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94回国会参議院1981/03/31

予算委員会第四分科会 第3号

発言数
155
登壇者
19
会派数
6
開催日
1981/03/31

会議録

亀井久興自由民主党・自由国民会議

○主査(亀井久興君) ただいまから予算委員会第四分科会を開会いたします。  分科担当委員の異動について御報告いたします。  昨三十日、山田譲君、馬場富君及び近藤忠孝君が分科担当委員を辞任され、その補欠として小野明君、中野明君及び山中郁子君が分科担当委員に選任されました。  また本日、伊藤郁男君が分科担当委員を辞任され、その補欠として柄谷道一君が分科担当委員に選任されました。     —————————————

亀井久興自由民主党・自由国民会議

○主査(亀井久興君) 昭和五十六年度総予算中、労働省所管を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。

小野明日本社会党

○小野明君 最近の景気の停滞といいますか、個人消費の低迷、こういうことから公定歩合も一%下がったわけですが、春闘を前にいたしまして、何を申しましても物価の安定ということが非常に重大な問題であろうかと思います。  そこで、物価情勢が推測によりますと七・八ということに相なっておりますが、これをオーバーするということになりますと大変でありますが、先日も大臣、物価の安定に命を賭してというきわめて積極的な御発言がございました。物価安定にかける大臣のまず御決意というものを改めてお尋ねをいたしたいと思います。

藤尾正行自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤尾正行君) お答えをいたしますが、私は、何と申しましても私どもの日本の国の政治の基本といいまするものは、これは国民の生活の安定とそして今後の福祉の向上にある、かように考えておるわけでございまして、そういったことを考えてまいります際に、私どもの経済が発展をしていくということは非常に慶賀すべきことでございますけれども、そういったことを支えておりますのは、何といいましてもこれは物価が安定をしておりませんと、すべてのものは全部崩れていくわけでございます。私がそんなことを申し上げるのは非常におかしゅうございますけれども、世界的な石油の高騰でございますとか、あるいは石油の供給量の削減でありますとかというようなことが私どもの手の届かないところで起こっておるわけで、そういったことを基調にいたしまして、世界的な非常に大きな混乱が生じておる、その中で影響を受けざるを得ないわけでございますけれども、私どもにもしそこに政治があり、政策があるということにいたしましたならば、その影響を最小限にとどめる、それをどのように効果づけていけるかということが私は一つの大きな政治課題である、かように考えておるわけであります。  そういった点から考えてみまして、昨年の場合六・四%の消費者物価の上昇というものをやむを得ないというものと仮定をいたしまして、そういった骨格の上にあらゆる経済の基本をなしております労働条件の規定といいますものが労使間で協定されておる、そうして非常におかげさまでそれが私どもの産業の発展に対しても寄与をしてくれるところが多かった、こういうことでございますけれども、残念ながら、その際に石油の高騰でありますとか、あるいはその後におきまする天候の異常な気象変化というようなものを考えていなかったということになりますと、これはまるっきり政治が予測に欠けておったということになりますけれども、そういったものを予測しておりながら、それが六・四%の物価上昇の中にとどまるであろうというような考え方をしておりましたということが、非常に私は政策的な予見に欠けるところがあった、かように考えるわけでございます。残念ながら、そういう経過をたどりまして、昨年の年末には消費者物価七%程度に上昇はやむを得ないというようなことに基礎的な条件を変更をし、それが本年に入りまして一−三月になれば大いに安定をしていくであろう、六・四%に近づくような成果を上げ得るであろうというような予測も、さらにこれは豪雪でありますとか何とかというような諸種の条件で達成することができませんで、結局はこの三月の末になりまして、振り返ってみれば七・七%とか八%とかというようなところにならざるを得なくなってきている。  こういうことによりまして、そういうことを想定しなかった労働条件というようなものが、実質的に、あらゆる賃金の上昇というようなことを名目的に協定をいたしましたにかかわりませず、それが全部帳消しになって、帳消しになっただけでなくて、実際的には実質賃金が一%も低下をするというような情勢になってきたわけでございますから、これに対してこれを座視しておるというようなことがあったのでは、私は政治の基本というものも経済の見通しも、すべてのものが立っていかない、こういうことになると考えるわけでございます。でございますから、五十六年度の新たな想定というものを考えてみましても、五・三%程度に経済の規模を拡張、拡大をしていこう、発展をしていこうというようなことを考えておりましても、これがまた五十五年度のように物価五・五%に抑えますと言いながら、それが守り切れないというようなことになったのでは、私はこれはえらいことになる、かように考えるわけでございまして、私どもといたしましては、この際あらゆる私どもの政策に優先をいたしまして、そうして物価の安定を図って国民の皆様方に政治の信頼をひとつ回復をさせていただく、そういうことでなければ、何をやりましてもそのこと自体が信頼を失い、そうして福祉を崩していくというようなことにつながっていくわけでございますから、これは私ども政治家といたしまして、また責任のある政府の閣僚といたしまして、これを座視するわけにはいかない、こういうことでございますので、私のすべての力、あるいは政府のあらゆる力をここに集中をしていくということをやっていかなければならぬ、政治生命を賭す、内閣の運命をかける、私はあたりまえのことであろう、かように考えておるわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 三月二十七日の閣議で総務長官の報告によるという数字を見ますと、二月の労働力調査というのはきわめて厳しいものがありますね。完全失業者が百三十五万人。さらにこの数字というのは前年比で二十四万人の増、こういう最近にない驚くべき数字が出ておるわけでございます。こういう数字を見ますときに、本日質問いたしたいと思っておりますが、中高年の失業の情勢という問題、その特徴というものをお尋ねしたいんですが、時間が限られておりますから、年齢別の階級分位別にひとつ数字がわかっておれば四十五歳から五十四歳、五十五から六十四、中高年のところの完全失業者、この数字をひとつお知らせいただきたいと思います。

関英夫労働省職業安定局長

○政府委員(関英夫君) 最近の完全失業者の中の中高年齢者の数字ということでございますので、二月の数字を申し上げたいと思いますが、総理府の調査によります二月の完全失業者数は、御指摘のとおり、全体で百三十五万人、そのうち四十歳から五十四歳層が三十一万人、それから五十五歳以上が三十万人でございます。で、前年に比較いたしまして四十歳から五十四歳で六万人の増、五十五歳以上で八万人の増と、こういうことになっております。

小野明日本社会党

○小野明君 六十五歳以上はどうですか。

関英夫労働省職業安定局長

○政府委員(関英夫君) 五十五歳以上ということでくくられておりまして、その六十五歳以上というような分位がとれないわけでございます。五十五歳以上で三十万人という数字でございます。

小野明日本社会党

○小野明君 そうしますと、百三十五万人のほほ半数をこの中高年の失業者で占めておると、こういうことになりますね。そうしますと、この中高年の今後の対策というものがきわめて重要に相なるということになろうかと思います。そこで、この中高年の雇用という問題で端的に今後の対策というものをひとつ御説明いただきたいと思います。

関英夫労働省職業安定局長

○政府委員(関英夫君) 雇用対策としては、まず失業を予防する。それからやむなく失業した人の就職を促進するという二面に分かれるかと思います。  そこで、中高年の雇用対策といたしましては、まず第一に、わが国の定年制度、これが従来五十五歳というようなものが非常に多い、これを何とかして昭和六十年までには六十歳に延長していく、あるいは昭和六十年以降になりますと六十歳前半層の労働力が非常にふえるわけでございますので、いまから六十歳以上に定年延長できるところはもちろんしていただくし、あるいは一律定年延長が無理な場合には、再雇用とか勤務延長とかさまざまな多様な形で六十歳以上についても雇用の継続を図っていく、そういうことによって中高年齢者が長い間働いて得てきた知識と経験、能力を生かして従来の職場でずっと働き続けられるようにしていく、こういうことがまず第一だと思います。で、そのための定年延長奨励金制度とかいろいろな奨励制度がございますが、そういうものを活用して、できる限り従来の職場で引き続き働けるようにすること、これが失業の予防という意味でまず第一の対策でございます。で、そのためには、また中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法で、高齢者の雇用率というものも定めております。五十五歳以上六%という数字でございますが、全国平均ではこの率を達成いたしておりますが、大企業ほどまだ未達成のところが多い。そういうところへの雇用率の達成指導を個別に行っていくことを含めまして、まずは中高年の雇用を確保するということが第一でございます。  それから二番目に、中高年齢者がやむなく失業した場合には、先生御承知のように、わが国の雇用慣行のもとでは新規学卒を採用するという形のものが一般的でございまして、中途採用が少ないという意味で中高年齢者の求人が非常に少ないわけでございます。そこで、できる限り中高年齢者に合った求人開拓をして、中高年の雇用を促進していく。その場合に事業主に対します奨励制度、助成制度を活用して中高年齢者の雇用を促進していくということが非常に重要なことでございます。さらにもっと年をとりました六十歳前半層になりますと、フルタイムの常用雇用はもはや無理だと、非常に短時間あるいは臨時的な仕事ならやれる、そういうことをして地域のお役に立ちたいというような方も出てまいります。そういった方々のためには、本年度からシルバー人材センターというようなものを助成していこうという補助制度を新しくとったわけでございます。そういうような形で高齢者の多様な就業ニーズに応じた雇用対策を行っていこうと考えているところでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 それで、昨年末失対事業問題につきまして、失業対策制度調査研究会という会が失対事業に対しまして一つの方向を出しましたね。労働省は従来失対事業問題につきまして三十八年、四十五年ですか、それから五十五年とずっと調査研究会というものによりまして、重大な方向転換といいますか、施策をやってきておるわけですね。そうしますと、そういう重要な施策の転換をおやりになる、あるいは新たに失業対策事業というものを変えていくという場合にこういう私的な諮問機関の意向だけをとっていく、あるいはこれを隠れみのにして施策をやるということについては、私は問題があるんではないか。と申しますのは、国家行政組織法によりましてその第八条で、重大な施策については八条による機関の設置と、こういうことがうたわれているわけですね。それで、労働省にも雇用安定審議会と、三者構成のものがございます。これらの意見を聞かずに失対制度の調査研究会と、これだけによって失対事業制度の見直しというものを行うことについては疑義があるんですが、この点はいかがですか。

加藤孝労働省職業安定局失業対策部長

○政府委員(加藤孝君) 昨年の十二月の六日に出されました失業対策事業についての研究報告、これは長年失業対策に関しまして賃金審議会の委員等を通じて失対事業に御造詣の深い方、あるいはまた社会保障制度についての日本の最高権威者と、こういうような方々を構成員といたしまして、その研究報告をしていただくに当たりましては、現地視察などを全国何カ所にもわたりまして実施をするとか、あるいはまた主なものについてはそれぞれやはり就労者団体、それからまた市町村等の事業主体というようなところの意見聴取等も行われます中で、約半年以上にわたる研究を続けられてこの結論をまとめられたものであるわけでございます。そういう意味におきまして、その内容につきましては私どもきわめて権威の高い適切な内容のものであると、こういうふうに考えておるわけでございます。  いま御指摘ございましたその三十八年、四十五年というような時点でこういう大きな失対制度の転換が行われておるということとの絡みでのお話がございましたが、三十八年あるいは四十五年の報告を受けまして、それにつきましては法改正を含む内容のものであったわけでございます。その報告に基づきましてそれぞれ法律改正が行われたわけでございまして、当然、その前提といたしまして関係の審議会の意見も伺い、また国会での御審議を経て所要の措置がとられたと、こういう経過があるわけでございます。  しかしながら今回の報告は、これは当面実施いたしますことは、五十六年度におきまして特例一時金という措置によりまして、この際自立引退をされる方については一人当たり百万円の予算措置を講ずると、そういうことによって自立引退を円滑に行うと、こういうようなものがこの具体的な五十六年度の措置であるわけでございます。  また、五年程度の経過期間後において六十五歳というものを一つの上限に持っていくと、こういうことにつきましては、これは今後高齢者の方々の自立引退を円滑に実施をしていく中におきまして、その五年程度後には六十五歳に持っていくと、こういうようなことで、特に法律改正を要するようなものではない、今回の報告を実現するに当たりましては特に法改正を必要とするような内容のものはないと、こういうふうに考えておるわけでございます。そういう意味におきまして、特にこれを審議会に改めて御諮問するとかいうようなことはしていないわけでございます。法改正の問題があれば、当然関係審議会の御意見を承るつもりでおりますが、そういう内容のものではございませんので、今回はいま御指摘ございました中央職業安定審議会に対しましても、この研究報告の内容及びこれにつきましての労働省の考え方を御説明をするという形で、審議会の方には説明をさしていただいたと、こんなような経緯のものでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 そうすると、この内容を見ますと法律上の改正を伴うものではないと、こういう御説明があった。しかし六十五歳を上限とすると。そして十万人のうちの約七割を削減をすると、こういうわけですね。法改正ではない、しかし実質的にはそういう効果を持つものではないかと、こう思います。そうなればなお、よきもあしきも国家行政組織法第八条というものがあるんですから、それをやはりきちっと生かしていくべきではないかと私は思うんです。それは本日の私の意見として述べておきますが、法律改正によらないと、こういうふうにおっしゃるんですから、なお私は問題だと思うんですが、緊急失対法には年齢の規定もないですね。したがって六十五歳を上限とする法的な根拠がないと私は思います。さらに憲法二十五条あるいは憲法二十七条、御承知のとおりですが、この引退の強制という問題は、この憲法の条文に照らしても、国民の勤労権あるいは生活権というものを奪うものではないかと、こういうふうに思いますが、いかがですか。

加藤孝労働省職業安定局失業対策部長

○政府委員(加藤孝君) この六十五歳という上限を五年程度の経過期間を経て実施していこう、こういう考え方が示されたわけでございますが、失対法の現在の規定、これは特に失業対策事業就労者に対していわば永世的にといいますか、いつまでも何歳になってもこの失対事業への就労の権利とか就労の保障とか、そういったものを規定しているわけのものではないわけでございます。そういう意味で、これはやはり合理的な制限というようなものは可能であろうと、こういうふうに考えておるわけでございまして、現にたとえば一定の所得以上のある方については失対事業に就労をすることはお断りするというようなことも、一定の合理的な制限、こういうようなことで通達で実施しておるということもあるわけでございます。そういうようなこととの関係から見ましても、現在失対事業に就労しておられる方がこれが年齢の制限が一切ないということの中で、六十五歳以上の方が約半数、七十歳以上の方が二五%、さらにはまた七十五歳以上の方も約一割、八十歳以上の方もおられるというような状況の中で、失対事業が労働政策の事業として、社会福祉事業としてならともかく、労働政策の事業として、働いていただいてそれに対して賃金を払っていくと、こういうような形の事業として継続することがぎりぎりの状態になってきておる、こんなような状況にあるわけでございます。  一方また、失対事業の本来の目的が民間へ就職するまでの間の一時的な就労の場、こういう性格を基本的に持っておるわけでございます。そういう中で、民間においては先生御存じのように、いま六十歳定年制というものへ懸命に持っていこう、こんなような現状にあるわけでございまして、六十五歳以上の定年制を決めておるというようなところはもう皆無に等しいような状況にあるわけでございます。そういう中で、この失対事業の現在のそういう状況から、非常にもう事業継続がむずかしくなってきておる、あるいはまた失対事業の本来のそういう性格が、民間企業への一時的な就労の場であるというようなことで、六十五歳というものについて一つの上限を設けることについて、これはやはり一応合理的な制限ということで十分考えられるのではないか、こう思っておるわけでございます。  しかしそれをいま直ちにやるということにつきましては、いろいろまたこの失対事業をめぐる経緯あるいは就労者の実情等から見まして、いろいろその辺については問題もあるであろう、こういうようなことで、五年程度の経過期間を置く中で円滑にそういう六十五歳という線へ持っていけるようにと、こういうことで考えておるわけでございます。強制的にそこでびしっと持っていくということではなくて、五年の経過期間の中でこういう高齢者の方々の今後の生活相談というようなものを安定所、あるいは事業主体である市町村あるいは地域の関係社会福祉関係機関といったものとの十分な連携等によりまして、円滑なそういう自立引退への道行きを敷くことによって、その六十五歳というものを円滑に実態として持っていこうと、こんなふうに考えておるところのものでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 六十五歳までが労働政策としては限界だというような、そういう御意見のようですが、そうすれば六十五歳を超えたら働く意思と能力があっても、これはもう労働省の所管ではない、勝手にもう生活保護にいきなさいと、こういうことですか。  緊急失対法には、もう加藤さんも御存じのように、十一条の二で高齢失業者等就労事業という規定がございますね。これは全然生かされてないじゃないですか。いま関さんの説明でも、今度の百三十五万人の完全失業者、この底には不安定就労している人が一千万を超えるほどいるわけですね、完全失業者の定義は非常に厳しいですからね。一千万を超える不安定就労者がいる。そうすると、六十五歳までが限度であると、こういうふうに決めつけるというのは、私は労働省が、政府がみずから政府の役割りを放棄するということに等しい。この緊急失対法に決めておる高齢者事業、こういうものは何ら日の目を見ていない。こういうことから、六十五歳をリミットとする、限度とするなんていうことは、それこそ私は生存権、勤労権を奪う一番最悪なこれは方途である。これを失対の調査研究会というものの報告というものを隠れみのにしてあなたたちは強行しようとしておると、こう言う以外にないと思うんですが、いかがですか。

加藤孝労働省職業安定局失業対策部長

○政府委員(加藤孝君) いま御指摘のございました高齢者につきましての就労事業、これは確かに緊急失対法でそういう規定がございますが、三十八年にこれが規定されまして実施しようとしたところ、非常に就労団体の方からの厳しい抵抗等もございまして、結局、これが実施をされないまま今日に至った。内容的には、それにかわるようなものとして現在失対事業の甲事業というような形で、主としてそういう高齢者等を対象にいたしまして軽易な作業を失対事業の甲事業と、こういうような形で実施をしておるものでございます。  また、六十五歳の問題でございますが、これは六十五歳以上は一切労働政策として対象にしないんだと、こういうことを申し上げておるわけではなくて、雇用対策上特別な措置をとる。一般の安定所での職業紹介であるとか、あるいは高齢者相談室での職業相談とかこういったようなものは、これはもちろん何歳でも本人が御希望あれば当然やっていくわけでございますが、こういう国費で、その個人個人に対して雇用対策上特別の措置を講じていく、こういうものについては六十五歳と、こういう考え方がこの失対事業以外の諸対策についても現在とられておるところでございまして、たとえば特定地域の開発就労事業であるとか、あるいはまた中高年の求職手帳制度であるとか、また定年延長奨励金であるとか、公共事業の吸収率制度であるとか、すべて特別のそういう措置をとるというものについでは六十五歳、こういう考え方をしておるわけでございます。もちろんそういう一般の職業紹介の窓口は、年齢に制限なくオープンにして職業相談に応じておる、こういうものであるわけでございます。  いろいろ勤労権のお話等も出たわけでございますが、やはりこの勤労権の問題、一つの権利宣言的なものでございまして、そういう失対事業を六十五歳過ぎてもやらなければ憲法違反になるというような具体的なものではないと、こんなふうに考えておるところでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 具体的な問題に入りますが、失対就労者が六十五歳で打ち切られる。そうしますと、引退後の雇用とかあるいは生活保障の具体策、いま若干触れられたようですが、あるんですか、これは。

加藤孝労働省職業安定局失業対策部長

○政府委員(加藤孝君) もう六十五歳を過ぎられまして失対事業を自立引退される方のその後の生活態様、これはいろいろあろうと思います。まだ元気だから働けるぞという方ももちろんあると思いますが、そういう方につきましては、今後安定所におきましても臨時とかパートとかそういったようなものでのごあっせんも努力をしていかなきゃならぬと、こんなふうに思っておりますし、追加的に収入を得たい、あるいは生きがい的というような就労を希望する方については、シルバー人材センターであるとか生きがい就労事業であるとか、そういったようなものでの対応というものも考えていかなきゃならぬ。  あるいはまた社会保障施策の面でも、これはやはり安定所がよく市町村あるいは社会福祉機関と連携とりまして、老人ホームであるとかあるいはまた年金の問題であるとか、あるいはまた生活保護への移行の問題であるとか、そういったようなものについていろいろ関係機関と協力等しながら、それらについて今後の、引退後のそれぞれの人に合った道行きについていろいろ生活相談を講じていく、そういう窓口を開設しながら、今後五年間程度の間にこの円滑な自立引退への道行きをつけていきたい、こんなふうに考えているわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 円滑にいかないわけですよね。これは六十五歳をめどにもうそれ限界だというのは、これはもう労働省の手を離れて厚生省にいきなさい、生活保護を受けなさいと。いまの雇用・失業情勢からいきますと、るる説明がありましたように、もう半数の六十万人が完全失業者、中高年齢者がですよ。そうすればもう、あなたが民間就労とかいろいろ言いましても、それは口ばかりになるんですよ。生活保護にいきなさいと、これと私は同義語だと思う。たとえば生活保護にいった場合に、七十二歳と七十歳、七十二歳の男子、七十一歳の女子と、こういう老夫婦の場合に、生活保護、幾らになると思いますか。

加藤孝労働省職業安定局失業対策部長

○政府委員(加藤孝君) 地域によっていろいろ……

小野明日本社会党

○小野明君 一級地でいい。

加藤孝労働省職業安定局失業対策部長

○政府委員(加藤孝君) 一級地で申し上げますと、六十五歳から六十九歳の方の生活保護が六万五千八百九円、一人世帯でございます。

小野明日本社会党

○小野明君 いや、七十二歳と七十歳の、その金額を言いなさい。

加藤孝労働省職業安定局失業対策部長

○政府委員(加藤孝君) 七十歳以上でございますと、七万八千四百円という状態でございます。それからまた二人世帯でございますと、十一万五千二百三十四円という状況でございます。  これに対しまして失対賃金、これはまあ福岡市で例にとりますと、現在、甲事業で八万四千二百二十六円、それから乙事業で十万三千五百十四円こんなような状況でございます。  また、いわゆる日雇い仕事的なもので勤労収入が三万円ある場合の生活保護で見ますと、七十歳以上の方で十万一千六百五十四円というような数字になっております。

