そういうのは手をつけちゃいけないということになれば、もう切るところはないということになってくるわけです。十四兆五千億円のうち、文教、社会保障それから公共事業、その三つで大体十一兆数千億円ありますから、それらのものは大部分が、また九割以上のものが法律によってあるいは法律に関係してつくられておるというものでございます。したがいまして、それじゃ法律に関係のないような補助金を、法律事項じゃないものを切ったらいいじゃないかということになりましても、残りの三兆円ぐらいのものでそんなに半分にも切れるなんてはずがないのであって、たとえば水田利用再編奨励補助金なんというのは別に法律じゃないけれども、三千三百八十八億円もあって大きな補助金なんです。だけれども、じゃ法律に関係ないからこれはっさりできるかというと、そう簡単にはいかないものがいっぱい入っておるわけです。ということになると、やっぱり補助金の整理ということは、法律にかかわるものも含めてやらなければならないということは当然ではないのかと、私はそう思っておるのです。社会保障関係の補助金は、ことしは大体五兆円でございますが、一年のうちに五十六年度だけで三千三百七十五億円もふくらむ、大きくなっておるし、増加しておるし、文教及び科学振興費は三兆三千百六十三億円あるが、そのうち一年閥で千三百三十七億円もふえている。この調子でふえていったのでは補助金カットどころの騒ぎじゃないわけですから、三千億すぐなるわけですから、ですから、それには全然手をつけちゃだめですよと、法律事項でない農業団体ぐらいの補助金でみんな整理づけるんですよと言われたってできるはずがない、それは。したがって、それは私としては補助金の削減、合理化というからには、そういうような聖域は一切設けることはできない。全体についてやはりそれは見直す必要がある。そうして、これは負担との問題でございますから、これ以上負担をできないのだと、もうこれ以上の国民負担、増税等は御免こうむるということになれば、どんどんどんどんふえ続けるものを、じゃだれが持つのだ。借金をしたら国が破裂しちゃうのだから、パンクしちゃうのだから、もう借金は限界だと、増税はしないのだと、補助金はどんどんふやせと、それはもう言うべくして不可能ですから、どっちかにしてもらわなきゃならぬ。国民は増税の方が困るという声が大きいというから、ではそういうふうな世論のもとに、私は補助金なりその他の経費を抑制するとか切り詰めるという方法をとらなきゃならぬ。これは、負担との兼ね合いでどちらをとるかという話ですから、負担はもう困るということになれば歳出を減らすという以外に方法、だれが考えたってうまい手はないのであって、私はこういう議論を通して各党からも、ただ一般論じゃなくて、具体的にこういうふうにしてこういう補助金を切れという御提案があれば、そういうものについては私は謙虚に耳を傾けていきたい。したがって、ただいま御発言のありました大企業に対する補助金というようなお話もございますが、そういうようなもの等についても当然一番先にやっぱり目をつけていく必要があるということはもう当然のことでございます。それが政策目的を果たしたのか果たさないのか、こんなものなくたってやっていけるのかというようなものも含めまして、それはやっぱり当然厳しく見ていくということでございます。
○村沢牧君 補助金の問題について論議をすると、その中でウエートが多い社会保障とか文教がいつも大臣の口から出るわけですけれども、そのこともやっぱり見直しをしなければならないものも中にはあるでしょう。と同時に、私が指摘をしたことは、昨日も税法改正の中での討論の中で、わが党の代表が触れておりましたように、やっぱり大企業に対する優遇措置、税制ももちろん、出資金という名前で、あるいはその他の措置でいろいろなものがあるわけですよ。時間が余りありませんから、一々私は触れませんけれども、それらについてもやはり見直しをしていくのだ、その姿勢をぜひ大臣としてもとってもらいたい、そのことを強く要請をするわけなんです。いま答弁がありましたから、答弁を求めませんけれども、ぜひひとつお願いしたいというように思うのです。 そこで次は、私は先般の総括質問でも提起をしたのでありますが、歳出について種々改善、合理化を図る必要がある、このことは当然ですけれども、この場合、経済合理主義の考え方だけで第二臨調なり、あるいは財政再建の論議が進められてはならないというように私は思うのです。私は一点だけ具体的な部門を挙げて大臣に質問し、要請もいたしますが、ということは、ここで農政問題について私は一言申し上げたいのです。 大蔵大臣に対して農政の問題について申し上げることは大変失礼だというように思うのですけれども、しかし大臣は今日まで農政通として一家言を持っており、あるいはまた総合農政の展開のために関係予算も拡充してきて、その第一人者というか、一人だというように思うのですね。ところが、いまのこの農政を見てまいりますと、関係予算のウエートもかつては一〇%台を占めておったが八%台になってくる。加えて財界からも、他の方面からも、農政批判が起きてくる。それから農産物に対して外圧が強まってくる。農林関係者は不安を持っているわけですね。大臣は、かつて農政の問題について、価格政策よりも構造政策、つまり農産物の価格を上げるよりも基盤整備や流通改善に重点を置いて、そして総合農政をしていこう、こういうことで予算を振り向けてきたというふうに思うのです。その結果、今日では、つい先ごろの畜産物価格の決定に見られるように、据え置きあるいは引き下げる。繭糸価格に至っては答申もできない、こういう形になって、価格が抑えられてきたのです。これも私は納得できないことでありますが、ここでこの問題を論議しようとは思いません。 そこで、財政再建のもとに今日まで進めてきた総合農政の補助に対して大なたをふるうということになると、いままで進めてきた農政が七〇年代にまた戻ってしまう、こんな心配もするわけです。あえて、大蔵大臣に質問いたしますが、あなたが進めてきたこういう方向について、財政再建だからやっぱり農政はいろいろ批判のやり玉に上がっていますけれども、補助金も切りますよ、同意しますという形であってはいけないと思いますけれども、その辺の充実をしていく、拡充をしていくという考え方についてはどういうふうに思っていますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は農業問題には非常に情熱を持っていままでもやってきております。いま御指摘のように、私は基盤整備とか流通政策というものを徹底して進めなければいけない。農林大臣に就任以来、日本の農業というものを近代化することは、そうむずかしくないと私言っているのです。ということで、ただ意識を一致させることが必要であると。農業といえども産業である。農業といえども産業である以上は、そこからできた生産物は商品またはそれに近い性格を有するものだと。日本の産業というのは日本の経済と重大な関係がある。日本の経済は世界の経済とつながっている。この認識さえあれば、私は日本の農業というものをもっと立ち直らせることができる。お互いに共通の認識をつくることが必要だということを感じて、何回も農林大臣当時から言ってまいりまして、そしていわゆる農地法のバイパスとも言うべき農用地利用増進事業ですか、ちょっと正確な言葉を忘れましたが、いずれにしても農地の流動化を進めるための実質的な農地法の大改正をやりました。そして、やはり食糧管理問題についてももっと別な角度で考えた方がいいと、食管法の改正案を出すべきだということで、いよいよこれも俎上に上るというところまでやってまいりました。したがって、そういうような構造政策という問題については極力今後も進めて、コストの安い、そして競争力に耐える農作物をこしらえるということについて私は力を入れていきたい。しかして日本の農業というのは確かに土地が狭隘であるという点で非常に恵まれていないけれども、しかし日本は世界に有数なるところの優良なマーケットである、市場だと。それは、中国は市場じゃない。人間が多くて食欲は旺盛だけれども、そこでは購買力がない。インドも同じである。日本には一億一千万の、しかもお金持ちの、食欲が旺盛で購買力の旺盛な国民がいるから、だから世界じゅうから日本に上陸させてくれと言ってきているのだから、一番近くにいる日本農民が、日本は市場として非常につまらぬ市場だと考えたのでは、世界どこへ行ったって農業できないじゃないかということを言っているぐらいでございますから、私はあなたのおっしゃるように構造政策という問題で農業というものをバックアップしていくという点は一つも変わっておりません。
○村沢牧君 渡辺大蔵大臣の信念はお聞きしたのですが、大蔵大臣として、財政をあずかる者としてもそういう形で処置をしていくというふうに理解して、答弁をひとつしてください。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それはそうです。それはもう最小の費用によって最大の効果を上げることが一番いいことでございますから、私の言っていることはそういうことを言っているのであって、ただお金を出せばいいという筋合いのものではなくて、やっぱり有効な方向に向いての前向きなお金を出していくということはある程度当然必要だろうと、そう思っております。
○村沢牧君 次に、たばこの問題について以下質問してまいりますが、専売公社は、大蔵省もそうですが、五十四年の第八十七国会で専売公社法を一部改正をして、国庫納付金率を法定化をし、あるいはたばこ代金の法制化を緩和することによって公社の経営基盤が強化される。したがって、このことはたばこ耕作者にとってもマイナスではないということをこの法律審議の際に言明しておったわけでありますが、この国庫納付金が法定化になり、たばこが値上げになった今日、その後の公社の経営基盤、財政状況はそんなによくなっているのかどうか、その点について簡単でいいですから答弁してください。
○説明員(泉美之松君) お話のように昨年の、ちょうどいまから一年前、三月三十一日に専売公社法の一部を改正する法律案が国会を通過いたしまして、お話のような制度改正が実現できたわけでございます。私どもはそういうことから、納付金の法定化につきましては、あの法律によりまして昭和五十四年度から適用になったわけでございますけれども、それはもう成立したのは五十四年度が終了する日でありましたので、私どもとしましては昭和五十五年度を経営元年という考え方に立ちまして、この新制度のもとにおける経営の努力をいたすことに努めてまいったわけでございます。ただ、たばこをめぐる環境は、御承知かと思いますけれども、たばこの売れ行きが健康と喫煙の問題などの関係で、これはまあ世界各国ともそうでございますけれども、売れ行きが伸び悩んでおります。そういう中において努力してまいったわけでございます。 ちょうど昨日五十五年度は終了したわけでございますが、まだ計数整理に時日がかかりますので、はっきりした数字を申し上げることはできませんけれども、たばこの売り上げ本数にしましても、また専売納付金にいたしましても、地方消費税にいたしましても、それぞれ当初予定いたしておりました金額よりは相当多額の財政貢献をすることができるようになったというふうに考えております。 いずれ計数が整理されましたら御報告申し上げたいと存じます。 ただ、先ほど申し上げましたように、たばこ事業をめぐる環境がそう芳しくない状況下にございますので、私どもといたしましては、今後一層経営の合理化に向けて努力してまいらなければならない、このように感じておるわけでございますが、こういう制度改正が起きましたから、一挙に事態が変わるというものではございません。どうか国民の方々から深い御理解を賜りまして、私どもとしての自主的な責任経営体制のもとで、今後大いに努力してまいりたい、このように考えております。
○村沢牧君 専売公社法を一部改正してから公社の経営基盤がよくなったかどうかという問題については、後日その決算状態等が出た中でまた論議をさしてもらいますが、そこで公社は近く中期経営計画をつくろうとしており、そのための準備を進めておるということを聞いておるわけでありますが、中期経営計画の目的、基本的な考え方、あるいは内容の骨子がわかっていたら示してください。
○説明員(泉美之松君) 専売公社といたしましては、昭和三十六年に以前の阪田総裁当時、長期的な計画をつくろうではないかということで長期的な計画をつくったのでありますが、本格的な計画をつくるようになりましたのは、昭和四十三年に長期計画というのをつくり、さらに五年ごとの中期経営計画というのをつくってまいりました。ちょうど昭和五十一年に中期経営計画を定めまして、これは第一次オイルショック後の物価高騰、売れ行き不振のさなかにおきまして、今後五年間どうやっていくかという目標を決めたわけでございます。ちょうどそれが五十五年度で終了いたしましたので、五十六年度から新たに中期経営計画——私どもは五十六年中計と呼んでおるわけでございますが、それを策定することといたしております。四月の中旬から下旬ごろにかけて確定するようにいたしたいと思って、目下鋭意努力をいたしております。 この骨子は、先ほども申し上げましたように、たばこの売れ行きが伸び悩む中におきまして、財政貢献を果たすとともに、公社の安定的な経営を図っていく、そういう面におきまして経営合理化の努力をしなければならぬわけでございますが、葉つばの生産の面、あるいは工場におけるたばこの製造の面、あるいはでき上がったたばこを外国品と競争しながら売っていくという販売の面、こういった各方面における企業努力をどういうふうにしてやっていくかということが骨子になるものでございます。いずれ、四月半ば過ぎには明らかにできようかと考えております。
○村沢牧君 いま答弁になった五十六中期経営計画は、中身はまだはっきりしておりませんけれども、しかしちまたでは専売公社が売上代金の五五・五%を国庫に納めて、残りで公社の経営をする。先ほどは財政がよくなったという答弁でありますけれども、大変経営が厳しくなるのでそれを切り抜けるための施策の中心が中期経営計画ではないのか。つまり中期経営計画というのは葉たばこの生産者の買い入れ価格やあるいはこの耕作面積、あるいはまた専売に働く労働者、こういうところに不利益を与えない、こういうことが言い切れますか、これいまつくろうとしている計画の中で。
○説明員(泉美之松君) 納付金率の法定化に伴いまして、いまお話しのように、五五・五%、実際は高級品が多いものでございますからそれより若干多い割合になろうかと思いますが、それを国庫及び地方団体に納付いたします。したがって、その残りで葉っぱの購入、工場の製造たばこの製造、販売といったことまでやらなければなりませんので、公社の経営が大変厳しくなるということはお話のとおりでございます。 ただ、たばこ耕作面積あるいは買い入れ価格につきましては、御承知のとおり、たばこ耕作審議会というのがございまして、私どもはその審議会に諮問いたしまして、その審議会の御答申をいただいてやってまいっておりますし、今後ともそういうふうにやるつもりでございますので、もちろん審議会の方々にはそういったたばこ事業をめぐる厳しい状況について御賢察をいただきまして、合理的な答申をいただきたいと思っておりますけれども、公社が一方的に耕作者にしわ寄せするとかいうようなことを考えておるのではございません。ただ、日本のたばこ産業を守っていくためにはお互いにどうやったらいいかということをよく話し合いまして、そして合理的な方法を見つけていくのが最も適当ではないのか、このように考えておる次第でございます。
○村沢牧君 そうすると、総裁、これからつくる中期経営計画は、たばこの耕作者等に大きな犠牲を強いるような計画ではない、このようにはっきり言い切れますか。
○説明員(泉美之松君) 率直に申し上げまして、私どもは現在葉たばこにつきまして約一年分の過剰在庫を抱えておりますし、このままの耕作面積ではますます過剰在庫はふえる、つまり本年つくる葉たばこは二年後に使用するわけでございますが、その二年後の需要がそれほど大きく伸びる見込みがございませんので、現在の耕作面積のままでは一年分という過剰在庫がますますふえていく可能性があります。したがいまして、私どもといたしましては、少なくとも早い機会に使用量に見合う生産に落としていく必要があるということが第一でございます。 それと同時に、先ほど申し上げました一年分の過剰在庫を減らしていくためには、将来の使用量に見合う生産量だけでなしに、将来の使用量を下回るような生産量に一時的に持っていかざるを得ない、こういうことになりますので、耕作面積は生産調整をしていただいて減らしていかざるを得ないというふうに考えております。
○村沢牧君 この計画は大変たばこをつくる人たちにとっては厳しいものになると思うのですよ。どういうふうに減らしていくのか、生産調整をしていくかという問題については後ほど具体的に聞いてまいりますが、要望しておきますけれども、そういう計画をつくっても耕作者に極端なしわ寄せがいっちゃいけない、そういうふうに私は思いますから、強く要請して、後ほどこの問題についてはまだ触れてまいります。 その前に伺っておきたいのですが、たばこの災害対策についてです。 昨年は異常気象によって特に冷害を中心にしてすべての農産物が被害を受けたわけでありますが、葉たばこもその例に漏れず、地域によっては大変な減収を来しておるわけなのです。そこでまず数字的に伺いますが、昨年の冷害による被害状況、すなわち減収状態ですね。それから葉たばこ災害補償金の申請状況、あるいはそれに対してどのような率でもってこの補償金を交付したのか、これは数字的に伺います。
○説明員(後藤正君) お答え申し上げます。 昨年の長雨、冷害、日照不足による災害によります減収額は、私どもといたしまして約二百四億と推定をいたしております。 災害の申請者の件数でございますが、約四万六百七十四人でございまして、これは全耕作者の三七・五%に当たります。 それから、その申請に対しまして、われわれが確認をいたし、法定災害だということ、それから通常管理すべき管理を怠らなかったことによって生じたということで災害程度を確認しまして、災害交付をいたしました人員は二万六千五百二十五人、金額にいたしまして約六十一億円でございます。
○村沢牧君 いま総体の数字が出たのですが、私はここに公社が出した資料で、支部局別のこの被害額、そしてこれに対する補償金の交付額、この一覧表を持っておるわけでありますが、被害総額はいま答弁があったように、二百四億一千八百万。これに対して補償金の交付額は六十一億二百四十四万ですか。
○説明員(後藤正君) はい。