小野明日本社会党

○小野明君 六十五歳で切って生活保護にいきなさいというのと同義語だと。生活保護にいきましても、金はこれは同じ政府から出るわけですよね。そうすると、やはり働く人、能力ある者は六十五歳を超えてもやはり私はこういう公的な就労事業、民間の景気回復するまでの間ということでありましても、公的就労事業というものは維持すべき、拡大すべきだと、こう思いますがね、生活保護にどんどん追いやるんでなくてね。どうですか、そこは。

加藤孝労働省職業安定局失業対策部長

○政府委員(加藤孝君) もちろん基本的には元気な方は何歳まででも働いていただくというように基本的な努力をすべきだと思うわけでございます。  ただ、先ほどから申し上げておりますように、決してそういう生活保護へ移行されることを奨励するというようなことで申し上げているのじゃなくて、国あるいは地方公共団体が、言うなら税金まる抱えの形の中でやっておる事業でございます。そういう特別の措置を講ずる形のこの事業が、現実問題として何歳でもおられるためにいわば事業として、労働政策の事業として実施し得なくなってきている、現場へたどり着くのがやっとであるというような方も中にはおられるわけでございます。そういう中で、何歳まででも労働政策としてそういう失対事業で抱えるということは、実務としてもなかなかむずかしくなってきておる、こういうような中で、やはりそういう制度的な合理性のある六十五歳というものを五年程度後において目標にしていこうというようなことでやっておるわけでございます。いま直ちにこういう方々にすぐやめていただくとか、あるいは今度の特例一時金でそういう方々全部、六十五歳以上の人はやめていただくというようなことを申し上げているわけではないわけでございまして、一応そういう一つの基本的な考え方というものを打ち出して、それへ向けて今後努力をしていこうということで打ち出しておる考え方でございます。

小野明日本社会党

○小野明君 あなたはいま、六十五歳を超えて現場へたどり着くのがやっとだというような人ばっかりのような言い方をしているが、これはけしからぬ言い方だ。それは人間には年齢ありましても、六十五歳を超えましても働く意欲があり、能力ある人がたくさんいるわけだから、それにはやっぱり公的就労の場というものを保障しておくと。そしてこの厳しい高齢化社会、中高齢の厳しい雇用、失業情勢に対応するということが基本になきゃならぬと思うんですよ。  それから、具体的問題にいきますが、来年度、五十六年度で七、八、九の三カ月間に限って特例措置ね、例の百万を促進措置として支給する、こういう期間をどうして設定をするんですか。これは引退をするという人については、来年度いっぱいの予算ですから、何もこう三カ月で切る必要はない、百万円もらえば収入認定されるわけでしょう、収入認定になるわけですよね、引退すれば。だからそれは生活保護にもなかなか入れない、こういうことになる。特にこの七、八、九の三カ月というものを設定した、これが私は解せない、一年間の予算ですからね。引退をする人にはやっぱり自由な意思で引退をするということにしなければならぬと思いますが、どうですか。

加藤孝労働省職業安定局失業対策部長

○政府委員(加藤孝君) この七、八、九月におきまして百万円の特例一時金を実施するということにいたしておりますのは、これはこの際こういう失対事業を、労働政策の事業としてあるべき姿に持っていくような方向へ持っていこう、そのためには、現在就労を続けていくことがなかなか困難になってきておられる、そういうような方々にひとつぜひこの際自立、御引退を願うということで勧奨をするものであるわけでございます。  これにそういう期限をつけましたのは、実は現在、地方単独措置で、たとえば五十万とか、県によりましては百万というような金額を出しておるところもあるわけでございますが、そういうのがいつやめられてもそれが出る、こういうようなことで、結局これが実際にはそういう方々の自立、引退につながっていない、いつやめてももらえるから、こういうようなことでずっとあるわけでございますので、そういう意味で、やはり一定の期限というものをつけて一つのふん切りをつけていただく、こういうことがどうしても必要であろう、こういうことで一つのこういう期限を設けておるわけでございます。  それで実際には、実務の面でまいりますと、いろいろ事業計画の策定の関係の問題、あるいは四十六年のときに実施をいたしました実例等々から考えまして、やはり余り長期では事業計画も立ちにくいというようなことでこういう三カ月の期限を設けて、その中でこういう措置を実施していこう、こんなふうに考えているところのものでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 というのは、三カ月間でこれはやめることを、引退することを強制するんじゃないですか。強制と同じじゃないですか。予算というのは年度でやればいいんでしょう。引退する者は本人の意思を尊重とするということがなきゃならぬが、三カ月間という区切ってやるということは同時に強制を意味しませんか。どうですか。

加藤孝労働省職業安定局失業対策部長

○政府委員(加藤孝君) この三カ月間区切っておりますのは、年間を通じて引退される方と、それから就労を続けられる方とのいろいろ区分けの中で事業の実施を円滑にやっていかなきゃなりませんので、一応そう区切っておりますが、しかし先生御心配になるような強制にならないかという点については私どもも十分配慮いたしまして、強制ということではなくて、できるだけやはり本人の理解と御納得をいただく中で、それからまたそれを実施していくために、円滑に実施し得るよう、関係の事業主体あるいはまた就労者団体等ともそれが円滑に実施できるよう、私ども話し合いを十分しながらやっていきたい、こんなふうに考えておるところでございまして、現在もまた関係の就労団体等とも、これを円滑に実施するための話し合いを続けておる、こんなような円滑に持っていきたいということでの配慮は常にしていきたい、こう考えておるところでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 現在留保中の者にはこれを、特例措置を適用しないというんですが、これはなぜですか。これも当然適用してしかるべきだと思いますが、いかがですか。

加藤孝労働省職業安定局失業対策部長

○政府委員(加藤孝君) この特例措置の考え方は、現在実際に就労をすること、継続することがなかなか困難な状況にありながら、なおそういう方が現場に出てきておられる、そういう中で、なかなか事業が正常に運営できないというような問題点を解消していくということを一つの大きなねらいにしておるものであるわけでございます。そういう意味で、すでに留保という形でずっと自宅におられる方については、これは特別にこの際自立、引退をしてくださいというふうにお願いをしなきゃならぬというような事情にあるわけではありませんので、原則的にそういう留保の方については対象としては考えていないわけでございますが、現在、なおその問題については就労団体とも話し合いを続けておるところでございます。  ただ、考え方としまして、たとえば業務上の災害というような方については、業務上災害で留保されておるというような方については配慮していこうというような弾力的な考え方もしつつ、いま就労団体とも話し合いをしておるということでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 ぜひこの留保中の者にも適用するような配慮をしていただきたいと思います。  それから次は、特定地域開発就労事業、特開ですね、これができたのは四十五年ですか、当時の失業情勢と現在の失業情勢とは——当時は完全失業者五十九万、五十四年で百十七万、さっきは百三十五万ですね、二月で。失業情勢も違うわけですよね。ですから、特定地域の指定基準あるいは年齢の範囲というものをこれを拡大をしていく必要がありはしないかと思いますが、いかがですか。

加藤孝労働省職業安定局失業対策部長

○政府委員(加藤孝君) この特定地域の指定基準につきましては、これは一定の要件を定めておるわけですが、これはしかし、今後そういうことになる可能性が強いというような場合においてもそれを適用し得るような形に弾力的にし得るようにしてありますので、特にその指定基準についてそれを直ちに緩和しなきゃならぬということなくても、必要な場合には対応できるというふうに考えております。また、年齢基準につきましては、これは実際問題として四十五歳以上という時点になりますと、求人倍率等急速にそういった点についての就職難の問題が出てくるというような関係等の問題がございまして、あるいはまた六十五歳という問題については、先ほどからるる御説明しておりますような問題等もございまして、こういう年齢基準につきましては、現在のところ改定するというようなことは考えておらないところでございます。ただ、運用の中で、同和地区出身の方であるとか、あるいは身障者であるというような方につきましては、こういう四十五歳というような年齢に関係なくその辺については対象にしておるというような運用はしておるわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 今後の雇用を創出するということが非常に大事だと思います。調査研究でもシルバー人材センター等いろいろ書いておりますが、あの研究会報告も、こうすべきだというようなことを書きながら、しかしながらというようなことで、なかなかその真意がつかめないところがありますよね。ということは、労働省に政策の選択を征しているというような幅がずいぶん感じられるわけですよね。ですから、今後の雇用創出事業というものについては、やはり公的な就労の場というものが私は必要だと。シルバー人材センターに対しても補助を引き上げる、あるいは地方自治体が実施をしておる高齢者就労事業、これは緊急失対法にもあるんですから、国の助成を与える。さらに中高年齢者、これはもう一番いま気の毒な状態にあるわけです。就職困難な状態にあるわけですから、障害者とかこういう人たちを対象とした公的な就労事業の創出ということが私は必要ではないか、こう思いますが、いかがですか。

加藤孝労働省職業安定局失業対策部長

○政府委員(加藤孝君) 今後、公的就労事業というものについてどう考えていくか、これは実は失対制度研究会におきましてもいろいろ検討されたところでございますが、仰せ、とにかく国や地方公共団体がまる抱えの形でこういう方々のために事業を起こしてそういう方々を吸収していく、こういうことについては、結局、そこへ滞留をされるというような、それが定職化していくというようないままでの経緯にかんがみまして、これが再就職につながっていかないといういろいろ問題がある歴史を抱えておるわけでございます。そういう意味で今後、そういう吸収するために公的なものを起こしていく、それで吸収していくという考え方は、基本的には今後はとらない、そして、民間の活力をできるだけ生かして、そういう民間に対する助成をしていく中で、それらの人たちの就労の機会をふやしていく、こんなような政策をとることが基本だというようにされておるわけでございます。  しかしながら、そうはいいましても、非常に失業の多発地帯で一定の間何らかの国や地方公共団体がそういう失業緩和のために措置をとらなきゃならぬそういう場面、地域も今後起こり得るであろう、そういう場合のために、現在そういう事態に備えて行われておる特定地域開発就労事業について、これを一年間のオン・ザ・ジョブ・トレーニングというような形で、これらの改善を図っていくというふうなことについての検討を指摘されておるところでございます。今後そういった点については、いまの特開事業の改善の中でのまた検討は進めていきたいというふうに考えておりますし、またシルバー人材センターにつきましては、五十五年度百カ所、それから五十六年度さらに五十追加いたしまして百五十カ所というようなことで予算措置をいまお願いをしておるという状況にございまして、今後、高齢化社会時代を迎えましての新しいタイプの就労の場を、機会をつくっていくという面でこのシルバー人材センターも有効に働き、機能し得るものである、こんなふうに考えておるわけでございます。そういった面については今後ともそれぞれの地域の実情に応じまして、これの発展を図るよう努力してまいりたい、こんなふうに考えておるところでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 最後に、大臣ね、滞留、滞留と言って、そういう言葉がこの中にもありますし、あなたの中にもあるが、好きでそこにいるわけじゃないと私は思うんですよ。これは民間に活力があれば、それはこの調査研究会報告を見ましても、ずいぶん民間に行ったときも、事例も書いてございますよ。だから、要は民間が企業が雇用を受け入れる、また雇用の条件等もございますが、それがあれば好きで滞留するわけはないですよ。それを無理に追い出す、強制するということではなくて、やはり本人の意思を尊重しながら、就労者団体あるいは全国市長会の要望もございますよ、一遍で年齢で制限するなという市長会の要望もある。それらの意見を加味しながら、この失対事業についてはひとつ軟着陸といいますか、十分な景気情勢も配慮しながら実施をしていただくように要請をしたいと思いますが、最後に大臣ひとつ……

藤尾正行自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤尾正行君) 小野先生の温かい御意思といいますものは私どもにもよくわかります。しかしながら、御案内のとおり、私どもは失業というような非常事態、そういったところに御就労が定着をするということではこれは原則として困りますわけで、できるだけ完全に雇用形態に入っていただくということが一番大事なことだ思うんでございますね、原則といたしまして。そういうためには非常に歴史的な役割りといたしまして、これは戦後のああいった状態でございましたから、非箱にそういった方々の御生活といいまするものに対しまして、あらゆる意味で御助成をしなければならぬということで生まれた失業対策事業でございますから、その失業対策事業をできるだけ早く御卒業を願うということが私は原則だと思うんです。  そこで仰せのとおり、別に滞留をするとか言葉は非常に悪うございますけれども、何となく、本当言うとそれは毎日毎日の契約によります非常に不安定な雇用形態でございますね。でございますから、それをできるだけ安定した方向に持っていくということは一番大事なんですけれども、しかしながら、毎日毎日同じところへ行っておられますと、何となくそこが、朝出ればそこへ行かなければいかぬのかなというような感じでなれてこられる、そういうことが、正常な雇用というものを前進さしていきたいという私どもの仕事の上で、それをいつまでもいつまでも許容しておるということでは、なかなか正常な雇用政策といいますものはとれませんので、そういったものに転換の道を開いていく、そういった意味で、これ以上はまず失業対策というような事業の御就労はおやめいただきたいというようなことから始めまして、そういった方々の平均年齢が非常に伸びてきた、そういったことでございますので、通常のお働きというものから考えてみまして大体七十歳というようなところにいきますと、それを公的事業とはいうものの、政府の力で働いていただいておるというようなことは余り適当ではない、そこで、そういったことはできるだけ一つの肉体的条件に合った御就労といいまするものにお世話を申し上げたいということで、シルバー人材センターというような構想もつくり、そういったものの方向に御移動いただけるならば御移動いただきたい、こういうことで御選択をお願いをしておりますのが今日のあのような決定でございます。  でございますから、そういったことを無理無理に押しつけるなどということはそれはとてもできるものじゃございませんから、五カ年間の猶予期間も置き、そしてなおかつ新しい御就労のために、一つの基本的な基礎になれば幸いであるということで百万円というようなものも御用意をさしていただいた、こういうわけでございますから、その点は、ひとつ温かいお気持ちというものは十二分にわかりますし、私どももそういった姿勢といいまするものを拳々服膺していかなければなりませんけれども、なおかつそれが雇用であるということを考えて、正常な方向へ正常な方向にという^つの模索をそこに繰り返していく、そういう努力は私どもはやっていかなければいかぬのじゃないか、かように考えておるわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 終わります。

坂倉藤吾日本社会党

○坂倉藤吾君 私はきょうは同和問題にしぼって質問をいたします。  この同和問題、とりわけ労働省の関係は就職差別問題、これを中心にいたしまして衆参それぞれの場でわが党の先輩、同僚が数多く質疑をされているわけですね。つぶさに議事録等を読ましていただきまして承知をいたしておるんですが、藤尾労働大臣大変就職差別につきまして、当然のことでありますけれども、非常に明瞭に、しかも毅然たる峻厳な態度を表明をされておりまして、私としてもまさに労働大臣として適切な御判断をいただいておる、こういうふうに思っているところでございます。また事件によりましては大変俊敏に事を処しておられることを大変ありがたい、こういうふうに考えておるんですが、とりわけ労働行政最高の権威にかけて絶対に就労、就職差別につきましては絶滅をさせるんだと、こういうふうに約束をされておりまして大変ありがたい。  そこで、いままで問題になりました事件のその後の措置結果を若干お尋ねをしておきたい、こういうふうに思うんであります。  第一は、これは東洋工業の身元調査にかかわるいわゆる元警察官、それから公安関係、これの関係ですね。昨日私は警察の所管で、この場でこの処理につきましてお聞きをいたしましたが、労働省として一体この件についてはどう措置をされているのか、これが第一。  第二は、これまた指摘をされております社会保険医療協会、この問題について一体どうなっておるのだろうか。これは労働大臣がみずからS君ともお会いいただいたということを聞いておるわけでありますが、S君は一体どういうふうに対処をされておるのだろうか。  それから第三は中国電力の問題ですね。これまた大変、何といいますか、血縁関係まで調査をするあるいは家族の死亡原因まで調査をする、こういうところにまで及ぼしておる問題でありまして、大変重要なそれぞれの特徴を持った事件だと、こういうふうに思いますので、ひとつ調査結果、措置結果、これについてお尋ねをいたしたい。

田代裕労働大臣官房参事官

○説明員(田代裕君) 先生いま御指摘ございました三件の問題について経緯及び現在の結果を御説明申し上げたいと思います。  まず第一は、御指摘の一番にございました東洋工業の問題でございますけれども、これはいまお話がございましたように、その発端としましては五十四年の八月に例の地名総鑑類である日本の部落というものを企業が購入してこれを利用していたというような点からこの事件が出てきたわけでございますけれ戸も、法務省からの連絡等も受けまして、私どもは県の行政機関、職業安定関係官署、それに法務局なり、教育委員会というものが相共同いたしまして事実の確認と啓発指導というものを行ってきたわけでございます。  この際明らかになりましたことは、会社が従業員の採用に関しまして社員をしてその身元調査を行ってきた事実があるということでございます。それからさらに、採用はされている人たちなんですけれども、残された書類等から見ますと、その調査事項の中で、いわば同和地域に関連する調査内容等も記載をされていた、こういうような事実が判明したわけでございます。そういった点で私どもといたしましても、従来から企業に対して適正な採用選考の指導を行ってきたことでもございますし、この点について十分な指導を行っていくということでございまして、後ほど申し上げます中国電力とともに、大臣からも直接な指導をしていただくという結果になったわけでございます。  なお、先般御指摘もございましていまもお話がございました警察官OB等につきましては、私どもはたとえ前職がどうあろうとあるいは興信所を使おうと、企業みずからが行おうと、採用選考に当たりまして通常必要とされる書類、つまり本人の適性、能力以外の事象についてこれを調査するということについては厳しく戒めてきているところでございますので、そういった点につきましては、これはひとり民間企業のみならず、関係の方面につきましても、こういったことの再び起こらないように注意を喚起しているところでございます。  それから三番目に御指摘がありました中国電力でございますけれども、これも同じように五十四年の六月にこの地名総鑑類の購入事実ということが明らかになりまして、いまもお話がございましたように、これらの利用ということ及び採用選考に当たりまして、それ以外のいわば不適正な採用因子というものも、従来会社の選考の中にあったということが明らかになりましたので、これに対しましても関係機関が協力をいたしまして指導啓発に努め、その体制の改善を図ってきたところでございます。  そしてこの両社の社長につきましては、先般、三月十三日でございますけれども、労働大臣が直接これを呼びまして強く反省を求め、指導に当たったわけでございまして、その後両社の代表者から、それぞれ従来の会社としてとってきた措置が企業の社会的責任を果たすものでないということをいたく反省いたしまして、今後の社内体制の確立及び採用選考に対する改善というものを図る、また、事実もうすでに図りつつございますけれども、そういったことについてこれをまた書面をもって私どもの方に提出される、こういう状況になったわけでございます。  それから二番目に御指摘がございました福岡社会保険医療協会で起こりました、いわゆるS君の差別事象でございますが、これは典型的な差別事象としてまことに遺憾でございますけれども、現在それの指導につきましては、県及び関係機関が集まりまして、この組織、特にこれが公益的な法人であるということは今後の対策上も重要な問題でございますので、鋭意その体質の改善及び今後の問題解決に当たっているところでございますが、当事者でありますS君につきましては、労働大臣の命を受けまして、地元公共職業安定所長が当該地元におきまして、本人のその後の関連ということについて意思の確認を行いました。で、御本人は、地元の地方公共団体へ公務員としての就職を現在希望されているということでございます。しかし、この採用選考はもうすでに本年度は御案内のように終了しておりますので、    〔主査退席、副主査着席〕 来年度正式の試験を受けて採用されたいと、こういう強い決意を表明されております。私どもの方もそういうことが成就できるように……。  なお、本人は当面の間は臨時職員としてお仕事をされるということで、現在、そういう形でもって私どもの方も見守っている次第でございます。

坂倉藤吾日本社会党

○坂倉藤吾君 私の持ち時間が十分ほど削られましたので、いまの御答弁では——たとえば中国電力の場合に、具体的に差別を受けて残念ながら就職できなかった方々、これはもう明らかになっておるわけでありますから、そういう人たちは一体どうなっているのかという問題等も含めてお聞きをしたいところでありますが、一応いままでの労働省としての姿勢、あるいは大臣の言明もありますから、その辺はあえてきょうは質疑をしないでおきたいと思います。ぜひひとつ、今日までの仮に被害がわかった場合に、もとに戻らない場合もあるでしょうし、しかし、それに対応する幾つかの対策をおとりいただきますように特に申し上げておきたいと、こういうふうに思うんです。  で、さらにもう一点は、これはいわゆる昨年の大学就職解禁の際に出てまいりましたいわゆるバイエル薬品株式会社あるいは富山機械あるいは日本海綿業あるいは大垣の共立銀行、こうしたところのいわゆる社用紙の問題でございます。これはどういうふうに措置をされているんでしょうか。

田代裕労働大臣官房参事官

○説明員(田代裕君) 大学の就職問題に関しまして、いま御指摘がございましたいわば応募書類というものが従来統一をされていなかったという事実がございます。先生御案内のように、中学校及び高等学校の就職につきましては、これは労働省及び高校につきましては文部省、高等学校長協会等も合意を持ちまして、すでに四十八年以来統一応募書類というものの使用の徹底を図ってきているわけでございますが、大学につきましては、従来大学がみずから職業指導、職業紹介をやるといったてまえから、これにつきましてはそういったことが行われていなかったという事実がございます。  ただ、先生御指摘のように、私どもの方が職業紹介を進めていく間に、高等学校についてはそういうことであるけれども、大学は野放しではないのかと。その中にいわば社用紙、これは会社がみずからつくられる書類でございます。場合によっては学用紙といいまして大学の方で一定の書式をつくられているものもございます。こういったものの中に、従来高等学校においては、採用選考上必要のない、あるいは不適切な事項であるとして削除した事項等についてもこれを問いかけている。つまり記載を求めている、こういうような事実を私どもの方も調べていったわけでございます。そういった点におきまして、これは大学卒業生の採用選考に公正な結果を求めるという私どもの方の考え方に、十分こたえていない状況にあるということが判明いたしましたので、昨年の秋でございますけれども、大学採用選考の行われる前に文部省とも相諮りまして、そういった点の是正方について、関係業界及び文部省を通じまして関係大学あるいは職業安定行政機関を通じまして、それらの連携態勢の中で改善を図るように指示したところでございます。