○村沢牧君 そうですね、この被害額に対しての補償金の交付率はパーセントにすると二九・八%。 そこで、この内容を見ますると、たとえば中国支部局では六二二一%の補償金を交付を受けている。それから鹿児島は五五・二%、東北は四七・六%でありますが、高崎は八・七%という低い数字になっておるのですね。これは一体どういう理由なのか。つまりこの補償金の交付率が低いということは、皆さんが言う被害率二〇%以下の被害が非常に多かったからこういうことになったのか、あるいは二〇%以上の被害があったけれども補償金をもらえなかったか、これはどういうことなんですか。
○説明員(後藤正君) たばこの災害補償制度は、先生も御案内のように、全額国庫負担によりまして平年作の八割以上、または全損一筆の場合には、全損になった場合に、まあ全損の場合は五割でございますが、二割を超える損害をこうむった場合に、全損が五割ですから、五割からいわゆる二割までの斜線を引きました範囲円で、その収納代金を引いた差額を払うという仕組みでございます。したがいまして、いわゆる損失補償という制度でございませんので、災害額、減収額全部を補償するというような性格のものとは基本的に違っておるわけでございます。 それから、いま先生御指摘のように、大変いわゆる推定損害額に対して補償交付金額が違うではないかと、バランスが違うではないかという御指摘がございました。やはり地域によって大変災害の程度が違います。それから、平年作に対して二割以上の減収ということでございます。平年作の状況というのはそれぞれやはり各地域土地の条件、土壌、気象、いろんなもので影響を受けますので、したがって地域的には相当のいわゆる損害推定額に対してアンバラが出てくるという実態はやむを得ないものかというふうに考えております。
○村沢牧君 地域によって若干の相違があることは私も認めるのですが、他方では六二・二%も補償金をもらっている。私が指摘をした高崎は八・七%、余りにこの違いがあり過ぎるのですね。一体なぜこんなに違うのかという調査をしたことはあるのですか。 それから、皆さん方が各支部局に対していろいろ指導するでしょうけれども、指導の統一に欠けることないのですか。
○説明員(後藤正君) 私ども災害時におきましては法定要件としまして申請が要件になっておりますし、被災後遅滞なく申請を出していただくということにつきましてことに昨年、ことしという、ことしはもう数十年に一回というような大変な長雨、冷害、そして日照不足、大変、葉たばこ耕作には一番致命的なような気象条件であったわけでございますので、たばこ災害補償制度の趣旨とか、そういうことについて各支部局に徹底を図りまして、申請漏れのないように各支部局に本社から指導をいたしておりますので、少なくとも支部局ごとにそういう指導にアンバラがあるというふうには私どもは考えておりません。
○村沢牧君 私は以下だんだん聞いてまいりますが、この取り扱いについて支部局に重大なやっぱり欠陥があったのではないかとも指摘をせざるを得ないような問題も出ておるわけですね。 具体的に一例を申し上げましょう。 専売公社の長野支局に戸隠村という村があるのですけれども、この戸隠村には四百二十四名の耕作者がおるわけですけれども、二割以上被害があったと判断をして申請をした人は五十名で、これは全額補償金の交付を受けております。これ以外に見ても、結果的に二割以上の被害を受けた人は大ぜいおったわけですけれども、申請書を出しおくれたために補償金の対象にならなかった。この二割以上被害を受けた人は一体どのくらいおったのか、実はことしの三月、税務署の確定申告でもってわかったわけでありますが、税務署の減損額控除、これも皆さんの計算と大体同じなのです。それを見ると、この控除を受けた人が三百十名もおるのです。これ二割以上被害があったのです。三百十名のうち五十名だけが申請をして公社の補償金を受けた。二百六十名はもらえない、これはひとり戸隠村だけではないのです。こうした事実を知ってるのですか、どのように判断していますか。
○説明員(後藤正君) 先生御指摘の長野県の件でございますが、私ども、被災に遭われた方には大変お気の毒に存じておりますし、できるだけ申請漏れのないようにという指導をいたしておるわけでございますが、先ほど私が申し上げましたように、まず災害を遅滞なく申請をいたして、それで法定災害であるかどうかという、風害、水害、霜害、その他の不可抗力とか、あるいは病害、虫害、収穫前では原則としてそういうようなことですが、そういうような法定災害であるかどうかということ、それから、先ほども申し上げましたように、通常の管理あるいは災害予防措置を怠らなかったかどうかというようなこと、それから被災の程度等を確認する必要がございますので、ですから先生いまお話しの、三百十名もおって五十名だけ受けたということは、計算しますと二百六十名の方が申請漏れということになるわけでございますね。大変お気の毒には存じますけれども、私どもとしても、やはりこのたばこ災害補償制度の適正な運用というのはまた私どもの責任でございますので、必から御同情は申し上げますけれども、いかんともしがたい。今後そういう災害申請漏れのないように極力いわば指導の徹底を図っていきたいというふうに考えております。
○村沢牧君 たばこの災害補償制度をつくっているということは、たばこは他の農作物と違って、被害を受けたからといって他に転作するわけにいかないのですよ。被害を受けたから、葉の現状が悪いからといってよそへ持っていって売るわけにいかないのだ、全部公社へ持っていって売って、葉が悪ければ安い価格でしか買い取ってくれないのだ、そのためにこういう制度をつくっているのでしょう。その結果、こういう事実が発生したときに、あなたたちはお気の毒であった、そんなことで済まされる問題ですか。これは公社なり支局の責任ですよ。つまり昨年の冷害は予想することのできない異常な冷害だったことは事実だ。他の農産物で見ても、収穫してみたら案外少なかった。これはたばこに限らず全部そうなんだ。しかし、なぜ申請をしなかったか。つまり木が立っているころは二割以上の補償はないであろうと思って申請をしなかった、出しおくれた、ところが収納してみたらこんなに減っちゃったのですよ。しかし、皆さんのところには職員がおり、指導者がおるでしょう。これだけ被害があると思ったらなぜ申請を出させなかったか、その責任は公社にあるのですよ。そんな、申しわけなかった、気の毒だった、そんなことで済まされる問題じゃないですが、総裁、どうですか。
○説明員(泉美之松君) 私はいまお話しの高崎地方局管内の個別の事情についてはつまびらかにいたしておりませんけれども、災害推定額に比べまして補償金交付額の率が地方局ごとに同じにならないことは御理解いただいていると思うのですが、ただその理由が二割以内の、つまり災害補償の対象にならない災害が多かったのかどうか、あるいはいまお話しのように二割以上の災害ではあったのだけれども申請をすることをしなかったためにそれが災害として認められていなかったのかどうか、その辺のことがはっきりいたしませんけれども、もし公社の方の指導がまずくで、本来申請すべきものが申請しておらなかったということになりますと大変公社としても困った事態であるというふうに思うわけでございますが、いまとなって収納が終わってしまっては、いまから申請をやり直すというわけにもまいりません。私どもとしては、なぜそういうような実態になったのかということにつきましてまず十分な調査を行うことをいたしたい、このように考えております。
○村沢牧君 会計年度が終わったからどうしようもない、過去に過ちがあったけれどもそれは年度が終わったからどうしようもない、そんなことだけで済まされる問題でもないですよ。 そこで、私があえて言うまでもありませんが、たばこの被害というものは申請方式である、被害があれば申請するのは当然である。二〇%以上の被害があったと思われる人が申請をする、公社の出先がこれを実地調査をする、そこで被害額を決めるわけじゃないですね。最後は、やっぱり被害額を決めるのはたばこを収納してその段階で初めて認めて、二割以上あったことを認めてこれは被害額を決めて交付金を出すのです。つまり、申請をしなかったと言うけれども、申請は私に言わせればいわゆる形式的なものです。最終的に決定するのはたばこを収納してから決めるのですよ。ですから、この問題は収納の段階で起こってきたのだから、その段階でこの地域にこれだけの被害があったと認めるならばなぜ交付金の対象にしなかったのか、こういうことがほかの地方局はずいぶん交付金率はいいけれども、高崎は八・七%、ここにあらわれてきているのですよ。その辺どういうふうに思いますか。
○説明員(後藤正君) 先生御指摘のように、確かに二割を超える災害であったかどうかの確定は収納時に確定するわけでありますが、しかし、私どもの、いわば法定災害かどうかということの確認というものは、収穫前は、先ほど私が申し上げましたように、風害とか水害とか冷害だとかその他の病害だとか、そのことに起因する病害とか虫害とか、そういうようなことで植えつけ時から収穫前までが一つある。それで収穫して、いわゆる納付までというのは非常に限定されておりまして、風害、水害、それから震害、それから火災というふうに限定されておるわけでございます。しかもそれを法定災害かどうかということ、それから通常の管理その他の災害予防措置をとっておったかどうかというようなこと、被災の程度、そういうようなことを申請に基づいて確認をしておいて、それでその後確定するのは、先生御指摘のように、いわゆる確定いたしますのは全損以外はそれは収穫時、公社が収納するときでございます。その点は先生御指摘のとおりでございますけれども、少なくともいま支部局によって、そういう立ちもの状態で法定災害かどうかとか、いま言ったような要件の確認、そういうことをやっておる。それ以上にほかの支部局は大変そういう申請とか、そういうことにこだわらない確認を怠らないからほかの支部局は大変損害額に対して補償交付額が高かったのだというふうには私どもは思っておりません。
○村沢牧君 それではバランスがこんなに違うということは、なぜ違うのですか。明快に答えてください。
○説明員(後藤正君) たとえば先ほどの申請の関係でございますが、比較的黄色産地等が非常に多かったということでございますが、黄色は五十四年も大変災害を受けたわけでございます。このときも先生御指摘のように、立ちもの状態では取れるであろうと耕作者が思って申請をされなかった、それがたまたま収穫をしてみたら非常に葉肉の充実とか、いわゆる実入りが悪くて薄手の葉っぱになって、それで非常に、申請をしておればもらえたであろうところの交付額が、災害補償金がもらえなかったというような経験もございまして、かなり九州、四国等のところでは申請者も相当多く出てきた。東北のバーレーにつきましては、これはことしは非常に異常な状態でございまして、もう相当の災害が出るということが立ちもの状態からも予想されておって、それで申請者が非常に多かったというようなこと、つまびらかに支部局別に推定損害額と補償金の交付額との関係はまだ私ども精密な調査はいたしておりませんが、私が推定するところによりますれば、こういう異常年のときは支部局にそういう災害申請の漏れのないようにという指導を再三にやれという指導は私どもいたしておるわけでございますので、たまたまそういう経験の、二年続いた災害、黄色あたりは二年続きの災害でございますので、そういう経験律に顧みて、申請の漏れが逆に非常に少なかったのではなかろうかというようなことが原因ではなかろうかと考えております。
○村沢牧君 たばこの災害の法定災害、私も知っていますが、ほとんどのものが法定災害になっているわけですね。法定以外といえばそれじゃ何があるかといえばそんなにたくさんないわけなんですね。昨年の場合は異常気象による冷害であって、たばこを耕作している地域、先ほど私が具体的に名前挙げたのですけれども、ここらも農作物については激甚地の指定を受けているのですよ。当然これはたばこだって被害を受けている。現に公社の見積もりについても、公社はこの収穫見込み数量を収納計画書策定のときに立てるわけですね。その見込み数量と、その結果、つまり実績とはかなり開きがあるのです、違っているのです、公社の見積もりだって違っている。だから公社自体がこんなに違っているのだから、当然被害があったということはわかるわけなんですよ。もし、申請はした。したけれども、現地調査をした結果これは二割以上の補償になりませんから対象になりませんよということで申請書を戻した。しかし、収納の結果やってみたらやっぱり二割以上だった。そうした場合にはこれは補償金の対象になりますか。
○説明員(後藤正君) 申請は出しましたけれども確認したら二割以上でないから申請を返したというような事例は私は承知しておりませんが、もし何かございましたらお教え願えればすぐに調査いたします。
○村沢牧君 そういう事例はないから承知しておらぬのは当然だと思うのですが、つまり申請書を出した。出したけれども、これは二割以上にはならないとは思っても申請書はすぐ返さない。つまり公社が保管しているわけですね。そうして収納のときに見て、収納の結果やっぱり二割以上の補償にならなかった場合においては、二割以上の補償になりませんから補償金を交付しませんよという不交付通知書を出すわけですね。結局やっぱり決めるのは収納のときなんだよ。ですから申請書出したといったってそのまま預かっているのです。出さなかったけれども、収納のときに二割以上被害があったということがわかればそのとき救済する手はあったじゃないですか、なぜできないのですか。
○説明員(後藤正君) これは一般的に農作物の場合にそうなんですが、被災があった場合には速やかに申請をする。法定災害か否かいろんな共済制度の場合にも同じようなことですが、そういうようなことをやはり立ちもの状態、被災の状態において速やかに確認をするということ、そういうようなことの中で、あわせて同時に、その法律の施行規則にも書いてございますが、通常の管理その他災害予防の措置を怠らなかったかどうかというようなことも確認をするということになっておりますので、いま先生お話しのように、立ちもの状態ではこれはいけるのじゃないのかと思っていたのが、収穫、乾燥してみていわゆる目方をはかってみたらこれは平年より二割超えていたというような事例もあると思いますが、これは残念ながら私どものいまの制度においてこれを救済するという方途はございません。まことに残念に思いますが、そのような状態でございます。
○村沢牧君 先ほど来制度制度という話がありますから、今回のそのような経験に照らして、じゃ制度の見直しをしたらどうか。たとえば他の畑作農業共済に見られるように、申請の額が二割以上だかあるいは一割以上だかわからぬけれども、ともかく被害があったというときには申請をさせる、そうして二割以上の補償要件に該当する場合にはこの補償金の交付申請をまた出させればいいのです。だから、そういう方向にするのか、あるいは災害申請の時期を収納時までにひとつ延ばしていく、そういうふうにするのか、何らかの法の見直しなり制度の見直しをしなければならぬ、現実に照らして私はそう思うのですが、どうなんですか。
○説明員(泉美之松君) たばこの災害補償の問題につきましては、一般の農作物と違ってたばこだけについて災害補償制度を設けておるわけでございますが、その内容につきましては、農業の他の作物と同じように、従来は三割以上減収にならないと補償しなかったのを、二割以上の場合に他の農作物と同じように補償するというような制度に改めるなど改善を図ってきたところでございますが、いまお話しのように、立ちもの状態のときにははっきり二割以上になるかどうかわからない。しかし、ことしは冷害、長雨でどうも収穫が危ないというようなときには、二割になるかどうかわからぬけれども、とにかく申請をさせて、そしてそれがどういう法定災害に当たるのかどうか。まあ災害の方は、いまお話しのように法定災害というのがありますので、ほとんどの場合法定災害に当たろうかと思いますが、法定災害に当たるかどうかということをまず確認しておきまして、そうして収納のときに平年作の二割以上の減収であるかどうかというのが確定するのを待って、全損の場合はこれはその前でございますけれども、全損以外の場合はそういう収納の確定を待って災害補償を行うというのが適当であろうかと思いますので、私どもとしては災害がそういうふうに起きた場合に、立ちもの状態ではっきりわからなくても災害申請をさせるという方向で指導してまいりたい、このように思います。
○村沢牧君 それは制度上いいわけですね。制度改正しなければできないでしょう。
○説明員(後藤正君) 二割に達するか達しないかということは大変微妙な判断でございますので、いま総裁が申し上げましたように、二割になるかならないか危ないけれども、一応二割に近くなるかもしれない、あるいは二割を超えるかもしれないというような申請につきましては、これはもうわれわれは受理して確認いたします。これは運用でございますので制度の改善を要するものではございません。
○村沢牧君 総裁、私の持ち時間もぼつぼつ終わってまいりますが、指摘をいたしましたように、支部局別のアンバランスですね。何としても納得ができないのですよ。なぜこんなに、ほかのところは六〇%もあるけれども、八・七%なんというところもあるのか。しかも皆さんの答弁は、申請をしなかったからまことにお気の毒だ、もう決算が済んだのでどうしようもない、もうその答弁一辺倒でしょう。そんなことで済まされる問題じゃない。総裁に要求しますが、なぜこういう形になったのかということをあなた方自身がこの局の調査をしてくれますか。くれなければ私自身がやりますが。
○説明員(泉美之松君) 先ほど申し上げましたように、私は個々のたばこ耕作の地域ごとの実情につきまして十分承知いたしておりませんので、先ほど申し上げましたように、なぜ先生のおっしゃるような実態になったのかということについて十分調査いたしたいと思います。
○村沢牧君 これは主査にお願いしたいのですが、このような調査は、私だけに調査の結果を報告していいのか、予算委員会でどういうことになるか知りませんが、私は調査報告書をもらいたいと思うのです。
○主査(和田静夫君) そうしたら泉総裁、いま約束をされました調査報告は予算委員会に提出をしてください。よろしいですか。
○説明員(泉美之松君) 調査には時間を相当要しますので、この予算委員会が、いつまでというわけにはまいりかねると思いますが、後日でもよろしければ。
○主査(和田静夫君) 後日参議院予算委員会に調査結果を提出をしてください。
○説明員(泉美之松君) 承知いたしました。
○村沢牧君 時間が参りましたから、あと一点だけ要請しておきますが、その調査結果によって対策を講じてもらわなければならない時点も出てくると思いますけれども、そのことについても同時に、きょう答弁要りませんから、検討しておいてください。 以上です。
○主査(和田静夫君) ちょっと速記待ってください。 〔速記中止〕