坂倉藤吾日本社会党

○坂倉藤吾君 いま、いままで質疑の中で出てまいりました問題の対処方をお尋ねをしましたが、これは五十二年の総理府の調査統計ですね。この中でも明らかにいま言いました、いわゆる社用紙を廃止をしまして、そして統一応募書類に切りかえていこう、こういう方向は出ているわけでありますし、なおかつまた地名総鑑、その他の問題もこの段階ではもう明確になっておるわけですね。しかも、この部落問題、いわゆる同和対策の関係につきましては、戦前それから戦後常に論議をされてきたと思うんですね。そういう状況の中で、具体的に指摘をされるような問題が幾つか、残念ながら、そういう方針で一貫してきておるのになおかつ発生をしておるという、こういう問題をとらえて私は大変遺憾に思いますけれども、これが現実の姿だろうと思います。そうなりますと、相当これは強い決意でもって、まさに大臣が言っておりますように、絶滅をするんだということを具体的にやっていただきませんと、これはお話にならぬわけであります。しかも、今日まで幾つか取り上げられましたそれぞれの差別事案というのは、就職差別だけの話ではなくって、単なる氷山の一角だ、こういうふうに私どもとしては認識をするわけであります。たまたま発覚をした、これは大変だ、こうなるわけであります。しかし、それはもう数知れず無数にある中で、たまたまそれが発覚をする。それまでは該当者はがまんをしてしまう。がまんをしてしまうから平気で再び繰り返す、こういう形のものがあるわけでありまして、私大変なことだと思うんですね。したがって、そこまで突っ込んだ具体的な絶滅策というものをやっていただかなければいかぬ。この辺ひとつ労働大臣、まとめて私のいま申し上げたことにつきましてお答えをいただけるのかどうか。

藤尾正行自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤尾正行君) まことに、御指摘をこういった場所で受けるということ自体が私どもといたしましては恥ずかしいことだと、かように考えておるわけでございますが、仰せのとおりたとえば御指摘の東洋工業でありますとか、あるいは中国電力でありますとか、あるいは安田信託銀行でありますとかというような出てきた事態、そういったものもちろんこれは処理しなけりゃなりませんから、処理するのはあたりまえのことでございますけれども、仰せのとおりでございまして、そのような氷山の一角という御指摘でございましたけれども、そういったことでは私はこういったことを絶滅できるものではない、かように考えます。そこでこの際、皆様方にお約束をいたしましたとおり、私は絶滅をすると言っているんでございますから、そこで全株式上場会社、これの当局者、社長並びに総務部あるいは人事局、そういったものに対しまして私の名前で、このような事態がまだあるということはきわめて残念である、そういったことを考えるということが人権を守り、会社の名誉を守るということに通ずるのであるから、これからの特段と人事、人の採用というようなことに関してそのような特別の就職の書類をつくったり、あるいはそれによって調査をしたりというようなことをさせることを私どもは許しておくわけにはまいりません。そこで、そういったことがあろうとなかろうと、各会社におかれて自主的にこの通達をごらんになられたら、その通達に従ってきちっとした対応策をとっていただきたいということを送付してございます。  でございますから、これから先もし仮に、そんなことは私はないと思いますけれども、そのような事態が起こるということになりますと、労働大臣の通達を明らかに無視し、それにチャレンジをするということになるわけでございますから、これは私は容易ならぬことで、いまの民間会社におかれましてそれほどの勇気のある方はそんなにあるはずはない、さように考えております。でございますから、今後ともさらにこの点は留意をいたしまして、一回だけでなく、場合によりましたらその採用時期、それに先立ってもう一遍同じようなことをやるというようなことを重ねていきたいと、かように考えております。

坂倉藤吾日本社会党

○坂倉藤吾君 いま大臣御答弁いただきました趣旨は衆議院の矢山先生の質問の際にもお答えいただいている、こういうふうに承知をしておるわけであります。重ねて御答弁をいただいたということで理解をいたしますが、ただ私が申し上げておりますのは、同和地域におきますいれゆる雇用の実態といいますかね、これはもうすでに御案内だろうと思うんです。したがって、その上に立って私は申し上げておるわけですが、何回か何回か繰り返しつつやってまいりましても、結果としましては、いまだに雇用条件というものは解決の方向というのはごく微々たるものであります。これが実態であります。社会的に非常に低いと言われている地位の就労、こういうところにたむろしているわけですね、はっきり申し上げて。この問題について私はやっぱり積極的な面としてぜひとも就職を促進をしていくという、ここに大きな力を持っていかないといけません。そういう立場から言いまして、いまの大臣の御発言は、それぞれの企業に対して啓蒙もし、注意も喚起をして、そしてやっていこうという、こういうことであろう、こういうふうに思います。  そこで、本年の労働省の予算を見ていきますと、同和地域住民に対する雇用対策の充実、強化、これは三十三億一千五百万お決めになっていますね。この中でたしか職業指導、雇用主啓発指導体制の強化というようなことで約四千三百四十四万であろうと思うんですね。こういうふうにながめていきますと、いま大臣の御決意と、さらに雇用を促進をしていくという立場からながめていきますと、この雇用主に何回か何回か繰り返しやってきて、差別は悪いということをよく承知をしつつ、なおかつそれをやってきた企業の体質からいきまして、大丈夫なんだろうか、こういう気がしてならぬわけであります。とりわけ啓蒙の関係が四千三百四十四万ということになりますと、これはまあ昨日も国全体の啓発活動に対する予算がほとんど地方に全部おぶさってしまっている、こういう立場を指摘をいたしましたが、特に労働省の場合も、問題を直接抱えているという立場からいきますと、きわめて微弱だというふうに言わざるを得ません。これは大蔵省の関係いろいろございましょうけれども、私はこれだけではとても不足をすると思うのです。ぜひひとつ大臣、その辺のところを含んでいただきまして、いまお約束いただきましたことを、具体的に実効のあるようにぜひやってもらいたい、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。

藤尾正行自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤尾正行君) 私は政治家でございますから、細かい事務は、これはそれぞれ事務官にやらせるわけでございますから、方向だけをきちっと決めるということは私の責任でございますけれども、しかしながら、先ほどちょっとお話に出ましたような最近にありました事態で、中国電力なりあるいは東洋工業なりの社長を呼びまして話し合いをいたしましても、その非は明らかにはっきりしておるわけでございますから、これは一も二もないわけでございますけれども、現実に中国電力でも東洋工業でも、そういった全般的な地域差別をやっておるというような意識に欠けておるところがあるわけでございますね、社長さんというようなことになられますと。そこで、結局その会社自体で何やっているかということをはっきりつかんでおられない。そこで、ある方々に対しましてはその調査がいっておったり、大多数の方々に対しましてはそういうことがなかったり、というようなことが並行して行われておるというようなこともございますから、私はこういった機会に、その社長さんなりあるいは人事担当の重役なりに、きちっとした方針といいまするものを頭へたたき込んでやれば、これは私は非常に飛躍的にそれを減らすということは可能である、さように考えるわけでございます。  ただ、私どもが心配いたしておりますのは、何といいましても就職というような問題といいますものは、地域との関連がないわけではないわけでございまして、一番大事なことは、これは同じことでございますけれども、たとえば産炭地域でございますとかいうような特定地域、そういった地域に就労の機会を与えるような会社、事業所、工場を持っていくということの方が本当は先なんでございますね。ところが、なかなかそれが思うようなわけにはいかない。こういうことでございますので、私どもといたしましてはこれは通産省等々とも話し合いをいたしまして、できる限りそういったところに御便宜を図って、そういうところにその事業所を開設をし、工場を持っていった方が得なんだということをはっきりさせる。そういった積極的な展開を今後やっていきませんと、なかなかいま現況にありますように地域的な格差がとれていかない、そういうことだと思うのですね。若い方々はどんどん巣立って行かれるわけでございますから、これは他に出て行かれますけれども、しかしながら特段とそういう地域の中高年の方々、こういった方々に対しまする対策が非常におくれておる。これに苦慮しておるわけでございますけれども、どうすればいいのか、そういったことを考えつつ、思いつくようなことはどんどん、ともかく私どもは政治家でございますから、やっていかなければ、理屈を言っていたんでは話にならないわけでございますから、どうすればやれるんだということを探求し実行をさせていく、そういう方向に進んでいきたい、かように考えております。  詳しいことは、それぞれ役人がおりますから、役人に答弁をさせます。

坂倉藤吾日本社会党

○坂倉藤吾君 いずれにいたしましても、今日この同和関係については基本法がありません。したがって、これは罰則の問題もない。したがって、差別されたものは復元をすればいい。こういう前提に立っているわけですね。発覚をすれば頭を下げて復元をすればいい。ここに一番大きな問題点があるわけでございまして、特に今日まで国が進めてきた同和行政の中で、とりわけ同対審答申が基本になっていますが、この同対審答申の指摘にもありますように、企業の方がきわめて差別解消のための大きな役割りを持っているし、責任もあるんだと、こういう指摘もあるわけですね。そういう意味からいきますと、これは時間がありませんのでこちらでしゃべりますけれども、私ども社会党あるいは公明党、民社党、社公民三党で強化改正の法案について提起をしています。この中では明らかに、事業主というものは対象地域の関係住民の雇用の促進に関する国及び地方公共団体の施策に協力をしなければならぬ、こういう位置づけを明確にしているわけでありまして、この辺は本来、このことについて大臣の感想も聞いておきたいんですけれども、それは別といたしまして、ここの趣旨は御理解をいただいたと、こういうふうに思います。うなずいてみえますから、まさにこのことについての異論はなかろうと、こういうふうに思うんです。  そこで、いまの御答弁の中に、とりわけ中高年という御発言がございました。ここに一つの問題があります。それと同時に、今日までのこの同和対策の中で、余り問題を取り上げて指摘をされておりませんでしたいわゆる障害者の問題、この問題が私は大変重いものがある、こういうふうに認識をするところです。これは衆議院で若干論議がされています。障害者の問題につきまして触れられております。しかし、中に突っ込んでおりませんので、残されました時間、少し私は突っ込んでみたいと思うんですがね。一般的に言いまして、障害児・者、この方々の置かれておる状況というのはあらゆる面でやっぱり凍害をされてきた、特にことしは国際障害者年でありまして、そして社会に参画をすることを何としても社会的的な課題として、今日的課題として求められておるし、私どももそのためのことをきちっと受けとめて推進をしなきゃならぬと、こういうふうな立場にあろうと思います。  そういう観点からいきましたときに、この同和地域に見える方々は、二重の言うならば差別を受けている、こういうことに相なるわけであります。しかも、これは国全体がそこに目が当たっておりませんから、残念ながら、私いろいろ探してみましたが、国自体が、同和地域とそれから一般のところとたとえばこの身体障害者の見えられるいわゆるこの数字ですね、対比なんかは一体どうなっているかと探してみましたが、ありません。そこで、これは大阪府の調査がございまして、これによりますと、明らかにこれ五十二年の八月の調査になっておりますが、障害者の方は部落の方では二・六七%それから一般のところでは一・四一弘、約二倍ですね、二倍。それに対して障害者の方々の就労状況をながめていきますと、これは半分です。一般は大体合計をいたしまして、就労中の者が四四・一%、これに対しまして二三・九%というのがこれが地区の方々。片方では障害者の方の数が圧倒的に高い、片方では就労が半分だと、こういうような状況が出ています。  この現実を踏まえられてこの障害者の問題というのは一体どういうふうにお考えになっているんだろうか。しかも、ことしの労働省の障害の関係についてながめていきましても、同和地域対策の中ではそのことは見当たりませんし、それから一般的に国際障害者年を契機とするいわゆる心身障害者対策の積極的推進という中にはまり込んじゃっている、こういうふうに思うんです。私はここに一つの問題点があるんじゃないのか、こういう気がするわけでありますが、その辺の見解をまずお伺いをしたいとこう思います。  余り時間がありませんので、なるべく簡潔に。

関英夫労働省職業安定局長

○政府委員(関英夫君) 同和対策といたしまして、その地域の方々の雇用対策を特に力を入れてやっているわけでございますが、それと並んで心身障害者対策というものも力を入れてやっておる。たとえば、中高年齢者は非常に就職困難な場合には手帳を発給する、その他いろいろな援護措置がございますが、そういった場合に、同和地域及び心身障害者については、年齢に限らず措置をするとかというような形でやっているわけでございまして、特に御指摘のように、同和地域の心身障害者についてはいわば二重のハンディを背負っておるということでございますので、特別にケースワーク方式による対策が必要だろうと思います。  具体的には、本年は特に障害年でもございますので、まずわれわれの行政機関の体制を整備しようということで、県下に重点安定所を置きまして、そこに県下の心身障害者の求職登録を集めて、県内のどんな求人にも対応できるようにしていきたい。それからまた、そこで心身障害者職業センターにおける職業の評価、技能の評価、そういうものを綿密にやりまして、それに基づいた求人開拓によるあっせんをやっていこうと、それからいろいろな助成策等も拡充をいたすことにいたしておりますが、そういった考え方でこれから大いに力を入れていきたいと考えているところでございます。

坂倉藤吾日本社会党

○坂倉藤吾君 概括的にはいま御答弁をされているわけですがね、今日までの足取りをながめてみましたときに、やはり障害者問題というのは、障害者問題の中にもなおかつ部落差別の問題が貫かれておる、こういうかっこうになると思う。そうしてもう一つの要素は、これは今日まで部落差別が行われてきたことによって、そうして職業も先ほど私申し上げたように非常に低位のものになっておる、こういう状況の中で部落差別自体が障害者を生み出している、こういうことが一面ではやっぱりあるわけであります。そのために、先ほど申し上げたような大阪の調査による比率になる、こういう結果があらわれているんだろうと思うんです。私は、ここに一つの目を向けた行政の施策というものがえぐり出されていきませんと、押し出されていきませんと、本当の対策にならないんじゃないのか、こういうことで指摘を申し上げておるわけでありまして、この点は遅くはないわけでありますから、ぜひひとつ着目をしてこの対策に取り組んでいただきたい、このことをぜひひとつ約束をしてもらいたい、こういうふうに思うんであります。これはぜひひとつ大臣の御答弁をいただきまして、私の質問をもう終わりたいと思います。

藤尾正行自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤尾正行君) 御指摘をいただきましたこと、私どもといたしまして十二分に頭に置いて展開を図っていかなければならぬ重要な問題でございますから、しかと御指摘のとおり心がけさしていただいて、十二分に施策を進めさしていただきますように努力をいたします。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 私はきょう、出かせぎ労働者の問題でお尋ねをしたいと思いますが、御承知のように最近、昨年は特に夏は冷害、そしてまた冬は豪雪と、そういうことで年間ざっと三十万人といわれておりますが、出かせぎ労働者がだんだんまたふえていると、そういう傾向にございますが、ちょっと最初に出かせぎ労働者の増加状態、去年と比べてどういう状態かお尋ねいたします。

佐藤勝美労働省職業安定局特別雇用対策課長

○説明員(佐藤勝美君) ただいまの点につきまして、御説明させていただきます。  ただいま御指摘のとおり、昨年夏以降の異常気象に伴いまして、特に東北地方を中心にいたしまして、出かせぎ労働者の増加が心配されたところであります。そこで、私どもといたしましては、職業安定機関が関係市町村と連携いたしまして、被災農家の出かせぎ希望者の動向の把握に努めまして、また安定所の職員が農村に出かけまして巡回職業相談を実施するとか、臨時職業相談所を開設するとか、あるいは求人者を求職者のおります現地に伴いまして、集団で現地選考会を行うというような措置をとったわけでございます。この結果といたしまして、安定所の紹介によりまして就職いたしました出かせぎ労働者の数は、いわゆる冬型の出かせぎ者の就職時期であります九月から十一月までの三カ月をとってみますと、累計で五万五千三百六十九人という結果が出ております。この数字は、五十四年つまり前年の同じ期間に比べますと九・七%、約四千八百八十人ほどの増加でございます。ちなみに五十四年の九月−十一月、同じ時期につきましては、五万四百八十六人という数字が出ております。  問題は、この増加の内容でございますけれども、このような就職者の増加の中には、一部に冷害の被害を原因として新たに出られたものも含まれていると見られるわけでございますけれども、他面におきまして、最初に申し上げましたように、今回特に冷害に対応するという意味で、職業安定機関が例年にも増しまして積極的に巡回職業相談を実施する、あるいは就労経路を正常化するということを積極的にやりました結果、従来、職業安定機関を通さずに就職していた方々が安定所の窓口を通して就職したということによります増加分も相当含まれているものと見ておるわけでございます。まあ、いずれにいたしましても、冷害を直接の原因といたしまして出かせぎに新たに出られた方の数を正確に把握するということはむずかしいわけではございますが、例年六月には労働省におきまして、安定所を経由したものだけでなくて市町村の協力を得まして、その地域における出かせぎ者の数全体を把握するという調査をやっておりますので、ことしの六月に行います。その調査の結果によりまして、出かせぎ者の数がどういうふうに変わったかということが明らかになるものと思われます。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 特に私、指摘をしたいのは、初めて出かせぎに出る人、あるいはまた高齢者がだんだんと数が多くなっているような傾向を感じるわけですが、いただいた資料によりましても、夏型、冬型と分かれておるようですが、年間大体三十万人、四国でも一万三千人。非常に出かせぎに出るということは大変なことでありまして、しかもいまお話にありましたように、安定所を通さないで縁故その他で出ている人もかなりあるやに私どもも感じるわけですが、この出かせぎ労働者対策、これについて国の方はどの程度予算もつけて、基本的な対策を講じておられるか、そのことをちょっと説明してください。    〔副主査退席、主査着席〕

関英夫労働省職業安定局長

○政府委員(関英夫君) 出かせぎ労働の実態につきましては、先生御指摘のように、大体三十万人ぐらいに最近なってきておりますが、かつて非常に多い時代がございましたけれども、その後新しく出かせぎという形態に入られる方が少なくなりまして、したがいまして、従来から出かせぎをされていた方がずっとそのまま今日も出かせぎをされているという形が多うございます。そういう意味で、御指摘のように平均の年齢が非常に高まってきているという現象があるわけでございます。そういう中で現在が約三十万人になってきておる。  これに対します労働省の対策の考え方といたしましては、基本としては、でき得るならば出かせぎというような形での雇用でなく、地元での雇用につき得ることが最も望ましいわけでございますので、農村工業導入促進法とか、工業再配置法とか、そういったような形での地元における雇用機会の振興、それに対して雇用対策面からも対処していく、これが基本でございます。基本ではございますが、しかしながら、まだまだ三十万人という形の出かせぎ者がおられる。とすれば、その出かせぎ者がふるさとを出てから帰るまで、安心して就職して、就労できる、こういう形をとることが雇用対策の基本であろうと思います。  そういう意味で、まず第一に就職に当たって、でき得るならば御指摘のように公的機関を通じて就職していただきたいということを進めているわけでございます。ただ、出かせぎ者の方のいろいろな事情から、安定所を通さずに、仲間内で話をして就職されるという方も非常に多うございます。で、それを無理やりということもいろいろ問題ございますので、そういった場合には、農協なりあるいは市町村役場なり、そういったところに連絡をして出ていただきたい。私どもはそういった関係機関と連絡をとって、全体の状態を掌握するということによって対処していきたいと考えておるところでございます。そういう就労の経路の正常化が行われますと、出かせぎの条件といったようなものも非常に明確化いたしますし、また、御指摘のように、新しく就労される方については、出かせぎに出る前に必要なことを講習で習得していただくとか、あるいは健康診断を実施するとかいうようなことも手が行き届くわけでございますので、できる限り就労経路は正常な形になるように指導するのがまず第一でございます。  で、出かせぎに出ました後につきましては、需要地であります都会地におきまして職業安定機関、労働基準監督機関一緒になりまして、関係業界とも含めて、安全な就労ができるように、また、ふるさととの音信のとだえることのないようないろいろな施策を講ずる、そういう形で安全に就労していただいて、そして、くにへ帰っていただく、これが雇用対策の基本であると考えております。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 いまお話にもありましたように、くにを出てから帰られるまで安心して職業につけると、これが基本であろうと私も思いますが、残念ながら、この出かせぎの方々の中でいろいろとトラブルが起きておることも御承知のとおりです。特に賃金の不払い問題、こういうことが起こりますとこれはもう大変な社会問題になりまして、最近の統計で見ましても、中小企業の倒産件数が——そちらでおっしゃっていただいてもよろしいですけれど、時間の関係で私から申し上げますと、十二月が一千六百五十四件、二千百七十八億ですか、負債総額が。そのうちで建設業が四百八十六、三分の一、五百五十二億九千四百万円というようなことで、まあ最近は住宅の建築なんかがふるわないということからか、建設業というものが非常にいま大きな不況にも見舞われているようでございますが、この出かせぎ者の賃金の不払い状況をどのように掌握なさっておりますか。ちょっと教えていただきたいです。

吉本実労働省労働基準局長

○政府委員(吉本実君) 建設業で就労する出かせぎ者に係ります賃金不払いの発生状況でございますが、五十四年度が件数にいたしまして百五十四件、対象労働者数で四百七十八人、金額で七千六百万円でございますし、五十五年度の上期つまり四月から九月までの半年でございますが、その場合の件数で七十六件、対象労働者数二百二十七人、金額にいたしまして三千四百万円、こういうことになっております。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 いま統計の数字をおっしゃいましたが、非常に問題になるのは冷害で、結局昨年末から本年の初めあたりにかけて、多くの方が大きなショックで収穫皆無というような地域から悲壮な思いで出かせぎに出てこられる、ところが折からの不況と相まって、一生懸命働いたけれどもその働いた労賃がもらえない、こういうことで非常に大きな社会問題にもなっておるわけですが、きょう私指摘をしたいのは、向島の基準監督署管内で松原組というのが倒産をいたしました。賃金の不払いが出て大変な騒ぎになっております。この状況について少し説明をしていただきたいのです。

吉本実労働省労働基準局長

○政府委員(吉本実君) 東京の向島監督署管内におきます。ただいま御指摘の株式会社松原組の件でございますが、昨年、五十五年の十二月の二十二、二十三両日にわたりまして手形の不渡り事故を起こし、二十三日には社長が行方不明になる、こういうような事態が生じたわけでございますが、監督官庁としましてはこれを早期把握、早期解決という基本方針のもとに、結果的には同社の労働者の賃金約七千九百四十一万円が未払いとなっており、そのうち約二千二百九十三万円につきましては当事者間で話し合いが解決を見ておりますが、残りの五千六百四十八万円につきまして、ことしの二月末までに、労働省といたしまして区役所など関係の行政機関と協力をいたしまして、四千五百四十三万円について支払いをさせるようにしたわけでございます。それから、さらに残りの約千百五万円のうち一千七万円につきましては、賃金の支払の確保等に関する法律、私どもの所管でございますが、これに基づきまして近く立てかえ払い制度、これを活用して解決をいたすという予定にしております。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 この株式会社松原組に係る賃金の不払い事件ですが、これはどういう状態でわかったんですか。何か申告がなんかあったのですか。

吉本実労働省労働基準局長

○政府委員(吉本実君) 申告事案として監督署の方で把握し、それに基づいて実施したわけでございます。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 それで、この方々は特に秋田県の方が大変、小川班というのですか、六十二名の方々が正月にくに元に帰る旅費もないということで監督署の方に相談においでになってわかったということなんですが、非常に残念な事件でございますが、先ほど職安局長からお話がありましたこのケースは、職業安定所を通して就職したケースなんですか。

関英夫労働省職業安定局長

○政府委員(関英夫君) 御指摘の松原組で賃金不払いの問題が生じました小川班という秋田県から就職された方々につきましては、職業安定所の紹介ではなく、この小川さんという方が募集されてそれに応募して就職されたものというふうに聞いております。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 そういうことになりますと、やはり安定所の窓口を通すということがこういうことを未然に防ぐ一つの手段じゃないかと思います。何か、お話によりますと、公共事業をいままで手がけてかなり実績のあった業者というように言われておりますけれども、こういう事態で社長が行方不明というようなことになって、真っ黒になって出かせぎでそれを持って正月をしようということでがんばった人たちが、帰る旅費もない。こういうような事件というのは非常に痛ましい事件でもありますし、どう言ったらよろしいですか、職安というものがせっかくありながら、どうしてこれを通さないだろうかということですが、その点について現在の制度ではどうなっているのですか。職業安定所を通すことが義務づけられているのですか、それとも通さなくても構わぬのかどうか。その辺はどうなんでしょう。

関英夫労働省職業安定局長

○政府委員(関英夫君) 出かせぎ関係の求人と求職との結びつきにつきましては、必ず公共職業安定所でなければならないという義務づけは別段ございません。そういう意味で、縁故による就職ということも別段法律上の違反というようなものではないわけでございます。あるいはまた、募集人による募集という道もございます。職業安定法で認められた方法としてそういう道もあるわけでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、縁故募集等になりますととかく労働条件が不明確な場合が多うございます。そういう意味で、できるだけ公共職業安定所を通していただきたい、そうすれば求人条件というのは非常にはっきりしている。それに対して違反したという場合に、是正指導ということも行き届くというようなこともございますので、御指摘のようにできる限り公共職業安定所を通していただきたいということもお願いしているわけでございますけれども、いろいろな事情があろうかと思います。中には、税金の関係とかなんとかいうようなことがあるいはあるのかもしれません、よくわかりませんが、全部の方が公共職業安定所を通じて就労するという形にはなっておりませんので、そこで私どもそれの補いとして、出かせぎに出るときにはたとえ安定所を通さない求人に就職する場合でも、何らかの形で地元の公的機関に届けてほしいということをお願いしているのが現状でございます。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 大臣、どうでしょうね、何かいい方法はないだろうかと私も思うのですが、いま説明がありましたようにむずかしい面があるかもしれませんが、一応公共の職業安定所があるわけですから、これを通すようなシステム、そういうふうにしていくことによってこういう本当にかわいそうな事件が防げる、あるいはそれに対して手も打てるということも言えるのじゃないかと思うんですが、この辺どうでしょう、検討課題として。そうかといって、義務づけるのもむずかしいと思いますね。その辺どうなんでしょうね大臣、何かお考えがありましたら。

藤尾正行自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤尾正行君) 私もいろいろ考えるわけでございますけれども、残念ながら、公共的な職業安定所を通じて出てこられるということよりは、一般的な縁故でありますとかなんとかというような従来型の出かせぎの方が気楽であるとか、あるいは条件がいいとか、何らかのやはり魅力がそこにあるんだろうと思うんでございますね。でございますから、そのことにそれだけのリスクがつきまとっておるということをお考えにならないで、そのときの条件のよさに引かれて、あるいはそういった義理人情のようなものに引かれておいでになられるという方が後を絶っていない。まことに残念しごくなことだと考えております。何のために公共職業安定所があるのかということがなかなか御理解をいただいていない。そういった点に私どもの非常な力の不足、努力の不足があるような気もいたしますし、こういったことは十二分に考えていかなければならぬことだと、かように考えます。  しかしながら、何と申しましても、これは率直に申し上げまして、出かせぎにおいでになられる方も、初めておいでになられるような方々は非常に緊張されて、あらゆることをお考えになられるんでございましょうけれども、余りたびたびなれでおられますといろいろなことを御承知の上でおやりになられるわけでございますから、非常にその点が残念なことでございますけれども、そういった人買いのような、これは職業安定法の上でとにかく一応認めておるわけでございますから、私どもとしてはもう文句の言いようがないわけでございますけれども、やはりそういったことよりは、私どもといたしましては、安全をよりよく考えていただくということの方が大事でございますし、また、実際に昨年の冷害のことを一つ考えてみましても、本当は、たとえば冷害そのものに対する損失は、これは農業共済で八割方埋まるわけでございますから、そこで、出かせぎにおいでになられる方々は、お受けになられた損害の二割を取りたいということでお出かけになられるんじゃなくて、そこにできるだけ手取りをふやそうという欲が働くものでございますから、その税制上の問題とか、捕捉されるとかされないとかというようなこともありまして、できるだけ簡便な方法、簡便な方法ということでそちらの方に流れていく傾向が私は強かろうと思うんでございます。  そこで、その点は労働省の行政といたしましても、私どもの方をお通しになられてもこういう価値が付加されますと、これの方が得でございますということをわかっていただけるような啓蒙を十二分にしていく必要がある、こういうことでございまして、その点の努力にいままでも多少欠けるところが——私は、お役人さんがやっておられるわけでございますから、一生懸命やっておられることは間違いないと思いますけれども、なおその上にもそういった啓蒙のための努力をしていった方がいいのではないかというような気がいたしまして、そのような措置を進めるように指示はいたしてございますけれども、このような事態が起こっておる。そういったことが後の施策にいたしましても、ただいま基準局長が申し上げましたように、そういった悲劇が起こっても大概埋まるものでございますから、そういった点に何かまだそのリスク、危険に対する御自覚が少し足りないようなところが出てきておるんじゃないかという気がするわけでございます。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 ただ大臣ね、今回はこれかなり数が多くて六十二名というようなこと。あるいは他の班でも四十三名とか二十九名、三十二名と数が多いものですから、かなり大きな問題になったわけですが、縁故で泣き寝入りをしている人もかなりおるんじゃないか。そういうふうにも私感じるわけです。そして、結論としてですね、安定所を通さなくても、問題が起こったら監督署の方へ結局しりを持ってくるわけですから、そうなると、最初からそういうふうにするようなシステムができておれば、非常にスムースにいってそういう事故もないと、このように私感じるものですからいま申し上げたわけでして、それで、先ほど基準局長申されましたが、どういうんですか、こういうときに賃金の支払の確保等に関する法律ですか、俗に賃確法と言われておるようですが、これの適用をされるというようなことはないんですか。

吉本実労働省労働基準局長

○政府委員(吉本実君) 先ほども申し上げましたように、賃金の支払の確保等に関する法律に基づきまして、すでにそれについての認定申請も来ておりますし、近く確認通知書を送付いたしましてその支払いをするような手順で現在進めておるわけでございます。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 そうしますと、この受けた被害といいますか、不払いは大体それで全部埋まると、こういうことになるわけですか。

吉本実労働省労働基準局長

○政府委員(吉本実君) 若干のあれはございますが、全体といたしましてはこの保険で解決できるというふうに思っております。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 そういうことがあると、いま大臣がおっしゃったように、どうしてもそういう面がなきにしもあらずかとも思いますが、私素人なりに考えまして、せっかく国の方で公共の窓口があるんですから、それをぜひ活用して、そして安心して、それこそ安心してですね、出かせぎに出られるような、そういう指導というんですか、それを徹底していただかないと、これを見ましてもずいぶん過去から賃金の不払いというものが後を絶たないようでございます。表面に出てきただけでそれであって、もし出てこないのを計算に入れると、これ泣き寝入りしておる人がおってかわいそうじゃないかと。  特に都会の仕事なんかを見ておりますと、道路の工事なんかは昼間できないものですから、友人が寝静まったころにやってみたり、あるいは寝静まったら怒られるから九時から十二時ごろまでやったりして、非常にきつい労働にも見えます。そんな労働をしながら賃金がもらえないと、こうなればもうそれは社会問題になるのは当然でありまして。先ほど職安局長も言われましたように、結局出かせぎをするような労働じゃなくして、地元で働けるようにというのがこれは一番理想でございますが、やはり職種によってはそういう職種もありますし、先日私予算委員会で総括のときにも申し上げましたが、まあ労働省の直接の関係じゃありませんけれども、遠洋漁業の出かせぎみたいなものです。それも、これ長いですからね。最近は一年半ぐらいになっておりますが、それで賃金もらえないと。倒産して給料もらえないと。まあ面接の御担当じゃないですけれども、そういう事態も発生しているような状況でありまして、非常に気の毒であります。  そういう面で、きょう農水省にもおいでをいただいておると思いますが、大体が出かせぎに出られるというのは農家、特に東北、北陸が多いように、日本全体がそうなんですけれども、数字から言いますと東北、北陸が多いようですが、この出かせぎに対する農水省の対策をちょっと。おいでになってますか。

鈴木一郎農林水産省構造改善局農政部就業改善課長

○説明員(鈴木一郎君) 出かせぎについて農水省の基本的な考え方といたしましては、やはり出かせぎのない安定的な農家経済を保持することが基本であるというふうに考えております。そのために、農業経営の近代化の諸対策あるいは農産物の価格安定対策等、いろいろな施策をやっているわけでございます。また、地場産業の振興、公共事業の推進、計画的な工業の導入等を通じまして、地元における就労機会の確保に努めております。なお、そのほか五十四年度から農村地域定住促進対策事業という事業を発足させまして、出かせぎの不安定な就労状態を改善するための施策を行っております。ただ、このような基本的な対策と並びましてやはり現実には農家からの出かせぎを一挙に解消するということは困難でございますので、労働省などとも緊密な連絡をとりながら、たとえば農業委員会系統組織を通じまして就業改善推進事業を行い、出かせぎを行っている農業者に対しての指導、助言等を行って、安定かつ安全な就労のための援護対策を行っております。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 農水省としてもそれなりに手は打っておられるようですが、抜本的に出かせぎのない社会ということは、なかなかこれはむずかしい問題でありますが、どうか今後とも農家が出かせぎをしないで何とかやっていけるような農業ということに重点を置いた、また、いまのお話にもありましたように工業導入ということもありましょうけれども、なかなかこれ現実の問題としてこのような事態ですから思うようにいきませんが、やはり農業面での生計が成り立つような農林政策ということがこれは基本になるんじゃないだろうか、このように思います。  それで、まとめまして最後に大臣から、いま私いろいろ申し上げましたが、こういう事態で年間三十万人を超えるような出かせぎの労働者が真っ黒になって働いて、そして金がもらえぬ、こういう事態は、これはもう本当にあってはならぬことでありまして、これを絶滅するために今後とも格段の指導と、そしてPR、あらゆる方面で手を打っていただきたいんですが、それに対する大臣のお考えを最後にお聞きして私終わりたいと思います。

藤尾正行自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤尾正行君) いまの農水省の方のお話を聞きましても、お話が帳面ずらになっちゃうわけでございますね。実際にいまの日本の農業構造というものを考えてみましても、また、御指摘のとおり東北とか北陸とかという雪、そういったことを考えてみますと、冬場の農作業というものは余りないわけでございますから、当然そういったことを考えられてより大きな所得を、しかもそれは現金所得をということで、出かせぎということが定着化しておる、かように考えざるを得ないわけでございまして、それを地場産業に定着さしていく努力というものは、基本的にこれはもうやらなければならぬ大事なことでございますけれども、それがずれておりまする間のそのずれは、どうしても出かせぎというものは絶滅できない。またこれがないと公共事業といいまするものも進展ということもなかなかむずかしい面があるかもしれません。  そういったことを考えてみましてやむを得ぬところもあるわけでございますけれども、それならば、それだけの犠牲を払って出てこられる出かせぎ者に対しまして、十二分に出かせぎに行っただけの効果がありますような、そういう措置を私どもが保障していくということが、私は私どもの労働行政といたしましての基本的なこれは姿勢でなければならぬ、こういうことでございますが、最近のように公共事業の一つの仕組みを考えてみましても、大手が直接その就労者をお引き受けになられて指導されるというようなことでなくて、大手が必ずその下請を使う、下請がまた孫請を使うというような形態になってまいりますと、一番働かれる直接の雇用者といいまするものがどうしても資金的にも、資本的にも、技術的にも非常に劣悪ないわば建設業者の中でも零細企業に属するようなところが非常に多くなって、そこにしわ寄せが行っておる、こういうことでございますから、そこで少し何かの間違いが起こった場合に賃金の支払いが停止をされるとかいうような事態が起こるわけでございまして、こういったことを私ども考えてみますと、これが労働省といたしましての対策ということにとどまりませんで、これは建設業界全般に対しましても、また公共事業全般に対しまして総合的な施策としてこれを取り上げていかなければならぬのではないかという気がいたしますし、そのためには、先ほど職業安定局長から申し上げましたような、何といいましても出かせぎをされる元の実態が、これがきちっと把握をされておりませんとなかなかそれに対する指導もできがたい。さっき先生が仰せられましたように、部落ごとにまとまって出てきていただけばそれでも把握しやすいわけでございましょうけれども、それがばらんばらんに出られたりなんかいたしますと、大変にここで困難なことが起こり得るわけでございます。  そういったことがございますので、基本的には出かせぎがいま根絶ができないという実情に立てば、それはもう何といいましても公共職業安定所というものがいままで以上に努力をして、その実態を把握をし、その基本的な御指導ができる、そういった体制をつくり上げることが大事でございますので、今後ともそのようなことに近づくような努力を積み重ねていく、本当に徹底的に指導、啓蒙をしていきたい、把握をきちっとできるように努めていきたいと、かように考えます。

中野明公明党・国民会議

○中野明君 他にもお聞きしたいことがございましたが、きょうはこの辺でとどめさしていただきます。  いま大臣のお答えがありましたように、これは、非常に働いてお金がもらえないというほど悲惨なものはありませんので、関心を持って今後私どもも見守っていきたいと思いますので、せっかくの御努力お願いして終わりたいと思います。

亀井久興自由民主党・自由国民会議

○主査(亀井久興君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時十七分休憩      —————・—————    午後一時三十分開会

渋谷邦彦公明党・国民会議

○副主査(渋谷邦彦君) ただいまから予算委員会第四分科会を再開いたします。  分科担当委員の異動について御報告いたします。  本日、小野明君及び中野明君が分科担当委員を辞任され、その補欠として対馬孝且君及び和泉照雄君が分科担当委員に選任されました。     —————————————

渋谷邦彦公明党・国民会議

○副主査(渋谷邦彦君) 休憩前に引き続き、昭和五十六年度総予算中、労働省所管を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 時間的に五十分足らずですから、ひとつ問題点をしぼってお伺いをしたいと思います。  まず最初に、昨年でありますが、全国の中小労働者のアンケート、世論調査なども行われておりまして、その中で高まってきたのが、五月一日メーデーが近く行われるわけでありますが、ぜひ休日、祝祭日にしてもらいたいと、こういう世論がほうはいとして高まりまして、大体御案内の全国一般という組織がございますが、ここではもう九八%近くぜひ祝祭日にしてもらいたい。これはほとんど未組織、あるいは五十人以下の零細な労働者が多うございまして、そういう問題を中心にちょっと考え方をぜひお聞きかせを願い、また何とか今後の課題としてひとつ検討にのせてもらいたいとこう思って、大臣にお願いをしたいと思っておるわけですが、第一点は、何といっても労働者の勤労の精神というのは人間社会の基本でありまして、これはまさしく尊重されなければならない、こういう基本的な、私は基本理念を実は持っているわけであります。特に五月一日メーデーというのは、全世界の働く者の祭典でございまして、当然これはその国、勤労者を挙げての祝祭日になっていると。今日の段階ではまさにこれが国民の一つの日と言っていいくらいのあれになってきているというふうに私なりに考えているわけであります。  そこで、私がちょっと調べてみましたが、諸外国のメーデー祝祭日ということをちょっと参考までに調べましたが、アメリカは、州によって違いはありますけれども、九月の第一月曜日、フランスは五月一日、西ドイツも五月一日、ソビエトも五月一日から二日、それから中国は五月一日、イタリアも五月一日、ベルギーが五月一日、最近になりましたのが、フィリピンが五月一日、これは労働者の祭日として一応祝祭日に決めている国と、それから、日として定めた国がありますけれども、この点やっぱり——決して私は社会主義がどうだと言っているんじゃなくて、自由主義国陣営の中でもこのように祝祭日として決めている。こういうふうに考えておりますので、まずこの点ひとつ入ります前に、大臣に労働者の基本認識というものをまずお伺いしてみたいと思います。

藤尾正行自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤尾正行君) 五月一日メーデーといいますものが、労働者の方々の祭典ということで、現実にも全国的規模で大々的にその行事が行われておる、これはもちろんでございますけれども、この祝祭日にするということは、そういった事実とともに、これは祝祭日に関します法律でございますか、ということで、私どもはすでに勤労感謝の日というのを持っておるわけでございます。そこで、これは政府もさようでございますけれども、何といいましてもそれをお決めいただくのはこれは国会の御決定でございますので、私どもといたしまして、そのようなお考えを皆様方でお決めになられて、勤労感謝の日は勤労感謝の日として、また別個にメーデーも祝日にしてはどうか、あるいは祭日にしてはどうかというような御意向があれば、それはそれなりに御相談をするというようなことはございますけれども、まず何といいましても今日私どもの生活の中で大体月に一日ぐらいがその祝日になるという一応の見当がございます。そういったことから考えてみましたときに、この五月といいますのは、四月の末から連休がずうっと事実上ございまして、その中で五月の一日を特段と祭日にするということの意味合いが、ほかの月のそれぞれの祝日、祭日とどのような比例をなすかということについていろいろ考えるべき、検討すべき点もあろうと思います。  したがいまして、確かに仰せのとおり諸外国では、例外はございますけれども、大多数の国々でこの五月の、これは北半球はそうでございますけれども、大体新緑のもえ出るこの喜びの時期に皆さんお集まりになって、勤労のお祝いをするということが行事になっておる。これは事実でございますし、それが制度としてはもう定着をしておると思いますけれども、ただ祝日にするかどうかということにつきましては、いままでもこれを祝日にしようという御提案があったことはないわけでございまして、そういった点はかなりいろいろなバランスから考えて、どのような措置をしなければならぬかということはなお検討すべき余地がかなりあるのではないかと、かように考えます。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 いま労働大臣からございましたように、労働の基本という認識については、まず私が申し上げました点にはまあ認識はされているところでございますから、私が申し上げたこの諸外国の例ということについて、いかがなものでしょうかね。政府委員の方から、この認識は間違いかどうかということをひとつ確認しておきたいと思うんです。

平賀俊行労働大臣官房国際労働課長

○説明員(平賀俊行君) ただいまの点につきまして、私どもの把握しておりますところでは、五月一日を祝祭日としている国は西ドイツ、フランス、イタリー、ノルウェー、ベルギー、スイスなどのヨーロッパの国、それからソ連その他の東欧諸国、それからブラジル、アルゼンチン等の諸国、あるいはアジアではタイ、シンガポールなどがございます。  また、祝祭日としていない国ではデンマーク、オランダ、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、インド、韓国などでございます。ただ、先生のお話にございましたように、五月一日を祝祭日としていない場合でもほかの日を、たとえばアメリカは九月の第一月曜日あるいはカナダその他、それからイギリスなども五月の第一月曜日あるいはオーストラリア、ニュージーランドでは——地域によって違いますけれども、三月あるいは十月の日を労働の日または労働感謝の日、そういうことで祝祭日としている例がございます。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 いま、大臣お聞きのとおりでございまして、これは自由主義諸国でもこれはなっております。私も現在国会の図書小委員長をやっている関連もございまして、この間図書館で大分歴史的にちょっと調べてみました。そういう関係でこの資料が出てきたのでありますが、そこで確かに日本の祭日というのは諸外国に比べて日数が、ある意味では多少日数の休日数がこれは多いというのは事実です。ただこれは週休二日制とのかね合いと、もう一つは何といっても時間短縮という問題が、労働省も真剣に取り組まれておりますけれども、いまなお私なりに認識しているのは、六十年度を目標に時間短縮も二千時間と、このことと直接のかかわりはありませんけれども、いま日本の場合は二千百四十六時間といって、アメリカ、イギリス、あるいはフランス、西ドイツを見ると、大体千九百時間、多少の時間の差はありますけれども、西ドイツに比べるとまだ四百時間の働く時間がいまだに多いとこういうことですから、俗に言われるわれわれ日本の勤労者が今日のGNPを達成したと、こう言っても私は過言でないと思います。そういう意味ではオランダの大臣が言われたように、まさにウサギ小屋に住む働きバチの中毒だとこう言われるくらい、今日の労働の意欲というものが今日の日本のGNP達成のための勤労意欲というものは認められているわけではないか、こう思うわけです。  これは私は必ずしもすべてだとは思いませんが、そういう点からいくと、——私は図書館へ行って調べてみまして、確かに国会始まって以来、この問題を提起したのは初めてであります、確かに大臣の言われたように。そのとおりでありますが、しかし、検討してみる時期に来ているんじゃないかというふうに思いましたのは、去年実は亡くなった大平総理が家庭の日ということを、実は結ばなかったが提起をされました。しかし、あの発想というのもやっぱり国民の家庭の一つの日というものは、むしろ日本の民族意識からいって国民的にそうあるべきなんだという総理の当時の発議の精神を見ますと、大体その辺にあるわけでありまして、そういう点からいくと私も日本の五月一日メーデーがどういう受け取め方をするかは別にして、いま大臣がお認めになっておるように名実ともに家族そろって五月一日というのはもう定着していると、老いも若きも一緒に家族メーデーに実はなっている。  そこで、先ほど私なぜ冒頭に中小労働者のことを申し上げたかと申しますと、遺憾ながらまだ中小の場合は休日になっていないですね。参加したくても休みをとっていかなければならないという悩みがあるわけです。私はむしろ中小労働者にこだわらずに大いに自営業の方々、あるいは農民も一緒に国を挙げてのやっぱり労働者の祭典であっていいんじゃないか。そろそろ日本もGNP世界二位というところまで位置づけられて、いまや日本に学べという、先ほども財政問題いろいろやってきましたけれども、日本に学べというくらい大蔵大臣も言っておりましたが、そこまでいったとすれば労働者のやっぱり五月一日ぐらいは祝日にしてもいいではないか、こういう課題をぜひひとつ大臣も——もちろんこれは国会のレベルの問題でありますけれども、労働省という労働者を保護する省としてひとつ検討していただきたいというのが私の考え方でございます。この点いかがでございましょうか。