○主査(和田静夫君) 速記を起こしてください。
○安恒良一君 私は、本日は同和対策事業問題に限定をいたしまして、大蔵大臣及び関係各省に御質問を申し上げたいと思います。 まず大臣のお手元には「全国のあいつぐ差別事件」ということで、これは特別措置法の強化改正要求をしております中央実行委員会発行の資料をずっと前にお渡しをしていると思いますが、この冊子を読まれまして、大臣どのような御感想をお持ちでございましょうか。まず、渡辺大蔵大臣にお伺いを申し上げます。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私はみんな読んでおりませんが、ところどころ見ておりますけれども、いまどき前時代的なことがあるということを聞いてびっくりしておるわけです。
○安恒良一君 大臣お忙しいと思いますから、ところどころ見たということでありますが、ぜひ一遍、これは今後の同和対策事業を強化していく上でも重要な資料、御参考になると思いますから、時間を見てひとつお読みをいただきたいということをお願いをしておきます。 そこで、いまも大臣がおっしゃいましたように、こんな前時代的なことがあって驚いていると、こういうことなのでございますが、衆議院におきまして私ども同僚委員がやはりこの問題を大臣に質問をいたしております。そうすると大臣は、これは心の問題だと、こういうことを衆議院予算委員会で答弁されておりますが、この差別事件の中身を大臣読んでいただきますとわかりますように、差別の事件が増加すると同時に悪質化しているわけであります。中身が悪質化しておる。これはどこにこの原因があるというふうに大臣はお考えなんでしょうか、その点について大臣のお考えを聞かしてくたさい。
○国務大屋(渡辺美智雄君) 同和対策法ができる前は悪質化しなくて、同和対策法ができてから悪質化したということだとすると大問題だと私は思います。ですから、原因がどこにあるのか私はよくわかりませんが、いずれにいたしましても、これはもう教育の問題である。要するに新憲法ができて、法の前にはみんな平等でなくちゃならぬ、そういうようなことはもう小中学校の生徒でも知っているはずでありますし、それが大人の世界で、そういうように全く憲法違反のような話でそういうことが起きるということは一体どこに原因があるのか、私はもう少し深く掘り下げて研究をしてみる必要があると、そう思っております。
○安恒良一君 いまも大臣は根本的な問題は教育の問題だと、こういうふうに御指摘をされました。私も一つの問題として教育の問題があるということを否定をいたしません。しかし私はそれだけでこの問題が解決できるのだろうか、教育だけで解決できるだろうか。たとえば大臣もいまおっしゃいましたように差別発生問題は憲法に保障された国民的基本的人権に係る重大な問題である、榎本問題は、全く意識の問題である、きょうおっしゃいませんでしたが、衆議院の議事録を拝見いたしますと物、金だけで解決がつく問題ではない、教育の問題だと、こういう点を強調されました。きょうは特に教育の問題を強調されました。しかし私はそのことだけで——教育も非常に重要なことだと思いますが、それだけでこの同対問題が解決できるだろうかと、こういう点について少し大臣の御認識が不十分ではないだろうかと思います。 そこで大臣にちょっとお聞きいたしますが、同和対策審議会の答申が昭和四十年の八月十一日に時の内閣総理大臣であります佐藤内閣総理大臣に答申をされておりますが、この同対審の答申を大臣は十分御存じなのでしょうか。その点についてちょっとお考えを聞かしてください。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私はあらゆる答申を全部——各省庁にまたがる膨大なものでありますから全部読むことはできませんが、その要点だけは手元にも持っておりますし、読ましてもらいました。私はこの答申の問題につきましてはやはり、この中に書いてあることですね、この初めのうちですけれども、「世人の偏見を打破するためにはっきり断言しておかなければならないのは同和地区の住民は異人種でも異民族でもなく、疑いもなく日本民族、日本国民である、ということである。すなわち、同和問題は、日本民族、月本国民のなかの身分的差別をうける少数集団の問題である。」というようなことから始まりまして、いろいろ書いてございますが、私は過去においてその職業がどうであったとか、系統といいますか、系図というか、系図がどうであったとか、そういうようなことは私は論ずべき問題ではないのじゃないかと、基本的に。もともと日本国民というものは小泉八雲なんかに言わせると八つの民族が集まってできたんじゃないかということが言われています。私自身だってこれ何の系統であるか、熊襲の系統なのか北の方にいるから何の系統が、私よくわかりませんがね。それが一体渾然として同化をして日本民族を形成をしておるわけですから、私はそういうようなことをどうこう言うのではなくて、少なくとも現実の問題として日本民族というものは一つの単一民族でできておると、その中で私は新憲法下においてはなおさらその「人種、宗教、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」全くそのとおりであって、私はもう文字どおりそういうようにして、まして同じ国民でありながらいろいろなけちをつけてみたり、何かそういうようなすること自体がナンセンス、私の常識からすればそういうようなことは本当にもうナンセンスじゃないかと、私はもっと社会教育というか、学校教育はもちろんのこと、社会教育等においても憲法の精神が徹底していないと、むしろそう言いたいのであります。
○安恒良一君 時間がございませんからごく簡潔にひとつ大臣に御答弁をお願いを申し上げておきます。 私は、いま大臣のりっぱな御見識には敬意を表します。 そこまでの認識はそれで結構なんですが、そこで、そういう御認識の上で問題をどういうふうに解決をしていけばいいのかというのがこの同対審の答申の中に指摘がされているわけであります。これは長い文章でありますからその中のエキスだけをちょっと私、一、二点読み上げてみたいと思いますが、たとえば「心理的差別と実態的差別とは相互に因果関係を保ち相互に作用し」、「相関関係が差別を再生産する悪循環をくりかえす」と一つ指摘をしてあります。物や金だけで解決つく問題でない、教育の問題だと、こういうとらえ方を大臣、特に教育を強調されますが、いま指摘をしたところから見ますと、やはりとらえ方に一つ一面的なとらえ方があるのではないかというふうに私は思います。 また次のことを質問をしますが、答申の中において、たとえば「近代社会における部落差別とは、」「市民的権利、自由の侵害にほかならない。」、市民的権利と自由を完全に保障しなければならず、その中で特に就職と教育の機会均等を完全に保障することが問題解決の中心的課題である。「部落差別は単なる観念の亡霊ではなく」、とこういうことが指摘されております。 また、第三部で具体的問題として環境の改善、社会福祉対策、産業・職業対策、教育対策、それから人権対策の同和対策の具体化を述べて、その結語に、「根本的解決にあたっては、以上に述べた認識に立脚し、その具体策を強力かつすみやかに実施に移すことが国の責務である。したがって国の政治的課題として」政策に位置づけ「行政施策の目標を正しく方向づけることが必要である。」、こういうふうに結んであります。でありますから私は大臣並びに大蔵省当局に聞きたいのですが、このような答申の立場に立っていま議論をしておりますこの予算案はどういうふうに同和対策の予算が組まれているのでしょうか、お答えを願いたい。この答申を踏まえた上で今年度どのように組んだのかということについてお答えをひとつお願いをしたいと思います。
○政府委員(矢崎新二君) 御指摘のとおり、同和問題は基本的人権に係ります重大な問題であるという認識のもとに、政府といたしましては、従来から同和対策事業特別措置法に基づく関係の諸施策の推進に努めているところでございます。五十六年度予算につきましても特別措置法の目的やあるいは同法制定の契機となりました同和対策審議会の答申、ただいま御指摘になりましたような各分野にわたっての施策についての御提言があるわけでございますけれども、そういった答申の御趣旨も踏まえましてできる限りの配慮を払ったところでございまして、非党に厳しい財政状況の中ではございますけれども、総額で二千七百九十二億円、対前年度一〇・六%の増加を図る予算措置をいたした次第でございます。
○安恒良一君 厳しい財政の中で努力をしたと言われていますが、これらの問題点は後から具体的項目で少し私としては指摘をしていこうと思います。 そこで次の問題に入るわけでありますが、いまも大臣が盛んにおっしゃいましたし、教育の問題だと、私はその点はひとつよく認めるわけであります。いわゆる問題はどのようにこういう問題について啓発活動をやっていくのかということになります。これも御承知のように、同対法の強化延長をやりますときの衆議院本会議の附帯決議の中の第三項に、「同和問題に関する事件の増発状況にかんがみ、」「啓発活動の積極的な充実を図ること。右決議する。」ということになっていますが、そこでこの本によりますと、この三年間で約三百の差別事象が起こっております。そこで啓発活動を強化する予算措置が必要だというふうに考えますが、その点はどのように考えられていますか。大臣は教育と言われましたが、また私は啓発問題非常に重要だと思いますが、どうしても私は啓発活動を強化するための予算措置が必要であるというふうに考えますが、大臣はどのように考えられておりますか。
○政府委員(矢崎新二君) 同和問題の解決を図ってまいりますためには、御指摘のとおりこの問題に対します国民の理解と自覚の徹底が必要であるというふうに考えておるわけでございます。そういった認識のもとに、私どもといたしましても、同和問題の啓発活動を最重点施策の一つとして推進をしておるわけでございまして、五十六年度の同和対策予算におきましても、附帯決議の趣旨を尊重いたしまして、啓発予算の拡充に努めているわけでございます。具体的に申し上げますと、金額といたしましては三億一千二百万円ということでございますけれども、これは前年度予算に対しまして三四・九%の増加になっておるわけでございまして、できる限りの努力をいたしたつもりでございます。
○安恒良一君 そこで、ちょっと私、大臣にさらにお聞きしたいのですが、いま次長が言われたように、八一年度の同和予算の中で、人権擁護、啓発に関する予算は、私の調査では、法務省が五千九百四十九万円、総理府が二億一千四百一万円ですか。それから労働省が四千三百四十四万円。合計いま次長が言われたように三億一千万ちょっとの予算ですね。これは同和対策の中で占めている啓発費の予算の割合は〇・一一%なんです。同和対策事業全体の中に占めている割合は〇・一一%。このような不十分な予算で、同和地区の住民、同和問題を十分に国民に啓発することができるだろうか。正しい同和問題の認識に立たせるための意識の変革。教育予算としては増額する必要があるというふうに考えますが、大臣、この点はいかがなんでしょうか。大臣のおっしゃった教育問題、それから人権擁護、啓発という観点から考えますと、苦しい予算の中で努力したという点は主張されると思いますけれども、いま少し啓発関係の予算を各省組む必要があるのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、同和問題について特別な事業費をつけるというようなことよりも、むしろこういうような教育問題、啓発問題の方に重点を置く必要がある。むしろそうじゃないかという気がしています。
○安恒良一君 啓発、意識の変革、教育予算としての増額は必要だと、これはお認めくださいましたからそれは結構ですが、そこで、大臣、御参考のためにちょっと来年度予算にも関係いたしますからこの点についてなお深く触れておきたいと思いますが、全日本同和対策協議会に加盟をしております三十六都道府県、九市にかかわる啓発予算について、きょうは自治省お見えになっていますから、一九八〇年度予算でどのくらい組まれていますか。
○説明員(池ノ内祐司君) 実は、地方公共団体の同和関係の啓発予算の実態でございますが、これは全国的にただいま御指摘ございました全同対加盟の同和関係の啓発予算ということでまとめたものはございません。ということで私ども承知をしておりません。ただ、二、三の府県の例で申し上げますと、たとえばこれは昭和五十五年度でございますが、予算でございますが、たとえば大阪府におきましては、啓発関係といたしまして約一億円の啓発予算を組んでいるということでございます。
○安恒良一君 いばってそんなもの承知してませんなんというのは怠慢なんで、自治省としては、これだけ同和問題が非常に重要な状況になってますから、あなたの方の管轄でありますところの都道府県、市町村がどういうふうに予算組んでいるかなどということは承知をしておってもらわなきゃ困ります。知ってないのがあたりまえのような顔して。申しわけないというならわかるけれども、知ってないのがあたりまえのような顔して答弁されるのは大変不満です。帰って自治大臣に言ってください。私は本当なら自治大臣に来てもらって厳しく言うつもりだったけれども、きょうは大臣いないから。少なくともそういう予算が都道府県において市町村においてどうされているかという実態は、これだけ国会で衆議院、参議院で議論がされているときですから。 そこで、私の方から申し上げましょう。知らぬと言うなら、しようがありません。いま申し上げたところで、いわゆるこの全日本同和対策協議会に加盟をしておる都道府県と九市の啓発費は、大蔵大臣、二十六億実は支出されております。一九八〇年に二十六億であります。それから、そのほかに、いわゆる各都道府県、市町村が、たとえば啓発に特に取り組んでおりますこの同和関係市町村が千七十八市町村ございます。これらも大体その額はいま申し上げました二十六億の約数十倍になる予算を組んでおりまして、地方自治体は非常に真剣に啓発活動に取り組んでおります。ところが、いま大臣私が申し上げましたような数字から考えますと、国の啓発活動の費用が三億一千万ちょっとだということでございまして、都道府県が組んでおります金額から言うと非常に私は少ないというふうに考えます。でありますから、大臣もこの種の金は非常に重要だということでありますから、増額をする考えをひとつぜひ持っていただきたいと思いますが、その点どうなんでしょうか、大臣。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は先ほども言っておりますように、これは全体の教育の問題であって、啓発活動費というのはどういうように使われるのか中身私委細は知りませんけれども、私は一般論として、憲法十四条にあるがごとく、要するに日本国民はみんなもう性別にも宗教にもそれから身分にも社会的ななにも一切、信条、それはもう差別はないのですということをよく教えるということが一番大事であって、それは人の容貌によっていろんなことを批評したり、着ている洋服や着物で批評をしたり、そういうようなことはいけないのだと子供のときからよく教える。私は特定な地域や特定なものを何か想像させるようなことで言うというのじゃなくて、それは一般だれにも通用する話で私は啓発活動というのは行われることの方がむしろいいのじゃないかと、そう思っておるわけです。貧しい地域があれば、それは貧しい地域は一般国民と同様に差別をしないで、それは同じく同等に取り扱って、社会保障なり教育の面なり就職なり、何でもそれは全く同じくすべて取り扱うというようなことの方が、私は差別意識というものはむしろなくなるのじゃないのかという気がしておるわけです。
○安恒良一君 いや、それらの問題は後から議論しますが、いま問題になっているのは、教育とか啓発の関係の費用が、大蔵省がお組みになっているのに比べて各都道府県、市町村の方が非常な膨大な予算を組んで一生懸命やっていると、だからもう少し大蔵省自体も各省庁の要求に基づく啓発費については少し増額の方向をとってもらいたい、こういうことを強く言っているわけですから、どうかそういう点でひとつ大臣御努力をお願いをしたい。 次にまいりたいと思いますが、これも衆議院の議事録で拝見いたしますと、まあ大臣の出身の栃木県では余りこういう差別事件が起こってない、まあ北の方の関係などという御発言がちょっとあっておりますが、そこで大臣の出身の栃木県でも、法務局が直接取り扱ったものが四件ございます。それから県が扱ったものが二十八件ございまして、時間がございませんから、私資料を持っておりますが、その中身を一つ一つこういう事件だこういう事件だということを申し上げませんが、これは一九八〇年度分で、大臣がわが県は大して余りそんなこと起こってないんだとおっしゃっていますところでも、こんなふうに問題が起こっておりますが、この点どうお考えでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これ見るとそう書いてありますね。あなたのおっしゃるようにそういう数字が載っています。私はいままで多少聞いたことがございますが、関西地方のように同和がどうとかこうとかというようなことは余り日常会話にものってきませんし、余りそういうことを意識している人が非常に栃木県なんかの場合は少ない。そういうような差別的な実態も、部分的にはあるのかもしれませんが、全体として見るとそういう空気が大体ありませんよ、社会的に。
○安恒良一君 いや、そういう社会的に空気がないことは非常に結構なことですが、やはり大臣にきちっと御認識をお願いをしておかなければならぬのは、いわゆる私の選挙区にはそういう話は実際問題として余り聞いたことがないのです、こういう御認識なんですから、現実には一九八〇年度だけでも大臣の県でも法務局が直接扱ったものが四件ある、県が扱ったものが二十八件あるということで、かなりやはり差別の実態があるということだけはひとつ大物大臣として、ぜひ、自分の選挙区のことでもありますから御認識をいただきたいと、こういうことを申し上げているわけです。 そこで、次のことに入っていきたいと思いますが、いま大臣がおっしゃいましたように、差別が絶対あってはいけないのでありますが、部落地名総鑑、こういうものが売り出されております。大蔵省の所管でありますところの金融機関でも、三十五社がこれを購入しております。そのリストもあります。特に、安田信託銀行がこの本を使いまして地区出身者の就職を排除していますが、このことについて大臣どうお考えですか。 またそれから、こういうことは大臣の御答弁をまつまでもなく、私は国の施策もしくは大臣の方針にも逆行していると思います。こういう問題については、再びこういうことが起こらないように、また問題を解決するための厳しい措置がとられる必要があると思いますが、大臣の明確なお考えをひとつお聞かせを願いたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) この件は全く私同感です。こういうような何とか総鑑とかいうようなものを出して、そんなもう迷信か何かわからないようなものを発売すると、こういうことがけしからぬ話であって、こういうものはもう監獄にでも入れるとか、何かうまい手はないものかというぐらいに私はむしろ思っているのです。こういうように、だれもがそういうようなものには関係がないものをいかにも何か差別がある、つくらせるような本をつくるというようなことは一番悪いことだと、何か法律にひっかからないのかなと。私は専門家じゃないからわかりませんよ。わかりませんけれども、こういう根源は絶たなきゃいかぬ。それからもう一つは、そういう本を買って、それをうのみにして就職とか何かにそれを使うということも、これもけしからぬ話であって、安田信託が労働大臣のところへ反省文を出して、いま謝って、こういうことは一切しませんというようなことを言ってきたからいいけれども、これからはもうこういうことは二度とさせないように、私の方針とも違いますから、こういうものは厳重に徹底をさせたい、そう思っております。
○安恒良一君 大臣のお考えはわかりました。ぜひひとつ、金融機関は大臣の直接管轄、大蔵省の管轄下にございますから、三十五社もこういうものを買い込んでおりますので、ひとつ大臣名なり、またこの前のように銀行局長名なんかで、ひとつこういうことが起こらないように、また、こんなものを買って——大臣もおっしゃったように、つくったものを処罰したらどうだ、こういうことなんですが、こんなものを金融機関が買って、これをいろいろなことに利用しないように、ぜひとも厳しい御通達をお出しを願いたいということをこの際申し上げておきます。 そこで問題は、特借法の強化延長問題に入っていきたいのでありますが、御承知のように、道交法というのがございまして、自動車の速度制限をしています。また、違反をすれば取り締まりがあります。本来、人間というものは、そういう法律がなくても自己の良心に従ってやらなければならないものでありますが、なかなか今日の車社会の中で、やはり道交法の果たしている役割りは非常に重要だというふうに思います。いわゆる道交法があることによってドライバーがかなり白制をしている。これは私も交通労働者の一人でありますが、よくその点はわかるわけであります。そこで問題になりますのは、やはり部落差別の問題も国、地方自治体、国民もみんな力を合わせて、なくそうとしている。そのなくそうとすることの具体的な問題の一つが、この特措法だと思います。特措法に従って国も、地方自治体も、国民も、みんなで力を合わせて、いわゆるこの差別問題をなくそうとしている。ここに特借法の大きい意義があるというふうに私は思います。そういう中で、特措法が八一年度末まで、こういうことになっておるわけでありますが、私は残念ながら、いまもって差別事件が依然として増発をしている。もしくは部分的に見ますと、いろいろ悪質化をしている。こういう中において唯一の部落差別を禁止しておりますものが私は特措法だと思いますが、そういうふうに考えてまいりますと、やはりいま今日の現状の中では、その法の強化、改正の必要があるというふうに私は考えるわけであります。そして、その上に立って今後どのような差別事件にも対処をしていく、そして克服をされていかなければならぬ、こういうふうに実は考えるわけでありますが、こういう点について、いわゆるこの特措法の改正強化、こういう点がいまの段階では必要だと考えますか、この点について大臣のお考えをひとつぜひお聞かせを願いたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは私の所管じゃございませんので、はっきりしたことは申し上げられませんが、私はこの同和対策関係の法案というものができて十年になって、かなりの莫大な金を投資しているわけですよ。それが効果があって、差別問題とか何かが少なくなったというのなら話はわかるけれども、そうして金使ってやったらふえてきたというのでは、これは一体どこに問題があるのか。それは法律がなかったらば差別がそんなに起きないものを、法律があったためにふえちゃったのか。毎年ふえているというのですから。私はどこにその問題があるのか、非常にそこのところは考え直す必要がある。私は先ほどから言っているように、これは基本的な問題なのだから、だからそういう点で本当にこの法律によって差別がなくなって、本当に世の中が出るくなってきているというのなら、私はそれだけの意義がありますが、法律があってだんだん差別がふえてくる、悪質化するというのでは、一体どこに問題があるのか。そういう点を究明しないと、何とも私はいまの段階では申し上げられません。
○安恒良一君 ちょっと認識の違いがありますが、私が言っていることは道交法との関係で、法律があって、それがやはり実効を上げていることは事実ですね。ところが、この同対法が決められてもう相当の年限がたっていますが、私は、正確な認識としては依然としてまだ差別事件が続いている、もしくは一部分にその悪質化がある、こういうふうにとることが正しいと思いまして、法律があるから、大臣、あったからふえているとか、悪質化、そんなことを言っている人はいないわけですね。ですから、そこのところの認識はひとつぜひ誤らないようにしていただきたい。私が道交法の例を出したのは、道交法があるからスピード違反その他についての交通事故がセーブされている。また同対法があるからだんだん改善をされている。しかし、残念なことに、まだ依然としてそういう差別事件が残ったり、もしくは一部分的に悪質化が起こっている、こういうふうなことでありますから、そういう認識の上に立って、ひとつぜひ大臣、この強化延長を考えていただかないと、同対法があるからどんどん事件がふえたり悪質化しているから、それならということではないのでありますから、その点はひとつ大臣、誤解を解いておいていただきたいと思います。 そういう上に立ちまして、ひとつそこで財政問題について少し申し上げたいのですが、実は、自治省から大蔵省にも「地方公共団体が行う同和対策事業に対する財政措置について」という財政局長通達が、概算要求の時点でこれは一九八〇年七月二十二日に出されておりますが、この自治省の財政局長通達を大蔵省としてはどのように受けとめられまして具体的に措置をされましたのか、事務当局のお答えを聞かしてください。
○政府委員(矢崎新二君) 昨年の七月二十二日付の自治省財政局長からの文書でございますけれども、これは地方公共団体が行います同和対策事業に対する国の財政措置について特段の配慮を関係各省庁に要請したものだというふうに理解をしておるわけでございます。 同和対策事業につきましては、原則三分の二の国庫補助を行うなどの措置を講じているところでございますけれども、附帯決議の御趣旨とかあるいは自治省からの要請も踏まえまして、昭和五十六年度においても、厳しい財政上の中ではございましたけれども、国庫補助の増額あるいは補助単価の引き上げ等実態に即した必要な予算の充実を図りまして、地方公共団体の財政上の負担の軽減に努力をしたところでございます。
○安恒良一君 いろいろ努力をされているという点はわからぬわけでもありませんが、自治省はこう言っておるわけですね。同和対策事業は、「原則としてすべての事業を国庫補助負担事業として採択し、」地方負担の軽減を図るようにと、こういうふうに自治省は七月二十三日の通達文書の中に書いてあるわけでありますが、大臣、この点はどういうふうにお考えになりますか。これは大臣にお聞きします。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは全部を国庫補助でやれや言われましても、国の費用で全部やれと言われましても、事業とかそういうことでなくて、教育とか何かの話で一般論の話ならば私はいいと思いますが、地方の何か事業の伴う話、いろんな建設事業とかそういうような事業の伴う話の場合は、それは全部国でやれと言われましてもなかなかそう簡単に全部国でやるということはいますぐ申し上げるわけにはまいりません。
○安恒良一君 大蔵大臣そう言われているのですが、自治省きょうお見えになっているのですが、このような財政局長通達は、単に財政局長通達でなくて自治大臣の御方針でもあるというふうに私は思うわけでありますが、去年の七月二十二日にこのようなことを出されてそれが大蔵省でどう受けとめられたというふうに自治省側ではお考えですか。 また、いま渡辺大臣の所見がこの問題について述べられましたが、自治省側のお考え方をひとつここで聞かしてください。
○説明員(池ノ内祐司君) まず通達の趣旨でございますが、趣旨につきましてはただいま大蔵省の方から御説明がございましたように、自治省といたしましては、同和対策事業を円滑に推進するためには、やはりこれは国庫補助負担、国の財政援助なくしては円滑な推進ができないというようなことで、先ほど御説明がありましたような通達を出したわけでございます。 そこで、五十六年度予算についての所見ということでございますけれども、これも先ほど大蔵省の方から御説明ございましたように、前年度対比一〇・六%ということでございまして、一般歳出の伸びが四・三%という中では種々御配慮をいただいたのではないかというふうに考えております。特に物的事業につきましては、これは各省庁関係がございますけれども、一応五十六年度に実施可能な事業につきましては予算計上をしていただいた、こういうことでございます。というわけで、私どもの考え方から出しますと十二分あるいは十分なというふうなことではございませんけれども、現下のこういうような財政状況の中では御配慮をいただいたというふうに考えております。
○安恒良一君 大蔵大臣を目の前にして一参事官だから限度そこまでだとこう思いますけれども、しかし、この文書を読みますと、「同和対策事業については、同法の基本的精神にかんがみ原則としてすべての事業を国庫補助負担事業として採択し、事業費の全額について同法に定める高率の国庫補助負担を行うとともに地方公共団体の要望にも即して必要な予算の確保に努める必要があります。」、こういうふうに出されておるわけですから、それから見るとどうもちょっと、いろいろ厳しい財政下における努力はされたという点はある程度わかりますけれども、あなたたち炉言うふうに、まあ十二分とは言わないけれども、というのは、大臣の前だから少しお世辞もあるというふうに受け取っておきましょう。実力大臣の前で変なことを言うと後でしかられちゃうからね。 それじゃひとつ、そこで実はちょっとお聞きをしたいことがあるのでありますが、いま国庫補助事業として各省が必要を認めまして予算措置を求めているにもかかわらず、各省の新規事業に対して啓発研究委託費を除いてすべて予算措置が今年度、五十六年度予算は全部削除されておりますが、これはなぜでしょうか。
○政府委員(矢崎新二君) 五十六年度予算におきましては、先ほどもちょっとお話が出ましたように、非常に厳しい財政状況の中で一般歳出の伸び率四・三%という状況の中で、同和対策予算につきましては特別措置法の三年延長の最終年度であるということを踏まえまして、重点的な予算配分に努力をしたわけでございます。各省庁の新規要求につきましても、各省と十分協議をいたしまして調整をしたわけでございますが、中でも啓発研究委託費の総理府の予算でございますとか、あるいは法務省関係の家庭啓発関係の予算でございますとか、労働省関係の雇用主の啓発川のフィルムライブラリーの予算でございますとか、あるいは厚生省の同和保育所の加配保母の常勤化の措置とか、できる限りの配慮をした次第でございます。
○安恒良一君 大蔵大臣。大臣御承知かどうかわかりませんが、私のところに一覧表が来ていますが、厚生省から要求しました同和保育所とか児童館の用地、診療所、それから保健婦の三十八人の配置とか、こんなものがみんな削られておるわけですね。それから、通産省の工場等貸与事業。それから、労働省が職業訓練補講等の助成要請とか、労働保険事務組合の設立のための資金とか、それから自治省が消防団詰所兼車庫。こういうのは、いかに財政が苦しくてもそんなに片っ端から削られてしかるべきだとは思わないわけです、私がいま挙げた各省の例で。 ですから、こういうのを見ていきますと、どうも各省が同対法に基づいて意欲的にやろうとすることについて、大蔵省が財政という観点からカットされる。そのことが同対事業をおくらせているのではないかと私は思います。たとえば、いま私が読み上げたような項目はきわめて重要な項目だと思いますが、そういうものを大蔵省が財政という観点で片っ端から切っていかれる。ですから、同対事業というのはどんどん進めていかなきゃならぬと思いますが、どうもせっかく各省が意欲的に出したものをお切りになるということになると、同対事業全体がおくれていることの責任の大きい一端が大蔵省にあるというふうに私は考えるのですが、その点はいかがでしょうか。
○政府委員(矢崎新二君) 問題は、その同和対策事業としての緊要性の判断の問題にかかわるのではないかと思いますけれども、予算編成の過程におきまして、全体の厳しい財政事情の中でどういった措置を講じていくのが最も有効適切であるか、効率的であるかということにつきまして、各省庁と十分に協議を遂げまして、最終的な結論といたしましては、先ほど申し上げましたような措置を講ずるということで五十六年度予算の編成をいたしたということでございまして、この点は現下の財政事情等の中で、まあできる限りの努力をしたという点につきましての御理解を賜りたいと存ずる次第でございます。
○安恒良一君 まあ時間がありませんから余り中身に——たとえば一つの例を挙げますとね、労働保険組合の事務所設立資金であるとか職業訓練の資金であるとか、やはり非箱に同対地区においては職業の問題、就職の問題があるわけです。それから労働保険の適用状況なんかも、これはほかの委員会で私はやったのですが、非常に同和地区ではおくれているわけですね。だからそういうものをやっぱり解決をしていこうという意味で、労働省がたとえば予算要求をされたということについて、いまあなたが言われたような必要度合いをということで、必要度合いから考えますとやはり就職促進ということは非常に重要な問題ですから、まあこれ以上議論しませんが、私はぜひとも少し大蔵省はこういう点は前向きに取り組んでもらいたい。 そこで大臣、物と金だけで解決つく問題でないと、教育問題だと、盛んにこうおっしゃっていますが、私は、実態的にこの差別の解消には環境の改善、これはやっぱり金がないとできないと思うのです、金がないと。物と金だけでないといっても、金がないとやっぱりできないと思う。そこで、たとえばその同対事業が進んでおりますところの大阪、福岡、名古屋等々でどれだけの事業費が組まれているというふうに自治省は把握されていますか、ひとつお聞かせください。
○説明員(池ノ内祐司君) 残事業の問題につきましては、現在総理府を中心といたしまして、各省庁で各府県等を通じましてヒヤリング等を行いまして現在調査中でございます。したがいまして、ただいま御指摘の大阪あるいは福岡につきましてどの程度の残事業があるかということは、現段階ではまだ承知しておりませんが、先ほど申し上げましたように、総理府、それから各省庁におきましていま精査をしておるところでございますので、その結果を待って発表したいというふうに考えております。
○安恒良一君 これも非常に私から言うと怠慢だと思います。私は、その四十七都道府県は全部それは調査されているかわかりませんが、特に問題のあるところについてちょっと挙げてみたのでありますが、たとえば大阪では一九七九年度以降で二千八百億ある、福岡県は一九八〇年度以降で三千二百十億円ある。名古屋市の平野の玉子地区だけでも三百六十億まだ残事業が残っていると、こういうことをそれぞれ都道府県、市が発表をしています。ですからまあこれも調査中ということでは全くお粗末なんですが、そういうことでまだまだ必要な事業がたくさん残っているというのが今日現実であると、この点はひとつ大臣、ぜひ御認識をしていただきたい、それぞれ各県が発表している数字でございますから。 そこで私は、まずぜひとも早急にこのような事業量が残っている、また施策の必要なものについての実態把握をする、そういう中で今後の同和対策の方針というものが決められていく、具体策が決められていくということが必要であるというふうに考えますが、この点はどうでしょうか。
○政府委員(矢崎新二君) 御指摘の同和問題の実態につきましては、現在各事業の所管省におきまして府県からヒヤリングを行いましたり、あるいはその担当官による現地調査等をやっておるわけでございまして、実態の的確な把握に努めているところでございます。同和問題の可及的速やかな解決を図るために必要となります今後の施策の方向、内容等につきましては、関係各省が協力をいたしまして鋭意検討を進めているところでございます。
○安恒良一君 その点は衆議院の答弁でも伺っておるわけでありますが、三項目の附帯決議の第一項にある「法の有効期間中に、実態把握に努め、」「法の総合的改正及びその運営の改善について検討する」となっていますが、今後の同和対策の方向は環境改善のみならず、人権啓発、産業、労働、教育、福祉施設に重点を移さなければならないというふうに考えます。そのためには、私は一九八一年度末でこの特別措置法が切れることになっております。この点について衆議院の予算委員会総括で野坂委員の質問があります。また参議院の総括でも、小野明委員の質問がありますが、総理はそのときに、一九八二年度の概算要求に間に合わせるように努力すると、もしくは今後の施策に支障を来さないように結論を出す、こういうふうに総理は答弁をされております。そうしますと、私はどうしてもいま申し上げたような事情の中から、特別措置法の強化改正が必要だというふうに考えておりますが、いつの時期まで——今度は財政当局でありますから、財政当局としては、いつの時期までにこの財政措置をする立場から見て法改正を行う必要があるというふうに考えられますか。これ財政との関係においてお考えを聞かしてください。
○政府委員(矢崎新二君) 今後に必要な施策の方向、内容等につきましては、五十七年度予算の概算要求の時期までに取りまとめることを目途にいたしまして、いま現在総理府が中心になって鋭意努力をしているところでございますが、法律問題につきましても、それとの関連において検討することになるというふうに承知をいたしておるわけでございます。