藤尾正行自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤尾正行君) 先ほども申し上げたとおりでございまして、私どもが国民勘に労働といいまするものの価値をどれだけ位置づけるか、またこれに認識をささげるか、これに感謝するかということは十二分の上にも十二分にやらなければならぬということだと思います。  ただ、先ほども申し上げましたとおり、この勤労感謝の日というものとのバランスをどのように考えるかとか、    〔副主査退席、主査着席〕 非常に五月という月が子供の日でございますとか、憲法記念日でありますとかというものがございまして、それから、たまたまこれは天皇誕生日が四月の二十九日ということもございまして、それが連休中に入っておるものでございますから、特段とこれを抜き上げてきて祝祭日にどうかという御提案がなかったということだと思うんでございます。それよりは勤労感謝の日に離して設けておいた方が何か休日が一日、祝日が一日、祭日が一日ふえるではないか、こういうふうな意識で勤労感謝の日というものが定められたというような記憶があるわけでございますけれども、しかしながら、お説のとおり、これは世界的な共通の意識を持てる日でございますから、そういった意味では私はそれなりの意義があるであろうというような考えはございます。でございますから、先ほども申し上げましたとおり、政府として提案をさしていただくとかなんとかというところまではなかなかいかぬと思いますけれども、とりあえず政治の段階、各政党間でお話し合いをしていただいて、そういった機運を盛り上げていただく、それには十二分に値するであろうというふうに考えます。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 いま大臣から、世界的な共通の認識、そういう意味では祝日ということはよく理解できるという点でひとつ前向きの姿勢を出していただきましたので、まあ大臣は常に閣議においても大胆な発想をされる方でありますので、そういう意味でもちろん国会のレベルでもわれわれやりますけれども、ひとつ大いに大臣としてそういう機運とともに取り組んでもらいたい、このことを特に申し上げておきます。  そこで、私は確かに勤労感謝の日というのはあるんでありますが、これは発想はいまさら私は多くを語ることはないと思うんでありますが、いわゆる新嘗祭というところから出発をいたしまして、当時われわれは小学生のころは私も習った方ですから、そこらあたりがスタートになって、天皇が新米を天地の神に供え、これを親しく食する宮中の祭事の日と、こうなっているんでありまして、私もちょっと図書館で調べでみましたが、そういう由来から十一月二十三日を農民の稲穂に対して感謝をする、こういう由来のものが私なりに図書館で調べたらそういうものになっています。それがいいとか悪いとかということを言うつもりはないんでありますが、そういう発想も私はそれはそれで結構だろうと思うんであります。確かに大臣、一日から連休にかかると言うが、諸外国を見てますとバカンスで半月はほとんど労働者は休暇をとるというのが実態でありまして、そういう点からいくと一日ふえたから、むしろかえって一日ふえることにおいて連休を有効かつ勤労者が生かすことができるという面もあるわけでございまして、決して勤労感謝の日を否定する気持ちはございません。ただ、由来はそういう由来から発想して勤労感謝の日というふうに定めると、こういう由来に実はなっておりまして、私なりに勉強しましたから。そういう意味からいくと、こういう発想に立つとするならばむしろメーデーの方が、その当時の新嘗祭からスタートして農民に感謝の念を込めるという、これも一つの感謝であろうけれども、むしろ労働者の全祭典の方が、今日的にはこっちが祝祭日になっていいではないか、こういう感を深くしましたものですから、そういうことで提起をいたしましたので、ぜひひとつこの問題は大臣が言われたとおり、機運をわれわれもこれから国会レベルでもちろん盛り上げてまいります。同時に、労働省の立場でもこれを喚起——ふるい立たせる方向でひとつ実施に努力をしてもらいたいと思うわけであります。  そこで、総理府来ておると思うんでありますが、総理府の立場で、これは家庭の日より——私の知っている限りでは祝祭日となれば審議会もしくは世論調査といったような経過を踏まえて一応決められるわけでありますが、大臣からありましたように、世界の共通の認識、労働者の人間尊重という人間社会の基本、こういう点から判断をしましてひとつ総理府として一回この問題を世論的に検討してもらいたいということ。世論調査などを一回やってもらいたいということと、もしくは審議会等でも懇談会を通して検討していただけないかというのが私の考え方でありまして、この点は簡潔でいいですから、ひとつ。

小西亘内閣総理大臣官房参事官

○説明員(小西亘君) メーデーを祝日にすることにつきましては、現在、わが国の祝日はすでに十二日定められておりまして、それから先ほど先生からも一つ御指摘ございましたように、すでにその数の上では先進諸国並みになっているということ。それからまた、先ほど大臣の方から答弁もございましたように、この祝日の中にすでに勤労感謝の日が設けられていること。それから、さらに祝日を新たに設けることにつきましては、国民社会の各面に与える影響も非常に大きゅうございますし、国民世論の動向を見定める必要があるなどいろいろな問題がございまして、メーデーをいま新たに祝日に加えるということにつきましては、なかなかむずかしいというように考えております。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 いますぐやれとは私何も言っているんじゃなくて、先ほど言った共通の認識という、大臣も言っていたように人間尊重の基本に立つとするならば、一応私は家庭の日を発議したときの経過もあるわけですから、一応世論傾向というものはどうあるのかということぐらいのことは、これは総理府としてやることはこれは当然のことであって、そういう意味のことを言っているんであって、いまここで答えを出せなんてそんな拙速をことを言っているんじゃないですから、そういう意味でのひとつ検討をしてもらいたい、いかがですか。

小西亘内閣総理大臣官房参事官

○説明員(小西亘君) 実は、先ほど来大臣の方から御発言がございますように、現在の祝日の中に勤労感謝の日が設けられておりまして、その内容がメーデーと非常に類似性が高いということがございます。ほかの祝日とちょっとその点が性格を異にいたしておりまして、そういう点を考えますと、事務的になかなかこれを検討の段階に移していくということがむずかしいと私ども思っているわけでございます。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 それはそういう問題の提起があったということについて、総理府としてひとつ検討を踏まえていただきたいと、こういうことを言っているわけですから、あなたこれを否定する何物もないでしょう、総理府総務長官が来て言っているわけじゃないんだから。だから検討をしてもらいたいと、そういう世論傾向というものはどうあるのかということをやってもらいたいと、こう言っているんだから、これは素直に認めて検討するというふうに言えばいいんだよ。

小西亘内閣総理大臣官房参事官

○説明員(小西亘君) 先生の御意向を帰りまして上司に伝えさせていただきたいと思います。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 それでいいんだよ。あなたができるとかできないとか、権限があるわけじゃないんだから、そんなこと言ったって。その点ひとつ大臣、そういうことで先ほど出した問題を大いに検討課題として、これから労働省がひとつ先進的役割りを果たすように期待しています。  それから次に、北海道の最大の課題で、大変労働省には鋭意努力を願っているわけでございますが、まだ先のことではあるんですけれども、やっぱりぜひひとつこれ——特に関安定局長には、また前の細野安定局長には鋭意努力を願ったいわゆる積寒給付金制度。この季節労働者は三十万人北海道はおりまして、大臣は北海道へ来られておわかりだと思っておりますけれども、百万人生活しておりますね。現在五百七十万のうちの、三十万人ですから百万といいますから、約五分の一ここで生活しておるわけです。ところが、その積寒給付金制度が、これはまあ九十日給付が五十日になったということで、この肩がわりの意味でつくっていただいたと、これいまも多くの勤労者は感謝しているんですけれども、去年は特に冷夏という、夏が非常に寒かったということがありまして、その点については北海道もやっぱり相当数の犠牲者が出たということもこれありまして、まだトータルは出ないと思いますけれども、まず北海道季節労働者の実態というものを、最近の実態をどのように認識されているかということを簡潔でいいんですが、ちょっとお伺いしたいんでありますが。

佐藤勝美労働省職業安定局特別雇用対策課長

○説明員(佐藤勝美君) ただいまの御質問の、北海道における季節労働者の実態でございますけれども、まあ最近北海道に、最近といいますか、近年北海道で詳細な調査をした結果でございますが、ただいま御指摘のように大体三十万人弱の季節労働者が北海道におられるというふうに見ております。で、その季節労働者のうちの六割強が冬季の就労を希望しておるというふうにまあ把握しておりますけれども、さらにこのうち兼業者なり冬季によそへ出かせぎに行かれる方あるいは家計の補助者というものを除きますと、本当に何といいますか、冬季の対策を要する人たちはまあそのうちの約十万人程度ではなかろうかというふうに見ているわけでございます。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 まあ課長ね、その実態認識はそんなこと言わなくたってぼくにはわかっているんでね。私の聞いているのは、去年以来の傾向としてどういう特徴にあるかということをお聞きしているんであって、たとえば冷夏というのは、夏がまあ冷害によってかなり農業労働者も実は流出していると、そういう特徴点を私は申し上げているんであってね。  それともう一つは、この造船業界の不況はどこにもあるというが、特に北海道の場合いまなおこの函館ドックの、まあ掌握されていると思うんでありますが、約一千名近くが造船業界の不況で離職していると。ところが、まだたったこれ百名足らずでしてね、この間も聞いたら。最近のあれでは百二十三名と私は聞いているんですが、いまなお九百名足らずがなお失業に迷っているというような実態で、だから私は、あえてこれ安定局長にひとつお伺いしたいんでありますが、確かにことしは安定局長、大臣の努力もありまして、積寒給付金も現在十万二千、二十五日以上、これが十一万一千円になりました。講習助成金も一万四千円が千円アップしまして、一万五千円になりました。ただ、このときにも安定局長から、現在行われている積寒給付金制度についてのあり方をぜひ再検討してもらいたいという要請もございまして、私は、相当これ無理をして、季節労働者にも相当な思い切った、犠牲と言えばあれですけれども、まあ改めるべきものは改めてひとついこうではないかということで、日数の講習の日を二十五日に引き上げた。相当批判がありました。ありましたけれども、私もこれは労働省が努力をされたという経緯を踏まえて、二十五日を一応指導してきたわけであります。  そこで私が言いたいのは、この点はまあ間違いかどうかは別にして、沖縄県において特別の事情から、沖縄振興開発特別措置法、第三十八条というのが沖縄復帰後に通りましたね。これは五十一年五月十四日、当時の労働大臣は長谷川労働大臣でありましたが、このとき、沖縄県の労働者の職業安定のための計画というのがつくられました。これはおわかりだと思うのです。私が言いたいのは、北海道の場合に、いま申し上げるとね、一つは造船業界それから下請の関係、それから農業のいわゆる減反減反に伴う放出、それから石炭産業がこれまた相変わらず見直しと言いながら、大変お世話になっていますが、清水沢の炭鉱の昨年の閉山。そうすると、全部一緒くたに、それに季節労働者が三十万人と。こうなると、何か沖縄県と同じようなやっぱり多発失業地帯という、こういう位置づけが当たるのじゃないかと思う。そういう意味で、私はなぜこれを言うかといいますと、やっぱり沖縄県方式のように、一つ特別の立法ぐらいあっていいんじゃないかと。しかしそこまでいかなくても、ぜひこの三十万人の季節労働者の積寒給付金制度というものをこれからも、ひとつ三カ年計画でありますから五十八年をもって終わりということになるわけでありますが、ぜひこの積寒給付金制度を充実延長してもらいたいと、これが率直な私の——この間も札幌市で三千二百人集まりました。私も行ってきましたが、三千二百人が厚生年金会館で集まって、要望、決議も実はされました。かなり集まりまして、特にまあ労働省に対してぜひひとつ要請をしてもらいたいという切実な訴えでございます。  今回二十五日にしたことにおきまして、実はこれ現地でお聞きになったと思うのでありますがね、札幌市の場合で、まあ石狩の例で言えば一日三時間にして六十六時間やることになるわけです。まあ二十日以上最低としましてですよ。ところがいま困っているのは、これはお聞きになったと思いますが、終わってから後の総括なんですが、なかなかこれ六十六人の講師を一遍に集めるというのは大変なことでございましてね。そこへもってきてやはり肉体労働しているどっちかというと高齢者が多いですからね。一日これきっちりあそこで講習していると、途中帰るときに車の事故を起こしたり、それから途中で貧血を起こして倒れたりというので、かなりこういう現象が実は出てきているわけです。これは北海道の道の労働部も実態を把握しておりますからね、私はこの制度を改正したのが憩いというんじゃないが、もう少しこの講習のやり方をひとつ検討願えぬだろうかと。講師のあっせん、講習の方法について検討願えぬだろうかということが一つです。  それから二つ目は、具体的に申し上げますが、やはり業種拡大を何とかひとつお願いできないかというのが切なる訴えでございまして、たとえば水産加工に働く主婦の方々ね、もう一つはゴルフ場でキャディやる方々というのは、冬場はもうゴルフはできませんから、北海道は。そうするとばったり仕事がなくなっちゃうんですね。これがほとんど生活の糧にしているというものですから、これは生活できなくなる。それからでん粉工場、食品加工に働く方々、これがまた大変な、これを頼りにして生きてきたが、実際は該当にならないということの問題が一つはございます。等もございまして、何とかひとつ、まあそういう沖縄県のようなことを、私は特別措置法までつくれとは言いませんけれども、何とかそこらあたり業種拡大をもう一回検討していただけないかということが二つ目の実は課題でございます。そうして可能な限りひとつやってもらいたいということが二つ目。  それから三つ目の問題は、やっぱり私は率直に申し上げるんだけれども、雇用創出を——われわれは何も遊んで金もらおうなんてだれも、一人も考えてないですよ。夫婦げんかしたり、金がなくて女房の醜い顔を見て、けんかして家にいたいというのはだれもいないですよ、本当に。正直に言って、これは率直な訴えですよ。だから、問題は冬場に何とか雇用創出ができないかということで、安定局長も努力されまして、毎年自治省とお話をしてやっているのは、御存じの特別交付金の中から、たとえば除雪であるとか、砂利採取とか、あるいは枝払いだとか、こういう仕事をつくりながら、実は市町村自治体の中でやっていただいて、毎年特別交付金も配慮していただいているんでありますが、これは何とかその面もひとつ、雇用創出、通年雇用をしてもらいたいというのは私変わりないんですよ、これ。この間も、渡辺大蔵大臣に言いました、私も。だれも通年雇用してもらえば一番いいんだと、早い話が三百六十五日安定すれば一番いいんだと。できないからこういう制度をやっているのであって、何も好きでやっているわけじゃないんだと。  それでまあ、安定局長も御存じのとおり、ようやく緒についたばかりであると。この制度がようやく緒についたばかりでまたどうだとかこうだとか言われると、これは困るんだということで、渡辺大蔵大臣にも話して、そこはよく理解したということを言ってくれたのでありますが、そういう点で、一つは何とかやっぱり先行き一体どうなるんだという、この間大会でも出たものですから、その皆さんの心配が。だから、私はいずれにしてもこれが、積寒給付金制度というのはようやく緒についたばかりで、どうしたら定着していくか、どうしたら通年雇用の方向にいけるかと、こういう立場でひとつ労働省にこれを持続的に延長してもらうということをぜひ要望しておきたい。声では、九十日復活せいという声ありますよ。それはまあ私はいま申し上げませんが、そこをひとつぜひ考えてもらいたいと。いかがなものでしょうか。

関英夫労働省職業安定局長

○政府委員(関英夫君) いろいろお話ございましたが、北海道を一番中心といたします冬期の雇用促進のための給付金制度、始まって三年たちましたところで、いろいろとその中に問題点が出てまいりました。初めての試みだけに、取り組む行政の側にも、あるいは使用者側といいますか、あるいは団体、あるいは労働者の側にも、いろいろと初めての戸惑いもあったと思います。いろいろな原因がそこにあったと思いますが、必ずしもどうも三年間の間、制度本来の趣旨に沿った運営が十分になされたとは言いがたい面が出てまいりまして、あるいは一部には、ごく一部かもしれませんが、制度の乱用的な傾向も見受けられる、こういうようなことですが、先生も御指摘になりましたように、通年雇用に向けての雇用の促進のためのこの制度の効果が、やっと三年目になりましてその緒についたようなところでございますので、実はもう三年間この措置を実施しようということにいたしたわけございます。  そういうところでございますので、いま現在、ことしの昭和五十六年一−三月におけるこの制度がどんなふうに行われておるか。そこで、ただいま講習のやり方についていろいろ問題があるというような御指摘ございましたけれども、この一−三月期のことしのやり方というものを、私ども行政の側でも十分に掌握いたしまして、制度本来の趣旨が十分に達成されますように、正すべき点は正し、制度の上で改善すべき点があれば改善をして、実りある講習というものが行われ、一部にありましたように世間から非難されるようなことのないように、今後も十分注意していきたいと思っております。で、具体的な個々の事例については、この一−三月期終わりましたところで北海道庁を通じて十分把握いたしまして、今後について考えていきたいというふうに思っております。  業種の拡大のお話がございましたが、建設業におきます冬期にどうしても仕事ができない、こういうものを対象としてこの制度を考えておりますので、これをそれ以外にどんどん拡大していきますと、そこに原則がなくなってまいりまして、制度本来の趣旨が変わってまいりますので、いまのところ私ども業種拡大を考えていないわけでございまして、先生御指摘の北海道におきます造船業からの離職者その他、いろんな形での季節的な離職者もおられますが、そういった対策につきましては、私どもももちろんでございますが、北海道におきます毎年の年次雇用計画等におきまして、そういうものを十分計画的に対応を考えていきたいと思っております。  雇用創出策につきましては、でき得るならば冬にもいろいろな仕事についていただくことが望ましいわけでございまして、民間における冬の活動、こういったものが一番基本でございますけれども、中に、市町村等におきまして先生からお話しのような仕事をし、そこに季節的な失業者が就労するという実態がございまして、そういう面で、自治省への特別交付税についての御配慮は毎年お願いしているところでございますが、今後ともそういう面で、市町村に限らず、民間におきます通年雇用の促進ということに努力していきたいと思っております。私ども、通年雇用のための奨励制度、あるいはそのための民間企業に対します融資制度、こういうものもあるわけでございますので、できるだけそういったものを活用して、北海道においては冬は休むのだという常識を打破して、冬も働くんだと、仕事をしようと思えばできるんだということで、冬における北海道の仕事というものを広めていく、これはまず民間を基本とし、足らない部分市町村が行いますものについて、さらに自治省の御配慮を求めていくといった形で今後も進めていきたいと思っております。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 いま安定局長から、まず第一点は、積寒給付金制度は私の認識と一致しておりまして、緒についたばかりであると。そういう点では内容の不十分さを含めて、これからも内容を充実して、正すところは正して、ひとつまあ充実して、これから維持していきたいと、こういう認識はよろしゅうございますか。——よろしゅうございますね。  それから、私はなぜこれを言うかといいますとね、沖縄県の問題出したかといいますと、本当はこれは、北海道の政治家というのは能力ないんじゃないかという批判が一時あったことあるんですよ。それはなぜかというと、九州では緊急就労、開発就労やったわけだ、緊就、開就。北海道、やればできたんだよ、もともというと。ところがね、結果的にはわれわれはこれやらなかったんだ。やらなかったことがかえっていまになってみたら季節労働者三十万人をふやしてね、何だ、北海道の政治家というのは能力ないのかと、九州の政治家の方が能力あるじゃないかという悪口まで言われたことあるんだが、正直に言ってあれ、緊就、開就やればだね、もっとこれは三十万人、減っておったかもしらぬよ、正直言って。それだから、私が言いたいのは、そのことは別にして——やればできたと、緊就、開就も。しかし北海道の全道労協という労働組合も良識をもってだね、当時の連帯認識をもってやってくれたということもあってそういう結果になっているわけでありますが、だからせめて私は、まあ、そういうことは言わぬけれども、ひとつ北海道の求人倍率はいま、私が知っている限りでは最近は〇・三七ぐらいになっている。これでは全国〇・七六から見ると非常に落ちてるんでね、そういう点からいくと私は、造船もどこにもあるでしょう。農業もあるけれども、特に北海道の場合は沖縄県に次ぐいま失業多発地帯である。  そういう意味からこの特別対策というのはあっていいんじゃないかと。何も緊就、開就私はやれと言っているんじゃなくて、そういうこともあったが、われわれはやらなかったと。それだけに、やっぱり正直者がばかをみるようなことでなしに、むしろまじめにやった者が救われるということをね、やっぱり生かしてもらうということを考えてもらわぬとこれはならないわけでありまして、その意味では積寒給付金制度が今後とも持続していただけるということについて、ひとつまあ、これはやっぱりみんな心配しているものですからね、正直に言って、これから先行きどうなるんだと、こう聞かれたときに、まあ労働省は労働者を保護する立場に立っているし、いまや最大の実力者である藤尾大臣だから、よもやこういうことを廃止するということはなかろうということで、まあ私はこれだけはやらなければ、これがだめな場合は九十日復活をやってくれ、こういうふうにわれわれは言わざるを得ないので、このことだけは守っていただけると、こういうことで考えておりますので、この辺で大臣からひとつ考え方を聞かせてください。