○安恒良一君 私はまあこれは予算と法との関係でありますけれども、まず最初は、私は政府はどう対応するかという方針が決まっておると、そして概算要求ができると、こういうことではないだろうかと思います。でありますから、やはり法を改正をしまして、強化延長しまして、そうしてその新しい角度から事業を進めるということになれば、まずその概算要求までに結論を出して、断じい法律ができる、たとえば強化延長するなら強化延長するという結論が出る。その法に基づいて来年度、一九八二年度の概算要求が各省としても要求していく、新しい事業を盛り込んでいく、こういうふうにやっていかないと、現実には財政との関係はうまくいかないというふうに思います。そうしますと、まあサマーレビューということで、また予算が通過すればすぐ基本的な作業が始まるようでありますが、遅くともまずこの国会でぜひともこの特別措置法の強化改正を行うと、こういうことについてきちっとした結論を出して、それに基づいて各省がそれぞれ事業を考え、そして概算要求が出されていくと、こういうふうな進行をお組み立てにならなければならぬと思いますが、大臣いかがでしょうか。これは大臣にお聞きします。
○国務大臣(渡辺美智雄君) まあ慣例的な手続をするとすれば、いま矢崎次長の言ったようなことだろうと思いますが、御承知のとおり、安恒委員も、法律がなくたって予算つくるやつはいっぱいあるわけですから、その予算関連法というのはそのために新しく法律出すのでしてね。ですからその方針だけの問題であって、方針が決まっていればそれは予算編成時までに決まればいい話じゃないのかと。ただ、しかし普通のやり方をする場合は、早く方針を決めてもらって概算要求した方がやりいいというだけのことじゃないでしょうか。
○安恒良一君 そこで、私はやはりぜひ、この点は後で結論として申し上げますが、今度はちょっと観点を変えまして、大蔵省としては特別措置法の強化改正の点、特に財政のあり方についてはどういうお考えをお持ちですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私どもとしてはもういかなる経費についても聖域は設けない、すべて根っこから見直すという方針です。
○安恒良一君 いかなる点についても聖域は設けない、こういう大臣のお考えはわかりました。 そこで、いわゆる大蔵省としては、私は、自治省から出されました財政局長通達、これはまあ自治大臣の意見でもあるというふうに私は前段申し上げましたが、すべての同和対策事業を国庫補助事業とすること、それからまた、地方の負担の軽減を図ること、それから国の予算措置が不十分なこと、単価、数量、対象範囲等の国庫補助負担基準が実情に合ってないというふうなことを、これは自治省通達に書いてあるわけですから、私が言っているわけじゃないのですが、こう書いてありますね。私もまたそのとおりだと思うのでありますが、そういうことが起こらないような私は法の強化改正を行う必要があるというふうに思いますが、いずれにいたしましても、まず方針が定まってなければだめだ、こういうことなのでありますから、少なくとも私は措置法をこの際強化改正を行っていく、こういう方針を決めていく点についてぜひともひとつ大臣の御努力をお願いをしたいと思いますが、どうでしょうか、まず方針が決まらぬとどうにもなりませんから。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは各省庁でいま検討中でございますから、そういうようなものを取り寄せまして、それで、これはサマーレビューの問題等とも関係ございますし、非常に厳しい財政事情の中でいままでのような惰性の構造ではとても歳出カットなんてできるものじゃありませんので、全体的にどれくらいの枠にするのか、その中で国民の負担が——国民の方は増税はいやだと言うわけですから、ということになれば歳出をカットする以外に方法がないわけでございまして、そういうような中でどういうふうに扱っていくか、これは今後の問題として、いまのところ私は全く白紙の状態でございます。
○安恒良一君 ここでそれぞれの支出項目や補助項目の細かいことをいま大臣と私の間で議論をしようと思っておりませんし、またそういう時間もありません。 そこで、私は特に大臣にお願いをしておきたいことは、三項目の附帯決議がございますから、これを尊重いたしまして、早急にひとつ——何といっても鈴木内閣の中の一人の大きな実力大臣ですから、その意味から、各省がやっている、やっているということでお逃げにならなくて、私はぜひ大臣にこの特別措置法を強化改正する、こういう点についてまず国の大方針を決めるべく努力をひとつぜひ大臣にお願いをしたい、こういうことを思いますが、どうですか。財政の細かいことを言っているわけじゃありません。大きい方針として、鈴木内閣の有力な大臣としての御努力をぜひひとつお願いしたいと思います。よろしゅうございますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは、先ほど申し上げましたように、国民全体とのバランスの問題、それから要するに財源との問題、それから大多数の国民の理解が得られるかどうかという問題、そういうような問題との絡みでございますから、実態をもう少し検討さしていただいて、各省庁の御意見も聞いた上でどういうふうにするか決定をいたしたい、慎重に決定をさしてもらいます。
○安恒良一君 それでは最後に、なかなか大臣えらい慎重ですからあれですが、私はぜひ大臣に再度強く要望を申し上げておきたいと思いますが、いま一回申し上げますと、三項目の附帯決議を尊重して早急に特別措置法の強化改正をする、こういうことを再度強く大臣に御要望申し上げまして、この問題に関する質問を終わりたい、こう思います。どうぞよろしく。
○主査(和田静夫君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時十分まで休憩いたします。 午後零時五分休憩 —————・————— 午後一時十分開会 〔源田実君主査席に着く〕
○主査代理(源田実君) ただいまから予算委員会第二分科会を再開いたします。 午前に引き続き、昭和五十六年度総予算中、大蔵省所管を議題とし質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○中野明君 私は、昨年通常国会で成立をしました俗に言われているグリーンカード制度、このグリーンカード制度が五十九年一月から実施されることになっておりますが、この準備の状況がどの程度まで進んでおりますか、予算がどの程度ごとしはついているのか、その両面でお答えいただきたい。
○政府委員(川崎昭典君) グリーンカードは五十九年から実施になるわけでございますが、カードそのものは五十八年一月から交付を開始するという予定でございます。したがいまして、それに間に合いますように準備を進めておるわけでございますが、具体的に申し上げてみますと、国税庁の方に準備室というのを設けてございますが、そこでいろいろなことを検討しておるわけでございます。 〔主査代理源田実君退席、副主査着席〕 まず第一番目に、グリーンカードという制度が始まった場合に、事務運営の体制がどういうふうになるかということの検討をいたしております。さらに具体的に言いますと、税務署ではどういうふうな事務をやるか、国税局ではどういうふうな事務をやることになるかといったようなこと。 二番目としましては、事務処理手順の検討。つまり、まだ時間がかなりございますが、今後どういうふうな処理手順を進めていくことになるか。たとえば、いつごろ印刷をすればよろしいかといったようなことを検討しておるわけでございます。 三番目に、やはりこの体制は相当大きな手間の要ることでございますので、電子計算機を使うことを予定しておりますが、電子計算機でどういうふうに処理するかという検討を行っております。したがいまして、また電子計算機をどこへ収納するか、その建物をどうするかといったような検討も行っておるわけでございます。 最後に、また制度を周知するにはどのような手段がよろしいか、広報関係の検討もやっておるわけでございます。特に、五十六年度予算では、国税局での準備要員若干名を認めていただいておるわけでございますが、それを早速に五十六年度にどういう内容で働いていただくかという点。それからもう一つは、準備経費として若干の予算、一億八千万程度を計上していただいております。それから、電算機を入れます建物の着工のための経費を認めていただいておるわけでございます。
○中野明君 電算機の着工が五十六年の予定のようですが、これはいつごろでき上がる考えで進めておられますか。
○政府委員(川崎昭典君) 電算機を入れます建物をまず着工しまして、それからしばらくして入れるということになりますが、五十八年一月までに稼働をするということで考えております。
○中野明君 そこで問題なんですが、最近衆議院でも、それから参議院の予算総括、一般でもいろいろ問題提起がありましたが、このグーリンカード制度が五十九年一月から実施されるということが決まっているにかかわらず、各方面でグリーンカード制度を見直せというような動き、特に自民党の中でもそういう動きが顕著にあるというようなこともマスコミが報じておりますけれども、こういう点について総理は明快に実施はするのだとおっしゃっているんですが、なおかつそういう動きがあるということについて、大蔵大臣、御所見があればお伺いをしたいんですが。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私のところへはまだ自民党から何も言ってきておりませんで、新聞で私は見ただけで、一遍聞いてみようかと思っているのですが、国会がこのような調子なものですから、党と話をする暇もないということであります。
○中野明君 もしお話が出てきたら、大臣としてはどうされるお考えですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) いまごろそんなことを言われても困るじゃないか、ともかくもう法案ができちゃっているのだから。問題は私は、かねて中野委員も聞いたとおり、大蔵委員会などでいろいろ私が言っているように、ストレートに乗せるというといろいろむずかしい問題が実はございます。したがって、いろんな所得税法の中の問題点というものは、そのときまでにやっぱり一緒にある程度手直ししなければいかぬじゃないか、そう思っております。グリーンカードの基本は変わらない。
○中野明君 不公平税制の是正ということが一つのグリーンカード実施の大きなねらいになっておりますが、不公平税制の是正ということは、もう御承知のように年来の政治課題でございます。それだけに、私どもは一たん成立した法律がまだ実施されてないうちから、あちらこちらからいろいろ声が出てくるというのは非常に理解できないところでございますが、特に不公平税制の是正を国民も願っております。そういう観点からいきますと、国民感情を逆なでするようなそういう動きじゃないかということで、私たちも非常に残念なんですが、これは所期の方針どおりに、もちろん実施に当たりましてどういう具体的なことがあるかまだわかりませんが、それは実施された後のいろいろ出てくる問題を是正されるということはわからぬでもありませんが、所期の方針どおりにやはり実行されるということが、政治に対する信頼という上からも大切なことだと思いますし、いま騒いておりますのは、結局グリーンカードに関係のある人が騒いでおるのであって、一般大衆は御案内のように、グリーンカードができようとできまいと、直接これは余り影響がありません。影響のない人は関心がない、これはあたりまえのことだろうと思います。 そういう面で、支障のある人が騒いでいるだけじゃないか、こういうふうに私どもは見ておるわけですが、そういう点につきまして、いま大臣お答えになりましたように、基本はずらさないで実行するということでございますので、総理もたびたび述べておられるように、ぜひこれは実行に移していただきたい、このように要望いたします。 そこで、これもグリーンカードに絡みましていろいろ問題があるんですが、ちょっとお尋ねしておきたいんですが、個人の貯蓄の増加状況、何か銀行から郵便局へ大きく移動したんじゃないかとかいろいろ言われておるわけです。ここのところ、ちょっと郵便貯金の増加も鈍っておるというふうにも聞いておりますが、個人貯蓄の増加状況についてちょっと御説明をいただきたいんですが。
○政府委員(吉田正輝君) 数字の問題でございますので、私の方からお答えさせていただきます。 個人貯蓄の昨年の動向でございますけれども、日本銀行の調査でございますが、恐らく先生のおっしゃっておられますのは、個人貯蓄の中で個人の預貯金の関係を言っておられると思います。それで申し上げさせていただきますと、去年は全体といたしまして銀行、相互銀行、信用金庫、信用組合、漁協、農協、郵便局、労働金庫等を合わせまして二十一兆九千億余りの増加でございますが、対前年比二・二でございます。 そのうちの内訳で申し上げさせていただきますと、増加額ベースで比較させていただきますと、たとえば全国銀行は三角一八・六でございますので、一八・六%の増加額ベースの比較での減になります。相互銀行が同様マイナス二一・四%、信用金庫がマイナス一四・〇%、信用組合が一六・六%でございます。郵便局はプラス、増加三五・三%ということでございます。ただ、全体といたしましては二・二%の増加でございます。これを時系列的に見ますと、年度の前半と後半を分けてみますと、前半は特に八・八%減と、かなり落ち込んでおるということでございます。いまのところは個人貯蓄の数字と間違えましたので、そこのところはちょっと訂正させていただきます。 それから、これを貯蓄種類別に見ますと、長期の高利回り運用資産への選好というような傾向が非常に強うございまして、郵貯が前年を上回る増加となる一方、やはり長期高利回りの公社債、国債中心に高進をいたしたというようなことでございます。 この中身として見ますと、民間金融機関の預金増加額は、こういう長期高利回り運用資産への選好度が強まったということもございましょう。定期性預金がますます伸びたわけでございますけれども、要求払い預金の落ち込みが響いていずれも前年をかなり下回ったということで、農漁協はほぼ前年並みの増加、横ばいというような形でございます。
○中野明君 いまの御説明でもありましたように、郵便貯金の方が、特に長期の方が伸びたということなんですが、その理由はどういうふうに大蔵省としてはお考えになっていますか。
○政府委員(吉田正輝君) 先ほど申し上げましたように、去年の動向で全体として見ますと、長期の高利運用が期待できる金融資産への移行ということが一つ大きな背景になっております。それ以外に郵貯が急増いたしましたのは、たとえば商品面で定額貯金という百利な商品を持っているということ、それから店舗面でも全国津々浦々に店舗を配置しているということのほか、やはり国の絶対的信用というようなものを背景にしているような制度上の差異があって、そういう原因があったと思います。 それ以外に、一つは、やはり昨年は税制上グリーンカードなどをめぐりましてイコールフッティングが確保されないのではないかというようなことが世上かなり大きく出てくるようなことがございまして、ふえた要因があったと思います。しかし、その点につきましては、年度後半に至りましてグリーンカード上の問題は、郵政省や大蔵省の間の話し合いでイコールフッティングが税制上はその点では確保されるという点で、そういう要因はなくなってきたのではないかというふうに私どもは考えております。
○中野明君 郵政省はきょうは来ていますか。—— 郵貯の方は昨年は特に伸びたように私も承知しておりますが、その後減ってきておるということも聞いております。郵政省の見方はどうですか。
○説明員(小倉久弥君) 昭和五十五年度の郵便貯金の伸びぐあいでございますが、これにつきましては、年度全体を通じましては、五十四年度と比較いたしますと約四八%前年よりも伸びております。しかしながら、これを季節別に見てまいりますと、四月から十一月までにつきましては、同じ期間の前年に比べまして約七割増、一七〇%程度でございます。であるのに比べまして、利下げが行われました十二月以降につきましては、同じ期間の前年度に比べますと約八割、前年の二割減になっております。 このようなことから、五十三年度、五十四年度が非常に郵便貯金の伸びは低調でございまして、窓口の純増で見ますとそれぞれ前年度を下回りましたのに比べまして、五十五年度一年間で見ますと、それまでの二年、三年よりもよく伸びておりますが、いま申し上げましたように月別に見ますと、ちょうど預貯金の利率が峠でございました五十五年の四月以降十一月までの間に非常によく伸び、そういたしまして十二月の利下げ以降ばったりと申しますか、伸びがとまっております。そういうようなことから、預貯金金利の天井感というようなものに非常に敏感でございます最近の預金者の選好から、長期の預貯金である定額貯金中心に利率の高い期間において郵便貯金が伸びた。そして、それが利下げに転じまして、一転伸びが低調になっておる、このように理解しておるところでございます。
○中野明君 それぞれの見方はございましょうけれども、先ほど審議官が述べられましたように、やはりグリーンカード制度が発足をするという法律が通ったことが、一つのやっぱり要因になっているというふうに受けとめる方も多いようでありますが、それでそういう誤解があっちゃいかぬということで、大蔵省と郵政省でこのグリーンカード実施に当たっての取り決めがされたように伺っておりますが、最終的にどういう内容の取り決めだったのか、まだ具体的なものが決まってないのか、その辺御説明をいただきたいんです。
○政府委員(梅澤節男君) ただいま銀行局からも御説明を申し上げたわけでございますけれども、昨年四月以降、基本的には金利選好というふうに私ども考えておりますけれども、グリーンカードをめぐりまして、民間の貯蓄と郵便貯金の間に税制上の扱いに不公平があるのではないかという一部の疑問が、ある程度撹乱要因になったことは事実でございます。そういうことで、大蔵大臣も御心配になりまして、まず昨年の九月に郵政大臣と大蔵大臣の間で、二つの点について合意があったわけでございます。 まず第一点は、五十八年末までに預入された郵便貯金につきまして、五十九年以降、つまりグリーンカードが実施されます年でございますが、それ以降払い戻しされる際に本人確認を郵政省で行っていただきまして、架空名義のもの、あるいは限度超過の部分は国税庁に通知をするという点でございます。 第二点は、限度管理の問題でございますけれども、五十九年以降の郵便貯金の限度管理をグリーンカードで行う、そういうことについで両省間で早急に具体的方法を決めるという両大臣の御確認があったわけでございます。 それを受けまして、郵政省と私ども大蔵省事務当局で詰めまして、昨年十二月の二十八日、つまり予算ができ上がりましたその時点でございますが、これは技術的な話でございますので、事務次官同士のお話で合意いたしましたのは、九月の合意を受けまして五十九年以降の郵便貯金の限度管理、つまり名寄せにつきましては、五十九年以降預入される分はもちろんでございますけれども、五十八年以前に預入された過去の分につきましても、さかのぼってグリーンカード番号によって統一して限度管理をやっていただく。そういうことで、民間につきましても五十九年以降はグリーンカード番号によって処理される。郵便貯金につきましても、グリーンカード番号によって名寄せが行われるということで、税制上の問題とされておった点は解決がついたというふうに私どもは考えておるわけでございます。