関英夫労働省職業安定局長

○政府委員(関英夫君) 言葉足らずだったかもしれませんが、現在、再延長いたしました三年の最初でございます。そういう意味で講習のやり方等について改善を図ったところでございますが、その面でいろいろと具体的な御指摘がございました、講師の確保に非常に苦労されている、その他いろいろなお話がございました。そういう意味で、ことしの実態を私ども十分掌握いたしまして、お力添えができる点があれば私どももあっせん等のお力添えをいたしたいと思いますし、改善すべき点があれば改善していくということを申し上げたつもりでございます。  問題は、五十八年まではこの制度を三年間続けることにいたしておりますけれども、その後についてただいまお話がございました。現在私ども、そうやって改善措置がどこまで実効を上げ得るか、そういうことを一生懸命やっている段階でございまして、いま再延長に入ったばかりでさらに三年先のことを申し上げる段階ではございませんので、現在のところその先を考えておりません。正直のところ全く考えておりません。何とか私どもとしては、この三年間にこの制度の効果をできる限り上げて、通年雇用あるいは冬期における就労、そういった効果を上げる形でこの制度を運用していきたい、それを一虫懸命やっていきたい、こういうのが現実でございます。

藤尾正行自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤尾正行君) ただいま安定局長から申し上げましたとおりで、何といいましても五十八年までともかくこの制度はあるわけでございますから、一応その間にやるべきこと、これを徹底的に洗い直しまして、やるべきことは何でもやる。そして本当に御満足のいけるような運用ができますように努めてまいるということだと思います。五十八年に終わりまして五十九年から先の話をいま私どもちょっとお約束するというのは少しまだ早過ぎるのではないか。これからそのための準備もし、そのための研究もし、調査もし、ということでございますから、そのようにお考えいただいてよろしいと思います。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 いま大臣からお口添えがありましたが、一−三月を見て内容の充実をしたいということと、また大臣もいま洗い直すものは洗い直して内容を充実していきたいということでございますので、私はぜひひとつ、この前もやっていただきましたが、一月から三月のいまの実態なんですけれども、現地へもう一度係官を派遣していただいて、そしてその後の実態認識を、私がいま挙げました講師の選定、講習の時間が長過ぎるという問題、それから一たん雇用契約で(予)契約をしていながら(予)契約が切られる、一たん雇用契約をした者が出てきたけれどもそれが事業主によって切られてしまった、こういう例もあります。業種の問題もありますので、どうですかな、この点きょう、むずかしい問題でありませんので、三月末日をもって一応のめどがつきますから、そうしたら一回三月末に局長どなたか係官を現地に派遣をしていただくと。特に季節労働者の実態の多い道南地帯、率直に申し上げますが、今度は石狩も多くなりました。道南、石狩、留萌、この管内を中心に、そう長いことじゃなく二泊三日ばかりで結構ですから、ひとつ現地を見ていただく、どなたかを派遣していただくということが一点。  それから二つ目は、ひとつ最終的な段階で、三月で一応大体結果がわかりますから、きょうは三十一日ですから、その上に立って今後の問題点について、季節労働者の北海道の代表も幸い組織的にまとまっておりますので、この代表等とも局長中心に会っていただいて、なお大臣にこれからの問題点を、八月にいずれにしても予算の最終省議をまとめる段階でもございますので、このときには取りまとめの事前に一回十分話をまとめて精査をしていただいて、話し合っていただいて、何とかひとつ解決の方向に前進するようにしていただきたい、こう思いますが、この二点についてちょっとお伺いしたいと思いますが。

関英夫労働省職業安定局長

○政府委員(関英夫君) 従来から現地の実情把握には私ども努めてきたつもりでございますが、特に制度の改善を図った年でございますので、ただいま先生の御指摘のような形で現地に係官を派遣して、実情も調査させ、また関係の労働者の団体あるいは建設業者の団体、そういったところとも十分話し合いをして実情を把握した上で、今後の改善すべき点があれば改善を図っていくというようなことを研究していきたいというふうに思います。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 それじゃそういうことでひとつ。派遣をしていただくということになりましたので、できれば四月を目途に現地へ行っていただくというふうに理解してよろしゅうございますかな。——それじゃそういうことでお願いします。  それで大臣、あと一つだけ私は申し上げておきたいのですが、一回大臣も、北海道へ何遍か来られていますけれども、特に栗原労働大臣時代に一緒に私も現地へ行きました。函館と道南地帯と私も一緒に行きました、特に多発地域でありましたので。藤尾労働大臣も一回北海道へ来ていただきたい。特殊的な北海道の季節労働者というのは何せ百万人生活しているわけですからね。そして各県と違うという認識を持ってもらわぬと困るということを最後にぼくは申し上げたいのです。農業兼業という北海道の実態ではないんです、大臣。これは当初なかなか理解しにくくて、時の石田博英労働大臣も、私五十年、五十一年予算委員会でも話もしその後も話し合いを続けて、理解していただいたんです。現地に石田博英さん、労働大臣も来ていただきました。秋田出身でありましたけれども、そのときに初めて、北海道の季節労働者の実態は秋田県とは違うと。ほとんど三百六十五日通年季節労働者であると。つまり、農業を半年やってあるいは漁業をやってその合間に季節労働者という実態と違います。安定局長言ったように、本来ならば本当は三百六十五日通年雇用として維持されなければならない労働者の実態であるということなんですよ。これは栗原労働大臣も来て見て、一緒に私当時社会労働委員長で行っていただいたのですが、なるほど行って見て認識よくわかったということを言っておりましたが、できれば労働大臣も一回北海道へ赴いていただいて、これらの北海道の特殊な季節労働者の実態認識というのを踏まえて、これからの改善の処置という努力をしてもらいたい、このように考えておりますので、この点最後に申し上げて質問を終わりたいと思います。

藤尾正行自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤尾正行君) 承知いたしました。

対馬孝且日本社会党

○対馬孝且君 それでは終わります。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 労働力人口の高齢化と並んで、最近の労働市場の大きな特徴は、パートタイム労働者また派遣労働者など、いわゆる雇用時間や期間が短く、かつ労働条件が席用労働者に比べまして不明瞭な、いわゆる雇用の不安定労働者が著しく増加して、わが国の労働市場に構造的に深く定着しつつあるということがその特徴ではなかろうか、こう思います。しかも、昭和四十九年以来非常にその数がふえてきております。これは、企業が減量経営の一環として常用労働者をパート、派遣労働者にかえる動きが目立ってきたということを反映するものではなかろうかと思います。  ところが、これらの不安定雇用労働者に対する政策的対応はおくれております。法制上、制度上の規定も整備されておりません。いわば野放しの状態に置かれていると言っても過言ではない、こう思うわけでございます。こうした不安定雇用労働者の急増が、常用労働者の雇用や労働条件に大きな影響を与えるようになってまいりました。こうした最近の労働市場の大きな変化に対する対策の早期確立が望まれるのではなかろうかと、私はこう思うのでございますが、大臣の基本的御認識をお伺いいたします。

藤尾正行自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤尾正行君) 先生御指摘のとおり、最近の労働市場なんということは私余り好きじゃありませんけれども、ともかく企業者、経営者といいますものが比較的流動的な労働の方が扱いやすいというような考え方、特に過般の石油ショックというようなことがございまして、できるだけ身軽にしていきたい。そういう気持ちが先行いたしまして、身軽を原則として、忙しいときには時に応じてその仕事を分担していただこうというようなパートタイマーの活用というような傾向が非常に強まっておる。これは、私は姿勢としてはきわめて変則だと思います。でございますから、その変則なものは正しい正則に正していかなければならないということは一つあろうと思います。しかしながら、いまの景気の動向を考えてみましても、さらにいまの中小企業等々に見られるように不安定要因といいますものがまだまだつきまとっております。景気の波生言いまするもののつかみ方、そういったことに自信をまだお持ちでない。そういうような経済観といいまするものもございまして、パートタイマーの活用でございますとか、あるいは臨時応急の方々にお願いをするかというような体制を併用しておられる。まことに不安定なことで、これについて何らかの対応策を私どもも確立をしていかなければならぬ、かようには思います。  しかしながら、なかなかこれ押しつけるというわけにもいかない点もございまして、その態様がどのような形になっておるかという実態をまずつかんで、そうしてどのような改善ができるかという見きわめをつけて、そうしてその上に政策の実行を当てはめていく。そういった進め方をしていかなければならぬのではないかというように考えています。非常に残念しごくで、先生のせっかくの御着想で、そうなければならぬことでございますけれども、おまえらは何をしているかと言っておしかりをこうむるかもしれませんが、まだ私どもの足がそこまで前に出ていない。できるだけ早く事態に追っつくように努力はいたしますけれども、残念ながらいまのところはその御指摘のとおり認めざるを得ない、かように考えます。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 総理府の五十四年労働力調査によりますと、昭和五十年以降パートがその中心になっております臨時、日雇いの数は七十一万人増加いたしております。これは非農林業就業者の増加二百二十九万人の実に三分の一を占めているわけでございます。パートはもともと卸・小売業といった、非常に時期によって繁閑の差のある産業には古くから存在をいたしておりました。また、新規の本工採用が困難である中小企業におきましてもこういう姿はございました。しかし、これらは本工の補助的、補完的役割りを果たすもの、こういう形で一定の評価を受けていたというのが過去の姿であったと思うのでございます。  しかし、最近の傾向は、本工の補助的、補完的役割りにとどまらず、いわゆる本工の代替として、本工と競合する者として存在してきておるというのがこれは実態であろう、こう思います。特に労働大臣はその所信表明の中で、中高年齢者の雇用対策に非常に力を入れられる所信を表明されたわけでございますが、賃金の高い中高年齢者を雇うよりも、手軽にこうした労働者によって代替するということが安易に行われますと、私は中高年雇用対策にも大きな影響を与える結果になりかねない、こう思うのでございます。  私は、それと同時に問題にしなけりゃならないことは、労働基準法等の現行労働立法は原則としてすべてのパートにも適用されるたてまえになっております。たてまえはですね。しかし、現実にどうであるのかというものを見ますと、労使対等の原則がありながら、賃金、労働条件が使用者によって一方的に自由裁量によって決定される、就業規則にそれらの労働条件が全然盛り込まれていないという傾向が見られます。また、本工とほとんど同様の勤務態様でありながら、本工と区別されて賃金、労働条件が別に定められているケースもございます。また、労働者でございますから、いわゆる労働組合をつくるという団結権、労働組合としての団体交渉権、こういうものが当然あるといったてまえではございますけれども、実態は労働組合への参加も、またみずからの組合を結成することも妨げられている、これが実態なんですね。  こうした現状から考えますと、これらのパートタイマーの労働者というものはいわゆる異質のものとして扱われておる、法的にも行政的にも全くここに目が届く体制になっていないということが言えると思うのでございます。そこで労働省に、このパートに対する対応についてどのようにお考えになりどのように対策を進めようとしておられるのか、お伺いいたします。

吉本実労働省労働基準局長

○政府委員(吉本実君) 先生ただいまいろいろ御指摘をしていただいたわけでございますが、私どもも先ほど先生のおっしゃったような現状認識の上に立ちまして、パートタイマーに対する労働条件、そういったものの確保というのをどういうふうにしていくかということについていろいろ苦労をしているところでございます。ただ、いわゆる賃金なり労働条件につきましては、一般に本工に比べて、先ほどのような差異があるということ、あるいはそれに準じた扱いに出てきている傾向にあると、こういう御指摘でございますが、いろいろその職務内容とかあるいは責任の度合いだとか、あるいは勤続年数だとかあるいはまた年齢と、こういったようなことの差がございまして、そういった面もいろいろ考慮していかなければならないというふうに思いますし、また基準法の適用等につきましては、パートといえども全く同じ取り扱いをしておるけれども、実際はなかなかそういっておらないと、こういう御指摘でございます。  それに対しましては、やはり労使そのものがパートの雇用に対する態度、そういったようなものとか、あるいはパートタイマー自身の意識の問題、こういったようなこともございまして、なかなか現状においてはむずかしいところがあるというふうに理解しているところでございます。監督機関としましては、こういったところについてやはり何とか善処させていかなければならない、こういうことで、何と申しましてもやはりパートタイマーの一つの問題点というのは、使用者自身が労務管理なりあるいは遵法意識というものに、パートタイマー自身の取り扱いをどうするかということについての問題も少なくございませんし、またパートタイマー自身についても基準法そのものについての適用自体についてはっきりしておらない、こういうような意識もあるわけでございますので、まずは労働条件なり労働契約そのものの中身の明確化、そういったもの、そしてその上で適正化ということに努めていかなければならぬ、こういうことで就業規則等の、いわゆるきちっとした制定方をやっていくというようなことから現在始めておるというのが実態でございます。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 局長に端的にお伺いいたしますけれども、この就業規則の中に賃金、労働時間、休日、こうした労働契約の内容が何ら盛り込まれていない、そして雇用している、これはたてまえからいったら労基法違反ではございませんか。

吉本実労働省労働基準局長

○政府委員(吉本実君) 就業規則自体はパート雇用でありましても当然それは適用になるわけですから、その面で外れているんではなくて、むしろカバーしておるというふうに理解できるんではないかと思います。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 これはお調べ願いたいんですけれども、ほとんどこれは就業規則にパートの労働条件を明記してあるところの方がむしろレアケースではないかと私は思います。  そこで、このパートの定義についてですけれども、労働省が昭和四十四年に職安局長の通達によりまして雇用の形態が常用、臨時、日雇の如何にかかわらず、一日、一週または一カ月の労働時間が、当該事業所の一般従業員より短い契約内容をもって就労する者は、すべてパートとされております。これは間違いございませんね。  ところが、いろいろ実態を調べますと、常用労働者と同一の労働時間である、しかも形式的にはこの期間を切りかえておりますけれども、実質的には雇用期間の定めがないと思われるパートが全体の三六・五%を占めております。また、労働時間が短いものにつきましても一日五時間ないし六時間働くという程度の短さのパートタイマーもおりますし、また、一日文字どおり一時間とか二時間しか働かないという者もございます。こういう一つのパートの定義の中に、最近いろいろなものが混在をしておるわけですね。私はこの四十四年の職安局長通達をもっても律し切れないような実態が、通達や法令に先行していま定着しつつあるというのが最近の現況ではないかと、こう思うのでございます。  私はそういった意味から、この際労働省としてもパートという定義をもう一度洗い直しまして、少なくとも一日の労働時間が五時間以上、これは八時間労働として少なくとも常用労働者の六割以上は働く、働いていると、しかも実質的に雇用期間の定めがないというものにつきましては、私は常用労働者同様の扱いをいたしまして、そのことにより労働市場におけるパート雇用の秩序の確立、パートの雇用の安定、労働条件の向上、各種社会保険の適用等が行われる、そういう体制づくりが抜本的な問題解明の前に、その第一歩として打つべき労働行政の姿勢ではないか、こう思うんですがいかがでございますか。

関英夫労働省職業安定局長

○政府委員(関英夫君) 御指摘のございました昭和四十四年の職業安定局長通達は、当時パートタイマーというような名前で労働力不足を補う形で家庭の主婦等に働きかける求人が非常に多くなってきた。職業安定行政としても、そういうものに対してやはり十分な機能を持たなくてはいけない、そういう形でパートタイム職業紹介というものをどういうふうにしたらよいか、その業務取り扱いの要領を示す通達でございまして、その中でのパートタイムの定義を、先生先ほど読み上げられましたように決めておるわけでございます。何といいますか、パートタイマーというものについて法律上一律の定義があるわけではございませんで、歳計をとる場合、あるいはこういう業務要領を示す場合、その他いろいろな場合にそのときに応じて定義を決めて、そして実施しているというのが実態であろうかと思います。たとえ企業でパートタイマーという名前にしろ、その他の一般の常用労働者と同じような仕事をし、勤務時間も変わらず、しかも雇用もずっと継続しておる者であれば、それは企業側の呼び名が何であれ実体は常用労働者であろうと思いますし、当然労働関係諸法規はその他の常用労働者と全く同様に適用されるべきものだろうと思います。  また逆に、常用という名前を使いましてもこの通達で言いましたように、実態が他の一般の労働者よりも非常に勤務時間が短いというような形で変わっておれば、パートタイマーとして職業紹介の上で取り扱う方がより適切だという場合ももちろんあろうかと思います。そういう意味で、事柄に応じて、実態に即して対策を打っていくべきだろうというふうに考えるわけでございます。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 局長ね、いまパートタイマーというのはこれ両方の側から問題が出ておるわけですね。  一つは常用労働者、特に中高年労働者の雇用対策という面から、いわゆる本工側としてはパートタイマーが非常に異常に職場の中で急増している、そのこと自体が問題ではないか、こういう問題意識が常用労働者側から提起されている。  一方、今度はパートタイマー労働者と言われておる側も、労働時間が一緒である、もしくは若干短いけれども五時間、六時間と働いておる、しかも仕事の内容は常用労働者と全く変わらない。にもかかわらず、今度は雇用の保障がないわけですね。常用労働者であれば、解雇手続その他については労働組合が協定をいたしておりますから安定しておりますけれども、雇用のそうした保障に対する安心感がない。労働条件は就業規則にも明示されていない。もちろん労働協約にも組合員でございませんから入っていない。非常に不安定ではないか。こういう両側の問題点がいま出ておるというのが率直な実態だろうと思うんです。  そういう面から、いまの労働立法のたてまえというのはしっかりできているんですね、これは。しかし、それが現実には十分に対応、適用されていないというのが現在の実態だろうと思うんです。そこで、まあ常用労働者の雇用対策も大変ですからなかなかそこまで手が伸びないというのは、事情は事情でわかるんですけれども、この大きな労働市場の変化の中で、やはり労働省としてもいまこの定義の見直し、そしてそれらの労働者をいかにして雇用を確保していくか、守っていくか、そして常用労働者の調整をどう図っていくか、これは労働行政に課せられた私は大きな任務ではないかと、こう認識するんでございますけれども、間違いでしょうか。

吉本実労働省労働基準局長

○政府委員(吉本実君) ただいまの先生の御指摘まことにそのとおりでございます。私どもとしましても、こういった大変な労働市場の変化、そういったものに即応してパートタイマーの位置づけ、確かにおっしゃるように、労働法規につきましてはまさに適用されておるわけでございますが、現実の姿の上でこれをどういうふうにして処理していくかと、先ほど申しましたように、まずはじゃ初めに労働条件の明確化というところから出発しておりますが、やはり基本的に、おっしゃるような事柄についてなお今後検討していきたいということで、私どももそういった問題意識を持って部内でも検討会を持ちまして、そういった点を検討し始めているという実態でございます。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 労働大臣、私の認識なり提言を含めた質問をお聞きいただきまして、いま局長もそういう御答弁をいただいたわけですけれども、この際労働大臣として、これは労働雇用政策の一つの重要な柱であると、こう思いますので、積極的にかつ前向きに検討、促進されまして、これらの問題点の解明にぜひ大臣としても御努力を願いたい、こう思うんですが、いかがですか。