○中野明君 そうしますと、郵政省も当然これは限度額があるわけですから、名寄せをして、現在でもやっているんじゃないかと思われますが、郵政省として昨年なら昨年、五十五年度で名寄せで限度額を超過していることがわかって払い戻しをするようにしたそういう件数といいますか、数字はつかんでおられますか。
○説明員(小倉久弥君) 郵便貯金の名寄世につきましては、先生おっしゃいましたように、従来から全国一本で預金者。とに名寄せをしております。また、この名寄せにつきましては、従来手作業でやっておりましたものを、現在の業務のコンピューター化に従いまして、コンピューター処理に切りかえてその徹底を図っておるところでございますが、いまお尋ねの五十四年度におきます郵便貯金の限度額超過の件数、金額につきましては約二万一千件、二百十二億円というものが大なり小なり、ごく少額、たまたま三百万を若干オーバーしたような方々も多数含まれておりますが、ともあれ三百万という限度額を超えておりますものを発見いたしまして、それぞれ減額の措置を講じております。
○中野明君 いま大蔵省の審議官からお話がありましたように、この合意事項、これで一応両省が納得をされて取り決めができたようですから、それはそれとしてよろしいのですが、そもそもがグリーンカードの制度ができたというのは不公平の是正で、何か郵便局に税金逃れのために資金が移動したとかいうようなそういうことではなくして、私ども銀行でも無記名の預金制度、これは制度としてあるわけですから、いずれにしても、銀行によらず郵便局によらず、そういうのがかなりあるんじゃないか、だからグリーンカード制度を実施すると、こういうことになったんじゃなかろうかと私も思うわけでありますので、その点、取り決められた事項を遵守して、そして納得のいくように、不公平のないようにひとつお願いをしたい、このように私思っております。 それから次にお尋ねをしたいことは、このグリーンカードそのもの、これは要するに少額貯蓄の非課税制度というものがございまして、これによりますと大体民間の銀行で限度額三百万ですか、それから郵便貯金で三百万、国債を求めればマル優で三百万、そうなりますと合計で九百万ですわね。九百万まではこれはもう少額貯蓄として、グリーンカードができようとできまいと関係ないわけですが、そのほかに何か非課税になるのはありますか。
○政府委員(梅澤節男君) これは給与所得者の場合でございますけれども、いわゆる財形貯蓄というのがございまして、これは給与の支払いを受けるときにチェックオフのかっこうで貯蓄をされる場合でございますが、これにつきましては五百万という別枠の非課税限度額がございます。
○中野明君 そうしますと、それを加えれば勤労者一人で一千四百万、ここまではいいということになるわけですが、家族四人構成ということになりますと、いろいろ贈与税とかなんとかいうようなことを入れるとそれは際限がつきませんが、一世帯四人とすると、九百万として四、九、三千六百万、その上に財形が入ると五百万入って四千百万ですね、そこまでは構わぬと、こういう形になりますが、そうしますと、四千百万ということになると、これは相当のお金持ちじゃないだろうか。恥ずかしい話ですが、私もそんなにありません。もう三百万がやっとこさだというような感じが私しております。 そういうふうに考えますと、これはグリーンカードを実施されてもそんなに影響を受けることが少ないのじゃないかと私思うんですが、なぜこんなに騒がれるのだろうか。一部に、恐らく特定の人でしょうけれども、ずいぶんと隠し資産を持っておられるんじゃないかというような感じもしないでもないですが、この点、大臣どうでしょうかね。グリーンカードができたら大変だと言って騒いでいる人たち、なぜ騒ぐんだろうかと私も不思議でたまらぬのですが、その辺、もっと騒ぐ必要ないということをPRされる必要があるのじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはよく理屈を考えれば、もう中野委員の言うとおり、そんなに金持ちがいっぱいいるわけじゃないはずなのですが、おもしろいもので、お金というのは暗いところへ行きたがる性質があるのですわね。たんすの中とか、へそくりなんというのはもうどっかおやじの知らないところとか、そういうことで意外と町のおかみさんなんかでも、グリーンカードができると何かもう亭主にみんなばれちゃう、役所にみんなわかっちゃう、税金でもよけい取られるのじゃないかと、どうしてその金ができたかということについて。そういう不安が一部あることは事実なのです、これは。それからもう一つは、要するにたくさん持っている人が、郵便局でときどき五千万とか一億円とか挙げられているのが現実にありますから、そういう人たちはそれは困るでしょう。 だから問題は、そういうグリーンカードの趣旨がわからないで騒いでいる人もあるんですよ。まだ実施の時期がございますから、それはあなた、四千万円まで持っておったって心配ないのですよ、それはちゃんと届け出ればしかも無税になるのですよということをよくPRをすれば、騒ぎはうんと静まるのじゃないか。そういうことを知らないために、要するに疑心暗鬼の人がいるということも問題だと思います。それからもう一つは、高額所得者の問題は、それはあるでしょう。高額というか、資産家ですな。そういうような問題については、いま七五%の税率で、そこへ一八%、九三%、分離課題だからまあ仮に百万とか二百万預金が入ってもそれは三五%で済むが、今度は九〇%も取られると大変だということでさらに騒ぎもあるでしょう、それは。ですから、そこらの両面を踏まえまして、みんなそんなに心配ないように、もっとPRをするということが必要だと思っております。
○中野明君 本当に私も同感でございまして、ぜひこれは強力にPRして、無用な騒ぎを起こさないようにしてもらいたいと思います。 それでは、時間に制限を受けておりますので、もう一点だけ。 おとといの日本経済新聞ですか、銀行の手数料をまた二倍ないし三倍に上げようというような報道がなされておるんですが、引き上げの理由は銀行収益の悪化を防ぐためであると、こういうような理由になっております。銀行の振り込みとかその他の手数料を一方的に値上げする、いつもあるわけなんですが、これはやはり利用者に直接影響があるものですから、こういうときにそういう二倍、三倍の値上げをやられるということは、非常に私ども国民感情としても納得できないんです。銀行は大体もうかっているというような印象を一般国民も持っておりますが、それも手数料を値上げしなければならぬほど銀行が苦しいんだろうかと言う者もありますし、非常に場所のいいところにりっぱな建物を建てて経営をやっているわけですから、そういう点について、こういうことを言い出しております、五月から上げたいというようなことを言っておるようですが、大蔵省はどういうお考えを持っておられますか。
○政府委員(吉田正輝君) 全体的な手数料についての考え方ということでの御質問だと思いますけれども、実は手数料につきましては当局が認可するとかなんとかというようなものではございません。実際、いまのところ私どもは、新聞報道はあったようでございますけれども、銀行側から特にその話は聞いておりません。 ただ、どういうふうに考えられるかという御質問でございます。これにつきましては、私ども、本来、手数料はやっぱりコストに見合った体系である必要があるのじゃないか、それでコスト主義を大幅にゆがめるのは適当ではないというふうに考えておる次第でございます。と申しますのは、先生御指摘のとおり、全体的な背景といたしましては、銀行の収益構造はきわめて悪化しております。いろいろ理由はございますけれども、それがございますけれども、利ざやが縮小したりして銀行の収益環境が厳しくなっておりますけれども、銀行全体の収益構造は、やはり預金を受け入れるとか手数料を受け入れるとか、そういうことで収益を維持しつつ貸し出しを行っていくというような形になっておりますので、たとえば先生御指摘、あるいは新聞で報道されているような、為替部門だけはコスト割れでサービスをいたしますと、これは預金者あるいは借入者に利益が還元できないというようなことで、やはりコスト主義は原則として守っていかなければいけないのではないかということでございます。 現に、為替手数料のその収益構造に占めますところのものを見てまいりますと、経常収益の中で、受入手数料でございますけれども、都市銀行あるいは全国銀行にいたしましても、近年その経常収益の中に占めます受入手数料の比重は全体としては一けた台のものでございますけれども、低下しておるわけでございます。ただ、銀行が為替部門とかいろいろの諸サービス、預金以外の諸サービスを提供するときのその比重もまた大きくなっているけれども、手数料全体は下がってきているような状態になっております。 私どもとしましては、やはり全体としてはこういう背景の中で収益構造の見直しということで、受益者負担の見地から銀行の手数料について適正化していくことはやむを得ない、あるいは望ましいというふうに考えておる次第でございます。
○中野明君 本来の銀行の収益というものは、これは御案内のように、もう利ざやで生きているわけですから、いまおっしゃったように、手数料というのは銀行の恐らく一%程度のものじゃないかと思います。こういうものを引き上げたからといって銀行の経営がよくなるというような性質のものでもないし、特に私遺憾に思いますのは、同じ銀行の本・支店間で送金をしてもらう、私どももそうなんですが、それでも手数料を取る、それをまた今度は倍にする、こういうようなことではどうも利用者としても感情的にもおもしろくないし、もっともっと銀行は公共のサービスに徹すべきじゃないだろうか。 特に、ここに銀行同士の競争があるものですから、恐らくこういう値上げをするということになると、一斉に同率、同じ値上げになると思いますね。そうしないと、ほかの銀行にまたサービスの関係で差がつけられて預金者をとられてしまうというようなこともあるんですが、こういう点は公取はどういうお考えですかね。恐らくまた一緒になるんじゃないかと思いますが、御見解を伺いたい。
○説明員(相場照美君) 振込手数料が一律に引き上げられるということだけでもって、独占禁止法上直ちにこれが問題になるということにはならないわけでございます。 実は本件につきまして、昭和五十三年の三月にも、程度の差はございますが、同様な事例がございまして、当時私どもの委員長が国会の予算委員会でも申し上げたわけでございますが、大蔵省の事務当局にこういった問題をめぐって独占禁止法違反というような事件が生じることのないように、十分に御注意を申し上げた経緯もあるわけでございます。大蔵省当局も十分にこの点は御理解されているところでもあるというふうに考えておりますので、本件の引き上げをめぐりまして違反行為が行われるというようなことは万々ないと思いますが、また私どもこのように期待しているところでございます。 しかし、先生御指摘のように、仮に銀行間あるいはそれらの団体で協定して手数料を上げるというようなことにでもなりますと、これは明らかに独占禁止法上問題が出てくるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○中野明君 結果的には、同じことになるんじゃないかと思います。前回、五十三年に上がったときは、いろいろ狂乱物価を中にはさんでおりますので、消費者物価も上がったりして大変な指数になっておりますが、今回は前回と比べて物価も上昇の率から言って非常に少ないし、こういうふうな手数料をこの機会、この時節、こういうときに全面的に二倍ないし三倍に値上げをするというようなことの動きがあるということ自体私は残念なんですが、これはいま審議官から答弁がありましたが、よく銀行ともお話し合いをしていただいて、できる限り利用者が納得できるような、そういう指導をしていただきたいと私は思います。 特に、先ほども申し上げましたように、預金がちょっと銀行から郵便局へ動いただけでも大騒ぎになるような時代ですから、余り銀行が一方的に勝手なことをすると、また預金者が逃げたとかというようなことにもなりかねないんじゃないかという心配もします。とにかく公共サービスに徹して、手数料でもうけを少しでもよけいしようというようなことじゃなしに、本当の手数料としてサービスという考え方でこれはやってもらいたい、そのようにひとつ強く指導をしてもらいたいと思いますが、この問題で最後に大蔵大臣の御感想だけお聞きして、終わりたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは自由競争になっておりますし、余り上げるということになれば郵便局の方へまた打っちゃうかもわからぬわけですから、見えざる手によってうまく抑制するように指導したいと思います。
○中野明君 以上で終わります。
○井上計君 例によりまして、狭い部屋でありますし、また立ってしゃべりますと演説になってどうか、やわらかくという意味で、着席のままで質問をしたいと思います。したがって、御答弁も着席のままでしていただいて結構でありますが、お許しいただけますか。
○副主査(田代由紀男君) 着席のままでお願いします。
○井上計君 昨晩の本会議で増税六法案が成立をいたしました。大臣初め、特に大蔵省御当局は非常にほっとしておられると思いますが、そこで、いまさら増税六法案に関連をすることについての質疑はどうかと思いますけれども、いささか納得のいかない点がまだ二、三あります。もっとたくさんあるんですけれども、時間の関係がありますので、そのうち二、三お伺いをいたしたいと思います。 俗に、過ちを改むるにはばかることなかれということがありますから、もしいろいろとお感じになりまして問題点がおわかりになれば、またひとつぜひ御検討をお願いをいたしたい、こう考えます。 そこで、最初に印紙税の問題についてお伺いしたいと思うんですが、先般、三月十六日の本院の予算委員会で私どもの民社党の柄谷議員が印紙税、金銭または有価証券受取書の場合のことに触れたわけであります。時間の関係で少ししか触れておりませんが、そのときに大蔵省側の御答弁では、受取書は全国で約一年間に百億通ぐらいつくられておる、その中で免税点以下の三万円未満の受取書は約九割、それから残り約一割のうち五十万以下の受取書が四分の三と、こういうふうな御説明がなされております。 なお、途中は略しますけれども、これは文書の作成行便の背後にある担税力に着目するような軽度の流通税、そういうふうな印紙税の本質からして、格別中小企業に対する負担の増ということにはならぬ、こういう御答弁が大蔵当局からなされておるわけですが、私はかねがね、同時に民社党としては、この印紙税が現在でも負担の公平を欠いておるのに、さらに今度一挙に倍額引き上げということで、ますます負担率が不公平になっておるということを指摘をしてきたわけでありますけれども、それについて若干具体的に伺いたいと思います。 そこで、委員長、私がつくったリストがあるんです、表が。よろしゅうございますか。——ちょっとこれを配ってください。これをちょっとごらんをいただきたい。当然大蔵省はおわかりのことでありますけれども、大蔵大臣はここまで細かく余り御存じないかもしれませんので、ちょっと急いで配ってください。 じゃ、お伺いをいたします。いまこれは私がつくった表でありますけれども、今度一躍倍になりまして、したがって百万円の場合の負担率は〇・〇二、これは百万円、二百万円、要するに区分されるところでは全く同じ〇・〇二であります。ところが、先ほど読み上げましたように、予算委員会で大蔵省御答弁にありますように、五十万円以下の受取書が残り一割のうちの四分の三ということでありますから、相当な量に上がっておるわけであります。とすると、五十万円の負担率は〇・〇四になると、こういうことであります。さらに、私が数年前から中小企業のいろんな人たちに大体どれくらいの金額の受取書が一番多いんだと、こういうふうにいろいろと調査をしたことがあります。大体その場合に出ましたのは、十万円前後ということであります。そこで、十万円で今度の負担率を考えますと、〇・二という大変高い率になります。 御承知のように、現在中小企業の場合で製造業の売り上げに対する純利益率は大体三%以下だと思います。流通業、特に卸売業の純利益率はまず一%ないし一・五%ぐらいに落ち込んでおるんではなかろうか、こう思います。といたしますと、一%あるいは二%程度の純利益しかないものでも十万円のものについては〇・二%実は印紙税がかかる、こういう数字が出るわけであります。明らかに私はこれについては負担の公平を全く欠いておるんではないかと、こういう感じがしますが、大蔵省どうお考えでしょうか。
○政府委員(矢澤富太郎君) 前回も予算委員会でお答えいたしましたように、先生がいま御指摘になったような問題を完全に解消いたしますといたしますと、比例税率でやるのが一番望ましいわけでございます。現に、昭和の初めごろまでは不動産の譲渡契約書等につきましては万分の五という比例税率で印紙税を課税していた時期がございます。ところが、いま先生からもお話がございましたように、受取書などは約百億通近い書類が年間につくられるということでございますので、こういうものは比例税率にいたしますと書類の数が大変膨大でございますから、納税者の事務負担が大変であるというようなことで、その後、比例税率を改めましていまの制度にいたしておるわけでございます。 それで、いまの制度は、御承知のように免税点で少額のものは非課税とする。それから定額税率というのを設けまして、現行でございましたら百万円未満のものについては定額の税率を課していく、それからそこから上につきましては、たとえば百万から二百万、二百万から三百万までというような階級別に分けまして、階級定額という税率を課しているわけでございます。階級定額というところで、比例税率に近い負担率を出していこうという趣旨でございます。 ところが、これをやりますと、どうしても先生がおっしゃったような問題点は出てくるわけでございまして、たとえば定額税率が適用になる部分につきましては、免税点に近いところの負担は大変高くなってくることはもう御指摘のとおりでございます。それからまた、階級定額につきましても、同じ階級の中で上位のものは下位のものよりも税負担が低いという逆のかっこうも出てくるわけでございます。その辺で、本来ならば比例税率でできれば一番よろしいわけでございますが、執行面との兼ね合いを考えますと、どうしてもこういうかっこうにならざるを得ないというところで、何とか御理解をいただけないかということをお願いしているわけでございます。 あと、全体の負担率というかっこうで見たら一体どういうことになるだろうかということでございますけれども、たとえばいま先生から数字のお話がございましたけれども、確かにすべて十万円単位の取引であれば先生のおっしゃったような数字になろうかと思いますが、中小企業の場合には比較的少額の売り上げも多い。約百億通の受取書のうち九〇%が非課税になるわけでございますから、そういった非課税部分まで含めて考えていただいた場合には、必ずしも中小企業に過重な負担を課しているということにもならないのではなかろうかというような考え方から御提案をいたすとともに、また御理解をお願いをしたいと考えているところでございます。