藤尾正行自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤尾正行君) 実は、私は就任をいたしまして以来、安定的に労働条件が確保されております。そういった安定した常用労働者の問題は、問題として大事でございますけれども、あわせて非常に恵まれない立場にあられる方々、これはパートもそうでございましょうし、また内職の方もそうでございますし、いろいろ同じようにお働きになられても、そのお働きがいろいろな面で不満足である、こういった方々を、何とか安定をした姿にしなければ申しわけがない、かように思いまして、私の一つの行政指針といたしましてこの問題を取り上げていくようにということをお願いしてあるわけでございますけれども、実際に実は、ある時点におきましてパートタイマーの方々の抽出調査はいたしました。ところが、抽出調査をいたしますと、私どもの思ったのとまるっきり違っておりまして、たとえば労働時間の問題にいたしましても、常用労働者になると自分の、御婦人の場合などは特にそうでございますけれども、主婦としての立場、時間が制約をせられる、そこで、できればそういう常用労働者になるということでなくて、いまのままのパートの姿で置いといてくれないかというような方々が、当時は七〇%ぐらいおられました。  そういったことがございまして、ところによって違うわけでございますけれども、先生が御指摘になられましたように、それこそ大のうちの大の電機産業などにおきましても、実際は本当の常用になっておられまする方々と同じラインで同じ時間働いておられる方々が、パートとして処理されておるというようなことも現実にあるわけでございますね。給与も違っている、また身分の保障も違っておる、こういうことは私は非常におかしい、さように思うわけでございますけれども、そのように本当にこれはばらばらでございまして、なかなかこれを丁寧に、それは本当に丁寧に一々拾い上げて細か省ところにわたって私どもは措置いたしていかなければならぬ、さようには考えますけれども、なかなかそこまでいっていないというのが現状でございまして、とりあえず、私は先生がおっしゃられるとおり、常用の雇用労働者と同じ条件で同じように働いておられる方々に、労働条件の上から言いましても、身分の上から言いましても差異をつけておるなどということは、これはよろしくないことでございますから、こういったことは、いま基準局長が申し上げましたように、早速そういった違いが埋められますように方途を講じなきゃならぬ、当然でございますけれども、それをやらせなきゃいかぬと思います。  しかしながら、一方において卸売、小売等々の業務に携わっておられます方々で、ある一定の時間だけ働きたいんだというような方々に対しましては、むしろ時間給的な非常に差異のあります条件の方がよろしいと、こういうように思っておられる方も多いわけでございますから、これにもし、常用労働者と同じ条件を付与するようにというようなことを言いますと、これはまことに変な話でございますけれども、ことしの予算編成のときに御案内のとおり、そういったことも考えましてパートの方々に対しまする課税、こういったことについては特段の配慮をすべしということで、七十万円を七十九万円に引き上げてもらったわけでございます。しかしながら、引き上げはいたしましたけれども、そうなりますと、それ以上はもうお働きにならぬということで、むしろ働くということに重点があるんじゃなくて、税金を払うということの方に重点が置かれるような受け取り方をされる方も中には非常に多いということで、これはよほど考えにゃいかぬなといっていま私は反省をしておるところでございまして、こういったところの両々相まちましたいろいろな矛盾の克服をどのように進めていったらいいのかなあといっていま私は考えておるところでございます。十二分に配慮をいたしまして、私の初めのこれは方針でございますから、何とかして御期待に沿えるような施策を、少なくとも私の在任中にやってみたい、さように考えておりますけれども、いましばらく時間をおかしを願いたい。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 私はいま大臣が触れられましたように、妻の収入金額が七十万円、五十六年からは予算が通りますとこれ七十九万円になるわけですが、それを超えると配偶者控除が受けられない、そういったことがパートの賃金の上限を規定するという結果になったり、また七十万円、今度は七十九万円を上限として就業と不就業を繰り返すという例が多々見られる、それはそのとおりでございます。そこに税制が果たしてこれでいいのかという問題もございますけれども、これは労働省の所管ではございませんので、別途にわれわれの主張を行いたいと思いますが、そうした実態にあるパートもおることはおります。    〔主査退席、古賀雷四郎君着席〕 しかしパートの中には毎日五時間とか六時間働いて労働時間は常用労働者並みの時間は働けない。しかし少なくても雇用の安定は求める、少なくても労働条件は労働協約や就業規則の中で明確に明示されることによって組合の協定、また従業員の過半数の同意という形で経営者の自由裁量でわれわれの賃金が決められるということは何としても不都合ではないか、こういう意識のパートタイマーが数多くいることも私は事実であろうと思います。これ非常にむずかしい問題ではございますけれども、放置していいというものではない、こう思うんです。非常に多様なものが混在しているこのパート、それぞれの層によってどういう対応をしていくべきか、これはきわめて重要な課題であろうと私は思いますので、時間の関係から次に問題を移しますけれども、労働省当局としても十分の検討を求めたいし、私もこういう機会を離れて具体的にまた意見を労働省に申し上げる機会を得たいと、こう思っております。  次は、労働者派遣事業が野放しになっておるということでございます。最近、経営の効率化対策の一環として企業の需要に応じ、企業等に労働者を派遣して請負業務を処理するという事業が増加してきております。事務処理、ビル管理、情報処理、パーティーの企画、接待、工場労務、その他設計とかバスガイドとか、その他の業種、非常にこれがふえつつあるということが実態でございます。私は現行法のたてまえによりますと、労働者派遣事業は注文主と業務処理の請負関係を締結して登録もしくは雇用関係のある労働者を注文に応じて派遣することで事業を営んでおり、仕事の注文に応じて労働力の派遣を行う、そういう面では労働者供給事業としての性格を持つのではないかと、こう思います。現行職安法四十四条、四十五条によりまして、労働組合法に基づく労働組合以外は労働者供給事業を認められておりません。また、事業所が作業請負という請負契約の形によって脱法的に労働者供給事業を行うことを防止するために同施行規則第四条において請負契約についての認定基準を定めまして、この基準を充足しないものは労働者供給事業に当たるとしてこれを禁止いたしております。  私は、このように職安法がそういったてまえをとっておりますのは、戦前、戦中に横行いたしました労働者に対する強制労働または中間搾取等の弊害が発生することを防止するというのがこの立法の趣旨であろうと、こう思うんです。ところが、このように法律で禁じられているにもかかわらず、労働者派遣事業が増大してきておる、それはどういうことであろうか。  私は、まずその第一は、法律で認められた請負に当たるのか、それとも労働者供給事業に当たるのかということが不明確である。第二には、政府の政策が一般の労働者のみに重点が置かれて、これらの部門に今日まで十分目が届き切れなかったということではないか。また第三には、派遣を受ける方、また労働者のニーズというものにこれが沿うものであったということ、そういういろいろな条件が重なりまして、いまのところ有効適切な対策が打たれないまま、事態はどんどん進んでしまったというのが私は率直な現状であろうと、こう思うのでございます。  私は、こういう派遣労働者事業の問題点の第一は、それが労働者全体の雇用改善につながるのかどうかということでないかと思います。こうした事業の拡大は常用労働者、特に賃金が高く、雇用不安に悩まされている中高年齢者の職場を狭める結果にもつながるのではなかろうか、こう思うのでございますが、いかがでございましょうか。

関英夫労働省職業安定局長

○政府委員(関英夫君) 労働者を派遣するような事業形態が最近ふえてきた理由といたしましては、いろいろ考えられると思いますが、まず、求める側からいきますと、経済活動の高度化あるいは多様化に伴いまして、通常の一般の従業員とは異なる特別の労務管理あるいは人事管理等を行わなければならないようなそういった職種が増大してくる、あるいはまた終身雇用慣行になじまないような専門的な知識、技術を要するそういう職域、それも恒常的でなくて臨時的に、あるいは一時期の量が非常に多く、波動があるとかというような形のものがふえてくるとか、自分でやるよりも専門業者や専門的な知識、技術を有している者に委託した方が確実に迅速にできる部分が企業内部にも増加するとか、あるいは昔なかった大きなビルが建つと、そのビル管理なり警備、清掃、そういったものは一社で別々にやるわけにはいかぬ、やっぱりまとめてやらなければならないとかいろんな形で、経済の発展に伴いまして、こういった業務に対する需要が増大してきたと思うわけでございます。  また労働者側から見ましても、自分の専門的技術、そういったものを生かしてスペシャリストとして徹底して働いていきたいというような労働者が増加し、自分の好みに応じて、自分の好きな日に好きな時間働きたい、あるいは身分的な終身雇用慣行、そんなものには煩わされずに、事業所の人間関係なんかに煩わされずに働くことを希望するとか、いろいろな労働者側の要望もあろうかと思います。いろいろな形でこういうものができておりますが、先生御指摘のように、現行の職業安定法の法規との関係から、こういうものは現在請負でやっておりますと、こういう形になっております。したがって、私どもが労働者供給事業として違反でございますと言って指摘することが非常にむずかしいわけでございまして、請負で処理されているという形態をとっておりますが、そこに問題点としては、そういう仕事に長らく従事しながらも身分関係が安定しないとか、あるいは通常ですと、ある期間勤めれば有給休暇とかあるいは退職金とか勤続に伴うメリットがあるわけですが、そういうものが与えられないとか、あるいはまた社会保険関係の適用がうまくいかないとか、いろいろな形で労働者保護に欠ける面があるわけでございます。私どもとしては、そのことが一般常用労働者の職場を侵す、あるいは中高年齢者の職場を奪うというような形として動いているとはまだ思っておりませんけれども、むしろそこで働いている人たちの多くが、普通の常用形態に移行することを望んでおらない方の方が多いわけでございますけれども、しかし、そこに働く労働者の保護に現状では欠けるところがあるんではないか、こういう点を実は心配いたしているわけでございます。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 請負ということになりますと、施行規則第四条で請負契約についての認定基準を満たしているかどうか、これが一つの問題点になってこようと思うんです。  それはそうとして、私は労働者派遣事業への対応には二つの道があると思うんです。その一つは、労働者供給事業に当たるとしてこれを禁止する、またこの認定基準を厳正にチェックをしていく。そして現行法が不十分であるとすれば、その法の不備を補完する。これが第一の道ですね。第二の道としては、社会的必要性があるということを是認して、その制度化といいますかルール化を立法的に図っていくと、こういう第二の道が私はあると、こう思うんです。  この問題について、昭和五十五年四月に労働力需給システム研究会が職安局長に対して提言を行っております。これを受けて労働者派遣事業問題調査会で現在慎重に審議検討中であるということも承知いたしております。  私は、この調査会で、業務処理請負事業等労働者派遣事業、類似事業が増加している社会、経済的背景とその機能をどう把握するか。第二に、労働者派遣事業等の増加とわが国の労働慣行に与える影響はどうか。第三に、労働者派遣事業と既存の労働力需給システムとの関係をどう調整するのか。第四に、派遣労働者の権利と利益の保護をどのように守っていくのか。第五に、労働者派遣事業の労使関係をどうしていくのか。第六に、派遣労働者の雇用の安定はどうすれば図れるのか。こういった項目について討議が進められておる。私は、その審議の結果を待ちたいと思いますけれども、私はその二つある道のうち、少なくても国の行う職業紹介、労働組合の行う労働者供給事業、港湾における雇用調整事業、民営職業紹介事業等の現行の機能を損なわないということを前提条件としてやはり社会的要請というものに応じて社会的ルールを確立する。このために必要な立法化を行う。そのことが私はとるべき方向ではないかと、こう思うものでございますけれども、いかがでございますか。

関英夫労働省職業安定局長

○政府委員(関英夫君) 先生の御指摘になりました第二の方策、つまり社会的ルールをつくるという方向で私ども考えたいと思いますが、昨年、研究会の提言を受けまして、研究会の提言の御趣旨もそういう方向にあろうと思いますが、この問題は、単にそういった派遣事業といいますか、そういうものを行っている事業者だけの問題でなく、全産業に、そういったところと契約をして委託契約を結び、そして労働者に来てもらって仕事を処理してもらっているところ、あらゆるところに影響する話でございますし、また先生御指摘のありました既存の、現行職業安定法上認められております労働組合なり民間の職業紹介事業を行うところなり、そういう既存の労働力の需給システムと非常に密接に絡む問題でございます。そういう意味で慎重な検討を要するということで、調査会でいま鋭意、調査研究をお願いしているところでございます。外国の例でいきますと、こういうものにつきまして法的に認め、一定の規制のもとに許可をしてこういうものを認めているという場合多うございますけれども、逆にまた、わが国のような民営事業でそういうものが処理されるべきだという部分もございまして、この辺のものをどういうふうに考えていくか。施策によってはいろいろなやり方のあるところだろうと思います。  戦後三十年以上にわたりまして、職業安定法のもとでいろいろな形の労働力需給のシステムが動いております。そういうものに余り大きな変更を加えるというような形では、この新しい問題を私はうまく処理できないのではないかと思いますので、私といたしましては、先生のおっしゃるとおり、既存のいろいろなシステムとの調和を十分図っていかなければならないと思っておりますが、そういう点を含めまして現在研究会で基本的視点、先生御指摘になりました視点を順次、慎重に御審議いただいておりますので、その審議の結果を待って検討いたしたいと考えている次第でございます。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 大臣、私は現行の職業紹介なり職業安定の機能をこれは揺るがしてはならない、これは守り抜いていかねばならない、こう思います。しかし、時代はどんどんと変わっているわけですね。社会的要請も、また働く労働者の意識も変化しておるわけです。そういう中で、禁止ということで問題の処理ができるわけではない。そうだといって、対応がおくれれば野放し状態がいつまでも続いていく。そのことがそこの派遣労働者自体の雇用の不安定につながっていくわけでございますし、これがどんどんと大きくなっていけば、いま職安局長がまだそこまでいってないと言われましたけれども、やがては本工、常用労働者と競合する部面があらわれてくることもまた必然だろうと思うんです。何としてもやはりこれは秩序化、社会ルール化しなければならぬと、これは大きな方向だろうと思うんですね。慎重審議大いに結構でございますけれども、私は労働大臣としてももう少しリーダーシップをとって、かくあるべきと思うやいかんというぐらいの気魄を持ってこの調査会に大臣の率直な御見解を吐露されて、そしてその審議を待つという姿勢が必要ではないかと、こう思うんでございますが、いかがでしょう。

藤尾正行自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤尾正行君) すべて政策が後手後手になっていったんでは、これは話になりません。慎重なのも結構、すべての調和をとっていくのも結構でございますけれども、同時に、むしろ時代を先取りしていくというぐらいの姿勢があってもよろしい。さように思いますから、十二分にそういった方針を踏まえてやらせます。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 私は、かねがね社労委員会で中高年雇用対策の問題も取り上げました。本日は、不安定労働者の対策を中心に御質問をいたしました。また、次の社労委員会では雇用関係の給付金の整理統合についてのまた意見をただそうと思います。  時間がありませんので多くを語り得ませんけれども、いま労働行政が直面しておる課題というのは余りにも多く、かつその一つ一つが重要な意義を持っているわけでございます。そういうことを考えますと、たとえば職業訓練体制と職安体制を一体化することがいいんではないかとか、また国際障害者年を迎えて、障害者の雇用と職業訓練体制をどのように展開していくのか。一つ一つの課題を解決していくためには、やはり労働行政体制の整備ということが必要になってくると思うのでございます。この問題は、絶えず芽が出て、立ち枯れ、そういう状態で現行の労働省体制が続けられております。第二臨調で今後の行政機構のあり方が論議されるいま時期でございますけれども、私は、ただ既存の制度を守ろうというだけではなくて、新しい時代に対応する労働省の体制整備、これについて私は、大臣として勇断をもって今後のあるべき方向というものを明示される、それが必要な時期ではないだろうか。まあ具体的にはなかなか申されないと思うんでございますけれども、ひとつ大臣の真剣な検討というものを求め、かつ所信を伺いまして私の質問を終わりたいと思います。

藤尾正行自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤尾正行君) 御指摘のとおり、非常に大事な問題でございますし、    〔主査代理古賀雷四郎君退席、主査着席〕 私も縁あって大臣をやっておるわけでございますから、性根を据えて、時代に対してその責任が果たせますように努力をいたします。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 終わります。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 政府が、労働問題の重要な課題として、定年延長や男女差別撤廃などとともに強調されている労働時間短縮、週休二日制の推進などですけれども、現状、いま大企業の実態見ますと、これとは全く逆にひどい長時間労働が行われ、さらにこの傾向が強まっているという点があります。私は、きょうはこの問題につきまして中心的に、具体的には日立、東芝、日電などの電気業界ですね、この実態に照らしてお伺いをしたいし、また労働省の適切なる指導、その他の取り組みを強めていただきたいと思っております。  で、昨年の十二月に労働省が発表されました週休二日制等労働時間対策推進計画、これによりますと、労働時間の短縮というのが、労働者の職場内外の生活において充実を図ることが求められているということからも、それから高齢化社会に対応した雇用の拡大と、高齢者が活力に満ち、健康で働けるためにも、そして国際化時代への対応として、基本的な労働条件である労働時間についても国際的に遜色のないものに改善を進めるという意義を持つものであるという上に立って、目標としては、第四次雇用対策基本計画も昭和六十年度には週休二日制を含め、企業の労働時間の水準が欧米先進国並みの水準に近づくように努めるということを置いて、そしてこの達成のために、過重な所定外労働時間の縮減、年次有給休暇の消化促進、週休二日制の普及促進と完全週休二日制への移行推進などを掲げておられると思います。また、これまでもこうした立場に立って通達や推進計画、施行規則などの改正などを進めてこられたと思いますけれども、この点について、まず大臣の御認識を伺っておきたいと思います。

藤尾正行自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤尾正行君) いろいろなお話がございましたけれども、これは御案内のとおり、労働時間の短縮でございますとかということは、それだけがひとり歩きをするものではございませんで、やはり景気というようなこととあわせていろいろ考えなければならぬことがあるわけでございます。  いま御指摘の電気産業におきまして、非常に労働時間が多様になっておるというお話でございますが、そのとおりでございましょう。しかしながら、御案内のとおり、これは石油ショック以来非常に大きな経済的社会的変動といいまするものに、それぞれの事業所あるいは工場の指導層といいまする者が対応し切れないということがございまして、減量経営ということが一時非常に叫ばれまして、そのような態勢を事実とったわけでございます。ところが、それが対応きわめてよろしきを得まして、いち早く世界に先がけて回復をしてきたというようなこともございまして、逆に新しい商品の開発等々もありまして、特に電気産業におきましては新たな需要といいまするものから非常に事業が逆に忙しくなっておるということもございまして、それが労働時間を超えて残業時間の消化でございますとか、あるいはパートの導入でございますとかというようなことでやっておるというようなこともあるわけでございまして、私どももその辺のところをどのように指導していったらいいか非常に困っております。実はきょうも閣議で御報告をいたしたわけでございますけれども、そのような態勢の中にありまして、全般的に見ますと、しかしながらこのところの、昨年の暮れ以来の景気の冷え込み等々もございまして、全般的には残念ながら労働時間が逆に減っております。去年に比べまして二・九%ぐらい残業時間は減っておるというようなこともあるわけでございまして、なかなかその伸縮といいますることを事態と合わせて常に適正に保っていくということがなかなかむずかしい、そういう状態になっておろうと思います。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 何か、大変短い質問時間なので、済みません、ちょっと端的にお答えをいただきたいんですが、いずれにいたしましても、後ほど電気の実態については具体的な資料も労働省にお渡ししてありますので確認をいただきたいんですが、労働行政としていろんないまの現状、さまざまな問題点があるということを労働大臣としての認識はあるとしても、いずれにしても労働時間短縮、週休二日制の推進という基本的な国の方向へ向かって推進をしていかなきゃいけないし、それと逆行してはならないと、こういうことについての御認識はそのとおりだと思っておりますけれども、一言だけお願いいたします。

藤尾正行自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤尾正行君) そのとおりでございまして、基本でございますから、それはびちっとやります。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 ところが、大臣も大体認識されていらっしゃるようなんですけれども、それが大変事実は逆行しておりまして、労働出書によりましてもこういうふうな記述としてその点を労働省としても問題視されているわけですね。「製造業では、所定外労働時間の伸びが大きく、実労働時間は引続き増加した。」そしてまた、これ白書の八ページでございますけれども、「業種別では、鉄鋼で最も高い伸びを示したほか、輸送用機器、一般機械、ゴム、電気機器、精密機器などで伸びが大きかった。」「また、規模別にみると、いずれの規模でも前年を上回る増加となっており、増加率は規模が大きいほど高い」つまり、大企業にそういう状況が顕著にあらわれているということも指摘がされているわけです。そして、「さらに、五十年以降の実労働時間の増加は、一時帰休等の解除に伴う所定内労働時間の増加もあるが、企業が生産増加に雇用増によらずもっぱら所定外労働時間の延長で対応してきたことにもよる。製造業の所定外労働時間の水準は、五十年の水準を一〇〇として五十四年には一一六にまで上昇した」という指摘になっているんですね。つまり労働白書でもこのように指摘をしているように、実際には政府の基本方針と逆行して所定外労働時間が大幅にふえて、そしてまさに時間短縮、週休二日制とは反対の状況が生まれてきているということは労働省としてもお認めになるところだと思いますが、この辺のところの実態はそのように把握をされていらっしゃると思いますが、それ、いかがでしょうか。大臣でなくても結構です、労働省の見解をお伺いいたします。

岡部晃三労働省労働基準局監督課長

○説明員(岡部晃三君) 先生のお挙げになりました労働白書の数字は昭和五十四年の分析と存じます。  五十五年につきましてただいま私ども分析を進めているところでございますが、総実労働時間で申しまするというと、五十四年が二千百十四時間でございまして、これはおっしゃるとおり昭和五十年以後漸増を、あるいは横ばいを続けてきておりましたが、これが五十五年になりますというと二千百八時間と減少の傾向を示し始めてきております。この辺は若干労働時間の短縮につきまして新しい展望が開けてきているのではないかと私ども期待しているところでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 それは甘いんで、その点の議論に入りますと時間がとられますので、いま私がこれから実態を申し上げますので、そこら辺はシビアにやはりあなた方もごらんになって対策をしていただかなければならないと思うんです。問題は、恒常的な所定外労働が行われていて、それで通常業務を通年にわたって処理している実態があるということなんですね。ここのところはかなり労働行政としてきちんと腹をくくって指導もし、また監督もしなければいけないところだというふうに思って、私は問題にするんですけれども、これは労働省の方に事前にごらんいただこうと思いまして資料もお渡ししてあるところですけれども。  東芝の場合ですね、これはオール東芝です。五十三年の十月から五十四年の六月と九カ月間、五十四年の十月から五十五年の六月の対比で見ましても平均一〇・四二%増加しているんです。これは労基法三十二条で言う所定内労働時間の制限を形骸化するものであって、五十三年五月二十五日に出された労働時間対策に関する事務次官通達に言うところのいわゆる「恒常的に相当程度の所定外労働時間を前提とするような生産計画ないし人員配置計画は、労働基準法の精神からして好ましくないものであり、除去改善する必要がある。」ということが次官通達で出ていますけれども、そしてまたさらにこれに基づいて労基局長通達が出ていますよね。これは「所定外労働時間の協定方式としては、一日当たりの所定外労働時間のみを定めるものが多く、この場合には臨時の徹夜業務や交替制の連続勤務などを予想して極端に長い所定外労働時間が協定される傾向にある。」ということを指摘して「所定外労働は原則として臨時、緊急の場合に行うべきものであるにかかわらず、次に掲げるような不合理な長時間労働を常態として行っているものが見られる」ということで、「恒常的な所定外労働により通常業務を処理しているもの」ということもここで挙げているわけです。いま私が一つ東芝を例として申し上げましたけれども、こういう形で所定外労働時間がふえて、しかもそれが通常の仕事を通年にわたって処理するというようなあり方は、こうした次官通達や労基局長通達に照らしても大いに問題のあるところだと思いますけれども、この点についての御見解をお伺いいたします。