○井上計君 私、いま御答弁を伺っていまして、余りにもそれは机上の議論だと思いますよ。やっぱり現実を画視した議論にはちょっとならぬと思うんです。 私、時間がありませんから、この問題で余りこればっかりに触れていても仕方がないんですが、いまおっしゃるように、九〇%は三万円以下の非課税のものである。したがって、それらをトータルすればそれほど負担が重くならぬ、これは確かにそうです。しかし、職業によっては三万円以下というのはほとんどないんだ、五万、十万ぐらいが一番多いんだというところもあるわけですよね。といってまた、全部のものにそれほどうまくいくというわけにいきませんけれどもね。 それから、いまおっしゃったように、比例税率はできないと。しかし、できない理由はないわけですね、やろうと思えばできる。ただ厄介だと。どちらが厄介だというと、いま言ったように、むしろ納税者側が厄介だということですけれども、安くなるのだったら納税者は喜んでやりますよ。すでにほかのものは、受取書以外のものは比例税率があるわけですからね、現在でも。だから、比例税率にすることが厄介だからできないんだというのも、ちょっとそれもやっぱり私は議論にならぬ、こう考えますね。 それをいま比例税率にしなさいという意味じゃありませんけれども、私はだからここで、わが党として前から主張しておるんですけれども、せめて五十万円というランクを一つ設けたらどうか。事実また、残り約一割のうち五十万円以下というものは四分の三あるんだというふうにすでに発表をしておられるわけですから、五十万円というランクを設けて五十万円までについては現行の百円を据え置いたらどうですかということを、われわれは実は二、三年前から、特にこの印紙税の引き上げが問題になったときから主張をしてきたわけですね。これらのものが全く加味されてないわけですね。ただ一律に上げればいいんだ、こういうことであろうと思いますが、ただ結論から言うと、やはり取れるものから取っていくんだというふうな考え方が私は強くあり過ぎるんではないか、こういう感じがしますが、大蔵大臣、この印紙税のいま一つの問題から考えてどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 井上委員のおっしゃるのも一つの考え方だと思います。思いますが、税収は総体として幾ら税収を見積もるか、結局、歳出との関係でございまして、どこのところでどういうようにするかということはいろいろ工夫をしてみたわけでございますが、印紙税で三千七百億円も御負担を願うのは大変なことであることはよくわかっております。でございますが、そうかといって余り緩めてしまって、税収が足りなきゃどこかほかで今度はまた取らなきゃならぬというようなことになるものですから、ただ十万円前後のものをたくさん発行するという方については、そういう事例も私は中にはあると思いますよ。そういう方については、御負担がよけいふえるということもわかりますけれども、特殊な事情ばかりも考えられない、やっぱり全体の取引の中での話ということで、ただいま審議官から説明をしたようなことで今回はお願いをしたようなわけでございます。
○井上計君 いま大臣言われましたように——言われたことを私納得するわけじゃないんですが、しかし、いまおっしゃったように、言えば収支のつじつまを合わすためにやはり必要なものは上げざるを得ないんだ、こういうこと、これはこれなりにわかるんですね。だから、私はむしろ率直に、実はもう金が足らぬから無理だと思うけれどもこういうところはもうこういうふうにするんだ、そこでかなり不公平があるけれども仕方がない、しんぼうしろ、むしろそのように言われた方が私は一般の人たちは、それなら負担の高くなった分は余分に何とかかせごうか、もうけようかということで、納得はせぬまでも理解はすると思うんです。ところが、こうこうで正しいんだ、こうだこうだと言われるとやはり反発をする、こういうことですから、これは一言多いかもしれませんが、申し上げておきます。 そこで、次にお伺いするんですけれども、今回、中小零細法人に対する軽減税率二八%が三〇%に引き上げをされました。これをいまさら云々と言うわけじゃありません。ただそこで、このラインが七百万円が八百万円に拡大されたわけでありますけれども、この七百万円に拡大されたのはいつだったですかね。
○政府委員(梅澤節男君) これは御案内のとおり、四十九年に法人税の基本税率の引き上げがございました。それ以前までは三百万であったわけでございます。四十九年の改正で、経過的に四十九年については六百万、五十年以降が七百万ということでございますので、五十年以降七百万になったということでございます。
○井上計君 過去の経緯、若干知らぬわけじゃありません。 そこで、五十年の七百万円と五十六年の八百万円という数字をやはり比較をする必要があると思う。差が百万。それで、五十年からこの五年間の物価上昇率が、いま私、細かい数字を持っておりません。大蔵省、もしおわかりならおっしゃっていただければありがたいんですけれども、仮に低く見て年間五%としても二五%ですね。複利計算になりますから三五%ぐらいになりますか。その理屈で言うと、百万円の拡大、八百万円というのは低過ぎると思うんですが、どうでしょう。
○政府委員(梅澤節男君) 中小法人の軽減税率が適用される所得限度についてどう考えるか、いろいろの角度からの検討が必要かと思います。 まず第一点は、個人形態で事業をやっておられる方の所得税の負担水準と、法人形態をとった場合の総合的な税負担の水準のバランスを考えなければならないという問題が一つございます。それからもう一つ、私どもの指標といたしましては、中小法人の軽減税率は、言うまでもなく零細法人に対する政策的な観点からの税制でございますので、この税制をとることによって、恩典を受けると申しますか、それによってカバーされる法人の数あるいは割合、それが一体どれぐらいになるのか、そういうところがあるいは目安になるだろうと思うわけでございます。 先ほど申し上げましたように、昭和四十八年までは実は限度額が三百万でございました。この当時、中小法人の総数が百七万七千社でございます。一千社以下を切り捨てさせていただきますが、それで当時の三百万の限度で恩恵を受けておった法人というのが八十二万五千社でございます。そういたしますと、割合が七六・六%でございます。五十年に入りまして、先ほど申しましたように七百万円になったわけでございますが、五十年当時、中小法人の総数が百二十万社でございます。そのうち恩恵を受けた中小法人の数が百六万社、割合といたしまして八八・三%でございます。今回、八百万に引き上げることによりまして、これは五十四年度ベースで換算いたしますと、五十四年度で中小法人の数が百三十九万社ございまして、今回の処置によりまして百二十三万一千社が八百万までの限度を受けられるということで、その割合が八八・六%、大臣がしばしば言っておられますおよそ九割がカバーされるというのは、この八八・六という数字でございます。 それから、もう一点御理解願いたいのは、今回の法人税法の改正によりまして、ただいま委員が御指摘になりましたように、全法人の税率を一律二%ポイントアップ、上積みしたわけでございます。そういたしますと、この限度額の設定のいかんによりましては、中間のところでかえって減税が起こるという変なかっこうになるわけでございます。何といいますか、その分岐点を理論計算いたしますと、八百四十万以上に上げますと、全法人の負担が上がっていくのに、その中間のところだけ税負担が逆に下がってしまう。 そういうところから考えますと、私ども、いま委員がおっしゃいましたように、当時の物価上昇率をインデックスして考えるという見方もあるいはあるかもわかりませんけれども、税制の理論といたしましては、いわゆる個人形態の事業者の場合の税負担のバランスの問題と、これによってどれぐらいの中小法人が恩恵を受けるといいますか、税制上カバーされるかという問題と、それからただいま申しましたように、全法人について税負担が引き上げられる状況のもとで、中間のところが部分的にかえって減税になるというのはいかがかと、そういう三点からいたしまして、私どもは八百万ということでぎりぎりの限度ではないかというふうに考えたわけでございます。
○井上計君 個人事業者との問題、まあアンバランスが起きるというふうなこと等、お話がありました。ちょっと私、きょうそれらの資料を持っておりませんし、また時間もきょうはありませんから、私なりの資料でまた次回、機会があれば少し議論をしたいと思っておりますけれども、いま審議官の御説明を聞いておりますと、もっともだというふうに聞こえますが、しかし、現実には、やはり軽減税率がもう同様に二%上がった、そうして八百万円にしか拡大されなかったということで、これは事実上は増税率は相当高いわけですよ。昨晩の本会議でどっかの党の討論の中にもそういうふうな指摘がありましたけれども、私はやはり今後さらにこれは再検討していただいて、別にいま、きのう成立したものをすぐ変えると、こういう意味じゃありませんけれど、再検討していただいて、先ほどの印紙税の問題もそうでありますけれども、やはり今後若干でも、さっき大蔵大臣言われたように、現在は非常に苦しいんだ、何とか取れるところから取らなきゃどうにもならぬというようなお話がありましたけれども、余裕ができた場合には、私はそれらの軽減税率の範囲の拡大、それから印紙税等についてもやはり再考し検討をしていただく必要がある、このようにひとつ希望をしておきます。 それから、いままた御説明がありましたけれども、言えはこれによって、今回の八百万円になることによって八八・六%、これは大蔵大臣も衆議院の委員会等で御発言になっておることをちょっと記事で見ておりますけれども、これが救えると、こういうことであります。確かに中小法人全部からいえば、こういう率になるかもしれません。しかし、百三十九万社という現時点の中小法人が、確かに登記上は百三十九万もあるかもしれませんけれども、実際にはまあそんなに事業をやっておるものはありゃしません。それから、利益がないところまで入れればそういう計算になりますけれども、実際に利益を生じておるような活発な、あるいは一生懸命事業活動をやっているところでどれぐらいこれでカバーできるかというと、そんな大きな数字ではないということですよ。だから、その数字的な問題だけで、これだけ救えるんだからこれだけ中小企業に対して優遇措置をとっておるんだということを余り多く言われますと、中小企業はもう大変な優遇を受けている、けしからぬではないかという論議がやはり起きるわけですね。この点についてはやはり御留意を願いたい。これも希望です。大臣どうでしょう、お考えは。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 特別に人から恨まれるほどまけているわけじゃないのでして、中小企業の中には一千万円ぐらいにしろというお話がかねてあるわけですよ。しかし、いまも審議官が言ったように、所得税の方も五十二年以来据え置きというような状態でございまして、中小法人というのは大体同族会社が多いのですね。大部分は同族会社。そうすると、個人で事業をやっておる人との権衡も一つあるし、九百万、一千万まで仮にすれば、その人たちは結局減税みたいな、いままでだって四〇%税率を払っておった者が、今度は九百万円、一千万円のところが三〇%に一〇%下がってしまうということで、それはちょっとやっぱり、個人で事業をやって千五百万円ぐらいの人がいっぱいありますからね、逆に。そういう人との権衡上もどうもおもしろくない、全体的に減税は見送っているのだからというようなこともありまして、八百四十万にすればいいじゃないかと、それも中途半端な数字でもあるし、それじゃ九百万にすればいいじゃないかと、それは一つの考え方かもしれませんが、いま言ったような点から八百万にしたということなので、御了解を願いたいと思います。
○井上計君 まあ、若干かみ合わない議論ということになりますが、しかし、実情からすると、それらの点についてもっとやっぱり細部にわたって御検討いただく必要があるということについてはおわかりいただけると思いますので、今後の検討課題でありますけれども、十分ひとつ御留意をいただきたいと重ねて要望しておきます。 次に、主として中小企業のこれまた問題でありますけれども、非公開株式の譲渡あるいは相続等の問題であります。これは去る五十三年の四月に若干の改正が行われました。この問題については、わが党も、また私も、その数年前から非公開株式の譲渡、相続を、現在のようなその時点での評価方法、課税方法では、せっかく長い間苦労してきた創業者が、言えば後継者に事業を譲る、あるいは死亡して相続をする場合に事実上相続ができにくくなる、事業継承ができにくくなる、これは大変な問題であるということで再三指摘をし、また要望し提案をしてまいりました。先ほど申し上げた五十三年四月に一部改正になりましたけれども、若干の改正であって、まだまだ問題点が非常に多く残されておるわけでありますけれども、特に最近は、言えば土地の非常な値上がり等によってますますそのスムーズな事業継承が困難になってきたというケースが至るところにあるわけですね。したがって、再度この非公開株式の譲渡、相続に対する評価の仕方、課税方法について改正をされるいま意図はありませんか。
○政府委員(小幡俊介君) 先生いまお話がございましたように、五十三年の四月に先生のいろいろな御高見を承りながら通達改正というものを行ったわけでございますけれども、基本的に私どもの通達で処理をするということは、おのずからそこに一定の限度があるわけでございまして、現在の相続税の法律の要請しております中で、私どもといたしましては、その中で実態に即した考え方というものを取り入れるということで処理をいたしたわけでございますが、いろいろ先生御案内のような類似業種比準方式でありますとか、純資産価額方式でありますとか、あるいはその他のいろんなことを考えてやっておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、現在率直に申しまして、私どもの方としてこの通達をさらに改正するということにつきましては、考えておらないというのが実情でございます。
○井上計君 現在では考えていないという御答弁でありますが、ぜひ大臣考えていただきたいと、こう思うんです。これまた時間がありませんから、具体的な要望はまた後日何らかの形でいたしたいと思いますけれども、先ほど申し上げたように、最近の非常に地価の高騰、特に言えば商業地だとか、あるいは準工業地帯等の地価の大変な高騰等で、実際は財産が全くないと思っておっても、べらぼうなやっぱり評価をされるというふうな例があります。 それからもう一つ、私これは最も疑問に思っている点ですが、仮にいまから三十年前に、創業者であるおやじさんが個人時代に持っておった土地、それをそのまま無償でというか、権利金、保証金等を取らないで、自分がつくった同族法人である会社に貸しますね。その同族法人がその土地、建物を借りる、その後若干の法人としての建築をすると、こういうケースは至るところにあるわけですね、中小企業の場合。ところが、相続なり譲渡の場合の評価が、その土地が要するにある価格の権利金によって評価されていますよね。だから、これは大変不合理だというふうに思うんですが、これはどうお考えでしょう。不合理じゃありませんかな。要するに、全く収入は得てないんです。しかし、現時点ではそれを使っておるから使用権がある。したがって、権利金を出した借地と同じような、まあ金額は若干違うということはあるかしりませんが、評価をすると、こういうことになっておりますが、これはどうですか。
○政府委員(小幡俊介君) お尋ねのような評価というものはあろうかと思いますが、いまの個人の事業と、それから中小企業の資産の評価ということについて私ども比較いたしてみますと、確かに土地の価格というものは非常に高騰しているわけでございますけれども、現在私どもの評価というものは、地価公示価格の約七〇%を目途にということでやっておるわけでございまして、まだ実際には六十何%という水準で、地価公示価格の七割まで至っておりません。また、地価公示価格そのものも、いわゆる取引実例等の時価から比べますれば、またこれも六割とか七割とかという水準でございますから、結局、私どもの相続の評価というものは、本当の売買実例の評価から見れば五割近いというふうなことで、一部から見まするとまだ相当低いのじゃないかというふうな御議論もあるわけでございます。 しかし、われわれとしては、やはり相続というそういうときの評価といたしましては、それは単純ないろんな買い取り事情等を盛り込んだところの売買実例価格というものをすぐに持ってくるわけにはいかないというふうなことで、地価公示価格の七割といってとで押さえているというふうなこともやっておるわけでございますし、また、いまお尋ねの問題は、個人類似の小さな会社の、取引所に上場してない相場のない株の問題になるかと思いますけれども、こういうふうなものを評価いたしまする場合には、いわゆるその法人の清算所得に対する法人税相当額ということで、五三%というものを評価額から差し引いて評価をする、評価額を出すと、こういうふうなこともやっておるわけでございますから、実際の問題といたしましてはかなり時価よりも低い評価でやっておる。しかし、それでもなおかつ小さな会社の場合に、いわゆる株式額面価格に比べれば何倍にもなるというふうなお話も確かにあるわけでございますけれども、これはやはりそういう中小企業の場合に、その事業規模に比べて資本の金額が少ないとか、あるいは相当な内部留保があるとかいうふうなところの……