岡部晃三労働省労働基準局監督課長

○説明員(岡部晃三君) 昭和五十三年の次官通達及び局長通達におきまして、過重な所定外労働時間の排除ということを私ども行政の中心に据えたわけでございます。そういうことでこの指導をしてきているわけでございますが、ここでひとつ御理解を賜りたいと思いますのは、ここで過重な所定外労働時間と申しますのは、数字で申し上げますというと、週四十八時間を超えるようなそのいわゆる法定労働時間を超える労働時間が過重であってはならないということでございまして、三六協定のチェックというものもそこに一つの焦点が置かれているわけでございます。そういう前提を置いた上で私どもまさに先生いま御引用になりましたような通達の精神に基づきまして過重な時間の克服ということに努めておる次第でございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 その過重の定義についてはいろいろと議論もあるところですけれども、それはいま入りません。  それで具体的に恒常規定になってしまっているといういわゆる三六協定、労働基準法三十六条に言うところの所定外勤務の三六協定なんですが、東芝の場合で言いますとこれもお手元に資料をお渡ししてありますけれども、まず第一に組合員が一カ月内に行う時間外勤務は休日出勤も含め原則として男子四十時間、女子二十時間以内とすると、こういう協定になっているんですね。そしてそのほかに特別な場合にはということで、これはごく特別な乗用自動車運転手だとか通勤バス運転手及び遠距離自動車運転手を初めとするごく特殊な例として幾つかの事項を挙げまして、この場合には原則として一カ月男子六十時間、女子三十五時間を限度としてという抑えがあって、三カ月について男子百八十時間、女子百時間を超えないものとする。そしてさらに男子六十時間、女子三十五時間を超えて時間外勤務を行うときは会社、事業場は個人別に時間数についてあらかじめ組合支部と協議すると、こういうふうになっているんです。  ですから、それが結果としてはごく限られた特別な場合であるということは当然なんですけれども、実際の統計を見ますと、どの程度に時間外労働が行われているかということを見ますと、四十時間を超えるものが五十四年の四月から五十五年の三月一年間で男子一万二千九百七十人、女子は千四百八十一人、全体の平均で一万四千四百五十一人に上るんです。いま申し上げましたように、協定によれば原則を超えることのできる職種はごく限られているわけですよね。ごく限られているにもかかわもず一万五千人に近い人々が、実際には例外であるべき協定の基本を超えてオーバーワークをしている。それは大体三割に近いですね。こういう実態は通常労基法の精神にもちろん反するし、通達の趣旨にも違反するし、通常なあり方ではなくて好ましいものではないというふうに私どもは判断をいたしますけれども、この点についての御見解はいかがでしょうか。

岡部晃三労働省労働基準局監督課長

○説明員(岡部晃三君) 労働時間につきましては、この三六協定によりまして時間外協定というものが締結されるわけでございますが、これは基準法の定めるところによりまして労使双方の話し合いにより締結されました三六協定に基づくわけでございます。で、これはそれぞれ労使締結に至りました背景、経緯等もあるわけでございまして、この何割、たとえばいま例外的な場合が三割というのは問題ではないかという御指摘でございますが、その辺が一体問題であるのかないのかというのは、その協約自体の解釈と申しますか、労使がどのような意思でこれを解釈していたかということにかかわるいわば労使自治の部面もあるわけでございまして、一概にその三割というただいまの実態からして適不適を論ずるということはできないのではないかというふうに考えるわけでございます。もとよりこれは客観的に見まして恒常的な長時間労働というふうなことに相なりますれば、それは先ほどの通達の精神からいろいろと助言勧告というふうな対象にはなろうかと思います。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 じゃひとつぜひ、この具体的な事例につきましても御調査もいただき、三割が三割でどうこう言えないということになると、それでは三割というのはかなりな部分の人たちが限られた職種として、例外的に協定で認めているにもかかわらず、相当の限られた職種を超える一般的な業務の中で持ち込まれているということになりますから、そこのところはぜひそういう観点から、ただ協定で労基署に届け出るということをうのみにして受け付けるんではなくて、それが実際にどのような形で、労働省の行政の視点からも逸脱しているのかしていないのか、歯どめをしなきゃいけない、指導しなきゃいけないところがどこにあるのかということを、ぜひ御調査もいただきたい、で改善の必要があれば改善をしていただきたい、この点はひとつお願いいたします。

岡部晃三労働省労働基準局監督課長

○説明員(岡部晃三君) 先ほど法定時間のお話を申し上げましたのは、私どもの調べたところによりまするというと、東芝におきましては月間の労働時間が約百六十八時間前後というふうに聞いているわけでございます。そういたしますというと、労働基準法が求めております四十八時間の基本線と申しますのは、これは一月にいたしますと二百八時間になるわけでございますが、これにたとえば年休一日分を引いても二百時間。したがいましてたとえばの話でございますが、三十二時間というものは法内超勤ができるわけでございます。そういたしますというと、その分を三十二時間あるいは四十時間をただいまの先生のお挙げになりました四十時間を超える云々ということでございますが、それを差し引きますというと、法律の求めているところを超えて残業をさせている部分というものはどれだけ多くあるのかという点になるわけでございます。しかし、その中にも恐らく長い者もおりましょうから、その意味においてはケース・バイ・ケースで、これは私ども日ごろの監督の中で改善の必要のあるものは改善さしていくということはもとよりのことでございますけれども、一般的に申しますというと、ただいまの先生のお挙げになりました数字そのものからは、そのもとの所定労働時間が短いという観点からいたしまして、直ちに非常に悪い条件であるというふうに言えるかどうかというのはいま一つ研究をさせていただきたいというふうに考えるところでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 それは私実態を全部あれして資料も皆さんにお渡ししておりますけれども、その後の問題に出てくる実態から言っても明らかで、もう一度だけ申し上げておきますけれども、この協定が男子四十時間、それから女子二十時間を超えてできるのはということで、ごく限られた分野でしか協定してないんですよね。これを上回って、ここをオーバーして一般的な職種で最低の基準のオーバー労働が行われているということを私申し上げていますので、その法定内の時間とかいうその問題じゃなくて、この協定に照らして、この協定があるにもかかわらず、これを超えて広範な職種で恒常的なオーバーワークが行われているということを指摘していますので、その点をよく押さえた上で御調査なさるというお話ですので調査もしていただき、研究もしていただきたいと思います。  それでさらに、もっとはっきりしている例は、職場の具体的な実態に照らしてみますと、これは日電の玉川工場の場合なんですけれども、これも資料をお渡しをしてありますが、日電玉川工場伝送事業部第二開発部、全体が約百人で男子がこの時点で九十一人ですね。この日電の三六協定はこうなっているんですね。これは四段階になっていまして、一カ月に男子は四十時間、女子は二十時間を超えないというのがまず出発です。そしてやむを得ずこれを超える場合でも一カ月に男子七十時間、女子が四十時間を超えない、これが二つ目ですね。それから三つ目として、やむを得ずまたこれをも超える場合には、一カ月に男子の場合九十時間を超えないものとする、こうなっているわけ。またさらにその上があるんですよ。そしてやむを得ず九十時間を超える場合には三カ月を通算して二百十時間を超えないものとする。こういう四段階の三六協定の内容になっているんですね。特に四番目の三カ月を通じて二百十時間を超えないというのは、玉川工場の運用の規定としてまず一カ月は百四十時間までできる、こういうことになっているんです。だから、三カ月を通じて二百十時間を超えてはならないとはなっているけれども、最初の一カ月で百四十時間できる、最初でなくても二カ月目でも一ヵ月は百四十時間までできる、こういう運用規定になっているんですね。実質的な青天井だと言わなきゃならないと思うんです。  この場合に、これも資料でお渡しをいたしましたけれども、この日電玉川のこの職場、いま申し上げましたような原則として四十時間、やむを得一ない場合は七十時間ということなんですけれども、年間の平均残業時間が男子が六十八・八八時間、約七十時間ですね、全員がですよ。全員がやむを得ない場合の七十時間までいっているんです。このやむを得ない場合の七十時間を超える者がやはり五カ月にもなっている——全員というのは平均してですね。ですから四十時間未満の労働者は二一・八%しかいないんです。つまり逆に言えば八〇%ぐらいの労働者が、原則である四十時間をもう超えて平均すれば七十時間という、そういうオーバーワークをしていると。これはまさに臨時で緊急の場合というのから大きく逸脱していて、明らかに基準法の精神に違反しているし、通達の趣旨にも違反していると。直ちに改善の指導を行うべきであるというふうに思いますけれども、この点いかがでしょうか。

岡部晃三労働省労働基準局監督課長

○説明員(岡部晃三君) 先生のお挙げになりました日電の玉川工場第二開発部の事案でございますが、この第二開発部と申しますのは御承知のとおり、これは研究開発部門でございまして、どこの会社もそうでございますが、研究部門というのは非常に長時間労働、研究ということの性質からなる傾向がある。わが国全体がそうでございます。で、この第二開発部の例で日電全体の傾向を推しはかることはどうもできないようでございまして、私どもまだ完全な調査をいたしたわけではございませんが、日電全体といたしましては一人当たり月二十時間から三十時間程度の残業というごとにおさまっているもののようでございます。したがいまして、第二開発部のこの数字はまあ少し多目でございますけれども、これで全体の傾向というわけにはまいらないのではないか。  それからまた、ここでも先ほどのようにこれは労使合意の三六協定に基づいて、その合意の中で、範囲円で行われているわけでございます。したがいまして、まあ形から言えばこれは法律違反の問題は生じていないわけでございます。ただ、その長目ではないかという御指摘につきましては、それはケース・バイ・ケース、これは私どもお手伝いできるところがあればその改善につきましてお手伝いをしていくという考え方でございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 あのね大臣、ちょっと課長がそういうふうにおっしゃるんですけれどもね、大臣ちょっとぜひ聞いてほしいんですがね、ここは協約によれば、例外に当たるものとしては、六項目に言う「緊急開発業務」というものの場合が当たるんですよ、この最低の規制からさらにオーバーしてよろしいというのがね。ところが、そこの職場が緊急の開発業務というのは、それじゃ一年じゅう大多数の人が「緊急開発業務」のためにオーバーワークしなきゃならぬと、こういう実態なんですね。これはもう課長も認められているんですけれども。こういうことがやはり労働行政で言う労働時間短縮、長時間労働をなくしていくということと真っ向から反する実態であるということは、これはもう異論のないところだと思うのでね、ぜひともその観点から——これはいま私は一つの職場を申し上げました。多かれ少なかれ大同小異の傾向があります。その点でぜひそういう三六協定が出されて、そしてその三六協定に基づいてこういう実態があるということについて、労働省が後ろ向きの姿勢でなくて、やはり時間短縮を図っていくというその政治の基本に基づいて積極的なメスも入れ、そして解決を図っていくという立場をはっきり確立していただかなきゃいけないと思うので、ぜひとも大臣のそうした決意というか、お考えを伺っておきたいと思います。

藤尾正行自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤尾正行君) 私詳しいことはわかりませんけれども、いまのそれぞれの職員のお話を伺っておりましても、たとえばいまの日電の場合を考えてみましても、LSIとかICとか、世界的に非常に激甚な競争をやっておりますものの開発に当たっておる部門、そういった部門での労働協約に基づく仕事の中身のようでございます。したがいまして、これを臨時緊急というような考え方で見ていくかどうかということはございますけれども、私は、それが三年も五年も十年も続いていくものじゃないと思うんですね。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 いや、一年間ずっとそうなんです。

藤尾正行自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤尾正行君) いや、まあ一年間でございましても……

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 いや、もっと長くそうですよ。一年ずうっとです。

藤尾正行自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤尾正行君) それはある非常に競争時には私はそういったことはあり得ると思うんです。それでなければ、その会社自体がその開発競争に破れていったのでは、そのこと自体が会社全体のお働きの皆様方にも影響を与えていくというようなこともあろうと思います。でございますから、ただいま申し上げましたようなことを承っておりましても、会社全体のその労働時間といいますものはきわめて妥当な範囲内におさまっておる。開発部門だけが非常に熱を帯びた研究をやっておられるということでございまして、これもしかし年がら年じゅう、十年も二十年もやっておるということでもないようでございますから、これは私どももそのような考え方で調査させますけれども、しかしながら一概にその部分だけをある時点でおとらまえになられて、そのことに対してこれは労働基準法違反ではないかという決めつけ方は少しどうかなあという感じもいたします。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 まあお調べになるということですから、ぜひしてほしいのですけれども、私が資料を差し上げたのは一年間なんですね。これはたまたま一年間の資料だけ差し上げていますから、それじゃその前後もずうっとお調べになってください。ね、ずうっと恒常的にこうなっているのですよ。それで現実にもう夜だってうちへ帰らない。ほとんどもう一日の残業が五時間、六時間、十時間に達するわけでしょう。そんなような状態さえ生まれるのですよ、この結果から言いますとね。そうして病人が出るとか、そういうことがもう現実には大変深刻な問題になっておりまして、いま私が取り上げた玉川工場は神奈川ですけれども、そういう事態が生まれていますので、ぜひそのただ十日間だとか一カ月だとかという、そういうことじゃないんです。ですからそこのところは、よくそういう立場で調査もなさってメスも入れていただかないと、こういう問題が放置されていって、そうして結局大臣が強調なさる時間短縮の方向へ、週休二日制の方向へなんというのは全く形骸化されているわけです。  というのは、いま私申し上げましたけれども、この長時間労働が、オーバーワークが実際にどういう形で消化されているかと言えば毎日の定時間以外のオーバーワークと休日出勤ですね、休日出勤がもうひどく行われているんですね。で、週休二日になっているけれども、実際問間としてはもう週休一日も確保されないというようなひどい状態さえ生まれていましてね、これは全体の東芝の数字ですけれども、毎月六割、三万二千から三万五千人の人たちが休日出勤を行っています。そしてこれがもう恒常化しています。で、三六協定では、ここの場合休日出勤は三日以内ということになっているのですけれどもね。しかし三口以上八日間にも及ぶ休日出勤者が毎月一万人以上出ています。これも資料お渡ししてありますけれども。これはまさに残業、休日出勤も含めて、臨時緊急に必要な場合で、労働時間の原則に反しない具体的事由を明記して届け出を行うということについて、こういう実態を認めるということは、まさに私は行政の放棄になると思うのです。そこのところはぜひ例外規定の乱用の規制を抜本的に行政指導の姿勢として確立をしていただかなきゃいけない、こう思っておりますから、重ねてこの休日出勤も含めて大臣のお約束をいただきたいと思います。

吉本実労働省労働基準局長

○政府委員(吉本実君) 電気産業の大手企業におきまして、ほほ完全週休二日制が採用されておるにかかわらず——採用されて制度的には改善が進んでいると、こういうところでございますが、いまおっしゃるように制度が十分生かされないで、週休二日制の場合でも土曜出勤がなされていると、こういうことについては私どもも承知しているところでございます。こういった事態を踏まえまして、先ほど先生もおっしゃいました週休二日制と労働時間対策推進計画におきまして制度上は欧米主要国並みというような大企業の場合でも、制度が十分生かされてないと、こういう状況にある企業につきましては、その計画の中でもいろいろグループ分けをしてそれぞれの対応を示しておりますが、いわゆるAグループということにいたしまして、それに対応を考え、所定外労働の削減というものを重点としながら、特に休日出勤の見直しをするようにと、こういった改善方向を示しまして、労使の積極的な取り組みを促すようにしているわけでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 日立の横浜工場の場合ですと、さらにこれが青天井そのものになっているのですね。つまり、三カ月連続して五十時間以上になってはいけないと、こういう三六協定になっているんです。ということは、一カ月目が何百時間であろうと、二カ月目が何百時間であろうと、三カ月目に四十九時間になればそれでよろしいという、こういう協定になっているんですね。これは私まさに三十二条、三十六条、労基法に違反していると思いますよ。この点についてもぜひお調べもいただきたい。  それで、このことが何をもたらすかといいますと、結果としてはそういう意味、長時間オーバーワークとそれから休日出勤ですね、もうほとんど週休二日制なんというのは意味がない、形骸化しちゃっているわけですよね、いまお認めになりましたけども。それと、何でこういうことになるかというと、実際に、これも資料をお渡ししてありますし、日立の場合、東芝の場合、時間がありませんので、そちらで吟味をしていただいていると思いますが、生産計画の中にいわゆる工数予算としてこうしたオーバーワークをもう取り込んでいるんです、ちゃんと。最初からオーバーワーク何十時間というふうに決めて、そして、予算をつくっているんですね。これはもともとが緊急で臨時のものについてするんだという三十二条ないし三十六条の労基法のあれに明らかに違反しているというあり方だと思います。そのために、結果として年次有給休暇がやっぱりとれなくなって、電気の場合は、労働組合でも問題にしておりますけれども、大変年休の取得率が低いです。それにもかかわらず、さらにこれがここのところ減っていく傾向がある、ないしはちっともよくならない、そういう状況が歴然としてありますので、長時間労働、休日出勤、そしてまたこれを生産工程に組み入れているという間違ったやり方、その結果、労働者は休日出勤をさせられるだけじゃなくて、年次休暇はもちろんとれなくなるという、こういう実態を労働行政の基本に沿ってその立場からしっかりとメスを入れ、ただただその三六協定が来て、はい結構でございます、労使でなさった範囲ですから幾らでもやってくださいなんという、そういう態度を改めてきちんとしていただかなければならないと思いますので、これは一言大臣のその点についての今後の取り組みの御努力のほどの御見解を、お約束をいただきたいと思います。一言で結構です。

岡部晃三労働省労働基準局監督課長

○説明員(岡部晃三君) 事務的なことだけ申し上げますけれども、私ども、そういう先ほどから問題になっております週休二日制推進あるいは年次有給休暇消化、あるいは過重な労働時間の削減ということでやってまいるわけでございまして、ただ、これも基本は労使の御努力に待つところが大きいわけでございます。先ほど来議論が出ました週休二日制等労働時間対策推進計画、これは国がガイドラインを示したものでございまして、基本は労使がこのようなガイドラインに沿って御努力を願うという性質のものでございます。三六協定ももちろん行政機関としてもいろいろチェックもいたし改善も示唆いたしますけれども、基本は、労使においてその方向で御努力を促す、いま問題に出ましたこの大手各企業につきましても同様と存ずる次第でございます。

藤尾正行自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤尾正行君) ただいま申し上げましたようなこともございますが、私は私といたしまして、あなたのおっしゃられることもきちっとした根拠があると思いますから、それはそれなりに十二分に考えて展開していきます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 ぜひ、しっかりやっていただきたいと思います。  それで、きょうは時間がないのでこの問題はさらに次の別な機会にいたしますけれども、最後に私は、昨年、男女差別賃金の問題につきまして労働省に、前の労働大臣のときですけれども申し入れいたしました。具体的には神奈川県小田原にございます富士フィルムです。これは資料も提出いたしましたけれども、明確に男女によって差別している賃金体系になっているんですね。ボーナスその他もそうです。この点については明らかに労基法四条に違反するではないかということで調査と善処を申し入れましたけれども、その後一年二カ月になりますけれども何の改善措置もされていないし、対応もされていないということです。これは、ことしからは国連婦人の十年の後半期に入ります。そして、差別撤廃条約の早期批准が大変強く全国的に求められています。雇用における男女平等の実現が大きな要求になっていて、政府もそのことについてはいろいろ積極的に取り組むという、そういうことを言っておられるんですけれども、実際問題として、明らかな男女差別がこういう形で放置されているということは大問題だと思います。せんだって最高裁で日産を相手にして定年差別で闘った中本ミヨさんに勝利判決が出まして、婦人少年局長も大変結構で大変力強い判決であるという談話も発表されておりますので、また、昨日も大阪で男女差別の問題につきましての婦人の権利を守るという観点での大阪地裁の勝利判決が出ております。そういう一連の動きの中で、労働省がもっともっと積極的にこれらの問題について対応をしていただかなければいけませんので、一つは、こうした一連の動向の中で、婦人少年局長にぜひともそういう立場で一層の男女差別をなくしていく上での決意のほども伺いたいし、御努力もお願いをするということがございます。  それから同時に、労基法の百条の二にはこういうことがあるんですね。「労働省の婦人少年局長は、労働大臣の指揮監督を受けて、この法律中女子及び年少者に特殊の規定の制定、改廃及び解釈に関する事項を掌り、その施行に関する事項については、労働基準局長及びその下級の官庁の長に勧告を行うとともに、労働基準局長が、その下級の官庁に対して行う指揮監督について援助を与える。」という項目があるんですね。これはぜひとも活用していただきまして、婦人少年局長、女性の立場に立って奮闘しておられるわけですから、ぜひともそういう点での男女差別撤廃の役に立てていただきたいし、そのための「文書を閲覧し、又は閲覧せしめることができる。」という次の項目の規定もあわせてお願いもいたしたいと思います。  それで、もう最後になりましたので、まとめて御質問いたしますけれども、富士フィルムの問題についての経過と、それからいま申し上げました観点での婦人少年局長の御答弁をいただいて、それから労働大臣に最後に男女差別の問題について、とにかく労働省がやはり積極的に断固としてこれをなくしていくという観点でのお約束をいただきたいと思います。

岡部晃三労働省労働基準局監督課長

○説明員(岡部晃三君) 富士フィルム小田原工場にかかわります賃金の男女差別問題につきましては、鋭意情報を把握いたしまして、所轄小田原労働基準監督署におきまして相当のこれは業務量を投入いたしまして詳細な調査を続けてきたわけでございます。その結果によりますというと、この富士フィルム社の旧賃金制度について設けられておりました男女間格差の問題につきましては、労働基準法第四条に抵触するものとは断定できない旨の結論を得たと報告を受けております。しかしながら、調査結果を総合的に勘案いたしますと、一部女子労働者につきましてはその取り扱いが不明確であるということも否定できないということでございました。この問題につきましては、今後取り扱いの明確化に向けまして労使間で話し合い、検討を行いまして、必要な改善を行うように、そして解決を図るようにあわせて指導を行った旨報告を受けたところでございます。

高橋久子労働省婦人少年局長

○政府委員(高橋久子君) ただいま先生から、男女差別をなくしていくための婦人少年局の役割りにつきましていろいろお励ましを受けたわけでございますが、私どももいまの時期が男女差別の解消のために非常に重要な時期であるという認識を持っております。最高裁判所から男子六十歳、女子五十五歳という男女別定年制につきまして無効であるという判決も出されたことでございますし、私どもはかねてから五カ年の年次計画で定年の差別をなくすように改善に取り組んでおりますが、さらに一層それを推進してまいりたいと思っておりますし、そのほかにも男女の機会と待遇の平等の促進を婦人労働行政の最重点として今後とも積極的に進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

藤尾正行自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤尾正行君) ただいま婦人少年局長が申し上げましたようなことでございますから、私はその上司といたしまして、婦人少年局長が縦横に働かれまするようにその環境づくりをいたします。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 富士フィルムの件ですけれどもね、それはもちろん指導をするのは当然で、改善を図っていくべきなんですけれども、これは明らかにやはり労基法四条に違反しているんですよ。この点についてはまだ別の機会に引き続き解明もいたしますけれども、その指導、改善の範囲でも早急に問題を解決していくように取り組んでいただきたいと思います。  終わります。

亀井久興自由民主党・自由国民会議

○主査(亀井久興君) 以上をもちまして労働省所管に対する質疑は終了いたしました。  明日は午前十時から分科会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十分散会      —————・—————

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