○井上計君 いやいや、私がいま言っているのは——御説明のようなことは大体私もある程度知っているわけです。ただ、私いま疑問として申し上げたのは、もう一度申し上げますと、仮に三十年前としましょう。要するに百坪なら百坪の土地を所有しておった私なら私が、その後五年ぐらいたって個人営業を要するに法人に切りかえた。そこで、その土地とその当時持っておった建物をそっくり法人に貸したわけですね。私が、私の代表である法人に貸すわけですから、何も別に世間で言うところの権利金、保証金、何も一切取りませんよね。ただ、若干の家賃あるいは地代というふうな形でもらっておると、こういうことなんです。それが、私が死んで、私の持っておるその株式を後継者が相続する場合、その場合の評価は純資産方式でやるわけですけれども、その中に、純資産の中に、百坪の現状の要するに世間相場よりか若干安いでしょうけれども、権利金が計算をされるという例があるわけですね。そうすると、そのときに、私個人の相続の場合もその土地の所有が相続の対象になるわけです。もちろん人に貸していますからまるまるじゃありません、更地じゃありませんけれどね。そういうケースになっているわけですよ。だから、これは私は大変不合理だと、前からそう指摘しているんですがね。 〔副主査退席、主査着席〕
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは不合理じゃないのですよ。それは要するに、もし更地であれば個人の資産としてその土地、あるいはその建物はそっくり評価されるわけですね、実際は。だけれど、それは法人に貸していますから、貸した分で法人の方が権利金、その借りている権利というものを株式の一部に取り込まれるということになると、自分の持っている土地の方はその分だけ減価されるわけですから。その人は死ぬわけでしょう、死ぬのですから。土地の権利とそれから法人の株主の権利と二つ持っているわけですね。だから、片っ方がふえれば片っ方が減るということですから、それは不合理じゃないのじゃないですか。
○井上計君 いま大臣おっしゃるように、表面上そうなんです。ところが、これはもう個々のいっぱいいろんなケースがありますから、すべてがそうだとは言いませんが、私が相談を受けた中には、その個人の要するに相続の評価と、それから法人の株式の中の純資産に対するいわば地上権の評価と合算をすると、相当やっぱり一般的な評価よりも高いというふうな評価をなされる。これはまあ他の含み資産等もありますから、純資産もありますから、いろいろといまおっしゃったような問題があるわけですけれども、そういうケースもあるわけですね。 だから私は、これはいま一つの具体的な例として申し上げたんですけれども、いずれにしても土地の評価の場合の何か一定の減額方式であるとか、あるいはそういうふうな、言えば創業者がそのまま会社に対して事実上無償ですね、そういうふうに会社に使用さしておるというものだとかというふうな実情に合わして、やはり評価というものについては配慮する必要があると、こう考えるわけです。時間がないので、もっとあと具体的にいろいろの問題があるわけです。 そこで、これは大臣に特にお伺いしたいんですけれども、大臣は国会へお出になる前は税理士として、特に小・零細企業のめんどうを大変見ていただいた。これは大臣にめんどうを見ていただいたという者が非常にいまでも感謝しているのを私知っておりますが、さらに農林大臣もおやりである。それで、大蔵大臣としていろいろと通暁しておられるわけですけれども、農業に認められておるところの生前贈与制度ですね、それから納税猶予方式、これらのものを、それをそっくり中小企業にということは私言いませんけれども、それと余りにも格差があり過ぎて、不公平の最たるものだとこれはもう言わざるを得ないと思うんですが、どうお考えですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、中小企業の方から私どもずいぶん聞いておるのです、実際は。ただ、農業の場合は、たとえば土地は自分の物でも、市街化区域以外はそれは自由にならない。農地法という法律がございますし、壊廃も簡単にいかない。問題は市街化区域の中の話ですね。ですから、これは市街化区域の中の評価がえらく安過ぎる。そのために芝を植えておいても、片っ方じゃもう車庫を持っていても宅地でえらい課税を受けるのに、片っ方の農家の人はその何十倍も土地を持っていて何分の一かの課税だということに対する批判があることは事実でございます。これはむしろ、そういう市街化区域の農業についてそれだけのめんどうを見る必要があるかどうかというところに問題があるのであって、それと同じことを中小企業に認めるという話をいろいろ聞いておるのですが、なかなかこれはむずかしい問題で、仮に中小企業に認めると、普通のところの相続なんかの場合に、やはりやっていけないからといって、土地を売ってみんな払ってマンションに引っ越したり、全部やっておるわけです、東京あたりのところで。私の知っている人でも、新聞社の記者がおって、昔ドイツ大使の息子で大邸宅に入っておったが、相続税が払えなくて結局半分売って払うという現実の姿があるわけですから、もともと相続税というのはそういうものでありまして、非常にそこのところは問題があります。 ただ、零細なものについては免税点とか、何というんですか基礎控除ですか、そういうようなものをどの程度に上げるかということについては、日本の相続税はかなりきついですから、これは。もう本当に二、三億だけでえらいあれが取られますからね。要するに固定資産を持った人と動産を持った人では、動産の方はつかまらなかったらさっぱり心配ないけれども、不動産の方はぱっちりつかまっちゃうとか、そういう問題があるので、ここらについてはもっと考え直す時期が一遍来るのではないだろうかと、そう思っております。
○井上計君 まあ、考え直す時期が来るというふうなお答えがありましたので、大いに期待をしております。 ただ、やはり一番私が問題として指摘をしておきたいのは、粒々辛苦、営々努力をした中小企業創業者が、功成り名遂げとは言いませんけれども、息子に事業を譲る、あるいは亡くなった後息子がまた先代の遺志を継いで一生懸命やろうとしても、実は株式の評価あるいは相続等のために、事業を縮小あるいは廃止せざるを得ないというケースがもう現実に出始めておる。これらの問題は大きな目で見てどうするかということをやっぱり考え直しをしていただきたいと、こう思うんです。これは特に期待をしておきます。 さてそこで、あと残された質問時間が少なくなりましたけれども、先ほど中野議員からグリーンカードの問題等についてのいろいろと御質疑がありました。私とは若干見解を異にいたします。これはもうきょうは別にいたしますが、そこで、グリーンカード実施について大蔵省がいろいろ準備を進めておられますようですから、それについてひとつお聞きをしたいと思いますけれども、この制度の実施の目的は、先ほど大蔵大臣が中野議員に御答弁になったからわかっておりますからもうお聞きする必要はありません。 そこで、これを実施されると、目的である——まあ不公平税制是正というふうなお話がありましたが、どれくらいの税の捕捉ができるとお考えなんでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) 現在三五%の分離選択課税になっておりますが、それが総合課税になったということで、五十六年度予算、平年度ベースで試算をいたしますと、国税で約七百億円の増収、それから地方税の方は現在利子の分離課税の分は全然非課税になっておりますので、これは住民税の課税が行われることになりますので、地方税で約千二、三百億、合わせて二千億見当の増収になるのではないかという計算になります。
○井上計君 五十六年度ベースで国税で七百億程度と伺いました。そうすると、この制度を実施するために、相当な人員増あるいは経費増があると思うんです。これはどれくらい見ておられるんですか。おおよそでいいですよ、おおよそで。
○政府委員(梅澤節男君) 国税庁の方で詳細な検討資料を持っておりますが、従来、大蔵委員会で国税庁が御答弁申し上げておりますのは、平年度約二百億円でございます。
○井上計君 それは人員にして何人ぐらいですか。これは人件費一切の経費を含めてですか。
○政府委員(梅澤節男君) 込みでございます。 これはマンパワー計算をいたしておりまして、その数字はいまちょっと手元にございませんが、これは定員でやるか、アルバイトでやるかというのはこれまた別でございますが、マンパワーで計算いたしまして、一人当たり幾らで幾らという計算をいたしております。
○井上計君 これは私どもの手の内をまだきょう言うわけにまいりませんから言いませんけれども、私どもの計算では、もっともっと相当な金額になるという実は計算をしております。 それはさておいてですが、そこで、不公平税制を是正するためにこれをやるということが一番大きな目的だと思いますけれども、実際に不公平にならないように完全実施できますか、どうですか。特にそこまでお考えになっていなければ、お答えは結構ですけれども。このグリーンカード制を実施をして、そしていま言われるような国税で平年度七百億、地方税で千二、三百億の増収になるようなそういう捕捉ができるということは、完全実施しなきゃできませんわね。それができますかどうですかということです。
○政府委員(梅澤節男君) 私ども、グリーンカード制度が実施になりますと、現在非課税貯蓄それから民間のマル優でございますが、それから郵便貯金につきましても限度管理がきちんと行われることになりますし、それから、先ほども申しましたように、三五%の分離課税が総合課税になるわけでございますから、現在三五%を選択されておられるというのは、その人力の上積み税率が恐らく三五%以上の方でございましょうから、課税貯蓄につきましてもグリーンカードもしくはそれにかわる証憑書類によって確認をし、それが国税庁に資料として参りまして、コンピューターで集計をするわけでございますから、私どもは完全実施ができるというふうなことを考えておるわけであります。
○井上計君 先ほどもお話がありましたが、マル優制度がありますが、マル優の申請の件数が現在でも三億程度あるそうですね。だから、非常に掌握はむずかしいということを実は聞いておるわけなんです。現在のマル優で三億あって、それさえ掌握がむずかしい。もちろん、それはマル優制度の申請とグリーンカードは若干違うと思いますけれども、大蔵省はもちろんそれは立場上また当然のことですから、計画を立てられる以上は完全捕捉、完全実施ができると、これを前提に立てるのは当然だと思いますが、しかしなかなかそれはむずかしいという私は見解を持っておるわけです。 これは見解の相違と言えばそれまでですからこれ以上申し上げませんが、各方面でいろんな意見も私ども聞いております。賛否両論も実は聞いております。しかし、公平な立場で考えても、どうもやはりこれは否というふうな方に軍配を上げざるを得ないというふうな、いろんなことをいま検討しております。これは後日また申し上げたいと思いますが、その中の一つに、民間の金融機関はもちろんでありますけれども、郵便局の現場においても不可能だと、この完全捕捉は。ますます混乱をしてどうにもならぬようになるではないかという、すでにそういうふうな懸念の声が起きておるんですが、それはお聞きじゃありませんか。
○政府委員(梅澤節男君) 委員が完全捕捉とおっしゃいますのは、本人確認のことと、それからもう一つは本人確認をやって、それがきちんと名寄せができるかという二つの側面がございますね。本人確認の問題は、これはもう税法でここのところはきっちり書いてございまして、民間のマル優の場合はグリーンカードによって限度額が設定されて、確認を受けないと非課税扱いを受けられない。確認した資料は、全部国税庁のコンピューターに入るわけでございます。それから郵便貯金の場合は、貯金証書なり通帳に番号を記載のないものは課税扱いになるわけでございますから、これも郵便局の窓口でグリーンカード番号によって確認をしていただき、それからこの名寄せの問題につきましては、先ほど申し上げましたように、大蔵省と郵政省の昨年末の合意によりまして、五十八年以前に預入された分も含めまして、全部グリーンカード番号によって管理する。たまたま郵政当局では、五十九年初頭に全国オンラインのネットワークが完成するわけでございますから、ちょうどグリーンカード制度が実施される時期と郵便貯金全体のコンピューター化の時期が符節が合うわけであります。 したがいまして、郵政については郵政のコンピューターで番号を打って確認し名寄せをする。民間の場合は、民間を経由いたしまして国税庁のコンピューターで機械処理をするというプログラムになっておりまして、私どもはこれが円滑、完全に実施できる。これはもちろん国税当局、それから郵政当局の御協力を得なければならない問題でございますけれども、そういうプランを持っておるわけでございます。
○井上計君 御説明はわかります。ただ私は、やはり相当問題があるんではなかろうか、こういう感じがいたします。 そこで、もう一つお聞きしますけれども、グリーンカード申請というか、交付の手続ですね。もちろん個人と法人といろいろあるわけでありますけれども、これはやはり個人の場合には住民票であるとか、あるいは法人の場合には法人の登記簿抄本であるとかいうふうな、そういうものは絶対必要だということが条件ですね。
○政府委員(梅澤節男君) さようでございます。
○井上計君 そうですね。としますと、個人でもない、法人でもない。要するに認可法人でないというのがわが国にはいっぱいありますね。何とか協議会であるとか、要するに任意のそういうふうなグループ、団体がいっぱいあります。それはどういうふうに処理するんですか。
○政府委員(梅澤節男君) グリーンカード交付手続の関係の政省令は、実は昨年の十月公布いたしてございます。個人の場合は、ただいま委員御指摘のように申請の際に住民票をつけていただく、それから法人の場合は登記簿の抄本でございます。 いま委員がおっしゃいましたのは、恐らく人格なき社団と言われるものでございますね。たとえば、婦人会とか自治会とか何とか会というのはたくさんございますね。この人格なき社団につきましては、申請をしていただくときにもう少し添付書類の要件を加重いたしております。それは、代表者の方のやはり住民票とグリーンカード番号、それからその団体の規約でございますね、それをつけていただく。なおかつ一般の会社の場合とか、あるいは特に個人の場合はそうでございますが、グリーンカード番号というのは一生番号が変わりません。だから、一度申請していただきますと、この有効期限は無期限。ところが、人格なき社団と、それからもう一つ非居住者、外国人でございますね。この場合については、交付をいたしましても五年以内の期間で有効期限をつけるということにいたしております。したがいまして、人格なき社団等につきましては、絶えず期限ごとに更新をしていくということでチェックをしていくということで、若干加重をしているわけでございます、交付手続を。
○井上計君 人格なき社団、これは事実上捕捉できないと思いますよね。というのは、それは町内会あり、いろんな親睦会あり、旅行会あり、いろんなものがあるわけです。さらにそれとともに、いろんな業種、いろんな団体等の中に任意のものが非常に多いわけですよね。それらのものを、どの程度あるかちょっと私もよくわかりませんけれども、実際にはそんなことは捕捉できないし、いま言われたように、五年ごとに更新するから捕捉できると言われると、とんでもないという気がするわけですよ。だから私は、そういう面でさっきから申し上げているように、またお尋ねしているように、完全な捕捉ができないで、逆にそういうふうなマイナス面が出てきて、不公平だとかどうとかということがまた大きく論議されるようなことになるんではなかろうか、こういう懸念をしておるわけです。 それはまあ、いま見解の相違がかなりありますから、これ以上突っ込んで……
○政府委員(梅澤節男君) 若干補足させていただいてよろしゅうございましょうか。 いま委員がおっしゃいました危惧はもちろんあるわけでございます。したがいまして、もう少し補足さしていただきますと、たとえばいま委員が例としてお挙げになりました旅行会でございますね。この種のものは、たとえば一時的な旅行会、代表者の定めもないし規約もないというものは、そもそもグリーンカード申請をしていただきましても国税庁長官はグリーンカードを交付しない、一定の要件というのはやはり要るというふうにしてあるわけでございます。したがって、会として規約もないし代表者の定めもないそういう一時的なものは、結局はお世話をされる方の個人として把握していくというかっこうで考えているわけでございます。
○井上計君 いや、それはそういうことで、そういうふうなものにはグリーンカードを交付しないということになれば、みんな会則をつくり代表者をつくりますよ。それは幾らでもできるわけですからね。人格なき社団ですから、何も一々会則をつくって登記をしなくちゃいかぬとか、認証を得なくちゃいかぬという必要はないわけですからね。五人なり十人なり集まって会則を適当に——適当という言い方はおかしいですけれども、つくり、代表者をつくればいいわけです。だから、そういうふうなものが幾らでも出てくるんではなかろうかと、ぼくはこういう懸念がするんですよ。 時間が参りましたので、これは何もそう一遍や二遍で簡単に論議を尽くすことではありません。もっともっと大きな問題があると思います。私どもとしては、いろいろと伺いましたし、またこれからも機会あるごとに伺っていきたいと思いますけれども、いま非常にグリーンカード実施によって起きる混乱、それからさらには、グリーンカードを実施することによって起きる政策的なデメリットというふうなことについて大変危惧いたしておる。そういう立場で、またこれからもいろいろと機会あるごとに質疑を続けたいと、こう考えておりますので、ぜひひとつ大臣、御留意をいただきたい。 以上で終わります。
○主査(和田静夫君) 以上をもちまして大蔵省所管に対する質疑は終了いたしました。 これをもちまして、本分科会の担当事項であります昭和五十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、通商産業省、経済企画庁、防衛庁及び大蔵省所管に対する質疑は終了いたしました。 以上で本分科会の審査を終了いたします。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(和田静夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時三十五分散会 —————・—————